衆議院

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第2号 平成26年10月15日(水曜日)

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平成二十六年十月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 伊東 良孝君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 篠原  孝君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      川田  隆君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    坂本 哲志君

      清水 誠一君    末吉 光徳君

      鈴木 憲和君    武井 俊輔君

      武部  新君    津島  淳君

      中川 郁子君    橋本 英教君

      堀井  学君    三ッ林裕巳君

      森山  裕君    簗  和生君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      後藤  斎君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    坂本祐之輔君

      鈴木  望君    林  宙紀君

      稲津  久君    佐藤 英道君

      桜内 文城君    畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       西川 公也君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  松島 浩道君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            三浦  進君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十五日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     三ッ林裕巳君

  畑  浩治君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     工藤 彰三君

  鈴木 克昌君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     加藤 寛治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長小林裕幸君、生産局長松島浩道君、経営局長奥原正明君及び農村振興局長三浦進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗和生君。

簗委員 自由民主党の簗和生でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 まず冒頭に、西川大臣、大臣御就任まことにおめでとうございます。転換期にある我が国の農政を大臣の力強いリーダーシップで御牽引をいただき、所信にてお示しをいただきました若者に魅力ある農林水産業の実現に向け、引き続きの御尽力をいただきますよう、お願いを申し上げます。

 また、同じ栃木県の大先輩として、変わらぬ御指導、御鞭撻のほど、お願い申し上げます。

 あべ副大臣、小泉副大臣、中川政務官、佐藤政務官におかれましても、御就任を心からお祝い申し上げます。西川大臣を先頭に、一丸となって農林水産行政の推進に御尽力をいただきますよう、お願いを申し上げます。

 また、江藤委員長並びに委員各位の皆様にも、引き続きの御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

 本日は、米価をめぐる諸問題についてお伺いをいたします。

 もう農業はやめよう、子供や孫には、農業を継げとは、とてもではないが言えない、これらは、今、私が地元において直接に耳にする、水稲農家の皆さんが置かれている厳しい状況をありのままにあらわした悲痛な叫び声であります。

 米価の下落は、稲作文化と言われる我が国の発展と繁栄を支えてきた農村社会に激震をもたらしています。概算金の水準が大幅に下落をし、年末に控えた資機材の購入費等の支払い原資を工面できない。来年度以降もこのような厳しい状況が続くのであれば、資機材の更新投資などは怖くてできないため、ことし限りで農業をやめざるを得ない。いずれも率直な言葉です。

 こうした、目の前にある窮状を打開し、将来への不安というものを払拭するための対応を、適切に、かつ迅速に講じることができるかどうかが我が国の農業の行く末を左右するのではないかと考えております。従事者の高齢化が顕著になり、転換期にあるとされる我が国の農業は、その転換を円滑に図れるか否かという重大な局面を今まさに迎えているのではないかと思います。

 そこで、まずお伺いをいたします。

 今般の米価下落が農村社会に与えている影響について、大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

西川国務大臣 簗議員には、常々農政改革について大変活発な意見をいただいておる、こういうことで、私も、頼りになる、農林関係の有力な議員になっていただく、こういうことを期待しておるところであります。

 今、米価下落の問題をお話しされました。しかし、よく見ていただきたいと思いますが、去年の作況指数は一〇二でした。ことしは一〇一ということに今なっています。これは九月十五日現在の話でして、これから十月十五日に、その後の作況はどうなるか、こういう話になりますね。最終的には、十二月いっぱいで米の収穫量が幾つになる、こういうことになりますね。去年は八百十八万とれた、今は七百九十万トン、二十八万ぐらいの減少だろう、こう言われております。

 そういう中で、米の価格というのは大きく分けて三段階あると思うんですね。一つが概算金の話ですね。それから、あとは相対の基準価格、つまり、これから農協が集荷をして、卸売業者に渡す金額がありますね。栃木県の場合、これは一万三千六百六十六円を想定しています。さらに、米の最終的な標準的収入額は幾らだということになりますと、一万五千円強になるのではないかと思うんです。

 ですから、全国の水稲農家の皆さんにわかってほしいのは、概算金は、確かに、一万円とか一万一千円とか一万二千円と来ましたけれども、八千円になったので、極端に下がった、これは事実だと思うんです。しかし、これから追加払いで一万三千円を超えていくというのが全国の傾向だと思うんです。

 さらに、相対標準価格と最終的な標準的収入額の差は、ナラシに加入している人は九割補填されるということですね。加入していない人は国庫の相当額の二分の一が支払われる、こういうことでありまして、収量も、十月十五日の調査になれば大体の傾向は出てくると思いますけれども、今、そういう状況をよく見定めていただきたいと思っています。

 概算金が下がって、農家の皆さんが非常に不安だ、こういうふうに思っていることは私もしっかり受けとめております。そういう中でありますが、JAが追加支払いをやる、これを見ながら、今後の価格の決定状況を見ていきたいと思っています。

 JAにおきましても、今後、販売戦略をしっかり立てていただきたいと思いますし、農家の所得確保の観点から、適切に価格を決定してもらわなければなりません。しっかりと販売努力もしていただく。これをやりませんと、不安につながって、今回のように、早く売ろう、こういうことが働いて、八千円というような状況が出た、こう私は分析しています。

 米価の変動が生じた場合、先ほども申し上げましたが、ナラシと言われる収入減少影響緩和対策、これで相対の取引価格と標準価格の差の九割が埋まるということですね。さらに、ナラシに入っていない人は国庫相当分の二分の一が行く、こういうことでありまして、米全体の収量についても、最終的には十二月末でありますが、今月、十月十五日前後を見れば大体わかってくるだろうと思います。

 そういうことで、問題は、需要に応じた生産をやってもらう、こういうことになるんだろうと思います。米はどうしてもつくり過ぎ、こういう傾向がありますので、私どもは、需要がある飼料用の米、こういうふうに重点を絞って、これから農家の皆さんがつくっていただけるように、需要の安定を図っていきたいと考えております。

 これからも、どうぞひとつ農政の発展のために御尽力をいただけるように、私の方からもお願いをいたします。ありがとうございます。

簗委員 これからの中長期的なビジョンも含めて、総括的に御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 具体的に、個別にこれからお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 今、大臣が御答弁をされましたように、概算金がまずあって、そして、農協の販売状況いかんによっては、追加払いがあって、そして、それでも賄えないものについては、標準収入額からの減収分についてはナラシということで補填がされるということでございますが、今一番農家の方が不安視をしているのは、先ほど言いました、年末の資金繰り対策というものであります。

 ナラシ対策で補填をされるにしても、それが皆様のもとに届くのは来年の五月、六月ということでございますので、それまでにどうやって資機材の購入費等、または借金の返済、こういうものに充てるかというところで、皆さん、資金繰りに窮しているという状況があります。

 これについての当面の対応について、農林水産省のお考えをお聞かせ願います。

奥原政府参考人 当面の資金繰りの話でございます。

 今、大臣からもございましたように、まずは農協におきまして、できるだけの販売努力をしていただいて、可能な限り追加払いをしていただくということが重要であると考えておりますが、こうした中で、米価の変動が生じた場合には、収入減少影響緩和対策、ナラシ対策と、二十六年産に限りましては、このナラシ対策に加入していない方に対する対策もやっておりますので、これによりまして農家の減収補填を実施することとしております。

 ただ、御指摘がございましたように、このナラシ対策等の補填につきましては、来年の三月までの価格動向を踏まえて補填単価を算出するということになっております。したがいまして、実際の支払いは五月以降となるのが通常でございますが、米価変動の影響を受けた農業者の資金繰りにつきましては、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の利用が可能でございます。

 それから、米の直接支払交付金、十アール当たり七千五百円でございますけれども、これにつきましては、農家の方が主食用米の生産数量がこの目標を超えていないということを確認した上で、十月末以降に順次交付をしているところでございます。例年、この支払いにつきましては、年内に九割以上の農業者の方に交付が終わっているところでございます。二十六年産につきましても、各地域、各農業者の御要望に応じまして、極力早期に交付できるように対応していく考えでございます。

簗委員 どうもありがとうございます。

 国として、資金繰りの状況については影響をしっかりと注視して、万全な対応というものをしっかりとっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 それから次ですけれども、大臣からもお話をいただきました、中長期的にこの主食用米の需給問題というものにしっかりと対応していかなければいけないということで、自民党政権は、新しい水田活用のビジョンというものを出して、取り組みを進めているというところでございます。

 改めて、主食用米のバランスをしっかりと図っていくというところにおいて、具体的にどのような政策を講じていくか、皆さんの御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

松島政府参考人 主食用米の消費量については、近年、大幅な減少傾向を示してございます。こういった中で、米の需給の安定を図っていくというためには、主食用米から需要のある飼料用米への転換が重要な課題だというふうに考えてございます。

 このため、農林水産省としましては、二十七年産以降の飼料用米の生産拡大に向けまして、いろいろな取り組みをしております。まず、地方ブロックや都道府県単位で、行政だけではなく、生産者団体、それから畜産団体、こういったものの推進体制を整備するというのが一点目でございます。

 また、飼料用米の生産拡大のためには、多収性の専用品種の種子の確保が重要でございまして、ことし収穫されるもみの一部を種子とするといったことも含めまして、十分な種子の確保を図っていきたいと考えてございます。

 三点目といたしまして、飼料用米を生産する稲作農家の方では、カントリーエレベーターの整備でございますとか、また、受け手の畜産農家につきましては、飼料用米の加工施設、それから保管施設、こういったものの整備が必要になってまいりますので、こういったものについても必要な予算を確保していきたいと考えてございます。

 なお、二十七年産の飼料用米の生産拡大に向けまして、全農が六十万トンの生産目標を設定して、みずから買い取って販売するという新たな枠組みの方針も示してございます。農林水産省としましても、こういった全農の取り組みを後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。

簗委員 国として、今の主食用米、この需給のバランスをいかに図っていくかということで、手厚い非主食用米への転換を促進するような政策を打ってもらっているというところは大変理解をできるところであります。

 ただ、一つ私は気になるところがあります。

 対策として、当面の資金繰り対策と中長期的に水田活用を図っていくということでありますけれども、それをうまく円滑に移行させるに当たって、先ほど来言っている、農家の皆さんが今抱いている不安をどのように払拭していくかというところが極めて重要になるというふうに思っております。

 今年度に限りましては、ナラシ対策においては、円滑化対策として、ナラシに加入をしていない方、生産調整実施者に対しても、割合は下がりますけれども、ナラシで補填されるというふうなセーフティーネットが講じられていますけれども、来年度以降、これがなくなるということであります。規模要件を緩和して、認定農業者、それから集落営農、認定新規就農者については、ナラシの対象になるということでありますけれども、みんながみんな、このナラシの対象に来年度から急になれるのかというと、そこには不安があります。その場合に、セーフティーネットが全くない農家の方も出てくるという状況も想定されるわけであります。

 そういった意味で、非常に皆さんは不安を感じていますので、円滑に移行措置、移行を行うというところにおいて手厚い対応を考えていただきたいと思うんですけれども、来年度以降、このセーフティーネット機能というものの担保をどのようにしていくか、これについて御所見をお伺いしたいと思います。

奥原政府参考人 ナラシ対策につきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、さきの通常国会で担い手経営安定法の改正が行われております。これによりまして、来年の二十七年産からは、対象となる担い手につきまして、従来は認定農業者と集落営農のみでございましたが、これに認定新規就農者が追加をされます。それから、いずれにつきましても、従来ありました面積規模要件は課さないということになっておりまして、これによりまして、担い手であれば幅広くこの対策に加入できることになっているところでございます。

 したがいまして、農業で生計を立てていく意欲と能力のある方は、二十七年産に向けて、市町村の認定を受けていただきまして認定農業者になっていただいて、ナラシ対策に加入をしていただきたいというふうに考えております。

 それから、個人で認定農業者になるのがなかなか難しい方につきましては、集落営農の形で加入することもできるようになっておりますが、この集落営農の要件につきましても、今回緩和を図っておりまして、組織の規約を定めていること、それから対象作物の共同販売経理を行っていること、この二つの要件を満たしていただければ、ナラシ対策の集落営農として加入できるということになっております。これも活用していただいて、二十七年産に向けて集落営農を組織していただいて、対策に加入をしていただきたいというふうに考えております。

 こうした制度の改善点の周知の徹底を含めまして、ナラシ対策への加入促進、これを図っていくことが極めて重要だというふうに考えております。

 従来から、ブロック段階あるいは都道府県段階での説明会を重ねておりますけれども、そのほかに、多くの農家の方は米の直接支払交付金に加入されておりますし、それから水田活用の交付金も加入をされております。こういう方々の、交付金を申請する、あるいは受け取るためのいろいろな手続がございます。交付決定等のタイミングを捉えまして、わかりやすいパンフレットあるいはチラシをお配りするということも含めまして、この周知徹底には全力を挙げていきたいというふうに考えております。

簗委員 今局長から、周知の徹底という言葉をいただきました。

 今回のいろいろな議論を聞いていて、ナラシ対策というものを知らないとか、概算金とか相対の取引基準価格というもの、それから追加払い、こんないわゆる一連の支払いをめぐる制度、これに十分に理解がないという方が、やはり地域の皆さんは多かったのではないかなというふうに思っております。

 そういう意味では、これからの農政を進めていくに当たっても、農家の皆さんに、国がやろうとしている考え方、こういうものをしっかりと伝えていくことが必要になりますので、周知の徹底というものについては、今回これが十分にできていなかったことをしっかりと検証して、十分な対応をしていただきたいと思っております。

 改めて、その辺についての御所見をお伺いしたいと思います。

松島政府参考人 委員からお話がございましたように、ナラシ対策ですとか、それから概算金に対する追加支払いの仕組みが十分現場で浸透していないのではないかという御指摘があることは十分承知しています。

 そういった現状を考えまして、例えば九月下旬に、九月十五日付の作況を公表する際に、あわせまして、ナラシ対策の仕組みでございますとか、各県ごとの概算金や相対基準価格、それから標準的収入額、こういったものをそれぞれわかりやすい形でホームページに公表したりという形で情報提供に努めてきたところでございます。

 先ほど経営局長から、パンフレットやチラシの配布の話がございましたが、それに加えまして、国の職員が現場に赴いて、直接現場で説明する機会を積極的に設けて、市町村やJAの方とともに直接農業者の方々に説明することに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

簗委員 大変重要なことだと思いますので、引き続きしっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。

 今般の米価下落については、自民党政権は将来に責任のある対応というものをとっていかなければいけないというふうに思っています。それは、単に今さえ乗り越えられればいいという安易な発想のもとでの対応ではなくて、水田農業の将来的な振興、発展を図る上での中長期的な視点に立って、そのときに、今何をなさなければいけないか、そういう発想に基づく対応であるというふうに思っています。そして、その将来目指すべき姿を実現していくに当たり、現下の厳しい状況を打開するために必要な対応については、万全な措置を講じていただきたいというふうに思います。

 政府においては、今の状況について、特段の配慮を持ってしっかりと注視をしていただいて、万全な体制で取り組んでいただきたい、それをお願い申し上げまして、私の質問を終わりといたします。

 本日は、ありがとうございました。

江藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 きょうは、まず、大臣の御就任、それから、あべ副大臣、小泉副大臣、また中川大臣政務官、佐藤大臣政務官の御就任を心からお祝い、お喜び申し上げたいと思います。

 早速質問に入らせていただきますけれども、今、簗委員からも、いわゆる米政策についてということで、特に米価についての御質問がありました。かなりかぶるところがあると思うんですけれども、お許しいただいて、お願いしたいと思います。

 まず、二〇一四年産米の価格がどうなっていくのかということで、生産者の現場には非常に不安が走っているということを指摘させていただきたいと思います。

 先般の概算金のことでは、前年と比べて大幅に下落をしている。過去最低の県もありますね。こういう状況の中で、農家の方々は何を今考えていらっしゃるかというと、やはり当面の資金繰りをどうするかということにかなり考えが移っています。

 先般も、北海道と東北の知事会の皆さんが大臣のもとに寄られて要請をしました。それは、採算ラインを下回る水準になってきている、非常に不安だ、何らかの対策を打っていただきたい、こういう趣旨だったと思います。

