衆議院

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第14号 平成15年7月15日(火曜日)

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平成十五年七月十五日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    阪上 善秀君
      鈴木 恒夫君    高木  毅君
      野田  毅君    鳩山 邦夫君
      菱田 嘉明君    星野 行男君
      松浪 健太君    三ッ林隆志君
      水野 賢一君    望月 義夫君
      山本 公一君    小林  守君
      小宮山洋子君    鮫島 宗明君
      長浜 博行君    青山 二三君
      中井  洽君    藤木 洋子君
      中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣         鈴木 俊一君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            松本 省藏君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十五日
 辞任         補欠選任
  木村 太郎君     高木  毅君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     木村 太郎君
    ―――――――――――――
六月十二日
 自動車NOx・PM法の施行に関する請願(木島日出夫君紹介)(第三九〇六号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三九〇七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三九〇八号)
 同(春名直章君紹介)(第三九〇九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 環境保全の基本施策に関する件
 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長矢野重典君及び環境省総合環境政策局長松本省藏君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会等において協議してまいりましたが、本日、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ましたので、委員長から、本起草案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 今日の環境問題は、廃棄物問題や自動車公害などの地域的な問題から、地球温暖化や生物多様性の危機などの空間的、時間的広がりを持つ問題にまで拡大、深刻化しており、取り組むべき課題が山積しております。
 これらの課題を解決するためには、循環型社会の形成を目指し、現在の社会経済活動や我々のライフスタイルを根本から見直すことを通じて、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築していく必要があります。
 また、昨年のヨハネスブルグ・サミットにおいて我が国が提案し、同年十二月の国連総会において採択された決議では、二〇〇五年から始まる十年を「国連持続可能な開発のための教育の十年」と宣言することが決定されるなど、環境保全を担う人づくりを進める機運が内外で高まっております。
 このような環境問題に適切に対応するためには、国民、事業者、そして民間団体による自発的な環境保全活動とその促進のための環境保全に関する意欲の増進及び環境教育が重要であることから、本案を起草したものであります。
 次に、本起草案の主な内容について御説明いたします。
 第一に、基本理念として、環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育は、国民、民間団体等の自発的意思を尊重しつつ、多様な主体がそれぞれ適切な役割を果たすこととなるように行われるものとすること、また、体験活動の重要性を踏まえ、多様な主体の参加と協力を得るよう努めるとともに、透明性を確保しながら継続的に行われるものとすること等を定めております。そして、国民、民間団体等、国及び地方公共団体について、基本理念にのっとった責務を定めております。
 第二に、政府は、環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本方針を定めなければならないものとするとともに、都道府県及び市町村は、基本方針を勘案して、その区域の自然的社会的条件に応じた方針、計画等を作成し、公表するよう努めるものとしております。
 第三に、国、都道府県及び市町村は、学校教育及び社会教育における環境教育の推進に必要な施策を講ずるものとし、また、民間団体、事業者、国及び地方公共団体は、職場における環境保全の意欲の増進または環境教育を行うよう努めるものとしております。
 第四に、環境保全に関する知識及び指導能力を有する者を育成し、または認定する事業を行う国民、民間団体等は、当該人材認定等事業について、主務大臣の登録を受けることができるものとしております。
 そのほか、人材の育成または認定のための取り組みに関する情報の収集・提供、環境保全の意欲の増進の拠点としての機能を担う体制の整備、国民、民間団体等による土地等の提供に関する措置、協働取り組みのあり方等の周知、国及び地方公共団体の財政上、税制上の措置、情報の積極的公表等について定めております。
 なお、この法律に基づく措置を実施するに当たっては、国民、民間団体等の自立性を阻害することがないよう配慮するとともに、その措置の公正性及び透明性を確保するために必要な措置を講ずるものとしております。
 また、政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。
 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
    ―――――――――――――
 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
松本委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。鈴木恒夫君。
鈴木(恒)委員 おはようございます。
