衆議院

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第9号 平成18年4月28日(金曜日)

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平成十八年四月二十八日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    岩屋  毅君

      宇野  治君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    篠田 陽介君

      竹下  亘君    とかしきなおみ君

      並木 正芳君    丹羽 秀樹君

      根本  匠君    馬渡 龍治君

      北橋 健治君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      谷口 和史君    江田 憲司君

      野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   外務大臣政務官      伊藤信太郎君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 深田 博史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  舌津 一良君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           吉田 岳志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     近江屋信広君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     篠田 陽介君

四月十四日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     北橋 健治君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     丹羽 秀樹君

  北橋 健治君     高井 美穂君

  高木美智代君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     宇野  治君

  谷口 和史君     高木美智代君

    ―――――――――――――

三月三十日

 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

四月四日

 循環型社会でごみ減量化を目指すことに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇八一号)

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一一〇〇号)

同月十八日

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六二六号)

同月二十八日

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正においてとらばさみ・くくりわなの全面禁止を求めることに関する請願(馬渡龍治君紹介)(第一八二六号)

は本委員会に付託された。

四月四日

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(第一一〇号)は「永田寿康君紹介」を「泉健太君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 この際、小池環境大臣より発言を求められておりますので、これを許します。小池環境大臣。

小池国務大臣 ただいま委員長のお許しをいただきましたので、一言ごあいさつさせていただきます。

 去る三月二十九日の夜、突如高熱を発し、病院にて診察を受けましたところ、急性肺炎と診断されたため、入院加療をいたしておりました。その後、順調に回復をいたしまして、四月十四日に退院、そして十七日から公務に復帰することができたわけでございます。

 この間、大変皆様方には御心配をおかけし、また、長くお休みをさせていただきましたことをまことに申しわけなく思っております。

 特に、本委員会におきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の御審議をお願いしていたところでありまして、委員長初め委員各位に多大な御迷惑をかけたことをおわびを申し上げたいと存じます。

 また、今後とも、国会審議への対応を初め、環境大臣としての公務に支障のないよう努めてまいりたく考えておりますので、引き続き御支援、御協力のほどよろしくお願いを申し上げまして、私からのごあいさつとさせていただきます。

 本当にどうもありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

木村委員長 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官深田博史君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官舌津一良君、農林水産省大臣官房審議官吉田岳志君、経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、環境省大臣官房長西尾哲茂君及び環境省地球環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長千坂正志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽秀樹君。

丹羽(秀)委員 おはようございます。自由民主党の丹羽秀樹でございます。

 まず、本日、環境委員会におきまして御質疑させていただきますことを、委員長初め理事の皆様方、委員会の皆様方に心から感謝申し上げます。そして、小池大臣、本当に御回復おめでとうございます。

 さて、京都議定書が発効し一年が経過いたしました。京都議定書に基づく温室効果ガスの六パー削減の約束の達成に向け、国内対策に現在努力しているわけでございますが、それでもなお約束達成に不足する差分について、途上国で実施する温室効果ガスの排出削減プロジェクトから削減量を自国の削減量に算入する京都メカニズムを活用する、本改正案はそのための条件整備をすることが目的と理解いたしております。

 京都メカニズムを活用する準備を進めることは重要ではございますが、あくまでもこの京都メカニズムは、六パーの削減約束を達成するための補完的なものであると私は考えております。国内対策をこれまで以上に行う必要があるのではないかと思っております。

 その点で、まず第一点。現在の地球温暖化対策を推進するためには、地球温暖化が及ぼす影響を的確にとらえ、その知見を共有していくことが重要と考えます。特に、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか、具体的に示すことが重要なのではないでしょうか。

 そこで、地球温暖化が日本に及ぼす影響について、現在の知見をお教えいただきたいと思います。

小林政府参考人 御説明申し上げます。

 現在の地球温暖化の影響、こういうことでございます。

 これは我が国についてでございますけれども、既に二十世紀中、一世紀中に一度の上昇ということが観測をされておりまして、こうしたことに伴いまして、年間の大雨の日数、雨は雨量とは別でございますが、大雨の頻度、これが増加傾向にあるというようなことでございます。また、大変記憶に新しいところでございますが、一昨年、四十度を超えるといったような猛暑あるいは十個の台風の上陸といったようなことで、個々の異常気象との因果関係、これはわかりませんけれども、しかし、温暖化の進展に伴いまして、こういったようなことが並行して起こっている、こういうことでございます。

 また、今後につきましても、国立環境研究所が、地球シミュレーター、これはスパコンでございますけれども、これで計算をしたところ、今世紀末、二十一世紀末でございますけれども、例えば、我が国の夏の平均気温がさらに四度上がるということでございまして、暑くなるペースが上がります。そして、真夏日が七十日ということで、現在の倍増といったようなことが予測をされております。

 その結果は推して知るべしでございますけれども、水資源、害虫、そして健康、こういった身近なところでたくさんの被害が起きてくるのではないかというふうに懸念をされている、こういった状況にございます。

丹羽(秀)委員 まさに、このままいってしまうと、映画の「デイ・アフター・トゥモロー」みたいな状況にならないようなことを願っております。ありがとうございます。

 昨年、私、選挙前に、まさか選挙があると思わずに、六月四日から一週間、屋久島の方へ行ってまいりました。一九九三年、日本で初めて世界遺産に登録された屋久島は、樹齢七千二百年と言われる縄文杉を初め、千年以上の屋久杉で有名な自然の島でございます。

 この島は、日本で七番目に大きな島でありますが、日本の面積の千分の一、約東京二十三区の大きさ、広さしかありません。九州の高い山々の上位七位までがこの島に集中しておりまして、洋上のアルプスとも呼ばれており、あわせて、この地形が織りなす気候には実に亜熱帯から亜寒帯まで含まれ、九州から北海道の気候がこの島で見られる、まさに東洋のガラパゴスとも呼ばれる魅力的な土地でございました。そんな日本が誇る世界遺産を私は訪れ、感性を磨き上げ、そして日本をベースにした効果的な環境活動を行いたいと改めて実感いたしました。

 地球温暖化は、人類だけではなく、生きとし生けるものすべてに影響が及ぶ深刻な問題でございます。国民一人一人が、遠い将来の話ではなく、緊急性の高い問題と認識し、国民運動としての活動を展開することが必要と考えます。私の地元の春日井市でも、きょうお配りいたしましたこの資料のような「環境家計簿」といったものを活用し、環境活動が展開されています。中身の方は御一読いただきたいのですが、やはりこの環境運動というのは、一人一人の意識や認識の持ち方に重要な面があるといった課題も抱えております。

 このような地元の取り組みを積極的に支援していく方策はないのか、お聞きしたいと思います。

小林政府参考人 今御指摘のとおりでございまして、地元あるいは足元、草の根、こういった一人一人の取り組みというのが物すごく大事だというふうに私どもも認識をしてございます。地球の温暖化というふうに申し上げますと、何か人ごとのような大きな話に思われますけれども、やはり自分の仕事、対策ということでこれを担っていくようにいたしたいというふうに思っております。

 まだまだ力が足らないのかもしれませんけれども、この御審議をいただいている法律のもとになっております地球温暖化対策の推進に関する法律、ここで、例えば都道府県のセンター、そして地球温暖化対策に関する地域の協議会、いろいろな方が参加される、そして、そのアドバイスをしていくような任務を持っております地球温暖化防止活動の推進員といったような、草の根で啓発ができるような仕組みというのを設けてございます。これがだんだんと仕事を立ち上げている、こういうことでございます。

 また、その中では、具体的なモデル地域づくりといったようなことを進めておりまして、特定の都道府県センターあるいは市民団体、こういったものが、パートナーシップでCO2排出抑制の取り組みといったようなことを進めているというようなことも始まってございます。そのほか、家の改造といったようなことも重要でございますので、こういったことについての補助とかいうようなことも始めているということでございまして、地域に根差した取り組み、今御指摘の家計簿も拝見させていただきました。大変わかりやすく、取り組みができるというきっかけになるものだと思いますが、こういったものを含めて一層支援してまいりたいというふうに考えてございます。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 環境省の資料なんかに、よく小林さんの御自宅のモデルが書かれておりまして、私も、すばらしい家だなと思って毎度毎度見るたびに感銘を受け、その取り組みもまたすばらしいなと姿勢に対しても感銘を受けておりますが、本当に、本省だけではなく各地域で行われているそういった環境活動についても、今後さらに支援していただきますことを心からお願い申し上げます。

 気候変動枠組み条約の究極の目標であります、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させるためには、長期にわたる温暖化対策が必要とされます。国民一人一人が当たり前のように温暖化の取り組みを行うためには、大人になってからではなく、子供のころから地球温暖化とその影響について知ってもらい、行動に移すということが重要であると思っております。

 環境省では、環境教育という面で、地球温暖化をどのようにとらえ、推進していくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

江田副大臣 先生の御指摘の環境教育についての政府の取り組みについてお答えさせていただきます。

 地球温暖化対策の推進に当たりましては、先生御指摘のように、国民一人一人の関心を高めて、そして理解を得ることはもちろん、子供に対する環境教育や、国民の共感を得る働きかけを行い、行動の見直しまで結びつけることが重要でございます。

 環境省では、地球温暖化の深刻な影響、温暖化対策の必要性などにつきまして、小中学校での環境学習に用いる副読本を作成しているほかに、テレビ、新聞等のメディアの活用、また講演会、シンポジウムの開催、そしてパンフレット、DVDの作成など、国民への情報提供、普及啓発に努めているところでございます。

 特に、平成十七年度からは、教育の場であり、地域社会の核でもあります学校におきまして、二酸化炭素排出を抑制しながら快適な学習環境を確保する校舎等のエコ改修と、改修過程をそのまま素材にしまして、学校での環境教育に活用するという、学校エコ改修と環境教育事業というものを行っております。

 これは、一つには、ハードとソフトがございまして、学校のエコ改修というのは、もちろん断熱、遮熱、窓のペアガラス化等を行って省エネを図るとか、また植樹とか屋上緑化、壁面の緑化等で環境の改善を図ったり、また太陽光発電で自然エネルギーを導入する、こういうようなハード面での改修を行うとともに、ソフト面では、例えば、緑化したそういう学校と、そうしなかった場合の比較を、モデルをつくりまして、温度上昇等について調べたり、また、カヤぶき屋根の竪穴式住居なんかをつくったりして、それでその環境への効果をはかったり、また父兄とか生徒、先生のみならず、ハード面での改修に携わったような地域の建築家等も学習していただくというような、幅広い効率的な環境教育を実施しているところでございます。

 それと、もう一方で、国民一人一人の取り組みにつきましては、チーム・マイナス六%という愛称で国民運動を展開しておりますが、また、クールビズやウオームビズを初めとする六つの具体的な温暖化防止行動を提唱しておるところでございます。

 今後とも、国民の共感を得る働きかけを行って、地球温暖化の影響と具体的な取り組みに関する情報提供、普及啓発に一層取り組んでまいりたいと思っております。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 最近の小学校なんかに行きますと、体育館の屋根が、天窓じゃないですけれども、光が入るようにしてあって、体育館の中の常に使う電球を減らしたりして、それでも随分明るいような体育館がふえております。ぜひともそういったハード面での施策等も今後よろしくお願いいたします。

 今言った環境学習の面で、総合学習の時間で温暖化のことを題材にした授業を行っているのかどうか。こちらの方は文部科学省の方に、もしございましたらお尋ねしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、地球温暖化などの環境問題は、教育の上でも非常に重要な課題だと認識してございます。

 子供たちが、人類の将来の生存と繁栄にとって重要な問題として認識しながら、責任を持って環境を守る行動をとれるようにするということが大切な課題であると思っております。このため、学校教育におきましては、社会科や理科などの教科において、地球温暖化を含む環境問題についての学習内容の充実を図っているところでございます。また、御指摘のとおり、総合的な学習の時間におきましては、教科の枠を超えて横断的な学習が展開できるようになっております。

