衆議院

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第12号 平成26年4月22日(火曜日)

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平成二十六年四月二十二日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 坂本 哲志君

   理事 北村 誠吾君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 森山  裕君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      小里 泰弘君    鬼木  誠君

      加藤 寛治君    川田  隆君

      菅家 一郎君    清水 誠一君

      末吉 光徳君    鈴木 憲和君

      武井 俊輔君    武部  新君

      津島  淳君    中川 郁子君

      橋本 英教君    福山  守君

      堀井  学君    簗  和生君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      後藤  斎君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    鷲尾英一郎君

      木下 智彦君    鈴木 義弘君

      村上 政俊君    稲津  久君

      樋口 尚也君    林  宙紀君

      畑  浩治君

    …………………………………

   議員           大串 博志君

   議員           玉木雄一郎君

   農林水産大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 相川 一俊君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 後藤 真一君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            三浦  進君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     鬼木  誠君

  岩永 裕貴君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     中川 郁子君

  木下 智彦君     岩永 裕貴君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出第五〇号)

 農業者戸別所得補償法案(大串博志君外六名提出、第百八十三回国会衆法第二六号)

 農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第六号)

 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第七号)

 環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第八号)


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案並びに第百八十三回国会、大串博志君外六名提出、農業者戸別所得補償法案及び大串博志君外六名提出、農地・水等共同活動の促進に関する法律案、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案、環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君、農村振興局長三浦進君、外務省大臣官房参事官相川一俊君及び財務省大臣官房審議官後藤真一君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。ひとつよろしくお願いいたします。

 まず初めに、TPP、日米首脳会談についてでありますけれども、四月二十四日の日米首脳会談に向けて、重要五品目等の聖域を確保するとした自民党の決議及び衆参両院の農林水産委員会の決議を踏まえ、国益を最大限に実現するよう、林大臣の果たす役割は重要であると考えます。

 その御決意をお示しいただきたいと思いますとともに、TPPの日米協議で焦点となっている牛肉の関税について、日本側に、現在の三八・五%から、少なくとも九%以上とすることで折り合ったとの報道が昨日あったわけでございます。

 絶対に妥協すべきではない、このように考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 TPP交渉でございますが、日米は、引き続き厳しい交渉を続けております。

 農産品の、いわゆる重要五品目の関税率等について、現段階で、日米間で決まったものは何もないということでございます。

 したがって、種々の報道を私も承知しておりますが、何も決まっていないということをここで申し上げておきたいと思います。

 TPP交渉については、衆議院の農林水産委員会、そして参議院の農林水産委員会で決議が出されております。昨年の三月には、自民党においても同様の内容の決議が行われておりますので、衆参両院の農林水産委員会等の決議を踏まえて、国益を守り抜くよう、全力を尽くす考え、これを再度申し上げておきたいと思います。

菅家委員 ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、福島県産農産物の深刻な風評被害についてでありますが、実は吉野家ホールディングスは、昨年十月に、福島県内の地元農家と共同出資で、米などの生産を手がける農業生産法人吉野家ファーム福島を設立されまして、日本国内で米を使用し、復興支援に御協力を賜っているわけであり、本当にありがたいことだと思っているわけであります。

 しかし、香港において、福島県産の米を使用しているということが、香港吉野家を中傷する誤ったメールあるいは情報が数多く寄せられまして、香港吉野家は、従来より中国産の米を使用していたにもかかわらずに、福島産の米や食材を一切使っていませんというようなポスターを作成しまして、店舗の外から見えるようガラスや壁に張っている、このようにお聞きしているわけでございます。

 私は、何とか復興しようということで、吉野家さんが善意で支援していただいたことが、逆にこういう形であだになってしまったと非常に残念でありまして、極めて深刻な風評被害だ、このように思っているわけであります。香港の方々に正しい情報が伝わっていないというのが私は大きな問題だと思うんですね。国は、速やかに風評被害払拭への対策を講ずるべきである、このように思います。

 香港へ、福島県産の農作物は、特に米は全袋を検査しているということと、世界一安全な基準である百ベクレル・パー・キログラム以下である安全な農作物しか出荷していないことなど、福島県の農産物は世界一安全、安心であることを、科学的なモニタリングの正しい情報提供やマスコミを活用し、広く周知すべき、このように考えますが、今後の対応について、農林水産省と外務省からお答えいただきたいと思います。

小里大臣政務官 お話しのとおり、吉野家は、本来復興支援に大変熱心な企業でありますけれども、大変不幸な展開になっていると思います。

 農水省から吉野家本社の方に聴取したところによりましても、まず同社は、復興支援のために、昨年十月、吉野家ファーム福島を設立して、そこで生産された農産物を国内で使っていこう、そういう方針を発表しておるわけであります。

 この報道が内外に広く配信をされたことによりまして、香港のネット上において、香港吉野家も福島県産米を使用するので、がんになりたければ吉野家を食べろといった中傷が拡散しまして、香港吉野家の売り上げが大きく落ち込んだ、そういった経緯がございます。

 これに対して、香港吉野家は、八四%が中国資本でありますけれども、その中国資本のオーナーの独断で、福島県産米は使用していない旨のポスターを掲示したということでございます。

 これに対して、吉野家本社からは、年初にこれを確認してから、再三このポスターの撤去、表現の修正を求めてまいりましたけれども、現地の吉野家が応じていない、そういう状況でございます。

 これは大変不幸な出来事でありまして、復興に熱心な企業がとった方策があだになってしまった、非常に残念なことであって、今後またこういった企業に追随する企業があるとすれば、そういったところへも大変深刻な影響を与えかねないと認識をするところでございます。

 全ては、委員御指摘のとおり、しっかりした情報を発信していくということでありまして、また、御指摘の香港においても、食品見本市、日本紹介イベント等の機会にブースを設置して、福島県を含む被災地の食品、食材のPR等を行ってきたところでありまして、正しい情報発信とともに、さらにこれからも取り組んでまいりたいと思います。

石原大臣政務官 菅家委員にお答え申し上げます。

 まず、全般的な香港における風評被害対策についての取り組みでありますけれども、香港政府に対して、日本産品に対する輸入規制の緩和を申し入れるとともに、食品安全管理や出荷制限等、我が国の措置について正確な情報を迅速に伝達しているところであります。福島県を含む被災地の食品や農産物の安全性を今までもアピールしてきているところであります。

 また、香港メディアや消費者に対しては、在香港日本総領事館が、東北の被災県やジェトロ、JNTO等とともに、東北の食品や観光のPRのためのイベントを行ったり、現地の大規模な見本市にブースを設置して、福島産を含む被災地の食材や酒類のPRを実施してきているところであります。

 政府としては、今後とも、関係省庁、機関等と緊密に連携をとりつつ、香港における風評被害対策に粘り強く取り組んでまいりたいと思います。

 また、香港吉野家の本件の事案についてでありますけれども、先週十四日に、日本総領事館が香港吉野家から直接経緯を聴取いたしました。福島県産食品の安全性に関し、香港市民の誤解を招かないように、同ポスターの自制を含む適切な対応を働きかけたところであります。

 政府としては、現地における事態の推移をフォローするとともに、日本産の食品や農産物の安全性に関する情報を近く総領事館のホームページに記載し、発信力を強化してまいりたいというふうに考えております。

菅家委員 やはり、政府間で情報を提供しているということだけではなくて、その国民というか庶民というか、そういう香港の方々に限らず、世界じゅうの方が同じような潜在意識を持っているというのを私は非常に心配しておりますので、やはり国策としてしっかりと、二〇二〇年にはオリンピック東京開催ですから、そこも含めて、安全、安心な、きちっとしたデータを広く周知徹底するということにぜひ力を入れて対応していただきたいと要望を申し上げておきたいと思います。

 次に行きます。

 次は、このたびの日本の農業改革の本質的な課題、これは深刻な米の消費の減少だ、いわゆる米離れが僕はあるのではないかと。確かに人口も減っておりますが、やはり御飯を食べなくなっている、消費がどんどん低下しているわけですから、私は、米の消費拡大を国策として最優先に取り組むべき、このように考えるわけであります。

 一つは、国内における消費拡大をどうするのかというものを進めるとともに、もう一方では、地球的なといいますか、世界的な視点に立って対策を講じていくべきではないか、こういう視点でお伺いします。

 昨年、平成二十五年の十一月に、フィリピン政府から、APTERR事務局を通じて、同国中部のレイテ島付近において発生した台風被害に対し、APTERRの現物備蓄事業の枠組みを活用した緊急的な食糧支援要請があり、我が国が拠出した現物備蓄事業の拠出金を活用し、フィリピン政府に対し、五十万ドル相当の米現物支援を決定したのであります。現在の米国際相場で換算しますと約五百トン、フィリピンの米消費量を踏まえますと、約四百万食に相当したそうであります。

 私は、対応について高く評価を申し上げたいと思います。今後も、APTERRに対し、国は積極的に取り組むべき、このように考えますが、いかがでしょうか。

 また、政府米を利用した食糧援助も実施されております。世界は、各地の紛争など、多くの避難民が食糧難で苦しんでいるわけでございますので、日本は、平和外交の一つに食糧支援をすべきであり、もっと積極的に政府援助米を活用すべき、このように考えますが、今後の対応についてお示しをいただきたいと思います。

小里大臣政務官 特に米を活用した食糧援助でありますが、例えば、日本が無償で食糧の、米の援助をした場合に、その地域に他の国が米を輸出しようと考えた場合に、そういった本来の貿易をゆがめてしまうおそれがあるわけです。したがって、正常な貿易に支障を与えてはならないとの国際ルールでありますところのFAO余剰処理原則というものがございます。その原則との整合性に留意しながら、近年は国産米とMA米、合わせて十万トン程度で実施をしてきている、そういう現状であります。

 このような中で、近年の国産米を活用した援助につきましては、被援助国に対する事前のニーズ調査を行いまして実施をしているところでありますが、ただ、残念ながら、短粒種への要望は余り多くないという現状があります。援助米として国産米を活用するためには、一方ではまた多額の財政負担が必要になるということもございます。こういったことから、国産米の援助用輸出は年間二万トンから三万トン程度で推移をしているという状況であります。

 他方、御指摘のとおり、やはり政府米を利用した食糧援助というものは、いろいろな意味で意味を持ってまいります。特に、今我が国が国産米の輸出、日本食の海外展開というものを図っておりますが、これを推進していく上で、我が国の米に対する被援助国のニーズを高めていくということは、攻めの農業の観点から非常に重要な要素であります。

 このようなことを踏まえながら、食糧援助における国産米の活用につきましては、外務省、財務省等と連携をしながら、被援助国のニーズと財政負担を踏まえて、適切に行ってまいりたいとしているところであります。

菅家委員 数百万人の難民の命を守るためには、水と食糧なものですから、片や米が余っている、食糧が余っている、これを単純に支援をして、命を救っていくということは基本的には重要だと私は思いますから、ぜひ前向きに御検討いただきたいと要望しておきたいと思います。

 次に、米離れ対策なんですが、おぎゃあと生まれて、幼児のときにパンと牛肉がうまいというふうな教育をすると、大人になっても、米よりはパンと牛肉になる。つまり、幼児期における食育が極めて重要だと私は思うんですね。そういった要素があって米離れが進んでいるとするならば、国は幼児教育の中で、米、食育にもう一度力を入れたらどうかという視点なんですね。

 ですから、今、保育園や幼稚園、そして小中学校が給食をしているわけですが、やはり米飯給食を重点的に予算化する。しっかり国の財政支援を充実、拡充して、保育園、幼稚園、小中学校が連携して、米飯給食を通して食育に積極に取り組んでいくべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

