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第3号 平成15年3月27日(木曜日)

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平成十五年三月二十七日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 田並 胤明君
   理事 岩屋  毅君 理事 木村 太郎君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 桑原  豊君 理事 渡辺  周君
   理事 赤松 正雄君 理事 樋高  剛君
      逢沢 一郎君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    臼井日出男君
      北村 誠吾君    小島 敏男君
      杉山 憲夫君    虎島 和夫君
      中山 利生君    仲村 正治君
      野呂田芳成君    平沢 勝栄君
      大出  彰君    小林 憲司君
      前田 雄吉君    前原 誠司君
      田端 正広君    赤嶺 政賢君
      今川 正美君    東門美津子君
      粟屋 敏信君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   防衛庁長官政務官     小島 敏男君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君
   政府参考人
   (外務省大臣官房領事移住
   部長)          小野 正昭君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            西田 恒夫君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   政府参考人
   (外務省条約局長)    林  景一君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房技術
   総括審議官)       田中 慶司君
   安全保障委員会専門員   小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十七日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     岩崎 忠夫君
  保坂 展人君     東門美津子君
同日
 辞任         補欠選任
  岩崎 忠夫君     岩倉 博文君
  東門美津子君     保坂 展人君
    ―――――――――――――
三月十八日
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――
田並委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁運用局長西川徹矢君、外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長安藤裕康君、外務省条約局長林景一君及び厚生労働省大臣官房技術総括審議官田中慶司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
田並委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。
渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。それでは、質問をさせていただきます。
 まず初めに、イラク情勢でございます。
 連日、テレビ、新聞、メディア等で戦況が刻々と伝えられるわけでございますけれども、これは同僚議員からも後に質問がございますので、重ならないように、ちょっと私なりの立場からいろいろ質問をさせていただきたいんですが、まず一つは、周辺国にいる邦人、この方々というのは今どのような状況になっているのか。それから、この点についてもう一つ、邦人保護という、これは我が国の外務省がやらなければいけない大きな、我が国としてなすべきことの一つでございますが、例えば、今、人間の盾としてイラクにいる邦人がいる。そしてまた、周辺国に今待機をしていて、これから人間の盾となろうとしている人たちがいる。こういう方々に対して今外務省の方では説得を続けているというふうに伝え聞いているわけでありますけれども、こういう方々を、例えばこれから周辺国に行くということ自体を阻止することも邦人保護の一環ではないかと思うんです。
 例えば、ヨルダンでありますとかあるいはシリアでありますとか、我が国からヨーロッパを経て周辺国に入るとなった場合、ヨルダンという国にはビザが当然必要であります。それから、例えばクウェートであるとかサウジアラビアであるとかシリアであるとか、こういう国でありますと、当然、ビザの発給を受けて入国をするわけでありますけれども、その点についても、これは我が国として、例えば、近隣国と当然大使館レベルで話をして、つまり邦人からのそうした目的、そこまではっきりと申請の要件にするかどうかわかりませんが、ビザ発給があった場合には発行しないでくれという形での対応はできるのではないのか、私自身はそう思うわけであります。
 周辺国にいる邦人の保護の現状、それからイラク国内にいる人間の盾の方々の現状、そしてまたそういう邦人保護の観点から周辺国に対して我が国として何か要請はできるかどうか、またそういうことは検討されているかどうか、その点についてまずお尋ねをしたいと思います。
茂木副大臣 委員御指摘のイラク、武力行使が始まりまして大変危険な状況になっております。
 例えば、イラクに対しましては、既に二月の十四日の時点で退避勧告を出しております。ただ、御指摘のように、三月の二十日の戦争の開始以来、イラクに滞在しております邦人の方は残念ながらふえておるわけであります。三月の二十日の時点で三十人だったのが、きょう現在では四十三人、こういう状況でありまして、人間の盾として実際にサイトといいますか、浄水場であったりとか変電所に配置をされているという人が十一人おります。
 ただ、一番最新の状況で申し上げますと、十一名の方のうち二名が出国の意向を示しておりまして、恐らく日本時間のきょうの午後という形になると思うんですが、バグダッドからシリアのダマスカスに向けて出国をする。シリアの大使館の方に、出国といいますか、シリアに対する入国に関して支援をしてほしい、こういう要請が来ておりますので、早速、在ダマスカスの大使館の人間を派遣いたしまして、国境で受け入れの準備をしたい、支援をしたい、こういうふうに考えております。
 御指摘の、例えば今バグダッドに入る人たち、退避勧告を出して以来、国内においても、危険ですよ、こういうことは累次申し上げております。また、入るルートで申し上げますと、ヨルダンのアンマン、そしてまたシリアのダマスカス、ここが中心になるわけでありますが、空港においてそういう人たちを大使館員が出迎えるというか待っている。また、いそうなホテル、こういうところに対しましても大使館員が毎日出向く。さらには、バス停に行きまして、バグダッドに入る人間、そうおぼしき人間がいたら、声をかけて話を聞き、でき得る限り説得をする。また、バグダッドに入っている人間の盾、邦人に対しましても、累次、シリア、ヨルダンの大使館の方から連絡を入れまして、大変危険ですからすぐに出てほしい、こういう連絡を申し上げているところであります。
 そういう説得に応じていただく方、また、個人の御判断でバグダッドへの入国を思いとどまったり、また出国される方もいるわけでありますが、その一方で、大変意志がかたいという方も非常に多いんです。何度説得しても意志がかたいという方が多いわけでありまして、自己責任で行くんだ、こういうことに対しましては、なかなか政府としても、強制力は持っていないわけでありますから、入国をとめるとかバグダッドに行くのをとめる、こういうのは大変難しい状況にあるのは確かであります。
 また、隣国に関しましても、今退避勧告をクウェート、それからイスラエル、そしてサウジのカフジ地区に対しまして出しております。この地域で、合計七百二十六名の邦人の方が今とどまっております。こういう地域に対しましても、引き続き退避勧告を呼びかけ、また場合によって、退避するに当たって航空便が難しいような状況が出てきたら、チャーター便の手配であったりとか、陸路による退避、こういうことについても、例えば近隣の大使館から、どういう陸路を使うのか、使う場合、何時間ぐらいかかるのか、そしてどういう危険があるのか、こういうことも把握をしたり、さらにGPSを搭載した車等々を準備いたしまして、そういった邦人保護に対しましては、大臣からも強い御指示をいただきまして、万全を期すようにやっております。
 そういった中で、ビザの発給についてでありますけれども、ビザを発給する、しない、これは委員御案内のとおり、それぞれの国の権限、判断でありまして、日本として、例えばそういう邦人の状況等々につきまして、各国に、保護方よろしくお願いしたい、こういうことは早い段階から呼びかけておりますが、ビザを発給しないように、こういう要請をするのはなかなか難しいのかな、こんなふうにも考えております。
渡辺(周)委員 例えば、今、強い意志を持って行かれる方の、一種の思想信条の自由がございますから、おのれの信条に基づいて邦人が人間の盾になりたいということに対して、これは残念ながらいかんともしがたい部分がありますが、今、例えばお二人の方が帰国の意志を示している。実際、爆撃が始まって、これはえらいことだと。
 これはやはり、何か、あるフリージャーナリストの方がどこかに書かれているのをちょっと最近読みましたけれども、実際始まってみて、物すごい轟音の、恐ろしいほどの爆撃を受けている、これは恐怖だ、私は何としてもこれを伝えるために国へ帰りたいんだというような、かなり真情を吐露されている、私自身も何か書かれたものを見ましたけれども、実際行ってみて、一つの理想で行ってみたのと、事実が起きてみたら、これはもう本当にそんなものじゃないんだということの中で、二人の方が出国の意向を示されているということでございます。こういう方に対しては、ぜひとも万全を期していただきたいというふうに思うわけであります。
 それからもう一つ、ちょっとあわせてお尋ねをすれば、例えば、今チャーター機というお話がありましたけれども、今度、政府専用機をヨルダンに派遣する。これはUNHCRの要請に基づくもので、テントなど、難民支援のために近く政府専用機を派遣するということなんですが、例えば、この政府専用機が行って、もう物資をおろしたらすぐ帰ってくるんですか。どういうスケジュールになっているんですか。というのは、例えば、待機をさせておいて、もし、この後、戦火が激しくなった場合には、帰りの便に邦人を乗せて帰ってくるというようなことは考えておられないですか。
茂木副大臣 政府専用機の使用に関しましては、恐らく正式決定、あす以降ということになってくるかと思うんですが、これは、先ほど申し上げましたように、邦人の保護、退避に関しては、政府専用機、またチャーター機、陸路、それぞれクウェートそれからイスラエル等々で状況が違いますので、最も適切な方法、こういうことで検討してまいりました。
 そこの中で、政府専用機に関しましては、現段階において、そういった周辺国からの邦人の退避で今すぐに政府専用機を使う必要性、蓋然性は乏しいんではないか、こういう判断のもとで、物資の輸送に使わせていただく。また、物資の輸送を考えますと、政府専用機、航続距離とか時間を考えても大変よかろう、こういう判断でありますが、委員御指摘のように、事態がどう変わるかわかりません。今後、事態の推移を見ながら、できるだけ機動的にあらゆる問題に対応していきたい、こんなふうに考えております。
渡辺(周)委員 具体的に、いつ、どのタイミングで物資を輸送するのか、積み込みの作業等もあるんでしょうけれども、行かれるんであれば、せっかく行って、例えば、そこに荷物をおろしたら帰ってくるんじゃなくて、私は、行ったんであれば、帰り、空で帰ってくるんだったら、何らかの形で、そこにいらっしゃる邦人の方、これはチャーター機を飛ばすというこれからのことを考えれば、しばらく待機させておいてもいいんではないのかなと思うわけです。もちろん、そこにかかる人員やいろいろな負担、経費の負担も含めて、あるいは相手国の利用状況も、これは相手国といろいろ話をしなきゃいけないんでしょうけれども、その点について考えていく余地はあると思うんですけれども、いかがですか。
 それから、飛ばす国はヨルダンというふうに報道されていますけれども、行き先はそれでよろしいんですか。
茂木副大臣 政府専用機の行き先につきましては、UNHCRの方から、ヨルダンでお願いしたい、こういう要請が来ておりますので、ヨルダンということで決定したい、このように考えております。
 その上で、政府専用機を邦人の保護に使うことも含め、今まで検討してきたわけでありますが、申し上げましたように、少なくともきょう時点で、政府専用機を邦人の保護に使う必要性は低いと考えております。
 ただ、いつ、どういう事態が今後起こってくるか、戦闘にある地域の周辺でありますから、わかりませんので、そういったことも、必要が起こってきたらできるだけ対応していきたい、こう考えております。
渡辺(周)委員 邦人の保護ということは、最大の我が国の今やるべきことであるということで、全力を尽くしていただきたいというふうに思うわけです。
 きょうはちょっと幾つか多岐にわたって質問がございますので、この点についてはまた同僚議員に譲るとします。
 次に、あす種子島の宇宙センターから打ち上げられると言われる我が国の衛星についてちょっとお尋ねをしたいんですけれども、まず、平成十年だったでしょうか、この検討が始まりまして、テポドンが我が国に飛来をしたということを踏まえて、我が国としても、テポドンの発射をきっかけに、情報収集衛星を保有するということが決定をされるようになりました。
 我が党としては、当時の見解としても発表しておりますけれども、これは平和利用の範囲内である、情報収集という形で、あくまでも専守防衛の範囲内であるということで同意を示しているわけでありますけれども、この衛星の能力については、いかなることになっているか。
 それと、何よりも、これは衛星の保有が決定されてから一貫して言われていることなんですけれども、事実、現実問題として、得られた情報をいかに分析もしくは解析をするのか、そうした能力は、我が国の得た情報にどう対応するかということは、今、現状どうなっているのか、どうお考えか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 防衛庁におきましては、衛星で得られる情報の収集、分析につきましては、情報本部に画像部というものを設けておりまして、ここでやっております。
 現在、商用衛星画像データ、これはイコノスということでございますが、分解能一メートル、宇宙空間から見まして一メートルの大きさのものだったら判別できるということでございます。それからSPOT、これが分解能二・五メートル、ランドサット、分解能十五メートル、レーダーサット、分解能十メートル、こういう各種の衛星を用いて画像情報の収集、解析を行っているのが現状でございます。
 今回、打ち上げられます情報収集衛星につきましては、我が国独自の画像情報収集能力を確保するということがまず意義があると思いますけれども、搭載されます光学衛星の分解能が一メートルとされておりますので、この分解能でございますと、弾道ミサイルの基地や艦艇、航空機等についての情報入手が可能となると考えております。
 また、この衛星は、合成開口レーダー衛星も打ち上げることにしておりますので、これについては、夜間や悪天候時においてもデータの入手が可能となるということで、防衛庁としましては、情報収集衛星の画像データを活用することは、現在の体制を強化する上で極めて意義のあることだと考えておるところでございます。
渡辺(周)委員 それはもちろん、これまでは商業衛星から数百万円単位で必要なものを購入していた。購入することによって、我が国が一体どういう情報を知りたいのかということが、要は手のうちをさらしてしまうことになるということで、いろいろと意見があったというふうなことも我々も承知をしているわけでございます。
 ですので、私が聞きたいのは、要は、変な例えかもしれませんが、立派なレントゲンがある、ところが、それに映っているものが何であるかということをやはり見立てられるレントゲン技師というか、お医者さんがいなかったら、一体そこに、例えば、地上に、宇宙空間から見て、地上で一メートルのものがある程度我々は知ることができる、ただ、問題は、それが何であるかということがわからなければ、正直言って宝の持ちぐされになるわけでございます。
 この点についての、我が国の今の現状で、画像処理、技術的なことじゃなくて、要は、それを分析、解析するノウハウというものが我が国にあるのかどうか、また、これからそういう人員を育てていくのか、それから、もっと言いますと、これは我が国単独でやれることなのかどうなのか、その点についてはどうなっていますか。
守屋政府参考人 先生御指摘のように、宇宙空間からの衛星の情報の解析には専門的な知識が必要でございまして、私どもでも、要員養成に約四年から五年かかるということでございます。
 現在、私どもの方の画像部に大体百人を超える人間がこの作業に従事いたしております。それから内閣で、内閣衛星情報センターにも、この関連の分析要員として百人近い人間がこの分析に当たるということでございまして、問題は、先生レントゲン技師の例を引き合いに出されましたけれども、衛星写真を見てこの絵が何を意味するのかということを分析するには、やはり経験の積み重ねと、いろいろな衛星写真を数多く見てそこで分析していくという手法、それから経験から学ぶということが非常に大きい分野でございまして、そういう面での要員の養成とそれから体制の強化というのは、やはり今後の課題だと考えておるところでございます。
渡辺(周)委員 要員の養成について、要は、当然、インテリジェンスの進んでいる米国と何らかの密接な、教育といいましょうか、意見交換をしなきゃいけないわけです。ですから、その点について我が国単独でできるんですかということを聞きましたが、それについてもう一回お尋ねをします。
 それから、例えば、そこで得られた情報が何らか、我が国に対して非常に危険な兆候があるんだと、例えばミサイル発射のような動きが、実はどうもそれらしいというふうになった場合、だれがどの時点で判断できるか。また、そういう情報を得た場合、我が国として現状では対応できないわけですね。その場合に、例えば米国に対して、こういう情報を持っているということを共有するのか、それとも我が国として、例えば国連の安保理なりに、我が国独自で得た情報によるとこうであるということをできるのか。つまり、得た情報をどうするかということについてはどういうふうになっていますか。
守屋政府参考人 衛星情報につきましては、先生御指摘のとおり、アメリカ、ロシア、こういうところが先進国でございますから、日本として、画像衛星の分析を行うにつきましては、同盟国であるアメリカの支援というものをいただいて対応しているところでございます。
 それから、先生御指摘になりましたこの情報、衛星情報に限らず、防衛庁の情報本部が集めました情報の分析、評価というものは、これは適時適切に防衛庁長官に御報告の上、官邸、外務省、そういうところで、日本の情報社会の中で共有がされているということでございまして、そういう中で、事態に応じて、こういう情報を生かした適切な対応というものがとられることになると考えておるところでございます。
渡辺(周)委員 せっかくですから、防衛庁長官、どうですか、御意見を伺いたいんですが。
石破国務大臣 ただいま防衛局長がお答えをしたとおりかと思いますが、要は、これは周回衛星なんですね。静止衛星と違って、一カ所にとどまってずっと見ているわけではない。ある程度の周期を置いてその上を飛んで、たまたまそういう情報がとれれば非常にありがたいという、これはもともとそういうものなのですよね。それはもう十機も二十機も打ち上げればもっと間隔は詰まりますが、結局、一回回って次にその上へ来るまでの間にどんな変化があるか、それはどういう意味なのかということを我が方として把握するということになるんだろうと思っています。それで、例えば、ミサイル発射の兆候が顕著になるとか、非常に特異な事象があらわれたとかいうことによって、どう判断するかということになるのだろうと思っております。
 情報収集衛星だけですべてできるわけではございません。先生御案内のとおり、例えば防衛出動というものは、おそれだけでも下令はできるわけでありますが、冒頭の御質問にありましたように、分析能力を相当に上げていきませんと、それが何なのかはわからない。例えば、デコイ、にせものを並べられた場合に誤って判断なんかしたりしますと、大変におかしなことになるわけであります。
 集めた情報をどのように生かしていくか、あるいは危険な兆候として、どなたかが何かの論文で、安保理に一一〇番でいいのかみたいな論文を書いておられましたけれども、それは、単に安保理だけということではなくて、我が国として、それをどういうふうに正確に把握し、どう判断するか、そういうことがきちんと確立をしていなければ、おっしゃるとおり宝の持ちぐされになってしまいます。
 それから、分析能力を上げるということ、それによって得られた情報をどのように私どもで法の枠内で活用するか、運用をどのようにするかということは、今までも検討してまいりましたし、これからも万全を期してまいりたいと存じます。
渡辺(周)委員 この問題については、また改めて、打ち上げの推移を見ながら逐次質問させていただきたいと思います。
 きょうは厚生省の方にも来ていただいておりますので、厚生省の生物テロあるいは生物兵器対策はどうなっているかということについてもお尋ねをしたいと思います。
 もちろん、これは我が国の安全保障の問題ですから、今と関連をしまして、ミサイルの弾頭に例えばBC兵器が使われたという場合、あるいは兵器が着弾しないまでも、何らかの生物兵器――化学兵器については先般、大宮の化学学校に当委員会で視察に行ってまいりました。そこで幹部からいろいろ説明をいただきまして、実際、現場も見せていただいたわけでございます。その点について、それならばちょっとお尋ねしたいのは、化学兵器が使われた場合、我が国の現状で対応できるかどうか。それともう一つは、生物兵器あるいは生物によるテロが行われた場合、細菌テロが行われた場合、我が国で対応できるのか。
 三月二十日には、各自治体の長に厚生労働省の方から、このイラクの情勢に関連をしまして、国内でのテロ事件発生に係る対応について適切な体制整備をお願いしたいということを言われていますけれども、実際、例えばこういう現場における何らかの対応策はできているのか。特に、ワクチンなりそういうものが果たして今用意されているのかどうかという点について、現状、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
田中政府参考人 御説明申し上げます。
 まず、化学テロに対する対応でございますけれども、災害拠点病院あるいは救命救急センター、全国に五百カ所以上ございますけれども、これが二十四時間対応可能な状態になっているということでございます。さらに、高度救命救急センターに各種の機器を整備いたしまして、また救命救急センターに防護服、除染設備等も配置しているところでございます。また、ソフト面では、化学災害対策セミナーというようなものを実施いたしましたり、あるいは化学兵器を含みます化学物質中毒に関します治療情報の提供、こういうような体制の整備も行っているところでございます。
 また、生物テロに対応しましては、医療機関から異常な患者さんが出た場合の確実な報告をいただくというようなこと、さらには、国立感染症研究所におきまして、細菌とかウイルスの検査体制、これを二十四時間対応できるようにする、さらに、医療従事者に対しまして生物テロに対する診断あるいは治療に関します情報提供を行うというようなことも行っております。さらに、感染症指定医療機関等におきます治療の実施等の措置が確実に講じられますように、都道府県等と緊密に連携しつつ、体制の整備を図っているところでございます。
 さらに、生物テロ発生時には、都道府県等が入院勧告、予防接種、消毒等の蔓延防止措置をとることといたしておりまして、これらの措置によりまして、感染の拡大ということも防止できるのではないかというふうに考えております。
 さらに、医薬品に関しましても、炭疽とか野兎病に関しましては抗生物質が有効でございまして、これの在庫の確認を行っておりますし、天然痘に対しましてはワクチンが有効でございますので、この備蓄を行うとともに、さらに追加備蓄も進めているところでございます。
 委員御指摘の通知に対する都道府県等の対応状況でございますけれども、幾つかの都道府県に伺いましたところ、市町村、医療機関、関係団体等に対しまして、私どもの通知を受けまして、さらに生物兵器あるいは化学兵器に対する、テロに対する対応の周知徹底、あるいは関係機関との連絡会議などを設置しております。さらに、休日、夜間の連携体制の確認等、危機管理体制の構築等の取り組みも行われているところでございます。
 また、天然痘に関しまして、保健医療関係者等の初動対処要員に関しまして、具体的にどのような者がその対処要員になるのかというような検討が進められておりまして、事前のワクチン接種の必要数も取りまとめられているところでございます。
 今後とも、都道府県、地方自治体や関係機関とも連携しつつ、国民生活の安全確保のために最善を尽くしてまいりたいと考えております。
渡辺(周)委員 これは国際社会においても、各国の善意に頼って、この生物兵器については、なかなか民生の研究という、例えば線引きがあいまいなところがあります。その点については、国際的にも各国の善意に頼っている部分が多い。それからまた、国内法も、こうした病原菌の管理であるとか移転の規制ということについては法整備を進めるべきではないかというふうな意見もあるんですが、その点については、我が国としては、国際社会に働きかける、あるいは国内法を整備するということについてはどうなんですか。どういうふうになっていますか。
田中政府参考人 お答え申し上げます。
 現在のところ、感染症予防法あるいは予防接種法等、既存の法律の枠組みの中で適正に対応させていただきたいというふうに考えております。
渡辺(周)委員 責任あるお立場で答えられないのかもしれませんが、それでは、この点については、外務省、例えば国際条約をさらに有効あらしめるためには何か今後働きかけをしていくのかどうか、あるいは大臣としての御見解を何か持っていらっしゃいますか、外務大臣。
川口国務大臣 御質問の趣旨に合うかどうか知りませんが、我が国として、化学兵器それから生物兵器、そういったものの国際的な拡散については非常に強い立場をとっております。そういうものについては、我が国は両方参加をいたしております。それから、参加をしていないところには働きかけているということでございます。
渡辺(周)委員 化学兵器に対して、例えば今回のイラクのまさに脅威というものが、あるいは、米韓軍事演習が行われておりましたけれども、対北朝鮮の中で、やはり生物兵器、化学兵器というものが使われるか使われないかというのは、大変なこれは大きな、ある意味では殺りく兵器と同等の脅威であります。
 その点については、ちょっと時間がありませんので、これもまた別の機会にやりますが、この化学兵器と生物兵器に対する対応は、我が国として国際社会に当然働きかけなきゃいけない、それから我が国としても、危険な病原体等の管理徹底については、これは国内法をもう一回見直してやるべきであろうというふうに思うわけであります。ちょっと時間がないので次の質問に行きますが、その点についても、これまた改めて御質問いたしたいと思います。
 それから、残り時間の中であわせて質問をさせていただくわけですけれども、イラク情勢が当然のことながら国際社会の注目を浴びているわけで、北朝鮮がここへ来て非常に音なしの構えを、いわゆるイラクの状況によっては北朝鮮が何らかの示威行動に出るんじゃないかというような観測も指摘をされておりましたけれども、ここへ来て、しばらく北朝鮮からの動きが少し、善意で解釈すればおとなしくなったのかなというふうに思うわけでありますけれども、一部言われているような、例えば何らかのノドンの発射の兆候がある、そういうことについては現状はどうなっていますか。それから、核再処理工場の稼働という点については、何らかの情報を現状持っているかどうか。北朝鮮の動向について、今何かあれば教えていただきたいと思います。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 北朝鮮の軍事情勢ということでございますが、御承知のとおり、極めて閉鎖的な体制をとっておりまして、その行動や状況を断定的に申し上げることは困難でございます。ですが、言えますことは、北朝鮮は現在も、経済が大変困難な状況にありながら、軍事面にその資源を重点的に配分しておりまして、訓練も変わらず継続しておるということでございます。
 核兵器開発問題だけでなく、生物化学兵器などの大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイルの開発、配備を継続している。それから、約十万人とも言われる大規模な特殊部隊を保持しているということ……(渡辺(周)委員「そんなことはわかっていますから」と呼ぶ)はい。
 それで、現在、北朝鮮がその弾道ミサイルの発射の準備を進めているということを防衛庁として断定できるような具体的な情報には接しておりません。
 それから、核開発につきましても、核兵器を一個、二個製造するに十分なプルトニウムを抽出、保有しているとか、持っているとかというふうな見通しがございますけれども、断定的なことを申し上げられる状況にはございません。