 中学校の例を一つ挙げさせていただきますと、一年生の段階で、私たちにできる地球温暖化防止作戦というテーマで、一学期には、地域の自然に触れるというフィールドワークをしながら、そこに温暖化の兆しを探るという活動をし、二学期には、インターネットや文献を調べたりして、地球全体でのデータを把握して、どういう形で温暖化が進んでいるのか、みずから調べて、それらを組み合わせて発表をして、最終的には、地球規模で温暖化の問題を考えてそれを地域の環境の保全につなげる、そういう取り組みをしていい成果を上げている学校も、総合学習を活用して出ているところでございます。

 この実態も踏まえて、文部科学省としては、引き続き、国連の持続可能な開発のための教育の十年ということを踏まえながら、より具体的な施策として環境教育推進グリーンプランという政策を立てまして、その中で、モデル学校、モデル地域の指定をさせていただいたり、環境教育の実践発表大会という全国大会をとり行ったり、また、教員向けのリーフレットの作成、配付ということで取り組んでおります。また、子供たちの自然体験活動の推進にも努めているところでございます。

 今後とも、環境省の方との連携も深めながら、学校において環境教育の一層の充実のための取り組みに引き続き努力してまいりたいと考えております。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 先ほど、副大臣の方からの話でもございましたが、地球温暖化対策の推進のために公立学校施設の整備においても環境を考慮した整備をすべきと考えております。

 文部科学省の考え、こちらはハード面の方について、ぜひお尋ねしたいと思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 地球規模の環境問題に対応するため、学校施設においても、環境負荷の低減や自然との共生を考慮した学校施設づくりが求められているということについては、十分認識しているところでございます。

 このため、文部科学省におきましては、これまで、環境負荷の低減、並びに児童生徒等の環境教育に資するため、先ほど御紹介のありましたエコスクール、そのあり方について報告書を取りまとめ、普及啓発に努めてきたところでございます。平成九年度からはエコスクールのパイロットモデル事業に対しまして国庫補助を行い、その整備推進を図っているところでございまして、現在までに全国で五百四十一校を認定し、整備を進めているということでございます。この事業におきましては、環境負荷の低減を目的としまして、太陽光発電、燃料電池、木材利用、雨水利用等の導入につきまして、環境省、農林水産省及び経済産業省と連携協力しながら支援しているところでございます。

 今後とも、関係各省との連携を図りながら、エコスクールの整備を推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

丹羽(秀)委員 それに関しまして、公立文教施設整備費の一部を交付金化する法律が三月二十九日に成立し、文部科学大臣が定める基本方針では耐震化に重点を置くと聞いておりますが、耐震化ももちろんこれは重要なのでございますが、耐震化だけではなく、環境にも考慮した学校施設の整備について配慮すべきとも考えております。

 ぜひともお考えを教えていただきたいと思います。

舌津政府参考人 御説明いたします。

 今ほど御紹介のありましたように、義務教育諸学校施設費国庫負担法が改正されまして、いわゆる公立文教施設整備費、その一部が交付金化されたわけでございます。

 これは、名前を安全・安心な学校づくり交付金というふうに称しておりますけれども、この制度におきましては、新たに文部科学大臣が公立学校等の施設整備のための基本方針を定めるということにしておりまして、地方公共団体においては、この基本方針等に基づき施設整備計画を作成し、交付金の交付を受ける、こういうような仕組みになったわけでございます。

 国が定めるこの基本方針におきまして、当然のこととして、現下の最大の課題であります耐震化に重点を置くわけでございますけれども、エコスクールの整備など、いわゆる耐震化以外の事業も重要なことでありますので、これらについても十分配慮してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 ソフト面、ハード面で、本当にこの両輪でやっていただきたいと思うんですが、環境問題というのは本当に個人個人の意識の持ち方が非常に重要になっていると考えておりますので、ぜひ今後は道徳教育の中でも視野を広げてやっていただきたいと思っておりますので、こちらの方、よろしくお願いいたします。

 また、地球温暖化対策、現在、我が国のみならず世界共通の大きな問題との認識のもと、世界各国が足並みをそろえた対応が必要であると考えております。世界の二酸化炭素排出量の約四分の一を占めるアメリカ、オーストラリアが議定書の枠組みに参加しない、経済発展が著しい中国においては、議定書の枠組みには参加しているが、削減約束が設定されていないといった、こういった状況の中、今後、世界の全体としての取り組みを加速するために、日本としてリーダーシップを発揮すべきと考えておりますが、環境省の方針をぜひお尋ねしたいと思います。

竹下大臣政務官 おっしゃるとおりでございます。環境立国を我が国は目指そう、環境省だけじゃなくて、国として、環境というものも、世界のために貢献していこうという方針を打ち出しております。

 といいますのも、その気候変動枠組み条約の究極目的であります温暖化ガスを今の半分程度にしなければ生態系を維持していけない、安定化させることができないという状況でございますので、そのためにまだまだやらなければならないことがたくさんある。おっしゃるように、中長期にわたりまして、世界がまさに一致協力をして推進していかなければならない。京都議定書の第一約束期間でございます二〇一二年までではなくて、一三年以降もどれだけ真剣に取り組んでいくかということが非常に大事になってくるわけであります。

 先ほど御指摘がありましたように、アメリカをどう引き込んでいくか、中国、インドをどうさらに活発に参加してもらうようにしていくかという大きな大きな命題が残っております。今、我が国が行っております努力の一つが、先般小池大臣が行かれましたが、昨年末にモントリオールで行われましたCOP11あるいはCOP/moP1、気候変動枠組み条約の十一回目の締約国会議と、それから京都議定書をどう実施するかという締約国会議、これにも、すべての国が参加する実効ある枠組みに向けて、世界各国の結束を呼びかけてまいりましたし、さまざまな国とも、大臣自身が個別の会談も行いまして、努力を重ねてまいりました。

 その結果、現時点では、先ほどお話がありましたアメリカ、中国、インド、そうしたすべての国が参加する、長期的な行動に関する対話の開始が合意されたのを初めといたしまして、二〇一三年以降の枠組みの構築に向けてさまざまな成果を得ることができた。まだこれで安心というレベルではとてもありませんが、しかし、足がかりはしっかりつくった、これからもっともっと努力をしていこうという状況でございます。

 この対話のプロセスを初めといたしまして、例えばAPP、アジア太平洋パートナーシップといったようなもの、それからさまざまな補完的な取り組みも活用いたしまして、すべての国がその能力に応じて排出量の削減に取り組むことを可能といたし、そして主要排出国には最大限の削減努力をするんだということを促す、そうした実効ある枠組みの構築に向けて、さらにさらに努力をしてまいりますし、大事なことは、我が国は、主導的な役割をその中で果たしていかなければならないということだと思っております。

 我が国は、幸いといいますか、企業だけを見てみましても、多くの企業で世界最先端の環境負荷のかからない状況がかなりできつつある。すべてではありませんが、かなりの分野で世界をリードできる立場にあります。しかも、私たちの国は、一たん公害を経験し、それも克服した経験も持っております。そうした思いを込めて環境立国をしなければならぬ、そのためにどう貢献をしていくか。先ほど御指摘いただきましたように、その中ではまず京都議定書をしっかり実効あるものにしていく、これが一つの大きな大きなツールであります。そしてもう一つは、小泉総理が唱えておりますスリーRイニシアチブ、この考え方を世界に浸透させていく、この二つをてこにしまして世界に貢献していかなきゃならぬ、こう考えておる次第でございます。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 政務官のおっしゃるとおり、まさに、何年までに達成したからもうそれ以降は環境については知らないということではなく、今後も、これはもう、日本の国が、地球がある限り、この環境については我々は取り組まなければならない。そしてまた、日本の国が、特にこのアジアにおいてリーダーシップを発揮して、日本の国だけが環境をやって、隣の中国とかそういった国々が全く環境に配慮しないといった問題が起こってくると、環境に対する日本人の意欲もこれは減少してくると思いますので、ぜひとも日本がこの環境に取り組むモデル国となるように、今後取り組んでいただきたいと思っております。

 環境省では、まず隗より始めよということで、二酸化炭素の排出量を減らすべく、庁舎の暖房をとめているとお聞きいたしました。本当にこれは小さなそういった取り組みでもございますが、それが集まることで大きな力になる、そういったことがいろいろとあります。環境省ではなく、政府全体でこのような取り組みを進めていくことが今後の日本の行政においても重要になってくると思っております。大臣の意気込みをぜひお聞かせいただきたいと思います。

小池国務大臣 京都議定書では、我が国は、九〇年に比べてマイナス六%のCO2削減ということを約束したわけですが、その中で、政府みずからの温室効果ガスの排出削減ということの目標といたしまして、昨年四月に地球温暖化防止のための政府実行計画を閣議決定しているんですが、そこで、平成十八年度の排出量の十三年度比七%削減、ですから、国全体は六%ですが、政府とすれば七%削減しようということで、そういう目標を設定いたしました。

 そしてまた、その達成に向けて、政府一丸となって取り組みを進めているわけで、とりわけ環境省、そこで実績を上げなければいけない、そういう責務もあるかと思います。そこで、今おっしゃられましたように、暖房、給湯の停止であるとか、深夜残業の縮減といったようなソフト面の対策、それから太陽光発電を導入したり、蛍光灯のインバーター化などのハード面の対策も進めてまいりました。それから、今年度、十八年度ですけれども、複層ガラス、樹脂サッシなどによります断熱化など、一層の取り組み強化を行うことにいたしております。

 環境省は、厚生労働省などと同居して、むしろテナント側ではありますけれども、環境省の部分でまずできることをやってみて、そしてそれの効果を政府全体に広げていく、その意味で、環境省みずから隗より始めよということで進めさせていただきたいと思っております。

 なお、環境省にいらっしゃって寒いなと思われても、それは目標達成のためだとぜひ御理解いただいた上、とりあえず五月三十一日まではウオームビズでお越しいただければと思っております。

丹羽(秀)委員 寒い中で仕事をしていただいて、本当にありがとうございます。

 委員の先生の中にも、本当にウオームビズに積極的に取り組まれて、よく選挙区でお会いすると、暖かいような格好をされている先生方が大勢いらっしゃるので、本当にこの環境委員会の委員の先生方はすばらしいなと改めて思っております。

 私たちは、常に自然と共生いたしております。それは自然の英知、つまり、すべての命が、地球上にともに生きるための知恵とわざによって絶え間なく進化できているおかげだと思っております。

 私たちは、人間として生まれて、地球という大きな母体によってはぐくまれております。この地球には、私たちと常に自然が共存し、多種の草、木、動物が生息いたしております。現在もなお絶え間ない進化によって存在しており、私たちは、そんな命のつながりを大切に、生き物すべてへの愛情を持ち、この地球を次世代へとつなげていかなければならないと思っております。そんな気持ちは世界じゅうにも必ず伝わっていくと思いますし、それが地球上に生息する生き物としての使命だとも考えております。

 温暖化問題は、本当に大変重要な問題でございます。本改正案にある京都メカニズムの活用も含め、あらゆる手段を講じていくことで、削減約束を達成することは困難ではないと思っております。そういったことからも、今後、環境省が主導となって、国民運動を積極的に進めていっていただきたいと思っております。

 本日は、こういった環境委員会において質疑させていただくお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。

木村委員長 次に、長浜博行君。

長浜委員 御無事で何よりでございました。女性の政治家、女性大臣が大変御苦労されているんだなんというのをなかなか男性の視点では気がつかないわけでありますが、そういった御苦労もあるのかなと思います。きょうの午後の本会議にはまた新しく一人女性議員が生まれるようでありますが、女性も男性も激務の中、こういった国会審議が行われていることも改めて認識をした次第でございます。

 各党筆頭理事に御許可をいただきながら、きょうはこの法案の審議でございますが、細かい部分は後ほど篠原委員と田島理事からお話をいただくと思いますが、私は、やはり水俣病について、ここでまた政府のお考えを拝聴しておかなければならないというふうに思うわけでございます。

