衆議院

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第9号 平成20年5月20日(火曜日)

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平成二十年五月二十日(火曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      鈴木 俊一君    土屋 品子君

      とかしきなおみ君    中川 泰宏君

      並木 正芳君    藤野真紀子君

      盛山 正仁君   山本ともひろ君

      末松 義規君    田島 一成君

      田名部匡代君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐々木昭博君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           照井 恵光君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           内田  要君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  櫻井 康好君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  渡部  篤君     盛山 正仁君

同日

 辞任         補欠選任

  盛山 正仁君     渡部  篤君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 生物多様性基本法案起草の件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官佐々木昭博君、経済産業省製造産業局次長照井恵光君、国土交通省大臣官房審議官内田要君及び環境省自然環境局長櫻井康好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。盛山正仁君。

盛山委員 自由民主党の盛山正仁でございます。

 生物多様性という言葉は、何を言っているのかちょっとわかりにくい言葉ではございますけれども、それでも少しずつこの言葉が定着しつつあるのかなと最近感じております。

 人間の暮らしというのは、我々だけで成り立っているものではありません。食料あるいは医薬品といったようなことでも、多くの生物の多様性、動植物その他菌類、いろいろなものの恵みを、自然の恵みを我々は享受して生きているというところでございます。この生物の多様性をどういうふうにして守っていくのか、大変大事なところであります。

 また、日本は豊かな四季がございます。こういう豊かな自然、そしてそれによって成り立ってきた文化。こういったことでありますように、生物の多様性といいますのは、我が国のそれぞれの地域の独自の文化の多様性、こういったものも支えているというふうに思います。

 他方、日本の今の現状を振り返ってみますと、開発がどんどんどんどん進んできた結果でございますが、いろいろな種類の生物が絶滅をしたり、生態系の破壊にもつながっております。森林の手入れがなかなかできなくなる、あるいは里地里山についてもその水準をなかなかうまく維持できなくなっている。あるいは、先年できましたけれども、外来種の関係での生態系の攪乱といったこともございまして、地球温暖化による影響とも相まって生物多様性についてはいろいろ問題が出てきている、そんなふうな残念な状況になりつつあるというふうに思っております。

 そうした中、昨年、ドイツのハイリゲンダムのサミットでは、生物の多様性につきまして、G8のサミットで初めて首脳宣言に盛り込まれました。国際的にも、地球温暖化に加えて生物多様性に対する関心が大変高まっているところでございます。

 特にことしのサミットは、ホスト国は我が国でございます。七月の七日、七夕の日から北海道洞爺湖でサミットが開かれるわけでございますが、その準備会合として、私の選挙区でもございます神戸で鴨下環境大臣がホストになられましてG8の環境大臣会合が開かれます。もちろん、ことしのサミットは、最大のテーマは地球温暖化を中心とする環境問題でございますが、循環型社会の形成と並びまして生物多様性もその大きなテーマの一つであるというふうに承知をしております。せっかくの機会でございますので、我が国の環境大臣から世界に向けてこの生物の多様性についてイニシアチブを発揮していただきたいと思っております。

 特に、昨日からドイツで生物多様性の締約国会合が開かれているところでございます。このドイツでの締約国会合、閣僚級の会合は来週末に控えている、こういう状況のもとで、我が国の環境大臣はどのような形で我が国のスタンスをアピールしていただけるのか、まず大臣にお伺いしたいと思います。

鴨下国務大臣 今先生御指摘の生物多様性の問題、これは先進国が一致して取り組むべき地球規模の大きな課題でありまして、今お話しになりました神戸で開催されますG8環境大臣会合では、気候変動、スリーRと並ぶ三つの主要な議題の一つになる、こういうようなことで生物多様性を取り上げてまいりたいというふうに考えております。我が国としましては、この議論を通じまして、生物多様性の保全と持続可能な利用を促進するための一層の行動を各国に呼びかけたいというふうに思っております。

 具体的に申し上げますと、一つは、里山に代表されるような持続可能な自然資源利用を通じた自然共生社会づくりの重要性をSATOYAMAイニシアチブということで世界に発信したい、こういうふうに思っております。

 加えまして、保護地域の指定、管理のための国際協力を強化し、森林、湿地、サンゴ礁など世界的に重要な生態系のネットワーク化を推進する世界重要生態系ネットワークの構築を提案する、こういうことも予定しております。

 また、企業やNGO、研究者を含む多様な主体の間の対話を促進しまして、生物多様性の社会への浸透を図ること。さらに加えまして、気候変動の影響も含めました地球規模の生物多様性のモニタリングを推進する、こういうようなことを具体的に提案して各国に呼びかけてまいりたい、かように思っております。

盛山委員 大臣、ありがとうございました。

 今、大臣の御答弁にもSATOYAMAイニシアチブという言葉がございました。大変すばらしいお言葉であると思っております。

 西欧社会は、どちらかというと自然と人間が対立をする、人間が自然を克服していく、そういうような形の社会ではないかなと私は思います。それに対しまして、東洋というんでしょうか、我が国は、自然と共生する、これがベースに来ている自然や文化であるというふうに私は考えております。

 今大臣からお話がありましたように、SATOYAMAイニシアチブ、里山はその一つの一番いい例ではないかと思うんですが、自然を守る、保全する、もちろんそれはそれで大変大事なことなんですけれども、利用しながら保全をしていく、あるいは人間が手を入れることによって自然環境がかえっていい状態で維持していける、そういうようなことがあるんじゃないかなと私は考えております。

 食料や医薬品などは生物多様性の恵みがあってこそでございます。こういったことを考えますと、持続可能な社会、サステーナブルな社会。長く自然と共生をしていく。そういうような生活、地球での人間の活動ということを考えますと、生物多様性の重要性を十分認識した上で、人や企業の活動が、保全と利用ということで、うまく利用していくことが大変大事ではないかな。原生林ですとか貴重な自然を手つかずで守るということだけではなくて、人間も一緒になって利用し、なおかつ保全とバランスをとっていく。

 前にエコツーリズム推進法を議員立法でつくりましたが、これも環境と観光の両立といったようなことをねらったものでございました。地球温暖化の点でも、環境と経済の両立ということをうたってやっているわけでございます。この生物多様性の保全と利用のバランスについてどのように取り組んでいかれるか、局長にお尋ねしたいと思います。

櫻井政府参考人 生物多様性に関します保全と利用の双方のバランスについてのお尋ねでございますが、御指摘のように、人間が生物多様性の恵みを享受して暮らしている中で、我々の日々の生活あるいは社会経済活動が生物多様性に多大な負荷を与えてきたという側面があることも事実でございます。これらの負荷を回避または最小化するという努力が重要であろうかと思っております。

