衆議院

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第7号 平成27年4月23日(木曜日)

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平成二十七年四月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君

   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君

   理事 松木けんこう君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    伊東 良孝君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      池田 佳隆君    今枝宗一郎君

      勝沼 栄明君    工藤 彰三君

      瀬戸 隆一君    武井 俊輔君

      武部  新君    中川 郁子君

      中谷 真一君    西川 公也君

      橋本 英教君    藤井比早之君

      古川  康君    堀井  学君

      前川  恵君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    森山  裕君

      簗  和生君    山本  拓君

      金子 恵美君    岸本 周平君

      小山 展弘君    佐々木隆博君

      福島 伸享君    井出 庸生君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      佐藤 英道君    樋口 尚也君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      小泉 昭男君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 島根  悟君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  松島 浩道君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   参考人

   (日本中央競馬会理事長) 後藤 正幸君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  伊東 良孝君     池田 佳隆君

  池田 道孝君     務台 俊介君

  勝沼 栄明君     堀井  学君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  橋本 英教君     藤井比早之君

  稲津  久君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     伊東 良孝君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  藤井比早之君     橋本 英教君

  堀井  学君     勝沼 栄明君

  務台 俊介君     池田 道孝君

  樋口 尚也君     稲津  久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長後藤正幸君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省生産局長松島浩道君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、警察庁長官官房審議官島根悟君、外務省大臣官房参事官宇山智哉君及び経済産業省通商政策局長鈴木英夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀井学君。

堀井委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。

 このように、質問の機会を与えていただきました委員長を初め理事の皆様方に感謝申し上げます。

 現在はほかの委員会に所属をしておりますが、競馬法の一部を改正する法律案の質疑ということで、日本の競走馬、軽種馬の九八%を占める生産地を選挙区に持つ議員として、私に花を持たせていただいたものと思っております。

 私よりも、馬に関してより詳しく勉強されている方、研究に研究を重ね、土日には必ず投資されている方がいるかと思いますが、仲間の皆様には、馬産地議員としての質問の機会にお許しをいただきたいと思います。皆様方に感謝を申し上げたいと思います。

 最初に、現状報告も兼ねましてお話をさせていただきたいと思います。

 先ほど、日本の九八%を占めると申し上げましたが、中でも、胆振地方が一八%を占めております。残りの八〇%は日高地方というところが占めております。

 その日高地方のお話であります。

 雪が解け、春を迎え、暖かくなった北海道の日高地方は、のどかで、心が癒やされる風景が続いております。冬の寒さの厳しい中で生まれた子馬が、母馬と片時も離れることなく、外での放牧を今の季節は楽しんでいるところであります。じゃれ合い、母馬に甘える子馬の姿を見ているだけで、何とも心が癒やされる瞬間であります。春を迎え、これから桜咲く四月、五月に北海道を訪れる機会がありましたら、ぜひ北海道の日高にお立ち寄りいただければ幸いであります。

 そんな馬産地も、これまでの長引く不況に耐え切れず、数多くの軽種馬生産牧場が相次いで倒産をされてきました。また、今もなお、負債を背負い、何とか資金繰りをされ、経営をされている方も現実には数多くいるのであります。

 そのような中で、今ようやく円高、デフレから脱却し、日本経済に好循環が生まれる中で、人口七万人前後、七町から成る日高地方にも景気の好循環が目前に迫っております。今、馬が売れ始めているのであります。不景気の中、買い控えていた馬主さんが、日本経済復活に太鼓判を押して、馬を買われているのであります。

 実際、農協で管理する馬の未売却名簿というものがあります。この未売却名簿の厚みが薄くなってきているという状況でありますから、実際のところ、売れているということになります。しかし、一頭の単価はまだ低いということでありまして、厳しい現状に変わりはありませんが、間違いなく、ここ日高にもアベノミクスの効果が届き始めていると地元から力強い報告を受けております。

 そのような中で行われる今回の競馬法改正は、地方にとってさらなる追い風になると軽種馬関係者の皆さんは捉えていることを申し添えて、何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、競馬をめぐる情勢についてお伺いをいたします。

 馬産地の皆様は、着実に景気がよくなりつつあると話しております。実際の日本中央競馬会の近年の状況はどのように推移しているのか、お伺いをいたしたいと思います。

松島政府参考人 まず、中央競馬の状況でございますけれども、売り上げは、平成九年の四兆円をピークにいたしまして、その後、景気の低迷や娯楽の多様化等を背景といたしまして、平成二十三年までの十四年間連続で減少してまいりましたが、平成二十四年以降は三年連続で前年を上回る売り上げを記録しているという状況でございます。

 また、競馬場への入場者数につきましても、平成八年をピークに減少傾向にございましたが、平成二十三年以降は横ばいで推移しております。

堀井委員 中央競馬会の近年の状況は少しずつよくなってきているということであります。

 地方競馬も同じような傾向なのか、お伺いしたいと思います。

松島政府参考人 地方競馬につきましては、売り上げは、平成三年度の約九千九百億円をピークにいたしまして、中央競馬と同様、減少傾向でございまして、近年はピーク時の約三分の一にまで減少してきたところでございますが、また、ここ数年は、インターネット投票の売り上げ増加などもございまして、平成二十四年度以降は三年連続で前年を上回る売り上げを記録しているという状況でございます。

 また、入場者数につきましても、平成三年度をピークに、その後減少傾向で推移しているという実態にございます。

堀井委員 中央も地方も回復しつつあることがよくわかりました。

 では、日本で強い馬、人気のある馬、また魅力ある馬が海外に出走することが数多くニュースで近年伝えられておりますが、最近の出走状況をお知らせいただきたいと思います。

松島政府参考人 我が国の競走馬生産者による馬の改良増殖の取り組みや、また競馬の国際化の進展ということもございまして、国内競走馬が海外競馬の競走に出走して、すぐれた成績をおさめることが多くなってきてございます。

 最近では、フランス、香港、アラブ首長国連邦、オーストラリアなど、世界の主要なレースを中心にしまして、年間、平均しまして二十レース程度に出走している状況でございます。

 活躍が顕著な最近の例といたしましては、平成二十六年におきまして、ドバイデューティーフリーというレースでジャスタウェイ号が優勝したという事実もございますし、また、アラブ首長国連邦及びオーストラリアのG1競走におきまして、国内競走馬が四勝を上げたところでございます。平成二十四年、五年に行われましたフランスの凱旋門賞では、オルフェーヴル号が二年連続二着となるということで、大変優秀な成績をおさめている状況にございます。

堀井委員 日本の馬が世界でも通用し、しかも優勝しているわけであります。馬主さんや生産者は、レースの出場権を得たり、招待状が届くと、海外レースの出走を選び、世界に挑戦することは、これは当然のことと考えます。今後も海外レースの参加はふえ続けるものと私は考えております。

 今回の競馬法改正は、魅力ある馬を応援するファンにとっても、そしてまた競馬会にとっても、さらには馬産地にとっても、ウイン・ウイン・ウインの関係を築くことのできる改正になると考えますが、この改正により、どのような好循環が生まれてくるのか、お伺いをいたします。

林国務大臣 海外競馬の勝馬投票券の発売対象とする競走ですが、世界的にレベルの高い競走となることが見込まれますので、こういった競走で国内競走馬が活躍することになりますと、日本の競馬ファンの競馬そのものへの関心をさらに高め、あるいは、新たな競馬ファンの開拓にもつながると考えております。

 また、海外競馬で優秀な成績をおさめた国内競走馬、これは帰国後、今度は国内の競走にも出ていただく。こういうことですから、話題性も高まって魅力的なレースになることが期待できるため、国内競馬の売り上げにも、そういった意味で好影響が期待できるのではないかと思っております。

 さらに、海外競馬の勝馬投票券を発売することを通じて、海外競馬に関する関心がさらに高まりまして、競馬ファンの後押しを受けて、今先生おっしゃったように、我が国の競走馬がますます世界で活躍するようになりますと、国内競走馬の国際的評価が向上するということになりまして、馬産地の活性化にもつながる、こういうふうに考えております。

 このため、今委員からも御紹介いただきましたように、馬産地の関係者からも今回の改正を歓迎する声をいただいているところでございます。

 今後、この改正で措置をいたします海外競馬の勝馬投票券の発売等を通じまして、日本中央競馬会が行う支援措置の安定的な財源を確保して、引き続き、馬産地の関係者の要望等も踏まえて、競走馬生産振興事業等を通じて馬産地の振興をしっかりと図ってまいりたいと思っております。

堀井委員 ありがとうございました。

 ファン、そして競馬会、馬産地のみならず、ひいては、この売り上げの一部が畜産振興、さらには社会福祉にまでよい効果をもたらすものであります。

 改正によって好循環が生まれることはよく理解をさせていただきました。地方によって大切に育てられた馬が、地方競馬、中央競馬を経て世界大会で活躍し、生まれ育ったふるさとに恩を返すということになります。言いかえれば、地方創生を世界を駆ける馬がなし遂げてくれるものになります。

 冒頭申し上げたとおり、地方の生産者は、長く厳しい不景気の影響で、苦しい経営を余儀なくされております。平成二年の生産者の総数は千五百戸ありましたが、平成二十五年までで半分の七百五十七戸に減少しております。生産頭数は、平成四年の八千四百四頭から五千二十二頭に減少をしております。

 こうした実情を踏まえて、競馬法改正によって生まれる好循環を、力強く大臣からも御発言していただきましたが、畜産振興につなげていただいて、地方創生、そして馬産地振興となるよう、今後も力を入れた予算の充実をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、世界大会をライブで放送し、発券するとなれば、日本時間が深夜の場合、対応をどのようにするのか。またあわせて、日本でのG1レースは十八頭でのレースであります。世界では二十四頭枠になるというように伺っております。コンピューターシステムの開発、発券できるシステムをどのように考えているのか。そしてまた、最後に、日本での人気の馬と世界で強い馬のオッズの整合性をどう図るのか。お伺いをしたいと思います。

中川大臣政務官 先生おっしゃいますように、時差がございます。フランスの凱旋門賞で出走時間が十一時台、そして、アラブ首長国連邦のドバイワールドカップに関しましては三時台ということでありますから、真夜中になるわけであります。

 こうした競走の映像につきましては、これまでパブリックビューイングやテレビ放映が行われてきたところでありますが、今後、海外競馬の勝馬投票券の発売に際しまして、競走の映像の具体的な提供方法につきましては、本法案が国会で成立した後、勝馬投票券を発売する日本中央競馬会等が検討していくことになります。

 また、海外競馬の勝馬投票券の発売に当たりましては、国内における最大出走可能頭数が、先生おっしゃったように、十八頭であります。それを超える海外競馬の出走頭数に対応できるシステムを開発する必要がありまして、これにつきましても、本法案が国会で成立した後、日本中央競馬会等が取り組むことになってございます。

 さらに、海外競馬の勝馬投票券の発売に当たりましては、外国馬を含めた情報がファンに対して適切に提供されることが必要であると考えています。また、海外競馬の勝馬投票券を国内で発売した場合には、日本の馬に人気が集中することが想定をされるわけでありますけれども、一方で、相対的にオッズが高くなる外国の馬に係る勝馬投票券を購入するファンも一定程度いるということが想定されますので、全体として適正なオッズが形成されるものと考えております。

堀井委員 日本のファンが楽しめる環境づくり、そして馬産地、競馬会の皆さんが喜んでいただく環境づくりに、日本中央競馬会と連携を図って、よりよいものをつくり上げていただくようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

江藤委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔です。

 きょうは、競馬法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 私は高知県の出身でして、馬を産出している地域でもありませんけれども、地方競馬として高知県は大変頑張っておりますので、この点についても後ほど質問をいたしたいというふうに思います。

 まず、大臣にお伺いをいたしたいんですが、今回の法律案で、私もこの新旧対照表を見たときに、改正案で、趣旨ということで、法律の目的的なものが書かれているわけですね。これが今までなかったのが不思議で、この法律は一体何のためにつくったのか、そもそものところがなかった法律かということで、改めて勉強不足を恥じたわけでありますけれども、まず、この趣旨の第一条のところの「この法律は、馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するとともに、地方財政の改善を図るために行う競馬に関し規定するものとする。」こういう、通常でしたら当然あるべきものが今回入ったということでございます。

 ここのところで、そもそもあるべきであったと私は思っておりますけれども、これが今回初めて入れられたということの背景、理由について、財政の面、そして改良増殖、こういう点について、大臣としてはどういう理由でこれをつけられたのか、お答えをいただきたいと思います。

林国務大臣 今回の競馬法改正で、競馬法第一条に、今先生から御指摘がありましたように、「この法律は、馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するとともに、地方財政の改善を図るために行う競馬に関し規定するものとする。」という趣旨規定を追加したところでございます。

 そもそも競馬法に基づく競馬は、競馬の競走そのものを通じて馬の改良増殖に寄与するほか、競馬の売り上げの一部を財源として馬の改良増殖その他畜産の振興を支援するものでありまして、地方競馬の収益が地方公共団体の収入となって地方財政に貢献するものであるわけでございますが、今般、海外競馬の競走についての勝馬投票、これを競馬法上に位置づけるに当たって、海外競馬の競走を対象とした勝馬投票もこういう趣旨のために行う競馬の一つとして行われることを明確化するということで、他の公営競技の根拠法の趣旨規定にも倣って、法律に趣旨規定を追加することとしたところでございます。

石田(祝)委員 もともと、今回趣旨という形で書かれたものに沿って法律が施行されていた、こういうことであろうかと思いますけれども、より明確になさったということで、私は非常に結構なことではないか、こういうふうに思っております。

 それで、競馬の振興についてお伺いをいたしたいと思います。

 これは地方競馬も中央競馬もそうでありますけれども、非常に右肩下がりで来ていたものが若干持ち直しぎみになってきている、こういうことで、ある意味でいえば関係の方々も一息つかれているんではないかというふうに思いますけれども、平成二十四年以降の売り上げが増加した理由について、これについてはどのようにお考えになっているのか、これは局長にお聞きしましょうか。

松島政府参考人 地方競馬の売り上げにつきまして、平成二十四年度以降、三年連続で前年を上回る売り上げを記録した背景ということでございますが、まず、地方競馬主催者が交流競走などを行うことによりまして売り上げ増加に努めてきたということがあろうかと思っています。

 また、平成二十四年十月から、日本中央競馬会のインターネット投票システムでございますIPAT、これを用いた地方競馬の勝馬投票券の発売が開始されたことによりまして、インターネット投票による売り上げシェアが年々拡大いたしまして、それが売り上げ全体を押し上げたというふうに考えているところでございます。

石田(祝)委員 競馬についてさまざまな御意見の方もいらっしゃると思いますけれども、御関係の方がそれぞれ生活もなさっているということもありますし、健全な運営が私は必要だと思います。

 今お話があったように、地方競馬でさまざまな工夫もなされているということでございますけれども、中央競馬の方も全く同じように右肩下がりで来たものが、右肩下がりは売り上げが下がってきているので、入場者数はほとんど変わっていない。ということは、一人当たり購入単価が下がっているということですね、基本的には。

 そういうことで推移をしてきているわけでありますけれども、中央競馬会の方も、底打ち、ぜひそうなってほしいということもあろうと思いますけれども、やはりこれからどのように拡大をしていくか、こういうことにも非常に腐心をなさっているように私は思います。

 それで、地方競馬の支援策についてちょっと大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 大臣は、地方競馬についてどのような認識を持たれているのか。また、地方競馬の活性化事業が二十九年までとなっている、そうすると、三十年以降はどうするのか、こういうこともあると思います。まだ若干時間はありますけれども、将来の見通しとして、やはり三十年以降どうするかということも示していくことも大事だと思います。

 この二点、認識とそれから三十年以降どうするか、このことについて大臣にお伺いします。

林国務大臣 地方競馬の支援でございますが、日本中央競馬会からの交付金、これはまさに今委員お触れになっていただきましたように、二十四年の競馬法改正で平成二十九年度まで延長されたわけでございます。

