衆議院

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第6号 平成24年6月15日(金曜日)

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平成二十四年六月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 生方 幸夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 川越 孝洋君

   理事 近藤 昭一君 理事 矢崎 公二君

   理事 横山 北斗君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      岡本 英子君    柿沼 正明君

      工藤 仁美君    篠原  孝君

      空本 誠喜君    高山 智司君

      玉置 公良君    橋本 博明君

      三日月大造君    本村賢太郎君

      森岡洋一郎君    森山 浩行君

      山花 郁夫君    横光 克彦君

      吉川 政重君    井上 信治君

      伊東 良孝君    小泉進次郎君

      近藤三津枝君    齋藤  健君

      塩崎 恭久君    長島 忠美君

      丹羽 秀樹君    福井  照君

      古川 禎久君    町村 信孝君

      斎藤やすのり君    佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   議員           大谷 信盛君

   議員           近藤 昭一君

   議員           横山 北斗君

   議員           田中 和徳君

   議員           吉野 正芳君

   議員           江田 康幸君

   議員           高木美智代君

   議員           吉井 英勝君

   議員           服部 良一君

   議員           柿澤 未途君

   議員          松木けんこう君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   内閣府副大臣       吉田  泉君

   環境副大臣        横光 克彦君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     三日月大造君

  高邑  勉君     森山 浩行君

  山花 郁夫君     本村賢太郎君

  岸田 文雄君     塩崎 恭久君

  福井  照君     伊東 良孝君

  町村 信孝君     齋藤  健君

同日

 辞任         補欠選任

  三日月大造君     岡本 英子君

  本村賢太郎君     山花 郁夫君

  森山 浩行君     橋本 博明君

  伊東 良孝君     福井  照君

  齋藤  健君     町村 信孝君

  塩崎 恭久君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 博明君     高邑  勉君

  小泉進次郎君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     岸田 文雄君

    ―――――――――――――

六月十五日

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、産業保安監督部及び那覇産業保安監督事務所並びに産業保安監督部の支部並びに産業保安監督署の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第五号)

は本委員会に付託された。

六月十五日

 原子力規制委員会設置法案(塩崎恭久君外三名提出、衆法第一〇号)

は委員会の許可を得て撤回された。

六月十五日

 原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 原子力安全調査委員会設置法案(内閣提出第一二号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、産業保安監督部及び那覇産業保安監督事務所並びに産業保安監督部の支部並びに産業保安監督署の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は議院の承諾を得て撤回された。

同月十二日

 放射能を海に流さないこととする法律の制定に関する請願(畑浩治君紹介)(第一五九四号)

 大飯原発三、四号機を再稼動しないことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一六四三号)

 動物愛護管理法の改正に関する請願(野田聖子君紹介)(第一六四四号)

 動物虐待への対策強化に関する請願(野田聖子君紹介)(第一六四五号)

 大気汚染公害被害者に対する新たな救済制度に関する請願(下村博文君紹介)(第一七二七号)

 同(菅原一秀君紹介)(第一七二八号)

 同(富田茂之君紹介)(第一七二九号)

 同(橋本勉君紹介)(第一七三〇号)

同月十四日

 大気汚染公害被害者に対する新たな救済制度に関する請願(高木美智代君紹介)(第一七六三号)

 同(阿部知子君紹介)(第一八〇一号)

 同(工藤仁美君紹介)(第一八〇二号)

 同(田中和徳君紹介)(第一八〇三号)

 同(服部良一君紹介)(第一八〇四号)

 同(井上信治君紹介)(第一八一四号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一八六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九七六号)

 同(高木陽介君紹介)(第一九七七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九七八号)

 動物愛護管理法の改正に関する請願(橋本勉君紹介)(第一九七四号)

 動物虐待への対策強化に関する請願(橋本勉君紹介)(第一九七五号)

同月十五日

 世界一危険な浜岡原発の永久停止・廃炉を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二一〇三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二〇六号)

 動物の愛護及び管理に関する法律改正に関する請願(高邑勉君紹介)(第二一〇四号)

 大気汚染公害被害者に対する新たな救済制度に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二一〇五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二〇四号)

 同(鳩山邦夫君紹介)(第二二〇五号)

 同(岡本英子君紹介)(第二二九七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二九八号)

 同(樋高剛君紹介)(第二二九九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三〇〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二四一七号)

 同(田中康夫君紹介)(第二四一八号)

 同(笠浩史君紹介)(第二四一九号)

 動物愛護管理法の改正を求めることに関する請願(高木美智代君紹介)(第二四一二号)

 動物の愛護及び管理に関する法律の改正を求めることに関する請願(野田聖子君紹介)(第二四一三号)

 動物愛護管理法の改正に関する請願(斎藤やすのり君紹介)(第二四一四号)

 動物虐待への対策強化に関する請願(斎藤やすのり君紹介)(第二四一五号)

 大飯原発三、四号機を再稼動しないことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二四一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 原子力規制委員会設置法案(塩崎恭久君外三名提出、衆法第一〇号)の撤回許可に関する件

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、産業保安監督部及び那覇産業保安監督事務所並びに産業保安監督部の支部並びに産業保安監督署の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第五号)

 原子力規制委員会設置法案起草の件

 原子力規制委員会設置等に関する件


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     ――――◇―――――

生方委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 塩崎恭久君外三名提出、原子力規制委員会設置法案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

生方委員長 原子力規制委員会設置法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、近藤昭一君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、原子力規制委員会設置法案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 原子力規制委員会設置法案の起草案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故は、今なお多くの方が困難な避難生活を余儀なくされているなど、国民の生活に深刻な影響をもたらしました。

 この事故では、原子力を推進する経済産業省に原子力安全・保安院が属するなど、規制機関の独立性が欠如していたことや原子力規制機関に専門的知識を有した人材も能力も欠落していたことなど、我が国の原子力に関する行政についての問題点が次々と明らかとなり、国内外の信頼は大きく損なわれました。

 今回の事故の深い反省に立ち、このような事故を二度と起こさないためにも、また、損なわれた信頼を回復するためにも、原子力の安全に関する行政の体系の再構築は喫緊の課題であります。

 このような認識のもと、私ども三会派は、精力的に協議を行った結果、本起草案をまとめた次第であります。

 以下、その主な内容を御説明いたします。

 第一に、この法律の目的として、原子力の安全規制は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するものであることを明確にしております。

 第二に、新たな原子力安全規制組織には、環境省に、国際基準にのっとった、独立性が高い三条委員会の原子力規制委員会を設置することとし、そのもとに原子力規制庁と称する事務局を置くこととしております。

 原子力規制委員会には、原子力安全・保安院及び原子力安全委員会の事務のほか、放射線モニタリングや核テロの事務なども一元化することとしております。

 第三に、原子力規制委員会は、委員長及び委員の職務の中立公正に関し国民の疑惑または不信を招くような行為を防止するため、委員長または委員の研究に係る原子力事業者等からの寄附に関する情報の公開、委員長または委員の地位にある間における原子力事業者等からの寄附の制限その他の委員長及び委員が遵守すべき内部規範を定め、これを公表しなければならないこととしております。

 第四に、原子力規制委員会は、国民の知る権利の保障に資するため、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保しなければならないこととしております。

 第五に、原子力規制庁については、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、全ての職員に原子力推進官庁へのノーリターンルールを適用することとしております。

 第六に、一体的な原子力安全規制行政の確保の観点から、原子力安全規制の専門技術的事務を担う独立行政法人原子力安全基盤機構が行う業務を原子力規制委員会に行わせるため、可能な限り速やかに同機構を廃止、統合するものとし、このために必要となる法制上の措置を速やかに講じるものとしております。

 第七に、平時における原子力防災対策のうち、関係機関の調整等を行う組織として、内閣総理大臣を議長とし、環境大臣や原子力規制委員会委員長などを副議長とする原子力防災会議を設置することとしております。

 第八に、原子力安全のための規制や制度の見直しとして、シビアアクシデント対策の強化、既存の発電用原子炉施設等に最新の知見を適用するバックフィット制度の導入や発電用原子炉の運転期間の制限など、原子炉等規制法の改正を行うものとしております。

 なお、改正後の原子炉等規制法の規定については、その施行の状況を勘案して速やかに検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じることとしております。

 第九に、原子力災害対策特別措置法の改正として、原子力災害予防対策の充実、原子力緊急事態における原子力災害対策本部の強化、原子力緊急事態解除後の事後対策の強化及び原子力災害対策指針の法定化などの措置を行うこととしております。

 また、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣の緊急事態応急対策の実施に係る指示の対象事項から、原子力規制委員会がその所掌に属する事務に関して専ら技術的及び専門的な知見に基づいて原子力施設の安全の確保のために行うべき判断の内容に係る事項を除くこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

生方委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

 原子力規制委員会設置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

生方委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。川越孝洋君。

川越委員 おはようございます。民主党、川越孝洋であります。

 私は、平成二十三年、原発事故があって三カ月後でありますが、五月三十一日の環境委員会で質問に立ちまして、時の松本龍環境大臣に対して、原子力行政を推進する官庁、その同じ官庁のもとに、監視する原子力安全・保安院がある。推進する官庁と、それを抑制をする、監視をする官庁が同じところにあるというのは、これはおかしいのではないか、それぞれ独立性を持たせて切り離すべきではないかという質問をいたしました。松本大臣は、「経済産業省と原子力安全・保安院をしっかり切り分ける。原子力安全委員会も、全くニュートラルコーナーに行って、本当に学術的な助言をするシステムをつくり上げていかなければならない。」というふうに答えられました。

 それから月日のたつのは早いもので、一年以上の歳月が流れました。この間、いろいろな意見がありましたけれども、そういった時間の経過の中で、ようやくここに原子力規制委員会設置起草の動議が提出されたということは、それぞれが十分な知見を持って、時間はかかりましたけれども、それだけ重みのある法案が起草されようとしていることだと思っております。

 そこで、この法案について二、三の質問をさせていただきます。

 その第一は、原子力規制委員会は、独立した機関として原子力規制委員会を設け、その規制委員会は国家行政組織法第三条二項の規定に基づいて環境省の外局として設置することになり、委員長の権限も非常に大きくなりました。五人の委員が選ばれて、その中から一人が委員長として選任されるということになるようであります。

 原子力規制委員会の国会同意についてでありますけれども、高い識見を有する委員であって、いろいろ条件も付してありますけれども、そういった方々の、この人が本当に適しているかどうか、そういった審議というものはどのような形でなされるのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、矢崎委員長代理着席〕

横山委員 国会の同意人事ですから、人事院人事官とか会計検査院検査官と同様に、議院運営委員会というところでその所信の聴取を行います。今回、原子力規制委員会も同様の方法になります。

川越委員 今まで既存の委員会と同様の方法によるということでありますけれども、事は人命にかかわることであり、また、この被害がどこまで及ぶかわからない、大変な事象に対する委員会でありますから、また、独立性を非常に強めておる委員会でありますから、ただ、今までの方法と同じ方法だけで十分にそれが担保できるものでしょうか。その点についてもう一度お願いいたします。

    〔矢崎委員長代理退席、委員長着席〕

横山委員 その決定は議院運営委員会の判断ということになります。

川越委員 これ以上は言いませんが、しかし、日本国民全員が注視する委員会であります。それ相応の工夫をし、国民の納得のいく選び方をしていただきたい、そのように申し上げておきたいと思います。

 続いて、非常時の決断についてであります。

 この原子力規制委員会の設置するための要綱によりますと、高潔で専門知識及び経験、高い識見を持つ委員長、委員、これは申し分のないお方がなられると思いますけれども、非常時のときの決断であります。

 大体、決断というのは、ある意味では、確かにそういった学問的な裏づけも必要ですけれども、人間の第六感といいますか、これは危ないといった非常時の決断というのが要るわけでありますけれども、どうしても学者先生たちになると、こういう場合はこうやって、どうしてああしてで論議がぐるぐる回り出してなかなか決断というのがさっと出てこないというのが、いろいろな会議を見ておると言えるわけであります。

