衆議院

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第2号 平成24年3月16日(金曜日)

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平成二十四年三月十六日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 神山 洋介君 理事 川島智太郎君

   理事 吉良 州司君 理事 楠田 大蔵君

   理事 宮島 大典君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 東  順治君

      小原  舞君    岡本 英子君

      下条 みつ君    神風 英男君

      高橋 昭一君    橘  秀徳君

      玉城デニー君    萩原  仁君

      福嶋健一郎君    松宮  勲君

      三村 和也君    渡辺  周君

      江渡 聡徳君    大野 功統君

      木村 太郎君    武田 良太君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      赤嶺 政賢君    渡辺 義彦君

      照屋 寛徳君    浅野 貴博君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   防衛大臣         田中 直紀君

   外務副大臣        山口  壯君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           前川  守君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    伊原 純一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  枡田 一彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  橘  秀徳君     三村 和也君

  福嶋健一郎君     岡本 英子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     福嶋健一郎君

  三村 和也君     橘  秀徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房総括審議官前川守君、外務省北米局長伊原純一君、防衛省防衛政策局長西正典君、防衛省人事教育局長枡田一彦君及び防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 新党きづなの渡辺義彦でございます。質問時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、おとついでございます、日米合同の硫黄島の追悼式、顕彰式典に参列をさせていただきました。今ある平和は、亡き英霊の皆様方のおかげによってこの平和があるんだということを本当にひしひしと感じてまいりました。お天気にも大変恵まれまして、野外でいろいろな式典をさせていただきました。本当に暑かったので、最近、髪の毛が薄くなって、直射日光が当たって、頭がちょっと無防備でありましたんですけれども、それとは関係ないんですが、きょうは、頭の守りというか、空の守りのことについて御質問をさせていただきたい、そう思っております。

 まず、次期戦闘機の選定のことについて、田中大臣にお伺いをさせていただきたいなと思っております。

 昨今、毎日新聞でございますとか産経新聞に、どうも納期がおくれそうである、価格も高騰しそうである等々、いろいろなはてなマークがこの選定の中で、選定はされたわけでございますけれども、おくれるんじゃないか、その間の空の守りは大丈夫なのか、そういうことで、参議院でもいろいろ質疑があったと聞いております。

 そういう中ででございますが、毎日新聞の記事では、徳地経理装備局長が米国のケンダル国防次官代行に書簡を宛てて、いろいろ文書が載っておりますんですが、この書簡については事実でございますか、田中大臣。

田中国務大臣 渡辺義彦先生にお答えをいたします。

 今の質問は、そのとおりでございます。

渡辺(義)委員 二十九日の予算委員会でも、田中防衛大臣は、価格の高騰、納期の遅延などが予想されると、選定を見直すこともあり得るというような趣旨の御発言をされておりますが、これはFX選定をやり直すということでしょうか。端的にお答えください。

田中国務大臣 今先生からお話がありましたように、防衛省といたしましては、提案内容を厳守するということが大前提でございますので、今その方向で進めておるところでありますので、いろいろ予測記事も出ておりますけれども、今のところ、当然、米国といたしましては納期も価格も守っていただける、こういうことでありますし、国会でもいろいろ御質問いただきましたが、改めて、私も防衛省の事務方に確認をいたしました。今、全力を挙げて取り組んでおるということでありますので、提案内容を厳守してもらいまして、予定どおり納入をしてもらうということに全力を挙げているというのがきょうの状況でございます。

渡辺(義)委員 価格のことでございますが、選定後わずか二カ月ぐらいで、情報では、八十九億くらいであったということでありますが、今は百二十億以上が予想されておると私もお聞きしておりますが、これは航空自衛隊の予算を大きく圧迫すると思われるんですけれども、その辺は、大臣、どうお考えでございますか。

田中国務大臣 確かに、一機の値段がいろいろ報道されております。予算におきましては、二十四年度は一機九十九億、そしてまた関係の経費も計上いたしておりますが、我が国での予算の価格と、アメリカで算定したり、価格をいろいろ見積もっておるということは、若干その基準が、私どもの方には、提案内容で、それのもとに計算をいたしておりますので、若干予算のときと、今報道されておりますアメリカでのいろいろな価格については、算定基準が違うということも最近報告を受けておりまして、価格についても厳守をしてもらうということで今取り組んでおるところでございます。

渡辺(義)委員 ということは、予算の若干の狂いがあっても大丈夫であろうという御認識というか、御見解ということでよろしゅうございますでしょうか。

田中国務大臣 当然、これから予算成立を図るわけでございますので、これは当初の防衛省が要求した予算を厳守してもらうということで先方に働きかけておるところでありますので、確かに、算定の基準が若干違うというようなこともあるようでありますから、そこはしっかり精査をして、そして間違いのないような価格を厳守してもらうということで取り組んでおるところでございます。

渡辺(義)委員 この契約といいますか、これは、我が国が有償軍事支援、FMSということで、米国国内の価格より安く売れない、また、それ以上でしか販売できないということなんですけれども、その辺に関して、新聞紙上ではございますけれども、現時点では百億を超えるということを米側も発表しておるわけです。その辺で考えますと、それを下回る価格で買えないという契約の中で、本当にその辺は大丈夫でしょうか。もう一度、重ねてお尋ねを申し上げます。

田中国務大臣 当然、米国との交渉になるわけでございますし、FMS契約が四機の前提ではございますが、最近の、二〇一三年度米国予算教書で、二〇一三年度のF35Aの機体単価が一・五三億ドル、先ほど先生からもお話がありました約百二十二億円ということでございますけれども、これは米軍自身の調達に関するものであって、今、その具体的な影響については、先ほど申し上げましたように、確認中でございます。この提案内容を厳守していただくということで今取り組んでおりますので、それ以外のことは考えておるわけではございません。

渡辺(義)委員 価格のこともしかりではございますけれども、納期のことといいますか、その辺のことにも大きな障害があるやに私は判断しておりますのですが、それがおくれることによって我が国の防衛体制に穴があいてしまう、そういう危惧もあるわけですから、大変心配の種であることは確かなんですよね。

 そこで、私どもの提案でございますが、F35というものが御提案されたとき、F18E、それとユーロファイターの三機、条件は三機ともほぼ満たしておると私は認識しておりますが、価格的なこと、また納期がぐっとおくれるというような空白の期間ということを考えて、もし万が一のための代替機として、F18Eをそれなりに準備をしておくということを私はお勧めしたいな、御提言をしたいなと思っております。

 空自のパイロットの方も、装備といい、また乗り心地といいますか、そういう部分でも評価もなかなか高いようでございますし、一番大切なのは空白をつくらないということ。それと、カナダ等々も見直しを考えておるようでございますし、イタリアもそうですよね。オーストラリアにおいても、一八年までに十四機購入ということでありましたけれども、F18へシフトしているということも私は聞いております。

 その辺で、我が国も、変えるということでなしに、あくまで予備機、予備といいますか、リザーブとしてそれを考えるということはいかがでございますか、大臣。

田中国務大臣 FA18は、米海軍が開発した戦闘機であり、制空戦闘能力及び対地攻撃能力をあわせ持った航空機と承知をいたしております。選定の過程ではF35Aが最高点であった、こういうことで、三機の中から我々が選定をいたして、今契約に向かって進めておるところでございます。

 先生のお話でございますけれども、防衛省としては、今後とも、当省の要求する期限までに、提案どおりの価格で、当省の要求する性能を備えた機体を納入するよう、引き続き、米国へ要請してまいる所存でありますので、納期に納入されないことを前提として特定の機種を調達することの適否については今考えておらないということでございます。

渡辺(義)委員 時間が余りございませんので、引き続いて、またこの件につきましては御質問をさせていただくといたしまして、玄葉大臣に質問をさせていただきます。

 通達では、先般の東日本大震災の一周年追悼式典で、台湾の代表の方、また台湾国民に対しても、私は大変失礼な事態を招いてしまったという認識でございますが、このフォローとして、外務省としては、何かその後対応をされておられますんでしょうか。特段何もされておられないんでしょうか。

玄葉国務大臣 ただいまの御指摘につきましては、私ももう少し配慮すべきであったというふうに考えているところでございます。

 十二日の日に、実は外務省主催で復興レセプションを開催させていただいて、駐日の台北経済文化代表事務所関係者の方もいらっしゃっていただいたんですね。そのときに、私からも直接謝意を申し上げたということでございます。

 あわせて申し上げると、新聞広告あるいはテレビCMなどで、台湾の方々に、今回の三・一一に対する謝意を、直接国民の皆様に訴える、感謝を申し上げるということをさせていただいているということでございます。

渡辺(義)委員 台湾という国は、この震災に関しましても多大な御支援をいただいた国でございます。そのことも鑑みまして、今後の台湾との国交といいますか交流といいますか、その辺をもっともっと御注意をいただきながら、近くて本当に頼りになる国であるという御認識を外務省の皆さんにもお持ちをいただきたいと思っております。

 時間が参りましたので、ここで質問を終わらせていただきますが、FXのこともまた引き続いて質問をさせていただけたらと思います。ありがとうございました。

東委員長 次に、木村太郎君。

木村(太)委員 両大臣、毎日お疲れさまです。

 質問事項が多いので端的に御答弁いただきたいと通告の方でもお願いしております。また、歴代の北澤、一川大臣にも質問したことを、改めて田中大臣にもお伺いしたいと思っております。

 まず、きょうは大臣所信に対しての質疑ということでありますので、先般、田中大臣の所信の中で、我が国の周辺情勢の厳しさ、具体的に北朝鮮、中国、ロシアを取り上げて述べておられました。

 私は、もちろん大変厳しくなっていると認識を持っておりますが、そもそもきっかけは、やはり総選挙の際に、最低でも県外と今の民主党の皆さんが訴え、そして日米同盟に傷が入り、そこに周辺諸国がつけ込んで今の軍事的な姿を増してきている。慌てた今の政府の方は、日米同盟をもう一回しっかりつくり直そうということでTPPを利用し始めるのかな、こう私は認識を持つんですが、田中大臣、同じ認識を持ちますか。

玄葉国務大臣 今、木村委員から最後にTPPの話がありましたが、TPPと安全保障、全く関連がないとは言いませんけれども、直接、つまりは普天間の移設の問題についてさまざまなことがあったがゆえにTPPということでは決してございません。

 ただ、私の考えとしては、安全保障にすきを与えてはいけないというふうに私自身考えております。ですから、普天間の問題が膠着状況にあるということについて、これは日米同盟の深化上よくないということで、今般、いわゆるグアムへの移転、そして、その結果生ずる嘉手納以南の土地の返還並びに普天間の移設をそれらと切り離していくということについて、公式な議論を開始したということでございます。

 おっしゃるように、安保環境は厳しさを増しているというのも、私もそういう認識でございますので、そういった厳しさを増していく安全保障環境に日本がどう対応するのか、すきを与えてはいけないというふうに私も感じております。

田中国務大臣 TPPと日米の安全保障につきましては、直接の関係はないと認識をいたしております。

 岩国にとりまして、普天間の問題がございます。そしてまた、アメリカは新国防政策ということでアジア太平洋を重視してきている中にありまして、やはり日米にとって大きな問題は、抑止力を維持、そしてまたできれば強化したい、こういうことでございますし、我が国にとっても、沖縄にとっての基地が、目に見えて負担が軽減するという大変重要な問題を抱えておるところでございます。

 そういう面で、確かに民主党はこの二年間、いわゆる迷走したという状況であることは間違いないわけでありますが、しかし、私はそういう面では大変御迷惑をかけたと認識をいたしておるところでございますが、十六年もこの問題に取り組んできましたので、何とか私の手で解決の糸口をつくりたいということで、今、真剣に取り組んでおることを御理解いただきたいと思います。

木村(太)委員 辺野古湾V字滑走路というのは、額賀長官のときに私は副長官をやっておりまして、大変苦労しました。あのときは、沖縄県民、名護市民も、それだったら仕方ないなと、消極的な方も含めますが、我々が肌で感じている感じでは七割近い人が納得したんですよ。今はもう全て、そういう反対の姿になって、これは本当に私は大きなダメージになったと思います。これ以上、沖縄県民の感情を損なわない、そういう姿勢で取り組んでいただきたい。

 次に行きますが、先般、中国が国防費を発表しました。国際社会的には、常識として、中国みずからが発表する国防費の数倍以上実際はあるだろう、こう言われておりますが、両大臣はどう認識を持ちますか。

玄葉国務大臣 おっしゃったとおり、中国の国防費につきましては、対前年比たしか一一%増、そういう発表がなされたところであります。ただ、内訳がよくわからない。

 そして、今、国際的な常識という話がありましたけれども、実態はどうなのかということですが、現実にペンタゴンの一部試算などでは、実態は倍あるのではないか、こういうことも言われておりますので、そういった不透明性ということについて我々はよく留意をしながら、中国の国防力の増強について対応を考えていかなければならないというふうに思っております。特に透明性の向上ということについて、働きかけを強めたいというふうに考えております。

田中国務大臣 今外務大臣がお話ししたとおりだと思います。中国の国防費は、公表されているだけでも、これまで毎年、おおむね一〇%以上伸び続けておるということでありますし、中国が国防費を大きく増加させておるということは、我が国を含む地域、国際社会にとって大変懸念事項となっております。

 防衛省としては、中国の動向を引き続き注視するとともに、日中防衛当局間でいわゆる海上連絡メカニズムの構築を急ぎたいということで、私も事務方に指示をいたしておりますし、不測の事態回避や信頼の醸成を図っていくことがこれから大事な問題だと思っております。

 確かに、アメリカサイドの報告では、研究費等、この国防費に含まれていないおそれもあるのではないか、こういう指摘もありますので、透明性を図っていくということに取り組んでいきたいと思います。

木村(太)委員 きょうの新聞にまた報道がありましたけれども、在日米軍再編計画の見直しのことで、グアムに移転する予定だった海兵隊の一部を日本の国内に移転させるという協議をアメリカとしているんでしょうか。そして、岩国は絶対ないということになったんでしょうか。加えて、大変恐縮ですが、私の地元のことを取り上げますが、三沢ということも検討の俎上の一つになっているんでしょうか。これがないとすれば、やっぱり沖縄に残るということになるんでしょうか。

田中国務大臣 三点、お話がございました。

 岩国に移転するということは、外務、防衛政務官が参りまして、その可能性はないということでお伝えをしたところでございます。三沢につきましても、考えておるところではございません。

 これから、日米で移転先につきまして、グアムを初め、今協議中でございますので、それ以上のことは差し控えさせていただきたいと思います。

木村(太)委員 今の答弁を聞くと、岩国と三沢はあり得ない。そうしますと、その他の国内は、まだ可能性はあり得るんですか。ないとすれば、沖縄にそのまま残るんですか。それとも、全部グアムにやるということですか。

田中国務大臣 抑止力の維持ということで、沖縄に約一万の海兵隊が残留をしていただく。そしてまた、当初どおり、八千の海兵隊の皆さん方が移転していただくということでありますし、国内においては、我が国の立場として、アメリカに対して、新たな移転先というものは難しい、こういうことでお話を申し上げていますので、そのことは、今回はこれから具体的になることはないと私は認識をいたしております。

木村(太)委員 そうすると、グアムに移転してもらおうとした海兵隊の一部を国内にやることはあり得ないというふうに私は今理解しましたので、グアムに全て予定どおりのものを移転してもらう、こういうことでよろしいんですね。

田中国務大臣 前半のことは間違いございませんので、そういう面では、グアムを初め、アメリカの方もいろいろ考えていただいておりますので、ハワイを初め、その他の地区を、日米で今精力的に交渉をさせていただいておるという状況でございます。

木村(太)委員 それでは、同じような視点で、オスプレーを一時的に沖縄以外の国内に配備するという協議をしておりますか。それで、地元のことを取り上げて恐縮ですが、三沢ということもあり得るんでしょうか。

田中国務大臣 今の日米協議の中では具体的な話は取り上げられておりませんけれども、しかし、アメリカサイドでは、当然、秋までにオスプレーを普天間に配備するということでお話があることも間違いありませんが、それをどういうふうに日本へ搬入されるかということにつきましては、まだ具体的なことについては決まっておるところではございませんし、担当の事務方の方で、日米として、今話をそれなりにしているというふうに聞いておりますが、最終的な決定はいたしておらないという状況でございます。

木村(太)委員 最終的な協議を求めているわけではない。協議しているかどうか。要は、普天間の前に一時的に国内のどこかに持っていこうという協議をしているかどうかを聞いているんです。

田中国務大臣 先生のお話の三沢基地に配備されることは考えておりません。

 新聞でいろいろ報道されておるようなことはない。国内で受け入れるということは、今のところ、話題になっておらないということでございます。

木村(太)委員 わかりました。国内に一時的に配備されることはない、こう理解しました。

 では、防衛大綱、中期防のことについて聞きますが、これは北澤、一川両大臣にも聞いたんですけれども、我が党としてオリジナルの防衛大綱というのをつくりました。それから、日本郷友連盟もつくったんですね。大臣は、その大綱を見たことがありますか、読んだことがありますか。

田中国務大臣 自由民主党政務調査会・国防部会で御提案されておる新防衛計画の大綱については、昨日入手しまして、ちょっと拾い読みした程度でございますが、大変恐縮でありますが、拝見はいたしております。

 日本郷友連盟からの御提言というのはちょっと入手できませんでしたので、私は拝見をいたしておらない状況でございます。

木村(太)委員 北澤、一川大臣は読んだことがないと答弁しましたので、田中大臣は早速読んでくれたということで、郷友連盟の方も一度目を通していただいて、やはり防衛大臣ですから、いろいろな考え方、どういう考え方があるかということをぜひ参考にしていただきたいと思います。

 今政府がつくった防衛大綱では、動的防衛力の構築を目指す、こう言っておりますが、具体的にどういうことですか。また、予算上どういうふうにあらわれているんですか。

田中国務大臣 動的防衛力につきましての御質問だと思いますが、防衛大綱において、防衛力の存在自体による抑止効果を重視した基盤的防衛力構想によることではなく、運用に焦点を当てた動的防衛力を実現することとしたわけでございまして、この中期防及び各年度の予算を通じて具体化していくということで、まず平成二十四年度の予算としましては、潜水艦の建造、そしてまた輸送機の取得、戦闘機の取得などの経費を計上しておるところでございます。

 また、我が国にとって大切な南西地域の島嶼部に陸自部隊を配置して、警戒監視及び対処態勢を整備するとともに、他の基地から那覇基地に戦闘機部隊一個飛行隊を移動させて即応態勢を強化するということの取り組みを実施することにいたしておるところでございます。

