衆議院

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第11号 平成18年11月30日(木曜日)

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平成十八年十一月三十日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 北村 誠吾君 理事 寺田  稔君

   理事 中谷  元君 理事 笹木 竜三君

   理事 前田 雄吉君 理事 遠藤 乙彦君

      安次富 修君    石破  茂君

      大塚  拓君    大前 繁雄君

      瓦   力君    高木  毅君

      仲村 正治君    浜田 靖一君

      福田 良彦君    宮路 和明君

      山内 康一君    山崎  拓君

      内山  晃君    神風 英男君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      山口  壯君    東  順治君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁総務部長)  新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 木寺 昌人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月三十日

 辞任         補欠選任

  内山  晃君     山口  壯君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  壯君     内山  晃君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第九一号)

 国の安全保障に関する件(非核三原則等我が国の安全保障)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に非核三原則等我が国の安全保障について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官井上源三君、防衛庁防衛参事官富田耕吉君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長増田好平君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁総務部長新保雅俊君、外務省大臣官房審議官木寺昌人君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君及び外務省北米局長河相周夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。

 きょうは、非核三原則等についての集中審議ということでありますが、同時に、最後に省の昇格についての採決もあるわけです。その問題についても質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、久間長官にまたお伺いをしたいわけです。

 これは前回、前々回もお伺いをしました。官製談合問題でいろいろなことが話題になりましたが、まず一点は、かつて防衛庁の官製談合が問題になり、それで再発防止ということでいろいろな内部でのチェック体制とかを考えられた、しかし、それが全く有効に機能せずにまた二〇〇五年の暮れに施設庁の談合になった、そういうことを受けて私も何度かお話をさせていただきました。

 きょうは外務大臣も来られていますが、外務省が機密費流用のあの問題をきっかけに、外部の法律の専門家、検察官を査察官としてトップに据えて、外部からの目でチェックを、危機管理を、抜本的に体質を変える、そういう対策をとった。長官もそのことを検討されていると再三お話しになっておられましたが、ここでもう一度確認をさせていただきたいんです。

 あれからもう大分たっておりますが、ぜひなるべく早いうちに実現をしたい、しかし予算もあるからとかそういう御意見もありましたが、その後どのぐらい進展をして、どのぐらい実現可能性が高まっているのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。

久間国務大臣 先般もお答えいたしましたように、監察官制度をつくることによって、しかも、その監察官制度を取り入れるときに、そのトップに新しい血といいますか、外部からのそういう目を入れることによって、今までみたいな内部だけで気づかなかったことを気づかせてもらう、そういうような試みもする必要がありますので、そういうようなことでやりたいと思っております。

 今度、十九年度の概算要求にそういうような建前というか方針でお願いしているところでございまして、今鋭意予算折衝をやっておりますが、まだこれから先、予算編成を経て予算を出すことになりますし、そのときに総務省と人事の面でも詰めていかなければなりませんので、今ここでそういうふうになります、なりましたというようなことを言うには至っておりませんけれども、その方針には変わりませんので、御期待にこたえていこうと思っております。

笹木委員 さらに確認をしたいんですが、外部からそうした新しい血を入れる、外部の目でチェックをしていただくということですが、そうした専門家の外部の方をトップに据えてやるということで間違いはないんでしょうか。

久間国務大臣 今はそういう人をトップに据えたいと思って私の立場としては考えております。

笹木委員 ぜひそのことをしっかりやっていただきたいと思います。

 それと、これもまた確認ですが、ちょうどあの報告書ができたころには、OBの自主返納についてということを施設庁長官が記者会見で発言をされていました。言ってみれば、それが六月から数カ月たったらいつの間にかうやむやになって、ホームページとかでの呼びかけ、印刷物での呼びかけを若干はやったけれども、それだけだ、それ以上の具体的な働きかけはやっていないということでした。そして、今現在では一人も自主返納についての申し出がないということでした。この状態は今も変わらないんでしょうか。

久間国務大臣 残念ながら、それは変わりません。一つには、自主返納をトップを切ってやるというのはなかなかできないのかもしれません、自主返納すれば何か悪いことをしたかのような、そういうことになりますので。

 私は、自主返納をしてもらいたいというのは、そうではなくて、歴代のそういう人がかかわっていたんだから、何らかの形で誠意を示してもらいたいということで呼びかけたんだと思うんですけれども、だれもないときにやりますと、自分がわかって悪いことをしたかのような印象を与えることも何か気にしているんじゃないかなと思いますから、自主返納という形じゃない何かの形で誠意を示す方法はないのかな、そこにまた知恵を絞らないとちょっと難しいのかなという思いもいたしております。

笹木委員 何かほかの方法はないのかなと言われますが、自治体ではこういうことはざらにあるわけですね。自主返納すると、決して逮捕されているわけでもないし、あるいは公正取引委員会に正式に告発をされたということでもありません。そういう方々が退職金の一部とかそういう形で持ち寄って、そして気持ちだけでもしっかりと返そうということで、日本全国の幾つかの、例えばこういった談合があった自治体についてはやっている。私の地元でも実際にそういうことがありました。岐阜でもやっております。

 これもまた確認をさせていただきたいんですが、どうして地方にできて国にはできないのか、政府にはできないのか、不思議でなりません。それに応じたからといって、それで悪いことをした、そういうふうに何も短絡的に結びつけるということじゃないんですから、ほかの地域でもそういう例は幾らでもあるんですから、ぜひそのことは、何かいい知恵がないかといつまでも言っておられるんじゃなくて、すぐ取り組んでいただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。

久間国務大臣 地方の場合は、そこに住んでおりますから、みんな住民の皆さんとの関係があって、自分は何もしていないけれどもやはりここは誠意を示しておかないといづらい、逆にそういうのがありまして、市町村あるいは県の場合は、そういうのに応じないと逆に何かまずいような感じがして、みんなが出すときには率先して出すという空気があるわけですけれども、そこが若干違うんじゃないかなと思うんです。だから、やはり匿名か何かの形でやらないと、名前を出しての形というのはなかなか難しいんじゃないかというふうに私は思います。

 それは、もし先生がその立場におられて、地方におられたら率先する、国の場合だったらどうするかというと、自分は悪いことをやっていないけれども応じた、おれ一人だったという形になったときに、逆にどういうふうな心境になるのか。なかなかその立場になってみると難しいような気がするんですよ。

 だから、やはり匿名か何かで、出しやすいような方法とか何かを考えてやらないと、出そうかなと思った人でも出しにくいんじゃないかなという気もしますので、ここはやはり、この問題、何か方法はないのかな、この間から言っておりますように、一工夫が要るんじゃないかなと思っておるわけであります。

笹木委員 しつこいようですが、ぜひ工夫、具体的に今匿名ということで、あるいは全体に呼びかけてOBの会として処理をしていただくとか、いろいろな方法は幾らでもあると思うんですが、ぜひ呼びかけを急いでやって、常に思うんですが、どうして国民の生命と財産を守るという崇高な職務に当たっている方々が、結局こうした事件が起きると、一般社会、あるいは一般社会よりもおかしいんじゃないか、そういうような結果になるのか。

 ここは長官、非常にいつも上手に、うまい言い方で役人の方をお守りになるんですが、ここはやはりしっかりと、やったよということを見せてこそ、名前も実も、名実ともによくなるんだなと期待も高まると思うんですが、最後にぜひ、呼びかけを具体的にして、早くそのことに取り組んでいただきたいということで、もう一度お答えをいただきたいと思います。

久間国務大臣 何かの形で呼びかけを、今ちょっと言われましたが、OBの会でもいいんじゃないかと言われたので、そういうことでも何か考えてやってみようと思っております。

笹木委員 ぜひお願いしたいと思います。

 ちょっと話をかえますが、北朝鮮の核実験の報告が中国経由で、内閣官房ですか、最初にもたらされました。ここでの質疑でも話題になったわけですが、あのときに、内閣官房には外務省経由で連絡が来た。しかし、内閣官房には来たけれども、防衛庁に対してはそれから非常に遅かった。一時間ぐらいずれがありましたか、こうしたことがあったわけです。

 お尋ねをしたいんですが、防衛駐在官制度とはどのような制度であるんでしょうか。

久間国務大臣 防衛駐在官というのは、防衛庁の自衛隊の制服の人間が外務省の方に出向して、自衛官という身分から外務事務官になるけれども、自衛官の呼称を使っていいという形で、大使の管轄下においてその指揮命令を受けながら仕事をする、その一環としていろいろな情報収集等も行う、そういうことがあると思いますけれども、そういうような役割であります。もう行った瞬間から大使のもとでその指揮下に入っている、そういうような制度でございます。

笹木委員 それで、この防衛駐在官に関する覚書について、平成十五年五月七日ですか、外務省は、両省庁間の合意に基づき、防衛駐在官が起案する防衛情報を防衛庁に自動的かつ確実に伝達するというふうにあります。これは外務省経由で防衛庁に自動的かつ確実に伝達すると書いてあるわけですが、覚書、平成十五年五月にわざわざこういうふうに書いてあるわけですが、実際、現状としては、それまでも自動的かつ確実に伝達するということができない状況がかなりあったんでしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 防衛駐在官の得た情報につきましては、外務省経由で防衛庁に基本的には当時も来ておりましたけれども、なかなか、事務的な問題で停滞したり漏れたりということがございました。そういうことを自動的かつ確実に伝達するということで、平成十五年の覚書では確認したところでございます。

笹木委員 例えば、中国の日本大使館には防衛駐在官は何人おられるんですか。

大古政府参考人 中国大使館は、三人の防衛駐在官が駐在しております。

笹木委員 これは先ほどお聞きをしましたが、例えば北朝鮮のミサイル発射事案の際あるいは核実験が行われた、そういった情報、これは、防衛駐在官から外務省を経由して防衛庁に何らかの防衛情報が自動的かつ確実に伝達はされたんでしょうか。

大古政府参考人 個別の事例に即して防衛駐在官から外務省経由で防衛庁にどういうふうな情報が来たかというところについては、具体的なことはこの場でお答えを差し控えたいと思いますけれども、この覚書の作成後、自動的かつ確実に伝達されているということで御理解いただきたいと思います。

笹木委員 いや、やはりいろいろ問題があるんでしょう。自動的かつ確実に伝達されないという現状があるんじゃないですか。

 こうした制度をとっているのはどういう理由で、どういう歴史的経緯でこうした制度になっているんでしょうか。

久間国務大臣 外交で二元外交になってはいけないというようなことから、覚書のところ、ここにも書いてあります、防衛駐在官が起案する防衛情報についてはとなっておりますから、起案する情報をとにかく、やはり外務省にちゃんと上がる、そしてそのかわり外務省もそれを防衛庁に伝える、そういうようなことになっておるわけでありまして、先ほどの先生が言われたものは、多分起案を防衛駐在官はしていないんだと思います。今ああいうふうに言いましたけれども、実際、そこがそういうような起案じゃないんじゃないかと思いますので、そこはその覚書に基づいて云々ではないんじゃないかと私は思います。あれは、違う情報が即座にもちろん北京経由で入ってきているんだろうと思いますので、防衛駐在官が起案した防衛情報ではないんじゃないかと思っております。

笹木委員 もう一度お尋ねをしますが、こういった制度がどういう経緯で、どういう理由で、歴史的な経緯でつくられたんでしょうか。直接防衛庁に連絡ができないという制度ですね。

久間国務大臣 各在外公館でも、相手の国の軍隊といろいろ接するときにはやはりこちらの制服の方が情報を得やすい、そういう経験から、制服組を外務省のそういう官署に置いてもらいたいという話はありました。

 しかしながら、それが防衛庁からの出向者として防衛庁の指揮命令といいますか、そういう管轄下でやりますと二元外交になってしまうというようなことから、やはりそれはおかしいということで、外務省と防衛庁の間で、やはり外務省の事務官としてそこはきちんとその隷下に入る、そういうことであるべきだというようなこと。そうすると、しかしながら、防衛庁が知らないままに外務省だけに行ってしまうということになってしまったならばそれもまた困るんじゃないかというようなことから、一応、外務省に入ると同時に、外務省から防衛庁に直ちに連絡をするということで、二元外交をしない、そういうようなことから今みたいな方策がとられたんだというふうに理解しております。

笹木委員 これは、今御説明のありましたように、防衛庁とも直接の通信は行わない、そして独自の暗号も使用しないということですよね。

 ほかの国ではどうなんでしょうか。

久間国務大臣 他国のことはつまびらかではございませんが、他国では、そのまま防衛駐在官が例えば国防省の傘下で動いている、そういう国はあろうかと思います。我が国みたいにそこを非常に厳格に一元化している国というのはむしろ少ないんじゃないかなと思いますけれども、その辺はまた事務方にちょっと答弁させます。

大古政府参考人 お答えいたします。

 他国の武官制度につきましては、当然のことながら国によって違いがあるかと思いますけれども、一般的には、身分については軍人のまま、国防省の職員といいますか、そのまま他国に駐在するケースが多いと聞いております。それから通信につきましては、そこの国ごとに違うと思いますけれども、独自の通信手段を持っている国もあるというふうに承知しております。

 ただ、いずれにしましても、他国の駐在武官につきましては、その国の大使の指揮を受けるというのが一般的であるというふうに聞いております。

笹木委員 ここでもう一度長官にお伺いをしたいんですが、先ほど、非常に慎重な、枠をはめたような形になっているという、これはやはり歴史的な経緯もあってそうなっているんだと思います。しかし、現実的に、今長官もお話しになったように、そこに駐在している方が直接起案した情報について防衛庁に上げられない、これは現実的に不便なことはありませんか。

久間国務大臣 それはないと思います。

 一応自衛官の身分を呼称していいということにはなっておりますけれども、身分的には外務事務官になっておるわけでありますから、だから、そこで起案をして上司の決裁をもらうというのは外務省の職員の一人としてやっているわけですから、やはりそういう点では外務省に上げるのが筋でございます。それは、身分が防衛庁の職員であるならば別ですけれども、駐在武官で行った瞬間にもうそこは外務省の職員になってしまっておりますので、身分だけは、自衛官を名乗っていい、例えば一佐とか、あるいはまた将補なら将補とか、そういうのは名乗っていいことになっておりますけれども、身分は外務事務官ということになっておりますので、そこはやはり、私はそれほどの支障は生じていないと思っております。

笹木委員 例えば制服組同士勝手に連絡をさせないとか、いろいろなことを考えてこういう制度もできてきたのかもしれませんが、確かに戦中とかそうした時期においては、例えば朝鮮駐在の軍隊が独断で越境して満州に入る、陸軍大臣も首相も陛下におわびをしたのみだ、責任の追及も全くされなかった、制服組同士のいろいろな暴走もたくさんあったんだと思います。

 しかし、もう一度確認をしたいんですが、こうした、暗号で直接やりとりができない、直接防衛庁に対して連絡がとれない、今後ともそれが改善の必要はないというふうに長官は本当にお考えでしょうか。

久間国務大臣 連絡はとり合えるわけですけれども、特殊な暗号を使って防衛庁とだけ連絡をとり合う、あるいは制服同士で連絡をとり合う、そういうことはやはり今後ともやらないという方針で臨んでおりますから、やらないと思います。

笹木委員 また別の機会にこの問題については取り上げさせていただきたいと思います。

 それで、非核三原則についての集中審議ということなんですが、この委員会でも、あるいはほかの場所でも久間長官は何度か発言をされていますが、持ち込まないということについては、かすめる、三海里と十二海里ということで、かすめるということもあるんじゃないか、あるいは緊急時にそれは事後報告もあるでしょうというような発言をされておりました。

 これ、もう一度ここで改めて、どういうふうにお考えになっているのか、持ち込ませないということについてですが、お考えをお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 持ち込むという表現そのものが非常に法令用語としてはあいまいな点がございまして、普通、法律上我が国に持ち込まないというときには、要するに税関を通過しないとか陸上に上がらないとか、そういうことでございまして、領海内をそのまま通過していく場合は、普通はそれは持ち込みという表現には当たらないわけであります。

