衆議院

メインへスキップ



第18号 平成27年6月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十七年六月十七日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君

   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      井野 俊郎君    伊東 良孝君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      加藤 鮎子君    勝沼 栄明君

      木内  均君    小島 敏文君

      瀬戸 隆一君    高木 宏壽君

      武井 俊輔君    武部  新君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      西川 公也君    根本 幸典君

      橋本 英教君    古川  康君

      前川  恵君    牧島かれん君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      森山  裕君    簗  和生君

      山本  拓君    金子 恵美君

      岸本 周平君    小山 展弘君

      佐々木隆博君    篠原  孝君

      福島 伸享君    井出 庸生君

      重徳 和彦君   松木けんこう君

      稲津  久君    佐藤 英道君

      濱村  進君    吉田 宣弘君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   農林水産副大臣      小泉 昭男君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            櫻庭 英悦君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            三浦  進君

   政府参考人

   (水産庁次長)      香川 謙二君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十七日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     高木 宏壽君

  武井 俊輔君     根本 幸典君

  武部  新君     木内  均君

  中谷 真一君     岩田 和親君

  橋本 英教君     青山 周平君

  古川  康君     宗清 皇一君

  金子 恵美君     篠原  孝君

  井出 庸生君     重徳 和彦君

  稲津  久君     吉田 宣弘君

  佐藤 英道君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     牧島かれん君

  岩田 和親君     中谷 真一君

  木内  均君     武部  新君

  高木 宏壽君     赤枝 恒雄君

  根本 幸典君     小島 敏文君

  宗清 皇一君     古川  康君

  篠原  孝君     金子 恵美君

  重徳 和彦君     井出 庸生君

  濱村  進君     佐藤 英道君

  吉田 宣弘君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     勝沼 栄明君

  小島 敏文君     武井 俊輔君

  牧島かれん君     加藤 鮎子君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     橋本 英教君

    ―――――――――――――

六月十七日

 農業改革の名による農業・農協潰しをやめ、地域を守ることに関する請願(畠山和也君紹介)(第二七五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七一号)

 農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出、衆法第二一号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官今城健晴君、経営局長奥原正明君、農村振興局長三浦進君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君及び外務省大臣官房参事官宇山智哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。

 きょう農水委員会で、基本施策ということで時間をいただきました。緊急性の高い項目について幾つか大臣にお伺いをしたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最初に、六月十一日付毎日新聞、一面トップでしたが、いわゆる脱法パーティーということで、記事が掲載をされてございました。農業団体にかかわる話でありまして、同時にまた、違法と脱法は若干違うのかもしれませんが、国会議員として、地方の皆さん方にしっかり説明のできない状況、あるいは我々も同じなのではないかというふうに思われてしまうようなことになってはいけないという思いから、大臣の所管する団体にかかわる話でありますので、この新聞記事について、まず大臣のお考え、御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 山田俊男議員を代表とする政治団体等のパーティー券に関し、報道があったことは私も承知をしております。

 この記事の趣旨は、違法でないけれども、今委員がおっしゃったように、脱法的であるということなので、パーティーも寄附と同様に規制すべきではないか、こういう記事であったというふうに思っております。

 山田議員のパーティーそのものについて、私も具体的な事実関係を承知しておりませんで、政治資金規正法を所管する総務省ということになりますが、私としては、立場ではないので、この山田さんのパーティーについてのコメントは差し控えたいと思っております。

佐々木(隆)委員 そのことだけの問題ではないと思うんですね。今回の農協法の中でも、政治的中立ということについてはテーマの一つでもあるわけです。

 それでは、農水省として、農業関連団体、例えば農業委員会、全中、県中、それから土改連、農済、こうしたところの代表を政治家が務めるのはやめるべきだという通達も今まで出されているというふうに思うんですが、その効果というか、今はどうなっているのか、政治家がそういう代表をやっているところがまだあるのか、名前まではいいですが、どの団体にどのぐらいあるというようなことの現状と、ちゃんと減ってきているのかというようなことについても、ぜひ大臣の所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 今御質問のありました土地改良事業団体連合会と農業共済団体でございますが、これについては、法律に基づいて公共性の高い事業を行っている団体でございまして、政治的中立性を確保するということが重要でございます。このため、これらの団体に対しては、それぞれ平成二十二年の一月に農村振興局長それから経営局長から通知を出しまして、役員等の執行体制について特定の政党などの影響を受けているのではないかとの疑念を持たれることのないものとすること等を求めたところでございます。

 土地改良事業団体連合会の役員については、通知発出後の平成二十二年三月時点で八名の国会議員の就任があったところでございますが、本年六月現在では六名の国会議員が就任しているということでございます。

 それから、農業共済団体の役員については、平成二十一年の十一月時点において三名の国会議員が就任していたところですが、本年六月現在では、国会議員は就任をしておられないということであります。

 それから、農業委員会ですが、これは独立行政委員会で、他の土地に関する行政委員会と同様に政治的中立に関する指導というのは特段に行っていない。

 それからさらに、農協ですが、これは民間の農業者の協同組織であって、生産力の増進、農業者の経済的社会的地位の向上を図る、これが目的でございます。したがって、このような目的の達成に資するために行う政治的行為、これは一般の法人と同様に、公職選挙法、政治資金規正法に抵触しない限り認められるもの、こういうふうに認識をしておりまして、全中に対しても政治的中立に関する指導は特段行っていない、こういう状況でございます。

佐々木(隆)委員 今、土改連と農済についての報告がございました。これは県連も含めての数ですよね。

林国務大臣 含んでの数でございます。

佐々木(隆)委員 土改連、土地改良区とか農済というのは、国のお金も扱うところでありますので、当然といえば当然なんですが、それでも土地改良区については、まだ六名おられるということです。

 今我々が、先ほどの山田さんの脱法問題もそうですが、国会議員がどう襟を正すか、あるいは政治家がどう襟を正していくかということが、特に有権者の皆さん方にとって、きちっと襟を正していかなければならないということだと思うんですね。そういう意味でいうと、民間団体だから知らないとかそういう問題ではなくて、我々政治家自身の問題として、大臣にも指導力をぜひ発揮していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 限られた時間ですので、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 担い手についてお伺いをいたします。

 その前に、ずっとこの間、この委員会で質疑をさせていただいて、大臣だけではなくて、参考人の方々も含めて、どうも農民目線という意味でいうと、少し違ってきているのではないかということが気になってございますので、その点を申し上げておきたいと思うんです。

 きのうの参考人、あるいは地方公聴会なんかでもそうなんですが、農協組合長さん方が、俺たちの現場のことをわかっているのかということを盛んに言うわけですね。それは、例えばこの前も少し触れましたが、食料が過剰基調だとか、あるいはまた階層分化が進んでいるとか、これはどうも、どこか別の人に向かって言っている言葉であって、農民に向かってそんなことは言えないと思うんですよね。

 今我々は、農民に向かって、あるいは地域で頑張っている人たちに向かって、どういう論議をしなきゃいけないのかということをやっているのであって、そのときに、農民に向かって、米を、一生懸命食料をつくっている人に向かって、過剰基調でございますというのは、食料の自給率は四〇%を切っているのに、それは全く誤解を受けてしまうということになると思うんですね。だから、そういう言い回しというのは、もう少し農民目線でぜひ論議していただきたいということをとりあえず申し上げておきたいと思います。

 そこで担い手ですが、担い手を基本計画のときも論議させていただきましたが、認定農業者というのは全国で一三・五%しかいないわけですよね。それに新規の方と集落営農とを含めて、これを担い手というふうに限定してしまったわけですね。私は、それを限定したということは、農政上、大変問題だというふうに思っております。

 なぜその三者に限定をしなければいけなかったのかということも疑問なんですが、その三者で、就業者で一体どのぐらいカバーされているのか、面積的にどのぐらいカバーされているのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

林国務大臣 なぜこの三者のみで農業をやっていくのか、こういう御趣旨で御質問をいただいておったと思いましたので、どれぐらいの人数と面積になるのかというのは、今必ずしも手元に正確な数字がありませんので、後ほど確認してお答えさせていただきたいと思います。

佐々木(隆)委員 そんなに難しい質問をしたつもりはありません。認定農業者はわかっています、一三・五%しかいないんですから。面積のカバー率で四九%ぐらいだと思います、たしか。私でもこのぐらいの情報を持っているんですから、ぜひそこはしっかり押さえていただきたい。

 なぜそのことを言うかというと、農政のあらゆる場面に担い手というものが出てくるわけですよね、いろいろな農政の政策の中で。そのときに、担い手を三者に絞っちゃったために、それ以外の人は政策の対象外になるということになっちゃう危険性があるから、だから、私はこのことにこだわって質問をさせていただいているわけでありまして、ぜひそこは、数字を押さえると同時に、本当にそれでいいのかということについては、農政上、いろいろぜひ検討いただきたいというふうに思うんですね。

 次の質問にさせていただきます。

 次に、直接支払いというものについて伺いたいと思います。

 きのう、いろいろ質問のレクをしている中で、今、日本の直接支払いというのはどのぐらいになっているのかということをお伺いしたら、四五%になっているということで、私の記憶では二八%ぐらいだったときから見れば、随分直接支払いの分野がふえているというふうに思っておりますが、これは政府参考人で結構でございますが、その直接支払いというものについて、一つはこの推移、それと、どういうものを直接支払いとしてカウントしているのか、そしてその金額というのは幾らぐらいになっているのか。

 多分に、これは少し項目が変わっていたりしていましたので、WTOとの関係があるんだと思うんですが、その辺も含めてお答えいただきたいと思います。

今城政府参考人 お答えいたします。

 まず、直接支払い額の推移ということでございますけれども、二〇〇六年には六千九百四十三億円であったものが、おおむね増加傾向で推移しておりまして、直近のWTO通報値であります二〇一二年分は一兆一千億というふうになっておる次第でございます。

 その内訳でございますが、例えば二〇一二年分について見てみますと、農地・水・環境保全向上対策、中山間地域等直接支払交付金等々、いわゆる環境支払いというもの、あるいは災害対策という、通称緑と言われている部分ですが、これが五千百四十三億円。それから、生産調整を条件とした対策、米の直接支払いということで、青と言われている部分ですが、これが千五百五十二億円、そのほか、個別品目として、品目特定の、例えば甘味資源、牛肉、豚肉等、それから品目特定でない水田・畑作経営所得安定対策、そういうもの等々を含みまして、いわゆる黄色でございますが、これが四千三百五億円という内訳になっております。

佐々木(隆)委員 今の数字をベースにして、大臣にお伺いしたいと思うんです。

 今のお話にもありましたが、農地・水・環境と言われている、政府が言う、いわゆる地域政策と言われているようなもの、これは一兆一千五百億のうちの五百億ぐらいなんですね。だから、そのほかは農地・水以外のものなわけです。いわゆる車の両輪だと言っているんですけれども、片方の車は五百億ぐらいで、片方の方に一兆一千億ぐらいあってということになるわけであります。今、政府は農地に随分こだわっておられるんですが、農地はイコール国土ですから、国土を保全している農民に対する対価として本当は支払われなきゃいけないものなんですね。

 だから、そういうことからすると、わざわざ地域政策と農業政策を切り分ける必要性がないと私は思うんです、農業を営みながら農地は守られているわけですから。ヨーロッパのデカップリングやなんかの政策は、名前はデカップリングですが、切り分けるのではなくて、上に積んでいくんですね。金の出し方として切り分けているだけであって、個人に積み重ねていくというのがデカップリングの発想だと思うんです。

 日本のように、わざわざ地域政策と農業政策、産業政策を切り分けるというのは、農政というのは分けられないからこそ農政なんですね。産業政策として分けることができるなら、それは経産省でいいわけですよ、そう言ったら経産省の方に申しわけないけれども、そういう意味で言うのではないんですが。農業というのは常に一体なんですね。

 だから、そういう地域政策と産業政策というのは全部一体で進めなきゃいけないものをわざわざ切り分けて、しかも、車の両輪だという片側はわずか五百億しかないというようなこと、これについて一つ。

 もう一つは、先ほど申し上げましたその担い手という人たちから、この対策は外れるのか外れないのか、当然これは外れないんですよね。先ほどの担い手以外の人たちだって、地域の中で全部対象になるわけです。そのときに、先ほど申し上げましたように、国土管理の支払いとして払われている今の農地・水が、こっちは担い手でない人たちも対象、こっちは担い手しか対象にしないというのは、一緒に生活をしている地域の人たちにとっては大変失礼な話だと私は思うんです。

 小農であっても、担い手と今言った三者以外の人たちも、そういう意味ではみんな担い手なんですよ。だから、三者に限ることは危険なのではないかということを私は申し上げているんですが、そのことを含めて答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 我々も、車の両輪と言い、地域政策と産業政策を分けて位置づける、こういうふうにしておりますが、これはまさに、今委員がヨーロッパで別の名目で支払って積み重ねていくとおっしゃっておられましたけれども、まさにそういう考え方でございまして、この人たちには地域政策しかない人がいて、こちら側には産業政策の対象でしかあり得ない人がいる、こういう整理ではないということでございまして、まさにヨーロッパのデカップリングがそうであったように、サポートプライスのようなもので、品目でその金が決まっていくということではなくて、農業をやっていただければ、どういう品目をやるかは別にしてこのお金が支払われる、そこをデカップルしようという発想は我々も共有している、こういうふうに思っております。

 したがって、今、農地・水のお話がありましたが、それに加えて、多面的機能支払いというのが既に法律も通していただいておりまして、これは、先ほどの国際局からの御報告では、年度がまだ来ておりませんので整理はしておらないということですが、多分これもそうなんですけれども、共同の水路の泥上げをしたり、草刈りをしたり、こういう活動に対して支払われるわけですから、この活動に参画していただければ、別に担い手であろうがなかろうが、お支払いはされるという性格のものでありまして、まさにこれが、先生が今おっしゃっておられるような、環境を維持するとかコミュニティーを維持していくために役に立つ、こういう整理をしておるわけでございまして、当然そこはそういう地域政策のためにやる政策である。

 そして、産業政策は産業政策としてそういう政策として位置づけるということですが、主体としてそこが切り分けられて、どっちかがどっちかにしかいかないということではない、こういう整理をしておるところでございます。

佐々木(隆)委員 そういうことであれば、地域政策と産業政策をわざわざ分ける必要はないのではないかと私は思うんですね、殊さら。

 それはなぜかというと、農地・水、いわゆる地域政策と言われているものが、ヨーロッパの出し方と何が決定的に違うかというと、ヨーロッパは、デカップリングというのはそれは制度上の話であって、個人に全部支払われるんですね。全部ではないですけれども、大方は、そのほとんどは。ところが、日本の場合は、地域に上げますというやり方にするものだから、二つに分けるというようなやり方をするんです。

 日本の行政というのは、大体個人を信用していませんから、そういうやり方が多いんですけれども、直接支払いというのは、個人に直接支払われるから直接支払いなんです。価格と切り分けたというのがデカップリングであって、個人に帰属するという意味では同じはずなんですね。

 そういう意味で、わざわざ切り分けるから、今度の農協法でもそうなんですが、産業政策、産業政策と殊さら産業を強調するんですが、常に一体だ、だから、我々は地域農協だ、こう言っているわけです。そこのところは、やはり農政というものの特徴ですから、これはぜひ考え直していただきたいというふうに私は思っています。

 時間がなくなりましたので、もう一問だけ。

 基本政策で、農村政策についていろいろ位置づけをされております。多面的機能とか集約とネットワークとか地域資源とか言われているわけであります。

 済みません。もう時間がなくなって、大臣に直接お伺いをしたいと思うのは、コンパクトビレッジというのが地方創生で言われております。魅力ある農山漁村づくりというのが今度新しく、計画の中で今までやったことのない試みがやられているわけですが、中身を見ると、どうもほとんど同じような中身であります。

 今、地方創生は、本年度は予算はないんですよね。去年の補正で計画づくりの予算がついて、来年から事業実施ですから、ことしは空白で論議しているだけで、実は何も予算はついていないんです。基本計画で言う農山漁村づくりも来年からのスタートということになると思うんですが、地方創生とどう関連していくのか、そして、地方を支えているのは一次産業と中小企業だと私は思っているんですが、その具体的な政策としてどう展開していくのかということについて伺います。

