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第9号 平成15年5月20日(火曜日)

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平成十五年五月二十日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    木村 太郎君
      阪上 善秀君    鈴木 恒夫君
      鳩山 邦夫君    林 省之介君
      菱田 嘉明君    星野 行男君
      三ッ林隆志君    水野 賢一君
      望月 義夫君    山本 公一君
      小林  守君    小宮山洋子君
      鮫島 宗明君    長浜 博行君
      青山 二三君    中井  洽君
      藤木 洋子君    中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   参考人
   (早稲田大学法学部教授) 大塚  直君
   参考人
   (青森県環境生活部長)  前田 みき君
   参考人
   (岩手県環境生活部次長兼
   産業廃棄物不法投棄緊急特
   別対策室長)       長葭 常紀君
   参考人
   (廃棄物処分場問題全国ネ
   ットワーク事務局長)   大橋 光雄君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十日
 辞任         補欠選任
  松浪 健太君     林 省之介君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     松浪 健太君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 両案審査のため、本日、参考人として、早稲田大学法学部教授大塚直さん、青森県環境生活部長前田みきさん、岩手県環境生活部次長兼産業廃棄物不法投棄緊急特別対策室長長葭常紀さん、廃棄物処分場問題全国ネットワーク事務局長大橋光雄さん、以上四名の方に御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆さんに一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人の皆様におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序でありますが、大塚参考人、前田参考人、長葭参考人、大橋参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
 それでは、大塚参考人にお願いいたします。
大塚参考人 御紹介にあずかりました大塚でございます。
 本日は、廃棄物関連の二法案につきまして、私は、環境法の研究者という立場から、その考え方を見るとともに、今後の課題についてお話しすることにしたいと思います。
 お手元のレジュメを御参照いただければ幸いでございます。
 まず、現在の、既存の廃棄物・リサイクル法制でございますが、お手元のレジュメにもございますように、二〇〇〇年の国会におきまして、六つの廃棄物・リサイクルに関する法律が制定、改正されております。この中で、特に今回の改正案との関係で重要なのは、循環基本法でございます。それから、廃掃法自体も二〇〇〇年に既に改正をされております。これ以外にも、そちらにございますように、リサイクルに関する個別の法律が幾つかございまして、廃棄物・リサイクルに関する循環についての法制度というのは、相当程度固まってきているというふうに見られるわけでございます。
 循環基本法でございますけれども、そちらにございますように、いろいろな規定がございますが、今回の改正案との関係で重要なのは、拡大生産者責任に関する規定がここに盛り込まれているということでございます。それから、二〇〇〇年の廃掃法改正につきましても幾つかの重要な改正がございますが、特にここで申し上げておきたいのは、排出事業者責任の徹底強化がなされたということでございます。
 このように、二〇〇〇年の六つの廃棄物・リサイクルに関する法律の制定、改正、ミレニアム六法などと呼ばれることがございますが、これなどによって廃棄物・リサイクルに関する法制度はかなり整備されてきたわけでございますけれども、なお積み残されている問題があるということでございます。
 そちらに書いておきました(4)のaからeというのが、積み残された問題の主たるものであると考えております。
 第一に、不法投棄問題でございまして、こちらは、未然防止及び原状回復の両方の問題、それから原因者不明の場合の基金の問題というのが今でも残っているということでございます。
 それから二つ目が、従来からの問題でございますけれども、廃棄物の定義に関する問題。これは、いわゆる総合判断説というのが厚生省の課長通知にございますが、この定義の問題。それから、分類の問題。一般廃棄物と産業廃棄物という分類の問題がございます。
 それから第三に、拡大生産者責任。循環基本法にも置かれたわけですけれども、これにつきまして、どういう考えで、どういう製品について、どういう仕組みをつくっていくのかという全体的な整理、整合性がとれているかという問題がございます。
 それから四番目に、一九九七年の廃掃法、廃棄物処理法のことでございますが、廃掃法の改正によりまして生活環境影響調査の規定が置かれたわけですけれども、その後もなお住民同意の要綱などが都道府県等で存続しているということをどう考えるかという問題、さらに、廃棄物の受け入れ県で産業廃棄物の流入抑制の措置が要綱などでとられているわけですけれども、これをどう考えるかという問題がございます。
 それから五つ目ですけれども、最近の規制改革の動きが従来の廃棄物行政にどういう影響を及ぼすかという問題がございます。
 これらの点につきまして、環境省の中央環境審議会等を中心に検討がなされてきたということでございます。
 次に、今回の廃棄物関連の二法案の目的でございますが、今回の廃棄物関連の二法案の目的といたしましては、そこに書いておきましたような三つのものがございます。
 一つは、不法投棄の未然防止等の措置でございます。それから二つ目に、過去物の不法投棄の原状回復でございます。未然防止と原状回復というのは車の両輪のようなものでございまして、両方をあわせて廃棄物の適正処理に向かうということが考えられているわけでございます。それから三つ目が、規制改革を踏まえたリサイクルの促進等の措置でございまして、この三点が今回の二法案の目的というふうに言えると思います。
 先ほど申しました現在積み残されている問題との関係で申し上げておきますと、aとして書いておきました不法投棄問題、それから、eとして書いておきました規制改革の問題というのが特に今回の法改正案と対応しているということになります。さらに、bとして挙げておきました廃棄物の定義及び分類の問題というのも、一部ではございますけれども、今回の二法案に含まれているということが言えるわけでございます。
 それでは、改正廃掃法案と産廃の特措法案に分けて、少し触れておきたいと思います。
 まず、改正廃掃法案でございますけれども、二つの点が主に規定されているということでございます。
 一つは、不法投棄の未然防止等の措置でございまして、これに関しましては、五つの改正点が示されております。
 第一が、都道府県等の調査権限を拡充することでございます。これは、廃棄物であることの疑いがある物の処理につきまして、地方公共団体の長が報告徴収あるいは立入検査ができるようにするということでございます。
 豊島事件とか今回の青森、岩手県境事件のように、廃棄物でないと偽った者に対して地方公共団体が対応できなかったことが不法投棄を拡大させたと言われておりますけれども、この規定の導入によってこの点が改善されるということが考えられるわけでございまして、そういう意味で非常に重要な規定であるというふうに思われます。
 それから二つ目に、不法投棄等に関する罰則が強化されるという予定でございまして、不法投棄、不法焼却の未遂罪がつくられる、それから一般廃棄物の不法投棄に関する罰則が強化されるということでございます。
 それから第三に、国の関与を強化するということでございまして、国が広域的な見地から地方公共団体の事務について調整を行うということです。
 これは、複数の都道府県にまたがるような不法投棄事件というのがある場合、青森、岩手県境事件のようなものが典型でございますけれども、こういう場合に国が調整をするということでございます。
 それから、緊急時の国の調査権限を創設するということ、緊急時に環境大臣が報告徴収、立入検査を行えるようにするということが考えられております。これらは、地方分権改革推進会議の動きと対応するものと言えるわけでございます。
 第四に、悪質な処理業者に対する対応を従来以上に厳格化するということでございまして、そちらに書いてあるような改正が考えられております。
 それから第五に、事業者が一般廃棄物の処理を委託する場合の基準を定めますとともに、措置命令の対象者として基準に違反した委託事業者を加えるということが考えられております。
 これはそちらに書いてあるような背景事情に基づくわけですけれども、これによって、事業系一般廃棄物についての排出事業者の責任を強化するということになるわけであります。これは、先ほど申しましたbの廃棄物の分類の問題とも関係しているということでございます。
 廃掃法改正案の二つ目の柱は、リサイクルの促進等の措置でございます。
 これは、産業界の方から、廃棄物の業及び施設の許可に関する現行制度及びその厳格な運用がリサイクルを進めていく上で障害になっているという面があるということが指摘されておりますが、それに対応してリサイクル促進のために規制改革を進めるという趣旨でございます。二つの点がございます。
 一つは、広域的なリサイクルの推進のために、環境大臣が認定した者については廃棄物処理業の許可を必要としないという特例制度を整備するということでございます。現在は、省令に基づいて広域再生利用指定制度というものがございますけれども、指定を得るのに一年から一年半かかるということが言われております。これを法律の制度に格上げをして、処理基準に係らしめるとともに、不適正処理に対しては改善命令の発令とか許可の取り消し等を行えるようにするとともに、従来よりも迅速な認定を目指すということでございます。
 二つ目は、同じ性状を持っている一般廃棄物を産業廃棄物と同じ方法で処理する産廃処理施設については、届け出によって、一廃の処理施設の設置許可を必要ないというふうにするということでございます。スプリング入りマットレスとかパソコンなどが例として考えられております。一般廃棄物と産業廃棄物の分類に関して、その処理施設についての不合理を一部修正するということでございまして、これも先ほどのbの廃棄物の分類に関する問題と関連しているということになります。
 次に、特措法案の方に移りたいと思います。
 特措法案でございますが、不法投棄の行為者、排出事業者による原状回復がなされないという場合に行政代執行がなされるということになっておりますけれども、これについて、一九九七年の廃掃法改正におきまして、適正処理推進センターに基金が設置されております。もっとも、これは九八年以降に不適正処分をされたという産業廃棄物についてだけ適用されますので、九八年以前に不適正処理をされた産業廃棄物については、補正予算で国から三分の一の補助をするという扱いが毎年なされてきたということでございます。
 しかし、青森、岩手の県境事件を一つのきっかけといたしまして、九八年以前の不法投棄事件をも対象とする支援制度を法律補助とするということの要請が高まってきたということでございまして、今回の特措法案が上程されているということでございます。
 その特色といたしましては、二つの点がございまして、一つは、補助率を特別管理産業廃棄物に関しまして二分の一としている、かさ上げをしているということでございます。それから二つ目が、地方財政法の特例を置きまして、都道府県等の負担分について地方債の起債発行を可能としたということでございます。
 このように制度的に国費を支出するという前提といたしまして、都道府県は、不法投棄の事案ごとに実施計画をつくって、その中で過去の行政の対応それからこれから行う原状回復の措置について記述するということにしております。国費の支出の前提として、行政責任を明らかにするということ、それから、排出事業者に対するあるいはその不法投棄の行為者に対する責任の追及を徹底するということが趣旨であるというふうに考えられます。
 一般に、原因者不明、無資力の場合に原状回復の費用負担をどうするかということについては従来から議論がございますけれども、この問題については、九八年以前の基金の制度さえなかったという時代の問題でございますので、しかも原因者不明の場合ということですので、全面的に公費負担とするという今回の解決は適切であったというふうに考えております。
 最後に、今回の改正の意義と残された課題について簡単にお話ししておきたいと思います。
 今回の改正の意義といたしましては、先ほどから申し上げている不法投棄等の未然防止、それからリサイクル促進のために規制の合理化を図ったという二つの点のほかに、産業廃棄物行政の構造改革を推進するために国の関与の強化を図った、そして不法投棄の原状回復についても、期間を限定しながら国を中心とする公共負担を強化したということでございます。どれも重要な点でございまして、大きな意義があるというふうに考えております。
 ただ、中央環境審議会で議論された点のうち、幾つか廃掃法改正案には入らなかったものもございます。
 その一つは、適正処理困難物に関してEPR、拡大生産者責任の制度を導入することについては今回は見送られたということでございます。
 EPRにつきましては幾つかの法律が既に制定されているわけでございますけれども、適正処理困難物、例えば在宅医療注射器につきまして、廃棄された製品の安全性の見地からEPRを導入するということが考えられます。さらにそれ以外にも幾つかのものがございますので、汎用性のあるEPRの制度を廃掃法の六条の三などをてこにしてつくっていくということが考えられたわけでございますけれども、今回は結果的に落ちてしまったということでございます。
