衆議院

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第7号 平成14年7月9日(火曜日)

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平成十四年七月九日(火曜日)
    午後二時三分開議
 出席委員
   委員長 玉置 一弥君
   理事 大野 松茂君 理事 仲村 正治君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 末松 義規君 理事 渡辺  周君
   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君
      石破  茂君    岩屋  毅君
      臼井日出男君    瓦   力君
      木村 太郎君    佐藤  勉君
      七条  明君    虎島 和夫君
      中山 利生君    平沢 勝栄君
      米田 建三君    伊藤 英成君
      石井 紘基君    江崎洋一郎君
      大出  彰君    川端 達夫君
      前原 誠司君    河合 正智君
      赤嶺 政賢君    今川 正美君
      粟屋 敏信君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君
   政府参考人
   (防衛庁長官官房長)   山中 昭栄君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 重和君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 石川  薫君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            谷内正太郎君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月三日
 辞任
  小池百合子君
同日
            補欠選任
             佐藤  勉君
同月九日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     七条  明君
  前原 誠司君     石井 紘基君
  赤松 正雄君     河合 正智君
同日
 辞任         補欠選任
  七条  明君     臼井日出男君
  石井 紘基君     前原 誠司君
  河合 正智君     赤松 正雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国の安全保障に関する件

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     ――――◇―――――
玉置委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁長官官房長山中昭栄君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、防衛施設庁長官嶋口武彦君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務省大臣官房審議官佐藤重和君、外務省大臣官房審議官石川薫君、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君、外務省欧州局長齋藤泰雄君、海上保安庁長官縄野克彦君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
玉置委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。
渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。
 きょうは、限られた時間でありますのでエッセンスをお尋ねしまして、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいなと思うわけでございます。
 まず、海上保安庁、きょうお見えでございますのでお尋ねしますが、例の奄美沖から逃走した昨年のあの不審船につきまして、引き揚げ作業はどうなっているか、私、このことはもう随分質問をしてまいりましたが、この現状、そしてまた今後の見通しについてまずお尋ねをしたいと思います。
縄野政府参考人 不審船の引き揚げにつきましては、六月二十五日に作業船を現場に到着させまして作業を開始したところでございますけれども、天候の不良などがございまして、作業を実施したのは六月の二十七日と三十日、それから七月一日の三日間でございます。きょう現在も台風の影響で作業は中断している状況でございます。
 当初の見通しとしましては、最短で作業開始から一カ月間で引き揚げを終えるという予定で着手をいたしましたけれども、残念ながら、順調に作業が進んでいるという状況ではない状況でございます。可能な限り速やかに引き揚げられますように全力を尽くしていきたいというふうに思っております。
渡辺(周)委員 当初は一カ月間という話でございました。私は、技術的なことを今さらどうこうとお尋ねするつもりはありませんが、もう何度も繰り返し申し上げていますとおり、海上保安庁の技術的なことだけではなくて、いろいろ外交交渉もおありになるから、昨年の十二月二十二日に起きたことがいまだに引き揚げられないでいるということについては、国民の中にももういいかげんにしろということはあろうかと思うわけです。
 それで、一カ月間という話でございますが、当初からこれが可能な限り何とか速やかにということであります。見通しとしては、当初一カ月間が具体的にはあとどれぐらいかかりそうなんですか、速やかにとは言いましたけれども。
縄野政府参考人 先ほど一カ月間と申し上げましたのは、作業の中断がないという前提で一カ月間というふうに申し上げました。現実に、六月二十五日以降作業ができたのは三日間だけでございますので、これから作業の能率をできるだけアップするように力を尽くしたいと思いますが、基本的には、作業が中断をした日数分だけ最大限後ろへずれざるを得ないおそれもありますので、それを取り返すことが可能かどうか、一生懸命頑張ってまいりたいというふうに思っております。
渡辺(周)委員 そうすると、まだ二十数回の作業をしなければということですね。そういうふうに了解してよろしいんでしょうかね。
 それで、今回の引き揚げ作業の途中において、この不審船が実は重武装をしていたということが、本格的な引き揚げ作業の前に、中にあるものを幾つか回収したということで、例えば熱源追尾型の携帯ミサイルが装備されていた、想像していた以上に重武装であったということが新聞で報じられているわけでありますけれども、これは事実なんでしょうか。だとすれば、どういったものが実際回収されたんでしょうか。
縄野政府参考人 引き揚げられた武器、五月の当初に行いました潜水調査のときに、周りに散乱をしておりましたものにつきまして一部引き揚げを行いました。これを、どのような武器であるかということについて、私ども、あるいは専門的な知識を加えて分析中でございます。それを踏まえて特定をいたしたいというふうに思っております。
渡辺(周)委員 専門的な調査と今おっしゃいましたけれども、もう当時も各社の新聞報道には、射程は三キロ以上とされる人が携帯して肩に担いで発射するタイプのミサイルが積んである、これはいろいろ報道されているわけですね。
 それで、もう既にこういうことが報じられているということは、それを訂正されていないというのであれば、こういうものが実際回収されていたということは事実というふうに考えてよろしいですか。もう一回御答弁をお願いします。
縄野政府参考人 ロケットランチャーのようなものを含めて、そのような武器が揚げられておりますので、それが具体的にどのような武器であるかということを専門的な知識も加えて分析中でございます。
渡辺(周)委員 どのような武器かというのは、それはもう専門家からしてみればわかることでございます。実はもう回収されていた、それでしばらくたったらそういうことが新聞報道でこういうふうに出るわけでありまして、ところが、国会で尋ねると、まだそれは調査中なんだということでございます。これは現実問題として、正直、なぜ新聞報道でこれだけ書かれているのかということも問題だと思うのです。もし、本当に機密を要する話で分析をしているんだったら、こんなふうに情報漏れしていること自体が、これは私は、まず情報管理に失敗していることだろうと思わざるを得ないわけであります。
 この点について、私は、事実これを報道されたことは否定はされないわけですから、肯定されたと受けとめて、これはちょっと防衛庁長官にお尋ねをしたいわけであります。
 いわゆる当面する危機として考えた場合に、こうした小規模、しかし重武装の不審船対応が、今回の有事法制議論の中でも当面する危機として言われてきたわけでございまして、その中で、これについては海上保安庁ははっきり言わないわけですが、防衛庁として、今回引き揚げてきたものをどのように理解しているのか。そしてまた、こういう重武装の不審船が日本近海に何度も侵入しているということを前提に考えた場合に、今後の我が国の不審船対策というのは、今回のことを受けてどう変わったか、その点について長官はどのような御見解を持っているか、お尋ねしたいと思います。
中谷国務大臣 調査等に関しましては、実施をしています海上保安庁の方からの事実関係等について、それを見守りたいと思っておりますが、対応につきましては、昨年末の事案等を受けまして、その後政府として協議をいたしまして運用上の改善を幾つかいたしました。
 第一には、早い段階から不審船情報を関係省庁間で共有をして、政府の初動方針を確認する。
 第二点は、不審船については海上保安庁が第一に対処するわけでございますが、工作船の可能性の高い不審船については、不測の事態に備えて、政府の方針として自衛隊の艦艇も当初から派遣するというふうにいたしました。
 第三点は、政府としての武装不審船の対応要領を策定するということで、お互いに情報を共有して速やかな対応をするということでございます。
 それからあと、装備上の措置といたしましては、不審船の追跡能力の向上、現場職員、隊員の安全対策のための措置を講ずるわけでございますが、今後引き続き武装不審船の対応要領の策定などの検討作業を行ってまいります。
 防衛庁としても、今後とも不審船の対応につきまして万全を期したいと考えております。
渡辺(周)委員 ここで、結果的に今回は弾が、向こうも銃弾を撃ってきたわけでありまして、その生々しい映像は私どもも当然まだ記憶の中にあるわけでありますけれども、実は発砲をしてくるという現実の想定をしていなかった。しかも、その次は、実はこういう重武装があって、一つ間違えば大変な被害を我々もこうむっていただろうと思われるわけであります。
 こうした船が実はもう何度も出入りをしておりまして、これもまた報道を前提に質問して大変申しわけないのですけれども、実はこの船自体が上海沖に停泊していた母船から給油等を受けていたんだというような報道がされました。しかも、それはアメリカから、偵察衛星がその情報を得て、日本側には伝えてあったというふうなことなわけです。
 そうしますと、今お答えの中には、例えば、どういう武器があったかということは海上保安庁が調査をしていることは承知している。ところが、例えばそういう船があったということは、防衛庁は既にアメリカから、事件が発生したときには知っていたということであれば、お互いが何か事実を知っていながら見守っているという段階で終わっているのかどうなのか。そこにやはり縦割り行政の本当にちゃんとした危機管理がなされているのかどうかということについては、大変一縷の疑問を持つわけであります。実際この不審船がこういうことをしているということは、日本側として、その当時はある程度把握していたんですか。だとすれば、海上保安庁にそういう連絡は行っていたのですか。そこのところは我々まだ伺っていないわけですけれども、その点についてお答えいただきたい。
 そのことの反省を踏まえた上で、今後密接な連携をしていくというのかどうなのか、その点についても、もう一度御見解を確認したいと思います。
中谷国務大臣 お尋ねの、上海沖に大型貨物船に偽装した工作船が停泊をしたとか、食料、燃料を補給しているということ等についての報道があったということは承知をいたしておりますし、この不審船の事案については、発生以降、不審船と中国との関係についてもさまざまな報道が繰り返しなされておりまして、今回も報道がございましたが、そのようなものの一つと考えております。
 防衛庁の情報業務の具体的な内容につきましては、報道のような事実があるとかないとかお答えしても、防衛庁の情報関心、また情報収集、処理能力を明らかにすることとなりまして、事後の効果的な情報活動の支障となるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
 海上保安庁との連携、連絡等につきましては、さらに密接に連絡をとるという必要を感じておりますので、情報の連絡、交換等につきましては、密接に行えるようにさらに注意を払って努力をしてまいりたいと考えております。
渡辺(周)委員 それがお答えだと思うのですね。ですから、私は、あったとかないとかということを今ここで聞くことを深めるつもりはございませんけれども、そのようなお答えをされたということで、実はつかんでいたのだと私は肯定的にとらえるわけです。
 しかし、お立場上お答えできないというのも理解して物を言うわけですが、だとすれば、正直その中身がどういうものがあったかはわからないまでも、重武装していたというものに対して、やはり海上の警察活動を第一義とする保安庁が、まさにこれは能登半島沖の不審船が入ってきたときもそうでありましたけれども、こうやって例えれば、重武装した強盗団に対して何か丸腰のお巡りさんが、丸腰と言ったら怒られますけれども、警棒のお巡りさんが派出所から自転車で駆けつけていって互角に戦えと言っているというようなものでございます。この点については、とにかく、やはり海上保安庁それから防衛庁が、まさにこうした事実がわかったわけでありますから、縦割りにとらわれずに、情報交換を綿密にしながら、ぜひとも我が国の安全保障についてお考えいただきたいなと思うわけでございます。
 ここで時間がちょっとなんですので、次の質問に移りますけれども、この引き揚げに関しまして、中国の方からは補償を要請されているというような話がございまして、日本政府は応じる方向で調整しているというのですけれども、これは事実ですか、外務大臣。
川口国務大臣 中国からは、事件発生以来、漁民の方が、そこに巡視船がいますので、入れないということで、意見は、御要望はいただいているわけでございます。
 我が国政府としては、この中国の要望に対しては、真剣にこれを取り上げて誠実に対応するということで今協議をしているということでございます。
渡辺(周)委員 その点については、いかほどの額というふうに聞いても、検討中と言われるでしょうが、いつごろ結論を出される予定なんですか。
 具体的に、どういう被害があったということを日本側は把握して、その補償をするのですか。その辺はどうなっていますでしょうか。
佐藤政府参考人 この漁業の問題に関してでございますが、この点につきましてはこれまでも中国側から、当方の不審船にかかわる作業の過程で中国側の漁業者から、これこれこういうことで漁業ができなくなっている、あるいは、損害が生じているということで説明を受けております。
 他方で、当方として今の時点で具体的にどういうふうに対応するかということについては決めていないわけでございますが、ただいま大臣が申し上げましたとおり、誠意を持って対応するということを言っているわけでございますが、中国側の具体的な状況というものについては、引き続き中国側からきちっと聴取をした上で、我が国としての対応というものを決めていきたいというふうに考えております。
渡辺(周)委員 この点については、また次の機会にやりたいと思います。
 いずれにしても、外交交渉の中で、やはり我々として納得のいく形で中国と交渉していただきたいと思うわけでありまして、その点については申し入れをしまして、次の質問に移らせていただきます。
 それで、外務大臣、十二日から韓国の方に行かれるということでありますが、どういう目的で韓国に行かれるのか。巷間言われているところでは、北朝鮮政策を韓国側と意見交換するということでありますが、どういうようなことで行かれますか。
川口国務大臣 十二日からの韓国訪問につきましては、これは先日、金大中大統領が日本にいらっしゃいましたときに、小泉総理との間で外務大臣の訪韓ということでお話をいただいていまして、その後日程の調整をいたしておりましたけれども、十二日からということになったということでございます。
 私は、日本と韓国は非常に近い国でございますので、何か非常に大きなことがあるから行くということではなくて、むしろ日常ベースということで意見の交換をしていくということが大事で、時には、電話だけではなくて訪問をするということに意味があると思っております。
 今回、まず、日韓のワールドカップの共催の後出てきています日本と韓国の間の非常に未来志向的な日韓関係、このモメンタムを失うことなく、さらに育てていくということが大事だと思っておりますし、それから、先ほど委員もおっしゃったような黄海での銃撃戦もございましたので、そういったことも含めて、近隣の国際情勢についての議論もしたいと思っております。
渡辺(周)委員 幾つかあるテーマの中でお話をされると思いますが、私が大変関心を持っておりますのは、北朝鮮から中朝国境に逃げてきているいわゆる脱北者と言われる方々、この方々の問題については、これはアメリカも大変な関心を持っていて、日本でも関心が高まったのは、やはりあの瀋陽の日本領事館への駆け込み事件に端を発するわけですけれども、この点について議題とされるのか、また、外務大臣自体は脱北者の問題についてどのようなお考えを持っているのか、その点を伺いたいと思います。
川口国務大臣 まず議題のことでございますけれども、今の時点で何と何を議題にするということが固まっているわけではございません。
 それから、脱北者の問題について私がどう考えるかということでございますけれども、この間の瀋陽の総領事館事件というのは、我が国にとってこの問題の非常に基本的な背景としてある問題でございますので、我が国としてもこれについてどういうふうに考えるかということを、これは広く難民問題、亡命者問題という中で政府としても議論が始まっているということでございますし、韓国がこの点についてどういうふうに考えているかということについても意見を交換するといいテーマではないかと思っております。
渡辺(周)委員 そんなことじゃなくて、総領事館に逃げ込んできた人たちは、なぜそうして北朝鮮を命かけて出てこなきゃならないのか、そして、中朝国境の町に隠れ住みながら、なぜさまざまな手を使って第三国へ逃げることを望んでいるのか、この点について、では、外務大臣はどういう御認識を持っていらっしゃいますか。