渡辺(周)委員 断定的な情報を申し上げる状況にないというのは、そういう兆候はないということですか。例えば、再処理工場の再稼働であるとか、あるいは何らかの、いろいろ噴射実験をしたというような話は、これはみんなアメリカ筋としては入ってくるんですけれども、我が国としては、そこまでの差し迫った兆候はないということで理解されているわけですか。
守屋政府参考人 五メガワットの黒鉛炉の実験を再稼働したという情報は把握しておりますけれども、プルトニウムの再処理活動の工場を動かした、こういう情報には接しておりません。
渡辺(周)委員 時間がないのでまとめて聞きますが、そうしますと、例えば、KEDOに拠出している十八億円ですか、KEDOへのこの拠出については今までどおりなんですか。例えば、KEDOへの拠出を見直す、アメリカはそのようなことがもう行われた、要は予算に計上しなかったということが、拠出を見送ったということが報道されていますが、日本の場合は、どの時点でそういう判断をするのか。今の現状ではこのまま凍結することもなく進んでしまう。これをまずお尋ねしたいと思います。もう質問の答えをいただいていると時間がなくなりますので、その点を一つ。
 それから、もう一つ外務大臣にお尋ねしたいのは、今も起きているこのイラクの復興ということは気が早いことかもしれませんが、例えば、もう日本に対して、自衛隊を派遣してほしいというような要請が、幾つかベーカー大使からも話があったとありますが、この点については、これは国連決議に基づいて当然行われることとお考えか、その点を確認しておきたいと思います。
 それから、防衛庁長官には最後にお尋ねしたいんですが、こうした北の脅威がずっと言われている中で、今我が国が、例えば工作員が潜入してきた場合に、現行法でできることとできないこと、その点についてはどうお考えですか。そして、いわゆるテロをどう規定するかもありますけれども、テロに対して、いわゆる反テロ法のような法律の制定が検討されていると言われますけれども、現行法で、例えば何らかの、我が国の治安に対して脅威を与えるような武装工作員のようなものが我が国に侵入した場合に、今何ができて何ができないのか、そしてそのためにはどういう法整備が必要か、また、そういうことは検討されているかどうか、あわせて質問をしたいと思います。
川口国務大臣 二つ御質問がありました。まずKEDOですけれども、このKEDOのプロジェクトは今継続をしています。そして、この枠組みを維持するということが、核問題について、北朝鮮に関連して問題を悪化させないというふうに考えています。
 いずれにしても、アメリカ、韓国、EU、日本、理事国でございますので、緊密に連携をとって議論をしているということでございます。
 それから復興支援ですけれども、米国が日本に対して具体的に何をやってほしいということを言ってきたということはございません。自衛隊云々というのが報道で流れていましたけれども、これに対して、アメリカの大使館、在日の大使館はそういうことは言っていないという否定をしたというふうに聞いております。
 いずれにしても、復興がどういうことかというのは、まだ戦争がどういう展開をたどってどのように終わっていくかということによって決まってくると思いますので、今の時点で具体的に何を考えているという段階ではございません。
石破国務大臣 私は、テロに対して、もちろん先生おっしゃるようにテロって何だということはありますが、現行法でできないことというのはほとんど実はないんだろうと思っているんです。
 一昨年の国会で、例えば情報収集出動というのをつくった、警護出動というのをつくった、あるいは治安出動の際の武器使用要件というものも緩和を一部しております。そうすると、問題は、起こっておる事象が一体何なんだ、これは治安出動で対応すべきものなのか、それとも警察力で対応すべきものなのか。要は、その情勢の判断をいかに的確に行い、それに見合った法律をきちんと適用するということ。
 そして、日本国じゅうどこでも自衛隊の部隊が展開をしておるわけではございませんで、そこへ行くまでに多少の時間を要するということもございます。そのあたりを警察等々とよく連携をしながら、どうやって遅滞なくその法律に定められた行動ができるかという、私はむしろ運用面の問題なんだろうなというふうに思っております。したがいまして、先般来、警察との訓練というのもずっと重ねてまいりました。警察と私ども自衛隊、四十七都道府県とも協定を締結いたしました。
 私は、これは、こういうふうに断定的に言ってはいけないのかもしれませんが、法的な問題よりもむしろ運用の問題なんだろう。戦後一回も治安出動というのはやったことがないわけです。やったことがないとするならば、どうやってやっていいのかわからないというようなことで、ずっと考えないで来たものを、今早急に具体的に詰めておるところでございます。もちろん軽々に下令をしていいとは思っておりませんが、かといって下令がおくれて事態が拡大をしたりというようなことがあってはならないと思っておる次第でございます。
渡辺(周)委員 それでは確認をして終わりたいと思いますが、外務大臣、先ほど関係各国と緊密に連携をして留保するとおっしゃったんですか。つまりどういう意味なのかちょっとわからなかった。関係各国と緊密に連携をしてどうされるのか。つまり、私たちは、明らかに、黒鉛炉の稼働は先ほど認めたわけですから、これはいわゆるKEDOのそもそもの発足の原点となりましたことについてはもう抵触しているんじゃないか、要は逸脱しているんじゃないかと思えば、これはKEDOの凍結は検討すべきじゃないかと思いますが、その点についてどうなのか、それについては何が要件なのかということが一つ。
 それと、防衛庁長官にお尋ねしたいのは、いわゆる反テロについての新法のようなものが今は政府では検討されていないんですか。
 それを一つずつ聞いて終わりにします。
川口国務大臣 先ほどどういう言葉を使ったか覚えていませんが、留保ということは言っていないと思います。
 申し上げたいことは、これは、KEDOについては理事国四つ、関係国ありますね。そこで話し合いながら、どういうことをやることが北朝鮮が核の問題について事態を悪化させないかという観点から、検討を緊密に連携をして行っている、そういうことです。
石破国務大臣 これは私の理解が間違っておるのかもしれませんが、一部報道に、反テロ新法という報道が出ておりました。ただ、私が報道を見ただけで物を申し上げて恐縮ですが、結局これは、団体をどう規制するのかという内容の法律ではないかというふうに思っております。自衛隊の行動に係る法律だとは思っておりません。団体をどのようにするのかということも含めまして、私は、現行法で不十分な部分というのがここだ、だから新法をつくらねばならないという具体的な問題意識を今持っておるわけではございません。
 自衛隊の行動につきましては、先ほどお話しいたしましたとおりです。
 団体の規制とかそういうような場合にこういうものをつくらねばならないんだということがもしあるとすれば、また御指摘をいただきまして、関係機関とも御相談をしてまいりたい、このように思っております。
渡辺(周)委員 終わります。
田並委員長 次に、前原誠司君。
前原委員 民主党の前原でございます。まず、イラクの問題に絡んで、日本の安全保障の体制について質問をさせていただきたいと思います。
 この戦争の法的根拠であるとか妥当性については、我が党と政府は意見の分かれるところではありますけれども、実際始まりました。
 始まった中で、今後いろいろなことをやはり考えていかなくてはいけない。短期的には、後で質問をいたしますけれども、復興支援の問題なんかもしっかり考えていかなきゃいけない。それから、私は中長期的に、根本的に大きな問題だと思っていますのは、日本の安全保障の体制、日米間の間合いとでもいいますか、同盟関係の見直し、見直しというのは別に解消するという意味ではなくて、役割分担の見直しということもしっかり考えていかなくてはいけないんではないかと思っています。その点について、私、少し防衛庁長官と議論をさせていただきたいと思います。この間も予算委員会で少し議論をいたしましたけれども、その点についてさらに突っ込んだ議論をさせていただきたいと思います。
 まず、外務大臣あるいは総理の御答弁でも、北朝鮮の問題があるからというだけで今回のイラクへの攻撃についての支持表明をしたわけではない、こういう言い方をされておりますけれども、しかし、根本的にやはりこういう問題があるのは事実だろうと思います。
 例えば、新聞報道を見ておりますと、シンガポールの首相が来られて、日本のスタンスについては北朝鮮の問題があるんだから仕方がないだろうという意見をおっしゃったとか、あるいは、これはかなり驚きを持って見られている部分もありますけれども、盧武鉉大統領の韓国でもアメリカの支援、支持というものを打ち出したということは、これはやはり北の脅威というもの、不確定要素というものが相当大きな要因としてあるのは間違いないだろうというふうに思います。
 そこで、今後、当然ながら、同盟国であっても、アメリカの国益と日本の国益が必ずしも一致しないことはあるんだろう。まあ、それはもちろん見方によって違うと思います。このイラク問題でも、見方によっては、国益が違うのに同じ行動をとらざるを得ないと思っている人もいると思うし、いや、一緒なんだという人もいるかもしれません、もちろん見方によって変わる部分があると思いますけれども。しかし、だれが見ても、国益が違うのに同盟関係の中でアメリカが協力を求めてきた場合の日本の立つべき位置というのは、私は、今後早急に考えておかなければいけないことなんではないかと思います。
 その観点に立って、幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、盾と矛の役割分担、つまりは、日本は大規模着上陸侵攻を阻止するということでの防衛力整備を基本的に行ってきて、そして、相手の基地をたたくとか、そういうものについての矛の役割はアメリカに任せるんだ、こういう形で来ました。しかし、この役割分担というものが、新たに戦われる戦いを仮に想定したときに、そういうものが役割として成り立つのか、役割分担が成り立つのかと考えれば、どの国がという言い方をしたら語弊がありますけれども、大規模着上陸侵攻なんという戦われ方はこれからあるんだろうか。テロ、ゲリラ、あるいはミサイルが飛んでくる、こういった有事の形態というのが一般的に考えられるわけではないか。
 とすると、質問をさせていただきたいと思いますが、まず一つは、陸海空の予算の配分というのは、これはほとんど変わっていませんよね。積み上げ方式できて、ほとんど変わっていない。縦割り省庁の弊害ということを言われていますけれども、この陸海空というのは、まさに縦割り体制の弊害そのものである。これも超越していかなきゃいけないし、やはり統合機能というものの拡充、充実というものは避けて通れないんだろう。
 では、その統合機能の充実ということについて言えば、どういう自衛力の体制を我が国として整えていくのかということが必要だと思うんですね。まあ、今度、帯広の師団が旅団化される、そしてまた札幌の十一師団が旅団化されるということで、再編が行われるという話は聞いておりますけれども、今の体制というものがまだ、私は、大規模着上陸侵攻阻止というものの域を全く超えていないし、先ほど申し上げたように陸海空の予算編成が本当に硬直的である、大きな問題だと思いますが、この二点について今の防衛庁長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
石破国務大臣 問題意識は、委員と私、全く一緒です。という今の御指摘のようなことを、私は、防衛力の在り方検討会議におきましても、統合のあり方の会議におきましても強く指示をいたしておるところであります。
 大規模着上陸というものが、私は、かつて全く想定されなかったとは思っていません。ただ、それは、私どもの国は脅威はないということになっていますし、ましてや仮想敵国なんてない、こういう話になっておるわけですが、ただ、北にかなり懸念される状況があったわけで、その脅威は、仮に脅威という言葉を使うことが許されるとするならば、私はそれは日米共通のものだったと思っているのですね、ある意味。そのときには、輸送能力があったかなかったかという検証はもう一回してみなければいけないのだけれども、対峙している向こうの軍隊の規模から考えて、大規模着上陸というものが全くなかったかとは思っていない。逆に、限定小規模みたいな親切な攻略をしてくれる国が本当にあるんだろうかというと、そっちの方がむしろ怪しいかもしれないというふうに私は思っておったのです。
 冷戦が終わって、今や日本に対して大規模着上陸なぞということは、皆無とは言わないが、プライオリティーをつけるときにかなり劣位にいくと考えざるを得ないだろう。だとするならば、防衛力のあり方というのは根本的に見直されてしかるべきだということが一点。
 それから、陸海空の比率がほとんど変わらない。これは、ある意味、縦割りともおっしゃいましたし、お役所的とも思っているし、もっと言ってしまえば、これは本当に平時を想定しておるとしか考えられないのでそんなことになるのだろうというふうに思っております。
 少なくとも、諸外国を見て、こんなに陸海空の比率がぴたっとコンマ単位まで変わらないというのは余り見たことがないのであります、例外はあるのかもしれませんが。そうだとするならば、例えば空をふやす、じゃ、空を何かふやすとするならば、空のほかのものを削りなさいという話になってしまう。陸の何かをふやすんだったら陸の何かほかのものを削りなさい、ほかに迷惑をかけなさんなということでは、統合にも何にもならないのだろうというふうに思っております。
 仮に、今委員が御議論になっておられるような、例えば空対地というようなものを考えてみたときに、そういうものをつくるんであれば、空の何かほかのものを削りなさいよという話になるのであれば、それじゃ、そういう面倒くさいことはやめようねという話になってしまう。統合というのは、まさしく、陸海空それぞれニーズはあるでしょう、そして、できることならば陸海空それぞれ中で完結をしておけば、それはそれでお話としては結構なのかもしれない。しかし、それではだめなんじゃないだろうか。
 実際に今ある危険というもの、脅威と言ってもいいのかもしれません。それに陸海空がどうやって対応していくかということは、陸海空それぞれの幕僚長が長官を補佐するという運用のあり方と、もう一つは、装備というものをどう考えていくかという面と、私は、統合というのはその観点から論ぜられなければ、納税者のお金をきちんと使うことにはならないし、脅威に対応する、実際に働く自衛隊ということにならないだろう、そのように思っているところでございます。
前原委員 今ある危険とおっしゃった部分でつけ加えて言うのであれば、では、矛の能力は日本は持たなくていいのか、アメリカにすべて任せていっていいのかということがあると思うんですね。イラクの問題について、日本はアメリカを支援しなかったら北のときに協力してもらえないという議論があるのと反面に、協力してもいざというときに本当に協力してくれるかどうかというのはわからないという議論も反面あるわけです。
 そう考えると、我々は、今ある憲法の中で物事を考えていかなくてはいけない。しかしながら、よくこの国会でも議論されるように、まさに専守防衛の中に、あるいは誘導弾等の攻撃に対しては座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨じゃない。その基地を攻撃することは、やられたらやり返すということ、あるいは、まさにやられそうになったとき、この間防衛庁長官がミサイルの屹立という非常に難しい言葉で、初めてあんな字を書くのかというのは勉強しましたけれども、そういうようなときには、相手の基地をたたくことは憲法上認められている、しかしそれは今のところ日本にはない、アメリカに任せていると。それでいいのかという議論は当然あると思うんですね。
 その点については、防衛庁長官、どうお考えですか。
石破国務大臣 ごめんなさい、その前に。
 先ほど、陸海空の比率は変わらないということを申しました。ただ、大きな装備品を入れますときには、もちろん比率は変わっております。全く変わっていないということではございません。委員御案内のとおりでございますが、定性的なことをお話しいたしました。
 今お尋ねの、敵地、仮に敵地という言葉を使うとすればですが、の攻撃能力というものを持たなくていいのかということでございます。
 これは、今の政府の立場としては、そういう打撃力というものについては米国にゆだねるという形になっております。日米防衛協力のあり方におきましても、必要な打撃力の行使を考慮する、こういう書き方になっておるわけですね。それは、米国にゆだねるということであり、今まで、例えて言いますとC1輸送機を導入しますときに、北海道から沖縄まで飛べる能力を持ってはいかぬ、こういう話がありました。なぜならば、その円を少しずらすと大陸まで行ってしまうから、北海道から沖縄まで飛べるような飛行機は持ってはいけないという議論がありました。空中給油輸送機を入れますときも、そのようなものを持つと外国まで飛んでいける能力を持ってしまうからいけないんだ、こういうお話がありました。
 要は、持たないことがよいのだ、こういう価値観に基づいて今までの防衛力というのは構成をされてきたのだろうと思っています。
 持たないことがなぜよいのかというお話、今後はそういう議論があるいは政治の場において必要になるのかもしれない。私は、その議論の末に新しい議論、今までの議論は今までの議論なんです、今まではそういう政治の場での合意、そしてそれが国の方針であったと思います。
 では、これから先、本当にそれでいいのだろうかという議論、それは日本国の専守防衛というものを侵すものでもないし、もちろん、日本の国が侵略国家になる、そのようなことではありません。日本国の独立と平和、国民の生命財産を守るときに何が一番いいのだろうかという責任ある議論は、私は必要なんだろうというふうに思っております。現在はそれをアメリカにゆだねるということになっておりますし、私がそれをどうこう申し上げる立場に今ございません。ただ、それがかつてと違って、本当に弾道ミサイルというもの、マッハ二十とかいうものが数分で飛んでくるというようなときに、本当にどうなんだろう。
 先ほど屹立というお話を委員なさいましたが、あの答弁というのは、たしか昭和三十三年か何かの答弁なんですね。そのときに、私がよく覚えておりますのは、今はしかし、そのような兵器がないので現実的な議論ではないから、これは理論としては成り立つけれどもみたいな、そういうようなお話でした。それから自来四十数年経過をして、本当にそんなものはできてしまった、そのときにどうなんだろうということだと思います。
 今の政府の立場を申し上げれば、それは、合衆国に全面的に信頼をしている、ゆだねるに足る信頼が日米間にはある、したがって、私どもとしてはそういうものを今までも持ってこなかったし、現時点としてそれは合衆国にゆだねておるというのが、今の政府の立場でございます。
前原委員 今までのことはよくわかっているんです。打撃力は米国にゆだねるということは、おっしゃるとおり。私は、今後の話をしている。今後の話をしている中で、この議論はオール・オア・ナッシングじゃないんです。
 つまりは、アメリカがやってくれていることを全部日本でやるなんということはできないわけです。後で話しますけれども、情報収集能力とか、情報収集能力も衛星だけじゃないし、いろいろな部分でアメリカは超が幾つもつくぐらいのスーパーパワーなわけです。だから、アメリカとの関係をオール・オア・ナッシングとか、あるいは打撃力を持つことがアメリカを信頼していないとかじゃなくて、これは長官が一番よく御存じであろうと思いますけれども、打撃力を持つということになれば、アメリカの協力を得ずしてできないわけですよ、そういうものを持つということは。
 そういうことも含めて、アメリカとの信頼関係を壊すものじゃない、オール・オア・ナッシングの議論をしているんじゃない、同盟関係を見直す中で、しかし少なくとも自国である程度のそういう能力を持つことは今後検討すべきじゃないかということを申し上げているわけです。それは、今後の、どういう意思を持っておられるか、検討するに値することかどうかということの御答弁をいただきたいわけです。
石破国務大臣 私は検討するに値することだと思っています、正直申し上げて。
 それは、まさしく委員御指摘のように、オール・オア・ナッシングではありません。日本が全部やるというようなことはできるはずもないし、そして、仮にそんな能力を持ったとしても、合衆国の協力なくして、どこにそんな目標があるんだかもわかりっこないわけですね。私は、オール・オア・ナッシングというのはいいことをおっしゃるなと思ったのですが、それが日米間の信頼を損ねるものにはならないと思っています。ただ、それがどれぐらいのバランスになるんだろうかという議論は、また別なんだろうと思っているのですね。
 では、日本がそれをやるのであれば、もっと、もっと、もっとということになるのかもしれない。あるいは、その反対に、そういうことになれば、瓶のふた論ではありませんが、どこまでいくのかわからぬねということもあるでしょう。
 同時に、アジアの中で、かつての大戦の経験も踏まえて申し上げれば、私は日本は侵略国家にならないと思っていますし、私たちは、日本の国会議員で、国民で、よほどの変わった人でない限り、日本は侵略国家になってもう一回アジアに出ようなんてことを思っている人はいないと思うんですね。しかし、じゃ外国がどう見ているのかというと、それはまた全く違う見方が、指導者層は別にして、やはり国民の中にはあるのだろうと思っておりまして、そういう諸外国の理解というものも必要なのだろう。
 そういうことも含めて、私は、いろいろな方面から検討してみることは必要だ。少なくとも、思考停止に陥るということがあるとするならば、それは国と平和と独立に責任を持つことにはならない。一切それについて思考しないということは、あるべき姿だとは私は思いません。
前原委員 瓶のふた論という話をされましたけれども、私は、残念ながら、そういう議論はかなり色あせてきているんだろうと思うんです。これは、日本の経済がかなり長期不況の中で、脅威の対象に値しないと見られている部分もあるわけですね。
 そういう中で、私は、年に一、二回アメリカに行って、いろいろな方と議論をさせていただきますけれども、残念ながら、そういう意味で、文脈の中で薄れてきている部分もあるんだろうと思いますし、今検討に値するとおっしゃったわけでありますが、日米で戦略対話というのは、まさにそういうものが戦略対話なんだろう。お互いの信頼関係に基づいて、どういう役割分担をしていくのか、どういう危機認識をこの地域で持つのかということの中で、不断の役割分担の見直し、そして、お互いの関係の確認というものをやるのが、まさに私は戦略対話なんだろうと思います。
 先ほど、陸海空の配分の問題、統合機能の充実、そして北方重視から新たな脅威への対応、また、その打撃力を持つことの検討を含めて、これは私は、今の防衛大綱の延長線上ではそういう検討はできないと思うんですね。防衛大綱の見直しも含めて、やはり私は、今、防衛力のあり方検討というのはやられていると思いますけれども、それをもちろん延長線上に見据えてやっておられるのだと思いますが、そのことについて御答弁ください。
石破国務大臣 現大綱は、冷戦の終結を受けて、村山内閣のときにつくられたものだというふうに認識をしております。したがって、冷戦後の世界がどうなっていくか、ミサイルの脅威というものもあるだろう、あるいは非対称的な脅威もあるだろう、そういうものの文言というものはきちんと盛り込まれた大綱だと思っております。
 同時に、合理化・効率化・コンパクト化というキーワードがあって、それ自体は決して悪いことではないけれども、そのようなキーワードが一つある。もう一つは、冷戦後の世界というものを見据えてつくられたものだ。しかしそうではあるけれども、その後、私は、冷戦というのがあって、冷戦後というものがあって、ポスト・セプテンバーイレブンという世界がもう一つあるんだろうと思っているんですね。冷戦後、冷戦後ということをまくらみたいに言うのは私は間違いだと思っていて、冷戦後という時代があって、もう一つ、ポスト・セプテンバーイレブンというのがあるんだろう。
 では、ポスト・セプテンバーイレブンというものに対応できているかといえば、それは、十分対応できている大綱なのかどうなのかということの議論は、私は必要なことなんだろうと思っています。
 金科玉条のごとく、大綱があるんだからこうなんだ、こうなんだというのは、それは論理の逆転というものであって、今の時代に合わないとするならば国民に対して責任を十分に果たすに足るものではない、むしろ、もっと十分に果たすべくそれを発展的にしていくんだというニーズがあるとするならば、私は大綱の見直しというものはあるのだろうと思っています。
 もちろん、それは、防衛庁だけで決めるお話では当然ございません。これは政府全体として、いろいろな議論の上に、そしてコンセンサスを得て決めなければいけないと思っております。ですから、これは防衛庁だけが独断で、あるいは自分たちだけの判断で決めるというようなつもりは全くございません。ただ、国民の皆様方が本当に不安に思っておられること、脅威に感じておられること、実際に世界が移り変わっておること、それに適切に対応する防衛力の大綱というものが常に求められることは、私は言うまでもないことだと思っております。
前原委員 現大綱の見直しに私は若干かかわらせていただきましたけれども、あれは二十年近くも変わらなかったですね、前の大綱は。私は、これは逆に全くおかしいと思うんです。
 今おっしゃったように、ポスト冷戦ではなく、私も、一昨年の九月十一日のテロ以降、これはまたじっくり議論しなきゃいけないことだと思いますけれども、相当世界観も変わったし、アメリカの外交・安全保障戦略も大きく転換をしたんだろうと思うし、それによっての摩擦というのが今後拡大をしていくのではないか、私はその結節点ではないかと思っております。
 そういう意味で、防衛大綱というのは、まさに防衛庁長官が言われたように金科玉条ではない、これは世界の変動に応じて機敏に見直していくべきものだろうと思いますので、その点については、今おっしゃったように努力をしていただきたいと思います。
 次に、ミサイル防衛について質問をさせていただきたいと思います。
 アメリカからはもう、一千キロあるいは一千三百キロぐらいの射程のものについての実用化の話がなされていると思いますけれども、これはもう具体的に防衛庁として、どの時期に、あるいはどのものを、つまりは、PAC3型の陸上発射なのか、あるいはイージス艦を改装してそして海上発射型のものを導入する意図があるのか。時期とそして形態について、今防衛庁長官はどうお考えなのか、御答弁ください。
石破国務大臣 これは、今、この時期だということは、本当に包み隠さず申し上げますが、決めておりません。しかし、いつでもいいなんぞという無責任なことを申し上げるつもりも私はないのです。
 それが、洋上配備型があり、PAC3があり、地上固定式があり、アメリカはその三つの組み合わせでやっておるわけで、もう一つ、あとはブーストフェーズで撃ち落とすものも入れれば四つの組み合わせということになるのかもしれません。それで、ブーストフェーズ、ミッドコース、ターミナルフェーズ、こういう三つで撃ち漏らしをなくそう、こういうことなんだろうと思っています。
 我が国で、それでは単体でいくのか、組み合わせでいくのか、そして、今、日米共同研究でやっておりますものをどのように生かしていくのか、それはそれとして焦眉の急として何か一つでも入れるべきなのかということは、私は本当に議論しなければいけないことだと思っています。
 そこにおいて大事なことは、やはり昨年の十二月、アメリカ合衆国が実際に配備をするということを発表するまでは、世の中の議論というのは、そんなこといったって、君、マッハ十幾つだ、二十幾つだと落ちてくるものに当たるわけないだろうとか、あるいは、幾らかかるかわからないものに対してそれは税金のむだ遣いであるとか、そんな議論がありました。あるいは、今あるイージス艦だけで弾道ミサイルが撃ち落とせると思っている人も中にはいる。議論がいろいろ錯綜しておるわけです。
 私たちとしては、一つは、その費用対効果、どれぐらいかかるんだということ、命中精度がどれぐらいなんだということ、そして、それが抑止力としてどのように機能するのかということ、そういうこともあわせて検討していかねばならないと思っております。それが幾らかかるか、そしてまた、どれぐらい確実性を持ったものであるのかということについて、早急に知見を得て、安全保障会議の議論に供していかねばならないと思っています。
 繰り返して申し上げますが、私どもとして、入れるべきだとか入れるべきではないというようなことを判断する権限を持っておりません。それは、国防に関する重要な事項でございますから、安全保障会議で決せられるものであります。
 しかし、そこにおいて、一体幾らかかるんだか、どれぐらいの確率で落とせるんだか、全体の装備の中でそれは陸海空に影響を与えるものだと思っているのですね。その中でどういう位置づけを占めるのか、そして法的根拠は何なのか、そんなことも全くわからないで、さあ御議論ください、そんな無責任な話はないのでありまして、ある意味、言ってしまえばテクニカルなこと、政治の判断ではなくてテクニカルなことはきちんと早急に詰めるということが我々の責任であり、安保会議の御議論に供したいというふうに思っておるところでございます。
前原委員 安全保障会議の中で、当然この問題については防衛庁長官の御意見というものはかなり重く受けとめられると思います。その意味で、防衛庁長官の今のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
石破国務大臣 これは、かつて官房長官答弁で残っておりますように、専守防衛的なものである、弾道ミサイルに対して唯一防御し得る手段である。表現、言葉がすべて正確かどうかはちょっと自信がありませんが、この二つのことは言っているわけです。専守防衛的なものである、今考えられる唯一の手段である、こう言っている限り、それは入れないんだという理屈がどこから導き出されるのだろうかということが私はあるんだろうと思います。
