衆議院

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第2号 平成22年3月23日(火曜日)

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平成二十二年三月二十三日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 齋藤  健君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    大谷 信盛君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    小林千代美君

      斎藤やすのり君    田島 一成君

      田名部匡代君    玉置 公良君

      村上 史好君    森岡洋一郎君

      矢崎 公二君    山崎  誠君

      吉川 政重君    小池百合子君

      近藤三津枝君    園田 博之君

      古川 禎久君    山本 公一君

      中島 隆利君

    …………………………………

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   環境副大臣        田島 一成君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

樽床委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、トキの現況について政府から報告を聴取いたします。小沢環境大臣。

小沢国務大臣 おはようございます。

 審議に先立ちまして、トキの現況について御報告をさせていただきたいと思います。

 今般、佐渡のトキ保護センターにおいて、野生復帰に向け訓練中のトキが外敵に襲われて死亡するという事故が発生いたしましたので、事故の経過及び対策、今後の計画等について報告いたします。

 三月十日朝、佐渡トキ保護センターの野生復帰用訓練施設において、訓練中のトキ十一羽のうち、八羽の死亡と二羽の負傷が確認されました。負傷したトキのうち一羽は同日中に死亡、もう一羽は現在回復傾向にあります。

 監視カメラの映像や残された足跡により、小型哺乳類のテンが施設内に侵入し、トキを襲ったものと考えられます。訓練施設は金網で覆われた構造物ですが、改めて調査した結果、金網の編み目より大きい箇所が、側面部と天井部、合わせて二百六十五カ所確認されました。

 三月十四日に、私も佐渡を訪れて現地を調査し、構造上の問題の究明、管理体制等の調査、検証の徹底、繁殖ケージも含めた再発防止措置、今後の放鳥計画等に関する慎重な検討等について強く指示したところでございます。

 三月十六日には、トキ飼育繁殖専門家会合を佐渡市内で開催しました。施設の現地調査を行った上で、今回の事故原因や再発防止策等について、専門家から多くの貴重な御意見を得ることができました。また、今回の事故について検証するため、施設等の専門家も加えた委員会を早急に設置することとし、新潟県とも現在調整しているところでございます。

 こうした専門家の御意見や検証結果を踏まえつつ、施設の改修等の再発防止策を早急に講じる考えです。

 なお、今後の放鳥計画等につきましては、引き続き、専門家の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。

 九羽の死亡により、国内で飼育しているトキは百十四羽となりました。このほかに、野生下のトキが二十六羽おります。トキは我が国の貴重な財産であり、今回の事故については非常に残念に思っております。このようなことが二度と起こらないよう、徹底的な原因究明と再発防止措置を行うとともに、管理体制の強化等の対策を講じた上で、生物多様性保全の象徴ともいうべきトキの野生復帰の取り組みを推進してまいる所存でございます。

 以上でございます。

樽床委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 本日は、先日の小沢環境大臣の所信表明演説に関して、とりわけ地球温暖化対策について質問をさせていただきます。

 申すまでもなく、我が国は、世界最高水準のエネルギー効率を誇っています。そうした中、九〇年比二五%削減という世界的に突出した極めて高い目標を日本は掲げようとしています。これを達成するためには、新たに膨大な国民負担が伴う。

 地球環境産業技術研究機構、RITEの試算によりますと、鳩山政権が国際的に標榜している二五%削減の中期目標を達成するためには、温室効果ガス一トンを削減するのに必要な費用、いわゆる限界削減費用、実に四百七十六ドル、日本円にして約四万円にも上ります。EUが一月三十一日に気候変動枠組み条約事務局に提出した目標は、九〇年比で二〇%削減です。EUの限界削減費用は、同じ一トン削減でおよそ五十ドル、日本円にしますと四千五百円と試算されています。つまり、日本は、一トンの温室効果ガスを削減するのに、EUの実に九倍以上のコストをかけなければならないわけです。

 これで本当に日本の企業は欧米諸国などと国際競争できるのでしょうか。身の丈以上の削減目標とすれば、国内での生産活動は国際競争力を失います。国内産業が海外に流出し、これにより地域雇用機会が喪失します。つまり、負の連鎖が起こり、国民生活、日本経済に多大な影響が生じる可能性があります。

 このような懸念があるにもかかわらず、鳩山内閣は、二五%削減の実施によって国民に新たに年間どれくらいの金額の負担が生じるのか、産業分野によって、国際競争力を伸ばす産業はどのような分野で、どのような分野の産業で競争力が低下しかねないかなどについて、何ら責任ある説明をすることもなく、地球温暖化対策基本法案を国会に提出しました。

 ここに自由民主党は、昨年六月の通常国会に議員立法として提出しました低炭素社会づくり推進基本法案を三月十九日に再提出いたしました。この再提出に当たりましては、麻生前総理が発表しました、二〇二〇年までに二〇〇五年比で一五%削減、そしてこの削減量をすべて国内で削減する、いわゆる真水で削減するということを反映し、その内容を明記するなどの修正を加えています。

 自由民主党は今国会に低炭素社会づくり推進基本法案を提出し、政府案である地球温暖化対策基本法案の対案として、大いに国会の内外で議論しようじゃありませんか。その気構えを皆様方にも受け取っていただきたいと思います。

 さて、地球温暖化対策につきまして、私は、さきの臨時国会、十一月二十日に、この環境委員会で小沢環境大臣に質問させていただきました。小沢大臣は、国会の場が国民の皆さんとの最大の議論の場というふうにおっしゃっておられますが、十一月二十日の質疑では、残念ながら、COP15の国際交渉を前にしているということなどを理由に明快な御答弁をいただけませんでした。その後も、COP15を前にして、小沢大臣は、交渉は代表団にゆだねられている二五%の前提条件を頭の中において交渉すると再三発言をしておられます。

 そのように言われたCOP15も終わりました。鳩山政権が地球温暖化対策基本法案を閣議決定したのが現在です。さらに本日は、小沢環境大臣の頭の中にあることも含めまして、率直に御答弁いただかなければならない時期に来ていると私は考えております。きょうは私もなるべく大臣に基本的な判断を求める質問をさせていただきますので、小沢大臣には明快にお答えいただきますようにお願い申し上げます。

 さて、昨年末、十二月十一日に、環境省は、地球温暖化対策基本法の制定に向けて国民に意見募集をしました。そして、国民から寄せられた意見の内容がことし一月十四日に環境省から発表されました。意見提出者は二千三百八十九名、寄せられた意見総数は五千八百四十七件にも及び、この問題に対する国民の関心の高さがうかがえます。

 このうち、中期目標についての意見をこちらのパネルにまとめました。パネルの千三百七十六件という総数を見ていただければおわかりになると思います。環境省から発表されたものをそのままこちらに掲載させていただいております。ちょっと字が細かくて恐縮ですので、皆様方には資料を配付させていただいております。

 これまで鳩山総理が表明してきた二五%削減を目標に定めるための前提条件、すなわち、すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が我が国の国際社会への約束であるという前提条件を堅持すべきであるという意見、これが一に入っているところなんですけれども、この一の意見が一番多かったんですね。現在、この前提条件の確保が不明な中で、我が国の国内での削減目標を先行して決めることには反対である、これが一の意見です。この反対意見は、表にありますとおり、五百二十一件、全体の三八%を占めています。

 二番目に多いのが二の意見です。二五%を削減目標とする前に、次のことを国民にしっかり説明すべきという意見です。

 具体的には、そのための対策や施策を国民に説明し、この実施による経済や雇用への影響、企業や国民の経済的負担、国民生活への影響などを明らかにし、国民的議論を経てから国民の理解を得ることが不可欠であるという、まことにもっともな意見であると考えております。そして、いまだ政府からはこのような情報すらも示されていない中、国内の削減目標を先行して決めることには反対であるという意見が、四百九十件、全体の三五%に上っています。

 そして、三番目に多い意見は次のようです。ひとり日本だけが突出した目標を設定した場合、日本の産業の国際競争力を低下させ、産業の空洞化を招く、経済や雇用への悪影響が大きい。つまり、二五%削減の目標を設定した場合、経済や雇用への影響を懸念する意見が、百七十六件、全体の一三%を占めています。

 ここまでの三つの意見が、二五%の削減目標設定に対しては反対もしくは否定的な意見です。ですから、私、これらを計算しまして、この表の右側、ちょっと出っ張った部分につけ加えました。実に千百八十七件、全体の八六%を示しています。これが国民の大多数の意見だということです。つまり、国民の意見の八六%は、二五%の削減目標に反対もしくは大変不安を抱いているということです。とても強引にこの政策を進める状況にはないのではないかと考えております。

 まず、この二五%削減に対する国民意見の結果について小沢環境大臣はどのようにお考えなのか、お聞きします。

小沢国務大臣 自由民主党が法案を提出されることを本当に歓迎したいと思います。この委員会の場で大いに議論をさせていただきたいというふうに私も願っているところでございます。

 まず、今、近藤委員からお話がありました国民からの意見についてでございますが、一つまず申し上げておきたいと思うのは、大変関心が高かった、これは本当に私も驚いたわけであります。十二月十一日から二十八日という暮れの大変忙しい、慌ただしい時期にもかかわらず、そしてまた短期の期間にもかかわらず、意見総数が五千八百四十七件というのは、これまで環境省で行ったパブコメの中では突出をしている数字でありまして、そういった意味では、国民的関心も極めて高かった、こういうふうに思っているところでございます。

 そういう中で、今、近藤委員お示しの、まず一番目の前提条件を堅持すべきというところ、五百二十一件、三八%あるんですけれども、これは、こういうくくりにしてございますが、いろいろな文章で寄せられているくくりであります。私どもの理解では、決して二五%に反対ではない、しかし今、各国の状況がわからない中で、その前提条件はしっかりつけてくれよ、こういう意見というふうに受けとめております。でありますので、それを逆に条件つき二五%賛成論という話に考えますと、数字は極めて拮抗している、こう思いますし、これは、パブコメということの性質上、賛成の人はあえて余りそういった意見をお寄せにならない、反対の人はとにかくそういった意見表明をしっかりこの機会にしたい、こういうことが多いわけでありますので、そういった意味においては、国民の意見全般を見ても、それほど私は、近藤委員がおっしゃるように国民の多くの人たちが反対だ、こういうふうには受けとめておりません。

 さらにはまた、その後の各種の世論調査等を見ましても、二五%の温暖化の目標設定に関しては賛成の方が多いというふうに承知をしておりまして、そういった意味では、私自身は、迷いなく、この二五%目標、前提つきではありますが、頑張っていきたい、こう思っておるところでございます。

近藤(三)委員 パブリックコメントをどのように読むかということで、大臣がこれは賛成意見と拮抗しているというふうに読まれるということは、驚きの御答弁でございます。パブリックコメントを募集する意味がどういうところにあるのかという根本的なところからもう一度議論をしていかなければならなくなってくるわけですから、今後も非常に議論のテーマの一つになってくるのではないかと思います。

 さて、小沢環境大臣は、先日の所信演説の中で次のように発言されています。「現在、二〇二〇年に二五%、二〇五〇年に八〇%削減の実現に向けた道筋を示すロードマップの策定を進めており、三月中に骨子を取りまとめる予定です。」このようにおっしゃっていましたが、これはおかしくないんでしょうか。

 小沢大臣は、ことし一月八日の大臣記者会見で次のように発言されています。誤解があるといけませんので、こちらも環境省のホームページをそのまま読ませていただきます。「三月の頭に法案を提出するという話になると思います。閣法の提出期限ですね、それにあわせてロードマップという話をつけたいと思っておりまして、その中で発表させていただきたいと思ってます。」大臣はこのようにおっしゃっていました。ロードマップをしっかりと示し、その上で基本法をセットにして議論をするとおっしゃっていた。一月に行われた経済界との懇談会でも、地球温暖化対策基本法案を三月上旬に国会に提出し、温室効果ガス二五%削減の目標達成のためのロードマップと実際の削減量となる真水部分の具体的な数値目標を示すと明言されておられたと思います。

 にもかかわらず、ロードマップを、それも骨子という形で三月中にまとめると先送りなさり、それから真水部分の割合も示さず、政府案の地球温暖化対策基本法が三月十二日に国会に提出されました。これは本末転倒ではないんでしょうか。特に、先ほどの質問で示しましたように、私は、国民の多くの意見が反対であるという結果があのパブコメに出ていると考えております。国民そしてその代表者から成る国会に、政策の中身、二五%削減による影響などを説明することなく、法律だけが先行するということ、これはおかしいのではないんでしょうか。ロードマップは現在もまだ検討中で、三月中にようやくその骨子が取りまとめられるとのことです。本来は基本法の提出前に国民に示すべきロードマップが示されていないということです。

 この逆転現象に対する矛盾につきまして、そして、法律が提案されているにもかかわらず、ロードマップの成案ではなく、骨子というスケルトンで国会に議論を求めるとは、およそこれまでの環境大臣の見解とは異なると思います。どうしてこのような逆転現象になったのか、この手順で小沢大臣は本当によいと思っていらっしゃるのか、きちんとした説明をお願いいたします。

小沢国務大臣 まず、二五%の目標に関しましては、総理もたびたびこの国会で申し上げておりますように、本当に地球温暖化をとめていくためにはどうしてもやらなければいけない数字というふうに私どもはまず考えております。科学が要請する最低限の数字だ、こういうことで決めさせていただいているところでございます。ですから、そういった意味において、前提つきではありますが、二五%の目標という話を国連演説でも表明させていただいた、こういうことでございます。

 その肉づけをするのが私の役割だ、こう思っておりますが、先ほど近藤委員が御指摘をいただきましたように、三月の上旬までに法案と同時にロードマップを提出したい、こう思って作業をしてまいりました。若干おくれているということで御理解をいただきたいと思います。二月の中旬にはいわゆるその骨子を、中間報告をさせていただいているところでございますが、ロードマップの取りまとめは先般の十九日で、これは私が強い要請をして、全く一〇〇%オープンの形で議論を、これは何回目かの会合でありますけれども、改めてオープンの形でやらせていただき、それで今週、最終的な取りまとめをさせていただきます。

 所信に対する一般質疑に間に合わなかったのは大変申しわけなく思っているわけでありますが、基本法の法案の審議には十分間に合う、こういうことで何とぞ御理解を賜りたい、こういうふうに思います。

近藤(三)委員 改めて申し上げます。

 法律は、そもそも国民の権利に、そして義務に影響を与えるものであります。また、今回の基本法などは、まさに経済活動に規制をかける場合もあり得るのですから、その政策の効果、それから政策の実行の道筋を示した上で、そのためにはこのような法律を定めることが必要であると国民に説明をするべきです。

 昨年末の政府予算案が決まった後に鳩山内閣が新成長戦略の基本方針を示したのと同じく、政策運営の前提を説明することもなく法律を閣議決定し、国会への提出をしようとする政府、政治の姿勢には、大変私は疑問を持っております。さらにこのようなことが積み重なりますと、将来に大きな禍根を残すことになりはしないかと危惧を感じております。

 続きまして、麻生政権下では、産業界そして関係団体を含めてたび重なる十分な議論を尽くし、国内ですべてを削減することを前提に、二〇〇五年比一五%の削減目標を中期目標に掲げていました。三月十九日に自由民主党が国会に提出しました、内閣法案の対案であります低炭素社会づくり推進基本法案でも、国内における温室効果ガスの削減量について、二〇二〇年までに二〇〇五年比で一五%削減する、国内ですべて削減することを目標としています。つまり、真水一〇〇%の削減目標です。

 一方、環境大臣の記者会見などで、全部真水だけではなく、一五%、二〇%の案も副大臣級の会議などで検討しているというふうに表明されておられます。

 小沢大臣は真水部分は二五%のどの程度が適当であるとお考えになっているのか、お聞かせください。

小沢国務大臣 個人的にはいろいろな思いを持っております。実際に、ロードマップも、一五%、二〇%、二五%で今シミュレーションをやっていただいております。ただ、今の政府の立場は、これは副大臣級検討チームの中でさまざまな角度から議論をさせていただきましたが、依然として国際交渉がまだ確定をしていないものですから、そういったものを示すべきではない、示すべきではないにさらに踏み込んで言えば、決めるべきではない、こういう議論も多数ありまして、現時点のところは、そういった意味では、それをお示しできる状態にございません。

 環境大臣としては、もともとこれは、本当に国内ですべて削減できる、これがベストである、こう思っております。でありますから、二五%すべて国内で削減するためにはどういう道筋が必要なのかということを中心に置いて、先ほど申し上げましたように、一五、二〇、二五%のロードマップの検討作業をしていただいているところでございます。

近藤(三)委員 真水を幾らにするか明らかでなければ、国民負担がどれくらいなのか、その額もわかりませんし、民主党が主張されている排出権取引制度のキャップ・アンド・トレードのキャップのかけ方もおよそ決まらないのではないのでしょうか。このような基本的なところが決まっていない中で法案の提出がなされたということであること、よくわかりました。

 さて、では続きまして、こちらのパネルをごらんいただきたいと思います。これは、「中期目標の違い」です。先ほどから申しております麻生政権のときに発表しました中期目標と、鳩山政権の中期目標を比較しました表です。

 鳩山総理は、国連演説の中でも、その後の国連事務局へ提出した文書の中でも、三つの前提条件をつけています。その第一がすべての主要国の参加、第二が公平かつ実効性のある国際枠組み、第三が意欲的な目標の表明、この三つの条件です。

 この点につきましては、前回、十一月二十日の環境委員会で私から随分と大臣に質問させていただきましたが、明快な御答弁はいただけませんでした。そこできょうは、事例を示しまして明快な御答弁をいただけるように工夫をいたしました。つまり、この表の麻生政権が示した削減目標が意欲的な目標であるか否かについてお伺いします。

 麻生政権では、御案内のように、大変な議論を積み重ねてこの一五%削減案を決定いたしました。麻生内閣が掲げました真水一〇〇%で〇五年比一五%削減、この削減目標は、先ほど申し上げましたように、我が党が提出しました低炭素社会づくり推進基本法でも同じ目標を条文化しています。麻生政権の削減目標値を、鳩山政権と同じ、つまり土俵を同じにしようということで、九〇年比であらわしますと、八%削減ということになります。この麻生政権の削減目標、九〇年比八%は、三つの条件のうちの一つ、意欲的な目標であると私は考えております。

 この削減目標について、意欲的か意欲的でないのか、環境大臣の見解をお伺いいたします。

小沢国務大臣 申し上げにくいんですが、少し控え目の数字過ぎるのではないか、こう思っております。

 麻生政権は、私が承知しておりますところは、自民党、公明党の連立政権でございまして、その公明党の皆さん方は、今般、二五%を前提条件なしでお示しになる、こういうふうに聞いておりまして、麻生政権の中でもいろいろな意見があったのだろうな、こう今思っているところでございます。

 九〇年比八%、二〇〇五年比一五%というのは、そういった意味では、意欲的にはやや物足りない数字というふうに思っております。

近藤(三)委員 ただいま御答弁いただきました内容は、小沢環境大臣は、鳩山内閣が麻生政権時の二〇〇五年比一五%削減目標が意欲的な目標とは思えないというふうな見解をお持ちであるということですね。

 では、続きまして、こちらのパネルをごらんいただきます。COP15の唯一の成果は、一月三十一日までに中期目標の案を国連の気候変動枠組み条約事務局に提出するという留意事項を合意したことです。主な主要国の提出状況をこのパネルにまとめてみました。

 アメリカは、二〇〇五年比で一七%程度の削減としています。この数値を鳩山政権が国連に提出した数字と比べるために、先ほどと同じように土俵を九〇年比に換算しますと、米国の削減量はおよそ三・五%の削減ということになります。限界削減費用、一トンの温室効果ガスを削減するためにかかる費用は六十ドル程度ですから、日本は先ほど四百七十六ドルと申しましたので、アメリカは日本の八分の一。

 EUは、一九九〇年比二〇%削減で、ほかの先進国が相当の削減目標を示すと三〇%削減するというふうにしています。幅を持たせた数値を示しています。もしEUが二〇%削減でありますと、先ほど申し上げましたように、限界削減費用はおよそ五十ドルで、日本の九分の一です。

 ロシアは、九〇年比一五%から二五%削減と幅を持たせています。しかし、ロシアは九〇年から二〇〇五年で排出量が大幅に減っていますので、この目標は二〇〇五年比で見ますと削減ではなくてプラスの値になりますから、限界削減費用はゼロとなります。

