衆議院

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第8号 平成20年4月25日(金曜日)

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平成二十年四月二十五日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      浮島 敏男君    小野 次郎君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      杉田 元司君    鈴木 俊一君

      土屋 品子君  とかしきなおみ君

      並木 正芳君    藤野真紀子君

      山本ともひろ君    逢坂 誠二君

      田島 一成君    田名部匡代君

      中川 正春君    村井 宗明君

      高木美智代君    江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長代理)      上西 康文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 津曲 俊英君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     浮島 敏男君

  中川 泰宏君     小野 次郎君

  渡部  篤君     杉田 元司君

  末松 義規君     中川 正春君

  吉田  泉君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     あかま二郎君

  小野 次郎君     中川 泰宏君

  杉田 元司君     渡部  篤君

  逢坂 誠二君     吉田  泉君

  中川 正春君     末松 義規君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長代理上西康文君、総務省大臣官房審議官津曲俊英君及び環境省地球環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩國哲人君。

岩國委員 おはようございます。民主党の岩國哲人でございます。

 民主党を代表いたしまして、この地球温暖化対策に関する重要法案について、本日が最後の質疑となるやもしれませんけれども、質問させていただきたいと思います。

 まず、こうした地球温暖化、もう連日のごとく新聞、テレビで報道されておりますけれども、最も大切なことは、これを国民の皆さんの身近なところにまで浸透させる。単に、国会の中で立派な法案が成立できた、あるいはそれぞれの省庁が役割を分担されたということでは、決して目的を達成することはできないと思うんです。

 まず最初にお伺いいたしますが、この法案でいろいろな役割が、そして義務が、期待が地方自治体にかけられております。こうした四十七都道府県及び重要な市町村に対してどのようなヒアリングを行われたのか。

 市町村という場合に、一番大きな市は横浜市でありますけれども、例えば、横浜市のこうした温暖化対策への取り組みがこの新しい法律に基づいて十分対応できる能力を持っているのか、また熱意と取り組み姿勢は十分なのか、その点についてどういうヒアリング、意見のすり合わせをされたのか、何回、どこで、だれが、どのようにそのような自治体との整合性を確認されたのか、まずそれを環境大臣にお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、私ども、この温暖化対策を進める上では、さまざまな方々の協力が必要でございます。特に、地域における地球温暖化対策ということについて極めて重要だと考えております。

 そのために今回二つ大きな提案をさせていただいておりまして、一つが各地域における具体的な温暖化対策のための実行計画づくりでございますし、もう一つがその活動センターないし推進員の指定を市単位まで広げるということでございます。

 私ども、全国知事会あるいはさまざまな地方公共団体と意見交換を行っております。特に、先生御指摘の横浜市は、ふだんから極めて緊密に連絡をとっております。私ども、特にこのために何か場を設定したということはございませんけれども、横浜市からは何回も実は要望をいただいておりますし、私自身も横浜のさまざまな部長さんクラスの方との意見交換もしておるところでございます。

 具体的には、特に横浜市について言いますと、要望書という形でもさまざまな要望をいただいているところでございまして、そういったことも十分勘案してやらせていただいているところでございます。

 また、特に、例えばカーボンオフセットについても、市の中では横浜市が最も進んでおるところでございますので、横浜市の担当の課長さんに委員会にも入っていただいて、我々のみならず一般の方々の前でオープンに意見を言っていただくということも含めて対応しているところでございます。

岩國委員 横浜市というのは、そういう意味では、むしろ市町村の中では前向きに環境問題に取り組んできたところではあります。しかし、この地球温対法という特別な法律の中で新しく盛り込まれた取り決めについて限定してのお話はあったんですか。

 横浜市当局からは、いろいろな要望書は出しているけれども、環境省との特別なすり合わせはなかった、地球温対法について、こういう新しいいろいろな規定が入ってくるけれども、これについては十分自治体としての対応ができるのか、そういったことについてのお話し合いはなかったと私は昨日現在報告を受けております。

 この点について、再度御答弁をお願いします。

南川政府参考人 個別の問題につきましての意見交換はしておりますけれども、温対法の改正ということで、例えば案を示してそれについて御意見を伺うといったことはいたしておりません。

岩國委員 今国会において、法案の流れが環境面において一番大切な、しかも自治体の協力を絶対的に必要としなければならない方向に行っているときに、なぜ念を入れてそうしたすり合わせをされなかったのか。別に横浜市じゃなくても、大阪にしても名古屋にしても岡山にしても同じことです。全部の自治体というわけにはなかなかいかないでしょうが。

 それでは、横浜市に関して、この新しい地球温対法によって生ずる財政的な負担についてどのような試算をしておられるのか、この点について金額的なすり合わせも行われたかどうか、お伺いします。

南川政府参考人 横浜市とは個別の課題についての意見交換はしておりますが、それにつきましての財政措置については要望は承っております。

 ただ、具体的な財政措置あるいは税制措置等については今後引き続き検討していくということで話をしております。

岩國委員 横浜市は、日本で一番大きな市でありますから、財政的にも小さな自治体とは事情は相当変わると思います。

 四十七都道府県と一口に言いますけれども、その中で一番小さな鳥取県、島根県の場合には、県レベルでのいろいろな義務規定もこの中へ入ってきております、努力規定も入ってきております、この能力に対するアセスメントはされたのか。そして、自治体の方から、この温対法についての意欲、やる気、姿勢というのは十分なのか。そして三番目に、財政的な負担というのは新たに生ずるのか、全く生じないのか。