 国会決議が先般なされました。一九五六年ですか、五十年間この問題で国会決議がなされなかったというのも初めて気がつきましたし、先ほど政務官でしたかどなたかが、公害問題を克服して今日の日本があると言いますが、果たして本当に公害問題が克服ができているのかどうかということも、ここにいるメンバーはもう一度原点に立ち返って見てみる必要があるやに思います。

 環境庁もそうでありました。環境庁などというものは存在しなかった。公害国会を経て環境庁ができ、そして今、省に昇格をするかどうかというふうに議論になっているところもありますが、さっと環境庁は環境省になっていったわけでございます。

 そういった中における環境の重要性というのは、先ほど私の前に質疑をしていただいた自民党の方にしても、あるいはここにおられる方にしても、十分認識を持っているわけであります。

 本会議壇上においてもお話をいただきましたけれども、この「水俣病公式確認五十年に当たり、」というふうな形での国会決議がなされて、これも議案であります。そして、提出者ということで、あれは東さんが壇上でやられましたが、この議案の提出者は、石崎さんであり、岩永さんであり、加藤さんであり、松浪さんであり、山本さんであり、そして我が党でも、この問題に真剣に取り組んでおられる近藤さんであり、田島さんであり、富田さんであります。この議案の賛同者は、細田博之さんであり、渡部恒三さんであり、そして神崎武法さんということで、この決議はなされたわけでございます。

 そして、この決議の内容においては、「平成十六年十月に出された水俣病関西訴訟の最高裁判決は、国及び熊本県に水俣病被害の拡大の不作為の不法行為責任を認め、損害賠償の一部について責任を負うことを認定した。政府はこの判決を厳粛に受け止め、平成七年の政治解決」これは村山内閣のときになされたことでありますが、「及び水俣病発生から今日に至る五十年以上の経緯の中で、長きにわたり心身の苦労を耐え忍んでこられたすべての水俣病被害者の方々が、地域社会の理解の中で」というふうに続いていくところでありますけれども、あえてこういった司法での判断もこの国会決議の中に盛り込まれているわけであります。

 これは衆議院の決議でありますから、衆議院に在籍をする全議員からの思いが集約されているわけでありますが、改めてこの問題について、政府の見解をお尋ねいたします。

小池国務大臣 今回、衆議院の方で水俣病発生公式確認から五十年という節目に当たっての御決議をしていただいたところでございます。全会一致ということでの御決議でございました。そしてまた、その国会での御決議をしっかりと政府として受けとめさせていただきたいと思っております。

 そしてまた、今御質問の中にありましたように、公害を克服しということに触れて、本当にもう克服したのであろうかという点については、私、先ほども記者会見がございましたけれども、これはまだ現在進行形である、そういう受けとめ方をしているという旨をお伝えしたところでございます。

 特に、決議で「水俣病の悲劇を貴重な教訓とし」とございますけれども、水俣病については、高度経済成長が始まった時代に、公害を発生させたその企業に対して適切な対応をなすことができず、その被害を拡大させてしまったことによって起こった悲劇であるということでございます。

 その意味で、現在の我が国の社会とそれから国民の一人一人の生活というのは、ある意味で、こういった悲劇の上に築かれてきたとも言えるものでもございます。みずからが暮らすこの社会のこのような成り立ちに思いをいたすということが重要ではないか。その意味で、「水俣病の悲劇を貴重な教訓とし」という一言は重く受けとめるべきではないかと思っております。

 そして、このような水俣病の経験それから経緯、これをしっかりと学び、二度と同じような問題を繰り返さないようにするための環境行政に取り組んでまいりたい、このように考えております。

 それから、最高裁の判決は、一昨年の十月に水俣病関西訴訟について出されたものであって、そしてその中身は、国そして熊本県にこの水俣病の被害の拡大を防止できなかった不作為の不法行為の責任を認めて、チッソと連帯して賠償責任があるという判示でございます。

 これに対しまして、水俣病を発生させた企業への対応に長期間を要してその被害の拡大を防止できなかったことについて真摯に反省をし、先ほどの答弁にも重なるわけでございますけれども、この訴訟の当事者の方々を初めとして、長年にわたって筆舌に尽くしがたい苦悩を強いられてこられた多くの方々に対して、まことに申しわけないという気持ちでいっぱいだ、この旨をその判決が出た後にも表明をさせていただいているところでございます。

 長期間にわたって適切な対応をなすことができずに、水俣病の被害の拡大を防止できなかったことについて、改めて政府としてその責任を痛感して、率直におわびを申し上げるという内容の総理の談話を官邸の方からも発表させていただいたところでございます。

 政府としての考えはどうかという御質問でございますので、先ほどの決議と、そしてまた、最高裁の判決に対しての改めての感想を、そして、今後の対応について申し述べさせていただいた次第であります。

長浜委員 今のコメントといいますか、お話に関して異議を唱えるつもりはないんです。

 しかし、現実問題として、アスベストの問題のときもそうでありましたけれども、労災の時効の問題と、中皮腫等々を含めての発生する潜伏期間の長さの矛盾といいますか、法律上こうつくらなければならないんだけれども、現実に調べていけばその法律に合わない、こういった状況の中での、人の命とか、極めて肉体的に厳しい状況に置かれている方をどう考えるかというのが、ある意味で政治の役割ではないかというふうに私は思っているわけでございます。

 行政の立場もあると思いますが、国会で政治家がこの国会決議を上げた中においてのより具体的な解決策を、もうここまで来て、五十年といいますと私はまだ生まれておりません、一九五六年は。大臣はかろうじて生まれておられたかどうかわかりませんが、このぐらいの年月がたっているわけでございます。

 小泉総理のお師匠さんも、ある事件のときに、人間一人の命は地球よりも重いということで、超法規的措置をとられたようなことを記憶しておりますが、こういった形で、命が失われたり、あるいは、勝ち組、負け組ではなくて、自分の意思とは全く関係ないところ、しかも、責任を認めている状況の中における、一人一人の努力ではどうすることもできない状況の中で苦しい毎日を送られている方に関して、政治がどう機能するかというのが私は問われているように思うわけでございます。

 五月一日の水俣病犠牲者慰霊式には、多分大臣は行かれるんだと思います。私も出席をしますけれども、こういった状況の中で、五十年を迎えて、さらになお、例えば、少し具体的になりますが、保健手帳交付者の二万円の新たなる療養手当の支給等々という、これも大事かもしれませんが、こういったことでは根本的な解決にはなっていかないわけでございます。

 大分長い期間にわたりまして環境大臣をお務めになっているというふうに思います。さまざまな政治家が大臣になられるとき、この大臣がなられたときの外交政策、何とか外交と呼ばれたり、この政治家が、例えば金融あるいは財政を担当したときの何々財政と呼ばれたりすることが多いわけでありますが、環境行政の中において、仮に、もうそろそろ小泉内閣における最後の総括段階という状況の中においては、多分、小池環境行政においても総括段階を迎えているんだというふうに私は思います。

 クールビズ等々で功績がおありになったことはよくわかります。よくわかりますが、しかし、現在、こういった社会的な負の部分、自分がもちろん御担当されたわけではない、五十年の歴史の中において、未解決の部分の中において、小池環境行政の中で大きな結論を出される意思があるのか、そういった点についても重ねてお尋ねを申し上げます。

小池国務大臣 五十年という長い歴史の中におきまして、いろいろな紆余曲折があったことかと思います。今、そういったこれまでの流れ、何があったのか、何をすべきだったのかなどを含めて、検証も行っているところでございます。

 また、救済策のお話もございました。これまでの経緯の中でさまざまな救済策なども実施をしてきたわけでございますけれども、現実には、三千七百件を超えます認定申請、それから、一千人を超える訴訟の提起も行われている現状を踏まえますと、なお取り組むべき重要な課題であるということは感じるところでございます。

 そしてまた、この水俣病の被害者の方々に対しまして、医療対策の充実であるとか、地域福祉との連携を図るといったことで、すべての水俣病被害者の方々が地域社会の中で安心して暮らしていくことができるようにすること、関係地方公共団体との連携ということも重要でございます。

 また、これまでのいろいろな歴史的な経緯の中で一番重要視されてきたのが、地域の中における人々の人間関係の問題がございます。もやい直しということが水俣病のときによく使われる言葉でございますけれども、これは、知れば知るほど、このもやい直しというのが重要なキーワードなんだなということを、改めてそのたびに感じるところでございます。

 そういった意味も含めまして、この水俣病の問題につきましては、環境省としても、地域社会の中で、すべての水俣病の被害者の方々が安心して暮らしていくためにはどうすればいいのかということ、これも、環境省の職員も現地の方に何度も足を運んで、そして御説明にも参っております。

 これからも真摯な対応を、そしてまた、効果的な対応をしてまいるように努力を積み重ねていくということ以外には、この道はないのではないかというふうに考えているところでございます。

長浜委員 今環境省の話も出ましたが、平成七年の政治決着というのは、これも揚げ足をとるつもりは全くありませんが、あの環境の中での最善の方法というか、善意を尽くしていこうという大きな政治的な意思のあらわれだったというふうに思います。

 こういった政治的決断を、また状況の変化の中において変え得るとすれば、それを余り行政あるいは官僚の方に求めるのは酷ではないかなというふうに私は思っているわけです。政治家がそのときの決断として、野党にいれば何も、少なくても行政上の政治的決断はできないわけでありますから、与党のある政治家が政治的な決断をしていかない限り、官僚の皆さんに頑張ってくれということは、なかなか酷ではないかなというふうに私は思っているわけでございます。

 こういった状況の中において、五十一年目、五十二年目という形に入っていくことに、環境問題をやらせていただいている、その端の方に加えていただいている人間の一人として、私は内心じくじたるものがあると言わざるを得ないわけでございます。

 それから、もう一つ、これもお伺いをしておかなければいけないのは、随契の問題でございます。水俣から話題をかえさせていただいて、随契の問題。

 これも、大臣、入院中に病室でごらんになったかどうかわかりませんが、そういったニュースでスタートしました。この問題についても、その後の環境省の対応を見ると、では件数を減らせばいいのかとか、金額をどうすればいいのかとか、こういうこと。ある意味で本質的な問題ではなくて、この九割を超えるところの随契がずっと続いていた、少なくても五年間の調査の中で続いていたということは、正直に申し上げて、これが自然なことなのか。

 これこそ揚げ足をとるつもりではないんですが、ある意味で、これは必要だったからこうなったという、聞く方からすると、開き直ったというふうになるかもしれませんが、そのぐらいの意見を言っていただければ気持ちがいいわけでありますが、そういったことは全くなくて、何かばれちゃったというような形の中で慌てている報道が目についたわけでございます。

 ここに座っている委員も、環境省がトップということで、余りいいニュースではなかったと認識をしておりますが、この点に関しても、ちょっと御説明をいただければと思います。

小池国務大臣 随契の問題、環境省、金額もさることながら、率が多かったということで、随意契約の問題は環境省の問題みたいな形にとられてしまったことは、とても残念であります。

 そしてまた、これまでの契約のあり方というのをそのままずっと続けてきたということで、どれが不適切とかという問題ではございませんけれども、しかしながら、これは一層の透明性、公平性などを確立するには私はいいチャンスではないかということで、病床ではございましたけれども、いろいろな資料を取り寄せたりしたわけでございます。

 そこで、官房長のもとでプロジェクトチームをつくります。そして、それは既にスタートしているところでございますけれども、要は、何がどうしても専門性として外せなくて、そして今後もこの随意契約という形になっていくのか、それから、むしろここは競争入札などによって、競争することによって、より効率的な成果が得られるのか、そういった仕分けがまず必要なんだろうというふうに思っております。すべてチャラということではなくて、まず、何が必要で何がそうでないかという仕分け、そこから始めて、結果的にどれぐらいになるか、そういう考え方で進めるのが真っ当ではないかなと思っておりますので、そういった方向で今精査をしているところでございます。

