衆議院

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第8号 平成19年4月27日(金曜日)

会議録本文へ
平成十九年四月二十七日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 宇野  治君

   理事 桜井 郁三君 理事 鈴木 俊一君

   理事 竹下  亘君 理事 末松 義規君

   理事 田島 一成君 理事 江田 康幸君

      上野賢一郎君    北川 知克君

      小杉  隆君    近藤三津枝君

      坂井  学君    篠田 陽介君

      とかしきなおみ君    中川 泰宏君

      並木 正芳君    野田 聖子君

      平口  洋君    福田 良彦君

      馬渡 龍治君    牧原 秀樹君

      山本ともひろ君    石川 知裕君

      北神 圭朗君    三谷 光男君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      田端 正広君    江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         若林 正俊君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           伊藤  元君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           本部 和彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 平工 奉文君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     福田 良彦君

  中川 泰宏君     牧原 秀樹君

  藤野真紀子君     平口  洋君

  近藤 昭一君     三谷 光男君

  長浜 博行君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     藤野真紀子君

  福田 良彦君     木挽  司君

  牧原 秀樹君     中川 泰宏君

  北神 圭朗君     長浜 博行君

  三谷 光男君     近藤 昭一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官細溝清史君、財務省主計局次長松元崇君、経済産業省大臣官房審議官伊藤元君、経済産業省大臣官房審議官本部和彦君、資源エネルギー庁次長平工奉文君及び環境省地球環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。並木正芳君。

並木委員 おはようございます。自由民主党の並木正芳です。

 海洋汚染防止法に関する質問をさせていただきます。

 アメリカの元副大統領アル・ゴアのドキュメンタリー映画「不都合な真実」、これが話題になっておりますけれども、こうした映画でも警告されております地球温暖化による海面上昇、あるいは干ばつ、大型ハリケーンのカトリーナ、こういう災害、気候変動というのが大変深刻な問題になってきております。

 しかも、地球温暖化は加速度的に進んでおり、生物多様性に与える影響、また、将来的にはCO2濃度が増すと呼吸的なものにも困難を来すとか、一部の学者でありますけれども、海水温度にも影響を与える、地球大循環といいますか大海流、あるいはメタンハイドレート、こういうものにも悪影響を与えるんじゃないかと。まさに人類は危機に直面しているということも言えるわけであります。

 国連の気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCですか、この作業部会によりますと、この原因がCO2などの、いわゆる温暖化に対して温室効果ガスと言われておりますけれども、こういうものが原因である、そういうふうに述べられております。

 こうした折に、まさに今回の法改正というのがあるわけですけれども、この法改正は、CO2を海底下の地層に廃棄することを規制するということでありますけれども、まず、この法案提出の背景とその必要性についてお聞きしたいと思います。

若林国務大臣 委員御指摘のように、地球温暖化の問題は人類にとってもう待ったなしの深刻な課題、このように受けとめているところでございまして、世界のそれぞれの国が、それぞれの国の状況及び力に応じて、全体で真剣に取り組んでいかなきゃいけない課題、このように認識をいたしているところでございます。

 そういう中にありまして、今回の審議をお願いしております法改正案は、廃棄物の海洋投棄に関する規制を国際的に強化いたしますロンドン条約議定書を踏まえまして、海洋環境の保全に係る規制を強化しようというものであります。

 その議定書におきましては、廃棄物の海底下への廃棄は原則として禁止をする、二酸化炭素については、許可制度を設けた上で、海底下への廃棄を検討することができる、このように条約ではなっているところでございます。

 我が国としても、この国際条約のルールを遵守するために国内法の整備が必要になるわけでございまして、廃棄物の海底下廃棄を原則禁止するということと同時に、温暖化対策の一つのオプションとなり得る技術である二酸化炭素の海底下廃棄につきましては、事業を適切に管理する措置、許可制度を設けることによりまして、二酸化炭素の漏えいによる海洋汚染を防止していく、そのような制度を設ける必要がある、こういう趣旨でございます。

並木委員 IPCCによりますと、今大臣がおっしゃったように、今回、許可制になるというCO2の回収、貯留技術、CCSと言われるものですけれども、これはコスト効果的な温室効果ガス削減に大きく寄与できる、その技術オプションの一つであるということでありますので、海洋環境の保全を確保した上で、地球温暖化対策の観点から推進していく、こういったことが重要と考えます。

 世界的には、地中貯留の技術的ポテンシャルというのが二兆二酸化炭素トン程度あるということで、大変その効果は大きいと言われているわけですけれども、どうも、日本の方、日本近海といいますか、その辺では余り高くないんじゃないか、そういうようなデータもあるようなんですけれども、この辺の地層について、なぜなのか、日本の近海の状況、その辺がどの程度まで調査されているのか、その辺についてお聞きしたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、二〇〇五年に公表されましたIPCCの報告書におきましては、世界全体で約二兆トンという推定がなされております。これは、世界全体のCO2排出量の約八十年分ということでございます。

 ただし、これは国によってかなり調査する内容が異なります。我が国におきまして約五十二億トン、四年分程度だと言っておりますのは、財団法人の地球環境産業技術研究機構というところが、工学的に貯留に適すると考えられます不透水層を持つ背斜構造、つまりおわんを逆にしたような形の部分の中で、ボーリングによる地質データがあるものを評価して出たということでございます。そういう意味では、かなり厳密な調査をした数字によるものでございます。

 もちろん、これ以外にさまざまな調査がございます。地震探査による調査とか、あるいは、場合によれば、背斜構造でないものでも地質的、地層的に貯留可能じゃないかというものも入れると千四百億トンを超える、そういう試算もあるわけでございます。これですと百年分以上になります。

 したがいまして、今後のCCS自身の対策としての扱い、そういったものにもよって調査が進み、また逆におくれることもある、それによって数字も変わってくるものと考えております。

並木委員 我が国においては、いわゆる重油だとか石炭、これは海外に依存しているということで、大型の火力発電所というのは沿岸部に位置している。そういうことで、沿岸部の海底下を利用するということが考えられるわけでありますけれども、これはどの程度離れた海域に貯留されるのか。また、一般的には一キロ下ぐらいというようなところの、そうした適する地層にということなんですけれども、その辺の深さについて、あるいは一キロ下のその地点において二酸化炭素というのはどういう状態でとどまっているのか。かなり圧力はかけるわけですけれども、その辺の状態というのがどうなのか、その辺いかがでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のとおり、帯水層といいますのは沿岸部を中心に広く分布をしておるというふうに考えております。

 輸送コストを考えますと、船で全部積んでいってというのは考えづろうございますので、やはり陸域から何らかの形でパイプをつないで圧入するということになると思います。したがって、沿岸から余り離れていない浅い海域の海底下というふうに想定をいたしておるところでございます。

 それから、深さでございますけれども、やはり水深、海底下を全部含めまして千メーターよりも深い地点の帯水層ということが一番今考えられるところでございます。

 といいますのも、超臨界流体という形、これは気体と液体の間でございますけれども、最も浸透しやすく、なおかつ安定的に拡散するといいますか、そういったことからしますと、これが一番科学的には漏れにくいということでございます。水圧、七十数気圧以上の気圧、それから温度的にも三十度をある程度超えたところと考えますと、そういった千メーターを少し超えたところでこれを埋めていくということが、最も経済性と安定性という意味でバランスがとれるというように考えております。

並木委員 こうした、ある意味、画期的な技術ですけれども、やはり普及させるためにはコストの低減というのが図られなきゃならないわけです。一般的には、小さな企業とかがこういったことを実行していくというのはなかなか難しいかと思いますけれども、いろいろなケースはあると思うんですけれども、現状においてのいわゆるコストという点ではどの程度かかるんでしょうか。

南川政府参考人 一般にCCSの場合ですと、例えば石炭火力発電所とか、石炭をたくさん使います鉄鋼とかセメント、そういったところでまずCO2を分離回収するという作業が要ります。その上で、運んで圧入、貯留するということでございます。

 コスト的には、やはり分離回収がまず非常にコストがかかるわけでございまして、一般的に、石炭などの火力発電所から二酸化炭素を分離回収する場合については、例えばその二酸化炭素一トンについて十五ドルから七十五ドル、これはかなり濃度によって違います。そういった費用がかかると言われております。

 それから、我が国におきまして、分離回収から貯留まで全部含めますと、これは推定でございますけれども、五千円から一万数千円でございますから、ドルにして四十ドルから百ドル近いコストが全体として必要になるというふうに考えております。

 そういう意味では、なかなか中小企業等について現状では想定しづらい、やはり石炭火力発電所なり、そういったまとまった形で出る箇所ということを想定しております。

並木委員 このCCSなんですけれども、もちろん、自然な形でというか、百年とか二百年たつと漏れる、CO2がこの貯留地点から漏れてしまう、そういうようなことも言われるわけです。これについて、漏れた場合の海洋環境に対する影響が懸念されるわけですけれども、その辺の影響というのはどの程度検証されているのか。

 また、海底地震等、最近は地震の心配もいろいろあるわけですけれども、そういう場合に、この帯水層に対して影響というのはどんなものなのか、その辺について、いかがでしょうか。

南川政府参考人 IPCCの、御指摘の報告書にも一部そういう記述がございます。貯留の地点を適切に選択した場合でございますけれども、二酸化炭素が漏えいする可能性は百年を経過しても非常に低いということでございます。

 私どもとして、当然ながら、これを許可する場合は、きちんとした厳格な審査をした上で許可をいたします。そういう意味で、大量漏えいという可能性については非常に低いというふうに考えております。

 もちろん、これが出た場合の影響としまして、地底に生息するような、ウニのような形の、例えばそういったものについての影響とか、そういった知見は集積をしております。そういう意味で、十分知見も集積した上で、こういった厳格な審査を行っていくつもりでございます。

 それから、地震等のことも心配があるわけでございますけれども、断層内は基本的には岩石等の物質で充てんされておりまして、爆発的な漏えいということについては非常に可能性が低いと思っています。

 たまたまでございます。世界的に実は地震について実験をした例はないわけでございますけれども、たまたま平成十六年、新潟新幹線が脱線する事故があったときでございますけれども、そのときに新潟県長岡市で実験が行われておりました。実験当日でございましたけれども、これがマグニチュード六・八、最大震度七という地震だったわけでございますけれども、そのときにも、そういう影響が実はございませんでした。

 これは、地震があることを想定して実験をやったわけではもちろんないんですけれども、たまたまそこでありまして、日本で一カ所、大きな実験をやったらそこで地震が起きたということでございますけれども、そこでも井戸についての影響はなかったということを確認しております。

並木委員 具体的にこういう事業を行う場合、申請する許可申請者がいろいろ環境評価をやっているということなんですけれども、それに対して環境省がどういうふうな審査をしていくのか。

 現状では、環境省の担当がそれを受けて許可するということなんですけれども、その辺の環境省が持っているノウハウというんですか、それはどの程度なのかということをまずお聞きしたいと思います。

 これからの技術とも言えるわけなので、今後、関係省庁、いろいろな石油関係なんかでやっている技術というようなことも言われていますので、そういう担当する省庁、こういうものが一体となってCCSに対する技術開発あるいは調査研究を進めていく必要があると考えますが、その体制づくりというのはこれからなのか、現状でもうつくられているのか、その辺をお聞きしたいと思います。

南川政府参考人 私どもは、当然、申請が出てきますれば、現在お出ししております法案では、環境省において審査をするということにしております。

 まず、審査の考え方につきましては、現在、条約事務局の方でさまざまな科学者を世界的に集めまして、頻繁に会議をやりまして、まとめております。全体として、そのガイドラインというのがことしの夏にはできると思っております。私どもの担当官も必ずそういったところに派遣いたしまして、世界の最先端の知見というものを集積するようにいたしております。

 それから、当然ながら、例えば国立環境研究所にも、そういう非常にこの分野の審査の、チェックする日本一の、日本の有数の知見者もおられますから、そういった方の応援もいただきながら、きちんとした審査ができるようにしたいと思っております。

 それから関係省庁、もちろん、例えば回収、貯留の技術になりますと、このあたりは経産省の関係の機関というものが非常に知見があるわけでございまして、そういったところとも、現在も連携はいたしておりますけれども、さらに連携をいたしまして、技術開発、調査研究について世界一と言えるようにぜひしていきたいと考えております。

並木委員 私は、前から、我が国というのは環境技術ということで世界をリードしていくべきじゃないかというふうなことを申し上げておるわけです。

 そういう意味で、環境産業というのは今後日本のリーディング産業の一つになるというふうに考えるわけですけれども、CCSに関する国内外の技術的な動向、あるいは、我が国のCCSに係る技術水準というものですけれども、先ほど長岡市のRITEですか、そこの実証試験というのが出ましたけれども、何か最近この技術を、アメリカが計画しています大気汚染物質を出さないとかCO2を出さない世界初の火力発電所、ここに技術供与というか資金供与までしていくとか、そういうようなニュースも聞いているわけなんです。

 そういうことを考えると、日本もかなり高い技術を持っているのかなというふうにも推定するんですけれども、日本の技術というのは国際的に見てどのレベルにあるのか。そういう意味で、今は何か資金提供までしてということですけれども、将来的には、いわゆる日本のリードする産業として、いろいろな国から必要とされて、ある意味で日本の利益にもなっていく、そういうようなレベルにあるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。

南川政府参考人 技術の場合、CCSの場合は大きく二つに分かれまして、やはりCO2を分離回収するということと圧入の二つに分かれると思います。

 例えばノルウェーで一部、北海でこういった事業を行われていますが、これは油を掘り出したときに一緒に出てくるCO2についてまた地下に埋め戻すということでございますので、やや私どもが想定しておる技術とは異なると思っています。

 ただし、全体的に、まず圧入の技術につきましては、やはり掘削技術のすぐれたところがリードをしておりまして、例えばブリティッシュ・ペトロリアムとか、そういった石油メジャーのたぐいが非常に進んでおるのは事実でございます。ただし、非常に金がかかります分離回収の効率的な事業については、日本の産業というのはトップレベルにございます。例えば、会社名を申しますと、三菱重工とか、あと最近ですと神戸製鋼とか、いろいろな会社が取り組んでおります。

 こういった技術は非常に世界的にも評価をされておるということで、今御指摘ございましたクリーン・コール・テクノロジーの中でも日本の技術の活用というものを検討されておるというふうに承知しております。

並木委員 こういう技術というのが大変高い、もちろん総合的に見るといろいろまだこれから開発していかなきゃならないものが多いようですけれども、非常に日本が高い技術を持っている。そういうことで、当然ながら、将来にもっともっとすばらしい技術ができていくのかなと。

 今の時点では、とりあえずCO2を閉じ込めておく、そういうようなつなぎの技術とも言われているわけであります。それでも画期的なんですけれども、やはりこれから先、今いろいろ注目されています太陽光発電とかあるいは水素エネルギー、バイオエネルギー、こういうような新エネルギーの技術開発をもっともっと力を入れて普及させていくべきじゃないかと考えるところなんですけれども、取り組まれていると思うんですけれども、この辺についていかがでしょうか。