林国務大臣 農村地域で高齢化、人口減少、これは都市に先駆けて進行しておりまして、集落機能が低下をしている、こういう厳しい問題に直面しておりますので、こういう地域の特性に応じた課題解決に地域が主体的に取り組むということで地方創生を進めていこう、こういうことでございます。

 基本計画をつくらせていただきましたが、これを補って、農村施策ということのより具体的な方向性を示すために、今御指摘いただいた、魅力ある農山漁村づくりに向けてというのをつくらせていただきましたが、そこで、生活サービス等の機能というのを基幹集落の小さな拠点に集約していこう、診療所ですとか福祉施設とか、お買い物をするとか、そこの小さな拠点に集約をすることによって、全くなくなってしまうという状況をなるべく回避する。周辺地域とそこがネットワークを形成するということによって、全体としてそういう機能がなくならないようにしていこう、こういう考え方でございます。

 これは、国交省や総務省でも同じような観点で施策を検討していただいている、こういうふうに承知をしております。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わりますが、農村政策というのは、私は農政にとって大変重要だと思っているんです。先ほども触れましたが、産業政策と地域政策は一体なんです、農政に関して言えば。

 食料、農業、農村というのは、まさに不離一体のものだというふうに思っておりまして、今の食料・農業・農村基本法をつくった木村尚三郎先生はフランスの近代史の先生でありますが、あの方は、文明は文化を駆逐できないと言っているんですね。文化というのは、カルチャー、いわゆる農村のことを言っているわけでありますが、余りにも産業政策として文明化していくというのは、僕はある種農水省の危機だと思っておりますので、ぜひ、その点は林大臣に期待しておりますので、お願いを申し上げて、終わらせていただきます。

江藤委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 おはようございます。早くからでございますね、きょうは。

 では、質問させていただきますけれども、本来ならば、いろいろな農水の議論というのをやらなきゃいけないわけですけれども、きょうは、先日報道がございました自民党の参議院議員の方のJAによるパーティー券購入問題についてお聞きをしたいというふうに思っております。

 本当に、今、地方の各農家というのは大変な状況にあると思うんですよ。米価の下落で、いいものをつくってもなかなかお金にならない、その結果、担い手不足にも苦しんでおられる。農家を支えるJAの皆さんも、本当に、全国で献身的に、日本農業の復活、再生のために汗を流し、知恵を絞っておられる。

 その中で、政府は、改革改革ということで、非常にある意味急な制度変更というんですか、一生懸命頑張っているんだとは思いますけれども、やろうとされているわけでございます。そして、聞こえてくる話の中には、随分上から目線だなという言葉で批判されていることもありました。

 その中で、JAを代表して参議院の全国比例で出ている議員が、ちょっと通常では想定していないような頻度のパーティー券販売を行っていることが出てきてしまったということでございまして、この方は、たしか参議院の農林水産委員会の委員長さんもやっているはずなので、これから本当に、この農協法の議論、参議院の方に今度は行くんですよね。ちょっと心配だなという気がしているんですよね。今まで一生懸命みんなで議論を重ねてきて、それが何か、ちょっと心配だなというふうにつくづく思うわけですけれども。

 政治資金というのは、基本的には、オープンであるなら、自由に集めて大いに政治のために使うべきだというふうに私は思います。ですけれども、一方で、政府の人たちが農協改革だと言って、きょういる人たちは農業も大切にしようという人がどっちかといえば多いのかもしれませんけれども、その中で、この議員が六年で三百九十四回、政治資金パーティーを開いて、もっと申し上げれば、三百九十四回もパーティーをやって、そのうちほとんど御本人が余り出席をされていなかった。まあ、お忙しいんでしょう。

 私たちも政治資金パーティーを開くわけですね。支持者の皆さんに一枚幾ら幾らと、決して小さくない額のパーティー券を買っていただいて、足を運んでいただく。普通の感覚では、ありがとうございましたとお礼をその場で申し上げるのが普通であろうかというふうに思いますし、後でありがとうございますという文書を送る場合もありますけれども、農協という組織を政治の力で大きく変えようと政府がする中で、農協の代表として出てきておられる議員の方がこのような資金集めをしているということは、農林水産行政のあり方を議論する中でも、やはりちょっと問題じゃないかということになるわけですね。その意味で、きょうは質問をさせていただこうということでございます。

 まず、林大臣、副大臣に聞きたいんです。

 過去に皆さんも政治資金パーティーとかも開いていると思いますけれども、初めから、余り御自身が出席をされる気がなくて開かれたケースというのはありますか。その場合は、たまたま出られなかったということもあるかもしれないですけれども、そういうことも含めて、政治家が本人不在のまま政治資金パーティーを開くというのが余り適切じゃないかなというふうに僕は思うんだけれども、大臣と副大臣、どういうふうに考えますか。

林国務大臣 私の記憶でいえば、自分の会で自分が出なかったことというのは余り記憶はないです、よっぽどのことがない限り、お呼びをしているということでございますから。ただ、それは私の場合でございますので、衆参の違いとか地方区と比例区の違いとかいろいろなことはあるのかな、こういうふうに思いますけれども、それぞれ法律の趣旨にのっとってやっておられる、こういうふうに思っております。

 特に、これは政治資金規正法ということになりますので、私はその政治資金規正法を所管する立場ではないということですので、この山田議員のパーティーについてどう思うかということについてのコメントは差し控えたいと思っております。

松木委員 なるべく本人の名前は言わないでおこうと思ったんだけれども、林さんの方が今言っちゃって。余り、個人を責めるというのはどうも性に合わないというか、本当に。

 副大臣はどうですか。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 議員が政治団体のパーティーなどをするときに、本人が出席することに関してどう思うかという御質問であったと思います。

 私自身が政治資金パーティーをするときには出席をいつもしております。ただ、具体的な事実関係、特に今回問題になっている、報道されていることに関しては、私は具体的なところを承知しておりませんでして、それで、コメントの方は差し控えさせていただきたいと思います。

松木委員 今僕が聞いたのは、一つは、皆さんはどうでしたか、そういうパーティーはやりましたかという話と、それに対して、この政治家の方のことを、適切か不適切かということをちょっと聞いたんですけれども、まあ、なかなか言いづらいですね。しようがない。でも、余り適切じゃないんだと思うんですね、ちょっと残念だなというふうに思いますけれども。

 この議員の方は、収支報告書に出ている直近の時期を見てみると、二〇一三年の、これは平成二十五年の一年間で六十六回パーティーを開催して、約八千万ぐらい集めておられるんですね。平均五日か六日に一遍というペースで、なかなかこれはしびれるペースなんですけれども、週に一回よりも多いペースで行われているわけです。

 安倍政権に入ってから、TPPや農協改革といった農業にかかわる大問題が数多く論議されてまいりました。農協の考え方と政権を持っている方々の考え方が対立する場面が何度かあったんじゃないかなと思います。

 そういった中で、農協の出身の議員の存在というのは、農協にとっても非常に重きをなしていたんだというふうに思いますし、頼りにもしていたんだろうというふうに思います。そういった中で、これだけのペースでパーティーを実施する、農協側も、こういう時期だからこそということでやはり頑張ったのかもしれません。

 政治資金を集めることは大事なことですから、しっかりと充実した活動のためにやはり資金というのは必要なんですね。ですが、これだけ頻繁にというのは、ちょっと数が多過ぎる印象を持ちますけれども、大臣と副大臣はこの数なんかもどういった印象をお持ちになられますか。

林国務大臣 私の場合の記憶は先ほど申し上げたとおりですが、この方と申し上げますが、今お尋ねのこの方の名前を申し上げない方がいいとおっしゃられましたので、この方のパーティーの件については、具体的な事実関係を詳細に承知しているわけではございませんので、コメントは差し控えたいというふうに思っております。

松木委員 大臣、そんなにかたくならないで、私はちょっと印象を聞いたんですよ。やはりちょっとこれは多いよねという印象が私の印象なんですよ。それで大臣はどうですかというぐらいで、そんなに、それ以上突っ込まないですから、印象だけで結構ですから、もうちょっと答えてみてください。

林国務大臣 政治資金規正法を私は所管しておりませんが、回数について何らかの規定があったというふうには承知をしておりませんので、何回までが適当で、何回を超えると多過ぎるというのはなかなか難しいのかなというふうに思っております。

松木委員 副大臣。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 回数ということでございますが、私自身は年に一回ほどでございますが、回数に関しては、やはりさまざまな立場もございますので、いろいろなんだと私は承知しておりまして、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

松木委員 今のがコメントということにしましょう。

 仲間のことだから、余りそれはよくないとかなんとかというのは言いづらいというのはわかりますので、このぐらいにしておきますけれども、ちょっと、やはりどうかなというふうに思わざるを得ないんですよね。

 次に、総務省にお聞きしたいんです。

 この政治資金規正法というのは、読んでも私もよくわからないんですよね。それで、ちょっと今読みますから。

 まず、政治資金規正法にはあっせんにかかわる威迫的行為の禁止ということが定められているんですね。これは、政治資金の寄附には、無論、パーティー券の販売についても定められているんですね。ややこしいんですけれども、ちょっと読んでみますね。政治資金規正法の二十二条の八の四にこう書かれているんですね。これは条文なんですよ。本当に難しいんですよね。

  第二十二条の六第一項及び第三項並びに前条の規定は、政治資金パーティーの対価の支払について準用する。この場合において、第二十二条の六第一項中「政治活動に関する寄附」とあり、及び同条第三項中「寄附」とあるのは「政治資金パーティーの対価の支払」と、前条第一項中「政治活動に関する寄附に係る寄附のあつせん」とあるのは「政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」と、「当該寄附のあつせん」とあるのは「当該対価の支払のあつせん」と、同条第二項中「政治活動に関する寄附に係る寄附のあつせん」とあるのは「政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」と、「、寄附」とあるのは「、対価の支払」と、「当該寄附」とあるのは「当該対価として支払われる金銭等」と読み替えるものとする。

というふうに書いてあるんですね。本当にわけがわからないですよね。

 この条文で読みかえなさいと言っているもとの条文が、政治資金規正法の二十二条の七なんです。

 ここではどう書いてあるのかというと、こんなふうに書いてあるんですね。二十二条の七の一、

  何人も、政治活動に関する寄附に係る寄附のあつせんをする場合において、相手方に対し業務、雇用その他の関係又は組織の影響力を利用して威迫する等不当にその意思を拘束するような方法で、当該寄附のあつせんに係る行為をしてはならない。

二十二条の七の二、

  政治活動に関する寄附に係る寄附のあつせんをする者は、いかなる方法をもつてするを問わず、寄附をしようとする者の意思に反して、その者の賃金、工賃、下請代金その他性質上これらに類するものからの控除による方法で、当該寄附を集めてはならない。

ちょっと条文があっちこっち、めくりながら読まなければいけなくて非常に難しいんですけれども。

 総務省の方、これをわかりやすく、どういうことなのかというのをちょっと御説明いただけますか。これは結構、秘書さんだったらわかっている方もいると思うが、議員の皆さんというのは意外と、少なくとも私はよくわからなかったんですけれども、ちょっと説明してください。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 政治資金規正法上、「政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」というのが、まず定義がございます。特定の政治団体のために政治資金パーティーの対価として支払われる金銭等を集めまして、これを当該政治団体に提供する、こういうことと規定をされております。

 政治資金パーティーの対価の支払いにつきましては、寄附と同様に自発的に行われるべきものでございまして、その任意性を確保するために、ただいま御紹介がありました条文があるところでございます。規正法におきまして、不当な意思の拘束等による対価の支払いのあっせんに係る行為等が禁止されているものでございます。

 ちょっと具体的に申し上げますと、ただいま御説明のございましたように、政治資金規正法二十二条の八第四項におきまして寄附のあっせんの規制が準用されております。

 準用する同法二十二条の七第一項の規定によりまして、何人も、政治資金パーティーの対価の支払いのあっせんをする場合においては、相手方に対し業務、雇用その他の関係または組織の影響力を利用して威迫する等不当にその意思を拘束するような方法で、対価の支払いのあっせんに係る行為をしてはならない、こういうふうにパーティーについてもそのようなことが規定されているわけでございまして、ちょっと長くなりましたが、そういう条文になっているところでございます。

松木委員 ということのようでございまして、私もよくわからないんです。

 山田議員の収支報告書を拝見すると、パーティー券のあっせんについては記載がないんですよね。これは何かというと、あっせんというのは、資料を見てください、これがそうなんですけれども、ここに普通だったらやはりあっせんの人の名前を書かなきゃいけないんですよ。それが書いてないというのがあるんですね、これはどうしてなのかなというふうに思いますけれども。一三年だけで六十回以上にわたるパーティーが開催されて、四十回以上は都内のJAビルで開催されているようですね。

 二十万を超える購入は収支報告書に記載義務がございますので、JA中央会が大量購入した報告記載、また、地方の農政連による報告もありますけれども、どなたか、あっせんしているのではないかという感じもするんですけれども、収支報告書ではパーティー券の販売の際に販売と集金を行っている者、あっせん者、この人がいれば、二十万を超えた場合はそのあっせん者も書かなければいけないんですけれども、書いていないんですよね。これもちょっとどうなのかなと、これからいろいろな質問をまたされるかと思いますから、これはこのぐらいにしておきますけれども。

 もう時間もないので、まだまだちょっと聞きたいことはあるんだけれども、今ずっとこのJAの改革のことを何十時間も、質問というか、いいも悪いも、いろいろとお互いに意見もあって、やっているわけですよね。その中でこういうことが出てしまったというのは、本当にちょっと残念だなというふうに思いますし、それで、この方は参議院の、江藤さんと同じ立場ということになるので、これからこの農協法がどうなるのかなというのを私は非常に心配しているんです。

 大臣、最後に、どんなふうに思うか、ちょっとお聞かせ願えますか。

 何回聞いてもしようがないといえばしようがないんだよね、本人じゃないからね。本人じゃないからしようがないんだけれども。まあ、いいですよ。もう答えなくていい、かわいそうだ。

 やはり、私が一つ思うのは、これは、こうやって聞いても、それは当の本人じゃないからわからないのは当たり前。それで、それを同じ政党の人のをしゃべれしゃべれと言ったって、そんなものはしゃべりたくないですよ。当たり前の話です。だから、もう私はやめるけれども。

 ただ、委員長、これは、その参議院の方、私は、この方はそんなに金の亡者みたいな人にも見えないし、そんな悪い人には見えない。いや、見えないですよ、本当に。真面目な方だと思うし。山田さん、名前を言っちゃったけれども、この方も、私は、逆に言うと、ちゃんとやはり弁明したいと思っているんじゃないかと思うんですよ。

 ですから、ぜひ、この委員会で参考人で呼んであげて、そこで、その参議院の方に、たっぷり、自分はこうなっているんだ、こういうふうになっているし、ルール的にも何もおかしくないんだということを説明するような機会を持たせてあげる、これの方が、私は、もし今度参議院に行ったときに、随分これで審議も促進されるんじゃないかというふうに思いますので、理事会でぜひ協議をしていただきたいというふうに思います。

江藤委員長 はい。理事会で協議いたします。

松木委員 時間ですから、以上でございます。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 きょうのこの一般質疑の中心的な議題ではありますが、今月十一日付の毎日新聞で、山田俊男参議院議員関連の政治四団体が行った政治資金パーティーにおいて、チケットは主に国の補助金を受けたJAグループなどが購入していたと報じられました。政治資金規正法ではパーティーの規制はありませんが、この記事でも、専門家からは、「制度の不備をついた「抜け道」的な事実上の献金ではないか。」と指摘をされています。

 本委員会は、今国会の冒頭に農水大臣の交代があり、政治資金の問題は李下に冠を正さずの立場が一層求められているというふうに思います。

 そこで、林大臣に伺います。

 林大臣が就任した翌々日の二月二十五日の予算委員会で、我が党の穀田恵二議員が、政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保することが大事ではないかとの指摘の上で、主要閣僚の二〇一三年の企業・団体献金と政治資金パーティーの収入について質問しています。

 林大臣は、企業・団体献金は三千五百九十七万円、パーティーは九千八十三万円、そして、収入が一千万円以上の特定パーティーと政治資金規正法は規定していますが、二〇一三年においては五回開かれています。