川口国務大臣 脱北者の問題もそうですし、それから、ほかの国についても同じようなことが言えるかと思いますけれども、ある国を出てほかの国に行きたいという状況があるということは、その国の経済社会あるいは政治について、やはり基本的に不安定な要因があるということであると認識をしております。
渡辺(周)委員 とにかく、今、北朝鮮から中朝国境にいる方が大体三十万人、五万人から十五万人が脱出を希望しているとも言われるわけでありまして、その中で彼らは国へ連れ戻されると、例えばどういう迫害を受けるか、送還されるとどんな迫害を受けるか。北朝鮮の刑法四十七条国家反逆罪では、七年以上の労働教化刑に処するということになるわけであります。これは、私どもがこの間韓国でお会いしたノルベルト・フォラツェンというドイツ人の医師が書かれた本の中で手に入れた北朝鮮刑法を日本語訳にしたものを言っているわけであります。
 実際、こういうことがあって、連れ戻されたら自分たちには死が待っているんだということで、あの日本の総領事館のまさに門柱にしがみついたわけでありまして、ですから、彼らが連れ戻される、送還されるということは死を意味する。中にはポケットにネコイラズを持って、捕まったときには自殺をしようというつもりで逃げ込んでくる方がいるわけであります。
 その現状でありながら、例えば中国のある市では、そうした人間を今とにかく取り締まれということで奨励金を出して、かくまった人間から罰金を取り、そして見つけた人間にはその罰金から今度は奨励金を出して、どんどんかくまっている人間から見つけるわけです。その数は一日に百人とも言われまして、その人間が北朝鮮に連れ戻されている。
 ということで、非常にこれからNGOに対する圧力も間違いなくかかってくるわけです。実際、この支援をしているNGOが捕まえられて、例えば韓国人の神父、こういう聖職についている方ですら今もう取り締まりの対象になるということで、これから恐らくNGOの力も抑圧されざるを得ないだろう。そうなると、いろいろな手を使って逃げてくる方々はふえることは絶対に間違いないというような見方もあるわけでございます。
 ですから、韓国へ行かれたら、中朝国境にいる北朝鮮の方々の問題、この非人道的な問題については日本としても考えているということはぜひ韓国側に言っていただきたいわけであります。我々のレベルで民主党あるいはハンナラ党の方とお会いしたときも、その点については言ってきたわけでございます。日本政府としても、やはりその点については言っていただきたいと思うわけでございます。
 そこで、重ねて御質問ですが、実際そういう話があったんですけれども、そういう逃げてきている方が、つまりもうNGOの力では脱出できないとなったときに、例えばそうした出国を支援するような方々がいて、その人たちがどこかの船に乗っけて日本へ来るということも十分あり得るわけです。実際、そういう可能性もあったのではないかと一部指摘をする声もあるわけですが、例えばこういう脱北者が日本に来た場合どうなるか。そのうちのある人間がかつて在日、日本にいて帰国運動で帰った方であるならばどうなるか。その点については、法務省きょうお見えですか、どうなるのか教えていただけますか。
中尾政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御質問のケースの場合につきましては、一般論で申し上げざるを得ませんが、基本的には私どもの入管法の建前から申し上げましたら、個別的に入国審査を行わざるを得ないことになります。御質問のような場合には、通常、当該外国人につきましては渡航文書を所持していないものと考えられますので、入管法上は不法入国者として退去強制手続をとることになろうかと思います。
 また、その次に御質問いただきました在日の朝鮮人あるいは韓国人の帰還の関係で帰られた方々の家族でありましても、当該外国人につきましては、先ほど申し上げたと同様の取り扱いにならざるを得ない、こういうことになります。
渡辺(周)委員 例えば、かつて日本にいて日本国籍を持った、あるいは日本人妻としてかつて一九六〇年代ですか、帰国運動の中で北へ帰った。ところが、その中で、もう時間がありませんから多くは申しませんが、いろいろないきさつがあって国へ帰りたいということで、越境して中国にいた。そして、こっちにいるその家族が、では戻すんだということになって、例えばいろいろな手を使って帰国をするというときになった場合には、例えば、日本にいた方ということであるのならば、それは日本人として国籍がなくても日本にいたという事実、例えば親族がいるとか引受人がいるということになれば、これは日本国民として認められるのでしょうか。
 そしてまた、そうでない、例えば一世が逝ってしまった、ところが、今度はその間に生まれた子供がいる、この方が日本に帰ってきたときに、自分の先祖は日本にいたんだということになった場合、どうなるわけですか。その点を教えていただけますか。
中尾政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもとしては、国籍法の関係は私どもの所管ではございませんが、少なくとも私どもの方で承知している限りにおきましては、我が国の国籍法の運用におきましては、単に北朝鮮に渡っただけで、当該かつて日本人であった者が日本国籍を失わないということになろうかというふうに承知しているところでございますので、あくまでもそういう方々については邦人ということになりますので、私ども外国人を対象としておるわけですけれども、先ほど申し上げたのはそういうことでございますが、日本人であるということになりますので、帰国の確認をするということになろうかと思います。
 子供等の関係につきましては、これまた国籍法の関係で、これは届け出の有無にかかわっていると私は承知しているところでございますが、届け出によって多分日本国籍を有することになろうかと思います。したがいまして、その限りにおいては日本国籍を持つ者として取り扱う、こういうことになろうかと思います。
渡辺(周)委員 時間もありませんけれども、なぜ私がこのことを申し上げたかといいますと、当面する大きな日本の危機管理ということを考えれば、これをある意味での安全保障問題として考えれば、やはりそういう事態は十分に考えられると思うのです。
 つまり、NGOの手によって例えば領事館、大使館に駆け込むという今までのやり方から、NGOが、一部は金大中政権の太陽政策によって刺激をするなというプレッシャーもかなりかけられているということでその活動が非常に鈍ってきた中で、中国当局は非常にNGOの支援者の摘発も進めているわけであります。
 そうすると、これはいろいろな手を使ってとにかく逃げなきゃいけない、つまり、それは、難民という扱いはされないけれども当面の現状から逃れるということで、当然出てくる方々が予想されるわけでございます。また、いろいろ専門家に聞きますと、こういう可能性は大変あり得る。
 そのときには、言われているように、いかだに乗って例えば何百人、何千人が一気に海を渡ってくることはあり得ないけれども、しかし、例えばどこかの国の船の中に何十人、何百人と潜んで日本の港に逃げてくる、そして、そのときに初めて、自分たちは不法入国ではない、難民なんだ、つまり北朝鮮の抑圧の中から我々命からがら逃げてきたということが日本の中で起きたときにどう対応するかということは、とにかく現実に今考えていただかないと、これは、事が起きたときにはまた日本は間違いなく後手に回る。そういうことにつきまして、強く私どもとしては日本国政府の対応を考えておいていただきたいと思うわけであります。
 最後に、外務大臣、訪韓されるときに、こうした今の韓国政府に対して、朝鮮半島問題、特に脱北者の問題について、ぜひ、まだテーマは決まっていないとおっしゃっていましたけれども、この点については、どうか日本側から提案して、議題としていただきたいわけですけれども、その辺、どうですか。再度お伺いします。
川口国務大臣 まだテーマは決まっていないというのは先ほど申し上げたとおりですけれども、韓国と日本の国の、近くの国の情勢というのは、非常に大きな両国にとっての関心事だと私は思います。
渡辺(周)委員 この問題と、そしてまた我が国が抱える日朝間の最大の懸案であります拉致問題、この点については、とにかくさまざまな外交チャンネルを通じて、ぜひとも認識を共有していただけるように、川口大臣にはぜひ御奮闘いただきたいと思います。
 終わります。
玉置委員長 次に、大出彰君。
大出委員 こんにちは。民主党の大出彰でございます。
 きょう私は、厚木の、アメリカ軍の海軍飛行場の隣のといいますか、昔は神環保といいまして、今は株式会社エンバイロテックというところから、いわゆるダイオキシンの問題で、大気汚染、そして米軍の方々あるいは軍属の方、家族の方、あるいは米軍に従事している労働者の方、あるいは住民の方々に被害が及んだということがありまして、現在はエンバイロテックというのは撤去されているんですが、それに絡みまして、いわゆる鈴木宗男氏の関与の問題や、あるいは撤去された後もその後の問題等ありますので、きょうはそれを中心に質問をさせていただきます。
 政府の方にもお尋ねをすることがあるものですからお伺いを立てましたところ、どうも十五分ぐらいたってから官房副長官が来られるということでありますので、若干前後したりしますけれども、お許しをいただきたいと思います。
 まずは環境の方で、ダイオキシンの問題なんですが、実は、このエンバイロテック関係の問題の中で、環境モニタリングというのを行っておりまして、これは三月二十七日だと思いますが、私の同僚の参議院の齋藤勁氏が質問しておりまして、大気の環境調査結果ということを環境モニタリングの成果として、平成十一年、平成十二年と聞いて、平成十三年についても聞いているのですが、平成十三年という年は二〇〇一年ですが、このときにエンバイロテックの施設が四月三十日に稼働を停止して、その年の十二月十四日に撤去されることになるわけで、それまでの間のモニタリングを行っているということなんです。
 ところが、当時質問なさったときには結果の取りまとめ中であるということで、一つ宿題が残っておりますので、これについて、まず環境省の環境管理局長さんの方にお尋ねしたいと思います。
西尾政府参考人 先生御指摘のとおり、三月二十七日の段階でモニタリングの経過につきまして御報告申し上げました。そのうちお尋ねは、日米共同でやっておりますモニタリングの第三回目のものでございます。平成十三年四月三十日にこのエンバイロテックが稼働を停止いたしまして、同年十二月十四日に撤去されたということで、平成十三年四月から撤去の日まで継続してモニタリングを実施したことでございます。
 この結果についてでございますが、環境省におきまして分析、取りまとめは行っておりますが、その最終的な結果ということにつきましては、現在なお米側と確認中でございます。そんなに長くはかからないと思っておりますが、米側の確認作業、手続というものが終了次第公表したいと思っています。(発言する者あり)もう少しだと思っておりますが、手続段階だと思っております。
 なお、実際どういう値であったかという感じをちょっと速報レベルという言い方をさせていただきますると、ダイオキシン濃度につきましては、撤去後、五月以降の数字で見ますと、ダイオキシン類濃度は環境基準を大きく下回っておりまして、一般的な地域と変わらないレベルに低下しているというふうに考えております。
大出委員 下回っているということで、前回の三月二十七日の段階でもそういう予測になるだろうという話だったと思うのです。まとまりましたら、御報告をいただきたいと思います。
 続きまして、これも齋藤勁氏が参議院で質問をして、三月の二十七日と、それから外交防衛委員会で四月の十一日に質問をしておりまして、それについて、防衛施設庁の方からことしの四月十六日に、いわゆる「株式会社エンバイロテックの買い取り案等に係る経緯」というペーパーが出ておりますので、このペーパーに基づいてまずお尋ねをしたいと思います。
 このペーパーに、ページ二の四のところなんですが、「平成十一年八、九月、焼却炉を含む同社全体の買収についての議論があった。」、六のところで、「当時官房副長官の職にあった鈴木議員にも、本問題について説明・報告していた。」、そしてその後に、「同社を買収する案に関心を示したことは事実であることが確認されている」、こうなっているんですね。
 ここで、報道等で有名でありますところの、まず、「防衛施設庁幹部を怒鳴りつける声が響きわたった。」、「買い取れ」、「そんな金額は積み上げられません」、「日米関係の重大事だ。何とかしろ」、「規則がありますから」、「規則を変えろ」、こういう有名な報道でございますが、それについて聞かれているわけですね。六のところで、「鈴木副長官が当庁の幹部を怒鳴りつけたり、圧力をかける等のやり取りがあったというようなことは確認されていない。」とこれに書いてあるわけですね。
 しかし、これだけでは、上の報道というのはかなり具体的な報道でございまして、これでは余り具体性がありませんので、どういうやりとりがあったかを詳しくお尋ねしたいと思うんです。
 というのは、齋藤勁議員が三月二十七日のときには、買い取れの指示について質問しているんですが、お答えがなかったんですね。四月十一日のときも「具体的に金額を示されたんですか。」と質問しているんですが、現場でもお答えになっていないし、このペーパーにも実は書いていないものですから、その点についてちょっと詳しくお願いします。
嶋口政府参考人 本件につきましていろいろ報道があることは承知しておりますけれども、報道でございますので、私の方からそれについて一々コメントすることはまず差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、調査いたしました。どなられたとか買い取れとかということについて、記録的には一切ございません。ということで、当時の担当者から聞き取りを行いました。当時の担当者の記憶として、買い取れとかそういうことでどなられたということはなかった、ヒアリングの結果でございます。それを淡々とそれに書いた次第であります。
大出委員 今、買い取れというのはなかったという、このペーパーどおりだということのようでございます。
 そこで、その関連で、実はこの二ページの五のところに、会社の買い取りについての検討を中止したのが平成十一年の十月下旬としているんですね。どうも私はいろいろ、ほとんど報道の域を出ませんけれども、見てくると、十月下旬ではなくて、九月の段階で既に買収は不可能という結論に至っていたのではないかと実は思っているんです。
 と申しますのは、当時の、九九年の九月の一日に、防衛施設庁次年度予算に約十二億円の概算要求が九月の段階でもう出ているんですね。これは煙突の百メートル化の話なんですね。そうしますと、そのときは実は買い取りじゃなくて煙突化になっていたんですが、宗男官房副長官さんが話を蒸し返したといいますか、そうなったのではないかというちょっと疑いがあるんですが、その点はそうではないんでしょうか。
嶋口政府参考人 この件につきまして、買い取り案につきましては、その中でお答えしているとおり、八月から九月ごろにかけてそういう案が浮上してきた。いろいろ意見があったようでございます。そういうことで検討を始めた。その中で鈴木先生にも適宜説明に行ったということは、当時大変な日米間の、外交案件とまでは申しませんけれども、それに発展しかねないような重大な問題、当時官房副長官でございますので、そういうことで説明に行ったということでございます。
 先生御案内のように、概算要求というのは八月末までにまとめるということで、それをどうするか。しかし、八月、九月でそういう案が出てきて、検討中でありますので、当時、到底成案は得られなかった。高煙突化については、当時、一応考えておりましたから、概算要求にのせた。その後、八月、九月に検討して、そして買い取りの方につきまして会社の方から額が提示されました、会社の方からでございます。それは百億をはるかに超える額ということでございます。私どももこの買い取りについて一応検討しておりますので、コンサルタント会社というか、関連会社に見積もりをとっております。それに比べてはるかに高いということでございまして、そういう作業をしていって、確かに九月にはもうその作業をしております。十月になりまして、これは到底無理だ、余りにもかけ離れた数字なのでということについて結論を出したというのが十月ということでございます。
大出委員 今、百億を超える額であるということで、具体的にはなかなか言えないんでしょうけれども、報道等で五百億だとか何か出たりしておりますけれども、百億を超えたというところではいいわけですね、認識としては。――はい。
 そうすると、では、その当時は、鈴木宗男議員も買い取りの方向とそれから高煙突化の方向と両方を認識しながら話し合いをしたということなんでしょうか。
嶋口政府参考人 その十一年の段階におきまして、既に高煙突化についてはいろいろ議論の中で出てきた、当時としては本命であったという話。その中に、これでは不十分だというようなこともございまして、会社全体買い取りができれば、それは抜本的な解決策になるだろう、そういう一つの有力な案であろうということの検討は開始された。
 ただ、今申し上げましたように、百億をはるかに超える額、私ども、適正のために一社じゃなくて数社に、こういう場合はどのくらいかかるんだろう、その額と余りにもかけ離れている、とてものめないということで、十月に結論を出し、その旨につきましては鈴木先生のところにも説明に行っているという次第であります。
大出委員 まだ官房副長官来られませんので、後にその辺の話をすることにしまして、それでは、廃棄物処理工場を撤去したわけですが、もともとここに、神環保の前あたりからでしょうけれども、廃棄物の処理施設ができたのはいつだったんでしょうか。
嶋口政府参考人 昭和五十五年三月三日から操業が開始されたというふうに承知しております。
大出委員 官房副長官が来られたので、ちょっと今の質問を中断して、早速お尋ねをさせていただきます。
 報道によりますと、幾らで処理工場を売るのか、私は米国政府にも日本政府にも一任されていると鈴木宗男さんが言っていると報道されているんですね。鈴木さんの話ですから私にはわからないとおっしゃるんだと思いますが、一般的に、このように官房副長官であるときに、米国からも日本政府からも一任されているということがあるんでしょうか。
安倍内閣官房副長官 鈴木議員がそのようなことをおっしゃったということは承知はしておりませんが、平成四年以降、米国からは、首脳レベルを含んでさまざまなレベルで、当該地区の大気環境の改善の要望が出されていたわけでございまして、政府全体としても所要の措置を講じていたわけでございます。当時、鈴木議員は官房副長官でございました。当然その任に当たられたんだと思うわけでございますが、だからといって一任されているということではございません。しかし、当然、官房副長官として解決に奔走されておられたんだろう、このように思います。
大出委員 私もこの一任ということと御本人が官房副長官であるということで、どういうふうに考えたらいいのかちょっと悩みました。
 もし、権限がないのであれば、無権代理なわけでございますから、そうするとこれはどうなるのかな、このことによって国から本来違法でないお金が出てくるなら問題ないわけですが、違法なお金を引き出したということが起こったとすると、権限のあるなしによって、詐欺罪の問題やあるいは背任罪の問題が起こるような話なのかなと実は思ったんです。それは可能性の話であって、そうだと言っているわけではございませんし、いろいろな報道等で見ていきますと、適正価格といいますか、合法な価格であったとなれば全然問題は起こらないということでしょうね。
