衆議院

メインへスキップ



第6号 平成25年11月19日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月十九日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 坂本 哲志君

   理事 北村 誠吾君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 森山  裕君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    赤澤 亮正君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      小里 泰弘君    加藤 寛治君

      川田  隆君    菅家 一郎君

      清水 誠一君    末吉 光徳君

      鈴木 憲和君    武井 俊輔君

      武部  新君    津島  淳君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      橋本 英教君    福山  守君

      堀井  学君    簗  和生君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      後藤  斎君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    福田 昭夫君

      鷲尾英一郎君    岩永 裕貴君

      杉田 水脈君    鈴木 義弘君

      村上 政俊君    稲津  久君

      樋口 尚也君    林  宙紀君

      畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室長)            滝本 純生君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            山下 正行君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十九日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     赤澤 亮正君

  中川 郁子君     中谷 真一君

  玉木雄一郎君     福田 昭夫君

  岩永 裕貴君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     青山 周平君

  中谷 真一君     中川 郁子君

  福田 昭夫君     玉木雄一郎君

  杉田 水脈君     岩永 裕貴君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     井野 俊郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農地中間管理事業の推進に関する法律案(内閣提出第一四号)

 農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農地中間管理事業の推進に関する法律案及び農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長小林裕幸君、食料産業局長山下正行君、経営局長奥原正明君、農村振興局長實重重実君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、内閣府規制改革推進室長滝本純生君、消費者庁審議官川口康裕君及び消費者庁審議官菅久修一君の出席を求め、説明を聴取したいと思いますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。

 きょうは、質問の時間を賜りまして、まことにありがとうございます。四十分という短い時間でありますので、早速本題に入らせていただきますが、最初に、ちょっとTPPの話をさせていただきたいと思います。

 先週末、共同が配信した記事で、こういう記事がありました。TPPの日本以外の残り十カ国が日本に関税の全廃を求めて、日本は苦境に陥っている、一対十だみたいな報道でありました。

 幾つかそれについて感じたことはあるんですが、マスコミというのは本当にいいかげんだなと。今までの報道ぶりは、情報が全くない中で、外交は内閣の専権であり、しかも相手の国と守秘義務を結んでやっていますから情報が出てくるわけないのに、自民党はもう公約を破っただの、選挙のとき言っていたことを裏切ったみたいな報道をさんざんしまくったあげくに、出てきたのは、自民党は公約を守ろうとして今度は孤立している、こういう記事であります。

 いかにTPPをめぐるマスコミの報道がいいかげんかの証左にもなっていると思いますし、一方で、私が感じたのは、そんなことは当然読み筋だよということであります。自民党の中でTPPの交渉に参加する前にさんざんやった議論は、日本に輸出をふやしたい人たちばかりなんだから、日本は当然孤立する、相手は残りの全ての国になるよという話は当然していたわけで、そんなことはわかっているけれども、その上で、あえてこの交渉に臨もうという決断を我が自由民主党はしたわけであります。

 そういうことでありますから、読み筋のことが起きても別に動じることもなく、マスコミはこれが初めて起きたようなことを言っていますけれども、我々は当然そんなものは読んでいたのであって、ナローパスではあるけれども、衆参の農林水産委員会の決議を生かし、自民党の公約を守って、内閣として交渉をしっかり進めて、国益にかなうものをぜひかち取っていただきたい、そういう思いであります。

 そのことは、冒頭、本当は西村副大臣が答弁者として足を運べれば質問にしようかとも思ったんですが、きょうはおられませんので、これについては、内閣の一員である林大臣そして江藤副大臣それから小里政務官に強く申し入れをして、申し入れにとどめさせていただきたいと思います。

 質問に入らせていただきます。

 今回の農地中間管理機構は、農地の集積そして集約化を進めるツールとして非常に画期的な手法であります。日本農業の構造改革を進めるために、ぜひ成功させなければならないと考えています。

 これは、必ずしも農業関係者の思いだけでないと私は思っています。都会の人間も、地方に行くと、耕作放棄地が目立つ地域で、やはりこれは本当に大丈夫かなと。農業者の皆さんが高齢化していることもあるし、耕作放棄地がどんどんふえているというのは、国民共通の認識で、何とかならないか。そういう意味で、耕作放棄地解消の狙いも中間管理機構には当然あるんだと思います。

 私の地元でも、弓浜地域、弓浜半島の地域は本当に耕作放棄地が多いです。三割、四割といったような耕作放棄地がある地域があります。セイタカアワダチソウがこれからの季節は真っ黄色な花を咲かせて、ちょっと見た目はきれいですけれども、事情がわかっている者は本当に暗い気持ちになるということであります。

 そういう状況も念頭に置き、耕作放棄地の解消といった点も含めて、農地の中間管理機構の狙いを教えていただきたいと思います。

林国務大臣 お答えいたします。

 今の我が国の農業構造を見ますと、実は、農地流動化をやってきました結果、認定農業者、集落営農を含めたいわゆる担い手が既に農地面積全体の五割になっておりまして、変化が見られていることは事実なのでございますが、さらに生産性を高めて成長産業としていくためにも、担い手への農地集積、それから担い手ごとの農地集約化をさらに加速していく必要がある、こういうふうに思っております。

 また、今、赤澤委員からお話がありましたように、農業者の高齢化等に伴いまして、耕作放棄地も拡大をしておる、滋賀県の面積ぐらいが耕作放棄地になっているという言い方をよくします。したがって、耕作放棄地の発生防止と、それから、残念ながら発生してしまった場合に、早期解消に努めるということがあわせて重要な課題である、こういうことだというふうに思っております。

 したがって、こういうことをやっていくために、流動化を進める画期的な手法として、都道府県段階に公的な機関として農地中間管理機構を整備する法律案を出させていただいたところであります。

 具体的には、中間管理機構が農地を借り受け、必要な場合には機構が大区画化等の条件整備も行った上で、法人経営体や大規模家族経営などの担い手に対して、その規模拡大や利用する農地の集約化に配慮して転貸をするスキームを整備したいと考えております。

 このように、農地の所有者と利用者の間に中間管理機構が介在をすることによりまして農地利用の再配分を適切に行うことにより、地域の農地利用を最適な状態、すなわち、耕作放棄地が発生しないということも含めた状態にしていきたいと考えておるところでございます。

赤澤委員 ありがとうございます。

 農地の流動化、特に集約化を進めるためには、農地の中間管理機構というツールだけでは足りません。それを活用するベースとなる地域の農業者の話し合いが絶対的に不可欠であります。言いかえれば、人・農地プランが決定的に重要であるということであります。

 市町村が作成する人・農地プランと農地中間管理機構との関係についてどう考えておられるのか、教えてください。

林国務大臣 人・農地プランは、平成二十四年度から、まさに話し合いを進めていこうということで推進をしてまいりまして、この九月現在で、市町村数で千三百五十、作成予定の千五百七十の八六%、それから、作成済みの地域数でいきますと、八千五百七十二まで来たところでございます。

 この人・農地プランの作成プロセス等において、信頼できる農地の中間的受け皿があると、農地の集積、集約化が円滑に進むという指摘があったということも踏まえて、農地中間管理機構を整備していこう、こういうことでございます。

 例えば、高齢の方々が農業経営からリタイアするときに、直接個々の担い手に貸し付けるということであると、交渉の手間がかかる、貸付先との個人的な信頼関係もないということでなかなか貸せないということでありまして、こういうものがあるといいなというところが、声が出てきておる、こういうことでございます。

 したがって、地域の人・農地問題の解決の観点から、地域の農業者の方々や市町村が農地中間管理機構と連携をやはり密にしていただく、このスキームをうまく活用していく、これが重要である、こういうふうに考えております。

 特に、各地域の人・農地プランの作成、見直しの話し合いの中で、地域でまとまって機構に農地を貸し付けていただくというような形で地域内の農地利用の再編成を進めることを合意するというのが理想的な姿であると考えております。

赤澤委員 全くそのとおりなんですね。

 今後とも、人・農地プランの作成や定期的見直しは強力に推進する必要があります。担い手が多いか少ないか、外から担い手に来てもらわなきゃいけないというような判断を地域できちっとしていく、あるいは、高齢者所有の土地の扱いをどうしていくのか、そういったことも人・農地プランでしっかり議論して決めていってもらうことは本当に大事なことであります。

 強力に見直しなどを推進する必要性とあわせて、人・農地プランの話し合いを進めていくために、農地の出し手などに対するメリット措置が不可欠だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

林国務大臣 今おっしゃっていただいたように、人・農地プランを前提にして農地中間管理機構を活用することが農地集積を進める上で最も効果的であるということでございますので、今後とも、まず、人・農地プランの作成や定期的見直しを強力に進めていかなければならないと思っております。

 人・農地プランに関係する予算措置、青年就農給付金、農地出し手に対する協力金、スーパーL資金の当初五年間無利子化等々ございますが、こういうものも予算措置として適切に確保していきたい、こういうふうに考えております。

赤澤委員 それで、今の質疑で明らかになる、人・農地プランというのは本当に重要なものなんです。農地の中間管理機構をきちっと生かしていくために、非常に重要なものであります。

 しかしながら、一言で言うと、規制改革会議でおかしな議論が行われているということです。

 きょうは、会議事務局の滝本室長にも来てもらっています。

 農地の中間管理機構については、政府の規制改革会議あるいは産業競争力会議でも議論が行われて、この法律案にもその意見が一部反映されているところはあります。両会議の意見の中に、もちろん建設的なものもあるんですが、農業の実態を踏まえていないため、およそ理解しがたいものも多いと私は言わざるを得ないです。

 例えば、規制改革会議は、人・農地プランについて消極的な評価をしています。それ以外にも、農業の補助金について、こんなものがあるから非効率なんだ、もう合理化しろと決めつけたような書きぶりもあります。九月十九日に出てきた規制改革会議の意見というのは、そういったおかしな点、何か農業の実態をわかっていないのに決めつけているようなところが非常に多くある。

 人・農地プランについては、こう書いてあります。「人・農地プランの法制化には慎重であるべきであり、現時点において法制化することは適当でない。」これは全くおかしな意見だと思います。農地中間管理機構をつくっても、地域の農業者の話し合いがなければ農地の流動化は進みませんし、特に、先ほど大臣がおっしゃったような、まとまった面積の農地を出してもらって農地を集約化していく、これは人・農地プランなしでは本当に実現が難しいと思うんですよ。そういうことが全く理解されていません。

 余りにも問題が多いと思うので、両会議のあり方についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、九月十九日に出されました農地中間管理機構の創設に関する規制改革会議の意見の作成に関与した委員、専門委員は何人いて、この九月十九日の現時点において、人・農地プランを法制化することは適当でないという意見はそのメンバーの総意と理解していいんですか。

滝本政府参考人 お答え申し上げます。

 中間管理機構のテーマにつきましては、本会議自体で直接扱うということでございましたので、本会議の委員十五名、それから、農業ワーキングというものをつくっておりまして、そこに農業の専門家に入っていただいておりますが、五名おりますので、合わせて二十名で議論をしたということでございます。

 それから、九月十九日に取りまとめたわけでございますけれども、これを規制改革会議としての意見とすることにつきましては、これら委員の総意というふうに認識いたしております。

赤澤委員 本当にそうかということなんですよ。

 というのは、まずお一人目、ニチレイの相談役の浦野委員ですね、「こういうふうにしたいと思っているわけですけれども、そのためにもここで「人・農地プランを法制化することは適当でない」という言い切りの形が本当に果たしていいんだろうかと大きな疑問を持つんです。」こうおっしゃっています。読みますと、「そのことが法律でなかなか適当でない難しい部分があれば、それを解消するためにはどういう手があるだろうかと考えていきたい。」こうおっしゃっているんですよ。

 人・農地プランを法制化することは適当でないと言い切るのではなく、何らかその中に取り入れる努力をした方がいいんじゃないか、こうおっしゃっています。お一人で言っているだけではないんです。それ以外にも、大崎委員、野村総研の主席研究員の方です。いずれも農業生産者とかじゃないですよ。その場とは離れて、だけれども、客観的、公平に見て、こういうふうに思うということをおっしゃっているんです。

 大崎委員は、浦野委員の御意見について、特に最初に指摘のあった人・農地プランの御意見については、私はなるほどと思う点もございます、その位置づけや作成手続等が明確にされない限り、人・農地プランを法制化することは適当でないというような条件をつけて、ほかの委員が心配するような問題点が解消されるのであれば、これは法律に書いたら直ちに弊害があるというふうに決めつけるのもどうかという感じがしている、そういった文章にするというのはひとつあるかと思いますと大変建設的な意見が出て、人・農地プランをきちっと法的に位置づけることについて意義を認めて、ほかの委員が心配している点もあるけれども、そこを解消して書き込むようなことも考えたらどうかと言っているんですよ。

 それについて、まとまって出てきた意見は何も書いていないですよ。人・農地プランの法制化については慎重であるべき、現時点において法制化することは適当でないと。これは、本当にそのメンバーの総意ということで片づけていいと思っているんですか。

滝本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、規制改革会議の意見の取りまとめに際しましては、人・農地プランの法定化に関してさまざまな意見が出たことは今御指摘のとおりでございます。

 そのような議論を踏まえまして、会議の場におきまして、意見書の記載につきまして、委員から議長及び議長代理に御一任をいただいております。その上で、出された意見をもとに修正された最終的な規制改革会議の意見書につきまして、委員から御了承いただいたところでございます。当該意見を規制改革会議としての意見とすることにつきましては、委員の総意であると理解しております。

 今御指摘ありましたけれども、お出ししました原案は、法制化することは適当でないということで、幾つかの意見が出されました。それに対して、やはり適当でないという意見を言われる委員もたくさんおられまして、結果的には、そこで修正をいたしまして、「人・農地プランの法制化には慎重であるべきであり、現時点において法制化することは適当でない。」修文した結果、そのような文章になったということでございます。

赤澤委員 今の話を聞いていて、要は事務局が仕事をしていないと私は思うんですよ。だって、一任を取りつけた後でどう文章を直すかなんというのは、事務局がつくっているのはみんな知っている話であって、建設的でいい意見が出ているんですから、人・農地プランの重要性をもし理解していたら、問題になりそうな点はきちっと手を打った上で、法制化をすることも、検討することも一つの選択肢みたいなことは幾らでも書けるはずです。

 とにかく、ここについては、もう人・農地プランについて法制化することは適当でないという方向でまとめたくてしようがないから、こうまとまっているように私には見えます。農業の実態をわかって、真面目に考えている人たちからすると、何でこんなおかしなものが出てくるんだろうと思うんです。実感です。

 そういう意味で、さらに聞いておきたいのは、規制改革会議が意見を出した後で、意見を受け取った政府がその取り扱いを判断すればよいと思うんですが、それでいいですよね。政府側がまさかこの意見を一〇〇%採用しないといけないなんてことはゆめゆめ思っていないと思いますけれども、いかがでしょうか。

滝本政府参考人 お答え申し上げます。

 規制改革会議は、内閣総理大臣の諮問機関として位置づけられているものでございます。会議の意見については、政府において十分に尊重されるものと理解しておりますが、その上で、会議の意見を踏まえて具体的にどのような対応をなされるかは政府において判断されるもの、そのように理解をいたしております。

赤澤委員 最後に政府において判断するというようなことをおっしゃっていたので、丸々こういった会議の意見などを採用するような場合は、改めて閣議で意思決定するのが普通だろうと私は思いますよ。これを本当に尊重することにしようという判断が一つ加わるべきものだと私は思います。丸々こういった、まとめの過程でも問題があるようなものをただ採用するなんということを押しつけられたら、私は政府の側もたまったものじゃないというふうに思います。

 加えてもう一つ、規制改革会議の意見と国会の意見ですね。例えば、国会が附帯決議をこの法案につけた場合、どっちが優先すると考えているか、答えてみてください。

滝本政府参考人 規制改革会議は、今申しましたように、規制のあり方に関する基本的事項を総合的に調査審議して意見を述べるということにされておりまして、審議会、諮問機関でございます。会議の意見については、政府において十分尊重されるものと理解しております。

 一方、国会の附帯決議は、法案審議をいただいた際に、その立法の施行に当たって政府が講ずべき施策、措置等について、立法府としての意思を表明されたものと認識しております。したがって、政府としては、法律の具体的運用に当たって、当然尊重すべきものであると考えております。

 どちらが優先するかというお話でございますけれども、会議の意見や国会の附帯決議を受けて、具体的にどのような対応がなされるかは、政府において判断するものだと理解しております。一概に申し上げることはできないと思います。

赤澤委員 今後、これは法律として成立をさせようとするわけです。もちろん、行政府にも、閣法という手段があるので、制度をつくろうとして法律を提案する権限はあるわけですけれども、最終的にその法律をどういう形にして成立させるかは、まさに立法府に任された専権だと思います。

 この農地中間管理機構については、本当に重要な事項であります。よく言われるのは、農政は猫の目農政と言われないようにしなきゃいかぬ。制度の安定性が何より大事なんです。予算措置だけで物をやったり、制度をきちっとしたものをつくらないでやっていると、本当にそれをまた考えの違う人がいいかげんに変えてしまうようなことも起こり得ます。したがって、私はこれはきちっと法制化することの意味というのは大変重たいと思っていまして、自由民主党では、そういった考え方で、農業の政策、柱になる部分はきちっと法制化していく。

 当然、立法府でありますから、我々が立法をし、あるいは、いろいろな提案を受けて、それを一部取り入れながらつくった法律もありますが、最終的には、我々が責任を持って、全ての点について考えをめぐらせて、問題のないものを成立させるということであります。その上でつける附帯決議については、当然、規制改革会議の意見がどうあろうと、行政府にはきちっと守って対応していただきたいということであります。法律の運用に万全を期してもらいたい、そのことは強く言っておきます。

 あと、ちょっと時間の関係もなきにしもあらずなので、産業競争力会議にも聞いておきたいんです。

 九月二十日に、産業競争力会議が農地中間管理機構についてという意見を出しています。これも、産業競争力会議として意見を出した後、意見を受け取った政府がその取り扱いを判断すればよいと考えていますけれども、ゆめゆめ、政府側が意見を一〇〇%採用しないといけない、このようなことは考えていないでしょうねというのをちょっと確認しておきたいと思います。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、九月二十日には、産業競争力会議の課題別会合において民間議員から意見が出されておりますが、産業競争力会議において取りまとめられた意見について、政府として施策の推進に当たって尊重すべきものとは考えておりますが、その取り扱いについては政府がきちんと判断するもの、そのように理解しております。

赤澤委員 何か微妙に違いがあるのか、先ほど、規制改革会議の出した意見は十分尊重、今の産業競争力会議は尊重というような話でした。

 規制改革会議の方は、内閣府本府の組織令に位置づけがあって、総理に意見をすることができる、なおかつ、議事は多数決というようなことも書いてあります。そういう意味では、規制改革会議の方が多少法的位置づけが高くて、産業競争力会議と比べても、今のお答えにあるように、尊重も十分してくれというようなことを言いたい立場なのかもしれません。

 しかしながら、いずれにしても、我々として、国会における議論では、内閣とも一緒になって仕事をしています議院内閣制なので、出てきた意見については、もちろん、建設的なもの、いいと思うものがあれば採用をし、実現を図るということでありますが、先ほどの人・農地プランのような話、私はもうこれは法制化すべきだと思いますよ。極力、おかしな意見については自信を持って無視をすると言うと言い方はちょっときついかもしれませんが、採用できない場合があるということは念頭に置いて話を進めていく必要があると思います。

 産業競争力会議にもあわせて聞いておきますね。法的権限は一体何なのかということと、国会の意見、附帯決議と違った場合、どっちが優先すると思っているんですか、そこもお答えください。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 産業競争力会議の事務局を担う日本経済再生総合事務局は、内閣総理大臣決定によって内閣官房に設置されたものですが、内閣官房は、内閣法に基づきまして、内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画立案、総合調整に関する事務をつかさどることとなっております。

 したがって、産業競争力会議で出された意見につきましては、その関連する政策につきまして関連する基本方針に関して企画立案、総合調整をすることが事務局に与えられた法的権限であり、それを全うすることが我々の使命だというふうに考えております。

 同様に、国会の附帯決議との関係でございますが、これにつきましては先ほど規制改革会議の滝本室長が答えられたとおりでございまして、いずれも尊重すべきものであるというふうに理解してございます。

赤澤委員 もう一回いきます。

 今の答弁は、要約すれば、産業競争力会議の位置づけについてはともかく、内閣官房が事務局としてどういう権限を持っているかといえば、内閣官房の本来の事務としてやっているんだという説明だったと思います。うなずいておられるから、そういうことでしょう。

 もう一回、お二人に私は強く言っておきたいんです。

 内閣が閣法も出せる、立法についても制度についても提案をすることは、それは結構です。いいものが出てくれば、我々は、きちっと審議をした上で、成立をさせるよう努力いたします。閣法という制度です。しかしながら、立法に係る部分について、あなたたちが尊重しろと言っても、我々は一つ一つ、本当にそれが建設的なものであるのか、農業の実態を踏まえていない、とんでもないものであるのか、その辺はきちっと判断した上で取捨選択をしますので、そのことはきちっと心得ておいていただきたい。尊重といったところで、我々の側は、それを一〇〇%きちっと実現しなきゃいかぬとか、そんなことはゆめゆめ思っておりませんので、そのことはきちっと心得ておいていただきたいと思います。

 その点についてよく理解できたか、お二人に聞きたいです。(発言する者あり)

滝本政府参考人 当然、国会で決定されたことについては尊重すべきものである、そのように理解しております。

赤石政府参考人 滝本室長と全く同じ認識でございます。

赤澤委員 ということで、全く同じ認識ということなんです。

 先ほど民主党席から、政治家に言わなきゃだめだという不規則発言がありました。ごもっともだと思うんですが、問題は、事務局の動きがよくないんですよ。(発言する者あり)それもそうだという不規則発言もありました。

 ということで、先に進ませていただきたいと思いますが、残りの時間で、本題の農地の中間管理機構の質疑に戻りたいと思います。

 私の地元は、実は、鳥取県中部、農業地帯であります。この法案の説明をしたときに最初に出てきた意見が、地元の長が非常にうまく農地についてはやっている、流動化をうまく進めているところもあるので、何か新しい制度をまた立てて、かきまぜるようなことをしないでほしい、うまくやっているんだからという声もあったんです。一方で、うちの市は全然だめだぞみたいなところもありました。

 ということなので、その辺を踏まえると、農地中間管理機構ができたことで、うまくいっていた市町村がやりにくくなるようなことはゆめゆめあってはいけないので、うまくいっていた市町村には機構がフルに業務委託をし、うまくいっていない市町村については機構が直接出張って業務を行えば、県域全体としての農地流動化がうまく進むと思います。そのように進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

江藤副大臣 答弁書を用意されておりますけれども、委員が全部答えを言ってしまいました。

 全くそのとおりだと思います。うまくいっているところはうまくやっていただく。ただ、信頼性が高まるわけですから、出し手も受け手も間違いなくなるということで、やれていないところは機構がかかわり、そして、いけているところは、当然市町村が知事の承認を受けることは確実でありますので、そのような支障が出ないように、慎重に運営をしていきたいと考えております。

赤澤委員 次に、機構が事業規程で定める貸付先の決定ルールがどのようなものになるのかをお伺いしたいと思うんです。

 これも、規制改革会議とか産業競争力会議の議論の中で通奏低音として流れているようなのは、今までの担い手をすっ飛ばして新規参入者を優先しろ的な議論がある。とんでもないことだと思いますよ。その点も含めて、地域内の担い手と新規参入者のいずれが優先するのか、その点についての考えを教えていただきたいと思います。

奥原政府参考人 お答えいたします。

 機構の貸付先の決定ルールでございますが、これにつきましては、機構が作成をし、都道府県知事の認可を受けるということになっております。借り受け希望者のニーズを踏まえて、公平、適正に調整するとともに、地域の発展に資するものにしていくことが基本であるというふうに思っております。

 それぞれの都道府県におきまして、その農業事情を踏まえて作成していただくことになりますが、農地の借り受けを希望している方の規模拡大あるいは経営耕地の分散錯圃の解消に資するものであること、これが一つでございますし、既に効率的、安定的な経営を行っている農業者の方々の経営に支障を与えない、これも大事でございます。それから、新規参入した方々が効率的、安定的な経営を目指してやっていけるようにする、これも必要でございますし、借り受け希望者のニーズを踏まえて、公平、適正に調整する、これが必要であると思っております。

 したがいまして、新規参入の希望に配慮することも当然でございますけれども、既に効率的、安定的な経営を行っている担い手の方々の経営発展を阻害しないようにするということも極めて重要なテーマというふうに考えております。

赤澤委員 通告とちょっと前後しましたが、今回の法案では、借り受け希望者の公募に、認定農業者など地域内の担い手も、もう既に担い手になっている方たちも応募しなければならないとされています。その理由をお尋ねします。

奥原政府参考人 機構の農地の貸し付けにつきましては、公平かつ適正な手続のもとに行われるということを保証するとともに、貸付先の選定プロセスの透明化を図る必要があるというふうに考えております。このために、地域ごとに定期的に借り受けの希望者を募集いたしまして、そのリストを作成して公表するという規定になっております。

 募集に際しましては、農地の借り手に対する農地の貸し付けを円滑かつ適切に進めるという観点から、借り受けを希望する方の農地に関するニーズを詳しく把握しておくことが必要でございます。例えば、どこに、どのような農地を、どのくらいの面積必要として、そこで何を生産していくのか、こういったニーズをできるだけ詳しく聞いておくことが、その後の手続を円滑に進める上で必要というふうに考えております。

 この観点から、地域内の認定農業者を含めた担い手の方を含めまして、全ての借り受け希望者が公募に応募していただくという仕組みにしているところでございます。

赤澤委員 公平を期すために言っておくと、ここのところは、まさに規制改革会議の意見の中で、建設的だな、これはいいなと思って、採用された部分なんですね。農地をきちっと農地として使ってもらえているか、耕作放棄地になるおそれがないかみたいなことが、まさにこの制度をうまく運用していく上での肝の情報ですので、こういう制度を、規制改革会議の意見も入れて、入れたことでよりよく動くようになるのであれば、これは大変いいことだと私は思っています。

 次に伺いたいのは、農地の中間管理機構、これは従来の農地保有合理化法人とどう違うのか。今回、農地保有合理化法人という制度は廃止されて、中間管理機構に移るということだと思いますが、農地中間管理機構は従来の農業公社の衣がえということで済むのではないだろうと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

奥原政府参考人 これまでの制度で、農地保有合理化法人というものがございました。ここは、売買を中心にしておりまして、このために、出し手、受け手、合理化法人ともに消極的な姿勢であったということもございますし、出し手、受け手の個々の相対協議を前提として売買を進めてきたということがありまして、地域全体としての流動化の機運をきちんとつくることができなかったという問題もございます。それから、財政支援も不十分であった。こういったことから、この合理化法人の実績は低調でございました。

 今回の農地中間管理機構は、リース方式を中心としております。機構が借り受けて、担い手に転貸をする。理想的な農地の実現に向けて、転貸先は段階的に変更していくということも想定をしております。さらに、地域の関係者の話し合いによります人・農地プランの作成と見直しとセットで取り組むということ、さらに、財政支援も充実をさせるということから、今回は成果をきちんと上げていけるものというふうに考えております。

 一方で、今度の農地中間管理機構につきましては、農地流動化を責任を持って積極的に推進するという体制をつくることが非常に重要でございます。その観点で、法律上、役員を県知事の認可制にするということ、それから、機構の事業の実施状況が著しく不十分なときは、県知事が役員の解任を命ずることができるといった制度にするなど、ガバナンスの強化を相当強く図っております。

 この結果といたしまして、従来の農地保有合理化法人がそのままの形で機構に移行するということは非常に難しいと考えておりまして、抜本的な組織体制、役員体制の変更をするか、あるいは新たに組織を立ち上げていただくか、こういったことが必要になるものというふうに考えております。

赤澤委員 要は、受け手をどう探すかが機構の最大の仕事だということですね。そういう意味で、地域からもある意味尊敬をされて、人望もあるような、いわば地域に本当に根差して、雇用も生み、業績を上げてきたような、例えば農業生産法人の長のOBであるとか、そういったような方たちでなければ、なかなか務まらないだろう。もし、担い手に外から来てもらうということであれば、例えば、企業とかも含めて、声をかけて走り回るというようなこともあるかもしれません。