 つまり、論理的に申し上げれば、唯一ではなくてほかの手段が見つかったということなのか、あるいは専守防衛的ではないということで否定をされるのか。私は、理屈の上からいえばそういうお話になるんだろうと思っています。
 しかし、もちろん、ミサイルが撃たれないようにという外交的な努力、そのことが一番必要であることは私が申し上げるまでもありません。その上において、ミサイル防衛というものがある。そのことが抑止力になり、日本に対して弾道ミサイルなんか撃ち込もうかという野心をくじくことになるとするならば、私は意味があることなんだろうというふうには思っております。
 しかし同時に、先ほど来くだくだ申し上げておりますが、費用対効果ということもございましょう。あるいは、周辺諸国の理解ということもございましょう。そういうようなこともありますので、私は、唯一の方法であり専守防衛的なものであれば、それを否定する理由はないというふうに思っておりますが、もろもろのことをきちんと解決して、そういうようなことが実現できることが望ましい、個人的にはそのように思っております。
前原委員 先ほど同僚の渡辺議員からも質問がありましたが、あした衛星が二機打ち上げられるということでありますけれども、よく言われているのには、その衛星の打ち上げに前後して北朝鮮の何らかの行動があるのではないかということでありますけれども、先ほど守屋防衛局長の答弁では、そういう動きはない、こういうことでありました。
 別の観点からちょっと質問させていただきたいと思います。
 これは、外務大臣、おわかりになれば御答弁をいただきたいと思いますが、私が得ている情報では、北朝鮮の中に反体制組織というものが存在をしている。これは、防衛研究所の研究員の方の話を聞きましても、そういう確認ができているというようなお話がございました。
 外務省としては、北朝鮮の中にいわゆる反体制組織、金正日に対しての反対勢力というものが若干なりとも芽生えてきているという認識を持っておられるのかどうなのか、外務大臣に答弁していただきたいと思います。
川口国務大臣 おっしゃっていらっしゃるのは、当然にグループとして組織的な活動をしてということでおっしゃっていらっしゃるんだと思いますけれども、そういう情報は持っておりません。
前原委員 同じ質問を、防衛庁長官、御答弁ください。
石破国務大臣 私も、そのような確たる情報には接しておりません。
 ただ、今までもそういうことはあったというふうに報ぜられています。しかし、それがことごとく弾圧、粛清というもので圧せられたというふうに承知をいたしておるところでございます。
前原委員 事実関係ですので、議論をするつもりは全くありません。ぜひお二人には、さらに調べていただきたいと思います。
 外務大臣がおっしゃったように、組織的なものなのかどうなのかというところについてはかなり詰める必要があると思いますけれども、ピョンヤン以外では十カ所ぐらいの地点で反体制組織の拠点ができつつあると。つまりは、今までは軍や秘密警察には十分な食料やあるいは燃料が行き渡っていたけれども、そういうものが周辺部ではなかなか行き渡らなくなってきた。それがゆえに、わいろを渡せば反体制組織を黙認するような軍部あるいは秘密警察も出てきているということでございまして、これは北朝鮮の問題を考える上で極めて私は重要なポイントだと思いますので、今後の、そういうものが事実かどうかということも含めて、十分に私は検討していただきたいことだということをお願いしておきたいと思います。防衛庁長官にもお願いをしておきたいと思います。
 それでは次に、イラクの復興支援の問題について話をさせていただきたいと思いますが、二つの点で質問させていただきたいと思います。
 戦闘が続行中であり、いつ終わるかわからない状況であり、なかなか復興支援といってもぴんとこない部分はあるわけでありますし、我々の立場としては、すんなり復興支援のテーブルにのるというのも何か嫌だなというふうな部分もあるわけでありますが、実際問題、始まった中で、今後どうあるか、また中東和平にどう今から積極的に関与していくかということは、私は重要なことだろうと思います。
 まず、防衛庁長官にお伺いをいたしますけれども、与党三党の幹事長に対してベーカー大使が自衛隊の派遣というものを要望されたというふうに聞いておりますけれども、私は、今のPKO法の枠内で送れるのかどうか。
 そのときの状況はどうなっているのかというのは、まさに全くわからないわけでありますけれども、ただ単に例えば道路の修復とかいうもの、これはカンボジア、UNTACや、あるいは東ティモールでの活動ではそれが自衛隊の活動としてあったわけでありますが、一方では、それは、例えばアメリカの中にも、もう民間の企業に任せて、そして、いわゆる警戒監視とかあるいはそういう危険な業務を、各国が出すような軍隊、日本は自衛隊に任せるべきではないかという議論もあるようでありますけれども、果たして自衛隊を送る必要性、余地というものがあり得るのかどうなのか。
 もちろん、どういう状況になるかということの前提がまだ固まっていないので、答弁しにくい部分もあるかもしれませんけれども、今どうお考えなのか、その点について答弁いただきたいと思います。
石破国務大臣 大変恐縮ですが、まさしく委員が御指摘のとおり、どういう状況で終わるのか、その後の国の体制が国連中心で行われるのか、あるいは暫定政府みたいなものが現地にできるのか、それともそれ以外のものなのかによって、それは全く異なるんだろうと思っています。
 ただ、今のPKO法の枠内で、いわゆるPKO本体業務、PKFの凍結解除というものはいたしましたが、それが使えるかどうなのかということは、その場の判断になってみなければわかりません。まさしくPKO本体業務、軍隊でなければできない、我々でいえば自衛隊ということになりますが、でなければできないものということが要求されるのかどうか、そのときに私どもの部隊の安全というものをどのように確保するのかというような、いろいろな観点から考えてみなければいかぬことではないかというふうに思っております。
 もちろん、自衛隊でなければできない業務というものは確かにあります。PKO本体業務というものがそういうものだと私は理解をしています。しかし、本当にそれで出した場合に、我々の、どんな治安状態なのか全くわかりません、同時に、任務を安全に遂行して国際的な責任が果たせるのかという観点からも議論をしていかねばならないことだと思っています。
前原委員 外務大臣に質問をしたいと思うのでありますが、中東和平をこれからどう築いていくのか、私は、今からその中身について外務省あるいは日本政府として知恵を絞って考えておくということは必要なことなんだろうというふうに思います。
 ラビンさんという首相がおられましたね、イスラエルの。私は、亡くなられる、暗殺される一年ほど前にお会いをしましたけれども、彼が言ったことを今でも私ははっきり覚えていまして、イスラエルに対して何の支援も要らない、しかし、イスラエルと和平に努力をしている国々に対して日本は全面的に協力をしてほしい、こういう言い方をされました。具体的には、エジプト、パレスチナ、ヨルダン、この三つの国をラビンさんは挙げておっしゃっていたわけでありますけれども。
 中東和平プロセス、例えば一九九一年十月のマドリード和平会議、これは多国間協議で、日本は環境ワーキンググループの座長の役割をしていますね。それと同時に、この間、私の選挙区であります京都で水フォーラムというのがありました。橋本元総理は、余り今の話とくっつけない方がいいよということはおっしゃっていたみたいでありますが、しかし、私は、中東の問題で水の問題というのは極めて死活的な話なんだろうというふうに思っています。また、油が今後、まあイラクは相当埋蔵量があるみたいですけれども、油が枯渇をしていったときに、油に依存している経済の国々がかなり多くて、その国々に対しての自立支援をどう促していくか。私は、今から考えておくべき多方面の中東和平の日本の果たすべき役割はあると思うんですね。
 その問題について、外務省として、外務大臣としてどうお考えになっているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 中東和平の問題はずっと大事な問題ですけれども、特に今イラクで戦争が始まって、中東の地域の平和と安定が非常に大事なときに、ますますその問題の重要度というのは増してきていると思います。
 日本として、この分野では今までもかなりのことをやってきております。一番最近の時点の話でいえば、パレスチナに対して五億円、これは食糧援助ですけれども、行うということを決定いたして、今実施の作業に入っています。
 それから、私は、中東の特使として、有馬元大使ですけれども、一年以上前に任命をさせていただきまして、有馬特使はごく最近でもかなり頻繁に中東地域にいらして、いろいろな政府の要人と話し合いを重ね、ごく最近ではエジプトと、このエジプトは非常に建設的な役割を果たしていますので、話をしたりということをしていまして、頻繁に日本の考え方を伝え、そして先方が、関係国が何を思っているかということを話し合いをしてきています。
 私は、約一年ぐらい前に中東に行きまして、パレスチナ、イスラエルに行きました。そのときに、我が国としても、どうやって進めるかという独自のロードマップを提示しまして、そういうことでやってくれれば我が国としてこのような、それぞれの段階で支援をするという話もしております。
 それから、全体としての、今四カ国、カルテットというのがありまして、そこでアメリカを含み議論をしていますけれども、そこでつくった、考えているロードマップにつきまして、パレスチナで今、首相の任命がありましたので、その首相が組閣中ですが、実質的にその首相が力を持って地域の問題に対して対応するようになった段階で、そのロードマップを発表するということを言っています。
 委員御指摘のように、中東和平の問題というのは中長期的な、あるいはより根本的な問題として非常に大事であると思っていまして、これについては、我が国も、先ほど申し上げたロードマップに従っていろいろな取り組みをしていますし、支援も今までも行い、今後も引き続き行っていくというふうに考えております。イスラエルも、我が国がパレスチナに支援をするということについては、大変に評価をしていると思います。
前原委員 時間が来ましたのでこれで終わりにいたしますけれども、立場は違いますけれども、戦争が始まった、そしてアメリカの支援を日本がしているということで、私は、中東での今までのスタンスよりはより厳しい立場に日本が置かれると思います。
 そういう意味で、顔の見える、そして、金だけじゃないと思うんですね、知恵と人を出す、そしていろいろな活性化を図っていく。そして、私は、プレゼンスというか、より日本の存在感を示すようなものをやはり今から取り組むということをぜひやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
田並委員長 次に、小林憲司君。
小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。
 まずは川口外務大臣に、一連のイラク戦争について御質問させていただきたいと思いますが、イラク戦争に関する今までの国内外の一般的評価と今後の見通しについて、大臣御自身としてどのように今お考えになっておられますかということをまずお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
川口国務大臣 戦況の情報についてはテレビ等で本当に事細かく報道をされていますし、今回は千七百人に上る従軍記者が行っているという報道もございますので、持っている情報については特に異なった情報を持っているわけではございません。
 それで、今後、当初比較的順調に進み、最近少し抵抗が強くなってきていて戦いが厳しくなっているということでありますけれども、我が国としては、やはりできるだけ早期に、そして軍人にも民間人にも死傷者が少ない形で、また大量破壊兵器の脅威を取り除くという目的に資する形で戦争が終わってくれればいいというふうに思っております。
小林(憲)委員 その評価というもの、今、情報というお言葉で大臣はお答えになられましたが、その評価、早急に、早く平和的解決へ、このイラク戦争が終結するといいということでお考えだということでありますが、その戦争の、イラクに対する攻撃が始まる前、米英によるイラクに対する武力行使の開始から一週間ほどたつわけでありますが、小泉総理は、イラクに対する武力行使が始まる前の十八日と開始後の二十日、イラク問題に対する対応についての我が国の立場について、日米同盟の重要性そして国際協調の重要性から英米のイラク攻撃支持を表明されたと私は思っておりますが、しかし、十八日以前の小泉内閣及び外務大臣の発言などを振り返ってみますと、やや疑問を持つわけです。
 これは、日米同盟重視というのであれば、英国のように早々に、早期にその観点から米英のイラクに対する武力行使に支持を表明しなかった、なぜでしょうか。外務大臣、お願いします。
川口国務大臣 我が国がこの武力行使を支持した最大の理由は、大量破壊兵器の脅威の問題、それに対応する必要があるということであります。それで、ずっと、これを平和的に国際協調のもとで解決をするということが望ましいというふうに我が国は考えまして、そのためのいろいろな外交努力を行いました。
 何で支持を早く表明しなかったのかというお話ですけれども、我が国として、みずからがあるいは世界が平和的に解決をしようということで懸命の努力をしているときに、その努力を損なうような武力行使をすべきである、することに賛成だということを言うべきでないというのが我が国の判断でもあり、またアメリカ自身、平和的に解決できるならその方がいいとずっと言っていまして、武力行使をすること自体はまだ決まっていなかったということであります。
 日本政府として考えている態度がはっきりしないという御批判はいろいろいただきましたけれども、武力行使をするということを我が国が支持するというのは最後の最後の選択であって、平和的に解決をするというための努力をずっとやっていくことが大事であるというふうに考えたから、そういうことは言わなかったということでございます。
小林(憲)委員 外務大臣、もちろん私の質問の意味は、だれも初めから武力行使をするということは国連でも言われていなかったわけですから、最終的にこういうことは、イラクの査察に対する態度がしっかりしないものであれば、そういうことになってもいたし方ないということでの議論の上で、ブレア総理は、英国においてもいろいろな形でヒアリングをして、そしてまたそのことに対しての意見も表明してきているわけですが、同盟国として、我が国は、今外務大臣がおっしゃったようなことをもちろん踏まえた上でのしっかりとした指針といいますか、方針というものが見えなかったということに対して私は質問させていただいておりますが、どのようにお考えでしょうか。
川口国務大臣 我が国の方針については、ずっとはっきりさせてきたと思います。武力行使を支持するかしないか、これは先ほど言ったような理由で、最後の最後までイラクが対応するかどうかということを見守りたいと思っていましたから、決めていなかったというのは当然ですけれども、我が国の考え方としては、ずっと同じことを言っていまして、大量破壊兵器が脅威である、我が国の近隣の安全保障環境を考えればそれは理解をしてもらえると思う、それから二番目に、平和的に国際協調のもとで考えることが大事だ、それから三番目に、我が国として、国際社会にふさわしい適切な役割を果たす中でこの問題に対応していくということは、ずっと国会でも、本当に数十回私は申し上げております。
 それが我が国のこの問題についての考え方でありまして、武力行使をするかしないか、これは、イラクが与えられた最後の機会をぜひ使って武装解除をしてほしいというのが我が国のねらいであり、総理特使まで送ってそれをイラクに働きかけたというようなことをしながら、アメリカが、最後、やむない状況になって武力行使をしたということで、我が国としても支持をしたということでございます。
小林(憲)委員 外務大臣、ということは、今、第三点目まではよくわかりましたが、最終的なところで、イラクが査察に対して応じない場合において、アメリカが武力行使を行うことによっての武装解除を行うということに対して、日本政府そして外務大臣としては、初めからそれを、そうなった場合は最後はそれを支持するということで、終始一貫して今とは変わらない意見であったということで理解してよろしいでしょうか。
川口国務大臣 我が国は、イラクの態度についての独自の見方といいますか、考え方をしてきています。我が国が自分の目で、イラクが本当に武装解除をする気があるかどうか確認をするということが非常に大事であるというふうに考えています。
 大量破壊兵器の問題が大事だということは先ほど言いました。それで、イラクがいろいろ、総理特使も送って話をし、私も大使と話をして確認をしましたけれども、イラクにはみずから進んで武装解除をするという姿勢が見えなかった。そしてその上、アメリカが武力行使をするということになったときに、これは国連の安保理決議に従って正当な武力行使であるという判断を私どもはしたということです。
 したがって、我が国の同盟国として非常に重要な役割を果たしている米国がリーダーシップをとってやろうとしているこの武力行使を支持しようということを考えた、そういうことでございます。
小林(憲)委員 それでは、終始一貫して、このイラク攻撃が始まる前からずっと我が国は独自の目を持って、そして国連安保理の動向を見つつ、そして最終的には、アメリカによって武力行使が行われ、イラクの武力解除が行われた場合にはそれを支持するということは方針として、最後の努力までしましたが、その方針としてはちゃんとあったということで理解してよろしいでしょうか。
 そしてまた、今、独自の日本の判断において、日米同盟重視ということにおいても、集団的自衛権の問題、その行使するという問題は避けて通れないと思うんですが、今の御答弁を聞いておりましても、そういうことも含めてのいろいろなお考えがあるのだと思いますが、その辺も含めまして御答弁願えますでしょうか。
川口国務大臣 武力行使を支持するという判断をしましたのは、ブッシュ大統領が、武力行使のやむなきに立ち至って、二十日でしたでしょうか、テレビで放送したとき、それから、もうちょっと前にさかのぼって、十八日に四十八時間の時間を与えたときには、まだ四十八時間の機会を生かすことがあるかもしれないと思いながら、それがうまくいかなくて武力行使をするということに立ち至った場合には、それも含めて支持をしよう、そういうことでございまして、全部うまくいかなかったら武力行使を支持するということを初めから決めていたということではありません。
小林(憲)委員 それでは、集団的自衛権の問題については、今どうお考えでしょうか。日米同盟ということを、お言葉でも出ておりますが、それは重視されて、どうお考えか教えていただきたいと思います。
川口国務大臣 集団的な自衛権につきましては、閣僚の一人として、今政府の方針と同じ考えを持っております。
小林(憲)委員 しかし、小泉総理は就任最初の記者会見で、集団的自衛権の行使の問題に前向きな発言をされたと私は記憶しておるんですが、その後、集団的自衛権の行使はしないと明言されておるわけです。
 しかし、今回、先ほど来外務大臣の御答弁の中にありますように、核に対する日本の廃絶の非核三原則、そして日米同盟を重視という点で、政府の見解は、集団的自衛権は有するが、行使については憲法上許されないというのは解釈として当然でございますが、この解釈、先ほど来からいろいろと軍事的な話が出ている中で、私は大変そらぞらしいものに思えるものもあるんですけれども、政府見解ではなくて、川口大臣御自身のお考えとしてもう一度お尋ねさせていただきたいと思いますが、この集団的自衛権の問題、今、日米戦略対話というものも出てきている中で、どうお考えか、もう一度お伺いさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
川口国務大臣 私の個人的な意見も余り政府の考え方と変わらないんですけれども、この議論には相当に長い歴史があって、それで今政府の言っているような解釈があるわけでして、私は、これを急に変えるということは難しいだろうと思っております。
 ただ、これは政府も最近そう言っていますけれども、この問題について大いに議論をしたらいいだろうというふうに個人的には思っております。
小林(憲)委員 今回のイラク問題では、国連安保理における不一致が表面化しました。常任理事国においては、英米とフランス、ロシア、中国が対立しました。
 私自身は、結局、世界の安全というものは、アメリカという超大国が動かなければ守れないんだという認識を強く持った面もあるわけでございます。国連安保理がきちっと機能したというのは、いわゆるアメリカという大国によって利益の分配といいますか、国際経済そして国際協調のもとにおいてもすべての国が潤っていける二十世紀において、朝鮮戦争と前回の湾岸戦争においてはこれはワークしていっていたと思うのでありますが、日本は、今まで国連中心主義を外交の政策の柱の一つとして、国連常任理事国入りを目指してきたわけでございますが、もうその必要性というものはないのでしょうか、あるのでしょうか。それとも、日米同盟だけでこれから十分であるというふうにも考えられるような御答弁があったように思いますが、それは私の勘違いでしょうか。川口大臣、いかがでしょうか。
川口国務大臣 我が国の外交を考えるときに、国連を中心にして考える国際協調は一つの重要な柱であり、それから日米同盟ももう一つの重要な柱であります。これかそれかという選択ではないと思います。
小林(憲)委員 これかそれかという議論ではないとおっしゃいますが、実際に今回の場合は、これかそれかということで、それになったのではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。大臣にお答えいただきたいと思います。お願いします、どうぞ。
川口国務大臣 今回の問題というのは、選択肢は、国際協調か日米同盟かという選択肢ではそもそもなかったと思います。国際協調をつくるべく、日本として最大限の努力をした、ただ、安保理で第二の決議をめぐって合意ができなかったということでわかるように、その段階については意見が一致をしなかったということでございます。
 ただ、大きな目的、大量破壊兵器の問題、イラクを武装解除する必要性、これについては国際協調は十分にあったわけです。それから、武力行使の法的な理由づけとして米国や英国が使っております理由づけですけれども、これは過去の国連決議で合意されて、国連第七章のもとで合意されてできたということであります。
 単に第二の決議をめぐって合意ができなかったということで、それをもって国際協調が、そこの部分で手段についてはできなかったと言うことはできるかもしれませんけれども、いずれにしても選択肢は、国際協調か日米同盟かということではなかったと思います。
小林(憲)委員 川口大臣、先ほど来の答弁でも、私が聞いているのは、最終的に日本の国が外交の舞台において、プロセスの問題は、皆さんどの国も平和を愛する、この人類において戦争をやっていこうというような国はないわけです。でも、最後の最後、そういういろいろな、いわゆる国連安保理というものはどういうものであるかということにも基づくと思うのですが、最後に日本が何を選択するか、最後に日本という国はどういう行動をとってどうするか、どんなことがあってどういう過程があってどうなっていくかという、そこに私は問題があると思うのです。
 ですから、イラク攻撃がある前、後、それからいろいろなプロセスの問題、そしてまた今おっしゃった国連安保理の問題、そして日米同盟の問題、どれとこれを選ぶというのではないとおっしゃいますが、でも、最後はやはり国として一つのものを選択していかなきゃいけない、その大きな局面にまだこれから幾つか当たっていくと思うのです。
 ですから、そのときに、私は、最後に何を、日米同盟をそしてまた国連安保理というものをどうするかということについてお伺いしているわけでございますので、ぜひとももう一度、その辺を踏まえた上で御答弁願いたいと思います。
川口国務大臣 日本として常に、選択をするときの判断は、我が国の国益が何かということです。我が国の平和と安全と繁栄が保たれるかどうか、これが一番大事なことです。それで、これを達成するための手段として、我が国としては、日米同盟というのは、まさにアメリカは日本の唯一の同盟国であって、安全保障という観点からいけば、安保条約は我が国の安全保障を守る上でベースであるわけですね。そういったものを含む日米同盟とそれから国際協調と、これが重なっているということが我が国にとって一番望ましいわけです。
 それで、そういう形をつくるように我が国としては努力をする。それでもちろん、国際社会ですから、いろいろな展開があります。ただ、日米同盟それから国際協調、それは、どうやって我が国の国益である我が国の平和と安全を守るかということの、それを達成するための手段であるわけですから、そういった目的に照らして、その時々の具体的な問題については常に判断をして考えている、そういうことだと思います。
小林(憲)委員 今御答弁にありましたが、国益を考えた上で、ぜひともぶれない外交をしていただきたいと思います。
 国連安保理の問題に関しまして、英米とフランス、ロシア、中国の対立についてですけれども、アジアの国として中国は、アメリカに対しての批判はしていないと言いながらも、今回のことに対しては非常に批判的な声明を出されていると思いますが、中国の対応に対しまして川口大臣はどのようにお考えですか、教えてください。
川口国務大臣 中国は二十日に外交部の声明を出して、イラクに対する軍事行動に関しまして重大な関心を表明し、関係国に対して軍事行動の停止及び政治的な解決を呼びかけていると承知をしております。
 今回のイラクの問題については、中国は一貫として国連の枠組みの中で解決をするということを言ってきていますので、先ほどの声明というのもそういった立場を踏まえたものであると思います。
 さらにつけ加えさせていただければ、中国は、反対は反対であるわけですけれども、例えばアメリカ、イギリスを名指しで非難をするということはやっていない、非常に抑えた形で態度を表明してきたと思います。
小林(憲)委員 その抑えた感じで言ってこられたことに対しては、どのようにお考えになりますか。
川口国務大臣 これは私なりの感想を申し上げるしかないわけですけれども、中国は今、国際化、中国の社会の国際化ということに非常に関心を持っていて、国際社会に受け入れられるということを大事に考えている。そして、その中でアメリカとの関係は非常に大事にしていると思います。そういったさまざまな配慮が働いているというふうに思います。
小林(憲)委員 私がなぜ大臣の御感想を最後にお伺いさせていただいたかと申しますと、次にイラクの戦後の復興における問題が出てくるわけですけれども、先ほど来同じような質問は出ましたが、日本に対して自衛隊の派遣というものが要請されてくるであろうことは仮想されるわけですし、既にそれがあったような報道も一部ありましたが、それはなかったという話もあります。この派遣を検討する場合に、また日本の行動に対してアジアの国として、言葉は悪いですが、とやかく言われることがあるのかなというふうに私自身思ったものですから、ちょっと聞いたわけでございます。
 この自衛隊派遣に関しましてどのようにお考えかということを、これは防衛庁長官と外務大臣と、御両者にお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。
赤城副長官 私からお答えをさせていただきたいと思います。
 イラクの情勢については、最初に外務大臣から報告がありましたように、まだまだその状況、不確定なところがございます。そこで、事態の推移を見守りつつ、こうした戦後の復興のことについては検討していかなければならないわけでございまして、三月二十日の「我が国の対応策について」におきましても、そういう意味で、「今後の事態の推移を見守りつつ検討すべき項目」として、このイラクの復旧復興支援や人道援助等について検討すべき、こういう指示がなされたわけでございまして、防衛庁としては、この分野でどういう形で協力していくことができるか、今後一層具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。
 そこで、具体的な検討状況について現時点でお答えするということは、これは差し控えさせていただきたいのでありますが、一般的に言いまして、自衛隊というものが、これまで十年間、国際平和協力業務に参加してまいりました。そうした中で、施設とか輸送でありますとか補給とか医療、そうした分野で自衛隊が有する能力、これまでさまざまな場面で活用してまいりましたし、そのことに対して各国から高い評価をいただいているところでございます。
 そうしたことを踏まえて、いずれにしましても、国際社会で応分の責任を果たすということは大変重要なことでございますので、今後、戦闘がいかなる形で終結するかとか、現地の治安、あるいはその復興活動の主体がどういうものになるのか、そうしたことを踏まえて、この自衛隊の今申し上げましたような能力とか法的な可能性を勘案しながら、政府全体として検討を進めていく中で適切に判断をしてまいりたいと思います。
川口国務大臣 基本的に、今赤城副大臣がおっしゃったことと同じことでございます。
 我が国としては、復興の段階で、これはどういう形になっていくかよくわかりませんけれども、できるだけ国連が関与をした形で、国際社会が協調をした形で行われるということが望ましいと思っていますし、その中で我が国として何が可能かということを考えていくということだと思います。