 残された課題といたしまして、廃棄される製品の安全性の見地とかリサイクルの見地を含めながら、環境省がリーダーシップを発揮しつつ、ほかの関係官庁と共同で一般的なEPR法をつくるということが望ましいと私は考えておりますが、これが今後の課題であるというふうに思います。
 第二に、廃棄物の適正処理に関する幾つかの点につきまして、中央環境審議会で議論されていましたけれども、やはり改正法案には規定されなかったものがございます。
 一つは、不法投棄に関する土地所有者の責任の強化でございまして、例えば、不法投棄がなされたことを知ったら、土地所有者が届け出をする義務を課するというようなことも考えられるわけですけれども、結果的には採用されていないということでございます。
 これにつきましては、当面は、措置命令の対象として関与者としての土地所有者というのが既に含まれておりますので、この現行法を活用しながら土地所有者の責任追及を図るということが考えられると思います。
 次に、不法投棄の最大の温床と言われる自社処理につきましては、産業廃棄物の運搬車両にステッカーなどの表示義務を課するというような方法が考えられますが、これについては、船については既に施行令に規定がございますので、同様に政令で対応するということが可能であるというふうに思われます。
 ほかにも、産業廃棄物の優良業者とそれから悪質業者との区別についての情報公開とか、電子マニフェストの導入などの問題がございますが、これらは重要でありますけれども、直ちに法律上規定するというものではないというふうにも考えられますので、当面は運用によって進めていくということが期待されると考えております。
 以上、簡単でございますが、私のお話を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 次に、前田参考人にお願いいたします。
前田参考人 青森県環境生活部長をしております前田みきと申します。
 青森、岩手県境不法投棄事案に関する青森県における取り組みについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと存じます。
 まず最初に、青森県田子町と岩手県二戸市の県境における不法投棄について、経緯について御説明をいたします。
 その前に、現場の地理的状況について触れておきます。お手元にお配りしております資料の一をお開き願います。現場は、県境の田子町と二戸市にまたがる面積二十七ヘクタールの地域であります。標高が約四百五十メートルの高原であり、岩手県側が高く、青森県側が低くなっております。
 さて、本件不法投棄事案は、八戸市の産業廃棄物処理業者である三栄化学工業が埼玉県の産業廃棄物処理業者である縣南衛生と共謀し、事業地内に不法投棄したことで、平成十二年六月に両法人及びその代表者が起訴されました。青森県では、同年六月から八月の間に、両法人に対して不法投棄された産業廃棄物の撤去を行うよう、また、平成十四年九月に、廃棄物からの浸出水による周辺環境への汚染拡散を防止するよう、措置命令を発しております。しかし、両法人は措置命令を講ずる見込みがないことから、県が行政代執行により原状回復を図ることとしております。
 以上が経緯等でございます。
 次に、調査概要とその結果について御説明いたします。お手元の資料二をお開き願います。
 青森県では、汚染の実態及び周辺環境への影響を把握するために、平成十二年度及び平成十三年度に汚染実態調査を実施しました。さらに、平成十三年度からは周辺環境等のモニタリング調査を継続して実施しております。また、平成十四年度には遮水壁設置のための地盤の透水性調査、水処理施設設置予定地の地盤調査等を実施しました。
 その結果、次のことが明らかになっております。資料三をお開き願います。
 廃棄物は、ごみ固形燃料、RDF様物と堆肥様物、汚泥及び焼却灰などが主体となっております。それから、本県側の廃棄物の推定量は約六十七万立方メートルであること、現場全体において揮発性有機塩素化合物によって汚染されていること、一部区域にダイオキシン類に汚染された廃棄物が投棄されていること、現場内からの浸出水による周辺環境への影響が懸念されるが、これまでの周辺環境の水質調査の結果は環境基準をおおむね満足していること、現場の地盤は難透水性であり底面遮水層として利用可能であること、以上の結果を踏まえまして、県としては、住民の暮らしの安全、安心の確保、風評被害の防止を第一義に、岩手県と連携し早急に対策を講ずることとし、専門家、住民代表等で構成する合同検討委員会を設置し、さらに検討委員会のもとに技術部会を設置し、原状回復に向けた対応策等を検討しております。
 次は、原状回復方針についてでございます。資料四をお開き願います。資料四―一は汚染拡散対策の平面図でございまして、資料四―二は断面図でございます。
 原状回復の方針としては、有害廃棄物の除去、除去とは撤去または現地浄化を指しますが、有害廃棄物の除去を最終形態と考えております。この除去作業を実施するために、有害廃棄物からの汚染水による周辺環境への影響を防止すること、それから除去作業の過程で汚染水の拡散を防止することなどに必要な措置として遮水壁及び水処理施設を設置することとしております。
 資料五をお開き願います。
 水処理施設は本年度から着工し、十六年度には完成、稼働後に遮水壁工事に着工し、十八年度に完成する予定としております。その上で有害廃棄物を除去することとしております。除去する有害廃棄物については、特別管理産業廃棄物に相当する廃棄物を優先的に撤去することとし、その他の有害廃棄物の除去範囲等については、合同検討委員会及び技術部会における提言を踏まえて県が最終的に決定することとしております。
 なお、特別管理産業廃棄物相当廃棄物のうち、撤去作業によって汚染が拡散するおそれのない状態のものについては、平成十五年度、今年度から撤去作業を行うこととしております。
 次に、排出事業者の責任追及について、本県の基本的な考え方、責任追及に対する取り組み状況等について御説明をいたします。
 まず、排出事業者の責任追及については相当の労力を要するものでありますが、法の安定的施行を確保し、不法投棄の未然防止のためにも厳格な対応が必要であると認識しているところです。また、原状回復に要する経費は県費の負担であり、さらには全国民の負担となることから、国の積極的な関与のもと、排出事業者の所在する関係都県市の協力を得ながら、排出事業者責任を徹底的に追及していくことが必要と考えております。
 次に、これまでどのようなことを行ってきたか、その状況について御説明いたします。
 当初リストアップした一次分の約二千六百業者の関係では、関係都県市に協力を依頼するため、昨年八月に環境省主催で関係都県市部長会議を開催したところです。
 その後、報告徴収の円滑化を目的として、昨年十月下旬から十一月中旬までの間に、対象事業者数の多い首都圏の九都県で延べ十六回の排出事業者説明会を、青森、岩手両県主催で開催したところです。
 一方、昨年末に追加でリストアップした二次分の約八千業者の関係では、本年一月下旬から新潟県、静岡県等の新規関係県市で排出事業者説明会を開催し、報告徴収を順次実施したところです。また、並行して、東京都、埼玉県などの大幅に排出事業者が増加した都県市の排出事業者に対しまして、必要に応じて説明会を開催しながら報告徴収を実施いたしました。
 資料六をお開き願います。
 五月十四日現在のところ、所在地不明業者を除く九千五百四十三業者のうち八千四百九十七業者からの報告書の提出があり、提出率は八九%となってございます。
 次に、責任追及の手順について御説明をいたします。
 報告徴収実施後は、廃棄物処理法に定める委託基準違反、例えば許可品目以外の種類の廃棄物の処理を委託しているといったような違反、または注意義務違反、例えば適正な対価を負担していなかったというような違反の事実がないかどうかをチェックし、措置命令の対象となり得る排出事業者に対しては再報告徴収あるいは立入検査を実施いたします。その結果、法違反事実が認められ、措置命令の対象となる事業者に対しましては、聴聞、弁明手続を経て、できる限り速やかに措置命令をかけたいと考えております。当該措置命令に従わない場合は刑事告発等を検討し、代執行後に経費の求償を行うこととしております。
 なお、措置命令については、法の適正な執行の確保の観点から、必要に応じて国の助言を受けながら行うことで考えております。
 最後に、本事案にかかわる県の行政責任の検証について御説明をいたします。
 資料七をお開きください。資料七、別になっておりまして、二枚つづりになってございます。
 青森県では、昨年十月一日に外部委員による検証委員会を設置し、調査、検証等を行ってきたところですが、本年三月二十五日に検証結果報告が出されたところです。
 報告では、平成八年六月六日に三栄化学工業が本件不法投棄の主要な現場となった土地への県による立入調査を拒んだ以降は、不法投棄を行っている高い蓋然性があるものと認識し、可能な限りの手段を尽くして行政調査を行うべきであったにもかかわらず調査が不十分であったことに対して県の落ち度があるとしております。また、警察への情報提供、連携、関係部局との連携が不十分であったことに落ち度があるとしております。
 青森県としてはこれまで、当時は住民からの情報などに基づいて立入調査、早朝・夜間監視などできるだけのことは行ったものの、極めて悪質、巧妙な業者であったこと、地形的なことなどから発覚がおくれたものであると認識をしてまいりました。
 しかし、検証委員会から県に落ち度があったとの指摘があったことから、知事はこの指摘を厳粛に受けとめ、県民、地元住民におわびをするとの考えを表明しました。私も、知事の指示を受けて直ちに地元に赴き、住民の方々に知事の思いを伝え、住民の皆様におわびをしてまいりました。県としては、一日も早く住民の不安を解消するよう、現場の原状回復に全力を挙げて取り組んでいくことが県の責任であると考えておりまして、住民の方々におわびをした際にもそのように御説明を申し上げました。
 また、検証委員会からは再発防止策の提言がありました。これを受けて、知事から関係部長に対し、再発防止のための対策を的確に講ずるよう指示がありました。青森県では、本事案を初めとする悪質な不法投棄事案を契機として、また廃棄物処理法の改正による規制の強化等を踏まえ、これまでも不法投棄防止対策を講じてきたところですが、検証委員会からの提言のありました再発防止策については、これを実施し、今後二度とこのような不法投棄が起こらないよう廃棄物行政に生かしていく所存でございます。
 今後は、一日も早い原状回復に向けて、国の御指導、御支援をいただきながら、また関係都県市の御協力もいただきながら取り組んでまいりますので、よろしくお願いを申し上げまして、本県の説明を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 次に、長葭参考人にお願いいたします。
長葭参考人 おはようございます。岩手県の長葭でございます。
 事案の探知と現場の状況について御説明を申し上げます。
 まず、今回の事案がどのように発覚したかということについて御説明を申し上げます。
 資料一をごらんください。
 これは不法投棄現場の航空写真でございます。真ん中に赤い点線が入っておりますけれども、下側の方が青森県側で、上の方が岩手県側でございます。地図はこういうふうに見ていただきますと、こちら側が北になっておりまして、右側の方が東側、左側の方が青森側というふうになっております。青森県側には廃棄物の処理及び清掃に関する法律の処分業許可を受けました中間処理施設と最終処分場がありましたけれども、本県側には廃棄物の処理施設はありませんでした。
 平成十年、不法投棄の原因者であります三栄化学工業の子会社ですけれども、岩手県側で肥料取締法に定めます特殊肥料の生産を開始するという届け出を岩手県の農政部に提出したところでございます。本県で施設の確認を行いましたところ、木の皮、バークといいますけれども、これと廃棄物の混合物が野積みされておりまして、環境汚染のおそれがあるということで、本県が調査を開始いたしました。その後、警察の捜査でありますとか関係者の供述などによりまして、本県ではこれまでに例を見ない規模の大量不法投棄事件が判明していったということでございます。
 それでは、資料二をお開きいただきます。
 本県では、平成十二年六月以降、地元の保健所が、原因者であります三栄化学工業や縣南衛生などに対しまして、廃棄物処理法に基づき必要な措置命令を発したところでございます。特に、現場での不法投棄実行者であります三栄化学工業に対しましては、不法投棄の全容を解明する調査の実施と、不法投棄物のほか、汚染土壌などの全量を撤去するよう措置命令をかけておりまして、その三栄化学工業によります調査結果から、ごらんの廃棄物分布図の中心に記載があります赤い線より右側、岩手県側でございますけれども、この約十六ヘクタールの現場にスポット的に不法投棄がされておりまして、総量は推定で十五万立方メートルというようなことが判明しております。
 それでは、資料三―一をお開きいただきます。
 これも現場の航空写真でございますけれども、主な不法投棄廃棄物の発見場所を図示してございます。上の方、ここには燃え殻とか、それから隣には廃油とか、こういうものがあります。これらにつきまして御説明をしていきます。
 それでは、三―二をお開きいただきます。
 これが、上の方にありました、A地区と言われておりますけれども、ここの廃棄物は、ごみを燃やしたその焼却灰が主体になっております。ここを検査しました結果、鉛が特別管理産業廃棄物の判定基準を超過して検出されております。
 それから、資料三―三をお開きいただきます。
 これはA地区の隣のB地区というところの廃棄物の状況でございます。ここには木の皮、バークでございますけれども、バークに焼却灰などを混合いたしましたものに、さらにジクロロメタンとかテトラクロロエチレンなどの有害な廃油が混合されているエリアでございます。また、最近になりまして医療系廃棄物も確認されたというところでございます。
 次に、三―四をお開きいただきます。
 これは、テトラクロロエチレンなどの有害な廃油が入りましたドラム缶が発見されました。二百十八本発見されまして、そのドラム缶を撤去している状況でございます。どういうような廃棄物が埋まっているかとか、あるいはこのドラム缶の撤去、こういうものも、岩手県が三栄化学工業に措置命令として出したその一環として、三栄化学工業が実施しているものでございます。