 以上、御答弁をお願いします。

南川政府参考人 率直に申しまして、どこまで本当に取り組む意欲があるのかどうかについては、かなり県によって温度差はございます。

 これは、当然ながら、国も地方も行政改革が進んでおりまして、その中で職員が減っていく、財政的にも非常に予算が減っていくという中で非常に厳しいということを訴えられる自治体の部長さん方も実は多くございます。そういう意味で、意欲はあると思いますけれども、意欲はあってもなかなか思うように動けないというお話も随分伺っております。

 私ども、そこら辺についてどこまで支援できるか、また彼らが具体的に動けるような形の応援をどのようにするのか、ぜひこれから検討していきたいと思います。

岩國委員 我々この部屋におります委員は、この温暖化対策がいかに必要かということは十分身にしみてわかっております。これは世界的課題であり、七月のサミットの最も大切な課題であるということもわかっております。

 しかし、地方自治体にとって、この財政負担が新しく生ずるのか生じないのか、しかも、税収が順調に伸びているときならいざ知らず、税制面でいろいろ心配が多いときにこの温暖化対策に取り組んでいかなければならない、他の県に、他の市に負けないようにその成果を上げなければならない、各首長さんも議会も気にしておられるはずです。

 そのときに、財政負担がどの程度生ずるのか生じないのか、財政負担が生ずる場合にはどのような配慮を心がけておられるのか。大切な仕事だからといって押しつけるというのでは、これはまさに地方分権に逆行することになるんです。

 地方分権の時代、そして各自治体が財政難に苦しんでいるときだからこそ、新しい法案ができるときには、責任省庁、担当省庁としては、もっとそういう思いやりのあるヒアリングというものが必要ではありませんか。私はそれが十分に行われているとは思わないんです。島根県にも鳥取県にも問い合わせました。一番小さな県に対して、一番大変だろうという思いやりのある問い合わせもなかった、財政的にどの程度負担が生ずるのか、それについてのヒアリングも行われておらない。

 この点は、鴨下環境大臣、地方自治体に協力を仰ごうという姿勢を打ち出されるのであるならば、まず最初にそういう思いやりのある話し合いというものが土台にあって、それを踏まえてこういう法案を実現すべきではありませんか。大臣としての御答弁をお願いいたします。

鴨下国務大臣 先生がおっしゃるように、今回の改正案につきましては、これは都道府県あるいは政令指定都市など地方公共団体にも実行計画等をお願いすることもありまして、これは国と各自治体が連携をしてしっかりと地球温暖化に取り組んでいくことになるんだろうというふうに思っております。したがいまして、国も積極的に取り組むけれども、地方にもぜひお願いしたい、こういうような趣旨が含まれているんだろうというふうに考えております。

 そういう中で、環境省としましては、地方公共団体が中心になって地域の取り組みをしてくださることにつきましては、できるだけ後押しをする必要があるというふうに認識をしております。

 具体的には、計画が適切に策定されますようにガイドラインの策定等を通じた支援を行っていきたいと思いますし、地方公共団体や民間事業者などが例えば再生可能エネルギーや省エネ設備導入を図る場合にも各種事業を通じた支援というようなことで、具体的な施策についてもできるだけ環境省としてやれることをしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

岩國委員 これから修正案、附帯決議等での要求も出てまいると思いますけれども、すべての政策についてこれは言えることでありますけれども、国だけが苦しんでいるわけではありません、地方自治体はそれ以上に、小さな規模で、小さな税収で、そして国策に協力しなければならない、また、してもらわなければならないときに、私は、もっと思いやりのある話し合いというものが十分に踏まえられて、こういう法案の成立を迎えたかったと思います。

 失礼ですけれども、そうした地方自治体に対する思いやりのなさ。あれをしてくれ、これをしてくれと権限や義務だけは渡すけれども、財源の方はさっぱりついてこない。丸投げ、下投げ、ほうり投げしておいて、その下請代金の支払いがおくれている、こういうことになってはいけないと思うんです。ほかの委員会で審議されている法案の中にもそういうものが幾つか見受けられますけれども。

 ぜひとも自治体を巻き込まなければ、温暖化対策は実効を期すことはできない。自治体だけではなくて、その自治体の先の個々の住民の皆さんの御協力がなければ、地球温暖化に対して十分な効果を上げることはできないということを念頭に置いて、できるだけ早く、そうした財政的な負担があるならば早目早目に対策を打ち出していただきたいということを私は強く要望しておきます。

 次に、こうした自治体に対する配慮に欠ける、思いやりに欠ける一面、企業に対しては随分な思いやりと配慮があるように思えるんです。

 例えば企業の排出努力に対する公表、それは残念ながら努力義務で終わろうとしております。また、こうしたことに対して違反した場合、過料が二十万円。この二十万円という金額は、決して一般の人にとっては小さい金額ではありませんけれども、そうした企業の過ちに対して、二十一条の二、そして五十条の中で二十万円という規定がなされております。この二十万円というのは、過料としては大変少な過ぎるのではありませんか。これはどういう判断からこの二十万円というのが出てきておるのか。

 例えば有価証券報告書の粉飾、偽装に対しては、もう既に今の時代は一億円というペナルティーが科せられております。排出権あるいは排出権取引に関して間違った情報を提供するということは、利益の粉飾、そして偽装された利益を報告するということと同じぐらいに今の投資の世界ではウエートが上がってきております。その点、なぜこうした一億円と二十万円という格差がそのまま放置されているのか。おかしいじゃありませんか。

 環境大臣の所感、そして、経産省を代表される中野副大臣、企業に対する姿勢としてこれは適正かどうか、そして法務省の御意見があるならば、法務省の御意見も聞きたいと思います。

