衆議院

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第3号 平成18年11月1日(水曜日)

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平成十八年十一月一日(水曜日)

    午後一時七分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 北村 誠吾君 理事 寺田  稔君

   理事 中谷  元君 理事 笹木 竜三君

   理事 前田 雄吉君 理事 遠藤 乙彦君

      石破  茂君    宇野  治君

      大塚  拓君    大前 繁雄君

      瓦   力君    鈴木 淳司君

      高木  毅君    谷  公一君

      馳   浩君    浜田 靖一君

      広津 素子君    福田 良彦君

      三ッ林隆志君    山内 康一君

      山崎  拓君    内山  晃君

      神風 英男君    高山 智司君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      日森 文尋君    西村 真悟君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      松山 隆英君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁総務部長)  新保 雅俊君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           村田 直樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  舌津 一良君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     三ッ林隆志君

  仲村 正治君     宇野  治君

  宮路 和明君     馳   浩君

  山崎  拓君     広津 素子君

  津村 啓介君     高山 智司君

  東  順治君     佐藤 茂樹君

  辻元 清美君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     谷  公一君

  馳   浩君     宮路 和明君

  広津 素子君     山崎  拓君

  三ッ林隆志君     鈴木 淳司君

  高山 智司君     津村 啓介君

  佐藤 茂樹君     東  順治君

  日森 文尋君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     高木  毅君

  谷  公一君     仲村 正治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(防衛施設庁問題等)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に防衛施設庁問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長松山隆英君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、防衛庁防衛参事官富田耕吉君、防衛庁防衛参事官小川秀樹君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長増田好平君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁総務部長新保雅俊君、防衛施設庁建設部長千田彰君、文部科学省大臣官房審議官村田直樹君及び文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官舌津一良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 きょうは、防衛施設庁問題に関する審議ということで、持ち時間を使いまして防衛施設庁の問題を中心に質疑を進めたいと思いますが、まず、それに入ります前に、冒頭、昨日大変大きな進展がありました北朝鮮の問題。

 北朝鮮の核開発の問題、そしてまたミサイル発射の問題、そしてさらには拉致の問題、この三つの問題を包括的に解決するために六者協議の場が設けられているわけですが、米朝の直接会談によりまして、北朝鮮が六者協議に復帰をするというふうなことが発表されたわけでございます。

 私も、こうした動きは大変歓迎をしたいと思いますし、ぜひとも、朝鮮半島の非核化に向けて六者協議を行う、また国際社会が一致団結をして北朝鮮問題に取り組んでいく一つのあかしとして、大いにそうした六者協議あるいは国連を中心といたします審議をやっていくことによって、北朝鮮に対して国際社会の意思を表明すべきであるというふうに思うわけです。

 そこで、まず冒頭、防衛庁長官に、今回のこの北朝鮮の六者協議復帰に対する御見解、そして今後の見通しについての御評価をお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 かねてからこの委員会でも言ったと思いますけれども、六者協議に復帰することが一番望ましいことだというふうに思っておりましたし、それを実現するためにも、今回はああいう国連の第七章、しかし第四十一条で対応するということで中国に盛んに期待をかけておったわけでしょうけれども、それがうまくいったなと思っております。

 ただ、六者会議に復帰しましても、私たちの懸念は、北朝鮮が核兵器をつくる、あるいは実験をやってそれをまた武器化していく、そういうことのないようにこれから先もやはり監視をしながら、それを思いとどまらせるようにどうしたらできるのか、そういう関心を持ち続けて、またそれに向かって努力していかなければならないと思っております。

寺田(稔)委員 今防衛庁長官の方からもおっしゃいましたが、そうした北朝鮮の核の問題、特に大変懸念すべきは寧辺におけます減速黒鉛炉の再稼働、そしてまた濃縮施設の方も再稼働しております。そうした中で、NPTからも脱退をして、本格的な拡散、量産体制に入ってしまった、それが既成事実として非常に重くのしかかって、北朝鮮がその立場を利用して瀬戸際外交をしていく、そしてさらに譲歩を引き出していこうとする姿勢、これは極めて問題であるわけで、我々はこの核の問題に真摯に取り組んでいかなければならないというふうに思うわけです。

 ちょうどことしの夏も私は中国に参りまして、安全保障の関係者と意見交換をしてまいりました。これは十月九日の核実験より一カ月以上も前の段階ですが、中国の安全保障の関係者は非常に北朝鮮の核の問題を懸念しておりました。私も、恐らく寧辺の施設の再稼働によって、減速黒鉛炉そしてまた濃縮施設、これはウラニウム型もプルトニウム型も包含をされるわけですが、これは私の個人的見解ですが、恐らく既に二十個を超える核を北朝鮮は保有しているというふうに私は推測をしております。そして、私が意見交換をした中国の安全保障関係者も、非常に重大な問題であって、中国としても封じ込めに入りたい、ぜひともそういうふうなことで日本の防衛関係者とも意見交換を行いたいというふうに言っておりました。

 時あたかも、昨日はちょうど、PSI、ペルシャ湾におきまして、大量破壊兵器の拡散防止の取り組みの一環として、我が自衛隊も参加をしてPSIの取り組みを行った。大変に意義深いことであるというふうに思いますし、ぜひとも、外交ルートとともに、防衛庁におかれても、そうした友好諸国との連携を強化されまして、国際社会一致団結をして北朝鮮に当たるということでお願いをいたしたいと思います。

 それでは、防衛施設庁の問題の方に入らせていただきますが、今回のいわゆる入札談合事件、競売等入札妨害事件でございます。

 これは、防衛庁の組織ぐるみの関与が明らかになったという意味で、国民の防衛施設行政に対する信頼を損なうものであるのみならず、日夜、自信と誇りと自覚を持って国防の任務に当たっております自衛隊の隊員の皆さんに対しても、私は、大変申しわけないことをしたな、まさに隊員の皆さんに対する背信行為であるというふうに思っております。

 私自身、今回の事件を受けまして、党内で設置をされました検討のワーキングチームの一員といたしまして再発防止策の策定に参画をさせていただいたわけですけれども、私は、今回の再発防止、やはり四つほどポイントがあろうかというふうに思います。

 まず一点目は、談合防止のための法的な整備の問題。二点目が、防衛施設庁の組織のあり方の問題。そして三点目が、強力な内部監査体制の持ち方の問題。そして最後、四点目に人事政策の問題。この四つにそれぞれ根本からメスを入れていく、すなわちゼロベースから見直していくことが肝要なんだろうというふうに思います。

 まず、一点目の法整備の問題でありますが、これは、九八年の調本の事件がございました。その事件によっても、この教訓が今回残念ながら生かされていなかったというふうな事態にかんがみまして、いわゆる入札談合関与行為に対する罰則規定の創設、そしてさらにその罰則を強化していく、またさらに、そうした事実を知りながら何もしない、告発を行わない、これは国家公務員みずから告発義務がかかっているわけですけれども、これを行わない不作為に対する行為に対しても構成要件化していくというふうなことが必要なんだろうと思います。入札談合関与行為に対する罰則、あるいは談合罪についての構成要件化については既に一定の措置がなされたわけでございますが、ぜひともこういった法的な整備をまずもってやっていくべきであろうというふうに思います。

 第二点目が、施設庁の組織の問題であります。

 今回、施設庁を解体して防衛本庁に統合して新たな組織立てをする、それも、本庁組織と地方組織両方を同時並行に見直していかなければならないわけですが、その際一番大事なことは、業務隔壁の確立であります。いわゆるウオールをきちんとつくって、企画立案部門と実施部門、ウオールをつくっていく、そのことによって明確な業務隔壁を築いていくということが必要であります。具体的には、防衛施設庁の建設部、これを企画立案セクションと実施セクションとに明確に分離していく、こういうふうなことが必要であろうかと思うんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 全くおっしゃるとおりでございまして、防衛庁長官が命じまして、直ちに防衛庁副長官をヘッドとする抜本的な対策のための検討委員会をつくってもらって、そこでもそういう話が出てまいりました。幸いにといいますか、防衛施設庁を廃止するというような、そういう案文を今度の省移行に伴う法律のときも書いておりますから、それを受けて、概算要求でも今おっしゃられましたような内容をもう既に検討を始めておりまして、法律上は、解体と言わずに廃止、統合、そういう表現で統一しております。

 いずれにしましても、防衛施設庁を廃止して統合する、統合するときに、そういうような実施部門と企画部門、そういう部門をやはり分けることによってそこをお互いがちゃんと仕分けるというような、そういうことでやっていくことが大事だと思って、そういう方向で今やっているわけであります。

寺田(稔)委員 ぜひともそういうふうな方向で、業務隔壁をまず築いていただきたいと思います。

 次に、内部監察体制についてなんですが、既に防衛庁は、みずからのチェック機能として監査担当の防衛参事官がおります。また、監察担当の審議官もいるわけですね。そしてまた内部部局としての政策評価官、これは政策評価という見地からのチェックでありますが、政策評価官。またさらには各幕に監察官がいるというふうな、かなり重層的な体制で既に内部チェックの体制が築かれていた。また、警務隊あるいは情報保全隊といった各部隊におけますチェック機能もあった。

 残念ながら、今回そうしたチェック機能をくぐり抜ける形でもって入札談合事件が起きてしまったわけですが、やはり今回、政治主導の、大臣直轄で、かなり独立性の高い内部監察組織を新編すべきであると考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 確かに、それぞれの部門で監察制度があったとしても、今度みたいに組織ぐるみといいますか、その辺が全部が一緒になってやってしまった場合にはそれを妨げることはできませんので、長官直属の査察部隊といいますか、そういうような本部といいますか、そういうのをつくって、場合によっては外部の人を導入してでもそういうふうに監査をきちんとするような、そういうことも考慮したらいいんじゃないかなと思っております。

 いずれにしましても、それらは、今度の概算要求で方向が決まりましたら、それを受けた形で、新しい組織づくりのときにまたこういった委員会での議論等を踏まえながらやっていくつもりでございますが、今の考えでは、今言われたように、それぞれの組織から独立した形で、外部の人材もまた登用するようなことも含めながら検討していきたいと思っているところであります。

寺田(稔)委員 今大臣がおっしゃられたように、高い独立性と、しかも外部の目、客観的な第三者の目というのはやはり重要だと思います。内部登用ですとどうしてもそこに甘えが生ずる、あるいはいろいろな人的関係、あるいは人事面での問題もあって、これまでうまくワークしないというふうな実態があります。

 その意味では、ぜひ、ある意味で三条委員会的な内部監査の独立委員会、これはアメリカなんかではかなり一般的な形として独立行政委員会というふうな形式もあるわけですが、それだけ高い独立性を与えて、しかも大臣が直轄して見るというふうな一種のボード組織、これが私は理想だというふうに思うわけですけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 ただいま言われるような三条委員会みたいな、そういうところまで持っていくかどうか。これは本来、それよりもっと以前のモラルの問題に起因しているのも結構あるわけであります。ただ、モラルといっても、人間、甘い、弱いところがありますので、それだけではカバーできないというので、直轄のそういう本部といいますか、そういうのをつくったらどうかというような、そういうことでございますけれども、行政の簡素化が今叫ばれているときに三条委員会みたいな委員会をつくるというのは、そっちの方からいってもなかなか難しいんじゃないかなと思いますので、そこまではできないかもしれませんけれども、いずれにせよ、独立性の高いといいますか、もう少し独立した形での何らかの組織をつくる必要があるんじゃないかなと思っております。

寺田(稔)委員 ぜひとも独立性の確保、今回新たにつくります内部監査組織としては、独立性というのは非常に大きなキーワードになってこようと思います。

 今大臣、モラルの問題もあるというふうに言われました。確かにモラルの問題もあると思うわけですが、それぞれ恐らく高い識見と士気を持って皆さん業務をやっている中でこういうふうな問題が生じてしまったということなんですね。これは実は次に申し述べます人事に関する対策とも密接に絡んでおりまして、今回の事案が非常に長年の慣行として行われていたというふうなことも明らかになっていて、組織ぐるみの様相を呈しているということに加えて、いわゆる天下りの慣行と非常に密接に関連をしている。そういった意味で、業者とのつながりができている、あるいは一種の事前予約になってしまっているというふうな点にかんがみますと、抜本的な人事に関する対策を行う必要があるというふうに思っております。

 さまざまな施策がもちろん考えられます。そうした中で、例えば早期退職慣行を是正していく、あるいはまた分野を限った天下りの禁止、また公益法人役員就任の規制強化、いわゆるロンダリング、渡り鳥の禁止、また技官と事務官の間の人事交流の促進といったようなことなどが考えられると思うわけです。私も党内PTの場でこれらを具体的に提案させていただいたわけですが、大臣としては、こうしたいろいろな諸施策が考えられる中で、どのような具体化を図っていかれるおつもりか、お伺いをいたします。

久間国務大臣 今言われたいろいろな施策がそれぞれ必要でございますけれども、やはり早期勧奨退職というのは若干、今の世の中でいきますと早過ぎるという感じがいたしております。

 というのは、特に最近は晩婚になってきている関係もございまして、五十五、六歳というと、昔だったら、公務員も五十五歳のときがあったわけでございますけれども、子供たちもそのときはもう高校はおろか大学まで卒業しておったということはあるんですけれども、まだ高校生ぐらいを抱えている、そういうのが結構おるわけですね、五十五、六歳。そういうところで勧奨退職でやめるとなった後、正直言いまして、次をどうするのか、そういう問題。やはりこれは本当につらいところでございまして、そういうところから、せっかくモラルがあっても、何とかしてやらないかぬなという思いの中でずっと慣習的にいろいろなことが行われてしまったんじゃないかな、そういう思いがします。だから、余り早い段階でやめるということをできるだけなくすように、年齢をもう少し延ばすことができないかな、そういう思いがいたしております。

 ただ、これも非常に難しいのは、私も役人をやっていたから、私は早くやめたからいいんですけれども、やはりだんだんポストが限られてくる中で、ずっとしていると一つのポストに長くおる形になりまして、その辺がなかなか難しい点が実はあるわけであります。

 特に今度の場合をずっと見て、私も後から報告を受けて見てみますと、施設庁というのが特に非常に限られた枠内での人事なものですから、国交省みたいに非常に広い中での人事交流をやったらその辺がもう少し泳げるわけですけれども、なかなか先が細くなってきてしまっている、そういうようなことがあってそういうことになったのかな、そういう気がしますけれども。さはさりながら、そういうことは許されないわけでございますから、さっき言ったように、人事の面についてももう少し何らかの格好で幅広く交流ができるようにできないかなと。

 ただ、ちょっと最近の風潮は、天下り、天下りということで公務員の場合に非常に集中しておりますけれども、民間の場合だったら系列会社に行けるわけですけれども、公務員の場合だったらどこに行ってもそれは天下りになってしまいますので、その辺について何かいい方策というのがないのかなと。

 とにかく、国家公務員であるがゆえにどこにも就職できない、そういうような事態になったらいい人材がだんだん集まらないぞというような、そういう心配も片一方ではするわけでございまして、その辺を考えながら、今言った不祥事の起きないような、それでいて、なおかつみんなが意欲を持って仕事のできるような環境づくりをどうしたらいいのか、これは、私たちその衝にある人間だけではなくて、みんなが知恵を出していかなきゃならない問題じゃないかなと思っております。

寺田(稔)委員 天下りの問題については現在もさまざまな法的規制もある、しかし、そうした中でいかに癒着を防ぎながら円滑な人事政策を行っていくか、そこのいい兼ね合いでもって全体を制度設計していかなければいけないわけですよね。

 その意味では、例えば、かつて総務省が推進をしていた人材バンク制度というのもあります。いわゆる自由意思によるマッチングを重視する形でもって円滑な移行を図っていこうと。残念ながらこれもまだ試行段階であって、なかなかうまくワークをしていない。人事交流の拡大についてもなかなか、今現在、現状では施設庁という組織の中で人事がよどんでしまっているというふうな実態もあるわけで、そこをひとつ解消する手段として、例えば任期つき任用の拡大といったような新しい交流をやっていく、任期つき任用でもって高い専門性のある方を招いて、そして現実問題として複雑な行政もこなしながら適正な執行を図っていくというふうなことも考えられようかと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、給料がずっと最後まで右肩上がりに上がらなくてもいいから任期つきで再雇用するとか、いろいろな方法も考えながら、どういう形でやっていったらいいのか、やはり知恵を出しながら私たちも頑張っていきたいと思っております。