 このように、本県側現場はおおむね各エリアごとにほぼ同一の廃棄物が投棄されておりまして、現在、現場内や周辺地域におきまして継続的にモニタリング検査を実施しているところでございますけれども、今のところ、周辺には有害物質が汚染拡散している、そういう状況にはないということがわかっております。
 一方、両県で原状回復などの対策の検討を行うため設置いたしました合同検討委員会からは、地盤とか地下水の流れなどに関する調査を追加して実施しなさいという提言がございまして、本県では独自に追加調査を実施しております。その結果、本県側は山の尾根の方に位置しておりまして地下水量が少ない、それから、それに伴いまして有害物質が拡散しにくい、そういう土地であるということが判明しております。また、合同検討委員会では、不法投棄の場所に遮水シート工を講じ汚染物質の拡散を防ぐことが必要との提言もいただいておりますので、早期に実施したいと考えております。
 それから、原状回復に対する基本方針でございますが、資料四をお開きいただきます。――先ほどの遮水シートにつきましては、合同検討委員会ではなくて技術部会の方でございました。失礼いたしました。
 資料四をお開きいただきます。
 これら合同検討委員会あるいは技術部会の提言をいただきまして、これまでの調査結果を踏まえまして、本県の原状回復に対する基本的な考え方を御説明したいと思います。
 まず、本県は、何より地域にお住まいの方々の健康被害の未然防止と安心感の醸成ということを第一に考えておりまして、これまで対応してきているところでございます。先ほど御説明申し上げておりますとおり、原因者に対しましては、不法投棄したすべての廃棄物の撤去と、これらのことによりまして汚染されました土壌の撤去、あるいは現地浄化を命令してきております。これは、本来、処分場として許可を得ていない不法投棄現場からは当然投棄物は全量撤去すべきものである、そういう基本認識に基づくものでございまして、また、地域にお住まいの方々から、早く全量撤去してもとの森林とか原野に戻してほしいという強い要望をされているところでございます。
 したがいまして、岩手県といたしましては、住民の方々の要望をも踏まえつつ、まず原因者みずからによる原状回復の実施を厳しく求め続けてまいりました。しかし、御案内のとおり、原因者による早期解決が困難と見込まれる今後におきましては、やむを得ず行政代執行によりまして不法投棄物の全量撤去を行う方針でございます。
 具体的には、今年度中に現場内に遮水シート工を講じるとともに、向こう三カ年間で優先的に特別管理産業廃棄物を撤去し、その後、おおむね五カ年間でその他の廃棄物の撤去などを進めてまいりたいと考えております。
 それから、排出事業者等の責任追及についてでございますけれども、具体的に御説明したいと思います。
 まず、不法投棄を行いました三栄化学工業に対しましては、不法投棄の詳細調査並びに不法投棄廃棄物及び汚染土壌の全量撤去の措置命令を行ってきたところでございます。また、その三栄化学工業の財産が散逸することにより命令内容の履行不能というようなことになる事態を防ごうということで、平成十三年の二月には民事保全法に基づきまして、三栄化学工業の預金及び不動産の合計二億六千二百九十五万円余の財産を岩手県が仮差し押さえをいたしました。これ以降、三栄化学工業には命令履行に限定し仮差し押さえ解除を行いながら、原状回復作業を進めさせてきたところでございます。
 次に、排出事業者の責任追及についてのこれまでの取り組み状況でございますけれども、事業者のリストアップ作業とともに、現場の掘削調査により、排出元を特定できる廃棄物が発見された場合は、その排出元に報告を求め、違法性について調査してまいりました。
 資料五をごらんください。
 その結果でございますけれども、宮城県の中間処理業者であります土生木建設が廃棄物処理法による再委託の基準に違反しておりましたので、平成十四年八月、この事業者に対しまして、持ち込んだ産廃の撤去を行うよう命令いたしました。その後、一時命令に従わなかった時期がありまして、告発し、県警によります強制捜査などの経緯がありましたけれども、最終的には、本年四月二十五日、撤去が行われたところであります。これは、本事件において、排出事業者が撤去を行った初めてのケースであります。
 次に、これからの取り組みについてでありますが、これまでにリストアップしました排出事業者を対象に、特に廃棄物処理法第十九条の五に規定します無許可事業者への処理委託と許可の範囲外の処理委託、この二つの法違反につきまして重点的に調査を行ってまいりました。この結果、先般、無許可の事業者に委託をしていた疑いのあります首都圏の十社程度の事業者について、その詳細な事実を確認するため、関係事業所に立入検査を行ったところであります。
 現在、現場の廃棄物の所在地点などを特定できない場合における措置命令の方法などにつきまして法的整理を行う必要があるということで、環境省と協議中でございまして、協議が調い次第、措置命令等の具体的手続を進めてまいりたいと考えております。
 また、これら以外の事業者につきましても、まず先ほどの二つの法違反を中心に調査を進めまして、排出事業者の責任追及を迅速かつ徹底して行ってまいりたいというふうに考えております。
 次に、行政責任と対応でございます。
 資料六をお開きいただきます。
 岩手県の行政責任と今後の対応につきましてですが、本県では、昨年十月一日に外部委員から成る検証委員会を設置しまして、七回にわたる協議と調査検討を重ねていただきました。本年三月二十六日に検証結果報告書として答申をちょうだいしたところでございます。
 報告書では、県の対応の中で二点、指摘がされておりまして、平成八年の三栄化学工業の収集運搬業の許可停止処分以降の監視、指導につきまして、より厳しい対応が必要だったにもかかわらず、岩手県では処分業を許可していた青森県の指導に依存していた面などがあり、結果として手ぬるい指導にとどまっていたということが指摘され、不当であると評価されました。
 次に、平成十二年二月の三栄化学工業への収集運搬業の許可を更新した事実について、岩手県警の協力を得て内偵捜査を開始するなど、不法投棄が行われていることにかなりの確証を得ていながら申請どおり許可したことから、違法と評価されたものでございます。
 岩手県といたしましては、この検証結果を深く受けとめまして、県としてとるべき行政責任としまして、まずもって一刻も早く現場の原状回復を行い、県民生活の安全の確保と安心感の醸成を図ってまいりたいということを考えております。また、今後の対応策として提言をいただきました五つの対策をもとにした再発防止策の徹底を図ることが先決であるということも考えておりまして、当面、これらの対応に全力を傾注してまいることとしております。
 特に、再発防止策の措置といたしまして、優良な産業廃棄物処理業者の育成でありますとか、あるいは明確な基準に基づきます厳正な行政処分の実施などを目的として、新たに循環型地域社会の形成に関する条例を制定いたしましたほか、隣接県との共同監視活動の強化や、市町村からの要望に基づきまして産廃施設への立入検査権限を市町村に委譲するなど対策を講じてきているところでございます。今般の不法投棄事件を教訓といたしまして、知事以下一体となって、今後二度と不正は見逃さないとの厳しい姿勢で臨んでまいりたいと思っております。
 なお、不法投棄されました岩手県側の県民感情としましては、やはり広く国民に対する説明責任の観点から、大量に排出した企業所在の都県の行政責任などについても検証されることが必要ではないかというようなことも考えております。
 本県は、今回の事件の早期解決を図るため、昨年九月に専担組織を設けまして、原状回復事業の推進と責任追及を行っているところであり、これまで、環境省を初めとする国、関係都県市などの強力な御指導、御協力を得まして、事務を進めてまいりました。
 今般、特段の御配慮を賜り、このような席で発言の機会を設けていただいたことに対し、深く感謝を申し上げます。今後とも皆様方の変わらぬ甚大なる御指導と御支援を賜りますよう切にお願い申し上げまして、岩手県の説明を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 次に、大橋参考人にお願いいたします。
大橋参考人 私は、廃棄物による環境破壊の問題で、日夜、四苦八苦している全国各地の住民運動団体の一員として、この国会の場で意見陳述の機会を与えてくださった本委員会の皆さんに対して、心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 さて、恐らく委員の皆さん御推察のとおり、我が国において廃棄物がもたらす自然環境の破壊と汚染の度合いには、今やはかり知れない恐ろしいものがあります。また、地域住民の日常生活をかき乱しているという意味でも大変なものであります。
 そのためもあってか、過去十年余りの間に廃棄物処理法が三度も大改正されました。これは異例のことだと思います。そして今、四度目の改正案です。今回は大改正ほどではないと思いますが、それにしても実に頻繁な法律の改正であります。いわば場当たり改正とか後追い改正とか言われても仕方のない状況にあると思わざるを得ません。
 私は、重要法律の制定、改正に当たっては、政府、国会ともども、常に真剣かつ厳格であってほしいと思います。すなわち、法律をいじるのなら、将来展望をしっかりとつかみながら、歴史の批判に耐え得るものとしてやってほしいということであります。
 今までの廃棄物処理法の改正や循環型社会形成推進基本法の制定、そして数々のリサイクル法の制定にはこうした資質が欠けていたと言わざるを得ません。
 以上のような認識を前提に、これから私の意見を述べさせていただきます。
 私は、「意見の要旨」という文書を配っていただきましたが、おおむねこれに沿って意見の内容を申し上げたいと思います。なお、時間不足で一部省略させていただくことがあるかもしれませんが、あらかじめ御了承ください。
 まず、廃棄物処理法改正案についての意見から参ります。
 要旨の(1)、廃棄物の定義の問題ですが、廃棄物処理法の運用に当たっては、しばしば廃棄物の定義をめぐる問題が、結果的に各地の現場で大きな、深刻な問題を引き起こしてまいりました。それは、不法投棄や悪質な脱法行為の横行であります。これを長年にわたり旧厚生省通達のまま放置し、法律がいまだに手当てをしないのは、いかにも怠慢であります。
 今回の改正で、廃棄物の疑いのある物という言葉が入りましたが、この程度では問題の困難性には対処できません。廃棄物の定義を、環境保全優先の見地に立って法律の中に具体化するべきものと思います。
 次に、(2)の拡大生産者責任制度の導入の問題ですが、中央環境審議会においてせっかく前向きの提言をしたにもかかわらず、一部報道のように、産業界等が反対したからといって改正法案から外されるようなことは許せません。
 政府は産業界に対して、今日の深刻な環境問題の主な原因が産業優先で来たことによるものである点を強調して、生産者の社会的責任の法制化を受け入れさせるべきであります。
 なお、これは一般廃棄物のみでなく、産廃の分野でも同様の理念で生産者責任の法制化をするべきものと考えます。
 次に、(3)の産業廃棄物税の問題ですが、これは、本質的には事業者に産廃の発生を最大限回避させることを目的とする意味で、国全体で制度化を図るべきものであります。事業者は産廃を出せば出すほど損をし、出さなければ出さないほど得をするような、いわばむちとあめの経済的誘導策を早く法制化するべきものと考えます。
 現在の、一部地方公共団体による産廃税の制度化は否定したくありませんが、国に方策がないままでは健全に施行されないおそれがありますので、国として導入の方向で検討をしていただきたいと思います。
 続いて、(4)でございますが、今回の改正案では、国が実際に産廃行政のある部分部分に関与する幅を従来以上に広げております。
 広域的な問題、そしてまたリサイクルという、いわゆる廃棄物処理そのものとはかなり意味合いの異なったようなもの等について、総合施策として国が関与したり調整したりするという点はよろしいと思いますが、あるいは必要だと考えますが、このこととは別に、かねてから言われていることの大事な問題として、基本的には廃棄物行政をできるだけ自治事務に移行するべきだと思います。
 この理念としては、ここに書きましたように、日本列島全部一体の循環型社会形成というのは、部分的には、あるいはその種目によってはよろしいかもしれませんが、基本としては、やはり地域地域の環境等を踏まえ、あるいはその住民の風俗等を踏まえて、地域完結型の資源循環社会、これを構築することの方がより理にかなってくるのではないかというふうに私どもは考えてきております。
 もちろん、地域完結型の循環社会が個々ばらばらに日本列島でうごめくのではなくて、これらを国が知恵を絞ってネットワーク化し、地域特性に合った環境保全を図ることによって国全体としての持続可能性を追求することが大事ではないかというふうに考えるものであります。
 (5)につきましては、今回、従来あった廃棄物処理業許可の除外規定が大幅に広げられることとなりそうであります。
 広域処理事業者への規制緩和の特例、これにつきましては、経済界からかねてより相当強い要望が繰り返されてきておったかと思います。産廃業界からも当然、それはあったことを承知しております。
 今回の改正案で、私どもとして、政令もありませんし、不明の点、読み取り切っていないという問題があり、若干不正確なことを、疑義を呈するかもしれませんが、マニフェストの適用が一体どうなるのかというようなこと。
 今回の改正では、都道府県と市町村の報告徴収、立ち入り等も導入されて、結構なことなんですが、この特例対象事業者にはどういうふうにこれらが適用されるのかどうかとか、もう一つ、一番気がかりなのは、この業種に限っては、他人への業務委託、まあ再委託みたいなものですが、それを認めることになっておりまして、これも、細かいところは政令、省令を見ないとわかりませんが、リサイクルとは言いながら、廃棄物の処理の一環としてのリサイクルを行う事業者が別の業者に委託をしていいという場合。これは、丸投げは認めないだろうとはもちろん思いますけれども、この辺の懸念がございます。
 次に、(6)の罰則の強化の問題ですが、本改正案の部分についてはよろしいものといたしまして、これとは別に、二十九条のいわゆるマニフェストに関するもろもろの違法行為と、三十条の虚偽記載、虚偽報告、立入検査拒否などの刑罰が、それぞれ五十万円、三十万円程度の罰金のままであることは余りにも軽く、やり得を根絶できません。体刑を伴う必要があります。