 しかしながら、核の問題について議論したときには、領海も含めて、要するに我が国としては無害通航を認めない、事前協議を必ず受ける、受けたときにはノーと言う、そういう姿勢を、法律の形じゃなくて、それを口頭了解まで含めて交換公文等で言っているわけでございまして、そのときも、重要な変更については事前協議するということで、持ち込むとか持ち込まないとかいうのがその文章の中に入っているわけじゃございませんので、それでそこのところが非常にあいまいなわけでございます。そのために国会でも何度もその質疑が交わされて、そして、我が国の姿勢として、領海内を通過する場合も含めて、それは無害通航とは認めないというようなことが持ち込まないという表現になっておる。だから、領海の外だったらそこを通過してもそれは差し支えないということで、領海の外を通過しておるわけであります。

 ただ、私がかすめるという言い方をしたのは、昔は三海里の外はそういう形でかすめて動いておってよかったのが、我が国の法律で三海里が十二海里になったときに、調整をしないままやっているのが重要な事項の変更になっているのか、なっていないのか、そのときの国会の議論の中では余り詰められていないものですから、その後、政府は、十二海里も含めて、しませんとは言っているものの、アメリカとの関係ではやっていないのでよくわからないから、ああいうふうにかすめるという言い方をしたんだということを御説明したわけであります。

 しかし、その後、政府としては、十二海里の中についてはやはり無害通航と認めないということをたびたび国会で言っているから、やはりそれはそのとおりだと言いますので、アメリカも多分そうしているだろうというふうに思っているわけでございます。

 ただ、その後、戦術核については、いわゆる戦略核以外のものについては、我が国の近海ではもうとにかく海上にほとんどないという現実でございますから、余り神経質にみんながなっていないんだろうなと思いますけれども、法令の用語としては非常に詰まっていない点があるんじゃないかなという危惧を私自身は持っております。

笹木委員 今御説明いただきましたが、アメリカからの事前協議というのは今まで一回もないわけですよね。逆に、こちら、日本の方から、どうも何か持ち込んでいるような可能性もあるんじゃないかということで、そうした確認というか問い合わせはどのぐらいされているんでしょうか。

麻生国務大臣 事前協議のいわゆる対象となる核の持ち込みの話だと存じますので。

 日本の立場というのは、もうこれは、過去四十六年になりましょうか、米国に対してたびたびもうずっと言い続けてきたところでもありますので、米側も十分に理解をしておる、私どもはそう思っております。

 今おっしゃいましたように、向こう側からの事前協議があったことはこれまでもありませんし、そういった事前協議をするような状況に、いわゆる日米安保条約という名の抑止力というものの効果があって事前協議をするような必要がなかったということだと存じておりますので、また日本政府といたしましては、安保条約上対日義務というのは確実に履行されておると思っておりますので、日本側から、日本の意思に反して行動しないことにつきましては向こう側からたびたび話が来ておるところでもありますので、これを表明いたしておるところであります。

笹木委員 また長官にお聞きしますが、先ほどからお話を聞いているとおり、かすめるというのは何度か発言をされていますが、そういうことは日常的にもあり得るのかなと思っておられる、これがやはり長官の認識なのかな、これは率直にそういう感想を持ちました。

 長官は、今まで長官になられている期間の間に、逆にこちらからアメリカに対して、そういう、領海内を、あるいはかすめているような状態で持ち込んでいることがあるのかと問い合わせをされたことは一回かありますか。

久間国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、九〇年代になりましてからは、とにかく、戦略核を積んだ船が我が国の近くをうろうろするということは、そういう必要はないわけであります。戦術核だったらとにかくいろいろなところに行かなければなりませんけれども、戦略核というのは遠くから撃つ核弾頭でございますから、近くから撃つということはまず考えられないんですね。だから、先生みたいに具体的に言われますと、実際はないということを言わざるを得ないんですけれども、核抑止力という意味からいきますと、さもうろうろしているかのような印象をある意味では与えることも必要なわけで、いろいろなふうにとられるようにあえて答弁しているわけでございますけれども。

 九〇年代以降はまず戦略核しか持っていないわけですから、トライデントみたいな、そういうことしかないわけでありますので、まずとにかく我が国の近くでうろうろするということは考えられないので、そういう問い合わせもしておりません。

笹木委員 このことについてはもうこれ以上はやりませんが、結局、この国会でどんなことでも議論しちゃいけないなんて思いませんし、久間長官の何度かの発言を聞いていて、非核三原則の中の持ち込ませず、このことについては、時代の変化の中でもう一回定義づけが必要だ、そう思われているんじゃないですか。それはそれで堂々と委員会で発言をしていけば、表現にはいろいろ注意をされるんでしょうが、それはそれでよろしいんじゃないですか。

久間国務大臣 今までの政府の姿勢を変える必要はないと私は思います。持ち込ませずという姿勢で、先ほど言いましたように、持ち込むような、そういう状況にすら現実にはないわけでありますから、三原則をそのまま堅持していいと私は思うんです。

 ただ、先ほどから言いますように、核がどこにあるかわからないということが一番核抑止になるわけでありますから、そこのところはやはり大所高所から、その辺のことについては御理解賜りたいと思うわけであります。

笹木委員 次は、麻生大臣にお聞きをしたいんです。

 麻生大臣は何度かの発言の中で、佐藤内閣のときにどうして核を持たないことになったのかもう一度議論すべき、具体的にどういう、環境とか時代のことを言われるんですかね、どういう議論があって核を持たないことになった、これをしっかりと勉強することが必要だ、そういう御発言もされています。

 大臣は、どういう環境とか時代の中で核を持たないことになったと認識をされておられますか。

麻生国務大臣 沖縄返還まではたしか二原則だったと記憶をいたしますが、昭和四十三年に多分三原則という形になっていった、正確な年数はちょっとずれているかもしれませんけれども、それが基本だったと思っております。それが最終的には、あれは佐藤内閣から、三木内閣に変わったか、三木外務大臣だったか、その辺だったと記憶をいたしますが、そういった経緯というのがあります。それまで基本的には持たず、つくらずというところだったのが当時の議論だったと思います。ただ、あれは沖縄返還に関連してその種の話が出てきたという経緯があるんだと思います。

 いずれにいたしましても、国の安全保障の考え方というのはその時代時代によって随分違うと思っておりますので、それは各国皆同じような、国際情勢に合わせて国民的議論があり得ると思っております。

 ただ、日本の場合は、御存じのように、歴代の内閣が累次にわたってこの三原則、今久間長官からお話があった持たず、つくらず、持ち込ませずというのをずっとこれまで言い続けてきておられるところでもありますので、これを堅持しているということに関しましては、現状全く変わっておりません。

 加えて、日本の場合は、原子力基本法という法律がありまして、平和利用しかできないという法律もつくられておりますし、それから、国際条約としては、NPT、核拡散防止条約というのがございます。その条約にも入っておりますので、その条約に違反するということになりますと、これまた全然別の次元の話が喚起されるということだと思いますので、私どもとしては、今現状として、この法律、規則、また原則等々、三つのものから見て、日本が核兵器を保有するというようなことではないことはもうはっきりしておるということをたびたび申し上げておるところでもあります。

笹木委員 核保有論議を封殺するべきではないというふうに大臣は言われています。当然、非核三原則についても、その議論はあっていいということになりますよね。しかし、大臣御自身は、今言った、きょうは長官に、持ち込ませないということについて質疑をしましたが、非核三原則そのものについても、見直す必要はない、時代の流れの中でも見直す必要は一切ない、そう考えておられますか。

麻生国務大臣 私は、この非核三原則の議論をもう一回やられた結果、やはり日本はつくらない方がいいという結論になり得る確率が一番高いと思っております。

笹木委員 絶対にそういうことを考えないわけじゃなくて、御自身も、具体的に詰めて考えていく、時代の中でどうなのかということを検討していく、そういうことですね。

麻生国務大臣 昔から言われているから何となくオウム返しにそのままというのは、時代に合っているか合っていないかというのを考えねばならぬ立場におりますので、そういったものの議論を全く封殺して、全く外界を見ないようにして、とにかくうちはこれですからと言うだけで通用するであろうかという話になりますと、私どもとしては、いろいろな国際情勢を考えた上で物を判断せねばならぬ、もって国民の安全とか安心とかいうものを確立しなきゃならぬ立場におりますので、そういった意味においては、きちんとそういったものを、今の状況を、ただただ昔からだからというのではなくて、きちんと勉強した上でその結論に達するという努力が必要だ、私はそう思っております。

笹木委員 余り時間がないのでこの辺にしますが、そうであれば、きょうも、集中審議ということで他の委員もこの問題についていろいろ質問をさせていただくと思いますが、ぜひ、どこかの国を意識して発言されるにしても、断片的な、こんなことを言っちゃ失礼ですが、軽口的にお話しになられるんじゃなくて、正式に委員会の場で堂々と、どういうふうに時代の中で見直しが必要なのか、検討が必要なのかということを述べていかれるのが一番いいんじゃないか、そういうふうに思っております。

 余り時間がないのですが、最後に、今、核保有議論、論議もありましたが、北朝鮮のミサイル発射、そしてその後に核実験があって、私も、いろいろな方々、一般の方々から、不安だというような御意見とかお考えを聞く機会がありました。もちろん、北朝鮮が小型核というのにはまだ少し余裕があるかもしれないとかそういう問題はありますが、一般国民にとって一番関心があるのは、一番せっぱ詰まった意見というのは、最悪、そうした危機というか暴発があった場合に自分は生き残れるかどうか、やはりそれに尽きると思います。

 そういうことで考えて、本気で国民の生命を守るという視点でこの危機状況を突き詰めて考えていった場合に、やはりあわせて議論しないといけないのは核シェルター、こういった問題もしっかりと議論をするべきだと思います。スイスですとかオーストリアとか、いろいろな国がやっております。行政が七〇%ぐらい補助を出して、地下室、こういうようなものを整備する、そうしたこともずっとやってきたわけです。最近始めた国もありますが。

 国民保護法制の観点から、これは内閣府になるんですか官房になるんですか、例えば核による攻撃を受けた場合の国民の避難訓練とか、そうしたことはいろいろやったり、あるいはマニュアルができていると聞いていますが、こうしたことについて検討されたときはありますか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 政府としては、国、地方公共団体が国民保護措置を円滑に実施することができるようにするため、国民保護計画の作成や見直し、訓練の実施、情報通信手段の整備等を推進しているところでございます。

 核攻撃の際には国民を地下施設等に避難させることとしておりますが、このような地下施設等を確保するため、国民の保護に関する基本方針においては、都道府県知事等が避難施設を指定する際には、コンクリートづくりの堅牢な建築物や地下街、地下駅舎をできるだけ多く指定するよう留意することとしております。

 このような基本方針の規定を踏まえ、現在、各都道府県において避難施設の指定が進められているところでございます。

笹木委員 あわせて、新築とか改築の場合、そこに若干の補助ということも考えて、核シェルター的な地下室、こうしたものを検討することが必要だと思います。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 それと、最後に、何か気分が重たいんですが、ちょっと前の質問でも機密情報流出の問題を取り上げました。またきょう出ているんですよね、きょうまた、採決するという日に。ぜひ、一言で結構です、今までにも再発防止と何回も言っている、どうしてまたなるのか。私用のパソコンを全部なくせない、急に配れない、いろいろな理屈で、へ理屈を言われますが、これはパソコンだけじゃありません。文書だって流出しています。これは一体どうなっているんでしょうか、長官。

久間国務大臣 本当にこれは困ったものであります。私用のパソコンを使っておった、そのフロッピーディスクから業務用のものは全部消してしまうように言って、本人も消しましたと言っていたのがそれに残っておった、それを音楽を聞きたいためにつないだところが、ウィニーからそれが流出したというわけですね。

 本当に、私は余りパソコンのことは詳しく知らないのであれですけれども、今まで過去に使っておった私物用のパソコンから、そういうディスクに業務用のものが入っている部分をどういう形で徹底して消せるのか。

 これは先ほども言ったんですけれども、毎月、消したか、消したかとしつこく言いながら、消しました、本当に消したかというような調子で、今度もこういうことで流出しているぞ、流出したら今度はもう懲戒免職になるぞ、懲戒処分になるぞとか、そういう形でしつこく言って本人に何回も確認させていく以外に、過去のものについての徹底はなかなか難しいのかなと思って、私は自分がパソコンを、余りそんなことをやらないだけに、本当に頭の痛い問題でございますが、これはまた調査した上で、ほかにもないのかどうかもう一回、一回といわず、しつこいぐらいに徹底していこうと思います。それしかないと思います。

笹木委員 もう終わります。

 しかし、よほどの組織の抜本改革が必要なんだろう、何度もお話ししていますが。それと、名実ともに防衛省が立派なものになるかどうかは国会の責任も重いんだなと改めて実感をします。

 終わります。

木村委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 いよいよ防衛庁の省昇格、衆議院の委員会審議はもうこれが最後の機会になりました。創設以来五十四年ぶりに国防の任にある官庁の国家機構における位置づけが変わる、大変重要な、私は歴史的な委員会審議だというふうに思っておりますし、きょう、たまたまといいますか、与野党の理事の皆さんの御努力で、非核三原則等ということで、外務大臣もお見えになって、つまりは、国家安全保障を担当するお二人の大臣が臨席している中でこの防衛庁の省昇格の最後の衆議院の質疑を行うということで、私も緊張しておりますが、質問させていただきたいというふうに思います。

 そこで、今最後に笹木委員が触れた問題に冒頭に触れざるを得ません。

 これは党内事情と言われるかもしれませんが、私たちも、我が党の中には、防衛庁の省昇格は時期尚早だ、いろいろな不祥事が出ているじゃないか、談合事件の結論も総括もきちんとなされていない、情報流出事案も続出をしている、薬物の事案もある、こういう官庁で本当に省たるにふさわしいのか、こういう議論を相当党内でやりました。慎重派の人たちは、もうきのうの最後まで慎重論を譲らなかった。

 そういう中で、私たちも、本当にいろいろな心配があるけれども、省へ昇格した上でそういうことの綱紀粛正もきちんとやらなきゃいけないということでこれから採決に臨むわけですけれども、その採決の朝に、まさに水をぶっかけられるようなこういうニュースが飛び込んでくる。本当に私は憤っておりますが、皆さんもそういう意味では同じような思いなんだろうというふうに思うんです。

 これは先ほど防衛庁長官も御答弁なさいましたけれども、徹底した再発防止策を講じた後にこういう問題が、しかも同じパターンで繰り返された。違うパターンならまた話は別ですよ。しかし、同じようにウィニーにこういう形でつかまって流出してしまった。

 しかも、今回、より深刻なのは、これは新聞報道ですから、もし違っていれば訂正をしていただきたいんですけれども、イラクに展開する米軍の人員配置、そのほか物資の保管状況に関する情報、これは皆さん、私たちも、イラク特措法の議論なんかで、この国会の委員会でいろいろ質問しても、いや、それは多国籍軍の問題にかかわっておりますので情報は申し上げることはできません、アメリカ軍にかかわりますので、オランダ軍にかかわりますのでということで、委員会の審議ではほとんど情報が出てこなかった。しかし、こういう形で一般に情報が流出する。

 まず、この多国籍軍にかかわる情報が出ていたのか出ていないのか、この事実関係が一点と、それから、再発防止策を徹底したにもかかわらずこういうことになった、今後の皆さんの対策、再発防止策が本当に国民の皆さんにとって信頼できるものなのか、この点について御答弁いただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 情報の個々、どういうものであったかということにつきましては、従来から、この手の事案が生じましたときに、非常にマニアという方々がおられまして、情報の漏えいというのがわかった段階である程度、非常にマニアックな方がアクセスをして、情報漏えいの範囲が拡大をするということがございますので、その個別具体的な情報の内容については確認を控えさせていただいているというところでございまして、今回も同様でございます。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

長島(昭)委員 いや、全然答弁になっていないです。これは新聞に出ているんですよ。

 では、これは何の情報に基づいて新聞に出ているんですか。我々の委員会での審議は、新聞の情報以下の情報のやりとりでは成り立ちませんよ。もう一度お答えください。

山崎政府参考人 ただいまお答えをいたしましたように、御理解をいただきたいのでございますが、個々の具体的な情報の内容について言及をするということ自体が、そういう情報を収集している方にとっては、非常にそういう活動をかえって刺激して情報漏えいの範囲を拡大させるということがございますので、恐縮でございますが、情報の中身についての言及は差し控えさせていただきたいと思います。

