衆議院

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第7号 平成24年7月24日(火曜日)

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平成二十四年七月二十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 生方 幸夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 川越 孝洋君

   理事 近藤 昭一君 理事 矢崎 公二君

   理事 田中 和徳君 理事 吉野 正芳君

   理事 横山 北斗君 理事 江田 康幸君

      柿沼 正明君    工藤 仁美君

      篠原  孝君    空本 誠喜君

      田島 一成君    高山 智司君

      玉置 公良君    藤田 憲彦君

      三浦のぼる君    森岡洋一郎君

      山花 郁夫君    横光 克彦君

      吉川 政重君    近藤三津枝君

      齋藤  健君    町村 信孝君

      松浪 健太君   斎藤やすのり君

      佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         細野 豪志君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   環境副大臣        横光 克彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   国土交通大臣政務官    室井 邦彦君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室長)   森本 英香君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 今井 尚哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官)         山本 哲也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月四日

 辞任         補欠選任

  横山 北斗君     手塚 仁雄君

同月六日

 辞任         補欠選任

  手塚 仁雄君     田島 一成君

  岡本 英子君     横山 北斗君

同月十日

 委員高邑勉君が退職された。

同月十七日

            補欠選任

             三浦のぼる君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     藤田 憲彦君

  岸田 文雄君     齋藤  健君

  古川 禎久君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 憲彦君     柿沼 正明君

  齋藤  健君     岸田 文雄君

  松浪 健太君     古川 禎久君

同日

 横山北斗君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

七月十日

 動物の愛護及び管理に関する法律改正に関する請願(第二一○四号)は「高邑勉君紹介」を「玉木雄一郎君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

生方委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、去る六日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に基づいて選任することとし、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に横山北斗君を指名いたします。

     ――――◇―――――

生方委員長 次に、環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木正規君、内閣官房内閣審議官後藤収君、内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室長森本英香君、農林水産省農村振興局長實重重実君、林野庁長官皆川芳嗣君、経済産業省大臣官房審議官後藤収君、資源エネルギー庁次長今井尚哉君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官山本哲也君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省地球環境局長鈴木正規君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君、環境省自然環境局長渡邉綱男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、委員会の質疑の順番が大会派順であるにもかかわらず、このような配慮をしていただきましたことに心から感謝を申し上げます。

 早速質問に入らせていただきますが、去る五日、国会の事故調査委員会から、極めて充実した内容の調査委員会報告書が衆参両院の議長に対して提出をされました。この報告書は、同調査委員会による詳細かつ厳しい調査結果を明示するとともに、国会や政府に対する具体的提言もしているわけでございます。ここに改めて、国会事故調の黒川委員長及び委員の皆様方の御尽力に対して深く敬意を表したいと思います。

 この委員会は、国会に対して、提言の実現に向けた実施計画を速やかにこれを策定し、その進捗状況を国民に公表することを期待するとしております。我々国会議員に課せられた責任は、与野党ともに非常に重いものがあるわけでございます。また、提言を見ると、政府の対応を求めている事項も多くこれは含まれております。

 まず初めに細野大臣にお伺いをいたしますが、国会事故調査委員会報告書そのものの位置づけ、今後の原子力規制政策への具体的な反映等について、細野大臣の所見を伺いたいと思います。

細野国務大臣 七月五日に、約半年間にわたる調査検証を経まして、国会の事故調の報告書が取りまとめられました。私からも、黒川委員長を初め多くの皆さんの御努力に対して、心より敬意を表したいというふうに思っております。

 立法府のこうした調査というのはこれまで我が国では行われてこなかったわけでありますので、今回、非常に歴史的にも重要な調査報告書であるというふうに認識をしております。

 このような事故が二度と起こらないということを確実なものとするためにも、報告書の内容をよくしっかりと吟味をいたしまして、直ちに実施すべき分野から速やかに取り組んでいきたいと考えているところでございます。

江田(康)委員 今、大臣の方からも、この報告書を重く受けとめて、二度とこのような事故がないように政府においても迅速に対応する、そういう旨の御発言がございました。

 そこで、大臣に次にお伺いをいたしますが、この国会事故調査委員会報告書は、東京電力の福島第一原子力発電所が、昨年三月十一日に東日本大震災が発生した段階で、この地震にも津波にも耐えられない状態であったこと、また、シビアアクシデントにも対応できない状態であったこと、そしてその理由として、東京電力や規制当局がリスクを認識しながらもその対応をとってこなかったことを厳しく糾弾し、これが福島第一原発事故の根源的原因であり、自然災害ではなく人災であったと断じております。

 例えば、本事故の根源的原因は、歴代の規制当局と東電との関係について、規制する側と規制される側が逆転関係となることによる原子力安全についての監視・監督機能の崩壊が起きた点に求められると認識する、また、何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は自然災害ではなく明らかに人災である、このように指摘しているわけでございます。