小里大臣政務官 御指摘のとおりであります。

 米飯給食の推進は、これからの日本文化を担っていく児童に対して、米がおいしい、米に親しむ教育を、そういった環境をつくっていくということが大事な要素であると思っております。

 そのために、各学校が米飯給食の実施回数をふやしていくように、農水省としても取り組んでまいったところであります。特に、対前年度比で米飯給食の回数が純増をした学校に対しては、あるいは幼稚園等に対しては、政府備蓄米による無償交付というものを行っております。また、優良事例につきましては、その情報提供等を通じて、米飯給食の推進を図っているところでございます。

 これらの結果、平成二十四年度の米飯給食の平均実施回数が週当たり三・三回に増加をしておりまして、また、幼稚園から中学校まで全国約三万校ある中で、ほぼ一〇〇%米飯給食を実施しているという状況でございます。

 また、本年度からは、国内外において日本食、食文化の普及拡大を図る日本食・食文化魅力発信プロジェクトの中で、学校給食地場食材利用拡大モデル事業を新たに措置して、学校給食における地元食材の使用拡大の取り組みを支援しているところでございます。

 引き続き、文科省等と連携をしながら、しっかり御趣旨に沿った形で取り組んでまいりたいと存じます。

菅家委員 地産地消ということで取り組んでおりますので、政府備蓄米もわかるんですけれども、やはり地元のお米を使っているという大きな要因がありますので、これは地元で負担しているものですから、もう少し国の方で財政的な予算化をして国策として取り組むべきだというふうに考えております。なお御検討いただければと思います。

 さて、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、私は、担い手なのか戸別なのか、これが議論の一つであろうと思うんです。

 未来の日本の農業を担い、産業として夢と希望を持って前向きに農業経営に取り組む人材、これを育成し、託していかなくてはならない、このように考えれば、認定農業者、集落営農、認定新規就農者を対象にするのは当然であり、妥当である、私はこのように思うわけであります。

 一方、販売農家全てを対象にするということは、農業で前向きに取り組む担い手の意欲を損ねてしまうのではないか、このように考えるわけであります。

 今後の農業の再生、発展のために、将来の日本農業を託す担い手育成に選択と集中をして、重点的に支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、我が国農業を安定的に発展させて、国民に対する食料の安定供給を確保していく、これは食料・農業・農村基本法第二十一条に規定がありますように、やはり効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う、こういった農業構造を確立するということが重要であると考えております。

 こうした観点から、経営所得安定対策についても、全ての販売農家を一律に対象とする施策体系ではなくて、経営意欲と能力のある担い手、これを対象としていくことが必要であると考えております。

 したがって、今回の制度改正でも、ゲタ、ナラシ対策の対象者、これを経営意欲と能力のある担い手として、認定農業者、認定新規就農者、集落営農、こういうふうにしておるところでございます。

 こういう担い手を対象にして、認定農業者にあってはスーパーL資金、それから税制上の優遇、アグリビジネス投資育成株式会社による出資を法人向けにはやる、それから認定新規就農者にあっては、政策金融公庫の青年等就農資金による無利子融資、青年就農給付金の給付、集落営農にあっては、これは四十万円の定額助成ですが、法人化に必要となる経費に対する助成、こういうものを総合的に行っておりまして、今後とも、意欲と能力のある担い手の支援に努めていきたいと考えております。

菅家委員 ぜひ前向きに、ひとつお願いを申し上げたいと思います。

 次に、生産条件不利補正交付金の対象品目や収入減少影響緩和交付金の対象品目について、これも当然であり、妥当であると考えるわけでありますが、一方で、担い手が経営的な視点でみずから考え、収益を目指し取り組む事業に支援することも重要だと考えます。いわゆるもうかる農業、これに前向きに取り組んでいくべきだと思うわけであります。

 例えば、会津において昭和村という村がございまして、これは海抜四百八十メートルで、人口は平成二十四年三月時点で千五百三十二人、福島県内でも過疎化、少子化、高齢化が深刻で、高齢化も恐らく県内一かなと思うんですね。しかし、この地形と気候条件を活用し、カスミソウの栽培に取り組んでおりまして、夏秋期の栽培面積では全国市町村別第一位の栽培規模を誇っているんですね。全国四十の市場へ出荷され、年間の出荷量は四百五十万本になっているそうであります。

 村長さんに平均年収は幾らかとお聞きしましたら、生産者の平均年収は恐らく一千万円を超えているんじゃないか、こんな話も、これは正式なデータじゃないんですけれどもというような状況なんですね。

 それから、南会津も過疎地域なんですが、南会津は南郷トマトなんです。南会津郡六町村で栽培して、三十三・三八ヘクタール、栽培者数は百三十二名、本年度総出荷量が約二千五百トンというふうに取り組んでいるんですね。

 それから、もう一つは、会津若松は富士通の半導体工場があるんですが、その半導体工場のクリーンルームを活用して野菜工場、レタスを実はつくっているんですね。

 私は、このように、地域性を生かし、何を栽培するか、これが大切であり、また、担い手がみずから考え、利益を求める前向きな取り組みが重要であり、これを推進し、支援すべきではないかな、このように思うんですが、お考えをお示しいただきたいと思います。

江藤副大臣 申し上げることがないような気がいたします。全くおっしゃるとおりでございまして、私の選挙区にも村が三つありますので、非常に勇気づけられるような気がいたしました。

 特に、土壌は全国さまざまでありまして、例えば政務官のところは、鹿児島ですからシラス台地、そういうところに適した作物もありますし、赤土、黒土、北海道でも適した作物があります。

 ですから、我々の政権におきましても、産地交付金、これは、当初予算八百四億円を充実させて、地域の裁量でやはり重点的に支援をするような体制をまず組んでいくということが大事だと思います。それに加えて、強い農業づくり交付金、これは先生にはもう言う必要はないというふうに思います。新しい取り組みとしましては、次世代の施設園芸産地への育成、これは三十億円、二十億円とやってきておりますが、新しいICTを活用した高度な環境制御を行うような農業もこれからはやっていきたいというふうに思っております。

 とにかく、これからやはりマーケットインの考え方を持っていただいて、頑張れば、環境不利があっても、その知識と経験と創意工夫が生かされる、それを国の施策、そして市町村の施策が一体となって後押しをする、そういった一体感のある施策の構築にこれから努力してまいりたいというふうに考えております。

菅家委員 ぜひひとつ前向きに、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一点は、我が国の米の流通です。これは平成十六年四月から改正食糧法が施行されたわけでありまして、生産者が直接消費者に販売することができるようになっているわけであります。ですから、生産者の営業努力によっては売り上げを伸ばすことができるのは当然なわけですね。

 実は、私は過去に、何と弁当店を経営していたことがございまして、三十年くらい前なんですけれども、米をつくっているのではなくて、売っている方だったんです。

 当時は、直接生産者からは買えませんでしたから、お米屋さんから当然購入している。ササニシキで一俵約二万二、三千円前後だったと記憶しております。大体、年間で二百俵ほど、ちっちゃな弁当屋なんですけれども、二百俵売っていたんですね。ですから、約五百万ぐらいになるんですね。

 今は自由に生産者が販売できますので、意欲を持って飲食店や旅館、ホテルへ営業、販売することができるわけですね。当然、酒米も酒屋さんに直接販売することができるわけです。ですから、生産者全てに一律に交付するということは、逆に生産者の営業努力をそいでしまうことになり、自立ではなくて、ますます依存体質が強くなるのではないかな、こんなふうに私は感じるわけであります。

 ですから、担い手が積極的に営業し、販路を開拓できるように、国は情報の提供など積極的に支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。

江藤副大臣 新たな農政への転換について十分に御理解をいただいて、大変感謝をしたいと思っております。

 今おっしゃったとおり、出荷、販売業者の届け出制になっておりますので、自由にやれるということでございます。水田活用の直接支払交付金とか、産地交付金の充実をこれから図っていく、これがまず大事でありまして、全国ベースの需給見通しの策定に加えまして、きめ細かい県レベルでの販売進捗や在庫情報、価格情報を毎月提供することといたしております。そして加えて、この三月の二十八日から相対取引価格の公表銘柄数、今まで四十四でしたけれども、これを九十四にふやして、情報をさらにふやしていく。

 やはり、マーケットで生き残っていくには、何よりも情報だと思うんです。そして、農家の方々の自主的な判断を仰ぐにしても、情報なくして判断しろというのは暗中模索の状態になってしまいますから、現場の方々にさらに意見を聞きながら、どんな情報を必要としているのか、さらに研究を進めて、御要望に応えてまいりたいというふうに考えております。

菅家委員 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案についてでありますが、実は、ちょっと現場の声を聞いてみました。

 現場の状況を調査してみますと、現在、市町村においては、制度運用についての具体的なガイドラインや地方裁量の程度などが課題である状況下で、集落への説明対応に追われているそうです。その中で、農業地域においては、本制度の継続性と、同時進行で進められている担い手への農地集積の加速化を進められることに、不安の声も少なくないそうです。法制化に向けては、今年度の事業実施について検証を行い、現場の声に耳を傾けた制度設計と十分な周知期間を設けてほしいと声がありました。いかがでしょうか。お考えをお示しいただきたい。

 また、地元、これは会津若松なんですけれども、現行制度の農地・水保全管理支払制度を活用しているのは十一団体であるのに対しまして、新制度については、現時点で七十集落以上が参加の意向を示しておりまして、地域政策として期待がある一方、市町村職員の事務負担が相当なものとなっているそうです。加えて、現在審議されている法案においては、市町村が促進計画の策定と事業計画の認定をすることとされております。法制化により、地方の財政負担や事務負担が増加することのないよう、配慮してほしいと要望が寄せられております。

 地方分権の観点から、農政分野においても地方の自主性を最大限に尊重し、国の地方自治体に対する関与は最小限とする仕組みにしてほしいとの要望がありますが、お考えをお示しいただきたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現場への周知あるいは現場の声を丁寧に聞き取るべきという御指摘でございます。

 日本型直接支払いにつきましては、これまで、地方自治体等に対する説明会等の開催に加えまして、現場からの質問等に対してQアンドA集を作成してホームページに掲載するなど、周知を図っております。また、お問い合わせの窓口を設置いたしまして、農業者の方ですとか県、市町村、関係団体等からの御質問への対応を随時行っております。こういった農村現場への制度の丁寧な説明に努めてきているところでございます。

 本制度の法制化に際しましても、この制度を広く御理解いただいて、円滑かつ適切な活用を図っていただけるように、地方自治体の担当者ですとか農業者の方々等を対象に、現場が法制度の運用あるいは事業の申請等に当たって参考にできるような資料等を作成して、制度の仕組みや考え方等について丁寧な説明を行うように努めてまいりたいと考えております。

 また、事務負担に関する御質問がございました。

 事務手続等の簡素化につきましては、広く多くの方から御意見、御要望をいただいております。

 こういったことも踏まえまして、新たに創設いたしました多面的機能支払いの事務手続につきましては、集落等で作成いただく書類のひな形を示したり、あるいは該当項目をチェックすればいいという様式を導入したり、さらに、実施状況の確認に必要な活動組織からの提出書類ですとか市町村の確認事務を簡素化するといったことを行いますとともに、地方自治体の事務負担に配慮いたしまして、推進事務に要する経費の定額助成を行う推進交付金につきまして、平成二十五年度の農地・水保全管理支払推進交付金では約十億円でしたものを約三倍に増額いたしまして、平成二十六年度予算に約三十億円を計上しているところでございます。