 また一方、御紹介ありました里地里山のように農林水産業など人の活動によりまして特有の生態系が維持されてきたところでは、これらの活動によります保全を継続的に行っていく仕組みが重要であろうと考えております。

 このように、生物多様性につきましては、人類存続の基盤として保全するということと、事業活動等において持続可能な形で利用を確保するということの双方を考慮する必要があるわけでございまして、この保全と利用の双方をバランスよく推進していくことが不可欠であろうというふうに考えておるところでございます。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 条約にもありますように、保全と利用、持続可能な社会というところが一番大事なところであろうかと思います。ぜひその保全と利用のバランスということを考えながら施策に取り組んでいっていただきたいと思います。

 さて、我が国は大変南北に長い島国でございます。そういう点では、四季があるということもありますけれども、大変バラエティーに富んだ自然環境ということで、森林、湿原、川、海といったようなさまざまな生態系がございます。そして、この生物多様性の観点からでも、それに関しまして関係各省さまざまな法制度がございます。また、国が基本的なところを今国家戦略ということでお示しをしていただいているわけでございますが、国が決めるだけではなくて地域において、それぞれバラエティーに富んだ生態系に合わせて、自治体だけではなく、事業者、民間団体、地域の方々による取り組みが重要であると思っております。

 そこで、先ほどの質問とも絡むわけでございますが、保全と利用というこのバランスの観点に関しまして、地方では最近どのような取り組みをしておられるのか、局長にお尋ねしたいと思います。

櫻井政府参考人 地方公共団体における取り組みということでございますけれども、生物多様性という観点からの取り組みが地方公共団体でも始まっているところでございます。本年の三月には、千葉県と埼玉県におきまして生物多様性の県の戦略というようなものが策定をされているところでございますし、今後は兵庫県、愛知県、あるいは名古屋市などでもこういった策定が検討されているというふうに聞いております。

 環境省といたしましては、今後、こういった地方版の生物多様性戦略策定のための指針などを通じまして、地方の取り組みを一層進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 私のおります兵庫県では、例えばコウノトリが有名でございますけれども、コウノトリをどのようにしてふやしていくかということで、コウノトリの数をふやすにはコウノトリのえさが要る、そのためのいろいろな虫とか貝をどうするのか。それは、有機農法で田んぼや畑を維持している農家の方あるいは地域の方々の協力を得ながらやっている。そんなふうに、今御答弁ございましたが、いろいろな多くの関係者の方々のお力を得ませんと、この生物の多様性を維持していくというのは大変難しいんじゃないかと思うんです。

 これに絡みますけれども、多様性という観点では、森あるいは畑、海洋、いろいろな生態系に関係して、役所でいいましても、環境省だけではとてもカバーできない。これからは関係省庁が大変広く関連するような施策が必要になると思います。これまでもそれぞれ関係省庁でそれなりに連携を図ってきておられると思うんですけれども、生物多様性という観点を中心にして各省間の連携をうまくとってこられたのかどうか、残念ながら若干疑問なしとしないわけでございますが、環境省としてこれから政府間の連携をどのようにうまく取り組んでいかれようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。

櫻井政府参考人 昨年の十一月に閣議決定をいたしました第三次の生物多様性国家戦略がございます。この国家戦略の策定の過程におきましては、関係各省の施策を広く盛り込んでおりますけれども、そのプロセスにおきまして各省と意見交換あるいは施策の調整などを進めてきているところでございます。また、その実施に当たりましても、これまで関係各省による連携を進めてきているところでございます。

 今後とも、こういった関係各省間の連携を強化するということは重要な課題であろうと思っておりまして、引き続きその強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

盛山委員 ぜひ今の意欲で、環境省のリーダーシップで関係各省をまとめていただきたいと思います。どうしても各省ばらばらということがこれまでの行政には多かったのではないかと思います。環境省が中心になって各省にうまく問題意識を持っていただいて、御協力いただけるようこれからも、これまで以上に一層の努力をお願いしたいと思います。

 これまで生物多様性につきましては、国家戦略という形で、閣議決定ベースだと思いますが、もう十五年ぐらいになるでしょうか、環境省を中心に取り組んでこられました。たしか昨年まとめられた戦略は第三次だったんじゃないかと思うんですけれども、今後この生物多様性により一層取り組んでいくためには、今のような閣議その他のベースのものだけではなかなかしんどいのではないかな、もう一歩進んで法制化その他の必要があるのではないかなと思っております。

 特に、私が承知している範囲では、先進主要国におきまして、生物多様性条約はあるものの、生物多様性に関する基本法というのを持っている先進国はないのではないのかなと思っております。

 冒頭も申し上げましたが、来週末にはドイツで生物多様性の締約国会合の閣僚会合がございます。また、今週末のG8の神戸での環境大臣会合で、ぜひ鴨下環境大臣から生物多様性について我が国はこういうふうなイニシアチブをとっていくんだと。さっきSATOYAMAイニシアチブのお話は伺いましたけれども、我が国日本で次回の生物多様性の締約国会合を誘致する、そういう意気込みも含めてどのようなお考えをお持ちなのか、日本が世界をどのようにリードしていこうと思っておられるのか、そのあたりの大臣のお考えを伺いたいと思います。

鴨下国務大臣 今、COP9が行われているわけでありますけれども、COP10の開催されます二〇一〇年は国連が定める国際生物多様性年でありまして、COP10においては二〇一〇年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという、いわゆる二〇一〇年目標の達成状況の評価あるいはポスト二〇一〇年目標など重要な決定が行われるいわば節目の年になるわけであります。

 そういう中で、今まさにドイツのボンで行われているわけで、私もお許しがいただければ多分来週末にはボンまで行きまして、COP10をぜひ日本でと各国にお願いをしてきたい、こういうふうに思っておりますが、まさに、日本でそれが実現すれば、ホスト国としての立場から、COP10において十分な成果が得られるよう国際的なリーダーシップをとっていく必要があるんだろうというふうに思っております。

 そのため、さまざまな機会をとらえまして生物多様性の保全あるいは利用に関する我が国の取り組みを発信してまいりたいと思います。SATOYAMAイニシアチブを含めて、今先生から御指摘のあったことをしっかりと踏まえまして取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、COP9の成果となる生物多様性と気候変動に関する政策間の連携、あるいは生物多様性分野における民間参画に関しましての議論もさらに深化するようなことを、ポスト二〇一〇年目標の検討などにおいて先導的な役割をしっかりと果たしてまいりたい、かように思っております。