木村(太)委員 私は前の一川大臣にも申し上げたんですが、民主党政権が、実際には一年ほったらかしで防衛大綱、中期防をつくった。その後、大震災が発生し、そして、ピーク時には十万七千人の自衛官諸官を被災地に投入する事案が発生した。また、自衛隊みずからも、松島あるいは多賀城等、大きな被害を受けた。そういう状況で、日本の防衛能力を試すかのように、周辺諸国の日本周辺におけるいろいろな軍事的な行動が目立ってきたということを考えれば、防衛大綱を、中期防をもう一度見直しをする、このことが大事だと思うんです。

 一川大臣は、いや、この間つくったばかりですからそんな考えはありません、こんなことを言うんですね。我々がつくった一六大綱のときは、五年後の見直しをする、こういうふうに位置づけてあったんですね。今の大綱は、そういう期間というのは記しておりません。ただし、いわゆる環境等が変わったときには見直しもあり得ると書いているんですよ。この三つの私が言った理由をもって見直しをすべきことだと思いませんか、防衛大臣として。

田中国務大臣 防衛大綱の情勢認識や動的防衛力を構築するという方向性は、現状に適切に対応したものと考えております。先生御指摘のように、東日本大震災による被害の復旧ということで、二十三年度の補正予算あるいは二十四年度の予算で適切に対応してきたわけでございます。

 前提は、現時点で防衛大綱を見直すべきという認識には至っておりません。

 しかし、先生御指摘のように、情勢に重要な変化が生じた場合には必要な修正を行うということにいたしておりますから、私は、常に問題意識を持って、検討をして、新たな情勢変化というものを敏感に認識して進めていくということが大事だと思いますので、不断に情勢の検討は行っていきたいと思っています。

木村(太)委員 ですので、私たちの認識は、先ほど言った三つの理由、ピーク時投入数が十万七千人、自衛官の投入が、延べにして一千万人を超えているんですね。あるいは、周辺諸国の軍事的な行動が活発化してきている。こういった理由でやはり見直しをすべきだ。しかし、大臣の答弁はそこまで情勢変化していないみたいなことですから、ここが自民党と民主党、与党との安全保障に対しての考え方、認識の大きな差であるというふうに改めて感じました。

 では、渡辺副大臣、前に聞きましたが、自衛隊そのものも被害を受けたわけですが、今回の予算の説明でも、大震災に対しての復旧復興の防衛省分のことを述べておられます。私は、おおむねでいいから被害額の全体の姿があって、その復旧を目指すべきでしょうと前に言ったんですね。そのときは、全体の被害額、おおむねでもまだつかめませんと言っておりましたが、今現在ちゃんとつかみましたか。

渡辺副大臣 数字を申し上げますと、まず、現時点で把握をしている建物の被害額は二百六十億円でございまして、装備品の被害額は千三百六十億円、合わせて計千六百二十億円でございます。

 先生から、昨年の十一月でしたでしょうか、委員会で質問をされたときには、たしか合わせて千百十七億円とあのときお答えをいたしました。その後、いろいろな調査をして進めたところ、現在の時点では、ここへ来て、約五百億円ほど被害総額がさらにふえたということでございます。

木村(太)委員 防衛省・自衛隊の復旧復興にもぜひ全力で取り組んでいただきたい。

 田中大臣、大陸の方から日本列島を見るような地図というものを見たことがありますか。

田中国務大臣 一、二度見ておりますが、一番最近は、東委員長のところへ御挨拶に行きましたら、議員会館で、大きな地図がありまして、説明を受けながら私も拝見をしたのがごく最近の経験でございます。

木村(太)委員 そうすると、大臣の地元である新潟県や私の地元、青森県などが違う角度からもちろん見えるわけですが、日本の国土政策の中で日本海軸という考え方があるんですね。先ほど大臣も述べられました、所信にもありました南西地域の防衛力の強化ということはもちろん大事だと思います。しかしながら、朝鮮半島、極めて北朝鮮の動き、あるいはロシアにおける北方領土に軍事基地を強化していったり、極東の軍事力を高めている、あるいは中国の国防費が先ほどお話しあったとおりということを考えますと、日本の安全保障の中でも、日本海軸というものをしっかりと構築していく、柱の一つにしていく、こういう考え方が必要だと思うんですが、どう思いますか。

田中国務大臣 自民党の防衛大綱でも、三面対策といいますか、北そしてまた南西、そしてまた、先生が言われるように、西側の日本海を挟んで、ユーラシア大陸に面している地域、我が国の周辺情報について対応が書かれておりまして、私も、当然、日本海の問題については、やはり南西地域、当面の急ぐべき対策だと思いますが、しかし、我が国は島国でありますから、考慮に入れていくことは大事だという認識に立っておりますけれども、しかし、今この状況の中で、常時継続的に情報収集をしておることも間違いございませんので、日本海については、我が国の防衛上極めて重要でありますけれども、従来から陸海空の部隊を配置しているところでありますので、自衛隊の警戒監視能力、防空能力、機動力、輸送力、弾道ミサイル対処能力を含む対処能力等を向上させて、その安全確保に万全を期していくということで今取り組ませていただいております。

木村(太)委員 私は、日本海と言っているんじゃなくて、日本海軸という考え方を安全保障上打ち出すことが必要じゃないかと。

 もちろん、日本海側にも自衛隊の基地等があるわけですが、例えば、私の地元では数年前に北朝鮮からの脱北者の船が接岸したという事案もあったり、そういうことを考えると、日本海側に演習場というものを少し整備しておくとか、もう少し駐屯地の整備で日本海側をもう一度見直ししましょうとか、いろいろなことをいま一度、日本海軸という考え方を安全保障上に位置づけるべきである、こう思うんですが、必要かどうかを認識だけでもいただければ。

田中国務大臣 私は、必要な時期には来ておるということでありますが、すぐに対応できるかどうかということについてはまた慎重に検討をしていきたいと思いますし、先ほど話がございましたように、北朝鮮の脱北者は、どうも新潟に向かって出たようでありますが、海流の関係で先生のところに漂着した、こういうことでありますから、確かに日本海軸という認識を持って対応をしていくことは大事だなという一つの考え方を認識させていただきました。

木村(太)委員 ぜひお願いしたいというふうに思います。

 ちょっと話はかわるんですが、我が党は平成十七年に新しい憲法というものを打ち出しまして、その後の東日本大震災等々ありましたから、ことしのサンフランシスコ平和条約の日を目指しまして、自民党としての憲法というものをまとめる最終議論をしている最中であります。衆参両院でも憲法についての議論が活発化してまいりました。

 防衛大臣として、憲法改正についてどのような認識を持ちますか。

田中国務大臣 私といたしましては、まず、憲法審査会を初めとする国会における議論、各政党における議論等を見守ってまいりたいと思います。憲法改正につきましては、これまでも各方面からさまざまな意見が出されております。それぞれの立場から議論が行われると思いますし、私も、さらにこの憲法改正についての論点というものもしっかりと勉強していければと思っています。

木村(太)委員 地元のことで恐縮ですが、これも前に北澤、一川両大臣に聞いたんですが、私の青森県というのは、三面を海に囲まれていまして、陸海空の自衛隊があり、そして米軍三沢基地がある。それから、世界で最初にXバンドレーダーというのを私の選挙区に私が副長官のときに設置したんです。人口一万人当たり自衛官の数というのが、日本で一番多いのは青森県なんですよ。

 日本の安全保障という中で、先ほど日本海軸と言いましたが、青森県の位置づけを大臣はどのように認識しておりますか。

田中国務大臣 青森県には、陸上自衛隊の第九師団、海上自衛隊の大湊地方総監部、航空自衛隊の北部航空方面隊など自衛隊の部隊が配置されているほか、在日米軍の三沢基地も所在しておるということでございます。

 防衛省は、防衛計画の大綱などに従い、高い機動性や対処能力等を備えた陸海空自衛隊の部隊等を青森県を初めとする全国に配置してきたところでありますが、このような部隊を整備してきておるということにつきましては、青森県も大変御協力をいただいておりますし、我が国及び我が国周辺の平和と安定に大変貢献をしていただいておるということでございます。

 そういう面では、防衛省としても御理解をいただいていることに大変感謝をいたしております。

木村(太)委員 ありがとうございます。

 最後に、ちょっと思い出話的になるんですが、私ごとですが、私は大学に入ったときに、うちのおやじが四回目の落選をしまして、大臣のお住まいであります目白の田中邸に書生という立場で住み込みながら働きました。多分、田中角栄先生が経済的に火の車のうちのおやじのことを考えて、私のことを預かったと思われます。その後、いろいろなお仕事をさせていただきまして、田中先生はもちろんでありますが、奥様であります、はな夫人には本当に情けというのをいただきました。

 また、当時、福島を選挙区とする田中大臣でありましたので、大変温厚で、時々、草取りをしていると、私たちに頑張ってくれと励ましの言葉をいただいたことも思い出しております。そういった点でも、田中大臣、どうぞ、日本の防衛は私が責任を持ってやる、こういう思いを持って御活躍をしていただきたい。

 ちなみに、私、その後結婚した家内の名前も漢字まで一緒で真紀子といいますので、そういう意味からも、田中大臣の御活躍を心から御期待して質問を終わります。ありがとうございました。

田中国務大臣 どうもありがとうございます。

 決意を新たに臨ませていただきます。二代にわたって、いろいろおつき合いいただいていることを感謝いたします。

東委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 民主党、沖縄県第三区、沖縄県のまさに普天間が移転しようとしておりますキャンプ・シュワブのある選挙区を抱えます玉城デニーと申します。

 きょうは二十分ですので、たくさんお話ししたいこともあるんですが、簡潔に進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、山口副大臣にぜひお願いをしたいと思いますが、せんだって、東日本大震災の追悼式典が行われた際の台湾の代表者の方々に対する件でございますけれども、総理も官房長官の方も謝罪という形で述べられましたが、ひとつ副大臣からの御所見をお聞かせいただきたいと思います。

山口副大臣 先日の東日本大震災の追悼式典においては、台湾の駐日台北経済文化代表事務所の関係者の方を民間関係者ということで招待させてもらいました。こういうことですから、民間関係者のほかの方々と同様に献花を行っていただいたわけなんですけれども、台湾とはいわゆる外交関係が結べていない中で、工夫がもうちょっとあり得たんじゃないのかなということを我々はよく考えた次第です。

 あり方としたら、外交団をずっとあそこで呼んだわけですよね、そういう意味では、民間関係者といっても、そこはうまく区別しないように、続けてざあっといろいろな民間関係の団体の方もお呼びして、一つの工夫があり得たんじゃないかなというふうには思っています。台湾の各界から約二百億円の義援金の提供がなされたほか、緊急支援物資の提供、あるいは緊急援助隊の派遣など、心温まる破格の支援をいただいているわけですから、これにしっかりともう少し応える形があり得たんじゃないのかなというふうに思っています。

玉城委員 ありがとうございます。

 私は、できれば指名をして献花をしていただくという形でその恩に応えるということが一番いいと思います。沖縄には迎恩という言葉があります。迎えて恩を伝える、報恩ですね、報恩と迎恩というのがありまして、お迎えをして、ありがとうございましたという感謝の気持ちをぜひ示していただきますよう、これからは、台湾と日本、台湾と沖縄、日本とアジア、全体を見据えて、ぜひ御奮迅、御奮闘いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、それでは早速、きょうは同盟関係と自衛隊の島嶼防衛についてお話を伺いたいと思いますが、皆様のお手元に資料をお配りさせていただいております。

 まず、この数字から具体的に御紹介をしたいと思いますが、一番最初が沖縄県における基地の概要でございます。在日米軍兵力に占める在沖米軍兵力の割合です。沖縄にいる総数で六八・四%、陸軍六七・九、海軍三二・二、空軍五二・五ですが、海兵隊は八八・六%沖縄にいるということでございます。

 めくって二枚目の数字、これは、沖縄県における基地の概要、在日米軍兵力及び現況の総数です。これは、全国にいる総数と、右側の括弧内が沖縄にいる総数でございます。はしょります。

 総数が三万四千三百八十五人、沖縄が二万四千六百十二人。海兵隊は、うち国内に一万五千六百七十八人ですが、沖縄に一万四千九百五十八人。総数にして沖縄に七二%、海兵隊は総数にして九五%いるということです。これは、海兵隊が沖縄に比重が重過ぎるということの現況にほかなりません。沖縄県のホームページでそのように説明をしております。

 一枚おめくりいただきまして、「将来の海兵隊の太平洋プレゼンス」という地図をごらんください。

 これは、アメリカの太平洋司令部のホームページで載せているものでございまして、二〇一〇のいわゆるQDRが発表されてからグアムを拠点にすると言って以降、そこにハワイの本部がありますが、先般、グアムにある程度拠点を移して、そして、ハワイ、オーストラリアというふうな報道発表もなされております。

 こういうふうに、アメリカは、この間、もはや普天間の辺野古移設にこだわらずに、動かせるものを動かすという戦略に展開しています。それはテロ対策も含めた、西太平洋とアジア全域における米軍のプレゼンスをしっかりとフットプリントしていくということにほかなりません。

 そこで山口副大臣にお伺いいたします。

 二月八日の共同報道発表が行われました。その共同発表について、どのような内容であったか、かいつまんでお話しください。

山口副大臣 今までは、普天間から辺野古の話、あるいはグアムへの話、いろいろなものが全部パッケージとなっていたわけですけれども、それを一度切り離して、できるものからやっていこうという内容になっています。

玉城委員 ありがとうございます。

 まさにそのとおりで、二〇〇六年の2プラス2、ロードマップの具体的な見直しが始まったということです。つまり、もはやもう辺野古ではなく、アメリカが具体的に軍隊を動かすということが共同発表になりました。

 私は、二月七日から十日まで訪米いたしまして、十九人の上院、下院議員、シンクタンクのメンバー、そのほか日本関係の方々ともお会いいたしましてお話をさせていただきましたが、ほとんどの方々が辺野古はもう無理だろうということです。そして、アメリカはその巨額な財政赤字も、米軍の予算さえ切り離して、つけないものはつけない、できるところからやっていくということで、アメリカの国内事情でやむなく使えるものを展開していくという方向に変わっていっていると思います。

 この共同報道発表にも、それが如実にあらわれております。四番目のセンテンスのところに、海兵隊のグアムへの移転として、普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離す、グアムに移転する海兵隊の部隊構成及び人数についても見直しを行っているということです。これを数週間ないし数カ月以内に行うということで、今まさに協議中だということでございます。

 では、このパッケージの切り離しによって、海兵隊の部隊編成、移動する人数など、今後の協議でどのようになっていくのかということを山口副大臣にぜひお伺いしたいと思います。

山口副大臣 局長級あるいは審議官級でその部隊の構成あるいは人数を今やっているところです。報道紙上、いろいろ出ているとは思いますけれども、今実際に話をしているところです。

 ただ、一番の根っこは、例えば二〇〇六年のロードマップの話のときに、あの当時の数え方で一万八千から一万というところがありましたから、そこはきっちり守れるようにやっています。ただ、米側の方からいろいろな数字が出ているので、それを積算したらそういうふうになるかどうか、その辺を今やっているところです。

 今、玉城議員の方から、普天間から辺野古は大変沖縄の気持ちとして難しいんだという話、我々も真っ正面からそれは受け取らせていただいています。その中で、この辺野古というものが私たちにとっては今の方向であるというふうに思っています。

玉城委員 先ほど委員からも話がありましたけれども、いわゆるV字案が、当時辺野古に移るというふうな状況のときから沖縄の政治状況は一変しております。今は県知事も県議会もほとんどがもう県内移設はやめてくれ、県外に持っていってくれということですので、我々は、物理的、具体的に、アメリカがどうやって展開していくのか、どこにどう海兵隊や軍隊を配置するのかということに、日米同盟として日本がどうかかわっていくのかということの本質の方が一番重要だというふうに思います。

 そこで、同盟関係における米軍と自衛隊の我が国の周辺の防衛体制ですが、実は、南西方面地域は東西千キロ、南北に四百キロという広大な地域でございまして、有人島五十を含む百六十余りの島々がございます。ですから、島嶼防衛は、まさに自衛隊が米軍と協力してしっかりと網かけをしていかないといけない地域であり、米軍の展開よりも自衛隊の展開を具体的にいろいろ議論していく方が、より深化する日米同盟への協力体制になるんだというお話を私は常々いろいろな場所でさせていただいております。

 まず、山口副大臣にお伺いいたします。

 我が国周辺の防衛体制、特に島嶼防衛に関する日米の役割はどのように位置づけられているか、お聞かせください。

山口副大臣 先ほど玉城議員の言われたことの中で、私もずっと思いをめぐらせていますが、我々は、今、連立方程式を解いていると思うんです。それは、我々自身の防衛力のあり方、沖縄の方の気持ち、それがまずありますね、それからアメリカ側の状況。

 アメリカの中で国防予算を削減する。その中で、もしも普天間、辺野古というところがパッケージの中でどうしても最初のスイッチであるとしたら、なかなかスイッチが入らないのであれば、議会として、グアムの予算もなかなか難しいということもあったんでしょう、そういう中で切り離していろいろと進めていこうと。さらに、世界の今の安全保障環境の変化。その中にはいろいろな国があると思いますけれども、ミサイルもいろいろ発達してきている。では、それを一つのバスケットに固めないでいろいろなところに分散していこう、そういうのがアメリカの今の状況だと思っています。

 その中で、今、玉城議員の御指摘の点というのは、島嶼防衛が手薄になったらどうするんだということが当然ありますね。我々は、今、部隊の構成あるいは規模のあり方、そういうことも踏まえていろいろ議論をしているところですけれども、済みません、まだ合意に至っていないので、今おっしゃっていただいたことは目いっぱい念頭に置いてやりたいと思っています。

 あとは、防衛省の方で、そういうところをどういうふうに自分たちの防衛力の体制として考えていくかというのは、専門的に今検討いただいているものだと思っています。

玉城委員 同じ島嶼防衛について、今度は田中防衛大臣に防衛大綱の内容も含めて島嶼防衛についてお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 米軍再編に係る今般の日米協議と、島嶼防衛における米軍と自衛隊の役割についての御質問だと思います。

 島嶼防衛を含めた我が国への侵略に対する基本的な役割分担は、日米防衛協力のための指針等に定められており、我が国が主体的にそうした侵略を排除するための作戦を実施する、そして、米軍が自衛隊の能力を補完し、必要な支援を実施することとされております。今般の協議においても、こうした基本的な役割分担についての変更はございません。