 そこで、このような国会事故調による指摘に対する大臣の所見をお伺いをいたします。

細野国務大臣 御指摘の部分は、恐らく、二つに分けてしっかりと考えていく必要があるだろうというふうに思います。

 一つは、やはり技術的で専門的な部分であります。東京電力の具体的なプラントを動かす技術者よりも保安院の技術者の方が実質的なレベルが劣っていたというような指摘もあります。もちろん、保安院の関係者は私もかなりの数知っておりますので、個人としては高い能力のある人間もおりますけれども、全体として、やはり技術的な部分で問題があったと言わなければならないと思います。

 もう一点は、東京電力と保安院の関係でいうならば、保安院は、経済産業省と実質的には一体でこれまで運営をされてきましたので、エネルギー政策を進めるという、資源エネルギー庁そして東京電力というこの関係をそのまま保安院も持ち込んでいるようなところがございます。そこにいかにしっかりと線を引くことができるかというのが、もう一つの重要な指摘だというふうに思います。

 この委員会でも御議論をいただいた新しい原子力規制組織、原子力規制委員会は、推進サイドから完全に独立をする形になります。そのことによりまして、事業者との関係を、ここはしっかりとこれを分けることによりまして、安全規制そのものを正面から捉えて、厳しく規制をしていく組織をできる限り早く誕生させなければならないと考えているところでございます。

江田(康)委員 今申されましたように、今回の事故が、規制する側と規制される側、この逆転関係が生じたことによるという指摘がございますけれども、やはり、そういうことが起こらないように、我々は原子力規制委員会というものを新しく設置することとしたわけでございます。

 先月、この環境委員会が提出して成立しました原子力規制委員会設置法とその国会事故調報告書を比較した場合、その目指す基本的な方向性はおおむね私は同じであると考えておりますけれども、この点について細野大臣の基本的な認識もお伺いしたいと思います。また、相違点があれば、主な相違点についてあわせてお伺いをしたいと思います。

細野国務大臣 今、江田委員が御指摘をされましたとおり、方向性においては、国会の事故調と今回御審議をいただきました原子力規制委員会設置法は、私は方向性を同じくしているものというふうに考えております。

 特に、提言の中で、例えば、政府の危機管理体制の見直しを二点目として指摘をされています。これは新しい組織でしっかりと位置づけられたものでありますので、全く方向性を同じくしていると思います。

 また、五つ目の提言といたしまして、新しい規制組織の要件としての、独立性、透明性、専門能力、さらには一元化、自律性ということについても述べられております。これも、まさにこの方向で新しい組織を誕生させるということであります。

 また、原子力の法規制の見直し、具体的には規制強化ということになるわけでありますが、これが提言の六としても盛り込まれております。

 こうした中身というのは、まさに、原子力規制委員会設置法の法律の中で整備をしていただいた分野であるというふうに思っております。

 今後は、この国会の事故調の提言も踏まえまして、まさにこの法律に魂を入れていく、中身を充実させていくということが必要だと考えているところであります。

 一方で相違点ということでありますけれども、これは、若干技術的な部分も含めてのあえて相違点を申し上げればということで申し上げると、技術的というのは法技術的な部分も含めてということでありますけれども、一点、やはり原子力規制委員会の委員の選定のあり方について相違がございます。それは、第三者機関に一次選定を行わせた上で、国会の同意人事により最終決定をするという形が提案されております。

 これも、内部で、政府内で検討いたしましたけれども、現行法文上は、国会の同意を経て総理が任命するという形になっております。今回の国会事故調の提案というのは、複数の候補者を選んで、その中から国会が最終決定するという形になっておりまして、もともと現行法上で予定をされている、総理が任命する、国会の同意という仕組みと、やはりちょっとそこは考え方が異なる部分があるのではないかというふうに考えております。

 そういう考え方の違いが、その部分については法技術的な問題もありますので、この方法を直ちに適用することは難しいのではないかと考えておるところでございます。

江田(康)委員 今大臣申されましたように、基本的な方向性は同じであると。私も、この提言の二、「政府の危機管理体制の見直し」、また、提言五の「新しい規制組織の要件」、そして、提言六の「原子力法規制の見直し」等々においては、これは全く、我々が規制委員会設置法の中でまさに新しい原子力規制のあり方をつくり上げてきたその方向性と同じであると私も認識するわけでございます。

 今申されました主な相違点のそのうちの一つであろうかと思いますが、規制委員会の委員の選定については、次で質問をしようと思ったんです。今大臣から申されたことが政府のお考えだとは思います。これも、今まさにその国会同意人事へ向けて委員長並びに委員の選定案が検討されているところでありましょうから、この第三者機関による一次選定という提言はなかなか受け入れがたいものではないかなとも思いますが、今後、このような形での提言を反映するというようなことにおいては、私は必要ではないかなと。この提言が示す方式は、委員長や委員の選任における政治等からの独立性を高く保障するものであるということにおいて、私はすぐれていると思うわけでございます。そこにおいては政府との見解が違うということがわかりましたが。