 そういう意味で、この農地中間管理機構はしっかりと体制をつくらないといけない。今の御答弁にあったように、その点を念頭に置いて、しっかりやっていただきたいなと思います。

 あわせて、農地中間管理機構が大区画化等の利用条件の整備を行ったときの、出し手と受け手の負担はどうなるのかも聞いておきたいと思います。これはかなり財政当局からいろいろな締めつけがあるんだと思いますが、その辺はどう考えていますか。

奥原政府参考人 機構の関係の予算の問題でございます。

 これは、夏の概算要求をした上で、現在、予算の調整をしておりますので、確定しているわけではございませんが、現時点の農林水産省の考え方はこういう考え方でございます。

 機構が大区画化等の簡易な基盤整備等を行った場合は、通常所有者等が負担する部分がございますけれども、これはとりあえず機構が肩がわりをする。その上で、整備することによりまして、農地の生産性が上がってまいります。したがいまして、受け手の方が払う賃料は高くなる。整備後であれば、高い賃料を払えるということになるのが通常でございます。この結果、これは賃料を多少高く払うことができるようになりますので、この受け手の負担分で、何年かかけまして、機構が肩がわりした整備コストを賄うということを基本に考えているところでございます。

 一方で、出し手の方につきましては、これは機構に長期にわたって農地を貸し付けていただくという前提でございますけれども、その場合には、所有者の方の負担というのは基本的にはない方向で考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、この問題につきましては財務省と調整中でございますので、今後の予算編成プロセスで整理をすることになるというふうに考えております。

赤澤委員 農地中間管理機構が目的をしっかりと達せるように、財政当局との調整を頑張っていただきたいと思います。

 次に、我が地元でも、土地改良の負担金が非常に重たい、こういう声を聞きます。その点も含めて、担い手への農地の集積、集約化が進めば、農地は農業生産のための公共財としての性格を強めると思います。要するに、農地以外に使えないということです。農地にしか使わないということです。そういう公共財としての性格を強める。もう転売期待とかそういうものは排除されている、そういう状態になると、農地が農業生産のための公共財としての性格を非常に強めるということになります。土地改良法に基づく事業を含めて、所有者などの負担を求めることは難しくなるのではないかと考えます。

 今後、土地改良法などの事業費の負担のあり方についても抜本的に見直していくべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 農地中間管理事業を通じまして担い手への農地の集積が進みますと、耕作放棄地の発生も防止されて、農地が従来以上に有効に活用されることになると考えております。

 農業農村整備事業ですが、農地の価値を高めるということでございますので、負担を農業者にしていただく、こういうことにしておりますが、今まさに委員からお話があったように、農地に公益的な役割がますます農地中間管理事業を通じて増していくということもあろうかと思いますが、負担が極力軽減をされるということで公益的な役割に応える、また農地集積を進めていく、こういうことを進めていくことが望ましい、こういうふうに思っております。

 具体的には、大区画化などの農地整備を行う場合に農地集積率に応じて交付する促進費を拡充する、畦畔除去等の簡易な農地整備に対して行っている定額助成の単価を引き上げる、それから、農家負担金の償還利子をゼロにする助成を拡充する、さらに、ため池、水路等の点検、ハザードマップ作成といったいわゆるソフト活動への定額助成を充実させる、こういうことについて予算の要求を行っておるところでございまして、現場の実情の変化を踏まえながら、さらに、農業農村整備事業に関する事業制度そのものをどうしていくかについても検討してまいりたいと思っております。

赤澤委員 御指摘の予算要求、どれも有効なものだと思います。ただし、やはり中長期的に見て、土地改良法等の事業費の負担のあり方については抜本的に見直す時期が来ると私は思っておりますので、その点も念頭に置いて検討を進めていただきたいと思います。

 時間もちょっと迫ってきたので、あと二つ、できれば聞きたいんです。

 農地中間管理機構に関する二十六年度の概算要求の内容、気になるのは地方負担です。地方負担ゼロは難しいとしても、極力最小化すべきだと思います。これについて、本当に一言で簡潔にお答えいただきたいと思います。

奥原政府参考人 機構に関する地方負担の問題でございます。

 実は、二十六年度の概算要求、これは機構に関しまして六百五十五億円要求をしておりますが、この時点では、全額国費ということで要求をしておりました。ですが、その後、いろいろな政府内の調整もございまして、地方負担についても考えているところではございます。

 機構が十全にワークをして、十年間で構造改革の成果がきちんと上がるようにするという観点で、国の財政支援は必要不可欠でございますが、一方で、各県の機構が効率性も考えて活動して、モラルハザードを生じないようにするということも重要でございます。

 この両方を踏まえまして、予算編成のプロセスの中で、どの程度の負担関係にするか、よく調整をしていきたいというふうに考えております。

赤澤委員 最後に、林大臣にお尋ねをいたします。

 アドバイザリーグループとして、産業競争力会議、規制改革会議が意見をおっしゃるのは自由でありますし、それを参考にすることは必要だ。きょうの質疑の中でも御紹介したように、建設的なものであれば、これをきちっと生かしていくのは、我々にとっても好ましいことであるし、そこに違和感はありません。

 しかしながら、この制度をきちっと実効性あるものとして機能させる責任は林大臣が負っておられるということであります。大臣には、現場の実態を踏まえて、現場で十分機能するものとなることを第一義として、余り農業の実態を知らないようなとんでもない意見はおよそ度外視してというか脇に置いて、きちっと制度の運用改善を行ってほしいと切望いたします。

 最後に一言いただいて、終わりたいと思います。

林国務大臣 農地中間管理機構は流動化を進めるための画期的なツールであると考えておりまして、この十年間で十分な成果を上げて、農業の構造改革を実現しなければならないと思っております。

 そのためには、今委員から御指摘があったとおり、現場の実態を踏まえて、現場で十分機能するものとなるということが何よりも重要である、こういうふうに考えておりまして、そのことを肝に銘じて、制度の運用に万全を期してまいりたいと考えております。

赤澤委員 ありがとうございました。終わります。

坂本委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔でございます。

 時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず大臣に、冒頭、お考えをお伺いいたしたいと思います。

 食の安全保障、これは質の面、量の面、両方あると思いますけれども、この安全保障について、これは国の、政府の最大の責任ではないか、このように私は思っております。

 今、TPPの議論もいろいろと進んでおります。そういう中で、国のいわゆる自給率、自給力、こういうものがどうなるのか。そして、赤澤委員からも、現下の米の政策の見直し、こういう点で必ずしも現場に即していないのではないか、こういう議論が行われているではないか、こういう御指摘もあったように私は思います。

 そういう点も踏まえて、食の安全保障というのは政府、国の最大の責務であると私は思いますけれども、大臣はどのようにお考えか。まず、お伺いいたします。

林国務大臣 これは委員おっしゃるとおりでございまして、食料・農業・農村基本法の第二条一項に、「食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。」と明記をされておるわけでございまして、委員が今おっしゃったことと全く合致するわけでございます。

 ここに書いてありますように、食料の安定供給を将来にわたって確保していくということは、国民に対する国家の基本的な責務であると考えております。

石田(祝)委員 私たち公明党も、農業という、これは産業と言っていいのかという議論があるかもしれませんけれども、特に私は、農業は生命維持産業である、こういうことも再三、今までも申し上げてまいりました。

 ですから、これからいろいろな御議論が出てくると思いますけれども、国の責任、政府の責任、国家の責任、食料の安定供給、こういう点に最大の責任があると私は思っておりますので、ゆめゆめ、これは民間でやってもらえばいいんだとか、いろいろ方策はあると思うんですよ、政策の途上ではいろいろあると思いますけれども、根本のところでは国がしっかり責任を持つ、こういうことでなければいけない、このように私は思っております。

 それで、きょうの農地の中間管理機構、この件に入る前に、もう一点お伺いをいたしたいと思います。

 これは、諫早の問題であります。これにつきまして、私は、どちらがどうか、長崎と福岡と百八十度違う、確定判決、一つは仮処分、こういうことでありますけれども、これの是非については申し上げません、これは司法の判断ですから。しかし、どのマスコミの論調を見ても、解決は政治の責任ではないか、こういうことが、私の見る限りほぼ共通しているように思いますけれども、これから、十二月二十日が福岡高裁の確定判決になっておるところの一つの期限だ、こういう面もあります。

 そういう面も踏まえて、政治としてどうお取り組みになるのか。この点について、大臣のお考えをお伺いします。

林国務大臣 今、委員から触れていただきましたように、十一月十二日ですが、長崎県の関係者が長崎地裁に訴えている開門差しとめ訴訟におきまして、長崎地裁から、開門差しとめの仮処分の申し立てを認容するという決定が行われております。

 今回の仮処分決定によりまして、国は、二つの義務、すなわち福岡高裁判決による開門義務と、今回の仮処分による開門をしてはならない義務、二つの相反する義務を負うことになりまして、大変難しい状況になったというふうに考えております。

 この仮処分の決定を受けて、十一月十四日ですが、長崎、佐賀両県の関係者がそれぞれ上京されまして、私や江藤副大臣がお目にかからせていただいたわけでございますが、長崎県の関係者からは、仮処分決定を尊重し開門方針を見直すこと、佐賀県関係者からは、福岡高裁の確定判決に従い十二月二十日までに開門することと、それぞれ要請をいただいたところでございます。

 仮処分決定は五百九十三ページございまして、今農林水産省を初め、関係各省において吟味、分析をしておりまして、今後の対応について、政府部内で慎重に検討していきたい、こう考えております。

石田(祝)委員 それ以上は今のところ申し上げられないだろうと私も思います。

 これは、ある意味でいえば、林大臣だけの責任というよりも、やはり政治全体で受けとめなければならないのではないか、こういうふうに私は思っておりますので、ぜひ政治の責任において解決をする、そういう思いでお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 それでは、きょうは、ちょっと質問の順番を変えますけれども、農地中間管理機構についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 今回、特例措置をいろいろと設けてほしい、こういうお話があちらこちらから、特に税制についてございますけれども、この点をお伺いしたいのと、そして現在、農地保有合理化法人に対する特例措置もありますけれども、そういうものがそのまま今回の機構に引き継がれるのかどうか、こういう点も踏まえてお伺いをいたしたいと思います。

 ちょっとその前に、これは今の御答弁を聞いて、私は確認をしたいと思うんですが、今、奥原局長は、予算のことについて赤澤委員から御質問があったときに、何か六百五十六億、こういうお話でしたが、私たちが聞いている範囲は一千三十九億という数字しか聞いておりませんが、一体いつから六百五十六億になったんですか。それをまずお答えいただいて、先ほどの御質問にお答えいただきたいと思います。

奥原政府参考人 まず、予算の件から御説明いたします。

 先ほどお答えいたしましたのは、農地中間管理機構に直接投入する金でございまして、これが六百五十五億円でございます。これのほかに、農地の出し手に対する補助金ですとか受け手に対する補助金、あるいは農業委員会の方に対します、例えば農地台帳の整備経費だとか、そういったものがございまして、これをトータルで見ると、千三十九億円という予算要求になっているところでございます。

 続きまして、税制の関係でございますけれども、農地中間管理機構の整備に伴いまして、二十六年度の税制改正要望におきまして、農地を機構に貸し付けていただいた場合に、固定資産税を非課税とする特例措置の創設等を要望しているところでございます。

 これに加えまして、現在、農地保有合理化法人に対して認められております、農地を合理化法人に貸し付けた場合に相続税の納税猶予が継続する特例ですとか、あるいは合理化法人に農地を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除、こういった税制特例につきましては、機構を対象とするように要望しているところでございます。

石田(祝)委員 もう一度確認をいたしますが、一千三十九億というのは、そのほかのいろいろなものを入れての数字である。そして、その一千三十九億を、地方の負担分もこれはお願いしなくてはならないのではないのか、こういうことで、一千三十九億の中にミシン目、どちらをどうするかというのが入っていない、私はこういう理解をいたしました。

 それで、もう一点この件で、通告はしておりませんが、御答弁から派生した問題意識ということでお答えできればと思います。

 この一千三十九億の農地中間管理機構に関するお金、これは、ある意味でいえば、概算要求の段階で出ている話ですね。ですから、今いろいろと米の議論をしておりますけれども、これはその前に出てきている話である、そういう整理でいいですか。ちょっとお答えいただけますか。

奥原政府参考人 先ほどお答えをいたしました地方負担の話というのは、主として機構に対して直接投入をいたします六百五十五億円の話についてでございます。

 例えば、出し手への協力金、あるいは受け手への補助金につきましては、これは従来から国費でやっているという経緯がございますので、そこの話ではなくて、先ほど申し上げました地方負担の話は、機構に対する六百五十五億円の話ということでございます。

石田(祝)委員 ちょっともう一つ。この話が出てきたのが概算要求の段階であって、今回の米のいろいろな議論が出てくる前の政策として出てきていますねという確認です。

奥原政府参考人 失礼いたしました。

 当然、この六百五十五億円、それから全体を含めて千三十九億円というお金は、夏の概算要求、八月末に農林水産省として財務省に提出をした予算要求の数字でございます。その時点では、今回の経営所得安定対策の見直しですとか、そういったものは前提にはなっておりません。

石田(祝)委員 それで、どういう特例措置が必要かということで、我々も税制改正に向けていろいろな団体からお話をお伺いしたときに、やはり税制についての要望が非常に多かったように思います、特に農地中間管理機構に、例えば賃料収入の法人税の非課税とか、いろいろと私も資料もいただきましたけれども。

 もう一度確認をしますけれども、例えば、農地の受け手と中間管理機構の間の契約書の印紙税、これは非課税になるのかどうか。それを要求しているかどうかですね、これから決めるわけですから。それから、農地の出し手に対して、同じく契約書の印紙税の非課税措置の問題。それから、農地の出し手の方が農地の保有に固定資産税がかかるわけでありますけれども、それを貸したときにこういうものがどうなるのか。それから、あと、相続税、贈与税の納税猶予の問題。

 具体的に言うとそういう問題がありますけれども、それらについて、私は新規に要望しているという資料もいただいておりますけれども、そういうことでよろしいのか。もう一度御確認をお願いします。

奥原政府参考人 農地の出し手と中間管理機構の間の契約書の印紙税、これにつきましては、非課税措置を要望しております。それから、農地中間管理機構と農地の受け手との間の契約書の印紙税につきましても、これも非課税措置を要望しているところでございます。

 それから、農地の出し手については、農地の保有について固定資産税がかかることになりますけれども、これにつきましても、減免措置の要望を出しているところでございます。

 それから、出し手が中間管理機構に貸し付けをした場合、相続税、贈与税の納税猶予、これが継続できるように、特例措置を要望しているということでございます。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 それでは引き続きまして、私は中間管理機構は非常にいいとは思うんですけれども、滞留防止ということを余りにも強く言い過ぎると、例えば、もう自分がやらないので農地を借りてもらいたい、要は出し手ですね。それで、管理機構が預かる、それから借り手を探す、こうなったときに、例えば十年も二十年も預かって、預かり賃を払うのか。これは、一体どのぐらいのところまでは原則としてお金を出して預かろうとするか。自分ができないから、やらないから借りてくださいと出すわけですね。それを借り手がないからお返ししますよと言われても、これは困っちゃうわけですね、そういう人は。

 ここのところはどういうふうなお考えで、滞留防止ということと、現実に借りてほしいという方が出して、それを、もう借り手がないから返すから、あなたが自分で処理してよ、こういうふうになるのか。そこのところはある程度はっきりしないとなかなか難しいのではないかと思いますけれども、このあたり、数字も含めてどういうお考えか、お伺いをします。

江藤副大臣 先生にはいつもお世話になりまして、ありがとうございます。

 数字を含めて答弁しろ、機構が預かる期間を大体どれぐらいのめどを考えているのかというのが御質問の趣旨ということでありますが、それについては、まだ明確なところは用意はしておりません。しかしながら、余りにも滞留していることを認めてしまいますと、これはモラルハザード等になりますので、ある程度の期間がたったら返還するというようなことも仕組みの中には書いております。

 それから、借り入れるときにも、余りにも農地の状態が悪過ぎる、木がうっそうと生え茂り、農地となっているけれども、これはもう完全に林野に戻っているようなところは中間管理機構としては受け入れない、そういうようなところも書いているところであります。

 個々の農地の受け手がいるかどうかを判断するのではなくて、その地域について、受け手がいるかどうかについてを判断することでありますので、その地域全体について、受け手の候補者が全くいない場合には機構は受け入れませんけれども、そうでない場合には受け入れることは可能である。

 この期間については、またきちっと整理をして、御答弁をさせていただきたいと思います。

石田(祝)委員 御答弁いただくとしても、余り何回もここで議論をする時間が多分ないだろうと思いますので、ぜひ早急におまとめをいただきたいと思います。

 私の考えとしては、年数が二年とか三年とか五年とかいうのはあると思いますけれども、一度お預かりをして、そしてある一定年数がたった後は、賃料はもう払わないけれども、預かるは預かる、こういう考え方はできるんじゃないのか。

 返されても、これは困っちゃうわけですね、固定資産税の問題だとか。もうお金にならない、もうできないから借りてくれと出しているのに、ある一定年数がたったら返されて、自分はできない、借り手もいない、資産税だけかかってくる、こういうことにもなるわけですね。

 ですから、現実的に進められるかどうかというのは大体、ある意味では細かいところ、実務的なところを詰めて明確にしておかないと、現場も混乱するし、実際、貸したい、借りたい人もイメージが描けない、こういうことがあります。これは大事な問題であると思いますので、ぜひ早急に検討をしていただきたいというふうに思います。

 それともう一点、今、赤澤委員からも人・農地プランの話がありました。私も先般、人・農地プランで非常に進んでいる出雲市へちょっとお邪魔をいたしました。合併前の旧の町ですか、その行政区でやっているということでしたけれども、非常に精力的に行政もやっておりまして、そういう中で、やはり衆目一致するところ、この人が次の担い手になるのではないか、こういうことを話し合いによって決めている。

 ですから、人・農地プランもしっかり活用をして、そういう中で、みんなの話し合いの中で、次は彼が農業の中心だなと。そうしたら、そういうところに集約しよう、そして、飛び飛びに飛んでいるんじゃなくて、できるだけ、利用権も交換して利用しやすいように、やりやすいように協力しようじゃないかと。ですから、中間管理機構をつくって、形をつくったから、入れ物をつくったから、中に農地の貸し手と借り手を入れてうまくいくかといったら、これはなかなかそうはいかないと思うんですね。

 ですから、人・農地プランについても、法制化の話も出ておりましたけれども、これはぜひ大臣に取り組んでいただきたいな、こういうことを申し上げたいと思うんですが、この点は特に質問通告しておりませんでしたけれども、今までの議論の中で、お答えできればお願いします。

江藤副大臣 私も産業競争力会議には出席をしたわけでありますけれども、そのときに私が申し上げたのは、やはり、歴代、長い年月をかけて守ってきた大切な農地、歴史のある農地について、信頼できる受け手に渡すにしても、そこには丁寧な説明も必要ですし、説得も必要ですし、そこには人の心の通った会話がなければ、土地の流動化、農地の流動化なんかはできませんということを繰り返し私も述べさせていただいたところであります。

 ですから、人・農地プランというものは、これは前政権のもとでおまとめいただいたものでありますけれども、非常にこれは農政の基本となることでありまして、でっかい機構という器ができたからといって動くものではありません。円滑化団体と、そしてJA、それから農業委員会、そういったところもみんな一体となって、これから集積が進むように、これはワークさせていきたいと考えております。

石田(祝)委員 これはぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、先ほど質問もありまして、今の御答弁にも関係するんですけれども、今回、農地の借り受け者の選定については、ある意味ではスタートラインは一緒だ。ですから、みんなが公募してくださいよ、スタートは一緒だよという、ピストルが鳴って、もう全部並んでやりましょう、こういうことになっているわけです。そうすると、いろいろと御意見も我々もいただいているんですが、認定農業者を、これはもともと前の自公政権のときに、ある一定の面積要件等も入れて、そういう中で、次の担い手だ、こういう位置づけをしてスタートしているわけですね。

 ですから、ここの、スタートは確かに、今の話の中では、奥原局長の御答弁も、スタートラインは一緒だ、公募で透明性を持ってやるんだ、こういうお話でありましたが、これはどんなにやっても、透明性はあるけれども、実効性がなかったとなったら全く意味がないので、この辺のことを、本来の中間管理機構で農業の発展に資する、そういう観点から何かいいお考えがこれから出てくるのかどうか。これは局長に聞きましょうか。

奥原政府参考人 機構の貸付先の決定ルール、これにつきましては機構が作成をして、県知事の認可を受けて決めるということになっておりますが、法律の八条のところで、公平、適正に調整するということと、地域の発展に資するものとしていくということがもう一つ明確に書いてございます。

 先ほども御説明いたしましたけれども、この中身として、例えば、既に効率的、安定的な経営を行っている農業者がいる場合に、その経営に支障を与えない、あるいはその経営の発展をさせていくということが、この地域の発展に資するという意味だというふうに理解をしております。

 そういう意味では、御趣旨の認定農業者にきちんと農地が流れていくということも配慮しながら仕事をしていくということになるものと考えております。

石田(祝)委員 そういうことで、せっかく大変なお金を使ってやるわけですから、効果が上がらなきゃ、これは逆に我々が非難を受ける、こういうことだろうと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。

 それで、農地の基本台帳の法定化について、この公開ルールについていろいろと御心配をなさっているわけですね。これをインターネット等で公表されるということになっているんですか。ですから、そこのところをほかの法定台帳並みの取り扱いをしてほしい、こういう意見もありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

奥原政府参考人 農地台帳の関係でございます。

 現在の農地台帳は、これは通達に基づいて整備をしておりますが、農業委員会の基礎資料として整備をしておりまして、農地の所有者ですとか借り受け者の氏名、住所、あるいは農地の所在、地番、地目、それから地積、それから賃借権等の設定状況、賃借権としてはどのくらいの期間で設定をしているかとか、こういったことが記載をされております。

 農業委員会の九割では、これにつきまして電算処理のシステムを導入しておりますし、さらに四割の農業委員会では、電子地図の情報システム、こういったものを導入しております。

 この電子地図の情報システムまで整備ができますと、経営者別の経営農地を色分けで示すですとか、あるいは耕作放棄地を色分けで示す、こういったことができまして、農地利用の効率化、高度化を進めるための地域での話し合い、こういったものが非常に円滑に進むというふうに考えております。

 このために、今回、農地台帳を法定化いたしまして、この地図のシステムを含めて公表するという規定を置いているところでございます。

 ただ、この農地台帳、それから農地に関する地図の公表に当たりましては、当然、個人の権利利益を害することがないようにということになりますので、御指摘の点を踏まえまして、個人情報で、これは公表しない方がいいというものにつきましては公表しない方向で、そこは項目ごとにきちんと整理をしたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 続きまして、今回の法案とは若干関係はないんですが、食品の偽装というんですか、これは別の言葉で役所は言っているようでありますけれども、この今後の対応、取り組み、これについて、きょうは消費者庁に来ていただいておりますので、お答えいただきたいと思います。

 時間の関係もありますので、あわせて、いわゆる食品の表示の問題で、特に、中食、外食の場合に、アレルギーの問題について、私も、自分がアレルギーと考えて外食しているわけではありませんので余り気がつかないかもしれませんけれども、やはりメニューを見てもそんなことを書いているところは余りないように思いますが、アレルギーというのはやはり命にかかわる問題でもあります。つい先ごろも学校給食で大変不幸な事故も起きました。

 この点につきまして、今までの取り組みとあわせて、まずアレルギーについて早目に何か措置すべきではないかと思いますので、消費者庁、農水省、それぞれお答えをいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、食品表示問題についての対応と今後の取り組みの点についてお答えさせていただきます。

 消費者庁としましては、今月の六日と八日にホテル関係団体等に対しまして、景品表示法の不当表示の考え方と過去の違反事例の周知徹底、それとともに、それぞれの業界におけます表示の適正化に向けた取り組み状況の消費者庁への報告を求めたところでございます。

 また、現在、景品表示法に違反する事実があったか否かということにつきまして、当事者などからよく話を聞くとともに、立入検査を行うなどしまして、必要な調査を進めているところでございます。これにつきましては、調査結果に基づいて厳正に対処していきたいと考えております。

 また、これらに加えまして、事業者等を対象にしました相談窓口または相談員の設置でありますとか景品表示法説明会の開催、また、都道府県等との連携を図るためのブロック会議または緊急連絡会議の開催といった取り組みを進めているところでございます。

 また、十一日に官邸で開催されました食品表示等問題関係府省庁等会議におきまして、政府一丸となった対応が必要であるとの認識のもとに、各省におきまして、景品表示法の考え方及び過去の違反事例の周知徹底、それから所管する業界における表示の適正化に向けた取り組み状況の把握、また、業界に係る食品表示の偽装、誤表示の把握といった取り組みを進めますとともに、十一月中にはこれらの取り組み状況を取りまとめ、次回の食品表示等問題関係府省庁等会議におきまして報告を行うという方針を決定したところでございます。

 既にこの方針に基づきまして、各省庁も関係業界団体への要請を行うなどの取り組みを進めていっているというところでございます。

川口政府参考人 続きまして、アレルギー表示につきまして御答弁申し上げます。

 食品のアレルギー表示につきましては、食品衛生法に基づき、容器包装入りの加工食品には表示を義務づけているところでございますが、外食やいわゆる中食の多くにつきましてはアレルギー表示を義務づけていないという状況でございます。

 その理由といたしましては、外食あるいはいわゆる中食の多くにおきましては、提供される食品の種類が多く、使用される原材料も日々頻繁に変わることから、表示の切りかえが困難であること、また営業形態が対面販売であり、あらかじめ消費者が店員に食品の内容を確認できることなどが挙げられております。

 特にアレルギー表示に関しましては、外食やいわゆる中食の多くにおきましては、注文に応じてさまざまなメニューを手早く調理することが求められますので、調理器具等からのアレルギー物質の意図せぬ混入の防止が困難な側面がございます。

 食品表示法の検討過程におきましても、食品表示一元化検討会におきまして、こうした認識が示される一方で、外食におけるアレルギー表示は他の表示事項よりも必要性が高いという御指摘もございまして、自主的な情報提供が促進されるよう、専門的な検討の場を別途設けて検討するよう指摘されたところでございます。

 消費者庁といたしましては、まずは、現下の課題であります食品表示基準の策定に取り組むということでございますが、今後の検討課題につきましては、基準策定の目途がついた段階から順次検討を行うことを考えておりまして、委員御指摘の外食や中食でのアレルギー表示のあり方につきましては、今後の検討課題の一つとして、適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。

小里大臣政務官 表示の偽装問題、大変残念な事例が頻発をしております。

 農水省におきましては、今説明がありましたとおり、先週十一日の関係府省庁会議で決定された対処方針を受けまして、外食関係団体を招集し、違反事例等の周知及び表示適正化の取り組み状況の把握、表示の適正化を進めるように求めたところであります。

 また、当省独自の取り組みとしましては、地方農政局に対して、食品表示一一〇番において、外食のメニューを含む食品表示についての疑義情報を受け付けること、また食品表示Gメン及び米穀流通監視官による景品表示法の普及啓発、また農林水産消費安全技術センターに対して、産地、品種等を強調表示した品目を中心としたDNA分析等を準備が整ったものから開始することとしております。既に指示し、対応を行っているところであります。

 今後とも、消費者庁等と連携しながら、政府一丸となって取り組んでまいります。

 また、二番目のアレルギー表示問題でありますが、これも、食物アレルギーを有する消費者にとりまして、食べられる食品であるか否かの判断が可能となる貴重な情報であると認識をします。したがって、アレルギー物質に係る情報を食品表示として充実させることは重要なことと考えております。

 一方、外食産業においては、調理器具への付着などにより、アレルギー物質が意図せず混入してしまう場合もあります。そこで、全ての事業者が専用の器具で調理するなどの混入防止対策を講じることは、実際には困難な面もあります。こうした事情も踏まえて、表示のあり方を検討する必要があると考えます。