 今委員長から趣旨の御説明のございました法案につきまして、自由民主党を代表いたしまして発言をさせていただきます。
 まず何よりも、本法案の原案取りまとめに当たりました実務者の一人といたしまして、委員長並びに理事、オブザーバー理事の方々、あるいは多くの議員の方々からさまざまなサジェスチョンを賜りました。もちろん環境省その他の官庁も同じでございますが、取りまとめに当たりました者として、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 環境教育と名のつきます法律は、かつてアメリカに、五年間だったと思いますけれども、時限立法で環境教育についての財政措置を定めております法律が五年間だけ存在したことがございますが、これだけ環境問題が世界的に議論をされております中で、我が国に世界で初めて環境教育と名のつく恒久的な法案がほぼ成立の方向に向かった、感慨深いものがございまして、重ねて皆様に感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、発言を始めるに当たりまして、突拍子もないことを申すかもしれませんが、つい先日起きました長崎の中学生による四歳児殺害事件、強烈なショックを受けました。かつて、宮崎勤の事件があり、酒鬼薔薇事件があり、これはもう六年前のことでございますけれども、だんだん青少年の犯罪が低年齢化、凶悪化している、日本の社会の病弊がここまで来たかと深刻に受けとめた次第でございます。
 皆様御存じのとおり、こうした性的サディズムに起因すると言われます犯罪の一番最初の兆候は、この三つの事件に共通したものがございまして、それは動物虐待から始まっていると言われております。酒鬼薔薇の事件は、子供の首を学校の校門の前にさらす前に、猫の足を切断している。そして今度の十二歳の少年も、恐らく彼の犯行と思いますけれども、前の両足を骨折させた犬の姿が見られております。こうした動物虐待から犯罪の兆候が始まる。
 私どもは、数年前に動物愛護の法律を全面改正いたしまして、こうした動物虐待を何とか阻んで人間の心に優しさを取り戻さねばならぬと、全面改正をいたしました。私もその一役を買わせていただきましたけれども、しかし、そうしたことにもかかわらず、さらに犯罪が続発している、つくづく深刻に思うわけであります。
 もちろん、犯行を犯しました少年の心理の中には、家庭の問題でありますとか学校教育の問題でありますとかさまざまな複合的な原因があるんだろう、これからの解明を待たなければなりません。しかし、結果から申し上げると、唯一はっきりしておりますことは、命をたっとぶ、この地球上の人間、動物を初めとする動植物すべてを含めて、生きとし生けるもののとうとさというものを尊敬する、尊重する、愛する、このことが欠けていた。このことだけは、結果から、人の命を奪ったということではっきりしているわけであります。
 命をたっとぶ教育があれば、少年を犯罪に追い込むようなその他の複合的な要因を排除できたのではないか、そう考えますと、環境教育の重要さというものを改めて思うわけであります。
 この委員長の御提案されました法律が成立をして、願わくは、例えば環境教育に取り組みます地域の活動が活性化をする。あるいは、NPO、NGO、きょうはたくさんの方がお見えでございますけれども、こうした方々を初めとして、環境基本法にキーワードとして掲げられております参加、国民すべてが環境問題に参加をして解決を目指す。こうした機運が盛り上がることを期待いたしますし、人材の活用も、この法案、法律の施行に伴って活性化していただきたいと思います。
 また、各省庁におきましては、縦割り行政の弊害をぜひ取っ払っていただいて、みんなが力を合わせてよりよい行動を環境のために起こす、環境教育の効果あらしめんために起こす、そうした決意を、この際、各省庁にお願いをしたいと考えておりますし、また、人材登録に当たっては、恣意に走ることなしに、公開性、透明性、公正性をたっとんでいただきたいということも各省の担当者にはお願いをしておきます。
 愚かな人間ということを、私は痛切に最近思います。皆様御存じのとおり、三千年、四千年と言われる人間の文明の中で、私たちが環境問題の深刻さに気づいたのは、実はまだ百年かそこらの前からのことでしかありません。何とお粗末なことかとつくづくと思います。
 皆様もう釈迦に説法でございますけれども、夏目漱石は、一九〇六年、「吾輩は猫である」の中で、正確な文章は忘れましたけれども、猫をしてこう言わしめております。我が輩は人間と同居をしてつくづく思うんだが、彼らはわがままきわまる人間だ、しかし人間だってそういつまでも栄えるはずはあるまい、人間よりも少し強いものが出てきていじめてやらなければこの先どこまで増長するかわからぬ、こう猫をして言わしめております。しょせん人間の運命は自殺に帰するそうだとも言っております。
 アメリカでレイチェル・カーソンが「沈黙の春」を書いて化学物質への警告を発したのは、たった四十年前のことでしかありません。人間は、もっと早く環境問題に気がついて破壊に向かう地球環境を阻止する、なぜ立ち上がらなかったんだろうか、自戒も含めて反省をするところであります。
 アニメで世界に名を広めました宮崎駿さんは、「千と千尋の神隠し」に関連してこう言っていらっしゃる。人間の文明は自然を収奪して成立してきた、これでいいんだろうかということを発言されて、私は胸にショックを受けました。
 国際的な慣用語になっておりますサステーナブルディベロプメント、ここで言うディベロプメントという、開発、この日本語は、果たして本当にディベロプメントでいいのか。もっと深いところで環境問題ということを考えて、人間の文明というものを再構築していかなければならないと考えますときに、この環境教育の、百点満点とはとても言えません、まだまだ整備しなければならないことが多々ありますけれども、わずかながらもきっかけができたとすれば、この法案の精神を何とかして世に広めて、二十一世紀、環境の世紀と言われますこの時代に、我々は次の世代のためによい仕事を残したいと考えております。
 以上、発言を終わります。ありがとうございました。
松本委員長 小宮山洋子さん。
小宮山委員 民主党を代表いたしまして、意見並びに質問をさせていただきます。
 私どもも、地球環境を持続可能な形で保っていくためには、何よりもやはり価値観、ライフスタイルを変えること、そのための環境教育がぜひ必要だと考えてまいりまして、ことし二月に参議院の方に、私も参議院におりましたころに環境教育振興法案を提出させていただいてまいりました。今回、その考え方も取り入れる形で、各党が合意をして、委員長提案という形でこの法案が成立する方向になったことを非常にうれしく思っております。