 次に、今回、人事案がマスコミに漏れて報道された。なぜ漏れていくのか。当初からこのようにつまずくようでは、政府の危機管理能力が疑われると私は残念に思います。今後どのように対応するのか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 まず、同意人事のやり方についてもう少しだけお答えを申し上げたいと思います。

 江田委員おっしゃるとおり、同意人事のあり方というのは、これはいろいろなやり方があると思いますので、国会でもいろいろ御議論をいただくことは、私はいいことではないかというふうに思います。

 その一方で、同意人事の客観性なり同意人事の妥当性ということについては、私は、国会でしっかりと審議していただいて、まさに、国民の代表である議員の皆さんが選んでいただくというところで担保をするのが一番シンプルではないかというふうに思うんです。

 といいますのは、実際にこれをやってみるということになりますと、第三者機関の委員を誰がどういうふうに選ぶのかという問題が出てくるわけですね。委員を選ぶ第三者委員の性格によって委員は変わりますから、この第三者委員を政府で責任を持って選んでいいのかと。では、政府がだめだということになると、さらにその第三者委員を違う方が選ぶのかということになってまいります。そうすると堂々めぐりになるわけですね。

 どこかで政府が責任を持って決めなければなりませんので、そこはやはり責任を持って委員を選んで、そして、そこに問題があるかどうかというのをまさに国会で御審議いただくというのが、シンプルではあるけれども、一番国民にも開かれたプロセスになるのではないかと、私はそんなふうに思っています。

 もう一つは、常勤の委員をどう考えるかです。非常勤であればいろいろ複数の中から選んでいただくという考え方もあると思うんですけれども、常勤の場合ですと、実際に仕事をやめていただかなければなりませんので、事前の調整も含めてかなり準備をしなければ、同意人事案というのを出すことができません。これを例えば、十人の方に仕事をやめることを算段をして五人を選ばれた場合、残りの五人の方は仕事を続けられるのかどうかという問題も出てくるわけですね。

 そこも含めて同意人事たるものを、皆さん人生をかけてやってくれと言われれば、確かにそういう部分もあるわけですけれども、やはり専門家というのは皆さんそれぞれの分野で活躍をされていますので、そこについては、若干実務上の難しさがあるということをぜひこれは申し上げたいと思います。

 その上で、今回の同意人事の具体的な件について御質問をいただきました。

 この同意人事につきまして報道がされたことにつきましては、大変遺憾でありまして、議院運営委員会を初め、国会の先生方に大変な御迷惑をおかけしたことをおわびを申し上げなければなりません。

 政府の情報管理の状況については、改めて確認を行うとともに、今後は、政府部内における情報管理の一層の厳格化に努めてまいりたいというふうに思っております。

 政府といたしましては、この同意人事というのは極めて重要であるというふうに考えておりまして、原子力規制委員に求められます専門的な知識及び経験並びに識見というものについて十分に検討した上で、政府として最も適切だと考える人事案を用意をいたしております。できるだけ早く国会に提出させていただけるように、今回の経緯も含めて、最大限の努力をしたいと考えております。

江田(康)委員 後半の、この同意人事案が漏れたことについて今細野大臣からそのようにございましたけれども、かつて民主党さんが野党であったころ、同意人事が漏れたことについて、これを政局に利用されて、長らく国会の重要な同意人事ができなかった、こういうことがございます。

 今回、このような重要な規制委員会の新設における委員長並びに委員の同意人事であります。我々はそういう政局に用いるようなことは戒めていきたいと思うわけでございますが、この情報管理については、今の政府、幾つもこれまでもございます。そういう意味においては、極めて厳しいものがあるなと指摘しておきたいと思います。

 きょう、私の時間が三十分でございますので、この国会事故調報告書に関する件については、非常に大事なことがこれは提言されているわけでございまして、この委員会においてもまた引き続きやらせていただきたいと私は思っておりますので、よろしくお願いします。

 次に、エネルギー・環境会議から、今後の日本のエネルギー対策、環境対策の方向性を示す選択肢が提示されたところでございます。このエネルギー政策と表裏一体の温暖化対策について結論を出すことになっておりますけれども、これらの選択肢は非常にわかりにくいのではないかと私は考えます。

 この選択肢を決めた日のエネルギー・環境会議において古川国家戦略担当大臣は、この選択肢は、フラットに事実を提示して、それを材料にして、むしろ国民の皆様の間、さまざまな人たちの間で議論していただこうとの趣旨でまとめたと言っておられますけれども、全体で十九ページの資料を見てすんなり理解する人がどれほどいるのか、疑問であります。