 このため、昨年八月に消費者庁が取りまとめをしました食品表示一元化検討会報告書におきまして、専門的な検討の場を別途設けて検討することが適当とされたところであります。

 外食関係団体におきましては、表示の根拠となる情報を正確かつ効率的に伝達する手法等について、患者団体等を交えて検討を開始したところであります。

 農林水産省としましても、自主的な情報提供の促進が図られるように、特に外食団体におけるアレルギー表示に関するガイドラインの策定を支援するなど、必要な環境整備を進めてまいりたいと存じます。

石田(祝)委員 終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、寺島義幸君。

寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。

 順次質問を申し上げます。

 ただいま審議中の農地中間管理事業の推進に関する法律案は、農業経営基盤強化促進法に基づく農地保有合理化事業の仕組みを廃止して、新たに農地中間管理事業を創設するものでありますが、ともに、これは都道府県に設置された法人によりまして農地利用集積を図る仕組みであります。

 農地中間管理事業は、現行の農地保有合理化事業をベースに、農地の貸借を中心とする事業として、これを発展させるものと位置づけられているわけであります。また、現行の農地保有合理化事業のうち、農地貸借以外の事業は、基盤強化法に農地中間管理機構の事業の特例として掲げられているわけでございます。

 基盤強化法は、効率的かつ安定的な農業経営を育成しようとするものでございまして、農地中間管理事業も、まさにこうした政策課題に対応するものと考えられるわけであります。そのため、基盤強化法に位置づけるという法改正でやるのがまず考えられるわけでありますが、今般、同法の改正ではなくて、新法を制定するということになったわけでございまして、この理由の辺から大臣にお伺いいたしたいと存じます。

林国務大臣 お答え申し上げます。

 農地中間管理機構は、今おっしゃっていただいたように、農地の貸借を通じて地域の農地の最適な利用の実現を図るということでございまして、農業経営基盤強化促進法が目的としております、効率的かつ安定的な農業経営を営む者が農業生産の相当部分を担うような農業構造の確立にも資するということでございます。

 そういうことで、共通するところはあるのでございますが、農地保有合理化法人のときは、事業規程のみを承認しておったということでございますが、今回の機構については、法人の事業、組織に対しての都道府県の関与、これを大幅に強化いたしました。それから、役員の選任、解任に関する規定等々で、ガバナンスの強化を図っております。そしてさらに、国による評価の規定を設けたということもありまして、これまでにない新機軸を打ち出しております。

 それに伴いまして、実は、条文数が、農地保有合理化法人については五条でありまして、農業経営基盤強化促進法全体で三十八条なのでございますが、今回は、機構についてだけで三十条を超えることになったということで、農業経営基盤強化促進法とは別の新法にしたということでございます。

 なお、農地中間管理事業の推進に関する法律、新法ですが、三条に基づきまして都道府県知事が定める基本方針というのがございます。この基本方針を定める場合に、農業経営基盤強化促進法の第五条の都道府県の基本方針に適合するように定めなければならない、こうしておりまして、このことによりまして二つの法律の一体的な運用を確保していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

寺島委員 法改正で、新たな農地中間管理機構の法律が前面に出てきたという感じがするわけであります。

 先ほどの赤澤先生のお話のとおりだろうと思うわけでありまして、人・農地プランをしっかりとやっていくということが大事であって、それを具現化するためであるならば、現法律の範囲の中でやることが可能ではないのか、あるいはまた、パイロット事業から始めてやってみるとかが可能ではないかと思うわけでありますが、どうも農地管理機構が前面に出てきているということが、私個人にとってみれば、いま一つ理解に苦しむわけであります。また後ほど申し上げたいと思います。

 通告二番目をちょっと飛ばさせていただきます。

 大臣の評価等についてであります。

 法律案では、農林水産大臣は、農地中間管理事業の実施状況について全国的な見地から評価を行い、優良事例等を公表する等、農地中間管理事業の効率的かつ効果的な実施を図るとしております。いわゆる横の展開を図ろうということであろうと思うわけであります。

 農地や農業経営をめぐる状況は、地域によってまさに多様であります。北海道のように広く大きなところ、あるいはまた、私の地元みたいに、本当に小さな農家がいっぱいあるところ等、さまざまであります。

 農地中間管理事業の実施も、地域の実情に即した多様なものとなるものと多分考えられるわけですが、ここで全国的な見地からの評価となるわけでありまして、それをどのように行うのか、また、その基本的考え方とか評価についてお伺いいたしたいと思います。

奥原政府参考人 農地中間管理事業は、担い手への農地の集積や集約化を進め、それから耕作放棄地の解消、発生の防止を図るために、国費も投入して行うものでございます。その観点で、事業の成果を適切に評価しながら、効率的かつ効果的な実施を確保する必要があるというふうに考えております。

 このために、今回の法案におきましては、各都道府県の事業の実施状況を国が全国的な見地から評価をいたしまして、その評価の結果あるいは優良事例を公表するという規定が第二十五条に入っております。特に、この優良事例の公表は、それを横展開することで、ほかの都道府県のレベルアップにつながるものというふうに考えているところでございます。

 御指摘のように、都道府県ごとに地域の事情は異なるものがございますけれども、自分の県でうまく進まない理由を考えるというよりも、他県の優良事例を参考にしながら、どうやればうまく進んでいくのかということを考えていただくことが非常に大事ではないかなというふうに考えております。

 したがいまして、国の評価に当たりましては、各都道府県の事情といったものを踏まえながら、他県と比較をして、適切に行っていきたいというふうに考えております。

寺島委員 各地域で置かれている状況が違うわけですから、その細かいところに、どうかお気遣いというのを発揮していただきたいと思うわけであります。

 そして、日本再興戦略において、成果目標が挙げられました。そのための対策として、農地中間管理機構によります農地の再配分スキームが掲げられているわけであります。当然のことながら、この評価もしっかりと求められるわけでありますけれども、どのように評価されるんでしょうか。

奥原政府参考人 日本再興戦略におきましては、農林水産業を成長産業にすべく、全農地面積のうち、担い手によって利用される農地の割合を現状の五割から今後十年間で八割にするということを目標に掲げているところでございます。

 今回の農地中間管理事業の推進に関する法律案第二十五条におきましては、各都道府県の農地中間管理機構の事業の実施状況について全国的な見地から評価をして、その評価結果、優良事例を公表するということで、全国的に機構の業務の活性化を意図しているわけでございます。

 農地の集積、集約化の全てがこの機構を経由するというわけではないかもしれませんが、この機構が最も重要なツールであることは間違いございませんので、各都道府県の機構の評価に当たりましては、機構による農地の集積、集約化がどの程度進んでいるか、それから、それ以外を含めて当該県全体としての農地の集積、集約化、これが、日本再興戦略の目標であります十年間で担い手に八割を集積するということができるのかどうかという観点からも評価をしていく必要があるものというふうに考えております。

寺島委員 しっかりと、目標を掲げられたわけですから、評価をしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、市町村の格差についてであります。

 法律案においては、農地中間管理機構は、農地利用再配分計画を定める場合におきまして、市町村に対し、資料の提供等の協力を求めるものとされています。この場合、必要があると認めるときは、市町村に対し、その区域に存する農用地等について、農地利用再配分計画の案を作成して農地中間管理機構に提出するよう求めることができるとされています。

 市町村は、地域に密着した基礎自治体で、重要な自治体であります。農業、農村の現状が一番よくわかっているのは基礎自治体であります。そうした中、農業経営基盤強化促進法に基づく経営改善計画、認定農業者の認定主体でもありますし、また、同時に提出されている農業経営基盤強化促進法等改正法案において、青年就農の計画の認定主体となっているなど、まさに農政推進に当たって市町村は重要な役割を担っているものと考えています。

 ところが、現場の実態を見ますと、私は、市町村あるいはまた地域によって、業務をこなす力量あるいはまた地勢の差は結構あるのではないかというふうに思っています。

 一方、農家の側から見れば、これは国の事業であるわけでありまして、農地中間管理事業の施策が、同じようにサービスを受けられなければ不満が出るに決まっているわけであります。平等にやってもらいたい、こうなるわけであります。言ってみれば、隣の村と同じようにやってくれぬか、こういうふうになるわけでございまして、この差を国はどのように考えているか、お伺いできますか。

江藤副大臣 委員がおっしゃいますように、非常に格差はあると思っております。

 私の地元でも市町村合併が進んでおりまして、非常に広大な面積、しかも、かつて四つの村だったところが市に編入されまして、そういうところでやるということになれば、なかなか手が及ばないということはあり得ると思います。

 農地中間管理機構は、みずから直接業務を行うだけではなくて、市町村その他の関係機関に業務委託を行い、今御指摘があったとおりでありますけれども、地域の関係者の総力を挙げて業務を推進するということであります。

 先ほど局長からも説明がありましたように、優良事例も御紹介しながら、横展開でキャッチアップしていただくような、丁寧なフォローアップも必要だと考えております。

 そしてまた、これまで農地の流動化に積極的に取り組んで成功している、先ほど御質問の中にもありましたけれども、こういうところは知事の承認を受けられることはほぼ確実でありますから、この場合は委託料も支払われることになります。そうなりますと、従来以上に円滑化が進むのではないかというふうに考えております。

 一方、うまくいっていないところ、こういうところは、機構が直接業務を行うところは行いますが、基礎的自治体が一番地域の事情を知っているというのは委員のおっしゃるとおりでありますので、基礎的自治体である市町村、それから農協、そして農業委員会、こういった方々に業務を委託することによって、流動化が前進するように頑張ってまいりたいと考えております。

寺島委員 ありがとうございます。

 私の地元の長野県は、北海道を除けば、市町村の数が全国一あるぐらい、実は平成の合併が進まなかったわけであります。七百人ぐらいの村から、いっぱいあるわけであります。格差はある意味では歴然としているし、村の事業であるならば、財政的にも大変だから仕方がないかという諦めもあるのでありましょうけれども、国税を使った事業ということになれば、これは公平にやってもらわなきゃ、私たちだって、地勢の違いは私たちの責任ではないんだから、ちゃんとやってくださいよという声が、土日に帰りまして、いろいろな方とお話をしておりましたら、言われてまいりました。そのとおりだというふうに思っています。

 やはり国がそういう事業をされるのであれば、小さな町村から大きな市までいろいろあるわけでありまするけれども、すき間に、小さなところにもしっかりと事業が行き渡るような制度をしっかりとつくっていただきたい、強く要望をさせていただきたいと存じます。

 次に、中山間地域での機構の役割についてであります。

 私の地元は、先ほど来申し上げたとおり、中山間地農業農村真っただ中みたいな地域であります。

 しかし、そうした中、一部では、リンゴの農家が頑張って、成功している方々も大変多い。また、高原野菜についていえば、川上村みたいに非常に成功されている地域もあります。攻めの農業を大分前から実はやっているわけでありまして、当然のことながら、こうした皆様方は後継者の心配もないし、担い手の心配は御無用、こういうことになるわけであります。もちろん、農地の集積ももう必要ないのでありましょう。

 しかし一方、私の地域は、水田は小規模の農家が散在をしておりまして、お年寄りばかりで、ノー後継者で、担い手はほとんどいないというのが現状であるわけであります。

 そうした中、農地管理機構が我が長野県にできたとして、地元で農地集積に向けて動き出すとして、さて、何をするんだろう、こう思うわけであります。どうやってくれるのかなと。本当に小規模な農地が散在しているわけであります。圃場ごとにお米の味も実は違います。違う。そうしたいろいろな条件があります。

 そうした中で、風土というか、今のお年寄りはなかなか農地を貸すということに抵抗があります。貸すとみっともないんじゃないかとか、今でも、貸したらとられちゃうみたいな方がおられまして、農業委員会にちゃんと貸せばそんなことはないんですよと私は申し上げるんだけれども、そうはいったって、貸すとみっともないし、先祖代々の土地を貸すなんていうことはみたいな、そういう人間模様というか風土がやはりあるんですね。

 そういう土地柄というか、中山間農業農村、なおかつ、そういう中で農業を業としてしっかりやっていかなければならない、まさにそのとおりだと思うし、大事なことだと思うし、食料安保であるとかということを考えても大事なことであると思います。一方で、農業、農村を一体どうやって維持させていったらいいんだというのがいつも地元で話題になることでありますし、私も切実に思っていることであります。

 今回、このように中間管理機構をおつくりして、県でつくって設置をして、市町村とタイアップしてやるんでしょう。そうした中で、中山間地農業農村に対する農地中間管理機構の役割、業務内容というのは一体どのように見通されておられるのか、知りたいところでございまして、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

林国務大臣 私の地元も、山口県でございまして、非常に中山間地が多いところでございますから、平地に比べますと、中山間地域で農地流動化をしていくということは、今委員がるるおっしゃっていただいたように、いろいろな側面から非常に難しいということは十分承知をしておるわけでございます。

 しかしながら、今まさにおっしゃっていただきましたように、農業者が高齢化するとか、よく言われているように、耕作放棄地が拡大しているということも踏まえますと、やはり中山間地でも農地を農地として有効に利用していく。今、リンゴの例や野菜のお話もしていただきましたけれども、そういうふうに工夫をしながら有効に利用していくという必要性は何ら変わらない、こういうふうに考えておりまして、中間的受け皿としての中間管理機構をうまく活用していく必要があると思っております。

 条件不利地域ですから、受け手がなかなか見つからないケースもあると思いますが、先ほど来やりとりさせていただいておりますように、受け手を積極的に機構が探すということがまず考えられる、こういうふうに思っております。

 それから、貸すと返してもらえないのではないか。これは、農業委員会に対してそう思っているのが、機構であればどれぐらい変わるのかというところもあるかもしれませんが、やはり県の公的セクターであるという安心感を最大限に活用して、また、契約に従って返してもらうこともできるんですよということもよくよく御説明をしながら、安心して貸していただけるように努力をしていく、こういうことであると思います。

 それに加えて、やはり農業、農村全体の活力というのは、この中間管理機構だけでやるというよりは、いろいろな施策をフルに活用してやっていかなければならない、こういうふうに考えております。

寺島委員 中山間地農業農村は、本当に小規模で、なおかつ、いかに農業をやるか、あるいはまた、コミュニティーを含めて農村を維持していくかということが本当に今課題になっているわけであります。そうした観点から、本当に、大きなところよりも小さいところに事業をしっかりと浸透させていただくようにやってもらいたいと思います。

 また、一つ例を言えば、貸していいですよといって農地を出して、小さな農地を広く整理して、そして貸して、何年かしたら、孫が帰ってきて農業をやるから返してくれといったときに、返していただけるのかな。細かいことを言って恐縮なんですけれども、こういう疑問も実はあるわけであります。

 今後、そういった現場の思いというか、人間模様なんですね。人・農地プランがなぜ大事かという、先ほどの議論のとおりなんです。やはり地域の人たちの、顔が見える人たちの話し合いだからいいのであって、そうじゃない第三者が、公平な人が評価委員になってやると言ってみたところで、田舎には田舎の風土がございまして、なかなか大変な部分があるわけでありますので、御理解というか、よくその辺をしっかりと手当てをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、食料・農業・農村基本法では、食料・農業・農村基本計画を定めることとされています。一つ質問を飛ばしました。ごめんなさい。農業基本法の件です。

 五年ごとに見直されており、現行の基本計画では、平成二十二年三月に民主党政権が、戸別所得補償制度の導入、食の安全と消費者の信頼の確保、農業、農村の六次産業化を柱として策定されたものでございます。

 一方、日本再興戦略は、日本の経済再生に向けた三本の矢のうち、三本目の矢である成長戦略とされております。

 そして、今回の農地中間管理事業の関連の二法案は、日本再興戦略の実行を加速、強化するもののためであると説明がされているわけであります。現在展開されている農政は、日本再興戦略をもとにして何か進められている、こういう説明であるわけであります。

 つまり、どうやら食料・農業・農村基本法に基づく基本計画に基づいてはいないわけでありまして、なぜ基本計画に基づいていないのでありましょうか。大臣にお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 食料・農業・農村基本法において、施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、食料・農業・農村基本計画を閣議決定により策定し、これに基づき施策を推進することとされております。

 ことし六月に閣議決定いたしました日本再興戦略に盛り込まれた個々の具体的な施策の中には、現行基本計画の中に必ずしも明示はされていないものもございますが、農地の利用集積をする、経営を法人化する、六次産業化をしていくということについては基本計画との間にそごがない、こういうふうには考えております。

 この管理機構の整備についても、効率的かつ安定的な経営体を中心とする望ましい農業構造の確立、これが基本法に書いてありますので、この理念に沿ったものであるというふうに思っておりますし、基本計画においても、優良農地の確保と有効利用の促進、意欲ある多様な農業者への農地集積の促進、こういうことがうたわれておりますので、基本計画の方向にも合致している、こういうふうに考えております。

 これから官邸本部で、農林水産業・地域の活力創造プラン、まだ仮称でございますが、これを取りまとめる予定になっておりますので、今後、適切なタイミングで基本計画の見直しも進めてまいりたいというふうに思っております。

寺島委員 ここのところに来て、農政の大きな大転換だと思うわけですね。

 生産調整を見直して、戸別所得補償制度をやめて、日本型直接支払いの方に移行していく。そうなると、離農は進むし、荒廃農地は多分ふえると思います。この機構をつくって、うまく農地の集積化を図ろうではないか、とにかく成長戦略だと。新しい法律をつくってまでもやるということですから、やはりこれは農政の大きな転換であろうと思うわけですね。だとすれば、私は、王道を行ってもらいたいんです。

 平成十一年にできている食料・農業・農村基本法に基づいた基本計画が平成十二年にできて、十七年、二十二年と見直されてまいりました。政権交代がありました。自民党の審議会をそのまま民主党は引き継いで、そこにお話をして御理解をいただいて、二十二年の基本計画ができて、今日の基本計画は生きているはずであります。

 であるならば、おおむね五年ごとに見直すとされているのでありますから、平成二十七年前後だと思います。つまり、翌年、二十六年度に審議会にお諮りをして、そして、二十七年度を目途にして新たな基本計画をつくるというのがやはり農政の王道ではないか。

 特に、今TPPがあって、ことしの年末に妥結されるのではないかとも言われているわけでありますから、それらの結果を踏まえた上で大きく農政を転換されるのであれば、審議会等に諮って、そして、新たな基本計画を二十七年度につくってスタートさせて、時間をかけていくのが王道であろうと思うわけであります。

 大臣、内閣の一員というお立場もありましょう。しかし、農林水産省のまさにトップでございますので、そのお立場から御見解をお伺いいたします。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、この基本計画の見直しは適切なタイミングでと申し上げました。

 現段階で、まだいつからかということを決めておるわけではございませんが、今委員がおっしゃっていただきましたように、五年ぐらいで大体見直しておりますので、十二年、十七年、二十二年と来ました。

 大体、三月にその計画はつくっております。それに向けての検討をどれぐらいで開始しているかと見ますと、十一年九月から十二年の三月までというケースが一回目でございまして、二回目は十五年の十二月から既に検討開始をしております。三回目の二十二年の三月に向けては二十一年の一月からということで、一年を少し上回る期間で検討をしておるところもございます。

 したがって、先ほどちょっと申し上げましたように、官邸で農林水産業・地域の活力創造プラン、十一月中を目標にこれをまとめていこう、こういうことでありますので、この内容等を踏まえて、基本計画の見直しに向けて、審議、検討の具体的な取り進め方の整理をしていきたい、こういうふうに思っております。

寺島委員 農は国の源であります。どうかしっかりと時間をかけて、本当に農政の大きな転換をされるというのであれば、農政の王道、つまり、法に基づいた手続をしっかりと踏む、丁寧な手続を踏めば踏むほど民主主義の質は高まると思っておりますので、よろしくお願いします。

 終わります。

坂本委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田でございます。

 きょうは、農水委員会での質問の時間をいただいて、大変ありがとうございます。

 農地中間管理事業の推進に関する法律案等でございますけれども、さきの通常国会で、私が株式会社エコシティ宇都宮の国庫補助金返還問題について三回ほど質問をいたしておりますので、きょうはまとめの質問ということで、ぜひ林大臣から答弁をいただければと思っています。

 まず、福田富一栃木県知事と佐藤栄一宇都宮市長が裁判をやっていることについてお伺いをいたします。

 株式会社エコシティ宇都宮のこれまでの経過は、皆さんのお手元に提示させていただいたように、資料の一と二のとおりでありますけれども、国庫補助金の返還をめぐって知事が自分の管轄している市町村長を訴えている裁判、全国でこれだけだという大変恥ずかしい裁判をやっているわけでありますが、この裁判を私は一日も早くやめさせたいと思っております。そのためには、ぜひ農水省として力をかしてほしいと思っていますが、林大臣、力をかす考えがおありかどうか、お伺いをいたします。

林国務大臣 これは、先国会でも委員から御質疑をたくさんいただいた件でございますが、改めて、株式会社エコシティ宇都宮の食品廃棄物の堆肥化施設については、平成十七年度のバイオマスの環づくり交付金による事業でございまして、十八年八月一日に操業を開始したということでございます。しかしながら、施設のふぐあいによりまして、平成二十年の十月二十八日に操業停止、そして平成二十三年の五月十七日に補助事業の中止に至ったということで、補助目的が達成できなかったことは遺憾だというふうに考えております。

 本事業における補助関係は、国と県、それから県と市、そして市と事業者、こういうそれぞれの間でその関係が成立しているものでありますが、国と県の関係においては、補助事業の中止に当たりまして、県から国への補助金相当額の納付を条件に財産処分を承認したものでありまして、既に栃木県からは補助金相当額の納付を受けておるところでございます。

 したがってといいますか、なお、栃木県と宇都宮市との間の裁判でございますが、現在まさに係争中であるということで、私から答弁は差し控えたい、こういうふうに思います。

福田(昭)委員 残念ですね、政治家としての答弁をお聞きしたかったんですが。

 それは、宇都宮市が栃木県に提出した財産処分申請書には何と書いてあるかということになるんです。「エコシティ宇都宮に対し、弁済を求めていく。破産法に基づく破産等会社整理手続きが進んだ場合には、一般債権者として配当要求を行い、配当額をもって返納することとする。」ということで、返納方法をうたっているんですね。

 これまでの経過は、ごらんいただければおわかりのように、株式会社エコシティ宇都宮には、実質破綻をしているといっても、実はかなりの資産を保有しているということがはっきりしているわけであります。

 したがって、時間の関係で次の質問に行きますけれども、ぜひ林大臣にお願いしたいのは、農水省は、財産処分申請するに当たって、株式会社エコシティ宇都宮に、みずから自主的に自己破産手続をするようにと指導していたわけであります。ですから、この指導を、今度は強力な指導をして、自己破産手続をとるように、栃木県を通じて宇都宮に対して指導すべきだと思うんです。そうすれば、株式会社エコシティ宇都宮が隠している資産がどう使用されたのか、あるいはいまだに保有をしているのか、それがはっきりするわけであります。そうすれば、知事と宇都宮市長の裁判が、この恥ずかしいような裁判が決着できるというふうに考えておりますが、そんな強力な行政指導をする考えはありますか。

林国務大臣 先ほど申し上げたように、この補助事業の目的が達成されなかったということは大変遺憾なことであるという基本認識は変わっておりませんが、破産手続ということになりますと、破産法というのがございまして、破産手続開始の申し立てということをできる者、これは、債務者の財産等の適正かつ公平な清算や、債務者の経済生活の再生の機会の確保という目的から、債権者、債務者、債務者が法人である場合の理事、取締役等が申し立てができる、こういうふうに定めておるわけでございます。

 この法律の趣旨に照らしますと、御指摘いただきました自己破産手続というのは、やはり債務者であるエコシティ宇都宮がみずからの判断により行うべきもの、こういうことと考えられまして、農林水産省として、破産手続を進めるよう行政指導を行うということは、破産法の趣旨に鑑みて適当でない、こういうふうに考えております。

福田(昭)委員 ということは、警察または国税局の力をかりないと解決できないということになります。しかし、どうも聞くところによりますと、最高裁判所まで闘うかもしれないと言っているんですね。こんな不毛な裁判を続けさせるということは、やはりバイオマスの環づくり交付金を間接補助金として出した農水省としても責任がある、私はこのように考えております。本題に入れませんので、これでやめておきますけれども、ぜひそうした責任を感じて対処してほしいというふうに思っております。

 次に、法案の目的であります農用地の利用拡大についてお伺いをしたいと思います。

 まず、米政策でありますけれども、農水省は、米政策を、飼料用米などへの生産支援を強化して、主食用米からの転換を促して、総合的な米の需給調整と農家所得の確保を図る仕組みへの移行を目指して、五年後をめどに、生産者や集荷団体の主体的な判断で需給に応じた生産が行える環境を整備する。生産数量目標に従う農業者に主食用米十アール当たり一万五千円を支払う米の直接支払い金は、二〇一四年度、来年度から削減をし、一八年度、五年後には廃止する一方、日本型直接支払い制度の創設や、産地資金を含む水田の有効活用対策を拡大して、支援を厚くするとしていると報じられております。

 そうした中で、農地中間管理事業を推進して、農用地の利用拡大を図るものと理解をいたしております。しかし、米政策の具体的な内容がまだはっきりしない中でのこの法案審議は時期尚早ではないかと私は考えております。

 しかしながら、現時点での疑問点をお伺いしたいと思います。

 まず一点目は、この法案の中で担い手というのはどういう経営体を指すのか、また、今まで推進してきた認定農業者や市町村の農業公社はどういう位置づけにしようとしているのか、その辺を簡潔にお伺いいたします。

江藤副大臣 今回の農地中間管理機構の狙いとするところは、法人経営体や大規模家族経営を初めとする認定農業者などの担い手に農地を集積し、集約することによって、その生産性を高めていくということでございます。委員も御存じのとおりでございます。

 一方、市町村農業公社、これにつきましては、みずから農業経営を行わないのが通例でありまして、公社自体が基本的には農業の担い手ということの位置づけではありません。ですから、市町村農業公社につきましては、農地利用集積円滑化団体として、農地の出し手の代理人として受け手を探すことで、農地の集積、集約を推進してきたという位置づけでございます。

 今後は、農地中間管理機構から業務の委託をここが受けるようなことになりまして、機構とまさに一体となって、担い手への農地の集積、集約を進めることとなることを期待しております。

福田(昭)委員 それでは、二点目から四点目までは一括して、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、二点目は、担い手ごとの経営体数と利用面積が、現在と、目標とする十年後にはどう拡大すると想定しているのか。例えばでありますが、法人経営、大規模家族経営、集落営農、企業経営、これが現在は全農用地の約五割、四九・一%を利用している。十年後はこれを八割、七九・九五%になるのかな、大体八割にすると言っていますが、それをどう想定しているのか。

 それから三点目は、新規就農者を倍増、四十代以下を二十万人から四十万人に拡大するという具体策はどのように考えているのか。

 そして四点目は、法人経営体を一万二千五百から五万法人にする具体策をどのように考えているのか。

 まとめてお答えをいただきたいと思います。

奥原政府参考人 お答えいたします。

 現在の我が国の農業構造を見ますと、これまでの農地流動化の結果として、担い手の利用面積、これが二百二十六万ヘクタールまで来ておりまして、農地面積全体の約五割ということになっております。この内訳を見てみますと、認定農業者等の個人の経営の方が百九十六万ヘクタール、法人経営が十四万ヘクタール、それから任意組織の集落営農が十五万ヘクタール、現状はこういう内訳になっております。

 ことしの六月の日本再興戦略におきまして、今後十年間で担い手への農地の集積、集約を加速化して、担い手が利用する農地の割合を現在の五割から八割まで引き上げるということが目標として定められているところでございます。この目標は、農業の競争力の強化を図る観点から決められました、国全体としての担い手の農地利用の目標でございまして、これに対応する担い手ごとの経営体数、利用面積の目標は特に定めているところではございません。

 それから、二点目でございます。

 新規就農の関係でございますが、現在の年齢階層別の基幹的農業従事者、この数を見てみますと、六十五歳以上の方が約六割、それから四十代以下の方が約一割、こういう状況になっておりまして、世代間のバランスが崩れた状態になっております。