寺田(稔)委員 ぜひとも人事面での対策については、さまざまな方策を総合的に検討する中で対処をしていっていただきたいというふうに思います。

 次に、防衛施設庁の行っている業務ですが、非常に多岐にわたっております。主として三つの類型化ができようかと思います。

 まず第一の類型が、主に地元地方自治体あるいは地域住民との協議、調整業務。具体的には、提供財産の調整、用地買収でありますとか、賃貸借の調整、また提供手続、共同使用手続の調整、また米軍施設の建設計画の調整、さらには漁業被害あるいは農林被害の補償の関係、周辺対策、騒音対策、事件、事故の補償、あるいは境界の調整といったような地元自治体との関係の協議業務、これが非常に大きなウエートを占めている。

 二番目の類型として、造営物の建設、管理に関する業務というのがあります。建設工事あるいは境界の測量、あるいはまた物件の撤去といったような物件の管理運営の業務。

 第三類型として、在日米軍との協議、調整に係る業務というのがあります。駐留軍の従業員の管理業務、あるいは米軍関係者の光熱水料の負担の調整、あるいはまた米軍関係の事件、事故の対応、調整。

 非常に多くの業務を行っている。しかも、それぞれがセクション、かなり室を持っておって、相当多岐にわたっているのも事実であります。これらの業務をお互い、相互に十分に連携をとりながらやっていく中で全体として効率的な運営を図っていかなければいけないんですが、当然、行政改革、行革の観点も考慮しますと、今回の施設庁の解体と防衛本庁への統合によって一体人員構成がどういうふうに変わっていくんだろう。すなわち、単に今施設庁にいます人員を横横でお引っ越しするだけでなく、業務の重点化を図りながら、今私が申し上げたような多岐な業務をこなしていくというふうなことが必要になってくるわけですが、人員削減という観点からごらんになって、一体、具体的にどのように方策を展開されようとしているのか、大臣にお伺いをいたします。

久間国務大臣 私も就任してまだ日が浅いものですから、具体的にどこをどういうふうにしてやっていく、そのままでいいのかどうか、そういう点については私なりにはまだ判断を下しておりませんけれども、少なくとも、そういう施設の統廃合を含めて今概算要求で要求しておる。それによりますと、五十六人は減になる、そういう数字で純減を行いますということで今概算要求をやっているようでございまして、今先生がおっしゃられたような、そういうのを基準にしながら算出してやっているのじゃないかなと思っております。

 これにつきましては、まだ予算編成の過程でございますから、これから先、いろいろな議論の中で、こういう業務にもう少しウエートを乗せたらどうかとか、こっちは減らしたらどうかとか、そういうことはまだ動き得る範囲だと思っておりますが、今の段階で言えますことは、そういう形で、少なくとも廃止、統合をやったために人数がふえたなんということがないように、行革に沿うような形でやっていきたいと思っているところであります。

寺田(稔)委員 今般の歳入歳出一体改革においては、防衛庁関連といたしまして、五つほどポイントがあるわけです。まず第一は、総人件費改革、これを通じた自衛隊の実員の削減。二点目は、三幕の装備品調達の効率化、合理化、これはもちろん正面装備のみならず後方調達も含まれる。三点目は、今回の入札談合事件、これを教訓として、入札談合再発防止の徹底を通じた予算削減というふうなことが盛り込まれております。四点目が、いわゆる思いやり予算の見直し。五点目が、基地周辺対策の見直し。この五つが決定をされたわけです。

 そこで、今三点目に言いました、まさに入札談合の再発防止の徹底を通じた予算削減というふうなことがあるわけですが、先ほど述べました一連の再発防止策に加えて、予算統制の強化によりまして施設整備関連予算の効率的使用を目指していく、削減をしていくということまで決まっているわけですけれども、一体これは具体的にどのように大臣として取り組んでいかれるおつもりなのか、お伺いをいたします。

久間国務大臣 いろいろな形で削減をやっていきますし、今先生が言われたように、公務員の五%削減の話もあるわけでございますから、それに準じた形で自衛隊としてもやはり削減に努力せぬといけないだろうと思っております。そういう中で、予算につきましても同じわけでございますが、今言った防衛施設庁の調達等についても、一般入札をふやす等の努力によって減るのかどうか。

 ただ、ここで誤解してもらっちゃいかぬのですけれども、一般入札でやったら非常に落札率で下がる、そういうようなことを大きく言うことは、逆に言いますと、価格の設定自身がどうだったのかという話になりますし、また、一般入札で安くなったときに、もし純益部分をカットして、ダンピングじゃなくて、赤字じゃないにしても、純益を吐き出すということになりますと利益が出ない形でございますから、国税としては収入がないということになるわけでありまして、そういうこともいろいろ考えながら、落札率が下がって、めでたしめでたしで拍手するような雰囲気というのは果たしていいのかどうか。そうなったらどこかで無理が出てくるわけでありますから、やはりこれは適正な価格で一応決まる、そういう前提で物を考えないといかぬ。そこのところは間違いのないようにしなきゃいけないと、私たちも、自分にも言い聞かせているところであります。

 いずれにしましても、しかし、努力することによってもっと予算を削減することができるのじゃないか、そういう目でこれから先も見続けることは大事でございまして、やはり現在の財政状況その他の問題の中から、私たち防衛庁・自衛隊としても努力をしていかなきゃならないと思っております。

寺田(稔)委員 今の調達面で、大臣が言われました例えば一般競争入札の拡大、これによってなるだけ予算を効率的に使用していく、無駄をなくしていくという観点ももちろん必要であります。

 施設庁調達以外に、装備品の調達、正面装備の調達もあるわけですけれども、これについても合理化、効率化を図っていくというふうなことが決まっているわけですけれども、この正面装備については、例えば一括取得の拡大によって経費節減を打ち出されたわけですね。これは、一括取得をやっていくというふうなことによって全体としての数量メリットを出していくという方向ですが、例えば、私の地元は広島でありますけれども、広島防衛施設局で四百億の予算があります。この四百億の予算のうちの二百二十億は、今現在、岩国の滑走路の沖合拡張工事、エプロンの改修、あるいはまた愛宕山の公共残土を使った諸工事に充当されている、非常に大きな額であります。

 そういったような全体の工期の見直しとか、あるいは正面装備で今まさにやらんとしている、あるいは現在既に行われている一括調達といったような観点から、全体としての数量メリットを出していくというふうな方策について、例えば施設庁予算についてそのような工夫ができるのかどうか、大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 これはやはりできるのじゃないかと思います。一括調達することによって、防衛施設庁とは限りませんけれども、陸海空のいろいろな装備品にしましても、各年度で分けてやるよりも、あるいは各部隊で分けてやるよりも一括でやった方がいいという場合もございます。また逆に、その反対もありまして、一括でやるよりも各年度でやった方が、将来に向かって下がりそうなものについては各年度に分けてやった方がいい場合もございますので、その辺は、いずれにせよ、予算が減るような方向に少しでもならないかというような気持ちで見ることによってかなり違ってくるのじゃないかと思いますから、そういう目は失わないでやっていきたいと思っております。

寺田(稔)委員 まさにそういうことだろうというふうに思うんですが、先ほど大臣が言われた一般入札の拡大ということもあるわけですけれども、今回、再発防止策の一環として、いわゆる総合評価方式の導入も打ち出されております。先ほど大臣がまさに言われた適正価格というふうな観点、あるいは品質の確保というふうな観点も当然あるわけで、この総合評価方式の導入と、先ほど大臣が言われた一般入札の拡大、この両者を一体どういうふうに入札の方式として、すなわち調達の方式として今後取り入れていかれるのか。例えば総合評価のものを一体どれだけの割合で行っていかれるのか、お伺いをしたいと思います。

久間国務大臣 どれだけの割合と言われましても、これから先、総合評価方式をどのように取り入れていくか、そういうことについてやはり考えていかなきゃならないわけであります。

 私は、このポストにつく前よく言ったものですけれども、例えば、シンドラーのエレベーターの事故、あれは官公庁がほとんど入れているわけですよ。それはなぜかというと、その価格が安いから入れているわけなんですよ、入札方式で。ところが、シンドラーはどうやってそれを安くやってペイするのかというと、後の維持補修でちゃんとペイするようにしていたそうであります。

 そういうことを考えますと、やはり、単にその品物が安いか高いかではなくて、ライフサイクルコストといいますか、それを運用して五年間なり十年間なりでどれだけ、本当に安いのか高いのか、そういうことまで考えながらやらないと、単に買うとき、あるいはそのときやっただけでいいのかどうか。後の維持管理も含めてどうか、そういう点も踏まえながら評価する。

 いろいろなやり方があるわけですけれども、どうも現在の財政法、会計法、そういう考え方からいきますと、一発勝負でやっておった方が非常にわかりやすいというようなことで、各地方自治体も全部そういうことをとっておりますけれども、なかなかその辺が、果たしていいのかどうか。やはりもう戦後これだけたっているわけでございますから、あの法律の改定も含めて検討する時期に来ているのじゃないか。リコピーですか、ああいうやつについても同じことが言えるそうで、もうただでもいいんですよ、後の用紙をずっとうちのやつを使ってもらうならば機種はただででも、ゼロでもいいんですけれども、そうはいかぬのでという話も聞きました。

 だから、入札は一見簡単なようで非常に難しい背景を持っているなということを問題認識しておりましたので、あらゆる角度から総合評価方式についても検討していきたいと思っているところであります。

寺田(稔)委員 今まさに大臣が言われた、トータル、長い目で見て削減につながるような、まさにライフサイクルコストの削減といったような観点、あるいはトータルとしてのメンテナンスコストを減らしていくというふうな中長期的な観点からの調達コスト削減を行っていくというのは非常に重要な観点でありまして、以上の議論との関連で申しますと、例えば、今まさに防衛庁が前倒しで調達を行おうとしているミサイル防衛システム、この装備体系の位置づけについても、まさにそういう全体としてのコストを減らしていくというふうな観点から、総合的に調達をしていく必要があるというふうに思うわけです。

 すなわち、技術的にかなり初期レベルのものを購入しますと、これは高値買いになってしまう。ある程度量産体制に入って、品質も安定し、価格も下がってきた段階でもって購入をすると、当然合理的な調達ができるわけです。

 そういったような観点から見ますと、今現在我が国が進めております二層のミサイル防衛システム、すなわち、PAC3の地対空パトリオットミサイルによる防衛と、あとイージス艦発射のSM3、スタンダードミサイルによる防衛、この二つを今現在組み合わせて調達しているわけですけれども、技術的安定性から見ても、また長期的な調達の安定性、あるいはまたミサイル防衛の全体として考えたときに、PAC3というのが非常に限定的局所防衛である、中枢防衛の概念ですから、これは前国会の安全保障委員会でも非常に議論になったわけですけれども、タックスペイヤーの公平性の観点も出てまいります。例えば、東京の居住者と地方の居住者と、そこの防衛システムが違ってくる。片や防衛されて片や防衛されぬといったような問題の発生。

 また、第一次湾岸戦争のときを見ましても、確かにイラクはクウェート侵攻して、クウェートに対して発射されましたミサイルは地対空によって撃ち落とされていますけれども、その飛翔による被害も発生しているわけですね。すなわち、撃ち落としの地点が非常に地上に近いとそういう被害も発生する。技術的にはスカッドCとICBMの撃ち落としというのはかなりレベルで違いがありますけれども、PAC3については同様の問題もある。

 現在の予算の使用状況を見ても、PAC3の方は九百億であります。それに対してスタンダードミサイルの方は三百億というふうなことで、比較優位もある。

 そう考えますと、まずもってイージス艦から発射されますスタンダードミサイル、これによるいわゆるミッドコース防衛、これをまずミサイル防衛の中核に据えるべきという議論は当然出てくるわけですが、この点については、大臣、いかにお考えでしょうか。

久間国務大臣 確かに、SM3は後から開発されていきまして、その割には非常に高性能になってくるのが早かったという感じがしますので、今おっしゃるような値段の問題とか、あるいはいろいろ見ますと、そういう意見もあるかもしれません。

 やはり、ちょっと違うのは、片一方は高高度のやつをまず落とす、それからPAC3は近くに近づいたやつを落とすという両方の立場から、二重にかけることによってミサイル防衛をしよう、そういう発想がございますので、やはり両方をあわせ持つ、そういう形でやっていきたいと思っているわけであります。

 ただ、ペトリオットPAC3が最初に、もう既に開発されておりますし、手っ取り早く入るということでそちらの方をやっておりますけれども、弾の値段なりなんなり考えたら、今寺田委員がおっしゃったような気持ちもわからぬでもございませんが、多重構想で迎撃しようというような、そういうことから、両方をあわせ持って今配備しようとしている計画を持っておりますことを御了承願いたいと思います。

寺田(稔)委員 今般の七月五日の北朝鮮のミサイル発射事案及び先月の核実験事案を受けて、当然BMDの前倒しが議論されているわけですが、この前倒しについては、まさに先ほど言ったような調達の合理性の観点、こういうふうなものから、例えばEP3の早期改善であるとか、あるいはスタンダードミサイルの早期取得。あるいはまた、先ほど大臣言われたPAC3の方もかなり先行して開発しているということですが、そのデリバー調整ですね。それとともにバッジシステムの換装。あるいはXバンドレーダーについても前倒しをしていく。そういう全体としての効率を上げるような一括調達の考えも入れた調達構想というものを総合的に展開していく必要があると思いますが、大臣の御所見をお伺いします。

久間国務大臣 これは五年、十年先をにらみながらやっていこうとすると、それまでの技術の発達とかいろいろなことを考えながらやるわけですけれども、やはり我々は、それと同時に国民の不安を一日でも早く解消したい、そういうような思いに駆られる部分もありますので、そうしますと、今やれるものだけでも先にやれないか、あるいは、十九年度に入ってくることになっているけれども、それを十九年の末までに、あるいはまたできることなら十八年度までに何かできないかとか、いろいろなことをやはり考えざるを得ないわけでありまして、そういう中で、あくせくしながら、そうはいっても後で手戻りにならないように、そういうようなことを十分配慮しながら財政当局とも今後また折衝していこうと思っているところであります。

寺田(稔)委員 ぜひともそういう観点から行っていただきたいと思いますし、また、施設庁調達についても、そういう効率的な調達というふうな目で全体を見直していただくことが必要になってこようかと思います。

 次に、自衛官による薬物事案というのも大変残念ですが発生をしております。昨年も、八名もの自衛官が大麻取締法違反で逮捕される、大変憂慮すべき事態が発生をしました。

 これは、ただ単にたまたま吸飲をしてしまったという偶発的吸飲ではなくして、自宅のベランダで栽培して、しかもそれをインターネットを通じて不特定多数の一般人に販売するという、極めて常習性、悪質性のある事案ということで、当委員会でも大変大きな問題として審議をされたわけですが、その後、防衛庁として対応策を策定されたやにお伺いしたわけですが、その対応策の具体的な中身、一体どういうふうな対応策を策定され実行されているのか、大臣にお伺いをいたします。

久間国務大臣 やはり自衛隊というのは国民の信頼を得なければならないわけでございますから、その隊員がそういう薬物等を使用したり、あるいはまたそれを不特定多数に販売するようなことがあったらいかぬわけでございますので、そういうことは断じてないようにしなきゃなりません。

 そのために、やはり何といっても服務規律をきちっとするためにその指導あるいは教育をやらなければならないのはもちろんでございますけれども、これだけでは不心得者があったときどうしようもないわけでございますから、やはり検査も場合によっては抜き打ちにやって、そして、そういうことで検査されるんだという意識を持たせることも必要でございますから、そういうような尿検査等もやろうと思っております。

 それから、もしそういうことをやってしまって、取り返しのつかない第一歩を踏み出してしまっても後で引き返せるような、そういう余地も残してやらなきゃなりませんから、相談とか、あるいはまた、あいつはどうもおかしいぞというふうなことも通報するような窓口、こういうのもやはり整備していく必要もあるんじゃないかなと思っております。

 いずれにしましても、自分の身内を疑ってかからないかぬなんというのは本当に残念なことでございますけれども、薬物の検査等は、やはりこれは抜き打ち的に検査しないと、いつ検査するということがわかると、またそれを逃げるやつだって出てくるわけでございますので、疑いを持って接しざるを得ないという、残念なことでございますけれども、そこまでやらぬとしようがないのかな、そういう思いになっているところであります。

寺田(稔)委員 今回の実態調査を踏まえると、やはり艦船の乗船直前にも吸飲行為が行われていたという実態も明らかになっております。

 自衛隊員が高いモラールを求められるのは当然のことであるわけでございますが、やはり自衛隊員というのは武器使用、いざというときは国民の生命財産を守るために武器使用ということがあるだけに、これは、最大級の義務、そしてまたこういったような事案を防ぐというふうな責務も当然あろうかと思いますので、ぜひともそういった高い士気を維持して責務を保っていただきたい。

