衆議院

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第6号 平成24年7月31日(火曜日)

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七月六日

 東祥三君委員長辞任につき、その補欠として笹木竜三君が議院において、委員長に選任された。

平成二十四年七月三十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 笹木 竜三君

   理事 小原  舞君 理事 神山 洋介君

   理事 吉良 州司君 理事 楠田 大蔵君

   理事 藤田 憲彦君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 渡辺 義彦君

   理事 東  順治君

      斉藤  進君    下条 みつ君

      神風 英男君    空本 誠喜君

      田中美絵子君    高橋 昭一君

      橘  秀徳君    藤田 大助君

      松宮  勲君    水野 智彦君

      本村賢太郎君    山本 剛正君

      渡辺  周君    大野 功統君

      木村 太郎君    武田 良太君

      中谷  元君    丹羽 秀樹君

      浜田 靖一君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君    浅野 貴博君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   防衛大臣         森本  敏君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    伊原 純一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月四日

 辞任         補欠選任

  川島智太郎君     近藤 和也君

  玉城デニー君     山岡 達丸君

  萩原  仁君     長島 昭久君

  福嶋健一郎君     寺田  学君

同月五日

 辞任         補欠選任

  近藤 和也君     笹木 竜三君

同月六日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     空本 誠喜君

  長島 昭久君     斉藤  進君

  宮島 大典君     藤田 憲彦君

  山岡 達丸君     山本 剛正君

同日

 辞任

  東  祥三君

同日

            補欠選任

             田中美絵子君

同月三十一日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     水野 智彦君

  橘  秀徳君     本村賢太郎君

  山本 剛正君     藤田 大助君

  江渡 聡徳君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 大助君     山本 剛正君

  水野 智彦君     空本 誠喜君

  本村賢太郎君     橘  秀徳君

  丹羽 秀樹君     江渡 聡徳君

同日

 渡辺義彦君が理事に当選した。

同日

 理事宮島大典君同月六日委員辞任につき、その補欠として藤田憲彦君が理事に当選した。

同日

 理事吉良州司君同日理事辞任につき、その補欠として小原舞君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画)


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     ――――◇―――――

笹木委員長 これより会議を開きます。

 一言御挨拶を申し上げます。

 このたび、安全保障委員長の職責を担うことになりました笹木竜三です。

 今、安全保障の関係は非常に厳しいものがあり、この委員会に課せられている職責は非常に大きいものがあると思っております。

 ぜひ、委員の皆さんの御協力をいただきまして、公正かつ円満な委員会運営に心がけたいと思っております。ぜひ御協力をいただきたいと思います。(拍手)

     ――――◇―――――

笹木委員長 去る六日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更等に伴い、理事の辞任及び補欠選任を行います。

 まず、理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事吉良州司君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任並びに委員の異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。その選任については、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      小原  舞君    藤田 憲彦君

   及び 渡辺 義彦君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

笹木委員長 国の安全保障に関する件、特に平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省北米局長伊原純一君、防衛省防衛政策局長西正典君、防衛省経理装備局長徳地秀士君及び防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 おはようございます。新党きづなの渡辺義彦でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。

 私は、国政の根幹は外交そして安全保障にある、そのことはもう確信をいたしております。しっかりとしたテーブルに、いろいろなことをやる、足元がぐらつくようなことがあれば、福祉の問題、経済の問題、全てのことが無駄になってしまう。そういう意味では、この外交、そして安全保障の問題については、しっかりとやっていかなければならない、そう思っております。

 しかし、今回、最初の質問でございますが、防衛大綱、そして中期防でございますが、報告、質疑まで一年半もかかってしまったということでございます。こんなに大切な二二防衛大綱でございます。どうして一年半もほったらかしといいますか、置き去りにされたのかという部分を、その当時は防衛大臣はまだおいでじゃございませんでしたので、齋藤官房副長官、いかがでございますか。

齋藤内閣官房副長官 御承知のとおり、私も昨年の九月に、野田内閣発足と同時に官邸へ入らせていただきました。それ以前の私自身の党の方の任務は、国会対策委員会の仕事をしておりました。

 当時のことでいえば、そういうさまざまな法案、課題が、衆議院の方でそれぞれ議論に、俎上にのってほしいという、国会対策委員会としての立場がございました。それなりの記憶はございますけれども、今ここでそれなりのことを申し上げるというのは、今の役職からして適さないというふうに思います。

 いずれにしましても、政府でいえば、先般、衆議院の本会議でも、その内容につきまして、御指摘があった点について総理から答弁がされているというふうに思いますが、この間御議論されなかった、検討の俎上にのらなかったということについては、率直に、ある意味では、反省という言葉を使ったことは、今私自身も記憶はございませんが、改めて、時間がかかったことについて、そのことを本会議以降御議論いただいて、いろいろ今先生が御指摘ございましたように、まさに根幹でございますので、活発な議論と国がとるべき方向についてしっかりと見定めをしていく、そういうことを期待したいということを申し上げさせていただいたというふうに総理は思っておりますので、私もそういうことで、ここでの委員会についても発言をさせていただきたいというふうに思います。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 おくれた分をしっかりと取り戻していこう、そう思っております。本日も活発な議論になるよう、よろしくお願い申し上げます。

 まず、先般の本会議の中で、私は質問をさせていただきました。その部分、御答弁をいただいた上、それを踏まえて御質問をさせていただけたらと思っております。

 まず最初に、防衛費のことでございます。

 私は、中国を筆頭にアジア各国の軍事費はどんどん上昇しておる、そういう中で、我が国の防衛力は相対的に低下しているんじゃないか、その辺の、防衛費十年連続での下落に歯どめをかけて、増額を模索する、図っていくべきじゃないかなと。中身を見ますと、ほとんどが人件費であり、地代であったり消耗品というような部分でございます。

 そういう部分も踏まえて、総理は、政府としては必要な予算は確保できているとしっかりとお答えになられたんですけれども、防衛問題の専門家でもございます森本大臣には、十分だ、足りているということに対して、どう御所見をお持ちでございましょうか。

森本国務大臣 国の安全保障や防衛というのは、やはり、国が置かれている安全保障環境を現在どのように評価し、将来をどう展望し、さらに、国として守らなければならない国益、とりわけ国の領土、領域及びそこに住まいする国民、国民の生命財産だけではなくて、国民生活の利益、これをトータルで守るために、どのような防衛体制をとり、どのような予算を充当するかというのは、国の防衛政策の中で最も重要な課題であると思います。

 御承知のとおり、我が国は、現在の安全保障環境と将来を展望して、既に決めました防衛大綱、中期防に基づいて、我が国の必要な防衛力整備を着実に進めようとして、各年度の予算を計上し、国会で御承認をいただいて、これを執行しているところでもございます。

 二十四年度の防衛関係費について言えば、SACOあるいは米軍再編関係経費並びに東日本大震災からの復興関係費を除くと四兆六千四百五十三億ということで、先生御指摘のように、十年連続で減になっているわけでございますけれども、これは、日本の国内の非常に厳しい財政状況の中で、この割り当てられた防衛予算をいかに効率的に、効果的に使うかということに苦慮し、今申し上げた、大綱と中期に基づく我が国の防衛力を整備するために、二十四年度の予算は必要な予算が確保できているという総理の答弁は、私は間違ってはいないということだと考えております。

 とにかく、決められた防衛費をいかに選択と集中の原則を使って効率的に使うか、これに専ら努めていくところでございます。

渡辺(義)委員 二十四年度は足りているだろうという御発言でございました。

 これは、将来的にもということでございますか。

森本国務大臣 繰り返しになりますけれども、防衛予算というのは、今の大綱、中期という比較的長期の目標に従って、そのとき置かれている安全保障環境を評価し、毎年の予算を国会に提出させていただいて御審議をいただいているということですが、我が国の現在の財政状況、経済状況が格段に変化しない限り、この防衛予算の厳しい状態の大勢はおおむね大きな変化が生じないのではないかというふうに考えます。

渡辺(義)委員 大臣就任前は、森本大臣は、どちらかというと増額した方がええぞ、これではちょっと国の守りが寂しいんじゃないかなというような発言をされておったように私の記憶ではございます。

 今御答弁いただきました部分は、先般の本会議の議事録の総理の答弁とほぼ同じようなお答えをいただきました。政府統一見解ということでは問題はないんですけれども、森本大臣としては、実はというようなお気持ちがあるんじゃないかなとお察し申し上げます。

 続きまして、森本大臣の本会議場での御発言の中に、防衛力の実効性向上のために、構造改革推進委員会等々を設置して、どんどん、数値をはかることができないパワー、士気の問題というものを私はちょっと考えさせていただいたのですが、憲法審査会、衆議院でございます。第九条の部分で、自民党さんもそうだったんですけれども、自衛隊は国軍というふうに位置づけた方がいいんじゃないか。新党きづなも実はそういう意見を申し述べさせていただきました。

 その点に関して、大臣はいかがお考えでございましょうか。

森本国務大臣 自衛隊が行う活動の中で、集団的自衛権をどう考えるかということをお尋ねであるとすれば、私は、就任以来繰り返してまいりましたけれども、我が国政府が従来から日本の憲法のもとで集団的自衛権を行使しない、できないという解釈をとっていることは、閣僚の一員としてよく承知しており、私はその任期を通じて、この原則を変える考えはありません。

 しかしながら、集団的自衛権というのは、本質は何なのかということを考えると、我が国にとってみると、同盟協力をどのようにするのかという問題であると思いますので、この同盟協力というのをどのように深化、充実させるかということは、総理が、私が大臣に就任したとき、特別に大臣として指示をいただいた重要な政策項目の一項でありますので、これには前向きに取り組んでいこう、このように考えております。

渡辺(義)委員 森本大臣は制服自衛官としての御経験もおありでございますし、隊員の皆さんの士気を高めるという意味では、自衛隊というのを、何というんでしょう、侵略をするということでなく、あくまで専守防衛、国を守るという意味での国防省であり国防軍である、そういう名称はいかがなものかと、とりあえず御提言をさせていただいております。

 大臣から集団的自衛権のお話をいただきました。これも本会議場で私は御質問をさせていただきましたのですが、国家戦略会議のもとに属しておりますフロンティア分科会で、野田総理に政府の憲法解釈を見直すよう求める報告書を御提出されたということでございます。私は、この報告書は至極真っ当なものである、そう評価いたしておりますが、総理は、集団的自衛権の見直しは考えておられない、現行の憲法のもとではそれは認められないんだという御認識だったと思います。

 この集団的自衛権の行使の容認というのは、各国に対する政治的なインパクトも非常に強くて、オスプレー以上の抑止力を発揮するんじゃないかな、日米同盟のきずなもより強固になるでしょうし、しかも、この抑止力にはお金が一切かからないというような一石三鳥の効果があるんじゃないかと私は思っております。

 大臣は、就任当初から、また今もそうですが、集団的自衛権の行使は現時点では政府解釈に従うということで御発言、お考えをお持ちでございますが、今までの内閣法制局の強い抵抗とか政治家の臆病さというものも手伝って、なかなかこの議論、憲法があるから前へ進まない、また議論することも、余り深掘りの議論をされない、これが今までであったと私は思っております。

 私は、大臣には、民間人からの登用でございます大臣でございます、選挙があるということはございませんので、ぜひとも、我が国の防衛にとって大切なことは遠慮せずにどんどんやっていただきたいな、そう思っております。今までの大臣の知識とか養ってこられた人脈等々を駆使して、この集団的自衛権行使の道筋をぜひとも築いていただく。また、もっともっと活発な集団的自衛権に関する議論を、結論はどうなるかわかりませんが、議論としてやっていただきたいなと思っておりますのですが、大臣、いかがでございましょうか。

森本国務大臣 先生にこういうことをお話しする必要は全くないんですが、集団的自衛権というのは、国際法上、定義が極めて厳格に決まっているというわけではありませんけれども、国連憲章第五十一条に基づいて国連加盟国全てに認められている個別的自衛権及び集団的自衛権、この二つの自衛権のうちの集団的自衛権というのは、ある国が、極めて緊密な関係にある国が武力攻撃を受けた場合、自国に対する武力攻撃とみなして、その国と共同してこの武力攻撃に対処する自衛権の一種として、国際法上認められた自衛権の一つであるというふうに解釈されます。

 ということは、我が国にとっての集団的自衛権というのは、例えばその代表例が、日米同盟のもとで、米国が緊急な事態に陥った場合に日本がどの程度アメリカに協力できるかという問題に集約されるということです。

 集団的自衛権というのは、そのもう少し先のところにあって、私が仕事を通じてある程度の路線を引きたいと考えているのは、今の憲法の解釈のもとで行っている日米同盟の内容と分野を質的に量的にさらに充実させるということができないのか、できるとすれば、それはいかなる分野でどの程度のことができるのかということをきちっと詰めて、これを、実際の日米間の約束や現実の法律のもとでその可能性を追求したい、そのずっと先に実は集団的自衛権という問題があるのではないか、このように頭を整理しているところでございます。

 先生の御質問に直接にお答えするとすれば、そのための道筋をつくるという仕事をしたい、このように考えているわけでございます。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 日米同盟の深化のためには、私は、集団的自衛権を認めるべきであると思っておりますし、日米のきずなを深める最大のものであると認識しておりますのですが、新防衛大綱でも、日米同盟の深化、発展のため、戦略的な対話等に取り組むほか、共同訓練、施設の共同使用等々、平素からの協力を強化するという、まさに今大臣が言われた、集団的自衛権行使の手前の前段階であるような気が私はいたします。

 アーミテージさん、元国務副長官さんであります。七月二十二日付の読売新聞の論文では、集団的自衛権をどう扱うかを決める権限は、ひとえに日本国民にあると主張してきた、そうおっしゃっておられます。日本の憲法上の制約は、今後、日米同盟にとって大きな、またさらに重大な問題になるだろう、そうおっしゃっておられます。

 日米同盟の深化を真に考えるのであれば、まさに大臣がおっしゃいました、議論の段階では、決断しなければならない段階ではないか、私自身はそう思っておりますのですが、官房副長官、いかがお考えでございますか。

齋藤内閣官房副長官 お答えします。

 この件につきましても、先般、衆議院本会議におきまして、委員から総理への御質問がございまして、総理からお答えさせていただいたというふうに思いますが、改めて申し上げさせていただければ、この集団的自衛権につきましては、総理から、政府としては、従来から、集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解してきていると承知をしているところであり、内閣総理大臣として、現時点でこの解釈を変えるということはない、もとより、この問題については、さまざまな議論があってしかるべきであろうとは考えているとの答弁がされているというふうに承知をしております。

 これが我が野田内閣の集団的自衛権の考え方であるということについて、改めて答弁させていただきました。

渡辺(義)委員 尖閣諸島は安保適用対象であるということで、従来の政府方針を米国務省のベントレル報道部長さんも記者会見でお語りになりました。日米同盟が堅持されていることが大前提ですよということで、そういう御意見を述べられたんだと思っております。

 やはり、日米同盟がきずなを深めるためにも集団的自衛権の行使が早急に必要と考えますので、もっともっと前向きな、また、深く広く各般にわたっての議論をお進めいただきますことを求めておきます。

 続きまして、国際情勢について少しお聞きかせをいただきます。

 先月も外務委員会で玄葉大臣には、アフリカのことであるとか、いろいろな状況についてお聞きかせをいただきました。私は質問が下手なものですから、その辺を、意を酌み取っていただいて、大変丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございました。

 そういう中で、地域の一層の安定化に取り組むという考え方のもと、韓国、オーストラリア、そしてASEAN諸国、インド等々の協力とか、中国やロシアとの信頼関係の増進を図っていくということで、外務省また防衛省の方もそういうお考えの中で外交、安全保障というものをお進めになっておられると思いますが、具体的にはどういう方策というか、諸外国とのきずなを深めるため、また信頼を深めるために、どういう方針というもので今取り組んでおられるのか、また取り組んでいこうとされておられるのかという部分でお聞かせいただけたらと思います。

玄葉国務大臣 ただいま渡辺委員から、例えば韓国、オーストラリア、あるいはインドなどとどういう形で協力していくのかという御質問がございました。確かに私は、このアジア太平洋を見たときに、まず成長センターである、だけれども安保環境は厳しさを増している、一言で言えば、こういう状況にあるというふうに思っています。

 そのときに、まずは我が国自身が適切な形で防衛力の整備をやはりしっかりとしていくこと、そして、基軸である日米同盟というものを深化させていくこと。確かに、計画検討も、ミサイル防衛も、拡大抑止も、情報保全などもそうだと思います、RMCもそうだと思います。そういうことを行いながら、一種、ネットワーク外交で、例えば日米韓の外相会合を先般も行いました。日米豪といった三カ国の対話もございます。そう遠からず、豪州との2プラス2もやはり行わなければならないというふうに思っているんです。日米印というのもございます。

 ですから、こういった協力をまさに多層的に行っていくということが大事だし、中国、そしてロシアというお話もございましたけれども、中国とも、私は日米中の対話、特に戦略的な対話というのが必要であるという提言を私みずからした経緯がございます。今、野田総理もおっしゃっていて、米国も中国とそういうことでありたい、中国も真剣に検討する、こういうお話になっているわけでございます。

 ロシアは、先般も私は訪ロいたしましたけれども、今のこのアジア太平洋地域、あるいは世界史の中で見たときの国際情勢の今後、あるいは現下の情勢を見たときに、この日本とロシアの協力関係というのはやはり深めていく必要がある、その中に、おっしゃったとおり、安保の分野というのも間違いなくあるというふうに思っています。

 それぞれの国とのそういった協力関係を深めつつ、例えばEASであるとかARFであるとか、あるいは、これは防衛省でありますけれども、ADMMプラスであるとか、そういったASEANの関連の拡大の国防相会議もございますので、そういったものを機能的に組み合わせながら、我が国及びこのアジア太平洋地域の安定というものを確保していくということが大事であるというふうに考えています。

渡辺(義)委員 そういう中で、韓国、中国、ロシアというのは、領土問題とか歴史問題等々で挑発を繰り返してきている。本当に信頼関係の増進が図れるんだろうかなという疑問符が浮かんでくるわけでありますけれども、実際にロシア首相が国後島を訪問したりとか、竹島の観光地化が進んだりという中、中国が尖閣諸島を核心的利益と位置づけて、領海侵犯等々を露骨に繰り返しているという現状の中で、外務省としてはいろいろ外交ルートを通じて正式に抗議しましたという言葉はよく聞くんですけれども、このことだけで本当にこの関係が改善され、信頼関係が、きずなが結ばれていくのか等々に関しましては、どうしても疑問符が湧いてくる。

 外交ルートを通じて正式に抗議しましたという部分では、一体どんな抗議であったり制裁方法というものをおとりになっておられるんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、それぞれ隣国でございますし、領土問題を、中国との間では領有権の問題は存在しないということなので領土問題はないという認識でありますが、北方領土、そして竹島、これも、先方からすれば竹島については違う認識なんですが、我々からすれば領土問題があるということでございます。

 隣国とは、当然、友好関係を築いていかなければなりませんが、世界の多くの国々を見ても、隣国とはやはり時にそういうことというのはあるのが、ある意味、宿命づけられているところがあるのも実態ではないかというふうに私は思います。そういう中で、どういうふうにマネジメントして、お互いの友好関係を築いていくのかということなんだろうというふうに思います。

 今、抗議という話がございました。それは、相手国が不適切なことを行ったといったときに対して、我々は適切な形で時に抗議という形をとっていくということであります。それは、その時々の状況によって抗議の仕方も違ったりいたしますし、トーンの違いといったものもあるでしょう。それはまさに、外交全体の本来の目的であるとか、あるいは国際情勢全般であるとか、日本を取り巻く戦略環境であるとか、そういったことを全て勘案しながら総合的に私は判断をして、例えば、ロシアとの関係もそう、中国との関係もそう、あるいは韓国との関係もそうでありますけれども、そういったことを、その時々に、適切に判断を行っているつもりでございます。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 齋藤官房副長官、次の云々もあるということでございますので、ちょっと順番を変えて、尖閣諸島について御質問させていただきます。

 私は、日本の領土を守るために行動する議員連盟というものに所属というか入っております。八月に尖閣諸島魚釣島に行く予定でございまして、その際に、慰霊祭を尖閣諸島で開催したいということで、近く議連の担当者からの魚釣島への上陸許可の申請がなされると思うんですけれども、政府としては、御許可をいただける方針でございますか。

齋藤内閣官房副長官 お答えします。

 御承知のとおり、政府としましては、従来より、原則として、政府関係者を除き、何人も尖閣諸島への上陸を認めないという方針をとっていることについては御承知かと思います。

 その上で、慰霊祭を行うための上陸申請があれば、事実関係を確認させていただいた上、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理のためという政府の賃借の目的等を踏まえ、内閣においてその対応を判断することとなります。

渡辺(義)委員 何か、わかったようでわからぬ御返答でございましたけれども。

 これは、東京都が尖閣諸島を購入される、大変ホットな話題でありますけれども、都が尖閣を購入して同島に上陸申請を出した場合、新聞では、森本大臣は、個人的見解として、容認してもいいんじゃないか、すべきであるというふうに報道を受けたと、私はその記事を読んでおりますのですが、また、藤村官房長官も、上陸申請があった時点で判断する等々言っておられるんですけれども、この東京都の部分に関しては、官房副長官、いかがでございますか。

齋藤内閣官房副長官 お答えいたします。

 いまだ具体的に都からの上陸申請はないというふうに承知をしております。したがって、先ほどのお答えの内容に尽きると現時点では思っております。

渡辺(義)委員 政府は、今になってと言ったら怒られますけれども、尖閣諸島を国有化しようということでお考えになっておられるようでございますけれども、島を借り上げというところから一転して国有化の方針に転換した、その動機と真意をお聞かせいただけたらと思います。

齋藤内閣官房副長官 お答えいたします。

 あくまでも、政府としては、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理を継続するという観点からさまざまなレベルで接触をしております。その上での総合的な検討をしていくということでございます。

渡辺(義)委員 さっぱりわかりませんでした。やはり国が民間の方から土地をお買いになるんですから、当然理由づけが大変必要であると思いますし、目的が必ずあるはずでありますから、その辺はもっと明確にお答えをいただきたいと思います。

 私が思うに、国有化すれば、避難するような、そこは、しけというか、大変波の荒いところでございますので、避難する場所であったり灯台を整備するというようなことで、尖閣諸島を御利用されると考えておるんですけれども、具体的には、政府としては、こういう使い方をしようということを今何かお考えになっておられますでしょうか。

齋藤内閣官房副長官 お尋ねの件でございますけれども、報道のような事実はございません。

 先ほどから繰り返し述べさせていただいておりますが、政府が国有化のため、また尖閣諸島を購入した後の活用方針を固めたという事実もないということについてお答えさせていただきたいと思います。

渡辺(義)委員 齋藤先生、ありがとうございました。次があるということでございますので、どうぞ。あっ、まだあるんですか。そうですか。それなら、ゆっくり聞いておいてください。

 それでは、時間配分が下手なもので、ちょっと迫ってまいりました。

 丹羽中国大使の件について聞かせていただきます。

 玄葉大臣には、ウイグルのセンゲ首相の件等々で、前回の外務委員会でも中国との関係についていろいろお話をさせていただきました。七月二十三日の産経新聞によりますと、九月の通常国会閉会後に丹羽駐中国大使を交代させる方針を固めたというような報道はございますが、玄葉大臣、それは事実でございますか。

玄葉国務大臣 人事ですから、これはコメントするというわけにはまいらないということでございます。

渡辺(義)委員 それでは、今月十五日に一時帰国されて、事情等々、いろいろお話をされたと思いますが、今回の混乱の責任をとって辞任したい等々というような発言もございませんでしたでしょうか。

玄葉国務大臣 基本的に人事の話はしておりませんし、内部の協議でございますので、そういったコメントについては差し控えたいというふうに思います。

渡辺(義)委員 外交は、私が言うのもおかしいですけれども、礼服を着た戦闘である。国益と国益がぶつかって、外交交渉においていろいろな議論がなされる。我が国の方針と違えて、どちらかというと、丹羽大使の御発言というのは中国側の意を酌んだ、もしかしたらいろいろなお考えの中でそうおっしゃったのかもしれませんし、報道上のことでありますからわかりません、私にとっては許せぬような発言でありますが。

 外務省の中で、士気の低下や任に当たる真剣さの低下にああいう大使の御発言はつながっていくんじゃないかなと私は思うんですけれども、以前、丹羽大使が作家の深田さんとお話しになったときの会談の記事を読ませていただきました。将来は大中華圏の時代が到来する、日本は中国の属国として生きていかなければならない。日本は中国の属国にならなきゃいけないんですかと深田さんがお聞きになると、それが日本が幸福かつ安全に生きる道だとお答えになったということでございます。

 玄葉大臣、丹羽大使がこういったお考えの持ち主であったというか、そういうことを知っておられましたかという聞き方をすると、何かおかしいかもしれませんけれども、中国の大使というのはナーバスな関係でありますから、職業外交官でもなく、中国の専門家でもない、普通の民間の企業人である、こういう民間の企業人を充てたという人事について、無理があったというような、そういう御認識はおありでございましょうか。

玄葉国務大臣 まず、先ほどのことについては、ちょっと事実関係を確認させていただければというふうに思います。

 私が知るところでは、FT紙とのインタビューについては私の指示で注意をしました。それは、領有権の問題は存在しないということ、我が国の基本的立場を正確に伝えていなかったからであります。ただ、それ以前とそれ以後、つまり大使として、そういった基本的立場について、私は、丹羽大使はきちっと発言をしているというふうに思っています。

 その上で、任命についての質問がありましたけれども、基本的に、あのときに広く人材を求めて、結果として、経済界において実績があった丹羽大使を任命したものというふうに理解をしています。