盛山委員 大臣、ありがとうございました。ぜひその御決意の中に法制度の整備も含めてしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 先ほど自民党の盛山委員からも大変示唆に富んだお話をいただきましたが、私も、この生物多様性について、大臣以下、きょうは参考人として関係省庁にもお越しをいただきましたので、各省のお取り組み、また姿勢について尋ねていきたいと思います。

 去る四月の十日に、私ども民主党、この生物多様性、しっかりとした基本法なるものをつくり、そして各省庁がその取り組みをさらに強化していくべきだということから、民主党より生物多様性基本法案を提出させていただきました。世界を見渡しても類のないこの基本法を日本が、とりわけ、先ほど大臣の御答弁の中にもありましたが、二〇一〇年、生物多様性年に名古屋でCOP10を開催しようという意気込みをお持ちである以上、今この段階で日本として生物多様性に対する姿勢を明確にする意味でも、また法的な位置づけを明記していくためにも必要だということから提出をさせていただいてきたところであります。

 政府は昨年、生物多様性国家戦略の第三次案をおまとめいただき、先ほどの答弁でも、各省庁で連絡を密にし意見交換や連携を進めてきたというようなお話がありましたが、まだまだやはり問題点は数多くございますし、きのうから始まりましたドイツ・ボンでのCOP9での主要テーマ、また、近々に行われる神戸での大臣会合の大きなテーマの柱となっているわけでありますから、その課題の認識は、ここにいる委員はもちろんのこと、広く国民の皆様にも認識をしていただく必要があろうかというふうに思います。

 そこで、まず冒頭、さまざまな危機が叫ばれている生物多様性の現状を環境省としてどのように認識されているのか、そしてまた、生物多様性がもたらす役割等についての基本的な認識についてお伺いをしたいと思います。

鴨下国務大臣 生物多様性は、その恵みを人類が享受することで生存しているという意味において、人類存続の基盤でありますし、加えまして、地域独自の文化の多様性をも支えているというふうな認識でございます。

 しかしながら、我が国の生物多様性は、開発等による生物種の絶滅や生態系の破壊、あるいは人間の活動の縮小によって里山等の劣化が起こるというようなこと、あるいは外来種等による生態系の攪乱等のさまざまな深刻な危機に今直面している、こういうふうに認識をしております。

 また、近年急速に進みつつある地球温暖化等の気候変動は、いわば生物種や生態系が適応できる速度を超えて、多くの生物種の絶滅を含む重大な影響を与えるおそれがあるというふうに認識をしております。

 また、国際的に見ましても、森林の減少や劣化、乱獲による海洋生物資源の減少など、生物多様性は大きく損なわれているのが現状だろうというふうに思います。

 生物多様性をめぐるこうした国内外の危機的状況に対応して、人類共通の財産である生物多様性を確保して次の世代に確実に引き継いでいくためには、生物の多様性に関連する施策をより一層総合的かつ計画的に推進していくことが必要である、こういうふうに考えているところでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。その認識に全く異論を唱えるものでもありません。

 しかし、この生物多様性の確保という議論を深めていく中で、私たちは、やはりさまざまな概念を整理しなければならないと考えます。条約の中では、とりわけ、生物多様性の保全と持続可能な利用というのが並列して書かれているところであります。

 持続可能な利用とは一体何なのか。先ほど盛山委員の方からも御指摘がありましたけれども、ややもすると、生物多様性の保全と必ずセットだというふうに位置づけられることが間々あります。私ども民主党でこの生物多様性基本法案を取りまとめるに当たりまして、今回は丁寧に広く国民の皆様に声を聞かせていただこう、意見を聞いていこうということから、一月から二月にかけての約一カ月間、パブリックコメントを実施いたしました。その中で多くの意見をいただいたのが、この持続可能な利用という文言に対するアレルギーでありました。ややもすると、持続可能な利用のために生物多様性を保全するという、どちらが主体かわからなくなってしまうというような意見がその主なものであります。

 私どもは、やはり生物多様性の保全があって持続可能な利用がもたらされるものというふうに考えるわけであります。言い方をかえれば、持続可能でない場合は利用できないという認識に立つべきだというふうに考えるわけでありますが、その点についてぜひ確認をさせていただきたいと思います。どのようにお考えか、お聞かせください。

櫻井政府参考人 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、生物多様性が人類の存続の基盤であるということはだれしも疑いのないところでございます。人間はこれまでその恵沢を享受してきておるわけでございまして、将来にわたってもその恵沢を享受できるように、次の世代に引き継いでいくということが必要であろうかと思っております。

 これまで社会経済活動の変化に伴いまして我が国の生物の多様性が損なわれてきたということ、また、これからも自然資源の利用により国内外の生物の多様性に影響を及ぼすおそれがあるということを踏まえれば、生物多様性の利用というのは、生物の多様性に及ぼす影響が回避されるとかあるいは最小となるような、そういった持続可能な方法で利用するということを原則とすべきだろうというふうに認識しておるところでございます。

田島(一)委員 もう一点、生物多様性と大変大きくかかわりのある生態系というキーワードについて確認をさせていただきたいと思います。

 環境省として、生物多様性の保全に当たってこの生態系というものはいかがお考えなのか、まずその定義についてぜひ御意見を聞かせてください。

櫻井政府参考人 生態系につきまして定義めいた言い方をすれば、これは生物多様性条約にも、ちょっと表現は違いますけれども趣旨は同じだろうと思っておりますが、こんなふうに言えるのではないかと思います。

 生物の群集及びこれを取り巻く大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素の総体であって、これらが相互に作用して一つの有機的な関係を形成しているものというふうに定義づけられるのではないかと考えておるところでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 生態系と生物多様性の因果関係、今御説明いただいたことで私全く異論もございません。その認識のもとで、この生物多様性の保全についてのお取り組みをぜひ進めていただきたいと考えます。

 さて次に、先ほどの盛山委員からの質問にもございましたが、現在ある生物多様性国家戦略に基づき、省庁、また環境省の中にあっても局や課を超えて、施策が有機的に連携をされているかどうかについて、私も大変危惧をしておるところであります。

 施策相互の有機的な連携の必要性と具体的な配慮、今後どのような連携を図っていくべきというふうにお考えなのか。また、具体的に配慮をしていく必要があるというふうに私も今申し上げましたが、具体的な配慮についてお考えがありましたらぜひ聞かせていただきたいのと、関係する省庁、とりわけ、環境省はもちろんのことでございますが、農林水産省、国交省それから経産省、それぞれの省からもお越しいただいておりますので、ぜひ各省からも、有機的連携の現状をどのように評価され、今後具体的な配慮についてどのように認識されているのか、姿勢とあわせてお答えをいただきたいと思います。