 そのために、先ほど大臣が言われたような抜き打ち検査でありますとか、あるいは窓口の設置というふうなことに加えて、十分な教育研修、また、いかに自衛隊の隊員の皆さんが行っている任務が重いものであるかというふうなことを十分に教える、また内部監査も十分に行うべきというふうに思いますが、改めまして、こういった教育研修の充実につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

木村委員長 時間が来ておりますので、答弁の方は簡潔に願います。

久間国務大臣 教育研修というのは本当に大事なことでございますから、これは徹底していきたいと思います。

寺田(稔)委員 終わります。ありがとうございます。

木村委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 きょうは、防衛施設庁における不祥事問題を中心に質問をさせていただきます。

 防衛庁・自衛隊の長年の念願でありました省昇格問題、この昇格法案の国会審議がいよいよ始まることになったわけですけれども、これに先立ち、防衛施設庁談合事件を中心とした昨今の防衛庁不祥事問題について質疑をしなければならないということは、これは防衛庁にとっても、また国民にとっても大変残念なことであると思っております。省昇格法案の成立を期している与党の一員としても、残念に思うところであります。

 そもそも、このような防衛庁の不祥事は、本年一月に逮捕者を出すに至った防衛施設庁を中心とした談合事件が初めてではありません。一九九八年に発覚し、九月には逮捕者を出し、十一月には当時の額賀防衛庁長官が引責辞任にまで追い込まれたわけでありまして、調達実施本部を舞台とするいわゆる調本事案が記憶に新しいところであります。

 これまで防衛庁は、その責務にふさわしい位置づけを与えられることのないまま、五十年間、黙々と任務に精勤されてきたわけでありまして、そういった姿勢にはまことに頭が下がる思いであります。

 しかしながら、防衛庁・自衛隊の二十七万人の人々のごくごく一部とはいえ、不祥事を引き起こす者が後を絶たないことは動かしがたい事実でありまして、省昇格を控える防衛庁・自衛隊としては、省の名に恥じない綱紀粛正と規律厳守が絶対不可欠でありまして、これなくして省昇格が実現しても、まさに看板倒れに終わらざるを得ないと考えるわけであります。

 こういった点につきまして、久間大臣として、これからの防衛庁、いわば昇格すれば防衛省になるわけでありますけれども、この綱紀粛正、規律厳守を具体的にどのようにしていくのか、この点につきまして、まず決意をお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 防衛庁を省にするのも、やはり誇りを持って仕事に専念できるようにという、そういう思いもあるわけでありますから、そのためにも、一人一人がまた打って一丸となって服務の規律を厳正に再確認してぶつかっていかなきゃいかぬ、そういうふうに思っているところでございまして、これから先も、そういう趣旨でみんなが一緒になって臨んでいこうと思っております。

遠藤(乙)委員 具体論につきまして入っていきたいと思っております。

 防衛庁では、ことしの前半を費やしまして、防衛施設庁談合事件の真相究明と再発防止策の作成に取り組みまして、本年六月十六日付で、この報告書、防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策報告書というものを出しております。かなり大部のものでありますが、私も目を通しました。

 その内容で若干気になった点を中心に、三点ほどまずお伺いしたいと思っております。

 まず一点目は、この十ページ目、パラ四でありますけれども、「OBを含む業界関係者との適切な関係の確立」というところでございます。このパラグラフでは、職員と業界関係者との接触制限が詳細に盛り込まれておりまして、職員が業者と接触してよい場面を限定列挙している。また、接触する際の場所、複数の職員による対応、上司への報告など、具体的に記載をされております。

 この項目を一読して思うことは、防衛庁の認識としては、防衛施設庁側は善意であって、談合は業者側から持ちかけるものだ、どうもそういう感覚に立って書かれているんじゃないかというふうに感じられる点があるわけであります。今回の談合事件は、防衛施設庁OBと現職職員とが連携したものでありまして、一般には官製談合と呼ばれるものでありまして、責任は、やはり業界、官界双方にまたがるということは言うまでもないと思っております。

 職員側への対策としては、十九ページ目に、「懲戒処分等の基準の明確化」というところで、談合にかかわった職員にどのような行為が処分の対象になるかを具体的に明示する旨の記述がありますが、これまでのあいまいさを明確にした程度の内容で、どうも再発防止策としてはインパクトに欠けるという印象を持たざるを得ません。

 地方自治体でも官製談合が今、後を絶たないわけでありまして、このような癒着体質に向けて、国民の極めて厳しい視線も考慮すれば、例えば違反職員の厳罰など、官製談合対策の側面がもう少し強力に盛り込まれるべきであったと考えますけれども、これにつきまして、政府の答弁を聞きたいと思います。

久間国務大臣 しかし、このあれで、入札談合等関与行為を主導し入札談合を行わせた場合は免職だということをはっきり言っておりますし、また、自己の地位、階級を利用して入札談合等関与行為を主導して入札談合を行わせた場合は免職だというふうに、かなり明示しながらやっております。

 もちろん、これと別に、刑事罰になった場合は刑事罰になるわけですけれども、刑事罰と別に、行政の処分としてもこういう形をはっきり示して、そのほかにもまた、重処分にする場合とかいろいろやっておりますから、かなりやはり今まで以上にみんなに対しては効果、効き目といいますか、それはあるんじゃないかなと私は思っております。

 もう少し細かくやれという話もあるかもしれませんけれども、一番のあれは免職でございますから、これより細かくやったとしても、果たして細かいのがいいのかどうか、そういう気がいたしますので、私は、やはりこういう点で、それなりの効果は持ち得るんじゃないかなと思っておるところであります。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

遠藤(乙)委員 この点につきましては、今後の運用を見ながらぜひともよく検討を続けていただくということで、強く要望しておきたいと思っております。

 第二点目でございますが、再就職のあり方ということにつきましてお聞きしたいと思っております。

 今回の防衛施設庁談合事件では、防衛施設庁を退職したOB職員を多数再就職、いわゆる天下りさせた企業ほど防衛施設庁から多くの工事を受注できる仕組みが長年にわたって整備され、現職職員もこのあしき慣行の維持にかかわってきたという、まさに絵にかいたような癒着体質があらわれているわけであります。

 現在、我が国では、民間、公務員とも、定年は六十歳が一つの目安になっておりますけれども、今、人生八十年、九十年時代にもなってまいりますので、六十歳という年齢は、人にもよりますけれども、まだまだ働けるわけであります。しかも、長年にわたって培ってきた経験や知識、こういったものの蓄積もありまして、退職と同時にリタイアで、年金をもらって御隠居生活でございますと、非常に寂しいこともあるかと思います。そういったことではやはりこの人材という宝を埋もれさせてしまうという側面もありますので、特に我が国としては、今後、少子化、人口減少ということでもありますので、ぜひとも元気で働ける人は六十歳を超えても大いに社会に尽くしてもらいたい、そういった考え方が大事だと思っております。

 その意味で、防衛施設庁の職員が退職後に第二の職場を求めるということ自体は、社会通念上決しておかしいことではないと考えております。ただ、問題なのは、国民の血税で賄われる防衛関係の公共工事を第二の職場を確保するための道具にした、これが大変問題なのでありまして、これにつきましては、いかなる弁明も認められないと考えるわけであります。

 防衛庁も再発防止策を種々検討していると思いますけれども、天下りがある意味では生活や人生設計上の必要に駆られた行為であることを思えば、報告書十六ページにあるように、退職職員に再就職の自粛を求めることだけではなかなか実効性は上がらないというふうに感じております。

 要は、防衛庁・自衛隊など、一般社会では希少価値のある経験や知識を、定年退職後に国家、社会、地域社会、あるいは民間も含めて、存分に発揮してもらう道筋を整えることが大事じゃないかと考えているわけであります。特に防衛庁はこれからもどんどん高度化が進んでまいりますので、いろいろな戦略、戦術、あるいは技術、規律、訓練等、こういったことで多くのノウハウや資質を持った人々は、ある意味ではこれから日本の社会でも活用の分野は非常に広がっていると私は感じております。

 既に地方自治体では、かねてより災害対策とか危機管理担当職員に退職した制服自衛官を雇用する事例も増加をしております。背広職員についても、こういった危機管理担当、あるいは基地を抱える自治体の基地問題対策担当などで力を発揮する場が得られるのではないかと考えているわけであります。

 防衛庁では、若年定年制を採用している自衛官の再就職先の確保について以前より心を砕いてきていると思いますが、背広職員についても同様の施策を講じて、天下り先を探す必要性そのものをなくしていく取り組みが求められているのではないかと考えるわけであります。防衛戦略も大変大事でありますけれども、人材活用戦略ということもぜひ防衛庁として取り組むべきではないかというふうに考えております。これにつきまして、久間大臣のお考えを伺いたいと思います。

久間国務大臣 まさに今先生がおっしゃられるとおりでございまして、せっかく育った、経験した優秀な人材をどういう形で世に出せるようにするのか、これもやはり我々の仕事だと思っておりますから、そういう角度から、いい方法はないのか、各省庁ともまたいろいろな交流をしながら、何かいい方法はないのか、そういうこともやはり研究していかなければならないと思っております。

 ただ、本当に、公務員の定年を迎えた、近くになってきたときに就職が安定していない、年金だけでということになりますと、先ほどからもちょっと言いましたように、年金も一概に高くないんですよね。昔は恩給制度で、ほかの人と比べて結構よかったものですから、もうやめてしまって後はゆっくりと年金生活でやれたんですけれども、今、局長や部長やそのくらいの人でやめても、田舎で学校の先生でやめた人と比べても余り変わらない、そういう数字なんですよ。

 そうすると、田舎の場合だったら、家もあって、割と早目に子供さんたちも大きくなってしまっているというのがありますけれども、都会の場合はなかなか簡単にいっていない。そうなってくると、就職の問題その他がはっきりしませんと非常に不安定な状態になる。かといって、自分がやめた後の職探しを片一方でやり始めた日には公務がおろそかになるわけでございますから、そういうこともあってはならない。

 だから、こういう問題については、政府全体として、防衛庁あるいは防衛施設庁だけではなくて、どういうふうに考えていくのか、本当に真剣になってやらないと大変なことになるんじゃないかなと心配しております。

 そういう中で、先ほど寺田委員もおっしゃいましたけれども、任期制の問題とか、あるいは最近、NPO法人とかNGO法人とかそういう方面で、給料は少ないけれども社会的にも貢献しながらある程度また所得は入ってくる、そういうような方策等もありますから、そういう形ですとやはり余り天下りの問題も出ないわけで、本人さんの能力に応じたいろいろな職探しもできるかもしれませんから、そういうようないろいろな幅広い角度から検討する必要があるんじゃないかなと思っておりますので、この問題については引き続き取り組んでいきたいと思っております。

遠藤(乙)委員 私も全く大臣と同感でございまして、これは防衛庁だけではなくて、公務員全体あるいは日本全体で、セカンドライフというものをどうこれから支援していくかという大きな政治課題じゃないかと思うんですね。終身雇用制なども崩壊をしつつありますし、また国家公務員の場合、非常に高い志を持って入ってきた人たちもだんだん再雇用が厳しくなっているような状況もありますが、これは、日本全体が今まで中央集権、官僚依存であったものが、徐々に地方分権、そして民間重視となってきますと、それに合わせた、国家公務員、防衛庁も含めて、再雇用、セカンドライフをどう支援していくかということを国全体、政治の課題として考えるべきではないかと私も強く考えております。

 特に、役人を長くやればやるほどつぶしがきかなくなるということがありまして、余り高い地位になって局長なんかをやっていますと、本当に民間で使い物にならない。要するに、態度ばかり大きくて、実際に自分で営業へ行ったりしないし、そういうことがあるので、文化的な相当ギャップがあります。そこら辺をどう現実にうまく再教育、訓練して、民間や地方自治体、NPO等でまた新たにそういった尊重されるような人材にしていくかという現実的なシステムを考えるのは非常に大事だと思っておりまして、単に個々の対策というよりも、国全体の人材活用戦略として、ぜひ久間長官もひとつリーダーシップをとって、全体の中でまた推進をしていただければと思うところでございます。

 特に私、思うんですが、日本の場合、後方支援が非常にいつも弱い。統帥というのは、方向を示し、後方を準備すると言われておりますけれども、どうも後方支援が日本は非常に貧弱ということで、その面で隊員の人たちが不安に思うことがいろいろな問題を起こすわけであって、恒産なければ恒心なしとも言いますけれども、ぜひとも、そういった面での現実の基盤づくりに向けて、国を挙げてこれから努力をしてもらいたいと思っているところでございます。

 続いて、三つ目のポイントでございますが、監査、監察組織のあり方ということでお聞きしたいと思っております。

 これも先ほど寺田委員から御質問があったことに関連しますけれども、報告書では、入札手続の改善、談合予防措置、天下り防止策、人事慣行の見直し、職員の意識向上など、各般の施策を網羅しております。こうした問題の根本的な原因には、一方には制度的な不備あるいは抜け穴の存在といった外的な要因がありますし、他方に職員の意識という、すぐれて内面的な問題があることが指摘できるわけであります。

 どんなに制度的な欠陥を是正して、水も漏らさぬ体制ができたとしても、人の心を外からコントロールすることはできないということでありまして、防衛施設庁では、今回の事件を教訓に、職員の意識改革を促すため、施設庁の全職員三千百名に「防衛施設庁職員の心構え」という冊子を配付し、あわせ、既に防衛庁本庁職員に配付されている服務宣誓文も常時携帯させるというふうに理解をいたしております。

 こうした職員の意識改革はもちろん必要でありますし、重視すべきは当然でありますが、他方、総勢二十七万人、また背広職員だけでも二万三千人を超える大世帯でありますから、おのずから職員の不正に対するいわば抑止力として、組織的な、内部的な監察制度が必要ということは当然であるかと思っております。

 報告書では「全庁的な立場から監査・監察を行う組織・部局の新設」という項目がありまして、会計業務や職員の法令遵守をチェックするための新組織を立ち上げ、独立した立場から厳格にチェックを行うために、その長は事務次官に準じた高位の職とし、さらに、陸海空の自衛官と部外の人材も登用するとされております。

 ここで言う自衛官には、警務隊など、日常的に部内秩序の取り締まりに当たっている隊員が検討されておりますけれども、部外の人材、先ほど長官も御指摘されておりましたけれども、例えば警察、検察、会計検査院経験者、出向者あるいは弁護士、会計士などの有資格者に重きを置いて、部内出身の者は補佐的な役割にいた方が、本来の目的であります独立チェック体制の実が上がるのではないかと思うわけであります。

 新組織の実効性を上げ、国民の信頼にこたえるためにどのような人材確保、また運用が必要と考えておられるか、政府の答弁をお願いしたいと思います。

久間国務大臣 今おっしゃられましたような、部外者の方を登用するということも一つの選択肢でございますし、それにまた部内の関係者を組み合わせるというのも一つでございますし、トップをどっちに持ってくるかというのも、またそのときのいろいろな人事の、人物の、回ってきていただく方のそれによっても決まるわけであります。

 ただ、部外の人で、もうやめた人に来てもらう場合には、公務についてもらいますと、結構給料は下がるんですよね。だから、一見ポストとしては上だけれども給料は半分になってしまって、弁護士さんなんかでも、今度は弁護士活動がほとんどできなくなるとかいろいろなことがございまして、そういう意味では、部外の現職の方の方がむしろ、今言われる警察とか検察とか会計検査院とか、そういう場合、公務員の現在のままであられる場合だったらそれの横並びですっと来られますから、いいかもしれません。

 いずれにしましても、そういうような人を果たしてうまく配置できるかどうか。それは各省庁とのいろいろな協力関係もございまして、一概に、こちらの人はいいと思っておっても、これはうちで大事だからやらぬとかいって、そういうことはよくあることでございますので、今ここで一義的には言えませんけれども。いずれにせよ、そういうような部外者の登用も含めて、これから先、研究していきたいと思っております。

遠藤(乙)委員 持ち時間がそろそろ来ておりますので、終わりたいと思っておりますが、防衛省昇格に当たって一番大事なことは、国民の信頼ということであります。したがいまして、ぜひとも、綱紀粛正、規律の厳守ということは、先頭を切って防衛庁そして自衛隊がこれを実行し、また実効がある成果を上げていただきたいと強く期待をいたしまして、私の質問を終わります。

 以上です。

寺田(稔)委員長代理 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 きょうは、談合問題の集中審議ということなんですけれども、その前に、これは通告しておりませんですけれども、我が国の安全保障にかかわる、根幹にかかわる重大な発言が昨日二つありましたので、これについての長官のお考えをお聞きしたいと思います。