 この交付金も活用しまして、これまで、地方競馬活性化事業において、重複開催の減少等に資するナイター施設の整備、ナイターをやることによってダブりを減らしていくということでございます。それから、レースの番組の魅力向上のために、地方競馬間、それから日本中央競馬会との交流競走、それからシリーズ化、こういうことをやってまいりました。それから、地方競馬の投票集計システムを統一した地方競馬共同トータリゼータシステムの構築、さらには、中央競馬インターネット投票サービスを用いた地方競馬の勝馬投票券の発売等を促進するための共同広報、こういう取り組みを支援してきたところでございます。

 こういう取り組みを通じて、地方競馬の売り上げの向上、それから各主催者の経費の削減が図られたことがあって、平成二十六年度の主催者ごとの単年度収支、これは全ての主催者で黒字となる見込みになってまいりました。地方競馬の収支の改善に大きく寄与をしてきたものと考えております。

 今後でございますが、地方競馬主催者相互及び中央競馬と地方競馬の連携をさらに進める観点から、まずは二十九年度まで、今申し上げた地方競馬活性化事業を着実に進めてまいりたいと思っておりますし、それ以降、平成三十年度以降については、その効果等を十分に検証した上で、さらにどのような措置が必要であるか、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 ぜひお願いをいたしたいというふうに思います。

 私も資料を見ましたけれども、地方競馬でやっていらっしゃるところ、減ってはきていると思いますけれども、まだ頑張ってやっていらっしゃるところもあるわけでございまして、四国の中では高知県の高知県競馬組合、ここだけが非常に頑張って続けてやっているということでございます。

 私も、正直、選挙に出るということが決まってから競馬はやったことはないんですね。ちょっとこれはいいのかどうかということも思うんですけれども、反省の意味を込めて、きょうは馬のネクタイをしてまいりましたので、気持ちだけはわかっていただきたいと思います。

 それで、ナイター競馬についてちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。

 これは、先ほど申し上げました、高知県が競馬を頑張ってやっているという中で、さまざま要望もありまして、ナイター競馬の拡大について要望も実は出てきております。

 ナイター競馬がスタートしたときに、農水省、警察庁で、警備体制とか騒音の問題、こういうことで午後九時までとした、こういうことでありますけれども、九時以降に拡大をさせていただきたい、こういう要望も実は出てきております。

 特に、日本列島も狭いようで東西南北に長いわけでして、夏になると、本当に私の住んでいるところなんかは七時半ぐらいまで明るいわけなんですね。ですから、ナイター競馬というと、レースをやって、帰るときとか、そういうことを考えたときに、九時以降、ぜひもうちょっとやらせてもらいたいという要望もあるようであります。

 この午後九時以降の開催について、これは農水省として、開催の拡大の可能性、こういうことについてどうお考えか、お答えをいただきたいと思います。

松島政府参考人 地方競馬のナイター競馬でございますけれども、これは、委員からお話がございましたように、ナイター競馬終了後に多数の来場者が競馬場内外に滞留するという、雑踏事故防止とか、また、周辺地域の治安維持などの観点から、警察庁とも協議いたしまして、各競馬主催者と地域の警察との協議によりまして、午後九時までに競走を終了するということになっているところでございます。

 これをさらに拡大するということにつきましては、同様に、雑踏事故の防止や周辺地域の治安維持の観点から、警察庁とも慎重な検討を進めていく必要があると思っていますし、また、午後九時以降の競走を実施することによる売り上げ増の見通しや、それに要するコストなど、経営収支に与える影響についても十分に検討する必要があると考えているところでございます。

石田(祝)委員 きょうは警察庁からも来ていただいておりますので、さまざまな地元の要望、また、昭和六十一年から、大井競馬から始まったということでありますけれども、九時までやって、特に九時少し前ぐらいの段階で何か混雑があったのか、混乱があったのか、そういうこともぜひ踏まえていただきたいと思います。

 こういう地元の要望もぜひ踏まえて検討いただきたいと思いますけれども、警察庁の方からその点についてのお考えをお伺いします。

島根政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省の方から、開催時間延長と申しますか拡大に関する協議の申し入れがございました場合には、競馬施行者によるナイター競馬に係る事件、事故を警戒、防止するための自主警備体制、暴力団排除並びに清浄な風俗環境の保持及び青少年の健全育成への配意、また、競馬場及びその周辺における道路交通上の障害発生防止措置、これらにつきまして確認の上、ナイター競馬の開催時間延長が治安に与え得る影響を検討いたしまして、同省と所要の協議を行うこととなろうかと考えております。

石田(祝)委員 ぜひ、そういう要望が出てきましたら御検討をお願いいたしたい。きょうはその程度にとどめておきたいというふうに思います。

 それで、払戻金についてでありますけれども、今回、海外のレースの馬券が買える、こういうことになるわけでありますけれども、これの払い戻しの割合というのが一体どうなるのか。

 国内でレースをやりますと、開催費用、そしてまた賞金、そういうものもあるわけです。そういうものが、今回、海外レースであると、賞金等は関係ない、こういうことになりますし、開催の費用も、直接開催するわけではない、こういうこともあるんです。

 それで、いろいろとお伺いすると、一着賞金が七億とか、そういうレースもあるようでありますが、そういう必要は全くないということでありますから、今の七五%程度というのをこの海外のレースに限ってもうちょっと上げて、人気を上げるようにしたらどうか、こう思いますけれども、この点について、七五%を上げる考えがあるかどうか、ちょっとこれをお聞きしたいと思います。

松島政府参考人 海外競馬を対象とする勝馬投票券を発売する場合の払い戻し率でございますが、委員御指摘のとおり、国内競馬と同様に、売得金の約七五%が払い戻しに充てられることになるというふうに考えているところでございます。

 なお、海外競馬を対象としました勝馬投票券を発売するに当たりましては、競馬主催者は、みずから競走は主催しないわけでございますが、海外競馬の競走に対応した勝馬投票券の発売システムが必要となることから、システム改修や安定的なシステム運用に関しまして一定の経費が必要だということもございますし、また、競走を主催しております海外の競馬主催者に対しまして映像権利料を支払うこと、また、一定の売り上げを確保するために、海外競馬に関する情報提供、広告宣伝についても積極的に行う必要があるというようなこともございます。

 こうしたことから、今回の海外競馬の勝馬投票券の発売に当たりましては、払い戻し率を引き上げることは適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。

石田(祝)委員 時間になりましたので終わりますけれども、これからは海外、そして中央と地方、この三つで、今回の法律改正で趣旨に新たに加わった目的がしっかりと達成できるようにお取り組みをいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。

 今、石田さんからネクタイの話がございましたが、私も、ノーTPPにしようか馬にしようか悩んだあげく、馬のネクタイをさせていただいてございます。

 実は、民主党の競馬産業問題研究会というのがございまして、どちらかというと馬産振興という観点でこの研究会はつくられているのでありますが、私はそこの幹事長をさせていただいておりますので、そういう立場もあって、この競馬法について、何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今も法律の趣旨などについての質問がございましたが、今回の改正によって、幾つか法律にかかわったところで、三点ほど質問をさせていただきたいというふうに思うんです。

 一つは、ファンのニーズに応える、あるいは拡大を図るという意味では、今回の海外競馬についての改正が行われたということについて、それはそれで評価をしたいというふうに思うんです。ファンが拡大をしていく、そして海外競馬がその分だけ、年に何回か、そういうものも放映をされ、当然、日本の馬もそちらへ行くわけですけれども、そうすることによって、国内競馬との整合といいますか、競合が起きてきたり、スケジュールの問題だとかいろいろな課題が起きてくるというふうに思うんですが、そこら辺の影響などについてはどのように論議をされてきたのかということが一つ。

 それから二つ目は、海外競馬の勝馬投票券、いわゆる馬券です。これについては、それぞれの国のルールが少し違うわけでありますが、それらについてパリ協約というものもあるようでありますけれども、日本の競馬の場合はかなり厳しい厳格なルールがあるというふうに聞いているんですが、それらの公正性を、今度は海外との競馬がふえていくことによって、どうやってその辺を担保できるのかということが二つ目であります。

 三つ目は、この法改正に伴って一緒に出てまいりました監督体制の整備ということで、地方競馬の監督を地方に任せるようにするということでありますが、これは具体的にどういうことをイメージして、なぜこれを改正する必要があり、どんなメリットがあって改正する必要があったのか。

 この三点について、それぞれお答えをいただきたいと思います。

林国務大臣 まず、一点目でございますが、海外競馬の勝馬投票券の発売対象となるレースは、世界的にレベルの高い競走となることが見込まれますので、先ほども御答弁いたしましたように、こういったところで国内競走馬が活躍していただいて、今のファンの関心がさらに高まる、また新たな競馬ファンが広がっていく、こういうことを期待したいと思いますし、さらに、海外で優秀な成績をおさめた馬が帰国後に国内の競走に出走する場合には、さらに話題性も高まる。

 ちょっと例が適当かどうかわかりませんが、黒田投手が帰ってきて、向こうで活躍した人がこっちでまたやる、ファンがたくさん来る、こういうような好循環を競馬でも期待したいな、こういうふうに思っております。

 逆に、海外競馬の勝馬投票券を発売した場合のファンの関心が海外競馬に向いてしまうということになりますと、国内競馬の売り上げに悪影響があるのではないか、こういう懸念につきましては、まず、勝馬投票券の発売対象とする海外のレースは今のところ約二十ぐらいだというふうに見込んでおりまして、国内競馬のレースが中央競馬で約三千、地方競馬で約一万四千でございますので、合計の一万七千からすれば、この二十というのは非常に数が少ないということと、それから、先ほど時差の話がございましたけれども、時間的に直接的に競合するということになりますと、日本時間の夕刻の発走になります香港などの競走に限られるということで、この影響は限定的なものではないか、こういうふうに考えておるところでございます。

 それから、二点目の海外競馬の競走の公正確保でございますが、これは、発売対象とする海外競馬の競走について、農林水産大臣が指定をするに当たりましては、公正性の観点から、我が国と同等の水準にあると認められる競馬の監督の制度があって、それによって公正確保のための措置が講じられているものを指定するということになっております。

 具体的に申し上げますと、外国の法令に基づきまして、外国の行政機関またはこれに準ずるものの監督を受けている競馬であること、それから、競馬に関する国際機関でございます国際競馬統括機関連盟の加盟国の競馬主催者が行う競走でありまして、同連盟により発行されるパリ協約というのがございますが、これに準ずる方法によって競馬が行われていること、これを確認するという仕組みになっております。

 具体的な指定に当たりましては、農林水産省におきまして、各国の競馬の実施に関する規則、それからパリ協約の各条項への同意の状況、こういうものを確認しながら判断をいたしたい、こういうふうに思っております。

 それから、三点目の地方競馬の監督でございますが、現状、本省職員によって各主催者当たり年間三、四回程度の競馬開催時における臨場監督ということを基本としております。

 一方、地方競馬においては、たび重なる禁止薬物陽性馬が発生しておりまして、競馬に対する国民の信頼を損ねる事態にもなっておるわけでございます。

 こういった事態に際しまして、現状では、本省から各主催者に対して、指導通知の発出、公正確保等に関する会合における指導、こういったことを通じまして、関係者が遵守すべき規範、手続などを提示しまして、主催者等による自主的取り組みを促進することを中心とした指導監督を行ってきたところでございます。

 今回の競馬法改正を通じまして、各地の地方自治体が主催者となってやっておられる地方競馬につきましては、地方競馬主催者が所在する地方農政局等において、管内の主催者を専従的に担当する競馬監督官を配置したい、こういうふうに考えておりまして、臨場監督等を通じた現地での指導の機会をふやすことによって、公正確保上の問題事案を未然に防止していくということにつなげていきたい、こういうふうに考えております。

佐々木(隆)委員 ファンの拡大、海外に行くことによって、相乗効果をぜひ上げていっていただきたいというふうに思いますし、それと同時に、海外で行うレースがふえるということは、国際ルールづくりにも我が国が積極的にかかわっていっていただきたいなということを要望しておきたいと思います。

 それで、JRAにお伺いをしたいというふうに思うんです。

 先ほど来お話がありますが、売り上げが近年回復してきたということなんでありますが、これまでいろいろ御努力をいただいて回復に至っているんだというふうに思います。その売り上げ回復の取り組み、それから、これからファンをどう拡大していくのかというようなことをぜひお伺いしたいというふうに思うんです。

 先ほど来お話がありましたネット、いわゆるIPATだとか、それから、近年は何かUMAJOという言葉もあって、女性ファンを獲得するというのは、スポーツにおいても、あるいはいろいろな分野においても大変重要なことだ。森女とか農ガールとかいうのもあるんだそうであります。そういった御努力もいただいたんだというふうに思いますが、その辺を含めて、これまでの取り組みのお話をお願い申し上げたいと思います。

後藤参考人 お答え申し上げます。

 私どもJRAといたしましては、常日ごろから中央競馬をお楽しみいただいているお客様の参加促進に取り組むことはもちろんのことといたしまして、ふだん競馬になじみのない方々にも広く競馬に御参加いただくことが売り上げの維持拡大に結びつくものとの考えから、身近でわかりやすく参加しやすい競馬を目指して、さまざまな対策を講じてきたところであります。

 特に、ここ数年におきましては、平成二十五年の第八十回日本ダービー、平成二十六年のJRA創立六十周年、こういった節目を利用した多角的な広報、プロモーション活動や、ジャパンカップなどの国際競走の盛り上げ、さらに、フランスのパリで行われる世界最高峰競走の一つであります凱旋門賞に出走する日本馬に関する情報発信などを行い、国際的なスポーツエンターテインメントとしての話題喚起を図るとともに、より多くの方々に競馬の魅力を伝えられるよう取り組んできているところであります。

 そのほかにも、競馬場内で、ビギナーの方を対象として競馬のイロハから紹介する競馬教室や、女性のお客様が快適に競馬を楽しんでいただける専用エリア、UMAJOスポットと私どもは称しておりますけれども、これを設置、運営するなど、きめ細やかなサービスの拡充もあわせて行っているところであります。

 こうした取り組みに加えまして、近年の競馬法改正で措置いただきました重勝式勝馬投票券、通称WIN5と申していますが、これの発売や、いわゆる払い戻し率の弾力化、さらには、今先生からもお話がありました、スマートフォンによります勝馬投票への対応といった、電話、インターネット投票の利便性向上への取り組みを通じてなど、幅広いお客様に競馬に参加していただけるよう努めているところであります。

 また、平成十六年の競馬法改正で措置いただきました委託制度を活用し、地方競馬施設における中央競馬の勝馬投票券発売を開始し、本年も、現在の四十五カ所に加え、さらに三カ所の開設を行うことで、お客様の参加機会の拡大が図られるよう取り組んでいるところであります。

 こうしたさまざまな取り組みの結果、売り上げは、ここ三年、前年を上回り、ことしにつきましても、これまでのところ前年を上回る堅調な成績を残すことができているのではないかと考えているところであります。

 今後も、レジャーの多様化による競争激化や少子化による人口減少など、中央競馬を取り巻く環境は引き続き予断を許しませんが、JRAは、レースの迫力、馬の美しさ、推理の楽しみ、これらが一体となった競馬の魅力を訴求し、さらに、国際的なスポーツエンターテインメントとしての話題喚起をこれまで以上に図り、売り上げとお客様総数の維持拡大を目指してまいりたいと考えているところであります。

佐々木(隆)委員 大変な御努力をいただいてきたということを、直接かかわっておられる理事長から聞かせていただきました。

 後ほど時間があれば触れたいと思うんですが、競馬教室とかUMAJOスポット、あるいは、最後にお答えになられました、迫力とか推理の楽しみとかというお話をいただきました。

 私は、もちろん、競馬のファンをふやしていくために、ネットでの販売は否定はしません。それもそれで必要なことだというふうに思うんですが、競馬の最大の魅力というのはやはり臨場感だと思うんですね。競馬場に来ていただいて、あの迫力にみんなが触れていただくということが一番だというふうに思いますので、そういった意味では、いろいろな分野に取り組んでいただくのは結構なんですが、できるだけ多くの方々が来ていただくということを、ぜひこれからも御努力いただきたいというふうに思うところであります。