櫻井政府参考人 先ほども盛山委員に御答弁申し上げたところでございますけれども、昨年の十一月に決定いたしました第三次生物多様性国家戦略の策定プロセスにおきまして、各省と意見交換、政策の調整などを進めてきておるところでございます。また、その実施に当たりましても、関係各省による連携を進めてきているところでございます。

 しかしながら、一方で、生物多様性の劣化といいますか損失に歯どめがかかっていないということから、より有効な施策をより迅速に実施していく必要性はあるというふうに私どもも考えているところでございます。

 したがいまして、温暖化の防止その他の環境保全に関します施策相互の有機的な連携を図る、あるいは生物多様性の保全と持続可能な利用に関する各種施策の総合的かつ計画的な推進のために、関係省庁相互間の連携を一層強化するということが重要だろうと認識をしております。具体的には、この国家戦略につきまして毎年度点検をするというような作業をする中で、具体的に、実際何をやっているか、あるいは今後何をやろうとしているかというようなことを、各省と意見交換あるいは政策の調整を図っていきたいというふうに思っております。

佐々木政府参考人 農林水産省でございますが、私ども、生物多様性保全をより重視した農林水産施策を強力に推進していくために、平成十九年の七月に農林水産省生物多様性戦略というものを策定いたしました。これに基づきまして、環境保全型農業の推進など関連する施策を有機的に取りまとめながら進めているところでございます。

 今後とも、各府省の関連施策とも連携しつつ、田園地域でありますとか里地里山、森林、そして里海、海洋の保全など、生物多様性を重視した施策を積極的に進めたいと考えております。

照井政府参考人 経済産業省が生物多様性に関する施策として取り組んでいるものは、微生物資源の収集、それから分析、保存、提供を行うことでございます。

 微生物資源は、薬や食品などさまざまな産業に有用であり、また、環境保全の観点からその有用性も高く期待されています。具体的には、地球温暖化の抑制に寄与するバイオマス燃料の生産、あるいは汚染された土壌の浄化、さらには微生物を化学製品などの製造工程で活用するバイオプロセス、これは環境負荷や省エネの観点から従来の化学プロセスに比べまして大きな効果があると期待されておりますが、経済産業省としては、そのような技術開発も推進しております。

 このように微生物資源の持続可能な利用と環境保全は密接に関連しておりまして、当省といたしましても、引き続き、このような観点に配慮しながら、関係府省と連携し、いい施策を展開してまいりたいというふうに考えております。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省は、国土空間でございますとか地域空間というものを担う役割があるというふうに考えております。

 生物の多様性についてでございますが、私ども、例えば都市の緑化というものは、温室効果ガスの吸収源となる緑を確保するという目的とともに、生物の生育とか休息の空間を形成するというような複合的な役割を持っているというように考えております。

 私ども、昨年、政策レビューをいたしたわけですが、そこでも、施策単体やある側面だけで単発的に環境対策を行うのみではなくて、総合的、統合的な取り組みが重要というふうに自己評価しているわけでございます。

 こういう観点で、今までお答えございました国家戦略を踏まえまして、関係省庁とも連携をとって、より一層有機的な施策が推進されるように配慮してまいりたい、かように考えております。

 以上でございます。

田島(一)委員 今、四省から御答弁をいただいたんですけれども、やはりまだまだ生物多様性というものに対する認識、考え方に温度差があるやに伺いました。時間も限られておりますので、この点についてはまた後ほど機会を見てぜひ質問させていただきたいと思っておりますが。

 次に移りたいと思います。生物多様性の各地域での戦略策定についてであります。

 先ほどの答弁の中にも、千葉県や埼玉県、また愛知県や兵庫県でもこの生物多様性の地域戦略の取り組みがあることは御報告をいただきました。

 今や、地方分権という御旗のもとに、国から各都道府県や市町村に義務として戦略をつくれ、計画をつくれということはなかなか言えない、そんな御時世であります。とはいいながらも、この生物多様性の確保が危機的な状況にある中にあっては、各地域地域の生態系をしっかりと把握し生物多様性を保全するために、ローカルアクションプランと申しますか、地域戦略なるものをやはりきちっと策定していかなければならないと思います。

 しかし、残念なことに、知見が十分にそろっていない、情報が十分にない、また、戦略等々を策定するに当たっての人材がいないというような課題があるのも一方で問題であります。こうした問題も含めながら、今後、各地域での主体的な取り組みをさらに進めていくために環境省としてどのような考え方を持っているのか、その必要性の認識も踏まえてお答えをいただきたいと思います。

櫻井政府参考人 御指摘のように、生物多様性の保全につきましては、国が国家戦略という国レベルでの計画を策定するだけで実現されるというわけではございません。都道府県や市町村レベルでの取り組みに結びつけていくということが重要であろうというふうに考えております。

 都道府県及び市町村がそれぞれの地域の特性に応じた戦略、計画を策定するということは、生物多様性国家戦略に掲げる国の施策と地域での取り組みの間をつなぐという重要な意義があるわけでございまして、可能な限り多くの自治体にそういった取り組みを進めていただきたいというふうに考えているところでございます。

 環境省といたしましては、本年度から、地方版生物多様性戦略策定のための指針、ガイドライン的なものでございますが、そういったものを作成する作業を始めているところでございますし、また、先ほど御紹介をいたしました千葉県、埼玉県など先進的な取り組みの情報というものを各公共団体に提供することによりまして、地方版戦略の策定を促してまいりたいというふうに考えております。

 また、地方公共団体の職員を対象とする私どもの環境調査研修所におきまして研修などを行っているところでございますので、そういった研修を通じまして、人材育成にも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田島(一)委員 わかりました。ぜひ前向きのお取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、生物資源の適正利用についてお尋ねをしたいと思います。

 改めて申し上げるまでもなく、農林水産業や工業その他の分野においても、生物資源の有効な活用に主眼を置かれて、先ほども、生物多様性をお尋ねしておりましたけれども微生物のお答えをいただいた経産省さんなんかもありましたが、こうした形で生物資源の有効活用に対しては相当力点を置かれて各省庁が取り組みをされているんですけれども、その点について、どうもこの生物多様性への配慮というものが欠けているのではないか、問題意識が欠如しているのではないかという疑問を私は持っております。

 その点についてどのようにお考えなのか、この問題については農水省と経産省の二省で結構ですので、お答えをいただけませんでしょうか。

佐々木政府参考人 農林水産省でございますが、御承知のように、農林水産業は、自然の循環機能を利用いたしまして、動植物をはぐくみながら営む活動でございまして、一方、多くの生き物にとって、貴重な生育環境を提供し、特有の生態系を形成しているということで、生物多様性に貢献しているところでございます。