長島(昭)委員 全く納得できないんです。

 防衛庁長官にぜひ御答弁いただきたいと思うんですが、これは国会の委員会のあり方の構造上の問題なのかもしれません。秘密会でもあれば、きちんとそういうところでやるというのが筋なのかもしれません。我々立法府としてそういう秘密会の制度の整備というのをしていかないと、本当に靴の外から足をかくような、そういう状況になる。しかし、本当に今の答弁、防衛庁長官、国民をばかにしていると思いませんか。もう少し適切にお願いします。

久間国務大臣 皆さん方にも御理解いただきたいんですけれども、私は先ほどからパソコンは詳しくないと言いましたが、こういうようなものは、あっ、そういうのが出ているのかという形でみんながあれすると、そこにばあっと殺到するわけですね。そして、どんどんどんどん何かないか、何かないかとやっていくので、それもまた関心が関心を呼んでいく格好になりまして、あっ、みんなが殺到しているからおれも探せというような、そういう形でやっていきます。

 そういう意味で、とにかく、こういうのがあったんだというような、さらっとしないと消えていかない、そういう問題が実はありまして、そこが非常に難しいんですね。だから、秘密会とか何かで、今流れているのはこの程度なんですよ、過去の分がこういう形で出ているんですよ、そういうことを本当は説明したいと思っても、それができない。

 この場合も、新聞は大げさに書いていますけれども、それほどのことでは実はない。本当に秘密の情報だったら、アメリカとも一生懸命やりとりをやりながら、どうやってこうするかということをしますけれども、それほどの大騒動にもなっていないという雰囲気の中で理解していただきたいと思うわけです。

 それを、今みたいな形で、もしここで、こういう内容でこうだったんだというふうな話になりますと、また大騒動になって、みんながわあっとネットに参加してくる、そういうことになる世界のようでございますので。私は、さっきから言いますように、ネットのあれは余り得意でないのでわかりませんが、物すごく、関心を持たれ始めると、今まで全く無関心だったのがなかなか消えない、そういうことになるようでございますので、どうぞひとつ御理解を賜りたいと思うわけであります。

長島(昭)委員 納得できるわけではありませんが、これは、庁だから、省だからという問題ともまた違うと思いますので、省に今後上がっていくわけですけれども、引き続き情報の問題というのは、これだけIT社会になりましたから、どの官庁も同じでありますけれども、しかし、軍事情報というのは人の生き死にに直接かかわる問題ですから、取り扱いについては本当に気をつけていただきたいと思います。

 また、国会での、情報の行政府と立法府のやりとりについては、また別途制度を本当に整備していかないと、国民の信頼にもたえられないし、国会によるシビリアンコントロールということにも実効性が上がらないので、ここは私たちの責任でこれから制度改革していきたいと思います。

 それでは、通告をした問題について質疑をしたいと思います。

 きょうは、せっかく外務大臣お見えですから、一つ、六カ国協議の話だけちょっと冒頭にお伺いしたいと思っています。

 けさの新聞によりますと、米朝中の三カ国の非公式協議が北京で行われて、進展なく協議は終了した、北朝鮮はそこで話し合われたことを持ち帰って回答する、こういうことなんですが、実際今どういう状況になっているのか。

 六者に復帰するといきなり北朝鮮が言ったときは、意外と楽観的なムードが漂っていて、年内にも六者協議が再開するんじゃないか、こう言われていたわけです。前回の外務委員会での質疑で私も外務大臣に質問させていただきまして、これは、北朝鮮が追い込まれて六者協議に参加すると言ったのか、それとも余裕の姿勢で、いろいろな戦略的計算に基づいて復帰してきたのか、そこを見きわめる必要があるというふうに申し上げたのですけれども、どうも見ていると、また時間稼ぎをしているような、しかもまた条件闘争をしているような、これは明らかに、追い込まれて六者協議に復帰しようとしているのではなくて、彼らなりの計算に基づいてやっているようなんですけれども。

 これ以上私たちが振り回される必要が本当にあるのかどうか、これも含めて、今回の非公式協議の結果についての外務大臣の御評価を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 けさ、金桂冠が帰国をしておりますし、ヒル国務次官補も、それぞれ本国に帰国をいたしております。

 今現状として、具体的に六者会合の日程がいついつまでにという話が決まったわけではありません。ただ、長島先生もう御存じのように、私どもは、この六者協議がいつ開かれるより、六者会合の中身の方が最大の問題でして、あした開かれても、その内容が何もないのでは何の意味もありませんので、これは、協議をすることが意味があるのではなくて、協議の果実、内容が何を得られるかが最大の問題だと思っております。

 したがって、今回の会合の中で、アメリカ側というのは、アメリカ、中国、日本、韓国、いろいろ打ち合わせた上で、五者の内容として、これが六者協議に復帰するときの条件というのに対して、向こう側は、核保有国としての認知を等々いろいろな話があっておりますので、最初から立場なり話が合っているわけではありません。したがって、そこのところの開きがあるというのは、最初から予想のついたところであります。

 ただ、今回の場合は、国連決議の一七一八やら、また六者協議に基づく決定というのがありますので、日本は、それプラス、万景峰以下、輸出入の、いわゆるこっちに対して、物の輸入の禁止、人の出入りの禁止等々、禁じております。また、その他の国々もいろいろな制裁に参加をしておりますので、その枠は今までと違ってどんどんどんどん締まっていくのであって、ただ現状が、今までの間で、向こうがそれで時間稼ぎをするのとその枠が締まってくるのとの間の、どちらの方がより効果が大きいかというところはなかなかはかりがたいところですが、極めて厳しい状況になりつつあるのは先方も同じと思っております。

 したがって、私どもは、いついつまでに開くより、状況がかなり厳しくなってきたと思って分析をいたしておりますので、その効果が、より効果をさらに高らしめるというところが大事だろうと思っておりますので、ここはちょっと辛抱強くいかないかぬところかなとは思っております。

長島(昭)委員 確かに、六者協議はゴールではない、そこから北の核の放棄をどうやって結論づけるかということに尽きるんだろうと思うんです。

 そこで、一点確認をさせていただきたいんですけれども、私どもは、北朝鮮は六者協議に核保有国でない立場で復帰しろということを言っていて、アメリカはそれについては何も取引をしないということだというふうに理解をしていたんですが、これも新聞報道ですから、もし間違っていたら訂正をしていただきたいんですけれども、ヒル国務次官補が北朝鮮側に対して、寧辺の原子炉の核施設の凍結、IAEAの査察官の受け入れ、それから核兵器と核物質を含む核関連プログラムの誠実な申告を要求した。そして北朝鮮側は、いやいや、その前に米国が敵視政策をやめるのが筋だろう、その敵視政策というのは金融制裁あるいは国連の制裁、あるいは、もう少し善意な、核放棄の見返りのエネルギー支援など、こういうものを要求した。

 こういう話は六カ国協議の中でやるのかと思っていたんですが、どうもこの非公式協議の中でこういう話をしている。ということは、六者協議に復帰する前にこういう取引をして、ある程度道筋をつけてから北朝鮮を六カ国協議に引き戻そうとしているのか。ちょっと私も認識がどっちなのかわからなくなったのですけれども、現状、どういう状況なのか、御説明いただけますか。

麻生国務大臣 そもそも北朝鮮の場合は、アメリカと直接交渉をしたいというのが本来の希望であります。それに対してアメリカは、過去、直接交渉したことがありますが、その結果、簡単に言えばアメリカはだまされたという意識だと存じます。これは、マデレーン・オルブライトの時代、カーターの時代、いずれもそういう結果を生んでおります、クリントンの時代を含めて、クリントンの時代にそういう記憶がありますので。したがって、それは断固避けたい。六者協議の中で二者でやるというならともかくもという話になっておるというのが、そもそも話が違ってきておると思っております。

 間に立っております中国が、中国を間に入れたところで、米中朝で非公式にという話をやったのが今回交渉になっている、いろいろな経緯がその背景にある。もちろん、そういうことをやることに対しては、韓国も日本もある程度知った上での話で話が進んでおりますので、今言われたように、今三者で、いろいろ挟んで、バイでやるとだまされるため、必ず一人そこに証人が立ってという形での話が今行われつつあるところだというぐあいに理解をしておりますので、六者協議に至るということは、ある程度こちらの条件、すなわちIAEAの査察等々を認めるとか、核保有国としてはこちらが認めていないということを認める等々の条件というものを踏んだ上で出てくる形になろうというような感じがいたしております。

長島(昭)委員 米朝バイだとだまされてしまうから、もう一つ入れると。しかし、中国はアメリカ寄りというよりは北朝鮮寄りですから、二対一にならないことを祈るばかりなんですけれども。

 いずれにしても、日本側の主張はぜひ外務大臣の方から他の五カ国にきちんと伝えて、日本だけまた置き去りにならないような、そういう方策をぜひ模索していただきたいと思います。

 それから、通告いたしましたMD、ミサイルディフェンスについて、きょうは官房副長官もお見えいただいているので、これも確認をさせていただきたいと思います。

 前回の安保委員会の質疑で私も質問させていただいて、前田委員も質問させていただきましたが、事の発端は、ワシントン・ポストに対する総理のインタビュー記事の中で、米国向けの可能性があるミサイルについて、ミサイルディフェンスで撃ち落とすことが集団的自衛権に当たってできないのかどうかも研究しなければならないというふうに言及されたことが発端になって、そして、塩崎官房長官がその問題について記者会見で問われて、〇三年の十二月十九日に発表された福田官房長官の談話、第三国の防衛のために日本の配備するミサイルディフェンスが用いられることはない、だから集団的自衛権の問題は生じませんといった談話との整合性について問われて、それを含めて議論しようと首相はおっしゃっているのだろう、鋭意議論していこうということだということなんです。

 一点、質問は、それが技術的に可能な話であれば、もちろん、集団的自衛権をめぐる政府解釈の見直しも含めて、同盟国関係を強化するために検討していこうというのは、私はある意味で筋の通った議論だと思うんですね。しかし、防衛庁長官に何度私が食い下がって伺っても、技術的なそういう可能性は非常に薄いと。防衛庁長官は記者会見で、塩崎官房長官の発言について、どのようなことを想定しているのか意味がよくわからない、こうおっしゃっているんですね。

 きょうは、官房長官御自身ではないんですけれども、官房副長官のお立場で、意味がよくわからないと防衛庁長官に指摘されている、その点についてぜひ説明をしていただきたいと思います。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 まず、安倍総理が述べられているのは、政府としては、これまでの憲法解釈や国会における議論の積み重ねを十分に尊重しつつ、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘いといった国際情勢の変化や武器技術の進歩、我が国の国際貢献に対する期待の高まりなどを踏まえて、日米同盟がより効果的に機能し、平和が維持されるようにするために、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し、よく研究してまいりたいというふうに述べたものでございまして、塩崎官房長官はこのような立場から、米国に向かうかもしれない弾道ミサイルを我が国のBMDシステムで迎撃する場合についても、今後議論していくことになろうとの考えを述べられました。

 これは、一つの個別具体的な例としての研究ということでの、ある意味では理論的な考え方にのっとったものでございますし、また、武器技術の進歩という観点から、そういう理論というのは議論上も成り立つのではないかというふうに理解をしております。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

長島(昭)委員 官房副長官、失礼ですが、防衛庁長官とこのことについてお話しされたことはありますか。

下村内閣官房副長官 直接お話し申し上げたことはございませんが、長官の発言は理解をしているというふうに思っております。

長島(昭)委員 長官の発言というのは、技術的に難しいという発言ですね。

 では、技術的に難しい話を、何で今から論理的な研究をしなきゃならないんですか。その必然性、必要性をお答えください。

下村内閣官房副長官 現時点での技術の問題と、また技術開発、発展というのはあり得ると思いますし、理論上は、議論することについては問題ないのではないかと思います。

長島(昭)委員 議論をする必然性の話をしているんですよ。

 私は、断っておきますけれども、こういう集団的自衛権の解釈の見直しについてはぜひやるべきだと思っています。事例研究で、MDがある、周辺事態における協力もある、いろいろな分野があるということはよくわかっています。ですから、なるほどな、そういうラインで研究を始めるんだなというふうに最初は思ったんです。

 ところが、防衛庁長官に伺うと、今、日米の間で共同研究をしている、そういう技術研究をして、そして開発段階に入っている。それが九年たっても、防衛庁長官の御説明によると、例えば日本海にイージス艦を浮かべて、そしてアメリカ向けの弾道ミサイルが発射された後、ミッドコースでこれをとらえて迎撃することは技術的に、ミサイルを追っかけていくような話だから難しい、こういうふうにおっしゃっているんですよ。

 そうすると、政府が今研究を論理的にしようとされる、そしてアメリカ向けの弾道ミサイルを撃ち落とすことが日本でも可能だという、その想定されているミサイルディフェンスというのは、どういうミサイルディフェンスなんですか。

下村内閣官房副長官 基本的に、塩崎官房長官が記者会見で発言されたことにおいても、技術発展という前提の中でのお話であるというふうに理解をしております。

長島(昭)委員 その技術発展にも限界があるわけですよ。人間が自動車より速く走れと言われても無理でしょう。それと同じで、どんなに技術を開発しても、論理的に難しい、科学的に難しいことはできないんですね。不可能なんですよ。

 そういう不可能なことを研究の対象にするというのは、さっきの軽口という話もありましたけれども、何か勇ましいことを盛んに並べ立てて、さもできるかのように言うというのは、これは防衛庁長官、他国から見たら多少誤解を生ずる話になりますよね。長官、ぜひ答えてください。

久間国務大臣 日本に今配置しようとしておりますミサイル防衛システムでは、これは難しい。将来、技術的に高高度の迎撃ができるようなことになりましても、今言うように、日本海に置いておいたもので追っかけるというのは難しい。しかし、例えば日本のイージス艦がたまたま太平洋のハワイ近くにおって、そっちに行っているぞということでやったら、それは可能といえば可能ですよ、そういう技術が進めば。

 そういう意味で、集団的自衛権の範囲をいろいろ議論するときには、こちらからのものをそういうふうに、自分の情報を自分の国のイージス艦に教えてそこで迎撃して、アメリカの手をかりなくて途中で太平洋上で落とすということは可能ですけれども、ミサイル防衛システムというのは大体迎え撃つというシステムですから、追っかけて撃つというようなことはまず考えられないわけであります。

 だから、そういうことも踏まえた上で議論すること自体は構いませんが、それだと、こっちから自分の船で撃つよりも、情報を提供してアメリカが構えている船で撃つ方が現実的ですから、そういうことも踏まえながら、やはり議論を舞台に上げるなら上げてもらいたいという思いもございます。いずれにしましても、議論の種としては、それはあり得るとは思いますけれども。

長島(昭)委員 官邸に帰られたら、今の防衛庁長官の見解をぜひ伝えていただきたいと思うんです。

 というのは、前回、まさにこの委員会で防衛庁長官と質疑をして、日本海ではなくて西太平洋にイージス艦を展開したら、あるいは九年後、技術革新によって迎撃が可能かもしれないという話は出たんですよ。

 ですから、単に集団的自衛権の法律の解釈とかそういう話ではなくて、日米同盟関係というものを今後どういう戦略のもとで発展させていって、その中には、日本が、単に日本海にイージス艦を浮かべるだけではなくて、西太平洋でもアメリカ軍と一緒に活動していくような、そういうことも展望に入れた上でアメリカ向けのミサイルに対する日本の迎撃体制を整備していく、そのときに集団的自衛権の問題がどうなるか、こういう議論を展開していただかないと、言葉だけが先走って、非常にその形が見えてこない無責任な議論に聞こえるんです。ぜひそこは注意していただきたいというふうに思います。

 さて、きょうは最後の機会なので、本題といいますか、防衛庁の省昇格の問題に移りたいと思います、もう時間も限られているんですけれども。

 私が、前回の質疑の中で石破元長官が指摘をされた、石破委員の言葉をかりると、内幕一体、つまり、内局、背広の人たちと、幕、制服の自衛官と一体となって仕事ができるようなそういう環境をつくっていくべきではないか、現在の形がベストではない、これからの課題はそういうところにある、私も全く同感であります。