 原子力災害対策本部長たる総理大臣は、技術的な内容については口出しできないようになっております。しかし、いざ決断というときになったときに、できないならできないで、いつまでも結果が出てこないときには、規制委員会が行うオンサイトの対策について、早くこの結論を急いでほしいとかいうようなサポートをするような発言、もしくは結論を促す発言、そういった主導というものは、主導というのが悪ければ、サポートをするといいますか、そういうことはできないものなのか、対応を促す発言等についてあり得るのかどうなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

近藤(昭)委員 御質問の趣旨、大変に重要なことだと思います。

 国民の皆さんの財産そして生命を守る、そうした観点から、政府、その政府の長である総理、今回私どもが議論させていただいた点は、いわゆる規制委員会、ここが専門的な知識をしっかりと有して、そしてまた高い識見のもとに判断をする、その内容については、やはりそこで決められたことが第一だと。しかしながら、そこに対して、今、川越議員も指摘なさったように、それがなかなか判断が進んでいないような場合、あるいはその判断のもとに指示をされたけれども、指示を受けた事業者、関連の組織がなかなか動いていない、こういう場合に限って、そういう中ではしっかりとやはり総理、その責任ある者が指示をする、このことは法律的に認めるということでございます。

川越委員 わかりました。

 決断をおろすということは、その人の財産、命、全てのことを守ることでありますから、やはり、それに対するバック、やはり、補償の問題なりその後の生活の問題なり、いろいろなことが絡むわけであります。したがって、そういった決断をするのは、やはり政治家たる、国民から選ばれ、そして議会で選ばれた総理大臣がするのがふさわしい。どうしても自分としてそこのところがわからなかったので尋ねました。

 そういうことであれば、ぜひともそこのところをしっかりと詰めておいていただきたい。でないと、どうしても学のある人の会議というのは延々と続く可能性がある、今ここに危険があるというときにそのことだけはぜひ避けていただきたいと思うからであります。決して、これから選ばれるであろう人たちがみんなそうだと言っておるわけではありません。そういうことが往々にしてあるので、そういうことにならないように、いざというときに、やはり総理大臣の指揮権、指示権、こういったものはしっかりと確立しておいてほしいと思うわけであります。

 次に、委員長及び委員の服務でありますけれども、十一項のところに書いてあります。「委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない」とすること、「その職務を退いた後も、同様とする」とありますが、十七項「情報の公開」には、原子力規制委員会は、国民の知る権利に資するために、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保するよう努めなければならないとあります。

 一方は秘密を守れ、一方は知る権利に応えよ、これでは組織に都合のいいことだけ出すようなことになりはしないのか、また、この二つの矛盾について同じ法律の中にあるということはどういうことなのか、そのことについてお尋ねをいたします。

大谷(信)委員 お答えさせていただきます。

 原子力事故やまたトラブルというもの、その規模の大きさにかかわらず必ず国民に対して情報公開するということは、国民の信頼を得るためには非常に重要なことであるというふうに考えています。

 でも、国家公務員には守秘義務というものがございます。しかしながら、この委員長及び委員には、特別職の国家公務員でございますので守秘義務が課せられていません。それをこの法律で課すことによって、例えば、核のセキュリティーにかかわるようなテロを起こすような人たちに有益な情報なんというものは守らなきゃいけない、しかしながら、トラブル等を初めとして、情報公開すべきもの、国民の信頼をかち取るものはしっかりとしていくということであって、別の情報、別の課題だというふうに考えていますので、しっかりと守秘義務は守秘義務で守り、国民に知らしめるべき情報は知らしめるということでやっていきたいというふうに思っております。

 そういう意味でございます。

川越委員 ぜひ、情報についてはしっかりと開示をし、みんなが事に当たって、安心できる、そういった施策をとっていくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、塩崎恭久君。

塩崎委員 自民党の塩崎恭久でございます。

 修正合意をされた原子力規制委員会設置法案が出てまいりまして、自公案原案をほぼそのまま受け入れていただき、なおかつ、今そちらに並んでおられます実務者の皆様方の並々ならぬ御努力の結果、さらなる改善が加わって、よりよいものにしていただいたというふうに思っております。

 こうして新しい独立した規制機関ができるということで、一年以上にわたって議論を重ねてきた者の一人として、そしてまた自公案の提案者の一人として、大変ありがたく、また、改めて実務者の皆様方には感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、修正案が我々の立法意図、当初の立法意思や目的としておった目指すべき目的にしっかりと合っているかどうか、自民党の提出者吉野議員に確認をさせていただきたい、このように思っております。

 まず、総理の指示権についてでありますが、自公案では、原子力規制委員会の所掌事務に関して総理が法律上の指示権は持たないという整理をしておりました。いわゆる菅直人リスクの排除であります。修正案においても、総理の指示権については原子力規制委員会の所掌に関する専門技術的な判断については何ら影響を与えるものではなく、例えば、六月五日の環境委員会の質疑で柴山議員はこのように言っております。

 第一に、本来行うべき職務を委員会が懈怠、ぐずぐずしているときに、本部長がしっかり仕事をしてくださいと督励するケース、それから第二番目に、委員会が既に事業者に措置を指示していたにもかかわらず、事業者がなかなかやらないときに本部長が重ねて要請する、いわゆる追認のケースに限られて、原子力規制委員会の下す判断の結果からみじんもはみ出さない範囲にとどまるということだと思いますが、総理の指示によって何ら新しいことが加わらない、すなわち、総理が規制委員会の専門技術的な判断に反する指示や、委員会が判断していないことを勝手に指示することはあり得ないということが、この条文、原災法二十条三項によって規定されていることを改めて確認したいと思います。

吉野委員 私も国会議員になって十年たちます。最初から、保安院の分離独立、これを言い続けてきました。今回、塩崎先生の御努力、本当に感謝申し上げます。こうやって保安院の分離独立がきょうできるということ、私も感慨無量であります。

 お答え申し上げます。

 塩崎先生のおっしゃるとおりです。特に督励の部分、これもあり得ないんです。素人が専門家に対して早くしろなんて言うことはあり得ない。でも、これも認めたところでありまして、極めて限定的であります。

 以上であります。

塩崎委員 ありがとうございました。

 自公案から何ら後退しているわけではないということ、そういう理解だと思います。

 次に、原子力防災会議がつくられることになりました。修正案では、原子力防災会議が創設されて、その事務局長をなぜか環境大臣が担うということになっておりますが、その理由は、三条委員会たる原子力規制委員会が、たまたま今回、環境省に軒をお借りをするという格好になっているからだというふうに私は考えておりますが、それでよろしいか。

 そうすると、附則第五条の、三年以内に見直しというのがありますが、内閣府の三条委員会となる可能性が高いわけでありまして、その場合は、当然のことながら、環境大臣は副議長及び事務局長から外れて、事務局長には原子力規制委員会ないしは日本版FEMA担当大臣などが充てられることになると理解しておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

 それから、原子力防災会議の事務局スタッフについては、昨日の交渉の担当をしておった林政調会長代理は、内閣府の職員が担うというふうに言っておりました。それでよろしいか、環境省からどっと異動が行われることはないか、そのことを確認したいと思います。

吉野委員 おっしゃるとおりでありまして、原子力防災会議の副議長及び事務局長を環境大臣が務めることについては、御指摘のとおり、三条委員会に規制委員会がぶら下がっておりますので、環境省の軒を借りている、私たちは内閣府の防災大臣にしてくれということを主張しましたけれども、こういう形になりました。

 当然、原子力規制委員会の設置を環境省から内閣府等へ移管する三年後の見直しの際には、副議長、事務局長から外れると思っております。

 また、附則第六条七項において、日本版FEMAのようなものを政府に検討させることとしております。将来的には、原子力災害と一般災害対策は一元化され、内閣が責任を持って担うこととなろうと考えております。事務局長は、原子力規制委員会ないしは日本版FEMA担当大臣となるのではないかと思っております。

 さらに、事務局スタッフについては、内閣府に設置されていることから、当然、内閣府の職員が担うこととなり、特定の省庁からの動員、異動によって本来のあり方から逸脱することは法律の想定していないことであり、そうしたことになるべきではないと考えております。

塩崎委員 ありがとうございました。

 この法案の附則第十二条におきまして、原子力防災会議のつかさどる事務は、原子力規制委員会の策定する原子力災害対策指針に基づく施策の実施の推進を担うことになっております。もともと自公案では、平時のオフサイト対策は原子力規制委員会が担うこととなっておりましたが、自公案の規制機関の独立性と専門性という本来の趣旨はこの修正案においても損なわれてはならず、あくまでも、防災会議の所掌事務は規制委員会が策定する指針の範囲内というふうに考えております。

 その観点から、二点確認したいと思います。

 第一点目は、「その他原子力事故が発生した場合に備えた政府の総合的な取組を確保するための施策の実施の推進」、これは第二十六の二項だと思いますが、これはきのうの要綱だったのでちょっと違うかもわかりませんが、及び「原子力事故が発生した場合において多数の関係者による長期にわたる総合的な取組が必要となる施策の実施の推進」というのは、いずれも、原子力規制委員会が定める指針や方針等に従って、そこから何ら裁量的に逸脱したり拡大したりしない範囲において原子力防災会議によって実施されるというふうに理解してよろしいでしょうかというのが一点目。

 二点目は、原災法改正において定められます、きのうの要綱案では三十二の三項で書いてありましたが、「原子力災害予防対策の充実」や「原子力災害対策本部の強化」、さらには緊急時の総理の指示権においても、いずれも原子力規制委員会が定める指針や方針等に従って、そこからも何ら裁量的に逸脱したり拡大したりしない範囲に限定されることを確認をいたしたいと思います。

吉野委員 原子力防災会議、これは、事故が起こって初めて原災本部が立ち上がるわけですから、ふだんの訓練、これが大事なんです、平時のオフサイトの訓練。そのために、防災会議が事故時の場合は原災本部に即変わり得る、そういう位置づけで原子力規制委員会と原子力防災会議の関係はこういう関係になろうかと思っております。

 御指摘のとおり、原子力規制委員会が定める指針等の範囲内において、何ら裁量的に逸脱したり拡大したりしない範囲に限定されるべきであると考えております。

塩崎委員 ありがとうございました。

 JNESでありますが、独立行政法人原子力安全基盤機構、これは、今まで三つに分かれていて、安全委員会、保安院、そしてJNESということで、結局、ばらばらになっていたがゆえに有効に対応できなかったという反省があって、我々はこれを統合するということにしました。それも、やはりその精神からいけば、この委員会発足時に同時統合ということでなければいけないと私は思っておりますが、残念ながら、それは「可能な限り速やかに」というところで終わってしまっております。

 私は、今の精神を考えてみれば、さまざまな難問を克服して、遅くとも年内、あるいは、どんなに遅くても、最悪年度内にはスタートすべきだと思います。

 それから、統合されたJNESは、原子力規制庁内においても規制部門と双璧をなす重要な部局として位置づけられることとすべきであると思いますけれども、御見解を聞きたいと思います。

吉野委員 JNESの統合は本当に大事なんです。ですから、附則六条四項において、私たちも同時立ち上げを目指しておりましたけれども、なかなかここは事務的に難しいということで、普通ならば速やかにだけなんですけれども、「可能な限り速やかに」という、最大限の言葉で法律をつくらせていただきました。

 また、職員の待遇についても、「相当の職員」ということで附則六条の四項にも盛り込んだところであります。

塩崎委員 年内、年度内についてお答えがありませんが。

吉野委員 時間を区切るということは大変難しいものですから、同時に発足をする、そういう心を持って、「可能な限り速やかに」ということで対応していきたいと思っています。

塩崎委員 ありがとうございました。ぜひその方向でお願いしたいと思います。

 ノーリターンルールでありますが、五年間例外を認めながらも、原子力規制委員会創設当初から導入するこのノーリターンルールの趣旨は、安全確保のための規制の独立性の確保、そしてもう一つ、独自の計画的高度専門人材の育成というのがあると思います。

 附則第六条二項において原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を禁止しておりますけれども、経産省、文科省など明らかな推進官庁との間のノーリターンは当然だと思います。

 加えて、私は五月二十九日の本会議の趣旨説明において、規制委員会の関与が不可欠な安全基準のもとで除染や放射性瓦れきの処理を担う環境省など、原子力安全に関する利益相反が起こり得る省庁との人事交流も戒めると明言したところであります。