 特に、マニフェストの悪用等は、非常に問題視されている中でこのような軽い刑罰でマニフェストの悪用が済んでしまうということは大きな問題だろうと思いますので、何とかここの二十九条、三十条についても、体刑を伴う刑罰にする必要があろうと思います。
 次に、(7)の本改正案の各条項とは別の問題についてでありますが、私どもとしては大事な問題ですので、説明をさせていただきます。
 まず、1の廃棄物処分場の立地規制についてであります。
 廃棄物処分場の多くは、御存じのように、いわゆる水源地域に立地されるのですが、これが地域住民の不安と反発の大きな要素となっております。しかし、現行法には立地規制の考えが全くないため、地域住民との紛争は絶えません。
 全国の紛争の多発と環境汚染の深刻さから考え、もうそろそろ廃棄物処分場の立地規制に踏み切るべきではないでしょうか。
 もう一つ、2のいわゆる建設残土と言われるものの規制の問題なんですが、残土と産廃の見分けがつきにくいケースが非常に多く、産廃行政をてこずらせているようであります。
 多くの地域住民も、残土による環境破壊のすさまじさになすすべもなく、困り果てております。問題の多い自治体では、緩やかな規制条例を設けて、せめてもの防衛策を講じてはいますが、法律の後ろ盾がないため実効性が乏しく、法規制を望んでおります。
 なお、産廃をあんこにし、残土を皮にした不法投棄まんじゅうがはびこってきたことは、大方御承知のとおりであります。
 このような次第で、建設残土について規制法を求めたいと思います。
 次に、特定産廃除去特措法、ちょっと略称させてもらいますが、それについての意見を申し上げます。
 この法案は、率直に言って、遅きに失したと思います。少なくとも、昭和五十一年の最初の廃棄物規制強化から十年以内くらいには制度化されているべきだったと思います。
 しかし、現に廃棄物による国土の荒廃と汚染が拡大する中で、いかにしておくれを取り戻すかが厳しく問われているものと考えます。したがいまして、この法案が問題に対処するための第一歩としてとりあえず制定されることには異存はありません。
 そこで、この法案のよりよき制定のために、次に述べますような問題点を十分に御検討いただきたいと思います。
 まず、「意見の要旨」(1)でありますが、この法案は環境省が把握したこととしている不適正廃棄物の数量が前提となっていると考えられるのですが、私たちはこの数量に大きな疑問を持つものであります。千百万トンという数字が資料に載ったりしておりますけれども。つまり、不適正廃棄物は全国にもっともっと大量にあるだろうということであります。
 例えば、付近住民から現在は苦情が出ていない古い産廃の山、これなどは草が生えていることも多いのですけれども、こんなのとか、許可処分場だからその中身についてとりたてて問題にできないとか、行政が自己の怠慢を今さら露呈したくないとか、さまざまな理由で実態調査には反映されてこないものが考えられるのです。
 今までの環境省の全国実態調査は、このような問題を克服しているとは思えませんので、この法案を審議するに当たっては前提条件を精査する必要があると思います。その上で、前提条件が大幅に違うようであれば、この法案の考え方に相当な修正を加えなければならないものと考えます。
 (2)の時限立法の問題ですが、仮に環境省の前提条件千百万トン、こうしてああしてという条件がついていますけれども、この対象不適正廃棄物の数量どおりだといたしましても、なぜ十年以内に支障の除去ができるのでしょうか。ちなみに、香川県豊島の五十一万立方メートルの処理には既に二年有余がたち、これから十年以上を要すると言われております。
松本委員長 参考人に申し上げます。
 申し合わせの時間が過ぎておりますので、取りまとめてください。
大橋参考人 はい、失礼しました。
 青森、岩手県境事件でも、何年かかるか、いまだ不明であります。ましてや、さきに述べましたように、不適正廃棄物の数量の把握に疑問があるようでは、とても十年という時限は設けられないと思うのであります。
 こういう点で、法律の立て方が十年でできるかのように考えた法律になっているのであれば、これは後の政省令が非常に心配でございまして、その辺をよく審査していただきたいと存じます。
 時間がないので、あとは省略させていただきます。失礼しました。ありがとうございました。(拍手)
松本委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林省之介君。
林(省)委員 おはようございます。自由民主党の林省之介でございます。
 参考人の皆様方におかれましては、朝早くからお出ましをいただきまして、貴重な御意見をお聞かせいただきましたこと、心より厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 ところで、問題となっております産業廃棄物の不法投棄、平成十三年度の数字で見ましても、一年間におよそ千百五十件ぐらいある、量にして約二十四万トンである、こんなことを我々も勉強会の中で教えられたりいたしております。あるいは、先ほどの参考人の御意見にもございました青森県、岩手県の県境の不法投棄の問題、さまざまな社会問題が、まさに大きな社会問題が各地で起こっているわけでございます。
 私も、我が党の有志議員で組織をいたします、若手議員による廃棄物不法投棄撤去を推進する会という会で常任幹事をいたしておりまして、昨年の十二月には、先般この委員会で御視察があったと聞いておりますけれども、千葉県の市原市に参りまして、不法投棄現場も視察をしてまいりました。あるいは、いろいろな勉強会あるいはヒアリング等を通じてさまざまな勉強をさせていただいているところでございます。
 いずれにいたしましても、この問題というのは、私は、まさに企業モラルがどんどんと低下をしている、大変な日本人の心の乱れが一番の原因にあるというふうには思います。これだけ景気も悪くなる、ちょっとでも経費を安く上げたい、いろいろな思いがあるんだろうと思いますけれども、生活、環境上に大きな支障が生じる、そういう不法投棄の原状回復というのはやはり迅速に行っていかなければならない、こう思うわけでございます。
 不法投棄を未然に防止するためのいわゆる規制のさらなる厳格化、こういうことが当然必要になってくると痛感をするわけでありますが、今回の法案の柱の一つにも、不法投棄の未然防止の措置というのがあるわけでございまして、具体的には、罰則の強化であるとか、あるいは欠格要件の追加であるとか、一定の要件に該当した場合の許可の取り消しの義務化であるとか、いろいろなことが盛り込まれているだろうと思います。
 そこで、これは参考人の皆さん方にまことに恐縮なんでございますが、時間が限られておりますので、皆様方の御意見がいただけるかどうかわかりません。とりあえず、今の問題に関しましては、現場で大変な御苦労をいただいております前田、長葭両参考人に、そして大塚参考人は法学者としてのお立場でいろいろとお答えをいただきたいと思っております。これらの措置が不法投棄の未然防止に効果があるというふうにお考えになっていらっしゃるでしょうかどうでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
大塚参考人 大塚でございます。
 ただいまの御質問でございますが、不法投棄の未然防止ということにつきましては、処罰を恐れないような、いわば確信犯的な不法投棄者に対して効果を発揮するということは、実は非常に難しいというふうに考えてはおります。
 ただ、今回の改正案におきましては、先ほども少し触れましたように、廃棄物の疑いがある物について都道府県等に調査権限が認められるということでございまして、これは、豊島事件とか青森、岩手県境事件というのはまさに廃棄物ではないとその占有者が偽ったという事案であったということから考えましても、重要な意義がある、相当の効果があるというふうに考えております。
 それ以外にも、罰則の強化とか欠格要件の追加等、それから、今回の法改正には直接はございませんけれども、先ほど私が残された課題として申し上げました自社処分についての対応とか、あるいは電子マニフェスト制度の運用での導入、あるいは廃棄物処理業者に関する情報の開示などを進めていくことによって、全体として相当な効果を上げることが可能ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
前田参考人 廃棄物処理法は、これまでも何回かにわたって大改正がありまして、不法投棄対策が強化されてまいりました。今回の改正においても、不法投棄の未然防止のための都道府県等の調査権限の拡充、それから新たに国の調査権限の新設等が行われたこと、それから未遂罪の新設だとか悪質な業者の許可の取り消しの義務化など、行政処分の厳格化が図られたことは高く評価をしているところであります。
 これらの改正によりまして、都道府県が今後、不法投棄の未然防止と事案の早期発見、早期解決を図っていく上で大きな力になるものと期待をしているところでございます。
 以上でございます。
長葭参考人 私どもが目指しております不法投棄の根絶ということにつきましては、国とか地方公共団体と悪質業者との総力戦でございますので、今現在、完全ではないにしましても、こういうような法案が通るということは、少しでも前進できるのではないかというように考えております。
林(省)委員 どうもありがとうございます。
 今、皆様方の御意見を聞きまして、やはりある一定の規制を、きちっとした強化をしていかなきゃいけないということは、私もよくわかったつもりでおります。
 そこで、きょう、もう一つは、大きな問題もございますけれども、我々の身近なところでやはり毎日のように不法投棄が行われているわけでございます。一例で申しますと、身近なところですと、たばこでございます。たばこのポイ捨てあるいは缶や瓶といったもののポイ捨て、もっとひどいのはガムでございます。
 一番身近なところの、不法投棄と言うと少し言い方がきつくなるかもわかりませんが、ポイ捨ての中で直接被害の出やすいのはガムであります。力のないお年寄りや幼い子供たち、あるいは身障者などがガムを踏んづけて転倒する。転倒する場所によっては大けがを起こす。
 きのうも私は分科会で、三十分のお時間をいただいて、環境大臣にこの問題についてのお話をさせていただきました。大臣、今永田町周辺で一番ガムの吐き捨ての多い場所はどこか御存じですかとお尋ねしたんです。大臣も、それは恐らく人の集まるところでしょうね、こうおっしゃったんですが、実は、私どもが神聖な場所として、議論のまさに聖地としております本会議場の参観場所がございます、上の方に。その参観場所にガムの吐き捨てが、こういう黒い痕跡が約五十カ所ございます。これが日常茶飯事行われているわけです。
 私は、やはりモラルの低下ということを先ほども申しましたけれども、特に青少年のモラルの低下も著しいものがある。環境教育、言葉で言うことは簡単でございますけれども、では、現実どうなのか。
 例えば、私なども地元の町内会で、季節季節、大体年に四回ぐらい地域の大掃除をみんなで出てやります。僕はいつも言うんですけれども、なぜ子供たちを出さないんだと。大概出てくるのはじいちゃん、ばあちゃん、奥さん方であります。そして、どれほどの缶や瓶やたばこの吸い殻やガムをごりごり取っているかという現状があるわけですね。こういうところへ子供たちを出してきなさい、これこそがまさに身近な環境教育ですよということを、僕は自治会の役員さんなんかにもよく言うんですよ。こういう環境教育についても、要するに、まさに不法投棄の根っこを断つ、そういうことも我々は真剣に考えていかなきゃいけないんじゃないか、私は常日ごろから強く思っているわけでございます。
 こういう問題について参考人の皆様方から一言御意見を賜り、あとまたいろいろな専門的なことは後の委員の方々もおっしゃると思いますので、私の質問を終わりたいと思います。どうぞお一人ずつでお願い申し上げたいと思います。
大塚参考人 大塚でございます。
 ただいまの御質問につきましては、私もそのようなことを社会的に対応していくということは非常に重要だというふうに考えております。
 ただ、法律にこれを導入することにつきましては、別の観点からやや問題もあるということも一応申し上げておかなければいけないと思います。というのは、この問題は非常に監視が難しいということがございますので、実効性のある法律をつくることができるかとか、あるいは執行がそもそも予定できるかというような問題があるからでございます。
 既に千以上の自治体でポイ捨て条例というのは制定されているわけですけれども、その中には、単にモラル的なものとして規定しているものもございますし、もう少し、罰則とか過料などを規定しているものもございますが、モラルとして規定したというようなものが多いわけでございまして、これが国民の遵法精神に悪影響を与えないかというようなことも含めて、さらに検討を進めていく必要があるというふうに考えております。
 以上でございます。
前田参考人 日常の身近な環境問題というのは大変大きなものの土台になるかととらえておりますが、青少年のモラルを初めとする地域の人々一般の環境問題に関するモラルは、いろいろな形のところから環境問題としてとらえるような、そういう分野で啓発を図っていく必要があろうかと思いますし、また子供たちに対しては、教育を通してまたそういうふうなものを育てなければいけないというふうに考えてございます。
 本県の場合は、一定の場合に法規制も必要でないかなというふうには考えてございます。部分的にではございますが、指定区域におきましてポイ捨て条例で禁じているところもあります。この後もまた検討してまいらなきゃいけない課題であるととらえております。
 以上でございます。
長葭参考人 委員おっしゃいましたことは、環境教育を含めまして、十分心していかなければならないことだというふうに受けとめております。
 岩手県におきましては、平成十三年に生活環境保全条例というものを制定いたしまして、ガムとかたばことか空き缶でありますとか、こういうようなもののポイ捨てを禁止しているところでございます。罰則規定はございませんけれども、この条例の適切な実施に十分努めていきたいというふうに考えております。
