衆議院

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第8号 平成25年11月27日(水曜日)

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平成二十五年十一月二十七日(水曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 坂本 哲志君

   理事 北村 誠吾君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 森山  裕君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      小里 泰弘君    加藤 寛治君

      川田  隆君    菅家 一郎君

      笹川 博義君    清水 誠一君

      末吉 光徳君    鈴木 憲和君

      武井 俊輔君    武部  新君

      津島  淳君    中川 郁子君

      野中  厚君    橋本 英教君

      福山  守君    堀井  学君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    後藤  斎君

      玉木雄一郎君    寺島 義幸君

      鷲尾英一郎君    岩永 裕貴君

      鈴木 義弘君    村上 政俊君

      稲津  久君    佐藤 英道君

      樋口 尚也君    林  宙紀君

      畑  浩治君    村上 史好君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     笹川 博義君

  樋口 尚也君     佐藤 英道君

  畑  浩治君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     野中  厚君

  佐藤 英道君     樋口 尚也君

  村上 史好君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  野中  厚君     井野 俊郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農地中間管理事業の推進に関する法律案(内閣提出第一四号)

 農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農地中間管理事業の推進に関する法律案及び農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君及び農村振興局長實重重実君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久です。

 今、本委員会にかかっております二つの法案について、きょうは、通告に従って順次質問してまいりますが、法案の中身に入っていく前に、若干確認したいこともございまして、そこからお伺いをしていきたいと思っております。

 最初に、ぜひ大臣にお答えいただきたいと思っていますけれども、それは、農業農村整備事業予算についてでございます。

 昨日、砂防会館で農業農村の集いがありまして、全国の土地改良区の関係者の皆さんがお集まりになって、大会がございました。私も参加をさせていただきましたが、大臣も御来賓としてお越しになられて、大臣からの来賓の挨拶として、きのう私も伺っておりましたけれども、一部こういう大変前向きなお話がありました。

 ちょっと要約してお話し申し上げますけれども、この農業農村整備事業予算に関連して、農地と水を保全するこの事業は重要な事業だ、平成二十五年度の予算、それから二十四年度の補正予算で増額をした、二十六年度に向けて、農地の大区画化などの事業を推進するため、最大限の予算の確保をしてまいる、こういう御発言がありまして、私も、そうだなということで強く感じて聞いておったんです。

 大臣が就任なされて、私も思い出すのは、例の攻めの農林水産業推進本部立ち上げのときにもお話がありましたが、攻めの農林水産業というのは、農林水産業の潜在力を引き出していくんだ、そのために、現場のニーズをしっかり把握して、現場のニーズを引き出して、その現場のニーズに応えていくということがまず一番大事なことであろうというお話がありまして、そこで、その第一歩として、二十五年度の予算の編成等では、地域のニーズが高いこの基盤整備等の予算を復活させたというお話がありました。

 これらのことを踏まえて、私は、攻めの農林水産業の基本的なことも含めて、ぜひ農業農村整備事業予算についてはしっかりと予算を構築していっていただきたい、このように思っておりますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 お答え申し上げます。

 農業農村整備事業の予算につきましては、民主党政権下の平成二十二年度に大幅な削減となった経緯がございますが、現在は、平成二十四年度補正予算と平成二十五年度当初予算の十五カ月予算におきまして、予算を増額して確保いたしまして、各地の現場において成果を上げるべく事業を展開しているところであります。

 農業農村整備事業は、農地の大区画化を通じて担い手に農地を集積するなど、農業の競争力を強化するとともに、老朽化が進む農業水利施設を保全、整備し、農村地域の防災、減災を確保するという上で大変重要な事業でございまして、今回の農政改革とは別の重要な課題として予算を確保していく必要があると考えております。

 したがいまして、平成二十六年度予算についても、二十五年度予算を大きく上回る要求を行っておりまして、これは、二十五年度当初予算では三千三百六十二億円でございましたが、二十六年度の概算要求では四千六十二億円ということで、対前年度比で一二〇%の要求をしておるところでございます。

 今後とも、現場のニーズに応じた予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

稲津委員 ぜひ、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。

 私の持論なんですけれども、大臣も、今回の経営所得安定対策の見直しについては、よく車の両輪の話をされていますが、やはり農業政策というのは、経営安定対策と同時に、農地の整備や水利施設の整備などを含めた環境をしっかり整備していくという両面があると思うんです。したがいまして、今お話しいただきましたけれども、しっかりこの予算の構築をお願いしたいと思っております。

 続いてもう一点、生産調整と経営所得安定対策の見直しに関連して、きょうは、時間も限りがありますので、飼料米について少し質問をさせていただきたいと思っています。

 生産調整、経営所得安定対策の見直しについては、農水省から中間取りまとめが出てまいりまして、自由民主党さん、そして公明党、与党の協議の中でもさまざま議論をさせていただいて、修正も加えたりして、昨日の農林水産業・地域の活力創造本部で、これについて単価も含めて正式に決定をいただいた、このようになっております。

 この中で、米の直接支払い交付金の見直しと日本型直接支払い、これは最も重要なところでありまして、直接、農家の経営に影響があるわけですから、非常に大きなものだと思っています。特に、この中で、やはり一番の肝になってくるのは飼料米、この制度設計はどうなるんだろうということだと思います。私も現場でいろいろ伺っている中では、このことに対する御懸念が生産現場は非常にあるというふうに思っておりまして、ここをきょうは少し伺っていきたいんです。

 まず第一点目は、需要の掘り起こしと流通体制の整備ということについて伺っておきたいと思います。

 今回、主食用米から一部飼料米に転換していくということについてのメリットも出されました。飼料米への転作を誘導する、そういう方向性で今動いているんですけれども、果たして飼料米の需要はどうなるのかというところがやはり一番の気になるところでありまして、あわせて、そのための流通の体制はどうなるのか。まず、この二点をお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 稲津先生の御質問にお答えしたいと思っております。

 今先生から御指摘ございました餌米、飼料米でございますが、我が国の畜産におきましては約一千万トンのトウモロコシを輸入しておるわけでございますが、これと同等の栄養価と評価されておりまして、輸入トウモロコシと遜色のない価格での餌米の供給が可能となりますれば、約四百五十万トン程度の潜在的な需要が見込めるんじゃないかというふうに考えているところでございます。

 その場合に、先生御指摘ございましたように、流通の問題あるいは保管の問題等、いろいろな指摘が出てくるわけでございます。

 まず、流通につきましては、現在、餌米の生産実績が十八万トンあるわけでございますが、全国生産者団体が配合飼料原料として各単協の倉庫に置いてあるものを買い取る仕組みがございまして、この仕組みといったものが活用できるんじゃないかというふうに思っております。また、保管についても、主食用米の減少により、あきのできた農業用倉庫の活用といったものが考えられるわけでございます。

 先生御懸念いただいておりますように、現場ではいろいろな事情がございますので、飼料米の生産によって水田がフル活用されるようにいたすためには、やはり配合飼料工場での長期的、計画的な供給、活用のためにしっかりした情報提供を行っていくということと、畜産側で必要となる加工、保管施設の整備への支援、あるいは生産要望のある耕種農家と利用要望のある畜産農家の結びつき、マッチングといったことを積極的にやっていく必要があるというふうに考えているところでございます。

稲津委員 そこで、今お話のありました、保管とか加工とか貯蔵の施設の関係なんですけれども、これも相当現場からはいろいろな声が出ています。特に実需者の側からも出ていまして、そういう飼料米を、家畜、畜産、酪農関係も、食べてもらうにしても、やはり実需者側の施設も必要なんだ、さまざま声が出ています。

 いずれにしても、今の体制を強化しなければいけないわけですから、そこのところの施設整備の予算をどう考えているのか、この点についても伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘いただきました施設整備の関係でございますが、強い農業づくり交付金ということで、餌米の生産拡大に対応した共同利用施設の整備を進めているところでございます。

 二十六年度予算要求におきましても、耕種農家が共同で利用する米の乾燥調製施設の再編整備、あるいは畜産農家が共同で利用する餌の加工、保管施設、そして、これらと一体的に導入する混合機あるいは破砕機等の整備等を支援するための予算要求を行っているところでございまして、二十五年度の予算が二百四十四億円でありますが、二十六年度の概算要求では、三百三十四億円を計上して要求しているところでございます。

稲津委員 ここも、予算のしっかりした確保をぜひ進めていただきたいと思います。

 それからもう一点、今度は飼料用米の供給増の見通しということで伺っておきたいと思うんです。

 飼料米の現在の、これは二十四年度ですけれども、供給を見ますと、これは農水省さんからいただいた資料ですけれども、飼料用米の生産量十八万トン、それから備蓄米、MA米で三十八万トン。飼料用米の方は十八万トンですけれども、合計で五十六万トンが今需要先の方に行っているということになります。

 この十八万トンのところをどうするかという話なんですが、先ほど答弁にもありましたが、飼料用トウモロコシの輸入量の一千万トンからこれを推計すると、大体四百五十万トンぐらいの飼料米が供給用として可能なんだというお話がありました。

 これは余りにも漠然としていて、これから飼料米をどうやって作付していこうかとか、どういうような営農計画を立てようかと言っている農家の方々からしてみると、非常に不安が残る。経営判断には、当然、交付単価もそうですけれども、同時に、どのような供給量が可能なのかということで、今の段階で四百五十万トンと言われても、これは情報としては非常に不十分なので、ここはきちんと整理をする必要があるだろう。

 私は、まず、これは農水省の今回の経営所得安定対策の見直しのモデル、集落営農の中で見ても、例えば、日本の平均的な規模で、耕作面積三十四ヘクタール、田んぼ十九ヘクタール。今回は、これで、モデルの中では飼料用米を二・三ヘクタール作付する。こうなってきますと、大体一割ぐらい置きかえるということになると、数字は出てくるのか。今、五年後に生産調整を事実上現場の方に回すというのであれば、少なくともこの五年間までの間は、まずはこれぐらいの飼料米の生産供給体制を見ていくというものが私は必要だと思うんです。この点について、お考えを伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生の方からございましたように、潜在的な需要量は四百五十万トンということで申し上げたわけでございますが、これはあくまでも潜在的なものでございまして、生産の目標数値ではないわけでございます。

 他方、水田の面積といったものを見てみますと、二十年産以降、全国ベースで、水張り水田、いわゆる水稲が作付されている面積というのはほぼ一定になっておりまして、約百六十四万ヘクタールということに相なっておるわけでございますが、これにつきましては、主食用米の需要の減少に伴って、作付面積の減少分を餌米、飼料米を初めとした非主食用米の作付の拡大で補っているというような状況になっている関係にございます。

 今、主食用米の需要量でございますが、最近のトレンドでは大体年間八万トンずつ減少しておりまして、単純に計算いたしますと、五年後には四十万トンの需要減となりますので、それを全て飼料米で置きかえますと、五掛ける八で四十万トンの供給といったことが考えられるわけでございます。

 これにつきましても、トレンドといったことで申し上げましたので、主食用米についても、今、消費拡大の取り組みも行っておりますし、また、最近の日本食ブームといったようなことも出てきておる一方で、やはり人口減少あるいは高齢化といったような問題がありますものですから、必ず五年後の主食用米の需要量が四十万トン減る、あるいは餌米の具体的な数量が四十万トンになるといったようなことを断定的に申し上げることは困難でございますが、背景としましては、今言ったような状況にあるといったことについて、御理解を賜ればと思っております。

稲津委員 今、背景について触れていただいて、四十万トンという、これは一つの考え方ですけれども、お話をいただきました。

 いずれにしても、私は、ある一定程度の方向性を見出してあげなければ、実際、生産者の方は、繰り返しですけれども、交付単価は決まったけれども、果たしてどのくらい、どういうペースで生産していけるのかという、そういうことは課題として残るわけですから、これから、毎年の検証の中でもいろいろ整理していけると思いますので、ぜひそのような考えを示していただくことが私は必要だと思っています。そのことは、意見として申し述べさせていただきたいと思います。

 次に、農地中間管理事業に関する法律案について、順次伺っていきたいと思っています。

 まず最初は、農業委員会について、少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 最初は、まず農地の利用配分計画における農業委員会からの意見聴取についてということですけれども、法案の中では、農業委員会についても相当数触れられておりまして、市町村は、農地中間管理機構への協力や農用地利用配分計画の作成に当たって、必要があるときは、農業委員会の意見を聞くもの、このようにされております。

 そこで、まず伺いたいのは、今回の法案における、この農業委員会の意見を聞くものとするということについて、具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

小里大臣政務官 まず、恐縮ですが、先ほどの飼料用米の供給可能量について、念のために申し上げておきたいと思いますが、毎年、主食用米の需要が減っていく分、これは当然であります。一方で、不作付地、これが水田面積の約八%あると思います。これも最大限生かしていくということは当然念頭に置いて、これから計画を組んでいくことになろうと思います。

 農業委員会は、市町村の独立行政委員会として、農地に関する業務を行っており、農地に関する各種情報が集まっているところであります。

 したがって、市町村と連携して機構の業務に協力することが必要でありまして、特に、農用地利用配分計画を作成するに当たっては、農地の地番、所有者等の情報を正確に把握している農業委員会の協力が不可欠であると考えております。

 具体的には、農地データに関する的確な情報提供を求めるとともに、機構の貸付先として予定している者が事業規程に定める貸し付けルールや農用地利用配分計画の認可要件に適合しているものであるかどうか、例えば、地域の健全な発展に資するものであるか、特に、担い手経営を阻害しないものであるかとか、あるいは耕作が実際にできるかとか、そういったところを意見を求めることになろうと考えております。

稲津委員 政務官からも、農業委員会の意見についての具体的なお話をいただきながら、あわせて、農業委員会の組織そのものが、農業委員会の協力がなければこの事業も進めていけないんだという趣旨のお話に触れていただいたと思っております、私も全く同感なんですけれども。

 そういうことから、これまでの農業委員会が果たしてきた役割というものについて、ここで改めて確認をさせていただきたいと思うんですが、これはぜひ大臣にお答えいただければと思います。お願いします。

林国務大臣 農業委員会は、農業委員会等に関する法律に基づきまして置かれております市町村の独立行政委員会でございまして、原則として市町村ごとに一つ設置されまして、農地法に基づく許可事務、農地のあっせん、農業及び農民に関する行政庁への建議等の事務を行っているわけでございまして、例えば農地流動化についても、利用権の再設定を含む数字ですが、平成二十三年では十二万七千ヘクタールの利用調整の実績を上げているわけでございます。

 平成二十一年の農地法改正後は、従来からの農地法に基づく許可事務といったいわゆる受け身の業務に加えて、地域の農地利用状況の調査、それから遊休農地の所有者に対する指導、勧告などといった能動的な業務も行っておりまして、昨年度からは、地域の農業者の徹底的な話し合いによる人・農地プランの作成にも積極的に関与するなど、これまで以上に重要な役割を担っているところでございます。

 農業委員会については、いろいろな御意見をいただいているところでありますけれども、やはり担い手への農地の集積、集約化、それから新規参入の促進、耕作放棄地の解消などを強力に推進していける組織となることが期待をされているところでありまして、そうした方向で前向きに指導していきたいと思っております。

稲津委員 今大臣から、農業委員会に対する評価の答弁をいただきましたが、これまでの実績ですとか、それから、特に人・農地プランにかかわってきた、そうした成果についても語っていただいたと思います。

 ところが、一方で、規制改革会議と産業競争力会議の意見は、かなり評価が私は十分ではないというふうに思っております。

 例えば、規制改革会議からは、「今回の新制度において、農業委員会の法的な関与は求めないこととする一方、そもそも農地制度における農業委員会の果たすべき機能及び組織の在り方について、早急に検討を開始すべきである。」こういう意見が出されていたり、産業競争力会議からは、「農地集約の迅速化の観点から、機構を活用するスキームにおいて、農業委員会の許可を不要とするとともに、今後、農業委員会のあり方について検討が行われ結論が得られた場合には、それに従って必要な見直しを行う。」こういうような意見も出ておりまして、私はこれは適切ではないというふうに思っているんです。

 農業委員会は、言うまでもありませんけれども、これまで農地を守って、それから担い手を育成する、そういう組織としての機能も私は役割として果たしてきたと思っています。農地の基本台帳、これをつくっているのも農業委員会ですし、先ほどの御答弁にもありましたけれども、農業委員会の協力なしで農用地の利用配分計画も到底できないわけであります。

 そういうことを踏まえて、一つまた大臣にお伺いしたいのは、今回こういう法律が整備されていく中で、では、今度また、そこからの農業委員会の役割というのはどうなっていくのか、この点について御答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたように、農業委員会は市町村の独立行政委員会として農地に関する業務を行っておりまして、今、稲津先生がおっしゃったように、農地に関する各種の情報が集まっているというところでございます。

 したがって、農地中間管理機構が業務を行うに当たっては、市町村と連携して機構の業務に協力することが必要でありまして、特に、農地利用配分計画を作成するに当たっては、農地の地番、所有者等の情報を正確に把握している農業委員会の協力は必要不可欠であるというふうに考えております。

 今回の改正では、さらに、遊休農地対策を強化しようとしておりまして、例えば、耕作者が不在となって、そのまま放置すれば遊休農地となるおそれがある遊休農地予備軍についても、農業委員会の指導、対策に追加をしております。また、農業委員会は、遊休農地の所有者等に対し、その農業上の利用に関して利用意向調査を行って、機構への貸し付けを促す仕組みを設けることとしております。

 さらに、農業委員会が作成している農地台帳についても、今回の改正により法定台帳として位置づけをして、農地の地番、所有者、借り受け者、賃貸借契約の内容等の台帳情報、それから電子地図について、インターネット等で公表をしよう、こういうことにしておりまして、農業委員会の役割をさらに強化することにしておるところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 今答弁いただきましたけれども、農地の利用配分計画の作成、それから遊休農地対策、農業委員会の役割というのはさらに増すもの、私はこのように受けとめました。

 それから、今、農地の基本台帳についても触れていただきましたので、このことについて関連して確認をしておきたいと思いますけれども、農地の基本台帳、それから地図システム、これを整備していく。これはこれからも、整備していく中でさらに情報を更新していったりとかいろいろ大変な作業があるんですけれども、そうなると、これまで以上に、農業委員会における農地情報の収集ですとかそれから確認、要するに、現場において本当に地道な活動がさらに必要になってくるだろう、当然事務量も増すというふうに思います。

 農業委員会からも要望がありまして、それは、農地基本台帳を農地政策の基礎情報として位置づける、そう言うからには、情報の収集、照合、連動、地図化、システム整備、運用、これに必要な人員体制と十分な財源確保を求める、こういう要望が出ておりますけれども、これら農業委員会からの要望にどのようにお応えしていくのか、この点についても伺いたいと思います。

小里大臣政務官 御指摘をいただきましたように、農地台帳につきましては、法定台帳として位置づけをして、さらに充実強化を図っていくことにしております。

 農業委員会の活動に対しましては、これまでも、職員の設置等に要する基礎的な経費を農業委員会交付金として措置するとともに、農地台帳の整備に要する経費、農地の利用状況調査等に要する経費を農地制度実施円滑化事業費補助金として助成してきたところであります。

 来年度の予算要求におきましては、農業委員会交付金を引き続き要求しますとともに、機構集積支援事業の中で、農地台帳システム等の整備に要する経費、耕作放棄地所有者への意思確認等の活動に要する経費を大幅に拡充して要求をしているところでありまして、今後の予算編成プロセスの中で、また先生方の御支援をいただきながら、しっかり確保してまいりたいと思います。

稲津委員 時間が参りましたので、まだ幾つか質問が残っておりましたが、この辺で終わらせていただきたいと思うんですが、最後に一点だけ意見を述べて、簡潔に終わりたいと思います。

 いわゆる貸し剥がしの懸念をしております。せっかく、今まで地域で相対で農地を借りていたり、あるいはいろいろな形で地域重視でやってきたものが、あるとき、今度は管理機構の方に一旦出した方が少し有利かななんということがあって、今まで本当にいい形で借りていたものがそうではなくなったり、現場が混乱してしまうと大変なことになりますので、それらについても、今後さまざま議論の中で整理したいと思っています。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、池田道孝君。

池田(道)委員 自由民主党の池田道孝でございます。よろしくお願いいたします。

 もう御承知のように、今、我が国の農業を取り巻く環境というものは、非常に厳しいものがございます。とりわけ、稲作農家にとりましては、高齢化による後継者難、あるいはTPPの問題、そしてまた、今言われております減反廃止ということで、非常に心配をされておられます。この減反廃止について、若干、大臣の御感想をお尋ねいたしたいと思います。

 今、農家の従事しておられる平均年齢は六十五歳あるいは六十六歳、そして、稲作農家にとりましてはもっと平均年齢は上がろうかと思いますけれども、ちょうど六十五、六歳の方々というのは、いわゆる団塊の世代の方でございます。

 そういう方々が育った子供のころというのは、農家の戸数も非常に多い、そしてまた、農家の所得だけで育った世代でございます。私も岡山県でございますが、当時は、稲作のほかに、もう今はほとんどありませんけれども、イグサであるとか葉たばこであるとか、そうした農家の収入だけで生活ができておった時代でございます。今さら農家収入だけでということは、経済情勢、社会情勢の変化の中で、そういうことは考えられませんけれども。

 そして、そういう年代の方がやっと自立した、これからゆっくり農業でもといったやさきに減反政策という制度が始まりました。その当時の減反というのは、一五%か二〇%かわかりませんけれども、大概、地域地域に割り当てがありました。今のような個人個人でなくて、地域に割り当てがあるわけでございますから、毎晩のように、集会所、公会堂のようなところに集まって、全体での割り当ての達成面積を可能にするような会議を行ってきておりました。中には、達成するために、非常によかった地域のきずなというものが壊れてきた、あるいは、全国的には、非常に新聞に出るような事件もございました。そうした減反政策というものが、今の農業、特に水稲をやっておられる方々には、脳裏にそのことが焼きついております。

 これから、五年先になるのかどうかわかりませんが、ということになりますと、約半世紀の減反、生産調整の期間でございます。それだけの長い間かかってきた政策を見直されるわけでございます。それはまた、逆に言うと、今政府が進めておられる自立した農業への転換を図る好機かもわかりませんが、その制度を今まで守ってきた農家の方々に、そうした昔の心配をよみがえらせないような政策をとりながら、減反の廃止をお願いしたいと思うわけでございます。