北川(知)大臣政務官 並木委員御指摘のように、このCCSというのは、つなぎの技術等もあるでしょうし、そして温室効果ガスの削減のためには化石燃料の使用等々も考慮していかなければならないところであると思います。

 この温室効果ガスの排出量の大幅削減や、低炭素社会の実現に向けた省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及等の対策についても、引き続き最大限取り組む必要があることは当然のことであると考えておりますし、太陽光発電などの新エネルギー利用技術は、京都議定書目標達成計画にも温暖化対策として重要な取り組みとして位置づけられております。その着実な導入拡大を図るため、今後も新たな技術開発やその設備の普及促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 この地球環境問題といいますか温暖化の問題は、地球というものを一つの生命体に例えれば、一種の病かもしれません。その病の根治へ向けて、さまざまな政策というのが処方せんの一つ一つでありますから、それを確実に実行していくこと、そして、その病をいやすためにも、こういう自然エネルギーというのは重要な処方せんであると思っておりますので、今後も引き続き強力に推し進めていかなければならないと考えております。

並木委員 政務官は大変その辺熱心なようで、ぜひこれからもよろしくお願いしたいと思います。

 今回のCCSという技術ですけれども、これを進めていく上で、もちろん技術の開発、普及、こういうことが必要ですけれども、これは何でもそうなんですけれども、同時に国民にその技術の長所あるいはリスクを理解していただくということが必要かと思います。その辺について、環境省はどのように対応を考えていらっしゃるのでしょうか。

若林国務大臣 技術は日進月歩でございます。とりわけ環境関連技術については、アメリカと並んで、あるいはアメリカを一歩先んじて、日本の技術開発力というのは高く評価されているところでございますけれども、それだけに、私を含めてですが、なかなかイメージがわかないといったようなことが多いんですね。

 このCCSについても、どうやってCO2を分離するのか、分離したCO2はガスであるはずなんだけれども、圧力をかけていくと流体になっていく、そして固体になっていく。その辺のイメージというのがしっかりとまだつかめていないのが正直なところだと思います。

 しかし、そういう科学者の、あるいは技術系の検討を、いろいろと知見を集めた結果、今回のような形の法律改正を提案するに至っているわけでございますけれども、私は、そういうことに不安を覚える国民の皆さん方が大勢いるということは好ましくないというふうに思います。ですから、最新の取り組みを進めていくためには、その内容について、科学的知見に基づいて、国民には正確にわかりやすく理解をしていただくようにしていく必要があるわけでございまして、このCCSの場合も、環境への影響だとか、その実施コストだとか、適用可能な発生源の種類だとか、基本的な情報については、できるだけこれを公開するということが大事なことだと思います。

 何か隠しているんじゃないかという不信感を持たれないように、できるだけ早い段階から公開をして、信頼を得ていかなければならないというふうに考えておりまして、地球温暖化対策としての効果、有効性と同時に、その安全性についても、技術情報をしっかり出して国民の理解を得るように努めてまいりたい、このように思います。

並木委員 最後にお聞きしますけれども、我が国は、国土というのは世界第六十位になるそうです。狭い島国だ、こういう固定観念を持ってきたわけですけれども、御存じのとおり、EEZというようなところ、あるいは領海、これを含めますと、今海洋条約でこういうものが認められておるわけですけれども、実に膨大で、世界第六位になる。広大な海面下の領土を有しているわけであります。

 その圏域を守る、もちろん環境省だけではありませんけれども、あるいは資源の開発と管理を進め、海洋権益の確保を目指すとともに、環境省という立場では海洋汚染防止ということが義務であり、この保全を図る必要があるというふうに考えるわけです。

 このCCSについても、来年COP会議で、これが今は例の削減の中では認められていない、そういうような外交的な問題もあるかと思います。また、環境対策が非常におくれているという中国からいろいろな化学物質が垂れ流し的に流れ込んで日本の領海に入ってくる。あるいは、エチゼンクラゲの問題なんというのもあります。

 そういうようなことを考えますと、我が国の海洋環境を守るために、外交問題を含めて、これからますます環境省の果たす役割が増大している、そのように考えるわけでございますけれども、最後に環境大臣の見解をお聞きして、終わりにしたいと思います。

若林国務大臣 委員御指摘のように、我が国は島国でございます。それだけに、周囲を海で囲まれているという意味で、近隣の諸国といろいろなつながりがあるわけでございます。そういう諸国との協力のもとに海洋環境の保全を図っていくということは国として当然の使命だ、このように思っております。

 環境省としては、海洋のモニタリングによる汚染の状況の監視などを実施いたしておりますが、日中韓三カ国の環境大臣会合などによりまして政策の対話だとか、あるいは北西太平洋地域海行動計画、NOWPAPというんですけれども、それらの協働のプログラムを通じまして、海洋環境保全に関する取り組みを今後とも推進してまいりたいと思います。

 私も昨年、日中韓の環境大臣会合に参りまして、漂流・漂着ごみ問題もその大きな議題の一つでございました。また、ことしは、持ち回りで日本でこの日中韓の環境大臣会合を開催するということになっておりまして、今事前の打ち合わせをしておりますが、やはりその中の大きな課題として、漂流・漂着ごみ問題を初めとする海洋汚染の問題がございます。これら近隣諸国と協力しながら、しっかりと対応をしてまいりたい、このように考えております。

並木委員 これで終わりますけれども、環境省の今後の御活躍をより御期待申し上げます。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 民主党の石川知裕でございます。

 きょうは、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部改正案、その中でも、先ほど来からお話ありました二酸化炭素の回収、貯留技術のCCSについて、主に御質問させていただきたいと思います。

 CCSが温暖化抑制技術として国際的に認識されつつあることを踏まえ、今回の法改正につながったと思います。地球温暖化防止のために、あらゆる研究自体は進めるべきでありますが、しかし、安全でコストが安く、また温室効果ガスの削減につながることであれば強力に推進すべきところであると思いますけれども、幾つかまだ解明されない点、また懸念される点がございますので、これから順次御質問させていただきたいと思います。

 このCCSの温暖化対策としての位置づけ、二酸化炭素の海底下への廃棄、また地中に貯留するということを許可制にし、法的規制の枠組みを今回つくっていくということが目的だと思いますが、実用化に向けて、まだ課題がたくさんあると思います。

 まず一つに、分離するのにエネルギーがかかるということであれば、それはまたさらに化石燃料を使うことにつながるのではないか。きちんとリサイクル、今、炭層ではメタンを吸い上げて、そのまま循環型にしていくという考え方もあるようでありますけれども、まず、そこのところが一つ問題があるのではないか。

 また、CCSが、温室効果ガスの排出抑制にはなりますが、化石燃料の使用を減少させることにはならないという懸念が今出されております。CCSの導入により、かえって省エネの取り組みがおろそかになったり、また、化石燃料の使用による大量エネルギー消費時代の、まだ終わりではなく、継続にもつながるのではないか、また、再生可能エネルギーによる社会の到来をおくらせるのではないか、こういう懸念がまたあるわけでございます。

 ヨーロッパでは熱心に地中貯留を進める計画でありますけれども、政府の地球温暖化対策としての今後のCCSの位置づけについて、お聞かせをいただきたいと思います。

若林国務大臣 CCSにつきましては、今なお開発途上にありまして、委員御指摘のように、さまざまな課題を抱えている現状にあると思いますが、コストの面のお話もございましたが、短期的に我が国においてこれを広く実施されるような状況に今あるとは考えておりません。

 しかし、将来を見据えますと技術開発や研究調査を行っていく必要があるわけでございまして、委員の御承知のように、今度の法律改正の前提としての条約の批准をし発効して、我が国もこれを批准しますと、海底下へこういう廃棄物を廃棄することを禁止しなきゃならなくなる、実験などもできなくなってきますので、そういう意味でこの体制の整備をしようとするものであります。

 中長期的に見ますと、このCCSは今、世界で大変注目されております。いろいろな自然エネルギーの活用等々、地球温暖化とエネルギーの転換については、いろいろなあらゆる努力を重ねなければならないと思いますけれども、CCSにつきましては、石炭火力発電などの大規模な二酸化炭素の固定発生源について排出削減をするための対策として、重要なオプションになり得るというふうに考えております。

 今、アメリカが中心になって技術開発の検討をしている中に、フューチャージェンプロジェクトというのがございます。これは、石炭から水素と炭素を、CO2を分離する、そして水素エネルギーで発電をしていくというような、分離した後の水素からエネルギー源をとっていくというような研究でございまして、その場合、発生するCO2をどう処理するかということと関連して、これを地中に閉じ込めるというようなことが必要になってくる、こう言われております。

 まだ、水素を分離するということについて、すぐさま見通しがついているわけではありませんけれども、アメリカを中心にしまして行動計画を立てながら、このフューチャージェンプロジェクトというのを進める、日本もこれに参加しまして、一緒に開発していこうといったような状況にあるわけでございまして、中長期的に見れば、将来、そういう石炭のクリーン化という意味で、このCO2の閉じ込め技術ということも併用されていくことになるんじゃないか、こう考えております。

石川委員 先ほど懸念事項として、省エネがおくれるのではないか、また、もう一つに、きのうちょうど夕刊紙にも、バイオガソリンの販売、五十カ所でということが出ておりました。北海道等でもバイオエタノール、また全国ではバイオディーゼル、菜の花プロジェクト、そういうことが行われているわけでありますけれども、このバイオエタノールやバイオディーゼル、いわゆる再生可能なエネルギー、そういうものを推進していくという点におきまして、このCCSとの兼ね合いにおいて、研究の優先順位また資金の優先順位において、今後、政府としてはどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

若林国務大臣 委員が御指摘になりましたバイオエタノールとかあるいはバイオディーゼルといったようなものは、もう現実に実用段階になっておりまして、御承知だと思いますけれども、自動車燃料として主流を占めていくようなことになっております。我が国も、いよいよこれを実証実験するという段階になっておりまして、その場合に食料農産物からエタノールをつくっていくというのが主流ですけれども、さらに、今後の問題としていえば、セルロース、木材ですね。特に、日本の場合は森林資源が豊富でありますし、これを有効にエタノール化するというような技術はこれからの開発でございます。

 これらについて、その開発努力をしていくことになると思いますが、CCSの貯留、さらにその前提として、先ほど言いました分離、分離された中から水素ガスを取り出すといったようなことは、まさにフューチャージェンでございまして、まだまだ日本だけで開発できるというものではありません。アメリカを中心にヨーロッパも、みんなで技術を結集して、これから開発していくというような段階でありますから、これが、日本として、競合して、お互いどっちを優先するというような問題になるというようなことではないというふうに思っておりまして、あらゆる努力を傾注していくという中の一つとして御認識いただければと思います。

石川委員 懸念がありますので、ぜひバイオ関係に力を入れていただきたい、そうお願いを申し上げるところでございます。

 今回、このCCSという言葉、私も全然勉強不足で知らなかったのでありますが、CO2を海底下に廃棄する、また地中に貯留をするということでありますけれども、今回の法改正において、環境大臣は、廃棄しようとする海域の海洋環境に障害を及ぼすおそれがない場合にしか許可をできない、また、環境大臣の許可には、ロンドン条約一九九六年議定書と、作成予定の海底下に廃棄するCO2に関する評価ガイドラインによる基準を踏まえた審査が必要となっております。

 先ほども御質問がありましたけれども、政府がCO2の海底下廃棄による海洋環境への影響評価についてどういう知見を持っているか、お尋ねをしたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず、二酸化炭素が適切に埋められた場合につきまして、漏えいする可能性というのは非常に低いということは考えておりますし、また、そうでなければ許可できないというふうに考えているところでございます。

 ただし、万が一の場合といたしまして、海洋に漏えいした場合ということでございますけれども、一部海中に二酸化炭素が溶け出ることによりまして、局所的には二酸化炭素濃度が上昇する、そして海洋生物に対して影響が生じる可能性があるというふうに考えております。

 例えばでございますけれども、浅海におります成魚あるいはイルカとかウミガメ、そういった空気呼吸を行う生物でありますと、海水中の二酸化炭素の濃度が高濃度でありましても、高い耐性、耐えられる力があるというふうに承知をしております。

 それから、海水中の二酸化炭素濃度が例えば二〇〇ppm以上上昇しますと、表層に生息していますウニとかサザエなど殻を持つ動物については、その影響が生じて、例えば成長率とか生存率が低下するといったことも承知をしておるところでございます。

 このガイドライン、今、国際的な知見を集めて製作中でございます。私どもも、職員、英語も達者でなおかつ科学的知見もある者を必ず派遣しまして、世界最先端の知見の収集に努めておるところでございます。

石川委員 隔離されたCO2が長期間絶対に漏えいをしないという段階では、まだ現在の段階では完全な実証が出されていないと思いますし、また、地震や地殻変動によりまして知らないうちにパイプライン等に亀裂が入ったりして、もしかしたら漏れるという可能性もあると思います。

 また、今御答弁いただきましたけれども、海水中の二酸化炭素の濃度を上昇させると、魚類の卵や稚魚段階における死亡率が高まったり、また、CO2の大量放出により海洋の酸性化が進行し、さまざまな生物の生存が脅かされる、また、地中の微生物等、もしかすると懸念があるかと思われるんですけれども、科学的に見て、地下の地層中に圧入をした二酸化炭素が長期間にわたるとどのような変化が起こる可能性があるのかということをお聞かせをいただきたいと思います。

南川政府参考人 これは超臨界流体という形での貯留を考えております。これが、帯水層に入った場合に最も拡散、周辺の水に溶け込みやすいし、また安定的に広がるということでございます。また、それが長期的には徐々にカルシウムなどの鉱物とも化合するということで、非常に安定化ということが予測しやすいということがございます。そういったこともございまして、適正な形で貯留されれば漏えいの可能性は極めて少ないというふうに国際的にも見られております。

 もちろん、委員の御指摘のとおり、例えば圧入途中で大地震があったりするということでありまして、例えばパイプラインに事故があったりという場合については、またこれは別でございまして、そういう場合には、圧入を休止するとか、そういったことも当然考えていかなければならないというふうに考えております。

石川委員 次に、今後日本におけるCCSの技術開発についてお尋ねをしたいと思います。

 将来的には当然森林資源をふやして、先ほど来申し上げておりますが、循環型エネルギーによって持続可能な社会をつくるべきでありますけれども、ただ一方として、近々な課題として、つなぎ技術として研究自体は進めるべきだと思いますが、ただ、現在、CCSのコストは大変高い、EUに比べて日本でやった場合に七倍ぐらいになるのではないかという試算、CO2一トン当たり、帯水層への圧入を考えますと七千三百円ぐらいになるのではないかと資料等に書かれておりました。特に、日本においては、圧入コストまた輸送コスト、こういうことに大変大きな負担がかかっていると思います。

 しかしながら、研究自体は進めるべきでありますけれども、この地球温暖化対策として活用するために、今後CCSの技術開発事業化の取り組み、今夕張、また、この間終わりましたが、新潟等で行われていたようでありますが、今後の取り組みについて、どのような場所で、またどれぐらいの規模で行っていくのかを詳しくお話しいただきたいと思います。