 それでは、まず最初に、今回の平成二十六年度産米の概算金の下落の要因をどう見るか、このことについて大臣にお聞きしたいと思います。

西川国務大臣 概算金が低い額で最初にスタートを切ったということでありまして、農家の皆さんは不安が本当にいっぱいだと思います。

 こういう状況が実は過去にもあったんですね。そのときも、JA系統で出した金は、約八千円という数字を出したことがありました。そのとき、ちょうど私も自民党の方で米価の問題をやっておりましたので、北海道は、こんな概算金で、このような額ではとても乗り切れないということで、どんと一万二千円前後に戻したことが概算金であるんです。今回は、農協がこういう発表をしたのに、なぜそのままいったのかということも、ちょっと我々としても責任がありますけれども、そういう状況があって、過去に直したこともあったということをまず申し上げておきたいと思います。

 それで、なぜこんな発表になったんだろうかというと、民間在庫が大きいとか、作柄がいいとか、民間の調査会社で、当時、作況一〇二を発表していましたので、そういう状況の中で、また需給が緩みますね、こういうこともあったんだろうと思うんです。あとは、農協は早く売りさばきを終わらせたい、こういうこともあったりしてこの金額になったと思いますが、私も、なぜこのような数字が発表されたかというのはちょっと理解できない面もありまして、いずれ概算金払いをやるのであれば、不安が農家の方に起きないようにすべきだったんではないか、こういう気もしております。

 それで、採算割れが起きるかどうかと先生は心配されておりますが、いずれにしましても、もう間もなく十月の作況が出ますから、需給の状況がわかります。わかった段階で、大体米価の状況が読めてくるものですから、そこで、対策が必要かどうか、こういうことも我々は検討していかなきゃならない、こう思っております。

 いずれにしましても、私ども、このような不安がある、こういうことだけは厳しく受けとめておりまして、今後にナラシ対策等があるんだということは周知徹底をしていこうということで今努力をしておる、こういう状況でございます。

稲津委員 今、この概算金をどう見るかということで大臣から御答弁がありました。

 大臣も、先般、たしか記者発表の中で、概算金が想定よりも低かったというお話をされておりました。

 それと、今のお話の中で、やはり作況指数の話がありましたね。全国一〇一という報道というか発表がありましたけれども、北海道は今度逆に一〇八という発表がありまして、北海道的にいうと、米の生産農家の方々は非常に心配をしています。したがって、概算金の今後の出し方というところもやはり注視していく必要があるだろう、このように思っております。

 次に移りますけれども、米の需給バランスが安定をして、それから、水田のフル活用をしていく中で、米余り、過剰米をつくらないようにしていくということがやはり一番大事なことになってくると思うんですね。

 そこでお話し申し上げたいのは、やはり政策的には、もうここは決めましたけれども、飼料米の作付をふやしていく、生産をふやしていく、これが一番重要なことの一つだと思っているんです。

 それで、農水省は、非主食用米の二〇一四年産の作付面積が一〇%台に乗った、こういう発表をされました。私は、そうであれば、今後、いわゆる主食用米の米余り現象というのに歯どめがきいてくるのかなという期待もするんですけれども、しかし、まだこのくらいの規模ではどうなのかな、そんなことを懸念している一人でもございます。

 先般、九日ですか、関係団体との意見交換を実施したということで、その中で、毎年のこの拡大目標、それからその措置をどうするかという基本方針を明確にすべきじゃないかという意見が関係団体から寄せられたことも承知をしております。

 飼料米の生産拡大に本腰を入れていよいよやるべき、このように強く思っておりますけれども、この辺の所見についてお伺いしたいと思います。

あべ副大臣 米の需給の安定のためには、主食用米から飼料用米など主食用米以外への転換を進めていく必要が、稲津委員がおっしゃるように、あると考えております。

 このため、農林水産省では、飼料用米の生産拡大に向け、地方ブロック及び都道府県段階に、行政また生産者団体、畜産団体などから成る推進体制を整備してまいります。また、需要拡大が見込まれる多収性の専用品種の種子に関しまして、必要量を確保してまいります。また、カントリーエレベーターや畜産における加工、保管施設の整備に対して支援をしてまいるなどの関係機関との連携をし、既に取り組みを進めているところでございまして、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

 また、二十七年産の飼料用米に関しましては、全農が六十万トンの生産目標を設定し、みずから買い取り、販売する新たな枠組みをつくる方針を掲げておりまして、農林水産省といたしましても、この全農の新たな枠組みを後押しすることにしております。

稲津委員 ありがとうございました。

 次は、ちょっと視点を変えて、先ほどの簗委員と質問が重複するところがあるんですけれども、お許しいただきたいと思いますが、いわゆる過剰米対策ということについて、具体的に生産者あるいは農業関係団体等々から寄せられた声に対してどうお応えするかということについて、簡潔に質問させていただきたいと思います。

 まず一つは、政府買い上げの量の増加によって需給バランスを改善すべきじゃないか。もっとはっきり言うと、農業団体からは、政府備蓄米の買い上げ量をふやしてほしい、こういう御意見が寄せられています。この点についてどうお考えでしょうか。

あべ副大臣 豊作や需要の減少によって米の供給が過剰となった際に、国が直接市場に介入し、政府買い入れを行うことにつきましては、食糧法上、政府買い入れは備蓄の円滑な運営を図るために行うものでございまして、需給調整のために行うことにはなっていないことから、需給調整のための政府買い入れについては適当ではないと私どもは判断しております。

 また、国の備蓄の運営に当たりましては、国の米の買い入れ、売り渡しが市場に影響を与えないよう、平成二十三年以降、いわゆる備蓄方式の中で収穫の前に買い入れを行うことにしておりまして、二十六年産米は買い入れ契約済みであること、また、平成二十七年六月末の備蓄水準は九十一から九十九万トンと見込まれておりまして、適正備蓄水準である百万トンまですき間がないことからも、本年の出来秋に市場からの買い入れは困難であると私どもは判断しております。

稲津委員 わかりました。

 私がもし聞かれても同じような答えをせざるを得ないと思うんですけれども、それではということで、二つ、現場からの声を伝えていきながら質問に答えていただきたいと思います。

 はっきり言うと、米の直接支払交付金の前倒し支給、それからナラシの前倒し交付、これをぜひしていただきたい、そういう意見でございます。

 これは報道ですけれども、農水省は、米価の下落に対しては、米農家の経営支援として、いわゆる七千五百円の直接支払交付金の前倒し支給を検討する、このように出ていましたけれども、どうするかということです。ただ、私は、それをするとしても、結果として市場での米の価格に、下落に影響が出ないように、そういう配慮をしっかりした上での検討が必要だと思っています。

 それからもう一つ、ナラシのお話、これは大臣、先ほど来の答弁にございましたけれども、このナラシも、これは法的には全然難しい話ですけれども、前倒しでの交付をしていただきたい、こういう現場からの声があります。

 この二点について、まとめてお聞かせいただきたいと思います。

あべ副大臣 米価の変動が生じました場合、私ども、収入減少影響緩和対策、ナラシ対策でございますが、これの対応、また、二十六年産に限りまして、ナラシ対策に加入していない者に対する対策ということによって、農家の減収補填を実施することにしております。

 ナラシ対策等の補填は、三月までの価格動向を踏まえて補填単価を算出することになっておりますため、実際の支払いは五月以降となっております。米価変動の影響を受けた農業者の資金繰りに関しましては、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の利用が可能でございます。

 また、米の直接支払交付金に関しまして、主食用米の生産数量が生産数量目標を超えていないことが確認できる十月末以降に順次交付いたしまして、例年、約九割の農業者には年内に交付をしているところでございまして、二十六年産につきましても、各地域、各農業者の要望に応じまして、極力早期に交付できるよう対応していく考えでございます。

 いずれにいたしましても、今後の米価の推移等を見きわめつつ、農業者の資金繰りに支障が生じることがないように、適切に対応してまいりたいと思います。

稲津委員 副大臣、今御答弁いただきましたけれども、ぜひ現場の声をまた聞いていただいて、それで、実際に現場で起きているこの声に対してどう応えていくのかというのが、私は政治の役割だと思っているんです。したがいまして、今、当面の対応するお話をいただきましたけれども、もっと踏み込んだ対応も、必要な状況になればぜひしていただきたい、このことを指摘申し上げたいと思います。

 次は、TPPに関してでございます。

 ちょっと順番を変えますけれども、これはぜひ大臣に率直にお答えいただきたいと思います。改めて、大臣になられてTPPの参加交渉にどう臨むのかということなんですけれども、その基本姿勢をお伺いしたいと思います。

 これは、もう既に総理の参加表明から一年半余りがたって、この間、国会でもいろいろ議論してまいりました。その議論の中で、国会での意思というのは、さきの衆参の農水委員会で決めた決議に基づく、私はそう思っています。あれがやはり国益にかなう、そういう我々の取り組みである、こう思っています。その上で、大臣、特にTPPの決議についてどうお考えかということをお聞かせいただきたいんです。

 大臣の昨日の所信の表明の中で、ちょっと読み上げます。「環太平洋パートナーシップ協定についても、早期妥結に向けて交渉してまいりますが、その際、衆参両院の農林水産委員会における決議が守られたとの評価をいただけるよう、政府一体となって全力を尽くしてまいります。」こう表明がございました。

 私はそのとおりだなと思うんですけれども、衆参両院の農林水産委員会における決議を守る、そういう趣旨でお話しされたというふうに理解しています。守られたとの評価をいただけるようという少し迂回しながらのお話だったような気もするんですけれども、しかし、そこは、この決議を守るんだ、そういう大臣の強い御意思を受けとめておきたいと思うんですが、この点はどうでしょうか。

西川国務大臣 私ども、この交渉で、衆参両院の農林水産委員会の決議、最優先でこれを守り抜く、こういう姿勢には変わりありません。

 そこで、今委員が御指摘になりましたように、決議が守られたかどうかについては国会の場で評価いただく、こういうこと。最終的には国会の評価になりますから、そのときに、決議が守られたとの評価をいただかなければなりません。そういう意味で、評価がいただけるように衆参両院の決議を守り抜く、こういうことで農林水産省としては取り組んでいる、こういうことを申し上げておきたいと思います。

稲津委員 今大臣の、守り抜くという御決意をいただきましたので、大変意のあるところをいただいたというふうに思っています。ぜひ、ともに、そこの守り抜くということをしっかり私どももやっていきたい、こう思っております。

 それでは、最後の質問になりますけれども、TPPに関して、アメリカの国内状況をどう認識しているかという質問でございます。

 なかなか厳しいものがあって、十二日からの協議再開ですけれども、これは、九月にはワシントンで日米閣僚会議が決裂したなんという報道もあったりして、仕切り直しに入ってきていると思っています。

 その中で、既に御案内のとおり、牛肉、豚肉についてのアメリカ側のハードルは非常に高いとあるんですけれども、一方で、アメリカの自動車部品の関税については、即時撤廃で検討、協議されてきたのが、九月の閣僚協議で一転して当面維持というのが出てきた。この背景というのは、もちろんアメリカのさまざまな産業の団体が圧力を出しているというのもありますし、アメリカの議会の中での議論というのも、非常にいろいろな議論が出てきているような気がいたします。

 そこで、アメリカのTPPに関しての国内状況をどう見ているか、この点についてお伺いしたいと思います。

西川国務大臣 アメリカにおいて、特に関係農業団体からの要望あるいは議会議員からの要請について、大変日本に対して厳しい意見がある、こういうことは私ども受けとめております。

 そこで、去年の二月にさかのぼってもらえば、オバマ大統領と安倍首相の会談の中で、日本には農林水産品という非常に慎重に扱ってもらうべき分野がありますね、それから、アメリカでは自動車及び工業製品は慎重に扱ってください、こういうことでこの連携を進めましょう、こういうことで来たわけであります。

 自動車については外務省が今担当しておりまして、日米の自動車協議でやっておりますけれども、なかなかここの状況を私どもはよく把握しておりませんが、厳しい状況が続いていると思います。

 それから、この十二日から始まった協議は、今までよりは議論がかみ合ってきたのかなと、農林水産品ですね。そういうことでありまして、状況をよくわきまえながら、日本の農林水産品が痛まないように、こういう共通認識のもとで我々は政府一体で頑張っていきたい、こう思っておりますので、御理解のほどをお願いします。

稲津委員 終わります。

江藤委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 まず冒頭でございますけれども、西川大臣、大臣就任おめでとうございます。第一次の安倍内閣のときは名委員長として座っておられましたけれども、ちょっと長く時間がかかり過ぎたような気がしますけれども、本当におめでとうございます。次は、私がその場に座らせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、きのうの所信についてだけ質問をさせていただきます。

 我々は、米価の下落とTPPについてもきちんと議論をさせていただきたいと思っておりまして、別途、場を設けていただきたいと思っておりますので、きょうは、きのうの大臣発言、所信に限って質問をさせていただきたいと思います。

 まず、質問の順序を通告と違ってちょっと変えさせていただきますけれども、非常にきちんとした所信だと思っております。総理のものは、ちょっと情緒的な感じがしたんですが、大臣のものは、さすがきちんとしたものだったと思いますけれども、言葉遣いが、ちょっと言葉が躍り過ぎる安倍内閣の所信と似たような感じになっている。それと従来の農林水産省のセンスのなさがミックスして、余りよくない。

 だから、何回も言っているんですが、ナラシとかゲタとか、さっき簗委員がおっしゃっていました、ナラシ対策なんて言ったって、農家だってわからないんですよ。収入がこうなるのをならしているということなんでしょうけれども、センスがないんですよ、げたを履かせるとか。そんなものを政策の名前に使っている役所はほかにありますか。ないですよ。

 それから、これはちょっと変な意地があったんだろうと思います。決して、農業者戸別所得補償という長ったらしい名前が僕はいいと思いません。それなりに定着しているのに、経営所得安定対策なんて、何のことかわからないですよ。政策の名前じゃないですね。全体の経営や所得を安定させるのは当たり前ですよ。どうもそういうのがよくない。

 見てみましたら、六次産業化はいいんです。これもこだわられていましたけれども、これはこれで定着していますから、いいですよ。いい言葉もあるんですよ。転作作物と皆さんはずっと言っておられましたけれども、米以外はろくでもない作物だから転作作物だ、こんなひどいのはないですよね。だから、麦も大豆も本作なんだ、飼料穀物も本作なんだというふうになってきました。やればできるんですよ。

 ところが、やはり言葉が躍っている、地域のにぎわいと。活性化、活力、農村の活力、農業の活力と言っていたのに、急に、まち・ひと・しごと、そういうのに倣ったんだろうと思います、地域のにぎわいと。

 これは、余り変な言葉は使わない方がいいと思います。その代表が、次世代施設園芸というのは何のことかと。維新施設園芸、自由民主施設園芸とかなかったら、不平等じゃないかと思うが、何のことかさっぱりわからない。農家にわかりやすい言葉、僕は、農林水産行政とか環境行政というのはわかりやすい言葉を使わなけりゃいけないと思っているんです。ところが、そうじゃないんですね。役人がつくり出した変な言葉を使って、直そうとしない。これは絶対直していただきたいと思います。

 そういう点では、大臣は素質があって、単刀直入にすっきり話されるので、びしばし直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

西川国務大臣 農家の所得を増大し、農村のにぎわいを取り戻す、こういうことを使わせていただきました。今まで農村の活性化、こういう言葉で使っておりましたが、活性化というのは何ですかね、こういう話もあることも事実なんですね。私は、にぎわいを取り戻す、こういう方が地方の皆さんに受け入れられる、こういう気持ちで使わせていただいたところでございます。

 それから、次世代の施設園芸でありますが、これは、言葉として、今のものと何が違うんだという議論は我々もやってきています。しかし、市場と直接、近いところにつくる園芸とか、先端技術を駆使した園芸とか、そういう意味で非常に将来性のある園芸のやり方かな、こういうことで今まで使ってきたと思います。