 大臣規範には「パーティーの開催自粛」という項目があって、政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものは自粛するとあります。

 国民の疑惑を招かないようにするという点で、これだけ大規模な特定パーティーを開いたことについてどのように説明されるか、規範に反しているとは思っていないでしょうか。

林国務大臣 今委員がおっしゃられましたように、大臣規範には、政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保するとの観点から、国務大臣等がみずから律すべき規範、こういうことでこの規範が定められているものと承知をしております。

 私としても、国民の疑惑を招かないように、大臣規範の趣旨にのっとって適切に対処している、こういうふうに考えております。

畠山委員 このときの予算委員会で、安倍総理にこの点を穀田議員は質問していたんですけれども、大体、今大臣が述べられたように、法にのっとってとか、適切に処理をしているなどというふうに述べるんですが、やはりこれは大臣規範として、皆さん方で、自分たちで決めた規範であって、特にこの政治資金の問題については、国民から厳しい視線が向けられている中で、適切に処理しているという言葉で済まさないで、きちんと規範は守って、大規模なものは自粛するというふうに表明しないといけないんじゃないでしょうか。

 もう一度、大臣、いかがですか。

林国務大臣 今御紹介いただいた私のパーティーでございますが、これは大臣就任前から継続して開催している勉強会等でございまして、毎年大体同程度の規模で開催をしております。

 したがって、特に大臣に就任したから大規模なパーティーを開催したものではない、こういうふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、この規範の趣旨にのっとって適切に対処してまいりましたし、これからもしてまいりたいと思っております。

畠山委員 ちょっとかみ合っていないように思います。

 先ほど述べたように、国民からこの政治資金の問題については厳しい目線が向けられているということですから、やはりこういう大規模なものは規範にのっとって自粛するということをきちんと表明されることが必要ではないかというふうに思います。

 我が党は、本国会に企業・団体献金の全面禁止法案を提出しています。根本的には、法においてこのように企業・団体献金について全面禁止することが必要であるという立場であることを、改めて述べておきたいというふうに思います。

 あわせて、きょう、情勢において、TPPの問題も変化が起きていますので、このことについても伺いたい。

 十二日の米国議会下院本会議でTPA法案は可決されましたが、それとセットになっているTAA法案が大差で否決をされました。このTAA法案は、十六日にも再採決かと報じられていましたが、その期限を七月三十日まで延期するとの報道も先日されました。

 まず、確認ですが、このTPAとTAAの関係、及び、再採決が延期となった内容について明らかにしてください。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 米国時間十二日、日本時間十三日、下院本会議におきまして貿易促進権限法案、いわゆるTPA法案でございますが、採決に付されまして、可決をされました。

 しかし、上院において同法案と一体として採決されましたTAA、貿易調整支援法案、これが下院においては否決されたため、TPA法案の成立には、TAA法案の再度の採決などをめぐる与野党間の調整が必要となるというふうに承知をしております。

 下院本会議では、TAA法案の否決を受けまして、再審議を求める動議が提出されていたところでございますが、米国時間の十六日、日本時間本日の未明でございますが、同法案の再審議に関する手続の期限を七月三十日まで延長するという旨の議事進行規則が定められたというふうに承知をしております。

畠山委員 このTAAが一緒に採決されなければ、オバマ大統領はサインできないというふうになっているところだと思うんですね。

 それで、七月三十日までの延期ということであれば、そこまでで採決できるかといえば、今回の結果は大差の否決だったわけですので、七月三十日でも可決の見通しが立つかどうかはまだわからない、見通しがまだ立っていないというふうに思います。

 そうなると、六月のTPP閣僚会合の開催どころか、七月においても、閣僚会合をすることさえ、開催が困難な情勢と言えるのではないのでしょうか。そうでなくても、知的所有権や関税あるいは国有企業問題などなど難航課題が山積している状況にあるのは、もちろん私も理解しています。

 そうなってくると、今後の日程について、内閣府として今どのように情勢を捉えて考えているか、答弁してください。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 交渉に参加している各国とも、TPPを妥結するにはTPA法案が成立することが必要であると認識しているところでございます。TPPの閣僚会議を開催して大筋合意に至るには、TPA法案がきちんと整い、さらに、今御指摘いただきました知的財産など難航している課題について各国の距離が縮まるということが必要でございます。

 我が国を含め、各国とも、アメリカにおけるTPA法案の状況を今注視しているところでございまして、現時点でTPPの閣僚会合の開催日程について何ら決まっていないというところでございます。

    〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕

畠山委員 今ありましたように、まだ決まっていないし、決められない、進めるには非常に困難な情勢にあるというふうに思います。

 TPA法案については、四月二十四日の内閣委員会との連合審査において、その際、私が質問を行ったときに、外務省の資料をつけて質問を行いました。

 その手続によれば、TPP交渉の妥結後、九十日間、約三カ月以内に協定署名を行い、それから、法案を米国議会に提出するということが義務づけられています。それから米国議会としての審議が始まるという日程であると思います。

 確認しますが、この中身に間違いありませんね。

    〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおりでございます。

畠山委員 そのように進んでいくことになるわけであります。

 それで、問題は、仮に七月三十日という期限をぎりぎりまで行って、その後の閣僚会合等を通じて八月末に交渉を妥結したとして、米国議会に提出されるのは十一月末という日程も起こり得るということはあり得ます。この時期は、二月からの大統領選挙の予備選に向けて、もう既にほとんど議会が機能しない状態になっているのではないかと想定されます。

 そこで、大臣に伺います。

 今アメリカの議会でこのような情勢が進み、先ほど答弁もあったように、実際の閣僚会合がまだ見通せない状況にある中で、我が党は従来からTPP交渉からの撤退ということは主張してきましたけれども、現在の情勢から鑑みても、TPP交渉にしがみつくということはもう考え直した方がいいのではないかというふうに思いますが、大臣は今このような状況をどのように考えますか。

林国務大臣 御党の御主張はかねてより承っておりますので、変わっておられないということは改めて聞かせていただいたところでございますが、TPA法案については、今関係の各省から答弁をいたしましたような状況である、こういうことであります。したがって、TPAが不可欠であるというのは各国の認識でございますから、やはりこの成立が不可欠だというふうに我々も認識をしております。

 今御説明がありましたように、一本の法案の中のTAA部分とTPA部分について別々に採決をする、これは少しわかりにくいんですが、我々の国会のルールですと一事不再議というのがあるので、一度否決をされますともうそれはこの国会では難しいということだと思うんですが、向こうのルールでは、まだこれは部分的にやっているので、全体としてはまだ否決も可決もされていない、こういうふうになる、どうもこういうようなことであるようでございます。

 まさに今、TAA部分について再度の採決へ向けた調整が行われている、こういうふうに聞いておりますので、引き続き米国議会の動向を注視していく必要がある、こういうふうに考えております。

畠山委員 今回の状況で、TPPが漂流の危機などと報じられるものもあります。しかし、現実はこのように、実際、アメリカの議会の中でTPAあるいはTAAがセットで可決されないという状況が生まれてきて、現実的にはこの状態こそ漂流と言える状況にあるのではないかというふうに思います。

 大臣、それでは最後にお聞きしますが、なぜ、アメリカではこのように議会で、TAAあるいはTPAでも、セットで考えたときに反対が強まっている、このような懸念が生まれているというふうに認識されますか。

林国務大臣 アメリカ議会は私の所管ではございませんのでなかなかお答えしにくいところはあるのでございますが、私の拙い知識で申し上げると、アメリカの議会というのは党議拘束という仕組みがございませんので、例えば、共和党の中で賛成や反対の方がいらっしゃる、民主党の中でもいらっしゃるということで、そもそもが、一つずつの法案やそれぞれの部分について、党としての方向性はあっても、党議として必ず賛成されるという仕組みになっていないということが、こういうことがよく起こる一つの原因ではないかなというふうには見ております。

畠山委員 林大臣に米議会を管轄してくれと要求したことは一度もありませんので。

 ただ、やはり、こういう形で米国議会で再採決まで延期をする情勢となっているのは、TPPに対する警戒感が議会の中でも、あるいは国民の中でも、あらわれてきているのではないか、表面化し、ふえてきているのではないかというふうに思うわけです。

 繰り返しになりますが、我が党はそのようなTPP交渉からの撤退をさらに重ねて主張して、質問を終わります。

江藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び岸本周平君外三名提出、農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長櫻庭英悦君、経営局長奥原正明君及び水産庁次長香川謙二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田祝稔君。

石田(祝)委員 きょうは、二十分いただいておりますので、順次質問をいたしますが、短い時間でございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まず、税のことについてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 ある人いわく、税は政治そのもの、こういうことをおっしゃる方もいらっしゃいます。林大臣も、党の税調の中で大変中心的な方でありますから、税がいかに大事か、また、政治と大きなかかわりがあるかということは、御存じであると思いますので、この問題についてはぜひ大臣に御答弁をお願いしたいんです。

 今回、この法律が成立をいたしましたら、何年か後に、それぞれ組織形態が、全中もまた県中も変わらざるを得ない、そういう形になるわけでありますから、そのときに、私たちも、税について、課税の問題が出てくるのではないか、こういうことを大変心配いたしております。これは、課税の問題が出てくるということは、すなわち税負担が拡大をする、今までかかっていなかったものが課税をされる、こういうことになるわけであります。

 今回の法改正によって、農協等の税負担が増大する、過大になる、課税される点、こういう点について掌握をなさっていると思いますけれども、きょうは、時間の関係で、どういうところに税がかかるようになるのか、そして、それについてどう取り組まれるお考えなのか、それを大臣にお伺いいたしたいと思います。

林国務大臣 大変大事なお尋ねだと思っております。

 まず、都道府県中央会ですが、法人税について見ますと、収益事業から生じた所得のみが課税対象、その他は非課税、こういうことでございますが、これが農協連合会に組織変更した場合には、全ての所得が課税対象ということになるわけでございます。

 なお、都道府県中央会は、大体、会員からの賦課金で必要な経費の大部分を賄っているというのが現在の状況でございますので、これは仮定ですが、組織変更後も同様の収支構造であれば、課税も大きく発生するということにはならないのではないかというふうには考えております。

 全国中央会ですが、一般社団法人に組織変更する場合には、法人税は、引き続き収益事業から生じた所得のみが課税対象でその他は非課税、この取り扱いが継続するわけでございますが、一方、固定資産税は、非課税であったものが課税となるということでございます。

 それから、農協が株式会社に組織変更した場合でございますが、他の株式会社と同様の課税ということになりますので、税率が、協同組合は一九であったものが株式会社では二三・九、こういうこともあるわけでございます。

 実際に組織変更後の税負担がどういうふうになるかというのは、それぞれの法人におかれてどのような事業を行って、どういう収支構造になるのかということによっても、先ほどちょっと申し上げましたように、異なってくるということでございますので、その影響も確認しながら、今後の取り扱いについてはよく検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

石田(祝)委員 税の問題は、当然、年末に与党で税制改正を決めるわけですから、私たちも遺漏なきようにこれは考えていかなきゃいけないとは思っておりますけれども、ある意味でいえば、私は農林水産省にも同じ歩調をとっていただきたいということを申し上げたいと思います。

 それで、先ほどちょっとお話がありましたけれども、例えば中央会の組織が移行するときに、監査法人を設立する、そういうこともありますけれども、そのときも登録免許税とか、こういうものもあるわけであります。

 ですから、所得がなければ云々ということもございましたけれども、いわゆる税が課せられる主体になってくる、こういうことは間違いありませんので、そのときにどれだけ収入があるかないかというのは当然ありますけれども、税を課せられる主体と申しますか客体と申しますか、そういう立場になるということを私たちはしっかりと踏まえて取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。大臣にもぜひとも御協力もいただきたいな、こういうふうに思っているところであります。

 続きまして、改革のフォローアップについてお伺いをしたいんです。

 私も、先般、地方公聴会で山梨に参りました。そのときに、山梨でもさまざまな御意見がありましたけれども、実は昨年六月に、自民党、公明党で大体の方向性を協議をして決定した、その後、全中さんもそれぞれ地方の単協の皆さんにも御意見を聞いたというふうに私も思っておりましたけれども、山梨では、必ずしも十二分な意見聴取があったのかな、なかなか現場では理解が進んでいないということを正直実感いたしました。

 それで、この地方公聴会で、これはちょっと余談になりますけれども、昨年の二月にたしか予算委員会の地方公聴会が山梨に参りまして、ちょうど大変な大雪で、ブドウ等に大変被害が出た。そのときに大臣もすぐ現場に行っていただいたということで、現地の方も大変喜んでおりましたので、これはきょうの質疑とは関係ありませんけれども、山梨でそういうお声もあったということも御紹介をさせていただきたいと思います。

 それで、フォローアップについて、これからどういうふうにしていくのか。これは、附則の第五十一条第一項で、五年間しっかりやるよ、調査期間等を設けてやりますよ、こういうことなのでありますけれども、この改革は、私は自己改革というのが中心だというふうに思っておりますが、そうすると、当事者の合意と理解とか納得、こういうものが重要だと思いますけれども、こういう点、これからどう進めていかれるのか、これは局長に御答弁をお願いします。

奥原政府参考人 先生から今御指摘いただきましたように、農協は民間組織でございますので、その改革につきましても自己改革が基本であるというふうに考えております。

 今回の農協改革におきましては、こうした農協の自己改革を促進するという観点から、地域農協につきまして、責任ある経営体制を確立するための理事構成ですとか経営の目的などを規定いたしまして、自己改革の枠組みを明確にするということと、それから中央会につきまして、地域農協の自己改革を適切にサポートできるような組織体制に移行するということにしております。

 この改革を契機といたしまして、地域農協の役職員と担い手を初めとする農業者の方々が、農産物の販売方針をどうするか、あるいはそのために役員をどうするかといったことを徹底して話し合っていただく、これが何よりも重要であるというふうに考えております。

 こういった観点からも、農協改革の趣旨、内容を農業者の方々などに周知し、理解を深めていただく、これが非常に重要でございますので、法案が成立した暁には、現場に対して丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 ぜひ丁寧に御説明をいただきたいというふうに思います。

 我々は、現場でというか、法案作成、また法案の現場でいろいろ議論しておりますから、ある程度わかって進めていくこともできるんですけれども、なかなか現場そのものには、十二分に努力をしていかないと、そういういろいろな意味が通じていかないということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、これは大臣にお伺いしますけれども、准組合員の問題でございます。この問題も大変大事な問題でございまして、北海道では准組合員の割合が大変多い、そういう地域もあるやに聞いております。

 そういう中で、准組合員を今回どのように位置づけをしていくのか。その利用のあり方、これについては五年間かけて検討する、調査をする、こういうことになったわけでありますけれども、私も、ある方に言われたのは、准組合員も組合員ですよ、こういうことをはっきり言われまして、ああ、そうだと改めて認識をしたわけであります。

 そして、例えば私の高知県という、ちょっと田舎なのでありますが、そういうところのさらに中山間に行ったときに、現実的には、金融機関だとか、さまざまないわゆる社会的なインフラに当たるもの、そこをJAが担っているというのが非常に多いわけですね。そういうときに、組合員しか使わせませんよ、こうなったら、たちまち生活ができない、こういうこともあるわけであります。

 私は、そういう中山間地、田舎と言うと失礼なんですけれども、そういうところに要望が多いと思ったらそうではなくて、やはり都市部でも、今回、都市農業の振興基本法も通しましたけれども、そういう都市部においても、やはり都市農業を支えていくという観点で、どうしても准組合員の皆さんにも御理解をいただいて進めていかなければならない、こういうように私も認識を改めたわけであります。

 先ほど申し上げたように、准組合員も組合員である、こういう観点でどういう積極的な位置づけをしていただけるのか、これについては大臣から御答弁をお願いいたします。

林国務大臣 農協は、この一条にもありますように、農業者の協同組織ということでございますから、農業者のメリットを拡大するということが最優先であるわけでございますので、准組合員へのサービスに主眼を置いて、正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはならないということがあると思います。

 一方で、今まさに委員が御指摘いただいたように、過疎化や高齢化等が進行している農村社会においては、農協が、実際上、地域のインフラとしての側面を持っている、これはもう事実であろう、こういうふうに思っております。