 いずれにしても、防衛省・自衛隊としては、防衛大綱、中期防に基づき、活動基盤が手薄な南西地域の島嶼部に自衛隊の部隊を配置するなどして周辺海空域の安全確保、情報収集、警戒監視体制の整備、迅速な展開、対応能力の向上等を図るなど、島嶼部における防衛体制の充実に引き続き主体的に取り組んでまいりたいと思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 まさに島嶼部で空白が生じることがないように、そこを補完するのは、一義的には我が国の組織である自衛隊であるということを再認識しなくてはならないというふうに思います。

 そこで渡辺副大臣にお伺いしたいんですが、これまで自衛隊が離島における急患搬送などで多くの実績を残してきていると思いますが、その数あるいは状況についてぜひお聞かせください。

渡辺副大臣 それでは、事実関係でございますので、私から御答弁させていただきます。

 沖縄地区における急患の輸送実績が、平成二十一年度で百十二件、二十二年度で百二十八件、今年度、二十三年度は、本年の二月末現在で百三十七件でございます。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 実は、沖縄がことし復帰四十周年でございます。昭和四十七年の臨時第一混成群、そして第六高射特科群が、昭和四十八年に第一混成団に編成され、沖縄に配備され、平成二十二年には第一五旅団としてしっかりと、この四十年間の間で県民の中でも自衛隊の活動というものは一定の評価が与えられてきております。それは、不発弾の処理もそうですが、離島における急患搬送は本当に大きな力になっておりまして、実際に、そういう組織があるということは大変うれしいという声もたくさん伺っております。

 そこでお話を伺いたいんですが、防衛大綱における動的防衛力の整備と重ねて、田中防衛大臣は、今後、離島及び島嶼地域における自衛隊のこれからの存在についてどのような整備の重要性を考えていらっしゃるか、お聞かせください。

田中国務大臣 今、先生から急患搬送のお話がありました。

 先般、沖縄に参りましても、自衛隊が努力をして、仲井真知事も、自衛隊の活動に大変感謝しているという大変ありがたい言葉をいただきまして、隊員の皆さん方にも報告をして、さらなる努力をしていく、こういうことでございましたので、先生にも御協力をいただきたいと思います。

 具体的に、中期防期間中に、情報収集、警戒監視体制を整備するということで、与那国島へは陸自の沿岸監視部隊を配置する、あるいは潜水艦の増勢、そしてまた、南西地域の沖永良部島、宮古島の旧型固定式レーダーを更新する、こういうことも手がけてきておるわけでありますし、南西地域の島嶼部に陸自の初動対処部隊を新設するということでございますし、その他戦闘機一個飛行隊を那覇基地に移動させる。

 いろいろ対策を講じてきておるところでございますので、先生にも御理解をいただきながら、この地域の防衛を、そしてまた、大変多くの島がございますけれども、その生活の維持のためにも働かせていただければと思っております。

玉城委員 ありがとうございました。

 最後に、これは三枚目の資料に、自衛隊基地関係の「沖縄県における自衛官数」というのがございます。それをごらんいただきたいんですが、総数六千四百人、陸上自衛官二千百五十人、海上自衛官一千三百人、航空自衛官が二千九百五十人。海上自衛官は海の上に出ていらっしゃる方々もいますので実数ではないんですが、それでも六千四百人で、東西千キロ、南北四百キロを守ろうというのは、私は、そこにこそもっと国力としての力を注ぐべきではないかというふうに思います。

 つまり、米軍との日米共同の中では、日本側からアメリカに対して、このパッケージ論の切り離しが具体的にアメリカと一緒に協議をされるのであれば、まさに沖縄の声もそこに加えて、日米沖縄という形で、しっかりと日米同盟の深化へは協力をしていく姿勢を示していただきたいと思います。

 しかし、そのためには、自衛隊のさらなる増強といいますか、人員の確保、あるいは装備の更新などは欠かせないことだと思います。また、今大臣の答弁にもありましたように、宮古島のレーダーも古くなっている、与那国に置こうかと思っても、与那国でもいろいろな声がある。では、どうしようかというふうなことを考えると、やはりきちっと、それをどのようにすれば、アメリカと日本で共同してこの地域の抑止力というものを、我々も具体的にそれにかかわっていけるのかというふうなことをぜひ提案していただきたいと思いますが、そのことについて、最後に大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。

田中国務大臣 先生も大変、地元で御心配いただいております普天間の辺野古移設の問題についても、私、真剣に取り組んでおりますので、この場をおかりしまして、御協力をお願い申し上げたいと思います。

 また、自衛隊のこれからの充実というものについては大変重要な課題だと思っておりますので、中期防の中で、二十七年まで整備をしていきますが、引き続きこの南西地域の防衛を自衛隊初め各国とも協議をしながら進めていきたい、こういうふうに思っておりますので、私も努力しますが、よろしく御協力をお願い申し上げたいと思います。

玉城委員 ありがとうございました。

 私は県民の声をもとに行動しておりますので、ぜひその声をしっかりと酌み取っていただきますよう、今後とも力を合わせて頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

東委員長 次に、小原舞君。

小原委員 民主党・無所属クラブの小原舞でございます。

 このたびは、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 東日本大震災から一年たちました。十万人規模の自衛隊の災害派遣においては、被災地の方のみならず、国民の皆様から高い評価を得ていることと思っております。

 そこで、三月十日に発表されました内閣府の自衛隊・防衛問題に関する世論調査なんですけれども、その中で「自衛隊に対して良い印象を持っていますか」という小問がありました。その中で「良い印象を持っている」「どちらかといえば良い印象を持っている」というのを合わせた回答が九一・七%にも上っております。また、防衛体制についての項目の中では、「自衛隊は増強した方がよいと思いますか」というのがありましたが、その中で、二四・八%の方が「増強した方がよい」、六〇%の方が「今の程度でよい」というような回答になっております。

 資料を配らせていただいておりますけれども、配付資料の二の方を見ていただきたいと思っております。

 自衛隊の定員減、人員減について質問させていただきたいと思いますが、これは陸上自衛隊編成定数の推移について書いてあります。ごらんのように、二二大綱、二十二年度の大綱の中でも、政権交代後も削減方針の傾向であります。この定員削減の方針においては、政権交代前の〇七大綱から続く一貫した傾向となっております。

 そこで、資料三を見ていただきたいと思いますが、一六大綱以降なんですが、定員については緩やかに削減が推移しておりますけれども、実員の方においては下げ幅が大きく、この定員と実員が著しく乖離しているということは、これまでもいろいろな指摘があったことと思っております。そして、この充足率においては、平成二十四年度では九二・五一%とされております。

 そこで質問なんですけれども、実員の減り方がとまらず、充足率が低い理由についてお答えください。

渡辺副大臣 実員減についての御質問でございますが、平成十八年に成立した行政改革推進法において、自衛官の人員数については行政機関の一般職員に準じて純減させるということを受けて、平成十八年度から平成二十三年度までに自衛官全体で八千四百十七人の実員の純減を実施したところでございます。

 東日本大震災の自衛官の活動の検証、中間報告を先生もごらんになっていると思いますけれども、あの中でも、やはり第一線部隊のマンパワーの確保、精強性を維持するということが一つの教訓としても現場の声として上がってまいりました。

 今後、さまざまな第一線部隊の実員を確保するために、定員は減らすけれども実員は減らさないという形で二十四年度の予算にも要求をしているところでございまして、あの大震災の教訓等も踏まえて、また日本を取り巻く安全保障環境の変化も考えて、今後どのような形が望ましいのか、実際、自衛官として籍を置かれた委員の御意見もぜひお聞かせをいただければと思います。

小原委員 ありがとうございます。

 行革推進法のお話、また、財政状況が逼迫しているということは理解しておりますけれども、その厳しい財政事情の中で、防衛省の皆様も実員の充実に関してとても御尽力いただいていることは理解しております。

 ただ、先ほども説明させていただきましたとおり、自衛隊に対する期待値が上がって、今後も、大規模災害の予想とかが上がっている中、また、中国の海軍力の増強や北朝鮮の体制移行という、いわゆる安全保障環境が大きく激動の時代に入ってきている中で、以前にも増して自衛隊の機能強化ということが求められているときに来ていると思っております。

 このいわゆる定員の定めにおいては、防衛大綱や中期防において中長期的な視点から決められているものが、予算で単年度の実員というような形で決められていることに関しては、これからも実員の充実に向けて引き続きの御尽力をいただきたいと思っております。そのためには、定員に即した形で、何度も申し上げますが、実員であるべきと思いますけれども、充足率を高めていく必要性と大臣の意気込みについてお伺いいたします。

田中国務大臣 小原舞先生の御提案に私も大変賛同するところでありますが、先ほど渡辺副大臣も報告しておりましたように、方向は防衛大綱に基づいて進めておるところであります。

 しかし、実員は、何とかその充足率を高めようということで、二十三年度は減らすことなく採用をしたところでありますので、充足率は若干上がったということでございます。

 大震災の評価、対応は、自衛隊にとって大変評価が高い、国民の信頼も得ているところでありますので、防衛省も地域地域の要望を、現地の考え方をしっかり把握して、定員はともかくとして、何とか実員はこの差を近づけて、そしてまた、第一線の部隊には熟練の高い方々も配置をして自衛隊の対処能力がさらに発揮できるようにしていこう、こういうことで今努力をしていることを御理解いただきたいと思います。

小原委員 心強い御答弁ありがとうございます。

 充足率が改善傾向にあるということですけれども、引き続きこれからもよろしくお願い申し上げます。

 そうは申し上げましても、無尽蔵に予算を増大させていくということは、よいとは思っておりません。この点において、コスト削減の方策として、平成二十四年度の予算においても装備品の一括・集中調達による経費削減などの努力がなされているものと思っております。

 この効率化についてなんですけれども、効率化の重要性はこれまた深く認識するところであります。しかし、効率化はあくまで現場に即した効率化でなければならないと思っております。

 例えば、今回の東日本大震災においても、被災地の方々に炊き出しという形を可能にせしめたのは、自衛隊の高い自己完結性であると思っております。私も海上自衛隊時代は給養班に所属しており、その重要性を認識しているがゆえに懸念していることがございます。

 平成十八年六月に成立した、先ほど副大臣もおっしゃられた行革推進法に基づいて、平時の陸上自衛隊駐屯地における給養業務は民間にアウトソーシングされております。平成二十四年度予算においては、この給養業務アウトソーシングを、さらに一歩進めて複数駐屯地の一括契約や業務の委託範囲の拡大を志向する計画となっております。アウトソーシングにより演習以外のときに炊事をしなくなっている現状の中で、この自己完結性の維持が困難になるのではないかと懸念しております。

 現場感覚としても、平時に繰り返し給養業務、調理を行うことによって、まさかのときの有事や災害時においてもスムーズな対応ができるものと考えます。

 三月八日に、防衛省で陸上自衛隊主催の東日本大震災教訓成果発表会が開催されるなど、検証が進んでおります。この震災時の対応を含め、アウトソーシングなどの効率化の影響について自己検証する必要があるかと思いますが、この御所見をお願いいたします。

下条大臣政務官 先生にお答えいたします。

 まさに現場におられた御意見がそのままだというふうに考えております。また、東日本大震災のときに、実際私も安保委員会でお邪魔させていただいて、民間委託しても被災のために出勤できなかったり、部隊が集中して喫食数が増加したために対応が困難な状況が続いていたというふうに現場の君塚総監から直接お聞きしたりしております。

 そんな中で、おっしゃったように任務遂行能力を低下させないように、また、民間委託業者の業務継続能力も考慮しながら問題点をあぶり出していかなきゃいけないということで、この二十四年度から、陸上自衛隊の給食業務の民間委託について、委託業者の業務継続能力等の実証実験を行うことにしております。その中で、また反映されたことについて適宜対応していきたいというふうに思っております。

小原委員 ありがとうございます。ぜひ事後検証の方をよろしくお願い申し上げます。

 次に入ります。

 平成二十二年の十一月十一日の安全保障委員会にて準自衛官について質問をさせていただきましたが、その際に、短いながらも自衛隊の現場にいた人間として、この準自衛官という制度が現場に与える影響への懸念をそのときに述べさせていただきました。当時の北澤俊美防衛大臣からは、ネーミングについては必ずしも妥当とは思っていないとの御答弁をいただいて、準自衛官という名称自体はなくなりました。しかし、後方任用制度という制度の中に、その考え方自体が残っているものと考えます。

 この資料一を見ていただきたいんですけれども、これで本当に一目瞭然ですけれども、隊員の年齢構成が平成二年のピラミッド型ではなく、まさに私はこのピラミッドの時代に自衛官に入らせていただいていたんですけれども、今二十年たって、本当に一目瞭然な形で若い隊員が減っているというようなことで、精強性の向上については取り組みが急務だと思っております。二月十七日の予算委員会における石破茂議員とのやりとりも含め、後方任用制度などの導入によって第一線の増強や精強性の向上を可能にすることも、その必要性は認識しております。

 その上で、でも、やはり後方業務、いわゆる後方支援における重要性にこだわっていきたいんですけれども、この後方任用制度という考え方についての大臣の御認識をお伺いいたします。

田中国務大臣 後方任用制度の検討を行っております。後方任用制度が適用し得ると思われる最大限の潜在的な業務の種類の範囲を導出いたしまして、二十三年度に、精強性への影響、人事管理上の影響、そして隊員への影響等を考慮した具体的な業務の絞り込みをし、適切な制度の型の検討等を実施するということにしております。

 二十四年度には詳細な制度設計を実施した上で、二十五年度及び二十六年度に法案を作成し、法案提出等の作業を行い、今中期防期間中において可能な限り早期の制度運用の開始を目指しておるというのが現状でございます。

 私も、新潟の中越、そして中越沖地震で自衛隊の皆さん方に大変お世話になり、また、この後方業務というのは大変重要な業務であることは認識をいたしておりまして、先生の御指摘のとおりだと思います。私も力を注いでいきたいと思います。

小原委員 ありがとうございます。

 お話しのとおり、詳細な制度設計は今後詰めていくということでありますけれども、同じ訓練を経て入って、有事の際にはいつでも臨戦態勢に入る、これがいわゆる自己完結性であり、また、そういった志、「事に臨んでは危険を顧みず、」という気持ちで入っている隊員の気持ち、そして士気の低下につながらないように、ぜひ御検討いただけたらと思っております。

 最後に、時間が参っておりますので、この内閣府の調査を見ても、国民の皆様の自衛隊に対する関心は高まってきております。これまで防衛予算については抑制、削減の方向ばかりでいっておりましたけれども、災害対応、国際貢献、本来任務である国防においても、これから充実を図る時期になっているかと思いますので、何とぞ引き続き御尽力のほどをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、浅野貴博君。

浅野委員 新党大地・真民主の浅野貴博でございます。

 本日、十分間の質問時間をいただきました。質問も端的にいたしますので、答弁もぜひとも端的にいただければと思います。

 普天間飛行場移設問題について、田中防衛大臣に質問いたします。

 きょうの朝日新聞に、外務省の加藤政務官、防衛省の神風政務官が、十五日、昨日、山口県を訪問して、知事に対して、沖縄の海兵隊は岩国へ移転することにはならないということをお伝えしたという記事が出ております。それを受け、沖縄県の与世田副知事が、「安全保障問題は日本全体で負担を考えるべきだ」「政府は」現地、岩国のことです、「現地の「反対」の声を受け入れたが、沖縄が「辺野古移設は事実上不可能だ」と言い続けても繰り返し求める。違和感がある」と述べられております。

 これはまさに、沖縄県のエゴなどでは決してなく、なぜ自分たちだけが基地の負担を今後も受け入れていかなきゃならないんだ、日本国土の〇・六%を占める沖縄に、なぜ全体の七四%もの基地が集中しているんだ、それによる騒音の問題、そしてさまざまな事件も後を絶たない、これ以上我々を差別するのはやめてくれ、これが沖縄の紛れもない声だと思います。

 政府が岩国への移転を断念したのは、岩国の皆様の民意を反映してのことだと思います。民意を反映して政策を判断するのは、民主主義の要諦であると思います。

 そこで、きょうは田中防衛大臣に一つ確認というかお約束をしてほしいことがございます。沖縄における防衛政策、辺野古への移設に関しても、沖縄の皆さんの民意を無視して進めることはしない、沖縄においても民主主義は提供されるんだ、そのことをこの場でお約束いただきたいと思います。

田中国務大臣 私も、一月十三日に防衛大臣に就任をいたしました。沖縄の皆さん方、そしてまた仲井真知事にもお目にかかったわけでございますが、この問題は大変重要であり、地元の理解がなければ先に進まない問題でございますので、及ばずながら私も沖縄の皆さん方に御理解をいただこうということで二度伺ったわけでありますが、引き続き沖縄に伺ってお願いをし、また理解を深めたいと思っています。

 普天間飛行場移設問題につきましては、長年の懸案事項であります。今回の岩国の件につきましては、政務官が当面の問題についてはお話をしたと聞いておりますが、この普天間飛行場の移設問題については、辺野古に移設するという現行の計画が引き続き唯一有効な進め方だと考えておりまして、日米両政府のこの方針は変更がないということでございます。

 防衛省としては、評価書に対する沖縄県知事の意見を勘案して、評価書の補正をするなど、法令等に基づき適切に対応していくわけでありますが、大前提は沖縄の県民の皆さん方の御理解なくして進めるわけにはいきませんので、これからも努力を積み重ねてまいりたいと思います。

 在日米軍再編の日米協議においては、抑止力を維持するとともに、沖縄の、目に見える、早期の負担軽減を実現できるよう米国と議論を進め、その結果を誠実に説明することなどを通じて沖縄の皆さんの御理解を得るべく、誠実な努力を重ねていくことが現在の状況でございます。

浅野委員 今、私が約束を求めたことを、今、政府参考人として出席いただいております防衛省西防衛政策局長にもお願いをしたいと思います。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、常々大臣から民意を重んじその方向に誤りなきよう指示を受けておりまして、引き続き作業に励んでまいりたいと思っております。

浅野委員 私の質問が終了するまでに玄葉大臣に来ていただけたらなと思っておったんですけれども、ちょうど到着していただきまして、ほっとしております。

 今し方、田中防衛大臣に対しまして、沖縄の皆さんの民意を踏まえてさまざまな政策を決定してほしい、岩国の皆さんの反対を受けて沖縄の米海兵隊の岩国移転を断念したのと同じように、沖縄の方々に対しても民主主義は適用されるんだ、沖縄の皆さんの民意が無視されることは決してないんだ、そのことをこの場で玄葉外務大臣からもお約束いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 浅野委員おっしゃるように、沖縄の皆様の理解というものを得ながら物事を進めていく必要があると思うんです。