 言葉に関しては、別に直すわけではありませんが、農家の皆さんがわかるような言葉遣いを極力使うように努めてまいります。

篠原委員 にぎわいというのも、大臣用語でしたら、それでいいんだろうと思います。にぎわいという言葉を西川大臣のころに使って、農林水産省はずっと使う。そうしたら、CLTなんていう言葉は絶対使っちゃいけないんじゃないですかね。大工さんや左官さんにわかるような言葉でぜひ言ってください。それにCLTと書いてあるわけです。だめですよ、こういうことは。ばらばらなんですよ。ちゃんと、わかりやすくするということだったらそれでやる。

 例えば宮沢内閣のときに、宮沢さんが英語ができたりして反感を食らったからかもしれませんけれども、片仮名用語や英語は使わないようにという方針を徹底していましたよ。そういうふうにしていただけたらと思います。

 わざとそこの、そんなにこだわることはないんですけれども、言葉というのは大事だと思いますので、きちんと使っていただくということをお願いしたいと思います。

 それでは、順番に、所信に従って質問をさせていただきたいと思います。

 気になる言葉、先ほど稲津委員が言われたこと、私も全く同感だったんです。決議が守られたんじゃない。違うんですよ。守るべく交渉するというふうに言ってもらわなくちゃいけないのに、ちょっと腰が引けているなと思ったんです。ここはもう申し上げません。

 まず最初に、一つ気になったのは、生産に偏ってきた施策とおっしゃいました。しかし、それは違うんじゃないかと思います。消費者対策というのも欠けていましたけれども、生産に偏り過ぎていないんです。生産もいいかげん、生産維持についてもいいかげんだったんです。いいかげんということはない。一生懸命やりましたけれども、ほかのところに比べたりすると少なかった、ほかの国に比べたら少なかったわけです。

 大臣は答弁で申されていますけれども、畜産は米をしのぐ生産金額だ、それにたしか千八百億ぐらいしか使っていないんだと。そのとおりなんだ。畜産は、畜産業のため、規模拡大、規模拡大とやってきましたけれども、畜産農家がへたへたになっているんです。決してバックアップしてきていなかったんです。

 その点は、私は違うと思うんですけれども、いかがでしょうか。

西川国務大臣 今御指摘ありましたが、私は、農林水産省というのは、世界に比べても、非常に安全で、そして非常に評価の高い、そういう農林水産物をつくってきたと思います。

 一方、日本の産業界を考えますと、自動車業界、これは確かに世界一のものをつくり続けてきたかもしれませんが、やはり販売努力をやった、こういうことで世界に冠たる自動車産業に成長したと私は思っているんです。

 そういう意味で、今まで、いいものをつくること、これは、農林水産省は非常にうまく道筋をつけてきたと思います。しかし、売る方はどうでしょうか。やはり、需要を開拓しながら農林水産物をつくっていく、これは重要なことだと私は思うんです。

 ですから、輸出についても、私は、七百万人の香港、それから五百二十万のシンガポール、これも結構でありますが、大市場であるヨーロッパの五億人、アメリカ合衆国の三億一千万、さらには中国の十三億人を目標に売る努力をしていって、初めて日本のすばらしい農産物が売れて、そして農家の所得が上がっていく、こういう考え方で大臣所信を述べさせていただいたということでございます。

篠原委員 よくわかりました。

 それだったら、生産をした上で、ちゃんと流通、売る、そこをきちんとする、そのとおりだと思いますので、そこはぜひ重点的にやっていただきたいと思います。

 ただ、僕は、ちょっと申し上げておきますけれども、次の質問に関係するんですけれども、新しい国内需要の創出とあるわけです。もう一方、水産のところへ行くと、世界の人口がふえたから、水産物の需要が拡大しているから、それに見合ったものと言っているんですけれども、ちょっとそこのところは、ここの需要の点についてやはり違うんじゃないかと。大臣と、多分基本的には同じ考えだと思います。需要はあるんですよ、もう既に。だけれども、そういうところに目を向けていなかった。

 例えば、大臣には七年前は笑われましたけれども、有機農産物ですね。安全な食べ物に対するこだわりというのは物すごいですよ。特に、副大臣なんかは女性の立場で、女性は特にそちらの方にこだわりがある。我々は、うまいものを食べていればいいんだ、安全性なんてと言って、いいかげんな気持ちになってしまいますが、女性の方が真面目ですから、子供には変なものを食べさせられないんだ。それから、外国のものは、何を、変なものを使って、どんなものを含むかわからない、だから国内産なんだ。だから、表示すればいいわけです。国内産というのをきちんと表示すればいい。そういった政策がやはり欠けていたんだろうと思うんですね。

 私は、需要は国内にたくさんあって、さっき、香港やシンガポールだけじゃないって、当たり前ですよ。だから、何よりも一億二千七百万人の日本国民のためにやるべきなんです。私は、突然輸出に行くというのは邪道だと思っております。

 まず、国内の皆さん、日本国民に、安くて、安全で、おいしいもの、質のいいものを提供する。そこのマッチングをするのが農林水産省の大事な仕事だと思うんです。ここに力を入れていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

西川国務大臣 今、国内の方を申し上げませんでしたが、当然、国内の需要をどう開拓するか、これが私は最も大事なことだと思います。

 それで、常々、農家所得の増大、あるいは農村のにぎわい、これを取り戻すにはどうするか、こういうことを考えますと、日本の食というのは、国内生産は八兆五千億ぐらいだと思うんですね。水産が一兆四千億ぐらい上げるけれども、一兆二千億ぐらい食としてとります。これが、原材料費はそういう数字ですが、食として人間が食べる場合は、九十四兆円ぐらいになるんですね。そうすると、その間は八十兆円ぐらいの差があるんです。

 八十兆円のうち、農家の所得というのは大体一二%ぐらいしかシェアとしてないんですね。周辺産業に四割ぐらいあるんですよ。この四割は農林水産業の周辺産業ですから、ここと農家がうまく交流して経済活動をやれば、農家の取り分をふやし切れる、こう考えておりまして、私は、そう進むことで国内を徹底的にやりたいと思っております。

 それから、魚の問題は、ファストフードというのを我々は時々食べますけれども、今度、魚に関してファストフィッシュというのを考えています。魚もその辺で加工してあって、袋を切れば食べられる、こんなことまで考えながら、とにかく食を国内の皆さんにわかってもらう。それから、輸出も、大きな目で、人口の多いところをこれからは努力していこうということで、国内と国外と両方合わせてやっていきたい、こう考えております。

篠原委員 ファストフィッシュというのは、やはりスローフードというのがあるんですね。和食なんて、手間をかけて、きちんと丁寧につくるんですよ。私はここでその議論をするつもりはありませんけれども、堕落した食生活に行くのは反対です。だから、私はろくなものを食べているわけじゃないんですね。だけれども、日本国としては、国がそんな変なものに手をかす必要はないと私は思うんです。そこを気をつけていただきたいと思います。

 変えた方がいいんです、きちんと。価値あるもの、付加価値、そっちの方針で行きましょう。

 次は、農業の競争力強化というとワンパターンです。私は、誤解されていると困るんですよ、大規模が嫌いなわけじゃないんですよ。いいんですよ。いいんですけれども、そっちばかりに行って、そして区画をでっかくすればいいんだとか、いっぱい食べてもらえばいいんだと。

 では、お金をちゃんと払って、農家にお金が行った方がいい、業者に行った方がいい、そういうのがいいんですよ。安いものを大量に外国に輸出してなんじゃなくて、日本国民がちゃんと希望しているわけです、そっちにすると。

 だけれども、ここで生産コストの削減と言われました。大事です。ですけれども、生産コストを高めているのは何かというと、これはもう消費者が神様じゃないんです。消費者もちょっと勘違いしている面もあると思う。そこに手をかすようなものがある。規格の問題です。

 例を申し上げますと、茶褐色米というのがあるのです。カメムシが入ると、もう一等米じゃない。ちょっとでも入ったらもういけない。だけれども、茶褐色米は全然害もないわけです。大したことない。茶褐色米というのはだめだから、一等米にするために、ネオニコチノイド農薬というのを大量に収穫前に使う。経費がかかる。体にとって、余り関係ない。そして、その農薬の弊害はミツバチがいなくなっている、こういうのがあるわけです。

 だから、生産コストの削減には、この点を考えれば、一番簡単なのは、一等米の色、ちょっと茶褐色が入っていたからだめだなんていう、そんな変な規格はやめれば、一発で生産コストは削減するんです。困るのは農薬会社だけです。

 こういうことをやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

西川国務大臣 今、生産コストの話が出ました。

 私どもは、これから十年の間に生産コストを四割下げよう、特に米ですね、こういうことを考えて、政策を実行しています。米は如実にあらわれまして、生産規模が大きくなれば、非常に生産費が安い、これも事実でありますので、大規模化を進めていくこともやはり政策課題の大きな柱になっています。

 ただ、そのときに、意欲があって、やる気がある、その農家が、規模が小さいからこの人たちには支援はしませんなんて、そんなことは言いません。意欲がある方であれば、それを支援しながらいきますが、やはり大規模化は避けて通れない、こう思っております。

 生産費の低下に向けて努力をしていく、これが競争力を高めていくことだと思っておりまして、そういう考え方で進めていきたいと考えています。

篠原委員 厳密過ぎる、見てくれだけを考えている今の米の規格についてはいかがでしょうか。

西川国務大臣 これは、消費者の安心、こういう面からすると、篠原委員が言うものは国民が受け入れてくれるかどうかですね。

 米は、色がついたら、食としてどうでしょうか、受け入れてくれるかどうか、こういう問題もありますので、当面はこの規格がある、こういう状況の中で、安心、安全な食物を国民にお届けする、こういう意味では必要な規格だろう、私はこう思っています。

篠原委員 では、米価対策のときにまたきっちり申し上げたいと思いますけれども、前哨戦で申し上げておきますと、もう現場は解決済みなんです。色でもって、あんな米粒一粒でそんなことまでする必要ないと思いますけれども、色のついた米を排除できるんです。糖度のチェックもできるんですから、あんな色がついたものをチェックするのは簡単なんです。だから、それができているんですから、茶褐色米は排除できるんですよ、ちょっとぐらい入っていたって。だから、簡単なんです。それで、一回、二回の農薬を使わなくて済む、そういう発想でぜひやっていただきたいと思います。

 次に、大臣のおっしゃっている中で、非常にこれはいいことだなと思うんですが、大臣のお考えを思い切り述べていただきたいと思います。

 遊休農地というか不耕作地の解消で、それに放牧してと。これは大臣の趣味で入っているものだと思います。大臣が言っておられることを立派な役人が意を体して書いているものだと思います。絶対そうすべきだと思いますけれども、これは具体的に予算化とか政策になっているんでしょうか。なっていなかったら、ぜひ大臣の一声でやっていただきたいんです。

西川国務大臣 耕作放棄地をいかに有効利用するか、こういう問題になりますね。

 日本は耕地面積四百五十九万ヘクタールある。そのうち、今、耕作放棄地が三十九万六千ヘクタール、八・六%にもふえたという状況で、食料自給率を上げようと思ってもなかなか上がらない、こう思うんですね。

 その耕作放棄地を、わざわざ土木工事をやりながら直していくのも一つの方法かと思いますが、私がかつて大学で学んだ蹄耕法、ひづめによって耕していく、こういうことはどうだろうか、こういうことを私は担当部局にも話しました。おかげさまで、それが成功している例が栃木県にありました、蹄耕法で。一年目は経営がなかなか大変ですが、二年目で収支バランスがとれる、三年目には大幅な黒字が出る、これで牛の放牧をやっている、こういうことが報告されました。やり方としては、近隣の住民の皆さんとの話し合いもあるでしょうし、電柵に電気を流しますから、安全性の問題とか、理解を得るのに時間はかかると思いますが、これは積極的に進めていきたいと思います。

 そういう中で、予算はあるのかと。地域づくり放牧推進事業というのがありますが、非常に額が少ない。私の趣旨と、ちょっとまだ反映されておりませんので、きょうの篠原委員の、応援演説だと私は思っておりますので、一緒になって、この蹄耕法で放牧をしながら、耕作放棄地の解消に向けて最大限の努力をしていきたいと思いますので、御支援のほど、お願いいたします。

篠原委員 ぜひやっていただきたいと思います。

 蹄耕法というのが出てきまして、これはちょっと専門家しかわからないと思いますけれども、昔から、北海道の旭川でも、斉藤さんという方が、ササのところを数年放牧して、牧草地にしていくことに成功されているんですね。ヨーロッパやアメリカでは常識なんです。だから、日本で、一旦田んぼや畑になっているところ、そして耕作されていないところになんかはもっと簡単にできるので、ぜひこれを活用して畜産の振興にも役立てていただきたいと思います。

 最後に、非常に大事なことですけれども、今農政を動かしているのは、消費者もあるかと思いますけれども、政府の中に設けられました規制改革会議、産業競争力会議ですね。これに農業の専門家は全然入っていなくて、私からすると素人の提言です。協同組合の理念というのが全然わかっていない。矛盾だらけです。

 例えば、規制をしてはいけないというわけです、改革していかなくちゃいけないと。では、メンバーをどうするかなんというのは協同組合の人たちが決めるのに、協同組合の理事の構成員について、半分以上を認定農業者にしろとか、経営のプロを入れろとか、こんなのは典型的な規制なわけです。自分のやっている自己矛盾に全く気づいていないんです。僕はこれはけしからぬと思いますよ。今、食料・農業・農村基本計画の見直し作業をやっています。ここはプロの人たちです。もちろん、財界の方、消費者も入っております。農林水産省はちゃんと公明正大に議論をしているわけです。

 僕は、あれは非常によくないと思います。

 総理は、岩盤規制がある、そこにドリルで穴をあける、自分はそのドリルの刃になると言っている。岩盤規制じゃなくて、農民の生活にドリルを向けてがたがたにして、財布に穴をあけて札びらをどんどん落としている、こんなふうになっているのが現状じゃないかと思うのです。それでは所得も倍増できません。農村のにぎわいは消えていってしまいます。

 僕は、これは絶対に見直していただきたいと思っています。それはTPPです。農村が何で今沈滞しているかというと、二つですよ。米価が、概算金が下がっておる。TPPがさっぱり情報が来ない。交渉がうまくいっていると大臣が言われましたが、この発言は重大なんですね。一言一言、あしたの農業新聞に多分これは出ていると思います。もうオバマ・安倍電話会談が行われるそうです。そこで一挙妥結とかそんなのになったら、農家はまたひっくり返りますよ。農村のにぎわいを奪っているのはこの二つだと思います。

 所得をふやし、農村のにぎわいを復活するために、大臣には粉骨砕身努力されることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。これについて、決意を述べていただきたいと思います。

西川国務大臣 今御指摘を受けました。私ども、TPPは、衆参両院の農林水産委員会の決議を守り抜く、この決意には変わりありません。それでしっかりこの交渉をやってもらおう、こう思っております。

 以上です。

江藤委員長 次に、寺島義幸君。

寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。

 私の立場からも、西川大臣を初め政務三役の皆様方の御就任をお祝い申し上げる次第でございます。日本農政の進展のために、さらなる御尽力を御期待申し上げさせていただきたいと存じます。

 それでは質問に入りますけれども、まず地元の問題から入っていきたいというふうに思っております。

 先月の二十七日でありますけれども、地元の長野県と岐阜県にまたがる御嶽山が噴火をいたしたわけであります。大変残念なことであるわけでありますが、戦後最大の被害が発生をしてしまった。大変多くの皆様方の人命が失われたわけでございます。亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げると同時に、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げさせていただきたいと存じます。

 噴火による被害は、人的のみならず、農業に及ぶことも懸念をされているわけでございます。灰が降り、野菜、果樹等農作物への影響というのが大変心配をされておるわけでございます。また、火山灰を含んだ土砂がダムや河川に流れ込んでいくわけでありまするけれども、農業用水や内水面漁業に対しても悪影響が生じるのではないかと地元の皆様も大変心配をしているわけでございます。

 そこで、まず、現在の農林水産業の被害はどのような状況になっておるか、どのように把握をしておられるのか、そしてまた、今後懸念される被害拡大についてどう見込まれておられるのかをお伺いいたします。