 何回か前の質疑の中でも少し触れさせていただきましたが、ことしの夏に、安全保障委員会として、前委員長の浜田委員と一緒にドイツに視察に行きました。そこでドイツの国防体制についてブリーフを受ける機会がありました。大変参考になりました。一つは、この内幕一体、そういう意味でも参考になりましたし、もう一つは、私たち民主党が一番気にしている、軍隊の海外任務について議会がどういうふうにコントロールしていくか、こういう問題でありまして、ここはひとつ紹介というか、私たちが学んできた知見を委員の皆さんに、せっかくの機会なので披瀝させていただきたいんです。

 ドイツ連邦軍というのは、みずから連邦議会のための軍隊というふうに銘打っているんですね。これは本当に私も、この一言は感動いたしました。冷戦後の海外派遣については、NATO域外への派遣については九四年の憲法裁判所の判決で合憲ということになりました。その後、コソボの爆撃までアメリカと一緒にドイツ軍はやったりしてきたんですけれども、そういう実績の積み重ねと同時に、制度的にもきちんとこれを議会でコントロールしていこうじゃないかということで、制度を、二〇〇五年、去年の二月に、議会関与法、そういう法律をつくって、武装した兵力が海外に派遣される場合には連邦議会に事前の承認を求める必要がある、事前の承認が必要になった、こういう法制度が確立したんですね。

 それで、法律ができて、ああよかったという話ではなくて、しかも、この法律に基づいてメカニズムができていますね。そういう議会承認、政治の意思決定あるいは軍を動かしていくメカニズムが非常に詳細に決まっていて、例えば一例を申し上げると、ドイツが関与するべき国際紛争が勃発した場合に、まず安全保障会議が招集されます。これは日本と同じような閣僚の安全保障会議。そして、官邸を中心に、国防省、外務省など政治レベルの意思決定のメカニズムがそこからスタートするわけですけれども、同時に、連邦軍総監のもとにある統合作戦司令部を中心に、その作戦に係る予算、人員の確保、派遣の期限、規模、そういうものの作戦計画が同時に練り上げられ始めるわけですね。そして、直ちに連邦議会の国防委員会及び外交委員会にこの議案が諮られるんです。そして、少なくとも三回の委員会審議を行うようになっておりまして、そして、その委員会の結果、連邦議会が承認をして初めて派遣命令が下される。非常に、意思決定のメカニズム、計画策定のメカニズムが同時に動きながら、最後に議会の承認という形で結実をする。例えばこの前のレバノンの国際部隊への連邦軍の派遣については、計画策定から議会承認まで四週間かかって、その四週間の中にちゃんと連邦議会での委員会質疑というのが行われて、情報公開もきちんとなされている。

 これは本当に、これから本来任務化されていく国際平和協力活動ですけれども、こういうメカニズムを行政府、立法府共同で、与野党なく私たちはこれからつくっていかなきゃいけないという、これが一点です。

 それから、もう一つ私がドイツで感動したのは、内幕一体なんです。

 このドイツの組織は、皆さんも御存じだと思いますけれども、日本と同じように、内局と連邦軍の総監部というのがあるんです。連邦軍総監部、ここがいわゆる軍令、内局が軍政、そういう形のすみ分けがなっているわけですけれども、内局には、人事・厚生・総務局、それから管理・インフラ・環境保護局、法務局、予算局、装備総局、これが内局なんです。ところが、連邦軍総監部に七つの局があって、第一局が人事・教育、第二局が軍事情報、第三局が防衛政策・軍備管理、第四局が兵たん、第五局が作戦、第六局が計画、第七局が組織・指揮支援、ここに制服とシビリアンの背広の人たちがまさにベストミックスで、この連邦総監部の今言ったような実質的な軍令にかかわる分野を共有して一緒に仕事をしているんですね。日本の場合はそういうふうにはまだなっていない。

 こういう状況をこれからどうやってつくっていくかという意味で、御質問申し上げたいのは、平成十六年に石破委員が防衛庁長官をなさっていたときに、いわゆる石破改革というのをやった。一昨日の石破委員の質問を聞いていると、なかなかその改革にはまだ納得しておられないようなところがあるので、私もちょっとそこをフォローアップしていきたいと思うんです。

 防衛白書を見ると、防衛庁長官を補佐する機関に内局と統幕、統幕はことしから統合運用が強化されましたので、内局と統幕が車の両輪だというような記述で書かれているんですね。この前の参考人のときの富井参考人の話でも、文官と武官が協同して共存していくためにこういうことが必要なんだ、こういうことなんですけれども、それに加えて、もう一つの補佐機関がありますね。これが防衛参事官という制度です。この三つの機関の分掌がちょっとあいまいなんです。

 法律を見るとよくわかるんですけれども、設置法の第九条に「防衛庁に、防衛参事官を置く。」これは内局の上に置くということですね。内局に超然とする形で防衛参事官というのを想定していますね。そして、その二条後の十一条の三項に、今度は内局の「官房長及び局長は、防衛参事官をもつて充てる。」というふうになっているんですね。

 この前の質疑で、たしか西川官房長がお答えをいただいたように、防衛参事官というのは専属的な所掌事務を持たずにフリーに長官を大所高所から補佐していく、だから必要なんだと。でも、所掌を持っているじゃないですか。官房長及び局長、四局あって四局長でしょう。この論理矛盾は甚だしいと思うんですよね。ここをどういうふうに説明されるんでしょうか。

久間国務大臣 防衛庁長官を補佐する者として防衛参事官を置くという形で、防衛庁長官を参事官で取り囲むような、そういうことでスタートしたわけであります。

 ところが、やはり組織ですから局がある、だから局長に参事官をもって充てるというふうになっておるわけですが、これは防衛参事官をもって補佐するというふうな、それをそのままやるのがいいのかどうかという問題と、それから、各局長を参事官をもって充てるという形で、制服は充てられないというふうに逆に読めるわけですよね。それがいいのかどうかというのを、私が前の長官のときに、特にあの当時は教育訓練局というのがあったんですよ、今は名前が大分変わりましたけれども、教育訓練局長は制服の方が、教育の実際の指揮者としてはいいんじゃないかと思ったんですけれども、参事官制度があって、しかも参事官をもって充てるという十一条があるためにできなかった。それを変えようと思うと、ほかの法律を一生懸命国会にお願いしているときに、そういうことはもう間に合わないので、結局あきらめた経緯があります。

 だから、これから先、防衛庁が省になった後に、戦後でき上がった今の組織がそのままでいいのかどうかを、議会も含めていろいろと検討してもらいたいなという思いはございます。

 そしてもう一つは、今までは、議会にかけますとなかなか、逆に混乱するものだから遠慮していた点もありますけれども、先ほど言われましたように、これはだれが政権をとろうとも、どちらがとろうとも、与党、野党関係なく、国防の問題というか、こういう安全の問題については、もう本当にそういうのを抜きにして、国益に何が合致するのか、そういう観点から本当に議論していただく必要があろうかと思うんです。

 そのとき一番困るのは、日本の場合は二院制で、衆議院だったらこうだけれども参議院だったら違うとか、そうなったときに、国会の承認といったら両方とらなきゃならないんですよ。ところが、政府というのは大体衆議院でもっているわけですね、衆議院が過半数をとれなかったら政府そのものが成り立たぬわけですから。政府がやらなきゃならぬと判断して、衆議院がよし、やるべきだとなったときでも、参議院で反対になったら何もできない。そういうところから、国会での承認というのがどうなのか。不承認を得たときはとなればいいと思いますけれども、そういう問題も含めて、これから先やはり議論を本当にしていただきたいなと思っております。

長島(昭)委員 元長官も現長官も、この制度については変える必要があるというふうに感じておられる。ほかの法案があるからエネルギーを割かれてしまう、これもよくわかりますが、次の課題は私はここだと思うんですね。

 しかも、九条と十一条がこうやって並列で書いてあるところを見ると、しかも「防衛参事官の定数は、政令で定める。」と。今は十から八になったんですね。八というのは非常に微妙な数字で、官房長がおられる、それから四局長がおられる、五ですね。残り三なんですね。残り三を陸海空で出したらどうですか。その方がよほどこの制度に合致した改定だと私は思いますが、いかがですか。

木村委員長 防衛庁西川長官官房長、時間が来ておりますので、簡潔に願います。

西川政府参考人 先ほど先生、その前の問題のところで論理矛盾的なところというお話がございましたけれども、そこのところ、いわゆる参事官として助言機能というのがございます。その場合には、自分の所掌を離れた形で言ってください、こういうことを我々は期待しているところで、まずはそういう趣旨でございます。

 現実に、例えば人事教育局長に、この間ちょっと言葉足らずで失礼しましたが、マンパワーの検討なんかを言っておりましたが、現在、防衛庁の人的側面についての抜本的改革に関する検討で、広くいろいろな分掌にわたるものを、いわゆる局長の域を超えたところの部分を参事官としての仕事としてやってもらう、そういう格好のものをやっておるところが一つございます。

 今先生御指摘の後段の方の、三つに分けてということの話でございますが、参事官につきましては、長官の指示によりまして、現在、例えば国際とかございますが、無任所で三名、そこは制服、これもちょっと別の議論がございますが、今は我々そういうことを考えず、今はITとかそういう格好の必要性を認めてやっておるところでございまして、直ちに変えるということでは今考えてはおりません。

木村委員長 長島昭久君、簡潔に願います。

長島(昭)委員 これは法律ですから、私たちで議論して変えていくという結論を得れば、これは変わるんですね。必ずしも局長が充て職でやる必要もないと思いますので、政治任用をここに入れる、そういうアイデアもあると思います。

 これは本当に長官、省になっても抜本的な、それは内局のポストで残しておくというような発想ではいけないんだと私は思いますので、よりよい国防体制というものを築いていくために、これは立法府、与野党なく議論して、いい法律をつくりますので、ぜひ執行をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 私も、二年間ですけれども防衛庁の内局にいた者として、今いろいろな議論を聞いていて、シビリアンコントロールというもののとらえ方が幾つか切り方があるんだろうなという気もしました。

 昔は、私も行ったときに、急に部員と言われたから、部員とは何のことだろうとびっくりしたんですけれども、ああそうか、参謀本部員と昔あったから、それを部員と言う名残があるんだろうなと。では、今何でそう言っているんだろう。結局、内局が、いわゆる制服の人に対するシビリアンコントロールという気持ちも、まあなかなか言いにくいだろうけれども、そういうことも名残としてあるのかなと。

 しかし、例えばシビリアンコントロールといった場合には、外務省は外務省で外交の防衛に対するコントロールもきかせたいだろうし、だけれども、シビリアンコントロールを一体何ととらえるか、ここは本当に大きな問題というかポイントが含まれていますね。

 最初に、久間大臣、シビリアンコントロールの本質、一言で言ったら何になるんでしょうか。

久間国務大臣 一言で言えば、軍事に対する政治の優先ということだと思います。

山口(壯)委員 政治の優先という場合に、大臣は、国会というものとして考えておられるか、あるいは政治家というものとして考えておられるか、これはどっちでしょうか。

久間国務大臣 最終的には、国民によって選ばれる政治家によって構成される国会というのが最高のいわゆる、権力とは言いませんけれども、最高の決定の、シビリアンコントロールの最終だと思います。

 しかしながら、だからといって国会の承認を全部受けなきゃいけないかというと、その国会によって選ばれた内閣があって、その内閣が法律に基づいて行政をやっているわけですから、法律によって縛られ、予算によって縛られ、そういう内閣が行うことについて全部国会の承認をとらなければならないかというような、そういう議論がえてしてなされますけれども、そこまでをもってシビリアンコントロールとは私は思っておりません。

山口(壯)委員 麻生大臣はいかがですか、先ほどの答弁。

 今、久間大臣から、最終的には国会のコントロールというものがシビリアンコントロールの意味だけれども、いつもいつも国会の承認をとっていては大変だから、ある意味では、その国会の多数をとっている内閣が責任を持ってやるというところに意味があるんだという御答弁だったと私は理解しますけれども、それでよろしいですか。

麻生国務大臣 シビリアンコントロールの定義についての御質問なんだと思いますが、いわゆる軍に対して政治の優先と言われましたけれども、軍に対する民主主義的な政治統制というのが多分正確な答えかなとは思います。

 ただ、今防衛庁長官が言われましたように、これは事を急ぐ場合もありましょうし、日本の場合は二院制というものがありますので、そういった意味ではなかなか、今言われたように、この問題についてはきちんとしたあれをやらないと、ちょっと急ぐ場合というのが必ずありますので、非常事態とかそういった有事に当たりまして態勢が、反応がおくれるということは十分にあり得る可能性だと思っております。

 その意味では、いわゆる国民によって選ばれた国会議員が防衛庁長官をしておるということになりますので、その形をもって、専門職に当たっておるその人をもって直ちに反応を示さねばならぬという有事というところに対しての対応というのには、結果的にみんなで議論して三週間たったらすべてが終わっていたでは話になりませんから、そういった意味では、今言われたような有事に対しての考え方というものはきちんと別に持っておく必要があろうと存じます。

山口(壯)委員 今、久間大臣あるいは麻生大臣から、国会のコントロールというものが一番の根源だけれども、緊急事態についても想定しなきゃいけないからということがありました。私は、この点でやはり参考になるのは米国かなという気がします。

 先ほど長島議員から議会関与法というドイツの例もありました。結局、あれは国会の承認ということに非常に重きを置いた法律のように私は今の質疑を聞いていて理解しました。

 米国について、今どういう仕組みになっているのか、そこについてはいかがでしょうか。まず麻生大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 もう山口先生御存じのとおりに、アメリカの合衆国憲法上は、議会が軍に対する予算権限というものを有していることとか、大統領制であってちょっと議院内閣制と違いますので、大統領が、合衆国軍隊三軍、正確には四軍ですけれども、合衆国軍隊の最高司令官を兼ねるということを規定していることなどがありまして、そういった形でシビリアンコントロールが確保されている。大統領にかかってその責任が集中している状況というのは、日本とかなり違っているかなとは存じます。

山口(壯)委員 今、麻生大臣のポイントは、選挙で選ばれた大統領が最高指揮官だからシビリアンコントロールは成り立っている、こういうポイントだったと思います。

 大臣、一つ大事なことがあるんですよ。一九七三年に、いわゆるウオー・パワーズ・アクト、戦争権限法と呼ばれているもの、これは、ベトナム戦争での教訓を踏まえて、議会の承認なくしては、たとえ選挙で選ばれた大統領であろうとも軍隊を勝手に動かせない、こういう趣旨です。詳しく言えば、宣戦布告、日本の場合は宣戦布告ということはないわけですけれども、宣戦布告を行い得るのは大統領じゃないんですよ、議会なんですよ。すごく我々はこの点に関しては新鮮に感じますね。

 そして、合衆国軍隊の最高指揮官たる大統領、いかにここをコントロールしていくかという、言ってみれば、民主主義の知恵がそこに組み込まれているわけですね。民主主義というのは非常に手間のかかるものですよ。幾様にも幾様にもチェックをかけていく、これが民主主義ですね。したがって、我々としては、例えば米国がどういう知恵を積み重ねてきたか、一つの参考になると思うんですよ。

 議会による正規の宣戦布告なしに大統領が米軍を戦闘行為等に投入する場合、議会への四十八時間以内の報告の提出を義務づける、ここは最初にぽんとまず報告を義務づける、とともに、次が大事ですね、議会による宣戦布告または特別制定法による授権のない限り、六十日以内に撤退させなければならない。やはりこういう歯どめをかけているんですね。最終的には議会の承認なくしては軍隊は動かせない、こういう歯どめの法律、きちっととっているわけです。

 日本の場合には、今、シビリアンコントロールは何かと私がお尋ねしたことに対して、ある意味で久間大臣の、あるいは麻生大臣の考え方です。別に法律にそれが定められているわけでもないと思うんです。その点はいかがでしょうか。日本については、こういうことは法律でどういうふうに定められていますでしょうか。