 日本型直接支払いの法制化に当たりましても、同様の観点に立ちまして、市町村が作成する促進計画のひな形をお示ししたり、あるいは事業計画の認定に際して、市町村がチェックする書類について、現行の様式との連続性に配慮するなどを検討しているところでございます。法制化に当たりまして、市町村の事務負担が軽減されるように、十分に留意してまいりたいと考えております。

菅家委員 時間になりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、三十分時間をいただきましたので、質問をいたしたいと思います。

 その前に一言申し上げますが、あすからオバマ大統領が二泊の予定で来られる、こういうことでございます。焦点は、TPPの交渉がどうなるのか、こういうことだろうと思います。

 昨日、私も農業団体の主催の会合に参りまして、私たちのスタンスはもうはっきり決まっている、これは、自由民主党の立場であれば、自由民主党の決議と委員会決議、私たちは委員会決議を守ってもらう、その大前提で我々の考え方も決まっているんだ、こういうことも申し上げまして、そこからはみ出るようであれば、我々も考えていかなくちゃならない、こういうことも申し上げたところでございます。

 その上で、私は、とにかく、そういう決議で我々の考え方もはっきりさせているので、その上に立って、政府を、しっかりと決議を守れるような交渉の結果を得ていただくために、我々も応援をしよう、こういうことも申し上げてきたところでございます。

 これは、質問の通告はいたしておりませんけれども、あした、あさって、しあさってと、このTPP、オバマ大統領が来られて、大臣が直接オバマ大統領と交渉されることはないだろうと思いますけれども、何か現時点においてお考えがありましたら、大臣、御発言できれば、一言お願いいたします。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、オバマ大統領が訪日をされるということになっております。

 先ほどもお答えをあるいはしたかもしれませんが、これは一つの節目ではありますけれども、しかし、期限をやはり設けずに交渉する、これが大事である、こういうふうに考えておりますので、今お触れいただきました衆参両院の農林水産委員会の決議を踏まえて、期限を定めず、国益を守り抜くように、全力を尽くしてまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 ぜひ、その方針で頑張っていただきたいというふうに思っております。

 私は、きょうは何点か御質問をいたしますが、一つは、調査捕鯨についてでございます。

 これは先日も質問をいたしまして、我が党としては、政府の結論が出る前に、官房長官に対して、二十二日どうなるか、きょうは二十二日ですけれども、二十二日から鮎川の方で出港の準備をしている、許可書を早く発給すべきではないか、こういうことも官房長官にも申し上げてきたところでございます。

 その後の経緯について、結論は、北西太平洋の調査捕鯨の捕獲頭数については、見直した上で許可書を発給した、こういうことでありますけれども、ICJの結論から許可書を発給するに至った経緯について、大臣にお伺いをいたしたいと思います。

林国務大臣 三月三十一日の国際司法裁判所による南極における捕鯨裁判の判決を受けまして、政府において、具体的な対応につきまして、判決の内容を慎重に精査した上で、検討を続けてきたところでございます。

 その中で、今御披露いただきましたように、公明党さんからも申し入れをいただいておったところでございまして、そういうものも頭に置きまして、北西太平洋の鯨類捕獲調査については、十八日に私の方から談話を出させていただきましたけれども、平成二十六年度は、判決に照らして、調査目的を限定するなどして規模を縮小して実施をする、また、DNA等の採取など、目視調査以外の非致死的調査の可能性について検証する、こういうふうにさせていただいたところでございます。

 なお、北西太平洋鯨類捕獲調査に含まれる春季の沿岸の方の調査でございますが、これは調査開始日を四月二十六日に延期する旨、調査の総括者から水産庁に対して連絡があった、こういうふうに承知をしているところでございます。

石田(祝)委員 三月にそういう判決が出て、その後、さまざま検討を慎重にしていただいた結果の結論である、こういうことでありますから、我々としても、やはり調査捕鯨を継続すべきだ、こういう立場でございましたので、まず、今回の政府の判断に対しては敬意を表したい、こういうふうに思っております。

 それで、北西太平洋は、そういう形でさまざま工夫をして、今回出るようになったわけでありますが、JARPA2の南氷洋の調査については、今回は捕獲ではなくて目視で調査をする、こういうことになったわけでありますけれども、南氷洋の調査について、ICJの判決も、調査捕鯨そのものの有効性というのは認めているわけですね。しかし、そのやり方が決められた範囲を逸脱している、こういうことだったのだろうと思います。

 今後、南氷洋の調査についてはどうなさるおつもりか、御答弁をお願いいたします。

林国務大臣 我が国は鯨類を、他の水産資源と同様、重要な食料資源として位置づけておりまして、科学的根拠に基づいて持続的に利用されるべきである、これが基本的認識でございます。こうした認識に基づいて、商業捕鯨の再開を目指し、そのために必要な科学的情報の収集を目的として、鯨類捕獲調査を実施してきたということでございます。

 これも私の談話で述べておりますように、商業捕鯨の再開を目指す基本方針を堅持しながら、今お話のあった平成二十七年度以降の南極海の鯨類捕獲調査でございますが、ことしの秋ごろまでに、判決で示された基準を反映させた新たな調査計画を国際捕鯨委員会の科学委員会、これは六カ月前に提出、こういうルールになっております。したがって、秋までにこの計画を提出すべく、関係府省連携のもとで、全力で検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。

石田(祝)委員 これは判決に沿った中身で直していく以外にはないだろう。先ほど申し上げたように、調査そのものについての有用性、有効性は評価をしているわけですから、そこのところを今度は間違いなくやれるように、御努力をお願いいたしたいと思います。

 そして、私は、次に外務省にお伺いをしたいんです。

 今回の判決に至った理由の中で、いわゆる捕獲頭数が少ないということで調査の目的を達していないのじゃないのか、こういうことがありまして、私も意外に思ったんですが、それは外見的にはまさしくそのとおりでしょう。

 しかし、なぜ捕獲頭数が予定されたものより少なかったのか、調査目的に達するまでの頭数じゃないと判断されたのか。これは誰が見ても、私から言えば、はっきり言ってシーシェパードの妨害ですよね。いわゆる公海上での船の安全という観点からしても、極めて遺憾な行動を重ねてとっている。そして、それをまだ旗国がちゃんと処理してくれない。

 こういう状況の中で、国名は申し上げたくないんですけれども、邪魔をしている国に船籍を置いて、そしてその国が提訴して、今回のこういうことになったということでありますから、これは非常なる矛盾であります。

 ですから、邪魔をしておいて、少ないじゃないかと言われても困るわけですけれども、シーシェパードの動きに対して、これは物理的な、その場での対抗措置ということではなくて、今回の判決に至ったその大前提としての動きに対して、外務省としてこれからどう対応していくのか、御答弁をお願いします。

相川政府参考人 お答え申し上げます。

 シーシェパードによる我が国の調査捕鯨船への違法な暴力行為は、船員の生命を脅かすとともに、海上の安全を損なう行為であり、極めて遺憾であると考えております。今回の国際司法裁判所も、遺憾な妨害活動と判示しているところでございます。

 その一方で、公海上においては、委員御指摘のとおり、原則として、当該船舶の旗国が排他的管轄権を有しているということもありまして、まずは、妨害船舶の旗国に対して、実効的な措置をとるように働きかけているところでございます。

 さらに、どういう対応をしていくべきかについては、こういう旗国側の反応も見きわめつつ、引き続き検討していきたいと考えております。

石田(祝)委員 この問題は以前から言われておりまして、検討する段階は、もう既に過ぎていると思うんですね。ですから、物理的、法的に旗国に対して強制できないということはあるかもしれませんけれども、これは、いわゆる航行の自由、安全について、もっとしっかりとアピールしていかないと、また同じことが起きると思いますよ。今回も目視で調査に行くということにしておりますけれども、そうすると、それに妨害がないのか、こういう問題も私はあると思います。もうちょっと外務省として毅然と対応してもらいたい、こういうふうに私は思います。

 それで、今後、北西太平洋は政府の決断で出ることになったわけですけれども、これは、私は、提訴されないということは一〇〇%ないとは言えないと思うので、万全の対応をしていただきたいと思います。

 なぜかといいますと、きのうのTPPの会合でも、自由民主党の西川先生がちょっとお話をしておったんですが、やはり、マルチの会合の中では、多数派工作というんですか、日本の味方をしてくれる国をふやさなくちゃいけない、こういうふうにおっしゃっておりました。私は、まさしくそれはそのとおりだなと。

 ですから、今度も、当然、ICJの中に入っている審判に加わる国があるわけですから、そういうところに対して、今回のように十二対四で負けちゃったなんというとんでもないことにならないように、万全の体制をしくべきだと思いますけれども、具体的にこのことについてお考えをお示しいただきたいと思います。

相川政府参考人 今回の第二期の北西太平洋鯨類の捕鯨調査に関しまして修正した内容というのは、非致死的手法の実施に関する検証等は、今回、司法裁判所が出した審査基準に最大限考慮した内容となっております。

 それから、先ほど大臣から御答弁されたとおり、来年度以降の南極海及び北西太平洋の鯨類捕獲調査については、本年秋ごろまでに、判決の基準を反映させた新たな調査計画を国際捕鯨委員会の科学委員会に提出すべく、関係府省連携のもと、全力で検討を進めていく考えでございます。

 申しましたように、現時点では、判決で示された審査基準を尊重して対応していくことが極めて重要であると考えておりますけれども、委員がおっしゃいましたとおり、こうした今後の鯨類捕獲調査については、関係国に丁寧に説明して、理解を求めていくということが大変重要だと思っておりますし、そういうことをやっていく考えでございます。

石田(祝)委員 これはしっかりやっていただきたいと思います。

 我々が科学的だと思っても、全然別の政治力学が働いて違った結果になる。私は、今回は典型的な例ではなかったか、こういうふうに思っておりますので、しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。

 続きまして、日豪EPAについてお伺いをいたしたいと思います。

 次々にいろいろな分野の結論が、何か日がわりに、日がわりと言ったら変ですけれども、きょうも農産加工品と木材について具体的にどういうことになったか、こういうのが細切れに出てくるんですね。ですから、これはそれぞれいろいろな事情があるんでしょうけれども、全体像がなかなかわかりにくい、こういうことになっております。

 これは外務省にお聞きしますけれども、大筋合意をしたということで、数字も徐々にいろいろな分野でのものが明らかになってきておりますが、今後の全体的な日程感について、これは外務省でしょうか、御答弁をお願いします。

相川政府参考人 このたび大筋合意しました日豪EPAは、これから、大筋合意した内容に沿って、日豪間で協力しながら法的なチェックを行っていくということで、協定案文を確定する作業を進めていくことになります。そうした協定案文を確定した後に、なるべく早いタイミングで協定案文が両国の代表者間で署名されることを目指していきたいと考えております。

 ただし、具体的なタイミングを、今の時点で確たることを申し上げるのはなかなか困難なところがございます。

石田(祝)委員 これは、中を法的な精査をして、署名をしてとなると、今度は批准の段階があるわけですね。当然、これは国会を開いていなきゃいけない。そうすると、それに伴うさまざまな国内対策、これはまた後でちょっと聞きますけれども、そういうものもありますから、確たることを申し上げられないというのはそのとおりなんでしょうけれども、私は、ある程度の日程感を持ってやっていただかなきゃいけない、相手もあることですけれども、豪州も当然早くということを望んでいるわけですから、これは御努力をいただきたいというふうに思います。