 今回のいわばパッケージの切り離しというのも、もともと仲井真知事初め沖縄県の皆様から要望をいただいていたものであります。何とか沖縄の負担を少しでも早く軽減することができないのかというお話でありました。普天間の辺野古移設についてのお尋ねでもあるんだろうというふうに思うんですけれども、例えば、これを現状の中で強行することができるのか、していいのかといったら、私はそうあってはいけないんだろうと思うんです。だからこそ、あらゆる努力をして沖縄の負担を少しでも軽減しながら丁寧に理解を求めていく、こういう進め方をしようということで今回の公式な議論の開始になったと御理解いただければというふうに思います。

浅野委員 玄葉大臣、ありがとうございました。到着早々申しわけありませんでした。

 田中大臣も玄葉大臣も、沖縄の皆さんの、地元の理解なくして進められない、あらゆる努力をということをおっしゃいました。

 先ほど山口副大臣が、玉城先生の質問でしたかに対して、連立方程式を解かねばならない、防衛力の維持、沖縄県民の皆さんの気持ち、そしてアメリカの事情。ただ、この連立方程式に三つ数値を当てはめるならば、沖縄の気持ちというものは、もう辺野古移設は無理だ、県外移設にしてくれ、我々も無理だというのは定数として定まっているんじゃないかと私は思います。

 皆様が、日夜、現行案を実施するために理解を得るべく努力されていることはお認めしますし、沖縄の戦略的、地理的重要性というものを私どもは理解しておりますが、我が党の鈴木宗男代表がかつて地元に県道一〇四号線実射訓練を受け入れたように、この場にいる国会議員、この場にいない国会議員、全国会議員が、自分の地元の選挙区で受け入れられないか、極端なことをいえばそれぐらいの努力をして初めて沖縄の皆さんの理解を得られるんだと思います。

 時間もありませんので、最後にもう一点お聞きします。

 改めて、沖縄の皆さんの気持ちを考えるのであるならば、普天間飛行場県外移設を再度追求する、模索するお考えはありませんでしょうか。玄葉大臣、田中大臣、両大臣の答弁をお願いします。

玄葉国務大臣 日本の安全保障が沖縄の皆様に過剰にその御負担を負っていただいているということに対して、先ほど鈴木宗男先生のお話をされましたけれども、本当に、日本じゅうで、日本人全員でそのことに思いをいたすべきであるというふうにまず思います。

 今、地政学的な位置とか、即応性、機動性、海兵隊の特質についてもお話がありましたけれども、現状、また、当面の安保環境を見たときに、私は、この普天間の移設の問題について違う道を改めて模索するということには、周辺諸国に対して誤ったメッセージを送ることにつながるのではないかというふうに思っております。日米両政府とも、ここはあらゆる努力をしながら、辺野古移設に今コミットしておりますので、丁寧に理解を求めていきたいというふうに考えております。

田中国務大臣 現在の安全保障環境のもと、在沖海兵隊を含む在日米軍全体のプレゼンスを低下させることはできないこと、沖縄の地理的優位性、米海兵隊の特性、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去する必要性などを総合的に勘案いたしますと、引き続き、この普天間飛行場の辺野古移転というのが唯一有効な進め方だと思っておりまして、そのために努力をしてきておるところでありますので、沖縄の県民の皆さん方にも少しでも理解が進むように、私もその解決の糸口を探すために努力をしておることを御理解いただきたいと思います。

浅野委員 ありがとうございました。

 沖縄の皆さんの理解なくして我が国の安全保障もございませんので、まずは民意を尊重する、このことを大前提に進めていただきたいと思います。

 時間が若干超過しました。ありがとうございました。

東委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋です。両大臣、よろしくお願い申し上げます。

 言うまでもないことですが、国の安全保障というのは、外交と国防が車の両輪ですね。常に大局的な見地に立って進めていかなければ、国の安全保障というのは確保することができません。

 私、最近つくづく思うんですけれども、政権交代後二年半ぐらいたつわけですが、国の重要課題について、今の政治が目に見える成果を出していくことができない、そのことに対する国民の皆さんのいら立ち、不信、これは日に日に高まってきていると思うんですね。

 もちろん、政権与党たる民主党さんは十分反省をしてもらわなきゃいけないが、しかし、ねじれ国会の中で、我々にも応分の責任はある。社会保障の問題もそうですよね。国の安全保障、あるいは内政の中の社会保障、これは政権がどうかわろうとも、やはり安定感を持って着実に進められていかなきゃいかぬ。最近、ちまたでは、民主にがっかり、自民に懲り懲りなんということを言う人もいるわけで、やはりお互いにここは痛切に反省して、この大事な課題について答えを出すという決意で行かなければいかぬと思っております。

 外交、防衛に関しては、失敗は許されないわけですね。失敗してほしいなどとは、つゆも我々は思っていませんね。失敗されちゃ困るわけですね。今からとても大事な時期を迎えると思うんですね。安全保障環境が大きく変わってきている。周辺の国々の政治体制もこれからどんどん変わっていく。その中で、日本の安全保障戦略をどうつくるか。これはとても大事な役割を両大臣に担っていただくわけであって、ぜひ緊張感を持って、いい仕事をしてほしい、私はこう思っております。

 したがって、国会の質疑も、違いをあげつらうような質疑をしても私は意味がないと思うんですね。やはり共通項を見つけ出す、共通の課題を見つけ出す、そして問題解決にともに向かっていくという姿勢でお伺いをしたいと思うので、率直に御答弁をいただきたいと思います。

 まず田中大臣に、周辺の安全保障環境の大きな変化、最大の要因は中国ですね。アメリカは決心を変えましたね。それが新しい防衛指針にも出てきているし、今回の再編の見直しにもつながってきていると私は思います。この再編の見直しの最大のポイントは、海兵隊というか、米軍を分散配置して懐の大きい構えをつくっていくということになるわけですが、この計画の見直しが日本の抑止力に与える影響について、どういうふうに防衛省として評価をされますか。

田中国務大臣 先生の大局に立った安全保障、そして防衛ということに私も心がけていければと思っておりますし、先生の御意見をしっかりと受けとめて、防衛省としても誤りなき対応をしていければと思っております。

 今の米軍再編計画の調整における米軍の部隊配置が我が国の抑止力に与える影響等についての御質問でございます。

 今回の共同報道発表で示されたとおり、米軍は、米軍の態勢として、地理的により分散していくことにしておるわけでありまして、これは現在の安全保障環境に鑑み、軍事力を一カ所に集中せず、その機能を適切な場所に分散するとした米軍の新しい部隊配置のあり方だと承知しております。これにより、分散された各部隊の弾力性、重層性等が増し、それぞれの機能が相まって、アジア太平洋地域における総合的な軍事力を構成することとなり、我が国を含むアジア太平洋地域の米軍全体の抑止力、対処力が強化されることとなると認識をいたしております。

 我が国にとりましても、周辺諸国の動きにつきましては注視をしてきておるところでありますし、きょう、こちらに出てくるときの報告でありますが、中国公船が我が国の領土の海上に近づいてきておるということで海上保安庁から話が入ってきたわけでありますし、急遽、私も事務方に指示をいたしまして、領海侵犯がないようにということで、監視をするように指示をして、こちらに参った次第でございます。

岩屋委員 最後、今大臣が言われたことについては私も詳細情報を持っておらないので、万全の体制で対処方をお願いしておきたいと思います。

 大臣から今お話があったように、米軍にしてみると、中国軍の能力もどんどん上がっている。そういう意味でいうと、米軍もリスクを分散しておかなきゃいけないということがありますね。しかし、そうなってくると、我が国そのものの抑止力、我が国の南西地域の防衛ということに関して言うと、先ほど玉城さんたちからもお話がありましたが、やはりよほどの覚悟、決意を持って、しっかりと穴を埋めていくというか、補強していくという考え方に立たなきゃいかぬと私は思います。そういう意味で、我々は、大綱、中期防の考え方も、南西重視というのは決して悪いとは思いませんよ。だけれども、さらにこれを強化、充実するという方向に早く見直す方がいいということをずっと言っているわけであります。

 外務大臣にお伺いをします。

 普天間問題は、我が方にしてみると、米軍再編の一丁目一番地だったわけですから、極めて重要なピースですよね。しかし、まず全体のピクチャーがあって、そして最後に、この普天間のピースをどうするかという話じゃないといけないんだと私は思います。そういう意味でいうと、安保改定の周年の記念の年に、新しい日米安保共同宣言というビッグピクチャーをまずつくって、その中にこの米軍再編の問題を入れて、そして普天間の問題をどうするかという順番で事を進めるべきだったというふうに思うんですよ。

 五月にも野田総理は訪米の予定があるというふうに聞いておりますが、普天間問題はすごく大事だけれども、そこだけに拘泥していると、木を見て森を見ずということになりかねないので、まずは、日米首脳間で新しいピクチャーを内外に発出するということを訪米のときになさるべきではないかなと思いますが、いかがですか。

玄葉国務大臣 まず、冒頭の岩屋先生の外交、安全保障に対する姿勢、特に党派を超えて、異なる点をあげつらうというのではなくて、できるだけ共通項を見つけていこう、政権交代があっても余り大きな変更がないようにしよう、私は全く同感でございます。

 その上ででありますけれども、ビッグピクチャーを描くべきだ、まず一般論としてそう思います。つまり、普天間が膠着状況にあって、そのことによって多くの方々からどう見られていたかということを少なくとも考えたときに、本来の日米同盟の深化というものがなかなか進んでいないのではないか。そのこと自体が、実は周辺諸国に対して誤ったメッセージを与えていたというところが私はあるというふうに思っているんです。

 ですから、今回、切り離して物事を進めていくというのも、まさにそういう日米同盟全体のことを考えたときに、有効である、有用である、非常に有意義であるということで、この問題について事に当たっているということでございます。

 おっしゃったとおり、もともと、例えば共通戦略目標というのがあって、これは不断に見直しをしているわけでありますけれども、そのために、例えばミサイル防衛にしろ、あるいは計画検討にしろ、宇宙、サイバーという新しい課題もあります。そういったことに対して、常に具体的な協議が行われていて、深化していて、もっと言えば、ビッグピクチャーといえば、実はこういったいわゆるハードの面だけではなくて、例えば経済も、文化も、人的交流もそういうことだろうというふうに思っていまして、まさに日米同盟深化に向けて、今私も考えるところがございますし、そういう方向に向けて協議をしていかなきゃいけない。

 ただ、総理訪米、まだ正確に日程が決まったわけではございませんし、そのときに、どういう形で、何をということが決まっているわけではありません。もちろん、何らかの形では、日米の首脳が仮に会うということになれば、文書にするかどうかは別として、少なくとも何らかの声明は行っていくということになるのではないかと考えております。

岩屋委員 日米間はさまざまな課題がありますが、今、アジアの国々が、日米同盟、つまり軍事同盟というか、安全保障上の日米同盟がこれからどうなっていくかということをやはり注視していると思いますよね。したがって、もし日米首脳会談が行われるということであれば、そこで、安全保障に関して一つの柱を立てて、しっかりとしたメッセージを内外にぜひ発出をしてもらいたいと思います。

 これから米軍再編に関していろいろな作業を両大臣のもとでやってもらうわけですけれども、計画の見直しに伴って日本側の負担がどうなるのかということを国民の皆さんも注視しておられますよね。

 私は、日米同盟というのは、もちろん日本の安全のためだけではなくて、アジア全体の安定装置ですから、そこで両国で力を合わせていこうというのであれば、ただ単に、海兵隊員の出ていく人数が何人になるから、頭数で費用が幾らだという話には私はならないんだろうと思います。

 しかし一方で、アメリカ以上に、我が国の財政状況も非常に厳しい。一方では、増税の議論も今行われている。そういう中で、かじ取りというのは非常に難しいですよね。両大臣の交渉能力あるいは国民に対する説得能力が試されるという局面だと思いますが、このグアム協定の見直しについて、どういう方針で臨まれるおつもりですか。

玄葉国務大臣 この問題は、まさに今どういう議論をしているかというと、何か報道はさまざまな報道のされ方をしていますけれども、部隊の配置とか規模、人数、こういったものについて精力的に議論をしているんですね。

 それぞれが、おっしゃったとおり、日米同盟というのはアジア太平洋全体の公共財ということがまずあるわけです。その中で、日米がどういう責任の分担をしていくべきなんですか、役割の分担をしていくべきなんですかという議論があると思います。それぞれの部隊の配置が、アジア太平洋のみならず、北東アジア、また我が国の安全保障にどう資するんですかという問題もあるというふうに思いますので、私も、単純に数が減ったから比例して減らすんだとかということなのではないと思うんです。

 その上で、さはさりながら、まさに岩屋先生言われたように、日本の財政状況だって厳しい。国民の皆さんの理解を得ていかなきゃいけないということがございますので。かつて、グアム移転経費というのは大体百二億ドルです。今は相当膨らんでいるようですけれども、百七十億だ、八十億だ、九十億だなんて、米国議会なんかで出ていますよね。たしか米国議会でもう公で出ていたようでありますけれども、それを、少なくとも当時、〇六年のときは、いわゆる百二億ドルを、融資を入れて六〇と四〇で負担をする、そういうことだったわけです。

 そういったことに関して、やはり全体像を議論していく中でその経費の分担のあり方というのを決めていくべきだろう。経費から入るんじゃなくて、まず全体像をきちっと協議していく中で経費の問題に最終的な結論というものを得ていかなきゃいけないんじゃないか、私はそう考えております。

岩屋委員 そうですね。だから、国民に対して説得力を持つためにも、では、日米同盟がアジアの中でどういう役割を果たすのか、その中でどう役割を分担するのか、そのためにお互いに力を合わせ、金も出し合おう、こういう話を順番にきちっとしてもらいたいというふうに思っております。

 我が国が今後なすべきは、役割分担能力の拡大と、それを実効性あるものにするための防衛基盤の整備だと思うんですね。法的な基盤の整備もそれに含まれるというふうに思いますが、そういう意味でいうと、PKO法の改正を今政府は検討しているようですが、これもその一環だと思いますね。この間、三原則の見直しもやっていただいた。我々は一般法というものを既に提出している。

 しかし、今後恐らく最大の課題になってくるのは、防衛大臣、やはり集団的自衛権の問題というのをどうするかというところになっていくんだと思います。我が党は、安全保障基本法をつくるか、もしくは憲法そのものを改正するか、いずれにしても集団的自衛権行使の容認に向かって検討を開始しております。

 この問題について、民主党政権においてはどういう考え方を基本的に持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 今おっしゃった問題意識というのは当然私もあります。ただ、現時点で集団的自衛権の解釈を変えるということではないというのが今の野田内閣の姿勢であるということでございます。

 ただ、例えばPKO法をどうするか、まさに東委員長のもとで、中間整理のたたき台のような形でしょうか、いわば非常によい議論をされていて、その中に、例えば武器使用の議論だとか、そういった議論がいろいろ含まれております。そういったことも含めて、今後、議論を深めていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。

岩屋委員 集団的自衛権というのは、今の時代は昔のようなおどろおどろしい世界ではないと私は思うんですね。国際社会もいろいろな経験を通じて、そういう意味では進化してきていると思います。国連の機能もいろいろなところで果たされてくるようになってきた。やがて、将来はアジア全体に屋根をかけるような地域の集団安全保障体制というものもつくっていかなきゃいけないというときに、それぞれが集団的自衛権をある意味では持ち寄って、そういう枠組みをつくっていくという時代もやってくると私は思うので、そういう意味で、ぜひこの課題についても前向きに、御党におかれても、御政権におかれても検討していただきたいと思います。

 それから、防衛大臣、自衛隊の装備は刻々と変わり行く安全保障環境に適切に対応できなきゃいけないと思うんですね。今や、例えば近隣国から弾道ミサイルを発射されたら着弾まで十数分という時代なわけですから、専守防衛という考え方にとらわれて、装備の中から打撃力、攻撃力をことごとく外していくという考え方は今の時代にはそぐわないのではないか。

 能力を持っているということと、それを実際に使うということはまた違うわけですから、能力を保持しているということが抑止力の強化につながるわけなので、例えば精密誘導兵器によるピンポイントの攻撃能力であるとか、あるいは戦闘機による空対地攻撃能力であるとか、あるいは、福島の原発の上を最初に飛んだのはあのグローバルホークだったわけでしょう、無人であってもなくても、足の長い偵察能力の獲得であるとか、こういうものについて防衛省もそろそろ検討を開始すべきではないか、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

田中国務大臣 敵基地攻撃能力、無人偵察能力及びサイバー部隊の保有についての御質問だと……(岩屋委員「サイバーはまだ言ってなかったですね」と呼ぶ)失礼しました。

 専守防衛とは、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢というものでありまして、政府といたしましては、今後とも専守防衛に徹していく方針でございます。

 また、防衛省は、従来から敵基地攻撃を目的とした装備体系の保有は考えていない旨を述べてきております。私としましても、現下の国際情勢において、敵基地攻撃能力を保有することは考えていないという点では御理解をいただきたいと思います。

 しかし、他方、防衛大綱、中期防でも、専守防衛に徹するとの方針のもとで、動的防衛力の構築に向けて、情報収集や抑止、対処能力の向上を図るということにしておりますので、御存じのとおり、具体的には今それぞれ予算計上をいたしてきておりますけれども、その中で見ていますと、島嶼部に対する対応だとかありますが、無人機を含む新たな技術動向等を踏まえた広域における総合的な警戒監視態勢についての検討だ、こういうこともございますので、そういう事業の中で、専守防衛に徹しつつ、しかし、新たな状況の中で、実効的な抑止及び対処能力の向上を進めてまいりたいと思っております。

岩屋委員 ですから、大臣、やはり軍事技術の進展とか安全保障環境の変化に伴って専守防衛というレンジが変わってきているんではないですか、だから、そこに対応する装備、能力というものを獲得していかなければ、専守防衛そのものが成り立たなくなるところに来ているんではないですかという問題意識なのです。例えば、大臣がサイバーのことを言っていただきましたが、これは多分、サイバー攻撃能力を持たなければ防御もできないんだと思いますね、この世界。そうすると、やはり積極的な攻撃能力というのは、サイバーの世界にあっても、持っていなければ防御もできない、こういう時代になってきていると思うので、ぜひ、そこは一歩前に踏み込んで検討していただきたいと思います。

 それから、時間がなくなってきましたが、外務大臣、言うまでもありませんが、防衛力を充実させると同時に、緊張緩和をしっかりやるということが安全保障の要諦だと思います。幾つかの国への対応について聞きたいと思います。

 プーチンさんが再登場しました。直後の会見で、北方領土問題については、始めを命じ、引き分けを目指したいというメッセージを発せられましたが、これをどう受けとめ、どう対処していくおつもりですか。