 したがいまして、持続可能な農業を実現していくという観点からしますと、定着する青年就農者の数、これは現在大体一万人でございますけれども、これを約二倍の二万人程度にふやしていく、その結果として、十年後には四十代以下の方を現在の二倍の約四十万にしていくことが必要ではないかというふうに考えております。

 このために、平成二十四年度から、青年就農給付金といたしまして、就農準備段階の就農に向けた研修中の方ですとか、それから経営開始直後の青年就農者に対する給付金、この給付を始めているところでございます。また、農の雇用事業といたしまして、農業法人等に雇用される形での就農、これに対する支援も行っているところでございます。さらに、今回法律をお出ししておりますけれども、青年就農者に対する無利子の資金制度につきましては、貸し付けの主体を都道府県の資金から日本政策金融公庫の資金に切りかえることによりまして、新規就農者が一層使いやすい体制をつくっていくということも目指しているところでございます。

 それから、三点目でございます。

 法人経営体の問題でございますけれども、法人経営体の数はこの十年間で二倍にふえておりまして、現在、一万二千五百法人ございます。この一万二千五百法人のうち約四分の一は、売上高で一億円以上ということになっております。なお、この一万二千五百法人は、実態的に家族経営でございます一戸一法人は含んでおりませんで、一方で、リース方式で参入した企業、こういったものはカウントしているということでございます。

 農業を発展させていくためには、的確かつ機動的な経営判断を行うことができる、それから、投資財源の確保ですとか雇用の安定の面でメリットのありますこういった法人経営体を拡大していくことが非常に重要であるというふうに考えておりまして、複数の個人経営の法人化ですとか集落営農の組織化とさらに法人化、あるいは企業の農業参入、こういったものをさらに推進していくという考えでございます。

 このため、今回の農地中間管理機構を活用した法人等への農地の集積、集約化を進める、あるいは、法人等に対します日本政策金融公庫のスーパーL資金による低利融資、それから法人等に対する農業経営基盤強化準備金制度による税制上の優遇制度、あるいは、これも今回法律をお出ししておりますが、農業法人投資円滑化法に基づきます法人に対する投資の制度、集落営農の法人化に対する支援、リース方式による企業の農業参入、こういったことを積極的に推進していくことによりまして、今後十年間で現状の約四倍の五万法人を達成したいというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 必要性は感じますけれども、本当にどうやって実現するのかなというのは非常に疑問だらけというところだというふうに思います。

 そこで、やはり農用地の利用を拡大して食料自給率を高めるためには、農用地の出し手と受け手の両方にメリットがあるような仕組みをつくる必要があると思うんですね。

 まず、出し手ですけれども、出し手は、農用地を貸すことによって、安心できるようなお米が手に入ったり食料が手に入ったり、または、安定的な不動産収入が継続的に入ってくる、つまり、安定性と継続性というのが出し手にとっては大切だと思うんですね。

 それで、受け手でありますけれども、受け手は、何といっても、農作業がしやすい圃場が整備されていて、安価な賃料で借りられて、また、継続性があることだというふうに考えております。

 したがって、出し手も受け手もやはり安定性と継続性、これがないと農地の流動化は進まないというふうに私は考えているんですが、そうした中で、今回、自民党政府が打ち出した米政策の大転換は、非常に影響が大きいと思っていますから、もっと慎重に進めるべきだと思います。

 特に、TPPに参加するというようなことになれば、現時点での報道によれば、とてもとても重要五品目を守れるような環境にはない。アメリカは、米以外の関税は全部撤廃しろ、そして、アメリカ以外の十カ国は、米、食料品も、工業製品も含めて全部撤廃しろ、十年後の話でありますが、そういう要求を突きつけられている。こうなっては、もうTPPから脱退する以外、重要五品目は守れない、そういう状況になってきている。

 そうした中で、こんな、猫の目農政とよく言われてきましたけれども、まさに、先ほどうちの方の委員から指摘がありましたけれども、農業基本計画も改めないでいきなり米政策を本当に大転換するということは、日本の農業、農村を破壊し、そして、食料生産まで実は低下させるということにつながっていく、私はそのように今考えております。

    〔委員長退席、森山委員長代理着席〕

 そこで、五点目の質問でありますけれども、公益財団法人の鹿沼市農業公社と有限会社農業生産法人かぬまの密接な連携をした経営についてお伺いをしたいと思います。

 資料の三と四をごらんいただきたいと思いますが、鹿沼市は、御案内のとおり、昭和五十年から、独自の鹿沼市農業公社、受委託をする、耕作もするまでの農業公社をつくって、ずっと取り組んできました。そして、さまざまな法律改正の中で、鹿沼市は、平成十三年の二月には、農地保有合理化法人に改組し、さらに、鹿沼市農業公社の機能拡充、改革の一環として、平成十四年一月には、有限会社農業生産法人かぬまを設立完了して、事業を展開し、制度改革にさらに伴って、平成二十二年の七月には農地利用集積円滑化団体の承認を受け、平成二十五年一月には公益法人移行認定を受けて、現在に至っております。

 この資料の三と四をごらんいただきたいと思いますが、これはまさに、生産法人となったかぬまの年度別受益面積、戸数、還元金の推移が昭和五十年から書いてございますけれども、これをごらんいただくとわかりますように、見事にその成績を上げてまいりました。

 まず、受益面積は、昭和五十年にスタートしてから十一倍の三百七十五・六ヘクタール、そして、戸数は五十八戸から四百六十八戸ということで八倍にふえて、還元金は、お米の値段が下がってしまいましたから、四万九千円から二万六千円ということで五二%にまで下がっておりますけれども、最高時から比べると、昭和五十九年でありますが、三四・二%まで下がっております。

 そしてさらに、資料の四を見ていただきますと、生産法人かぬまが引き受けた総面積の九九・九%を実は利用しているんですね。しかも、利用している中で、後作の飼料米とか後作のハト麦、大豆とか、引き受けた面積の九九・九%を利用して、その上でさらにこうした後作までつくって、しっかり農業経営をしているということなんですね。

 この農業公社がどんな決算をしているかということなんですが、平成二十四年の損益計算書を見てみますと、売上高が五億三千三百万余りありますけれども、しかし、その中で占める戸別所得補償金、これが一億八千七百万、つまり、戸別所得補償金が三五%を占めているんです。これが、一万五千円から来年五千円になるということになると、三分の一になる。五年後にゼロになるということになると、これがゼロになるということになるんです。一気に生産法人かぬまの経営はピンチになる、こういうことであります。

 それこそ、二十四年の決算では、特別利益も出しておりまして、農業経営基盤強化準備繰入金として六千万積み立てている。税金も払った上で、百万からの利益を出している。こういう見事な経営をしているんです。これも、戸別所得補償政策があったから、これだけの見事な経営が実はできているんです。しかし、これだけの米政策の大転換をするとどうなるかというのを非常に不安に思っております。

 先日、聞き取りをしてまいりましたけれども、仮に、政府が言うように飼料米の増産をするということをしても、実は保管場所がない、では、いっぱい生産しちゃった飼料米をどこへ置いておくんだと。これをちゃんと引き取ってくれるところがあればいいですよ。ですから、引き取ってくれる場所がないのに、大量に生産してしまってどうしたらいいんだ、そういう疑問が、この農業生産法人かぬまだけじゃなくて、大規模農家の皆さんはみんなそう考えていると思います。

 この米政策の転換で大きな影響を受けるのは、実は大規模米作農家なんです。ですから、そこをしっかり踏まえないとだめなんじゃないかなというふうに思っております。

 そうした中で、質問する時間がないので説明してしまいますけれども、鹿沼市では、農振農用地が四千三百八十五ヘクタールです。そのうち、大規模農家がやっている農地が約四分の一でありますが、まず、四ヘクタール以上の農家が八十戸、それから営農集団が十五個ある、そしてさらに農業公社で、約千八十九ヘクタール。これは、鹿沼市の農振農用地の約四分の一に当たります。これを大規模農家がやっている。

 しかし、そこで心配なのは、営農集団は十五集団ありますけれども、営農集団の高齢化が進んでいて、ちゃんと持続的に、継続的にやってくれるかどうかということが心配だ。したがって、やはり担い手をどうやって確保していくのかというのが鹿沼市としても大きな課題となっているということなんですね。

 そこで、一つ提案をしたいのは、私は、鹿沼市型の農業公社と生産法人かぬまの連携した経営というのは、すごくすばらしいことだというふうに思っているんですが、このことについて、農水省としてどういうふうに評価をされるのか。そしてさらに、私は、今後、市町村とJAがつくる農業公社については、農用地の受け手となって、耕作もできるような農業公社にすべきだと思います。そうすれば、わざわざ複雑な手続を経て複雑な経営をしなくても、実は、しっかりと農用地の利用拡大に資する担い手として頑張っていただけると思っているんですが、いかがですか。

    〔森山委員長代理退席、委員長着席〕

江藤副大臣 たくさんの御質問をいただきまして、全てお答えすることはとてもできませんが、この決算書、過去の経緯もずっと見せていただきました。

 ちょっとだけ、反論は余りしませんけれども、戸別所得補償がない時代も大変すばらしい還元金をもたらしておられますので、前の委員会でも私は答弁いたしましたが、確かに、一万五千円がいきなりぼんとなくなれば、これはバランスシート上、非常に穴があきますので、経営に対するインパクトは大きいと思います。ですから、産業競争力会議では、即時やめてしまえという御議論もあったわけですけれども、それは乱暴だということで、単価についてはまだ与党内で議論中でありますけれども、二十九年まではある程度の金額はお支払いして、移行期間を設けようということにいたしております。

 そして、この取り組みについてどう評価するかという御質問でありますけれども、一言で申しますと、すばらしいということに尽きると思います。利用権の設定まで行われて、農業生産法人かぬま、この形は、先ほど大臣からも御答弁いただきましたように、中間管理機構のこの法案が通って、そしてサーベイランスをして、それから評価をする段階においては、まさに成功事例として横展開のお手本となるものだというふうに思っております。

 公社が耕作もできるようにするべきだという御指摘は、自民党内でもないことはない議論で、昔からありまして、このことについては、きょうは明確な答弁はちょっとさせていただけませんけれども、一つの御提言として受けとめさせていただきたいと思います。

 全国的には、やはり信頼できる農地の受け手がない、これが流動化を妨げているということもありますので、公社を公社として評価していただければ幸いだと思います。

福田(昭)委員 時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、私は、市町村とJAなどが共同出資をして経営する、このような経営体をやはりたくさんつくっていくということが日本の農地を守ることにつながるというふうに思っていますし、さらに食料自給率の向上にもつながる、そのように考えておりますので、全てがこうした法人でということは言いませんけれども、こうしたものが特に中山間地では必要なのかもしれません。ぜひ御検討いただければと思います。

 以上で私の質問は終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十四分開議

坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、お疲れさまでございます。

 きょうは、二つの法案が今審議をされておりますけれども、特に、農地中間管理事業の推進に関する法律という部分を中心に御質問させていただきたいと思います。

 大臣、まず初めに、この法律の一条に、中間管理事業についていろいろな措置を定めることによって、規模の拡大、農地の集団化、新たに農業経営を営もうとする者、新規参入の促進によって農地の利用の効率化及び高度化の推進を図って、最終的には農業の生産性の向上に資するという規定があります。

 きょうは、衆議院で今本会議がありまして、経産委員会で議論をされていた産業競争力強化法が衆議院では可決されました。私たちも、産業の競争力を強化したり、生産性を向上するという概念自体は決して間違ってはいない。でも、そもそも生産性の向上に資するということで解決できる課題かなというふうに考えたときに、ちょっと違うのではないかなというふうに私は思っています。

 生産性というのは、それぞれの資源から付加価値を生み出す際の効率の程度というのが一般的な定義であります。特に、農業の場合は、農地と資本、そして人材、三つの要素をどう上手に使っていくかということなんですが、大臣、そもそもこの法律の目的に、効率化、高度化によって生産性の向上に資するというのを主目的にこの農地を問題とされたのは、どのような思いというか目標があってこの理念をまず目的にお書きになられたのか、ぜひ御説明をお願いしたいというふうに思います。

林国務大臣 今委員おっしゃったように、目的という一条に、「もって農業の生産性の向上に資することを目的とする。」こう書かせていただいたわけですが、日本の農業の特徴として、大規模経営体といっても、一つの経営体が幾つも圃場を分散した状態で利用しているということが見られまして、特に土地利用型の農業においては、コスト削減すなわち生産性向上の阻害要因の一つとなっているというふうに思っております。

 したがって、機構は、農地の所有者から土地を借り受けて、まとまった形で担い手に転貸するということを通じて、この分散錯圃の状況を解消していくツールと考えておるわけでございます。

 したがって、コストの削減、生産性の向上ということが実現する、こういうことであります。

 所得向上ということを図るためには、これはもう委員御案内のとおりでありますが、付加価値の向上等によって収入を増加させる、一般の企業では売り上げを上げる、こういうことでしょうが、それから今申し上げたコスト削減、この二つの方法があるわけでございます。全般の農政としてはこれを両方追求していくということですが、中間管理機構においては、このうちのコストの削減を目指そうということにしておりますので、本法の目的としては一条に生産性の向上ということを規定させていただいたということであります。

後藤(斎)委員 大臣がおっしゃっていることも、一つの理屈としたら、土地利用という観点ではわからないわけではありません。

 ただ、減反政策の見直し、廃止のときにも大臣に御質問をさせていただいたんですが、やはり、平べったい、または区画整理がされている広い北海道や東北や北陸のような農地の状況と、そして、大臣の御地元もそうだとは思いますし、私の地元の山梨もそうなんですが、非常に狭隘な部分に、どうしても水田をつくり、畑をつくりというところがたくさんあるところと、これは多分一緒にできないので後でお尋ねをしますが、生産性向上ということを目的にした場合、多分また行き詰まってしまうのではないかなと実は私は個人的には思っています。

 というのは、大臣が六月に攻めの農林水産業の展開というところで一番頭にお書きになられたのは、農林水産業、農山漁村の潜在力を引き出すということの次に、これまでの部分と若干違ったのは、私もこの委員会で何度か議論をさせていただいたように、需要をどう見るかというところがないと、幾らたくさん物をつくったとしても、農地を集約化して単収を上げたり、また労働生産性を上げたりしても、結局は市場という中で、マーケットで価格が暴落をして、単価と収量のPとQを掛けたものが収入ですから、結局、農家の方の手取りの増大というものには決してならない。

 ですから、繰り返しですが、これはきょうは答弁を求めませんが、需要の部分をどう見るか。後でまたお話をさせてもらいますが、そういう部分では、今いろいろな見直しを大臣を先頭にやられているようでありますし、今月もあと一週間、十日くらいで終わってしまいますが、今月めどでまとめられているものも、やはり今までの延長線で、直接支払いの部分の支払い水準を下げるという方向感は出ているものの、何を農家の方がつくって、それがマーケットで受け入れられるかという視点が、何か私は非常に弱いような感じがするんです。

 では、ちょっと論点を変えてお話をさせてもらうと、三条に、知事は基本方針を定めるというふうな規定がございます。あわせて、九条に、農地中間管理機構は、知事の認可を受けて、事業計画を策定するという規定があります。

 例えば、大臣、知事が百ヘクタールを中間管理機構に任せて、それで、賃貸借を通じて、先ほどの目的に従っていろいろな事業計画をさせるということが仮にあったとして、中間管理機構の事業計画では、例えば五ヘクタールしかまずできない、三ヘクタールしかその対象ができないという、少なくともここのギャップというものが、多分生じる可能性があると思うんです。

 基本方針というのは、何年かは別としても、少し長いタームで決めていくはずだと思うんです。一方で、中間管理機構の事業計画というのは毎年度ごとということになるので、毎年度ごとというところで検証をするんでしょうけれども、このギャップを少なくすることを知事がいろいろなアドバイスをしたりすると思うんです。このギャップが、実際、事業計画と基本方針の違いがあった場合は、どのようにそれを是正していくんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

奥原政府参考人 先生御指摘いただきましたように、今回の農地中間管理事業の推進に関する法律案第三条におきましては、都道府県知事は基本方針を定めることになっておりまして、この中で、効率的かつ安定的な農業経営を営む者が利用する農用地の面積の目標といった、中間管理事業の推進により達成しようとする長期的な目標、これを定めることにしております。

 それから一方で、第九条でございますけれども、農地中間管理機構は、毎事業年度ごとに、事業の目標等を定めた事業計画をつくって、都道府県知事の認可を受ける、こういう仕組みになっております。

 このため、都道府県知事は、機構が作成した事業計画について、事業の目標や事業内容が、県が決めました基本方針、これに照らして適切なものであるかどうかを審査して認可する、こういうスキームに基本的になっております。

 したがいまして、ギャップが基本的に生ずることはないと思っておりますけれども、やはり毎年やってみればだんだんずれが生ずることもございますので、そこにつきましては、県それから機構とがすり合わせをして調整していく、こういうプロセスになるというふうに考えております。

後藤(斎)委員 局長、本当は政務官か副大臣にちょっとお答えいただきたいんですが、例えば、中間管理機構が定める事業計画が未達成な場合は、誰がその未達成の部分の責任をとるんでしょうか。

 というのは、九条の規定ですと、知事が認可をして、事業計画が公表されるという規定になっていますけれども、事業計画が未達成な場合は、誰が一義的に責任をとるのか。知事が認可をしているにもかかわらず、誰がどういうふうに責任をとるんでしょうか。副大臣、お答えいただけますか。

林国務大臣 農地中間管理機構は、毎事業年度の事業計画と収支予算につきまして都道府県知事の認可を受ける、今答弁しました九条一項です。したがって、機構は、認可を受けた事業計画等に従って事業を執行する責任を負う、こういうことになります。

 機構が事業計画に従って事業を実施しない場合は、都道府県知事は、機構に対し、監督上必要な命令を行う、これは十三条でございます。それから、農地中間管理事業の実施状況が著しく不十分である場合において、当該役員に引き続きその職務を行わせることが不適当と認められるときは、当該役員の解任を命ずることができる、こういうガバナンスの規定を入れております。

 そういうことで、きちっとガバナンスはきかせるんですが、大事なことは、やはりそういうふうにならないように、日ごろから、都道府県、市町村、また事業の委託先その他関係機関が、私は寄ってたかってと言っていますが、連携をしながら事業の円滑な推進に一体的にみんなで取り組んでいく、これが重要である、こういうふうに思っております。

 特に、先ほど申し上げましたように、都道府県は、機構に対して監督権限を持っておりますので、機構の状況の把握に努めて適切な指導をし、市町村等へきちっと働きかけをしていく、こういうことが重要であるというふうに思っております。

後藤(斎)委員 寄ってたかってということで、うまくいけばいいんですけれども、実は農地法をベースにしたいろいろな仕組みというのは当然今までもやってきて、それがなかなか進まずに、耕作放棄地が四、五十万ヘクタールもあるというところで、これはもう貸し借りしかないというふうな、ある意味では時代背景に合っているんですが、一点だけ大臣に。

 私が農地を持っていて、誰かに借りてもらいたい、中間管理機構が経由をするかどうかは別としても、普通の部分であれば、例えば一反歩一万円で貸したい。でも、大臣が借り手として、規模を拡大したい、集約化をもっとして生産性を上げたいという意欲的な農家の方だとして、大臣は五千円で借りたい。常にこれが起こっているから、今まで、むしろ草ぼうぼうにしておった方が汗水垂らしてやるよりもいいというふうなことも当然あって、今の耕作放棄地がここまで拡大をしたというふうに普通だったら考えるはずなんです。

 ですから、いわゆる地代というものを誰がどうやって設定するのか。普通だったら、今までの部分に何らかの部分をオンしてあげないと、借り手と貸し手の水準が、何かマーケットがあるわけじゃありませんから、お聞きをすると、近傍の、類似の土地の地代にというふうに言っても、水準が多分貸し手の方から見れば低いから、貸したくもないしということが現状は起こっていると思うんです。

 ですから、その差を埋めるには、何らかのプラスアルファの仕組みというものも設けるのか設けないのかということも含めて、地代というのは誰がお決めになるのか。そして、大規模に圃場整備等をする際には、機構が肩がわりをして、いわゆる整備コストを払っていくことができるというふうな規定もありますけれども、あわせて、その整備コストも誰がどういうふうに決めていくのか、教えていただけますか。

奥原政府参考人 農地中間管理機構が出し手に支払う地代、それから受け手から受け取る地代につきましては、機構が決定をするということになります。この際、当該地域の同程度の条件の農地の賃料を基準として、適切な水準になることを想定しております。

 具体的に申し上げますと、農地法第五十二条に基づきまして、農業委員会が、地理的な条件、これは中山間地とか平たん地ということですし、それから基盤整備の状況、こういった区分ごとに賃借料の水準を情報提供しておりますので、こういったものを参考にして機構が設定をするということになるものと考えております。

 それから、農地の流動化を促進するためには、地代だけではなくて、出し手が安心して農地を提供できる環境を整えるですとか、それから受け手の方が受けやすい環境を整備するということも重要でございます。

 出し手の方から見れば、今回、中間管理機構が整備されることで、公的な機関でございますので、安心して農地を貸すことができる、地代の支払いは確実に行われますし、耕作放棄地になることもないということがございます。

 それから、受け手の方から見た場合には、機構がありますと、まとまった農地として貸してもらえますし、必要があれば大区画化等の事業もやった上で貸してもらえる、こういったことがございますので、機構自体が流動化のインセンティブになるものというふうに考えているところでございます。

 それから、機構の活用を後押しするために、農地の出し手対策といたしまして、人・農地プランの話し合いの中で農地中間管理機構に農地の貸し付けを行った方あるいはその地域に対する協力金を払ったり、あるいは農地の受け手対策として、農地中間管理機構から借り受けた担い手の方々に規模拡大の交付金を払ったりということも予算要求しておりまして、法案とあわせまして、こういった予算措置によって農地集積が進むものというふうに考えております。

 それから、御指摘いただきました基盤整備等のコストでございます。

 機構が大区画化等の簡易な基盤整備等を行った場合のコストでございますけれども、最終的には予算の編成プロセスで整理をされることになりますが、現在の考え方といたしましては、通常、事業をやるときの所有者等の負担分については、とりあえず機構が肩がわりをした上で、整備を行いますと農地の生産性が上がってまいります。それによって、受け手の方の賃料は整備前に比べれば高く払えるようになるというのが通常でございますので、この受け手の負担、要するに賃料の上昇分でございますが、これで、機構が肩がわりした整備コストを何年かかけて賄っていくということを基本に検討しているところでございます。

後藤(斎)委員 局長、最後に生産性が上がるというふうにおっしゃって、一反当たり、一町歩当たり、同じ品目を今までと同じようにつくってマーケットが同一であれば、当然そうなると思うんです。

 でも、量は、この委員会でも繰り返しお話ししたように、今まで農水省は、研究開発で収量を増大するとか、要するにQをふやすということは、基本的に非常にネガティブだったわけです、ようやく最近やっているものの。PとQを掛け合わせたものが収入だという発想を常に持ち続けないと、Qだけ、一部の地域や一部の品目で量が一どきに多くなったら、マーケット、要するに市場を経由するものも含めて、単価は当然下がってきますから、生産性という単収が若干上がったり、労働生産性が上がったりするということはあるんでしょうけれども、結局、収入増にはつながらないということになるわけです。

 ですから、一つ、経営所得安定対策という名前が残るかどうかは別としても、局長がおっしゃったように、いや、生産性が上がれば、その部分で地代分の将来のプラスになる分が回収できるんだというのは、結局、可能性はあっても、それが本当に実現するかどうかというのは非常に難しい部分が当然あるという前提で私もいろいろ考えてみたんですけれども、大臣の評価はちょっと別としても、今まで、要するに主食用のお米であるとか口に入るものと、少なくとも飼料に向けられるようなお米とか、そういうものに限定した支援の仕組みというものを少し考え直して、自給率が前からお話ししているように一〇〇を切っている農産物、畜産物というのは、単価が市場に受け入れられれば、要するに代替する余地というものは当然あるわけですから。

 きのうもエネルギー分科会で、再生エネルギーのコストを来年以降どうするかという議論が本格的にスタートし、ソーラーはかなりブレーキをかけ、そして、ほとんど今進んでいないバイオマスであるとか風力発電の分を単価を見直すという話の議論がようやく経産省でもスタートしたようであります。

 ですから、やはり戦略的なものとして、エネルギーに向ける農産物というものを、前に鹿児島での芋発電の話をちょっと触れさせていただいたんですが、そういうところは、まさに二毛作、三毛作をやって、単収でどんどんつくって供給しても、単価が見合う形まで持っていければ、これは経営安定所得の直接支払いみたいなものを組み合わせなきゃいけないかもしれませんけれども、戦略性というところではエネルギーにかわっていく。特にバイオマスガス、またバイオマスエネルギーにかわっていくような農産物もその対象としていかなければいけないと、私はもう何度もお話ししているように強く思っているんですけれども、大臣、その点をこれからどういうふうに仕組みますか。

江藤副大臣 特に御通告がなかったので、私の答弁が間違っていたらお許しをください。

 米については出口対策が必要だという認識は、全くおっしゃるとおりだと思います。プライスがスティルでない、それで量がたくさん出てしまえば、結局、掛け算をしても所得は下がってしまう、おっしゃるとおりだと思います。

 米につきましては、北海道で二カ所、全国で、私の記憶だと四カ所か五カ所だったと思いますが、米を原料とするバイオマス発電についても実証実験を今行っております。たしか、ことしがちょうど五年目になるんだというふうに記憶しております。

 これをあと五年、十年間の計画でやることになっておりますけれども、私どもの考え方としては、これもやはり出口はたくさんあった方がいいわけでありますから、今のところ、燃焼効率が悪いとか、コストをかける割には発電量が少ないとか、いろいろけちをつけられておりますけれども、私は、委員がおっしゃるように、バイオマス発電の出口対策として、芋と同様に米も考える余地があるというふうに考えております。

後藤(斎)委員 今の仕組みですと、今副大臣がおっしゃられたように、幾つかの部分ではやっているところもあるらしいんですが、今の経営所得安定対策の中でも、いわゆる産地資金というところで、要するに、ここが四百億くらいらしいですけれども、地域で指定をすれば、対象とすれば、エネルギー米、エネルギー芋みたいなものも対象になるようです。

 やはり、ここで地方のそれぞれの創意工夫を生かすようなやり方、すなわち、産地資金というものをもう少し拡充をしていくことが、今副大臣がおっしゃられたようなことも、それぞれの地域別にそれぞれ違うわけですから、全国一律ということも、当然、食料安全保障の観点があるにしても、今、少なくとも過剰で、もうこれ以上つくり過ぎたら価格が暴落をするというのが目に見えているんであれば、少なくとも市場は別にしながら、幾らつくっても、つくる努力がもっと報われるような形のものにしていく必要が絶対あるはずなんです。

 ですから、今御検討をされている最終盤に向けての取りまとめがどうなるかは別としても、現行でいえば、産地資金的なものをもっと拡充して、それぞれ地域のニーズに合って、そして額もそこそこふやしてあげれば、先ほどの中間管理機構が、知事の認可を受けて事業計画を機構がつくって対応するというのをうまくセットで後押しができるんじゃないでしょうか。ぜひ、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 おっしゃられるように、やはり需要に見合ったものをつくるというのは大変大事だ、こういうふうに思っております。

 今の水田活用の直接支払い交付金は、全国一律単価の戦略作物助成と、あらかじめ定められた各県の上限額の中で、今委員がおっしゃっていただいたように、産地資金の上乗せと作物以外の単価の設定という二階建て構造になっておりまして、地域での取り組みを総合的に支援することが可能となっております。

 バイオマスエネルギー用の作物等を今取り上げていただきましたが、これも産地資金により助成を行うことは可能、こういうふうになっております。

 エネルギー用の作物を産地資金の対象とすることについては、生産面のコストや収益、関連施設の設置、運営コスト等いろいろな課題がありますので、それぞれの地域で、これは導入するときに十分に検討していくということでございます。

 いずれにしても、我々も産地資金を今は産地交付金というような仮称でやっていこうということで検討しておりますが、こういう課題を含めて、地域の特性を生かして、それぞれの地域が十分にお考えになっていただけるような仕組みにしていきたい、こういうふうに考えております。