 次に、私は、先ほど申し上げました研究会の幹事長として、ぜひここはしっかりと大臣にお伺いをしておかなければならないんですが、競馬は、その売り上げを通じて、畜産振興や社会福祉、あるいはまた特別振興事業をやるということになっているわけでありまして、いわゆる馬産地をどう振興するかというのが何よりも大切であります。

 私も北海道の議会にいたときに、地方競馬で随分悩んでいた時代というか、売り上げが毎年どんどん下がっていく時代でありましたので、そのときにずっと合い言葉のように言われていたのは、裾野が広くなければ頂上は高くならない、要するに馬を飼う人たちがたくさんいなければいい馬も出てこないということを合い言葉のようにして、それをずっと言ってきたわけでありますが、残念ながら、今、頭数は減っているわけであります。確かに、優良馬は出てきて、海外でも活躍するようになったんですが、残念ながら、生産頭数というのは下がっているというような状況にあるわけであります。

 そのほかにも、競走馬生産振興事業ということで、地方競馬をやっている人たちにとっては、指導者の養成というのもありますが、特に優良な種馬の導入促進、流通活性化、あるいはふるさと情報の収集などなどに取り組んでおられるこの生産振興事業なども含めて、今後どのように軽種馬の生産を拡大していく、あるいはレベルの高いものにしていくのかということについて、ぜひお伺いをしたいと思います。

中川大臣政務官 佐々木先生は、長年、馬産地振興に御努力をされておられることに心から敬意を表します。

 これまで、軽種馬の需要は、平成十三年度以降、多くの地方競馬主催者の撤退、そして賞金額が引き下がったこと、また景気が低迷して馬主さんたちの購買意欲が低下してしまっていることなどによりまして、減少しております。これに伴い、軽種馬の生産頭数も、おっしゃるとおり、減少しているところでございます。

 また、我が国最大の馬産地である、先ほど堀井先生からのお話にもありましたように、北海道日高地域の軽種馬生産専業経営は、北海道日高振興局の調べによりますと、七五%が負債を抱え、そのうち四五%は一経営当たり五千万円を超える負債があるというふうに聞いております。軽種馬生産経営が大変厳しいということを認識しているところでございます。

 このような状況に対処するために、平成二十四年の競馬法改正によりまして、平成二十九年度まで措置期限が延長されました日本中央競馬会等からの資金も活用いたしました競走馬生産振興事業によりまして、優良種牡馬、優良繁殖牝馬の導入、海外販路の拡大対策、担い手の育成研修などに対する支援を行うことを通じまして、強い馬を生産できるよう、軽種馬生産構造の強化を推進してきたところでございます。

 近年、これら馬産地への支援対策と軽種馬生産者及び関係機関による経営改善に向けた努力と相まちまして、競り市場での上場馬の売却率が向上するとともに、低迷していた軽種馬の販売価格も平成二十三年から上昇に転じるなど、明るい兆しも見えてきているところでございます。

 今後とも、馬産地の関係者の皆様方の御要望をしっかり踏まえまして、競走馬生産振興事業などを通じて馬産地を支援してまいりたいと存じます。

佐々木(隆)委員 今御答弁いただいたんですが、この振興事業も、先ほどの地方競馬の活性化事業と同じように、二十九年度までの事業でありますので、その先についてぜひ御検討いただきたいということがもう一つ。

 それと、馬の繁殖については、牛のような、精液を持ってきて人工授精でふやすというような仕組みじゃないものですから、大変時間がかかるわけです、繁殖をしていくに対しても。そういったことで、基金を一度つくったことがあるんですが、これも途中で返上するというような形に今なっております。こういうことも考えると、馬の繁殖、あるいは優良馬をつくっていくというのは、牛に比べると大変時間のかかる話になります。そういったことについても、生産地は限定されてございますので、その地域のためにということではなくて、日本の競馬という意味で、ぜひ今後も御検討いただきたいというふうに思います。

 それで、先ほどもちょっと触れたんですが、これから競馬のファンをふやしていくという意味で、馬産地の振興はもちろんなのでありますが、イメージといいますか、健全な娯楽として競馬をどうやって定着させていくかということをぜひお考えいただきたいというふうに思うわけであります。

 このごろは、先ほども競馬教室だとかいろいろなことをJRAがやっておられるというお話もいただいたんですが、馬によるホースセラピー、そういうことも注目をされている一つであります。日高で、昔ですけれども、女性の振興局長が行かれたときに、乗馬で障害者のセラピーをしたという、大変実績を上げられたということもあるんです。

 もう一つは、ファミリーレジャーとしてどうやってこの競馬というものを定着させていくかというようなこと、もっと言えば、広い意味でいう馬事文化みたいなものを、競馬場を訪れた方、あるいは、あらゆる場面でそういったことを定着させていく。競馬場に来ていただく、臨場感を味わっていただきながら文化に触れていただくというようなことが私は今後必要なのではないかというふうに思っているんですが、その辺の今後の取り組みについてお考えをいただきたいと思います。大臣と、JRAからもいただきたいと思います。

林国務大臣 まさに、先生おっしゃっていただきましたように、競馬、これは売り上げの一部を財源として、馬の改良増殖、畜産の振興、国及び地方公共団体の財政に寄与する、これはもちろんでございますが、やはり国際的なスポーツエンターテインメントとして、まさに健全な娯楽を国民の皆さんに提供する、この役割をきちっと果たしていく、これをしっかりと推進していくことも大変大事でないかと思っております。

 JRAの方からも御説明がありましたように、初心者のための教室や、女性のためのエリア等々をやっていただく。

 また、競馬文化、もっと広く言えば馬事文化ということにもつながっていくんでしょうけれども、各主催者において、競馬博物館等における競馬の歴史、世界の競馬等に関する展示による競馬の紹介、ポニー競馬の実施や触れ合いの場の設置、こういうことにも取り組んでいただいていることでございます。

 また、馬は、そもそも競馬やスポーツとしての乗馬の利用にとどまらず、古来より神事、祭りといった文化的な行事においても大変に重要な役割を果たしてきておりまして、多様な利活用が行われてきております。

 今、先生からお話のあったホースセラピー、これは乗馬や馬のお世話をするということを体験することによって癒やしの効果があるということ、それから観光資源として、馬と触れ合う、馬のいる風景をしっかりと活用する、それから学校で、例えばポニーを飼うといったような、教育の現場で利用する、こういう多角的な広がりを持つ馬の利活用方法ということで、医療、福祉、観光、教育分野、こういうところとも連携をしながら、さまざまな展開が期待されるところでありまして、しっかりと後押しをしていきたいと考えておるところでございます。

後藤参考人 お答えいたします。

 私どもJRAでは、競馬法に基づく中央競馬の主催者として、馬主、調教師、騎手、厩務員などの厩舎関係者や、競馬開催業務に従事する従事員などの多岐にわたる関係者とともに、お客様を第一に、公正で信頼される競馬を着実に行うこと。レースの迫力、馬の美しさ、推理の楽しみが一体となった競馬の魅力を高め、夢と感動をお届けすること。家族連れや女性のお客様など幅広い層のお客様に、快適で安全な環境のもとで競馬に御参加いただき、さまざまなお客様サービスの充実を図ること。競馬の持つ文化的な面を情報発信するとともに、環境への取り組みなどを行い、社会への責任を果たしていくこと。これらの取り組みを行ってきており、昨年では、年間、延べ人数になりますけれども、一億六千万人以上のお客様に中央競馬に御参加をいただくことができました。

 今後も、こうした取り組みに加え、日本の競馬の国際的な地位の向上に一層努めるなどし、世界的な広がりのあるスポーツエンターテインメントとして、より多くの皆様に競馬をお楽しみいただけるよう取り組んでまいりたいと考えているところであります。

佐々木(隆)委員 ぜひ、誰でも楽しめる競馬というものを目指していっていただきたい。できれば、私は、競馬場で家族連れで楽しめるというようなのが理想形かなというふうに思っているのでありますが、ぜひ御努力を期待を申し上げたいというふうに思ってございます。

 時間が余りなくなってきたんですが、先日質問させていただいた中で、ちょっと時間切れになってしまったような感があります点について、少しきょうは議論をさせていただきたいと思うんですが、それは農政の中における担い手というものの位置づけについてであります。

 きょうは、資料を提出させていただいてございますが、ナンバー一の上の方ですが、基本法が平成十一年に制定されてから、今、三回目の基本計画なんですが、担い手について今まで明確に限定したということはないんですね。逆に言うと、我々も政権のときがありましたけれども、担い手を誰かに限定するということは非常に難しいんです。であるんですが、今回は、認定農業者と新規就農者と集落営農者を担い手だというふうに限定したわけですね、ある意味で。位置づけたとも言えるんですが、限定したわけです。

 担い手と言うからには、農政の政策が、その人方を中心に、もっと言えば、その人方に限定的に政策が打たれるということになっちゃうわけです、いや応なく。これで本当に大丈夫かというのが実は私の心配するところであります。

 現に、ナンバー二の資料を見ていただくとわかりますが、基幹的農業従事者が百七十四万人というふうに今なってございますが、その下に認定農業者がありますが、認定農業者は毎年減っているんです。しかも、ナンバー三の方を見ていただくとわかるんですが、北海道は、認定農業者は三万人ぐらいおられるんですが、これで六六・三%ですよ。府県の方は、総数からその北海道の分を引きますから、二十万人ぐらいになるわけですが、これは一二%程度なんですね、認定農業者というのは。

 だから、府県でいうと、一二%の人を対象にして政策を打つということになっちゃうわけです。担い手を限定したがゆえにそうなっちゃうわけですね。トータルでいいますと、府県の方が人数は多いですから、一三・五%というのが今の日本の担い手の数であります。

 こういう一三%の担い手に政策の中心を置くということについて、非常に私は不安に思っているんですが、なぜ限定をしなければならなかったのかということについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。

林国務大臣 我が国農業を安定的に発展させまして、国民に対する食料の安定供給を確保していくためには、効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担う農業構造を構築することが重要である。今先生がお触れいただいたように、これは基本法の二十一条に書かれているわけでございます。

 したがって、今回の基本計画では、効率的かつ安定的な農業経営になっている経営体、これにそれを目指している経営体も加えて、あわせて、担い手と考えまして、まずは、効率的かつ安定的な農業経営を目指して経営の改善に取り組む認定農業者、それから、将来、認定農業者となると見込まれる認定新規就農者、それから、将来、法人化して認定農業者となることも見込まれる集落営農、これを担い手として位置づけまして、経営体に経営所得安定対策、融資、税制等の政策を集中して実施していきたい、こういう考え方で整理をしております。

 担い手でございますが、現在の経営規模、年齢等によらずに、経営改善に取り組んでいこうという意欲と能力がある農業者であれば、認定農業者の認定を受けられる、そういうふうにしてくださいという通知も発出をしておりますし、それから、昨年の担い手経営安定法の改正によりまして、認定農業者等の担い手であれば、規模要件は課さない、こういうことにいたしまして、六次産業化、複合経営に取り組む者も幅広く対象となるようにいたしました。

 したがって、将来に向けて農業でやっていこうという意欲と能力のある農業者であれば、経営規模、年齢等にかかわらず、幅広く経営所得安定対策等の対象になるということでございまして、みずからの創意工夫によって経営を発展させることで、我が国の農業、農村活性化が図られるようになるもの、こういうふうに考えておるところでございます。

佐々木(隆)委員 実は、この認定農業者を計算するのに随分私は苦労いたしまして、農水省の方でつくってくださいと言ったら、そうしたら、つくってくれました。

 五ヘクタール未満になるともう半分以下ですね、販売農家に対してでも。五ヘクタールから二十、三十ヘクタールぐらいまでのところが非常に多いんですが、これは、経営基盤強化法に基づいて出てきた認定農業者というのは、そういう制度といいますか、身分といいますか、そういうものなので、お金を借りない人は認定農業者になる必要がないんです。例えば、五十ヘクタールぐらい持っていて、俺は自己資金でやれるよという人は認定農業者になる必要性がないわけですね。だから、自立的な人たちだといいながら、完全に自立できる人は認定農業者になる必要がないんです、これは。

 もう一つ申し上げたいのは、資料の四番目ですが、「認定農業者制度の位置付け」というところがあるんですが、これが経営基盤強化法です。中段、経営基盤強化法の十二条に、市町村の区域内において農業経営を営み、また営もうとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農業経営改善計画を作成し、これを市町村に提出して、当該農業経営改善計画が適当である旨の認定を受けることができる、これが認定農業者の定義なんです。これしかないんです、根拠になるものが。それを、殊さら大きく、全ては認定農業者だ、もっと極端なことを言えば、農協の理事も、農業委員会も、認定農業者を半分以上とかと、これだけの根拠で、しかも一三%しかない人たちに対して、これからふえるからいいんだという問題ではないんです。

 だから、担い手というものをこれに限定していないんだったらいいんですが、限定しちゃったがゆえに、物すごく政策がいびつになるのではないかという心配があるんですが、これについてお願いいたします。

林国務大臣 今、融資の対象ということでございましたが、認定農業者になりますと、融資というのは、先生、スーパーL資金のことをおっしゃっておられるんだなと思いますが、経営所得安定対策そのもののゲタ対策、ナラシ対策、この対象にもなりますし、それから、税制も、農業経営基盤強化準備金制度というものがございます、出資、農業者年金についても、いろいろな制度があるわけでございます。

 まさに、認定農業者は、今、販売農家の一三%、これは、平成二十二年の農林業センサス調査においてはそういう数字であることは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、昨年の改正を踏まえまして、経営規模、年齢等によらずに認定農業者の認定を受けられるということと、集落営農についても、組織の規約の作成、それから対象作物を共同販売経理する、こういう要件を満たせば、このゲタ、ナラシ対策の対象となるということを周知徹底いたしまして、認定農業者になったり、集落営農を組織化していくことを要請しておるところでございます。

 そういったことで、しっかりと進めていきまして、法の二十一条の趣旨に合った構造を目指していきたい、そういうふうに考えております。

佐々木(隆)委員 時間がなくなりましたので、最後の一問にしたいと思うんですが、先ほど申し上げましたように、このナンバー二にありますように、集落営農というのは一万四千ぐらいなんですね。もちろん、今後はふえていくでしょう。しかし、百四十六万分の一万四千ですから、今後はふえていくとしても、今お答えになったようなウエートにならない。

 それから、ナラシ、ゲタ対策に追加をされたわけですが、これはもともとはなかったんですよね。だからふえるんだというのも、ちょっと根拠としては、私は何よりもおかしいと思うのは、先ほど申し上げましたように、認定農業者というのは市町村が認定するんです。ところが、国の政策が全部認定農業者になっちゃう。市町村が認定する認定農業者で、国の政策をそれでやるというのであれば、認定農業者を、国がやはり責任を持たなきゃいけないと思うんです。法律的に何かきちっと書くとか、どういう人を担い手にするのかとか、もう少しきちっとここのところを限定しない、いや、もっと言うと、幅広い議論をしないと、それだけで認定農業者に政策の全てを絞っていくということは大変危険だというふうに思います。

 もう一つ、あわせて、では、農村の担い手は誰なんだ。農業の担い手は、先ほど言ったように、今回三つに限られて、限定しました。ところが、農村の担い手というのはないんですね。日本型直接支払いだと言っていながら、その担い手は誰なんですということを何も明記されていないんです。日本の国土を保全しているということは、ある意味で大変な担い手です。その担い手に対して何の規定もない。これは、地方を守っていただいている方に対して、大変失礼だと思うんです。

 そういった意味でも、この認定というものについて、もう一度、担い手全体を、どういう人たちに担わせるのかということを含めて考える必要があるのではないかというふうに思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 農業の担い手については先ほど御答弁させていただいたとおりでございますが、農村の方でございますけれども、基本法の五条で、農村は、農業者を含めた地域住民の生活の場で農業が営まれているということでございまして、農業の持続的な発展の基盤たる役割を果たしている、農業の有する食料供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮されるよう、その振興が図られなければならない、こういうふうに規定がございます。

 こういう農村の役割が適切に果たされるようにするために、地域農業の担い手のみならず、担い手以外の農業者、農業者以外の地域住民、こういった方々についても、農地や水路、農道等の地域資源の維持管理を行う共同活動の担い手として位置づけることが重要であると考えております。