小林(憲)委員 今後も、外務大臣におかれては、大変な、お忙しくなるとは思いますが、ぜひとも、日本の国益を踏まえた上で、ぶれない外交、またこれは北朝鮮の問題にも触れてくることと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、時間の問題で、石破長官にまとめていろいろと御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 まず、現在イラクで行われている作戦については、米英を中心とする部隊がバグダッド近郊にまで地上部隊を進めるとともに、大規模な空爆が展開されているということは皆さんが御存じのことと思います。今後、イラク側との市街戦となれば、より多くの犠牲者が出ることは懸念されることでありますが、米軍にとっても、ソマリアでの経験などを踏まえ、市街戦はできるだけ避けたいということは考えられますが、それが不可避となった場合には、市民の犠牲も増加し、反米感情の高まりがアラブ過激派のテロを呼ぶ可能性も考えられます。米軍の行動に支持を表明している我が国においても、さまざまなテロの可能性は十分に考えられると思いますが、今後の戦況の推移を注視する必要があると思います。
 このような観点から、今般のイラク攻撃を受けて、我が国の警戒態勢について、防衛庁としていかなる対応を行っているのか、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
赤城副長官 大臣に対してお尋ねでございますけれども、ちょっと事実関係について私から御報告させていただきたいと思います。
 警備態勢でございますけれども、既に一昨年の米国の同時多発テロを踏まえて防衛庁長官から警備強化が指示されておりまして、今日に至るまでその警備対策を講じてございます。さらに、先般、三月二十日の対処方針の中で、この警備態勢の強化、徹底を図る、こういう指示がございまして、同日、三月二十日に防衛庁長官を本部長として設置したイラク関連事案等緊急対策本部の第一回会議におきましても、防衛庁長官から全国の自衛隊施設の警備強化を改めて指示されました。具体的には、全自衛隊の施設、特に在日米軍施設と共同使用している施設に留意して、態勢の強化、所要の警備諸対策を講じているところでございます。
 また、日本近海周辺についての警戒監視態勢でございますけれども、これは従来から哨戒機P3Cによる監視、あるいは対馬海峡では二十四時間体制の監視活動を行い、艦艇を配備しておりますが、これについても強化を大臣から指示されまして、遺漏なきを期しているところでございます。
小林(憲)委員 これは防衛庁だけの問題ではなく、政府全体としての対応であると思いますので、防衛庁においても引き続き警戒を怠らないようお願いいたしたいと思います。
 次に、イラクの問題に比べても、我が国の安全にとってより密接な関係を有すると考えられる北朝鮮の問題と、その弾道ミサイルの問題について幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、北朝鮮の問題ですが、最近の動向を見ておりますと、NPT体制からの脱退表明や、凍結されていた原子炉の再稼働などの挑発的な動きが強く懸念されております。特に核開発の状況については、再処理施設を再稼働させれば、五月か六月までには六―八発分の核爆弾を製造できるプルトニウムを抽出できるとの指摘もあり、特に懸念されているわけでございますが、防衛庁長官はこのような北朝鮮の核開発の状況をどのように見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
赤城副長官 たびたび恐縮でございますけれども、私から御報告させていただきたいと思います。
 北朝鮮の核開発の状況につきましては、北朝鮮が、御案内のとおり、閉鎖的な国でございますので、私どもの方から確たることを申し上げるのは困難でございます。
 そこで、どういうふうに言われているかというところを探ってみますと、例えば、これは米国の国防省の「拡散―脅威と対応」におきましては、既に北朝鮮が核兵器一、二個を製造するに十分なプルトニウムを抽出、保有している、こういう指摘がございますし、また、一つ、場合によっては二つの核兵器を製造しているという、これは米国情報コミュニティーでございます。一、二個の核兵器があると評価されているという指摘、これは先般二月五日のラムズフェルド国防長官の議会証言でございます。そういう証言、報告等もございまして、一概には言えませんが、北朝鮮の核開発、現状についてはそういうことが言われているという状況でございます。
 先生御指摘のように、燃料棒の封印を除去するという動きとか、NPTからの脱退宣言とか、五メガワットの黒鉛実験炉の再稼働を行っているとか、こういうことがございまして、こういう一連の北朝鮮の行動を考えますと、核兵器開発が進んでいる可能性を排除することはできないということは申し上げることができるというふうに思います。
小林(憲)委員 北朝鮮が核保有国となれば、これは我が国にとって重大な脅威となります。このような状況の緊迫化を受けて、米国では我が国の核武装を容認するかのような発言も見られておりますが、我が国は唯一の被爆国として非核三原則を堅持してきており、国民感情からいってもそのような選択肢をとることは想定しがたいと考えておりますが、我が国の核武装という議論について、防衛庁長官はどのように認識を持っておられますでしょうか。
石破国務大臣 米国の一部にそういう議論があることは承知をいたしております。
 私どもとして、例えば大量破壊兵器というものはだめなんだ、イラクもそうですし、北朝鮮もそうです、NPTからの脱退ということは、これは許されるべきではない、核開発もするべきではないというふうに言っております我が国が核兵器を持つということは、それだけで立場として極めて矛盾をするものだというふうに思っています。
 御指摘の議論は、北が核を持った場合に核抑止論というものにどのような変化が生ずるのだという議論なんだろうというふうに思っております。つまり、北が核を持ったとするならば、抑止力として日本も持つべきなのではないかというような話であるとするならば、それは北に対する、北が仮に、万が一、核保有ということになったとしたならば、その抑止のバランスというのもこれは日米安全保障条約によって保たれる、それが日米の信頼というものだというふうに私は思っております。
 そこのところをきちんと押さえておきませんと、これはもうどの国も核を持っていい、北が持っていいんだったら、では我も我もみたいな話で核が拡散をするという世界は、私どもとしては、唯一の被爆国としても、これはもう核の辛酸というものを一番知っているのは我が国でございますから、そのことについて我が国がかりそめにも是認をするような立場はとるべきではないというふうに考えておる次第でございます。
小林(憲)委員 核開発の問題に関しまして、運搬手段となり得る弾道ミサイルの問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、弾道ミサイルの威嚇も我が国の安全保障にとって強く懸念されているものです。
 しかし、このような弾道ミサイル、特に射程一千キロメートル以上級の弾道ミサイルについては、小銃で小銃の弾を撃ち落とすようなものだと例えられているように、戦闘機の何倍もの高速で落下してくるため、一〇〇%これを撃ち落とすシステムを持っている国は、アメリカを含めどこもないというのが現状と聞いております。しかし、現実の危険性がある以上、国民の生命と財産の安全確保を第一の責務とする政府としては、何の対策もとらずに手をこまねいていてよいはずはないわけであります。
 そこで、現在政府が進めている弾道ミサイル防護システムの日米共同技術研究に関しまして、その内容及び進捗状況を御説明していただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
赤城副長官 お尋ねの日米共同技術研究でございますが、これは平成十一年八月に着手いたしました。
 中身としましては、海上配備型システムの要撃ミサイルに関して、その設計、試作、また必要な試験を行う、こういうものでございまして、現在、ミサイルの主要な四つの部品、ノーズコーン、キネティック弾頭、赤外線シーカー、第二段ロケットモーターに関する設計及び試作を行っております。
 これは、念のため申し上げますと、海上配備型システムのうちの要撃ミサイルの一部構成品についての研究でございますので、これだけで、この弾道ミサイル防衛の開発とか取得、配備、そういったもの全体を判断できるものではございません。
 今後のことにつきましては、この技術の実現可能性とか将来のシステムとか法的な側面とか、さまざま検討した上で、安保会議の議論を経て、こういうことになっておることは先ほど来大臣からも申し上げておるところでございます。
小林(憲)委員 最後に、一問だけお願いいたします。
 弾道ミサイルのお話が出ました。
 次に、弾道ミサイルが我が国に着弾するような場合の自衛隊の対応についてお伺いしたいと思うんですが、例えば北朝鮮から、ノドンと呼ばれる我が国のほぼ全域を射程におさめると見られる弾道ミサイルが発射された場合、大体七分から十分で飛んでくると言われております。このような弾道ミサイルが現時点で我が国へ向けて発射された場合には、どのような対応を自衛隊はとるのでしょうか。これは最後の質問ですので、お願いします、大臣。
石破国務大臣 これは、どういう形で発射されるかということになるんだろうと思います。つまり、きのう参議院でも御議論があったんですが、ミサイルを撃たれて災害出動とは何事であるか、こういう話になるわけですね。
 私は、弾道ミサイルを撃たれても災害派遣でなければ対応できないなどということを申し上げておるわけでありません。つまり、それが、我が国に対する武力の行使、もっと正確に申し上げれば、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使ということであれば、これは防衛出動をもって対応することになります。そして、防衛出動というものは別に被害が発生してからでなければ下令できないわけではございませんで、これは、おそれの段階でも下令をすることはできます。
 ただ、着弾しちゃったときに、じゃ、どうするのというのは、これはまた先ほどのミサイル防衛の議論とはちょっと違うお話でございまして、そのときにとにかく我が国に対する組織的、計画的な武力の行使があったのだから、防衛出動だということにはなるでしょう。その後どうするのだということは、またいろいろな議論があるだろうと思っています。自衛権行使の三要件としてのものというものと防衛出動の下令とはまた違うお話でございますので、そこは御理解をいただきたいと思います。
 加えまして、防衛出動命令を下令いたしましても、当然、被害者の救出とか、そういうような対応はできるわけでございます。それは、防衛出動の条文に書いてありますとおり、「公共の秩序の維持に当る」という部分で読むことが可能だというふうに思います。
 つまり、そのミサイルの着弾というものが、本当に組織的、計画的な武力の行使なのか、それとも衛星の実験がうまくいかなくて日本に落ちちゃったというお話なのか、それとも何にも言わず落ちてきたのか、それは、いろいろな場合分けがあるだろうと思っています。それのいかなる場合にどのような対応が可能かということをきちんとしておきませんと、そのときになって驚き、慌てふためくということになりかねません。そのことにつきましては、きちんとした対応をとるべく万全を期しておるところでございます。
小林(憲)委員 終わります。
田並委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも、質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 外交、防衛、安全保障、このテーマが、今最も重要な世界の、そして日本の大きな課題であるというふうに認識をいたしておりますけれども、そんな中にあって、川口外務大臣そして石破防衛庁長官、職務に連日精励なさっていらっしゃっているということに対しまして、まず素直に敬意を申し上げさせていただきたいというふうに思っております。また、副大臣そして副長官も、連日国家のために精励をなさっておいでであるということに対しましても、私は心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
 しかしながら、ここからが問題なのでありますけれども、また石破長官からそれは意見の相違だというふうに言われてしまうかもしれませんが、これはやはり我々議員に課せられた責務でありますけれども、おかしいと思うところは素直にぶつけて、そしてまたそれについて議論を積み上げていくということが重要なことではないかというふうに私は思いますので、きょうはじっくり腰を据えて議論をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、朝鮮半島情勢に絡みまして、平壌宣言についてであります。外務大臣に伺いたいと思います。
 私、先般、予算委員会で総理と外交案件につきましても何度も議論させていただきました。そのとき外務大臣も陪席しておいででありましたけれども、日朝平壌宣言につきまして、私、総理にお尋ねをしました。
 今ここに議事録がありますのでちょっと読みますと、私は、平壌宣言につきましては、「宣言に基づいて、核やミサイルなどの安全保障上の脅威をなくすべく北朝鮮側が誠実に守っているとは、百歩譲っても私は思えない」と私の考え方として申し上げて、「総理はそれでも北朝鮮側が守っているといまだに認識していらっしゃるんでしょうか。」と、いわゆる有効性についてお尋ねをしました。北朝鮮側が守っているかいないか、いかがですかというふうにお尋ねをしました。
 それに対して総理のお答えは、ちゃんとこれは速記録に載っていますけれども、「それは、日本側が考えるようにきちんと守っていると言えない面もあります」というふうに、はっきりとおっしゃっておりますけれども、外務大臣も同じ認識でしょうか。
川口国務大臣 残念ながら、そういうことではないかと思います。
樋高委員 では、北朝鮮がその宣言を履行していないという認識なわけですね。
川口国務大臣 守っていないと言わざるを得ない部分があるということは確かですけれども、履行しているかしていないか、それぞれの項目についていろいろな約束をしているわけですね、北朝鮮は。ですから、守っているかいないか、まだ判定ができない部分というのもあると思います。
樋高委員 では、破っているという部分の判定は一部できるわけですね。
川口国務大臣 その文言の例えばどこの部分かということですが、ミサイルのモラトリアムなんということはきちんと守っているわけですね。それから、一連の核の、例えば黒鉛減速炉ですとかNPTですとか、そういった国際約束、そういったことについては今、国際的に懸念が持たれていろいろ議論をしているというような状態になっているわけですから、例えばNPTを脱退するということは、ちょっと私、具体的な文言を今はっきりここで覚えていませんが、国際的な合意を守るというようなことを言っていたと思いますけれども、それについては怪しくなってきている部分というのはあると思います。
樋高委員 では、北朝鮮側は一部、一部でいいです、全体という話じゃなくて。一部不履行であるというふうに認められますか。
川口国務大臣 そういう意味で、守っていないと言える面もあるのではないかと申し上げているわけです。
樋高委員 大変な発言であります。
 そもそも、この間の予算委員会で総理は、守っていない、「きちんと守っていると言えない面もあります」ということでありまして、外務大臣も認められましたが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
赤城副長官 ただいま外務大臣申し上げたとおりだと思います。
樋高委員 防衛庁長官、いかがでしょうか。
石破国務大臣 副長官が答弁したとおりでございます。
樋高委員 宣言は有効ではないということをずっと、去年九月、日朝首脳会談が行われました後、その後、NPTの脱退ですとかさまざまな状況を見て、我々はずっと申し上げてきたわけでありますけれども、そのいわゆる平壌宣言が有効でないということを認めてしまいますと日朝首脳会談そのものの成果をみずからもって否定しかねないからという理由で、それを認めようとしていないというふうにしか私には見受けられないわけなんですけれども、外務大臣、本音でどういう理由なんでしょうか。
茂木副大臣 平壌宣言が有効ではない、このようには全く申し上げておらないと思います。
 そして、北朝鮮に対しまして、過去も拉致の問題があったり、不審船の問題があったり、ミサイルの発射があったり、そういう中で平壌宣言をつくり、北朝鮮にるるのことを履行させる、そういうてこにしていくという意味で平壌宣言というものは非常に有効である、このように考えております。
 もっと言いますと、例えば、平壌宣言をつくるに当たって、支援のあり方、ここにつきまして、今までは過去の清算、これについて北朝鮮の方は賠償とか補償、こういうことを言ったわけですけれども、そういう方法はとりませんと。そして、日朝双方が相互に財産及び請求権を放棄する。そして、経済協力というやり方でやりますよ、それも国交正常化ができた上でやっていきます、こういうことを明確に平壌宣言の中に書いてあるわけであります。
 それから、守ることを考えても、ほとんどが北朝鮮が守ることですよ。国際法を遵守して、我が国の安全を脅かす行動をとらない、これは不審船の問題、当然含まれてくる。それから、日本の国民の生命と安全にかかわる諸懸案の再発防止に適切な措置をとる、拉致の問題は当然ここの中に入ってくる。それから、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のために、関連するすべての国際的合意を遵守する。そして、弾道ミサイル発射のモラトリアム、ここの中にはノドン、テポドン等の弾道ミサイルの発射の禁止ということでありますけれども、二〇〇三年以降も延長する。こういうことを両国の間で合意をした。
 きちんと合意を守れるかどうか、こういうのを見ながら、そういうことを北朝鮮に迫っていく、こういう意味では非常に私は有効な、また有益な文書だと思っております。
    〔委員長退席、渡辺(周)委員長代理着席〕
樋高委員 いや、そういうことではなくて、有効とか有効ではないということではなくて、相手側が誠実に守っていたとは思えない面もあるというふうに総理は現にしゃべっているわけですから、一部不履行であるということを認められますねということで、さっき外務大臣も防衛庁長官も認められたということは大変なことだなと私は御指摘を申し上げているんでありますが、いずれにいたしましても、この議論もまた、きょうはイラクの問題についてやりたいものですから、政府のいわゆる安全保障に関する認識は甘かったということをまず御指摘を申し上げておきたいというふうに思います。
 まず、イラク戦争の開戦についてでありますけれども、今回、国際連合及び関係諸国の懸命の努力にもかかわらず、米英両国とイラクが戦争に突入してしまったということは、まことに残念でならないわけでありますけれども、しかしながら、戦争が始まってしまったわけでありますから、米英両国等がイラク国民の被害を最小限に抑えて、早期に戦争を終結させることを願うばかりであります。
 また、今回、国連の機能というものが大変クローズアップされたわけでありますけれども、私が一番申し上げたいのは、やはり国際連合を中心とする国際安全保障機能を早急に強化、再構築しなければならないということを冒頭まず申し上げておきたいというふうに思います。
 外務大臣に伺います。
 イラクのサダム・フセイン独裁政権が、これまで何度も、たび重なる国連決議に反して、大量の破壊兵器を隠匿してきたのは私は事実ではないかと思っておりますし、独裁者にはいかなる妥協もしてはならないことも歴史が語る事実であろうというふうに思います。
 米国の主張であります、最終的には軍事力によって独裁政権を倒して武装解除するしかないということは、理解は私はできますけれども、一方で、武力行使はやはり、もうこの委員会でも何度も繰り返し申し上げて、ちょっと樋高、しつこいんじゃないかと言われるかもしれませんけれども、やはりどんなに国際社会の意思統一が困難であったとしても、国連憲章に基づく国連の軍事行動として実施すべきであるというふうに思いますけれども、改めて大臣の所見を伺いたいと思います。
川口国務大臣 私も、委員同様に、これが平和的に解決をするということではなくて、武力行使に至りという状況になったということは残念だと思っています。そして、委員がおっしゃるように、始まってしまったわけですから、できるだけ早く、そして民間人にも軍人にも死傷の少ない形でこれが、さらに大量破壊兵器の脅威が取り除かれる形で終わるということがいいと思っています。
 それで、国連の決議との関係ですけれども、国連の決議は、これは政府は何回も御説明をしていますように、英米のやっていることは国連の過去の決議に照らして正当であるということが私どもの政府の考え方であります。ですから、国連の決議によらないでこれが行われているわけではない。これについて考え方の違いがあるということは事実でありますけれども、説明できるというのが、正当であるというのが私たちの考え方でもあります。
 それから、やはり常に、この問題の本質は何かということに立ち戻って考える必要があると思います。それは、大量破壊兵器をどうやったら廃棄できるかということであります。拡散をしないように武装解除をするということが大事で、これについては国際社会は全く一致をしていると思います。
 この手段について、果たして、査察を延ばしてやっていて、本当にこの目的が達成されるだろうか。日本政府の考え方としては、そうではなかったであろう。したがって武力行使を支持したということでありまして、戦いか平和かといえば、全員が戦争は嫌だと思う、これはもう当たり前で、非常に自然なとうといことだと思います。
 ただ、では武力行使しないで武装解除ができたかということに常に立ち返って、その観点でどうだったかということを見きわめる、考えるということが重要だと思います。
樋高委員 今大臣がおっしゃった言葉の意味としては理解できます。
 そうではなくて、要するに、国連の枠組みの中で、でき得るならば、やはり国連の軍事行動として、平和活動として、国連できちっと決議をして、そのもとで武力攻撃が行われて、ある意味で平和活動として行われるべきであったのではないでしょうかという考えなんですけれども、もう一度、大臣、お答えをいただきたいと思います。
川口国務大臣 そういうことができれば一番よかったと思っております。ですから、日本は、新しい決議についてみんなが合意をしてということをずっと慫慂したといいますか、働きかけてきたわけです。
 国連の難しさというのは、やはり特定の国がノーと言う力を持っているということであると思います。そういう観点から、基本的には五つの常任理事国が全部合意をしなければ物事が動かないようになっているということにこの問題を解決するときの困難さがあり、そして今後の国連の改革の必要性ということがあると思います。
樋高委員 私は、今回、今までのずっと経過を振り返りまして、考えていただきたいことがあるのです。
 要は、やはり今回、国連の武力行使容認決議が結局なされないで戦争を強行するという形になりました。今後の国際政治、ちょっとグローバルな、大きな考え方をしたときに、また国際安全保障のこともちょっと考えたときに、やはり唯一の今超大国であるアメリカにとってもそのほかの国々にとっても、物事は何でもプラスの面とマイナスの面があると思いますけれども、私はやはりマイナスの面が多いのではないかと。
 つまり、どういう意味かといいますと、軍備管理の強化あるいはテロ撲滅、テロ撲滅それ自体は当然やらなくちゃいけない話でありますけれども、例えば、今回の動きによって世界的な反米感情も高まってしまう、それは現実的に高まってしまっている。そういうことによってもたらされる新たな不安定要素が生み出されてしまったということを私は懸念しているわけでありまして、決して世界にとってプラスにはならないというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。
川口国務大臣 これについての見方は、私は委員とは異なった見方をしています。
 大量破壊兵器の廃棄の問題というのが非常に大事だということは問題の一番基本にあると私は思います。これは九・一一の経験からもわかるように、あれは飛行機でしたけれども、総理も同じことをおっしゃっていらっしゃいましたが、テロリストが、あるいはどこかの国が大量破壊兵器をもてあそぶような状況になったとしたら、本当に無辜の民、何十万という人間が死ぬ可能性があるわけでして、この問題に毅然とした態度を国際社会が見せておくということがこの問題に対しての後々の問題を摘み取るという意味で、私は非常に重要であると思います。
 委員がおっしゃるように、マイナスの面というのももちろんあります。マイナスの面と比較考量をしても、大量破壊兵器の問題は非常に大きな問題で、今対応をきちんとしないと後で人類は後悔をする、そういう問題であると私は考えております。
樋高委員 今の大臣の答弁を伺っておりますと、要は、アメリカを孤立させてしまっても大量破壊兵器をなくしていくということの方が大切であるというふうなお考えなんでしょうか。
川口国務大臣 米国は決して孤立をしていないと思います。四十のコーリションのメンバーが少なくとも、表明しているだけで、一緒に支持をしているわけで、決して孤立はしていないと考えます。
樋高委員 四十というお言葉が今ありましたけれども、四十カ国が私は少ないんじゃないかと。国際協調というのであれば、やはり国連加盟国の半分はいかなくちゃいけないんじゃないでしょうか。
 その議論はいいんですけれども、要は、私が言いたいのは、アメリカに対して、やはり真の同盟国であるならば、むしろ、私が今申し上げたような、いわゆる不安定要素が世界各国にふえていってしまう、大きくなってしまう、新たに生じてしまうという重大な懸念を指摘して、そして、決議なき武力行使はしないように自制を求めたのかどうかというところが私にはちょっと見えてこないから伺っているんですけれども、実際に具体的に、米国に対して、どのような自制を求める働きかけを行ったんでしょうか。
川口国務大臣 昨年の夏ぐらいからずっと、我が国は米国に対して、このイラクの問題というのは、イラク対アメリカの問題ではなく、アメリカ対イスラム社会の問題でもなく、大量破壊兵器を持ったイラクと国際社会の問題である、そういうことなんですという話をずっとしてきました。それから、国連で決議をつくることが重要であるということも言ってきました。
 私は、同盟国の関係というのは、そういうことをきちんと伝えるけれども見える世界で言わないということであると思っています。言うべきことは言うけれども、表の世界で亀裂があるということを見せてアメリカを孤立させるような仕方をするということは、同盟国のやり方ではない。日本として、さまざまな場面でアメリカに対して言うことは言ってきていると思います。それが同盟国の役割であるというふうに思います。
樋高委員 ちょっとよく意味がわかりませんが、いずれにしても、その働きかけをしているということを、それこそ、またきょうずっと議論をしておりますけれども、説明責任という形にもなってきますけれども、私は、もっともっときちんとその働きかけをしているということを目に見える形でやらなくちゃいけないんじゃないかなと思います。
 いずれにしろ、日米安保条約、先ほど来議論になっています。いわゆる国連の枠組みを重視するのか、日米安保体制の方を堅持するのかという話の議論にもなっておりますけれども、日米安保条約第一条におきましては、国連憲章に定めるところに従いまして国際紛争を解決するというふうに明記をされておりますので、国連の強化をうたっているということに相つながってくるわけでありますが、日米安保体制と国連の国際安保体制は、本質的に私は相互補完関係にあるというふうに思っていまして、これがそれぞれ別個に独立しているものではない、相互に連携をしている、リンクをしているものであると私は認識をしております。日本の安全保障の不可分一体の基盤であると考えますけれども、この認識について大臣の答弁を求めます。
    〔渡辺(周)委員長代理退席、委員長着席〕
川口国務大臣 不可分のものであるということはおっしゃるとおりだと思います。相互に、日米安保体制も、それから国連での協力も、そして国連の枠組みの中で日米協調するという面もありますし、同じ目的に向かっている話だと思います。
樋高委員 そうであるならば、日米同盟を優先したと総理は現におっしゃっておいででありますけれども、大臣がおっしゃっている認識とちょっと違っています。日米安保体制と国連の国際安保体制が一体となっている我が国の安全保障体制の本質を見誤っているんじゃないかなと私は思いました。
 総理の、日米同盟を優先したというふうに発言をしているのを聞いて私は思ったんですけれども、そもそも、どちらを優先させるというたぐいの話ではなくて、日本の平和と安全の基盤そのものを崩壊させかねない考え方であるというふうに思いますけれども、要するに、両方、不可分一体のものであると私は考えておりますが、一方で大臣もそのとおりだというふうに今おっしゃいましたけれども、総理は一方で日米同盟を優先したとおっしゃっておいででありました。これはどう整理したらいいんですか。
川口国務大臣 総理が日米同盟を優先したというふうにおっしゃったと今樋高委員はおっしゃいましたけれども、そういう発言は私は記憶をいたしておりません。もしそういう発言をなさったとしたら、教えていただけましたら、それについて、どういうコンテクストでおっしゃったかということを読みたいと思います。
樋高委員 振り返りますと、先般、戦争が始まる前であります、約一週間前でしょうか、十三日、総理から小沢自由党党首のもとに、会談をしたいという申し入れがありました。そして、どうせ話をしても中身のある返事は返ってこないだろうというふうに思いまして、会談をする意味はないんじゃないかなというふうにも思いましたけれども、さはさりながら、やはりこれは丁寧に、事前に質問項目ぐらいつくって、そしてペーパーで総理に事前に差し上げて、そもそも今回の、まだ開戦の前の話ですけれども、それについて総理の基本的な考え方、方針、姿勢、スタンスを伺おうじゃないかということで、事前通告をした上で党首会談をさせていただいたわけであります。