大橋参考人 私も毎日このことで、自分の前の通りで頭を悩ましておりまして、十数年前から○○桜通りを美しくする会というのをつくって、三十世帯ほどが道路清掃とか花の植えかえとかやっておりますが、拾って歩くと、唖然とするようなものが、これがごみかというようなものも含めて、たばこ、ガム、ありとあらゆるものが散らばっているのを拾って歩くわけです。一つは、辛気臭いけれども、徹底的に掃除をみんなでやると、その場所は他と比べるとごみの数が非常に減っているという現実がある。しかし、そのために人のしりぬぐいをなぜしなきゃならぬかというジレンマは十数年ずっと続いておりますけれども、しようがないから、自分のうちの前が汚いよりはきれいがいいというので、みんなでやっております。
 やはり、ポイ捨て条例を区長さんに申し入れて、他の、たばこを歩きながら吸うのをやめるとか、そういったようなことをあちこちで提言して条例化したりしていけば、教育が行き届いていない問題、モラルの低下の問題にも一定の効果を上げられるだろうと思いますので、やはりやるべきことをやらないとしようがないんじゃないかなと思っております。
林(省)委員 皆さんどうもありがとうございました。終わります。
松本委員長 小宮山洋子さん。
小宮山委員 民主党の小宮山洋子でございます。
 参考人の皆様、本日はそれぞれのお立場からの御意見をどうもありがとうございました。十五分という限られた時間でございますが、幾つかの問題点について伺いたいと思っています。
 初めに、今回の法改正で私は一番の課題だと思っておりますのは、拡大生産者責任について具体的に法案に盛り込まれなかったことだというふうに考えております。平成十二年の循環型社会形成推進基本法で明確化され、さらに中環審からの意見具申もございましたが、無制限な適用懸念に対する産業界からの主張もあって、法案に具体化されなかったとも聞いております。
 平成十三年にはOECDのガイダンスマニュアルも出ておりますので、日本でどのようにこの拡大生産者責任を具体化したらいいかという御意見を大橋参考人そして大塚参考人に伺いたいと思います。
大橋参考人 私も、先ほど申し上げましたように、大変残念な経過だったと思って、ぜひこれは、今回どうしても復活できないとしても、一刻も早く導入すべきであると思います。
 経済界が反対するのは、転換期をだれが踏み出すかという、そのきっかけに迷いが出るからなんですね。全部同じレールの上を走るようになったら、どこも競争の力は同じですから、率先してやるということの問題をどうやって国で取り仕切れるかということで、結局、国が将来を見込んだ高い理念を持って、それを産業界に説得し続けることだろうというふうに私は思います。
 消費者団体等もしきりと最近はこれの主張が強くなっておりますので、ぜひ導入、具体的にどういう方法がというのは、はっきり言って、いわゆる製造物と言われるものは、それを製造し販売した人が最初から最後まで全部面倒を見るということに尽きると思うんですね。これは、全部の企業がそういうふうにさせられればどこも優劣はないわけですから、私は、力のある経済界がこれすらいまだにできないということは非常に情けないことですから、日本の恥を返上するように、何とか我々も頑張って主張していきたいと思います。
大塚参考人 大塚でございます。
 先ほど少し私もこの点についてお話をさせていただきましたが、今回の改正案に際して検討されたと言われている点、それから、中央環境審議会でも議論された点というのは、主に適正処理困難物について、主に廃棄される製品の安全性という観点、特に回収の観点からEPRの制度をつくるべきではないかということでございました。
 これ以外にも、EPR一般ということですと、リサイクルを中心とするEPRというのはもちろんございまして、容器包装リサイクル法とか自動車リサイクル法とか家電リサイクル法とかができているわけでございますが、そういう個別の法律が幾つかできていて、その間の整合性がどうなっているか、特に費用負担の問題がどうなっているかというような問題も既に出ているところでございます。
 今回、主に適正処理困難物を対象としたEPRの制度が、結局できないということになりそうでございますけれども、リサイクルの観点、それから廃棄される製品の安全性という観点、両方を含めて新しいEPR法というのを構築すべきではないかと私は考えております。これは、環境省がリーダーシップをとるということを前提として、ほかの官庁とも共同でこういうものをつくっていくべきではないかというふうに考えております。
 そこでは、改善命令とか措置命令、それから十分な罰則をつけるということを提案したいと思いますし、先ほど申し上げた費用負担についても、製品によって費用負担の方式を変えるということはそのとおりだと思いますけれども、全体的に整合性を持った制度にする。例えば、最後に消費者が廃棄するときに有償で支払わなければいけないというものについてはあるカテゴリーをつくり、無償でいいというものについてはあるカテゴリーをつくり、第一種EPR製品廃棄物とか第二種EPR製品廃棄物というような考え方を打ち出していくということが検討されるべきではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
小宮山委員 やはり、本当に循環型社会をつくっていくためには、今おっしゃいましたいろいろの個別法もございますけれども、全体を通して拡大生産者責任をきちんと位置づけない限り、なかなか基本的な解決にはならないと思っております。
 今おっしゃった、省庁が力を合わせてというのもございますけれども、議員が議員立法でするということもできるわけですので、またそのあたりは知恵を出し合いながら、今回の法律にももちろん、何とかできないかということは今後審議をしていきますけれども、ぜひそういう形をつくっていくべきではないかというふうに思っております。
 それから、排出事業者責任についてももっと強化されていいのではないかと思いますが、この点につきましては大塚参考人はどのようにお考えでしょうか。
大塚参考人 大塚でございます。
 排出事業者責任につきましては、二〇〇〇年の廃掃法の改正におきまして強化がかなり進められたところでございます。無過失責任というわけではございませんけれども、かなり一般的な排出事業者の注意義務というのを前提といたしまして、排出事業者についても、適法に処理を委託した場合についても措置命令の対象になるというふうにしたわけでございます。
 さらに、今回の改正案におきましては、一般廃棄物の事業者につきましても、排出事業者の責任を強化するということで、委託基準が定められ、これに違反すると委託事業者は措置命令の対象になるということでございます。
 私といたしましては、排出事業者の責任というのは相当に強化されてきたと考えておりまして、無過失責任を前提とすべきだというような議論もございますけれども、現在のところ、そこまで排出事業者の責任を強化するというところに直ちにいくべきだとまでは考えておりませんので、現在の法制度と今回の改正案を前提として、厳格な運用をしていくということが望ましいというふうに思っております。
 以上でございます。
小宮山委員 次に、青森、岩手県境の不法投棄事件の当事者でもいらっしゃいます前田参考人と長葭参考人に伺いたいと思うんです。
 今回の法改正の中で、国の役割と地方の役割の分担の問題、それから国庫補助金のあり方などについて、まだ課題がいろいろあるかと思うんですけれども、それぞれのお立場から御意見を伺いたいと思います。
長葭参考人 国と地方の役割ということでございますけれども、やはり、地域から出ましたごみにつきましては地域の中で処理するということを岩手県では大前提にしているんですが、国の場合には広域処理というようなことで推進しておられます。
 私どもは、やはり広域処理になりますと、ぐるぐるごみが回っている間に排出者責任というのがわからなくなってしまうと考えておりますので、そういうようなところをもっと地域で処理できるような、そんな施策も検討していただければというようなことで考えてございます。
 それから、補助の割合でございますけれども、これにつきましては今まで制度がございませんでしたので、今回、こういう特別措置法をおつくりいただきまして、三分の一とか二分の一とかという制度をおつくりいただきましたので、岩手県としても大変助かるなというふうに考えております。ありがとうございます。
前田参考人 基本的には、県が出した廃棄物に関しては県が処理をするという自区内処理を考えておりますが、広域処理というふうなことに関して、それがいいのかどうかということも今後は検討していかなければいけないのではないかというふうにとらえております。
 以上でございます。
小宮山委員 それで、やはり処理する場合には必ず費用負担が必要になるわけですけれども、特に、汚染者負担原則が貫徹できない場合とかいろいろな場合につきまして、最初の話にも多少関連しますが、産業界からの拠出をどう考えたらいいかということがあると思います。
 一つは、先ほどの話にもありました産廃税のあり方ということも一つだと思います。例えば三重県では、不法投棄の処理費用を検討したが見送ったというような事例もあるわけですけれども、この産廃税を含めた産業界からのさらなる拠出につきまして、大橋参考人、大塚参考人の御意見を伺いたいと思います。
大橋参考人 長年にわたって経済優先社会を突っ走ってきた中心的存在はやはり産業界なんですね。それだけの、今はバブルという、自分らで上り詰めたものからおっこちて大変な思いをされておりますけれども、しかし、これは、一種の自業自得的なものとか政策の失敗とか、そこにいっぱいあるわけでして、私は、今、景気が低迷しているので産業界はなかなかお金を出さないという状況があると思います。しかし、やはりこれはもっと大きな見地で、産業界は社会的責任を果たすというプライドを掲げて、拠出金を積極的に出すべきだろうと思います。
 ただ、それにおもねるという仕組みもよくないので、やはり基本的には、国がしっかりしたプログラムを持って、それに裏打ちをするものを持っていかないといけないだろうと思います。
 私、さっき事業者責任の問題がちょっと出ておるんですけれども、事業者責任については、排出抑制も事業者責任の重要な、排出抑制もというか、そっちの方がまず第一に重要なことで、廃棄物処理の段階で不適正なものがあったら責任をとるかとらないかというのはその次に大事なことだというふうに順位を考えておりますから、やはり、排出事業者が責任として産廃の量を減らしていく、徹底的に減らしていく、一般廃棄物についてはさっき言ったような拡大生産者責任で面倒を見ていく、こういうふうに、何とか経済誘導策を盛り込んでしむける必要があるだろうと思うんです。
 そうしますと、事業者責任というものは非常に円滑で、心配の薄いものになって、積極化もしていくだろうと考えます。やはり経済誘導策を大胆にやらないと、これは動かないんじゃないかなというふうに思います。
大塚参考人 大塚でございます。
 産廃税のあり方を含めて、産業界から原因者不明の場合の不法投棄の基金をどういうふうに拠出してもらうかという件につきまして、お答えいたしたいと思います。
 産業界からの拠出が問題となっている原状回復の処理費用の問題ですけれども、この問題につきましては、汚染者負担原則がそのままは適用しにくい場面であるということを最初に申し上げておきたいと思います。
 と申しますのは、現在の排出事業者からお金を徴収するということを考えた場合に、不法投棄がなされたのは過去のケースでございますし、それから、お金を拠出してもらう産業界の個々の企業と、実際に不法投棄をした者あるいはそれと関連している排出事業者との間には直接の関係はないということがございますので、明確な因果関係というのはないばかりか、直接の関係はないということがございます。
 という意味では、汚染者負担原則をこの問題に適用しようとしても、産業界という極めて広い範囲、あるいは、一定の業界というのを考えた場合にいたしましても、一定の業界というかなり広い範囲のものを考えて、それについて広い意味での汚染者負担原則的なものを考えるかどうかという問題になってしまうということを最初に申し上げておかなければいけないと思います。
 今回の特措法案というものは、九八年という、基金の制度が入る前の段階について公費で補助をしていく、国費を使って補助をしていくという考え方を提案したものでございまして、これは制度導入前のものでございますので、公費を導入するということは賢明な選択であったというふうに私自身は考えております。
 それから、九八年以後につきましては、基金の拠出に関して、産業界から拠出をしてもらうことになっていますけれども、もしこの拠出が将来うまくいかないというようなことがございましたら、それをどう考えていくべきかということについて、将来の課題として議論すべきではないかというふうに思っております。
 御指摘の産廃税につきましては、私自身は、汚染者負担原則の問題とも関連いたしますけれども、それだけではなくて、地域間の不公平というのを解消するという見地から、地方譲与税としてこれを導入して、排出県の方から上がってくる歳入を受け入れ県の方に原状回復の費用として回していくということが適切ではないかというふうに個人的には考えております。
 以上でございます。
小宮山委員 終わります。
松本委員長 青山二三さん。
青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。本日は、四人の参考人の皆様、大変お忙しい中を国会にお出かけいただきまして、また貴重な御意見をお伺いさせていただきまして、本当にありがとうございました。
 実は私も、過日、青森、岩手県境の不法投棄の現場を視察させていただきました。百聞は一見にしかずと申しますけれども、余りに広大なその現場を見まして驚いたわけでございます。関係の皆様のいろいろな御意見もお伺いし、今前田参考人からも、なぜこうなったか、そしてこのような対応を今後やっていく、そして知事からもおわびの言葉があった、このような御意見をお伺いしたわけでございます。
 大変な被害を青森、岩手はこうむったわけでございますけれども、こういう現状になって県民の皆さんも胸中は大変なお怒りのことと思いますけれども、知事がどのようにおわびをされたのか。そして何よりも、聞くところによりますと、風評被害で県民の皆さんがお困りになっている、このようなお話もお伺いいたしました。この件につきまして、青森、岩手両県として、今後どのような対応をされていくのか、お伺いをしたいと思います。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