久間国務大臣 アメリカと日本の違いは、一つは、アメリカは大統領が直接制によって選ばれる、議員はまた片一方で選ばれて、要するに、民主主義で選ばれるのが二つ、二つの流れがあるわけです。その調整をするためにそういうような仕組みをとっているわけです。日本の場合は、選挙で選ばれる国会議員によって、議院内閣制というのは、内閣はその延長線にあるわけですから、そういう意味では、本来意思が二つに分かれるということ自体がおかしいということになるわけですね。だから、そこのところがちょっと違うんです。

 ところが、日本の場合も、上院と下院とで意思が違った場合には二つに分かれることはあり得るわけですけれども、内閣、政府は、衆議院によって選ばれたその人が内閣総理大臣として行政をつかさどる、そこのところとの関係をどうするかという問題がありますけれども、本来は、内閣が違ったことをしたら、国会の意思と違ったら、内閣不信任案でひっくり返せばいいわけですから、そこがアメリカとは基本的に違うということも知っておいていただかないと。だから、うちは、どちらかというとイギリスを念頭に置きながらどういうふうに考えるか。

 ドイツの場合も、連邦ですから、直ちにドイツの連邦制をもって、それをそのまま日本のあれに当てはめられるかどうかはわかりませんけれども、先ほど聞きながら非常に参考になったなと思うのは、海外に派遣したりなんかするときに、やはり今までだったらもう議会が真っ二つに割れておったのが、一緒になって議論できる雰囲気ができ上がってきた今日においては、それは一考に値するんじゃないかなと思って聞いておったわけであります。だから、そこのところも、ちょっと違いもございますので。

山口(壯)委員 今、アメリカと日本の違い、それはそうです。他方、国会の多数をとった政党が内閣を組織して、そしていわゆる防衛についても任を有する、あるいは外交について任を有する。したがって、ある意味でチェックが少なくなっているわけですね、議院内閣制であるという特色ですから。したがって、どういうふうにチェックをかける仕組みを我々は整えていかなければならないかということがありますよということを私は力説しているわけです。このことについては特に異論はありませんか。

久間国務大臣 その点についてはよく理解いたします。

山口(壯)委員 そして、今この新しい省昇格法案というものが出てきているわけですけれども、うちの党でも大分議論をして、私も最後まで本当に取りまとめに正直汗をかきました。そんな中で、やはりイラクのことについて大変気にしている人もいるわけですね。

 イラクについて、今、結局、戦争の大義とされたことというものを、一体どうなってしまったんだろうともう一回ちょっと振り返ってみた場合に、一体イラクの戦争というのは何のためにやったんだろうと。結局、ちょっと結論を急ぎ過ぎかもしれないけれども、冗談みたいな話が今出ているわけです。フセインを戻した方がずっと平和じゃないかというひどい話が出てきている。確かに、六十万人死んでしまったというのがあるNPOの調査で出ていましたけれども、結局、一体何で死んだんだと非常に疑問に思っている人たちも出てきているということですね。

 まず麻生大臣、イラクの戦争について、一体大義は何だったのか、どうお考えでしょうか。

麻生国務大臣 イラクの場合は、約十二年間でしたかにわたりまして、累次の国連の安全保障理事会の勧告というか決議というものを無視し続けて、また、国際社会としては、たびたび与えた平和への機会、チャンスというものは同じくこれを無視し続けて、そういった国際社会のいろいろな提案に対して最後まで反応しようとしないというような状況の中にあって、日本としては、あれはたしか安保理決議によってとられた決議というものを支持するということだったと思っておりますので、これは、私どもとしては、国連の一員としては正しい行動であったと今でも思っております。

 今、それ以来、結果としてその中には、仮にも憲法ができ、その憲法によって議会、議員が選ばれ、そしてそれによって大統領、内閣がそれぞれつくられという形で、民主主義というものに向かって歩み始めたばかりのところだと思います。

 内乱が続いておる、内乱というか内乱に近い状態になっている、いろいろなものが起きているのは事実。しかし同時に、それに対して、いろいろ鎮圧、もしくは鎮火、もしくはそれを静めるためのいろいろな努力が今なされている最中だと思っておりますが、少なくとも、フセインがいたままの状況で、スンニ派というか、少数の宗教派閥が大多数の宗派を抑え続けている方がよりよかったのかというところが意見の分かれるところ。抑え続けていたけれども、抑え続けていた方が戦争で死ぬ人は少なかったかもしらぬということになり得るんだとは思いますが。

 しかし、傍ら、今、産みの苦しみだとは存じますけれども、少なくとも議会制民主主義というものが定着していくまでの段階としていろいろな混乱が続いておるという状況ではありますけれども、我々としては、少なくとも自分たちでつくった憲法で自分たちでつくった政府なんですから、その政府がうまく作動するように支援をしていくという形になるのが正しいんだと存じます。

山口(壯)委員 この場合の二つの目的は、大量破壊兵器とアルカイダとの関連だったはずですね。圧制をしいていたから、スンニ派とかシーア派、そういうあつれきがあったから戦争したことにはなっていません。大量破壊兵器があるだろう、幾つものでっち上げの証拠が今となっては明らかとなっている。当事者すらからも、メディアで話す人すら出てきています。この間の中間選挙はその最たる証明です。アメリカの政治がいかにバランス感覚がとれているかという気もしました。これは、とり方はいろいろあるでしょう。

 しかし、大量破壊兵器は何発見つかりましたか。

麻生国務大臣 大量破壊兵器をつくって、北方のクルド民族の大量殺人が行われたというのは事実です。

山口(壯)委員 今回何発見つかりましたか。

麻生国務大臣 化学兵器を使って、マスタードだったか種類は忘れましたけれども、少なくとも、クルドと言われる北方の、いわゆる種族が違う、一つのイラク人ではありますけれども、北方におりますクルド民族のところに対して、いわゆる大量化学兵器を使って大量の殺人が行われたというのは間違いない事実でありますので、その大量化学兵器を含めて、それがないということを証明する証明責任はイラク側にあったというように理解しております。

山口(壯)委員 今、占領して、何発見つかりましたか。化学兵器も含めて何発見つかりましたか。

麻生国務大臣 私はその内容を寡聞にして存じませんけれども、使ったのは事実であります。(山口(壯)委員「今回何発見つかったか」と呼ぶ)

 今回何発見つかったかということを、私はその数字を知っているわけではありませんと答えております。

山口(壯)委員 軍隊を動かして、しかも戦争をして、そしてその目的であった大量破壊兵器が何発あったかわからない。

 これは大臣、答弁になっていない。なっていないですよ。知りません、ちょっと待った。知りませんということはないでしょう。戦争をして、日本はそれを支持したんでしょう。それに対して、それは知りませんという答弁は成り立たない。成り立たない。このことについて、しっかりした答弁をお願いします。

麻生国務大臣 そんな年はとっておりませんので、大きな声を出さなくても聞こえますので。

 一九九九年、一連の国連大量破壊兵器特別委員会、UNSCOMより報告というのが上がっております。それによって数字が出ておりますが、二〇〇三年三月六日、国連査察団の報告により記述された疑惑の主な例として、炭疽菌、サリン、約一千倍の危険がありますもので、一万リットルが廃棄されず残っていると考えられるという報告に基づいて、マスタードは、致死量は小さじ一杯できくようなものですが、化学爆弾約六千五百発、主にマスタード約一千トン、VXガスというものが、三・九トン生産したが、廃棄については検証できていない等々の数字が挙がっておりますのは御存じのとおりであって、これが、攻撃が始まりますときには、対イラク武力行使が開始された当時、大量破壊兵器があるというように想定をされておるというのは事実であります。

 そして、それに対して、我々としては、これが廃棄されたというのを証明してもらいたいというのに対して、廃棄する責任は向こうにあるのであって、使った事実に基づいて廃棄する責任があって、私どもはそれに基づいて攻撃に参加をしたということだと存じます。

山口(壯)委員 それに基づいて攻撃をした、攻撃して占領軍になったわけです。占領軍になって、証明できる立場になったんです。

 何発あったかという答え、お答えしたくない気持ちは痛いほどわかる。しかし、何発あったかということは客観的事実なんですから、客観的事実として、何発見つけたか、これは数字としてあるはずです。戦争を行うときに何発あったことになっていたか、そんなことを聞いていないです。今何発見つけたかということを聞いているんです。

麻生国務大臣 戦争で破壊されているかもしれませんし、現実問題として、今現状、見つかっていないというのは事実であろうと思いますが、これを使ったという事実の方がよほど問題だと思っております。

山口(壯)委員 昔使ったことあるから、今戦争しようということには普通はならない。だからアメリカはそれで困っているわけでしょう。ブッシュさんがやめる前に必ずイラクから撤退しますよ、もちろん。だからこの出口戦略というのを私はワッショイ、ワッショイ言っているわけですよ。正直、アメリカも本当にバランス感覚がとれているから、そこはきっちり見習った方がいいですよ。

 そして、アメリカに今、麻生大臣、出口戦略について、どういうことを話されていますか。もうアメリカは、ベーカー、ハミルトンでいろいろなことを工夫しているわけです。どういうことを話されていますか、あるいは話されていませんか。

麻生国務大臣 アメリカとこのイラクの出口作戦について話をいろいろしておる内容について、今の段階でしゃべる段階にはありません。

山口(壯)委員 そのことは、しゃべっていないということを認めていることにもなるわけですか。

麻生国務大臣 しゃべっていないということを認めるということも認めないということも、両方ありません。

山口(壯)委員 今回の防衛庁設置法等の一部を改正する法律案、出されている法律案の二条に、「国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力」。

 「その他の国際協力」、この中にはいろいろなものが入ってくるわけですね。国連決議を経たものとか経ていないものとか、いろいろ入るんでしょう。これは経ていないものも含むという趣旨でしょうか。

久間国務大臣 たしか国際緊急援助隊なんかは国連決議でなくて出ていっていると思いますから、そういうものも入っていると思います。

山口(壯)委員 日本は、国連中心主義ということで、常任理事国になりたいなりたいと一生懸命頑張っている。麻生大臣は言ってみればその中心として頑張ってこられた。そういう中では、国連を重視する、あるいは国連の決議というものに根拠を求める、これは何も違いはないはずです。

 どうしてもだめなときに、いろいろな場合はあり得るでしょう。昔から、国連憲章が定めた三十九条の安保理の決定以外にも、朝鮮戦争のときには総会で決議をしたり、いろいろな工夫をやっていますね。PKOとかいろいろな工夫をやっている。

 他方、やはり国連の決議というものが、ある意味で一つの世界的なシビリアンコントロールみたいなものですよ。これを、どうやってきちっとしたかせをつくっていくかというのが人類の知恵ですね。その知恵を踏み出したときに、やはり大量破壊兵器はなかったのに戦争をしちゃった、こういう話でしょう。

 日本としてやはりどういう道をたどるか。アメリカが主でこっちが従みたいな道をたどるのか。あるいは、アメリカに対して、対等のパートナーとして、おい、もうちょっと待った方がいいんじゃないのか、大量破壊兵器の証拠は本当にあるのか。なかったわけです、現実に。それで、アメリカの中でも反省が出ている。このことが中間選挙の結果の直接の原因です。

 そのことに対して日本は、日本が主体的に判断すると一生懸命本会議でも答弁されていたじゃないですか。主体的に、事実として何発見つかったかということを判断すればいい。その上で、アメリカにくっついていくかどうかはまた別の問題として、次の判断があり得るわけですよ。そのことをきちっと把握できなければ、日本の役割とは一体何なんだろうと。

 米中朝、今、北京でやっていますけれども、日本は入っていないじゃないですか。後で言っておけばいいからと思われているんですよ。それで、注意を引こうといって核保有の議論なんかしちゃだめですよ。こういうことはきちっと我々議論を整理しておかないと、言ってみれば、アメリカに、正直言って、日本は後で言ったら大丈夫だろうと、米中朝の議論がどうなっているか、直接的なブリーフィングというのは必ずしも十分になされていないはずです。

 アメリカは、中間選挙の前に、しようがない、パフォーマンスでやった。だから、本当はどこまで本気かというのは、あれはヒラリー・クリントンにがみがみがみがみ言われてやっただけですよ。本当に、どこまで本気か。

 イラクに行ったときも、結局、北朝鮮のこともあるからという配慮ももちろんあったでしょう。それは我々も理解する。いざとなったときに……(久間国務大臣「委員長」と呼ぶ)もうちょっと待ってください。久間大臣、大事なポイントだから、後でお答えくださいね。もうちょっと後で。

 現実に、北朝鮮についてアメリカが一体何をしたのか。イラクとアフガンで手いっぱいだったんですよ。六カ国協議という格好で中国に丸投げしていた。何もしていないんですよ。今になって一生懸命慌てているけれども。正直言って、アメリカというものに対して、仲よくすると同時にさめた目を持っていなきゃいけないと私は思いますよ。最後のポイントに行く前に、大臣、どうぞ。

久間国務大臣 あえて言いますけれども、イラクに行った場合は、日本は、アメリカが戦争をするときには、支持をするとかなんとか総理は言ったかもしれませんよ、しかしながら、自衛隊はそのときは行っていないわけですから。終わって、復興のために国連からの要請があって行っているわけですから。今その延長なんですから。今行っておる自衛隊がアメリカのイラクの戦争のために行ったかのように言われますと、それは非常に気の毒ですので、我々は国連の決議に基づいて行っているんですからね、そこは間違えないように。

山口(壯)委員 ブーツ・オン・ザ・グラウンドと言われたのはいつですか。

久間国務大臣 それは、だれが言おうと、我々は国会の中で、ブーツ・オン・ザ・グラウンド、そのようなことを言って、それに基づいてイラクに行ったわけじゃないんですから。とにかく、国連からの要請があって、復興のために行ってくれということで、我々はここで法律をつくってやったわけです。そのときに、しかも大量破壊兵器という言葉があったのをあえて最後の総務会で自民党としても削ったわけですからね。だから、そういうような配慮はちゃんとしているわけですから、それもちゃんと検証してください。

 それとまた、戦争があったときに私なんかがどういうせりふを言っているか、新聞にも全部載っていますから。アメリカのあの大量破壊兵器について、核兵器については、これは向こうの連中も捜せばわかると言っているんです。ところが、化学兵器については、内部でも、冷蔵庫の中にしまったりなんかするから捜せないんだと。だからイラクの国民でもその辺はわからぬけれども、大量破壊兵器のうちの核兵器については一〇〇%ありませんよ、私にそういうことを言われましたから、私はそういうことも言っていますよ。

 だから、政府としてアメリカの戦争を支持するという言葉を言ったかもしれませんけれども、それは今までのイラクのやり方が問題だったから、アメリカが言うのを、せめて、支持ではなくて、まあ、戦争するのをアメリカの心情としては理解するな、それぐらいのことは言っていても、支持するというのは言い過ぎじゃないかなと、あのとき私たちもそう言っていますよ。

 だから、戦争のために自衛隊が行っているわけじゃないんですから、そこだけは間違えないようにしてください。

山口(壯)委員 久間大臣はバランスのとれた方だということは、私はかねがねいろいろ外から見ています。今もその気持ちを言われたんでしょう。しかし、私はもっともっと激していただきたいけれども。

 しかし、現実に、どうあろうと、国際政治の流れとしては、ブーツ・オン・ザ・グラウンドという話があって行った、私はそう理解しているんですよ。別にそれで悪いと言っているんじゃないんですよ。そうなんです。

 他方、一発もなかったんだから、化学兵器について一発も見つかっていないんですから、そのときに、今回、防衛省、省昇格法案のときに、イラク特措法に基づく活動というのはむしろ附則からも外しておいた方がいいんじゃないでしょうか。

久間国務大臣 シビリアンコントロールというのは、ここの国会でつくられた法律に基づいて行動しているわけですから。そのうち、陸と海、その両方のものはいいけれども、今の空が残っているものは違うんだ、それは付随的な従来の雑則だというような、そういう言い方がおかしいのであって、法律が消えれば別ですよ、法律が国会でつくられて、その法律に基づいて行っているうちに、その本来任務はおまえは違うんだと言われる方がかわいそうじゃないですか。

山口(壯)委員 かわいそうな任務につかせない方が大事なんですよ。何を言っているんですか。それは……(発言する者あり)ちょっと、私まだ終わっていない。終わっていない。

