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第5号 平成14年3月29日(金曜日)

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平成十四年三月二十九日(金曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      小渕 優子君    奥谷  通君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      小泉 龍司君    小林 興起君
      田中眞紀子君    西川 公也君
      菱田 嘉明君    三ッ林隆志君
      山本 有二君    小林  守君
      五島 正規君    近藤 昭一君
      中山 義活君    田端 正広君
      武山百合子君    藤木 洋子君
      金子 哲夫君    原  陽子君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (防衛施設庁施設部長)  大古 和雄君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局安
   全衛生部長)       播   彰君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           山本 晶三君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           竹歳  誠君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           榎本 晶夫君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          石原 一郎君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十九日
 辞任         補欠選任
  鮫島 宗明君     中山 義活君
同日
 辞任         補欠選任
  中山 義活君     鮫島 宗明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 土壌汚染対策法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、土壌汚染対策法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁施設部長大古和雄君、法務省民事局長房村精一君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長播彰君、農林水産省大臣官房審議官山本晶三君、国土交通省大臣官房審議官竹歳誠君、国土交通省大臣官房審議官榎本晶夫君、環境省環境管理局長西尾哲茂君及び環境省環境管理局水環境部長石原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西野あきら君。
西野委員 自由民主党の西野あきらでございます。
 本委員会では、土壌汚染対策にかかわります法律でございますが、その内容について幾つかお尋ねをいたします前に、今、環境省を中心とする我が国の大きな課題があります。それは地球温暖化の防止の問題であるだろうというふうに思います。
 私はいろいろな機会に申し上げておるんですが、この地球温暖化防止という問題は、日米間の問題で非常に危惧する問題があるんですが、例えば日本の平和を守る安全保障の問題とか、あるいは経済活動をします輸出入の問題等々につきましては、米国を除いてはなかなか論じることはできないというふうに思います。日米間の非常に深いかかわりがあるというふうに思っています。ところが、この環境、地球温暖化防止という問題は、確かに米国は多くのCO2の排出国でもありますだけに、無視することはできないけれども、我が国が主体的に国際社会の中でこの温暖化防止のためにやらなければならないということは、米国のいわば、言い方をかえれば、様子を眺めて、顔色を見て取り組む必要はない、このように私は思うわけであります。
 先進国として我が国の環境問題に取り組む姿勢というものを、ひとつ大臣、以前長官の折に、京都議定書にみずから議長の立場としてお務めいただいた経緯もございます。どうぞひとつ前向きに取り組んでいただきますように。何か情報では、この温暖化の推進に対する法律の一部改正案が近々俎上にのってくるように、そういう動きがあるということも仄聞いたしまして、ある意味では大変心強くも思っておりますが、ひとつ積極的にお取り組みをいただきますことを冒頭に私の方からお願い申し上げておきたいと思います。
 土壌汚染に関する法律案でございますが、これらの関連する法律というのは、過ぐる一九七〇年に農用地の汚染防止対策法というものができまして、自来、一般的に土壌全般に関する対策法としては、文字どおり、それからいたしますともう三十二年を経過しているわけで、三十二年ぶりにして初めて土壌の本格的な対策に取り組もう、こういうことであろうというふうに思っております。
 大臣からも所信のときにお話をされておりました。近年、とみに工場等が用途変更等々を行うことが多うございまして、それに伴ういわば汚染事例というものが非常に顕在化をしてきておる、こういうことであります。それだけに、人の健康、いわば生命にかかわる影響があるわけでございますから、そういうおそれ、懸念があるということから、本法は土壌汚染対策のいわば第一歩としての法律であろうというふうに私は思っておりまして、そういう意味では、御提案をいただきまして高く評価をいたしておるところでございます。
 そこで、大臣にまずお尋ねをいたしたいと思いますが、この土壌汚染問題というのは、大きく分けまして、過去に起こった汚染、それから現在恐らく進行しておるであろう現在の汚染、それから将来にわたってあるいは汚染があるだろう、そういうものに対する予防という、過去、現在、未来といいますか、そういう汚染状況に大きく分けることができると思うんでございますね。その中で、最後の、先々、将来に起こるであろう、あるいは起こるかもしれない汚染予防、言いかえたら汚染の未然防止という点については、水質汚濁防止法やあるいは化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律などが既にありまして、それによっていわば汚染予防については既にそれらの法律で私はカバーをもうされておるというふうに思うんであります。そうであるのかどうかという点につきまして、何かメディア等では、汚染の未然防止というものが今回のこの法律に項目としては載っていない、だから、そういう未然防止の問題が、予防措置が載っていないということは法律としてていをなしていないというような指摘もあるように思いますけれども、その点につきまして、大丈夫であるのか、大臣にまずお尋ねしたいと思います。
大木国務大臣 まず、土壌汚染の問題についてお答えする前に、最初にお話がございました、日米関係はいろいろ大事だ、そして今問題になっております地球温暖化防止の京都議定書あるいは関連法案のお話にちょっとお触れいただきましたので、御報告として申し上げますが、本日閣議におきましても、例の京都議定書、条約としての京都議定書及び関連国内法案の国会提出を決定させていただきましたので、これはいずれ院の方へ出てくると思いますので、ひとつよろしくまた御審議をいただきたいと思います。
 さて、土壌汚染の方に戻りまして、今西野委員からもお話ございましたように、土壌というのは、例えば空気とか水と違いまして、地面の下に大体存在しているものですから、急に危険な状態、汚染状態が起こるというよりは、むしろ空気とか水とかということがだんだんに土壌の方に浸透と申しますか入りまして、そうして汚染状態が生ずるということが多いと思うんですね。ですから、それを予防といいましても、むしろ今の化学物質がどういうふうに土の中に入っていくかとか、あるいは水がどういうふうに浸透していくかというようなこと、そこのところで捕捉しませんと、なかなか捕捉しにくいわけでありますから、今お話もございましたように、水質汚濁防止法あるいは化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律といったようなもので、まずその一歩手前というか、土が汚染される前のところである程度捕捉するといいますか、それはとめるということは一応体制ができておると思うんです。
 もちろん、これからまたひとつその辺の相関関係もよく調べなけりゃいけませんけれども、現在は一応そういった既存の法律によって防止というものが、未然に大体防がれておるということであると思いますので、今のところはその未然に防止ということについての条文というものは今回の法律では定めていない、こういう形になっております。
西野委員 既に未然防止の問題については既存の法律である程度カバーをされている、こういうことに私も理解をさせていただきます。
 ところで、汚染された土壌を浄化する者というのは、汚染原因者あるいは土地所有者であるというふうに思いますが、浄化するときに、実は相当の費用がかかっておるわけなんでございますね。
 ちょっとその例を挙げてみたいと思いますが、私のおります大阪・豊中では、野村不動産がマンション用地として土地を取得したんです。取得したのは、約十億円で購入をしたわけですね。ところが、汚染土壌だということで除去作業をやったんですね。その費用だけで実は四十億円かかっているわけでございますね。土地代より四倍のものがかかっている。
 さらに、また大阪で恐縮ですが、大阪・北区中之島の国立国際美術館建設地があるんですが、これは、元大阪大学理学部の跡地であったわけです。平成十一年に環境基準の最高約百四十倍もあります水銀が検出をされました。この土地は、大阪市が阪大から購入いたしまして、そして近畿整備局が借り受けたということになっています。そこで、そういう汚染物質があるものですから、土砂の運び出し等に、今度は国土交通省がその費用だけで六億三千万も費やしておる、こういうことなんですね。
 この二つの事例を見ましても、この土壌汚染対策は、人体の健康を守るんだという非常に大きな大義があるわけです。これは大事なことだ。一方、その大義をなすために、今申し上げた二つの事例からもおわかりのように、いわば土地所有者あるいは一般的な経済活動に非常に大変な負担を強いることになっているんですね。実質はそういうことなんです。ですから、そういうことがむしろ経済活動に足かせをするといいますか、足を引っ張るといいますか、経済活動への大きな影響がやはり避けられないのかなという心配を私は大変するわけでございますが、このあたり、どのように大臣はお考えでございますか。
大木国務大臣 土地というのは、日本におきましては非常に経済価値も高いし、それから、今おっしゃいましたように、もし仮にその汚染状態がわかったということで、何かそれこそ取り除くとか、あるいは調査するということだけでも相当な費用がかかるわけでございます。
 ですから、その辺のところは、今回の法案の直接の目的は、今先生もおっしゃったように、まさに国民の健康をきちっと守るということですから、その一点にまず集中して、健康被害が生ずるような状況というときには、その原因をつくった人が一番第一義的に、あるいはたまたまそのときに土地を所有していた人、その人に必要な調査に参画してもらうというようなことが出てくるわけですが、確かに非常にコストがかかりますね、これは。調査自体も、これはきちっと正確な調査をしろということになれば相当コストがかかりますし、その結果として処置をすることになればさらにお金がかかるということですから、そこのところはやはり、今申し上げました、とりあえず、国民の健康に非常に影響のあるような事態が生じておる蓋然性が高いという事態のところで調査が始まる、こういう形にいたしませんと、それは、日本じゅうであちこちの土地を掘り返してだとか、調査を全部するということはなかなか現実の問題として難しいと思いますので、あくまでこれはやはり健康ということと結び合わせて、どこまでの調査をするか、処置をするかということになると思います。
 ただ、非常にあちこちでそういう問題が、危険な土地というのが出てきた場合にはきちっと調査をするよということが、今度の法律でもそれが目的になっておりますから、危険な土地についてはきちっと調査をする、あるいは処置をするということが一つの一般的な行為として、あるいは国において、あるいは地方公共団体において行うということになれば、それはまた、きちっと調査した土地だ、あるいは問題があったときにはきちっと調査するんだということによりまして、土地の安全性というものが一般的に、国としても地方でもきちっとそれは見ておるということになれば、やはり土地の安全性というものについての国民の信頼性は増すんではないかということで、それはむしろそういった経済活動にもいい影響もあるんじゃないかということを考えております。
 いずれにいたしましても、非常にかかるということについては、十分にやはり法律の目的と費用とのバランスということを考えながら進めなければならないと考えております。
西野委員 ところで、本法の第三条の有害物質使用特定施設として、既に全国で二万七千カ所ぐらいあるだろう。これらの問題が、用途変更とかあるいは工場廃止をやりますときには、当然調査をさせるわけです。調査をした結果は都道府県に報告がなされるわけでございますね。
 次に、法の第四条では、今話もありましたとおり、健康被害が生ずるおそれがある土地と認めるときは、政令で定める基準によって云々、こうなっておるわけでございますね。具体的に、どういう判断基準の場合は調査の対象となるのか。
 例えば、環境省が、平成十二年に都道府県及び政令指定都市を対象にしまして住民からの苦情による調査を行ったんですね。そうしますと、すべてで四十六件あって、その中で環境基準をオーバーしたもの、これが十八件だった。半分以下なんですね。これは住民の苦情による調査なんですけれども。
 ですから、この判断基準というのは、健康被害を生ずるおそれがあると認めるというのはなかなか、言葉ではそうなんですが、この判断基準は非常に難しいと思うんですが、この辺についてどういう基準になっているんですか。
西尾政府参考人 法案の四条のお尋ねでございますが、この法案四条におきましては、汚染の可能性が高く、また汚染があるとすれば健康被害のおそれがある土地が調査対象ということになります。
 具体的には、周辺で地下水の汚染が発見された土地につきまして、周辺でそういう地下水が飲用等に利用されているような場合が一つ考えられますし、それから、特定有害物質が使用されていたというようなことが明らかな土地で、しかもそこへ一般住民が通常立ち入るような用途に供されるようになるということで、具体的に健康上のリスクが生じるような場合を客観的に考えてこの調査命令をしていく必要がございますので、今挙げましたようなことにつきましてさらに精査の上、政令で基準として定め、適切な調査命令が実施されるようにしてまいりたいというふうに考えております。
西野委員 政令でということでございますので、そこをしっかりひとつ決めていただきたいと思います。
 ところで、最近世の中、非常に嫌な一面があるわけでございます。いわゆる垂れ込みというんですか、内部告発というんですかね、こういう点でいろいろな事案が暴露されているんですね。外務省では、何年か前に起こった国会議員の関与の問題が、今ごろになってメモで外務省の内部から出されて、国会でいろいろ問題が起こった。そうかと思いますと、これまた大阪で申しわけないんですが、雪印食品は、肉の生産地のラベルか何か知りませんが、だまして、偽って別の生産地のものを張った。非常に情けない話であります。
 事この土壌汚染ということになりますと、例えば、これも大阪でございますが、今大阪で一番活気といいますか、大阪で元気のあるのはユニバーサル・スタジオ・ジャパンだけでございまして、実はこの用地から重金属が検出されたんです。この土地は、元住友金属工業の産業廃棄物の処分場だったんです。昭和六十一年に大阪市環境事業局が立入調査を行ったときに、泥状のものが発見をされたんですね。そこで、産廃業者にその除去を委託したわけです。ところが、平成九年になりまして、産廃業者が、どうも住友金属と何らかの同意があったんだろうと思いますが、完全に処理を行っていなかったことが、その処理を請け負った委託業者の内部から告発があったんでございますね。
 こんなことで、本当にこの内部告発というのは嫌なことだなと私は思っているんでございますが、もう一つ例を挙げて申しわけないんですが、東芝の愛知の名古屋分工場で、平成九年に、地下水から環境基準の八百倍のトリクロロエチレンが検出された。これは何と、当時の環境庁にその会社の方から内部告発的な電子メールが届いたんでございますね。それによって環境庁は、これはえらいこっちゃということで、恐らく調査をしたんだろう。それによって汚染の状況が判明をした。残念なことで、こういうケースがあるわけなんです。
 そこで、私は思うんですが、こういう今申し上げた例が、問題が起きるのは、今まで土壌汚染についてのいわゆる一つの法律がなくて、企業側も土地所有者側も、判断基準というのはどうしたらいいのかわからなかった。ですから、汚染的なものがあるんだけれども、これは公表したらいいんだろうか、それとも社内で対応したらいいのかと迷っているうちにメディアに見つかるといいますか漏れて、騒がれて、先ほど申し上げたような問題が起こってくる。ですから、そのことによって特に企業側に非常にダメージを受けるケースが非常に多いんですね。
 ですから、そういう意味では、今回これを、法律で明確になって、政省令でぴしっと決めていただきますと、むしろ企業側にとっては、汚染の除去等々についてどうしたらいいのかということがある程度判断がつくわけですね。そういう意味でプラスになる法案だというふうに私は考えておるんでございますが、環境省としてはどのようにお考えでございますか。
西尾政府参考人 これまでは、土壌汚染対策のルールがないということでございますので、御指摘のような内部告発のようなことも含め、さまざまな契機で土壌汚染が判明いたしました。住民の方々が大変心配されるというようなことで問題化をしてきたわけでございます。
 この法案では、健康へのリスクの高い一定の機会をとらえて確実に調査を行わせる、調査の結果、汚染が判明すれば、対策等をきちんとやらせるということになっておりまして、こういったルールづくりによりまして、一つには対策が適切に実施される、半面では土壌汚染をめぐるトラブルが減少する、そういう効果があらわれるのではないかというふうに考えております。
西野委員 それで、この土壌汚染が判明いたしましても、その汚染原因者がこれだ、この人だということを特定することが非常に難しいといいますか、困難な場合がありますね。
 ちょっと例を挙げてみたいと思います。これは東京でございますけれども、東京都北区神谷町にあります持田製薬事業所の跡地を大京という会社が購入いたしまして、そして大京はマンションを建設することになったんです。
 ところが、大京がその土地を調査いたしましたら、何と基準値の三万倍ものトリクロロエチレンが検出をされた。そこで、大京がびっくりして、こんなところにマンションを建てられへんということで、その契約を白紙に戻して持田製薬に返してしまったわけです。
 そこで、持田製薬は改めて調査したわけなんです。ところが今度は、持田製薬が調査をしましたら、どうも隣の三井金属の方から、関東というのは関東ロームがあるそうでございまして、汚染物質が三井さんの方から持田さんの方に土地の中からしみ出てきているんじゃないか、そう判断をしまして、今度は持田製薬が三井金属側に、平成十三年の八月、調査をしてくださいと申し入れをしたんですね。それからもう半年たっているんでございますが、三井さんの方から何の返事もないんでございます。
 要するに、汚染原因者がわかっているようであるけれども、特定がまだされていないんでございますね。ですから、この汚染者の特定ということにつきましてはどうですか、自信ございますか。
西尾政府参考人 本法におきまして汚染原因者の特定をしていくというのは、これは本法の効果的な実施について非常に重要な事項である、こう思っております。
 具体的には、都道府県知事がこの特定をしていくということになるわけですけれども、これはやはりやっていくことはこつこつとやらなきゃいけません。過去の土地所有者等の関係者からいろいろ聞き取りもしなければいけませんし、土地の履歴調査などもやらなければいけませんし、それから、都道府県知事でかなり情報を持っておるといたしますれば、水質汚濁防止法の届け出といったような、そういう環境上のデータを持っております。そういうものを駆使いたしまして汚染原因者を判断し、適切に汚染の除去等の措置を命ずるということにしておりますので、そのように実施されるように期しておるところでございますし、そういう実施に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
西野委員 ぜひひとつ、特定ができるようにこれは努力すべきだというふうに思っています。
 ところで、汚染物質を調査する場合に、その方法として、いわば簡易な方法で調査をする。そうしますと、意外と汚染の実態を見逃してしまうケースがあるんではないのか。逆に、厳しく精度の高い方法で調査をするということになりますと、先ほど言いましたとおり、非常に経費がかかってしまうんでございますね。
 そこで、ちょっと例を挙げて申し上げたいんでございますが、先ほどの大阪の豊中の野村不動産のマンションの件でございます。
 平成十年十二月に、野村不動産が九階建てで八十四戸のマンション工事に着手をしたんですね。くい打ちをしている段階で、どうも変なにおいがしてきたんです。異臭がしてきた。それ以外に、地中からコンクリートの破片や泥状、泥ですね、そういうものが発見された。産業廃棄物、そういうものが発見をされた。
 そこで、平成十一年の二月、土壌調査をやったんです。何と発がん物質のベンゼンが基準の二百六十倍検出されたんですね。さらにPCBまで出てきた、こういうんですね。しかし、これらの有害物質は地下三メートル以下のところで発見をされておるんで、深いところだから人体には影響がないだろう、こう判断をして、実は工事を続行したんです。
 ところが、平成十一年七月に、これはおかしいというんで、改めて調査をしたんですね。そうしますと、今度は、水、地下水から基準値を超えるベンゼン、ジクロロエタン等が検出をされたんですね。ですから、野村不動産、二回目の調査をしたときには、既にもう工事は建物の八階まで上がっておった。ところが、これはぐあいが悪いということで、八階まで上がっていた工事をストップして解体してしまった。つぶさざるを得なくなってしまったわけですね。
 ですから、もともとがこういう土地は産廃の捨て場であったそうでありまして、現在のところはアスファルトで封じ込めをしておるんでございますが、問題は、現在の所有者ともとの排出者と思われる人が、これは個人なんでございますが、争っているんですよ、裁判をやっているんです。
 ですから、こういうふうなことで、調査というのは、最初は簡単な調査をした。ところが、どうもおかしい。そこで、二、三年たって改めて費用をかけて再調査したら大変なものを発見した。しかしそれは、原因は現在の土地所有者じゃなくて昔の所有者であったというようなことで、そこで今係争中である。
 ですから、この調査というのは、調査の程度によって大きく変わってくるわけですね。ですから、調査をどの程度でいいというふうに指導をされるのか、そこがちょっとよくわかりませんので教えてほしいんです。
西尾政府参考人 今先生御指摘のように、調査を正確にやるということと負担の軽減をするということは、これはなかなか難しいジレンマでございます。しかしながら、この法律では、まずは汚染があるかないかということを迅速に判定していくということが必要でございますので、この調査におきましては、的確な調査を行い得る範囲内でできるだけ簡易な調査方法といたしまして、土地所有者等に過度の負担とならないように配慮したいと思っております。
 そういう観点から、今後、試料の採取方法でありますとか測定の方法でありますとかいうようなものを上手に決めることによりまして、可能な限り汚染を見逃すことのないような方法を、専門家の意見も聞きつつ定めてまいりたいというふうに考えております。
西野委員 ぜひそうしていただきたいというふうに思います。
 ところで、世の中、企業群で大手と中小零細企業の比率というのは、九九%これは中小零細企業なんですね。
 私の住んでいます東大阪というのは、実は中小企業の町でございまして、法人だけでも一万軒を超える中小零細企業が密集しているのでございます。ところが、やはり不安な、不安といいますか、そういう有害物質にどうも汚染しているだろうという事業家も数多くあります。
 こういった中小零細企業者が、この厳しい状況でございますので、もしも廃業とかあるいは転用するというようなことになりますと、この法に基づいて調査の命令もしくは調査の指示があるんだろうと思います。ところが、中小零細業者にはとても、率直に言って、今この景況感で、そんな調査をするだけの資力がないのでございますよ。
 中小零細企業者がもしもそういう除去とか浄化をしなきゃならぬということになりましたら、何か手だて、しかるべく助成とか救済の方法は考えておられるのですか。
西尾政府参考人 事は人の健康被害の防止にかかわる問題でございますので、中小企業に対しても対応をお願いしているわけですが、その対応能力に一定の配慮をしていくということが必要だと思っています。
 まずは、一つは、やはりよく理解をしていただいて納得していただく必要がございますので、国や地方公共団体が指導、助言、情報提供をやっていく、あるいは制度をよく周知していくということは当然でございます。
 第二には、その措置の実施に当たりまして、低利融資でございますとか税制上の軽減措置、あるいは関連機材の貸し付けといったような支援措置に努めてまいりたいというふうに考えております。
西野委員 ところで、台帳の問題をお尋ねしたいのでございますけれども、汚染状態が基準値を超えますと、それを指定区域と定められるのですね。これを公示なさるわけですね。それは、指定区域は都道府県が台帳に登録をしましていつでも閲覧ができるようにする、こういうことなんでございます。
 ところが、都道府県といいましても、県庁は全国四十七の都道府県の一カ所しかないのでございますね。わざわざそこへ行かなくても、土地ということになりますと、法務省の出張所がそれぞれの、まあ村、町まではないでしょうけれども、私の東大阪などだったら三カ所もあるのでございますよ。県庁所在地まで行かなくても、法務局の登記謄本等は、この法務局の出張所でちゃんとあるわけです。
 それは、その土地の登記謄本にも、言うたら土地汚染の履歴が添付されるといいますか、書き込まれておったらそれで用を足すのでございますけれども、そういうふうな、不動産登記謄本に土地の履歴が記載されるような制度、仕組みは、これは難しいのですか。
西尾政府参考人 この法案におきます指定区域の台帳と不動産登記簿との二つの間では、制度の趣旨とか効果等が異なっておりまして、その両者を一元的に記載するというのはなかなか難しいと考えております。
 また、指定区域台帳の閲覧に当たりましては、必要に応じてこういう土壌汚染に対する情報を適切に説明する体制がとられている、そういう積極的な意味合いからも、都道府県がこれを管理していくということは適当であると考えております。
西野委員 しかし、これが一種の縦割り行政ですな。本来なら一本化したらなお便利だと私は思うのでございますが、法務省の所管する、今西尾局長が触れられましたとおり、これは若干我が国の縦割り行政の弊害があるのかなというふうにも思います。
 ところで、指定支援法人は基金を設ける、こういうことなんですね。今回のこれは予算関連でございますが、国が既に四分の一、金額にしましたら一億二千五百万ですかを計上されているのでございますね。それは基金の一部で、平年であれば五億ぐらいになるのだろうと思いますが、この中で一つは、土地所有者が、例えばマンションに住んでいる人が所有者であった。五十軒も百軒もあった。そうすると、マンションは購入することができたけれども、万が一のとき浄化するための負担能力というのは、必ずしも全部があるとは限らない。低い場合もあると思うのです。こういう場合、負担能力の低いというのは、一体どこを指して低いというのか。
 それからもう一つ、この厳しいときですから、産業界も、国の方で法律を決めておいて、経済界もひとつ基金を応援してくださいよと。どうですかね、これは。はいはい、わかりましたといって、産業界、そんなに簡単に理解してくれますか。どうも産業界も、そんな責任は、過去のことは、そんな法律もなかったのだから、過去はそれでよかったんだ、これからはあかんのだ。過去のことは国でやはりある程度負担すべきだと思うのでございます。産業界の基金というのは大丈夫でございますか。二点、お願いします。