 先日も、小泉副大臣のお地元の農園のフェスティバルというのにも参加させていただいたんですが、本当に都市部の住宅街の真ん中に農地がぽこっとあって、たくさんの付近の住民の皆さんもそこで楽しんでいらっしゃる、新鮮な野菜を買っていただいている、こういうところを目の当たりにしてまいりましたが、こういうことを農協が支えておられる。

 都市住民に対して新鮮な食料を供給したり、緑や農業体験の場の提供など、都市農業の振興に向けたこういう活動をやっておりますので、例えば直売所の継続的利用というようなことを通じて、こういう活動を准組合員が支えている面もある、こういうふうに考えておるわけでございます。

 いろいろな状況がございましたので、准組合員の利用規制という議論があったわけでございますが、今まで、まさに組合員でございますから規制がなかったということもあって、正組合員と准組合員の利用実態がどうなっているか把握もできていないということ、また、今回の農協改革でどういう成果が出てくるか、こういうことも見きわめる必要があるだろう、こういうことでございまして、五年間実態調査をした上で、この規制のあり方そのものについて決定していこう、こういうふうになされたところでございます。

石田(祝)委員 続きまして、監査についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 附則の第五十条の第一項第三号で、「会計監査人設置組合の実質的な負担が増加することがないこと。」と書かれております。第四号では、農協監査士についてはしっかり監査の業務に従事することができること、こういうことをしっかり配慮していく、こういうことになっております。

 これで、私がお聞きしたいのは、「負担が増加することがないこと。」こういうことになっておりますが、これは具体的にどのようなことをお考えになっているのか、その手だてをどうするのか、これは局長にお伺いいたします。

奥原政府参考人 今回の農協改革におきましては、会計監査につきまして、農協の信用事業を安定して継続できるようにするという観点で、信用金庫、信用組合等と同様に、公認会計士による会計監査を義務づけるということにしております。その際、今御指摘ございました改正農協法の附則の第五十条というところですけれども、公認会計士監査への移行に関しまして、政府は、農協の実質的な負担が増加することがないように配慮するということを規定しているところでございます。

 この配慮規定の具体的な中身につきましては、改正法の施行後に検討していくことになりますけれども、現時点では、監査も中央会の賦課金で賄われておりますので、監査コストが具体的に幾らであるか、必ずしも明確ではございません。まずはこの負担がどのくらいかということを確認した上で、会計監査人に切りかえた場合にその負担がどの程度になるか、まず検証をするといったことから始めることになるというふうに考えております。

 その上で、必要な場合には、例えば、公認会計士協会と連携した農協の組織、事業内容についての監査法人への説明ですとか、農協の負担が実質的に増加しないように、公認会計士協会等とも相談をしながら、さまざまな方策を検討して実行していくということになるものと考えております。

石田(祝)委員 この負担というのは何か、この議論をしたときに、負担はお金である、こういう議論があったというふうに私は記憶をいたしておりますので、これは御答弁は要りませんけれども、そういう点も踏まえて、ぜひ御検討をお願いいたしたいというふうに思います。

 続きまして、農業委員及び農地利用最適化推進委員の報酬についてお伺いをいたしたいと思います。

 農業委員、また農地利用最適化推進委員、これを今回法改正でやるわけでありますけれども、公選制を外すということ、そして最適化推進委員を設ける、こういうことでありますけれども、両方、農業委員も推進委員もそれぞれ秘密保持義務が課せられる、これは職を退いた後も秘密保持義務がある、こういうことですね。

 これについて、実は山梨で参考人質疑を行ったときに、女性の方でありましたが、自分の市には女性の農業委員がいない、こういうお話で、私は、その質疑の中で、では、あなたがぜひ手を挙げてください、こういうお話をしたら、いろいろとおっしゃっておりましたけれども、なかなか大変なことは間違いない。

 それで、大体平均的な報酬というんですか、一カ月三万円ぐらいだ、こういうこともお聞きをいたしております。これは、先ほど申し上げたように、秘密保持義務も課せられる、そして大変な仕事だと。ちょっとこの報酬としては、現在の金額は、金額じゃないよということかもしれませんけれども、一つの仕事の評価としてのメルクマールにもなるのがそういう報酬だと私は思いますけれども、これについては、農業委員また最適化推進委員、それぞれ報酬についてどうお考えか、御答弁をお願いいたします。

奥原政府参考人 農業委員会法におきましては、市町村は農業委員に対して報酬を支給しなければならないということが規定されております。その具体的な報酬基準につきましては、各市町村の条例で定められているところでございます。

 また、市町村が支給する農業委員の報酬につきましては、農業委員会法に基づく農業委員会交付金、これは法律の第二条でございますが、この交付金や地方交付税で措置をされているところでございます。

 一方で、今度新設をされます農地利用最適化推進委員の方でございますけれども、今回の農業委員会法の改正案におきまして、市町村は、推進委員に対しましても報酬を支給することとするというのが、改正後の第二十五条に書いてございますし、農業委員会の交付金、これは法律の第二条に書いてございますが、これの対象に推進委員を追加するということも規定しているところでございます。

 現在の農業委員の報酬の全国平均は、今御指摘ございましたように、月額約三万円程度ということでございまして、この水準につきましては、業務に見合った報酬水準になっていないのではないかという指摘もあるところでございます。

 このために、昨年六月の政府・与党の取りまとめ、それから本年二月の法制度等の骨格におきましては、農業委員が責任ある判断ができるように、報酬水準の引き上げを検討する、それから、推進委員の報酬につきましては、市町村ごとに一定のルールの枠内で支給することを検討する、いずれも平成二十八年度以降の予算において手当てする方向で検討するものということが書かれております。

 農業委員それから推進委員の報酬につきましては、これらを踏まえまして、今後の予算編成プロセスの中で検討することになりますけれども、その際には、農業委員それから推進委員がともにそれぞれの業務をきちんと行えるようにするという観点から、必要な財源の確保に努めていく考えでございます。

石田(祝)委員 これはぜひお願いをいたしたいと思います。我々も、しっかりそれは応援をいたしたいと思います。

 そして、農業委員さん及び農地利用最適化推進委員さん、先ほど申し上げましたように、秘密保持義務もある、また大変な役割を担うわけでありますから、やはり研修をしていただくということですね。資質の向上をより図っていただくということも必要ではないか。今まで我が党の稲津議員からも指摘があったと思いますけれども、これはバックアップ体制もしっかりやっていただかなきゃならないと思います。

 こういうことで、研修会の機会を確保するなど、こういう対応も必要だと思いますけれども、この点について、これは大臣にお伺いします。

林国務大臣 農業委員会がその機能を発揮するためには、農業委員また推進委員に対する研修が、今先生がおっしゃったように、極めて重要であると考えております。

 今回の法改正でも、全国農業会議所また都道府県農業会議については、農業委員会の活動をサポートするネットワーク組織として見直しまして、その業務として、農業委員また推進委員に対する講習また研修の業務を法律上明記させていただいたところでございます。

 国としても、農業委員会ネットワーク機構による講習また研修の業務が適切に行えるよう、必要な支援を行っていきたいと考えております。

石田(祝)委員 もう質問ではございませんけれども、最後に一言だけ申し上げたいと思います。

 今回のこの法律は、非常に政省令に任せている情報が多いと思います。ですから、私は、法成立後、与党の責任としても、政省令についても、法律が通ったから、あとは行政で自由にやってね、こういうわけにはいきませんので、しっかりこれは注視をして、本来の目的が達成できるような政省令ということは私たちにも責任がある、こう思っておりますので、これはしっかり見させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 きょうは、農協法の改正につきまして審議をさせていただきます。

 通告の順序を変えまして、最初、中央会の廃止、衣がえについて伺いたい。

 中央会制度は何のために廃止するのか、具体的にこれまでどんな弊害があって、それをどう改めるために廃止するのかということを伺おうと思って、通告もしていたんですが、いろいろこれまで、私が聞く範囲でも、あるいは議事録をチェックしても、具体的に何の問題があったのかどうもよくわからない、そういう答弁ばかりで、何かよくわからないんですね。それから、組合長さん方もJAグループの一員だから公然と言えないんじゃないかとか、言えないわけないですね、そんな情けない組合長は私は見たことがないですよ。

 やはり、本当に問題があるんだったら、こういう問題があって、それを抜本的に変えるんだ、そのための岩盤を打ち破るドリルなんだ、こういうロジックならなるほどとわかるんですが、今回は本当にこの点は中途半端というか、意味がよくわからない。地元でも、与野党を問わず、今回はすごい改革なんだよということを胸を張って言える方は余りいないんじゃないか、このように感じるんです。

 しかし、安倍総理はしきりに、これは戦後六十年ぶりの大きな改革なんだとか、誰も手をつけることができなかったんだとか、岩盤を私のドリルで穴をあけるんだ、こういうことをおっしゃりながら今回の中央会廃止についても言及されていると思いますが、これなんか、わかっておっしゃっているのかどうか。

 私は、林大臣ならそんなことまでは言わないんじゃないかなと思うんですが、大臣、どうですか。本当に岩盤をドリルであけるような改革に値するんですか。私が知る限り、林大臣はそのようにおっしゃったことがないように思うんですが、大臣もそういうふうにおっしゃいますか。

林国務大臣 言葉の使い方はそれぞれだと思いますけれども、六十年ぶりと総理がおっしゃっていらっしゃるのは、中央会制度が昭和二十九年に導入された制度であって、これを時代の変化とともに現代に合わせて変えていこう、こういう趣旨で、この二十九年から始まっている中央会制度を大きく変えていく、こういうことでおっしゃっておられるんだろうというふうに理解をしております。

 そういう意味では、規制改革の議論の中でよく岩盤規制という言葉は出てくるわけでございますが、岩のようにかたい、今までなかなか規制改革ができなかった、こういうことでおっしゃっておられるのではないか、こういうふうに思っております。

 私はこれを担当している大臣でございますので、もう少し具体的に、どういう意味でこれをやるのかということは、今まで御答弁を申し上げてきたとおり、発足当初は単協が一万を超えていて、これが七百に減少してきて、そういう意味では、中央会が大きな役割を果たしていただいたということ、それから、信用事業については農林中金にも指導権限が与えられるようになった、大きく状況が変わってきた、こういう状況の変化に応えて、単位農協が地域の特性に応じて自由にいろいろやっていけるようにしていこうというのが今回の趣旨であろう、こういうふうに考えております。

重徳委員 今大臣がおっしゃったことが、穏当というか正当な今回の改革に対する評価だと思うんですね。

 やはり、これまで戦後数十年たって、現状に合わせた見直しが必要だということなのであって、そんな殊さらに声を大にして、胸を張って言うほどのことではないと私は思うので、安倍総理に、二度とそういう言い方はこの改革については言わないでくれというふうに、ぜひ大臣から助言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

林国務大臣 これは米の政策の見直しのときもちょっと類似の議論がございましたが、私は、ここで議論しているときは、御専門の先生方と法案をきちっと議論するという意味で具体的に申し上げておりますが、総理は、海外に行かれてダボス会議等で発信をされたり、聞いていらっしゃる方は必ずしも農業界だけでないということで、一般の方にもわかりやすく御説明をされよう、こういう趣旨ではないかと私は理解しております。

 先ほど申し上げましたように、同じことを説明するのにいろいろな説明の仕方はあるということでございますので、先ほど申し上げたような意味でおっしゃっているんだろうということで、そのこと自体間違っているというふうに申し上げたつもりはないところでございます。

重徳委員 一般の人にわかりやすくとおっしゃいますが、いわゆる減反廃止というのは最近余り聞かれないフレーズになってしまいましたけれども、やはり誤解を招くような表現だと思うんですよ。安倍総理がここにお見えにならないので、総理のことを言っても仕方がないかもしれませんが、きちんと適切な表現で、必要な改革を行うことはもちろん重要なことですから、改革を前に進めることについては全く我々も否定はしないどころか、もっと前に進めるべきだという主張も時にするわけですから、ぜひともここは国民の皆さんに誤解のないように伝えていっていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。

 さて、きょうは、私は准組合員について議論させていただきたいと思うんです。

 私も、愛知県の中で田舎の方で、三河地区でありますので、地域における農協の存在は非常に大きいです。本当に地域の住民の暮らしを支える存在でもあり、非常に存在感のある組織だと考えております。

 そういう中で、そうはいっても、一般によく指摘をされるのが、地域の独占的なサービス提供主体になっている。本当の過疎地で、ほかに何の担い手もいないんだったら、それも必要な存在かもしれませんが、一定の競争の存在する地域においても相当独占的な組織であることが指摘をされ、また、農協の業務内容についても、本来の営農指導という部分が赤字、不採算部門となっていることに対して、准組合員と言われる方々をたくさんふやして、そこで得た利益をそっちに回している、いろいろなそういう指摘がなされているわけであります。ですから、今回は附則で、これから五年間かけて調べるというところが落としどころというふうになっておりますけれども、この問題は農協の組織の非常に本質的な課題なんだと思うんです。

 そして、そこは物すごい荒療治が必要なのか、あるいは今の組織のままでも幾らでも改善ができるのではないか、いろいろな議論があると思いますが、まず、准組合員というのはそもそもどういう存在なのか、ここが十分把握できていないんじゃないかという感じがいたしております。

 当然、文献とかにもいろいろなことが書いてあるんですが、農水省として、准組合員というのは一体どういう方々なのか、これをちょっと全体的にどう説明されるのか、この点を改めて確認したいと思います。

奥原政府参考人 農協法におきましては、准組合員は、農協の地区内に住所を有する個人というふうに書かれております。具体的に言いますと、例えば、もともと農業を行っていないけれども、農協の事業を利用したい地域住民の方ですとか、それから、かつて農業を行っていたけれども、今は離農している地域住民の方とか、こういう方々が准組合員になっているというふうに考えております。

 准組合員制度は農協法が昭和二十二年にできたときから入っておりますけれども、農協の事業として、農業の関連の仕事だけではなくて、農業者の生活に関する事業もできるというふうになっておりますので、そういう意味で、その地域に住んでおられる方々、農業者に限らず、地域住民の方も農協の事業を利用する道を開くことが望ましいという判断で、法律が制定されたときからこの制度は設けられているところでございます。

 とはいいましても、農協は農業者の協同組織でございますので、准組合員は、農協の事業については正組合員と同じように利用はできますけれども、現在の法律のもとでは議決権はない、准組合員は農協の意思決定には参画できないという制度になっているところでございます。

 それから、現在の准組合員の数でございますけれども、平成二十五事業年度の農協の組合員数、全体で千十四万人いらっしゃいますが、その中で、正組合員の方が約四百五十六万人、四五%で、准組合員の方が約五百五十八万人で五五%というふうになっております。

重徳委員 今、概括的な御説明はありましたし、あとは、五年ぐらい前に正組合員よりも准組合員の方が上回ったというふうに聞いておりますけれども、今はかなりの差が、さらに准組合員がふえている、あるいは正組合員が減っているという数字もお示しいただきました。

 これは大臣にお聞きしたいんですけれども、五年ぐらい前から正、准の組合員の数が逆転をしました。そのことによる問題点、いろいろと指摘は実際にされていますが、大臣としてどのように捉えて認識をされていますか。

林国務大臣 今、重徳先生からお話がありましたように、准組合員が正組合員を上回るようになった農協というのが多くなってきているということでございますが、先ほど局長から説明いたしましたように、准組合員には議決権がない、こういうことでございまして、事業運営についての意思決定は正組合員によって行われているということですから、准組合員がふえたからといって農協の性格が直ちに変わるものではない、こういうふうに思っております。

 しかしながら、やはり、准組合員の増加によって、こちらの准組合員へのサービスに主眼を置く余り、正組合員である農業者へのサービスがおろそかになるということであってはならない、こういうふうに考えております。

 やはり、農業者の所得向上というのが大事でございますので、地域の農業者と力を合わせて、農協が、農産物の有利販売、資材の有利調達、こういうところに創意工夫をして積極的に取り組んでいただくということを基本的に考えて、そして、実際上のインフラとしての機能については、組合員でない地域住民に対しても円滑にサービスを提供していく上で、必要な場合には、例えば員外利用規制がネックになるような場合には、農協の選択によって、組織の一部を株式会社や生協に組織変更できるようにする、ここまで今回は規定をしたところでございます。