 国民的議論を行うということであれば、その内容が国民に伝わらなければ、国民は判断のしようがないわけでありまして、そこで、この三つのシナリオの基本的な考え、その前提条件を私はここで明らかにしながら、非常に時間の限られた中でございますけれども、確認をしていきたいと思います。

 まず、多少はしょりますけれども、原発軸のこのシナリオ、〇%、一五%、二〇から二五%の設定の根拠、前提条件について確認をさせていただきたいと思うんです。

 原発軸のシナリオであるのに、原発についての情報が非常に少ないと思います。例えば一五%シナリオでは、「原発依存度を着実に下げ二〇三〇年に一五%程度」とするとしておりますけれども、この十九ページの資料では、シナリオの説明の中で、どういう方法でどのようにこの原発依存度を下げていくことを想定したものなのかは示されておりません。

 パブリックコメントが始まった当初はこの資料だけで、その後開催された意見聴取会の資料にはこのように追加をされたわけであります。それは、現存する原発に「新しい安全規制の四十年運転制限制度を自然体で運用した場合の数字にほぼ相当する。」との記載が入りました。

 ただ、これも非常にわかりにくい説明ではないでしょうか。これは、四十年廃炉とする場合ではないのかどうなのか。そこについてどのようにお考えか、お聞かせいただきます。

細野国務大臣 恐らく、江田先生が今御指摘になっているのはこの資料ではないかというふうに思うんですけれども、この資料をつくるときに私どもも関係閣僚で何度か打ち合わせをいたしまして、どういう資料がいいのかということについてはかなり吟味をいたしました。

 なかなか悩ましいのは、情報をたくさん入れれば入れるほど、バイアスがかかっているというふうに言われてしまう面があるわけです。ですから、一五シナリオで考えられている、例えば原発に対する考え方を書けば書くほど、それを断定的に言っているように見られてしまって、そのことについてさまざまな評価が出てくることによって、議論が、全体の議論からそこの部分にとにかく限定されてしまうのではないかという懸念をいたしました。

 したがって、できるだけバイアス性がかからないように客観的に明示をできることをしっかりとお示しをして、そこについて議論をしていただければ、自然とそれについて賛成の方、反対の方、いろいろな議論が出てきますので、煮詰まるのではないかというふうに考えたわけであります。

 ただ、意見聴取会をやっておりますと、確かに江田委員がおっしゃるように、もう少し、例えば、それぞれのシナリオにどういうメリットがあるのか、デメリットがあるのかということについても詳しく書いた方がいいとか、具体的な状況についてはもう少し情報を付加した方がいいとかいう話がありましたので、それについてできるだけフラットに、皆さんにわかりやすくお伝えをするために、新たな情報を付加した上で意見聴取会をやっているということであります。

 ただ、ホームページ上ではそこを補うような情報をもともとしっかり提示をしておりますので、そちらを見ていただければ、さまざまな情報を得て議論をしていただける形にはなっておったところでございます。

江田(康)委員 ホームページ上で見ていただければという消極的なことでございますけれども、例えば一五シナリオの場合ですが、原発の新増設が必要となるのかならないのか、そうした情報が必要だと考えますけれども、これについても、「原発の新増設が難しい状況にあるという実情を踏まえている。」と説明されているだけで、状況を踏まえて新増設はしないでこの数値なのか、もしくは、状況は踏まえるが新増設をする可能性を含めてこの数値なのか、はっきりしない点がございます。これについても確認をしたいと思います。

 さらに、時間がございませんので一緒に御質問しますが、二〇ないし二五%のシナリオの場合のみ、原発の新設、更新が必要となるとしております。記載しているのであれば、当然、具体的な設置基数とか更新基数が念頭にあると思われますけれども、この選択肢における原発の想定される新規設置基数や更新基数についてどのように設定されているのか、伺いたいと思います。

 また、追加的に必要となる費用など、詳細を明らかにすべきだと思います。いかがでしょうか。

細野国務大臣 そのあたりをなかなか断定的に言えないのには、理由がございます。それは、新しく誕生する原子力規制組織のもとで、例えばどういう原発については稼働できるのかということについて審査をすることになるわけであります。そうしますと、例えば四十年以内であっても、それが例えばシビアアクシデントに耐えられないであるとか高経年化による懸念があるということになれば、動かないことも十分考えられるわけですね。

 したがって、例えば四十年ということで想定をした場合には、二〇三〇年が一五というのが、一つの確かに可能性としてお示しをできる数字ではあるんだけれども、そのことをさらに詳しく言えということになりますと、原子力の規制組織のあり方そのものを規定をすることにもなりますので、それはなかなか具体的にはしにくいという事情があるということであります。

 同様に、二〇三〇年二〇%―二五%のシナリオについても、これも、例えば高経年化をどう見るかによって、リプレースというものがそれこそ積極的に行われるという状況になるのか、さらには、新規増設という判断をこれをすることになるのか、あくまで仮定ですよ、仮定の問題として二〇から二五%が選択をされた場合も、そこもさまざまな政策の選択肢というのがあるわけです。