 まず一つは、安倍総理がきのう、イギリスのフィナンシャル・タイムズのインタビューで、とにかく自民党総裁としての任期は三年で二期までしかないんだ、この任期中に、つまり六年の間で改憲をしたいと。そして、特にここからが大事ですけれども、戦力の不保持などを定めている憲法九条ですね、これについては、時代にそぐわないということで、日本を守る観点や国際貢献を行う上で改正すべきだという言葉を述べられておりますけれども、これについて、これは我が国の安全保障の根幹にかかわる重大な発言だと思いますので、久間防衛庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 御承知のとおり、自由民主党は、党大会におきまして、憲法を改正するということで、その案も示して出しております。したがいまして、その党の総裁である安倍自民党総裁が、総裁の任期、これは先ほどありましたように、現在の党規約では一期三年で二期までということでございますから、その間にこの党が掲げた、決定した憲法改正について、これをやるんだと言うのは当然のことじゃないかなと思っております。

 その中身につきましても、これはこれから先、与党はもちろんですけれども、憲法を改正する場合は、野党も含めて、衆議院と参議院で三分の二の同意を得て発議していかなければなりませんから、中身はどうなるかわかりませんが、今の段階で安倍総理・総裁が自民党の掲げるその憲法改正案を外に向かって言うのは当然のことじゃないかなと思っております。

 そのとおりになるかならぬかは、これは今言いましたように、憲法改正は国会が三分の二の発議でやるわけでございますから、それはそのときのまとまり方だと思っております。

前田委員 ということは、この九条の改正に当たっても、時代おくれだということで、同じお考えで久間長官もおられるんでしょうか。

久間国務大臣 九条をめぐっては、我が党の改正案をつくるときもいろいろな意見等がございまして、そういう中で、今条文を手元に持っていませんけれども、非常に抽象的な表現になっておるわけでございますが、少なくとも、現在のあのような条項のままでは非常に誤解を生みやすいし、このままでは国連の一員として入った我が国が、果たしてよその国と同じように、加盟国の一員として同じようなことができるのかどうか。ややもすると、憲法のこの規定があるからうちはできませんというようなことで、ほとんどの参加国が全部参加するときでもできないことだってあり得るんじゃないかというようなことを考えますと、あのままでいいのかどうかとなると、私はやはり変えるべき時期に来ているんじゃないか。

 やはりそれは国連に加盟したという時点で本来なら整理しておく必要があったんじゃないかなというふうに個人的には思っておりますけれども、しかし、現在我々は、現在の憲法下での行政の一翼を担っているわけでございますから、その憲法内で行動しているということも間違いないところであります。

前田委員 もう一つ、塩崎官房長官、三十一日の閣議後の記者会見で、核兵器の保有に関する憲法解釈について述べられております。法理論的には憲法が定める必要最小限の自衛のための実力に技術的に核兵器も入るかもしれないとの認識を示されておられます。

 もちろん非核三原則の堅持を前提で言われておりますけれども、この最小の自衛の中に核も入るかもということは、どのように久間長官はお考えでしょうか。

久間国務大臣 これも前から議論のあるところでございまして、法理論上は憲法で核兵器を禁止しているとは言い切れないだろう。ただ、必要最小限の範囲でしか自衛力が持てないというような解釈を今までとっておりますから、必要最小限というのがどの程度のものなのかというようなことからかなり難しいんじゃないか、そういうようなことを従来政府としても答弁してきているはずでございまして、私は、その中身はいまだに変わっていないと思います。

 現在、各国が持っておる核兵器というのは、そういうような必要最小限のものかどうかについてはやや問題があろうと思いますけれども、そういうような核兵器が絶対できないのか、そういうふうに迫られますと、そういうことはないわけではありませんと答えざるを得ないので、そういうことを今のこの時期に余り議論すること自体がいいのかどうかということを先日も委員会で答弁したことがございます。

 法理論的にどうなんだと聞かれますと、そういうことはあり得るというふうな答弁にならざるを得ないわけでありまして、そういうことを言うと、そういう必要最小限の範囲なら持っていいのかという話がすぐ宣伝されてしまって、それがちょっと、非常に間違ったメッセージを与えるということで、私は心配しているところであります。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

前田委員 本当に憲法解釈上の、理論上の話をされていると思うので、非常に難しい点はありますけれども、私は、ぜひ当委員会にも塩崎官房長官お越しになって、あるいは補佐官の皆さんもみえますので、どのようにお考えなのかというのをまた別の日に伺いたいと思っております。

 それでは、きょうの本題に入らせていただきたいと思います。

 今、省への昇格法案が上がってきておりまして、防衛庁が省になるということは、私は、今まで以上に防衛に責任を持って、厳格な、厳粛な組織とすることが必要であるというふうに思っております。ですから、この施設庁の談合問題でしっかりと十分なけじめをつけていかないと、これは今後に禍根を残すことになると思いますので、きょうはそうした気持ちで伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

 この防衛施設庁の入札談合問題については、この事件が発覚しました本年の一月三十日以降、防衛庁内において、当時の額賀長官、そして当委員会の委員長であります木村副長官のもとで、有識者も交えた上で、相当な決意で再発防止を練られてきたと思うんですけれども、そういうふうに伺っておりますけれども、もちろん先般の通常国会でもさまざまな議論があり、いろいろな意見が出てきたことも事実として承知しております。

 この施設庁の発注工事の入札をめぐって、談合を主導していたとして、防衛施設庁の技術審議官三名が競売入札妨害罪で起訴されて、現在も公判中である。建設系技官の天下り先確保の見返りとして、受け入れたOBの役職や給与を基準に官側が、民ではなくて官側がみずから工事の配分表をつくっていた。

 この事案の発生を受けて、防衛庁では、防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会が設置されて、本当に私もこれは全部読ませていただきましたけれども、こうした報告書が出されているわけであります。まず事実調査報告書が出されたのが六月十五日、最終的な再発防止報告書が出されたのが翌十六日ということであります。

 この調査の結果、先ほどから出ておりますように、談合行為の構造は、この技術審議官、建設部長、建設企画課長という建設系技官のトップスリーが主導的な役割を果たしていた。その指示のもとで、建設企画課と業界との連絡役を担うこの技術系技官のOBが関与していた。これは、組織的な行為であったということが事実として判明しているわけであります。

 そして、ちょうどこの報告書が出されたりした前国会の通常国会の末に、安保事案に関する三つのことが集中してあったわけですね。

 一つとして、六月九日に省への昇格法案がまず出されました。そして、六月十六日にこの八十四名の処分があり、そしてこの対策案が練られた。六月十九日に政府がイラクの南部のサマワの陸自の撤退を発表される。この安保事案が三つ大きくかかわっているにもかかわらず、これらは、たまたまでありましょうか、それとも意図的かもわかりませんけれども、前国会の最終に集中してしまった。議論が全くなされていなかったわけでありますので、私は、ここできょう十分に議論をし尽くさないといけないと思います。

 そこで、当委員会で、とにかく額賀前長官が、国民の目線で一点の曇りもないようにと再発防止策を言われておりますので、これからさらにきちんと明らかにしていかなければいけないことがあると思います。

 冒頭に当たって、先ほど来の、今回のこの談合事案を受けて設置されました防衛施設庁入札談合等に係る事案に対する調査委員会、これが取りまとめられました「防衛施設庁入札談合等に係る事案の調査について」、ここの中に書かれておりますけれども、額賀前防衛庁長官は、本年の一月三十日深夜に開催された緊急幹部会において、改めて捜査当局による捜査に全面協力し、出すべきうみは出し切る旨指示したとされていますが、久間長官は、うみを出し切ったという認識でございましょうか。さまざまな公益法人がまだまだ防衛庁にはあるわけでありますので、この事案だけではなくて、そうしたさまざまな公益法人に対してもきちんとうみを出し切っていると言い切れるのでありましょうか、伺いたいと思います。

久間国務大臣 調査委員会等が概要につきましては中間の報告をして、また抜本対策についての公表をして、それに載っている、それでやったことについては、私は出し切ったと思っております。

 しかしながら、その抜本対策に基づいて、これからどういうふうにやっていくのか、今後出てくる可能性はゼロかといいますと、それこそ、これから先の私たちの取り組みの姿勢でございますので、そういう意味では、まだまだこれから先、注意はしておかないと、一たん切開手術をして、うみは出してしまったけれども、またそれが化膿するようなことのないようにせないかぬな、そういう注意力は持ち続けたいと思っております。

前田委員 今回のこの防衛施設庁における官製談合は、一職員が談合に関与していたというものではなくて、歴代の防衛施設庁の技官のトップでもある技術審議官が関与していた。トップが関与していた。こういう組織的な犯罪がこれまで発覚しなかったというのは、長官は、一体どのようなことが原因である、理由であるというふうに思われますでしょうか。

久間国務大臣 やはり、一つは、閉鎖的な社会であったということと、それから、その人たちが、自分の欲得じゃなくて、職員の就職のために、OBを就職させるためにやっているというようなことから、みんながそれについて無関心じゃなくて、むしろ関心はあったんでしょうけれども、関心があったゆえにこそ、それを黙認してしまった、そういう風潮があった。そういうところに、もうずっと長年にわたってそれが続いてきた、そういう背景があったんじゃないかなと思います。

 だから、これはやはり組織としての問題だという認識はありますので、その辺の問題を断ち切らないといけないんじゃないかなと思っております。単なる個人のモラルの問題じゃないと思っております。

前田委員 この六月十五日の事実調査報告書の内容について、ポイントを絞って簡潔に、今、事務方で結構ですから御答弁いただきたいと思います。特に、談合に関して割り当てリストが作成されていたと聞きますけれども、これは、一体いつからだれを頂点として組織的になされていたのか、事務方で結構ですから御説明ください。

北原政府参考人 まず、防衛施設庁につきまして、今懸命に信頼回復に努めております。

 それから、今御指摘の点でございますが、いわゆる割り振り表でございます。これは、私ども懸命に調査をしてまいりました。その結果、いわゆる割り振り表につきましては、当庁の技術審議官、建設部長、それから建設企画課長のいわゆる建設系技官のトップ三名、この者たちが関連企業在職のOBと密接な結びつきのもとに主導的に実行いたしまして、私どもの聞き取り調査等に基づきますと、昭和五十年代半ばにおいて既に行われていたものと見られております。

 これが長年、先ほど大臣からも御指摘ございましたが、申し継ぎのように代々伝わってまいりまして、平成八年ごろには、今回の調査で明らかになったようないわゆる割り振り表といったものが作成になったもの、そのように考えております。

前田委員 私は、具体的にいつからだれを頂点にして始めていたかということを伺っているんですよ。もちろん、過去の方でなかなか言いづらいところもあるかもしれませんけれども、ここは集中審議ですから、具体的な名前を出して言ってください。

北原政府参考人 今私御答弁申し上げましたように、歴代の技術審議官、建設部長、あるいは建設企画課長、その者たちが主導しておりました。

 我々、ずっとさかのぼれるだけさかのぼりまして、それぞれの者にインタビュー等をいたしまして、そしてまとめまして、これは、組織的にずっと今のような構成、また関係者のもとで行われてきている、そのように報告書で御報告申し上げたところであります。

前田委員 いや、ここは集中審議の場なんですから。国民の皆さんに、きちんとどういうことがあったかを開示する場所なんですから。ですから、だれから始まったんですか、具体的な名前で言ってください。

北原政府参考人 ぜひとも御理解をいただきたいことがございます。それは、いわゆる関係書類等につきましては、まず、書類に基づく調査というものは、保存期間が五年ですので、五年という限定がございます。

 そして、他方におきまして、我々といたしましては、現職のみならずOB、OBは大体百名を超えておりますけれども、それらに対しまして懸命にインタビューをしてきたところでございます。そして、実数で約三百名を超える職員あるいはOBから話を聞いたところでございまして、そして、先ほど申しましたように、報告書で私どもが取りまとめました割り当て表といった形になったものは大体平成八年ごろから、そのように承知をしたところであります。

前田委員 ですから、私の聞いていることに対して全く答えていただいていない。きちんと調査をされたんだったら、だれから始まったかわかりますでしょう。具体的な名前を出して、そこから始まっているんだということをきちんと答えていただきたいわけですよ。

 もしお答えにならなかったら、ちょっと、これは本当に、この審議はやはり中断しなきゃいかぬと思いますね。一回これはちゃんと、きちっと今、理事の皆さんで話をしてください。

北原政府参考人 今回私ども調査してまいりましたのは、どうしてこういったいわゆる官製談合が起きたのかといったその枠組みを中心に懸命な調査をしてまいりました。そして、現実の問題として、十件逮捕された、あるいは起訴された、そういったことを中心に調査をしてきたわけでございます。

 したがいまして、そうした中で、もちろん、今申しましたように百名を超えるOBの人たちにインタビューをしております。そうした中で、我々といたしましては、いわゆるその役職、官製談合という御指摘をいただいているわけでございますが、技術審議官のポストにあった者、それを中心に長年にわたって行われてきたといったことで、今回の事件の枠組みといったものにつきましては十分御理解をいただける、そのように考えているところでございます。

前田委員 調査の枠組みを理解してくれという。調査の枠組みを理解してどうするんですか。それだけで済みますか。調査をしているんだったら、具体的に言わなきゃだめですよ。これをきちんと説明していただけるまで、私は質問しません。

久間国務大臣 どこまでその報告書に書いているかわかりませんが、私が聞いた話では、昭和五十年代の半ばからといいますから、今の調査対象になっている連中が防衛庁に入っているのはそのころなんですね。だから、今おる連中に聞いてみても、昭和五十年代の半ばからやっておったということになりますと、だれからというのは恐らくつかめないと思うんです。

 それぐらい昔から、もうずっと一貫して就職をさせるために組織ぐるみでやっておった、そういうことでございますので、だから、その辺は、それぐらいの歴史のあるもので、そのときのだれから始めたかというのは恐らくつかみ切れていないんじゃないかと思います。この人たちが役所に入ってきたそのころからもう既にずっとあっておったということを、みんなが報告したんだろうと思いますけれども。

前田委員 これは、今ずっと伺っておりましたけれども、長官が助け船を出されたと思うんです。やはりこれは、委員の皆さんも、各位、聞かれてわかりますように、この委員会の場で具体的に、本当に明らかにしなければ、集中審議をやっている意味がないんですよ。

 だったら、わかっている方はだれからですか。施設庁長官、お願いします。

北原政府参考人 私どもが調査をしてまいりました。そして、今現在名前が具体的に明らかになっておりますのは、逮捕された三名、また元技術審議官経験者であれば、生沢並びに河野の二名でございます。ただ、その他のOBにつきましては、今そうしたことをこの場で申し上げるのは適切ではないと思っています。

 ただし、私どもといたしましては、約百三十日間かけましてきちっと調べてまいりました。そして、今申しましたように、これは、さかのぼること大体五十年代半ばごろにはこういうことが始まっていたと思われる。それは、あくまでも関係OBの人たちから私どもがインタビューした中でそういったことが言えるのではないか。

 そして、繰り返しになりますが、平成八年ころには、今問題になっております割り振り表のようなものが、技術審議官についた、そのポストにある者を中心にして行われてきた。そういった今回の防衛施設庁の談合事件の枠組みというものが明らかになった。そして、そういうことがしかも組織的に行われてきたということがわかったわけでございますので、それに基づきまして、抜本的再発防止策をつくり、今懸命に取り組んでいる、そういったところでございます。

前田委員 北原長官、やはり何事も具体的に、五十年代の半ばだと言われるんだったら、人が限られてくるじゃありませんか。だれかわかるじゃありませんか。どうしてこの名前をきちんと言えないんですか。もう一度長官、お願いします。

北原政府参考人 繰り返しになりますけれども、五十年代という大変長い昔のことではございます。しかし、私どもといたしましては、今回こうした事件を防衛施設庁が生起した。そして、防衛施設庁長官たる私が委員長になった。そして、前回の国会でも、自分たちで事件を起こしておいて私が委員長になるのはお手盛りになるのではないか、そういった御指摘もいただいたところでございます。

 したがいまして、防衛施設庁として与えられた自浄能力を示す本当に唯一の機会であるといった観点に立ちまして、現職はもちろん、OBの皆さんに全面的な協力をお願いしてまいりました。そうした中では、なかなか思うとおりにいかない面はございましたけれども、しかし多くは、防衛施設庁のこの大きな問題に対して協力をいただいたところでございます。

 そして、繰り返しになりますけれども、五十年代、それから平成八年ごろといったことで、その場にある技術審議官等を中心にこの枠組みが営々と続いてきたということを御報告申しているわけでございます。そして、今現在、我々の聴取というのは検察当局の調査とは違います。あくまでも真実に迫りたい、何としても国民の皆さんに御説明をしていかなければならないんです、そういうことをお話しし、賢明な理解をいただきながら今回まとめたものでございます。