 あらゆる利益相反を排して安全確保のための規制の独立性を確保しながら、IAEA安全基準にあります人事の独立性を確保するためには、原子力規制庁のポストが環境省の指定席となったり、ローテーションで次々に人が送り込まれてきて事実上の環境省の植民地となってしまっては、規制機関の独立性が失われてしまいます。その他の行政機関からの独立というのも、明確にIAEA基準には書いてあります。この点から、環境省との間で人事ローテーションはあってはならないと思います。

 今あるこの規定につきまして、自公案の当初の書きぶりと何ら変わっておりませんので、我々立法者の意図として私が申し述べた、当然環境省を含むと考えてよろしいでしょうか。

吉野委員 このノーリターンルールが、独立性を担保するためには本当に非常に重要であると考えております。ですから、原子力利用の推進に係る事務、ここへの配置転換、これを禁じているところです。

 また、六条三項において、例えば、メーカー、原子力事業者、民間からの方々もおります、そこへの再就職、これも規制をしているところです。国民の疑惑または不信を招く、こういう人事というものは、IAEA基準の利益相反という観点からしても、これは排除すべきであるというふうに思っております。

 私たち、このノーリターンルールは、原子力利用の推進に係る事務、当然、先生がおっしゃったような経産、文科、そして原子力委員会をつかさどっている内閣府、これも入ろうかと思っております。

 以上です。

塩崎委員 今、明快にお答えをいただいて、環境省も対象になるというふうに私は理解をいたしましたし、IAEAの安全基準からいって、これは法律じゃないんですね。IAEAの安全基準を守るかどうかというのは、その国の言ってみれば節度とか、そういうものにかかってくる部分もたくさんあって、この法律の有無にかかわらず、私は、そもそも利益相反がある、それから、他の行政からの影響を受けてはならないというふうに書いてあるIAEA安全基準を守るならば、環境省との間のノーリターンルールも当然のことだというふうに思っております。

 それから次に、特別会計の問題です。

 とりあえず原子力安全規制対策という勘定をつくっていただけるということでありますが、やはり電促税というのは推進側の財源ですから、私は、独自財源をアメリカやイギリスのように持ち、なおかつ特別会計を別途つくって、原子力規制特別会計などをつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

吉野委員 おっしゃるとおりでありまして、今は電促税をエネルギー特別会計の中での区分経理という形で出発しておりますけれども、本当の目標は、きちんと自分たちで手数料、検査料という形で独自財源を得ること、これが私たちの大きな将来の目標であります。(塩崎委員「特別会計」と呼ぶ)それを特別会計にして区分経理をしていきたいと思っております。

塩崎委員 終わります。ありがとうございました。

生方委員長 この際、お諮りいたします。

 議員高木美智代君から委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 高木美智代君。

高木(美)議員 公明党の高木美智代でございます。

 原子力規制委員会設置法案起草の件につきまして、公明党を代表して質問させていただきます。

 このたび、民主党、自民党、公明党三党の協議によりまして自公提出法案を軸とする原子力規制委員会設置法案が起草されましたことは、大変喜ばしいと思っております。関係者の皆様の御努力に心から御礼を申し上げるものでございます。

 この原子力規制委員会設置法につきましては、我が国のこれまでの原子力規制行政を刷新する画期的な法案になったと確信をしております。私は、その理由を順次挙げながら、何点か、起草者と、また政府、特に細野大臣の見解を伺っておきたいと思います。

 まず、本法案を高く評価できる理由の第一でございますが、規制委員会の独立性、中立性を確保したという点でございます。

 この規制委員会は、環境省に置かれるものの、いわゆる三条委員会として独立して職権を行う。内閣や環境大臣の影響力が行使されることはない。そして、委員長並びに委員は国会同意人事であり、国会の同意なくして罷免されることもない。いずれも、規制組織の業務が政治的圧力や利害関係者の意向に左右されることを防ぎまして、科学的、客観的な知見に基づいた中立的なものであることを確保するための措置でございます。

 このように規制委員会に高い独立性を与える以上は、いや増してこの規制委員会のあり方が問われると思っております。公明党は自公案検討のときに、規制委員長及び委員の任命の要件に、いわゆる人事院の人事官等と同様に、人格が高潔ということを挙げさせていただきました。

 これまで、政府にかかわる原子力専門家の中に、寄附金とかまた研究費の名目で業界との間で多額の金銭授受が行われていた問題が明らかになりまして、ここからいわゆる原子力村という言葉が生まれるような、職務の中立公正性に関して国民が大きな疑惑また不信を抱いてきました。

 人格の高潔は、そのような事態の改善を求めるという国会の意思でありまして、規制委員会の国会に対する説明責任の要件でもあると考えております。

 また、さらに本法案では、規制委員会の委員長及び委員による国民の疑惑、不信を招くそのような行為を防止するために、原子力事業者等からの寄附の制限など、内部規範を制定、公表するということ、また、原子力事業者等からの寄附に関する情報公開も盛り込まれました。これらは、中立性、公正性の確保のために極めて重要なことと考えております。

 ここで、起草者の方に、特に我が党、私も加わらせていただきましたが、中心的に取りまとめて努力をされました江田議員に対しまして伺いたいのですが、寄附の制限とは禁止を意味するのか、また、情報公開は在職前等も含むのか、見解をお伺いしておきます。

 あわせまして、委員長及び委員の任命要件につきましても、三党協議の中で「原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者」と拡充されましたが、その趣旨はどのようなものであるのか、江田議員にお伺いいたします。

江田(康)委員 本法案に対しての高い評価、ありがとうございます。

 高木先生の御質問にお答えいたしますが、この規制委員会の独立性、中立性を担保するためには、この寄附の制限、情報公開は非常に重要と思っております。

 この寄附の制限規定の趣旨は、寄附を一律に禁止するものではありません。原子力規制委員会の委員長、委員が、専門的知見に基づいて、中立公正な立場で独立して職権を行使することを担保するために、いわゆる原子力村から寄附金を受けて中立公正な立場が揺らぐことを防止するために、公開制度を創設して、国民による監視を図るものとしたところでございます。

 具体的な運用については、原子力規制委員会の内部規範で定めていくことになりますが、その際には、就任前、例えば三年程度は公表する旨の規定を設けることが望ましいと考えております。

 次に、委員長及び委員の任命要件として御質問がございました。

 原子力利用における安全の確保に関しては、専門的知識及び経験が必要なことは言うまでもありませんけれども、この要件だけに限定すると、いわゆる原子力村的な視野の狭い技術者に限られる懸念があると考えます。

 そこで、高い識見を要件としまして、全体としてバランスのとれた人材の確保を可能としているものでございます。

高木(美)議員 ありがとうございました。

 さて、この規制委員会でございますが、原子力規制庁と称する事務局が置かれることになります。事務局は、他の官僚組織からは独立して、規制委員会の指揮命令にのみ服するということになっております。他省庁との連携は必要ですが、今の答弁にもありましたとおり、決して癒着と言われるようなことがあってはならないと思います。

 そのために、自公案に基づきまして、規制庁の全職員の推進官庁へのノーリターンルールが盛り込まれたわけでございます。

 このノーリターンルールは、当然、規制庁発足時から実施されるものでありまして、適性等の観点から認められる五年間の例外措置というのも入っておりますが、極めてこれも抑制的に運用すべきと考えております。その点もお含みいただきたいと思います。

 次に、法案を高く評価できる理由の第二といたしまして、規制組織の専門性の確保を挙げたいと思います。

 これに関しては、特に、独立行政法人原子力安全基盤機構における専門知識の蓄積を十分活用することを目指しまして、この機構の職員を、規制庁の相当の職員として、この機構が行う業務を可能な限り速やかに規制委員会に行わせるということになりました。

 この可能な限り速やかに統合を行うためには、政府が速やかに法制上の措置をとるということが必要なわけですが、政府は、いつまでにこの関連法案を提出し、いつまでに統合を行うお考えか、細野大臣の所見をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 御質問は、統合はJNESの件ということでよろしいでしょうか。(高木(美)議員「そうです、JNESです」と呼ぶ)はい、ありがとうございます。

 JNESにつきましては、今回の事故以降、何人かの専門家と私もやりとりしましたけれども、非常に有能な方が多いですから、統合できるというのは非常にありがたいことだというふうに思っておりますので、法律の趣旨のとおり、可能な限り速やかに実施をしてまいりたいというふうに思っております。

 問題がございますのは、JNESというのは非公務員型の独立行政法人でありますので、私も接した中でいうと、明らかに年齢層が高うございます。六十歳を超えている職員が三割を占めておりまして、中途採用でかなり即戦力を採用しております。これを公務員にしてしまいますと、もう全部定年になってしまいますので、能力が大幅に減ずるということになってしまうんです。

 ですから、公務員の年齢というものを大幅に変えるというのは、これは難しいですから、まず、JNESのあり方そのものを、若干時間をかけて、時間をできるだけかけずにやりたいとは思いますけれども、どう戦力を維持するかということを大前提としないと、統合して弱体化するということにもなりかねないんですね。

 ですから、そのあたりについて準備をした上で、できるだけ早く統合することで原子力規制庁そのものを強い組織にして、原子力規制委員会の判断のもとでしっかりと働き得る組織にしてまいりたいと考えております。

高木(美)議員 そうしたことを含めまして、いつごろまでにその統合の流れを整理をするのか、また、いつごろまでにこの統合を実施をしていくのか、スケジュールをお示しいただけますか。

細野国務大臣 できるだけ早くやりたいと思います。

 もう一つは、JNESの職員というのは、専門的な人間については高い処遇をできるという形になっているんです。ですから、それが公務員の場合はなくなりますので、給料が下がる人が出てきます。ですから、定年で三割いなくなってしまって、そのほかの人についても、例えば優秀な人は給料が下がるということになると、人がいなくなってしまいます。そういう状況はできるだけ早く解消されるということを目指し、それが解消された時点でできるだけ早く統合したいと考えております。

高木(美)議員 それでは、次の、理由の第三に移らせていただきます。

 我が国の原子力規制行政の長年の二元体制に終止符を打ちまして、原子力規制行政が一元化されるという点でございます。

 政府案におけますテロ対策などのセキュリティー規制、また、放射線規制にとどまらず、放射線の日常的モニタリング、また核不拡散のための保障措置もこの規制委員会に一元化されることになりました。まさにこれは国際標準に合致した形態でありますし、限られた人的、物的資源の有効活用のためにも意義が大きいと考えております。

 また、理由の第四ですが、世界最高水準の規制を導入するということで、シビアアクシデント対策、また、最新の知見を既存施設にも反映できるバックフィット制度を導入する、また、発電用原子炉につきましても四十年運転制限制を導入するという点でございます。

 この四十年運転制限制につきましては、公明党も修正協議におきまして導入を主張いたしました。ただ、この四十年まで安心という科学的な保証があるわけではありませんので、厳格な老朽化の検査またバックフィットが重要なことは、言うまでもありません。また、二十年を超えない範囲で運転延長を認める例外規定につきましても、この四十年制限制がなし崩しになるものであってはならないと思います。

 また、原子炉等に対する種々の規制につきましては、原子力規制委員会が発足した後に速やかに見直すことになっていますが、この趣旨につきまして起草者にお伺いしたいと思います。

江田(康)委員 私も、今の点に関しては高木先生の御指摘のとおりだと思っております。その御指摘のとおり、四十年運転制限規制の趣旨は、原則として四十年以上の原子炉の運転はしないこととするものでありまして、運転延長が認められるのは例外的なケースであると考えます。

 原子炉等規制法に基づいて、この安全規制全体については、法律の施行後速やかに、施行の状況を勘案して検討が加えられる旨の見直し規定が置かれておりますけれども、これはあくまで、この原子力規制委員会発足後、新たな科学的基準に基づいて規制を不断に改善していく趣旨であると考えるものでございます。

 新しい基準に適合しないものは、四十年前の廃炉もあり得るわけでありまして、この新しい組織による新しい基準、これが基本的な考えになってくるかと思っております。

高木(美)議員 ありがとうございます。

 第五は、緊急時における政府と規制組織の役割分担が明確になったことです。

 この法案では、原子力施設の安全確保に関する専門技術的事項に関しまして、規制委員会が原子炉等規制法上の監督官庁として権限を行使することを明確にいたしました。そして、規制委員会が専門的、技術的な知見に基づきまして原子力施設の安全確保のために行うべき判断の内容に関して、総理が指示する権限を認めないことといたしました。まさにこれは、先ほど来、菅リスクと言われておりますが、今回の事故の教訓を踏まえたものとなっていると思っております。