笹木委員長 次に、神山洋介君。

 時間が終了しております。(渡辺(義)委員「ありがとうございました。尻切れトンボになってしまいました」と呼ぶ)

神山委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 委員長、御配慮をいただきましてありがとうございます。

 さて、きょうは、大綱、中期防に関してということで委員会が開催をされております。実は私はこれまで二度ほど、ここ一、二年のところで大綱について議論をさせていただいております。今回は三回目になろうかと思います。若干、これまでの内容をなぞるような内容もありますが、よろしく御答弁をいただければと思います。

 まず、内容の話です。

 防衛大綱に関連をしていうと、これまでずっと基盤的防衛力という形でそのコンセプトが語られてきました。そもそもその基盤的防衛力というものは何ぞやという議論がかつてあったりとか、その解釈が少しずつ変わっていったりとか、いろいろなこれまでの経緯もあったわけです。今回、二〇一〇年の閣議決定になりますが、大綱において、この基盤的防衛力という部分からコンセプトが変わって、動的防衛力という形に変わっていった。これは非常に大きなポイントであろうと私は思っています。

 ただ、これはアカデミズムの世界も含めて、まだ具体的に目に見えていないということがあって、いろいろな解釈があろうかと思うわけです。主に運用面に焦点を当てて、より稼働していく、そういう防衛力を整備していくんだという概念は語られていくわけですが、やはりこの動的防衛力の中身をできるだけ、これは国内もそうですし、対外的にもきちっと伝えていくということは大事だと思いますので、まず、このコンセプトの転換の中身についてどういう御所見をお持ちか、この点、副大臣にお伺いをいたします。

渡辺副大臣 神山委員は安全保障問題については大変造詣が深くて、今回のことでも三回目でございます。

 もう御承知の上での質問と思います、再確認の質問だと思いますけれども、昭和五十一年に基盤的防衛力という概念が初めて出てまいりました。東西冷戦の中で、存在する防衛力から、その後、我が国を取り囲む周辺の安全保障環境が変化しつつある中で、一言で言えば、動的防衛力というのは、多機能で実効性ある防衛力。今までは、存在することによって力の空白というものをつくらないようにしてきた。今回、それが多機能で実効性ある防衛力ということで、新しい概念を持ち出してきたわけでございます。

 これは、もう委員はとっくに承知であると思いますけれども、やはり周辺の脅威の変化に切れ目なく、そしてまた機動的に対応できるような防衛力の質と量を向上させていこうということでございまして、その点については、今後我が国のさまざまな周辺の動きに対しても敏感にアンテナを立てて対応できるような、そしてその上で最も適切な質と量を持って対応できるような能力を持とう、こういう概念でございます。

神山委員 ありがとうございます。

 これは、繰り返しになりますが、国内であり、またこれは対外関係においても、我々がいかなるコンセプトに基づいてどういう方向に進もうとしているのかということを伝えていくというのは、これは安全保障という領域ではなおさら大事ではないかなというふうに私は思っております。

 基盤的防衛力のコンセプトが昭和五十一年に設定をされて、その意味合いも、その三十数年の中でやはり少しずつ変化をしてきたという部分もあろうかと思いますので、動的防衛力のコンセプトに基づいて、いかなる防衛力を整備し、かつ我々がどういう戦略に基づいて動いていくのかということも、当然これは環境の中で修正は図られていくべきものだと思います。ですので、やはりそこの部分をきちっと、これは特に対外関係の中で伝えていくというところはぜひ御配慮いただきたいなということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。

 内容の話もさることながら、次に、大綱とは何ぞやという、この大綱のあり方の部分を少しお話をさせていただきたいと思います。

 これは前回だったか前々回だかに、大綱に関連をして私は質問をさせていただいた際にも少し触れたんですが、大綱が作成される前の前段のところで、有識者による新安防懇があって、その報告書に基づいて大綱になってきているというプロセスがあります。その新安防懇の報告書の中にも記載をされていましたが、例えば、有識者の会議を踏まえて、その後に最終的に閣議決定をされていくような、このプロセスそのものを見直した方がいいんじゃないかという指摘もあったかと思います。具体的に言えば、もっと早い段階で、これは政治レベルでの責任者が入っていくようなこともあっていいんじゃないかというような話もありました。

 きょう申し上げたいのは、実はその話ではなくて、そもそもこの防衛大綱というのは何ぞやという話の中で、これは何でもかんでもアメリカと比較すればいいという話じゃないわけですけれども、例えばアメリカで考えたときに、これに関連をしての文書、政策、戦略、どういう形になっているかということを仮にちょっとなぞってみると、一番大もとのところに、ナショナル・セキュリティー・ストラテジー、国家安全保障戦略というものがあるわけです。これはNSCがつくっています。それを踏まえて、国防総省でNDS、ナショナル・ディフェンス・ストラテジー、これは国防長官がつくっています。さらにその下のところに、これは統合参謀本部議長になりますけれども、国家軍事戦略、ナショナル・ミリタリー・ストラテジーがあるという三段階になっています。

 実はアメリカの話を聞いても、余り細かく分け過ぎちゃって、どこが境目かもわからないからもうちょっとまとめた方がいいんじゃないかという議論もありますので、ただ分ければいいというものじゃないということは事実です。その辺を念頭に置いて、我が国の防衛大綱を考えたときに、では、一体防衛大綱というものはどこに値をするのか、どこに当たるのかということが少しこれは問題になると思います。

 一般論からこれまでの経緯を含めて考えれば、防衛大綱というのは、その安全保障の戦略も含むんだけれども、現実には、政策的には防衛省の中での、それは自衛隊の整備の話とか装備品の計画であるとかというところに落ちていくわけです。今や、防衛省だけで我が国の安全保障を語ることはできないなんというのはもう言い尽くされた話であって、それは例えばサイバーの話だったり、いろいろな事例があるわけですけれども、そのあたりを考えたときに、これは個人的な問題意識として、防衛大綱は防衛大綱でいいと思うんですが、その一つ上の、上位の、安全保障の体系立ったトータルな統合的な戦略というものが私は必要なのではないかなということを実はずっと考えております。

 新安防懇等で示された、今後の大綱のあり方という大きなテーマの中の一つに入ってくる部分だと思っているわけですが、まずこの点について、副大臣、どうお考えか、御所見をいただければと思います。

渡辺副大臣 まさに正鵠を得た御指摘でございまして、我が国の行政機構というのは、御存じのとおり、縦割りの弊害というものが言われて久しいわけでありまして、安全保障においても、この点は、例えば、例に挙げられたサイバーにしてみても、これは警察なのか、経済産業省なのか、あるいは防衛省なのか、まず、危機のあり方というものが一つの役所で対応できなくなっていることである。

 そしてまた、安全保障上の問題においても、例えば、これは領海防衛、領土防衛ですと、警察権と自衛権、あるいはそのグレーゾーンの部分についてはどうするかということがあります。いや、これは海上保安庁だから国土交通省だ、いや、これは防衛省だ、いやいや、外交努力でいえばこれは外務省も、あるいは内閣府も出てくると、この意思の決定というもの、我々が国家として決意をするときに、かなりの時間的なタイムラグが出てきてしまうのではないだろうか。

 過去からずっと言われながらも、この点については、日本の意思決定システムのどうしても複雑さといいましょうか、いろいろな、まず下から上に上げていって、最終決断するまでにはタイムロスというものを非常に我々としても追及してきたことがございます。

 それだけに、やはり早急に国家意思を一つにできるということを、今、アメリカの例を、決してアメリカの例が全て最善とは、委員も御指摘されているとおりですが、やはり我々として、国家安全保障戦略というものを一元化して考える。非常事態が起きたときに、有事もそうです、大災害もそうです、あるいは国家的なテロが起きた場合に、国として、どのように直ちに意思決定をして対応できるかという、この国家の安全保障戦略というものを早急につくっていかなきゃいけない。

 そのためには、防衛省が持てるだけの、これは防衛省の中でもそうなんです、背広組と制服組があって、現場に精通した制服の方もいれば、やはりそこはシビリアンコントロールの観点から非常に対外的に気を使う背広の方がいらっしゃる、その中で意思を一つに統一するだけでも、稟議書がたくさん回ったり、決裁だけでも随分たくさんのところを回りますから、こういうことをやはり有事の際にはいかにして意思決定まで短縮をしてできるかということも含めまして、委員の御指摘も踏まえて、諸外国の例を、いいところは取り入れながら、国家安全保障戦略というものを早く確立させなければいけない。

 そして、いかなる内閣が、大臣がかわっても、どのような方が意思決定をするにしても、これは一つ、日本の中でしっかりと不変のものであるということをつくっていかなければいけない、そう考えております。

神山委員 ありがとうございます。

 今、渡辺副大臣からも国家意思を一つにという表現がありました。私はここが極めて大事な部分であろうと思っています。

 今まさに、例えという意味合いでもありましょうけれども、用語として出ましたけれども、やはり国家安全保障戦略というものをつくるべきであるというお話がありました。私はまさにそこだと思っております。

 防衛大綱は防衛大綱で、防衛省ないし自衛隊をどういうコンセプトに基づいて今後育てていくのかという中で、今後もこれは必要であり続けると思うわけです。

 一方では、この防衛大綱の中に書いてありながら、なかなか国家安全保障戦略としては機能しない部分というところをどう位置づけるかということを考えたときに、さらに上位の部分をつくっていくということを、これは今回の大綱ができた後でありますけれども、次の大綱なり、次のこのコンセプトなり、今後のありようをレベルアップさせていくということを含めて、ぜひこれは検討を進めていただきたいと思います。

 今の御指摘なり今の議論を踏まえて、きょうは齋藤官房副長官にお越しをいただいたわけですが、現時点での組織論であり、現時点での役割分担ということを考えたときには、やはりこれは官邸のところでどういう形に持っていくかという話になります。

 余り時間がありませんので、最初から結論を申し上げれば、今の防衛大綱を踏まえて、かつ、その上位の国家安全保障戦略を仮につくりましょうという話をしたときには、これは今の官邸の中に、かつ、これまでにもずっと累次議論がありましたけれども、いわゆる国家安全保障会議、NSC的なものをつくるということが私は最短距離にあるプロセス、現実的な方策ではないかなというふうに考えております。

 私も、かれこれもう二年、三年近くですが、これは党の中で、NSCの設立に向けてということでさまざまな検討を進めてきている中で、大分煮詰まってきた感があります。もとより、これは安倍政権時代にこのNSCを設立しようという機運があって、今に引っ張ってきているものであって、これは政権がどうなろうと、やはり早く実現をしなきゃいけないことであり、NSCをつくることが目的ではなくて、そこができた上で、国家を統括する、総括をするような戦略を、そこで一元的に安全保障戦略をつくるんだということがやはり目的なんだと思っています。

 官房副長官にぜひ御答弁をいただきたいのは、このNSCを設立するということに関連をして、今、官邸の中でどういう検討状況があるのか、どういうことを考えられているのか、このあたりについて、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

齋藤内閣官房副長官 今、質疑を伺わせていただきまして、問題意識については私自身も共有しているところでございます。

 今、国家の安全保障戦略について、この安全保障について、私も官邸に来てまだわずかでございますけれども、この間、さまざまな政権、そして国家としてさまざまな対応をしてきているわけですが、官邸が司令塔として適切に機能していくということは本当に極めて、私は重要であるということについて認識しております。

 今、御承知のとおり、昨年の二月に第一回の国家安全保障に関する内閣機能強化のための検討チーム会合というのが開かれまして、そしてまた、十月二十一日に第二回の会合が開かれておりまして、現在、防衛大綱を踏まえ、官房長官を長とするこの会議を中心に検討を進めてきております。

 引き続きしっかり取り組んで進めてまいりたいというふうに思いますし、党の中にも、神山議員が中心となってワーキングチームができているということについても承知をしております。加えてまた、中間報告についても、出されているということも承知をしております。

 今後、会議を重ねまして、成案を得るように努力をさせていただきたいというふうに思っております。

神山委員 ありがとうございました。

 今言及がございましたけれども、今回の大綱の中にも、これは五ページになりますけれども、「安全保障に関する内閣の組織・機能・体制等を検証した上で、首相官邸に国家安全保障に関し関係閣僚間の政策調整と内閣総理大臣への助言等を行う組織を設置する。」という形で、若干間接的ではありますけれども、触れられている部分があってのこの会議の設置かと思います。

 これは長々と議論をしていてもしようがないので、できるだけ早く設置をするべきだと思うんです。

 仮に、NSCを事務局スタッフ体制を含めて整備したとしても、一発できてそれで終わりにはならないと思います。もっと言えば、NSCをつくった上で中長期戦略はつくります。同時に、その中長期戦略のもとになるインテリジェンスをどうやって日本の中でこのサイクルを回していくのかという話が必ず出てきて、鶏が先か卵が先かという話に必ずなると思います。

 ですから、これはずっと時間をかけながらレベルアップをさせていくべきものだと思いますので、百点満点の組織を最初からつくろうということではなくて、まずは五十点、六十点でもいいからスタートをするということが私は大事だと思いますので、ぜひスピード感を大事にやっていただきたいということをお願い申し上げます。

 残り時間もちょっと限られてきましたので、今の、この類似の例になります。先ほども少しお話をしましたが、サイバーの話をさせていただきたいと思います。

 まさにこのサイバー関連を考えると、この大綱だけではやはり心もとないよねという話になるわけです。

 例えば、私も、日々の取り組みの中で、サイバーに対して、サイバー戦略をどう考えているのかということをいろいろなところでやりとりするわけです。防衛省さんもあります、内閣、これはNISCもあります、総務省、経産省、警察、それぞれがてんでんばらばらになっているというのが実態だと思います。もちろん、建前上は内閣の情報セキュリティセンター、NISCがやるという形になっていますが、やはり予算の関係を見ても、まだまだじゃないかなという気がしているわけです。

 だから、この点を踏まえても統合しなきゃいけないという問題意識をまずお伝えした上で、問題は二つあると思っていまして、一つは、体制の話です。これは今、情報セキュリティセンターがありますけれども、やはり強化をしなきゃいけないという部分。もう一つは、これは実は余り議論されていませんが、概念の整理というのがすごく大事だと私は思っています。

 例えばサイバー空間の中で、日本が攻撃を受けました、では、そのサイバー空間の中で我が国は自衛権をどういう状況になったら発動できるんでしょうかという話は、ほとんどまだ整理されていない。急迫不正の侵害があったということを、何をもってサイバー空間の中で判断をするのか。これはほとんど概念の整理もできていないという状態だと思います。

 ですので、体制の整備、そして概念の整理、場合によっては、これは法律、立法の措置も当然必要だと思いますし、ここの部分はやはりスピーディーにやらないと、何度もいろいろな事例が出てきているわけですから、ここは待ったなしという状態ではないかと思います。

 これは防衛副大臣のみにお願いをする話では当然ないということも重々承知ですが、まずこの点について、これは防衛省の取り組みも含めて、お話をいただきたいと思います。

渡辺副大臣 私も就任以来ずっとこの問題を、第五の戦場と呼ばれて、陸、海、空、宇宙空間、そしてサイバー空間。このサイバー空間というものをどう位置づけるかということについて、いろいろな諸説があります。

 これは、今おっしゃったように、サイバー空間における武力行使という概念があり得るのか。これは、いろいろな文献を読んで、ほかの国の例もそうなんですけれども、例えば、相手の能力と意図、これがどうなのか、そして、成り済まして国家もしくは国に準ずる者が行ってきたけれども、本当にその国がやったという、極めて物理的な打撃力を与える武力行使と違って目に見えない、Aという国に成り済ましてBの国がやることもある、あるいはもっと言えば、成り済ましの成り済ましまであり得るわけでして、こういう問題について、実は我々防衛省の中でも、就任以来、かなりの研究をしておりまして、近く何らかの形での報告を出すことになると思いますけれども、例えば、まず一つは、最もこの分野で研究が進んでいるアメリカであるとかイスラエルであるとか、サイバーにおける最も進んだ知見を持つ国に人を派遣するなり、どこまで出してくれるかわかりませんが、あるいは情報共有をやりながら、日進月歩で、とにかくサイバーの攻撃能力というものはどんどん日々進化しているわけですから、正直、日本はこの分野においてはまだ立ちおくれている。それだけに、軍事の分野におけるサイバーを使った脅威というものについて、やはり知見のある国から、しっかりと連携をとって、情報を密にしながら、我が国のサイバー攻撃に対する防御に役立てていきたい。

 そして、その上でどうそれに今度は対抗するかということも、これは将来考えなければいけないと思いますが、そのウイルスに対する攻撃兵器というものを果たしてどこまでつくることができるのか、こういうことも含めて、防衛省においては今幅広に、かなり深刻な思いを持って研究していることはここで申し上げておきたいと思います。

神山委員 ありがとうございます。

 まさに今、御答弁の中にもありましたが、結局、このサイバーの世界でいえば、防御という、専守防衛という概念がそもそも技術的な意味で成り立つのかという話もあるわけです。そういったことを含めると、相当突っ込んだ事前の緻密な検討がやはり必要ではないかと私は思っています。ここは事が起こってからでは遅いと思っていますし、では、それが起こるまで五年、十年も時間があるかといったら、そんなにないものではないかと思いますので、ここはどうにかしてスピードアップをしていかなきゃいけない話だと思います。

 これは防衛省だけの話じゃなくて、ちょっと済みません、時間の関係で副長官には御答弁をお願いできませんけれども、ぜひそこのスピードアップを図っていただきたいということを最後にもう一度お願いさせていただきまして、本日、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

笹木委員長 次に、高橋昭一君。

高橋(昭)委員 高橋昭一でございます。

 今、神山委員からは、組織も含めての総論、非常に大きな視点でのお話がございました。私の方からは、どちらかというと防衛の一番の現場の話になってくるかもわかりませんが、非常に各論の部分、非常に重要なことがかなりあろうかと思いますので、御質問をさせていただきたいと思います。

 渡辺副大臣とは、東日本大震災のときから、震災ボランティア室の室長として、私は事務局長としてずっと現場を回らせていただいて、ありがとうございました。

 災害の現場、どちらかというと、私は阪神・淡路大震災のときから災害現場に入って、その関係もありまして、やはり各自衛隊の皆さんと非常に大きな御縁をいただきました。その意味では、私のちょうどふるさとの地であります小野市というところに青野原の基地があります。その基地にはさまざまな、阪神・淡路のときもそうですけれども、災害での出動をお願いしている関係上、現場の方によく行かせていただきます。

 そこで、実はお話を聞く中で、私の心の中に一番重く思うことは、以前、かなり長い間ですけれども、青野原の基地は高射砲の基地でございまして、その基地の配備はホークというミサイルであります。今、それが中SAM、〇三式中距離誘導弾の方へ変わって、この装備は純国産であります。

 我が国は、古来より人馬一体という言葉がありますが、やはり日本には日本に合った装備というのがあるのであろう、日本国民のこの特性や、さまざまなところに非常にリンクした装備というのがあるのではなかろうかということと、自衛隊の現場の皆さんは、この純国産の装備というものに関して非常に誇りを持っておられます。その意味において、私は本日、この防衛生産、そしてまた技術基盤の維持ということで。

 二二大綱におきましても、防衛生産、技術基盤の維持、育成、高度化に向けた取り組みの促進ということが明示をされております。しかしながら、いろいろ思いをはせておりますと、このあたりがしっかりと確保されなければ、日本の防衛というものに対して揺るぎが出るのではないだろうかと思います。どうしても、さまざまSFなんかで見ておりましても、九四セカンドという国産の装備が出てくるのでありますが、九四というのは九十四ということでありますけれども、例えば中SAM以外にも、一〇式の戦車でありますとか、これは残念ながら基盤的防衛力の方ですので、やや削減ということがありますが、これは世界に誇れる装備ではないかと思っております。そしてまた、海上自衛隊の方では、二〇一三年に初の純国産哨戒機のP1の配備があります。

 本日、冒頭に、さまざまな純国産装備があろうかと思うのですけれども、その中で、中SAM、一〇式、そしてまたP1等々、それぞれの装備に関しまして、現在の配備状況、それから今後の配備計画、これまでの装備とのいわゆる比較したところの優位点等を副大臣にお答えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 では、事実関係でございますので、できるだけ簡潔に申し上げたいと思います。

 現在、先生おっしゃった〇三式の中距離地対空誘導弾、これは平成二十七年度までにさらに二個中隊分を整備する計画でございまして、今お話しの青野原に二十一年度、二十二年度、そして二十三年度に青野原と知念ということで配備をすることにしております。

 優位点ということでございますけれども、最大有効射程が延伸、伸びているということ、それから、ミサイル対処能力が付与されたこと、同時多目標対処能力が向上したということがございます。

 それから、今御指摘の一〇式戦車は、平成二十二年度から調達を開始して、これまでのところ、三十九両について予算計上して、現在、十三両が既に富士駐屯地、富士教導団に配備をされております。今後、平成二十七年度までにさらに四十二両を整備する計画でございます。

 このメリットとしては、九〇式戦車に比較しますと、小型軽量化によって機動力が向上した、そして、リアルタイムでほかの部隊と情報を共有する機能を付与しておりまして、情報通信能力の強化というものが図られたということでございます。

 また、固定翼哨戒機P3Cの後継としてP1ですけれども、これは今年度中に六機を厚木基地に配備する予定でございまして、さらにまた、この厚木基地に平成二十七年度までにあと七機を整備する計画でございます。これは、飛行性能と、余り詳細には申し上げられませんけれども、探知性能でありますとか、あるいは静粛性、静音であるということについて向上が図られているということでございます。

 以上でございます。

高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 あえて装備の詳細をお聞きいたしました。といいますのは、日本の技術というのは、技術大国でありますから、それぞれの技術が卓抜したものであるということに関しては、非常に重要なことだと思っております。

 先ほどお話がありましたけれども、動的防衛力ということに関する装備の問題。私は、動的防衛力があるとしても、やはり基盤的防衛力というものの整備もしないと、これは両輪であると思っているのです。もちろん、過去よりも動的の方にシフトしていることはよくわかるんですが、その中で、この日本の国を守っていくという非常に大きな使命を帯びている部分に関しては、先ほどの一〇もそうでありますが、やはり、日本の国の誇る技術というものがあることを世界に対してアピールしなくてはいけないんだろうということを非常に強く思うんですね。

 それはなぜそう思うかというと、実は、今回、防衛生産及び技術基盤の戦略ということを考えないといけないと思いますが、我が国の防衛について、やはり独立国でありますから、純国産ということを可能な限り目指したいんだと私は思います。もちろん、各国のさまざまなよいところを入れていくというのは当然のことでありますが、やはり日本の技術というもの、戦後しばらく空白期がありましたので、それぞれの企業の皆さんはかなり御苦労をいただいて装備の開発をされていると思います。

 防衛省経理装備局装備政策課の所管で、防衛生産、技術基盤の維持、育成を図るための防衛生産・技術基盤研究会というのが設置をされているとお聞きしております。本年六月でございますから、一カ月前でありますけれども、「「生きた戦略」の構築に向けて」と題して最終報告書を作成されました。

 中長期的に我が国の防衛を担う産業を育むためには戦略が必要であろう、これが日本の基盤のところを支える部分になろうかと思うんですけれども、この戦略に関しまして、必要性及びその方向性等に副大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。

渡辺副大臣 私も防衛装備品の工業会の関係者の方々の集まり等にも顔を出しますし、また、いろいろな有識者の方々と、このあり方について、最終報告が出るまでの間、防衛省内でも何度も会合を重ねました。

 全く委員が御指摘のとおりでして、二つの意味があると思います。

 一つは、我が国の防衛装備品を他国の技術に委ねるということは、考えたくはないんですが、万々が一大きな有事となった場合、やはり相手国の技術力によって我が国の防衛力というものが左右される、相手国によってコントロールされる。これはやはり一つ大きなデメリットだろうと思いますし、もう一つは、防衛基盤というものを支えてきた企業が年々、例えば二%、三%の割合で撤退をしたり、あるいは廃業を余儀なくされたりして、そこにいる、ある意味たくみのわざの方々、こういう方々がとにかくいなくなってしまう。

 やはり我が国の将来的な能力というものを他国に依存することが果たしていいのだろうかということを考えますと、おっしゃるとおり、できるだけ我が国として国産化を目指す、そしてブラックボックス的なところはつくらないようにするというふうに我々としてはやはり位置づけたいわけでございます。

 その上で、今後どうしていくかということになりますが、やはり一つには、選択と集中だと思うんです。

 我が国の最も秀でている分野をどのような形で残していくか、そして、それが将来的には他国から、武器輸出三原則の基準の一つの見直しの中で、平和国家としての理念を守りつつも、例えば日本の技術とどこかの国が、ある国がともに共同研究や共同開発をしていきたい、あるいは日本産のものをぜひ欲しいということで、やはり私たちは、一つの戦略物資として考えられるような防衛装備品の国産化というものを位置づけて、今後さらに、最終報告が出たわけでございますので、肉づけをしてまいりたいということでございます。

 まさに委員の御指摘と私どもの考えは一緒だというふうにお答えさせていただきます。

高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 今、三原則の話も少しございましたけれども、私が思いますには、例えばJAXAが現在、H2A、H2Bというロケットを打ち上げております。せんだって五月にはH2Aで四基の衛星を上げました。それで、初めてコンプサット3という韓国の商用衛星を打ち上げることができて、三菱重工の民営化が、二〇〇七年にロケット発射は民営化をされていますので、ビジネスとして成り立たせるための方向性を内閣府でも今とっていただいていると聞いておりますし、なおかつ、今回、HTV「こうのとり」、これも世界に誇る技術だと思っておりまして、スペースシャトルが退役した後、ISS、国際宇宙ステーションに大きな物資を運べるものとしては、やはり今、日本が最先端を走っている。このH2Bの打ち上げも、今回、三菱重工に民営化をされるという方向が決まったと聞いております。