 ただ、全体として言えることは、二〇%から二五%にするということは、現状からほぼ横ばいか若干減る程度でありますから、何らかの新たな取り組みはしなければ原子力についてこの率は維持をできないということですので、そういう書き方をしているということでございます。

 したがって、この三つのシナリオというのは、大きな方向性としての三つのイメージをお示しをして、それを選択をしていただくということになるわけですが、それをさらに具体的にどうやるのかということについては、これは政府としてもしっかりともちろん検討していかなければならないわけでありますけれども、断定的に全てを言い切ることができない面もあるということをぜひ申し上げたいというふうに思います。

江田(康)委員 大変苦しい説明ではあるかと思いますけれども、今回の原発事故を踏まえて、新たなエネルギー・環境の選択肢を、我が国の今後の方向性を決めようというものでありますので、例えば、原子力に関するそういう情報が不十分な中で果たして国民が正確な判断をできるのか、政府が判断を示していくことができるのか、そこにおいては疑問を呈しておきたいと思います。

 最後に、地球温暖化対策についても触れたいと思います。

 温室効果ガスの九〇年比排出量については、二〇三〇年時点では、いずれのシナリオもマイナス二三から二五%となっております。これを二〇二〇年時点で見ますと、追加対策のゼロシナリオでは温室効果ガスの削減はマイナスゼロから七%、一五シナリオでもマイナス九%、二〇ないし二五シナリオではマイナス一〇から一一%で、仮に、これに、最大限確保することを目指している森林吸収分の三・五%とこれまで同様の国際貢献分一・六%を加えたとしても、政府が国際約束した二〇二〇年二五%の削減目標は、いずれのシナリオでも不可能であるということになります。

 この数値を政府が示したということは、政府は二〇二〇年の二五%の削減目標の設定が不可能と見ていると考えていいのでしょうか。それとも別の考えがあるのか、最後に大臣にお伺いをいたします。

細野国務大臣 お示しをした三つのシナリオともに、現行のエネルギー基本計画と比較をいたしましても、省エネや再エネについての導入を一層図る、そういうものになっております。しかしながら、そうした努力は追加でするにしても、二〇二〇年の温室効果ガスの国内排出量は、今、江田委員が御指摘のとおり、九〇年比で言うならば、〇%から一一%削減にとどまっております。

 八月には革新的エネルギー・環境戦略を定めまして、温室効果ガスの国内排出量をお示しをすることとしておりますが、森林吸収源、さらには、国際貢献と海外における排出削減分の加味というものもした上で、この〇から一一%にそういったものを加えたとしても、二五%削減というのは非常に困難なものとなったと言わざるを得ないというふうに考えております。そこは江田委員御指摘のとおりであります。

 さらに言うならば、当初私どもが前提としておりました主要排出国の参加を含めた国際的な環境も、こうした二五という目標を掲げたときとは変化をしております。そうした状況の変化を踏まえまして、目標について改めて検討すべき時期が来ている、そのように考えております。

 今後の選択肢につきましては、国会での御議論も踏まえて、政府としても対応を検討してまいりたいと考えておるところでございます。

江田(康)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、エネルギー・環境会議の示した今後の日本のエネルギー政策、環境政策の方向性、選択肢、これについては大変重要な課題でございます。国家的な最重要課題と言っても過言ではないと思います。これについても、今後、私も引き続き取り上げてまいりたいと思いますが、最後に、このそれぞれのシナリオのメリット、デメリットについても説明が足りないですよ。二〇三〇年の具体像において現実的に我々の生活がどのように変わるのかをはっきり示してこそ、国民的な議論がこれはできるわけでございます。

 今申し上げました地球温暖化問題解決への貢献ということにおいてもそうでございますけれども、クリーンエネルギーの政策イメージ、また、四つの視点と言われる、原子力の安全確保、エネルギー安全保障の強化、地球温暖化問題解決への貢献、コストの抑制、空洞化防止、こういうようなことにおけるシナリオごとの二〇三〇年の姿というものを、細かく数字は示されておりますけれども、それについての説明が、また情報が十分ではないということは、私一人ではないと思います。

 こういうような前提条件、また、それに対する丁寧な説明、こういうものをこれから続く国民的議論の中で明確にしていってこそ、初めてこの方向性を示すことができるのではないかということを申し上げて、私のきょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 きょうは、環境委員会で質問の機会を与えていただきまして本当にありがとうございます。

 私は当選してから約三年たちますけれども、いつも質問に立つたびに、冒頭、本当に国会ではいい議論をしたい、物が前進をしていくようないい議論をしたいと思っておりまして、私自身は、揚げ足をとらないきちんとした質問をさせていただくということを毎回公言してお願いをしているわけであります。きょうもそのように宣言してから質問に入りたいと思いますので、御答弁の方もぜひよろしくお願いをいたします。