 したがいまして、現時点におきまして、個々具体的な個名を出すことは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今申しましたように、このポイントは、技術審議官をヘッドとして、そのメーンの技術系幹部が代々にわたってずっと行ってきた、そういう仕組みである、そこを申し上げているところであります。

前田委員 この民主主義社会においては、国民の皆さんが主役なんですよ。役人の皆さんは公僕ですよ。どうして氏名を明かすことを差し控えさせていただくなんという答えが出てくるんですか。きれいにきちんと出していただくまでは、やはりこれは納得できません。

北原政府参考人 繰り返しになりますが、私ども、この事件を受けまして、OBの一人一人にインタビューをしてまいりました。それは、我々の調査、行政府としての調査でございます。それに対して御協力をいただきながら、さかのぼれるだけさかのぼって、どういった形だったのかを求めてきたわけでございます。そうした中で、歴代の技術審議官等々からお話を聞いたわけでございます。ただ、やはり我々が承知しているところでは、その報告書にも、既に五十年代半ばごろには行われていたものと見られるといった形になっているわけでございます。

 我々としては、諸先輩の全面的な、可能な限りの協力を得てやってきた。そこで、我々として、防衛施設庁として、また防衛庁といたしましてやらなければならない点は、これが組織的に行われていた、その根本はどこにあったのか等々背景を明らかにして、そして再発防止策を行うということで懸命にやってまいりまして、今やっていることをぜひとも御理解賜りたいと思います。

前田委員 今、本当に私がお聞きしていることに対して誠実に答えていただいていない。確かに、先輩方をかばいたいという気持ちがあるでしょう。でも、ここでかばったりしたら、これから何にも変わりませんよ。この報告書の意味が何にもなくなりますよ。だから、きちんと、もう既に公判中の皆さんの名前だけ出すんじゃなくて、では、一体、五十年代のいつのときから始まったんですか、北原長官。

北原政府参考人 我々が報告書にも書いてございますけれども、五十年代半ばにおいては既にこうしたことが行われていたものと思われます。

前田委員 同じ答弁を堂々めぐりで話してもらっても、何にも進まないんですよ。やはり具体的に、どこが、どこから悪くなったのかという調査をされたんでしょう、調査をきちんと。だったら、それを明らかにしようじゃありませんか、国民の皆さんの前で。もう一度北原長官、お願いします。

北原政府参考人 その報告書は、我々として、透明性をもって、我々が調査したものを国会の先生初め国民の皆さんにお示ししていくといった観点から取りまとめました。そして、その中に、御報告申し上げているように、五十年代の半ばごろ、半ばにおいては既に始まっていたのではないかということが何人かの意見、これは、その場所にいた者あるいは部下だった者等々の聴取、協力してくれた者たちの聴取から、我々としてはこのごろだろうということを記録に書かせていただいたところでございます。それ以上のものにつきましては、既に資料も散失、散失ではございません、保管期間が終わっている、さらにまたその当時の人たちの記憶等々から、何年にだれから云々ということが始まったということを明確に申し上げることはできません。

 できないというのは、知っていて言わないということではございません。我々懸命に努力しました。その結果、さかのぼれるところまでさかのぼれば、五十年代半ばごろ、そこまでさかのぼることができたということでございます。

前田委員 だから、何名かの皆さんの証言で五十年代半ばとわかったわけですよね。だったら、皆さんが証言されているときに具体名は出てこないんですか。長官、またもう一度答弁ください。

北原政府参考人 私ども、そのOBの人たちは百十名くらいだったと思いますが、百名を超えるOBにインタビューをいたしました。中には複数回やったOBもおります。いずれも個別に、この契約についてこうした形で云々といった証言を得ることはできませんでした。

 ただ、枠組みとして、技術審議官をヘッドにして、いわゆる官製談合と申しますか、この枠組みが行われていたということが我々としてわかったところでございますので、私どもの報告書の中にそのように明記したところであります。

前田委員 これは、枠組みとして、枠組みとしてと言われるけれども、では、具体的な調査はやっていないという証拠じゃありませんか。具体的に名前が出て、具体的にいつから始まったんだ、全くそれがこれには触れていないわけですよ。これでは調査報告書の意味がないじゃないですか。やはり、そんな枠組みで、こういうふうで理解してくれなんという、そんな形だけの話では、何もこれからもよくなりませんよ。

 これは、多くの皆さんが汗を流してつくられたと思います。しかし、実際に、具体的に国民の皆さんの前でこうしたことを隠すようでは、ますますこれからのことが心配ですよ。

 もしわからなかったらわからない、いつからわかるんだという話です。いつからわかっているんですか。もう一度、最後に聞きます。いつからわかって、だれからですか。

北原政府参考人 繰り返しになりますが、私どもが出しました調査報告書につきまして、このように報告させていただきました。

 「事件の原因・背景に係る事実関係に関して、昭和五十年代まで遡る歴代の技術審議官等からの聴取を中心に調査を行ったところ、本庁の建設部幹部が主導し、作成された割振表に基づいて工事を割り振るといった本件十件の」、これは起訴されたものですが、「工事と同様な談合関与行為は、「施設庁にとってそれまで経験したことのない大規模な工事である岩国飛行場滑走路移設事業を契機として、同事業が開始された平成八年頃から、このような割振表が作成され始めた」との供述を行う者が多い。」そのように報告させていただいているところでございます。

 我々、懸命にインタビューをいたしました。それを幾つか否定する者ももちろんおりました。知らないという者もおりました。そうした中で、我々としては、可能な限り全力で、透明性をもって国民に御報告するといったことで、我々のできる限りの調査の結果を、今申し上げたような表現で御報告を申し上げたところであります。

前田委員 これは本当にわかるところから、具体的にいつで、だれから始まったかというところからされないと、これは国民の皆さんが聞かれたら、全く何の疑惑も解決されていない、明らかになっていない。

 そして、やはりこれからせっかく防衛庁を防衛省にするというんだったら、厳格に、厳粛にこういうことを進めないと、全く新しい体制になっても、いつまでもこれが続いちゃいますよ。まずベースは、きちんと明らかにすることですよ。やはりこの報告書で氏名を出さずに国民の皆さんにも隠し通すんだったら、報告書の意味がないじゃないですか。やはりきちんと、いつから、だれからわかっていて、具体的な名前を挙げていただかない限り、ますます疑惑は深まるばかりですよ。いかがですか、北原長官。

北原政府参考人 先生の御指摘でございますけれども、今回私ども、現職あるいはOBを含めまして三名が逮捕されました。そして、それぞれの容疑の契約を見ますと、平成十五年の契約あるいは十六年の契約というもので逮捕されたわけであります。我々は、それだけではだめである、さかのぼれるだけさかのぼって、どんな形でこのものが行われてきたのかということで、どんどんどんどん上までさかのぼっていったわけでございます。

 ただ、何のたろべえさんのこのときからスタートしたといった確証を得るには至りませんでした。先ほどありましたように、もう五十年代から行われていたのではないかという証言をする者が多かった。したがいまして、我々としては、五十年代の半ばにはこういうことが行われていたということを御報告申し上げたところでございます。

 そして、昔から行われていたものが、実は本当に発覚するまで、今まで行われていたということでございます。そして、しかもその枠組みというのは、証言する人の記憶は必ずしも定かではございませんが、その平成十五年、十六年、十七年のときと同じである。

 したがって、今我々としては、特にこの大きな金額をいただいているわけでございますが、それがどのようにして現実に行われたのかということをぎりぎり突き詰めまして、そしてその結果が今申し上げたようなものになったわけでございます。

 そして、この考え方でいくと、可能性があるものということで、記録が残る限り、つまり平成十二年からの記録も踏まえまして、私どもは公正取引委員会の方にも全面的に資料等を提供し、今その審査を受けているといったところでございます。

 いずれにいたしましても、我々として、隠すとか、そういったことは一切ございません。全力で行政府としてできる限りの調査をしてまいりました。

前田委員 これは、もし五十年代半ばと言われるんだったら、この五十年代半ばの方を調査されればいいじゃないですか。それをされたんですか。北原長官、もう一度。

北原政府参考人 私ども、技術審議官あるいは建設部長、通常、通常といいますか、これまでの防衛施設庁のいわゆるこれが一つの悪弊でございますが、垂直管理ということで、建設部長をなさった人が技術審議官になる例が多かったわけでございますが、我々としては、生きていらっしゃる方々の、まあ生きていらっしゃるという言い方も失礼かもしれませんが、建設部長、技術審議官にはすべて当たりました。

前田委員 その結果、さかのぼれる人は具体名でどなただったんですか、北原長官。

北原政府参考人 我々といたしまして、要するに、それぞれインタビューをしましたが、明確に、記憶が必ずしも明らかでないとか、わからぬとか、あるいはなかなか応じていただけないとか、いろいろな方がございました。

 したがって、例えばその技術審議官の当時の部下だった人だとか、我々として考えられる限りのいろいろな手を尽くして、その結果が、断定的なことは申し上げられなかったわけでございますが、五十年代半ば、そこまでたどり着いたわけであります。

前田委員 五十年代半ばということは、今、北原長官、何度も言われています。明らかになったと言われていました。

 だったら、この五十年代半ばの方に関して、どういう調査をされて、どなたから証言を得たのか、その結果どうだったのかという資料を出す意思はありますか、北原長官。

久間国務大臣 ちょっと私の方から、差し出がましいようですけれども。

 この報告書にありますように、五十年代半ばには既にという言い方で報告をしています。ということは、いろいろ聞いた人の中で、正直に言ってくれた人もおるでしょうし、言わなかった人もおるかもしれません。それで、たまたま五十年代半ばにはもうそういうふうになっておったんだなということが推測できたとしても、その言った人の名前が出ますと、それだけがひとり歩きするわけでありまして、協力してくれた人の名前を出すことがそういう意味でいいのかどうか。

 そういう意味では、その人の部下だった人の名前がもし出たとすれば、あいつは上司思いじゃないなというようなレッテルを張られがちなこともあります。人の名前はなかなか出しにくいというのは、こういう調査をしたときの内容でございまして、これが事件につながるとかなんとかならば、それは我々としてももちろん出さなきゃならないんですけれども、そういうことで、協力してくれよ、してくれよということで、いろいろな方々にやって、中にはもうぼけている人もおられるかもしれませんし、間違っている人もおられるかもしれません。そういうときに、その人の言った中からずっと推測しながら、もう五十年代の半ばには既にこういうような組織ぐるみの動きがあったんだなということを言えるというふうに踏んだからそれを出したわけでありまして、そういう意味では、それだけの努力をした施設庁の調査委員会の努力もまた買っていただきたいと思うんです。

 もうそんなに古くから組織ぐるみでやっておったんだな、そういう事実を事実としてぜひ皆さん受けとめていただいて、こういう組織ぐるみにならないように、ではどうするのかということをひとつ委員会でも御指摘していただければ、また私たちもそれにこたえて努力しなきゃならないと思っております。

 個人名を挙げるというのは、どうも先ほど来聞いていますと、その協力した人がどういう立場の人だったのか私もわかりません、そこまで聞いておりませんので、また聞くつもりもございませんけれども、せっかく善意で協力したのに、おれの名前だけが国会で議事録に残ってしまったというふうな思いをしていいのかなという思いも片やございますので、どうかひとつよろしくお願いします。

前田委員 今久間長官が本当にくしくもおっしゃられましたけれども、やはり多くの皆さんの御協力をいただいてこの報告書ができたわけでありますので、私はその成果は認めます。

 そして、やはり出た調査報告書が正しいものである、その根拠を示すためにも、では氏名は隠してでもいいですよ、こういう証言を得た、大体、構造的にこういうことから始まったんだ、その始まった五十年代を中心に、僕は名前を伏せてでもその証言内容をきちんと公開していただきたいと思いますけれども、北原長官、どうですか。

北原政府参考人 インタビューをOBその他を含めまして約三百名にやっておりますけれども、我々としては、その目的は、どういった官製談合が起こるに至ったのか背景等を調べるといった目的がございます。

 したがいまして、今我々といたしましては、それぞれの証言あるいは資料等から、この事件の背景あるいは構造はこういうことだったろうということでぎりぎり、いろいろな断片的な情報も含めましてでございますが、それを総合して報告書に取りまとめたものでございますので、その一人一人の証言について、これをつまびらかにするといったことは差し控えさせていただきたい、そのように思っております。

 ただ、我々といたしましては、その約三百名を超える人間一人一人のインタビューの状況は、当然のことながら、記録にとってやっているわけでございます。それを国民の皆さんに委員会の場でこういった形で報告をさせていただいているということで、それ以上のものでも以下のものでもございません。我々が知り得る限りのものをそこにまとめて御報告をさせていただいた、そのようにぜひとも御理解賜りたいと思います。

前田委員 やはり、これ以上出さないというのは非常におかしい。これは、理事会でまた強く要求したいと思います。

 そして、やはりこれは具体的なことを示さない限り、名前を隠してでもいいですよ、この調査報告書の根拠が示されないんですよ。ですから、きちんとこれからこの根拠の証言を開示していただきたいと思います。それを要求しまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 防衛庁の省昇格問題ですか、こういう大事なことを前にして、閣議請求権がないだとか、海外に行ったらエージェンシーでへんてこだとか、本当にそう思いますよ。そういうのは、久間長官、やはりきっちりけじめをつけて、気持ちよく私もいきたいと思うんですけれども、本当に今の答弁を聞いていましても、ちょっと、まだ何かOBをかばっているというんですか、それもいい意味ならいいんですけれども、この組織ぐるみの談合というのも、やはりOBを食べさせなきゃいけないということで、下の者が頑張って配分表をつくったりやっていたわけですよね。

 これはやはり裏金問題とかと同じで、先ほど長官の方からも答弁がありましたけれども、自分の私利私欲というよりは、必要経費を捻出するために裏金をつくったのと似たようなもので、だから、ついつい周りの人も何となく惰性で、これは本当は犯罪ですよ、本当は犯罪だけれども、続けてしまったんだというようなお話がありました。

 ぴっちりここは長官の認識を聞いていきたいと思うんですけれども、まず、この一連の、ずっと報道をされていましたよね、岩国だ何だ、これは官製談合という認識でよろしいですよね、長官。

久間国務大臣 私は、官が主導した談合だと思っております。

高山委員 それでは、この官製談合の原因ですけれども、これは、防衛施設技術協会ですか、ああいうところに二年間天下ってまた企業に行くですとか、やはりこういう天下りなんかが原因であったというふうに私なんかは認識しているんですけれども、長官の認識も伺いたいんですけれども、やはりこういう官製談合になってしまった原因は、天下り、口きき、こういったところにあったという認識ですか。

久間国務大臣 それ以前に、これが違法行為として要するに罰されるんだ、そういう認識すらなかったんじゃないかな、そういう気がしますね。そういう認識があれば、そういうような方法をとらなかったんじゃないか、同じ就職させるにしても。官製談合で割り振り表をつくって、これをとったら、その受注額に応じて職員を採ってもらう、数に応じてやるというのは、これはもう明らかにちょっと普通のあれでは考えられない、行き過ぎだと思っております。

高山委員 いや大臣、大臣の認識のとおりだと思うんですけれども、大臣じゃないや、まだでしたね。長官ですね、済みません。(久間国務大臣「国務大臣ですから」と呼ぶ)国務大臣だからいいんですか。

 国務大臣の久間長官の御認識のとおりだと思うんですけれども、これは、やはり天下りですとかOBによる口きき、この辺が原因だったというふうに私なんか認識しているんですけれども、大臣はそういう認識はないですか。天下りは全然関係なかった、こういうような認識ですか。

久間国務大臣 いや、関係ないわけじゃなくて、そういうふうにOBを採ってくれるところに仕事を割り振ったわけでありますから、まさに関係はあったわけであります。

高山委員 今回、私としても天下りが原因であったとは思っていますし、あともう一つは、OBですとか、あるいは政治家の秘書みたいな、直接関係なさそうなんだけれどもやはり深いつながりがある人たちが、口ききと称して、省内をうろうろしてみたりですとか、情報をとりにいったりとか、ちょっとこういう何か風土みたいなものがあったんじゃないのかなと私も思うんです。

 この点に関して、こういうOBによる口きき、あるいは政治家の秘書による口きき、こういったものも原因だったんじゃないかなというふうに私は考えているんですけれども、その点に関してはいかがですか。

久間国務大臣 口ききとよく言いますけれども、OBさんとかあるいは秘書とか、いろいろな人がいろいろなことをよろしくお願いしますよというような、そういうことはあると思います、紹介するというのは。それと談合とは別でして、やはり、一定の意図のもとにこの業者に仕事をさせる、そのかわりにOBをこの会社は採ってくれるというような、そこのところの因果関係がきちんとしているところが、やはり刑事罰として問題になったんだろうと思っております。