南川政府参考人 まず、国内での取り組みでございます。

 新潟につきましては、たしか一万トン程度でございますけれども、ちょっと済みません、今正確な数字を忘れましたが……(石川委員「一万トンとなっていますよ」と呼ぶ)一万トンですね。一万トンの圧入を終わっております。これにつきましては、以後の観測はしておりますけれども、その埋め立て、圧入自身は終わっておるということでございます。

 それから、夕張につきましては、これ自身は地下約九百メートルの炭層へ二酸化炭素を圧入するということで、そこで固定化とメタン回収についての研究開発が行われておるようでございます。ただ、これ自身は一日当たり約二トンから三トンを貯留ということでございまして、非常に規模が小さいということでございます。

 あくまで技術開発ということでやっておりまして、率直に申しまして、陸域におけることについて言いますと、量的な希望ということは非常に日本の場合は考えづらい。これは、国際的にも、特に大きな油田を内陸に持っているところを別にしますと、やはり海域での帯水層ということが主な候補地になるというふうに思っております。

 そういう意味で、今後私どもも関係省庁、特に経産省等と連携しながら、そういった海底下の貯留層、帯水層についての研究開発、知見収集というものに努めていきたいと考えております。

石川委員 このCCSの大きな問題として、隔離可能な場所とCO2の排出場所、これが一致をすれば大変な大きい効果が上がるかもしれませんが、なかなかその隔離可能な場所とそしてCO2の排出場所というものが一致をしないということが、特にこの狭い日本ではなかなか難しいのが現実ではないかと思います。

 しかしながら、現在の日本では地中隔離のポテンシャルが小さいわけでありますけれども、技術開発を国内で行って、他国に行って、現在の京都メカニズムの枠組みを利用して実施をしていくという考えをこれから強く持っているかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

南川政府参考人 まず、他国における実施の問題でございますけれども、制度的に申しますと、現在、京都議定書の約束期間内におけるCO2対策としまして、排出対策としての扱いはされておりません。したがいまして、例えば、今、埋め立てを早い機会にやったとしても、これはカウントされません。

 ただ、来年の十二月にCOPで話し合うようになっておりますのは、CDMとしてこれが対象になるかどうかということでございます。これについてはかなり詳細な議論も常になされておりますけれども、CDMとして使えれば、これは全体のCDMの技術開発も進みますし、それによってCDM全体が世界的に値下がりするということも期待されるわけでございます。そのあたりがどうなるか、少し国際的な会議の様子を見ないと、どの程度進めるのか現在は未確定ということが正直な状況でございます。

石川委員 このCCSの技術について、今、新潟県の長岡市で、地球環境産業技術研究機構の基礎研究として、先ほど御答弁ありましたように、二〇〇三年の七月から二〇〇五年の一月、CO2一万トン圧入、そして帯水層に広がることを確認、その後、中越地震の際にも、貯留されたCO2には異常なしということで資料に書いてございました。

 また、今、北海道夕張市において、CO2の炭層固定化予備実験、これは株式会社環境総合テクノス。これは、経済産業省の補助事業として、二〇〇二年度から石炭層にCO2を圧入して、メタンを回収する、そのような実験を行っているということでございます。しかしながら、ポーランドでは、とあるところではメタンの回収がうまくいかなかったということでありますから、たまたまポーランドのその場所が適していなかったのか、それとも日本の技術がよりすぐれていたのか、そのあたりがこれからの研究課題だと思いますけれども、今、夕張市でメタンの回収をしている。

 また、住友石炭鉱業株式会社の新赤平鉱山でも、旧産炭地の赤平市でも、回収したメタンでマイクロタービン発電の実験稼働をしている、こういうことがございます。

 今、全国の産炭地、この間夕張市でも市長選がございました。財政再建団体入りということで、もう第二の閉山とも言える事態を迎えたように、全国の産炭地というところは大変今厳しい状況に置かれていると思います。

 戦後、傾斜生産方式のもとで、石炭と食料、エネルギーと食料の供給基地として、北海道、また九州その他の産炭地は頑張ってきたわけでありますけれども、今回のこのCCSの技術において、もちろんコストの面において、これから日本全体で、隔離する場所とCO2の排出場所がなかなかうまくいかないものですから、それぞれの産炭地がうまくいくわけではありませんけれども、しかしながら、それぞれの産炭地、夕張が今実験しているように、今後、そういうところを使って、例えば、研究都市というのはちょっと大げさな言い方かもしれませんけれども、CDMのお話も出ました。海外に行ってその技術を生かすために、日本で研究機関としてそれぞれの産炭地を生かしていく、またそれが地域振興につながるのではないかと思いますけれども、旧産炭地の支援策の一環として、このCCSの技術研究というものをそれぞれの地域で推進していくお考えがあるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

北川(知)大臣政務官 委員御指摘の、今この実験が、長岡そして夕張の例を挙げられましたけれども、そういう地域において取り組ませていただいておりますが、しかし、直接この地域の活性化という点については非常に難しい点があると思います。ただ、こういう実験施設等が行くことによって、人が動き、物が動くわけでありますから、そういう点においては、一つの地域の活性化にもつながる面はあると思います。

 しかし、エネルギーという問題で地域の活性化に直接つながるとなれば、バイオマスエネルギーの活用、また風力発電の導入など、地域に存在をする緑、風といった自然資源を有効に活用するなど、地域の特性を生かした地球温暖化対策というものが地域の活性化につながるものと考えておりまして、環境省といたしましても、今後、二酸化炭素の回収、貯留の実用化に向けて技術開発等の推進をするとともに、引き続き再生可能エネルギーの導入等を進めていきたいと考えております。

石川委員 私も、今後の日本を考えると、むしろ地方交付税の算定の基準に、どれだけ食料自給率に貢献しているかだとか、今回のこの二酸化炭素の問題について、森林資源に対してどれだけメンテナンスを行っているか、また、これから水問題というのは大きな問題になると思いますけれども、安全な水資源の確保のためにどれだけ自治体が頑張っているか等を私自身は加えるべきだと思っていますけれども、もちろん、それを持続、再生可能なエネルギーに対して力を入れるというのは当然であります。

 ただ、こういった事業を行っていく上で、そういった産炭地に対して、特に財政再建団体入りをしそうなところをまた考慮して、これから研究開発を行うときに、都市の選定を行う上で、そういったところもぜひ考慮をしていただきたい、こういうことでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 もう一つに、CCSの問題もそうでありますけれども、海洋汚染対策への取り組みということで御質問させていただきたいと思います。

 二〇〇四年、海洋汚染防止法の改正により、廃棄物の海洋廃棄に対する環境大臣の許可制の導入、二〇〇七年四月。また、海洋投棄をやむを得ず行っている、これは、本来なら陸上処理の技術の開発の努力が必要なわけでありますけれども、違法投棄を行っている方々がまだ依然として多い。海上保安庁が送致をした海上環境法令違反事件数が、二〇〇五年に六百二十一件となっておりました。ほとんどが不法投棄、不法廃棄となっております。また、日本海沿岸への近隣諸国からの漂着ごみの増加、これは大変今問題となっておると思うんですけれども、まず、海洋汚染防止のための政府の今後の取り組みについて御答弁をいただきたいと思います。

南川政府参考人 海洋汚染防止、これは当然ながら、海洋国家でございます我が国にとって非常に重要なことでございます。

 例えば内湾におきましては、瀬戸内海法によりましてさまざまな対策が行われておりますし、また伊勢湾、東京湾についても、総量規制ということで浄化が行われまして、おかげさまで少しずつ水質は改善をしておるところでございます。それから、周辺の海域につきましても、海上保安庁と連携をしながら、日本近海の海洋汚染の状況については把握をしておるところでございます。

 まだまだ改善が必要なところがございます。ただ、これにつきましては、国内の問題、それから海外からの流入の問題、さまざまな観点から、今後、さらにその知見を集積する必要があるというふうに考えております。

石川委員 海洋汚染の場合、遵法を徹底させることが大事なことであると思うんですけれども、この海洋汚染防止法の罰則の規定を拝見いたしますと、海洋汚染防止法改正により新設される罰則、一千万円以下の罰金については、虚偽、不正によりCO2廃棄の許可を受けた者、油、有害液体物質、廃棄物の海底下廃棄をした者、環境大臣からの改善命令に違反をした者、また、以下、百万円以下の罰金、五十万円以下の罰金、二十万円以下の罰金、十万円以下の罰金となっております。

 しかしながら、廃棄物処理法における罰則規定を読みますと、五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金、またその併科となっております。その内容については、無許可で廃棄物の収集、運搬、処分をなりわいとして行う者、処理業者が無許可で事業範囲を変更すること等々、以下、三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金、その次が五十万円以下の罰金、その次が三十万円以下の罰金となっております。また、罰金については、法人に対しては一億円まで加重できるとなっております。

 今回の海洋汚染防止法の罰則規定におきまして、遵法を徹底させるために妥当な罰則であるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、廃棄物処理法では大変厳しい罰則がございます。私ども、かつて廃棄物の仕事をしておりました。そのときに法改正も何度か行いましたけれども、やはり産業廃棄物を中心に不法投棄が後を絶たない、しかもそれが非常に多くの地域で環境汚染を起こしておる、その後の事後処理にも金がかかる、そういったことも含めまして、他の法律では考えられないような高い罰則あるいは懲役刑も設けたところでございます。

 ただ、今回について申しますと、海洋汚染防止法は、国際的な条約に基づいて、それを受けた形での改正でございまして、今回、これにつきましては、懲役刑というのは科さないという形で取り締まるという国際的な合意がございます。そういった形で、懲役刑は入れておりません。

 それから、金額につきましても、実際のこういった違反行為についての罰金といたしましては廃棄物処理法と並ぶ最高額のものだというふうに承知をしておるところでございまして、これが両罰規定になじむかどうかはさまざまな議論がございます。それについては今後の検討課題ということで考えておりまして、現在で科せる罰金としては最高額のものだというふうに認識をしております。

 いずれにしましても、これは罰金だけつくりましても取り締まりができないと意味がございませんので、環境省みずからはもちろんでございますけれども、海上保安庁、警察と十分連携して、違反があればもちろんすぐに現場を取り押さえて必要な処分ができるという体制をきちんとつくっていきたいと考えております。

石川委員 もちろん、広い海岸線でありますので、取り締まり等大変だと思います。

 今の御答弁の中でお聞きをいたしますと、そうすると、ふらちな業者が、だったら海へ捨ててしまえ、そういうインセンティブが働きかねないと思うんですけれども、そのあたりについてどうお考えか。また今後、懲役刑を含めて科す検討課題というものがあるかどうかを御答弁いただきたいと思います。

南川政府参考人 今回のこのCCSについて申しますと、これは国際条約を受けたものでございますので、懲役刑ということについては国際的な合意で科さないということになっていますので、そういったことについては現在考えておりません。

 それから、それとは別にしまして、当然ながら、それが国内の不法投棄を助長してはいけないというふうに考えております。これについては、環境省全体として、国会の御意見も伺いながら、罰則の強化については検討していく課題だというふうに認識をしております。

石川委員 罰則規定の件については、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 次に、CCSに対する国民からの理解をどう深めていくかということについてお尋ねをしたいと思います。

 特に、漁業者、またその周辺に住まわれる方々、このCO2の貯留海域周辺自治体に住まわれる方々、こういう方々との調整等も大変必要になってくると思います。また、実験をしている地域周辺に住まわれている方々も、まだよくわからないといったところが実態だと思います。CCSといっても、ほとんどの国民には浸透していないのが現状だと思いますし、また長岡や夕張でこういう取り組みが行われている、また今後世界じゅうでこういう取り組みが行われていくといったことも、まだそれ自体知らない国民が多いと思います。また、海底下に、投棄と言ったらちょっと言葉は悪いですけれども、CO2を投棄するといったことへのイメージというのも、国民の間ではまだまだ浮かんでこないところだと思います。

 こうした現状を踏まえて、今後このCCSに対して国民の理解や促進をどのように深めていくのか、御答弁をいただきたいと思います。

若林国務大臣 CCSのような新たな技術の導入に当たっては、その内容について、最新の科学的知見に基づいて国民の方々に正確に理解していただくことが大変重要だ、このように思っております。

 このような、条約に基づいて国内法の整備として法改正を行っていただきます、このことを契機としまして、国民の皆さん方にCCSの位置づけ、そしてCCSについての環境への影響、またCCSの今の技術水準といったようなことを広く普及し、新しい事実については公開していくことを原則にする。やはり信頼が基本ですから、信頼をいただけるような努力をしなければならないと考えております。

 実際の事業の実施地域が大体定まり、ここで事業を実施するというようなことが具体化してきた段階については、殊さらにそれらのことを公表し、許可申請あるいは環境影響評価の公告縦覧を行う、周辺の海域の漁業者や自治体を含めて広く関係者の理解を得るように最善の努力をする必要がある、このように考えております。

石川委員 このCCSについて、大変世界的に注目されている技術ではあると思うんですけれども、今大臣の御答弁の中で、これから広く国民の中に理解と促進というものを深めていくということだと思うんです。

 環境教育について、これは通告はしていないんですけれども、最後にお尋ねをしたいのであります。

 最初に御質問申し上げましたように、この技術が深まれば深まるほど、むしろ省エネ、そういったものに対する取り組みがおろそかになるのではないかという懸念も申し上げました。環境教育について、今後どういう取り組みで進めていくのかどうか、最後に大臣にお答えをいただいて、私の質問を終了したいと思います。

若林国務大臣 環境問題は、国民が広く理解をし、そしてそれぞれの立場で協力をしていただかないと、環境改善は進まないわけでございまして、それは、いわゆる循環型社会の形成という意味で、もったいない精神に基づいて資源を有効に利用する、いたずらに廃棄をしないといったような政策でありますとか、あるいはまた、自然と人間の共生関係というのは人間が生きていく上で非常に大事な理念でございますから、そういうような事柄でありますとか、同時に、今おっしゃられました地球温暖化への影響にストップをかけるために、温暖化対策としての省エネルギー、あるいは各種のそれへの、環境行政としては、クールビズとかあるいはウオームビズとか、うちエコとか、いろいろな国民の理解をお願いしております。

 そういうことをお願いしていくに当たって、上からただ流すというだけじゃなくて、地域の活動というものが今大変活発でございまして、小学校、中学生たちの認識、学校教育、あるいは地域におけるボランティア組織の活動、そして自治体と組んだ地域活動、さまざまな機会を利用して普及し、地域からの環境意識の向上が進むようにお願いをしているところでございまして、これは、ますますそういう努力を積み重ね広げていく必要があるというふうに考えております。

石川委員 現状では、文部省との連携等、まだまだ足りないところがあると思いますので、ぜひ進めていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

西野委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 きょうは、二酸化炭素の貯留を含めた海洋汚染防止法の改正についての質問をさせていただきます。

 まずもって、私は、大臣にお聞きしたいと思います。

 附帯決議とは一体何なんでしょうか。大臣、お答えください。

若林国務大臣 本体の、国会におきます審議が行われます法案、決議書等につきまして、それを承認し、あるいは認めていく過程で、議員の皆さん方が、その実施に当たって留意すべき事項、そしてまた政府側に対しまして、今後努力すべき事項、さまざまな事項について議院の意思として決議をされる、そのように承知いたしております。