西尾政府参考人 基金の助成対象となる負担能力の低い土地所有者というものの考え方でございますが、これは、基本的にはマンションや個人住宅の住民のような方を想定しております。
 負担能力の低いという意味は、一方では、ディベロッパーでありますとか大手の賃貸業者、そういう方々にはみずから負担していただきたいと考えておりますので、その両者の間にどう線引きをするかという具体的な基準につきましては、今後具体的に検討したいと思っております。
 それから、この基金の造成に当たっては、政府以外の者から任意の拠出金の出捐をお願いしておるわけでございます。産業界におきましても、一つのルールづくりをしていく意味、こういう土壌汚染対策制度の必要性については随分理解をいただいていると思いますので、それを円滑に実行する上で必要なこの基金の拠出につきましても、よくよく御説明をし、御理解を得て御協力をいただけないかということで、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
西野委員 ぜひ協力もしてほしいと思いますが、やや難しい点もあるのかと実は心配をいたしております。
 ところで、今日の経済情勢の中で、土地所有という問題について、金融機関等が抵当権を設定した、いよいよその抵当権を実行する羽目になった、そのために一時的に土地所有者となる場合もあるのでございますね。その場合、一時的に土地所有者になった金融機関にも、それじゃ、もしも汚染浄化の必要があった場合は責任が発生するのでしょうか。要は、一時的に土地所有者になった人はどうなるのでしょうか。
西尾政府参考人 この法案の汚染除去等の措置をやる実施主体、義務者には、土地所有者、こういう中には、お金を貸し付けている人とか抵当権者は含まれないということは明確でございます。
 ただ、抵当権の実行により土地所有者となった者は除外できないのかという議論がございますけれども、これは、やはり汚染の除去という観点から、そういう者を一律に除外すべきではないと思っております。
 最後に問題になりますのは、先生御指摘のようなことで、金融機関が抵当権を実行して一時的に土地所有者となっているのであるけれども、今後ほかの方に転売していくという場合でございます。
 こういう場合は、人の健康の保護という法目的が損なわれない範囲で一定の配慮をする余地があると思っておりまして、具体的には、金融機関等が抵当権を実行して一時的に土地所有者となっている場合においては、そのことを確認の上、都道府県知事は、当該金融機関が当該土地を売却した後にこれを取得した所有者に対して汚染の除去等の措置を命ずることとし、その旨を政省令において規定するということを考えております。
西野委員 今もちょっと政省令とおっしゃいましたけれども、本法案には実に政省令にゆだねるところが、数えましたら三十四カ所あるのでございますよ。
 ちょっと例の第三条でいきますと、有害物質使用特定施設については、ちょっと略しまして、都道府県知事から通知を受けたものは、環境省令で定めるところにより、汚染の状況について、環境大臣が指定する者に環境省令で定める方法によって調査させる、環境省令で定めるところにより、都道府県知事の確認を受けたときは、この限りでない。一つの条文の中に、前も後ろも真ん中も、環境省令、環境省令と入っているんですよ。わけがわからぬのですよ。
 これは、詳細はそこで決められると思うのでございますけれども、要は、政省令によって、いわば強くもなるし弱くもなるし、右にも行くし左にも行くし、赤色にもなれば白色にもなる、極端に言えば変わることができる、これ自体、ちょっと法律として未成熟ではないんでしょうか。ちょっとまだ未定のところもかなりあるんじゃないかと私は心配するのでございますが、いかがですか。
西尾政府参考人 本法案におきまして、対策の基本的な考え方については法文に規定しております。
 政省令が多いではないかという御指摘でございますが、これは、技術的事項だとか対象物質とかいうようなものを、できるだけその状況に応じて迅速な対応が必要とされるものでございますので、そういうものに対しまして、しかもまたできるだけ詳細に、よくわかるように規定していくという必要があるために政省令に委任しているところでございまして、今後とも機動的に所要の対応ができるようにしたということでございます。法案の趣旨を達するように、適切に定めてまいりたいというふうに考えております。
西野委員 機動的にひとつ対処できるように、省令等でしっかりとわかりやすく定めていただいて、その基準を決めていただいて、法の実効が上がりますように期待をするところでございますが、最後に大臣に本法律の施行に向けての決意のほどをお示しいただいて、質問を終わりたいと思います。
大木国務大臣 まだなかなか、私自身も、個人として考えますと、もう少し詰めることができないかなという感じは持っておりますけれども、先ほども申し上げましたように、土壌の汚染というのは、いろいろな経過を経てそれから生じる、あるいはだれがそういった汚染の責任者というようなこともなかなか確定しにくいところがあるものですから、これは今もなかなか、もっと政省令、きちっと書けないかというようなお話がありますけれども、それはそれとして、今後の研究課題といたしまして、今は、このでき上がりました法律の中で、できるだけ現実に即した、また国民のニーズに即した行政というものをひとつ進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
西野委員 以上で終わります。
大石委員長 五島正規君。
五島委員 民主党の五島でございます。
 今回、環境省が、これまで水や空気の汚染問題ということについてはやってこられた、土壌の問題については実際上そうした法案がなかったという中で、この土壌の問題にも取り組まれようとしている姿勢については、私は結構なことだというふうに思っておりますが、出されましたこの土壌汚染対策法というものを読ませていただきますと、実は、きのう、環境省の皆さんに質問要綱をお渡ししたんですが、今西野先生のお話を聞いていてびっくりしたんですが、七割から八割ぐらい同じような内容の質問になってしまいます。結局、与野党超えてこの法案に対して非常に問題としているところは一緒なんだなという感じを持っています。そういう意味では、大臣のきょうの御答弁を踏まえて、もう一度、繰り返しになる部分あるかと思いますが、質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、この法案の中においてやはり問題になってくるのは、国民の健康を守るためにというふうに書かれているわけなんですが、過去における汚染、現在汚染が進行しているところ、さらには、このまま続けば将来汚染が進むのではないかというふうな状況というものを考えた場合に、いかにして土壌の汚染を予防するか、この観点がこの法案の中にはございません。
 先ほど局長からの答弁の中で、水質からの汚染というふうな問題があるからというふうにおっしゃいましたが、これは後ほど御質問する内容とも関係してくるわけですが、例えば、都会等において上水道がほとんど普及しています。そうしますと、地下水の汚染というものがなかなか気づかれないという場合はたくさんあります。そして、その地域における地下水がどの程度汚染しているかというのを、現状、この法案においても、日常的にチェックするわけではございません。
 結果において、予防という観点がこの法案の中には入っていないんではないかというふうに思いますが、果たして、土壌の汚染について予防という観点がないということについて、そのままでいいとお考えなのか、不十分だけれども、まだ方法が見つからないんだというふうにお考えなのか、大臣、お答えいただきます。
大木国務大臣 確かに、本法案には、未然防止という言葉としては出てこないわけでありますけれども、先ほどから再々申し上げておりますとおりに、土壌の汚染ということになりますと、今、水との関係もお話ございましたし、そういった汚染されるプロセスというもの、それから現在それに対してだれが責任を持っているんだというようなことなど、いろいろとすぐには確定できないような要素もたくさんあるわけでございますので、とにかく、今はここまでできたところで、現在の法案に基づきまして、法律にしていただければ法律に基づきまして所要の対策は進める、と同時に、そういった対策を進めながら、今後の将来については当然また勉強を進めてまいりたいと思っておりますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
 言葉では未然防止ということはありませんけれども、そういったものは常に意識をしながら、今後未然に防止できるような、本当に実際に合理的な範囲内で措置をできるようなものについては、これから考えていかなきゃいけないと思いますが、今のところ法律に書き込むまでの具体性があるようなものがなかなか形としてきちっと浮かび上がってこないということでございますので、今のお話のとおりに、今後のことについては当然意識しながら、しかし現在は法律に基づいてひとつ最善を尽くしたいと考えておるところでございます。
五島委員 現在のところ具体的になかなか難しいとおっしゃるわけですが、やはりここのところを、予防ということをどのように、未然防止ということをどういうふうに入れていくか。有害物の取り扱いに対する規制を一段と、環境への配慮を含めた規制を強化するというのも一つの方法でしょう。あるいは、ここで問題になってくるのは、過去に汚染が移植された、そういうふうな土地に対してどうするかという問題等々が出てこようかと思います。
 しかし、この問題は後ほどまた質問するといたしまして、もう一つこの法案の中でどうも不明確であるというのは、基本的に環境の汚染に対しては、汚染者負担の原則というものが、いわゆるPPPの原則というものが基本であるというふうに思います。
 ところが、この法案を読んでみますと、汚染土壌の対策の責務というものが第一義的に汚染者にある、そのことが明確にはなっていない。基本的に、土地の所有者の問題とそれから汚染者の責任とというのは重なる場合もあるし、土壌の場合には、かなりの程度において、それは一致しない場合が多い。その点について、PPPの原則というものを明確にしておかないと、汚染者はだれであったのか、どういう経過でその土地が汚染されたのか、その経路の追及ということができなくなって、そのことは結果的に未然防止にもつながってくるのではないか。その辺について、大臣、どのようにお考えでしょうか。
大木国務大臣 考え方として、PPP原則というのは、当然これは基本に流れておると思いますが、現実に、それでは行政の側からどういう施策をとるかということになりますと、汚染の原因をつくった人と現在土地を所有している人との関係もなかなかよくわからない。あるいは、その土地の所有関係もいろいろと動いているというようなことがございますので、思想としてPPP原則を尊重するということは当然でありますけれども、具体的に行政措置でどういうふうに進めるかということになりますと、時には、まずは現在土地を所有している者がひとつ必要な対策をとってもらいたい。そうしませんと、いつまでも現実の汚染状態というものが除去されないということになりますので、これはやはり現実に即して、基本的な考え方はPPPでありますけれども、実際の施策につきましては、土地の所有者にもひとつそれ相応の参加を求めておるというのが考え方でございます。
五島委員 それとも関連するわけですが、第三条のただし書きがございます。この中には、ただし書きの中において、調査についてもしなくてもよいというふうに入っているわけでありますが、なぜ、どういう目的でもってこの第三条のただし書きがついているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
西尾政府参考人 第三条一項ただし書きの規定でございますけれども、これがどういう場合に適用されるかという典型的な場合は、有害物質使用特定施設の使用が廃止された場合ですけれども、そういう施設自体は廃止いたしましたけれども、工場そのものは別の形なりで存続しておりまして、それなりに安全管理がなされているというような場合があるわけでございます。このような場合は、従来、工場がやっていたのと同様、通常は一般住民は立ち至らない、工場として安全管理もされている、そういうことでございますので、その時点では、一般住民の健康被害に直結するものではないわけでございます。
 したがいまして、これが、一般住民が通常立ち入る用途に転用されるという場合に調査を義務づけるということでございますので、さきのような場合は、三条一項ただし書きということで、差し当たり調査をしなくてもいいという扱いにいたしたいと思っております。
 ただしながら、地下水を通じた有害物質の摂取でありますとか、そういうようなことで別途、健康への影響があるのではないか、そういうような場合につきましては、四条で措置の対象になる、そういうふうに考えております。
五島委員 用途が変わらないということで、その土地に対しては、仮に経営者がかわったとしても、従来どおりの作業が続けられていっているからいわゆる対策をとらなくてもいいということであるならば、そういう場合もあり得るかもしれない。
 しかしながら、調査をしないわけですよね。調査をしなくていいわけですね。調査をしないということは、その土壌が汚染されているかどうかを明確にしなくてもいいわけです。いわゆる指定区域にならないわけです。そうしたものがそのまま他の用途に変わっていくというふうなことが、何代か先に変わってきた場合、先ほど御質問の中にもございましたけれども、結果として、その汚染者の責任、汚染者がどうであったのかということが追及できないという結果になってしまうのではないか。
 なぜ調査まで必要がないということになったのかというのは、今の局長の答弁では納得できません。土壌対策をしなくてもいいという問題と、調査もしなくてもいいということと、なぜこの二つが同時に重なってただし書きに書かれているのか、もう一度お伺いします。
西尾政府参考人 本法三条の調査の契機としてとらえますのは、法制的な厳密さで書きます以前のまず最初の発想としては、工場、事業場のようなものがございまして、それは、それなりに管理をされておりまして、一般住民も立ち至らないということで、操業されている間は、健康リスクがそれほど蓋然性として高くないものとして取り扱う。それが廃止されまして、一般住民が立ち至る、住宅になる、商業に使われるというようなときにリスクが高いわけでございますので、そういうときに調査をさせようということでございます。
 そういう施設をつかまえますときに、客観的な標準といたしまして、比較的蓋然性の高い水質汚濁防止法の特定施設というものの対象をとらえたところでございますけれども、この特定施設を廃止しても、現実に、その施設だけは廃止しても工場は別の形で動いているとか、そういうようなことが続いていく場合がございます。
 したがいまして、こういう形態はかなり千差万別でございますので、都道府県知事におきましてきちんと、そういうことでリスクがないかどうかということを確認して、リスクがないときには、ただし書きにおいて、工場が操業しているときと同様の状態として扱うのでいいのではないか、そういう状態でなくなれば当然調査をさせる、こういう構成といたしたわけでございます。
五島委員 この調査命令をかけるのは知事だから、そういうふうな履歴を掌握した上で知事がやればいいということなんでしょうが、それも大変問題があります。
 その問題に入る前にもう一度お伺いするわけですが、PPPの原則がこの法案の中できちっと立っておれば、それは何代か先であったとしても、その責任問題は、どこで汚染がどのように進んできたかという責任の追及は当然あるだろう。そこのところが、この法案の中では非常にあいまいなんですね。あいまいなままで、そうした形で調査もやらないままに工場が変わっていく。そして、一番最後に土地を所有し、それが地目が変更されるとかあるいは別の用途に使われるときに、その所有者がその責任をとるということでは、必ずそこには混乱が起こってくるだろう。そのことは大変問題があるんじゃないか。なぜそこで調査させることを法律で決めないのか。
 今局長は、知事の調査命令ということをおっしゃっていました。調査をしなければいけないと。一方で、法律で決めているのは、そうした汚染をしている可能性がある土地が別な用途に変わるとき、これは調査をしなさいとなっている。そのほかのときは、知事が安全性に問題ありと判断したとき調査命令しなさいと。知事は何をもって安全性に問題ありと判断するのか。
 先ほどの話のように、その地域は井戸水を使っていて、その井戸水から汚染物質が出てくれば調査命令をかける、それはわかる。しかし、例えば東京都内を初めとして、もう日本の場合はほとんど上水道に変わってきている。そうすると、そういう地域において知事が何をもって調査命令をかけるのか、調査命令をかける契機として何を想定しておられるのか、それがこの法律を何ぼ読んでもわからない。では、知事であれば、地域の住民が何か異臭がすると言って騒いだからするのか。それじゃ重金属出てきません。一体何をもって知事は調査命令をかけろというふうに判断するのか。どうなんですか。
西尾政府参考人 四条で調査命令をかける非常に典型的な場合は、先生御指摘のように、地下水のモニタリングで汚染が発見されたような場合だと思っております。
 この法律に地下水のモニタリング自体は書いておりませんが、もともと、水質汚濁防止法におきまして、地下に浸透してはならない、あるいは浸透した場合の浄化命令措置ということがございまして、水質汚濁防止法の事務として、都道府県知事が全国をモニタリングいたしております。そのようなことを前提にいたしまして、そういうモニタリングによりまして汚染が発見されたような場合には、この四条の命令をかけることといたしております。
 そのほかの場合は、これはいろいろなケースがありますので、なかなか特定がしがたいわけでございますが、その工場でありましたとかその履歴によりまして汚染物質を使用していたという可能性が非常に高くて、そういうものをこれから、開放的な用途といいますか、住民等が立ち至るような用途に使うような場面でございますとか、あるいは隣で汚染が発見されて、どう考えても広域的になっているんじゃないかという疑いがあるような場合、そういうような場合には、地下水のモニタリングで発見されましたような場合に準じて、やはり汚染を発見すべく調査命令をかけることが必要だと思っておりますので、そういうような場合も含めまして、健康被害のおそれのある場合ということで、第四条の調査命令の規定を置いたものでございます。
五島委員 現実問題を出して質問しないと、どうもきちっとした答えが返ってこないようですが、例えば高知市内で、環境基準に達しているかどうか、達していないかどうかは私はあえて言いませんが、幾つかの問題点がございました。
 一つは、ある地域の児童公園、そこの児童公園の中において、たまたま調査をしますと、鉛だとか、あるいはそうした、PCBも一部入るわけですが、このPCBはひょっとするとその児童公園の除草のために使ったものかもわかりませんが、鉛その他の重金属は、市内の平均値の数倍という数字が出てまいりました。履歴を調べてみると、これはこの児童公園をつくるときに焼却灰を埋め立てたということで出てきていました。これも決して、通常であれば、知事の調査命令で出てくるような対象にはなりません。
 あるいは、高知市内のある河川がございます。通常、水質調査と言われるけれども、水というのは、非常に希釈されまして、低い数値で出てきます。ところが、農業用水等々の場合には、もうその周辺が都市化してきますと、農業用水使われません。そうしますと、底質、すなわち泥ですね、もとの川の底の、そこのところに、当時使われたいろいろな農薬類、特にPCBやそうした関係の除草剤、塩素系の除草剤が流れ込んだ、あるいはその周辺に埋め立てられたという過去の歴史があって、結果的にその地域においてはダイオキシン濃度が非常に高い。これも有意に高い。それは、たまたまその地域において、都市化する中において農業用水のつけかえということの工事の中でわかってしまう。これも出てきません。そういうふうな場合。
 あるいは、これは今裁判その他で高知県との争いになっておりますが、高知県において、ある小さなビニールの袋をつくっている工場がありました。これは市内のど真ん中です。それが工場移転するということで、県が県営住宅を建てるということで買い取った。そうすると、そこから極めて高濃度のダイオキシンが出てきた。県は、当然これはセメント工場へ持っていって除去作業をしたわけですが、その費用をどうするかということでもめた。
 ところが、どう探してみても、この前の工場がそれほど大量のダイオキシンを出すような工事をやっていない。よく調べてみると、CPCやそういうふうなものも一緒に出てきたということで、さらに調べてみると、それは、工場が設立する前は木材置き場だった。まだその当時は高知市もその地域は中心街ではなかったということで、木材の貯木場であった。木材の防腐剤としてそういうものを大量に使われて、そしてPCBやそういうふうなものに、当時のものは大変ダイオキシンが多数混入しておりましたから、そういうふうなものによっての汚染だったんだろうということになっています。
 これも、何十年という、何十年と言ったらちょっとオーバーですが、十数年にわたってそこで工場が営業されて、その周辺は食堂その他も含めた市街地である。だれも気がついていない。たまたまこれは調査をして見つかりました。だけれども、こんなものは、通常であれば知事が調査命令かけることできないですよ。
 一体、土壌の汚染があるかどうかということの調査命令をかけるということについて、すべて知事に丸投げで、知事が危険と思えば調査をしなさいよ。これは、どういうときに調査せいと言うのかということをもう少しきちっと書いておかないと、これで見れば、これは皆さん方のエクスキューズであって、現実問題としては、そういう工業用地がほかの用途に変えられるときしか調査できないということと一緒ですよ。その辺どうお考えですか。
西尾政府参考人 有害物質で土壌を汚染いたしますいろいろな経路につきまして、すべてを押さえてチェックをしていくということはなかなか難しいことだと思っております。
 特に、今御指摘のダイオキシンの問題につきまして、これは、焼却由来のものにつきましては削減を図っておりますけれども、そればかりでもない、いろいろな起源のものもあるのではないかという御指摘もあります。こういうことにつきましては、さらによく調査をしていかなければいけないと思っております。特にダイオキシンの場合、いろいろな経路を通りますので、総合的な対策が必要だと思っております。
 ただしながら、この法律では、早急に土壌汚染のリスクの高いところについて対策を打つということでございますので、まずやはり基本的には、リスクの高い、工場等を他に転用するような場合を基本にいたしまして、それに加えて、地下水モニタリング等で発見されます場合等々におきます汚染のおそれがある場合の命令をかける、いわばゾーンディフェンスを引いておりますので、そういう範囲のものにつきましては早急に対策を講じていくということがこの法律の主眼であるというふうに御説明させていただきたいと思います。
五島委員 いま一つ、その土壌が汚染している危険性の高いものとして、いわゆる埋立地というのがございます。埋立地全体が汚染しているというわけではないのですが、例えば先ほどの児童公園の例のように焼却灰を持ってきて埋め立てたとか、あるいは、また後ほどお話ししますが、汚染の可能性のある土壌を持ってきてそこへ埋め立てられて、埋立地として公園に使われたり住宅用地に使われるということがあります。その場合に、こうした埋立地に持ってこられる土壌の品質といいますか、これはどうなるんですか。
 この法律では、汚染された土壌によって埋め立てられるということによる汚染の拡大、あるいはそういうもので埋め立てられたところの土壌の汚染の問題というのはどういうふうにするのかというのが出てこない。それはどうお考えですか。
奥谷大臣政務官 本法案は、有害物質を取り扱う工場等が廃止され、その土地が他の用途に用いられる場合、それから地下水のモニタリングにより汚染が懸念される場合などを調査の契機としてとらえまして、土壌汚染により健康リスクを生ずる蓋然性の高い場合を確実に捕捉するということといたしております。
 そこで、汚染が認められた土地の区域については、汚染土壌の搬出を含め、土地の形質の変更の制限が行われることになります。
 なお、こうした措置に加えまして、処分のために搬出された汚染土壌について、廃棄物として取り扱うことに関し、現在、廃棄物・リサイクル制度の一環として検討を行っているところでございます。
五島委員 調査をされて汚染されたところの形質の禁止は書かれているわけです、形状の禁止は。調査される前に汚染土壌によって埋め立てられた場合、どうなりますか。
 例えば、非常に現実的に考えますと、ある工場で汚染物質を扱っている、あるいは重金属等々が出ている可能性がある。その工場が企業として、事業として継続しながらも、その汚染地域と思われるところを形状変更してしまう、調査する前に。その土地をどこかへ持っていって埋め立てたり、別のところの山地を持ってきて原状回復したというふうなことについては、この法律は規制がかかっていないですね。調査する前で、しかも事業としては継続中ですから。そういうことは起こり得ないとお考えなんでしょうか。
 あるいは、先ほども言いましたように、現在は別として過去からの、地方自治体の焼却灰、もうそうした埋立地としての用途が終わった土地、そういうふうなものが森林その他に修復されようとしている。そういうふうな土が持ってこられて埋め立てられる。すなわち、土地が人工的に移動することによって汚染地が生まれてくる、あるいは汚染が拡大する。
 これは皆さんだってよく知っているじゃないですか。例えば、鉱山の残渣を持ってきて、鉱滓を持ってきて埋め立てたから多くの問題が起こりました。六価クロムのがらを持ってきて埋め立てて、いまだに問題になっている。
 だけれども、過去においてそういうふうな埋め立てをしたその土地がどうだったのかということについて、今日的に健康上の被害が起こるおそれがあった場合どうするのか。私は、この法律がそれがないからすべてだめだと言っているわけではない。そうだけれども、土地の汚染という問題、これを防御しようという観点であるならば、そうした問題を考慮するのが当然だろう。その辺はどうお考えでしょうか。
西尾政府参考人 土壌が移動する場合の幾つかの御指摘がございました。
 一つは、まず廃棄物の埋立地というような場合、これは基本的には廃棄物処理法できちんと基準に従って埋め立てていく。それで、それが埋立地としてクローズされるまで、あるいはクローズされた瞬間ということもありましょうが、そういうときに、不適当で生活環境保全上の支障を及ぼすということであれば、廃棄物処理法上の措置をとる、こういうことになろうと思っています。
 そういうものがずっと長いことたって普通の土地のようになった。しかしながら、それは廃棄物処理法に基づいてきちんと埋め立てられて処理をされているのであれば、基本的にはその汚染の蓋然性というのはそれほど高いものではないと思っています。
 ただ、もちろん、その後そこの土地をいじったりというふうなことで、そこに汚染が出るというようなことが発見されますれば、四条の対象になると思っています。
 それから、この調査をやる前に土壌をとっていってしまったようなケースがあるんではないか、そういう逃れるようなケースがあるんではないかという御指摘でございます。
 この法律が、いわば先ほど申し上げましたようにゾーンディフェンスで、土地の上の方でディフェンスをするということでございますので、そういう土壌を受け入れた方は、ある面では、今後、この土壌汚染対策法によりまして調査命令をかけられたりとか措置をしなきゃいけないという危険を負うわけでございますので、そこには一定の歯どめがかかっていると思っております。
 最後に、そういうものをもう捨ててしまうというような場合でございます。
 これにつきましては、先ほど政務官の御答弁にございましたように、廃棄物処理法上の扱いということをはっきりさせようということで、現在、中央環境審議会で審議中でございますので、その中で、別途、適切に結論が出されるものというふうに考えております。
五島委員 現実問題として、今の局長の御答弁、訂正させてもらいますが、焼却灰等はもう随分昔から埋め立ててきた。そして、もう埋め立てが終わっているところもたくさんあります。しかも、焼却灰の中に、安全だろうというのはとんでもない話で、どんな焼却灰であろうとも、やはり焼却灰というのは、少なくとも、何が入っているかといえば、重金属は一般の土地よりも重たい。鉱山の鉱滓とは別ですよ。だけれども、常識的に考えて、重金属がたくさん含まれているというのはこれは常識です。そうした土地が、現実に高知の場合は児童公園に埋め立てに使われているわけですよ。