 今までの減反政策は、当然、米価の安定ということでやってこられたわけでございますが、耕作放棄地の増加等、デメリットの部分もございました。そうした国の政策につきまして、林大臣の御感想あるいは思いをお聞かせ願いたいと思います。

林国務大臣 委員はみずからも農業をされておられるということで、実体験に基づいたお話を今いただいたところでございます。

 まさに大きな転換をしていく米政策の見直しに当たっては、やはり国が全体の需給について必要な見通しを明らかにするということに加えまして、よりきめ細かい、県レベルでの販売進捗や在庫情報、価格情報、こういうものを毎月提供いたしまして、産地に対して米の売れ行き等がわかりやすい環境を整えて、生産者の主体的経営判断や集荷業者、団体の販売戦略というものが的確に行われるようにしていきたい、こういうふうに思っております。

 また、制度を決めていただきましたけれども、水田活用直接支払い交付金を充実しまして、数量払いを導入するなど、餌米、米粉用米等のインセンティブを高める。

 それから、産地資金の名前を変えまして産地交付金にいたしますが、これを充実して、やはり県や市町村段階において水田フル活用ビジョンをつくっていただいて、その地域地域の特性に合った産地づくりを進めていただきたいと思っております。

 さらに、今、主食用米の需要の約三割を占めるようになりましたいわゆる中食、外食用、こういうところに対するニーズに応じた米の生産、また、複数年とか播種前などの事前契約等による安定取引、こういうものの拡大を進めていく。

 こういう取り組みを総合的にやることによりまして、農家がみずから経営判断をすることによって需要に応じた生産を行える環境をさらに整えていく、これが大事なことだ、こういうふうに思っております。

 今、五年というふうにおっしゃっていただきましたように、こういうことをやっていく中で、毎年毎年地道な努力を重ねていって、その定着状況を見ながら、五年後を目途に、行政によるいわゆる生産数量目標の配分に頼らなくても、国が策定する需給見通し等を踏まえながら、生産者や集荷業者、団体が中心となって、円滑に需要に応じた生産が行える状況になるように、我々行政、そして生産者団体、現場が一体となって取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 あくまでも、農家の方々が心配をなされないような政策転換を図っていただきたいと思います。

 これからの自立した農業のために、担い手に土地を集約してということで、中間管理機構をつくられるわけでございます。今の各県に一つずつあります公社、いろいろな仕事をしておられますけれども、公社の場合は土地の借り上げということでございます。

 これは、今ある公社とこれからつくられる管理機構は一緒に、包含して仕事をされるようになるのか。というのは、まさか、今の行財政改革の折、二つの組織をつくられることはないと思うんです。

 そして、今全国にどれぐらいあるかわかりませんけれども、公社が持っておられる塩漬けの土地等の取り扱い等はどのようにされるのか。

 まず、その点をお伺いいたします。

江藤副大臣 先生の御指摘は、極めて大事な御指摘だと存じております。

 今度の機構は、今までのいわゆる合理化法人と違いまして、貸借という形でやっていくわけでありますから、業務の内容は大きく変わります。

 さきの委員会でも議論になりましたように、県庁職員の天下り先となるようなことは絶対だめであります。ですから、合理化法人がそのまま機構に移行するというのはなかなか難しいことです。これは都道府県の判断ということになりますけれども、そうなるということであれば、抜本的に役員の改選もしなければなりません。農業の経験のある方が役員で入っていただかなければなりませんし、職員もそのままでいいわけがありません。

 そういった中であっても、塩漬けの農地というものは、委員の御指摘のとおり、非常に問題になっているわけであります。ですから、そういうようなきちっとした改革を行った上で、合理化法人が都道府県知事の指定を受ければ、これはまた別の法律になりまして、農業経営基盤強化促進法の附則の第四条になりますけれども、これで貸借だけではなくて売買も行えることになっておりますので、そういった塩漬け農地の解消にも合理化法人は役立っていくというふうに考えております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 続きまして、管理機構というのは、極端に言うと、土地の貸し手、借り手の仲介をするというのが原則でございますけれども、先ほど江藤副大臣もおっしゃられましたが、時間があれば後でお尋ねいたしますけれども、考えられるのは、ほとんどは市町村が窓口になって、市町村へ事務を丸投げされるのではなかろうかなというふうに思えるんです。

 その前に、中山間地域と平野部なんですが、産業としての農業を自立させていくために、平野部では、今でも、一区画が大きい、そしてまた畦畔がないということで、十ヘクタール、二十ヘクタール、五十ヘクタール、土地さえ集まればすぐ集約できると思いますが、中山間地域においては、畦畔が二メーター、三メーター、あるいは、あぜ塗り等非常に困難な別の仕事が待ち構えております。

 そうした中で、一人でやろうと思えば二十ヘクタールが限度だろうと思いますけれども、これからの自立した農業を確立していくために、中間管理機構として、単なる貸し借りだけの仲介をするのか、あるいは、そうした中山間地域の役割として、別に何か方策を考えてやられるのか、その点をお尋ねいたします。

江藤副大臣 私の選挙区も、まさに山の中の選挙区であります。確かに、農地の集約化というのは中山間地域では難しいです。棚田を集約しろといったって無理でありますから、それはよくわかるんですが、私の選挙区を見渡しましても、中山間地といえども、山合いにまとまった農地というのは結構あるわけでありまして、そういったところは、ある程度の規模に集約可能だなというところは私の選挙区でも多々見られます。ですから、そういうところでは、やはりこのスキームというものが生かされていくんだろうと思います。

 しかし、それだけでは不十分でありますので、やはりこれから、特に中山間地域では受け手がいないという事態が非常に懸念されますので、県境を越えて、県内地域であることはもちろん基本でありますけれども、どうしても仕方がない場合には、法人も含めて受け手を探す。その場合には、観光へのマッチングであるとか、私の例えば高千穂、日之影であれば、非常に米がうまいものですから、酒造メーカーと、日本酒のメーカーですけれども、契約を結んで酒用の米をつくっています。そういうようなことも含めて、中山間地域には生かされるべき資源がたくさん眠っていると思います。

 余計なことかもしれませんが、来年の八月に、ちょうど中山間直接支払いの見直しのレビューが終わります。先生御指摘のように、例えば、棚田の石垣の間なんかは草取りが大変なわけですけれども、マムシがおって、手を突っ込むと危ないというような話もたくさんあります。この八月の見直しに向かって、今回大きな改革を行うわけでありますから、中山間地域への政策の効果を見直した上で、さらに対策を打つべきところをやっていこうということで、今、省内で検討を重ねております。

池田(道)委員 今副大臣が言われた中で、ちょうど私のところも、酒造会社が土地を貸してほしいということで、つくっております。また余分に農地を貸してほしいということで、来年から新規に二、三ヘクタールを作付されると思います。

 ただ、酒造米ですから、無農薬、無肥料でございますので、草がいっぱい生えますね。それを従業員の方が取っておられるんですけれども、そのことを見ると、大変な作業だなと思います。

 中間管理機構、十年で八割方、担い手に集約をするということでございますが、十年もたたなくても、五年もすれば、今高齢者の方々がいっぱいおるわけですから、八割に多分なろうかと思います。そうしたときに、一番肝心な、水田には水が要るわけでございますけれども、そうした水路あるいはため池を守るのは、どのようにして守るのか。

 日本型直接支払い制度があるということの答弁は必要ないんですけれども、土地を貸しているということになりますと、もう農業をしていないんだということで、その作業に出てこられない。地域によっては、言葉がいいか悪いかは別として、農業用水路と悪水を一緒にしておられるところ、そしてまた、農業用水は農業用水路だけで、農業をやっておられる方が守っておられるということがあるわけでございますけれども、これから中間管理機構から担い手にどんどん土地を集約した時点で、そうしたいわゆる水路の管理あるいはあぜ道の管理等はどのようにお考えになっておられるのか、お尋ねをいたします。

小里大臣政務官 御指摘のように、農地の集積を進めていく、その過程で、まず、我々は離農政策をとるわけではないということは申し上げておきたいと思います。

 まさに、御指摘をいただきましたように、六十五歳以上の農業者が六割を占めるという現状でいきますと、放っておけば、これからどんどん農地が出てきてしまうわけですね。これが耕作放棄地になるのを防ぎながら、しっかりと担い手への農地集積を進めていく、これが基本にあるわけです。

 そこで、あえて答弁の必要はないとおっしゃいましたけれども、日本型直接支払い制度の創設ということで、多面的機能支払いの強化充実を図る中で、御指摘をいただいたような地域の共同活動をしっかり支援していく、これがやはり大きな柱としてあるわけであります。

 同様に、また別の観点から申し上げますと、六次産業化等につきましても、積極的にお取り組みをいただく中で、その中の加工とか販売とか、本来の農業以外の仕事のところでしっかり役割を果たしていただく、非農家も含めてですね、そういった方策もあわせて講じていきたいと思いますし、そしてまた、都市との交流を図りながら地域の活性化を図る、その中から強い農家を育てていく、そういう考え方に立って進めていきたいと思います。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 中間管理機構が貸し手、借り手の仲介をするわけでございますが、今は、地域の担い手の方々はいわゆるボランティア的な形でやっておられます。

 というのは、貸し手の中に、五十アールなら五十アールを貸すという中、二十アール、二十アールは一つの田んぼだけれども、家の周りは三アールずつの小さい田んぼだと。でも、今の方々はそれを預かっておりますけれども、中間管理機構になりますと、相対でありませんから、もうそちらの小さい三アールの田んぼは必要ありませんよ、二十アールだけお借りしますよということになりますと、逆に耕作放棄地がふえてくるというようなこともございます。あるいは、田んぼの状況で、水はけの悪いというようなことで、土地の選択というのもされるわけでしょうか。それも、制度ができた段階で、地元の市町村等に相談しながらということになるのでしょうか。その点です。

奥原政府参考人 御指摘のような農地につきましては、これはケース・バイ・ケースでの判断になるのではないかなというふうに考えております。

 農地の中間管理機構の方から見まして農地として利用することが著しく困難な農地であったり、あるいは公募に応じた借り受け希望者のニーズ等から見まして受け手が見つからない可能性が高いという場合には、機構が借り受けないということも考えられるところでございます。

 一方で、周辺の優良農地とセットで地代を相応の水準にすれば受け手が見つかる場合もあるでしょうし、あるいは利用条件を整備すれば受け手が見つかるというケースもあるかと思います。こういったケースにおきましては、機構が借り受けて転貸をするということもあり得るものというふうに考えております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 まだまだお聞きしたい点があるんですが、一点だけ、もうこれは要望にしておきます。

 中間管理機構ができますと、貸し手と借り手が相対でしなくて、中間管理機構がやってくれるわけでございますが、賃貸料とかがありまして、一番困るのは、取り入れが終わって、お金で精算できる場合と、物納、いわゆるお米の精算でございますけれども、それを毎年毎年、ことしは幾らというのを聞きながら、皆さん方は担い手としてやっておられます。それが、二十人、五十人、百人ぐらいになりますと、とてもじゃない、担い手だけでそういうこともできないというようなこともございます。制度ができる段階では、その点につきましても、機構の中で幾らかでも事務の援助がいただけるように要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、武部新君。

武部委員 自由民主党の武部新でございます。

 私の地元は北海道でございますので、北海道の事情を含みながら質問させていただきます。

 御承知のとおり、北海道はかなり農地集積が進んでおりまして、大規模な経営をしております。北海道でいいますと、一戸当たりの平均耕作面積は大体二十三ヘクタールぐらいになっています。私の選挙区、オホーツクでいいますと、平均四十ヘクタールぐらいになるんですが、地域によっては、農地はまだ欲しいけれども、もうないというところもありまして、そういったところが、農地中間管理機構について、現場の人の話を聞くと、期待もあるけれども不安もあるよねといったのが率直な皆さんの本音であります。

 それで、自民党の、小里政務官が農林部会長時代に農業・農村所得倍増目標十カ年戦略をおつくりいただきまして、これを我々は参議院の公約として、J―ファイル二〇一三で選挙戦を戦いました。

 その中で書いてあることを読みますと、百九、「担い手利用面積八割計画(農地集積)」の中には「「農地の中間的受け皿」の予算、権限の充実強化、法的整備を図り、農地のプール機能を強化するとともに、農地整備機能の付与、耕作放棄地対応を推進します。」とあります。また、その次の百十も見出しになっておりまして、「耕作放棄地解消計画(耕作放棄地対策)」、これには「今後十年間で農地として再生利用可能な耕作放棄地のフル活用を図ります。」というふうに書いてあります。そしてまた、「受け手不在の耕作放棄地については、中間的受け皿による確実な借り受けを図ります。」というふうに記載されております。

 耕作放棄地解消に向けて、かなり意欲的に我々はやるんだというふうなことを公約とさせていただいています。

 今回の法案を見てみますと、どうなっているかと申しますと、農地中間管理機構は取得する農用地等の基準を事業規程に定めると書いてありまして、第八条三項三号によりますと、農用地として利用することが著しく困難であるものを対象に含まない、要するに、無条件では農地を受け入れるわけではないよということを言っています。

 一方で、農地法の改正第三十五条では、農業委員会は、「農地の所有者等から、農地中間管理事業を利用する意思がある旨の表明があつたときは、農地中間管理機構に対し、その旨を通知するものとする。」と規定されています。つまりは、農業委員会に対して、機構をちゃんと活用してくださいね、そういうことを促しているわけであります。

 それで、ずっと答弁の中でも奥原局長からもお話があったんですが、再生不可能な荒廃農地までは利用することはできないけれども、それはする必要もないと思いますが、機構に受け手の見つからない農地が滞留することはないようにしたいと。その懸念もよく理解できるんですけれども、余り厳しい基準を設定してしまいますと、恐らく農地の出し手の皆さん方が萎縮してしまって、二の足を踏むことも出てくるんじゃないかというふうに思います。

 例えば、農地中間管理機構に、受けてちょうだいと言って農地を出してみたけれども、拒否されたですとか、あるいは、受け手が見つからないから返しますということが頻繁に行われてしまいますと、これはもう農地としては使えないということだね、そう言われたと同然じゃないかというふうに受けとめて、その後、農地としてはもうほとんど利用できないじゃないかというおそれがあるんだというふうに思います。

 そこで、ちょっと前置きが長くなったんですが、農地中間管理機構については、やはり我々のJ―ファイルでも話しましたけれども、農地集積と耕作放棄地の解消に大きな役割を担ってもらおうというようなことを期待しているんだというふうに思います。先ほども言いましたけれども、機構の活用をやりましょうと言っているのと、しかし、農地によっては条件がつきますよ、制限しますよという、バランスの問題はあると思うんですが、耕作放棄地のフル活用ということからすると、なるべく多くの耕作放棄地を解消して、借り手を見つけていく努力が機構には求められるというふうに思いますが、その点についてお考えをお聞かせください。

林国務大臣 武部委員がおっしゃっていただいたように、公約でも大事なテーマとして掲げさせていただいたわけでございます。まさに、この御審議いただいている法律案を成立させていただくことによってそれに応えていこう、こういうことでございまして、まずは、農業の生産性を高めて成長産業としていくための担い手への農地集積、それから担い手ごとの農地集約化、これを加速化していくことは大変大事であるということであります。

 今御指摘いただいたように、耕作放棄地が拡大しておりますので、森みたいになって、どうやったってこれはもう再生は無理だ、こういうところでないところの耕作放棄地をもう一度戻していくということも含めて、この早期解消、それからもう一つは、その手前のところで、なるべく耕作放棄地にならないようにするということも非常に大事でございまして、いわゆる発生防止、このことをやっていくということが、一つ目に申し上げた担い手への集積等々とあわせて非常に大事なことである、こういうふうに考えております。

 バランスとおっしゃっていただいたように、借りた農地が長期にわたって機構に滞留して財政負担だけがずっとかかっていく、これも適切ではありませんので、日ごろから、借り受け希望者の発掘、ニーズの把握に努めながら、円滑に借り入れて、それをまた貸し出すことができるように、しっかりと運営をしていかなければならないと思っております。

武部委員 大臣、ありがとうございます。

 先ほども奥原局長の御答弁にありましたけれども、優良農地と条件の悪い農地をセットで貸し出していくとか、実際、これは北海道でもやっていたりするので、これが効果があったりするという話もありますので、いろいろと知恵を出しながらやっていく必要があるんだというふうに思います。

 それから、北海道のことなんですけれども、北海道はこれまで、担い手への農地集積について、国の施策に対応して、大変うまくいっています。というのは、今の農地保有合理化法人が機能していまして、各地域の農業委員会ですとか、農協さんですとか市町村もそうですけれども、円滑化団体等々と連携をうまくとっております。

 それで、農地の利用調整、流動化の取り組みがかなり進んで成功しておりまして、今まさに、担い手に対する目標が八割ですけれども、北海道は既にもう八割を超える水準で担い手に農地が集積しているという状態にあります。しかも、四分の一が売買なんですね。まさに北海道のやっていることをちゃんと次の管理機構もまねしてやっていけば、これをモデルとしていいんじゃないかなというふうに思いますし、それだけに、現場の人の話を聞くと、今の制度のままでも北海道はいいんじゃないのというのが正直な感想であります。

 これ以上の効果を上げるためには、知事が機構にどんな働きを与えるかですとか、メリットがどれだけあるかですとか、まさに基本方針の設定とか周知徹底が大事になってくるというふうに思います。

 北海道では、先ほども言いましたとおり、四分の一が売買で、なるべく売買を、所有権の移転を進めてやっています。それは、やはり所有する方が経営は安定しますし、そして耕作放棄の未然防止にもつながるということでありますので、そういったことを、売買を中心に、所有権の移転を中心にいろいろと苦心してやっているんです。しかし、今回の農地中間管理機構は賃借中心で、なおかつ簡易な圃場の整備もやってくれるということであれば、売買よりも賃借の方が、貸借の方がいいのかなというような、所有権移転のインセンティブを失っちゃうんじゃないかということも懸念されます。

 そこで、質問なんですけれども、機構ができても、これまでの現場の取り組みを否定しないように生かしていくことですとか、あるいは農地等の売買支援事業に対して十分な支援ですとか予算ですとかが必要だというふうに思いますけれども、そのお考えをお聞かせください。

小里大臣政務官 るる御指摘をいただきましたように、皆さんで熱心に議論していただいた、そして策定した十カ年戦略、公約、これを具現化したのが今回の新制度であると認識をいたします。

 その中で、特に北海道では、担い手への農地集積が既に八割を超えておる、十カ年戦略に定めた目標を既に超えておるということでございます。そしてまた、四分の一とおっしゃいましたが、我々の手元の資料では、移動面積の半分強が所有権移転によるとなっておりますが、いずれにしても、かなり大きな割合で、所有権移転でもって農地流動化が図られているということでございます。

 北海道のように、農地の売買価格が収益還元価格に近い、すなわち、賃貸料の二十五倍が農地価格であるという地域におきましては、従来同様、売買による農地の集積、集約が円滑に進んでいくように図っていく必要があろうと思います。

 このため、農業経営基盤強化促進法において、機構の特例事業として農地売買等事業を規定して、知事の判断で機構が売買事業を行えるように措置したところであります。これは、全国的にこの特例措置が適用できるということであります。

 また、農地売買支援事業費としましては、平成二十六年度概算要求として十六億円を要求しております。これは、機構が資金を借りて、農地を買って転売をする、そこに係る利子補給をしていくという事業であります。

 従来と同様な支援措置が行えるように、こういった措置を駆使して取り組んでまいりたいと思います。

武部委員 ありがとうございます。売買の方も支援をいただけるということでございますので、よろしくお願いします。

 それと、地域調和要件について伺いたいと思います。

 推進法の目的には、農業への新たに農業経営を営もうとする者の参入促進が目標として掲げられています。日本再興戦略におきましても、十年間で新規就農者を倍増するということを目指しております。この中間管理機構も、新規参入者を促進する上でも大切な役割を担うというふうに思います。

 先日の参考人のお話を伺っていても、地域にとっても、新しい血を入れることは地域の活性化につながるから大変いいことだ、ウエルカムだというお話もありました。また、地域の一員として地域の皆さんと仲よくやっていくことが、新しく参入した就農者の方々が安定的、持続的に営農していく上でも肝要なことだというふうに思います。

 そこで、平成二十一年の農地制度改革の中で、いわゆる地域調和要件が新設されました。しかし、今回の推進法の中では、農地の配分を受ける者が備えなければならない要件の中に、いわゆる地域調和要件の記載がないのであります。貸付相手の選定をする場合において、公募の中の選定をする場合において、地域調和要件というのは大変重要だというふうに思うんですけれども、どうやってこれを含めていくかといいますか、それについての所見をお伺いしたいと思います。

奥原政府参考人 地域との調和は非常に重要なポイントだというふうに考えております。

 機構が貸し付ける際には、貸付先の決定ルールに従ってやることになりますけれども、このルールは機構が作成をいたしまして、県知事の認可を受けて決めることになります。

 この際、借り受け希望者のニーズを踏まえて、公平、適正に調整をするということが一つのポイントでございますが、それと同時に、地域農業の発展に資するものとしていくことが基本であるというふうに考えております。法律の中にもこの趣旨が明示をされてございます。

 実際に、このルールは、それぞれの県におきまして、その農業事情を踏まえて作成していただくことになりますけれども、農地の借り受けを希望している方の規模拡大あるいは分散錯圃の解消に資するものである、これは当然でございますし、特に、既に効率的、安定的な経営を行っている農業者の経営に支障を与えない、これも非常に重要なポイントというふうに考えております。

 したがいまして、新規参入者の希望に配慮することも当然でございますけれども、既に効率的、安定的な経営を行っている担い手の経営発展を阻害しないようにすることも極めて重要なポイントでございますので、機構が新規参入者を参入させる場合には、その地域をどこにするかということも慎重に判断をする必要があるというふうに考えております。

 それからもう一点、先生からございました、リース方式で企業が参入する場合の話でございます。

 これにつきましては、法律の中で、農用地利用配分計画の認可要件というのを決めております。十八条のところでございますが、この中で、農地法と同様に、「地域の農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること。」ということが明記をされておりますので、この点を利用配分計画、実際に貸し付けを決める際には考慮して決めていく、こういうことになってまいります。