 第六に、平時におけるオフサイト対策の体制が明確になったことです。

 現行の原子力災害対策本部は緊急事態宣言のもとで瞬時に設置される組織でありまして、平時は、関係省庁、地方自治体等と連絡をとり、万一のための準備を進める、その体制が別途必要だったという状況でした。

 この法案におきましては、緊急時の原子力災害対策本部に加えまして、平時の原子力防災会議を設置し、その事務局を内閣府が担うこととしております。規制委員長も副本部長としてその会議に参画するとともに、規制委員会は科学的、技術的知見を提供することとなっております。

 加えまして、規制委員会と原子力防災会議の組織の立て分けが明確にされまして、規制委員会、規制庁の独立性も確保されております。

 ここにおきましては、両者の連携が重要になってくると思います。そのあり方につきまして起草者の見解をお伺いいたします。

江田(康)委員 御指摘のとおり、平時のオフサイト対策のうちでこの原子力規制委員会が行うものは、専門的、技術的知見に基づくものである。また、原子力防災会議は、原子力防災推進のために、地方公共団体や自衛隊等実力部隊との調整、放射能環境汚染対策など、多数の関係者による長期にわたる総合的な取り組みの推進を行う。このように、原子力防災会議と規制委員会が平時のオフサイト対策においてその業務が切り分けられたことによって、この独立性は大変高まったものと思います。

 他方、現実の原子力防災会議では、関係機関がそれぞれの役割を果たしながら緊密な連携を図っていくことが最重要課題でありまして、これは、平時から、日ごろから十分な情報提供や情報共有や意見交換を行っていくことが必要不可欠であると考えております。

高木(美)議員 ありがとうございました。

 起草者の皆様の御努力によりまして、極めて画期的な原子力規制組織に関する法案が起草されたと確信をいたします。本法案が早期に成立をいたしまして、原子力規制行政が国民の信頼を回復し、また、国民の安全を守ることを要望いたしまして、私の発言といたします。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 今回、法案が成立して新たな規制組織が立ち上がるわけでございます。福島の事故で地に落ちたこの原子力行政の信頼を回復するためにも、万全を期さなければいけないというふうに考えております。

 法案を見る限り、独立性の確保、それから政治介入のリスクの除去という点は大体クリアされておりまして、私たち新党きづなとしては賛成の立場をとりますけれども、一言言わせていただきたいのが、このところの国会軽視の流れでございます。

 この法案も、そして今一番ホットな消費増税の関連法案も、民主、自民、公明の三党の協議で決まってしまう。しかも、この三党協議というのが、議員会館の会議室、ホテルの一室などの密室で話し合いがなされて、ここで決まったことが突然国会に落ちてきて、審議の時間も大してとらずに採決されてしまう。

 そもそもこの法案というのは、もう二度と福島の悲劇を起こさないように、じっくりと国会で審議をして決めていかなければいけないものだと思っております。ところが、法案の審議はなかなか始まらず、始まったと思ったら、環境委員会での質疑は一回、参考人質疑そして連合審査が一回ずつ、修正法案ができたと思ったら、審議は半日で終わり。これでは、多くの国民が納得しないと思いますし、国会軽視でございます。強く抗議をしたいというふうに考えております。

 時間が余りないので、修正案について質問いたします。

 ノーリターンルールなんですが、今回、五年の経過措置を設けるという例外規定が設けられました。この五年ルールができた経緯と理由をちょっと説明していただきたいと思います。

大谷(信)委員 五年ルールですよね。五年ルールができた理由は、先ほどの答弁にもありましたように、ノーリターンルールですぐに帰れないようにするべきだというのもありますが、全く新しい組織ということもあり、ここは、この組織になじまないような方、また、なじまない能力であったようなことも発見するようなことがあるということで、行って、例外として五年間の間はもとに戻れるというようなルールを定めさせていただきました。

 それは、余り能力がない人、意欲がそがれてしまった人が残って、本来の規制委員会の能力が発揮できないということを阻止するためでございます。

斎藤(や)委員 ありがとうございます。

 一方で、これはリスクも非常に伴っているんじゃないかなというふうに思います。どういうリスクかといいますと、この規制委員会の最初のミッションというのは、何といっても新しい安全基準をつくることだと思うんですが、心配なのは、この基準づくりをするという重責を負う職員が、いわばノーリターンルールの対象外であるということでございます。

 原子力村の影響を排除して新しい安全基準をつくれるのかどうか、五年で帰れるわけですから、これについて大谷先生、どうでしょうか。

大谷(信)委員 そこは国会同意人事でもありますし、しっかり、そんなことがない委員長、そしてそんなことがない他四名の委員を私たちが選ぶことで阻止できるものだというふうに思っております。

斎藤(や)委員 国会同意人事でチェックをするということだと思いますが、そのほかにも、利権を五年間の中で確立する利権あさりをする人とか、そういうことも十分考えられると思いますので、そこはやはり国会でしっかりとチェックしなければいけないというふうに思います。

 それと、済みません、これは質問通告にないんですが、どうしても一問聞きたいのでお聞きしたいんですが。

 最初のスタートが肝心だと思います、この組織。組織が腐らないようにするためのチェックが必要だと思うんですが、規制委員会をチェックする機関というのは、この法案を読む限り、見当たりません。自浄作用に期待するしかないのか、国会の同意人事でということなのか、このあたりもちょっと教えていただきたいんですが。

大谷(信)委員 委員を罷免できるというところがありまして、そこはこれから内規を定めさせていただいて、例えば多額の寄附をするであるとか、これはあくまで例えばですが、余りにも原子力村寄りの発言が出るとか、これは内規で定めることでありますが、一定そういうルールをつくった上で、我々立法府の人間もそれをチェックしながら高めていこうということになります。

斎藤(や)委員 チェック機関が存在しない、内規でということで自浄作用に期待するというところだと思うんですけれども、このあたりも懸案事項の一つだと思いますので、今後考えていただければというふうに思います。

 一方で、ちょっと今回一つ心配なのは、内閣に設置された原子力防災会議というものでございます。これも修正協議で出てきたものでございますけれども、組織をたくさん立ち上げて権限のすみ分けが難しくなるというのが今までの原子力の規制組織だったと思うんですが、結果的に混乱が助長されるリスクを抱えております。

 今回の修正案で急に出てきたこの原子力防災会議という組織、これに関しての業務内容、それから内閣府に置いた理由というのを教えていただければと思います。

大谷(信)委員 お答えいたします。

 平時のオフサイト対策のうち、原子力安全についての専門的、技術的知見に基づくものは原子力規制委員会、そして、原子力防災推進のために、地方公共団体や自衛隊等実力部隊との調整、放射能環境汚染対策など、多数の関係者により、また、長期にわたる総合的な取り組みの推進が必要なものは原子力防災会議及び事務局がそれを担っていくということであります。

 ここは緊密な連携あってこそ初めて可能だというふうに考えています。

斎藤(や)委員 今回のこの規制組織の目的というのが、やはり独立性と一元化というものがあったと思います。このつくった組織が、平時の防災対策ということではありますけれども、政治介入とか、それから情報隠しの隠れみのにならないように、このあたりもしっかりとお願いしたいと思います。

 この規制委員会は、再稼働の妥当性から原発事故の対応まで、強大な権限を持ちます。ということで、この規制委員会の人事が非常に重要になります。

 これはすごくすごくすごく基本的なことなんですけれども、国会の同意人事で選ばれるわけなんですけれども、国会に出す人事案を策定するというのは政府のどの部署なのかという基本的な質問を教えてください。

横山委員 原子力規制委員会の委員長及び委員は、「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」ということですので、原子力規制委員会の委員長及び委員の人事案は、内閣官房において調整されることになると考えております。

斎藤(や)委員 内閣官房ということで、委員長とそれから四人の委員の方がこの組織のあり方を大きく左右されると思います。国の方向としては、野田総理が言っているように、脱原発依存と言っているわけでございますので、危ない原発は稼働させない、それから廃炉への道筋をきちんと示すことができる、そういう方をぜひ選んでいただければというふうに思います。

 それから、四人の委員の一人ぐらいは原発の専門家ではない方、例えば、法律家とか、それから思想家なんかの方も一人入れていいのではないか。米国の原子力規制委員会は、報道によりますと、委員長候補の一人に地質学者を入れているという話でもございますので、そのあたりもぜひ考慮していただければと思います。

 それから、ちょっとこれも済みません、質問通告をしていないんですが、自民党の方に一つだけお伺いしたいんです。

 私は、この前の細野大臣との質疑の中で、四十年ルールを設定するのはいかがかと言いました。これは無制限にしろと言ったわけではなくて、私の趣旨は、四十年が妥当なのか、もっと精査すべきではないのかという意味で言ったわけでございます。稼働年数のキャップをもう少し下げてもいいんじゃないか。ドイツはちなみに三十二年です。さらに、二十年だろうと三十年だろうと、脆性遷移温度とか炉の耐久性によっては、耐久性が弱くなったら廃炉にするべきだということを言ったわけなんです。

 この四十年ルールに対して、済みません、これも報道なんですけれども、朝日新聞の報道です。自民党さんが修正協議の中で、四十年たったものが劣化しているとは言いがたいというふうに、強硬にこの四十年の廃炉ルールに対しては反対した、そういう報道がされておりました。

 この修正協議には議事録がありませんので、その報道についてちょっとお伺いしたいと思います。済みません。

田中(和)委員 お答えをいたします。

 今、斎藤議員がおっしゃったことと私の思いはほとんど同じでございます。まず、四十年という数字の設定が非常に政治的なものであって、科学的な根拠に基づかない。原発はそれぞれみんな、できたときも違いますけれども、よって立つ地理的な条件を初め数々のことがございます。当然のことながら、独立した三条の機関ができていくわけでございますし、そこで選ばれた委員の皆さんがお決めになるということが当然のことでございます。

 ましてや我が党が、四十年を、プラス二十年の話もありますけれども、それをさらに延ばすべきだというような発言をしたことは一切ございませんし、私は、場合によっては一年で閉めなければいけない炉も起こってくる、このように思っておりますので、誤解のなきように。マスコミの皆さんも正しく報道をしていただかなければならない、このように思います。

 ありがとうございました。

斎藤(や)委員 どうもありがとうございました。

 最後に、今回の野田総理の大飯原発再稼働の方針には、新党きづなとして断固反対で抗議をいたします。

 福島原発事故の国会事故調の結果報告が出ていないのにもかかわらず再稼働を決めているという点、さらに、今回の原発事故は、原子力安全・保安院と原子力安全委員会の安全規制の失敗が大きな原因になっています。いわばA級戦犯である保安院と安全委員会がつくった安全基準で再稼働を決めることに、やはり私は正当性はないというふうに思っております。これはもう間違っているというふうに思います。

 大飯原発だけ特別につくられた暫定基準で再稼働させるのではなく、これから発足する原子力規制委員会がつくる安全基準で再稼働するかしないかを決めるべきであるということを訴えさせていただきまして、私の質問は終わりにいたします。

 どうもありがとうございました。

生方委員長 この際、お諮りいたします。

 議員吉井英勝君、服部良一君、柿澤未途君及び松木けんこう君から委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 吉井英勝君。

吉井議員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、環境省の立ち位置について最初に伺っておきたいと思います。

 本会議での私の質問に野田総理は答弁を逃げたんですが、六月五日の委員会で細野大臣は、地球温暖化の手段として原子力推進という立場にはないと答弁をされました。

 改めて伺いますが、そうすると、地球温暖化対策基本法第十六条から、「特に原子力に係る施策については、」「推進するものとする。」としているこの原発推進を削除するのかどうか、明確にしていただきたいと思います。

細野国務大臣 御指摘の地球温暖化対策基本法案の第十六条でございますが、環境省は原発推進の立場には立たないということからすると、この条文は確かに矛盾するところがあるというふうに考えております。