奥原政府参考人 御嶽山の噴火の関係でございますが、この噴火に伴う降灰による農作物への影響につきましては、現在、地方自治体において調査中でございますけれども、現段階では、影響を受けたものは木曽地域の白菜等一部にとどまっているとの報告を受けております。

 なお、現場では、降灰を受けた白菜については、洗浄して出荷をしているというふうに聞いているところでございます。

寺島委員 報道でもありましたように、白菜という話がありました。これは旧開田村で、「御嶽はくさい」ということで、漬物用なんかにブランド化して出荷をしている。灰をかぶりましたので、一つ一つ洗って出荷しているんですけれども、値段が下がっちゃって心配をしている。と同時に、風評被害が大変懸念をされるわけでございます。当然のことながら、地元の皆様方は観光面に対しても大変心配をされておられるわけであります。

 そうした中、今後、降灰も続いているというか、噴火も続いているわけであります。その降灰の量がふえれば、影響、被害も大きくなるのではないかというふうに思うわけであります。そのため、御嶽山の噴火による災害対策というものが必要ではないかと思うわけでありますが、現段階で農林水産省としてどのような対策を講じようとされておられるのか、お伺いいたしたいと存じます。

あべ副大臣 今回の御嶽山の噴火を受けまして、降灰による農作物の被害防止に向けまして、私ども、ビニールなどの予防措置、また収穫後の火山灰の払い落としなどの取り扱い、農作業の安全などの留意事項を主な内容とする通知を九月二十九日付で出しているところでございまして、被害を最小限にとどめるよう技術指導を行ったところでございます。

 今後とも、関係地元自治体と連携をいたしまして、迅速かつ的確な被害防止の対策の実施に努めてまいりたいと思っております。

寺島委員 ありがとうございます。

 三十五年ぐらい前だと思うんですけれども、旧開田村の野菜が灰をかぶって、約百五十ヘクタールぐらいに被害が及んだことがございます。そうした状況の経験から、地元の皆様方にお伺いすると、もう営農する意欲がなくなってきたというようなお話も聞くわけであります。それではいけないわけでありまして、農家の皆さんが立ち上がって、営農意欲がしっかりと出るような支援というものをお願いしておきたいというふうに思います。

 続きまして、ことしは大きな災害尽くしでありまして、私の地元、木曽でも、台風被害、あるいはまた先ほどの御嶽山、そして、ことしの二月には雪の甚大な被害が発生をしたわけであります。御案内のとおりでございます。

 ことしの二月に、記録的な豪雪ということで、長野、山梨、埼玉等を中心に大変な被害があったわけであります。前国会の委員会でも申し上げたわけでありますが、被災した農業者に対して、農産物の生産に必要な施設の復旧及び施設の撤去等の緊急支援をしてほしいという必要性を申し上げてまいったわけであります。

 しかしながら、地元のことでありまするけれども、いろいろお話を承っておりますと、今現在に至っても、農業ハウスのパイプが不足して、資材が不足しているであるとか、あるいはまた施工業者不足等でまだ復旧ができていないという声が非常に多いわけであります。

 地元のことで大変恐縮であるわけでありますが、例えば私の地元、佐久地域というふうにいうわけでありますが、ここは群馬、山梨両県と隣同士なんですけれども、二市五町四村ございます。そして、今回の被害、被害経営体数が三千三百九十三件でございまして、被害棟数が五千六百四棟でございました。うち、パイプハウスが五千二百六十四棟ということでございます。

 そして、再建申請をされた経営体数が二千百一件ございまして、その棟数が三千七百三十四棟でありました。そのうちのパイプハウスが三千四百十八棟ということでございまして、再建のために申請をしている、業者から見れば受注をしている、それが三千四百十八棟でございます。

 既に納品をしている、近々完成するというのが千六百六十棟だそうでございます。未着工が千七百五十八棟ということでございます。この千七百五十八棟のうち、今年度中に、なから竣工できるだろうと思われるものが七百七棟というふうに聞いております。しかし、来年度竣工予定というのが千五十一棟、実は三一%にも及んでいるわけであります。

 これは、資材が不足しているとか、なかなか入りにくいとか、あるいは受注しても業者の皆様がいつ着工できるかわからないので在庫を抱えることもできないであるとか、さらにまた施工する業者の皆様自体が不足している、こういう、いわば農家の皆様方はどうにもならない、農家の努力でどうにもならない状況でこういう現実があるわけであります。まさに、ある意味では大変なことだなというふうに思っております。

 特に、佐久地域というのは、標高が高い内陸性の気候でございまして、高原野菜などは、八百メートルから千五百メートルぐらいの範囲で農業を営まれておられます。雪もなかなか解けにくいというような状況で、ハウスの再建工事も、恐らく十二月から三月ぐらいまではなかなかできないという状況にあるわけであります。

 そうした中で、何とかしてこの状況を打破していかなければならないというふうに思っておるわけでありますが、農林水産省として、復旧の進捗状況をどのように把握して、農業ハウスのパイプの確保とか施工業者不足等にどう取り組んでおられるのか、まずお伺いをいたします。

松島政府参考人 寺島委員から御指摘がございましたように、ことしの二月の大雪によりまして農業用ハウスは大きな被害を受けました。

 委員から、佐久地域の被害状況、また再建状況について詳細な御説明がございましたけれども、私どもの調査によれば、長野県全体では約五割の再建率という状況になってございます。

 また、課題といたしまして、委員から御指摘がございましたように、やはり再建のために必要なパイプの手当てがなかなかうまくいかないとか、また、パイプの手当てができてもそれを施工する業者がいない、こういうことが、これは長野県に限らず、北関東も含めた課題となってございます。

 具体的には、パイプにつきましては、私どもの調査によれば、再建のために必要なパイプ量は約六万トンということでございまして、これは通常の年間需要量の倍に匹敵する量でございます。

 したがいまして、農水省といたしまして、農業用パイプメーカーにつきまして、パイプの増産といったことの協力要請をいたしまして、ことしの三月以降、通常年の六割増の増産をしていただいているという状況でございます。

 また、ハウスの施工業者の確保といったことにつきましては、例えば、ハウスを施工するメーカーに対しまして、被災地域以外の地域からの人の融通ですとか、それから、各県内において地元の他の業種からの協力要請ですとか、また、農業団体に対しましては、農業者の自主施工、こういったものを進めるということでお願いを申し上げているところでございます。

 農林水産省におきましても、こういった農業団体や各地方自治体とも連携いたしまして、例えば、全国の施工業者をリストアップして被災地域の需要とのマッチングを進めるといったことも含めて、他地域のハウス施工業者の協力要請を行っているところでございます。

 委員の御指摘にございましたように、まだまだ再建途上でございますので、今後とも、ハウス再建が円滑に進みますように、関係県とも連携しつつ、再建の進捗状況を適切に把握し、またパイプの円滑供給や施工の人材の確保に一層努力してまいりたいと考えてございます。

寺島委員 それで、いまだに着工できなくて来年度に回ってしまう、こういう事案が出てくるはずです。

 御案内のように、経営体育成支援事業は人・農地プランに基づく農業担い手の育成ということでありまして、この事業は二十三年から二十六年までとされております。ということは、これは二十六年度で打ち切られてしまうわけですから、そうなりますと支援が受けられなくなってしまう。まさに不公平であります。

 これは繰り越しができるのか、あるいはまた年度内に着工しておけば年度をまたいでもいいのかどうか、その辺を明確にしていただかないと農家は非常に困るわけであります。いかがですか。

奥原政府参考人 今回の大雪対策につきましては、経営体育成支援事業でもって支援をさせていただいておりますが、基本的に、今年度の予算でもって対応するというのが原則でございます。

 ですが、今回の被害は相当大きかったのも事実でございまして、先ほど先生から御指摘がございましたように、パイプが調達できないとか、年度を越えるものも出てくる可能性が十分ございます。それにつきましては、繰り越しも含めて、災害対策をきちんとできるように対処していきたいと考えております。

寺島委員 農家の皆さんの努力ではいかんともしがたい状況であります。やはり、支援も公平にということも大事なことであります。と同時に、営農意欲をしっかりと持っていただいて、農業を続けていただけるように、しっかり繰り越しなりできるというお話でございますので、ありがとうございます。どうぞ、手厚いとは言いませんが、しっかりとした明確な支援をよろしくお願いいたしたいと思います。

 続きまして、農協改革についてであります。

 去る五月二十二日、政府の規制改革会議は、農業改革に関する意見と題する提言を公表しました。その中で、中央会制度の廃止、全農の株式会社化、あるいは信用、共済事業の農林中央金庫等への移管、准組合員の利用制限等といった、極めて急進的な内容が掲げられていました。余りにも唐突な、衝撃的な内容でありまして、びっくりしたわけであります。

 その後、六月二十四日、政府において、規制改革会議から内閣総理大臣に提出された規制改革に関する第二次答申に基づき、規制改革実施計画が閣議決定をされました。そこには廃止という言葉はありませんけれども、中央会制度から新たな制度に移行、全農についても、株式会社に転換することを可能というような内容になっています。言葉はマイルドでありますが、基本的には五月の農業改革に関する意見と同じような考え方であり、失礼な言い方をすれば、衣の下によろいが見え隠れするものと申し上げざるを得ないわけであります。

 そもそも、農協組織は農協組合員による自主組織でありまして、中央会、連合会はそれぞれの役割を持ち、六十年間にわたって、有機的に結びついてきております。前段のような話では、余りにも農業現場の実態からかけ離れた意見であります。

 また、規制改革会議の委員は、農業現場に理解がないメンバーが多いというふうに思います。そのため、日本の農業については、先ほどもありましたけれども、農業をただ企業化する、大規模化しようとする乱暴な議論がなされているという印象が強いわけであります。

 そこで大臣に、新たな大臣でありますので、改めてお伺いをしたいわけですが、規制改革会議が示した内容を踏まえ、農協改革の御所見をお伺いいたします。

西川国務大臣 私ども、農業の改革を与党と政府でやってきました。その中で、農業委員会の改革あるいは生産法人の改革、そして今御指摘がありましたように、農協あるいは農林中金あるいは農業共済についてどうするか、こういう議論をやってきました。

 この農協改革でありますが、私どもは、改革ありきという言葉だけではないよ、あくまでも農家の所得をふやし、農村のにぎわいをどう取り戻していくか、この考え方を重点的に考えながら改革を進めましょうね、こういう意思統一をしてきたところであります。

 あくまでも、この改革は、地域の農協に頑張ってもらう、つまり単協に頑張ってもらう、こういうことでありまして、単協が自由な発想のもとに経営の状況がさらによくなるように努力をしてもらおう、こういう考え方で我々は取り組んできました。

 そして、本年六月に与党の取りまとめが行われ、これに基づいて、政府においても、農林水産業・地域の活力創造プランの改定、規制改革実施計画の閣議決定等が行われました。

 そこで、この農協改革でありますが、私どもは、農協みずから改革案を示してほしい、十分議論をして、自分たちはこういう方向に農協を持っていきたい、こういうことをぜひ示していただきたいということを申し上げております。そして、農業者、特に担い手農業者から評価される組織となるためにどうしていくのか、こういうことを農協みずから、ひとつ改革案を示していただきたいということを申し上げております。

 農林水産省としましては、六月に決定した枠組みを前提に、農協系統の自己改革に向けた検討状況も伺いながら、次期通常国会に法案を出していきたい、こういう計画でおるということをお話し申し上げておきます。

寺島委員 規制改革実施計画では、農協系統組織内の検討を踏まえ、関連法案の提出に間に合うよう早期に結論を得る、こうなっています。

 西川農林大臣はある報道番組で、JAグループが検討中の自己改革案に対し、長い時間は待てないと御発言があったと承っております。

 六十年ぶりの大改革となると、農業、農家にとって、農協のあり方を慎重に議論する必要がございます。まず法案ありきではない、自己改革だというふうに思います。そのように承ったわけでありますが、政府が一方的に押しつけるようなことがあってはならないというふうに思うわけですが、大臣、その御発言の思いというか、真意をお聞かせいただけますか。

西川国務大臣 農協改革でありますが、昭和二十二年に農協法が成立をしまして、全国に一万を超える農協が誕生した、こういうことですね。そして、昭和の二十年代というのは、日本の経済がまだ伸びていけない状況の中にあったと思います。それで、各地域の農協が経営が行き詰まった、こういうのがたくさん出てきました。

 そういう中で、昭和二十九年に農協法を改正して、全国に一つ、都道府県にそれぞれ一つ、中央会を置くということにいたしました。この中央会は、結局、監査、指導権限を法律で与えましたので、非常に強力な指導をやりました。その結果、今では七百に減った農協でありますけれども、経営が行き詰まる、こういうことは今のところ報告がない、こういう状況になってきたわけです。

 ですから、農協法を二十九年に改正してそれから六十年たちましたが、農協の経営の行き詰まりに対する指導権限、これで、ある一つの使命は果たしたのかな、こういうことを我々は考えております。

 そういう中で、農家の所得をふやすため、単協を強くするため中央会制度はどうあるべきか、こういうことについてみずから改革案を示していただきたい、こういうのが私どもの考え方でありまして、我々が一方的に改革の方向性を示していく、こういう考え方はありません。あくまでも農協みずからの計画を早く出してほしい。

 それから、なぜ早くしてくれと言うかといいますと、来年の通常国会に出すためには、それまでに諸般の調整が必要です。そういう意味で、改革案をなるべく早く出していただいて、協議を持たせていただきたい、こういう趣旨で申し上げたところでございます。

寺島委員 改革ありきではない、あくまでも自主改革だ、こういうお話でございます。その意味においては敬意を表したいというふうに思います。

 ただ、今までの流れを見ますと、若干不安もあるわけであります。

 農協改革にかかわりました稲田前大臣は、JA全中、都道府県中央会を法律から外し、農家の独自の取り組みや工夫が必要だと主張されたり、総理は、衆議院の予算委員会の答弁で、農協法に基づく現行の中央会制度は存続しないことになると明確に述べたりしておられるわけでありまして、まさに結論ありきではないかというふうに思えてならないわけでありますが、きょうは、西川大臣から、改革ありきではない、あくまでも自主改革だ、こんなお話を賜りましたので、その意味においては一安心であります。

 また、与党の皆様におかれましても、自民党の野村議員は、二日の参議院本会議におきましても、中央会、連合会の今日的役割を認識し、農協組織内の検討を踏まえ、自己改革を促すことで、政府が押しつける改革でないと強調をされておられますし、公明党の井上幹事長におかれましては、農協が果たしてきた役割を踏まえ、現場の実態に即した自己改革を尊重しつつ検討を進めるべきだとの発言も、与党の皆様の中にもあるわけでございます。

 くどいようで恐縮でありまするけれども、JAは自主組織で、六十年間、ある意味では政府の政策の実行部隊として、地方自治体と連携を図りながら、努力をしてくれている実績もあるわけであります。政府が一方的に押しつけるようなことであってはならない、あくまでも農業者のための改革になるものでなくてはならない、なおかつ自己改革を上から急がすようなことではいけないということを再度強く申し上げさせていただきまして、質問のスケジュールについてはお話がございましたので割愛をさせていただき、時間が来ましたので、最後の米価下落については質問できなかったことをおわび申し上げます。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 維新の党になりました林宙紀でございます。

 さきの通常国会の農林水産委員会冒頭では、前党、結いの党になりましたという御挨拶をさせていただきましたが、こんなにも早く維新の党という、また新たな政党になりました。

 維新の党というのがどういったことをこの農林水産委員会でやっていくかということは、この後、理事をお務めになっている村岡委員から、改めて決意の表明があるかと思います。そこは割愛をさせていただいて、私としては、引き続き、今回新たに政務につかれました西川大臣を初め政務三役の皆様、そして従来よりお世話になっております委員の皆様にまた協力をいただきまして、我々の立ち位置、改革政党であるというところからいろいろと御提案をさせていただきたいと思っております。