長浜委員 これは今申し上げましたように、まとまった調査が上がってきた段階で多分また審議の課題になると思いますので、触れさせていただきました。

 会計検査院、何かコメントがあればよろしくお願いします。

千坂会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 環境省の役務契約等については、随意契約が多くなっていたことは承知しております。役務契約等の検査に当たりましては、会計検査院では、一部の契約を抽出して、予定価格の算定は適切か、契約の履行は適正に行われているかなどに着目して検査を実施しておりまして、その際、随意契約とした理由についても留意しているところでありますが、検査した範囲内では、検査報告に掲記するような事態は見受けられませんでした。

 会計検査院といたしましては、随意契約をめぐる最近の国会等の御議論も踏まえ、今後、一般競争契約に移行できるものはないか、競争性を高める余地はないか、改善すべき点はないかなどに一層留意しながら検査していく所存でございます。

長浜委員 終わります。

木村委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党・無所属クラブの篠原でございます。

 きょうは、地球温暖化防止問題につきまして、特に京都議定書について質問させていただきたいと思います。

 きょうは、私、緑の羽根をつけまして、緑のネクタイをしてきております。緑の服というのは持っておりませんでした。リューイーソーにはなりませんで、失礼いたしました。緑の羽根、大臣と委員長とあと秘書官しかつけておられないようです、こちらの方に数人心がけのいい方がおられますけれども、皆さんもぜひ緑の羽根をつけていただきたいと思います。

 まず、今回の一番の問題というかトピックスはCDM、クリーン・ディベロップメント・メカニズム、これの問題でございます。

 これの細部の規定がございまして、今までもこういった動きがあるわけですけれども、法律化してきちんと体制を整えようということなんです。これを見ていますと、日本にとってはメリットがきちんとあるような気がするんですが、発展途上国にとって一体どれだけのメリットがあるのか。

 それで、お伺いしましたら、いや、先進国から資金援助を得て、それから技術援助も受けて、それでうまくいくんだから、これ以上のメリットを与える必要はないというようなことを事務方から伺ったんですが、やはりそれはよくないんですね。削減義務というのは先進国にだけ課されている。削減義務を発展途上国にまでというと、きっとなってなかなか国際会議もまとまらないということなんでしょうけれども、やはり皆さんもいずれはそうしなくちゃいけないというふうには言えるんじゃないかと思います。

 そういったときに、何かメリットを与える。例えば、二〇二〇年だか三〇年だかわかりません、やはり同じように削減義務を負わなければいけない、そのときに、過去にCDMにおいて日本と協力して、あるいはオランダとでもいいんです、スペインとでもいいんですが、協力して、CO2の削減を抑えたというのがカウントされるような仕組みというのは考えてもいいかなという気がするんです。

 これはなぜこんなことを申し上げるかといいますと、私が長く携わってまいりました農業交渉、それで補助金をどれだけ削減したかというのはやはり基準年が問題になるわけですね。ここでも、一九九〇年レベルと、ガスによっては一九九五年でもいいというのがある。それで、過去に削減した実績をどうカウントするかというのも一つの議論になるわけです。発展途上国はいずれそういったことをし出す。ですから、もうちょっとメリットを与えてもいいような気がするんです。

 そういったことについて、交渉等でも検討されたのでしょうか、あるいは、日本側としてそういう心づもりというのが全然ないんでしょうか。ちょっとその点についてお聞かせいただけたらと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 このクリーン開発メカニズム、もともとの提唱国は御案内のとおり途上国側でございまして、ぜひこういった仕組みを入れてほしいというようなお話もあったわけでございます。

 先進国のメリットについては今委員御指摘のとおりでございますが、途上国側がどうしてそういうことを提唱し、また受け入れたかということでございます。

 まず一つは、温暖化対策が進むことによって地球の環境が悪くならない、そのことに伴いまして環境改善の利益が世界に均てんするということがもちろんあろうかと思います。それからもう一つは、新しい先進的な技術が先進国から途上国に来るということでございまして、単にお金をもらうという話ではございません、具体的なプロジェクトをするということが裏打ちとしてあるということでございます。そういうことで、総体として途上国の持続可能な開発に貢献するんだ、こういうことになってきているわけでございます。そういうことで、今回、CDMが発足をいたします。

 ただ、このCDMについては、途上国からも大変な期待がありまして、既に御案内のとおりでございますけれども、COP/moP1におきましても、このCDMを将来続けてほしいといったような話がされているわけでございます。そういう中で、今委員御指摘のようなさらなる魅力づくりといったようなことも工夫の余地があるのかなというふうに思っております。

 御質問の点だけ申し上げますと、発足当初においては、そういったプロジェクトを設ける、そして仕組みを設けるということが途上国のメリットだというふうに認識をされ発足をしたという経緯がございまして、今申し上げたような利益が、このメリットというふうに認識をされているというところでございます。

篠原委員 思いやりにちょっと欠けるような気がするんです。

 なぜこういうことを申し上げるかといいますと、私は、はるかかなた昔、国際政治学の授業に出たときに、高坂正堯教授でしたけれども、印象に残っておるんです。国際協力について、発展途上国に対して傷つけるようなことをしてはならない、お金を返せっこないんだけれども、いつか返すんですよといって、ほとんど返す必要がないんですけれども、そうやって体面をつくってやらなくちゃいけない、対等なんだということ。

 この地球温暖化防止についても、対等で、あなたたちも義務を負っているんですよ、協力しているんですよということを印象づけるためにも、やはり名目的なものでもいいですけれども、後で触れますが、ポスト京都の問題だと思いますけれども、皆さん方も参加しているんだ、カウントして、あなたの国はCDMでこんなに多くCO2の削減に貢献しているんだということを数字で示してもらって、もっと参加してもらうというような形にしていくのがいいんだろうと思います。数値目標というのはそうやって使っていくべきじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 それから、CDMの次ですけれども、次に国際排出量取引というのが出てくるわけです。これは今、法律的な手当てをしなくてもできるような形になっているようですけれども、CDMと並んでこっちも大事になってくる、私は、後で触れますけれども、これはへんちくりんな仕組みだとは思いますけれども、もしそういうことだったら、取引とかいうふうにするんだったら、何か基準がなかったらいけない。

 やはり先進国はちゃんとしているわけです。EUは、各事業所ごとに、これだけですよと目標を設定して、これ以上出しちゃいけませんよというふうにして、それで、それよりもどうしても出してしまう、業績がよくて操業時間を長くしなくちゃならない、しかし片方では調子の悪い企業がいる、そうしたら、融通をきかせて、国内での排出量の取引というのがなかったら国際的な取引なんかになっていかないような気がするんですけれども、日本は、ことしの四月から自主的な計画で各企業が目標を立てて、報告してというのが行われるわけです。もっとそこのところは急ぐべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

小林政府参考人 御指摘の点、国内排出量取引とそれから国際排出量取引、こういったものを結合したヨーロッパ型の制度というものを早くつくるべきではないだろうか、こういう御指摘かと思います。

 御案内のとおり、排出量取引、これは市場メカニズムを活用して削減を図っていくという大変費用効果的にすぐれた制度だというふうに私どもも認識をしております。こうした認識につきましては、政府が閣議決定をしております目標達成計画におきましてもきちっと規定しているところでございます。

 こういった制度については、既に、先進国としては、EUにおいて国内の排出量取引制度が昨年の一月から始まっているということでございますけれども、我が国におきましては、今委員御指摘のとおりでございまして、十七年度から自主的な排出量取引制度というものを試行してございます。

 少し長くなって恐縮ですけれども、この場合には、政府が削減目標を企業に与えるのではございませんで、みずからが進んで削減目標を設け、そして、それを達成しようとする企業に対しまして経済的なインセンティブを与えますとともに、みずから設定いたしました目標量に達しないときには、参加をされているほかの企業と排出量の取引を行うというような形の自主的な取り組みでございます。

 こういった試行の経験を踏まえまして、実現ということに向けてさらに検討を進めていきたいというふうに考えてございます。そういった検討課題である、検討するということにつきましても、先ほど申し上げました目標達成計画において位置づけているところでございます。

篠原委員 自主的な取り組みで始まっているということなんですが、私は、やはりここはもう一歩踏み出すべき分野ではないかと思っております。

 なぜかといいますと、ちょっと履き違えて考える人が多いわけですね。規制緩和規制緩和と、企業の競争をそぐようなこと、新規参入に対して制限するようなものはよくないでしょうけれども、私は環境というのはやはり規制を入れなかったらだめな部分があるんじゃないかと思う。

 極端な議論でちょっと申し上げますと、私は唖然、茫然としたんですが、看板の規制をしなくちゃいけない、いや、そんなのはほっておいていいんだ、変な看板、いかがわしい看板でどぎつい看板をやっているところは、環境に優しくない店だから、企業だから、その製品は買わなくなる、そういう市場原理が働くんだとかいう。そんな浮世離れした市場原理というのはないんだろうと私は思います。

 例でいいますと、パリのシャンゼリゼ通りなんですけれども、クリスマスのときにどういうふうになるかというと、皆さん協力してというか規制して、両方あるんだろうと思いますけれども、単色の電球しか使わないんです。赤や緑や何かはないんです。それから、川沿いは、変な看板は一切なし、そしてライトアップというふうにしているわけです。

 これを放置しておいたら一体どうなるか。景観、観光というのがあったりするからやっている面もあるんでしょうけれども、絶対規制しなくちゃならないんです。それを履き違えていて、自主的な報告義務だ、六つのガスを別々にというと企業秘密だとか、何を言っているのかと。私は産業界の方に甘過ぎるんじゃないかという気がいたします。

 それで、ちょっと資料を用意いたしました。これはちょっと長くなって恐縮ですけれども、ぜひ考えていただきたいので、見ていただきたいのです。資料の一ページ。私もいろいろ考えましてつくった資料なので、この説明をちょっと長々させていただきます。「魚と空気の比較」、これはちょっと頭の体操によろしいんじゃないかと思いますので、見ていただきたいのです。

 まず、魚ですけれども、海の資源、公海だということで、コモン・ヘリテージ・オブ・マンカインド、人類共有の財産ということを盛んに言われました。では今、我々の方の、CO2の排出だとか空気の問題がどうかというと、地球生命全体が危機に瀕しているということじゃないかと思うんです。

 それで、資源がどうか。空気、CO2を何々資源というのかちょっとよくわかりませんけれども、魚は、リニューアブル・リソーシーズ、天然資源、再生資源の典型的なものです。高度回遊魚というのはハイリー・マイグラトリー・スピーシーズ。それから、跨界性魚というのは、国境とか二百海里をまたぐという意味でストラドリングストックとかいうんですけれども、タラ、カツオ、マグロ、つまり国境がないということです。

 次に大事なのは、ここのところを見ていただきたいんですが、魚の方は有効活用しないと損なんです。三年魚とか四年魚とか一年魚もありますけれども、来年資源量が大丈夫な分の親を残しておいて、全部有効活用するのが人類にとってはぴったしなんです。それに対して、CO2の方は減れば減るほどいいんです、植物にとってはCO2が多い方がいいのかもしれませんけれども。ここが違う。

 そして、お金の価値がどうか。これもよく考えてみるとおもしろいんですが、両方ともただだったんです。それで、無限にあると思われていたんです。

 ところが、魚の方はとり過ぎてだめになってきたので、何とかしなきゃいけないということで、日本は世界をまたにかけて魚をとり歩いていましたが、二百海里を設定されて、日本漁船は出ていけ、これ以上とってはいけないというふうに言われたんです。公海はいいかというと、そうじゃなくて、マグロとか何かはみんな国際規制があって、条約があって、これ以上とってはいけないと。そして、ほかの二百海里のところには入漁料を払って、有料になってきている。

 ところが、空気の方は、ただじゃないというのがわかりかけて、有限だということがわかってきたんですけれども、排出量規制だけでまだただなんです。

 将来どうなるだろうというのを見ますと、魚は、資源管理のためにこれ以上とってはいけないという量が決められて、とろうとする人は入漁料というのを全部払わなくちゃいけなくなるようになっていくんだろうと思います。ですから、CO2の方も、排出量に応じて迷惑料を払う、有料になっていく、これは流れとして抗し切れないんじゃないかと思うんです。これはよく経済学用語で言っています内部化、インターナライゼーションです。CO2を出す量、そのコストを価格にオンするということです。