 国会に提出をしている法案ではありますけれども、これについては、こうした状況を鑑みて、新たなエネルギーに対するさまざまな政策、そして、それと同時に、温暖化の問題についても今政府内で検討が行われておりますので、その選択肢を提示をするという方向の中でしっかりと再検討する必要があるというふうに思っております。

吉井議員 地球温対推進法に基づく目達計画ですね、閣議決定したもの、二〇〇八年三月二十八日に閣議決定されたものが、改めて昨年の十二月二十日にも確認しているんですね。この目達計画からも原発推進部分というのは除くという、こういう立場でやっていかれますか。

細野国務大臣 新しい環境の温暖化の方針が出た段階でそういったことについても見直すということになります。今、中央環境審議会でこのエネルギーの問題を見きわめながら気候変動の問題についての議論をしておりますが、そこでもそのことを徹底をしております。

 つまり、環境省の方で、エネルギーの中で原発が占める割合について判断をすることはしない。それを高めることで温暖化に資するであるとかいう考え方はとりませんので、それは資源エネルギー庁の方で検討をされ、それをそのまま使うようにということで徹底をしております。

 したがいまして、原子力の考え方そのものについてもすべて見直すという、そういう方向であります。

吉井議員 見直していくというお話なんですが、ここをきちんとしないと、環境省はこれまで原発推進の一翼を担ってきたというこの立場が消えるわけのものではありません。

 次に、関西電力の美浜、高浜、大飯の原発で、いただいた公式発表の事故・トラブルを見ると、運転開始から二十年以内の原発で合計百十二件あるんですね。もちろん、事故の予兆と見るべきものが多いんですが、実際、小さなトラブルを見逃して、大規模な、死傷者を出すような事故につながったものもあります。

 中性子照射による脆性劣化というのは、BWRでは、二〇〇二年に問題になったコアシュラウドの亀裂などで、材質をよいものにかえても、二、三年でまた高速中性子でやられてしまってひびが入るとか、PWRの場合は、二〇〇六年五月十二日の国会で指摘しましたが、美浜とか玄海などで上昇が続いて、もう三十年ぐらいで危険領域に近づいていると。これは圧力容器ですよ、脆性劣化で。こういうのが現状なんですね。

 現実に進行している事態は、四十年期限や、さらに二十年延長するというのは一体どういう根拠があるのかと。

 環境大臣と動議提出者に伺っておきますが、速やかに検討とか所要の措置という文言がありますが、いつまでにどのような方向での検討の見直しなのか、これはさらに延長することもあり得るということなのか、伺います。

近藤(昭)委員 貴重な御質問をいただいたというふうに思っております。

 四十年運転制限制度というのは、経年劣化等に伴う安全上のリスクを低減する観点から重要な制度、こういうふうに考えておるわけであります。

 新たな科学的知見に基づいて安全規制を不断に改善し、また、この法案によって新たに設置される原子力規制委員会の委員長及び委員の知見に照らして検証されることが重要である。御指摘の四十年の運転制限の規定を含め、施行の状況を勘案して速やかに検討を加え、安全規制全体に関して見直すというのが、この速やかに検討、所要の措置ということであります。

 このことについては多くの議論があったと思います。私自身は、四十年規制、これから原子力規制委員会という、極めて専門的に、そして独立性を持って、そして今回、さまざまな条項を加えることによって中立性を保つということを加えさせていただきました。この独立した委員会の中でしっかりと規制がされていること。

 今言及させていただきました炉の劣化等々、これは科学的に知見をすれば、それぞれの炉によって非常に違うわけだというふうに思っております。劣化したものによってはかなりの温度で割れてしまうようなものがある、科学的にはこういう知見も出ているわけであります。そうした炉に万が一のことがあったときには、お湯で冷やすような、つまり、余りに冷たいもの、水をかけると破断してしまうようなものもある、こういう知見も出ているわけであります。

 そういう意味では、私は、新しくできた規制委員会がきっちりと知見を持って当たっていくことによって、逆に言うと、四十年、これは基本的に、少なくともという意味であります。それぞれの炉の状況によってはもっと早く廃炉をすべしということが出てくるんだ、こういうふうに思っております。

細野国務大臣 吉井委員は、中性子の脆化の問題を御指摘をされました。非常に重要な御指摘だと思います。もう一つは、機器は全体でできていますので、やはりそのシステム自体の古さというのも非常に気になっております。

 そういったことを考えれば、四十年の運転制限制度というのは必要であるというのが、これが私どもの立場であるということは明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 先ほど、近藤提出者の方からもお話がございましたとおり、それを科学的に確認をするということだというふうに理解をしておりますので、しっかり確認をしていただいて、四十年で運転制限をしていくということが重要ではないかと考えております。

 これは初めて導入した制度でございまして、これまでの経緯も確認をしてきましたが、先ほど斎藤委員から、年限は設けるべきでないという話がありましたが、これは強烈なことなんです。巨大な投資をした電力会社に、それを廃止せよ、設備としてこれはもう完全になきものにするということですから、大変なことなんですね。それはもちろん専門的に判断していただいたらいいと思います。

 専門的に判断していただいたらいいと思いますが、まずは運転を制限をするというしっかりとした法的な意思というのは示しておかないと、やはり専門家もなかなか判断しにくいというのが、これがこれまでの現実でありますから、それをしっかりと法律に書くというのは極めて大事で、これを公明党、自民党の皆さんにも受け入れていただいたというのは大きな意味があると考えております。

吉井議員 脆性劣化の問題にしてもシステム全体の問題にしても、そもそも、三百十億円かけた世界一の規模の大型振動台を売り飛ばしてしまったんですよ。脆性劣化したものの安全性その他を検証する実証実験をやる装置を、三百十億円ですよ、売り飛ばしてしまったぐらいですから、今のように簡単に物を言ってもらうと困ると思うんです。

 動議提出者に一言だけ伺っておきますが、今度の規制委員会に置く審議会で、原子炉安全審査会と核燃料安全審査会のメンバーから、電力及び原子力関係事業者、団体の者を排除するのかどうか、これを一言だけ伺っておきます。

近藤(昭)委員 その欠格要件でありますけれども、審議会等の委員の欠格要件についても、委員長及び委員の欠格要件の趣旨を踏まえて、下位法令において定めるべきものと考えております。

 その意味では、原子力規制委員会の独立した規制上の判断と決定を担保するという観点から、利害関係者である原子力事業者等は排除されることになる、排除されるべきと考えております。

吉井議員 質疑時間の中で意見も表明してくれという話なんで、今から意見を申し上げておきたいと思います。

 昨年の三・一一福島第一原発事故は、全電源喪失によるメルトダウンとその後の水素爆発によって大量の放射性物質を大気中に飛散させ、汚染水を海洋に流出させるなど、チェルノブイリに並ぶ史上最悪の原発事故となりました。

 あれだけ大きな被害を受け、今も約十六万人の人々が避難生活を強いられているときに、事故の深い原因究明と責任、教訓を明らかにして、本来、特別委員会を設置して各党が十分な議論を尽くしてよい法律をつくるべきであるのに、環境委員会という一つの常任委員会での審議で、しかも、三党修正協議がきょう出てきていきなり質疑、採決というやり方は、議会制民主主義に反する暴挙であり、民主、自民、公明三党修正協議と法案審議のあり方そのものについて、まず強く抗議をしておきたいと思います。

 その上で私は、原子力規制委員会設置法案に対し、反対の意見を述べます。

 このような事態を招いた政府と東京電力の責任は極めて重大です。事故を完全に収束させ、放射能汚染の被害から国民の生命と暮らしを守り、二度とこのような事故を起こすことのないように事故原因の徹底究明が不可欠であり、本法案の大前提となるものです。

 ところが、政府や国会の事故調の事故原因の究明が途上であるにもかかわらず、加害者である東京電力は、想定外の津波が原因で、人災でないと責任回避を続けております。野田政権もまた、津波、浸水が事故原因で、地震の影響はなかったという驚くべき断定を行いました。

 これは、再び新しい安全神話を復活させ、大飯三、四号機を初め、原発再稼働に進み、原発輸出戦略の条件づくりであり、断じて容認できません。

 この点でまた、事故の被害を拡大した当時の官邸の混乱のみを菅リスクと過大に問題にすることは、事態を一面的に描くものです。

 これと同時に、三・一一以前の歴代自民党政権の原子力行政のゆがみを徹底的に検証しなければなりません。

 反対理由の第一は、昨年の三・一一福島第一原発の事故原因と教訓を全面的に踏まえた法案となっていないからであります。

 特に、原子炉等規制法で根拠も実証試験もなく、老朽原発の四十年、例外六十年制限としたところ、本法案ではさらに事実上青天井とし、半永久的稼働を容認したことは、政府案を一層改悪するものであり、認められません。

 第二に、原子力規制組織をいわゆる三条委員会としていますが、推進と規制の分離、独立性を確保すべき原子力委員会を環境省のもとに置くとしていることは容認できません。

 環境省は、歴史的にも基本政策の上でも原発推進の一翼を担ってきた官庁であり、今国会に提出している地球温暖化対策基本法案で、温室効果ガスの排出抑制のため原発推進を条文上も明記したままです。これの削除と根本的な反省なしに真の独立は担保されません。当然、電促税を財源とする財源面でも問題であります。

 第三に、原子力基本法を改め、原子力利用の目的について「我が国の安全保障に資する」としたことは、いわゆる原子力平和利用三原則にも抵触するものです。

 また、国際的動向を踏まえた放射線対策と称して、内外の批判の強いICRP、国際放射線防護委員会の線量基準などを持ち込もうとしていることも認められません。

 最後に、我が国の原発政策の根幹をなす日米原子力協定と電源三法のもとで、原発安全神話をつくり上げ、地域住民の反対を押し切って原発を推進してきた歴代自民党政権の、政財官学の癒着した一体構造そのものにメスを入れる必要があります。

 地域独占体制と総括原価方式に守られた、電力会社を中心とする、原発メーカー、鉄鋼、セメント、ゼネコン、銀行など財界中枢で構成する原発利益共同体ともいうべき利益構造を解体することと、そして、再生可能エネルギーの爆発的普及とその仕事を地域経済の再生に結びつけ、エネルギーでも地域経済でも原発に依存しない日本社会への発展の道こそ、政治的決断をするべきものであります。

 以上申し述べて、私の発言を終わります。

生方委員長 次に、服部良一君。

服部議員 社民党の服部良一です。

 早速質問させていただきます。

 新規制機関が発足しない中での大飯原発三、四号機の再稼働を決めるということはあり得ないということを申し上げてきたわけですが、まず、動議提出者にお伺いいたします。

 本法案が成立し、原子力規制委員会が発足したら、ストレステストを導入した昨年七月十一日の三大臣文書「我が国原子力発電所の安全性の確認について」と、総理以下四大臣で政治的判断をする枠組みは当然失効するというふうに思いますけれども、それをどう認識されているか、これが一点です。

 それから、少なくとも大飯以外の原発について、原子炉等規制法の改正に基づき策定される新たな安全基準とバックフィットによる適合が確認されなければ再稼働できないというふうに私は理解しますけれども、本法案の立法趣旨からしてそういう理解でいいのかどうか。

 その点、二点お尋ねいたします。

大谷(信)委員 この法案ができたことにより、新たな規制組織である原子力規制委員会が設置されることになります。他の行政機関や政治的な影響から独立した技術的、専門的な観点から、原発の再稼働についての手続も改めて検討されることとなります。

 この法案が施行されると、既に許可を受けた原子力施設も、最新の知見を踏まえた新たな安全性の基準に適合させるいわゆるバックフィット体制が導入され、この新たな基準に適合しない原子炉施設に運転は認められないということに理解をしております。

 それとあと、三大臣、四大臣の枠組みというのは、ちょっと私の方では、政府のことでございますので、答えられません。

服部議員 それでは、同じ質問を細野大臣にさせていただきたいと思うんですけれども、今の答弁に対してどういう御意見をお持ちか。

 というのは、これは新聞報道ですけれども、仙谷さんが、「ストレステストが済めば、その他の原発も粛々と動かすべきだ」ということをおっしゃっているんですね。報道ベースなので、その真意のほどはわかりませんけれども。