 私も、思い起こすと、中学校のときなんですが、ちょっと独特な子供でして、本を読んだのが、「戦艦武蔵」という本を読みまして、吉村昭さんの本でありますが、そのときに書いてあったことが、大和という戦艦がありますが、大和は呉の軍工廠でつくられた、実は、戦艦武蔵は二番艦でありますけれども、その二番艦は三菱重工の長崎造船所でつくられたと。もちろん、さまざまな艦船が今三菱でもつくられておりますし、今のイージス艦の中でも三菱でつくっておられるところがたくさんあります。

 当時、それをなぜそうしたかというと、実は、巨艦をつくる技術を、国家が持っているものを民間に移転することによって民業を活性化させようという趣旨があったという国家戦略であったと聞きます。

 もちろん、軍事戦略ということ一つで片づけられないんですが、やはり私は、国家としての大きな戦略の中で開発された技術というものが民間のビジネスに対して非常に広い範囲を持っていくべきだと思っています。

 しかしながら、先ほどのお話で、それぞれの防衛専業メーカーというのは我が国にはありません。ほとんどが民生のものの方から今度は逆向きに入っていって防衛を支えている。私は、これはいわゆる以前とは全く逆の形になっていると思います。ですから、やはりこの辺のところの研究費の少なさを今補っていただいているところを逆にもっとバックアップできないだろうかというのが一つ。

 もう一つは、武器輸出三原則の話であります。

 私は、慎んでいくという方針自体、いわゆる武力の部分を促進するのではないという趣旨に関しては大いに賛同するところでありますが、しかし、一番初めに、当初お話があった、森本大臣もお答えになりましたけれども、同盟のあり方ということが考えられると。

 今、日米同盟でありますので、アメリカとの間では当然いろいろな持ち合いがあろうかと思います。しかし、例えば今後、ASEAN各国でありますとかアジアということを考えたときに、いろいろな形が考えられるのではないだろうか。そういうことから考えると、いろいろな組み合わせがつくっていけるということを考えましたら、世界の平和維持に貢献するという趣旨のもとから見直しということがあるのかなというふうに思います。

 昨年十二月に、防衛装備品等の海外移転に関する基準という談話で、新たな方向性というのが開かれたというころでありますから、そのあたりのところなんですが、実際にいろいろ聞いておりますと、外務省のODAで、フィリピンに対して巡視艇の供与等、いわゆる外務省が主体になって行っているものがあったりするというふうなお話も聞きます。

 その中で、米国以外の合意先として、イギリス、英国の例がございますが、具体的にこの英国の例がどのようなものであったかというのを、これはこの四月と聞いておりますので、少しそのあたりのお話をお聞かせいただきたいと思います。

渡辺副大臣 ことしの四月に、日英両国の首相による共同声明が発表されました。

 正直、私は、ちょっと話をそらすわけじゃないですけれども、一つエピソードを申し上げますと、六月の頭にシンガポールのシャングリラ会議というのに出席をいたしました。そのときに、九カ国の国防関係の方々といろいろお話をしたんですが、お話の中のほとんどは、どこの国も関心を強く持ったのは、日本の昨年のこの三原則等の基準の見直しについて、例えば、それはオーストラリアであり、ニュージーランドであり、アジアの各国から、とにかく日本のメード・イン・ジャパンという世界に類のないクオリティーの高さ、先人たちがつくり上げてきた技術力の高さ、日本はどこの国にもこれは負けないよというもの、これをやはり世界の国々が大変期待をしておりまして、いろいろな国からいろいろなお申し出もありました。

 その中で、イギリスとはアメリカに次いでいろいろな協定を結んで、今後、研究、検討していこうということなんですが、今、お互いのニーズ、例えば、英国の方からどういう分野において関心を示しているのかということ、それから日本としてはどういう技術があるのか、なかなか、正直言って、大きな兵器というものを共同研究や開発するというところには至らないんです。やはり我々としては、人の命を救ったり人を救出するようなものについては何かできないだろうかという分野において、いろいろな我々としての考え方も示したいところでございます。

 ですので、今、審議官レベルでイギリスの当局者と行ったり来たりしながら話をしておりまして、一年か二年の間には、どの分野で何ができるだろうかということについて具体的に決めたいと思っております。では、具体的にどの分野と言われると、まだ、いろいろお互いのニーズというものをお互い出し合っていて、確定できているわけではありませんけれども、アメリカとの共同研究、共同開発の次に、やはり次はイギリスというところで、第一号のような形で、恐らく何らかの形でスタートするんだろう、そういうふうに今話し合いをしているところでございます。

高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 本当に新たな取り組みということで、昨年から方向が変わっていることに世界から注目を集められているということに関しては、私は技術立国として日本が培ってきたものの集大成だと思います。防衛装備というものは非常に際立った、逆に言えば、人命というお話がありましたが、もちろん戦闘ということ以外のところでも人命に対して非常に大きく関与する分野でありますから、そこに関して世界から注目をされるというのは非常に重要なことですし、イギリスに対して、英国に対しての一つの壁を越えれば、また次のステップがあるのかなとも思います。

 そういうことから、最後に、全体として、武器輸出三原則について、一応今後の方向性というのは、もちろんまだはっきりはしておりませんが、これからさらにどのようなお考えがあるかということをお聞かせいただいて、終わりたいと思います。

渡辺副大臣 今まで、武器輸出三原則というと、やはり世間にも少し誤解をされていたところがあったと思うんです。我々はやはり死の商人とか武器商人になってはならない。これは平和国家としての理念は守る。ただし、日本の技術によって人の命を救う、あるいは人を助け出せる、そういうものがあるならば、積極的にやっていくべきだろうと思うんです。

 例えば、それは防弾チョッキであるとか、あるいは火薬のセンサーであるとか、そうすれば自爆テロや自動車爆弾によるテロを未然に防ぐことができるとか、もう実際こういうものが見本市なんかで日本の技術でできているんですが、なかなかそれを輸出するということができなかった。例えば、対人地雷に対しては例外として今扱われたけれども、対戦車地雷は武器であったとか、正直、基準がはっきりしないところもありました。

 私たちは、やはり日本の技術というもの、日本という国の技術がなかったら世界は困るという意味で、これから積極的にいろいろ研究を進めていきたいと思います。今までは、例えば論文の発表とか、あるいは研究レポートを海外の会合に行って発表することすらも差し控えてきたというところがございます。それもある意味では武器の一つであったということでございました。

 結びになりますけれども、シャングリラ会議で、私は基調スピーチのときにUS2という水陸両用飛行艇のセールスを少し言ったんです。これは防衛技術研究本部が開発、民間に委託してつくったものでありますけれども、大変強い関心が示されました。こういうものは海洋国にとっては非常に必要とされるものですから、こういうものも、我が国は、世界の中で日本のプレゼンスを広めるためにもしっかりと、ある意味では国としてのセールスポイントを挙げて、皆さんに、たくさんの方に知っていただくような努力も必要だろうなと。ただ、いいものをつくっているから見に来てくださいではなくて、できるだけ積極的に試乗していただいたりするような機会もつくっていきたい、そのように考えております。

高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 防衛というものを、本当に現場の自衛官の方とお話をしていても、やはり誇りを持って国家として進んでいくべきものだと思います。

 先ほど人馬一体という言葉を申しましたが、日本は古来から培ってきた技術と、そしてまたそのコンセプトがあろうかと思います。また、共同開発となると、さまざまな国々の間での調整もあるんですが、そういうせめぎ合いの中でも新たなものが生まれる可能性もあり、そこで日本が誇れるということもあろうかと思いますので、特に、最後にそれぞれの防衛装備等々の開発に関して、今後、方向性として、二二大綱でもありますように、明確な方向性をとっていただき、より手厚くお願いをするということを御要請申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

笹木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十一分開議

笹木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋です。

 上着をとらせていただきます。よろしかったら、両大臣もお楽にしていただきたいと思います。

 一年八カ月かかったとはいえ、やっと大綱、中期防の議論がきちんとできた、これはよかったと私も思っております。

 言うまでもなく、大綱、中期防は、我が国の自主防衛力をどういう考え方で、どのように整備していくかという根本の一つでございます。我が国防衛のもう一つの柱は、言うまでもなく日米同盟でございます。

 私がきょう最初にお伺いしたいのは、森本大臣、オスプレーの問題なんですね。これは言ってみればヘリコプターの機種をかえるという話なんだけれども、ハンドリングを間違うと、マネジメントを間違うと、我が国防衛の柱である日米同盟そのものを揺るがしかねない。

 正直、この間の政府のハンドリングは、私は決してうまくなかったと思います。国民の皆さん、それから関係地域の皆さんの不信、不安というものは拭えておりません。

 私は、大臣が就任されたときに、失敬ながら、一番心配なのは交渉力ではなかろうかということを申し上げました、対国内交渉力、対国外交渉力。今のところはちょっとその交渉力という面で心配が出てきているなと、失敬ながら、私はそう見ているんですね。それだけに、今後の運びについては十分に慎重かつ丁寧にやっていただきたいというふうに願っております。

 まず、やはり国民の皆さん、特に岩国の皆さん、選挙が終わったばかりですが、最初に不信を持ったのは、フロリダで事故が起きた直後から、オスプレーを日本に持ってくるという話そのものに対して政府の感度が鈍かった。なぜ搬入の時期をおくらせるというところから真剣な対米交渉というものができなかったのか。あるいはしたかもしれないけれども、それが伝わっていない、見えていない、そこにあったというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

森本国務大臣 先生御指摘のように、確かにアメリカは、海兵隊のCH46をオスプレーに換装したいという計画を持って、日本に配備する計画を進めようとしてきたわけですが、ことしになってモロッコ、フロリダ、二つの事故があって、我が国の受けとめ方も相当に、アメリカが計画しているとはいえそのとおりでよいのかという議論が政府の中にもあり、日米間にも、これを真剣に協議したり意見交換したりするプロセスがずっと続きました。私が大臣になる前からそういうプロセスがあり、なってからも、そういう協議が日米間でも行われ、日本政府の中でも行われた。

 アメリカは、CH46がリタイアしてくるので、抑止の空白をつくりたくない、力の空白をつくりたくないということで、計画どおり配備をしたいという願望が、それ自体は強かったわけですが、我が方としてはそれをそのままうのみにするわけにはいかないといって、日本側が押し返した。

 いろいろなやりとりがあった結果として、先生今の御指摘のように、岩国に陸揚げをするが、しかし、かねてからお話し申し上げているように、二つの事故の事故原因の究明がきちっと行われ、それが日本側に説明され、かつ、日米双方が飛行の安全を確認できるまで一切の飛行運用を行わないという、この一点において、日米が、折り合ったわけではないですけれども、双方が譲れるところをぎりぎり譲って、現在の合意ができたわけであります。

 その間の細かいやりとりについてお話しすることは控えたいと思いますが、いずれにせよ、アメリカの計画、アメリカの言い分を唯々諾々として受けたということでは決してないという点については御理解をいただきたい、かように思います。

岩屋委員 確かに、そういう努力を大臣もしていただいたというふうに思うんですよ。

 ただ、今、岩国にオスプレーが揚がって、アメリカの事故調査結果が八月の終わりに出るということであれば、一月以上にわたってあそこにとどめられたままになるわけです。もちろん、日米の約束からいえば飛ばすこともできない、してはならないということなのであって、それであるならば、私は、搬入の時期にこだわる必要はなかった、むしろ、それを強行したことが当該地域の不信を買ってしまった、これはある意味では余計なことだったと思いますね。むしろ、民間チャーター船か何かで運んだからなんという理由もありましたけれども、途中で、ハワイであれグアムであれ、そこで整備訓練を続けて、日本への陸揚げというのを延期するという方法も私はあったと思います。

 そういう意味で、この間の政府の努力が国民に伝わっていない、このことは指摘をしておきたいというふうに思います。

 そこで、大臣、そもそも論なんですけれども、日米安全保障条約上の事前協議が必要とされる重要な装備の変更というのは何ですか。

森本国務大臣 日米間で、岸・ハーター交換公文に基づいてつくられている事前協議というのは御承知のとおり三つアイテムがあって、そのうちの重要な装備の変更というのは、その後の日米間の約束事で、核弾頭あるいは中長距離の弾道ミサイル、及びそれに伴う施設の建設等を含むことを行う場合に、アメリカ側が日本に事前に協議をするということを日米間で約束した、これが事前協議にいう重要な装備の変更であると理解しております。

岩屋委員 我々もそう説明してきたわけですね。

 ただ、そうなると、重要な装備の変更とは核弾頭及びその運搬手段である中距離、長距離ミサイルの編成の変更みたいなことだという説明になるのならば、我が国は非核三原則を堅持している、米国の核戦略は変わった、持ち込む必要もなくなったということであるならば、この事前協議が必要な重要な装備の変更というのは、実は対象となるものがない、こう理解していいですか。

森本国務大臣 この重要な装備の変更については、自民党時代から政府が説明しているのは、事前協議が行われる場合、核兵器を我が国に持ち込むことについては、答えは常にノーであると従来から説明されてきたものだと私は理解しております。

 したがって、この事前協議の中身をそのまま厳密に解釈すれば、核弾頭でない例えば長距離弾道ミサイルを持ち込むときということもこれに入りますので、したがって、必ずしもこの事前協議の項目が今日有効でないというふうには言えないのではないかというふうに思います。

岩屋委員 そこで、私が申し上げたいことは、安保条約上の事前協議に当たるような重要な装備の変更、これまで私どもが説明してきたような重要な装備の変更が行われる可能性というのは、実は余りないというのが現実だと思うんですね。ということは、もう既に事前協議というものは形骸化している。

 だから、オスプレー、運搬手段である航空機の変更というものが安保条約上の重要な装備の変更にまで当たるとは私どもも思っておりませんけれども、一方で、こういう機種の変更、しかも国民が非常に高く関心を持っている機種の変更が一方的な接受国通報だけで行われる。野田総理も、それにどうしろこうしろと言えるわけではないんだという説明を一回して、後で国会で釈明しましたけれども、この接受国通報と事前協議の間の幅が大き過ぎて、十分に国民に説明できる協議の場というものがないというのはやはり問題だなということを今回つくづく感じたんですね。

 だから、日米合同委員会みたいなものも起こしていますけれども、こういう機種の変更についても事前にしっかりと日米で協議できるという場をこれからやはり設けていくべきではないか、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

森本国務大臣 確かに、先生の今の御指摘というのは、それはそれで理解はできるのですけれども、アメリカが日本に駐留をして日本及び周辺の安定を維持するに必要な活動を行う際、兵器体系を変えるというのは、通常、日米間でいろいろな協議をやっている日米協議の場で、例えばF16を新しい型式の戦闘機にかえるとか、新しい戦闘機を持ってくるとか、あるいは新しい空母を日本に持ってくるとかということを、その都度アメリカは日本といろいろな安全保障関係の協議を通じて日本側に通報し、さらに接受国通報というものを通じて日本側に通報してきているわけであります。

 その日米間のいろいろな協議を経て、我が方は、アメリカが新しい兵器体系を日本に持ってくるということに係る事務を我々が承知しているので、日本で運用する際、必要に応じて十分な安全に留意してもらうよう、その都度日本側からも申し入れ、また、兵器体系を変えることに伴って、例えば施設の整備だとか、いろいろなアメリカ側がとらなければならない措置については累次の日米協議の場で日米間で話し合ってきたので、その日米間のやりとりの中で今はアメリカ側のそういった体制というものを我が方が理解し、抑止力をきちっと維持できるというシステムは担保されているのではないか、私はこのように思います。

岩屋委員 誤解のないように申し上げておきたいと思いますが、私ども、オスプレーがやがて日本に導入される、配備されるということについては、オスプレーという機種の持っている性能、能力、スピードが二倍で、積載量が三倍で、航続距離も五倍ぐらいになる、やはり、展開力、機動力というものが非常に高まる、日米同盟の抑止力はそれによって強化されるであろうという意味では、基本的には是認すべきものだと思っているんですね。

 だけれども、やがて導入するときに、では、どういう手続でどういう説明をすれば当該地域の皆さんに、あるいは国民の皆さんに受け入れていただけるかなということを我々も考えていたことは事実でございます。そこにまたこういう事故が起こったので、余計に難しくなっているわけですが。

 そこで大臣、どうやって安全だということを国民の皆さんに理解していただくかということですけれども、大臣は国会での質疑に答えて、オスプレーの墜落事故に関する日米合同の委員会を設立するということは、やはり事柄の性質上難しいというふうに答えておられます。一方で、既に防衛省の中にオスプレー事故に関する分析評価チーム、専門家チームが設立をされておるわけでございます。

 我々が懸念しているのは、米国がやがて出す事故調査報告書というものを、その専門家チームというものがただ追認するだけに終わったのでは、これは安全だということの説明にはなりがたいというふうに思っているわけです。

 オスプレーというのは軍事機密も多分に含んでおるでしょうから、果たしてどのくらいの情報が米国から提供されるのか、防衛省の専門家チームはどの程度これを分析、評価する能力、手段を持っているのか。名簿を見ると、ヘリコプターの専門家とか、そこそこ学識経験者もそろっておられるようですけれども、ただ米国の報告書を追認するだけに終わるのではいけない。

 もし、防衛省の専門家チームが検討した結果、問題が生じた場合には、大臣、どういう対応をされるおつもりでしょうか。

森本国務大臣 二つの事故の原因をきちっと究明して、そして我が方として必要な説明を受け、飛行の安全を日本の地元の方々を含め日本の国民の皆様に説明して理解をしていただくに必要な措置、これはきちっと日本として責任を持ってとりたいと考えているわけです。

 その点で、分析チームを既に編成しておりますが、まずアメリカ側の調査を待って、アメリカ側が説明できるという順序が整ったという通報を受けたら、我が方は分析チームを送るつもりですが、その前に、一体、この飛行機を我々としてどのように見て、どのような分析をするのが正しいのか、我が方として独自の評価基準をまずつくって、その評価基準を持っていって説明を受け、私もここは細かく承知しないのですが、アメリカが行っている事故安全調査の調査結果がアメリカ側で全文公表されるかどうかということについて、我が方はまだ確認できておりません。我が方が受けようとしているのは、その全貌について説明を受け、それをどの程度我が方として理解し、国内に持って帰って説明できるか、それはこれからの日米間のやりとりによって決まるということです。

 いずれにせよ、持って帰って、もう一度我が方として、独自の評価クライテリアといいますか、評価基準に照らして、これをどのように国民の皆様に説明できるかということを改めてまとめて、それを説明の材料に使う、こういう手順のプロセスを経る間、我が方が持っておる疑問は、分析チームがアメリカに行った場合に、十分にアメリカ側に追求もでき、質問もできる、こういうシステムをとってこの問題を解決していきたい、かように考えている次第でございます。

岩屋委員 今大臣は、米国の調査報告書、どの程度のものが公表されるかまだ定かではないというふうにおっしゃいましたが、防衛省の専門家チームも、設立目的を見ると、大臣の判断に資するためにこういうチームをつくるんだ、こう書いておりますね。

 だけれども、ただ大臣の判断に資するためだけに材料を大臣に提供するだけでは、やはりこれは国民の皆さんの安心につながらない。とはいえ、軍事機密にかかわる内容もあるでしょうから、全てをつまびらかにするわけにもいかぬと。だから、何らかの形の、日本の専門家チームの分析結果の公表ということは必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

森本国務大臣 分析チームのマンデートというのが、大臣の判断に資するというふうにしたのは、つまり、ほかの方々、例えば外の有識者等に責任を持たせず、大臣がみずからその分析の全ての責任を負うんです、だから、大臣が判断する必要な判断材料の資となっていただきたいという趣旨でそういうことにしたわけです。

 つまり、もっと卑近な例を言うと、自分で責任をとらされるならそういうところには入りませんという方がおられると、より公平な分析ができなくなるし、知見を利用することができないので、一切の責任を負わせません、大臣がその責任を負いますという趣旨でその文書を今つくって、マンデートを決めたわけでございます。

 したがって、全ての分析評価の責任は大臣たる私にあるという形にして、専門的知見を利用させていただいて、できるだけ客観的な分析評価を行って、それを国民の皆さんに説明したい、かように考えているわけです。

岩屋委員 せっかくその専門家チームを大臣はつくられたわけなので、そこでの分析評価結果というものが国民の、あるいは当該地域の皆さんの安心につながるものになるように、最大限の御努力をいただきたいと思います。

 質問がちょっと前後しますが、しからば大臣、今からアメリカの事故調査結果が出る。それを、米側の言いなりになるのではなくて、日本の専門家チームがさらに分析評価する。こう大臣がおっしゃっているわけですから、一方で大臣が、沖縄への十月配備は動かさないんだ、動かないんだということを繰り返しおっしゃっているということは、これはちょっと筋が通らない、説明としては納得がしがたいというふうに思うんですけれども、いかがですか。やはり、安全が確認されなければ沖縄への配備も動かすことはあり得る、こう説明しておくべきなんじゃないですか。

森本国務大臣 まず、二つの事故、性格も違うしユーザーも違うと思いますが、これの原因究明をアメリカ側にきちっと客観的にしてもらって、それを我が方として、独自の評価基準に従ってこの中身を説明できるようにし、飛行の安全を、アメリカだけではなく日本としても独自に確認する。この手順を完了するまでは、現在の岩国で一切の飛行運用を行わないという日米間の約束をしたわけで、アメリカはこの約束を守ってくれるものと思います。

 それがどのような時期になるのか、そこから後はどういう手順になるのかということは、まだ全貌が正直言って見えないので、そこから先のどれぐらいの時期に、一体岩国から、例えば沖縄に飛行機が移動していけるのか、それまでの間どういう準備をするのか、行ってまたどうするのかというようなことも、正直申し上げて、今は少し、これからの二つの事故の事故調査の手順がどのような状態で進むかということを見きわめないと、今のところでは断定的に申し上げる段階にはまだ至っていないというふうに思います。

岩屋委員 今の大臣の御説明を伺っておりますと、私は真っ当なお話だと思うんですけれども、今からの調査分析の結果次第で、まだいつ沖縄に配備されるかということは不確定だ、それは今断定的に言える段階ではない、こういうふうに理解してよろしいですか。はい。

 そこで、今岩国にオスプレーが置かれているわけですが、やがて、もし調査分析の結果、安全性が確認されたと判断された場合には、すぐにそこから動かすということではなくて、当然、岩国において、これは何というんでしょうか、慣熟訓練というか整備訓練というか、やることになろうかと思うんですが、それがどう行われるかということについても、岩国市、山口県の皆さんは非常に御心配だろうと思いますが、このことについて、現地の要望を聞いて米側と交渉するという努力はされておられますか。

森本国務大臣 これはまだ、二つの、最後の方の事故の調査結果がどのタイミングになって、それを、同じことを二つやるわけですが、二つ目の航空事故は六月に起きたフロリダの事故であって、この事故の原因を究明し、さらに、その後、飛行の安全を確認したというプロセスが全て終わった後の話でございますが、そこからアメリカが、それまでいわばグラウンドしている飛行機のシステムをチェックしたりエンジンを動かしたりして、いつでも飛べるという状態にすると通常は思いますが、そこから先、パイロットの練度と、この飛行機を安定的に運用できるのに、どのような訓練の内容と飛行が行われるかというのは、まだ我が方は確認できておりません。恐らくアメリカもまだできていないと思います。

 つまり、彼らがいわゆる訓練マニュアルに従って、それぞれパイロットの訓練マニュアルのステージ、段階によって、あるパイロットはまだこういう訓練、あるパイロットはまだこういう訓練を今からやって、安定的に、安全に飛行できるような状態にするまで、いろいろな人が乗って、一機一機の飛行安全を確認するのにどのような訓練のためのメニューというんでしょうか、そのメニューがつくられるかというのは、通常は部隊指揮官がつくるものであって、我が方は、まだそこにまで至っていないということであります。

 したがって、地元の方々の御意見というのは我々として尊重しますが、それをアメリカが持っている訓練マニュアルにどのように反映させるか、私たちは、二つの事故の原因を究明するということに専念しており、まだそこまで至っておりません。

岩屋委員 事故原因の究明に専念している、正しい御説明だろうと思いますが、一方で、大臣、やがてオスプレーの配備が完了したとした場合に、年三百三十回ぐらいの、日本を六つとか七つのルートに分けて飛行訓練をやるんだということが言われておりまして、だからこそ、その当該地の自治体、知事さんたちも非常に心配の声を上げているわけですね。私どもの大分県も、たしかイエロールートとかいうのにかぶっていると思います。

 これは、日米合同委員会で、これからどういうルートであるべきか、訓練内容であるべきか、飛行内容であるべきかということが検討されると承っておりますので、今、私が申し上げた岩国におけるやがての整備訓練、慣熟訓練も含めて、この合同委員会でしっかり協議していただいて、心配を払拭するために、変更すべきものは変更していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 日米合同委員会では、低空飛行も含めて、やはり運用ルールについて日米間でしっかりと協議をしたいというふうに考えておりまして、御存じのように、先般、第一回を行いました。

 日米合同委員会というと、御存じのように、在日米軍と行うものですから、あわせて、ワシントンとのコンタクトというものをしっかり行わなければ実際に動きにくいのではないかということもあって、先般、外務、防衛の局長が訪米しまして、いわばアメリカのカウンターパートとそういった議論もしてきました、協議もしてきましたので、しっかりと、低空飛行を含めて、運用ルールについて協議をしていきたいというふうに思っています。

岩屋委員 一方で、国防総省の、この方は何というんですか、リトル報道官というんですか、ルートに変更はないんだということを、まだ協議が始まったばかりですから、今のところは変更するつもりはないということをおっしゃったのかもしれませんが、ぜひ、将来予測される事態についても、政府は米国とよく連携をとって準備をしておいていただきたいと思います。