 しかしながら、過去の一部に、不適切な農薬、肥料の使用、経済性や効率性を優先した農地や水路の整備などが生物多様性に負の影響を与えたことを踏まえまして、先ほど申し上げました農林水産省生物多様性戦略を策定したところでございます。

 今後も引き続き、農林水産業の基盤であります生物多様性保全を重視して、生物資源の適正利用に努めていきたいと考えております。

照井政府参考人 経済産業省といたしましては、政府全体の中で、経済産業省として、微生物資源の収集それから分析、保存をしていく、さらに、それらを有効利用、適正のために提供していくということが当省の役割だというふうに認識しているところでございます。

 御存じのように、微生物資源は、世界各国に多様な種類が存在しております。したがいまして、その多様性の保全ということに十分な配慮を行っていくことが必要であろうと思います。

 そういう観点で、経済産業省におきましては、我が国における微生物の収集、保存のみならず、独立行政法人製品評価技術基盤機構を通じてアジア六カ国と微生物の相互利用を目的とした二国間協定を締結いたしまして、この協定に基づきまして、微生物資源保有国との共同探索あるいは共同研究によりまして、相手国に微生物の適正な管理それから採集の方法に関する技術移転を行うことによりまして、微生物多様性の保全に貢献してまいりたいというふうに考えているところでございます。

田島(一)委員 今の点についてはまだまだちょっと議論を重ねたいところではあるんですけれども、ぜひまた次の機会にさせていただきたいと思います。

 続いて、生物多様性を確保していくに当たっての多様な主体の連携であるとか協働、また、民意をいかにして反映させていくかという点についてお尋ねをしたいと思います。

 もう既に第三次環境基本計画の中には、まだ日本は批准しておりませんけれども、オーフス条約に関する市民参加についての記載があるところであり、今後、生物の多様性の保全について政策形成をしていくに当たっては、できる限り専門的な知見、また多くの国民の皆さんからの意見を反映していくことが私はやはり重要ではないかというふうに考えております。

 今後、政策形成に当たって民意を反映するために、どのような姿勢で臨み、具体的にどのような措置を図っていこうとお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 先ほど先生もおっしゃっていましたけれども、生物多様性の保全と持続可能な利用、これは多分、その時代、それから地域、文化というようなもので多少揺れ動くものなんだろうというふうに思っております。そういう中においては、専門的な知見あるいは市民の意識というようなものが総合的にいわば決定要因になっていくんだろうというふうに考えております。ですから、地方公共団体、事業者、民間団体、専門家等の多様な主体との連携、協働が不可欠だというふうに環境省としては認識をしております。

 生物多様性に関する政策形成に当たっては、こうした連携、協働の推進のためにも、民意をいかに反映していくかということが重要であるわけで、そのプロセスの中で公平性や透明性を確保するため、生物多様性国家戦略策定等の際のパブリックコメントあるいは審議会等での意見聴取を通じまして、事業者、民間団体あるいは専門家等の多様な主体の意見を広く求め、その結果を十分考慮した上で政策形成を行っていきたい、こういうふうに考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 多様な主体からの意見を聞き、そして政策に反映をしていきたい、大変前向きな意見として受けとめました。

 これまで、審議会であるとかパブリックコメントだとか、いろいろなツール等々で情報を開示し、また意見も求め、政策に反映されてきたところでありますが、これまで民間で活躍されている方々からは、不満の声等々が私たちのところにも届いております。まだまだ今のシステムでは十分ではないんだろうな、そんなふうにも考えております。

 この点については、民意を反映するというアリバイづくりのためだけではなく、真に長い将来展望に立つ生物多様性を確保するために、後々、あのときこうすればよかったと反省することのないように、ある意味、早目早目に民意を反映させていく手だてをあらゆる方法を使ってぜひ駆使していただきたい、そのことを、御答弁いただいた大臣にお願いしておきたいと思います。

 さて、今後、各政策形成や事業展開に当たっては、生物多様性の確保ができているかどうか、やはりその時々のチェックが重要になってくるのではないかというふうに思います。

 もちろん、この日本では、環境影響評価法に基づく事業の実施段階での影響評価については一定の取り組みがされてきたところではありますが、まだまだ事業の展開をされる主体や関係する省庁の温度差があるやに私も考えます。生物多様性に影響を及ぼすかどうか、事業が展開されてからでは取り返しがつかないという大きな問題を抱えているだけに、やはり事業実施に先立つ早い段階で環境影響の評価をする配慮が必要ではないかというふうに考えております。

 その点について、とりわけこれは、環境省というよりも、先ほどから御答弁にも立っていただいておりますが、農水省や経産省、また国交省、それぞれ、この生物多様性に影響を及ぼす事業の実施について、計画段階での環境影響評価への配慮についてどのようにお考えか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 持続可能な農林水産業の維持発展のためには、その基盤となる生物多様性の保全は不可欠なものと考えております。

 今後とも、生物多様性戦略に基づきます農林水産施策を一層推進するとともに、農林水産業の活動が生物多様性に与える影響を考慮しまして、できるだけ早い段階での環境影響評価を行うなど、生物多様性の保全に配慮した取り組みを積極的に進めたいと考えております。

照井政府参考人 環境基本法第二十条におきましては、「事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。」とされております。

 これを受けまして、環境影響評価法では、御存じのように、道路、ダム、発電所など十三種類の事業について環境影響評価を実施するという形になっております。この際、生物多様性の観点からも、対象事業の立地状況におきまして、動植物や生態等への影響について評価を行っているところであります。具体的には、動物の繁殖地への影響、それから植物の生育場所への影響について評価を行っているところでございます。

 この評価に当たりましては、できるだけ早い段階から広く国民の声を反映するために、実施方法を決定するとき、それから環境影響評価書作成の段階、この二段階で、関係自治体、関係府省、それからさらに一般市民等から意見を聴取することになっております。

 経済産業省といたしましては、このような運営について今後も適正に運営してまいりたいというふうに考えておりまして、今後とも関係府省と連携を図り対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 開発等の事業につきまして、国土交通省ではこれまでも、構想段階における取り組みが重要と考えまして、平成十五年六月に住民参加手続のガイドラインというものを策定いたしまして、これに基づいて各種の取り組みを推進してきたところであります。

 さらに、本年、平成二十年の四月でございますが、公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドラインなるものを策定いたしました。ここでは、住民の皆様、利害関係者、学識経験者、地方公共団体、関係行政機関、さまざまな主体の計画策定プロセスにおけるかかわりというものを明示いたしております。また、環境面、社会経済面、さまざまな総合的な観点から検討を行い、いわゆる戦略的環境アセスメントを含む計画策定プロセスのあり方について標準的な考え方も示したところでございます。