 さらに、私は、さきの国会でも、漆に関する質問というのを結構やらせていただきまして、引き続き、これは与野党を問わず、日本の文化遺産を残していく上で重要なポイントだと思っております。国会が開かれていなかった間も実にさまざまな漆に関する問題も含めまして調査をしてきましたので、それについては改めてお話をさせていただくとして、ここまで言っておきながら、きょうは、漆の質問は全く入れてございません。

 きょうは、やはり米について、これは、私の住んでおります東北地方においても、非常に喫緊の課題として認識されておりますので、ここについて焦点を絞っていきたいなと思っておりますが、先ほど、さきの質疑者の皆さんからも、これについての対策等々は御質問がございました。なので、私は、今回の米価下落にまつわる一連の対応というか、それについて質問をさせていただきたいと思っております。

 きょうは、資料をお配りしております。裏表になっておりますが、まず最初に、図ではない文字ばかりの方の面を見ていただきたい。1、2、3と振ってありますが、こちらは、米穀安定供給確保支援機構という公益社団法人がございます。米の供給等々、米だけに限らず、穀物の供給事業、その安定を図っていくためにあるという公益社団法人なわけですが、実は、左の資料1をごらんいただいてわかるかと思うんですけれども、ことしの四月に、ホームページにこういったものがございました。要は、平成二十五年産の主食用米を加工用、飼料用等に販売するために、機構が買い入れるというようなお話ですね。

 そして、その隣、2の方、右側ですが、これは八月に出されております。これも内容としてはほぼ一緒なんですけれども、買い入れの金額等々が決まりましたよということで、下の二番、「今後の取組」というところに、その買い入れ金額等々も書いてございます。合計して三十五万トン、機構が買い入れるということを決定したわけです。

 この三十五万トンというのはどのように決まったのか、私にはよくわかりませんが、要は、ことし六月末の米の在庫というのが二百五十七万トンほどあったということで、適正の量が大体二百万トン前後だと言われていますから、明らかに過剰であるというところから、三十五万トンをこの機構が買い入れるということを行ったわけなんです。

 一つ報道にございました。機構は、御説明によると、あくまで民間の組織ですからというお話なんですね。ただし、この買い入れを行うに当たっては、農林水産省が認可をしています。逆に言うと、認可がなければ、これは実行できなかったということになるんですね。

 ということで、まず、この三十五万トン買い入れスキームというのが農林水産省においてどういった過程で決まったのか。農水省が計画を認可したとなっていますが、最終決定権者は誰なのかというところをお聞かせいただきたいと思います。

松島政府参考人 林委員の方から、平成二十五年産米の米穀機構の買い入れについてのお話がございました。

 御指摘のとおり、米穀機構の買い入れにつきましては国の認可が必要でございまして、具体的には、本年四月及び八月に、その取り組み主体でございます米穀機構が事業の実施や具体的な内容を決定いたしまして、事業計画の認可申請を国に行いました。それに対しまして、国は事業計画の認可を行ったということでございまして、これは米穀機構の発意により実施されている事業ということでございます。

林(宙)委員 続けて局長に、今のに関連してお伺いしたいんです。

 ということは、内容について国がどの程度関与しているかというのをもうちょっと深くお伺いしたいんですけれども、要は、二百二十億円の積立金があったわけなんですけれども、これを使うということに関して、どういう判断をもって認可をしたのか。

 あるいは、もっと言うと、今回、米穀機構が二百二十億円使いますよということを言っているわけなんですけれども、もし、米穀機構が今回使いません、対応しませんということであったら、国としては、別に、それはそれでそのまま、では、いいですよということになっていたのか。そこのあたりをちょっとお話しできる範囲でお願いしたいと思います。

松島政府参考人 林委員からございましたこの二百二十億円の基金でございますけれども、これは生産者からの積立金でございまして、国の財政資金ではないということでございます。

 どういう考え方でこれを認可したのかということでございますけれども、米穀機構におきまして、積み立てられておりました過剰米対策基金の使途について、それぞれ、二十五年産の主食用米の需給状況や、それから、みずからの財源ということを考えて、こういった買い上げの仕組みといったものを理事会で検討されて、その結果を我が方に事業計画の認可申請という形で御相談があったわけでございます。

 農水省といたしましては、民間主導の取り組みといたしまして、販売の見込みが立たなくなった主食用米を需要がある加工用米や飼料用米に販売するということにつきましては、米穀の安定供給を図る上で適切なものであるという判断もございましたし、また、こうした取り組みを行うために必要な予算が米穀機構において手当てされているということで認可を行ったということでございます。

林(宙)委員 二百二十億を突然出してしまいまして失礼しました。

 今御説明いただいたとおり、これは、米が過剰になったときに対策をするために生産者の皆さんがずっと積み立ててきたお金、基金として積んであるもの、それが二百二十億円ありましたよ、それを使うということに対しての認可申請だったわけなんですが、生産局長、もう一つだけ確認させてください。

 二百二十億円を米穀機構がこの対策に使いますよ、これを今回使いますということに対する認可というのはわかりました。その段階で、国としては、特にそこに財政支援をするとかなんとかというところは思っていなかったということでよろしいですね。その点、確認をお願いします。

松島政府参考人 先ほど答弁申し上げましたように、これは米穀機構の自主的な取り組みということでございますし、また財源につきましても、生産者が積み立てた資金ということでございますので、国が財政的な支援をするということではございませんでした。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 次の質問なんですが、これは根拠をお伺いしたいんですが、先ほどの資料2の下の方に、アンダーラインしましたけれども、買い入れ価格は六十キロ当たり九千九百五十円、このほかに集約経費が百円ほどかかりますということになっています。保管経費については、お伺いしたら、結構いろいろなパターンがあるので、なかなか計算しにくいということです。

 そうすると、集約経費を入れて、六十キロ当たりで一万五十円ということになると思うんですが、これはどのように決まったのか。機構の話ではあるんですけれども、御存じのところを教えてください。

松島政府参考人 米穀機構におきましては、非主食用途への販売事業業務規程という内部規程がございまして、そこで、買い入れ価格及び買い入れ数量は、別に理事会の議を経て、理事長が決定するものとするということになってございます。

 今委員から御指摘がございました買い入れ価格の九千九百五十円につきましても、機構の理事会におきまして、米の市場価格などを踏まえて決定されたものというふうに理解してございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 そうすると、この九千九百五十円プラス百円というのが六十キロ当たりの金額だよというと、これで三十五万トンを買うというお話なんですよね。これは、計算すると、先ほどの機構の積立金二百二十億円では明らかに不足するんです、明らかに。半分にも満たない額になるんですね、私が計算したところによりますと。

 そうすると、この買い入れ総額に明らかに足りない分というのは、一体何を充てたんでしょうか。これについて御説明をお願いします。

松島政府参考人 委員が配付されました資料のところで、1とありました四月の資料をごらんいただきますと、三十五万トンの買い入れを行いますということが定められてございます。

 ここについてはまだ価格が決まっておりませんで、これについては、販売先が、餌用になるのか加工用になるのか、まだわからないという状況だというふうに承知してございます。

 この2にございますところにつきましては、販売価格が理事会の議を経て決まったわけでございますけれども、その際、この資料を参照させていただいて御説明申し上げますと、この二の「今後の取組」のところの二つ目のパラグラフに「また、」とございまして、「政府備蓄米について、保管期間が」「超える古米が二十五万トン保有されている中で、なるべく品質の良い米に年産更新されることが望ましいことから、上記の三十五万トンの一部(二十五万トン程度)について、政府備蓄米との交換を実施することとしました。」ということで、八月に公表した際に、政府といたしまして、ここに掲げられていますような政府備蓄米の交換をあわせて決定した。その中で、財源についても必要な財源が確保されているというふうに判断したところでございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 ということで、資料の裏面の図の方をごらんいただきたいんですけれども、今あったお話と事前に御説明いただいたものをまとめると、大体こういう感じになりますというのがこの図です。

 上の段は、今回の三十五万トンの動きがどうなっているかというのを簡単に書くとこうなるよと、もうちょっと本当は複雑なんですが。

 まず左側の生産出荷団体、これは全農さんですとかそういったところなんですが、そこから米穀機構が三十五万トンを買うよというところが今のお話です。お話にもあったように、その後、米穀機構が、そのうち二十五万トンについては、政府が持っている古いお米、五年を超えた古いお米と二十五万トンを交換しましょうということなんですね。その交換してきた、上の3というところの黒い二十五というのがそうなんですが、その二十五と合わせて、もともと残っていた十万トンと合わせて三十五万トンを市場に飼料用、加工用として売却する、こういう形になっています。

 そうすると、先ほど二百二十億円の積立金では明らかに足りませんよということになったわけなんですが、これはあくまで私の中の仮定を置いて計算していますので、参考として認識いただきたいんですけれども、下の段ですね。では、米穀機構からどのぐらい払われていたんでしょうかというと、五百八十億円を超えるんですよ。積立金は二百二十億円なんですね。その差は三百六十億円ほどあります。

 これはかなりの金額だと思うんですが、御説明によりますと、米穀機構が持っていた二百二十億円、それから先ほど市場に売却した飼料用、加工用米の売却代金収入、これも、幾らで売ったのか私はわかりませんが、大体、普通は六十キロ当たり千五百円から千八百円で売れるのが普通だということですので、一番高い値段で試算しています、千八百円。これだと百五億円の収入になります。これが機構が恐らくお支払いした合計三百二十五億円ほどだと。これでもまだ足りないですね。これでもまだ足りない。二百五十億円ぐらい足りないんですよ。

 そうすると、つまりは、先ほどの交換という作業は何をしていたかというと、ちょっと一回戻っていただいて、先ほどの文字だけの資料の3という、下の方にあるんですけれども、これは農水省のホームページです。ここをざっと読んでいただくと、皆さんはどういう感想をお持ちになるかなと思うんです。

 時間がないので先に言ってしまいますが、私は、これを最初に読んだとき、まず、これは新しいのと古いのを交換するだけですね、何か古かった備蓄米が新しくなってよかったですね、そんなイメージだったんですよ。ここにお金が発生するとは一言も書いていない。

 それで、先ほどの図の方に戻っていただくんですけれども、考えてみたら、古いお米というのは市場価値が低いですよね、新米に比べれば、新米というか主食用米に比べれば。ということは、政府が二十五万トンの主食用米を仕入れ、一方で古いお米を売るわけです。そうすると、そこに必ず差額というのが出てくるんですね。その差額が、恐らく米穀機構が充てた残りの二百数十億円なんじゃないかと私は推測しています。わかりません、本当の金額はどのくらいか。

 この作業自体はどうなるかというと、政府がまず一回、機構から二十五万トン買っているそうです。お支払いは一回しているんだそうです、何百億円か。では、今度、米穀機構に政府の古いお米を売るんですけれども、それについては、米穀機構がその先の売り先が決まらないと売れないということで、半分ぐらいはもう既に売っているそうなんですが、残りの半分はそろそろ売りますよという状況だそうです。

 となると、政府としては、その差額という意味では少し少なくなると思うんですけれども、既に二十五年産米を二十五万トン買うということをやっているので、六十キロ当たり幾らになるかというのは、今後の備蓄米の買い入れに影響するからということで教えていただけませんでしたけれども、幾らでもいいですよ。もし、仮にさっきの六十キロ当たり一万円で買うと、これは結構な額になります。二百五十億どころではないです。

 となると、こういったことが農林水産省のホームページに、少なくとも金額は、詳細は要らないと思いますが、これをやるに当たって新たに財政出動が必要ですということがあってしかるべきなんじゃないかと思いますが、先ほど申し上げたように、何らございませんでした。これは一体どういうことなのかな。

 しかも、金額が金額です。数百億という単位になります。これは、ホームページでも何でも結構ですけれども、情報として出すべきだったんじゃないのかなというふうに思っていますが、まず、このお金のやりとりが発生するということが発表されていなかった理由というのをぜひお伺いしたいなと思います。どなたでも結構です。

松島政府参考人 委員御指摘のとおり、機構が保有する三十五万トンと、それから政府が備蓄米として保有する古米の交換という形で発表させておりますけれども、今まさに委員がお話がありましたように、通常、交換というのは、等価値のものを交換する場合でございますが、米穀機構が買い入れた新米と政府が備蓄米として保有する古米との交換に当たりましては、その評価額が大きく異なるということで、契約上は、新米を国が買い入れまして、国が備蓄米として保有しています古米を米穀機構に売り渡すという形式をとっているところでございます。

 国が米穀機構から買い入れたということにつきましては、本年九月末に農水省のホームページで既に公表してございます。しかしながら、その具体的な買い入れ価格の公表については、ホームページ上、後日公表予定という形で載せさせていただいています。

 理由でございますけれども、買い入れ価格は入札で決めさせていただいておりますけれども、具体的な価格を公表することにつきましては、まず、これは二十五年産の米でございますが、二十五年産の米の他の民間の市場取引に影響を及ぼす可能性があるのではないかということ、それから、政府はこの備蓄の運営の中でさまざまな買い入れを行っておりますけれども、買い入れ価格に係る予定価格を類推されてしまう、したがって将来の公正な入札を阻害するおそれがあるのではないかということから、九月末の買い入れの公表の際には買い入れ価格は公表しておりません。

 将来、二十五年産の米の流通がおおむね終了する時点で公表させていただきたいというふうに考えております。

林(宙)委員 その辺の事情は御説明で重々承知しておりますので、私は先ほど金額は結構ですと申し上げたんです。お金が発生するよということを一言ぐらい書いておくべきだったんじゃないですかということを申し上げているんです。

 なぜなら、今回政府が売り渡すことになっているこの古いお米というのは、それはそれで、過去に新しい米として買っているんですよ。一回買っているんですよ。

 それを今回リリースするわけなんですけれども、その見返りとして、また新しい米を同じ二十五万トン買うことになっちゃうんですね。わかりますか。備蓄米の総量としては変わらないんですよ。恐らく、備蓄米というのは、大体百万トンぐらい、適正水準として持ってなきゃいけないというのがありますので、今回、新しい米の割合はふえたけれども、備蓄米の総量は変わっていませんから、来年も来年で、これはまた備蓄米をある程度買わなきゃいけないわけですよ。

 そうなると、毎年毎年のレギュラーな政府の動きとは違って、イレギュラーなものが、しかも数百億円単位で発生しているということを、今後は、ある程度、開示できる範囲でいいから、少しずつやはり情報を発信していくべきなんじゃないかということを御提案しているんです。

 それで、時間がなくなってきましたので、もう一つお伺いしたいんですけれども、先ほど、四月の時点では、政府がそこに財政支援をするとかなんとかというお話はなかったです。考えていませんでしたという御答弁をはっきりいただきましたので、ちょっとお伺いします。

 先ほどの資料1、下の「買入対象数量 三十五万円トン程度」、これはあくまで予定なので確定ではないというお答えになるんでしょう。しかしながら、機構は二百二十億円の積立金しかなくて、そのほか、バランスシートも全部チェックさせていただきましたけれども、ほかにお金を捻出するとすれば、有価証券を売るか、もしくは、持っている資産を全部売るぐらいの勢いじゃないと、この金額は捻出できないんですよ。

 そうすると、その段階で、機構が、三十五万トンを、六十キロ当たり一万円で売るかどうかまで考えていたかどうかはわかりませんが、それは、二百二十億円の積立金だけではちょっと足りないかもしれないねと多分思っていたはずなんですね、普通に考えると。では、何でこの段階で三十五万トン程度と言えたんでしょうねというのが私は非常に疑問なんです。

 多分、そんなことはありませんという御答弁になると思うんですけれども、どなたでも結構ですが、改めてお伺いしたいんですけれども、これは四月の時点で、政府がある程度関与して何とかしましょうということをお考えになっていたんじゃないんですか。これをお伺いします。

松島政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、この機構の二十五年産米の買い入れにつきましては、あくまで機構の発意ということでございまして、先ほど委員から御指摘がございました、三十五万トンの財源が十分手当てできていないではないかという御質問につきましては、買い入れた主食用米を餌米に売却するのか、加工用米に売却するのか、そういったものによって販売価格が相当異なってまいります。