 この重要五項目についても、米は除外、こういうことになりましたが、あとは、再協議というのがたくさん出てくるんですね。だから、再協議というのは一体いつを目途にしてやられるのか、これはどうなんでしょうか。

江藤副大臣 大筋合意の中で、食糧用の小麦、バター、脱脂粉乳等の乳製品、砂糖、これは一般粗糖でございますが、これの将来の見直しということになってございます。

 将来の見直しとは、一定期間経過後、これは五年ということになっております、両国間で関税等の取り扱いを協議することになっております。

 将来、これらの品目について何らかの市場アクセス改善を付与するかどうかは、それはまさにその協議の中で議論されるものでありまして、その協議の結果を今の段階で予断する約束はしておりません。

 なお、いわゆる再協議につきまして、確立した定義はないというふうに承知しておりまして、公表資料には、豪州側との合意内容に沿って、将来の見直しという表現を使っております。

石田(祝)委員 五年を目途に再協議、再交渉というのですか、そういうことだということですから、これは事前の準備もしっかりしていただきたいと思います。

 それで、牛肉については、これは政府も御努力いただいたな、こう私も思いますけれども、重要五項目以外で徐々に明らかになってきたものの中で、きょうは、オレンジについてお伺いをいたしたいと思います。

 これは、私は四国の比例区の選出ですから、愛媛県なんかはミカンの一大産地です。そういう中で、今回新たに、例えばオレンジ果汁、これが枠数量を新設、豪州向け新設千三百トン、枠内税率初年度に半減、二一・三%が一〇・七%、こういうことでございます。そして、オレンジの生果については、六月から九月、これは十年間かけて段階的に撤廃、一六%から〇%、こういうことも、今回、大筋合意の後、徐々に発表をされてきております。

 このオレンジの問題について、どうしてこういうことになっているのか、そして影響はどう見ているのか、また国内対策についてはどうお考えなのか、あわせて御答弁をお願いします。

佐藤政府参考人 石田先生の御質問にお答えいたします。

 今回の日豪EPA交渉におきましては、関連する国内のミカン産地、そして果汁産業に悪影響を与えないようにしようという観点から、まずオレンジでございますが、国産ミカンが出回る十月から翌年五月までは関税を現行水準で維持する、またオレンジジュースにつきましては、輸入数量の大幅な拡大にならないよう関税割り当ての仕組みを設ける方針で、粘り強く交渉に臨んできたところでございます。

 交渉の結果、先ほど先生の方からお話ございましたが、オレンジにつきましては、国産ミカンが出回る十月から翌年五月までの現行水準を維持したということで、細かくなりますが、十月から十一月までは一六%、十二月から翌年五月までは三二%を維持するということと、ミカンの出回りが極めて少ない六月から九月までの関税につきましては、これは一六%ですが、十年で撤廃する。また、オレンジジュースにつきましては、過去の輸入実績と同水準の枠内数量を設定する関税割り当ての仕組みを新たに設けたところでございまして、この枠内数量につきましては千三百トンということで、税率については、先ほど先生の方からお話ございましたように、初年度に半減ということで、二一・三を一〇・七にするといったような結果が出たわけでございます。

 今回の交渉におきましては、先ほど申し上げましたように、国産ミカンが出回る十月から翌年五月までの関税を現行水準で維持したということ、またオレンジジュースにつきましては、新たに関税割り当て枠を設定して、その枠内が現行の輸入量と同水準で設定されたということから、輸入量が大幅に拡大し、国内産地及び果汁産地に大きな影響を与えることはないと見込んでいるところでございまして、産地その他の関係者の皆さん方に今回の合意内容を丁寧に説明していきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、農水省といたしましては、今後も引き続き、日豪EPAの合意内容のいかんにかかわらず、国産ミカンの高品質化や国産ミカンジュースの高付加価値化に資するよう、消費者ニーズの変化に対応した優良品目や品種への転換を図るための果樹の改植、これに伴う未収益期間に対する支援措置というものを実施するほか、果実加工業につきましては、低コストで高付加価値化を図るために、原料果実の低コスト栽培体系の確立でありますとか、発がん抑制効果等を有する成分、ベータクリプトキサンチンを利活用した機能性食品の開発への支援、こういったものを図ってまいる所存でございます。

石田(祝)委員 これは千三百トンという枠を設定した。それで、今はジュースの話ですけれども、豪州からは二十四年で千二百四トン、こういうことですね。たしか、この千二百四トンというのは、現行の二一・三%ですか、この税率のときにそれだけ入ってきているわけですね。ですから、枠を千三百トンにして、超えればもとに戻るんでしょうけれども、超えたところは今と同じ税率なんですね、それで今は千二百トン入ってきているわけですから。

 だから、千三百というのは今の輸入量の枠内だから影響がないというのは、これはどう考えても理屈としておかしい。その部分が、新たに千三百トンが加わるというふうに考えないと、これは私は間違うのではないかなと。

 その上の、超えた部分が今より税率が高くなれば、入ってこない可能性はありますよ。しかし、超えた部分は今の税率で入ってきているのが千二百トンあるわけですから、新たに低い枠を千三百トン設けたということは、それだけふえる可能性があると考えた方がいいと私は思います。

 それで、この対策について、いろいろ佐藤局長はおっしゃいましたけれども、予算措置についてどういうふうに考えておられるのか。これは時期の問題もありますね。二十七年度からでいいと思っているのか、発効の時期によっては、例えば一月から発効ということになれば、我が国は補正か何かでやらないと間に合わない、こういうことになりますが、ここはどういうお考えでしょうか。

江藤副大臣 先生のおっしゃることは、まさにおっしゃるとおりだと思います。

 同数量が、同じ数量、関税の外枠で、高い水準で入ってくれば、足して二で割れば半分になるわけでありまして、非常に優位性が出てくることは政府としても素直にやはり認めなきゃいけないと思います。そこは逃げちゃいけない議論だと思っています。ですから、生産局長の方から、大分、改植等いろいろな説明もいたしましたけれども、この措置による影響については、極めて注意深く見なければならないと思います。

 ただ、この委員会でも何度か答弁させていただきましたが、事前に対策を打つということは先安感を呼び込むことにもなりかねませんので、タイミングはよく考えなければなりませんが、ただ、省内では、十分に検討した上で機動的に対応するということが大事だと思っています。それにかかわる予算措置についても、大臣を先頭にして、確保する努力を十分にしてまいりたいというふうに考えております。

 何にしましても、まずは現行考えておりますセーフティーネットでやりますが、さらなる対策が必要ということであれば、果敢にそれに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 こういう交渉は、以前にも同じような議論があって、先に国内対策をやっちゃうと、結局そこでもう認めた形になるからなかなか言えないんだ、こういう話がいろいろな交渉の中で出てきたんですね。しかし、今回は数字がはっきりもう出ているわけですから、国内対策をやることによって、これは間違ったメッセージを与えるということはないわけですから、そこはぜひよく御検討をお願いいたしたいと思います。

 それでは、もう時間もなくなってきましたので、収入保険についてお伺いをいたしたいと思います。

 これはさまざまなところで御答弁もあったんですが、繰り返しになるところがあるかもしれませんけれども、我が党としても、野党時代に、お米は岩盤と変動、こういうことでいわゆる補填的なものが出ている、しかし、そのほか、野菜とか果樹については、天候不順による共済以外に、市場での価格変動についての対策がない、ですから、これは収入保険を設けて、国と農業者が三対一、国が三、農業者が一、それで保険をつくって、安定的に収入を確保できるようにすべきだ、我々はこういうことを、一昨年の衆議院、昨年の参議院でも申し上げてきたところでございます。

 今回、調査費ということで、三億二千百万が計上されました。ですから、私はこの点は大いに評価をいたしたいと思いますが、これについて、基本的な考え方、また今後の予算措置につきまして、簡単に御答弁をお願いします。

奥原政府参考人 収入保険の関係でございます。

 農業経営の安定を図るためのセーフティーネットとしては、加入者の負担を前提とする保険の仕組みが有力な手法の一つであるというふうに考えております。

 現在は、農業災害補償法に基づく農業共済制度がございますけれども、これは自然災害による収穫量の減少を対象としておりますので、価格の低下は対象になっておりません。それから、対象品目も収穫量の把握ができるものに限定をされており、加入の単位も品目ごとになっておりまして、農業経営全体をカバーするものになっておりません。こういった問題がございます。

 このために、全ての農作物を対象として、農業経営全体の収入に着目をした収入保険の導入について調査検討を進めていく必要があるというふうに考えておりまして、二十六年度の当初予算において調査費として、今御指摘ございましたように、三億二千百万円を計上しているところでございます。

石田(祝)委員 ですから、これは保険方式による、ある意味でいえば、農家の、まさしく戸別補償的なものではないか、こういうふうに私は思っております。

 それで、今回の米政策等の変更について、今まで一万五千円出ていたのが半額で二十九年産まで、こういうことでありますから、この収入保険については調査をいろいろしっかりやっていただいて、岩盤の七千五百円が終わるときに、その次の年からは収入保険がスタートする。これは当然本人の選択でありますから、入らない人もいるかもしれません。

 ここのところ、工程表という意味で、途切れなくスタートができるようにすべきだと思いますが、これにつきまして大臣の御答弁をお願いします。

林国務大臣 今答えさせていただきましたように、調査費を二十六年度で計上しておりますので、この調査費によってやりました調査結果を踏まえて制度設計を行いまして、二十七年産について、作付前の加入から納税申告までを一サイクル、すなわち、二十六年中に加入して二十八年に納税申告をする、これを一サイクルとしたことにして、フィージビリティースタディーを実施した上で制度を固めていきたい、こういうふうに思っております。

 まだ調査をやっておるところでございますので、確定的に物を申し上げる段階ではございませんが、調査検討が順調に進めば、平成二十九年の通常国会に関連法案を提出することになるもの、こういうふうに考えております。

石田(祝)委員 これは、国会の審議も当然必要ですから、ぜひ間に合うようにお願いをいたしたいというふうに思います。

 もう時間になりましたけれども、きょうは質問できませんでしたが、豚のPEDが非常に広がってきていると思っております。

 最後に私は意見だけ申し上げますけれども、感染経路等がまだ不明だ、こういうことで非常に不安を抱いていると思います。これは届け出ということで、余り救済措置的なものがない。だから、私は、ワクチンの補助だとか、例えば子豚については、二十日齢まで保険に入れない、こういうことのようでありますから、そういう点も見直していく必要があるんじゃないかな、この点だけ申し上げて、きょうは、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 早速質問させていただきたいと思いますが、報告です。

 昨日、民主党の捕鯨対策議員協議会で、菅官房長官にお時間をいただきまして、官邸に申し入れを行ってまいりました。

 林大臣にもお願いをしておりましたけれども、調査捕鯨の継続について、当委員会でも決議をし、我々民主党としても求めてまいりました。一定の方向性を出していただいたことについては大変感謝をしておりますが、きのう官房長官に申し入れをしたのは、やはり調査捕鯨の今の仕組み自体が、とった鯨を売って、その販売収入の中でやっていくという基本的な枠組みになっているんですが、先ほど石田先生からもありましたが、調査捕鯨が邪魔されたり、十分な量がとれないということで、この活動の原資となる販売収入が上がりにくくなっております。