 そういった観点で、新たな基本計画でも、農村の振興に関する施策を進めるに当たって、地域のさまざまな経営規模の農業者、地域住民などの幅広い参画を得ていくことが重要である、そういうふうに明記をしております。

 このための具体的な施策として、例えば、担い手以外の農業者、地域住民を含めた地域の活動組織が行っていただく、農地や水路、農道等の地域資源の維持管理のための共同活動に対しまして、多面的機能支払交付金を交付する措置を講じているところでございます。

佐々木(隆)委員 時間ですからやめますが、大臣、農村を守っていただいている、あるいは国土保全というのは、国民の共有財産を守っていただいているという人たちに対して、その人たちも含めてという言い方ではなくて、この人たちは担い手なんだ、農村の担い手なんだということをちゃんと位置づけるべきだと思うんです。だから、それも含まれていますではなくて、地域の担い手、環境の担い手、国土保全の担い手としてちゃんと位置づけるということ。

 それともう一つは、担い手、極めて限定的な人たちに対して政策を絞り込んでいくということは大変危険です。担い手というものについて、もう一度私はきちっと論議をさせていただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。

江藤委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 まず、競馬法の質問をさせていただきたいと思います。佐々木委員からもるる質問がありましたけれども、私は規制の側に絞って質問をしたいと思います。

 改正法三条の二で、海外競馬の競走のうち、公正確保の措置が講じられているものを農林水産大臣が指定して、海外競馬の勝馬投票券の発売をするということなんですが、この法律に書かれている公正確保の措置が講じられているというのは、具体的に、農林水産大臣、どのように、何を誰が確認して公正性を担保するんですか、お答えください。

小泉副大臣 委員御指摘のとおりでございまして、公正性は極めて基本中の基本でございますから、先ほどの御質問の中にもございましたけれども、勝馬投票券の発売対象とする海外競馬の競走につきまして農林水産大臣が指定する、これはそういうことになっておりまして、公正性の観点から、我が国と同等の水準にあると認められる競馬の監督の制度により、公正の確保のための措置が講じられているものを指定する、これは委員御指摘のとおりでございます。

 具体的にでございますが、外国の法令に基づきまして、外国の行政機関またはこれに準ずるものの監督を受けている競馬であること、これは第一点でございまして、二つ目には、競馬に関する国際機関である国際競馬統括機関連盟の加盟国の競馬主催者が行う競走であること、そして、同連盟によって発行されるパリ協約に準ずる方法により競馬が行われていることを確認すること、こういたしております。

 具体的な指定に当たりましては、農林水産省におきまして、各国の競馬の実施に関する規則やパリ協約の各条項への同意の状況を確認しながら判断すること、こういうことにいたしております。

 また、外国の規制当局との情報共有のあり方につきましては、ただいま貴重な御指摘を賜りましたが、競走の指定に当たって、あるいは指定後においても、外国の規制当局や競馬統括機関との間での情報を共有するための仕組みについて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

玉木委員 適正なルールがしかれている、体制がある、これを確認することは当然だと思うんですね。大切なのは当てはめです。

 私は金融当局で働いたことがあるのでよくわかるんですが、何か不正が起こる可能性があるときに、では、実際、それが不正なのかどうなのかと調べるときに、情報をとれないんですよ、海外だと。そのときに、国境を越えた規制当局間の情報共有や連携の何らかの仕組みをつくっておかないと、これは入り口と出口、両方です、始めるときに、最初、こういうことがきちんとできていますね、しっかりとした運営ができていますねと確認すること、出口で、実際、疑義が生じたときに、それをきちんと調べるすべがないと、公正性の担保というのはできないんですね。

 ですから、これはぜひ、今お答えをいただきましたけれども、もちろん、今現状、外国でどういうふうにやっているのかというルールを調べること、確認することは大事なんですが、やはり規制当局間、これは日本だと農林水産省だし競馬監督課なんだと思いますが、例えば、JRAさんという運営主体、こういったところと密な連携、情報共有、こういったことをしっかりと進めていただきたいなということを要望したいと思いますけれども、もし何かあれば。

林国務大臣 しっかりと、入り口だけではなくて、出口で何かあったときにどういうことができるかということも念頭に置いて対応していきたいと考えております。

 今度改正する競馬法の二十四条ですが、この法律で別に定めるもののほか、競馬の公正を確保するための事項は政令で定める、こういうふうにしておりますので、公正確保に関する個別の事項は、主として競馬法施行令という政令で規定をするということになりますので、こういうところに規定していくということも検討していきたいと考えております。

玉木委員 私は、ぜひ今回の取り組みが広がってほしいと思いますし、いい方向での改正だと思っていますので、しっかりとしたルールが守られている、公正な場なんだということを担保しながら、また、それがあるからこそ広がっていくと思いますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

 もう一つ、先ほど佐々木委員からもありましたが、ホースセラピーについてちょっと聞きたいと思うんです。

 大臣は、さっき佐々木委員の質問に対して、しっかりやりますと言ったんですが、最初に私がこの質問を出したときに、役所の人が質問をとりに来たんです。それで、何を最初に言ったかというと、ホースセラピーというのは、最後は人間に対して癒やしの効果という影響を与えるので、これは厚生労働省の所管でございますということを言うわけです。

 そうじゃなくて、もちろん農林水産省がやること、厚生労働省がやること、いろいろあるんでしょうけれども、やはり競馬の持つ今日的意義、単なるギャンブルではなくて、先ほども話があった、家族連れで行ったりとか、馬をさわることによって癒やしの効果が出てくる、馬事文化、あるいは、そういったものを、全体としての新しいフィールドを切り開いていくんだということからすると、馬が持つさまざまな効果、効能、効用、こういうことも、もっと農林水産省としても積極的に位置づけて、今回の改正を踏まえて、あるいは企図して、さらにそういったことにも踏み込んでいくべきだと私は思っています。

 これはアニマルセラピーという、私は動物愛護の仕事もちょっとしているので、本当にいろいろな効果があるのは実感をしております。

 うちも、死んだじいちゃんが、馬の目を見ていると、悲しそうな顔をしていたりとか、楽しそうな顔をして、表情がよくわかる、それを見ているだけで元気が出るというのを小さいころに言われたのを覚えていますけれども、そういう意味で、ホースセラピー、こういったことも積極的に推進していきたいと言っていただきたいと思うんですけれども、大臣、改めて御所見をお伺いします。

林国務大臣 先ほど佐々木先生の御質問にもお答えしたとおりでございまして、今お話のあった、乗馬や馬の世話等の体験による癒やしの効果を利用したホースセラピー、これはもう既にいろいろな取り組みがNPOなんかでなされているということでございます。

 さらには、観光資源としての活用、教育現場での利用、いろいろな取り組みがあると思っておりますが、馬事文化という言葉は大変いい言葉だと思いますけれども、全てここにつながってくるのではないかと思いますので、セラピーですから厚労省ですといったような縦割りではなくて、しっかり、馬のことですということで、我々も主体的にやっていきたい、こういうふうに思っております。

玉木委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っています。

 それでは、次に、ちょっと残りの時間はTPPについてお伺いしたいと思っています。

 大変緊張感が高まってきているという認識でおります。間もなく総理が訪米をする。先般は、甘利担当大臣がフロマン代表とも閣僚会合を行ったというところであります。

 まずお伺いしたいのは、いろいろなことが報道に出ています。きのうも当委員会でも議論がありました。アメリカは、主食用米十七万五千トン、加工用など四万トン、合計二十一万五千トンの米の輸入拡大を求めている。あるいは、日本は、米国産の主食用米の五万トンの輸入枠を設けるということが検討されている。あるいは、交渉参加国全体の米の輸入枠を用意して譲歩を検討している。また、米粉調製品で、米国優遇枠で譲歩を検討。これらは事実なんでしょうか、誤報でしょうか、お答えください。

小泉大臣政務官 いろいろと報道されていることは事実でありますが、何ら確定しているものはございません。

 全体のパッケージで交渉しているものですから、いずれにしても、これから国会で、特にこの農水委員会での決議も受けとめて、慎重に対応していることでありまして、皆さんに決議を守った、そういうふうに思っていただける、そういった内容に仕上げていくべく、交渉に最大限努めている、そういったことであります。

玉木委員 いつもそういう答弁をいただくんですが、私は、心配しているのは、去年の四月、オバマ大統領が日本に来られたときの報道もいろいろなのが出たことを、今、一年前を思い出しているんです。

 特に、私は、印象に残っているのは豚肉についてであります。当委員会でも差額関税制度のことは私は何度か取り上げましたけれども、基準価格以下の安い部位のところについては、キロ五十円まで落とす。基準点よりも上のところは、いわゆる今の従価制度をやめて、五十円の、従量で統一していくというような、これはたしかTBSの報道だったと私は強く記憶しているんです。ただ、あれから一年たって、これもまたちらほら報道が出ておりますけれども、ほぼ同じような内容が報じられているわけですね。

 最後は、私は、今申し上げていることが結果として外れることを祈りますけれども、確度の高い、ある種、リーク報道なのかなと。最終的には、パッケージですから、変わるかもしれませんが、一定程度そういうところになっているのではないかと、ずっとこの報道を追っかけている立場からすると、感じるわけであります。

 ですから、豚にしても牛肉にしても、そして何より米ですね。こういったことも今いろいろな報道がされていますけれども、それを見て農家の皆さんは非常に不安になっています。頑張って交渉されておられるということは重々理解しますけれども、ぜひ、当委員会で決議をした決議はしっかり守って、本当に守ったと我々が評価をできるような交渉をしてほしいということを、これは本当に強くお願いをしたいと思っています。

 その意味で、改めて、シンプルな質問をいたします。

 決議を守った上で、主食用米の米は一粒たりとも入れない、この決意を改めてお示しください。

小泉大臣政務官 この農水委員会、衆参で御決議いただいたことをしっかり守った交渉をしてくれた、そう思っていただき、御承認いただける内容を、全力で大臣を含め当たっている、そういったことに尽きると思います。

玉木委員 主食用米の米は一粒たりとも入れませんと言っていただきたいですね、そこは。

 先ほど私が申し上げた豚肉についても、差額関税は、事実上これはなくなるような交渉なのかもしれませんが、キロ五十円になって、従量税でずっといくようなことになったら、これは当然、決議を守ったとは言えないし、守ったと評価できるような内容にも当然なっていないと思いますよ。与党の先生はどうお考えか知りませんけれども、少なくとも、決議をやった方がいいと言って提案をした一人である私は、到底評価はできません。

 ましてや、主食用米を入れるということになれば、だって、今、この委員会で議論をずっとしていますよね、主食用米を、八万トン毎年毎年減っていくんだから、それを減らすために飼料用米をつくる、それに巨額の財政支援をしていくと。主食用米を外国から輸入して、税金を使って国内では飼料用米をつくるなんというのは、こんな矛盾した政策はないですよ。いろいろ複雑な説明もするけれども、だって、余っている主食用米を外国から入れて、国内では税金を使って動物用のお米をつくらすなんというのは、私はこんなことはあってはならないと思いますよ。

 もう一度、主食用米のお米は入れない、このことについて、決意、方向性をお示しください。

小泉大臣政務官 TPPの交渉参加をするタイミングに当たって、安倍総理とオバマ大統領、各国、お互いにとってセンシティビティーはある、アメリカは自動車、そして日本はこの五品目、そういった形で、特に日本はこういった決議があるわけですから、それをしっかり守らなければ、幾らまとめたところで、最終的に国会の御承認は得られない。だからこそ、その国会決議をしっかり踏まえて、慎重に対応しているということでありまして、最終的に、今交渉は進んできておりますが、その決議を守る、それを最大限踏まえた上での交渉に最後まで全力を尽くしてまいります。

玉木委員 ぜひ決議を守っていただきたい。米については特にそうです。

 私は、ちょっとこれは問題提起をしておきますけれども、先ほど豚肉の話を出しました。これはあくまで関税をどうするかという議論をしています。TPPはハイスタンダードでアンビシャスなものですから、基本的に、ゼロに近づけていこう、関税撤廃ですね。関税との観点から、除外、再協議ということを決議の中には書いています。ですから、一%の関税率を残しても、これはゼロじゃないですから、守ったと言えることも言える、そういうことも言おうとしているのかもしれませんけれども、ただ、そんなものは再生産可能なものじゃないですよ。

 米になぜゲタがないのか。麦、大豆にはあって、なぜ米にはゲタがないのか。そのことを何度も聞いたら、答えは一つですよ。米については、高い国境措置があるので、内外の条件の不利さがないんだというのが米ゲタを導入しない最大の理由ですよね。

 私は、伺いたいのは、今、一部報道で出ているので、単に関税を引き下げることよりけしからぬと思うのは、五万トン、アメリカ向けの特別枠を設けますというときに、アメリカには、主食用米、アメリカ産を買いますよと言っておきながら、一旦備蓄でこれを抱いて、数年後に主食用米以外の用途、例えば飼料米で、安い価格で国内に出していきます。そうすると、主食用米は一粒たりとも入れていませんという説明はできるし、何となく国境措置は守ったふうになるんですが、私はこれは大問題だと思うんです。

 二つあるんです。

 なぜかというと、主食用米で入れて、しばらく備蓄して、数年たって、わからないうちに他用途の、特に飼料米なんかで出すと、飼料米は安いですよね。安いから、税金を入れて、国内でも生産奨励しようとしているわけで、そうなると、高く買って安く売っているわけですから、差額が生じるので、これは事実上税金負担ですよ。

 こういうことがどんどん生じるような政策は私は絶対やめるべきだということと、もう一つは、こういうことを中途半端にやってしまうと何があるかというと、高い国境措置は残したということになるので、米のゲタ政策とか米の所得政策が、仮にどんどん事実上アメリカからお米が入ってきたときに、打てなくなるんですよ。だから、いろいろな意味で、とにかく中途半端な政策を悪知恵を使ってやってしまうと、国内対策も十分なものが打てなくなりますよ。これは今から警告しておきますから。

 私は、こんなことをここで言うのは適当じゃないかもしれないけれども、もし仮にそういうおかしなことをやっているんだったら、まだ関税化した方がましですよ。四、五〇〇%ぐらいの関税化をして、国境措置が崩れたから国内的なダイレクトペイメントや所得補償を打っていくという方がよほど農家のためになる。今のようなおかしな政策をとって、もし報道されているようなものをやるとしたら、国内対策は打てないし、つまり、こういうことですよ。アメリカの農家向けの価格政策はするけれども、日本の農家向けの所得補償はできない、所得政策はできないということになる。

 だから、アメリカ向けの食管制度みたいなことを導入しないで、きちんとこれからも長く続けられるような整合性をとった交渉をしてほしいんです。我々は、単に、米を守った、守れないという形式上が欲しいんじゃない。農家が安心して営農継続できるような、そして、国内対策と整合性がとれるような交渉をやってほしいんです。そのことはぜひ守っていただきたいと思います。間違っても、中途半端な言葉のごまかしで守ったと言えるような、無理やりこじつけるような交渉はやめてもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、アメリカの農家の価格保障をするのではなくて、日本の農家の所得補償ができるような内容となる交渉を進めていただきたい、このことを今しっかりと申し上げておきたいと思います。

 次に、自動車に移ります。

 自動車は、今、小泉政務官がおっしゃったように、両国にセンシティビティーがあって、農産物は日本のセンシティビティーだ、でも自動車を含む工業製品は、どちらかというとアメリカのセンシティビティーだ、こういう整理で来ました。つまり、どちらかというと農産物は守る方だけれども、自動車については攻める分野でしたね。ただ、これも最近の報道を見ていると、農産物も自動車も守っているふうにしか見えないんですね。

 質問をしたいと思います。

 特に、きょう私が取り上げたいのは、原産地規制の問題であります。オリジンと言われる問題ですけれども、TPPの関税上の特恵待遇の対象となる原産地規制、特に域内における、これは、付加価値とか工程とかいろいろな計算の方式はあるんだと思いますが、こういう原産地規制が交渉のテーマになっているのかどうか。