重徳委員 准組合員は議決権にかかわれないから農協の性格に影響が余りないんじゃないかというのも非常に皮肉なものですよね。准組合員が多いにもかかわらず、准組合員の意向は伝わらないわけですから、若干皮肉な状況が生じているとも感じるんです。

 まず、准組合員の増加理由、この辺も今後分析する部分もあるのかもしれませんが、それこそ、中央会がこれまでとったアンケートをちょっと見ておりましたら、やはり、まずはローンとか貯金を始めた人が准組合員となったというのが一番多いみたいですね。でも、そのほかにも、准組合員の加入促進ということに取り組んできたんだとか、あるいは正組合員の家族の人を組合員にするときに、准組合員でいいからというようなことでしょうかね、加入してもらった、何かそんなような理由を、各単位農協からのアンケートだと思うんですが、そういう調査があります。

 一つ一つちょっと確認したいんですが、員外の利用規制というのがありますね。この員外利用規制への対策をとった結果、准組合員がふえているというようなことがあるかと思うんですが、この点はどのように捉えていらっしゃいますか。

奥原政府参考人 農協は農業者の協同組織でございますので、組合員に事業を利用させるというのが基本でございます。

 このため、ほかの協同組合法制と基本的に同じでございますが、農協法におきましても、組合員以外の方の事業の利用分量については法律上の制限がございまして、今の農協法では、原則として、組合員の方の利用分量の額の五分の一を超えてはならないという員外利用規制が設けられているところでございます。

 この員外利用規制につきましては、農林水産省において監督指針を出しておりまして、農協の直接の監督行政庁、都道府県でございますが、ここに対しまして、毎年度農協から提出を受ける業務報告書等によりまして員外利用の状況をきちんと把握するということ、それから、違反が確認をされた場合には、農協法に基づく報告徴求命令によって違反の改善に向けた計画の提出を命ずることなどによりまして、個別に違反を解消させる旨を指導しているところでございます。

 この員外利用規制に違反した場合の具体的な解消方法でございますけれども、どういう方法で違反を解消するかは各農協の判断でございますので、国として違反の解消の方法まで指導しているわけではございません。

重徳委員 指導はされていないんでしょうけれども、これも調べてみなきゃわからないということかもしれませんが、員外の人に、これはちゃんと組合員になって利用してくださいという方向だって当然あるのではないかと思います。その場合に、正組合員になるとはちょっと考えられませんよね。

 したがって、論理的に考えて、これは准組合員がふえる要因なんじゃないかと思うんですが、これは調査してみないとわからないんですか。

奥原政府参考人 おっしゃるようなケースもあると思っておりますけれども、定量的に調査をしたことはございません。

重徳委員 この点もこれからの調査の中に含めて実態を把握していただきたいと思います。

 それから、組合員を拡大する運動方針みたいなものもこれまで農協として行われてきたと思います。そのこと自体否定されるものではありませんが、これはどのようにして拡大をさせてきたのか。

 これも、農業者がこれだけ減っている中で、やはり准組合員をふやすという方向にならざるを得ないのではないか。正組合員ももちろんふえてほしいかもしれないけれども、現実問題、准組合員をふやすということにつながったんじゃないかと思うんですが、どのように認識されていますか。

奥原政府参考人 この点につきましては行政の方が特に指導しているわけではございませんけれども、農協系統組織におきましては、組合員の高齢化等が進む中で、組織の基盤を強化するという観点で組合員の拡大運動を推進してきたものというふうに承知をしております。

 例えば、第二十五回のJA全国大会、これは平成二十一年に開かれておりますが、この二十五回のJAの全国大会におきまして、組合員の拡大目標の設定ですとか、それから女性農業者や青年層の正組合員への加入促進、こういった組合員への加入を促進する方針を打ち出しまして、組織基盤の強化に向けた取り組みが行われてきたものというふうに承知をしております。

重徳委員 恐らく、そういう中で准組合員がふえてきたのではないか。

 特に、一戸複数加入というような方針もこの組合員拡大運動の中でとられてきたと思うんですが、これは、もともとみなし組合員制度という制度もありますから、家族会員みたいなものですね、そこのお父ちゃんが入っていれば、あとは家族はいろいろな形でJAのサービスを利用できるという仕組みも既にある中で、その一戸の中でも複数組合員、つまり、お父ちゃんが入ったんだったらお母ちゃんも入ってくれ、息子たちも、サラリーマンだけれども、入るだけ入ってくれというようなこともあったかと思いますが、そういう中でやはり准組合員がふえてきたということではないでしょうか。いかが捉えていますか。

奥原政府参考人 これも農協系統が自主的に取り組んできたことでございますけれども、第二十回のJA全国大会、これは平成六年でございますけれども、この大会におきまして、同一世帯の中の後継者の方ですとか女性の方を正組合員にする、正組合員として加入をしていただくというものを進めようという、それによって組織基盤の拡充を図る一戸複数組合員化の方針を打ち出して、全国的に運動を推進してきたものというふうに承知をしております。

 今先生から御指摘がございましたように、農協法の中でみなし組合員という制度がございまして、組合員と同一の世帯に属する者に対する貸し付け等につきましては、員外利用の計算上、同一世帯に属する方を組合員の利用とみなすという制度がございます。

 この制度がありますので、組合員と同一世帯の方は必ずしも直接正組合員にならなくても利用できるということではございますが、この一戸複数組合員化の運動につきましては、後継者あるいは女性の方々の正組合員化を進めて、こういった方々の意向を組合運営に反映させるという観点から進められたものでございますので、みなし組合員制度と直接には関係をしていないのではないかというふうに考えております。

重徳委員 私は、後ほど述べますが、准組合員がふえること自体は、やりようによっては必ずしも問題ではないというか、やりようじゃないかなということも思うんですが、少なくとも、今のような、経営基盤を強化する、出資をしてもらう、だけれども、その結果、さっきの大臣の答弁にもありましたが、基本的には農業、営農指導というものが目的の農協なんだけれども、農業にはおよそ関係ない人たちがどんどんふえることで支えられているというのは、やはり現状、いびつだと思うんですよね。

 だから、組合員を拡大するというのは、それはそれで、組織ですから必要な運動なんでしょうけれども、しかし、例えばローンとか貯金ですごくいいんだよ、農協をぜひ使ってくださいという勧誘をしつつ、実は農業協同組合という本来の目的があるんだということを全くタッチせずに准組合員をどんどんふやしていくという、これは本来の趣旨が損なわれる原因、農協の活動なり組織が理解されない原因になっているんじゃないか、こう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員からお話があったように、現在の農協経営の平均的な姿というのは、農業関連事業、生活その他事業及び営農指導事業、まあ経済事業部門といいましょうか、ここが赤字で、金融事業、信用とか共済の黒字で補填をする、こういう構造になっているわけでございますが、信用、共済が黒字であるということに安住して、農業関連事業また生活その他事業の改善に向けた努力、こちらでも、なるべくここの収支を改善していこう、こういう努力を怠るようなことがあってはならない、こういうことでございまして、やはりそれぞれの部門ごとにしっかり収支改善を図っていくことが必要だと考えております。

 農協法でも、信用事業、共済事業、農業関連事業、生活その他事業、それから営農指導事業、これを区分して損益状況を明らかにしていただいて、部門別の損益計算書というのを総会で報告していただく、これを義務づけてございまして、そして、組合員が組合運営の実態について的確に判断を下して、運営の改善が、今先生がまさにおっしゃっていただいたように、必ずしも悪い部分だけではないというところをしっかりと見てもらって、積極的に参画できるようにしているということでございます。

 また、監督指針においても、こういう情報をディスクロ誌に掲載することによって、多様なステークホルダーにもこれを見ていただくというふうに指導しているところでございます。

重徳委員 これは、私の地元の農協関係者の方ともいろいろと議論したり、意見交換するときはあるんですけれども、准組合員で農協あるいは農業そのものとは直接はかかわっていないけれども、やはり今、六次産業とか地産地消とか、そういった地元の安心、安全な野菜、農産物というものを地域で消費しよう、こういうことには准組合員の皆さんも非常に関心はあると思うんですね。そして、農家の方にとっては重要な地元のお客さんたちでもあるわけです。

 だから、准組合員は単にお金を出して、そして赤字部門を補填しているだけの存在だというようなことではもちろんいけないし、かといって、余り自分とは関係ないのに農業が大事なんだと言われたところで、別に、そうですかというだけの話であって、やはり、何のための准組合員拡大運動なのかということを、今どきに合わせて、もっと納得のいくものにしなきゃいけないし、今の議論は今の組織を前提とするとですよ、ガバナンスには全く参加していないわけですから、そのことだって問題だと思いますし、あるいは、実態を見れば、女性が幾ら正組合員になっても、なかなか女性の理事とか相談員さんというのは、農村部のそういう風習もあってでしょうけれども、いない。だけれども、やはり実際には、農協が主催するお祭りだとかどんなイベントでも、女性の方なくして成り立たないのが今の農協の全体としての活動だと思います。

 その意味で、まず端的に、営農部門に対して、金融とか信用とか、そっちから補填をしているんだというようなことについて、准組合員の皆さん方に説明責任は現状として果たされているとお思いですか、大臣。

林国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたように、総会で報告をして、また、ディスクロ誌に掲載する、こういうことでございますので、まさにそういう形で准組合員には情報が行くような努力をしている、こういうことでございます。

 農協の事業利用者という立場としての准組合員ということがございますので、定款自治ということで、総会に出席して意見を述べるということはできるわけでございます。また、農協によっては、役員に准組合員を加えるですとか、農協の主催する集落座談会に准組合員を出席させるとか、アンケート調査を行う、こういうことで准組合員の意向を反映させる、説明する、それぞれ工夫をされておられる、こういうふうに承知をしております。

重徳委員 今の御説明、今までもずっと数十年にわたってやってきたといえばやってきた、あるいは、やろうと思えばできたことなのでありますけれども、今回、農協法七条二項を改正して、農協は農業所得の増大に最大限の配慮をしなきゃいけないんだとか、農畜産物の販売その他の事業をやるのが農協なんだ、こういう位置づけも、これは大転換でも何でもないとは思いますが、それにしても、それを明記する、そして、本来の農業のための農協という形に近づけていこうということだと思うんです。

 大臣、准組合員が実際にどんどんふえている、あるいは事実上准組合員をふやしていこうという農協の拡大運動と、今回の法案の方向性というのは、実態として矛盾をしているんじゃないかなと思うんですが、大臣はどのようにお考えですか。

林国務大臣 まさに今委員が御質疑の中でも触れていただいたように、いろいろなケースがあって、お祭りに女性部に参加していただくとか、御家族が農家をやっておられるとか、自分が農家をやっておられたような方もいらっしゃるし、それから、よく批判的な意見として聞こえてくるのは、都市部で信用事業を利用するためだけにサラリーマン的な方がなっていらっしゃる、そういういろいろな事象を捉えてこの議論を実は我が党内でやったときもあったものですから、やはり、まず、この利用実態の調査をしっかりして、我々はどこを見て議論しているのかということをそろえなきゃいけない、こういう議論があったわけでございます。その上で、実態調査を今からやっていって結論を出していくということでございます。

 一方で、今回の改正で、今御指摘のあった七条二項等で、組合員に最大の奉仕をするということを一項で維持した上で、やはり農業者のメリットを本来の目的に立ち返って大きくするように配慮する、こういうふうにしておるわけでございます。

 農産物販売とか生産資材の購買というのは、もともと正組合員が利用するということが前提でございますので、こういうことをしっかりとやっていくということが、准組合員のやっていらっしゃる事業とトレードオフになるということではないのであろう、こういうふうに考えております。

重徳委員 私は、この組合員の構成というものがやはり今の農協のあり方に対するさまざまな指摘に本質的にはつながっていると思うんです。結局、今回はそこにタッチせずに、五年間で実態調査をやるということだけ規定をして、そういった本質的なところはよくわからないし、タッチしないというのが今回の法案だと思います。

 あるいはまた、例えば、今回の法案の十条の二で、「組合は、前条の事業を行うに当たつては、組合員に対しその利用を強制してはならない。」なんという規定があって、こんなのは当たり前なんです。役所の方に部会でお聞きしても、独禁法でもこれは禁じられていることなんだけれども、一応書いただけだぐらいの説明なんですよね。

 だから、何か、はっきり言って、いじるべきところは全然触れていない内容だと私は思っています。

 その意味で、今回、この農協法の改正というのは、最初申し上げましたように、そんな大改革だと胸を張るような内容じゃなくて、今までこれだけ問題だというふうに言われていたにもかかわらず把握をしてこなかった、そして、その対処方針も打ち出すこともできなかった組織の構成に関する問題についてタッチしていない、こういう法案ですから、我々も、それはやらないよりはましな内容かもしれませんが、やはりもっと本質的なところを捉えていかなきゃいけない。都市部と地方の違いもある。地方といっても、愛知県の三河地方とさらに本当の中山間地域とでは違うとか、そういった観点も、地方分権ということもあわせて考えていかなくちゃいけないと思います。

 言いたいことは本当にたくさんあるんですけれども、総理がこれ以上、岩盤を打ち砕くんだとか、何十年ぶりだとかいうことさえ言わなきゃ、なるほど、必要な見直しかもねというのが我々の評価でございます。

 ということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 維新の党の松木けんこうでございます。

 農協法改正、農業委員会法改正、農地法改正と、あすの日本の農政をどうするかという大改革が今進んでいるということでございますけれども、ちょうど海の向こうのアメリカでは、TPP妥結の前提となるとされるTPA関連法案の審議も大詰めということで、ことしは、日本の農業にとっては非常に重要な年になるということに変わりはないんじゃないかなというふうに思います。

 日本の農業をどうやっていくか。これから強くしていくのか。どういうふうにするのか。国土を守って、食の安全を守って、日本の胃袋を守ってくれている農家の皆さんの、本当に大事な役割を担ってくださっているわけですから、どうやって所得の面でも十分に応えていける仕組みを国全体、社会全体で築いていけるか、こういったことを、党派を超えて、まさにこの委員会でしっかりと取り組んでいくべきだというふうに思うわけでございますけれども、一生懸命皆さんもやってきたんじゃないかと思います。いろいろな国会内のやりとりもあって、この農業関係の質疑は余りメディアには、農業新聞は取り上げてくれますけれども、ほかの新聞はなかなか取り上げてくれないんですよね、ちょっと残念だなと思うんですけれども。

 一般の農家の皆さんからすると、とんでもない事態が起きているんじゃないかといった心配の声は間違いなくあるんだろうなというふうに思いますし、先日、公聴会がありましたが、ここでもそんなことを強く感じたわけでございます。

 林大臣以下、一生懸命説明を尽くす努力を今までもなされてきたというふうには思いますけれども、あと一息の御努力を賜りたいというふうに思っております。

 本日は、質疑を通じて、農家の不安、わかりにくさというものを少しでも解消して、農林水産省の皆さんの持っておられる情報や知恵と現場の農家の皆さんの経験と知恵、こういったものが一体となって強い農業、そしてよりよい農業が実現する、そんな意義のあるやりとりが少しでもできればという思いでお話を聞かせていただきます。これが多分、この法案で最後の質問になるんでしょうかね、まだ長くやるんですかね、そこら辺はお任せをしますけれども。

 それでは、質問をさせていただきます。

 先日も少しお聞きしたんですけれども、農協の准組合員の問題というのがあります。

 私は北海道なものだから、余り聞いちゃうと維新に怒られちゃうかなというのもあるんだけれども、そこはやはり自分の地元なので、ちょっと聞かせていただきたいと思うんです。私の地元の北海道なんかですと、ガソリンスタンドも、特に地方の方なんですけれども、農協さんがやっているんですよね。

 皆さん、変な話ですけれども、東京で一番売れていたガソリンスタンドがやめるという話を知っていますか。一番売れていたガソリンスタンドがやめるんですよ、今度。何でかというと、実は、もうかっていなかったわけじゃないんだと思うんだけれども、地下のタンクか何かを直さなきゃいけない、それにすごい経費がかかるというので、一番売れているところがやめたというんですよね。このぐらいガソリンスタンドの経営というのは、今は余り間尺に合わないようなんですよね。特に北海道なんかだと厳しいということになるんですね。