 したがいまして、新規参入者によって地域の取り組みですとか調和が崩れることのないように、十分配慮をしてやっていくことができるものというふうに考えております。

武部委員 ありがとうございます。

 それと、地域調和要件にもかかわってくるんですけれども、人・農地プランなんです。

 人・農地プランでかなり地域の話し合いが進んでいまして、地域の担い手に農地を集約することがスムーズにいっているところもあるわけであります。しかし、中間管理機構の受け手の選定は公募でありますから、ケースによっては、地域がこの人に土地を集約して担い手をやってもらいましょうと思っているのと違う人が中間管理機構から土地をリースするという可能性もあるわけでありまして、よく皆さんの話を聞くと、やはりそのことが、我々の一生懸命やってきたことが、トンビに油揚げじゃないですけれども、違う人にさらわれちゃうというのはどうなんだというのが、非常に心配されている方が多くいらっしゃいます。

 それで、我々も、地域の話を進めてください、そして、中心経営体は誰にするか、よく議論してください、その方に集積をしてくださいということをやってきたんですけれども、その人たちが優先して配分されるものだと思っていたけれども、結果は違うようなことになるということもあるんだというふうに思います。

 人・農地プランと中間管理機構が貸し付けを行う相手がうまくかみ合わないということが起きますと、やはり地域から、中間管理機構というのは何なんだと信頼されなくなりますし、また、そういうことであれば土地も出さぬぞということも当然懸念されるわけであります。

 選定基準などを、公募の運用をこういったことも勘案しながら運用することがふさわしいというふうに思うんですけれども、選定方法についてお伺いしたいというふうに思います。

奥原政府参考人 農地流動化を進める上で、人・農地プランによります地域ぐるみの話し合い、これによって農地流動化の機運を醸成することは極めて重要というふうに考えております。適切なプランが作成されている地域ほど、農地中間管理機構が集積あるいは集約化の成果を上げることもできるというふうに考えております。

 一方で、人・農地プランでございますけれども、地域によっていろいろでございますが、青年就農者ですとかリース方式で参入する企業がきちんと位置づけられている、こういうケースもございますし、場合によりますと、担い手がかなり不足をしている地域でありながら新規参入にはかなり消極的な、そういうケースも中には見られるところでございます。

 このために、機構の貸し付けに当たっては、当該地域における担い手がどのくらいいるのかということも十分考慮しなければいけないと考えております。担い手が十分いる場合には、担い手の経営発展を重視した貸し付けを行う、これも当然のことだと思いますし、逆に、担い手が十分いない場合、この場合には新規参入を積極的に進めていく、こういうことも必要かと思います。

 したがいまして、借り受けの希望者を公募するときにも、例えば、当該地域の担い手の状況が今どうであるかといったこともお示しをしながら募集を行うですとか、いろいろな工夫をすることが可能だと思いますし、そういった工夫によりまして、地域の実情に応じた適切な機構の貸し付けが行われるようにしていく必要があるというふうに考えております。

武部委員 済みません。時間が参りましたので、最後の質問までたどり着かなかったんですが、このことについてだけ、ちょっと一言お願いを申し上げたいと思います。

 インターネット等に農地基本台帳を公表するというふうにあるんですけれども、まず、どんな情報を載せるのか。農水省令によって除外項目はあるんだというふうに思いますけれども、今、水源地ですとか防衛施設なんかの、外国人が取得することが問題になっていますけれども、農地なんかは特に水源地ともかかわりがありますし、これを誰でも見られるようにインターネットに載せちゃうということ自体が、安全保障上も治安上もどうなのかなという気がいたします。そういった意味では、どういったことを公表するのかということも慎重に検討していただきたいというふうに思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 今週も、この愛すべき農林水産委員会で質問に立たせていただきまして、ありがとうございます。

 まず一言、昨日の特定秘密保護法案について、強行採決が行われたことについては抗議を申し上げたいと思います。数がたくさんあるからといって、少数意見に耳を傾けない、こういった姿勢は、私は民主主義に反することだと思います。

 ここ農水委員会は、与野党を超えて、日本の農業の、農政のこれからのあり方を建設的に議論する場だと信じておりますので、我々は少数の数しかありませんけれども、そこに聞くべきこと、傾けるべき意見があれば、ぜひ前向きに捉えていただいて、それを政策に取り入れる、そういった態度でぜひ向き合っていただきたい、このことを最初にお願い申し上げたいと思います。

 あわせて、行政が持つ情報については、それをいたずらに隠したり、あるいはごまかしたりすることがあってはならないというふうに思います。その意味では、正確に情報を伝えていくことは、これは農政に限らず、行政にとって大切な責務だと思っております。

 その意味で、きょう、法案の内容に入る前に、先般発表されました、この間の一連の農政の大きな改革について、そして、それが農村あるいは農家の所得に対してどういう影響を与えるのか、こういったシミュレーションといいますか見通しが示されたわけでありますけれども、このことについて、まず確認をさせていただいて、法案の中に入りたいと思います。

 以前も配った資料が一部入っておりますけれども、お手元に資料をお配りさせていただいております。

 資料の一に「おさらい」というふうに書いていますが、以前の委員会でも申し上げました、いわゆる日本型直接支払いが直接支払いにはなっていなくて、農家の直接の所得の向上にはつながらないのではないのかということを問題提起させていただきました。

 それを受けて、資料の二を見ていただきたいんですけれども、これが、今般、二次元だったものが三次元になって、少し拡充して、具体的な、今回決定された予算措置も踏まえた、農村における所得等の変化ということで模式図が出されております。

 このことについて、まず見ていただきたいのは、左の下に、「農業集落における所得等」の合計と書いております。それが八百八十八万円から約一千万ぐらいにふえますねということなんですが、言わずもがなでありますが、これは農家一戸の所得がこうなっているわけではなくて、あくまで集落全体の所得等が八百八十万から約一千万にふえますねと。これが、全国平均すると一一三%、つまり一三%程度ふえるという内容だと思います。

 あわせて、この積算根拠になっている資料も農林水産省から見せていただきましたけれども、一枚裏返して、資料の三と四をあわせて見ていただきたいんですけれども、幾つかの前提条件を置いてシミュレーションをしていますということが書かれております。日本の一農業集落の平均的な耕地面積が三十四ヘクタールで、うち田んぼが十九ヘクタール、畑が十五ヘクタールということで、もろもろいろいろ前提を置いて計算しているということであります。

 その結果、資料の四にあるように、新聞あるいはさまざまなメディアにも、農家所得が一三%ふえるというふうになっておりますが、結論から申し上げると、これは極めてミスリーディングな内容になっていると私は思っています。

 資料の二に戻っていただきたいんですが、まず、「農業集落における所得等」ということになっておりますけれども、行政でありますから、農林水産省は大変正確に書かれてあって、さすがに「所得」と「等」をきちんと書き分けているということであります。つまり、逆に言えば、この中に含まれているのは、所得じゃないものも含まれているということを、裏から見れば明確に書いてあるわけであります。

 私は、ここで指摘をしたいのは、この「所得」と「等」のそれぞれの増加です。つまり、一三%分、所得が幾ら増加し、「等」が幾ら増加しているということを農林水産省の資料から見てみますと、実は、農家所得が八百八十八から一千一に、農村所得がふえることになっていますけれども、百十三万円ふえているんですね、百十三万円。このうち「等」に当たる、このポンチ絵でいうと上に書いていますけれども、今度新しく設けられる、直接支払いだと言っていた多面的機能支払いでありますけれども、これが、百十三万円の増加分のうち四十九万円を占めています。つまり、増加分のうち四三%分が、所得そのものではなくて、「等」の方でふえる計算にまずなっております。これは確認してください。

 私がきょう申し上げたいのは、この所得の方の話を少し申し上げたいのは、所得も、この積算を見ると、何でふえているかというと、減るものがあってふえるものがあって、減るものは、まず、この集落においては、主食用米の所得は百十四・五万円減ります。これを見ていただくと、四百二十万から三百五・五万円のところで確かに減っていますね。これは、いわゆる戸別所得補償の固定払いなどが半額になることも踏まえて、この農村集落における主食用米の所得は百十四・五万円減ります。一方で、麦とか大豆は変わりませんという計算になっていて、大きくふえるのが飼料用米なんですね。

 飼料用米は、二つの要素でふえます。まずは、面積がふえるということでふえます。ここに書いてあるように、主食用米から回ってくるのが一・一ヘクタール。これまで不作付地だった一・五ヘクタールのうち一・一ヘクタール分がさらに回って、それが全部飼料用米に回るという計算になっています。つまり、二・三ヘクタール平均である飼料用米の水田が五・五ヘクタールに、約二・四倍にふえるという、面積がふえることによって所得がふえるという計算がまずあります。

 二つ目の所得増加要因は、ここに書いてありますけれども、数量払いを導入することによって、今まで反当たり八万円を払っていたものが十・五万円になるということで、その十・五万円を単価として掛けることによって、つまり飼料用米の面積は二・三ヘクタールから五・五ヘクタールに一三九%ふえます。それに対して、そのふえた面積に対して、交付単価が八万円から十・五万円に三一%ふえるという二つの掛け算で計算して、飼料用米における所得は約三倍以上ふえるという、ここが大きく響いてきているわけです。

 問題点として申し上げたいのは、ここのモデルの事業として書いているところに飼料用米の交付単価十・五万円を言うのはいいんですが、全国平均の飼料用米に対する水田活用の交付金を計算するときには八万円の単価を使うべきだと思うんです。というのは、標準的な数量をもとにして、つまり、例えば標準偏差というのは、平均のところが多くなって、その両側がだんだん減っていきますけれども、標準に比べて単収を上げた人には、ある種の御褒美として、より高い単価が最大十・五万円まで払われる。平均標準よりも単収が低い人に対しては、最低五・五万円までそれは少なくするということであります。

 ですから、ある特定の優秀なところを取り上げてモデルとして書くのはいいんですが、全国平均の交付単価を計算するときには、そのあらゆるものを合わせるので、それは最終的に平均の八万円に寄ってくるはずであります。

 ですから、私が申し上げたいのは、この中で非常にチャレンジングな前提を置いている。もちろん、これは政策ですから、目指すべき方向を書くのはいいんですが、面積が約二・四倍にふえる、二・三ヘクタールから五・五ヘクタールにふえることはぎりぎり納得しましょう。ただ、全ての農家に対して、飼料用米をつくる農家に対して、あたかも全員に十万五千円が払われるように計算するのは明らかに私は間違っていると思うんですね。

 それで、あえて交付単価だけ八万円のままにして計算をしますとどういうふうになるかというと、加えて、先ほど申し上げた、実は増分の四三%を占めている「等」の部分を差し引いて、本当の農家の所得、あるいは農村の所得ということを計算しますと、細かい計算は省きますけれども、実は、米が百十四・五万円減り、飼料用米は、面積は二・四倍だけれども、単価は、平均八万円にすると、九十六万円しかふえないことになるんですね。そうすると、差し引きで十八・五万円、農家の所得は減ります。率でいうと、マイナス二・三%です。

 これは、生産数量目標をなくすにもかかわらず、米価は今と一定、そして飼料用米の作付を今より二・四倍ふやしても、飼料用米の値段も下がらない。こういう前提で計算して、フルにやって、先ほど申し上げたように、「等」を除いて、きちんとした平均的な飼料用米の八万円の単価を入れたときの平均的な農家所得は十八・五万円、率にして二・三%下がるんですね。これは今私が計算していますけれども、ぜひ計算してほしいんです。

 委員長、これを農家の所得、そして平均値です、標準収量である八万円のところで計算をし直した、具体的に農家の所得がどうなるのかということを出してもらいたいんです。「農業集落における所得等」ではなくて、農家における所得の変化をこの委員会にぜひ出していただきたい。このことはぜひお願いしたいと思います。委員長、いかがでしょうか。

坂本委員長 わかりました。

 耕畜連携の上乗せ加算とかそういうのもありますので、後ほど理事会で協議をしたいと思います。

玉木委員 ちなみに、耕畜連携加算は、この表の計算の中には入ってきません。

 ですから、今の表のベースで一つだけ変えてくれと言っているんです。飼料用米の全国平均で計算したときの単価、つまり八万円ですね。頑張るところは十・五万円もらえますよ、頑張らないところは八万円ももらえないかもしれないけれども、足し合わせていって平均すると、それが八万円の真ん中に寄ってくるので、個別の話は余り関心がありません、全国平均で八万円になったときの「等」を除いた農家の所得の変化をぜひ出していただきたいということをお願いしたいというふうに思います。

 というのは、情報は正確にやはり出すべきだと思います。ですからこのことは、もちろん、これはこれの一つの情報としていいと思います。「等」を含めた数字としてはこうなります。ただ、いわゆる狭義の農家の所得はどうなるのかということについては、あわせて、これは農家の皆さんに正確な情報と将来のイメージを持っていただくために必ず出していただきたいというふうに思います。

 このことを申し上げて、質問に入りたいと思います。

坂本委員長 大臣から手が挙がっておりますので、答弁していただきます。

林国務大臣 シミュレーションについて、今、大変よく読み込んでいただいていろいろ御指摘をいただきまして、玉木委員からお話がありましたように、これは一定の前提を置いてやっていこう、そういう前提を置いた一つの意味は、やはり農家の皆さんに頑張ってもらって、目指すべき姿ということで、例えば十・五というのを置いたということは御理解をいただいていると思いますが、所得については、農業集落の全国平均である三十四ヘクタール、これを有する農業集落をモデルとして、集落全体の、営農活動からの所得や地域共同活動への支援、こういうものの総額の変化について、今申し上げたような前提を置いてやっております。

 したがって、今御指摘のように、八百八十八万が一千一万で一一三%ということになっておりますが、今委員がおっしゃったように、あえて営農活動による所得のみを抜き出すと、見直し前が八百四万五千円、見直し後が八百六十八万五千円ということで、八%増ということになるというのは申し上げておきたいと思います。

 それから、八万円で計算すべきだという御指摘も今あったところでありますが、今申し上げたように、ただ見直して、今と全く同じということでなくて、インセンティブをきかせることを導入することによって、やはりそちらに行ってもらいたい、そういうものがありましたので、一応こういう前提を置いて試算をしております。

 したがって、生産者が飼料用米に積極的に取り組んでいただく、こういう姿を前提として十・五万円の単価でやっておりますが、八万円を使って計算した場合は、見直し後の所得は見直し前の九四%になるということになります。これは数字を入れれば出ることでございますので、申し上げておきたいと思います。

玉木委員 これは、十・五を全部に当てはめて計算しているところがやはり間違っていると私は思うんですね。

 つまり、仮に全ての農家が標準単収を超えて、ここで使っている六百八十キロ反当たりできたとしたら、今度はそれが標準収量になります。そこを中心に、それよりできた人はたくさんもらえるし、そこから少ない人は少ない単価になります。何でかというと、これは地域ごとに単価が違いますから、五百三十キロというのはある種の全国平均で、どうしても地域の条件が不利なところは、五百三十自体が五百のところもあれば四百五十のところもありますから。そういう意味では、みんなが頑張って今の十・五をもらえる平均単収を上げてくるようになると、その中心値自体がずれてくるので、その意味では、やはり八万円で計算してやっていく。今、大臣から答えがありましたけれども、そうすれば、やはり差があるんですね、今より。このことは農家にちゃんとメッセージを伝えるべきだと思います。

 私は、実は本質的な問題が何かというと、結局、国からの税金をどれだけ足したら、ふえるのか減るのかということを議論していること自体、競争力の強化には役立たないんですよ。

 実は、ここに注書きのようにさらりと書いていますけれども、例えば、「このほか、」「農地中間管理機構を通じた農地集積によるコスト低減等により、所得の向上等が期待される。」と添え物のように書いているんですけれども、本当に構造改革を進めて競争力の強い農業を進めていこうと思ったら、むしろこの注書きで書いているところをどうするかということが大事であって、常に補助に頼って、補助が多いから所得がふえます、補助が減ったから所得が減りますという農業からいち早く離脱しなきゃいけないというのが今の安倍政権の農政だと私は思っているんですね。

 ですから、予算が多いだ、減っただ、そのことだけで農家所得等を考えるということから抜けるべきだと林大臣は考えておられると思うので、その意味で、これからこの注書きに書いてある中間管理機構の話に入りたいと思います。

 まず、今回の一連の委員会での審議でも、いろいろな懸念、問題が提起をされました。参考人の先生方からも大変有意義な意見をいただきましたけれども、私は、幾つかの懸念のうち、その多くは幾つか整理できますけれども、結局、出口の姿が全く見えないのに、農地を受けてどうするんだというところが実は多くの問題の共通した課題だと思っているんです。

 その中で、我々は、これは民主党政権のときから進めてきた人・農地プランということ、今もどんどん進んでいます。皆さんも地元に帰ってお話をされると、今度も市の人が来て、どんどんやってくれといって、今度集会を持つんだ、こういう話は今でもいっぱい聞くと思いますけれども、この人・農地プランを円滑に進めていくための一つの手段として、中間管理機構が位置づけてあれば、この委員会でもいろいろ議論になった問題は余り心配しなくてもよかったんじゃないのかなと実は思っているんです。つまり、ある程度地域の話し合いで、出口のある姿のところを少し後押ししていこう、あるいはそれを円滑に進めていこうという一つのビーヒクルとしてこの農地バンクがあれば、一旦受けたけれども塩漬けになって、先がないのに、どうやって今から探しましょう、そんなことはそもそも心配する必要はなかったわけであります。

 私は、今回、多額の国費も使って賃料を支払い、農地を機構に集約していく、そしてそれを再び貸し付けていくという仕組みを動かしていくわけでありますけれども、すごいお金を使ってやる事業でありますから、やはり出口がある程度見えるものに限定してやらないと、幾ら、いや、ちゃんと、もう明らかに農地にならないようなものは受けませんと言っても、その心配は拭い切れないわけであります。

 私は、もう一言で申し上げると、人・農地プランに位置づけられた農地に関してのみ、国費を使ったこの中間管理事業を行うべきではないかと提案したいと思います。

 というのは、同じような集積を進めていく、今もやっていますけれども、農地集積協力金は、人・農地プランに位置づけられることが交付の要件になっています。青年就農給付金もそうです。スーパーL資金もそうです。ある地域の話し合いの中で、誰それさんが、若いあそこの息子さんが、あるいは都会から帰ってきたあの人が、こういう農作物を使って、こういう農地で、こういう農業の将来像をつくっていこう、これができたらどんどん応援しますよ、こういう仕組みでありました。

 しかし、なぜだか、農地集積協力金については人・農地プランとのリンクが明確なのに、同じような趣旨でやる賃料の支払いについては人・農地プランとのリンクを切ってしまっている。このことの整合性はとれないんじゃないのかと私は申し上げたいんです。

 この委員会でも、与野党の先生方から、やはり人・農地プランとのもっと関連づけ、リンクはとった方がいいんじゃないかという意見が出ましたけれども、大臣、どうでしょうか。農地集積協力金、こういった他の類似の制度もあります。今回の中間管理事業を行っていく上で、原則とあえて入れましょう、原則、人・農地プランに位置づけられた地域に限って行う、少なくとも運用上こういうことをやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 何か、原則というのが入ってきて、心を動かされるところがないわけでもないんですが、しかし、この委員会でずっと事務方からも答弁してきましたように、やはり、今委員がおっしゃっていただいたように、人・農地プランが策定されている地域に重点を置いて事業を行うというのは当然である。これを原則というのかもしれませんが、それは当然であるというふうに思っております。

 ただ、担い手が不足している地域や人・農地プランの策定が困難な地域というのがないわけでもございませんので、こういうところでも、例えばまとまって利用可能な耕作放棄地があったりするところもございますので、こういう地域で機構が事業を行うことによって、農地の利用の効率化及び高度化を促進する効果が出てくる。

 こういうふうに考えられますので、機構が借り受けて賃料を支払う地域を人・農地プラン策定地域のみに限定してしまうということは適当でないというのが我々の考え方でございます。

玉木委員 先ほど江藤副大臣からも少しありましたけれども、中山間地域でも、まとまったらちょっと使えそうな放棄地あるいは放棄地予備軍みたいなものがあるという話もありました。今、大臣、中山間地域だと人・農地プランがつくりにくいという話がありましたけれども、確かにそういう面はあるでしょう。ただ、私が知っているところでも、中山間地域においても、人・農地プランがきちんとできて進んでいるところはあるんですね。

 例えば、基盤整備がそこに入っていくという面的な整備と一緒になると、かえって、基盤整備のために既に話し合いをやっていますから、非常に人・農地プランの話し合いや協議も進みやすいという土壌があるんです。そういうところは、仮に傾斜地が非常にきついところであっても、人・農地プランが実際に策定されて、むしろ進んでいるという地域もありますので、人・農地プランがつくりにくいからといって、人・農地プランとのリンクをやるとうまくいかないのではなくて、むしろ大切なことは話し合いなんですね。

 あるいは、他の各種施策、例えば農村振興局がやっているようなところとの組み合わせとか、こういうことを上手にやることによって、むしろ、いかに円滑に人・農地プランを柔軟につくっていって、柔軟につくった人・農地プランと財政措置のリンクはむしろ強めていく。私はこの方がうまくいくんだと信じております。

 ただ、いろいろと立場もあるし、考えも違うと思いますが、一つだけ、私は、きょうは、ぜひやっていただきたいなと思うのは、人・農地プランの考え方については、今審議をされている農地中間管理機構法の中に位置づけていただきたいんですね。

 私は、無駄な予算を使うことがだめだと言って、財政的な観点で今申し上げましたけれども、財政的な観点だけじゃなくて、農地法一条に、農地の権利取得は地域の調和に配慮して行うべきだという原則があります。この委員会でも議論になった地域調和要件です。そういう観点からも、やはり話し合い、これは多様な人たちを入れて、農家も非農家も、女性を三〇%入れるという話もありました。そして、産業競争力会議の不安に応えるのであれば、人・農地プランをつくるときに企業も含めた多様な人たちを入れて話せばいいんです。

 ハードルを下げるべきなのは、中間管理機構から農地を受けるときに公募にするとかなんとかではなくて、その根っこになる、基本計画である人・農地プランをつくるときにはハードルを下げて、いろいろな人がいらっしゃい、そのかわり、みんなと話し合って納得して、地域のあり方、地域の未来を、では、企業の皆さんもこういう役割を担ってください、そのかわり、あぜの草刈りもしてくださいよ、いろいろな地域貢献もしてくださいよ、こういうことで成り立てば、みんな安心して、喜んで企業も受け入れますよ。