後藤(斎)委員 この法律について最後にしますけれども、第二十五条で、農林水産大臣は、評価という条文があります。最終的には、知事が機構の事業計画を認可して、管理監督も知事がする、あわせて農林水産大臣は、全国的な見地から評価をして、中間管理事業を効率的かつ効果的に実施している情報を公表するということだけなんですが、今大臣が話をされたように、それぞれの地域の特性を生かすという観点と、あわせて、前回、櫻田文科副大臣もおいでをいただきましたけれども、研究開発のイノベーションというものをそれぞれの地域の大学等でどう組むのか、日本再興計画の目標が正しいかどうかは別としても、少なくとも成果目標としてあるわけですから。

 再興というのがジャパン・イズ・バックなのかフォワードなのかは別としても、余り後ろに行くのは私は決して好きではないんですが、少なくとも前へということでフォワードにしてもらった方が本当はいいんじゃないかなと思うんですが、何でそういうのがまかり通っているのかわかりません。

 少なくとも農林水産大臣の評価を入れた以上は、今度は最終的な責任は、さっきの中間管理機構の社長なのか理事長なのかは別としても、いや、そこが責任をとるんだよという話ではなくて、たくさんの人たちが連携をしてということを大臣はおっしゃいましたけれども、やはりこの事業、この機構の法案が成立した以降は、評価をする際にそれぞれの農家にとってプラスだなというふうにきちっと持っていっていただかないと、誰の責任だ彼の責任だということで、いや、理事長が責任をとって、首だけかえればいいということでは絶対にないので、そこは明確に、ぜひ私が最終責任をとるという話を、大臣、していただけませんか。

林国務大臣 まさに、この法案を提出させていただいて、そして予算もそれなりのものを要求させていただくということですから、最終的にこの施策がうまくいくようにするというのが私の責任である、こういうふうに思っております。

 もう委員がおっしゃっていただいたことに尽きるわけでございますが、二十五条でそういう、私が頑張るというだけではいけませんから、この事業の実施状況を全国的な見地から評価し、評価結果及び優良事例を公表するということで、公表の意味は、ただ表に出すということに加えて、やはりうまくいっているところの事例をなるべく横展開していくということで、別にうまくいったところを私的財産としてほかには使わせないということではありませんから、どんどんそういう例をやって、だんだんと横展開も使いながらレベルアップを推進していく、こういうふうにしていければというふうに思っておりまして、全体を通じて、しっかりと最終責任者、大臣として責任を持って進めていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 ぜひそういう部分は、局長たちも含めて共有をしながらやっていただきたいと思います。

 大臣、今は日本の企業は非常に旬という時期が短くなって、この間、経産委員会でも話をさせてもらったんですが、以前は一つの会社の企業の旬というのは大体三十年と言われたものが、今はその半分近くの十八年になっている。ただ、それは平均値であって、その中でも三つの視点を持っている会社は旬が長くなる。一つが、創業者の視点、一番スタートをしたときのお気持ち。そして二つ目が、先ほどお話ししたように、マーケットディマンド、顧客の視点、これを持ち続けないと会社は絶対だめになる。もう一つが、一緒につくっていくという共創の視点。この三つがある会社は、いわゆる老化防止、長く続く会社の三要素だというふうにある方がおっしゃっています。

 そして、大臣、私は繰り返し、収入保険について質問させてもらっているのですが、さっきの産地資金のように、それぞれの地域の特性によっていわゆる直接支払い的なものができるような仕組みというのは、ある意味では、三億二千万円は来年度対応してもらうにしても、やはり米だけとか土地利用型だけということではなくて、全ての産品に適用ができるような仕組みというものをぜひつくっていただきたいです。それがなければ、頑張ってたくさん農産物ができたときに、価格が下がってしまえば、これも繰り返しで恐縮ですけれども、やはり収入は下がるということなんです。

 ですから、農業総生産額もこの十年、二十年で半分以下になって、米も一時期三兆円を超えた総生産額が、今半分しかない。これは単価の問題であり、需要、要するにQの、消費量の問題でありますから。

 そして、輸出についても、確かにいろいろなきめ細かな輸出戦略というのをこの半年やっていただいたと思いますけれども、しかし、実際、植防の問題等があれば、果物を中国市場や台湾市場にすぐ持っていくというわけにはいかないわけです。

 ですから、まず中の内需、食の偽装みたいなものではなくて、やはり堂々と、そこの地域でとれたものを旬でおいしく食べる。そこには付加価値がついて、逆に東京で食べるよりも、少しおいしいものが食べられる。和食が本当に文化遺産になるわけですから、そういう部分の正しい連鎖というものをつくっていかなければ、今、なかなか消費者特別委員会もやっていただけないので、こういう場で大臣にお願いするしかないんですけれども、やはりもっと事は深刻だということを考えていただいて、対応をしていただきたいと私は思います。

 そういう中で、つくり手である農家の方々が、この中間管理機構ができて、集約化ができ、効率化ができ、ひいては生産性が向上したにしても、たくさんつくっちゃってばかを見たなということにならないように、必ずセーフティーネットはきちっと仕組むべきなんです。それも、自分の農家で自由度があるように、三つか五つくらいの自分の目標を収入目標で設けて、対応ができるような仕組み。平均であれば、この委員会で大臣もうるさいなと言われるかもしれません、やはり農業所得で一人五百万くらいをめどに、目標にとれるようにしていかなければ、幾らこの中間機構をつくって農地が仮に流動化したにしても、農家という中に入って、新しく業をつくるのは絶対あり得ません。

 ですから、イノベーションというものを導入してもらうのももちろんですけれども、だから、オランダの農業が頑張っているというのは、上手に、植物工場的なもので、マーケットを見据えた中で、何をつくっていくべきかということが、日本よりも規模的には小さな国かもしれませんけれども、そういう正の循環があるはずなんです。

 ですから、日本はそれよりもはるかに南北に長く、やはり多様な気候条件、土壌条件があるわけですから、収入保険をきちっとできるだけ早期にやるということと、対象品目については、畜産も含めた全ての農産物を対象にする。この二点について、ぜひお約束してください。いかがですか。

林国務大臣 後藤先生はかねてから収入保険を取り上げていらっしゃったわけでございまして、我々も、今の農業共済制度は、自然災害による収穫量の減少を対象としておって、価格低下は対象としていないとか、対象品目が限定されておりますので、農業経営全体をカバーされていない、こういう問題を認識しておりまして、全ての農作物を対象とし、農業収入全体に着目した収入保険の導入について、先ほど言っていただいた調査費を要求しておるわけでございます。

 したがって、例えば耕種農業とは異なる要素もある畜産についても、これを収入保険の対象に含めるかどうかということにつきましては、この調査結果を踏まえて判断をするということになりますので、調査は畜産を含めてやりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 終わりますけれども、評価というのは、大臣が中間管理機構を二十五条で評価するわけですから、あわせて、農地の流動化だけではなくて、人が今以上に頑張っていきたいというふうな、それは老若男女を含めて、農業に魅力を持てるには、やはり収入をきちっと確保できるという大前提があるということだけは重ねて申し述べて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、杉田水脈君。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 本日は、農林水産委員会で質問をする機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

 今審議中の二法案につきましては、皆さん、さまざまな角度からもう議論が進んでいると思いますので、私の方は、この法案のこととはちょっと違うんですけれども、今、東京都と兵庫県で発生をしております梅輪紋ウイルスのことについて質問をさせていただきたいと思います。

 皆様のお手元に、ちょっと一枚物の資料を配らせていただきました。

 この梅輪紋ウイルス、初めてお聞きになる方もいらっしゃるかと思うんですけれども、古くは、海外では確認されていたウイルスなんですけれども、日本では、二〇〇九年に東京都の青梅市で初めて確認をされまして、それからまた、昨年の調査で兵庫県の方でも確認されたため、その梅輪紋ウイルスとはというものの裏面のところに、兵庫県の防除の区域の地図を載せさせていただいております。

 兵庫県は、ことしの二月から防除区域に指定をされております。ちょうど私の選挙区が宝塚、川西、伊丹となりますので、全く私の選挙区でしか発生していないというような状況にあるんですけれども、ここの地元の造園業者さんや植木業者さんなんかにもいろいろ話を聞いてまいりましたので、それを踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、このように防除区域というのが指定されまして、この中での移動の禁止だとか、また、ここで伐採の処置などを行っているんですけれども、そういうふうなところで、業者さんに関しては、すぐにこの病状とかもわかりますし、この木を伐採しなさいとか、この木はもう焼却処分にしてくださいというような指導は容易にできるかと思うんですけれども、業者さん以外のところ、例えば、一般の庭の中にある梅の盆栽だとか桜の木だとかいったところには、なかなか皆さんへの認識が広がらない。

 きょうは、ちょっとこういった写真も、ちっちゃい写真なんですけれども、お持ちさせていただきましたが、こういった紋章が出るのがこのウイルスの特徴なんです。業者さんは皆さん御存じなんですが、一般の方々がなかなかこういうことを御存じないので、御自宅の庭にありますそういった植物がこのウイルスに感染しているかどうかというのがわからない状態で、なかなか全木伐採などが進んでこないという問題を耳にしたんです。

 まず初めに、この梅輪紋ウイルスについてどのような形で広報を行っていらっしゃるのか、広報の方法についてお尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 梅輪紋ウイルスにつきましては、今ほど先生の方から紹介いただいたとおりでございます。大変重要な病害だというふうに考えておりまして、現在、その根絶を目指して、今御紹介いただきましたような緊急防除の対策を実施しております。

 広報についてのお尋ねでございます。

 防除を円滑かつ着実に進めるためには、都道府県や市町村は当然のことではございますが、地域の生産者、さらには、お話しいただきましたような住民、こういった方の理解と協力が不可欠であります。このため、農林水産省は、関係都道府県と協力いたしまして、幾つかの広報に努めております。

 具体的に申し上げますと、例えば、兵庫県の場合、国と県が共同して、現地説明会を四十回開催しております。また、梅輪紋ウイルスの調査に際しましては、調査担当者が、地域の生産者あるいは住民などの関係者を合計五千戸、戸別に訪問いたしまして、説明をしてきております。

 また、大阪府などの例では、こういった現地説明会、戸別訪問のほかに、広報誌に掲載し、不審な木があったら教えてくださいということで通報を促すというふうな形をとっております。

 さらに、関係都道府県では、ホームページに情報を掲載しておりますし、農林水産省では、例えばホームセンター、種苗生産者の全国団体などを通じて周知徹底を図っているというところでございます。

 いずれにいたしましても、緊急防除に対する生産者、住民の理解と協力が得られるよう、しっかりと広報に努めてまいりたいと思います。

杉田委員 市町村なんかの広報誌に載せるというのが一般的な手法だというふうにお答えいただきましたけれども、農林水産省の方に最初にお尋ねしたときに、最も有効だったのが、こういう症状ですよというのを入れた、全戸配布でチラシを配った、そういう自治体もあるというふうにお聞きしています。それによって通報を促すという形をとったところもあると聞いております。

 ただ、そういうふうな対応ができているところとできていないところがございますので、ぜひ、有効な広報の方法というのは、その他の発生している自治体なんかでも共有できるような形にお願いをしておきたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 防除区域外への移動が規制されている中で、この中にも、どういう植物がかかるかというようなものの中に、桃とかスモモとかのプラム属のものにプラスいたしまして、サクラ属もこのウイルスに感染する可能性があるんですけれども、今回、ソメイヨシノやヤマザクラなどの観賞用の桜が移動制限の対象から除かれています。この理由と、ソメイヨシノとかヤマザクラといった観賞用の桜が制限から除かれていることによって感染が拡大する可能性はないのかどうか、お尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、観賞用の桜を緊急防除の対象に含めるかどうかということについてのお尋ねでございます。

 今お話しいただきましたように、実は、サクラ属というのはかなり幅の広い属といいましょうかグループになっております。梅もこのサクラ属の一部に入っております。

 ということなんですが、今お話しいただきましたソメイヨシノとかヤマザクラ、いわゆる観賞用の桜といいますのは、サクラ属の中のさらに小さなグループのサクラ節というグループに属しております。このサクラ節に属する桜の仲間につきましては、海外の文献などで実験室的に感染するおそれがあるというデータがございました。そのため、今まで移動規制の対象にしてきております。

 しかし、今年度、梅等の感染率の高い地域、一番感染しやすい地域ということでございますが、そこのサクラ節の植物を無作為に二千本サンプル調査いたしましたところ、全く感染していなかったということが判明しております。

 この結果に基づきまして、本年十月十日に検討会を開催して、専門家に意見を求めました。そういたしましたら、観賞用桜の含まれるサクラ節の植物は事実上感染しないというふうに考えられるので、緊急防除における移動規制の対象から除外することが妥当だという結論が出されております。

 このため、現在、観賞用の桜、すなわちサクラ節の植物ということでございますが、これを移動規制の対象から除外するための手続を進めているところであります。

 なお、サクラ節の植物といいますのは、兵庫県のような苗生産地域においては経済的にも重要な品目になっておりますので、これによって緊急防除による地域の経済的負担の軽減を期待しているところでございます。

杉田委員 伊丹などは非常に桜の産地でありまして、去年百周年を迎えましたワシントンの桜なんかも、苗木はもともと伊丹の方で生産されたということもありまして、ソメイヨシノとかが対象植物から除かれるということで、ちょっと地元の皆さんは喜ばれるんじゃないかなというふうに感じております。

 このようにさまざまな検査を行って、そういった移動の範囲だとか移動の品目なども見直しをずっと行っていらっしゃるということだったんですけれども、次は検査についてお尋ねをしたいと思います。

 この検査なんですが、実際にはどういった方が検査に当たっていらっしゃるのか、まずお尋ねしたいと思います。

小里大臣政務官 梅輪紋ウイルスの目視調査でございますが、複数人のチームで行っております。都道府県職員が調査に参加することもありますけれども、必ず国の植物防疫官または病害虫防除に精通した都道府県職員がその任に当たっているところでございます。

杉田委員 そのようにお答えをいただいたんですけれども、実際に地元の業者の方にお尋ねしますと、非常に不安だという声がございまして、確かに、先ほどの答弁にございましたように、県の農林関係の職員の方が調査に当たっていらっしゃるんですけれども、その方が、私の専門は畜産なので、このことについてはよくわからないんですよと言いながら調査を行っていたりするので、本当に大丈夫でしょうかという声が業者さんの中から聞こえているんですけれども、そのあたりはいかがですか。

小林政府参考人 今御指摘をいただきましたように、大変人数をかけて調査しておりますので、チームの中に専門外の方が含まれていることはあり得ると思います。

 ただ、最終的に、この葉っぱ、この木が感染しているかどうかの最終判定は専門家でないとできませんので、専門家がしっかりやっております。

杉田委員 そのような形で地元の方に説明をしてまいりたいと思います。

 それから、これもちょっと不安の声が上がってきておるんです。

 全木調査ではなくて一定のサンプル調査しか行われていないのではないか、全部の木を見ていただけていないんじゃないか、そういった不安の声が業者さんの中からあったんですが、その点についてはいかがでしょうか。

小里大臣政務官 この調査は、緊急防除の防除区域におきましては、サンプル調査ではなくて、対象植物の全てを対象に調査しております。

杉田委員 緊急の場合、例えば去年までの調査はサンプル調査だったんですけれども、ことしからは全樹木対象の調査になりますというふうに私は説明を受けたんですが、それで間違いないですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 日本全国に梅とか桜とか、大変な本数がございますので、残らず全て検査をする、調査をするということは、それはできません。したがいまして、感染樹が見つかったとか、リスクの高いところにつきましては一本残らず調査をいたしますが、今まで発生していないというふうなところについては、言われますように、モニタリング的に調査はしております。ただ、その場合でも、感染樹が見つかりましたらきちっと調査をするという形で体制をとっておりますので、御懸念のようなことにはならないというふうに考えております。

杉田委員 ありがとうございました。

 続きまして、この梅輪紋ウイルス、結局、発見されましたら、それは焼却処分などといった形で対策をしていただいておるんですけれども、これの補償のことについてお伺いをしたいと思います。

 植物防疫法に基づいて補償が行われていると思うんですけれども、これはちょうど私の選挙区のところが、地図を配らせていただいておるんですけれども、例えば伊丹市などは、生産業者さんが非常に多いところなんですね。宝塚市の方になりますと、今度は生産されたものを流通させる、そういった業者さんが多い地域になるんです。

 ただいま補償が行われているのは生産の業者さんのみで、流通の業者さんに対する補償がないというふうにお聞きをしておりますが、やはり入札とか、依頼があっても、制限区域内に入っているとそこから移動をさせることができませんので、生産業者さんのみならず、やはり流通業者さんも今非常に厳しい状態にあるということをお聞きしておるんですけれども、生産業者のみではなくて流通業者さんの方にも補償をしていただける、そういうふうなことというのは考えていただいておりますでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 植物防疫法に基づく補償の論点についてでございます。

 植物防疫法では、緊急防除に係る処分によって損失を受けた者に対し、その処分により通常生ずべき損失を補償しなければならないというふうに規定をされております。

 このため、兵庫県の場合で申し上げますと、緊急防除区域内においても、対象植物を所有し、感染植物の廃棄等の処分の対象となった者は、生産者のみならず、流通業者についても、処分によった損失は補償の対象となっております。現に補償もしております。

 また、本年度の感染調査の結果を踏まえ、緊急防除区域内にある苗生産業者や造園業者などの所有する梅などの規制対象植物につきましては、販売などによって地域外に感染が拡大しないよう、感染の有無にかかわらず全て伐採するということを検討しております。その場合、当然のことですが、植物防疫法に基づく補償も行われます。

 一方で、対象植物を所有していない、こういう場合には補償の対象とは法律上なりません。しかし、兵庫県においては、委員から御指摘のあった緊急防除区域外に規制対象植物の、例えば仮置き場を置くなどの取り組みを検討中でございまして、現在、その実施に向けて、地元の関係者と調整する方針であるというふうに聞いております。

杉田委員 先ほど御答弁いただきました中にもございましたように、流通業者の方などは、緊急防除区域外のところに土地を借りて、そこのところに移して、そこからいろいろなところに流通させるという処置をとっている業者さんが少なくありません。

 そこの部分の土地の賃料だとかそういったものについては、市町村なんかからある一定の補助を行っているところもあるようなのですけれども、先日も地元の市長さんとお話をしている中で、なかなか、市町村単位で補助を出すのもちょっと苦しくなってきているので、どうかここのところはしっかりと進めてほしいと要望してほしいとおっしゃっていらっしゃいましたので、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

 先ほどもお答えにありました抜根、焼却処理の補助金の件なんですが、これが十分な補助金なのかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。

 私が地元の業者さんのところを回ったときにちょっと耳にしたのが、年度ごとの補助金の範囲内でしか処分ができないので、全木、本当だったら処分しないといけないんですけれども、ことしはもうここの分だけしか処分ができませんよというようなことを指導されたそうなんですね。

 これはやはり抜本的に収束させていかなければいけませんから、やはり、ことしの予算がこれだけしかないからこれだけしか伐採できませんではなくて、全木、全て伐採して焼却処分をして、もしも、補償金が、その年度の予算が限られているのであれば、別に五年なら五年、六年なら六年の分割でもいいですから、その予算の範囲内の分割でもいいですから、そういう形でいただければ、業者さんもそちらの方がありがたいんだけれども、そういったような補助金の支払いの方法というのは考えていただけるのか、そういった要望があったんですが、このあたりはいかがでしょうか。

小林政府参考人 今、梅輪紋ウイルスを根絶するための補助金についてお尋ねいただきました。

 今先生からお話がありましたように、これを何とか根絶したいと私どもは考えております。根絶するためには、これは植物につくウイルスですので、そのウイルスが拡大しやすい、蔓延しやすい時期というのがございます。ですので、その時期までには、わかっている木は全て伐採するということを徹底的にやっていくというのが何よりも重要でございます。

 これまでも、伐採により生じた損失につきましては、必要な補償を実施してきております。財源の問題で十分に伐採ができなかったということはないというふうに思いますし、今後もそのようなことのないようにしっかり対応していきたいというように考えております。

杉田委員 先ほど申し上げた、補助金の支払いを分割してというような形でするというような方法は、今後とられる可能性というのはありますか。

小林政府参考人 基本的には、法律に基づいた補償のルールになっておりますので、分割とかそういうことではなく、しっかりとその都度手当てできるようにやっていきたいと思います。

杉田委員 了解いたしました。

 先ほどの答弁にもございましたとおり、これはアブラムシを介して感染が進むんですけれども、アブラムシというのは、十一月の末ごろ、ちょうど今ぐらいから三月ごろまでは全く活動しないそうなんです。ですから、そういった季節的な形での対応というのが必要だということで、そこの部分ができていないんじゃないかというようなことも地元の業者さんから言われたんですけれども、先ほどの答弁の中では、きちっとそういったアブラムシの活動時期なんかにも考慮をした形でされるということを御答弁いただきましたので、そのあたりは安心して、また地元に戻って説明をしたいと思います。

 最後になります。

 これは、日本では東京の青梅市を中心として始まって、今は兵庫県なんかにも発生をしておるんですけれども、世界じゅういろいろなところで発生をしておりますが、なかなか根絶できた例がない、収束させられた例がないというふうに聞いております。アメリカなんかでも、広がる一方で、なかなか収束が難しいというふうにお聞きをしておるんです。

 今、日本では、まだ限られた地域でしか発生をしていません。今のうちに、本当に全木焼却処分とかをしていただき、潜伏期間が三年あるというのでなかなか難しい部分もあるかもしれませんが、何とか収束をさせていただきたいと思っております。

 これは計画的に進めていかれて、きっちりと収束させることが実現できるかどうか、その可能性について、大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 我が国の梅は、果実だけでも二百二十億円の生産がございまして、そのほか観賞用等の用途もあるわけでございまして、我が国の農業や地域経済において大変重要な植物である、こういうふうに考えております。

 したがって、この梅輪紋ウイルスの迅速な根絶、このために、我が省で、現在の感染植物の処分や移動制限、それから、今後、防除区域内にある植物で苗などの移動する可能性のあるものは、感染の有無にかかわらず処分を行うということを通じまして、防除対策の強化を検討しているところであります。

 委員が今お話しくださったように、ほかの国の例に照らしても、なかなかこの根絶というのは困難を伴うということは承知をしておりますが、やはり、農林水産省として、都道府県の皆様や地域の生産者、住民の協力も得ながら、早期の根絶に向けまして、防除対策に万全を期してまいりたいと思っております。

杉田委員 先ほど東京と兵庫県で発生しているというふうに申し上げましたが、ことしの調査によりますと、少数ではございますが、大阪府の方でも発生が始まっているのが確認されていると聞いています。その大阪府のもう一つ隣には和歌山県がございまして、和歌山県といえば、誰もがもうよく御存じのとおり、梅の産地であります。そこに蔓延してしまう、広がってしまうまでに何とか食いとめていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 大分お疲れだと思うんですが、もう少しおつき合いいただきたいと思います。

 私たちは、二十五年ぐらい前に、狂乱物価とも言えるバブル経済を経験してきました。あの時代は、土地やゴルフの会員権など、投機にならないものはないと言われたぐらい、経済も順調、税収も伸び、国も自治体も国民も皆バブルで踊った記憶がよみがえります。

 なぜバブルになったのでしょうか。諸説ありますが、輸出で稼いだお金が海外から日本に還流され、本来であれば、そのお金が海外への投資に向かって適正な循環ができていればよかったものが、国内に滞留したお金が増殖して投機マネーとして矛先を向けたがために、バブルが生じたとも言われています。

 御案内のとおり、国力を示す指標にGDPがよく使われておりますが、林大臣は超党派でつくるGNI経済推進議員連盟の会長とお聞きします。

 バブルの最上期の平成三年の国内総生産は約四百七十三兆円、国民総所得、これがGNIに相当するんだと思うんですが、四百七十六兆円です。海外からの所得の純受取額が約三兆円。ちょっとデータが古いんですけれども、平成二十一年、国内総生産は約四百七十四兆円、国民総所得は四百八十六兆円で、海外からの所得の純受取額が約十二・八兆円。統計データが四年前で、現在とは多少タイムラグがあると思うんです。

 しかし、バブルのときでさえ、国内総生産と国民総所得の差が約三兆円。当たり前ですが、海外でもうけて国内に還流できたお金が三兆円しかなかったということです。内需の拡大によってバブルが生じたと言っても過言ではないと思っています。

 景気が悪いと言いながら、国民の皆さんは頑張ってきましたが、今は十二兆円を超える海外からのリターンがあるわけです。その一方で、GNIがふえても、そのお金が企業の内部留保になったり、海外での企業買収費、設備投資に向けられたら、国内の経済の活性化にはならないし、中小企業のアジア進出や、海外資源や海外企業の取得等に積極的に支援策が講じられれば、産業の空洞化により拍車がかかるとも言われています。

 TPPの原則関税撤廃、廃止を視野に入れて交渉が進んでいる現在、その対抗策として、今回出してきた中間管理機構や、先日可決された再生エネルギーの関連法案があると思っています。減反の廃止や戸別補償政策の見直しも、その流れにあるのではないかと考えています。

 しかし、いま一つ、農政の方向性が、全体像が見えてこないのは私だけではないと思います。大臣に、日本のあるべき農政の姿をお示しいただきたいと思います。

林国務大臣 GNIについてお触れをいただきました。これは、昔GNPと言っていたものと数字的にはそう変わらないわけでございますが、グロス・ナショナル・インカム、国民総所得、こういう概念でございます。

 委員がお触れになっていただきましたバブルの当時は、まだ、所得収支と申しまして、海外から入ってくる移転の収支というものが余り大きくなかったわけですが、その後、貿易収支がだんだん減っていくのと対比して、所得収支がどんどん上がっていって、ちょっと手元に数字がございませんが、ちょうど世紀の変わり目ぐらいにこのプラスが逆転をして、日本は、貿易収支で稼ぐ国から、だんだん所得収支で稼ぐ国になってきている。

 これはちょっと農政と離れますが、全体の枠組みで、そういう形でということを認識した上で、貿易収支も減っていいというわけではございませんので、どう所得収支と貿易収支を両方ふやしていくか、こういう課題を勉強していこうということで、そういう議員連盟もつくったわけでございます。

 GNIというものも、実は、日本再興戦略においても、中長期的に三%を上回る伸びとなり、十年後には百五十万円以上増加することが期待されている、こういうふうにも記載をされているところであります。

 これと直接関係があるわけではございませんが、農政の基本方針、こういうことでございまして、これはもう繰り返し申し上げていることですが、従事者が減少し、高齢化する、また、耕作放棄地がふえるという中で、農政改革をし、国内農業の活性化を図っていくということが非常に大きな課題であると思っております。

 やはり、中間管理機構、まさに今御審議いただいているこういうものを整備していって、コスト削減をするという供給サイドの取り組み、それから、輸出促進や国内外の需要拡大ということをやる需要サイドの取り組み、この二本柱、そして、需要と供給をつなぐ、六次産業化などによる高付加価値化などのバリューチェーンの構築の取り組み、こういうものを一体的にやっていきたいというふうに思っております。

 そのときに常に心がけておかなければならないことは、ここでも何度も御議論いただいておりますが、いわゆる経営所得安定対策のような産業政策的なものと、多面的機能に着目した直接支払い制度等々の地域政策というものを、やはり車の両輪としてバランスよくやっていくということが非常に大事であるというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 では、今御答弁いただきました農政の姿、もう何回もお聞きしていると思うんですが、幾つかの点について個別にお尋ねをしたいと思います。

 まず初めに、農業の六次化の課題についてということでお尋ねしたいと思います。

 大臣は答弁で、六次化、六次化というのをよくおっしゃられると思うんですけれども、農林水産省も同じように、日本の農林漁業、農山漁村が疲弊した原因が本当に何であったのかというのを検証してきたことがあるんだろうかというところにちょっと立ち返らせていただきたいと思います。

 日本の農山漁村の疲弊が一段と深化したのは、一九八六年ごろから農産物や中小企業製品の積極的輸入策と海外直接投資の促進がなされ、農山漁村の基盤産業が崩壊した時期と重なるとも言われているわけです。