村井委員 では、大臣に改めてお聞きします。

 その附帯決議というのは、三権分立の中で、立法権に属するものでしょうか、それとも行政権に属するものでしょうか。どちらでしょうか。

若林国務大臣 当然、立法側がその立法権に基づいて決定をするに際して、立法府の意思として、主として提案者、政府側に、実行に当たっての注文をつけられるものと理解しております。

村井委員 さて、そこで、今大臣からも、附帯決議とは立法権に属するもので、役所主導、行政主導、官僚の言いなりになるものではないという話をお答えいただきました。

 この法案は、自民、民主、両方賛成で、すんなり進むはずのものでした。そのかわりの条件として、附帯決議でしっかりと立法府の意見を入れさせてもらうということだったはずなんです。

 しかし、実際はどうでしょうか。役所がつくった文章、もちろん、これはこれで出していただいて結構です。たたき台になるんです。そこに、私たちが今、いろいろな意見を加えて、これで立法府の意見とすべきだと修正させていただきました。そして、自民党さんとの協議に応じさせていただきました。

 ところが、いろいろ加えたり直したりした分、一言一句、全部役所が書いた文章に戻して、これでやっていくということになれば、私は、本来、立法府としての意見をもっとしっかりと反映して附帯決議というものをつくっていくべきではないかというふうに思っています。

 さて、それでは本題に入らせていただきます。

 まず、日本国内においてのCCSの候補となる地域はどのぐらいあるんでしょうか。個別具体的に示してください。

南川政府参考人 我が国におけるCCSの候補地でございます。主に地下千メートル以下程度の帯水層でございまして、これは沿岸部に幅広く分布をいたしております。

 RITEという財団法人、非常に信頼できる機構だと思いますけれども、ここで、貯留可能量としては約五十二億トンという数字を出しております。ただし、これ自身は、帯水層が背斜構造、つまり、おわんの逆のような形になっておるというところで、なおかつ基礎試錘が終わったところ、そこの数字でございます。したがいまして、これに、例えば背斜構造、つまり、おわんを逆にしたようなところでも、例えば耐震関係のデータだけあるものということを見れば、これが二百十四億トンということにもなります。

 それから、こういったおわんのような形をしておらずとも、地層がかたく入り組んでおるということで、一般的にはその漏えいが考えづらいというところも入れますと、これが全体としまして約一千億トン程度ございます。

 そういう意味で、これらを合計すると千四百億トンを超えるような数字になります。

 ただし、これにつきましては、今後、このCCSがどの程度温暖化対策として採用可能かということによって調査も変わってまいります。そういう意味で、現在あるのはこういった数字ということで御理解いただければ幸いでございます。

村井委員 さて、千四百億トン、全部が使えるかどうかというのは実際やってみないとわからないんですが、その中で、私たちは、この事業を進めていく中で、海洋環境のモニタリングや環境影響調査が必須だと思います。

 その環境影響評価などを、具体的な方法や、どの程度の時間をかけて行う予定なのかについてお答えください。

南川政府参考人 まず、この調査でございますけれども、私ども、法案の中では、CO2の海底下の廃棄につきまして許可制度を設けまして、その中で、影響調査を行った書類を出していただく。また、当然ながら、その後の監視が大事でございます。これは圧入中、圧入後、ともに大事でございます。特に圧入自身が、やはり十年程度とか、そういった相当長期間になりますので、圧入時の監視ということも必要だと思っております。

 それで、影響評価でございますけれども、適切な貯留地点を選ぶ、その上ででございますけれども、海面下千メートルの貯留地点からその後の海底下地層でのCO2ガスの移動の可能性、あるいは、万が一海底から海洋中に漏えいがあった場合における海洋への影響ということについて、シミュレーションモデルを用いて計算していただこうと思っております。

 それから、モニタリングにつきましては、海水中のCO2濃度、pH、あるいはまた海洋生物といったことのモニタリングも非常に大事になります。ただ、具体的な内容につきましては、夏ごろまでに世界的に決まってくる。今も頻繁にこの関係の会議を行っておりまして、この秋までには世界的な方法論の確立をしようということで、世界の科学者、関係行政機関が集まって議論を進めております。

 私どもも、それを整理する形で、国際的に見て恥ずかしくない形でのアセスあるいは監視が行われるようにしていきたいというふうに考えております。

村井委員 さて、そういった圧入時の監視その他もろもろ、夏ごろじゃないと具体的なことがわからないというのはそれでも結構なんですが、そこで、経産省の方にお聞きしたいと思います。

 それに伴う技術開発や研究推進、それから環境影響評価などについて、どのぐらいの予算措置を考えておられますでしょうか。

本部政府参考人 IPCCの特別報告書によりますと、CCSにつきましては、大気中の温室効果ガス濃度の安定化のための主要な対策の一つと位置づけられております。我が国にとっても、地球温暖化対策の重要な選択肢の一つとして考えております。このため、経済産業省におきましては、財団法人地球環境産業技術研究機構、RITEでございますが、ここを通じまして技術開発を実施しております。

 地中貯留に関する平成十九年度、今年度の予算でございますけれども、二酸化炭素を地下帯水層に長期かつ安定に、安全に貯留する技術的基盤を確立することを目的として、二酸化炭素地下貯留技術研究開発プロジェクトにつきまして、具体的にはCO2の地中での状況把握手法や安全性評価手法の開発などに十億二千万円を予算措置しております。

 また、分離回収のコストを低減することを目的といたしまして、低品位廃熱を利用する二酸化炭素分離回収技術開発プロジェクトを実施しております。ここでは、新化学吸収液の開発や廃熱回収システムの開発などに四億八千万円を予算措置しております。そのほか、CO2分離膜の基盤技術研究開発、二酸化炭素固定化・有効利用技術開発を実施しておりまして、総額では二十二億五千三百万円の予算措置となっております。

 経済産業省といたしましては、今後とも、二酸化炭素回収、貯留の実用化に向けまして、技術開発などを積極的に推進してまいります。

村井委員 では、その二十二億の中で、環境影響評価それから監視システムなどについては、大体幾らぐらい予算を充てられていますでしょうか。

本部政府参考人 最初にお答えした中にございます十億二千万円の予算措置の中で実証試験をやっておりますので、この中に含まれておりまして、今ここで詳細に、その部分だけ取り出して幾らということは申し上げることができません。数字を持っておりません。申しわけございません。

村井委員 その二十二億の予算措置の中で、では、財団法人RITEに委託もしくは補助金で渡している分が大体幾らぐらいで、直接使っておられるのが幾らぐらいでしょうか。

本部政府参考人 申しわけございません。今年度予算の中で、直接RITEに渡している分が幾らかということについては、今、NEDOを通じて渡しておりますので、申しわけございません、この十億二千万の中の具体的にどの部分がRITEに行っているかというのは、ここで今ちょっとデータを持っておりませんので、後ほど御説明したいと思いますけれども、そのほぼ大宗がRITEに行っております。

村井委員 今回のテーマであるCCSの予算二十二億はほぼRITEという法人に行っているということ、それはそれで構わないんですが、では、そのRITEは、今自民党さんが一生懸命言っておられる、天下りを受け入れられている法人なのか、それともそうでないのか、どうなんでしょうか。

本部政府参考人 今ここで詳細に、RITEの中にどのような形で構成されているかわかりませんけれども、たしか何人か行っておられるというふうに承知しております。

村井委員 では、要するに、今回のテーマとなっているCCSの予算二十二億は天下りを受け入れられている法人に使われているということで、また次の質問へ行きたいと思います。

 事業を行おうとする地域において、当然、漁業権や鉱業権が設定されている場合、これらの権益があると思うんです。それはどのように調整される予定でしょうか、お答えください。

南川政府参考人 委員御指摘のとおり、海底下に廃棄する場合、当該海域につきまして漁業権あるいは鉱業権等が設定されている可能性があるわけでございます。この場合につきましては、まず事業者が既存の権益との調整をしていただくということになるわけでございます。

 ただ、私どもはこの場合に、先ほど大臣もお答えしておりますけれども、まず、CCSの技術開発の現状、それから一般的な知識については幅広く皆さんにわかるようにしてまいりますし、それから、個別の事業について申しますと、当然、環境省に申請がありますれば、その内容について広く公告縦覧を行うということにします。その中でさまざまな方からの意見を伺うということでございまして、これについて、それを十分踏まえた上で許認可等も行うということでございます。

 したがいまして、調整自身は事業者にお願いしますけれども、さまざまな方の意見については役所としてしっかり受けとめた上での許認可を考えたいということでございます。

村井委員 さて次に、また経産省の方にお聞きしたいと思うんですが、長岡市の実験プロジェクトでは一応の成果がおさめられたと承知しています。中越地震のときは、地中貯留状態への影響を評価した場合、CO2及び帯水層に異常は認められなかったと調査局からの参考資料に書いてありました。

 では、科学的に評価した結果、異常はなかったというんですが、どのように科学的な調査をしたんでしょうか、お答えください。

本部政府参考人 経済産業省は、先ほど御説明申し上げましたように、RITEなどを通じまして、CCSに係る技術開発を実施しております。RITEは、その一環といたしまして、長岡市において実際に二酸化炭素を地下に圧入しておりまして、しかも、現在もモニタリングを続けている状況にございます。

 圧入につきまして、具体的には、平成十五年七月から平成十七年一月にかけて行われました。場所としては、南長岡ガス田岩野原基地の地下約千メートルの帯水層に二酸化炭素一万トンを圧入しております。その圧入しております最中の平成十六年十月に、圧入場所から約二十キロ離れました地点を震源といたします新潟県中越地震が発生したわけでございます。

 貯留サイトには、二酸化炭素を注入いたしますための圧入井、圧入のための井戸のほかに、三本の観測のための井戸が掘られております。この観測のための井戸、観測井から音波を発しまして、CTのように地中の断面図を作成できる弾性波トモグラフィーと呼ばれます機械を使いまして、圧入した後、地中の二酸化炭素がどのような状況にあるかをモニタリングしておりました。

 この弾性波トモグラフィーを使いまして、地震が起こる前、地震が起こった後の二酸化炭素の貯留状況の確認を行いましたところ、貯留された二酸化炭素の移動がなく、貯留状態に特段の異常がないことが確認されたというふうに報告を受けております。

    〔委員長退席、宇野委員長代理着席〕

村井委員 今の科学的調査、科学的評価の話なんですが、こうやって具体的な今回のテーマの話、二十二億なんかも、結局、では、実際に行政や私たち立法がかかわってやっているというよりも、天下りの財団法人でやってもらっている話に全部なってしまう。

 そこで、ちょっとお聞きしたいんですが、例えば経産省なり環境省なりで直接やれないものなのか。それとも、やはりRITEというところにお金を落として、そこに天下りも行ってやらなければならないのか。そういった、直接やるのか、間接やるのかについての御意見をお聞きしたいんですが、どうでしょうか。

本部政府参考人 私どもがやっております技術開発事業につきましては、さまざまな形で、きちんと公募を行いまして、必要な技術に対するポテンシャルを有する企業、組織といったようなところにこれをお願いして委託しているところでございます。

 財団法人のRITEにつきましては、そうした能力を十分持っておると思いますし、また、そのもとにさまざまな企業や研究機関が集結いたしまして、全体としてCCSに関する技術開発を行っているところだというふうに理解しております。

村井委員 次に、大臣にお聞きしたいと思います。

 通告したとおりなんですが、今回の監視は長期にわたります。いつ漏れてくるかもわからないし、何十年後、何百年後にわたるかもわからない話です。その監視をずっとやっている。当該許可を受けられた業者さんがずっとやっていって、何かあったときに適切に大臣に報告すること、これはこれで必要だと思うんです。

 さて、もし環境省に報告をしたこと以上に、万が一異常があった場合、漏れた場合は国会にも報告すべきだと私は考えるんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

若林国務大臣 本法によります、事業者が許可を申請する場合に、監視計画あるいは海洋環境への影響のおそれのある場合の問題を含みました実施計画というものを提出してもらいます。それで、環境省の審査を受けることが必要でございます。

 監視計画につきましては、その監視の方法や頻度のほか、環境大臣への報告に関する事項もその実施計画の中に入れてもらうことを想定いたしております。

 また、海洋環境に影響を及ぼすおそれがある場合においては、事業者はその実施計画に基づいて高い頻度で監視を継続するよう、実施計画で定めることを指導したいと思っておりますが、その中で、随時、環境大臣への報告を義務づけるということを想定いたしております。

 これらの監視結果につきましては、国が受けるわけですから、情報公開法に沿って判断をすべきものと考えておりますけれども、二酸化炭素が海洋に漏えいすることなどの緊急時においては、その監視結果、出ました報告を直ちに公開するということを原則にしていきたいと考えております。

 ただ、委員が御指摘のように、かなり長期にわたって監視を続けていくわけでございますから、異常があったときに事業者側に報告をしてもらう報告事項というのは、我々が想定している限りは、まずそういうようなことは確率的にも非常に起こり得ないようなことを想定いたしております。しかしながら、万一ということが当然あるわけですから、何年に一遍なのか、委員のお話によれば何十年に一遍なのか、そういう事態が発生しないということは言い切れないことだと思いますね。

 そういうような形で漏えいを示すデータが出た場合には、これは速やかに公表してしまうというふうに考えております。したがって、公表しますから、国会の方から、ちょうど国会開会中で、これは大変なことだということで御要請があれば、当然その詳細について国会に報告することになるものと考えておりますが、国会のないときというものもございます。そういう意味では、まずは一般に公表していくということを原則にしたい、こう考えております。

村井委員 先ほど、附帯決議の中でも、公表するかどうかというのを盛り込む盛り込まないで言ったんですが、少なくとも、今この場でこうやって公表するということを大臣がおっしゃっていただいた、何十年後になるか、何百年後になるかわからない話なんですが、万が一漏れたときにこうやって一般公表するということを大臣がこの委員会でおっしゃられた、そして議事録にしっかり残ったということは非常に大きいことだと思います。大臣、本当にありがとうございました。

 さて、そうしたら、次の質問に移りたいと思います。

 海底下のCO2が漏えいした場合、CO2濃度の上昇による海洋生態系に及ぼす影響が大きいと私たちは考えています。中環審の答申では、「海洋環境への影響のおそれが生じた場合の措置」で、許可事業者が当該監視結果及び当該措置を実施する場合、環境大臣に報告するとあるが、「海洋環境への影響のおそれが生じた場合」の監視及び措置とは、具体的にどのようなものなんでしょうか。南川局長、お答えください。

南川政府参考人 御指摘の、監視あるいはそれに伴う措置でございます。

 事業者からは、監視計画あるいは実施計画というものをお出しいただきます。その中で、私どもが現在想定しておりますのは、監視の対象項目といたしましては、二酸化炭素のガスの圧入の圧力、それから貯留層内の圧力、貯留した地層内におけますCO2ガスの挙動、そういったことが考えられます。

 また、海洋環境への影響のおそれというものが生じた場合の措置でございます。これにつきましては、CO2の廃棄行為の中止、あるいはその圧入圧力を下げる、そういったことを想定しておるところでございます。