 しかしながら、小泉総理のお答えは、相も変わらず全く無意味な発言に終始をなさっておいででありまして、結局、そのときになったらその場の雰囲気で考えるというふうな御答弁であったわけであります。
 このペーパーのところにちょっと戻ってまいりますけれども、五項目、質問項目があるんですが、一番上だけ申し上げますと、「イラクに対して国際社会が軍事力を用いて武装解除を迫る場合、国連における武力行使容認決議が不可欠の条件と考えるか否か。」これは、今現在、武力行使容認決議なくして武力攻撃が行われているわけでありますけれども、その時点で、イラクに対して武装解除を迫る場合、いわゆる武力行使容認決議を不可欠の条件と考えるかということについて総理に尋ねたんです。そうしましたら、総理は、小沢党首にこういう話でありました。国連決議一四四一がある、望ましい状況としてはもう一つ武力行使容認決議があった方がいいと。これは、予算委員会でも大臣ずっと答弁なさっておいででありました。
 あった方がいいのはもちろんわかります。私どももわかります。それでは、なくてもいいのかというお尋ねをいたしました。そうしたら、それにつきまして総理は、結局、今ははっきり申し上げられない、イラクに対する攻撃がどんな条件で行われるのかもわからないと。これは、予算委員会でもそんなような話をしておいででありました。また、それを見きわめないと評価できないし、そのときでないとわからないというのが政府の方針だ、そのときにならないと判断できませんよというのが政府の方針だという話でありました。しかし、私は、それはそもそも、そんなものが方針とは言えないんじゃないかなというふうに思えてならないわけであります。
 アメリカが決議なしに行動に移ったときに、アメリカがどういう理由をつけてこられるのか、どういう理由で行動するのか、それを見てみないとわからないと、またいつも予算委員会でおっしゃっている言葉を申し述べられたわけでありますけれども、それなら、その理由を見て納得できるのであれば、新しい決議なくしても協力なり支持するんですか、賛成するんですかという意味なのかということも小沢党首の方から総理の方に話をしたんですけれども、それに対しても、とにかくその場になってみなければわからない、その場の雰囲気でしか考えないということであったんです。
 要するに、日本政府としての原則、方針というものがないということは、私も今までずっと何度も、そしてほかの委員からも御指摘申し上げてまいりました。そのときに決めるんだというたぐいの話だったのでありますけれども、そもそも、その場になって考えるというのが方針だということ自体がまずわからないのと、人間というのは、判断するに当たりましてやはり基準、結論を聞いている話じゃなくて、結論に至る原則をお聞きしたわけなんですけれども、ましてやこの日本国を預かる、いわゆる安全保障の問題について、政府がそういった状況に至ってはどういう基準に基づいて判断をするかということが、そもそも示し得ていなかったわけなんですね。
 このことにつきまして、そもそも外務大臣は全然そうは思わないのか、立派な方針があるじゃないかというふうに認識なさっておいでだったのか、ちょっとお聞かせいただけませんでしょうか。
川口国務大臣 日本政府が判断に至るまでの過程で、どういうことを考えて判断をしますという基準、考え方については、もうずっと私は、そして総理も何回も国会で答弁をしていらっしゃいます。私もいたしました。
 それは、また改めて御説明をしますと、大量破壊兵器、この脅威、これが問題である、特にこの近辺の安全保障環境を考えれば、日本にはそれはよくわかる話であるというのが一つですね。それからもう一つは、この問題は平和的に解決を国際協調のもとでしたい、そのような努力を日本としてする。それから三番目に、我が国として適正な、我が国として国際社会の責任ある一員としての立場、それを踏まえて考えます。それから四番目に、ちょっと具体的な言葉は違うかもしれませんけれども、武力行使をするというような状況に立ち至ったときには、我が国の国益を踏まえて適切に判断をするということを、ずっとこれは申し上げてきています。
 先ほど、総理がおっしゃったとされる、その場で考えますということは、公の場でないところでお話があったことについて私はコメントをできませんが、総理はいつもそういうことを国会でもおっしゃっていらっしゃいましたし、ただ、もちろん、最終的に判断をするときというのは、武力行使という状況になったときでなければそれはできないわけですから、そういうことをおっしゃったのではないかというふうに私は推測をいたします。
樋高委員 結論を聞いているわけではなくて、考え方を、どういう原則に基づいて、どういう方針で、どういうスタンスで、どういう哲学に基づいて判断をするのかということをその時点で伺ったんですけれども、お答えがなかったわけであります。
 そして、結局、当日ですけれども、本会議の開会時間をおくらせて、総理がテレビの前で、記者会見という形ではなくて立ち話で、党首会談の際には今申し上げたとおり言葉を濁しながらも、それからたった数日後でありますね、数日後に、米国を支持していると。しかも、私、聞いてびっくりしたのは、既に前から支持しているというふうに記者団におっしゃっているんですね。
 既に前から米国を支持しているのであれば、何で早くから国民に対して米国を支持する理由を説明しなかったのかということを伺いたいんです。いかがでしょうか。
茂木副大臣 総理がそこの場面で、既に支持をしていると。これは、これまでアメリカなりがとってきたアプローチと、さらに強い圧力によって、でき得れば平和的な解決を目指したい、そういう方針につきましては日本政府としても支持をしておりますし、それは支持を既にしている。そして、武力行使がやむなしに至った、その時点において、ブッシュ大統領も苦渋の決断であった、その決断を支持するということでありまして、段階を踏みながら物事を考える、これは当然である。しかし、そこには国益に照らしてどういう判断が必要だということが出てまいります。
 さらに申し上げますと、説明責任の問題にしてもそうでありますけれども、例えば国際協調の中で物を解決する、昨年の夏以来、国際協調の中でどうやっていくか、一四四一をまとめる中で日本が果たしてきた役割、これは私は大きいと思います。実際に一四四一というものができた、それによって査察もできたわけでありまして、そういうことを評価していただけるように、きちんとさらに今後とも説明を続けていきたいと思いますけれども、自分たちの方針と違うと説明責任を果たしていない、自分たちの方向と違うと方針が明確でない、こういうことをおっしゃられると、なかなかこちらとしても、説明をどこまでしていいのかと難しくなってまいります。
樋高委員 茂木副大臣、頭いいのはわかりますけれども、あと、総理の悪い癖がうつってきていますよ。自分たちのというそのフレーズはもう何度も聞いていますよ。余り悪いところは、優秀な副大臣ですから、今後の将来がありますので、悪いところは学ばないようにしてください。
 それで、総理がまたおっしゃった言葉で、新たな国連決議がなくても、日本は武力行使をしないので対イラク戦争を支持しても問題はないと平気で言ったんですよ。無力外交そのものであります。情けないんですけれども、そういうことを平気でおっしゃる。要するに、新たな国連決議なんか関係ないんだ、国際協調とは言っているけれども、そんなものは関係ない、日本は武力行使をしないので対イラク戦争を支持しても問題はないんだ、せいぜいやってもその後の復興支援であったり国連を通じての金銭的な支援であったりするから、別に支持したって関係ないじゃないかという、その神経がどうかしているんじゃないかと思いますけれども、大臣、何か御意見ありましたら。
川口国務大臣 今御引用になられた総理のものとされる発言については、私は直接聞いているわけでもございませんし、確認できておりませんので、コメントを申し上げるというのは難しいことでございます。
樋高委員 では、よく総理から伺っていただきたいと思います。
 私、思いまするに、政府の憲法解釈というのをずっと何度も議論させていただいておりますけれども、国連での武力行使容認決議があってもなくても、日本は参戦できないと。別に戦争をしたいわけではありません。みんな平和を望んでおります。日本は参戦できないという見解を先に示している以上、どの国も日本の外交努力に真剣にまず耳を傾けないんじゃないかと思います。
 先日も、ちょっとテレビを見ておりましたときに、アメリカの、一部かもしれませんけれども、インタビューして、日本が支持しているのを知っていますかということを街頭でお尋ねになられたテレビが放映されていたんですけれども、ほとんどの方々が、日本が支持していたの、あれ、そんなの知らなかったよというのばかりだったんだそうですね。ですから、日本という主権国家として、そして独立国家として、やはり外交の顔が見えないというのは相も変わらず続いているわけでありまして、こういうときにこそ、日本は国際社会にあってしっかりと意見を言い、そして行動をし、そして成果を上げる、そして国際的な貢献をしていくということが求められているんではないかというふうに私は思うわけであります。
 例えば、国益上なんですけれども、日米同盟を最優先して、そして、例えばイギリスのように、米国の対等の同盟国として生死をともにするというのも私は一つの考え方であろうと思います。日本が激動する国際社会の中で生き抜いていくための一つの選択肢としてはあり得るわけでありますけれども、しかし、政府にはそのような考えも覚悟もそもそもなくて、言葉だけの日米同盟優先論はむしろ米国からも世界からも私は軽べつされるだけ、無視されるだけであると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
川口国務大臣 いろいろな考え方があると思います。
樋高委員 振り返りまして、政府が我が国と国際社会の安全保障について結局何の原則も示さず、その場しのぎ、要するに場当たりです、早い話が。そして、国連決議なき武力行使へと米国への支持を表明したことは、日米同盟を重視する立場からも国連を重視する立場からも、私は中途半端でないか。国民を欺くだけでなく、米英両国を含む国際社会を裏切る結果となり、かえって我が国の安全保障を危うくするものであるというふうに私は考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。
川口国務大臣 政府の立場は一貫としていまして、ちゃんと説明をし、しかるべき理由に基づいて支持をしているということでございます。
 委員あるいは自由党のお立場というのはいろいろあると思いますけれども、意見が違うということは当然あるわけですが、何というんでしょうか、一つのアネクドータルなことに基づいて政府の立場あるいは態度について決めつけるということは、論理の飛躍が非常にあると思います。
樋高委員 何を言っているんだかよくわかりませんけれども、いずれにしろ、今後、我が国が早急にとるべき道というのは、まず自立国家として明確な安全保障の原則を確立する、常日ごろから。そして、内外にそれをはっきりと打ち出す、宣言をするということと同時に、やはり日本が国際社会の平和と安定にどの国よりも努力をしていくことが必要である。他国のために黙々と汗をかいてこそ、米国やその他の国々も、初めて日本の外交努力に真剣に耳を傾けるのではないかということを私は痛感をしたから申し上げているわけでありまして、そうすることによって、ひいては米国に追従をせず、米国に直接、聞く耳を持った状態で米国に物を言える立場になっていくのではないか、またその立場を築いていかなくてはいけないのではないかというふうに私は考えております。
 国連において、イラク戦争に関する意思統一を図って、戦争を早期に終結するために、今はもう既に始まってしまっておりますので、やはり必要な決議を国連の枠組みを通じて早急に行うようにあらゆる外交努力を行うべきであると思いますけれども、外務大臣の決意を伺いたいと思います。
川口国務大臣 何に関する決議のことをおっしゃっていらっしゃるのかよくわかりませんけれども、我々としては、国連の関与、例えば復興過程においてあるということは非常に大事なことだと思っています。
樋高委員 戦争を早期に終結させる決議という意味でありますが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 我が国としては、この大量破壊兵器の廃棄という目的が達成される形で、できるだけ早く、できるだけ犠牲の少ない形で終わるということを望んでおります。
樋高委員 大量破壊兵器対策とテロ対策が冷戦後の国際社会の重要課題であることは、当然であります。また、国連決議に反して大量破壊兵器を隠匿しているかもしれないイラクのフセイン政権を放置できないことも余り異論はないだろうと思いますけれども、しかしながら、私がきょう申し上げたかったのは、イラクへの武力行使はあくまでも国連憲章に基づく国連の軍事行動として実施されなければならなかったということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
田並委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 イラクへのアメリカの武力攻撃が始まって最初に開かれる安保委員会でありますので、私もそのイラク問題について質問をしたいと思います。
 小泉総理は、先日の本会議にアメリカの戦争について報告したわけですが、この中でこう述べておられます。「戦闘なしに大量破壊兵器が廃棄されることが最善の策であることは、言うまでもありません。しかし、それが不可能な状況のもとでは、我が国としては、」「このたびの米国を初めとする国々による行動を支持することが我が国の国家利益にかなうとの結論に達しました。」と、武力攻撃を支持する説明をしているわけですね。
 そこで伺いたいんですが、政府は何に基づいて、査察の継続はもう不可能だ、このように判断したんですか。その根拠を説明してください。
川口国務大臣 査察が有効であるためには、これはブリクス委員長の言葉をかりれば、二つの条件があります。一つは、イラクが積極的に武装解除をみずからするということを見せること。そして二番目に、イラクに対して圧力が、最大限の圧力がかけ続けられること。
 我が国は、我が国独自の判断として茂木副大臣を総理特使として行っていただき、私もイラクと話をしました。イラクにおいて、前向きに、完全に査察に協力をするという姿勢は残念ながら見られなかったわけです。この我が国の感じているイラクに対しての感じ方、これはブリクス委員長からも言われている。
 それから、そもそもその前に、一四四一において、六八七に違反をしているような状況があるということが決定をされていて、その上で最後の機会が与えられたわけです。その最後の機会をイラクは、これはイラクが違反状態を解消するために、是正するために与えられた機会ですけれども、それを使わなかったということを、ブリクス委員長の判断でもあり、我が国もそのような判断をした、そういうことでございます。
赤嶺委員 ブリクス委員長は、何回かにわたる安保理の報告の中でいろいろな報告をされております。政府は、そういう報告をお聞きになって、そして最後の機会を逸したと日本政府の独自の判断をお持ちであるわけですが、不可能だという根拠ですね、非常に私、これでは不鮮明だと思うんですよ。むしろ、査察が不可能だというよりは、イラクとの間にいろいろな問題が一つ一つあるけれども、そういう問題について進展もある、有効な査察への道は切り開かれつつあったというのが当時の状況だったではないですか。
茂木副大臣 昨年、安保理全会一致でまとまりましたあの一四四一、委員も思い起こしていただきますと、まさにこれは最後の機会でありまして、イラクの側が即時無条件、そして無制限に協力をしなければならない。ただ、それ以来四カ月以上、イラクが完全な協力を行っています、こう言った国は、安保理の中でも一国も、一度もございません。
 私も総理の特使としてバグダッドに行きまして、アジズ副首相と二時間にわたってお話をしました。いろいろな形から説得を試みたわけでありますけれども、完全に協力をする、こういう言葉は残念ながら引き出すことは一度もできなかったわけであります。
 そして、それがなければ、一四四一におきましてイラクが重大な違反を犯している、こういうことに決めますよ、こういうことも一四四一の中にあるわけでありまして、イラクが若干協力したとか、若干進んでいる、こういうことが問題なのではなくて、決められたことをイラクが最後の機会として守ったかどうか、こういうことが私は判断の材料になるものだと思っております。
赤嶺委員 私は、今の茂木副大臣の発言を聞いていて、国連のアナン事務総長並みの決めつけた答弁だなと思いますね。
 最後の機会と言いますけれども、イラクが積極的、自主的に協力していると認めた国はどこもなかった、こう言いますけれども、最後の機会ということで申し上げますと、ブリクス委員長は、そこが武力行使に移る、そのときが最後の機会とは決して言っていないんですね。
 ブリクス委員長は、三月七日に安保理の報告書を出しております。彼は、どのぐらいの時間が必要かとここで報告しています。
 主要な残された軍備解体任務を解決するためにどれくらいの時間が必要か。協力は即時できるし、そうでなければならないが、軍備解体あるいは少なくともその検証は即刻というわけにはいかない。外部からの継続的な圧力に促されて、イラクの姿勢が自発的なものであったとしても、サイトや物品を検証し、証拠文書を分析し、関係人物に聴取し、結論を引き出すには一定の時間がかかる。それは数年ではないし、数週間でもないだろうが、数カ月はかかるだろうと述べた。
 何も、ブリクス委員長は、無期限で査察を継続するということではなくて、数カ月で問題解決ができる、こういう見通しを示していたわけです。
 エルバラダイ事務局長も翌日の報告の中で、核開発に関する客観的で全面的な評価報告、もうずっと査察をやってきて、そしていよいよ核問題については全面的な評価書を出せる、こういう見通しを示していたわけですよ。
 このIAEAの評価書も出すのも待たない。そして、どんなにイラクが自主的に協力をしてもあと数カ月かかりますよと査察の現場で実際に査察に携わっている責任者の発言があるにもかかわらず、こういうことになっているわけですね。
 ですから、査察で解決できるという見通しが示されて、しかもブリクス委員長は、国連決議一二八四が求めていた作業計画書、これも出す用意をしていた。その期限もまだ来ていなかった。こういう中で、政府が、もはや査察では不可能だ、このように断定できる根拠は、これは一体どこにあるんですか。
茂木副大臣 UNMOVICのブリクス委員長と、私も、二月の七日そして三月の一日と、二日にわたって直接お話をさせていただいております。直接お話を伺う中で、ブリクス委員長が、イラクの協力は完全である、こういうお話を少なくとも私にされたことはございません。
 それから、査察の責任者としてどのような形で作業を進めるか等々の発言をしておりますけれども、三月七日の発言を見ましても、あと何カ月あればイラクの武装解除が可能でありますよ、完全にこの問題については査察を通じて解決が可能だ、このような発言はされていないと思います。
 ブリクス委員長がおっしゃられていたことは、まず一つの条件として外部からの圧力が継続して、そしてもう一つの条件としてイラクによる能動的な協力が得られたとしても、査察作業を通じて結論を導くのには時間がかかる。この前提が確実に守られるかどうか、これはブリクス委員長のできることではありません。そして、そういう条件が整った上で査察をした場合に、それによって結論を引き出すのに時間がかかります、その単位につきましては、数年とか数週間ではなくて、マンス、数カ月であろうと。
 こういう形でありまして、これは査察の責任者としての客観的な評価をされた形でありまして、査察をすればそれによってイラクの問題が解決をします、そういう判断をブリクス委員長が一度たりともされたとは私は承知いたしておりません。
赤嶺委員 ブリクス委員長は、安保理への報告の中で、査察の結果について、これの評価は理事会で、安保理で決めることだ、自分はただ事実を積み上げて、その事実を報告するだけだ、このように役割を言っているんですよ。
 今、茂木副大臣の答弁は、自分の都合のいいところとその役割とをまぜこぜにしてやっているような答弁であって、私は、ブリクス委員長の役割の認識の上に立ってさっきの発言をやっているわけです。
 あと数カ月かかるというようにはっきり言っておられる。そういうことを安保理の皆さんにも報告した。それに耳をかさなかったのがアメリカ、イギリス、スペインだったんですね。ほかの国々はみんなそのように思っているわけですから。だから、不可能だったとする根拠というのは、ブリクス委員長に求めようとしておりますが、全然そこからは出てこないわけですよ。
 それで、ブッシュ大統領が最後通告をした十八日、ブリクス委員長は何と言っているか。三カ月で査察の門戸を閉じることは適切でないと考える、昨年十一月に採択された安保理決議一四四一はこのように短い査察期間を想定していないと考える、このようにはっきり述べているんですね。一四四一が最後の機会を与えたことはわかっている、しかし、その最後の機会があと数カ月続くことは許されない、今終わらなければならない、こう言うブリクス委員長自身が、三カ月半で門戸を閉じるということは適切でないと考えると言っている。我々も、最後の機会を与えられているということはちゃんと知っている、認識しているわけです。しかし、それが何で今終わらなければいけないのか。
 不可能だ、こう言う根拠は、ブリクス委員長のさっきの流れというのは、米、英、スペインを除いては、安保理の中では多数なんですね。今度の国連というのは、私、大きな働きをしたと思っています。やはり、公開討論の中で加盟国が本当に全世界の人々に議論を公開して、そこから問題の本質を諸国民がつかんでいく、こういう流れの中で、本当に査察の展望が切り開かれてきているなという見通しが、国民も持っていた、安保理事国も思っていた。皆さんだけが不可能だと言っている。
 本当に、実際、どうなんですか。どこに不可能だとする根拠を求めるんですか。
茂木副大臣 先ほど申し上げましたのは、ブリクス委員長は、まさに、そういう査察によって問題が解決される、そういう判断をする立場にはないと私も認識をいたしております。委員の方が、ブリクス委員長が査察によって問題の解決が可能だということなんだけれどもどうだと聞かれたわけで、それに対してお答えをさせていただいたという形であります。
 我が国としても、国際協調の中で物事を解決したい、最後に国際社会、安保理が一致してイラクに対するさらに強い圧力をかける、このことが望ましいと思っておりました。それが達成できなかったということは極めて残念であります。
 ただ、委員おっしゃいますが、例えばフランスの立場、ドイツの立場、これが、では中間の六カ国、ミドル6も含めて、同じ意見だったかといいますと、それぞれ違った意見でありまして、安保理自体がそれぞれの国の立場によって一つの結論に至らなかったということは残念でありますけれども、どこかの国が例えば一部であって、ほかの国は全部まとまったんだ、だから日本もそっちに行けば全部まとまったと、それは事実からすると違っていたのではないかなと思っております。
 それから、今回の査察についてでありますけれども、委員も御案内のとおり、国連決議の六八七以来の十二年間のことでありまして、そこの中で累次にわたる十七の決議を破ってきた。そして、最後につくった一四四一という決議に対しても、四カ月半にわたってイラクというのは完全な協力を行ってこなかった。そして、完全な協力を行ったと、そういう発言をした国は、この四カ月の中で一カ国もなかったということであります。
赤嶺委員 ですから、十二年間査察をしてきて、一四四一で最後の機会を与えられた、これに基づいて査察が進められていた。そして、ブリクス委員長は、事実の積み上げの中であと数カ月あれば査察で評価を出すことができる、エルバラダイ事務局長も、完全な評価書を提出できると安保理に対して言うわけですね。
 少なくとも安保理は、その評価書が出るのを待って評価を定める、こういうことをしなきゃいけないわけです。ところがそれもしなかった。ほかの国々もばらばらでしたよと言いますけれども、ばらばらな中でも、いろいろな意見があったんでしょうけれども、査察は不可能であるとしたこういう意見を持ったのは、アメリカとイギリスとスペインと日本だけじゃないですか。
 結局、皆さんの不可能だという根拠は、国連の議論の中からは出てこない。文字どおり、アメリカが言っているから、そのアメリカの言っていることを繰り返しているというぐあいにしか国民には映らないわけですよ。やはり、米軍は査察が進むたびに軍備を増強していた、こういう報道もありますが、結局、軍事を展開する作戦上、作戦を開始しないとうまくない、こういうことで査察を打ち切った、こういう批判に皆さん答えられる議論を持っていないと思います。
 ロシアのイワノフ外務大臣が、ロシアの下院会議で発言に立って、こう言っています。イラクへの武力攻撃は、まさに国際査察団を通じたイラクの軍備解体の展望が全く現実的になったときに行われたと述べている。こういうぐあいに述べているんですね。ロシアの外務大臣もこういう認識。
 ですから、政府が、今皆さんが主張する、査察は不可能だ、こういうものは、実際には、世界の現状あるいは査察に携わっているブリクス委員長、エルバラダイ事務局長、この方々の実際の作業に照らして考えたら、非常に恣意的だと思います。一方的だ、そしてアメリカの立場を説明しているだけだ、このように思います。
 それでは、次の質問に、外務大臣が手を挙げておりますが、限られた時間での質問ですので、まだまだ大事な問題がありますので質問いたしますから、その中で答えてください。
川口国務大臣 二つ申し上げます。
 まず、だれも、このまま続けていったら大量破壊兵器が武装解除が可能だとは言っていない。一番最後の三月十九日、ブリクスが言っていることですけれども、どのようなアプローチがとられようとも結果はイラクによる実質面での能動的協力次第であるということを言っています。これが果たしてあったか。
 私はちょうどこのころに、戦争直前にイラクの代理大使を呼んで、平和的な解決をするための最後の機会だ、ぜひそういうことで協力をしてほしいと言いました。そのときに、では彼が何を言ったか。イラクは査察に協力をしていると。
 これを言っているのはイラクだけですね、ほかの国はだれも言っていない。この期に及んで、四十八時間以内にもう武力行使をすると言っている状況で、こういう状況。これは、だれが見ても、ブリクス委員長が言っている査察がうまくいく前提、それの一つが崩れていると言わざるを得ないと思います。
赤嶺委員 今の外務大臣の答弁も、日本が国際社会の警察官なのかなというぐあいに受けとめられるような発言でありました。本当に、国連の中では、査察が不可能だと言っている国は皆さんだけだったということを指摘しておきたいと思います。
 それで、査察が不可能だと言ったところにとどまらず、小泉総理は、政権転覆、アメリカが言っているフセイン大統領の打倒というアメリカのその方針を丸ごと支持する立場というのを表明しておられます。
 これは、首相の二十日の記者会見の中からですけれども、このように言っておられます。「サダム・フセイン大統領が最高指導者である限り、武装解除には応じないということになってきたと思います。」「私はこの武装解除、イラク国民に自由を与えなければならないということと、サダム・フセイン大統領の退陣というのは、ほぼ同じ意味を持つものではないかと思っております。そういうことから、私はアメリカの立場を支持しております。」文字どおり、政権転覆、これも含めて支持するという立場を表明しているわけですね。
 国連憲章というのは内政不干渉の原則を定めております。そういうもとで、一体、日本政府は、これもどんな根拠があるから政権転覆が認められると考えているんですか。
茂木副大臣 今回の軍事行動の目的、あくまで大量破壊兵器の廃棄、こういうことであります。ただ、大量破壊兵器の廃棄を進める上で、現在のフセイン政権がその大きな障害になっている、このような理解であります。
赤嶺委員 ですから、国際法上の根拠を聞いているんです。国際法上の根拠はどこにあるんですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 一般に、国際法上、内政干渉というものは、他の国家が、自由に処理し得るとされている事項に立ち入って、強制的にその国を自国の意思に従わせようとすることというふうに解されております。したがいまして、ある国が国際法上の根拠がなく他国に対して強制的に武装解除を行わせるというような場合であれば、これは当然、国際法上の内政干渉に当たります。
 しかし、今般の米軍等による武力行使は、これまで重ね重ね御説明いたしておりますように、イラクが関連の安保理決議上の義務の重大な違反を継続的に犯していることを受けて、憲章第七章に基づく安保理決議に従ってイラクの武装解除などの義務の実施を担保し、この地域の平和と安全を回復するための必要な措置として行われるものでありますので、国際法上、先ほど申し上げましたような意味における内政干渉に当たるとは考えておりません。
赤嶺委員 憲章第七章と言われましたけれども、その憲章第七章を担保するものは、実際、具体的に何があるんですか、今度のイラクで。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 六七八、六八七それから一四四一に至ります累次の決議の中におきまして、この他のこのような決議というものが国連憲章第七章のもとで採択されたということが明示的に書かれております。
赤嶺委員 一四四一、六八七、六七八、この中に、政権転覆、どこに書いてありますか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 私が申し上げましたのは、今般の米国等によります武力行使を正当化する根拠になっております決議案が、国連憲章第七章のもとで採択されたということを申し上げておるわけでございます。