高山委員 そうしますと、長官は、今後もですけれども、いわゆるOBですとか、あるいは政治家の秘書の口ききみたいなものは、必要悪とまでは言わないけれども、あってもしようがないなというような御認識ですか。

久間国務大臣 それは私はあると思います。地元の人が、地元の業者が私も入札に参加したいと言ってきたときに、ああ、それはいいですよということで話をすることはありますから。それはほとんどの、これは与野党問わず、今までもあっていましたし、それはあると思います。そういうことすらするなと言っても、そういうことは恐らくなくならないんじゃないでしょうか。

 それと、どこがどうとるかということを決めていくというのとは別でして、それを決めるようだったら、自分の意図で決めるというのは、それが問題だということだと思いますから、そこは、後はどうぞ御随意にというような、そういう形で競争してとっていく、そういうことはいいことだと思います。

 あるいは、同じ口ききでも、いつごろこれが、来年はこういうのが出るんでしょうかというようなことを聞いてくることがあります。そういうことを聞いてやって、ああ、来年はあるらしいよというようなことで伝えることはあります。それは私も二十数年やっておると、今までだってそういうことはありましたから。

 しかし、そういうことと、入札でぴちっとそこがとるようにしむけるということとは別でして、しむけるようなことになったら、これは一つの事件としてやはり検挙されるといいますか、問題になるというふうに認識しております。

高山委員 長官、随分口ききの内実にお詳しいようで、随分勉強になりましたけれども、当然、どこがとるように具体的に、天の声というんですか、しむける、これは本当に犯罪ですよね。やってはいけないと思いますけれども。

 例えばですけれども、これは御自身の問題として、秘書であったり、あるいは御自身の周りの人で、そういう口きき等でしむけるようなこと、本当に犯罪に当たるほどの口きき、こういうのがあった場合には、長官としても、これはすぐ責任をとる覚悟はおありですか。

久間国務大臣 それはもちろん、そういう覚悟でずっと二十六年間やってまいりました。

高山委員 それでは、公正取引委員会に伺いたいと思うんですけれども、今、私いろいろ聞いていました、いわゆるOBですとか秘書の口きき問題、これは独禁法上、何か処罰の対象になっているんでしょうか。

松山政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の口ききというようなお話でございますが、入札談合等関与行為防止法という法律がございまして、そちらの中で、例えば、事業者または事業者団体に入札談合を行わせるでありますとか、あるいは具体的に契約の相手方となるべき受注予定者等をだれだれにするというような形で意向を示す、教示すること、あるいは秘密として管理されている情報を教示する、示唆をする、こういったものになりますと、入札談合等関与行為防止法の入札談合等関与行為に該当するという形になりますので、そういう事実がございますと、公正取引委員会は調査を行いまして、違反事件があるという判断のもとに、そういう事実がございました場合には改善措置の要求を行うということになっております。

高山委員 わかりました。

 けじめの問題でまたちょっと長官に戻りたいんですけれども、今回、防衛庁の談合問題ですとか、あるいは、この半年間の新聞報道だけでも、自衛隊からのコールサインも含めての情報流出の問題、また、中国の公安が絡んでいるかもしれないというホステスがいるようなお店に出入りして、自衛官が無断渡航して、しかもその自衛官が上司の命令に逆らってまで情報をコピーしていたとか、本当にびっくりするぐらい、いろいろ問題が今生じているわけですね。

 まず、談合問題について長官の認識を伺いますけれども、長官は、この六月に出された報告書で一応のけじめがついている、これで十分である、こういう認識なんでしょうか。

久間国務大臣 十分かどうか、先ほども言いましたように、これを受けて、少なくともこの報告書に盛ってあることを実行していく、これが私たちの仕事だと思っておりますけれども、これで果たして本当に完全無欠かと言われると、これからむしろ、これはこれとしてやりながらも、本当にいいかどうかというのは、絶えず目を光らせないといけないんじゃないかなというのは思っております。

高山委員 それでは、自衛隊の数々のいろいろな不祥事、これに関して、長官、どういう御認識ですか。

久間国務大臣 これも本当にゆゆしきことでございまして、渡航してある店に出入りしておったとかいうのも、幸い秘密情報等が持ち出される前の話でございますから助かったようなものの、これがずっと高じておればどういうことになったかなと思いますと、ある意味では非常にぞっとする点もあるわけであります。第一歩は観光旅行で行って、そして知り合って、そしてそこの店に行くようになってというような、そういうことから深みにはまっていくことを考えますと、やはりこれは本当に用心しなければなりませんから、これから先どうやって、そういうモラルといいますか規律といいますか、それを徹底させていくか。

 正直言いまして、二十七万人もおりますと、薬物にしてもそうですけれども、全部が全部じゃなくて、やはり全国平均並みには、変な、踏み外す者もおるわけでございますが、それをどうやって早く見つけ、あるいはそういうふうにならないようにしむけていくか、ここのところは、これから先の私たちの努力じゃないかと思います。

 本当に、国民の信頼あって初めて自衛隊は成り立つわけでございますので、今度の件については、大変信頼を損なったような気がいたして、残念でなりません。

高山委員 いや長官、全国平均と同じようなレベルでそういう不祥事があったら、私、これは困ると思うんですね。

 これから省に昇格して国防を、全部守っていこうという、むしろほかの役所より規律が厳しいぐらいじゃないと、安心して本当の一番大事なところを任せられないなというように思いますし、そこは揚げ足をとるつもりはございませんので。

 大臣に伺いたいのは、とはいいながら、ほとんどの不祥事は実は前任者のときのお話なんですね。久間長官になって、おっ、これはひょっとしたら引き締まるんじゃないかななんて私も期待した一人なんですけれども、長官は就任されましてから、この談合問題、あといろいろな数々の不祥事、これは何かイニシアチブをとられた問題はありますか。

久間国務大臣 額賀長官のときに一生懸命まとめられて、抜本策を部外者も入れて検討委員会までつくってやられたわけでございますから、とにかくこれを実行していこう、そして、まずこれを実行することが我々の仕事であると。

 しかし、今言ったように、これだけで本当に十分信頼を得るに至るだけのことになるのかな、そういう目で、やはりこれにもしプラスすることがあるなら、それについてもあわせて見ていこうというふうに言っているところでございまして、これ以上のものを何か打ち出せというような、そういうアイデアといいますか方針というのは、今のところ持ち合わせておりません。

 少なくともこの抜本策をとにかく実行しようということでございますので、それで、そういう中で信頼をかち得ていこうと思っております。何かいい方策が、もっといいのがあれば、ぜひ御提言していただければまた取り入れていきたいと思いますけれども、とにかく、なかなかこれだけでも、抜本策だけでも非常に難しいというのに、やはりそれをぜひやろうということで、みんなまとまって、今打って一丸となろうとしているところでございますので、御支援賜りたいと思います。

高山委員 解決策は民主党の方としても抜本策を出しているんですよ。天下りの全面禁止であるとか、あるいは官製談合の口ききの範囲をもっと広げるであるとか、これは抜本策は出していますので、もちろん長官の方でも御検討いただければと思っておりますが。

 ただ、長官、これはちょっと残念ですね。久間長官になってから、ただ前任者からの引き継ぎというんじゃなくて、何かイニシアチブをとられたのかと思ったんですよ。だって、この省昇格の問題、久間長官になって、わざわざ意欲的にこれを出されてきたわけですね。これは、長官、けじめをきちんとみずからのイニシアチブでとる前に、庁を省に昇格してくれですとか、そういう見ばえ的なことだけ出されるというのは、私、非常に残念な気がいたします。

 施設庁の長官に、先ほどの同僚議員の質問の続きでちょっと確認したいんですけれども、先ほど、五十年代の半ばごろからこういったことが始まったというような御答弁がありましたよね。それで、名前はちょっと勘弁してほしいというようなことでございましたけれども、ということは、これは、少なくとも、六十年代以降の建設部長ですとか審議官はもう関与して真っ黒というような、こういう認識で私たち思ってよろしいんでしょうか、施設庁長官。

北原政府参考人 要するに……(高山委員「六十年代以降ね」と呼ぶ)六十年代以降のすべての歴代の技術審議官、あるいは建設部長、さらには建設企画課長一人一人について、それがトータルで全員真っ黒だということは必ずしも言い切れない、それが我々の調査の状況であります。

高山委員 では、その技官のトップの審議官はもう全員真っ黒というような印象で思っていいんでしょうか。

北原政府参考人 私が今申し上げましたのは、要するに、そのポストについた者について、そのときのそれぞれの状況、状況というのは、例えばそれが、専門分野がどこだとか、そういったもろもろのものが作用していたようでございます。それは、私どもの報告書にも挙げましたけれども、専門分野が違うと、例えばその上司は飛ばして話をしていったとか、この談合についてですよ、もろもろのことがございますので、今先生から、これでまとめて真っ黒でいいですかと言われると、それについては、ずばりそうですということは必ずしも言えない。

 ただ、枠組みとして代々続いていた。場合によっては、その三人のうちだれか一人欠けているといったこともあったように承知しておりますが、ただ、大きな枠組みとしては、技術審議官から建設部長そして建設企画課長と、大きなラインでございますが、いずれにいたしましても、建設部のトップが主導していた、そういうことは言えると思います。言えます。

高山委員 その建設部のトップが、言えますと断言されても、そこはわかっているんですよ、今までの答弁で。だから、全員、後々これはOBの責任追及もしなきゃいけないかもしれませんし、だれがどうしたという、これは、名前を言えとまでは言いませんけれども、やはり、だれが関与していた、この人は関与していなかったというのはきちんと峻別しておく必要があると思うんですけれども、そういう作業は行っているんですか。

北原政府参考人 私ども、行政府として、犯罪捜査ということではございません、なぜこういう事件が起きたのかという観点から、あくまでもこの防衛施設庁の本当に責任、それから名誉、それから歴代のOBの方々の全面的な協力をいただきたいということで話を聞いてきたものでございます。そうした中で、もちろん協力をいただいた人もいますけれども、当たったことは当たったけれどもなかなか協力はいただけなかった、その場合に、部下の人たちにも当たってみた、そういうことで我々はこの報告書を取りまとめたということをぜひとも御理解いただきたいと思います。

高山委員 しかし、これは、五十年代半ばあるいは六十年代からにしても、もう二十年ぐらい続いているわけですね。そうすると、久間先生は、長官をやられていたときなんかもこういった問題がずっとあったわけですね、それで全くお気づきにならなかったんでしょうか。

久間国務大臣 私は、二年間近くやっていたわけですけれども、そういう組織ぐるみでそういうことが行われていたというのは、本当に正直言って知りませんでした。

高山委員 あと、これは組織ぐるみということで、私、一回質問させていただきました、今回の防衛庁の談合問題、この二月だったと思うんですけれども。証拠隠滅まで組織ぐるみでどうもやっていたという報道もあったんですけれども、まず、この点に関して、組織ぐるみで官製談合の証拠隠滅をしたかどうか、この事実関係だけ教えてください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、私ども、八年前の調本事案というものを十分踏まえた対応をこれまでしてまいりました。(高山委員「していないじゃない」と呼ぶ)いやいや、ちょっと聞いてください。

 それで、まず、十一月の十七日に、私どもの防衛施設庁でも、東京防衛施設局の発注に係る重電工事をめぐる談合疑惑があるといった報道がございました。そして、直ちに、翌日でございますが、前額賀防衛庁長官は私に対して、検察当局の捜査には全面的に協力するようにしろといった強い指示をいただきました。私は、その旨全職員に対して指示をしたところでございます。そして、我々といたしましては、そうした考え方のもとにずっと協力をしてきた。

 ただ、その当時の建設部長でございますが、その彼につきましては、私からの指示を受けまして、捜査への協力を関係の施設局に指示したところでございます。ただ、そのときに、これを機に、今御議論になっております割り振り表の作成などの違法な行為に関与することをとめることを当時の技術審議官に相談をした。そして、相談して、その後でございますが、去年の十一月の下旬ごろ、その部下の企画官等に対して、建設工事の割り振りに係るその資料を破棄するように伝えたといったことでございました。その企画官等は、その当時の建設部長の指示を受けまして、関係資料を破棄し、そして関係施設局への連絡も指示されたといった認識のもとに、本庁が伝えた工事名と業者名に関する資料を破棄するようにそれぞれ連絡をしたといったところが、我々の調査の結果、わかったわけでございます。

 それで、こういった、今私が調査の結果申し上げた点、これはまさに全面的に、大臣から、また私からもでございますが、全面的に協力しろと。協力しろということは、このような、破棄をするとかそういうことは絶対してはならないわけでございまして、しかも、その幹部職員である当時の建設部長がその破棄を部下職員に指示した。こういった行為は、組織的な隠ぺいととられてもこれはやむを得ない、あってはならないことである、そのように我々は思います。

 そして、それに基づきまして、私は、六月十五日付でございますけれども、当時の建設部長につきましては、停職よりも重いんですが、二階級降任、これは防衛庁独特の重処分でございますが、処分をしたといったものでございます。ただ、建設部長、先ほども申し上げましたけれども、その建設系の人たちについては、こういったあってはならない隠ぺい行為があった。それは、防衛施設庁トータルから見れば、国民の皆さんから見ればそれはもう組織ぐるみだと言われても仕方がない、絶対あってはいけないということで、我々としては断固とした厳正な処分をしたということでございます。

 ただ、私、防衛施設庁の責任者として、トップとしては、終始一貫、今日まで、全面的に協力するといったことで来ております。ただ、そうした中で、私の直属の部下がそういうことをやっていた。そのやっていたという事実は、十一月の十七日のその報道以来、私は累次にわたりまして、こういうことはないかという話をしてまいったわけでございますが、年が明けたことしの一月の十六日だと思いますが、十六日になって、実はこういう廃棄を命じていましたということがわかったわけでございます。

 いずれにいたしましても、こういったことがあっては防衛施設庁に対する信頼は失墜するわけでございますので、組織としては、あってはならないということで、厳正な処分にしたところでございます。

 なお、本人は、あわせて当日付で退職をいたしているところであります。

高山委員 そうしますと、これは、施設庁長官、ちょっと細かいことなのでもう一回施設庁長官に伺いますけれども、一月十六日になってそういう組織ぐるみの証拠隠滅のようなものがわかったということでございましたけれども、その事実を長官に報告したのはいつですか。

北原政府参考人 一月十六日はちょうどアメリカへ行っておりました。出張中であります。大臣と一緒でございまして、東京からそういった報告を受けて、私は速やかに大臣に報告をいたしました。

高山委員 では、大臣は、もう一月十六あるいは十七ぐらいでわかっていた、こういうようなことだと思うんですけれども、私、予算委員会の二月の二十二日に質問しているんです。そのときには証拠隠滅はなかったというふうに額賀大臣は答えているんですけれども、これは虚偽答弁ですか。

北原政府参考人 二月の二十二日に、先生から、大臣また私も御質問を受けておりますが、その時点で証拠隠滅はなかったといった答弁はしていないと思います。そういうことはないと確信しているといった趣旨の御答弁はされていると思います。

 なぜならば、今申しましたが、一月の十六日ごろにそういった話がございました。それで、それは本人からの話でございまして、私ども、それからいろいろな案件について、私が受けた十六日、大臣に報告したときには、大臣からもきちんと調べろといった指示を受けたわけでございまして、二月の二十二日時点では、まだ調査をしていた時点でございます。

 いずれにいたしましても、大臣がおっしゃったのは、スタートからそうでございますが、全面的に協力しろ、そして事実関係を調べろ、そういった指示が行われたときでございまして、それを踏まえた御答弁をさせていただいた、それが事実であります。

高山委員 いや、捜査に協力しろと言うのは当たり前の話で、そんなことを胸張って言われても困るんですよ。

 それよりも、そういう証拠隠滅があったんじゃないですかと、これは予算委員会で聞いているんですよ。予算委員会で、ちょうど防衛庁の談合問題がすごい問題になっていて、組織ぐるみなんじゃないんですかと言われたら、いや、それはとぐにゃぐにゃ言っていて、そのときに、証拠隠滅、組織ぐるみでやっているじゃないですかと聞いたら、そういうことはありません、そういう答弁して、これはうそじゃないですか。一月の十六日にわかっていたんでしょう。何で二月の二十二日の時点でそういううそをつかなきゃならないんですか。

 ちょっと、もう一回答弁してください。これは納得できませんよ。これは議事録があるから、今ここに。

北原政府参考人 議事録については、私も持っています。

 二月の二十二日、先生から御質問をいただきました。当時、検察の捜査が進んでおりました。したがいまして、検察の捜査に影響を与えないということで、国会の場では、大臣も私も御答弁は差し控えさせていただいたところでございます。