 その意味では、これはどこかで決断をして、国家の、いわゆる国策としての調査捕鯨という位置づけを明確にするという意味で、国の予算できっちり調査捕鯨の必要な財政措置をしていくということについては、そういった仕組みも含めてぜひ検討いただきたいということが一点と、あとは、この委員会でも、私は何度か取り上げましたが、やはりシーシェパードの活動は海賊行為であるということを国内法でも明確に位置づけて、その上で対処をしていくというこの二点を特に官房長官に申し上げましたけれども、大臣としてもぜひそういった方向で検討いただきたいということを、まず冒頭にお願いしておきたいと思います。

 それでは本題に入りたいと思いますが、まず、TPPであります。

 いよいよ、あす、オバマ大統領が来日をいたします。正念場を迎えるわけでありますけれども、私は、そもそもオバマ政権は交渉の相手たり得る相手なのかということを何度か指摘いたしました。齋藤議員からも指摘がありましたけれども、やはりTPAの取得なく交渉を行っていることの不安定さということは最後の最後までつきまとうわけであります。

 事実、アメリカ時間の昨日でありますけれども、六十三名の議員がフロマン代表及び農務長官に対して書簡を出しておりまして、それはどういう内容かというと、日本が農産物に関する関税、非関税障壁を撤廃しない限り、交渉妥結をしないように確約を求める内容になっています。

 彼らの文の中身を見ますと、広範なセンシティブ品目、センシティブプロダクツについて何か例外を求めるようなことは、日本がTPPに、彼らはこれをインバイトと書いていますが、参加するときにしたその約束にインコンシステントと書いていますから、例外を認めることは、日本がTPP交渉に入ってくるときの約束と違うぞというふうに書いているわけですね。

 外交交渉権限は、合衆国憲法上、議会にあります。ですから、この議会の主なメンバーが、日本については、このTPP交渉に参加した前提は、そういった例外を認めないということを日本が約束したから我々は認めたんだぞということがレターの中にも書かれてあるわけですね。

 ということは、フロマン代表は非常に厳しい交渉をしているということを言っていますけれども、そもそも、中途半端な譲歩をする、そういった譲歩の権限が彼には与えられていないという中で、そしてまた、オバマ政権もそれは同じであります。そういった中で最終局面を迎えることについては、大変な危機感を抱いております。

 そこで、質問いたします。特に、牛肉、豚肉については危ないというふうに思っております。その中で、実は、この間余り議論がされてこなかった豚肉について取り上げたいと思います。

 石田委員からも今ありましたけれども、日豪のEPAについても何か五月雨式にいろいろなことがわかってくるんですが、豚肉についてもそうです。

 牛肉については、オーストラリアの間で、大変大きな輸出国でありますから、大変な関心を呼びました。十八年等々かけて段階的に引き下げていくということが、セーフガードも絡めながら、一定の工夫の中でやったということなんです。

 輸入量の少ない豚肉についても、今回、日豪では決まっておりまして、いわゆる分岐点価格以上の高価格帯の部位については、今四・三%の従価税率が課せられておりますけれども、これが二・二%、約半分になっていくというような内容が日豪の中でも決められています。

 牛と同じように、豚も日豪の内容がある程度TPPにも反映されるとすれば、こういった分岐点価格以上に適用されている四・三%が同じように半分になるというような可能性は否定できないわけですね。

 そこで、最近の報道を見ますと、豚肉については差額関税制度を維持、このことについてはどうもアメリカと合意できそうだ、だから、何か関税が守れるといったような報道がいっぱいなされていますし、そういう雰囲気になっております。

 ただ、農林水産委員会のメンバーの方は御存じだと思いますが、あの複雑怪奇な差額関税制度、特に、分岐点価格よりも低いところ、ここでは実は国境措置としての機能をほとんど発揮していないと我々は認識をしております。

 まず、伺いたいのは、差額関税制度は仮に維持したとします。維持したとしても、基準輸入価格、そこから低い値段はいわゆる差額関税を払わなきゃいけないというところなんですけれども、これも大幅に引き下げよと。枝肉でいうと、今大体キロ四百九円ぐらいだと思いますが、これを、一部報道によると二桁台、つまり百円以下にしようということです。これは、率でいうと八〇%ぐらいの削減なんですね、基準輸入価格でいえば。基準輸入価格を八割ぐらい削減して、さらに、先ほど申し上げたような分岐点価格より上の、高価格の部位に対して適用される従価税率が半分になるということになると、一体何が起こるかというと、これはほとんどゼロ関税と一緒です。つまり、差額関税制度は維持しますという一般的な報道あるいは国民の認識、何か関税が維持されるんだなというふうに思うんですけれども、やり方によっては、豚についてはほとんど関税がない、そういう状況が生じ得る可能性があります。

 なぜ私は豚について取り上げたかというと、今回の農政の見直しの中に、この委員会でも何度も議論されました、一つの大きな農政の見直しの方向性は、餌米に転換していくということです。四百五十万トン。では、牛はこのうちどれだけを予定しているかというと、極めて少ない。最大限入っても、三%や二%ですね。大きいのは、やはり豚と鳥であります。国内の養豚農家が大きな影響を受ければ、今我々が議論をしている、餌米に大きく寄せていくという方向性自体が、前提が大きく崩れるおそれがあるわけです。

 交渉の間の話で、なかなかお答えにくい、いただけないと思いますけれども、まず、大臣にお伺いいたします。

 当委員会での決議もやりました。牛肉、豚肉を初めとした重要五項目についてはしっかりとした聖域を守るということでありますけれども、単に差額関税制度を維持することだけでは、この決議を守ったことにならないと私は思うんです。先ほど申し上げた複雑怪奇な差額関税制度の中で、基準輸入価格をいたずらに引き下げない。

 つまり、どういうことかというと、今枝肉四百九円だとしたら、二百円台、百円台になったとしますね。幾ら安いアメリカの豚だといっても、キロ百円や二百円のものはないですよ。アメリカからの輸入豚肉のほとんどが基準輸入価格以上です。つまり、差額関税の適用を受けない領域です。今だと四・三%、これが半分になれば二・二%の領域で全ての豚肉が輸入されるということになります。

 だから、差額関税制度が維持されて、何か二〇%とか三〇%、高い関税が維持されているような雰囲気が出ますけれども、実は、基準輸入価格をぐっと引き下げて、分岐点価格以上の従価税率を半分にすれば、事実上、我が国に入ってくる豚肉は二%台の、全てがですよ、全ての部位に対して二%の関税しかかからない。

 これが本当に国会の決議を、あるいは自民党の決議を守ったことになるとは私は到底思えないんです。この点について大臣の御見解を、今現在の御見解をお聞かせください。

林国務大臣 これは何度もお答えをしておりますように、国会で決議をいただいております。

 そこには、特にTPPの場合は、牛、豚、こういうふうに書かれておったというふうに記憶をしておりますので、この決議を踏まえて、先ほどどなたかにお答えしたように、オバマ大統領の訪日というのは一つの節目であることは事実でありますが、期限を定めずに粘り強く交渉することによって、この決議を踏まえて国益を最大限に獲得していく、これを今までどおりやっていきたい、こういうふうに思っております。

玉木委員 なかなかお答えにくいとは思うんです。

 私は、実は、TPP交渉の中で、もし実現できるとしたら、もし与党として継続してこの話に加わることができていたとしたら、やりたいことが一つあったのは、ある種アメリカの外圧を利用して、この際、差額関税制度を廃止したらいいと思っていたんです。

 その代替として、リーズナブルな、効果的な、例えば一五%あるいは一〇%、アメリカとの交渉になりますけれども、適切な関税率のフラットな関税を入れて、我が国の国内の養豚産業を守れる、本当に効果的な制度にシンプルに改めていくということも一つかなというふうに実は思っておりました。

 ですから、改めて申し上げたいのは、差額関税制度を維持します、このことをアメリカと合意しましたということを高らかにうたっても、実質すかすかになっているという可能性があるので、その点については、与党の先生方にも、ぜひ党内での議論のときに、これは農林水産委員会のメンバーの方からしか出ないと思うので、そこは大丈夫なのかということを厳しく指摘をいただきたいと思います。

 なぜ差額関税制度がちっとも国境措置としてきかないのかということについて、傍証を一つ挙げたいと思うんです。

 関税をかけますね。関税をかけたら、関税を払います。ですから、どれだけの関税収入がちゃんとあるのかということが、ある種関税がきいているかどうかのメルクマールになります。

 そこで、財務省に、関税局に伺いたいんですけれども、この差額関税制度が導入されて、とりわけウルグアイ・ラウンド合意以降の差額関税の脱税総額は幾らになりますか。あわせて、脱税額の多い、上位ナンバーワン、ナンバーツー、ナンバースリーを教えてください。

後藤政府参考人 お答えいたします。

 ウルグアイ・ラウンド合意後、これは平成五年十二月以降において税関で犯則処分を行った、豚肉差額関税制度を悪用した関税逋脱事犯の脱税総額は約五百三十六億円となっております。

 このうち、脱税額の上位三件につきましては以下のとおりでございます。第一位が、平成二十四年五月に告発しました脱税額約百三十六億円の事案、第二位が、平成十八年十二月に告発した脱税額約百十九億円の事案、そして第三位が、平成十七年五月に告発した脱税額約六十三億円の事案となっております。

 以上です。

玉木委員 皆さん、お聞きになりましたか。脱税で、よくいろいろなところで捕まりますよね、査察が入ったりして、数億円とか。これは百三十六、一つの事案ですよ。これは、本来なら、しっかりとした関税をかけて、つまり、それがかかった上でのある種高い豚肉が入ってこなきゃいけないのをすり抜けているわけですね。

 今、犯則事案だけをお答えいただきましたけれども、私の計算によると、そんな規模じゃなくて、要は、先ほど申し上げたように、差額関税制度というのは、輸入価格が低くなればなるほど、それを埋めるのが多くなる制度なんですね。ですけれども、この申告価格がほとんど分岐点価格、つまり四・三%の安い税率が適用されるそのぎりぎりのところに全て張りついているんです。おかしいですよ、それは。だって、価格はいろいろあるのに、何で適用される税率が四・三%付近の一番低いのしかないのか。だって、安いものだって入っているはずでしょう。

 こういうことについて、関税当局もしっかり取り締まってこなかったというのは、私は問題だと思いますし、かつ、こんな脱税が容易にできるような仕組みを長年放置してきたということは、農林水産省も含めて責任があると思いますよ。そのことが、結果として、国境措置として全く差額関税制度は機能してこなかったことも意味しているんです。

 ですから、このほとんど国境措置として意味のない差額関税制度を守った守ったといって、何かTPPで大きな成果を上げたようにすることだけはぜひやめていただきたいなと思いますし、本当に国内の養豚農家を守れるような、そういう結論に至るかどうかについては、これは与野党ともに厳しく見ていかなければならないと思っております。

 最後に、あわせて要求だけしておきますけれども、財務省、税関も、この件についてはしっかりと、特に過度に厳しくやる必要はないんですけれども、制度が予定していることをきっちりとやっていただいて、取るべき関税をしっかり取るということを改めて徹底していただきたいというふうに思っております。

 そのことが、実は、国内の豚肉価格の維持にも結果としてつながってくるわけです。だって、本来安い豚肉を高い値段で申告して、そのことによって安い税率しか適用されずにどんどん入ってきているんですよ。こういうことについては、やはり放置をすべきではないということを改めて申し上げたいと思います。

 さて、本題の法案の話に移りたいと思います。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。

 これは、鷲尾委員からもたしか質問があったと思いますし、この委員会でも何度も議論されましたし、他の野党の先生からも質問を幾つかいただきましたが、戸別所得補償制度というのが農地の集積あるいは構造改革を阻害しているのではないのか、こういうことをもう何度も何度も言われました。