南川政府参考人 恐縮でございますが、内閣におきまして検討した形として御報告させていただきますと、この報告義務違反につきましては、ちょっと言葉はかたくなりますが、行政上の目的を遂行するための法規の存在があって初めて義務違反となるものであるという整理をいたしまして、行政上の義務違反に対する罰則である過料ということに整理をいたしました。

 そして、金額につきましては、化学物質のPRTR法がございますけれども、これについても同様の整理がされておりまして、そこで決まっております二十万円という金額をここでも持ってきたということで、政府部内におきます法律上の過去の事例との整理でこのように提案させていただいているということでございます。

中野副大臣 岩國委員の御質問でございますけれども、確かに、岩國委員の御指摘のとおりだとすればちょっと問題かなとは思うのでありますけれども、ただ、全体的な法制の横並びということで定められたものなのかなと。

 ただ、大分に乖離は否めないなと率直に感じておるところでありますが、なお引き続き検討させていただきたいと思います。

岩國委員 私は、本日、経済産業担当の大臣の要求をし、期待しておりましたけれども、大臣はちょうど同じく今委員会で御答弁中のようですから、中野副大臣に来ていただきました。

 私は、中野副大臣はとりわけ正義感の強い国会議員のお一人だと期待申し上げておりますので、にもかかわらず今の御答弁にはちょっと不満があります。

 横並びということをおっしゃいましたけれども、横並びには二つあって、高並びと下並びとあるんです。これは下並びの方じゃありませんか。低い方に横並びにすることは、今の環境問題を取り巻く環境の中で、二十万円というのは、これは横並びにもおよそ入らない。一億円という前例があるにもかかわらず、なぜそちらの方を目指して横並びに持っていかれないのか。こういうところに経済産業担当省の姿勢がうかがわれると私は思うんです。

 過料という言い方もあれですけれども、こうした、うっかりというのは政治家の収支報告書なんかにもよく使われた言葉です。うっかり、うっかり。しかし、実際は、うっかりというのはちゃっかりだった。うっかりのほとんどは、ちゃっかりなんです。企業の行ううっかりも、九九%はちゃっかりのケースです。

 こうした点を踏まえて、私は、しっかりとしたペナルティーを、強い姿勢を国として示すべきではないかと思います。これは自治体が、各市民団体がやれることではないからこそ、そのことを強く要求して、次の質問に移りたいと思います。

 副大臣がおいでの間に、私はもう一つ質問したいことがあります。

 それは、この環境委員会で、自販機についての質疑が随分行われております。今国会だけではなく、以前からも行われております。そして、WHOからも、日本の自販機の多さ、とりわけお酒を機械に売らせる行為や考え方そのものに対して、一九九一年に既に警告が出されている。これについて、日本政府は、いつ、だれの名前で、どのような返事を出したのか。私は、この質問をするのはこれで三回目です。どういう答弁がなされているんですか。

 副大臣、御存じですか。自販機メーカーを指導していらっしゃる主管省として、この問題についてどのように取り組み、そして、販売機の台数は幾らあるのか。多いと言われるけれども、アメリカに比べてもっと多いのか、ヨーロッパに比べてはどうなのか。この自販機はどれだけのエネルギーを浪費し、どれだけのCO2を排出しておるのか。こうした自販機のもたらす影の面、こういった点についてはどのような調査をされたんですか。

 繰り返します。WHOに対してはどういう返事を出したのか。自販機メーカー主管の省として、何をどのように把握しておられるのか。二番目に、自販機の台数比較。アメリカと比べて、ヨーロッパと比べて、本当に多いのか少ないのか。三番目、この自販機がもたらすCO2、そしてエネルギーの浪費という今問題の点。四番目、最後にしますけれども、日本の飲料メーカーが、なぜアメリカやヨーロッパの飲料メーカーに比べて二倍も三倍も自販機を使わなければその売り上げを達成できないのか。自販機によって売り上げを達成している比率は、売り上げ全体の中でどれだけあるのか。アメリカのメーカー、ヨーロッパのメーカーとの比較で、自販機による売り上げ比率というのは比較検討されたことはありますか。その検討に基づいて、あなた方は自販機に余りにも頼り過ぎるという指導を一度でもされたことはありますか。御答弁ください。

南川政府参考人 WHOの件についてだけ、私の方から状況を報告させていただきます。

 前回も岩國委員から御指摘を受けたところでございます。そのときは調査しておりませんで、申しわけございませんでした。

 九一年に、御指摘のとおりWHOからアルコール販売の禁止の検討をしろという旨の勧告があったわけでございます。これにつきましては、厚生省などにも問い合わせましたが、勧告でございますので、特段いわゆるお手紙の形の返事はしていないということでございます。

 まず、当時、厚生省におきましては、酒類の自動販売機を一定の移行期間を設けて撤廃する方向で検討すべきという提言を、公衆衛生審議会にかけた上でその提言をいただいたということでございます。

 また、平成六年でございますけれども、国税庁の中央酒類審議会では、対面販売の趣旨の徹底が困難な現行の酒類の自動販売機は撤廃の方向で検討されるべきだというような指摘もなされたところでございます。

 こういった中で、小売酒業の組合中央会では、平成七年でございますけれども、現行の酒類の屋外の自動販売機につきましては、平成十二年五月を期限として撤廃する旨の決議が行われました。現行、まだ不徹底でございますが、当時に比べますと九%ということで、私ども把握している範囲では、一万六千七百台にまで減っているというふうに承知をしております。

中野副大臣 岩國委員が出雲市長時代に、地球環境保全を含めたトータルな視点の中で、たばこの自動販売機やらお酒の自動販売機の屋外撤去、また、有害図書や有害ビデオの屋外撤去を条例化で先鞭をつけられた。そういう意味では、今日の世並みを考えますと、率直に言って、本当に先見性があられたなと評価をいたしておる一人であります。