 つまり、こういうことですよ。両国でTPPで自動車の関税を例えばゼロにしましょうと決めました。でも、ゼロの対象になる日本車の定義は、いろいろなパーツで成り立っていますから、そのつくられた部品の価値が、国内でつくられたものが六〇%、七〇%を占めていなければなりません、こういうルールが入ってくると、例えば韓国や中国やタイから集めてきたいろいろなパーツで日本車をつくったら、その日本車はゼロ関税の適用を受ける日本車じゃないと認定される可能性があるわけです。

 ですから、関税の問題とこの原産地規制の問題をセットできちんと議論していかなければいけない重要な、特に日本が攻めて、このTPP交渉から何かをかち取るためには、この原産地規制でしっかりとした交渉内容をかち取らなきゃいけない。

 まず伺いたいのは、この原産地規制の問題が交渉の対象になっているのかどうか。あわせて、いわゆる累積ルールという、域内でつくったものだと適用を受けるんだという、こういう累積ルールのことが交渉の内容になっているのか。これは、可能な範囲で御説明をいただきたいと思います。

小泉大臣政務官 今御指摘ありました二点についてお答えをさせていただきます。

 まず一点目でありますが、TPP交渉の中で、TPP協定上適用される関税率の対象となる締約国で生産された産品として認められる基準や原産品であることを証明するための証明手続等について定める原産地規則が議論されています。

 そして、これは先生が今おっしゃったとおりでありますけれども、一般的に原産地規則のPSR、これはプロダクト・スペシフィック・ルールズ、品目別規則といいますが、これについて、関税交渉が難航している品目の場合、関税交渉のめどが立たないと本格的な議論ができない、そういったものであります。

 自動車のPSRは、日米マターというよりマルチで議論されているものでありますので、関税交渉をにらみつつ、原産地規則のワーキンググループの専門家同士で技術的な議論が今なされている、そういうふうに考えております。

 原産地規則の分野で、今、積み上げの、累積のルールの話もありました。これは二点目でありますが、これは、原産地規則の分野では、複数の締約国における付加価値、工程の足し上げを可能とする累積ルールでありますが、これが議論されております。

 広域FTAであるTPP、この中で累積ルールが設けられれば、より多様な生産ネットワークに対してTPPの活用が可能となって、日本企業の最適な生産配分、立地戦略の実現が可能となる、そういうふうに考えております。

玉木委員 これはめちゃくちゃ大事な話です。なぜかというと、アメリカは、高くすれば、これは圧倒的に有利なんですよ。何でかというと、TPP交渉参加国にカナダとメキシコが入っているから。特にメキシコが入っていますから。

 メキシコとの自動車生産というのは、アメリカはある種一体化しているので、彼らにとっては、域内での生産比率を高められても、たしかNAFTAは今六二・五ですか、後で正式に答えていただきたいんですが、これをさらに高めようという話もありますが、今のTPP交渉をしている中に、アメリカのある種自動車生産に関しては密接な国が入っていますよね。日本はどうですか。中国、韓国、入っていますか、入っていませんね。タイも入っていませんね。

 ですから、政務官は最後の方にお答えになりましたけれども、域内全体でカウントできるから、これは国をまたいだ生産工程を構築できるという意味で、確かにいいんです。ただ、現状のTPPの交渉参加国を見ると、私は、圧倒的に、これはアメリカに有利で、日本に不利だと思うのです。

 その意味では、ここもしっかり議論していかないと、低関税をかち取った、あるいは関税撤廃をかち取ったといいながら、その適用を受ける日本車の範囲が物すごく狭いということだってあり得るので、ここは注意深く進めていただきたい。

 その上で質問なんですが、今、日本車は、いろいろなメーカーがありますね。トヨタもホンダも日産もあります、スズキもありますが、大体、日本車というのは、どれぐらい国内で部品というのはできているんですか、国内比率。あるいは、もしわかれば教えてほしいんですが、今TPPで交渉している参加十二カ国でつくった部品で構成される比率、RVCといわれる域内原産割合、これでいうと、日本車というのはどれぐらい日本産なんですか。お答えください。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、先ほど小泉政務官からお答え申し上げましたとおり、本原産割合につきましても交渉対象になっておりまして、交渉に影響を与えるという意味から、原産割合、日本のメーカーの国内生産比率やTPP交渉参加国域内における原産割合については、直接関係するので、お答えすることはできないということを御理解いただきたいと思います。

 他方で、今御指摘のありましたとおり、日本の自動車メーカーは、部品については、品質、価格などを総合的に考えて最適な調達先を決定しておりまして、TPP域外のうち、例えば中国や韓国といった国々からも自動車部品を調達しているというのは事実でございまして、二〇一四年においては、中国からは七千億程度、正確に言うと七千十五億円、韓国からは二千百七十億円を調達しているというのが事実関係でございます。

玉木委員 これは、今お答えになった中国、韓国から結構日本は入れて、それで、アセンブリーをやっているところは大きいと思うんですね。中韓はTPPに入っていませんから、現時点においては。これは、やはり私は不利になると思いますね。

 なぜこういうことを申し上げているかというと、アメリカの、向こうの貿易専門誌には、この原産地規制の問題が日米間の大きな課題になってきているというような報道もあります、実際。

 ですから、これも強い交渉で臨んでいただきたいなと思うんですけれども、ただ、前段の、今TPP参加国の中でどれだけの比率があるのかというのは、ファクト自体は交渉と関係ないでしょう。それを踏まえた上で、では、どれぐらいオファーするんだというところは交渉ですけれども、今現在、これだけ日本の車もいろいろな世界でつくっていて、さっきおっしゃったように、中国からは額でいうと七千億ぐらいの車の部品が入ってきているということなんですけれども、現時点での事実としてのデータぐらいはお示しいただいても結構でしょう。もう一回どうですか。

鈴木政府参考人 実は、事実の数字を申し上げると、まさに交渉事項になっていますので、相手に手のうちを見せるということになってしまいますので、そういった意味からも、交渉の具体的な内容に関する数字ということでございますので、これについてもお答えすることができないということを御理解いただきたいと思います。

玉木委員 ちょっと今ごまかしがあって、いや、私も、もちろん強い交渉をしてもらいたいから、我が国が不利になるようなことを出せとは言いません。ただ、今はもう自動車は世界じゅうでつくっていて、経済産業省ですよね、別に小泉政務官にそういうのを出して、交渉担当者に出してというんじゃなくて、自動車産業を所管している経済産業省に、今どれぐらいの比率でパーツはできていて、今交渉している十二カ国だとどれぐらいかと聞いているだけで、それも答えられないんですか。いや、もう答えないと思いますけれども、答える気がない顔をしていますから。

 ですから、これはこういうことにあらわれるんですよ。後で質問をしますけれども、やはり情報公開をできるだけ可能なものはしながら、国内の理解を得ながら、またその声もある種の交渉材料に使いながら、強い交渉をしていくということが私は必要なんじゃないかと前回小泉政務官にも御提言申し上げましたけれども、現状のファクトの事実も出せないというのは、私は、ちょっとこれはいかがなものかと思いますよ、本当に。

 これはきちんとした国会の委員会ですから、わざわざ無理して出してくれというんじゃなくて、現状を教えてくれと言っているわけですから、そういうことも出せないのは、ちょっと私はどうかとこれは思いますよ。もう一度。

鈴木政府参考人 もう一つ問題があるのは、各社によって大分数字が違うという問題もあって、経営戦略にもかかわるので、各社の基本的には情報を……(玉木委員「平均でいいです」と呼ぶ)そういった意味で、平均という意味でも、これは平均がまさに交渉にかかわることになるので不利になるんですけれども。

 ちょっと御参考にお答えをすると、既に、我が国はEPAを幾つか締結しておりまして、その場合の乗用車の原産資格割合というのは、大体控除方式で四〇%もしくは四五%というのが過去のEPA、FTAの日本が結んだルールになっておりまして、それから判断をいたしますと、我が国の自動車メーカーは、この比率を超える国内生産比率といいますか原産地割合を実現しているというふうに御理解いただければありがたいと思います。

玉木委員 もうここでやめますけれども、これぐらいの数字は出してもらいたいと思うので、委員長、また、お取り計らいをいただきたいなと思っております。

 秘密会にする必要があったら、もう理事会だけでもいいから出していただきたいと思うので、お取り計らいをいただきたいと思います。

江藤委員長 はい。十分に検討させていただきます。

玉木委員 それでは、次へ行きたいと思います。

 TPA法案について話をしたいと思うんですが、二〇一四年、去年もTPA法案は出ました。ことしも、この前、四月の十六日に出ました。TPA法案ということで日本でも報道されていますが、これは、実は皆さん、私も最初は気づかなかったんですが、去年のTPA法案は、トレード・プロモーション・オーソリティー・アクトといって、その頭文字をとってTPAなんですよ。ことしもTPAなんですけれども、これは、トレード・プライオリティーズ・アンド・アカウンタビリティー・アクトで、頭をとるとTPAなんですけれども、実は法律の名前が変わっています。

 プロモーションのオーソリティー、つまり貿易を促進するための、かつてはファストトラックと言われていたものを大統領に付与するということで考えられたし、そう思っていたんですが、今回出ているTPA法案は、トレード・プライオリティーズなので、何を議会として優先する貿易の品目として考えるかという、議会としての考えをるる述べていますね。加えて、アカウンタビリティーなので、議会に対して情報公開のあり方をこうしろ、例えば、六十日前にUSTRのホームページに載せろというような、国会、議会や国民に対するアカウンタビリティーの果たし方についてのさまざまなことが書き込まれているんですね。

 私は、まず、きょう二つ最後に伺いたいのは、法案の中にも全ての議員がフルテキストにアクセスできるという言葉が出てきます。これは、前回、小泉政務官にも質問しましたが、USTRの一月のホームページから既に同じような文言が書かれてあって、だから、これは議会対策なのではないかということを私は申し上げましたけれども、かなり踏み込んだ内容になっていますね。

 これに対する前回のお答えは、ただ、必ずしも全部見られるわけではありません、額面どおりに受け取れないというような答弁がありましたけれども、額面で書いていることと実際行われていることのすき間の部分、これがあるという答弁でしたけれども、そのすき間の部分があることはどう確認されましたか。

小泉大臣政務官 今回、前回も玉木先生から御指摘を受けた点でありますけれども、我が国としては、アメリカを含む交渉参加各国と情報提供、対外的なコミュニケーションの手法について情報交換をしていまして、今回も、アメリカを含む全ての参加国に対して、議員へのテキストの開示を含む情報開示の状況について照会を行いました。

 アメリカ政府からは、USTRのホームページに記載されている公式な内容以上のことを対外的に引用しないように要請を受けておりまして、これはほかの国も同様であります。したがって、アメリカや各国から公式に聞いている以上の内容についてお答えすることは差し控えたいと御理解いただきたいと思います。

 その上で申し上げれば、各国とも交渉の中で秘密保持契約の趣旨である交渉の秘密が外に漏れないように、こういった点は、アメリカを含む全参加国がかたく守っている、そういうふうに理解をしています。

 一方で、アメリカを含む各国における透明性を高めるためのさまざまな取り組みについても改めて把握したところでありますから、こうしたことを踏まえながら、日本においても、透明性を高めるため、さらに工夫をすべく努力をしていきたいと思っております。

玉木委員 政務官、私は、USTRに聞けば、書いていることがそのとおりで、それ以外の言及はするなと、そのとおりだと思うんですが、私が前回申し上げたのは、アクセスしている側、つまり、下院議員なり上院議員なりがどこまで見られるのかということをやはりちゃんと調べるべきだと思うんです。何でかというと、もし守っていなかったら、保秘義務に違反しているじゃないかと言わなきゃいけないからですよ。

 つまり、本当にアメリカ政府が、あるいは議会との関係、国民との関係で、どこまで何をしていて、そのことを正確に把握していなければ、交渉参加国の一メンバーとして、おかしいじゃないかと、もし本当に破っていたら言わなきゃいけませんよ。アメリカが、うちは守っていますからという、大丈夫だから大丈夫じゃなくて、本当に大丈夫かどうかは調べないと。そして、もしアメリカがその程度で守っているというんだったら、我々にも同じ程度やってくださいよ。

 そのことをきちんと調べて、情報公開をできるだけやるという、それは国会とか国民に対するある意味での心の持ちようですよ。やはり、国民を巻き込んで強い交渉をしていくんだということを、この段になったら、私はやるべきだと思いますから。実際どうやっているのか、USTRに聞くんじゃなくて、しっかりと議会側に聞いてください。そのことをきちんと、前回もお願いしましたけれども、当委員会に報告してくださいよ。それも踏まえながら、国内の情報公開のあり方を探っていただきたい、このことを改めてお願いしておきたいと思います。

 もう一つ。

 私は、あえて最初に、TPAの略称が違う、法律の名前が違うということを申し上げたのは、今回の二〇一五年のTPA法案にはTPAの権利剥奪規定が入っているんですね。これは、きのう共産党の先生も質問されていましたが、上院または下院が納得しないと政府の一括交渉権限を剥奪できるということが、クリエートと書いていますが、新たにつくられているわけです。

 これは大問題で、我々も、まあ甘利大臣もそうですけれども、やはりTPAがないと、一旦ここで交渉が成立しても、後でライン・バイ・ラインでひっくり返されるおそれがあるからTPAは大事なんだ、だからTPAがきちんと成立するまではファイナルの交渉はできない、これは、日本だけじゃなくて、カナダもマレーシアも言っているはずです。

 今回、TPAが出てきてよかったと歓迎するコメントを日本政府も出しましたけれども、肝心かなめのプロモーション・オーソリティーを与えるという意味では、なくなっているんです、それが。少なくとも弱まっていますよ。まさにその権利がないと我々も安心して交渉に臨めないという権利が、場合によっては大統領から剥ぎ取られてしまう、こういう法律の内容になっているTPA法案で本当に大丈夫なのかどうか。

 その意味では、改めて、TPA法案がきっちりと成立をして、その中身をしっかり吟味するまでは交渉妥結をすべきではないと考えますけれども、いかがでしょうか。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 TPA法案は、私は先ほどまで生中継を見ておりましたが、上院の財政委員会で今審議されているところでありました。

 まだ法案審議中ということでありますけれども、いずれにしても、まず、アメリカの議会の中での議論を聞いていますと、TPPを初めとする現在交渉中の交渉について、TPA法案が成立するまでは合意をするべきでないという議論が、まずアメリカ国内においてあるということでございます。

 二十三日からアメリカで首席交渉官会合が開催されますが、ルール交渉における各国のスタンスも、そのTPAの成立というものを見守っている状況でございます。

 交渉そのものはずっと続けていくわけでございますけれども、最終的な合意というためには、TPA法案がきちんと成立をするということを、各国ともそれを注視しているということではないかと思います。

玉木委員 時間になりましたので質問を終わりますけれども、アメリカは、やはり議会をある意味重視しているから、こういうふうに法律の名前を変えたりとか、剥奪する権利も入れながら、何とかTPAも通すし、議会の理解を得ようと努力をしているんですよ。

 日本政府も、日本国の立法府に対する、これは、別に野党だから言っているのじゃないです、与党の先生にももっと丁寧に説明する態度をそろそろ持ってほしいと思いますので、これは本当に強く要求したいと思います。

 改めて、決議をしっかり守ってもらいたい。両院の、我が国の最高機関である国会での院の決議です。これは、アメリカのTPA法、アメリカもいろいろな都合があるでしょうけれども、日本の立法府が決めたことは、ちっちゃくコピーして胸に全員入れて、澁谷審議官も、交渉担当者は、この両院の決議をポケットに入れて交渉に臨んでくださいよ。

 それぐらいの気持ちで、最後は、ぎりぎりの交渉を勝ってください、戦ってください。何かこういう流れができたから仕方がないのではなくて、交渉だから、最後の一分までできるだけ多くとる、戦う交渉をぜひやっていただきたいということを強くお願い申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 どうも御苦労さまでございます。

 玉木委員が五分オーバーしましたので、では、五分早く終わるようにしましょう。ちゃんと時間を合わせましょう。

 競馬法のことでございますので、きょうは、私はもちろんこの競馬法を中心にお話をさせていただきたいと思います。

 海外のレースで馬券を買えるように、勝馬投票券とか難しい言葉を皆さんは使っていますけれども、馬券ですよね、買えるということなんです。

 私の選挙区は北海道ですけれども、古くから馬産地で有名なところなんです。競馬についても、江戸末期に西洋から入ってきて、横浜が発祥というようなことなんですけれども、明治五年には札幌競馬も始まっているんですね。随分長い歴史がありますね。