 私は、意見を述べるというよりも、この際、幾つかそれでもまだ気になる点がございますので、政府の方に何点かを確認させていただきたいと思っています。
 今回、この法案の中で一番やはり民間の努力をしていらっしゃる方も気にかけていらしたのが、市民活動を推進するための人材認定事業の登録について。
 今回、各党の間で、第二十四条「配慮等」が修正で入りまして、「民間団体等の自立性を阻害することがないよう配慮するとともに、当該措置の公正性及び透明性を確保するために必要な措置を講ずる」ということが入りましたが、その市民団体が特定のものが排除されないように、どのようにして措置の公正性、透明性が確保されるのか。また、これは五つの省庁が関係することになると思いますが、登録事業が縦割りになって、たらい回しになるようなことはないのか。登録手続などの情報をどのようにして民間の皆様に伝えるのか。こうした点について確認をさせていただきたいと思います。
松本政府参考人 三点ほど御指摘がございました。
 まず、人材認定等事業の登録の運用につきましてでございますけれども、本法の第十一条第三項及び第四項におきまして欠格要件あるいは登録の基準が明確に定められておりまして、行政の裁量を認めるものではないわけでございます。とりわけ、第十一条の第四項におきまして、登録の基準に該当する場合は政府は必ず登録をしなければならないということになっております。省庁の裁量によりまして特定の市民団体が排除されることはない仕組みを採用してこの法案が御提案されているものと私どもも受けとめております。
 どのようにして公平性や透明性が確保されるかにつきましては、基本方針や法第十一条第四項の共同省令、これで国民だれにとっても明らかな形で定められることで担保されるものと私どもも承知いたしております。
 それから、法の執行がいわゆる縦割りの運用とならないようにという御指摘でございますけれども、この法案では、登録事務手続は、五つの省でございますが、共同省令で統一的に定める仕組みになっております。また、法制定後の運用に当たりましては、登録の窓口について一体的に運用するとともに、関係省の定期的な連絡会議の開催などを通じまして緊密な連絡を図って、御指摘のようなたらい回しが起きないような運用を図るように努力をしたいと考えております。
 また、三点目でございますが、登録に関する情報につきましては、登録基準を基本方針そして主務省令で明確に定めまして、広く周知をするとともに、その登録の手続につきましても、インターネットあるいはパンフレットなどで、わかりやすく、そして広く国民、民間団体などに伝えていくように努力をしていきたいと考えております。
小宮山委員 大臣にも何点か伺いたいと思うんですが、今のことに関係しまして、NGOの活動を非常にいい形で生かしていきたいという思いはみんな持っているわけですが、官がそれを制約することにならないということをもう一度大臣からも伺いたいと思います。
 また、当初は、環境教育の範囲が自然学習みたいな自然体験に偏り過ぎているのではないかという指摘を私どももさせていただいて、その中で、地球環境の恵みの持続性、循環型社会の形成、さらに地域の環境保全に関する文化や歴史の継承など、幾つかのことが基本理念に加わりましたが、そうした非常に広い範囲で行われるということを大臣のお言葉の方から確認をさせていただきたいと思います。
鈴木国務大臣 環境保全とかそれから環境教育につきましては、民間の自主的な活動を確保していくということが大切である、そういうふうに思っております。
 したがいまして、今回のこの法律に基づきます人材認定等事業の登録制度の実施に当たりましても、この点が徹底されるべきだと思いますし、先生先ほど御指摘になられました第二十四条においてもそのことがしっかりと規定されている、そういうふうに思っております。
 政府といたしましても、この制度の運用に当たりましては、民間団体の自主性を尊重いたしまして、御指摘のようなNGO活動を制約するようなことがないように十分に気をつけてまいりたい、そのように思っております。
 それから、自然体験学習に偏り過ぎではないか、こういうような、当初ではそういうような考えがあったということについてのお尋ねでありますけれども、環境教育、今日抱えております環境問題というのは大変幅広いものでありますし、そのよって来るところが通常の事業活動や私たちのライフスタイルであるということにかんがみますと、それはもう、歴史とか文化とかそういうものにもかかわりを持ってくる、まことに幅広いものが必要である、そういうふうに考えております。
 自然体験学習に偏りがちというのは、教育の現場の実態としては自然体験活動が多いということは否めないかもしれませんけれども、環境省として、多様な環境問題に対応するべく、幅広い分野について積極的に環境教育の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
小宮山委員 文部科学省にまとめて二点伺いたいと思います。
 一つは、組織的、体系的な指針に当たるような環境教育プログラムの整備、これが重要だと考えるんですが、教育行政そのもののあり方に関係するので検討に長期間を要するということで、今回、法文には明記されませんでした。このことについて。
 それからもう一つは、大切な人材の育成に関する部分が足りないのではないか、環境教育のできる学校の先生の育成をどのように進めていくのか。この点を文部科学省に伺いたいと思います。
矢野政府参考人 二点お尋ねでございます。
 まず、環境教育プログラムということについてのお尋ねでございますけれども、学校教育におきましては、従来から、社会科、理科、家庭科などの教科や、また道徳、特別活動など学校の教育活動全体を通しまして環境教育が行われているところでございますけれども、昨年の四月からスタートいたしました新しい学習指導要領におきましても、環境教育の重要性にかんがみまして、各教科等における環境にかかわる内容の一層の充実を図っているところでございます。
 また、新しい指導要領におきまして新設をされました総合的な学習の時間というのがあるのでございますが、そこでは、このような各教科等で学びました環境に関する個々の知識を結びつけ、生きてそれが働くような学習に取り組むことができるようにいたしたところでございます。
 また、環境教育についての指導者の養成についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、学校におきます環境教育を一層推進するためには、その直接の担い手でございます教員の指導力の向上ということが大変重要であるわけでございまして、このため、文部科学省におきましては、従来から、教員の指導力の向上を図りますために、教師用指導資料を作成、配付いたしますとともに、環境教育の指導的立場にある教員あるいは指導主事等を対象といたしました研修会を開催いたしまして、学校における環境教育に関する指導内容、また指導方法についての研修を行っているところでございまして、こうしたことは、それぞれの各都道府県においても同様の研修が開催されているところでございます。