 廃棄物処理法によって今日ではそうなっているとおっしゃっているけれども、それはいいのです。だけれども、そういうふうな、過去において汚染の可能性のある土を持ってきて埋め立てたところというものが、今その土地の履歴がきちっとわかっているとすれば、それを全部調査するのか。それが知事が調査をするかどうかということについての契機にはなるのかどうか。この法律ではその辺は、何かの契機で知事が思いつけばやってもいいし、知事がまあ大丈夫だろうというふうに考えておったらやらなくてもいい、こうなっている。それで本当にいいのですかということを申し上げているわけでございます。
 あわせて、時間の関係もございますから、関連した問題でもう一点お聞きしたいのですが、例えば、具体的に普天間、我が国としては早いこと沖縄において返還をしてもらいたいと願っています。そうした米軍の基地あるいは自衛隊の基地等々がその用途が変わった場合。米軍の基地を自衛隊が引き継いで基地として使うということであれば、それはまた別なんです。しかし、その用途が変わって、仮にそれが日本の土地になって、いろいろな生産用地に使われたりあるいは住宅用地に供されたりする場合に、その場合に、この基地の跡地についての調査あるいは土地の改良というのは、これはどう読んでも、基地は企業じゃありませんので、この法律の中では入ってこない。
 それは、土ということについて言うならば、基地の用地であったとしても、基地の用途が終わった場合にやはりきちっと調査をする。そして、そこで汚染があるとすれば、これは当然、自衛隊の基地であれば国でしょうし、まあどちらも国ですね。外国との関係がありますので、外交上の問題はよくわかります。しかし、少なくても、これは都道府県の責任ではなくて、防衛施設庁になるのかどこになるのか、それはまた別の議論としても、国の責任において土地の調査とそれから改善をする必要があるんだろうと思っておりますが、それはこの法案の中には意識しておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
大木国務大臣 今回の法案に直接、米軍の土地について細かく書いてはいないのですけれども、駐留軍が使用しておりました土地が返還されて、そしてその後で汚染というようなことが、これは駐留軍が使用したことによってそういった汚染が発見されたということになれば、これは当然、その土地の所有者と国との間の賃貸借契約がございますから、それに基づきまして原状回復義務というようなことが国として出てくるわけでございますから、契約に基づいて原状回復をする、こういうことになるかと思います。
 また、自衛隊の場合にも、これはまた当然、自衛隊、通常の場合には国が持っているわけですから、これは国として必要な措置が、要するに汚染除去の必要があるということになれば、当然国として措置をとることになると思います。
五島委員 今大臣お答えのように、基地としての用途が終わった場合には、調査をしてそして原状回復をやっていくと。それについて使用者のいわゆるPPPの原則を通すかどうかという問題は、国と国との話であるということでよろしゅうございますね。
 それからもう一つ、今申し上げました土地の形状の変更等々の問題とも絡むわけでございますが、基本的に土壌の汚染というのは、水や空気と違いまして、均質にすべてが汚染されているということはないわけでございます。一定の面積をとってみれば、サンプリングの場所によって、物質によって違いますが、基本的に、重金属をとってみても有機溶剤をとってみても、あるいはダイオキシン類等をとってみても、一つの狭い、例えば三千平米ぐらいの土地であっても、そこが均質に汚染されているということはあり得ない。だから、何カ所かのサンプリングの上、調査をします。この調査の費用は、これも先ほど西野議員が指摘しておられましたが、やはり結構高い。だんだん安くなってきましたけれども、高い費用がかかります。
 通常、これはメッシュ方法で調査をするんだろうと思います。何カ所かを調査するというやり方ですが、このメッシュ方法というのは、私なんかも、実は私は医者でございまして、衛生学が専門ですから、いろいろな疫学調査の中で採用します。メッシュ方法の最大の欠点は、どういう区域をどういうふうに調査するかによって結果が変わっていく。
 例えば、仮に一万平米ある土地を一カ所全部まとめてやる場合、それから、その中である土地だけを区切っていって、そしてそこでメッシュ方法で何カ所かやる場合、少々チェック場所がふえたとしても、土地ですからそこで自由にその表面を、所有権を変更する場合に変えられる。変えて調査する場合には結果が必ず変わってきます。したがいまして、実は、この調査方法云々というのについては、今環境省も随分とサンプリング方法等々の技術について熱心にやっておられるわけですが、一番大事な問題はサンプリング方法だろうと思っています。このサンプリング方法を一体どういうふうに考えておられるのか。
 何分、土地が汚染された、汚染されていますよとなれば、これは明らかに経済に大きな影響がある。自分の持っている土地を売ろうと思った。しかし、さっきのように、これを売るにしても、その対策をとるために何十億かの金がかかりますよとなれば、それだけ土地の価値は下がってしまうわけです。そうであれば、それを比較的ましなところから変えていって、そして、そこのところから変えていくというふうなやり方をされますと違ってくる。だからその辺を、どういうふうな形でサンプリングをされるのか、どの程度の密度でされるのかによっても違ってくる。お伺いしたいと思います。
西尾政府参考人 環境省におきましては、特に地下水汚染対策というようなことに力を入れるということになりましてから、土壌汚染対策、地下水汚染対策の指針というようなものもつくり、その中で調査の方法なども書き込み、さらに、そういうものの技術の発展を図るという努力をしてきたわけでございます。
 ただしながら、先生御指摘のように、やはり採取ということになりますと、例えば百平米に一つとかいうような形でメッシュを切っていって採取点を決める。それから、これは調査にもお金がかかりますから、やはり非常に心配なところに詳しくやるというようなことができるような方法も講じるというようなことで今の指針ができていると思います。したがいまして、それをこの調査の方法として定めていきます場合に、そういう技術的に正しいものであるとともに、それが可能な限り汚染を見逃すことのない、恣意的な採取にならないようにする必要があります。
 ただしながら、今までの指針というのは、どちらかといいますと技術的なことを一生懸命考えてきたということでございますが、今度は法制度としてそういう調査を義務づけるわけでございますので、要は、メッシュの切り方でございますとか、どこからそれを数えていくかでありますとかいうような事柄については、できるだけ恣意的にならないで、一定の科学的調査方法となる、それで制度としても公平になるというようなことにつきましては、さらにちょっと詳しい検討をする必要があると思っております。
 これにつきましては、今後とも専門家の意見も聞きながら、法制度という面も含めて、詳しく規定していく方法を工夫してまいりたいというふうに考えております。
五島委員 これから工夫されるとおっしゃるのですが、現状のままでこの法案が通った場合には、非常な不公平が起こってくる危険性があります。
 過去の太平洋ベルト地帯を中心とした工場地帯、さまざまな用途が変わってきています。その工場の中においてどういう建物がつくられ、どういう工程があったのかということを全部把握しておれば、それに応じた調査のやり方もある。しかし、代がかわってくるとそれがない。そうした場合に、先ほど調査というのは金がかかるという話をしましたが、例えば一番金がかかるであろうダイオキシンにしても、最近は、サンプリング調査でやるとすれば、一件当たり数千円ぐらいでやれぬことはない。もちろん精密じゃないですよ。サンプリングですよ、スクリーニングテスト。スクリーニングテストをやるのであれば簡単にできる。
 ちょっと頭の回った人であって、自分の土地を坪百万で売るか、それとも坪三十万で売るかとなった場合に、サンプリングテストを大体やってみて、やばそうなところをどういうふうに切るかということによって土地の形状を、工程だけではなくて、土地の分割をしてしまい、さらに、汚れているところについては、まだ調査をしていないわけですから汚染土壌とは言えない、そこに建物を建て直した、基礎を掘るために土をとった、その土を廃土として処理したということで通ってしまうわけです。ということによって汚染地域をごまかしてしまうということだって、現実的には考えられるわけです。
 そういうことになったのでは、結果的に汚染の拡大になってしまう。だから、そこのところについてもう少しきちっと整理していかないと、確かに、土地の汚染という問題に環境省が取り組まれることについては賛意を送りたいと思います。しかし、結果において、余りにもこれは問題点があって、下手をすると汚染の拡大にならないかなという心配を持たざるを得ません。
 その点について、最後に大臣にお伺いしたいのですが、そうした問題を考える、そして先ほどのお話にもございましたが、時間がないせいかどうか知らぬけれども、余りにも政令事項にゆだね過ぎですよ。そうした重要な問題がほとんど明確にならないままに政令に任されている。しかも、見直しが十年間。この大変な時代の中で十年間、こうした下手をすると非常に不公平な、あるいは大変な問題が起こるかもわからない、そういう危険性を持った法案が残っていくということに対して、問題があるのじゃないか。やはり見直し期間をもっと短くしていくというふうなことについてもぜひお願いしたいと思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
大木国務大臣 確かに、いろいろとこの法案がまだ、ある意味では、私は正直言って未完成だと思います。
 先ほどから御批判をいただいております、政令、省令でいずれ決めるのだというようなことでは困るじゃないかという御批判はあるのですが、逆に言えば、事ほどさように、まだ現状がなかなか正確に把握できないので、今のところはそういった形にしておいて、これからできるだけいろいろな知見も集めまして、経験も集めましてやってまいりたいということで、御存じのとおりに、環境関係のいろいろな法案も十年ぐらいの有効期間というのが幾つかあるわけでございますので、もちろん実際に、その実施の過程におきまして、政令、省令はもちろんでありますし、法律の文章自体は改めなくても、現実に行政としてできることはいろいろとやってまいりたいと思いますので、とりあえずはひとつ十年でやらせていただきたいというふうに考えております。
五島委員 先ほどの議論の中でもございましたが、私はぜひ、せめてあわせて、埋立地と言われているところ、そこの履歴がわかるものについては、これについての調査は、ぜひ今回の法律の中でも踏み込めるように御努力をお願いしたい。そのことを申し上げまして、終わらせていただきます。
大石委員長 奥田建君。
奥田委員 民主党の奥田でございます。
 五島議員に続きまして質疑を続けさせていただきたいと思います。
 土壌汚染対策の法案、進んだ欧米から比べれば十五年ぐらいのおくれ、ただ、先進国の中でも今から手をつけているというところもあるのも事実かと思います。
 そして、一応、検討会や省庁の記録を見ますと、平成十二年の十二月十九日から始まりました、ダイオキシンとかそういった個別のものは別にしまして、土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会、これが十三年の九月二十一日まで九回にわたって開かれている。これが一つの今回の法案の基礎となっているものかと思います。そして、九月に中間取りまとめをした。その後、十四年一月に答申といった形でまとまっておるわけでございます。
 私も、こういう動きが、一年少しの中でこの法案提出までこぎつけたということが、迅速な動きと言えばいいのか拙速な法案と言えばいいのか迷っておったんですけれども、西野議員のお話などを聞いておりましても、確かに読んでもわかりにくい部分が大変多くある。それは、西野議員も指摘したように、三十四カ所にも上る政省令の中で、そちらに定めるといった中で、一番大切なところがぼんやりとしたまま見えないといったことにあるのかと思います。私も、まず第一に、この法案が今までの公害あるいは環境関係の法案と違ってきたのは、やはり一番大事な汚染者負担の原則、PPP原則というものをないがしろにしているのではないか、この点を強く指摘したいと思っております。
 この法案と前後しまして、ちょうどことしの一月にOECDの環境保全成果レビューの勧告といったものも出されております。すべては読みませんけれども、その中で、日本の環境政策に対して指摘されたことを幾つか御紹介させていただきたいと思います。
 汚染者負担及び使用者負担原則の不完全さ、今言いましたPPP原則が不完全であるということ。土壌汚染管理に関する法的体制の不備と責任の所在の不明確さ、これは今回の法案提出という形で半分はクリアしておるかと思います。そして、環境政策全体に対して、政策決定を行う際には、選択肢の経済的分析に一層の配慮がなされるべきである。そして、環境と経済の両面における有効性及び汚染者負担の原則との整合性を評価することにより、環境政策の実施のために用いられている財政支援措置を再検討すること。これはレビューのほんの一部でございますけれども、今回の法案にそういったことがしっかりと反映されているのかということを指摘したいと思います。
 責任の所在につきましては、さきの議員から御質問もございました。今言いました汚染者負担の原則、そして土地所有者らという言い方で、調査あるいは措置といったところに命令を受けるといったことが多く出てきていますけれども、汚染者負担、そして潜在的責任者といいますか、昔の環境用語ではPRPsと言うらしいですけれども、土地所有者であるとか、そういった二次的な責任者の管理責任といったものとははっきりと区別して、責任の順位づけというものをはっきりと行わなければ、この法案は大変な混乱を招く法案になるのではないかと思っております。
 まず第一に質問をしたいと思います。ちょっと通告にはないですけれども、西尾局長の方にお伺いしたいと思います。
 この法案が通りましたら、まず九カ月以内に施行するということになっております。これだけ多くの基準といいますか政令、省令を確実にして、そしてまた周知期間を設けるということになっております。少なくとも、政令、省令を定めるタイムスケジュール、そして周知期間として見ているスケジュール、そういったタイムスケジュールを簡単にお伺いしたいと思います。
西尾政府参考人 この法律の施行でございますけれども、九カ月以内で政令で定める日ということでございますが、やはりできるだけ早くルール化をしていくということで考えますれば、来年、十五年の初頭にも施行ができればいいなというふうに考えております。
 そこから考えますと、周知期間もとらなければいけませんということに相なりますので、やはり秋口ぐらいには政省令のドラフティングをいたしまして、これは、こういう規制にかかわるものでございますから、パブリックコメントといったような手続もいたしまして決めたいというふうに思っております。
奥田委員 今まで御指摘がありました点なども踏まえて、私たちも、一つは修正などの提案もしていきたいと思いますし、また、この法案が院の議会の方をもし通過したとしても、そういった政令が定まったときには質問の機会などを設けていきたいというふうに思っております。
 各方面からもいろいろな指摘がございます。まず、OECDの指摘にもありましたけれども、環境と経済面。今、日本の現状、こういった土地問題、土地の汚染問題が多く顕在化してきている中で、経済状況、産業の空洞化、そして大規模工業用地などが空き地、空地となる、そういったことがあるかと思います。そして今、不良債権処理といったものが大きく進められている。そういった中で、この法案がその流れをとめてしまうのではないかという御指摘もございます。
 大臣に、この法案が、経済といいますか土地取引やあるいは個人の財産権、資産価値にもかかわってくることでもございます。あるいは、先ほど指摘がありましたけれども、抵当権とかそういった金融の方にもかかわってくる問題でございます。いろいろなことでプラスとマイナスの要因があるかと思いますけれども、この法案と経済的な影響といったものについてお話を伺いたいと思います。
大木国務大臣 この法案の直接の目的は、やはり国民の健康を守るというところにあると思いますけれども、その対象が土壌といいますか土地という、非常にまたある意味では日本の経済で大きな地位を持っておる土地というのが対象になりますから、その扱いというのはいろいろな意味で経済的な意味が出てくると思います。
 今お話ございましたように、一つは、土地を取引する場合に、その土地についてどういった今の環境問題が出てくるかということですから、それは、それに対してどういう対応を国としてあるいは地方の自治体でするということが、ある程度の骨格を示すということが、やはり私は、土地の取引をきちっと整理をする、言うなれば、法律としては法的安定性をある程度維持するために骨格を示したということであると思います。
 それですから、これに基づきまして、現実にいろいろとこれから調査とかあるいは処理とかいうことが出てくるわけでございますが、そういったものも、どういった範囲でどういうふうに行われるということがある程度関係者の間に常識になってくれば、それはそれで一つそれが基盤になりまして、土地の取引についてもある程度の常識がそれだけ浸透するということであろうと思いますから、それが取引を阻害するというよりは、むしろある意味においてはそういった取引を安定させるものではないかというふうに期待しております。
奥田委員 環境局長の方にお伺いしたいと思います。
 先ほど、銀行の抵当権行使のときには、一時的な所有者、短期的な所有者とみなして、一つの調査免除措置を設ける、あるいは措置の免除措置を設けるというお話があったかと思います。
 私は、そういう一時的所有者、短期的所有者かどうかを県知事の判断に任せるということは、裁量行政の中で大変不均等な裁量を生み出す要素にもなるかと思います。
 例えば、もし抵当権が行使されてなったものであれば、それが短期か長期か。もし同じ銀行にしたって、何年も寝かせるかもしれない。こうなったときに、最初に聞かれたときには、これは短期的な物件ですと言えば、それで終わってしまう。そういうことではなくて、例えば一年後には再通告する、二年後には再通告する、そういった中で、その中に土地の所有権の移動がなければ調査あるいは措置の命令をする、そういった再確認の時期、そういったものをお考えであるかどうか、局長にお伺いしたいと思います。
西尾政府参考人 現在、一定の配慮を払うべきであるという考えは、基本的には、一時的な所有者で、後の所有者が本格的な措置を講ずるということが確保されるのであれば健康の保護に欠けるところがない、そういう面から、一時的な所有者というものにつきましての配慮をいたそうと思っております。
 したがいまして、その配慮の仕方でございますが、御指摘のように、裁量で区々となるということでは不適当だと思っておりますので、何らかの期間を導入するとか、要するにこの期間であればそういうふうに見るのである、短期というのはどのぐらいの期間で、この期間であれば一時的と見るのであるとか、あるいはどういうような条件を示した場合は一時的な所有者で見るのであるとかいうことにつきましては、さらに詳細に詰めまして、できるだけ外形的に判別できるような基準を決めていくということで取り組みたいというふうに考えております。
奥田委員 アメリカの方などは大変訴訟が多い世界でもございます。私は反対に、土地の潜在リスク、それは一時的所有者であろうが最終的なといいますか長期的所有者であろうが、土地の潜在リスクがあるから特定物質の指定施設であって、そういった施設は調査すればいい。調査の開始がおくれたりとか、そういうことはあるかもしれないけれども、その土地の土壌の危険性を確認するのがこの法案の趣旨なのですから、調査にかかった費用は最終的な土地所有者からいただく、あるいはその土地の価格、所有者の価格自身から引いてしまう、そういったことがあってもいいのではないかと思います。
 また、いろいろな形で、地方自治体の方でもこういった土壌汚染の関係条例といったものは多くつくられております。公害や環境保全といった形の関連法案として出ており、ほとんどは水質汚濁防止法につながっての、それを拡大したような条例になっているかと思います。
 東京都の土壌汚染に関する条例も最近新聞紙上などで紹介されておりますけれども、私は、今回の政府の出した法案の目的に書かれてはいるけれども、欠落しているんじゃないかという部分があります。それは、汚染の状況を調査することを、状況の把握ということを目的の一つとして出しているのにかかわらず、そういった汚染状況というものの調査、把握といったことに少し行動が足りないんじゃないかというふうに思っております。
 例えば東京都の土壌汚染に関する条例でも、土地履歴調査あるいは事業所の化学物質の現在の使用状況、そういったものを力点を入れて条例に書かれておる。あるいは、有害物質の取扱事業所かどうかということにかかわらず、三千平米以上の土地の形質の変更をするときには届け出を必要とする、何かあれば、形質変更あるいは場外への土壌の持ち出しに対して制限をしていく、そういったことを書いております。そのくらいのことは、私は全国一律にやってもいいんではないかというふうに思っております。
 各地方自治体の条例を見て、環境局長の所見といったものをお伺いしたいと思います。
西尾政府参考人 環境省といたしましてこの法案で提案しておりますものは、全国共通のルールを提案しておるものでございますので、もとより各地方公共団体が地域の自然的、社会的条件に応じてその地域の環境保全のために工夫をしていくということは当然だと思っております。
 地域によりまして、非常に稠密な活動が行われているとか、あるいはいろいろな事案があったというようなことにかんがみていろいろな工夫をされるということは、それは自治体のそれぞれの判断であろうと思っておりますので、私どものこの全国に対しましてのルールづくりという制度と自治体それぞれの取り組みというようなものが、それなりの連携あるいはバランスをとりまして、全体として土壌汚染対策の効果を発揮するということが望ましいというふうに考えております。
奥田委員 東京都の条例の例を出させていただきました。
 東京都の個別の事例を挙げさせていただきますけれども、東京都には有名な築地市場がございます。そしてこの市場が、もうかれこれ二十年ぐらいになるんでしょうか、移転の計画の話がずっとございまして、今、都の方の整備計画という中で、豊洲という東京湾の一つの埠頭の地域が候補地となっております。ただ、四十ヘクタール以上という広い地面ではありますけれども、前は石炭からガスを生成していたというような履歴を持った土地でございますし、また当然のこと、三十年代に埋立地として完成した土地履歴を持っておるわけでございます。
 その中で、土壌汚染というものが判明した。これ自体は企業の一つの情報公開ということで評価してもいいのかもしれませんけれども、その内容が、ちょっと私自身はまゆをしかめるような内容でございます。
 例えば砒素、これが環境基準でリッター当たり〇・〇一ミリグラムというものが〇・四九ミリグラムということで、砒素は四十九倍。あるいはシアン、これは検出されないことというものでございますけれども、四十九ミリグラム。そしてベンゼン、これも土壌環境基準の一千五百倍、こういった数字が出ております。
 ただ私どもは、専門家でなければ、環境基準があっても、これの千倍だとか百倍だ、一万倍だといったって、そこに入っちゃいけないのか、そこで作業しているだけでも危ないのか、そういったことがよく認識できない。化学物質の数値というのはそういった怖さもございます。その資料も環境省の方にお渡ししてありますので、そういった調査結果を見て、その土地というものがどういう土地なのか、少し数字を言葉に変えてわかりやすく説明していただきたいと思いますけれども、局長、よろしくお願いいたします。局長じゃないのかな。
石原政府参考人 東京ガスの豊洲用地につきまして、東京ガスの方で平成十年七月から十一年十月にかけまして調査を実施したところでございます。その調査結果につきましては、先ほど先生の方からお話がございましたように、砒素については、〇・〇一の環境基準に対して〇・四九ミリグラムといったような数字でのものが検出されております。鉛、砒素、水銀、六価クロム、シアンにつきましても、いずれも環境基準値を超えておるところでございます。
 ただ、倍率そのものをもちましてどれだけ危険かということにつきましては、一概には言えないと思っております。土地の利用あるいは人の摂取ぐあいによっておのおの違うんであろうと思っております。
 ただ、環境基準を超えているということにつきましては、改善を図ることが望ましいということは当然のことでございますので、そういう形での対応が望ましいというふうには考えております。
奥田委員 利用と摂取の形によって違うというお話がございました。
 皆さん御存じのとおり、築地自身は、大体日本の水産市場の二〇%近くを扱う、日本の台所と言ってもいい生鮮市場でもございます。今一番日本で注目を浴びていることといえば、やはり食の安全というものに大変な信頼を失っていて、食の安全というものに多くの国民が関心を持って、そして自分の意見を持っている。こういったところに、市場の候補地となっているところで、とんでもないという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、高い基準の土壌汚染がある。
 東京都の方は、企業の方も浄化対策をしているということで、浄化対策の結果で、候補地ではあるけれども、土壌環境基準をクリアすれば、また現実の候補地として購入とかそういったことを考えるというふうなことを言っております。
 今の技術の中で、こういった土壌汚染、例えばシアンなんか完全にクリアしなさい、そういったことが現実に可能と考えるかどうか、環境省の方の見解をお伺いしたいと思います。
石原政府参考人 御指摘の土地につきましては、現在、東京ガスが、十三年の二月、昨年の二月から十九年三月にかけての計画で、浄化あるいは土壌の処理を進めているところでございます。
 この処理につきましては、環境省の方で、こういう土壌・地下水汚染に係る調査、対策につきましては指針をつくっております。また、その運用基準というものもつくっております。また、それを受けまして、東京都の方も土壌汚染対策指針ということで策定しておりまして、それに基づいての汚染土壌の処理等の対策が進められておりますので、適切な処置がとられるものであろうというふうに考えております。
奥田委員 私も直接企業の方からお話を伺っているわけではございませんので、この辺はこれから先は少し不確かなことになるかもしれません。ただ、四十ヘクタールのうち、それはまだ現在の計画なのかもしれません。これだけ大きな土壌浄化事業であれば、それもきちんと都の方とか計画書を出して行っていることと思います。
 ただ、現在やっているのは、その四十ヘクタールのうち、建物が建つと思われる、建物を計画すると思われる部分の浄化をやっているだけであって、全体を浄化しているわけではない。あるいは、汚染の激しい土壌については、固化といいますか不溶化、成分が溶け出さないような処理をして場外へ持ち出している。そのほかにも場外処理はたくさんしております。
 あるいは、そんな危険土壌といいますか、高濃度汚染土壌の場外処理施設というのを私は見たことがございませんし、そういったものを環境省もしっかりと把握してほしいと思います。
 あるいは、その高濃度汚染土をどこまで持っていくか。秋田、秋田といえば、昔、鉱毒事件がたくさんあったところですけれども、そういった秋田の何か鉱山施設か、そういったところの方へ持っていっているようである。
 この法案でもう一つ言いたい拡散防止の措置といったこともございますけれども、今こういったところで汚染土壌が場外に、あるいは遠く離れたところまで搬出されている、こういった事実は御存じでしょうか。あるいは、こういったことは法規の上で、汚染土壌を扱う上で、どういった法規のもとに規制されておるのか、お話を伺いたいと思います。
石原政府参考人 汚染土壌の移動の件でございます。
 汚染が判明したということで、例えば本制度でいいますと指定区域ということになろうかと思います。そういうところからの処分のための搬出される土壌につきましては、本法案では、汚染の除去等の措置、あるいは土地の形質の変更制限に係る基準において規制することとしております。
 現在におきます土壌の移動そのものにつきましては、今回の法案におきましても、今回の法案は、そういういわばゾーンディフェンスということでのことでございまして、搬出土壌の有効な利用及び適正な処理に関する課題として別途検討するものと考えております。