 中国とインドに至りましては、日本、アメリカ、EU、ロシアなどのようにトータルの削減量は示していません。基準年を二〇〇五年として、二〇〇五年のGDP当たりのCO2の排出量をどの程度削減するかという数値目標を示しています。すなわち、中国、インドの数値目標では、経済成長によってGDPが大きくなれば、現在よりも総量でも排出量が増加する可能性が十分にあるということです。二〇二〇年に向けて、削減ではなく、温室効果ガスが増加したとしても、提示された中期目標は達成できるという案です。具体的には、このパネルにありますように、中国は二〇〇五年比でGDP当たりのCO2排出量を四〇から四五%削減、インドは二〇から二五%削減ということを国連事務局に提出しました。

 ここに示しました米国、EU、ロシア、中国、インドの値は意欲的な数値目標と言えるのか、それぞれについてマルかバツかで小沢環境大臣の御見解をお聞かせください。

小沢国務大臣 意欲的かどうかの判断は国際交渉の最終場面でさせていただくことにしておりますので、どうかマルかバツかという答えはお許しをいただきたい、こういうふうに思います。

 ただ、それぞれの目標についての私なりの意見、並びに政府で決めているところに関しては、お答えを申し上げたいと思います。

 まず、米国に関しましては、これは政府の統一見解として、二〇二〇年の中期目標に関してはもう少し頑張っていただきたい、こういうふうに思っておりますが、その先の二〇三〇年、それから二〇四〇年、さらには二〇五〇年のいわゆる道筋を示していただいておりまして、そこはその数字全般を見ると一定の評価ができるもの、こういうふうに思っております。

 それから、中国につきましては、いわゆる京都議定書1国ではございませんが、しかし、今日世界最大の排出国ということを考えれば、しっかりと数字を提示していただきたい、こうずっと申し上げてまいりました。出てきた数字は近藤委員から先ほど御説明があった数字でありますが、私どもとしては、もう一段の努力をぜひしていただかなければいけない、特に、いわゆるピークアウト、数字が頭打ちになり、さらに削減に向かっていく時期くらいはおおよそ明示をしていただきたい、こういうふうに申し上げております。

 それから、EUに関しましては、これはもう明快にぜひ三〇%という話も言っているわけでありますので、その数字をきちんと提示していただきたい、こういうことでございます。

近藤(三)委員 今、小沢大臣から、国際交渉のさなかであるので、政府としての統一的な見解は今の時点では出させていただいていないけれども、米国に関してはもう少し上げるべきである、中国に関しては、実際の排出量がふえているので、少なくともどこかの時点で排出量がピークアウト、頭打ちになるところが示されなければならないという認識をお示しいただきました。

 それでは、重ねてお伺いいたしますが、御答弁のように、米国はもう少し目標値を上げてもらわなくてはならないとするならば、アメリカは二〇〇五年比一七%程度、先ほど申し上げましたように、一九九〇年比、日本と同じ土俵にしますと三・五%です。麻生政権の二〇〇五年比一五%は、同じく一九九〇年比にいたしますと、先ほども申し上げましたが、八%ですね。

 麻生政権の一五%削減が意欲的な数値ではないというふうに先ほど御答弁いただいたからには、アメリカは麻生政権の目標値よりも高い値を示さなければ意欲的な数字とは言えないという小沢環境大臣のお考えであるというふうに理解させていただいてよろしいのでしょうか。

小沢国務大臣 各国それぞれの事情があると思いますので、一律にそういうふうに受けとめられると、まだ政府としてその評価を決めておりませんので、それはそうではありませんということでございます。

 ただ、先ほど来何度も申し上げておりますように、アメリカにはもう少し頑張っていただきたい、こういうふうには常日ごろから私も直接申し上げているところでございます。

近藤(三)委員 今の御答弁では、国際交渉に当たって各国から示された目標について判断する尺度は持てないということではないんでしょうか。きょうは時間が迫っておりますので、この点については、また別の機会にしっかりと政府の考え方を明らかにしていただきたいと思っております。

 さて、本日の大臣の御答弁から、政府が国会に提出しました地球温暖化対策基本法は、その二五%削減の真水が幾らだか決定はしていない、ならば、民主党が主張されている排出権取引制度のキャップ・アンド・トレードのキャップのかけ方も決まらない、国民負担もどのような額になるのか試算もできない、ロードマップは三月末にその骨子しか公表せず、しかも検討中であると。およそ何も決まっていない中での基本法案提出であったということが本日の御答弁でよくわかりました。

 このような状況で、強引に基本法の制定を急がなければならない理由について、改めて大臣の御見解をお聞きします。

小沢国務大臣 何も決まっていない、こういう御指摘は当たらないと思っております。まだ委員会でございますので、いわゆる委員の皆さん方の合意には至っておりませんけれども、かなりの数字はお示しをしてきておりますし、そういった意味では、ぜひそういったものを参考に御判断をいただきたい、こういうふうに思っております。さらにはまた、基本法が審議に入る、その段階ではしっかりとそういった数字もお示しをしてやらせていただきたい、こう思っております。

 それからあと、基本法でありますので、基本法の性格からして、すべての細部を決めて、あるいはまた各諸団体の意見を全部積み上げて決めるべきなのか、あるいは、政治のリーダーシップとして、本当に地球の温暖化をストップさせていくためにはこれはやらなければいけないという数字をしっかり提示していくのか、この政治のリーダーシップ論には二通りあると思っております。

 今回の鳩山内閣の温暖化対策は、総理みずから国会でも答弁しておりますように、本当に地球にとって必要な数字をしっかりと示して、それに対して国民の皆さんにも要請をしながらともにそれを仕上げていこう、こういう性質のリーダーシップであるということを申し上げておきたいと思います。

近藤(三)委員 大臣と私の考え方は、少々、大きくですかね、違うようでございまして、法律といいますのは、国民の権利や義務に影響を与え、その内容によっては経済活動に大きな規制をかける場合もあります。法律は国内法でありまして、国際交渉の外交カードではありません。決して国際的な交渉のイニシアチブをとるためのものではありません。

 さらに、今回政府が提案されている地球温暖化対策基本法は、先ほど大臣も基本法のことについてお触れになりましたけれども、基本法とうたいながら、数値目標が示されています。その目標を達成するための地球温暖化対策税や排出量取引制度などの仕組みも盛り込まれています。ならば、国民に対して、そしてその代表者から成る国会に対して、二五%削減に伴う国民負担、それから真水分、産業分野別の影響、施策の内容とその手順書となるロードマップ、行程表などをきちんと事前に説明しなければなりません。その上で、これを裏づけるルールブックとして法律を提案するべきだと考えております。

 法律を制定するための根拠、必要が全く示されていない中で、また、ポスト京都議定書が交渉中の中で、法律だけを拙速に成立させようという政府の姿勢に私は疑問を抱いております。

 本日は、先日鳩山内閣が閣議決定した地球温暖化対策基本法と、我が党、自由民主党が対案として提出しました低炭素社会づくり推進基本法案を対比する形で、環境大臣の所信をお伺いいたしました。今後の本格的な法案審議の前哨戦になればという気持ちで質問をさせていただきました。

 一つ実例を挙げて、政策の矛盾を最後に申し上げさせていただきたいと思います。

 鳩山内閣は、コンクリートから人へをキャッチフレーズに政策のかじを大きく切っています。このコンクリートは、セメント、石、砂、水を混合することによってできる材料です。すべて国内で調達できる材料で、輸入はほとんどされていません。

 一方で、セメントを生産する過程では、どうしても多くの熱が必要です。もし二五%削減という厳しい目標が設定されたらどうなるんでしょうか。その実現に向けて、省エネルギーが極限まで進んでいるセメント製造に、排出量取引のキャップがかけられます。そして、燃料に環境税が上乗せされるようになりますと、とてもじゃないけれども国内で採算性はとれなくなります。限界削減費用の少ないアジア諸国に生産拠点を移すのか、それとも、海外からセメントを輸入する事態になります。

 また、セメント業界は、ほかの産業や一般家庭から発生する廃棄物、副産物を受け入れ、リサイクルに貢献している産業でもあります。その産業が日本から撤退してしまうと、環境省が所管する廃棄物・リサイクル行政にも大きな支障を来し、新たな最終処分場の確保も必要となってくるのではないでしょうか。

 つまり、セメント産業が成り立たなくなれば、国内の雇用の場が減り、また、リサイクル産業であるセメント産業がなくなれば、国民生活などから排出される廃棄物の処理ができなくなり、ごみの処理に頭を抱えることにもなる。

 こんな国内産業や国民生活にダメージを与えながら、海外から排出権というお金を出して買ってくることを前提とした、世界に突出した削減目標を国際公約とする、これが鳩山政権の地球温暖化対策の実態であるということ、改めて認識をさせていただきました。

 以上で質問を終わります。

樽床委員長 いいですか。答えはなしですか。

近藤(三)委員 最後は私の所見を述べさせていただきましたので、大臣、次の機会にぜひまたよろしくお願いいたします。

樽床委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、小沢環境大臣に、地球温暖化対策を中心として、環境問題について質問をさせていただきます。

 まずは、地球温暖化対策について御質問をさせていただきますが、政府は、三月の十二日に地球温暖化対策基本法について閣議決定をし、国会に提出をいたしました。この地球温暖化対策基本法を中心に質問をさせていただきます。

 この基本法案には、二〇二〇年までに温室効果ガスを二五%削減するという中期目標を明記されるとともに、その実現のために、基本法施行後一年以内をめどに排出量取引制度の創設のための関連法を定める、また、地球温暖化対策税について二〇一一年度からの実施に向けて検討を行う、さらに、太陽光発電など再生可能エネルギーの全量買い取り制度を創設すること、これら三つの具体的な政策が書き込まれておるわけでございます。

 それぞれも含めて質問をさせていただきたいと思っておりますが、まず、基本法案に規定された前提条件についてお伺いをさせていただきます。

 基本法の第十条に、温室効果ガス排出量削減に関する中期目標が定められております。同条の第一項には中期目標一九九〇年比二五%削減、そして第二項には、すべての主要な国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築と意欲的な目標の合意という前提条件が書かれているわけでございます。

 率直に言えば、これから日本がどういう基本姿勢で温暖化に対して立ち向かっていくのかという姿勢を示すべきこの基本法に、前提条件はあり得ないということを申し上げたいと思います。前提条件つきの中期目標となれば、二〇一三年以降の新たな国際枠組みの交渉におきましても、日本は消極的ともとらえられかねず、国際交渉をリードすることはできないのではないか。また、国内においても、低炭素社会の構築へ向けて、国民や産業界等の行動を最大限に引き出すことはできないのではないかという懸念がございます。

 これについて、小沢環境大臣の見解を求めたいと思います。

小沢国務大臣 先ほどの近藤委員と百八十度違う視点からの御質問でございますので、ある意味では、この問題に対してさまざまな見解があり得るんだなということが改めてよくわかる、こういうことだろうと思います。

 二つ申し上げたいと思います。

 私も、先ほど申し上げましたように、二五%を公明党さんのおっしゃるように国内で削減する、これがベストだ、こう思っておるところでございます。

 しかし、その前提条件をつけたのは、一つは、鳩山総理が国会でも申し上げておりますように、いわゆる国際交渉のある意味ではてこに使う、日本はこれだけやるんだからあなたたちもこれだけやってくださいよ、そういう背中を押していくという意味が一つでございます。

 それからもう一つは、先ほどのパブリックコメントにもありましたように、前提条件をつけて、せめて、そういった意味の公平性、公正性だけは、日本が温暖化をやっていくというのは大事だけれども、やはり各国との公平性、そういう観点だけは何とか担保してもらいたい、こういう意見と、そういう二つを加味して、今回はそういう前提条件をつけさせていただいたということでございます。

 しかし、私自身は、二五%、国内でしっかり頑張っていきたいという気持ちを持っておりますので、何とぞそこは御理解を賜りたいと思います。

江田(康)委員 先ほどの自民党の御質問とは百八十度違う質問をさせていただいておりますけれども、大変大事な観点でございます。

 では、具体的に何をもって、公平かつ実効性のある国際枠組みが構築されて、また、意欲的な目標が合意されたと判断できるのかということもございます。その判断条件もあいまいでございます。

 ここでいう意欲的な目標とは具体的にどのような水準の目標をいうのか。これでは、例えば、二〇一三年以降の新たな国際枠組みを協議する国際交渉におきまして、他国の削減目標が我が国の九〇年比二五%削減目標に比べて意欲的な目標ではないとして、第十条一項で掲げた我が国の二五%削減目標は正式な中期目標とはならないということがあるということでございます。

 こんな前提つきの中期目標で本格的な低炭素社会を構築できるのか、それを引っ張っていくことができるのか。国民も産業界も、厳しい負荷のかかるこういう低炭素社会の構築へついてくるわけがないのではないかという視点で質問をさせていただいております。

 まず、この意欲的な目標について確認をさせていただきたい。

 コペンハーゲン合意を受けて、現在までに六十五カ国、条約批准国が百九十四カ国でございますので、約三分の一の国々が削減目標並びに削減行動を提出いたしました。アメリカの掲げる中期目標は、二〇二〇年までに、二〇〇五年比で一七%、九〇年比では三ないし五%であろうかと思います。また、中国は、二〇二〇年までに二〇〇五年比でGDP当たりの排出量を四〇から四五%削減するとしております。

 我が国は、特に温室効果ガスの大量排出国である中国やアメリカに対して、どの程度の水準の目標を期待しておられるのでしょうか。すなわち、両国がそれぞれどの程度の目標を掲げれば、今大臣のおっしゃる基本法案にある意欲的な目標と認められるかということでございます。また、意欲的な目標であるかないかをだれがどのように判断するのか、お伺いをいたします。

小沢国務大臣 最後のところからまずお答えを申し上げたいと思いますが、意欲的な目標を決めるのは、交渉の最終段階で政府が決める、閣僚委員会を開き閣議で決める、こういうことになるものと思います。

 何が意欲的かということに関しましては、世界全体でいえば二〇五〇年までに排出量を少なくとも半減させる、こういうことがコンセンサスになっておりますので、少なくともそれに資する目標でなければいけない、こういうことになろうかと思います。

 具体的な定義といったようなものは、現時点では交渉上の理由によって明らかにすべきではない、こういう意見が政府の中にございまして、現段階では明らかにしておりません。決まっているわけでもありません。ですから、私が先ほど申し上げましたように、一般論として言えば、世界の排出量を少なくとも半減させることに資するようなものというふうに御理解を賜りたいと思います。

 それから、各国の話で米国と中国の話が出ましたが、先ほど近藤委員にもお答えを申し上げましたように、米国に関しては、中期目標に関してはもう少し頑張っていただきたい、しかし、二〇五〇年までの道筋を示していただいていることに関しては一定の評価をしている。中国に関しては、ピークアウトの時期を明示していただいて、さらに数字も挙げていただきたい、こう思っておるところでございます。

江田(康)委員 基準は国際交渉上の問題ということで明示されないということでありますが、そこがまた非常に問題であるかとも思うんですね。

 政府の地球温暖化対策基本法は前提条件つきの法案となっておりますけれども、その前提が実現されなければ、二五%削減の中期目標も、また国内排出量取引や地球温暖化対策税等の国内対策も実行されないということになるのか、大臣にお伺いをいたします。

小沢国務大臣 これも何度か申し上げておりますが、国際公約としては成り立たない、こういう話は申し上げておるところでございます。しかし、私、環境大臣の立場からは、国際公約として成り立たなくても、本当に温暖化をストップさせるために必要不可欠、こう思っておりますので、何とか実現をしていくための努力は私はしてまいりたいと思っております。

 さらには、法案の中には、第十条第四項において、中期目標の前提条件が成就し中期目標が設定されるまでの間においても無策であってはならない、このため、中期目標の達成に資するよう基本的施策を積極的に講ずるものとするというふうにしておりまして、しっかりと二五%削減のための努力はしてまいるつもりでございます。

江田(康)委員 ということであれば、大臣、前提が崩れても、国内対策を含めて、二五%削減を我が国はやっていく。また、基本法に示されたような、国内排出量取引制度においても、また地球温暖化対策税等の具体的な、いわゆる三本柱とも言われますけれども、そういう重要な政策を実施するし、また、国民そして産業界、経済界等に義務を課すということでありますか。

小沢国務大臣 私、環境大臣の立場からはそのとおりでございます。政府全体としましては、今後、ロードマップ等を議論していく中で、さらなる具体的な数値に関しては詰めてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 我が公明党としましては、この前提条件を満たす満たさないのいかんにかかわらず、日本政府として、二五%削減に向けて取り組んでいくことを強く表明していく、またそのような責任を果たしていく、そのことが盛り込まれた基本法であるべきだと思っております。

 今、大臣、この前提条件が達成されなくとも二五%削減に種々の具体的な施策を実行していくということでございますが、この基本法がそのように読めるのか、そのようなことを言うことができるのか、ここにおいて基本法にそれだけの大きな幅のあるとらえ方ができるのか、そこに一つ大きく疑問を私は持っております。大臣は今回そのように御答弁なされましたので、それを前提にまた審議もさせていただきたいとは思っております。

 公明党は、まだ提出はしておりませんけれども、前提条件のない二五%削減を我が国が強力に進めていく、そのための国内対策さらには例えばそこから影響を受けるであろう国民生活や産業界や経済界の国際競争力に与える影響、こういうことにも適切に配慮していくという、政府の支援策を含めての強い決意が見えるような基本法を、我が党としては気候変動対策推進基本法案というものを提出させていただく予定でございますので、そういう場においても今回のこの前提条件つきの問題につきましては種々議論をさせていただきたいと思っております。

 国内の排出量取引制度についてお伺いをさせていただきます。

 地球温暖化対策基本法には、温暖化対策の重要な柱の一つとして国内排出量取引制度の創設が盛り込まれております。キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度を導入して、我が国の温室効果ガスの約五割を排出している大規模排出者に対して総量規制をかければ排出総量を確実にコントロールできるということから、温暖化対策としては大変有効な政策であると考えます。

 しかし、今回の基本法には、目標指標として、総量規制方式だけではなくて、原単位方式も検討する旨が併記をされたところでございます。原単位方式というのは、生産量や売り上げ当たりの温室効果ガス排出量に上限を定めるものですね。想定以上に事業活動が活発に行われて生産量等が増加した場合、温室効果ガス排出量も増加してまいりますから、最終的には温室効果ガスの総排出量は増加することが容易に想像されるわけでございます。

 そこで、今後、事業活動等の状況によって温室効果ガス排出量の削減効果が不明である原単位方式について検討を行い、仮に国内排出量取引制度に盛り込んだ場合には、政府が掲げている二〇年までに温室効果ガスを九〇年比二五%削減の数値目標は実現できないことが懸念されますけれども、小沢大臣はいかがお考えか、御所見を伺いたいと思います。

 また、民主党のマニフェストや前国会における小沢環境大臣の所信表明では、キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度の導入を進めるとしてきたわけであります。これまで総量規制方式を大前提として議論が進められたと承知しておりますけれども、原単位方式が突然この基本法案の中に盛り込まれた理由と経緯についても御説明を願いたいと思います。

小沢国務大臣 原単位の話に入る前に、一点、いわゆる中長期目標について申し上げておきたい点がございます。

 いわゆる中期目標で二五%という話に皆さん相当関心が集中しているわけでありますが、御案内のように、法案には五〇年八〇%削減、こういう長期目標も出しているわけでございまして、そういった意味においては、中期目標というのはその道筋ということでもあり、ぜひ五〇年の数値目標に関しても関心をお持ちいただけるとありがたいというふうにまず申し上げておきたいと思います。

 それから、原単位の話でありますが、これも本当に先ほどの二五%目標と同じで、百八十度意見が違う話がある論点だというふうに思っています。公明党さんが予定されております法案の中は総量規制のみというふうに伺っておるわけであります。

 今回、原単位を検討するという形で入れましたのは、いろいろな要素が考えられるだろうというふうに思っておりまして、その一つは、私が副大臣級検討チームでも申し上げましたのは、例えば電力という産業を考えたときに、日本の電力産業はアメリカ、ヨーロッパと違って供給義務が課せられております。ですから、電気を売ってくださいと言われたときに、もう排出量いっぱいですからこれは売れません、こういう話は成り立たないわけでございまして、そういったところがいわゆる欧米の制度と違うな、こういうことも考えました。