 さらに、文部科学省では、今年度からでございますが、これまでの研修会に加えまして、これは環境省との連携協力による事業でございますけれども、教員を初めといたします環境教育、環境学習の指導者、これからの指導者を養成するための講座を新たに開催することといたしているところでございまして、私どもといたしましては、このような取り組みを積極的に進めまして、環境教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
小宮山委員 この法案が実施されることによりまして、生物多様性も含む幅広い問題についての教育が行われること、さらに、市民とそして行政の間でしっかりと実質的な意見を闘わせてそれをまとめていくファシリテーターの養成など、さまざまな分野でこの法案がしっかりと働きをしますように願いまして、私の質問を終わらせていただきます。
松本委員長 田端正広君。
田端委員 公明党の田端正広でございます。
 地球環境の保全や循環型社会の構築を実現する上で、環境教育は大変重要な課題だと考えております。
 私たち公明党は、今まで、地球温暖化防止や公害防止、あるいは自然環境の保全、整備等の目標を掲げて、法制化や予算措置を含めた環境整備に積極的に取り組んでまいりました。その過程において、環境問題に対する国民の一層の関心と理解を深めることの重要性、いわゆる環境教育の推進のための法律の必要性を実感してきた次第であります。
 また、本年二月五日の参議院本会議で、小泉首相が、我が党の浜四津敏子参議院議員の質問に対して、環境教育の問題については法制化の必要性も含めてさらなる推進のための検討を深めてまいりたいと答えていただいたところでもあります。
 公明党は、自民党、保守新党とともに、昨年十一月から、環境教育の推進に関する勉強会を八回にわたって続けてまいりました。その間、NPO、企業、学者、関係省庁からのヒアリング等を積極的に行い、その流れの中から、与党三党としてきちっと法制化に取り組むべきだとの結論に至り、本年三月からプロジェクトチームを立ち上げ、法案作成の議論を重ね、そして先般、与党案がまとまり、提示いたしました。その後、民主党を初め野党の皆様との修正協議も順調に進み、今回、全会一致して賛成となり、委員長提案として提出できたことは大変に喜ばしいことと思っております。
 また、この環境教育を推進するに際しては、行政の役割だけでなく民間団体やNGOの役割が非常に大きいと考えています。
 昨年八月のヨハネスブルグ・サミットにおいてNGOの活動が大変に大きな役割を担いましたが、特に、我が国のNGOが、二〇〇五年から始まる十年を持続可能な開発のための教育の十年とすることを発案し、これが我が国の政府の正式な提案としてヨハネスブルグ・サミットの実施計画文書に盛り込まれ、ついに昨年十二月の国連総会決議として結実することとなりました。
 私は、国際社会において環境立国日本としてのリーダーシップがこのように発揮されたことを高く評価するところであります。そして、こうした地球環境保全の国際世論の高まりの中で、人づくりの重要性についてその理解が着実に深まり、こうした動向を踏まえて、今回、世界初の環境教育推進法案が合意を見たことは、大変意義が深く、画期的なことだと考えている次第であります。
 本法案の目的である環境保全活動をベースとした環境教育及び環境保全の意欲の増進は、持続可能な社会を構築する上で必要不可欠な要素であり、これらを進めることによって国民の健康で文化的な生活が確保されると考えるところであります。
 特に、今日、子供たちの教育についてもさまざまな意見がありますが、学校の教室では学べないような自然の豊かさや生命のとうとさなど、現場で学習することの意味は非常に大きく、生態系の保護や生きた動植物と触れ合うなど、体験学習を通して自然の恵みとの接点を持つことが人間形成に大きなプラス要因になると確信いたします。
 そのためには、学校教育はもちろん、事業所、地域住民あるいはその他の民間団体等々あらゆる関係者の協力と参加を得て、この法律の効果的な運用がなされることを期待するところであります。
 また、本法案では、環境教育推進のための具体的な施策として、リーダーとなる人材の認定等事業の登録、人材育成についての情報の収集・提供、拠点機能の体制整備、パートナーシップの取り組みのあり方についての周知徹底など、国民やNGOによる現場での取り組みを支援する措置が盛り込まれていますが、現場の取り組みこそ大切であり、今後、政府において、法案に盛り込まれたこうした事項が着実に実施されるよう、環境大臣がリーダーシップを発揮して、文部科学大臣や農林水産大臣、国土交通大臣、経済産業大臣等と綿密な連携をとりながら、一層協力した取り組みを行うよう期待したいと考えているところであります。
 さらに、現場における活動として、環境省においては、地方調査官事務所や自然保護事務所を通じて現場の活動を支援する機能を高めていく方針とも聞いておりますが、ぜひ環境省の現場組織の強化に力を入れていただきたいと考えています。
 また、関係大臣におかれても、例えば文部科学省の青年の家での自然体験活動、林野庁の森林管理局、森林管理署での森林ツアーや植林活動、国土交通省の地方整備局、河川事務所や国道事務所等での自然体験活動や情報提供、さらに経済産業省関係のリサイクルや省エネに関する情報提供など、各所管の現場での取り組みを積極的に推進していただきたいと要望いたします。
 環境教育の対象は本来、環境保全に限定されるものではなく、非常に幅広いものであると考えます。本法案に基づく施策を実施していくに当たっては、こうした総合的な視点を持つことは大変重要な要素であると考えます。したがって、今後の環境教育をどのように発展させていくつもりなのか、環境大臣の抱負と御見解を明確に発信していただきたいと願っているところでございます。
 私たち公明党は、今後、この法律が持続可能な社会の構築に多大な貢献をもたらすよう、特に国連総会決議の趣旨を踏まえて、環境教育はもちろんのこと、人権教育や平和教育、あるいは地域における文化や歴史の継承と向上など、総合的な地球規模の教育を推進する意味において一層の研さんと努力を重ねていくことを表明して、意見とさせていただきたいと思います。
 大臣、よろしくお願いいたします。