 高度成長期に見える経済成長を実現したのは、雇用者報酬の増大による内需拡大であって、高度成長は大企業の重化学工業化による輸出市場の拡大によってなされたとは言われていますが、イザナギ景気の時代ですら、輸出の所得増加寄与度は一四%余りで、しかも、それは輸入によるほぼ同率の減少寄与によって相殺されてしまうとも言われています。所得倍増の最大要因は、農山村部から大都市圏への大量の労働力の移動と、それに伴う生活必需品、家電、オートバイ、自動車市場の拡大と、それに誘発された設備投資増進の結果であったという学者もいます。

 今、アベノミクスは雇用者報酬と内需を抑制したままで輸出拡大による成長を目指しているとすれば、バブルのときもそうでしたが、内需が拡大されない限り、農林漁業の将来はないと思っておりますし、何よりも、六次産業化をうたっても、そう簡単に軌道に乗るとは思えないんです。今までのように、二次、三次がもうかるのではなくて、一次産業の農林漁業者にその利益配分が厚く行く仕組みをつくらなければ、農山漁村の活性化にはならないと思うんです。

 大臣の御所見を伺いたいと思います。

小里大臣政務官 まさに御指摘のとおり、経済が成長する過程で二次産業、三次産業が発展をしていくわけですが、その中で、一次産業から二次産業、三次産業の方に人も資本も移行していった流れがあります。二次産業、三次産業では雇用、賃金の上昇があったわけですけれども、なかなか一次産業の方はそこに弾力性がないといったところがまさに御指摘の根本的な問題であろうと思うところでございます。

 したがって、六次産業化におきましては、農林漁業者等が加工や販売を一体的に行う新たな事業活動によって、みずから生産する農林水産物等の付加価値を向上させる取り組みであります。農林漁業者の経営の改善や所得の確保、ひいては地域全体の活性化につながっていくことが必要であろうと思っております。

 このような観点から、六次産業化の推進に当たりましては、農林漁業者等の経営改善を図るため、新商品の開発など、みずから生産した農林水産物等の付加価値を高める新たな取り組みを六次産業化・地産地消法等に基づく認定の対象として、こうした取り組みに重点的に補助事業等の支援を行っていくとしているものであります。

鈴木(義)委員 今御答弁いただいたんですけれども、補助事業でサポートしていくんだということなんです。

 前にも委員会でお尋ねしたときに、農産物は、もう何百年も前から市場原理で、需要と供給のバランスで値段が決まっていくわけですね。でも、実際は、スーパーは、値段を決めて農家から、また漁業者から買い上げる金額を決めちゃっているんです。そこが問題だというふうに御指摘していたんです。

 結局、税金という形で国民から納めてもらったものを再分配させて、それを補助金として使ってもらえれば一次産業の方は少しでもよくなるだろうという仕組みじゃない仕組みをつくらなければ、一次産業が育っていかないだろうという考え方なんです。そこのところをもう一度御答弁いただきたいと思います。

小里大臣政務官 まさに、補助事業で支援をしてまいりますけれども、さらに、ノウハウの提供等も含めながら、そしてまた地域のプランナー、リーダーの育成も図りながら、構造として、生産者側が流通、加工の方の取り分までとっていけるような構造を目指していく、これが六次産業化であります。

 御案内のとおり、一次産業の段階では十兆円足らずでありますけれども、これが、加工、流通の過程を経て、最終的には百兆円になっていくわけでありますから、その二次産業、三次産業側の分をなるべく生産者側がとっていけるように、これをいろいろな、ソフト、ハード両面から支援をしていくのが私どもの六次産業化における政策であると認識をしております。

鈴木(義)委員 後段で、中間管理機構のところでもお尋ねしたいんですけれども、要するに、品物を納めて、加工業者、販売する方がもうけたお金が一次産業に従事している方のところに戻っていかないということなんですね。

 全部を戻せと言っているわけじゃないんです。例えば、農林漁業者が従事して、組織化して、法人化していくとか大規模化していけばなおさらなんですけれども、二次産業、三次産業の会社の株だとか社債なんかを一次産業で従事している人に持ってもらって、これは簡単にはいかないと思うんですけれども、そこで利益が出たときに、きちっと一次産業の方のところに戻せるような仕組みをつくったらどうだろうかということなんです。

 そういったことを還元するような仕組みをつくってもらえれば、ある意味、税制で優遇してもらうとか、これはもっと違う話になっていってしまうんですけれども、自分たちのエリア以外のところの資本によって農業やエネルギー産業の拠点整備をされたとしても、そこでもうけたお金、経済的な果実が東京の本社であったり海外に持っていかれてしまったのでは、農村、漁村は栄えないだろうということなんです。そこについてお尋ねしたいんです。

小里大臣政務官 六次産業化におきましては、農林漁業者自身が農林水産物の加工、流通の取り組みを一体的に行う場合のほかに、異業種のパートナー企業の参画を得て農林漁業の六次産業化に取り組む場合があります。

 いずれの場合におきましても、御指摘のとおり、農林漁業者の所得向上、また地域の活性化に資する取り組みが必要であると思います。

 このため、農外のパートナー企業の参画を得て六次産業化に取り組む場合であっても、農林漁業者が主導的な役割を果たすことができるよう、農林漁業者が主たる構成員または出資者であるものに限って六次産業化・地産地消法の認定の対象にしているところであります。

 また、農林漁業成長産業化ファンドにつきましても、農林漁業者がパートナー企業を上回る議決権を有する場合に限って支援対象としているところであります。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 例えばの事例を申し上げます。

 六次産業化の主体が農外資本やアグリビジネスになってしまうのであれば、農村の農家所得の向上にはつながらないと思います。今御答弁いただいたことだと思うんです。

 しかし、四年前に農地法が改正になって、農地を株式会社でも借り上げることができるようになった制度で今実施して、中間管理機構の話になっていくんですけれども、私の地元で、三年前から大手のスーパーが農地を借り上げて、そこで働いてもらうのは地元の農家の方なんです。時間給です。これが国が目指す農政のあり方なのかと私は疑問に思うんですね。

 そこのところをどうお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。

小里大臣政務官 イオンアグリに絡む話でありましょうか。

 とすれば、現在のところ、まだ六次産業化の認定には至っていないと承知をしております。実態的にも、イオンアグリが農業者として農場経営を行う、その中で、地域の農業者を雇用しているという実態であります。あえて言えば、流通の方をイオンが担っておるとすれば、イオンアグリとイオンとの農商工連携の状態であろうと思うところでございます。

 今後、どういう展開をされるかわかりませんけれども、新たな展開があるとすれば、その中でしっかりと地域の利益、地域の農業者の利益に資するように取り組んでいただきたいと思うところであります。

鈴木(義)委員 私は具体的なメーカー名は言っていないんですけれども、要するに、反当たり月一万円で借りているんです。借り上げて、パートで働いている人は、七百円か八百円をお支払いになられていると思うんですけれども、組織化していったとしても、そういったビジネスモデルが日本のこれから目指していく農政のあり方なのかというお尋ねなのです。

 そこのところ、政務官でも大臣でも、どうぞお願いしたいと思います。

小里大臣政務官 先ほどから御指摘をいただいておりますように、六次産業化、農商工連携というそれぞれの形があるわけですけれども、特に六次産業化の本来の狙いとするところは、しっかりと農業者が加工流通の分野まで取り組んで、その利益を農業者、また地域に還元していくということにあります。

 今後、しっかりと、地域の実態を見ながら、その目的にかなうように私どもは努めていく必要がある、義務があると認識をするところでございます。

鈴木(義)委員 私の地元では、コマツナが産地なものですから、一年で五作、六作、コマツナだけつくるんです。とても六次産業化に向けてやるだけの時間はないと思うんですね。だから、現場で働いている農家の方ほど、一生懸命農業をやっている人ほど、余裕はないと思うんです。それで、一生懸命、国が六次産業化をうたって、太鼓をたたいたとしても、いや、それだけの余裕はないよというのが今農業に従事している人の本当のところだと思うんです。それについて、また議論が深まっていけばなと思っています。

 次に、改正農地法の現状についてということで、四年前に、農地が地域における貴重な資源であること、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した権利の取得を促進することを明確化したこと、農地について権利を有する者の責務として、農地の適正かつ効率的な利用を確保しなければならない旨を明確化し、戦後五十数年ぶりの農地法の改正がされました。もう御案内のとおりだと思います。

 市町村段階の面的集積組織が委任を受けて所有者に代理して農地を貸し付ける仕組みを創設し、農地利用集積円滑化事業について、約九割の市町村で実施主体が決定したと報告がありました。この円滑化団体のメリットとして、多数の農地所有者と交渉しなくても、円滑化団体と協議すれば、規模拡大、面的集積を実現できる、公的機関が調整することにより、近所の農家には貸したくないなどの心理的抵抗感やあつれきを緩和することができる、みずから受け手を探せない者の農地を耕作放棄地化せず、確実に受け手につなげることができるとしています。もう御案内のとおりだと思います。

 では、今まで、この四年間、どのぐらい規模の拡大と面的集積ができたのか、まずお尋ねをしたいと思います。

奥原政府参考人 先生御指摘のとおり、平成二十一年の農地法の改正におきまして、農地利用集積円滑化団体という制度ができております。この制度は、農地の出し手を代理して受け手を探して契約を締結する、こういうことを営む組織でございまして、その実績は、平成二十二年が一万八千ヘクタール、それから二十三年が三万二千ヘクタールということで、拡大をしてきているところでございます。

 円滑化団体の制度も含めまして、利用権の設定面積、これは毎年ふえている部分だけでございますが、平成二十二年は六万五千ヘクタールが利用権の設定がふえ、それから二十三年は八万一千ヘクタールが拡大、こういう状況になってきております。

 ただ、円滑化団体をつくりましても、出し手を代理して受け手を探すということですので、受け手が結局見つからなければ、契約の締結には至らない、こういう問題もございまして、この制度だけではなかなかこれ以上の数字の伸びが得られないのではないかということもございまして、今回、中間的な受け皿としての農地中間管理機構、これの提案をさせていただいているところでございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 一番大事なところだと思うんです。

 中間管理機構でもお尋ねするところですが、公的機関が調整することによって、近所の農家には貸したくないという感情的な問題を緩和することができるんだと言いながら、今お示しいただいた六万だとか八万だとかという、集積できたんだというお話なんですけれども、地元の農家の方にお尋ねをしたときに、そこのところがやはりなかなか雪解けできないんだよ、あの人には貸したくないんだよ、近所の人には貸したくないし、遠くの人だったら、まあしようがないかなというお話なんですね。

 それを中間管理機構でやるときに、なおさらだと思うんですよ。集積していくときに、やはりうまくいかないんじゃないかという懸念があると思うんですが、その辺をもう一度御答弁いただきたいと思います。

奥原政府参考人 今御説明いたしました農地利用集積円滑化団体でございますが、やはり代理をして受け手を探すというだけの事業では、農地の受け手が少ない地域では賃貸借契約の締結になかなか至らないという問題が一つございます。それから、やはり相対取引を前提にしておりますので、分散錯圃の抜本的な解消にもなかなかつながらないといった要素もあるのではないかなというふうに思っておりまして、今回、農地中間管理機構を整備する法律案を提出しておるところでございます。

 農地の流動化を促進するためには、出し手の方が安心して農地を提供できる環境を整えるということも必要ですし、受け手が受けやすい環境を整備するということも必要でございます。

 今回、この農地の中間管理機構を整備することによりまして、出し手の方から見ますと、公的な機関なので安心して貸すことができる。従来の円滑化団体の場合には、貸す相手は必ずしも公的なところではございません。代理をする中間に入る円滑化団体は公的なところであるとしても、受け手そのものは公的なところになりません。これが、今回の中間管理機構については、出し手から見ると、公的な機関なので安心して貸し付けられるという問題がございます。地代の支払いは確実に行われますし、耕作放棄地になることもございません。

 それから、受け手の方から見れば、まとまった農地として貸してもらえるということもございますし、必要があれば大区画化等の整備をした上で貸していただける、こういったこともございます。

 そういう意味で、この機構を整備すること自体が流動化のインセンティブになるものというふうに考えております。

 これに加えまして、農地の出し手へのインセンティブといたしまして、農地中間管理機構にまとまって農地を貸し付けていただいた場合に、その方に協力金を払うですとか、それから、地域に精通をした普及指導員のOBの方あるいはリタイアした農業者の方を地域のコーディネーターとして市町村が活用する取り組みを支援するとか、こういったことをいろいろ予算上も要求をさせていただいているところでございます。

 こういった形で、農地の所有者と利用者の間に農地の中間管理機構が介在することによりまして農地利用の再配分を適切に行っていく、農地の出し手へのインセンティブを講じることによりまして、地域の農地利用を最適な状態にしていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 何か先に答弁してもらっちゃって、ありがたいなと思ったんですけれども、もう一つ、現行の農地法を改正された中で、よく遊休農地の対策の話が出ると思うんです。

 遊休農地の所有者に対して指導、通知、勧告といった手続を農業委員会が一貫して実施して、その上で当該所有者が勧告に従わない場合には、最終的に都道府県知事が裁定を行い、農地保有合理化法人等が利用権を設定できるように措置しているとしていますが、この三年六カ月で一件もこの措置を施行したことはないという話を聞きました。

 私の地元の農業委員の方にお聞きしましたが、十一月に遊休農地の調査を行い、十一月の農業委員会に報告して、その後、農業委員会の職員が問題のある土地を再度調査して把握に努めているとお聞きします。しかし、地域に居住している方であれば、指導や勧告も効果があるんでしょうが、地域外、特に、埼玉の土地を東京の方が持っているとかといった場合とか、あとは、非農家の方、農業に従事していない方がその農地を持っている場合があります。そういった場合に、土地を耕作させるまでは簡単にはいかないですし、結局、作付をさせるなんというのは強制はできないんだという話を聞きました。いいところ、草刈りをするぐらい、これが現実で、都市近郊でも郊外でも同じような事例が出てきているんだと思っています。

 遊休農地と、時によっては不耕作地という言葉を使ったりしていて、作付していない土地でも、遊休農地だとか不耕作地という言葉で、何か、遊んでいるからいつでも作付ができるんだというような言い方をされるんですが、くくりの違いはあったとしても、やはり全部が作付されていない土地であれば、一度きちっと整理をして、本当に遊休農地と不耕作地がどれだけ違うのかというのをきちっと数字で出した方が私たち国民にはわかりやすいんじゃないかと思うんですが、その辺をもう一度御答弁いただければと思います。

奥原政府参考人 耕作放棄地をめぐりましては、言葉の定義がいろいろございます。

 ちょっと整理をさせていただきますが、耕作放棄地というものにつきましては、農地の所有者の主観ベースの調査によるもの、それから市町村、農業委員会による客観ベースの調査のものとございます。耕作放棄地を解消していくという観点からしますと、この客観ベースの調査に着目して考えることが重要だというふうに我々は思っております。

 客観ベースの調査といたしましては、通常の農作業では作物の栽培が客観的に困難となっている農地ということで、これは荒廃農地として、毎年市町村と農業委員会が合同で調査を行っておりまして、この荒廃農地は耕地面積には含まれておりません。

 一方で、不耕作地と言われるものです。これは、農林業のセンサスにおいて調べられているものですけれども、主観的な調査でございまして、販売農家にお聞きして調査をしているということでございまして、過去一年間全く作付していなかったが、ここ数年の間に再び耕作する意思のある土地というのが不耕作地でございます。これは耕地面積の一部になっている、こういう整理でございます。

 こういった定義に基づいて調査を行っておりますが、この数字をちょっと申し上げますと、最初は荒廃農地、これは、耕地面積に入っていない、それから遊休農地対策の対象になるものでございますけれども、荒廃農地は平成二十三年におきまして約二十八万ヘクタールということになっております。この中は、再生利用が可能なものとそうでないものが仕分けられておりまして、再生利用が可能と見込まれる荒廃農地が約十五万ヘクタールございます。これについては、農地法上の遊休農地の措置の対象になって、きちんと耕作をするか人に貸すかという指導を行う、こういう対象になります。

 それからもう一つの、主観的に調べております不耕作地、こちらは、平成二十二年の農林業センサスによりますと、約二十万ヘクタール、こういうことになっております。

 今回整備しようとしております農地の中間管理機構、これは再生利用可能な荒廃農地も不耕作地もともに対象とすることができることになりますので、それぞれの農地としての有効活用の促進につなげていきたいというふうに考えておるところでございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 四年前の農地法の改正のとき、農振法もあわせて改正をされまして、農用地区域内の農地について、効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する利用の集積に支障を及ぼすおそれがある場合は除外を厳格化した、要するに、農振地域を外すのは厳しくしたということだと思うんですね。

 しかし、農地を集約化できず、遊休農地が拡大してきたというのは今御説明をいただいたんですけれども、私どもの地域のそばに、三郷市というところは農振地域がない地域なんです。でも、農業を一生懸命やっています。農振地域以外の土地であれば、農地以外の土地利用を図りたいと都道府県や市町村、土地所有者の要請があれば、今は集団農地の扱いを十ヘクタール以上に位置づけられています。これが、農地法が改正する前は二十ヘクタールで見ていたんです。逆に、十ヘクタールに厳しくしたんですね。でも、農振地域じゃないんです。農業を一生懸命やっていて、田んぼが乾田化をしないから農業用水をもう少し見直してくれというふうに県に要望したら、ここは農振地域じゃないからお金は出せないと言われたんです。でも、ほとんど、米を一生懸命つくっています。職員が一生懸命その後カバーしてくれたんですけれども。

 ですから、一度やはり十ヘクタールに下げた、これからお話をする中間管理機構は農振地域の中の農地のことを言っていますから、そうじゃない地域の農地とをきちっと区分けした方がいいじゃないかという考え方です。それは、農振地域じゃない農地の土地利用に関しては、やはり主体である都道府県だとか市町村、土地の所有者が、もう農振地域じゃないんですから、都道府県では、国土利用計画や都市計画の権限が移譲されていながら、なぜ農用地の計画や転用の権限を農水省の方から、大臣の許可になっているんだと思うんですけれども、それを都道府県の方に、または市町村の方に移譲できないのかということですね。

 今の時代、ワンストップサービスという言葉で、時間との闘いが企業誘致やお店の誘致につながっていくわけです。ですから、これからやろうとする農政で、農業をどんどん促進していく地域とそうじゃない地域というのがやはりすみ分けをしていく時代に入ってきたんだと思うんです。ですから、そういった意味では、身近な自治体であるところに権限を移譲したらどうだろうかという考え方です。

 もう一つ、その土地を開発できるかどうかというのは、農水省の方、県なら県でも農水の担当のところだと思うんですけれども、この土地を開発することができるかできないかというふうに尋ねたら、その土地が開発できるかできないかのお答えをします、こういうお話なんです。

 でも、今の時代、それはちょっとやはりそぐわないんじゃないかと思うんですね。農振地域じゃなくて、農地の位置づけで、甲種だとか、一種、二種、三種というような位置づけにしている土地があるのであれば、もっときちっと情報公開をするような形をとって、土地利用を図るような権限を移譲したらいいんじゃないかと思いますし、また、それをオープンにした方がもっと土地の利用促進にかなうんじゃないかというふうに思うんですが、そこのところをお尋ねしたいと思います。

江藤副大臣 では、私の方からお答えさせていただきます。

 農地転用の許可権限につきましてでございますけれども、もう釈迦に説法で、お答えするのもちょっとはばかられるのでありますが、現在、二ヘクタール以下の農地転用につきましては、都道府県知事が許可権者となっておるということでございます。これが全体の九九・八%。そして、都道府県知事の許可に当たり農林水産大臣への協議が必要なものが二ヘクタール超四ヘクタール以下、これが全体の件数の〇・〇九%。そして、農林水産大臣が許可権者である四ヘクタール以上の農地の転用許可件数は〇・〇七%で、何が申し上げたいかというと、既に多くの転用許可はもう都道府県知事の段階でできる、地方に権限は移譲されているということを申し上げたいわけであります。

 一方で、今機構のお話もしているわけでありまして、面的集積を行いながら、生産性の向上を図って、水田フル活用を図っていこうというときにあるわけでありますから、大規模な、大きな農地の転用については、やはり我々は慎重でなければいけない、国の一定の関与というものはどうしても外すわけにはいかないというふうに思っております。

 さらに、お尋ねがありました、転用に関する農地区分についての、地図に落として公表した方がいいんじゃないかという御指摘でありますけれども、これは、農振整備計画において、農用地等に利用すべき土地を区域設定する、いわゆるゾーニング、これは、計画的に農地を確保するという上で大変大切なことだと考えております。

 一方で、農用地区域内の農地以外の農地につきましては、ゾーニングといった手法で規制しているものではありませんので、実際に個々の許可申請があった時点において、農地の営農条件及び周辺の市街化の状況を踏まえて、法律に基づく客観的な基準により、いずれの区分の農地に該当するかを判断し、許可の可否を判定していく。それは、先生が御指摘いただいたとおり、今そういう手続になっているわけであります。

 ですから、結論的に申し上げますと、今先生が御指摘いただいたように、あらかじめ情報公開をして、ワンストップサービスでできるようにしたらいいんじゃないかという御指摘はわからないではありませんけれども、しかし、農地転用許可については、迅速かつ円滑に処理することが重要であるということはありますから、今お話がありましたように、お尋ねがあれば、農地区分の見込み等について必要な情報提供を行う。ですから、向こうから来ていただければお答えする、この仕組みについては、今のところ、さわる気持ちはないということでございます。

鈴木(義)委員 ぜひ将来はさわってもらいたいんですけれどもね。先ほどくどいように申し上げたように、農業振興地域じゃないんですよ。それなのに、なぜ縛るのかという話なんです。そこのところをもう一度、答弁は結構ですから、次に入りますけれども、ぜひ御一考いただければと思います。

 林大臣は、答弁の中で、これからの農家はみずからの経営判断が必要で、需要と供給のバランスが大切であるというふうに何回も述べられています。

 都道府県や市町村に、いろいろな作物も含めていろいろな計画をつくってくれというのを農水省の方から働きかけていると思うんですけれども、国全体の戦略がないのに、自治体で農業の作物別の計画がつくれるのかといったときに、つくれないと思うんですね。

 産地が大規模であればあるほど競争力があるような野菜、高原野菜だとか、江藤副大臣の地元である畜産なんかはその最たるものだと思うんですけれども、そういったところはまだまだ計画をきちっとつくることができるんだと思うんです。

 でも、今度は需要側の問題なんです。買って食べてくれるならば、つくることができる。消費をされなけりゃ意味がないんです。生産者側でどんどんつくりたいといってつくっても、売れ残ればそれは意味がない話、商売が成り立たないわけですね。

 でも、前にも申し上げたかもしれません、消費者自体の食生活が多様化してきて、どこにターゲットを絞ったらいいか悩んでいるのも実情ではないかと思うんです。これは、農業生産者、漁業者も同じだと思うんです。

 農産物共済水稲引き受け戸数のうち、平成二十四年度経営所得安定対策で実際に支払い実績の件数のデータを見ると、百六十五万件のうち九十八万件で、全体の五九・四%が受けているんです。我が埼玉県では二三・二%、よその県のことを言うんじゃないと怒られますけれども、茨城で四〇%、千葉県では一五・九%の方しか経営安定化対策のお金は授与されていないんですね。

 米の補償金の交付を受けた件数に都道府県ごとにばらつきがありますので、別のデータを見せてもらうと、平成二十四年度の都道府県別の需給調整の取り組みの状況では、全国の生産数量が七百九十三万トンに対して、実生産量が八百二十一万トンなんです。過剰分として二十八万トンです。埼玉県では一万二百トンが過剰分です。この数字を見ただけでは、どれだけ生産調整の効果があったか。先日、農水省の担当の方にお聞きしたら、二十八万トンが生産調整できたんだと言うんですけれども、結局は、四割の方はそれに従っていないんですよね。

 実際に、前段で申し上げたように、どれだけの消費があるのか、では、どれだけ生産すればいいのかといったときに、それが、今いただいている、私の見方が悪いのかわかりませんけれども、どれだけの需給があるのかというのが、どれをもって見ればいいのか。では、生産調整をやったときに、国費を投じて、それが本当に効果があったのかどうか、どこのデータを見ればあったというふうにおっしゃるのか、そこのところをお尋ねしたいなというふうに思っています。

 米の需給調整協力者の割合は、水稲生産者に占める米の需給調整協力者の割合で算出するべきところでありますが、ちょっとややこしいんですけれども、いずれも正確なデータがないんですね。そのために、二十五アール以上、二反五畝、私は古い人間ですから、二反五畝以上の生産者に義務づけられている水稲共済加入者に占める米の直接支払い交付金の交付する件数で算出するしかなくて、今申し上げたような、全体で六〇%、埼玉でいえば二三%、千葉でいえば一五・九%という数字がここから出てくるんです。

 農林水産省ではいろいろなデータをセンサスで出しているんですけれども、今申し上げましたような、これだけたくさんの公費を使って所得安定の制度を実行したとしても、生産調整にどれだけの効果があったのか、推計値でしか確認できないというのは心もとないんじゃないかということです。

 限られた予算を有効に使う時代ですから、この国費を投入した生産調整が有効だったのか、有効でなかったのか、まず初めにお尋ねしたいと思います。

林国務大臣 主食用米は、ここでも何度もお話をしてまいりましたが、食生活が変化しまして消費量が随分減ってきたということで、主食用米の需給調整、これは従来の強制感を伴うペナルティーを廃止して、米粉用米ですとか飼料用米、それから大豆、小麦にシフトしていただく、こういうことで、生産者みずからの選択、経営判断により作付をしてもらうということにしてきたところでございます。

 米の直接支払い交付金の二十三年産の加入率、今委員からもお話がありましたけれども、加入者ベースで、全国では六割、埼玉県では二割ということですが、面積ベースで、全国では八割、埼玉県では三割ということで、大規模層になるほど高い加入率となっている、こういうことでございます。

 二十一年産以前より、実は転作作物生産に対する助成やナラシというものはございましたが、二十二年産から、米の直接支払い交付金、また米価変動補填交付金というものが新たに加わったという仕組みになったわけでございます。

 この結果、過剰作付面積は減少しましたが、依然として、一定程度存在している。平成二十一年は四・九万ヘクタールだったわけですが、これが平成二十五年に二・七万ヘクタールということになってきた、こういうことでございます。

 今度の見直しは、今、まずは、生産調整が効果があったのかというお尋ねでございましたので、ある意味では、こういう数字であらわれているような一定の働きはしてきたということは当然ある、こういうふうに思いますけれども、先ほどから委員が御指摘のように、ニーズに合ったものをつくる、こういう意味では、やはり主食用米に偏重してしまうと、我々が進めていこうとする構造改革と矛盾する、こういう政策的な課題を解決するために今般の見直しに至った、こういう経緯でございます。

鈴木(義)委員 要するに、八百万トンつくって、国内で消費されているのが五百万トンなのか六百万トンなのかわかりませんけれども、余ったという言い方はちょっと語弊がありますけれども、二百万トン海外に出していくんだといえば、八百万トンつくってくれという話でいいと思うんです。言っている意味、わかりますかね。そういう考え方だということです。

 だから、そういうものを示さない限り、生産調整をしていきますよと言っても、一番最初に、冒頭にお尋ねした、これからの農政のあり方はどういうお考えですかというところに戻っていくわけなんです。

 次に、今回の本題であります農地中間管理事業の推進に関する法案について、何点かお尋ねしたいと思います。

 先ほど私が先に言っちゃったのがいけなかったんですけれども、感情論を排除する意味でも、農村に土地のコーディネーターを置いたらどうだろうかというふうにお尋ねするところ、もう答弁いただいちゃったので、これは質問できなくなっちゃったんです。

 ただ、実際の話、私の地元でも、五十町歩、米をつくっている農家、個人の家があります。でも、もう委託を受けたがらないんです。大規模化すればいいだろうと思って中間管理機構をつくるんですけれども、現行法で、五十町歩とか三十町歩、米だけやっている農家の人でも、では、うちの二町歩は預けるから、耕作してくださいよと言っても、もう勘弁してくれと言うんです。何でだろうかと考えたときに、先が読めないからです。