 質問でありますけれども、今、自動販売機は、日本自動販売機工業会によれば、二〇〇七年末時点で四百十七万台が普及をいたしております。自動販売機でありますから、生活者のいろいろな行動様式に対応する、あるいはまた一たん災害があれば自動販売機そのものも逆に社会貢献にも資するという利便性のある機器ということになろうかとも思います。世界でも、私たち日本だけではなくて、今委員から御指摘がありましたように欧米を中心にさまざまな形で活用されていることも事実であります。

 ちなみに台数で申し上げますと、アメリカ合衆国でありますけれども、普及台数は七百八十二万台でありますし、欧州では三百七十六万台ということで、二〇〇六年時点の統計がございます。

 この自動販売機の活用に当たっては、私たち経済産業省といたしますと、省エネルギーあるいは地球環境問題への対応、社会との調和という視点で十分な配慮が必要であると認識をいたしております。そのため、省エネルギーについては、これまで省エネ法のトップランナー制度に基づいて飲料自動販売機の省エネを着実に推進してまいりましたし、これからもしっかりと推進をいたしてまいりたいと思っております。

 ちなみに申し上げますけれども、トップランナー基準の対象の飲料自動販売機の年間消費電力量の推移を申し上げれば、二〇〇〇年では一年で二千六百十七キロワットアワーでありましたが、二〇〇五年で一千六百四十二キロワットアワー、三七・三%の改善が図られているところでありますし、新たなトップランナー基準における飲料自動販売機の年間消費電力量につきましては、二〇一二年に、二〇〇五年比で三三・九%の改善が図られる見込みでありまして、私たちもメーカーと一緒にこの問題についてしっかり取り組みをさせていただきたいと思っております。

 また、今たばこの自動販売機の問題もございましたけれども、関係業界において、未成年による喫煙防止という観点から、通称で言うtaspoの導入で既に各県で取り組みをスタートされておりますところもあります。

 経済産業省といたしましては、自動販売機の使用については、ユーザーや消費者のニーズに加え、地球環境問題への対応や社会との調和について十分配慮しつつ、その有効な活用を図っていくことが重要だと考えております。

 私たちは自動販売機をつくる側を所掌いたしておりますけれども、使う側は、役所の縦割りで言うと、恐縮でありますが、別なセクションということになろうかなとは思います。

岩國委員 ありがとうございました。

 この自販機の台数については、自販機業界の出しておる数字と少し違うような点があります。この点については、以前局長の答弁に対しても私は異論を挟みましたけれども、ぜひ信頼できる台数に基づいて、私の方で調べたところでは、日本の自販機の台数は、アメリカの人口当たりの二倍、ヨーロッパの人口当たりの四倍が使われている。これぐらい飛び抜けた自販機大国である。ライフスタイルにも切り込んでいくような批判を受けたら、性能のいい機械をどんどんつくっていけばいいんだと。私は、これは方向がちょっと違うように思います、悪いことじゃありませんけれども。まず、ライフスタイルそのものを少し反省し、若干の不便さを耐え忍ぶ。そして、自分たちは若干の不便さを受けているからこそ、この大切な地球を守っているんだという意識が共感できるような、これが私は政治ではないかと思います。

 小さなころに、私たちは学校で、教科書でいろいろ学びました。今、後期高齢者と言われている方々の世代は、小学校一年生の国語の教科書は、「サイタ サイタ サクラ ガ サイタ」、この第一ページ目で始まったんです。きれいな花を見て、美しい国に生まれた喜びを感じ、そしてこの自然を大切にしなきゃならないという思いが、たった十三字のその短い文章の中にたたき込まれている。そして、今の後期高齢者の皆さんは、この美しい日本を私たちに残してくださったんです。

 一番大切なことは、鴨下大臣、あらゆる施策の一つ一つが必要です、しかし、この私たちの地球を次の時代に残していくためには、子供の心の中に木を植えることだと思います。緑の木を植える。青い海を残す。今、日本こそ自然を大切にしてきた国はありません。山川草木ことごとく神様あり、仏性あり。そして、日本は、動物も大切にし、動物を活躍させている国なんです。ライオンが歯ブラシをつくったり、キリンがビールを売ったり、象がお湯を沸かしたり、タイガーがお湯を温めたり、ペリカンが荷物を運んできたり、クロネコがお歳暮を運んできたり、国会の中ではキツネやタヌキが活躍していた時代もあったそうです。こういうあらゆる動物が私たちの身近に生き生きと活躍している国は世界のどこにもありません。

 だからこそ、今病気になっている地球を救うドクターになる資格は、自然を大切にし、動物を活躍させるこの日本しかない。鴨下大臣、あらゆる国の中でオンリーワンの地球のドクターは日本だという意識のもとに、世界に対してすばらしいメッセージを発信していただきたい。海の青と森の緑が残る限り、日本はそのドクターの資格をしっかりと持ち続けることができます。

 私の選挙区は、青葉区、緑区、青と緑の両方を持っています。きょうの新聞をごらんになりましたか。青葉区が日本で一番の平均寿命の長さです。かつては島根県、長野県でした。今は都会の青葉区の中に、中野副大臣のところにも青葉区はおありでしょうけれども、そちらの青葉区と違って、横浜の青葉区は今男性の平均寿命が一番です。環境に恵まれ、青を大切に、緑を大切にすれば、こういういい結果が出て、日本のどこの地域の方よりも年金がたくさんもらえるという報賞金つきの地域になっておるんです。こういうわかりやすい例を全国にみなぎらせることを強く念願いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、自民党と公明党、与党を代表して、この大変重要な法案であります地球温暖化対策推進法について、質問をさせていただきます。