前田参考人 さまざまな形で落ち度があったことを指摘を受けまして、知事からの県民への謝罪、そして地元住民に、私、知事の意を受けて会いました。
 一番心配なのは、地域住民の方たちが非常に心配をしているということと、それから風評被害もこのことで大変悪くなるのでないかというふうなことでございますので、この後に関しましては、一日も早く住民の不安を解消するように、現場の原状回復をとにかく万全を挙げて取り組んでいくことが県の責任だととらえて、さまざまな形で、検証委員会から御指摘を受けた再発防止のことにつきましてもそれぞれに取り組みまして、住民の不安を解消するために努力してまいる、それが県としての責務であるというふうにとらえて努力してまいりたい、そう思っております。
 以上でございます。
長葭参考人 岩手県といたしましては、検証委員会から二つの点を御指摘されましたので、この検証結果につきまして重く受けとめて、県としての行政責任についてしっかりやっていこうということでございます。一刻も早く現場の原状回復と、それから再発防止策の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
 また、風評被害につきましては、田子あるいは二戸におきまして、全国から見ますと、やはりああいうことが起きますといろいろなお話が出ますので、できるだけ早く撤去いたしまして、国民の皆さんに安心していただけるように頑張っていきたいというふうに考えております。
青山(二)委員 それでは、もう一度長葭参考人にお伺いいたしますけれども、この事件からの教訓ということで五点お示しになっておられるようでございます。地域で出たごみはその地域で処理をする、それから廃棄物の発生抑制、再利用、再生利用を進める制度の整備が必要だ、そして優良な廃棄物処理業者の育成を進める制度が必要だ、そして有価物を偽装した廃棄物の不法投棄への法的対応が必要である、そして不法投棄の原状回復に公金を極力投入しない仕組みが必要である、このように論文の中でお書きになっておられるようでございますが、問題は、優良な廃棄物処理業者の育成、この点でございます。
 どちらかといいますと、廃棄物処理業者といいますとすぐ頭に浮かびますのが悪徳業者、このようなイメージが強いわけでございますけれども、このような優良な業者を育成するということにつきましては、県といたしましてどのような対応を講じておられるのでしょうか。
長葭参考人 岩手県では、優良な産業廃棄物処理業者の育成制度を図るために、次のようなことを条例化しております。
 まず、産業廃棄物処理業者の経営の安定化を図るということで、知事が県内の公益法人を産業廃棄物処理業者育成センターとして指定いたしまして、これらの事業者の自主管理を促進するという観点で考えております。
 また、この育成センターでは、産業廃棄物処理業者の格付と、それから廃棄物処理業者の保証金制度というものを実施いたしまして、この格付につきましては、センターが、申請者の遵法性でありますとか技術とか経営安定性などを審査いたしまして、基準に適合する場合には優良事業者として格付をいたしまして公表する、そういう仕組みをつくっております。現在、格付方法とか基準につきまして検討中でございまして、ことしじゅうには第一回目の格付を行いたいというふうに考えております。
 以上でございます。
青山(二)委員 それでは次に、大橋参考人にお伺いをしたいと思います。
 大橋参考人もネットワークの中でいろいろな活動をされておりまして、その大変な御苦労に対しまして敬意を表したいと思っております。
 まず、最大の未然防止は廃棄物の発生抑制である、これは当然のことだと思うわけでございますが、日々の生活の中で感じますことは、ともかく毎日毎日我が家でもごみがたくさん出るということでございます。いかにしてごみを減らすかというようなことを考えましても、出てくるごみはもう本当にすごいわけでございまして、言うなれば、ごみを買わされているような生活をしているのではないか、こんなふうにも思うわけでございますけれども。
 具体的に廃棄物を抑制する策として、EUの先進国ではどのような取り組みが行われているのか、もし参考になる事例がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
大橋参考人 堂々めぐりするごみの問題になりかねないんですが、私は、残念ながら外国の事例等についてはほとんど知識を持っておりませんので、その部分に関しては大塚先生なりなんなり詳しい方に聞いていただいた方がいいと思うんですが。
 実質でいうと、やはり産業廃棄物が圧倒的数量を占めているわけで、一般廃棄物は一割にも満たないと私は思うんですよ、事業系廃棄物が相当入っていますから。そういうことを考えますと、やはり産業廃棄物を排出する事業者の人たちに、さっきも申し上げたように、廃棄物を出さないで、ごみゼロ、ゼロエミッションというのをやり始めている企業が幾つかありますよね。結構急速に目標を達成しています。それを各社がやりやすいように法でしむけていく、税制でしむけていくというようなこと。
 拡大生産者責任は、一般廃棄物を減らす、ほかにいろいろ容器包装法とかございますけれども、いわゆる体系化というところまでいっていないものですから、各法令の欠陥ばかりが目についちゃって、まだ本当の意味の有機的な機能発揮はしておりません。拡大生産者責任というものをもっと総合法体系の中で各個別法に、例えば循環型社会形成推進基本法によって個別法の中にそれぞれの分野に応じた生産者責任を具体的に盛り込まなきゃいけないというような、あのとき基本法はプログラム法だというだけでとどまってしまったものですから、案の定、今回の廃掃法でも拡大生産者責任を入れようと言っているのに入らなくなっちゃったようなことになる。やはり基本法にそういうものを入れざるを得ないような規定を設けていくべきだろうというふうに思います。
青山(二)委員 それではもう一点、大橋参考人にお伺いしたいのでございますが、処分場をつくるということになりますと、どうしても住民の反対がございます。ただいまのお話の中で、水源地に立地することを規制すべきだとおっしゃられましたが、私の栃木県でも、やはり過去何回かはそういう水源地のようなところに立地をしようということで、何度も何度もこれがだめになったというお話もございますので、このあたりのこと。
 それから、住民の反対に対してどのようなアピールをしていくべきか。先生もいろいろと御提言されているようでございますが、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
大橋参考人 住民の反対は、あるときには、自分らだけよければ国全体はどうでもいいのかというような、いわゆる地域エゴ化した見方をすることがあったりするんですが、わずかでも。それはとんでもない間違いで、反対している地域住民には道理があってやっているし、あるいは子孫に対する責務を果たさなきゃならぬ、そういうモラルもあってやっていることですから、私は、住民の反対運動というものを前向きに受けとめて、しからばどうすれば合意形成ができるのかというところに排出側が知恵を絞らなきゃいけないし、もちろん国はそのためのコーディネートをしていくということ。
 水源地にすら規制がかけられないようでは、住民は日本社会の廃棄物処理とかリサイクルの未来に対する展望が描けないわけです。やはり、展望を国が描き、産業界が描いて、それを国民がなるほどなというところから、それではどういう場所ならいいのかという話し合いが率直にできるようになるんだろうというふうに思います。これだけ発達した国が水源地すらよけることができないでは恥ずかしいと思いますから、これはぜひ、住民との合意形成への寄与という意味からも、水源地立地規制を考えてもらうこと。
 それから、反対の住民たちに対してどういうアプローチがあるかという個別的な問題のことなんですけれども、私どもは、やはり産廃業者に任せておかずに排出事業者がもっと前面に出て、個別に出るというわけじゃなくて仕組みとして、排出事業者が排出したものを産廃業者がどこかへ持っていってくれるだろう、金さえ払えばいい、マニフェストを渡せばいいというんじゃなくて、みずから産業界の仕事として前面に出て住民と話し合う、そういう仕組みへぜひ持っていくこと、そうすれば住民は、産廃の業者さんと事業者が一対になって、このように減らしますからとか、このように不適正なものは入れませんからとかという、もとまでたどって安心感を獲得することができますから話し合いの緒につけるということで、ぜひ排出事業者を前面に押し立てるような仕組みが要ると思います。
青山(二)委員 時間が参りました。大変ありがとうございました。
松本委員長 高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信であります。本当にきょうはお忙しいところ、参考人の皆さん、ありがとうございました。
 早速お伺いします。
 平成十三年の五月の行政処分の指針、これが環境省から通達されていますが、それ以前の廃棄物処理法十九条の解釈のことについてちょっとお伺いしたいのであります。これは前田参考人と長葭参考人にお願いしたいんですが。
 十三年の五月以前には、立ち入り権限の及ぶ範囲、許可施設以外の所有地という、そこまで権限が及ぶという理解はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。お願いします。
長葭参考人 岩手県の方から申し上げますと、当時、処分場とそれから廃棄量の関係につきましてはなかなか、青森県が許可を持っていたということもありまして、現地におきまして当時の担当からいろいろ聞いた感じでは、青森県側の土地だということもあって当時はよく把握していなかったというようなことで、その十九条の立入検査規定の解釈などにつきましても、特段そういうような御指導をいただいてどうのということもなかったというふうに聞いております。
前田参考人 私どものところは、及ばないというふうに認識をしております。理解をしております。
高橋(嘉)委員 つまり、許可施設以外はもう及ばないんだ、施設だけということですね。
 行政責任については、両県の検証委員会等々でいろいろ行われているようでありますので、それは先ほどお聞きしましたが、岩手県も、運搬業の許可、警察当局に内偵を依頼しているにもかかわらずという話があります。
 そこの中で、青森側について、ちょっとこの点だけはお聞きしたいなという点があるんです。
 これは、平成九年にばいじんの許可を与えていらっしゃいます。三栄は、中間処理施設として平成三年に堆肥化の許可がされています、中間処理施設を持っています。つまり、収運も中間も最終も三栄は持っていたわけですね。最終処分場は、特に二千五百立米は許可不要で、届け出を受理するだけでありますけれども。そういった中で、今度、三年に堆肥化の中間処理の許可もとったわけですね。堆肥化というのは汚泥とか燃え殻なんですが。そしてまた九年にばいじんの許可をとっている。ここがどうも僕は理解に苦しむんです。
 ダイオキシンが大きな社会問題となっているころに、ばいじんの許可のときに、括弧書きで、有害物質を含まないものという規定の括弧書きをしているようですけれども、ばいじんを堆肥にどうして使うのか、ここが僕、理解できないんですけれども、ちょっと教えていただきたいんですが。前田参考人に。
前田参考人 ダイオキシンのことに関しましては、当時、ちょっと認識がなくて、法律上の許可要件を満たしていれば許可をせざるを得ないというふうな認識のもとに、二件、許可をしているという状態でございます。
高橋(嘉)委員 これは議論じゃありませんので。
 一九七〇年代の後半から、ダイオキシンは非常に問題化されていますし、堆肥にするのには、ばいじんというのはいろいろなものを燃やしたもの、それを堆肥に使うということの考えがどうも僕は理解できないから、お伺いしたんです。
 それともう一点、前田参考人にお伺いしたいんですが、現在遡及をしている、排出事業者責任をやっていますね。これは、縣南衛生のマニフェストに基づくものであって、中間処理施設を有している三栄化学工業は、直接持ち込まれたものがあるはずですし、そのマニフェストは存在しているんでしょうか。現在行われている一万七百社というのはほとんど縣南衛生のものですね。その点、いかがでしょうか。
前田参考人 三栄化学の場合は、マニフェストではなくて、伝票から取り出して確認をしているというふうに事務を進めております。
高橋(嘉)委員 でも、中間処理は、E票ができる最終処分場のあれが十二年からですから、それ以前でもマニフェストはあるはずなんですね、あるべきなんですね、中間処理施設なんですから。それがないというところが、ちょっと理解に苦しみます。
 また、例えば、青森県は許可県でありますから、中間処理施設は実績報告を青森県にする義務がありますね。そうしたら、実績報告書から追っていけばやっていけるわけですね。中間処理施設は堆肥化だけですから、堆肥化するものの原料、堆肥化するもの以外のものだったら、全部指摘できて、排出事業者責任が追及できる仕組みなはずですね。
 ですから、三栄化学工業に直接持ち込まれたマニフェスト、もしくは、それがないというのであれば県への実績報告書、ちゃんとそこから遡及すれば、非常に遡及しやすい、堆肥化以外のものはやっていけるわけですから、直接持ち込まれた分については。そういったお考えはないんでしょうか。
前田参考人 マニフェストはどうも存在が確認できませんでありまして、実績報告書の方も、堆肥化したものだけの実績報告となっておりますので、ほかのところでは見ることができなかったというわけでございます。
高橋(嘉)委員 いずれにいたしましても、マニフェストの存在のない部分とか、その辺のところはなぜないのかとか、どうも理解に苦しみますが、まずここは、しっかりと排出事業者責任を追うには、そういった実績報告書等々も含めた考え方が必要であろうと私は思いますので、その点だけお話ししておきます。
 措置命令についてお伺いしたいんですが、これは前田参考人と長葭参考人にお伺いします。
 現在、措置命令を行おうとしている、土生木建設のようにしたところもありますが、十社程度あるという話ですけれども、それ以外にも措置命令を考えられる部分が、いろいろな違反の部分、委託基準違反とか再委託基準違反とか注意義務違反とか、いっぱいあるでしょうが、措置命令をするに当たっての問題点はないのでしょうか。