 農協さんがこれを一生懸命やってくれているんですけれども、地域の生活インフラにとって非常に大事な、欠かすことのできない存在なんですよというお話をこの間も私はさせていただきました。大臣にも私の思いを申し上げたら、しっかりやってまいりますということだったというふうに思います。ありがとうございます。

 いわゆる農協改革という議論の中で、一番大きいのはやはり准組合員の農協の利用制限ということではないかなというふうに思うんですね、今回は先送りになっていますけれども。

 法案の附則の中にこういうことが書かれていますね。政府は、准組合員の組合の事業の利用に関する規制のあり方について、施行日から五年を経過する日までの間、正組合員及び准組合員の組合の事業の利用の状況並びに農業協同組合等の改革の実施状況の調査を行い、検討を加えて、結論を得るものとすること。ここでは、五年を経過する日までの間と書いてあります。

 どれぐらいの調査をいつごろまでにやるのか、どんな検討をなされるのか、こういうことをちょっと詳しく、結論はどうなるかというのはもちろん今わかっているわけじゃないけれども、そこら辺も含めて、見通しというものを教えていただけませんでしょうか。

奥原政府参考人 今先生から御指摘ございましたように、准組合員の利用に関する規制のあり方につきましては、附則の第五十一条第二項のところで書いてございます。

 施行日から、施行日は平成二十八年四月一日と法律の中では書いてございますが、ここから五年を経過する日までの間、調査をする。これはこの附則の書き方で明確でございまして、調査をする中身は、正組合員それから准組合員の組合の事業の利用の状況がどうなっているかということ、それから、農協改革がどれだけ成果を上げているかという改革の実施状況、これについてまず調査をするということが書いてあるわけでございます。

 その上で、調査を五年間やった上で、その調査の結果を整理して、それに基づいて検討を加えて結論を出すということになっておりますが、その具体的な時期等については、現時点では決まっておりません。

松木委員 局長、どうも御苦労さまです。大変ですね、お一人で。

 農協改革の実施状況と今言いましたよね。これは、要するに、今回の改革で農家の人たちの所得を上げようという話がたしかあったと思うけれども、これがどのぐらい上がったのかというのを調べる一つの指針になるんですか。

奥原政府参考人 法律の附則の五十一条二項のところには、農協改革の実施状況と書いてあるわけでございます。これは、准組合員の利用規制のあり方について検討することになったのはなぜかというところから来ているわけですけれども、准組合員、これは利用できるように法制度はなっているわけですが、幾つかの農協で、これは農家の方々の意見として、自分の農協は、准組合員の利用、例えば信用事業とか共済事業には物すごく力が入っているけれども、農産物の有利販売だとか資材を有利に調達する方については余り力が入っていないという声もいろいろなところから聞こえてくるわけでございます。

 この委員会でやっていただきました参考人質疑の中でもそういった意見があったかと思いますけれども、そういった問題意識が一つと、それからもう一つは、農業者の協同組織であっても、地域のインフラとしての機能を果たしている側面もやはりありますねと。だから、この両方の論点がありますので、この二つについて、調査を五年間きちんとやってみて、それで結論を出そうというのがこの附則の五十一条二項のところの書き方でございます。

 そこで、ここで書いてある調査の中身は、正組合員、准組合員の利用状況がどうなっているか、この中身としては、その地域で農協が提供しているサービスを提供するところがほかにあるかどうかとか、そういったことも当然調べる対象になってくると思っておりますし、それからもう一つは、農協改革、特に農産物の有利販売ですとか資材の有利調達、こっちの面での改革の成果が本当にどのくらい出るのかといったこともあわせてやはり調査をして、その上で検討していこう、こういう趣旨でこの規定は書かれているというふうに理解をしております。

松木委員 ということは、農家の人がこれだけ多くもうかるようになったぜというのも大切だということになりますよね。そこら辺、ぜひ五年後にはよくわかるように出していただきたいと思います。

 以前に質問したときは、大臣の御意見までお聞きができませんでしたので教えていただきたいんですけれども、私は、北海道のような土地が広くて人口密度が低い地域では、地域経済のインフラとして、農協の経営するガソリンスタンドやお店というのは欠かすことができない存在だというふうに思っているんですね。仮に准組合員の利用制限をしたとしても、こういったものはやはり残していかなければいけないというふうに私は考えているんですけれども、それとも、大臣はどういうふうに考えているのかなというのを聞きたいんですよ。

 要は、なくなるものはなくなってしようがないんだということなのか、やはりそれは残しておいた方がいいよねと、まあ、そういうふうに聞いたら、残しておいた方がいいよねという話になるんですけれどもね。

 特に、地方の人はやはり心配しているんですよね。もう何にもなくなるんじゃないかなという心配があるのです。そういうことで、私は今聞いているんですけれども、ぜひその心を踏まえて、ちょっとお答えください。

林国務大臣 何度か私もここで御答弁しておりますように、自民党の中で議論したときも、まさに今先生がおっしゃっていただいたように、農協がなくなると、もうガソリンスタンドは一軒もなくなるんだ、こういう御意見もたくさんありましたし、一方で、先ほど重徳先生がおっしゃっていたように、農業と関係のない方が准組合員になって民業を圧迫しているのではないかという趣旨の御議論もあって、したがって、同じ准組合員ということを言いながら、一体どれを見て議論しているのか、なかなか一様ではないということもあって、そういう議論を踏まえて、実は、では、実態調査をきちっとやって、みんなでそこの認識をそろえた上で改めて議論をしよう、こういうことになったわけでございます。

 まさに、農業者の協同組合というのが法の一条に書いてございますから、まずは農業者のためにということですが、今まさに松木先生おっしゃっていただいたように、やはり過疎化、高齢化、地域の特性によって、農協が地域のインフラとしての側面を持っているということは事実である、こういうふうに思っております。

 まさにそういった意味で、今から調査をやって結論を得ていくわけですが、今回の改革でも、必要な場合には、農協が選択して、一部を株式会社や生協に組織変更できる、これは選択肢ですが、こういうものも入れて、実際上のインフラとしての機能で、円滑にサービスができていく選択肢も備えた、こういうことでございますが、しっかり農業者の協同組織として原点に返りながら、これまで農協が地域において果たしてきたインフラ機能、これも適切に果たせるように我々もやっていきたいと思っております。

松木委員 多分、地方と都市部とやはり違うんでしょう、これは当然のことなんですけれども。

 ですから、この准組合員制度なんかも、全部残す、全部なくす、これはどっちもなかなか難しいんだと思うんですよね。そんなことで、北海道は将来残していただきたいなと思うわけでございます。地域によって、やはり本当にニーズは違うと思いますので、ぜひそういうことをしっかり踏まえて、林大臣はしっかりした大臣ですから、これから考えていただけるんじゃないかなということを申し上げます。

 数年前から、買い物弱者という言葉をよく新聞、テレビなんかで耳にするようになりましたけれども、経済産業省のホームページを見ると、買い物弱者対策支援についてのページがあるんですね。買い物弱者の定義について、ここではこういうふうに書いてあるんですね。「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれている人々のこと。徐々にその増加の兆候は高齢者が多く暮らす過疎地や高度成長期に建てられた大規模団地等で見られ始める。経済産業省では、その数を六百万人程度と推計。」している。

 郡部に限らず、大規模団地でも大きな問題になっているということですが、農協だけの話で済む話ではありませんけれども、過疎化が進む地域でのこういった日常の生活インフラというのは、純粋な企業体だけではなくて、農協のような協同組合も非常に大きな役割を担っていることは間違いないというふうに私は思っています。

 買い物やガソリンスタンドだけではなくて、信用事業、共済事業もそうなんですね。過疎地で、ATMは大体農協しかないんですねというところも決して少なくないというふうに思います、あと、郵便局なんかもあるところもありますけれども。

 そういった意味で、農協の果たす地域での役割、こういった買い物弱者、年金生活者の皆さんであれば、月々の年金を受け取るための不可欠なインフラとしてのATMなどをしっかり守っていくことも重要だというふうに私は思っているんですけれども、ぜひとも、買い物弱者対策としての農協の果たす役割も、今後五年の検討の中でしっかり盛り込んでいただきたいなというふうに私は思うんですけれども、大臣、そこら辺はいかがですか。

林国務大臣 先ほどもお答えしましたけれども、過疎化、高齢化が進行しておりまして、また、委員の御地元の北海道のように、そもそも面積が広いので、なかなか近くのお店まで行くのも大変だ。北海道の畜産をテーマにした映画というのがありましたけれども、あれを見ても、隣の家まで行ったら、お買い物というか、届けに行ったら夕暮れになっちゃったというのがありました。そういうところで、やはり実際上のインフラとしての側面を持っているということでございまして、農協の行う生活購買事業が高齢者等の買い物弱者にとってもやはり重要な生活基盤になっている、こういう側面もあるというふうに認識をしております。

 したがって、農協が農業者に対して十分なメリットを出した上で、こういった地域のインフラとしての機能を果たしていただくことも重要だというふうに考えて、その方向でいろいろなことを考えていきたいと思っております。

松木委員 ありがとうございました。

 大臣、ぜひこれは言葉だけじゃなくて、お金もかかるかもしれないので、そういうことも含めて、改革のときはまた考えてみてください。お願いします。

 今回の改正案では、次の条項が削除されているんですけれども、第四十六条の二、「農業協同組合連合会がその地区を地区とする他の農業協同組合連合会が現に行つている事業を新たに行うために定款を変更しようとするときは、これにつき、会員たる組合は、それぞれの総会において、投票によつて議決しなければならない。」この結果、地域重複農協を設立することが完全に自由になるというふうに私は思います。

 営利企業ではない、まさに文字どおりの協同組合であるはずの農協が同じ地区に二つできるかなという感じもいたしているんですけれども、いい悪いはちょっと言いませんけれども、いささか変な感じがするなと。

 六月四日の質問の際に、大臣はこう言っているんですよね。単位農協が、中央会が始まったときは一万あって、小さいところはたくさんあったわけだが、中央会がしっかり仕事をしていただいたという結果で、今七百ぐらいになって、一つずつが規模が大きくなっているということを言っておられました。農協の規模が大きくなって統合されていくことを肯定的に言われていたというふうに思います。

 でも、今回の法改正では、新しく同じ場所に別の農協がつくれる可能性というか、こういうものができたような気がする。前からこれはあるんですかね。大臣の答弁とちょっとずれがあるのかなという気がいたしておりますので、ここら辺の説明をちょっとしていただきたい。

 それと、加えて、どうして同じ地区に複数の農協をつくる必要が、もしあるのであれば、どんなメリットがあるのかなと、よくわからないので、ちょっと教えていただきたいと思います。

奥原政府参考人 いわゆる農協のゾーニング規制という問題でございます。

 一般的に、農協経営を安定させるために、中央会の指導によりまして農協の合併は推進をしてきたわけで、信用事業を含めて、それぞれの農協が安定した仕事ができるようになったと思います。

 一方で、ゾーニング規制の話につきましては、農協同士がやはりサービスの競争をして、要するに、農家に対するメリットを大きくするような、そういう工夫も必要ではないかということでこれまでいろいろな議論がなされてきたところでございます。

 これまでの経緯がいろいろございまして、平成十三年の農協法改正のときに、地区を重複して農協をつくる、新設するばかりではなくて、今存在している農協のエリアをそれぞれ広げて重複させることを含めて、地域を重複させることができるような法制度がこの十三年の法改正で入りました。

 ただ、このときには、これを行政庁、都道府県が認可をすることになりますけれども、認可をするときには、その県の農協中央会と協議をするという規定が入っておりまして、中央会がうんと言わなければ地区を重複させることはできないという制度になっておりました。

 これが、平成二十五年の義務づけ、枠づけの見直しという一括法の中で、中央会に対する協議条項というのは一括法の中で削除されましたので、現在はそれもなくなっているという状態でございます。

 ただ、現在のところでもう一つ規制がございまして、これは農協法の六十条というところですが、地区を重複している農協について行政庁、都道府県が認可をするときには、地区が重複することで当該地区の農業の振興を図る上で支障があると認められるときは認可をしないといった条項が書いてございましたけれども、今回の改正法の中では、この条項も削除するということにしております。

 これは、平成十三年から地区の重複ができるようになったわけですけれども、その後、全体でいきますと、大体、これまで九十九件ぐらい、地区を重複させる、そういう農協の定款変更等の申請が出ておりまして、これにつきましては、全て都道府県の段階では認可をされているということもございますので、もう特段の縛りをかける必要はないだろうということで今回それも廃止をして、自由に地区の重複ができるような、そういう制度を今回提案しているということでございます。

 同じ地区に複数の農協が存在するということになりますと、農業者の方からすれば、この複数の農協のサービスを比較して選んで、そのサービスを、いい方をとってサービスを受けるということができるようになる、こういうことでございます。

 例えば、近隣の農協同士が連携をしていただいて、A農協とB農協があったときに、A農協が得意の分野とB農協が得意の分野が違うとします。片っ方は米の販売が得意で、片っ方は野菜の販売が得意というときには、お互いの地域を重複させて、この全体の地域の中で、米を売りたい方はA農協の方をみんな使う、あるいは、野菜を売る人はB農協を使うとか、こういった農協間で連携をしてサービスを向上させたり、能力を上げたりということもできますので、そういったケースでも使えるというふうに考えているところでございます。

松木委員 よくなるんですね。

 でも、何か二つ農協があったらけんかにならないかなと思って、ちょっと局長、僕は結構心配するんだけれども、そういうことは考えられないですか、余り。

奥原政府参考人 これまで、平成十三年からこの地区の重複でもって定款変更の認可申請が出たのが九十九件でございますので、そんなにたくさんこれが今出ているわけではないというふうに思っております。

 それと、これをやるときには、やはりできればお互いの農協同士で話し合っていただいて、どうやったらお互いによくなるかという議論をしていただくことも一つ重要なポイントかなというふうには思っております。

松木委員 よくわかりました。

 では、次に行きます。

 本改正案の中で、農業委員会等に関する法律の六条第三項を削除するというのがありますね。六条第三項には、「農業委員会は、前二項に規定する事務を行うほか、その区域内の農業及び農民に関する事項について、意見を公表し、他の行政庁に建議し、又はその諮問に応じて答申することができる。」と書いてあります。

 これを削除するということは、農業委員会が「意見を公表し、他の行政庁に建議し、又はその諮問に応じて答申する」なんということはもうしなくてもいいですよということだと思いますけれども、農業委員会は、多くの農家の皆さんが委員としておられるわけですけれども、先日の公聴会でもそうでしたけれども、現場の声はやはり非常に重要だと思うんですね。

 農業委員会の所管事務から意見公表の削除をするが、農業者の声をつなぐためにも、法律上の意見を表明するスキームは残した方がいいのではというふうに私は思うんですけれども、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

 また、これがなくなるから、他の方法で現場の農業者の意見を反映させる方法を、何かこういうふうにしてやるんだよというようなものがあるのであれば、お答えいただきたいと思います。

林国務大臣 農業委員会は、農地に関する市町村の独立行政委員会でございますので、担い手への農地利用の集積、集約化、それから耕作放棄地の発生防止、解消、こういった現場の実務が主たる任務ということですが、耕作放棄地が拡大をしておるなど十分に機能していない面がある、こういうことでございます。

 したがって、この主たる業務である農地利用の最適化の推進業務に集中して取り組んでいただけるようにするために、この意見公表や建議というのは法的根拠がなくても行えるということでございましたので、法令業務からは削除するということにいたしました。

 ただ、法令業務からこの条文を削っても、意見公表等をやることは当然自由にできる、こういうことでございます。

 さらに、この農地に関する施策についてPDCAサイクルを回していくという観点から、農業委員会がその所掌事務の遂行を通じて得た知見に基づいて、必要があると認めるときは、関係の行政機関に対して、農地等の利用の最適化の推進に関する施策についての具体的な改善意見を提出する義務を課す、それから、改善意見を提出された関係行政機関の方は、その意見を考慮しなければならない、これを三十八条に規定をしたところでございます。