 さらにはまた、いわゆる総量規制と申しても、日本全体のすべての要素、すべての人々に総量規制をかけられるわけではございませんでして、そういった意味では、総量規制そのものが、ある意味では日本全体の排出量の一部になるわけであります。

 ですから、そこは、私は、本当に日本のCO2を削減していくことを考えていく場合に、総量規制一本でないとだめとか、あるいは原単位が入ったらそれができなくなるとか、その考え方そのものが言ってみるとイデオロギー論争的な話ではないかなととらえております。もっと言うと、現実に本当に減らしていくためにはどうしたらいいかという話をロードマップの中で当たっていきたい、こう思っておりまして、必ずしも総量規制でなければそれが実現しないというのは、もともと総量規制が係る分野がすべてではないことから考えても、少しそこは考え方としてかた過ぎないか、こういうふうに思っております。

 でありますので、原単位と総量規制の組み合わせも含めて、これから検討するというふうに表現をさせていただいたわけでありまして、総量規制を基本としつつ、そういった原単位も検討していく、こういう書きぶりをさせていただいて、今後その議論を詰めていきたい、こう思っているところでございます。

江田(康)委員 今大臣がおっしゃいましたが、その制度設計が本当に議論されていないというか、議論されていても密室であるというか、国民に今どのような制度設計が行われているのか聞こえてない、こういうようなところから派生するさまざまな懸念もございます。

 ロードマップをつくる中において策定をしていく、制度設計していくということでございますけれども、基本法においては総量規制を基本としつつ原単位での検討も行っていく、こういうようなレベルでフレキシビリティーを残して検討に入るということでいいかと思うんですけれども、やはりそういう制度設計にしても、国内排出量取引の制度設計もそうでございますが、例えば二五%の国内対策分、真水分が明らかになっていないとか、そういうようなところが不明なままに基本法が提出されて、審議がこれから行われるということに問題があるのではないかと私は指摘しておきます。

 国内排出量取引制度の導入に際して、基本法にこれはあるべきだと私は思いますけれども、やはり、この導入に際しては、経済また産業界においても大きな負荷がかかることでございます。そのためにも、産業の国際競争力に与える影響等に配慮した措置などの適正な実施に向けた制度設計が必要であるわけでございます。

 また、基本法には地球温暖化対策税の導入も盛り込まれておりますけれども、国内排出量取引制度の対象となる大口排出業者に対しては、この地球温暖化対策税を課税しない、もしくは軽減するなどの配慮措置が必要かと思います。基本法にもこのような配慮措置を盛り込むべきではないかと思っておりますけれども、あわせて大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。

小沢国務大臣 この点は考え方は全く江田委員と同様だと思います。

 しかし、そこまで配慮規定は明記をしませんでした。当然のことながら、温暖化対策税とあるいはまた排出量取引制度とは本当に密接不可分にリンクをしておりますので、同時並行的に議論を進めなければいけません。

 副大臣級検討チームでもそれを前提としてやっていこう、こういうことを確認しているところでございます。

江田(康)委員 では、さらに申し上げますけれども、我が国の温室効果ガス削減を進めていくためには、中小事業者の削減対策を促進することも大変重要でございます。厳しい経営環境下にある中小事業者に対して、取り組みを後押しするためのインセンティブが必要であるかと思います。

 したがって、国内排出量取引制度を導入する際には、中小事業者の対策による削減量をクレジットとして認証して、国内排出量取引制度の対象となる大規模事業者がこれを活用できるような仕組みを新たにつくっていくことが有効であると考えますけれども、その用意があるのか、小沢大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 全く御指摘のところは同感でございますし、そのように準備をしているところでございます。

 江田委員も御案内のとおり、環境省は、オフセット・クレジット制度、いわゆるJ―VER制度を既に始めておりまして、その準備を進めているところでございます。

 中小企業の皆さんたちが削減するクレジットを大企業も買っていける、そのことによって中小企業の皆さんたちも意欲的にその制度に取り組んでいける、排出量削減に取り組んでいける。大変重要な御指摘だと思っておりまして、そこはしっかりと取り入れてまいりたいと思います。

江田(康)委員 斉藤環境大臣のときだったと思いますが、J―VER制度を導入したわけでございますけれども、大臣も御存じのように、国内排出量取引の対象とはならないというような現在の制限がございます。

 だから、私、新たな国内排出量取引制度のシステムとして中小企業者へのクレジット制度、これをしっかりと位置づけていただきたい、そのことについても取り組んでいくという御答弁だったと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度についてお伺いをさせていただきます。

 従来の化石エネルギーにかわって、太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーを普及拡大していくことは大変重要なことでございます。地球温暖化対策基本法には、二〇二〇年までに一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を一〇%とすること、また、再生可能エネルギーの全量を買い取る固定価格買い取り制度が盛り込まれているわけでございます。再生可能エネルギーの大幅な普及促進のためには、全量を買い取る固定価格買い取り制度は私は大変有効な政策であると考えます。

 そこで質問させていただきますけれども、三月の三日、再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチームが開催されて、太陽光以外の再生可能エネルギーによる発電全量を買い取った場合の試算が示されました。一部の報道では、標準家庭の負担額は月額にして百九十五円から四百四十一円増すとされております。ただし、これは買い取りに要する負担額でありまして、系統安定化対策等も含めた場合の負担額は明らかではございません。

 そこで、まず、系統安定化対策に要する費用はだれが負担することになるのか。また、系統安定化対策まで含めた国民の負担額はどの程度になるのか。これは、経済産業省から副大臣が来ていただいておりますので、お伺いしたいと思います。

増子副大臣 江田委員にお答えをいたします。

 まず、江田委員と同じように、私どもも再生可能エネルギーの導入というのが温暖化対策に大変重要だと思っております。

 私どもは、先ほどのお話のとおり、一〇%達成をするということにいたしておりますが、御党は一五%という大変高い野心的な目標を掲げていることを大変すばらしいなと思っております。ただ、なかなか現実は厳しいなというふうに考えております。

 要は、私どもは、全量買い取り制度の導入に当たっては、再生可能エネルギーの導入と国民の皆さんの負担の両面のバランスをどのように取り入れていくかということが極めて重要だと思っております。昨年の十一月一日から導入いたしました余剰電力買い取り制度においても、この部分が大変大きな議論になりまして、私どもとしては今回百円ということで昨年の十一月に導入いたしましたが、これについては大変な議論があったことは委員も御承知のとおりだと思います。

 我々は、こういう消費者との関係をどのように今後検討していくかということを今真剣に議論を重ねておりまして、先ほどお話がありましたとおり、全量買い取り制度のPTをつくらせていただきまして、あす二十四日、そのオプションを提示する予定になっております。この中で、今後いろいろな方々の御意見もまた拝聴しながら、六月あるいは七月以降に向けてしっかりとした制度設計をしていきたいと思っております。

 あわせて電気系統の問題でありますが、これについても今大変厳しい状況の中でどのような導入をしていくかということ、これについては、大量に電力系統に受け入れる場合に、電力の安定供給維持ということが極めて重要でありまして、系統安定化対策を講じることが当然必要となってまいるわけでございます。

 その際、蓄電池の設置や太陽光発電の出力抑制など、対策の内容に応じてそれぞれ費用が異なるものと私ども考えてございます。その上で、全量買い取り制度を導入するに際して家庭や産業界に一体どの程度の負担をかけるのか、また、どのような軽減措置をとるのかということも配慮しつつ、制度を今設計中でございます。

 先ほど申し上げたとおり、あすの二十四日にプロジェクト会合でこの制度のオプションをお示しして、幅広く御意見をちょうだいしたいと思っております。

江田(康)委員 今増子副大臣おっしゃいましたように、これからオプション案を提示して制度設計を検討していくということでございます。

 これは環境大臣にお伺いしたいんですけれども、今経済産業省の方からもございました再生可能エネルギーの普及がやはり地球温暖化対策を大きく進め、二五%削減を達成していくがためにも、また、大きく低炭素社会へと転換していくためにも、大変重要なのがこの再生可能エネルギーの普及拡大だと思っておりますが、やはりそこには国民負担の問題がございます。

 先ほど増子副大臣がおっしゃいましたように、この全量買い取りに関する意識調査がありました。負担の受容額は百円以下という回答が四八・五%を占めていたわけでございます。太陽光発電の導入に関するアンケートにおいても、再生可能エネルギーを導入できない人にも負担が発生することは不公平、こういうような回答も多かったことは事実でございます。

 そこで、再生可能エネルギーの普及には、普及策と国民負担のバランスが大変大事でございまして、さらに、公明党としましては、低所得者対策等を初めとする国民の生活や、経済及び産業の国際競争力に与える影響等についてやはり適切な配慮をすべきだと思います。これらについても基本法に私は盛り込むべきだと思いますけれども、政府はこれらの点に十分留意して制度設計の議論を進めなければならないと思います。

 先ほど、オプションを提示して、これから検討を始めるということでございますので、環境大臣におかれましては、やはり再生可能エネルギーが普及拡大していくことが第一の目標でありますが、その適切な実施をしていくことが一方で求められておりますので、これらについてどのように環境大臣として対応をなされていくつもりか、その見解をお伺いしたい。

 と同時に、あわせて、先ほど二〇二〇年までに一〇%が目いっぱいだ、一五%はかなり厳しいということを増子副大臣はおっしゃいました。しかし、我が党は、やはりこの大胆なといいますか、決して不可能ではない再生可能エネルギーの普及拡大は最重要課題だと思っております。二〇二〇年までに一五%達成していくというような、政府としてもそういう新しい目標を立てていったらどうですか。あわせてお伺いをいたします。

小沢国務大臣 まず、再生可能エネルギーが重要だという御指摘に関しては全く同感でございます。この基本法の目的のところでも書かせていただきましたが、脱化石燃料社会という話が基本法の精神になっているわけでありまして、その目標から考えても、そうなってくれば回答は再生可能エネルギーの拡大、こういう話になっていくもの、こう思っております。

 それから、それを行うに当たっては、国民の負担との兼ね合いが大事だという点も全く御指摘のとおり、こう思っておりまして、例えば、太陽光発電の場合は、これから各家庭で皆さんにそれをやっていただきたいとお願いをしていくわけでありますけれども、その設備を設置するにはお金がかかるわけでございます。しかし同時に、ある程度の時期を超えれば、そこから先は逆に今度は電気を売っていけるわけでありまして、そういう意味では完全なる投資になるわけです。でありますので、そういった意味では、この場合、コストといっても、単なる消費コストではない、投資コストだ、こういう話になるわけでございます。そういった点も考えなければいけないというのが一点。

 しかし、そういったことができる人は割と所得が高い層だ、こういう話になるわけで、そういった不安定さをある意味では取り入れた電力料金というのは若干高くなるだろう。これは、先ほど増子副大臣からもお話、あるいは江田委員からも御指摘があったところでありますが、そういうこともあり得る。

 その場合に関しては、これは別の政策として、いわゆる低所得者の皆さん方への対策というのは別途しっかりと考えていかなければいけないと私は思っております。今後、税調の中で、いわゆる温暖化対策税、あるいはまたそれに関係するいわゆる環境税関係ということで、私からもぜひ提案をさせていただきたい、こういうふうに思っているところでございます。

 それから、もう一点は、もう少し高い目標を、こういう御指摘でございました。

 これは、率直に言って、政府の中でもいろいろな議論がございました。しかし、増子副大臣が御答弁しましたように、エネルギー計画を所管する経済産業のデータ、それをベースに最終決定をさせていただいたということでございます。

 議論の中では、いわゆる供給ベースで一〇%に達することを目標とするということでありますので、さらにそれを超えていけるくらい頑張ろうとか、あるいはまた、消費ベースでいいますと測定がなかなか難しいので、結局、供給ベースでの数字にしましたけれども、消費ベースでいえば、ヒートポンプ等を勘案すれば、もっといろいろな政策展開もできるのではないか、そんな議論もあったところでございます。

 そういった中において、さらなる高い目標を掲げていきたいと、環境大臣としては精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。

江田(康)委員 私も経済産業委員会の委員でもございますので、そこの場でもまた、電力の固定価格買い取り制度については、しっかりと、検討過程を踏まえさせていただいて議論をさせていただきたいと思っております。

 もう一つの政策として、私、森林吸収源対策をちょっとお伺いしておきたいと思うんですね。

 温暖化対策において、もちろん、御存じのように排出削減対策の推進が基本であることは間違いありません。しかし、これで温室効果ガスの排出量をゼロにすることはできないわけでありまして、やはり、削減努力を行いつつ、温室効果ガスの吸収源対策に注力して吸収源を補完的に利用することが重要であります。

 しかしながら、我が国の吸収源対策を見ますと、国内における吸収源対策よりも、CDM等を通じた国外における吸収源対策に比重が置かれているかと思います。一方で、吸収源として期待される森林、すなわち林業経営については、危機的な状況が指摘されているところです。

 我が国は、国土に占める森林面積において世界第三位の森林大国であるわけです。しかし、その森林利用率はわずか〇・四%とOECD諸国中ワースト三位でございます。それにもかかわらず、毎年、世界の約三分の一もの木材を消費している木材消費大国でもあります。我が国は豊かな森林を有しているのに八割を海外からの輸入に頼っているのが実態でありまして、日本の森林は利用されないで放置されている、こういう状況にあることはよく御存じだと思います。

 このような状況を改善するために、先ほど申し上げましたけれども、我が党の斉藤環境大臣時代に、カーボンオフセットの取り組みを促進するJ―VER制度を創設したわけです。このJ―VER制度は、京都議定書等の法的拘束力を持った制度に基づいて発行されるクレジット以外の温室効果ガスの排出削減・吸収プロジェクトから創出される検証を受けたクレジットを認証する制度です。この制度を活用することによって、森林にお金が入って整備され、国産材が利用できるようになれば、地域の活性化にもつながります。しかし、国内ではカーボンオフセット制度は国内排出量取引制度等には使えないということになっております。

 そこで、吸収源としての森林管理への取り組み、あるいは木質バイオマスの化石燃料代替による排出削減に対して、国内排出量取引のクレジットを認証する新たな制度を創設すべきだと考えます。これによって、新たな資金の流れをつくって、森林経営の採算性が向上するとともに、山村の森林整備の一層の推進が図られるのではないかと考えます。

 したがって、今後、キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度の検討、導入に当たっては、クレジットの対象としてこの森林吸収源も含めるべきであると強く提案を申し上げますが、小沢環境大臣の見解をお聞きしたいと思います。

小沢国務大臣 先ほども申し上げましたように、斉藤前大臣のときにおつくりになられましたJ―VER制度の意義というのは極めて重要、まずこう思っております。

 そういう中で、森林制度が取り入れられなかったのは、国際交渉のいろいろな状況を見ながら、こういう判断なのかな、こう思っておりまして、私としては、前向きに検討をしてまいりたいと思っておりますが、今申し上げましたように、まさに国際交渉の推移をしっかりと見て最終的な判断をしたい、こういうふうに思っております。

 もう委員も御案内のように、京都議定書の目標達成に関しましては、年間一千三百万炭素トンの森林が活用されることが認められているわけでありまして、国内制度でこれをやりますと、またダブルカウントみたいな話になってもいけませんし、そういったいわゆる制度の整合性をしっかりとりながら考えていきたい、こういうふうに思っております。

江田(康)委員 もちろん、京都議定書とダブルカウントされてはならない。その整合性が大変重要ですので、それを踏まえて、この森林吸収源の新たなクレジット制度を、国内排出量取引制度を導入されるに際して取り入れていく、ここは強く要求しておきたい。大臣、頑張っていただきたいと思います。

 次に、時間が残り少なくなってきましたけれども、もう一度、二五%削減に占める真水の割合と行程表、ロードマップについてお伺いをさせていただきます。

 政府は、今月の十二日に基本法を提出して、前提条件つきとはいえ、二〇年までに九〇年比で二五%削減するという中期目標を明示したわけでございます。

 私は、少なくとも、この基本法の提出の前までに、この二五%という数値のうち、国内の実質的な削減である、いわゆる真水の割合を公表して、あるいは、どのような施策をいつまでに行うのかという行程表を提出すべきだったと思います。そうでなければ、今審議している、そういう国内対策は描けないのではないか、根本的にはこのような考えを持っております。

 しかも、その議論は、なかなかオープンにならない、密室で行われているようなところもあったかと思います。いつまでも検討中とか調整中ということで情報を出さないというのであれば、各界各層からの批判を恐れて隠していると言われても仕方がないと思います。法案の審査が始まってからオープンにされるつもりでしょうか。しかし、それでも、余りにも国民の代表機関である国会を軽視するものと言わざるを得ないと思っております。

 そこで、先日十九日、ようやく第四回の中長期ロードマップ検討会が開催されたと聞きますけれども、真水の割合もしくは行程表についてどのような議論が行われたのか、いつまでに公表される予定なのか、具体的に示していただきたいと思います。

小沢国務大臣 この真水の議論に関しましては、先ほどもお答え申し上げましたけれども、政府の中には、国際交渉のことがあるので示すことは反対だ、こういう意見もあれば、今の時点で真水の議論をすること自体が必要ないのではないか、こういう意見もありました。

 しかし、私としては、そうはいっても、ロードマップをつくるときには当然そこはある程度数字を固めませんとシミュレーションできませんので、そういった意味では、環境省の中の中長期ロードマップ検討会においては、先ほど申し上げましたように、一五%、二〇%、二五%、こういう形でロードマップの議論を今進めていただいております。

 さらにはまた、十九日のロードマップ検討会は、私が指示をいたしまして全面公開という形でやらせていただきました。どうも、いわゆる公開の問題も、途中の段階をあえて公表することはない、こういう意見の皆さんたちも結構いらっしゃったりしまして、私は政府の中の検討チームの事務局長をしておるわけですが、なかなか委員の御指摘のようにすべて公開でという話にまで至らないわけでありますが、少なくとも環境省の部分は、私の所管するところでございますので、ここは全部公開、こういうことで今やらせていただいているところでございます。

 作業が若干おくれておりまして、これは委員の皆さん方の最終了解もとらなければいけませんので、本来であれば基本法と一緒に出すのが望ましい、こういう御指摘はそのとおりだと思いますが、中間的な資料ということで出させていただき、そして、この三月末までにしっかりと、環境省としてのロードマップに関する数値に関しましては提出をさせていただきたい、こう思っております。

 さらに、政府全体でどのようにそれを扱っていくかに関しましては、今後、閣僚委員会あるいはまたその閣僚委員会のもとでのいわゆる検討チームをどういうふうにしていくか、今、座長であります仙谷担当大臣と私の方で今後の進め方に関しては議論をしているところでございますが、いずれにしても、この環境委員会の場においては、基本法とそれからロードマップ、これをあわせて議論をしていただけるように、私が責任を持ってやらせていただきたいと思います。

江田(康)委員 この環境委員会の中では、その真水の割合、また行程表についてはオープンで議論をしていくということでございますが、今、その具体的なところにおいては、前回の検討会で検討された内容についてはオープンにはできないんですか。

小沢国務大臣 二十六日が最終ですが、十九日も全部オープンでやっておりますので、新聞報道にも出ておりますが、数字はもう既に全部皆さんにお示しをしてございます。

江田(康)委員 これを三月末には最終的には公表されていくということでございますので、やはり、こういう国内対策の数値目標が出ない限りにおいては、今、基本法の中でも三本、三つの大きな国内対策として制度設計等において提示されておりますけれども、なかなかその根本的なところがよくわからないままにいくのではないか、このように懸念をいたします。

 最後に、国際交渉の場において、これからCOP16へ向けて、大変これからの国際的な新たな枠組みの内容等について議論が進んでいくわけでございますけれども、その中において、途上国支援のあり方についてということで最後に一つ御質問をさせていただきます。

 我が国がCOP15において、鳩山イニシアチブということで、官民合わせて百五十億ドル、うち公的資金が百十億ドルで一兆三千億円の支援を発表したわけでございます。私もこれは大変高く評価をしていたわけですけれども、この鳩山イニシアチブについては、今の税収減の深刻な日本の状況の中で、かなり重い負担になることは事実でございます。我が国がこのような重い負担を担うことを明言したにもかかわらず、COP15における交渉の主役は、結局のところはアメリカ、中国であって、日本の鳩山イニシアチブはどの程度の効果があったのかというのは、批判も含めて意見があるわけでございます。