 そういう意味で、新しい規制機関が発足する中で、一体どういう精神でこれをやろうとされているのか、そこはきちっと私としては問う必要があるという意味で、大臣としての答弁を求めたいと思います。

細野国務大臣 新しい原子力規制委員会が誕生すれば、定期検査中の原子力発電所の再稼働についても、また、稼働中の原発の継続についても、全てそこで判断されるということになります。

 したがって、先ほど大谷提出者の方から、バックフィットの件につきましては、政府の考え方も踏まえて御発言をいただきましたけれども、そういったものが適用されるということに制度上ももちろんなるわけです。

 ですから、そこも含めて全ては新しい組織の専門家の判断ということになりますので、私から、こうするべきだというようなことについての発言をする立場にはない。まさに独立した委員会ができるわけですから、そこでしっかりやっていただくということだと思います。

服部議員 ですから、私の質問のもう一つ、ストレステストを導入した七月十一日の三大臣文書及び四大臣での政治判断の枠組み、これはもう失効するという理解でよろしいですね。

細野国務大臣 ストレステストは行政指導でやりました。当時の状況からすると、そのままストレステストを課していなければ秋から順番に再稼働していましたので、そういう状況はやはり日本社会においては認めがたいだろうということで、菅総理の判断で昨年の夏、ストレステストが導入されたわけですね。

 その扱いをどうするかも含めて、それは新しい規制組織で考えるものというふうに思います。

服部議員 法案趣旨説明者によると政治の判断だと言われるし、ちょっとそこがはっきりしないなと思いますけれども、いずれにしてもこれは、我々とすればやはり、当然失効して、そして新たな規制組織の中でやるものだというふうに今は理解をさせていただきたいと思います。

 それから、四十年の問題については、先ほどから議論になっていますけれども、新聞報道では、骨抜きではないかというような報道も出ております。

 先ほどの田中委員の答弁ですと、そういうことではないんだということなんですけれども、確かに、四十年たっていないのに脆性遷移温度が非常に高くなっていると懸念される炉もあるという中で、これは厳格化もあり得る、例えば、四十年を短縮したり例外的な延長規定を削除したりすることもあり得る、そういう趣旨だということでよろしいんでしょうか。再確認でお願いします。

大谷(信)委員 はい、そういうことです。

服部議員 ただ、法文をそのまま読む限りにおいては、本当にそのまま信用していいのかなという、そこは実は我が党もこの法案の賛否に非常に迷うといいますか、懸念をしているところでございます。

 そうしますと、細野大臣も、この四十年制限というのは非常に政府提出案の肝だということをおっしゃってこられたわけですが、先日、美浜二号について、経年劣化の評価について延長もあり得るというような、これは駆け込みで審査したんじゃないかというふうに言われるわけですけれども、この美浜も含めて、今回、この新たな規制委員会で四十年を延ばすか延ばさないか、これは改めて議論をされるという理解でよろしいんでしょうか。

細野国務大臣 御指摘のとおりであります。

 美浜の二号機で行われたのは高経年化の技術評価ということですので、これは、動いていなくても、プールの中には燃料がありますから、安全についてやはり確認をすべきだということでなされたものです。ですから、再稼働について判断をしたものでは全くありません。

 この美浜の二号機も含めて、この法律に基づいて新しい規制組織でしっかりとやっていただくということであります。

服部議員 それでは、バックフィットの運用ルールについて、先日、私の本会議での質問に対して、個々の対策に応じた適切なルールを設定することが必要というふうに大臣が答弁をされております。

 その原則についてお聞きしたいんですけれども、例えば、新たな基準を適合するまでの猶予期間を仮に設けるとして、その間の運転は認めるのか、あるいはそうでなくて、一旦停止をして対応して、そして期限までにできないということになれば、許認可の取り消しだとか廃炉にするというふうなそういうやり方をされるのか、基本的なこの運用ルールの原則、これについてお尋ねをいたします。

細野国務大臣 そこも、一言で申し上げるならば、新しい規制組織の判断ということになろうかと思います。

 今、服部委員がおっしゃったようなやり方も確かにあると思うんです。ただ、結果的にそのことによって、例えば一定の期間、何年かかかるような対策を突貫作業でやられても、これも困るわけですよね。ですから、時間をかけて着実にやるべきものというような場合に、その猶予期間については稼働を認めるか認めないのか、それは一概には言えないですから、ケース・バイ・ケースの判断になろうかというふうに思います。

 ただ、はっきりしていることは、バックフィットで対応できないものとなったものについてはこれは運転しないということでありますから、この原則はしっかりと確立をしているということでございます。

服部議員 その点についても、今まで安全だと決めつけて曖昧な対応をとってきたということがこの間の事故にもつながっているわけですので、その点は、どういう具体的な適用をするか、これはぜひとも慎重に検討いただきたいと思います。

 それから人事の問題です。修正案に規制委員長あるいは委員の寄附制限が追加されたということは評価しますけれども、罷免の要件に寄附制限違反というのは含まれるのか。あるいは、委員長、委員の経歴制限についてはどのような認識をお持ちなのか。

 それから、二つの専門審査会の委員やその他の外部有識者についても、経歴制限あるいは利益相反排除、寄附情報の公開等について明確なルールが必要ではないかというふうに思いますけれども、その点について提出者にお尋ねいたします。

大谷(信)委員 委員長、また委員、それから外部の人も含めてですけれども、これは中立公正な立場で仕事をしていただくことはもうもちろんでございますし、そのためにいろいろなことを考えていきたいというふうに思っておりますが、一方、原子力事業者と全くかかわりない方だけの専門家ということも、これまた、一つ大事なところの視点が抜けてしまうというふうに考えております。

 そのため審査専門委員については、少なくとも、委員に就任できない場合は、個別の許認可等の審査に参加できない場合を明確にしておくとか、原子力事業者との関係について情報公開を徹底するとかなど含めて、利益相反しない厳密なルールをしっかりと検討、作成していきたいというふうに考えています。

服部議員 政府案の審査専門委員については厳格なルールが必要だということを大臣も御答弁されているわけですけれども、有識者についてのルール策定もお約束いただけるのではないかというふうに思っております。その点、ちょっとお尋ねいたします。

 それからさらに、中途採用者や技術参与などの非常勤職員の採用基準とか利益相反排除についても厳格なルールが必要だというふうに考えております。在籍出向はあり得ないというふうに答弁されているわけですけれども、これについてもルールを設けるということでいいのかどうか。

 いずれにしましても、有識者の部分も含めて中立的な人事監視の仕組みが必要だというふうに思いますけれども、これについてまとめて答弁をお願いしたいと思います。

細野国務大臣 多くの点を御指摘をされましたので、全体としてまず申し上げると、審査専門委員や技術参与も含めて、何らかの判断に影響を及ぼし得るそういう専門家が、疑念を持たれるということがあってはならないと思います。

 したがって、二つあると思っていまして、一つは、やはり一定の基準を設けてそれを採用していくということです。もう一つは、徹底した情報公開をしていくということだというふうに思います。

 もちろん、最大限、例えば電力会社からなどの影響力は排除するようなガイドラインを設けたいというふうに思いますが、先ほど大谷委員も言われたように、全ての電力会社の関係を断ち切ってしまった場合に、技術のわからない人だけ集まってもこれは意味がありませんので、そういった場合には、徹底した情報公開をすることによって、その事実も知っていただいた上で役割を担っていただくということになるのではないかと思います。

 その際も、個別の審査には、例えば電力会社から何らかの金銭の授受があったメンバーの場合には、その当該電力会社の許認可にはかかわらないなどの厳格な運用というのもあわせて必要だと考えております。

服部議員 原子力委員会で問題になりました非公式会合の禁止であるとか、あるいは、事業者等への情報照会等にかかわる明文のルールが必要ではないかというふうに思いますけれども、その点はどうでしょうか。

細野国務大臣 情報公開の徹底と透明性というのは、新しい組織にとって死活的に重要であるというふうに思っております。

 御指摘のような、実質的な議論が秘密裏に行われるような会合、そういったものはこれはあってはならないというふうに思っておりまして、委員会の会合の開催とその公開について一定のルールを設けることを検討してまいりたいというふうに思っております。

 また、事業者との接触ということについて、これもいろいろな疑いを持たれかねないというふうに思います。

 繰り返しになりますが、事業者と全く接触せずになかなかその本当のところの規制はできないという面がありますから、そういう必要な接触というのはあると思うんです。あると思うんですが、そういったものを例えば記録にしっかり残しておくとか、そういったことも含めて対応が必要ではないかと考えております。

服部議員 国民が大変な不信を持っている中でこの規制委員会がまさに発足しようとしているわけで、旧態依然の人が集まって本当に規制ができるのかと。この不信というのは、国民の中から払拭できていないと思うんですね。

 そういう意味で、いろいろきょう答弁いただいておりますけれども、そういう趣旨でしっかりとした規制機関としてやっていただきたいということを強く申し上げ、また、そういったことがない中で再稼働が強行されているということに改めて抗議を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

生方委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤議員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 再び委員外発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 内閣提出の原子力規制庁法案、自公の原子力規制委員会法案、修正協議で一本化が図られ、新たな法案が提出をされました。きょう、採決も予定をされているわけであります。

 しかし、なぜこれほど急ぐのか。規制組織のあり方を含めた提言を行うこととなっている国会事故調の提言が今月中には出てくるわけです。黒川委員長をお呼びして話を聞いて、法案をつくればよいではありませんか。なぜ、国会事故調が結論を出す前に急いで法案を通そうとするのか。国会事故調の提言が出てしまうとよほど都合の悪いことでもあるのか、こういうふうにも勘ぐりたくなってしまいます。

 こうして急ぎ足に法案を成立させようとしている、こうした意図は何であるのか、お伺いをしたいと思います。

田中(和)委員 お答えをいたしたいと思います。

 私も先般、同趣旨の質問をこの場でいたした経過があります。三月十一日の、昨年の未曽有の大震災、それを受けて福島原発で大変な事故が起こったわけです。この世界に及ぶ影響や、国民の全ての人たちが大変な不安の中にある状況の中で、政治がどういうふうに動くかということは非常に重要なことであります。

 私たちは、本当は昨年の臨時国会ででもこの法案は審議されて成立を図るべきであった、このように思っておりました。

 そして、ことしの一月三十一日に政府案が国会に提出されたわけでございます。そして、その内容は、みんなの党の皆さんも指摘されておりますけれども、独立性に非常に欠けておる、こういうことでございまして、我々はそれから自民党、公明党で汗をかきまして、四月二十日に我々の議員立法案を国会に出しました。

 しかし、その時点でちょうど参議院での問責決議でございまして、国会の状況等を含めて今日になったという現実は、私は極めて遅過ぎるという認識の中でこの問題を取り組んでおるわけでございます。

 いずれにしましても、そういう中で私たちは今国民の期待にどう応えていくのか、この視点から、今回はいろいろなことはございます。議会に事故調が設けられて今まだ結論が出ていない状況もよく私たちは理解しております。ただ、今、この法律を、この国会の会期等々考えるときに、やっておかなければならない、この責任を国民に果たしていかなければならない、こういう認識に立って、三党で修正協議、長時間にわたって行ったわけでございますが、今日、皆様方に案を提出したということでございます。

 以上でございます。

柿澤議員 私は、国会事故調がこれから提言を出そうという、結果的にその直前です。この時期にこの法案を成立をさせてしまう、この一点だけでも、本法案には正当性が欠けているというふうに思います。国会事故調、全会一致で設置をした国会の意思の自己否定、こう言っても差し支えないと思います。

 その点からやはりこの法案には賛成することはできない、こういうことを申し上げておきたいと思います。

 法案の内容も、政府案と自公の対案を足して二で割って、重要なところで骨抜きが図られているのではないでしょうか。専門家でもない政府首脳が事故対応に無用かつ有害な介入をしてくるのを避けようという意図が自公案にはあったと思います。

 しかし、今回、修正案で、内閣総理大臣を議長、環境大臣を事務局長とする原子力防災会議を置くことになりました。原子力規制委員長はその原子力防災会議の副議長ですから、結局、内閣総理大臣の下に置かれている形です。これでは、事実上現在と変わらない。政治介入を許す余地ができてしまっているのではないでしょうか。