長葭参考人 排出事業者が一万七百ぐらいということで、かなり広範な業種にわたっておりまして、措置命令を発するには、やはり現場に不法投棄されましたものの確定とか、それからどこの地域に排出されたかとか、そういうようなことをきちっと確定してから措置命令をかけていくというような作業になります。現在、マニフェスト等で追っかけておりまして、だれが出したかというのはある程度わかってきたんですが、そのごみが岩手県側に出ているのか青森県側に出ているのかとか、そういうことがまだわかりません。
 これは多分わからないだろうと思いますので、岩手あるいは青森に出ているのであれば、それに対して措置命令がかけられるかということを、今、環境省の方と協議しているところでございます。
前田参考人 ただいま岩手県側からのお答えもありましたけれども、課題はこのようにとらえております。
 まず、措置命令を出すに当たっての主な課題としましては、廃棄物の不法投棄現場が非常に広大で、青森、岩手の両県にまたがっているために、措置命令の権限者がだれになるのかというふうなことが一つ問題であろうと思います。次に、どういった方法で廃棄物の不法投棄現場を特定していくのかという課題があるのでないかととらえております。
 このような問題点に対する対応といたしましては、不法投棄された場所が青森県側か岩手県側かを特定しない場合は、両県知事の連名で措置命令をかけることができないかというふうに考えてございます。また、個々の廃棄物が特定できなくても、不法投棄現場に廃棄物を持ち込んだこと、持ち込まれていることが証明できれば、措置命令は可能でないかというふうにとらえておりまして、そこを検討しているところであります。
高橋(嘉)委員 いずれ、廃棄物がどこに埋められているか、はっきりできないと思うんですね、両県にみんな入り乱れてなっているから。そのときは連名でやるのか、また今言われたような問題とか、その辺は環境省と相談されているようですから、環境省の方もしっかりやってもらうようにしていただきたいと思います。
 では次に、時間もありませんので、大塚参考人と大橋参考人にお伺いしたいんです。
 排出事業者責任が不明確と私は思っております。要は、排出元は収運業者に行く、そして収運業者から中間処理業者に行く、中間処理業者から最終、こう一応なっていますが、こういう収運も中間も最終も全部持っている場合、また中間処理の能力以上のもの、そういったところを全然わからないで、ただ適正に処理されたというマニフェストだけくるっと回ってくればそれで違法にならない、あるいは、適正な対価で、ちゃんとマニフェストに諸事項を書いてやれば何にも問題にならない、全然責任を追及できない実態、これについてどうお考えか。
 あともう一点ですが、環境省が挙げている数字というのは全部自治体からの報告、あるいは残存容量、残余容量ですね、最終処分場のキャパの問題ですが。これについては施設設置者の報告を受けて数字をつくっているわけですね。全く排出事業者から手が離れた場合は、本当にわけのわからない実態がそこに浮かび上がってくると言っても過言じゃない状況にあるわけであります。
 この二点についてのお二方の御意見をお伺いして、終わりたいと思います。よろしくお願いします。
大塚参考人 大塚でございます。
 排出事業者の責任が不明確だという御指摘でございますが、確かに排出事業者がその対価を支払っているかというのは極めて重要な基準となっておりますけれども、先ほども少し申し上げましたように、排出事業者が最終処理のところまで責任を負っているということを前提とした、かなり広い注意義務を前提としていることも、また事実でございます。つまり、対価は極めて重要な基準ですけれども、対価のところだけで判断をしているわけではないということでございまして、事後的に排出事業者の責任を追及することは一応可能にはなっているというふうに見られると思います。
 それから、御指摘の中間処理の能力以上のものが中間処理施設に行っているという問題についてでございますが、確かにこれは極めて大きな問題だと思います。
 現行法では、行政庁が立入検査をする、そして、そこで許可取り消しとか警察に告発するとか、そういうことをするしかないということでございまして、中間処理というのも静脈産業の一つでございますので、それ以上のことはなかなか今のところはできないことになっておりますが、確かに御指摘の問題はございますので、現行法のもとで立入検査を厳格にやっていくというような、運用上厳しい対応をしていくことが必要ではないかというふうに思っております。
 それから、環境省がその実態を必ずしも把握していないというのは、確かに環境省はそれほど手足がございませんのでなかなか難しいのではないかと思いますけれども、環境省ということでは必ずしもないかもしれませんが、環境行政に対しての国民のニーズは高まっていると私も考えておりますので、そちらの地方自治体の環境部局も含めて、職員をもっとふやして適切に対応していくべきではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
大橋参考人 排出事業者責任を、例えば今青森、岩手が四苦八苦して追及しようとしても、多分くたびれもうけの方が圧倒的に多い結果でいっちゃうのかなと非常に私は心配するくらい大変なんですね。
 私どもが短絡的な言い方をしているように聞こえるかもしれませんが、やはりこれは、排出事業者と産業廃棄物受託業者とを、委託契約する以上はもう連帯責任だということを法制化してしまえば、排出事業者は、細々とマニフェストがどうだこうだと言われなくたって、心配ならトラックに従業員を乗せて現場まで行ったり来たりもさせますし、会社の看板は、残念ながら産廃業者の悪質業者がたくさんいたりするわけですが、そういう人たちは軽々しく自分の看板をかえるけれども、生産事業者とかそういった人たちは、自分の会社の看板に産廃で泥がつくようなことにはやはり恐れをなしますから、積極的に適正処理の行く末を見届けるということになります。
 私は、難しい問題もある、無過失責任制にするというようなことにもなりかねませんから、大塚先生がさっきおっしゃったようなことで、法的に難しい点があるかと思いますが、ここはやはり、環境は取り返しがつかなくなるという大きな見地に立って、ぜひ産業界を説得して連帯責任制を導入する、そうするとマニフェストのインチキとかそういったものもぐっと解消されます。
 今、マニフェストで四苦八苦しても、やる気ならできちゃうんですね。今やはりできているんです。だから、これはやはり、業界の人がそういうことを言っているんですから、イタチごっこになりかねない。僕は、マニフェストそのものはやはりきちっとやっていくべきだと思いますよ。しかし、それがあれば大丈夫、適正処理を伝票で確認したといったって、それはだめなんですよ。そんなふうに思います。
 時間がありませんから、それだけにしておきます。
高橋(嘉)委員 ありがとうございました。
松本委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。きょうは、参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。
 早速ですが、今回の一部改正案なんですが、私も、緊急時に環境大臣の調査権限を創設されたという問題であるとか、廃棄物の疑いのある物の処理に対しても市町村長の調査権限を拡充しているという点だとか、あるいは不法投棄や不法焼却に対しても未遂罪を創設するといった措置が盛り込まれているということは、不法投棄の一定の未然防止などの効果が期待できるのではないかなと。
 また特に、悪質な処理業者の許可を取り消すということも許可権者に対して義務づけているわけですし、処理業者の許可の欠格要件にも許可の取り消し逃れをした者を追加するということなどの前進面があって、悪質な処理業者を排除する一定の効果も期待できるのではないかという思いはしているわけです。
 それと、広域認定制度でも、例えば、パソコンメーカーなどの業者の認定基準を設定するとか、不適正処理の責任を明確にして処理基準や措置命令適用を盛り込むということなどは、少なくとも現行制度よりは厳しくなっているというふうに理解をしております。
 しかし、問題は、処理業者に対する規制の強化だけで果たしていいのかというところが最大の今回の問題点ではないかというふうな問題意識を持っておりまして、少なくとも、中環審の意見具申で盛り込まれていながら、産業界の合意が得られなかったということですっかり落ちてしまったんですけれども、排出者責任それから拡大生産者責任の措置、これが盛り込まれなかったということは大変大きな問題ではないかというふうに思うわけですね。
 そこで、四人の方たちに順番にお聞きをしたいと思うんですが、今度のこの法律を例えば青森、岩手県境の不法投棄に当てはめるならば、どの時点でそれを未然に防止できたとお考えになられるのかということを、前田参考人、長葭参考人にそれぞれお聞きをしたいというふうに思います。
 それから、前田参考人に対しては、現行法であっても、県境不法投棄検証委員会の報告で、非常に厳しく、県の行政責任について猛省を促されたというお話を伺いましたけれども、私は、それは一理ある、もっともなことだと思っているんです。今度の特措法で、十年の期限を切っているわけですけれども、計画を見せていただきますと、県の工事工程が二〇一二年度におおむね終わるということになっているわけですけれども、これが果たして産廃の原状回復を求めている地域住民の合意に立った上で本当に実現できるのかどうかという見通しについてお述べいただきたいというふうに思うわけですね。
 それから、長葭参考人には、未然防止に期待できるかどうかというのは、どの点で押さえられたかということでお答えをいただきたいと思うのです。もう一つは、今の特措法の時限法ですね、これが原状回復に現実に有効に機能するかどうかということについて。
 岩手の場合は、かなりこれまでに原因をたどっていかれて責任の所在を明らかにするというようなことをやってこられたわけですから、その御苦労は本当に並々ならないものがあったと思うんですけれども、これが本当に有効に機能するとお考えかどうか。もし足りない点があるとしたら、もう少しここをこうすればということがあれば、それをお聞きしたいというふうに思います。
 それから、大塚参考人と大橋参考人には、先ほどのずれ落ちた点なんですけれども、これは環境大臣は、合意が得られなかった、しかし合意を得るまで待っていたら改正ができないので、合意できないところは外して合意できるところだけでゴー発進をしたんだ、こういうふうにおっしゃるんですが、私は、環境行政の軸足をどちらに置くかの問題ではないかと思うんですね。合意は得られないけれども、法制化することによって排出者責任と拡大生産者責任を促していくという側面があるんではないか、法制化というのはそういう役割を果たすのではないかと思うんですが、その点についての御意見を伺いたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
大塚参考人 大塚でございます。
 ただいまの御質問についてでございますが、主にEPRの制度が新しく改正案に盛り込まれていないということについての御質問だというふうに考えております。
 排出者責任については、ごみ処理の有料化などについて中環審の意見具申で書かれていますけれども、これは、地方分権推進の観点から、現在は地方自治法の方に制度がございますので、ごみ処理の有料化について廃掃法の改正の中には入れられないという法技術的な問題があったということでございまして、法律ではちょっと無理だったと思いますけれども、法律ではないもう少し下位のもので対応が可能ではないかというふうに考えております。
 そこで、拡大生産者責任、EPRの方の問題でございますが、確かにおっしゃるように、別に合意がなくても法制化することは不可能ではないと私も考えてはおりますけれども、ただ、実際にこの業務を担当するのは産業界だということがどうしてもございますので、協力を得ながら進めていくということが最近の環境行政では極めて重要になっていることも他方で事実であるということを申し上げておかなければいけないと思います。
 環境法あるいは環境政策の基本理念の一つとしてドイツなどでは協働原則ということが言われますが、産業界等とも協力をして環境行政を進めていくということは今日極めて重要になっておりまして、環境省にはぜひ粘り強くまた交渉を続けていただいて、次の機会を待ちたいというふうに私自身は考えております。
 以上でございます。
前田参考人 まず一点目でございますが、廃棄物処理法の改正に関するところでは、先ほどもお答えをしたことで繰り返しになるかもわかりませんが、これまでも数回にわたって改正が行われまして、不法投棄対策が強化されました。
 今回の改正におきましては、不法投棄の未然防止のための都道府県等の調査権限の拡大、新たに国の調査権限の新設等が行われたこと、それから未遂罪の新設だとか悪質な業者の許可の取り消しの義務化など行政処分の厳格化が図られたというふうなことで、私どもはこれを高く評価しているところでございます。もし改正された場合は、本事案は、立ち会い検査ができて、対応できていたかもしれないというふうに思ってございます。
 二つ目でございますが、措置法の期限の中で可能かどうかということでございますが、私ども、期限の中で最大限に努力いたしまして、原状回復をするよう努力してまいる、地域住民の合意も得なければいけませんけれども、協力を十分得ながらも十年内でできるよう頑張ってまいりたい、そう思ってございます。
長葭参考人 二点ございました。
 第一点の、未然防止にどういうふうに期待できるかというお話でございますけれども、相手の不法投棄する業者さんもいろいろ知恵を絞ってやってくるというようなことがございますので、やはりこれに対応するためには、あらゆる法制度とかいろいろな手だてを講じる必要があると思いますので、今回この廃棄物処理法の改正が行われれば一定の前進はするものだろうと思って期待しているところでございます。
 ただ、私ども、排出者の説明会をやらせていただきました際に、クリーニング屋さんでありますとか病院とか、医院でございますが、そういうようなところが結構たくさんございまして、実際に収集運搬業の方にある程度の御自分は正しいと思った金額を支払っているということを言っておりまして、こんなにちゃんと金を払ったのに何で責任追及されるんだというようなことが聞かれております。
 そういう点で、もう少し排出事業者の責任というものについてのPRをやっていただいた方がやはりいいだろうと考えております。産業界の自覚といいますか、そういう責任に対する自覚をもっと持っていただきたいというふうに考えております。