赤嶺委員 第七章のもとで採択をされたら政権転覆までいくと。しかし、六七八、六八七、一四四一についての政権転覆の根拠、どこに書いてあるかと示したら、これは説明しないわけですね。どうなんですか。
西田政府参考人 もう一度申し上げますが、先ほど外務大臣の方からお答えしましたとおり、今回の米国等による武力行使というものが政権転覆を目的にしているものというふうには日本政府は考えておりません。
 あくまでも、大量破壊兵器の廃棄という、六七八から一四四一に至る義務を懈怠しているということに着目をしまして、それを根拠に、正当なものであると申し上げているわけでございますし、それから、今般のブッシュ大統領の発言あるいはそれを受けましての総理の御発言というものは、事ここに至って、大量破壊兵器の廃棄をするためにはサダム・フセインが政権を譲るべきであるということを申し上げている趣旨でございます。
赤嶺委員 ですから、大量破壊兵器の解体と政権転覆は不離一体のもので、切り離せないものであるという認識を皆さんお持ちなんですよね、外務大臣。そういうことでしょう。
川口国務大臣 大量破壊兵器の廃棄について、イラクが十二年以上にわたってこれに協力をする姿勢を示してこなかったということの最大の原因はサダム・フセイン政権であるというふうに考えざるを得ない。そういう状況で、その目的である大量破壊兵器を廃棄しようということは、現実的なこととして、政権がかわる、政権がいなくなるということと重なってくる。そういうことであると思います。
赤嶺委員 文字どおりフセイン政権打倒、これなしには大量破壊兵器の廃棄はあり得ないという戦争を始めたことになるわけです。
 それで私、十二年間の問題が出ましたので、六七八についてちょっと触れたいと思うんですが、これは御承知のとおり、クウェートからの撤退を求めたものであるわけですね。
 湾岸戦争当時の米軍の中央軍司令官シュワーツコフさん、著書の中でこのように書いております。戦争終結時において、このまま戦いを続けバグダッドを占領せよと唱えた国家首脳、外交官、中東問題専門家、軍指導者は、私の知る限り、ただの一人もいなかった。我々の湾岸における軍事行動に合法的根拠を与えた国連決議案の意図は極めてはっきりしている。つまり、イラクの兵力をクウェートから駆逐することだ。このように、バグダッドを占領せよと言う人はだれもいなかったと、当時の米軍の中央司令官がその後の著書に書いているわけですね。
 当時のベーカー国務長官、米国の国務長官ですが、多国籍軍はバグダッドまで進軍してサダム・フセイン政権を打倒すべきではなかったかという議論は今日まで続いている、当時も今もこれはナンセンスな考え方だと思う。国連決議が多国籍軍に認めていたのはクウェートの解放だけだから、それを尊重すべきという法的な根拠ばかりではなく、戦略面でも実益面でも、また外交や政治の面でも、バグダッドへは進軍しないと大統領に決心させる要素ばかりだったのである。このように言っているわけですね。
 ですから、皆さんが言っている累次の決議というのは、政権打倒のよりどころにはなり得ないんですよ。そうじゃないですか。
茂木副大臣 委員の方で国連決議の六七八の方に言及をされましたので、この六七八で、イラクに対するあらゆる必要な措置、これは武力行使を含むということでありますけれども、この権限が付与されたわけでありますけれども、ここで言っておりました目的というのは二つございます。委員が一つ触れられた、イラクをクウェートから排除する。そしてもう一つが、同地域に平和と安全を回復するため。
 累次ということでいいますと、この六七八をとめて、停戦を決めました六八七におきましても、同地域に国際社会の平和と安全を回復するために大量破壊兵器を除去する継続的な義務をイラクに課した。そしてそれらを踏まえまして、今回、大量破壊兵器の廃棄を目的としたわけであります。
赤嶺委員 まさに、その地域の平和と安定というのはクウェートのことですよ。今イラクへの武力攻撃についてアラブ諸国がどういう対応をしているか、このことを見てもはっきりしていると思うんです。皆さんの解釈が非常に恣意的で、一方的だというのはそこにもあらわれていると思うんですよね。
 これを、湾岸戦争が終わった後、フセイン政権を打倒しておけばよかったというぐあいに言うのは、先ほど紹介しましたシュワーツコフ中央軍司令官、当時の軍司令官は、後知恵だと、このように言っているんですよ。
 後知恵の使い方の文脈は、ちょっとニュアンスは違うかもしれませんが、私は、皆さんが今やっている政権打倒も、いろいろ後知恵を振り回して国際法の根拠が何もないままやっている。そして、査察の可能性が切り開かれていた時期に、それを強引に打ち切って、戦争に踏み出した。本当に、憲法九条を持つ国としては恥ずかしい姿勢があらわれていると思わざるを得ません。
 それで、実際の戦争ですが、けさの朝刊には、バグダッドの住宅地が襲撃を受けた、十五人の民間人が死傷したと。アパートや商店が密集する人口密集地域であったわけですが、軍事施設からもかなり離れていた場所。アメリカはその日、バグダッドに四十発の巡航ミサイルを発射している、このようになっています。
 アメリカとイギリス軍の攻撃に対するイラクの民間人被害について、世界の有力紙報道を参考にして推計している市民団体、イラク・ボディー・カウント、ずっとインターネットで発表しておりますけれども、民間人死傷者は、報道にあらわれているものを集計すると、少なくとも二百二十七人、最大で三百七人だ、このように言っています。
 戦争が始まって、民間人への被害が非常に広がっているわけですが、外務省は、この民間人への被害の現状についてどのような情報を掌握しておられますか。
安藤政府参考人 我が国は当事者でないことから、全体像を正確に把握するということは、実際上、極めて困難でございます。ただ、私どももイラク政府の発表であるとか、あるいは報道等によって、できるだけ事実関係を把握しようとは思っておりますけれども。
 私どもの承知しております被害状況といたしましては、二十二日の日に赤十字国際委員会が言及しておりますが、バグダッドの二つの病院で負傷者計約二百名が出たというふうに言われております。また、その後の発表といたしましては、二十四日の日に、市民六十二人が死亡し四百名以上が負傷したというイラク政府の発表がございます。それから二十五日の日でございますが、これもイラク側の情報でございますが、二十五日、市民十一名が死亡、九十五名が負傷という発表がございました。また、一番新しいところでは、二十六日の発表でございますが、過去二十四時間の戦闘で市民十五名が死亡し五百三十名が負傷したということを言っております。
 ただ、これはあくまでもイラク側の数字でございますので、私どもとしても、これを確認しているということではございませんが、引き続き負傷者の被害状況あるいは死者の被害状況につきましては把握に努めたいというふうに考えております。
赤嶺委員 民間人への被害の状況について、いろいろ情報は持っているけれども確認はできない、こういうことなんですけれども、いずれにしても、民間人への被害の広がり、これについては、外務大臣、どうですか、女性の立場から。
川口国務大臣 女性の立場からと言われても、女性にもいろいろいますので、非常に、一概に難しいと思いますけれども、私としては、できるだけ、これは民間人にも、そして双方の軍人にも死傷者が少ないという形で所期の目的が達成されるということを祈っているわけでございます。
赤嶺委員 私が女性の立場と申し上げたのは少し沖縄戦がダブっておりまして、やはりあの中で、本当に沖縄の女性や子供やお年寄りの苦労というのをいつも聞かされているものですから、そういう発言になりました。
 ただ、民間人への被害を最小限に抑えているという外務大臣の認識なんですけれども、アメリカはクラスター爆弾を使ったということを明らかにしているわけですね。また、今度は劣化ウラン弾、これも使っているというのも認めております。
 外務大臣、このクラスター爆弾というのは無差別の殺傷機能を持っていて、非人道的な爆弾と言われていることについては認識しておられますか。
川口国務大臣 国際法上、これがいけないということがあるわけではありませんけれども、広がっていくという意味で殺傷率が高い爆弾だというふうに認識をしています。
赤嶺委員 殺傷率が非常に高いわけですね。しかも、軍事施設をねらったとしても、そのクラスター爆弾の中にある子爆弾が周囲に飛び散る、そして不発弾として残る率も非常に高いわけですね。
 私、アフガンの戦争のときにパキスタンに行きまして、クエッタにアフガン難民病院というところを調査に行ったことがあります。ここの難民病院というのは、文字どおりアフガンの戦火の中を逃げてきた方々が入院しているわけですけれども、クラスター爆弾で二十五名の家族ほとんどがやられて、そして一歳の赤ちゃんも脳の中にまでクラスター爆弾の破片が入っていて、その母親は全身その破片だらけで、もう本当に生き長らえることができないんじゃないかと思うような状態がありました。一目で、何とひどい爆弾だと思いましたよ。
 こういう爆弾を使っていて、アメリカは本当に人命への被害を最小限にとどめる戦争をしている、こんなふうに言えるんですか。
茂木副大臣 川口大臣の方からも累次御答弁申し上げておりますように、今回の戦闘におきまして、我が国としても、アメリカ政府に対しまして、できるだけ期間が短く、そしてまた民間を含め犠牲が少なくなるよう累次の申し入れを行っておりますし、二十一日の小泉総理とブッシュ大統領の会談の中でも、総理よりブッシュ大統領に対しまして改めてそのようなことを申し上げさせていただきました。
 クラスター爆弾を実際に使った、このような確たる情報に私は接しておりませんが、今回の作戦におきましてアメリカ側からは、コラテラルダメージ、つまり、何か戦闘行為をやることによって今おっしゃったような民間に対するまた副次的な被害が出ないように十分気をつけていきたい、例えば、そういった攻撃目標から、民間の施設、病院であったりそのほかの住宅であったり、どれくらいの距離が離れているのか、また次に、どういう兵器を使った場合にそこまで届いてしまうのか、また、どの角度から撃った場合に被害が出る可能性があるのか、どの時間の場合は問題が出るのか、こういうことを考慮した上で作戦を展開している、このような報告を受けております。
赤嶺委員 クラスター爆弾については、米海軍が記者会見でその使用を認めたものであります。
 民間人への被害がこれだけ広がって、そしてバグダッドでの本格的な市街戦となったら民間人への被害がさらに広がる、取り返しのつかないような戦闘が行われて、そして民間人が命を失っていく。こういう事態にあるにもかかわらず、皆さんは、アメリカは被害を最小限に抑えるために努力している、こういうことを言って今の戦争を合理化している。これでいいのか。
 本当に、あの第二次世界大戦で広島や長崎や私のふるさと沖縄で戦争の被害を受けて、二度と戦争を体験したくないと思っている日本の圧倒的な国民多数の願いにも背いた今の政府の態度、非常に恥ずかしいと改めて思って、そしてこの戦争を即刻中止すべきだということを強く要求しまして、私の質問を終わりたいと思います。
田並委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十七分開議
田並委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川です。
 今ついにイラク戦争、始まってしまいましたが、このイラクの問題と深くかかわり合いを持っているのは、北朝鮮の問題もあろうかと思います。
 まず最初に、北朝鮮問題に対する影響等について質問いたしたいと思いますが、今回のイラク戦争で、これを北朝鮮の側がどのように受けとめているだろうかということを懸念いたします。
 率直に申し上げると、今回イラク政府は、この委員会の中の議論でも明らかになっているように、国連の査察団に対して十分な全面的な協力をしているわけではない、しかしながら、不十分さは残っているけれども、過去の例からしますとかなり協力している節もある。そうしますと、北朝鮮の問題も、今査察団を国外に追放してしまいましたが、北朝鮮にはしかるべき時期にもう一度やはり核の査察が必要だと思うんですね。そうしたときに、北朝鮮の側から見ますと、それなりの国連査察への協力をしてみても、結局は、ブッシュ大統領から、ブッシュ政権から、イラクであれ北朝鮮であれ、この政権はけしからないという形で政権そのものをつぶされるのではないかという懸念を抱くと、査察の入り口がとまってしまうのではないかと思うんですね。
 北朝鮮の核開発問題あるいはミサイル輸出問題を非難するのは簡単なんだけれども、そこまで今のブッシュ政権は、御存じのように北朝鮮からいろいろなメッセージを発しています、交渉相手はアメリカだと。しかし、北朝鮮の方を向いてくれないという形で追い詰めていった場合に、北東アジアの平和というのは果たして保たれていくだろうかという重大な疑念を私は抱くんです。
 しかも、あってはならないことですが、北朝鮮と中国の間には、一九六一年九月十日に効力が発生したとされる中朝相互援助条約というのがあるわけですね。その第二条には「いずれか一方の締約国がいずれかの国又は同盟国家群から武力攻撃を受けて、それによつて戦争状態に陥つたときは他方の締約国は、直ちに全力をあげて軍事上その他の援助を与える。」というふうにうたってあります。そういう、最悪の場合にアメリカと中国の衝突ということも起こりかねない非常に重大な問題だろうと思うんです。
 そこで、我が国政府としては、今申し上げた問題に対してどのような認識なり方針を持っておられるのかをお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 このイラクの問題については、北朝鮮は、対外的に幾つかのコメントが出ていることからわかるように、非常に関心を持っていると思います。ただ、それをどのように受け取っているかということは定かではないと思います。
 外交の世界で、北朝鮮もいろいろなメッセージを出していますけれども、米国も逆にいろいろなメッセージを出しているわけでして、例えば、米国としては平和的に解決をしたいということもきちんと言っています、我が国もそう思っている、そういうメッセージも北朝鮮に伝わっていると思います。
 北朝鮮の中が、どのような思考方式でどう動いているかということについては、これはなかなかわかりにくいということがございます。したがいまして、我が国としては、北朝鮮の今後の動きについては注意を持って見ていきたいと思っています。
今川委員 実は、昨日、韓国の国防委員会、我が国ではこの安全保障委員会に相当する、そこの張永達委員長が日本に来られまして、田並委員長もお会いになられたと思うんですが、実は私も、きのう、その張委員長の講演会にパネラーの一人として参加をいたしました。朝鮮半島で、今非常に緊張しています、もし最悪の事態が起これば、一番大きな被害をこうむるのはやはり韓国だという認識が当然あるわけでして、張委員長は、その講演会の中で、彼なりの東北アジアの平和構想というものを非常に具体的に現実的にお話をされました。心強かったです。その中で、クリントン政権と違って、現在のブッシュ政権の場合には、北朝鮮に対する政策、その危険性ということも切実にやはりおっしゃっていました。
 その中で、実は、こうおっしゃっているんです。日本の川口外務大臣は、ことし二月二十二日、韓国と日本、中国の三国を中心とした多国間協議を進めた後、北朝鮮と米国が参加するという構想を米国と韓国の政府に提示をされた。川口大臣、そうですね。このことを非常に高く評価をされています。問題は、なぜロシアがそこに入ってないのかがちょっと解せないんですが。
 張委員長は、日本、韓国、中国、ロシアでこの朝鮮半島の問題を協議する、これを先行させて、やがてアメリカと北朝鮮がこれに加わるという形での六者協議の枠組みの具体的な構想を示されて、それで、時間がかかってもきちっと平和的に朝鮮半島の和平を実現していきたいという構想を示されているわけであります。
 この点、川口外務大臣、今申しました二月二十二日の米国なり韓国に示された提案なり、今、張委員長が一つの私案として出されていることに対して、どのように評価をされるでしょうか。
川口国務大臣 世界のいろいろな国が、北朝鮮との関連については何か具体的に考えていかなければいけないと思っています。我が国も、北朝鮮の情勢には非常に関心がありますので、いろいろな検討はいたしています。ただ、これは外交的な問題でもありますので、相手の国もありますし、具体的にどのような検討が国際社会で行われているかということについては、私としては申し上げるのを差し控えさせていただきたいと思います。いろいろな国に迷惑がかかるということになってもいけないというふうに思います。
 おっしゃったような、そういう具体策を私がその日に提案をした、そういう事実はございません。
今川委員 私は、極秘事項は別ですけれども、できるだけオープンに、もっとこういう大切な委員会の場で十分に議論を交わしながら、よりよい道筋を見つけていくというのが大事だと思うんですね。
 私が思いますのは、特に、今、北朝鮮は、交渉相手はアメリカだけだ、こう言い張る、アメリカの方は、今、イラク戦争をやっていますので、ほとんど北朝鮮の方を向こうともしないという関係では、なかなかうまくいかないですね。そういった意味では、我が国と特に韓国との連携をより緊密にしながら、そういう話し合いのテーブル、やはり米朝関係だけでは僕は解決しないと思うんです。そういう多国間の枠組みをつくるという意味では、もっと正々堂々と、オープンにして、我が国のイニシアチブを発揮してもいいと思うんですね。
 いま一つは、やはり北朝鮮がいろいろな意味で今、追い詰められ、それに呼応する形で、いわゆるシルクワームを飛ばしてみたりとか、あるいは黒鉛の原子炉を再稼働させてみたりとか、あるいは、近々、正確な情報じゃないけれども、ノドンもしくはテポドンをまた発射するのではないかという情報が飛び交ったりしています。
 そういう意味で、非常に追い詰められた状態にあるからこそ、私は、この機をとらえて、さっき申し上げた多国間協議の枠組みづくりに努力をするのとあわせて、日朝交渉を再開しようじゃないかと。そうしないと、今、拉致問題で日本に五人戻ってこられた方々は、家族ともうこの半年近く離散した状態に置かれているわけですから、拉致問題も含めて、やはりできるだけ早目に解決を図るとするならば、今の時期を逃す道はないと思うんですね。そういう拉致問題の膠着状態も打開していくために、核問題を含めまして、日朝交渉をいま一度再開していくという心づもりというのはないんでしょうか。
川口国務大臣 拉致の家族の方々に日本に戻ってきてもらいたい、それから事実の解明をしたいというふうに考えておりまして、これはもうずっと北朝鮮に対しては働きかけを行っています。今の時期も大事でございますし、またその前からずっとそういった働きかけはしておりますし、今後とも続けたいと思っています。
今川委員 次に、今月二十四日の夜に開かれた予算委員会で、実は、民主党の前原委員が、日米安保にかかわる事前協議に関して、非常に具体的ないい質問をなさっていました。ところが、これに対して、今議事録に目を通しているんですけれども、川口外務大臣初め、ちょっと驚くべき答弁です、これは。そのために、もう少し、私なりに整理をし、具体的な事例を二、三申し上げますので、お答えを願いたいと思うんです。
 小泉総理がおっしゃるように、日米同盟は非常に大事にしなければならない、であればあるほど、その根拠たる日米安保条約の運用が日々厳格に運用されているのかどうかということにかかわって、この事前協議制度というのは、もう言うまでもありませんが、六〇年の安保改定に伴ってこの国会でも大激論があっていますよね、いわゆる装備の大幅な変更、それから配置の大幅な変更。それで、今回問題にしたいのは、日本からの出撃行為ですね、戦闘行動に出ていく場合の問題です。
 川口大臣にお尋ねしたいんですが、ベトナム戦争ですね、当時まだ施政権が返還されてない状態での沖縄から、B52戦略爆撃機が何度となく、直接北ベトナムの上空に飛んでいって、爆弾を落としました、攻撃をしました。これが沖縄の施政権が返還されている状態であれば、明らかにこれは日本からの直接的な出撃行為ということで、事前協議の対象になりますよね。大臣、いかがですか。
海老原政府参考人 条約の仕組みの話でございますので、まず、私の方から御答弁を申し上げたいと思います。
 事前協議の対象となります戦闘作戦行動、これは御案内のとおり、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動ということになっておりますけれども、具体的にどのようなものが対象になるかということにつきましては、これは個々の行動の任務、態様に照らしまして判断されるということを、従来から申し上げているとおりでございまして、今、今川委員がおっしゃいましたような御設問の事態がこれに該当するかどうかということにつきましては、個々の行動そのものに照らして判断する必要があるということでございまして、一概には申し上げられないということでございます。
今川委員 いや、具体的事例を申し上げているんですよ、できるだけわかりやすいように。当時、沖縄が日本国に復帰していれば事前協議の対象になったんだろうけれどもという思いがあって、当時はまだ、七二年に復帰するわけですから。そのときに、一つの例として、沖縄の嘉手納基地から直接戦闘行動に飛び立っていって、北ベトナムを爆撃したわけです。
 では、もう一つ申し上げます。十二年前の湾岸戦争のときです。
 沖縄の第三海兵師団は、米本国の第一海兵師団に合流する形でペルシャ湾方面に出動していって、湾岸戦争に直接参加をしました。横須賀からも、空母とかイージス艦などが、戦闘行動への参加の命令を受けてペルシャ湾に行って、横須賀に配置をされているイージス艦がトマホークミサイルを実際に撃ち込んでいます。佐世保からも揚陸艦部隊が直接ペルシャ湾の方に出動していっているわけです。こういう場合は、明白に事前協議の対象となるんじゃないですか。
海老原政府参考人 今の御質問のようなケースでございますけれども、先ほど申し上げましたように、個々の行動に照らして判断せざるを得ないわけでございますけれども、例えば、それは、湾岸戦争のときにペルシャ湾におきましてそのような行動を行っているということがありましても、事前協議制度といいますのは、あくまでも我が国の施設・区域を使用して戦闘作戦行動を行うというふうに書いてあるわけでございまして、我が国の施設・区域を使用するときの任務、態様、それに照らして判断されるということでありまして、ペルシャ湾において戦闘作戦行動をしているからといって、必ずしも自動的に安保条約の事前協議の対象になるということは言えないわけで、あくまでも個々の行動に照らして判断されるべきであるということだろうと思います。
今川委員 いや、個々のケースに照らして判断するのは結構なんです。
 例えば、これは、六〇年の安保改定のときの国会における当時の赤城防衛庁長官の答弁なんですが、こうありますね。日本から行動を起こすときに、戦闘任務を与えられていれば、途中、給油等のため日本国外の地に立ち寄るとしても、事前協議の対象になる。
 しかも、これは、日本に配置をされている艦船や航空機だけが事前協議の対象じゃありません。そうですよね。第七艦隊など常時日本に配置をされている艦船でなくとも、問題は、安保条約第六条で言う基地を提供している、この在日米軍基地から、直接の戦闘行動であれ、その戦闘行動に給油することも含めて、そういう任務を与えられて、ペルシャ湾であれどこであれ出動していく、この場合にははっきりと事前協議の対象じゃないんですか。
 先ほど申し上げた予算委員会の中で、この間川口外務大臣は、例えば、ペルシャ湾に行くにしてもインド洋に行くにしても、直接戦闘行動の任務を与えられていない、あるいは、今米韓合同演習があっていますけれども、そこに参加をしているはずの空母が、急遽米本国からペルシャ湾の方向に向かいなさいという命令が来たら、確かに在日米軍基地からの出動行為にはなりませんよ。だから、わざわざ具体的な事例を申し上げたんです。
 今度のイラク戦争にかかわっても、空母キティーホークは明らかにペルシャ湾方面に向かうように、イラク戦争に参加をするように任務を受けて、戦争が始まる前から動いて態勢を準備したわけです。そして、大統領の命令があって以降、キティーホークの艦上から戦闘機が飛び立ってイラクを攻撃している。連日これはテレビでも新聞でも報道されている。これは明らかに個々のケースに照らしてみて事前協議の対象じゃないですか。
 それと、もう一点申し上げておきます。これは川口大臣にぜひお答えをいただきたいんだけれども、昨年の国会のときに、当委員会で、日本側からは事前協議の申し入れはできないようになっているとおっしゃいましたね。これは私は、我が党の土井党首に尋ねてみました。そうしたら、高島条約局長時代からそういうふうに答弁が変わってきているよとおっしゃるんです。ですから、事前協議制度が設けられてから随分長い間は、当然、締約国同士、日米双方から疑義があったときには事前協議の申し入れができるというふうになっていたのに、なぜある時点から、日本側からは申し入れできない、アメリカ側から申し入れがあったら、初めてそれを受けとめて協議するようになっているというふうに、なぜ、いつからそのように変わったんでしょうか、お答えください。
海老原政府参考人 最初に赤城長官の御答弁も御引用になりましたけれども、これは先ほど私が申し上げましたように、施設・区域を使用して直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を行う場合、これが事前協議の対象になるわけでございまして、先ほどの赤城長官の例で申し上げれば、施設・区域を離れるときに既に直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動の任務を帯びていたということであれば、それは事前協議の対象になるという可能性が高くなるということを申し上げた答弁であると思います。
 キティーホークのお話も出ましたけれども、キティーホークにつきましては、現在中東地域において作戦に従事しているということは、報道等でも私も承知しておりますけれども、具体的には、横須賀の施設・区域を離れた時点で直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動の任務を帯びていたということは、基本的にはないと思います。もしそういう任務を帯びて、その態様とあわせ事前協議の対象となるということであれば、これは当然義務として米国が事前協議を行ってきているということだと思いますけれども、そのような事前協議がなかったということからも明らかであるというふうに考えております。
 それから、発議権の問題でございますけれども、これも従来から国会でたびたび御答弁していることでございますけれども、事前協議というのは、施設・区域を使用する米国、米軍ですが、米軍がある行動を起こすときは必ず事前協議をしなければならないという制約が課されているわけでございまして、基本的には、米側が、米側におきましてある行動を起こそうというときに、その行動を起こす米国側の条約上の義務として、事前協議を向こうから提起してくるという形になっているわけでございまして、これは、日本側からは、あたかも米国が義務違反を犯しているというようなことを前提といたしましてこちらから協議を申し出ることはないということをたびたび申し上げていることでございまして、この考え方は終始一貫いたしております。
今川委員 通常、常識的に考えて、例えば、在日米軍基地の艦船であれ、航空機、戦闘機であれ、任務を与えられたときに、例えばペルシャ湾まで行くものなのか、あるいはタイあたりまで行くものなのか、燃料から積んでいく食料から当然違ってくるわけですよね。準備の仕方が違ってきます。ですから、例えば、空母であれ米艦船が、日本の領海を離れたところで具体的な任務なり作戦命令を受けるという、こういうばかなことはないということだ。三沢からF16が飛び立つときに、東西南北どこに飛んでいくのかは日本の領空を離れたところで具体的指令がおりるなんということは考えられない、そうでしょうが。
 少なくとも、この事前協議制というのは、釈迦に説法でしょうけれども、この日米安保条約の具体的運用に当たって一番根幹にかかわる、日本の主体性を担保する制度でしょう。そういう議論が六〇年の安保国会では延々と続いているわけです。そういう当時の議事録を私は踏まえながら質問いたしているつもりです。個々のケースで判断するというのであれば、まさしく先ほど申し上げた三つの要件ですよね。どれでもいいんです。これらは本来、アメリカ側から何もないけれども、事前協議の対象にしなければならないんだという日本の主体的な判断があれば、当然申し入れていいわけでしょう。いかがですか。
林政府参考人 実態の問題としての判断の話と条約上の仕組みの問題というのがあろうかと思うのでございますけれども、一般的な協議というようなことについては、それは締約国間でいろいろな協議というのが起こるわけでございますけれども、この事前協議の仕組みというのは、一九六〇年の改定当時から、米側の行動に対して、米側が一定の行動を、日本の施設・区域を使用するに当たって行動をとる、それに対してどういう制約を課するのか、制約、義務を課するのかということで設けられたものでございますので、あくまで米側の行動、米側の申し出によってなされるのが事前協議というものである。
 これはもう御案内のとおりかと思いますけれども、岸・ハーター交換公文そのものにおきまして、「日本国政府との事前協議の主題とする。」と。これも何回も引用されておりますけれども、英語で申し上げますと、「シャル ビー ザ サブジェクツ オブ プライアー コンサルテーション ウイズ ザ ガバメント オブ ジャパン」日本国政府との協議をするんだということでございまして、アメリカ政府が我が国政府に申し越す、これが法的な仕組みでございます。
今川委員 そういう答弁だと、小泉総理も口癖のように日米同盟の大事さを説かれると同時に、日本の主体的判断ということを一貫して言われている。日本の主体性、何にもないじゃないですか。アメリカが何か持ちかけてくるということはないですよ。