 地球温暖化問題は人類が直面している今世紀最大の課題でございます。かけがえのない地球環境を健全な姿で我々の子孫に残すことは、私たちにとって最大の使命であるかと思います。近年、ヒマラヤ氷河の融解、また海面上昇など、地球温暖化の影響が世界じゅうで起こっております。我が国においても、猛暑や集中豪雨、異常気象が続いておるわけでございますが、一刻も早く地球温暖化の進行を食いとめて、持続可能な社会を構築することが現代に生きる我々の喫緊の課題である、そういう認識を持っております。

 さて、京都議定書の第一約束期間がいよいよスタートをいたしました。七月には、地球温暖化を主要議題とする洞爺湖サミットの議長国として世界の議論をリードする立場にありますが、その大前提として、六%の削減約束は確実に達成する必要があるわけであります。しかし、現状では、温室効果ガスの排出量は六・四%もふえている、トータルとして一二・四%の削減が至上命題となっているわけでございます。

 このため、依然として排出の伸びの著しい業務部門や家庭部門を初めとして、あらゆる部門での対策を強化して、政府はもとより、地方自治体、事業者、国民など、すべての主体の取り組みを進めていくことが必要となっていると思います。

 このような中で、本法案はどのような役割を果たしていくのか、環境大臣に明確に答弁をお願いしたいと思います。

鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、ことしは日本にとって非常に重要でありますし、地球環境、こういうような問題においては世界にとっても大変重要な時期に差しかかっているわけであります。

 そういう中でこの法案の御審議をいただいているわけでありますけれども、この法案につきましては、今御指摘ありました業務部門あるいは家庭部門を含むあらゆる分野を対象として、京都議定書の六%削減の目標を達成するために、しっかりとした施策を定めるものでございます。

 具体的には、まず第一に、排出抑制等指針を策定しまして、温室効果ガス排出抑制のための具体的な取り組みを示す、こういうようなことにしているわけでございます。第二に、算定・報告・公表制度を見直しまして、業務部門を中心に排出量のカバー率を大幅に拡大する、こういうようなことにしております。第三に、地方公共団体が、地方におけるきめ細かい対策に関する計画を策定する、こういうようなことにさせていただいております。第四に、地球温暖化防止活動推進員の委嘱と地球温暖化防止活動推進センターの指定を行うことができる地方公共団体を大幅にふやす。

 こういうようなことを通じまして、業務、家庭部門を中心に、あらゆる分野が、そしてあらゆる主体がしっかりと取り組むことによりまして、この削減の目標を達成していく、こういうような趣旨でございますので、何とぞ、ぜひよろしくお願いいたします。

江田(康)委員 私は四月の十一日に一般質問をさせていただき、地球温暖化問題を取り上げさせていただきました。

 その質問の中でも、私は基本的認識ということに触れたわけでございますけれども、安倍総理がクールアース50を提言された、その基本的な意味でございますが、改めて私は述べたいと思うんですけれども、今、先進国のCO2の排出量と途上国の排出量は、ほぼ五〇対五〇で拮抗しているような状況で、二〇五〇年には、中国、インドを含める途上国においては、これは飛躍的な経済発展をしていく、したがって、温室効果ガスの排出量も飛躍的に増大していく。

 しかし、途上国を現在の排出量と同じ水準で、国際社会が日本を初めとする環境技術の貢献で五〇%で抑えたとして、先進国の排出量は二〇五〇年にゼロにならなければならない、こういうことが含まれている、それが安倍総理が提言されているクールアース50の持つ意味だと思います。

 温室効果ガスがゼロに近い社会、これが低炭素社会と言われるものでありますけれども、この低炭素社会を実現していくためには、我が国においても、あらゆる主体が温暖化防止を動機づけるということが大前提になるわけでありまして、そのためには大胆な環境対策、温暖化対策というのが進んでいかなければならない。

 したがって、例えば、炭素に価格をつける制度、排出量取引制度等の導入も含めて、これを真摯に論議しなければならない、そういうことが今我が国にとって大変重要な課題であり、基本認識を持たなければならないと思っております。

 前回の質問では、温室効果ガスの中長期目標や、先ほど言った排出量取引のあり方、サミットに向けた我が国の対応、そういう大きな取り組みについて質問をさせていただきました。

 地球環境問題を考える上で、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーという、古いけれども新しい言葉があります。本日、この言葉が持つ新しい意味と、地域をキーワードとして幾つか質問をしたいと思っています。大きな枠組みづくりと地域の取り組みがあって初めて温暖化対策も目標の達成ができるものであるという考えに基づくものでございます。

 地球温暖化問題は大規模事業者や国の努力だけで解決するものではありません。地球温暖化問題は、今後百年、二百年にわたって人類が取り組むべき課題であり、国民一人一人や地方自治体を含めて国全体で取り組むべき課題であります。社会の仕組みそのものを変革するという大胆な発想で、先ほどから言う低炭素社会を実現していかなければなりません。

 特に、近年排出の伸びが著しい家庭、交通、オフィスなどの民生、運輸分野を考えれば、都市づくり、まちづくりというのは極めて大きな課題でございます。住宅や商業施設の立地、道路や鉄道といった交通網がどのように整備されているかという都市・まちづくりの問題というのは、こうした社会インフラが一度整備されてしまうと長期にわたって二酸化炭素の排出構造をも決めてしまうために、地球温暖化問題の中で重要な課題であると考えます。この点については、今回の質疑の中でも光が当たっていない分野であろうかと思いますが、非常に重要な分野であると思います。