 また、当然でございますが、事業者が海洋の汚染状況等の監視を行いまして、どういう措置を講じたかという措置の内容とともに、随時、その結果につきましても環境大臣に報告をいただく、それを義務づけるということを考えておるところでございます。

村井委員 さて、次に、私がお配りした資料について触れたいと思います。

 一ページ目をめくっていただければと思います。読売新聞の記事です。四月二十五日、ついこの間、サンゴ礁の積極保護の記事を環境省からの発表で出していました。

 もちろん、こういったサンゴ礁は、CO2などによって非常に石化していったり、生殖能力が低下したり、卵や稚魚においては高い死亡率があるなど、海洋生態系の生存が脅かされるという話が上がっています。そのことについては皆さんも御存じだと思うんです。

 さて、そこで、環境省として北川大臣政務官にお聞きします。

 つまり、二酸化炭素の海洋貯留の海洋への環境影響評価の知見も踏まえ、CCSの実施について、サンゴ礁を初め海洋環境、海洋生物に対してどのように配慮していくおつもりでしょうか。

北川(知)大臣政務官 村井委員御指摘のように、先日もサンゴ礁会議が東京、池袋でありました。各国からそれぞれの代表が来られて行われたわけであります。サンゴ礁というのは地球の大きな財産でもありますし、大事にしなければいけないと思っております。

 そして、二酸化炭素の海底下地層貯留に当たりまして、まず、貯留地点周辺の海底から漏えいする二酸化炭素が海洋環境に与える影響を未然に防止するためには、まずその貯留地点を適切に選定することが重要であると考えております。

 地点の選定におきまして配慮すべき事項といたしまして、貯留地点付近における藻場、干潟、サンゴ礁などの貴重な生態系の有無などを検討していくということにもなっております。

 これらの事項については、本法に基づき、事業者が事前に環境影響評価を行い、許可申請書に添付することとなっております。そういう形で対応をしていきます。

村井委員 関連質問なので、大臣政務官じゃなくて環境省の方にお答えいただいてもいいと思うんですが、事業者が環境影響評価をしていく、もちろんこれはこれでもいいんですが、では、実際事業をしていく人が、これはやはりサンゴ礁にちょっとでも影響があるというのをなかなか報告しづらいと思うんです。そんな中で、環境省は、サンゴ礁に対する環境影響評価にどのようにかかわられるおつもりでしょうか。

南川政府参考人 まず、サンゴ礁でございます。

 サンゴ礁につきましては、先ほど北川政務官がお答えしましたとおり、環境省の自然環境局が窓口になりまして、現在、パラオとともに、ICRIというサンゴ礁を守る国際的な機構の事務局を務めております。そういう中で、先週末から今週初めにかけまして、池袋でその国際会議が行われました。その際も、サンゴ礁と温暖化の問題ということで幅広く議論がされております。

 当然でございますけれども、サンゴ礁は、私ども、海洋汚染防止法に基づきましてさまざまな調査研究を行ってまいります。そういう中で、こういったサンゴ礁の問題というのも、サンゴ礁とのかかわりについてもぜひ調査研究をして提供できるようにしていきたいというふうに考えております。

 それからもう一点、この間のICRIの議論でございましたのは、サンゴ礁自身は、温暖化で海洋の温度が上がるということについて非常に大きな影響を受けているということでございまして、そういった意味でも、サンゴ礁と温暖化問題のかかわりは大きいというふうに考えております。

村井委員 さて、次に、CCSにおけるCO2の分離、回収、輸送、貯留に対してのコストは非常に高いと予想されます。実用化が難しいかどうか、最終的には技術が開発されていけばできると思うんですが、そんな中で、コスト削減に向かってどのように取り組みをされていると考えておられるのか。

 それから、本格的な実施の前に、CO2の回収、貯留などのコストと排出権取引のコストの比較をする必要があると考えます。その比較についてどのように国会に報告されるかについてお答えください。

北川(知)大臣政務官 CCSは、分離、回収、輸送、圧入及び貯留という一連のプロセスから成るところでありまして、今委員御指摘のように、この二酸化炭素の分離回収にかかるコストがその中でも最も高いと言われております。二〇〇五年に公表されたCCSに関するIPCC特別報告書によれば、石炭またはガス火力発電所から二酸化炭素を分離回収する場合、二酸化炭素一トン当たり十五ドルから七十五ドル程度かかると試算をされております。

 このため、関係省庁と連携し、関連の技術開発を推進することが、CCSのコスト削減に不可欠であると考えております。

 CCSの本格実施前から、必要な設備投資、許可手続等を経て実際にCCSが実施されるまでには相当期間がかかると見込まれておりますし、市場の需給動向により大きく変動するおそれのあるクレジットの価格について、CCSの本格実施前の時点における市場価格とCCSに係るコストを比較するのは適当ではないと考えております。

村井委員 実施をするかどうかの前に、回収、貯留のコスト、それから排出権取引のコストというのは、少なくとも判断材料として公開されなければならないと考えるんです。そして、私たち国会議員にも、そして環境委員の中にも、やるころにこのメンバーがそのままいるかどうか、かわるかもしれませんが、少なくとも、そういった中で、国会で議論をする機会は必要だと思うんです。

 今私たちが、CCSを進めるかどうかの判断、これは正直難しいと思います。それは、今の時点では両方のコスト、排出権取引との価格差がわからないからです。ただ、実施をするかどうかの時点での判断に、私たち国会や、こうやって立法府、国民の代表がかかわるためには、当然、値段の情報公開が必要だと考えるんですが、国会への報告や情報公開をどのように考えられますでしょうか。

    〔宇野委員長代理退席、委員長着席〕

南川政府参考人 技術開発につきまして幾ら金がかかるか、また、その技術が適用される場合幾らかかるか、これはさまざまな要素で決まってくると思います。

 特に、CCSを考えますと、CCSが、例えば来年の十二月のCOPでCDMに使えるかどうかということがまた議論になります。これにつきまして、仮にそれが決まれば、採用が決まればどうなるかといいますと、全体としてCDMの値段が、単価が下がることになります。したがいまして、CDMに期待している国は、これが採用されることについては反対というようなことを言っています、もちろん日本は賛成をしておりますけれども、そういうことがございます。したがって、コストが随分それによって変わってまいります。

 それから、当然、こういうコストというのは競争の中で決まってまいりますので、私ども、現状はということで聞かれた場合に、当然、相場的なものはお答えしていきたいと思いますけれども、では、刻々どう変わっていくのかということについて申しますと、あくまでさまざまな要素を含めて需給バランスの中で決まってまいります。また、国際的なそういう調整の過程も経て結果的に決まってまいりますので、なかなか定例的な報告にはなじみにくいというふうに考えておるところでございます。

村井委員 さて、次の質問に移ります。

 もう一度、また資料の方を見ていただければと思います。

 もう一枚めくりまして、日経新聞の「石炭発電CO2排出ゼロ 日米中など五カ国で開発」という話が今記事として出ています。このことについて、一度環境委員会の方にも御報告、それから御指導いただければと思いますが、どうでしょうか。

南川政府参考人 これにつきましては、私ども、済みません、新聞を読む限りでございます、この記事を見る限りでは、安倍首相とブッシュ大統領の共同文書ということで、署名される方向で調整ということでございます。したがって、仮にこれがまとまれば、当然、求めに応じて、私ども、関係の省庁と相談の上で、情報というのはきちんと出していく必要があるというふうに考えております。

 ただ、恐縮でございますが、あくまでそういう見込みという新聞記事でございますので、今の段階ではそれにとどめさせていただきます。

村井委員 見込みだとかそういうことで、残念ながら、環境委員会の私らの中でも全く話の知らないところで、ちょうどその話が議論されているときにこうやってどんと新聞に出る。次世代型の石炭火力発電、もちろん、これはこれで進むのはいいんですが、ぜひまたそういうことを、ちょうど関係する法案を審議しているときだったので、お話しいただければよかったんじゃないかなと思いました。

 さて、その話を進めるときに、さらに、こういったCO2の回収、貯留の技術だけじゃなくて、省エネルギーや再生可能エネルギーなど、それから思い切った都市構造の見直しなど、社会経済構造の変革自身を進めるべきだと考えるんですが、北川環境政務官はどのように考えられますでしょうか。

北川(知)大臣政務官 委員御指摘の、地球温暖化を防止といいますか、対応に対して、都市構造、また社会の構造の変革が重要であるという認識は私も同じであります。

 ただ、急に行おうとすれば、そこに住まいをされている方々や日常生活をされている方、業を営んでいる方、さまざまな方々がおられますし、自治体等々の方針もあるでしょうから、そういう関係の方々とも協調もしていかなければなりませんし、理解を得ていかなければならないと思っております。

 中長期的には、そういう方々の御理解、御協力をいただきながら、社会経済システムの抜本的な変革を進めていく必要性があると考えております。

 また、二酸化炭素、今回の地中の貯留技術の活用のみならず、省エネルギーの推進、そして再生可能エネルギー、新エネルギー等々に積極的に取り組んでいくことも重要であると思っておりまして、村井委員の地元の富山におきましても、LRT等々が導入をされ、そして、中心市街地活性化、そしてまた、国の一つの方向性としてコンパクトシティー等の方向性も出ておりますので、こういう点を踏まえつつ、この問題にも取り組んでいきたいと考えております。

村井委員 さて、そこで、次に大臣にお聞きしたいと思うんです。

 当然、CO2の貯留、回収がもし仮にCDMなどに算入された場合、それから、将来、技術開発をされて、それによってCO2の排出の量が削減されると算入される場合に仮定しての話なんですが、その場合は、当然温室効果ガスの排出削減の目標をさらに高めるべきだと考えるんですが、大臣はどのように考えますでしょうか。

若林国務大臣 委員が仮定を置いて御質問でございますが、私自身は、今これがどの程度CO2削減に具体的に効果があるのかということについて、まだ確信を持つに至っておりません。まずは、実証的な試験を、実験を積み重ねながら、それらの結果を受けて、実際これが民間の事業として行われ得るものかどうか、そういうような判断に至るまでにはかなりの時間を要するのではないかと私は考えているわけでございます。

 欧米におきまして、石油の産出国、産出地域では石油を掘っておりますね。石油を掘っている、そういう技術を持っている、また、その地域のあるところは、いろいろ言われております、私もその専門的な方に確認したわけじゃありませんけれども、だんだん湧出量が少なくなってくる、石油が少なくなってきても、一方でガスを入れることによって、それをもう一度再活性化して石油をとることができるという可能性があるんだそうでありまして、また事実、そういうことも行われております。そういうところは、まさに現実に、炭酸ガスを地中に圧力をかけて入れることによって石油収入が得られるということがありますから、その価格だとかいうのもそういう利益との関係で決まってくるということであります。

 しかし、我が国においては、長岡でいろいろ実証的に試みているわけですけれども、そのことによって石油やガスを取得することができるというような、そういう可能性のところの実証試験をやっているわけでもないのでございます。ですから、そういう意味で、これがCO2の削減効果としてどの程度の削減効果を生むことができるかということに至るまでの我が国の知見というのはまだまだ十分ではない、こう考えておりますので、せっかくの御質問でございますが、どの程度の全体削減量になるかということについては、私は、政策目標としてカウントできるような状況にはまだまだなっていない、こう思っております。

村井委員 その上で、大臣にお聞きしたいんですが、では、政策目標として今どれだけいけるかわからないにしても、将来的には、排出量削減の中のオプションとして考えて、ある程度見通しを立てようと思っておられますか、どうでしょうか。

若林国務大臣 立てられればいいなと思っておりますが、自信はありません。

村井委員 さて、その上で、私は、大臣が先日G8で世界各国に提言された内容、本当にすばらしいと思いました。CO2の排出量を二〇五〇年ぐらいまでに半減しなければならないと主張されました。そのことは今も変わらず思っておられるということでよろしいでしょうか。大臣、どうでしょうか。

若林国務大臣 実は、G8プラス5の大臣会合の中で、私は、五〇年ということを明示して提案をしてはおりません。

 非常に対立をしました。対立をしましたそれを調整するためには、やはり米国あるいは中国、インドなど、今義務を負っていない主要排出国もその土俵に乗ってもらわなければ前進しないわけでありますから、どうやったらその土俵に乗ってくるかということを、会議の模様を見ながら、私が提案をしましたのは、まず、温暖化をストップするということについては、いろいろな意見があるけれども、これは共通の認識が持てるんじゃないですかということを申し上げました。

 そして、それが持てるということを確認した上で、それではそれをいつごろまでにストップする措置を講ずるか。ストップするためには、吸収量と排出量との間でバランスがとれなきゃいけないわけですから、半減ということが言われるわけでございます。場合によっては半分以上必要になるかもしれません。それを実現する時期をいつにするか。これは見解の違いがあるので、それをお互いに議論し合って、共通の時期というものを模索していく、次のステップはそこに行くんじゃないでしょうかということを、ある種の議論を収拾する過程で申し上げたわけでございます。

 結局、最終的には議長が、いつということは言わないけれども、途上国も先進国も、みんなそれぞれが共通に温室効果ガスを削減して温暖化をとめるということの認識は一致していると思う、そのためにみんなで、それぞれの立場で努力しようじゃないかというふうに集約をする結果になった、これがあの公の協議の状況でございました。

村井委員 では、その公の協議としたら、半減はいいけれども、いつまでかは決まっていない。

 日本国の主張としては、では、その半減の時期は大体いつぐらいでしょうか。

若林国務大臣 今申し上げたと思いますけれども、半減という言葉を使って決めたわけではないのです。

 つまり、温暖化をとめようということについてはみんな共通の認識を持ち、そういう認識のもとで努力しようねということが議長の集約としてあったということでございまして、それを半分というふうに見るか、あるいはもっと水準の高い削減と見るかは、合意をしたわけではございませんでした。

 我が国は、実は来年がホスト国、議長国でございます。それで、我が国が議長を行うG8の舞台でG20の報告も行われるということがございます。そうしますと、ちょうど第一約束期間が一二年に終わるとして、一三年から間を置かないで次の枠組みがスタートを切るということを逆算していきますと、議論としては、EU側からは、九年中には新しい枠組みの条約ができていないと間に合わないというような意見もございます。しかし、そこまでにまとめられるかどうかということについて異論もあるわけでございます。

 しかし、いずれにしても、日本で行われる八年のG8は大変重要な場面になってくる。何が一番重要かといえば、アメリカと中国、さらにインド、そしてG5として参加をしていましたブラジルとか南アとかメキシコとか、非常に経済発展が著しい地域の国々にも参加してもらうということでございます。これはなかなか、見通しがついておりませんので、議長国である日本が公の立場でこういうふうにするんだということを言いますと、議長としてのイニシアチブが十分発揮できなくなる、そういうことが危惧されるわけでございます。

 ですから、いろいろな腹構えを持ちながらも、日本はこうだというようなことがアナウンスされますと、日本が議長国として取りまとめの責任を果たすことが難しくなるというような状況でございますので、今、日本としてどうだというのは申し上げにくい状況でございます。