 ところで、大臣、これからアメリカへ行かれるわけですが、オスプレーは乗ってこられますか。

森本国務大臣 日米協議のためにアメリカに行く予定にしておりますが、その際、オスプレーに試乗をさせていただきたいという要望をアメリカ側に伝えてあります。

岩屋委員 乗ってしかるべきだと思いますね。御無事をお祈りしております。

 一回大臣が乗ったからといって、それをまた安全だと強弁するのはいかがかと思いますけれども、乗ったこともないようなことでは説得力を欠くと思うので、ぜひ乗ってみていただきたいと思います。

 さて、次に、尖閣の問題に移りたいと思います。

 東京都知事は非常に有意義な提案をしていただいたと私は思いますけれども、都という自治体がとられる行動と、政府がとるべき対応というのはおのずと違ってしかるべきだと私は思っておりまして、この種の問題については、やはり、日本国政府として、成熟した対応をとっていただきたいと私は思っております。

 世上、この段階で、尖閣については国が保有するんだという方針を明確にされているやに報道されておりますが、現状はどうなっておりますか。

玄葉国務大臣 本来は内閣官房かとは思うんですけれども、一言で申し上げれば、尖閣、もう言うまでもありませんが、我が国固有の領土、領有権の問題は存在しないんですが、平穏かつ安定的な維持管理のためにさまざまな検討を行っているところであるというのが正確な答弁ではないかと思います。

岩屋委員 当然、尖閣は日本の領土であって、私どもも、本来、あそこにある民有地というものは国が保有することの方が望ましいというふうに思っておりますけれども、事は外交の問題でもありますから、やはりマネジメント、ハンドリングについては、さまざまな角度からの検討を両大臣においてもしっかりしていただきたいと思っております。

 都による上陸申請が出てきた場合に、総理や防衛大臣は、これを前向きに対応するというような答弁をされておられると思いますが、それは事実ですか。特に森本大臣は、それを問いただされて、あれは個人的な感想だったんだというような釈明を後にされたと聞いておりますけれども、国務大臣としての考え方を聞かせていただきたいと思います。

玄葉国務大臣 これも内閣官房だと思いますが、上陸申請について、まだ行われていないというのがまず一つです。その上で、そういった上陸申請が行われたと仮定したときに、平穏かつ安定的に維持管理をする、いわば政府が今賃借をしている、そのことを踏まえて、その上陸の必要性であるとか、あるいは、今まで賃借をしている、そのことの意味というものを考えながら、総合的に判断をしていくということだと思います。

森本国務大臣 外務大臣の御答弁がございましたけれども、これはまだ手続が行われていないのですけれども、手続が行われれば、そもそも上陸という言葉が正しいかどうかは知りませんが、いわゆる国が地権者から預かって管理をしている土地に立ち入るということでございますので、立ち入るための手続を法に従ってとられ、法に従って処理をされるものだというふうに思います。

 防衛省がやっていることは周辺海域の警戒監視ということなので、これは関係省庁がきちっとトータルで対応するという性格のものであると考えます。

岩屋委員 私が申し上げたいことは、都知事は極めて有意義な提案をしていただいた、そして、それに多くの国民が共感をされた、お金も集まった、それはそれで結構なことだと思いますけれども、政府が何となくポピュリズム的にそれに乗っかって事を進めようなどという考えを持っておったのでは、これは成熟した外交というものは成り立ち得ない。そこは十分お気をつけをいただきたいと思っているところでございます。

 私の敬愛する楠田与党筆頭理事のさきの質問に答えまして、野田総理は本会議場で、尖閣諸島を含む我が国領土、領海で周辺国による不法行為が発生した場合は、必要に応じて自衛隊を用いることを含め、政府全体で毅然として対応するとお答えになられました。ある意味、当然のことをおっしゃっているわけで、心強くも感じますけれども、自衛隊を含めということを殊さらこの段階で言及するということが、果たして外交的にどういう意味を持つのかということまで十分にお考えになった上での発言だったのかなと、私は一瞬、聞いた途端に思ったわけでありますけれども、外務大臣はどういうふうに感じておられますか。

玄葉国務大臣 不測の事態に政府が毅然と対応する、これは当然のことだと思うんです。その上で、私が申し上げたいことは、野田総理の思いとしては、楠田委員の質問に対して、一つはいわば理論的可能性を語った、もう一つは、外交努力も含めて、まさに平素の危機管理というものの重要性を語った、その延長線上で、いわば事態を未然に防ぐ、このことがむしろ大事であるということを語ったのだというふうに私は認識をしています。

岩屋委員 これも、私が申し上げたいことは、日本の主張はもちろん譲る必要は全然ない。尖閣については、できるだけ静かな環境の中で、粛々と、着々と実効支配を強化していくということが大事であって、いたずらに外交的な緊張を高めるようなパフォーマンスというのは避けるべきだというふうに私は思っておりますので、そこを十分、外務大臣におかれても御認識いただいて、対処をお願いしたいと思います。

 ところで外務大臣、この間のASEANでの会議ですけれども、これは中国による分断作戦が奏功して、所期の成果を上げられなかった。特に、議長国カンボジアに対して、極めて周到な準備を中国はやっていたと思いますね。それに比すれば、やはり日本外交の能力というか、対策あるいは準備といったものは、余りにも足らなかったんじゃないかなというふうに私は思っております。日本頼りにならずという声が東南アジアから出てこなければいいなというふうに心配をしているわけであります。

 したがって、やはりこの地域に対する外交戦略というのは、今まで以上に強化し、深化させていく必要があると私は思うんですね、ODAの戦略的な活用等も含めて。南シナ海でのルールの確立というものが、やがて東シナ海の問題にも密接に関連するわけでございますので、この点、外務大臣として、どういう方針で今後臨まれますか。

玄葉国務大臣 先般の会議は非常に重要な会議でございます。そして、日本にとってASEANというものが重要性を増しているというふうに思います。それは、実は日本だけではなくて、アジア太平洋全体で重要性を増しているというふうに思うんです。

 先般、カンボジアが議長国となって、EAS外相会合、そしてARFの会合が行われたわけであります。率直に申し上げると、カンボジアだけが意見が違ったと言っても過言ではないというふうに思います。それをもって、おっしゃるような、いわば対策をうまく講じられなかったのではないかと言われれば、そういった側面も否めないかもしれません。それはもちろん、日本外交だけではなくて、米国外交を含めて、さまざまな意味においてですね。

 この南シナ海の問題というのは、二国間の領有権の問題に直接介入はしませんが、海洋秩序全体に与える影響が非常に大きいというふうに思って、私も重視をしています。

 国連海洋法条約、UNCLOSを初めとした国際法をしっかり遵守すること、あわせてCOC、行動規範というものを実効性あるものにしていくということは、これから、このアジア太平洋の海洋秩序だけではなくて、実は世界全体の海洋秩序に大きな影響を与えるので、そのことについて、海洋法条約の条文も含めて、そのことに触れながらARF等では我が国や米国などは発言をしているというところがございます。

 それで、ASEANが外相会合で、いわばASEANとしてのメッセージを出せなかったんですね。そのことについて、私は非常に残念に思っています。

 その後、私も個人的にも非常に親しいんですけれども、インドネシアのマルティ外相がASEAN各国を回りまして、何とか一定程度の、国際法を遵守していくのであるとか、そういったコミュニケを実は発表してくれました。ですから、EASに向けては一定の準備はなされたというふうに思っています。

 ただ、いずれにしても、これは来年のこと、再来年のこと。つまり、議長国は毎年かわっていくんですね。去年は、議長国はインドネシアだったんです。私は去年、外務大臣になって、インドネシアとは相当この件について話をしました。かなりの議論をして、協議をして、AMFというマリタイムフォーラムをつくるということにもなったわけです。

 今回、カンボジアが議長国となって、率直に言うと、さま変わりしたようなところがありましたので、そういった対策も含めて、これはもう海洋秩序全般に与える非常に重要な会議でありますので、そのことを肝に銘じて、積極的にこのASEAN外交に取り組んでいきたいというふうに思っています。

岩屋委員 私は何も中国と敵対して頑張れと言っているわけではなくて、レスポンシブルステークホルダーという言葉がありましたけれども、中国が責任あるプレーヤーにアジアの中においてもなっていただかなきゃいかぬ、それが中国のためでもあり、アジア全体、私どものためにもつながっていく、アジアの繁栄につながっていくということなので、やはり、日本がそういう意味のリーダーシップを発揮して、中国がまさにレスポンシブルなプレーヤーになっていただくために努力をしていただきたいということを申し上げているわけであって、非常にストラテジックな国ですから、ある意味では、それに負けないように、やはりストラテジーをしっかり持って頑張っていただきたいと思います。

 最後に、これは何度も聞いてきましたが、F35の問題なんですね。これを最後に聞きたいと思います。

 政府は六月二十九日に、平成二十八年度に導入するF35戦闘機四機分の購入契約をアメリカと結んだと承知をしておりますが、その後も、アメリカの監査院、GAOが、F35については開発おくれと費用の増大リスクがあるとして議会に報告書を出しているんですね。また、有名な共和党系のシンクタンクにヘリテージ財団というのがありますが、ここも単価高騰のおそれがあるという表明を出しております。やはりこのF35については、非常に不透明な要因が以前よりも増してきていると言っても過言ではないと思います。

 政府は単価と納期は守られるということを強弁しているわけですけれども、これは、そうでなければ日本の防空体制の根幹にかかわる問題ですから、今までのように、覚書があるんだ、いや、政務官が行って言質をとっているんだなどというだけではちょっと我々も安心できない。

 このF35の問題について、もう一度明確に答弁をいただきたい、説明をいただきたいと思います。

神風大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 今先生御指摘の、アメリカの監査院、開発のおくれと費用の増大リスクがあるという記事は私も拝見しました。また、ヘリテージ財団の報告の記事も拝読をしておりますが、この内容については、これまで、従前どおり指摘をされてきたものでありまして、何らかの新しい問題が発生をしたということではないということをまず申し上げておきたいと思います。

 それを前提として申し上げますと、今般の選定におきましては、提案要求書によりまして提案者に提案内容の厳守を求めているだけではなくて、本年一月下旬にはアメリカの参謀長から提案内容を厳守するという旨の航空幕僚長宛ての誓約書を受領しているところでありますし、私自身が五月二十二日から二十六日に訪米をいたしまして、ケンドール国防次官、またベンレット海軍中将、開発担当責任者でありますが、その方にお会いをし、提案内容、要求どおりの機体を納期に納めてもらいたいということを要請してまいりました。それを受けて、六月二十二日にはベンレット中将の方から、二〇一七年三月までに、ブロック3というソフトを搭載した四機を納期までに納めることができるというレターを受領しているところであります。

 加えて申し上げますと、恐らくことしの四月の時点、まだ最新の情報は手にしていないんですが、四月の時点でこのF35については八十五機が組み立て中でありますし、そのうち二十九機が完成をし、十一機は既に納入済みであります。また、今月、七月十九日には第一号機が海外へ、イギリスでありますけれども、一号機が納入をされまして、ことし恐らくイギリスではあと二機、あと、オランダでもこれから二機、年内のうちに納入をされるという状況でありますので、先生御懸念のような、防空体制に穴があくということはないかと考えております。

笹木委員長 質問時間が終了しております。簡潔に。

岩屋委員 はい。

 いずれにせよ、日本の空を守る主力戦闘機の導入と配備が、計画どおり、予定どおり行われるように努力をしていただきたいと思います。

 終わります。

笹木委員長 次に、今津寛君。

今津委員 通告していないのですが、外務大臣にお聞きをしたいと思います。

 ロシアでは御苦労さまでございました。外務大臣同士のお話ではかなり激しく両方の国の領土に対する主張をされたようでありますけれども、プーチン大統領にお会いしたときには、報道によりますと、大統領と外務大臣という形の中から、余りそのことには言及できなかったというふうに伺っているわけであります。

 それで、端的にお聞きをしますと、これから大臣は、この領土問題、北方領土の四島の問題を具体的にどのようにしたらいいのかなということを、端的に、お考えになったことをお聞きしたいと思います。

玄葉国務大臣 端的にというお話でございますが、ラブロフ外相は、こういった私の委員会での発言を読んでいるということでございます。率直にそのように述べておりました。自分は委員会に出るのは二カ月に一回ぐらいなので、しっかり読んでいるんだということを言っておりました。

 端的じゃなくて申しわけないんですが、領土交渉の実質的な議論を始めるときに、この間の記録を全て読んでもそうなんですが、最初はどうしても原則論をお互いに応酬し合うということになります。この間も、ラブロフ外相は何度もあの話はしています。当然、私から、法と正義の問題も含めて反駁をするわけです。ただ、メディアの前でやらないようにしよう、こういうことなんです。

 ただ、今津先生が今おっしゃったのは、プーチン大統領とはどうでしたか、そして今後どう進めるんですか、こういうお話でありますが、プーチン大統領は、私に会うや否や、日ロのこれからの協力の可能性を具体的にたくさん述べられました。私からは、まさにその潜在力のふたをあけるためには平和条約が必要なのである、したがって、仮に平和条約を締結したならば、日ロというのは強力なパートナーになり得るのであるという話をいたしました。

 結果として、遠慮ということではなくて、私は、今回、双方受け入れ可能な解決策ということで一致したという意味は大きいと思っておりますし、首脳間で、外相間でこの領土問題について議論し合う、協議し合うということを決めたということも大きいと思っているんです。

 その上で、どんな形で進めるかということで、先ほど申し上げたように、基本的には、お互いの関係を進展させていく。させていく中で、特に、お互いいかに日ロの潜在力というものが大きいかということを実感として感じていく。そのことがやはり平和条約を結ぶ際の、ある意味大変大事な前提になっていくのではないかというふうに考えておりまして、今回も、別に軽い言葉で申し上げているわけではなくて、お互いの戦略的な利益が合致することの意味をかなりさまざまな角度から議論して一致できたというのは、私は、これから交渉を進める上でのスタートにはなったというふうに考えております。

今津委員 大臣の訪ロにつきましてはいろいろな意見があることは承知しておりますが、何とか打開をしたい、道筋をつけたいという玄葉大臣の気持ちを評価したいというふうに私は思っております。

 一つお聞きをしたいのですが、北方四島へ御自身で立たれる気持ちはありませんか。行かれる気持ちはありませんか。

玄葉国務大臣 これまで、現職の外務大臣が、おっしゃるような形で北方四島に立つということはなかったと思うんですね。私が外務大臣になってから、先般も、船で、根室からではないんですけれども、根室周辺をずっと、北方四島を海域から視察しました。

 今おっしゃった点については、やはり外交交渉等々、総合的に勘案しながら検討していかなければならない課題だろうというふうに思っています。

今津委員 大臣は検討する課題だと言っていただいたのですが、私は、一つの方法としてあり得る、日本側の覚悟を示す一つのことかなと思います。

 それでは、森本大臣に通告に従ってお聞きをいたします。

 大臣、安全保障基本法と集団的自衛権のことについて、先般、本会議でお聞きをしたんですが、納得いかないものですから、その続きをやりたいというふうに思います。

 憲法を尊重して国政を運営するのは、我が国が法治国家である以上、極めて大切なことだと思います。しかしながら、憲法が国の安全を脅かすようであれば、または従来の憲法解釈が国の安全を脅かすものであれば、政党は勇気を持って事態を打開し、最も適切な安全保障政策を遂行せねばならないと思いますが、いかがでしょうか。

森本国務大臣 我が国が、我が国の国益、国家の主権と独立並びに領土、領海及びそこに住まいする国民の生命財産を守るというのは、これは国の防衛の基本的なありようでございまして、それを憲法に基づいて整々と行う、これが国家の安全保障政策であり防衛政策である、かように考えます。

今津委員 大臣、憲法を守って国が滅びるという言葉がありますよね。そういう意味では、今大臣は、憲法をきちっと守るのだということだったんですが、少し私は違うのではないかというふうに思います。もう一度お尋ねします。

森本国務大臣 繰り返しになりますけれども、我が国が憲法のもとで許されている自衛権を行使し、我が国の国家の安全を守る、この国家の安全を守るとは具体的に先ほど申し上げたとおりでございますが、それを、憲法の枠の中で自国の安全を守るというのは、これは国として当然のことだというふうに思います。

今津委員 憲法の枠の中でということは当然だというふうに思いますが、しかし、国益を考えた場合に、その憲法を変えるということも私は必要なことだというふうに思いますし、現に、我が党は、自主憲法制定ということを党是にしている政党であります。そういうところに果敢に挑戦しているところであります。

 それを前提にお話をするのですが、大臣が就任をされたときに、民間人だからどうなんだとかこうなんだとかという話がやはり一部ありました。しかし、総じて、マスコミの人たちも、それから野党の私たちも、大臣の就任を歓迎しました。その中で、大臣の今までの多彩な長い御経験の中で、安全保障、外交問題に対する非常に闊達なる御意見、それと、挑戦的なそういう研究などを私は非常に評価をして、期待をいたしました。

 特に、マスコミなどの評価をちょっと読んでみますと、「森本氏は、米軍普天間飛行場の移設問題で、日米合意に基づく辺野古移設案を「最善」とし、一貫して支持してきた。」大臣に個人的にお会いをしたときに、辺野古はどうしてもやりたいとおっしゃっていましたね。全くそのとおりだと思います。

 「中でも根本的な課題は、集団的自衛権の行使容認に踏み込むかどうか」「森本氏が「行使を認めなければ日本の安全や国益は守れない」と語ってきたのは正しい。だが、野田首相は政権与党として「考え方は変えない」と述べるなど消極的な対応だ。」

 最後に、これは結びなんですけれども、「森本氏には、日本の安全に必要な安保・防衛政策の強力な推進を求めたい。」

 要するに、大臣が日ごろおっしゃっていたことを、防衛大臣に就任をされたこの機会に、こうやるべきだ、ああやるべきだとおっしゃっていたことの一つでも二つでも前進させる、そういうリーダーシップを発揮してもらいたいということを、マスコミなども期待をしたし、私どももそういうふうに期待をしているわけです。

 ですから、大臣は我が党の考え方などよくわかっているはずですし、国民の世論も、今、いろいろな調査をやりますと、集団的自衛権につきましては、半分以上の人たちが、憲法を改正して集団的自衛権を認めるべきだというような調査も出ているわけですから、果敢に取り組んでほしい、ぜひ取り組んでほしいという前提で、少し教えていただきたいと思うんです。

 これは、第百五十九国会、参議院の憲法調査会、大分古いですね。平成十六年二月二十五日に、森本大臣は、当時参考人として、随分長い時間ですが、意見をおっしゃっています。その中で、「私は、現在の憲法は国家の自然権としての自衛権を禁止しているものではないと、したがって個別的及び集団的自衛の権利をともに国としては持っており、これを国家の権利として行使できることは当然であると考えています。」こういうふうに言っていますね。「現在の憲法は国家の自衛権を禁止しているものではなく、当然集団的自衛権を行使できるが、しかし今の条文を疑義なく正しい表現に変えることが必要であると。」

 集団的自衛権というのは当然行使できるのだけれども、しかし、憲法の言葉を、疑義を変える必要もあるとおっしゃっているんですが、そのことについて、もう少し真意を説明していただきたいと思います。

森本国務大臣 これは、先生にこういうことを申し上げるのも本当に釈迦に説法ですが、国連憲章第五十一条にも、国連に加盟する全てのいわゆる国連加盟国に個別的自衛権、集団的自衛権がともに認められているというのは、これは国際法の成り立ち、成りようでございます。我が国も、したがって、国の権利として個別的自衛権と集団的自衛権をともに認められている。それは何も国連憲章だけではなくて、サンフランシスコ平和条約以下、累次の条約の中で認められている。

 他方、我が国政府は、従来から、政府として、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛する必要最小限のものにとどめられるべきであるという有権解釈をとっていて、したがって、この集団的自衛権というのは、まさに、国際法上、自国と密接に関係のある国が武力攻撃を受けた場合、自国が攻撃されていないにもかかわらず、実力をもってともに阻止しようという権利であるので、集団的自衛権の行使について、政府は従来から、必要最小限の範囲を超えるものであると解釈して、憲法上許されないという有権解釈をとっていることは先生御承知のとおりであります。

 この基本的な考え方を、私は、その任期を通じて、今の自衛権の行使についての憲法解釈を変更して、それ以上のことをしようとしているという考え方には立っておりませんということは申し上げたとおりです。

 他方、これは同盟関係にかかわることでございますので、同盟関係をどのように充実させるかということを進め、内容においても、分野においても、その中身を充実させることを通じて、集団的自衛権という問題がそのずっと先にあるんでしょうけれども、まず我々がやるべきことは、同盟の中身をより充実させることに取り組むべきである、これは私が自分の職務を通じてやっていきたい、このような考え方に今立っているわけです。

 実は、その考え方はずっと前から変わりませんで、今先生がお読みいただいた、たしか参考人質疑だったと思いますが、参考人質疑での答弁も、その趣旨に基づいてお話を申し上げたところだと記憶しております。

今津委員 大臣は今、自衛隊の最高位の方ですよね。最高責任者ですよね。それを前提にして、またお話ししたいというふうに思います。

 特に武力行使と集団的自衛権という二つの問題の制約要因が、かえって自衛隊の活動を阻害し、かつ、隊員の身の安全を危なくするという事態が発生する可能性が高い。それからさらに、日米同盟というものを片務的なものにするだけではなくて、これは集団的自衛権の問題で、我が国の領域外における活動をむしろ阻害するという状況が現実問題としてある限り、この二つの問題についての解釈をよりすっきりとした形にする必要があるのではないかと考えます。

 ところで、私は先ほど、大臣が最高責任者と言いましたね。今、大臣の方で、自衛隊の安全性を確保するために、あるいは日米同盟の片務性を解消するために、あなたが決断をして、そして勇気を持って我々に提案してくれば、我々はもう党是と決めていることですから、このことが実現するというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。その勇気は持てませんでしょうか。

森本国務大臣 日米同盟は、条約の成り立ちとしては片務的なものであるように見えますけれども、それは御承知のとおり、日米安保条約第五条に基づいて、アメリカ側が、日本の施政下における日米いずれか一方に対する武力攻撃があった場合に、アメリカが日本を防衛する条約上の義務を負っているような条約上の枠組みになっていて、それがいかにも片務的な内容になっているように見えますが、実は、安保条約は第六条において、米国が我が国で活動する際、我が国として必要な施設・区域を提供するという、いわば施設・区域の提供という便宜をアメリカに与えることによって、安保条約のアメリカ側の日本側に対する防衛義務を片務的なものではなくて双務的なものにしているということであります。

 これがバランスしているかどうかということは、これは歴史的によく検証しないと、そのときそのときの国際環境によってウエートが変わっているわけでありますが、私が、先生が先ほどお読みいただいた内容でお答えすれば、この双務性をより充実させるために、例えば、日本の領域の中、日本の領域の外においてアメリカ側に協力する、支援する内容をどのように充実することによって、日米同盟が片務的なものではなく双務性を持つようにできるのか、この点に鑑みて、これからの日米関係やあるいは日本の防衛事務を進めていきたいという趣旨をその時点で私は述べたものだと思います。

今津委員 大臣、もう一度聞きますね。

 そういういろいろ危惧されていたことが、今、あなたが自衛隊のトップになったわけですから、法律案を出せる立場ですから、だから、今まで懸念していた、集団的自衛権の問題があって、自衛隊がこのままでは危ないのではないか、しっかりと仕事のできる環境にないのではないか、それから、日米問題にもやはり形としてややおかしいところが出てきているのではないか、そう思われていたことが、今あなたが勇気を持って提案してくれば我々は受けますから、これは実現するじゃないですか。もう名大臣になるじゃないですか。そのために天の意で大臣を引き受けられたのかなと私は思っていたんですが、どうでしょうか。

森本国務大臣 これは、具体的に政策とかというのではなく、法律の形でそれを実現していくステップを踏んでいきたいと考えています。

 そのステップとは何かというと、実際に日本がアメリカに対して支援や協力ができる法的な枠組みというのは実は法律で決まっているので、この法律を改正する作業に着手する。この着手をするプロセスの中で、今申し上げた目的を順繰りに達成したい、かように考えているわけです。

今津委員 法律の改正をしなければいけない、あるいは法律の解釈を変えなければいけない。総理も大臣も勘違いしておられるんですね。

 実は、この間、私どもは、国家安全保障基本法を提示しましたときに、そうですね、恐らく四十回を超える議論をしていると思うんです。若手の国を憂うる人たちも、超党派で勉強会も何回も開催していますよね。大臣や副大臣も一緒にやっています。

 それで、我々が行き着いたところは、もちろん、憲法を改正して集団的自衛権を行使できるということにするのが一番ベストな道なのですけれども、でも、今までの憲法解釈を変えるという方法は、我々は、国民にうそをついていたことになるから、今まで言っていたことが全部違うということになるわけですから、それはするべきではないと。

 したがって、我々が到達した結論は、憲法の解釈を変えるのでもなくて、憲法改正というものを目指しながらも、本来持っている五十一条の、その自衛権の中の最低限度の自衛権というものが、今、例えばアメリカに向かう、同盟国に向かうミサイルを、我々がそれを撃墜する能力を持っているとすれば、それは自衛権で落とせる、それは最小限度の自衛権で落とせるというふうに恐らく解釈をして、その判断というのは、政治が判断をするんだ。

 こういうことで、解釈改憲でもないし、憲法改正を目指しながら、今の時点で我々が持っている最低限度の自衛権でもって我が国や東アジアの安全を守ることがそれに寄与するんだという考え方なのです。ちょっと勘違いをされていたのだと思いますが、どうでしょうか。