 改めて確認しますけれども、COP15において鳩山イニシアチブを発表したことによって、我が国の国際的な評価が高まるとともに、交渉などにおける我が国の発言力が向上したというような、我が国の負担に相応する国益が生ずる結果となったと考えておられるでしょうか。もしそういうことであるとお考えならば、その具体的な成果を改めて示していただきたいと思います。

 それともう一つ。

 経済的に厳しい状況に置かれている途上国に対して、排出削減に向けた資金提供の必要性は十分理解できますし、評価をするものでございますけれども、途上国支援に民間の活力を生かす、あるいは民間の投資を促すような、民間セクターが中心となった途上国支援の仕組みの構築こそが求められているのではないかと考えます。

 鳩山イニシアチブには、「特に民間セクターには、技術の開発、普及及び移転において重要な役割が期待されており、民間資金を引き出していくためのインセンティブを織り込んだ制度設計が欠かせない。」とありますけれども、この制度設計の具体的な中身について大臣にお伺いをいたしたい。

小沢国務大臣 鳩山イニシアチブは、いわゆるCOP15において大変重要な役割を果たし得たと私は思っております。委員も御案内のように、COP15において、いわゆる途上国支援の全体の数字が決められたわけでありますけれども、その数字を決めていくに当たっては日本の表明が極めて大きかった、各国からそのように評価をいただいたところでございます。

 それから、具体的な話ということでございますけれども、鳩山イニシアチブ百五十億ドルの内訳ということで申し上げますと、無償資金協力、技術協力及び円借款の積極的な活用による支援が六十億ドル、世界銀行に設立した気候投資基金に対する我が国の拠出が十億ドル、JBICを活用した民間部門との密接な連携を通じた支援が八十億ドル等々でございます。

江田(康)委員 今後の国際交渉の中で我が国がリードしていくためには、途上国支援のあり方は改めて大変重要になってくるかと思います。先ほども指摘したような、民間セクターが中心となった途上国支援の構築や民間の投資を促すような制度が非常に大事になってくるかと思いますので、その点については、この鳩山イニシアチブ、せっかくこれを打ち上げた、本当に国際交渉を前に進めるがためにも、また途上国を含めた新たな枠組みの構築になくてはならない支援であるかと思いますので、力強く進めていただきたいと思います。

 時間になってまいりましたので、きょうは、この後、さらに生物多様性の課題やまたスリーRイニシアチブ等の質問を用意しておりましたけれども、次回に回したいと思います。

 これから地球温暖化対策基本法の審議が始まるかと思いますけれども、自民党さんからも対案が出ております。また我が党からも、先ほどの議論の中で少しく議論をさせていただいた気候変動対策推進基本法案というものを提出する予定でございます。この三法案を材料にして、本当に今の地球温暖化対策基本法案でいいのか、そういう本質的なことについてもしっかりと議論をさせていただきたいと思っております。

 本日は、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

樽床委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

樽床委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 私、きょうが初めての質問になります。宮城二区、仙台からやってまいりました衆議院議員の斎藤やすのりと申します。

 いきなり私ごとで恐縮なんですけれども、私は気象予報士でございます。気象予報士で、私は、十八年間毎日空を見上げ、そしてその空気の流れを伝えてきました。私は、その仕事の中で、本当にここ数年天気予報が当たらなくなった。私の技術が低いわけではないんですけれども、非常に難しくなってきているんですね。季節の流れがやはり明らかにおかしくなっている、これを感じます。これについてはまた後ほど御説明いたしますけれども。

 私は、地球温暖化対策をやりたくて国会議員になりました。そして、環境委員になってまず初めの仕事がその地球温暖化対策基本法案の担当ということにさせていただきまして、非常に私はやりがいを感じております。この地球温暖化対策というものを実効性のある、実のあるものにしていきたいというふうに真に思っておりますので、きょうはここを中心に質問させていただきたいというふうに思います。

 国連での鳩山総理、そして先日の小沢環境大臣の、二〇二〇年までに九〇年比二五%のCO2削減とする目標は、これは私は正しいビジョンだと考えておりますし、低炭素社会の実現と生物多様性を念頭に置いた、環境に負荷をかけないで経済成長をしていこうという思いを聞きまして、私は、同じ思いの上司の下で働ける、よかったな、本当に幸せだなと感じております。

 さて、私は気象予報士ですので、きょうは一つデータを用意いたしました。ちょっと一枚めくっていただきたいんですけれども、桜が開花いたしました。東京に桜前線が到達しました。皆さん、早いと思いませんか、桜の開花。

 一九六〇年代に、実は、東京の桜の開花の平年日というのは三月三十日だったんです。二〇〇〇年代が三月二十三日ということで、何とこの五十年で一週間も桜の開花が早くなっています。こういうデータを見ますと、いや、これはヒートアイランドなんじゃないのというふうに言われるかもしれませんけれども、実は、全国、広範囲で桜の観測をしているところでも、全国平均で五十年間で四・二日早くなっているというデータがございます。

 明らかに生物というものが地球温暖化をキャッチしている。人間は服を着ていますけれども、動植物は当然裸です。一番最初に地球温暖化というものを感じるのはやはり動植物ですから、その温暖化というものをやはり如実に、桜、それからイロハカエデ、もみじに関しては五十日も紅葉が遅くなっている、ツバキに関しては五十年で九日も遅くなっている、そういうデータがあります。

 草花が遅くなっているとか魚が北上している、こういうのは一見我々の経済活動には影響がないというふうに言われるかもしれませんが、事実、もう既に動植物の生態というのは我々の人間生活にも影響を及ぼしておりまして、私の選挙区は仙台市泉区ですけれども、十年前までに全くいなかったイノシシが北上し始めております。イノシシというのは、稲が大好き、それから野菜が大好き、そして全部掘っちゃうらしいんですね。ということで、わなにもかからないということで、仙台市の被害額は五年前に比べて約二百倍ということで、経済活動、農業にも非常に大きな影響を及ぼしている温暖化です。温暖化によってイノシシなんかは北上をどんどん始めている、それから、暖冬なので暖かくなっていて越冬数が多くなっている、そういう事実がございます。

 そこで、田島副大臣に、地球温暖化が進行している現状認識及び地球温暖化法案の意義と望まれる効果等について、ぜひ環境省としての御所見をいただくとともに、閣議決定された地球温暖化対策基本法案の意義と意気込みをお伺いしたいと思います。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 気象予報士として十八年間気候変動に向き合ってきていただいた斎藤先生からの御質問でございます。

 気象庁の観測によりますと、我が国におきましても、平均気温が長期的に見ると上昇しておりまして、百年で約一・一度上昇すると言われております。特に一九九〇年代以降、高温となる年が頻繁に出てまいりまして、温暖化の影響が色濃く出てきていると私どもも認識をしているところでございます。

 また、幾つか御指摘をいただいたとおり、桜の花ももちろんそうですが、とりわけ九州におきましては、夏の高温が大きな影響となって米の品質低下等が発生しておると言われておりますし、また、果実、野菜等におきましても、例えばトマトのしり腐れ果が出てくるなど、温暖化の影響が相当出てきていると認識をしているところでございます。

 九〇年代初頭と比較して、一日当たりの降水量二百ミリ以上の大雨の日数を見ても約一・五倍増加するなど、温暖化の影響が着実に出てきているのではないか、その可能性があるのではないかという報告もなされており、環境省におきましても、将来の影響、また被害額についての研究を進めているところでございまして、昨年の五月に発表させていただきました研究結果によりますと、今後、追加的な対策を講じなければ、二十一世紀末までには我が国の平均気温は三・二度上昇する。その例といたしまして、例えば、砂浜が約四七%喪失するであるとか、土砂崩れの発生する確率が六%増加するなど、さまざまな影響の予測を発表したところであります。

 こうした被害額を積もり積もって合計いたしますと年間当たり約十七兆円に及ぶという試算も出ておりまして、日本社会の広範な分野に大きなリスクをもたらすと認識をしているところでございます。

 こうした中で、今回、温暖化対策基本法案を国会に提出させていただいたところでございますが、こうした長期的な視点、また中期的な視点、しっかりとそれを盛り込んで、この温暖化に対するありとあらゆる政策を総動員して臨んでいきたい、そんな思いから、今回、温暖化対策基本法案を取りまとめてまいりました。まずは中長期の目標を明記させていただき、そして政策の全体像を明らかに、また体系的に制度化し、導入を加速化していきたいというような思いを込めさせていただいたところでもございます。

 とりわけ、温暖化対策の、問題の解決につながっていく次期枠組みの構築にリーダーシップをしっかり発揮していくこととともに、温室効果ガスのできる限り排出されない社会を目指していくことが重要だと考えております。

 ややもすると経済また国民生活への負担を指摘されがちでございますけれども、この温暖化対策を通じまして、新しい産業また雇用の創出につなげてまいりまして、環境と成長の両立した新しい日本へのパラダイムシフトを、しっかりと転換していきたいと考えているところでございます。

斎藤(や)委員 力強い答弁、本当にありがとうございます。

 私も思いは一つです。このまま温暖化が進行してしまえば自然災害がふえるという御答弁でしたけれども、国連では、二〇三〇年までに世界で最大五十万人の方がこの地球温暖化による気候変動で命を落としてしまうというふうに言われております。ですから、昨今よく経済への影響というふうに言われています、雇用を喪失してしまったりGDPが下がってしまったりというふうに言われておりますけれども、そうはいいつつも、やはりそういった被害が大きくなる前に、今必要なコストはコストで払わなければいけないということだと思いますし、コストというところじゃなくて、それを産業成長に変えていく、コストが最終的には利益になっていく、そういう思いでやはり私たちはこの後温暖化対策というのを進めていかなければいけないと思います。

 済みません、一つ飛ばしてしまったんですが、資料の下の方なんですが、これも結構驚くべきデータです。これは、IPCCの気温上昇が最大の部分をシミュレーターにかけて、ウェザーニューズという民間の気象情報会社が算出したデータでございます。三月二十一日に桜がどこで咲いているかということでございます。

 見ていただくとわかるとおり、関東、東京や埼玉はつぼみになっています。これは何でつぼみになっているのかというと、散ったからではありません。咲かないんですね。なぜかというと、桜というのは、冬に一定の寒さに当たらないと冬眠打破しない。冬眠からぱっと目が覚めて、暖かくなっていくと咲くということです。つまり、二一一〇年、これから百年後には、冬眠打破がなくなって、東京では桜が咲かないというデータが出ています。

 今、国民の多くの皆さんがお花見を楽しんでいますけれども、地球温暖化になると、そういった経済への影響だけではなくて、こういった我々の、本当に日本の心である桜、花見もできなくなってしまう、季節感にも大きな変化が出てしまうということをぜひ皆さんに認識していただきたいというふうに思います。

 さて、地球温暖化の原因は実は人為的なものではないという疑いが、ここ数カ月、全世界で発信されております。皆さん承知のクライメートゲート事件でございます。

 IPCCのデータの改ざん疑惑について、副大臣、どういうふうに考えられているのか。温暖化CO2説というのを根底から覆すほどのものなのか。どういうふうに考えていらっしゃるのか、ぜひちょっとお聞きしたいと思います。

 政務官、よろしくお願いします。

大谷大臣政務官 お答えいたします。

 まずもって、斎藤やすのり議員、気象予報士ということで、本当に民主党にとっても財産的な存在だというふうに思っておりますので、きょうは御質問をいただいたこと、本当に心からありがたく思っております。

 お答えいたします。

 IPCC第四次レポート、二〇〇七年発行の分ですが、私も原文を読みました。二〇三五年までにヒマラヤの氷河がなくなるとか、また、オランダの領土は五五%が水位以下にあるとか、少々間違った記載があるということでございますが、結論から言うと、このレポートが出している結論総体に対しては揺らぐものではない、なぜならば、故意にやったんじゃないと。

 また、科学雑誌ネイチャー、去年の十二月三日発行分の中でも出ていますけれども、故意にやったものじゃないということであると認識しておりますので、結論は揺らぐものではなく、温暖化対策をしっかりと進めていかなければならないというふうに考えております。

 以上です。

斎藤(や)委員 大谷政務官、ありがとうございます。

 まさにそうなんです。確かに多少データの一部改ざんなどがあったことは事実なんですけれども、ちょっと一枚目のデータを見ていただきたいと思います。

 こちらは、国立環境研究所の江守正多さんのデータです。私、江守さんに先週電話で聞いたところ、こういう答えが返ってきました。

 これは、木の年輪による復元された気温だそうなんですけれども、一九六〇年以降の気温が下がってしまい、実際の気温上昇と合わないので、その下がる部分のデータを研究者が隠しちゃったというふうに報道されておりますが、しかし、年輪のデータが下がるということを隠していたという事実はないそうです。この年輪のデータが下がるという事実を、問題のグラフを作成した研究者の一人が、九八年に、年輪のデータ、気温が下がったということを堂々と論文で論じております。

 ところが、世界気象機関、WMOが、一九六〇年ごろまでの年輪のデータとそれ以降の温度計のデータを一本の線でつなげてしまった。この部分がいわゆる報道されている捏造だというふうに言われているんですが、ただ、皆さん見ていただくとわかるとおり、一八〇〇年後半、つまり産業革命以降の気温上昇、ここは捏造というところは全くございませんで、これはもうまさに現実であるんですね。ですから、そのWMOの報告書の図の描き方が問題で、気温が長期的に上昇しているということは変わらない事実でございます。

 それから、この気温の上昇と二酸化炭素濃度の増加がリンクしているということも科学的にも認められているわけですから、排出抑制の策というのはしっかり取り組まなければいけないというふうに考えております。

 そして、この排出抑制の件で質問させていただきます。

 二五%削減するためには、まずCO2の排出源というものを分析しなければいけないと私は思っています。日本のCO2排出というのは、家庭から約二割出ております。企業、公共部門が八割です。ここが非常に重要なんですが、二〇〇七年度は約百六十一の事業所で全体の半分を排出しているわけです。つまり、この部分の排出をとめなければ、二五%の削減というのは私は難しいと思います。

 だから、排出権取引制度の導入というのは、私はマストだと考えております。今回の温暖化基本法案で、排出量の総量規制、キャップ・アンド・トレードの導入の検討というのは大きな前進だと考えているわけでございますけれども、キャップ・アンド・トレードを導入することにより、どのような効果が期待でき、あるいはどんなデメリット、経済的なリスクがあるのかというのをお伺いしたいと思います。

田島副大臣 御質問いただきましたキャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度の、まずメリットでございますけれども、まずは、排出枠を設定することで温室効果ガスの排出量の総量削減を確保することができます。加えて、炭素への価格づけを通じて経済効率的に排出削減を促進し、単純な規制と比べまして、排出枠の取引を認めることによって柔軟性のある目標達成を可能にすると考えているところでございます。

 国際競争力への影響などについての懸念があることは承知をしておるところでございますけれども、制度の導入が技術開発など新たな企業活動へのインセンティブとなり、雇用を生み出していくチャンスともとらえております。

 また、御承知かとは存じますけれども、海外では国際競争にさらされている製造業等に配慮した制度設計を行っておりまして、我が国におきましても、今後、この制度設計に当たっては、排出量の総量削減を確保しつつ、国際競争力に対しての配慮を工夫するように検討していきたいと考えているところでございます。

斎藤(や)委員 どうもありがとうございます。

 その配慮という部分は、また後ほどちょっと質問させてください。

 そうなんです。このキャップ・アンド・トレードを導入することによって、キャップ・アンド・トレードだけではありません、環境税とか、それから再生可能エネルギー法案、こういうものを三種の神器なんというふうに言う人がいるんですけれども、その三種の神器を取り入れたドイツでは、再生可能エネルギー法を二〇〇〇年に導入してから、再生可能エネルギーの割合が四%から一六%になりました。ドイツでは、京都議定書の目標である二一%削減を既に達成しておりますけれども、そのCO2削減分のほぼ半分が再生可能エネルギーによるものでございます。

 では、これはただ単に経済的な負荷がかかったんじゃないかというふうに言われるかもしれませんけれども、逆です。実は、新しい産業や雇用が生まれていて、先ほど副大臣の御答弁にもございましたけれども、新しい雇用が生まれるという話ですが、ドイツは昨年、この分野で四兆円の投資と二十八万人の雇用を生んでおります。

 そして、世界地図のデータを見ていただきたいんです。「世界の主な排出量取引制度の動き」というものですけれども、EU―ETS、世界で最初の方にトップランナーとして導入したEUは、今、第二フェーズでやっております。それから、今、アメリカのオバマ大統領も国を挙げて進めようとしております。北米の北東部、それから西部などでも、既にこのキャップ・アンド・トレード、総量規制というようなものは始まっております。

 なぜアメリカやヨーロッパがこの総量規制、キャップ・アンド・トレードを進めるのかといいますと、これは簡単です、経済効果があるから。非常に競争力がついて、そして高い経済効果と雇用を生むからという計算のもと、アメリカやヨーロッパでは実はこのキャップ・アンド・トレードというものが進んでおります。

 そして、まだ知られていない方も多いかもしれませんけれども、実は東京の方でも、排出権取引、キャップ・アンド・トレードを導入する、それから韓国の方でも導入を予定しているということで、一気に今、排出権取引市場の創設というのが世界で進んでいるというのがこの図でよくわかるかというふうに思います。

 さて、先ほど田島副大臣からの御答弁で、配慮というところがございました。その配慮の部分についてお伺いしたいと思います。

 法案において、排出量にキャップをかける総量方式と、生産量当たりの排出量を基準とする原単位方式を併存させた形になっております。

 キャップをかけることについては、これは私先ほども指摘したように、大規模な排出を規制して目標達成に向けて効果的に政策誘導をすることができるというふうに私は評価しております。また、経済的損失や国際競争力の懸念が叫ばれる中で、中長期目標を達成するためには、バランスをとりながらこの総量方式を重点的に取り入れていく必要性を感じております。

 一方で、今回、原単位方式の導入の是非が議論の焦点の一つでありました。これは本当に政策会議などでもかんかんがくがくの議論がございました。

 私は、これについては、すべてが必要ないとは考えてはおりません。二酸化炭素排出に関する効率性とか、それから産業育成の観点から、場所や期間などを限定して導入する必要性もやはりあるのかなというふうに、最近少しずつ勉強してわかるようにはなってきました。ただ、やはり冒頭にも述べたように、その思いと、本来の趣旨である地球温暖化対策の目標実現へ向けた制度設計が、決してこの原単位の導入で骨抜きになってはならないと感じております。

 したがって、具体的施策については今後議論をしていく中で一年かけて煮詰めていくということになるとは思うんですが、両方式を併存させている背景と制度設計の基本方針をここでお伺いしたいというふうに思います。

田島副大臣 きょうの委員会の午前中の答弁で大臣の方からも発言がございましたけれども、私ども、今回のこの中長期目標を実現していくためには、やはり温室効果ガスの排出量の総量を削減していくことが何より必要だと考えております。そのことから、総量の削減を基本とした国内排出量取引制度を設計し、導入していきたいと考えている、これがまずベースにございます。

 ただ、基本法案につきましては、総量規制を基本としつつも、原単位方式についても検討を行うという規定にさせていただいたところであります。この規定に沿った形で、今後、全体の総量を着実に削減していく中で、補足的に原単位をどのように活用できるかを含めて具体的に検討してまいりたいと思っておるところでございます。

 委員が御指摘いただきましたように、骨抜きになってはならないということは私どもも重々承知をしております。電力のように供給義務が課せられているようなところの実情等々も勘案をしながら、補足的な原単位の活用という点で我々は今後検討を具体的に進めていきたいと考えております。

斎藤(や)委員 副大臣、ありがとうございます。

 実は、東北大学の明日香教授という先生が、「排出量取引と国際競争力」という論文を出しております。

 その中で、ちょっと一部抜粋しますと、日本において最もCO2を出す産業というふうに言われているのが、鉄鋼とかセメント、石油化学、ソーダ、それから紙パルプなどの炭素集約度が高いというふうに言われております。その中の例えば鉄鋼、熱延薄板というのは、これは鉄を熱くして延ばすものですけれども、排出枠が有償で、炭素価格が一トンあたり三千円で割り当てられて、これが機会費用として一〇〇%製品価格に転嫁された場合でも、予想される製品価格変化、需給変化、そして貿易パターンの変化の度合いは、過去十年間に起きた貿易パターンなどの変化に比較すれば少ない、そういうデータも実は出ております。