 ただ、現状におきまして、そういう汚染されたものにつきましては、搬出先のところで浄化してもとへ戻すですとか、そういう形での措置がとられる、あるいは、行った先での浄化措置あるいはそこでの支障がないような処理がされているというふうに理解しております。
奥田委員 私自身は、この一つの現場、あるいはこれからできようとしている法案においても、浄化も当然最終目的ではございますけれども、一番最初にやるべきこととして拡散防止の措置、あるいはそれは隔離といった方法でもいいかと思います。そういった、費用とかそういったものが少なくてすぐできる措置といったものをまずやって、それから対策をしっかりと練るという形にならなければ、実効性が出ないのではないかと思っています。
 農水省の方にも来ていただいております。こういった市場あるいは食の安全といったことに関する監督官庁としまして、ただいまの豊洲候補地と言えばいいのでしょうか、そちらの候補地が市場の立地条件としてどういうものであるか、見解を伺いたいと思います。
山本政府参考人 御説明申し上げます。
 ただいまお尋ねのございました豊洲の関係でございますが、東京都につきましては、都の第七次卸売市場整備計画を昨年の十二月二十五日に公表いたしまして、この中で築地市場の豊洲地区への移転を位置づけまして、現在その具体化に向けまして関係者との話し合いを進めていると承知しております。
 また、御指摘の土壌の問題につきましても、先ほど環境省の方から御答弁がございましたように、東京都の指導に基づきまして、現在、土地の所有者でございます東京ガスが浄化作業を進めていると聞いております。
 私どもといたしましては、この問題、この移転につきまして、築地市場の開設者でございます東京都と関係者の方々の議論が現在行われているところでございますので、その状況を注視してまいりたいと思っておりますし、よくその状況を見守ってまいりたい、このように考えております。
奥田委員 ここに限らず、いろいろな臨海地域の工業地帯、そこに広大な地面がある。再開発や再利用あるいは大型プロジェクトといったものにその大きな地面を使いたい、有効活用したい、それはみんな同じ思いだと思います。
 しかしながら、潜在的なリスクが非常に高い地域でもある。それをどういう目的に使うか、その目的を間違えたら大変なことが起こり得る可能性を持っている。そのことをしっかりと、これは東京都の事業かもしれませんけれども、大きな事業でもありますし、全国民に関係することでもあると思います。環境省あるいは農水省のしっかりとしたデータ収集あるいは分析、こういったものをもって、時には意見を言い、最後にはやはり環境調査といったものも含めてぜひ実施していただきたいということをこの場をかりてお願いしたいと思います。
 そして、今言いました用途変更、あるいは昔、昔ではない、現在もありますけれども、都市計画の中で用途地域指定といったものがございます。住環境にいいところか、あるいは生産農地としてふさわしい場所か、あるいは工業用地としていい場所か、その間の部分もあります。こういった用途地域指定が、規制緩和という言葉の流れの中で、だんだんと外されていったりしております。それ自身は悪いことではないのかもしれません。
 しかしながら、今言いましたように、極端に、石炭をガスに変えていたところと生鮮食品を扱うところがマッチするようなことにはなり得るのか。用途地域の変更あるいは一つの用地の用途変更、そういったものに関して、国土交通省としましては、都市計画あるいは土地利用といった点で、どういった指導を地方自治体に行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
榎本政府参考人 都市計画の用途地域の指定変更につきましては、地方公共団体が行うこととしておりますけれども、特に住居系の用途などに指定変更いたします際には、良好な住居の環境の形成等に配慮するということが望ましい旨を地方公共団体に対しまして、都市計画の運用指針によりまして助言をいたしているところでございます。
 したがいまして、土壌の影響が生じ得るような土地につきまして、基本的に住宅地としていくことは望ましくないというふうに考えております。
奥田委員 豊洲の件につきましてはこれで終わりますけれども、今大臣も、知識としてはなくても不思議ではないことではございます。今の御答弁などを聞きまして、もし感想や所見がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 土地の汚染という問題、実は私も、これは私の、むしろ大臣としてより個人的にいろいろな自分の経験から申し上げるわけですが、いろいろな地域によって、土地がどんどん用途が変わるとか、あるいは都市計画の中で新しいことをやるとかいうところと、それこそ祖先伝来の土地がそのままずっと基本的には同じ状況であるというのとかいろいろございますので、これはやはり各地域に合ったいろいろな開発計画をしていかなきゃいかぬ、あるいはきちっと環境政策をやっていかなきゃいかぬということでございますので、とりあえずはそれぞれの地域に合ったことをやらなきゃいかぬ。
 それから、先ほどの国民の食生活に関係あるところは、これはまた別な話として、もっと直接的な話として、これはまたひとつあれでございますから、これは当然、環境政策というよりは、もちろんもっと直接の問題として、関係各省とも十分に協力しながら対策を進めてまいりたいと思っております。
奥田委員 ありがとうございます。
 農水省、国土交通省の皆さんはこれで帰っていただいて結構かと思いますけれども、せっかく竹歳審議官にも来ていただいておるわけですので、私もちょっとこの法案の中で対策としてこだわっております汚染土壌の拡散防止といったことで、現在、建設業での土壌、これは汚染土壌に限らず、土壌を運搬するときに、土のマニフェスト制度というのがあったかと思います。このマニフェスト制度をぜひとも汚染土壌のこの対策にもリンクさせれば、大きな監視効果や防止効果があるんではないかと思います。この土のマニフェスト制度についてお聞かせいただきたいと思います。
竹歳政府参考人 建設残土につきましてでございますが、御案内のとおり、現在のところ、建設残土は廃棄物処理法上の産業廃棄物に当たりませんので、マニフェストの対象自体にはなっておりませんが、重金属等で汚染されている建設残土につきましては、平成五年に建設副産物適正処理推進要綱というものを定めまして、こういう汚染されている残土につきましては特に適切に取り扱わなければならないとして、周辺の生活環境に影響を及ぼさないように、このように努めているところであります。この趣旨を、関係業団体に対しても、本要綱を遵守させるように指導方しているところでございます。
奥田委員 ありがとうございます。どうぞ、省庁の方お帰りください。省庁の方お帰りくださいというのも変ですけれども、環境省だけになりますので。
 続きまして、この法案で調査の対象となります対象施設、有害物質使用特定施設、特定施設という言い方でよろしいんですか、特定施設、そして調査の機会あるいは対象物質といったことで質問させていただきたいと思います。
 さきの質問にもございました、この調査対象施設といったものが、約二万七千の特定施設、特定事業所になる。そこで、施設の使用を廃止するときを中心に調査の義務がかかるということでございます。ところが、そうした汚染物質の方では、土壌環境基準にある二十六ないし二十七物質が大体候補になるであろうということを聞いております。
 海外の事例を出しますと、アメリカの方では、確実に浄化が必要だというリストに載っているものが三年ほど前で二十一万七千カ所。あるいは、これは潜在的な汚染の可能性があるという箇所、ドイツでは三十万四千カ所、オランダでは十一万カ所以上といった数字が指摘されております。
 こういった数から見れば、日本の方でも統計をいじって推定すれば、四十万とも四十四万とも潜在的汚染サイトというものがある。しかも、出した数字には、廃棄物処理場やあるいは基地や、そういったものは入っていない。この四十万という数字と、現在義務が課せられる二万七千という数字に大変大きな違いがあるんですけれども、こういった対象箇所の違いといったもの、もっとこれからは幅広く網をかけていくべきではないかということについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。
大木国務大臣 これからの対象となる施設あるいは対象となる物質、もっと拡大すべきだというお考えがあることは確かに私どもも承知しておりますし、それから、いろいろな計算の仕方はともかくとして、アメリカなどでも非常にたくさんの箇所を対象にしておる。あるいは対象物質についても、あれはたしかスーパーファンド法でしたか、一千八、これは物質の規定の仕方がありますからですけれども、これも日本に比べればはるかに多いという数字を出しております。
 しかし、とりあえずは、私どもとしては、対象とすべき物質というのは、一応土壌環境基準の対象となるということで、そういう考え方で範囲を決めてまいりたいと思っておりますし、それから、施設につきましても、土壌汚染を引き起こす可能性があるということですから、水質汚濁防止法の対象施設というのがとりあえずの対象になると思います。
 ただ、これは、まさしく今回の法律というものは、これからまた新たな物質の汚染等が懸念される場合には、今まで既存の環境基準やら、あるいは水質汚濁防止法の対象施設の見直しということもあわせてこれから考えてまいりたいと思いますので、今は先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、対象については、今後またいろいろと状況を見ながら見直しをしていきたいというふうに考えております。
奥田委員 環境局長の方にもお伺いしたいと思います。
 今の対象施設、対象範囲について、簡単にで結構です。そして、アメリカの方では、一千八もの物質が環境基準の中の対象物質となっている。日本は二十六か七だ。たくさんあればいいというものではないかもしれませんけれども、どうしてこれほどまで大きな差が出ているのか、そういったことについて御説明をいただければと思います。
西尾政府参考人 我が国の法案におきましては、人の健康被害を防止するという観点から、有害物質ということでまず対策をしなければいけないものにつきまして対策を打っていこうということでございます。そういうようなものは、逆に言えば土壌の環境基準に掲げられていなければならないはずでありまして、今現に我が国の環境中にありまして、そういう濃度の高いものがあって対策をしなければいけないという危険性があるのであれば、環境基準もきちっと決め、そういうものがこの土壌法に反映してきて、対策の対象物質となるということになるべきだと思っております。
 米国の例示をされました。米国のスーパーファンドでとられております制度が違いますので、非常に重篤な汚染というだけじゃなくて、いろいろな土壌の機能とか、そういうものも非常に幅広いレンジで優先リストをつくる。そういう優先リストをつくるときに、非常に広い幅で千八物質を見る。実は、その中でも濃度のレベルとかそういうものを決めているのは百物質ぐらいなようなんですけれども、そういう非常に総合的なものを勘案して優先順位をつけていこうという思想であるというふうに思っております。
 そういう総合性ということには学ぶべき点はあると思いますが、私どもの法案では、やはりまず環境基準にあるような物質につきまして早急に対策を打つということから、環境基準に掲げる物質を対象としていきたい。ただ、今後の知見の進展に伴いまして、新しい物質について心配だということになれば、環境基準も当然ふやしていかなきゃいけませんし、そういうものについては土壌対策もやっていく、こういう関係に立つのではないかというふうに考えております。
奥田委員 まず、私は、こういった調査の機会、調査の施設というものが、水質汚濁防止法の中での特定施設というものに限らず、やはりある程度の規模を持った事業所といったものには、用途が変わったりするときには全部網がかかっていくような、あるいは調査をしなくても、東京都のやっているように、航空写真やGIS、地理情報システムといったものを使って土地履歴を調べて、そういった中で、潜在リスクがある、ないということを広く公開して伝える。それは、土地所有者の人もそうですし、売買にかかわろうとする人も、住んでいる人も、そういった可能性、潜在的な汚染の可能性というものがあると、不動産でいえば、間口が狭いから九掛けになるとか、前面道路が狭いから路線価の九掛けだといったように、普通に皆さんが受け入れていただけるような、そういったものに情報として変わっていけばいいなというふうに思っておる次第でございます。
 さきに大阪の例で、大きな浄化費用がかかったというお話をお伺いしました。私も、大臣でも局長の答弁でも、できるだけ負担のかからない簡易な方法で調査をしてもらうんだということを聞いています。
 ただ、私は、これは何遍聞いてもだれからも、調査に幾らお金がかかるんだ、千平米のメッシュにしたものが基本的な単位だとすれば、その一ロットで三種類か四種類の物質を測定したとしたらどうなるんだ、幾らかかるんだということをだれも答えてくれません。あるいは、浄化の費用がどれだけかかるんだ、これも一つ一つ千差万別になってきます。
 ただ、私自身が、土木学会の実際に浄化作業をした、浄化措置をしたというものが十ほどあって、それをランダムに足し算をして割り算をしてという形でやれば、大体、坪十五万強、十六万ぐらいの数字になっております。これは、土地の利用率を考えれば、一つの土地に建物を建てるのと同じくらいの費用が浄化にかかるといったことになってくる。そういったものをみんなが受け入れられるかというと、大変難しいことになってくるんではないかと思います。
 調査の費用あるいは措置の費用、どういったものを基準に考えればいいのか、局長から少しお話を伺いたいと思います。
西尾政府参考人 まず、調査の費用でございます。
 調査の費用につきましても、今までされておりますものは、概況調査のようなレベルから、実際に対策をやる前提のような非常に詳細のものまでいろいろございますので、統計もいろいろだと思います。
 私どもは、まず三条でやっていただくような調査につきましては、まず概括的な調査で、汚染があるかないかということで、比較的簡単、簡略で負担の少ない調査を考えております。そういうようなもので考えますと、ごく小規模な土地では十万から三十万円ぐらい、千平米ぐらいの土地で考えても五、六十万円というような程度のような調査の設計ができないかというふうに思っています。
 ただ、次に汚染の除去ということになりますと、これはやはりもう少しけたが上がるわけでございます。一つには、重金属みたいなもので直接摂取によるリスクということがございます。これにつきまして、例えば覆土をするということでリスクを防止するというような程度で考えますと、小規模なものですと百万円切るぐらいでできると思いますけれども、一千平米程度の区域を覆土していけば、やはり一千万円ぐらいの金額はかかると思っております。
 それから、地下水の摂取によるリスクというような場合でございます。これは、土壌ガスということで、その原因のガスを吸引して浄化をしていくというような場合を考えますと、ごく小規模なところでも数百万から千万、二千万といった規模がかかると思います。千平米程度の指定地域で考えますと、数千万から一億円あるいは一億五千万円といったような数字が見当になるのではないかというふうに考えております。
奥田委員 今の局長のお話を伺って、もし千平米で高くて五、六十万といった調査であるのなら、三条ただし書きの調査の免除というような、そういった条項はなおさら要らないなというふうに私は思うようになってきました。それだけの地面があって数万から五十万ぐらいの調査費用なら、ぜひ皆さんで負担して、その土地が健全であるのか、病気であるのか病気でないのか、そういった診断をぜひこれからの常識として踏み込んでいただきたいと思っております。
 一つ、指定支援法人の方の基金と支援措置についてお伺いしたいと思います。
 これが、先走り過ぎかもしれませんけれども、どこの公益法人にするんだ。新しい公益法人じゃないよというふうなお話は聞いております。土壌環境センターかな、いや、そこではない、候補の一つだけれどもというようなことを言っております。
 これは一体どこの法人を指定支援法人にしようとして、そしてその仕事の中での人員規模、こういったものをどういうふうに考えているのか、局長の方からお話を伺いたいと思います。
西尾政府参考人 この指定支援法人という制度は、基金を形成いたしますために、国とは別の会計を区分してできる機関が必要でございます。いわば財布だけはどうしても必要であるということでございますので、このために、機構でありますとか人員とかいうようなものを要しないという考えのもとに、私どもの所管の既存の公益法人を指定して、そこに区分経理をしていただくということを考えております。
 したがいまして、それは純粋にゼロかといえば、経理をして合計額を出すというような、そういう作業は要ると思いますけれども、基本的に、この基金はいわば区分経理の部分だけをその公益法人に置いていただきますので、これで人員の基本的な増をもたらしたりということはないものにいたしたいと思っています。
 それから、どの法人にするかということでございますが、環境省所管の適切な法人に置くということでございますが、一つの候補としては、日本環境協会などが考えられると思っております。
奥田委員 人員とかないと言いましたけれども、この中で、条文にも出てくる業務の中で、助成というもののほかに幾つかの業務がありまして、例えば、除去及び調査あるいはとるべき措置の相談や助言を行うというようなことが書いてあります。これに新しい専門のスタッフをつけないと、とてもさばき切れないんじゃないかというふうに思いますけれども、それとは別にしまして、支援法人業務といったものの中で、助成金の使い方という以外には、別に指定支援法人じゃなくても、どんどんと民間の方々にやっていただければいいんじゃないかという業務がございますけれども、そういった点、指定支援法人でなければいけないという考え方では当然ないと思いますけれども、その業務について、一言局長の方からお話を伺いたいと思います。
西尾政府参考人 この指定支援法人の主たる業務は、汚染が見つかった土地、それがマンションとか住宅で、土地所有者に資力がない場合に助成をするということが基本でございます。そのような事業が円滑に動きますためには、やはり住民の方々あるいは周辺の方々に、いわばリスクコミュニケーションと申しますか、この汚染の事柄あるいはそういう事業の事柄ということをできるだけよく知っていただく必要がありますので、そういうリスクコミュニケーション的な仕事をあわせて行うということで考えております。
奥田委員 時間になりましたので、まだまだ聞きたいことはありますけれども、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
大石委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十八分開議
大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。西博義君。
西委員 午後のトップバッターで始めさせていただきます。公明党の西博義でございます。よろしくお願い申し上げます。
 今回初めて、健康被害を防止するという目的で、この土壌汚染対策法案、提出されました。大変重要な法案だというふうに考えております。
 既に対策をとられている大気、水の汚染とはまた異なる側面もあわせ持っている法案だというふうに認識をしておりますが、この法案の骨格となっている環境政策に関する基本的な考え方といいますか原則、おありだろうと思うのですが、まず、大臣の方から御答弁をお願いしたいと思います。
大木国務大臣 今も御質問の中にもありましたように、大気とか水と違いまして、土壌というのは、法案の目的はもちろん人の健康被害を防止するということに尽きるわけでありますけれども、どうやってその目的を達成するかということになりますと、またいろいろな側面がございますので、とりあえずは、とにかく健康被害ということについての何か状況が生じて、それを契機としてやはりこの法律が実際に動く、こういうふうになるかと思っております。
 そういうふうにしてひとつ、まだまだ非常に不十分なところもございます、またこれからいろいろな意味で知見を深め、あるいはいろいろと経験も積み重ねてしていきたいと思いますが、とりあえずは、まずは人の健康被害を防止するというところに集中して法律を施行してまいりたいと思っております。
西委員 初めての見方という意味で、私ども、随分この法案、議論してまいりました。その結果、汚染者、汚染原因者に第一的な責任がある、こういう規定をやはり明確にすべきである、それから、汚染原因者に対する対策費用等を請求できる土地所有者のいわゆる求償権、こういうこともやはりきっちりすべきではないかということも環境省の方に申し入れたり、私どもとしては最大限の努力をしてきたつもりでございます。環境政策の基本原則である汚染原因者負担原則がより貫かれるものとなった、こういうふうに私は認識をしておりますが、いかがでございましょうか。
西尾政府参考人 汚染者負担の原則につきましてのお尋ねでございますけれども、この法案におきましては、汚染の除去等の措置のところでは、汚染原因者が明らかな場合には汚染原因者が実施するということにいたしますとともに、土地所有者等が措置を実施した場合には汚染原因者に費用を請求することができるということにしておりまして、本法案は汚染者負担の原則に則したものであると思っています。
 実は、具体的な条文の立案に関しまして、中環審から、法案立案に至る過程におきまして、数々の御議論をちょうだいいたしました。その中で、例えば第七条におきましては、汚染者に対する措置命令と土地所有者に対する措置命令の二つでは、汚染者に対する措置命令が優先するという旨を規定いたしましたこと、それから第八条において、汚染の除去等に要した費用は汚染者に対して請求できる旨を明文化いたしましたことというようなことにおきまして明確になっているというふうに存じております。
西委員 この法案、土壌汚染対策法案でございますが、この土壌ということに対する明確な規定がないというふうに思います。
 土壌の定義といいましても、農業における土壌だとかいろいろな考え方があり、さまざまな考え方があるようですが、地質学における用語では、土壌は地質の最上部、一番表面の部分だ、こういうことでございます。
 しかし、この汚染ということを考えてみますと、地層の表面、表土、例えば二十センチ、三十センチの間隔だけではもちろんございません。この法案に言う土壌というのは、この対策の選択肢に浄化ということも含まれている以上は、少なくとも地表部分だけではないということを明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
西尾政府参考人 この法案における土壌の概念は、環境としての構成要素たる土壌でございますので、地表部分だけでなくて、地中の土も含まれるところでございます。
 したがいまして、この法案では、汚染の状況に応じまして、そういう立体的な状況というのを意識いたしまして、対策として、覆土、舗装といった対策だけではなくて、土壌の浄化でありますとか、場合によっては矢板などを打ち込みまして立体的に封じ込めていくというような措置が盛り込まれているところでございます。
西委員 この法案では、健康被害を防止するという最低限の対策を行う、ある意味では健康ということをキーワードにしておるわけですが、その観点から、水質汚濁防止法の第二条第二項第一号に規定する物質、特定の物質を対象にしておりまして、その同じ条の、項も同じですね、第二号に規定されている化学物質など生活環境に影響を及ぼす汚水、廃水を出す施設や、第四項の貯油施設などが対象外に今のところなっております。地下水の汚染による健康被害が対象となっている以上、今後の課題として、土壌汚染との観点から、この面についてもやはり対策を講じていく必要があるんではないか、こう思っております。
 そういう意味では、今後法律の対象となるように新たな検討を今後の課題としてぜひともお願いをしたい、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。
山下副大臣 土壌汚染対策の観点から対象施設を今後拡大を検討すべきだという御意見でございます。
 特に、今御指摘ございました生活環境への影響の観点、これについては、中環審、中央環境審議会答申でも、今後の検討課題、このようにされております。また、土壌にはさまざまな多面的な機能があるわけで、そういう観点からも研究していく必要がある。
 そういうふうに考えましたときに、今の対象の拡大の話につきましては、知見の集積が必要だ、時間もかかるという観点から、専門家を集めた検討会、当然、中環審にも結びついていくと思いますけれども、こういうことも開催もしまして、検討、研究に次の段階として早急に着手するということ、そういう考え方でございます。
西委員 ありがとうございます。
 今回の法律は、健康被害ということを焦点にした緊急的な土壌対策、こういう側面でございますので、次のまた課題として取り上げ、ぜひとも研究をお願いしたいと思います。
 それから、有害物質使用特定施設が対象になるわけですが、この工場、事業所は、この調査室が発行されました参考資料によりますと、二万七千カ所ぐらいあるだろう、こう推定されております。一方で、水質汚濁防止法の届け出を義務づけられているところの箇所というのは、合計で一万七千ぐらいなんです。これは平成十二年の三月末の集計なんですが、約一万カ所がずれているというか少ないのですね。正確に把握されておりません。
 これは、水質汚濁防止法では、公共用水域に水を排出する工場、事業所ということで集計をしておりまして、有害物質を扱う施設を直接全部把握しているという体制にはどうやらなっていないというふうに私、お伺いをいたしました。
 今後、この政策を実行する場合には、対象施設をきっちり把握するということがぜひとも大事なことだと思います。環境省としては、現在把握できていない、いわゆる下水道の方に排出している有害物質を扱う施設、これをぜひとも正確に把握していただいて、そして情報公開できるように今後早急に体制を整えるべきだ、こう思いますが、いかがでございましょうか。
山下副大臣 今御指摘ございましたように、有害物質使用特定施設の数と水濁法上届け出義務のある施設の数が違うじゃないか、御指摘のとおりでございます。
 理由は、今ももうお話ございましたように、この水濁法の特定施設を設置している事業場の中で、公共用水域への排水をしないで下水道に排水している事業場につきましては、届け出義務はなくて、下水道法に基づく届け出が下水道管理者に行われる、こういう仕組みになっております。したがいまして、今お話ございましたように、有害物質を使用しておる特定施設全部が把握できていない、そういう状況になるわけです。
 今後、都道府県の環境部局とまた下水道管理者との間で連携をしっかりとりまして、下水道へ排出する事業場に係る正確な情報、数、設置者その他の把握も含めまして、きちっと把握することに努めてまいりたい、このように考えております。
西委員 土壌汚染の調査でございますが、有害物質使用特定施設の使用が廃止をされました場合、または健康被害が生ずるおそれがある場合に行う、こういうことになっております。
 しかし、操業中に土壌を移動させる、また運び出していくというときには、先ほども若干議論がございましたけれども、調査の義務はここにはかかっておりません。もしこの調査の義務を課さないということになりますと、途中で建設工事をして、そうしてその土を掘って発生する土砂あるいは土壌、汚泥、こういうことが発生するわけですけれども、残土という扱いで別の場所に移動していくということが当然これから行われていくわけでございます。そうすると、この土が果たして汚染しているか否かということを調べる以外にないと思うのです。この土壌を移動する際にも、何らかの形で調査をやはりやる必要があるのではないか、こう思っておりますが、先ほども若干関連した質問があったように思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 今の、いろいろな建築工事等から残土が出てきてそれが移動するというのは、この法律の中での取り扱いといいますか規制の仕方は、まず、有害物質を取り扱う工場等が廃止されて、その土地が他の用途に用いられる場合、こういうとらえ方をしております。あるいは、地下水モニタリングにより汚染が懸念される場合などは調査の契機、要するに、実際に法律がどういう形で発動するかとかいう、その契機としてとらえるということで、土壌の汚染によりまして健康リスクを生ずる蓋然性の高い場合をとにかくその目的としては確実に捕捉したい、こういう法律上の取り扱いをしております。そこで汚染が認められた土地の区域については、まず、汚染土壌の搬出を含めて、土地の形質の変更の制限が行われる。