森本国務大臣 確かに、今の先生のお話のように、四類型のうちでミサイル防衛についてはそういう要素があると思いますけれども、私が頭の中に入れているのは、例えば、領域の外、領域の中で日本がアメリカに協力できる分野と程度というのは法律で決まっているわけで、その法律を修正する、改正するプロセスの中でアメリカ側に対して協力できる範囲と分野が広がっていくということが、その向こうの方に集団的自衛権という領域が見える、一番それに近づく手続的なやり方で、つまり、解釈とか政策を決めるのではなくて、この立法府においてきちっと議論を踏まえてこの問題を解決していくというプロセスが、やはり我々は憲法のもとで仕事をしているので、正しいやり方なのではないかと思って、先ほどそういう趣旨で申し上げたわけです。

今津委員 私は同意できませんね、大臣の考え方には。

 集団的自衛権はいろいろなところで議論をずっと続けておりまして、日本国憲法ができたときから実はもうずっとこの議論は続いているんですね。ずっと続いているんです。

 結局、先般のテポドン2の改良型ですか、北朝鮮から。GSOMIAをまだ締結していなかったということもあったのかもしれませんが、あのときになぜ韓国からすぐ日本に情報が来なかったんだと私はあるアメリカの高官に聞いたときに、アメリカの高官は、それは集団的自衛権の問題ですよ、日本はやはりこの集団的自衛権の問題をきちっと解決しないと、例えば韓国とも、あるいはオーストラリアとも、あるいはベトナムともミャンマーとも、これからお互いに助け合っていく、そういう状況の中で、日本がこの東アジアの安定のために一翼をきちっと担っていくことができないのではないですかというような御忠告をいただいたのであります。

 国家安全保障基本法については、大臣、どういうふうに考えますでしょうか。

森本国務大臣 国家安全保障基本法については、趣旨といいますか、全文読ませていただきました。非常に意欲的な法律の内容になっていて、そのうち、現在の憲法の中でできそうな分野と、憲法の従来の解釈を乗り越えなければならない分野とあって、後者については、なかなか、現在の政治状況の中でこの法律をそのままの形で採用することにはいろいろな困難な面があるなという実感を持った次第です。

今津委員 集団的自衛権の問題をきちっと、もちろん国民的合意を得て、そして国家安全保障基本法というのを我々は政権をとったときに提案するわけですから、それを何としても通したい。

 そして、その先にあります日米相互協力及び安全保障条約、日米安保の第五条と第六条の片務性、これは何としても解決をしたいというのが、やはり独立国としての、日本人としての誇り、それから、つらいけれども、やらなければならないことをやるぞという気概を見せる、そういうことにつながっていくと私は思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

森本国務大臣 ここの部分は、私は正直言って不勉強で恥ずかしいんですけれども、日米安保条約第五条というのは、締約国は、日本の施政のもとにある領域におけるいずれか一方に対する武力攻撃を自国の平和と安全に対する危険であると認め、憲法上の規定及び手続に従って共同して対処するように宣言すると書いてあります。ということは、憲法上の規定及び手続というところが重要で、憲法上の規定と手続が日米で違うわけで、先ほど申し上げたように、日本は憲法解釈上、集団的自衛権を行使できないという解釈をとっているので、憲法上の規定及び手続という条項によってこの条約のいわゆる双務性というのが担保できない形になっているわけです。

 つまり、もし憲法上の規定及び手続が、先生が御指摘のように集団的自衛権を行使できるようになったら、安保条約の条文は原則改定しないでもよいのですが、そのとき改定しなければならないとすれば一つだけ。それは、日本の施政のもとにおけるということがあると、日本の施政の中でしか対応できない。日本の施政の中だけで集団的自衛権が行使できるわけはありませんから、したがって、日本の施政のもとにおけるという条文をデリートする、削除するという安保条約改定が行われて初めて双務性を持つ集団的自衛権の行使ができる、こういうことになるわけです。

 つまり、論理の整合性をとれば、憲法を改正するかしないかは別として、日本が集団的自衛権を行使できるということがもしあり得るとすれば、その後、安保条約第五条の条文を改定するということになります。そうすると、安保条約第六条の性格も変わってくる。そういう論理の構成になるのではないかと私は理解しているということでございます。

今津委員 それはこれから詰めるところですけれども、恐らく太平洋地域ぐらいの感じになっていくのではないかなというふうに思います。

 この次の選挙がどういう形になりますか、どの党も一生懸命頑張ると思うんですが、恐らく、こういう国家観とか安全保障、外交、あるいは税の問題などで同志が結合する、結集する、そして、今国民が求められているいろいろな問題については、きちっとねじれを解消して、同志が結合してそれに向かっていくという状態が出てくる可能性はあるなというふうに私は思っておりますので、ぜひまた大臣にはいろいろと御指導をいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ところで、大臣はテレビに随分出ていますね。私はちょっと調べてみたんですね。チャンネルをひねると大臣が出ておられる。私も選挙が近いもので家に余りいないんですけれども、余りいないのに、チャンネルをひねると大体大臣が出ておられるんですね。二時間ぐらい出ているときもありまして、これは、大臣が御自身で国民にオスプレーの問題とか辺野古の問題だとかいろいろと御説明しなければだめだ、こういうお気持ちで頑張っておられるのはわかりますが、この間会ったときに、ちょっと疲れるなとおっしゃっていましたので、少しセーブをされたらいいというふうに思います。

 大臣は今度アメリカへ行かれますよね。こういう時間ももちろん貴重なのですけれども、もちろん大切だし、森本大臣らしいお仕事なのですけれども、ほかの人にはまねできない大切なことなのですけれども、これから話をしますゴラン高原とか南スーダンとか、非常に厳しい状況の中で、祖国を思いながら、家族を思いながら頑張っている自衛隊の隊員諸君、そういうところへ大臣が、すぐ行って帰ってこられますから、出かけていって激励をする、そういう時間をぜひとってもらいたいと私はお願いを申し上げたいと思います。いかがでしょうか。

森本国務大臣 まことに先生の御指摘のとおりであります。

 私も、テレビに出て説明責任を果たすということを辛うじてやって、それは別に自分の趣味だとかそういうものでやっているのではなく、日本の防衛政策のありようをできるだけわかりやすく国民の皆さんに説明しようと思って、時間を都合して出ているわけです。しかし、先生の御指摘のように、まさにそんな時間があったら困難な環境で頑張っているところに行け、全く御指摘のとおりで、これから努力します。最大限の努力をいたします。御忠告本当にありがとうございます。

今津委員 いや、大臣、誤解しないでください。そんな時間があったらということで言っているんではないんです。

 隊員は、大臣が来られるのを待っていますよ。何よりも隊員を勇気づけるのは、一番の親分、責任者の大臣が、頑張っているか、元気を出せよ、君らは僕らの誇りだよ、何といったってこれが一番元気がつくんですから、ぜひ時間をつくって行ってください。外務大臣もそうですよ。自衛官を激励に行ってやってください。お願いをします。

 シリアのPKO、UNDOFの問題なんですけれども、ちょっと新聞だけを見ますと、「シリア難民決死の脱出 レバノン国境「爆音と銃声耐えられない」」、こう書いてあるんですね。「ゴラン高原PKO シリア側の活動中断 陸自第二師団安全を確保」、これは私の選挙区、この間、第三十四次隊が結団式をして行きましたけれども、若いすばらしい人が隊長でした。すごく訓練されていますね。私は感動しましたが、彼らが今行って、こういう状況にあるということです。

 「要衝アレッポ攻防激化 シリア反体制派「戦闘急拡大は予想外」」「政府軍は、反体制派武装組織「自由シリア軍」の拠点である同市南西部サラーヘッディン地区に対し、ヘリや戦車での攻撃を継続、他の地区でも激しい戦闘が続いているもようだ。国連は二十九日、この二日間で約二十万人がアレッポから周辺地域に避難したと発表、人道上の懸念も高まっている。」「国連「二日間で二十万人避難」」「ゴランPKO自衛隊に脅威 弾圧下シリアで活動 隊長「停戦監視より危険」」

 こういう記事がずっと毎日続いていて、この間、笑顔で送ったばかりなものですから、非常に気になります。現地の状況について御説明をいただきたいというふうに思います。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、私も大変気にしています。イスラエルに訪問したときに、私も現地の隊長にお会いをしました。その時点では、全く大丈夫ですという答えが現地の責任者からも返ってきたところでありますが、確かに、その後、シリアの状況は大変深刻になっているということでございます。きのうもいわゆるジャバラという町にシリア軍の部隊が侵入したということで、イスラエルが国連に抗議しているということがあって、現在、その状況について懸念をしながら確認をしているところであります。

 ただ、もう全て御存じのように、ダマスカスとUNDOFの宿営地との間の輸送というのは、UNDOFの司令官の判断で、六月下旬ぐらいからはもうやっていないということにしているということでございます。現時点では直接的な脅威になっているとは認識していないんですけれども、ただこれは、おっしゃったとおり、この情勢については注視をしながら隊員の安全確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

今津委員 今度はスーダン。「南北スーダン広がる亀裂 南スーダン空爆の町 国境の油田めぐり衝突激化」というような記事が最近やはり同じように載っています。南スーダンの状況について御説明いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 これは、国連のこのPKOは、幾つかスーダンへは行っているという状況です。

 日本の南スーダンへの派遣はジュバに行っているということでございまして、ジュバそのものについては、治安はおおむね安定している、平穏を維持しているというふうに考えております。ただ、先ほど申し上げたように、北部あるいはジュバから離れた一部地域は、部族間の対立や衝突が発生をしているということでございます。

 したがって、これは先ほどの質疑の中で若干ありましたけれども、実は日本の一つの特徴は、スーダンにも南スーダンにも援助しているということなんですね。しかも、バランスよく。こういう国は余りないんです。ですから、私や副大臣から、スーダンの担当大臣、そして南スーダンの担当大臣に、平和的共存なくしてあなたたちの道はありませんと、これは援助も含めてだということも含めて、私から直接言っています。

 私の印象は、日本政府のそういった忠告、アドバイスには耳を傾けているなというふうに思っています。今まさに、一時中断を挟みながら、南北のスーダンの関係というのは、交渉はただ継続されているという状況でございます。

今津委員 と言いながらも、実は私もジュバへ行ってきたんですけれども、すぐ四、五十キロのところにボルというところがあって、ここなどは、まだ、施設部隊が恐らく韓国から来るとかという話だったんですよ。いまだにそれはそうなっていないようですよね。

 そしてさらに、「スーダン非常事態宣言 国境地帯全域に拡大」とか、「南スーダン 消えた高揚感」、物資不足、「再び戦争危機」などと言われておりまして、やはり万全を期して、ぜひ油断のないように。

 その万全を期すという意味なんですけれども、先ほどから集団的自衛権の問題を出しているのですけれども、実は、現地の隊員の人が、自衛隊は直接の脅威にさらされていないけれども、不測の事態を回避するため、情報収集や退避訓練に気を配る毎日だ、昨年十二月からはUNDOF憲兵隊の護衛がついたが、今のところ情勢は平穏だとする司令部の判断で全員が非武装で活動していると。

 しかし、シリア国内では、国連がUNDOFとは別に派遣し始めた停戦監視団が政府の弾圧をとめる能力も権限も持っておらず、もう二十万人退出したと言いましたね、反体制派が国連自体に厳しい目を向ける傾向も出ている。

 実は、エカルマ司令官の日本賛辞には続きがあり、リスクはあるが、軍人なのだから安全はみずから確保してほしい。一方、当時の南條隊長は、各国の部隊と一体となって任務を遂行している現実を踏まえ、政府が検討している、他国軍との共同防衛・警護が早期に認められることへの期待を表明した。

 だから、我々は頑張るから、政府の方においては、民主党においてもPKOの五原則を変える研究をやっていただいたり、いろいろな作業をしているのはわかるんだけれども、早くやってくれないのかというようなことなのであります。

 それで、PKO等への協力のあり方について検討中の論点というのをあらかじめ教えていただいたんですが、PKOの改正、駆けつけ警護も含めて、これを今国会中にお出しになるのでしょうかどうなんでしょうか。

渡辺副大臣 今委員が指摘されたような点については、防衛省内でも大分議論しているんです。

 例えばゴラン高原で、自衛隊が活動している宿営地に、反政府兵士ではないけれども、政府軍に追っかけられた避難してきた人たちが、ここなら大丈夫だろうということで国連の宿営地の中に逃げ込んできた。この人たちをどのようにして文民保護するのか、あるいは、それを追っかけてきて、もし発砲された場合どうするのか。いろいろなことを想定して、現地で何ができるか、何ができないかということは、かなり綿密に話をしています。

 その上で、今、PKO法の改正の中で、宿営地の共同防衛のようなことを、これは、とにかく現場からも早くやってほしいと。私たちは防衛省の中で、この二十年間で現場へ出た方々の声を集めて、今できることをやっていただきたい、そういうことを、PKO法の改正の中でかなり盛り込みながら、内閣府、外務省、そして防衛省の三省で話をしております。

 先般、官房長官から少し述べられましたけれども、時間的に、今国会の中で、果たしてこのタイトなスケジュールの中で可能だろうかと。ただ、私たちとしては、とにかく現場で活動している自衛官が今やってほしいということをやっていただけるように、何とか努力をしたいと思いますので、その点についても、ぜひ後押しをよろしくお願いいたしたいと思います。

今津委員 防衛省設置法だって、いつ、どうなるんですか。これも三年ですよ。私は、この防衛大綱だって、問責を受ける大臣が二人続いて、我々はもう……

笹木委員長 今津君、質問時間が終了しております。簡潔に。

今津委員 はい、わかりました。

 審議しようにもできない状態が続いていて、このPKOなんて物すごく期待していたんです。これは、副大臣から今お話がありましたけれども、ぜひ、両大臣を中心に、官房長官などと話を詰めて出してください。出すということを、どうぞ言明していただけますか、今国会中に出しますと。

笹木委員長 今津君、質問を終了してください。(今津委員「はい。これに答えてもらってください」と呼ぶ)終了しております。ごく簡潔に。

今津委員 出すか出さないか。

玄葉国務大臣 我々、ぎりぎりの努力をしているんです。ただ、内閣法制局との調整に、正直てこずっているというのが率直なところです。

今津委員 政治主導で頑張ってください。

笹木委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、官邸の危機管理問題についてお伺いをいたします。

 四月十三日に北朝鮮がミサイルを発射しましたが、この日の対応について、齋藤官房副長官が報告書を提出されました。それに基づいて質問させていただきますが、一度事実を振り返っていただきたいと思います。

 まず、ミサイルが撃たれたのは、当日七時四十分ごろ。このときは、防衛省の中央指揮所にSEW、早期警戒情報が受信されました。同時に、官邸も、これは明らかにしておりませんが、総理、官房長官、危機管理監に、何らかの飛翔体が発射された、確認中ということですが、防衛省はどんどん情報が入りまして、当日、防衛大臣が中央指揮所に入りますと、まだ前の画面に、ミサイルの航跡が見えていたそうです。みんながそれを注視していたら、突然、そのミサイルの航跡が消えたと大臣が証言しておりますけれども、これが七時四十分。それから七時五十分には、米軍が飛翔体を探知、目標をロスト。そして八時には、洋上落下の模様という情報が集まっていたわけですね。

 これについて、韓国のテレビが速報を出しておりますが、七時五十二分です。撃たれて十分少々で、テレビで国民に知らせ、そして八時三分には、韓国国防省筋が、北朝鮮がミサイル発射ということを報道しております。

 ところが、我が国の場合、この伝達において、エムネットというのがありまして、全自治体にこの事実を伝達する装置、これによりますと、政府は発射を確認していないという表示がありまして、一体どうなっているんだと、日本じゅうが大騒ぎになりました。

 その後、どんどんどんどん時間が経過しますが、突然、八時二十三分に、田中防衛大臣が、七時四十分発射、一分以上飛行、物体となって洋上落下と、これは突然記者会見がありました。そして、官邸のエムネットを見てみますと、いまだに発射を確認していない。ようやく八時半になって、発射確認中、我が国の領域への影響なし。八時半でも、防衛大臣が発表しても、まだ確認中。ようやく八時三十六分に、七時四十分にSEW情報がありました、発射は北朝鮮西岸、発射方向南、発射数不明。何と何と、この七時四十分に防衛省が得たデータが、ようやく一時間たってエムネットに載っている。そして八時三十七分、約五十七分後に官房長官が会見をしたわけでございます。

 問題にしたいのは、防衛省にSEW情報が来て、私が十年前に防衛庁長官のときに、防衛省の端末を官邸の危機管理室に結んでおります。そして、防衛省のデータや動きが、時々刻々、官邸の危機管理室に伝わるようにしておりました。ところが、この日は、防衛省から官邸に連絡したのは、まず八時に防衛大臣が電話で官房長官に連絡、そして八時十三分に防衛大臣がもう一度連絡、このときは三回電話したけれどもつながらなかったと言っております。そして、何と、この中央指揮所から官邸に連絡したのは、八時十六分に、これは資料送信となっていますが、ファクスなんですね。ファクスで七時四十分に発射されましたということが伝わっておりまして、せっかく官邸と端末でつないでいたのに、これが全く活用されていないという事態がありました。

 今回、その反省に立って報告書が作成されたわけでありますが、読んでみますと、その内閣官房の報告書では、官邸でその端末が使われなかったということについて一言も触れられておりません。これは一体どういうことなのでしょうか。

齋藤内閣官房副長官 お答えさせていただきます。

 今委員お尋ねの件でございますが、確かに、北朝鮮ミサイル発射事案に係る政府危機管理対応検証チーム、私が座長として主宰させていただきまして、報告を提出しているところであります。

 この中では、北朝鮮による人工衛星と称するミサイル発射への今般の政府の対応について、一つには、防衛省から官邸対策室への情報伝達について、二つ目には、官邸から国民への情報発信という観点から検証を行ったものでございます。

 そして、防衛省から官邸対策室への情報伝達についてですけれども、まず一点目では、防衛省が米国から受信いたしましたSEW情報の一斉通報、二点目には、発射された飛翔体が我が国の安全に影響がないことの官邸への情報伝達、三点目は、ミサイル発射が失敗した場合の官邸への情報伝達、四点目は、発射の判断の主体のそれぞれにつき、検証を行いました。

 なお、ただいま先生からお尋ねの中央指揮システムの官邸端末を含めての件でございますけれども、防衛省と官邸対策室の間の情報伝達に係る個々具体的なシステム、機器の運用の詳細については、報告書に記述して公表することは適切ではないということを考えたところでございます。

中谷委員 それでいいんでしょうか。やはり、その大きな大きな改善点としてこの問題があります。

 というのは、内閣総理大臣というのは自衛隊の最高指揮官ですから、自衛隊の運用においては常に指揮官に情報を連絡する。そして、的確に判断する。そのために官邸の危機管理室があって、そのためにいろいろな情報を官邸に一元化して集中するために端末をつないでいたわけですね。

 そこで伺いますが、当日、このSEW情報というのは、官邸のそういったスタッフに伝わっていたんでしょうか。まず音声、このやりとり、統幕議長が防衛大臣に、発射されたとかロストしたとか、こういうやりとりは、それまでリアルタイムでテレビ画面で伝わっているはずでありますが、こういったこと、そして、SEWを受信したらいろいろなランプがつくはずなんですが、そういったことは官邸に伝わっていたんですか。

齋藤内閣官房副長官 先ほど中谷委員からも、いろいろお話が冒頭からございましたように、今般のミサイル発射事案への対応ですけれども、検証させていただきました。そして、今、この端末について、文書に掲載しなかったということについての見解を述べさせていただいたところでございます。

 そして、官邸への情報伝達につきましては、電話連絡及びファクスによる伝達を基本としていたところでございます。

 このような伝達を安全に行うため、今般の事案に関しまして、官邸危機管理センターと防衛省の間において、関係省庁の参加を得つつ、さまざまなシナリオのもとで情報伝達訓練を行ってまいりました。

 ということでございまして、具体的に音声とかいろいろ御指摘ございましたけれども、今、報告書にも記載をしてございませんし、差し控えさせていただきたいというふうに思います。

中谷委員 そういう問題点とか改善点をやはり報告書に書くべきなんですね。

 というのは、私は四月十八日の予算委員会で、官房長官に何で瞬時に官邸に伝わらなかったかと聞きますと、官房長官は、何らかの飛翔体が我が国に飛来する場合は防衛省からレーダー情報等が提供されることになっていたが、そのような情報提供はなかったということで、官邸としましては、我が国の安全に影響を及ぼす事態は生じていないという判断をしておりましたと答弁をいたしております。

 これはたまたま落下したんですが、これはそのまま飛んでいたら、いち早く国民に、発射されたと、つまり、SEW、Jアラートが発動して、エムネットでその事実を発表しなければならない。つまり、韓国は七時五十分にはテレビで速報しておりますが、これも官邸に防衛省のデータが全く入らないようにしていたからではないかと思います。

 防衛大臣、私が今説明しましたが、官邸の今のシステム、このような体制でいいと思っておられるんでしょうか。

森本国務大臣 正直言って、このときの官邸と防衛省のやりとりというのは、私は、後に報告というのを受けて承知したので、体験として知っているというわけではありませんけれども、あのときの官邸と防衛省のやりとりというのは、あくまで、全ての情報を防衛省がトータルで判断をして情報を官邸に上げて、一括して政府としての対応をとるということで、情報ソースの一元化というのを整理して政府と防衛省の活動をコントロールしていたのではないかと思います。

 そのコントロールしていたやりとりの中で、先生が今御指摘になったような事態が発生したのではないかというふうに私は理解しています。

中谷委員 いずれにしても、随分のんびりした話で、官房長官自身も自分の部屋にいて、八時十分ぐらいにようやく官邸のオペレーションルームに入るということで、防衛省に丸投げと言ってはなんですが、最高指揮官というのは総理大臣でありまして、私は、官邸の危機管理、いろいろなケースがあると思いますけれども、事軍事、安全保障に関しては、やはり軍事の経験者とか知識を持った人が仕切って、そこで判断して、総理と直接連絡をとるべきだと思っております。

 今後、官邸の中に、こういったミサイルの事案に関しましては、防衛省や自衛隊の統幕というか現場の指揮官も、こういう事態のときは入ってやっていくべきだと思いますが、官房副長官、こういったことは教訓として全く書かれておりませんが、そういう必要性を感じておられますでしょうか。

齋藤内閣官房副長官 中谷先生の御指摘につきましては、受けとめさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、今回の検証につきましては、先ほど短く答えさせていただきました。

 中央指揮システムの端末が設置されたことは私ども承知をしております。そして、平素から必要に応じて防衛省から同端末を通じて情報を入手できる体制は整備をしているところでございますけれども、具体的な条件については、先ほど申しましたとおり、保全上の観点から、お答えを差し控えさせていただいたところでございます。

 御指摘をいただいた点も含めまして、四月に取りまとめましたこの事案におけます検証結果を、明らかになった反省点について改善を行い、危機管理対応に万全を期すべく、引き続き努めてまいりたいというふうに思います。

渡辺副大臣 防衛省でも検証及び対応検討チームの報告書というのを出しまして、やはり今回のことで検討しなければいけないのは、防衛秘密であるジャッジ等の情報、これをどのように保全しながら、しかし、しかるべきときには官邸と防衛省でそれを共有するかということを今後の検討課題として取り上げております。

 それゆえ、危機管理センターへの平素からの人員の派遣を含めて、さまざまな事態に対して、防衛省から官邸への情報伝達をどうしていくか、特にこういう防衛秘密である情報をどう共有するかということについては、今回のことを教訓にして、この検証の文書の中にも書きましたけれども、どうしていくかということを、これは平素からやっておかなければいけない、こういう教訓を残したというふうに認識をしております。

 また、官邸ともいろいろ大臣が今後こういうことについてはお話しされることもあるだろう、それを急がなければいけないと思っております。

中谷委員 とにかく、ジャッジが自衛隊だけに流れて、宮古島などは自衛隊の動きが急に慌ただしくなって、発射されたという警報、信号弾がなされたけれども、自治体には全く何のことかわからなかったというようなこともあります。やはり、ジャッジぐらいは、官邸にちゃんと流れるようになっていますので、そういったことを活用すべきだ。

 そして、防衛省内も、以前、防衛省改革で、統合運用の強化ということで、統幕と内局の運用企画局を一体化させて、少しでもタイムラグをなくしていこうと。今のところ、また、組織が二つあると、どうしても肥大化して、運用に時間がかかりますので、こういう点の検討をもう一度してほしいと思いますが、森本大臣、防衛省に精通されていますけれども、こういった運用面の組織のあり方について、今後、検討していただけるかどうか、お答えいただきたいと思います。

森本国務大臣 御指摘の点については、幾つか我々の運用のやり方について御示唆があると思いますので、これを受けとめて、ちょっと考えてみたいと思います。

中谷委員 続きまして、オスプレーの問題に移りますが、この配備の問題、日に日に心配とか反対意見が大きくなる。これはどういったことでしょうか。私は、やはりハンドリングというか、政府と与党の政治のセンス、そしてタイミング、説明の仕方、そして肝心なときに変なことを言う人がいるからだと思っています。

 外務大臣、ロシアに行かれましたけれども、痛感したと思います。ロシアに対しても、そして中国に対しても、やはりいざというときに日米安保が機能することを見せるというのも大きな日本の外交ツールでございますが、こういった装備品のあり方で日米関係が傷ついたり、また、極東の安定のために献身的にやっている米国が悪者扱いになるようなことは、政府の努力で避けていただきたいと思います。

 そこで、政府もこのオスプレー配備問題についてはいろいろと知恵を絞ってきたと思います。一度岩国に陸揚げをする、これは日米間で協議して合意されたということでございますが、こういった、岩国に陸揚げをしたらどうかというのは、これは日本政府から持ちかけた案ですか、どういった結果、岩国に一度陸揚げをするということになったんでしょうか。