 ですから、この論文の中で、日本企業の国際競争力の喪失のリスク緩和策として最も好ましいのは、排出枠の割り当てにおいては有償割り当てを基本とし、国際競争力喪失のリスクがある産業部門に対してのみ、緩和策としてベンチマーク方式による無償割り当てを採用することがいいのではないか、そういう提案というか提言もありますので、ぜひ参考にしていただきたいというふうに思います。

 さて、平成二十年度の我が国の温室効果ガス総排出量は、京都議定書の基準年、九〇年を一・九%上回っています。これはどういうことかというと、六%削減どころの話ではなくて、ふえちゃっているわけです。

 今まで政策に関して、私はこれは批判したくはないですけれども、やはり後ろ向きな政策をずっとしてきた。これが結局、CO2もふえたし、グリーンレース、クリーンテックの世界の技術競争にも負けてしまった。これはこの十年の最大の負の遺産だというふうに私は思っております。

 このCO2の増加に関しては、地震による原発の稼働率が下がって石炭火力発電に頼らざるを得なくなってしまったということも一つあると思うんですけれども、やはり日本のCO2を減らすためには、化石燃料に頼ったエネルギー供給を見直さなければいけないというふうに私は思っています。

 日本のエネルギー自給率というのは、OECD三十カ国中二十六番目だそうです。日本は、二十兆円も使って海外から化石燃料を買い付けています。もう皆さん御存じのとおり、化石燃料というのはこの後枯渇に向かうというふうに言われておりますので、価格は変動しながらもゆっくりゆっくり上昇する、そういうリスクがございます。やはりエネルギーの安全保障を考えると国産エネルギーの供給量をふやさなければいけないと思うんですが、日本の再生可能エネルギーは、もう皆さん御存じのとおり、一次エネルギー供給のわずか三%強でございます。

 なぜ他国に比べてこれだけ再生可能エネルギーの導入がおくれているのか、所見をお伺いしたいと思います。

大谷大臣政務官 ありがとうございます。

 なぜおくれているか。さっき委員がみずからお答えなさったと思っておりますが、これまでの政策が他国に比べれば弱かった、政府そのものが推進力になり得ていなかったというふうに言えるのではないでしょうか。それが、鳩山政権においては、温暖化対策基本法など新しい法律をつくるなどして、しっかりと進めていきたいということになるんだと思っております。

斎藤(や)委員 政務官、ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。

 やはり、業界を守っていた。どの業界かというのは言うつもりはここではございませんけれども、守ってしまった。そして、新規の再生可能エネルギー供給のビジネスをてこ入れすること、これをやはり怠ってきたということが私は最大の原因だと思います。

 やはり、地球を守ろうということだけではなかなか市場は動かないと思うんですね。ビジネスとして事業性が高くないとこれは広がりが持てないと思いますし、家庭では何といっても奥さんが財布を握っていますので、お金をかけた分短い期間でコストを回収しないとやはり成り立たないわけですよ。そういう意味では、私は、この固定価格買い取り制度というのを広げながら進めることが重要だと思っております。

 ただ、実は、海外でも幾つかちょっと失敗例というか、一部失敗している部分があります。これは、例えばスペインです。スペインは、余りにも急速に太陽光発電が普及し過ぎちゃって、政府の税金で買い支えることができなくなっちゃった、ソーラーバブルがはじけちゃった。それからドイツは、買い取り制度を育成しようとしたんですけれども、安い中国製がどんどん出回って、ドイツ国民の税金で中国の太陽光パネルメーカーを育成してしまった、そういう経緯があります。

 日本のメーカーのパネルは、報道もされているように、やはり高いですよね、中国のパネルメーカーに比べると。これは私は市場をとられてしまう可能性があるんじゃないかというふうに危惧しております。

 しかも、太陽光発電というのは、一トン二酸化炭素を削減するのに二万円前後コストがかかってしまうということで、コストパフォーマンスが余りよくないんですけれども、この点どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

大谷大臣政務官 まだまだ太陽光のコストが高い。これから普及させていくには二つあって、一つは、太陽光をつけようというようなインセンティブが働くような政策をつくること、これが多分、全量買い取り制度に当たると思います。もう一個は技術開発。使うシリコンを五分の一にすれば販売コストが二分の一になるというふうに言われています。こんなところにしっかりと政府が方向を示して後押しをしていくような政策がこれから求められているんだというふうに考えています。そのことによって大きく競争力を持ち直すことができるんだと信じております。

斎藤(や)委員 政務官、力強い御答弁ありがとうございます。

 まさに、技術力をどんどん上げてコストを下げることで、さらに日本のビジネスがどんどん世界に発展していく、そういういい例だというふうに思います。

 そのほか、中小水力とかバイオマスとか風力の買い取りを積極的に行うべきだというふうに私は考えています。なぜならば、私たちの東北ですけれども、温泉があります。温泉熱がある、地力、地熱発電がある。そして、小規模の水力を導入するにも、水の量も多いですから、非常によいということですね。

 エネルギーは、十九世紀は石炭のイギリス、そして二十世紀は石油のアメリカでしたけれども、私は、二十一世紀というのは、太陽と大地、水だと思っています。この資源があるのは日本なんですよね。しかも、日本というのは技術がある。だから、二十一世紀のエネルギーの覇権、覇権という言い方だとすごく上から目線になってしまいますけれども、二十一世紀のエネルギーを世界で牛耳ることができるのが日本だというふうに私は思っています。ですから、政府に積極的に固定価格買い取り制度を導入していただいて、国のエネルギーの供給の形をぜひ変えていただきたいというふうに考えております。

 一方で、ちょっと急に現実的な話になりますけれども、全量買い取り制度というのは、太陽光パネルを設置できるお金持ち、富裕層が恩恵を受ける一方で、設置する余裕のない人々の電気料金に一律に転嫁されるという問題も生じる可能性がございます。再生可能エネルギーの飛躍的な拡張のために、電力の種類をできる限り幅広くする一方で、価格転嫁で不公平感を感じない措置も考慮すべきだと考えているんですけれども、このあたりどうでしょうか、ぜひお伺いしたいと思います。

大谷大臣政務官 おっしゃるとおりだというふうに思います。

 そもそもの目的は、低炭素社会、低炭素経済をつくっていくための経済的措置として全量買い取り制度がある。しかしながら、太陽光なり、まあ一般家庭で風力というのはなかなかないと思いますけれども、する場合は費用がかかる。費用がかけられない人はその中のメリットが得られないというようなことになりますが、そもそもの目的は大きなCO2削減であるんだ、そういうことでいえば、全体、みんながメリットを得るべき施策であるということ。

 家計レベルで考えますと、何か自分たちは損しているんじゃないかみたいなことを感じるようなことになってはいけないと思っておりますので、慎重に慎重に工夫をして、ともどもに、与党の皆さん、野党の皆さんを含めて、国民の論議のもと、制度をつくっていきたいというふうに思っております。

斎藤(や)委員 ありがとうございます。

 最近は、田舎の方で小規模な風力発電所をつくって、その風力発電所は地域の方々が投資して、そして風車が回ると電力会社が電気を買い取ってくれて、その利益が村民や町民に行く、そういうところも出始めているという話を聞きました。まさにそういう形にしていけば、ああ、地球も守っているんだな、地域で電気をつくる事業にも自分たちが参加しているんだなというふうなこともできるし、電力供給の地産地消というのもできるのではないかなというふうに私は考えております。

 ちょっとまた話は大きくなってしまうんですけれども、アメリカでは、オバマ大統領が、ニューエナジー・フォー・アメリカというのを公約に挙げて、再生可能エネルギーに十五兆円の投資をしている。そして五百万人の雇用創出をしている。中国では、スマートグリッドを中心に、これはすごいですね、政府が五十兆円の投資をする。産油国のUAEで今何をやっているのかというと、化石燃料を一切使わない、自動車の乗り入れを禁止する、廃棄物ゼロという世界最大の環境都市、マスダール・シティーというのを今つくっていて、二兆円を投じている、これは日本の企業も参加しているようですが。国家間でのエコロジー競争、グリーンレースというのがまさにここで行われているわけです。

 そこで、やはり我が国でも、本当に歳入が厳しいというのは私も国会議員になって本当によくわかっておりますけれども、世界の中で指導的役割を果たしていくために、地球温暖化対策の幹となるような国家的プロジェクトの創設ということも検討に値するのではないかというふうに私は考えております。これは、ある意味、対外的な広報部分ということもかなり含んでいると思うんですけれども、いろいろ細かい政策を含めた中での総括的な強力な体制をしくことができたら、軌道に乗るのではないかというふうに期待をしております。

 このことについて、ざっくりでも結構ですし、それから、先日、新しいロードマップも発表になりました。そのあたりの中でもいいんですけれども、現段階でそういった国家的プロジェクトがもしあるというのならば、ぜひ教えていただきたいなと思います。

大谷大臣政務官 プロジェクトというと、現実にこれをやっていこうということになると思うんですが、それを生み出す始まりの施策としては、地球温暖化対策基本法、それができましたら基本方針をつくっていく。それにあわせて、今政府の中でやっている成長戦略会議の中の戦略、そしてこの温暖化対策のロードマップ、この四つの施策が束ねられて整合性を持っていく過程の中で新しいものが生まれてくるんだというふうに思っています。

 若干数字を述べて言いますと、太陽光の発電でいいますと、五世帯に一世帯は太陽光発電が乗るようにしていくような大きな大きなプロジェクトだと私は思いますので、そういうものが、どれか一つ大きな象徴的なものじゃなくて、足元の日々の暮らしの中で出てくるのが大きなプロジェクトというふうに言えるのではないかなというふうに思っております。

斎藤(や)委員 どうもありがとうございます。

 そうなんですよね。私もロードマップを見てみましても、これを一つずつすべてこつこつやってきたら、エネルギーも、それから産業構造も、大きくパラダイムチェンジできるんじゃないかなと感じました。

 逆に今、ほっとしました。やはり夢を見ることも大事ですけれども、現実的なことを一つ一つやっていくということもやはり重要だというふうに私は考えております。ありがとうございます。

 最後に、ちょっと時間がないんですが、ちょっと今までの質問と違います、予算の無駄をなくしてよりよい環境対策の財源に振り向けるためにあえて申し上げたいというふうに思います。環境省所管の公益法人の契約方式についてなんです。

 これは氷山の一角だと思われますけれども、一例を取り上げますと、環境省所管の公益法人である財団法人自然環境研究センターでは、入札と随意契約を含めて、環境省との競争性のない随契が契約件数で多くを占めていた。その後、見直し計画に伴いまして、これは大きく見直されました。平成二十一年度においては、データとして現時点で把握できている情報なのですが、競争性のない随契は全三十九件中二件まで減少しております。

 そのかわりとして、さきの総合評価方式というのが十八件と、年度を追うごとにふえています。総合評価方式がふえている。当初、環境に関する専門的な知識経験などを必要とするためという理由で随意契約が結ばれているわけですが、この数年で数字上ここまで減らすことができるということは、逆に言えば、精査すれば当初の随意契約は不要であったということを暗に示唆しているのではないか。

 そもそも総合評価方式というのは、予算の無駄として指摘のある随契からの脱却を目指していたはずだと思うんですが、総合評価方式がどうも随契の基準を引きずっているとすれば、それはよくないということだと思いますし、この方式のあり方をやはり見直す必要があると思います。

 契約に伴う事業についてもちょっと見ましたけれども、パンフレットの作成とか、精査すれば、例えばNPOさんとかNGOさんとか、そういうところでも十分任せることができるものもあるわけなので、ぜひここについて見直しを図っていただきたいというふうに思います。

 NGO、NPOの方、大変その思いがあるのにやはりコストの面でなかなか動けない。だから、もうちょっと国にてこ入れしていただければ、もっともっとその思いを持って国民に啓発活動をしたり活動することができるということで、こういった無駄遣いをNGO、NPOそれから国民の方に振り分けて、国民全体で温暖化対策を進めるということをぜひしていただきたいと思います。

 この辺、所見をよろしくお願いします。

田島副大臣 御承知のように、契約方式のあり方については、環境省だけではなく、各省庁でそれぞれに透明性を高める取り組みが進められてきているところでもございます。

 環境省の中でも、平成十八年の六月、随契の見直しがなされ、個々の契約を精査する中で、競争入札や企画競争の競争性のある契約方式というものを実施するように努めてきたところでもございます。これらの契約方式につきましては、競争参加資格として、事業者また監理技術者の実績、資格といったような要件を原則的に設けないようにしておりまして、今御指摘をいただきましたNPO、NGOの法人等との契約も既に実績を持たせていただいているところでもございます。

 ただ、環境行政の課題は、地球温暖化対策、それから循環型社会の形成、また生物多様性の保全など、いずれの課題をとりましても、調査でありますとか外部委託にするには大変高い専門性が必要なものがございます。契約の内容によっては、価格だけの競争を推し進めていくと、ややもすれば受注者の業務の質の低下というものを招きかねない、また、そのことによってひいては環境行政に弊害を及ぼしかねないというような問題も懸念されるところでもあります。

 そういったことも踏まえまして、今後、環境省として、外部委託等による成果の質を向上、維持させていきながら、契約の一層の透明性、そして効率性の確保に努めていきたいと考えております。

 事業者の創意工夫をできる限り最大限に活用するという観点から申し上げますと、価格と技術、それから能力を総合的に評価して受注者を決定していく総合評価落札方式の入札方式を拡大してきているところでもありますので、またその点も踏まえまして、今後、さらに透明性、効率性の確保に努めるよう努力を重ねていきたいと思います。

斎藤(や)委員 どうもありがとうございました。本当に国民益を考えた無駄遣いの撲滅というものをぜひやっていただきたいというふうに思います。

 これからは、国民の皆さん、それから政財官、オール・ジャパンで低炭素社会の実現と経済成長というものをやらなければいけないというふうに思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

樽床委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後一時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十三分開議

樽床委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 小沢大臣、委員会かけ持ちのところ、大変恐縮でございます。まず初めに私の美学ですが、足を引っ張るような質問や細かい質問はいたさないつもりでおります。政治家同士の質疑に値するような正論の質問しかしないつもりでありますので、大臣もそのおつもりで安心して御答弁いただければと思います。

 きょうは、今後、政府・与党の対応次第では、我が国の経済や国民生活、とりわけ雇用に大きな影響の出かねない大問題であります政府の温室効果ガスの二五%削減目標につきまして、その影響、対策、検討プロセスの妥当性につきまして、議論を深めていきたいと思います。

 私自身は自由民主党の環境部会長を拝命いたしておりまして、地球温暖化対策の重要性については人後に落ちないつもりでございますが、さまざまな議論がある、そう承知しておりますので、きちんとした議論をしていきたいと思います。

 大臣に一つだけお願いがあります。時間が限られておりますので、伺ったことに対しましてだけ、かつ簡潔にお答えをいただけたらと思います。この点、ぜひよろしくお願いをいたします。

 きょうの午前中の近藤三津枝議員の質問の際に、ちょっと私、気になった御発言が大臣にございましたので確認をさせていただきたいと思います。今自由民主党の法案を国会に提出させていただきましたが、この自由民主党の数値目標につきまして、意欲的かどうかという質問を近藤議員の方からさせていただきまして、その御答弁で、控え目過ぎる、意欲的ではないという御答弁が大臣からございました。

 近藤委員もさらに質問されておりましたけれども、それでは、今、アメリカと中国も目標を設定しているわけでありますが、日本の場合は、世界で一番進んだ技術を持ち、世界で一番省エネに努力をし、そういう国が二五%削減という大きな目標を掲げているわけでありますし、自由民主党も大きな目標を掲げていると思っているわけであります。この自由民主党の数値目標が控え目過ぎるということであるならば、アメリカや中国も最低限この自由民主党の掲げる目標をクリアしない限り、意欲的な目標とは言えないんじゃないか。つまり、政府の言っている前提を、少なくとも自民党の掲げている数値目標をクリアするようなものが中国やアメリカから出てこなければ意欲的とは言えないのではないか。大臣の御答弁を聞いていると素直にそう思うわけでありますが、この点につきまして御見解を伺えればと思います。

小沢国務大臣 午前中の答弁でも申し上げましたが、最終的な判断は交渉の最後の場面で政府として決めさせていただくことになろうと思います。私は担当の責任者でもあるわけでありまして、私の口から今その結論を申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますが、論理的な話として、齋藤委員がそうお考えになるのはそのとおりだろうと思います。

齋藤(健)委員 私が伺っているのは大臣のお考えなんですけれども、少なくとも、これまで一番、技術的にも省エネの努力におきましても中国やアメリカに比べて努力をしてきたと自負できるこの国が、自由民主党が掲げている目標よりもさらに低い目標を中国やアメリカが出してきたときに、自民党の目標は意欲的ではないが、中国やアメリカの目標が意欲的であるという判断をされる可能性はあるということですね。その場合は、どういう考えでそう判断をしたかというのを国民の皆さんにわかりやすく説明する責任があると思いますが、この説明をする責任があるということについて、大臣の御見解を伺いたいと思います。

小沢国務大臣 当然、最終場面において日本政府としてそういう判断をしたときは、国民の皆さん方に対しても、その理由をしっかり説明することは必要なことと私も思っております。

齋藤(健)委員 この問題につきましては、また改めて議論したいと思います。

 きょうは、私、準備をしてきた質問があるものですから、そちらに移りたいと思います。

 昨年の十一月四日の予算委員会で私が質問させていただいたことのフォローアップを少しさせていただければと思っております。

 あのときの議論の中で、私がいわゆる国内での削減分、二五%削減目標のうちどのくらいをいわゆる真水として考えておられるのかという質問に対しまして、当時の菅大臣が、今、検討チームをつくって検討中である、相当程度は真水で実現できると考えていると答弁をされております。検討チームをつくって検討中だと。小沢大臣は、この真水の部分は大臣として幾らだというふうにお考えになっておられるでしょうか。

小沢国務大臣 これも午前中に申し上げたんですが、個人的には私なりの考え方があるわけでありますが、政府として、現在その検討チームの中で、今はそれは外交上言うべきではない、あるいはまた明らかにすべきではない、これが今の検討チームの結論でございます。

 ただ、環境省の中でロードマップをつくっているわけですけれども、環境省の中の作業としては、当然数字を置かないとシミュレーションができませんので、一五%、二〇%、二五%、この三通りの数字で計算をしております。

 今後、政府の中でどのような形で、私どもがやっておりますロードマップの作業、それから、午前中、これは江田委員からの御質問だったと思いますが、経済産業の方でやっているエネルギー計画等々と連携をとって、政府の中で総合的な整合性のある計画をつくっていかなければいけない、こう思っているわけでありまして、今どういう形で改めてやっていくのか。閣僚委員会はその一つの責任の所在でありますけれども、その下のチームのあり方を担当の仙谷大臣と協議をしている、こういう段階でございます。

齋藤(健)委員 それでは、この真水が幾らであるかということはいつ国民に対して明らかにされる予定でしょうか。

小沢国務大臣 ロードマップの議論の中で必要になればそのときにさせていただきたいと思っておりますが、先ほど申し上げたように、政府の中には、外交上の理由でそれは明らかにすべきではない、こういう意見がありますので、いつという話は今確約はできません。

齋藤(健)委員 それでは、最悪、交渉が妥結するまで公表されないということもあり得るということでしょうか。

小沢国務大臣 あり得ると思っております。

 しかし、これもまた午前中も申し上げておりますが、国内で二五%が削減できますように、そのための施策を展開してまいります。

齋藤(健)委員 私がなぜこだわるかといいますと、この真水の問題というのは、これが一五%なのか二〇%なのか二五%なのかによりまして、国内に対する影響が非常に大きく変わってくる。つまり、二五%を達成するためのハードルが、少なくとも国内における影響という意味でのハードルが著しく変わってくる。この一番大事なところについて国民にも明らかにしないまま、それを前提とする基本法を提出するということは、幾ら何でも順序が逆ではないかと思います。

 したがって、この真水の部分が幾らになるかということを、しっかりといつごろに結論を出すということを、少なくとも基本法の審議をする前に国民の皆さんに明らかにしなければ私は無責任だと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