松木委員 ちゃんと守られるよということでいいんですか、大臣。

林国務大臣 まさに、今までの建議とか意見公表というのは自由に行えるということに加えて、新しく三十八条で設けたことによりまして、改善意見を提出するということが行われ、そして、行われた方の関係行政機関がそれを考慮しなければならないと、これも法定をしたということでございますので、しっかりとここをやっていただきたいと我々も思っております。

松木委員 わかりました。

 時間もあと五分とちょっとなんですけれども、今回のこの委員会というのは、五月十四日に本会議の趣旨説明をやって、十九日に提案理由説明ということで、五月二十一日から質疑が始まっているんです。大体、総審査時間というのは、今の時点で、参考人質疑だとかも全部入れてですけれども、三十四時間以上になっている。よく頑張ってきたんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、参考人も随分しっかり呼んでやったんだろうというふうに思いますけれども……(発言する者あり)今、福島代議士からもあるように、言えば、まだまだ論点は尽きないわけですけれども。

 どうも、全体でやっていて、どんな改革なのかというのがもう一歩、ちょっと大きく見えてこないような気がして、日本の農業全体が今回の法改正でいい方向に向かうきっかけになるんだったら私はいいと思うんですけれども、農家の皆さんの所得を倍にするとか、いろいろと話はありましたよね。でも、これで倍になるのかなというのはちょっとよくわからないし、本当に農家の人たちがよくなるのかなと。倍とは言わなくても、いやいや、二割ぐらいは手取りがふえるぜとか、そういうのも何となく大丈夫かなというふうに思うんですけれども、大臣、どうですか、自信はありますか。

林国務大臣 まさにこの農協の改革を初めとした、御提案している法案は、ずっとやってまいりました農林水産業・地域の活力創造プランというのをここでも御説明申し上げてきましたが、いろいろな状況の変化に基づいて農政全体を変えていこうということを、この二年強やってまいったことでございますが、それをやる上で、全体が変われば、これをやるプレーヤーもやはりそれに対応してかわっていただかなければならないということで、農協であり、生産法人であり、農業委員会という主要なプレーヤーについても、この農政改革に対応して積極的に活動できる環境というのを整えていくことが必要であろう、こういうことでこれを提案させていただいているところでございます。

 したがって、食料が足りなかった時代と比べて、先ほど北海道の例がありましたけれども、北海道と私の山口と例えば沖縄と同じことをやっていていいんだろうか。やはりそれぞれ違うわけでございます。したがって、それぞれの地域が、その実態に合わせて、自分の強いところをそれぞれ伸ばしていくということをどんどんやっていって、有利販売をしていく、これをもっともっと進めていく必要があるだろう。

 こういうことで、地方分権の発想に立ったのが今回の農協改革でございまして、地域農協がそういうことをやっていけるようにする、そして連合会や中央会というのはこれをサポートしていこう、こういう形にしたわけでございますので、この法案さえ通れば、自動的に農業者の所得がふえていくということではなくて、これを環境整備した上で、いろいろな施策を使っていただいて、まさに農業者や地域農協が一体となってみんなで頑張っていく、その先にやはり農業や農村の所得の倍増、これを目指していかなければいけない、こういうふうに考えておるところでございます。

松木委員 林大臣がそう言っていただけるんだから、期待はできるのかなというふうには思うんですけれども、維新の党というのは改革の政党と言われていまして、なかなか、これは守った方がいいんじゃないのなんて言ったら党の中で怒られちゃうので余り言えないんだけれども、でも、改革は大切なんだけれども、やはり守るべきものも守って頑張ってもらいたいな。やはり皆さんが今一番力を持っておられるわけですよ。我々は野党だから、やはり与党の皆さんの力というのは強大。皆さんが本当にこの農業、地域も含めたところをよくしていきたいという気持ちをうんと持ってください。そうしたら、私は絶対にいいものができると思いますよ。

 それと、あともう一つ心配なのは、これから参議院の方に話が移っていくわけでしょう。そうしたら、江藤さんは立派な委員長だったけれども、参議院の方はちょっと心配があって。人間的には立派な方なんですよ。だけれども、どうなっていくのかな、せっかくこれだけやったのが全部水の泡になるのかななんという心配もあるのかなということを本当に心配しています。

 いずれにしましても、この農業の委員会というのは、お互いにけんかし合ってやっていく委員会とはちょっと違って、やはりお互いに協力し合って、それでいいものをつくっていこう、そういう委員会だと私は思っていますので、ぜひこれからも、やはり政権与党というのはそれだけ責任は大きい、私はそう思いますので、ぜひ頑張っていただきたいし、我々野党も、野党の立場でいろいろとまた提言もさせていただきたいというふうに思います。

 これで終わるとか言ったら、多分玉木君に怒られるので余り言いませんけれども、多分、今回が私の、ちょっと怒られるからこれ以上言いません。(発言する者あり)わかりました。

 いずれにしましても、時間が終わりましたので終了しますけれども、明るい農村なんという言葉がありますけれども、あれは僕は好きです。そういうものをつくっていくようにみんなで努力をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

江藤委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時二十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 本題に入る前に、日ロサケ・マス政府間協議の問題について伺いたいと思います。

 先週十一日、ロシア二百海里水域分における日ロサケ・マス政府間協議が妥結されました。漁獲枠が、前年六千六百三十トンだったものが、ことしは約千九百六十二トンと七割の削減となりました。その分、入漁料は昨年の二十億円から六億円へと減ることにはなっていますが、操業期間も六月二十七日からの一カ月にとどまって、操業も、中型船はことしの出漁を断念し、小型船十九隻のみの漁となる。

 ことしの協議の進展について、私は、四月二十三日の本委員会で、おくれていた交渉の進展を強く求めると質問しました。

 結果として、昨年より漁獲枠がこのように減って、操業期間も短くなったわけですが、なぜこれだけ協議が長引いたのか、まず経過を説明してください。

香川政府参考人 本年の日ロサケ・マス漁業交渉は、まず、例年よりおくれて開会をしたことに加えまして、開会当初から、ロシア側が提案した漁獲枠、入漁料水準などの操業条件、あるいは取り締まり条件が、日本側としては到底受け入れられない厳しい内容でございました。

 これに対しまして、日本側は、ロシア側が提案した個々の項目に関する日本側の立場を粘り強く説明し、我が方の漁業者にとって好ましい操業条件を得るべく臨んだところ、協議が長期化したものでございます。

 この結果といたしまして、操業期間が昨年と比べて一カ月短くなった、操業条件が非常に厳しい状況が続いたことから、中型漁船団が今期の操業を見送ったということに伴いまして、我が国漁船が必要とする漁獲枠が相応に減少し、昨年に比べて漁獲枠が大きく減少するなどの結果となったものでございます。

畠山委員 中型船の出漁や加工場で働く人の確保など、関係支所では準備を進めてきていたわけです。準備をしながら、今回の政府間協議と同時に進んできているロシアの流し網漁の禁止法案の動向にも、漁業者は不安でいっぱいだったはずです。

 流し網漁が来年から仮に禁止された場合の影響について、根室市は、道東地域の経済への影響額が二百五十億円で、うち八割は根室市だと試算しています。私は、根室に行くたびに、領土問題が未解決なために、いつも漁業者は苦しんできたんだよという話を伺ってきました。道東地方のサケ・マス漁と水産関連や地域経済にとって、これまでにない不安が広がっていると思います。

 ことしのこの政府間協議の結果を受けて、政府として、影響を調査することや、調査をもとにした対策なども急いで検討する必要はないのですか。

林国務大臣 今回の政府間協議で、今御報告いたしましたように、操業期間が一カ月間短くなったこと、また、操業条件が非常に厳しい状態が続いておりまして、中型漁船団が今期の操業を見送ったこと、こういうことに伴いまして、漁獲枠が相応に減少して、昨年に比べて漁獲枠が大きく減少する、こういう結果に政府間協議はなったということでございます。

 昨年に比べて規模が縮小することとなったところでございますが、今後、サケ・マス操業や、それから兼業されておられる秋のサンマの操業、この辺の現地の操業等をしっかりと注視して今後の対応を考えていきたいと思っております。

畠山委員 林大臣も、先日、現地代表団と面会されて、切なる実態を聞いたというふうに思います。

 これまでも、北海道東部の漁業者、水産業界、自治体からは、強力な漁業外交の展開が要望されてきているはずです。あわせて、さまざま現地からも聞きましたけれども、国は水揚げの影響についての試算は出すけれども、関連産業についての試算がなかなか出てこないんじゃないか、地元の雇用と経済に与える影響をしっかり考えて外交や現地への対策を検討してほしいとのことです。

 林大臣、改めてもう一声、先ほど、代表団も来ているということも、面会していることは私も承知しているんですが、今回、これまでにない大変な事態が予測される中で、改めて、政府としての決意や具体化に向かう上での大臣の所見をお伺いします。

林国務大臣 今回の交渉結果等については、近々、担当官が現地に赴き、関係者に説明することとしております。そういう場で現地の皆さんとも意見交換がいろいろできるのではないか、こういうふうに思っております。

 また、これに関連しまして、これはロシアの国会の話でございますから、まだ何とも言えないところでございますが、禁止法案なるものも、下院をたしか通って、上院に行っている、こういう厳しい状況も認識をしておりますので、しっかりと現場の皆様のお話を聞きながら対応を考えていきたい、こういうふうに思っております。

畠山委員 サケ・マスは、道東地方はもちろんですが、北海道にとってもブランドであり、重要な経済資源であります。

 日本と北海道の実態を筋道を通して訴えるとともに、これまでの蓄積や協議を通して生まれている知恵も使って対策を立てていくことなどもあわせて要望したいというふうに思います。

 本題に入ります。

 農協法等の審議で、前回の委員会で時間の関係上飛ばしていた項目があったので、そのことを先に伺いたいと思います。

 農業委員会にかかわる農地利用最適化推進委員について伺います。

 この間、政府の答弁では、農業委員と推進委員の役割について、農業委員の方は集まって多数決などで決めていただく許認可のことを中心にする方、そして、推進委員は現場で動いていただく方と分けた方が効率的ではないかという答弁をしてきました。しかし、これが実態に合っているのかどうか。私は、実態に見合っていないことがあるんじゃないかと思うんですよ。

 委員を分けたら、情報をさまざまな形で共有をしていく作業や、その実務的処理も必要になりますし、農業委員が許認可のために本当に現場をきちんと見ようと責任を持って考えたのならば、もちろん現場に行かないとわからないわけですし、そういう意味では、結局二度手間になっていくこともあり得ます。

 これは、今まで農業委員がそれを一手に担っていた、このことこそ効率的な面があったと思うんですよ。二つに分けることが、かえって非効率になることはないのか。その点も含めて、推進委員の業務内容を改めて明確に合理的に説明していただけますか。

奥原政府参考人 現在の農業委員の役割は大きく二つに分けられるところでございます。

 一つは委員会としての決定行為、それからもう一つは委員の各地域での活動、この二つに分けられるわけですけれども、今回、それぞれの機能が的確に果たされるようにということで考えているわけでございます。

 そのために、今回の法改正では、農業委員とは別に農地利用最適化推進委員を設けるということにしておりますが、改正後はこの二つに分かれまして、農業委員の方は、合議体としての意思決定を行うということが中心になりますので、具体的には、農業委員会の総会、それから部会の会議に出席をして議決権を行使する、農地の権利移動ですとか農地転用の許可に当たって具申すべき意見等を審議する。この審議も、やはり現場を見たり、そういうことは当然あると思います。案件ごとにきちんと判断をして、多数決で決めていただく、これが一つでございます。

 それと、もう一つの推進委員の方につきましては、みずからの担当区域におきまして、担い手への農地利用の集積、集約化、それから、耕作放棄地の発生防止や、発生したものの解消、こういった農地等の利用の最適化の推進に関する活動、具体的には、積極的に出し手農家に働きかけて、担い手の方に流動化させていく、こういった仕事をしていただく、こういうことになるわけでございます。

 ただ、先生御指摘のように、現在の農業委員一本の体制で成果が上がっている地域も中にはございます。担い手への農地利用の集積が相当進んでいる、あるいは耕作放棄地がほとんど発生していない、こういった地域もあるわけでございますので、今回この法制度をつくるに当たりましては、現在の農業委員一本の制度のもとで、農地利用の集積あるいは耕作放棄地の発生防止等が相当程度図られていること等の基準に該当する市町村につきましては、この農地利用最適化推進委員を置かなくてもよい、要するに、従来の農業委員一本の体制でやることができるという例外規定も置いているということでございます。

畠山委員 最初にそのことが答弁されたので、ちょっと確認だけ改めてしたいと思うんですけれども、関連して、推進委員の定数については、政令で定める基準に基づいて、条例で定めるというふうにしています。

 今のこともかかわって、改めて具体的に、定数や置く置かないなど、今話したことについて、どういうような基準が想定されているか、お答えできますか。

奥原政府参考人 推進委員の定数につきましては、今御指摘のように、政令でもって基準を決めるということになりますけれども、一つイメージをしておりますのは、二十四年度からやっております人・農地プランがございます。それぞれの地域で話し合いをしていただいて、農地を担い手のところに集めていく、これをやるときの単位が、市町村を幾つかの区画に分けてできておりますけれども、これは地域によってまちまちでございますが、こういったものがきちんと進んでいくということが一つの大きな要素でございます。

 そういったことも考慮しながら、この推進委員の定数についてはきちんと決めていきたいというふうに考えております。

畠山委員 先ほどあったように、地域ごとにさまざまな実態があるわけですから、弾力的な運用なども改めて私は求めておきたい。

 それで、先ほどの議論に戻るんですけれども、役目が二つあるから分けられると言うけれども、その二つが一体となれたから農業委員が果たせてきた役割があったというふうに思いますよ。だから、現場から、違いがわからないという声がいまだに出てきているというふうに思うんです。

 農業委員を半分にしたとして、推進委員を置いて、トータルでふえるなどのような答弁もありますけれども、そういうことをしないで、そもそも本来は、農業委員の定数を見直して、ふやしていくような方向があるべきだったのではないかと思うんです。

 それについては、実例で、大臣に伺いたいと思います。

 八日の地方公聴会で、加賀市農業委員会の小川会長は市町村合併前と合併後の違いを述べています。合併前の農業委員数は三十八名で、農業委員一人当たりの担当が百ヘクタールだったのが、合併後は、二十四名で、一人当たりの担当は平均百四十五ヘクタールと話されておりました。合併した町では定数基準によって農業委員一人当たりの受け持ち面積がふえて、これ以上減らさないでほしいというふうに言ってきているわけです。

 だから、分ければいいという性格の問題ではなくて、本来、こういう実情も含めて、ふやすべきだったのではないか、そうやって農業委員会の本来の役割を果たせるようにすべきだったのではないかと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 先ほど局長から答弁いたしましたように、二つの機能というものがあって、それから、確かにうまくいっていた地域もあって、そういうところはあえて置かなくてもいいというような、いろいろな原則と例外を定めていく、こういうことだというふうに思います。

 やはり、一般的には、今委員がおっしゃったように、推進委員を置かずに、例えば農業委員の数をふやす、こういうふうになった場合は、まず、農業委員の数がふえてしまいますので、総会を機動的に開くということが難しくなっていく、こういうおそれがあるということでございます。それから、各農業委員がこれまでと同様に農業委員会としての決定行為と各地域での活動をあわせて行うということになりますと、そうしますと、現場における農地利用の最適化のための活動、まさに今例に出していただいたように、一人頭のところがふえておりますので、なかなか手が届かなくなるんだ、こういうことでございます。

 一方で、農業委員会そのものは意思決定機関として機動的に開いていただく、そのことを追求すると同時に、各農業委員と推進委員が役割分担をすることによって、その最適化のための活動もしっかりと、あるいはチームでやっていただくことも含めて、機動的にやっていただけるようにしようというのが我々の趣旨でございます。

畠山委員 農業委員が仮に半分になるとして、推進委員も同じ数だけ置いて、結局、その総数の半分ずつですから、同じところをやるとなれば、それぞれの面積がさらに広くなるということにならないですか。素朴にそうやって計算すると、なることになって、これで本当に全体の、今機動的なと言っていることが担保できるんでしょうか。いかがですか。