 これに基づきまして、よりよい計画づくりをいたしまして、もって適切な社会資本整備というものを推進してまいりたい、かように考えております。

 以上です。

田島(一)委員 今、経産省の御答弁をいただいた中で、ちょっと再質問したいんです。

 環境アセスメントの中で対象事業についての評価をなさっている、それについては、当然、今法律の中で決められている十三事業があるわけですから、それはわかるんですけれども、今、この十三事業さえ対象事業としてやっていれば、それで生物多様性は確保されるというふうにお考えなのかどうか。ある意味、この十三事業以外にも生物多様性への影響をきちっと配慮していこうというようなもう一歩踏み込んだお考えをお持ちなのかどうか、ぜひ確認したいと思うんです。その点についていかがお考えか、お答えください。

照井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど述べましたものにつきましては、環境影響評価法という法律で義務づけがなされている対象事業のものでございます。したがいまして、法律で義務づけを行いまして環境影響評価をしていくものと自主的に影響評価をやっていくものとは区別して考えていくべきだと思いますが、義務づけされていないものにつきまして環境影響評価を排除するものではないというふうに認識しております。

田島(一)委員 自主的なものについてもこの環境影響評価は取り組みをしていくというふうに受けとめさせてもらいましたが、よろしいですね。

 それでは、もう時間もなくなってまいりました。今、生物多様性を確保していくために、もちろん国際的な役割もそうですし、国内にあってもいろいろな問題があろうかというふうに思います。関係する省庁が多くにまたがり、そして実施法等々についても大変ばらばらであり、ある意味では生物多様性を確保していくという筋の通った基本法なるものの必要性を私どもも考え、四月に民主党から提出させていただいたところでありました。この期に及んでは、この生物多様性という一つの骨子をもとにした、関係する実施法、個別法を網羅して見直していく必要があるのではないかというふうに私は考えております。

 最後に、今後、こうした生物多様性の保全に関して、各法律の実施状況を検討するとか、また法制上の問題等々がある場合は措置をしていくという点についてお考えがあるかどうか、その点についてぜひお答えをいただきたいと思います。

櫻井政府参考人 生物多様性に関連いたします法律の見直しについてのお尋ねでございます。

 環境省が所管をいたしております、野生生物の種の保存でありますとか自然環境の保全、再生、あるいはその他の生物多様性の保全に係る法律につきましては、今後とも、各法律で設けられております検討規定、これは、例えば自然公園法につきましては平成二十年度にその見直しの時期が参りますし、外来生物法につきましては平成二十二年度に見直しの時期が参りますが、そういった各法律に定められております検討規定を踏まえると同時に、その検討時期以外にも、法的な措置の必要が出てまいりますれば、当然のことながらそういった検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 したがいまして、そういった法律の施行の状況について検討していくことはもちろんでございまして、その検討結果に応じまして、法律の改正、あるいは制度や運用の見直しなど、必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 ちょっと通告していなかったんですけれども、農水省や経産省、国交省、それぞれ、この生物多様性の保全について、今後、この実施状況の検討であるとか法制上の見直し等々についてお考えがあるかどうか、その点だけちょっと確認の意味でお尋ねしたいと思いますが、簡潔にお答えいただけませんでしょうか。

佐々木政府参考人 農林水産省では、農林水産省生物多様性戦略に基づきまして施策を進めているところでございます。

 今後も引き続き、各種施策を適切に推進していくとともに、関連する法律の状況について適切に把握しながら、必要な措置を講じていくことが重要であると考えております。

照井政府参考人 経済産業省といたしましても、これまで実施している施策の状況等を踏まえまして、必要に応じ、法制度の見直しが必要かどうか検討してまいりたいというふうに考えております。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましても、例えば、昨年、河川法改正から十年たったわけでございますが、その評価をいたしまして、損なわれたつながりをより徹底的につなぐことが必要だというような認識をしたりしております。

 今後とも、各個別法の実施状況、施行状況を点検いたしまして、さらなる必要な措置を講じていく、かようなことが重要だと考えております。

 以上でございます。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 私たちこの地球上に生きる人間は、ありとあらゆるこうした自然の生態系の恵みによって命をつながせていただいております。その生物多様性の重要性を今ここでしっかりと踏まえながら、日本というこの小さな国土が、それこそ、海洋資源、また森林、湖沼、数多くの生態系によって命をもたらされているんだということをしっかりと踏まえながら、今後、この生物多様性を確保するための施策をより強固に進めていただきたいと思います。

 まだまだお話ししたいこともお願いしたいこともありますが、持ち時間となりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

小島委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、先ほど来から議論されております、我が国における生物多様性に対する政府の取り組みや今後の方向性、姿勢について、私の方からも質問をさせていただきたいと思います。

 生物多様性というのは、我々人類に、食料また医薬品、さまざまな恵みをもたらす人類生存の基盤でありまして、地域固有の財産として地域独自の文化の多様性をも支えており、我々人類にとって必要不可欠な存在であると考えております。

 しかしながら、昨年十一月に閣議決定されました第三次生物多様性国家戦略で指摘されておりますように、生物の多様性は、人間の開発行為等による生物種の絶滅や生態系の破壊、また外来種等による生態系の攪乱等、深刻な危機に直面しております。また、地球温暖化等の気候変動は、多くの生物種の絶滅を含む重大な影響を与えるおそれがあることから、地球温暖化の防止に取り組んでいくことも大きな課題となっているわけでございます。

 さらに、国際的には、今週末には、鴨下大臣が出席なさいますが、神戸でG8の環境大臣会合が開催されます。また、月末には現在ドイツで開催されております生物多様性条約第九回締約国会議、COP9で二〇一〇年のCOP10の日本開催が決定する見込みでありまして、生物多様性について国民的関心が高まることが期待されます。

 このような意味で、本日、生物多様性に関する質問をさせていただきます。

 まずは、生物多様性の保全に資する基礎的な研究の充実と順応的な進め方について質問をさせていただきます。

 生物多様性には、生態系、種、遺伝子の三つのレベルがありますが、地域固有の生物多様性を保全するためには、多くの生物種の存在と、これを取り巻く大気や水、土壌といった環境が一体となった生態系レベルの保全が特に重要であると考えております。

 また、それぞれの地域に固有の生態系も単独で成り立っているわけではなくて、例えば森は海の恋人と言われるように、豊かな海をつくっているのが豊かな森であるというような生態系のつながりや、動物の移動など生物多様性のつながり、すなわち生態系のネットワークを確保することが大切でございます。

 しかしながら、生態系の仕組みを初めとした生物多様性は、因果関係が大変複雑で、まだまだわからないことの方が多いのではないでしょうか。

 将来にわたって生物多様性を保全していくためには、施策の形成につながるような調査の実施と、その結果としてのデータの体系的な保存整備、さらには生態系のメカニズムの解明といったより基礎的な研究の充実が必要と考えますが、環境省の見解をお伺いします。