 我が国は高度成長期以降、人口や経済規模の急激な拡大に伴って、郊外における積極的な住宅や商業施設の開発、いわゆる都市のスプロール化が進展して、自動車交通などに伴う二酸化炭素排出を増大させてきました。今後は、こうした都市・まちづくりのあり方、都市計画そのものを見直して、社会資本イノベーションをキーワードとして、低炭素型の都市づくりを目指していかなければならないと思います。こうしたまちづくりのあり方のダイナミックな転換は、近年の経済発展に伴って急激に都市化が進んでいる東アジア地域においても、我が国のモデルを示すという意味で重要であるかと思っております。

 質問でございますけれども、本法案におきましては、都市づくり、まちづくりの視点からの施策はどのように位置づけられておるのか、環境大臣にお伺いいたします。

鴨下国務大臣 今先生の御指摘の都市・まちづくり、こういうようなことは極めて重要な観点だろうというふうに思います。特に日本だけのことではなく、これから発展途上の国々も都市化をしていくわけでありますけれども、そのときに、低炭素というような観点から、どういうふうな都市づくりがこれからの社会にかなうのかということについて日本から発信する、こういう趣旨も含めて、非常に重要な考え方だろうというふうに私どもも考えております。

 そういう中で、具体的な話としましては、例えば、地域それぞれが特性を生かしながら、さまざまな都市機能を集約していく。今までは、どちらかというと拡大していって、自動車でそれぞれアクセスするということでありましたけれども、公共交通機関を十分に整備すること、あるいは高齢化社会に向けて、歩いて暮らせる活力のあるコンパクトなまちづくり、こういうようなことを進めるということが重要なんだろうと考えております。

 今回の法案では、地方公共団体実行計画におきまして、公共交通機関の利便増進や都市における緑地の保全等に関する事項を定めることとしております。また、都市計画等につきましては、地方公共団体実行計画と連携して温室効果ガスの排出の抑制が行われるように配意をしていただく、こういうようなことにしているわけであります。

 環境省としましても、ガイドラインの策定等によりまして、実効的な地方公共団体実行計画の策定を促進する、こういうようなことと同時に、地方公共団体が行う低炭素型の都市・まちづくりのための取り組みをしっかりと支援してまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 今回の温暖化対策法では、この地方実行計画を拡充しているわけでございますけれども、これまで地球温暖化問題への対策について、都市計画法とか、また農業振興地域整備計画法等では、配慮していくということで進んできたわけでございますけれども、今回の法案の大きな意義は、都市計画法や農業振興地域整備計画法等においても、この温暖化対策法に規定するところの地方公共団体実行計画を反映しなければならないという点において、これは大変大きな改正であるかと思っております。

 次の質問でございますけれども、石油、天然ガスなど化石燃料というのは、地球温暖化の原因となるばかりではなく、我が国は資源小国でございますけれども、エネルギーの安定供給を確立するためにも依存度を下げていかなければなりません。そのような中で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、安全で二酸化炭素も排出せず、枯渇の心配の要らないエネルギー源として、今後ますます重要視していくべきものでございます。

 このような再生可能エネルギーはまさしく地域資源そのものでありまして、その推進に当たっては地域の取り組みという視点が重要でございます。例えば、局地的に吹く強風を活用して、町の電力の一割以上を発電可能な風力発電施設を導入している山形県の庄内町や、また、農作物生産の豊かな北海道の特性を活用して、規格外小麦などからバイオエタノールを生産している十勝地区、さらには、我が熊本でもございますけれども、熊本県としましては、ソーラーフォレスト構想というのを立ち上げまして、太陽光発電の導入に積極的に取り組んでいるところでございます。

 このような再生可能エネルギーの普及、促進のため地域色を生かした取り組みが行われているわけでございますけれども、こうした施策を進めていくことが、地方の活性化という観点からも大変重要であるかと思いますが、本法案において、このような取り組みをどのように位置づけているのか、その推進をどのように図っていくのか、また、それをどのように支援していくのかについて、大臣の見解をお伺いいたします。

鴨下国務大臣 御指摘のとおり、再生可能エネルギーの普及、促進は、地球温暖化対策にとって極めて重要でもありますし、有効な手段でもあるわけであります。そういう中で、例えば木質バイオマスの利活用、あるいはそれぞれの地域に存在するエネルギー資源を活用する、今お話ありました小水力、あるいは風力というようなものを活用していくことによりまして、低炭素型の地域づくりを進めていく、こういうようなことにつながるんだろうというふうに考えます。

 今回の法案では、都道府県や政令指定都市等につきまして、地方公共団体実行計画におきまして、再生可能エネルギーの利用の促進に関する事項を定めることとしております。この計画を通じまして、御指摘のような地域の主体的な取り組みが進むこと、これが期待されるわけでございます。

 環境省としても、ガイドラインの策定等につきましては、地方公共団体が効果的な実行計画の策定をできるように推進してまいりたいというふうに考えております。

 また、本年度からは、地方公共団体が、一般住宅への再生可能エネルギーの導入促進のために、地方発の新たな取り組みの実施に際して、国が地方公共団体を支援する事業を実施する予定でございます。

 今後とも、地方公共団体とも連携をしまして、再生可能エネルギーの導入を含めました地方における地球温暖化対策を強化してまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 これまで大臣からも答弁がありましたように、今回の改正案において盛り込まれる地方実行計画の拡充というのは、地域発の温暖化対策を進めていくために極めて重要な事項であります。しかしながら、現行法における地方実行計画の市町村における策定状況というのは、全市町村中で約六百六十市町村でございます。全体の四割弱でしかありません。不十分な状況であると思います。そのような中で、今回新たに、特例市以上の市町村には地域全体の温暖化対策についても計画に盛り込むこととしておりますけれども、これは実効性に疑問があると言わざるを得ないと思っております。