 五十町歩やれば、年間の売り上げとして大体六千万ぐらいになります。それが、一年先、二年先、六千万が七千万、八千万になるんだったら、どんどん受けると思うんですね。でも、これから何となく、六千万売り上げがあるのに、五千万から四千万、半分じゃなくちゃいけないんじゃないかといったら、どんどん経費をかけただけ、合わなくなるんです。

 だから、そのような状況の中で、今回、中間管理機構が土地を借り上げていこうというふうになるんだと思うんですが、農地を借り上げて、公募をしたときに、すぐに手を挙げて、では、私が借りますと、今お話ししたように、五十町歩やっている人が、では、もっと大規模化してやろうかというふうに思っても、もう農地を借り上げないのが今の現状にもかかわらず、もっと集約化しようというふうに国が率先してやるんです。では、本当に借り手がつきますかという話なんです。

 それともう一つは、土地がまとまるまでの間、一町歩でやるのか、十町歩でやるのか、五十町歩なのか、百町歩なのか、そこのところまでの間に、では、話をしてすぐに、わかったよ、土地を貸しますよというふうに言ってくれる人の方が私は少ないと思うんですね。では、その土地がまとまるまでの間、誰がその耕作をするのか、また、その維持管理を誰がするのか、そこのところを一度お尋ねしたいと思います。

江藤副大臣 まず、維持管理のことにつきましては、貸し出していただければ、機構の方でしっかりと管理をする。そして、出し手の方には賃料をきちっとお支払いする。

 先ほど、順番的に若干そごがありましたけれども、こちらのミスですので、委員のミスではないんです。

 感情的なものというのはよくわかります。例えば、ハウス農家でも、同じキュウリをつくっていて、隣同士が必ず仲がいいかというと決してそうじゃなくて、水田をやっていても、隣が新しいトラクターを買うと何か腹が立つとか、そういう話もないわけではなくて、近いからこそ、じいちゃんの代にああじゃったとかこうじゃったとかいろいろあって、なかなか難しいことはあります。

 しかし、私は、やはりこの機構というのは非常に有効だと思います。私の友人で、頑張って、夫婦と、父ちゃん、母ちゃん、姉ちゃんと一緒に大規模化に取り組んでいる農家がいるんですけれども、彼の一番の悩みは、やはり農地が各地に点在しているということです。しょっちゅう道ですれ違うんですよ、一日その地区を私が回っていますと。何をやっているんだと言うと、あっちの畑で仕事をします。また夕方すれ違うと、今度はこっちの畑で仕事をします。

 ですから、私は、この機構が本当にワークすれば、土地改良区の中でも、ぶら下がった形で土地改良も行っていくわけですから、必ず出し手の方も、中間の機構になら出そう、そこでワンクッション、一年、二年、三年あって、結果、隣の人のところに行っても、そのときにはいわゆる直接の関係はないわけでありますから、そういう感情的なもつれというものも、この機構がほぐす一つのツールにはなるんじゃないかというふうに感じております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 もう時間がないので、関連して、ちょっと私ははしょっているんですけれども、次の農業の構造改革法案のところを触れさせていただきたいと思います。中間管理機構と関連しています。

 私たちは、マスコミからしか情報が得られませんから、先日目にした新聞の中に、政府は、TPP交渉で、米国から輸入している米の輸入枠を広げる方向で検討に入ったというような記事だったんです。MA米のことを指しているんだと思うんですが、今現在の七十七万トンを維持していく中で、米国産の割合をふやすというような方針だということが新聞の記事に出ていました。

 日本の米はなぜ過剰になってしまったのか。ある資料を見ていったら、畑作物や裏作などの、アメリカからの輸入を前提として、選択的拡大的に取り組んでこられた対米従属型農業生産構成に根差すものであり、このような枠組みによって農業生産の場を決定的に狭められた農家は、そこで過剰化した労働力を兼業化に振り向けつつ、兼業可能な稲作を初めとする単作農業に傾斜していき、過剰はいわば必然的に起こる現象であった、日本の輸入依存体制は、戦後アメリカの農業に対応するものであり、アメリカを中心とする世界的農業恐慌、世界農業問題の一環をなすものと捉えるべきであると唱える人もいます。

 さらに、輸入小麦の売り渡し価格等の対米比価を低く抑えて、麦類の消費拡大と米の消費抑制を図り、一九七〇年代の高度成長期に入ると、国民生活の変化を通じて、カロリー源などをでん粉質から動物性たんぱく質や油脂類、大豆油類に、でん粉質の中でも小麦やコーンスターチに置換していく食生活の西洋化が推し進められた結果、カロリー、栄養源は国内から海外へ置換され、西洋化、すなわちアメリカ化していったと訴える方もいらっしゃいます。

 何度も繰り返しますが、これからの農政は、我が国が国家戦略の位置づけでリードしていかなければ、TPPを初め、輸出産業としての世界的需給調整の中に打って出ようとするのであれば、きちっとした方向性を国が指し示さなければならないと考えています。

 法律の二条のところに、条文として、国と自治体の責務がうたってあるんです。旧法の方ですね、今回の改正にはこの条文は入っていないんですけれども、国と自治体の責務というところが第二条に掲げられているんです。

 海外に農林水産物を大々的に売り込もうとする現在、林大臣が四千億から一兆円にと言っているわけですね、国が率先して、どの作物をどのくらい売り込もうとするか、その計画をやはり早く示してあげるべきだと思うんです。

 それがない限り、先ほど私が例示を挙げましたように、お米を五十町歩つくっている人が、それ以上土地を受けたがらないんです。なぜかといったら、先が見えないんです。これから人口減少に入っていく、消費が落ち込むというのは誰が見てもわかっているわけですから。

 そこのところを、今回の農林水産省がお出しになられた二つの法案に絡めて、やはり早い時期に、農林水産業を国家の戦略物資として考えていく中で取り組んでいかれる考えがあるのかということですね。明確な方向性を示さないまま現場の需給バランスに頼っていったのでは、農家は作物をつくらないと思います。

 そこの点を大臣にお尋ねしたいと思います。

小里大臣政務官 今後十年間で、アジアを中心にして、世界の食市場は三百四十兆円から六百八十兆円に倍増すると見込まれております。我が国の農林水産業、食品産業の発展を図っていくためには、ぜひこの市場を取り込んでまいりたいと思います。

 グローバルな食市場の獲得のためには、日本食文化の普及を行いながら、世界の料理界での日本食材の活用推進、日本の食文化、食産業の海外展開、そして日本の農林水産物、食品の輸出の取り組み、FBI戦略と呼んでおりますが、これを一体的に展開することが重要であります。

 この戦略の具体化に向けて、重要品目ごとに目標額や重点地域を定めた国別・品目別輸出戦略というものを八月末に公表したところであります。

 例えば、青果物については、台湾に加えて、東南アジア等の新興市場の戦略的な開拓、そして卸売市場の活用など周年供給体制の確立によりまして、現在八十億円規模のものを、二〇二〇年までに二百五十億円規模に持っていこうというものであります。

 また、米、米加工品については、包装米飯や日本酒、米菓など、付加価値をつけた米加工品としての輸出や、現地での精米の取り組みや炊飯ロボットと合わせた外食への販売など、日本米のプレゼンスを高める取り組みを推進して、現在百三十億円規模のものを六百億円規模に増大させよう、そういった意欲的な目標を立てて取り組むところであります。

 また、十月から十一月にかけまして、我が国農畜産物の輸出と動植物検疫に関する説明会を全国九ブロックで実施したところでありまして、今後、このような活動を含めて戦略の国内での普及を図るとともに、この戦略に沿った取り組みを支援していくために、速やかにその実行策を、実行してまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 例えば、今、MA米が幾らで入ってきているかというのは、細かい数字は忘れちゃったんですけれども、五分の一、もっと安い値段で入ってきているんだと思うんですよね。そうすると、それが国際相場だといえば、その価格まで下げなければ海外に輸出はできないということだと思うんです。

 それから逆算していけば、何町歩の作付をすればそこと価格の競争ができるのかということです。五十町歩じゃできなければ百町歩、二百町歩でできなければ二百五十町歩というふうに、まとまったところで米をつくらないと海外には出せないよというのをはっきり言った方がいいと思うんですよ。

 そうしないと、意欲のある農家の人が、どれだけやったらどうなるかが見えないんです。それを早目に国が指し示してもらわなければ、設備投資をして、たくさん土地を借りて、大規模化してやっていこうと、中間管理機構はいい試みだと思うんです、でも、それを一緒にあわせてやらない限り、手を挙げる人は少ないんじゃないかなというのが現場で私が聞く話なんです。

 先ほど御説明いただいたのは、先般の答弁のときにもいただいたんですけれども、そこのところを、意気込みでも計画でも、大臣の方から。

林国務大臣 米全体の今の政策の見直しと輸出のところ、委員は、もしかしたら、輸出に活路を見出して、かなりのところを輸出に持っていくんだ、こういう前提なのかもしれませんが、今でも約二千トン、七億円の輸出を精米ではしております。それは委員が考えていらっしゃるのとちょっと違うかもしれませんが、ボリュームゾーンでたくさん出していくというよりは、日本のブランド米を、先ほど小里政務官からお話がありましたように、FBI戦略の中で、いいものとして出していく、こういうようなことを中心にやってきております。

 今後も、現地での精米をするとか、炊飯ロボットと組み合わせた外食への販売ということで、やはり日本米としてきちっとプレゼンスを高めて、新興市場なりに売っていこう、こういうのが輸出戦略の方の話でございます。

 生産調整の見直しで、日本全体の米を輸出に合わせて、今おっしゃった、例えばMA米のレベルまで、どうやったら価格をやっていくのかというのは、今の状況で、いろいろな仮定も置かなければいけませんし、いろいろな仮定を置いたとしても、なかなか難しい問題があるのではないかというふうには考えております。

鈴木(義)委員 もう時間が過ぎていますので。

 やはり穀類で勝負するんだったら、世界の中の穀物に打って出るという強い決意を持って出ていかなければ、勝負にならないんじゃないかと思っています。これからの取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

坂本委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党、林宙紀でございます。

 本日の法案の質疑に入る前に、実は前回の質疑におきまして、私の質疑通告の内容が事前に、当委員会の開催の前に、外部にもしかしたら漏れていたのではないかという御懸念をお話ししまして、その際に、大臣には調査をしていただくというような趣旨の御答弁をいただいたと思っております。

 本日、改めまして、その調査の結果及び今後の対応についてどのようにお考えなのかというのを、冒頭改めてお伺いしたいと思います。お願いします。

林国務大臣 調査を早速いたしまして、事実関係といたしましては、平成二十五年の十一月十二日の夜、当省の職員がJAみどり、緑信用農業協同組合ですが、この定款上の組合員資格を確認するために、愛知県農業協同組合中央会、ここに照会をいたしまして、定款の該当部分の送付を受けたわけでございます。その後、同中央会から、どのような趣旨の質問がされるのかとの照会があったため、当省職員は、質疑通告にあわせて入手をいたしました林先生の質問内容のメモを先方に送付したというものでございます。

 中央会に送付した資料につきましては、省外に出すべき性質のものではなく、極めて不適切であったと考えておりまして、事務方に対しては、今後、このようなことのないように十分注意するように指示をいたしました。

 関係者の処分につきましては、省内のルールに照らして適切に対処すべく、現在、検討を進めておるところでございます。

林(宙)委員 早速調査をしていただきまして、ありがとうございます。

 これは、私も自分で調べたわけではなくて、聞いたベースですから、そのベースでお話ししますが、本来、質疑通告というのは、特に国会法などなど、法律で定められたものではない。ただし、質疑を円滑に進めるため、そのために、ある意味、紳士協定のような形でやらせていただいている部分があるんだということを先輩の議員からは聞いております。

 そうしますと、もちろん、いずれ明らかになる内容ですから、私も、そこまで目くじらを立ててどうなんだと言うつもりもないんですが、ただ、やはり中には、今回は私のメモ全般を先方に送ったという話でしたので、先方の組織にとってはほぼ関係ないような情報なども記載されているわけです。それを事前に知らされてしまうとか、やはりセンシティブな内容というのが入っている場合も多々あるわけですね。そのようなことをされてしまうと、では、質疑通告自体をやめてしまった方がいいんじゃないかというような議論も起こりかねないんですよ。

 私は、質疑通告することで、いろいろな細かいところまで事前にお調べいただいたりとか、非常にこれはやるべきだと思っていますので、今後もぜひこれはやらせていただきたいと思っていますが、ただ、やはりそこの信頼関係を今後崩すことのないように、この農林水産委員会だけではなくて、国会全般において、これはぜひ徹底をしていただきたいなというふうに思っておりますので、ぜひ、大臣、そのあたりの対応をよろしくお願いいたします。

 ということで、今回の法案について質疑をさせていただきたいなというふうに思いますが、ここまで皆さんにいろいろなポイントを御質問いただいたので、私もなるほどというところが多々ございました。

 これは、以前一度お伺いしていることなんですが、本日改めてお伺いしたいなということで、今、与党の方で、生産調整ですとかそれに伴う交付金等々の見直しをしていただいております。与党の中でも、間もなく、もしかしたら完成するのか、もしくはまだ煮詰めている最中なのかというところなんじゃないかなと思いますが、先ほどどなたかからもありましたように、農政の大転換であるというような位置づけであることには変わりません。

 ということで、今回、農地中間管理機構法案ということで二つ出されているんですけれども、これも、私に関しては、今までの生産調整をやりながら、交付金などもどのぐらいつけていくのが適切でというような農業を想定して中間管理機構というのをつくっていくんだというような頭でおりましたので、これだけ大きな農政の転換が起きるとなると、そこがこの中間管理機構のあり方等々に及ぼしてくる影響もゼロであるとは言えない。ここまでの御答弁の中でも、そのような趣旨のものが一度か二度ぐらいはあったと思っていますので、改めて、今回、この短い国会の中で、この農地中間管理機構法案、先に進めていこうというふうにされている根拠を、理由をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 農業者の高齢化、耕作放棄地の拡大、こういうものが進む中で、担い手に農地利用を集積する、また担い手の利用する農地の集積化を図っていくということは、非常に喫緊の課題であると思っております。

 喫緊の課題を推進していくための手段として、この農地中間管理機構を整備する法案を今国会に提出させていただいたところでございます。

 具体的には、きょう一日やりとりさせていただいたとおりでございまして、スキームについて改めて御説明することはいたしませんが、こういうスキームを使って、今申し上げた農地利用を集約していく、集積していく。

 このことは、生産調整や経営所得安定対策に係る交付金等の見直しによって、担い手に農地を集積、集約化したスキームの必要性というものは何ら変わらない、こういうふうに思っております。

 農地の出し手、また受け手の経営判断に影響を与えるということは、確かに交付金の見直し等であるかもしれませんけれども、このスキームを使って、喫緊の課題である、担い手に農地利用を集積し、また担い手の利用する農地の集約化を図っていくこと自体は全く変わらない、こういうふうに考えておりまして、この法案については、速やかにそういうことで御審議をいただきたい、こういうふうに考えております。

林(宙)委員 それで、これだけの大きな農政の転換が起こるわけですからというようなお話をしましたが、何となく、この農地中間管理機構法案のこともそうなんですけれども、ちょっと改めて、では、例えば十年や二十年たったときに、日本の農地、あるいはそれを含めた日本の環境というものがどのような状況になっているのか、そのイメージなんですけれども、特に農地に関して言えば、大体どのぐらいの広さの農地が十年後や二十年後にあってというようなことが、なかなか私自身はイメージが今できていないんですよ。これを農林水産省のホームページ等々に、何かそういったビジョンみたいなものを書かれているかなと思って見るわけなんですけれども、明確に、あっ、こういう形になるんだなというのは余りないんですね。

 何か物を進めていくときというのは、必ずある程度のビジョン、イメージというのはあった方がいいと思っているんですが、ただ単純に環境のイメージといったって、それはなかなか難しいので、例えば、これを定量化するならば、耕地の面積が十年、二十年後に大体どのぐらいあるべきなんだというところが一つポイントになるのかもしれないんだと思っています。

    〔委員長退席、北村(誠)委員長代理着席〕

 それで、要はそのあたりをお伺いしたいなと思っているんですが、ちょっと私の話になってしまって恐縮なんですけれども、これまでの農林水産委員会でのいろいろな質疑を通して、若干矛盾しているなというか、このあたりをどうお考えなのかなというところがそもそもの起点にあるので、ちょっとそこをお話しさせていただきます。

 私は、宮城県の名取市というところで育っているわけです。今は仙台市というところに住んでいますが、育ったのは仙台市の一つ南側に隣接している名取市というところであります。海辺なんですけれども、内陸の方に行くと、ちょっと小高い山なんかがあったりするという、昔から非常に水田の多い地域です。

 私の家は、その水田に取り囲まれる形で存在していた。簡単に言うと、私の家も、もともとは水田だったところを一部宅地にして、そこに造成されているというような場所だったわけです。それで、私の家の裏の窓をあけると、すぐそこに水田があるというような、そういうところで育ったものですから、結構、四季折々の水田の姿というのは、家にいながらにして見られる、そんな状況でもあったわけなんです。

 水田というのは、多面的機能ということでいつも言われていますが、結構、裏の多面的機能みたいなものがあると思っています。

 それは、私が子供の時分には、そこの農地をお持ちの農家のおじさんに、ここで遊んでいいですかと聞くと、どんどん遊べとか言われるわけですよ。冬、稲を刈り取った後の農地というのは、稲わらが適度にかぶさっていて、転んでも痛くないんですよ。そういうところでサッカーをやってみたりとか、そういうふうにして遊ばせていただいていたんです。大きい公園というのは当時私の家の周りになかったので、秋から春の、稲が田植えされるまでの間というのは、実は非常によい遊び場でした。それは、別に多面的機能と言わなくていいと思うんですが、子供にとってうれしい、そういう利用の仕方もあったわけです。

 それで、私が高校生ぐらいのときに、実は私の家の周りにあった水田というのがなくなってしまったんですよ。全部家になりました。結構な大きさでしたね。何ヘクタールかは計算していませんが、多分、十、二十ヘクタールぐらいはあったと思うんですね。そんな感じで宅地造成されてしまって、あのときは、そのまま、ああ、もうここで稲はつくらずにおうちになったんだな、そのぐらいでしか考えていなかったですよ。ただ、子供心には、昔遊ばせてもらっていた場所がなくなってしまったのでちょっと悲しいな、そういう思いはありました。

 それで、私も大学から東京の方に来させていただいて、十年以上たってから今の宮城県に戻っているわけなんですけれども、そのときに、私の家の周りに行ってみてまずびっくりしたのは、そのとき以上に、家どころか大きな道路ができていて、かつ、大きなショッピングセンターまでができているような、そんな状況なわけです。

 これは、物すごい勢いで風景が変わったんだろうなと思います。昔、軽トラックが一台通れるか通れないかぐらいの、あぜ道じゃないですけれども、長い道路があったんですが、その周りに田んぼがずらっと広がっていたわけですよ。それが、今や片側二車線、三車線の大きな道路になって、その脇には大きなショッピングセンターが建って、ガソリンスタンドもありましてというような、物すごく都会化したんですね。

 これはもちろん、私のいた名取市というところが、そこはいわゆる市街化区域ということにして、どんどんいろいろなものを建てていきましょうということにしたから、それはそれでいいんですよ。いいんですけれども、はたと考えたときに、あそこの水田は物すごく農地としてはすぐれていた場所だと思うんですよ。

 というのは、もちろん平野部ですから、これから政府が大規模化を進めていこうというときには、間違いなく平野部というのは中心になるはずなんですよね。だからこそ、そういう農地、水田というのは、やはりある程度残しておいた方がいいんじゃないかなと思うんですが、一方で、自治体の意向でそういったところは市街化されやすいという側面もあるわけです。

 そのときに、市街化するのはいい、だけれども、今後大規模農業なんかをやっていくときに、せめてこの平野部は、どのぐらい農地を残しておくべきなのかという基準があるのかないかで今後全然違ってくると私は思うんです。

 ということで、長くなりましたが、いわゆる耕地面積を将来的にどのぐらいにしておきたい、そんな目標や基準値があるのであれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

    〔北村(誠)委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 今、林委員のお話を聞いておりまして、私も実は小学生のころ、よく虫を、カブトムシとかクワガタというのをとりに行っておりまして、山を登っていくと、どの辺にどういう木があって、どこに虫がいるというのを大体覚えておって、近所の子もみんなそこに行くものですから、道ができていく。たしか高校生か大学生ぐらいになって、久しぶりにそこへ行ってみたら、みんながつくった道が途中で切れて、そこから切り開かれちゃって宅地になっていた、虫が集まる木ももうどこへ行ったかわからない、こういう状況があったのを思い出しておりまして、戦後、また、この平成に至る期間の間に、そういう変遷を我が国は経てきたんだなということを今委員のお話を聞いて思い出しておりました。

 一方で、食料・農業・農村基本計画は、食料自給率五〇%達成をうたっております。そのための基礎として、これは十年計画でございますので、今の基本計画が到達すべき平成三十二年の農地面積を一応四百六十一万ヘクタール、こういうことに定めております。

 したがって、この確保を図るために、農地転用については五万ヘクタールを抑制する、要するに、農地が農地でなくなってしまうところを抑制することによって、趨勢でいくと十四万ヘクタール減ってしまうところを何とか九万ヘクタールにとどめよう、それから耕作放棄地についても十二万ヘクタールを再生しよう、こういう取り組みを進めることにしております。

 平成二十五年の農地面積は、前年に比べて一・二万ヘクタール減少しまして、四百五十三・七万ヘクタールということでありますが、最近の様子を見ますと、農地転用面積というのは減少傾向にございます。平成二十年は一・二万ヘクタールでございましたが、二十三年には七千ヘクタール。耕作放棄地の再生面積の方は何とか増加傾向になっておりまして、平成二十一年の〇・六万ヘクタールから、二十三年には一・二万ヘクタールまで来ているということで、こうした傾向をさらに進展させて、目標を達成していかなければならないと考えております。

林(宙)委員 私が矛盾だというふうに感じたというのは、要は、やはり農地はしっかりと守っていかなければいけないという大前提があるわけです。ただ、その中で、そうやって市街化区域では、特にどんどん農地がなくなっていってしまうということを農林水産省あるいは国としてどこまで許容できるのかというのを、やはりある程度明確にしておいた方がいいんじゃないのかなと思うんですよ。

 そういうことを、もちろん私たちも共有をして、地元で何となく農地がなくなっていく傾向なんだったら、それは何かひとつ考えなきゃいけないんじゃないかとか、やはりそういう問題意識を持って常に活動するというのは大事なことだと思いますので、今御答弁いただいたように、農地転用のところを抑制するとか、そういった対策を打っていただくというのは非常にいいことだと思います。ただ、これは都市計画ということも一方で非常に重要なことだったりもするので、やはりそのあたりのバランスというものをしっかり考えなければいけないなと思うんです。

 ただ、そういった流れの中で、やはり平成二十五年も、今御答弁にあったのは一・二万ヘクタール減少したということでしたので、ちょっとずつ、その減り方の度合いというのは抑制されつつあったりするのかもしれませんが、やはり農地がだんだん減ってくる傾向にあるというのは、現状としては、今のところはそうだということだと思います。

 そうしますと、その狭くなってくる農地でどれだけ農産物がとれるかというところが結構また重要になってくるんじゃないかなと思っていて、やはり単収を上げる努力というのも、それはひとつやらなければいけないことだと思うんです。ただ、これまで水田だったら水田の面積に対してお幾らということで、面積払いということをしていたんですが、それは単収向上という意味ではインセンティブがそがれているんじゃないかという意見もやはりあるわけなんですね。

 今、与党の方で御検討されている見直し等々では、水田活用の直接支払いについては、飼料用米等について数量払いを導入するというような流れもあるそうなんですが、こういったところで、全部が全部数量払いにするというのは、もちろんそれにふさわしくない作物等々もあると思うんですけれども、基本的に、単収を向上させていくというインセンティブを与えるという意味では、この数量払いというのを広く考えていくというのも合理的なんじゃないかと見る向きもありますが、これについてはどのようにお考えか、教えてください。

江藤副大臣 全く委員の御意見と同感でございます。

 私のところは畜産県でございますけれども、飼料用米八万円、面払いでついております。真面目にきちっとつくっている人が大半でありますけれども、中には、ほとんど単収も上げずに、植えておけばいいや、八万円もらえるんだからという、つくり捨てに近いような状況がないわけでもありません。宮崎ではほとんどなくなりましたけれども、全国ベースで見るとまだ残っています。

 しかし、おっしゃいましたように、では、全て数量払いにすればいいかというと、特に麦、大豆、大豆なんかは、私のところでは、高温多雨で、特に水田から転作ということになりますと、排水暗渠などを入れないととてもできません。つまり、リスクをとっていただかないといわゆる転作が進まないということでありますから、面払いの部分は残して、面払いで払っておいて、ある程度のターニングポイントを超えたら数量払いの分が上に乗っかっていく、頑張った分は報われていくという、面払いと数量払いの組み合わせ、この分岐点のところをどこに設定するかというところが一つのポイントになりますけれども、飼料米のところでは、これからまだ党内、与党内の議論が詰まっておりませんけれども、きちっと普通に今真面目に作付していただいたらこれぐらいはとれるというところから、グラフでいうと面払いから数量払いに右肩に上がっていくという設計をしていこうと考えております。

林(宙)委員 ぜひ、そういったところを合理的にやっていただけるように、もっともっと議論を詰めていただけるとありがたいなと思います。もちろん、私たちもそこに関してしっかりとアイデアを出していけるように何とか頑張りたいなというふうに思っています。

 ところで、これは六月十四日だったと思いますが、閣議決定された日本再興戦略、ここでは、これが直接今回の中間管理機構がどのぐらい寄与するのかというところなんですけれども、担い手への農地集積面積を今後十年間で、五割である現状から八割にふやしましょうという目標が立てられていますね。

 このときに、ちょっと今までどういう感じだったのかなというのをずらっと見てみますと、平成二十二年のデータで大体四九・一%ぐらいだよということなんですね。過去の五年ごとのデータを見てみると、おもしろいなと思いました、直線グラフにほぼ近くなるということで、大体、五年ごとに担い手への耕作面積というのが一〇%ぐらいずつふえているというようなことになっていますね。そうすると、五年ごとに一〇%ずつというこの傾きが今後も続いていくとすると、今後十年後は二〇%増し、平成二十二年のデータから三年たっていますから、その分を加味しても二三、四%なのかなと思います。今、五〇%。そのままいくと、よくて七五%ぐらい。あと五%分です。

 というような考え方をしていくと、今回、この農地中間管理機構というのをつくるのが、そこに、その五%以上寄与するという考え方になっているのか、その根拠を聞きたいですね。要は、八割にふやすというのはどういう根拠があって、その根拠が実は農地中間管理機構なんですよということなのかどうかということを教えてください。

江藤副大臣 これが根拠かと言われれば、その因果関係を細かく説明するのは難しいですが、委員が言われたとおり、非常に興味深いグラフになっておりますけれども、私どもの考え方としては、このまま農地の生産性が上がらない、分散された農地の配置のような状況のもとでは、逆に耕作放棄地がふえるという方向にベクトルは働くんだろうと思います。だから、機構をつくって農地集積を図らなければ、農地集積八割はできない。そういう言い方をすれば、かなり深い因果関係があるんだろうと思います。

 そもそも、どうして機構をつくるに至ったかというと、民主党さんの時代に人・農地プランをつくっていただいて、非常に話し合いが進みました。その話し合いの流れの中で、やはり集積をしなきゃいけないね、こういうのがあったらいいねといって、皆様方の意見が集約されたその到達点が、実は機構だと。

 余り民主党さんの手柄にするのはあれなんですけれども、これはもう事実ですから。生みの親は、どちらかというと、人・農地プランからボトムアップで上がってきたのがこの機構というアイデアでありますので、私は、その八割という目標を達成するためには、これは必要なツールだと思っております。