 そんな意味合いで、ぜひ一度、一体官房副長官の権限というのはどんなものかというので、ちょっとお聞きをしたかったわけでございます。
 続きまして、せっかく来ていただきましたので、立て続けに三つほど質問をさせていただいて、お忙しいので、お引き取りをいただこうと思っております。
 次に、鈴木宗男さんがこう言いましたという報道が出たほかに、これは九九年の話だったようなんですが、次の年になりまして、同じように買い取り問題で鈴木宗男さん以外の議員さんが首相官邸に働きかけたというようなことはあったんでしょうか。その辺は御認識しているでしょうか。
安倍内閣官房副長官 この問題については、私が取り組んでいたというわけではないわけでございますが、私のところに同僚議員から話があったということはございません。
大出委員 そこで、この問題は、買い取り自体の交渉の話の問題と、もう一つは暴力団絡みの話が出てきているんですね。
 そこで、きょうお呼びした理由の中に、安倍晋三官房副長官に仲介者の暴力団関係者に会ってくれと要請をした議員がいるというような報道があったんですね。その点についてはどのように認識しているんでしょうか。
安倍内閣官房副長官 この交渉は大変困難な交渉であったというふうに私は聞いておりますが、私のところに、だれか議員から暴力団関係者に会ってもらいたいというような依頼は一切ございません。
大出委員 今、依頼はなかったということですが、同じように、同じ内容の、仲介者の暴力団関係者に会ってくれという、そういう内容の手紙が来たことはありませんか。
安倍内閣官房副長官 ございません。
大出委員 そのような手紙が来たのではないかというふうにマスコミの方から聞かれたことはございますか。
安倍内閣官房副長官 それもございません。
大出委員 報道等でお名前が出て報道されておりましたので。一応この問題についてはこれだけでございますので、お忙しいところありがとうございました。お引き取りください。
 続きまして、先ほどの廃棄物処理施設、五十五年三月にできたということでございました。それでは、その廃棄物処理施設の反対側であるところの家族住宅はいつから建て始めたのか、お答えいただきたいです。
嶋口政府参考人 厚木基地内における家族住宅につきましては昭和五十四年度からやっていまして、トータルで八百四十戸でございます。それから、問題となっておると申しましょうか、産業廃棄物、排出ガスが直接吹き当たる家族住宅は、平成五年、六年で百三十六件、検出したものでございます。
大出委員 処理施設の方が五十五年にできて、家族住宅の一番最初は五十四年ですから、まさに家族住宅の方が先だったことは事実なんですね。
 ところが、次がまた問題なんですが、アメリカからいわゆるダイオキシン問題で正式に改善要望が出されたのはいつの時点でしょうか。
嶋口政府参考人 正式にというか、ダイオキシンの改善要望ということでなければ、平成四年四月に、環境分科委員会において米側から悪臭と煙害の問題について指摘があったというふうに承知しております。
大出委員 それで、平成四年、平成四年というのは要するに九二年なんですが、このころからいよいよアメリカがうるさくなってきたといいますか、そういう状況なわけですね。
 そうしますと、九二年から平成十一年まで建築あるいは改築を行っているわけですね。その推移はどのように、新築、改築の家族住宅はどうなっているのか、お伺いしたいんですが。
嶋口政府参考人 平成五年度で一棟、平成六年度で二棟、平成九年度で改築が二十棟、平成十一年度で改築五棟でございます。
大出委員 その四年間、建てかえたり建てたりしているわけですが、その新築、改築の費用は九二年度以降幾らだったんでしょうか。
嶋口政府参考人 平成五年度が三十四億でございます。平成六年度が八十三億、平成九年度が四十七億、平成十一年度が約十九億でございます。
大出委員 これは、施設撤去を行ったことによって補償費用が五十一億六千万かかっておりまして、撤去作業で十七億で、大体六十八億ぐらい以上かかっていることになっていまして、考えるところ、相当余分な出費になっているわけですね。
 そうしますと、九二年ぐらいから、アメリカ軍からいろいろ言われてきているときに、にもかかわらず、同じ場所に、米軍の中で、厚木の中で建て続けているなり改築をしているわけなんですね。もともとこの厚木基地の中の住宅地域というのは、綾瀬の工業団地といって数十社あるところですね。それで、工業専用地域というところに隣接するわけでございますから、もともとが人が住むのに適していない場所なんですね。それに建ててきてしまったことに問題があるのではないかと私なんかは考えるわけですね。当時は当然ダイオキシンの有害な煙もかなりもくもくなっていたわけですから、その辺はどんなふうにお考えなんでしょうか。
嶋口政府参考人 工業団地等の問題について、私ども所管外ですからお答えは差し控えさせていただきますけれども、確かに先生の御指摘のような意見もございます。
 その中で、なぜ海軍住宅を建てたのかということでございますけれども、もともと海軍家族住宅というのは大変不足しているということで、米側の方から累次強い要望が繰り返し繰り返しございました。いろいろ事情を考えますと、ほかの場所では到底建てられない、どうしても基地の中で建てようということでございます。
 じゃ、なぜ煙害というか、があったのかということでございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、平成四年四月に米側から指摘があって、そのことを環境分科委員会、政府全体として、また県も含めてこれは対応していこうという中で、一方で非常に厳しい住宅事情があるから並行してやっていこうということでやったものでございます。
大出委員 並行してやって、結果的にほかにしようがなかったということなんだと思いますが、確かに地図等を見ますと、密集したところで基地以外のところにないというのは事実ですが、最終的なお金の出方がやはり多く出ていますので、本当ならば、この補償費あるいは撤去費用、作業費などがあれば百何十棟が建てるようなあれですよね。そうすると、その部分が相当むだになっているのでないかと実は思ったものですから、むだ遣いをなくすという意味ですよ、そういう意味で質問をしているわけなんです。
 まずはその部分が、多分、結果的には確かに撤去をされているわけですから、意外と周り近所の方々は喜んでおられる方も当然おられますね。ただ、十何年もかかった懸案事項でございますから、いろいろ考えてきたんだけれども、結果的にこれしかなかったとおっしゃるんでしょうけれども、やはりできる限り出費を少なくするためにはもう少し配慮があってよかったのではないかと感じてしまうところでございます。
 今、撤去の話をしましたので、二、三、撤去に絡みましてお答えいただいていないようなところをお聞きしたいと思います。
 百メートルの煙突については、幾らかかったかということや内訳がいろいろな委員会で述べられているんですね。ところが、補償費のところになりますと、五十一億六千万の補償資金と十七億の解体費用ということは言ってありまして、その支出の根拠は日米地位協定でやるということはありますが、最終的に、煙突なんかのように、例えば基礎工事金額が五億六千万ですよ、そういう詳しいのがないんですね。その辺はお答えはいただけないんでしょうか。損失補償基準についてはいろいろな委員会で述べられておられるようですけれども。
嶋口政府参考人 この問題につきまして、私ども、決して隠しているわけではございません。
 ただ、基準として、政府部内としては、その補償金を払う場合の根拠に基づいて払っているということで、差し支えない範囲、個人の、相手がどのぐらい具体的というのはあれですけれども、その中では申し上げることもできます。
 例えば焼却炉補償額、これは新設費引く減耗額、それから、新設までの期間の焼却部門に係る一部従業員の給与補償、リース契約物件の解約損害金相当額、附属建物新設費、移設先の環境アセスメント等でございます。
 細かい数字は今ちょっと手元にございませんので、よろしければ別途御報告したいと思います。
大出委員 どうもマスコミ等によりますと、防衛施設庁の方にお伺いに行くんでしょうね。そうしますと、それぞれ幾ら幾らということまで多分教えていただいていないんだと思うんですね。その中に書いてあることが、いや、詳しい内容を公表しないのは、企業秘密であるエンバイロテックの個別資産まで明らかになってしまうからというような答え方をしているようなんですが、できる限りやはりその辺は明確にしていただきたいと思います。
 これは、昭和三十七年の中央用地対策連絡協議会が定めた公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づいてやっているということですね。そういうことですね。確認をいただきます。
嶋口政府参考人 そのとおりでございます。
 それから、先ほど個別の中身、経費の項目を申し上げましたけれども、例えばその会社の信義の問題、資産内容ということなので、その点を差し控えさせていただいて、差し支えない範囲でお答え申し上げたいと思います。
大出委員 今はなくなっていて、先ほどの環境基準においても大丈夫であろうということなので、周りの住民の方は多分安心しているんだと思うんですが、ただ、ここからエンバイロテックがいなくなったわけじゃないんですね。ですから、今後どのようなことになるのかということがやはり実は心配なんですね。綾瀬市なんかもそうなんですが。
 このエンバイロテックというのは跡地をどのように利用しているかということ、認識あるでしょうか。お願いします。
嶋口政府参考人 会社会社で生きていくわけで、そのためにいろいろな活動をされるということでございまして、それについて一々私どもは承知しているわけではございません。
 ただ、こういうことで、焼却をした、してもらった、きちんとした補償額を払いました、それは契約で確かめているわけです。
 同時に、焼却というやり方、産業廃棄物処理、それを一切やめていただくために地役権を設定しております。地役権を設定して、一切焼却等の行為は行えないということは担保しているところでございます。
大出委員 焼却施設があったところに地役権を設定する。確かに、そうすると焼却施設はできませんね。ところが、周りが有興の関連土地なんです。そうすると、ほかに何をつくられるかというのも本当は心配なんですね。
 どうも、エンバイロテック社に聞いたところによると、跡地にはごみの圧縮こん包施設などを考えているというんですね。別の場所への焼却炉建設は検討中だが、市内にはつくらない、こう言っているというんです。ところが、綾瀬市なんかは、今回の脱税事件を見ても信頼が置けない、跡地を廃棄物の埋設施設にしたり、付近の所有地に別の焼却炉を計画しなければいいがと心配しているわけですよ。
 ですから、やはりこの辺も、九二年からの懸案でございますので、注意をして、またトラブルが起こらないように監視をしていただきたいと実は思っています。
 そして、最後になりますが、このエンバイロテックをめぐる問題の中で、実は、被告人の村田さんという方が法人税法違反で判決が出ているんですね。横浜地裁で判決が出ておりまして、それを読んでみてびっくりしたのは、判決文ですのでそのままちょっと読み上げます。名前は村田さんに関しては出ていますから読みますが。
 被告人村田は、被告会社が産業廃棄物事業を展開するに当たり、暴力団や右翼団体の関係者とのトラブルになることも多かったことから、そうした場合に、暴力団稲川会長とも深い親交のあった元稲川会系暴力団組長Aを後ろ盾とし、その威をかりて被告会社に有利な収束を得てきたもので、損金と主張できないような経費の捻出や利益の確保などから裏金をつくるべく、各社を利用して被告会社に架空外注費を計上するようになった末、本件犯行に至ったことがうかがえるのであり、その経緯、動機に酌量の余地はない。これは五十一ページに書いてあります。
 そして、もう一つ、元組長Aに渡った金員についても、一部稲川会関係者に渡っていることもうかがわれることなどに徴すれば、元組長Aに渡される金員は、元組長Aを頼みにして稲川会の威力を利用するなどするためのものであり、これは三十七ページ。これは何と合計十七億六千五百九万九千円、暴力団関係者というところの組長に支払っているんですよ。
 これは相当、それは結果論ですよ、結果論ですが、援助、助長していることになってしまっている。十七億六千五百九万九千円ですからね。こういう問題が起こりそうだということは、交渉の過程でわからなかったですか。
 これで終わりにします。
嶋口政府参考人 今、先生からお聞きして初めて知った次第でありますけれども、いずれにいたしましても、煙害問題、ダイオキシン問題を解決したいということで適正に処理したということでございます。
大出委員 質問を終わります。ありがとうございました。
玉置委員長 次に、石井紘基君。
石井(紘)委員 最初に、防衛政務官の木村太郎さんと、同じく山下善彦さんにおいでをいただいていると思いますが、どちらかは何か病院に行かれているとかということですが、一応お二人に伺いたいと思います。
 鈴木宗男さんから大分献金を受け取られたようでございますが、それはいつ、どういう名目で受け取られて、それをどういうふうに処理しているのか、お答えをいただきたいと思います。
木村長官政務官 去る三月七日、参議院の予算委員会の場で民主党の福山委員から、また、先週水曜日にも民主党の木下委員から決算行政監視委員会の場でも同趣旨の御質問を受けまして、お答え申し上げましたが、お答えを申し上げます。
 平成十二年におきまして、我が党の北海道参議院比例区第一支部から私どもの青森県第四選挙区支部に、平成十二年の四月二十七日、五百万円、八月九日、百万円の二回にわたって、合計六百万円の寄附を受けております。
 また、同じ党の先輩後輩という交流や、選挙区が隣接道県という、そういった交流の中で御寄附と思っております。
 三つ目でありますが、二年前の政党支部間での寄附であり、基本的には全く別の事柄と私は思っておりますが、この件で国民や地元の皆さんにいささかも心配をかけるのは私の本意ではなく、よって、去る三月二十二日返却し、地元紙を通じても御説明し、報道されているところであります。
 以上です。
石井(紘)委員 もう一人はどうしたの、山下さんは。何か病院に行っているの。事前にそういう話はありました。病院に前々から行く予定だったので、私の方も急でしたので、出られないということでございますから、またそれは改めてということになると思います。
 ありがとうございました。
 次に、以前私もこれは明らかにしたことなんですが、沖縄の米軍施設用地に貸している土地の所有者でつくっている土地連というのがありまして、その土地連が鈴木宗男氏に、地代の増額を要求するに当たって盛んにお願いをした、そういう文書が平成十年八月二十六日付でありまして、これは平成十一年度の概算要求に当たって、この予算の増額を求めたものなんですが、この文書ではこういうふうに書いてあるんですね。
 「土地連は平成十一年度概算要求増額要請に当たり、前沖縄開発庁長官である鈴木宗男衆議院議員にお願いしたことから、当庁は」、これは防衛施設庁ですね、「当庁は鈴木議員の御指導を頂き三・五%を確保したところであり、」。だんだんと上げる割合が減っておりまして、この前年度は、十年度はたしか三%まで伸び率を下げていたはずですね。それをまた再び三・五%に上げたということにおいて、鈴木宗男氏に土地連がそれを要請して、鈴木氏は施設庁に働きかけて、最終的に三・五%に決着した、こういうことを示した内部文書なんです。
 これに対して、私に対する回答が、ちょっと古いんですが、四月の八日に文書でもって出たんです。それによりますと、一部読み上げると、こうなっております。
 平成八年度及び十一年度概算要求においては、鈴木議員に対し、対前年度伸び率も含め土地連との調整状況を詳細に説明するという異例とも言うべき対応を行っていたとの聞き取り結果が得られており、この点、防衛施設庁の施策が適正に行われていたか否かについて疑念を抱かざるを得ないものと考えており云々と、こういうふうになっているわけです。
 まさに今、鈴木氏は、逮捕勾留されて、起訴をされて、取り調べ中であるわけですが、こうした文書から、少なくとも平成八年度と十一年度の概算要求においては、彼が相当な役割を果たして、その結果、土地連に対する地代の値上げ率が決まった、こういう経過は明らかであるわけです。
 同時に、鈴木氏は、沖縄の土地連から政治献金を多額に受けておりました、平成十一年度、十二年度。それで、十二年度の場合には、たしかこの土地連の事務局長が鈴木氏の議員会館の部屋に来て二百万円置いていったようです。私も沖縄の土地連に行って会ってまいりましたが。
 それで、その際、鈴木氏本人じゃなかったんですが、それを渡したと同時に、そのときにリストを渡して、そのリストは、土地連のメンバーが、会員が書き込まれておった。十人でしたか、二十人でしたか書き込まれておって、鈴木氏の方は、その氏名、住所を届け出て、政治資金収支報告に記載をしたわけですね。
 ところが、それらの地主の皆さんは、自分たちはあずかり知らぬところだ、そんなことは全然知らないぞ、知らなかったということでありましたので、ある新聞社が鈴木氏の事務所に問い合わせをしたところ、それは土地連の方の処理の仕方の問題なんだ、こういうふうに答えております。
 もしそうだとすると、これは処理の仕方が、鈴木氏の方と土地連の方の間で処理の仕方の問題がなされていって、そして鈴木さんの方は、言われるままに書いただけなんだ、こういうことなんですが、どういうことかというと、考えてみればこれは、もともと二百万円を受け取るということになっていて、そして処理の仕方については後の問題であったので、つまりそれは打ち合わせも何もしていなかったということを意味していますよね。
 つまり、この二百万円は明らかに、どうも常識的に考えれば、値上げ率を上げた、あるいは値上げ率に関して鈴木氏が、ここの表現によれば指導した、防衛施設庁に対して物を言った、それに対する見返りであるということは明らかなんじゃないでしょうかね。
 ですから、防衛施設庁は、この点については、お金のやりとりは別として、鈴木氏がこの値上げ率の決定に対して介入したということについては、やはり責任を持って調査する、そして何がどうであったかということを明らかにする、その責任があると思いますよ。
 ですから、その概算要求の間に鈴木氏とのやりとりがどういうことであったのか、この詳細を改めて出していただきたい。今答弁できないと思いますが、そういう責任があるということを申し上げたいと思いますが、防衛施設庁、いかがですか。
嶋口政府参考人 先生御指摘のとおり、先生の御指摘によって、私ども、四月八日に先生の質問に対してお答えするということで徹底的に調査いたしました。その結果をまとめたのがこれでございまして、再度調査ということはいかがなものかと思っております。
石井(紘)委員 では、今捜査も行われているし、司法の場で解明が進んでおりますから、その結果に照らして、防衛施設庁は今、もう調査をする必要がないと言ったわけですから、これはまた事と次第によっては、そのこと自体大きく責任を問われる、こういう問題になるということだけ覚悟をしていただきたいと思います。