 それからまた、ちょっと別のあれでございますけれども、本法案における措置に加えまして、処分のために搬出された汚染土壌について、廃棄物としての取り扱いをどうするのだというようなことがいろいろと議論されておりますけれども、現在、これにつきましては廃棄物・リサイクル制度の一環として、実はまだ終わっておりませんけれども、目下検討中でございます。
西委員 次に、汚染原因者の特定のことについて若干お尋ねをしたいと思います。これは都道府県が関与するということになっておりますが、具体的にどういうふうにして行うのだろうかということでございます。
 いただいた資料では、土地所有者が都道府県に申し出を行う場合、それから、行政手続法に基づいて弁明する機会に汚染原因者の存在を、別に汚染原因者がいる、こう主張した場合に都道府県が履歴調査をする、こういうことになっていると思うのですが、果たしてこれだけで、調べたけれどもわからないよ、こういうことになってしまうのではないか。もちろん、どこまでやるかということが課題なのですが、若干、それでは結局、汚染原因者のところに果たして行き着くのだろうかというおそれが出てきます。その辺のところを、どの程度の調査をされようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
西尾政府参考人 汚染原因者の特定は、本法案の実施に当たって大変重要な事項でございます。
 それを特定していこうという場合に、都道府県知事は、ある面ではいろいろなデータのある限りを尽くしてやっていかなければいけないわけでございまして、土地の履歴でございますとか、過去の土地所有者等の関係者からの聞き取りをやる、あるいは水質汚濁防止法のデータといったものを総ざらえをしてくる。それから、もちろん今先生御指摘になりましたように、土地所有者の方から、どうもこういう事情があるのではないかということを申し出されますし、もちろんその汚染者とおぼしき人にヒアリングをする、聴聞をするということで聞いていくというふうな慎重な手続をとってやっていく必要があると思っております。
 今までの汚染事例などのアンケートなどを見ましても、八割方ぐらいはある程度わかるのじゃないかということもございますが、むしろ残った二割が問題でして、そういうものをできる限り解明して特定をしていくという作業は非常に重要でございますが、これは一つの決め手というのはないわけでございまして、あらゆる知恵を出し、また環境省も、いろいろそういう知恵を出すという局面でさらに勉強を重ねて、その特定を的確にやるということに向けて、最大限の努力をしていくということではないかと思っております。
西委員 操業中でも健康被害が生ずるというふうに認められた場合には調査・措置命令が行われる、こういうふうになっております。当然のことだと思います。現行の労働安全衛生法で講じられる措置と、今回の土壌汚染対策法で講じられる措置、この関連性について説明をしていただきたいと思います。
 また、それぞれの法律で、厚生労働大臣や都道府県の知事に報告するということになっておりますが、こういう情報は環境省にも共有化されていくのかどうかということについて確認をしておきたいと思います。
西尾政府参考人 現実に、操業中の工場などでそういう汚染事例が出まして健康影響が心配だということになれば、これはこれまでもあらゆる手を使ってやっていくということでございまして、環境省でいえば、これまでは水質汚濁防止法などで事情を徴したり、改善措置をとるということでございますし、それから厚生労働省におかれましては、労働安全衛生法でしかるべき措置をとるということが行われていました。
 これに加えて今回は、そういうものが出ますれば、土壌汚染を回復させるという部分が今までなかったわけですので、そのための調査でございますとか措置命令をやっていくという手順が導入されるということになります。
 環境の法律につきましては、都道府県知事がその実態を把握するということでございますが、従来事案は私どもも常々、都道府県から状況を聞いております。それから厚生労働省におかれては、もちろん厚生労働省で把握しておられまして、これは今までのダイオキシン等々の汚染事例がありましても、私どももできる限り、しょっちゅう連絡をして、それぞれの法目的が違いますから、それぞれで責任を持ってやるのでありますけれども、情報交換には十分努めるということをやらせていただいておるところでございます。
西委員 日本では汚染原因者責任というふうに訳されておりますが、一九七二年に示されたOECDのいわゆるPPP原則でございます。
 これは正確な訳がどうかというのはわかりませんが、一つとして、汚染原因者が防除に必要な費用を負担すること、これをPPP原則という。二つ目は、その費用は商品やサービスに反映されるべきである。こういう二つの項目が言われております。そういう考えに基づいてPPP原則というのは成り立っているというふうに言われております。
 このPPP原則に立って考えますと、土壌の汚染対策は、本来、操業中にいかなる汚染があるかということを考えに織り込んでいくというのが本来でして、最後まで行って、もう操業をやめるときに、実は汚染がありました、費用が要りますというのは、この二つの項目を当てはめますときには十分ではないというふうに考えられます。
 そういう意味では、まずは自主的な対策を促進する。今は、健康被害を早急にストップするという考えはそれなりに正しい、まず立ち上がりとしてはいいと私は思うのですが、操業中であっても自主的に対策をするように、何らかの形で促進をするように努力すべきだ、こう思っておりますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 ただいま御質問ありましたように、OECD等でもPPP原則というのは強調されておるわけでありますし、これをどこまで、これから将来、さらにこの法案の運用の中で強化していくか、あるいは法案を将来見直すときにはどういうふうにできるかというようなこと、いろいろあると思います。
 今のところはむしろ、この法案に基づいてと申しますか、法案と一緒に、各企業に対してもそういったPPP原則に沿っての自主的な取り組みというようなことはひとつできるだけ進めていただくようにということで、例えば、多くの企業あるいは最近は地方公共団体等もやっておられるようでございますが、ISO14001に基づく事業者による環境管理活動のさらなる促進というようなこともやっていただいておりますし、それから、PRTR法等に基づきます要するに化学物質の適正な管理の一環として、また積極的にいろいろな行動をしていただいておるというようなことで、できるだけこの新しい法律のもとで各企業なり関係者に自主的なひとつまた御協力ということは、御協力と申しますか、自主的な行動というものはまたひとつさらに進めていただくように、私どもとしてもできるだけ働きかけをしたいと思っております。
西委員 この法律によると、都道府県が措置命令を行うということですが、この措置については、例えば具体的には、覆土を行いなさい、こういうようなことになるんだろうと思うんですが、この覆土ということが最低限のレベルを示すというふうに解釈をしていいのかどうかということでございます。
 汚染された土壌については、汚染原因者がみずから進んで浄化をするというのは究極の姿でありまして、それを待たずに、とりあえず健康被害を防止する、こういうことで行う今回の措置でございますので、本来は浄化というところまで行くのがベストであろうと思いますし、また、将来的にはいつの時点かにそういうことが課題となって上ってくるんではないかというふうに私は実は思っております。
 そんな意味で、積極的に、覆土ということであったとしても、少しでも根本的な対策に持っていくという努力をすべきだというか、奨励をしていくべきだというふうに私は思っておりますが、その辺のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
西尾政府参考人 都道府県が行います措置命令は、技術基準を踏まえまして、健康リスクを防止するため適切な措置を命ずる、こういうことでございますので、そういう適切な措置というのは、その汚染の状況に応じまして、覆土、舗装、封じ込めといった方法でも可能な場合がございます。このような場合は、そのような措置を命ずるということに相なります。
 ただ、このような方法によりましたときには、この土地は引き続き台帳に載せられまして、土地形質の変更の規制が課せられておるわけでございます。したがいまして、他方で、浄化まで行おうということをやりました場合は、こういう区域の指定が解除されて自由にこういう土地を利用できる、こうなりますので、そういう面では、これがこういう形で除外されて自由に使えるということが、浄化に向けてのインセンティブになるという効果は有しておるというふうに考えております。
西委員 確かに、そういうインセンティブは働くというふうに思います。
 いずれにいたしましても、汚染原因者は、いつまでも、どの方にその土地が手渡されたところで、汚染原因者が特定されている場合は、きちっとやはり最終的には浄化をするというところまで責任を持つということではないかと私は理解をしておりますので、その辺は、現場のそれぞれのお考えに基づいて、できるだけ根本的な措置をできるように奨励をしていただきたい、こう思っております。
 次は、この法律のスキームは、最終的な土地浄化を行うスキームではなくて、先ほども何回も申し上げておりますように、今後、最終的には、別途、土地浄化ということがいずれ行われる必要があろう、こう思っております。そういう意味では応急措置でございまして、措置命令を実行したことによって、汚染原因者の浄化責任がこれで免責されたということではないということを確認したいと思います。
 さらに、先ほど申し上げました汚染原因者責任、PPPを考えると、できるだけ早くこれは次の検討をしていただかないと、十年、二十年、三十年先になったときに、本当に汚染原因者というものが責任を負えるかということになってまいります。そういう意味でも、早急な次の検討を行うべきだということを考えておりますが、このことについて御答弁をお願いしたいと思います。
山下副大臣 先ほど来何度も確認ございますように、今回は、人の健康の被害を防止するという観点からの措置だ、だから、浄化も一措置の内容であるけれども、そこまで求められていない部分もあるということですね。
 だから、本来は、汚染したらちゃんときれいにして返せ、そういう責任があるだろうということは一般論として私は言えるというふうに思います。ただ、これを法律として制度化する場合に、この浄化責任をどうするんだという観点は、今おっしゃいましたように、今後の課題として取り組んでいく必要がある、このように思います。
西委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 時間がもう余りありませんので、最後の質問になります。基金のことについて一言だけ質問をさせていただきたいと思います。
 どのような場合に支出をされるのかというその対象者、条件、それから基準等を示していただきたい。
 法律案では、指定支援法人は、指定区域内の土地において汚染の除去等の措置を講ずる者に対して助成を行う地方公共団体に助成金を交付する、こういうふうに書かれております。
 個人や企業が実際に助成を受けるには、都道府県など自治体に助成制度がまず存在するということが前提となると思います。助成制度が自治体につくられたとして、助成にかかわる審査、これはだれがやるのか。具体的には都道府県がやるのか、またはその他のところで最終的にやるのか。自治体ごとに行うということになりますと、その適用対象、条件、基準、こういうものがそれぞれに異なってくる心配があるんじゃないかということも実は若干気にしております。その点について、環境省のお考えをお伺いしたいと思います。
西尾政府参考人 お尋ねの基金によります助成金は、これは、この助成措置を行う都道府県に対して行うことにしておりまして、基金と都道府県とが協力をして助成していこうという制度でございますので、現に都道府県もいろいろな形で取り組んでいただいておりますが、この法案ができましたら協力して取り組んでいただきたいと思っております。
 それから、都道府県が具体の事業に交付いたします場合のことでございますが、基金から都道府県に行きます場合の基準というようなものは、できる限り客観的に決めまして、全国的にも同じような基準でできるようにいたしたいと思っています。
 ただ、具体の事業を採択するしないという観点になりますれば、これはやはり住民に近い都道府県でよくよく具体の事情も勘案しながら検討いただいて、適切な運用をしていただくということが適当ではないかと思っておりますので、都道府県が助成する場合に基金が助成するという仕掛けにさせていただきたいというふうに考えて立案しているところでございます。
西委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
大石委員長 樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 去年の十月の二十六日の時点で、私、この土壌汚染対策につきまして触れさせていただきまして、去年の秋の時点で、私、制度化が必要だということを実は申し上げさせていただいておりました。制度化がなされつつあるということは評価いたしたいと思いますけれども、中身につきましては、まだまだ完全ではないと言わざるを得ないわけであります。
 先ほど来、大臣も未完成だとおっしゃっておいででありましたけれども、本当に素朴な疑問なんでありますけれども、未完成な状態で本当に今回閣法という形で法律を提出なさったということ自体、私はちょっとおかしいのではないかと思いますし、法律を土壌汚染の分野について初めてつくる、今回は新法なわけですから、方向を間違えては取り返しのつかないことになってしまうんじゃないかというふうに考えます。
 この法律案のタイトルは土壌汚染対策法というタイトルでありますので、汚染土壌がすべからく浄化される、あたかも全部大丈夫だよというような思いに駆られるかもしれませんけれども、全くそういうことではございませんで、正確にはこの法律名は、土壌汚染対策法改め、土壌汚染の一部対策法ではないかと私は思います。
 この法律によって、現実には、浄化ではなくて、しかも、あくまで対症療法。つまり、覆土、舗装、封じ込めが大半を占める、結果として。もちろん、なるべく浄化をするというふうに考えていらっしゃるのはよくわかっておりますけれども、結果として、やはり言葉で申しますれば、先送りというかその場しのぎということにどうしてもなってしまうわけでありまして、本当の意味での住民の不安はなくならないのではないかというふうに思います。
 そもそも、この法律案をいろいろ精査いたしまして、私も検証いたしましたけれども、汚染土壌の把握自体がまずちょっと甘い。土壌汚染対策と言うには余りにも実効性が低いということをまず指摘させていただきたいと思います。
 私ども自由党では、経済の自由党なんというふうにも申し上げているわけでありますけれども、私、個人的には環境の自由党だというふうに言ってはいるんでありますが、まずこの経済の切り口の面からちょっと入ってみたいと思います。
 まず、本法案による土地取引への影響についてであります。
 きょう、午前中からいろいろな議論もされてきておりますけれども、改めて伺いたいんでありますが、この土壌汚染は私有財産である土地において生ずる問題でありますから、汚染が判明した場合には、土地の価値に影響を及ぼすことは必至であります。土壌汚染は土地の取引などに密接にかかわりがある問題でありますので、資産でありますから、この法律は土地の所有者に対していわゆる調査や措置の実施を求めておりますので、こうしたことなどによっていわゆる土地の流動化を阻害するということになるのではないかというふうに心配もする声もありますけれども、大臣いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 今御質問にもありましたように、これは基本的には、個人の財産、私有財産である土地というものを対象にしての話が多いわけでありますから、それに対していろいろな新しい法律あるいは規制が生まれれば、当然それは影響するわけであります。
 ただ、現在、やはり土地にまつわるいろいろな問題があって、特に汚染というようなことを考えますれば、これは当然にまた地域社会からいろいろな声が出てくるということですから、これからそういった趨勢はずっと続くと思うんです。
 ですから、それが何も法律がないから自由に取引ができるかといえば、むしろそうじゃないんではないかということで、これはやはり、一応国としてはここまではこういう形での規制をするぞということを明らかにしておいた方が、土地にかかわるいろいろな取引にしろあるいはその利用にしろ、むしろスムーズに行われるんじゃないかということでありまして、私はむしろ、今個々の問題について言えば、ちょっといろいろと時間がかかるとか新しいことをやらなきゃならぬというようなことも出てくると思いますけれども、大きな意味では、私は、土地の取引それから流通がむしろスムーズにいく一つの原動力になるんじゃないかというふうに期待しております。
樋高委員 取引を安定させる方向だからという大臣のお話でありますけれども、そうなってもらわなくちゃ困るわけなんですが、汚染土壌への対策はもちろんとても重要なことですし、これはやらなくちゃいけないんですけれども、政府はそもそも経済と環境の両立ということをさんざん何度もおっしゃっているわけでありますから、経済の部分も考え、そして環境の方も本当に大きく前進をさせるということが必要だと思いますけれども、不良債権の処理について伺います。
 金融機関の不良債権処理の一環として、不良債権の売却が行われておりますけれども、担保になっている土地にいわゆる土壌汚染が存在する場合には、不良債権の購入者が抵当権を実行してその土地の所有者になると、本法律によりまして汚染の除去等の措置の責任を負うことになるというふうに考えられるわけでありますけれども、不良債権の売却がおくれて不良債権処理に支障が生ずるのではないかという懸念もこれあるわけであります。そのことにつきまして、どのようにお考えになりますでしょうか。
大木国務大臣 今の御質問は、一般的にいろいろとそういう御懸念というか問題があるということもありますし、恐らく今委員の御質問の背景にも、具体的にいろいろと、例えば米国等の企業からあるいは法律事務所等からそういった懸念が出ておるということは、私どもも承知しております。
 そこで本法案は、先ほども申し上げましたけれども、決して土地取引を混乱させるということではなくて、むしろ円滑化するということで期待をしておるわけでございまして、特に、抵当権の実行によって土地所有者となった者の義務を免除するということは不適当である。しかしながら、例えば、これは非常に例外的なことかもしれませんけれども、金融機関が抵当権を実行して形の上では一時的に土地所有者となった場合といった場合にはどうなるというようなことも、私ども既にいろいろと照会もございますので、これについては、そういった一時的な場合にはむしろ一定の配慮をするということで、土地取引の方が混乱しないようにというふうに配慮をする準備をしております。
樋高委員 一時的所有者につきましては配慮をするということでありますけれども、それはぜひそうしていただかなくては困るんでありますが、その配慮の程度を実は物すごく気にしているわけなんですよね。
 それと同時に、一時的所有者、例えば信託業務等々でも、名義をかえるときに一時的所有者になるわけです。ところが、その取引の途中で、一時所有して、例えばほんの一週間だけ所有するんだよということになっても、そこで何らかのトラブルが発生して、その後二年三年とその土地を所有し続ける、もしくは十年二十年所有し続けるということも現実にはあり得るんです。
 では、そこで配慮をして、仮にフェンスだけをつけましたよ、注意の看板を立てましたよ、だけれどもそこには砂じんによって、いわゆる風によって砂がどんどん付近に十年二十年、汚染された土壌が外に行ってしまうわけなんですよね。
 ですからそういう部分、先ほど申しました配慮の程度の部分と、あと、こういうふうに一時的所有者で配慮をするのはきょう重々わかっておりますけれども、しかし何らかの理由によって、トラブルによって一時的所有者でなく長期所有者になってしまったということも重々考えられますので、こういう部分は細かくやはりきちっと対策を講じて、考えてやっていかなくてはいけない部分じゃないかというふうに申し上げたいと思います。
 次に、目的、趣旨についてでありますけれども、いわゆる予防の視点であります。
 今回、土壌汚染対策法案ということでありまして、今現在土壌が汚染されているそのものに対する対策を打つ法律案でありますけれども、一方で、毎日のように今どんどん汚染されている土壌はふえているわけですから、やはりそこを押さえないと、今汚染されているものだけをまず第一歩だから第一歩だからということでつくっても、私はまだまだ何かすごく重要な部分を置き忘れているんじゃないかなというふうに、私も一生懸命政府案にいいように理解するように頭を考えめぐらすんですけれども、どうしても合点がいかないわけであります。
 きょうは議論の中で、水質汚濁防止法、いわゆる有害物質を含む水の地下浸水の規制ということの概念で対策が講じられているから大丈夫ですよという話でありますけれども、何で予防の概念をあえて盛り込まないのか、予防の視点が丸々抜け落ちているのは全くおかしいという声が、実際問題、地域また国民から多いんです。
 この水質汚濁防止法というのは、土地があって、その上に建物を建てました、工場があります、その工場から汚染物質が、その工場の箱から外に出ていないから、土は汚染されていないから大丈夫ですよという概念なんです、水質汚濁防止法というのは。だけれども、何かのトラブルでその工場の建物から、何かちょっとパイプに穴があいたとか、過って従業員の方がちょっとすぐ敷地の庭のところに捨ててしまったとか、そういうことは十分にあり得るし、きっと起きていると思うんですけれども、そういうことを考えたときに、この予防の視点、やはり「目的」のところに、きちっと今回この土壌汚染対策法の中でうたうべきであると思うんですけれども、いかがでしょうか。
大木国務大臣 午前中からいろいろと、予防というのをもっとはっきりと書け、こういう御意見もあるわけでございますけれども、いろいろと先ほどから申し上げておりますとおりに、とりあえずは法案の直接の当面の目的としては、国民の健康を守るというところに焦点を向けられているわけでございまして、その予防というと、どういう形で予防するか。いろいろと実際にその法律を適用する契機と申しますか、これがはっきりしないと、やたらに思いついたときに適用するということでも困るわけですし、それから予防の内容ですね。どういう措置をするんだということになります。
 措置といった場合には、実は調査から始まるんですけれども、調査も、ただ一般に平生から研究調査ということではなくて、個々の問題についての調査ということになりますから、その辺はやはりもう少し状況をこれからひとつ勉強してということで、ただいまのところは水質汚染の、水の方の関連の法律とかそういったものでできるだけやりまして、さらにまたこの法律では、また先ほどからも同じことを申し上げているのですけれども、省令だとかいうような形でいろいろとまた補足はしていかなきゃいけないと思っていますが、今のところは予防というものを中心に据えての法案という立場になっておりませんから、言うなれば名が体をあらわしていないかもしれませんけれども、これはこれから、先ほども長いとおっしゃいましたけれども、とりあえずまず十年くらいきちっと法律としてはこれを基礎にして、いろいろとまた実施してまいりたい。もちろん、その間に、必要に応じまして、政令なり省令なりで補足はできると思いますけれども、そういう形でひとつ進めたいというふうに私どもは判断しておるわけでございます。
樋高委員 その予防の視点をどういうふうに、現実問題として予防が大切なのは大臣も重々思っていらっしゃると思うんですけれども、その知恵が浮かんでこないという話だと思うんです、早い話が。それをまさしくこの国会で、本当にこれはもう環境問題、与党だ野党だと言っている場合じゃないわけでありまして、きちんと皆様方と英知を結集して、知恵を絞ってやるべき問題であるというふうに思うわけでありますけれども、この未然防止を今後いかに入れていくかということをしっかりと議論を深めていただきたいと強く要望させていただきたいと思います。
 次に、調査、土壌汚染状況把握についてでありますけれども、先ほど来の答弁をお伺いしますと、蓋然性の高い場合を確実に捕捉するんだということであります。蓋然性が高い場合に把握するのは、これは当然であります。そうじゃなくて、一見蓋然性が低いケースの中にも十分に健康リスクが発生するところがあるから、そこをいかにつかむかというところが重要だと思うのです。
 要するに、蓋然性の高いところだけをつかまえるのは、それは当たり前、だれでもできる話なんです。そうじゃなくて、見た目では大丈夫そうなんだけれども、でも実際は汚染されている土壌だよというのはたくさんあるわけで、そこをいかにつかんでいくか、把握していくかというところが重要じゃないかというふうに私は思うわけであります。
 そのことを考えたときに、いわゆる工場、事業場の廃止時または用途変更時以前、それより前に土壌を運び出された場合、汚染の拡散をどのように担保するかということを考えなくちゃいけない。土壌が移動後、捕捉不可能であります。その土に、これはどこの土ですよと書かれているわけでも何でもないわけでありますので、有害物質使用特定施設については、土壌を移動し得るときには必ず調査すべきではないかというふうに私は考えますけれども、いかがお考えになりますでしょうか。
大木国務大臣 今の、土壌についての危険の疑いがあると申しますか、それはどういうときに発動できるか。それから、それについての実際の調査あるいはその措置ということになりますと、これは非常に広いわけでありますから、これを一般的にとにかく、むしろ浄化を原則として物事をスタートさせるというのは、ちょっと無理じゃないかという感じがしております。
 ですから、やはり蓋然性が高いという言葉の中にはいろいろな意味があるわけでございますから、もろもろの状況を判断して、これはひとつどうしても調査しなければいけないぞというようなことになれば、それは調査の対象になると思いますけれども、初めから何か浄化をするということが基本の目的だということになりますと、ちょっと広くなり過ぎまして、なかなか現実の法律の適用として難しいのじゃないかというふうに考えております。
樋高委員 私が申し上げているのは、浄化ではなくて調査の方なんですけれども、いずれにいたしましても、人への被害を及ぼすであろう可能性の高いところを指定するのは当たり前でありまして、調査の機会を限定するのはおのずから把握の機会を狭めているというふうに私は考えます。土が動かせる場合には、現実にやはり調査を行うべきだというふうに考えます。
 さて、土壌汚染の調査についてでありますけれども、いわゆる工場がありました。そこから汚染が発生されているんだけれども、例えば重金属なりVOC、いわゆる揮発性有機化合物が、そこで汚染が始まっても、例えば土の中に潜り込んでいった。それで、先ほど来、その周辺の地域はおそれがあるということで調査をするから大丈夫だよという話がありましたけれども、実際問題、例えば町工場があって、こういう四角い土地があって、工場が敷地いっぱい建てられていて、仮にその有害物質を捨てる場合は、その土地の真ん中には捨てないわけで、その区画の端っこに捨てるわけです。ということは、すぐ隣に隣接する区画に十分に移動し得るわけです。また、その中の地層が、例えば粘土層がどうなっているかわからないわけです。横にシフトして、敷地の外に十分に広がり得る。工場、事業場の敷地であった土地だけじゃなくて、調査においてはやはりこの周辺の土地も含むようにすべきではないかというふうに考えますけれども、いかがお考えになりますか。
大木国務大臣 今、町工場という言葉での御質問もありましたし、私もそれを頭の中に置きながら今考えておるのでございますけれども、あくまで町工場というのは、一般の地域住民が健康被害をこうむる可能性が高くなるというのは、やはりその施設の使用を廃止し、工場を閉めるというその施設の廃止時に非常にそういうことが考えられますから、そのときに調査を行わせるというのが今の考え方でありまして、操業中の工場に一般の人は常時は立ち入っていないわけでございますから、これはむしろ、まさにその工場の従業員等が一番頻繁にそこで働いているわけですから、これを常時調査を義務づけるということはちょっと重過ぎるのではないかなというのが私どもの、現実の状況をいろいろと想定しながらの感じであります。