林(宙)委員 目標を設定した以上は、例えば五年ごとなのかどうなのか、必ず検証という作業を入れなければいけないわけなんです。

 そのときに、普通は、目標値を設定するのに、必ず、例えばこの部分で何%上げましょうとか、そういう要素ごとに設定をある程度するはずなんですよ。でないと、根拠がなくなってしまいます。後で、どこが悪かったのか、何がまずかったのか、もしくは思った以上にここがいい成果を上げているとか、そういうことを検証しなければならないときに、八割と言っているなら、どれで八割にするんだということがある程度ないと、検証ができなくなってしまうのです。

 そういうことがあれば結構なことなんですが、もし、ないということであれば、この中間管理機構をやる間でもいいですけれども、それはしっかり決めて、後の検証にたえるようにしていただきたいな、そういう思いから今のように申し上げているわけなんですね。

 いろいろと今回のこの機構の枠組みを考えていくと、やはり一番ひっかかってくる部分というのは、これはもう既に後藤委員の方からもありましたが、後藤委員だったでしょうか。要は、機構が一時的に借りて、農地を出し手から借りてきて、受け手を見つける。これはいいんです。なんですけれども、受け手がなかなか見つからなくて、その間でも、貸してくれた人には機構がお金を払っていてという、要は、持ち出しみたいになるんじゃないですかという不安はどの方にもあると思うんですね。もちろんそれは、そんな持ち出しにはならないようにということでやっていると思うんです。

 一方で、長期的に考えていった場合、事務方の、役所の方にいろいろとレクをいただきましたら、例えば、本来一万円で貸してくれる農地だったとして、その農地を機構が一回借ります。それで整備をします。そうすると、そこで生産性が上がるとか、土地としては、農地としてはある程度付加価値がつくのでということで、それを受け手に貸すときには、それよりも少し高い地代をいただきますよというようなお話なんですね。例えば、それが、聞いている感じだと、一万二千円とか三千円とか、そのぐらいなんじゃないでしょうかというふうに聞きました。

 では、その差額というのはどうするんですか、それは機構が何かしらもうけたことになるんですかと聞いたら、それは、国費を出して整備等々をしているので、その整備費の償還等に充てますということで、これは非常に合理的だと思います。大体十年から十五年ぐらいでその単位の区画が償還できるような感じになるんじゃないでしょうかなんていうお話だったんです。

 ここで、はたと立ちどまって考えると、では、その整備費の償還が十年なのか、十五年なのか、もっとかかるのかわかりませんが、償還が終わったら、受け手が払う地代はどうなるんでしょうかというところなんですよ。それは、その土地の付加価値が高いから、もともとよりもちょっと高い賃料でお支払いいただいていますよ。これは合理的なんです。ただ、その差額を国がもうけるというのじゃなくて、そこまで投入した整備費に償還していきますよというのであれば、この償還が終わった後は、単純に黒字になるんですよね。

 これをどのようにその後運用していくかというのを、もし今の段階でお考えがあるんだったら、聞いてみたいなと思います。

林国務大臣 この中間管理機構においては、長期にわたって農地が機構に塩漬けになるということはまず回避しようということで、森林みたいなところで再生利用困難な耕作放棄地、これは前の法案ではそういうところを中心にやっていくんだということでしたが、今度は、こっちの方は、そういうところは借り入れを行わない。それから、借り入れをするときには、当該地域における借り受け希望者の募集に応じた者の数やその応募の内容、その他地域の事情を考慮して農地の借り受けを行う。また、相当の期間が経過しても、当該農地の貸し付けを行うことができる見込みがない場合は、この借り受けを解除できる。こういうことで塩漬けを回避するということがまず一点でございます。

 さらに、ガバナンスを強化して、うまくいくように、解任命令等も知事に与えているということも先ほど御答弁したとおりでございまして、この機構役員が、うまくこのプロセスを、借りる方と貸し付ける方と、的確にやって、長期にわたって塩漬けにならないようにということでやっていく。

 まず、委員がおっしゃったように、条件整備を行うということが、この負担をしておるわけですから、このコストを賄うことが基本になるということでございます。

 そこから先、かなりとらぬタヌキの皮算用的になるかもしれませんが、その先も順調にいった場合は、確かに、全部コストが出て、当該農地について収支が黒字化する、こういうことも可能性はあるわけでございまして、その場合は、一般経費といいますか、人件費、それからここの運営費等々、これ以降の業務の経費に充当するということなどして、財政負担をなるべく軽減する、こういうことに活用すべきというふうに考えております。

林(宙)委員 そういった形で、確かに皮算用なんですが、ぜひ有効に活用できるように、しっかりとそのあたりは国、政府の方で見ていっていただきたいなと思います。

 時間がなくなってきましたので、関連するということで、ちょっと質疑の順番を変えるというか、先に十番で通告していた方に移らせていただきたいなと思います。

 今のお話と少し関連するんですけれども、要は、そういった形で、例えば今回は、基本的には農地の貸し借りというのがベースになっているので、余り売買というのは、そんなに想定はされていないんだと思うんですけれども、一方で、もし将来的にその農地を買いたいという人が出てきた場合に、それは、買いたいと言っているのに、売らないよというわけでもないんだと思うんです。

 そのときなんですが、そもそももとの農地の状態では整備がなされていませんから、農地としての価値というのはもともとある価値にあるわけなんです。ある価値というか、もともとはその価値なんですが、そこに整備を加えることで、付加価値、農地としての価値は少し上がる。だから、先ほどの貸し借りの話でもそうなんですが、多分、受け手がもともとよりは少し高い地代を払うんでしょうねということになるわけですよね。

 そうなると、何十年後かになっちゃうのかもしれませんが、その農地を買いたいんですというお話が出てきたときに、もともと持っている所有者の方は、基本的には、自分の私有財産である農地を、自分は特にコストをかけずに付加価値が上がっている状態になるわけです。その整備をするのが、最終的に整備費が全部償還されていれば、受け手の人が投資をして付加価値を上げたというような状態になるんでしょうけれども、この受け手の人がそのまま土地を買うと言えばいいですよ。だけれども、途中で、もともと投資をした受け手がやめて、ほかの人が、では、その農地を借りますあるいは買いますということになったときに、その人は、特に自分で投資をしていない付加価値の高い農地を買うということになるわけなんですね。

 どちらでもいいんですが、要は、もともとの所有者は自分で投資をしていないのに付加価値が上がった農地を誰かが買うと言ったら、その差額は誰が受け取るんでしょうかというのが質問です。

林国務大臣 これもかなり先の、頭の体操的な話ですが、中間機構が借り受けをするときに、賃貸借契約が結ばれております。したがって、賃貸借契約がなくなって、まさに土地に何にも利用権が設定されていないさらの土地の売買ということであればそういう問題があるかもしれませんが、あくまでもこれは、そういう目的で借りて、そして、そのために土地改良して、高い賃代で貸し出している、そういうことがございますので、一般の不動産の取引でも、地上権や賃借権が設定された土地というのはそれなりに取引されるときはその分は減額される、こういうことになります。

 そこまで先のお話を細かくまだ想定してはおりませんけれども、持っている方が、自分で負担しない土地改良によって土地が値上がりをして、その分丸々行くということにはならないのではないかというふうに考えております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 本当に、非常に細かいというか、実現可能性がどのぐらいあるのかというような質問で大変恐縮なんですけれども、ただ、やはりそういったシミュレーションも必要なんじゃないかなと思って質問に入れさせていただいています。

 もう時間もないのであれなんですけれども、そもそもは、またちょっと復興の話になって恐縮なんですが、復興交付金というのは、基本的には復旧をするものであって、要は、もともとの状態に戻すために復興交付金は使うんですよというようなお話なんですよね。どう考えても、前と同じ状況にしたって、そんなに被災者の役に立つとは思わないというような設備の場合でも、やはりそれは私有財産の形成になっちゃうからだめなんですという理論ではね返されたわけなんですよ、ある程度は。

 なんですが、今回も、今私が申し上げたようなケースが起きるのだったら、それは、自分ではない誰か、場合によっては国費で私有財産が形成されるようなことになるんじゃないですかという懸念なので、そのあたりは、そうならないようにするのであれば、しっかりとこういうふうにしていますという御説明をいただけるように考えていただければなというふうに思っております。

 ということで、時間が来ましたので、私の質問はここで終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 本日は、長時間の審議、大変お疲れさまでございます。

 最後になりましたので、法案の審議というか議論をさせていただきますが、かなりダブったりしているところもあると思いますので、確認とかも含めて、同じ質問なり、あるいはニュアンスを変えて質問させていただく部分もあるかもしれませんが、御容赦を願いたいと思います。

 きょうの中間管理機構の大きな問題というか、危惧された点が、やはり滞留、塩漬けになったり、財政負担がとめどなくふえるんじゃないかとか、そういうところはかなり心配されたんだろうと思います。

 今回の中間管理機構は、県の農業公社、農地保有合理化法人に比べれば予算規模もかなり大きく想定されているというのもきょうの議論でわかったわけですが、合理化法人は、二十五年度予算でたしか十二億だったと思いますが、きょうは六百五十六億ですか、そういう話がありまして、かなり予算規模が大きくなっている。そういう中で、結局、これが効率的に使われたり、とめどなくふえていくことが危惧されているところもあると思うんです。

 今予算の話は申し上げましたが、これは何に充当するものなのか、きょうの午前中の議論でもちょっとありましたけれども。要は、合理化法人は、土地を買い取って、持っていて、その間のいろいろなコストで、いろいろな充当をするために十二億だと思いますが、今回は、貸し借りという中で組んでいる。そういう中で、額もかなり大きくなっておりますが、改めて、どのようなことに充当するための予算なのかということ。あと、来年度はこれぐらいの予算を想定するとして、結局、これを活用して、どれぐらいに定常化していく中で、規模の集約を図っていくか。事業量との関係もかかってくると思うんですけれども、再来年度以降、これがどの程度定常化していくのか、ふえていくのか、この辺の見通し。

 要は、なぜこういうことを聞くかというと、やはり地方負担という議論もありましたし、あるいは、額だけふえていって結局なかなか有効に活用されないおそれもあるという問題意識もあるんだろうと思いますが、その辺のところを改めてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 予算のお尋ねでございますが、機構の業務が軌道に乗りまして、十年かけて構造改革の成果を上げれば、機構が借り受ける際の賃料と機構が貸し付ける際の賃料がバランスして、財政負担を要しないもの、先ほど林委員の御質問にもあった話でございます。したがって、そういう状況に至るまでは、機構の成果を上げるために相当財政支援をしていかなきゃいけない、こういうふうに考えております。

 農地中間管理機構に対する予算として六百五十五億、その他、中間管理機構の活動の支援を合わせまして、その六百五十五億を含んで、トータルで千三十九億を今要求しております。まず、その六百五十五億の内訳でございますけれども、受け手が見つかるまでの間の賃借料、これを三百五十六億円と見込んでおります。それから、受け手が見つかるまでの間の管理費、これが百七十八億円、それから大区画化等の条件を整備する条件整備費五十八億円、それから借り入れ、貸し付けに要する事業推進費六十三億円ということでございます。

 地方負担でございますが、機構が十全にワークしまして、今申し上げたように、十年間で構造改革の成果が上がっていくために国の財政は必要である。一方で、各県の機構、四十七都道府県に置きますので、効率性も考えて活動し、モラルハザードがやはり生じないようにするということも重要であると考えておりまして、この両方を踏まえて、地方負担については予算編成プロセスの中でよく調整をしていきたい、こういうふうに思っております。

 それから、その六百五十五億円の外の方の、活動支援の方の予算でございますが、農地の出し手対策として、人・農地プランの話し合いの中で農地中間管理機構にまとまって農地の貸し付けを行った者及び地域に対しての機構集積協力金ということで百四十億、それから農地の受け手対策として、農地中間管理機構から借り受けた担い手に対して規模拡大交付金、これが百億、それから農地基本台帳の電子化、地図化、それから耕作放棄地所有者への意思確認等を支援する機構集積支援事業、これに百二十六億円、それから農地売買支援事業、これも十六億円、これを要求しておりまして、先ほどの六百五十五億円と足しまして、トータルで千三十九億円、こういうことになっております。

畑委員 結局、こういうお金がしっかりと使われるということが必要ですが、そのために、きょうも何回か議論があったように、中間機構に農地を滞留させないようにするということが必要で、その場合に、出口がしっかり明確であることが必要だということ、要は、機構が貸せる見込みがあるということが必要だろうと思います、そこの蓋然性が高いことが。結局、その見込みがないままで、賃貸ということで、取得じゃないんだから軽いんだという運用をされては、恐らく農地保有合理化法人の失敗を繰り返すことになってしまうということもあると思います。

 このような事態にならないために、まさに出口、貸し手、貸せる見込みというところの見きわめと、そこの仕組みというかシステムが大事だと思うんですが、これはどのような地域でということと、そして、どのような方法で、どのような条件で実施していくお考えなのか、滞留しないために、貸し手ですね、そこのところをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 滞留なり塩漬けという懸念は、この話が出たときからいろいろなところから御指摘があったところでございまして、この法律においていろいろな仕組みを入れさせていただいたところでございますが、八条において、森林の様相を呈しているような再生利用が困難な耕作放棄地は借り入れを行わないということにしております。

 それから、同じ八条でございますが、この地域の借り受け希望者の募集に応募した人の数等を考慮して農地を借り受ける、こういうふうにしておりますので、当該地域において農地の借り受け希望者が全くいないような場合には、借り受けは行わないということになります。

 さらに、二十条でございますが、相当の期間を経過してもなお当該農地の貸し付けを行うことができる見込みがない場合には借り受けを解除できる、こういうことをすることによって塩漬けを防止していきたいと思っております。

 さらに、そういう法律的な手当てに加えて、機構がやはり日ごろから借り受け希望者の発掘に努めるということ、それから借り受けプロセスと貸し付けプロセス、これをよく調整して、滞留する期間を極力短くすること、こういうことが運用上も大切である、こういうふうに考えております。

畑委員 実はそこの連携でいうと、まさにそういう形で法文上手当てをしてやっていただくことは大事なんですが、きょうも議論がありましたが、人・農地プランとの関係ですね。人・農地プランがしっかりつくられているところであれば、地域の受け手がはっきりしているし、あらわれないということもないし、しかも、地域の意向を反映して借り手があらわれるということで、私はここのリンクが必要だろうと思っているんです。

 何か聞くところによると、こういう議論をしているときに、規制改革会議か何かで、透明な、いろいろな参入とか、そういうことも含めて、何か議論があったようにも聞いていますが、これは今のお答えの更問いというか、ちょっと派生した議論なんですが、人・農地プランとの関係、連携というのはどのように考えておられますでしょうか。

林国務大臣 これは午前中、赤澤委員からも御質問のあったところでございますが、今先生からお話がありましたように、やはり人・農地プランの作成が、実はその中で出てきた意見ということで、こういう中間的受け皿があるといいねということがそもそもの一つの理由であってこの中間管理機構ができてきたわけでございますので、人・農地プランとの連携というのはしっかり図っていかなければならない、こういうふうに思っております。地域の農業者の方々や市町村が農地中間管理機構と連携を密にして、このスキームをうまく活用していくことが大変重要であります。

 したがって、先ほど予算のところでもそのことを少し申し上げましたけれども、各地域の人・農地プランの作成、見直しの話し合いの中で、地域でまとまって機構に農地を貸し付ける、地域内の農地利用の再編成を進めるということで合意するのが最も理想的な姿だ、こういうふうに考えておるところでございます。

畑委員 その受け手の話は、後ほど、また一つ質問をさせていただきます。

 論点が違うところを一つ、通告の順番で御質問させていただきます。

 農地の集約化といった場合に、平たん部では進むかもしれませんけれども、私のところもかねてよりこの委員会で申し上げるように典型的な中山間地でありまして、こういうところというのは条件が悪いわけで、コストもかかる。ですから、これを進めようとすると、このコスト高の部分をどうやって手当てして支援してあげるかというところも課題になるんだろうと思います。

 もちろん、きょうの議論の中で、単純に集約するという話とは別に、やはり集約はするんだけれども、面積だけではなくて付加価値の高いものをつくるとか、そういうのを組み合わせてやるというお話だったと思うんですが、そこのところも含めて、中山間地の支援というところはありやなしやも含めてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 おっしゃるように、平地と違いまして、面的に集積していくということは、この中山間地、傾斜がきついところでは難しいということはもう当然でございます。そうなんですが、中山間地においても、農地の集約化自体が困難でも、農業機械の共同利用をすることによって、例えばコストを低減する等々、集落営農の組織化、法人化、こういうものを推進していくことが必要である、これは一般論として申し上げられるのではないか、こういうふうに思っております。

 これに加えて、今委員からもお話しいただきましたけれども、地域の特産品の生産、加工ですとか、観光と連携するということで、経営の複合化や六次産業化を進めまして、やはり持続可能な農業経営を実現していく、こういうことをすることによって、こういう経営体が出てきますと、農地の集積というものができてくる、こういうふうにも考えておるところでございます。

畑委員 今の御答弁、特に中山間地の集約のために特段の支援というのは、特段設けているわけではないけれども、そういう形でいろいろやっていくということだろうと思います。この議論は、恐らく、今まさに、これは別途、日本型直接払いの中の中山間地払いの充実の議論も含めて、どうやって中山間地をより支援できるのかという議論に波及する議論だろうと思います。引き続き、これはそういうところで議論をさせていただきたいと思います。

 ちょっとさっきの議論に戻りますと、まさに人・農地プラン、そういう連携も含めて、地域でしっかりとした、地域事情に応じた受け手を探してやるということが望ましい、そういう議論だろうと思いますが、結局、こういうふうにするということは、貸す人にとっても安心なんだろうと思います。田舎の貸す人は、どこの馬の骨かわからない企業とか入ってくると、先祖伝来の農地は貸すといっても手放しにくい。農業委員会でさえも何か貸しにくいという議論もきょうはあったようですが、そういうことなんだろうと思います。

 だから、他者に農地を貸すことに対する精神的なバリア、そういう障害を、心理的な抵抗を弱めていくことが必要であって、この点、中間管理機構というスキームを使うというのは合理性はあると思いますが、要は、きょう、これも議論がありましたが、中間管理機構が貸す相手、それがどういう人なのかということであります。

 農地の所有者とか、その周辺の農業関係者とか、地域の人たちとか、人・農地プランとのかかわりになってきますが、そういう地域の人たちの意向をできるだけ反映して具体的な貸付先を決定できるような仕組みが必要であると思います。

 貸付先は、条文上は公募になっておりまして、地域の農業事情を配慮するというのは条文には抽象的にありますが、この点をどのように担保されるのか、お伺いします。

林国務大臣 今委員がお話しいただきましたように、出し手に農地を貸し付けるときには、公募に応じていただいて、その皆さんの中から、貸付先の決定ルール、これは機構がつくりますが、これによって受け手を選定する、こういうことになっております。

 貸付先決定ルールは機構がつくりまして、県知事の認可を受けるということになっておりますが、借り受け希望者のニーズを踏まえて公平、適正に調整するとともに、地域農業の発展に資するものとしていくということが基本である、こういうふうに考えております。

 具体的なルールは、それぞれの県において、その農業事情を踏まえて作成していただくということになりますが、農地の借り受けを希望している者の規模拡大、または経営耕地の分散錯圃の解消に資するものであること、それから、既に効率的、安定的な経営を行っている農業者の経営に支障を与えないこと、それから、新規参入した者が効率的、安定的な経営を目指していけるようにすること、借り受け希望者のニーズを踏まえて公平、適正に調整すること、こういうことが必要である、こういうふうに考えております。

 こういう貸付先決定ルールを定めていただくことによりまして、既に地域において効率的、安定的な経営を行っている担い手の経営発展を阻害しないようにするということを担保していきたいというふうに思っております。

畑委員 まさに、その貸し付け条件をこれから具体的に決めていくという中だろうと思います。

 危惧するのは、まさにそういうことでしっかり貸し付け条件を決めて、担保していっていただきたいというところがあるんです。

 実は、公共事業なんかの分野ですと、一般競争入札で、価格競争で決まってしまう、こういうことで、地域の実情が入らないというのは結構問題点があるんです。この場合も、恐らく、いろいろな条件を加味しながら、点数づけしながら、実務的には、それで高い点をとった人がということになるのかなと思うんですが、そういう場合に、まさに地域のそういう実情がちゃんとした点数に反映されるように、客観的な中でも地域の実情が入って、しっかりそういう人が選ばれるような仕組みが必要だと思っております。

 一番危惧するのは、競争入札的な方法で、抽象的な選定基準の中で、機構の裁量が大きい中でやってしまうということが大変危惧されますので、そこは運用上しっかり詰めていただくように、改めてお願いしたいと思います。

 中間管理機構が賃貸借でやるということなわけですが、ここで地元の人から実務的に心配というか危惧された相談というのがありまして、要は、中間管理機構を通じて借りている場合で、貸し手が死亡したりして相続が発生した。結局、相続が発生するということは、農地ですから、都会なんかよりたくさん人が散らばっているかもしれない、共有地も含めて。その場合に、期限が来るまではそのままでいいわけですけれども、借りている人にとって、期限が来て、更新のときが来た。そうすると、相続が発生したら、新たな権利者に対して、また同意を得て、更新する手続をしなきゃいけないんじゃないか、面倒くさいんじゃないかという心配を言われることがあります。だから、そんなことをするよりは、むしろ売買というか所有権の移転の方が逆に簡単なんだ、そういうことも言われるわけです。

 今回、そういう今までの農地保有合理化法人の問題に鑑みて、賃貸借という形で組んでおられると思うんですが、結局、これはこれでいいとして、この場合の同意を得る負担がかなり高いんですが、法律的には機構を通じた転貸借になるんでしょうか。機構がやってくれるのか、機構がそれなりの支援をしていただけるのか、多分そういうところになると思うんですが、そのところをお答えいただきたいと思います。

小里大臣政務官 御指摘の事態については、基本的に、これは出し手と機構との間の法律関係でありますから、機構が手続を行うことになります。すなわち、機構からの受け手が手続を行う必要はないということです。

畑委員 ありがとうございました。この点、地元の農業者の心配が一つ解消されたと思います。

 そして、これは貸し手が出せるように、そういう仕組みをつくる一環として考えるときに、遊休農地をできるだけ出させなきゃいけないという話があるんだろうと思います。

 二〇〇九年の農地法改正で、都道府県知事の判断で、遊休農地、不適切な利用の農地の所有者の農地を貸し付ける仕組みができた、特定利用権設定の制度だと思いますが、こういうのができました。現時点で、この制度を利用した特定利用権設定に至った事例はないと聞いておりますが、この活用がなされていない理由と、今回関連法の中で改正されておりますが、これはどのように対応しているのか、していないのか、お伺いしたいと思います。

奥原政府参考人 平成二十一年の農地法の改正におきまして、遊休農地対策はかなり整備をされております。農業委員会が遊休農地を毎年一回調べまして、遊休農地というところにつきましては、農業委員会が指導いたします。みずから耕作をするか、人に貸すか、どちらかにするという指導をいたしまして、これでうまくいかないときは通知文書を出す、だめならば勧告をする、それから協議をする、調停を経て、最終的には知事の裁定により利用権を設定するというプロセスが、一応法律上はつくられております。

 ですが、御指摘のとおり、この利用権の設定までいったケースはございませんで、多くのケースでは、指導はしたけれども、その後は進んでいないというケースが多いというふうに思っております。

 それは、一つには、指導してもその農地を受ける人がいないということが一つの大きなポイントでございまして、今回、農地中間管理機構を整備いたしますと、そこの中間的な受け皿ができてまいりますので、二十一年の法改正の制度がある意味動き出すようになる、これが一つございます。

 その上で、今回の農地法の改正後におきましては、中間管理機構ができることを前提にいたしまして、さらに遊休農地対策を強化しております。

 一つは、従来、耕作放棄地につきましては、一年間耕作をしていないというところが前提でございますけれども、例えば現在耕作をされている方が亡くなったというようなケースの場合には、一年待たなくても、耕作放棄地になることはほぼ確実でございますので、こういった耕作放棄地の予備軍のところから指導ができるようにするというのがまず一つでございます。

 それから二つ目といたしまして、従来の耕作放棄地の指導につきましては、自分が耕作をするか、人に貸すか、どちらかという、ある意味抽象的な指導でございますが、今回は、所有者の方に選択肢を書いた紙をお渡しして、丸をつけて返していただく。このときの選択肢のトップには、せっかく農地の中間管理機構ができますので、中間管理機構に貸すというものを書いておいて、こうしますと、多くの方は中間管理機構に貸すというところに意向調査で丸をつけてくるのではないかというふうに思っております。こういう形で、中間管理機構に農地を貸していただくという方向に誘導するというのが二つ目でございます。

 それからもう一つは、自分で耕作をするという意思を表明していながら、なかなか耕作をしない、そういう方々もいらっしゃいますので、そういったときには、最終的には利用権の設定ということになりますけれども、これに至る手続を簡素化いたしまして、協議の勧告をして、その次に、知事の裁定で利用権が設定できる、こういう簡素な体系にしたいというふうに考えております。

 それからもう一点、これは二十一年の改正法でも入っておりますけれども、最近は、相続を繰り返すことによって、所有者がわからない、場合によっては所有者の住所がわからないというケースがふえておりまして、このようなケースでは、公告手続によって利用権を設定するというプロセスが今の法律の中にも入っております。

 ですが、例えば、相続人の方が複数いらっしゃって、例えば五人いらっしゃった場合に、貸し付けるということを決定するには過半の方の合意がないといけません。五人であれば三人の合意がなければいけませんが、現在の法制度は、そのうちの一人でもわかれば公告は使えない、具体的に指導しろということになっております。

 ですが、これでは効果はほとんど上がりませんので、共有の場合に、持ち分の過半の方がわかっていれば指導になりますけれども、そうでない場合には公告手続が使えるように制度を改正するということを盛り込んでおりまして、このように、遊休農地対策についてはかなり法制度を強化しているということでございます。

畑委員 詳しい御説明をありがとうございました。

 厳密な調査とか改善指導が必要だということで、私はなかなかそこまで踏み切れないのかなと思っておりましたが、受け皿とともに、もちろん関連予算の中に、こういう調査とか改善指導とか、そこに結びつける費用も入っているという先ほどの御説明だったので、そこは相まって、しっかりやっていくということだと思います。

 そこで、もう一つお聞きしたいのは、遊休農地の利用で税制の活用ができないかということでありまして、農地を農地ということでやっている場合には固定資産税がかなり軽減というか安いわけでして、これはほとんど真面目にやっていなくても軽減された税金になっている。

 土地問題を議論するときは、税制の議論がかなりなされまして、よく都市的な地域だと保有税を課せという話があったり、あるいはバブルのころは、短期転売、投機的取引の場合には、二年の超短期の重課税をするとかいうことで、税金で土地問題を調整するというのがかなり効果的だという議論でやった経緯があります。

 農地は農地で使うから税金が安いわけで、そこは、遊休農地であれば本当は固定資産税を高くするということも考えるべきで、恐らく、使えるツールというのは固定資産税のところなんだろうと私は思います。それ以外のところで新たにかけるのはあり得ませんし、別の税制というところが恐らくリンクされていないと思うので、固定資産税を上げるべきだという考え方についてはどうお答えになりますか。

小里大臣政務官 私も以前、畑先生と同じ思いでこの問題を研究したことがあります。

 ところが、固定資産税というものは、農地だから優遇をされているわけではないんですね。その資産価値に着目をして課税をされております。例えば、市街化区域においては、宅地並みの課税が行われておるわけです。したがって、農地が耕作放棄地になった場合は逆に資産価値は下がってしまう、したがって固定資産税も下がってしまう、そういう実態があるわけでございまして、加重な課税ができるといった類いの制度ではないということを申し上げざるを得ないわけであります。

 なおまた、農地中間管理機構が整備されれば、機構が遊休農地の受け皿となることから、遊休農地の解消はかなり進むであろうと期待をするところであります。

畑委員 今のスキームはそういうことでしっかりやっていただきたいんです。であれば、本当は固定資産税と違って、遊休農地の認定をした場合に、重課する仕組みとセットにして別の税制を課税するというのは、論理的には議論としてはあるんだろうと思いますが、簡単ではありませんけれども、引き続き、それもまた議論をさせていただかなければいけないと思います。

 本日は終わらせていただきます。ありがとうございました。

坂本委員長 次回は、明二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.