 次に、今度は外務省の問題に移ります。防衛庁の皆さんは御苦労さまでございました。
 外務省で、例の北方三島に対するディーゼル発電施設の建設支援ということでありますが、これは一つは支援委員会の位置づけとも大きく本質的には関係がある問題だろうと思います。支援委員会というのは、旧ソ連の、例の市場経済化ということに対して支援をしていくというようなことが書いてございますが、この中の緊急人道支援という課題の中で行われた事業であろうというふうに思います。
 そういたしますと、まずそこを確認させていただきたいと思います。北方三島に対するディーゼル施設建設は緊急人道支援として行われたのかどうか。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 北方四島におきましては、社会施設の老朽化及び九四年十月に発生しました地震災害による損害等が深刻な問題になっておりまして、住民の生活に不可欠なエネルギーの欠如に対応する措置ということで、協定上の緊急人道支援ということで……(石井(紘)委員「緊急人道支援として行われたかどうか、一言」と呼ぶ)協定上の緊急人道支援ということで供用したというふうに理解しております。
石井(紘)委員 余計なこと言わないでくださいよ、時間がないんだから。
 緊急人道支援として行われたということであります。それで、その経過の中には、もちろん橋本・エリツィン会談等々もあって、ディーゼル発電施設を建設してやろうということの経過がいろいろございます。
 ただ、そういう中で、支援委員会が調査をかなり入念に行ったわけですね。その結果、国後島については、これは既存の発電施設の改修で、二億六千万ぐらいかけて改修すればいい、そういう調査報告が出た。その調査報告を読んでみますと、これはまさに緊急という意味においては新たな建設というものは必要ないということになっております。
 しかし、その後、いろいろな経過、うやむやな経過が多いわけですが、最終的には、国後島に発電施設をつくる、八百キロワット四基をつくるということになってつくった。そのつくるに際して、またPCI、パシフィックコンサルタンツインターナショナル、このコンサルタント会社に調査報告を出させた。その調査報告を見てみますと、今度は一転して、これは緊急というような言葉が消えてしまっておりまして、この生活需要を中長期的に満たすため、こういう趣旨になっておりますが、それはどういうふうにお考えになりますか。そのことを認めますか、認めませんか。
齋藤政府参考人 個々の支援案件が緊急性を有するものであるかどうかということにつきましては、当該人道支援の案件ごとに判断してきているということでございますが、先ほどもちょっと御説明しかけましたけれども、北方四島の電力事情、これは住民の生活に不可欠なエネルギーを供給する発電施設ということで、九四年の地震発生を受けまして、緊急性があるというふうに当時判断したというふうに理解しているところでございます。
石井(紘)委員 これはもう私が繰り返して読み上げるまでもありませんけれども、PCIが平成十年に行った調査、それから東電に平成十一年の夏に依頼をした調査、これは両方とも、この島には新規の発電施設建設は必要ないというふうにはっきりと明記されているわけですね。
 ところが、その後平成十二年の初めになって、今度は新規建設をしようということになって、そのための報告書の提出を求めた。そのときには、その趣旨、内容はがらっと一変いたしまして、これは中長期的観点から建設が必要だということになっております。
 今、答弁が非常にあいまいでしたので、私が申し上げますと、これは外務省からいただいた資料でございますけれども、この島の需要電力というのは、必要なものは大体二千七百キロワットだ、しかし最大電力、現状で出せる電力は三千二百八十キロワットだ。したがって、これは現状のものを修理する、パネルを何かはがれているものを張りかえるとか、そういうようなことで十分間に合うんだという調査結果が出された。それから、それ以前のものは、さらに申し上げますと、よほどの人口の激増というものがない限り大丈夫だとか、あるいは産業需要も今後当面伸びる可能性がないとか、そういうことをるる書いてあるわけです。
 ところが、今度はつくるということになったら一転して、最大電力三千二百八十キロワットを超えるのも時間の問題だとか、それから、最小限の民生需要を満たすためには、当面の最大電力を想定して、想定してですよ、それに見合った規模の発電施設を設置する必要があるとか、そのような最大電力として、現在の最大電力三千二百八十キロワットを参考にして、仮に三千五百キロワット程度を想定するとか、これはもう何か突然想定されちゃっているわけですね。各所に、中長期的に運用することは現在の施設では困難だとか、中長期的な観点に立って建設が求められるとか、そういうふうに全く百八十度この内容が変わったわけです。いいですか。
 ですから、わざわざかなり高額のお金を使って東電とPCIに現地に行かせて、入念な調査をさせて、新設は要らないということにしたにもかかわらず、それをその後四、五カ月の間にがらっと方針を一変させて、つくるということにした。この間の経過が非常に不明でございますので、後でこれもお伺いをいたしますが、結局つくるということにした、そのときは、中長期的に必要だ、そういう文書なんです。
 これは緊急人道支援、緊急ということに反していることは明らかであります。ですから、国後島に関しては、新規の発電施設を建設したこと自体が法令に違反をしているということになります。いかがですか、外務大臣。
齋藤政府参考人 この国後島のディーゼル発電施設の建設につきましては、何回か御説明させていただいておりますけれども、二〇〇〇年までに平和条約を締結するために最善の努力を尽くすという合意を踏まえまして、交渉のモメンタムを一層高めるために住民支援が拡大されていく中で実現されたということがあるわけでございまして、現時点において振り返ってみますと、反省する点もあろうかと思います。
石井(紘)委員 そういうことで、明らかにこれは緊急人道支援というその趣旨に反しているということを明確に申し上げておきたいと思います。
 これは後で外務大臣には、今逃げて答弁をされませんけれども、態度をはっきりさせてもらわなきゃならない問題ですから、いいですか、今、答弁ありますか。――また後ろからの紙を見るんだったら、いいよ。
 それでは、時間がありませんので、この三島の発電所の入札に関して入札図書というものが、もちろん一般公開入札ですから出されているわけです。この入札図書及びこの新聞に出された公告、これによりますと、三井物産にしかこの仕事はとれない、結果的にそうなるように記載をされているということを申し上げなければなりません。たくさんあります。
 一つは、この中に書かれているのは、寒冷地の実績が三年間で二十億円以上なければならないということです。これは色丹についてです。最初に行われた色丹は二十億円以上なければならないとなっている。しかし、その後すぐ行われた択捉と国後については十億円以上というふうになっている。色丹について一つの大きな疑惑は国後とともにあるわけですが、これは最初の入札でしたから、ここを三井物産が落とすということは非常に重要なんです、その後の二つも三井物産の可能性が非常に高くなってまいりますから。そこで、最初のハードルだけ寒冷地の実績が二十億円以上ということにしました。その後は十億になりました。
 それからさらには、提携する電気工事会社、これにも条件がついております。これは、国内電力会社に元請として過去三年の実績が今言ったように色丹の場合二十億以上、ですから国内電力会社、これは九つあるいわゆる九電力ですね、これの元請を過去三年間に二十億以上していなきゃいけないということです。
 それから三つ目は、国内電力会社の島嶼地区にディーゼル発電をこの十年間で三カ所以上つくったものだ、三件以上受けたものだということがある。
 四つ目は、提携する電気工事会社、これは北海道に本社または支店または営業所がある会社でなければならない。同様に、提携する電気工事会社は平成九年、十年、これは色丹と択捉ですね。それから十一年、十二年、これは国後ですね。この各年度に北海道開発局競争参加資格というのがあるんですね。それの電気の区分でAランクまたはBランクに格付されたものでなければならない。北海道開発局の競争参加資格に合っていなきゃいけない。何でここで北海道開発局というのが出てくるのか。こういうたくさんの問題があるわけであります。
 御案内のように、電気工事会社というのは、北海道電力の子会社である北海電気工事。北海電気工事がさらに投げて瀧澤電気工事という会社が行ったわけです。この瀧澤電気工事というのは、もちろん北海道開発局の競争参加資格のリストの中にございます。この北海道開発局の競争参加リストのAランクまたはBランクに当てはまるということになりますと、極めて限られてくるわけです、ここにこのリストがございますけれども。
 こうなりますと、この入札に参加をしたほかの企業では適合することができないということになっているわけであります。ということ等々で、この入札の条件だけで既に三井物産ということが事実上決まっておったということであります。
 最低価格、価格の決定は当日行われた。国土交通省ではそういうことは非常に異例中の異例だというような答弁をされました。通常そういうことは考えられないということでありますけれども。
 最後に、時間がなくなりましたので、今いろいろ申し上げたことを解明するのに必要な資料を要求したいと思いますが、平成十一年八月から九月にかけて、サハリン州知事に鈴木氏が、東電が行った調査の結果を受けてこの発電所建設をどうするかということの説明をすることになっておりました。この説明を鈴木氏がするために、鈴木さんのために文書をつくるという、そういう文書がございまして、それは文書があるはずです。それをお出しいただきたい。
 それから、九八年十二月二十四日付の三つの島に対する入札要件を示した文書を出していただきたい。九九年二月三日の色丹島の場合、この発電所は、斜古丹発電でなくて穴澗に建設をするという決裁を行っているはずですが、この決裁書を出していただきたい。
 それから、九九年一月二十七日色丹、それから九九年三月五日択捉、この両方の入札に関する決裁書、つまり、入札で合格した企業への入札参加資格審査結果通知書というものを出してもらいたいということを要求いたしますが、答弁してください。
齋藤政府参考人 まず、鈴木議員がサハリン州知事と会うために用意された文書という御質問でございましたが、この資料につきましては、鈴木当時官房副長官が相手方の地方政府の知事との間で行ういわば外交上のやりとりのために準備された文書ということでございまして、対外的に明らかにすることについては慎重に対応する必要があるというふうに判断しております。
 それから、その後一連の入札関連文書にお触れになりましたけれども、これら文書は捜査中の事案にかかわるものでございまして、提出は差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、この点につきましては、東京地検よりも、本件資料の公表により捜査に支障を来す可能性があるので、国会を含めまして外部への提出を控えるように要請を受けているところでございますので、ぜひ御理解賜りたいと思います。
石井(紘)委員 終わりますけれども、ということは、それらはそれぞれ捜査上に非常に関係の深い文書であるということですね。つまり、建設をするということについて検察庁が非常に深い問題意識を持っておるということだと思います。
 それから、後ほど我が党の理事を通じて委員長からの資料の請求をお願いしたいと思いますので、それは時間がなくなりましたから、後ほど理事を通じてさせていただきますので、よろしくお願いします。
玉置委員長 資料要求につきましては、次回理事会で一回諮ってみます。
 次に、藤島正之君。
藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
 まず最初に、防衛庁の方にお伺いしたいと思います。情報公開請求者リストの件でございますけれども、私は、一般的に、国家機関である以上、その職務の遂行に必要な場合には、個人情報も当然収集しておかなければいけないと実は考えているわけです。
 例えば、公安調査庁にしましても、あるいは警察の警備にしましても、あるいは外務省あるいは入国管理等にしましても、いろいろな事件が起こってから、その人がどういう経歴だとか、どういう家族関係だとか、ふだんどういう考えを持っているだとか、そういうのを事件があってから後追いで調べていたんじゃ間に合わないので、当然ふだんからそういう情報は収集しておく、これは職務上当たり前のことだというふうに思うんですけれども、当然個人情報についてですけれども、この点、防衛庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
山中政府参考人 防衛庁が必要な個人情報を収集することの是非についてのお尋ねだと存じますが、防衛庁として所掌事務を遂行する上で必要な範囲で、また法令に違反しない限りにおきまして、さまざまな情報を収集しております。その中で、個人に関する情報も、当然その収集の対象になると考えております。
 ただ、これは情報公開制度の運用との関連で申し上げますと、また別途の問題があると存じます。
藤島委員 今答弁ありましたように、当然、必要な個人情報の収集はあり得る、これは職務であるということ、これは明確なことだと思うので、はっきりしておきたいと思います。
 ところで、今回起こりました海幕の三等海佐の事件ですけれども、この三海佐の事件と、もう一つ区分して内局、陸幕、空幕の事件とはちょっと内容が違うんじゃないか。要するに、海幕の三海佐の件については、確かに情報公開法上、若干不適切な行為があったかもしれません。しかし、内局、陸幕、空幕については、記者発表当初はいろいろ物議がありましたけれども、調査した結果としては、結果的に何ら問題がなかったのではないかというふうに考えるんですが、その点はどういうふうになっていますか。
宇田川政府参考人 海幕の三等海佐の情報開示リスト事案と、それから内局、陸幕、空幕のリスト事案についての御質問でございますが、前海上幕僚監部情報公開室の三等海佐が作成したリストにつきましては、同三等海佐が作成した開示請求者リストは、行政機関電算処理個人情報保護法上の個人情報ファイルに該当しますし、また、受験者の何とかの母とか反戦自衛官といった、情報公開室業務と何ら関係を持たない個人にかかわる記載内容があることから、個人情報ファイルに記載される情報は、当該個人情報ファイルの保有目的の達成に必要な限度を超えてはならない旨を定めた同法の第四条二項に反するわけであります。
 また、同三等海佐が、ファイル保有目的の達成に必要な限度を超えた内容を含む違法なリストを、内局、各幕情報公開室、海幕調査課及び海自中央調査隊に配付していたことは、個人情報の電算処理等を行う行政機関の職員は、その業務において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならないとする同法第十二条の規定に反するわけであります。
 一方、内局、陸幕及び空幕のリスト事案につきましては、内局の「進行管理表」、陸幕の「業務処理状況一覧表」及び空幕の「進行管理表」につきましては、請求者のイニシアルまたは区分等が記載されているけれども、イニシアル等自体は、それだけでは特定の個人を識別できる個人情報には該当せず、他の情報と容易に照合して当該個人を識別できないことから、これらのリストは、行政機関電算処理個人情報保護法の規定が適用される個人情報ファイルには該当しません。
 またほかに、陸幕では「情報公開概要報告」、空幕では「開示請求件数」等の資料がありますが、これにつきましても、個人情報を含まないことから同法の規定は適用されません。また、空幕の氏名と請求区分を含む「進行管理表」がございますが、これにつきましても、情報公開室業務の進行管理のため、行政文書開示請求書及び情報公開窓口でのやりとりから得られた情報に基づき作成され、情報公開室でのみ閲覧可能な形で利用されており、同法との関係で問題となることはありません。
 したがって、今御質問のありました内局、陸幕、空幕のリストにつきましては、行政機関電算処理個人情報保護法に照らして違法ではないと考えられるところであります。
藤島委員 今、るる説明がありましたように、海幕の場合は若干不適切なものがあるけれども、内局と陸空幕については、発表当初、きちっと調べないままいろいろマスコミにせかされて公表したために、いろいろ混同されて、みんな悪者みたいになっていたんですけれども、よくよく調査してみると、今のようなことで、そちらの方は法的には問題ないということですので、そこははっきりしておいた方がいいと思うんですね。一般の国民は、全部ひっくるめて防衛庁は悪いことをしたというようなことになっているわけです。
 それはそれとしてきちっとしておくと同時に、今の三海佐の行為が不適切だということについては、先ほどの、一般的に個人情報を収集するということはいいことだけれども、情報公開制度に絡んでいくと今のような問題が実は出てくるわけで、そこのところは普通の情報収集とちょっと違うんだということをポイントを当てて簡単にちょっと説明してください。
山中政府参考人 情報公開制度の趣旨からいきますと、何人に対してもひとしく開示請求権を認めるということでございますので、一定の、行政情報の開示請求者がどういう人物であるか、いわばその請求者の個別的な事情、個人の属性といいましょうか、そういった事柄によって、行政文書の開示、不開示を決めるということはできないというのが制度の趣旨ということでございます。
藤島委員 要するに、今のお答えは、請求者によって開示、不開示ということはやっていない、やってはならないということなんですが、ところで、開示、不開示の決裁権者はだれがなっているんですか。それで、その人たちは請求者について全く知らないでいいのかなという疑問も実は若干あるんですけれども、その辺はどういうふうに考えていますか。
山中政府参考人 情報公開請求の開示、不開示の決裁権は防衛庁長官にございます。
 ただ、実際の事務処理におきましては、重要、異例に属するものを除きまして、官房または各局の長の専決事項ということでございます。したがって、官房または各局の長が決裁をする際には、開示請求者がいかなる人物であるかということについては、本来承知すべきではないというのが制度の趣旨だと存じております。
藤島委員 そこは非常に微妙な部分があると思うんですね。それは運用の問題かもわかりませんけれども、行き過ぎてはいけないけれども、しかし、何もよくわからないで、やみくもに局長さんに開示、不開示の判こをといっても、これは責任も絡んでなかなか難しい問題じゃないかなという感じはします。
 ところで、マスコミでは、個人の行為じゃなくて組織の行為だというふうにかなり大々的に言われたわけですけれども、そこはどういうふうに整理しておるんですか。
宇田川政府参考人 海幕の三等海佐の開示請求者リストの件の御質問だと思いますが、これにつきましては、同三佐の発意のものでありまして、上司の指示やほかの部署からの依頼に基づくものではありませんでした。また、このリストの作成作業は、専ら同三等海佐によって行われたものでありまして、同三佐以外の者が、同リストの作成のために使用されることを確認しつつ、開示請求者の個人情報を同三佐に提供したとか、同リストの作成作業に協力したというような事実は確認されませんでした。