 またあわせて、データや科学的な解明が不十分であることを理由に対策を先送りすることは、取り返しのつかない生物多様性の損失をもたらすおそれもございます。生物多様性に関する施策につきましては、予防的な取り組みと施策の効果をモニタリングしながら適切に施策の見直しを行うという順応的な取り組みが重要と考えますが、あわせて政府の見解をお伺いいたします。

櫻井政府参考人 環境省におきましては、昭和四十八年に着手をしております自然環境保全基礎調査という基礎的な調査がございます。この実施によりまして、基礎的な情報の収集整備を行ってきておるところでございます。また、得られた情報につきましては、ホームページなどを通じて公表するとともに、私どもの施策、例えば自然公園の指定ですとか、レッドリストの作成、あるいは国内希少野生動植物種の指定など、施策の立案に活用しているところでございます。今後とも、こういった生物多様性の状況の把握あるいは監視に努めるとともに、資料の収集、体系的な保存、情報提供につきまして、より一層充実をさせてまいりたいと考えております。

 また、こういった生物多様性の保全につきまして、種の特性ですとか生態系の機構の解明という基礎的な研究についても、まだまだ今後の課題であろうかと認識しております。そういった研究開発の推進、さらにはその成果の普及、あるいは官民を通じました試験研究の推進方策というものについても検討してまいりたいというふうに考えております。

 また、予防的な取り組み、あるいは順応的な取り組みについてのお尋ねがございました。

 生物種の絶滅あるいは生態系の破壊は、これは一たん損なわれますと再生を図ることは極めて困難でございます。したがいまして、生物多様性の保全に当たりましては、科学的証拠がまだ完全ではないからといって対策を延期することなく、科学的な知見の充実に努めながら対策を講じていくという予防的な取り組み方法が大変重要ではないかというふうに考えておるところでございます。

 また一方、生物多様性は微妙な均衡のもとに絶えず変化をし続けているということも踏まえまして、対策を着手した後にあっても生物多様性の状況を監視いたしまして、その結果に科学的な評価を加え、これを反映させた上で柔軟に見直しを行っていくということも重要なことであろうかと思っております。こういった順応的な取り組み方法というものも、重要な視点として取り組みを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

江田(康)委員 生物多様性の保全につきましては、国レベルの概括的な取り組みだけで実現できるものではございません。地域の自然的、社会的条件に応じたきめ細かな対応が必要であって、第三次生物多様性国家戦略においてもその重要性が示されているところでございます。しかしながら、生物多様性条約の国内法の一つでもある種の保存法とか希少種条例等は、わずか十九都道府県でしか制定されていないのが現状のようでございます。

 先ほどから御質問もあっておりますけれども、本年になって、千葉県や埼玉県において地方版の生物多様性戦略が策定されたと聞いておりますが、こうした生物多様性地域戦略の策定が大変重要かと考えます。またあわせて、国の施策との連携強化や多様な主体との連携が今問われているわけでございますけれども、改めて政府の見解をお伺いしたいと思います。

櫻井政府参考人 先ほど盛山委員あるいは田島委員からも御質問のあったところでございますけれども、地方におきます取り組み、我が国で生物多様性の保全を進めていくためには、国が全国的な視点からの国家戦略を策定するというだけではなくて、都道府県を初めとした地方公共団体が、その地域の自然的、社会的な条件に応じました地方版の戦略を策定していくということが重要であろうと認識しております。この地方版の戦略が、国の戦略と地方における取り組みをつなぐ重要な役割を持っているんだろうというふうに考えております。

 環境省といたしましては、この地方版の戦略策定のための指針の策定などを通じまして、戦略の策定がより効果的かつ実践的な取り組みとなるように努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

江田(康)委員 地域における生物多様性の戦略、基本計画というのが、今後の大きな課題になってくるかと思っております。ぜひとも、国の施策との連携をしっかりと強化して、また、多様な主体との連携をしっかりとつくって取り組んでいっていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。

 次に、世界の生物多様性の保全に対する国際協力等についてお伺いをさせていただきます。

 熱帯の天然林というのは毎年千四百二十万ヘクタール、これは本州の三分の二の規模に実は相当するわけでございますけれども、これらが消失していると言われております。世界的な森林の減少は大きな問題になっているわけであります。我が国は、カロリーベースで総合食料自給率が三九%、木材の自給率とすれば二〇%となっておりまして、食料や木材など多くの資源を輸入に頼っていることから、輸出国側の生物多様性に大きな影響を与えているということを認識して、自国内のみならず、地球規模での生物多様性の保全に役割を果たすべきであると考えます。その意味で、二〇一〇年の生物多様性条約締約国会合の日本開催は大変意義深いものでありまして、二〇一〇年に向けて我が国が国際的にも生物多様性の分野で先導的な役割を果たすべきであると考えております。

 そこで、大臣に質問をさせていただきます。

 地球規模の生物多様性の保全に貢献するためにも、関係各国との協力など国際的な連携協力が不可欠と考えますが、その取り組み状況も含めて、大臣の見解をお伺いいたします。

鴨下国務大臣 今先生がおっしゃるように、特に生物多様性は国際的な連携協力が不可欠だ、まことにそのとおりだろうというふうに思っております。

 生物多様性の保全が地球環境保全上重要な課題であるということを考えまして、生物多様性条約など国際的な枠組みへの参加等を通じて各国との連携協力を進めていく、こういうようなことについては極めて重要だというふうに認識をしております。

 これまで我が国では、生物多様性に関連する条約としましては、ワシントン条約の一九九二年の京都での締約国会議、ラムサール条約の一九九三年の釧路での締約国会議、こういったものを開催しているわけでありますけれども、最近では、二〇〇五年から二〇〇七年にかけて、パラオ共和国と国際サンゴ礁イニシアチブの共同議長を務めるというようなことで、国際的な連携あるいは協力を進めてきたところでございます。

 今先生からの御指摘もありますけれども、私も、今週末に神戸で開催されるG8環境大臣会合では、二〇一〇年目標の達成とフォローアップ行動等を内容とする行動の呼びかけをG8諸国の間で取りまとめよう、こういうふうに今考えているところでございます。また、COP10の我が国での開催が、お許しをいただければ来週私もボンまで伺いますが、その中で、ぜひ我が国で開催してもらいたい、こういうようなことを強力に皆さんにお願いしてこようと思っております。

 そういうわけで、より一層、生物多様性につきましては国際協力が必要でありまして、それを通しまして我が国が国際貢献できるように、環境省としましても最善を尽くしたいというふうに思います。