 簡単に言いますと、日本近海、青森の津軽海峡でとれたマグロ、こちらの方と、北大西洋でとれたマグロ、アメリカの東海岸に陸揚げされて、そこから飛行機で成田漁港に運ばれてくるマグロというのは、そのジェット機の排出したCO2の分の価格をオンして高くしなくちゃいけない、そういうふうになっていくべきだということなんです。

 こういうのがあるんです。これはいろいろなヒントが魚の問題に隠されているんです。

 国内の管理はどうなっているかというところをちょっと見ていただきたいんですが、入り口規制と出口規制があるんです。入り口規制というのは、漁船何隻未満、網目をこれ以上大きくしてはいけない、操業期間はこのときだ、産卵期はやめろ、それと同等なのは、工場や設備をこれ以上ふやしちゃいけないというのが片方であるんだろうと思うんです。

 次に出口、出す方です。出す方が非常に参考になるんです。魚の方は、トータル・アローアブル・キャッチ、TAC、漁獲可能量といいます。例えが下でして、サンマはことしの資源量から十五万トンだ、これ以上とると来年とれなくなる、だから十五万トンに抑えろ、これは六つの地球温暖化ガスの排出上限の決定と同じなんです。

 次に、魚の方は進んでいます。日本はしていませんけれども、ヨーロッパ諸国はしているんです。インディビジュアル・クオータというので、個別割り当てして漁船一隻三百トン。大きさによっても違うんでしょうけれども、これがある。次に、もう一つ進むと、インディビジュアル・トランスファーラブル・クオータ、譲渡できる。これも行われているんです。漁船が故障した、操業できなかった、余っている百五十トン分をどなたかに譲るということですね。こういうふうになっている。

 これを右側の空気の方で見ていただきますと、個別割り当て、先ほど局長がお答えになったように、ヨーロッパでやり始めて、日本はやっていない、取引もない。国際的にはあるということ。

 それから、ついでに下の方もちょっと説明いたしますと、先進国と発展途上国の関係というのは同じようなことでして、発展途上国に入漁料を払って二百海里で漁獲させてもらっている、太平洋諸国に行ってマグロをとる、これはCDMによって排出量を自国分に算入するというのも同じだと思うんです。

 先進国同士の関係はどうかというと、ロシアと日本の関係で、ロシアは全部とり切れない、だから入漁料を払ってとらせてもらおうというのは国際排出量取引と同じですし、共同実施のJIと同じ。非常に似通っているんですね。

 それから、アウトサイダー規制とある。

 せっかくの表なので、つけ忘れたのがありますので、右側はまだ足りないというのを、「金銭的価値」の「排出量規制のみでタダ」というところにバツをしておいていただきたいんです。それから、「先進国同士の関係」のところの「国際排出量取引」もバツにしていただきたいんです。それから、「アウトサイダー規制」、ちょっと時間がないのでやめますけれども、これもバツ。それから、「LDCは削減の義務なし」というのも、よくないのでバツ。これを理由にしてアメリカが入らないわけですから。

 ここで、国際排出量取引の問題です。これは何かこの次にここに乗り出していくというような感じがするんですけれども、国内ではともかく、国際的にはこれはやってはいけないんじゃないか。

 その理由は、「資源の性格」のところで、有効活用しないと損なんだ、ことしこの魚を全部とり切れなかったら死んでいく、それなら人間が食べた方がいいというのがあるわけですけれども、CO2は減れば減ったほどいいわけです。ですから、ホットエアという部分が生まれると、ロシアや東欧諸国は調子が悪い、CO2の排出が上限までいっていないから、日本は調子がよくて、その分を買うとかいう、これはモラルハザードにつながっていくんじゃないかと思います。

 国際的なものはあっても、CDMはいいとして、これは日本は余り利用すべきじゃないと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

小林政府参考人 大変いい表をまとめていただきまして、ありがとうございます。よく勉強させていただきたいと存じますけれども、この排出量取引の制度というのは、ちょうど持続可能な開発の考え方も、漁業資源の制御のために開発されてきた考え方を環境側で輸入してきた、こういうことでございまして、こういった国際漁業資源の管理についての制度、勉強するところがたくさんあるだろうというふうに思っております。

 ただ、その排出量取引で、国際的な排出量取引に進むのはいかがなのか、特にホットエアと言われる、実際にはもう既に排出量が減っていて、そして排出量が、いわば空枠で持っている国、それを御指摘のとおりホットエアと言いますけれども、これを取引するのはいかがか、行き過ぎではないだろうか、こういうことだというふうに今認識をいたしました。

 それで、このことでございますけれども、我が国の方針といたしましては、やはり、今御指摘のとおり、CDMそしてJI事業、こういった具体的な環境対策で裏打ちをされ、実際の削減量が出てくる、こういったものを優先的に取り組んでいきたいというふうに考えてございますし、また、排出量取引でも実際の環境対策と関連づけた仕組みというものが今考えられつつございます。これをグリーン投資スキームというふうに言っておりますけれども、こういった実際の削減に結びつくような排出量取引というものも今考えられてございます。

 そういった具体的な削減量になるようなものの取引、これに最大限取り組んでいきたいというのが既に政府の方針でございますので、こうした方針につきましては、今回御提案をさせていただいております改正法案、法律になりましたら目標達成計画の改定ということになるわけでございますが、そういった中でしっかりと位置づけてまいりたいというふうに考えてございます。

篠原委員 それで、問題になってくるのは日本の姿勢なわけですけれども、私は、CDMはいいと思うんです。発展途上国が、日本と同じようにあるいは先進国がちょっとやり過ぎた分を、その轍を踏まないように、二番手ランナー、三番手ランナーに対して我々一番手ランナーが環境に優しい技術を移転してやる、これはマルでいいんですが、よくよく見ますと、京都メカニズムあるいは国際排出量取引とか、それから、これは余り言うと私の選挙区の皆さんにもおしかりを受けたりします、かつての同僚からも何だといって怒られるんですが、森林吸収三・九%とかいうのを、本当に減らすんじゃなくて、そうじゃない部分に頼り過ぎたりしている。

 これは、前回の議論で同僚の村井委員が指摘されました。吉田委員は、CDMをどんどん使ったりして、それはそれで手段として仕方がないという、ちょっとニュアンスの違いがありましたけれども、しかし、やはり王道は、日本が国内で一生懸命努力しているというのをちゃんと見せつける必要があると思うんですが、その点についての配慮というのは環境省全体でどのようにされているんでしょうか。大臣からお答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 我が国の京都議定書におきます約束、九〇年比マイナス六%、そしてそのうち森林吸収源対策で、国際合意によって認められている上限が三・九、それからなお約束達成に不足する差分の一・六%についてはこの京都メカニズムを活用するということでありますけれども、王道は排出削減対策のはずだろうという御質問だろうと思うんですね。

 六%のところを三・九、一・六でいくとこれぐらいしかやらないじゃないかという計算のもとでお聞きになっていると思うんですが、現実は、残念ながら、余り偉そばって言うことではないんですけれども、二〇〇四年度で排出量比は七・四%ふえているわけですね。だから、六%のところで三・九、一・六と考えるか、現実のギャップである、現時点での七・四のところと六%のマイナスのところを足すか。足して考えますと、国内における排出削減対策は七・九%、そういう削減を強いられているわけであります。

 ですから、全体像から見ればここのところが一番大きいわけで、そのために目標達成計画を立て、そして、ありとあらゆることをやっていこうということなわけですから、京都メカニズムに頼ってはだめではないかという御指摘だと思いますけれども、まさにそのとおりで、一番大きいポーションというのは、実は国内における我々の努力、これこそが一番大きなところになってくるわけでございます。

 そういった考え方のもとで、政府としてもしっかりと対応していきたい。そして、国民各層に呼びかけて、まさに国として、全体として対応していくということにほかならないのではないかと考えております。

篠原委員 その女の心意気で頑張っていただきたいと思います。

 それで、この部分で非常に問題なのはやはりアメリカなんですね。これが勝手でして、国際条約、いろいろなところに入っていないんですね。今海の問題でちょっと例に出しましたけれども、海洋法条約にも入っていないんです。ニューヨークではいろいろな会議を開いたり、何だかんだと言っておきながら批准していないですし、ちょっと正確じゃないですが、生物多様性条約にも加盟していないんじゃないですか。何か、大事ないろいろな環境絡みの条約に入らないで、勝手なことをしているわけです。

 京都議定書というのは、日本でやりまして、日本で結んで日本がリーダーシップをとっているもの、これは私は特筆に値するものだと思います。ほかの分野でこういうものは余りないんですよ。ですから、私は、これは環境外交陣の一つの成果だと思うんです。

 しかし、肝心のアメリカを全然入れ込んでいない。私は、今委員会ではこの環境委員会と外務委員会に所属させていただいている。どなたか、御一緒の方がおられましたね。多分価値観が一緒なんじゃないかと思います。その中でですから、胸が痛むわけです、アメリカが入っていなくてどうするのかと。

 私は、人類にとっての危機というのをどうとらえるか、一度この委員会でも申し上げたと思います。繰り返しになりますけれども言わせていただきますと、元アメリカ副大統領のゴアさんは、軍事問題と環境問題を非常に熱心にやっておられた。理由は一つなんです。核戦争が人類の危機の一つである、もう一つは、環境で人類がおかしくなっていくんじゃないか。この危機感からこの二つの問題を、ほかにもあるんですけれども、追っておられた。

 そうすると、日米同盟日米同盟と言っているわけですが、同盟国である日本がやはりアメリカに対してきちんと物を言う、大事なところに参加して削減義務を負っていくんだと。中国とインドが入らないから嫌だとか、アメリカ経済が停滞するから嫌だとか、それは日本経済だって停滞しますよ。やはり同盟国としてきちんと言うべきだ。

 それで、軍事と環境をセットで言ったら、よく知りませんけれども、グアムの移転費の六〇%近く、七千百億円も出す、そういうときに、出してやるからなんて、またこういう汚い交渉はよくないかもしれませんけれども、アメリカはしょっちゅうそういうことをやるので、クロスリタリエーションじゃないですけれども、交渉するときにあっちとこっちをリンクしてやる。

 例えば、ロシアが入ってこの条約、京都議定書を発効したわけですけれども、これは、正確にはわかりませんけれども、一般に言われているのは、ロシアはWTOに加盟したいんだ、それに対してEUは、では加盟は認めると、このときいろいろ条件をつけるわけですよ。その一つに、京都議定書に入れ、そうじゃないとだめだぞと言ったと言われているわけです。ほかの国は当然そういうことをするわけですよ。

 我々はアメリカの同盟国、日米同盟が一番だ、基本だというわけですから、こんな大事なルールの中にアメリカが入っていない、それを知らぬ顔しているというのはよくないので、そういう点はぜひ外務省に頑張っていただかなくちゃならないんですが、政務官に来ていただいておりますので、御答弁いただきたいと思います。

伊藤大臣政務官 篠原議員の御高説は四半世紀前からいつも傾聴しているところでございますけれども、この地球温暖化問題の実効性を確保するには、篠原議員御指摘のとおり、すべての国がその能力に応じて排出削減に取り組むことが可能として、主要排出国に最大限の削減努力を促すという枠組みの構築が必要で、アメリカは一九九〇年において二二・八%排出しているわけですから、当然我が国は、このアメリカに対して、これまでも京都議定書への参加、地球温暖化対策のさらなる取り組みを強く促してきているところでございます。

 残念ながらまだ締結に至っていないわけでございますけれども、昨年十一月から十二月にかけてカナダのモントリオールで行われた気候変動枠組み条約第十一回締約国会議、いわゆるCOP11では、このような我が国の主張を反映して、米、中、インドを含むすべての国が参加して、京都議定書の定める約束期間後の二〇一三年以降の取り組みについて対話を開始することになりました。これは貴重な一歩だと思います。

 また、京都議定書を補完する取り組みとしては、昨年七月にクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、いわゆるAPPが発足いたしまして、アメリカを初めとして我が国など六カ国の官民セクターが協力を進める取り組みが始まってございます。