 また、その配付につきましても、ほかの情報公開担当者も開示請求者リストを保有していた方が便利ではないかとか、調査課等の担当者に活用してもらえるのではないかと考えて、本人の発意で配付しております。
 さらに、同三佐から開示請求者リストを受領した者につきましても、その所属部署におきまして、当該開示請求者リストを業務上使用しなかったことも確認されておりますので、海幕の元情報公開室三等海佐が、当該開示請求者リストを作成し、これを配付した行為は、個人の発意に基づく行為でありまして、組織的なものではなかったと考えておるところであります。
藤島委員 それでは、もう一つ伺いますけれども、LAN上の一部削除という問題が報道されていますけれども、これは実際どういうことだったのか。記述隠しというような表現をマスコミではしているようですけれども、これも国民に間違った報道といいますか、受けとめられ方をしているんじゃないかと思うんですが、これはどういうことになっているんですか。
宇田川政府参考人 先ほど、内局と陸幕と空幕リストにつきましては個人情報保護法上の問題はないと申し上げました。
 しかしながら、その経緯と問題について申し上げますと、六月二十八日……(藤島委員「簡単に」と呼ぶ)はい。簡単に申しますと、その中に書いてあるリストにつきましては、法律上問題はないんですが、当時は、場合によっては法律上問題がある……(藤島委員「かもしれない」と呼ぶ)はい。おっしゃられた、問題があるかもしれないという状況でありましたので、そのときに上司に報告しなかった行為は証拠隠しと受けとめられてもやむを得なかったんじゃないか、こういう判断をしたところでございます。
藤島委員 要するに、意図的じゃなかったんですね。しかも、まるで法律上問題なかった、結果的には。それで、途中の過程があたかも隠しているようにとられた。それは不適切というけれども、それは途中経過の問題であって、要するに、国民はそこを誤解されていると思うんですよね。
 まるで、やっぱり証拠を隠していたとか、それから組織的にやったとかいうことですけれども、ここのところははっきり国民に対して、間違っていた、違法なことは違法なことでしようがないんですけれども、事実は事実ですから、そこをはっきり、要するに三海佐の方は若干違法性があったけれども、これは個人的な問題である。陸、内局、空幕は違法性はなかった、しかし、その手順の間において誤解を招くような取り扱いがあったということで、これは何ら組織的でも何でもないということで、そこははっきりしておかなければいけない、こういうふうに実は思うわけです。
 そういう中にあって、長官、今回の処分は、その辺が国民に非常にわかりづらい。例えば、官房長が減給の上更迭、あるいは文書課長も同様な処分になっているということは、今のような実態に照らすと、非常に一般国民の方に迎合した、きちっとした組織の判断といいますか実態でない処分、もう少し言えば、今回に関して言えば、少しそういう実態から見ると処分としては厳し過ぎたんじゃないかなというのが、一般に、有識者といいますか、よく知っている人から見ると判断がある、そういうふうに感じるんですけれども、その辺について防衛庁長官の御見解を伺いたいと思います。
中谷国務大臣 今回の処分につきましては、懲戒処分につきましては、行政機関の電算処理個人情報保護法の趣旨に照らしてどうであったかという点で行ったわけでございます。
 人事等につきましては、防衛庁全体の今後の仕事のあり方等を考えまして、やはり官房部局といいますと、すべての情報が集まり、コントロールタワーの機能を果たしていくという観点で、これは防衛庁の仕事のやり方として判断をしたわけでございます。
藤島委員 こういう際、防衛庁長官は冷静になって、世論の動向その他に余り惑わされないで、組織のトップとして冷静になってやはり判断をしていっていただきたいな、こう思うんです。なぜかといいますと、仕事を一生懸命すればするほどペナルティーを科されたりばかな役回りになって、何もしなけりゃしないほどすいすいと出世していく、そんな組織はろくな組織じゃないんですよ。そこら辺を一緒にしちゃうと、今の防衛庁の感じからすると、非常にそういう無力感にとらわれている。そういうのは、やはり防衛庁長官が組織のトップとして、もっとよくそういうのをかぎ取った上で処分をするなら、それは適切な処分があったんじゃないかなということを申し上げておきたいと思います。
 この件についてもう一点だけ、きょうの毎日新聞に何かほかにもいろいろあったような記事が出ておるんですが、これについてもし防衛庁側でコメントすることがあればしてください。
宇田川政府参考人 きょうの毎日新聞の朝刊に、「海幕情報公開室 講習に請求者身元資料」というような報道がございました。この資料はどういう性格のものかと申しますと、本年の一月下旬から三月上旬にかけまして、海幕情報公開室が全国の各部隊に実施しました情報公開講習の場において資料として使用したものでございます。その中に、開示請求者の職種と請求内容、職種別請求件数比率という資料が存在します。存在しますが、これはグラフとかそういうものでございまして、行政機関電算処理個人情報保護法に規定されている個人情報には該当しませんし、また、電磁的手段を用いたものでもありませんので、個人情報保護法との関係で問題が生じるものではないということから報告書等には記載しておらなかったものでございます。
藤島委員 事実として、報告書を出す際には、もう知っていた上で報告書にはあえて書いていないということですね。
宇田川政府参考人 今般の請求者リストにつきましては、副長官を頭にしまして、私が総括的な取りまとめとかをやりました。その下に、陸海空とか内局にまた調査チームができております。その中の調査チームの中ではこれは当然承知しておったわけでありますが、グラフでありますので個人情報ではない、また、電磁的手段ではないということから、報告書には記載しなかったものであります。
藤島委員 わかりました。この件はこれで終わります。
 次に、韓国西方黄海沖における北朝鮮、韓国海軍による銃撃事件について、この概要についてごく簡単に防衛庁の方から報告してください。
中谷国務大臣 韓国側の発表によりますと、六月二十九日午前九時五十四分ごろ、韓国西方の黄海沖で、北方限界線、NLLを北朝鮮警備艇が越境し、十時二十五分ごろ、韓国高速艇に対して銃撃を加え、銃撃戦となった結果、この銃撃戦により、韓国側では高速艇一隻が曳航中に沈没し、四名の兵士が死亡、十九名の兵士が負傷するなどの被害が生じており、また、北朝鮮側でも、警備艇に火災が生じ、相当の被害が発生した模様であります。
 韓国側は、事件当日、国家安全保障会議を開催し、北朝鮮の謝罪と再発防止を求めることを決定、国連軍司令部も、北朝鮮の行為を休戦協定違反として、板門店で将軍級の会議を開くことを提案した。これに対して北朝鮮は、韓国や国連軍の要求を拒否いたしております。
 北朝鮮は、深刻な食料不足などの経済困難に直面しているのにもかかわらず、依然として軍事的にその資源を重点的に配分し、戦力、即応態勢の維持強化に努力していると考えられることから、今後とも北朝鮮の動向を注視してまいりたいと考えております。
藤島委員 最近の報道によると、北朝鮮の方は若干意図的だったような記事もありますけれども、それについて防衛庁は、意図的なのか、偶発的と見ているのか、あるいは防衛庁はどういうふうな対応をしたのか、若干国民も関心がありますので、簡単で結構ですけれども、お願いします。
中谷国務大臣 七月七日に韓国国防部は、今回の先制奇襲は事前に綿密に計画された意図的攻撃と評価されるが、どのレベルから指示があったのかについてはさらなる分析が必要であると発表していると承知いたしております。
 この海域では、九九年にも、NLLを越境した北朝鮮の艦艇と韓国側の艦艇との間で銃撃が行われまして北朝鮮側の艦艇が沈没するという事案が発生しておりますが、北朝鮮は、NLLを無効として、これとは別に海上軍事境界線を主張しております。
 六月前後はワタリガニ漁の時期でもありまして、例年越境事案が多くなっており、先月の二十日にも、越境した北朝鮮の漁船に対して韓国海軍による立入検査が実施され、また、事件前日にもNLL侵犯事案が生起していたところでありまして、こうした中での六月二十九日の銃撃戦が発生したという点に注目をいたしております。
 この事件後、北朝鮮に特段の動きは確認されておりませんが、この点についても韓国側を批判する報道等がございましたが、これら南北の動きをよく注視してまいりたいと考えております。(藤島委員「防衛庁の対応。どういう対応をしたか」と呼ぶ)
 対応につきましては、この時期、ワールドカップが開催をされておりまして、テロの発生に留意しつつ、警戒監視等を行っていました。そういう点で、平素からP3C及び護衛艦等が海域において警戒監視を行っていますが、通常以上の監視態勢であったという点でございまして、この連絡が入った後には、この情報収集を行うとともに、各自衛隊に対してさらなる警戒監視に意を用いるように指示したところでございます。
藤島委員 今後、大紛争に発展するとかいうことはないとは思うんですけれども、注意深く監視はしておいていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。
 ところで、この件に関して外務大臣に一問お伺いしますけれども、韓国のとっているいわゆる太陽政策ですね、これに対する影響はどういうふうになろうかということ、どういうふうに見ていらっしゃいますか。
川口国務大臣 この事件の翌々日でしょうか、一日に日韓首脳会談がございまして、金大中大統領から小泉総理に対しまして、引き続き太陽政策あるいは包容政策の基調は維持していくという立場が表明されたわけでございます。小泉総理からは、それに対しまして、大統領の立場を全面的に支持するという旨述べられていらっしゃいます。
藤島委員 それじゃ最後、時間が少なくなってきましたけれども、また川口外務大臣には申しわけないんですけれども、外務省改革の点についてお伺いしておきたいと思います。
 御承知のように、三井物産の社員の逮捕とか、いろいろな意味で事件の解明が進んでいるわけですけれども、外務省の方は、一回報告は出されたわけですけれども、あの報告書をつくった委員会は、今どうなっておるんですか。解散をしておるんですか、まだ継続的に存置してあるんですか。
川口国務大臣 報告書をつくりました委員会とおっしゃいましたけれども、二つ、二回やっておりまして、一回は外務省の参与が中心になってまとめたものでございます。それからもう一つは、外部に委託をいたしまして、そこで全面的に調査をしてもらったということでございまして、それぞれ委員会という性格ではございませんので、調査をして、報告書をつくって終わりということです。
藤島委員 いろいろなものが出てきていますので、報告とちょっと変わっている部分も出てきておるような感じがするんですね。調査報告では、「鈴木議員の意向を配慮する形で案件内容、入札条件、入札評価等が変更された事実は発見されなかった。」というふうに断言したりしているわけですけれども、だんだん捜査当局の捜査が進んでいくと、こういう報告と違う事実が出てくる。これは、ある程度やむを得ないことだと思うんですね、捜査権があってやった調査ではないので。ただ、余り極端に違いが出てきたときは、やはり調査報告について、もう一回ある時期には総括的にやらないといけないんじゃないかなという感じがするわけです。
 それはそれとして、川口外務大臣は、就任のときは勢い込んで外務省改革をやる、こういうふうにおっしゃっていたんですが、もちろん国民もそれを支持し、望んでいたわけですけれども、時間の風化とともに、いろいろな事件が次から次へと出てくるものですから、だんだんぬるぬるして、そのまま何か終わりということになっちゃいかぬというふうな感じはするんですが、外務大臣は、最初の決意をまだ持ち続けているというふうに断言されますかどうか。
川口国務大臣 改革は現在着々と進みつつあると私は考えております。
 けさも、例えばODAの改革について今後やるべき項目十五項目を発表させていただいたわけでございますし、このODAの改革は、私が一番最初に「開かれた外務省のための十の改革」というものを出した中の一項目になっているわけでございますけれども、今全部ちょっと申しませんが、できることからやっていくということで、それぞれに進みつつございます。
 「変える会」につきましては、報告書を七月の下旬ぐらいにいただけるのではないかと思っておりますし、外務省の中の「変えよう!変わろう!外務省」というボランタリーなグループにおいてもそれぞれ改革を考えているところでございまして、着々と一つずつ実施に移しているといった段階だと私は考えております。今後とも続けるつもりでおります。
藤島委員 しっかりやっていただきたいと思います。
 最後ですけれども、瀋陽事件関係者の処分について、最近あったわけですけれども、どうも処分の際に、阿南大使の関係で、彼は総領事を指揮する関係にはないから今回処分としては軽くていいんだというような話があるわけですけれども、外務大臣と大使と総領事との指揮命令関係というのは、一体どういうふうになっておるんですか。
川口国務大臣 大使館と外務大臣、総領事館と外務大臣というふうに、それぞれ別個に外務大臣につながっているわけです。
藤島委員 そうすると、中国だと総領事館は大分あるわけですね、それをそれぞれ外務本省が直轄しておって、大使は大使だけ、あと総領事はもう全然関係なく別個に動いているんだ、本当にこういうことなんですか。実態はそうじゃなくて、ある国には、大使がやはりその国の総領事館をある程度事実上統括して、指導してやっているんじゃないんですかね。そこはどうなんでしょうか。
川口国務大臣 例えば、本省から指示の電報を打ちますときも、本省からそれぞれ大使館と総領事館、それぞれの総領事館に別個に行くということになっております。
藤島委員 そうすると、大使と総領事館というのは本当に何ら関係ないということですか、日常においても。直接的な法律上の指揮命令関係はないとしても、やはりそこに統括をするとかふだん指導をするとか、そういう関係はあるんじゃないんですか。
 そういう意味で、大使が追い出せと言ったという言葉は、これは法律的にきちっとした命令じゃないかもしれないけれども、中国にある総領事に対しては、もちろん大使は大先輩でもあるし、実質的に総領事を、今度の来ているあそこの総領事はどうだとか、いろいろ人事評価とかその他の面で外務省に対していろいろな報告その他もやると思うんですね。ですから、実質的な意味でかなりコントロールしているんじゃないかと思うんです。
 そういう意味では、今回の報告において、大使が非常に軽い処分だった、要するに進言する点においてうまくしていなかったという程度のものだということでは、外務省全体の締まりがなくなってしまうんじゃないですか、逆に。総領事館その他から見て、大使というのはそんなものなんだ、大使の役割はそんなものだということで本当にいいのかどうか。そうじゃなくて、事実上、大使というのは相当その国に対して、我が国の機関に権限があるわけですから、ぴしっとしたものがある。したがって、こういうときには、先ほどの防衛庁の処分と違って、むしろきつい処分があってこそ組織がもたれるんじゃないかという感じがしておるわけでして、それは国民一般、あるいは良識のある人のみんな感じているところじゃないかなというふうに思います。
 今さらその処分は変えるわけにはいかないと思いますが、そういうことが強く国民の中にはあるし、外務省の組織としても、そういうことをやった方がけじめをきちっとつけたことになるというふうにも感じますので、私としては、一応そういうことを要望として申し上げて、時間ですので質問は終わります。
玉置委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 私は、最初に、密約問題について外務大臣に伺います。
 六月二十八日の毎日新聞で、沖縄返還をめぐる日米交渉について、日本政府がアメリカに四百万ドルを支出するという密約が存在していた、こういう事実が明らかになった米国の公文書を情報公開で入手したという報道がありました。政府は、参議院の外交防衛委員会の議論では、文書の性格がわからないのでコメントできないという一点張りの答弁であります。その文書は、報道もされているわけですが、外務省は、報道されたその文書について当然、存在も認識していると思いますが、取り寄せられて、そして、その中身を検討されているでしょうか。
川口国務大臣 お話の文書の件でございますけれども、沖縄返還国会の当時から一貫して、外務大臣及びその他の交渉担当者が繰り返し説明をいたしていますように、沖縄返還に関する、その際に行われた支払い問題に関する日米間の合意におきましては、沖縄返還協定がすべてでありまして、密約は一切ございません。
 この件について、一昨年にも、別な新聞だと思いますけれども報道がございまして、その際、当時の河野外務大臣が吉野元アメリカ局長に直接話をして、密約は存在しないということを確認済みでございますので、改めて調査を行うということは考えていないわけでございます。
赤嶺委員 当日の記者会見で、福田官房長官も同じような答弁をしながら、その文書がどういう公文書か、これをよく調べて返事をすると記者会見で述べておられます。
 今の外務大臣の答弁だと、一昨年、河野外務大臣が外務省の内部でいろいろ聞いたら、そういう密約はないと言ったので調査する気はないんだ、こういうお話ですが、調査をするというのは当然のことじゃないですか。アメリカの側の公文書に日本の外交について記入されている。これを国民が疑問に思っている。それは、一貫してそういう疑問が提起されてきた。こういうときに、国立公文書の情報公開で手に入れられる文書というわけですから、入手はそんなに困難ではありません。そういう公文書を手に入れて、皆さんでちゃんと中身を分析する、そして国民に説明する、当然の説明責任じゃないですか、そういうことは。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、これについては、調査を過去にして、密約がないということが確認をされておりますので、改めて調査をする必要はないと考えております。
赤嶺委員 密約があるから調査せよとか、ないから調査する必要はないといった性格の問題ではないんです。日本の外交にかかわって、しかも沖縄返還協定にかかわって、米国の公文書の中に、その経過にかかわることが記載されている。これは密約であるのかどうか、ないのかどうか、そういうことにとどまらず、外務省として取り寄せて中身を調べてみる、余りにも当たり前のことじゃないですか。何でそんな当たり前のことさえ、あれこれあれこれ言って調べようとしないのですか。
    〔委員長退席、末松委員長代理着席〕
川口国務大臣 文書を、米国の公式文書というふうにおっしゃられているわけですけれども、私どもとしては、この米国の文書の性格はよくわからないわけでございますので、それから先ほど申しましたように、密約が存在をしていないということでございますので、これについて調査をする考えは持っていないということでございます。
赤嶺委員 密約があったかどうかというのは、公文書を取り寄せて、そしてその中身を検討した結果、国民に説明をして納得が得られるものであります。そういう手続をとるのかどうかという議論です。