玄葉国務大臣 野田内閣はロシアを重視しています。あらゆる分野で協力を深めていかなければならない。特に、戦略環境が変わってきている、そういう中で、日ロの関係というのは新たな重要性というものが出てきている。これは日本にとってもロシアにとってもそうではないかというのが日本国政府の考え方でございます。

 そういう中で、あらゆる分野を深化させていく、その流れの中で最大の懸案は、おっしゃるとおり、言うまでもなく北方領土問題であるということで、ラブロフ外相と会談をしたときも、これを絶対に棚上げしないで、何とか議論を再活性化させないかと。あのとき、私は北方四島は日本に帰属するという日本の立場を伝えた上で、ぜひこの議論の再活性化をしようと言いましたらば、新政権誕生後に、それではやりましょう、こういう話がございました。今回のプーチン首相の発言というのは、そのことと軌を一にするものだというふうに理解をしています。

 私は、中身の問題は、もう岩屋先生御存じのとおり、国会あるいはメディアなどを通して現実の中身をやりとりするというのは余り好ましくないと思っていまして、これ以上の中身というのは、交渉の中で直接お会いをして、信頼関係ができてきましたので、その信頼関係のもとで、この北方四島の帰属の問題というのを解決するために、精力的に交渉していきたいというふうに考えております。

岩屋委員 我が国でいうと、韓国、北朝鮮、中国、ロシア、この本当に近い国々といかに緊張を緩和し、あるいは危機を回避し、未然に防いでいくかという努力が非常に大事なので、ロシアについては、もちろん原則論は譲るべきではないが、私は柔軟な発想も時に必要だと思いますよ。やはりロシアという国は準戦略的パートナーになり得る国だと思いますので、そこを念頭に置いてやっていただきたいと思います。

 中国、韓国についても聞きたかったんですが、北朝鮮、時間がないので最後に聞きたいと思いますけれども、新体制になって、米朝協議が進んでおります。しかし、この間、日本外交の姿というのは私はほとんど見えてないと思うんですね。大きな枠組みとして六カ国協議はあるにせよ、何らかの形の対話というのはもっとやっていいのではないか。対話と圧力、圧力は大事ですよ、だけれども、対話というチャネルが余りにもなさ過ぎるんではないかと思うんですね。

 そういう意味でいうと、一国の元首が亡くなったわけですから、政府間の直接のつき合いはないにしても、何らかの形の弔意をあらわすぐらいのことはあってよかった。議員の中で訪朝団を組もうという人たちもいましたが、政府も否定的だったやに聞いておりますけれども、私はさまざまなチャネルがあった方がいいというふうに思っているんですけれども、その点いかがですか、外務大臣。

玄葉国務大臣 まず、基本的には、当然ながら、いずれ対話が必要になってくるということだと思います。ただ、その対話について、まさに適当な時期、適当というのは適切な時期という意味での適当ということですが、また適切なやり方というものが必要だということだと思うんです。

 なお、きょう、北朝鮮は四月十二日から十六日の間に人工衛星を発射するということを発表いたしました。このことについて、これは昼過ぎだったと思いますけれども、私の方から、直ちに情報収集を行うとともに、米韓を初めとする関係国とよく連携をして対応するように、あわせて、緊迫感を持って、しかし、かつ冷静に対応するようにというふうに指示をしたところでございます。

 まさにリスクと機会と両方あるんだと思うんです。リスクに対して万全な対応、体制というものをとりつつ機会をつくっていく、そういう努力は当然行っていきたいと思っています。

岩屋委員 もう時間が参りましたので終わりますが、こういう国々との緊張緩和のために、玄葉大臣、やはりさまざまな対話のチャネルを確保するように努力をしていただきたいと思います。

 以上申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

東委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。

 今から両大臣に質問させていただきますが、今から十年前ですけれども、田中大臣の奥さんが外務大臣で、私が防衛庁長官で、その席に座っておりましたが、本日はこちらから発言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、先ほど外務大臣が言及されましたけれども、本日、北朝鮮は、四月の十二日から十六日までの間に、北朝鮮の西部から地球観測衛星光明星三号を発射するという報道官談話を発表いたしました。北朝鮮はこれまで人工衛星の名目で長距離弾道ミサイルの実験を行っておりまして、前回はテポドン二号を銀河二号と呼んで発射をしております。

 防衛大臣に伺いますが、この報道につきまして報告を受けておられると思いますが、どのようなコメントをされるんでしょうか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 本日昼過ぎに報告を受け、私から、米国等と緊密に連携し、情報収集、警戒監視に万全を期すこととの指示を事務方にしたところでございます。

 北朝鮮の朝鮮中央通信が、四月十二日から十六日の間にロケットで衛星を打ち上げるという報道をしたことでございますが、防衛省としては、重大な関心を持って平素から情報収集、分析に努めているところでございます。

 いずれにしても、北朝鮮に関する動向について一層情報の収集、分析に努め、我が国の平和と安全の確保といった観点から、今後とも万全を期してまいりたいと思っているところでございまして、現状は、具体的なお話を申し上げるところまでの状況は今持ち合わせておりませんが、指示をしておることを御報告申し上げます。

中谷委員 それでは外務大臣に伺います。

 外務大臣は国連決議の一八七四というものを御承知だと思います。

 これは、前回、北朝鮮がミサイルを打ち上げた際に国連安保理で決議をされまして、北朝鮮に対していかなる弾道ミサイル技術を使用した発射も実施しないことを要求するというふうに言われておりますが、仮に前回と同じようにテポドン二号、もしくはノドン、またはムスダンなどを発射した際に、この発射に当たるということで国連決議違反であるというように認識をされますか、同じミサイルの場合は。

玄葉国務大臣 これは、仮定の話に答えるというのはいかがかということもありますが、この間、テポドンの場合、人工衛星ということで発射されてきたという経緯がございます。仮に同じことが起きたということになれば、おっしゃるような解釈ができるのではないかというふうには思います。

中谷委員 外務大臣としてよく見ていただきたいんですが、この期間中の四月十五日、これは金日成主席の百回目の誕生日ということで、この新指導者となった金正恩氏が、実績を誇示する狙いがあると見られておりますし、片や、米朝協議がされている最中でこのようなことをしますと批判を受けるわけで、これは瀬戸際外交で外交的にこういった手段を使うのかなと。

 談話では、強盛国家建設を急いでいる、我が軍隊と人民を鼓舞し、我が国の平和的宇宙利用技術を新たな段階に引き上げる重要な機会だと強調しておりますけれども、こういった思惑も含めて、これについて断固たる対応をして、外交的に制止をする必要があろうかと思いますが、改めまして大臣の正式な御回答をお願いしたいと思います。

玄葉国務大臣 率直に申し上げて、この発表があって、実はずっと委員会なんです。委員会でずっと答弁しているものですから、すぐさま情報収集、分析、米韓との連携確保、そういったことを指示しました。まず、情報分析をきちっとしないといけないと思うんですね。そういったことをしない前にメッセージを発するのがよいのかどうかということもございます。まずは、しっかりとした情報分析をしようと思います。

 ただ、おっしゃったように、四月十五日というのが一つのいわゆる記念日であるということからしたときの推測というのは、さまざま成り立つんだろうというふうに思っていまして、外交面で対応しなければならない面が多々あるというふうに考えております。

中谷委員 それでは、質問通告もしておりましたが、これに関連しまして、現在、米朝協議が実施をされていまして、北朝鮮は、核実験、ウラン濃縮、長距離ミサイル発射の停止、モラトリアム、一時停止の履行確認を目的とした寧辺のIAEAの受け入れで合意したと言われております。

 そこで、この中に長距離ミサイルの発射の停止といいますが、この長距離ミサイルとは何を指すのか。これは、テポドン、ノドン、またムスダン等ありますけれども、その長距離ミサイルの種類について、日本はアメリカ政府に具体的にこれこれこれというふうに問い合わせたことはございますか。

玄葉国務大臣 いわゆる長距離ミサイルについて、具体的にこれこれこれという話をこの場で申し上げるのが適切かどうかということがあるんですけれども、米朝の中で話されたことについて、極めて詳細に日米間で情報交換をしているということだけは申し上げられると思います。

中谷委員 それでは、防衛大臣に伺いますが、この長距離ミサイルの範囲ですが、実は、二〇一〇年に、北朝鮮は、射程二千五百キロ級のミサイルのムスダンが軍事パレードで披露されまして、その後まだ一回も発射実験を行っていないんですけれども、このムスダンというのは長距離ミサイルの範囲に入ると思ってよろしいんでしょうか。

渡辺副大臣 今御指摘のムスダンでございますけれども、射程はおよそ二千五百キロから四千キロに達するとの指摘があると承知しておりまして、そうしますと、これは中距離弾道ミサイルに当たるというふうに考えられます。

中谷委員 では、これは中距離ということで、日本は十分危険性に入るわけであります。

 このミサイルは、非常に高度に上昇して高軌道ですぐ落ちてくるということで、日本のミサイル防衛でありますSM3ブロック1Aでは迎撃できないのではないかと言われております。現在、迎撃ミサイルSM3ブロック2Aが日米共同で開発中でありますけれども、これの対処について現在のブロック1Aで迎撃するしかないと思いますが、防衛省、これで大丈夫だと言えるんでしょうか。

渡辺副大臣 御指摘の迎撃でございますけれども、その点については、これは一概にどのような形で対応できるかお答えするのは、これは長官も経験された中谷委員よく御存じだと思います。

 ただしかし、まさに我が国の防衛の最善のことを行わなければいけないだろう。今、平成二十九年、二〇一七年ごろの完了を目途に、今御指摘のSM3ブロック2Aの共同開発を実施しているところでございまして、この開発が所期の目的を達するように全力を挙げているところでございます。

 ですので、今後、この研究開発で、中距離弾道ミサイルを隣国北朝鮮が保有しているという現実のもとで、どう対応できるかということを考えてまいりたいと考えております。

中谷委員 その防衛体制でもう一つお伺いしたいんです。

 米軍もSM3ブロック1Aのミサイルを持ってイージス艦を日本近海で巡回しているわけです。ただし、レーダーが違うんですね。日本はスパイレーダーですが、米国は、Xバンドの、青森県の車力にありますTPY2というものであります。

 そこで、せんだってハワイでこの実験がありまして、いわゆる射程三千キロ級の標的の迎撃実験にこのSM3ブロック1Aを使用して、このTPY2という米国のアンテナを使ってイージス艦で迎撃実験をしたところ成功したというふうに聞いておりますが、これについては日米合同で対処できれば日本のイージス艦も対処できるのではないかと思いますが、こういった日本国内にあるアメリカのXバンドレーダーなどのシステムは、現在自衛隊も利用して迎撃に使えるように可能となった段階だと言ってよろしいんでしょうか。

渡辺副大臣 今御指摘のXバンドレーダー、TPY2からの情報を用いてイージス艦が射程三千キロ級の標的を迎撃する試験を実施して成功したというふうに承知をしておりまして、今御指摘のあった米軍のあれは、青森県の津軽半島の車力通信所と同様のTPY2を配備しておりまして、同レーダーによって得られるデータは、現在日米で共有をしているところでございます。

 ですので、今後の米国の取り組みを注視しつつ、このレーダーの活用について統合運用、情報共有できるような形で、当然我が国の国防に資するような形でこれは進めてまいりたい、そのように考えております。

中谷委員 まさにこれは、こういったテポドン級はアメリカ本土の脅威となっておりますので、ぜひ日米共同で対処できるようにしていただきたいと思います。

 最後に伺いますが、このムスダンが先ほど言いましたモラトリアムの対象になっているかどうか日本政府は米政府に確認をしているのか、確認をしていなければ、なぜ今までしなかったのかということについて、外務大臣に伺います。

玄葉国務大臣 これは、米朝協議のやりとりの詳細をどこまで外に申し上げるかということなんです。先ほど申し上げましたように、極めて詳細にわたって情報交換を行っているということは申し上げることができるということだけはこの場で述べさせていただきます。

中谷委員 米朝協議というのは、日本のミサイル防衛にも実際直結した話でありますので、この点もしっかりお願いしたいと思います。

 もう一点伺います。

 先ほど話が出ましたが、中国の海洋調査・監視船「海監50」、「海監66」が、きょうの〇九三八、午前九時三十八分から、一〇〇三、十時三分まで、約二十五分間領海に侵入をしたということでありますが、これは、まだこの付近の海域に二隻のこういった中国国家の船がいるということですが、この事実関係はどうなっておりましょうか。

玄葉国務大臣 本日午前六時ごろ、我が国尖閣諸島久場島の北東約二十一海里の我が国接続水域におきまして、中国国家海洋局所属の公船「海監50」及び「海監66」の二隻が航行していることを視認をしているところであります。その上で、「海監50」が午前九時三十八分から十時三分まで我が国の領海内に侵入したことが確認をされたということでございます。その際、これら船舶は、現場において尖閣諸島に関する中国独自の主張を行ったほか、巡航任務を行っている旨主張していたと承知をしています。

 これは、私もこの話を聞いてすぐ次官に対して大使を呼んで抗議をするようにということで、これは午前中だったと思いますけれども、指示をいたしまして、二時十五分に次官が程永華在京大使を呼んで抗議を行ったところであります。

中谷委員 大使のみならず、中国にも我が国の大使が行っておりますので、これは厳重に抗議をしなければ。

 何が問題かというと、一般の漁船なら領海に入れば組織で拿捕なり取り締まることができますが、政府の船はこれが確保できないわけで、これは直接本国に言うしかない。つまり、外交しか手段がないわけでありまして、これについてもう二度とこういうことがないように断固たる姿勢でやっていただきたいと思います。

 これは前科がありまして、平成二十年十二月九日に九時間にわたって領海内に侵入した前科がございます。このようなことがたびたび繰り返されることは決してよくないわけでございますが、大臣として、こういったことが二度と起こらないようにどのように対処されるつもりでありますでしょうか。

玄葉国務大臣 さまざまな対処方法、対応方法というのがあろうかというふうに思います。

 事案はさまざまなんだと思うんです。今回は、先ほど申し上げたように、どうも意図的だというふうに思われるところがあるわけであります。そうでない場合もあるかもしれません。やはり重層的な危機管理メカニズムをつくろうというふうにまず一般論としては思っておりまして、海洋機関間同士、これは海洋機関といっても、御存じのように本当にさまざまなものですから、この海洋機関間同士の信頼醸成をまず行う、それは一般論として進めていく。

 現実に、実は、高級事務レベルの海洋協議のメカニズムを今立ち上げました。防衛当局間は防衛当局間でやっているということでございます。後は、おっしゃるように外交の面で、これは二度とそういうことがないようにということを私の立場からも厳重に伝えていかなければならないというふうに考えております。

中谷委員 まさにこれは政府全体の問題ですから、外務省は外交ルールをちゃんとつくるということだと思いますが、政府としては、やはり断固たる措置をとることができるんだという姿勢を示すことだと思います。そういう意味では、我が国としての対処能力をしっかりすると同時に、日米安保体制でこういった不安なものを取り除くしかないと思いますが、この方向につきましては後ほど質問させていただきます。

 きょうは、米国の新国防戦略に対する姿勢ということで、現在日米協議が行われておりますが、これは、アメリカの国防方針が最近大きく変わりました。二〇一〇年のQDRでは、もうアメリカ単独で行動できない、同盟国との協力が必要である、そして、それまで二正面作戦で行われるオペレーションを放棄すると。また、アジア重視ですが、この中で地域抑止戦略をとるというふうなことを明文化いたしております。

 今、両国で協議されていますが、その協議の中で、この地域抑止とは一体どういうものであるのか、アメリカ側の具体的な考え方が示されていると思いますが、政府としてこの地域抑止戦略の概念についてどのように受けとめて交渉されているんでしょうか。

玄葉国務大臣 まず、一般的に抑止と言うと、いわば攻撃を思いとどまらせる能力というか力ということだと思うんですね。つまり、敵対者に対して、侵略を行えば多大な損害が生じるということを見せることで攻撃を思いとどまらせる。

 今、中谷先生が言われた地域抑止というのは、確たる定義というのはまだ明白じゃないと私は思っているんです。ただ、基本的には、ある地域において、当該地域の安全保障のために提供される抑止力というものを意味しているということだと思います。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたけれども、私も、今回の日米協議の中で、部隊の配置、規模、人数、移転先、それぞれがどうなることでアジア太平洋全体の、いわばそれを地域抑止というんでしょうか、抑止力がどうなるのか、北東アジア、我が国に対する抑止力というものがどうなるのかという観点で主体的に議論するようにということで担当者に指示をしておりまして、今まさにそういう観点から議論をしている最中というのが現状でございます。

中谷委員 私から見ますと、まだまだ受け身で、これはアメリカだけの話だというふうに聞こえます。やはり協議する場合には、共通の戦略目標を持って、海兵隊の分散にしても日本の役割にしても、日本側はこうするんだ、こうしたいというものを持って交渉しないと、これはうまくいかないと思います。

 そこで伺います。

 この国防戦略の中でA2ADという言葉がございます。これは御存じだと思いますけれども、アンチアクセス・エリア・デナイアルということでございますが、防衛大臣に伺いますけれども、このA2ADというのは一体どういうふうに受け取っておられるんでしょうか。

田中国務大臣 先ほどの地域的抑止の件でございますけれども、その件につきましては、二国間及び地域的な安全保障上の結びつきの強化あるいは同盟国や友好国との緊密な協力、そしてまたミサイル防衛、大量破壊兵器対処能力、通常戦力の投射能力等を含む地域の安全保障構造の強化と理解をいたしておりまして、我が国といたしましても、二国間としてアジア太平洋地域を重視して、そのプレゼンスの強化のために何ができるかということで認識を深めております。

 その中で、アメリカのQDRの中に……(中谷委員「A2ADとは何ですか」と呼ぶ)

 A2ADは、いわゆる中国の海洋進出におきまして、地域性の、防衛する海上の拠点、その進出によって、いわゆるアクセス、そこに入り込まないような、例えば第一列島線の問題もアメリカの提示があるわけでありますが、そういう地域に入ることを阻止していく、こういうエリアを考えるということがA2AD能力の追求というふうに思っております。

中谷委員 そこで防衛大臣に伺います。

 中国のA2、アンチアクセス、これについての目標というのは、何を目標としていると思っていますか。

田中国務大臣 アクセス拒否、A2は、主に長距離能力により敵軍がある作戦領域に入ることを阻止するための能力でありますし、エリア拒否、ADは、短距離の能力により作戦領域内での敵軍の行動の自由を制限するための能力でございまして、二〇一〇年の二月一日のオバマ政権下での初のQDRで発表されたところでございます。