 だから、私は、企業を入れようとするところのステージが間違っていると思うんです。人・農地プランを切り離すのではなくて、むしろ、人・農地プランという地域の設計図をつくるときに企業も入っていただいて、いろいろな話をして、既にもうできているところも、随時見直しをすることによって定期的に参入の余地を残しておいて、ただ、人・農地プランができたら、その人・農地プランと中間管理事業、とりわけ税金を使うような事業とのリンクはむしろきちんと張った方がいいと思います。これが私はぜひ実現していただきたい方向性なんです。

 まず一つ、先ほど申し上げたような地域の話し合い、協議の場については、この中間管理機構法案に明確に位置づけていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 人・農地プランは、農地政策の基礎中の基礎でございまして、今後とも、その作成と定期的見直しを継続的に推進していかなければならないと思っております。

 一方、今委員もおっしゃっていただいたように、それぞれの地域の農業事情がございます。平地か中山間地域か、水田なのか畑作なのか、担い手がどの程度いらっしゃるのか、これは千差万別でございます。したがって、人・農地プランの話し合いも、やはりそれぞれの地域の特性に応じてやっていただくというところが非常に大事ではないか、こういうふうに思っております。

 したがって、人・農地プランをもし法制化ということになりますと、運用が非常に硬直化して、画一的になるということが望ましくないと思ったので、法制化は見送ったということであります。

 したがって、逆に言えば、運用の硬直化、画一的な運用にならないような規程であれば検討する余地は当然ある、こういうふうに思っておりまして、また、今後の各地の人・農地プランの進捗状況を踏まえて、より具体的な法制化を行うということは可能性がある、こういうふうに考えております。

玉木委員 ありがとうございます。前向きな答弁をいただいて、大変感謝をしております。

 究極の姿としては、人・農地プランという、これはある種の地域の経営基盤強化の基本計画です。ですから、農業経営基盤強化促進法に人・農地プランを実は明確に位置づけて、そこの位置づけの中で、その具体的な実施手段として今回の中間管理機構法を位置づけていく。

 つまり、大きな地域の集積や農業の効率化のあり方の一つの基本計画として、主従の関係があって、そういうきちんとした人・農地プランを基盤法の中で位置づけた上で、そのある種従たる手段として中間管理機構法を位置づけ、この基盤法に位置づけられた人・農地プランを条件として農地バンクを使っていく。こういう法体系の方がすっきりするし、わかりやすいと私は思うので、こういった全体としての包括的なやり方については、今後の検討として、ぜひ前向きに行っていただきたいなというふうに思います。

 硬直性の問題がありましたけれども、そこはいろいろな工夫をすることによって突破可能だと私は思っておりますので、先ほど大臣がおっしゃったような、今の実際の実施状況等々をよく調べて、そのことをむしろ調べた上で法的な明確な位置づけをぜひ行っていただきたいなというふうに思っております。

 次に、財政措置について少しまとめてお話をしたいと思うんですが、これは、私は農林水産省の事務方の方にも申し上げたんですけれども、今回の機構の事業というのは、一旦農地を受けますけれども、これを貸し付けます。逆に言うと、再び貸し付ける可能性のないものは受けないことになっているわけです。一方で、受けたものに対しては賃料を払いますけれども、今度はその農地を誰かに貸したら、そこから賃料収入が上がります。つまり、収益性のある事業を行っていくわけだし、そうしなければいけないと思います。

 ですから、この事業に対しては、国費、とりわけ一般会計を入れる必要はない、あるいは入れなくても回す仕組みは幾らでもつくれると私は実は思うんですね。つまり、例えば貸付金である財投を使って、一旦受けて、まだ貸付先が見つからないときは当面出ていくだけです。ですから、手元流動性がないので、そこは貸付金で国から借りて、一旦受けて、それを将来的には必ず貸し付けていくわけですから、回収できていきます。それでどんどん借り入れた金を返していく。

 ただ、時間のずれが生じるので、利子が発生します。ですから、利子補給として、利子分だけは国費を入れていく、一般会計を入れていくということをすれば、厳しい農林水産予算の中で、シーリングの一般会計に随分負担をかけなくても、いろいろな柔軟な農業予算を組むことも可能だと私は思うので、何百億もの予算を、賃料とか、あるいは条件を整備するような事業に全て国費を充てていくのは、限られた農林水産予算の使い方としては甚だもったいないなと思うんです、これは収益性がある事業ですから。

 ですから、その瞬間だけ借りて、きつければ利子補給だけやっていくということをすれば、それこそ、先ほど話が出たNNの農業農村整備とか、そういったところにもっとお金を回せるんじゃないかというふうに思うので、国費の使い方についてもぜひ工夫をしていただきたいなというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 さすがは財務省におられた玉木委員ならではのお知恵のある御質問だ、こういうふうに拝聴いたしました。

 確かに、何年か先に回るようになったときのことを想定しますと、利子補給ということも一つのアイデアなのかもしれませんが、大体そういうところに行くまでにどれぐらいかかるんだろうかというところを、十年間で所期の目的を達成し、八割が担い手になる、こういうことを目指しておりますので、そこの状態になったときには入ってくる賃料と出す賃料がバランスするということでございまして、逆に言うと、そこまでの間は、やはり国費投入、財政支援というのが必要であろう、こういうふうに思っております。

 あとは、財投を使うのか、利子補給、賃料でやって、後からお返しするのか、いろいろなやり方があると思いますけれども、やはり十年間という期間は財政支援しなきゃいかぬし、それから、機構や委託先のマンパワーの整備というものにも、この間お触れになっていただいたかもしれませんが、整備が必要だということもございます。

 それからもう一つ、受け手が見つかるまでの間に出し手に支払う賃料というのがございまして、これはなかなか将来の補填ができない可能性もございます。これが借入金で賄えるのか、こういうこともございますので、そういう考え方で進めていきたいと考えております。

玉木委員 大臣、今大事なことをおっしゃっていただいて、私はお金を入れるなと言っているのではなくて、今実際、円滑化団体なんかでも、やっていてうまくいっているケースは、農業委員さんとかあるいは普及指導員さんとかが走り回って相手を見つけてマッチングさせている。これは、人によっても、能力によっても、やる気によっても違うんですけれども、私は本来、お金を出すのは、そのマッチングに現場で一生懸命汗をかいている人たちの活動費とか人件費とか、こういうところにはしっかりつけたらいいと思うんですよ。だって、マッチングできたら、もう払う人がいるんだから、賃料はスルーさせればいいので、間に入るものは一円も払わなくていいんですよ。

 だから、マッチングをいかに円滑に進めるかということにむしろ国費はきちんと向き合っていくことが、私は、この大規模化を進めたり、集積、集約化を進めていくには極めて大事だと思うので、そういった人的なところにはぜひ出していただきたいなと思います。

 そして、十年間ぐらいは国がつき合わなきゃいけないと思ったというふうに大臣は今おっしゃいましたけれども、これは五年にしてください、五年に。何でかというと、今議論されている米政策の大きな転換の中で、三十年産米からは、例えば国が関与する生産数量目標とか、あるいは戸別所得の固定払いをもうやめることになっていますよね。逆に言うと、そこまでに、ある種構造改革を完了させるんだ。

 米の生産調整のインセンティブでもある固定払いがなくなって、そのときは多分米価が下がりますよ。私は下がると思いますね。ただ、その下がる米価にも対応できるように大規模化を進めるんだったら、平成三十年までの五年間が勝負だと思うんですよ。だったら、逆にそういうお尻を切って、その間に財政投入を集中させていくということで、十年も十五年も二十年もやりますよと言うと、集積は進まないんですね。

 繰り返しになりますけれども、人・農地プランのリンクをもっと強く張ることによって、出口がある程度見えたところに出していけば、中間で余りお金を使わなくて済むようになるので、例えば法の二十条に、相当期間たっても貸し付けのめどがないものについては解除できるということがありますけれども、この相当の期間も、例えば一年とか二年とか、それぐらいの非常に短い時間を設定してやらないと、要は、三年か五年後にやればいいやと思ったら、受けてもたまってたまって、そこにずっと管理費がまた百何十億円入るようなことをしていたら、それこそ塩漬け農地バンクになりますよ。

 そういうことをしないためにも、例えば法二十条の解除までの相当の期間というのは一年から二年にすべきだと思いますけれども、大臣、これはどうですか。

林国務大臣 確かに、おっしゃるように、財政の予算が確保できました、したがってその分の借地料は払えます、ですから余り一生懸命受け手を見つけなくてもということにはなってはいけないというのは、まさにおっしゃるとおりでありますので、相当の期間というふうに法律で定めておいて、大事なことは、国が一律に定めるということではなくて、機構が、やはりそれぞれの地域の状況、各県に置くわけですから、その状況を踏まえて、その事業規程において設定方法を示すことが大事だ、そういうことになると考えております。

 当該農地の地代等がどのぐらいかかるかにもよるんですが、やはり受け手の確保を見きわめる必要があることを考えれば、二、三年で設定されることが多いのではないか、こういうふうに考えております。

 また、もう一つ、出し手との契約によって地代とか管理費がかからない場合もありますので、こういう場合は解除しない方法というのもあるのではないかというふうに考えております。

玉木委員 大臣、大変重要な答弁をいただいたと思いますが、私は一、二年と申し上げて、大臣は二、三年になったので、二年にしませんか。一つのめどは二年ぐらいにして、やはり出口を切ってやらないと、県の職員も市の職員も公務員ですから、私が民間の不動産屋だったら、一旦抱えた土地とか建物は、出口がなければ必死に探しますよ、だって賃料が入ってこないんだから。そういう出口を探すインセンティブをいかに機構に植えつけるかということが大事だと思います。なまじっか国費が入ってくるもので、賃料収入は、お上がやってくれるわと思って、機構が働かなくなると、それこそどんどん、出口のない農地がたまりにたまって、耕作放棄地バンクと呼ばれないようにぜひしていただきたいなというふうに思います。

 今、大臣がおっしゃった中で、ひとつ賃料の話をさせていただきたいと思うんですが、私は地元に帰って、この話を今いろいろなところで説明して回っているんですね。そうすると、ああ、そうなんだなと思うのは、ゼロ賃料でやりとりしているところが結構多いんですよ。もっと言うと、うちは五反百姓なんですが、うちも、おやじができないとかなると、もうできませんから、そうすると、誰かにやってもらいたいと思って、農地を貸し出したいので持っていくんですけれども、賃料をもらうどころか、盆と正月に菓子折りかビールか持っていって、耕作していただけませんかとこっちが出して、やってもらっているんです。

 これは極端な例かもしれませんけれども、賃料ゼロあるいは極めて低い賃料で事実上の賃貸借契約が行われて、それで集積が進んでいっている実態もあるんです。こういう中に、例えば機構が反当たり一万四千円払いますよと言ったら、済みません、では、ちょっとお返しいただいて、県に預けます。そうすると、今まではビール代がかかっていたのが今度はお金までもらえるということで、ばんばん貸し剥がしが進んで、集積が進むどころか農地がばらんばらんになっていってしまう、こういう懸念があると思うので、実際の、地域における賃貸借の実態とか、賃料をそもそも払っていない場合があります。もとの所有者は固定資産税と水利のお金だけは払うけれども、あとはもうほとんど何もとっていない、こういうパターンもあるわけですね。ですから、ぜひ実態をよく調べていただいて、そういった今現在行われている集積の状況が阻害されないような賃料設定、そのためには地域の話し合いといったことが大事だと思うんです。こういったことに特段の配慮をお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 まさに、おっしゃるようなことは私も聞いたことがございまして、逆に言えば、そこまで担い手が減っている、こういうことのあらわれでもあるのかなと思っておりますので、今、委員が御指摘いただいたように、賃料を決めるときに、やはり逆の貸し剥がしみたいなことが起きないようにしなきゃいけない、こう思っておりまして、当該地域における同程度の条件である農地の賃料を基準として、機構と出し手との間で交渉する、これが基本である、こういうふうに考えております。

 例えば、今おっしゃっていただいたように、既に無償で貸し付けを行っている場合には、貸し剥がしが起こらないように、そうした現状も考慮して賃料を設定するというふうに考えております。貸し剥がしを生じさせてしまって、これまで借りていた経営体の経営に支障が生じるということでは本末転倒でありますので、こういうことにならないようにしっかりと運用してまいりたいと思っております。

玉木委員 私は、やはり一番大事なことは、地域の皆さんと話し合いをして、その実態をきちんと把握した上で、そこに調和した、マッチした政策をしっかりと入れていくことが大事だと思うんですね。東京のクーラーのきいた、あるいは暖房のきいた部屋で、理論上はこうだろうと思って考えて、しかも、全国一律ではめ込むような政策は、現場では全く動かないということが多々ございます。

 人・農地プランについては、動かし始めて時間がしばらくたっておりまして、それなりに地域に定着が進んでおりますので、この流れについてはぜひ尊重していただきたいと思いますし、繰り返しになりますけれども、やはり人・農地プランというものを地域の経営の基盤を強化していくような基本計画として明確に法律に位置づけ、そしてそれを条件として各種施策を打っていく。人・農地プランをつくるときには、さまざまな人が入っていらっしゃい、企業もどうぞおいでなさい、ただ、その話し合いの中できちんと決めたら、その中でしっかりと各種施策を整合的に動かしていく。

 こういう農政をぜひ力強く推進していただきたいと思いますけれども、最後に、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほど来るるいただいたように、人・農地プラン、玉木委員もおっしゃっておられるように、非常に大事な基礎の政策だ、こういうふうに思っております。先ほど御答弁させていただいたように、運用が硬直化しないような方途というものをしっかりと考えて、これが基盤となって、やはりみんなが話し合って次の担い手が決まっていく、こういうことを目指していきたいと思っております。

玉木委員 ありがとうございました。終わります。

坂本委員長 次に、岩永裕貴君。

岩永委員 皆さん、こんにちは。日本維新の会の岩永裕貴でございます。

 きょうは、中間管理事業に関する法律案、採決というところで、賛成の立場で質問の方をさせていただくんですけれども、やはりこれまでの議論、質疑を聞いておりまして、何点か私なりに心配な部分がありますので、そういったところを中心に、少し質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一点目は、やはりマンパワーの問題です。

 先ほど玉木委員からもお話がございましたとおり、やはりこれを実施していくのは、それぞれの現場で大変多くの、恐らくこの場では思いつかないようなことなんかも、それぞれの地域の事情があったり、文化の違いがあったり、風土の違いがあったり、また伝統の違いがあったり、そういうところで一つ一つ集約化を進めていくというのには、膨大なマンパワーと、あとは、その地域を知り尽くしているというところの人材が必要不可欠な事業になってくるというふうに思います。

 そこで、このマンパワーについて、まずは、先ほどというか先日からいろいろお話を聞いていると、実際のところは、恐らく農業委員会さんとかJAさんとかが中心になって、この事業の委託先として進めていかれるというようなお話なんですが、地元でいろいろ農業委員会さんについても伺っておりますと、やはりこの時代、兼業農家さんがどんどんふえてきている。そして、農業委員会の中にも、そこまで地域を昔ほどは知り尽くしていない皆さん方が委員会メンバーとしていらっしゃるというようなお話も聞きます。

 もちろん一くくりで申し上げるつもりはありませんけれども、そういった傾向にあるということは確かだと思いますので、そのあたりについて、今後の農業委員会のあり方というか、今抱えている課題認識と、この機構の果たしていく役割に、どういったことを農業委員会の方に期待していくのかということについて、御答弁いただければと思います。

江藤副大臣 今、委員会の中でるるお話がありましたけれども、農業委員会の方々が、確かに地域差はさまざまあると思いますが、私の地元なんかでいうと、かなり地域のことに精通されている方が多いです。やはりこの機構を動かしていく上で、いわゆる台帳をつくっていただく上でも大切な役割を果たしていただいているわけですから、農業委員会の役割は私は大きくなっていくんだと思います。

 答弁書には、法の第二十二条とかいろいろ書いてありますけれども、こういうことはもう答弁しません。

 これから、農業委員会の方々も、国も、JAも、それから県も、そして基礎的自治体も、みんなで一緒になって集積化をして、そして生産性の向上を図っていく、その有効なツールとして機能していくというふうに私は考えております。

岩永委員 ありがとうございます。

 一致団結して、本当に農というものを育み、育てていくんだというところに尽きるのかなと思います。

 次に、JAさんについてお伺いをしたいんです。

 この事業自体は、やはり集約化して、農業自体を大規模化していくというところです。

 一般的に考えると、JAさんというのは、兼業農家さんであったり、できるだけやはり組合員さんを数的にたくさん集めたいというのが本音だと思います。

 集約化を進めていく中で、委託先にJAさんに動いていただくとしても、我が党では、とにかく農協さんに関しては進化をどんどんしていっていただかなくてはならないということを申し上げています。というのは、時代性に合った農協さんになっていただかなくてはならない。本当に、保険とか金融だけではなく、本来の業務のところ、農業従事者の皆様方のための農協というところをもう一度しっかりと組み立て直す必要があるんじゃないかということも提言をさせていただいているんです。

 今のところは、やはりこの事業を、集約化していって、そしてプロの経営者を入れていって、自分たちで販路をどんどん拡大していって日本の農業を盛り上げていくんだという方向性と、農協さんが現状ある方向性というか実情、できるだけ小口農家さんの組合員さんがたくさんいてくれた方がありがたいなという本音の部分との両方があると思うんですよね。

 だから、委託先として農協さんにお願いしたときに、本当にこの法の趣旨に合った思いを酌んでしっかりとやっていただけるのかどうかというところを一つ心配しておりますので、その点について御見解をいただければと思います。

林国務大臣 農地中間管理機構は、みずから直接業務を行う場合にとどまらず、市町村その他の関係機関に業務委託ができることにしておりまして、業務委託をするときには都道府県知事の承認を受けることにしております。

 JAについても、その対象に当然なり得るわけでございます。農地流動化に関するこれまでの実績、能力というのがございますので、それを踏まえて、適正に業務を遂行することができると認められている場合には、業務委託を受けることが可能になると思っております。

 ちなみに、現在、農地利用集積円滑化団体の数が千七百四十四団体あるんですが、このうち、JAが八百八十七でございますので、実際に五一%はJAがやっておられる、こういう実績もあるわけでございます。

 高齢化や耕作放棄地が進んでいく中で、地域農業の維持発展を図る、このために、やはり担い手への集積が大事だ、集約化をしていかなければならないということはJAの皆さんも共通認識として持っておられる、こういうふうに思いますので、積極的に取り組んでいただけるのではないかというふうに考えております。

岩永委員 ありがとうございます。

 積極的に取り組んでいただければ本当にありがたいですし、いいことなんですけれども、大きな方向性として、本当に積極的にやっていただけるのかな、積極的にやるというプロセスの中で、また農協さん自体も進化をしていっていただけるのかなとか、いろいろ思いながら、一つの心配点として質問をさせていただきました。

 続きまして、これは以前にもお伺いをしているんですけれども、やはり地方公共団体さんに対する支援というところも一つ気になりますので、もう一度、市町村に対する国のバックアップというか支援をどのように具体的に行っていくのかということについて教えていただければと思います。

奥原政府参考人 農地中間管理機構は、業務委託をいろいろなところにすることになっておりますが、その一環として、市町村に対しても業務委託をすることができることになります。委託をした場合には、機構から市町村に対して委託料も払える形になりますので、先ほどから出ておりますが、マンパワーの面で財政的な支援もしながら、本当の地域のマッチングができるように、きちんとやっていきたいと考えております。

岩永委員 ありがとうございます。

 続きまして、次の心配点というか、先日ちょっとお伺いしたところで、もう少し議論を深めさせていただきたいというか、私自身が納得したいところがありまして、先ほども出ていましたけれども、玉木委員の言葉の中では、耕作放棄地バンクになることも一つやはり懸念としてあるんじゃないかというようなことをおっしゃっておりました。

 そうなると、やはり税が無駄に使われるわけで、そうしたリスクがあるということを前回の質疑の中でも申し上げさせていただいて、なぜ、いきなりお金を支払って、受け手も決まっていないのに借り上げる必要があるのかというところが、どうも私の中にすとんと落ちてこないんですね。

 地元でお話をお伺いしていても、お金さえもらえばすぐに出すよというような方もそんなにいらっしゃいません。それよりも、受け手側の方がどういった方で、真面目な方なのか、本当にその地域のことを考えてくれているのかとか、自分の先祖代々ずっと受け継いできたものを人の手に渡して農をしていただくということには、やはりそちらの方が心配だよという声が圧倒的に多い中で、なぜいきなりお金を払って借り上げなければならないのか。登録をしておいていただいて、一定の集積ができたら機構との契約を結んで、そこからお金が発生するような形がとれないのかということについて、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

奥原政府参考人 前回も御説明いたしましたけれども、農地中間管理機構の仕事の流れといたしましては、借り受けのプロセス、それと貸し付けのプロセス、これが同時並行で進んでいくというふうに考えております。この二つのプロセスを同時並行で進めて、一番適切なタイミングで機構が借り受けて転貸をするということによりまして、極力滞留していく期間を短くしていきたいというふうに考えております。

 その意味では、これはケース・バイ・ケースになりますけれども、機構への貸し付けを希望する方がしばらくは営農が続けられるという状況であれば、御指摘のように、その方を登録しておいて、一方で、機構が転貸する相手方の見通しがきちんと立った段階で、出し手の方から機構が借りて受け手の方に転貸をする、こういったやり方もあるかと思っております。御指摘の、登録というやり方も、ケース・バイ・ケースですが、使う場面もあるかと思います。

 一方で、機構がすぐに借りないと、そこがもう耕作放棄地になってしまう可能性が非常に高いというケースですと、まずは借りてしまわなければいけない、こういうケースもあるかと思います。

 したがいまして、現場では、財政負担のことも考慮しながら、ケース・バイ・ケースできちんとやっていくということが重要ではないかというふうに思っております。

岩永委員 それでは、できるだけそういう税が無駄に使われないためにも、事前にいろいろな出し手側の皆さんとは協議をして、登録なんかもしていただく手法をもって進めていかれるということが確認できたかと思いますので、ぜひ、維持管理費ばかりが積もっていって税が無駄にならないように、極力柔軟に対応していただきますように、改めてお願いを申し上げます。