 そして、文書の性格がわからないと言いますけれども、国立公文書館で情報公開によって入手された文書であるということもはっきりしているんです。皆さんの立場というのは、ただ密約がなかった、なかったを繰り返しておけば国民はあきらめるだろうという話であって、国民が納得を得るような態度では全くない。かえって外務大臣の今の答弁が不信感を増大させて、いよいよもって密約があったのではないかという疑惑が拡大するような姿勢であります。
 ところで、その沖縄返還協定の中では、講和前の人身事故と、それから土地の復元補償漏れの四百万ドル、これはアメリカが自主的に負担をする、こういうぐあいに返還協定の第四条でなっているわけですけれども、これを仮に日本政府が肩がわりをしたということになった場合に、それはどういう問題であるというぐあいに認識なさいますか。
川口国務大臣 今委員がおっしゃられましたように、この沖縄返還協定の四条三項におきまして、いろいろここに書いてございますけれども、土地の原状回復のための自発的支払いをアメリカ合衆国政府は行うというふうにされているわけでございます。したがいまして、まさにこの協定にのっとって行われたものであると認識をしておりますので、そうでなかった場合にどういう問題があるかということについては、お答えができないということでございます。
赤嶺委員 米軍が沖縄を直接占領していたときの土地の復元補償、それから講和前の人身事故に対する補償、一部は補償を行われておりますが、漏れた分について琉球政府から請求があった、これは当然米国が支払う義務を負っている。外国の軍隊が我が国で起こした事案について、その補償責任があるにもかかわらず、それを日本政府が肩がわりしていたということになれば、それ自身が、主権を放棄し、アメリカの属国同然と言われるような性格の問題であります。中身においてもそうであります。手続においても、公文書というのは簡単に入手できる、そういうものを、一貫して調べようともしない、検討しようともしない、こんな外務省の態度には絶対に納得がいきません。
 それで、委員長、ぜひ委員会をして外務省にこの公文書を取り寄せてもらって、その中身を分析して委員会に報告してもらうよう強く要求したいと思いますが、委員長において取り計らい、よろしくお願いします。
末松委員長代理 ただいまの資料要求につきましては、理事会で協議をいたします。
赤嶺委員 ぜひ、そういうものについて、政府自身、外務省自身が説明責任を果たそうとしていない今の段階で、国会がこの問題について国会の力で解明をしていくことが大事だと思いますので、今後引き続き取り上げていきたいと思います。
 次に、沖縄の米軍基地の問題認識について、外務大臣、防衛庁長官、お二人に伺います。
 小泉総理が、ことしの六月二十三日の沖縄県の全戦没者追悼式のあいさつの中で、沖縄における米軍の存在は我が国のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に大きく貢献している、こう発言をいたしました。この発言は、沖縄における米軍基地の存在意義を強調したものです。
 私も同じ会場におりまして、このくだりを聞いたときに、厳粛な全戦没者の慰霊式典の中で米軍基地の存在を説く首相がいるのかと思って、疑問になりまして、去年も総理は出席しておりましたので、去年のあいさつも取り寄せて読んでみました。去年のあいさつの中には、アジア太平洋の平和と安定に米軍の存在が大きく貢献しているという表現はありませんでした。
 そこで、外務大臣は、小泉総理の全戦没者追悼式のこのあいさつをどのようにお考えか、外務大臣の認識をまず伺って、その後防衛庁長官の認識も伺いたいと思います。
    〔末松委員長代理退席、委員長着席〕
川口国務大臣 委員が今戦没者の追悼というふうに言われましたけれども……(赤嶺委員「復帰式典でも同じように言っています」と呼ぶ)私、ちょっと追悼式典の方での小泉総理のごあいさつについては今認識をしておりませんけれども、沖縄復帰三十周年の記念式典で小泉総理が言われたことは、沖縄における米軍の存在は我が国のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に大きく貢献している一方、その施設・区域の集中が沖縄の皆様に大きな負担となっていることは、私自身十分認識しておりますというふうに述べられていると承知をいたしておりまして、この点につきましては、私も総理と同じ認識を持っているわけでございます。
 米軍の存在は、我が国及びこの地域の安全保障という全般的な、全体的な利益をもたらしている一方で、在日の米軍の施設・区域が沖縄に集中をしていることによって沖縄県民の方に多大な御負担をおかけしているということについては、私は十分に認識をしております。沖縄県民の方の負担を軽くしていくという観点から、米軍とも緊密に協力をしながら、普天間飛行場の移設、返還を含め、SACOの最終報告の実施に全力で取り組んでいきますとともに、米軍人軍属あるいはその家族等による事件、事故の再発防止に向けて努力をしていきたいというふうに考えております。
中谷国務大臣 総理の発言につきましては、政府の発言と承知いたしておりまして、我が国に駐留している米軍は、在沖縄米軍を含め、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定に寄与していると認識しておりまして、政府としては、冷戦終結後も依然として不透明、不確実な要素が残される中で、米軍のプレゼンスを確保し、その抑止力をもって引き続き我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を維持していくことは極めて重要であると考えております。
 他方、防衛庁としては、在日米軍施設・区域の約七五%が集中することによりまして、我が国の平和と安全のため、沖縄県民の方々に多大な御負担をおかけしていることは十分に承知をしております。こうした御負担を軽減するためには、SACO最終報告の着実な実施が最も確実な道であると考えておりまして、引き続き日米間で緊密に協議をしながら、その実現に向け、最大限努力してまいりたいと考えております。
 さらに、防衛庁としては、米軍による事件、事故は起きてはならないものと考えておりまして、平素より米側に対して、さまざまなレベルから安全管理の徹底や綱紀粛正の徹底を図るなど、事件、事故の防止について実効性のある措置を講ずるよう、強く要請を行っております。今後とも、米側に対して、厳正に規律を保持し、よき隣人として責任を全うするよう強く促してまいりたいと考えております。
赤嶺委員 外務大臣おっしゃるとおり、五月十七日の復帰三十年式典でも同様のあいさつをしております。私は、この三十年式典、国がこの間沖縄の米軍基地を一層強化しているという立場で、批判的見地を含めて出席しませんでしたので、六月二十三日の追悼式でのあいさつを紹介いたしました。
 そこで、私が聞いているのは、沖縄県民に多大な負担を与えているというくだりは、去年の追悼式でも総理は触れているんです。多大な負担に対して政府がしかるべき措置をとるというのは、従来のスタンスなんです。
 ところが、私が今度この質問で問題にしていますのは、米軍のプレゼンスがアジアの平和と安定に大いに役立っているという、言ってみれば沖縄県民に米軍基地の存在の意義を認識してほしい、こう迫っているわけですね。どんな事故が起きようと、どんな事件が起きようと、沖縄の人たちは米軍のプレゼンスを我慢して受け入れろということになるわけですよ。
 しかも、四月、五月、大変な事件、事故が頻発したわけでしょう。それについての謝罪も何もないまま、有事立法の重要性だけ説いて、米軍のプレゼンスの重要性だけ説いて、そういう米軍のプレゼンスが重要であれば県民はその基地被害を我慢せよ、永久化、固定化を受け入れろということになるじゃないですか。いかがですか、外務大臣。
川口国務大臣 まさに沖縄県民の方に、在日米軍の施設・区域が沖縄に集中することによって多大な御負担をおかけしているということでございますので、その負担の軽減の観点から、米軍とも緊密に協力をしながら、SACOの最終報告の実施に全力で取り組む、及び先ほど委員もおっしゃられました、米軍人等によります事故、事件について、こういったことが起こらないように、再発防止に一生懸命に努力をしている、そういうことであるわけです。
赤嶺委員 外務大臣、あなたの答弁はあたかも、米軍基地の存在は重要だが、沖縄県民が受けている被害、犠牲も決して無関心ではありませんよ、御理解くださいというぐあいに聞こえますけれども、あなたのそういう認識が今沖縄でどれだけの批判を受けているか、どれだけギャップがあるかということを認識していただきたいんですよ。
 私、きょうここに沖縄振興計画、これは沖縄県が作成した案を持ってまいりました。近々内閣でもこれが最終的に確認されるはずであります。きのう、その案が発表されました。県が素案を出して、政府が審議会で検討して、そして県の素案に介入した部分があるんですね。それは基地の部分なんですよ。これは振興開発計画です。どちらかといえば、沖縄の産業発展、経済振興についての計画です。
 その中で、基地の部分についてあえて、沖縄県では保守県政であるとはいえ、SACOが終わったら引き続き、私たちはSACOについては基地の整理縮小にはつながらないと思っています。SACO、SACOばかり言わないで整理縮小に取り組みなさいということがこの冊子の中には書かれています。そこに対して政府が出した注文というのは、いや、SACOの範囲内なんだ、そして米軍と、アメリカとそういう兵力の削減については調整をするんだ、こういうことを日本政府流に入れ込んでいるわけですね。
 沖縄の側からすれば、軍事力の、米軍の兵力の構成について、国際情勢の発展やその他について米軍と協議をするという項目を入れるということは、沖縄の基地は減らさない、沖縄の基地は減りませんということと同じ意味なんですよ。半世紀以上そういうことでずっと同じ状態が続いているわけですから。
 ですから、外務大臣の姿勢、防衛庁長官もそうですが、結局、沖縄県民に、基地の整理縮小は言うな、いろいろあっても米軍のプレゼンスはアジア太平洋の平和と安定に役立っているのだから受け入れなさいということで、永久化、固定化を迫っているのと同じじゃないですか。そうじゃないですか。
 この振興計画の、これ自身は内閣府沖縄開発庁長官尾身大臣の担当部署かもしれませんが、いわゆる外務省や首相、そしてこの振興開発計画に政府が介入して入れ込んだ文書や一連の流れの中には、やはり沖縄の米軍基地のプレゼンスは重要だというアメリカの世界戦略の認識、この認識を押しつけようとしているからこんなことが起きるんじゃないですか。
 皆さんの立場というのは、永久化、固定化を迫り、整理、縮小、撤去、これにつながるものでは決してないというぐあいに思いますけれども、いかがですか。
川口国務大臣 外務省といたしましては、在沖縄米軍に関します沖縄の地元の皆様のお気持ちを認識いたしております。
 平成十一年末の閣議決定にもありますように、沖縄県における米軍施設・区域の負担を軽減するために、県民の皆様の理解と協力をいただいて、また、米国及び日本側の関係省庁と協力をしつつ、SACOの最終報告を踏まえて、さらなる米軍施設・区域の整理、縮小、統合に向けまして引き続き全力で取り組んでいく考えでおります。
 また、あわせて、国際情勢の変化に対応して在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につきまして、米国と協議をしていくことが重要であると考えております。
赤嶺委員 私が、米軍と米軍の兵力構成について協議するということは決して沖縄の基地の整理縮小を求める姿勢ではないということを指摘しましたら、またこういうスタンスで臨みますとしか言えないんですよ、皆さんは。沖縄の基地問題については、アメリカの世界戦略で思考停止している、思考停止しているどころか、アメリカの軍事機能の維持の範囲でしか何も考えていない。
 そこで、具体的に聞きますけれども、結局、今度のSACOだって、米軍の機能は維持するという立場です。県民の被害についても、事件、事故が起これば再発防止は申し入れます。そして、皆さんの沖縄県民に対する説明は、米軍に再発防止を申し入れました、アメリカも一生懸命悩んで検討しております、こう言っている。事故は同じように繰り返されていく。
 そして、そういう中で、沖縄の側は事故の再発防止で具体的に要求しております。その一つが米軍の戦闘機の民間の住宅上空地域での訓練の中止、それから夜間飛行の禁止、こういうものであります。これらについて、皆さんは米軍に申し入れたことがありますか。県民の苦難の意を体して、民間の住宅上空地域での訓練は禁止せよと米軍に申し入れたことがあるでしょうか。いかがですか。
川口国務大臣 米軍の事故、事件については、私どもとしては非常に関心を持っておりまして、在沖米軍とこの点については常に密接に連携を、連絡をしているところです。
中谷国務大臣 外務省と同様に、米側に対して協議等をいたしております。
赤嶺委員 協議をするけれども、県民や県議会あるいは基地周辺自治体が具体的に要求している、米軍の民間地住宅上空空域での訓練の禁止は申し入れられないという立場なんですか。それとも申し入れたいということですか、外務大臣。
川口国務大臣 在沖縄の米軍につきましては、これは先ほど来申し上げていますように、まさに我が国及びこの地域の平和と安全に大きな役割を果たしているわけでございまして、在日米軍が訓練を行うということは非常に大事であるということだと思いますが、同時に、それをするに当たって、公共の安全ということに十分に注意を払うということは当然すべきことであると思います。
赤嶺委員 結局、行き着くのは小泉総理のあの発言ですよ。米軍のプレゼンスは重要だから、そして演習をやる際に公共の安全に留意するのは当然と言いながら、米軍に申し入れたら、いや米軍も公共の安全に留意しているんだということで、沖縄の橋本大使なんかは米軍も苦労しています、こういう説明しか県民にやっていないですよ。
 米軍のメッセンジャーボーイですよ。これが外務省の姿ですよ。公共の安全に迷惑がかからないようにするのであれば、何で具体的に訓練中止を申し入れないのですか。それを繰り返し繰り返し要求しているじゃないですか。何で具体的に申し入れないんですか。
川口国務大臣 まさに、先ほど申しましたように、米軍の訓練ということについては、米軍が沖縄で、あるいはそのほかの地域で、日米安全保障条約のもたらす役割ということをきちんとやっていくという上で訓練は重要であると思いますけれども、先ほど申しましたように、同時に公共の安全に十分に留意をするということが必要なことも当然であるわけでございます。
 例えば、航空機の騒音の問題等もございますけれども、これの影響等については最大限の配慮をするという観点で、騒音規制の措置に従いまして、騒音の影響をできるだけ軽減するように最大限の努力をするというふうに承知をいたしておりますし、政府としてもこの厳格な履行を米側に求めてきているということでございます。
赤嶺委員 全く実情をわきまえておりません。
 今おっしゃった騒音防止についても、嘉手納、宜野湾、普天間基地のことを言うのであれば、騒音防止協定があるにもかかわらず、その中にただし書きがあって、米軍の基地機能を損なわないようにするという意味のくだりがありまして、そういうただし書きの条項を使って、決められた夜間の飛行を禁止されている時間帯にも平気で飛んでいる。平気で飛んでいるんですよ。夜間の爆音はないと思っていらっしゃるんですか。あんな爆音防止協定なんて何の役にも立っていないんです。
 町民の暮らしと命と安全を守る上で、それでも米軍の訓練は重要だというところから一歩も出ることのできない、こういう立場であなた方は普天間基地を名護市に移しかえようとしております。そこでどんなことを決めても、これは苦しみの移しかえであって、沖縄県民の基地の苦しみ、負担を軽減するものではない。
 そういう外務省や政府の姿勢について県民はどう見ているかという問題なんですが、沖縄の新聞に、これは復帰記念式典が終わった直後の沖縄の新聞の社説です。「日米同盟の“蜜月関係”に酔いしれる小泉首相には、目を覚ましてもらわねばならない。」こう言っているんですよ。
 皆さんは、日米関係が重要だとみつ月関係を言っている。ところが、実際に基地の苦しみや被害を受けている沖縄県民は、政府がその苦しみの負担軽減のために働いているとはとても実感できない。むしろ、ひどくなっていくばかりだ。ひどくなっていく中で沖縄の基地のプレゼンスの重要性を言う政府には、本当に沖縄の基地問題を解決する力はないということを厳しく申し上げて、そして、SACOの実施でいえば、県内基地のたらい回しや苦しみのたらい回しにほかならない、直ちに中止するよう強く要求しまして、私の質問を終わります。
 以上です。
玉置委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 私は、今回は、海上自衛隊幹部の飲食接待問題に関して質問をしてまいりたいと思います。
 この問題は、以前からいろいろとうわさもされておったんですが、実は、地元の長崎新聞がことし五月十一日を皮切りにして大きく取り上げました。私も、この問題が具体的に発覚してから私なりに調査もしてまいりましたので、一つ一つ具体的にお尋ねをしたいと思います。
 報道によりますと、まず一点は、尾崎通夫海上自衛隊佐世保地方総監の就任祝賀会、これはことし五月六日に長崎市の新地町の中華料理店で行われております。主催者は、名前はあえて伏せますけれども、解体業者A氏。彼は長崎市防衛協会専務理事でもあります。しかも、三菱重工長崎造船所と取引関係にある、いわゆる防衛庁・自衛隊とは利害関係者になるわけです。出席者は、尾崎総監ほか、本多宏隆第二護衛隊群司令、大村市の陸上自衛隊幹部であります。海上自衛隊のイージス艦など艦艇を受注している三菱重工長崎造船所長など、地元政財官界から約七十名がこの宴席に出席をされています。しかも、こうした私的な宴席に、複数の自衛官幹部は制服、しかも公用車で出席をしておるようであります。
 以上申し上げた点、まず、間違いないのかどうか、確認をいたしたいと思います。
宇田川政府参考人 今委員から何点かの御確認がございました。
 最初に、主催者について申し上げますと、本件は、平成十四年五月六日、佐世保地方総監を含む海上自衛官七名と陸上自衛官一名の合計八名が、長崎市内の飲食店において、佐世保地方総監の歓迎会に参加したものであります。参加者は、当初、長崎市防衛協会の役員から電話で出席の案内があった際には、長崎市防衛協会の主催であるという御案内でありましたので参加したところでございますが、後日、新聞報道によって、主催者は長崎市防衛協会の役員である民間の方であったと知ったものでございます。
 二点目でございます。公用車の利用の件でございます。
 この佐世保地方総監の歓迎会に出席した自衛官のうち、佐世保地方総監を含む四名でございますが、これは今申し上げましたように、長崎市防衛協会の主催であるというふうなことと考えていたわけでございますので、当該歓迎会が、地域社会に密着して、防衛意識の高揚を図るとともに、自衛隊の活動を支援し、もって我が国の防衛に貢献することを目的とした準公務的な会合であると考えたために、制服を着用して公用車を使用したところでございます。
 それからまた、制服の着用についてでございます。