 私が大変不快なのは、前回も言いました、農水省が出しているパンフレットのQアンドAの中にも、なぜ米の直接支払交付金は削減、廃止するのでしょうかというところの3に、「農業者の高齢化により進みつつある農地の流動化のペースを遅らせる面があること」ということが書いてあるわけですね。私は、これはどうも納得できない。

 集落営農組織がふえたという話はしました。これに対して、最近、ここにあります大臣の答弁は、担い手経営安定法に基づく経営安定対策を導入したのが十九年で、その年の権利移動面積は十三万ヘクタール、十二・七ですね、それに対して、戸別所得補償制度が導入された平成二十二年は約九万ヘクタール、九・三ですね、ということで、流動化のペースが鈍化したと。こういう説明を皆さんも何回も聞いておられたと思います。

 確かに、うそではありません。平成十九年、約十三万ヘクタール、平成二十二年、九・三万ヘクタールですね。ただ、トレンドを見てください。経営所得安定対策を入れて、確かにそのときは権利移動面積がふえました。しかし、その後、ずっと減少傾向なんです。

 こういうことに対して、問題がある、その問題の一つが、やはり農家経営が安定しないことだろう。農家の経営が大きくてもちっちゃくても安定して、その中で面的拡大や集積を進めていく。我々は、経営所得安定対策は否定しません。経営所得安定対策があって、かつ岩盤的な措置があって、やはりこの二つがあわせ持って農地の集積や構造改革も進んでいくというのが我々の理念でありました。

 見ていただくと、二十二年、これはまさにモデル事業で最初に入れました。そして、それが定着をし、二十三年、二十四年と戸別所得補償が安定的に広がっていくわけでありますけれども、この間、二十二から二十三は、大きく権利移動面積はふえているわけであります。

 私は、減少傾向にあった構造改革の流れや集積の流れが、戸別所得補償という岩盤対策が入ったことによって、それを阻害するよりも、むしろ下支えして加速する効果もあったんじゃないかということはこの数字が示していると思うんですね。

 もちろん、戸別所得補償が全部が全部いいとは思いません。ただ、役所が配るような公式のパンフに書いて、しかも、こういう数字があるのに、流動化がおくれた理由として権利移動面積のことを取り上げるのであれば、私は、これはバランスを欠いた記述だし、これまでの答弁もそうだと思うんですね。

 ですから、安倍政権全体に多少言えるところがあると思っていますし、予算委員会でも指摘しましたけれども、うそではないんですけれども、都合のいい数字だけをとって、あたかも全て戸別所得補償が悪い、それ以外のものが全部いいというのは、少しバランスを欠いた議論になっていないかなというふうに思うんです。

 私は、与党時代からも言っています。名前を変える必要があれば名前を変えればいい。変えるべきところがあれば変えればいい。ただ、効果を発揮し、農家のためになり、将来の農業のために役立つことであれば、それは与野党を超えて、残すべきところは残した方がいいのではないのかというふうに思うわけですね。

 ですから、イメージで語られること、特に、農業のこともよくわからない、都会しか見ていない東京の新聞が書くこと、そのことだけで農政のプロである我々が振り回されてはいかぬと思うんです。真実は常に現場にしかありませんから、やはりそういうものを踏まえて農政の議論をする必要があるのではないかと私は感じるわけであります。

 長々と演説してしまいましたけれども、要は、大きな農政の改革をやっているので、できるだけ与野党で合意できるような、いいものにまとまっていけばなという思い一つでございます。

 ですから、岩盤的なもの、これは、やはりコスト割れが生じていて、放っておいたのではどうしても営農継続できないという農家、農業経営体はあるわけであって、そこに対して、共同作業に対して支払うという方法だけでは拾い切れないものがあるのだとすれば、そこについては、例えば面積を限定するとか、いろいろなことは、やりようはあると思いますけれども、そのすっぽりと抜けているところについては対応していく必要があると私は思うんです。

 これは事務方に確認しておきたいんですけれども、二十二年から二十三年は権利移動面積はふえていますね。ふえているということをお認めください。

奥原政府参考人 農地の権利移動の面積でございます。

 ちょっと数字を申し上げますが、これは所有権の移転と利用権の移転を含んだ数字でございます。

 まず、十七年度、これは八万七千ヘクタールでございまして、十七年度以前は大体八万から九万ぐらい、このぐらいの数字で動いておりました。

 これが、次の十八年度から数字がふえておりまして、十八年度が十二万四千、それから十九年度は十二万七千になっております。これは、十九年から、担い手経営安定法で、認定農家その他担い手に対して交付金を出すということが明確になったためでございます。施行されたのは十九年四月からでございますけれども、制度のアナウンスは平成十七年十月に行われております。この結果として、十八年度、十九年度のところは数字がかなりふえたという状況がございます。

 その後、二十年度につきましては十万九千ヘクタール。それから、二十一年度は九万三千。それから、所得補償が導入されました二十二年度は、同じく九万三千でございます。

 その次の二十三年度の数字は十万九千ヘクタールとなっておりますが、これは、一つは、この所得補償の中で、本体とは別に規模拡大加算、受け手の方につきまして十アール二万円の制度が二十三年度から始まっております。これの効果もあるものというふうに思っております。

玉木委員 私は、経営所得安定対策、品目横断ですね、この効果は否定しません。確かにふえています。私は、大切なのは、品目横断と岩盤的な所得補償を組み合わせてやることが、実は日本の農業の構造改革を最も加速させるんじゃないかという理念に基づいてこの質問をしているんですね。

 ですから、今、奥原局長がおっしゃったような十七年から十九年の動き、これもそうだと思います。そして、二十二年からの動き、もちろん、他の、私も何度も言っている例えば規模加算や農地集積協力金、この後入っていきますけれども、さまざまなことが相組み合わさってこういうふうになっています。

 ただ、言えることは、所得補償を入れたからといって、そのことがマイナスの要因になっていないことは、私はこの数字は示しているというふうに思っているので、その点もよく考えて、制度設計等、今後の対応を決めていただきたいというふうに思っております。

 もうあと四分なので、裏返して資料二を見てください。ちょっと模式図をつくりました。デフォルメしていますので、必ずしも全て正確じゃないんですが、私が言っていることはどういうことかというと、民主党、自民党というふうに書いています。別にどちらがいい、悪いではなくて、我々の考えは、これの整理の仕方によります。

 まず、民主党の方を見ていただきたいんですが、農業者に対する支払いの仕組みと共同活動に対する支払いの仕組み、これはどちらも大事だと思います。我々が言っているのは、左側、戸別所得補償というのは、いわゆる岩盤部分として条件不利性を、かぱっと販売価格とコストの差のところに当てはめることによって、まず経営の安定をつくります。それで、さらに、傾斜があるところとか条件不利なところには条件不利加算的に中山間の直払いを乗せ、さらに、有機農法とか、コストはかかるけれども環境に調和した農法をやるところには上に加算を乗せていく、こういう整理で個々の農家に対する仕組みはつくっています。

 ただ一方で、もちろん、非農家も含めて池の管理とかいろいろなことをやって、共同活動を我々も重視しますから、そこはそれとして農地・水の共同活動を入れますし、同じように、条件不利なところでそういった共同活動をするところには中山間の直払いを入れていく、こういう体系になっています。

 それに対して、自民党の方は、これはむしろ経営所得安定対策、いわゆる産業政策と地域政策というふうに分けているという整理の方がわかりやすいかもしれませんが、あえて農業者と共同活動というふうに整理しますと、今回のいわゆる多面的機能支払い、創設されたと言われている農地維持支払いと資源向上支払いは、共同活動に対する払いですね。中山間の直払いも、環境保全型農業直接支援も、細かい運用の見直しによって農業者個人にも行きますけれども、法律上のうったては、この三つは一本の法案として農業者団体等に行くということがまず原則になっています。つまり、共同の団体に対する支払いということが基本的な位置づけなわけですね。

 ただ、上の二つについては、民主党政権でも導入しましたけれども、半分ぐらいは個人に行くようにしましょうと。環境保全型についても、なかなか有機なんというのは、みんなでやるというよりも個々でやっていますから、これも個人にできるように随分運用の見直しはされているので、点線で書いていますので、こっち側の左に寄ってくる領域があることは否定しません。

 問題は、一番下の端の多面的機能支払い、日本型直接支払いの一つですけれども、ここについては、個々の農業者に対するカバーはないんです。ないですねと聞いたら、いやいや、農業者だけでつくる団体を今回新たにカテゴリーとして設けるので、そこが農業者に対するものに当たりますと言うんですが、あくまで農業者の団体です。だから、ここの左の下のところはすぽっとあいているんです。ここを我々の政権と同じにしろとは言いません。埋めるべきところがもしあるとしたら、ここはやはり埋める必要があると私は思っているんです。

 そのことが、先ほど資料の一で申し上げましたけれども、面的な集積や、あるいは所得を安定させ、よってもって経営を安定させ、そしてそれが次なる規模拡大やさまざまな構造改革の展開につながっていくということを支援する側面が私はあると三年三カ月あるいは四年間の実績で思いますので、ぜひこの空白の白い部分、つまり、多面的機能を個々の農家で、水田が水田として維持されることをもって発揮されるところに対しての何らかの手だてを政府・与党案の中でもぜひ取り入れていただきたいということを強く強く申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。

 終わります。

坂本委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 先週に引き続きまして、質問させていただきたいと思います。日本維新の会、鈴木義弘です。

 今も大分激しい御質問が続いたんだと思うんです。先週、その前も、御質問された方もいらっしゃると思うんですけれども、六法についてのうち何点か、最終的な確認という意味で質問させていただきたいと思います。

 収入減少影響緩和対策という制度で今回スタートするんですけれども、今ある農業共済制度の仕組みを統合していくことも検討しているというお話も聞くんですね。ゲタとかナラシだとかというふうな制度をこれからも活用していくんだと思うんですけれども、もし来年から保険の統合をしていこうという考え方を示すということになれば、また一段と現場が混乱をしてしまうんじゃないかなというふうに思います。

 今、アメリカでも、農業の保護政策をとっていて、小麦の価格が高どまりをしているんだそうです。アメリカあたりも、やはり農家がもうかり過ぎているんじゃないかという話で、直接的な保護政策から、今度は保険の方にシフトしていこうじゃないか、保険の中に税金を投入して価格の安定化を図っていこうじゃないかという仕組みも来年からスタートするようなことも聞いております。

 日本においても、やはり共済制度があったり、影響緩和対策として一本化していった方が私はいいんじゃないかと思うんですけれども、今回、その導入を一緒にしなかった理由、また、来年から、もし保険の制度を導入しよう、統合しようとしたときに、現場が混乱するんじゃないかというふうに思うんですけれども、閣法と衆法で、お出しになった両方の提出者の方から御意見を頂戴したいと思います。

江藤副大臣 現場の混乱は絶対に避けなければならないことだというふうに考えております。

 もう大臣から何度も答弁させていただいておりますが、二十六年度予算におきまして、当初で調査費を今計上しておりますので、これできっちりと調査をさせていただいて、作付前の加入から納税申告までの一サイクル、大臣が申し上げましたフィージビリティースタディー、これをやった上でやらなければならない、これがまさに慎重にやるということだと私は考えております。

 結論から申し上げれば、今、農業共済と収入減少緩和対策、これの関係性、どのように統合していくかについても、まだ詳細な設計等はできていないというのが正直なところでありますので、大臣が申し上げました、先ほど石田先生との質疑の中でもありましたように、七千五百円がなくなるタイミングに合わせるという意味ではありませんけれども、やはり導入に当たっては、現場の混乱がないように、きちっとした検証を進めてまいりたいというように考えております。