 また生方委員長の方も、御差配のほどよろしくお願いいたします。

生方委員長 はい。

齋藤(健)委員 早速質問に入りたいと思います。

 エネルギー・環境政策ということで、一つ目の大きな柱で質問をさせていただきたいと思います。

 もう先ほど公明党の江田委員の方からも質問ありましたけれども、先月二十九日に、政府のエネルギー・環境会議で三つのシナリオというものがまとめられました。これは、二〇三〇年に日本のエネルギー供給構造がどのようになっているかということで、原子力の選択肢として、〇%、それから、原子力が発電総量に占める比率が一五%、それから二〇から二五%ということを、三つのシナリオとして政府として示されまして、これをこれから国民的議論に付すということで、もう既にそのプロセスに入っていると思います。

 そして、私の聞き及ぶところによりますと、この国民的議論を踏まえて、革新的なエネルギー・環境戦略というものを政府の方で策定をして、エネルギー政策と環境、地球温暖化対策に関してきちんとした方向性を出していくというプロセスに入ると認識をしております。

 そして、この戦略をつくったら、その後でエネルギー基本計画というものを定めるということになっていて、そして、原子力政策大綱、それから地球温暖化対策、グリーン政策大綱、こういったものを年内には取りまとめていくという段取りになっていると私は承知をいたしているところであります。

 この点については、実は七月十二日の予算委員会で私も少し質問させていただきましたが、ちょっと納得のいかないところが幾つかあったものですから、この環境委員会でも、きょうは経済産業副大臣にも来ていただいて、少し議論を深めさせていただけたらと思っているところであります。

 私は、もう国民的議論に付されているわけでありますので、まず確認的な質問を三つほどさせていただいて、その後で、国民の皆さんが当然思うであろう素朴な質問をさせていただきたいと思っていますので、国民の皆さんに対する答弁だと思って、丁寧にわかりやすくしていただけたらと思います。

 まず、一つ目の確認的な質問ですけれども、速やかにエネルギー基本計画をまとめるというふうに皆さんの出された文書にはなっておりますけれども、速やかにというのは、いつまでに出すということになっていますでしょうか。

柳澤副大臣 副大臣を務めさせていただいております柳澤でございます。私は福島の原子力災害現地対策本部長を兼務していまして、先生に十分答えられるかあれですが、一生懸命答えさせていただきたいと思います。

 この案は、今、御承知のように国民の対話も含めて多くの声が寄せられておりまして、これを踏まえて八月末ぐらいまでには方向性を出したいと。ただ、これもなかなか難しい問題がありますから、その辺も踏まえて、期限を明確にのところまではまだいっていないというのが現状でございます。

齋藤(健)委員 一応、八月末ぐらいがめどということだろうと思います。

 二つ目の確認事項ですけれども、このエネルギー・環境会議というのは、大臣がメンバーになっていたと思いますけれども、どういう性格の会議でしょうか。これは政府の一部と捉えてよろしいんでしょうか。

柳澤副大臣 政府の一部というよりは、むしろ政府と切り離して、有識者の皆さんにきちんと議論をいただく。もちろん、そこに政府が全く関与をしないというわけではございませんけれども、メーンは、政府が予断を持って議論をするのではなくて、有識者や専門家の皆様に率直な議論をいただいて、それを受けて政府としての考え方の参考にさせていただくという位置づけだというふうに思っております。

齋藤(健)委員 事務方もそれでよろしいですか。

柳澤副大臣 済みません、調査会と勘違いをしていまして、環境会議は閣僚級の政府の会議になります。申しわけございません。

齋藤(健)委員 そうすると、国民の皆さんに示されている三つのシナリオというのは、このエネルギー・環境会議が示されているということですので、政府の提案だというふうに考えてよろしいですか。

柳澤副大臣 政府として三つの提案をさせていただいて、それに対してあらゆる皆さんの議論に付したいという位置づけでございます。

齋藤(健)委員 政府としてシナリオを皆さんに示されたということを確認させていただきました。

 それから、三つ目の基本的な確認ですけれども、三つのシナリオというものが提案されているんですけれども、この国民的議論を経て、先ほどおっしゃられたように基本計画をつくられるわけですが、この三つのシナリオの中から政府が一つ取り上げるのか、それとも、全く違うものを政府として決めることになるのか。

 国民の皆さんに三つのシナリオを示された以上は、当然この中から選ぶことになる、あるいは、多少の修正はあるかもしれませんが、この三つの中から選ぶ前提で国民の皆さんの意見を聞いているんじゃないかと思うんですけれども、その辺のお考えはどうなっていますでしょうか。

細野国務大臣 三つの案を提示をしておりますので、それぞれの考え方について国民の皆さんがどういうお考えをお持ちになるのかというのを、まず、今はしっかりと耳を傾けたいというふうに思っております。それぞれはそれなりの前提に立って考え方を整理をしておりますので、その提案をしているということ自体は大変重いというふうに考えています。