 そして、今回は、特に海外の方で我々の馬がどれだけ活躍しているか、そして、その馬券を買いたいという要望が大きかったんですね。それで、今回、海外のものを買えるようにしよう、こういうことだというふうに思います。

 誰もが楽しく、末永く楽しめる、そういう競馬であってもらいたいし、そして同時に、畜産事業だとか、こういうことに対してもいろいろと多大な貢献をするのが競馬でございますので、競馬事業がますます発展していくことも御祈念しながら質問をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、まず第一問目は、海外レースに関する適切な情報提供をお願いしたいということでお話をさせていただきます。

 海外レースの勝馬投票券を購入する際に、レースに関する情報、とりわけ、日本語のみでなくて、情報収集しにくいというふうに思いますけれども、海外馬の細かな情報をきちんと日本人ユーザーも収集できるようにするために、環境整備というのがやはり必要になってくるんだと思います。JRAとしては、そこら辺はどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたい。

    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕

後藤参考人 お答えいたします。

 国際的にも、ほかの国で開催される競馬の勝馬投票券、馬券ですけれども、これを発売する際には、各国関係者で、みずからの国のお客様のニーズに応える映像情報、出走馬情報などの提供を求めることが一般的であります。

 私どもJRAでは、海外競馬の勝馬投票券発売に際しまして、国内競馬と同様に、充実した映像、情報等の提供を行うことがお客様の要望にかなうものと認識しており、海外競馬主催者などとの契約におきまして、できるだけ多くの情報提供ができるよう協議、交渉を行っていきたいというふうに考えております。

 また、私どもJRAが取得した情報につきましては、私どものホームページを初めとしたさまざまな媒体を活用してお客様に提供してまいりたいというふうに考えているところであります。

松木委員 映像情報が大体中心という感じなんですか。

後藤参考人 国内の競馬に関しても同様だと思うんですけれども、やはり、レースの実況というものがみずからライブで確認できないことには、まずは発売の前提にはなってこないんじゃないのかなというふうに考えております。

 もちろん、勝馬投票を行うに際しては、出走各馬の過去の競走データ等も必要になってくると思いますけれども、そういったことも含めて、なるたけ多くの情報を提供していきたいというふうに考えているところであります。

松木委員 競馬の予想紙というのがあるじゃないですか。やはり、あれなんかにもそれを載せるようになるんですか。それは、商売でやっているものだから、あなた方がやるわけじゃないんだろうけれども、多分、そういうふうになるのかなという感じがするんです。そこら辺はどういうふうに考えていますか。

後藤参考人 お答えいたします。

 今先生もおっしゃったとおり、これはコマーシャルベースの話ですから、私どもが今この場でお話し申し上げるのが適切かどうか、ちょっとよくわかりませんけれども、多くのお客様に御参加いただくためには、なるたけ多くの機会を通じて情報提供されることが好ましいだろうというふうには考えております。

    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕

松木委員 多分、何とか馬だとか、何とかかんとかという情報紙なんかにも一つのコーナーができるんでしょうね。わかりました。

 それでは、次の第二問目は、改正案の中身を見ますと、JRAなどが勝馬投票券を販売できる海外競馬の種類について、「我が国と同等の水準にあると認められる競馬の監督に関する制度により公正を確保するための措置が講ぜられているもの」という定めがあるわけですけれども、具体的にどういった国の競馬がよくて、どういった国の競馬ならちょっとだめだよということなのか。

 それと、これは新しいことをやるわけですから、経費は大体どのぐらいかかるか、売り上げはこのぐらいかというのがわかればお答えください。

松島政府参考人 まず、勝馬投票券の発売対象とする海外競馬の競走につきまして、大臣が指定するに当たりまして、公正確保のための措置が講じられている、具体的にどういう判断基準なのかという御質問でございますが、これも先ほど御議論ございましたが、まず、外国の法令に基づきまして、外国の行政機関またはこれに準ずるものの監督を受けている競馬であることということがあろうかと思っています。

 さらに、競馬に関する国際機関でございます国際競馬統括機関連盟というものがございますが、そこの加盟国の競馬主催者が行う競走であって、同連盟により発行されるパリ協約に準ずる方法により競馬が行われていることを確認させていただきたいというふうに考えてございます。

松木委員 そうすると、大体それはどのぐらいのところが当てはまるんですか。

松島政府参考人 まず、先ほど申し上げました国際競馬統括機関連盟という団体の加盟国が五十九の国、地域ということでございます。その範囲内でございますけれども、さらに、今回、海外競馬の勝馬投票券を発売するに当たりましては、我が国の国内登録馬の発走の実績を勘案するということもございますので、それにつきましては、例えば、フランスの凱旋門賞でございますとか、オーストラリア、それからドバイ首長国のG1レースといったものもございますので、その辺からおのずと対象となる国は限定されてくるというふうに考えているところでございます。

松木委員 五十九カ国あって、フランスとかオーストラリアとかドバイとか、大体こんなところだろうということですね。ほかにもまだ広がっていくことも十分考えられる、こういうことでよろしいですね。はい、わかりました。

 それでは、三問目に行きますけれども、昔は日本も多頭数のレースが随分ありましたね。二十何頭なんというレースもありましたけれども、今は十八頭ということになっているようでございます。しかし、競馬の国際化ということで、今、海外の方はもうちょっと広い、二十何頭かというのはありますよね。

 そういうことを考えると、十八頭を超えるレースを日本国内でもやっていくつもりがあるのかどうかということを一つ聞きたいんですね。もしやるのであれば、施設の改修など、相当お金も必要になると思うんですけれども、十八頭を超えるレースというのは、今のところ、主催者側としてどういうふうにお考えなのかということをお聞かせいただきたいと思います。

後藤参考人 お答えいたします。

 今委員の御質問は、いわゆる一つの競走に対する出走可能な最大頭数のお話だと思いますけれども、出走可能頭数につきましては、競走中の人馬の事故防止及び出走馬が全能力を発揮しやすい公正な競馬を行うために、各競馬場の馬場や距離などのコースごとに個別に設定しているところであります。

 現在の最大の出走可能頭数は、おっしゃった十八頭ですけれども、これを拡大することは考えてはおりません。

松木委員 では、ずっと十八頭でやるということですね。わかりました。余りふえると、事故があったり、それで二十何番ゲートなんといったら、もうそもそも初めかららち外みたいな話になったりしますものね。そういう意味では適切なことだというふうに思います。

 それでは、次ですけれども、近年、国産馬の海外での活躍が目覚ましいということですけれども、そういうニュースを見れば、実際に海外のレースの馬券も買って応援したいというのがファン心理として出てくるのは当然です。私も同じ気持ちです。国産の馬が海外の大きなレースで活躍するということは、すばらしい、夢のある話だというふうに思います。

 一方で、競馬というのは、馬券を買って、勝てばその後払い戻しを受けるというシステムになっていて、ギャンブルという側面も強くあるわけですけれども、生活するためのお金までつぎ込む、借金してまでつぎ込む、こういうことになってしまっては、せっかく馬たちが海外まで行って活躍してくれているのに、夢やロマンにけちがついてしまうわけでございます。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、やはり競馬というのは、精神的にも経済的にも余裕を持って馬券を買うということだと思います。恐らく、多くの競馬ファンはバランスのいい買い方をしているんだというふうに思いますけれども、それでは、実際に一人が一度に大体どれぐらい競馬に、例えば一日平均とか一カ月平均とかいろいろとあると思いますけれども、ちょっと指針になるような数字を出していただきたいと思います。

後藤参考人 お答えいたします。

 私どもでは、現金投票と電話、インターネットを通じた投票、それぞれあるわけですけれども、一つの数値といたしまして、競馬場、場外勝馬投票券発売所及び電話投票、インターネット投票の昨年、平成二十六年度の年間発売金をそれぞれの延べ入場人員及び利用人員で割った一人当たり一日購入額ですが、競馬場につきましては約二万三千三百円、場外勝馬投票券発売所につきましては約一万三千五百円、電話投票に関しましては約一万五千円というふうになっております。

松木委員 これは一人でしょう。やはり現場に行ったら使うんだね。そういうことがよくわかりますね。ひょっとしたら電話投票なんかが結構多いのかなと思っていたけれども、なるほど、勉強になりました。よくわかりました。

 それでは、これは私の意見なんですけれども、競馬でも競艇でもそうなんですけれども、こういうものは、やはり初めに、きょうは大体このぐらい使おうということを決めて、負けても際限なくお金をさらにつぎ込むのではなくて、予定のお金を使ってしまったら、そこですぱっとやめて帰るというふうにするのが大事なんです。これが実はなかなかできないんですけれども、でも、私は、遊びに行くときはそういうふうに思っているんです。

 今、競馬も五万円まではクレジットカードで買えるということなんですけれども、これは要するに、ある程度借金をして買えるということなんだと思うんですよね。私は手持ちの現金で遊ぶのが一番いいのではないかというふうに思います。帰りの電車賃もなくなって、オケラ街道なんという話もありますけれども、そういうふうになるのは余りよくないし、どんなにたくさん使っても、帰りの電車賃はお財布に残すとか、切符だけ買っておいて、お財布に最初に入っていたお金以外は絶対使わない、こういうふうに思うのが本当は幸せなんだと思うんだけれども、なかなかこれがまたうまくいかないんですよね。大体使っちゃうんですよ。

 そこで、このごろ、馬券売り場の周辺の景色を見ますと、銀行のATMとか消費者金融だとか、そういうのが随分目につくわけですよ。お財布にお金がなくなってもすぐに借りられる状態をつくっているのはかなり問題じゃないかなというふうに私は思っています。まして、今回は遠く海外で行われる競馬の馬券が買えるようになるわけですから、ちょっとリアルな感覚が麻痺してしまうのではないかということで、非常に私は危惧を持っているんです。

 馬券場の周りで、すぐお金を借りたり、貯金をおろしてすぐお金が使えるようになっている、こういうことは余りすべきではないのかなというふうに思うんですけれども、結局、馬券場のすぐ隣に金融機関があれば、ちょっと頭に血が上ってまた買ってしまうということもあるんだと思います。

 そのときに、お金をおろす機関だとかそういうものが若干でも遠くにあると、歩いているうちに、いや、やっぱりきょうはやめておこうかという気持ちにもなるかもしれないし、さすがにきょうはやめておこうかというふうに頭を冷やすこともできるかもしれないと思うんですけれども、ちょっと、あからさまに馬券場のすぐ近くにATMや消費者金融が軒を連ねているというのはいかがなものかなというふうに私は考えるんですね。

 まず、確認させていただきたいんですけれども、JRAが管理する競馬場や場外馬券場の敷地内に銀行のATMがある場所はあるんでしょうか。あるようでしたら、競馬場、場外馬券場、それぞれ全国に何カ所あって、そのうち何カ所に施設や敷地内に銀行ATMがあるかということをお答えいただきたいと思います。

後藤参考人 お答えいたします。

 JRAの競馬場や場外勝馬投票券発売所におきまして、敷地内にATMが設置されているのは八カ所、競馬場につきまして六カ所、場外発売所について二カ所であります。(松木委員「八カ所」と呼ぶ)競馬場が六カ所、場外勝馬投票券発売所が二カ所、計八カ所であります。

松木委員 競馬場に八カ所。もう一回ちょっと。ごめんなさい、よく聞こえなかった。

後藤参考人 競馬場につきましては、全国で十の競馬場が私どもございますけれども、そのうち六カ所の競馬場の敷地内にATMが設置されております。

 それと、場外勝馬投票券発売所、通称ウインズと申しているところは四十三カ所ほどありますけれども、そのうち二カ所が敷地内にATMが設置されているということであります。

 その五十三の発売施設のうち、八カ所にそうしたものが設置してあるということであります。

松木委員 五十数カ所のうち八カ所ということなんですけれども、これはJRAも商売だからしようがないといえばしようがないんだけれども、理事長、どう思いますか。ちょっと気持ちを。

後藤参考人 お答え申し上げます。

 ATMにつきましては、近年、銀行以外の場所や店舗などでも設置が進んでおりまして、JRAの発売施設への設置につきましてもお客様からの要望が大きく、JRAといたしましては、競馬場やウインズに来場したお客様が銀行やコンビニエンスストアなどに足を運ばずに利用できるよう、お客様のニーズと利便性の確保の観点から設置をさせていただいているところであります。

 なお、JRAといたしましても、その設置場所につきましては、多くのお客様が通行するような場所は避け、スタンドの隅のエリアに設置するなど、お客様に対する配慮は行っておりまして、引き続きお客様の一定のニーズもあるということから、現在のところ、これを続けていければというふうに思っています。

松木委員 ニーズは当然あるんですよ、それは。あるんだけれども、ちょっとやり過ぎじゃないかなというふうに思うわけですよ。やはり、あると使っちゃうよ。ですから、敷地内というのはどうなんですかね。少なくとも敷地からちょっと出すとか。大臣、どうですか、敷地内にあるというのは。

 私はいろいろな人間とつき合いましたけれども、中にはやはり、もう最後に、会社を何とかするために、馬券を買って、それで自殺したというのがいるんですよ、本当に。自殺した後、ポケットから当たりそうもない馬券がどっさり出てきた。そういう人間もやはりいるんですよ。

 だから、敷地の中にあるというのは、いや、それはわかるし、理事長は悪いお考えで敷地内に置いているわけじゃないというのもわかるんだけれども、大臣、どう思いますか。

林国務大臣 理事長のお言葉の中にも、スタンドの隅の方でというところにお気持ちもにじませていただいているのかな、こう思って聞かせていただきましたが、やはり、お客様のニーズも踏まえて、JRAで御判断されることだろうと私は思います。

 一方で、今先生がおっしゃったように、競馬ファンがギャンブル依存症のようなものにならないように、やはり競馬法等に基づきまして、年間の開催日数、それからレースの数、これは制限してあります。それから、中央競馬の開催も土日の開催ということに限定をする。それから、やはり広告宣伝ですが、射幸心をいたずらにあおらないように、勝馬投票券の購入行為につながる表現、これは自粛をするようにしているわけでございます。

 さらに、各競馬主催者において、お客様相談窓口等を通じて、競馬愛好者の御家族の方からのギャンブル依存症に関しての相談に乗る、こういうこともやっておるようでございまして、要望があれば専門的な診療を実施する病院の情報提供も行っている、こういうふうに聞いておるところでございます。

松木委員 いや、いろいろなものをつくるのはいいんだけれども、聞くと、何となくマッチポンプみたいな雰囲気になっちゃうんだよね。

 大臣、本当に、やはり中につくるというのはよくないと思う。それはやはりやっちゃうんだから。僕は、テレビである程度射幸心をあおったって別に構わないと思う。ただ、リアルに近くにあれば、それは使っちゃうんですよ。

 今すぐ答えをくれとは僕は言わないけれども、やはりちょっと考えた方がいいんじゃないかなというふうに本当にこれは思うんですよね。人間はやはり弱いですよ。あれば借りちゃうとか、それはやっちゃうもんな。自分も多分そうなる可能性が高いなと思うので、私はなるべく行かないようにしていますけれども。

 どうですか、大臣。これは大臣が中心になって、プロジェクトチームとまでは言わないけれども、何かちょっとお考えになってくれたらありがたいんだけれども、どうですか。

林国務大臣 金融機関のATMでございますが、今、銀行のATMの設置というのは規制がないという状況で、一般的になっております。それから、消費者金融の自動契約機の設置、これは、一部の場合を除き、やはり規制等がない、こういうのは一般論でございます。

 ただ、今私が申し上げましたように、ギャンブル依存症というのが、相談窓口もつくってやっている、こういうこともございますので、よくよく、お客様のニーズとの兼ね合いでどういうふうにするのか、まずはJRAにおいてしっかりといろいろなことをお考えになっていただきたい、こういうふうに思っております。