 しかし、世界の大勢として、中国及びアメリカの感触を探っておりまして、そういう感触の中から、これらの両国が、今の時点で合意しなくても、最終的に、着地としてはそういう筋で乗ってこられるんじゃないか、そういう見通し、判断というのをいつするか、その点は、まさに私は、さきの温家宝と安倍首相との首脳会談、そして今行われておりますアメリカのブッシュ大統領との首脳の会談の中で、どこまでそういうことが話し合いの中から感触がつかめるのか、そこはまさに首脳会談の課題の一つだというふうに思っておりまして、その辺は、感触が得られれば、安倍総理の判断で、イニシアチブで、もう少し具体的なことが言える段階に来るのかな、こんな思いでございます。

村井委員 私はこの間、あのとき、G8の環境サミットの報告を大臣がこの場でされたときに、ああ、すばらしいなと思った。だけれども、今回、長期目標は定めない、言えない。大分言っていた中身が後退したなと思いました。

 もう一度確認します。

 G8において、大臣が行かれたときに、通るか通らなかったかはともかくとして、日本としては、長期目標を世界全体ではどうあるべきだと考えて主張されたんでしょうか。

若林国務大臣 私が申し上げたのは、二〇五〇年と委員がおっしゃいましたので、二〇五〇年という時期を切って、削減の長期目標について私は公式に発言はしていないということをお話ししたわけでございます。

 しかし、温暖化をストップするということであれば、少なくとも排出量を吸収量の範囲にしなければいけないわけですから、それは半減ということを意味するわけでございまして、長期的に見れば、ストップするためには半減が必要だ、先般も当委員会で申し上げた趣旨はそういう趣旨でございまして、いささかもその考えは変わっておりません。長期的には半減をしなければならない、こう考えております。

村井委員 長期的には半減をしなければならないと思いますと大臣はおっしゃられた、その長期というのは大体どのぐらいを指しておられるのか。もちろん、その場で公式的に発言していないことはわかった上で、G8で公式な発言をしていないことはわかった上で、大臣が今おっしゃられた長期的な半減の長期とは大体どのぐらいの考えなんでしょうか。

若林国務大臣 これは、先ほどもるる申し上げておりますが、日本が議長国として、中国、アメリカにこの土俵に乗ってもらうように調整をする役割でありまして、EUとの間に立って、そこの調整が図れるという見通しがないと、いつまでということを責任ある立場で申し上げることはお許しいただきたいと思います。

村井委員 ぜひ、せっかく議長国として日本がやる中で、しっかりと長期目標を定めて、具体的な半減の時期を私はまとめていただければと思っています。

 さて、それでは次の質問へ移りたいと思います。

 京都メカニズムの一つとして、CDM、クリーン開発メカニズムがあります。その活用について、京都議定書締約国会合で議論され、第四回締約国会合でガイダンス採択に向けてのプロセスや解決すべき課題について決定され、現在、CDMプロジェクトにおけるCCSの扱いについて検討中の段階であると承知しています。

 その上で、我が国において、CCS事業のCDMとしての将来的な活用について、どのような考えを持たれておられますでしょうか。

北川(知)大臣政務官 CCSのCDMとしての活用についてでありますけれども、CCSをCDMとして実施することを可能とするためのガイダンスを二〇〇八年開催予定のCOP/moP4で採択することに向けて、そのための作業プロセスや解決すべき課題といたしまして、二酸化炭素の貯留サイトからの長期にわたる漏えいリスクの評価、そして貯留サイトにおける長期間の管理責任の扱い、貯留サイトの選定に関する評価方法、国境をまたぐプロジェクト境界の扱いがCOP/moP2で指摘され、決定をされたところであります。

 これに基づいて、我が国といたしましても、今後、適切なガイダンスが採択をされるよう、この検討作業に参加をしていきたいと考えております。

村井委員 それでは、大臣に次の質問をしたいと思います。

 三月二十三日、私が環境委員会で、この場で質問をさせていただいたときの中の話なんですが、CO2の削減について若林大臣は、規制がなければそれが一番いい、どうしてもそこでできなければ、規制を導入せざるを得ないかと思っていますと答弁されました。

 自主的な取り組みで目標達成ができなかった場合、一つ目として、日本企業のビジネスチャンスがなくなります。二点目として、二〇一三年以降の枠組み交渉においての日本の発言力が急速に弱まりますといった悪影響の出る可能性があります。

 そこで、大臣にお聞きしたいと思います。

 自主行動計画だけで大丈夫かという判断をするのはいつなのか、そして、逆に、それができないとして、規制や経済的手法を導入しなければならないと判断するのはいつごろ判断されるでしょうか。

若林国務大臣 京都議定書の目標を達成するということは、私もCOP12で公に必ずこれは達成をする決意だということを述べておりますし、先般のドイツにおけるG8プラス5におきましても、日本は京都議定書の義務をしっかりと果たすことを前提にいろいろと意見を申し上げさせていただいているということを言ってまいりました。

 総理も、京都議定書の目標達成は、国家の責任としてこれをきちっとしなきゃならないというお考えをお持ちでございます。

 さてそこで、現状は大変厳しい環境にあるわけでございますが、今、この目標達成計画にどこまで現実が進んでいるのか、部門別にずっと詳細なヒアリングを続けてきております。そのヒアリングをしながら、さらに、どこまで踏み込んで協力が得られるのか、さらなる追加的な措置があるのかどうか、そういう詳細データに基づいて、対策の進みぐあい、今後の見通しを現在厳格に評価を進めている最中でございます。

 実効のある対策の追加の必要があるかどうか、さらに強化をする必要があるかどうかということを検討しているわけでありますが、私としましては、中間的な報告はこの夏ごろには得たいな、こう思っているわけでございます。

 報告を得たいという意味は、中央環境審議会と産業構造審議会に検討をお願いして、我々も事務局としてかかわっておりますけれども、審議会が精力的に話を聞いていただいておるわけでございますから、審議会としては、我々に、夏過ぎぐらい、夏の終わりごろになるかもしれませんが、そのころには審議会としての中間報告をいただきたいなというふうに思っております。

 政府としては、来年から正式に発足をしていくわけでありますから、やはり年内には政府としての最終的な腹構えをした上で、立法措置を要することであれば次期の通常国会に立法をお願いするというようなことにもなりましょうし、それらは年内に政府としての腹構えをしたいというふうに思うんですが、今御指摘がありました新たな規制あるいは経済的手法の導入を含めて、どういう対策が、またどういう施策が必要であるかについては、今のようなタイムスケジュールを念頭に置いて詰めていきたい、こう思っております。

村井委員 ここにお集まりの皆さんも御存じのとおり、今まで、私たち、日本の政府そして国会は、経済界には自主的に行動計画をつくってほしい、国民には自主的に取り組んでほしいと呼びかけてきました。その結果、逆にCO2の排出量はどんどんふえ続けました。できると思ったのにできなかった、それでも、また来年は自主行動計画と自主的取り組みを呼びかけよう、それでまたふえていく。どんどんふえ続けていったこの十年間でした。

 さて、私たちは次にどうすべきでしょうか。大臣は、この夏に中間報告、そして年内には腹構えをしたいという希望をおっしゃられました。私は、この時点で、では、中間報告の結果を見て、このままの自主行動計画と自主的な取り組みだけでふえ続けてしまうということであれば、まさに規制や経済的手法の導入という本格的に減らすための政策が必要だと考えるんですが、大臣はそのような認識でよろしいでしょうか。

若林国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。そういう委員の御意見があることも十分受けとめながら、先ほど申し上げましたようなスケジュールで問題を詰めていきたい、こう考えております。

村井委員 ありがとうございます。

 大臣の、中間報告を見て、やはり自主的取り組み、自主的頑張りで何とかなったという話だったら結構なんですが、これまでどおり自主的取り組みではだめだということだったら、そろそろことしじゅうには腹を固めていただければとお願いを申し上げます。

 それでは、質問をころっとかえまして、財務省の方にお聞きしたいと思うんです。

 現状の温室効果ガスの削減がうまくいかずに、このまま自主的取り組みだけでふえ続け、そして、京都議定書目標達成計画がどんどんと崩れていく、それでお金で解決をするという話になった場合の前提なんですが、森林吸収源三・八%と京都メカニズムの一・六%、それから、さらに京都メカニズム利用にて海外から追加で調達しなければならなくなります。

 仮に、その財政負担はどのように考えておられますでしょうか。財務省にお聞きいたします。

松元政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇五年度の我が国の温室効果ガスの排出量が、一九九〇年度に比べまして八・一%増となっておりまして、我が国として目標の達成が大きな課題になっておるということにつきましては、財政当局としても認識いたしておるところでございます。

 この京都議定書目標達成計画におきましては、国内での温室効果ガスの排出削減対策及び吸収源対策を基本といたしまして、国民各層が最大限努力し、それでもなお目標達成に不足する差分として見込まれます一・六%相当につきまして、クレジットの取得により対応することとしているところでございます。

 この現状の対策が効果を上げなかった場合との御指摘でございますが、現在、京都議定書目標達成計画につきましては、ただいま環境大臣の方からお話がございましたように、その評価見直しが行われているところでございまして、現時点では、それ以上のクレジットの取得は想定しておらないということでございます。

 いずれにいたしましても、財政当局といたしましては、目標の達成に向けた具体的な取り組みにつきまして、関係各方面の対応を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

村井委員 適切に対応しますでは、予算措置を聞いているのに、残念ながら答えにならないと思うのでもう一度お聞きするんですが、例えば二酸化炭素一トン当たり幾らで計算して排出権取引を考えているのか、それから、五年間もしくは一年間で幾らぐらいの予算措置を考えておられるんでしょうか。具体的にお答えください。

松元政府参考人 クレジットの調達に当たりまして、実際の取引価格等どういう対応になっておるかという御質問でございますが、平成十八年度及び十九年度予算におきますクレジットの取得費につきましては、予算編成時点におきます世界銀行のデータ等に基づきまして、取引実勢を勘案して設定したところでございます。

 このクレジットの価格、マーケットができつつある、あるいは一部できておりまして、その価格変動があるということでございますが、我が国のクレジットの取得に当たりましては、厳正かつ効率的な手続を経て、国にとって最も有利な条件の案件を選定し、費用対効果の高い取得を行うことが基本と考えておりまして、こうした方針のもと、クレジット取引の動向ですとか実例等も参考にしながら、今後の予算編成に取り組んでまいりたいと考えております。

村井委員 せっかく環境委員会に大事な話をしに来ていただいているのに、頑張りますとか適切に取り組みますじゃなくて、具体的に幾らぐらいを想定しているのかという具体的な数字の話をお願いします。

松元政府参考人 具体的な数値といたしましては、環境省さんの方でさまざまなデータを把握しておられると思いますが、平成十八年度及び十九年度の予算におきます予算編成上の御要求がございまして、それで、この予算を設定いたしましたときの単価といたしましては、世界銀行の予測価格を参考にいたしまして、トン当たり八百三十四円という価格を設定いたしておるところでございます。

村井委員 私も実は予算書を見させてもらったら、一トン当たり八百三十四円で計算しておられる。ただし、今私たちがこの法案の審議のときの参考資料でもらったものを見れば、また違う値段になっています。

 世界銀行の分、十一ドルぐらいというふうにも書いてあったんですが、本当は幾らぐらいで算定するのが正しいと思っておられますでしょうか。場合によっては見直される意向はありますでしょうか。どうでしょうか。

南川政府参考人 これは値段でございます。当然ながら需要と供給の関係で決まってまいりまして、また、私どもは十八年度、四件ほど購入を政府としていたしましたが、平均しますと千八百五十円程度ということでございます。去年からことしにかけて、さまざまな国が購入を急いでいるということもございまして、その単価が上がっているということは事実でございます。

 ただ、さっきも議論がございましたけれども、例えばCDMにCCSが使えるかどうかということについて言いますと、来年の十二月に話し合いが行われますけれども、要するに、CDMに期待をしている国は、そういったことが含まれて値崩れすることに反対をしているというようなこともございます。

 そういう意味で、さまざまな要素が入りまして値段が決まってまいります。私どもとしては、世界銀行がそういったことの統計をとっておりますので、そういったこともよく見ながら、予算要求については考えていきたいというふうに考えております。

村井委員 さて、値段の話が出たところで、お配りしている資料を見ていただければと思います。

 読売新聞の方で、CO2削減のコスト例示、これが四月二十五日に出ました。実際にどこまで信じるかどうかはともかく、国連で最も権威のあるIPCCの作業部会での値段の報告書が出ています。

 一トン削減に百ドルかければ、ちょっと高過ぎるような気もするんですが、百ドルかければ三百億トンは削減できると提言している。幾らかけるかはともかく、今の百ドルの話と、ここに出ていた今回の千八百五十円、予算でつけた八百三十四円では随分の開きがあります。

 一トン当たりの値段がこんなに違っていく中で、財務省として、もしくは環境省として、今後CO2削減にしっかりとコストを投入していくおつもりはありますでしょうか。どうでしょうか。

南川政府参考人 まず、このIPCCの報告書でございます。

 これは実は、今週の末からバンコクで始まります会議において議論されるものでございますが、何せ数百人の科学者がこれに携わっております。そういう中で、一部、不確実なものも含めて新聞に出ているということでございます。

 ただ、私ども認識している範囲では、私が原文を読みました範囲では、コスト別に分けまして、それこそ、二十ドルから三十ドルとか、四十ドル、五十ドルとか、百ドルまで分けまして、さまざまなコスト計算をしております。その場合にどれだけ世界的に減らせるか、そういったことも示しておりまして、その中で、日本の場合について申しますと、非常に一トンを減らすコストが高いというようなことも出ていたように記憶をしております。

 ただ、私どもは、全体としまして、とにかく削減ということにつきましては、京都議定書が達成できるように削減をしていく。その上で、当然ながら、三・八%の吸収源、それから一・六%の京都メカニズムということも活用していくということで考えております。

 いろいろ数字について申しますと、八・一%ということで、不可能なことを議論されますけれども、例えば原発一つとりましても、原発の稼働率が長期的に低下していることによる影響が二・三%ございますし、あるいは、私どもさらに、目達計画の中ではより高い原発の稼働率も想定しております。

 したがいまして、世上言われているようなことで、絶望じゃないかということでは私ども考えておりませんで、ぜひ現実的な対策と、それから、場合によっては無理を言うこともあると思います。国民運動を多面的に展開する、そういう中で、今注目されておりますエネルギー起源の化石燃料の問題だけじゃなくて、非エネルギーのCO2とか、その他のフロンガスとかメタンとか、そういうものも含めてぜひ広範な対策をとっていきたい、何とかこの京都議定書の目標を達成したいというふうに考えて、さまざまな対策を講じていきたいと思います。

村井委員 私は、CO2の削減で京都議定書達成、もしくは、その後、長期的には半減を目指してさまざまな政策手段を打っていくべきだと考えます。その点については考えは一緒です。その上で、政策はすべて、どんないい政策だろうが悪い政策だろうが、コスト計算をして最善のものを補うべきだと思っています。