 今後も、このような枠組み条約のもとでの対話や取り組みを通じて、米国に一層強く、委員御指摘のとおり、働きかけてまいりたいと考えております。

篠原委員 外交を考えるときに、よく経済交渉の中でUSTRみたいのが必要じゃないかと言われますけれども、私はそれは屋上屋を架するだけで余り必要ないと思うんです。その分、外務省に頑張っていただかなくちゃならないわけですね。貿易問題あるいは環境問題それから農業問題、こういうのをリンクさせて、総力を挙げて一つのことに結集する。

 例えば、ささいなことですけれども、例で申し上げますと、これがいい例かどうかわからないんですが、私がちょっと見たり、ちょっと伺ったのでは、松浦さんというユネスコの事務局長を日本から送り込むために、小渕総理は、同級生だったということで、ありとあらゆるチャンネルを通じて、しつこく松浦さんをというのをいろいろなところで言って歩いたわけですよ。これはささいなことかもしれませんが、それがうまく成功して、ああいう大事な国際機関のトップに立つことができたのです。

 それと同じことでして、京都議定書は日本が責任をとってやっているんだから、いろいろなところでリーダーシップを発揮している。外務省も、小池環境大臣をバックアップしなくちゃいけないわけです。ところが、グアム移転についても、防衛庁長官が行ってラムズフェルド長官とちょろちょろっと話して決めて、いろいろ難しいことがあるんだろうと思いますけれども、そういうときに、いろいろな外交のリンクというのがあってしかるべきじゃないかと思います。

 これは、環境問題をやっていったりするときに、アメリカ国民にだって理解していただけるんじゃないか。アメリカ政府はぼけっとしていて、しらばっくれていますけれども、カトリーナとかいうハリケーンがあって、地球温暖化の影響でハリケーンの規模が大きくなってきている、これはおかしい、何とかしなくちゃと国民の方が気がついているんだろうと思います。

 ですから、これは提案になります。年次改革要望書というのを突きつけられた、日本も一応出しているみたいですけれども、日本が出しているのは生っちょろいのばかりで、アメリカがまともに受け取っていないものばかりで、あちらから規制緩和規制緩和とくるわけです。それに対して、我々は、アメリカに対して、環境とか食の安全、BSEなんかですよ、規制を強化してもらわなくちゃいけない、こういうのをきちんと出して要求していくべきじゃないかと思います。そういうところに、この京都議定書絡みのものも入れるべきだと思います。

 もっととっぴなことで提案させていただきますと、インドも安保理事国入りを日本と同じように望んでいる、そうしたら、インドは当然こういったところについても削減義務を率先して負うべきである、その見返りとしてというか、安保理事国たるもの、もう一つの世界的な規模の危機である地球環境問題について、安保理事国が入らないというのはあるかというような外交をぜひ展開していただきたいと思うんですが、この二つの提案について、政務官、いかがでしょうか。

伊藤大臣政務官 いつも篠原議員は戦略的に、また多角的にお考えになって、大変傾聴するところでございますけれども、アメリカに対しては、もちろん我が国、我が政府も手をこまねいているわけではございませんで、例の、BSEといいますか米国産牛肉をめぐる問題に対しては、これまで、リスク管理機関を初めとして関係省庁とも密接に提携して、国民の食の安全、安心の確保を大前提にしっかり対応するとの基本方針のもと、アメリカ側とも強く、国益を守る立場から協議してきたところでございますし、また、今お話のありました環境問題についても、地球温暖化対策の実効性を確保するために、これまでも京都議定書の参加、地球温暖化対策のさらなる取り組みを促してきたところでございます。

 そして、さらに、今お話がありました規制改革、日米規制改革イニシアチブでございますけれども、日本側は何かろくでもないものを出したとおっしゃられたんですが、日本側も、ちゃんと米国政府に対して、毎年、米国の規制改革に関して多くの改善提案というものを具体的に行っております。

 これはなかなか難しい問題で、ただ一方で、こういう要望というのは、規制の減少、競争の強化、あるいは市場アクセスの改善等を目指して行っているものでありますので、先ほど議員が御指摘になったように、食の安全とか環境保護に関する規制の強化の取り組みは、全く矛盾するものではありませんけれども、ベクトルとしてはやや逆の方向を向いているので、これをどうやって日本の外交の中で整合性を持っていくかということは、議員の御意見もよく拝聴しながら、しっかり進めてまいりたいと思います。

 それから、インドが入っていないのがけしからぬじゃないかというお話があったようでございますけれども、このインドに関しても、昨年十一月にモントリオールで行われた気候変動枠組み条約第十一回締約国会議、COP11では、京都議定書上または温室効果ガスの削減義務は今インドは負っていないわけでございますけれども、この京都議定書に参加していない米国を含むすべての国が参加して、さっきのお話でも申しましたように、二〇一三年以降の枠組みを対応するということが合意されたところでございます。

 我が国としては、本件対応を含むさまざまな外交の場で、実効ある国際枠組みの構築へ向けて、各国に多面的に、またいろいろな場を利用して複合的に外交的な働きを続けてまいる所存でございます。

篠原委員 ありがとうございます。それはぜひやっていただきたい。

 中国のことを言い忘れましたけれども、中国も安保理事国ですよ。だから、いろいろなところで責任を果たしていけということを声を大にしていけば、ほかの国も耳を傾けてくれるんじゃないかと思うんです。

 そして、またもとに戻りますが、日本の姿勢の問題です。

 先ほど、大臣が恥ずかしそうにおっしゃいました。ふえちゃっているんですね。減らさなくちゃならないのがふえちゃっているんです。そちらの分はうんと減らさなくちゃいけないんだ。けれども、よくよく考えてみると、日本もやはりエネルギー起源のCO2の発生が一番大きいわけです。

 外国と比べますと、やはり日本の計画は生っちょろくて、EU諸国では、ドイツは二〇五〇年までにエネルギー起源のCO2を四五・六〇%、何でこういう半端な数字なのかは知りませんけれども、一九九〇年比半分にするとか、イギリスも六〇%削減するとか、こういう大胆な目標を設定しているわけです。日本もそういったことをやっていくべきじゃないかと思うんです。

 何かクールビズ、ウオームビズというのもありますけれども、ちょっと手前みそになりますけれども、もう一つの資料を見ていただきたいんです。

 一つは、長野県の話なんですけれども、田中康夫知事は、長野県庁ではいろいろなことをして県庁職員には評判が悪いんですが、いいこともされておられまして、温暖化対策で条例をつくった。コンビニの二十四時間営業はしない。もっともなんですね。昼間だって過疎地で人がいないのに、夜なんか人がいるわけないのにこうこうと電気がついている。こんなばかな話があるか。当たり前のことなのに、こういう単純なことが平然と行われている。こういう努力はいいことです。

 それから、手前みそになりますが、ささやかに努力してまいりまして、スペシャルでカラー刷りで、これはちょっといい男に写り過ぎているような気がしますが、私でございまして、国会の第一議員会館の土手のところに、ちょっと後で見ていただくとわかるんですが、菜種をひそかにまきまして、(発言する者あり)ひそかになんです。本当は堂々とまこうと思ったんですけれども、許してもらえませんでして、夜中の十一時に秘書と二人でこっそりまきまして、その成果で結構咲いているんですよ。

 なぜ菜種かというと、菜種は日本でみんなつくっていたわけです。それをつくらなくなってしまった、輸入してしまって。それはやはりよくない。菜種油を使ってエタノールでやる。だから、自然エネルギーに対してなんかも全然日本は冷たいわけです。

 私はそれはよくないということで、大臣も入っておられますけれども、このあたりでもいっぱい入っていただいている方おられると思います。菜の花議連という非常にかわいい名前の議連がありまして、そこに入っておりまして、こういうことをしておるので、来年はぜひ種まきに参加していただきたいと思います。

 こういう大胆な、エネルギーの関連からですけれども、やっていただかなくちゃならないんですが、そういった姿勢というのは何かお考えでしょうか。副大臣からお答えいただきたいと思います。

江田副大臣 先生の御指摘は、日本の努力として、こういうバイオエタノールとか自然再生エネルギーの有効利用等を進めるべきではないか、そういうところでよろしいでしょうか。

 先生の菜の花畑は私も見せていただきまして、大変急にすばらしい畑ができていたなと感心していたわけでございますが、その菜の花からもとれます。糖を持つ植物であればすべてからとれると言われるバイオエタノール、また使用済みの菜種油からはバイオディーゼルという再生可能エネルギーというのが、大気中の二酸化炭素を増加させない、カーボンニュートラルなクリーンエネルギーということで大変重要でありまして、環境省としましても、再生可能エネルギーの導入を拡大していくということは脱温暖化社会を構築する上で必要不可欠であると思っております。

 また、再生可能エネルギーというのは地域に存在しますエネルギー資源でございまして、これを活用して地域で利用するということは大変に重要なことで、それは一方では、脱温暖化の地域づくりと地域経済の進展をあわせて行うことができるということでございます。環境と経済の両立が可能になるという意味で私も大変重要視しております。

 先日も山形県の新庄市というところに私も行ってまいりましたが、そこでもエネルギー資源の作物、ソルガムを使ってバイオエタノールが生産され、またE3自動車がモデル事業としてやられておりました。さらには、環境省が行っております、沖縄県の宮古島でサトウキビを使ってのバイオエタノール自動車のモデル事業ということが各地で行われてきつつあるところでございます。

 環境省としましても、この再生可能エネルギーに関しまして、まず集中的に導入するモデル地域づくり、これを今進めておるわけでございますが、地方自治体においても率先的な取り組み、先ほどのような山形の新庄市なんかの取り組みもあるかと思います。それから、新しいビジネスモデルの事業化、さらには技術の高度化、技術開発というようなところをしっかりと支援して、再生可能エネルギーを、温暖化対策の有効な活用として、この拡大を図ってまいりたい、そのように思っております。

篠原委員 工学博士としてわかりやすい御答弁をありがとうございました。

 やはり今の御答弁の中に非常にいろいろなヒントが隠されていると思うんですが、日本はやはり自然資源、再生資源では資源大国なんですね。これを利用していかない手はないので、このことをぜひ考えていただきたいということをお願いしたいと思います。

 なぜこういうことを申し上げるかといいますと、今、まだ二〇〇八年から二〇一二年のことですけれども、その後、京都議定書の後のことも始まっているんです。日本の政界ではポスト小泉ばかりぎゃあぎゃあ言われていますけれども、ポスト京都の方がもっと大事でして、ポスト京都について、エタノール、バイオマスエネルギー等についていろいろ考えていっていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 きょうは、どうもありがとうございました。

木村委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 本質疑の最終バッターとして三十分間ちょうだいをいたしましたので、大臣以下明快な答弁をぜひお願いしたいと思います。

 それはそうと、大臣におかれましては、全快、本当に心からお祝いを申し上げたいと思います。急性肺炎とお伺いをしたとき、私は環境省の、今、地球温暖化対策を進めていらっしゃる中で、この施策が引き起こした負の遺産ではないかというような、そんな思いを実はいたしました。

 決してこれは笑い事ではございません。日本の環境政策のトップリーダーである大臣が、省内の暖房と給湯をカットした、そのことによって、それこそ大臣室が非常に寒くなり、それがひょっとして原因で御病気になられたのではないか、そんな気もしておるわけであります。大きな状況の流れを見ている中で、確かに、CO2削減、温暖化ガスの削減ということは環境省として至上命題であることはわかりますが、肝心のトップリーダーをこのように病気で三週間もお休みしていただくことは大変な、我々にとっても、また日本にとっても大きな負の遺産であったというふうにも考えます。

 委員会での質疑は質疑としてしっかりとやっていきたいと思いますが、今回このような経緯になったこと等も考えますと、暖房をカットしてウオームビズの推進、まことに結構なんですけれども、これに因果関係が何かあったんじゃないかなと私は随分心配をするわけですね。