 中国は、大量の先進的な弾道ミサイルや巡航ミサイル、攻撃型潜水艦、電子戦能力、コンピューターその他があるわけでありますが、そういうものの拒否能力を国が対応しておくという状況でございまして、先ほど言いました第一列島線以上に進出してくる、この対応を考えるということでございます。

中谷委員 もう少しリアルにお考えいただきたい。つまり、中国は、日本の国内にある在日米軍基地、横田にしても嘉手納にしても三沢にしても、そこへの接続を拒否するわけです、麻痺させるわけです。それがA2という意味でありまして、これの目標は、先ほど尖閣の話をしましたけれども、何といっても周辺海域の領有権とか資源とかシーレーンとか台湾の占有とか、そういう狙いがある能力を持つということをA2といいます。

 では、もう一つ聞きますが、AD、エリアデナイアルと言いますが、領域拒否というのは何を目標としているんでしょうか。

玄葉国務大臣 基本的には、自国の運用領域の中における敵の行動の自由を制限する能力。例えて言うのが答弁でいいのかどうかということはありますけれども、例えば、潜水艦からの空母に対する攻撃等々がいわば想定されるというふうに思います。

中谷委員 特に潜水艦などでアメリカ海軍の太平洋艦隊の動きをとめて、東シナ海や西太平洋で自由に動き回るということがADで、目的は、米国の覇権への挑戦とか沖縄以南の太平洋の支配、制圧などが目的であります。

 これに対して、アメリカは今エアシーバトルというもので対抗しようと思っておりますが、大臣はエアシーバトルについてはもう予算委員会で質問をされて御承知だと思いますが、これを受けて今グアムに戦略ハブ化を進めているところでございます。これは、最初に言いましたように、アメリカの事情だけではなくて、日本も十分関係したことでありますが、なぜアメリカは必死にグアムのハブ化とか、海兵隊のオーストラリアとかシンガポールとかへの、ピボットと言いますけれども、移転を考えているのか、その理由はわかりますか。

玄葉国務大臣 その理由ということでありますけれども、そういったことも含めて、まさに日米間で今協議をしています。

 基本的に、私の考えるところ、危機管理の要諦の一つは、やはり分散することだというところがあるのではないかというふうに考えておりますので、そういう意味で、もう既に発表されていますけれども、米国領土の最も西方に位置するグアムを地域の安全保障のための拠点にする、そして、地理的に分散された米軍をつなぐ重要な拠点、つまりは、おっしゃったようなハブにしていく、こういうことだろうというふうに思っています。

中谷委員 最後に防衛大臣に伺います。

 我が国として、エアシーバトルではありませんが、こういったアメリカの戦略に合わせていかなきゃいけません。例えば、まず一つは原子力潜水艦ですね、中国が潜水艦をふやしていますので、そういったものの建造。もう一つは空母。中国も持っています、日本はヘリコプターを搭載した護衛艦を持っていますけれども、空母を建造する検討。そして、もう一つは、グアムに自衛隊の基地というか拠点を設けて、グアムにおいてこういった訓練をしたり多国間とも交流をする。

 私は、ホスト・ネーション・サポートからホスト・リージョン・サポート、いわゆる地域抑止とともに、日本の考え方もホスト・ネーション・サポートからホスト・リージョン・サポートへ転換をするべきだと思っておりますが、具体的に三つ提案しましたけれども、それに対して大臣は検討していただけるかどうか、そういった概念をお持ちかどうか伺います。

田中国務大臣 我が国も、新しい大綱、中期防で動的防衛力を目指しております。その整備を今予算化して諮っておるところであります。

 アメリカの新国防政策も動的な防衛力をアジア太平洋地域に展開していこうということが趣旨でございますので、くしくもこの考え方は日米で非常に合ってきておるのではないか、そういう状況の中でございますので、私は、日米共同使用ワーキンググループにおいて、今、日本及び太平洋地域において、米国施政下にある領域を対象として動的な日米防衛協力の推進という観点で広く共同使用のあり方について協議を行っておるという状況であります。

 先生も、今お話がございました、自衛隊が海外でどういう活動ができるかということは研究することはやぶさかではございませんが、今のところ、グアムにそういう形で関与するという考え方までは進んでおらないというのが実情でございます。

中谷委員 では、最後に確認ですが、日本は空母の保有を検討したり、原子力潜水艦の研究に入ったりということはしないということですか。

田中国務大臣 潜水艦の建造はやりますが……(発言する者あり)原子力潜水艦、あるいは、先ほど言いましたように我が国は専守防衛でございます、そういう面では必要最小限の、しかし、今の安全保障環境の中で力をつけていって、今のパワーバランスを維持できるような防衛体制を組んでいくことが最優先に考えられることではないかと思っています。

中谷委員 しっかり構想を持って交渉していただくことをお願いいたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。両大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私の方からも、ただいまございました中国の船舶の領海侵犯、あるいはまた北朝鮮の人工衛星の予告、これについては、的確に情報をつかみ、きっちりとした対応を私の方からもぜひお願いを申し上げたいと思います。

 それから、参議院の予算委員会あるいは当委員会でもいろいろな方が取り上げておられました、この三・一一の大震災一周年追悼式の台湾に対する非礼の問題ですね。これは当然だと思います、いろいろな方が取り上げるのは。私も、どうしてこんなことになっちゃったんだというふうに思いますので、まずこの点に触れたいと思います。

 これについては、大臣も謝罪の意を表明したり、あるいは総理も謝罪の意を表明したり、さまざまにやっておられますが、大変残念なことは、覆水盆に返らず、こういうことなんですね。

 政治主導という言葉はよく使われますけれども、結果的にこういうふうになっちゃう。外交団という仕切りの中でやりましたからというような極めて事務的な対応、これをそのままスルーさせてしまっていた。結果として、大変な非礼につながっちゃった。これはやはり、まあ手あかがつくぐらいに使われている政治主導という言葉、まさにこの欠如ということの結果として、こういう形で出てきてしまうということは、極めて私は残念に思います。

 大臣、実はこの前日に、日本と台湾の、オール・ジャパンとオール台湾のプロ野球選手たちの東日本大震災を支援するチャリティー試合があったんですね。大変真剣な試合でしたよ。およそエキシビションという感じのない極めて真剣な試合でしたよ。楽天の田中投手が先発で出て、彼はホームランを打たれたことに対して物すごい落ち込んでいたというぐらいに、この試合にかける、つまり、この試合を大成功させるということがどれだけ東日本の被災者の皆さんの励ましになるかという、極めてすさまじい真剣勝負でしたよ。台湾の選手たちも非常に真剣でしたよ。

 この二つの国のオール・ジャパン、オール台湾の試合に、日本側はどうして台湾という国を選んだんだろう。これは台湾に失礼ながら、プロ野球の実力差というのはまだまだ相当な開きがあるんですよ、日本と台湾では。しかし、あえて台湾と。これは最高額、お金にしたら何だと思うんですけれども、二百億程度の大変な援助金、義援金というものを寄せてくださった台湾、そして救援物資だ何だかんだ、当初から大変厚い心を我が国にずっと寄せ続けてくださっている、そういう国でしょう。それを外交団という仕切りでもって指名献花ということから平気で外すという、極めて冷たい、事務的、官僚的、こういう仕切りは非常に残念です。

 私は、新聞報道でしたけれども、外交部長のコメントを読みましたよ。こういうふうにおっしゃっていますね。野田佳彦首相の新聞寄稿などで日本の謝意は伝わっている、義援金は思いやりの結果で感謝を得る目的ではない、関係は花束一つで揺るがないと答弁した、こうあるんです。確かに一つの国という形の認めはないかもしれないけれども、実態として、これほど我が国のことを心配し、厚い厚い思いを寄せ続けてくださっている。そして行ってみたら、指名献花がなかった、二階席だった、そういうことを受けて、なおかつ、花束一つで関係は揺るがないというようなコメントを発するというのは、大人というか、大変重たいものがあるなと私は感じましたよ。

 だから、外交というのは、本当に大事なものですから、先ほど岩屋委員が、外交や安全保障あるいは社会保障は、党派に関係ないよと言われました。私も全く同感なんです。だから、こういったニュースが世界を駆け回ることによって、各国で日本外交の稚拙さみたいなことが何となく言の葉に上るみたいなことは耐えられないんですね。

 こういうことに対して、改めて伺いたい。

 私は、もっと言えば、即座におわびのための、官僚なりなんなり、あるいは政務三役でも結構ですよ、直ちに台湾に行かせて、大変申しわけないことをした、非礼だった、申しわけございませんというぐらいの、そういう手を打つことが私は政治主導だと思いますよ、少しでもリカバーしようと。いかがでしょうか、大臣。

玄葉国務大臣 台湾との関係は、御存じのように、いわば非政府間の実務関係ということですが、今回の震災という事態に対しての破格の支援、これに対する感謝という、いわばそういった式典の中で、あのような指名献花がなかったということについて、私も配慮が足りなかったのではないかというふうに考えているんです。

 ですから、次の日に外務大臣主催のレセプションがあって、いわば在京の代表の方がいらっしゃいましたので、先ほど感謝という言葉だけ申し上げましたけれども、まさに直接私から、きのうは申しわけなかったですねと、感謝の言葉と同時に、そういうことをお伝えしたところでありまして、そういう意味で、私は心は伝わっているというふうに思っています。

東(順)委員 二度とこういうことを惹起しないように、心して外交に当たっていただきたいというふうに思います。

 さて、私は、沖縄の問題に入りたいと思います。

 いわゆるパッケージを切り離されましたね。そして、海兵隊のグアム移転、それから嘉手納基地以南の五施設の返還等々からまず先行的にやろう、こういうことになりましたけれども、そもそも、二〇一〇年五月二十八日の2プラス2の会合で、日米ロードマップでこのパッケージのロジック、つまり抑止力の維持と沖縄の負担軽減といういわば二律背反的な要求を絶妙なバランスのもとで実現するためにパッケージがつくられた、こういうロジックのもとにずっと進めてきたんですよね。

 実際、政権がかわらなければ、本来、再来年の二〇一四年には普天間移設も終わり、そして海兵隊移転、嘉手納基地以南の基地返還ということが進められていたということが考えられるわけです。実際そこまで来ていたわけです。

 つまり、それは、先ほど申し上げたそのロジックのもとに、微妙なバランスのもとに進められてきて、いよいよ王手がかかったというときに政権交代されて、大変申しわけない言い方ながら、鳩山政権がこれを台なしにしちゃったわけです。全てが覆っちゃった。その上で、今二つを先行させる、パッケージを切り離す、リンクを解くということで進められているんですけれども、今行われているのは、今度はどういうロジックで抑止力と負担の軽減というものを同時に進めていく、どういう新たなロジックで進められようとしているのか、そこはいかがでしょうか。

玄葉国務大臣 東先生おっしゃるように、この間、パッケージ、まあ微妙なバランスがあったと。おっしゃるように、鳩山政権が誕生していなければ今ごろという議論もありましょうし、いや、そうは言ったって簡単ではなかった、そういう議論、それぞれあるだろうというふうに思います。

 私は現実を直視するしかないと思ったんですね。現実は、普天間の辺野古移設について、すぐ、つまりは予定されていた時期に果たして理解が得られるかどうかということについて、強行できるかということについては強行してはいけない、では、理解が得られるかといったらそう簡単なものじゃない、私はそう思いました。

 そういう状況の中で、まず、安全保障環境は一方で刻々と変わっていく、また変わっていった。〇六年のロードマップの再編のときとまた変わってきていると思いますよ。先ほど来、岩屋先生とか中谷先生から話がございましたけれども、まさにさまざまな安保環境の変化がある中で、日本の自衛隊、そして米軍の役割分担も含めてそうなんですけれども、この安保環境にきちっと対応しないといけないというのがまず一つ私はあると思いました。現実に、今もそういう観点から議論しています。

 あわせて、やはり沖縄の負担軽減について、少しでも早く、結局パッケージを解かないまま、そのまま残念ながら普天間の辺野古移設について理解が得られなかったと仮定したときに、それは刻々と変化する安保環境にも対応できなければ、ある意味、沖縄の負担の軽減もできないという状況がずっと続くわけでありますので、それよりはもっと早く沖縄の負担というものを軽減していくことの方が私は望ましいだろう、賢明だろうと。

 そのことで、先ほど岩屋先生から日米全般の大きなピクチャーの話がありました。どうしても、今、日米の関係というのは、今というより、特にかつてそうだったと思います、この議論が行われる前までは、全てが普天間、全てが普天間なんですね。普天間は大事です。そして、固定化は絶対あってはいけません。だけれども、全てが普天間に国民の関心が集中する。これは誤解のないように改めて申し上げますけれども、大事なんです。物すごく普天間は大事なんですが、ただ、やはりもっと大きな絵で日米関係というものを捉えて、日米同盟を深化させないといけない。

 現実に、先ほど申し上げたようなミサイルの抑止の問題も、計画検討も、RMCもそうだと思います。それぞれ不断に検討していって、宇宙だ、サイバーだ、そういった問題も日米でより深く検討している、そのこと自体が私は抑止力だと思います。そのこと自体も抑止力だと思います。それが、残念ながら、仮にやっていたとしても、そう思われないような状況が生まれていったのではないか。そのこと自体が周辺諸国に対して私は誤ったメッセージを送っているということになると思いました。

 ですから、そういう意味で、私は、今回、現実を直視する中で、このパッケージを切り離して、まさに沖縄の負担軽減と抑止力を維持する、その方策についてしっかり日米間で協議をして、まとまった段階で、確かに〇六年のときと安保環境が違っていますので、その新しい安保環境にこういうふうに対応しました、対応しますというふうにきちっと説明をさせていただきたいというふうに考えております。

東(順)委員 現実に即して、状況も大きく変わっているんだから、よくわかりますよ。

 そこで、確かに普天間の固定化に対する懸念というのは強烈に残っているわけですね。もう辺野古は無理だろうと、そういう状況が日に日に強くなっているわけですから、今までは微妙なバランスで、パッケージ論で、そのロジックでやってきたものを、これからどういう絵を描いて、どういうロジックをつくって、大きく言う、この沖縄問題というのを解決しようとするのか。負担と軽減、これは今、大臣の中にございますか。これから、不幸にも固定化ということがもう事実という感じに今なりかかっているんですから。いかがですか。

玄葉国務大臣 普天間の固定化は絶対あってはならないというふうに思います。だからこそパッケージでやってきたんじゃないか、こういうお話なんだと思うんですね。

 ただ、先ほど申し上げたように強行できるという状況にない、期待値を高めて、結果として戻した、つまり戻ってしまったことによって、沖縄の皆さんの理解というものは、残念ながらほど遠い状況になったというふうに申し上げても過言ではないと思うんですね。

 そういう状況の中で、どうやったらもう一度信頼関係を構築し、かつ抑止力をそのまま維持し、かつ刻々と変化する安保環境に対応するのかということを考えたときに、あえて切り離しをし、普天間の移設については、まさにそういう信頼関係を構築していく中で丁寧にあらゆる努力をしていくという方が、そのままにしておくより近道である。膠着状況のまま、ずっとそのまま放置しておくということが本当にいいのかと考えたときに、私はよりベターな、賢明な選択であると。

 先ほど申し上げたように、別に話をそらすわけではなくて、日米関係全般を、その同盟関係も含めて深化をさせていくという道を選ぶという方が私は賢明な選択であるというふうに考えましたので、今そのような選択をしているということでございます。

東(順)委員 これから大変難しいですよね。これを解決していくために、しかし、難しいけれども、それなりの絵をしっかり描いて、ロジックをつくって、そして国民に説明をし、沖縄の皆様に説明をして、一歩一歩進めていかなきゃいけないという大変な作業だと思いますので、同じことを防衛大臣に伺ってもなんですから、これは伺いませんが、大変難しい、本当に難しい局面に入ったと思いますので、どうぞ、これに対してしっかりした取り組みをぜひお願い申し上げたいと思います。

 そこで、負担の軽減というところで具体的に伺ってみたいんですけれども、防衛大臣、沖縄海兵隊八千人のグアム移転が日米で合意されたころに、防衛省の説明は、アメリカ本土なりハワイではなく、日本から地理的に近いグアムがいいだろうということでこの八千人グアム移転が合意された、しきりにこう言っておったんですね。つまり、先ほど僕は負担の軽減と言いましたが、沖縄に抑止力をしっかり保って継続させていくためには、余り遠いところでは抑止力がきかないから、やはりグアムだろう。アメリカ本土なりハワイではなくて、日本から地理的に近いグアムがいいだろうということで、抑止力の観点で日米は合意したんだ、こういうふうに防衛省はずっと説明されておったんですね。それで八千人。

 今回は、グアム移転の海兵隊員が四千七百人程度、これは一応報道ベースですから、もしそうだとすれば、残り三千三百、ハワイ、オーストラリア、フィリピン等々に分散移転、こういうふうになっているんですけれども、これは普通に考えると、グアムよりも遠いわけですから、抑止力というのは弱まっちゃうんじゃないか、薄まっちゃうんじゃないか、単純にこう思いますよね。大臣、この点はいかがですか。

玄葉国務大臣 まさにそのことをきちっと確保しなきゃいけないと思うんです。安保環境が変わったと先ほど申し上げました。確かに、かつては、〇六年のときは、いわばグアムから全体をにらむというようなイメージだったと思うんですね。そうではなくて、今度は、いわば安保環境が変わる中で、これは共同発表でも申し上げましたけれども、いわゆる分散配置、あと抗堪性、政治的に持続可能性ということをあえて打ち出しているわけであります。

 先ほど、危機管理の要諦は分散することという話は一つだけいたしましたけれども、あえて一つだけつけ加えて申し上げると、例えばいわゆる司令部要員、そして陸上部隊、航空部隊、そして後方支援の部隊、そういった統合運用の重要性というのが今増しているんじゃないかというふうに私は思っているんです。

 ですから、そういった統合運用の重要性というのが増しているということを踏まえて、今まさに日米の協議の中で、どういうふうな配置をし、どういう形で分散させ、どのくらいの数をどこに配置がなされれば、まさにアジア太平洋全体の抑止力が確保され、先ほどの言葉でいえば、地域抑止という言葉になるのかもしれませんけれども、同時に、我が国の安全保障、つまり、一定の前方展開というのは私は必要なんだと思いますけれども、そういったことも含めて、先ほど若干受け身じゃないのという話がありましたけれども、今、主体的に議論しています。

 ただ、これは米軍の運用再編でもあるものですから、まず米側がどうしたいのかということを聞かなきゃいけないところはあります。それに対して、我々は、きちっとそういった抑止力が確保されるかどうかということを含めて、そして沖縄の負担がきちっと軽減されるかどうかということを含めて、主体的に今議論している、こういうことでございます。