 現実に、行く前と、行って一発も見つかっていない状況とは違う。現実に今アメリカの議論、彼らはもっともっと当事者ですからね、もっと当事者ですよ。そのことについて政治家が、どういう役割を自衛隊に果たさせるかということはもっと考えなきゃいけない。復興のためといいますけれども、現実に今イラクは大変な状況なわけでしょう、だから、ある意味で象徴的な、シンボルとして行かせている。そのことについては、今、もう少し出口戦略のことをしっかり考えるべきじゃないかと言っているんです。

久間国務大臣 それはおかしいのであって、国会でつくられた法律に基づいて行政はやっているわけです、行政の一環として自衛隊は行っているわけですよ。その行っているのを出口戦略を考えろというのなら、法律を今度延長するかどうかするときに考えるのはいいけれども、現在有効な法律の中で機能している、そういう人たちに出口戦略を考えろなんて。言われたとおりに行っているわけですから。

山口(壯)委員 自衛隊に出口戦略を考えろと言っているんじゃない。我々が法案を考える中で、イラク特措法については、こういう議論になっているんだから、外した方がいいんじゃないかということを言っている。

久間国務大臣 現在その法律が有効なんですよ。その法律は来年の七月まで有効なんですから、その法律に基づいて行っている人たちを本来任務から外せというような、そういうことが言えますか。それだったら、法律を今そこで廃止してしまって、それならわかりますよ。

山口(壯)委員 本来任務にすることによって、何か違いが出るんですか。

久間国務大臣 違いが出るというよりも、法律に基づいて海外に行っている、そういうような任務のうちこの一つだけを外せということ自体がおかしいじゃないですか。

山口(壯)委員 現実に、例えばテロ特措法のアフガンとこの話は全然違います、アフガニスタンにはビンラディンが現実にいたんだから。しかし、イラクについては大量破壊兵器がなかったんだから。現実にアルカイダのつながりもなかった。アルカイダのつながりも一つも発見されていないということが上院の報告で九月に出たわけです。そのことについてきちっと言っておかないと、もうイギリスもアメリカもこのことについては方向転換しているんです。なぜ日本だけがそこでも一生懸命一生懸命アメリカをかばうようなことを言う。おかしいでしょう。

久間国務大臣 冷静に考えてくださいよ。それは法律で、その法律自体がおかしいじゃないか、もうやめなさいよというようなことを言えば別ですよ。法治国家で、国会でつくられた法律に基づいて政府というのは行うわけですよ。そして、それに基づいた予算でやるわけですよ。そういう形で進められているときにそれを外せという、それ自体がおかしいのであって、それだったら、その法律を廃止する、そしてもう帰ってきなさい、そういうような命を下す新たな立法をすることの方が正しいんじゃないですか。

木村委員長 時間になりましたので、簡潔に願います。

山口(壯)委員 最後に、大臣、ということは、そういう法案を考えられるということですか。

木村委員長 久間防衛庁長官、簡潔に願います。

久間国務大臣 政府としては、現在の法律が来年の七月まで有効なんですから、それに基づいて行動をしているだけの話ですよ。来年の時点で、その時点でどういう状況になっているか考えるわけです。それよりも早くもしやめろというならば、今の時点で、やめさせたいという法律をおたくらが出せばいいじゃないですか。

山口(壯)委員 我々は、このイラク特措法についてはずっと反対してきました。そして、修正案も現実に今回に用意しようかという話をしているわけです。御要望であれば、そういうことも考えましょう。我々は、特に、そういう話をこれからずっと……(発言する者あり)否決されたらだめだぞという話は、それはないでしょう。

 現実に、我々は、この防衛省への昇格については賛成する立場をとったとしても……

木村委員長 静粛に願います。

 時間になりました。山口壯君、時間になりましたので。

山口(壯)委員 このイラク特措法についてはもう既におかしいぞということを明確にして、私の質問を終わります。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 歴代政府はこれまで、自衛隊は我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であるから憲法に違反しないと説明してきております。防衛庁長官に聞きますが、この憲法見解に今も変わりはありませんか。

久間国務大臣 それは変わりません。

赤嶺委員 久間防衛庁長官は、二十八日の当委員会で、現行自衛隊法三条の規定が憲法九条との整合性をとるための任務設定だった、そういうことをお認めであります。ということは、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であるから憲法に違反しないという憲法見解の一体のものとして、自衛隊の任務を日本防衛と定めてきたということですね。

久間国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がわからない点もございますが、基本的にはそういうことでいいんじゃないかと思いますけれども。

赤嶺委員 その趣旨であります。

 ところが、今回の法案では、自衛隊法三条に新たに二項を設け、周辺事態に対して行う活動と国際平和協力活動を自衛隊の任務に位置づけるとしているわけです。現行憲法の規定解釈が何ら変わっていないにもかかわらず、なぜ自衛隊の任務を変更し、海外での活動を自衛隊の任務に位置づけることができるのですか。

久間国務大臣 先ほどから言っていますように、自衛隊が海外に行く場合は、いずれも法律に基づいて行っているわけであります。その法律がつくられたときに、もしおたくの言うように憲法違反ならそういう法律はつくれないわけですから、法律ができているということは憲法違反でないということでありまして、その法律に基づいて行動する、その任務は主たる任務に支障のない範囲において行うわけでありますから、それは憲法違反でない、論理的にはそうなるんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 自衛隊の任務を日本防衛と定めてきたのは憲法九条の規定とかかわっていると。その日本防衛ではなくて、周辺事態やあるいは国際平和協力活動といったような、そういう海外に出かけていく、一方で、憲法の見解や解釈は何ら変わっていない。いわば、まさに憲法との関係から定めた自衛隊の存立目的、専守防衛、そういう任務規定をなぜ変更することができるのかということですよ。

久間国務大臣 任務規定は憲法に反しないという、それは先ほど言ったとおりですけれども、かといって、それ以外のことをやっちゃいかぬか、やったら憲法違反かと言われますと、それは必ずしもそう言えないのじゃないでしょうか。

 日本国防衛のためにやることをやめてしまってほかのことをやるとなれば、つくられた趣旨からいっておかしいとなりますけれども、それは私は、支障のない限りにおいてほかの任務を行う、そのほかの任務が憲法に反するようなことだったらそれは許されないけれども、付随的な、そういうような任務をやったとしても、それが憲法に反しなければそれは構わないのじゃないかと思っています。

赤嶺委員 任務規定は憲法とのかかわりで専守防衛が定められたと政府は説明して、その憲法解釈は今でも変わっていない。その任務規定の中に何で海外での活動が入るんですか、そういうことを聞いているわけです。

 例えば、今そういう法案を提出する一方で、政府・自民党は憲法改正を公然と掲げて、新憲法草案の中で憲法に自衛軍を位置づけ、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」を自衛軍の任務とするとしているわけです。今回の自衛隊法改正と同じじゃないですか。

 ですから、憲法でやろうとしていることを自衛隊法の改正という形でやる、こんなことがなぜできるのかということですよ。

久間国務大臣 いや、現在の憲法下でやれることは何か、そして、やれることを整理するとどういう整理の仕方があるか、そういう流れの中で、今まで雑則として扱われておったことを本来任務として、防衛出動、そういう主たる任務に対して従たる任務になるかもしれませんけれども、そういう整理をしたということですから、憲法との関係で、私は問題はないと思うのです。

 専守防衛というような、そういうことをはみ出す格好の防衛をやるなら、防衛といいますか戦いをやるならそれは問題でしょうけれども、今度の場合、ほかの任務を与えたとしても、それは憲法九条等に抵触しない範囲でやるわけでありますから、そこは問題ないと思いますけれども。

赤嶺委員 長官は私の質問の趣旨をまだ理解できておられないようですけれども、個別の法律が憲法違反であるかどうかを聞いているわけじゃないんです。自衛隊法第三条というのは、憲法とのかかわりで専守防衛が定められた。その専守防衛とは違う任務が、何で憲法の解釈も変えていないのに入れられることができるんですか、そういうことですよ。

 皆さんだって、憲法を変えてそういうことをしようとしているじゃないですか。憲法を変えてそういうことをするというなら百歩譲って議論のあり方があるだろうと思いますけれども、今、憲法も変わっていない、解釈も変わっていない、そしてその憲法の規定とかかわって自衛隊の任務がある、それを新たにつけ加えることができるのか、自衛隊法で言う任務を変えることができるのかということを聞いているんです。

久間国務大臣 三条の書き方というのは、現在の書き方を、最初つくられたときから、そのとき憲法九条との関係でこういう規定のされ方をしたからといって、それを変えちゃいかぬことはないのであって、三条そのものも変え方はいろいろあるんですよ、それは立法府で変えればいいわけですから。変えるときに、憲法九条に反するような形でそれを変えることはできません。しかしながら、それが中だったら、三条そのものも、専守防衛という書き方をもう少し違った書き方をすることだってできるわけでありまして、三条を、今の書き方は憲法九条からきて専守防衛というのを非常に前面に打ち出して書いているということであって、それ以外のことをやっちゃいけないということをそこで書いちゃいけないことにはならないということを言っているわけです。

赤嶺委員 ちょっと角度を変えて聞きたいと思います。

 政府は、「自衛隊が国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組み得る体制整備の一環として、国際平和協力活動等の位置づけを本来任務とする」というぐあいに、これは本会議での答弁であります。久間防衛庁長官も、本来任務にふさわしい体制づくりをすると答弁しておられますが、具体的にどういう体制づくりを行うのかはっきりしないわけですね。その全容を明らかにしていただけませんか。

久間国務大臣 国連決議等によってとにかく国際協力をしなければならないとなったときに、今までだったら、調査隊を募ってそこで出かけるというようなことをしましたけれども、本来任務として位置づけられておれば、即調査に出かけられるような即応態勢の部隊を用意しておくことも必要でありますし、また、今まで海外に行ったいろいろな経験から、そういうような知見をもとにして教育を前もってしておくというような教育隊も必要でありますし、そういうようなことを今度の本来任務に伴って体制づくりをしていけばいいのじゃないかというふうに思っているわけでありまして、現にそういうふうな形で部隊編成等についても、十九年度の概算要求で要求を出しているところであります。

赤嶺委員 自衛隊の組織や装備についてなんですけれども、これまでは、今長官も触れておられたのですが、そういった海外活動専門の部隊あるいは専門の装備、こういうのは導入することはできなかったわけですね。あくまで我が国の防衛のために培ってきた自衛隊の能力を平時に活用するという考え方であったわけですよ。ところが、これが本来任務化によってできるようになっていくわけです。そうすることは、日本防衛を任務としてきた自衛隊の性格が変わっていくということになるのではありませんか。

久間国務大臣 本来任務になったからといって、日本の国内で使われないようなものをあえて用意するというふうなことはちょっと考えられないんですね。強いて、どういう意図で言っておるのかわかりませんけれども、私はこの委員会の答弁で、輸送機、輸送船といいますか、輸送機等そういうものについては、やはり少し長距離のといいますか、そういうような足の長い輸送機等はこれを機会に導入したいというようなことは言ったと思いますが、そういうようなものをそのときに使うということはありますけれども、国内で使えないようなものを海外のためにまた調達して使うということはちょっと今のところ考えていないのでありまして、全部国内でも使えるし、またそういうような海外協力業務を行うときにも使うというようなことで、それの効率のいいものを導入しようということは考えております。

赤嶺委員 結局、大型の輸送機や輸送船、そのうち高速の輸送船、いわば日米の共同文書にあるような、任務、役割分担の中でいろいろ書かれている装備、そういうものが出てくる、できるようになるわけですね。

 今までは政府は、いわば自衛のための必要最小限度の実力である限りにおいて違憲性を免れるとしてきたわけです。ところが今回、自衛隊の存立目的を変えるわけですよ。専守防衛から、海外での活動を自衛隊の任務の中心に据えていくわけです。そのための組織や装備や作戦や訓練を行うということになっていきますと、これまでの憲法見解から逸脱した自衛隊になっていくんじゃありませんか。

久間国務大臣 海外協力業務が中心になるわけではなくて、それを自衛隊の任務の一つとして本来任務に加えるということ、そういうふうな理解をしてもらうといいと思うんです。やはり主たる任務は我が国の防衛でございます。

赤嶺委員 主たる任務は日本の防衛ですが、しかし、今までは雑則の中にあった付随的な業務が、今回は本来任務になっていくわけですよ。いわば自衛隊の存立目的にかかわってくるわけですよね。自衛隊はなぜあるか、専守防衛そして国際平和協力活動、周辺事態だということになるではありませんか。ですから、今までは必要最小限度の実力組織と言っていた憲法解釈から逸脱していくことになるのは、これははっきりしているじゃありませんか。

久間国務大臣 決して逸脱するわけじゃなくて、その範囲内で、国民の皆さん方が、やはり自衛隊が海外で協力業務を行うことがいいんじゃないか、そういう国民世論が高まってきているわけですから、そういう仕事がふえていく、これは事実です。ふえてきた場合に、その任務を今までみたいに雑則だ、付随的な業務だというふうに位置づけるのと、本来任務の主たる任務に支障を来さない範囲内においてその従たる任務としてそこに位置づけようというわけですから、これは決して憲法に違反するとは、何回も言いますけれども、私は思えませんね。

赤嶺委員 自衛隊法第三条に自衛隊の任務は専守防衛と定めたときには、憲法の立場から定めたわけですよ。今日、憲法の解釈も変わらないわけですよ。憲法も変わらないうちにそういうことをやる。我々は憲法を変えることには反対ですが、憲法も変わらないうちに、皆さん自身が憲法を変えてそういうことをやろうとしている。そういううちに、その前にやろうとしている。これは、私は、今、海外活動を本来任務化することによって自衛隊の装備や組織は変わらないかといえば、やはり変わるわけですね。そうなってくると、今日の日本の自衛隊というのは、今までの政府見解に照らしても、自衛のための必要最小限度の実力を超える存在になっていく、いかがですか。

久間国務大臣 海外で活動する場合も武力を行使しないわけでありますから、だから、そういう意味では、そういう実力組織になっていくというふうな決めつけ方というのはいかがなものかと思います。

 これから先、むしろ、憲法が改正されたりあるいはまたそれに伴って自衛隊法等が改正されて、外国でも実力を行使していろいろなことができるみたいなことにもしなるとすれば、全くそれは自衛隊の変容になるわけでございますから、それはそれで、果たしていいのかどうか、私たちもそれは判断しますよ。しかしながら、今のところの内容は、現在行っている業務を法律上どういう形で位置づけるかということであって、それは憲法九条との関係では全然問題ない、私はそう思っております。

赤嶺委員 よく、自衛隊が海外に出かけていく場合に、武力の行使、武力による威嚇に当たらない、だから憲法違反ではないんだと言って海外に今行っている。私は、海外での自衛隊の活動のあり方を今聞いているのではないんです。そういう海外活動が本来任務になっていけば、海外に出かけていくための組織や装備が整えられていく、今まで持てなかったような兵器も持つようになる、実力組織としてあり方が変わってくる、憲法のこれまでの解釈の範囲を超えていくということを指摘しているのであります。

 そこで、次に、私は、この本来任務に位置づける活動がどういう活動なのか、この問題について聞きたいと思います。

 三条二項で定めているのは、周辺事態における米軍への後方支援活動、インド洋での米艦船に対する給油活動、イラクでの米軍の兵士、物資の輸送活動など、米軍支援活動そのものであるわけですね。果たして、よく普通の軍隊と言われますけれども、みずからの存立目的である任務規定に他国の軍隊への支援を位置づける、こういうことを持っている軍隊があるんですか、他国の軍隊の支援を存立目的に位置づけている国が。

久間国務大臣 今述べられましたうち、周辺事態に基づく米軍の後方支援、これは国連決議に基づくものではございません。しかしながら、そのほかに述べられましたのは、国連の一員として我が国に対して国連から要請があったものについて出ていくわけでありまして、それについては国連の一員としては当然じゃないでしょうか。それは、先ほどの議論にもありましたけれども、米軍への支援ということじゃなくて、国連で決議されてそれに対する支援をしているわけであります。だから、そこのところを誤解のないようにしていただきたいと思います。