 仮に原子力防災会議が必要であるとしても、事故対応において原子力規制委員長を真に独立した存在であらしめるとするならば、原子力規制委員長に、少なくとも、事故対応中には、例えばこの原子力防災会議における拒否権を伴う優越的な地位を与える、こうしたことをやるべきではないかと思いますが、御見解をお尋ねいたします。

田中(和)委員 原子力防災会議は、あくまでも、平時における原子力防災を政府を挙げた体制で強化するためのものでございまして、内閣に設置をされます。

 しかし、今お話がありましたように、私ども自民党・公明党案は、三条委員会の組織ということで、徹底した独立性を尊重する組織でなければならない、こういうことに努めてまいりました。今回の我々の修正協議案もその趣旨から全く外れていない、こういう認識に立っています。

 といいますのは、総理も含めて政治的レベル、委員会以外の人たちが専門的な分野の発言や行動、指示をすることはできないわけでございまして、このことはしっかりと担保された制度になっておりますので、決して、議長が総理で、副議長が委員長だからということでは全くございません。

 議長であろうと副議長であろうと、その関係は上下関係ではございませんし、専門的な分野には、委員会あるいは規制庁側のことに対して一切干渉ができないということを明確に申し上げておきたいと思います。

柿澤議員 この点については、田中先生がそういう決意である、そういう読みであることは私もよくわかっています。

 しかし、現実には、事故発生時の総合的な施策の実施、こういうことが原子力防災会議に所掌事務としてつけ加えられている。こういう点を解釈をすれば、場合によっては、どこまでが専門的な知見を要する事項かということの解釈次第によっては、やはり、これは政治的な介入の余地が与えられる、こういうものになってしまっているんではないかと思うんです。

 もう一つ、ノーリターンルールについてですが、「原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めない」、こういうことになっています。しかし、そもそも「原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織」というのは、これはどの範囲なのか、省なのか局なのか部なのか課なのか、この点、お伺いをしたいと思います。

 もう一つ、ノーリターンルールに五年間の経過措置を設けたことで、実は、最も重要な立ち上がりの五年間、安全基準をつくり直して、そして体制の見直しをする、こうしたことを行う時期を事実上推進官庁からの出向者が取り仕切ることができる、そしてその人たちは、安全基準、大事なところをつくってまた推進官庁に戻っていく、こういうことができる余地が残されてしまったのではないかと思います。

 この点、私には骨抜きとしか思えませんが、御見解をお願いいたします。

田中(和)委員 国家行政組織法上、国の行政機関は、省、委員会及び庁を言いますけれども、「原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織」とは、これらの機関が原子力利用の推進に係る事務を所掌する場合を言っておるわけでございます。例えば、警察庁とか防衛省などがそういう対象になるのではないかと考えております。

 そして、今お話がありました問題でございますけれども、五年間の間、ノーリターンを決めた上で、その間、特別な措置として、本人が能力がないとか、今後どうしても規制委員会、規制庁の仕事の中になじまないとか、そういう事情があったときに実は許可をするものでございまして、決して、政府側、政治側の人たちが新しい組織の中に入ってきて、自分たちに都合のいい制度やシステム、ルールをつくって、またそれが戻っていくというような、そういう悪意に満ちた、我々と全く違う、関係のないひどい状況でこの運営がされるということは、絶対にあってはなりませんし、そうさせてはならない。

 そして、委員の人たちも、そういうことをきちっと守って管理監督、指導ができる人たちを国会の中で選び出したい、このように思っております。

柿澤議員 御決意はよく理解できます。しかし、それならなおさら、なぜ五年の経過措置を設けたのか、こんな気もするところです。

 天下り規制もよくわかりません。「職務の執行の公正さに対する国民の疑惑又は不信を招くような再就職を規制する」、これはいかなる意味なんでしょうか。誰がそれを判断してストップをかけるんでしょうか。

 天下り根絶といった場合に対象となるのは、現政権においては、省庁のあっせんがあった場合のみであるはずです。さんざん議論をしてきました。そうでない再就職をどう規制しようというのか、お尋ねを申し上げたいと思います。

田中(和)委員 この規定を設けた趣旨というのは、原子力規制庁の職員が原子力事業者や原子力利用の推進官庁からの不当な影響を受けることがないようにするとともに、原子力安全規制に対する国民の信頼を確保することにあることは当然でございます。

 具体的には、特定の原子力施設の検査業務に専属的に従事していた者が、その原子力施設を保有する電力会社に再就職するようなことだとか、原子力規制庁発足後に退職を迎えた者が、原子力関連以外も含めた出身元官庁の関係団体や関係企業に再就職することなどを徹底的に規制する、こういうことを考えております。

 このような規制については、原子力規制委員会において内規が定められ、適切な運用が図られていくものだと考えております。

 なお、国家公務員法上、営利企業等への再就職について公表制度がございますので、そのもとに、不断の監視、国民の監視のもとに置かれる、このように認識をしております。

 以上でございます。

柿澤議員 御答弁をいただいた田中先生に今後それなりのポストについていただいてこの履行監視をしていただければ、間もなくそういう機会もめぐってくるでしょうから、ぜひ御期待を申し上げたい、こういうふうにも思います。

 規制委員会の人選についてですが、原子力村に無縁の専門家なんて、国内には皆無と言っていい状況ではありませんか。規制行政が電力事業者と癒着していて、安全検査も電力事業者におんぶにだっこ、それで幾ら組織の独立を言っても、結局これは何も変わらないと思うんです。根本的な安全文化の立て直しが求められていて、日本がそれをできるのか、世界が注目をしている。

 今回の法案も、NRCを初めとする海外の事例を参考にしているわけですから、この際、当面の期間、まさに国際標準に合った安全規制のあり方をやはり日本において実現していくために、この原子力規制に専門性と知見を持った外国人の起用を検討すべきではないかというふうに思います。

 そういう意味では、規制委員会の委員の人選、幹部の人選にもそうした方々に入ってきていただく、このことが必要なのではないかと思っておりますが、そうしたことについて御見解をお尋ね申し上げたいと思います。

田中(和)委員 私どもも、今の日本の状況を考えるときに、世界の知見、優秀な人材の頭脳というものをこれから取り入れていくべきだと、このように思って議論してまいりました。

 その中で、この組織、委員会並びに規制庁の組織というのは、やはり公務員なんですよね、考えてみれば。公務員ということになれば当然決まりがあるわけでございまして、外国人はその任に当たることができません。

 そこで、我々も知恵を絞りまして、いろいろと考えまして、国外の大学や研究機関等から専門的な知識や経験を有する者を積極的に登用するということを定めておりますし、もう一方、参与だとか顧問などの職として活用できるのではないかと、このように考えておりまして、ぎりぎり、そういう外国の皆さんの知恵も能力も、我々のこれから活動の中に、大切なこの委員会や組織の中に、私は使わせていただけるようなことができるのではないかと思っております。

 柿澤議員の御趣旨、よく承って、我々も提出者として重く受けとめておきたいと思います。

柿澤議員 細野環境大臣の御奮闘にも日ごろから敬意を表しているところでございます。立派な大臣だと私も思っておりますけれども、ぜひ田中環境大臣の誕生を心よりお待ちを申し上げて、質問は終わりたいと思います。

 以上です。

生方委員長 次に、松木けんこう君。

松木議員 新党大地・真民主の松木けんこうでございます。

 また委員外でこういう質疑をさせていただけること、皆さんに本当にありがとうと言いたいところでございます。

 今回、政府の案と、そして自民党と公明党の皆さんが一生懸命案を考えられた。そして三党で合意をされたということなんです。いいことだと私は思いますけれども、ただ、うちの党なんというのはわけあり集団と言われている党ですから、私たちぐらいは無視しても構わないけれども、しかし、ほかにも党がいっぱいあるわけですから、それぞれが民主党に近い人たち、そして自民、公明党と近い野党の人たちでも何でも結構なんですけれども、ちょっと工夫をされて、そういう人たちの意見も聞くようなそういう時間をちょっとでもつくれば、これはまただんご三兄弟みたいなことを言われなくて済むと私は思うんですよね。

 ぜひそこら辺は、今の消費税のことでも同じことをやっているわけですけれども、ちょっとの工夫をぜひこれから、またの機会で結構でございますので、ぜひしっかりしていただきたいなというふうに思います。

 そして今回は、ベストミックスということで、譲るところは譲り合って、そして主張するところは主張し合って新しい原子力規制庁のこの法案をつくられたということだというふうに思います。

 その中で、特に問題点だった、あるいは、やはり話し合ったからこういういいものができたというのはあると思うんですけれども、ずっと今質疑を聞いていまして一つ思ったのは、総理大臣の菅直人さんリスクですか、大したものですね、名前までついてリスクになっちゃうんですからね。とても私にはできないことでございますけれども、こういう話が随分ありました。

 しかし、どうなんでしょうね、まず自公の方々にちょっと聞きたいんですけれども、この委員長が全権を握っているということになるんですか。政治家には責任は余りとらせるようなところはないんですか、これは。そこら辺をちょっと教えていただきたい。

吉野委員 お答え申し上げます。

 松木先生の奥さんの御実家は福島大熊町でございまして、今避難をされております。ですから、福島の事情をよく御存じだと思います。

 まさにそこなんです。みんな、全て規制委員会が仕切るんだと思っているんですけれども、規制委員会と、もう事故ってますから原災本部、いわゆる総理大臣、ここが本当に一緒になって事故の対応に当たらねばならないんです。

 ですから、そこの専門的な部分、いわゆる物理現象、ここのところは専門家である規制委員会が行い、ここから、きちんとこうしなさい、ベントをしなさい、海水を入れなさいということの答えがあれば、それを受けて原災本部長である総理大臣は、自衛隊を使ったり消防を使ったり、いかに住民の避難をさせていくかという、ここに基本的な役割分担があろうかと思っています。

 ですから、どっちがどっちなんだということじゃなくて、本当に規制委員会と原災本部が一緒になって事故対応に当たっていかなければならないと思っております。

 以上です。

松木議員 この間の質問のときに細野さんが、しかし、政治家がやはり決断しなきゃならないことがオンサイトにおいてもあるんだというお話がありました。

 ここら辺、確かに、今回いた総理大臣には問題もあったでしょうし、こういう同じようなことは二度と起きないような気もしますけれども、しかし現実には起こっちゃったわけですけれども、私は、政治家が最終的にはいろいろな責任を負うということというのがやはりあった方がいいだろうというふうに思いますので、これから原子力規制庁というのは開いて、それから、物事というのは一〇〇%いいものというのはまだありませんね。ですから、どうですか、ちょっとやはりそこら辺を譲ったわけでしょう。

 ぜひまたこれからもそこら辺は、やはり政治家というのは最終責任をとるということを常に頭に入れながらやらなきゃいけないという点において、これで終わりじゃなくて、これからも、ぜひ与党、野党の中心的なところがやはり話し合いを続けていくのもよかろうかなというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

細野国務大臣 いろいろと私にお気遣いをいただきまして、ありがとうございます。

 私は、今回の三党で合意をした案というのは、いろいろなバランスを考えた上で御判断をいただいたというふうに思っています。総理の指示権は残しながらも、技術的、専門的なことについては、これは指示権を発動できないようにする。そのことによって、そこはバランスがとれた部分があるというふうに思います。

 もう一つは、オフサイトについては、これは政府全体で取り組まないと、防災訓練なんかもそうですし、立地交付金なんかもそうなんですけれども、対応し切れませんので、そこについては、防災会議というのをつくっていただいたのが、私は、形としては非常にうまく機能するようにできるんじゃないかと思っています。

 問題は、先ほど吉野先生がおっしゃったとおり、では、この独立した三条委員会、環境省のもとに置かれるこの三条委員会と内閣府の防災というのをどううまく連携していくのかと。形は全く違う組織になっていますから、そこが最後の肝だろうと思うんです。

 私は、昨年の事故を経験して、オンサイトとオフサイトというのは、まさに一体的に機能しないと事故に対応できないということを身をもって体験をしました。ですから、そこのつなぎ役を環境大臣がやるというのが、恐らく、法案をつくっていただいた皆さんの趣旨もしっかりと踏まえて現実的な事故にも対応できるという、そういう体制なのではないかと考えております。