玉木議員 今、鈴木先生がおっしゃった観点は、極めて大事だと思っております。

 我々は、法施行三年をめどに検討を加えて、必要な法的な措置を加えるということを附則に書いておりますけれども、将来的には、統合の方向をやはり検討していくべきだと思います。

 ただ、今の農業共済は、旧食管制度があったときに、価格が固定されているという時代に、収量保険として基本的には設計されています。Pが一定なので、Qの変化だけ見れば、事実上、それがPQ保険、つまり収入保険的に機能しておったんですけれども、今はもう米価も動きます。

 そんな中で、収量だけを見る保険で本当にいいのかというところはありますし、収入保険的な議論をしていく中で、あるいは、保険の運用、実際の現場の確認、こういったことを誰にやっていただくのかということを考えていけば、国家の保険としてやっていくのか、あるいは、共済制度で現場の運用になれた農済の皆さんにお願いをしていくのか、こういったことは、まさに議論をかけてしっかりと調整をしながら、現場の混乱のない中で進めていくことが必要です。

 いずれにしても、PQ保険、収入保険の方に物事の考えをだんだん収れんさせていくことは必要だというふうに思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 ということは、五年後には確実に生産調整を廃止するというのが前提になっていないとやはりだめなんだと思うんですね。それもまたずるずると、七年たつのか、十年たつのか。それでまた農家の人は混乱するんだと思うんですね。だから、やめるならやめるときちっと今言って、さあ、それに対してどうするか。

 大臣は今まで答弁の中で、経営体がよく考えてくれというのをいつもおっしゃられるんです。

 先週、私たちの机の上に、飼料米の課題と対策というペーパーで、私がさんざんしつこく言っていたものが、やはり資料が出てきたんだと思って、読み返したんです。

 それで、都道府県ごとにどのぐらいの飼料米を目標設定するんだ、トン数を出してくれと言ったら、きのうファクスが流れてきたんです。副大臣はお持ちになっていないんですか。私だけ。(江藤副大臣「持っていないです」と呼ぶ)ああ、そうですか。きょうはちょっと持ってこなかったんです。

 毎回同じような質問をするんですけれども、結局、飼料米をつくろうか、主食米でやろうか、大豆をつくろうか、麦をやりましょうかといいながら、経営体がどこで判断すればいいのか。今回の衆法もそうですし、閣法もそうなんですけれども、そこのところがよくわからないんです。

 二十六年度、とりあえずやってみましょうという話でスタートするんでしょうけれども、であるならば、今御答弁いただいたように、PアンドQだとかと言って、プライスと量のことを言っているんだと思うんですけれども、でも、確実に、来年はもしかすると主食用のお米を八万トン食べないというのは統計で出ちゃっているわけですね。では、どこを下支えしていけばいいのかというところに行き着くんだと思うんです。

 もう一度、五年後には生産調整を廃止するというのをきちっとこの場で言っていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

江藤副大臣 それはできないのであります。私でも、さすがにそれはできないのであります。これは、党の幹部の先生方と本当に議論を重ねて、それで目途という言葉を決めたわけであります。

 しかし、七千五百円にするということも、大きなメッセージとして生産者の方々にはもう伝わっていると思います。ですから、国家の決断というものの重さは、私は、現場にはかなりの重さで伝わっているというふうに考えています。

鈴木(義)委員 先ほど豚の話が出たんですけれども、アメリカでは、何か下痢をしちゃった豚が多くて、四百万頭潰したという話も出ていますし、日本でも同じような病状が出ているわけですね。

 ですから、毎回同じような話をすると思うんですけれども、結局、食料安全保障というのはどこを基準にするんだということだと思うんです。

 だから、やはり、それであるんだったら、その制度を、農政の大転換だと言われて、私は、四年前の農地法改正を、衆議院の選挙の前に自民党が出してきた法案で、これで農地が集積されていくんじゃないかと思ったんです。それは、今まで賃借権設定をして二十年の年数を五十年に延ばしたことによって、あと、所有者と使用者を分けた。そこに、使用者の方は株式会社でも非農家でも、誰でも意欲のある人は入ってきてもいいよ、それで、やる人はやるだろうというふうに思うんです。

 でも、今ずっと議論を聞いていても、ほとんど、水田のフル活用というのは、答えがいいんですけれども、農業、農地というふうに一くくりにされると、野菜だとか果樹をやっている、酪農の人たちは、全然違う話になっちゃうんだと思うんですよね。

 そこで、いつも農水省の方から資料をいただくんですけれども、多面的機能の発揮する法律に基づいて、六法のうちですけれども、適用範囲が、閣法の方は農振地域と限定されていて、衆法の方はそうじゃないところも対象にしますよということなんですけれども、どこの資料を見ても、では、農振地域が何万ヘクタールあるんだといっても、数字がばらばらなんです。

 もっと言ってしまえば、結局、衆法で言っている、農業が存続できれば、条件の不利なところでも不公平感を払拭するように考えているんですというのは、確かに聞こえはいいことだと思うんです。でも、これも私は時代錯誤だと思っているのは、自給自足を前提にしている、昔の、廃藩置県の時代より前の話だと思うんです。隣の村で飢饉が起きたときに、自分のところだけはならないようにといって、米をつくったり、麦をつくったり、ソバをつくってきたんだと思うんですね。だから、そこに対しても、結局、それは、山を開墾したり雑木林を開拓したりして、農地として耕してきたんだと思うんです。でも、もうそれは商売としては成り立たないんだよというのは、みんなわかっているわけなんですよ。

 環境保全をうたう、幾つもそういう言葉が出てくるんですけれども、だったら、一度、山に戻すんだったら戻す、農地で使うのなら農地で使う、そこのところを、やはりもう方向を出していった方がいいと思うんです。

 何を一番申し上げたいかといったときに、地元の農家の人で、米を五町歩つくっている農家の人が、中間管理機構をつくりました、今回の経営安定化交付金も含めて農政の大転換になっていったときに、鈴木さん、一番問題なのは、離農をしやすくさせるかさせないかということなんですと。離農させるということは、違う仕事をその地域で見つけ出してあげるということなんです。それを農水の方は、必ず六次産業化という言葉で濁してしまうんです。

 例えば、私がトマト農家だとして、何軒かの農家の人と鈴木ファームでトマトジュースをつくりましょうといったときに、スーパーでそのジュースを売り始めたときに、片や大手のカゴメさんのトマトジュースが売っていて、鈴木ファームでつくったジュースが並んでいて、消費者はどっちをとるかといったら、やはりカゴメさんになるんだと思うんですね。

 プリンをつくっている会社もありますし、ケーキにトライをして、確かに大臣表彰をもらった養鶏農家の人がいます、地元であっても。でも、ケーキをつくって三十年も五十年もそこで一生懸命創意工夫してやっている人にどれだけ追いつけるのかといったとき、そう生易しいものじゃないんだと思うんですね。だから、簡単に六次産業化というふうに言えば何でも問題が解決できるということじゃないんだと思うんです。

 そこのところをもう一度、自然に戻すところとか、農地を集約するんだったらどこのところというのを、やはりきちっと目標を立てた方が私はいいんじゃないかと思うんですけれども、おわかりになる範囲でお答えいただきたいと思います。

小里大臣政務官 多面的機能払いから派生して、幅広く捉えての農地維持についての御質問であろうと思います。

 多面的機能払いでは、今回の予算では、二百五十万ヘクタールから三百万ヘクタールを取り組むという前提で予算化をしております。現状は、例えば、農地・水管理で見れば約百五十万ヘクタールぐらいをカバーしていると認識をいたします。これを、とりあえず二百五十万から三百万。

 さらに、どこまで農地を維持していくんだという御質問であろうと思いますが、一つには、御指摘の農振農用地、これが四百三十万ヘクタールという数字で認識をされております。農振農用地とは、本来、御存じのように、日本の食料安保、多面的機能維持のために、将来にわたって維持すべき農地を定めたものでありまして、法の適用を四百三十万まで持っていくとすれば、それは困難なわざであろうと思いますけれども、これは一つの指標として捉えて、なるべく法の適用を図り、また他の政策とも組み合わせて農地を維持していく必要があろうと思います。

 また、食料安保についての御指摘もございましたが、非常時を考えた場合に、今ある農地をフルに使ってカロリーのある作物を作付して初めてやっと国民一人生活していくに足る二千キロカロリーを確保できるという状況でありますから、原則的に考えれば、とにかく農地はしっかりと維持をしていくことが第一に心得るべきことであろうと思います。

大串(博)議員 お答え申し上げます。

 私たちの農地・水、そして中山間におきまして、農振地域以外の農用地においても支援を行っていく旨を規定しましたが、これは、いわゆる多面的機能を守っていくという活動を見据えた場合に、農振指定のある農用地以外の農用地でも、一定程度それと同じ目的に資するところがあるというところに限ってそういう配慮をしようということでございまして、野方図に支援の輪を広げていこうということではございません。

 さらには、中山間において、農業が存続できれば条件不利地でも対象としている、これも野方図に広がっていくのではないかという御懸念もございましたけれども、別途の規定におきまして、現に耕作または養畜の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作または養畜の目的に供されないと見込まれる農用地については外す、対象から外していくということも別途定めておりまして、今おっしゃったように、農地として使われていかないものに関しては林に戻すとか、そういった形で農業とは違う考え方をしていただくということもこの考え方の中に盛り込んでおるところでございます。

鈴木(義)委員 早いうちにそれをきちっとやっていかないと、これも過去に質問をされたんですけれども、二〇五〇年に日本の国土の三分の一に人が住まなくなる。あとたかが三十六年なんです、ここにいる人は誰もいないかもしれないんですけれども。

 でも、それは、農村の維持というふうに言いながら、農村で生活すること自体が、例えば農業集落排水一つとっても、三十軒で一つのコミプラを運営していたとしますね。人が住まなくなってきて、では、十軒でそのコミプラを管理運営しなくちゃならないといったときに、誰がその費用負担をするのかということなんです。そうなったときに、農村で住むこと自体がコストがかさんでしまうということになれば、都市部からそっちに移る人はやはり出てこないんだと思うんです。だから、多面的機能を発揮させるんだと言いながら、実際はそれが本当に農村の維持になっているのかといったときに、水路の管理だとか農道の管理だけで済むことじゃなくなってくるんだと思うんですね。

 そこのところをもう一度提出者の方から御答弁いただいて、終わりにしたいと思います。

坂本委員長 大串君、時間が経過しております。簡潔に答弁をお願いします。

大串(博)議員 はい。

 私たちは、まさにそこの問題点が産業政策と地域政策を分けることの問題点だと思っております。

 地域において営農を継続できるような形をつくっていく。営農を継続できるような形をつくっていくことによって、農地が農地として守られていく。それによって、先ほどおっしゃったように、農村地域において人がいなくなる、結局、多面的機能を守るといっても誰がそれをやるんだ、コストだけが高いじゃないかというような事態にならないようにするというのが私たちの基本的な理念でございまして、まさにおっしゃっている理念と同じようなことを考えてのことだというふうに御理解いただければと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 日本維新の会、村岡敏英でございます。

 きょうは、初めにTPPについてお聞きしたいと思います。

 報道はいろいろされています。米は関税が守られた、牛肉は九%以上とかいろいろな報道がなされて、もちろん、報道ですから、それが事実なのかどうか、今現在わかっていない状況です。しかしながら、例えば、自民党のそれぞれの議員がそれによって右往左往しながらいろいろ党内で議論しているのをまた報道で見ています。それは事実だと思います。