鈴木国務大臣 環境教育、環境学習といいますものは、環境保全についての理解あるいは意識、そういうものを国民の中で共有するという面で重要であると考えておりますし、かつまた、そうした活動に積極的に参画をする、そういう人材を育成していくという意味におきまして、これは持続可能な社会をつくる土台になるものである、そういうふうに考えております。
 そして、その内容も、先ほど申し上げたわけでありますけれども、今日よって来る環境課題、これが通常の事業活動であったり日々のライフサイクルに基づくものであるということを考えてみますと、こういうものは経済、社会、そして文化にまでかかわる問題でありまして、環境教育、環境学習、これは総合的に展開をしていくことが重要である、そのように認識をいたしております。
 環境省といたしましても、従来、こどもエコクラブ事業、それから環境カウンセラー事業、子どもパークレンジャー事業等によりまして多面的な環境教育、環境学習を支援しているところでありますが、本法案、先生方の御努力でこうして提案をしていただいたわけでありますが、この法律の成立後は、リーダーとなる人材の民間による認定事業の登録、国内外におきます環境教育に係る人材の育成支援等の推進、これらを図りまして、民間の力を生かして多彩な人材の活動や多様な体験機会の提供を進めることによりまして、総合的な環境教育、環境学習を支援していきたいと考えております。
 その際、ただいま田端先生から現場における取り組みが重要であるという御指摘をいただいたところでございますけれども、環境省といたしましても、地方事務所におきます情報提供、あるいは地域住民との協働取り組み等の充実を図りまして、より現場の取り組みを支援する施策を実施してまいりたいと思います。
 それから、環境省がリーダーシップをしっかりとるように、そういうお言葉もございました。文部科学省を初めといたします関係省庁ともしっかり連携をとりまして、環境省がリーダーシップをとって、実効ある環境教育、環境学習の推進策、こういうものを打ち出してまいりたいと考えております。
田端委員 ありがとうございました。
松本委員長 高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 我が党は、地球環境保全基本法案を今国会に提出しております。その内容に合致し得る今回のこの法案に仕上げていただいた、まさに私どもの要求も受け入れていただきまして、この法案、本当にすばらしい形で日本の環境教育を担っていく、大きな役割を担っていくものになることを願う次第であります。
 さてそこで、常に環境の保全活動には公益との調整という問題が、大きく、また深く絡んでまいります。この問題は、環境教育を推し進める上でも、また最終的に論議の焦点となることは言うまでもないことかと思います。つまり、視点のとらえ方とか比重の置き方が大きな課題であると考えます。
 そこで、今後の環境行政に資するために、この法案の基本理念にうたっている、第三条三項にもありますが、公益の調整という点について、今後環境省としてはこう考えていると、環境大臣の御見解があればお聞かせをいただきたい。よろしくお願いいたします。
鈴木国務大臣 先生御指摘のとおり、いろいろな環境施策を進める上で、環境保全といわゆる公益との調整ということは、いつもいろいろ問題になる面であると思います。
 この法律におきましても、国土の保全や地域の農林水産業、住民の生活安定という公益等との調整が規定をされているところでありますけれども、一方におきまして、基本理念に定められておりますように、環境保全活動や環境教育を行うに当たりましては、持続可能な社会の構築というより大きな目標の実現に向けて、社会の多様な主体がそれぞれ適切な役割を果たすべきだ、そのように考えているところであります。
 大切なことは、国、地方自治体、あるいは民間団体、国民等、それぞれが、言葉はあれでありますけれども、ひとりよがりに陥ることなく、お互いの立場を理解して、持続可能な社会の構築に向けまして十分互いに議論をしていくことが重要であると考えております。住民、事業者、民間団体、自治体、国などが協力して地に足のついた取り組みを行うことが定着するまでには、まだ長い歩みが必要であるかもしれませんけれども、本法案に基づく施策などがそのような歩みを加速することに役立つものと考えております。
 この法律の運用に当たっても、そういう点に十分留意をしてまいりたいと考えております。
高橋(嘉)委員 次に、文部省から政務官にお越しいただいておりますのでお尋ねしたいんですが、この法案が通ると仮定して、登録を受けた人あるいは団体は、マル適マークを交付されるわけでありますが、教育の現場に入っていくことになります。この場合の学校教育とは、学校教育法に定める範囲、小中高、盲聾養護及び幼稚園までと考えますが、確認の意味で、この点、そのとおりかという一点と、さて、そこで不測の事態があった場合の責任の所在はどうなるのか、これも確認の意味でお伺いしたいんです。
 人材登録を受けた個人あるいは団体は非常勤講師としての役割を担う、これは、教育免許法第三条の二項にありますが非常勤講師としての役割を担うことになると考えます。学校教育法の二十八条によれば、適切な講師の雇用、その業務内容の監督を行う法律上の責任は校長にあるとあります。よって、この非常勤の講師の雇用についても、法律上の責任は校長にあるのか。非常勤講師の任命は教育委員会にあるというお役所からのお答えをいただきましたが、責任はつまり教育委員会ということになるのか。
 確認の意味でございますが、いろいろな、ふらちな人間がいないとも限りません。マル適マークを受けた団体が本当に、教育の現場に入っていって、山の中へ入ったり、川と親しむ、いろいろなこともしたりするわけでありますが、そういった中で、僕は、監督責任あるいは任命責任を含めて、その辺のところはどのようになっているのかなということを確認の意味でお伺いしたい。
池坊大臣政務官 人的な量並びに質を確保いたしますために、信頼される人材の量的、質的な確保の、その意味でNGOなどの人材認定事業等の機関はございます。これは、本法案の第十一条四項にございますように、本法案に基づき政府が定める基本方針に照らして適切なものであるかどうか、そしてまた、人材認定等事業を適正かつ確実に行うものとして、今後主務省庁、これは五つの省庁でございますけれども、その基準に適合するかどうかという点から審査を行います。(発言する者あり)
 後から続けますから、ちょっと、ずっと聞いていていただきたいと思います。(発言する者あり)関連いたしております。
 この登録を行いました人材認定事業であっても、主務大臣が事業の適正な実施を確保するために報告または資料の提出などを求めることができることとしておりますし、登録を受けたNGO等の民間団体などが主務省庁の挙げる要件などに適合しなくなった場合などには登録を取り消すことができる、これは機関に対する担保でございます。