 それと、私は、ちょっと個人的なことにいきなりなるんですが、生まれたところが中山間地というか山間地です。今も小学生の全校生徒が十人に満たないような地域で生まれて、小さな田んぼが点々とあるような、すごくいい田舎で生まれ育ちました。それで、高校を卒業してアメリカに渡ったんです。カンザス州というところに約六年間いました。カンザス州というと、もう御承知のとおり、ウイート、麦畑が地平線にまで広がっていて、セスナ機で肥料なんかをまきながら、すごい農業をしていらっしゃるところなんです。

 そこで私が思ったのが、そういったことがすばらしいとは全く思わなかったんですね。何がいいかというと、やはり日本の農業ってすばらしいなということを私はその場で改めて思いました。農業というのは、やはり合理性ももちろん競争力を考えていく中では大切なことなんですけれども、農業が地域の中で果たしてきたコミュニティー、そして人と人とのつながりの役割というのが非常に大きいなということを改めて感じて、日本の方に帰ってきたわけなんです。

 それで、これも前回のお話、そして先ほどちょっと地元の声も届けさせていただきましたが、この機構が行う業務の過程の中で、出し手と受け手が顔を合わせないということが、やはり私の中には、これも何かちょっと気持ち悪いものがあるんですね。

 そういった中で、やはり、受け手というものは、日本の文化から考えていくと、決定をする前に、出し手側に、私はこういった者です、そして、農業についてはこういうふうなことを考えています、だから、お借りした土地は大切に使わせていただきますというような意思表示をしっかりとする場面があったりとか、やはりそういったことをしっかりと、人と人とのつながりを農を通してつくっていくという中で、丁寧さであったり、日本固有の文化である思いやりであったり、助け合いであったり、我慢であったりというところが育まれてくるんだろう。そういった文化をつくり上げるのに、農という部分はすごく大きな役割をこれまで果たしてきたにもかかわらず、この法案の中で、受け手と出し手の顔を合わせるところがなかったり、どんな人にやってもらうのかもわからへんかったりというようなところが、どうしても私の中にはすとんと落ちてこない部分でございます。

 そういった部分について、どのような考え方を持っていらっしゃるかというところを教えていただきたいと思います。

奥原政府参考人 農地中間管理機構は、あっせんをしているということではありませんで、農地の出し手から機構が一旦まず借ります。借りた上で、これを受け手に対して転貸をする、こういうスキームでございます。

 したがいまして、農地の出し手から見て、リース契約を締結する相手方、これは機構ということになります。地代の支払いについても、それから、耕作放棄地にならないように管理することについても、出し手の方に対して責任を負っているのはあくまで機構ということになります。

 このために、農地の出し手が機構から転貸を受ける受け手の方と顔を合わせるということは、このスキーム上、手続上、必須であるとは考えてはおりません。実際上そういうことがあるかもしれませんが、手続をするのに必須ではないということでございます。

 もちろん、地域の中に出し手の方、受け手の方がいる場合には、双方が話をする場面というのは実際にあるかもしれませんし、それはあって全然構わないと思いますが、農地の出し手の方は機構を信頼してリース契約を結んで貸していただくということが基本であるというふうに我々は考えております。

 これまでも、人・農地プランを我々は進めてまいりましたけれども、その中で、例えば、出し手の方と受け手の方、この二人の方の間に個人的な信頼関係がないために流動化がなかなかできないというようなケースもありまして、こういった場合には、この中間に入る、中間的な受け皿があった方が実際の流動化が進みやすい、こういう御指摘も現場でいただきまして、それで今回の機構の構想に至っている、こういう側面もございます。

 そういう意味でも、農地の出し手の方は機構を信頼して貸していただいて、機構が地域の農地利用を最適化するという観点から受け手に転貸をしていただく、これがスキームとしては基本であるというふうに考えております。

岩永委員 副大臣、何かございましたら。よろしいでしょうか。

江藤副大臣 田舎というところは、そういうところですよね。先生の言うとおりですよ。

 先ほど武部議員からも話がありましたけれども、逆に人・農地プランは進みやすいという、いつも顔を合わせる、お祭りでも一緒だし、小学校からずっと、一クラスしかないわけですから、ずっと一緒にいるわけですね。人のつながりは強いですよ。

 それだけに、じいちゃんの代からちょっとあそこの家とはもめておるとか、そういうのは実はあって、民主党さんの時代にやっていただいた人・農地プランでそういうのがあるから、そこを解きほぐす一つのワンクッションとして、一回ここにワンクッションやっていただいた方がありがたいという意見も地域から上がってきましたので、そういう意見を集約した形で出てきたのが中間管理機構です。

 決して、間に入ったからもう完全に分離だ、出し手と受け手は顔も突き合わせちゃいかぬ、それこそ、誰から、こうしたろう、そういうことを、切ってしまうようなスキームのためにあるわけではないということであります。

岩永委員 人情味のある御答弁をいただけて、安心いたします。

 なぜこういうことを伺うのかといいますと、もちろん、新規参入、法人の方がどんどん農業という分野に入ってきていただいて、そして農業自体を盛り上げていっていただくということは、これはすばらしいことですし、それをどんどん応援していかなければならないということもわかっているんです。

 一方で、先日、私の友人も、地元で、若い三十代のみんなが十五人ぐらい集まって、大きな農業をして大成功をおさめているところに、ある法人さんが来られて、二年間、とにかく米づくりについて教えてやってくれという依頼があった。それで一人前にしてほしいということなんですよね。それで、その私の友達に聞くと、たかだか二年間米づくりをしたところで一人前になんてなれるわけがないというのが、もう皆さん方御承知のとおりだと思うんですけれども、印象であって、逆に言うと、今、その新規参入してこようとしている法人は、サブビジネスで、やはりちょっと、言い方は悪いですけれども、軽いタッチで農業という分野に入ってこようとしているところもあるということなんですよね。

 そうした法人が入ってきたときに、その地域のコミュニティーがどうなってしまうのか、そして、これまで本当に我慢であったり助け合いであったりとかいう日本独自の文化の上にできてきた日本の食の安全とか安心とかというものが崩壊しないのだろうかというのも、私の一方での心配事としてあります。

 だから、そうやって出し手と受け手が顔を合わせるということがすごく大事であって、どういう思いで出し手はこれまでその土地を代々引き継いできたんだ、育ててきたんだというようなところの心の触れ合いがないと、新しく参入してくる法人にとっても、そういった思いを受けて、自分たちはこの土地を借りて、新しくビジネス、事業をさせていただくんだという気持ちになれないんじゃないかなというふうに思うんです。

 だから、そういった人と人とのつながり、そこにはしがらみなんかももちろんあると思うんですけれども、そういったしがらみはやはり日本の文化をつくっていく上では必要なしがらみであって、できるだけ真ん中に入って、契約上こうだからとかという話ももちろんわかるんですけれども、日本文化をつくってきた農村地域、コミュニティー、人と人とのつながりというものをしっかりと大切にしていただきながら、この機構を運営していっていただきたいなというのが私の切なるお願いでございますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それと、最後なんですけれども、これも先ほどから話が出ていましたが、要は、やはり中山間地域なんですよね、集積をしていく上で。

 先ほど副大臣からも御答弁いただいておりましたが、やはり中山間地域になればなるほど知恵が要ると思います。それで、中山間地域になればなるほど、先ほど来申し上げている、やはり人と人とのつながりも要るし、技術的な知恵も要るし、要するにいろいろな知恵が要るんですけれども、その中山間地域というものを考えたときに、この機構が果たす役割、中山間地域を要はどうしていくんだというような話について、大きくその思いというか方向性について御答弁いただければと思います。

江藤副大臣 中山間地域は、いわゆる多面的機能を特に発揮して、その利益というものは、逆に都市で暮らしている人たちが享受をしているというものだと思います。

 この地域が衰退することは、川下も含めて日本の国土が荒れるということでありますので、ここでやはり営農が続けられるように、たとえ、なかなか集積が難しい、そういう畦畔の厳しいような条件であっても、委員の御指摘のように、人と人との輪を大事にして、話し合いの場を設けて、そして人のつながりのもとで、新しい法人が参入するにしても、その人たちが地域に溶け込んでやれるように、そのマッチングも含めて、機構の職員それから役員の人たちも基礎的自治体やJAの方々と力を合わせてやっていけば、機構もきちっとした役割が果たせるものだというふうに考えております。

岩永委員 ありがとうございました。

 ぜひ、この中山間地域というのも一つの本当に大きな課題として捉えていただいて、機構の中の役員には中山間地域専用役員みたいな方も入れていただくぐらい、しっかりとそういった分野を注視していただいて、進めていただければと思います。

 改めてその件についてお願いをさせていただいて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 これまでの中間管理機構の法案の議論では、いかに地域の実情を踏まえるか、そういう観点の議論が多いような気がいたします。端的には、人・農地プランとの連携というところでかなり議論がされたろうと思っております。

 参考人との質疑がこの前もありましたけれども、例えば、中間管理機構をつくるとしても、借り手の選定基準が法文上は不明確であって、この法案の第八条第三項第五号に、地域の農業の健全な発展を旨として、公平かつ適正に貸し付けの相手方の選定を行うとあるわけで、その選定の際の実質的な判断要素となる事柄はおよそ書かれていないというような指摘もございました。

 むしろ、第一条の目的規定というのは、やはり表に出ているのが、農用地の集団化、新規参入の促進、農用地の利用の効率化及び高度化というのが前面で規定されている。だから、法律のたてつけを見ると、やはりこれらが判断基準の主要な要素になるという形がどうもうかがえる。それで、地域との連携というのは、なかなか法文は、書いてはあるんですけれども、優先順位からすると、何かそっちの方がかなり前面に出ているなという法案のたてつけだろうと思いますし、参考人からそういう指摘もあったところであります。

 実は、私も地域を歩いていまして、中間管理機構の必要性は認めるわけです、農家の人たちも認められている。ただ、中間管理機構については、具体案が見えないので先行きに不安だという話とか、あるいは、仕組みが見えないがゆえに、企業参入をさせやすくする制度じゃないか、そういう誤解も含めた危惧の念を持たれている方が多いです。

 この中間管理機構は、そういう不安の中でいろいろ議論されているわけですが、結局、地域の声を入れながら運用する限りは、やはりいい制度だという声もあります。問題は、地域の声がしっかり入って、実情に応じた運用がされるかどうか、そういうことが法律及び運用できっちり担保されるかなというところだろうと思います。

 そうであれば、これはかねてより議論がありました、人・農地プランの地元協議の仕組みを法定化して、その協議を通じて地域の実情を、適切な担い手に行くような仕組みが必要だという議論はかねがねありまして、運用ではしっかりそれがなされるということだろうと思いますが、修正協議の中でも、そこが配慮された協議が進んで、位置づけられようとしているところは評価したいと思います。

 その場合、今回の修正協議の内容は、大体見るところ、人・農地プランの法定化、そういうのをしっかりと協議して位置づけて、そして農地中間管理事業の利用等に関する事項も決めて、協議の結果を取りまとめて公表するということで、夏ぐらいまで農水省さんも検討されていた案だろうと思います。

 これ自体は、人・農地プランが位置づけられたということで、大変評価に値すると思っておりますが、ちょっとここでその先を思うのは、公表する中で恐らく話し合いがなされて、地域でいいような担い手に行くことが担保されるということなんだろうと思うんですが、法文上は、公表するとあります。調整して、協議して、公表する。だから、公表する過程でそういう調整がなされるということだろうと思うんですが、人・農地プランを尊重してやっていくように求めるみたいな規定が、修正案ですけれども、入れていないわけです。

 議論はいろいろありましたが、中山間地なんかだと、人・農地プランとのリンクを強くし過ぎると、逆に結構厳しくなるとか、あと、人・農地プランをつくったところじゃないとだめだというふうな議論に行っちゃうと、これまた大変なことになるという部分があって、私も中山間地の選出の議員なので、確かにそこは痛しかゆしの部分があります。

 人・農地プランを重視して、そこの連携を図りたいけれども、図り過ぎてはいけないというバランスの中で、こういう条文に何とかしたという部分は、私はこれはこれで現実的だと思います。ただ、人・農地プランとの連携を、つくって、公表した上で、さらに連携を図るというのは、努力規定でもいいのかなという議論もあるし、私も、そこはそういう思いもあるし、あってもいいかなと思うところであります。

 こういう修正案が仮に可決されましたら、現実に合った担保をしっかり図っていかなきゃいけないと思うんですけれども、そういう場合に、結局、この公表するものをもとに人・農地プランとの連携を図っていくとした場合に、具体的には、地域の実情をしっかり反映する人・農地プランと連携してリンクするということが、運用上、どんな感じで担保されていくのでしょうか。そこをちょっとお伺いしたいと思います。

林国務大臣 今、委員からは修正案の条文を引かれての御質問でございました。

 あくまで私は、ここに立っておりますのは政府案の御質疑に対する御答弁という立場でございますので、仮定の話というよりも、これをどうやって連携させていくのかという御質問だというふうに聞かせていただくとすれば、やはり農地中間管理機構と地域の農業者の方々や市町村が連携を密にして、このスキームをうまく活用していくということが大事である、こういうふうに思っております。

 人・農地プランは、先ほどからお答えしているように、農地政策の基礎でありますので、今後とも、その作成と定期的見直しを継続的に推進していくこととしておりますが、今おっしゃっていただいたように、やはり我々の案、政府の案は、それぞれの地域の農業事情がございます。中山間地域なのか、平地なのか、水田なのか、畑作地なのか、また、それに伴って、担い手がどの程度いるか、さまざまでございますので、人・農地プランの進行状況もさまざま、今委員がおっしゃったとおりであります。

 やはり人・農地プランを法定化することによって、今まさにバランスのお話をおっしゃっていただきましたが、運用が硬直化して、画一的になってしまうということは望ましくないという考えでございますが、将来的に、人・農地プランの進捗状況を踏まえて具体的な法制化を行う可能性はあると、先ほど玉木委員にも御答弁したとおりでありまして、そういうことになっていけば、それに基づいてしっかりと対応していく必要があると考えております。

畑委員 まさに柔軟にやる必要があって、人・農地プランがないところはやるべきじゃないといってもならないし、それは硬直的だろうと思います。問題は、人・農地プランがつくられたところは、さはさりながらというか、人・農地プランを尊重するということは必要だと思いまして、そこはまさにそういう形で運用していただけるものだろうと思います。

 今後の法案の、人・農地プランの見直しとか、そういう附則の規定も入る予定で議論しておりますが、その場合には、先ほど言ったようないろいろな位置づけ、あるいはリンクも含めて、恐らくそこまで射程に入っているかどうかというのはあれですが、そういうリンクも含めて、よりいい形がどうなのかということも、人・農地プランの位置づけとあわせて議論がされるべきだろうと思っておりまして、そのことは申し上げておきたいと思います。

 今回、農水省が夏ぐらいにやったその部分が削除されて、とりあえず人・農地プラン等の法定化がなかったのは、もちろん御存じのとおり、規制改革会議でしたか、産業競争力会議というか、新規参入を阻害するとか劣後するのはよくないということだったと思います。

 修正協議の状況を見ても、その部分も含めて入っているだろうと思いまして、人・農地プランをしっかりと重視することは必要で、そこに新規の人のエントリーも含めて柔軟に開かれている制度であればいいと思います。そういうことも含めて、この法案はそういうところもしっかり危惧を排除してやったということをがりがりの規制改革論者にもしっかり説明できる内容だと思いますので、御説明をいろいろな、産業競争力会議でもおっしゃっていただければと思います。

 次の質問をさせていただきたいんですが、まさに借り手でございます。

 借り手については、借り手の選定作業は、応札者に特段の資格制限をかけないような競争入札の仕組みに法文上なっておりますので、地域農業の現場に混乱や問題を生じさせるおそれがあると先般参考人が述べておったわけでございます。

 結局、やはり選定基準が明確でないことが危惧を現場に生んでいる。中間管理機構が規程の中で選定基準もつくるというお話も以前の質疑でございまして、そこはバランスよくやっていくんだろうと思うんですが、実は、バランスよくやり過ぎると、やはりこれまで地域で農地の効率的な集積をやって頑張った人が排除されるんじゃないか、そういう疑問というか危惧も指摘されていると思います。

 結局、そういう人たちがしっかり救われて優先される選定基準でなければ、なかなか怖いわけであります。ただ、さはさりながら、これも新規参入したい人から見れば、おまえはだめだよと言われたときに、何で地域の人を優先したんだ、そこの理由をしっかり述べられなければ、これまたまずい、そこのところなんだろうと思います。

 ですから、そこはしっかりと選定基準をつくるということなんですが、ただ、結局、今の基準というのは定性的で、法案なので仕方ないんですけれども、地域事情よりも効率化、高度化の方向が重視されているような気がこの法文上はするわけです。

 この法文をもとにしながら地域事情をしっかり踏まえていくということは必要ですが、今の場合だと、並びの基準、要件なような気がするんですよね。効率化、高度化、地域に配慮する、どれが優先するものじゃない中で、総合判断をして決めていく。これだと、何となくまだ地域の危惧が晴れないというか、これまで人・農地プランで位置づけられた中心経営体であるとか、一生懸命集積してきて既にそういう実績のある人、そういう人を本当は優先して選定してほしいというか、選定するのが一番すんなりくると思うんです。

 よほどこの人たちがおかしければ別ですが、いろいろな基準で大体評価してみて、ほかがそんなに劣っていない限りは、地域の事情、これまで集積を頑張ってきた人、地域の農業者、中心担い手、こういう人たちが重みを持って判断されるというか優先されるような、そういう選定基準がやはり私は必要だと思うんですけれども、そこの点は運用においてどのように担保されていくのか、お伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕

林国務大臣 今委員からお話があったように、貸付先の決定ルールは機構が作成して、都道府県知事の認可を受ける、こういう仕組みにしております。借り受け希望者のニーズを踏まえて、公平、適正に調整するとともに、まず、今お話しになった定性的ということですが、地域農業の発展に資するということを八条で書かせていただいております。

 その先に、都道府県において、実際に農業事情を踏まえて貸付先決定ルールをつくっていただいて知事が認可をする、こういうことになるんですが、この中身として、農地の借り受けを希望している者の規模拡大または経営耕地の分散錯圃の解消に資するものであることとか、それから、既に効率的、安定的な経営を行っている農業者の経営に支障を与えないこと、こういうことを入れていただくことが必要である、こういうふうに考えております。

 したがって、新規参入の希望に配慮するのは当然でございますけれども、既に効率的、安定的な経営を行っている担い手の経営発展を阻害しないようにするということが極めて重要である、こういうふうに考えております。

畑委員 そこは、大臣のお立場だとこれぐらいのお答えかなと思いますが、いずれにしても、間口は広げていいし、それは当然、新規参入を排除しちゃまずいわけですが、そうした上で、判断のときには、やはり一定の重みづけの点数をつけて、点数というのかわかりませんが、これまで効率的、安定的な経営を行っている地域の中心経営体なりそうやってきた人、そういう人が優先されるということが必要だと思いますが、認識としてはそんな感じでしょうか。もう一回、ちょっとそこを答えられる範囲でお願いできればと思います。

林国務大臣 当然、新規参入した者が効率的、安定的な経営を目指していけるようにする、これも大事でありますので、どちらかがどちらかの犠牲になるというものでは多分なくて、人・農地プランで、先ほどお話があったように、既に効率的、安定的な経営を行っている農業者の経営がもしあれば、そこに支障を与えないということがまずあるわけでございますので、それに支障を与えない範囲で、新規参入した人がニーズを踏まえて効率的、安定的な経営を目指していけるようにする。当然、両方満たされなければいけないということになりますので、そういうやり方でやっていかなければならないと思っております。

畑委員 大臣の今の御答弁は、お立場から、精一杯の答弁だと思います。新規参入を妨げない、この要件が非常に重要だということで、江藤副大臣もうなずかれておりますが、そういうことで運用をしっかりとお願いしたいと思います。ということで、やはり農業は地域を重視して、地域の実態に合わなければいけないというところの問題意識でございます。

 そして次に、機構の受け手として、地域に根差したような経営体の尊重という意味で、集落営農の活用ということを取り上げたいと思います。

 二人で家族経営した場合だと五町歩が限界だとかよく地元で言われて、結局、集約経営をしようとすると集団化を考えなければいけない、それは当然のことであります。集団化を考える場合に、いろいろな外からの人が入ってきて受け手になることも一つの方法ですが、営農組合とか地区の組織を結成して集約化を図る、このことは、やはり地域に根差した農業という意味ではかなり有効というか効果的だろうと私は思っております。

 ただ、そこで、地域の人がそうやって集約化していく場合に、任意の組織であると、またこれはこれで無限責任になりまして、連帯責任等の重さでかなり大変だということがあって、法人にするということが結局合理的なんだろうと思うんです。

 さはさりながら、法人というものの進め方がわからないというか、そこは支援が欲しいという声もあります。法人化して集落営農が成り立っていくのか、あるいは、給料を払っていくのか、そういうことも含めて、細々といろいろな疑問点というか不安があるようでございます。

 結局、そういうことを考えた場合に、集落営農の活用のため、法人化に向けた支援、あるいは法人化後も含めてということだと思うんですが、そういうことに対する支援策としてどのようなことがあるのか、考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕

江藤副大臣 我が党で品目横断をやったときにも、集落営農はなかなか難しいねという話をいたしました。ましてや、法人化ということになると、法人化か、ハードル高いなと思う方が、特に、高齢化されている中山間地域では多い、これまた事実だと思います。

 これは事実の報告になりますけれども、集落営農の法人化に必要となる定款作成や登記費用等の経費に対する定額助成、この四十万円は行う。それから、集落営農の組織化、法人化等の合意形成に向けて、普及員OBなどを、経験のある方ですね、こういう方を活用する地域連携推進員への支援、こういうところを行うということであります。

 釈迦に説法で、言うまでもないかと思いますけれども、法人化すれば、いわゆる中間管理機構、今まさに議論されていますけれども、こういうものも集積化の流れの中で利用ができますし、何といっても、低利融資、スーパーLが使えるということが大きいと思います。それから、法人等に対する農業経営基盤強化準備金制度による税制上の優遇措置、これも受けられる。こういうことがまだ十分に、言葉で言ってもなかなか伝わらない部分がありますので、やはり地域の農業委員の方々、JA、それから基礎的自治体の方々に、こういうメリットがあるんだよということを、我々も含めて、お知らせする努力をもっとしなければならないというふうに考えております。