小沢国務大臣 経済界、国民の皆さん方がその負担を知る必要があるということはよく理解をしております。でありますので、基本法の審議が始まる前までには、ロードマップの中で少なくとも三通りの、先ほど申し上げましたような数字を示したいと思っておりますが、まだこれは公表しておりません。

 委員の話し方は、前提として、いわゆる真水の率が高くなれば高くなるほどハードルは上がる、そうしない場合に比べて成長が完全にマイナスになる、そういうのが大前提で御発言をされているように思いますが、そうでないいわゆるシミュレーションもあり得るのではないかと我々は先般から申し上げておりまして、まだ最終段階で申し上げられるべきところまで至っておりませんけれども、そう委員が御心配になるような行程だけではないように思っております。

 でありますので、逆に言うと、この二五%という高い目標をクリアしていくことによって、国際的に日本は評価を得て、さらには経済の国際競争力も上がって、そして国民の所得も上がり得る、そういう道筋を考えたいと思っています。

齋藤(健)委員 だからこそ、私は、それがどういう具体的な影響になるのかを示してくださいというふうに言っているわけであります。いつ示されますか。

小沢国務大臣 少なくともその三通りのモデルに関しましては、今週二十六日ですか、そのくらいには一応の数字は出せるのではないかと思って、今作業をしております。

 そう遠くないところで出させていただきたいと思っておりますので、いわゆるシミュレーションをベースにさまざまな、そのシミュレーションがすべて正しいと申し上げるつもりはありません。前の齋藤委員との議論の中でも、前提条件の置き方によって将来予測は違ってきますから、ですから、ここをこう変えたらこうなるんだというような話の、そういう議論ができることを望んでおります。

齋藤(健)委員 二五%削減する際に、三つのケースを置いてやるということはいいと思うんですが、そのうちどれを民主党としてとるのか、政府としてとるのかということまで示さなければ、後は国民にゆだねますということにはならないと思うんですが、その三つのうちどれをとるというのはいつ示されるんでしょうか。

小沢国務大臣 まさに、私は今回の議論を密室の議論とは思っていないんですけれども、十分各界と議論をした上で決めさせていただいていると思っているんです。しかし、まだそういった御批判もいただきますので、ロードマップを各界各層と本当にオープンな場でやり合って、そして、今後、真水の議論もどうしたらいいか大いに議論をした上で最終的に政府で判断したい、こう思っております。

齋藤(健)委員 それでは要望ですけれども、その真水で幾らということをしっかりと、基本法の議論を始める前に、政府として決断をして議論に資するように提出いただくようにお願い申し上げます。ケース分けでこうだということではありません。政府として、真水は幾らだということを、基本法を審議する前に、一番大事な要素だと思いますので、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。

 そうしないと、大臣のおっしゃっていることは論理的に矛盾をしますし、国会できちんと議論するということは、政府としてどうなんだという考えがあって初めて国会での議論が成り立つものでありますから、国会の議論を成り立たせるためにぜひ提出をしていただきたいと思います。

 時間がないので次に進みます。

 十一月の質問の際に、私からの質問で、二五%削減目標、これは真水の議論の裏腹な話になると思いますが、もし全量を国内の真水で対応するということでない場合には、当然のことながら国富の流出というものが起こることになります。それがどのくらいになるかという御質問をさせていただきましたが、明確な御答弁はいただけませんでした。

 さっきの話と裏腹になるかもしれませんが、大臣は、二五%削減という基本法を提出しているわけですから、これが実行された場合には我が国から毎年幾らぐらいの国富が流出する、そういうお考えをお持ちなのか。明確に御答弁いただければと思います。

小沢国務大臣 それはケースによって違ってくる、こういうふうに思います。

齋藤(健)委員 では、これも真水の議論と同じように、政府が基本法を提出しているわけですから、審議が始まるまでの間に、審議の前提としてそれもお示しいただきますように要望申し上げます。

 次に、その十一月に私は産業への影響はどのようなものになると認識をしているかという質問をしましたが、それも非常にあいまいな御答弁だったと私は認識をしております。

 この二五%削減目標、前提が整って実行に移された場合には産業界にどのような影響が出るのか。心配している人が多いですから、定量的にわかりやすく説明していただきたいと思うんですが、いかがでございましょう。

小沢国務大臣 先ほど来、すべて質問の中身は、もうちょっとお時間をいただければ数値も全部お示しをして建設的な議論ができるのかな、こういうふうに思っておりますが、まだ正式な発表に至っていないものですから、ぜひそういう意味では御理解をいただいて、産業界への影響も、今は二通りくらいに分けてケースを分析しております。

 例えば鉄鋼という例で申し上げますと、鉄鋼も、今の生産量そのままでいったときも二五%をやれる道筋という話は描けますし、あるいはまた、ある程度の削減をしなければいけない、ということは他のところが若干負担をしていく、こういう話の場合にはどうなるか、そういったシミュレーションをしておりますので、何とぞ、もうしばらくお時間をいただければ本当に建設的な議論ができるのではないかな、こういうふうに思います。

齋藤(健)委員 私が確認をしているのは、要するに、そういう数字がちゃんと出てくるんだろうかなという確認を、今ここで答えられなくてもいいんです、ただ、産業界にはこういう影響が出る、GDP、国内総生産あるいは産業界の生産高にどういう影響が出る、それから、先ほど申し上げましたように、国富の流出は幾ら幾らだ、真水はこうなんだということを、ケースを示すということではなくて、政府としての考えをしっかり示していただきたい、その確認がしたくて今質問をしているわけで、今答えられなくてもいいですから、そこをしっかり出すということを確約していただければそれで結構です。御答弁をお願いします。

小沢国務大臣 任せてください。

齋藤(健)委員 今のお言葉、しっかりと受けとめました。

 次に、雇用への影響です。

 雇用への影響。私は、少なくとも雇用につきましては、前提が満たされて二五%削減目標というものが真の目標になった暁には、二〇二〇年というのはすぐ先の話です。今、雇用について皆さん大変不安になっております。若い人たちの雇用問題も深刻です。景気も悪いです。そういう中で二五%削減目標を推進するわけですから、前提が満たされて二五%削減目標が生きたときに、雇用について二〇二〇年でどのくらいの影響が出るかということ、これについての数字をしっかり政府として、ケース分けしましたという無責任な答えではなくて、政府としては一つに絞ってこうだということをお示しいただけるんでしょうか。確認をしたいと思います。

小沢国務大臣 示したいと思っておりますし、もう既に政府の新成長戦略で、二〇二〇年に百四十万人の新規雇用、こういう形で雇用の問題は示させていただいているところでございます。

 あと、雇用問題に関しては、我々も、万一のことがあってはいけない、こういう思いの中で、まさに基本法の中で、雇用をしっかりと確保しながら二五%カットをやっていくんだ、そういう基本方針を明記させていただいております。

齋藤(健)委員 今の御答弁は、私は論理的にちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。

 雇用を昨年の新成長戦略で出したとおっしゃいましたが、まだその前提が満たされていないわけで、二五%削減目標を前提としたものは当然含まれていないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 二五%の削減は、これは鳩山総理が国連で演説して以来、政府として持ち続けているものでございますので、当然、昨年の新成長戦略のときも含まれているというふうに私は思っています。

齋藤(健)委員 それでは、一つお願いですが、昨年の新成長戦略の中で、これは前提条件つきで二五%削減目標を掲げているわけですから、この二五%削減目標を実際にやった場合とやっていない場合でどのくらいの雇用の差が出るかということを基本法の審議のときまでにお示しいただけたらと思います。

 次の質問です。国民生活への影響です。

 定量的に一世帯当たりどのくらいの負担になる、こういうものは基本法の審議までの間に、ケース分けしましたなんということではなくて、政府としてこうだということをお示しいただけるんでしょうか。

小沢国務大臣 もちろん、それもさせていただきます。

齋藤(健)委員 わかりました。

 私が今問題にしたいのは、今大臣から、私が御質問した数字について、すべて基本法案までに、ケース分けじゃなくてしっかりした数字を出すということでありますので、それを待って基本法案をしっかりと議論したいと思いますが、一方で、我々の考えでは、本来であれば、そういうものをしっかりと国民や関係者に示してから基本法を出すのが順番ではないかという基本的な、素朴な疑問があるわけであります。

 それにつきまして、我が党の甘利議員が余りに拙速ではないかという質問主意書を出したところ、政府の御答弁は、

 本年二月二十三日に開催された地球温暖化問題に関する閣僚委員会副大臣級検討チームにおいて、事業者、労働者及びNGOの代表者からヒアリングを実施するなど、国民各界各層の幅広い意見を聴取し、これらの意見も参考としつつ、検討を進めているところである。このような検討プロセスを踏んでおり、政府としては、議論が拙速であるという認識はない。

という御答弁をいただいておりますが、大臣も同じ認識でしょうか。

小沢国務大臣 基本法に関しては、全くそう思っております。

 それで、念のため申し上げておきますと、いわゆる法案をつくる前の、法案づくりにおける準備段階というのが政府の中であろうかと思いますけれども、今回の場合はいわゆる政権交代が間に入りましたものですから、そういった意味では、準備段階というのはある意味では民主党の党内で行ってきていて、そしてその結果を国民の皆さんにマニフェストという形でお示しさせていただいて、そして支持もいただいた。その前は民主党の政府というのがないわけですから、今までの政府との間の断続があると思っています。

 しかし、そのままそれは、鳩山政権ができて、その後、それをベースにしながら議論を重ね、パブコメを行い、そして各方面とも意見聴取を行ってやってきておりますので、そういった意味においては、基本法をつくるということに関しては十分なる議論ができているというふうに私は思っているわけです。

 ただ、それでも足りない、こういう話でございますので、先ほども申し上げましたように、基本法の中に、国民の意見を聞いて今後の行程表も決めていくという記載もあえていたしましたし、行程表に関してはそういう議論をしていきたいということでございます。

 それからもう一点、先ほど来、私の答弁を求めない中で、齋藤委員が、いわゆるケース分けではなくて一つをぴしっと出しなさいよ、こういうふうに言っている向きがあろうかと思いますが、ロードマップは、あくまでもケースを示しながら、そして国民各界の皆さんと議論を重ねて、その上でともにつくっていきたい、そう思っておりますので、ぜひそこはそういうふうに御認識をいただきたいと思います。ベストの案が二五%の国内の削減です。それ以内の数字になると思いますが、でき得る限りベストを求めていきたいと思っています。

齋藤(健)委員 大変お言葉ではありますが、そうすると、それぞれのケースの中でどれが適用されるかわからないまま国会で審議を進めて、法案に賛成をしろというお考えなんでしょうか。

小沢国務大臣 私は、基本法は十分それでいける、こう思っております。

齋藤(健)委員 大変重要な御答弁をいただいたと思っています。これはまた後ほどしっかりとした議論につなげていきたいと思っております。

 時間がなくなるといけないので、大臣の方から、法案の提出は拙速ではないという答弁をいただきました。

 しかし、例えば産業界からは、三月十二日に、法案を閣議決定したその瞬間に経団連会長からコメントが出されております。「地球温暖化対策基本法案については、透明で国民に広く開かれた検討を強く求めていたにもかかわらず、経済や雇用等に与える影響などについて、十分な議論や情報開示がなされないまま決定されたことは極めて残念である。」というコメントが出されております。民主党の幹事長室が大変怖いにもかかわらず、こういう思い切った発言をせざるを得なかった事情というのはよほどのことであると私は拝察いたします。

 また、石油連盟とかセメント協会とか関係九団体が、やはり即日、九人の会長の実名でプレス発表をしております。

 我々産業界としては、国民への十分な判断材料の提供や、開かれた国民的議論もない中で、また、各国の目標水準が我が国の中期目標の前提条件を満たすのかどうかの検証もなく、基本法案に、中長期目標や個別施策を具体的に明記することについては、反対せざるを得ないと、従来から主張してきたにもかかわらず、今回、閣議決定の運びとなったことは、誠に遺憾である。

こういうコメントを出しております。

 大臣は、それでも拙速ではないという御認識でしょうか。

小沢国務大臣 中身の議論ではなくて、そういった形で御意見を賜るというのは、私にとってはまことに遺憾だと思っております。

 例えば経済界、こういうふうに齋藤委員はおっしゃいました。経済団体とは延べ九回行わせていただいております。経団連、商工会議所、経済同友会等々でございます。さらに加えて、最終段階では、当然、経済界の代表という立場はおとりになっておりませんでしたけれども、経団連の副会長の方に検討チームにも来ていただきました。さらにはまた、各部局がそれぞれの担当で分担して御意見も聞かせていただいております。

 でありますので、私は、これで経済界の意見を聞いていないという話は全く解せないし、いわゆる二五%削減という話をどうしても納得できないということであれば、それはそれで政策論として議論をしていただきたい、こう思っております。

齋藤(健)委員 同じ三月十二日に、労働界、日本基幹産業労働組合連合会の事務局長名で談話が出されております。

 真に温室効果ガスを削減するための本質的な問題については課題を残したものと言わざるを得ない。まず第一に、いわゆる国民的な議論が不十分なままに推移した点である。とりわけ雇用・国民生活に多大な影響を及ぼしかねない「国内排出量取引」をはじめとした経済手法についてはその議論経過が公表されておらず、極めて強い問題意識を持つ。

というのを基幹労連の事務局長が実名で、これも閣議決定の日に出されておりますが、それでも大臣は拙速ではないというお考えでしょうか。

小沢国務大臣 これも全く経済界と同じで、何度話をしてきたかわかりません。ただ、皆さん、この問題に関してはそれだけ関心を持っていただいているのかな、そういうふうに感じておりますし、そして、この問題に対する意見が、午前中の審議でもそうでありましたが、さきにいわゆる連立政権を組んでおりました自民党さんと公明党さんの意見も百八十度違う。そういうふうになりますように、この問題に対してはいろいろな見解があるんだな、こう思っているところであります。

 ただ、私どもとしては、この地球を今守らなければ本当に取り返しのつかないことになる、こういう思いを持ちつつ、百万人といえども我行かん、こう思っております。

齋藤(健)委員 地球を守るためにこれが有効かどうかということについては、改めて私は突っ込んだ議論をしたいと思っていますし、そのための準備を今しておりますが、私、もう一つ伺いたいのは、大臣がCOP15終了後のNHKのインタビューにおきまして、こういう発言をされております。今度は環境という観点から考えれば日本の競争力が勝っていくわけである、ですからそっちをやった方がいいと思っているんだけれども、今までずうっと反対だと言ってきたので一番最初に賛成だと言いづらいところがあるのではないか。

 経済界の二五%削減を懸念する声について、本当はやりたいんだけれども反対だと言ってきたので言いづらいんじゃないか、こういう認識を示されておりますが、先ほど私が御紹介したように、ここまで腹をくくったコメントを産業界が出していても、それを聞いた上でもなお、このときのインタビューの認識は、大臣、変わっていないでしょうか。

小沢国務大臣 しかるべき団体のしかるべき人から直接私はそう聞いておりましたので、そういうふうに申し上げました。

 先ほどの九団体がどこまで腹をくくっているか、今後よく議論をさせていただきたいと思っています。

齋藤(健)委員 最後に、きょう午前中の大臣の答弁の中で聞き捨てならない一言がありましたので、これについて真意を確認したいと思います。

 それは、同僚の江田議員の質問に対しまして、大臣がこう答えておられるわけです。江田議員の質問は、二五%の前提条件についてやりとりをされている中での大臣の御答弁なんですけれども、これは二五%削減のことですけれども、私、環境大臣の立場からは、国際公約として成り立たなくても、本当に温暖化をストップさせるために必要不可欠、こう思っておりますのでという答弁をされているわけです。

 つまり、国際公約として成り立たなくても、前提が成り立たなくても、温暖化をストップさせるために日本の二五%削減が必要不可欠だ、必要不可欠だという言い方をされました。その根拠を論理的に説明していただきたいんですが。

小沢国務大臣 中期目標、長期目標、あわせて科学的要請であると思っておりますし、特に長期目標に関しては先進国首脳会議の中での合意だと思っています。

齋藤(健)委員 ここでも大臣の御答弁は二五%削減の前提の話でありますので、中期目標の話をしているわけです。中期目標が国際公約として成り立たなくても、温暖化をストップさせるために必要不可欠という言い方をされているわけです。日本の排出量は、御案内のように世界でたった四%しかありません。その中で日本が全部真水で削減したとしても、本当にわずかであります。

 一方で、国際公約が成り立たないということは、中国は、仮に今彼らが表明している目標を実現したとしても、二〇〇五年に比べて二〇二〇年には排出量が倍になるんじゃないか、アメリカも減り方は小さいんじゃないか。公約が成り立たない状況というのは、そういう状況になるわけです。

 そういう状況で、温暖化をストップさせるために日本の二五%削減目標が必要不可欠というのは、もう少し論理的に説明していただきたいと思うんですが。

小沢国務大臣 各国がまさにしっかりした数値目標を立てて、それに向かって努力をしてもらうためにその背中を押したい、こういう話で前提条件をつけているのだという理由を鳩山総理は申し上げているというふうに先ほども御答弁申し上げたと思います。一つの理由はそれですというふうに申し上げました。

 中国がまさに排出量を減らさないでいる、そういう状況の中でいわゆる国際公約でなくなるんだ、こういうお話でありますが、そういう状況であったら、では、日本ももっと出してもいいよねという気持ちには私はなりません。

齋藤(健)委員 私が申し上げているのは、背中を押すということのために掲げてやっているというのは、私はその手法自身を否定するつもりはありません、それがうまくいくならば。しかし、少なくとも今までうまくいっているというふうには認識されませんし、私も今データを集めていますので、改めてその件については御質問させていただきたいと思っています。

 大臣が自分でお答えになっているわけですから、もし、国際公約として成り立たずに前提が満たされなかった場合に、温暖化をストップさせるために不可欠だ。日本が姿勢としてやるべきだというのはわかりますよ。温暖化をストップさせるために必要不可欠だ、たかだか四%しか排出していない国が。そこのところを論理的に説明してくださいと言っているわけです。

 姿勢の問題ではありません。温暖化をストップするために必要不可欠だという点について根拠を示してくださいと申し上げているんです。

小沢国務大臣 ちょっと議論の立て方がよくわからないんですが、四・五%前後の日本の排出量でありますが、日本が幾ら頑張ったって、どうせ残りの九五・五%は減らないんだから、そういう議論でしょうか。ただ、そういう議論には私はくみしたくないし、先ほども申し上げましたように、日本として本当に温暖化をストップさせていくための、まさにバンガードとして精いっぱい努力をしていきたい、こう思っているわけです。

齋藤(健)委員 私は、努力をしていきたいとかを聞いているのではなくて、四・五%の国が二五%削減する、それが温暖化をストップさせるために必要不可欠だというのはどういうことかと聞いているわけです。努力をすることを否定しているのではありません。しかし、世界の温暖化をストップさせるために日本が二五%削減することが必要不可欠だというのはどういうことなんだということを聞いているわけです。

小沢国務大臣 今いろいろ、政務三役からも答弁をしたい旨があるんですが、日本がリードしていくとか背中を押していくとか、そういった意味で必要不可欠、こういうふうに申し上げたわけでありまして、要は齋藤委員は、全部やったって四・五%を達成するだけだ、九五・五%は残るじゃないか、それが本当に必要不可欠か、こういう御議論なんだろうと思いますけれども、そこは、済みません、ちょっと用語の問題ではないかな、こう思っておりまして、大事なことは、環境大臣として、私はその旗はおろさないし、頑張っていきたい、こういうことでございます。

齋藤(健)委員 大変大事なことがきょう確認できて、私は大変うれしく思います。それは、ここで大臣がおっしゃっていることは国際公約として成り立たなくても必要不可欠であるということを明言されたということなんです。我々は、少なくとも今まで、国際公約をつくるときに、意欲的なあの前提条件が満たされたらこれはできるのかと思っておりましたが、国際公約が満たされなくても二五%は必要不可欠である、そういう認識が示されたということをここで確認させていただきまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

樽床委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳です。我が党最後の質問をさせていただきます。

 午前中の議論を聞きまして、ちょっと大臣の答弁に誤解を与えるような答弁があったということを御指摘させていただきます。

 近藤委員のロードマップでございます。ここにロードマップがございます。きょう、自民党の部会で初めて私たちいただいたんです。大臣は、ロードマップの取りまとめは先般の十九日で、これは私が強い要請をして全く一〇〇%オープンの形で議論を、これは何回目かの会合でありますけれども、改めてオープンの形でやらせていただき、こういう答弁を近藤議員への答弁の中でおっしゃいました。