 その機関に入っていればすぐに学校教育を行えるというものではございません。学校教育を含めて、学校教育において教育活動を行うという場合には、それぞれの学校の種類、教科についての免許状を有さなければなりません。
 ですから、そのためには、一般的な免許状、大学等を卒業し教職に関する専門性を身につけ、都道府県教育委員会から普通免許状を授与された者が、教員採用試験を経て、教諭として環境教育を行う、これは普通の先生でございます。
 それから、さっきちょっと委員が触れられましたように、特別免許状を授与された者もございます。これは、すぐれた知識とか技能を持っている者が、あの人を先生にしたいということで推薦をいたしまして、各都道府県が行う教職員の試験に合格した者に与えられるものでございます。こういう人が環境教育を行うことができます。
 また、御存じのように、特別非常勤講師制度というのもございます。すぐれてその領域においてすばらしい能力を持っている、あるいは子供たちに教える能力があって、教えてほしい、そういう人を、これも都道府県に届け出ることとなっております。ですから、教育委員会に届けませんで教えるということはあり得ないと思います。
 それからまた、教員に対しても指導等を行うということになっております。
 ですから、三段階、三つの種類がございますが、これによって学校教育を行うということになっております。(発言する者あり)これは答えになっていると存じます。
高橋(嘉)委員 よくわかりましたが、つまり僕は、非常勤講師としての役割を担うことになるのかどうかと。
 つまり、NPO、NGOの人たちが行って教壇に立ってやった場合に、あるいは山に行ってオリエンテーリングとか何かいろいろな指導をする場合においては、非常勤講師としての役割を担うものになるのか。その場合の責任は、任命するのが教育委員会のような話も聞きましたが、教育委員会なのか。あるいは監督責任は、教師に対して校長に監督責任があるように、その非常勤講師に対しても監督責任は校長にあるのか。
 そこだけ確認の意味でお尋ねしたかったのでございますが、もう一度お願いしたいんですが。
池坊大臣政務官 任命は教育委員会でございます。監督責任は校長でございます。
 これでよろしゅうございますか。
高橋(嘉)委員 はい、わかりました。
 それと、もう一点だけでございますが、人材の登録基準についてであります。
 多種多様な団体を余り狭めるな、あるいは変に制限するなという御意見もあるかもしれませんが、人材の登録基準については今後基本方針及び主務省令で定めるとのことでありますけれども、営利あるいは思想、宗教の布教、政治宣伝等いろいろな目的を有する団体も自然活動あるいは環境保全活動を展開しております。その団体が教育現場にマル適マークを受けて入ってくるわけでありますから、その影響のおそれなしとは言えないと思うのでありますが、この点についてどのように今後基本方針等々でお考えになられるのか、大臣に見解をお伺いして、終わりたいと思います。
鈴木国務大臣 高橋先生のお話のとおり、この人材認定事業等の登録につきましては、行政が不当に介入して民間の自主性を損ねてはいけないという側面もございますし、また、一面におきまして、そうした環境教育現場に、何と申しますか、不適切な人が紛れ込んできても困るという両方の面があろうかと思うわけであります。
 このため、基本方針それから主務省令におきまして、今お話ございましたとおり、営利、それから宗教の布教、政治宣伝などの環境保全以外の目的で事業を行うことがないことなど、登録の基準を外形的に明確に定めまして、人材認定等事業を適切かつ確実に実施できる者のみ登録されていくようにしてまいりたいと考えております。
高橋(嘉)委員 ありがとうございました。
松本委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 私どもの国では、公害をなくすという取り組みから始まった環境問題ですけれども、現在では、人類の生存の基盤にかかわる問題として、国民の環境意識は非常に向上してきております。特定企業の活動と同時に、国民の生活のあり方が環境に及ぼす影響についても、その改善の取り組みが重要視をされております。そのために、環境教育だとか情報の提供だとか体験学習などが求められているわけでございます。
 しかし、実態はどうかといいますと、地域社会でも教育現場でもあるいは職場でも、環境教育は決して十分とは言えません。したがって、環境教育の推進に関する法案の制定がその促進に役割を果たし、効果を上げることが期待されているわけです。
 そこで、その期待にこたえ得るものにするために、私は、この法案に対して若干の修正に関する意見を持っておりますので、述べさせていただきたいと思います。
 例えば、基本理念という法案の根幹にかかわる部分が極めて自然環境に偏っている印象を与えているということが、環境の範囲を狭めているという問題です。もちろんこれは若干補強されてはおりますけれども、しかし、「森林、田園、公園、河川、湖沼、海岸、海洋」と自然環境に限定した事例だけを事細かく述べている点もそれに当たりますし、また、「自然体験活動その他の体験活動」とくくっているのもそれに当たると考えています。そこで、少なくとも、地域における環境の保全に係る体験活動といったような表現にすることが望ましいのではないかというのが私の考えです。
 また、「自然環境をはぐくみ、これを維持管理する」というよりは、持続的社会の構築及び環境の保全と表現する方がより積極的であろう、このように思っております。
 ほかにも幾つかこうした修正に関する意見は持っておりますけれども、今回は、法の運用上、最も具体の問題として、人材認定等登録事業に関して、確認のためにただしておきたいと思うことがございますので、お尋ねをいたします。
 まず一つは、人材認定等事業の登録を申請したにもかかわらず登録が受けられない場合に、再審査を要求できるという制度になっていないという問題がございます。
 そこで、主務大臣に人材認定事業の登録を認められなかった申請者、この申請者は環境大臣に登録の再審査を求めることができるというような規定を明記する必要があるのではないかと思いますけれども、これを運用される環境省、どのようにお考えでしょうか。
松本政府参考人 人材認定等事業の登録についてでございますけれども、基本方針それから主務省令におきまして明確でそして外形的な基準を定めることとされておりまして、まず御指摘のような登録の可否をめぐる争いが起きにくい規定ぶりになっているのではないかというふうに私ども理解しております。