玄葉国務大臣 中谷先生がおっしゃるように、私は我が国を取り巻く安全保障の厳しさというものを考えると、我が国自身が防衛力を適切に整備することがまず第一ですが、やはり日米同盟が基軸です。

 これは、私はなったときに率直に申し上げたものですから、やや騒ぎになったと言うと語弊がありますが、報道されてしまいましたが、やはり一時的に揺らぎが出たこの日米同盟というものを確固たるものにする、そのことに対して、この間、私は力点を置いてきたつもりでございます。これは、やはり同盟ですから、当然のことだというふうに思っています。

 その上で、おっしゃるように、オスプレーの配備、つまりは装備の問題で、換装の問題でぎくしゃくするということは、当然ながら好ましくないわけです。ただ、先ほど岩屋先生からあったような、事前協議の問題がございましたけれども、私は、この間、事前協議というのは事実上行われてきたようなものであるというふうに思っているんです。つまりは、搬入前から、搬送前から協議してきました。かなりのやりとりが行われてきました。

 今の御質問は、つまりは、最初に岩国に陸揚げする、そのことに至った経緯、こういうことでありましたけれども、詳細を明らかにすることは控えますけれども、確かに、政府として、普天間にMV22を配備する、そのことに当たって、その配備が円滑に行われるためにどうすべきかということについて、米国政府と協議を行ってきたし、必要な申し入れを行ってきたことは事実でございます。

 結果として、おっしゃるように、岩国飛行場にいわば船舶により輸送して陸揚げをする、そして準備飛行を若干行う、そういうことになったという経緯がございます。

中谷委員 かなり緊密に日米間で協議をして、これは合意したことなんですよね。

 その上で聞きますが、七月二十日にカーター米国防副長官が来日をされたときに、渡辺副大臣が国防副長官に、今回は国民が懸念している、強行配備すれば地位協定、安全保障の問題に大きな懸念が生まれるきっかけになる、これは長い間問題になって、お互いの友好関係に何らかの影響を与えると発言をしましたが、これは政府や防衛省が協議をして、合意して約束したことなのに、何でアメリカの高官にこういったことが言える立場なのか。

 やはり、これはお互いの信義の問題で、約束したことでありますので、むしろ、これをきちんと国民に対して説明して理解を得るというのが大臣を支える副大臣の立場で、現実に、総理も、これはもう決まったことですとか、森本大臣も、これが損ねたら重大な影響を与える事態ですと、あえて国民に対して説明をする努力をしておりますが、なぜアメリカの国防副長官にこのような懸念を表明されたんでしょうか。

渡辺副大臣 中身のやりとりについては、その後、私が会談、カーター副長官とお会いをした後に、防衛省の下のロビーのところでのぶら下がりの中で言ったこと、口頭で伝えたことがそのまま記事になっておりました。

 その前の段階で、私自身は、今回のことについては反対をされている声というのはかなり広がっている、これは私も大臣といろいろ、委員会などの答弁を分けながら言ったときに、これまで与党を経験された政党からも今回のことでかなり厳しい意見が寄せられている、今回はこのままいくと、今度は反米とか反基地ということにまでいきかねない、これは私自身としては一呼吸置くべきではないかという意味で申し上げたんです。

 それがどのように英語で訳されて相手に伝わったかということは、またどこかでいずれ検証しなければいけないのかもしれませんが、ただ、私はあのときに、恐らく陸揚げをされる直前に、最後にどこかで伝えなければいけなかった、そんな思いから、強行という言葉を使ったのかどうか。ただ、その言葉がそのように英語で訳されて向こうに伝わっていたのならば、これはかなり激しい言い方になったと向こうは受けとめたかもしれませんけれども、私どもは、今回の国民の懸念というものをこれからの日米関係の上でぜひ理解していただきたい、そういう意味であの場で言ったわけでございます。

 そこのところは、別に政府の中で私がその立場として、もちろん政府の一員ですから、向こうは防衛副大臣として会ったという認識の中で聞いたとは思いますけれども、それで私は、もし私の言い方が少し乱暴というふうにとられたのなら、そこは大変誤解を招いたかもしれませんが、ただ、今回のさまざまな日本の反対の声と懸念の声、こういうものは従来になく広がっているという意味を文脈の中で申し上げた次第でございます。

 これについては、私自身は、大臣初め政府の統一見解の中で大きくはみ出たとは思っておりませんが、当時はそのような認識で申し上げました。

中谷委員 そういった会見とかぶら下がりは非常に大事なので、そこで言ってほしかったことは、何で十月までにオスプレーを沖縄の基地に配備しなければならないのか。みんなそこがわからなくてもやもやして、何となく本当に大丈夫かということですが、何で置かなきゃいけないかということをしっかり説明すれば納得してくれると思うんです。

 そこで、大臣に伺いますが、なぜ十月までに沖縄の普天間基地にオスプレーの配備をしなければならないのか、この理由を御説明ください。

森本国務大臣 アメリカの海兵隊というのは、日本の防衛のみならず、東アジアの安全に大変重要な役割を果たしているということについては、もう先生御承知のとおりであります。

 現在、沖縄に配備された海兵隊がその運用上使用している航空機のうち、CH46という五十年も使っている老朽化したヘリコプターが用途廃止の時期に近づいているので、これを機種変更して新しい能力と機能を持たせるということがアメリカの一つの配備計画の目的で、これは何も沖縄だけではなくて、グローバルにアメリカは海兵隊がオスプレー三百六十機を調達して各部隊に展開をさせよう、その全体の配備計画の一環としてアメリカがこの配備計画をつくっているのだと私は承知しています。

 したがって、先生が御指摘のように、それ自体は、本来目的であるアメリカ海兵隊の能力を向上し、この地域における抑止力を向上することによって日米同盟協力をさらに拡充し、ひいてはそれが日本の安全保障に寄与する、この大目的のためにアメリカが機種変更を計画どおりに進めようとしているのではないかと私は理解しております。

中谷委員 そのとおりなんですよ。だから、アメリカは新たな国防戦略があり、そして事業計画もあり、このパイロットなどもすぐに飛べるというわけではなくて、長年時間をかけて訓練し、いろいろな国に行っています。

 そこで、私が心配するのは、岩国にオスプレーは来たものの、あの飛行機のパイロット、彼らはいつ飛べるのかわからずに、毎日毎日機体の点検とかプロペラの整備とかそういうことをやって、自分の腕を鈍らせないようにする手段がないわけですね。そういったことを一体どうするかというような疑念もございますが、そういったアメリカの事情や背景を日本も考えてやらないと、日本の安全保障がおかしくなるのではないか。

 私が言いたいことは、ともに汗をかくということで、お互いの信頼関係ができます。言葉だけではなくて、態度で示し合うことがやはり本当の同盟関係でありますので、一日も早く、日米が共同対処をしながら、こういった極東の、東アジアの安定に寄与できるように、さらに防衛省としても努力をしていただきたいと思います。

 その一環でお伺いしますが、防衛大臣、オスプレーには、貨物室に担架が九床、酸素マスク、医療スタッフ五名を乗せる、ドクターヘリならぬ空飛ぶ診療所、軍事用語でCASEVACというミッションがございますが、沖縄に配備される十二機はこのCASEVACという医療支援でどの程度能力があるのでしょうか。こういった日本の離島の医療対策にも使用するということは、今の日米合同委員会などで提起をされて、可能にするような方向で行っているんでしょうか。

神風大臣政務官 事実関係でございますので、私の方からお答えをしたいと思います。

 沖縄に配備をされます十二機のMV22オスプレーにつきましては、今先生御指摘のようなCASEVACの能力はどの程度可能であるかは、米軍の運用にかかわることであり、現時点ではまだ承知をしておりません。

 また、日本の離島医療対策に使用することを米側に提起をしているわけではありませんが、必要がある場合には、米軍に対してMV22による支援を要請することもあり得るものと考えているところでございます。

中谷委員 当然、沖縄に配備されるなら、我が国の南西海域の安全にも寄与していく必要がありますので、不測の事態に対して、海上保安庁の職員や警察官などの運送につきましても、可能か不可能か、そういった問題もぜひ日米合同会議で協議をしていただきたいと思います。

 そして、今後のことですが、普天間の危険を回避するために、私は、当初の予定どおり、海兵隊の飛行場は辺野古、名護市に移転すべきだと思いますが、大臣に伺います。こういった計画をどう見ても進める必要があるのかどうか。そして工事の埋立申請、これはまだ出さないかどうか。そして、これを大臣の目から見て本当にできるかどうかと考えますと、代替案として、一時キャンプ・シュワブとかキャンプ・ハンセンの地上案というものがございましたが、私は、こういったものにおいてはもう一度検討する可能性があるのではないかなと思いますが、こういったことも含めまして、訪米されますけれども、普天間の移設問題、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

森本国務大臣 日米間で普天間飛行場を日本側に返還するという約束をして、もう十六年の春を既に過ぎたわけです。その間、辺野古沖にいわゆる普天間代替施設をつくるということを繰り返し日米間で合意し、これを確認してきたところです。総理が繰り返し言っておられるように、この案が唯一の有効な解決策であるという点について、今日でも何ら変わっておりません。

 現在、防衛省は、沖縄県知事から出ました意見書について補正作業に努めているところです。済み次第、埋立工事申請をどのようなタイミングで沖縄県知事に提出するかは、別途、政治的な意味もありますので、政府として決断する時期がいずれ来ると考えております。

 ただ、今先生の御指摘のように、その他の施設、候補について、今まで日米間で繰り返し合意を確認してきたこの唯一有効な解決策以外に代替案は全く考えておりませんし、アメリカにそのような提案をする考えはありません。

中谷委員 これは名護市でもそういった協力をしてくれる人がたくさんいますが、渡辺副大臣に聞きますが、民主党の安全保障政策として、この普天間の移転を辺野古にするという方針に全く揺るぎがなくて、次の総選挙においてもそれを民主党の安全保障の柱として揺るぎのないものとしていくかどうか、お答えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 防衛省の副大臣でありますが、私は今、民主党の安全保障政策をつくる立場ではございません。ただしかし、これまでのいろいろな議論を重ねて、日米の間で政権交代当初からいろいろな、少しそごがあって関係がぎくしゃくした、そういう事実もありました。その上で、結果的に辺野古をどうするかということについては、政権としても一つの方向性を出したわけでございます。

 それだけに、これまでの意思決定のプロセスを重視して、次の選挙の上で、この沖縄の基地をどうするか、普天間移設をどうするかということについては、私は責任者でありませんけれども、現実的なことについては当然何らかの形で訴えることになるだろう、そのように考えております。

中谷委員 それでは、大臣にもう一度聞きますが、日米の再編において、やはり沖縄の基地の使用において、一つは日米の共同使用ということで、大臣はよくホスト・ネーション・サポートからホスト・リージョン・サポートへということを言われます。

 したがって、沖縄の基地においては日米で共同で使用もするし、またグアムなども、訓練等もできるだけ協力的に進めていく、そして与那国島においても沿岸監視部隊を置いて、こういったリージョンとしてのサポートをするという構想をお持ちでございますが、今度訪米されますけれども、こういった点も日米間で深化、発展させるおつもりがあるのかどうか、大臣の所見を伺いたいと思います。

森本国務大臣 八月にアメリカに行ったときに私がアメリカ側に取り上げようと思っているのは、今後の中長期的な日米同盟のあり方と方向性というものをきちっとした形でセットしたい。

 今先生の御指摘の米軍再編あるいはグアムといった個々の問題は、その日米同盟の全体の方向性の中で捉えられるべきものであり、先生御指摘のように、日米間の共同使用、共同訓練、グアムの経費、グアムやいわゆるテニアン、パガンの訓練施設等全てを含めて、今後の日米同盟の重要な議題としてこれを扱いながら、今後の同盟のあり方と方向性を設定して戻ってきたい、このように考えております。

中谷委員 この点はぜひ道筋をつけていただきたいと思います。

 もう一点、アメリカに対して、大臣、お願いしてもらいたいのは、F35、これは六月二十九日に第一次契約とされましたが、FMS契約なんですね。これはどういうことかというと、政府と政府の契約ですから、アメリカでつくっているメーカーに対して日本政府が直接交渉も契約もできないということです。

 今度、第二次契約と来年度はなるわけでありますが、やはり機体とエンジンの最終組み立ては国内でできるように、FMS契約のスキームは継続をしたままやっていくのか、それとも、武器輸出三原則は既に見直しをされて、我が国と安全保障で協力関係のある国との共同開発、生産に関しては個々に認めるということになっておりまして、これは関係国が九カ国で構成されていますが、早期に我が国もこれに参加することによって、いろいろな情報開示やまた部品の製造の権限を得るとか。そして、FMSスキームを日本企業のプライム契約に変更する。今は米政府がプライムをつけて日本企業に発注する仕組みになっているんですが、このままいきますと、防衛予算を出しても、日本企業と政府は契約できません。アメリカ企業が発注するということになりますと、非常にコントロールもできませんし、我が国としても、技術の価値が減ってまいります。

 このFMSスキームを日本企業のプライム契約に変更していただくようお願いしたいと思いますが、この件について、航空自衛隊出身の大臣はいかがお考えでしょうか。

森本国務大臣 御承知のとおり、最初の四機はFMSで購入するわけですが、それ以降のF35Aの納入と調達については、最終的な組み立て及び企業参画の程度を含めて、日米間で年末に向けて交渉し調整するということになっております。

 ただ、先生御指摘のような、いわゆる共同開発、共同生産の中に日本が参画するとか、あるいはプライムを変えるとかというのは、もう既に九カ国で共同開発ができている航空機を我が方は手に入れるわけですから、我が方としては、最終組み立てと企業参画の程度をどの程度日本として、何といいますか参画の程度を決めることができるか、これは今後の日米交渉に委ねられていくということであり、必ずしも共同生産とか共同開発の中に参画できるというふうには考えてはおりません。

中谷委員 この時点で、森本大臣、ぜひお願いしたいことは、今の中期防でF35を十二機つくる、そして次の中期防で毎年三機ずつ、三十機、合計四十二機というようなことは決まっていますが、それに加えて、このF35をもっともっとふやしていくのか、それとも、F15の旧世代のものを、非近代化の部分をあわせて、そっちの更新をどうするか、そしてF2の後継機のFXX、こういうものを純粋に国産でやっていくのか。

 そうなりますと、F35を余りふやすわけにもいきませんし、しかしF2の後継機を開発するなら、共通の部品や技術開発も考えますと、やはりFXとFXXとFXXX、こういったことを視野に入れて全体の戦闘機の近代化構想というものを立てておかなきゃいけません。

 大臣として、第三次契約になりますが、平成二十六年以降の中長期の航空機近代化構想について、いかがお考えでしょうか。

森本国務大臣 今、先生御指摘のように、F35Aは四十二機調達をして、F4の減勢に順繰りに補完するという計画でございます。

 それ以降の問題については、F15あるいはF2をどのようにして新しいシステムに変えるかは、そのときの極東の情勢、周辺国の技術開発の程度、あるいは、これからの日本の技術開発の可能性等、いろいろな要素を踏まえて、今後考えるべき重大な課題であると考えております。

 正直なところ、我が防衛省がまだその作業には全く着手しておらず、その先の展望についてお話しできる段階にはないと思いますが、そのF35Aを選定した後の航空機システムについては、我が方としても重大な関心を持って今後の展望を見きわめていきたい、このように考えております。

中谷委員 しかし、ことし、来年が我が国の航空機をどうするかということでまさに大事な時期なんですね。F2が終了しましたら、もう生産ラインは終わってしまう。そして、次期中期防で年間三機ずつとなりますと、とてもこれは、経済性からいくと向こうに強い交渉力を持って当たることはできないわけでありまして、だから私は、あえてこの共同開発国に入るという政府の決断をして、そしてそういった国々と、そして今後のために少しでもこの部品や技術を日本で、国内でつくれるようなことをするために、この共同開発国に参画するという決断をするしかないと思っています。

 もう一度伺いますが、そういった意思、必要性はおありなんでしょうか。

笹木委員長 森本防衛大臣、時間が終了していますので簡潔に。

森本国務大臣 はい。

 現在、F35Aは九カ国の共同開発、共同生産が既に始まっていて動いているので、途中で我が国がこれに参画するという考え方はありません。

 ただ、今申し上げたように、どのようにこれを将来調達するかという調達の方式については、日米間で今後協議を続けていく、こういう考えでございます。

中谷委員 以上、終わりますが、非常に我が国の航空体制にとって大事な時期でございますので、ぜひ、アメリカへ行って我が国の主張をして、成果をかち取っていただきますようお願いいたしまして、質問を終わります。

笹木委員長 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。両大臣、よろしくお願いします。

 先ほどもちょっと触れられていましたけれども、日ロの外相会談について、最初にお伺いしたいなと思います。

 あくまでも報道だとか活字で私どもはこの会談がどうだったのかという、知るすべはそこしかないわけでございますが、先ほど玄葉大臣の答弁を伺っていますと、ロシアの外相の方もこういう委員会の質疑、やりとりを細かくチェックしている、全部知っているということをおっしゃっていましたね。したがって、きょうのこのやりとりも、これは向こうにきちっと入る、こういうことになるわけですね。

 活字よりももっと多くの率直なやりとりも、多分たくさんあったんでしょう。それは僕らの知る由もございませんけれども、活字で見る限り、プーチン大統領の発言とラブロフ外相の発言というのはすごい落差がありますよね、北極と南極が違うぐらい。この落差というのは一体どうなっているんだろうかということなんですが、この点からまず伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 東先生が今御指摘をされたように、ラブロフ外相とプーチン大統領は、もちろん先方の、相手方の政府の中で意思疎通というものがなされている、そう思いますけれども、ただ、会ったときの会談の内容というのは、おっしゃるように違います。それが私も率直に感じた点の一つだということでございます。

 私は、北方領土問題というのは、最終的には、当たり前の話ではあるかもしれませんけれども、首脳間でしか決められないと思っています。ですから、首脳間の信頼関係を構築していくということが大変大事で、今回の私の訪ロもさまざまな評価はあろうかと思います。ただ、私は、首脳間で、また外相間でこの領土交渉について実質的な議論を行う、そして現在、この間事実上行いました、外相間では。これまでの記録を読んでも、外相間では、最初の議論は必ずそういう議論になります。これはかなりの応酬にならざるを得ません、それは我々の立場、ロシア側の立場がありますから。

 ただ、そういった応酬を行っているだけで解決できるものではないというふうに私は思っていまして、最終的に首脳間の信頼関係のもとで解決を図っていくということがやはり大事になるというふうに私は認識しています。

東(順)委員 おっしゃるように、外交というのは国益と国益のぶつかり合いですよね。だから、そういう応酬があったということはよくわかるんですが、それにしても、例えばメドベージェフ首相は、国後を再訪問した後に、一寸たりとも日本には渡さないぞ、こういう発言をしていますよね。

 それから、玄葉大臣とラブロフ会談のときに、このメドベージェフさんの国後再訪問について、大臣はきちっと抗議をされた。その抗議に対して、その抗議は受け入れられないと向こうの外務大臣が言う。そして、この抗議そのものが、領土交渉を続ける上で必要な雰囲気をつくることに全く役に立っていないと。活字ですから、より強烈に映るわけですよ、こんなことまで言うのかいと。しかも、今後も、国後等、北方領土に要人訪問を控えることはない、ここまで言明をしている。

 しかも、法と正義の原則と勝手なものを持ち出してきて、そもそも、この法と正義の原則なんというのは、まさに一九九三年の細川・エリツィン会談のときに確認をされたものがあるわけですから、それと全く違う国連だ何だかんだいろいろなものを持ってきて、勝手にこういう法と正義の原則、それが我が国の国民の立場だというようなことまで言い放つ。

 確かに国益と国益のぶつかり合いとはいいながら、ここに両国外相の信頼関係がおっしゃるようにきちんとなければ、これはもう言葉の戦争ですわ。非常に僕は心配します。では、こういう応酬をやるために外務大臣は会談というところに赴かれたのかどうか、そういう思いまで出てくるんです。

 同時に、今度はプーチン大統領は、双方が受け入れ可能な解決策を探るべく、平和条約交渉を継続したいと。これは全然違いますよ、外務大臣と大統領の発言。これはこれからどうするんだいと。

 ロシアの外務大臣と玄葉大臣との間というのは、信頼というのは醸成されていますか。

玄葉国務大臣 ラブロフ外相から最初に口火を切って、共同会見で普通ああいうことを述べる方ではないんですけれども、私に対して信頼関係が増しているという話をしました。私も実はそうです。だからこそ、激しい応酬もできるというところもあります。

 先ほど申し上げましたけれども、実質的な交渉を行うときに、必ず最初、この原則論、それぞれの立場の原則論の根拠というものを議論するということがこの間もたびたびございました。法と正義の原則についても、それぞれ、法と正義の原則というのは確認しているんです、おっしゃるとおり、さまざまな諸合意、諸文書で。解釈が違うということは実は彼はこの間に何度も言っているんです。東京にこの間一月に来て、日ロ外相会談を行ったときもそうでありました。ですから、私は、率直に申し上げると、今回の外相会談の内容は想定内です。

 その上で、私が今回伝えたかったことというのは幾つかあるんですけれども、やはり一つは、実は、ラブロフ外相も二〇〇七年に北方領土を訪問していると自分で言っていました。ちなみに、一九九三年にもロシアの首相は訪問しています。私は、やはり相手国の国民感情への配慮というものがお互いに必要である、このことを何度も実はラブロフ外相に言ったんです。ラブロフ外相は、当然、自国の立場がございますから、そういう発言をしていくし、しかも、共同会見で記者から聞かれたんです。聞かれた答えが報道に出ているということなんですね。私は、プーチン大統領には、そういった激しい応酬というよりは、相手国の国民感情への配慮、相互尊重というか相互信頼というものが大事だという話もあわせてしたんですけれども、プーチン大統領にはあえて今申し上げたような言葉でお伝えをしたということなんですね。

 そういう意味で、今回の外相会談は、それは内容的には激しいです。ただ、お互い冷静に、感情的にならずに議論しました。ある意味、その部分の立場の隔たりというものは確認をしたということです。その上でどうするかということなんですね。私はその上で、結局、大統領が述べられたように、双方受け入れ可能な解決策、よく引き分けとは何かと聞かれるんです。直接聞いたのかと聞かれるんです。でも、私が思うに、引き分けというのは結局双方が受け入れ可能な解決策であって、交渉を具体的に行って、解決可能なオプションというものをさまざま模索していって、結果として出口で出てくるものがそういったものなのだろうというふうに思っていまして、そういう意味で、私は今回、相手国の国民感情への配慮も含めて伝えた。そして、首脳間、外相間で議論を、今後領土交渉もしていくということが確認できたことは第一歩だというふうに私は思っています。

東(順)委員 この発言の落差は、もちろん自国の国民がどう反応するかということを意識しながら、しかも記者会見というところですから、こういう言い方ということになったのかもしれませんけれども、どうも、交渉は行う、しかし歩み寄りは拒否しますよ、こういうニュアンスが伝わってきてしようがないんですね。大統領と外務大臣、あるいは首相、対日外交で役割分担をしているのかなと。大統領はこう言うよ、そのかわり、首相や外務大臣は激しく、むしろ一歩も引かないぞという言い方で役割を分担しているのかな、そういう感さえ抱かざるを得ないなという感じがするんです。

 もちろん、玄葉大臣もその大きな目でぎょろっとにらみながら激しく迫ったんでしょう。迫って、かつ、こういうやりとりになるということは、ちょっとここらで対ロ戦略の根本的な練り直しみたいなものが必要な時期に来ているのではなかろうかな、率直に僕はそんな気が、そこまでしたんですよ。

 それで、これは大変失礼な言い方になるかもわからないんですが、お許しくださいね。極東研究所のビクトル・クジミンコフ上級研究員はこんな発言をしているんです。民主党は分裂し、野田政権はいつまで続くかわからない、日本の方が領土問題に真剣に取り組む条件が整っていない、ここまで言われているんです。こういう、一国に対する、ある意味で大変無礼な発言、率直にそう思っているからそういう発言をしたのかもしれないけれども、何か、これまでの対ロシアのアクセスの仕方で本当にいいんだろうか、ちょっと戦略を練り直さなきゃいけない時期に来ているんじゃないか、一工夫必要じゃないのか。

 それでもって、同時に、極東の開発は日本にお願いしたい、こう来ているわけでしょう、経済的には。もうどんどん人口が減っている。もう一九九一年から二十年間で、極東の人口がおよそ八百六万人から六百四十万人に減っているというんでしょう。だから、ぜひ日本の投資や技術移転には期待しているんだ、こういうメッセージもまた同時に出てくるわけでしょう。言いたい放題だなという気がするんですね。

 だから、対ロ戦略の根本的な練り直しということを、ここらで真剣にやはり組み立て直す時期が来ているのではないかと私は率直に思いますが、いかがですか。

玄葉国務大臣 これは議事録を読まれておりますので、手のうちを明かすわけにはいかないということがまず大前提であります。

 その上で申し上げると、先ほども、プーチン大統領との会談については、今津先生からの質問にお答えをしたとおりであります。日ロのいわばこれからの協力の可能性について、さまざま述べられたんです。私から、真のパートナー、強力なパートナーになるためには平和条約が必要であると。でも、私も同じなのは、日本にとってロシアが、ロシアにとって日本が、これからますます重要な存在になる、それは現下の国際情勢から見てもそうであります。さらに言えば、これからの国際情勢を見ても、私はそうだというふうに確信をしています。その大きな大前提について一致したというのは大きくて、ここが一致しないと、戦略も何もないというふうに私は思っているんですね。私はここをきちっと今回一致させたいという思いがありました。