 それからまた、繰り返しになりますけれども、一月の十六日の建設部長からの報告を受けて、大臣から私にきちっと調査をしろといった命令がありまして、二月の二十二日の時点ではこれは調査中でございます。そして、先ほど来御議論いただいておりますが、六月十五日に発表させていただきました報告書の中に、この点もしっかりと事実を書いてございます。そして、この証拠隠滅に関するだけで、ちょっと具体的な数字は忘れましたが、二十数名、そこも報告書にはきちんと書いてありますが、我々は、二十数名にわたってその一人一人に全部調査をした、その結果を取りまとめたというものでございまして、当時の先生の御質問に対して大臣が虚偽答弁をした、そういったことは決してありません。(高山委員「これはおかしいですよ。ちょっと、今の答弁じゃ納得いかない。もう一回答弁してください。議事録にあるもの、こんなの。そういうことはないと信じています、確信しています、確信と言っているよ、これ」と呼ぶ)

木村委員長 高山智司君、指名してから発言してください。

高山委員 いや、指名の前に、僕のもとの質問が終わっていませんから、まず答弁させてください。もとの質問に答えていませんから、これでは。

木村委員長 では、もう一回それを求めてください。

高山委員 質問に答えてください、ちゃんと。

北原政府参考人 先生、額賀大臣は、八年前に調達実施本部の事案につきまして御承知のような経験をされていらっしゃいます。そのときは、その背任事件に絡みまして、当時の防衛庁が、その書類についての取り扱いについて、あってはならない行動があったという経験をされているわけであります。

 したがいまして、先ほど申しましたけれども、十一月の十七日に報道があった、もうその翌日から、額賀防衛庁長官は私に対しましては、全面的に協力しろ、すなわち、こういった廃棄とかそういうことはするなという、当然の意味でございます。そしてそれを、私は累次にわたりまして防衛庁、額賀大臣からその指示を受けております。私も部下に対してはそういう指示をしております。

 それで、額賀大臣の御答弁も、私が先ほど申し上げましたように、そういったことはないと信じているとか確信しているとか、そういうことを申し上げたのであって、ないということを断定はされていらっしゃいません。そして、今検察当局の捜査が進んでいるんだといったこともあわせ御答弁されていらっしゃるわけでございます。

高山委員 いや、これはかなりやりとりをしているんですよ。一回聞いただけじゃないですよ。午前、午後に分かれていて、午前も午後も、私、この論点だけずっと聞いているんですよ。それでそういう逃げをしている。

 今のお話を聞くと、当時の額賀長官は、調達本部事件のときに証拠隠滅の責任をとって辞任されているわけですよね。だから、何か、まるでもう一回やめたくないから虚偽の答弁をした、そういうような受け取り方をしていいんですか。

北原政府参考人 そういうことは全くございません。

 ですから、額賀大臣は、この事件が端緒といいますか新聞報道で報じられたときから、また一月三十日に逮捕されたときも、防衛庁の幹部を集めまして、これは全面的に協力していくんだといった指示を累次にわたって出しているわけであります。そして、そうした中で、今先生の予算委員会、二月二十二日があるわけでございますが、どうか先生、議事録をよく、我々も精査をさせていただきまして……(高山委員「読んでいるよ、自分で質問しているんだから」と呼ぶ)いや、そこは私も答弁に答えておりますし、大臣も答弁に答えております。先生が御質問されたことはよく承知しております。

 ただ、大臣の御答弁をもう一度よくごらんいただければ、そこに証拠隠滅の事実はないといったことを断言している答弁はございません。

高山委員 確かに断言はしていないので、私も怪しいなとずっと思いながら質問していたんですよね。

 では、今施設庁長官に確認しますけれども、確かに断言はしていないんですけれども、この時点で額賀長官はそういう証拠隠滅があったということを知っていたわけですね、私が質問した二月二十二日では。

北原政府参考人 繰り返しになりますが、大臣もアメリカに行っておりまして、私も一緒に同行しておりましたので、私から大臣に、建設部長からこういう話がありましたというのを東京から受けましたというお話をさせていただきました。

 そこで、それは建設部長がそういうことがありましたという話、一人の話でございますので、大臣から直ちに調査を、しっかり調べろという話がありまして、調査を継続していたということでございます。

 そして、先ほど来になりますが……(高山委員「知っていたの」と呼ぶ)私の報告は、大臣は承知しております。

 ただ、私が口頭でやったということと、大臣からは、直ちに、全面的にしっかり調査しろといった指示があわせてありましたことを御報告申し上げます。

高山委員 いや、しっかり調査もいいですけれども、この期に及んでという感じがしますね。ちょうど予算委員会のときに、防衛庁の談合問題が本当に大問題になっていて、もう全部協力します、国会にも全部協力しますと言っていて、一番重要な証拠隠滅は、私がしつこく午前、午後にわたって質問しているにもかかわらず、のらりくらりで、あげくの果てには、今の施設庁長官だと、いや、そういうことはないと確信しておりますの程度だったので断言はしていませんですとか。

 これは、長官、次に伺いますけれども、こういう態度だといつまでたっても信頼回復できませんよ。この後、だから私はもう一個だけ伺いますけれども、証拠隠滅があったということで、私はこの答弁の件に関しては納得しているわけじゃありませんので、これはある意味、額賀元長官に伺わなければわからないなと思いますので、その点に関しては委員長もお諮りください。これは理事会で協議していただくなり、お願いします。これは当時のことですから。これは責任を持って答弁できませんよ。どういうつもりで答弁したのか聞かなきゃなりませんから。委員長、いかがですか。これは何のための集中審議ですか。

木村委員長 後ほど、後刻理事会で話したいと思います。

高山委員 この証拠隠滅の件ですけれども、この人たちはおとがめなしですか。

北原政府参考人 いわゆるこの廃棄にかかわった者につきましては、処分を実施いたしました。

高山委員 それはどういう理由で処分をしたんですか。

北原政府参考人 職員としての職務遂行義務違反でございます。職務上の義務違反でございます。

高山委員 ちょっとこれは長官にも伺いたいんですけれども、証拠隠滅というのは犯罪ですよね、今捜査をしているときに。ちょうど談合の捜査をしている最中に、そういう配分表だとか談合の資料を破棄するというのは、これは証拠隠滅、十分刑法犯だと思うんですけれども。

 今の処分というのは何ですか。どういう処分なんですか。もう一度ちょっと答弁してください。

北原政府参考人 処分をした者は、先ほど申しました二十六名程度聴取しまして、この件で処分した者は十一名でございます。河野という建設部長が降任二級、それからあと二人が停職五日、それからさらに八名が戒告でございます。

 それで、今先生、建設部長の処分を念頭に置かれた御発言だと思います。その河野建設部長は昨年の八月に建設部長に補職をいたしました。そして、前任者であります、かつ上司で垂直で上がっておりましたが、上司である元技術審議官の、これは同じ名字でございますが、河野のもとで、上司が主導した談合関与行為の過程に関与することになったわけでございます。

 申すまでもございませんが、談合行為への関与が許されないということは彼も認識をしておりまして、当時の技術審議官の河野に、これはもうやめた方がいいんじゃないかという進言もしたわけでございますけれども、結果として、この行為を取りやめることがないままに時間が経過したわけでございます。談合関与行為を主導した者については、これは一般的には免職が相当と考えているわけでございますけれども、この河野建設部長につきましては、今申しましたように、談合関与行為を主導したとまでは言えないということで、我々としては免職には相当しないと判断いたしましたけれども、捜査には全面的に協力しなさいという大臣また私からの指示がなされていた中で部下に破棄を命じたということはあってはならないということで、免職に次いで重い、これは停職よりも重いんですが、降任二級の処分をしたところでございます。

高山委員 そうしますと、その処分というのは、刑法犯である証拠隠滅をしたということではなくて、今伺っていますと、大臣が警察の捜査に協力しなさいと言ったけれども、その命令に背いた、大臣の命令に背いたんだという理由での処分なんですか。

北原政府参考人 これは、いわゆる公務員としての秩序の維持を図る上での懲戒処分でございまして、犯罪を犯したことによる刑法の処分というものではございません。

 なお、河野につきましては、刑法上の逮捕あるいは検挙とかいった、この件についてそういうことは一切なされておりません。

高山委員 これは、今のお話を聞いてちょっと私もびっくりしたんですけれども、証拠隠滅の処分をしたというので、これは何かもう、談合事件の捜査妨害をすることで、大変重い悪質な行為だなと思っていたんですけれども、大臣が警察の捜査に協力しろと言った命令に背いた処分だ、今こういう話ですよね、大臣。これはちょっと軽過ぎるんじゃないですか、この処分というのは。ちょっと大臣に、まず大臣の認識を。

久間国務大臣 今お二人のやりとりを聞いておりまして、まず最初の額賀国務大臣の、そのときの答弁の、確かに午後からの答弁の前に、「私はそういうことがないことを信じています。」というふうに言われたので、これはまた、こういう言い方が適切だったかどうかはまた理事会等で議論していただいて、また話を進めていただければいいと思います。

 今言われた、いわゆる元建設部長ですか、その人については、結局は、検察庁があれだけの事件としてやったけれども、証拠隠滅としては、刑事被告としては挙げなかったわけですね。そして、その背景には、今お話を聞きながら、とにかく当時の審議官に、これはやめたらいいですよ、おかしいですよと言ったけれども、それはもうそのままされちゃったと。だから首謀者になっていない。そして、むしろ、審議官から破棄するようにというふうに言われて、それをみんなに命じた、そういうつなぎ役になっているわけですね。そこのところを考えて、免職まではしなかったけれども降格という、当時としては非常に重い二階級の降格をやって、そして本人が退職した、そういう経緯だと思いますので、要するに、刑事事件にはならなかった、そういう認識を私は持ったわけでございます。先生の方はもちろん委員会で詳しくやっておられるのでその辺のやりとりはあれかもしれませんが、どうも今聞いた話では、刑事事件にはならなかったんだな、そういう認識をいたしました。

高山委員 いや長官、だまされないでくださいよ、官僚に。官僚はこうかつですから、だまされないでください、長官、本当に。

 先ほどの話から、五十年代から組織的なものが始まったというような話もありましたね。それで、二十何人ですか、証拠隠滅だけでも、関与していると。これは本当に、談合事件が大問題になっているさなかにシュレッダーにかけてそういうものを処分するというのは、ものすごい証拠隠滅で、大犯罪だと私は思うんですよね。結果として、この岩国の基地のもので審議官と三、四人の方が起訴されて、今なっていますけれども、ちょっとトカゲのしっぽ切りなんじゃないかなという印象を私はすごい持ちましたよ。

 だって、代々やっているんでしょう、二十年間。平成八年からは今の形ができたということは、少なくとも十年やっているんでしょう。それで三人だけ起訴されて、あとの人は、ああ助かったと。だって、この二十二人だって、OBのためを思ってか先輩のためを思ってか、証拠隠滅したけれども、大臣への命令違反という行政上の処分だけですよね。これはちょっと甘いというか、ちょっと処分が甘過ぎませんか、大臣。

久間国務大臣 しかし、結局、本人さんが降格になって、そしてその日付で本人は辞職をして、退職しているわけですから、本人はやはりかなりの責任を感じてそういう行動をとったんだと思いますので、私は、それが甘かったかどうかは今の時点でいろいろ憶測することはできませんし、それについて今論評は控えさせていただきたいと思います。

高山委員 大臣、これは、防衛庁が防衛省にいくに当たって、きっちりけじめをつけなきゃいけないということで今集中審議しているわけですよね。それで、本人がもうやめているからというような、お気持ちはすごいわかりますけれども、これはやはり防衛庁という組織体として、こういう犯罪行為を見過ごしたまま省に昇格される、そういうおつもりですか。

久間国務大臣 結局、証拠隠滅としての犯罪行為にならなかった。検察庁が入って捜査している過程において出てきたいろいろなことがあったわけですから、検察だって当然それは知っていたけれども、犯罪行為としてはそれは挙げなかったという、そこのところをやはり我々としては事実として受けとめなきゃいかぬのじゃないかと思います。

高山委員 証拠隠滅をやったときの書類、これはみんな防衛庁のものですし、これは庁として、証拠隠滅した人たちを告発するつもりはありますか、今後。

久間国務大臣 だれかが命じて、それに従ってやった、そのそれぞれに携わった人を全部犯罪人として告発するような、そういう気持ちはありません。命じた人がそういう罪に問われていなければ、その人に対しては調べた上でやる必要はあるかもしれませんけれども、やはり、言われてそれに従った、そういうようなことについて、それを告発しろと後になって今の時点で調べようと思っても、刑事事件として果たして告発しても公判維持ができるかどうか、その辺も含めてなかなか難しいんじゃないでしょうか。

木村委員長 時間になりましたので、高山智司君、簡潔に願います。

高山委員 筋を通される久間長官にしてはちょっと残念だな、手ぬるいなという印象を持ちましたが、時間ですので、終わります。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、私も防衛施設庁の談合問題について聞きます。

 防衛庁をめぐっては、装備品をめぐる背任事件、そして燃料談合、今回の基地建設工事をめぐる談合事件、水増しや談合事件が繰り返されてきました。防衛庁のあり方の根本が問われる問題です。今回の事件で、防衛庁のこれらの体質について抜本的な再発防止策はとられたのか、この点について聞いていきます。

 具体的に聞きますが、今回の事件は、岩国飛行場の滑走路沖合移設工事、佐世保基地の岸壁工事などをめぐって官製談合が行われていたということが、七月末の東京地裁で判決が下されたわけです。

 防衛庁が出された調査委員会の報告書というものによれば、これは不祥事という認識になっています。報告書全体をいろいろ読んでみても、やはり不祥事というのが、この三十九ページ、ここが恐らく全体の核心中の核心になるところだと思いますが、こういう表現をしているわけです。

 不祥事とはどういうことか、辞典で調べてみたんです。不祥事というのは、好ましくない事柄になっているんですね。防衛庁にとっては厄介な事柄、そういうことの認識なのかなと。防衛庁長官、今回の事件、好ましくない事柄、不祥事という認識なのか、あるいは犯罪という認識だったのか、いかがですか。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 不祥事と普通言いますときは、単に好ましくないというよりも、もう少し概念的には突っ込んだ、犯罪、あるいは犯罪までいかないけれども社会的に非難されるべき行為とか、そういうのを含めて不祥事と言っているんじゃないでしょうか。好ましくないと言うと、それはちょっとやわらか過ぎはせぬでしょうか。

赤嶺委員 ですから、辞書を引くと、好ましくない事柄としか書かれていないんです。今の長官の認識まで膨らませた辞書の説明というのはないんです。やはり犯罪というようなことをしっかり銘記して、繰り返してはならない、重大な事態だったという認識をまず持っていただきたいと思うんですが、今回の施設庁談合が行われた最大の原因、これは何だというぐあいに認識していらっしゃいますか。

久間国務大臣 これはそれまでも、五十年代の半ばには既に行われていた、半ばに始まったんじゃなくて、半ばには既に行われていたと思われる、OBさんの就職のために、官製談合といいますか、割り振り表までつくってそういうような就職のあっせんをしておった、そういう流れの中で岩国の事件についても起きたんだというふうに思っております。

赤嶺委員 それでは、今回こういうOBの再就職の問題で、再発防止でどんな対策がとられたんですか。

久間国務大臣 まず、先ほどから言っておりますように、入札についても一般競争入札を導入するようにしておりますし、それと同時に、若年制の退職勧奨というのをやめることにしておりますし、またそのかわりに、いろいろな各省との人事交流によってそれをさばくといいますか、そういうことも考えておりまして、そういうようなことを通じて、こういうようなことのないようにしようとしているところであります。

赤嶺委員 この二つの報告書を読んでいきますと、入札の改善だとか早期退職者の改善だとか人事交流というぐあいに今おっしゃいますけれども、結局、建設部門が非常に特殊な部門だったんだという認識がずっと貫かれているわけですね。あの人たちのああいう狭い社会で行われたことというぐあいになっているんですが、ところが、皆さんの報告書の中にもありますけれども、これを見ますと、ことし二月下旬の時点の調査として、百四十四社に二百四人のOBが在職しているとしています。このうち建設系の技官OBは百二人、施設系職員OBが二十二人、防衛庁本庁事務官等OBが十一人、自衛官OBが六十九人。