 でも、この議論は、ワーキンググループを四つつくって、サブワーキンググループを一つつくって、そこでの議論は二十二回あったそうです。すべて非公開です。第一回、第二回、第三回の全体会議、これも非公開なんです。

 大臣、間違ったことは言っていないんです。十九日は一〇〇%オープンだと。まさに十九日は一〇〇%オープンなんですけれども、このロードマップをつくる過程において、二十二回のワーキンググループ非公開、一、二、三回、非公開、これをなぜ言わないのか。これは全部オープンな場でできたという誤解を与えてしまう。その辺の事実関係を、きちんと国民に真実を伝えてください。お願いします。

小沢国務大臣 誤解があってはいけませんので、改めて。

 吉野委員御心配いただいているとおり、今回から公開ということで、今までは非公開でありました。

 やはり役所の中、あるいはまた政府の副大臣級検討チームもそうですが、議論のまだ過程、生煮えのところは、要らぬ誤解も与えるので、余りオープンではない方がいいだろう、こういう意見も結構根強いのは、与党経験がある吉野委員も御案内のとおりだと思います。

 ただ、そうはいっても、これだけ非公開だ、非公開だ、こう言われていて、私にしても、だからここはもう全部オープンでいいじゃないかと。これは私、副大臣級検討チームでもずっとそれを言ってきた人間でありますので、少なくともまず環境省は、一応私が大臣を務めさせていただいているものですから、環境省くらいはまず一〇〇%公開でいこう、こういうふうに指示を出してやっていただきました。

吉野委員 それでいいんです。ただ、事実を言ってください。これはほとんど非公開で議論をしてつくられたものですよという、この事実をちょっと、事務方でもいいですから、お願いします。

小沢国務大臣 済みません、ちょっと今、回数がぱっと出ないんですが、先ほど委員がおっしゃられたように、ワーキンググループを入れると二十回を超える作業をしておりました。そこは非公開であります。

 ただ、だからといって、最終、十九日と二十六日はオープンにしますので、それまでの経過も当然全部オープンになるわけでありますので、その中で隠された議論があったという話は一切ないようにしたい、こう思っております。

 ただ、あくまでも事実だけもう一回申し上げますと、今までは非公開でありました。

吉野委員 国民に真実を伝えてください。大臣の答弁を聞いていると、胸を張って、私が指示してオープンにしたんだ、オープンにしたんだ、こういうふうにとれたものですから、ちょっと私、けさ自民党の部会で、実はこれは非公開でつくられたものだ、そういうことを理解したものですから、余りにも公開の場でつくられたという印象を国民に与える、そんな思いがしたものですから、御指摘をさせていただきました。

 トキについて大臣から御報告があったんですけれども、管理体制なんですね。一応、トキを扱っている職員の方々、組織の管理体制、ここに、例えば私は福島県の原子力地域なんですけれども、原子力のトラブルで、現場のトラブルが、風通しが悪くて情報が途中でストップしてしまう、これが一番の大きな原因だったということなんですけれども、そういう風通しの悪い、現場の方々が情報を握っていても途中でストップしてしまう、そういう管理体制であったのかどうか、その辺、今現在の状況で結構ですから、お知らせ願いたいと思います。

小沢国務大臣 まず、管理体制の事実関係を申し上げますと、事故があった訓練施設を含む佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの管理は、環境省が新潟県に委託をして実施をしております。新潟県は、同施設に獣医師一名、その他五名の計六名の職員を配置しております。なお、環境省は、平成十九年に佐渡自然保護官事務所を設置いたしまして、トキに係る保護増殖事業等を担当する自然保護官一名、派遣職員一名、臨時職員二名を配置しております。

 こういう体制でございまして、吉野委員御指摘の風通しに関しましては、朝御報告を申し上げましたように、検証チームをつくらせていただいて、そこでしっかりと検証させていただきたい、こう思っているところでございます。

吉野委員 過去に小動物がこのケージの中に入ったことはあるんでしょうか。お答え願います。

田島副大臣 今回の事故のありました訓練施設におきましては、平成二十年の一月にイタチの侵入を確認しております。また、平成二十一年の二月には、同敷地内の繁殖用の施設にテンの侵入を確認しております。いずれのときも、施設の点検を実施いたしまして、侵入経路を含めて確認されたすき間を閉じたという経緯がございます。

 結果的に、今回の事故は、これまでの事例を踏まえた対策が十分だったとは言えず発生したものと言わざるを得ないと思っております。

吉野委員 その時点でなぜ今回の事故を想定できなかったのか。どういう検証、ただ穴をふさいだだけなのか、その辺がどうしても私は納得できないんです。今回初めてなら構わないんですけれども、過去二回小動物の侵入があって、それも肉食の小動物でありますので、その辺は、なぜ今回の事故を想定できなかったのか、どこに問題があるのか。それは検証チームで検証なさるんでしょうけれども、とりあえず今の大臣の御意見をお願いします。

小沢国務大臣 おっしゃるとおり、そこが検証チームの仕事の最大のポイントの一つだと思っております。もう一つは、二百六十カ所を超えるいわゆる侵入可能な構造物をつくってしまったこと、なぜこういう形でつくってしまったのか。その二点が検証チームの最大のポイントだ、私はこういうふうに思っております。

吉野委員 先ほど風通しの話が出ましたけれども、かなり多くの職員の方々が現場で働いていたわけですね。ですから、当然ここにすき間があるというのはわかっているはずなんですけれども、その辺がどう上がってこなかったか。一番ここに大きな原因があろうかと私は思いますので、検証チームに、大臣の方からも、その辺の物理的なところだけでなくて、風通しのよさ、悪いところがあればすぐ上げて対策がとれる、そんな組織をつくってくれるように、検証チームにも御下命を願いたいと思います。

 そして、新聞等々でも秋には放鳥するという形でありますから、本当に、これに懲りずに、生物多様性、特にトキはシンボル的な存在ですので、環境省としてももっと予算をつけてこの事業に努力されんことを望みます。御答弁をお願いします。

田島副大臣 力強いエールと受けとめて、頑張っていきたいと思います。

 今、風通しという点について御指摘をいただきました。冒頭、大臣の方から管理の体制について御答弁がございましたけれども、現在、事故が起こりました佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションは、昭和五十五年から新潟県に委託をしてお願いしておるところでございますけれども、同じ敷地の中に環境省のいわゆる佐渡自然保護官の事務所を設置しておりまして、委託をしている新潟県とも、そして環境省の保護官とも、緊密に連携をとらせていただいているところでございます。

 ただ、過去のこうした失敗と申しますか事故があったにもかかわらず、それを踏まえた反省が生かされなかったという点については、今御指摘をいただきましたように、専門家による委員会の中でしっかりと議論をしていただいて、再発防止にしっかりと努められるように、努力をするよう大臣の方からも指示がございましたので、それを受けてまた私どももしっかりと検討してまいりたいと思います。

吉野委員 ニッポニア・ニッポンですか、日本国のトキでありますので、しっかり対応していただきたいと思います。

 さて、私のふるさと福島県いわき市なんですけれども、私のふるさとでいわき勿来ミツバチプロジェクト、こういう事業が市民の間で立ち上がりました。これは、簡単に言うと、ミツバチを飼って、そしてお花を植えて、そこからハチみつをとる。そのハチみつを利用して資金を得、またお花の種を買う。こういう一つの大きなサイクルでございます。

 この事業は、まず花を育てるということでありますので、花を育てるには、毎日水をやったり、土の手入れをしたり、愛情をいっぱい注いでお花を咲かせなければなりません。特に子供たちがこれを担えば、命の大切さ、生き物を生かす大切さ、これを学ぶと思います。これが第一の効果。

 第二番目の効果として、花がいっぱいあると美しい町になりますので、ごみが捨てられていれば片づけるし、ごみを捨てないようにする、そういう美化の心も生まれてくるのかな。これが第二の効果。

 また、ミツバチを飼うには、ただ花が咲いてみつがとれればいい、そんなものではありません。小さな生き物のミツバチですので、小さな生き物が生きられるためには、空気はどうあるべきか、水環境はどうあるべきか、土壌はどうあるべきか、農薬は余り使わない、こういう関心も、市民がそこまで意識を持つことができれば大万歳、第三の効果だと思います。

 第四の効果として、ミツバチがみつを集めるのは一生のうちで一回限りだそうなんです。これは私も初めて聞いたんですけれども、最後の仕事の、みつを集める仕事ですので、その集めたみつ、これは一滴たりとも無駄にはできない、こういう思いをいたします。ハチみつやみつろうの利用は、用途が大変広いです。お菓子から化粧品、特にみつろうは天然のコーティング剤などにも使われておりまして、この商品開発が地域の振興に大いに役立つ。

 四つの効果を私はこのプロジェクトに見ております。まさに環境省全体が取り組んでいるその姿を凝縮、凝縮、凝縮すると、この勿来ミツバチプロジェクトなのかな、そんな思いもいたしているところです。

 それで、こういう運動が全国各地でいっぱい行われていると思うんですね。私のところの勿来ミツバチプロジェクトも、ハチみつとお花とミツバチなんですけれども、全国の情報がもっと集まれば、参考になれば、その参考になったものを利用してもっとすばらしい活動ができると思うんです。環境省として、そういう全国の活動状況なんかを把握してデータベース化して、それをそういう市民グループの方に提供できるような、そんな仕組みができればもっとすばらしい活動ができるのかなと思うんですけれども、環境省の取り組みはどうやっているのか、お聞かせを願いたいと思います。

大谷大臣政務官 ミツバチに花に町づくりと、本当に一石四鳥、一石五鳥とも言わんばかりの地域の取り組み、本当に敬意を表する次第でございます。私も勉強させていただきました。吉野先生はミツバチ大使ということで、四六時中ミツバチ、ハチみつのことを考えて取り組んでおられるということも知り、本当に敬意を表する次第でございます。

 先生おっしゃるとおりでございまして、こういう地域の、小さい、大きいにかかわらず、成功体験や失敗体験みたいなものをみんなで共有すれば、大きく自然保全の運動、活動が広がっていくんだろうというふうに思っています。

 今の取り組みでいいますと、地球環境パートナーシッププラザ、それから全国七カ所には地方環境パートナーシップオフィスという八カ所の拠点をつくって、そこにNPOの方や活動されている方が集まっていただいたりしながら、成功体験、失敗体験みたいなものを交流しながらノウハウを共有していくということをやらせていただいています。

 それからもう一つ、データベース化の方なんですけれども、「環境らしんばん」というポータルサイトを環境省がやっておりまして、ここには既に八百強ぐらいの団体、取り組みが紹介をされております。残念ながらミツバチのこのことに関してはまだなんですが、自己申告のような形になっておりますので、ぜひとも入れていただいて、ミツバチ大使として全国にこの取り組みを知っていただいて、お互い、失敗、経験談からいろいろなノウハウをとっていくようにしていきたいというふうに思っておりますし、ただホームページに載っけているというだけではなくて、先生のように、我々自身も成功例の大使となっていろいろなところで御紹介できるような取り組みをこれから考えていきたいなと思っているところでございますので、御指導いただきますよう、お願い申し上げます。

吉野委員 ぜひそこの取り組みをお願いして、全国各町でこういう運動が展開できることを環境省としても御指導願いたいと思います。

 さて、原子力についてです。

 これは、私の原子力への思いをこれから述べさせていただきますから、大臣の思いをお聞かせ願いたいんです。

 宇宙ができて百三十七億年、これは前回も私お話ししました。ビッグバン、もうこれは大臣御存じだと思います。最初にインフレーションが起きて、そこから火の玉宇宙、ビッグバンになって、今の宇宙ができたというのが通説なんです。いわゆるエネルギーの塊でありまして、そこには物はありません、物質がありません。ビッグバンで冷えて、初めて素粒子というものができました。電子等々のちっちゃなちっちゃな物質です。それが陽子となって、原子核となって、そして電子が一個ついて、水素は陽子一個の電子一個ですから、初めてここで物質がつくられたわけなんですね。この水素原子が核融合して物がどんどんでき上がっていったというのが、この宇宙の成り立ちなんです。

 まさに、宇宙ができたときには、核エネルギー、核融合、これがあったわけなんです。そういう意味で、原子力、核エネルギーというのは、私たちの存在そのものは核エネルギーからつくられているという、ここの認識をまずきちんとしておいてほしいと思います。自然エネルギーの中の自然エネルギーがこの原子力、宇宙の成り立ちがまさにそうでありますので、そういう思いを私は持っています。

 核エネルギーというのは、先ほど申しましたように、核融合、まさに宇宙の成り立ちであります。と同時に、核分裂という、二つの核エネルギーがございます。

 核融合の方は、私たちはまだ制御できる技術を持っていません。水素爆弾、これは核融合ですから、制御できない。一つの技術はつくりましたけれども、これを制御して人類のために利用できる技術までは今いっていません。ITERというところで、核融合をいかに制御して人間のために役立てるかという技術開発、これは全世界が今、共同してやっているところです。近い将来、この技術を人類は手に入れると思います。今、私たちは、核分裂の技術を手に入れて私たちの生活に役立てているわけです。

 この核分裂、核融合もそうですけれども、原子力には光と影、この部分がやはりあるんです。特に影の部分、これはやはり、放射線を出す、いかにこの放射線をブロックしていくかというのが安心、安全の大前提になってくるわけです。光の部分、これはCO2を出さない、そういう役割を持っております。

 私たちは、この影の部分をきちんと制御して影響のないようにしていく技術を身につけているわけなんですけれども、そのためにはどうしても、全力できちんと監視をして、ちょっとでも気を抜いたらやはり影の部分がぐんと人類に攻めてきますので、本当に全力を注入したウオッチング、監視、そういうところを、その技術のノウハウを我々人類は手に入れたわけですので、油断なく、影の部分が大きくならないようにコントロールをしていくというのが今の技術レベルでは大事な点だと思います。

 それで、先ほど宇宙のできた成り立ちからお話ししましたように、この温暖化を踏まえて、核分裂のエネルギーを制御し、また、これから核融合の技術ができるわけですけれども、原子力はまさに神様が我々人類に与えてくれた大きなエネルギー源なのかなというふうに私は思っているわけです。

 そういう視点から、大臣は核エネルギーというものについてどういう認識でおられるか、まずお聞かせを願いたいと思います。

小沢国務大臣 吉野委員から大変深い議論といいますか教えをいただいて、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 原子力を自然エネルギーととらえるとらえ方は、私、不勉強なんですけれども、本当に初めて聞かせていただきました。確かに、宇宙の成立を考えればそうだ、こういう御説明でありましたが、そういう意味では全く新しい見解を教えていただいて、感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、そうはいっても光と影もあるし、なかなか制御が難しい、こういうお話もちゃんと御指摘をいただいたとおりでございますし、私も、正直言って、スリーマイルとかチェルノブイリとかそういった事故のことを考えると、あるいはまた、いわゆる使用済み燃料の最終処分場のこと等も考えますと、手放しで原子力をどんどんやっていけばいいんだ、こういう気持ちにはなかなかなれないんです。

 ただ、同時に、やはり温暖化という話を考えたときには極めて有用な手段の一つであるという認識は持っておりまして、その意味において、あくまでもしっかりとした安全対策を行いながら、国民の理解と協力を得つつ推進をしていきたい、こういう言い方しか今はできない、こういう思いでおります。

吉野委員 私は、神様からいただいた最高の技術が原子力かなというふうに理解をしているんですけれども、やはり光と影の部分の、影の影響を大臣は大きくとらまえて、積極的に推進するという気持ちじゃないというのは正直ちょっとがっかりいたしました。

 ただ、二五%削減を原子力なしで本当にできるのかというと、ロードマップ等々にも書かれていますように、原子力なしでは不可能なわけであります。

 それで、今、国民の理解を得られるように努力するというお話もございました。国民の理解を得るために、環境省として、国民の理解を得るための組織みたいなのはあるんでしょうか。今そこに予算づけもしているんでしょうか。これはただ言葉だけなんでしょうか。

小沢国務大臣 環境省としては、特別そういったポジション、部署を持っているということはないと思います。

 先ほど申し上げました話は、基本法を含む政府の対応という意味で申しましたので、そういった意味では、この所管は委員もよく御存じの経済産業省でございますので、経済産業省と力を合わせて私どももやってまいりたい、こういうふうに思っております。

 それから、御指摘があった、二五%削減は原子力抜きではできないでしょう、こういう御指摘は全くそのとおりだと思っておりまして、近々出させていただくロードマップにはそこをしっかりと書き込んで、御議論をしていただきたい、こう思っています。

吉野委員 大臣の所信に、推進するため、国民の理解を得られるよう努めてまいりますと。これは環境省の文章なので、これは経産省の仕事だから環境省は関係ありません、これはちょっとないと思うので、所信にもきちんと大臣が述べていますので、もう一度お願いします。

小沢国務大臣 技術的な話が我々はなかなかわかりづらい、こういうことでございますが、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

吉野委員 ちょっと時間もなくなっちゃったので、急ぎます。

 国民の理解を求めるというところなんですけれども、昨年十月十一日日曜日、夜九時放送のNHKスペシャル「原発解体 世界の現場は警告する」、これは廃炉を扱った初めての報道なんです。原子力の関係者の方々、廃炉を扱っていますので、本当にすばらしい報道、正しい報道をしてくれるのかなという期待感を持ってこの番組を見ていたら、何と何と、国民に不安を与えただけ。それも、事実認定が五十二カ所も間違っていた。原子力の技術者の関係者からそういう御意見をいただいております。

 環境省としても、国民の理解を得ることが環境省の仕事でありますので、このNHKの報道に対して十分なる調査をして、評価をして、そして、もし間違った報道がされていればその報道を修正するような、そんなところも国民の理解を得る努力をする環境省の仕事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

小沢国務大臣 済みません、番組をまだ見られていなくて、きょう質問通告でいただいて、資料もつけていただきましたので、見させていただいて、関係部署、特に経済産業の皆さんと連携をとって対応させていただきたいと思います。

吉野委員 しっかりと対応していただきたいと思います。まず事実を把握していただきたいと思います。

 きょうの日経にも、ビル・ゲイツさんが自己資金を数千億使って新たな原子炉を開発する、そういう報道もされているように、今まさに原子力ルネサンスなんです。でも、我が国を取り巻く原子力についての諸課題はたくさんあります。

 まずは、推進側と規制側があります。規制側がきちんと安全を担保してくれるわけなんですけれども、推進側はエネ庁。安全をきちんと規制してくれる、これは原子力安全・保安院。この親分は経産大臣なんです。ですから、地域の自治体の会計さんと監査する人が同じ人だ、こういう言われ方もできると私は思うんですけれども、ここに一番の大きな問題があります。

 私は福島県なんですけれども、トラブルで原子炉がとまりました。保安院が修繕して修理をして、保安院が検査をして、保安院が、国がオーケーを出したにもかかわらず、福島県はその保安院を信頼していません。だから、技術レベルは本当に低いんですけれども、福島県独自で検査をして、みずからの検査で大丈夫だとわかって初めて運転再開をしているのが現実なんです。国が信頼されていないんです。

 ここのところが、安心を前提としてと大臣おっしゃいましたけれども、我が国の一番の安心を大前提としてという、その大前提の一番のもとである規制当局に対して国民が信頼を置いていないというところに一番問題があろうかと思いますので、アメリカのNRCみたいな独立性を持ったチェック機関というのが安心、安全の一番のもとになるべきだと私は思っています。

 大臣の御見解をお願い申し上げます。

小沢国務大臣 御指摘の、監督と推進を両方大臣が兼ねているというのは、全くそのとおりだと思っておりまして、別に政党云々を言うつもりはありませんが、民主党はたしか、そうした対策を分けて、いわゆる三条委員会を作成すべきという話をかねてから提案してきたもの、こういうふうに思っております。

吉野委員 ぜひ三条委員会という形で規制当局を独立性を持った形にしていただければ、国民は国を信頼できると思います。

 二つ目の課題として、やはり利用率、設備稼働率ですね。今、六四%です。でも、これは柏崎がとまっていますから、これは地震の影響ですから、地震の影響を取り除けば七四、五%いっているわけなんです。でも、これもやはりアメリカも同じだったんです。稼働率を上げた優等生、これはアメリカでありまして、やはり我が国もその手法を取り入れるべきだと思います。