 そこで、地方実行計画の策定を促進するためにどのような対策をとろうとしているのか、お伺いをいたします。

南川政府参考人 今回充実をお願いしたいと思っております地方の実行計画でございます。

 私ども、できるだけ早い時点で実行計画の策定が進みますようにわかりやすいマニュアルをきちんとつくりまして、できるだけ懇切丁寧に説明会を行いたいということで考えております。また反面、策定状況につきましてもできるだけ早く公表するということで、自治体にも速やかな対応をお願いしたいと考えているところでございます。

 またさらに、実行計画を策定した自治体につきましては、先行的な省エネ設備あるいは太陽光発電などの導入についての支援ということも充実をしてまいりたいと考えているところでございます。

 こうしたことで、特例市以上の地方公共団体の実行計画について、その策定の促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 また、これは大変重要なことでもありますけれども、地方自治体が温暖化対策を進めるに当たりまして、地方財政の状況は大変厳しいわけでありまして、十分に手が回らないのが実情でございます。限られた財源の中で地方自治体が温暖化対策を進められるように、地方財政の仕組みを改めていくということが必要であるかと思っております。

 例えば、昭和の市町村合併の際に建設された公立中学の建てかえ時期に来ておりますけれども、物によっては建てかえでなく改修で十分なものがございます。これをいい機会としてエコ改修を進めていくべきであると思いますが、現在の制度では、新築であれば交付税措置がとられるけれども改修では措置されないという状況がありまして、なかなか進んでおりません。

 また、別途、今国会で審議されている間伐促進特別措置法案が成立すれば、特定の間伐や植林の事業に対しては特例措置が講じられますけれども、そのほかの森林経営に関する費用については措置されないこととなっております。

 今後、こうした点を政府としても見直して、地方財政の中に地域における温暖化対策が進むような仕組みを組み込むことが大変重要かと思いますが、積極的に取り組んでいく意思があるのかどうか、総務省にお伺いをいたします。

津曲政府参考人 地球温暖化対策は地域におきましても大変重要な課題でありまして、委員御指摘のとおり、地方公共団体においては、厳しい財政状況の中でさまざまな対策に取り組んでいるものと承知しております。

 総務省といたしましても、地方公共団体の地球温暖化対策の取り組みに関し、計画策定や地域住民への普及啓発などを環境保全対策の一環として交付税措置をしておりますほか、各行政分野の施策に係る地方財政措置を通じた支援を行っているところであります。

 森林整備に係る地方負担につきましては、林業振興対策や森林管理対策として従前から所要の地方交付税措置を講じているところであります。

 これに加えまして、京都議定書に基づく約束の履行に関し、我が国の森林が果たす役割の重要性にかんがみ、新たな法定計画に基づいて地方公共団体などが追加的に間伐などを実施する場合、地方債の特例措置を設けることなどを内容とする法案を御審議いただいているところでありまして、御理解いただきたいと思います。

 また、施設につきましては、施設の新設などと比較いたしますと、施設の改修や維持管理などに対する財政措置が異なることは国の補助制度でも同様の事情にございますが、委員御指摘の点も含めまして、地域における地球温暖化対策に資するような地方財政措置のあり方を引き続き検討してまいる所存であります。

 いずれにいたしましても、地方財政の置かれた厳しい現状のもとで、まずは安定した地方税財源の充実や地球温暖化対策のための財源の確保が何よりも必要不可欠であると考えております。

江田(康)委員 今回の地球温暖化対策推進法の意義を十分に踏まえて、温暖化対策が進むような地域における仕組みをぜひとも積極的につくっていっていただきたい、そのようにお願いをしておきます。

 これまで、地域をキーワードとして、国内対策について幾つか質問をさせていただきました。視点をさらに広げれば、東アジアもまた地球の中の一つの地域でございます。この地域において、厳しい産業公害やオイルショックを克服してきたアジアの先進国である我が国の国際環境協力のあり方について、残りの時間で質問をさせていただきます。

 今後、世界の経済成長のエンジンとなる東アジアにおきましては、気候変動を含めた環境対策を進めていくことは地球全体の環境保全を進めていく上で非常に重要であり、その中で我が国の果たす役割というのは大変大きなものがあります。また、酸性雨、黄砂、漂流・漂着ごみの問題など、我が国への影響に対処するという意味でも、東アジアの国際環境協力を進めていくことが大変重要でございます。昨年取りまとめられた二十一世紀環境立国戦略におきましても、我が国の公害克服の経験と知恵を生かした環境汚染の少ないクリーンアジア・イニシアチブが提唱されているところであるかと思います。

 東アジアの中でも、とりわけ中国は、世界レベルでも有数の二酸化炭素排出国であるとともに、国内では深刻な大気汚染が問題となっております。

 私も今月香港に行ってまいりましたが、大変快晴であるにもかかわらず、スモッグがかかっているような状況もございます。このような香港、上海を初めとして、中国における環境問題は大変大きな問題でございますけれども、中国との環境協力は我が国にとって大きな課題であると考えます。公害対策と地球温暖化対策とを一体的に推進して相乗効果を上げるコベネフィット対策を初めとして、中国との環境協力のさらなる展開に向けて今後どのように取り組んでいくのかをお聞きしたいと思います。

 我が党では、以前より、日中の環境協力を大きく進めるためにも、日中環境パートナーシップや日中環境基金というものを創設していってはどうかという提言をしてきているわけでございますけれども、五月には胡錦濤国家主席の来日もございますが、これをいい機会として、日中の環境協力にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