畑委員 そういうことで、しっかり法人化の御支援もよろしくお願いしたいと思います。

 しっかりメリットをお話しいただいて、なおかつ、多分、法人化の部分、地方の人だとなかなか、そういうノウハウがある人も一部でしょうから、そういう人材の育成も必要でしょうし、あるいはそのノウハウを指導していただく、こういうことも含めて、いろいろな御指導というかきめ細かい指導、アドバイスが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、法案についてはそのような形で終わりまして、次に、飼料米の件です。これは、何回も議論になっております。

 飼料米に転換してというか、生産をふやしていくということは私も反対ではないし、これはこれで、水田の活用の方法としては一つの方向、いいことだろうと思います。

 ただ、問題は、飼料米をどんどんつくっていくというか、それに転換していく政策をとった場合に、やはり周辺整備なり出口の部分、需要の部分とかそういう部分も含めて、本当に大丈夫なのか。あるいは、これまで議論があったように、トウモロコシの価格の関係も含めて、いろいろ横目で見ながら置きかわっていくとか、そういうこともありましたが、本当にそこは、飼料米をつくっていって、需要も含めて大丈夫なようになっているのか、心配ないのか。そういうことで、ばんばんつくっていけば大丈夫なんだよということでやっていくのも危険だし、そこはしっかり現実を踏まえて見ていかなければいけないところだろうと思います。

 飼料米についてよく聞きますのは、まず、マッチングです。飼料米を増産した場合に、需要先とのマッチングが必要不可欠となるわけですが、需要先をどうやって探していくか。これまで、飼料米をつくったところは、JAのくみあい飼料で受け入れてもらっているところがあったり、あるいは民間の畜産農家、そういうところに受け入れてもらっているところもあったりというところがあります。これから、これを増産した場合には、そこはまさに、どうやって受け入れてもらうかというところの販路開拓、マッチングというのが問題になってくると思うんです。

 そこは、主食米のように、JAで、委託生産とかアプリオリに受け入れてくれる仕組みにも必ずしももちろんなっていないし、そうすべきでもないわけですが、そうであれば、販路を自分で探して、しっかり需要先に行き届くような、そこの橋渡し、マッチングが必要になってくるんだろうと思うんです。そこのマッチング支援というのはどのようにお考えでしょうか。

江藤副大臣 委員が御指摘のとおり、農政の転換を行いまして、今回、水田のフル活用をするということで、直接支払い交付金十万五千円という、上に張ったわけでありますから、これによって、畜産農家に向けて、主食用米から飼料用米に転換が進むと思います。

 その中で、出口がきちっとできていないということであれば、これはつくる方も受け手の方も両方困るわけであります。委員から今御指摘がありましたように、くみあい飼料という流れは非常に有効だと思います。これはストレートに行くと思います。

 ただ、もう一つは、今同じく御指摘がありましたように、畜産農家とのマッチングが既にできている部分があります。これをやれば、耕畜連携、条件として、わらもとってもらわなきゃだめですけれども、一万三千円をさらにもらえるというインセンティブがあるわけですから、こういったこともさらにアナウンスをして進めていく必要があると思います。

 売り手である耕種農家が畜産農家を確保できるように、国主導でやるべきこともたくさんありまして、全国の生産と利用の状況、そしてまたその要望を国が取りまとめる責任がやはりあるんだろうと思います。そういうものを、農家とそれから畜産農家、そしてまた飼料メーカー等にも情報を提供することによって、マッチングをこれから進めてまいりたいというふうに考えております。

畑委員 今のお話がありまして、まさに飼料米、マッチングした上でどうやって使っていくか。刈り取って、そのまま流したら使えるものでもないというお話がありまして、まさにそこもちょっとお伺いしたいところでありました。

 飼料米を飼料に加工するために、そのまま刈り取ればいいというわけではなくて、圧扁とか聞きましたけれども、押し潰して、蒸気を抜いて圧縮する、そういう作業も必要だし、それは何か特別な機械が必要なのだそうであります。あと、きのう農水省さんにレクを受けてお伺いしたら、もちろん、砕いたり混合したりという作業も必要になるかもしれない、そういうことであれば、やはりそれなりの施設、機械も必要になってくる、工場も必要になってくるということもあるようです。

 これまでよく聞くところは、平たん部だと畜産農家も少ないし、結局、マッチングというところにもかかわってくるんですが、みずからそのような機械を買ってまで、設備投資してまでそういうのをやるかというところの危惧も、疑問もありました。

 逆に、中山間地だと、私のところは短角牛ですが、牧草地で草を食べて育っている。岩手の中山間地だと、そこまでの必要性は、飼料米の需要はないんじゃないかという声もあります。そういうところで、広域でマッチングするということは前提として、そういう不満もある中で、今の体制で大丈夫かなという声もあったところであります。

 したがって、施設、機械、この辺のところをそろえていくというか、地域によって足りないところも多いので、そこをどうやってそろえていくか、そこに対する支援なり手当ても必要になるのではないかなと思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。

江藤副大臣 例えば秋田県なんかは、米が本当に主要の生産品になっていて、しかも畜産がほとんどないというような県もあるわけですよ。そういうようなところで、では、飼料米をどんどんつくってくれというようなことには多分ならないんだろうと思います。宮崎のように、総農業生産額の五〇%以上を畜産が占めているようなところは、抵抗なく飼料米をつくるというふうに進んでいくと思います。

 しかし、今お話がありましたように、粉にしたり、まぜたりするような機械が必要になってまいりますので、午前中の質疑の中でありましたけれども、次の二十六年度の概算要求では、強い農業づくり交付金は、昨年は二百四十四億でしたけれども、三百三十四億円、お金で済むという問題じゃありませんが、こういった補助も入れて、飼料米の出口対策を進めてまいりたいと思います。

畑委員 しっかりとその対策はお願いしたいと思います。

 それで、飼料米の増産でもう一つ危惧しますのは、飼料米という特別な品種はないわけでして、飼料米をつくっていった場合に、主食米と同じ品種がふえてくる。これまでも、ないと思うんですが、横流しの危険が論理的にはあるわけでして、飼料米を主食米として横流しすることが可能になってくる。飼料米をつくる農家がさらにふえてきて、なおかつ飼料米の流通量もふえてくるとした場合に、その可能性が高まってくる。今後、そこはどのように対策を強化していくのか、お伺いしたいと思います。

江藤副大臣 現在も十八万トン生産をしているわけでありますけれども、今のところ、そういうことは起こっておりません。

 これから増産するとしても、まだもみが足りないというような意見もありまして、全てが飼料米の作付にならずに、一部は主食米をそのまま飼料米に回すということも十分考えられるわけであります。その場合に、十万五千円という高い金額を張っているわけでありますから、横流しというようなことが起こると、これはモラル的にもまずいし、消費者に対する信頼を裏切ることにもなるので、このところはきっちりやらなきゃいけないと思います。

 これは、もう食糧法の中に書いてあります。用途外の使用は禁止、それから、違反した場合には勧告、命令をする、命令に違反した者については懲役または罰金に処す、こうなっておりますけれども、ここもさらに強化していく必要があると思います。数量払いも導入していくわけでありますから、検査機関による数量の確認要件を設けまして、不正流通の防止策を一層強化するということを考えております。

畑委員 そこは、そういう危険性をしっかりと踏まえて対応いただきたいと思います。

 想定した質問は全てやりましたが、かなり時間があるので、厳密には通告外ですが、その関連するのをちょっとお聞きしてもよろしいでしょうか。お聞きしたいと思うんです。

 飼料米についていろいろ議論いたしましたけれども、先ほどの論点と絡むんですが、結局、飼料米の需要をどうやって高めていくかということだろうと思います。

 実は、地元を歩いておりまして、これは前も鷲尾議員から議論があったと思うんですが、どなたか忘れましたが、飼料米というのはどんどんつくっていくとして、結局、飼料米を与え過ぎるとまた肉質に問題があるというのは、確かによく言われるところでありまして、例えば牛だと一〇パーから一五パーぐらいまでですかね、それ以上与えると、発情しないとか肉質が変わる。鳥とか豚でも、実は、与え過ぎればいいわけではない、おのずから適正値があるということです。適正値があるわけですが、そこは完全に置きかわって、何か今の飼料の半分だとか言っておりましたが、ここは結局、そういうものを与えていった場合、本当にどんどん切りかわるんだろうかという疑問も地元から言われました。

 需要を高めるというのは、価格との関係も出てくるわけでしょうが、どうやってこの飼料に対する需要を高めていくのか、そこのところをちょっと、総論でも結構なので、お答えを願いたいと思います。

小里大臣政務官 飼料用米については、五年ほど前に自民党の中で大分議論をした経緯がございます。

 そのとき、今おっしゃったように、畜種別にどのぐらい需要があるだろうかということを検証いたしました。全国の農家あるいは飼料メーカーから聞いて回ったわけでありますが、そのときは、おっしゃるように、例えば牛は、肉牛、乳牛で違うわけですが、食べている配合飼料の大体五%から一〇%ぐらいは飼料用米に置きかえることができるだろうと。

 あるいは、鳥でいえば、鳥が食べているトウモロコシ、これは全量を飼料用米に置きかえてもいい。肉質、卵の質もよくなります。ただ、卵の場合は黄身が白くなるということで、それをどうしようかということでした。ただ、これを逆手にとって、飼料用米でつくった卵、黄身が白くなったのをむしろ売りにして、例えば青森県などでは「こめたま」とか「米たまご」という愛称で、一個百円で売られる、そういう実例もあるわけであります。

 豚でいえば、約三割を飼料用米に置きかえてもいい。それ以上置きかえてもいいんだけれども、肉質はやわらかくなっていくわけでありまして、そこは好みの問題であります。

 そこら辺をその時点で自民党でかたく見積もったときに、潜在需要として七百万トンある。また、同時に農水省でも試算をいたしまして、農水省ではさらにかたく見積もって、四百五十万トン。あと、類型別に、八百万トンとか一千万トンを超える潜在需要の推計もあるところでございます。現在、ここでは四百五十万トンを基準にして議論をしているわけでございます。

 さらに、実際の供給可能性として、まず、我々が捉えておるのが、毎年ごとの主食用米からの転換分ですね、主食用米の減少分が年間八万トン、同時に、水田の不作付地が八%ありますので、そういったところを生かしていこうと。

 ちなみに、自民党における新規需要米の十カ年戦略における戦略では、新規需要米等生産百五十万トン計画ということで、とりあえずの目標を捉えておられるということでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、飼料米をできるだけ使いたいと。ただ、使うことが目標になってはいかぬので、そこのいろいろな、品質の関係のバランスもありますが、実は、やわらかくなり過ぎる品質でもいいんだというか、そういうブランド化というか、おいしくなければブランドになりませんが、いろいろな差別化も含めて、飼料米を使うことでこういうふうな品質ができるんだよというところのいろいろなPRとか開拓とか、やはりそういう連携は確かに必要だろうなと思っております。

 そこも含めて、単に米を余らせないために飼料米に転換すればいいんだというんじゃなくて、日本の健全な畜産なり酪農なり、こういうのが、しっかり品質の確保、ブランド化も含めて、差別化も含めて、米を使って飼料にすればいいんだというところまで持っていけるかも含めて、やはり総合的に考えていただかなければいけないだろうと思います、あくまで米をさばくということだけが見えてはよくないので。

 そういうことを含めて、しっかりと飼料米の活用というのは詰めて考えていかなければいけないことだろうと思います。そのことを申し上げて、お願いしておきたいと思います。

 ちょっと時間も早いんですが、大体これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 日本維新の会の村岡敏英でございます。

 中間管理機構、大分長らく議論したわけですけれども、新しい日本の農業の転換にとっては必要なことだとは思い、我々日本維新の会も賛成をしたいと思っております。

 しかしながら、これは運用の方法がどうなるかというのは大変大切なことだ、こう思っております。

 例えば、この前、参考人として、藤岡参考人、そして上場参考人、原田参考人と来ましたけれども、それぞれ、生産者、そしてまた県の土地の賃貸や取りまとめの方、学者の方、三人とも非常に否定的な見解を述べていた。ということは、なかなか土地の集約というのは現実に難しいものである。

 そして、特に、県で農地の集約をしていた方に聞きますと、何百ヘクタールという農地をまとめた、その原因の一つは何かというと、その方本人の、この地域の農業をどうにかしようという意欲の問題だということをおっしゃっておりました。

 また、逆に、農業の耕作者の方、これは秋田県でしたけれども、この方は百ヘクタールやっているそうですけれども、この百ヘクタールも、決して最初から百ヘクタールじゃない。五ヘクタールぐらいから始まって、何十年かけて百ヘクタールになった。いきなり五十ヘクタールを農地中間管理機構から預けられて、やれる人はいないんじゃないか、このような疑問も呈しておりました。

 そう考えたときに、集約して、先ほどからの議論もこれまでの議論も、借り手そして貸し手となるんですけれども、このマッチングは、もちろん、借り手の方もある程度のプロがいなきゃいけない、その地域を知って、しっかり貸してもらうということを、中間管理機構の中にそういう人間がいなきゃいけない、そして、借りる方の人がどんな農業政策を持って、どんな農業をやるかということをわからなきゃいけない。

 こういう意味では、これは実験的なところで大変厳しいわけですけれども、そこのところは、大臣、どう考えているでしょうか。この仕組みはいいと思うんですけれども、実際の運用で、どちらも、例えば貸す方を探して歩く方もプロじゃなきゃいけない、そして、借りてやる人もプロの農業者を選ばなきゃいけない、この難しさをどういうふうに考えていらっしゃるか。

林国務大臣 おっしゃるように、法律を成立させていただきまして、機構を各県につくるということになりますと、実際に誰がこの仕事を現場でやるのか、これが大変大事な話になってくると思います。

 仕組み上は、役員をきちっと決めて、ガバナンスがきくようにいろいろな仕掛けをこれに入れておりますが、人選に当たっては、知識、経験が豊富なことはもちろんでありますけれども、現場の皆さんとの関係というのが大変大事になってくると思います。

 やはりこの人が言うのならというような方が借りてくる方と貸し出す方と両方に、全く別の人がやらなくてはいけないということもないでしょうけれども、地域に応じて、そういうしっかりとした人にこの仕組みを支えていただく、こういう運用が非常に大事であるというふうに考えております。

村岡委員 そこがやはり実際の、千億以上の税金を使って、例えば、貸していただける方が中間管理機構にその土地を貸す、ここでまとめて整備する、そして、借り手の方が借りる、何となく仕組み的には非常にいい仕組みなんです。しかし、ここはプロがしっかりいるかどうかによって、中間管理機構が成功するかどうか、仕組みだけじゃなく、その中身の人だ、こういうふうに考えております。

 というのは、例えば、戦前は、小作人という中で、相当大きな農地でやっていた方がたくさんおりました。農地解放によって、土地は分割化されました。そして、ある程度小さい、四反歩、五反歩、小さい方々がたくさん全国にできました。その中で、実は、大規模農業を実験したのが秋田県です。大潟村という、一万一千二百ヘクタールぐらいの干拓をして、最初の募集は十五ヘクタール以上、そして、三十ヘクタールぐらい持っている人たちがほとんどだと思います。

 そのことを振り返ったときに、実は、急に大きいものを持つと、地域社会を少し混乱させるんです。そして、格差も生まれるんです、農業の農村地帯に。

 実は、こういう問題が中間管理機構には、例えば自民党の方針の中でも、ある程度、大規模農家、そして中山間地、それから小規模農家もきちんと生活できる体制を整えようと言っていますが、秋田県の例で考えると、この大潟村の大農家というのは大分地域にあつれきを与えたんです。そして、格差も生まれました。

 普通の農家の方は、なかなか海外旅行なんて行けませんでした。しかし、その地域の大潟村の人たちは大規模ですから、冬は一カ月単位で海外に行ったり、そういう感じでありました。それとまた、当然、国が行った事業の米の増産ということで、この方々は全国から募集されました、入植者を。その中で全く別のコミュニティーをつくりました。

 そうすると、中間管理機構も、地域の人たちが借りるということももちろんあります。しかし、外の人が来て借りたときに、そこに雇っていくと、必ずしもその県の風土や文化もわからない人もいる、こういうことの部分も実際出てくる、こう思っているんです。

 そして、格差と、地域社会がなかなかうまくいかないようなことができてくることを想定しているのか、全く想定していないで、この仕組みでうまくいくと思っているのか。やはりこの想定もしておかなきゃいけないと思っているんですが、大臣、副大臣、どう思われるでしょうか。

林国務大臣 私も、農村の中に入ったときに、半分笑い話みたいな話ですが、隣に蔵が建つと自分は腹が立つ、こういうようなことをよく聞くわけであります。

 今おっしゃったような問題は、お地元の秋田ではかなり顕著な形であらわれたというようなことであろう、こういうふうに思いますので、先ほど申し上げましたように、地元の方とのコミュニケーションがよくとれる方、地元の方からの信頼が厚い方、例えば、県内の有力な農業法人の経営者だった方が第一線を引かれて後進に譲っておられる、そういうような方にやっていただいて、やはりあの人が言うならというような人がなってくれると非常にありがたいな、こういうふうに思います。

 基本的には、県内でよく御議論いただくということでありますけれども、やはりそういう方になっていただくことによって、なるべくあつれきみたいなものが出ないように運営をしていくということです。

 しかし、大事なことは、これを使って集積をしていく、分散錯圃を解消していくということが政策目的でありますので、やはりそこは基本として持っておかなければいけないのではないかなというふうに考えております。

村岡委員 そこは、ぜひともプロフェッショナルというか、地域のこともきちんとわかっている人たちを、どのような形で中間管理機構のメンバーになっていただくかということが大事だと思います。

 そして、先ほど議論の中で出ていましたが、飼料米の横流しとかそういうのがありましたが、実は、大規模になるといろいろ、大潟村の件ばかり言っちゃいけないですが、減反政策というのは守らずに、闇米だとかいろいろやってきたんです。やはり大規模になると、収量なんて、そこに行って、実際に幾らとれたかなんて見ていないんですよ。大分ごまかせるんですよ。そういうのが現実なんですよ、現場では。

 だから、大規模になったときに、今自民党さんのつくっている政策の中でいろいろな補助金をつけていますけれども、その中で、破っても大丈夫な部分があるんです。そういうこともきっちり考えながら、やはり農業政策というのはやっていかなきゃいけない。破ったところがもうけて、守ったところが損をするという現実が秋田県の中ではしょっちゅうあったんです。

 そこで、先ほど江藤副大臣が、秋田県は米が主流で、ほとんど畜産がないと。畜産もやっていますので、そこは忘れずにと思いまして、ただ、そのとき、米粉用だって、別に秋田県で米粉のうどんばかり食べているわけじゃないので、そういう意味でいけば、四十七都道府県、きちんと検証しなきゃいけないと思っているんです。

 例えば、直接支払いの十アール当たり一万五千円というのが七千五百円になるとします。秋田県は、今一年間で百億、直接支払いをもらっています。そうすると、五十億落ちるわけです。その上、当然、飼料米とか米粉用に変わるから、五十億じゃないわけです。そうなると、五十億落ちるということは、小さな県にとっては物すごい状態ですし、それから、農家にとっては所得が落ちることは目に見えています。

 だから、四十七都道府県、当然検証して、予算もあるわけですから、直接支払いで千七百億のどのぐらいになっていて、どのぐらいに落ちちゃうのか。県の平均もとって、農家の方々、農業団体にもきちんと説明しないと、不安は拭い去れないと思うんです。

 新しい転換をするときに、大きな全国レベルだけの指標を出して、それで農業政策はしっかりやるんだということでは、やはりこれはだめだと思うんです。前から言っているように、四十七都道府県、北海道から九州、沖縄まで、つくっているものが違います。つくっているものが違うのに、全国平均で一つだけ出して、一三%アップだなんというのでは、とてもこの政策がどうなるか不安になるのが当然だと思います。

 私は、自民党の部会で何でそんな不満が出なかったのか、不思議なぐらいです。全く出ないで了承されたというと、何か農業というのは国で全部同じものができると思っているんじゃないか。全部違うんです。だから、それをしっかりと出していただいて、それぞれの県に、農林省なのか、それともそれぞれの地域の団体と一緒になのか、いろいろな説明をしながら農業の大転換はしていかなきゃいけない、こういうふうに思っています。

 特に取りまとめのところで小里政務官がしょっちゅう出られているようでしたので、小里政務官、その点はどう思っていらっしゃいますでしょうか。

小里大臣政務官 今、全国画一ではない、それぞれの地域に応じた試算も必要なんじゃないか、施策も必要なんじゃないかという御指摘でございます。

 私どもの党、また政府内で検討する際には、それぞれの地区別に、北海道、東北、関東、北陸、東海、中国、北九州、南九州と、それぞれの地域に応じた試算を行っておるところでございます。

 主食用米が飼料用米等に転換された場合にも、しっかりとそれ以上に所得が確保される仕組みにしております。そこはしっかりと基本に置いて、今回の試算もなされたわけであります。主食用米が飼料用米に転換される時点で所得がふえる仕組みになる。さらに加えて、多面的機能払い等もございます。

 また、この試算に含まれていない多収性品種に取り組む事例については、さらに反当たり一万二千円を加算するという措置もございます。また、先ほどから話にありますように、わらも出せば、耕畜連携で、反当たり一万三千円がさらに加算をされる。そういったところは試算に含まれていないわけであります。

 こういったところが米そのものにかかわる政策でありますが、もちろん、水田政策というものは、土地利用型の典型的な農業でございます。そこには、先ほどから議論のある中間管理機構を中心とする農地集積を画期的に図っていくわけであります。さらに申し上げれば、六次産業化、あるいは鳥獣被害対策とか、輸出促進であったり、農業技術の開発であったり、さまざまな総合的な政策をまさに総動員していくことで地域と担い手の所得を倍増させる、そういう考え方に立っておるところでございます。

 今後とも、先生方のお知恵をいただきながら、しっかりと現場に対策を届けて目的を達成してまいりたいと思います。

村岡委員 ぜひ、この農水委員会にも、四十七都道府県どうなっているのか、ただ、現場の方は、まだその計算方法がどういうふうになるのかというのはしっかり知っていないのが現状ですので、そこのところはよろしくお願いしたい、こう思っております。