 私が問題にしているのは、一つには、日米安保条約、この守備範囲です、わかりやすく言うと。この間の予算委員会でも前原委員がおっしゃっていたように、この日米安保条約の適用範囲です。フィリピン以北、日本及びその周辺、韓国、台湾を含むというふうな認識が歴代の政府の統一見解でしょう。
 当時、安保条約が改定された六〇年当時というのは、専らベトナム戦争というのが目の前にありますから、今のようなイラク、中東方面というのは認識がなかったのかもしれない、余り。しかし、今どちらかというと、北朝鮮問題を除けば、在日米軍の主たる部隊というのは中東方面での任務が多い。しかしそこは、申し上げたとおり、本来の日米安保条約の行動範囲をはるかに逸脱しているではないかという問題が一つと、この事前協議制度が設けられて、この四十三年間、ただの一度も事前協議がない。この不可思議さです。もっと国民に対して説明のつくようにきちんとすべきではないか。
 昨年の臨時国会のとき、当委員会で川口外務大臣にこういうことを聞いたんですね。これも事前協議の問題です。横須賀に、空母一隻、キティーホーク、十隻のイージス艦などが配備されている、これは一個空母戦闘群に等しい部隊ですね。川口大臣、何とおっしゃいましたか。長期に滞在しているにすぎない。国民がなるほどと言いますか。ほとんどの国民は母港と思っているんです、事実上の母港。だから、国民に対して、安保条約の第六条に基づいて提供しているんだ、母港として空母などがいるんだ、あるいは強襲揚陸艦を初め海外で唯一の水陸両用艦隊が佐世保に配置されている、正直になぜ言えないんでしょうか。
 何年も長期滞在するんですか。長期滞在しているにすぎない乗組員の家族のために、何百億円という国民の税金を使ってぜいたくな米軍住宅たくさんつくっていますよ。長期滞在のためにこんなことまでするんだろうか。そうじゃないでしょうが。何カ年かにわたって事実上母港として配置されているから、米本国から乗組員の家族を呼んで、居住計画を立てて、それに基づいて米軍住宅を提供しているんじゃないんですか。そのために思いやり予算まで、余分なお金をつくっているんじゃないんですか。私はそのところをきちっと申し上げておきたい。安保条約の一番肝心なところが、運用がこんなずさんで、国民に説明のつくはずがないということを申し上げておきたいと思います。
 さて、これも繰り返しの質問になろうかとは思うんですが、川口外務大臣に改めて確認の意味でお尋ねをしたいと思います。今回の米国などが始めたイラクへの武力攻撃、この国際法上の根拠を改めてお伺いしたいと思うんです。
 国連憲章が、自衛権として、つまり憲章五十一条で自衛権として武力行使を例外的に暫定的に認めているのは、武力攻撃の差し迫る危機があって、武力以外に他の手段がないとき、しかもこれは国連がしかるべき措置を講じるまでの間というふうにきちっとうたわれていますね。
 今回のケースは、わかりやすく言うと、イラクから米本国まで届くようなミサイルも持っていない、直接のそういう武力攻撃の差し迫った危機はない。しかも、今回国際世論が大きく割れたように、武力でやる以外にないんだという考え方もあれば、圧倒的な国は、国民は、もう少し、数カ月査察をやれば解決するはずであるという考え方もありました。つまり、武力でもってするほかもう手段がないということでもなかった。つまり、今回は、国連憲章上、自衛権を行使してよろしいという判断は立たないはずです。だからアメリカも、自衛権を根拠に今回やらなかったですね。これ以上、時間のむだだと。
 こういう行動に踏み切ったわけだけれども、アメリカの言い分じゃなくて我が国の判断として、国際法上、国連憲章上、根拠たり得るというふうに言い切れますか。お答えください、大臣。
林政府参考人 今回の武力行使につきましての法的根拠でございますけれども、米英等の考え方は、安保理決議一四四一、六八七、六七八に基づくものであるという主張をしておりまして、我が国としても基本的に同様の考え方をしておるということでございます。さらに詳しく御説明する必要があればいたしますが。
今川委員 我が国政府として、今おっしゃったような一四四一とか、あるいは六七八、六八七、こういう国連の決議が根拠たり得ると思い込みたいのであれば、いいです、それで。
 しかし、少なくともこれから、国際社会があくまでも国連を中心として、いろいろな争い事、紛争が生じたときに、これを国連主導のもとできちっとやはり説得をし、必要ならば制裁を科し、どうしても言うことを聞かないときには軍事的に制裁を加える、これも、アメリカ中心じゃなくて国連主導のもとにということを、そういう体制をつくらなければいかぬと思います。
 そういう国際秩序のあるべき秩序を維持していく、つくっていくためには、今回みたいに国際世論が大きく割れている中で、やはりアメリカとの同盟が大事だからという理由でもって、いま一つ、いや二つも三つも根拠に欠けるこういう行為を、仕方がないという形で認めていくようであれば、これから先も常に世界で一番強い国の言いなりになってしまう。秩序とは言えません。寄らば大樹の陰みたいな、今回、そういう方向に踏み出しかねない大きな危険な要素がある、それを申し上げたいんです。
 いま一つ聞きます。
 これも先ほども他の委員からありましたが、国連決議一四四一があろうがなかろうが、アメリカの真のねらいが、ならず者国家、放置しておけば、イラクが隠し持っているかもしれない生物化学兵器の一部がテロ組織などに渡ってしまって、それで二年前の九・一一みたいなテロ事件が起こりかねない、再発しかねない、こういう観念にとらわれて、やられる前に先にやっちゃえ、フセイン政権そのものをつぶすというふうにはっきりブッシュ大統領はおっしゃっている。こういうことも、国際法上、国連憲章上許されないでしょう。国家主権の尊重、民族自決権。
 韓国を例に出すのは本当に失礼なんだけれども、あの国も、日本と日韓基本条約を交わしたころは軍事独裁政権でした。きのうお会いした張委員長だって、民主化闘争の流れの中で獄に入ったこともあるとおっしゃっていました。そういう韓国の民衆たちが血みどろになって独裁政権と闘って、今日の立派な民主国家に生まれ変わっている。
 イラクだってそうじゃないですか。結局は、時間がかかってみても、イラクの国民が、民衆がやがては立ち上がって、フセインのような独裁政権を打ち倒していく。それが当たり前なんでしょう。それを、気に入らないからといって、力が強いからといって武力で気に入らない政権をつぶしてしまうということは国際法上許されるというふうに我が国が判断するんですか。アメリカの判断じゃありませんよ。大臣、どうですか。
茂木副大臣 今川先生の評価については今聞かせていただきましたが、今回の武力行使についてアメリカ側が、まずこれが先制攻撃なんだ、もしくは今回の攻撃の根拠が自衛権の行使にある、こういう形ではなくて、国連決議、先ほど申し上げましたような形に基づいている、こういう説明でありまして、我が国としても、今回の武力行使につきましては、累次の国連決議、六七八、六八七そして一四四一、その存在、そしてその関係によって存在する、このように考えております。
 そして、今回の目的は、大量兵器の廃棄を進める、こういう形であります。そして、大量破壊兵器の廃棄を進める上で現在のフセイン政権が障害になっているというのは明らかな事実であると思います。
今川委員 あと五分ほどしかないので、まとめて二点お聞きしたいと思います。
 今おっしゃった、アメリカは戦略的ねらいがいろいろあります。それはアメリカの話です。我が国は、少なくとも、本当に、今副大臣がおっしゃったように、大量破壊兵器、核兵器、生物化学兵器をこの地上からなくさにゃいかぬ。当然です。だったら、イラクあるいはそれ以上に核兵器を持っている、国際社会からそう見られているイスラエルになぜ査察を入れないんですか。イラクは、武力をもってでも大量破壊兵器を捨てさせてやると今やっています。イスラエルにこそ査察を入れなければいけない。しかも、五十年間にわたって一方的に不法占拠している。これこそ、国連は何度となく撤退しなさいという決議をやっているんじゃないですか。一切守りません。アメリカは援助さえしています。こういう不公平、ダブルスタンダードがあっていいんだろうか。これが一つです。
 いま一つは、皮肉なことに今のイラク戦争の構図というのは、世界最大の大量破壊兵器を持っているアメリカが中心になって、生物化学兵器を隠し持っているかもしれないイラクに査察をする。この地上からやがては大量破壊兵器を全部なくそうというのであれば、NPT、核拡散防止条約そのものの欠陥、不公平性というのを今こそ被爆国日本として大きな声で、NPT体制の矛盾をこの際きちんとしよう、核を明確に持っている五カ国、最近ではインド、パキスタン、計画的に例えば十年かけてきちっと全廃をしていく、だから、今から核兵器を持とう、大量破壊兵器を持とうとしている国はもう持つべきでない、それで初めて説得力が出てくるんじゃないですか。
 常任理事国五カ国は今からも核兵器は開発していく、維持していく、これから持とうとする国は持つななんてことが国際社会で通用するはずないのに、日本はどういう態度をこれまでとってきたんですか、これからとろうとするんですか。そこをきちっと明確にしないと、いつもアメリカの言いなりじゃないかなんということを言われるだけですよ。
 以上二点、お答えください。
川口国務大臣 イスラエルとイラクでバランスを失しているんではないかという最初の方の御質問ですけれども、イラクに対して六七八、六八七、一四四一というのがございますけれども、イラクは、六八七によって大量破壊兵器を廃棄しなければいけないとされているわけですね。それで、同じような安保理の決議というのはイスラエルに対しては存在をしない。ですから、そもそも決議が存在をしないということです。
 それから、NPTの関係ですけれども、確かにNPTは、核を持つことができる国、そして、持たない、持つことができない国、保有国と非保有国の二つに分かれています。それはそういうことですけれども、同時に、非核兵器国が核兵器を取得しないということを義務として課していると同時に、核兵器の保有国に対しては、核軍縮に向けて誠実に交渉をするようにということを言っているわけです。
 我が国として、唯一の被爆国として働きかけをすべきではないか。おっしゃるとおりだと思います。そして、それは実際に行っております。
 まずNPT、これは、我が国として非常に大事であると思っております。そして、これについて、入っていない国に対しては加盟をするようにということを言っていますし、それからCTBTに対しても、この発効が早期にできるように外交的な働きかけは行っております。あと、国連総会のときに、全面的な核軍縮に向けての決議案を我が国はいつもイニシアチブをとってやっております。
 そのような努力を我が国として続けているということでございます。
今川委員 もう時間が来ましたのでまた来週やりたいと思うんですが、言っておきますよ。イスラエル問題、こんなばかな話ありますか。我が国として、国連に対して、国連決議をとって査察をするぐらいの積極的な姿勢がなぜとれないんですか。あきれました。
 終わります。
田並委員長 次に、赤松正雄君。
赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
 元野党、今与党の公明党の人間が登場しましたので、今までのような激しい、厳しい質問になるかどうかわかりませんが、ゆったりと言いたいことをいっぱい言っていただきたいと思います。
 まず、きょうは、前回もそうだったかと思いますが、きょうは二十七日、同時並行で衆議院の憲法調査会が実は上の部屋で行われておりました。私は、両方かけ持ちでございましたので、途中、この安保委員会における議論をしっかり全部掌握はしていないんですけれども、憲法調査会におけるところのこのイラクの問題をめぐる議論は全部聞きました。
 実は、その憲法調査会は二十日の日にも、同じく三時間をかけて、このイラクをめぐる問題、憲法並びに国連憲章、あるいは日米安保条約等の問題を議論いたしました。二十日の日は全部で二十六人。きょうは恐らく、正確に数えておりませんが十五人ぐらい、多少ダブっている方もいらっしゃいますが、与野党合わせて四十数名の方がこの問題をめぐっていろいろな、まあ時間が限られておりますから、一人の発言時間は大体平均五分、長い人で十分ぐらい、こういう感じでございましたけれども、与野党の主張が非常にこのテーマはくっきりと分かれて、非常に印象深い議論だったと思います。
 きょうも、ここから私と、それからあと浜田理事とが与党の方の質問になるので、これまでの午前中から今に至るまでの議論と多少トーンが違うかと思います。
 私は、今まで違う場所でも話をさせていただいたんですが、きょう、ここで外務大臣や防衛庁長官に聞いていただくのは初めてなので、大体概略、今回の問題に対する公明党並びに私の考え方を冒頭に申し上げておきたいと思います。
 我が党は、こうした事態に至るまで、ぎりぎりの平和的な解決を模索するということで、一生懸命頑張りました。
 私はどこへ行ったかというと、外国へ行ったわけじゃありませんが、国内にいて大使といろいろな議論をいたしました。印象的なのは、イギリスのゴマソール大使と、イギリスもアメリカの最も近しい関係であるんだったら、フランスとドイツのように少しはいろいろ注文をつけたらどうですかと、かなり無理筋を言ったようなこともあります。むしろアメリカの行動に歯どめをかけてもらいたいという思いを伝えたりもいたしました。それはなかなか、非常に不機嫌な顔をしておられまして、そう言うはやすく行うは難しいというふうな印象を受けたんですけれども、そういったことをやったりいたしました。
 現実、こうした事態を迎えた今となっては、一日も早いこの事態の終結を、本当に心の底から、命の底から求めたい、そんなふうに思っているわけであります。
 アメリカの最大の同盟国であるイギリスの中にも、また我が国にもアメリカの中にも、強い反対の世論があるにもかかわらず今日の事態になったということは、極めて残念であり遺憾である、こういうふうに言うしかありません。
 しかしながら、同時に、この事態を冷静に考えれば、そう事は簡単ではない。さっき与野党の意見がかなり屹立して分かれたという話をしましたけれども、正直言って、私の立場からすると、皆さん非常に元気いっぱい自分の立場を主張しておられるな、そんなふうにばしっと割り切って言えるんだろうかという思いが実は同時にあって、事は単純ではない、そんなふうに思います。
 あの湾岸戦争からこの十二年間におけるイラクのサダム・フセインがとってきた行動というのは、明らかに、国際社会に背を向けるどころか、その願いをあざ笑うような、そういった悪らつなものであったということは改めてここで振り返ることもないかと思います。だからこそ、あの昨年の国連決議一四四一へと世界の思いは結実したんだ、そういうふうに思うわけであります。
 もちろん、でき得べくんば、武力行使を公然と容認する新たな決議が欲しかったということは言わずもがなでございます。しかしながら、私は、これは先ほど条約局長あるいは茂木副大臣からも答弁ありましたけれども、私に言わせれば、まあこれはだめ押しというふうなニュアンスだったろう、そんなふうに思うわけでございます。
 そこで、要するに、私強く感じますのは、先ほど与野党のいろいろな意見が分かれたという話を申し上げましたけれども、今ほど戦争と平和という問題をめぐって無秩序とでも言っていいような百家争鳴の状況を呈しているというのは、これは否定的にとらえるんではなくて、ここから新たな日本の安全保障という問題に、あるいは、国際社会の中でどうやって、もう壊れてしまっていると私は思いますけれども国連をどう再建していくのか、そういったふうな形で積極的な、単なる議論に終わらせないで、新たな展開への十分な対応をしていきたい、そんなふうに思う次第でございます。
 いろいろなことを言いましたけれども、要するに、国連決議についても、あるいは自衛権の問題につきましても、国連憲章に照らしてこれは明らかに違反ではないかという声が今もございましたけれども、私はグレーゾーンであるという印象を強く持っております。アメリカの主張と、それに反対する側の主張にも、それぞれ正当性があるようでない。事の発端が、イラクの国内における残虐非道な行為あるいは周辺諸国への侵攻行為、安保理の決議無視など、挙げてイラクにあることは周知のとおりです。しかし、それに対するアメリカやイギリスの武力行使についての正当性が、明々白々とは言いがたいものの、それなりにあるというグレーゾーンだ、そんなふうに思っております。
 それは、国際テロと生物化学兵器の結びつきという新たな可能性という現実に対して、国際法というものが正直追いついていっていない部分があるんではないか、そんなふうに感じる次第でございます。
 国際連合の安保理における合意については、先ほども言いましたけれども、新たな決議があれば望ましいと言えたけれども、なくてもそれは、今も申し上げまして繰り返しになりますが、だめ押しというものである、がゆえに、根本的な問題はない、そんなふうに考えております。
 自衛権の発動という部分については、アメリカは真っ正面から言っておりませんけれども、背景にそういう気分が十分にあるということは承知しておりますが、その気分がわからないわけではない、そういうとらえ方をしているということを表明しました上で、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、先ほど来も出ておりますけれども、また憲法調査会の場においても野党の皆さんからあったことですけれども、査察を続けていたら今回のああいうふうな武力攻撃に突入するということではなくて、査察を続けていたら少なくともその間は平和が続いていたんじゃないかということを言う方がいらっしゃいます。
 しかし、これはそうなんだろうかと私は思います。米軍の展開という軍事的圧力のもとでの査察でさえ、ほんのわずかの小出しにしかしなかった、それが、仮に米軍が引き揚げていたらどういう事態になったか、仮に米軍の役割を違う国が十全と果たすことができるのかどうか、そういったことを考えると、査察を続けていたら平和が一定期間続くということについて、極めてその議論の不確かさというようなことを感じるわけでございます。米軍の展開あってこそのそういう査察の意味ではなかったのか。
 そういったことを踏まえまして、過去の査察の経緯と、その間における欧米の軍事的展開ということの関係について述べていただきたいと思います。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 まさに委員御指摘のとおりでございまして、イラクが最近になりまして査察に小出しに協力してきたというのは、米国等の非常に強力な軍事的な圧力があってこそ初めて可能になったわけでございます。したがいまして、イラクの姿勢が根本的に改められない限り査察は有効たり得ないというふうに考えます。
 したがいまして、こういう小出しに協力をしてくるというイラクの態度にかんがみれば、全く仮定の話になりますけれども、仮に米軍が引き揚げていたらどういうことになっていたのか。恐らく、イラクがみずから大量破壊兵器を廃棄して武装解除したというふうには到底考えられません。そして、その場合には、中東地域を初めとする国際社会全体の平和と安定にとって大きな脅威が払拭されない状態が今もずっと続いていたということになっていたかもしれないというふうに考えます。
 それから、過去の査察とその間の欧米等の軍事展開の関係でございますけれども、過去十年以上にわたってこの査察の問題があったわけでございますが、二つ例を申し上げますと、一つは、一九九七年十一月にイラクが米国人の査察官を追放いたしました。これに抗議して、UNSCOM、UNMOVICの前身でございますが、UNSCOMの全査察官が引き揚げるということが起こりまして、このときにアメリカとイギリスが軍事的圧力をかけたわけでございます。この軍事的な圧力の結果、イラクが査察再開に同意したという経緯が一つございます。
 それからもう一つは、一九九八年の十月でございますけれども、イラクがUNSCOMとの協力を全面停止するということを決定いたしました。この際には米英両国がやはり同じように軍事的圧力をかけたわけでございますが、このときにはイラク側からは完全な協力が得られなかったということで、このときには、結果として、この年の十二月、米英両国によってイラクへの空爆が実施されたというような経緯がございます。
赤松(正)委員 先ほど来の野党の皆さんのお話を聞いていて、要するに、国際政治というのはあるべき論というのだけを展開していてはやはりなかなか難しい、国際政治のリアリズムというのは、なかなかそう、こうあってほしい、あるべきだ、こういうふうないわば定規に照らして、こう違っているんじゃないかということだけではいかない側面があるんだろうというふうに強く思う次第でございます。
 今、局長からあったように、やはりそういうアメリカの軍事的展開というものがあって初めてそうした査察に対応するというふうなことでは、やはり事の本質的な解決にはつながらないということを改めて痛感する次第でございます。
 次に、要するに、国際テロというものと、それから、それに対してどう向き合うかというアメリカという国の、今世界に現存する最も軍事大国としてのアメリカのとらえ方というものを少し考えたいと思うんです。
 実は、私は阪神・淡路の震災の被害を受けた兵庫の出身でございますが、私の住んでいるところは姫路でありますので、あの阪神・淡路の震災は、淡路を起点にして明石から神戸、阪神間の方に、ぐっと右にあの震災の、地震のマグニチュードの動きが走ったわけで、私の方は、左の方、西の方ですから、被害は直接的に、あるいは体で感じた震災の恐怖というものは、神戸やあるいは阪神間の人に比べれば少なかったわけなんですけれども、それでもやはり大変な恐怖感というものを持っております。
 先日も、東京と姫路往復の電車の中でついまどろんだときに、夢で震災のあの動きを電車の中の動きと一緒に勘違いをしまして、思わず叫んでしまったというようなこともあったわけですけれども、これは、こうした地震の恐怖というものは、要するに、兵庫県やあるいはその近県の人以外にはなかなか共有できない恐怖感だろうと思います。
 地震とテロとは違うわけですけれども、アメリカ並びにアメリカの国民並びにその指導者たちがあの九・一一のテロを受けた衝撃、たまさか被害者の数がほとんど同じなわけですけれども、そういった国際テロに対する強い恐怖感というものはやはり壮絶なものがある。他の国の人間がそれをどこまで感じ取れるか、酌み取れるかというのはなかなか難しいものがあろうかと思うんです。
 しかも、私は改めて思いますのは、あの九・一一だけじゃないということであります。
 私は今回、要するに、ここ三十年間の法務省が調べた国際社会における主要なテロの一覧というものを見せてもらいましたら、三十年間に、小さいものから大きいものまで取りまぜて、何と三百八十もの国際テロ事件が起きている。三十年間で三百八十ということは、一月に一回どこかで何らかの国際テロが起きている。もちろん九・一一のようなああいう壮絶なでかいのは少ないというか、あれがもちろん頂点でありますけれども、もっと小さい規模のものも含めてでありますけれども、三十年間に三百八十もある、そしてこの十二年間、あの湾岸戦争以降今日までの間にまたさまざまなテロでアメリカが直接的ないわば攻撃を受けている、こういった状況というのは、なかなかこれは普通の今までの戦争という感覚とは違うものがあるのではないかという感じがいたします。
 私は、やはり、国際テロというものが出てきた、同時に片方で大量破壊兵器というものが、先ほど野党の今川委員の質問の中にもありましたように、いろいろな国にある、こういった事態を前にして、要するに、それとテロリストとの結びつき等々を考えた場合に、過去の戦争というもの、過去の戦争に対する、国際社会がそれにどう対応するかということが、まだそういった今の新しい事態を前にして十全たる対応、体制づくりができていないという状況の中で今回の不幸が発生した、そんなふうに実は思っているわけです。
 もちろん、細かく言えば、イラクとそれから九・一一の直接の関係やいかに、そしてまた、これから展開するものであろうものとイラクとの直接の関係いかんということを、細かく言うといろいろまた問題があろうかと思いますけれども、私は大きくとらえて、今の二十一世紀初頭のこの世界に住む私たちがこの国際テロ、大量破壊兵器、こういったものに直面していて、アメリカをただひたすら責めるだけでいいのか。
 私は、アメリカのやった行動は決して褒められたものじゃないと思っておりますが、同時に、ではフランス以下の国も褒められるのかといったら、全然褒められない。みんな、さっきダブルスタンダード云々とありましたが、ダブルスタンダードなんてどこの国も持っているという側面があるわけで、国際社会の現実というのはそう簡単にはいかないんだということが実はあるわけでございます。
 そんな中で、全部で三百八十あるわけですけれども、さっき言ったようなそういうさまざまなテロと、今回イラクに対する、言ってみればアメリカの軍事行動、この因果関係のとらえ方というものを外務省はどういうふうにしておられるのか、お答え願いたいと思います。
茂木副大臣 まず、赤松委員御指摘のように、このテロの問題そして大量破壊兵器の問題、これがまさに二十一世紀、国際社会に投げかけられている新たな脅威であるということは間違いありません。
 恐らく、大量破壊兵器の問題点につきましては、今回イラクの問題でも国際社会が一致していた。しかし、それをどういう形で廃棄させるか、そういうぎりぎりの手段についてはなかなか一致が見られなかったということは大変残念であります。
 我が国の政府もそうでありますが、各党の皆さんも大変な御尽力をいただき、特に公明党におかれましては、神崎代表が直前にニューヨークに赴く、そしてまた浜四津代表代行がジュネーブの方に行かれる、そういう努力もいただきまして、どうにか国際世論をまとめたい、こういう努力もいただいたわけでありますけれども、結果的には、新しい枠組みをつくる、こういうことができなかったわけでありまして、こういった経験も踏まえながら、恐らくこれからテロの問題は根絶を完全にされるわけでもない、大量破壊兵器の問題、さらには一国だけでは解決できない地球規模の問題というのはたくさん出てくるわけでありまして、国連のあり方等々につきましても議論が必要だ、そんなふうに私は考えております。
 そこの中で、テロの発生にはさまざまな要因が複雑に絡んでおりまして、その因果関係また背景につきまして一概に申し上げることはなかなか困難だ、こういう前提で申し上げますと、イラクとアルカイーダとの関係につきましては、米国政府等の情報によれば、アフガニスタンから逃亡したアルカイーダのテロ分子がイラク北部に存在していると言われておりますが、我が国がこれまで収集してきた情報を総合すると、現時点において、イラク政府が組織的にアルカイーダの活動に関与してきたとの確たる証拠には接していないわけであります。他方、イラクは、ムジャヒディン・ハルクそしてアブ・ニダル組織等のテロリスト団体に国内基地を提供している、こんなふうなことも言われております。
 ただ、今回のイラク攻撃の場合は、テロとの関連といいますより、先ほどから申し上げておりますように、もう一つの脅威であります大量破壊兵器の廃棄、これを基本的な目的にしている、このように理解いたしております。
赤松(正)委員 外務大臣に答弁を願いたいと思うんですけれども、外務大臣は二〇〇三年三月号の論座におきまして、「変化する安全保障環境と日本外交」、これは今回の事態の前に書かれたものです。今回の事態を前に、こういう激しい事態を前に大臣のこの論文が少しかすんじゃっていますけれども、極めて中身は大事なことをおっしゃっている、こう思うので、この中身に即して少々大臣の考え方についてお聞きをいたしたいと思います。
 まず、「国際テロと我が国の対応」というくだりの中で、川口さんは、我が国として果たすべき役割を果たせるように、法整備の必要性も含めて、国内体制の整備について早急に議論を進めていくことが重要だ、こういうことをおっしゃった上で、御自身の平和の定着という考え方、暴力の連鎖を断ち切り、平和を定着させたい、こういうふうなことも展開しておられるわけですが、きょうはそういったことよりも、ポイントとして二つのことをお聞きしたいと思います。
 一つは、PKO法の展開ということにつきまして、課題として、大臣は一つこういうことをおっしゃっています。
 実際の紛争地域において、紛争当事者が消滅したり、あるいは紛争によって国の機能が麻痺してしまうようなケース、いわゆる破綻国家も少なくなく、その場合、停戦合意や受け入れ国の同意の認定は困難になるというふうなことで、アフガンのこと、パキスタンとアフガンにおける難民救済の違いというふうなことをおっしゃっております。
 そして、我が国の要員の武器使用については、検討を続けていく必要がある、ちょっと途中を飛ばしますと、要するに、武器使用については、一部法改正がなされたけれども、まださまざまな検討を続けていく必要がある、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、この検討の中身、どういうことをしてほしいというか、するべきだというふうに大臣は考えておられるのか、それについてお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 PKO法というのは、今、我が国にとって、我が国がこういう状況で国際的な貢献ができる一つのよりどころになっているわけですけれども、最初の方の、五原則との関係でいえば、書きましたように、あるいは委員がおっしゃってくださったように、紛争当事国では同意が得られなくてできない。これは、周りではできても本当に必要なところではできないという意味で問題があるということですし、それから、武器の所有については、もう少し私は、これは個人的な意見として申し上げているわけですけれども、もう少し広げていくということをやらないといけないのではないかというふうに思っています。非常に限定的である、そういうことを、これはいろいろな議論があると思いますけれども、議論を大いにして、PKO法がもっと使えるようにする。