 ですから、基本的なことを申し上げれば、やはり関係を進展させる中で領土問題を解決していく。これは、この間、ロシアがさまざまな国と国境を画定する、あるいは海域を画定する際も、同じようなことが行われてきた経緯があります。ですから、そういった関係進展を目指しつつ領土問題を解決していく、平和条約を解決していくというのは、この基本路線は、私はそれでいい。ただ、さまざまな戦術とかそういったことについて、これはちょっと手のうちを明かすわけにはいきませんから、さまざまな具体的なことを考えていかなければならない。

 同時に、オール・ジャパンで取り組む必要があるというふうに思います。これはもう党派は関係ありません。だから私は、余計に、プーチン大統領と人脈のあった森元総理、これは本当に親しいんですね。私は、党派が違うというのはかえっていいというふうに実は思っておりまして、そういったことも含めて考えていきたいというふうに思います。

 同時に、一般論であえて申し上げれば、確かに、私が一年弱、外交交渉とか外交活動をして感じるのは、それは確かに政権基盤が安定していればしているほど外交というのはやりやすいというのは、一般論として私は言えると思います。そういったことも考えながら、やはり政権というものを構想していくということも含めて、私は大事なのではないかというふうに思っています。

東(順)委員 私も基本的には同感です。確かに、森元総理との親しい人間関係、信頼関係、ヨシはいつ来るんだ、ソチでもモスクワでもどこでも会うよというようなことまでプーチン大統領が言われたと載っかっていますが、それは基本だと思います。

 だから、私は、外交は右手で腕相撲をしながら左手で握手をする、このバランスだと思います。どっちが弱くてもやはりやられちゃう、このバランスだと思いますね。それで、ウイン・ウインの関係ができつつ、両国民も、ああ、ここまでの外交力があれば我が国も大丈夫だねという安心感を抱いていくということですから、非常に難しい。難しいがゆえに、その国の政権なり政治というのがきちっと安定しているということはすごい大事なんですね。そういう意味で、しっかり安定した政権、これからも汗を流していただきたいというふうに私は思わざるを得ません。

 先週、衆議院の本会議で私はさまざまな質問をさせていただきました。衆議院の本会議というのは一問して一答返ってきて基本終わりですから、もっともっと詰めた答弁が欲しい、もっと具体的な答弁が欲しい、そういう欲求不満でいつも終わるわけです。そこで、先般質問させていただいた中から幾つか、もうちょっとこれは確認しておきたいなと思う点をつまんで質問をさせていただきます。

 今、外交は、双方がウイン・ウインの関係をどう築けるか、左手でしっかり握手をしながら、しかし右でまた領土問題というようなことで、私は玄葉大臣に尖閣の問題を質問いたしました。そのときに、尖閣の問題というものは毅然として日本国として対処していかなきゃいけない。固有の領土なんだから、途中から中国の領土なんて言い出さないでくれということをきちんと中国側に、もうしつこいぐらいのメッセージを送れ。一歩も引くな。しかし同時に、そういういわば腕相撲だけで、強腰だけじゃだめなんだ。やはり中国というのは大変親しい、我が国にとっては非常に大切な隣国だ。悠久の歴史の上からも、あるいは先人が日中友好のために汗を流してきた、そこに報いるためにも、貿易高を見ても、もう大変に切っても切り離すことのできない経済的なパートナーですね。そうすると、ウイン・ウインの関係は左手でやはりしっかりつくっていかなきゃいけない。

 どうですかと聞いたときに、今、何からどうすべきだと思いますかと私が聞いたらば、極めて具体的な答弁が返ってきました。ああ、そうなんだと思いながら私は聞きましたが、海洋協議ということで大臣は答弁をされました。戦略的互恵関係の一層の深化のために日中海洋協議、これは日本のマスメディアでは余り注目しなかったけれども、最重要視している、大臣はこう言われました。相当な思い入れでこれをやっているんだなと思いましたが、何ゆえこの協議を最重要視しているというふうにお思いですか、改めて聞きます。

玄葉国務大臣 おっしゃったとおり、本会議で、私は東先生の方を見ながらこの話をいたしました。尖閣は、基本的に領土問題というのは、領有権の問題は存在しないということでありますけれども、他方で、外交の問題として事態が生じているということも他方の事実だというふうに思います。

 これは意外と本当に知られていないんですけれども、海洋機関というのが実は多数あるんですね。せっかくなので、初めてなので御紹介しますけれども、日本側は、総合海洋政策本部があるから内閣官房、外務省、文科省、水産庁、資源エネルギー庁、国交省、気象庁、海上保安庁及び防衛省、九つの機関です。中国側は、外交部、国防部、公安部、交通運輸部、農業部、国家能源局、国家海洋局及び総参謀部。

 つまり、例えば我々が何かあったときに外交部に申し入れをしますとしたときに、外交部がわかってなかったりすることもあります。つまり、多数の海洋機関がお互いに存在しているものですから、それぞれ横の関係というのが、十二分に連絡メカニズムができていないということがあります。ですから、いわゆる誤解などによって事態が進展するというのが最もよくないわけでありますから、そのようなことがないようにするために、こういうメカニズムをつくろうということで、私はなってからこれを非常に重要視をしていました。

 先般、本会議で答弁いたしましたけれども、本年の五月に第一回の会議が開催をされて、活発かつ率直な意見交換が行われたところであります。本件協議は、両国の海洋関係機関が一堂に会して定期的に意見交換を行うことを通じて、両国のそれぞれの関係部門が一堂に会していますから、それぞれの相互信頼、信頼醸成、そういったもの、協力を強化するということを通じてまさに東シナ海を平和、友好、協力の海にしたい、こういうことでございます。

東(順)委員 それで、海洋分野における協力というと大変聞こえはいいんですけれども、日中間に横たわる海洋には、日中関係が真の友好関係に深まっていくことを阻害している諸課題がある。これまた現実ですね。これらを克服しなければ、額面どおりの協力は実現し得ない。

 つまり、まず、中国に尖閣諸島の領有権の主張を取りやめさせるという大きな課題がある。それから、日中両国間で未確定の排他的経済水域、EEZ及び大陸棚の境界を画定しなければならない、これまた大きな問題ですね。これらを本当に乗り越えていって、初めて日中間の紛争の芽を摘み取ることができるわけでございます。

 そういう意味では、非常に大きな、日中海洋協議というのは日中関係の大局だと向こうの、中国側の幹部も言っておりますけれども、私も全くそう思います。これをやり遂げたら、玄葉外交というのは歴史に残りますね。これは大変大きな巨歩を日本の政治史に記すことになると私は思いますよ。

 ところが、中国が協議テーマに海洋の環境保護分野の日中共同事業、日中境界線画定協議の再開を提案しているようですけれども、中断中の東シナ海のガス田交渉というのは今回の協議対象としないということで、これまた日中間で合意をしているんでしょう。これはどういうことなんでしょうか。(玄葉国務大臣「合意はしていない」と呼ぶ)そういうふうに伺いましたが。

玄葉国務大臣 先ほど申し上げましたように、基本的には信頼醸成をしていくということなんですが、では、例えば、今おっしゃったような、尖閣のやりとりがあったのかと言われれば、実は五月にもありました。東シナ海の資源開発問題の議論はあったのかと言われれば、ありました。

 それは、具体的には、中断したままになっている東シナ海の資源開発の国際約束締結交渉の再開を我が国が求めた。それに対して、中国側からは、拒否ということではなくて、東シナ海の資源開発に関する交渉については、交渉再開に向けた意思疎通がまず重要だというレベルで言及があったということで、だめだとか、現時点でそういうことを言っているわけではないんです。

    〔委員長退席、藤田(憲)委員長代理着席〕

東(順)委員 もし、これが本当に協議対象にしないということで合意したということになれば、非常に僕は心配になって、画竜点睛を欠くわけですから、ここら辺を本当に真正面から両国間で真剣に協議をして乗り越えていくということがウイン・ウインにつながってくるということですよね。だから、ここは、大変な強い決意と深い思い入れでやっておられるように僕は見受けます。だから、どうか総力を挙げてやってほしい、そういうふうに思います。

 それから、尖閣の購入問題について伺いたい。

 先般、私は本会議で、尖閣諸島の国有化の検討ということに対して、政府は買い取りの是非を検討しているのか、それとも買い取る方向は決めた上で検討しているのか、端的にお答え願いたいと総理に聞いたんです。そうしたら、こういう答弁は僕は非常に残念だった、もう何度も聞いていて手あかがついている答弁、さまざまなレベルでさまざまな接触をして、総合的に検討している、さっぱりわからない。さまざまなレベルでさまざまな接触をして、総合的に検討している、これは答弁と言えるんでしょうか。これをまた使った。

 要するに、国民は物すごい関心を持って、さあ、尖閣はどうなるんだと注視をしているんですよ。

 先般、僕は地元で、三十名ぐらいのある御婦人方と懇談会を持ちました。びっくりしましたね。御婦人方というのは、平均年齢六十一、二歳の人たちが三十人ぐらい集まった。何かございますかと言ったら、一番最初に学校の教員をなさっておられたという御婦人がぱっと手を挙げた。この人は実は九十七歳なんです。何でも結構ですよ、意見交換しましょうと僕が呼びかけたら、尖閣列島はどうなりますか、こう来ましたよ。これは本当に国が買うんですか、買わないんですか、東京都は買うと言っているじゃないですか、どうなっているんですかと、ばんときましたよ。これはやはり国民的関心は非常に高いんだなと。

 そういうときに、本会議場で、政治家と政治家の議論で、さまざまなレベルでさまざまな接触をして、総合的に検討している、こう答えられたら、私は何にも答弁をもらっていないということになる、そう率直に思います。大臣はどう思いますか。どういうふうに答えられますか。

玄葉国務大臣 これは本来、内閣官房だと思うんですが、ただ、外交にかかわる話なので答弁いたします。

 先生、これはさっき岩屋先生との議論でございました。相当考えて答弁をしているというふうに受けとめていただきたいんです。ですから、現実の問題として、いわば二者択一ですぱっとお答えできる状況にないということなんだと思うんですね。ですから、我が国として大切なこと、そもそも、尖閣諸島に対する我々の立場というものを総理はお答えをし、かつ、尖閣諸島が平穏かつ安定的に維持管理をされる、そのためにさまざまな検討を行っているのである。

 実は、野田総理は、この間、国有化という言葉を一言も使っていないと思うんです。報道はそのように言っているようでありますけれども、国有化という言葉は野田総理は一度も使ったことがないというふうに私は承知しています。ですから、これは相当考えられた答弁だというふうにここは御理解をいただければと思っております。

東(順)委員 考え過ぎじゃないでしょうか。それでも、やはりもうちょっと答弁になる答弁をしてもらわないと困ります、物すごく国民的関心が強いんだから。

 もちろん、外交に関することだし、東京都の関係とかがあるわけですから、言えないことがあるでしょう。しかし、寸どめしてでもいいからもう少し、いわゆる情報というかメッセージというのは、やはり我々を通して、国民を意識しながら政府はメッセージを出すわけですから。これじゃわかりませんよ、誰が聞いたって。そうすると、買うのか買わないのかということがわからなかったら、それを前提にした質問もできないから、やめます。

 次に行きます。

 今度は、北朝鮮問題で私は総理に聞きました。最近、何か知らないけれども、北朝鮮の中で微妙な変化が起こり始めているという気がしてしようがない。やわらかい映像がどんどん出てくる。金正恩の奥さんと称する人の映像がしきりに出てきたり、あるいは子供たちと笑顔で交わったり、いわゆる硬質なものじゃなくて、やわらかい感じの映像がどんどん出てくる。総参謀長がいきなり全ての役職を剥奪される。何か起きているんじゃないか。これをどう受け取るかということで、僕は一つの提案をしました。

 非常に不幸なことは、残念なことは、対話と圧力ということで、ここまでの経緯の中で、もう圧力しかかけ続けざるを得ない状況に両国間は立ち至っている。ミサイルの問題、核実験の問題、今はもう圧力オンリーになっている。そうすると、拉致問題というのは解決が完全にとまっている。これを少しでも進めないと、もう拉致被害者の家族の皆さんはどんどん高齢化している、自分の寿命との闘いに入っておられる。これは、やはり早く国として目鼻をつけないと大変申しわけない話だ。

 北朝鮮の中で微妙な変化がどうも起こってきている、やわらかい感じの変化が起こってきているんじゃないか。したがって、対話と圧力というその基本的な対処の仕方は堅持しながらも、日本政府として、いつでも対話の窓はあいていますよというシグナルを意識的に、国交がないとは言いながらも北朝鮮に送るべきではないのかと、意識的に今このタイミングで、こう僕は質問したんですね。

 そうすると、これまた、いわゆる今まで答弁してきた言葉がそのまま返ってくるんですね。現時点で、日朝間の対話を再開し得る状況ではない、政府としては、北朝鮮をめぐる動向について不断に情報収集、分析を行うとともに、北朝鮮が拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けて具体的な行動をとるよう、米国や韓国等と緊密に連携しつつ、引き続き強く求めていく考えである。これまで耳だこですよ。それをわざわざまたこういう答弁で終わらせちゃう。いわば手あかのついた答弁ですね。しかし、かの国は確かに何か変わり始めているんですよ。それで、僕がそのシグナルを送ったらどうだと提案をしたということに対してこの答弁。

 野田政権は、拉致問題の迅速な解決の必要性ということをシビアに本当に思っておられるのかどうか、一日も早く解決しなきゃいけないという焦りにも似た政治の責任というのは本当に感じていないんじゃないかと僕は非常にがっかりしました。もう失敗しないように失敗しないようにということで、バランスばかり考えて、そのような答弁しかしない。玄葉大臣はどう思われますか。本当に拉致問題は何も進んでいないじゃないですか。

 それで、ついこの間、ミスターXが銃殺されたという新聞記事がばんと出たじゃないですか。あのときだって、実は小泉内閣のときに、あくまでも新聞記事ですよ、二十回以上にわたってミスターXは日本側とずっと水面下交渉をやっていたということが書かれていたじゃないですか。外交というのはこういうものですよ、表に出なくても。シグナルというのは、そういうことも含めて、何かやっておられるんだったらいいんですが、何にもやっていなくて、ただこの答弁ということで終わるということになれば、甚だ僕は残念だなと。

 大臣、どう思われますか。拉致問題です。

    〔藤田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

玄葉国務大臣 まず、北朝鮮内部の動き等につきましては、先ほどお話がありましたけれども、当然ながら情報収集していて、そのことについて、やはり確かにインテリジェンスなので、こういう場でコメントはしない方がいいんだろうというふうに思っているんです。

 拉致問題は、一刻も早く解決をしなければならないと私は深刻かつ真剣に考えております。その上で申し上げれば、私は、適当な時期、適当な方法などを通じて対話というものを行う必要はあるというふうに考えています。

東(順)委員 今の答弁は、適当な時期が来ればという意味は、今はその時期ではないということですか。シグナルを送るという、それだけでも、その時期ではないとお考えですか。

玄葉国務大臣 今この場で私が申し上げることは、先ほど申し上げた繰り返しになって恐縮でありますけれども、適当な時期、適当な方法、適当なやり方で対話を行う必要があるというふうに考えているということでございます。

東(順)委員 拉致問題には、焦りにも似た早期解決の思いに外務大臣として立っておられますか。そこをもう一度確認します。

玄葉国務大臣 時間との闘いだと思っています。

東(順)委員 これ以上、この場でより具体的な発言はとおっしゃいました。では、それはよく理解をいたします。

 そういう、やはり国民の生命と財産というのが政治の第一の使命ですから、これは本気になってぜひやってほしい。東順治という男がここでわあわあ言っていたというようなこともよく脳裏に置いていただいて、一日も早く拉致問題というものが解決できるように、ここで言わなくても、対話のシグナルはきちんとやはり送ってほしい。そうすると、向こうの出方も違ってくると思う。そういうことを期待いたしております。

 それから、時間ももう大分なくなっちゃったんで、オスプレーについて率直に防衛大臣に伺います。

 私は本会議場で、専門家チームをアメリカに送るということを総理に質問いたしました。

 これは先ほどからいろいろ質疑、答弁が出ていますけれども、確かに誰かがおっしゃいました、不安というのは国じゅうに日に日に広がっていますね。したがって、単なる説明ということではもう追いつかなくなってきている状況だと思います。説明の上に説得をし、かつ納得をしてもらわなきゃいけない、そういう非常に深刻な状況に立ち至っているんではなかろうかな。

 二つ、防衛大臣に伺いますが、アメリカに専門家チームを送ります、大変いいことだと思います。僕は本会議場で、最終的に一番このオスプレーというものの、もし万々が一のことがあったときには最大の被害を受ける沖縄、だから、沖縄の人たちの中の有識者や行政関係者を専門家チームの中にぜひ加えてアメリカに送るべきだ、こういうふうに総理に申し上げました。

 なぜかならば、みんな、やはり本当に大丈夫なのかと。十月から本格運用を開始するよということを前提にして、そして少しでも安心してもらうために専門家チームを立ち上げるだとかアメリカに送るだとか、大臣もオスプレーに乗るだとか、いろいろなことをおっしゃっているんですが、率直に言って、国民は、本当に大丈夫かねという、いわば不信感と言ったら大げさかもしれないけれども、大変な不安を持っている。だからこそ、沖縄の人たちのために、沖縄の人たちに本当に大丈夫だという信頼を持っていただくためにも、沖縄の専門家の方がおられるでしょう、航空学あるいは有識者の方、あるいは行政関係の方、こういう人たちを専門家のチームに加えるべきだと総理に僕はこうやって伺いました。

 そうしたら、総理はどういう答弁をされたか。あのとき、大臣はこの答弁は全くされなかったんですよ。総理は、答弁が漏れていたんで重ねて僕が答弁を要求したらば、もうチームが決まっていますから、こういう答弁をされた。これは大変残念でした。チームが決まっていようと決まっていまいと、本当に必要だったら、後から追加すりゃいいじゃないですか。それが国民の生命と財産を預かる国の指導者たる当たり前のことじゃありませんか。私はそう思います。

 この点について、防衛大臣、どういうふうにお思いですかというのが一点。

 それから、山口県の県知事選挙が終わりました。御案内のように、山本繁太郎さんという人が新知事に当選されました。この人は、オスプレーについては容認せずということでこの選挙戦を戦われました。

 防衛大臣として、オスプレーを容認せずという、その新知事が誕生した山口県、この山本繁太郎さんに対してどういうふうに説明をされ、かつ説得をされ、納得をもらうというところまでこれからなされようとしているのか。この二点について伺います。

森本国務大臣 まず第一点目についてですけれども、我が方が分析チームを編成してアメリカ側からブリーフィングを受ける、かねてより御説明しているとおりです。

 総理の答弁は、もう既に決まっているからはいれないとか入れないとかそういう趣旨ではなくて、こういう場ですから率直に申し上げると、沖縄の方で、この方を入れたら説得力があるということを沖縄がより積極的に推薦していただけるんだろうかということは、正直申し上げて沖縄と相談しました。(東(順)委員「相談しましたか」と呼ぶ)相談しました。沖縄の方も非常に率直に、それはちょっと、沖縄の方から誰かを推薦する、あるいは推薦した人が、喜んで行きます、自分が沖縄を説得します、そういうことはやりたくないし、やらせたくないので、よく考えてくださいと言って、沖縄とはいろいろな意見交換をして、沖縄の方にも説得をしていただけるような知見を持っている人を、つまり、政府でもない有識者で、沖縄の方にでも山口の方にでも、説得力のある、きちっとした専門的知識、それは、ヘリコプターの技術だとか開発だとかというようなものについてきちっとした知見がある人を入れることによって沖縄の方に理解していただく、それがベストの選択だと申し上げて、つまり、総理の答弁はああいう言い方になったので、決して、初めから排除しようとか、もう決まっているから入れないよとかという、そういう趣旨で申されたのではない、そこは理解していただきたいと思います。

 二点目は、確かに先生の御指摘のように、山口県知事選挙、オスプレーに反対して新しい知事が当選なさったわけですけれども、これは初めて知事になられたわけですから、我が方として、今までこのオスプレーというのはどういうふうにして事柄が進んできて、政府は何を考えているのかということは、御着任になったら、我が方として私が参上して、知事がぱっと東京に来られるということもあると思いますが、それはそれとして、私の方から出向いて、新しい知事に、これから進めようとしている我が方の政策の全体の方向づけを十分に御説明し、多分そのころには、最初のオスプレーのいわゆるモロッコでの事故について説明ができるというタイミングになるのではないかというふうに私は思いますが、それは直接参上して、御説明をして御理解をいただこう、このように考えております。

笹木委員長 質問時間が終わっております。

東(順)委員 ありがとうございました。

笹木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 最初に、与那国島への自衛隊配備について質問をいたします。

 今月の二十四日、自衛隊配備の是非を問う住民投票条例の制定を求める署名が与那国町に提出をされました。五百八十八人分、有権者のほぼ半数に当たります。配備にこれまで賛成の人も反対の人も名前を連ねており、島の将来は島の住民自身が決めたい、こういう意思の表明であります。

 防衛大臣は、こうした住民の意思を尊重する考えはお持ちですか。

森本国務大臣 与那国町において、与那国島への部隊配備の賛否を問う住民投票の実施を求めて、先生今御指摘のような署名が出ているということは我が方として十分承知しております。

 与那国島への部隊の配置に当たっては、地元の方々の理解と協力が得られるということが極めて重要でありまして、これなくしてこの計画は進められないわけで、したがって、今まで、与那国町ともいろいろな調整を行い、協議も行い、説明会も行い、関係者との協議も行い、住民の方々に理解をしていただくよう、いろいろな努力をしてきたところであります。

 その意味において、この部隊配置の賛否を問う住民投票の実施を求める動きについては、大変注目をして、我が方として、できれば二十七年度末までに部隊配置を実施したいと思い、地元の方々に御理解と御協力を得られるように、今後とも説明をして御理解をいただく努力をしてまいりたい、このように考えております。内容については承知しております。

赤嶺委員 私が伺いましたのは、内容について承知しているかどうかではなくて、自衛隊誘致に賛成の人も反対の人もこれに署名をし、島の将来は島の人で決めていきたい、島の住民自身が決めたいという、こうした住民の意思があらわれているわけです。これを尊重する考えは、防衛大臣、お持ちですか、このように聞いているわけです。

森本国務大臣 住民の方々の御意思は最大限に尊重してまいりたい、このように考えております。

赤嶺委員 ところが、沖縄防衛局は、こうした住民の意思とは関係なく、配備に向けた作業を進めていることが明らかになりました。動植物の環境現況調査を実施するため、今月十三日付で町有地の使用許可を取得し、測量調査などの許可も申請していることが報じられております。一体いつからどのような調査を行っているのか、説明していただけますか。

渡辺副大臣 現況調査につきまして、七月十三日に町有地に立ち入り許可をいただきまして、七月二十八日から現地調査を開始しております。そのほか、土質調査それから測量等の調査につきましては、現在、町有地の立ち入りの申請を提出して許可を待っているところでございます。

赤嶺委員 測量調査はまだ許可をもらっていないという答弁でありましたが、環境現況調査は今回が初めてですか。

渡辺副大臣 初めてでございます。

赤嶺委員 そうすると、去年の十月三日に公示をされた環境現況調査というのはなかったということですか。

渡辺副大臣 失礼をいたしました。

 昨年、二十三年度予算で環境現況調査を行っておりまして、これについては、二十四年度、今年度の調査に先立ちまして、植物、哺乳類、鳥類、昆虫類についての目視観察を行ったということでございます。

赤嶺委員 防衛大臣、防衛省が与那国島への配備を決定し、与那国島では住民説明会を行っておりますが、これは去年の十一月です。ところが、今、渡辺副大臣の答弁にもありましたように、その前の十月には配備のための具体的な作業に着手していたということであるわけですね。

 大臣、これでは、住民の意思を尊重する姿勢が全く示されていないではありませんか。

渡辺副大臣 これは、配備のためのというよりも、住民説明会に必要な資料としてこうした調査を行ったというふうに我々は理解をしております。

赤嶺委員 確認いたしますが、環境現況調査というのは、これは環境の調査ですから、辺野古のときも、沖縄県から出てきた要望は複数年ということでした。環境については、極めて亜熱帯の、非常に微妙な、しかし日本列島のどこにもない特徴を持っている環境ですから。

 では、その環境現況調査とは別個のことをやったんだということでいいわけですね。

渡辺副大臣 昨年の十二月二十八日からことしの中で、いわゆる二十三年度の範囲内で行うものと、また二十四年度の行っているものとで、そういう意味では二つの年にまたがるわけでございますが、当然、今申し上げたような、幾つかの生息している生き物の現況を確認するためにこういう調査を行ったということでございます。

 やはりこれは、住民の皆さん方の説明会を行うときに必要なことを皆さんにお伝えできるように、我々として資料を集めているということでございます。

赤嶺委員 住民の説明会のために現場に立ち入って環境の調査をやったと。では、これは事業の開始とは関係がないということですか。はっきり答弁してください。

渡辺副大臣 環境影響評価という、法律に基づいたものではなくて、これは、当該の候補地において必要に応じて環境保全の措置を講ずることができるようにということで、自主的に行ったものでございます。

赤嶺委員 まさにあそこは環境アセス法に基づく環境調査が必要だと私は考えております。ただ、防衛省は、環境現況調査で環境の調査は済ませたということで、事業に行こうとしている。その一環として去年もやっている。

 結局、説明会より前に環境現況調査をやって、ことしもまた同じような調査をやっている。説明会のためにという理由は成り立たないわけですよ。今回もやるわけですよね、住民投票の前に。既成事実をどんどん積み上げていく。住民の意思を尊重する態度とこれは違うんじゃないかと思いますが、大臣、いかがお考えですか。