    〔委員長退席、宮島委員長代理着席〕

田中国務大臣 先ほど外務大臣とお話をされておりました普天間の移設の問題につきましては、新しい、切り離す状況の中で、私は、沖縄の早期負担軽減というものを実現するということが最優先の問題であると思っておりますので、この中で、まずは一つ一つ解決をして、そして、普天間の移設の問題についても、これは世界一危険な飛行場でありますから、何とか解決の糸口を見つけたいということで臨んでおりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、今の問題につきまして、当初、グアムに八千人という計画でスタートしていたわけでありますが、アメリカの新国防戦略の中でも、アジア太平洋に二面作戦から重点を移していくということの大前提があるわけでありますので、やはりグアムをハブ化する中にあって、分散していく。確かに、先生が言われるように、グアムだけではなくて、恐らくハワイ、あるいはその他のところも考慮に協議の中では出ているかわかりませんが、そういう流れの中で、私はいろいろと工夫をしているのではないかと思っておりますので、我が国としても、アジア太平洋の重点の中で、できることはやっていきたい。

 しかし、当然、沖縄における抑止力は最大の課題でありますから、そういう意味では、今外務大臣も発言しておりますので、約一万人という海兵隊は残留をしてもらって、この抑止力というものを維持していくということは大前提であるわけでありますので、我が国にとっても、それに対応していくということで、今協議を進めておるところでございます。

東(順)委員 アメリカの世界的な配置転換の一環であるということはもう十二分にわかっているわけで、私が聞いているのは、八千人をグアムに移転させましょう、こう言っていた。ところが、オーストラリアだ、フィリピンだ、ハワイだと。この四千数百をグアムに、約半数をグアムにして、その他をもっと遠方に分散移転させましょう。それは、単純に考えて、当初、防衛省は、より沖縄に近いグアムで抑止力がきくだろう、こう言っていたのが、もう半数近くがグアムよりも遠いところに分散移転、分散で移転させようとしているわけだから、普通に考えれば、抑止力が低下する、薄まる、誰が考えたってそう思います。

 なぜかならば、一旦有事のときは、一カ所にどんと集めて事に当たらなきゃ、これは抑止力はきかないわけだから。では、一カ所に集めるときの輸送力というのをどうやって確保するんだ、どうするんだいと。それはアメリカの戦略の一環であることは十分わかるが、しかし、だからといって、沖縄に対する抑止力が薄まったら、低下してしまったら、どうしようもないではありませんか。この点、どうお考えですかと聞いているんですよ、先ほどから。

玄葉国務大臣 結局、単純に、おっしゃることは、私はある面で理解します。つまり、近くにいる人数が減るんだから、その分抑止力が減退するのではないか、こういうお話だと思います。普通に考えれば、そういうところが全くなくはないと思います。

 ただ、私は、単純に数がちょっと減る、ちょっとというか幾らか減りました、だから、それがイコール抑止力の減退だというふうには言えないと思うんです。つまりは、先ほど申し上げたように、大きな話を言えば、日米同盟全体をどう深化させていくか、そういう議論をしていること自体がまず抑止力ですし、RMC、いわゆるロールズ、ミッションズ、ケーパビリティーズの話などもきちっと深化させていくというのも抑止力です。

 あわせて、結局、安保環境が変わってきているというのは、それは〇六年のときより、もっと言えば、あれは〇三年から始まった米軍再編だったと思いますけれども、変わってきていて、先ほどのような議論もあり、また、多種多様なあらゆる事態というものがあのときよりも私は起きる蓋然性というのが高くなってきているというふうに思います。そういったことにどういうふうに実効的に対処するのか。戦略的合理性を持って部隊配置を考えるのかということなのだろうと。装備品だって変わってきています。

 ですから、そういったことも含めて、私は、日米協議がまとまったときにきちっと説明できるように、もちろん今もやっているんですけれども、外に公表、国民の皆様にわかりやすく説明できるようにしたいというふうに考えております。

    〔宮島委員長代理退席、委員長着席〕

東(順)委員 抑止力の低下はない、そういうふうに断言できる、こういうことですね。(玄葉国務大臣「はい」と呼ぶ)わかりました。

 それでは、話をかえまして、PKO改正について伺いたいと思います。

 民主党の部門会議で、今国会にPKO改正法案を提出して成立を目指す考えというのを大臣がお伝えになり、協力を求めた、こういうふうに報道されています。政府が目指すPKOの改正内容というのはどんなものなんでしょうか、田中大臣。

田中国務大臣 PKO法については、国際平和協力業務の範囲及びこれに従事する自衛官の権限を含め、国連PKO等に対する協力のあり方全般にわたり、法改正の要否を含め検討を行っているところでありますが、現時点で、まだその具体的な検討内容が決まってきている段階には至っておりません。

 防衛省といたしましては、今、PKO、国際平和協力を行っておりますが、その経験をしておる自衛官の皆さん方に、実際に今のPKO五原則のもとで支障があるかどうか。南スーダンはこの状況で派遣いたしました。いろいろと身近な問題として、やはり改正をして、そして身近な部隊の方々あるいは協力をしている国々との連携も図っていくことも大事ではないか。

 しかし、我が国は憲法が大前提にあるわけでありますから、そういう面では数項目、いろいろと提示がありますが、その中で、我が省としても一つか二つかは何とか憲法の問題をクリアして改正の法案に織り込みたいなということでありますが、これは長年検討してきましたけれども、なかなか法制化というのは難しい状況でもあります。

 ですから、私は、少しでも前進ができれば、しかし無理をして、派遣した方々に何かあっては大変だというふうな認識は持っておりますから、改正に一歩前進はしたいとは思いますが、今非常に慎重な検討を行っておる、そしてまた防衛省としても、よく現場の皆さん方の意見を聞いて、そして反映をするということで進めておることを御報告いたしたいと思います。

東(順)委員 今、大臣は、我が国の憲法のもとでとおっしゃいましたね。非常に大事な言葉だと僕は思います。PKOというのは国連平和活動ですか、そのもとに行われている。

 それで、一つ伺いたいのは、気になることがある。それは、民主党のマニフェストにこれが掲げられているんですね。インデックス二〇〇九、民主党政策集という中で、これとの整合性が、どう考えても、今、慎重に慎重に、日本国憲法の範囲の中で、こうおっしゃるんですが、国連平和活動への積極参加という項目の中で、いろいろ述べておられますが、「国連憲章第四十一条および四十二条によるものも含めて、国連の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に参加」、つまり、四十一条及び四十二条によるものも含めて、国連の要請に基づいて、PKOに積極的に参加する、こううたわれているわけです。

 四十一条はともかく、四十二条は軍事行動を規定するものだ、国連軍の戦闘行動を予定しているものだ、こうなっているわけですね。つまり、国連憲章のもとに、軍事行動が想定されるものも積極的に参加するんだ。この趣旨と、民主党さんは、今大臣がおっしゃった、PKO活動というものを慎重に慎重にと。今言われているのは、駆けつけ警護というようなことも一つの話題になっていますね。どういう整合性があるのか。

 御党の高々と掲げておられるインデックスと、それから今PKO法を改正されている方向性、同じものなのかどうなのかがどうしてもわからない。ここを御説明いただきたい。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、国連憲章四十二条は、いわば正規の国連軍を想定しているということだと私は思っています。今は正規の国連軍というのはございませんし、これまでもなかったわけであります。

 多国籍軍という話は、いわば国連憲章第七章という中で言及される。直接四十二条ではないというふうに思うんです。

 しからば、インデックスは何だったんだ、こういう話があるのかもしれませんけれども、少なくとも東懇、在り方懇で行われてきた議論は四十二条と直接関係するという話ではないんじゃないか、私はそう思っているんです、委員長が直接担当されたんですけれども。まさに、あの東懇を受けて、今、確かにさまざまな論点について議論をしている。政府の中でも、意見はまだそれぞれなんです。そういう中で、今検討しているということであります。

 ただ、言えることは、在り方懇でも言われていたように、やはりPKO、国連平和維持活動に対して、より積極的に我々は向き合うべきではないのかという観点、積極的な貢献を行うべきではないのかという観点、特に我が国の得意分野における活動についてより積極的に展開をすべきではないかという観点から行われているというふうに考えています。

東(順)委員 東委員長に伺いたいぐらいですが、それはなかなかできないので。

 要するに、今玄葉大臣がおっしゃったことは、PKO活動には積極的に参加すべしというのは、もうみんなそう思っているわけですよ。当然のことなんだ。

 私が伺っているのは、一つは、こういう国連憲章第四十二条、つまり軍事行動、戦闘行動を予定しているものでも積極的に参加するというものをわざわざインデックスにうたっているのはどうしてなんですかと。

 幾ら国連軍だ何だかんだ言われたって、それは将来の話であって、それを今、民主党の政策集ということで、インデックスでわざわざこれをうたっている。わざわざうたっていて、同時にPKOの改正ということを議論されているということは、国連憲章第四十二条、この方向に向かってPKO活動もどんどん拡大をさせていくべきだという、その方向性があるからインデックスを掲げているんですか、いかがなんですかということを伺っているんです。

玄葉国務大臣 このインデックスに、直接、私、書き込むときに携わったわけではありませんけれども、先ほど申し上げましたように、もちろん民主党の責任はありますよ。(東(順)委員「政調会長ですからね」と呼ぶ)そのときは政調会長ではなかったんですけれども。

 国連憲章四十二条は、基本的にこれは国連の正規軍を想定していますので、そのときに、推測になるかもしれませんけれども、そういったことを想定していた可能性というのは排除されないのではないかというふうに私は思います。

 ただ、今PKO法の改正の検討などをしていることについては、必ずしもそういったことからくるものではなくて、例えば必要最小限の武器使用という問題であるとか、あるいは文民要員の保護をどうするかとか、そういった論点について議論をしているというふうに御理解いただければと思います。

東(順)委員 だから、大変紛らわしいわけですよ。これは削っちゃえばいいじゃないですか、インデックスから。それが一番早いですよ。国民はわけがわからないですよ。片一方でこのインデックスがあって、片一方でPKOは憲法の範囲内で、慎重に慎重に、武器使用についても武力行使にならないように、こうやっておいて、国連憲章の方は、これは武力行使でも何でもとにかく積極的に参加するんだ、こううたっているわけですから、大臣、インデックスの中からこの項目を削除すればいいじゃないですか。これを最後の質問といたします。いかがですか。

玄葉国務大臣 これはマニフェストでもインデックスでも、結果としてできなかったとか、あるいは、これは着手したけれども、途中までいったとか、できたとかということで、マニフェスト、インデックスを途中段階で全て削除するとかという行為をしていませんので。

 ただ、この間、中間報告などで、ここまでできたけれども、ここはできていないということを、一定程度自分たちの反省も込めて、ただ、これは反論がおありかもしれませんけれども、意外と進んでいるものもあるんですけれども、そういったことも含めて中間の報告をさせていただきました。

 最終的に、このことも含めて次の総選挙のときにどうするのかということは、当然しっかりとした議論をして、次の総選挙でこのことも含めてどうする、つまりは、今おっしゃった四十一条、四十二条の問題も含めてどうするのかということについては何らかの考えをまとめなきゃいけないというふうに思います。

東(順)委員 ありがとうございました。終わります。

東委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、いわゆる緑の同盟について質問をいたします。

 鳩山政権のもとで辺野古への基地建設に回帰することに合意した二〇一〇年五月の2プラス2の共同発表に、緑の同盟という文言が初めて盛り込まれました。具体的には、日本国内とグアムの米軍基地に再生可能エネルギーを導入する方法を在日米軍駐留経費負担の一構成要素とすることを含め検討する、こういうものでありました。

 まず、防衛省に聞きますが、共同発表以降、この点で防衛省として具体的に何をやってきたのか、また今後何をやろうとしているのか、予算措置の具体的な内容を含め説明していただきたいと思います。

下条大臣政務官 先生にお答えさせていただきます。

 平成二十四年度予算においては、提供施設設備で提供している家族住宅及び隊舎等に対する環境対策を予定しております。

 家族住宅につきましては、横田飛行場、キャンプ座間、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設及び針尾住宅地区の五施設において、太陽光発電システム、ヒートポンプ給湯及び窓の高断熱化の整備を予定しております。家族住宅以外の隊舎等につきましては、横浜ノースドック、キャンプ座間、相模総合補給廠、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、北部訓練場、キャンプ・コートニー、キャンプ・シールズ及びホワイトビーチ地区の九施設において、太陽光発電システム、太陽熱給湯システム及び照明の高効率化の整備を予定しております。

 経費としては、二十八億五千万であります。

赤嶺委員 グアムでは、何か具体的に日米間で協議していることはありますか。

伊原政府参考人 この緑の同盟の協力につきましては、日本は日本で努力をし、アメリカはアメリカで努力をするということでございますけれども、いわゆる提供施設整備費、FIPを通じて行うことが想定されております協力は日本の国内での話でございまして、FIPを使ったグアム等日本国外での事業ということは想定されておりません。

 他方で、米側は米側として、米軍の基地において、緑の同盟の考え方に従って、省エネ、クリーンエネルギーの導入等に努めているというふうに承知しております。

赤嶺委員 グアムにはFIPは使わないということですか。

伊原政府参考人 FIPは、グアム等日本国外での事業に使うことは想定されておりません。

赤嶺委員 先ほど下条さんがおっしゃいましたけれども、来年度予算で二十八億五千万円、日本国内の五つの米軍基地の家族住宅、そして九つの米軍基地でそれ以外の施設の省エネ化を進める、こういうことであります。

 外務大臣に伺いますが、そもそも二〇一〇年の共同発表に緑の同盟に関する規定が盛り込まれることになったのはどういう経緯からだったのか、説明していただけますか。

伊原政府参考人 日本におきましても、省エネや再生可能エネルギーの利用促進ということに努めてきておりますけれども、米国も、近年、エネルギー問題というのは安全保障に深刻な影響を及ぼす戦略的な問題だ、そういうふうに位置づけておりまして、米軍に係る省エネ、クリーンエネルギーの開発利用、あるいは環境に配慮したさまざまな取り組みということを進めていたわけでございます。

 このような背景のもとに、二〇一〇年の今御指摘の五月二十八日の2プラス2の共同発表におきまして、日米両国は、基地に関連した環境保全対策の一環としてこの緑の同盟のアプローチをとる、こういう可能性を今後検討していこうということに合意したわけでございます。

赤嶺委員 私も、なぜ緑の同盟という文言が盛り込まれたのか、日本は日本で努力し、アメリカはアメリカで努力しようという北米局長の答弁でありましたが、その背景について調べてみました。

 今、アメリカ政府は、連邦政府機関におけるエネルギー消費量の削減や再生可能エネルギーの導入を強力に推し進めています。そのための国内法や大統領命令が幾つも出され、各政府機関に対して具体的な達成目標を課しています。北米局長、この点は確認できますよね。

伊原政府参考人 今、先生御指摘のとおり、米国はさまざまな努力をしてきておりますが、例えば、二〇〇七年の一月には、大統領令一三四二三号によりまして、エネルギーの消費量を毎年三%ずつ削減するというふうな方針も打ち出しておりますし、また、二〇〇七年十二月に、エネルギー独立性及び安全保障法によりまして、二〇三〇年までに化石燃料の消費量をゼロ%に削減するといったような方針、さらに、二〇〇九年の十月には、大統領令の一三五一四号によりまして、二〇二〇年から、全ての新築及び大規模な改修は、ゼロ・ネット・エネルギー、すなわち化石燃料消費量がゼロになることを達成するように設計する、そういった政策を打ち出しております。

赤嶺委員 今、御説明がありましたけれども、アメリカは、米軍のみならず政府機関全体にエネルギーの省エネ化を求めている、そういうアメリカ的な社会の動きがあるわけですね。連邦政府において最もエネルギーを消費しているのは、国防総省、米軍であります。全体の八割を占めています。だから、米軍は、今、国内、海外の米軍基地で必死に環境対策工事を進めているわけです。

 外務大臣に聞きますが、緑の同盟といいますけれども、要するに、やっていることは、米軍が国内の事情から求められている再生可能エネルギーの導入を思いやり予算で日本に肩がわりさせる、そういうことではありませんか。

伊原政府参考人 先生御指摘のとおり、米軍は米軍として、相当程度、いろいろな努力をしております。例えば、空母艦載機にバイオ燃料の混合燃料を使うとか、あるいは強襲揚陸艇のマキンアイランドなどではガスタービンと電力のハイブリッドの駆動を試みるとか、いろいろなことをやっております。

 一方で、日本といたしましても、例えば米軍の光熱費等をホスト・ネーション・サポートということで持っておりますが、米軍基地の省エネ化が進みますと、そういった経費負担の軽減にもつながってくるわけでございまして、まさに緑の同盟のもとで日米が取り組んでおりますのは、そういったFIPも使いながら、日本国内の米軍の基地におきましても、さらに省エネ化を図ることで全体としてコストの合理化も図っていこう、そういう努力だというふうに承知しております。

赤嶺委員 米軍は、省エネを強力に求められている米国政府のさまざまな国内法のもとでたくさんのエネルギーを消費しており、その省エネ化を強く求められている、在日米軍基地の家族住宅の省エネ化を進めるのは地球環境を守る上で大事なことだというぐあいに私は今聞こえたんですけれども、アメリカ政府が環境対策を進める理由として挙げているのは、一般的な地球環境の保全などではありません。

 近年のエネルギー価格の高騰を受け、財政支出を削減するという目的が一つ、外国の化石燃料への依存を転換し、エネルギーの国内自給、独立性を高めるという目的が一つ、これは詳しく説明するまでもないと思います。もう一つが、そうした政策転換によって新たな雇用を創出するということです。

 要するに、国内事情、自国の利益の観点から環境対策を進めているということであります。なぜそのような環境対策を日本が肩がわりしなければいけないのか。大臣、この点はおかしいと思いませんか。

玄葉国務大臣 まず、エネルギーの問題、それは米国にとって国益上大変大切な問題であることは言うまでもないと思いますが、日本だってエネルギーの問題は同じように国益にとって極めて大切な問題であります。それは米国も同様だということだと思います。

 今のお話は、ですから、米国は米国で、エネルギーの問題というのは安全保障上の戦略的な課題であるという観点に立って、それぞれの米軍基地で、日本だけではなくて、それぞれまさにグリーン化してランニングコストは抑えよう、再生可能エネルギーにしていこうという努力をしている。そのこと自体は、結局、在日米軍の駐留経費負担の効率化に資するのではないかというふうに私は思っていますし、また、提供施設整備、FIP、これは防衛省の予算でしょうけれども、FIPによりランニングコストが安価な施設を整備することも同様の効果につながるのではないかというふうに考えています。