 それから、まださらに申し上げれば、PKO法だけではなくて、アフガニスタンでやっているような多国籍軍、これに我が国は入れない、参加できないという状況にあるわけです。国連がPKOという形で、紛争終了後、形をつくるかどうかというのは、一つの、やる場合もあるし、ない場合もある。ない場合も大いに考えなければいけない。そういった場合に、例えば多国籍軍という形でやるときに、我が国としては今の状況では参加できない。
 いろいろあると思います。もっともっと議論しないといけないと思っています。
赤松(正)委員 議論はいいんですけれども、今、川口大臣がおっしゃったことは、要するに、武器の使用についてももう少し広げたいというニュアンスを言われました。それから、PKO法五原則に照らしてどういう地域で活動ができるかということについても考える余地があるとおっしゃいましたけれども、やはり、PKO法ができたときの経緯からしますと、例えば要人警護という問題一つとっても、大変な大論争があって、いまだにこの問題は、要人警護をするということについては、憲法の規定に違反するということを強く主張する解釈をなさる皆さんも大勢いらっしゃるわけであります。
 あるいは、五原則そのものについて、合わないところに出すということになると、これは、文字どおり紛争が起こっているというところに出すということになると、やはりこれも憲法との問題があって、現行憲法下の中におけるPKO法展開ということを考えた場合には、今の状況が、ある意味で、もう飽和状態というか、というところに来ているんじゃないのかという見方があって、今大臣がおっしゃったようなことをしたいのならば、また新たな法律をつくらなくちゃいけないんじゃないかという気さえいたします。それが一つ。
 それから、後で聞こうと思った多国籍軍の問題でありますけれども、この中で、国連の決議に基づいて組織される多国籍軍は、国際社会の安全保障環境の変化に応じて云々と。つまり、国連という国際社会の主要な意思決定機関の決定に従って組織された多国籍軍については、任務次第で自衛隊がこれに参加することができるようにしていきたい、そのことについて憲法が禁じているとは思わないとも書いてあります。
 これは、いわゆる、今までのガイドライン法のときの周辺事態安全確保法とか、あるいはまたテロ特措法の中で展開をされた、アメリカを中心とする多国籍軍の、いわゆる後方地域からいわゆる非軍事的な部分に限定をした形の支援ということで、憲法はそれなら許されるという形で二つはいったわけですが、今回の、今回というか今大臣が提案されている、多国籍軍に対する支援という問題についても、今私が言ったようなことでないと憲法の問題はクリアできない、こんなふうに思いますけれども、それはそれでよろしいんですね。
 そのことと、それから、今、そういった今のイラクの紛争の後に出かけていくものについて、国連での決議が必要だという言い方と、それから、あながちそれはなくてもいいんだということを大臣がおっしゃっているような新聞報道が、山崎自民党幹事長と対比させる形である新聞に出ておりましたけれども、そういったことに対する物の考え方は報道されているとおりでいいのかどうか。二つ答えていただきたいと思います。
川口国務大臣 論座に書きましたことは、これが私は、きょう、あした、あるいはことしというタームで議論が収束をするというふうには必ずしも思っていませんので、もう少し時間をかけて議論をすることが必要だろうと思っています。
 ただ、憲法を変えなければ、あるいは憲法の解釈を変えなければできないかというと、もう少しぎりぎり議論をしていけば、もう少し余地があるのではないかという感じがあるということでございます。それは、本当に議論をして、どういうように周りの方が皆さん思われるかということによるかと思いますけれども、私自身は、我が国としてそういうふうに動くべきであろうと個人的には思っています。
 それから、イラクの復興の関係でございますけれども、イラクが戦争が終わった時点でどういうような復興のためのニーズがあるか、これはどれぐらい破壊されるかとかいろいろなことにもよりますから、今の時点ではっきりわからないわけですけれども、今ある法律の範囲内でできること、これはもちろんやっていかなければいけないというふうに思っています。
 それで、その後、政府として新しい法律が必要かどうか、これは先に様子を見ないとわからない。それで、もし新しい法律が必要であるという判断にその時点で立つことがあれば、それはそのときに国会に御相談をして御議論をいただくということだろうと思います。ただ、そこにいく前に、今の範囲でできることはいろいろあるだろうと思います。
赤松(正)委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
田並委員長 次に、浜田靖一君。
浜田委員 きょう朝から、安保委員会、長時間にわたりまして、皆さん方で大変いろいろな議論がされてきたわけでありまして、今のイラクの問題等も含めて、先生方からの御指摘、ごもっともだということが大変ございまして、私からは、同じくイラク問題に関して、今ちょうどイラクでは戦闘が行われているときでありますので、また復興後の話をするのはいかがかとは思いますが、少し復興後の話をさせていただきたいと思います。
 その中で、当然、この間、閣議決定をされたことなんですが、「イラク問題に関する対処方針」というのが出ておるわけでありますが、その中で、いろいろなことが書かれておるわけですけれども、まず最初に、要するに、復興支援の中で自衛隊が今何ができるかというのを少しお聞かせを願えますか。
赤城副長官 まだ状況、戦況も不透明な中でございますけれども、復興、人道支援について何ができるか、こういうお尋ねでありました。
 先生触れられたとおり、「我が国の対応策について」、幾つかの点、指摘されているところであります。
 繰り返しになりますけれども、現時点で確定的なことは差し控えたいと思いますけれども、少なくとも言えることは、我が国は、これまで十年間にわたり国際平和協力業務をやってまいりました。そうした中での知見、特に施設とか輸送、補給、医療、そうしたものについての積み重ねがございますし、こうした活動について高い評価を各国から受けているところでございます。そういうことを踏まえた上で、自衛隊が現実にできることや能力、法的可能性をしっかり検証していくということが大事だと思います。
 それから、対応策について、対応策には、ほかにも大量破壊兵器の処理というようなことも触れてございます。これは、自衛隊の能力ということで申しますと、大量破壊兵器の廃棄処分をみずから実施するということは、これは自衛隊の有する能力等から見て困難でありますが、一方、防衛庁はUNMOVICの本部に大量破壊兵器関連技術の専門家を、現在自衛官二名を派遣しております。この分野における協力のあり方についても、こういった点を踏まえて検討する必要があるというふうに考えております。
 以上でございます。
浜田委員 いいんですが、大量破壊兵器の処理なんて書いちゃうと、これは説明が非常に何か大ざっぱなような気がするんですよ。いつの間にこんなことを自衛隊はできるのかなと私自身は思ったんですね。
 破壊兵器の処理と言っちゃうと、これはもういかにも何でもできちゃうような話であって、今聞けば、今訓練に出していますよみたいな話で、逆に言えば二名ぐらいのものですねという話になってしまいますし。
 何かこういう書き方を見ていますと、それで海上における遺棄機雷の処理と書いてありますけれども、まだそれは実態もわからないわけだから、こういう書き方も仕方がないのかもしれませんが、しかしながら、少々これは、何か思い切り書き過ぎというか、何でもかんでも自衛隊を出せば、全部自衛隊にやらせちゃうよみたいな話が、これは、余り何もしないでお金だけ出しているとお金を取られ過ぎちゃうから、少し自衛隊を出して、ここでごまかしておこうかなんという考えはまさかないだろうなとは思いますけれども、しかし、そういうふうに見えてしようがないんですよ。
 それで、要するに、もう既にこれは新聞等でも書かれているように、やっているはずなんですよね、当然、この法律の、やっていらっしゃらないという、これは防衛庁に聞くわけじゃないのでいいんですが、多分、洗い出しは全部しているはずなんです。
 ですから、それはここで全部答えろとは言いませんが、しかしながら、少なからず、もうぎりぎりまで持っていってというのではなくて、大体こんなようなことができますねというのは、どこかで、ぜひ整理した中で、整理しているようでいながら特出しをして書いているというのが嫌だなという気がするんですよね、基本的には。総理もおっしゃっていますが。ここのところはもう少しはっきり、何をやって何ができるかというのは少なからず、これはもう漏れてきているわけですよね。勝手に書いていると言われればそうなのかもしれませんが、そうではなくて、やはりだれかがしゃべるから書くのであって、元種がなければ、これは膨らましても書くことはできないわけで、そういう意味では、この辺のところをやはり事前に、こういうことを議論していますというのをぜひ見せていただきたいなという気がいたします。
 我々も、想像の中では、こうだろうな、ああだろうなという話ばかりが先に立って、何か話だけ聞いていると、こういうのを見ていると、本当に、先ほど言ったように、自衛隊が全部出てやるような、何でもかんでも出せばいいというような感じがしてならないわけであります。
 そして、きょうの朝の議論で渡辺周委員からお話がありましたけれども、いわゆる政府専用機のお話なんですが、この政府専用機というのは、それはいいんですよ、使えるものですから、いろいろなもので使って、あれは物を運ぶのも兼ねているわけですからいいんですが、しかしながら、もういいかげんに、何かそれを代用で使うというのは、こちらのイラク問題に対する対処方針の中では自衛隊機と書いてあるんですよね。それを使っていくよという話があったんですが、この話が政府専用機になった経緯。
 それから、今の、足が長い、まあ大体わかるんですが、要するに、自衛隊機だと時間がかかり過ぎるというのと、先ほど朝の答弁でも石破長官がされていましたが、足が短過ぎて時間がかかり過ぎるというようなこともあり、そういう理由で政府専用機を使わにゃならぬというのはわかるんです。
 しかしながら、もうそろそろ、今度CXも入れるという話がありますけれども、しかし、今すぐにはない話ですよね。今持っていない。だから、今使えないわけですよ。では、政府専用機を使って、そのときに、渡辺先生もお話しになったように、行って、向こうで邦人がもしも何かあったときのために待機をするというようなことは、これはあってしかるべきだと思うし、しかしながら、そうじゃないというならば、では借り上げ機を使ったら一体どうなのみたいな、それで、もっと言うと、ではその費用対効果というのはどうなのみたいな話になってくるわけです。
 だから、もういいかげんにその辺のところは、政府専用機というのは、もしかして我が国の総理大臣が乗り、我が国の天皇陛下がお乗りになる飛行機を、いつもいつもそういう形で使っているのがいいのかなという気が私はしないでもないので、そういう意味で、今回の経緯、もう一回御説明願えますか、政府専用機になったという。
西川政府参考人 お答えいたします。
 米国等によりますイラクに対する軍事行動が開始されたことに伴いまして、イラク国内から周辺国に対して大量の難民が流出されるであろう、こういう見込みが当初ございまして、これは今月の二十一日にそういう形で、国連難民高等弁務官事務所、UNHCRでございますが、ここから、外務省を通じまして我が国に対して、緊急に必要とする難民用テントの提供及び同物資のヨルダンまでの輸送について要請がございました。
 これにつきましては政府内で、実は二十日の対イラク軍事行動の開始直後に決定いたしました我が国の対応策のうち、緊急に対応すべきものの一つという形で、このUNHCRからの要請の緊急性にかんがみまして、要請に適切かつ迅速に対応するという形で、国際平和協力法、PKO法に基づく人道的な国際救援活動としての政府専用機による緊急援助物資の輸送、供与を行うことについて、関係省庁間で連携をとりつつ準備を行うことになったということでございます。
 防衛庁といたしましては、関係省庁と連携をとりつつ、今後、PKO法に基づきまして、政府専用機によります緊急援助物資の輸送につき閣議決定され、国際平和協力本部長からの要請があった場合には、この政府専用機により速やかにヨルダンまでの難民用テントを輸送できるように必要な準備を進めていこうということで、現在準備しておるところでございます。
 それで、この政府専用機につきましても、これは主として内閣総理大臣等の輸送の用に供することということになっておりますが、このほかに、必要に応じて以下の用に供することができるよう準備を進めるという形で、実は平成四年の四月一日に政府専用機を防衛庁に所属がえする際にそういうふうな取り決めがございまして、その中の一つに国際平和協力業務実施のための輸送という形がございました。
 これを、先ほどちょっと中で御説明いたしましたように、緊急の用件ということで、先生が御指摘のとおり足が長い、そして北回りで非常に安全性を確保できる航路がとれるということ、それから、もう一方、これに対応しますのが、先生御案内のとおりC130でございますが、これでは五日等かかるという格好で、緊急の所要にこたえるという形では政府専用機がいいのではないかという形の提案が、いろいろなとき議論がございまして、能力的な面から、そういう形の政府専用機でやらせていただけたら、こういう格好で決まったところでございます。
浜田委員 それは、使えるものは使った方がいいので構わないんですが、しかし、やはりもう少し、何回も何回も同じように、場当たり的というか、物事が起きたときに、あるもので対処していくというのは、むだがなくていいと言われるかもしれぬが、しかしながら、自衛隊の任務としてやるのであるならば、要するに、我が国のそういう輸送機の体制とか、そういうものをもう少ししっかりと考えていくのが重要なんじゃないかな。
 そしてそれを、今回の報道とか何だとか全部総合して見ていますと、本当に、先ほど言ったように、もう自衛隊出すんだというのが前面に出て、復興支援も、要するにそういったものをどんどん進めていくんだというものが、内閣というか、官邸とか外務省とかというところからのそういうものが何となくじわじわ伝わってくるんですよね。やれるもの、やれないものというのはわかっているはずなのに、それならしっかり、表へ出すときに、何でこんなものが出てくるのかなというのがちょっと疑問に思ってしまうのは私だけではないと思いますので、こういうふうな、ありきというのは余りよくないと思いますね。
 それで、その中で、できるもの、できないものの整理をしていても、まだ流れがこういう状況だからできないというのはわかるけれども、しかしながら、はっきりともう白日のもとにわかるものは言ってもおかしくないと思うんですよね。これはできます、これはできません、ここは新法必要ですよというのがないと何かまずいんではないかなと思うんですが、長官、その辺のところはどうなんですか、お答え願えますか。
石破国務大臣 何でこんなことが新聞に出るのとあっと驚くことが私でもありますわけで、出どころはどこでしょうみたいなこともあるわけですね。ただ、委員が先ほど来御指摘いただいておりますように、自衛隊派遣というのがぽんぽんと出まして、何でもかんでも自衛隊みたいなことは、私はそれは余りいいことではないと思っているんです。
 つまり、もちろん私たちは、いつも申し上げておりますように、一つは、法律の定めがなければできないわけで、幾らやれと言われましても、法律に定めがないことはできない。もう一つは、どんなにやれと言われても、能力のないことはできないわけであります。そうすると、どういう場合に何ができるかという場合分けは、私どもは、庁内では庁内としてやっておることでございます。これはできます、これはできません、こういう場合にはこういう新法が必要に相なるでしょうということであります。
 ただ、これが、これもまたいつも申し上げることでございますが、どういう終わり方をするのだろう、終わった後でどういうようなニーズが発生をするのだろう、そして、終わった後でどのような形で国の統治がなされていくのであろうということで、いろいろな場合があるだろうと思います。
 したがって、私たちは、価値観を交えて、これがいいとかこれが悪いとか、そんなことを申し上げるつもりは全くありません。ただ、この場合にはどうなんだろうかという当てはめはちゃんとやっておかなければいかぬだろう。
 その前に、例えば今委員が御指摘になりましたような大量破壊兵器処理、自衛隊だとか言われますと、副長官からお答えしましたように、そういう知見はあっても、部隊としてそれができますかというと、それはできないわけでございます。何だ、新聞にはやると書いてあったのにやらないのか、こういうふうに言われてしまうわけですね。そういうふうに、知見はあっても能力がないものもございます。そのあたりは、やはり私は、政府全体としてきちんきちんと何ができて何ができないかということを出していって、国民の皆様方に誤ったメッセージを与えないということは大事なことなんだろうと思っています。
 私たちは、自衛隊が人的貢献をするのが嫌だ、そんなことを申し上げているわけではありません。そしてまた、自衛官たちは、事に臨んでは身の危険を顧みずという宣誓もしておるわけでございます。ただ、法律に決まりがないこと、能力がないことはできませんし、そしてまた、行って安全に任務が遂行できる、安全なうちに任務がきちんと遂行できて、国民の負託にこたえ国家の責任を果たし得るということも必要なことだというふうに思っておるところでございます。
浜田委員 当然、復興後の話になれば、新聞には何か治安維持もなんという話があるわけでありますが、しかしながら、これは武器の、武力行使の制限というのがかかっている中で出すなんというのはとんでもない話であります。逆にまだ敵味方がはっきりしているときの方が安全なぐらいで、どこにだれがいて何をしてくるのかわからないような状況というのは一番危険なわけですから、そういうときに、任務遂行のための武器使用がないとか、そういうようなことがあってはならないし、そういうところに出せるわけもない。
 しかしながら、ここは安全だからというところが本当に安全なのかがわからない状況というのは、これはテロ特措法のときにも議論があったわけでありますので、PKOのときですか、やはりそういう話があったわけでありますので、そこは我々とすれば、本当に、本元の部分をしっかりと、法律の部分を整えてやれるような形を早くつくらないと、いつまでも、出すんだけれども実際にはそういう一番問題点のところは変えませんなどという議論をしていては、とてもではないけれども、そこに行かれる自衛官に対して無責任でありますし、そういうところは政治の力でぜひ御議論をしていくことだというふうに思うわけであります。
 そこで、今防衛庁長官にもお答えいただいたわけですが、外務省としては、こういうことに関してはどのような考えでいるのか、少しお話を聞かせてください。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 ただいま防衛庁長官からもお答えいたしましたけれども、まずは、戦況がどういうふうに動いていくのか、それからどういう形で停戦あるいは終戦が起こるのか、その時点での客観的なニーズは何なのかということを見きわめていくことが一番大事だと思っております。
 総理もお答えしておられますけれども、やはり国際社会が協力をして復興支援をやっていく、こういう姿が最も望ましいことは間違いがございませんので、そういう中で、日本の政府が、先ほど長官言われましたように、持っている能力というものを十分見きわめつつしかるべき対応をとっていく、その中で、現行法でできるものにつきましては可能な限り早く、しかし、それで対応できないものにつきましては、しかるべき形の対応も検討していくということだろうと思います。
 そういう意味で、無理に背伸びをするしないとか、そういうことではない、日本としてふさわしい対応というものは何かというものを十分御議論させていただきたいと思っております。
浜田委員 ぜひお願いします。どうも、そういう部分が表に出てきて、本当は冷静に議論しなければいけないものがヒートアップするというのは大変問題があるなというふうに私自身は思っておりますので、これは慎重に、またできるだけオープンに議論をしていただければというふうに思うわけであります。
 そして、先ほど来、イラクの問題に関してはいろいろな議論がなされているわけでありますけれども、先ほども赤松先生からお話がありました、これはお互いその国々に国益というのがあって、その中で、国益に沿った形の中で自分たちの行動を決めているわけであります。
 大量破壊兵器の件に関しては、フランスが一番明快であって、シラク大統領自身も大変明快なお話をされているわけでありまして、自分が大統領でいるうちは、国家の安全保障を守るためには核は必要だというふうにおっしゃっているところもあるわけでありますし、そういう中で、まず一番トップにいる人の信念そしてまた国を思う気持ちというのが、当然これは体現されて当たり前なわけであります。
 ただ、国際的に言えば、大量破壊兵器というのは認められるものではない。それをいかに抑止的に、そしてまたそれが使われないような体制というのをいかにつくれるかということは大変重要な話であります。
 ですから、日本も、確かに平和というのはだれもが望むべきことではあります。しかしながら、人間が生きていく上でも、必ずそこには本音と建前、そしてまた自分の利害というものがあるわけでありますので、その辺のところを、余り政治の場で、きれいごとだけで済まされるとは我々思っておりません。
 ですから、その中でいかに日本が発言力を持つのか、今では国連の中で日本が発言力をしっかりと確立しているのかといえば決してそうではないと思うわけであります。ですから、本当は、この場において先生方の御意見を聞いておると、確かにすべてそのとおりだと思うわけでありますが、しかしながら、その中でやはり本当のところの本質の部分というのをしっかりと議論していかないといかぬのかなというふうに思っています。
 先ほど民主党の前原委員からもお話がありましたけれども、それをいかに実態に合った、今の現状に合った国防体制というか、自衛隊のあり方検討というのを今石破長官のもとでしっかりとやっていただいているわけでありますけれども、その中でも、私がさっきちょっと言いたかったのは、要するに、いろいろな予算配分の問題等を含めて考えれば、では政府専用機を一機買った方がいいのか、輸送機を一機買った方がいいのか、そしてまた、そうはいったって、それを研究開発して実践に行くまでには時間がかかる、当然、その間のタイムラグは一体どうするのというところをもっと本当に変えて考えていくならば、では、いろいろなものを、あるものを使うというなら、まあ政府専用機を使っちゃっているところもあるけれども、そうではなくて、やはり民間にあるものを代替で使えないのかとか、もっと何か、議論の場では非常に頭を緩く使って、枠の中ではなくてこういうこともできる可能性があるとか、何とか少しでも枠の外へ出て、そしてまたコストダウンを図れるようなものにしていくというような、そういう考え方というのは非常に重要だと思うんです。
 時間の方も大分迫ってきましたけれども、長官にその点のところを、きょうはこれは質問通告していませんが、この点について基本的なお考え方を教えていただければと思います。
石破国務大臣 何をどのように使えば一番納税者の期待にこたえるのかねということは、もう一回議論をしなきゃいかぬのだろうと思っています。
 実際問題、何が幾らするのというのを知らない人が結構たくさんいるわけですね。イージス艦幾らするのというと、まあ大体千二百億から千三百億、これも大体知らない人が多い。では、F15幾らしますかというと百億円、これが二百機、知らない。では、九〇式戦車幾らですかというと十億から九億、大分下がってきましたが。
 では、それをどのように使うのが納税者の期待にこたえることになるのか。そして、プラモデルを並べているわけじゃありませんので、それがどういうふうな使い道があってということ、費用対効果というものが納税者の期待にこたえ得るものであるのかという議論は、私ども庁内でもいたしますし、同時に、議会というのは納税者の代表の場でありますから、私も議員の一人として申し上げれば、本当に財政民主主義というものがきちんとワークをする、私どもはその材料をきちんと提供申し上げるということが必要なことなんだと思っております。
 私ども五兆円弱の予算をいただいておるわけでございます。そういたしますと、それが本当に納税者の役に立っているものなのかという視点を私どもいつも持たなきゃいかぬ。そういう意味で、今の委員の御質問に即して申し上げれば、今回、政府専用機が飛びます。それは、先ほど来局長や副長官が答弁申し上げておりますとおり、C130だとやたらと日数がかかる、C1だと足が短くてとてもじゃないが行けないということがある、そうすると政府専用機なんだ。あれは、何だ、旅客機じゃなかったのか、こう言われますが、あれは下のカーゴの部分がございますので、そこにテントを入れて飛ばしましょう、こういうことになっておるわけでございます。では、それは幾らするんですか、一回飛ばすのに幾らするんですかという議論はいたしました。
 そして、では、それが仮に政府専用機、もちろん危険なところに飛ぶわけではございませんから、では、そうすると、民間機だとどうなりますか、あるいはリースをしたらどうなりますか、そういう議論も私は必要なんだろうと思っております。あるものは使わなければいけません。むだに遊ばせておくということがあっていいとは思いません。しかし、より納税者の期待にこたえ得る道があるとするならば、それはやはりちゃんと模索をしていくべきものであろうというふうに思っております。
浜田委員 ぜひそういう議論をしていきたいと私自身も思っておりますし、その予算に関して言えば、例えば、今整備にかかっている金というのは膨大な量がある。しかし、では、新しいものに変えたら、今は金がかかるけれども、新しいものに変えたら、次年度からの要するに整備の金額というのが安くなる。そうすると、当然、全体の予算というのは、これは下がるわけですよね。ですから、いっとき思い切って新しいものにすべて変えれば、そういうことになる。
 だけれども、今の状態は、古いものを一生懸命メンテしながら、だんだん新しい、それはもう限定でつくっているわけですから、では、ねじ一本どうするのといったら、それは下町の工場のねじ屋さんで切ってもらって足していかなきゃいけないような、そういうような形、これは悪いことではないけれども、確かに、日本人の美徳として、そういうものを長く使っていくというのは重要なことなのかもしれないけれども、しかし、それが果たして、予算的に、費用的にこれは問題があるんだよと言えば、当然そういう新しい道を考えていかないといかぬと思うわけでありますので、ぜひとも、今回の行われております自衛隊のあり方検討につきましても、そういう部分まで踏み込んで御議論していただければと思いますし、我々も議論に参加させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 時間が参りましたので、私の方はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
     ――――◇―――――
田並委員長 次に、内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。石破防衛庁長官。
    ―――――――――――――
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
石破国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、防衛庁設置法、自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正を内容といたしております。
 防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパクト化のための体制移行の一環として第五師団を第五旅団に改めますとともに、特殊作戦隊員手当を新設し、あわせて、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更等を行うものであります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、防衛庁設置法の一部改正の内容でございますが、これは、後ほど御説明申し上げます第五師団の旅団への改編等に伴い、自衛官の定数を三千二百五十人削減するものであります。これにより、自衛官の定数は二十五万五千四十人となります。
 また、防衛局の業務量の増大等に対応するため防衛局次長を新設することに伴い、書記官が充てられる職の範囲を拡大するものであります。
 第二に、自衛隊法の一部改正の内容であります。これは、第五師団の改編等に伴い、即応予備自衛官の員数を千九百四十二人増加するものであります。これにより、即応予備自衛官の員数は七千六百六十八人となります。
 また、第五師団を改編し、その名称を第五旅団とするものであります。
 第三に、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正の内容でありますが、これは、平成十五年度末に新編を予定しております陸上自衛隊特殊作戦群の隊員の職務の特殊性にかんがみ、特殊作戦隊員手当を新設するものであります。
 以上が、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
田並委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る四月一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十六分散会


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