 ただ、地下水のモニタリング等によって、汚染の可能性が高いというのが何らかの意味で疑いが高い場合には、これは必要に応じて調査命令を行うことができると思います。
樋高委員 私、先ほど申し上げたのは、要するに、隣の敷地にも汚染がされてしまうから、そっちの方も調査すべきではないかということを申し上げたわけでありますが、今大臣がおっしゃったのは、要するに操業中の工場、事業場も調査すべきではないかという話でありますけれども、先に答えが参りましたので、汚染されていても要するに私は気づかないケースがあるから操業中でもやるべきだという考え方で、次に進ませていただきたいと思います。
 廃棄物処分場についてであります。廃棄物処分場は、特に跡地、今は、見た目というか、全然処分場ではない、しかし、過去に廃棄物処分場として使われていた土地、跡地であります。
 いわゆる廃棄物処分場につきましては、廃棄物処理法において構造基準、維持管理基準、そして廃止基準が定められているから大丈夫だよ、問題ないんだよということをおっしゃっておいででしたけれども、本当に大丈夫でしょうか。適切に管理されているから心配ないという話でありますけれども、大変不安なわけであります。過去に廃棄物処分場として役割を終えた跡地についての対策も、今回の法律で改めてきちんと措置を講ずるべきであるというふうに考えます。
 廃棄物処分場というのは、そもそも汚染されたものを集めておく場所でありますから、かなりの確率で、例えば廃棄物処理法制定以前に廃止した跡地の土壌は汚染されたままになっているんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
大木国務大臣 せっかく廃棄物処理法というものがあるわけでございまして、それが基本的にはまずは遵守されるということを前提にして、私どもはその次のステップということを考えざるを得ないと思いますが、そういった処理法に基づいて、きちっと処理基準に従って適正に処分され、適正に閉鎖された土地ということになれば、これは住民への健康被害はもたらさないというのがまずそのスタートであります。
 ただ、その基準に違反した処分によって生活環境保全上の支障が生ずる、または非常に生ずるおそれが高いというような場合には、これは都道府県の知事さんが廃棄物処理法に基づいてその支障の除去または発生の防止のために必要な措置を原因者及び関与者に命ずる、これが一つの建前でございますね。
 ただ、処理基準には適合していたけれども、跡地利用によって土地が掘り返されて土壌汚染が生じたというような場合に、人の健康に被害が生ずるおそれがある場合に、これまた生ずるおそれがあるということが一つのあれになりますが、その場合には、本法案により所要の措置を講ずるということを当然予想しておるところでございます。
樋高委員 おそれという言葉が出てきました。このおそれという程度が都道府県によってちぐはぐになるんじゃないかと私は思うんです。道路一つ挟んで、県境をまたいで全然対応が違うよということも出てくるんじゃないかというふうに私は思います。おそれという言い方自体極めてあいまいなわけでありまして、この委員会できちっと具体的に明らかにしていただきたい。政省令で定めるというのは答えになりません。
 要するに、土壌汚染による健康被害を生じるおそれがある土地の調査が必要なときに的確に実施されるようにということがこの法律案でありますから、やはり明らかにきちっとしておくべきだと思います。いかがでしょうか。
奥谷大臣政務官 具体的なケースといたしましては、周辺で地下水汚染が発見された土地の周辺で地下水が飲料用等に利用されている場合とか、特定有害物質が使用されたこと等が明らかな土地について一般住民が通常立ち入る用途に供されている場合等が言えると思います。しかし、さらに、委員おっしゃったように、今後、その詳細を検討いたしまして、都道府県と共通認識を深めるように努力してまいりたいと思っております。
樋高委員 政務官、どうもありがとうございます。
 要するに、今政務官おっしゃったことは、それはおそれに当然該当すると思うんですけれども、そうでないグレーの部分というか、本当におそれがあるのかないのかという判断に迷う部分を早く精査してはっきりしておく必要があると思いますので、早急に議論をして結論を得ていただきたいというふうに要望させていただきます。
 また具体例でちょっとお尋ねさせていただきますけれども、大臣に伺います。
 普通の例えば住宅地、一軒家が建っておりました。その一軒家を建てるに当たって、土地がちょっと斜めになっているものですから、ある土地を切り崩してきて盛り土にしました。土を盛ってその上に家を建てる、こういうケースはたくさんあります。実は、盛り土にしたその土の部分は大分離れたところから持ってきたんだ。しかも、その土は汚染されていた。汚染されていた土が盛り土になって、その上に家が建てられて、その家が例えば建て売りで売られていたということになったときに、その汚染土壌は十分に健康に被害を生ずるおそれがあるということであったとしても、盛り土の上に家を建てて、その上で家族が幸せに生活を送っている、こういうケースがあると思うんです、実際問題。こういったことを、どのようにして汚染された土であるということを捕捉なさっていくおつもりなんでしょうか。
大木国務大臣 正直申し上げまして、どうやってというのは、今、内容的にはどこかで汚染された土地を持ってきたというお話なんですが、その汚染された土ということをだれがどうやって認識しておるかという問題になりますよね。だけれども、その土の上にうちを建てたというようなことになると、どの程度に汚染された土であるかということを認識しておるかというところから始まるわけでございますので、正直申し上げまして、要するに過去にどこかで汚染されたということなので、それを捕捉するというのはなかなか難しいと思います。
 ただ、こういうケースもたくさん出てくると思いますので、そういった場合にどういうふうに、一体だれが責任とるんだというようなことについては、やはりせっかく今こういう法案を出しておるところでございますから、先ほどからいろいろと、たくさん政令、省令と書いてあって、まだできていないのか、こういうおしかりを受けていますけれども、これはこれからのいろいろな実際の法律の施行の過程において、これはやはり常識的にはこういうルールが適当じゃないかというようなものがだんだんできてくると思いますので、そういうものでひとつできるだけ皆さんにも理解していただいて処理するよりしようがないんじゃないか。残念ながら、今のところは、私としてもすぐにこうだというお答えはできないんですけれども、ルールづくりのためにいろいろとまたひとつ勉強してまいりたいと思っております。
樋高委員 例えば、先ほど申しました家で生活している方が気づかないケース、認識をしていないということでずっと何十年もそこで生活して、いざふたをあけてみたら、それは、例えば二十年前に盛り土で家を建てたとき、実はそこの運んできた土がもともと工場跡地で汚染されていたよということをちょっと考えての話なんですけれども、そもそも、この法律の「目的」には、人の健康被害の防止というふうにうたっているわけですけれども、この場合は担保されないわけですよね。
 ですから、こういうケースも、これは一例としてきょうは申し上げておきますけれども、本当にいろいろなさまざまなケース、私もいろいろな方々に聞けば聞くほど、さまざまなこの法律の問題点が浮き出てくるんです、現実問題、ケースとして。ですから、そういうことをきちっと精査をして検討して、対策をしっかりと打っていただきたいというふうに思います。
 それに関連してなんですけれども、調査に関しての住民からの申し出制度をきちっと設けるべきだというふうに私は思います。何でもかんでも役所の方に、うちはちょっと不安だから調べてくれと言ったりとか、そんなにたくさん来られても確かに困りますけれども、不安を抱えているということをやはり少しでも少なくするためには、きちっとした制度を、都道府県単位でもいいんですけれども、つくるべきだ。健康被害を生ずるおそれがあると認めるときの調査がなされるということでありますけれども、おそれというもの、おそれがある場合を一〇〇%役所で把握できるわけじゃないわけですから、それぞれの地域に住んでいらっしゃる方々から情報をいただいて、申し出をいただいて、それによって調査をしていく、そして不安の増大を防いでいくんだということ、つまり、市民参加、住民参加を促すべきであるというふうに私は考えます。
 いわゆる調査命令の要件に該当するかどうか、都道府県知事が検討して対応をするということに今後なると思いますけれども、きちんとした申し出制度をつくって対応すべきだというふうに考えますけれども、いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 地域の事情をよく御存じの住民からの情報をいただくということは、これは非常に意義のあることだと思いますから、そういう情報がどんどん出てくることについては、決して私どもも後ろ向きに対処するのではなくて、いただけば結構だと思っています。
 ただ、実際に、要請についてこれをどういうふうに取り扱うということになりますと、もちろん、各地域によって状況も違いますし、環境省が総力を挙げても、まだ千人にも足りない役所でございますので、今すぐに毎日その現場へ出かけていって直接にということにはなかなかなりませんので、まずは都道府県の知事さんに、そういった調査命令を発する要件の内容があるかどうかということを御判断いただいて、該当するとすれば調査命令を行っていただく。これは、現在のこの法律の中でそういうふうに予定しておるわけでございますので、現実にいろいろと住民からのお申し出があれば、これは都道府県の方でひとつ前向きに対応していただくということになるかと思います。
樋高委員 大臣、環境省は今総力を挙げても千に満たないということでありますが、そういうときこそ大臣の頑張りどころでありますので、ひとつよろしくお願いします。
 調査後の公告についてでありますけれども、調査結果の公開を義務づけるべきであるというふうに考えるんですが、汚染状況をいわゆる台帳に記載して、公衆の閲覧に供するというふうに書いてあります。汚染状況とは具体的に何の項目について公表なさる予定をしているのか。例えば、調査内容なのか、方法なのか、結果なのか、日付なのか、調査機関名なのか、ちょっと具体的にお伺いしたいと思います。
奥谷大臣政務官 具体的に台帳に記載する事項は、指定区域の所在地等に加えまして、調査結果に基づく汚染の状況、それから覆土、封じ込め等の措置を行ったときはその内容等を予定しておりますが、今後、なお詳細に検討してまいりたいと思っております。
樋高委員 答弁で検討するということは、お答えになっていないんじゃないかと思いますけれども、私は何が言いたいかといいますと、要するに、調査機関名をきちっと書いていただきたいというふうに私は思うんですね。そのことだけ申し上げておきます。
 次に移りますけれども、いわゆる地下水の汚染状況把握についてであります。
 工場や事業場が操業中である場合には、その周辺で飲み水として利用されている地下水の汚染が発見されれば、調査命令ですとか措置命令がなされるので、健康被害の防止が図られるということでありますけれども、そもそも、住民が飲用に利用している地下水、例えば井戸水ですけれども、地下水が汚染されているかどうかの把握が、今現在必ずしも十分じゃないんじゃないかというふうに私は思うんであります。
 モニタリングをきちんとしているんだろうかというふうに私はお尋ねをしたいんでありますが、いわゆる良質で貴重な水資源である地下水を安心して飲んでいただけるように、地下水の汚染状況の把握を進めることが必要であるというふうに考えます。
 そもそも、モニタリングもどの程度やっていらっしゃるのかも含めて、この地下水の汚染状況の把握、私はもっともっと強力にきちっと、環境省でまだ把握なさっていないと思いますので、それぞれの都道府県で一部調査しているだけにすぎないんじゃないかと思いますので、進めるべきだと思うんでありますが、いかがお考えになりますでしょうか。
大木国務大臣 地下水のモニタリングというのは、やはり全国にございます井戸、地下水ですから井戸を調べるということになると思うんですが、平成十二年度におきまして、大体全国で一万二千本の井戸でのモニタリングを実施しております。このモニタリング、都道府県ごとに、五年程度で一応必要な地点を一巡するようにということで実施をしておりますけれども、これで十分かどうかというのはなかなかあれですけれども、またこれでせっかく新しい法案も今出しておるところでございますから、今後とも、十分かどうかということを含めて、きちっと見守ってまいりたいと思います。
樋高委員 例えば井戸一万二千本という話がありましたけれども、全然けたが違っていると思いますね、実態は。またしっかりと調査をしていただきたいと思います。
 汚染の除去等の措置が実施された後、きちっと措置がなされたかどうかという判断はどのようになさるのか、お伺いしたいと思います。
奥谷大臣政務官 実際に実施された措置が技術的水準に定められたとおりに実施されたかどうかにつきましては、都道府県において書面、写真によって確認を行うこととなります。また、必要がある場合には、立入検査の権限が与えられております。
 例えば、覆土や舗装であれば、覆土または舗装された範囲及び厚さについての確認、掘削除去であれば、汚染されていた土壌の範囲及び深さの確認、土壌の搬出がある場合には、その処分に関する記録の確認などが考えられると思います。
樋高委員 次に、情報公開関係でありますけれども、土壌が汚染されていることが判明したときに、土壌汚染は目に見えないものである、目で見えるんだったらまだ危機感がありますけれども、目に見えないものでありますから、周辺の住民が土壌汚染についてかえって非常に大きな不安を持ってしまったり、また調査や措置を実施した結果について不信感を抱いたりといったケースが十分に予想されるんじゃないかというふうに考えます。
 したがって、土壌汚染対策を進めるに当たっては、土壌汚染の問題についての住民の十分な理解を得て、安心をしていただくことが私は本当に重要なことなんじゃないか。今本当に政治不信また行政不信がある中でありますから、余計そうだと思います。このためにどのような対策が必要というふうに考えておいででしょうか。
大木国務大臣 この土壌汚染問題に限らないんですけれども、環境問題というのは、目に見えないと今おっしゃいましたけれども、これからまた法案審議していただきます例えば地球の温暖化というような問題だってなかなか目に見えないし、すぐには肌に触れてわからないというのが多いわけでございますが、土壌汚染につきましても、現場でそういうのに実際に触れた方はわかるけれども、一般論としてはなかなか難しいという点がございます。
 ということでありますから、今後もできるだけ、土壌汚染のリスクといいますか、リスクについての知見、情報を普及して、国民の理解を深めていく、リスクコミュニケーションを行うことが非常に大切である、こういうふうに考えております。
 ただ、それじゃ具体的に何をやるかということですが、とりあえず、非常に地味な話かもしれませんけれども、国や都道府県が、土壌汚染とそのリスクに関する知見、情報を積極的に必要なところへは提供していく。あるいは、土壌汚染対策というのは、これまたいろいろと専門家もだんだん育ってきておるわけですけれども、そういうものを熟知している人材、それから土壌汚染による環境リスクに関して人々にわかりやすく説明できる人材、これはわかっていても一般の人に上手に説明するということはかなり能力も必要でありますので、そういった人材の養成というようなことも計画をしております。
樋高委員 地味なことでもしっかりと、地域に根差してリスクコミュニケーションの積極的推進は不可欠であるというふうに思います。周辺住民の方が納得できるいわゆる情報公開と申しましょうか、リスクコミュニケーションを図っていただきたいと思います。
 ほかにもきょうはたくさん質問したいことがあるんですけれども、最後にお伺いをさせていただきたいのは、いわゆる見直し期間の短縮についてお伺いいたしたいと思います。
 この法律案は、後ろの方に、十年後いわゆる見直しをするということでありますけれども、私は見直し期間の大幅短縮を図るべきであるというふうに考えます。
 汚染土壌をめぐっては、判明件数が年によっては前年の倍になったりとか、著しく増加しているわけでありまして、そういったいわゆる土壌汚染をめぐる環境の急激な変化が想定し得る。これから十年後なんて、どうなっているかもう想像を超えると思うんです。だからこそ早期に見直すべきだというふうに考えますが、先ほど来大臣は不十分だと言っていながら見直し期間を十年後に設定するのは、私は矛盾しているというふうに言いたいんでありますけれども、いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 この法案の有効期間十年ということについて、いろいろと御意見があると思います。
 確かに、今、まだこれから省令だとか政令で決める部分が多いわけですから、それなぞもきちっと、もう少し早く法案自体の見直しができないかということですけれども、逆に、これはやはりかなり広くいろいろな影響が出てくると思いますので、例えば土地の取引というようなものについても影響するわけですから、ある意味ではやはり法的安定性と申しますか、一応基本はこうだよ、その中でいろいろと手直しはするけれども、基本はこうだということで、十年は原則としてはこれでやっていくんだということもある程度きちっとした方が、むしろそれにのっとって、安心してと申しますか、よく理解していただいて、その中でいろいろと対策を考えていただくということで、一応私どもとしては、それはいろいろと見直しは必要だと思いますから、いろいろと新しい知見の進展等によって、必要があればまた十年を待たずにどういうふうに対応するかということは考えますけれども、一応はこの法案としては、せっかくひとつつくって、皆さん方、御理解して、それに基づいて新しい体制を進めていこうということでございますので、十年とさせていただきましたし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、環境影響評価法とかPCB処理推進特別措置法など、ある程度見ないとなかなか結果がきちっと出てこないというものについては大体十年ぐらいということでございますので、私どもとしては十年でひとつやらせていただきたいというふうに考えております。
樋高委員 ほかの法律はほかの法律でありまして、やってみなくちゃわからぬというのは困るわけでありますので、続き、また次回させていただきます。きょうは、ありがとうございました。
大石委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 私は、昨年の十二月のこの委員会で、住友電気工業の土壌・地下水汚染問題を質問させていただきました。そこで、きょうは、この問題がただいま議題となっております土壌汚染対策法案ではどういうことになるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
 住友電気工業は、昨年八月の三日、九八年より実施してまいりました六製作所の敷地内の土壌、地下水の自主調査結果を公表いたしました。それによりますと、各製作所敷地内で、環境基準値を超えるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物が検出され、大阪製作所ではシアンが、伊丹製作所では弗素、六価クロム、砒素が環境基準値を超えていたということでございました。
 各製作所では、汚染状況の調査結果を所管自治体に報告するとともに、汚染の拡散防止及び敷地外への流出防止などの浄化対策を進めております。これは、現行の土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針での行政指導からいっても、自主的な調査結果を関係自治体に報告をし、浄化対策を講じることは当然のことでございます。
 今度の法案第三条では、使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地、そこについて調査をし、報告するということになっておりまして、操業中の工場または土地は対象外になっております。
 そこで、住友電気工業は、伊丹製作所を除いて、たまたま自主的な調査での浄化対策を行っていますけれども、この法案は、操業中の住友電気工業は、第三条第一項での調査をしなくてもよいということになりはしませんか。いかがでしょうか。
西尾政府参考人 本法案第三条一項の規定は、使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地に適用する、こういうことでございますので、御指摘のように、操業中の工場、この場合の住友電工の操業中の製作所といったようなものにつきましては、三条一項の調査義務は課せられないということでございます。
藤木委員 そうしますと、また、住友電気工業の自主調査で、各製作所敷地内で、環境基準値を超えるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物が検出をされ、大阪製作所ではシアン、伊丹製作所では弗素、六価クロム、砒素が環境基準値を超えていたわけです。ところが、伊丹製作所を除いて、他の工場は敷地内の汚染にとどまっておりまして、外部への汚染はないとしております。
 しかし、この法案の第四条第一項では、汚染土壌による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査は、政令で定める基準に該当する場合に命ずることができるとしておりまして、一般の人が立ち入らない場合であるとか地下水の利用がない場合には、調査を命じられないということになっております。
 そうしますと、住友電気工業の場合、伊丹製作所を除いて、敷地内で環境基準を超える有害物質が検出されても、この法案の第四条第一項での調査命令は発動できないということではないのですか。
西尾政府参考人 伊丹製作所あるいはそのほかの住友電工の各製作所を例にとっての御質問でございますが、この四条の物の考え方といたしまして、確かに、それぞれの敷地内に汚染がとどまっていて、一般の人にも触れない、あるいは地下水にも影響がないというような場合にあっては、基本的には健康に被害を及ぼすおそれがある場合だということにはならないのだと思っています。
 ただ、よくよく見まして、周辺で地下水の飲用があるような場合というような場合には、それは四条一項の命令によって汚染状態を調査させるということもあり得るかとは思っておりますが、敷地内にあくまでとどまるという場合は当たらないと思っております。
 ただし、本事例は、既に事業所で自主調査をやっておられますので、この法案の扱いとは別途、その自主調査というものの推移を見ていくということが適当ではないかと思っております。
藤木委員 伊丹の場合は、周辺井戸に検出をされたわけですね。しかし、それ以外の場合は、敷地内にとどまっている、一般の人も立ち入らないということですから、この法律ではやはり該当しないのですね。
西尾政府参考人 四条一項の適用に当たりまして、周辺の人の健康被害のおそれがあるかどうかということにつきましては、慎重に判断する必要がありますが、一つのティピカルな場合として、敷地外に全く影響が及ばないというような場合につきましては、四条一項の調査命令を課する必要はないというふうに考えております。
藤木委員 水質汚濁防止法の地下水浄化命令も同様の規定になっているというふうにお考えかもしれませんけれども、それでは、地下水浄化命令を発動した事例は全国で一体どれだけあるか。全く条文そのものが事実上空文化していると私は思うわけですね。
 ですから、私は、政令で定める基準には、人の飲用に供する場合などという条件はつけないで、土壌環境基準や地下水環境基準に適合しない場合は発動できるというようにすべきではないかと思うのですけれども、環境省、どうですか。
西尾政府参考人 本法案の四条一項で行います調査命令は、やはり人の健康被害を生ずるおそれ、そういう蓋然性の高い場合ということを規定していく必要があると思います。
 したがいまして、御指摘のような形で、土壌環境基準や地下水環境基準に適合しない可能性があるということだけで調査命令に直結するという形にするのは、健康被害の蓋然性がさほど高くない土地についても調査を行わせるというような形になりますので、そこまでの義務負担を課すことは適当ではないというふうに考えております。
藤木委員 では、現在の対策指針よりも後退するような法律だということでは困ると思うんですね。
 さらに、水質汚濁防止法の地下水浄化命令は、「浸透があつた時において当該特定事業場の設置者であつた者(相続、合併又は分割によりその地位を承継した者を含む。)に対しても、同項の措置をとることを命ずることができる。」と、過去に遡及して適用できるようになっております。
 しかし、附則第三条では、「第三条の規定は、この法律の施行前に使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地については、適用しない。」として、今度の法の施行後に廃止を届けたものから適用されることになっております。これでは、負の遺産と言われるこれまでの土壌汚染は、工場外での汚染が発見される以外、調査の対象にもなりませんし、汚染土壌のまま放置されるということになるわけです。
 ですから、法案の第四条による命令は当然のこととして、第三条による命令も、水質汚濁防止法の地下水浄化命令と同様に、特定施設を使用していた工場または事業場の敷地であった土地についても遡及適用できるようにすべきだと思うのですが、環境省、どうですか。
西尾政府参考人 三条一項で有害物質使用特定施設等を廃止する場合の調査義務でございますけれども、やはりこれは、現実にいろいろなデータから、汚染の可能性が高い、あるいは健康被害のおそれが高いというところまではまだいっていませんで、有害物質使用特定施設であるからということで比較的そういうリスクを生ずる蓋然性が高いということでありますので、そういうものを汚染防止という見地からとらえまして、調査命令をかけるということにしておるわけでございます。
 したがいまして、そのようなレベルのものにつきまして、過去に遡及して一律に義務を課していく対象にするというのは、やはり規制あるいは義務を課する制度としては適切ではないのではないかというふうに考えております。
藤木委員 負の遺産は負のままで維持をするということになりかねませんね。
 伊丹製作所の場合は、八七年の兵庫県の周辺井戸調査で環境基準を超えるトリクロロエチレンが検出されたということで、県の行政指導が入ったわけです。そこで、工場内の調査を実施したものでした。ですから、トリクロロエチレンは、八八年のボーリング調査で検出され、八八年の五月に自治体に報告されていますけれども、弗素は、八四年のボーリング調査で検出され、昨年六月に報告、六価クロムは、八八年のボーリング調査で検出をされ、同じく昨年六月に報告、砒素は、九〇年のボーリング調査で検出をされ、やはり昨年六月に報告されています。
 この間に、報告していない間に、伊丹製作所は、土壌ガス吸引法や揚水処理、隔壁や土壌除去などの浄化作業を進めておりました。トリクロロエチレンで四ミリグラム、弗素で二・二ミリグラム、六価クロムで百ミリグラム、砒素で〇・〇四ミリグラムに引き下げていたわけです。しかし、引き下げていても、依然として、基準値の百三十三倍のトリクロロエチレン、二千倍の六価クロムなど、四物質が環境基準を超過しております。
 そこで、今、伊丹製作所は、環境基準値以下にしようと浄化作業を続けていますけれども、依然として四物質が環境基準を超過しているわけで、当然、この法案の第五条の指定区域の指定をすることになると考えますけれども、環境省、いかがですか。
西尾政府参考人 この法案におきます制度の説明をまずいたしますと、御指摘のとおり、地下水の汚染が認められ、あるいは周辺で地下水を飲用している、そういうような場合におきまして第四条の調査命令がなされることはあり得るわけでして、その結果、敷地内の土壌が五条の要件に該当する、その要件をこれから決めなければなりませんけれども、環境基準を大きく超えるようなそういう汚染があったということになれば、指定地域として指定しまして、本法に基づき必要な措置を講ずることと相なろうかと思います。
 ただ、ちょっと先ほど申し上げましたように、本事例は、実は既にそういう対策を実施中で、確かに浄化には時間がかかります。大分下がってきておりますけれども、まだ高いということで、それを引き続き浄化対策をしておるということでございますので、この事例につきましては、その推移を見ていくということは必要ではないかと存じております。
藤木委員 調査をして、必要であれば指定区域にすべきだと思いますね。