赤嶺委員 今の答弁でしたら、今、日米両政府が進めている米軍再編の見直し協議にも直結していく姿勢だなという感じであります。

 外務大臣は見直し協議への対応方針として、これまで、まず戦略的な議論を行って、経費負担の問題はそれからだと繰り返し述べてきましたが、私は、率直に言って、これまでもそれは甘いと指摘し続けてまいりました。

 緑の同盟などという聞こえのいい文言を盛り込むことに合意した結果、現実には、本来アメリカ自身が負担すべき米軍基地の環境対策を肩がわりし、それまで思いやり予算は削減傾向にあったわけですよ、その規模を五年間維持するところに追い込まれてしまったではないですか。思いやり予算の合意当時も、当時は北澤防衛大臣ですが、中国の問題を理由に挙げて説明していました。結局はアメリカベースで新たな負担を担わされたということであります。

 今、アメリカ政府の至上命題は、財政赤字の削減と雇用の創出であります。今の交渉姿勢では日本がまた新たな負担を担わされることになりかねないと思いますが、外務大臣、これはいかがですか。

玄葉国務大臣 いつも申し上げておりますけれども、私は、先ほど岩屋先生との議論の中でもございましたけれども、まず、この日米同盟というのがアジア太平洋全体の公共財である、そういう中で日米がどういう役割分担を果たせばいいのか、責任の分担を果たせばいいのか、やはりそういうところから議論すべきだというふうに考えています。

 その上で、最終的に経費の問題を考えていく。つまり、今、日米協議を行っています、まさにどういう戦略的な合理性を持って部隊の配置、あるいは人数、移転先、そういったことについて議論をしていますけれども、日米同盟をどういうふうにこれから考えていくのか、役割分担、責任の分担をどういうふうに考えていくのかという中で、経費の問題というのは最終的に決めていかなきゃいけないというふうに思っています。

 ただ、これも先ほど議論になりましたけれども、さはさりながら、日本の財政状況だっておっしゃるように厳しいわけでありまして、そういう中で国民の理解が必要なわけでありますから、そういった理解が得られるような結論を最終的に得ていきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 日米同盟だ、日米同盟だと言って、結局、FIPの予算が効率的になると言いながら、思いやり予算が減らされているのが、緑の同盟ということで同額が五年間維持されるとか、私は、こんなことをしていたら、それこそ日本の側が幾ら財政負担してもアメリカは居心地のよさしか持たないだろうと思うんです。環境のためであっても思いやり予算はなくすべきだ、使うべきではない、こういうことを申し上げておきたいと思います。

 米軍再編の見直し協議にかかわって、けさの沖縄北方特別委員会で、外務大臣が、在沖海兵隊の定数について、昨年の日米間の議論の中で二万一千人になっているという説明があったと答弁しておられました。これは、いつ、誰から、そのような説明があったのですか。

玄葉国務大臣 いつ、どこでということを今明示することは、率直に言って今手元に資料がありませんからできませんけれども、昨年、二万一千人という人数についてお話があったということは、私は記憶をしているということを申し上げたということです。

赤嶺委員 定数一万八千人ということを長いこと我々言われてきて、二万一千人という報道を見たときは驚きでありました。そのぐらいの衝撃的な数字なんです。だから、いつ、誰から言われたのか、そんなのしようがないからお答えできないということでありますけれども、定数が増加した理由についてどのような説明があったのですか。

玄葉国務大臣 これは米軍の運用の問題でもあるわけでございますけれども、この間もずっとそういったことについて詳細な説明があったかと。この間ですね、この数十年。恐らく、十分じゃなかったのではないかというふうに思います。

 そして、御存じのように、その定員であったり、人数であったり、実員であったりというのは、現実にかなり、日々というのはおかしいんですけれども、大体、毎年毎年変わっている、上下しているというのが実態なのではないかというふうに私は承知をしています。

赤嶺委員 にもかかわらず、政府は、これまで定数一万八千人のうち八千人がグアムに移転し、沖縄には一万人が残るという説明を繰り返してきました。もし定数が二万一千人に増加しているというアメリカ側の説明をうのみにしてしまえば、八千人が移転した後も沖縄には一万三千人が残ることになってしまいます。沖縄県が毎年調査している海兵隊の実員どおりの規模がグアム移転した後も残ることになってしまいます。その一方で、海外での基地建設のための財政負担だけは負わされる。言語道断だと思います。

 このようなアメリカ側の説明に対して、外務大臣、どのように対応したんですか。沖縄の負担は減らないんですよ。

玄葉国務大臣 まず、その一万八千人というのは、これは〇六年のロードマップのときに一万八千人であったということなんだと思うんですね。それで、八千人をグアムに移転するんだということになったんだと思うんです。

 これまでも申し上げてきましたけれども、沖縄の負担は、仮に例えば人数とか定員が一万八千人より大きかったら減らないじゃないか、こういうお話でありますけれども、そこは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、沖縄に残る海兵隊の数というのは、基本的に〇六年のロードマップのときと変わりがないようにということで今協議をしているということでございます。そういう意味では、沖縄の負担というのは軽減されていくということでございます。

赤嶺委員 今、みずからの御発言を説明していただきましたけれども、二月の共同発表の際の外務大臣の記者会見の発言は、沖縄からグアムに移転する人数が減ったとしても、沖縄に残留する海兵隊の規模は変わらない、一万人が残ると説明しているわけですね。これは日米間の合意にはなっていないのではありませんか。一万人が残るという合意ですか。

玄葉国務大臣 これは共同報道発表で、「最終的に沖縄に残留する海兵隊のプレゼンスは、再編のロードマップに沿ったもの」、つまりは、これは〇六年のロードマップに沿ったものというふうになることを引き続き確保していく、そのために今協議をしているということでございます。

赤嶺委員 二月の共同発表にも一万人が残るとはなっていないわけです。沖縄に残留する海兵隊のプレゼンスは、今読み上げたように、再編のロードマップに沿ったものになるとは書いてあります。しかし、ロードマップは一万人が残ると明記しているわけではありません。

 この間の報道を見ても、岩国基地への移転を検討していた千三百人について、沖縄に残留させることをアメリカ側が提案していることが報じられています。在日米軍のフィールド司令官は、きのうの記者会見で、八千人のうち、グアム以外の移転先については確定しておらず、一部が沖縄に駐留する可能性に言及しています。

 もう一度伺いますが、沖縄に一万人を残すという点で日米間の合意はないのではありませんか。

玄葉国務大臣 先ほど申し上げたように、共同発表をさせていただいて、今、移転先、人数等々について主体的に議論をしている、先ほど申し上げたような数字を確保するために今まさに協議をしているということでございます。

赤嶺委員 外務大臣は答弁を避けられましたが、皆さんは今まで一万人が残ると日米間の合意であるかのようにおっしゃってきたわけです。一万人残るというのは、これまでは合意だったのかどうかということを聞いているんです。その点だけお願いします。

玄葉国務大臣 再編のロードマップに沿ったものとする、そのことを確保するというのは共同発表させていただいております。

赤嶺委員 再編のロードマップには、沿ったものということで、一万人という数字は出てまいりません。その点で……

玄葉国務大臣 別にごまかしているわけでも何でもなくて、基本的には、一万人という数字を念頭に置いてそういうことを申し上げているということです。

赤嶺委員 終わります。

東委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 最初に、田中防衛大臣に尋ねます。

 真部沖縄防衛局長のいわゆる講話問題の発覚以来、かなりの時間が経過をしておりますが、防衛省内における調査結果及び同局長の処分内容の公表はいつごろになるんでしょうか。

田中国務大臣 真部局長の講話に関する事実関係を確定すべく、聴講した六十六名からの聞き取りを含め、沖縄防衛局の全職員約四百名を対象にさまざまな調査を行っております。

 例えば、調査内容を整理する過程で不明、曖昧な点が出てくる場合に、必要に応じて再度の聞き取りをしております。また、過去のほかの選挙の際にも今回と同様の行為があったかについての調査をする、そしてまた、法令に照らし個人情報の取り扱いが適正に行われたのかについて調査をいたしておるところでございます。

 調査結果の取りまとめの時期や処分については、調査の進捗等を踏まえて適切に判断してまいります。

照屋委員 私は余りにも時間がかかり過ぎるな、このように思っております。

 さて、田中大臣、私は、沖縄の東村高江における米軍ヘリパッド建設には反対の立場であります。

 去る三月十四日、防衛省が反対住民を相手に通行妨害禁止を求めた訴訟において、仮処分申請が出ていた者のうち、一名が請求棄却、一名が認容される判決が那覇地方裁判所で言い渡されました。私は、結論として、この那覇地裁判決は憲法で保障された住民意思を表現する正当な行動に対する不当判決だと断ぜざるを得ません。認容された一名は控訴を決めたようでございますが。

 さて、大臣、三月になりました。ノグチゲラの営巣期間に入りましたが、東村高江における重機等を用いた工事は中止されたのでしょうか。

田中国務大臣 当該工事においては、ノグチゲラを初めとする多くの貴重な鳥類の繁殖期間である三月から六月ごろまでの間は、環境影響評価の図書の中で、建設機械の稼働に伴い発生する騒音が鳥類の繁殖に影響を及ぼすことを回避するため、土工事等の建設機械を使用する作業は控えることといたしております。現在工事は実施しておりません。

 いずれにせよ、当省としては、北部訓練場の過半を早期に返還し、沖縄県の方々の負担の軽減を図るため、着実に事業を進める必要があると考えておりますので、三月一日から工事は実施をしておらないということでございます。

照屋委員 田中大臣は、米軍ヘリパッド工事現場の東村高江を含む地域、これはやんばるの森といって、沖縄では非常に生態系が豊かな地域なんですが、そこを視察されたことはありますか。

田中国務大臣 視察にはまだ行っておりません。

照屋委員 ぜひ大臣がこのやんばるの森が世界的にどんなに貴重なところかということを現認していただきたいと思います。

 それで、大臣はスラップ訴訟というのを御存じでしょうか。

田中国務大臣 申しわけございません。わかっておりません。

照屋委員 これは、防衛省が先ほどの高江の住民を相手に通行妨害禁止の裁判をしている、防衛省が起こした裁判と関連して、スラップ訴訟というのは大変大きな問題なんです。このスラップ訴訟というのは、大臣、住民運動を弾圧し、その活動を萎縮させる効果を狙った裁判のことなんです。これはアメリカではそのスラップ訴訟を提起すること自体が禁じられておるんです。

 東村高江で貴重なやんばるの森を守ろうとする住民たち、これは物理的な抵抗をしているわけでもない、無抵抗の人たちですよ。暴力を用いているわけでもない。これに対して、当初は防衛省は、二〇〇八年当時、小さい女の子を含めて十五人の住民を相手に裁判したんですよ。結果的には一人だけしか認容されていない。そういう裁判なんです。

 だから、権力を持つ国が、スラップ訴訟と言われる、住民を萎縮させるような効果を狙って裁判を起こしてもだめなんです。住民との真摯な対話、住民がなぜ必死になって米軍のヘリパッドを阻止せんとしているか、それを理解してあげることが大事だと思います。

 さて、去る三月十三日、在日米海軍のHH60Hヘリコプター一機とC12固定翼機一機が、空港管理者の沖縄県や石垣市の自粛要請を無視する形で石垣空港に強行離着陸しました。地元紙の報道によりますと、HH60ヘリは第七艦隊司令官専用機である、こういうふうに報道されておりますが、そのとおりで間違いございませんか。

渡辺副大臣 お答えします。

 米海軍第七艦隊司令官用として使用されているのはSH60F型ヘリ、特別な塗装が施されたタイプのものが存在するということは防衛省として承知をしております。

照屋委員 外務大臣に伺いますが、外務省は、このHH60ヘリとC12固定翼機による石垣空港の使用目的について、米軍からはどのような通報を受けたんでしょうか。

玄葉国務大臣 今、防衛省、渡辺副大臣からお話がございましたけれども、基本的に、米軍艦船への人員輸送のためであったというふうに承知していますけれども、これはすぐれて米軍の運用にかかわる話でございますので、それ以上の詳細は差し控えたいというふうに思います。

照屋委員 民間空港である石垣空港を使用するという通報自体はあったんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、先生、外務省にそういうときに通報があるかと言われれば、通常はそれぞれ空港にそういう形で通報があるというのがこれまでではないかなというふうに思います。

照屋委員 渡辺副大臣、防衛省には通報はございましたか。

渡辺副大臣 今のところ、あったということは承知をしておりません。

 ただ、数日前から地元の報道等で、石垣空港が使用されるのではないかということは、地元の新聞等で書かれたことは承知をしております。

照屋委員 少なくとも、副大臣、玄葉大臣、石垣空港というのは民間空港ですよ。そして、観光立県沖縄にとって、観光客も石垣にいっぱいいらっしゃるんです。そういう中で、アメリカの飛行機あるいは軍艦が民間空港や民間の港に入る場合には通報をしなければいけないはずなんです。ところが、今回なかったということは、私は驚きました。

 さて、私が、さきに、護衛艦「たちかぜ」の一般事故調査結果報告書、発簡番号横監監察一〇七号の提出を防衛省に求めたところ、横監監察一〇七号は欠番となっており、提出できないとの回答がありました。

 欠番とは具体的にどういうことでしょうか。報告書は一旦作成されたけれども、それが欠番になっている理由と経過を説明してください。

神風大臣政務官 お答えさせていただきます。

 護衛艦「たちかぜ」乗員の自殺事案に係る一般事故調査報告書についての御質問でありますが、当該報告書にかかわった当時の職員について発簡番号とり直しの事情について確認したところ、いずれの者も明確な記憶を有しておらず、詳細についてはわからなかったと承知をしております。

 その上で申し上げますと、一般事故調査報告書につきましては、横須賀地方総監が一般事故調査を実施し、平成十七年一月十八日に同総監が決裁した後に、一旦は発簡番号横監監察第一〇七号が用意されたものと考えられます。しかしながら、その翌日、つまり一月の十九日に関係者の刑事事件判決があり、これに関する記載が必要となったことから、発簡番号を取り消して、当該番号を欠番として内容を更新した上、同年一月二十七日に横監監察第一六六号として発簡されたものと、推測になりますが、推測されるところであります。

照屋委員 それでは、神風政務官、この発簡番号横監監察一〇七号と発簡番号横監監察一六〇号というのは同一文書じゃないでしょう。別々に作成された文書じゃありませんか。

神風大臣政務官 恐らく、その文書を反映させて作成したものと思います。

照屋委員 神風政務官、私、発簡番号横監監察一六〇号と言いましたが、一六六号です。

 その発簡番号の違う二つの文書が別々に作成されて、一方は意図的に廃棄をしたんじゃないかと私は思っておりますので、後で調べた上でぜひ私に報告してください。

 同じく、護衛艦「たちかぜ」元乗員の自殺事件に関し、同艦乗員全員から収集された艦内生活実態アンケートの写しの提出を求めましたが、調査報告書の完成と同時に廃棄しており、保有をしていないため提出できないとの返答がございました。廃棄の具体的な日時はいつなのか、廃棄は誰の指示あるいは責任でなされたのか、廃棄するにはその根拠となる文書規則があるはずですが、それは文書規則のどこに該当するのか、廃棄の手続や結果を示す文書があるはずですから、それを提示してもらいたいと思います。

神風大臣政務官 今、誰が、いつというお話でありましたが、現段階でそれは承知をしておりません。ただし、この当該アンケートにつきましては、右上の部分に用済み後破棄と記載がされているところでありまして、一般事故調査結果が完成された時点で用済みとなって廃棄をされたものと承知をしております。

 したがいまして、このアンケート結果が一般事故調査報告書の中身の方に反映をされていると考えているところでありまして、加えて申し上げますと、事故調査につきましては、「たちかぜ」乗員総数に対してアンケート調査を実施した結果、詳細に調査をする必要があると認められる関係者八十五名に対して面接調査等を実施したものでございます。

照屋委員 神風政務官、この護衛艦「たちかぜ」における自衛官の自殺事件については、二〇〇六年、平成十八年四月五日に、遺族が国を被告として横浜地裁に損害賠償請求事件を起こしているんです。非常に重要な事件、しかも、国会でも問題になりました、刑事事件にもなりました。有罪になったんです、いじめた上司は。それを、私は、一番の証拠となる原資料のアンケートを廃棄したなんというのは信じられない。

 だから、誰が、いつ、どういう指示で廃棄をしたのか、調査の上、報告していただけると約束してもらえますか。

神風大臣政務官 確認した上でお答えさせていただきたいと思います。

照屋委員 これは大変大事な問題なんです。私がなぜこう言うかというと、自衛隊という組織の中にあって、自衛官の人権や尊厳は大事にされなければならない、こういう思いを強く持つからなんです。そういう点で、ぜひ誠意ある調査と私に対する報告をお願い申し上げます。

 最後に、去る二月八日、神奈川県の米海軍厚木基地で、着陸寸前のEA6Bプラウラー電子戦機がエンジンカバーなどの部品を落下させる事故が発生しました。本件事故について、防衛省は米軍当局からどのような報告を受けておりますか。再発防止策や事故原因の究明、安全確認はできたんでしょうか。また、部品落下事故に対する被害弁償等の履行状況もあわせて尋ねます。

神風大臣政務官 先生御指摘の本件事故につきましては、平成二十四年二月八日十四時ごろ、米海軍所属のプラウラー電子戦機が厚木飛行場に着陸する際に、機体から外部パネルが脱落をして、同飛行場北側のフェンス付近に落下をし、県道の走行中の車両一台に当たり損傷を与えたものであります。

 本件事故を受けて、日米合同委員会等において、原因究明及び再発防止策等の速やかな公表について要請したところでありますが、米側からは、事故原因については現在調査中であり、その結果については提供可能になり次第報告するとの回答を得ているところであります。

 なお、本件事故による車両被害の賠償につきましては、日米地位協定第十八条五項に基づく賠償手続を進め、米側との協議が調ったことから、現在、被害者に対する支払い手続を行っている段階でございます。

照屋委員 政務官、そして田中大臣も聞いてくださいよ。この部品落下事故からわずか三日後の二月十一日から飛行を再開しているんですね。ところが、政務官がお答えのように、事故原因について究明もできていない、そのことがきちんと日本政府に報告をしない、それで再発防止がとれるはずないでしょう。住民は不安なんですよ。だから、そこら辺は防衛省も毅然とした対策をとるべきだということを申し添えて、質問を終わります。

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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