赤嶺委員 まさに周辺事態というのは、日本の領海外における米軍の軍事活動の後方支援なんですよ。それも存立目的の中に入っているわけですよ。そういう他国の軍隊を支援するような任務規定をしている軍隊がほかにありますか、こういうことを聞いているんです。

久間国務大臣 よその国にあるかどうかは別として、我が国周辺の事態で我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすようなことになった場合には、そこで活動する米軍を、日米安保条約というのを結んでいるわけですから、そういうような日米安保条約を結んでいるアメリカ軍が、我が国周辺事態のときに我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすであろう、そういうようなことで活動するときにそれを支援するというのは、もうそこで支援しなかったら我が国が巻き込まれるわけですから、そういうことについて何もするなということの方がむしろ不自然じゃないでしょうか。だから、それについては国会でも法律を通していただいて、そしてそれに基づいて支援をすることになっているわけですから。だから、それを従たる任務として位置づけてもいいんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 まさに今までの米軍支援協力というのは、あるいはガイドラインというのは、安保条約の流れからきたものであるわけです。今後は自衛隊の本来任務としてアメリカを支援するということになるわけですから、安保条約上来た米軍支援は、今までは雑則の中に付随的業務として入れられていた、ところが、これが本来任務になっていくということになれば、これは自衛隊の海外派兵どころか、自衛隊を米軍戦争支援隊に変えるものだと私は思いますよ。断じて許されないと思います。

 もう時間がありませんので、防衛省への昇格の問題についても聞きますが、これまでの審議の中でも、今なぜ省昇格なのかということについて繰り返し質問がありましたが、私、ずっとここで聞いていて、政府の説明が非常にはっきりしない、そういう思いです。

 例えば、省になれば予算要求や閣議請議ができるようになるということですが、これまでも支障がなかったというのが長官の答弁でありました。士気が上がるというけれども、海上保安庁も消防庁も、庁であってもその任務を十分果たしているということが参考人質疑の中でもるる述べられました。エージェンシーでは海外で誤解を招くというけれども、この間の質問で、憲法に照らしてあえて省ではないと説明すれば相手も納得してくれると長官が答弁しておったんですよ。まさに総崩れですよ。

 省へ昇格する必要はどこにもないと思いますけれども、いかがですか、もう理由がなくなったんですから。

久間国務大臣 どうも私の答弁のうちの一部だけをとられて、外国に行っても誤解を受けますよ、しかしながら、日本の場合はこういういきさつの中で防衛庁と言っているんですよと言うと、ああそうか、しようがないんだねということで理解してもらえる、そういう意味で時間がかかるんですよというようなことを言ったのが、しようがないんだというふうに、そこだけとられると、とにかく前後を省かれると困るわけであります。

 やはりエージェンシーというのは、この間から言っていますように、政治的なというか、管理を行う、そういうような面が非常に強い。それに対して、政策面も含めて、これから先は我が国の平和と安全の問題についてはやはりやっていかなきゃならないので、そういう意味で、省として位置づけた方がいいというのが基本的な考え方であります。

 それと同時に、先ほど言いましたように、閣議請議とかそういうことについてもやはり緊急に行うことが可能になるし、防衛庁長官としての立場で閣議請議ができない、一国務大臣として行うしかない、そういうようなことの方が不自然じゃないかということを言っているわけであります。

木村委員長 時間になりましたので、簡潔に願います。

赤嶺委員 私は、この審議を通じて、まだまだ疑問が解明されていないと思います。

 やはり自衛隊が、その存立目的を憲法との関係で説明したにもかかわらず、これも逸脱し、自衛隊そのものが海外派兵を、そして海外での米軍の戦争支援協力隊に変わり、防衛省になってといいますが、防衛庁自身、管理ができていないじゃないですか、きょうの情報流出に当たっても。そういうようなことがあって、何か米軍の運用については答えられないということを国会で述べながら、知った風なことを言いながら、実際はこういうような失態を繰り返している。

 防衛省への昇格の資格はないということを強く申し上げて、質問を終わります。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、この間、本委員会で、今の安全保障議論をめぐる非常に浮き足立った政治状況に懸念を表明してまいりました。その一つが、きょうお越しいただいている麻生外務大臣の核保有議論の発言です。

 これは、本委員会で私が十月十七日に、三年前に麻生大臣が新聞のアンケートで、核武装を検討すべきだと思うかということに、すべきであるというお答えをしていたことを問うたところから始まっております。そのときの麻生大臣の御答弁はこうでした、だんだん隣がみんな持っていくときに、日本だけ何の検討もされないというのはいかがなものか。

 また、その後、これに端を発して、国会の中で麻生大臣の発言が問題視されることが広がってまいりましたけれども、その後もいろいろなところで発言されております。いろいろ国際情勢の変化に伴ってきて、今の状況に合わせていろいろな議論が出てくるということなんですね。

 状況が変わったという御認識はどういう点にあるのか。そして、何も検討されていないのはいかがかというこの検討というのは、状況が変わったので日本も核保有をすべきかすべきでないかをもう一度検討をこの際しておくべきだという意味でしょうか。

麻生国務大臣 たびたび御答弁申し上げましたので、繰り返しで恐縮ですが、私の答弁をよく読んでいただいたことと存じますけれども、今、国際情勢というものを考えたときに、昭和四十三年と今とでは、約四十年弱たっておりますので、その間の国際情勢は大きく変わっております。あの当時、隣国が核を保有する、また、それを搬送するミサイルを撃つなどという条件を考えてつくられたわけではありません。

 したがって、今の状況において、隣にそういう国が出てきたときに、日本の安全がどうであろうかということに対して国民が不安を持つのに対して、国を預かる者の立場として、いろいろなことを考えておくというのは大切なことではないか。したがって、それによって、議論をした結果、やはり日本は核を持たない方がいいという結論になるというのは大事なことです。

 ただただ言われたから、前任者が四十年前の話をそのままずっと、ただただ何も議論もしたこともなく、どうしてこういうことになった経過も知らず、ただただ核というものに関しては、持たず、つくらず、持ち込ませずということになった。佐藤内閣から、三木内閣にかわっていくときにどういう経緯でなったかということを勉強した国会議員の方も当時より、まだ生まれておられない方の数がふえてきていますから、そういった意味では、きちんともう一回議論をなさるということは大事なことではないかということを、私どもとしては、議論もしないというのはいかがなものか。ただしと言って、日本として、今の政府として、日本が核を持たず、つくらず、持ち込ませずというのは、歴代内閣が累次にわたってこれまで表明してきたとおりであります、現内閣でこれを直ちにどうこうするということはありませんということもたびたび申し上げてきておるところでもあります。

 まだ質問にお答えし切っていないと存じますので、加えて、NPT条約やら、またその他、日本には原子力基本法という法律もありますので、そういった法律、また条約、原則、三つのうちをすべて勘案した上で、私どもとしては、核兵器を今保有するなどということを言ったことは一回もございません。

辻元委員 いろいろ問題になって、答弁を必死でお考えになって答弁されていると思います。

 こういう発言もされていますね。では、ちょっとお聞きしましょう。日本の場合は核をつくる能力はあるとか、できるけれどもやらない、おれたち、つくろうと思えばつくれるのよというのをきちんと向こうに言って、それはちゃんとある程度抑止になり得ると。麻生大臣の認識の、できるけれどもやらない、核をつくる能力はあるという、これを発言された根拠は、日本が今どういう状況にあるから核をつくる能力があると思われていますか。

麻生国務大臣 どういう状況がどうとかいうんじゃなくて、これは技術的な話であって、技術的には、核をつくる能力、またはロケットを、少なくとも移動衛星、静止衛星、偵察衛星等々を飛ばす、搬送する技術も日本はありますので、またプルトニウム等々も、私どもとしては、IAEAの管轄下においてそれをきっちりつくっておるという技術を持っていることも確かです。

 したがって、私どもはそれをつくる技術があることは確かだと申し上げておるのであって、だからといって、直ちにそれをつくって核を持つなどということは一回も言っていないのであって、言った途端にNPT等々国際条約に違反することにもなりますので、そういったことを申し上げているわけではありません。ただ、技術的にできるという現実、事実を申し上げたわけです。

辻元委員 もう一点、改めて認識を確認しますが、憲法上は自衛のための小型の核は持てるという認識ですか、大臣は。その際、小型とはどういう規模をいいますか。

木村委員長 もう一度御発言ください。

辻元委員 よく聞いてください。憲法上、自衛の小型の核兵器を持てるという認識ですか。そして、その小型の核兵器の小型とはどういう規模ですか。

麻生国務大臣 今、日本に、非核三原則の中で、これは昔からよく言われているところでもありますが、これは純法理的な問題としてということでよく言われるところですが、自衛のため必要最小限の実力を保持することは憲法第九条によっても禁止されていない、たとえ核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとするならば、それを保有することは必ずしも憲法の禁止するところではないというのが政府の従来からの解釈、もう御存じのとおりです。

 それが今の第一問に対するお答えであって、第二の方のいわゆる小型の定義については、一概にこれが小型という定義があるわけではありません。したがいまして、いわゆる五キロトン以下とか何キロトン等とかよく言う話がありますけれども、これによって詳しく、これ以下は小型と定義されているものはありません。

辻元委員 定義もないのに持てるというのはおかしいと思います。

 麻生大臣、今答弁をされた三つを複合して考えてください。麻生大臣おっしゃいました、日本はプルトニウムを持っている、ロケットも持っている、すぐにつくろうと思えばつくれるんだ、そしてさらに法理論上は、憲法上、核を持つことは違反ではないと。そういう状況で、麻生大臣が核保有についても議論することは悪くないとおっしゃっていることは、国際的に見てどういう意味を持つかわかりますか。

 例えば、技術的に全くプルトニウムも保有していない、またロケットの開発も進んでいない、そういうような国が言うのと違うんですよ。今、IAEAも含めて、日本のプルトニウムについては物すごい懸念を表明されていることは御存じでしょう。

 そういう中で、外務大臣たるものが、議論は自由だと論理をすりかえて、議論することはいいんじゃないのと言う。政治的な責任をいかがお考えですか。私は非常に政治的責任が大きいと思いますよ。自分で責任を感じていないなら、感じていないとおっしゃってください。どっちですか。

麻生国務大臣 理屈として勝手に話を結びつけないでいただきたいんですが、政策としては非核三原則だというのはたびたび申し上げておりますし、歴代内閣の累次の発言でもはっきりしておりますでしょう、ここのところは政策的には。これはだからはっきりしております。

 また、法理論の話と技術の話と、これを三つ勝手にくっつけて一方的に話をつくられると困るのであって、この国は社会主義国とも違いますし、言論の自由もありますので、そういった議論が起こるということを抹殺するだけのあれは私どもにはありませんと申し上げているのであって、そういった話が出るというのを、私がしておるわけでもない、私があおっているわけでもありませんよ。たびたびの御質問があるからお答えしているだけであって、そこだけ重ねて申し上げておきます。

辻元委員 私は、今のお話を伺いまして余計深刻に思いました。御自身が発言されたり答弁していることの意味の深さをじっくり考えられた方がいいと思います。

 これは引き続き本委員会でも議論していくべき点だと思いますけれども、麻生大臣はよく、議論を封殺すべきでないと言う。それと、大臣が今の日本の状況下で核問題について言及するということは違う次元の話ですよ。よっぽど外務大臣として、まあ言うたら悪いけれども、よく言えば楽観主義というか、日本の、核状況をめぐって国際的にどう見られているか、深刻な状況の認識がないと申し上げたいと思います。引き続きこれはやりたいと思います。

 ちょっと、先ほど久間防衛庁長官とイラクの議論がかなり活発になりましたので、その点についても触れたいと思います。

 長官、きょうまた航空自衛隊の、特に、アメリカの中東司令部が作成し、イラク、クウェートなどの基地にある輸送前の物資のコンテナの数などを記載した情報が流出したという話がありますね。流出していますね。一方、私が先日質問をいたしました、イラクの自衛隊の皆さん、航空自衛隊の皆さんはどのようなものをバグダッドに運んでいるのかという、そのときに開示された資料は真っ黒けだったわけですよ。

 国会とか国民に知らせている資料はこのように真っ黒けの資料で、示さずに、一方、空自の情報が流出している。私、この事態を考えたら、ではイラクで自衛隊はどういう活動をしているのかと言うたら、いや、安全上言えません。安全上言えないのは、軍事活動の後方支援をしているからですよ。復興支援だったら言えますよ。

 ですから、総合的に考えまして、国会にはこのような真っ黒け、そして情報が一方で流出しているという事態をどのようにお考えですか。これでいいと思っていますか。思っているか思っていないか。そして、国会にこれをきちんと全部、黒塗りじゃなくて、示したものを提出してください。

久間国務大臣 これでいいとは思っておりません。だから、そういうふうに提示できないようなものがそういうことで、過去のものとはいえ、それが出たということ自体が大変重いわけでありますから、だから、それは何らかの処分の対象になり得る、そういうふうに思っております。

 だから、出していいものだったら、出たからといってそれほど処分の対象にはなりませんけれども、出しちゃいけないといいますか、そういうふうに、要するに、人様のものを、何を運んでいるかということを言っちゃいけないものが、かりそめにも間違ったからといって流出するということは、それは不注意以上のものでありますから、そこは何らかの形でやはり処分対象になり得るんじゃないかと思っております。

 しかし、その辺はこれからよく調査をしてみないと、まだ具体的に、本人の意思が働いているのか、あるいは重過失なのかどうなのか、その辺は調査を続けようと思っております。

辻元委員 人道復興支援に行っていると言っていますよね。それで、そこでやっている活動の実態を出せないというような状況の自衛隊の海外任務を本来任務にするんですか。そして、さらに情報流出しているという状態で、現在、活動の実態も国会にも報告されていない、真っ黒けの資料を出しているような活動を現在活動中なんですよ。このイラクでの自衛隊の、航空自衛隊を含めて、総括も何もしない中で、今活動中である、そういうものを自衛隊の本来任務にしましょうと決めるんですか。無責任じゃないですか、長官。

久間国務大臣 今活動中であるわけでありますから、その中身がどうかという問題については、それはまた議論していただいて結構ですけれども、組織としてどこに位置づけるかというのは、活動中の中身の問題と位置づけの問題は別じゃないでしょうか。

 それは、おたくの気に入るような活動内容だったら本来任務にするけれども、そうでないものはだめだというのと一緒でありまして、法律に基づいて活動している。もしそれを言われるならば、活動の内容が間違っているというような指摘を与えられるなら、それはそれで活動の内容を変えるべきであって、活動そのものをどこに位置づけるかというのは、法律上の仕分けの問題とは別だと思うんですよ。だから、議論をそれは別にしていただきたいと思います。

辻元委員 長官はたびたび、活動実態を見て本来任務にするんだと言ってきたわけですよ。その活動実態が明らかになっていないし、問題が多いんじゃないか。そして、先ほど長官は、海外の任務を本来任務にするという世論が高まってきていると。例えばイラクへの自衛隊の派遣については、さまざまな数字がありますけれども、はっきり言えば国論二分ですよ。そうでしょう。

 このような状況で、私は、本来専守防衛と言ってきた本来任務に海外任務を加えるということを反対するばかりではなく、先ほど赤嶺議員との議論で、憲法との関係もありました。長官は憲法との関係でも、今まで専守防衛に限ってきたのは憲法との関係にもよるということをきのう答弁されたじゃないですか、でしょう。

 そして、一九八六年十二月九日に参議院の内閣委員会で当時の中曽根総理が、憲法そのほかの関係から見て総理大臣の直属の庁にしておいた方が適当と答弁していますよ。状況が変わっただけじゃないんです。憲法というものも理由にあって庁にしておいた方がいいというような答弁を既にしているわけです。

木村委員長 辻元委員、時間になっておりますので、簡潔に願います。

辻元委員 その活動実態についても総括がなされていない。そして、かつてずっと積み重ねられてきた政府の答弁、憲法というのが一つの制約にあることは事実ですよ、それも逸脱しようとしている。