 官房長、何かそのあたりのお考えをお聞かせください。

西尾政府参考人 お答えをいたします。

 政府におきます地球温暖化防止のための対策ということで、政府の実行計画に基づきまして、平成十三年度比七%削減ということで今取り組んでいかなきゃいかぬ、こういうことでございます。

 環境省、平成十六年のデータ、むしろ七・九%増でございますから、生なかなことではできないということでございます。そういうことでございますので、これは本当にちりも積もればということをもう何でもやっていかなきゃいけない。それから、意識改革のための断然たるメッセージが必要だということから、二月二十一日から暖房の停止をいたしましたし、四月一日からは二十時以降の消灯というようなことにも取り組んできておるわけでございます。

 そういうことで暖房をとめました。一般の執務室は十九度、二十度という目標の前後に何とか保つことができました。確かに大臣室はそれよりも二、三度は低いということでございまして、そのせいではないかというおしかりをあちこちからちょうだいしました。もし影響があったなら、まことに申しわけないことだというふうに思っている次第でございます。(発言する者あり)

田島(一)委員 ウオームビズの推進をいただく以上は大臣にも十分に、自己責任という声も今ありましたけれども、今後、健康管理にはお気をつけいただきたい。暖房、給湯をカットして少しでも努力しようという姿勢は高く評価をしたいと思います。しかしながら、同じ建物の中、それこそ環境省の階下には厚生労働省がたしかあったかというふうに思いますが、厚生労働省は依然として省内の暖房や給湯については、上の環境省がそこまでやっているにもかかわらず、なかなか温度は下がらないように聞いておるわけであります。ちまたでは、床暖房だ、環境省のこの暖房カットもそれで賄われているんじゃないかというようなうわさもちらほら聞いたりするところであります。やるのは結構ですけれども、こうした病気等につながることのないように、職員のいわゆる士気等々にもかかわることでもありますから、ぜひその辺のことは十分に配慮した上でお取り組みを今後していただきたいと思い、本題に入らせていただきたいと思います。

 先ほどの篠原委員からの質問にもありましたとおり、今回、この法案の質疑の目的は、クレジット購入を位置づける法律でありますから、これはこれとして後ほど議論していきたいわけですけれども、クレジット購入だけがすべてではない、やはり国内でのしっかりとした温室効果ガスの削減を図っていくこと、このことが何よりも重要であろうかと考えます。大臣に質問をと思っておりましたけれども、重複もいたしますのでこの点についてはもうカットいたしますけれども、どうぞ、篠原委員に対して御答弁いただいたとおり、真剣に国内での排出削減に取り組んでいただくことを強く要望しておきたいと思います。

 さて、この国内対策、努力をしてもなお差分が生じてまいりますが、補完性、補足性の原則に立った形で今回のこの京メカを活用したクレジットの取得にこれから取り組んでいかれるわけだと考えます。しかしながら、このクレジット取得のための予算措置というのを考えますと、非常に心もとないと申しますか、本当に大丈夫なのだろうかという不安がよぎるところであります。

 クレジット取得費用は石油特会から歳出されることになっておりますし、平成十八年度の政府予算案の中でも百二十二億円分のクレジット取得業務委託契約をNEDOと結んだ中で、とりわけ、今年度内に五十四億円を実払いできる予算として確保するというふうにされていたと思っています。

 将来的に、百二十二億円のクレジット取得業務契約がなされるわけですけれども、百二十二億円で本当に足りるのかどうか。これも、正直言って全くこの先が読めないような状況でもあります。非常にリスクの高い予算を立て、また将来的な予算確保という点についても、めどというものは具体的に聞かされていないところであります。

 予算措置について将来的にどのような確保の仕組みをつくり上げようとしているのか、また、精神的な面で、覚悟として、ぜひ副大臣からでもお答えをいただけたらというふうに思います。

江田副大臣 先生の御指摘のとおり、今年度は五十四億円を予算措置として計上しておりまして、今年度の契約の上限としては百二十三億円までやることができると思います。先生の御指摘のとおりでございます。そこで、お答えをいたします。

 認証排出削減量等の単価というのは、需給動向によりまして大変変動するということで予測が難しいことがございます。また、認証排出削減量等の調達量とか調達のタイミング等につきましても不確定な要素が大変多いということから、現時点では認証排出削減量等の調達に要する総費用を明確に出すことは困難でございます。

 将来にわたる認証排出削減量等の価格につきましては、さまざまな予測がございますけれども、例えば、約一億トン、CO2分の調達を行うとした場合には、OECDの専門家の予測価格というのがあるんですが、仮にそれでいくと約六百億円、世界銀行の予測価格を用いた場合は一千五百億円程度と、二倍以上の開きがあります。いずれにしましても、認証排出削減量等の調達のための予算につきましては、毎年度の予算編成の中で見直し、検討が行われることになります。

 環境省としましては、まずは平成十八年度予算五十四億円を用いまして、認証排出削減量等の取得に全力を尽くしたいと考えております。また、国として、京都議定書の約束を達成する義務を果たすために、京都メカニズムの活用に必要な予算額の確保は続けてまいりたい、先生方の御協力をお願いしたいと思います。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 本当に来年度以降どうなっていくのかという点で、それこそ努力は重ねていただくんだろうというその決意は理解をいたしました。今回のクレジット取得、安く抑えられるならば安く抑えられるにこしたことはないことはだれもがわかることでありますけれども、これから先、各国の競争が本当に激化をしてまいります。そういった点で、相場の動向等々も考えると、この先の予算措置が本当に大きなかぎを握ってくるかと思います。ぜひ、政府一丸となって、この予算確保については努力をいただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。

 ところで、今回のクレジット取得業務、どこが実施をするのかといえば、先ほども申し上げたようにNEDOでございます。経産省の管轄の中に置かれているNEDOだったわけですけれども、環境省の中にも独立行政法人環境再生機構等々があるわけなんですが、なぜ今回こうしてNEDOに限定をされたのか、その経緯と背景について御答弁をいただきたいと思います。

小林政府参考人 御質問の点でございます。NEDOということでございます。

 諸外国の例を見ましても、専門の機関に委託をする例というのも幾つかございます。また、世界銀行等におきまして基金といったものを設けまして、そちらの方からクレジットを取得するというようなことで、アウトソーシングといいますか、専門の知識、経験を生かすということは決してないわけではございませんが、それを進めるに当たってなぜNEDOを選んだのか、こういうことだと思います。

 御案内のとおり、NEDO自身は、新エネそして省エネに関する技術開発の専門の機関、そして海外に対しましても省エネの技術協力というものを行ってきております。そういった環境、そしてエネルギー関係、省エネ関係の職員の方々も二百人ぐらいいるというふうに私ども承知しております。

 こうした知見、経験を生かしまして、このクレジット、排出削減量をつくるための事業化の最初の段階、フィージビリティースタディー、こういったようなところから取り組んでいくということになろうかと思いますが、こういった事業化の知識、経験、こういったことも既に実際に京都メカニズムのCDMプロジェクトの実施ということで行われてきております。

 こういった専門的な知見を有する人材というものを活用し、また、先ほど申し上げましたような海外への省エネ協力というのもありますが、海外におきますところのネットワーク、こういったものも活用をしていきたいというふうに考えてございます。

 それから、もう一つ大事なことは、やはり長い期間取り組むということも大事でございまして、事業化の最初の段階からリスク評価をしていくといったようなことについても、やはり継続して安定した責任を果たしていくというような専門機関を設けていくことが必要だと思います。そういう点でも、やはり、外の機関できちっとした、その分野で働いている、専門的知見を有するNEDOについては、大変活用のしがいがあるのかなというふうに考えてございます。

 以上です。

田島(一)委員 オランダであるとかデンマーク等々のいわゆるクレジット取得制度のあり方を調査研究された上で決定をされたのだろうというふうに理解をするわけですけれども、本来であるならば、やはり環境省の中に、非常に手が届きやすい独法等々に委託をしていくのが流れではないかなという思いがありました。

 何か今、専門性であるとか経験、また知見がすぐれているというような理由をお挙げになられましたけれども、なぜ環境再生機構に委託をされなかったのか、その点はやはり、知見が乏しいという言い方が多分答弁としてしづらいんでしょうけれども、お考えがありましたらお聞かせください。

小林政府参考人 具体的な名前を挙げまして、環境省の所管法人ということでございます。

 この法人につきましては、実は公害関係の被害の補償といったような実務を行うために設けられたのが発端でございまして、一番知識、経験がございますのは、例えば窒素酸化物の排出量あるいは硫黄酸化物の排出量、こういったものの統計データを集めまして、そして個々の企業に賦課金をかける、そういった事務には大変大きな知見そして能力を有している。さらに、御案内のとおり、アスベストの業務等々、そういったことに着目をいたしまして、国内の公害対策ということで活用させていただいております。しかし、エネルギー関係ということの直接の事業、フィージビリティー調査といったようなことは、大変残念ながら、したこともございませんし、海外のネットワークといったようなことも持っていない、これが現状でございます。

 もう一点、申しわけございません。

 先ほど聞かれた点で絡むのでございますけれども、予算の確保の点でございますが、副大臣の方から答弁させていただきました百二十三億につきましては、百二十二億でございまして、申しわけございませんでした。

田島(一)委員 余り所管が違うからという点ばかりにこだわる必要もないのかもしれませんけれども、できればやはり環境省の所管のところでやってほしかったというのが本音であります。

 当然、科学的な知見、専門性等々の問題でNEDOに委託をされていくということで一定の理解は進めていきたいと思いますけれども、一番将来的に心配をするのは、共管という名のもとではありながら、どうしても親分子分みたいな、そういう関係からいくと、経産省が経由しているのかなという先入観にどうしてもとらわれてしまうところがあるんですね。

 経産省も、きょうお越しをいただいたので、お答えいただきたいのですけれども、それこそこの温対法だけではなく、この先、上程もされていくでありましょう、フロンであるとか、また容リ法等々で、環境省との接点というのは非常に多くなってまいりました。

 そういうような問題点等々も考えると、今回のこのクレジット取得については、ぜひ今まで以上に連携をやはり密にしていただきたいということが私からの強いお願いでもありますが、いざクレジット取得といった点になったときに、環境省と経産省という大きな二人の船頭を抱えてうまくやっていけるのかな、そんな心配も実はあるわけであります。もしこの心配を払拭していただけるようなお考えがあるのであれば、御答弁をいただきたいと思います。どちらにもぜひお願いをしたいと思います。

    〔委員長退席、加藤(勝)委員長代理着席〕

深野政府参考人 お答えをいたします。

 経済産業省、この地球温暖化対策につきまして、これまで環境省と大変緊密に連携をとりながらやってきているというふうに考えております。やはりこの問題は、温室効果ガスの大半がエネルギー利用に伴うものということもございますので、いわばエネルギー政策と裏腹の関係でございまして、エネルギー政策と環境政策は十分に連携をとりながら進めていかなきゃいけない、そのように考えております。

 そういったことで、今先生からも御指摘がありましたように、いろいろな面で今環境省と緊密に連携をしながら施策を進めておりますけれども、今般のこのクレジットの取得業務につきましても、両省が共管ということで、共同で取り組むということで進めさせていただいたものでございます。

 予算につきましても、これはほぼ、先ほどの五十四億円の半々を経済産業省と環境省で持ち寄ってやるということにしておりまして、また、これから具体的に中期目標、このNEDOの業務についての中期目標あるいは計画といったものの策定、あるいはNEDOの中の体制整備、こういったものを進めていくことになりますけれども、こういった面につきましても、円滑にこの仕事ができますように、十分連携をとってやっていきたいと思っております。

    〔加藤(勝)委員長代理退席、委員長着席〕

小林政府参考人 環境省におきましても、今の御答弁と全く同様でございますけれども、地球温暖化対策推進本部の副本部長ということで一緒に務めております。そういう意味で、エネルギー政策と環境政策の連携は非常に重要だというふうに考えておりまして、むしろそういった連携を強化する場としてこれを積極的に活用してまいりたいというふうに考えております。

田島(一)委員 ぜひ、その気持ちを忘れずに、両省協力をしていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。