 そういった意味で、今、排出権を買う場合は八百三十四円から千八百五十円の間前後、さらに、今、CCSは今回やりますけれども、幾らぐらいになるかよくわからない状態。そんな中でしっかりと、この記事にもありますよう、さまざまなコストを例示しながら、そしていろいろなオプションを使って、何とか今回、地球温暖化を防止していかなければならないというお訴えをさせていただきたいと思います。

 それでは、次の質問にかえさせていただきます。

 先日からの民主党と自民党との議論もありましたが、自主行動計画だけで十分かどうかという議論なんです。自主行動計画でやれるんだという話もありますけれども、その自主行動計画の対象業種、つまり未策定業種もかなりあるのではないかと私は思っています。

 実際、自主行動計画をつくっておられない業種は何割ぐらいなんでしょうか、お答えください。

南川政府参考人 お答えいたします。

 先日、中央環境審議会、産業構造審議会合同で会議を行いました。四月の十七日でございます。その中で、具体的な自主行動計画の深掘りあるいは対象範囲の拡大ということも提言がされております。

 例えば、具体的に申しますと、パチンコとかゲームセンターあるいは学校関係、病院とか生協、情報サービス業、リース業、それから特定規模の電気事業者、そういったところがございます。

 それから、これからつくっていただこうということ以外にも幾つかございまして、定性的な目標を定量化してもらおう、やはり効率だけでは何トン減るかわからないわけでございますから、そういった定量化もしてもらおうということで、生保とか損保あるいは通信、放送、それから外食産業、そういったこともございます。

 そういったことを含めて、ぜひ、自主行動計画について範囲が広がり、その深掘りができるようにしていきたいと思いますし、私ども、そういった中で、必要なところについて深掘りもしたい、数字もさらに、より下げたいということで、食品関係あるいは化学関係、石油関係、住宅生産を含めて、数字をさらに下げるようにということも結論として得ておりますので、そういったこともやっていきたいというふうに考えておるところでございます。

 この自主行動計画、いろいろ議論ございますけれども、私も職業柄、外国の方とも随分お会いします。日本は何でこんなに自主行動計画がワークするんだということを言われますけれども、事のよしあしは別にしまして、それが働くことによってさまざまな対策がかなり進んでおることも事実でございます。

 そういったことはそういったことで大事にしながら、ぜひ、まだ未策定業種についての拡大、それから一層の深掘りということをやっていきたい。その上で、先ほど大臣の御答弁がございましたような形での結論というものを考えたいというふうに考えております。

村井委員 聞きたかったのは、何割ぐらいがまだ未策定なのかという話だったんですが、それはまた後でで結構です。

 時間がないので次へ行きたいと思います。

 もう一枚、次の資料をめくっていただければと思います。

 資源エネルギー庁の話で、自民党の合同部会で示したということ、「京都議定書日本に厳しい」「枠組みの問題も指摘」というふうにあります。

 非常に一生懸命環境問題に取り組もうとしている人たちにとってはネガティブな記事だったわけですが、この間の経緯などについて、資源エネルギー庁の方でお答えいただいてよろしいでしょうか。

平工政府参考人 エネルギー政策基本法におきまして、毎年、政府は、エネルギー白書を作成し、国会に御報告することとされております。

 現在、平成十八年度のエネルギー白書の取りまとめ作業を行っておるところでございますが、温室効果ガスの大宗はエネルギー起源ということもございまして、地球温暖化問題についても取り上げる必要があるというふうに考えております。

 御質問のエネルギー白書骨子案につきましては、ポスト京都議定書をより実効性のある枠組みというふうにするために、米国、中国、インドを含む主要排出国が参加してCO2削減に取り組むべきこと等が重要であるというふうにしております。これは、先ほど環境大臣からも御答弁いただいたとおりでございます。

 このように、エネルギー白書骨子案の趣旨は、京都議定書が日本に不平等であるというものではなくて、主要排出国を含め、より多くの国々が新たな枠組みに参加をし、地球規模で排出削減を実行していくことが重要であるというものでございます。

 こうした基本的な考え方に基づきまして、我が国といたしましては、より実効性のある国際的な枠組みの構築に向けて議論を主導してまいりたいというふうに考えております。

村井委員 次に、私たちが今取り組んでいるカーボンディスクロージャー、二酸化炭素の情報公開の話に踏み込みたいと思います。

 前から、CO2の排出量をより公開して目立つようにという話をしていました。今回は、特に投資家に対してのカーボンディスクロージャー、つまり二酸化炭素の情報公開の話をしたいと思うんです。

 気候変動は、当然、いろいろな投資家の方にとっても大きなリスクになるわけです。当然、経済システムがうまく活用することで、より効率的に低炭素社会を構築できる可能性も高いし、お金の流れをより低炭素型ビジネスへシフトさせていく必要があると私たちは考えています。

 実際、カーボンディスクロージャープロジェクトなど、地球温暖化の企業経営への影響、企業の果たす役割について、投資家、金融サイドからの関心は急速に高まっており、情報開示を求める動きも強まっています。また、公認会計士協会からも、温暖化情報開示の制度化に向けた研究報告が出ています。それは、私がきょうここにお配りしている最後の資料のとおりです。

 今後、低炭素社会へ貢献する企業や技術に、資金が効率的に流れる仕組みをつくっていくことが極めて重要であり、そこに、市場の情報開示制度が果たす役割、期待は非常に大きいと考えています。

 このような状況において、金融庁にて、資本市場が低炭素化社会に対応、貢献する仕組みの構築、さらには、企業の投資化向けの情報開示制度において、気候変動情報を盛り込むことを検討しておられますでしょうか、どうでしょうか。

細溝政府参考人 ディスクロージャーについてのお尋ねがございました。

 企業が環境問題への取り組みをいろいろやっておりますが、その企業が、ホームページやディスクロージャー指針といった任意の環境報告書等を通じて積極的に、自主的に開示を進めていくということは、まさにこの問題の重要性からかんがみまして重要だ、望ましいことだと思っております。

 ただ、有価証券報告書という証券取引法上の法定開示書類に何をどう書くかという点でございます。

 この有価証券報告書等の証券取引法上の開示書類につきましては、投資家が的確に投資判断ができるように、必要な情報を開示企業に正確に開示させる、それを義務づけるといったものでございます。仮に、ここで虚偽がある、例えばうそを書いたというような場合には、十年以下の懲役に処せられる、そういった制度でございます。

 こういった性格を有しております法定開示書類におきましてどのような事項の開示を義務づけるかにつきましては、これは法律ですから義務づけるということになりますが、非常に慎重な検討が必要だと考えております。

 ただ、一点、現在の有価証券報告書におきましても、例えば投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項でありますとか、経営成績に重大な影響を与える要因と企業が判断した場合は、その有価証券報告書において何らかの記載をするということになっておりまして、その記載にもし間違いがあれば、先ほど申し上げました懲役刑がかかるという仕組みになってございます。

 現時点で、私どもが、ではどういった事項を義務づけるかといったときに判断します要素として申し上げますと、投資家の投資判断に当たって真に必要な情報かどうか、その情報が広くみんなに伝わっていて、投資家が誤解なく利用できるものであるかどうか、それから、その開示を求める、これは義務づけることですから、義務づけることで開示企業に過剰な負担を求めることにならないかといったことが総合的に勘案していく必要があると考えております。

 以上でございます。

村井委員 まず、そこでお尋ねするんですが、オランダ、ドイツ、フランスは有価証券報告書の記載事項の中にCO2の排出量が含まれていることは御存じですよね。アメリカも今立法中です。特に排出権取引をやっていく中で、各企業のCO2の排出量がわからないと、当然これは財務状況に密接に関係していく問題です。

 日本国内だけならともかく、世界各国と取引をしていく企業の中で、日本の企業だけがCO2の排出量がわからない。当然これは、これから排出権取引が世界的なビジネスになっていく中で一番肝心な、一番肝心なというほどでもないですが、非常に重要な取引情報を日本の企業だけ公開しないことになってしまうんです。だからこそ、今後、検討会で審議されるつもりはありますでしょうか。どうでしょうか。

細溝政府参考人 議員が本日お配りになりました資料の、公認会計士協会が研究調査会をやっております。その中でも、今後の検討課題としてどういうふうに書かれているか。お配りになった部分にはございませんが、私どもの承知している限りで整理しますと、仮に将来排出権取引制度が導入された場合、当該企業における排出枠を示し、さらに実際排出量等との差異を記載する欄を設けるといったことが検討課題になるであろうというふうに書かれておるのは承知しております。

 ただ、今、現にそういうことが記載をしなければいけない段階にあるかどうかと言われると、まだそういう段階にはなっていないというふうに判断しております。

村井委員 これで質問を終わりますが、今、世界各国で排出権取引がどんどん進んでいっています。そして、日本でもそのうち排出権取引が行われる可能性が高い。キャップ・アンド・トレードなんかをやる場合にも、少なくとも大きな経営上の情報になっていくわけです。ぜひ金融庁としても、公認会計士協会が議論しているじゃなくて、金融庁として有価証券報告書の記載事項に入れるよう検討していただければとお願い申し上げ、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、この海洋汚染防止法改正案について、質問をさせていただきます。

 先ほど来議論がございますけれども、地球温暖化問題、その予想される影響の大きさやその深刻さから見まして、人類のまさに生存基盤にかかわる最も重要な環境問題の一つであると思います。

 最近公表された気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第四次評価報告書の一部では、地球の平均気温が上昇することによりまして、異常気象による大規模な災害、また動植物種の絶滅や、世界の食料生産量への影響が生じる、そのように報告されているわけでございます。まさに地球温暖化対策は待ったなしの状況でございまして、我が国としても、あらゆる手段を講じてこの温室効果ガスの削減に取り組む必要があると考えております。

 このような状況の中で、近年、地球温暖化対策の一つとして、二酸化炭素回収、貯留技術、CCSが国内外においても注目を大変されているところでございます。二〇〇六年十一月には、廃棄物等の海洋投棄を規制しているロンドン条約の議定書改正案が採択されまして、海洋投棄を検討することのできる廃棄物その他の物に、海底下地層に廃棄する二酸化炭素が追加されました。この改正によって、国際的には、海洋環境に影響を与えないような形であれば、海底下地層への二酸化炭素の廃棄ができるようになったわけでございます。

 今回の海洋汚染防止法改正案は、このロンドン条約議定書の改正を踏まえたものになっていると承知をしておりますが、ここで環境省にお伺いをさせていただきます。

 我が国としても、海洋環境の保全を大前提としつつ、地球温暖化防止のために地中貯留の技術開発等にしっかりと取り組むことが必要であると考えます。しかし、一方では、CCSという技術は、二酸化炭素の大気中への排出量を減らすことはできるけれども、化石燃料の使用量そのものを減らすものではないわけでございまして、また、CCSの導入によって、省エネの推進とか再生可能エネルギーの普及がおろそかになるのではないかという懸念がございます。

 そこで、我が国の地球温暖化対策におけるCCSの位置づけを含めて、今回の改正に対する若林環境大臣の基本的見解をお聞かせいただければと思います。

若林国務大臣 委員がお述べになられましたように、この温暖化対策というのは地球人類の危機とも言える重大な課題でございまして、その意味では、気候変動安全保障といったような認識も広がっているところでございまして、先般、国連の安全保障理事会において、五十数カ国のそれぞれの国がこの問題について意見表明をするといったような、新しい状況が生まれてきております。

 その意味で、地球人類が持続的な生存を確保するためには、すべての国々で、みんなで英知を絞って努力をして地球温暖化対策に取り組んでいかなければならない、こういう認識になりつつあると私は思っております。委員がお述べになりました、御主張しておられます、私も全くそのような認識でいるわけでございます。

 そういう状況の中にありまして、CCSというのが欧米を中心に今大変注目をされて、技術開発も進んできているわけでございまして、また、国によっては既に実施に入っているというところもあるわけでございます。

 私は、中長期的に見て、石炭火力発電などの大規模二酸化炭素固定排出源の排出削減対策としては大変重要なオプションの一つだというふうに認識をいたしておりますが、現時点においては、これを分離するための技術、また、これを回収、運搬、貯留といったような技術開発などに、まだまだ未熟な面もいっぱいあるわけでございます。

 コストの面でも、なお相当高額なコストになっているということがありますから、短期的に見て、我が国のCO2削減の中でそう大きな期待が持てる状況にはないと思っておりますが、将来的にはこのことが重要な対策になることを念頭に、しかも、我が国が、我が国内だけではなくて中国などを含め、海外におきます石炭のクリーン化に伴うCO2削減事業にかかわっていくということも考えますと、今、技術開発に力を入れていかなきゃならない、こんな認識でいるわけでございます。

江田(康)委員 今、大臣の方からも、このCCSは地球温暖化対策としては重要なオプションの一つである、しかし、その技術開発等大きく進めながら、将来を見据えて進めていく必要があるとの御見解でございます。私も全くそのように思うわけでございます。

 このCCSに関して、国際的な位置づけについてもお伺いをさせていただきます。

 数年前に、経済産業省の大臣政務官としまして、私、オーストラリアで開催されました炭素隔離リーダーシップフォーラム、CSLFの会議に出席をさせていただきました。計画中の各国の二酸化炭素地中貯留プロジェクトに関する報告を聞かせていただきました。極めて大量の二酸化炭素を貯留できる技術であるということで、将来的な二酸化炭素の半減に向けて重要な技術になるとそのとき私も確信したわけでございます。京都議定書、我が国は六%削減を義務づけられておりますけれども、その六%量のCO2をわずか二つの大きなCCSプロジェクトで達成できる、これは試算ですけれども、そのような影響、また効果の大きいものであるということを実感いたしました。

 そこで、まず、諸外国におけるCCSの動向と地球温暖化対策としての位置づけについて、環境省にお伺いをいたします。

南川政府参考人 この問題は大きなポテンシャルがございます。したがいまして、諸外国も大変これについては熱を入れております。

 実際に、ノルウェーでは、北海の方でございますけれども、一九九六年から天然ガスに随伴するCO2を分離して毎年約百万トンという量を地下千メートルの帯水層に廃棄しておりますし、また、これは陸域でございますけれども、カナダでも、これは場所はカナダでございますけれどもアメリカが、石炭ガス化炉から回収したCO2を年間百万トン注入するというプロジェクトが動いておるところでございます。

 それから、例えば中国でございますけれども、中国もこの問題に大変関心を持っております。二〇〇五年の中国・EUの首脳会談でまとめられました結論を受けまして、EUが中国に対して、CCSを利用したニアゼロエミッション、石炭火力発電所に関する支援ということも始まっておりますし、また、中国の発電グループでは、二〇二〇年までに、CCSを備えた石炭ガス化複合発電といったことも計画をしております。

 私どもとしましても、こういった動きの中で、ぜひそのCCSというものを一つの中長期の対策としてのオプションとして入れていきたいと思います。

 ただし、まず現在の京都議定書の関係で申しますと、我が国の削減分としてCCSを入れるということについては、これは世界的な取り決めの中で、現在、そういったことについての問題提起等はされておりません。むしろ、CDMとして活用するということについて本格的な議論をすべきだということで、来年ポーランドで予定されておりますCOP/moPにおきまして具体的な採択の議論がなされるというふうに承知をしております。