 本法案をきょう採決するなんということ、私は許されないと思いますね。この点、きちっともっと議論すべきだし、法案には反対ですけれども、きょう採決することもやめていただきたいと申し上げたいと思います。強く申し上げたいと思います。禍根を残しますよ、こんな中途半端な状況で、状況に流されて。会期末までに成立させたいから衆議院ではきょう採決されなければいけないとか、とんでもない話ですよ、そういうことを理由にするとは。

木村委員長 辻元委員、時間になりましたので、簡潔に願います。

辻元委員 採決も反対であるということを申し上げて、時間になりましたので、終わります。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、第百六十四回国会、内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。

赤城委員 私は、自由民主党を代表して、議題となっております内閣提出の防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。

 第一に、防衛庁の省への昇格は、国内外の安定に寄与するものであります。

 近年の国際情勢は、九・一一事案を初めとし世界各地に生起するテロ活動、民族、宗教、地域間の紛争等、多様化、複雑化の一途をたどっております。特に、我が国周辺においては、北朝鮮による核実験、弾道ミサイル発射や不審船、中国原子力潜水艦の領海潜没航行等、看過しがたい事案が発生しております。他方、阪神・淡路大震災、新潟県中部地震などの大規模災害も後を絶ちません。

 これらに対応する防衛庁・自衛隊の活動は年々拡大しております。とりわけ、PKO活動やイラク人道復興支援、インド洋におけるテロ対策活動のように、諸外国と協力して国際社会の安定に寄与する活動はここ十五年の間に顕著な変化がありました。このような国内外の要請に着実に対処する上で、防衛庁を省に昇格し、国の防衛という任務を専任する主任の大臣を置くことは必要不可欠であります。

 第二に、諸外国との関係において、防衛に対する我が国の姿勢を示す必要があります。

 国の防衛という一国の存立にかかわる任務を担当する行政組織は、諸外国では当然、省と位置づけられ、専任の大臣が置かれています。このような組織をカウンターパートとし、政策協議、安全保障対話、防衛交流、そして国際平和協力業務を行うに際し、庁のままでは国際社会における我が国の姿勢に誤解を与えかねないと危惧されるところであります。

 また、自衛隊の任務における国際平和協力活動等の本来任務化について述べたいと思います。

 自衛隊の海外活動は、先述いたしましたように、顕著な変化がありました。平成三年、ペルシャ湾に海上自衛隊の掃海部隊を派遣したのに始まり、カンボジア、東ティモール、ゴラン高原等における国連平和維持活動、インドネシア、パキスタン等における国際緊急援助活動、イラク、インド洋における最近の活躍など、我が国が国際的な活動に積極的に参画し、平和と安定に貢献する姿勢は国際社会から高い評価を受けてきました。

 これからも国際社会の平和と安全のための取り組みに主体的かつ積極的に対応していくために、省への昇格と並行して、これら国際平和協力活動等を自衛隊の本来任務として位置づけ、着実にこれらの活動へ取り組むとともに、所要の体制を整備することがぜひ必要と考えるところであります。

 第三に、自衛隊員の士気の問題であります。

 昭和二十九年に発足した防衛庁・自衛隊は、一昨年、創設五十周年を迎えました。この間、省昇格に関して、幾度となく俎上に上がり、今日まで先送りされてきたのであります。自衛隊の諸君は、そうした中、我が国に平和と安定という何よりの成果をもたらし続け、災害対処や海外活動等、誠実、献身的に実績を積み重ねてきました。

 今日、国民の自衛隊に対する信頼はますます厚く、その活動に対する期待も高まっております。今この瞬間にも、自衛隊の隊員は、遠く祖国を離れた海外の地や全国各地において、それぞれ高い使命感のもとに精励しております。こうした努力を評価し、国内外に対して、一層の安定に寄与せんとする我が国の態度を示し、その活動を円滑ならしめなければなりません。

 我々国会議員は、国民の代表として、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を成立させ、今こそ、防衛庁の省移行と国際平和協力活動等の本来任務化を実現すべきであります。

 以上で賛成討論を終わります。(拍手)

木村委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました内閣提出のいわゆる防衛庁の省移行関連法案について、賛成する立場から討論をさせていただきます。

 民主党は、二〇〇〇年にこの問題が議論に上った当時、政策論としては考慮に値するとしながらも、結論としては時期尚早とした経緯があります。しかし、今般ようやく本案を審議するに至りました。民主党として、防衛庁創設以来五十四年ぶりに、国の防衛を担う組織のあり方を正面から議論すること自体に全く異存はありません。

 しかし、省昇格議論がなされているときに、官製談合の問題、情報流出、そして薬物使用、無断渡航などの不祥事が続発したこと、このことにより、国の防衛を担う防衛庁の体質そのものが問われているのであります。今後このようなことが起こらないように厳しく再発防止措置を講ずるとともに、徹底した綱紀粛正を求めます。

 また、本案は、国際平和協力活動等を自衛隊の本来任務に位置づける内容となっています。私も、国際的に意義のある活動が雑則扱いであったことを考えると、今回の改正には意義を認めます。

 しかし、イラク特措法のように、自衛隊の派遣の根拠自体に問題のある活動が含まれていることも事実であります。私は、ここで、自衛隊イラク派遣の政府の判断について改めて厳しく批判を申し上げるものであります。自衛隊の国際協力活動等を本来任務とした場合でも、あくまで自衛隊の最も重要な任務は我が国の防衛であることを忘れてはなりません。

 さらに、シビリアンコントロールの重要さについて触れなければなりません。

 シビリアンコントロールは制度化され、テロ特措法やイラク特措法など、国会承認手続も法定されております。しかし、防衛庁のこれまでの国会に対する説明不足は顕著でありまして、シビリアンコントロールの形骸化も指摘される中で、省昇格を機会にこの点をどう改善していくか、今後の大きな課題の一つとして指摘しておきたいと思います。

 また、北朝鮮情勢等を踏まえ、国内外の懸念についてどうこたえていかれるのかが問われております。

 北朝鮮のミサイル発射、地下核実験など、我が国周辺を取り巻く安全保障環境の変化、さらに拉致事件後の国民意識の変化にかんがみれば、防衛省になった場合のその責任はさらに重くなると考えます。そのような環境の中で軽率な核保有論が流布されるようでは、対外的に誤ったメッセージを送ることにもなり、我が国の国益を損ねる可能性もあります。民主党として、今後とも厳しくこの問題に取り組んでまいります。

 最後に、防衛省に移行するに当たって、さきに挙げた不祥事の徹底した真相究明と再発防止策を講じるとともに、実力組織を運用する防衛庁・自衛隊の皆さんには、今後ともさらなる緊張感を持って職務に当たっていただきたいことを切に求め、私の賛成討論といたします。(拍手)

木村委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場から討論を行います。

 本法律案は、一九五四年の創設以来、庁とされてきた防衛庁を省に移行させること、及びこれまで自衛隊の付随的な業務と位置づけられてきたPKOなど海外派遣任務を、我が国防衛などと並ぶ本来任務の一つに昇格させようとするものであり、我が国安全保障政策の歴史の中でも極めて重要な内容を含んでおります。

 十月の北朝鮮による核実験に象徴される新たな脅威、終わりの見えないテロとの闘いなど、我が国を取り巻く安全保障情勢の厳しさにかんがみれば、国家と国民を守る防衛庁・自衛隊に対し、政策官庁として機能強化を図るとともに、その重要な使命にふさわしい位置づけを与えることは喫緊の課題であります。

 また、省移行に伴い、在日米軍基地問題など国内政策においても、これまで以上に責任を持った組織として地方自治体との調整に当たることが可能になるとされることから、防衛庁の省移行はまことに時宜にかなったものと言えます。

 しかしながら、防衛庁の省移行については、国民の間に、軍事大国化するのではないか、専守防衛や非核三原則など安全保障の基本政策が変更されるのではないか、あるいは徴兵制の導入に道を開くのではないかとの不安や懸念があることも事実であります。

 我々公明党は、こうした国民の不安に丁寧に答えることが、主権者である国民に対する説明責任を全うするために必要にして不可欠であると考えます。したがって、委員会質疑において、こうした問題を取り上げて政府の答弁を求めてまいりました。

 例えば、徴兵制の導入につながるのではないかとの不安については、「それは全く考えられない」「憲法上も難しい、法律もない、そういう中でそういうようなことは考えられない」と明快な答弁をいただき、また、防衛費の増大についても、「そういうことには絶対ならないように、それは十分気を引き締めて注意してやっていこうと思います」との説明を聞かせていただきました。さらに、非核三原則や集団的自衛権を行使しないこと、シビリアンコントロールの徹底など、我が国の安全保障の基本政策についてもいささかの揺るぎもないことを質疑を通じて確認いたしたところであります。

 このように、久間防衛庁長官を初めとする政府側の答弁は極めて明快であり、こうした質疑を通じて、かかる国民の不安は十分に払拭されたと認められることから、公明党としては、本法律案に賛成の立場をとることとした次第であります。

 政策官庁としての機能強化の点については、情報収集、分析能力の向上、戦略的思考の強化、そのための人材育成に格段の努力を行うとの決意も伺いました。ぜひとも、そのような取り組みを期待するところであります。

 なお、防衛庁の体質改善についても、今回の不祥事事件の再発防止策などを通じて、しっかりとうみを出し切り、二度とこのような醜態を国民の前にさらすことはないという久間防衛庁長官の断固たる決意を拝聴したところであり、今後の綱紀粛正の徹底を切に期待するものであります。

 本法律案成立の暁には、来年早々にも防衛省が発足することになります。新しい体制のもと、防衛大臣以下二十七万人の背広、制服の自衛隊員におかれては、国民の強い期待にこたえるべく、我が国の防衛並びに海外における任務、さらには沖縄に代表される基地問題の解決などのため、これまで以上に力を尽くされることを望んでやまないところであります。

 以上、防衛に携わる皆さんに対する激励と期待の言葉をもって、私の賛成討論を終わらせていただきます。(拍手)

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛庁設置法、自衛隊法改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、防衛庁・自衛隊の発足以来初めて、海外活動を自衛隊の任務に位置づけ、防衛庁を省に昇格させる、憲法にかかわる重大法案であります。このような任務変更が憲法上なぜ可能なのか、今なぜ防衛省なのか、法案の持つ根本問題について、政府からまともな説明はありません。総理出席のもとでの質疑、中央、地方での公聴会の開催など徹底審議の要求に応じず、会期内成立先にありき、わずか十四時間の審議で採決を強行しようとしている政府・与党に対し、強く抗議するものであります。

 第一に、海外活動の本来任務化は、憲法九条を真っ向から踏みにじるものです。自衛のための必要最小限度の実力だから憲法に違反しないというのが歴代政府の憲法見解であります。だからこそ、政府は、自衛隊法三条で自衛隊の任務を日本防衛に限定してきたのであります。これを根底から覆し、海外活動を自衛隊の任務に位置づけることがいかなる理由によっても憲法上正当化できないことは明白であります。

 第二に、新たに任務とされた海外活動なるものは、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法など、米軍に対する後方支援活動そのものであります。海外での米軍戦争支援を自衛隊の存立目的である任務に位置づけ、まさに自衛隊を海外派兵隊、米軍戦争支援隊にするものであり、断じて許されません。

 第三に、政府が挙げる省昇格の理由が全く成り立たないことは、この間の短い審議の中でも明らかであります。腐敗、隠ぺい体質には何ら手をつけず、防衛施設庁談合事件を逆手にとって、住民無視の米軍支援行政を迅速かつ強力に貫徹できる体制をつくろうとするものであり、断じて容認できません。

 以上、討論を終わります。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 社民党を代表して、防衛庁設置法、自衛隊法改正に反対の討論を行います。

 今日まで防衛庁を庁としてきたのは、戦前の軍国主義の反省に立ち、戦後の日本の土台をつくってきた平和主義の積極的な具現化であり、変える必要はないと考えます。

 一方、防衛庁の不祥事は絶えないことが本委員会でも明らかになりました。この十年間に、情報流出は十件以上、薬物事案は四十七件、誤射事故は七件、海外無断渡航は九百九十三件、自殺者は七百七十九人との答弁に、多くの委員が懸念を表明いたしました。また、談合は三十年前から延々と組織ぐるみでやっていたとわかりましたが、調査資料の開示も不十分で、この間、むしろ隠ぺい体質が露呈したようなありさまで、規律を高めるために省にするというのは本末転倒です。

 また、自衛隊法三条の本来任務に海外での諸活動を加える点は、自衛隊の基本的性格を根底から変えることにほかなりません。本来任務を専守防衛としてきたのは憲法との整合性を図るためであり、安易に変えられるような次元の話ではありません。海外任務について、別に法律で定めるとされ、海外派遣の恒久法制定への道を開こうとする意図も透けて見えます。

 今必要なことは、海外での自衛隊の活動を丁寧に検証することです。人道復興支援は、今や軍事組織による大がかりな活動の時代ではなく、より機能的な非軍事組織などにシフトしていっているというのが国際的な流れです。

 また、現在、航空自衛隊は内戦状況のバグダッドに物資を運んでいますが、その活動内容もほとんど明らかにされませんでした。そのイラク戦争に自衛隊を今なお派遣中であり、総括もされない中で本来任務にしようというのは余りにも愚かであると考えます。

 本日も航空自衛隊の情報流出が発覚しております。問題点が次々に明らかになっているような段階です。

 今国会で何が何でも成立させようと審議を打ち切り、本日採決しようとしていますが、何をそんなに急いでいるんでしょうか。地方公聴会なども開き、まだまだ審議を尽くすべきであると、法案及び本日の採決に強く反対をして、私の反対討論を終わります。(拍手)

木村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより採決に入ります。

 第百六十四回国会、内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

    ―――――――――――――

木村委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、北村誠吾君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。北村誠吾君。

北村(誠)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、以下、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺漏なきを期すべきである。

 一 防衛庁を省に移行するに当たっては、これまで行ってきた自衛隊の管理運用のみならず、今後は防衛政策に関する企画立案機能をも強化し、もって我が国の危機管理態勢の充実・強化を図り、国際社会の平和の実現に取り組む姿勢を内外に明確にすること。

 二 内閣総理大臣が自衛隊の最高の指揮監督権を保持する等、現行のシビリアン・コントロールの基本的な枠組みを徹底させるとともに、さらに国会によるシビリアン・コントロールを実効あらしめるため、国会に対する説明責任を果たすこと。

 三 防衛庁の省移行に当たっては、防衛政策の企画立案及び執行に係る防衛大臣の補佐体制を強化し、もって自衛隊に対する防衛大臣によるシビリアン・コントロールの徹底を図ること。

 四 防衛施設庁における入札談合事件、護衛艦の暗号及び訓練関係文書などの情報流出事案、大麻所持・使用等に係る薬物事案など、相次ぐ一連の不祥事は極めて遺憾であり、到底、国民の理解を得られるものではない。

   よって、防衛庁及び防衛施設庁は、真に国民の負託に応えるべく、抜本的体質改善に努めるとともに、防衛省に移行した後も、これら事案の徹底的な究明及び対策に全省をあげて取り組むこと。

   そのため、新たに外部からの人材の登用等、監査・査察等に関する制度の創設を図ることにより、一層の厳格な規律の保持に努め、もって国民の信頼回復に全力で尽くすこと。

 五 自衛隊の国際平和協力活動に当たっては、我が国の主体的判断と民主的統制の下に参加することを原則とし、今後、自衛隊が海外活動を展開する際には、その国際的な根拠、必要性及び自衛隊が当該活動を行わなければならない必然性等を明確にして、国会における関係法律の審議などあらゆる局面において、国民に対する十分な説明責任を果たすこと。

 六 自衛隊の国際平和協力活動を本来任務化するに当たっては、これらが従たる任務であるとの位置づけを踏まえ、警戒監視活動などにいささかも欠けるところの生じることがないよう、主たる任務である我が国の国土及び国民の防衛に万全を期すること。

 七 今後、自衛隊の国際平和協力活動に際しては、個々の活動の内容や情勢の変化等に照らして、装備品や人員の配置等について適切な整備を行うこと。

   また、年々増加している自衛官の自殺に関し、適切な対応を図るとともに、自衛隊の任務の多様化が自衛隊員に負担の偏在や過重な負担を与えることのないよう、人事管理を適切に行うとともに、勤務環境の改善を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。久間防衛庁長官。

久間国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

木村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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