 さて、クレジット取得のためのプロジェクトの実施についての質問に入らせていただきたいと思うんですけれども、この先どのような形でのクレジットが市場を流れていくのか、この点については非常に未知数でもありますし、今ここで細かくどうこうできるような問題ではないことは承知をしております。

 しかしながら、どこでこのプロジェクトが実施をされていくのか等々については、一定の配慮それから意識を持っていかなければ、私は、取得のためなら何をやってもいいというような強引さでは、環境先進国を標榜していこうとする日本にとっては、やはり大変問題があるのではないかというふうにも思います。

 例えば、実施をされるその国の生態系であるとか、そこに暮らす人々の生活、そしてまた自然環境に及ぼす影響などなど、いろいろな点について配慮、それから考え方をきちっと表に出していくことが大事であろうかというふうに考えます。

 いかんせん、そういった自然環境に対する配慮だとか生態系等々については、当然環境省が一番知見を抱えているわけでありますけれども、その点については、やはりNEDOの不得手とする部分をしっかりと発揮していただく過程でもあります。

 それだけに、こうした地域に与える影響を、また配慮としてどのように考えているのか、それを担保するべくガイドラインというものをやはり作成していかなきゃならないんじゃないか。また、そのガイドラインについても、できるだけ広く、このように今遵守しています、充足状況はこんな状況ですよということを伝える、そんな公表の仕組みというものもやはりつくっていかなければならないのではないかというふうに考えるわけですけれども、このガイドラインの作成また公表についてどのようにお考えか、御答弁をお願いします。

小林政府参考人 CDMのプロジェクトを進めていきましてクレジットになるためには、いろいろな審査がございます。そうした中で、クレジットとして成立するためには、例えば、そういった周辺の地域の配慮などが欠けますと実際のプロジェクトが行われない、こういったリスクを抱えております。そういう中で、CDM理事会の方でいろいろなスクリーニングをするということが考えられておりますので、そういった国際的ないわばガイドラインといいますか考え方に沿って、日本も行動していくことが必要だと思います。

 御指摘の点は、別に日本用のガイドラインをつくれということでございますと、やや屋上屋というところもあろうかと思いますが、そういった国際的な議論を踏まえて、適切に行動していくことが大事じゃないかというふうに考えてございます。

田島(一)委員 屋上屋とおっしゃいましたけれども、国連のCDM理事会のガイドラインはガイドラインとしてやはり遵守していくのが当たり前なことですよね。しかし、やはり日本として、日本のガイドラインを作成し、それを公表していくこと、決してそれは二度手間なことのようには私は思えません。それであるならば、CDM理事会のガイドラインを踏まえた形で、日本としてはこうやりますという基本的な姿勢、これを配慮として担保していくことは当然のことだというふうにも思います。

 今、前向きにというような御回答だったと思うんですけれども、ぜひ、この点についてもこれから慎重に御審議をいただいた中で検討していただきたい、心からお願いをしておきたいと思います。

 時間もなくなってまいりました。今回のこの地球温暖化対策について、やはり避けることのできない排出削減の実効性を高める施策、そう考えますと、環境省の中ででも、省内でこれまでずっと議論を重ねてこられましたが、なかなか実現の日の目を見ていない、それが環境税の導入であります。

 毎年毎年、税制改正の段階で、この環境税が手をかえ品をかえいろいろな形でオープンな場に提案をされてきたところではありますが、なかなかこの導入が実行されていないというところを見ると、やはり、平成二十年から京都議定書の第一約束期間が始まるということを考えると、本当に一刻の猶予もない、そう私も考えるところであります。

 環境税について真剣に検討していく、早急に検討していくとこれまで大臣も、この委員会の場ででも御答弁を重ねていただいておるところでありますが、もうそろそろ具体的な制度設計について着手をしていかなきゃならない、そんな時期に本当に差しかかっているんだというふうに思います。ぜひ、この環境税の制度設計についての具体的な思いでありますとか覚悟、踏み込んだ御答弁を期待して大臣にお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小池国務大臣 今おっしゃいましたように、第一約束期間、二〇〇八年は、もう再来年でございます。そして、六%削減の約束ということであるにもかかわらず、逆に七・四%ふえているということで、ありとあらゆる施策を総動員して当たっていかなければならないということは、これはいずれの主体におきましても共通の認識ではないかと思っております。

 私、七〇年代のあの石油ショックのときに、あのときのびっくり度が、衝撃というのが、日本の物づくりを、省エネの技術を花開かせる大変大きなきっかけであったと思うんですね。太陽光発電しかり、ハイブリッドしかり、仕込みは七〇年代のあの石油ショックの当時からであります。

 ということは、私は、やはり物づくりのこの日本というのは、乾いたぞうきんをまた絞れと言うのかというようなことをよく言われますけれども、日本の物づくりの技術というのは、ニューヨークで七十五ドルを記録するような状況にある石油価格高騰の中にあって、もう一段のさらなる努力というのが、今のこの石油高騰をきっかけとしてより進めるチャンスではないのかなというふうにも思っております。

 その意味では、環境税というのは、こんなに石油が高いのにおまけに環境税を取るのというような意見もおありでしょうけれども、しかしながら、今回のこの石油高騰はどうもショックにはなっていないのではないかと私は思うんですね。何か対処療法的に今何となく通り過ぎているけれども、しかし、これは日本経済にも大変な大きな影響を与えますし、ましてやこれからの日本経済どころか世界経済にも大きな影響、そして、世界の石油の分捕り合戦ということがさらに進んでくるような、そういう中にあって、資源のない我が国として、また京都議定書を生んだ我が国として、環境それからエネルギー、両方の面でリーダーシップをとっていくいいチャンスではないかと思うわけでありまして、その意味では、環境税という一つのショック、そして、その税収をよりエネルギーのかからない省エネの方向にシフトしていくようなパラダイム変化を産業界そして国民の生活における面でもたらす、そういった環境税の設計ということが必要になってくるのではないか、このように考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、税の問題でございますので、国民各界各層に理解を深めていく、今私が申し上げましたようなことを、これからも声を大にして私は叫んでまいりたいと考えているところでございます。

田島(一)委員 時間がなくなりましたので、最後、ぜひお願いといいますか、要望も含めて申し上げたいと思います。

 実は、きょう農水省の方からも官房審議官にお越しいただいて、具体的な、環境省との温暖化対策をどのように進めているのかということを聞こうと思ってお招きを申し上げたんですけれども、例えば環境省の方は、これだけCO2、温暖化ガスが発生していますよという数値は随分お示しをいただいているんですね。しかしながら、その具体的な対策をするのはそれぞれの所管する各省がやっているわけでして、環境省というのは、今その具体的な削減策に何一つ踏み込むような状況にはありません。

 当然、その持ち場、持ち場が頑張ればいいことなのですが、しかし、トータル的に見たときに、パッケージとして温暖化対策というのが総合的に本当になされているかどうかという点に、私は、ぜひ環境省が、日本全体の温暖化対策として、もっともっと具体的な部分に取り組んでいただきたいというのが私からのお願いであります。

 当然、省エネ型の住宅の普及であるとか、公共交通を促進しましょうとか、それぞれの省でも頑張っていただいておりますけれども、なかなかこの数値が上がっていない。例えば農水においては、メタンガスなどはCO2の温暖化効果の二十倍以上あるんですけれども、なかなか水田からメタンガスの発生が抑制し切れていない。研究はされているようですけれども、なかなかそれが進んでいないという現状にあります。

 ぜひこのあたりは数字を示して、さあ、それぞれどうぞおやりくださいというような、見方によっては無責任にとられてしまいがちであります。具体的なところに本当にメスを入れて、また、環境省がこれまで蓄積をしてきた経験と知見を思う存分各省庁に振る舞う、また、披瀝をし、アドバイスもし、具体的なところに汗をかいて削減していけるというような努力の第一歩に、ぜひ今回のこの法改正をきっかけに突き進んでいただきたいと思います。

 時間もなくなりましたので、要望で終わらせていただきますけれども、これをきっかけに、あくまでも国内での削減が大前提であるということをぜひ皆さんと一緒に認識をさせていただきながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、岩永峯一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。吉田泉君。

吉田(泉)委員 私は、ただいま議決されました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 京都議定書の削減約束を達成するため、京都議定書目標達成計画に掲げられた国内対策を着実に実施し、国内の温室効果ガスの排出の削減に最大限努めること。

 二 国内対策に努力してもなお生ずる差分については、補足性の原則を踏まえつつ、京都メカニズムを活用したクレジットの取得に万全を期すこと。また、クレジット取得のための予算措置を適切に行うこと。

 三 クレジット取得のためのプロジェクトの実施並びにクレジット取得に当たっては、当該事業実施地の生態系、自然環境に与える影響及び地域住民に対する配慮を徹底することとし、広くその結果を公表すること。

 四 京都議定書目標達成計画に掲げられた国内対策の実施に当たっては、国民や事業者などすべての主体が地球温暖化対策を自らの課題として認識し、対策に取り組むよう普及啓発活動をより広範かつ積極的に展開すること。

 五 平成二十年から同議定書の第一約束期間が始まることを踏まえ、排出削減の実効性を高める上で考慮されるべき選択肢として、環境税及び国内排出量取引制度の在り方について総合的に検討を進めること。

 六 地球温暖化対策を進めるに当たっては、地球温暖化対策は今後とも引き続き長期にわたって行うべきものであることを踏まえ、省エネ型住宅の普及、公共交通機関の利用促進、省CO2型のまちづくりなど社会ストックに関する対策を総合的に進めること。

 七 脱温暖化社会の構築に向け、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動やライフスタイルの転換を促すための施策を早急に検討し、可能なものから順次実施すること。

 八 世界最大の温室効果ガス排出国である米国等の先進国に対し、同議定書への参加を強く働きかけるとともに、すべての国が参加し、かつ実効性のある国際的枠組の構築に向け、積極的にリーダーシップを発揮すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いします。

木村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小池環境大臣。

小池国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。

    ―――――――――――――

木村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、内閣提出、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小池環境大臣。

    ―――――――――――――

 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小池国務大臣 ただいま議題となりました特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 フロン類の大気中への放出を抑制することは、人類共通の課題であるオゾン層保護及び地球温暖化防止を進める上で極めて重要な取り組みです。このため、平成十三年六月、業務用冷凍空調機器等からのフロン類の回収・破壊を義務づける特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律が制定され、以降、フロン類の回収及び破壊が進められています。しかし、これらの機器の廃棄時におけるフロン類の回収率が三割程度で推移していることから、その向上を目指し、法制度を見直すことが必要となっています。また、昨年四月に閣議決定された京都議定書目標達成計画におきましても、制度の見直しによって、業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収率を向上させることが目標として掲げられたところです。京都議定書の目標達成期間を間近に控え、早急な対応が必要となっています。

 このような状況を踏まえ、業務用冷凍空調機器が廃棄または整備される際におけるフロン類の回収がより確実に行われるよう制度を整備する必要があることから、本法律案を提案した次第です。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、業務用冷凍空調機器を廃棄する場合に加え、当該機器中の部品等の再利用を目的として他の者に譲渡する場合についても、廃棄時と同様に、フロン類の引き渡し等の義務がかかることとします。

 第二に、建築物等の解体工事の元請業者に対し、フロン類が入ったままの業務用冷凍空調機器が建築物等の中に設置されていないかを確認し、その結果を工事発注者に説明する義務を課すこととします。

 第三に、廃棄される業務用冷凍空調機器に充てんされているフロン類をフロン類回収業者まで引き渡す行程を、廃棄者等が書面によって把握、管理できるようにする制度を導入することとします。

 第四に、業務用冷凍空調機器を整備する際のフロン類回収につきましては、従来、回収と運搬の技術的基準のみが定められておりましたが、新たに、回収が必要となった場合の回収業者への委託義務、回収業者による整備時回収量の報告義務等を導入することとします。

 第五に、フロン類回収業者に加え、業務用冷凍空調機器の廃棄者等に対しても、都道府県知事が指導、助言等の措置を講じられることとします。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

木村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月九日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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