 ただ、一方で、さまざまな御議論をいただく中で、さまざまな例えば要素について、恐らくさまざまな御意見が出てくるだろうと思うわけですね。

 ですから、そういったものを総合して考えたときに、選択肢として最後に我々がまさに国として判断をする、政府として判断をするものがこの三つのうちのどれかでなければならないというところまで固定的に考えているわけではありません。

 ですからそこは、さまざまな議論を経て、柔軟に、国全体をこれから動かしていくためにはどうしたらいいのかということについての判断をしていくということになろうかと思います。

齋藤(健)委員 国民的議論に付すと言う以上は、やはりそれぞれの三つのシナリオはそれなりに詰まったものでなくてはいけないと思いますし、それぞれについて詰まったものであるならば、ある程度、その中から選んでいくという前提で国民の皆さんに提案すべきだと私は思いますので、ですから、微修正はあるかもしれませんが、大幅にそれが変わるというようなことはちょっと考えにくいと思うんですが、そういうこともあり得るということですか。

細野国務大臣 修正というのをどういうふうに考えるかですけれども、いろいろな選択の幅は広くしておいた方がいいだろうというふうに思います。

 ただ、三つのシナリオを示した責任は極めて重いものがありますので、それは一つのそれぞれベースにはなり得るわけですから、それをでは具体的に、最終的にどう判断をしていくのかと、そのあたりの幅の中での話になろうかと思います。

齋藤(健)委員 この三つのシナリオを示して、でき上がったものが相当違うものでしたということになると、恐らく国民の皆さんも面食らうんじゃないかと思います。そこら辺の説明責任の果たし方といえばそれまでかもしれませんが、三つのシナリオを出す以上は、それなりに詰まっているものですから、基本的にはその中から選ばれるというふうに普通の国民の皆さんは考えると思います。

 もうこれ以上質問いたしませんが、私は今三つの確認をさせていただきましたけれども、皆さんが提案しているこの三つのシナリオは、正直言って、本当に問題が多いと私は思っております。

 先日の予算委員会でも質問させていただきましたけれども、まず一つ目の私の問題提起であります。あのとき細野大臣はおられたので議論を聞いていただいたと思いますが、素朴な疑問で、いまだに理解できないんです。

 政府は成長戦略を掲げていて、二〇一〇年代は、少なくとも実質で二%の成長を目指されているはずです。二〇一〇年代は、何とか成長戦略を組み上げていって、二%のGDPの成長は実質で確保していこう、名目は三%を確保していこう、こういう強い決意で成長戦略を組まれていると思いますが、実は、この三つのシナリオに示されている成長率の前提というのは、二〇一〇年代で一・一%、二〇二〇年代で〇・八%というふうになっておりまして、政府が何とか持っていこうとする成長シナリオと大きく乖離をしているということであります。

 私は、別に、その一・一%という成長でエネルギー供給を考えてはいけないと言っているわけではありません。やられてもいいと思います。ただ、政府が二%の経済成長を目指しているのであるならば、それを実現するためのエネルギー供給構造はどうあるべきかというものを示すべきだと思うんですけれども、なぜ示されないのか。

 まず副大臣にお伺いして、エネルギー・環境会議のメンバーでもある細野大臣にもお伺いできたらと思います。なぜ示さないのか。

柳澤副大臣 政府としての目標は、できるだけ高くとって成長をしたいというふうに思っている。私も小売業の出身なので、売上目標というのは高くとる。しかし、それについてこのエネルギーミックスの、いわゆる総合資源エネルギー調査会の議論の中で、多くの民間の調査機関等の経済見通しに近い、経済財政の中長期試算における慎重シナリオとして試算された結果に基づいて、調査会の有識者あるいは専門家の皆様からも、実質成長率は、二〇一〇年代は一・一、二〇二〇年代で、これは事務局ですが、〇・八という、現実に基づいた議論をしないといけないだろうという声が多く出されたということであります。

 いずれにせよ、エネルギー政策について、どちらにしても事態の変化に機動的に対応するよう、日本再生戦略における施策の進展状況を初め、国際的エネルギー状況や地域環境をめぐる情勢、技術革新の動向、国民の信認など、動向を把握しながら不断の検証はしたいと思いますが、調査会の皆さんの方から、一番現実的な数値の中でエネルギー政策を考えるという考え方を受け入れさせていただいているということでございます。

細野国務大臣 今、柳澤副大臣の方から話がありました。現実的な数字としてそういう数字が例えば環境省の中の中央環境審議会でも上がってきていて、一・一%の慎重シナリオの方でという議論が出てきたのは、これは現実問題として、事実としてはございます。