 途上国からは、一部の国からはCDMの値段の暴落につながると反対もございますけれども、我が国としては、適切なガイダンスが採択されるようにその検討作業に参加していく、そういったスタンスでおります。

江田(康)委員 今局長から御説明がありましたが、CCSの国際的な位置づけについては、昨年ナイロビで開催されましたCOP/moP2において、CCSのCDMとしての活用についての議論があったと聞いております。

 今局長からもCDMのことに関して多少おっしゃいましたが、我が国として、平成十七年には三菱証券が、発電所から回収された二酸化炭素を注入するEORタイプで、また平成十八年には日揮、三菱総研が、天然ガスからの二酸化炭素を帯水層に注入する、そういうプロジェクトをCDM理事会に提出していると伺っております。

 改めてお伺いします。

 そのような意味で、我が国として、このCCSのCDMとしての活用についてはどのように取り組んでいかれるおつもりか、環境省の見解を改めてお聞きいたします。

南川政府参考人 私どもとしては、CDMにCCSが使えるということは、極めてCDMのオプションを広げることになると思っております。また、先ほど申しましたけれども、このCCSについては、適切に行われるならば、環境への影響についても極めて少ないというふうに確信をしておりまして、また私ども、そういった審査をするつもりでございます。

 そういった意味で、日本国内にこだわらず、国際的に具体的な監視方法も含めて確立され、それが守られますならば、大きく世界の温暖化対策にも貢献すると思います。そういった二重の意味でこれを支持したいと考えております。

江田(康)委員 今、支持するということが御答弁ありましたけれども、ぜひともこれはCDMとして活用できるように、我が国がリーダシップをとっていっていただきたい、そのように思うわけでございます。

 先ほど来の話にもあるように、国際的にも、また国内的にも、地球温暖化対策としてCCSは重要な技術として位置づけられているということでございますが、ここでまたお伺いをさせていただきます。

 我が国では、CCSの実験プロジェクト等が経済産業省の補助事業として行われておりますね。新潟県の長岡市、これは一万トンの二酸化炭素を注入して成功裏に終了している、また、北海道夕張市でも、二酸化炭素を注入してメタンを回収する、そういう事業が行われたわけでございます。こういうようなCCSの実験プロジェクトが行われておりますけれども、我が国ではこのCCSの貯留可能量というのはどのくらいあるのかお聞かせいただくとともに、先ほど来ございましたけれども、六%削減約束を義務づけられている京都議定書、これに寄与できるかどうか、改めてきちんと、その位置づけをお伺いさせていただきます。

南川政府参考人 私ども、現在把握している範囲でございます。これは経産省の所管でございますRITEという研究機構が出したデータでございます。不透水層を持つ背斜構造、おわんを逆さまにした形の地層の中で、ボーリングによる地質データがあるものを評価しますと、約五十二億トンが貯留可能でございます。これは我が国の温室効果ガスの約四年分でございます。それから、もっとラフな、例えば耐震の、地震関係の調査だけをしたものとかを含めれば、これが大きく数字が膨らむということもございます。ただ、いずれにしましても、非常に大きなポテンシャルがございます。

 ただし、京都議定書の達成の関係で申しますと、現在、これを対策として、自国の削減分としてカウントするという対象にはなっておりません。先ほど御質問ございましたように、CDMとして対象にするかどうかについて、具体的な話し合いが来年行われるという状況にとどまっております。

江田(康)委員 我が国では、五十二億トン、四年分の二酸化炭素の貯留が可能である、また、可能性としてももっと大きなものがあるというようなお話でもございましたけれども、私は、ぜひとも、やはり京都議定書に算入できるように強く取り組んでいただきたいということをお願いするわけでございます。

 将来的には、やはり中長期的に見て、これは二酸化炭素を半減させる取り組みへと世界は行かなければならないわけでございますが、そういうような中で、従来の温暖化対策に加えて、このような技術がなければそれは達成できないものとも考えられますし、また、次に述べますが、我が国の技術協力ということにおいても、CDM等で大きく展開できるところであるかと思いますので、しっかりと京都議定書に算入できるように、国際会議の場でも環境大臣にリーダーシップをとっていっていただきたいという思いでございます。

 CCSの技術開発につきましては、先ほど来、環境大臣からもしっかり取り組んでいくという御決意がございましたけれども、このCCSのコストは現状では非常に高い、また、地球温暖化対策として実際に活用していくためには、コストの削減等のさらなる技術開発が必要と聞いておるわけでございます。

 そこで、CCSの技術開発、事業化の取り組みを具体的にどのように進めていくのか、これは経済産業省にお聞かせをさせていただきます。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる二酸化炭素の回収、貯留の実用化につきましては、経済産業省は、先ほどからも名前が出ておりますが、RITE、財団法人地球環境産業技術研究機構等を通じまして、その技術開発を推進してございます。

 それで、先ほどからもお話が出てございますが、平成十五年から十七年にかけまして、新潟県長岡市におきまして一万トンの二酸化炭素を帯水層に貯留するというプロジェクトを実施し、現在もモニタリングを継続しております。これまでのところ漏えいなどの兆候もなく、実用化のめどが立ちつつあるというふうに認識をしてございます。

 その上ででございますけれども、CCSの実施に当たりまして最大の課題はコストの削減でございます。我が国におけますCCSのコストは一トン当たり五千円から一万数千円というふうに試算されておりまして、現在の国際的な排出権価格と比較いたしましても相当割高なのが実情でございます。そのため、この技術の実用化に向けましては、一層のコストの削減というのが重要な課題となっております。

 このため、全体のコストの七割以上を占めます分離回収コストの低減に向けまして、高効率の吸収液の開発を行うとともに、その過程で出てまいります未利用廃熱の有効活用のための技術開発に取り組んでおります。さらに、大幅な低コスト化を図るための技術開発といたしましては、分離膜による二酸化炭素の分離技術の開発も重要でございまして、この面でも研究開発を進めているところでございます。

 経済産業省といたしましては、今後とも、このCCSの実用化に向けまして、このような技術開発等を積極的に推進してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 積極的に推進するという御答弁でございました。

 我が国は、クリーンコールテクノロジーとか石炭火力等においても世界トップクラスの技術を持っているわけで、また、これは中国を初め途上国への技術移転も始まっているわけでございます。このCCS技術は、そういうようなクリーンコールテクノロジーにもつながるような技術でもあるわけでございまして、我が国の技術力を大いに生かして、トップクラスの技術開発を行っていく、そういう取り組みに、経済産業省初め環境省、しっかりと取り組んでいっていただきたいと要望をしておきます。

 一方で、CCSを推進するに当たりまして、心配される点があるわけでございます。まず、CCSについては、先ほど来ございますけれども、一般国民にはなかなか親しみのある技術ではなくて、海底下に二酸化炭素を廃棄するということ自体、不安を感じる人がおるわけでございます。

 そこで、お伺いをさせていただきます。

 二酸化炭素が漏えいしないことは大前提で、漏えいするようなところに貯留してはならないのは当然でございますけれども、万一漏えいした場合のことを考えて、海洋環境への影響評価についてどのような知見を現在有しているのか。また、国民への情報公開や長期間にわたるモニタリングなどの取り組みが大変重要と思いますが、いかがでございますでしょうか。これは北川政務官にお聞きいたします。

北川(知)大臣政務官 委員御指摘のCCSの知見、そして、今後の国民の皆様方への不安の払拭に対する情報、また、理解を得ることの重要性についてでありますけれども、この点については十分認識をいたしておりますし、IPCCの知見によれば、二酸化炭素の貯留地点が適切に選択し管理された場合、漏えい確率は長期にわたって非常に低いとされております。

 万が一、二酸化炭素が海洋環境に漏えいした場合における海洋生物への影響については、例えば、海水中の二酸化炭素濃度が二〇〇ppm以上上昇すると、表層に生息するウニ、サザエなどの殻を持つ動物の成長率及び生存率が低下する等の知見がIPCC等によって示されているところであります。

 このような事例を含め、本法に基づく環境影響評価に必要な知見は既に得られていると考えておりますが、やはり常に最新の技術を用いた評価が行えるように、先ほど来から諸外国の例、そして国内の夕張、長岡等々の実証実験も行われております。こういう問題を踏まえながら、今後も環境影響評価に係る科学的知見の収集に努めるとともに、環境影響評価や監視手法に関する技術開発を実施してまいりたいと考えております。

 このようにして得られた知見をもとに、環境影響等の基本的な情報を、最新の知見に基づき広く公開するとともに、地球温暖化対策としての効果や有効性について情報公開することなどを通じ、CCSに対する国民の皆様方の理解を得られるよう努めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ぜひとも国民の理解を得られるような環境影響評価、さらには国民への情報公開、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 もう一つでございますが、カナダにおいてやられているプロジェクトでは、石炭ガス発電所から分離回収した二酸化炭素を油田に注入して、EORとして石油の増産を図っております。これも二酸化炭素回収、貯留技術、CCSの一つでございます。これは石油の増産のために二酸化炭素を注入するわけですので、廃棄物ではなくて、そういうツールとして使うという意味で、注入された二酸化炭素は海洋汚染防止法が適用されずに、鉱業法や鉱山保安法によって規制がなされると聞いております。

 そこで、質問をさせていただきますが、このような鉱業法や鉱山保安法によって規制される場合であっても、海洋汚染防止法で規制される場合と同じように、適切な規制がなされるべきであると考えますけれども、その点についてはどのようになっておりますでしょうか。経済産業省の見解をお聞きします。

平工政府参考人 鉱物資源の掘採に伴いまして発生します油、二酸化炭素等の海底下廃棄につきましては、御審議いただいております海洋汚染防止法改正案の第十八条の七第一号におきまして、海底下廃棄の海域や方法につきまして政令で基準を定め、これに適合する形で行うこととされております。

 他方、鉱業法におきましては、採掘権者は、EORのような鉱業の実施に当たりまして、採掘の地域や方法、廃棄物処理を含む鉱害の防止方法などを記載いたしました施業案を策定し、経済産業局長の認可を受けるとともに、鉱害防止の実施につきましては、鉱山保安法に基づきまして、産業保安監督部長の監督を受けることとされております。

 経済産業省といたしましては、このような鉱業法や鉱山保安法に基づく措置が、海洋汚染防止法改正案に基づき今後定められる海底下廃棄に関する政令と整合的に行われますよう、環境省としっかり連携を図ってまいりたいと考えております。

江田(康)委員 時間がございませんけれども、最後に、大臣にお伺いをさせていただきます。

 きょうは、CCS技術を通して、地球温暖化対策に取り組まなければならない点について質問をさせていただいておるわけでございますが、気候に悪影響を及ぼさないためには、中長期的に世界の温室効果ガスの排出量を半減するというような必要性もあるわけでございます。

 このためには、京都議定書に参加していないアメリカ、また削減義務のかかっていない中国、インド等の途上国など、すべての国がその能力に応じて排出削減に取り組むことを可能とする、二〇一三年以降の実効ある枠組みの構築が必要であるわけでございます。

 これに向けて、日本が力強いリーダーシップを発揮すべきと考えておりますが、政府の取り組みについて、最後に環境大臣にお伺いをさせていただきます。

若林国務大臣 委員が御指摘になられましたように、二〇一三年以降の次期枠組みに関します我が国の基本的な考え方についてでございます。

 すべての国がその能力に応じて排出削減に取り組むということを可能にするために、米国、中国、インドを含む主要排出国による最大限の削減努力を促す実効のある枠組みの構築を目指していかなければならない、これを基本方針にしているところでございます。

 こういう考え方につきまして、我が国は、これまでも気候変動枠組み条約締約国会議やG8プロセスのもとでの気候変動に関する対話などの場を活用しまして、積極的に各国に呼びかけてまいりました。また、二国間でも、さまざまなチャンネルを活用して交渉をしてきたところでございます。

 先般行われました日中首脳会談におきましても、環境協力の一層の強化に関する共同声明というものを発することができました。その中で気候変動問題に触れまして、日中両国の決意として、「二〇一三年以降の実効的な枠組みの構築に関する過程に積極的に参加する。」ということを表明いたしました。このことは大変大きな意義があったと考えているわけでございます。

 来年には日本がG8議長国になるということも踏まえ、またタイミングとしても、二〇一三年以降、次期枠組みが一期期間との間にすき間を置かないでスタートをしていかなければならないということを考えますと、今後とも、国際的な議論の進展に我が国は主導的な役割を果たしていかなければならない、このように考えているところでございます。

江田(康)委員 今回の中国の積極的なポスト京都、二〇一三年以降の枠組みへの参加についての公式見解は、大変に大きい、勇気づけられるものでございました。

 年末にはCOP/moP3がございます。環境大臣、そこで参加され、力強いリーダーシップを発揮されることを御期待するとともに、この連休期間中に第百十六回IPU会議がございます。政治家レベルでの力強い取り組みを私もしてまいることを申しまして、この法案の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

西野委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、桜井郁三君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。桜井郁三君。

桜井委員 ただいま議決されました海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。

    海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 二酸化炭素の回収・貯留技術の活用による貯留量を排出削減量に算入する場合は、それを踏まえた適切な削減目標を設定するよう努力すること。貯留を削減量に含めての削減目標は、中長期的に世界全体では排出量を半減する必要があることを踏まえて適切に設定するよう努力すること。

 二 地球温暖化や海洋表層の酸性化等の環境への影響を防止する観点から、二酸化炭素の回収・貯留技術の活用のみならず、省エネルギーの一層の推進、再生可能エネルギーの加速度的な導入、その他都市構造の見直し等による社会経済構造の変革を強力に推進すること。

 三 特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄の許可に当たっては、二酸化炭素の回収・貯留技術に関する最新の科学的知見、藻場、干潟、サンゴ群落等の海洋環境や海洋生物への影響等を個別的かつ慎重に検討した上で行うこと。

 四 特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄をした海域の状況の監視については長期間にわたることが想定されることから、当該許可を受けた者から詳細かつ的確に報告を受けるとともに、政府自らも当該海域の状況を把握すること。

 五 二酸化炭素の回収・貯留技術に関する国際的な議論の場にも積極的に参加し、特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄に係る監視及び生態影響評価に関する知見を精力的に収集・分析すること。また、当該技術の地球温暖化対策としての位置付けも含め、ポスト京都議定書の温室効果ガスの削減量に算入できるように国際的に呼びかけること。

 六 特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄の適切な方法による実施を確保するため、予算措置を含む適切な措置を講ずることにより、モニタリングや海洋環境影響評価を含め、二酸化炭素の回収・貯留及び安全性確保についての技術開発及び調査研究を推進すること。

 七 二酸化炭素の回収・貯留の本格的な実施に際しては、二酸化炭素の回収・貯留の技術研究及び低コスト化への支援策に努めること。

 八 海洋環境保全の重要性にかんがみ、二酸化炭素以外の廃棄物の海洋投入処分については、可能な限りその量を削減し、陸上処分への移行を進めること。また、廃棄物の海洋への不法投棄対策、漂流・漂着ゴミ対策等、海洋環境の保全のための取組について、関係省庁が密接に連携し一丸となって推進すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

西野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。若林環境大臣。

若林国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。

    ―――――――――――――

西野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西野委員長 次回は、来る五月十一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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