 そして、これは農業政策じゃないんですが、現場で実際にある農家の所得にかかわってくることなんです。

 米政策またはいろいろな畜産政策、それぞれ補助金を持って、日本の食料をしっかり安心、安全で守るということはいいです。

 一方、現実の農家は、例えば、カントリーエレベーター、トラクターや機械、それから土地改良の問題、こういう中で、特殊なものなんでしょうけれども、コストが高過ぎる。

 例えばカントリーエレベーターも、本当にそんな値段がかかるのかなという疑問があるんです。そして、トラクターやいろいろなものも、年に何日かしか使わないのに、五年ぐらいたつとみんな壊れちゃうんです。それが何百万として、農家の人たちなんというのは、もうベンツ一台なんかすぐ買えるぐらいお金を借りて、いろいろな機械につぎ込んでいます。

 それから、土地改良なんかでよく言われるのが、例えば、用水路であったりいろいろなことをつくっていくときに、これは、地元の建設会社というのは、農家の人たちが勤めています。ところが、地元は実績がないからその仕事はできない。でも、実績がないからできないのでは、できないんですから実績ができないから、一生できない。こういう制度が本当にいいのか、用水路なんかできるんじゃないか、こう思っています。

 そういう意味では、農林省で、例えばカントリーエレベーターの問題も、新聞記事で出たときもありました。そして、トラクターやいろいろな機械の問題もあります。流通とかいろいろな問題もあります。それから、土地改良のいろいろな工事の仕事の、そういうデータをしっかりとつかんでおくことが必要だと思います。農家全体の所得を上げるということになれば、政策と農業全体が、やはり特殊な世界の中で全体の所得を上げるという体制にするためには、そこまで細かくすることによって農村社会が守られるものだ、こう思っております。

 そして、やはり六十五歳以上の人たちがたくさんいますから、当然、離農する人たちがいます。しかし、離農しても離村しないことが大切なんです。そこをどう持っていくかがこの農業の大転換だと思います。

 時間がありませんので、大臣から一言、私の今言ったことに対してもお願いいたします。

林国務大臣 所得を上げていくためには、収入を上げていく、これがまず大事であろう、こういうふうに思いますが、一方で、やはりコストを下げる。

 今まさに御指摘いただいたような、農家から見ればコストになるところをどうやって引き下げていくのか。今回も、集積をしていくことによってコストを引き下げていく。例えば、餌米を導入することによって収穫の時期が主食用米とずれることによって、機械の効率的な使い方ということができるようになる。いろいろなことを考えてコストの引き下げをやってまいらなければなりませんし、そもそも、一戸一戸の農家で交渉するよりも、協同組合という形式で交渉することによってコストダウンを図っていこうというのが農協本来の大きな仕事の一つであろう、こういうふうにも思っておりますので、そういうことと相まって、コストを下げ、収入をいろいろな施策で上げていくことによって所得をふやしていく、この方向でしっかりと進めてまいりたいと思っておるところでございます。

村岡委員 時間も来ましたのでこれで終わりますけれども、ぜひともコストというのを、今までなかなか農業を経営という感覚でやってきていないので、その政策と二つ、コストを下げる部分と、ぜひ御指導していただきながら、農業の転換を果たしてほしいと思っております。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 一部で大変お騒がせをいたしております林宙紀、みんなの党でございます。

 きょうは、党の政策にしっかりと沿った質問をさせていただきたいと思います。

 まず、何度もお伺いして恐縮ではあるんですが、二週間前の十一月十三日、例の通告内容についていろいろとございました。十九日の委員会で、大臣から、その後の調査状況等につきまして御報告をいただきました。

 その際に、私の方から、改めてこの御担当の方の、言いにくいですが、その後の処分等々は、引き続き、決まり次第御報告をお願いしますということにしてあったわけなんですが、ここまで、今現在その御報告はいただいておりません。

 今、どのような状況なのか、改めてお伺いします。

林国務大臣 前回、十一月十九日だったと思いますが、林委員の御質問に対して、省内のルールに照らして適切に対処すべく、現在検討を進めております、こういうふうに申し上げまして、まだ、同種の事案について処分例等も精査をしておりますので、もう少しこの処分の確定に時間がかかる、こういうふうに考えておりまして、大変恐縮ですが、もう少しお待ちをいただければというふうに思っております。

林(宙)委員 それでは、お待ちする以外に私には手がないと思いますので、お待ちします。

 考えてみれば、この事案が発生したのが、先ほど申し上げたとおり、二週間前である。実は、その二日後、十三日の二日後ですから十五日は、御担当の局長さんから御丁寧にまずは一回目の説明をいただきました、それは大変誠意ある対応だったなと思っているんですが。

 こういった案件に対して、発生から二週間、そして御説明をいただいてから一週間以上たっているという中で、いまだに結論が出ないというのは、非常に慎重な対応をされているんじゃないのかなと。そこはそれで構いませんが、やはり御迅速に対応いただくというのが、それはまた一つの、別の意味での誠意の見せ方であるのではないかなと私は思っていますので、なるべく早く御結論を得ていただけますように、これはお願いをいたしたいと思います。

 蛇足ですけれども、やはり、お沙汰をお待ちであるこの御担当の方も日々日々大変不安なんじゃないかなと思います。私も今処分待ちという身分でございますので、そのあたりは、ある意味で共感できるところがありますから、ぜひ、その点は早目に対応していただきたいなというふうに思います。

 ということで、この法案の質疑に入らせていただきたいと思います。

 ここまで我が党からもいろいろと質問させていただいておりますけれども、きょうは、最後のその法案についての質疑ということになりますので、できる限りこの法案について、細かいところも含めていろいろお話をさせていただきたいなというふうに思います。

 まず、きょうの質疑通告の内容なんですが、実は、前回用意した内容を引き継いでいる部分が前半部分にかなりありまして、事務方の皆さんを混乱させないように、それを順番としては前の方に入れました。後半に新しくきょう追加した質問というのを並べたわけなんですが、質問の性質上、前の部分と後ろの部分で関連するものなどがあるので、ちょっと順番を行ったり来たりで御質問させていただきますが、その点は御容赦ください。その都度、質問通告の番号はしっかりと申し上げたいと思います。

 ということで、これは最初の二番の方から行きますが、まず農地中間管理機構、今回の機構について、その業務なんですけれども、大変さまざまであるなというのはもう御承知のとおりです。借り受けから始まりまして、では、それを今度は誰に貸すのかというところもございますし、農地の条件を整備すること、あるいは、現在遊休農地になっている、耕作放棄地になっている、そこへの対策はどのようにしましょうか、非常に多岐にわたるさまざまな業務を行うとされています。

 そう考えると、結構な人手が要るんじゃないかなと思うんですが、今ある農地保有合理化法人の方からも、多分、各県平均して、大体五人ぐらいはそちらの方の業務をやっていただくようになるんじゃないかなと事前の説明ではいただいておったと思います。一方で、業務の一部を例えば市町村あるいは市町村の公社、農業委員会とかJAさん、そういったところにも委託されるというふうに、ここまでのお話でしっかりと伺っております。

 まず大体、平均的にいってということでこれは構いませんが、一つの県当たり、全体でどのぐらいの人員がこの機構の業務にかかわるのかというのを教えていただきたいと思います。

奥原政府参考人 夏の予算要求に盛り込んだ数字で御説明をさせていただきます。

 この機構の業務体制でございますが、市町村等にどれだけ業務委託をするかによって体制は変わってまいりますけれども、機構自体が仮に業務を全体やるというふうに仮定した場合の体制で申し上げますと、この予算要求の積算に盛り込んでおりますのは、三市町村ごとに一人の担当者を置いてやるというイメージで考えておりまして、一県当たり十人程度の体制を想定した予算要求をしております。

 ただ、その後、政府内でもいろいろな御議論がございましたし、この国会でもいろいろな御議論をいただいておりますので、それを含めまして、財政当局とさらに調整をしていきたいと思っております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 我が党は、常々申し上げているとおり、できるだけ国費あるいは公費といったものを投入せずに済むならその方がいいですよという基本原則がありますので、当然、人員についても、少なくできる部分は少なくやっていただいた方がいいと思うんですが、これだけ大きな業務ですから、その業務の効率性という意味では、それなりにしっかりとした目算のもとに、計算のもとに人員配置をしていっていただきたいですし、また機構が、恐らく発足することになるんでしょうけれども、発足した後にも見直しをかけながら、ぜひやっていただきたいなというふうには思います。

 次の質問なんですが、これはもしかしたら前回お聞きになっていた方がいらっしゃったかもしれないんですけれども、改めてお伺いをしたいと思います。

 今、人員がどのぐらい必要かとお伺いしましたので、そもそも、今回概算要求で出していただいている金額の中で、人件費というのがどのぐらい含まれているのか。そして、その人件費については、全て国費なのか、あるいは、一部都道府県の方にも御負担をというようなお話が出ていたと思いますので、そのあたりの内容について教えていただきたいです。

奥原政府参考人 これも夏の概算要求の時点でございますけれども、この農地中間管理機構の事業といたしまして六百五十五億円、これを前提で要求をさせていただいております。この中に、この一部といたしまして事業の推進費というのがございまして、これは六十三億円計上しております。人件費もこの中に含まれているということでございます。

 地方負担との関係でございますが、夏の要求の段階では、一〇〇%国費ということで予算要求はしておりますけれども、その後の政府内での議論も含めまして、現在は、ある程度の地方負担も想定しながら、財政当局との調整を進めているところでございます。できるだけこのスキームがうまく動かないといけませんので、地方として負担できる、その範囲にとどめるような方向で調整を進めているところでございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 そうしますと、今、人件費についてお伺いしたので、関連して、機構の話じゃないんですが、この機構の前にというか、今もありますが、農地保有合理化促進事業強化基金というものがございます。これは、この運用益でもって、その合理化法人の職員さんのいろいろな手当等々に充てる費用に活用するということだったと思うんですが、いただいた資料だと、ことしの十月末の時点で基金に大体百七億円ほど合計で残っております。国庫と都道府県補助金相当額で大体半分ぐらいずつ持たれているということなんです。

 ちょっと、これを改めてお伺いしたいんですけれども、何のためにこの百億円を積んでいたのかというのを改めて御答弁いただきたいのと、御説明には恐らく人件費等と、等というのが出てきますので、この等というのは何なんでしょうかということ、さらに、運用益ということなので、恐らくその利子率とかあるいは運用するときの利益還元率というのがあると思うんですが、それが何%で、毎年大体どのぐらい金額として発生しているのかというのを確認させていただきたいと思います。

奥原政府参考人 御指摘いただきましたのは、農地保有合理化促進事業強化基金というものでございます。この基金は、その運用益を、農地保有合理化法人の人件費、それから備品の購入費、これはコピー機とかファクス等でございます、それから事務所の賃借料、これに活用することを目的といたしまして、昭和四十八年度から平成七年度にかけて四十七都道府県の農地保有合理化法人に国と都道府県が基金造成をしたものでございます。

 基金の残高は、平成二十五年十月末時点で百七億円でございまして、このうち五十三億円が国庫補助金相当額でございます。

 基金の運用利子につきましては、平成二十四年度四月一日時点の基金総額、これが百二十九億円でございますが、これに対しまして、平成二十四年度において一億三千七百万円、利子が生じております。年利にいたしますと一・〇七%ということになります。

 なお、この国庫補助金分につきましては、平成十五年から国庫への返納を開始しておりまして、平成二十六年の三月までに全額返納される予定でございます。

林(宙)委員 細かい説明をいただきました。

 百億円、今はありますよということですが、しかしながら、今御答弁にもございましたように、来年三月までには全額国庫へ返納がなされるということで、またそこで有効に活用していただきたいなと。百億という金額でございますから、国庫、国の予算というところでいくと、よく見る数字だなというのは思います。ただ、やはり百億というのを普通に考えれば、これは非常に大きな額であるということは変わりませんので、また無駄になることのないように、またというのはちょっと語弊がありますが、無駄にならないように、ぜひ有効に活用をしていただきたいなというふうに思います。

 次の質問から、ちょっと六番は後で関係する質問なので飛ばします。七、八も後ほどお伺いします。先に九番の質問に行かせていただきますが、これは大変ピンポイントな質問です。

 今回の中間管理機構の法案の中で、結構隅々の方まで読ませていただくと、なかなかこれは何なんだろうなというものがあったりしまして、それも今までの答弁の中でいろいろ御説明いただきましたのですが、もう一つ、ちょっと御説明をいただきたいものがあります。

 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法の一部改正というものが盛り込まれております。ここでは、非常にざっくりとした言い方になってしまいますが、農業法人投資育成事業という事業がございます。その実施主体に投資事業有限責任組合というものを加えるなどの改正が今回行われるわけなんですが、こういった見直しについては、今後この中間管理機構をやっていくに当たって、もちろんプラスの効果になるわけですが、どのような効果があると見込まれているのかという御説明をお願いします。

奥原政府参考人 日本再興戦略の中におきまして、今後十年間で農業法人の経営体数を今の四倍の約五万法人にするという目標を掲げております。この法人は、この中間管理機構にとっても、その貸付先、要するに受け手ということになるわけでございますので、こういった法人の数をふやすということを考えているわけでございます。農業法人が、規模の拡大や経営の多角化など、成長に向けたさまざまな取り組みを行う上で必要な資金を円滑に調達できるようにしていくということも、この法人の数をふやす上で必要なことというふうに考えております。

 最近の状況を見てみますと、いわゆるA―FIVE、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法、これができまして、これのもとにサブファンドが幾つかできておりますけれども、これは多くは投資事業有限責任組合の形でできております。特に地方銀行等が中心となってこの組合をつくって、いろいろな六次化の事業主体に投資をするということもやっておりますが、こういったファンドがやはり農業法人についてもうまく金を流せたらいい、そういうふうにお考えになっているところもあるというふうに承知をしております。

 そういう意味では、資金についての需要側の法人と供給する方の投資事業有限責任組合、こういったものをうまく結びつけて農業法人の経営発展につなげていくということは非常に有効だと思っておりますし、これが中間管理機構の受け手の維持拡大にもつながるというふうに思っております。

 従来の農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法では、事業の実施主体としては株式会社に限定をしておりました。先ほどの投資組合、これを事業主体として追加するという改正を今回やっておりますし、それから、投資の主体が大臣の計画承認を受けるということになりますけれども、承認を受ければ、農業生産法人の議決権の二分の一未満のところまで出資ができる、こういうことになってまいります。

 こういったスキームを使いまして、法人の数をふやし、経営体としての質を高めることによって、中間管理機構からの受け手をさらに充実させていきたい、こういうふうに考えております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、今後農業に経営の視点を入れていくということになると、必ず資金調達はどうするんだというのはつきまとってくる問題なんですね。その意味では、投資に関するオプションというのがふえてきたというのは、これは一つ喜ばしいことなのかなというふうに思います。ただ、その形については、実際にやっていく中でいろいろと修正等々をしていかなければいけないところも出てくるでしょうから、これはしっかりと我が党としても見せていただきたいなというふうに考えています。

 ここで一旦、先ほど飛ばしました六番の方に戻らせていただきます。

 そうしますと、先日、前回の委員会で、実は私の住んでいた家ももともとは水田だったところですよ、水田に囲まれたような家だったんですが、時を経るに従って水田がなくなっていって、家がどんどん建ってですねなんという身の上話のようなことをさせていただいたわけなんです。

 あの話をしたときに少し思ったんですが、今回、宅地整備とは全く違う観点になるんですけれども、農地を集約していく、あるいは圃場整備していくというときに、その農地をより使いやすいように整備する必要があるところについてはどんどんやっていきましょうということなんだなと思うんです。

 整備の仕方はいろいろあると思いますが、その中で、簡易な整備と言われているもの、簡易な整備、そんなに手がかからないですよという意味なのかなと思っています。

 例えばどんなのがありますかと言ったら、要はあぜ道、田んぼと田んぼの間のあぜ道、これを取り払うことなんかがそういったものに当たるんですというお話だったのです。では、例えばあぜ道を一本取り払うのに通常はどのぐらいの費用がかかるものなのかなというところを疑問に思ったわけです。ただ、一本当たりという計算はできないということでしたので、そのあたりは、水田が全体でどのぐらいあって、その中にあぜ道が何本あって、それを一つにまとめようとするとということだったので、多分、面積当たりどのぐらいの平均的な費用になるのかという話になるんじゃないかなと思います。

 ということで、至極簡単な、平均的な例で結構ですので、簡易な整備という中で、畦畔、あぜを除去するために平均的にはどのぐらいの費用がかかるのかというのをぜひ教えていただけないでしょうか。

實重政府参考人 畦畔除去等の簡易な農地整備についてお答えいたします。

 農地を畦畔除去等によりまして大区画化をしますと、農業の生産性が高まります。特に、担い手への農地集積を大幅に進捗させることが可能でありますので、平たんな農地であれば、畦畔を除去いたしましたり、それから簡易な暗渠排水を行ったりするといった程度の整備によりまして大区画化を実現することは可能だと思っております。

 こうした簡易な農地整備の費用については、勾配などの地形条件にも左右されます。また、両隣の農地の表土の切り盛りですとかあるいは整地、こういったようなことも行う場合があります。これらを含めまして、十アール当たりおおむね二十万円前後を要するものと承知しております。ただ、これはあくまでもこういった条件によって大変違ってまいりますので、条件によっては、もっと低額で対応することも可能だと思っております。

 現在、農林水産省の補助事業の中では、こういう畦畔除去などの簡易な基盤整備につきましては、定額助成を行っているものもございまして、農業者の自主施工、自力施工というような形で対応しているところがあるわけでございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 ケースはさまざまで、そもそも平均的にどのぐらいかかるんでしょうかというふうにお聞きすること自体が、なかなかお答えが難しいんじゃないかなと思う中で、あえて計算をしていただいて大変ありがたいなと思います。

 そうすると、通告の番号としては十番に一回また飛びますけれども、要は、機構がこれから整備を行っていく上でどのぐらいの費用がかかるのかなというところが、結構私たちとしても重要な内容なんじゃないかと思っています。もちろん、後ほど借り手の方、農地を借りている方からある程度回収する、償還するめどもあるんだよというお話は今まであったと思いますが、それにしても、初期投資というか、機構の方でどのぐらい見込んでいるのかなというのは改めて伺いたいと思うんです。

 まず、今後、今担い手が農地の五割を担っている、それを八割にしていきます、十年間でというお話だったと思います。今は平均費用ということで大体十アール当たり二十万円ですよ、そのぐらいですよというお話だったので、ちょっとこれで簡単にどのぐらいのものなのかなと計算してみました。あくまで仮定の仮定で計算していますので本当に大ざっぱな計算なんですけれども、そうすると、結構いろいろなことを覚えるなと思って、結構これはこれで楽しかったんです。

 担い手が農地を五割から八割カバーするということですと、平成二十二年だと大体農地の面積が全体で四百六十万ヘクタールほどあるそうで、それから三年たっていますので、ここまで減少傾向だったことを考えると、ちょっとだけ減らして四百五十万ヘクタールと仮定しました。その八割ということは三百六十万ヘクタール、この三百六十万ヘクタールが担い手が目指す八割ということに現時点ではなかろうかなと思います。

 そうすると、では、今現在担い手の皆さんが担っている面積というのはどのぐらいなんでしょうかということなんですけれども、これも平成二十二年のデータからちょっとふやしてみたら、大ざっぱに二百五十万ぐらいだと考えるといいのかなと思いました。

 そうすると、今八割の面積と言われる、言われるというか計算した三百六十万から、今現在担い手が持っている面積ということで二百五十万を引きますと百十万ヘクタール、非常にきれいな数字ですね。いろいろ計算上面倒なところがあるので、百万ヘクタールと考えましょうということにします。

 そうすると、今後十年間であと百万ヘクタールふやさないと目指すところの八割には達さないんだなというふうに考えると、先ほど十アールで二十万円ほど簡易な整備ではかかるとおっしゃいました。そうすると、一ヘクタールでは、十倍ということなので、二百万円ということですよね。それに百万ヘクタール分を掛けてみるとどうなるかというと、二兆円なんですね。二万のさらに万、万といきますので、これは二兆円になるんですよ。

 もちろん、先ほどの平均費用自体が本当にあくまでも仮定の仮定でという計算をされていると思いますので、では、試しに半分にしたらどうなるかといえば一兆円です。それでも結構な額がかかるのかなと私は予想しました。

 さらに大事なのは、今、簡易な整備というところで考えたらという条件づけをしていますので、ほかにももっと大がかりな整備等が必要になる場面もあるでしょうと考えると、半分の半分で考えても十年間で五千億円ぐらいかかるのかなんという勝手な空想を私はしているわけなんですけれども、そうすると、本当にそれが今後借り手によって償還するというのが実現していけるのかなと若干の疑念を持ったりするわけです。

 ということで、機構が行っていく上での整備費というのが大体今の時点でどのぐらいになりそうかなという見通しがあれば、教えていただきたいと思います。

奥原政府参考人 今、百万ヘクタールというお話がございましたけれども、我々の試算では、担い手が利用する面積が五割から八割にするために、大体百四十万ヘクタールぐらいは動かさなければいけないというふうに考えております。

 ですが、これは機構が全てをやるかどうかが一つはございますけれども、機構が扱ったとしても、その全てについて基盤整備の事業をやるわけではございません。農地の出し手の方から預かってまとまった状態で、要するに、面的にまとまった形にして受け手に貸せば、もうそれだけで集約化の効果はかなりありますので、全てで事業をやるわけではございません。

 それから、事業をやる場合に、ここの機構の方の予算で計上いたしますのは、いろいろな補助金や何かの制度を使いますので、そのときに所有者等の負担分として残る部分、いろいろな補助金がございますけれども、通常、一割から二割ぐらいが所有者の負担分になっておりますが、その分を機構が肩がわりしてまず払うという話を申し上げております。

 したがいまして、それほどの、二兆円のような金額が機構のところに必要になるわけではございません。

 ちなみに、二十六年度の概算要求の中に盛り込んでいるこの事業の所有者の負担分の経費としては大体六十億円、この経費が夏段階では盛り込まれている、こういう状況でございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 こういった形でしっかりと数字的なところで根拠を示していただけると、大変私たちとしても納得がしやすいというか、変な疑念を持たずにいられるなというところなので、ぜひ今後も、この法案に限らず、いろいろなところで、予算が関連してくるところでは、そういった定量的な根拠というのを教えていただけるといいんじゃないのかなというふうに思いました。