 したがいまして、この段階では、機構としては、販売価格を特定せずに、こういった計画があるということについて公表されたというふうに承知してございます。

林(宙)委員 そういうお答えをいただくのかなというふうに思っていましたので、さして驚きはしません。

 しかしながら、これは先ほど言いましたけれども、農水省のホームページを見て、まさかそこまで大きなお金が結局動くことになるなんて誰も思わないです。場合によっては、今私が申し上げたように、私は疑っているわけじゃないですよ、疑っているわけじゃないけれども、こういう見方もできますねというお話をしているんです。こういうふうに見られてしまうということ自体が、国にとってはマイナスじゃないですかということを言いたいんですよ。

 なので、先ほども申し上げたとおり、少なくとも、毎年のそういった業務とはまた違った別の形で、イレギュラーで、しかも数百億円という単位で何か国が動かなければいけない、あるいは動いたというときには、ある程度の情報は発信しておくべきだというふうに私は思うんです。

 時間がそろそろ参りますので、最後に、これは大臣に、そのあたりについて、今後開示していくのかどうかというところについての御意思を伺わせていただいて、質問を終わりにさせていただきたいと思います。

西川国務大臣 今の御指摘は、しっかり受けとめておきたいと思います。

 実は私も、予算上どうするか、こういうことを職員の皆さんに尋ねたわけであります。

 それで、米が、当初二十六万トンぐらい余ります、全国の皆さんが、これを何とか国で処理をしてくれ、こういう要請があったわけですね。そういう中で、需給のバランスを考えると、どうしても三十五万トンまで行かなければ米価の下落に歯どめがかからない、こういうこともあって三十五万トンということになったわけでありますが、問題は、我々は、需給のバランスをしっかり見きわめて、過剰米が、そうかといって、自然相手の問題でありますから、天候次第によっては過剰が出るし、天候次第によっては不足にもなりますけれども、余りにもかけ離れていかないように、しっかり生産について方向性を見定めていきたいと思っています。

 それから、予算の増については、これはできる限り開示をするようにやっていきたいと思います。

 それから、買い入れ価格については、まだ二十二年分ぐらいまでしか公表しておりませんが、影響のない範囲で、早く公表できるように努めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

林(宙)委員 ぜひそういった姿勢で、今後も農政を取り仕切っていただきたいなというふうに思っております。

 では、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 西川大臣、あべ副大臣、中川政務官、御就任おめでとうございます。農業政策、林業政策、一次産業の大変厳しい時代に担うということで、ぜひ一緒に議論をしてまいりたい、こう思っております。

 そして、女性が副大臣、政務官に入られたことは非常にすばらしいことだと思っております。というのは、日本食が世界遺産ということになり、農林水産省がしっかりと日本食を売っていくということになれば、男は比較的、丼飯でもいいという感じなので、やはり食の文化をしっかりと伝えていくためには、大臣が国内に残って、女性が海外にどんどん行っていただくというような形をぜひとっていただきたい、こう思っております。

 江藤委員長には、委員長就任おめでとうございます。武闘派の江藤委員長と議論をもっとやりたかったんですが、委員長ということで、発言がないということで残念でありますが、頑張っていただきたい、このように思っております。

 先ほどうちの党の議員から、維新の党の考え方、大臣はまだ初めてだと思います、きょういた委員の方々はそれぞれおわかりになっていると思いますけれども、我々は、まず、何で農業が衰退したか。その一つの大きな原因に、日本が昭和四十七年ごろ、米が余り始めたときに、生産調整を始めた。アメリカやフランスやイギリスは、それぞれが、生産が、機械化やいろいろなもので大きく収量が上がってきたときに、世界に売ろうと考えた。日本は中に入ってしまった。そこに大きな原因があり、生産調整で長年苦しんだ。その部分を変えていくためには改革は大変必要なことだということは共通しておりますので、そういう意味では、それぞれの四つの改革に対して賛成をしてまいりました。

 しかしながら、今回、その改革の初年度、米価が大変な下落をいたしました。この米価の下落に対して、自民党の委員の人からも、来年、もう米をつくれない、農業をやめなきゃいけない、そのようなことを言っているという人たちが我々の地域にもおります。

 しかしながら、実は、東北や北陸は、ナラシの制度に関しては、農家の人は全員知っています。知っているのになぜそうなっているかというのが大きな問題なんです。

 それは、これまでの生産調整、そしてこれまでの農業政策に対して非常に大きな不信感があるんです。だから、この制度をよく知っていても、今後どうなるのかということが非常に不安であり、その結果、もう農業をやめた方がいいんじゃないか、このようなことを思っている。この認識を持たずして、大臣初め農林省が取り組んでいかないと。これは、決してお金の問題だけじゃないんです、気持ちの問題。再生産をしっかりやっていくだけの方針を農林省が打ち出すのかどうか、それを農家の人たちは見ているんだということを認識していただきたい。

 この件に関して、大臣はどのように思われていますか。

    〔委員長退席、伊東(良)委員長代理着席〕

西川国務大臣 農林政策は、二つの考え方がありますね。

 一つは、その地域が、条件は平たん地に比べて不利かどうかというのを見なきゃいけません。あるいは、国境措置があるかないかによって、作物が不利かどうかというのを見なきゃなりません。そういうことで、条件不利なところに対しては、政策的な支援をやって安定して農業がやれるようにやらなきゃいけません。

 もう一つの柱というのは、収入が、安定すればいいのでありますが、減少したときに補填する、支援する政策があるかどうか、これも大きな判断材料だと思います。

 そういう意味で、私どもは、条件不利な部分に対する支援、それと同時に、価格下落に対する、収入が減少することに対する政策的な支援、これが柱になっています。

 しかし、柱になっておっても、将来に向けて農業が安定して成長産業になるということが見えない限り、私は、若い人たちはなかなか入ってきてくれない、こう思っています。そういう中で、所得倍増というのも考えてみました。これの倍増のやり方をどうするか。

 それで、アベノミクスがうまくいって年率二%ずつ伸びていけば、十年間で二〇%伸びますね。そうすると、食というのは九十四兆円ですから、これで十九兆円ぐらい稼ぎ出せる。半分は農家がもらえばいいですね。こういうことで、そのためにどうする。

 そのために、六次産業化も進めますし、生産費を下げていくこともやりますし、それから海外に向かっての輸出をやります。こういうことを総合的にやったら、成長の中での半分、農家の取り分がふえていけば、これは若い人たちが来てくれる、こういうことを我々は考えています。

 さらに、大規模化が進めば、離農者が当然出ます。離農した人たちが働く場所がなければだめです。その就業機会をどうやってつくる、こういうことになりますが、農林関係は、昭和四十六年につくった農村地域工業導入促進法がまだ残っています。それから、経産省で、中小企業の立地法が、昔の工業再配置法の後を引き継いで残っています。両方足せば、地方税の不均一課税もできるし、国税も減免できる、こういう税制上の応援もできるので、新しい就業機会をつくるような農村への法律を何とか構築していって、大規模化が進む、そのときに就業機会を持ってもらえる、そういう政策を我々はやっていきたいと思います。

 作物ごとについては、どういう目標を持って、米は減っていきますが、ほかのものはどう伸ばしていく、こういうしっかりした計画を今つくっておりまして、これをなるべく早くお示しできるように、我々は作物全体の取り組みをお示しできるように、今努力中でありますので、もう少し待っていただければと思います。

    〔伊東(良)委員長代理退席、委員長着席〕

村岡委員 大臣に、私も午後、地方創生で質問がありますので、地方創生の主管大臣でもあるので、この農業というのがやはり地方創生にとって大変大きな位置を占めている、こう思います。やはり、地方にとって農林水産業がしっかりとした発展そして雇用の場じゃなければ、地方は再生できないと思っていますので、その意味では、農業の大事なところをぜひ頑張っていただきたい、こう思っております。

 しかしながら、農業の部分で、例えば、六次産業化だ、海外だ、そういうときに、これは言葉だけしかまだ躍っていないんですね。ごく一部の成功事例を挙げたりします。その中で、ごく一部の成功事例というのは、基本的に政府のお金を使わなかった人の方が成功しているというのが現実なんです。

 そこを、私がこの前農林省の方々に言ったのは、農林省の方々や地方創生の委員が、例えばユズを売って成功したとか何を売って成功したと言ったときに、その表に五つ並んでいるもので四つまでが国のお金が入っていないところが成功しているんですよ。

 ということは、やはり民間の力というのを促すような政策じゃなきゃいけない。こういう制度を決めたから、だからお金を使ってくれというのでは、やはりなかなか、補助金をもらっている二、三年はいいでしょうけれども、その後五年、十年たってくると、それが倒産して全く使いようがない。これが今まで多くあったことは現実なんです。

 そこが、例えばいろいろな、地方創生でも異次元といいますけれども、農業でも、安倍総理は異次元と言っていましたけれども、異次元というのは何なのかがよくわからない。私は異次元には住んでいませんので、農業にとっては異次元とは何なのか、ぜひ具体的に教えていただきたい。

西川国務大臣 安倍総理が言う異次元というのは、現状を打破して、さらにすばらしい経営ができる状況をそういう言葉で申し上げたのではないか、こう思います。

 私どもも、今度の農協改革も、単位農協を強くする、こういうことを前提に、農家への取り分をふやそう、こうやっているんです。ですから、経費の節減も農協自体にもやってもらわなきゃなりません。

 これを農家の皆さんにどういうふうにやったら一緒になって努力してくれるかなということを考えますと、やはり、農協そのものも一つの独立した経営体になった方が私はいいと思うんです。その下にいる農家も、一つの独立形態でどんどん前向きな話を取り組んできたのがいいと思うんです。

 その単位農協を強くするときに、やはり農家の信頼がなければ農協は強くなれません。どうやったら単位農協との関係が強くなるか、こういうことになりますと、私なんかもそうでありますが、農協というのは利益を出しちゃいけない、私もこういうふうに思い込んできた節があります。しかし、そうではなくて、農協にはどんどん稼いでもらった方がいいんですね。

 私も農協の出資者ですが、配当は、単協は七%、連合会は八%、こういう出資配当がありますが、それは組合ですからおいておいていいと思うんです。どんどん稼いでもらって、利用高配当は無制限でやっていきます、こういうことになれば、農協と農家の皆さんがもっとうまい形でつながっていくのではないか。そして、新しい発想のもとに一つの経営体として競争の中で生き抜く、こういうことを私は考えております。

村岡委員 異次元というよりも、農協改革が一番大切だ、こういう大臣の認識だと思います。

 この四つの改革で進めていく中で、大規模になって、先ほど大臣が言った、逆に人口減少になる。いろいろな問題が地方にあります。その中で、大規模になればコストが下がるという認識は、この委員会でも言ったんですけれども、簡単ではありません。大規模になった部分は吸収しちゃうところがあるわけです。

 農林水産業の二兆五千億というのは大きなお金です。しかしながら、農家のコストで一番かかっているのは、農機具メーカー、肥料、農薬、こういう会社はちゃんと利益を得ているんです。民間の会社ですから、利益を得るなとは言いませんけれども、この農業政策の中でこのコストを異次元で下げられないかどうか。これはもう大きな、カントリーエレベーターもそうです、いろいろなものが、世界各国のそういうお金と比較して日本は高過ぎる。そこが、大規模になればもっとかかるんです。ここに何か異次元の政策がないでしょうか。

西川国務大臣 これは、経費を下げるということで、周辺の関連の産業の皆さんに私どもとしても意見を申し上げていきながら、できればその調達価格が下がるように努力をしていきたい、こういうことだけ申し上げておきます。

村岡委員 民間企業のことなので言えないことはわかっていてお聞きしましたけれども、林前大臣は、バイヤー・イズ・キング、商社に勤めていまして、買う人が王様だと言っていましたけれども、農業の場合は、買う人は王様ではありません。これは使わざるを得ない。農薬は何回使いなさい、肥料はこう使わなきゃ一定のものができない、そして農機具ももちろん、効率をよくするために使わなきゃいけない。そのときに、言い値で買っているのが現実なんです。それは農協が幾ら介在してもそういう状況だと。

 ここを、農協の改革の中、いろいろなことで、やはりこういうかかるものに関して経費を節減しない限り、なかなか農家自身に利益が残らない。これは漁業も同じです。林業も同じです。やはり第一次産業はどうしても、かかるコストを下げるところをしっかりやっていかないと、利益を得られない。所得倍増なんというのは、とてもじゃないけれども、そこに追いつかないという現実があることをしっかりと認識していただきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、先ほど農協改革を大臣が言われました。農協はもちろん、民間企業と同じで、それは民間の組織ですから、自分で自己改革するのは当然必要だと思っています。しかしながら、改革を求めているわけですから、農林省としては、例えば中央会にしても、いろいろな農協の組織にしても、何が農業に対して改革しなきゃいけないという認識はあるんじゃないかと思うんです。その認識は何でしょうか。

西川国務大臣 私どもも、農業の三大改革をやるときにいろいろ検討しました。

 そういう中で、農業委員会の問題等は、公選制を廃止するとか、農業委員の数を半分程度にしたらどうかとか、農地利用最適化推進委員をどの程度つくればいいかとか、県の段階の農業会議の果たす役割は何だろうかとか、それから、全国会議所はどういう権限を持ったらいいのかというのをまず一つやりました。

 それから、農業生産法人も、今四分の一までしか民間の出資ができない。これは、産業競争力会議を初め民間の皆さんは、五割を超えさせろという意見が非常に強い。強い中でありますが、私は当面、過半数にいかない、五〇%未満の中で出資は最大限入ってもらって、農業者と一緒になって農産物を売って、そして、そこで所得の配当を農業者に来るようにしていきたい、こういうことを、農業生産法人の改革まで我々は方向づけをしてきました。

 さて、農協でありますが、これは全農の株式会社化がいいのかどうかという話もありました。これからはインターネットで、ボタンを押せば農業資材が安く早く来る、こういう時代になりますね、そういう中で今の経済活動でよろしいんでしょうかという議論もしました。

 それから、農林中金というのは巨大なお金を扱っています。為替の動向で、円安に振れれば莫大な利益が出るけれども、円高になれば損失につながる。こういう中で、どういう状況で農家の大事なお金を利用するか、こういうことも検討してきました。

 その中で残っているのが、全中、県の中央会の制度でありますが、これはあくまでも、単協を強くして、農家の所得をふやしながら、そして総合的に農村のにぎわいを取り戻す、このために全中の果たす役割は何でしょうか、県中央会の果たす役割は何でしょうか。これはやはりみずから改革案を示していただきたい、そして、私どもとしっかり同じ方向を向いてつくり上げていきたい、これが私の考え方でございます。

村岡委員 時間がないので、最後にお話ししますが、農協も改革していかなきゃいけないという大臣の思いもわかりました。しかし、その改革というのは、大臣が言ったように、一緒に、ともにやっていくという改革じゃなければ、それは農家の人たちが一緒についてこない。そこは、農家の人たちと一緒の気持ちでやっていかなきゃいけないということをぜひ進めていただきたい。

 我々は改革には賛成です。今までの農林大臣でしたら、西川大臣の考え方は袋だたきに遭う考え方だと思います、自民党の中では。しかしながら、改革を進めていってその先に農村、農家がよくなるということがしっかり見ていければ、我々は改革をして農業をしっかりと再生したいと思っていますので、これからも議論をお願いしたいと思います。

 きょうは、ありがとうございました。

江藤委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 次世代の党の桜内文城です。

 きょうは一般質疑ということもありまして、特に農林水産業・地域の活力創造プラン、これに基づいて質問をしていきたいと思います。

 最初に、少し細かな話にもなるんですけれども、農地中間管理機構というものができまして、その活用によって農業構造の改革と生産コストの削減を行っていきたいということが述べられております。

 農地中間管理機構の仕組み自体については私も賛同するところが大なわけですけれども、目標として幾つか書かれております。この目標も、いいといえばすごくいいんですけれども、例えば、今後十年間で担い手の農地利用を全農地の五割から八割にしていくですとか、あるいは米の生産コストを全国平均比四割削減していく。これもできればいいことですね。また、新規就農し定着する農業者を倍増する。数値目標もありまして、十年後に四十代以下の農業従事者を四十万人に拡大。そして、さらに言えば、今後十年間で法人経営体数を五万法人に増加させていく。大変美しい、本当にこうなったらいいなという目標なんですけれども、農地中間管理機構にはやや荷が重過ぎるんじゃないのか。