松木議員 かなりいいものができたということで、おめでとうございます。国民も安心する第一歩になるんではないかなというふうには思います。

 そこで、原子力というものを、将来、脱原発と言う人もいるし、やはり原発を使っていかなきゃならないと言う人もいるし、いろいろな方がいると思います。私も私なりの意見はありますけれども、それはおいておいて、脱原発だろうが、このまま原発をある程度使っていくだろうが、いずれにしてもやらなきゃならないことがあるんですね。

 それは何かというと、最終処理の問題です。これはどっちにしたって、今やめると言ったって、もういろいろなものがあるんですから、こういうものをやはりしっかりやっていかなきゃならないというふうに私は思います。

 であれば、どっちの方向に行くにしても、やはり、そういう技術者なり担っていただく方々を育てていかなければ絶対いけないんですね。これはやはりこれからも予算をしっかりつけてやっていくべきだというふうに私は思っておりますけれども、そこら辺は、もしよかったら細野さんから、御意見があったら。

細野国務大臣 御指摘いただいたとおりだと思います。

 原発の数が少なくなるというのは、これはもう政府の方針でもあるし現実でもあるというふうに思うんですが、使用済み燃料は残りますので、それにどう向き合っていくのかというのは、国家的な課題といっても言い過ぎではないというふうに思います。

 原子力委員会の小委員会の方でも、全量直接処分や再処理、また、この組み合わせも含めて三つの案を出しておりますが、どの案をとるにしても、最終処分の問題は出てくるわけです。ですから、そこにしっかりと向き合うことは、国家として絶対に欠かしてはならないと思います。そして、そのときに一番重要なのは、今、松木委員が言われたように、技術者をしっかり確保するということです。

 残念ながら、今、原子力というのは魅力がなかなかないと言われていて、専門家が集まっていません。このまま例えば十年たち、二十年たち、廃炉まで三十年から四十年、そして使用済み燃料ということになると、その先もこれは技術者を確保するのは、並大抵のことではありません。

 ですから、原子力の専門家というのも、これまでのような推進サイドの専門家ではなくて、むしろ、使用済み燃料の取り扱いとか、環境問題とか、安全とか、そういったことでしっかりと学べるような、産業のあり方自体も変えなきゃならないし、人材育成もやり方を変えなければならないのではないかと考えております。

松木議員 大変いい答弁だと思います。ぜひそういうふうにして頑張っていきましょう。

 給料も少し高くしてやらなきゃいけないかなと思いますよね。だって、みんなやりたくないんだから。やりたくないんだったら、そこでいい人材を本当に確保しようとしたら、やはり給料を上げなきゃだめだということもちょっと頭に入れておいてください。

 あとちょっと私ごとの話を、あと五分ありますので、お話しさせていただきます。

 さっき吉野先生からお話がありましたけれども、私の妻は大熊町というところの出身で、父と母も、そして家族も、全員大体大熊町に三月十一日もおりました。そして、残念ながらああいう事故が起きて避難をしたということでございまして、郡山高校の体育館でしばらく避難生活を余儀なくしておりました。

 私も、なるべく早く顔を見たいなと思って、その体育館にも行ってきました。大熊町の町民の皆さんが、同じ体育館でみんな一緒になって寝ていました。大変だなと思っていました。残念ながら、三日後にうちの母がその体育館で倒れました。そして、一年間入退院を繰り返して、やはり大熊に帰りたい、そういう言葉を残して、残念ながら先週亡くなりました。八十三歳ですから、それなりに人生もいただいた母親だったんじゃないかなというふうには思いますけれども、葬式をやったときに、私、非常に思ったことが一つあるんです。

 というのは、私の父は大熊町の町議会議員を三十年やっていました、町議会議長もやりましたし。ということは、私は今民主党でもなくなりましたけれども、要するにうちのおやじは自民党なんですよ、自民党だった。ですから、農協共済の組合長それから葉たばこの問題だとか、いろいろなありとあらゆる役職についていた、典型的な田舎の、しかし有力者というか、地域の人たちのお世話係みたいな雰囲気のおやじだったんですね。

 それで、葬式があった。しかし、葬式があっても誰もお参りには来ませんでした。それは松木君、嫌われていたんじゃないかなと言うかもしれない。そんなことはないんです。意外と好かれていたおやじだったと思うんですね。というのは、もう連絡がとれないんですよ、全然。確かに、福島の葉たばこの関係から花輪は来ていたんですけれども、九九%が私のものなんです。ほとんど連絡がとれない。そして、うちの母の本当に仲のいい人は町内にいるんです。やはり顔を見せなかった。もうわからない。

 そして、もう一つびっくりしたのは、親戚が集まったわけですよ。そうすると、おい、あいつどうしたんだ、いや、実は三カ月前に死んだんだよ、こんなのまでありました。要するに、もう地域が破壊されているんですよね、残念ながら。

 というのは、こういう大きな事故があったので、一年ぐらいはこれはしようがなかったかなというのもあります。しかし、もう一年数カ月たっている。消費税のことをみんなで話し合いするのもいいけれども、私はやはり、この原発のこういうことをいち早く解決してもらいたい。自分の家族のこともあるもので、随分私的なことをお願いするみたいで申しわけないところもありますけれども、本当に私はこれは大切なことだというふうに思います。ぜひこれからも、早くこれが済むように努力をしていただきたい。

 細野さん、あなたは若いし、吉野先生にしても私なんかも大体死んでいくんだから、あなたは将来総理大臣になるかもしれない。別にそれはよいしょしているんじゃない。これは、いい政治家になってもらうための本当にすごい経験を今していると僕は思う。ぜひこういう経験も生かしてこれからもっともっと立派な政治家になってもらいたいし、そして、この原発の問題、本当に早く解決をしていただきたいと思います。

 御所見があれば、もう時間が来ましたけれども。

細野国務大臣 お母様の件、お話を聞かせていただいて、本当に申しわけないという気持ちでいっぱいでございます。

 私もあの郡山の体育館へ行きましたけれども、大熊の方が本当に大勢おられて、本当に御不自由な生活を送っておられました。体調を壊された方もたくさんおられたんだろうと思いますので、心よりおわびを申し上げたいと思います。

 原発の事故への対応ということで今一番大事なのは、皆さんに、どこで生活をしていただくのか、そういう将来展望を示すことだというふうに思っています。もう一つは、やはり経済的な問題もありますから、賠償についてしっかりめどをつけることだというふうに思っております。

 私にとりましては、国政の課題はいろいろありますが、それが一番大事な課題だ、その思いで取り組んでまいりますので、ぜひ御指導をこれからもよろしくお願い申し上げます。

松木議員 時間が来ましたので、これで終わります。

生方委員長 以上で発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 次に、本法律案の提出に際しまして、近藤昭一君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による原子力規制委員会設置等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田中和徳君。

田中(和)委員 ただいま議題となりました原子力規制委員会設置等に関する件につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    原子力規制委員会設置等に関する件(案)

  政府は、「原子力規制委員会設置法」を施行するに当たっては、次の事項に留意し、その運用について万全を期すべきである。

 一 本法律が、「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資すること」を目的としていることに鑑み、原子力規制行政に当たっては、推進側の論理に影響されることなく、国民の安全の確保を第一として行うこと。

 二 原子力規制庁の職員の人事については、本法律が原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、全ての職員に原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織へのノーリターンルールを適用することとしていることに鑑み、法施行後五年以内にあっても、可能な限りその趣旨に沿った人事を行うこと。

 三 原子力安全規制の専門技術的事務を担う独立行政法人原子力安全基盤機構の統合は、一体的な原子力安全規制行政の確保に不可欠であることに鑑み、統合のための法制上の措置が可能な限り速やかに行えるよう、関係の行政機関が一体となって取り組むこと。また、その職員の引継ぎに当たっては、現在の給与水準の確保及び専門的な知識及び経験を要する職務と責任に応じ、資格等の取得の状況も考慮した給与の体系の整備その他の処遇の充実のための措置を行うこと。

 四 原子力安全規制の独立性を確保するためには、職員の原子力安全に関する能力等の向上を図ることが重要であることに鑑み、国際機関や国内外の大学や研究機関との人事交流や職員の研修制度の充実のための措置を行うこと。

 五 東京電力福島第一原子力発電所事故においては、緊急事態応急対策拠点施設、いわゆるオフサイトセンターが機能しなかった反省に鑑み、原子力防災対策に関し現地での実効性を担保するために、オフサイトセンターを原子力施設から適切に離れた場所に設置すること。また、その場所は、原子力施設近傍の原子力災害を受けない場所に第二オフサイトセンターを新設するのではなく、県庁等の関係者の参集が容易な交通手段が整い、情報収集や指示・命令の情報伝達を行う通信の確保が図りやすい場所を基本とすること。

 六 原子力災害において、避難が遅れた住民の安全の確保が図られるよう、放射線防護のための一時避難が行える施設を整備すること。

 七 今回の東京電力福島第一原子力発電所事故から、緊急時の防災は平時から防災に対する備えが重要であるとの教訓を得たことに鑑み、原子力防災会議と原子力規制委員会は平時から緊密な連携関係を構築し、防災体制の一体化を図ること。

 八 内閣に置かれる原子力防災会議及びその事務局長、事務局の在り方については、原子力災害を含む大規模災害への対処に当たる政府の組織の在り方についての抜本的な見直しの方向性を踏まえつつ、この法律の施行後三年以内に行われる原子力利用における安全の確保に係る事務を所掌する行政組織に関する検討と併せて、その見直しを行い、必要な措置を講ずること。

 九 地方公共団体、住民等が編成する地域の組織と、国、原子力事業者及び関係行政機関等との緊密な連携協力体制を整備するため、フランスにおける原子力透明化法に規定される地域情報委員会制度等、諸外国の事例等を踏まえつつ、望ましい法体系の在り方について検討し、必要な措置を速やかに講ずること。

 十 第十一条第四項の内部規範を定めるに当たっては、原子力規制委員会は、以下の各点の規定を設けること。

  1 委員長若しくは委員個人の研究又はその所属する研究室等に対する原子力事業者等からの寄附について、その在任中のみならず、その就任前直近三年間についても、寄附者及び寄附金額を公表する旨の規定

  2 委員長又は委員が、その在任中、原子力事業者等から寄附を受けてはならない旨の規定

  3 委員長又は委員に就任した者が研究を指導していた学生の原子力事業者への就職について、その原子力事業者名、事業者ごとの就職者数等を公表する規定

 十一 原子力規制委員会が行う原子力事故の原因の調査に関する事務については、原子力行政において過去に原子力事故やトラブルの隠蔽がされてきたことへの反省に立ち、事故等の規模にかかわらず、国民に対し、速やかに全ての情報を公開することを旨として行うこと。

 十二 国家公務員を新規に採用するに当たっては、原子力規制庁に十分な人材が配置されるよう、一定の採用枠を確保する等の配慮を行うこと。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

生方委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立多数。よって、本動議のとおり決議することに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。細野国務大臣。

細野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存であります。

 この法律案の成立、さらには、その真摯な御議論に御協力をいただいた全ての皆さんに、最後に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

生方委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十一分開議

生方委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 本日付託になりました内閣提出、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、産業保安監督部及び那覇産業保安監督事務所並びに産業保安監督部の支部並びに産業保安監督署の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。細野国務大臣。

    ―――――――――――――

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、産業保安監督部及び那覇産業保安監督事務所並びに産業保安監督部の支部並びに産業保安監督署の設置に関し承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

細野国務大臣 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、産業保安監督部及び那覇産業保安監督事務所並びに産業保安監督部の支部並びに産業保安監督署の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 このたび国会において提出されました原子力規制委員会設置法案において原子力安全・保安院が廃止されることに伴い、現在、産業保安に関する業務を行う組織として原子力安全・保安院に設置されている産業保安監督部及び那覇産業保安監督事務所並びに産業保安監督部の支部並びに産業保安監督署を経済産業省の地方機関として設置することについて、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づく国会の御承認を求めようとするものであります。

 以上が、本件の提案理由説明及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願いいたします。

生方委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

生方委員長 本件につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、産業保安監督部及び那覇産業保安監督事務所並びに産業保安監督部の支部並びに産業保安監督署の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

生方委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十四分散会


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