江田(康)委員 今まさに大臣がおっしゃいましたように、この環境大臣会合で二〇一〇年の目標達成やフォローアップにG8各国を取りまとめる、このように強い決意がございました。ぜひとも、我が国の国際貢献、また、その使命として強いリーダーシップを発揮していただきたいと期待するものでございます。

 次に、生物多様性と、今大変に注目されております地球温暖化対策との関係について、御質問させていただきます。

 生物多様性と地球温暖化は、それぞれの関係条約がリオ・サミットで双子の条約として誕生したように、車の両輪のように連携を図りつつそれぞれの対策を進めていくことが重要かと思います。

 IPCCの第四次評価報告書では、地球全体の平均気温が一・五度から二・五度上がると約二〇%から三〇%の動植物の絶滅のリスクが高まること、また、海面温度の一度から三度の上昇によってサンゴの白化や広範囲の死滅が頻発するなど、地球温暖化が生物多様性に大きな影響を与えることが指摘されております。

 生物多様性の問題は地球温暖化など気候変動との関係を抜きにしては語れないと考えますが、生物多様性と地球温暖化などの気候変動との関係について大臣はどのように考え、また、それに対する施策をどのように強力に講じていくと考えておられるのか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

鴨下国務大臣 今先生がおっしゃった御指摘につきましては、私も全くそのとおりだと思います。特に生物多様性と地球温暖化は相互に影響し合う、こういうようなこともございます。

 IPCCの報告書の中でも指摘されておりますけれども、地球温暖化は生物多様性に深刻な影響を与える、これは今先生がおっしゃったとおりであります。他方、生物多様性の保全や持続可能な利用を推進することによって地球温暖化の防止にも貢献できる、こういう両面があるんだろうというふうに思っております。

 そのように、生物多様性と温暖化の問題は、まさに相互に関係し影響し合っていくものだということを私たちも十分に踏まえまして、それぞれの施策を展開していく、これが必要なんだろうというふうに認識しております。

 例えば、多くの二酸化炭素を固定している森林や湿原等の保全や生物多様性の保全に必要な管理をすることによって生じてくる間伐材あるいは草というものをバイオマスとして利活用して化石燃料の代替エネルギーに利用する、こういうようなことも踏まえて、いわば両面の、生物多様性と地球温暖化の二つの課題にしっかりと取り組んでいく、こういう施策が必要なんだろうというふうに思います。

 先生の御指摘も踏まえまして、この取り組みをより連携して強力に進めてまいりたいというふうに思います。

江田(康)委員 地球温暖化との関係は、私も大変大事だと考えます。本年はG8を日本で開催されるわけでございますけれども、その主要議題は気候変動に関してでございます。地球温暖化との関係をしっかりと踏まえた上で、生物多様性の保全に取り組んでいく決意を今大臣からもお伺いいたしました。どうぞよろしくお願いをしたいと思うわけでございます。

 最後の時間を使わせていただきまして、私の主張を述べさせていただきますが、これは質問ではございません。

 きょうは、生物多様性に関して、さまざまな質問、また政府の取り組みについて確認がございました。

 政府は、一九九三年、それまでの既存の個別法を適切に運用することで生物多様性条約の実施を担保できるものとして、生物多様性条約を締結したわけでございます。同条約を直接受けて、これまで三次にわたり国家戦略を策定してまいりました。一方、生物多様性に対する取り組みは、先ほどの質問でも明らかなように、国だけでなく、地方公共団体、事業者、国民などの多様な主体による連携、協働が不可欠でございます。また、生物多様性と地球温暖化防止の施策は互いに連携して進める必要がございます。このように、国以外の主体の責務を明らかにして、また、生物多様性と地球温暖化防止の施策間の連携を強化するためには、閣議決定の国家戦略では限界があり、法律の中での位置づけが必要かと考えます。

 また、同条約の締結以降、生物多様性に関する法律として、自然再生法や外来生物法などが新たに制定されたほか、循環型社会形成推進基本法が制定されております。こうした状況の変化を踏まえて、生物多様性に関連する個別法全体を束ねる生物多様性基本法を制定することで、スリーRの分野における循環型社会形成推進基本法と同様、生物多様性分野の法制度を環境基本法のもとで体系化することが大変に重要かと考えます。

 さらに、冒頭申し上げましたように、月末には、現在ドイツで開催されているCOP9で二〇一〇年のCOP10の日本開催が決定する見込みでありまして、生物多様性についての国民的関心は大変に高まってくることが期待されます。

 そうした機会をとらえて、自然と共生する社会の実現を目指して、生物多様性の保全と持続可能な利用をバランスよく進めていく生物多様性に関する基本法を新たに制定することは大きな意義があると申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

     ――――◇―――――

小島委員長 次に、生物多様性基本法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議してまいりましたが、本日、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ましたので、委員長から、本起草案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 生物の多様性は、人間の開発行為等により、生物種の絶滅や生態系の破壊、外来種等による生態系の攪乱等、深刻な危機に直面しております。また、地球温暖化等の気候変動は、多くの生物種の絶滅を含む重大な影響を与えるおそれがあることから、地球温暖化の防止に取り組んでいくことも大きな課題となっております。

 このような状況のもと、生物の多様性を確保するための施策を包括的に推進し、その恵みを将来にわたり受けることができる持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出す必要があります。そこで、生物多様性の保全及び持続可能な利用についての基本原則を明らかにしてその方向性を示し、関連する施策を総合的かつ計画的に推進するため、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、生物の多様性の保全及び持続可能な利用についての基本原則を定めるとともに、この基本原則に沿って、国、地方公共団体、事業者、国民及び民間団体について、おのおのの責務を明らかにしております。

 第二に、政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上または税制上の措置その他の措置を講じなければならないものとしております。また、毎年、国会に、生物の多様性の状況及び政府が生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関して講じた施策等に関する報告を提出しなければならないものとしております。

 第三に、政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、生物多様性国家戦略を環境基本計画を基本として定めなければならないものとしております。

 また、都道府県及び市町村は、この生物多様性国家戦略を基本として、単独もしくは共同して、生物多様性地域戦略を定めるよう努めなければならないものとしております。

 第四に、国は、地域の生物の多様性の保全、国土及び自然資源の適切な利用等の推進、地球温暖化の防止等に資する施策の推進、事業計画の立案の段階等での生物の多様性に係る環境影響評価の推進等に必要な措置を講ずるものとしております。

 第五に、政府は、この法律の目的を達成するため、野生生物の種の保存、森林、里山、湖沼等の自然環境の保全及び再生その他の生物の多様性の保全に係る法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 生物多様性基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小島委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小島委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十六分散会


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