 要は、もちろん、農地中間管理機構もしっかりとこれから仕事をやっていっていただく必要はあるんですけれども、少し政策的な意味でのつながりが見えにくいというか、その点についてどうやって補完していくのか、この目標をどう実現していくのか、大臣のお考えをお聞かせください。

奥原政府参考人 農地中間管理機構でございますが、昨年の臨時国会で法律を通していただきまして、現在、東京都以外、四十六道府県で機構が立ち上がって仕事を始めているところでございます。

 この機構は、今後十年間で農地の八割を担い手のところに集積、集約化をしてやっていこうということを目標にしてやっているものでございますが、農地の所有者の方から中間管理機構が農地を借りまして、これを担い手の方々に転貸する、こういう仕掛けでございます。

 今回の農林水産業・地域の活力創造プラン、この中で四つの目標が掲げられているわけでございますけれども、特に担い手への農地の集積、これを主眼として整備をしたのが農地中間管理機構ということになります。

 御指摘のほかの目標、生産コストの削減、新規就農者の拡大、あるいは法人経営体の増加、これにも農地中間管理機構は当然絡んでまいりますけれども、農地中間管理機構だけでこれら全ての目標が達成できるということでもございません。

 ただ、それぞれ、中間管理機構はこの目標に貢献するところがあるわけでございまして、機構を通じて担い手への農地の集積、集約化が進めば、当然、米の生産コスト、そういったものは下がってくることになります。そういう意味では、コストの削減に貢献する部分がございます。ただ、コストの削減については、機械のコストですとかいろいろなことを含めて、トータルでコストが下がるような取り組みをさらに進めなければいけない、こういうことでございます。

 それから、機構を活用いたしますと、当然、担い手の方に転貸をするということでございますので、法人経営体の方、あるいは新規参入する方、青年就農者の方、こういった方々に円滑に農地を貸すことができるようになります。新たに参入される方についてやりやすい環境が整うわけでございますので、法人経営体の数あるいは新規就農者の拡大にも貢献するわけでございますけれども、これも中間管理機構だけで全てができるというわけではございません。

 例えば、新規就農者の部分につきましては、青年就農給付金とかこういった制度もございます。それから法人経営体につきましては、こちらについては、税制上の経営体育成準備金制度、いろいろなもの、それから日本政策金融公庫のスーパーL資金、こういったものを使って法人経営体の数をふやしていく、こういったこともやってまいりますので、中間管理機構を一つの軸にしながら、ほかの政策も組み合わせて、この四つの目標を達成していく、こういう考え方でございます。

桜内委員 丁寧な説明はありがたいとも言えるんですが、もうちょっと簡潔にお願いいたします。

 ほかの制度も組み合わせてと今おっしゃいましたけれども、では、ほかの制度を見るとどうなのかということについてお尋ねいたします。

 これも、さきの通常国会で通りました、担い手の経営安定のための交付金に関する法律ですね。ここの担い手の認定農業者等の要件から規模、面積の要件が外れたんですね。先ほどおっしゃった、やはり農地の集積、集約化を担い手にやっていただいていこうという方向がありますが、一見逆行するようにも見えるわけですよ、規模の要件を外していくということは。小規模のところも担い手として認定されていくということですから。何か、その辺が、先ほども少し言いましたが、目標の設定は確かにすごくいい、大事なことでありますし。ただ、それを達成していくためにどういった政策を組み合わせていくのかというところがちょっとちぐはぐな印象を受けるんです。

 特に、今申し上げました、担い手の認定のあり方から、さきの通常国会で法改正されて、規模の要件を外したということ、これについての説明をお願いいたします。

奥原政府参考人 本年の通常国会におきまして、担い手経営安定法を改正していただきまして、この経営安定対策の対象者、ここの部分を変えております。認定農業者、集落営農に加えまして、認定新規就農者を加えましたのと、もう一つは、従来ありました面積の規模要件を今回は廃止するということになっておるわけでございます。

 これはどうしてこういうことにしたかということでございますけれども、認定農業者になっている方であれば、これは市町村から意欲と能力があるということが認定をされているわけでございますけれども、中には、従来の面積規模要件を満たさない方がいらっしゃいました。

 従来、都府県であれば四ヘクタール、北海道ですと十ヘクタールという面積要件がございましたけれども、この面積要件をクリアしない、小さい方でありましても、認定農家になっている方でありますと、収益性の高い野菜とか、こういった作物を組み合わせた複合経営をやっていらっしゃいますし、あるいは販売、加工を含めて六次産業化に取り組んでいらっしゃる。そういう形で、農業所得全体を上げよう、そういう取り組みをされておられますので、こういう方々は、面積の規模の要件を満たさなくても、やはりきちんと経営安定対策の対象にすべきである、こういう方々は農地の集積の対象でもある、こういう考え方に立ちまして、規模要件を今回外したところでございます。

 今回、このように規模要件を外しましたのは、担い手への農地の集積の目標に逆行するものではない、担い手としてどういう方々を捉えるか、こういう問題というふうに考えております。

桜内委員 ちょっと納得いかない御答弁なんですけれども。

 要は、集積、集約化を図っていくというのであれば、もちろん、最初に担い手として、今規模が小さくとも認定していくというのは一つのやり方なんですけれども、その後にやはりインセンティブなり、制度的にちゃんとつけ加えて、集約化なり規模を大きくしていくならばその認定の継続を認めるとか、いろいろなやり方はあると思うんですよ。単に要件をぽんと外して、それで規模の集約化あるいは集積に反しないというふうに言われても、これは世の中では通らない御説明だと思います。少し、そこはもう一度検討していただきたい事項でございます。指摘しておきます。

 それに関連して、あと、日本型直接支払制度、四つのタイプができたというか法定化されていったわけですけれども、ここについて少しお尋ねをいたします。

 これも、やはり目的の設定、目的の部分で、農業、農村の有する多面的機能の維持発揮を図るためというふうにあります。確かに、多面的機能の維持といえば通りがいいとは思うんですけれども、それにしっかりと結びついた制度になっているのかというところです。

 特に、維持あるいは向上という部分については、多面的機能の維持に資する。これは、用水施設の改修ですとか、あるいは、のり面の草刈りですとか、そういった活動に対する支援でありますので、そうだねということなんですが、やはりこれも多面的機能の維持というところとどうつながるんだろうかとわかりにくいのが、中山間地の部分なんですね。

 これはどのように考えればいいのか、これも教えていただきたいんです。従来の説明ではすごく回りくどいので、もっと直接的に、しっかりわかるように御説明いただきたいんです。

中川大臣政務官 中山間地域等直接支払いは、中山間地域などにおける農業生産条件の不利を補正し、農業生産活動が適切に継続されるようにする観点から実施しているものであります。

 中山間地域等においては、平地地域に比べて高齢化や人口減少が進行いたします。本制度により農用地の適切な維持管理が図られているところであり、このことを通じ、こうした地域においても、農業生産活動を継続する中で担い手の方への農地の利用集積などを進め得る環境が整えられることになると考えています。

 また、本制度の中で、担い手の皆さんへの農地の利用集積などの取り組みも後押ししているところでございます。

桜内委員 従来の説明と全く同じでして、そんなことを聞いているわけじゃないんですよ。今の説明が、では、本当に多面的機能の維持にどうつながるのかというのが、政策上、よくわからないからここでお聞きしているんです。

 多分、何度聞いてもしようがないでしょうから、これも指摘にとどめておきますけれども、その目的の設定として、多面的機能の維持だけでは説明がつかないのであれば、しっかりその目的自体を、直接、中山間地の方々の不利を解消するためにお金を上げるんだと正直に言えばいいんですよ。そうでないから、それを何か多面的機能の維持だとか、きれいごとを並べようとして正当化しようとするので、説明に窮する、説明が長くなる、意味がわからなくなるということになりますので。

 私も、別に、中山間地の直接支払制度がだめだと言っているつもりはありません。本当に農村のこういった多面的機能の維持にちゃんとつながるのであれば、しっかり出していくべきだと思うんですけれども、ただ、どうも、実際のお金の使われ方を現場で見聞きしておりますと、少しばかりの直接支払いを受けて、どう見てもこれはちょっと多面的機能の維持とは関係ないよなというところにお金が使われている事例も散見されますので、こういった指摘をした次第でございます。

 そして、先ほども村岡議員が触れていらっしゃいましたけれども、今度、農協ですとか、それから農業委員会のあり方について話を移してまいります。

 私は、やはり違和感を感じざるを得ないのが、農業委員会の公選制の廃止なんです。というのは、結構露骨な書きぶりをされていまして、委員会のあり方が、「適切な人物が、透明なプロセスを経て確実に委員に就任するようにする必要がある。」ということは、逆に言うと、今の公選制は適切でない人物が不透明なプロセスで選ばれている、そういうふうに書かれているわけです。逆に読めばですよ。

 あえて公選制を廃止するというところの趣旨について、説明をいただけませんでしょうか。

中川大臣政務官 農業委員会の選出方法については、現在、公選制とされていますけれども、実際に投票が行われておりますのは一割にすぎず、形骸化されているというふうに思います。地域によって差がありますけれども、多くの地域では、兼業農家が委員となり、担い手の方が選ばれにくいという制度になっているというふうに思います。

 このため、ことし六月の与党の取りまとめ及び政府の農林水産業・地域の活力創造プランにおいて、担い手の方など適切な人物が透明なプロセスを経て確実に就任するようにするために、公選制から、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改めるということにしています。

 農林水産省といたしましては、この枠組みを前提に、与党とも協議をしながら、次期通常国会における関連法案の提出に向けて検討を進めてまいります。

桜内委員 通り一遍の御説明なわけですけれども、それがどうなのかということをお聞きしているんですよ。

 要は、我々も国会に来ているということは、選挙を経て来ているわけです。もちろん、実際に選挙が行われる例が少ないということであれば、むしろ選挙をしっかりやっていく方向に変えていくという改革の方向性もあると思います。

 また、きのう、この質問について農水省の方と事前にやりとりした際には、今度は担い手の方になるたけ多くなってもらおうということなんですが、別にこれも専業に限った話じゃないわけですよ。

 だから、兼業の方が多いからよくないというふうなことも、さっき政務官はおっしゃいましたけれども、しかし、では、今後この改革の方向性にあるようなやり方に改めていく、公選制をやめて市役所で決めていくなりの方向にして、ここにあるような、それは、適切な人物が透明なプロセスを経て確実に委員に就任してもらえば一番いいんですが、それが本当に担保されるんですか。

西川国務大臣 この農業委員会の改革についても、我々は長い時間をかけて議論しました。

 そこで、民意の反映といいますか、地域に住む人たちの総意がどうやったら反映されるか、こういう議論の中でやってきました。そういう中で、全国の農業委員会の選挙も、旧市町村単位で行われておりますけれども、九割が無投票、選挙にならない、こういうことでありましたので、民意の反映ができるのであれば、ほかの方法がないか、こういう議論をしてきたんです。

 そこで、地域の方々から、この人になっていただければ非常にその地域の農業が守れる、こういう人たちを推薦していただこう、こういうことにして、市町村長のもとで今度は名簿をつくり、これを、民意の反映という意味から市町村議会にかけていただこう、そういうことで決定していけば、今の公選制と同じような形の地域住民の気持ちが伝わるだろう、こういうことで、公選制は廃止していこうという方向づけになったところでございます。

桜内委員 わからないでもないんですが、余りそれを強調すると、我々もこうやって国会へ何で来ているのかというときに、選挙が、ここの言い方で言えば、適切でない人物が不透明なプロセスを経て来ているからと言われかねない話であります。

 大事なのは、やはり農業委員会が、ここでも書かれておりますが、農地利用の最適化とあります。具体的には、担い手への集積、集約化、それから耕作放棄地の発生防止、解消、そして新規参入の促進。こういった農業委員会のそもそもの目的、使命を果たすために、どういった人になっていただくのか、その選び方の問題なので、公選が絶対いいとか悪いとか、あるいは、今後、今考えられているやり方が絶対悪いと言うつもりもありませんけれども、もうちょっとこれは考えられた方がいいんじゃないのかなというふうには思います。

 これは今後議論されていくことでしょうから、また改めて問題提起したいと思いますが、時間もあと五分ぐらいしかありませんので、次に行きます。

 先ほど、単位農協、農協のあり方ですね、農協法八条で営利を目的としないという旨の規定があります。やはり、そろそろ農協法自体、考え直していかなくちゃいけないんじゃないのかというふうに考えております。

 今回のプランの中では、特に別紙二におきまして、「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」というところで、単位農協と全農、経済連との関係について、まさに単位農協の農産物の有利販売ということに資する、それと、生産資材の仕入れをなるべく安くしましょうという目的が書いてあるんですけれども、これは、実は生産者と単位農協との関係でも同じことが言えると思うんです。実際には、そこのところがどうもうまくいっていない事例が多々見られるのが現状だと思っております。

 そういった意味でいえば、先ほども申しました農協法八条、営利を目的としないということから、といっても、農協は信用事業を抱えていますので、安定的な利益というのはそこで得られているわけですよ。一方で、信用事業以外の経済事業の多角化がどんどん進んでいます。うちの地元でも、ガソリンスタンドをやっていますし、葬祭場も経営していらっしゃいます。そういった意味で、他の民間企業がある分野にどんどん手を広げていって、ある種圧迫しているわけですよ。

 こういった地元における農協の影響力というのは大変大きいものがありますので、この方向性が本当にいいのかと私は思っております。やはり、協同組合という形態ですので、営利を目的としないというのも一理あるとは思うんですけれども、この点の見直し。

 そして、あと、具体的には、やはり農協法九条の独禁法の適用除外の部分もあるんですけれども、この文書の中にも、独禁法の適用除外をやめた場合にどういった問題が生じるのか検討してとあるんですが、問題は生じるんでしょうかね。私は生じないと思うんです。

 先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、農協であれ、やはりきちんと利益を出していくべき、そういう経済主体でありますし、また、それがまさに生産者、組合員の便益にもなっていくというのを考えたときに、農協法八条及び九条について、やはり考え直す必要があると思うんですけれども、その点について大臣の御所見をお伺いいたします。

奥原政府参考人 農協法の八条と九条の御指摘だと思います。

 まず、八条の方でございますが、現在の八条の規定は、農協は営利を目的として事業を行ってはならないということが書いてございます。

 これは先ほどから大臣の御説明もございましたけれども、この規定の趣旨は、会社とは違いますので、出資配当でどんどん配当してもいいというわけではないということを規定しているだけの条項でございます。したがって、配当する場合に、利用高配当、農家がどれだけ使ったかに応じて後で割り戻し金を配るというものについては、特に制限は設けられておりません。

 ですが、営利を目的としてやってはいけないというこの法律の条文があることを誤解されている方々が結構いらっしゃいまして、この結果、農協はもうけてはいけないというような考え方の方もいらっしゃいます。

 ここは、今回の与党の取りまとめ、それから政府の方のプランの中でも書いてございまして、農協は利益をきちんと上げていただいて、これを農家にきちんと還元する、あるいは将来に向かって投資に充てていくという方向で書きかえるべきではないかという提案がされているというふうに認識をしております。

 それからもう一つの、独禁法の適用除外でございます。

 今回の与党の取りまとめの中では、特に全農、経済連の株式会社化、これに関連をいたしまして独禁法の適用除外をどうするかという議論が書かれているところでございます。

 仮に、全農、経済連が株式会社化されるということになりますと、これは独禁法二十二条に規定する組合に該当しないということになりますので、その場合には独禁法の適用除外はなくなるということになります。

 ただ、現在の全農、経済連がやっている仕事は、農協の販売委託を受けて農産物を販売する、あるいは農協からの注文に基づいてメーカーから仕入れた生産資材を農協に対して供給する、こういうことであれば、現在の独禁法が適用されたとしても、普通の一般の事業者がやっていることと同じでございますので、その限りでは、特に独禁法どうこうという話にはならないのではないかというふうに考えられます。