松木委員 理事長、今大臣がちょっとJRAの方にお考えいただきたいようなことも言われましたけれども、どうですか、内部で一回ちょっと検討してみたらどうですか。

後藤参考人 先ほども私は申し上げたところなんですけれども、これはお客様からのニーズがあるということがまず前提にありまして、先ほど先生もおっしゃったように、実際に、外に出ていって利用される手間を省略できる、ただし、申し上げたとおり、なるたけ隅の方に設置しているということですので、これはほかの公営競技も含めて同じような形で運用しているのでありまして、現状については、既にあるものについては、お客様がそこにあることを認識されているわけですから、これは少なくとも継続していきたいなというふうには思っています。

松木委員 だから、そこにあるのを認識しているのがまずいんですよ。なるべく置かない方がいいと思うんだよな。

 どうですか、理事長。これだけ僕もしつこく言っているんだから、持ち帰って、もう一度ちょっと検討してみるというのはどうですか。

 ニーズがあるというのは、それは当たり前のこと。それで、近くであれば便利なことも当たり前。でも、結局、競馬というのはギャンブルでもあるわけですよね、何だかんだ言うけれども。だから、そこではまっちゃうやつが問題なんですよ。それが近くにあるとやっちゃうわけですよ。それがちょっと遠くにあれば、一レースぐらい終わっちゃうわけだから、それだけでも違うというふうに僕は思うんだけれども。

 それぞれ大人なんだから、そんなことは本人が決めればいいことだといえばそのとおりなんだけれども、でも、主催者として、どうなんですかね、ちょっと矜持があってもいいんじゃないかというふうに思うわけですよ。

 もう一度、ちょっと答えてください。

後藤参考人 お答えいたします。

 お客様からの御要望を受けてというのは再三申し上げているとおりなんですけれども、現状、お客様から、このことに関して、特段、俗に言う苦情のようなものはいただいておりませんので、そうしたものを背景にしながらよく考えていければというふうに思っています。

松木委員 理事長、苦情は絶対来ないですよ、より買いやすくなっているんだから、お金も手元に持ちやすくなっているんだから。

 そういうことじゃなくて、私に言わせると、余りにも便利になり過ぎているということなんですよ。だから、ちょっとワンテンポ置くためにも、敷地内にそういうものを置くのはやめようという自主規制、こういうものをお考えになったらいかがかなというふうに思うんですけれども、それを持ち帰って議論するという気持ちも余りないですか。そこら辺をもう一度言ってください。

後藤参考人 お答えいたします。

 ただいまも申し上げましたけれども、私ども常日ごろ申し上げているとおり、お客様あっての中央競馬ですので、お客様の声も背景にしながらよく考えていきたいというふうに思っています。

松木委員 お客様あってのJRA、当然ですので、大臣、答えはもういいですけれども、これはやはりちょっと考えた方がいいと私は思うんですよ。大臣が答えづらいだろうから、もうこれ以上聞きませんけれども、やはりちょっとやり過ぎのような気がしますので、どこかで善処していただくように要望を申し上げておきたいというふうに思います。

 それと、たばこなんかを買うときに、今タスポというのがあるじゃないですか。正直、ちょっと面倒くさいようなところがあって、私もたばこを吸うものですから思うときもありますけれども、あれはやはり未成年者の喫煙を防ぐということでは、私の感覚ですけれども、多分有効ではないかなというように思うんです。

 勝馬投票券を買うのも、年齢制限というか、たしか学生は買えないですよね。そういうルールがあるので、JRAでもこのタスポみたいなものをもしつくったら、未成年の人が馬券を買うとかそういうことは防げるわけなんですけれども、今のところ、そういうことをお考えにはなっていませんでしょうか。

林国務大臣 まず、学生については、たしか平成十六年の競馬法改正で、二十歳以上であれば学生生徒であっても勝馬投票券の購入が可能となった、こういうことでございますが、未成年は買えない、こういうことでございます。

 競馬場や場外勝馬投票券発売所での未成年者の購入防止策は、職員等が施設内を巡回しておりまして、未成年者と思われる者を発見した際は、勝馬投票券を購入しないように声かけを実施する。それから、発売窓口においても、未成年と思われる者が購入しようとした場合は、投票所内外の職員等が年齢確認を行うということをしまして、未成年者が購入することを防止しております。加えて、場外発売所では、入り口で、場外馬券売り場というのは入ることイコール買うことになりますから、ただ見るだけじゃないわけですね。したがって、入り口で職員等が未成年者のみで入場することを制止する対応、こういうことをしております。

 今御指摘のありました、たばこのタスポのようなものをつくるということにつきましては、一人当たりの発売所要時間が長くなるわけですね、これを入れてやっていくということになりますので、発売の締め切り間際の混雑が激しくなるということで、安全対策上、重大な支障を来すのではないかということと、それから、タスポに類したものを提示することによって、今度は勝馬投票券を無条件で購入できることになりますので、逆に未成年者による成り済ましを防ぐことが難しく、現在実施している声かけによる購入防止の取り組みに支障を来すのではないか、こういう点について慎重に検討することが必要だ、こういうふうに考えております。

 我々としては、引き続き、主催者に対しまして、未成年者による勝馬投票券の購入防止策を適切に実施するように指導してまいりたいと思っております。

松木委員 済みません、ちょっと認識不足で。今、二十以上になったらよくなった、変わったんですね。

 大臣の言うのもわかるんですけれども、このタスポなんかをうまく利用したら私は大分いいと思うので、ぜひこういうことを検討していただきたいなというふうに思うんですよね。成り済ましだとか言っていても、タスポを持ってまた成り済ましているやつもいるだろうし、いろいろといるんですけれども、何かああいうのをつくるとやはり違いますよ。

 例えば、海外のカジノなんかは、たしか二十以下の人が買って当たったら無効になるんですよね。そのぐらい結構厳しいので、だから、やはりJRAの方もこのことはもうちょっと真面目にお考えになった方がいいと思うんですよね。

 ぜひ、大臣、お忙しい中ではありますでしょうけれども、こういうことも役所の検討項目の一つぐらいに入れていただいて、研究をしていただくということでお願いをしたいんですけれども、どうですか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、今、実際に職員等が巡回したりしてやっておることで、大分効果も上がってきておるようでございます。

 したがって、今、タスポのようなものはだめだということではなくて、もし、タスポみたいなことを入れる場合は、先ほど申し上げたようなことが予想されますので、そういう点についてどういうふうにするかということをしっかりと慎重に検討していくことが必要だ、こういうふうに思っております。

松木委員 要するに、提示して、それから買うと、時間ぎりぎりだと間に合わなくなるという話なんだろうけれども、そこまで言ったら何にもできなくなっちゃうと思いますので。今、宮腰先生が、タスポというのはこういうものだといって皆さんに提示されていましたけれども、これをぜひ参考にしていただいたらいいんじゃないかなというふうに私は思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 競馬事業の目的というのは畜産振興という大きなものも入っていますけれども、モーターボートなんかだったら船舶産業振興とか地方財政の改善、公益の増進、競輪やオートレースなら機械産業の振興などといった、それぞれに収益の活用先が定まっているわけですけれども、競馬事業による収益は、畜産振興のため、どういったことに使われているのか、ざっと教えていただきたいと思います。

松島政府参考人 日本中央競馬会から国の一般会計に納付されます国庫納付金につきましては、日本中央競馬会法第三十六条に基づきまして、国庫納付金に相当する金額のおおむね四分の三相当額を畜産振興事業等に必要な経費に充てなければならないという規定がございます。

 その畜産振興事業等の内容というのは、同じく日本中央競馬会法十九条に規定がございまして、具体的には、指定生乳生産者団体補給交付金、こういったものを初めとする畜産振興費ですとか、家畜共済費ですとか、それから日本政策金融公庫補給金のような制度資金、こういったものに充てられているところでございます。

 さらに、日本中央競馬会が剰余金の一部を活用しました特別振興資金によりまして畜産振興事業というものも行ってございますが、これにつきましては、被災地支援や畜産への助成、障害者の参画推進ですとか、緊急性の高い家畜防疫、こういったものとなっているところでございます。

 また、同様に、地方競馬につきましても、その売得金の一部を地方競馬全国協会に納付してございまして、その地方競馬全国協会が実施します畜産振興事業の中でそういった目的に活用されているという実態がございます。

松木委員 今お話しになったように、いろいろなものに使われているということなんですけれども、JRAのホームページを見ましても、どういった形で社会還元がされているかがなかなかわからない部分もありますので、もうちょっと具体的な形でこういうものをもっとPRすべきだと思うんですね。せっかく世の中のためになっているんですから。ただのばくちじゃないんですから。

 そこら辺、これからちょっと改善された方がいいと思うんですけれども、どういうふうにお考えですか。

林国務大臣 まさに今、松木先生がおっしゃっていただきましたように、競馬の売り上げ、これは日本中央競馬会が納める国庫納付金の四分の三、これがまず畜産振興事業等に充当される。また、JRA、日本中央競馬会の剰余金の一部を財源とした特別振興資金、これを活用して畜産振興事業、地方競馬主催者の売り上げの一部を財源として地方競馬全国協会が行う畜産振興事業の実施、これを通じて畜産の振興に大変寄与しております。

 今後、国民の理解を得ながら、競馬が安定的に発展していくように、競馬の売り上げの一部が畜産の振興に役立っているということについて、なお一層積極的にPRをしてまいりたい、こういうふうに思っております。

松木委員 理事長も、お手が挙がっていたので、どうぞ。ぜひJRAのPRをしてください。

後藤参考人 ありがとうございます。

 私どもが行っています畜産振興事業を実施するに際しましては、畜産における重要な問題に対応するために、毎年テーマを設けて公募及び選定を行っているところでありまして、平成二十七年度、今年度につきましては、東日本大震災により被害を受けた畜産農家への復興支援対策、あるいは口蹄疫等の重要な家畜疾病の防疫関連対策、畜産現場における女性の活躍推進等をテーマとしたところであります。

 先生御指摘のとおり、これからも、JRAの顔の見える社会貢献の一つとして、私どもJRAが実施する畜産振興事業につきまして、世の中に広く周知できますように、さまざまな場でアピールしていきたいと考えております。

松木委員 ありがとうございます。

 ぜひ頑張ってやっていただきたいというふうに思います。

 では、あと五分ですね。

 お馬さん、一生懸命走って、最後には引退されるということなんですけれども、引退された後、あるいは、もともと大した活躍もできない馬もいるんですけれども、いずれにしても、殺処分されたりという悲惨なこともあるようです。

 競馬馬というのは、さっき佐々木さんもちょっと言ったと思うんですけれども、セラピー的な効果も随分あると思うんですよね。そういうこともあると思いますので、ぜひ、殺処分をなるべく避けて、御活用をしていただきたいと思います。

 競馬馬として今実際に生まれてくる馬の数、そして、その後、どれぐらいの馬がどういった生涯を送っていったのかというデータとかそういうのはあるんでしょうか。あるのならお示しください。

松島政府参考人 競走馬の生涯ということでございますけれども、平成二十五年の数字で御説明申し上げますと、まず、馬産地の生産牧場におきまして六千八百三十五頭が生産されております。その中から、血統登録それから馬名登録を経まして、六千五百六十四頭が競走馬登録されているということでございます。

 また、平成二十五年におきましては、一万四百八十四頭が競走馬登録を抹消されまして、その中で中央競馬から地方競馬に移籍するもの、地方競馬から中央競馬に移籍するものございますけれども、それを除いた七千百四十二頭が競走馬を引退しているということでございます。

 引退した競走馬のその先でございますけれども、私どもが把握しています数値は、一千九十九頭が生産牧場に戻りまして繁殖用として活躍される、また、三千七十頭は乗馬クラブなどの乗馬用として活躍しているというふうに把握しているところでございます。

松木委員 わかりました。大分数字が合わないので、余りこれは聞かない方がいいでしょう、これ以上は。

 いずれにしましても、今回、海外の馬券を買うことができるようになったということでございますので、喜ばしいことだとは思いますけれども、きょうの競馬法の中で私が一番言いたかったのは、余り買いやすくし過ぎるとやはり問題があるのではなかろうかというふうに思うわけですよ、今回の競馬法そのものには関係ないといえばないんだけれども。五万円まで、要するに借金して買える話でしょう、簡単に言うと。だから、借金してばくちはいかぬですよ。やはり現金でやらなきゃ。そういうのは転落への一歩になる可能性だってあるんだから、やはり余裕のあるところで競馬をやっていただこうという思想というのは非常に私は大切だと思います。

 そこら辺をぜひ勘案の上、これからもJRAの皆さんが発展されるように、そして、サラブレッドも、今、年間六千何百頭というふうに聞きましたけれども、これは、昔はもっと、たしか一万頭以上生まれていたはずですよね。年間一万頭ぐらいいたはずなんです。だから、これからはもうちょっとよくなるんでしょうけれども、そこら辺もまた頑張っていただきたいというふうに思います。

 農林大臣、最後に一言、何かあれば、どうですか、これから健全に発展をさせるとか、そんなことを言っていただければ。

林国務大臣 松木先生おっしゃるように、これは畜産の振興に大いに活用もしなければなりませんし、健全な娯楽、さらには馬事文化ということにも貢献していただかなければなりませんので、総合的にしっかりと推進をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

松木委員 ありがとうございました。

 JRAの理事長さんも、どうですか、最後に一言、せっかく来たんだから。

後藤参考人 先生からいただいた御意見も貴重な御意見だというふうに思っていますし、私どもとしては、いつも申し上げているとおり、公正で信頼できる競馬を、お客様に安全で快適な環境のもとで楽しんでいただく、そして、かけごとという面もありますけれども、スポーツ、あるいは娯楽、レジャーという面もあります。さまざまな形で競馬を幅広く世の中の方に楽しんでいただければと思っておりますので、引き続きよろしく御指導いただければというふうに思います。

 ありがとうございました。

松木委員 ありがとうございました。

 それでは、大臣並びにJRAの理事長、お二人とも非常に人柄のいいお二人でございますので、これからも頑張ってください。

 終わります。

江藤委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 本題に入る前に、ロシア水域におけるサケ・マス流し網漁の問題について一言伺います。

 昨日のこの委員会でも、ロシアの流し網漁禁止法案について質疑がありました。大臣から、昨日の未明ですか、ロシア政府から支持する旨が表明されているとの答弁がありました。この問題は、どの党も問わず、注視してほしいと思いますし、もちろん我が党としても重視すべき問題だというふうに考えています。

 北海道の根室市は、御存じのように、水産業を基幹産業とする町です。春のサケ・マス、夏から秋のサンマ漁、それから冬のタラ漁、このようなサイクルで、漁師の経営や生活、あるいは関連産業、地域経済、雇用も成り立ってきている町です。加工、運輸、製缶、燃油や船舶資材などに多くの市民がかかわっております。

 しかし、これまで、領土問題の未解決ということで、こういう政治的な事情を前にして、まちづくりや経済の振興にも苦労してきました。ですから、今回の法案の行方も、ただ指をくわえて見ているわけにはいかないという話も聞いてきたのです。外務省と連携をして、農林水産省としても危機感を持って対応してほしい。

 そもそも、ことしのロシア二百海里内のサケ・マス漁業交渉も進んでいない現状があるわけでして、この流し網漁の禁止法案への対応と、今述べたロシアの二百海里内の漁業交渉の進展を強く求めたいと思いますが、現状はいかがですか。

林国務大臣 まず、日ロの政府間協議でございますが、既に開催することについては日ロ間で一致をしております。したがって、ことしの二月から、我が方からは四月に開催しようということを提案しておりますが、ロシア側からは、日程案を検討しているということの理由でまだ回答を得られておりませんで、開会日がまだ決まっていない状況でございます。

 昨年も、四月の三日の東京、二十一日から二十五日モスクワ、五月の十二日、十三日モスクワ、こういう日程でございましたが、引き続きしっかりと要求をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

 流し網漁業の禁止法案でございますが、こちらの方は、現地時間で二十一日夕刻でございましたけれども、ロシア政府において法案を支持するという見解が公表されておりまして、ロシア連邦議会の方で今後はこの法案の審議がされるもの、こういうふうに認識しております。

 こういう厳しい状況でありますが、外務省と連携しながら、ロシア国内の動きについて情報収集に努めるとともに、既に総理からも先方の大統領にも言っていただいたところでございますけれども、あらゆる機会を捉えてロシア側に対する働きかけ、これを継続してやってまいりたいと思っております。