 そこで、報道に対して、政府対策本部の澁谷内閣審議官は記者会見で、新聞、通信、テレビ各社に報道を見直すよう異例の要請を行ったという記事がありますけれども、見直すようにということはどんなことを要請するんでしょうか。これは西村副大臣にお願いいたします。

西村副大臣 全く事実でない報道、あるいは推測のもとに書かれた報道、こうしたことが多いものですから、その点について注意を促したものというふうに考えております。

村岡委員 TPPは、もちろん国民も関心があります。国会の中でも、決議をやって、関心があります。ただ、何かが漏れていなければ、全くうそを書いているとは思えないわけです。

 そういう意味では、秘密保持ということを言っている部分の中でいけば、やはり政府もそこはしっかりして、途中で少し流れるようなことがあれば、そこに臆測を呼ぶ、その臆測が疑心暗鬼になっている。やはりそこは、情報をしっかり開示するという中での秘密会をやるのか、それとも情報管理をしっかりするのか、西村副大臣、その点はどう考えておられますか。

西村副大臣 TPP十二カ国の中での秘密保持の契約、お互いに信頼し合いながら交渉を進めていくという観点と、それから、日本が交渉する中で、やはり手のうちを見せないという意味での交渉の内容を明らかにしないという両方の視点があると思います。

 いずれにしても、我々としては、情報管理をしっかりしながら、そして、いずれは妥結した後に国会に御承認いただくわけでありますので、そのときには経緯も含めて丁寧に御説明できるように、しっかり対応したいというふうに考えております。

村岡委員 我々は、情報開示をしっかりと秘密会か何かでやってほしいということはあるんですけれども、一方、それをやらないというときには、やはり情報管理はしっかりしていただきたい、報道を責めるというだけじゃなくて。多分、出ているのは党内で出ていると思うんですね、そういう疑心暗鬼は。そこで語るからこそ、こういうことがあるんじゃないか、ああいうことがあるんじゃないかと語るから、新聞は書く。新聞は事実を確認していないかもしれませんけれども。

 この話はここまでにして、もう一つお聞きしたいと思います。

 今までいろいろな議論の中で、TPPは、フロマン代表も、そしてオバマ大統領も権限が与えられていない、こう言います。しかし、それは逆に、日本を振り返ってみてください。日本で、国会決議、そして与党の中の決議、いろいろあります。そして、TPPが、オバマ大統領が来て妥結するのか、それともまた、それは越えてこれから交渉をするのかわかりませんけれども、与党として、政府はこのTPP交渉は一任されていると考えているんでしょうか。

西村副大臣 日本の仕組みとしては、政府が外交交渉をし、その後に、でき上がった条約案について国会に御承認いただくというのが日本のスキームでありますので、政府としては、国会に御承認いただけるその範囲を、これは国会決議も踏まえながら、しっかりと見定めながら交渉を進めているところであります。

 アメリカはアメリカで、これは最終的に議会の権限でありますので、それがない中ではありますけれども、しっかりと議会に理解してもらえるという、各国がやるべき話の一つとして、アメリカもしっかりとそれは責任を持って対応してもらっているということだと思います。

村岡委員 となりますと、最終的には国会の承認ですから、そこで承認が得られなければ、当然、最終的にTPP妥結とはなりません。ただ、途中の交渉の中で、よく言われる決議の部分、これを踏み越えて、高い位置でいろいろなことを考えて妥結しなきゃいけないということがある。これは国会承認とは別です。与党の中での部分では、それはどう考えられておられるか。

 やはり高い位置で、我々は、TPP交渉参加はしっかりしながら、農業対策はしっかりしていくという考えですから、例えば、そこの中での決断のときには、決議を超えても高い位置で、国益を考えた場合にはあり得ると考えてよろしいんでしょうか。

西村副大臣 我々は、決議はしっかりと踏まえて交渉を進めておりますし、繰り返しになりますが、最終的に国会承認が得られるということを見定めながら交渉を進めているところであります。

 それから、高い視点から、高い観点からと総理もおっしゃっておられますけれども、これは、TPPそのものは、アジア太平洋に自由な貿易、投資、あるいは知的財産を守る、政府調達をオープンにしていく、こうした高いレベルのルールの野心的なものをつくっていこう、これは日米の国益にともに合致するものでありますので、こうした視点を見据えて、大きな観点で進めていこうということであります。

 ぜひこの点も御理解をいただければというふうに思います。

村岡委員 やはり秘密交渉の中でやっていますので、野心とか高い観点とか、非常に抽象的な言葉しか出ないのもこれはいたし方ない、こう思っております。

 そこで、林大臣にもお聞きしたいんですけれども、先ほど言いました、報道によれば、TPPが今最終局面になっている。先ほどの大臣の答弁は、期限は別に切ってはいない、こう言います。しかし、交渉事というのはいつか期限は切らなけりゃいけないわけでして、例えば、そのまま妥結するのか撤退するのかも、その部分の中では、今報道しているように、いろいろな今の交渉事で差はあるけれども、ある程度行って、理解が深まり、もうそろそろ、その一つを乗り越えれば最終局面に入り、妥結できる場面になっていると思っているのか思っていないのか、お聞きしたいと思います。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、これはやはり、期限を切って交渉するということになると、足元を見られるということでございます。

 WTOの交渉もそうですが、何年もかかってもまだ継続中というものもございますので、先ほど申し上げましたように、大統領が訪日されるというのは一つの節目であることは事実でありますけれども、特定の期限を設けずに、我が国の国益を最大限実現するように、決議を踏まえて全力を尽くす考えでございます。

村岡委員 最終局面に来ているような報道が一方であり、いや、なかなか、期限を切っていないというのがあって、一体TPP交渉はどうなるのかというのはまだ結論は出ていないわけですけれども、やはり決議の部分でいけば、与党がしっかりとやっていくことは、これは交渉事ですので、ぜひ西村副大臣初め政府の方でそこは頑張っていただきたいと思います。

 一方、TPPが国会で承認されるということになったときに、いろいろな結果があると思います。そのときは、我々は農業対策に関してはしっかりと協力していきたいとは思っておりますので、そこはよろしくお願い申し上げます。

 西村副大臣、どうぞ次の質問に。ありがとうございます。

 また、質問で通告していたトウモロコシのことに関してお聞きしたいんです。

 同僚の鈴木議員が、トウモロコシのことに関してこの前説明いたしました。そのときに、小里政務官は、飼料作物については、国民に対して直接熱量を供給するわけではないから、対象農産物には含めないという答弁でありました。

 その中で、その意味合いじゃなくて、今回、飼料米ということと、それからまたトウモロコシを飼料作物として使うという、この検討はされたんでしょうか、されていなかったんでしょうか。

佐藤政府参考人 先生の御質問の趣旨、必ずしも十分私は理解できているかどうかはわかりませんが、今回の米施策の見直しの中におきまして、需要をオーバーした米をどういうふうに転換していくかといったようなことからいろいろと検討してきたところがございまして、その中で、やはり餌米の生産の振興といったようなことは検討したところでございます。その際、トウモロコシについてどうするかということについては、そこまで検討の域には達していなかったというような状況に相なっているところでございます。

村岡委員 していないということであれば、飼料作物というのは、トウモロコシをやはり研究すべきじゃないか、こう思っております。

 この前、江藤副大臣が、水田に植えるには、トウモロコシは湿度に弱く、高温多雨の日本の気候の中ではなかなか管理も難しい、こういうふうなお話でした。

 別に全部田んぼに植えてくれという話じゃなくて、トウモロコシというのは、飼料作物としては、これは牛にも豚にも鳥にも非常にすぐれているものだ、そして、専門家によっては、しっかり日本でできると言っている学者もたくさんいます。

 もちろん、今すぐできるかどうかは別に、これを研究していくということは考えられないかどうか、江藤副大臣にお聞きいたします。

江藤副大臣 もちろん、先生のおっしゃるように、つくれればいいと思いますよ。

 飼料米にどうして我々がこれだけこだわるかというと、専門家の御意見を随分、私が当選一回ぐらいのときから検討してきたわけですけれども、非常にトウモロコシとの代替性が高い。でん粉であって、もちろん、米に含まれているすぐれている部分があって、トウモロコシにはない部分があったり、逆の部分もあって、飼料米は非常に代替がしやすいんです。

 ですから、答弁させていただきましたけれども、日本には十分に利活用されていない水田がたくさんあって、耕作放棄地になっているようなところもありますので、水田フル活用ビジョンをつくって、やはり本当は排水暗渠等を入れて乾田化していろいろな作物をつくれるようにするのが一番ベストですけれども、それには大変な構造改善のお金もかかりますから、まず早急に取りかかれる課題としては、米から米へ、でも、米であっても飼料用の米というのが政策上の合理性が高いというふうに判断した次第でございます。

村岡委員 ぜひ、将来的な意味でも結構ですので、やはりトウモロコシも研究して、大量にできる、そして、排水とかそういうのをしっかりする、その中で、やはり餌米だけじゃなく、トウモロコシも研究していただきたい、こういうふうに思っております。

 学者によっては、例えば、十アールで一トンとれれば、百万ヘクタールがあれば一千万トンとれる、そうすると、トウモロコシは一千六百万トン輸入をしているわけで、もう六割ぐらいができる、それは研究によってだと言っている学者もたくさんおります。そして、コストが非常に安いということを試算しているものもあります。

 やはり、少し研究をぜひしていただきたい、こういうふうに思っております。大臣、ぜひちょっとトウモロコシの研究もしていただきたいと思っているんです。

林国務大臣 今回の改革の中で、戦略作物助成を続けてやっていこう、こういうことでございますので、餌米は八万円プラスマイナス二万五千円、加工用米二万円等とやっておりますが、麦、大豆、飼料作物も、実は十アール三万五千円の単価でやっていこうと。この飼料作物の中にはトウモロコシ等も含まれるということでございますので、そういうものを活用してやっていただきたいと思いますし、いろいろな方が研究をされておられますので、我々も注目をしつつ、対応をしてまいりたいというふうに思っております。

村岡委員 実を言うと、研究者の学者だけじゃなくて、いろいろなところに、現場に行って、農家に聞いています。農家の人たちも結構そういう話をするので、ぜひちょっと研究をしていただきたい、こう思っております。

 そして、もう一つきょうは質問するということの中で、まだ具体的には決まっておりませんけれども、農協改革、我々の党は、農協の進化ということでいろいろな提言をいたしておりますけれども、農協みずから改革の方針を出しております。

 大臣も、農協みずからが改革していく方向が一番ベストだというふうなことも前に言われておりましたけれども、その中で、農協に対して、例えば、こういうことはやはりもう少し改革した方がいい、こういうところは改善した方がいい、こういう部分は大臣としてはどう思われているのかお聞きしたい、こういうふうに思っております。

坂本委員長 林大臣、申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

林国務大臣 はい。

 農業者の協同組織である農協ということが基本でありますので、まさに、有利に販売し、そして有利に購入する、このことを農家がやれるためにどうサポートするのか、これが一番大事なことでありますので、まず、単協が経済事業を工夫できるようにする、それをサポートする連合会、中央会はどうしたらいいか、こういうことがやはりなくてはいけないと思っております。今委員おっしゃっていただいたように、会社と同様の民間組織ということでございますので、原点に立ち返って自己改革を進めていただく、これが基本であると考えております。

村岡委員 時間が参りましたので、この件はまた改めてお願いいたします。ありがとうございました。

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十八分散会


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