 それでは、伊丹製作所の場合、トリクロロエチレンは八八年のボーリング調査で検出をされて、同じ年の五月に自治体に報告されていますけれども、先ほども申しましたように、弗素は八四年の調査で検出しているわけです。六価クロムは八八年に検出しております。そして砒素は九〇年、いずれもボーリング調査で検出をされておりますけれども、にもかかわらず、いずれも昨年の六月に報告をされているわけです。兵庫県も八七年の地下水調査で伊丹製作所の汚染を発見しておりまして、汚染対策を指導しておきながら、一般の周辺住民への情報を公開してはおりませんでした。昨年六月に公表されるまで、一般周辺住民は何も知らないまま有害物質での汚染の危険にさらされていたということになるわけです。
 ですから、汚染が発見された場合、いち早く一般の周辺住民への情報の公開が非常に大切であろうと思うわけです。この法案の第六条で、指定区域台帳を調製し閲覧に供することになっていますけれども、住友電気工業の場合は、台帳で周辺住民が閲覧できるということになるのでしょうか。
西尾政府参考人 御指摘のように、環境汚染の情報を公表していくというようなことは非常に大事なことでございまして、これはもう、この法案というよりも、実際に自治体におかれても積極的に行われるべきようなものではないかと思っております。
 ただ、本件につきましては、先ほど申し上げましたように、今、自主的取り組みということを実施しておられます。それが続いている状況をもう少し注視した方がいいと思っておりますので、台帳のところだけこの法律を適用してリストアップするというのは少し適当ではないのではないかと考えております。
藤木委員 そうしますと、現在汚染されているということがはっきりしていても、指定台帳の区域には載せないということなんですか。載せないんですね。どちらですか。
西尾政府参考人 この法律の指定台帳の規定がございますが、これは、四条からの調査をやりまして、それから汚染を発見してという一連の流れを経て確認をしたものが指定台帳に載ってくるということに相なります。
 今御指摘の住友電工のケースは、この法律の施行前に実際に自主的な対策に取り組んでおられますので、それをこの法律に途中から乗せるのかということに関しましては、もう現に対策が進められているということでございますので、その対策の推移をまずは見ていくということが適切ではないかと思っておりますので、そういう面では、四条の調査を始めません場合は、台帳にリストアップをするという条項のところが適用になるということにはならないというふうにお答え申し上げさせていただきます。
藤木委員 指定区域にきちんと載せて調製をし、閲覧に供して情報を公開するということをやるべきだと思いますね。
 さらに、伊丹製作所では、依然として基準値の百三十三倍のトリクロロエチレン、二千倍の六価クロムなど、四物質が環境基準を超過しているわけですけれども、工場外への汚染はないとしております。兵庫県の周辺井戸のモニタリング調査でも、環境基準を超えるものは現在検出されていないとしております。
 そこで、現在行われている浄化作業は兵庫県の行政指導によるものでありまして、水濁法の地下水浄化命令によるものでもありませんけれども、今度の法案が成立したとしたら、浄化を続ける根拠がそれではなくなるのではないかと私は心配いたしますけれども、現行どおり環境基準値以下まで浄化を続けさせられると考えてよいのですか。
西尾政府参考人 本件につきましては、この法律を今審議いただいているところでございますので、その前に汚染が出て、自主的な取り組みをしておるというケースでございますので、そのケースをどう扱うかということですが、現に対策に取り組んで、浄化まで目指してやっておるということでございますので、まずはその対策を見守るのが適当ではないか。ということは、逆に言いますれば、現在県の指導に従って浄化対策をやっておるわけでございますから、これがきちんと自主的になされるのであれば、それが完成してきちんと対策が完了するということが望ましいというふうに考えております。
 そういうことで、この法律ができたからそれを途中でやめさせるとか、そういうことにはならないというふうに考えております。
藤木委員 ただ単に浄化作業をやっているだけじゃなくて、環境基準値以下にするという努力をしているわけですね。私は、やはり環境基準値以下になって初めて負の遺産が負ではなくなるというふうに思います。
 また、伊丹製作所では、この間に、有機塩素系については土壌ガス吸引法や揚水処理、重金属については隔壁や土壌除去などの浄化作業を進めております。これは、現行の土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針で、有機塩素系については地下水揚水、土壌ガス吸引、重金属については封じ込め、浄化という対策が示されているからそのとおりにやっているわけですね。
 しかし、今度の法案の第七条第四項では、汚染の除去等の措置の実施に関する技術的基準は環境省令で定めることになっていて、その汚染の除去等の措置とは、立ち入り制限、覆土、舗装、封じ込め、浄化等の対策をとることになるというふうに伺っております。
 これは、費用対効果、土地の利用や飲用井戸の利用の状況などを勘案して方法を決めることになるわけで、そうしますと、伊丹製作所の場合、工場敷地外に汚染が漏れていないとしておりますし、周辺井戸での飲用も今はなく、一般の人が工場内に立ち入ることがないということなどから、少なくとも操業中でもありますし、汚染土壌についての封じ込めや浄化の対策までとらなくてもよい、こういうことになるのではないかと心配いたしますけれども、現行どおり土壌除去などの浄化作業を続けさせることができると考えてよろしいのでしょうか。
西尾政府参考人 この第七条におきます対策の技術基準はこれから決めるということでございますので、その中にいろいろ精緻に書かれることになります。そういう事柄と現実の汚染とを比べなければいけませんので、ちょっと今の個別事例について、どこまでの措置が要求されるかについて確定的な申し上げようはできないと思っております。
 ただ、この伊丹、私の承知しておりますところは、この周辺には井戸があり、飲用の可能性もあるというようなことも聞いておりますので、もしそういうことであれば、そういう地下水が汚染をされて、広範に汚染をされているということであれば、浄化も含めた相当程度の措置が要求される場合もあるというふうに考えております。
藤木委員 そうなりますと、この法律で基準値以下にまで下げさせられることはできますか。
西尾政府参考人 まず一つ、現在やっております県の指導、これは必ずそういうことでやっていっていただくということが適当だと思っております。
 それから、この法律につきましては、繰り返しになりますけれども、汚染の状況等に応じて健康被害のおそれを防止することに必要な対策を要求するということになりますので、このケースにつきまして、具体的に当てはめてどういう対策になるかということにつきまして、今ちょっと確定的に御答弁させていただくことが難しいと思っております。
藤木委員 そういう事案がこの法律でどうなるかということを私は伺っているわけで、それが答えられなければ困るわけですね。
 さらに、六価クロムなどにつきましては、兵庫県は、昨年六月に初めて行った定期モニタリング井戸での調査を継続実施するとともに、今後浄化対策を指導する、こう言っております。ですから、この法案での汚染の除去などの措置をとることにはいろいろな方法があるということではなくて、敷地内での重金属の土壌汚染を環境基準値以下に下げるまで浄化の責任を汚染原因者や土地所有者等に果たさせる、そういう指導をすべきだと思いますが、いかがですか。
西尾政府参考人 詳細に検討する必要があるかと思いますが、重金属類等につきましては、基本的には余り動かないあるいは水に溶けないということがございますので、その土地の利用が一般の人が触れるような利用をしていく、自由に利用していくということであれば、その重金属類等の汚染を除去、浄化をする必要があると思いますが、そういう利用でない場合におきましては、舗装をいたしましたり覆土をいたしますということにおきまして健康リスクを避けることができると思っております。
 それから、地下水の場合は、いろいろ精査しなきゃいけないと思いますが、一番典型的なこととして、外に飲用の井戸があって、そこで汚染が出ておりまして、それが環境基準を超えておるというようなことであれば、それが下がるように必要な対策を講じていくということが基本ではないかというふうに思っております。
藤木委員 それは当然ですよね。もう余りにも当たり前のことだと思います。
 次に、大阪市此花区高見の住宅団地での土壌汚染問題で伺います。
 ここの土壌汚染は、二〇〇〇年の十二月に都市基盤整備公団関西支社が、住宅団地、高見フローラルタウン内の高層住宅建設予定地で、国の環境基準値を上回る水銀、鉛、砒素などの重金属が土壌や地下水から検出したというものです。環境基準と比べまして、鉛が最大四百四十倍、水銀が二百八十倍、セレンが百九十倍、砒素が六十五倍でした。
 公団の関西支社は、一九八二年、東京の化学メーカーから、建設予定地を含む約十六ヘクタールを住宅建設用地として取得いたしました。この場所には五〇年代まで同化学メーカーの化学肥料製造工場が操業していたわけです。しかし、この化学メーカーは、検出された重金属は製造過程では使っていなかったとしておりまして、大阪市は、重金属が別の場所から流れ込んだ可能性もある、このように見ているわけです。しかし、この化学メーカーの八十年史というのを見ますと、肥料工場だけじゃなかったんですね。鉛式硫酸製造設備を持った硫酸工場だとか食塩電解工場も稼働しておりましたので、これは詳しく調査をして汚染原因者を特定する必要があると考えます。
 しかし、いずれにしましても、今、公団は、建設予定地の汚染土壌について、基準の十倍以上のものは産業廃棄物処分場に運び、それ以外はコンクリートで囲って地下に封じ込める工事を進めていますけれども、今度の法案が施行した場合、この建設予定地は、土地所有者である公団に対して、第三条の調査、第七条の措置命令ということになるのでしょうか。いかがですか。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
西尾政府参考人 このフローラルタウンのケースにつきましては、有害物質使用特定施設に係る工場等を用途変更していくようなケースと異なりますので、三条の規定は当たらないと思っております。
 それから、またこの場合でも四条はどうなるのか、あるいは七条はどうなのかという議論になると思っております。それで、先ほどと同様に、事実上自主的な対策が打たれている、そういう経過的なときにこの法案ができたといたしました場合にどうなるかということであろうかと思いますが、このケースにつきましては、いろいろと、直接摂取に係るリスクの問題でありますとか、その自主的にやっております対策が大体十分なものが多分なされるであろうということであれば、その推移を見守るということもよいのではないかと思いますが、これについてはいろいろと議論があるやに聞いておりますので、自治体ともよくよく連絡をとっていく必要があるというふうに思っております。
藤木委員 この化学メーカーの工場跡地内には、今の建設予定地のほかに、もう既に分譲されております賃貸マンションだとか市営住宅が建っているわけです。約三千三百世帯が入居しているわけです。
 ですから、公団と市は、昨年一月、周辺地域の百三十九カ所の表土を調査いたしました。最高、基準の十四倍の砒素、四倍の鉛などが見つかっておりまして、十七地点で基準を超えておりました。基準を超過した汚染土壌は撤去されましたけれども、深い地点や地下水は調査されなかったんです。大阪市は、基準の数倍程度なら健康に全く影響がないし、地下水も飲んでいない、既に住宅が建っているので調査にも限界がある、さらに調査する予定はないということなんですね。
 しかし、地下水を飲用していないとしても、環境基準を超えているわけですし、一般の住民が毎日生活しているところなんです。汚染土壌は、幼児が公園などで誤って口に入れるということも十分ありますし、大人だって土ぼこりを毎日吸い込むということをやっているわけですよね。重金属は、長期間の摂取で、低濃度であったとしても肝臓障害や神経系の障害などを引き起こすということは既にわかっております。ですから、跡地全体の地下二メートル程度のところにかなり高濃度の汚染があると思われますので、改めて跡地であった敷地全体の汚染の程度と範囲を調査し、対策をとることが必要ではないかと考えるわけです。
 この法が施行した場合、大阪市は、それじゃ第四条の調査や第七条の措置命令を土地所有者に命ずることはできますか。
西尾政府参考人 まず、四条の調査命令は、汚染の可能性が高くて、汚染があるとすれば健康被害のおそれがある土地に対して行われるということでございますし、また、七条の措置命令は、土壌汚染による被害を防止する観点から、指定区域内の土地において一定の基準を超える汚染土壌が露出しているなど、リスク管理の状況に問題がある場合、あるいは、地下水経由の健康影響について、その地下水が飲用等に利用されているというようなことで発動するわけでございます。
 このケースにつきまして、先ほども申し上げましたように、事実上やっていることがある程度適切に行われて、それで対策ができていくというのであれば、その推移を見守るということがいいのではないかと思いますが、しかし、この法ができましたときに、この法で要求している対策、その内容につきましては、いろいろなケースがあって、そのリスクを防止ということで、覆土を適切に行えばいいというケースもありますので、今やっている対策でもやはりこのリスクを防止するに足りるということになるかもわかりませんが、いずれにいたしましても、この法律で要求するような対策のレベルというものとこういう自主的におやりになって完了しようとしている対策というものを比べまして、個々個別に判断していく必要があるというふうに思っております。
藤木委員 ここは私も行ってきましたけれども、完了していないんですよ。対策を途中でほうり投げようとしているわけですね。今度できる法律に非常に期待が高いわけですよ。ですから、私はぜひ、法の施行で新たにやれることなんですから、これは積極的に活用していただきたいと思います。
 汚染土壌の調査ですけれども、昨年の一月の公団と市の表土調査では、十七カ所の地点で基準を超過していましたけれども、溶出基準を超えていないところは、含有量の調査をしていないかあるいは調査していてもわざと公表していないか、まあ公表はされていないわけです。ですから、公団が鉛の調査をした十二カ所のうち、一カ所だけが溶出値を超過しておりまして公表しておりますけれども、あとは含有量を一切公表しておりません。
 ところが、溶出値がはるかに基準より下回っておりましても、含有量の方がはるかに超えているというところが何カ所もございます。例えば、七番街区というところで、鉛の溶出値が〇・〇〇五六ミリグラムであるのに対して、含有量は一千百ミリグラム、基準の二倍近いですね。また、〇・〇〇六三ミリグラムの溶出値に対して、二千九百ミリグラムの含有量というふうになっております。ですから、表土調査で溶出値が基準値以下でも、含有量調査をちゃんとやって公表し、除去等の対策をとるべきだと考えます。
 現行の調査・対策指針でも、表土調査に当たっては、カドミウム、鉛、砒素または総水銀を対象項目とする場合には含有量についても測定することになっていますけれども、今度の法案の基本となったことし一月の中央環境審議会の答申でも、「感受性の高い集団も念頭に置き、汚染土壌を通じた長期的な暴露を前提として、健康影響に係るリスクについて、何らかの管理が必要と考えられる濃度レベルとして設定する。」こうしているわけですね。
 ですから、現行の調査・対策指針では含有量参考値を示しているわけですけれども、今度の法案では、政省令で定める基準に、ダイオキシン類対策特別措置法の土壌の汚染に係る環境基準のように、土壌中に含まれる重金属の基準をも定めていただいて、高見住宅団地のような汚染土壌の調査及び除去等の措置をとらせることになるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
西尾政府参考人 従来の土壌の環境基準、これは溶出、溶け出していく方の基準ということを決めておりましたので、これは環境基準に定まっておりますので、溶出ということにつきましては広く調査をされたりということになって普及したのではないかと思います。
 しかしながら、先生御指摘のように、重金属等の健康リスクということになりますれば、これは直接摂取によるリスク評価ということが非常に重要でございます。審議会の議論も踏まえまして、含有量で基準を考えていくということが大切であるということになっておりまして、この土壌汚染対策法におきましても、こういう直接摂取によるリスクということにつきましては、こういう含有量基準ということを定めていくという方向で考えておるところでございますので、この法律におきましては、そういう重金属等の汚染につきましては、含有量基準の調査あるいはそういうものの対策、こういうことになっていくと思っております。
 なお、本件につきましては、そういうことになりましたときに、この地域における対策が十分なのかどうなのかという個別の課題ではございますが、大阪市ともよくよく連絡をとってまいる必要があるというふうに考えております。
藤木委員 そこで、大臣にお伺いをしたいというふうに思うんですが、これまで議論してまいりましたけれども、現在操業中で、周辺に飲用井戸などがなくて、一般の人が立ち入ることがない場合には、土壌汚染状況調査も土壌汚染による健康被害の防止措置も講じなくてもいいというような大変限定的な土壌汚染対策の仕組みにこの法律はなっているわけですね。
 これは、中央環境審議会の答申にもございますように、「土壌汚染の可能性の有無にかかわらず、すべての場合に調査を行うことを義務づけることは、国民に過重な負担を求めるものとなり適切でない」、こう言っておりまして、調査や浄化対象を大変限定しているわけですね。
 しかし、私、国民の過重な負担と言いますけれども、それは汚染原因者や土地所有者である工場または事業者の調査や浄化での費用負担が重いということでありまして、いわば産業界の要求で義務づけられる対象を極めて限定しているのではないかというふうに思うわけです。
 さらに、行政改革推進本部規制改革委員会の「規制改革についての見解」というのにありますけれども、「具体的な対策の発動や処理の基準について地下水の利用状況等地域の実情に応じた規制が可能であるように工夫すべき」だという規制緩和の方向に沿った側面を持っているわけですね。ですから、この法案が大変不十分な内容になっているというふうに思います。
 しかし、だからといって、負の遺産と言われる土壌汚染の多くをそのまま放置しておくわけにはいかないと考えるわけですね。人の健康被害のおそれだけではなくて、生活環境影響や生態系影響も視野に入れて、実効ある土壌汚染対策を講じていただきたい、このように思いますが、大臣いかがでしょうか。
大木国務大臣 今、国民という言葉の中に、国民一般の過剰な負担というのは困るというお考えもあるし、しかし今、委員のお話の中には、国民といっても、現実には今の土壌汚染にかかわっておるといいますか、それと関連のある事業者ないしはその土地の所有者ということをお話ございました。
 ただ、その事業者とか土地の所有者といいましても、実際にその汚染、仮に汚染があるとしても、それとのかかわり合いというのはケースごとに非常に違うと思うんですね。ですから、やはりこれは、今おっしゃったとおり、一般論としてはそういった考え方もこれから当然に考えていくということでありますけれども、どうなんでしょう、生態系の話だとか、そういったものがいきなりぽんと入りますと、でき上がった今の法律の中でも、その中でのいろいろな措置というのもまだ十分じゃないということでございますから、これは今後の知見がだんだん集積してまいりまして、それがどういうふうに土壌汚染とかかわってくるかということの中でまたそういった新しい視野からの検討ということは、ですからもちろんこれはこれから検討してまいりますが、今その一つの基本的なアイデアとして、基本的な考え方としてそういったものをすぐにそこまで広げるということについてはいささか、十分これからの状況を見て、やはりバランスを考えなければいけないんじゃないかというふうに思っております。
藤木委員 その視野が狭くならないように、広げていただきたいということを申し上げているわけです。
 また、さきに挙げましたように、負の遺産と言われる土壌汚染の多くがそのまま放置されかねないというのは、工場だとか事業場の私的財産権が障壁となっておりまして、所有地に対する調査だとか浄化対策の発動が制約されるという点があるからなんですね。
 例えば日本の場合は、土地が私的財産という意識が非常に強うございまして、公共財産だという観点はございませんね。ところが、ドイツ連邦の土壌保全法は、あらゆる人間に対して有害な土壌変更を引き起こすようなことはしてはならないというふうに義務づけをしております。義務化しているわけですね。土壌環境の悪化を防止しようというふうになっておりまして、廃棄物処理法につきましても、土壌や地下水は公共の福祉の一要素として保全しなければならない、こういう規定があるわけです。
 そこで、大臣に伺うわけですけれども、日本でも土壌汚染調査が望まれる事業所が、日本全体で約九十二万八千カ所というふうに推定されているわけですよ。ですから、土壌汚染から人の健康や生活環境を守っていく立場から、公共性の観点に立っていただいて、その観点をはっきり示していくという必要があるのではなかろうか、こう思うわけですね。
 ですから、公共の福祉の観点から、負の遺産を早急に汚染対策をすると同時に、新たな土壌汚染の発生を未然に防止するという観点が必要ではないかというふうに私は考えますが、大臣はいかがお考えですか。
大木国務大臣 非常に負の遺産ということを御強調いただいたわけでございますし、確かに、いろいろな経済活動等々から、負の遺産というような考え方に当たるもの、そういった範疇に入るものが出てきていることは確かだと思います。
 ただ、日本におきまして、土地というのは非常に大事な私有財産であって、経済活動の中心になっているということもこれもまた否定できないことでございますから、これはやはりあくまでケース・バイ・ケースに考えて、守るべき公益と申しますか、環境面での公益、あるいは私有財産あるいは私的な活動というものをきちっと維持させるという公益、両方のバランスを考えながら、しかし、私どもとしては、やはり環境省の立場からは、十分に環境のことも考えながらそういったバランスを考えてまいりたいと思っております。
藤木委員 これで終わります。
大石委員長 原陽子さん。
原委員 社会民主党の原陽子です。
 本日最後の質疑になりまして、午前中からの質問と重なるところもたくさんあると思いますが、よろしくお願いいたします。
 まず一つ目には、特定有害物質について御質問させてください。
 この法律の中では「政令で定める」というふうに書かれておりますが、政令で定める特定有害物質とはどのようなものを想定しておられるか、お願いします。
西尾政府参考人 本法案の第二条の政令で定めることといたしております特定有害物質は、環境基本法に基づき、地下水等への溶出などの観点から定められております土壌の汚染に係る環境基準の対象物質、二十六項目がございますが、これを想定いたしておるところでございます。
原委員 土壌環境基準の二十七項目のうち二十六項目、それは銅を除くという、何か最初に御説明を受けたときと、ちょっと短かったかなと思って、ちょっと確認させてください。
 土壌環境基準の二十七項目のうち銅を除く二十六項目で、直接暴露リスクのある重金属九項目については含有基準を定めていく、地下水汚染のリスクがあるものは、重金属のほか揮発性有機化合物を含む溶出基準を二十六項目について設けるという事前の御説明をいただいたのですが、こういうことで間違いはないでしょうか。済みません。
西尾政府参考人 失礼いたしました。
 先生御指摘のとおりのことを考えておりまして、銅は農作物とか人の健康に直結しておりますので、それを除きました二十六項目を念頭に置いておりまして、これは溶出をする基準ということを考えます。
 それからもう一つは、直接暴露ということがございます。これは、クロムでありますとか砒素でありますとか、そうした重金属が九物質ございますので、そのようなものにつきましては、直接暴露ということを考えまして、含有基準を定めていかなきゃいけません。
 いずれにしても、これは物としては含まれますので、二十六のものにつきまして特定物質ということで定めていきたいというふうに考えております。
原委員 そこで、午前中、たしか奥田委員からの質問だったと思うのですが、アメリカの同様の対策では千八種類想定している、こういう特定有害物質について。
 午前中からもこのことについては何度か議論があったと思いますので、私は、ぜひ、政令で定める際にパブリックコメントというものを行っていくべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
西尾政府参考人 規制の制定、改廃に当たりまして、広く国民等に対して案を示しまして意見をいただくパブリックコメントということを行うべきものでございます。本法案二条の政令に基づき特定物質を定める等の場合も、こういう事例に当たるものだというふうに考えております。
原委員 では、広く国民の意見を聞くという立場で、パブリックコメントをぜひ実施していただきたいと思います。
 次に、法律の目的に関してなのですが、これはもう多分皆さんおっしゃったことだと思います。法律の目的に汚染の未然防止が書かれていないという批判がたくさん出ておるかと思います。
 未然防止については、水質汚濁法で手当てというか担保されていると何度か御説明をなさってきていたようですが、水質汚濁防止法には、「公共用水域及び地下水の水質の汚濁の防止を図り、」とありますが、例えば未然防止の部分で、地下水に関係なくて直接暴露によるリスクがあるような汚染についてはどのように防止をされていくおつもりでしょうか。
西尾政府参考人 土壌汚染の未然防止ということのお尋ねでございますが、土壌汚染が起こりますティピカルな経路ということを考えましたときに、通常は水質を通じて排水をしていく、そういうものがどこかを汚していく、あるいは直接地中にしみ込ませる、これは禁止されておるわけですが、そういうことをするということで汚されていくというものがかなり多いと思っております。
 ただ、そのほかのケースもそれはあり得るわけでございまして、それは、廃棄物としてそのまま捨てる、これは廃棄物処理法で対処している。まれには、大気、そういうようなものを通じていくものもあるかもわかりませんが、これは大気汚染防止法で防ぐ。さらに言えば、そういう化学物質のうち特に危険なものにつきましては化審法というようなものでも規制をしているということで、土壌に行く主要な経路が各種の未然防止のための規制法で遮断されておるということにおきまして、未然防止が図られている。
 そういう面では、先ほどの直接暴露というのも、廃棄物として捨てるとか、そういうところはしかるべき法律の規制があるというふうに考えている次第でございます。
原委員 さまざまな法律でいろいろ防止をしていくということだと思いますが、先ほど大臣、未然防止については意識はしてはいるという御答弁が午前中あったかと思うので、未然防止とここには書かれていませんが、未然防止の考え方というのは私はやはりぜひ徹底していっていただきたいなというふうに思っております。
 もう一つ、先ほどの藤木さんの御質問の中での大臣のお答えだったと思うのですが、生態系のことについて藤木さんが御質問なさったと思います。そのときの大臣の御答弁が、全部覚えていないのですが、生態系が入ってしまうと何ちゃらかんちゃらという感じで、全部覚えていなくて済みません、ちょっと消極的な御答弁だったと思います。
 私、本当に今さっきもらった、環境省が出している、生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会が出している中で、ちゃんと書かれているのですよ。「我が国の化学物質審査規制法ではもっぱら人の健康の保護の観点から審査・規制が行われているが、諸外国の制度では人の健康と環境(生態系)の両者の保護を目的として審査・規制が行われており、我が国においても生態系保全のための取組強化が必要との指摘がなされている。」と、環境省に設置されているこの検討会の中で、しっかりとこういうふうなことが書かれております。
 ぜひ私、もう一度同じことになるかもしれません、大臣にお聞きをしたいのですが、土壌汚染対策でも、やはり人の健康だけではなくて、生態系というものも私は視野に入れていくべきだと思いますので、先ほどよりももうちょっと積極的な御答弁をいただきたいと思って、再度質問させていただきます。
大木国務大臣 今御質問の中にありました生態系保全に関する検討会というのが環境省にあることは確かでございます。いろいろと勉強しております。