畠山委員 領土問題ともかかわる、国の主権にかかわる問題というふうに思うんですね。

 根室に行くとやはりよく言われるのが、ロシア側は、国境というかほかの国とかかわる地域だけに、開発を含めてさまざまな取り組みをやっているけれども、日本でいえば海岸線、水産の町こそ、そういう国境に面している、接しているところとして、やはり国の強い意思が見えないことに対して根室市民としてももどかしい思いがあるということは聞いてきたわけです。

 ですから、農水省としても、その立場を引き続き貫いて、さらなる努力を改めて求めたいというふうに思います。

 本題に入ります。

 我が党は、競馬について、スポーツ性を重視した健全な発展を望む立場です。人と馬が育んだ歴史や交流文化を大事にして、農業振興の一部門として生産地への支援強化も求めてきました。

 私は北海道の選出ですので、産地では、もちろん馬を愛し、農耕馬として北海道で開拓をともにしてきた、苦労をともにしたパートナーというような特別の思いもあるわけです。国内外で活躍する姿を夢見て、育成にも励んでいる。

 その中で、日本の競馬ですけれども、刑法の賭博、富くじ販売禁止の例外として勝馬投票券の発売行為が扱われてきました。それは公益に貢献することを理由とするものからでした。しかし、現状がどうなっているか。地方競馬では、一九九九年に二十五の主催者がありましたが、二〇〇〇年度以降、十一の主催者が撤退し、現在は十四主催団体まで減ってきています。

 この十四主催団体のうち、直近の数字で結構ですが、黒字により余剰が出て、主催者への配分金を出した競馬組合というのはどこですか。

松島政府参考人 直近の状況ということで、平成二十五年度の状況を御説明させていただきますが、地方競馬主催者で収益金より構成団体、地方自治体へ配分金を繰り出ししておりますのは、全十四主催者のうち二主催者でございまして、具体的には、埼玉県浦和競馬組合、それと東京都の特別区競馬組合でございます。

 なお、平成二十五年度におきましては、単年度収支を見ますと、全十四主催者のうち一主催者を除きまして黒字化しておりまして、みずからの財務状況を改善するために、そのうち配分金を繰り出しましたのは二主催者にとどまっているという状況にございます。

畠山委員 昨年度は、今ありましたように、決算途中ということでもありますが、一つを除いて黒字となっていますが、累積赤字を抱えている主催者も多くあるわけでして、その前の年でいえば、直近で答弁されたように、配分金を出せたのが二団体のみという現状です。

 地方競馬、あと中央競馬もそうですが、近年は売り上げが少し伸びているということでありますけれども、長期的には停滞あるいは低下傾向にあったわけです。その理由についてどのように認識されますか。

林国務大臣 競馬の売り上げでございますが、中央競馬は平成九年の四兆七億円、地方競馬については平成三年の九千八百六十二億円、これがピークでございました。その後、景気の低迷、それから娯楽の多様化、こういうものが背景になりまして、競馬の売り上げについては、中央競馬はピーク時の約六割、地方競馬はピーク時の約三分の一の水準にとどまっております。

 しかしながら、今先生おっしゃっていただいたように、平成二十四年以降、中央、地方ともに、三年連続で前年を上回る売り上げを記録して回復基調にはなっている、こういうことでございます。

 今後は、人口の減少、娯楽の多様化、こういうものが進む中で売り上げを大幅に伸ばしていく、これはなかなか難しいということもあると思いますけれども、中央と地方の交流によって魅力あるレースを開催することを通じて、中央と地方の連携を強化するということと、それから、きょうも御議論していただきましたように、若者それから女性や家族連れ、さらには観光客の皆さんが参加しやすい環境整備を図る、こういうことを通じて、ファンの支持を得ながら、競馬がその役割を果たして、国際的な評価も高めながら安定的に発展していくように、しっかりと各主催者の取り組みを支援してまいりたいと思っております。

畠山委員 このような指摘があるんですね。

 これは二〇一四年三月四日の日本経済新聞ですが、次のように書いてあります。「昨年、中央競馬では三連単の売り上げに占めるシェアが三五・八%で最も多かった。ただ、的中が難しく、払戻金で他のレースを購入するという循環構造が崩れ、ファン離れを招いていたとされる。」

 そのほかにも、今回いろいろ調べたわけですけれども、社団法人中央競馬振興会が二〇〇九年に出しています日本の競馬総合ハンドブックというのがありまして、この中でも次のようなくだりがあります。「三連単はハイリスクで、ファンの懐の疲弊も早い弱点があり、購入単位の見直しは今後の検討課題といえる。」

 市民が泣きを見るようでは、生産者だって喜べないわけであると思うんです。ですから、リスクを高める、ギャンブル性を高める投票方式は見直すべきという、このような指摘をどのように受けとめますか。

松島政府参考人 委員御指摘のように、勝馬投票券にはさまざまな種類がございまして、比較的的中率の高い複勝とか単勝とかいったものもあれば、他方、今お話がございました三連単という、一つのレースで一着、二着、三着をその順番に当てるという非常に的中率の低いものがございます。

 そういった、リスクといいますか、当たる可能性といいますか、確率もファンの方々に認識していただいた上で勝馬投票券を購入していただくということが大事だろうと思っています。

 また、その当たる確率に関しましては、実は、平成二十四年に競馬法改正をさせていただきまして、払い戻し率を、当たる確率が高いものについては払い戻し率を比較的高く設定する、たしか上限八〇%だったと思いますけれども、当たる確率が低いものについては払い戻し率を低く設定するという形で、平準化を図るという形での制度改正も行っているところでございます。

畠山委員 答弁が難しくなるほど、そういう難しい仕組みになっているわけでありまして、いずれにしても、全レースに三連単が導入されたのは二〇〇七年だと思うんですが、それ以降で見ても売り上げも減ってきたということでも、やはりこのことについてこの機に検証もして見直すことが必要だということを指摘しておきたいと思います。

 それで、深刻な問題なのは生産地の実態です。

 昨年ですけれども、北海道日高管内の各町長、各農協組合長、日高生産農業協同組合連合会長で構成する軽種馬生産構造改革推進会議で、北海道日高振興局馬産地対策室より、七百五戸の経営動態調査が報告をされています。それによれば、比較的健全なA階層三百三十三戸が約半数を占めるものの、C階層が一割の七十二戸、D階層が二割の百三十三戸を占めていて、軽種馬経営の厳しい実態が浮き彫りとなっているというものです。

 これまでも、日高地方に私も足を運んで話を聞いて、この間も実態を聞いてきたんですが、いつでも変わらず言われることがあるんです。そもそも、国は軽種馬を農業としてまともに位置づけていないんじゃないかと言われるんですよ。

 ちょっとシンプルに聞きますけれども、大臣、軽種馬は日本の農業でまともに位置づけていないんでしょうか。

林国務大臣 軽種馬の生産は、競馬事業の一翼を担う重要な産業でありまして、放牧地や採草地といった農地に立脚した土地利用型の畜産である、こういうふうに認識をしております。

 特に、今御指摘のありました軽種馬生産の八割を担っている北海道日高地域では、軽種馬生産というのは基幹産業として地域経済を支える重要な位置づけにある、こういうふうに考えております。

畠山委員 もちろん農水省の文書なども見ますし、そういう話も聞けば理解はできるんですが、それなら、どうして今言ったような声が生産者から出てくるのかということをやはり掘り下げて受けとめる必要があると思うんですよね。

 先ほどの調査報告では、借入金のない経営体が百五十八戸と全体の約四分の一となっている一方で、一億円を超える借入金の経営体が九十一戸と一割強を占めている。また、一件当たりの借入金残高は約四千八百万円です。経営に対して借入金の負担が大きいわけです。

 これは確認ですが、大きな負債を抱えているわけですが、こういう現状に対する支援はどのようなものがありますか。

松島政府参考人 今委員から御紹介がございました調査報告については、私ども、ちょっと承知していなかったものですから、よく勉強させていただきたいと思います。

 私どもの把握しております数字によりますと、北海道日高振興局の調べによりますと、日高地域の軽種馬生産専業経営のうち七五%が負債を抱えていらっしゃいまして、その負債を抱える農家のうち四五%は一経営体当たり五千円を超える負債があるということで、軽種馬生産経営は厳しい状況にあるというふうに認識しているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、現在、日本中央競馬会の資金などを活用した競走馬生産振興事業というものを行ってございまして、その中で、負債の長期低利資金への借りかえですとか、それから、経営を支援するための優良な種牡馬、繁殖牝馬の導入、先駆的な軽種馬生産施設の整備などに対する支援を行っているところでございます。

 こういったことを通じまして、強い馬を生産できるような軽種馬生産構造の強化を推進してきたところでございます。

畠山委員 局長さん、今、負債のところで五千円と言いましたけれども、五千万円でよろしいですね。

 それで、今言ったように、借りかえですとかいろいろな事業はもちろんありますということですが、それでも、先ほど言ったように、農業として位置づけていないという声が出てくるのが現状です。ですから、今述べますけれども、生産者の現状や意見をよくよく聞いた、見合った支援が必要だというふうに思います。

 生産地では、勝ち組、負け組という二極化が進んでいるというふうに聞きます。規模を大きくして、勝てる馬を育成する生産者がいる一方で、これは二〇一三年の調査ですが、十頭以下の小規模零細経営農家が五百六十一戸で約七割と多数を占めているわけです。小規模零細の農家が育てる馬もいるから、レースも成り立つし、地域社会ももちろん成り立つわけで、ただ、このような農家ほど経営が苦しい実態にあります。

 酪農でしたら、搾乳して、それで返済計画を立てるということもできるけれども、軽種馬というのはなかなかそうはいかない。融資を受けても返済計画が立ちにくいわけでして、競走馬生産振興事業も平成二十九年度までですから、それより先への不安が出るのも当然だというふうに思います。

 先ほど紹介した軽種馬生産構造改革推進会議から出されたレポートを見ると、支援に対する具体的な提言があるんですね。分業化の推進だとか、あるいは大規模牧場から中小牧場への繁殖牝馬の預託とか、経営安定策などが提起をされているわけです。

 先ほど大臣から、軽種馬について、農業の重要なところであると答弁がありました。それならば、競馬の売得金を原資とする振興事業に依存するような枠組みにとどまらないで、農業本予算での支援を拡充する検討を進めてはどうかと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 軽種馬生産は畜産の分野でございまして、競馬事業の一翼を担っておると申し上げたとおりでございますが、軽種馬生産対策を国費で御支援するということは、競馬そのものは我が国の食料の安定供給、自給率の向上に資するものではないということでございまして、競馬事業による売り上げの一部でこの対策を実施していることに加えて、その上にさらに国費で支援するということは、納税者、国民の御理解を得ることがなかなか困難ではないかと考えております。そういったことで、これまでも軽種馬生産対策は競馬事業の売り上げの一部を原資として実施をしてきたところでございます。

 具体的には局長から答弁をしたとおりの内容でございますが、今後とも、馬産地の関係者の要望等も踏まえて、競走馬生産振興事業などを通じて馬産地の振興を図ってまいりたいと考えております。

畠山委員 そういうふうに、食料の安定供給にかかわらないからということが出てくるので、先ほど言ったように、生産地では、軽種馬は農業ではないのかという声がずっと出てくるわけなんですよ。きちんとやはり改めて指摘をしておきたいというふうに思うんです。

 最後に、TPPが馬産地に与える影響についても問います。

 今、輸入馬への関税が一頭三百四十万円、外国産馬が出られるレースも日本では開放されてきて、今、外国人の馬主がふえてきているというふうにも聞きます。牧場が外資によって買収されているという話も聞くわけです。仮に、TPPで関税がなくなるとすれば、さらに外国産馬を持つことが広がる懸念があります。

 北海道の独自試算によれば、生産額で百一億円の減少、影響総額は二百七十億円に上って、三千人の雇用にも影響があるとされています。米、畜産、酪農、畑作、そしてこの軽種馬生産地でも、だからTPP反対だという声が上がって、もちろん、日高管内へ行けば、それぞれのところにもポスターが目立つところに張ってあるわけです。繁殖牝馬を安く購入できるという面の指摘もありますが、ただ、この試算結果を見れば、負の影響の方が大きいと言わざるを得ません。

 このままTPPに参加ということになれば、畜産振興という目的さえも達成できないんじゃないかというふうに思うんです。農水省としてどう考えますか。

林国務大臣 TPP交渉でございますが、全体をパッケージとして交渉しておりますので、軽種馬の関税、これは一頭当たり三百四十万円でございますが、この取り扱いについても何ら確定しているものはございませんで、軽種馬生産農家への影響については、予断を持って何らお答えできる状況ではないということで、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 今御指摘がありましたように、軽種馬生産は競馬事業の一翼を担う重要な産業でございまして、先ほど申し上げましたように、北海道日高地域においては基幹産業として地域経済を支える重要な位置づけにあることから、引き続き政府一体となって交渉に全力を尽くしたい、こういうふうに考えております。

畠山委員 北海道は、各地で、米であっても、畜産、酪農であっても、今言ったように、軽種馬のところであっても、TPPに対する強いこのような意思が表明されてきているわけですから、改めてしっかり受けとめる必要があると思います。

 安倍首相がアメリカに行って議会演説をするとかしないとか話がありますけれども、私が思い出すのは、四年前ですか、韓国の李明博当時大統領が議会で演説をされたんですね。これは、その後、アメリカと韓国のFTAが結ばれることになって、そのときにも、アメリカの議会で、このFTAを結ぶことによってすごくアメリカとの同盟関係が強くなったというような演説をしたわけですよ。でも、韓国に戻ってきて、結局、FTAが結ばれて、毒素条項が入っているとか、さまざまな批判にさらされてきて、帰ってきた後の演説ができないような抗議行動もされたというようなことが起きたわけです。

 ですから、改めて、このようなTPP交渉、きょうもこの委員会で議論されてきていましたが、もしやアメリカに行って首相が安易に妥協するというようなことなど絶対に認められないということを最後に一言述べまして、私の質問を終わります。

江藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、競馬法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、齋藤健君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び日本共産党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    競馬法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  近年、競馬の国際化の進展により、国内競走馬が海外競馬の競走に出走する機会が増え、国民の関心も高まっている。このような状況に鑑み、海外競馬の競走について国内で勝馬投票券を発売できるようにするに当たっては、競馬の目的である畜産振興や地方財政等への貢献が十分に果たされるとともに、公正性の確保により競馬の健全性が維持されることが必要となっている。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 海外競馬の競走のうち、日本中央競馬会又は地方競馬主催者が勝馬投票券を発売することができるものの指定に当たっては、公正性の確保に関し、競馬に関する国際協約の遵守や当該競走の近年の運営における実績等明確な基準を設けるとともに、当該国政府等への確認を行うこと。

   また、指定した海外競馬の競走について、常時、当該国の競馬規制当局等との情報交換を行い、連携を密にするよう努めるとともに、その公正性に疑義が生じたときは、速やかに指定基準に照らしてその取消を検討すること。

 二 海外競馬の競走について勝馬投票券の発売の申請を認可するに当たっては、出走する競走馬に関しての十分な情報が国内で提供されるものに限ること。

 三 強い競走馬づくりを推進するため、優良品種の生産に取り組む軽種馬生産農家への支援を充実させるとともに、競走馬の生産・育成において高度な専門技術を持つ人材の育成等を支援すること。

 四 地方競馬主催者の事業収支の改善を図るため、地方競馬主催者相互の連携及び日本中央競馬会との連携が一層推進されるよう指導するとともに、地方競馬の適切な施設整備等が講じられるよう指導すること。

 五 勝馬投票券の発売対象に海外競馬の競走を追加することについて国民の理解を得られるよう、法の趣旨に基づき、競馬による畜産及び社会福祉事業の振興等への寄与について具体的な実績を明らかにするとともに、新たな制度の趣旨と仕組みについて周知徹底を図ること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江藤委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。

林国務大臣 ただいまは法案を御可決いただき、ありがとうございました。

 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

江藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

江藤委員長 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 内閣の重要政策に関する件、特にTPP等について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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