 建設系技官に限ったことではなく、防衛庁・自衛隊の組織全体で再就職、天下りの構造ができ上がっていたということじゃないですか。

久間国務大臣 防衛庁あるいは自衛隊をやめて民間会社に行ったからといって、それを非難するわけにはいかないわけでありまして、それはそれぞれのまた本人さんの職業選択の自由もあるでしょうし、会社側の雇用の条件もあるでしょう。ただ、入札との絡み、あるいはそういうような形で押しつけたりあるいはまたそれを誘ったり、そういうことはいけないというふうに今非難されているんじゃないでしょうか。だから、就職していること自体をあれしますと、今、関係のある民間会社といったら全国でほとんどですから、そういう会社に行っている人について肩身の狭い思いをさせちゃいけないと私は思います。

赤嶺委員 私が今引用したくだりというのは、まさに建設系の部門が関与した企業にこれだけの人たちがあっせんで再就職していますということなんですよ。だから、全く談合にかかわりない、利権にかかわりない、そういう場所に天下っていったわけじゃない、こういう関与したところに天下っていっている、それも建設系だけじゃなくて防衛庁職員全体に広がっている、これを建設系だけというぐあいに限るのはおかしいんじゃないですか、こう言っているわけです。

久間国務大臣 私は、建設系に限らず、ほかの人を含めて、建設系の人でもいいと思うんですけれども、そういうような談合に関係なく、その人の能力、例えば技能士としての資格とかいろいろなことで建設系に行っている人だっておられると思うんですよ。そういうときに、建設系に行って、その建設会社がたまたま防衛庁の仕事をやっている、そういうことになったときに変な目で見られる、それはまた気の毒なことじゃないかなというふうに思っているわけであります。

 今、一級土木技能士というんですか、それとかいろいろな資格があるわけでありまして、あるいは建築士でもそうでしょうけれども、そういうような資格を必要としてそういう経験のある人を採用するケースはあると思いますから、一般論として、建設会社に行ったらいかぬ、そういうことを強調すること自体はやはり私としては差し控えたいと思うわけであります。

赤嶺委員 まさに今度の談合事件を起こした、そういう建設系の人たちが関与した仕事の天下りということになっているわけです。報告書の中ではそういうぐあいになっているんじゃないですか。施設庁長官、いかがですか。

北原政府参考人 今先生が御指摘の点も、私どもの報告書にもちろん入っている記述でございます。

 あわせて、先生、私どもの報告書の二十八ページには、今回のいわゆる割り振り表の考え方、つくり方、我々が調査した結果、こういう考え方でやっていたということが書いてございます。そこには、御指摘の防衛施設庁の職員だけではなくて、ここでは技官、事務官、自衛官といったようなことも含めて割り振り表がなされていたということでございまして、我々の調査の中では、今先生御指摘の防衛施設庁の建設系の人たちの再就職だけではなく、今申し上げたような事務官も自衛官も含まれていることは事実であります。

 ただ、これらの人たちの再就職、それから就職を指定したOBに気兼ねをさせないとか、そういった点から、あってはなりませんけれども、今のような官製談合の図式が行われていたというものでございます。

赤嶺委員 ですから、天下り、再就職は、建設系の職員だけの天下り先じゃなくて、防衛庁全体の職員の天下り先の確保として割り振り表も活用されていたということになるわけです。

 そこで、今回、再就職の自粛を要請するということになっていますよね。私、この問題を抜本的に解決するためには、自粛では解決が図れないのだと思うんです。なぜきっぱり禁止しないんですか、防衛庁長官。

北原政府参考人 自衛隊法では、御承知のように、離職後二年間、営利企業への再就職を規制しております。

 そして、今先生、きっぱりとやめないのかということでございますが、大事なのは、憲法に保障されております職業選択の自由あるいは勤労の権利といった基本的人権との関係で、自粛要請ということを行ったものであることをぜひとも御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 談合の危険のあるような職場に、憲法で保障されているからということになると、本当に談合に対して感覚が麻痺しているというぐあいに私は思いますよ。

 今、憲法上の問題だとおっしゃいましたけれども、元人事院事務総長の鹿児島さんという方が、「二十一世紀への舵取り」という本の中でこういうことを言っているんです。この天下りの禁止についても、憲法の職業選択の自由との関係で議論が生じることが予想される、しかし、この場合も行政の公正を確保するためには、一定期間の制限を加えることは公共の利益のためにやむを得ない規制であると言わなければならない、この組織ぐるみの天下りの規制はあくまでも官民の癒着の防止を目的として行われるものであると。

 これは、元人事院事務総長、いわば公務員の人事、公務員の資格、これらについて最も詳しい方が、憲法上の問題という言い方では解決しないということを言っているんですが、この点、長官いかがですか。

久間国務大臣 憲法上の理由で、禁止すること自体を、だめだというふうに決めつけることはできないかもしれませんが、やはり禁止するにはそれなりの合理的な、みんなが認めるような合理性がないといけないと思うんですよ。公平を確保するため、とにかく、天下りといいますか、公務員であった者は関連する企業には一切就職してはならないというようなことを決められますと、先ほど言いましたように、自衛隊関係者は全国のほとんどの企業に就職できないことになるわけですね。そういうような禁止規定を盛り込むことができるのかなと。

 そういう観点から見ますと、やはり今言われたように、談合で事件になったところ、そういったところにはやめてもらいましょう、そういう形でそれを指導していく、その方が合理的じゃないんでしょうか。

赤嶺委員 私、すべての企業に再就職を全面的に禁止せよ、こういうことを言っているんじゃないんですよ。この鹿児島さんも、そのおそれが全くない、談合などそういうおそれがない退職公務員の再就職を制約するものではない、たとえこういう措置をとったにしても、だから、むしろそのような再就職は一層促進されなければならないということを言っているわけです。ただし、やはり行政の公正を確保するためには、一定期間の制限を加えることは公共の利益のためにやむを得ない規制である、憲法上ひっかからないということをおっしゃっているんですよ。

久間国務大臣 今、そういうことで、二年間という期間を設けておるわけであります。それと、談合に関係なくてほかのやつならいいというふうにおっしゃるなら、私もその辺はまたちょっと違いますけれども、先ほどから先生がおっしゃっているのは、要するに、防衛庁なら防衛庁と取引のある業者には防衛庁を退職した者は就職しないように、禁止したらどうかというふうにおっしゃられるので、それでいきますと、ほとんどの大きい企業は防衛庁とは何らかの関係でつながりがありますので、ほとんどの大きいところには行けない、そういうことになってしまいます。そうなってくると非常に制約が大き過ぎるんじゃないかということで、これは憲法上の職業選択の自由からいっても問題が出てきやせぬかなということを言っているわけです。

 非常に限定した中での禁止行為についてまで、それが憲法上触れると私は申しませんけれども、一般論として、とにかく、公務員がその職務と関係のある企業について行かないということになりますと、それは、はっきり言って、防衛庁の場合は、ほかの職種と違っていろいろな、電機メーカーから初めすべてのところに何らかの格好で関係がありますから、そういう点で非常に難しいんじゃないかなということを言っているわけです。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 そうすると、先ほどの、自衛官も含めて、事務系の職員も含めて、建設系のまさに問題になっている部門の割り振り表の結果、こういう企業への再就職の配置になっているというこの土壌は放置されるということになると思いますよ。

 自衛隊法第六十二条がありますよね。第六十二条は、在職中の地位、職権を濫用して、特定の営利企業等と関係を結び、これを利用して当該企業等に転職するような弊害を防止するため、離職後二年間は一定の就職制限が課せられている、こうなっていますよね。一定の就職制限を、皆さん、自衛隊法で課しているわけですよ。今後ももっと厳しい就職制限を課すべきじゃないですか。皆さんの立場から言っているんですよ。これは憲法違反でないわけですから課すべきだと思うんですが、いかがですか。

久間国務大臣 だから、先ほどから言っていますように、一定の期間そういうことを設けることについては可能であるということで、そういう法律になっているわけであります。それを、一般論として、期限を決めずに、あるいはもっと長くして、どこまでだったら許されるかとなるとそれは議論があるところでありまして、やはり今の法律にありますように、二年間というのが一つの目安になっております。

 だから、我々としては、自粛要請を五年間今度要請したとか、そういう形で、まず自粛要請という形でお願いをしているわけでありますから、まずはそういうことを、どのぐらい実行されるかを見てみようじゃないですか。私たちもそれに努めようと思います。

赤嶺委員 ここが非常に甘さが残っていると思うんですよね。五年間自粛というのは、いわば官の側が自粛するんじゃないですよね。企業の側に自粛要請をするわけですよね。

 そうすると、私、これは考えるわけですよ。皆さんは二年間は就職規制をしている。皆さんの立場からいっても、これだけの事件を起こしたわけですから、ぐるみの事件になっているわけですから、五年間の就職規制という考え方は、皆さんの立場からすればあってもいい考えではないかと思いますが、この点、いかがですか。

久間国務大臣 これに関係した人については問題かもしれませんけれども、その他二十七万人おる防衛庁・自衛隊のそういう職員の大半がまじめにこつこつとやってきているわけですよ。そして、定年でやめたときに、それから向こう五年間は法律で就職を、関係のある企業については一切まかりならぬというふうに決めるということは、これはいささかいかがなものか。

 やはりそこのところはもう少し、それは罰は罰として、その事件についてはどうにかせないかぬということはわかりますけれども、そういう形でみんなに、特に六十歳といいますと、先ほど委員会でも言いましたように、とにかく子供たちが大学に行って一番苦しいときでもあるわけでして、そういうときに、二十七万人を、公務員であるがゆえにとにかく五年間はだめだという法律をつくるというのは少し乱暴過ぎやしないかなという思いがします。それは立法府ですから、共産党さんが議員立法で出して皆さんが同意してもらえば、やれぬことはないですよ。しかし、私は、憲法上の問題もさることながら、いささかそれは乱暴過ぎやせぬかなという思いがするので言っているわけであります。

赤嶺委員 今度の談合問題の一番の根元にあったのは再就職なんですよね。その再就職について、根を断つような対策が甘いじゃないかということなんです。

 五年間の自粛で結構だとおっしゃっておりましたが、一方で、今回、公務員制度改革が言われているわけですね。この中で、天下り規制そのものを撤廃してしまおう、二年間という就職規制も含めて撤廃してしまおう、こういうことが検討されているんじゃないですか。いかがですか。

久間国務大臣 前国務大臣の中馬先生が、二年間というそういう形式的な縛りでやるよりも、前職といいますか、退職時にあった職務との関係で、そういう関係のない場合だったらいいようにして、どんどん関係のないところになら就職していいんだということによってやることの方がむしろ現実的じゃないかという意見を提案されたのは、私も承知しております。

 しかしながら、それが大勢になるかならないか、これはまた、国会のこういった議論、あるいはまた各党、各議員のいろいろな御意見等を見ながらしか政策は決まっていかないわけでございまして、一つの意見としては私も拝聴いたしておりますけれども、例えば我が党としてもそれを提言するに至るかどうかについては、いまだはっきりしておりません。

赤嶺委員 ところが、安倍総理大臣が、十月六日の予算委員会の審議の中でも答えていらっしゃるんですよ。総理の見解として、官民の人事交流が重要だ、二年から五年に長くすればいいということではない、こういう答弁をしているんですね。天下りの撤廃を打ち出した中馬試案、これは基本的に進めると総理がおっしゃっているんですからね。来年の通常国会には法案を出されると言っている。そうすると、皆さんは、再就職が問題だと言いながら、就職規制二年を五年にするのは憲法違反の疑いがある、しかし五年間の自粛はやったと言う。その五年間の自粛も、総理は二年を五年にすればいいというものではないと予算委員会でおっしゃっている。

 では、防衛庁長官はまだ決まっていないとおっしゃっていましたけれども、防衛庁としては、五年間の自粛、継続するんだ、今報告書を出しているけれども、通常国会でなしになることはないんだという理解でよろしいでしょうか。

久間国務大臣 我々は自粛要請を出しておるわけですから、その方向でやっていきます。

 ただ、総理が答弁されたのは、官民の人事交流をこれから先やはり進める必要がある、そのときには民間からも官に来てもらう、そうすると、官の方は定数があるわけですから、官からもまた民に行かなきゃならないというような、そういうこともあるわけで、退職する人も、二年間待たせて退職するんじゃなくて、五年間待たせてするんじゃなくて、そこはどんどん、やめてもっと若くして民間に行く、そういうような交流もあっていいんじゃないかと。外国のそういうような例を見ながらそういう発想をしておられるわけでありまして、私はそれも一つの考えだろうと思います。

 だから、そういう考え方がいいとなればそういう方向でまたやればいいし、今そういう方向で法案が具体的に採用されているわけではありませんけれども、非常にある意味では大事な人事交流、官民の交流というのは大事なことじゃないかな、私自身もそれは思っております。

赤嶺委員 官民の人事交流という言い方で、結局は、談合の土壌になった天下りはそのまま放置する結果になるわけですよ。今回皆さんが出した報告書は一体何だったのか、通常国会までの話なのかということになるわけですよね。だって、そういう動きが現にありながら、このことに触れずに、何か五年間自粛だけ書いていらっしゃるじゃないですか。

 私は、やはりこれは、そういう抜本的な対策と言いながら、非常にあいまいというか、根本にメスを入れない対策になっている、これで防衛施設庁の談合問題は決着がついたから、あとは防衛庁の昇格だととても言えるような状況にはないというぐあいに思います。

 うみを出し切ったかという問題があるんですよ。今回、談合事件を受けてどういう調査をやったんですか。

北原政府参考人 一月の三十一日から、私を委員長といたします調査委員会がスタートいたしました。そして、六月の十五日に、調査の内容につきまして御報告をさせていただいたところでございます。これに当たりましては、書類によるもの、それから、約三百名に及びますけれども、OBを含む関係職員に直接事情を聴取するといったこと等を通じまして取りまとめたものでございます。

赤嶺委員 うみを出し切るような調査が求められていると思うんですよね。

 それで、これは七月三日の朝日新聞の報道記事なんですが、防衛施設庁の発注工事や用地買収をめぐって、仙台防衛施設局元幹部が在職中、国会議員やその秘書らから受けた口ききを文書に記録していたことがわかった、このような報道があります。防衛庁長官を務めた現職国会議員など十四人の実名が記載されている、こうなっているわけです。この幹部は、文書のほか、議員から建設業者の入札指名を催促された経緯などを業務日誌に書き残していた、こうなっているわけですね。

 今回の談合事件で、この問題についても調査しておりますか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の官製談合事件について調査委員会で調査してまいりましたが、今先生が御指摘の朝日新聞の記事につきましては、調査委員会として調査は行っておりません。

 ただし、我々、通常のルートを通じまして、報道に基づきましてるる調査をしたところでございますけれども、私どもの調査の結果、国会議員等の方々から業務に関しまして紹介だとか陳情等があったことは事実でございますけれども、私どもの業務につきましては、関係法令等に基づいて適切に遂行しているといったものでございます。

 それから、元幹部が業務日誌に云々ということをおっしゃっておられますが、私ども、当時の関係者、現職で今いる者たちに聴取をいたしましたが、どういう文面に基づいてこういった報道になっているのか、そこはわかりません。

赤嶺委員 そうすると、報道されている本人には聞いたんですか、聞かなかったんですか、この報道で言っている仙台の幹部という。

北原政府参考人 報道で言っている、その報道については、名前が出ておりません。こうしたことについては、幹部であれば、きちっと名を名乗って、これこれこういう観点からこうなんだと言うべきだと思っております。

 したがいまして、私どもといたしましては、その報道である当時から今いる人間、これらについてきちっと把握をしたところでございまして、御指摘のような、口ききによってあることが行われたとか、あってはならないような作業が行われたとか、そういったことはございません。

赤嶺委員 防衛庁長官、今、施設庁長官は、幹部であれば名を名乗って言えということをおっしゃいました。

 私、この官製談合のことでも非常にあいまいな決着のつけ方じゃないかと指摘しましたけれども、やはり政官業の癒着というのはいつでも言われていることなんですね。そういう政官業の癒着という国民が不信を持っている問題について、仙台局の問題も徹底した調査を行って、うみを出すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

木村委員長 時間が来ておりますので、久間防衛庁長官、簡潔に願います。

久間国務大臣 今赤嶺先生が言われたその幹部にしても、いろいろな陳情とか要請とかはあったとしても、法令に従って適正に処理をしてきた、そういう裏づけがあるんじゃないでしょうか。だから、私は、そういう人たちを信頼していいと思います。

木村委員長 赤嶺政賢君、簡潔に願います。

赤嶺委員 官製談合の抜本的な対策も極めて不十分、それから、国民が一番大きな不信を持っている政官業癒着についても解明はこれからという段階で、この問題は決着がついていない、とても決着がついたとは言えないということを指摘しまして、質問を終わります。

木村委員長 次回は、明二日木曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十一分散会


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