桜井副大臣 中国の環境問題は、アジアや世界の環境にも影響を及ぼし得る重要な問題であろうと思っております。先ほどお話しのように、首脳レベルや大臣レベルでの政策対話も積極的に行っているということは、江田委員も御存じのことと思っております。

 我が国としては、さまざまな環境分野の協力を戦略的互恵関係の重点分野として強化しておりますし、今月も、鴨下大臣が中国を訪問いたしまして、周生賢環境保護部長と会談し、今後の協力等について積極的な意見交換を行ってきておるところでございます。

 具体的には、中国にとって大気汚染などの公害対策は喫緊の課題でもありますし、気候変動対策との双方に資するコベネフィット型の協力は効果的な支援であると考えているところでございます。このため、昨年十二月に協力実施に関する合意文書を作成し、現在、協力の具体化を進めているところでございます。

 また、日中水環境パートナーシップの具体化や黄砂共同研究の推進、廃棄物スリーRの推進などさまざまな分野で協力を進めているところでございます。

 今後とも、我が国の高い技術、知見、経験を活用して、日中の環境協力を進めていきたいと考えているところでございます。

江田(康)委員 今副大臣が申されました中国との環境協力に加えて、OECDの一員となった韓国についても、その果たす役割は大変重要かと思っております。本日はもう質問はできませんけれども、先日、李明博大統領が福田総理と会談をなされたところでございますけれども、ポスト京都の枠組み構築に積極的に参加する、そしてまた緊密に協力するという発言があったわけでございます。東アジアにおける環境協力に日本がリーダーシップをとっていくということの意味は大変大きなものがあるかと思いますので、ぜひとも積極的に取り組んでまいることを政府に要望しておきたいと思います。

 本日は、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーという古いけれども新しい言葉、国内における地域が大事だ、また、東アジアというような、地球上における大きな観点からの地域、こういう地域の取り組みがいかに進んでいくか、またそれを支えていくか、これがやはり温暖化対策における重要な課題であり、京都議定書の目標達成におきましても大変重要な点であるかと思っております。

 今回、地球温暖化対策推進法がこのように改正をされるわけでありますけれども、目指すところはやはり低炭素社会の実現であって、あらゆる主体、国民一人一人、また自治体を含めて国全体で取り組むべき課題を明確にしつつ、社会の仕組みそのものが変わるような、そういう方向を我々は目指していかなければならない。そこに我が国が、また政府が強いリーダーシップと意思を持って立ち向かっていかなければならないということを強く申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

小島委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小島委員長 この際、本案に対し、西野あきら君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。村井宗明君。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

村井委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本修正案は、委員会における質疑等を踏まえ、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の協議の結果、合意が得られたものであります。

 地球温暖化対策のより一層の推進を図るためには、各主体が一丸となって取り組むことが何よりも重要であります。その意味で、国民一人一人がどのくらい二酸化炭素を排出しているか、容易に把握できるよう、国民に対し必要な情報の提供を行っていくことが重要であります。

 また、各事業者から排出される温室効果ガスに係る情報に関しては、適切な情報の提供が行われることとなるよう、そのあり方を検討し、必要な措置を講じていくことも重要と考えられます。

 そのような趣旨から、今回、政府から提出されている温暖化対策推進法一部改正案の一層の充実を図るための措置として、本修正案を提出した次第であります。

 以下、その内容について御説明申し上げます。

 第一に、一般消費者に対するエネルギーの供給の事業を行う者は、その供給の相手方に対し、その供給したエネルギーの使用に伴う二酸化炭素の排出量の把握に必要な情報を提供するよう努めなければならないものとすることであります。

 第二に、政府は、白熱電球に代替する温室効果ガスの排出量がより少ない光源の使用の促進その他の温室効果ガスの排出量がより少ない日常生活用製品等の普及の促進を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとすることであります。

 第三に、政府は、事業者による温室効果ガスの排出量その他の事業活動に伴って排出する温室効果ガスに係る情報に関し、投資、製品等の利用その他の行為をするに当たって当該情報を利用する事業者、国民等に対する当該事業活動を行う事業者による提供のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとともに、日常生活に関する温室効果ガスの排出を抑制する観点から、国民の生活様式等の改善を促進するために必要な施策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

小島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小島委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、西野あきら君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小島委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小島委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、小野晋也君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小野晋也君。

小野(晋)委員 私は、ただいま議決されました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 新エネルギーの利用を促進するために必要な財政上、金融上及び税制上の措置を講ずるよう努めること。その際、国内に存する新エネルギーに係るエネルギー源の地域の特性に応じた開発及び導入の促進について十分に配慮すること。

 二 国内における排出量取引に係る制度、温室効果ガスの排出量に応じ税を賦課する制度その他の経済的措置により温室効果ガスの排出の抑制等を促進する制度等の在り方について総合的にかつ速やかに検討を進めること。

 三 一般消費者に対するエネルギーの供給の事業を行う者が、エネルギーの使用に伴う二酸化炭素の排出量の把握に必要な情報を提供する際において、提供される情報の内容が一般消費者にとって明確に理解されるようなものとなるよう促すこと。その際には、中小の事業者に対して過度の負担にならないよう、適切な配慮を行うこと。

 四 事業者による温室効果ガスの排出量その他の事業活動に伴って排出する温室効果ガスに係る情報に関し、投資、製品等の利用その他の行為をするに当たって当該情報を利用する事業者、国民などに対する提供の在り方について検討する際には、公平かつ統一的なものになるように情報提供の方法の検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

小島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小島委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。鴨下環境大臣。

鴨下国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。

    ―――――――――――――

小島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十二分散会


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