 それから、第二点目のことでございますけれども、私どもでは、今年度、雪が降るぐらいまでにはいずれ撤去作業を開始いたしまして、この特別措置法の十年間の間に全量を撤去したいということで努力してまいりたいと思っておりますので、今回のこの法案につきましては、ぜひ早期に成立をさせていただけばありがたいと思っております。
大橋参考人 時間がありませんので簡単に申し上げます。
 拡大生産者責任を導入しないと、この廃棄物処理法は、本当の意味の循環型社会を目指す処理体制が構築できないだろうというふうに私は思いますので、何とかこれを巻き返していただきたい。
 それで、中環審の答申は、全部の拡大生産者責任ではなくて、極めて限定的な適困物だけなんですね。それですらできないというのは、廃棄物処理法はもう何年も前から適困物についてはこういう生産者としての責務があると定めていて、本当の制裁措置の伴う規定がないからしり抜けになってずうっと長いことあるわけですね。ここに及んでもまだそういう適困物すら生産者責任が法制化できないというのは非常に弱いと思うんです。
 これは、環境省さんは毎度つくりたいんですよ。基本法のときもそうだし、その前の廃掃法改正のときも、みんな最初は検討していたのが目減りしちゃって、ではどこが目減りさせるのかといったら、結局は、やはりちゃんと政治が、環境に軸足を置いて方向を定めて、官僚の人たちにやりやすいようにしていかないと、小泉総理はあるとき、初期の段階ですけれども、ごみゼロ社会を目指すという言葉をえっと思ったくらい言ったんですが、その後、それらしい、総理が言ったことなら環境省は大威張りで、ごみゼロ社会に必要なのはこれとこれです、産業界は言うことを聞いてくださいとやらなければいけないんだけれども、言いっ放しで終わっています。
 私は、総理を初めとする政治が、議会の理解を得て、産業界に守らせるような強制力のある、あるいは損得勘定でこっちをとれば得だと言えるような仕組みをつくることによって、制裁だけじゃなくて誘導していくという方法がありますから、ぜひ拡大生産者責任は、限定的なものからでもやむを得ませんけれども、やって、全体に広げていく必要があると思います。
藤木委員 私たちもその点は考えておりまして、できることなら修正が施せればというようなことで野党間でも今協議をさせていただいているところです。
 もちろん、不法投棄の場所を提供した地主さんといいますか土地所有者の責任の強化の問題だとか、それから、自社処分と称して無許可の処理業行為をやったり積みかえ行為をするというようなことに対しても取り締まりの強化が進められなければならないと思っておりますし、使用済み物品、これは廃棄物の定義の問題ともかかわってくるわけですけれども、ここもあいまいにしていてはいけないというところに来ているのではないかというような問題意識など持っておりますので、もう一度審議もございますので、十分皆さん方の意を体して、よい法案になるように努力をさせていただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
松本委員長 中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。きょうは、本当にお忙しい中、貴重な御意見をありがとうございました。
 まず最初に、長葭さんに質問をいたしますが、今回、このような形で青森、岩手の県境にあれほど、豊島以上のものが不法投棄されまして、本当に、この一日も早い原状回復というのが緊急の課題なわけなんですが、結局、青森県にしても岩手県にしても、主に首都圏のそのような廃棄物が不法投棄されて県民の税金を使うということに対しては、内心いろいろな思いがおありだと思います。
 それで、やはり廃棄物問題というのはこれからも、幾ら一生懸命法律をつくっても、その網の目をくぐるようにしていろいろ知恵を出す方もいらっしゃって、それに対しては法律がどう有効に機能するかということで私たちも頑張らなければいけないと思うのですが、このような問題があったときに、基金とかそのようなものを積んで原状回復のための努力を、その自治体単位ではなくて、やはり日本全体と考えての新たな制度の創設というのは大切ではないかと私は考えるのですが、今回の問題を経験なすって長葭参考人はその問題に関してどのようにお考えか、伺いたいと思います。
長葭参考人 私どもでは、岩手県の基本的な考え方といたしまして、その地域で出したごみはその地域で処理するのが一番だということで考えておりまして、そのために、県の方で公共的な、クリーンセンターといいますが、そういう産業廃棄物の最終処分場なんかもつくったりしております。
 こういう広域処理なんかが始まりますと、やはり排出者の責任があいまいになりますので、それらをなるべくやめて、それぞれの地域で処理するということを考えていただきたいなというふうに考えております。
 それから、基金のお話でございますけれども、私どもはやはり、排出事業者が例えば強制保険のようなものに加入していただきまして、排出事業者の責任を徹底していただくとか、あるいは、排出した業者さんが多いような都道府県といいますか、そういう都道府県が応分の負担をするということにつきましても、全国知事会などを通じまして要望しているところでございます。
中川(智)委員 では続きまして、前田参考人ともう一度長葭参考人に伺いたいんですが、マニフェストの効果というのがこのような不法投棄防止などに今回どれほど役立ったのかなということを思います。それで、このマニフェストというものが、全国一律に同じような様式で、そしてできれば電子化などをして、しっかりと各ブロックごとなりにその情報の収集があって、今回その一万数百件の事業者を特定するのにどれほどの汗をかいたかということを考えますと、やはりもう限界なり、新たなマニフェストのあり方というのを考える時期に来ていると思うんですが、電子化についてなど、どのようにお考えかをお二人に伺いたいと思います。
前田参考人 マニフェストの効果につきましては、紛失とかいろいろありましたけれども、それでも一定の効果はあるというふうに私どもはとらえております。書類を書き込むとき、そのときのモラルが問題になろうかと思います。
 電子化のことにつきましては、私ども、まだそこまで考えてございません。検討していないところでございます。
長葭参考人 今回、不法投棄に関しまして排出者責任を追及しているんですけれども、マニフェスト自体は、保存期限を経過しまして既に焼却処分されているものが結構ございまして、私どもでは、今回の報告聴取におきましては、マニフェストを持っている、保存されているものにつきましてはすべて提出をしていただいております。ただ、保存期限が五年で、それ以前のものについてはないとか、あるいはマニフェストを交付されなかったとか、いろいろなことがありまして、その辺のところにつきまして現在調査を進めているという状況でございます。
 また、電子化につきましては、やはり排出事業者や何かが明らかになるというようなことが大切であると思っておりますので、その辺につきまして環境省の方で御検討いただいているものと思っております。
中川(智)委員 それでは、続きまして大橋参考人と大塚参考人に伺いたいんですが、私もずっと地域の市民運動で環境問題に取り組んだりしておりまして、現在でも私の住んでいるそばで、三十万人の水がめとなっているダムのすぐ横で、これは焼却場ですが、建設が予定されて、非常に環境問題また健康の問題で反対運動が起きているわけです。
 今回この不法投棄されたところの環境調査、先ほどのお話の中で、このようにしてこれだけと。でも、先日市原に見に行ったときなども、別にビニールシートも何にもかぶせていない、いきなり地面の中にほうり込んでいて、環境への影響というのは多大なものがあると考えるんですけれども、環境汚染の問題でお一言ずつお二人にお願いしたいと思います。
大橋参考人 着実に、言葉は逆になっちゃうんだけれども、汚染は進んでいるような不法投棄現場、そして、不法投棄現場にだけ目を奪われていると、許可済みの許可施設で何をやらかしているかという方がおろそかになって、これがまた大変ひどいことをやっている大きな処分場が今まで幾つも摘発されている。しかし、それはもう何年もたってからなんですね。例えば、許可の十三倍も入れちゃったとか、八倍も入れちゃったとか、それで、年数がたってこないと、県はこれは不法投棄になるというようなことに踏み切らない。
 そういうふうに、あからさまな不法投棄、プラス許可済みでも何をやっているかわからぬというところが非常に多いことを考えますと、やはりこういう汚染の汚染源がつかみどころなく広がっていくことをどうやって防止するかというのは、遅まきになってしまいましたけれども、これからの私どもの大きな課題だというふうに思います。
 それで、さきに実態調査のことで、不法投棄量の実態把握をもっとちゃんとやっていくべきだというようなことを申し上げたのは、これはやはり住民の協力を得ることが必要だと思うんですね。それは未然防止の対策の中でも必要だと思うんです。
 今よくあちこちで郵便局の配達の人の協力を得て不法投棄の発見に努めるというようなものが幾つも出てきていますが、ありとあらゆる有効な手だてを、都道府県の手の足りないところを住民、その地域の機関と提携して、それで何とか軽微なうちに摘発するなり停止させるというようなことをしていかないと、幾ら十年時限立法で、その間四百億かそこいらで何とかなるだろうと書いてありましたけれども、私は、とてもとてもそんなことにはならないと思いますから、よほどしっかり取り組む必要があるだろうと思います。
大塚参考人 二点申し上げておきたいと思います。
 一つは、産廃の処理施設、最終処分場について、極めて優等生というか非常によくやっておられる処理施設を経営しておられる方の話を伺ったことがございますが、その方は、その最終処分場をつくるときに、三十年間は経費が見合うようなお金を取る、完璧な対策をとるというようなことを言われていて、非常に参考になったわけですけれども、排水処理施設が管理型処分場の場合にあるわけですけれども、三十年ぐらい経過するまで対応できるようなお金の取り方をする、そういうことを基礎にした処理施設のつくり方をするということをみんながやるようになれば、多分、非常にこの点はクリアできるのではないかというふうに思っています。
 ですから、これは直ちにそちらの方まで行けるかどうかというのは法的に難しい問題はあると思いますけれども、将来的には例えばそういうことが考えられるということがございます。
 それからもう一つは、水源地をどうするかということはなかなか悩ましい問題がございますけれども、これは都道府県で処分場をつくるときに計画を立てるということがございますが、そのときに水源地以外の方に誘導をしていくという対応をしていくべきではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
中川(智)委員 ありがとうございました。
 続いて、もう一度長葭参考人に伺いたいんですが、できれば時間があれば前田参考人にも、お二方に伺いたいんです。
 先ほど前田参考人の資料の中で、「廃棄物担当部局と他の部局との連携が不十分だったこと」ということが反省の中に挙げられております。私もやはり、あんなになるまでということは、だれしも市民はそういうふうに思うと思うんですが、一廃に比べて産廃の事務方の人的な不足というものに対して、今後この反省を受けとめてどのようにするか。
 私も先日の環境委員会の質問のときに、非常に人が足りない、でもまた自治体も財政困難な折から人をなかなかふやせないだろうから、何か国としても人をしっかりそこに手当てしていくことは大事ではないかという質問をいたしましたところ、非常に前向きな御答弁をいただきました。
 このあたりで、反省も踏まえて、今後ぱっと本当に対応するためにどのようなことを考えていらっしゃるかを、では前田参考人と長葭参考人にお伺いします。
前田参考人 私どものところは、やはり他部局との連携といいますのは、農林水産部との関係が土地等の関係で多うございまして、その当時からも合同会議等も開いていたのですけれども、回数も少なく、突っ込んだ話し合いまでならなかったという経緯もございまして、非常にそれは大きかったととらえておりまして、この後はまた、庁内での関係の部局とは十分連絡をとりながら、持っている情報の共有化をしながらやってまいりたいというふうに思っております。
 御指摘いただきました人的不足のところは、大変そういうふうに思っております。
 私どもも昨年九月から、この問題に取り組むために、全くないところから、県境不法投棄対策チームということで、三十人余りを今抱えておりますが、庁内の本部におきましてもそうですが、実際の現場にいる職員、監視員みたいな職員もまだまだ手が足りなくて、もっと人手があったならばもっといろいろな形でできるだろうというふうな声も実際聞いておりますので、この後、そういうことに対する人的要望も要望してまいりながら対応してまいりたい、そう思っております。
長葭参考人 他部局との連携でございますけれども、今回の不法投棄が発見できましたのも、私どもの農政部というところに特殊肥料の生産の届け出ということで届け出がありまして、農政部の方で立入調査をしましたところ、いろいろなものが積まれている、これは不法投棄じゃないかというようなことが私どもの方の環境生活部に来たことで発覚できたということでございますので、これからも他部局との連携につきましてはしっかりやっていきたいというふうに考えております。
 また、人的なことでございますけれども、出先機関の監視とかあるいは業務体制を支援するような専担の組織を県庁の中に設けまして、昨年度には、出先機関と一体となりまして廃棄物の不適正処理対策というものをやってきたということでございます。
 また、市町村にも権限を一部委譲して、市町村の中でまたその監視ができるようにということも考えております。
中川(智)委員 どうもありがとうございました。
松本委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆さんにおかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
 次回は、来る二十三日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五分散会


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