 また、この法案上、主務大臣は、申請のあった事業が登録の要件を満たさない場合、こういう場合には、その理由を付して申請者に通知をしなければならないこととされておりますので、申請者は、それを受けて、必要であれば事業内容を改めて再申請することもできるということであろうと思っております。
 さらに、この登録は行政不服審査を受けることができるものでございまして、申請者が登録を行わなかった主務大臣あてに不服審査を求めることができるというふうに理解しております。
 いずれにいたしましても、御指摘のような規定の要否はともかくとして、政府といたしましては、法律の運用上、登録に当たっては公正な取り扱いがなされるように十分配慮をしてまいりたいと考えております。
藤木委員 今お述べになりました行政不服審査というのは別法の法律の運用だというふうに思うわけですけれども、それは当然行われるかのように言われましたけれども、この法文上明記されているということでありませんので、再審査を要求する者も出てくるでしょうけれども、要求しない者があっても当然だと思うわけですね。
 もちろん、消防法だとか浄化槽法だとか旅館業法など、そういった法律にはこのことがはっきり明記されておりますから、この法に盛り込むことができないわけではないというふうに思うんですね。問題は、申請したにもかかわらず登録されなかったということが無資格者のレッテルを張ることになりかねないという問題なんです。こうしたトラブルが起こることを極力回避するための法整備の必要があるということを、重ねて申し上げておきたいと思います。
 さらにもう一つの質問ですが、人材認定等事業について登録を申請しない団体や認定を受けない者も出てまいります。また、申請したにもかかわらず登録されなかった団体や認定されなかった者も存在いたしますけれども、この非登録団体や非認定者が排除されないという保証も法案では明文化されておりません。これらの地域に精通している指導者が環境の保全に関する指導から排除されるというようなことはないのでしょうか。いかがでしょうか。
松本政府参考人 この法案に基づきます人材認定等事業の登録を受けるかどうか、これにつきましては、それぞれの事業を行う者の判断に任されているわけでございまして、登録を受けないことは十分にあり得ることだというふうに私どもも認識をいたしております。
 このように、登録を受けていない人材認定等事業についても、この法案の第十七条に規定されているような情報の提供等のサービスは受けられるというふうに承知をいたしております。この点につきましても、登録を受けていないことを理由として差別的な扱いのないよう、制度を運用していきたいと考えております。
 また、登録を受けていない人材認定等事業で認定を受けている方、こういう方でありましても、環境教育とか活動の場で活躍をしていただくべき能力や資質を個々人として有している方につきましては、当然でございますけれども、こうした場で活動していただくということができるわけでございまして、このような本法案の趣旨につきましては、政府といたしましても適切に周知を図ってまいりたいと考えております。
藤木委員 今の御答弁を伺っておりますと、法を運用する国や地方公共団体が、認定の登録を受けていない、あるいは受けられなかった団体や者を排除しないということをお述べになりましたし、差別をされない、これは当然だと思うんですね、運用の側がしないというのは当然だと思うんです。
 私が申し上げているのは、「環境の保全に関する知識及び環境の保全に関する指導を行う能力を有する者」を採用しよう、活用しようと思う者が、結果として、登録の認定を受けていない、あるいは受けられなかった団体や者を採用しないという選択をするであろうということは十分考えられることでございます。環境の保全に関する指導を、単に運用だけでは、排除する事態を起こさないとは言えないわけです。
 少なくとも、私は、登録民間団体等による認定は、登録民間団体の認定を受けていない者の環境の保全に関する指導を排除するものとは解してはならないといったようなことが明文化されて挿入されれば、排除を未然に防止することができると思いますし、その条文をもとにして、排除された人が主張する機会を与えることもできるのではないか、このように考えております。
 私、随分しつこく申しておりますけれども、殊さら私がこの問題でこだわっておりますのは、自然再生推進法を議論した際に、特定のNPOを排除するようなことがあってはならないということが随分問題になりました。
 実際に、釧路湿原の事業で、当初は、NPOのトラストサルンに対する扱いというのは、自主性の尊重ではなくて、事業者の手足のように使おうというものでございました。当委員会で私も指摘してまいりましたけれども。もっとも、その後、一定の改善が図られていると聞いております。
 しかし、霞ケ浦の自然再生事業における円卓会議からも、特定の団体、アサザプロジェクトの代表の出席が排除されております。排除された団体からは検討会開催の要求が再三出されていますが、拒否され続けて今日に至っておりまして、これまでのアサザプロジェクトの事業はとまってしまっております。これでは、失われた自然を再生する事業の推進が妨げられるということになっているわけです。
 ですから、環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律がこの二の舞を踏むことが絶対にあってはならないという思いが非常に強いわけですね。
 ですから、この法を執行する国の機関としては、五年後の見直しに向けて、こうしたことには十分留意をされて運用を執行していかれることを強く求めて、発言を終わらせていただきます。
松本委員長 中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。
 このたびのこの法案を出すに当たって御尽力をいただきました皆様方に、心から敬意と感謝をあらわしたいと思います。私もやはり環境というのは二十一世紀最大の一番大事なものだと思いますし、この環境委員会でこのような法案の審議をさせていただくことは、とても、私にとって現在も将来も大きな財産として残っていくと思います。
 私は、地球というのは借り物であって、一時期私たちが住まわせてもらっているという謙虚な姿勢が一番大事だと思いますが、開発開発で人間のおごりがさまざまな環境をむしばんできた、このことが取り返しがつかない状況になりつつある中で、やはり環境教育という位置づけの中で、まず本当に、将来を担っていく子供たちに、環境の大切さ、それを体験する中で、私たちが犯した過ちを二度と繰り返さないような、そのような次世代をつくっていってほしいと心から願っております。