 もともと自衛官は、自衛隊法の五十八条二項がございまして、ここでは制服を着用することが原則となっておるところであります。したがって、結婚式等の私的行動であっても制服を着用できることとしておりますので、本件のような歓迎会に参加する場合においても制服を着用することは問題はないと考えておるところであります。
今川委員 そこで、まず今回の就任祝賀会に関して、尾崎総監は次のようにおっしゃっています。長崎市防衛協会の主催と認識しており、後で請求されると思った、疑念を与えたのは申しわけないが、不特定多数の出席者がおり、倫理法上の問題はない、このようにおっしゃっています。しかも、新聞で大きく報道されたこともあってでしょう、後日、金額は支払ったという報道もございます。
 さらに、佐世保地方総監部の長尾好太郎管理部長は、今回の件に関して次のようにおっしゃっています。接待との認識はない、先ほど当局からも説明がありましたように、市防衛協会専務理事から電話で出席要請があり、協会主催と認識している。ところが、肝心のいわゆるA氏、専務理事は、長崎新聞社の取材に対して、防衛協会の主催ではないということをはっきり認めておられるわけですね。さらに、長尾部長は、契約行為の決裁権はこの祝賀会には出席していない総監部の経理部長にある、総監は決裁をする立場になく、利害関係のある出席者はいなかったというふうに述べておられます。
 そこで、こうした問題が生じたときに、自衛隊員倫理法、そこには第一条で、「職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。」というふうにうたわれております。そして、同法の第二章第五条などに基づいて自衛隊員倫理規程が定められておりますが、これらの倫理法や倫理規程は、言うまでもなく、五年前に発覚した防衛庁調達本部による背任汚職事件を教訓としてこうした倫理規程等が設けられたというふうに私は認識をいたしております。
 この倫理規程では、第二条で利害関係者を具体的に定めた上で、第三条の第六号、七号に利害関係者から供応接待を受けること、あるいは利害関係者とともに飲食することを厳しく禁止するというふうに定められているわけでして、中谷防衛庁長官、以上のことからしますと、今回この五月六日に行われた海上自衛隊佐世保地方総監の就任祝賀会の持たれ方、この解体業者A氏がすべての経費を負担をいたしておるんです。これは自衛隊員倫理法及び倫理規程からすれば明らかに違反する事態ではありませんか。
中谷国務大臣 まず、参加者の出席につきましては、参加者は、当初、長崎市の防衛協会の主催との案内を受けていたために、当該の会合は、自治体関係者及び地域社会に密着して防衛意識の高揚を図るとともに、自衛隊の活動を支援し、もって我が国の防衛に貢献することを目的とした長崎市の防衛協会の主催でありますし、また、七十名という地元の政財界の方もいらっしゃったということで考えておりまして、この会に参加すること自体は、自衛隊に対する理解を深めてもらうための有意義な会合であると考えたわけでございます。
 この祝賀会というのは、先ほども申し上げましたが、七十名という大多数の者が参加している、さらに取引業者を含まない、さまざまな職業に属する者が参加している祝賀会でありました。
 このように、多数の参加者の中で、ほかの参加者から見られている状況において飲食等をすることは、自衛隊員倫理法第一条に規定している、職務の執行の公平さに対する国民の疑念や不信を招くような行為に当たるとは言えないものと考えております。
 また、この会合の参加者は、自衛官八名にとって利害関係者には当たらず、自衛隊員倫理規程第三条一項七号で禁止している「利害関係者と共に飲食をすること。」に抵触しないものであったことから、参加者に対する処分は考えておりません。
 なお、費用についても、三名の者が祝賀会当日に、佐世保地方総監を含む五名の者は後日、主催者に支払っております。
 いずれにしても、今後とも、国民から疑念や不信を招かないように、さらに一層自衛隊員倫理法及び自衛隊員倫理規程について周知徹底をしてまいりたいと考えております。
今川委員 次の質問に入る前に、ちょっと今の長官の御答弁の中で、仮に、今回のケースで会費に類するものを自衛官の幹部が全然払っていなかった。先ほど私が申し上げたように当初は、後から具体的に過去の事例を申し上げますけれども、この業者がほとんど一括して会費を負担していたというケースがたくさんございます。そこに、おっしゃったように七十名程度の、利害関係者でない方も確かに来ておられます。しかし、自衛官のトップクラスがそういうところに会費も払わずに行った場合には、抵触しませんか。
宇田川政府参考人 委員御指摘の利害関係者についてでございますが、政令の自衛隊員倫理規程の第二条の第五号でありますが、
 国の支出の原因となる契約に関する事務又は会計法第二十九条に規定する契約に関する事務 これらの契約を締結している事業者等、これらの契約の申込みをしている事業者等及びこれらの契約の申込みをしようとしていることが明らかである事業者等
となっておりまして、佐世保総監部の場合には経理部長あるいは契約課長が該当しますので、総監等は該当しないことになっております。
今川委員 そんないいかげんな答弁ないですよ。実際の、実務的にはおっしゃるとおり経理部長が担当者になるでしょう。しかし、たとえ形式的とはいえ、海上自衛隊佐世保地方総監部の総監が最終的な決裁者であるんじゃないんですか。それはいいかげんです。
 二点目に、より具体的なことを少し紹介しながらお尋ねをしたいと思います。
 この解体業者A氏自身の祝賀会であります。この方は、今から二年前の十二月十二日、海上幕僚長感謝状受賞祝賀会というのが催されております。ちなみに、この解体業者A氏は、海上自衛隊幹部に対する飲食接待のいわば実績ですけれども、少なくとも、九五年以降、七人の佐世保地方総監の歴代総監を十数回接待しております。
 少し申し上げますが、九七年一月八日には当時久間防衛庁長官の就任祝賀会、同年四月三十日には金子総監、道家幕僚長の就任祝賀会、同年八月二十日には夏川海上幕僚長の来崎歓迎会、翌九八年六月十三日には松尾長崎県副知事御苦労さん会、八月二十日、石山総監の就任祝賀会、同年十二月十二日、北村武郎長崎地連部長の送別会、翌九九年四月十七日、金田護衛艦隊司令来崎歓迎会、同年五月十日、夏川統合幕僚議長退官祝賀会、同年八月十一日、石川総監の就任祝賀会、こういうぐあいです。
 そして、ここにありますように、これは平成九年の当時久間長官の就任祝賀会の写真です。それから、これは石川亨当時佐世保地方総監の就任祝賀会です。それから、これは今申し上げた解体業者A氏の感謝状受賞祝賀会の写真なんです。
 そこで、お伺いしたいのでありますが、一九九八年十二月十二日に北村武郎長崎地連部長の送別会が開かれましたが、北村氏は翌年、三菱重工長崎造船所の顧問に就任をされております。以後、A氏が主催する宴会には必ず出席をされております。これは、少なくとも自衛隊法第六十二条第二項に違反しはしませんか。この点、いかがですか。
宇田川政府参考人 今の御質問の地連部長の件でございますが、当該長崎地連部長は、平成五年八月二日から平成七年七月三十一日まで地連部長でおったわけでありますが、その後、三十一護衛隊司令、これは舞鶴であります、これを経まして、平成十年十二月八日に佐世保教育隊司令で退官しております。そのときに、今御指摘のA氏の送別会が行われたかどうかについては承知していないところであります。
今川委員 今おっしゃったように、平成十年ですから一九九八年でしょう。その翌年に、この北村氏は三菱重工の顧問に就任されておるんだけれども、自衛隊法第六十二条第二項、離職をしてから半年もたたないうちに、そういう防衛庁と深くかかわり合いのある三菱重工長崎造船所の顧問として就任することは問題ありませんかと聞いているんです。
宇田川政府参考人 今委員御指摘の六十二条の関係でございますが、六十二条は、平成十一年八月六日に成立しまして、平成十二年七月一日に施行されております。
 その当時におきましては、今委員御指摘のように、当該者は三菱重工の顧問に就任しておりますが、その過程につきましては何の問題もございません。
今川委員 そこで、このA氏の祝賀会に関してでありますが、発起人は久間章生元防衛庁長官、夏川和也前統幕議長、そして石川亨佐世保総監、この三人でございました。会費は一万円、出席した自衛隊幹部は石川総監、本多幕僚長、柳田第二十二航空群司令などとなっておりますが、間違いございませんか。
宇田川政府参考人 委員御指摘の解体業者の海幕長感謝状受賞祝賀会でございます。
 本件は、平成十二年十二月十二日に、佐世保地方総監を含む海上自衛隊幹部自衛官五名、陸上自衛隊の幹部自衛官三名、航空自衛隊幹部自衛官一名の合計九名を含む八十名が参加して行われております。発起人には、当時の石川佐世保地方総監が含まれております。
 それから、自衛隊からの祝賀会出席者につきましては、海上自衛隊から、今申し上げました佐世保地方総監とか佐世保地方総監部の幕僚長、それから、航空自衛隊からは西部航空方面隊の副司令官、陸上自衛隊からは第七高射特科群長等が出席しておるところであります。
今川委員 ところで、当時、こうした民間人、しかも防衛庁や自衛隊とかかわり合いを持つ、取引関係がある業者などが海幕長などの表彰を受ける場合、私がいろいろと状況を聞いてみますと、通常、各地でそういうケースがあった場合に、大体二十年ほどは防衛庁や自衛隊に対して協力し、貢献度合いがあるというときに、そういう一つの基準といいますか、表彰される場合もあるらしいんですが、このA氏の場合は、先ほど申し上げましたように、いろいろな宴席を持つことも自衛隊に対する協力だといえばそうなんでしょうが、六年程度なんですね。そこで、石川総監がA氏を海上幕僚監部に上申をしております。
 先ほど申し上げたように、二十年どころか、せいぜい五、六年間のそういう協力の実績といいますか、というものに対して表彰された。その基準というのは一体どうなっているんでしょうか。
宇田川政府参考人 表彰状等につきましては、防衛庁訓令であります表彰等に関する訓令で、感謝状の贈与、それと授与権者が決まっているわけでありますが、海上幕僚長の感謝状について申しますと、海上自衛隊の育成、発展に協力し、その功労が著しいと認められる隊員以外の個人または団体に対し、その功績をたたえて海上幕僚長が贈与するということになっております。
 この海幕長の感謝状の選考に当たっては、長年にわたり海上自衛隊に対して功績があること、部隊の長から感謝状を贈呈されてから二年以上経過していること、過去に海上幕僚長感謝状を贈呈された実績がないことを基準としているわけでございまして、必ずしも二十年というふうな基準があるわけではございません。
今川委員 実は、このA氏の祝賀会に出席をした複数の方々の話によりますと、いわゆるA氏は、先ほど申し上げたように、ここ五、六年来、その年に多いときは三回ほどいろいろな形で祝賀会等をやっておられるようですが、そうした日ごろの自衛隊幹部に対する接待に対する、今回のケースは海上自衛隊側の返礼だというふうに自分たちは認識しておった、こういう話がございますけれども、今申し上げた点、どのような認識をお持ちですか。
宇田川政府参考人 海幕長の感謝状を贈呈した基準は今申し上げたような理由でございますが、しからば、個々具体的に、このA氏がなぜ平成十二年に海上幕僚長の感謝状を受賞したのかということになりますと、長年にわたり防衛基盤の育成に貢献した功績ということでございまして、一つは、長崎県防衛協会の理事あるいは常任理事として、地域住民との交流により自衛隊の理解及び防衛思想の普及に尽力したこと、陸海空自衛隊並びに自衛隊長崎地方連絡部の各種行事への出席、部隊等の慰問、激励等を積極的に実施し、部隊及び隊員の士気の高揚に多大の貢献をしたこと、それから、新隊員の入隊、修了式等に積極的に参列し、隊員の士気高揚に寄与したことというふうなことでございまして、御指摘のようなことはないというふうに考えておるところであります。
今川委員 ところで、このA氏の経営している事業なんですが、個人商店なんですね。それで、非鉄金属の卸売、それから解体工事業であります。年間売上高が約一億八千万円。その中で目を引くのは、経常損益をちょっと見てみますと、販売費及び一般管理費が三千七百万ほどなんですね。そのうち何と交際費が千九百七十九万、ざっと二千万円ですよ。私も、中小企業や零細企業の労使問題に随分長く携わってきましたから、いろいろな収支決算書とか損益計算書などは見ていますが、この販売費及び一般管理費三千七百万円のうちの二千万円が交際費に使われるというのは、ちょっとこれは幾ら何でも異常だというふうに思うんです。これが、先ほど申し上げた、毎年毎年、海自の佐世保地方総監であるとか、防衛庁長官の就任式だとか、あるいは退職のお祝いだとか、そういうものに充てられてきたんだろうというふうに私は思うのであります。
 そこで、中谷長官、五年前のいわゆる背任汚職事件を十分反省した上で、いろいろな改善策を次々と打ち出していかれましたよね。しかも、そういった事件を教訓にして、こういう自衛隊員の倫理法だとか倫理規程が厳しく定められていったと思うんですね。
 そういった意味で、今回のこのようなケースが一度二度ならず、少なくとも九五年から約七年間繰り返されてきている。しかも、今回は新聞で大きく報道されたからということが、事情が働いたはずなんですが、そこに呼ばれていく方は結構毎回同じ人物が多いんですね。そこに同席をしていた方が、少なくとも、以前何度もこういう宴席が設けられたけれども、自分たちは会費を払った覚えがないと言っているんです。この方は、三菱重工造船所とも非常に深い関係があります。
 こういった非常に誤解を与えやすい、あるいは誤解だけじゃなくて、実際に確信的にやはり法に触れるのではないかというふうなところは、もっとこれは、例えば佐世保地方総監にしても、総監部の幕僚長にしても、一番トップクラスが、防衛協会が主催していたんだろうという非常にあいまいな認識で本当に行かれるのかな。そこで必要とする経費は、足を運ぶなら、当然会費は幾らなんだ、あるいは、そういう出席にかかわる費用というのは一体どうなっているんだということを、経理部長であれ何であれ、普通聞くんじゃないですか。私は、今回のこの事件というのは無視できないと思います。
 防衛庁長官、そういった意味では、今回、防衛庁のリストの問題、かれこれいろいろな防衛庁にかかわる不祥事が続いて、国民の少なからず不信感がございます。そういった意味では、少なくとも、地元でこれだけ大きく報道され、私も自分なりに調査をし、やってきて、やはりおかしい。そういった意味では、一片の曇りもなく長崎県民の不信感を払拭する上でも、もっと厳しい調査をして、認識を持って、やはりしかるべき対応なり処分をするのが当たり前じゃないかと思うんですが、中谷長官の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
中谷国務大臣 経緯とか経過につきましては、今までお話ししたとおりでございます。
 自衛官等も国を守るために精いっぱい働いておりますが、今問題となっているのは官と民の交流のあり方でございます。今後とも、国民から疑惑や不信を招かないように、さらに一層、自衛隊員としての倫理法及び自衛隊員倫理規程について、周知徹底をしてまいりたいと考えております。
今川委員 時間がもうあと一分ほどしかないようですが、本来でしたら、時間があれば、もう一つは、自衛官が、ほかの公務員から比べますと早目に定年を迎える、退職をしていくということもあって、例の再就職、天下りの問題もございますが、きょうはもうそれを質問する時間がなくなりました。
 いずれにしましても、国民、県民から疑いを持たれるような行為は厳に慎んでやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
玉置委員長 次に、米田建三君。
米田委員 私はまず、当委員会の直接の所管ではないわけでありますが、有事関連法制審議について政府の見解を問いたいと思います。
 武力攻撃事態対処特別委員会におきまして有事関連三法案が審議をされておりますが、今国会成立が、率直に言って危ぶまれております。その原因はたくさんあります。それだけ挙げていれば全部質問時間が終わってしまいますから、私はあえて、きょうは実は政府・与党の側の責任を問いたいと思っております。
 つまり、政府及び与党の最高首脳が、この国会運営におきまして、成立に向けての優先順位をある段階から下げたことは、私は間違いがないというふうに実は認識をしております。これは恐るべき政治センスの欠如じゃないでしょうか。政治家としての使命の放棄ではないか、そう思うんですね。
 なぜならば、いやしくもサミット主要国の一角を占める我が国が、まともな独立国家としての安全保障体制のその基本において欠陥があることを天下に知らしめたことになるわけですよ、法案を提出したということは。にもかかわらず、その優先度を下げたということは、国家の安全に日本の政府、政党が重きを置いていない、このことを宣言したに等しいというふうに私は思います。
 それのみならず、欧米マスコミの報道にも見られました、日本ほどの国がいまだにそういう安保体制に大きな不備があったということを初めて知ったけれども驚きだというような報道も、実は一部にはあったわけであります。そういう世界の声にもこたえないことを意味します。
 私は、この法案が仮に今国会で不成立というようなことになれば、まさにその政治責任は極めて重大であるというふうに考えますが、この国家国民並びに自由主義同盟諸国に対するその罪は、私は万死に値すると思いますが、安倍官房副長官並びに防衛庁長官の見解を問います。
安倍内閣官房副長官 この武力攻撃事態対処法案につきましては、小泉総理が通常国会の冒頭におきましての施政方針演説におきまして、有事関係の法律の整備を行うという宣言をいたしたわけでございまして、当然私ども、最重要法案と位置づけておりまして、それは今でも変わらないわけでございます。
 そういう意味におきましては、何とかこの国会におきまして御審議をいただきまして成立を目指していただきたい、このように思っております。
中谷国務大臣 有事法制につきましては、米田議員を初め与党の皆様方、情熱を傾けて取り組んでいただいておりまして、感謝と敬意を表します。
 政府といたしましては、成立に向けて全力で取り組んできたつもりでございますが、今後とも、国会に残された期間もございます、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
米田委員 現法案が今国会において成立するか、あるいは不成立というような事態になるのか、それにかかわらず、個別法の整備を含めまして、我が国の有事対応のための法体系全体の完成には、今後さらなる時間を要するわけであります。
 その際、私は、今回、原案策定の段階からこれをつぶさに見ておりまして、やはりこの縦割りの官僚機構の、各関係省庁からの選抜チームで官邸でやっておりますが、こういう縦割りの官僚機構の寄せ集めのチーム、これだけにゆだねていいんだろうかと。やはり省庁間の権益の争い、権限争い、あるいはその結果としての関係省庁の妥協の産物としての法案になる嫌いがある、絶対そんなことがあってはならぬわけでありますが、その可能性がどうしても出てくる。
 さらに加えて、この法体系の確立の迅速性を担保するためにも、例えば総理を本部長とする、政治家、議員をメンバーとする安全保障関連法制推進本部、例えばそういうふうな組織を設けるなど、いずれにしましても、政治主導によって法体系を完成せしめる仕組みを整える必要があるというふうに私は思いますが、今後の方向性ですが、官房副長官の見解を問います。