奥原政府参考人 これは結局、推進委員の定数をどうするかという問題になると思いますので、先ほど申し上げましたけれども、各地域の人・農地プランの話し合いが円滑に進んでいく、それぞれの地域の担い手への農地利用の集積がちゃんと進む、それから、耕作放棄地の発生防止がきちんとできる、このことを旨として、定数につきましては機能できるようにきちんと決めていきたいというふうに考えております。

畠山委員 やはり、ちょっと話がまだ抽象的過ぎて、今言ったように、具体的な数で照らし合わせてみると、一人当たりの受け持つ面積が間違いなくふえていくことになるのではないかというふうに思うんですよ。

 それで、先ほど紹介した加賀市の農業委員会の小川会長さんが、だから、今の人数がもう最低限だ、人を減らせば、これまでの業務を進めるのに懸念があるというふうな意見を表明されました。

 ですから、本来であれば農業委員やあるいは事務局員をふやすべきであって、減らすこと自体が今述べたような問題を発生させるのではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。

 農地法の改正案について伺います。

 本改正案では、農地を所有できる法人の要件緩和が盛り込まれています。一つに、農業者以外の構成員の有する議決権等の要件に関し、総株主の議決権等の二分の一未満まで認めること、もう一つに、法人の理事等の農作業従事要件に関して、その法人の理事等及び農林水産省令で定める使用人のうち、一人以上が農作業に農林水産省令で定める日数以上従事すれば事足りるということです。

 その理由について、この間の答弁では、現行の要件がネックとなって、六次産業化など経営の発展に対応できない面があるというふうに言ってきました。しかし、六次産業化の発展と農林漁業の成長産業化というのは議論の整理が必要だと私は考えます。

 そこで、まず、そもそも六次産業化というのは何なのか、どの法律にどのようにその意義が述べられているか確認します。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 六次産業化の意義につきましては、地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律、平成二十二年の法律第六十七号でございますが、いわゆる六次産業化・地産地消法、この前文におきまして、一次産業としての農林漁業と、二次産業としての製造業、三次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取り組みであるとされておりまして、いわゆる地産地消等の取り組みと相まって、農林漁業者の所得の確保を通じて農林漁業の持続的かつ健全な発展を可能とするとともに、農山漁村の活力の再生等に重要な役割を担うものと位置づけられているところでございます。

畠山委員 今述べてもらいましたけれども、六次産業化の出発点というのは、地域の雇用も含めてきちんと地域が安定していく、そして、何より農林漁業者が主体となって地域の二次産業、三次産業と一体的に推進するものである。まず、そのことを確認しておきたいというふうに思います。

 それで、この間、参考人質疑や地方公聴会で、六次産業化を進めてこられた方の話も聞いてきました。私自身も独自の調査も行ってきました。共通しているのは、しっかりと地域に根差していることだと思います。安定的生産を第一にして、市場が求めるからと過大な投資をするのじゃなくて、事業拡大も協議と合意の上で進めていることが特徴だと思います。繰り返しになりますが、極めて農林漁業者が中心であるということだと思います。

 それで、農林水産業・地域の活力創造プランですが、ここでは、「六次産業化等の推進」の中で次のような方向が示されています。「農林漁業成長産業化ファンド(A―FIVE)の積極的な活用等により、農林漁業者主導の取組に加え、企業のアイディア・ノウハウも活用した多様な事業者による地域資源を活用した地域ぐるみの六次産業化を推進する」とあります。

 「農林漁業者主導の取組に加え、」と、別の形の六次産業化の姿が提示されているのではないか。ちょっとこの点について、具体的にこれは何なのか、お答えいただけますか。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、六次産業化を進める上で、まず、農林漁業者が主導して取り組むことを基本とする、その上で、地域の食品産業等の企業を初め多様な関係者のアイデアあるいはノウハウを結集して取り組むことが、地域の活性化に大きな効果を発揮し得ると考えられるケースがあるとして記載されたものと承知しております。

 具体的には、例えば、市町村が策定する六次産業化戦略に基づきまして農林漁業者が新商品の開発あるいは販路開拓に取り組む場合、試作品の開発等に対する補助率を三分の一以内から二分の一以内にかさ上げする、あるいは農林漁業者による新商品開発を推進するための市町村等による加工機械の整備に対する補助といったぐあいに、市町村の戦略のもとで六次化に取り組む農林漁業者に対する支援メニューを充実するということでございます。

 農林水産省としては、このような措置の現場での活用を促しながら、地域ぐるみの六次産業化の先進事例となる取り組みを創出しまして、その横展開を図ることで、農山漁村の所得の向上や雇用の確保の実現に努めてまいりたいと考えているところでございます。

畠山委員 ここでも、あくまで農林漁業者が主導であるということが大事であるということを確認しておきたいと思います。

 そこで、今回の改正案ですが、六次産業化のネックになっているからと、先ほど述べました農業生産法人における農業者以外の議決権要件を、二分の一ぎりぎりまで持ってよいとなります。

 これは、例えば別の株主を一人や二人確保できれば、簡単に二分の一を超えてしまうということでもあると思います。参入する企業なり商社によってひっくり返されるというおそれが、ここには数字上から見てもあり得るわけでありまして、そうなると、この要件緩和というのが、先ほどから話がありましたように、六次産業化を推進していく上でも、とりわけ農林漁業者が中心であるという根本が危うくなるのではないか。

 このあたりの認識はいかがですか。

林国務大臣 農地を所有できる農業生産法人ですが、継続的に農業に取り組んでいかれることを担保する観点で、役員や議決権等について一定の要件を設けておるところでございますが、今委員から御指摘があったように、六次産業化等の経営展開を進めていく場合にネックになることがあるということで、今回の改正において、六次産業化等に取り組む際の障害を取り除こうということで、この要件の見直しということになったわけでございます。

 今お話があった件でございますが、この見直しを行ったとしても、法人の総議決権の過半数は農業者が保有するという要件が課される、それから、役員の過半が農業に常時従事する構成員という要件が維持されるということでございますので、改正後においても、農業者による経営支配が確保されているという農業生産法人の基本的な性格、これには変わりがないもの、こういうふうに考えております。

畠山委員 今のはちょっと、先ほど私が言ったことの答弁になっていないかと思います。二分の一未満だけれども、逆に言えば、二分の一以上は確保しているから大丈夫だという趣旨の答弁ではないかと思うんですよ。

 繰り返しますが、私が質問したことは、二分の一未満まで、逆に言えば、ぎりぎりまで保有できると、参入する企業や商社か何かわかりませんけれども、いろいろな意思がどういうふうに働くかわかりません、株主が一人や二人ころっとかわれば、それはすぐ変わるところまで、ぎりぎりまでは認められることになるわけです。それが、農林漁業者が主導であるということを、根本を危うくすることにはならないかと聞きました。

 もう一度、改めて答弁してください。

林国務大臣 最初の御質問が過半数というふうに聞いてしまいましたので、逆に言えば、農業者の方が過半数を持っている、こういうことを改めて申し上げましたが、まさに議決権の過半数を持っているということであれば経営支配が確保されるということだろう、そういうことでございますし、それから、役員の要件も先ほど申し上げたとおりでございますので、私は、農業者が主導という、経営支配が確保されているという基本的な性格は変わらないのではないかというふうに思っております。

畠山委員 なかなかかみ合った答弁になっていないように思うんですが、つまり、この点にかかわっては、参考人質疑や地方公聴会で懸念や異論が出てきた点なんですよ。

 五月二十七日の参考人質疑で、有限会社横浜ファーム代表取締役社長の笠原さんは、大手商社や大手企業と一緒にやった経験を引き合いにして、そういう方は、損益分岐点が、だめだということになると引き揚げますよね、このことを私は危惧していると述べたわけです。六月八日の山梨会場での地方公聴会で、有限会社ぶどうばたけ取締役の三森さんは、六次産業化というのは、やはり地域とか、地域の歴史、文化にのっとっていなければ六次化をしても進んでいかないと述べていらっしゃいました。

 だから、二分の一未満ぎりぎりまでいろいろな商社や企業の参入の道が広がれば六次産業化が自動的に進むというものではないし、農林漁業者が主体とならないことには不安や弊害があると当事者自身がこのように指摘をしているわけです。

 繰り返しますけれども、こういうような指摘も踏まえて、どのように答えますか。

林国務大臣 笠原さんがおっしゃっている、損益分岐点が違うので引き揚げられるということは、そもそもそういう資本が入ってきた場合ということであるから引き揚げるということがあるので、今回、御提案は、まさにそういうことは、別にやりたくなくても無理やり入ってこられるということではなくて、これは上場した企業が株を買われてしまうということと違いまして、もともと、皆さんがそういう資本構成にしようという場合にそういう選択ができるというだけでございますから、そういう選択をされなければ、まさに二分の一を超えて、お決めになったところでやれるということですが、今の仕組みですと、これを超えてしまうと農業生産法人としてなれない、こういう制約があるので、そこの制約は、今委員が御心配になるような点もありますので、ぎりぎり過半まではやっていこうということでございます。

 あくまで、法人の皆さんの判断によってそういうことが行えるということでございますから、その判断において、しっかりとそういう御懸念がないようにしていっていただきたいし、そういうことを我々もしっかりと説明を申し上げていきたい、こういうふうに思っております。

畠山委員 六次産業化自体については、それぞれの地域で、農林漁業者の皆さんが主体的にさまざまな意欲を発揮して、地域の二次産業、三次産業と皆さんが本当に一緒に頑張ってきている実態を私も承知していますし、私流に言えば、身の丈に合った六次産業化ということこそ大事ではないかというふうに思います。

 繰り返しになりますが、そのかなめとなるのが、農林漁業者が主体ということであって、こういうような原則を踏み外すことがないような改革でなければならないということを指摘しておきたいというふうに思います。

 時間の関係もありますので、最後に、きょうも議論がありましたが、准組合員問題についても質問をしておきたいというふうに思います。

 附則五十一条第二項では、きょうも議論になりましたが、准組合員についてだけでなく、改革の実施状況もセットにして調査し、検討を踏まえて結論を得るとしています。その中身については、五年間、正組合員と准組合員ごとの利用量や地域におけるサービスの状況を把握し、今回の農協改革の成果も見きわめた上で結論を得るとの答弁がされてきました。

 それで、なぜ准組合員の規制を検討するかといえば、これはきょうも大臣の答弁がありましたけれども、農業者の協同組織である、正組合員へのサービスがおろそかになってはならないということが一つの理由とされています。ただ、それが本当なんだろうか。

 きょうも議論がありましたが、北海道では准組合員が八割いますけれども、信用、共済事業だけではなく経済事業でも黒字の単協さんも多くあるわけです。こういう実態があるのに、正組合員へのサービスがおろそかだというふうには言えないんじゃないか。

 端的に、イエスなのかノーなのか、確認したいと思います。

林国務大臣 まさに今、畠山先生御自身もおっしゃっていただいたように、そういうところもあるし、また、自分のところはそうではないという声も実はヒアリングでも出てきたということですから、いろいろなケースが多分あるんだろうということでございまして、まさに、いろいろな地域によって、また、いろいろな単協によってもいろいろなケースがある、こういうことを踏まえて利用実態の調査をして、その上で議論をしていこう、こういうことにしたところでございます。

畠山委員 いろいろなケースがあるんですよ、今大臣がそれこそおっしゃったように。だから、正組合員へのサービスがおろそかになるから准組合員についての規制の検討云々かんぬんと、十把一からげ的な言い分といいますか答弁ということでは実態に合わないんじゃないかというふうに私は言っているわけです。

 それで、地方公聴会で、准組合員についての実態の発言が相次ぎました。小松市農協の西沢組合長さんの発言は、私のところは、事業の全体額からすると、約四割を准組合員の方が利用しています、この農協法の改正というのは、農業を成長産業にしよう、あるいは農家の所得を向上させようということではありますけれども、准組合員を制限すると、むしろ逆行するというふうに思いますと述べて、営農指導員の給料などを例にして、准組合員の利用があるから費用を賄えていると話されました。そのとおり、実態はあると思うんです。

 准組合員の規制こそ、このような正組合員への営農指導など、それこそ正組合員へのサービスが准組合員の規制をすることによっておろそかになってしまうのではないかという指摘です。

 逆行するんじゃないか、そういうような実態が起こり得るような認識はありませんか。

林国務大臣 西沢組合長が公聴会で、信用、共済事業の利益を営農指導のコストや農業関連事業の損失に充てているので、准組合員の利用を制限し、信用、共済事業の収益が上がらなくなると農業振興が図られない、こういう趣旨の発言をされたということは承知をしております。

 金融事業の収益に依存をして、経済事業、中でも農産物販売や資材調達といった農業関連事業の改善というものが行われないということはあってはならない、こういうことでございます。

 経済事業で黒字の農協というのは、実は全国で二割ございます。北海道では七割ということでございますから、やはり経済事業でも工夫次第で黒字にしていくということはあるんだろう、こういうふうに思っておりますので、それぞれの事業の収支を改善していくということが重要だと考えておりまして、信用、共済で黒字が出るので、農業関連事業や全体的な経済事業は赤字でいいんだという考え方では困るなということを申し上げているところでございます。

畠山委員 経済事業を黒字にする必要があるということであるならば、いろいろ調べたら、こういう農水省自身の議論やペーパーなどもあったので、ちょっと最後にこれを述べたいと思うんです。

 これまでも、農協法は何回か改定や検討を繰り返してきています。その中には、経済事業の活性化についても、もちろん議題がありました。

 農水省が七年前に出した、平成十三年農協法改正法の附則・検討条項に係る検討結果という文書があります。この十三年改正というのは、地区外の継続的農協事業利用者にも准組合員資格を付与することとしたものでした。その狙いは、「地区外利用者との安定的な取引関係の構築を通じた経済事業等の活性化」と書いているわけです。

 そして、この文書ではさらに、「今後の課題」というところでも、「優良事例の収集・周知等を通じ、地区外准組合員の加入をさらに進めることにより、経済事業等の活性化に向けた自主的取組を促進」と書いています。ですから、農水省自身が経済事業の活性化に准組合員制度を位置づけていたという事実は、これは隠せないわけです。

 ですから、今回、反対の方向の検討ではないかというふうに思うんですが、では、ちょっと立ち戻って、農水省がこのように広げようとしていた優良事例というのが間違いだったということになるんでしょうか。

奥原政府参考人 十三年の農協法改正のときの話は、確かに、准組合員の資格を付与するという話はあるんですけれども、考え方としては、六次産業化を進めるとかそういう観点でございます。

 要するに、農協が農産物をいろいろなところに売っていく、そのときの取引先、こういう人たちにも准組合員になっていただければ、これからも円滑にその農産物が安定的に売れるのではないか、そういう意味のサポーター的なところをふやしていく、こういう発想でございます。

 だから、その地域に住んでいる方々をどんどん准組合員にするとか、そういうのとはちょっと性格が違うものというふうに思っておりまして、農協の農産物販売ですとかそういったことを円滑に進める上でこの准組合員資格をどう使うかということを議論したものだというふうに考えております。

畠山委員 ですから、そういうことを通じて経済事業の活性化を図ろうとしていたというこの事実は間違いないんですよね。改めて確認します。

奥原政府参考人 個人の方をどんどん准組合員でふやすということでは必ずしもないわけですけれども、農協の販売事業等を円滑に進めるために准組合員を活用するということはそのとおりでございます。

畠山委員 今答弁したように、そのとおりなんですよ。そういうような形で准組合員をきちんと位置づけて、それで経済事業の活性化なども議論してきたわけではないですか。

 それで、きょうもそうでしたし、この間の参考人質疑や地方公聴会でも、この准組合員の利用規制をしないでほしいというのは切なる現場からの訴えです。これはもう何度も何度も繰り返されて出ていることです。

 このように、仮に准組合員の利用規制が強められることになれば、先ほど述べましたけれども、農協がいろいろな形で経済事業をやっている、営農指導などのこっちは赤字だ、それを穴埋めするのがけしからぬみたいな議論もあるけれども、こういうことで現場は成り立っているわけですから、これが規制されることによって農協が農協たる運営ができなくなってしまっては困るというのが、この間繰り返されている現場からの意見だというふうに私は思います。

 これが、農協が農協という運営ができなくなってしまえば、それこそ農協解体というふうになってしまうわけでありまして、この准組合員の問題については、利用規制をしない方向で進めることを強く指摘して、質問を終わります。

江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.