 私も、環境教育の必要性をつくづく思いましたのは、先日この環境委員会で霞ケ浦に視察に行かせていただいたときに、実に楽しそうに子供たちが霞ケ浦のあの水の中に入って、そしてアサザなどを植えている。体全体で、ああ楽しいと、本当にその楽しさというのが学習、学ぶ、そして身についていくものだということを痛感いたしました。子供たちの笑顔が、やはり教育が生きているということを実感いたしました。
 それで思い出したんですが、一九九二年から、私が住んでいるすぐ近くの町の兵庫県の西宮市で、あのころは環境省ではなくて環境庁のときに、環境教育事業ということで、学校などに、また行政などに呼びかけて環境教育事業の取り組みというのを推進されました。そのときにいち早く手を挙げた、西宮の職員で小川雅由さんという方がいらっしゃいます。
 私はとても小川さんと、奥さんの方と仲よくしておりまして、夫が市内の小学校の子供たちと一緒に町を歩きながら、環境というのを体感しながら学習を一緒にしているのよ、子供たちより大人が楽しくなるぐらいすごく大事な仕事だと言って物すごい張り切っているということを何度も聞きました。そこでやはり大事なのは、学校だけでは環境教育というのはできないということをつくづくおっしゃっていまして、家庭そして地域、その連携がなければ環境教育ができないということを話しておられました。
 今回ここですごく大事なのは、三位一体で、家庭と地域、そして学校現場をどう連携させてつないでいくか、そのためにNPOの存在というのが欠くべからざる存在になっていきます。そのことを、私自身も、今回のこの法律の中で決してNPOが、言ってみれば登録やさまざまなところで排除されないように、NPOを主役として子供と連携して地域の中で生きた環境教育をやっていくというのがこの法案の大きな目的だと思っております。
 この西宮のことをちょっと紹介しますと、EWC、アースウォッチングクラブというふうに命名しまして、子供たちがエコカードというカードを持って、生活科の時間ですとか総合学習の時間に、特に町を歩いていく。町の中で、いろいろなものがすべて環境教育の対象になりますから、何か子供たちが積極的に活動をしたらスタンプをもらっていって、そのエコカードがスタンプで埋まっていく。それで表彰したりいろいろなところや場面で褒めたり、日ごろ勉強なんかで少し追いつかない子なんかでもそういうときには張り切って先頭に立ってやっていく、そのような学習だということを聞いております。
 さまざまな取り組みもしてきても、やはりこのような法律の後ろ盾があって、全国の小中学校のみならず学校教育現場で環境教育が主体的にみんなの力で行われていくことを心から望んでおります。そして、これが突破口になって、消費者教育でありますとか性教育、やはり生きていくための体で覚えていく学びということを積極的に推進できるような、大きな一つの扉をあけていく法律になるように心から期待しております。
 その期待の中で少し心配がございますので、数点にわたって政府の方から御答弁をいただきます。
 まず、基本理念の三のところでございますけれども、私はこういう言葉にとてもひっかかってしまいますが、三行目から、「国土の保全その他の公益との調整に留意し、並びに農林水産業その他の地域における産業との調和、」これは縦割り行政の中で環境省も御苦労だなと思いますけれども、この「公益との調整に留意し、」とか「産業との調和」という部分、そしてそれに「配慮して行われる」という規定が基本理念の三に入っております。
 環境教育そのものにこうした規定を入れることについて、その意味するところをお聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 先生御存じのとおりに、環境問題、これは、経済でありますとか社会あるいは国土の保全といったような極めて多くの分野と相互に密接に関連を持つというのが現実の姿でございます。この現実を踏まえまして、この法案でも、自発的な環境保全活動、環境保全の意欲の増進、また環境教育に対しても幅広い目配りが要請されているもの、そういうふうに認識をいたしております。
 具体的には、基本理念におきまして、国土の保全その他の公益との調整、農林水産業その他の地域産業との調和、地域住民の生活の安定、歴史、文化の継承等、社会経済におけるさまざまな要請に留意、配慮して行われるべき旨、これが規定をされていると理解をいたしております。
 持続可能な社会の構築という大きな目標を実現するためには、環境と経済活動がともに支え合う関係に立つべきである、そのように認識をしているところでありまして、同様に、国土の保全を初めとするさまざまな公益も環境保全と同時に実現されるべきもの、そのように考えております。
 この趣旨を踏まえまして、この法案に定められた措置の実施を通じまして、自発的な環境教育等の促進や支援に努めてまいりたいと考えております。
中川(智)委員 それではもう一点、ずっと議論になっております認定事業の登録のことで確認をしておきたいと思いますが、この登録を受けたことによって国による不当な介入が行われたり、逆に受けない者が環境教育の場から外されるものではないということを確認しておきたいと思います。いかがでしょう。
鈴木国務大臣 この法律におきます人材認定事業等の登録制度の実施に当たりましても、民間団体等の自発的意思というものが徹底されなければならない、これが尊重されなければならない、そういうふうに考えております。したがいまして、本法律上、登録を受けるか否かは各民間団体の自由であると承知をしておりますけれども、団体等の自主判断によりまして登録を受けなかったことをもってその団体が不当な差別を受けるようなことがあってはならない、そのように考えております。
 政府といたしましては、国民、民間団体等の自発的意思を尊重すべきとの基本理念に基づきまして、国民、民間団体等がみずから進んで取り組む活動を阻害することがないように、この法律全体のさまざまな措置を公正かつ透明に運用してまいることに十分意を用いてまいりたいと思っております。
中川(智)委員 この法律が、今後の持続可能な社会に向けた環境教育の促進、強化にしっかり役立つものにしていっていただきたい。ともに頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
松本委員長 これにて発言は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立総員。よって、そのとおり決まりました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十時三十八分散会


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