安倍内閣官房副長官 このいわゆる有事法制につきましては、二年前に、当時の森総理が所信表明演説におきまして初めて言及をされたわけでございます。その後、内閣官房におきまして、各省庁から人を出していただきまして、検討チームにおきまして検討を、また研究を進めてまいりまして、今般、法律の提出ということになったわけでございますが、法律を提出するまでに、党におきましてもPTをつくっていただきまして、多くの専門的知識を持っておられる、見識を持っておられる議員の皆様にも御参加をいただきまして、御審議をいただいたわけでございます。
 政府側から出しました案は基本的にはたたき台でございまして、それをたたいていただきまして成案を得たということではないか、このように思うわけでございますが、今後、関連の法案を出すに際しましても、これはやはり国の平和と安全を守るという基本的な法案でございますから、当然、与党の皆様と十分に相談するというよりも、この法案作成に向けて参加をしていただく場を当然考えていきたい、このように思っております。
米田委員 法案については、党の関連の部会だとか、あるいは今安倍副長官がおっしゃった与党のPTとか、いろいろ練る場面があった。そして、相当に厳しく、かつまた、私の考えでは、政府原案よりもその部分においては質の高い指摘や批判もあったにもかかわらず、ことごとく取り入れられず、上程をされ、そして案の定、与野党のすぐれた専門家の先生方の質問にしばしば政府側が立ち往生するような場面も見られました。
 まだまだこれから長丁場でありますから、ぜひとも私は、政治主導のきちんとした迅速に対応できる組織を、今後、秋以降はおつくりいただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。
 次に、武装工作船の問題で何点か伺います。
 海上保安庁は詳細の公表を控えているようであります。きょうは、その点は別に追及はいたしません。
 しかし、もはや国民の目の前に、ロケット弾を装備し重機関銃も持っている、そういう大変な重武装の船であるということは報道で明らかになっている。しかも、どうも類似の船が我が国周辺海域を周遊している、これも間違いがないということはもはや国民の常識になっているわけであります。
 防衛庁長官、私は、ここで改めて重要な問題が提起されておると。古くて新しい議論になるわけでありますが、つまり、状況によっては海上保安庁、これは警察機関である、この海保による警察作用の範囲の対応では無理な事態というのが当然予想されますよね。いや、それどころか自衛隊の、海自の海警行動にしても、あくまでもこれは基本的に警察作用であります。したがって、最終的には違法行為者の検挙というものが目的という建前、そういう枠組みなんですね。
 しかしながら、こういう重武装の武装工作船が我が国海域及びその周辺に徘回をしておるというようなことになりますと、出くわした場合の状況によっては、警察作用ではなくいわゆる防衛作用、強いて言えば軍事行動として先制攻撃による制圧すら必要になる、こちらがせん滅をしなければ我が方が自分の身を守ることすらできない状況というものがあり得るんだろうというふうに私は思うんです、これだけの重武装ですと。
 つまり、防衛作用、軍事行動を要する事態が武装工作船への対処としてあり得るということを考えるならば、では、今までの法的な枠組みで対処できるんだろうか。例えば、防衛出動や治安出動の発動をより簡便、容易にできるんだろうか。突発的な、しかも限定的な地点の小規模な事案に対してやはりこれは重過ぎるでしょう。あるいは、海警行動の中身の強化といっても、これも海警行動の警察作用としての性格上、当然限界があるだろう。やはりこれまでさんざん議論の俎上に上ってきた領域警備の権限の法体系を構築する等、新たな発想というものが必要なんだろうと私は思うんですね。
 これはまさに武力攻撃事態対処法の二十四条にあるさまざまな事態の一環に該当する事態であろうとも思うんですが、この事態法二十四条については、期限すら設けられておりません。この武装工作船が重装備であることが現認された今日、迅速にこういう事態に対して対応する新たな枠組みをつくるべきだと思いますが、防衛庁長官の見解を伺います。
中谷国務大臣 現状におきましては、海上における人命、財産の保護、または海上における治安の維持については、第一義的には海上保安庁の責務でありまして、海上保安庁によって対処が不可能もしくは困難な場合には、海上警備行動等によって自衛隊が対処することになっておりまして、機を逸することなく海上警備行動を発令して自衛隊が対処する等、不審船に対しても、昨年末の事案等を検証した結果、工作船の可能性の高い不審船事案においては、政府の方針として、当初から自衛艦、自衛隊の艦船を派遣し、不測の事態に備えるとしたところでございます。
 現時点においては、不審船の武装の全容が明らかとなっているわけではございませんが、隊員や海上保安庁職員の安全を確保しつつ適切に対処できるよう、自衛隊のみならず海上保安庁においても、巡視船等の防弾対策や遠距離から正確な射撃を行うための搭載武器の高性能化等が検討されると承知をいたしております。
 なお、海上警備行動の法的枠組みは、まずは海上保安庁が実際に対処した後でなければ自衛隊は対処しないというものではなくて、相手の武装等から判断して、あらかじめ海上保安庁によって対処が不可能または著しく困難であると考えられる場合には、当初から自衛隊が対処するということは可能でございます。
 また、警職法等の関係について、武器使用の権限として、警職法第七条及び海上保安庁法第二十条二項の規定が準用されるということになっておりますが、この七条は、自己もしくは他人の防護または公務執行に対する抵抗の抑止のために必要な場合に、事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することが認められる。この際、正当防衛、緊急避難に該当する場合や重大凶悪犯罪の現行犯などが職務執行に対して抵抗し、これを抑止するために必要な場合には、武器使用により相手に危害を与えることも容認をされるわけでございます。
 また、海上保安庁法の第二十条二項は、領海内において国際法に違反する無害通航でない航行を行い、停船命令に応じず逃走を続けるなど一定の要件を満たす不審船に対し、停船のための武器使用を認めるものであり、武器使用によって相手に危害を与えたとしても容認されるものでございます。
 これらの規定に基づく武器使用は、必ずしも相手が発砲しなければ行えないというものではございません。これらの武器使用権限により、不審船対処は適切に行い得るものと考えておりますが、今回の不審船等の検証結果も踏まえまして、隊員の安全を確保しつつ、不審船に対して有効な停船措置を講じるため、護衛艦等の射撃精度の向上、跳弾しにくい平頭弾の整備等、遠距離から正確な射撃を行うための武器の整備等を推進してまいる所存でございます。
米田委員 ちょっと詳しく説明いただいたんですが、少し質問の答えになっていないような気がするんですね。
 私は、簡単に言いますと、防衛出動下令がされていなくとも、国際の法規と慣例にのっとったところの武力行使をせざるを得ないような事態というものが発生し得るのではないかということを言っているわけであります。官房副長官に。
安倍内閣官房副長官 委員御指摘の点は、二十四条において想定している事態だ、このように思うわけでございます。
 この二十四条におきましては、委員御指摘のとおり、この二年間のプログラムの中には入っていないわけでございますが、この二十四条が想定する事態、例えば不審船の事案等がその中に入るわけでございますが、これは極めて重要性が高い、起こり得る蓋然性が高いというのは特別委員会で御指摘があったとおりでございますから、当然、この二十四条が想定する事態につきましては、なるべく早い段階で、法律の整備が必要であれば法律の整備を行うべく検討を進めていきたい、このように思っております。
 また、昨年改正をいたしました海上保安庁法と自衛隊法によりまして、我が国の領海内で発見した不審船に対する武器使用権限を強化したわけでございますが、先般の不審船事案は、領海内ではなくてEEZ内であったわけでございますから、であるならば、このEEZ内でどのように対応できるかどうかということも、当然これも至急、できるだけ早く検討をしていかなければいけない、そして成案を得なければいけない、このように思っております。
米田委員 古典的な、国家と国家の大組織が正面衝突をするというような事態よりも、こういうふうな事態の方がむしろ発生の蓋然性が高いわけでありますので、迅速な対応というものをぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 この武装工作船に絡んでもう一つ申し上げたいんですが、この不審船の基地、拠点が中国にあるという報道が相次いでいるわけであります。
 本年の三月一日の朝日新聞朝刊では、中国の上海の沖にある軍港というものが不審船の拠点になっているという報道がありました。それから、これは同日の産経新聞の夕刊でありますが、やはり中国・上海の東方に位置する島、この港湾施設というものがやはり不審船の拠点として物資の補給等の基地として使われているというような報道がありました。また、最近では、七月三日の読売の夕刊でありますが、いわゆる北朝鮮の不審船の支援船が上海の沖に常駐をしておるというような報道もあったわけであります。
 いずれにしましても、中国がこの武装工作船にいわば関与をしておる、こういうことになるわけでありますが、この辺の事実関係はどうなのか。必ずしも今回沈没した武装工作船のことでなくてもよろしいですから、過去のある一定の時期でも結構ですから、また言い方は工夫しても結構ですから、お答えを願いたい。
中谷国務大臣 防衛庁といたしましては、その報道があったということについては承知をいたしております。さまざまな形で防衛庁としての情報収集等も行っているわけでございますが、具体的な内容につきましては、報道のような事実があるかないか等お答えをいたしますと、防衛庁の情報収集能力また情報関心等が明らかになってしまいますので、自後の情報活動の支障となるわけでございますので、この事実等につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
米田委員 とりあえず順当なお答えで、きょうはそれで結構でございます。
 次に、外務大臣にちょっと伺いたいんですが、横浜市の戸塚区と泉区にまたがる米軍の深谷通信隊基地というのがあるんですね。面積が八十ヘクタール、本来はこれは国有地でありますが、本年の六月現在で、この通信基地には実は米軍人の姿はない、広大な空き地と人けのない建物にいろいろな不審者が出入りしたりしたら危険だからということで日本人ガードマン四名のみがおる、こういう状況であります。
 これは、日米地位協定の第二条第三項に違反するんじゃありませんか。つまり、
 合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。
こういうことになっております。
 私は、日米同盟が極めて重要であるという認識に立つ立場でございますが、しかしながら、一九四五年八月十五日の続きのつもりでいてもらっちゃ困るわけでありまして、やはり、対等である、イコールパートナーである、これを目指す不断の努力を続けてこそ、日本国民の信頼もやはり日米同盟というものは得られるわけであります。不要な基地はどんどん整理をする、整理すべき基地はどんどん整理をする、こういう姿勢を、きょうは一つ具体例を挙げたわけでありますが、いずこの基地においてもそういう明快な姿勢をやはり日本国政府はとるべきではないのか、外務省はきちんと努力をしていただいているのかどうなのか、返還交渉。お答えを願います。
川口国務大臣 日本とアメリカの関係についての委員の御指摘は、私も対等のパートナーであるというのはそのとおりであると思います。
 深谷の施設についての御指摘でございますけれども、これについては、現地の視察、関係省庁との協議を行っているところでございまして、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら、関係省庁との協議を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
米田委員 地域の住民には実態がもう知れ渡っていますからね。早いところちゃんとしないとみっともないですよ。重ねてそれは申し上げておきます。
 次に、まだ時間がありますので、これは防衛庁長官と外務大臣にお尋ねをすることになりますが、中国の国防費がトウショウヘイ時代の一九八九年以来十四年間連続で二けた増加していることは御存じだろうと思います。そしてまた、中国の国防費が、公表されているもののほかに、ほかの予算項目に分散されているものもたくさんあると言われていることも御存じだろうと思います。
 加えて、この二〇〇二年度の中国政府の予算案の公表の際は、ハイテク条件下における軍の防衛戦闘能力を増強するという目的も明らかにされました。さらに、中国が近年ロシアからの武器購入に積極的であることも、両大臣は御存じだろうというふうに思います。
 そういう流れの中で、昨今、新鋭のロシアのキロ級潜水艦八隻を中国は購入し、二〇〇六年までに実戦配備するという報道がございましたが、それが実現した場合、中国が領有権を主張している我が沖縄県の尖閣諸島防衛に脅威となるのではないか、あるいは我が国への物資の海上輸送路への脅威とならないのか、まずこの点につきまして防衛庁長官にお尋ねをいたします。
中谷国務大臣 中国につきましては、軍事力について量から質へ転換を目指して全軍の近代化を進行しております。
 海上の戦力については、静寂性にすぐれたキロ級の潜水艦をロシアから導入するなどして、海軍力の近代化を進めております。沿岸海域を防衛する海軍から、沿岸海域より遠方の近海を防衛する海軍への移行を図っていることが考えられますが、御指摘のキロ級の最新鋭潜水艦八隻を新たに購入するとの情報については、報道は承知をいたしておりますが、その事実については承知をいたしておりません。
 また、防衛庁としては、現在、防衛力の整備を進めているところでありますが、引き続き、軍事科学技術の進歩などに配意しつつ、我が国を取り巻く安全保障環境の変化にも対応して我が国の平和と安全を確保できるよう、周辺海域の防衛能力及び海上交通の安全確保能力の維持向上に努めてまいりたいと考えております。
米田委員 キロ級潜水艦の購入問題についてはさておきまして、いずれにせよ、今長官おっしゃったように、中国が着々と、特に海軍力の増強に力を注いでいることは間違いないわけであります。これは、内陸において単なる防衛的な目的の軍ではなく、基本的には外洋に打って出るという大きな転換を、少なくとも私の知識では、中国が一九八〇年代に大きな戦略的な転換を行ったことは間違いない、こういうふうに私は認識をしておるわけであります。
 そこで、外務大臣、中国は、我が国から多額の経済支援を受けながら国防力の増強を続けてまいりました。言ってみれば、我が国からの支援で民生費を浮かせて、その浮いた金で軍備の増強を行ってきたわけであります。加えて、アジア、アフリカ諸国への援助供与国となって、外交的得点も稼いでいます。中国は、二〇〇二年の政府予算の中で約五億五千七百万ドルの対外援助予算を計上しておりますが、これは、我が国からの中国に対するODAの実に四五%に相当する額でもあります。
 他人の力で武力を養い、かつまた他国へ援助をしていい顔をする、こういう国に経済支援をする必要がどこにあるんですか。それとも、本当はおかしいんだけれども、援助を続けなければならないような内外の事情でもあるのか。もう最近どこへ行ったって、ちまたの一般の国民が、何をやっているんだ、瀋陽事件もこれあり、おかしいではないかという声が充満しているんですね。
 日本政府の一連のこの不思議な行為について、外務大臣はきちんと説明してください。
川口国務大臣 我が国としまして、中国が安定的に発展をして、日中間に安定をした友好的な関係があるということは、我が国にとって大事なことでございますし、また、アジア太平洋地域の平和と安定、繁栄にとって極めて重要であると考えています。
 我が国の中国に対するODAでございますけれども、これはODAの大綱を踏まえまして、中国の援助に対する需要、経済社会の状況、あるいは日中二国間の関係を総合的に勘案いたしまして、援助を実施しているわけでございます。
 他方で、我が国といたしましては、厳しい財政事情のもとで、また、中国における開発課題の変化等を加えまして、さまざまな意見が我が国の国内にもあるわけでございまして、こうした意見を踏まえまして、政府としては、昨年の十月に対中国経済協力計画を策定いたしまして、中国に対するODAはこれに基づいて実施をしてまいっております。
 国防費がふえているといった点、それから中国みずからが援助をしているという点については、まさにそういうことがあるわけでございますけれども、政府としては、あらゆる機会をとらえて、これは中国経済協力計画にも書いてございますが、中国がODA大綱に対する理解と認識を深める、また、装備の問題を含めました国防政策全般につきましても、透明性を高めるといったことについて働きかけていく考えでおります。
 十三年度の中国に対する円借款につきましては、これは結果的に前年度比約二五%の減になっております。これは、中国経済協力計画の趣旨を踏まえて、我が国の財政事情、中国の経済発展の状況と国力の増大、個別案件の我が方の重点分野との整合性等を勘案しました結果、こういうことになったわけでございます。
米田委員 失礼ながら、余りにも単純なお言葉にびっくりしているわけでありまして、中国が、我が国や欧米諸国のように民主主義的な国家として発展をしていくことは大歓迎であります。拍手を送りたいけれども。世界にもまれな一党独裁によって、かつまた私が先ほど指摘したとおり、少なくとも一九八〇年代の後半から、人民解放軍関係の理論誌その他を、大臣、全部一度読んでください。勉強してください。明らかに、中国の今の政策のすべてとは言わないが、軍事覇権主義的な性格の濃い、今そういう政府であることは間違いないだろうというふうに私は思っています。
 したがって、隣人がよき方向で発展していくことは大歓迎でありますが、現状のまま、単に我が国が一方的に金を貢ぐだけで、一体何の我が国の国益の確保ができるのか。それからまた、今も再三申し上げているとおり、中国の軍事的な政策というものは、明らかに我々が看過できない、そういう要素があるというようなことを外務省はもっと真剣に受けとめて、国策というものを私は持ってもらいたい。二十一世紀の我が国の安全をどう確保するのか、そのことをもう一度真剣に考えていただきたいというふうに私は思います。
 時間が来ましたので、質問を終わります。
玉置委員長 本日の質疑は終了いたしました。
 なお、先ほど石井紘基さん、そして赤嶺政賢さん、資料要求がございまして、次回の理事会で諮らせていただきたいと思います。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十四分散会

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