 アメリカがやったのは、やはり官と民との役割分担なんです。官、いわゆる国は、放射線を出すところ、これはもう絶対ですから、原子力の安全の命ですから、ここはきちんと国が規制をしていく。あと、日々の運転のところ、これは民の役割として、運転しながら点検もし、大丈夫なところは科学的な形によって運転を継続、いわゆるとめる時間を少なくしていく。この官と民の役割分担において、アメリカが九〇%台というすごい稼働率を達成しました。

 日本の場合、五十四基あります。稼働率が一%上がることで三百万CO2トンが削減される。本当に、いろいろ対策を打つ中で、原子力の稼働率をいかに上げていくかというのは、これは大問題、大事なCO2削減の大きなツールになろうかと思います。

 我が国は、まだ民間の役割が全くゼロなんです。これも環境大臣が経産大臣にお話をして、官と民の役割をきちんと明確にしよう、そういうこともぜひ経産省と協議をして言っていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 委員御指摘のように、確かに六四%の現行稼働率を以前のように八〇%に戻すだけでもCO2が五%削減できる、こういう試算もございまして、そういった意味では、今回の基本法あるいはまたロードマップの中でも、そういったところを我々もしっかりやっていかなければいけない、こういうふうに思っています。

 管理体制で官と民の役割という話を御指摘いただきましたので、よく経産大臣と相談をしてみたい、こういうふうに思っております。

 あと、もう一点、私が感じておりますのは、要するに、例えば地震においても、原子力施設がストップをしていく。その場合に、管理をしているのは電力会社でございますけれども、実際に事故の調査とか故障を直していくのは、実は電気のメーカーですよね。ですから、電力会社そのものではないわけでありまして、そこの連携、あるいはまた人材の育成、そういったことも大変重要なのかなと。

 といいますのは、一時期、稼働率が相当下がったときに、我々が調べてみたときに、要は、きちっとした修理、対応をできる部隊が本当に少なくなっちゃっている。あちこちで起こったものですから、一言で言えば手が回らない、そういう状態にもあったようでございまして、そういったことも含めて、管理体制あるいは人材育成を含めて経産大臣初め関係者とよく相談したいと思います。

吉野委員 次は高速増殖炉です。

 これはまさに核分裂では最終の姿であります。今、軽水炉ですけれども、ある人がマッチ売りの少女というふうに表現しました。軽水炉はマッチ売りの少女であって、背中にいっぱいまきがあるのに、ちょっとぬれているので燃やせない、だからマッチをすって自分だけ温まっている、これが軽水炉の姿です。

 高速増殖炉というのは、背中のぬれたまきをも燃やすことのできる、そういうすばらしいものが高速増殖炉でありまして、劣化ウランなんかも燃やせるわけでありますので、燃料的にも物すごい量が眠っています。天然ウランは〇・七%しかございません。それを燃料棒に加工すると、三から五%が燃えるウランなんですけれども、九七から九五%が燃えないウランなんです。ここに中性子を当てるとプルトニウムに変わるんです。ですから、高速増殖炉サイクルができれば、我が国は無限大の自前のエネルギーを持てる。輸入なんかしなくても、今ある劣化ウラン等々まで含めて、ある人によると、高速炉五百基で三千年もつ、そういう試算も出ているわけでありますので、ぜひこの高速増殖炉サイクルを環境省として進めていくように大臣に御尽力願いたいんですけれども、御意見をお願いします。

小沢国務大臣 何か違う委員会に来たような気がするんですが、いずれにしても、今お話を賜ったことは頭に置いてしっかり対応させていただきます。済みません、不勉強なものですから。

吉野委員 では、最後に最終処分場のお話です。

 原子力についてのいろいろな我が国の課題はあるわけですけれども、今、NUMOが最終処分地を探しています。各自治体に立候補してくださいと手挙げ方式をとっているんですけれども、東洋町の例があるように、手を挙げたところは首長選挙で落選という形で壊れてしまいました。

 その体験を踏まえて、国が、あなたのところはいかがですか、こういう方式も取り入れているんですけれども、あなたのところは適地だからいかがですかというところまではいっていません。当該地に選ばれれば、地域振興策、これは当然なんですけれども、往々にして、これだけの地域振興策を上げるんだからという上から目線で今原子力の最終処分地を探しているように私は思えてなりません。そうではなくて、本当に我が国にとって必要なんだという情熱、熱意、それをまず最初にぶつけて理解を求めて、そして話がまとまれば、ではこれだけの振興策を上げるよというような形でないと、最初にこういうものをくれるんだという上から目線の形では最終処分地はなかなか見つからないと思います。

 これは経産省、NUMOの仕事ですけれども、環境省もそれにバックアップしていただけるような、そんな気持ちでいますので、その辺の決意のほど、よろしくお願いします。

小沢国務大臣 一生懸命勉強させていただきます。

 いずれにしても、吉野委員の御指摘の話は本当に我が国にとって大事な話であることは間違いない、こう思っておりますので、環境省としても、環境省の立場から発言をしていくということは重要なことだろうと思いますので、よく関係部署とも連携をとりながらしっかり対応してまいるつもりでおります。よろしくお願いします。

吉野委員 以上です。

 残余の質問は、できなくて申しわけありません、またの機会にします。

樽床委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 最初に、地球温暖化についてお伺いをいたします。

 コペンハーゲンで開かれたCOP15の政治合意を受けまして、一月三十一日を期限といたしまして、各国が温室効果ガスの削減目標を提出いたしております。報道では、七十カ国を上回る国と地域が目標数を提示したとされております。世界規模で見て、温室効果ガス排出量の約八割をカバーする国と地域が目標を示したと評価がある一方で、排出削減義務を負う仕組みづくりは今後は難航するのではないか、こういうことも指摘をされております。

 そこで、COP15でも大変苦労をされました小沢大臣は、各国によるその後の経過と目標数値の提出結果をどのように評価されているのか、お尋ねいたします。

小沢国務大臣 中島委員御指摘のように、現時点で百を超える国が賛同、削減目標、削減行動を提出した国は七十四カ国、その排出量の合計は八一%というのが現在の数字でございます。

 もともとデンマーク政府は、このコペンハーゲンのCOP15においてはいわゆる条約化は難しい、政治合意を目指す、こういう話を事前に宣言して取り組みを行っていたわけでありまして、途中の段階までは本当に正直言ってにっちもさっちもいかなくて、もう大変な思いをいたしましたが、最終段階で首脳級が各国から参りまして、それも最終日の前日に入ってきたわけでございますが、女王陛下の晩さん会を終えて、その後夜十時くらいから夜を徹して次の日の夕方まで、いわゆる各国首脳が一室で延々と議論をいたしました。もちろん日本の鳩山総理も御出席ですが、オバマ大統領、ブラウン首相、あるいはまたサルコジ大統領等々、世界の首脳が一堂に会してあれだけの議論を延々とする姿は、私も驚き、かつ感動もしたわけでございます。

 そうした中で、一応成案となったコペンハーゲン・アコードが、最終段階でボリビア、ベネズエラ、スーダンといった一部の国の反対によって、全体としては採択されずに、いわゆるテークノートという形で終わったということは極めて残念でありましたが、もともと政治合意を目指していたということを考えると、私は、決して悲観だけしているのではなくて重要な一歩を踏み出せたのだなと、これは我田引水に聞こえるかもしれませんが、本当にそう思っております。

 それだけ、まさにこうした国際合意というのは難しいんだろう、こう思っておりまして、そういった中において日本がこれまで果たしてきた役割、先進国に対しては二五%という高い目標を掲げて、アメリカも各国も一緒にやってくれ、こういうことを申し上げ、途上国に対しては鳩山イニシアチブを発表して、しっかりとそのアダプテーション、適用問題は対応するから、ぜひ合意をしよう、こういうことで働きかけをしてきて、その成果はそれなりに大きかったのではないかと自負をしているところであります。

 今後は、そのコペンハーゲン合意を、国連の潘基文事務総長も、今これをどうやって本当に成文化していくか、それが重要だという指摘もしておりますので、そういった流れをさらに加速していくために努力をしてまいりたい、こう思っております。

中島(隆)委員 多くの国が目標数値を示したということは今後の足がかりになるというふうに思うんですが、特に二〇〇八年の速報値を見ますと、不況による経済停滞の影響を受けまして、前年比で六・二%排出量は減りましたが、それでも基準年の一九九〇年と比較をいたしますと一・九%のプラスとなっています。六%削減に向けて、二〇一二年まで一層の努力が必要であります。

 そこで、京都議定書の削減約束について、これまでの実績の評価と、約束達成に向けた今後の努力のあり方について、簡潔に答弁をいただきたいと思います。

小沢国務大臣 今委員御指摘のとおり、二〇〇八年度の速報値は十二億八千六百万トンで、基準年、一九九〇年比では一・九%上回っております。二〇〇七年度比では六・二%減少、おっしゃるとおりでございます。

 しかし、一・九%上回っておるわけでありますが、例えば森林経営による吸収量確保の数字、これが基準年排出量の約三・八%、政府としてのクレジット取得は基準年の約一・六%、電気事業連合会が二〇〇八年度に国の管理口座に無償で移転してくれたクレジットが五・〇%でありまして、この三つを足しますと一〇・四%になります。でありますので、オーバーしている一・九%を引いてもマイナス八・五%ということで、今日的にはいわゆる京都議定書の目標を達成している、こういう状況だと思っています。

 ただ、これはあくまでも不況によっていわゆる生産量が下がっているということに由来したものであるところが大きいわけでありますので、気を緩めずにしっかりとやっていかなければいけない、こう思っているところでございます。

中島(隆)委員 先ほど来の質問の中でも御指摘ありました、COP15では日本は二五%削減目標を表明しておりますし、特に鳩山イニシアチブを表明されています。ぜひ、世界をリードする抜本的な対策として、今国会に出されています基本法、そしてさらには中期目標、この具体的な施策に全力を挙げていただきたいと思います。

 それでは次に、水俣病問題について御質問をさせていただきます。

 この問題につきましては、田島副大臣が先頭に立って患者団体との協議に臨まれ、そして先日は小沢大臣も水俣入りをされました。大変な熱意を持って努力されていることにまず敬意をあらわしたいと思います。

 不知火患者会との和解協議で、熊本地裁から所見が提示されております。山場を迎えつつあると思いますので、もう一頑張りしていただきたいというふうに思います。

 さて、少し前の話になりますけれども、チッソの後藤会長が社内報の年頭所感で、分社化による子会社の営業開始目標を今年の十月一日として、分社化によって「水俣病の桎梏から解放される」、こういう言葉を述べられました。救済策が確定しない中でこのような発言をされること自体、本当に理解しがたいわけでありますが、水俣病特措法が分社化ありきではないか、こういう声がある中で、非常にふさわしくない、全く遺憾な発言だと思います。

 そこで、チッソの分社化は、やはり加害企業としてすべての患者を救済してからのことでありまして、チッソは裁判所から示されたこの和解所見に直ちに応じて、すべての患者救済に全精力を挙げるということが今求められていると思います。

 そこで、大臣に、後藤会長のこの年頭所感の認識と、今後、環境省がチッソにどのような対応なり指導をされるのか、その点をお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 この後藤会長の年頭所感は、私どもも、実は記者会見のときに、ある社の方から、こういう年頭所感が出ていますよということで初めて知らされました。でありますので、私が直ちに事実を確認してくれという指示を出しましたところ、後藤会長が早速、環境省の方にお越しになって、私どもの小林次官に陳謝をしたという経緯がございます。

 さらには、私も先般、水俣に行くに当たって、後藤会長ともお会いをして、チッソの対応も確認をしながら行かせていただいたわけでありますが、そのときも再度、陳謝をされておりましたので、私どもとしては、ここはひとまず今後のチッソの対応をしっかり見守ることにしたい、こう思っておるところでございます。

 分社化の問題に関しては、委員おっしゃるとおり、これは裁判をしていらっしゃる不知火患者会の皆さん方も、あるいはまた裁判ではない特措法で救済を求めていらっしゃる方も、大変危惧をしております。まさに委員が御指摘のとおり、そういった一連の問題がしっかりと解決できる、あるいはそのめどが立つ、あるいは、どうしても分社化をして対応しなければ財務の対応もできない等々、幾つかの条件があろうかと思っておりまして、そういった条件をクリアした後に初めて成り立つんだということはそのとおりでございますし、私も、後藤会長とお会いしたときはきちんとそれを申し上げて、後藤会長としてもしっかりと対応する、そういうお話も承っているところでございます。

中島(隆)委員 ぜひ今のような指導をいただきたいと思いますが、特に今度の裁判所の和解の提示についても、国、県、チッソの責任を改めて述べよ、おわびをせよという厳しい提示もされているわけですし、ぜひ、和解の提示に対してチッソも全精力を挙げて対応するように強く求めていただきたいと思います。

 それでは次に、この間の努力として、水俣病特別措置法に明示されていなかった触覚か痛覚のいずれかの乖離性感覚障害が認められれば一時金支給の対象とするよう不知火患者会に提案したことがあります。さらに、対象地域へ三地域を追加し、対象地域に通勤通学していた人やあるいは魚介類を水俣湾周辺の水域で入手していた人も対象地域の人と同様に扱う、こういうことも示しておられます。それから、出生年月日による制限も、一九六九年十一月末まで延長をされました。

 ただ、対象地域や出生年の制限が一定程度緩和されたとはいえ、すべての被害者の救済という立場に立てば、被害者の実態、実情に見合った基準が必要であるというふうに思います。そういうことを考えますと、やはり不知火海沿岸の住民の健康調査の実施がどうしても不可欠ではないかというふうに思っております。

 以前、委員会で質問いたしましたが、その答弁では、まずは効果的な疫学調査等の手法の開発を図りたい、こういう答弁をいただいております。健康調査をまず実施し、その結果を検討して、対象地域や出生年の基準を策定していただく、こういうことが必要ではないかというふうに思いますが、改めてお考えをお聞きしたいと思います。

田島副大臣 中島委員におかれましては、御地元で御造詣も深く、水俣病の解決にいろいろと御指導いただいていることに、この場をおかりして感謝を申し上げたいと思います。

 現に多くの皆さんが救済を求めていただいているという状況にかんがみまして、救済すべき方々を早期に救済していくという観点から、救済の実現を図り、そして被害者の方々をあとう限りすべて救済していくことが重要だという気持ちに全く変わりはございません。

 このため、現在、対象となっている症状を拡大していく、そしてまた、対象地域の追加であるとか、対象地域以外であったとしても汚染されている魚介類を多食したというふうに認められる方々も対象とするというふうに、地域については緩和と申しますか拡大解釈をしてきたところでございます。また、出生の時期につきましても、妊娠中の暴露の影響ということも考慮いたしまして、昭和四十四年十一月までというふうに範囲を拡大してきたところでございます。

 今後は、さらに周知広報を徹底いたしまして、救済を受けるべき方々に漏れなく手を挙げていただいて、検診を受けていただけるようにしていきたいと考えているところでもございます。

 御指摘いただきました地域住民の健康調査につきましては、特措法に規定されているとおり、調査研究の実施のための効果的な疫学調査等の手法の開発を図っていきたいというふうに考えているところでもございます。

 具体的に申し上げますならば、例えば、毛髪中の水銀値等の過去のメチル水銀暴露データを有する方については、長期的に健康状態の追跡調査を行いながら、水銀値及び健康影響の関係について比較して分析を行っていくというような手法をぜひ検討していきたいと考えております。

 また、救済の対象とならなかった方におきまして、過去に相当の期間、水俣湾もしくはその周辺地域の魚介類を食したことに伴って健康不安を感じていらっしゃる方、訴える方につきましては、御希望に応じまして登録をしていただきまして医師による健康診断等を実施し、その推移をモニタリングすることなどを検討していきたいと考えております。

中島(隆)委員 健康診断につきましては、昨年の九月の二十日から二十一日にかけまして、民間の検診が実施されました。報告もされておりますが、これによりますと、約千名の方の健康診断を民間がされまして、そのうちに、水俣病または水俣病の疑いのある人が九三%いたということが報告をされています。それと、昭和四十四年以降の、今十一カ月は延ばしたということでありますが、出生以前の人も含まれていますし、その地域以外の転入者も感覚障害がある方がおられた、こういう報告が出ております。

 若干、緩和された点がございますけれども、将来的にはやはり不知火海沿岸地域全体の健康調査をしながら実態を把握して、すべての患者を救済するということがやはり水俣病の全面解決ではないかというふうに思います。特別措置法の中にも健康調査という項目を掲げてありますので、ぜひこれについての将来の検討も含めて、今後、お願いをしておきたいと思います。

 最後に、胎児性患者の救済認定と医療、福祉施策について質問いたします。

 胎児性患者が水俣病特別措置法に沿って救済申請したときに、胎児期にメチル水銀の暴露を受けた人は感覚障害がない場合もあり、救済対象から外れるケースが生じるのではないかと強く懸念いたします。この点、胎児性患者の実態や原因の解明を急いでいただきたいのと同時に、救済に当たっては、知的障害などの症状が強く見られる場合、ぜひ柔軟な対応をしていただきたいと思います。

 あわせて、胎児性患者や介護に当たる御家族の高齢化が進む中、医療や福祉によるケアの充実は不可欠であります。さきに、田島副大臣と現地で一緒にほっとはうすを訪問させていただきました。その中で、患者の方々と対話もさせていただきました。田島副大臣も感じられたと思いますが、もう既に胎児性患者が四十歳から五十歳になられる、そしてそのお父さん、お母さんももう高齢化して、今後見られない。将来、この方々をどう見ていくべきかという不安を訴えられていました。

 やはり今後、この胎児性患者の皆さん方の福祉、そしてまた支援の施設整備、東京の本庁にも来られて陳情された経緯もございます。ぜひこれの充実方をお願いしておきたいと思います。御答弁をお願いします。

田島副大臣 委員も御指摘のとおり、私も、胎児性の患者の皆さんと何度か、現地ででも、そしてまた東京ででもお会いをさせていただきました。私と本当にほぼ同世代の患者の皆さん、それこそ、知的障害がありますけれども感覚障害がない場合もあることが知られており、まだまだ未解明の部分もあり、大変私も心を痛めているところでもございます。今後、原因解明はもちろんのこと、調査研究もしっかりと進めてまいりまして、救済に当たってはこのような事情を個別に勘案しまして進めていきたいと強く考えているところでもございます。

 水俣病の被害者の方々が将来にわたってやはり安心して暮らしていただけるように、地域における医療そして福祉施策を充実させていくということが何より重要だと考えておりまして、これまでも胎児性患者の皆さんを初めとする支援活動等々を行っていただいている法人、団体に対して支援事業を環境省として行ってきたところでもあります。

 また、即今、求めていただいている生の声もぜひお伺いしたいということで、中島先生にも御同行いただきながら、ほっとはうす等を訪問もさせていただいたところでございました。

 その中で、平成二十二年度におきましては、水俣病認定患者の入所施設であります水俣市立明水園の敷地内に、胎児性患者の方々が親子で安心して暮らしていただけるための家族棟、まだ名前は正式ではございませんけれども家族棟と、リハビリを実施することができる機能訓練室の建設に対する支援を行っていきたいと考えております。

 今後とも、救済措置の実施とあわせまして、関係者の意見をしっかりと聞かせていただき、また、地方自治体とも連携をさせていただきながら、ニーズに合った医療、福祉の向上に心を砕き、そして支援をさせていただくよう努めてまいりたいと思っております。

中島(隆)委員 最後にお願いしておきますが、水俣病は公害の原点と言われて、既に半世紀以上たっているわけでありまして、今回、特別措置法が国会で可決をされて、それに基づいて救済をするわけでありますが、ぜひ、分社化ありきではなくて、本当に五十年の公害の原点の水俣病をこの際解決するんだ、こういう形でひとつ全精力を挙げていただきたいと思います。

 そのためには、やはり今裁判でやられている和解協議の成立はもちろんでありますが、残された八団体の患者の皆さん方が納得のいく解決と、それから、本当に潜在的な患者も含めて救済する道をぜひこの際、解決を図っていただきたい。五月一日には鳩山首相が現地に行って、その道筋を立てるというところまで情報を聞いていますが、ぜひ解決の道筋を立てて、きちっと納得のいく解決策につなげていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。

樽床委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十七分散会


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