 生態系の保全ということが非常に大事だということ、環境政策全体の中ではそれは全くそのとおりでございまして、またこれを否定するものではございません。
 ただ、藤木先生のときにも申し上げたのですけれども、今たまたま審議いただいておる法案というのが、土壌の汚染ということを中心にして、しかもその目的としては、人間の健康に対する影響ということを一つ中心に、とりあえずですよ、とりあえずしておりますので、いろいろと余りたくさん並べて、それも同じ人間に対する影響というのと並列的に、同格と言うと言葉は悪いかもしれませんけれども、今すぐに生態系の保全ということも並べてやり出すということになると、なかなかそれは、やはり限られた予算なり限られた人員の中で、行政の中でどこまでプライオリティーをつけるかということは、ですから、これは、あくまでこの法律との関係でいいますと、生態系の保全というのは、今後も勉強はいたしますけれども、今すぐにどこまでプライオリティーをつけ得るかなということについては、私として今ちょっとまだすぐには申し上げられないということを申し上げました。
 しかし、環境政策全体の中では、生態系の保全ということは十分に今後も重視していかなければなりませんし、また土壌との関係でも、今後の科学的な知見によってこういうことはきちっとしなきゃいかぬというようなことが出てくれば、それはまたひとつ法律との関連で、あるいは政令なり省令なりのというようなことで補足もできるわけでありますから、それは決して後ろ向きにやるつもりはございません。
原委員 本当に環境政策全般にこの生態系保全という考え方を私も入れていっていただきたいと思いますし、やはり国民の関心も、人間の健康被害よりも、もしかしたらこういう化学物質とかというのは生態系への影響が大きいのじゃないかという形で意識も高まってきておると思いますし、大臣、とりあえずというふうにおっしゃったので、私はぜひこういう考えが行く行くは入っていくということで期待をしたいと思いますし、政令、省令等々で定めていけるということなので、これは本当に大臣のお力にかかってくることだと思いますので、ぜひよろしく、生態系ということも視野に入れて、さまざまな政策としてこの土壌汚染対策も考えていただきたいと思います。
 次に、調査の契機のところなんですが、これもまた繰り返しの質問になってしまって申しわけないのですが、私もやはり、三条にあるただし書きについては削除をすべきだというのが私の第一の考えです。
 何しろ工場の廃止というのは、そんなにたくさんあるものではないというふうに私は考えております。過去の地歴がわからない場合というのもあるし、気づかないリスクというものもあると思います。それなので、ぜひただし書きはまず排除していただきたいというのと、あと、工場等の廃止を契機にして、やはり一度は義務的に調査をすべきだと思います。調査にはそんなに費用もかからないというようなお話も午前中にあったので、ぜひ義務的に一度は調査をするということを入れていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
西尾政府参考人 三条の調査の契機でございますけれども、これは中環審あるいはそれを先立つ検討会で、まず最初は、ラフに考えておりましたときは、工場、事業場というものを用途変更して住宅とか商店とかいうものにしていくときには、リスクが非常に高いので、そういうときに調査をするのだというふうにまず考えました。
 その後、法文化するに当たりまして、もっとそれを正確につかもうということでございまして、工場、事業場といっても、こういう土壌汚染を起こすようなそういう物質を扱っている工場、事業場というものをきちんと把握しようということになりますと、実は、一番そういうことできちんと把握ができますのは、水質汚濁防止法の有害物質使用特定施設というものが一番、都道府県にも届け出がございまして、きちんと把握ができます。しかも、こういう心配のある物質を扱っているということでございますので、こういう施設を廃止して工場をやめるときというのが普通は多いわけでございますので、そういうときに調査をするということにしたわけです。
 ただ、工場等の中の操業の仕方、機械の置き方、ラインの組み方というのは、それは変わる場合もございます。こういう施設に当たらなくても、そのまま工場として、事実、その施設以外のところはもうほとんど従前と変わりなく操業しているようなケースがございます。それは、従来の趣旨に戻れば、そういう工場、事業場が廃止をして用途を変更するような場合に調査をさせるということでございますので、三条ただし書きによりまして、その施設をやめたからというようなことだけで調査をさせるということではなくて、そういう工場等が廃止をされるようなときになって初めてやらせるというようなことで、三条ただし書きを設けたものでございます。
原委員 何かわかったようなわからないような御答弁だったのですが、やはり調べてみないとわからないことは多いと思うので、この調査の契機、やはり機会をふやしていくべきだとも思っています。
 もう一つ、調査の契機のところでお聞きをしたいのですが、今回は都道府県知事が調査をしなさいということを言えるんですよね、怪しいというか危ないと思ったところに。
 それで、一つ聞きたいのは、例えば住民が自分の住んでいる近くから何か嫌なにおいがするとか、何かちょっと汚染されているなと思ったときに、その住民の声というものはどういうふうに反映されたり、住民の声にはこの対策法はどのようにこたえていけるのでしょうか。
西尾政府参考人 まず、法律によりまして都道府県知事が義務的にといいますかシステムとしてやらなければいけないことと、それから、実際に環境保全の立場からやっていただいたらいいだろうということを整理する必要があると思っております。
 この法律の見地からいたしますれば、やはり調査命令をかけるというのは、一定の健康被害を及ぼすようなおそれがある場合というようなことにつきまして、客観的にそういう状況であるときにかけるということだと思っております。
 ただしながら、都道府県におきましても、あるいは、環境問題というのはやはり住民のいろいろな声を聞いて、そういう声があれば実際に都道府県も、そういう心配が本当にあるのかないのかということについては常々目配りをしていただくべきものでございますので、そういう声があった場合に、そういう調査命令を行わなきゃいけないような事態に当たっているのかいないのかというようなことについては、真摯に検討をしていただく。もし当たっていれば、それはこの法律に基づいて調査命令等を適切に実施していただくということになるべきものだというふうに思っております。
原委員 ぜひ、環境行政というものは住民とすごく近いところにあるものだと思うので、そうした住民の調べてほしいなという声にもしっかりと行政側、自治体側が、この法律にははっきりとは書かれていませんが、こたえていけるような仕組みをとっていただきたいし、そして、自治体に徹底をしてほしい。そういう住民の声にはしっかりとこたえなさいよという、そうした周知徹底をしていただきたいというふうに思います。
 もう少し調査のところについて聞かせてください。
 環境省による「今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ案」によれば、操業中の工場や事業所の敷地であっても調査を行い得るものというふうにこの取りまとめ案には書いてあります。この土壌汚染の法案もこの考え方で運用されるということで間違いはないでしょうか。
西尾政府参考人 この法律におきましては、ある要件に当たれば自動的に調査をしなければならないという規定にしていますのが三条で、これは工場、事業場等を廃止する場合でございます。
 しかしながら、四条におきまして、地下水モニタリング等を通じましてその汚染の危険があって、人への被害のおそれがあるというような場合には、四条で命令をできるわけでございます。
 したがいまして、この取りまとめ案、先生今引用されました取りまとめ案で、操業中の工場、事業場ではあっても、周辺で地下水の汚染が発見されたような場合につきまして適切にその調査を行わせることができるという規定は、この四条の規定により行えるものというふうに考えております。
原委員 それでは、工場の建てかえるときで汚染が考えられるときでも、この四条で措置をできるということでいいでしょうか。
西尾政府参考人 四条の調査命令の規定は、周辺で地下水の汚染が発見されて人の健康被害のおそれがある場合でありますとか、これに匹敵するような何らかのおそれがあるときには、工場の建てかえとかそういうことにかかわりなく、それは調査命令をかけていくということになると思います。
 一方、そういうことがないときは、ただ建てかえているだけでありますとかあるいは持ち主がかわっているということだけでは、環境リスクが高まっているということにはならないと思いますので、そのときに必ず調査命令を発するというわけではないというふうに考えております。
原委員 それでは、次の質問なんですが、次はちょっと基地のことについて聞かせてください。
 二〇〇〇年の九月十一日に出た「環境原則に関する共同発表」によると、管理基準の中で、日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択することを基本として作成される日本環境管理基準に従って行われると書かれてあります。土壌の環境基準に関しては、この日本環境管理基準ではどのようになっているのでしょうか。例えば日本よりアメリカの対策法がすぐれている場合、米軍基地の中ではそのような扱いになるのでしょうか。
西尾政府参考人 先生御指摘の日本環境管理基準、JEGSにおきましては、日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するという基本的考え方により、その内容が定められております。
 しかしながら、現行のJEGSにおきましては、米軍側におきまして、有害物質による汚染の防止や適切な管理、処分についての規範というものが盛り込まれておるわけでございますけれども、私どもの方の土壌汚染制度ができておりませんので、それに相当する規定はないわけでございまして、ですので、今後、私どもの土壌汚染制度ができました場合には、これは米軍に働きかけまして、JEGSに何らかの形で反映させていただいて、私どもの土壌汚染制度も反映した形で取り組みがなされるというふうにしていただく必要があるんだと考えております。
 いずれにしても、こういう土壌汚染問題が発生いたしました場合には、環境分科委員会の枠組みを通じまして両国で協議をいたしておりますので、その中できちんと解決に努めてまいりたいというふうに考えております。
原委員 では、今のところ、この土壌の環境基準に関してはまだできていないということだそうなのですが、今回、土壌対策の基本法ができますので、なるべく早目に、この土壌に関しても日本環境管理基準というものをつくっていただきたいと思います。
 次に、埋立地のことについて質問をさせてください。
 去年の二月二十七日の環境委員会で、和歌山市の埋立地に埋め立てられた廃棄物に関する質問を私させていただきました。内容は、住友金属が廃棄物を埋め立てた埋立地に、関西電力がLNGの発電所を建設するために調査をしたら、ダイオキシンの土壌環境基準の十八倍が検出されたという事例です。そのときに、環境省の大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長が、「現在は埋め立てが完了して閉鎖され、土地として登記されている状態にある」「跡地を利用するに際して、その土地を掘削したり攪乱するというふうなことをしたときに、また新たな環境汚染を生じるのではないか」と述べておられます。また、埋立行為が終わった状態で「一般の土壌というふうに、土地というふうに認定されるような状況になれば、これは土地として土壌の環境基準がかかるわけでございます」とも述べられております。
 このような廃棄物などを含む埋立地だったところに例えば住宅などが建つ場合は、土壌の環境基準というものが適用され、調査の契機となると考えて間違いはないでしょうか。
西尾政府参考人 埋立地の埋め立て中は、まだ土地ではない。埋立地の跡地というのは、埋立地ができ上がりました、こういう状態の中におきまして、引き続き一般環境から区別されているものにつきましては、土壌環境基準は適用されないと思います。
 しかしながら、今答弁を引用いただきましたように、そういう埋立跡地につきまして、住宅の建設が行われる等、通常の土地として利用がされているというようなことになってきた場合におきまして、埋立跡地は、遮水工とかそういうことで環境対策はなされていると思いますけれども、そういうものが破損等により機能を損なうような、そういう利用がされるということが出てくる可能性がございます。そういう場合には土壌環境基準が適用されることとなるというふうに答弁申し上げたと思います。
 したがいまして、そういうような状態になりますれば、もしくはそこで汚染の可能性が高い、あるいはそれが健康被害のおそれが生じる可能性があるというようなことがあります場合には、この法案の調査命令の対象となり得る可能性のある土地として扱うことになるというふうに思います。
原委員 埋立地だったところを、例えばそれが住宅にならなくても、掘ったりとかすると、何が出てくるかわからないと思うんですね。それなので、例えば、この埋立地だったところを、住宅じゃなくても工場でもプラントでもいいんですけれども、何か建てる、掘ったり攪乱したりするのであれば、調査というものを義務づけるべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
西尾政府参考人 四条一項の調査命令は、汚染の可能性が高くて、汚染があるとすれば健康被害のおそれがあるような土地に対して行われるものでございますので、やはり具体のケースを見る必要があると思っています。
 ですので、埋立地で周辺に全く住居も何もない、そこで何らかの工作物をつくったり若干の造作をするといったような場合で、現実に周辺住民等への健康被害のおそれがないというような場合であれば、これは調査命令の対象にならないというふうに考えております。
原委員 では、次の質問です。
 埋立地とかというものは大体廃棄物処理法で規制されているということもわかりますが、一つ、例えば、これは埋立地じゃなくて、海の近くの土壌で何か汚染が発見された場合に、海に有害なものが流れていく可能性というものも考えられると思うんですね。
 そこで、海に近い土壌に汚染が見つかった場合に、近くの海水域への汚染についても調べるというようなお考えはおありでしょうか。
西尾政府参考人 余りケースとしてよいケースをなかなか想定しにくいものですから、具体的なお答えにはならないかもわかりませんが、物の考え方を申し上げますと、この土壌汚染対策をするということは、またこれは次には地下水汚染につながっていく、そういう地下水汚染を防いでいくということになります。そのためにあるわけでございます。
 その地下水汚染で、どういうことを守らなけりゃいけないかというのは、一番大事なのは、飲用の、人が飲む井戸の水質を守るということはございますが、それだけではございませんで、地下水の汚染を通じて公共用水域の汚染が起こるというような場合も、それは保全する対象に入っております。
 そういうことになりますと、公共用水域、河川だけではなくて近いところの海域、湾口というようなところも観念的には入ると思っておりますので、したがいまして、汚染の実態に応じまして、何か非常に重篤な汚染があるというようなことであれば、そういうところまで視野に入れる必要があると思っております。
原委員 汚染というのはすごくいろいろ個々の事例がたくさんあると思いますが、例えば、食物連鎖によって、陸の中で起こっているそういう汚染が北極の方にいるような動物にまで回っているというような実態がありますね。それなので、いろいろな状態というものが考えられると思いますが、なるべく地球環境というものも視野に入れて汚染対策というものをしていっていただきたいと思います。
 次は、調査機関の指定についてですが、調査機関の指定の基準は環境省令で定められると書かれています。これはあくまで不良業者を振り落とすものであるというふうに考えてよろしいでしょうか。だから、特定の人たちだけを指定するのではなくて、不良業者を落としていくというような考えでよろしいでしょうか。
西尾政府参考人 この調査機関の指定におきましては、土壌汚染の調査を行う技術的能力を有する者を幅広く指定していこうということでございまして、特定の人を特権的に指定しようという考えは全く持っておりません。そういう面では、この規定の効果は、御指摘のように、不適当な業者を排除する最後の担保手段、こういう形になろうかと思っております。したがいまして、実際に現在いろいろ調査の実績のあるようなすぐれた検査機関、これらの申請に基づきまして広く指定していくということに相なろうと思っております。
原委員 次は、指定区域の公示についてお聞きをします。
 公示内容、これも環境省令で、いろいろなものが省令で決められるなと思うのですが、環境省令で定めることになっています。対策が適当かどうかというものを第三者的にちゃんと判断する材料となるように、この公示の内容に、汚染物質、汚染の濃度、そして土壌の量、汚染分布図などいろいろなものを含めていくべきだと考えていますが、どのような公示内容というものを今お考えになっているでしょうか。
西尾政府参考人 指定地域に関します情報の公示、公開の問題でございますけれども、これは二つに分けて考えてございまして、公示行為につきましては、各自治体の公告式の中でスムーズにできる必要がありますので、この法律でも指定区域の公示はその旨行うということでございますので、基本的にはそういうものを、指定区域を指定した、それはどういうところの所在地だということのみを示すことになると思います。
 しかしながら、その土地でどういう汚染物質があったんだ、その汚染物質の種類でございますとか濃度でありますとか、そういう情報というものを盛り込んで公開する必要がございますので、それにつきましては、台帳の方に記載をするということに相なろうと思います。したがいまして、台帳の記載事項につきましては、そのようなことを念頭に定めていくということになろうと思っております。
原委員 いろいろな情報をやはり公開するということが必要になってくると思います。ぜひこの公示の内容というものは、より詳しくというか、よりたくさんの内容が書かれるべきだと思いますし、例えば、これは各自治体に任されると思うのですが、インターネットでの公示を、公開をしていくというようなことも視野に入れていくべきだと思います。
 次に、先ほど出た台帳について質問させてください。
 閲覧を拒める正当な理由というふうにこの台帳のところには書いてありますが、閲覧を拒める正当な理由とはどのようなものでしょうか。
西尾政府参考人 台帳の整備、編集中などで物理的に閲覧をさせることができないといったような限定的な理由のときだけが閲覧を拒める正当な理由であるというふうに考えております。
原委員 台帳が整理中だからちょっと今見せられないというのであれば、それは別にわざわざ法律の中に拒める正当な理由というふうな形で書く必要はないんじゃないかなというふうに私も思いますので、ちょっとどう思われますか。そういう理由であれば、このようなただし書きは要らないと私は思いますが。
西尾政府参考人 私人の土地を台帳に掲げまして、それを閲覧するといったような場合の立法例が幾つかございますが、その立法例におきまして幾つかの多くのものが全くこれと同じ、「正当な理由がなければ、これを拒むことができない。」というふうに書いております。
 したがいまして、こういう立法例に倣って書いておくということになりますれば、その解釈として、基本的にはこれはもう拒むことはなく閲覧をさせるものだという解釈になるのではないかというふうに思っておりますので、立法上の整理ということで御理解を賜りたいというふうに思います。
原委員 そうであれば、そういう法律を変えるというか見直すということも大きくは考えられるのかなと思ったりもしています。
 対策が完了したとしても、台帳から削除をするということになっていると思うんですが、私は削除をする必要もないと思っていて、むしろ土地の地歴として、ある意味永久に、土地が変わっていくなんということはそうぽんぽんあるわけではないので、そうした対策、どんな対策をしたかということは永久的に私は地歴として残しておくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
西尾政府参考人 指定区域台帳の持ちます効果は、基準を超える土壌汚染が存在する土地の情報を記載するということになります。この法律の体系の中で考えますと、そういう台帳に載っております土地は、土地形質の変更をするときに一定の制限がかかるという法律上の効果を持っておるわけでございます。したがいまして、これを浄化までやってしまう、基準をクリアするというところまでやりますと、そういう制限がかからないということに相なります。したがいまして、台帳に載せてそういう制限がかかるという法律上の効果がありませんので、台帳からは削除するということが制度としては通常の考えだと思っております。
 もう一つ、今、情報公開の見地というのは、これはある面では一つ別途のことでございまして、各都道府県ごとで指定を解除した、そういうときには指定解除の公示もしていただきますし、その公示をした文書でございますとか解除に係るそれぞれの関係文書というのは、それぞれの都道府県の文書管理、情報公開のルールで行われますので、これにつきましては、この法律で一律に定めるということではなくて、それぞれの都道府県の情報公開のルールに従っておやりいただくのが適当ではないかというふうに考えております。
原委員 次に、登記簿のことについて質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど、午前中、西野委員の質問の中に、登記簿にもこうした指定区域の内容というものは載せたらいいんじゃないかという御質問があったと思います。そのときには環境省の方がお答えになったので、きょうは法務省の方に来ていただいているので、土地取引の際の重要な情報になるので、登記簿への記載も私もやはり義務づけていくべきだというふうに思うのですが、同じ質問ですが、法務省の方にお答えを願いたいと思います。
房村政府参考人 お答えいたします。
 登記簿、特に土地に関する登記簿の役割ですが、これは土地の所在、それからその地目などのような土地を特定する情報と、それからその土地に関する権利関係、所有者がだれであるというようなこと、あるいは抵当権、地上権等が設定されているかどうかというようなその権利関係、これを公示するという、そのことによって土地についての取引の安全に資する、そういう目的で行われております。
 御指摘のように、指定区域であるとかあるいは例えば都市計画区域のどのような区域に該当するかというような、土地について行政的な規制が土地取引にとって相当大きな意味があるのは、御指摘のとおりだと思っておりますが、そのような行政規制を公示するという機能は、本来登記簿に期待されていないものですから、従来からやっていないということになっております。
原委員 繰り返しですが、縦割り行政ということを私も同じく述べさせていただきたいと思います。登記簿と台帳、二つ手に入れるとか、やはり手間がかかると思うんですよね、入手する方としては。ですから、できないというお答えだったんです、そういうことは書かれていないということだったんですが、こういうことも考えていっていただきたいと思います。
 余り時間がないので、厚生労働省の方に一つ質問させてください。
 いろいろな土壌の対策をしていくに当たって、汚染された土壌を浄化していくわけですよね。その作業員とか従業員の健康を守るためにどのような対策がとられていくべきだとお考えになっているでしょうか。
播政府参考人 お答え申し上げます。
 土壌の汚染を取り除くという非常に大事な仕事でございますけれども、それに直接当たる労働者の健康が損なわれることがあっては決してならないと私どもも考えてございます。
 健康障害を生ずることがないための対策として、内容としましては、汚染土壌の飛散の防止のための措置とか労働者の安全衛生教育などが内容になろうかと思いますが、実際に作業に当たられる労働者あるいは事業主の方にわかりやすく徹底するように、一元的にそれらの措置が及ぶような工夫を、厚生労働省としても、環境省と今後ともよく連携をとりつつ、一元的にそのような規制が、あるいは措置が及ぶような工夫をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
原委員 では、もうちょっといろいろ質問をしたいのですが、最後に、せっかく防衛施設庁の方に来ていただいているので、御質問させてください。
 北谷町のタールが見つかったという汚染がありましたね、米軍の跡地から。それの経過をちょっと御説明ください。簡単でいいです。
大古政府参考人 防衛施設庁の方からお答えいたします。
 御質問の点につきましては、昭和五十六年の十二月に返還になりましたキャンプ瑞慶覧のメイモスカラ射撃場地区、この跡地の建設工事現場におきまして、一月二十九日でございますけれども、ドラム缶及びタール状物質の流出が見つかりました。
 北谷町の方で、二月上旬におきまして百五十本のドラム缶及びその他汚染土壌等を撤去いたしまして、現在、撤去作業を行った業者に適切に保管されているという状況にございます。
 並行して、沖縄県の方でこの成分の調査をいたしましたけれども、いわゆる環境基準値を上回る物質は検出されていない、当該タール状物質による周辺環境への影響はほとんどないということで報告されております。
 この間、当庁におきましては、米軍に返還当時の施設の使用状況について問い合わせを行う等、原因の究明に向けて努力するとともに、現場の状況を改善することが最優先だと考えまして、北谷町、沖縄県等と協力いたしまして、事態の早期解決に向けて努力をしてきたところでございます。
 ただ、原因者の問題につきましては、返還から二十年以上たっておりまして、米軍の方も資料が残存しないということでありまして、原因者の特定には至っていない状況にございます。
原委員 私がここで聞きたかったのは、つまり今回、タールとは油ですよね。油で、そこには要するにいわゆる環境基準に定められている有害物質を上回るものは見つからなかったんだけれども、でも、油というものは、生活環境というか、そこにあるとやはり気持ち悪いですよね、油がそこにあるというのは。そうした意味から、やはり自主的に対策をとったわけですよね。
 今回、この土壌の汚染法には油というものが含まれていない。もちろん、油が人間の健康に有害か無害かとかということはすごく難しいとは思うのですが、やはりそこにあって嫌なものとしては、同様に対策を防衛施設庁ではとられたわけですから、環境省としても、油というものもこれからやはり考慮に入れていっていただきたいと思うのですが、どうでしょう。大臣、最後に。
大木国務大臣 今のところ、これは土壌についての法案で、主として水がいろいろと浸透するというところに主眼が置かれていますけれども、油も、それはもちろん、これから具体的にどんどんとそういうことがあちこちで出てくれば考えなきゃいけないわけでありますから、これは、実際のそういったケースが出てくるかどうか、それからまた、油と土壌の汚染の関係についてどういう知見が得られるかというようなことを十分、またたくさんケースがあれば、たくさんというよりも、とにかくそういうケースが今後出てくる状況に対応いたしまして、また前向きに検討させていただきたいと思います。
原委員 質問の時間が終わったので終わらせていただきたいと思いますが、もちろん、油というものも常識の範囲だと思うんですよね、汚染というか、気持ち悪いというもので。ですから、ぜひ対策を考えていってください。
 私、今回質問をさせていただいていて、いろいろな質疑も聞いていてちょっと思ったことがあって、例えば化学物質の製造の段階では化審法がかかっていて、未然の防止のところでは水濁法で、今度、対策になると廃棄物処理法とか土壌の汚染法となっていくという、物質は一つ一緒なのに、すごく縦割りだなということをすごく感じました。
 質疑をしていてもちょっと混乱をしたりもするので、これから、行く行く絶対に総括的な対策というものが、総括的というか包括的な対策が必要になってくると思いますので、縦割り行政というものではなく、環境省の中でも法律が個々に分かれているというのではなくて、一つの大きなものとしていろいろな対策というものをとっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしますということをお願いして、質問を終わらせていただきます。
大石委員長 次回は、来る四月二日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十二分散会


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