森本国務大臣 あくまで部隊を配置するに必要な環境調査というのはきちっとやらないといけないし、それから、住民の方に全体の計画をわかっていただく説明会もやらないといけないし、これを両方やっていますが、それは住民の方々の意思を無視しているというふうには考えておりません。

 環境は、あくまで、地域にどのような環境の影響を与えるのかということを調査するためにやっているのであって、これ自身が住民の方々のために不要な環境の影響を与えないようにと思って調査をしているわけでございます。

赤嶺委員 では、ことし七月十三日から許可を得てやる環境調査というのは、住民の説明会のための環境調査なんですか。

渡辺副大臣 必要があれば皆さん方に説明をする、あるいは議会の皆さんや行政側の方々にもするという上で、当然、いろいろな資料があった方が、我々としては、皆さん方に御納得のいくように、御理解いただけるように説明できるわけでございます。

 そういう意味で、質問をいただいたときに答えられるように手厚くしているということでございますし、またこれは、春、夏、秋、冬の、委員が御指摘のような与那国のまさに特性を考えれば、さまざまな季節における生息している生き物の現状をちゃんと把握するということで、累次行っているところでございます。

赤嶺委員 ですから、これは、説明会のためにというのは取ってつけた理由で、事業のための環境現況調査になっているわけですよ。

 大臣、名護市も住民投票のときがありました。大臣も覚えていらっしゃると思います。あのときには、住民投票という住民の意思表示の大事な場面に防衛省が乗り出してきて、全国から防衛省の職員を動員して、個々の家庭訪問をさせたんですよ。私も現場におりました。

 それから、ついこの間の宜野湾の市長選挙のときには、沖縄防衛局長が、民意の審判を下す選挙に対して権力が介入をしていた。

 いつでも防衛省は、基地をつくるときに、基地絡みのときには介入してくる。そして、民意を尊重するといいながら、実態と違うことをやっている。こういうことは絶対に許されないということを申し上げておきたいと思います。

 こういう与那国のことを聞いたついでに、実は、与那国の議会が自衛隊の部隊を誘致するというのが、最初、あの町で起きたことなんですが、これは、二〇〇八年九月の町議会の決議でありました。この決議は防衛省に届けられておりますか。

    〔委員長退席、藤田(憲)委員長代理着席〕

渡辺副大臣 当時の浜田靖一防衛大臣宛てにいただいたものは手元にございます。

赤嶺委員 それは二〇〇八年九月の町議会決議ですか。

渡辺副大臣 いただいた要望書に書かれたお名前は、町長のお名前であったと記憶しております。

赤嶺委員 町長と、与那国町の防衛協会と、それから与那国町議会の三人連名であったと思いますが、私が申し上げました二〇〇八年九月の町議会決議というのは、今のところ、どんなに防衛省に要求しても確認できておりません。今、事務方が持ってきているようですが、確認されているんですか。

渡辺副大臣 まず、平成二十一年六月三十日に、与那国町長のお名前で、自衛隊分屯地の配置についてという要望書をいただいております。でございますので、その後、これは先ほどは元号で申し上げましたけれども、今回、八重山毎日新聞に出ている記事は、「自衛隊誘致要請を決議」という形で与那国町議会の方で決議をされたということがございまして、それがどのような形で我々のところに、防衛省に届いたかということについては、現在確認をしているところでございます。

    〔藤田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 私もその現物を読んでみました。二〇〇八年九月の決議、まだ防衛省が確認できていないという決議ですね。

 これは、当時の与那国の防衛協会が町と町議会に提出した誘致署名の趣意書、これをそのまま議会決議の案文にしているんです。ですから、決議文は、冒頭、「町民の皆様方におかれては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」で始まるんですよ。議会が町民にそんな挨拶をするかと思って読み進んでいきますと、途中に、「私ども沖縄県与那国防衛協会に深いご理解とご協力を賜り」という文言があって、これが二重線で消されているんですね。二カ所、私たち与那国防衛協会という言葉が出てくるんです。起案は与那国防衛協会なんですね。

 文章の整理もしないで決議を上げた。見ていても、これは何だろうと思うような、大慌てで誘致派の議員と防衛協会が決議をした。これが、決議が上がった上がった、与那国の地元は誘致決議が上がったという発信源になっているわけですね。今読んでいて、議会決議というものだろうかという疑念が非常に湧いてきます。しっかり調べて、後で答弁をいただきたいと思います。

 次に、オスプレーの問題について質問をいたします。

 この間、日米合同委員会や、外務、防衛当局間の局長級協議などが開かれました。

 防衛大臣に伺いますが、先日の予算委員会で、私は、オスプレーによるオートローテーション機能が実証されているのかと質問をいたしました。この点は米軍に確認されましたか。

森本国務大臣 アメリカがオートローテーションのシステムを持っているかどうかということは、かねてよりアメリカが持っているという説明でしたが、それだけでは、我が方は、文書並びに口頭なので、改めて、オートローテーションのシミュレーションのシステムをアメリカが持っているのであれば、我が方の専門家にこれを体験させてほしいということをアメリカに申し入れてあります。

 いずれ、アメリカの分析チームが、事故の調査の報告といいますか、内容を我が方として聴取する際、できれば、アメリカ側のオートローテーションのシミュレーションの中に入って、我が方で、技術を持っているといいますか、現実には回転翼と固定翼のパイロット並びに技術者のことですが、そういう人たちが行って、オートローテーションのシミュレーションの中で体験をして、実際にこれがどのように機能するのかということを確かめようと考えております。その旨、アメリカ側に申し入れております。

赤嶺委員 オートローテーション機能の実証というのは、シミュレーターの世界でしか再現できないものなんですか。

森本国務大臣 オスプレーなる飛行機が、固定翼あるいは回転翼のどちらでもそうですが、二つのエンジンが同時にとまって予備着陸あるいは緊急着陸をするというのを実際の飛行機でやるということは、アメリカにはそういう考え方はない。

 つまり、例えば、固定翼で緊急着陸をする、あるいはオートローテーションで着陸をするときに、これは全く私の想像ですが、例えば部品に欠損が起きるとか、そういった機体に損傷が起きて、中にいる乗員、パイロットの安全は維持できるが、そういう可能性があるというシステムなので、実際の飛行機を使って実際にオートローテーションの訓練をやるというふうにはなっていなく、これを実際に、実態としてシミュレーションの中で体験をするということを通じて、パイロットがその練度を高めるというシステムになっていると理解しております。

赤嶺委員 これは今後また検証していきたいと思いますが、オスプレーは、現実の普天間基地の市街地を飛ぶわけですよね。シミュレーションの世界で飛んでいるわけじゃないんですよね。しかも、沖国大のヘリの墜落のときも、オートローテーションが問題になった事故であります。

 今の大臣の答弁でとても納得できるとは思いませんけれども、そのシミュレーションについてもう一つ聞いていきますが、二十三日に岩国基地でオスプレーを陸揚げした民間運搬船は、その後、那覇港に寄港しているんです。コンテナが陸揚げされ、そして普天間基地内の環境レビューでコンテナ型シミュレーターの設置が予定されている場所に置かれていることが報道されております。コンテナがおろされたんです。それは、シミュレーターを設置するというその場所に置かれているんです。

 これはオスプレーのシミュレーターが搬入されたということでしょうか。

森本国務大臣 環境レビューの中に、沖縄にオートローテーションのシミュレーターのシステムが導入されるということが記述されていることは確かです。それが実際に、今先生の御指摘のように、オスプレーを運んできたあの同じ海運会社の船で陸揚げされたのかどうかということについては、我が方は確認しておりません。

 他方、オスプレーに乗っているパイロットには一定の訓練のレベルというのがあって、私の承知するところ、九十日に一度、シミュレーターの中に入って訓練を受けるということになっているので、したがって、アメリカの本土でもそうですが、オスプレーを配備する部隊にパイロットが九十日ごとに訓練を受けるシミュレーターのシステムが据えつけられるということはごく自然のことではないか、このように考えています。

赤嶺委員 それでは、あなた方の立場からいっても、事故の報告書もまだ出ていない、県民を説得する材料もないという中で、普天間基地にシミュレーターが設置されるのは、これは自然なことという認識なんですか。

森本国務大臣 いや、繰り返して申し上げますけれども、先ほど、今回運ばれたかどうかということが自然であるとかということを申し上げたのではないんです。部隊としてオスプレーが配備され、それを運用するパイロットが、九十日、つまり約三カ月ですが、三カ月ごとに訓練を受けるためのシミュレーターが、オートローテーションのシミュレーターがあるということは、まさに飛行の安全を維持するためにそういうシステムが部隊として据えつけられるということは、パイロットの練度を一定に維持するためにごく自然の措置ではないか、こういう趣旨のことを申し上げたつもりです。

赤嶺委員 大臣、聞いたことにお答えください。聞いたことに答えないで、専門的な知見を述べても、これは質疑になりませんから。

 だから、オスプレーを運んできた民間船からコンテナが那覇の港におろされて、そのコンテナはシミュレーターを設置する予定の場所、普天間基地の中に置かれている。これがシミュレーターであるかどうか、アメリカ側に確認すべきではありませんか。

森本国務大臣 我が方としては確認しておりません。

赤嶺委員 私の質問は、確認すべきではありませんかということです。

森本国務大臣 これは、これから、日米の合同委員会というようなものを通じて、飛行の安全を確認する手順を日米間で協議する、そのプロセスの中でアメリカ側に確認するというような内容であると思います。

赤嶺委員 オスプレーは沖縄におろさない、なぜなら安全性が説明できないから、そう言っていた。しかし、今度は、シミュレーターは運び込んでいるかどうかわからない、こういう態度では、県民の信頼を全て失うことになりますよ。こんなことをやって済むとお考えなんですか。

 だって、日米間の協議は始まったじゃないですか。始まっているときに、真っ先にこういう県民の懸念事項について政府が聞くのは当たり前ではありませんか。政府の側からちゃんと聞いて、返事をください。

森本国務大臣 オートローテーションのシステムというのは、繰り返しになりますが、パイロットがオートローテーションの訓練と練度を上げるためにつくられているシステムでございますので、それが据えつけられるということは、言うなれば、よりパイロットの練度が上がり、飛行の安全に寄与するというシステムではないかというふうに考えます。

赤嶺委員 それでは、これがオスプレーのシミュレーターであるかどうか確かめない、確かめなくてもいい問題なんだ、そういう認識ですか。

森本国務大臣 いや、確かめるとか確かめないとかということを申し上げているのではないんです。

 いずれ部隊が配備をされて、パイロットがそこで勤務をする間、オスプレーに乗るとき、乗る一定の時間ごとに、ある一定の期間ごとにパイロットがオートローテーションの訓練を受けるシミュレーターがそこに据えつけられるというのは、飛行の安全に全体として寄与するということを申し上げている次第です。

赤嶺委員 大臣、米兵が練度を向上するということは、沖縄では事故や事件につながってきているんですよ。この認識はできないと思いますが、練度の向上ということで県民がどれだけの被害を受けてきたか。だから、オスプレーの配備には反対しているんですよ。

 五日には県民大会も開かれます。何か日米同盟があれば受け入れなきゃいけないということを盛んに言っておりますが、こんなのはもう納得できないですよ。今沖縄で起こっているのは、日米安保体制と、県民の命と人権と、どっちを大事にするのか。いや、どっちも大事なんだという議論はもう通用しないんですよ。二者択一のところまで、ぎりぎりまで問題は来ているわけです。

 県民のだまし討ちのようにシミュレーターを持ち込んでくる、そして普天間基地でオスプレーが訓練するのは当たり前のような、その上に普天間基地をオスプレー用に改修する、こういうことは絶対に許されないんだということを申し上げて、質問を終わります。

笹木委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 本日の議題となっております防衛大綱及び中期防は、二〇一〇年十二月に閣議決定をされ、既に決定から一年七カ月が経過しております。したがって、二〇一一年度から二〇一五年度までの中期防は、既に対象期間の三分の一が終わっております。私は、国防の基本方針である防衛大綱が、国会における議論もなく、政治による十分なコントロールも欠いたまま中期防の対象期間の三分の一が経過してしまったことを深く憂慮しております。

 そこで、森本大臣に尋ねますが、次回の防衛大綱改定からは、従来の有識者による私的な懇談会の諮問を受けて防衛省が作成をし、閣議決定をするという防衛大綱策定の方式を根本的に改めて、国会における審議を経て決定すべきと考えますが、所見をお聞かせください。

森本国務大臣 国の防衛政策は、常に立法府である国会でいろいろな方面から御審議をいただいているところであります。

 先生の御指摘は大変論理的で、それも一つの考え方であると思いますが、国会で御審議いただくためには、その前に、政府や有識者で十分な審議をし政策としてつくり、国会で御審議をいただくに必要な手続を経て、閣議を通って国会に提出し、初めて国会で議論していただくというものであります。

 国会で平生から防衛政策についていろいろな側面から御審議をいただき、それを政府としては新しい大綱に反映させるというのは、我々として当然の配慮であると思いますが、まず国会で審議をして、その中身を反映させて新しい大綱をつくれというのは、少し、行政府が行う作業と、それを閣議を経て立法府に提出するというこのやり方と、なかなかうまく調和できないのではないかというふうに私は感じます。

照屋委員 渡辺副大臣にお伺いをいたしますが、先ほどから議論があります南西諸島防衛の強化方針との関連で、与那国町への陸上自衛隊沿岸監視警備部隊の常駐配備計画について、二月二十九日付で、沖縄防衛局長が与那国町長宛てに、陸上自衛隊沿岸監視部隊の与那国島への配置についてと題する文書を発出しているようですが、内容を含めて事実関係を説明してください。

渡辺副大臣 防衛省として、沿岸監視部隊の配置等候補地として久部良地区及びインビ岳西側周辺を適地として、これまで住民説明会を行ってきました。つきましては、二十四年度の予算案において用地の取得や一部造成工事に要する経費を計上し、測量調査等の必要な作業を実施していくことになると思います。

 ですので、部隊の配置に必要な用地の具体的範囲等の詳細については今後進めることとしておりますけれども、ぜひとも御協力をお願いしたいということを町長と町議会の議長宛てに二月二十九日に発出をしたところでございます。

照屋委員 要するに、部隊受け入れ表明を促す文書なんでしょうね。

 ところで、沖縄防衛局が与那国島に事務所を設置して職員を常駐させているようです。事務所設置の日付、設置目的、常駐している職員数等について明らかにしてください。

渡辺副大臣 御指摘の沖縄防衛局職員の与那国島への常駐については、ことしの六月十一日から常駐を開始しておりまして、場所は、与那国郵便局近くの元工務店だったところの民間地の一室に、事務所といいますか連絡所を構えました。ここには、常駐する職員は一名ないし二名でございまして、これは沖縄防衛局から平日に行っております。目的としましては、与那国町の関係者等々といろいろな調整を行うという役割を担っております。ちなみに、住まいは、民間の民宿でありますとか旅館に今住んでいるというふうに聞いております。

照屋委員 先ほど共産党の赤嶺委員と大臣とのやりとりの中で、去る七月二十四日、与那国島への自衛隊誘致の賛否を問う住民投票の実施を求める五百八十八人分の署名簿が与那国町選管に提出をされたという問答がありました。同町の有権者数の約半数に達する署名であります。

 この指摘を受けて森本大臣は、住民意思を尊重する旨の発言がございました。そのとおり私も理解をしたいと思いますが、肝心なのは、大臣、住民投票条例が現段階で可決されるのかどうか、これはもちろん不透明でありますが、民主主義に基づく住民の意思表示の機会を無視して、なし崩し的に、強硬に政府が配備手続を進めるべきではない、このように私も思いますし、それが多くの与那国町民の思いであろう、沖縄県民の思いであろうと思いますが、もう一度、大臣の決意と認識をお聞かせください。

森本国務大臣 与那国島に自衛隊の部隊を展開することについては、今先生の御指摘のように、地元の方々の理解と御協力が得られることというのは極めて重要なことだと考えております。今御指摘になった、部隊配置の賛否を問う住民投票の実施を求める動きがあることについても承知をしております。

 いずれにせよ、住民への説明会にも、我が方は精力的にこれを実施して、住民の方々に理解が得られるように努力をしてきたところですし、今後ともこれを続けていく、このプロセスの中で住民の方々の意思を十分に尊重してまいりたい、このように考えております。

照屋委員 大臣、そして副大臣、なぜ私や赤嶺委員が沖縄選出議員としてそのことにこだわるかというと、森本大臣も覚えていらっしゃるでしょう、当時は学者として、名護市における住民投票に係る手続が進む中での事務所設置あるいは職員の常駐、これは、名護市民投票における、当時の那覇防衛施設局の限りなく違法に近い、そういう宣撫工作であったと私は思いますし、当時、物すごい怒りを買いましたよ。それでも当時の那覇防衛施設局は、もうやみくもにやった。

 そのことを受けて、そんな宣撫工作まがいのことを、住民意思を無視するような強引なことはやらないと、渡辺副大臣、あるいは大臣でもいいし、そういう約束はできますか。

渡辺副大臣 常駐される職員が、例えば説明会という形なのか、個々の住民の方からいろいろな情報が欲しいということで説明を求められた場合には積極的に対応をすると思います。

 ただ、そのことで、どうお願いしても、最終的にはこれはもう選挙と一緒でございまして、住民投票がもし行われて判断をするということになれば、これはわかりません、町議会が判断されることです。それは、情報は積極的に提供しますし、知り得る限りのことはお伝えしますが、何か強制力を持って住民の意思を、イエスをノーにしたり、ノーをイエスにしたり、そういうことは現状では難しいであろう、無理であろう、そのように理解しております。

 私たちとしては、誠実に地域との、行政機関との調整や、あるいはさまざまな情報提供をするという意味で常駐をしているということで御理解をいただきたいと思います。

照屋委員 森本大臣、私は、一人の国民として、また在野法曹、弁護士の一人として、自衛官の人権は、自衛官の尊厳は大事にされなければならない、こういう立場であります。したがって、自衛官のいじめによる自殺などがあってはいけない、そういうことで、これまで自衛官のいじめによる自殺事件の裁判にも数多くかかわってまいりました。

 さて、海上自衛隊横須賀基地の護衛艦「たちかぜ」のいじめ自殺訴訟は、去る四月十八日に、本裁判で国側の訟務代理人を務めた三等海佐が東京地裁に提出をした内部告発の陳述書によって新たな局面を迎えております。

 森本防衛大臣は、去る六月十九日の閣議後の会見で、三等海佐の主張の中には、必ずしも正しいとは思えないような内容が含まれている、あるいは、三等海佐の主張というものが、裁判にかかわるいじめがあったということを正しく証明する、きちんと立証した正当性を必ずしも裏づけるものではないもので、この種の証人というのは法的手続の中で恐らく取り上げられない、このような趣旨の発表をしております、記者会見で述べております。私は全文を入手して、見ました。

 この一連の森本大臣の発言は、私は明らかに係属中の事件に対する介入発言だと考えますが、釈明があればお聞かせください。

森本国務大臣 先生御指摘のように、たしか六月十九日、閣議後の記者会見において、私が記者からの質問に対して、裁判が係属しており、個々の具体的なお話をすることは適当でないと断りつつ、その上で、御指摘の「たちかぜ」訴訟における三等海佐の証人尋問の申し出と陳述書が控訴人、つまり原告側から提出されたことに関して、国側からは、当該三等海佐の証人尋問は必要性がなく、却下されるべきであるという意見書が裁判所に提出されており、それを踏まえて私が発言したものだ、このように記憶しております。

照屋委員 森本大臣は、当該三等海佐の陳述書、これは読みましたか。

森本国務大臣 説明を受けただけで、本文は読んでおりません。

照屋委員 なぜ読まないで、そんなことを言うんですか。説明を受けただけでは、訴訟の経緯も詳細に知らない、あるいは、一審、二審で何が争点になっておるのか、それすら正確に把握をしていないで、大臣ともあろうものがそういう発言をするというのは、私は、不謹慎というか、いかな大臣でもやるべきではないと思いますよ。

 説明を受けたのはいつですか。誰から説明を受けましたか。

森本国務大臣 当該事案が海上幕僚監部から上がってきたときに、この問題について、海幕の方から大臣に、この全体の裁判で国がこれまで何を明らかにし、何を明らかにしなかったのかということを含めて、このいじめに関する内部調査メモなどが存在することを説明を受けました。その際、いろいろな今まで国が明らかにしていなかった当該隊員のいじめに関する内部調査のメモの主要な点、七点について説明を受けたということで、今まさに先生がおっしゃったように、本文そのものを見ていませんが、概略はそのとき、海上幕僚監部から大臣に説明があったときに内容を初めて知ったわけでございます。

照屋委員 大臣、六月十八日に東京高裁で口頭弁論がありました。私も弁護人として出廷しましたよ。それを受けて、六月十九日に先ほどの大臣の記者会見があった。そうすると、翌日の六月二十日には、これまで防衛省が、情報公開をしても不存在だ、法廷においても文書はない、廃棄をした、こういうことを言っておった艦内生活実態アンケートの原本など数点が突然見つかった、こう言っておる。裁判所に出しましょうと言う。こんなお粗末なことをしちゃいけませんよ。

 やはり、こういう文書は包み隠さずに出していく。そうすることによって、自衛官のいじめなどをなくして、自衛官の人権と尊厳を守ることができるんです。そのことを強く言っておきたいと思います。

 さて、玄葉大臣にお伺いをいたします。

 米国防総省は、去る七月二十四日、操縦士らに低酸素症と見られる症状が相次いだため飛行を制限していた米空軍のF22ステルス戦闘機を、ふぐあい対策が未完了のまま嘉手納基地に配備することを発表しました。七月二十九日までに既に十機が嘉手納基地に飛来しております。F22配備について、外務省は米側からいかなる通報を受けておるんでしょうか。

玄葉国務大臣 どういう通報を受けているかということでございますが、先週二十五日、在日米軍司令部から外務省に対しまして、米空軍が今月二十八日ごろからF22戦闘機十二機を嘉手納飛行場に暫定的に展開し、それに伴い、約三百名の人員を同飛行場に暫定的に配置する予定との通報がありました。米側の説明によれば、この暫定的な展開は日本の防衛等に関するコミットメントを示すために行われるものであるとのことであり、展開期間は約六カ月間を予定しているということでございました。

 今、照屋先生から低酸素症と見られる症状がいわば操縦士の方々に出ているのではないか、こういう御指摘があったわけでありますけれども、この点につきましては、原因の特定及び再発防止策を講じたということで、このF22の飛行制限措置を徐々に解除していくという発表を行ったというふうに承知をしています。

照屋委員 玄葉大臣、私は、嘉手納基地のフェンスから直線距離で約五キロのうるま市に現に住まっておりますが、あの嘉手納基地の常駐機あるいは外来機からの爆音というのは、基地周辺住民が殺人的爆音と称するぐらい、本当にうるさいんです。私自身が実際に体験して、これはひどい爆音だなと思いますよ。しかも、司法の場で違法だと断罪をされている。そういう中で、F22が強行配備をされる。たとえ暫定であろうと、それがいつの間にか常駐配備に道を開いていくということは過去に何度もあったわけです。そのことを私たちは容認するわけにはいかぬ。そして、F22の配備問題はやはりオスプレー配備と同じ構図だな、こういうふうに思っておりますので、やはり政府としても毅然として対米交渉に臨んでいただきたい、このように思います。

 時間が迫ってまいりましたので、私は、森本防衛大臣にお伺いをいたしますが、オスプレーのローテーション機能について、先ほどからいろいろ議論がありました。聞いておって、森本大臣、学者大臣として、どうも答弁が要領を得ない、酢のコンニャクだのと言い逃れている。

 オートローテーションは、実際にアメリカの兵士でも、実機で試した人はいないでしょう。みんなシミュレーションでやっているわけでしょう。大臣もアメリカへ行ってオスプレーに試乗するようですが、願わくば、シミュレーションじゃなくして、実機で試してごらんなさいよ。これで大丈夫だと言ったらいいんだけれども、試乗したからもう安全ですよ、沖縄県民は受け入れてくださいと言ってもだめなんです。試乗してきたからいいなんという説明じゃだめなんです。

 私は、ある軍事評論家とオートローテーション機能についていろいろ議論をしました。その軍事専門家も、誰一人として、アメリカでも日本の防衛省でも、実機で実際にオートローテーション機能の存在を検証した人はいない、もし検証したのであれば、その人はもう既にあの世へ行っているだろう、こういう話でしたが、どうですか、オートローテーション。

森本国務大臣 オートローテーションというのは、いわば非常の事態にエンジンが二つ同時にとまる、科学技術の蓋然性からいうと大変可能性が低いケースに、しかもなお乗っている乗員の安全を維持するために、たとえ多少の航空機の故障が起きても、故障というのは損失、損害ということですが、中の乗員の安全が維持できるということを目標にして開発されている技術なのであって、これを、先生が今も御指摘のように、実際の飛行機を使って、全てのパイロットに頻繁に訓練をするというふうなことにはなっていない。

 そのために、それを全く実機と同じ体験ができるシステムを、いわゆるシミュレーターのシステムの中に持ち込んで、パイロットがその訓練を受けて練度を確認する、そのことによってオートローテーションと同じ操作ができるように、パイロットにその技術を与えるというシステムになっているんだろうと思います。

 確かに、オートローテーションがあるかないかといいますか、本当に機能するかどうかというのは、飛行の安全を確認するために極めて重要な機能の一つでありますけれども、オートローテーションそのものが、普通のヘリコプターとは違って、こういうチルトローター機のシステムなので、これはその他の飛行機のシステムと同じように論じることができないという難しさはやはりあるんだろうなというふうに思います。

照屋委員 終わります。

笹木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十四分散会


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