 ただ、全部を機構が担うわけではない、それはまさしくそのとおりで、だからこそ、私もあくまで仮定だと申し上げましたが、それにしても、四分の一にしても五千億円ぐらいなのかなというところは、やはりどうしても可能性としてはそのぐらいかかってくるんじゃないのかなということを考えざるを得ないというところだけはぜひ御認識をいただきたいなと思います。

 かからないと最初に言っておいて、後で、実際かかっちゃいましたということでは、また大変なことになりますので、ある程度そのあたりの計算はしっかりと見ておいていただきたいなというふうに思っております。

 そうしますと、前回もちょっと申し上げましたが、将来的に農地の姿というのをどのように考えるんでしょうかというお話もさせていただきまして、そのときに、例えば耕地面積というのがどのぐらいあってとかというお話も聞かせていただいたと思います。

 きょうは、今後、規模を拡大していくという方針、これは当の私たちとしても大賛成ではあるんですが、いろいろな識者の方の御意見なんかを見ていると、大体二十ヘクタールぐらいが何か一つのめど、一区画と言ったら変ですけれども、担うという、実際の作業をするという意味では、この二十ヘクタールというのが一つの目安なんじゃないかなんという意見も結構見られるんですね。

 先日、参考人の方にいろいろといただいた意見の中で、例えば、余り大型化し過ぎてもコストが下がるとは限らない、それは、大体二十ヘクタールぐらいを超えてくると、新たな設備投資がまた必要になったりしてですねというような趣旨のお答えもあったんですね。

 先ほど村岡委員のお話に出てきた大潟村でも、私も現地でお伺いしましたが、やはり二十ヘクタール弱ぐらい、大体十七ヘクタールぐらいで追加投資が必要になるのでということで、コストがこのぐらいになるんですというお話は伺ったわけなんです。

 農水省としては、そういう意味で、規模拡大で目指していくときのその面積について、どういったところを目安にしているのか、何らかの目安となる数字を置いてこれからやっていくんでしょうかというところを、その基準があれば、ぜひ教えていただきたいです。

奥原政府参考人 ただいま先生から御指摘があったとおりなんですけれども、二十ヘクタールとか十五ヘクタールとか言われておりますのは、ワンセットの機械化体系で処理できる面積が大体そのぐらいが上限というふうに我々は承知をしております。それ以上の面積になった場合には、もう一そろい機械をそろえる必要がございますので、とりあえずはコストが上がってくる、こういうことにもなるわけでございます。

 ですが、これはあくまでもワンセットの機械化体系の作業能力の限界を示すものでございまして、経営の規模とはまた一つ違うものだというふうに思っております。

 例えば、法人経営とかそういうところが機械を何そろいもそろえて、人手もちゃんとそろえてやれば、これは百ヘクタールでも二百ヘクタールでもやることができますし、現実に、法人経営でそのぐらいの規模をやっているところも全国にはございます。

 そういう意味では、経営の規模の大きさについて特段の数値目標を我々は持っているわけではございませんし、今回、担い手の農地の利用面積を五割から八割に上げるということを言っておりますが、そのときに、個々の経営体の規模としてどのくらいということは特に掲げておりません。

林(宙)委員 先日の参考人の方々の中の意見でというふうに今触れましたので、もう一つ触れさせていただきたいんですが、興味深かったのは、どのぐらい離れていたら分散錯圃と言うのかが結構鍵なんですよというお話があったんですよね。お話の中では、今の時代の農業用の自動車、例えばトラクターとか、そういったものは、走ると、結構ハイスピードで速いんだとか、一日でやれる範囲というのがある程度まとまっていれば、一日ごとに場所を変わるのは大してそんな苦労ではないんですというお話がありました。

 そうしますと、この分散錯圃というのは、よくその解消だということで今回の法案では結構御答弁に出てくるんですが、その定義、どのぐらい離れていたらとか、あるいは、むしろまとまっていなければ全て分散錯圃と言ってしまうのか、そのあたりについて、今、基準があればぜひ教えていただきたいと思います。

奥原政府参考人 農地の集約化ということを随分申し上げておりますが、これは逆に言いますと、分散錯圃の解消、こういうことになります。この集約化というのは、要するに、狙っておりますのは、農作業を連続的に支障なく行うことによって作業効率を向上させる、それによってコストを下げる、こういうことだというふうに考えております。

 この農作業を連続的に支障なく行える状況というものがどういうものかということでございますが、これまで農林省でやってまいりました規模拡大のときの補助金、これは受け手の補助金でございますけれども、これのときの基準といたしましては、例えば一枚の大きな圃場になっている、これはもう典型的に集約化されているということでございますが、それ以外には、例えば農地が畦畔を挟んで連続している、これも連担化した、要するに集約化された状態というふうにこの補助金の中では考えております。それから、農地が農道または水路等を挟んで接続をしている、こういったような状況も集約されている状況というふうにこれまで捉えて補助金等の執行はやってきたところでございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 その分散錯圃についてもう一つお伺いしますが、これまで恐らく委員会の中で二回ほどお伺いしたことがあって、要は、一方で生産調整の見直しなどの大きな議論がなされていて、この農地中間管理機構もまた非常に大きな話である、なぜこちらを先にやるんですかという質問の中で、それに対する御答弁の中で、やはり分散錯圃の解消というのを強調されておられたなというのは確かにそのとおりなんです。

 それで、ちょっとお伺いしたいのは、事前にいろいろとレクチャーをいただいたときにおもしろいなと思ったのが、今回、都道府県に一個ずつ機構ができますよということなんですけれども、要は、ある意味、競争意識みたいなものをつけるために、まだ決まっていないんですけれどもというベースで、何か都道府県の機構ランキングみたいなものを出すというお話が以前あったんですよ。

 今も継続しているのかどうかわかりませんが、何かそういうことをやって、できるだけ耕作放棄地ですとか分散しているものをしっかり集約していくという意識づけをやっていきましょう、動機づけ、モチベーションを高めていきましょうというようなことも考えているんですなんというお話があったんですが、そうすると、では、そのランキングをつけるならつけるでそれはそれで結構なことだと思いますが、何で比べるんですかという話になるんですよ。

 要は、先ほども申し上げていますけれども、定量化する、非常に定性的なものを定量化する、数字で見やすくするなどの明確な基準がないと、こんなランキングなんてつけられないはずで、そういう意味では、分散錯圃が喫緊の課題、最大の目的というようなところでおっしゃっているわけですから、例えば、どのぐらい集約が進んだらそれは何点ですとか、何かそんなふうに評価するシステムなんて今考えているんでしょうか。

 逆に言うと、何年ごとに評価していきましょうというのがあると思うんですけれども、その評価をするときに、ある程度明確な基準がないと目標設定もできないでしょうし、正しい評価もできないと思うんです。それについて、今の段階ではどのようにお考えか、局長、お願いします。

奥原政府参考人 農地の集積とそれから集約化、これはちょっと捉え方がなかなか違って難しい問題だと思います。

 集積の方ですと、一経営体当たりどのくらいの規模をやっているかということで、数字は統一的にとることができますけれども、集約化の方はなかなか難しくて、先ほど定性的な分散錯圃でない状態というのはどういう状態か申し上げましたけれども、これを一つ一つ数値で捉えてやるというのは、実はなかなか難しいことでございます。

 したがいまして、これまでサンプル的に調べたことはございますけれども、統計的に集約化がどのくらい進んでいるか、一定の指標をとって調査したということは実はございません。

 ですが、今回、農地中間管理機構がつくられます。この機構は、農地の所有者の方から借りて、できるだけまとまった形で貸す、要するに、機構を経由する形で集約化をまさにやっていくわけですので、この作業を進める過程で、どういう指標をとってやっていくか、我々も精査をしたいと思っておりますし、それで一定の基準をつくって、各県の機構の取り組み状況がどこまで進んでいるか、これを評価できるようなことを考えていきたいというふうに思っております。

林(宙)委員 ということは、今の御答弁によりますと、そういった基準、今は明確にはありませんけれども、これからしっかりと練ってつくっていくお考えであるということは理解させていただきました。

 そういったところは、これに限らず、ぜひいろいろなところで考えていっていただきたいんですね。今後は農業にも経営という考え方を入れていただくんだということであれば、必ずそれに対して、費用対効果というものをしっかりはからなければいけませんし、そのときにどこを目指すのかという目標設定も大事ですし、そういうものをしっかりとできる、本当に客観的な指標というのをぜひお考えいただきたいなというふうにお願いをします。

 そして、次は十四番なんですけれども、ここが、最初に飛ばした、七番で通告した番号と関連していますので、ちょっと七番の方から簡単にお答えいただければと思うんです。

 今回、政府全体で国家戦略特区というものを議論されていたと思います。その中で、農林水産の分野でいえば、企業、株式会社の農地所有というものに関しては先送り、今回の議論からはちょっと外しましょうということになったと思うんですけれども、そもそも、やはり日本の農地は借りるときに比べれば高いという前提がありますので、だからこそ、中間管理機構のスキームというのは、要は、貸し借りによる農地の再配分ということになっていると思います。

 ということは、簡単にお答えいただいて結構なんですが、要は、現実的に、買う人というのはそんなにいないよということでよろしいんでしょうか。

林国務大臣 二十一年に農地法を改正しまして、リース方式でかなり企業が入ってきているという状況がありまして、所有方式は、先ほどちょっと北海道の土地の値段をどなたかがおっしゃっておられましたが、都府県の方の農地価格は収益価格の四倍程度、通常賃料の二十五年分を収益価格としますと四倍になっているということで、経営上のメリットがないのではないかということでございます。バランスシートに買ったものが載っかってしまうということは、経営上、余りメリットにならないという声が経営者の方からも出ておる、こういうことでございます。

 一方、農業界の方も、撤退した後、産廃置き場になるというような不安の声があって、実際、そういう例もあった、こういうふうに聞いておりますので、やはりリース方式を中心にやっていこうというのが今の考え方でございます。

林(宙)委員 現実的にはそうなんだろうなと私も思いますので、そこに異論が特にあるわけではございません。

 ただ、たまたまなんですけれども、これは二十六日、きのうの日経新聞におもしろい記事がありました。これはあくまで多くあるうちの一つの例だということだと思いますから、全体の議論にという意味ではちょっと適切ではないのかもしれませんが、こういう考え方をするのも一興なのかなと思ったので、ちょっとこの記事の内容を御紹介します。要は、ずっと農家をやってきたおうちがあって、資金調達力が今後は必要だということで、株式会社化したということなんです、自分で。自分で株式会社化をした。ジャスダックにも上場して、年間売り上げは今や三十五億円なんだそうです。私が直接お会いした方じゃないので、あくまで記事によるとということなんです。ところが、システム上というか法制上は、株式会社になってしまったから、今後、農地を買っていこうとしても、単純には買えない状態になっているということなんですね。

 この方たちが何をやるかというと、もちろん借りるということも一つなんですが、まず最初に、地目変更するということで、最初に、その買いたい農地の上にコンクリートを打つのだそうです。打った上で、もうそれは農地ではない、だから買いましょうといって買って、さらにもう一回農地に戻して、農地として使うということなんですね。

 要は、必要ない、無駄な投資をしなければいけないんだよねという問題意識がこの記事によるとちょこちょこあるということなんです。これは本当かどうかわからないですよ、あくまで記事によるとですから。

 この方は、農地取得が何とかならないのかと政府に要望すると、基本的には、土地を借りればいいじゃないですかというお答えの一点張りだ、こう書いてあります。

 もちろん、このケースが全体のどのぐらいかというのは、私も調べたわけではないのでわかりませんが、こういう、もともと農家で、それを株式会社にして、これは自由だと思うんですけれども、農業をあくまでしっかりやりますよということが、基本的には、誰が見てもそうだよねというような株式会社だった場合、もちろん、資金を提供してくれる方は、農家じゃない人が株式という形でお金を出していると思いますので、その意味ではもちろんリスクというのは残るのかもしれませんが、そこにもちゃんと、ゾーニング規制でも何でもいいんですけれども、そういった規制をかけるということにして、そういう方々に対しても、絶対に農地は買えませんという状況を続けていくのが今後いいかどうか。

 特に、これから大規模化していこうというときには、場合によっては、さっき整備費の話をしましたけれども、こういう人たちは、こんな無駄な投資をするぐらいだったら、自分たちで自己投資してその農地を、買えるんだったらという話ですけれども、買った上で投資して整備していきたいという人も多分いるんだと思うんです。そうすると、国がわざわざ国費を出して整備しなくてもいいじゃないですかという話にもなってくるわけですよ。

 これは、一番最初の質問のときにそういう話をさせてもらいましたが、要は、こういうことを今後可能性としても認めていった方がいいんじゃないかなと私は思うんですが、そうすると、ちょっと農地法をどうするのという、今回の法案とはまたちょっと、それを超えてくるところもあるのです。

 今回の法案でいうと、基本的に貸し借りが中心ですので、必ずしも売買ができないというわけではないということですが、基本的には貸借中心でやりますよという御答弁をずっと聞いていますので、今後、こういうケースが出てきたときに何らかの対応をするお考えはあるのかどうかというのをぜひ最後に聞かせていただきたいなと思います。

奥原政府参考人 株式会社になったことによって、農地の所有ができなくなるということではございません。農地法上は農業生産法人という概念がございまして、この要件を満たしているところであれば、農地の所有ができます。株式会社であっても、農業者が過半の出資をしているというようなことであれば、その要件を満たすことになりますので、その場合には農地の所有をすることはできるということになります。

 それから、今回の法案でも、農地中間管理事業の推進に関する法律の方では農地のリースのことで書いてございますけれども、一方で、一部改正を束ねております法律の中で農業経営基盤強化促進法を改正しておりまして、この中で、農地中間管理機構は、特例業務でございますが、売買もできるということになっております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、農地を株式会社が買う、買わないというところは非常に大きな議論だと思いますし、農業に関係している方々が非常にそれについては大きな懸念を抱いているというのを私はある程度理解させてきていただいているつもりですので、きょうはそれについてどうということはないんですけれども、やはり、今後、農政の大転換というのを行っていくときには、さまざまこういう問題というか、今、買えないことはないんですよというお話もありましたので、ならば、それでこういう問題が起こらないように対応していっていただければありがたいなというふうに思います。

 この中間管理機構については、きょう、この後採決があってということになると思うんですけれども、私も、その果たす役割の重要性というか、大きな役割があるだろうというところは認めつつも、実際、国費を投入する、しかもそれが結構な額だよというところの透明性というか、クリアな見通しが立たないという意味では、残念ながら、これに関しては素直に認めるわけにはいかないんだろうなというような考え方をしております。

 ただ、それは、やっていく中で、いろいろと出てきたものに対応していっていただく、その結果、それは農家の皆さんの所得ですとか生活に貢献していくんだということが目に見えてくれば、それはそれで結構なことだと思いますので、今後も、農水省の皆さん、政府の皆さんには、そういった形で、農家の皆さんあるいは農村のために、ぜひ力を尽くしていただきたいなというふうに申し上げて、私の質問は終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 この際、両案に対し、宮腰光寛君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び生活の党の五派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。玉木雄一郎君。

    ―――――――――――――

 農地中間管理事業の推進に関する法律案に対する修正案

 農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 趣旨説明をする前に、先ほど大臣とのやりとりの中で、所得が六%減るという話と、私は二・三%と申し上げたんですが、計算し直してみたら、飼料用米の面積が今の二・三から四・五にふえるんですが、私は五・五までふえると思って計算していたので間違っておりまして、その前提を変えてやったら、大臣がおっしゃった六%マイナスとぴったり一致しましたので、その点をちょっと申し添えて、趣旨説明に入りたいと思います。

 ただいま議題となりました両修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正案は、お手元に配付したとおりであります。

 まず、農地中間管理事業の推進に関する法律案に対する修正案について申し上げます。

 第一に、農業者等による協議の場の設置等について、市町村は、当該市町村内の区域における農地中間管理事業の円滑な推進と地域との調和に配慮した農業の発展を図る観点から、当該市町村内の適切と認める区域ごとに、農林水産省令で定めるところにより、当該区域における農業において中心的な役割を果たすことが見込まれる農業者、当該区域における農業の将来のあり方及びそれに向けた農地中間管理事業の利用等に関する事項について、定期的に、農業者その他の当該区域の関係者による協議の場を設け、その協議の結果を取りまとめ、公表するものとしております。市町村は、この協議に当たっては、新たに就農しようとする者を含め、幅広く農業者等の参加を求めるよう努めるものとしております。

 第二に、法律案附則の検討規定を修正し、政府は、この法律の施行後五年を目途として、農地中間管理事業及びこれに関連する事業に関し、その実施主体、これらの事業に対する国の財政措置の見直し(農地中間管理機構に対する賃料に係る助成の見直しを含む。)その他のこれらの事業のあり方全般について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとしております。また、政府は第一の農業者等による協議の結果の取りまとめの状況等を踏まえ、この協議の場に関し、そのより円滑な実施を図るための法制上の措置のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 その他所要の規定の整理を行うこととしております。

 次に、農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案については、農地中間管理事業の推進に関する法律案に対する修正に伴い、必要な技術的な修正を加えるものであります。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより両案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 初めに、内閣提出、農地中間管理事業の推進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、宮腰光寛君外六名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、宮腰光寛君外六名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 この際、ただいま議決いたしました両法案に対し、宮腰光寛君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び生活の党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    農地中間管理事業の推進に関する法律案及び農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)

  農業の生産性を高め、将来にわたって安定的な農業生産を行っていくため、担い手への農地集積と農地の集約化を一層加速化し、農業への新規参入を促進していくことが求められている。併せて、農業経営所得の安定・向上、農村の活性化とその持続的発展を図ることが重要である。

  よって政府は、両法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 農地中間管理機構が十分に機能し、農地の集積・集約化の成果をあげていくためには、地域における農業者の徹底した話合いを積み重ねていくことが必要不可欠である。

   このため、人・農地プランの作成及びその定期的見直しについては、従来以上に強力に推進すること。農地中間管理機構は人・農地プランが策定されている地域に重点を置くとともに、人・農地プランの内容を尊重して事業を行うこととすること。

   また、人・農地プランと関連する各種予算措置についても、適切に確保するとともに、人・農地プランのより円滑な実施を図るための必要な法制上の措置の在り方について遅滞なく検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

 二 農地の集積・集約化を進めるに当たっては、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も十分踏まえ、耕作者の地位の安定を図る観点から、長期にわたり耕作しない不在地主による農地所有を耕作者自らによる農地所有へと誘導するための施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

 三 農地中間管理事業の実施に当たっては、農地法に基づく権利移動、農業経営基盤強化促進法に基づく利用権設定等既存の仕組みとの連携を密にし、相互に補完する体制を整備することにより、農地の出し手・受け手双方が利用しやすく、実効ある仕組みとすること。

 四 農地中間管理機構が成果をあげていくためには、農地中間管理機構が自立的に活動できることが重要である。このため、国の効果的・効率的な財政支援を行うとともに、地方の負担は必要最小限とすること。

 五 農地中間管理機構による農地の貸付先決定ルールについては、借受希望者のニーズを踏まえて公平・適切に調整するとともに、地域農業との調和及びその健全な発展に資するものとなるようにしていくこと。

   特に、既に効率的・安定的な経営を行っている農業者の経営の発展に支障を与えないように十分留意すること。

 六 中山間地域等の条件不利地域において農地中間管理事業を実施するに当たっては、農地の受け手が不足する等平坦地との格差を考慮し、中山間地域等直接支払制度と連携するなど創意工夫を凝らした事業展開が可能となるよう措置すること。

 七 市町村は、農地中間管理機構より農用地利用配分計画の案の作成・提出等の協力を求められる等農地中間管理事業の実施に当たって重要な役割を果たすことに鑑み、いずれの市町村においても、地域の実情に即しつつ、農地の出し手・受け手のニーズに応えた事業実施が図られるよう、農地中間管理機構と市町村及び市町村相互の協力・連携体制を整備すること。

   その際、市町村は、農地の所在、所有者等の情報を把握している農業委員会の意見聴取を基本とするよう運用すること。また、法定化される農地台帳等の整備を進めるとともに、その公開ルールは他の法定台帳の取扱いルールを参考とする等個人の権利関係に留意すること。

 八 農地中間管理事業による農地の利用集積に際しては、農地の出し手と受け手の掘り起こしとマッチングが不可欠であることに鑑み、地域の農地・農業事情に精通し、こうした地道な活動に取り組むことのできる人材の確保・育成に十分な支援を行うこと。

 九 地域農業における集落営農の役割の重要性に鑑み、集落営農が農地の受け手として積極的に経営展開を図ることができるよう、法人化をはじめ、その活性化に向けた支援措置を講ずること。

 十 都道府県に一を限って指定された農地中間管理機構は、必要があるときは他の農地中間管理機構と情報の共有化等の連携を図ること。

 十一 農地中間管理機構が借り受けた農地について、所有者の変更や権利制限に係る事由が発生した場合等において、農地中間管理機構が適切な措置を講ずること。

 十二 農協及びその出資法人についても、農地流動化に関する実績・能力のあるところは、農地中間管理機構が委託することにより、機構の事業ルールに即して積極的に活用すること。

 十三 農地中間管理機構は、農地の生産性を上げていく観点から、大区画化等の利用条件の改善を適切に進めること。

   また、農地中間管理機構を介して集積・集約化された土地は農業生産のための公共財としての性格を強めるので、土地改良法等に基づく事業費の負担の在り方についても早急に検討すること。

 十四 農林水産大臣は、農地中間管理事業の実施状況について全国的な見地から評価を行うに当たっては、農地及び農業経営をめぐる多様な状況をきめ細かく分析することにより、地域の実情に応じた農地の集積・集約化の取組が助長されるよう留意すること。

   併せて、農地利用集積円滑化事業について、農地中間管理事業との適切な役割分担・相互補完が図られるよう、その実施状況について評価・検証を行い、優良な取組事例の紹介と全国展開に努めること。

 十五 アドバイザリー・グループである産業競争力会議・規制改革会議等の意見については参考とするにとどめ、現場の実態を踏まえ現場で十分機能するものとなることを第一義として、制度の運用を行うこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立多数。よって、両法案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。

林国務大臣 ただいまは、法案を可決いただきありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

坂本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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