 ただ、与党の取りまとめの中では、全農、経済連について、農業あるいは食品産業の発展に資する観点から、経済界とも連携して、もっと積極的にいろいろな仕事をすべきではないかという提案もなされております。

 この新しい仕事をやる場合に、それが独禁法上どうなるかということについては、ここは公正取引委員会との関係も含めて慎重に検討する必要はあるものというふうに思っております。

桜内委員 では、きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 質問に入らせていただきます。

 今、米価の下落、概算金の下落が大きな課題となっておりまして、地域に対して不安を及ぼしている。これをどうやって支援して、救っていくかということが大きな課題なわけであります。これはナラシでやっていくということはもちろんあって、これはこれでしっかりやるべきなんですが、もう一つの観点があるだろうなと思っておりました。

 つまり、農家の方々と集会をやったときに、経営の負担の軽減をしてほしいと。経営の負担というのはいろいろあると思うんです。例えば機械を買って耕作するとか、あるいは飼料が高いとか、いろいろあるんですが、農業機械のリースもあればいいのではないかなというふうにそこで言われました。つまり、個々に買うというよりも、まとまって、あるところからリースしたいと。そうすると、かなり機械負担が減るだろうなという話だったわけです。なるほどなと思いました。

 こういうリースの制度はあるのか。あるとしたら、どのような要件で行われているのか。そこは使いやすい制度でなければいけないという問題意識もあるんですが、そこの制度をちょっと御紹介いただきたいと思います。

松島政府参考人 農業機械のリースに対する支援の内容についてのお尋ねでございます。

 農水省の事業の中で、攻めの農業実践緊急対策事業というのがございまして、この中で農業機械のリース導入に対する支援を行っております。

 具体的には、これまで五戸以上で個別に行ってきた機械作業を担い手などに集約することによりまして、機械利用の効率化を図って、一割以上の生産コストを低減する、こういったことを目標としまして、農業機械のリースを行う場合には、機械の本体価格の二分の一以内を補助する事業という形になってございます。

 例えば、事例で御紹介申し上げますと、農業者五戸がこれまでコンバインを個別に所有していたのですが、それを担い手農業者に収穫作業を集約する、その結果、水稲作の生産コストの一六%削減を図る取り組みが行われる、こういった場合には、そのコンバインのリース導入に対する支援が行われるということでございます。

 また、そういった担い手への集約化に伴いまして、それ以外、集約される方以外の方、こういった方が、例えば、これまで稲作を行った方が高収益作物に転換する、例えば野菜やハウス栽培、そういったものに転換する場合には、その方々が高収益作物に必要な農業機械を導入する際のリース導入とか、それから資材導入、こういったものについても、あわせて支援対象としているところでございます。

 本事業は、各県の農業再生協議会というところを窓口としまして実施しておりまして、そういったところに御照会いただくなり、また県庁にお問い合わせいただきますと、より具体的な内容について御説明いただけるものと思っております。

畑委員 ありがとうございました。

 制度があることがわかりまして、まず、これをしっかり活用していただくことが第一義的だと思います。この中で、実は、今、米農家がかなり大変なこともあって、支援の拡充ということも言われております。

 今の農業機械のリースの話をお聞きすると、恐らく、五人以上で集まればいいのであって、そこの経営体というのは、特段の面倒くさい要件はないだろうなというふうに事前も聞いておりましたし、理解をしておりまして、そこは使いやすいと思うんです。

 あと、やはり非担い手、米を集約して、それ以外の人は米じゃないのをやらなきゃいかぬとか、あるいは生産コストの負担が幾ら以上と、ちょっとまだ要件があるなと思ったところであります。

 これから、こういうところの要件をもっと柔軟にしていくということが私は一つだろうと思うとともに、この農業機械のリースの支援を拡充、例えば二分の一補助ですが、今、米が下がっている中で、二分の一も何か大変だという人がいれば、実は三分の二になればいいという思いもありますが、これはおいておいて、要は、補助率を上げていくこともあるのかもしれない。

 あるいは、別に農業機械のリースだけじゃないんだと思うんです、経営負担の軽減というのは。これ以外を含めて、ナラシとは別に、経営負担、負担削減に関する施策を拡充して考えていくべきじゃないかなと思うんですが、そこのお考えを大臣にお伺いしたいと思います。

西川国務大臣 結局、足りなくなった、生産費を割ったときどうするか、こういうことになるんだろうと思うんですね。

 政策的には、先ほど言ったように、収入が減少したときはナラシでやっていきましょうと。しかし、それで賄えない部分をどうするか、こういうことになりますが、例えば稲作でそれをやったとしますと、ほかの野菜農家の皆さんはどうでしょうか、畜産の皆さんはどうでしょうか、納税者の皆さんはどうでしょうか、こういうことを考えますと、私は、理解を得るのがなかなか難しいだろうと思っております。

 そういう意味では、収入保険的な制度を充実していって、不慮の、作物が想定までとれなかった、こういうときの対応をできるように、これから制度を検討していきたいと考えています。

畑委員 一部、先の質問に答えていただきましたが、では、ちょっと順番を変えて議論をさせていただきたいと思います。

 そこの考え方は、これは農政改革の日本型直接支払いのときもさんざん議論をしたんですが、理念の違いがあるのだろうと思います。結局、ナラシというのは、御存じのとおり、高いところと一番安いところをとった三年間の平均ですね。短期的にはいいんですが、これは趨勢的に米価が下がっていくとどうするか。

 今の政府の方針だと、飼料米転換とか、できるだけお米をつくらないようにということでやっていくわけですが、それはそれでいいとは言いませんが、やはりコストがかかる部分があるわけです。私はこれは逆に岩盤だと言っていますけれども、これぐらいのコストはかかるよと。物理的にかかるわけです。

 そこをどうやって助けていくかということを考えると、収入保険はあるんだろうと思うんですが、収入保険でもやはり趨勢的に下がる部分は見られないんじゃないか。もし収入保険を組むのであれば、岩盤の部分を保障する収入保険でなければいけないと思います。それが一つと、あるいは、ナラシをやるのであれば、そこの岩盤をどう組み込むかということも今後の改正の議論になると思います。あるいは、一番私たちが申し上げたのが、戸別所得補償で米の直接支払交付金を維持する、これを復活するという方法もあるし、今考えると、私は三通りの方法があると思うんです。

 この機会、手法はどうでもいいとは言いませんが、岩盤をちゃんと守るような制度を、収入保険でもいいですが、つくることが必要だと思います。そこのところの所見はいかがでしょうか。

奥原政府参考人 コスト割れをどこまで見るか、そういうお話だと思いますけれども、工業製品あるいは農産物でもいろいろな作物がございます。ほかの作物とのバランス、やはりそういうものも考慮しなければいけないと考えておりまして、コスト割れとなる事態は、いろいろな作物、工業製品であると思いますけれども、税金を使用してコスト割れの補填を実施するということからしますと、それなりの合理的な理由がなければ、税金を使ってというわけにはいかないのではないかというふうに考えているところでございます。

 例えばゲタ対策、これは麦、大豆等についてやっておりますけれども、これはまさにコスト割れ部分を見ているわけでございます。これはなぜかといえば、国境措置との関係で諸外国と比べて生産条件の格差が相当ある、国内で単純につくったのではコスト割れになってしまって生産が維持できない、この理由がありますので、畑作物についてはゲタ対策としてコスト割れの補填をやっている、こういうことでございます。

 そういうことからいたしますと、米を含めてほかの作物に、一般的にコスト割れの補填がきちんとできるか、岩盤として保障ができるかというと、これはなかなか難しい問題になってまいります。

 現在のナラシ対策は、過去五年のうちの一番上と下を外しまして中庸三年の平均値をとってやる、こういうことになっておりますが、この制度の前提として、加入をしている農業者の方、担い手の方々でございますので、ことしの価格状況を見た上で、来年はどういった作物をどの程度つくるか、こういったこともきちんと判断をしていただいてやっていただく。

 例えば、ことし主食用の米の値段が下がったとすれば、来年は餌米を拡大するとか、いろいろなことを工夫していただくという前提だというふうに思います。そうやっていただけば、基準の収入がどんどん下がっていくということにもなりませんので、そうやって安定を図っていく、こういうことだというふうに考えております。

畑委員 そこを、岩盤を税金を入れて守るかどうかというところについては、民主党政権の農業の戸別所得補償で措置したわけですから、理屈がないということではないと思うし、一回制度化された話ですから。そこは政策判断が変わったということで、そして、岩盤を守らないという方針に転換したんだなということをお聞きしまして、大変残念に思っております。全国の農民もがっかりすると思います。

 では、ちょっと話を個別論に戻しましょう。

 農業機械のリースの話をいたしました。農業機械のリースの部分の要件なり、あるいは補助率の拡充という考え方はないか、お伺いします。

松島政府参考人 委員の方から、先ほどの御質問の中で、農業機械リース以外にもそういう担い手の経営を支援する事業はないのかというお話がございました。

 機械以外にも、例えば、農家が共同で利用する穀物の乾燥調製施設の導入、こういったものについては、強い農業づくり交付金というのがございますし、また、技術的な支援といたしまして、例えば、飼料用米などの低コスト生産の実証に取り組むための農薬とか肥料のかかり増し経費に対する支援といったもので産地活性化総合対策事業、農業機械リース以外にも、こういったさまざまな事業が用意してございまして、地域の実情に応じて活用していただいているということだと思っております。

 また、委員から、そういった事業の要件について、より使いやすくなるように見直すべきではないかという御指摘がございましたが、これにつきましては、個々の事業の事業対象をどうするかとか、また補助率をどうするかといった問題につきましては、やはり限られた財源の中で最大限の政策効果が上げられるという観点から、地域の実情もよくお聞きしながら設定しておりまして、今後とも、事業の効率的な推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

畑委員 そこの使い勝手がいいことも含めた拡充は、また引き続き議論させていただきたいと思います。

 今、るる制度があるという話をいただきました。実はこの制度を、全然と言っていいほど農家の人は知っていないんですよね。ナラシもそうでしたよね。ナラシも、周知がされずになかなか入っていなかった。ナラシでさえもそうですね。何でこんなに個々の農家、末端の農家の人は制度を知らないんだろうというのを私は疑問に思いました。ここを周知しなきゃいけないわけであります。

 結局、これはJAの機能も問題じゃないのかなと。これは行政がしっかりしなきゃいけないのは大前提です、そこを果たしているのかという問題意識はありますが。例えば、JAの組合員、農協の組合員に対しては、農協がそういうことをしっかり教えて、農協が寄り添って、ともに歩んでいかなきゃいけないんだろうと思います。

 しかし、農協というのは、職員も公務員化しているようなところはあると私は思います、問題は、だから、こういう農協改革の議論も出るんだと。仕事もルーチン化しているし、金融で食わなきゃいけない部分はありますが、あるいは葬祭の話とか、ガソリンスタンドとか、お金を稼がなきゃやっていけない部分はあるんですが、そっちが一生懸命になり過ぎて、本業の経営指導と営農指導、販路開拓等が弱くなっているような気がしておりましたが、それが今回の問題に象徴的にあらわれていると思います。

 農協の人へ、せっかく国がつくった、そういう制度を農民が使いこなせないような、情報量がないというのは問題だろうと思います。

 私は、この観点からも、要は、制度の周知機能を高めるということも特に必要で、このための農協改革が、それこそ必要だというふうに最近思っておりますが、その観点から、農協改革をどうやって進めていこうとお考えか、お伺いしたいと思います。

西川国務大臣 農協と行政のあり方というのも、行政が農協を連絡手段に使うようなことはやらない方が私はいいと思うんですね。行政は行政でしっかりやる、それから、農協は農協で、農業団体はしっかりやる、こういうことでこれから徹底を図っていきたいと考えています。

 農業者の所得向上をどうやるか、こういう問題に尽きるわけですが、販売は有利に、それから生産資材を買うのも有利に、こういうことを農協に目指してもらって、そういうことでしっかりやっていきたいと思います。

 先ほどリースの話が出ましたが、農業機械等のリースだけじゃなくて、今の農林水産行政の中で、私の地元なんかは、ガラスハウスとかビニールハウスとか大きなものまでリースをやって、農業者が所得を上げております。これは、農協が事業主体になる、そして農協が生産者に貸していく、こういうことで効果を上げておりますけれども、趣旨の徹底がよくされていないな、こういうことは否めない事実であります。我々は趣旨の徹底をしっかり図っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

畑委員 確かに、私は、JAに行政代行機能をやれと言っているわけじゃなくて、JAの組合員でさえもなかなか知らない状況に対して、JAがしっかり機能を果たしてほしいと申し上げているので、その観点も、ぜひともJAの機能の強化の議論の中で踏まえていただければと思います。

 次に、これは、米とともに最近悲鳴が出てくるのが、子牛価格の高騰の問題なんです。

 何回もこの委員会で私の地元の地域特定品種の短角牛を取り上げておりますけれども、短角牛は、子牛が一頭当たり、通常は十八万円だったのが、三十三万円ほどになっているんだそうでして、枝肉価格は今交渉中なんだそうですけれども、これまでキロ千五百円弱を、さらに引き下げるような圧力がある。このままでは、一頭当たり二十四万円の赤字なんだそうです。枝肉がキロ当たり千八百円なければ収支とんとんにならないということなんだそうです。

 これはこれで、新マルキン、あるいは県の単独のマルキン制度で助けなきゃいけないし、そこはそうなんですが、実は、十月末から子牛を入れなきゃいかぬ。要は、資金繰りが苦しい中で、どんどん赤字がある中で子牛を入れなきゃいかぬということで大変苦境に陥っているということを聞きまして、これは、これまで牛の関係は、BSEとか、あるいはTPPとか牛肉自由化、大変だったことがあるんですが、今が一番大変だと、すごい悲痛の声を正直聞いたところであります。

 ちょっと時間があれですが、マルキン制度の見直し、使いやすさとか支援の拡充ということがどうあるのかということと、あと、マルキンを仮に講じても、これはもらえるんでしょうが、来年になっちゃいますので、今、この十月にどうやって資金繰りをするかということがかなり苦しい。この中で、マルキンのお金を前払いでもらえるのか。あるいは、そうじゃなくて、もう一つ具体的に、現実的に考えられるのは、つなぎ融資というか、融資なんだろうと思います。今の段階で、例えば無利子融資みたいな形で資金繰りを支援できないか。

 そういう両面を含めて、対策というか、どういう検討をされるか、お伺いしたいと思います。

中川大臣政務官 新マルキン事業については、これまでも、肥育経営のいろいろな状況を踏まえて、平成二十三年七月から、補填金の支払いをそれまでの四半期ごとから月一回行うことで農家の経営の利便性に配慮をしています。また、そのほかに、平成二十五年四月からでありますけれども、地域の実態をより反映するため、県ごとに補填金単価を算定する仕組みを導入しています。また、二十五年の七月からでありますけれども、屠畜経費を生産コストに算入するなど、所要の見直しを行ってきたところであります。

 そして、委員御指摘の子牛の導入に当たりましては、活用可能な資金面での支援策といたしまして、スーパーL資金でありますとか農業近代化資金が措置されているところであり、これらの資金を活用していただきたいというふうに考えています。

 そして、日本短角種について、委員が質問されておられるのを私も委員としてお聞きをさせていただいておりましたけれども、地域の実情に細かく対応できるように、県の希望に応じて、地域ごと、品種ごとの算定がモデル的に実施可能となっています。

 日本短角種についても、現行制度上、条件が整えば地域の品種別に算定することは可能であります。岩手県などから具体的な御要望がありましたら、必要な助言や相談に応じてまいりたいというふうに考えております。

畑委員 何か、毎月支払うことにされたとお伺いしまして、これは時間がないので、個別の、本当に助けていただきたい案件なので、議論をさせていただきたいと思います。

 あと、やはり融資というか、その話は今お伺いしましたが、その融資というのが、利子も含めて、かなり後年の負担にならないようにできているのかどうかというのも含めて、改めて議論というかお伺いして、具体的な何とか助ける方法を相談して組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 本日は、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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