 もう一つの理由といたしましては、二%成長も選択肢としてしっかり提示をするべきではないかという議論も政府部内でもちろんあったんですけれども、そうしますと、一・一%で三シナリオ、二%で三シナリオという六つのシナリオを提示をしてどれを選択しますかといったときに、六つのうちの一つというと、かなり国民の皆さんに選択を難しくするのではないかという、そういう現実的な配慮もあったということであります。

 恐らく齋藤委員が御心配をされているのは、では、その二%成長を実現をしたときに、一・一%シナリオでやったときと比べるとエネルギーが足りなくなるのではないかという御懸念が一つあると思うんです。

 そこは、例えば一・一%の成長率と二%の成長率とで比較した場合ですと、大型のLNGの火力発電所一カ所、大体これは百七十万キロワットぐらいになりますけれども、これで補い得るということでありますから、今回、かなり省エネを見込んでおりますので、そこの部分でしっかり予備で用意できるという意味では、電力が足りなくなるというような大きな想定の違いにはならないということであります。

 一方で環境省としては、これは、成長率が高まるとCO2の削減がふえるのをどうするのかという問題があるわけです。

 これにつきましては、成長率が高まるということは、もちろん誘導していく必要がありますが、企業は環境に対する投資余力が出てくるということでありますので、そこは、二%成長が実現をできた場合には、さらにその投資を促していくことによって目標を達成していくという追加的な努力が求められるというのは、恐らく齋藤委員が御懸念されているのはそのあたりだというふうに思いますが、現実問題としてはあろうかというふうに思います。

齋藤(健)委員 ちょっとイメージしていただきたいんですが、毎年一%成長で約十八年ですから、あと約二十年、GDPは実質で二割ふえます。毎年二%だとGDPは四割ふえます、二十年たてば。当たり前です、アバウトですけれども。そうすると、GDPで二割の差が出ます。一%成長で考えた場合と二%成長で考えた場合に、二〇三〇年にGDPでどのくらいの差が開くかというと、現状の二割です。それが百七十万キロワット追加すれば足りるなんということではとてもとても埋まらないと私は思います。この一%成長をとるか二%成長をとるかというのは、エネルギー供給を考える上でのかなり肝の中の肝だと私は思います。

 経済が成長すれば当然工場の生産もふえるわけだし、走り回る車もふえるわけで、そういう中で、四割GDPがふえるのに、今と比べれば二割かもしれません、皆さんの試算からすれば二割かもしれません。二割もふえるのに、そんな簡単な供給で私は追いつくとは思えません。

 細野さんのことを私は買っているのでこれ以上詰めませんが、真面目な話、もっときちっとやった方がいいと思いますよ。

 それで、いつも言うように、国民の皆さんとの関係で、私が少なくとも今までエネルギー政策に関与していたときは、将来どのくらいの需要がありそうだということを見込んで、そして、それを供給できるかどうかというものをもっと真剣にやっていましたよ。成長が高くなったときはそのとき考えればいいですとか、何か技術革新があるから大丈夫なんじゃないですかとか、それはちょっと無責任だと思います。

 私、今回の皆さんの作業は大変な作業だというものはよく理解をしておりますけれども、余りにイージーな前提が多過ぎる。エネルギーというものは、足りませんでした、停電します、皆さんごめんなさいじゃ済まないし、そうなったときに新たに設備をつくろうと思っても、五年、十年最低かかるものでありますので、きちんとしたやはり裏づけのもとで前進をしていかないと危ないと本当に思っているんですね。

 これは、自民党だ民主党だということじゃなくて、素直に皆さんの試算を見たときに、国民の皆さんは、二%成長を標榜して、そのために政策を総動員すると言っているのに供給の方は一%しか計算していないのかというのは、極めてわかりにくいし、私はずさんだと思います。

 ですから、この二%成長というものを前提にしたときに本当にエネルギーは回るのかということをこの国民的議論をやっている最中に示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 今の御指摘は非常に重要だと思います。成長するということは企業に投資余力が出てきますので、その分、当然、環境の分も含めて投資が進み、エネルギーの供給もできる体制ができるというそういう一つの前提は置いておりますが、現実的にエネルギーが足りなくなる、そのことによって日本の経済が大きく失速するということがあってはなりませんので、今の御指摘を踏まえて、二%成長のときに本当にどうなのかということについては、政府内でしっかり検討することをしてまいりたいと思います。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。当然のことだと思いますが、ただ、それもちゃんと国民にきちんと示さなければ、私は無責任だと思います。

 エネルギー・環境会議というものは、先ほど副大臣に確認させていただきましたが、政府の会議であり、政府として提案しているわけで、一方で政府としてまた別の成長目標を持っているというのは、無責任な対応だと私は思います。

 少なくとも二%成長を掲げる以上は、それが賄えるエネルギー供給がつくれるのかどうかというものをまず最初に示すべきで、仮に成長が低かった場合はこれだけ楽になるというのはまだわかります。だけれども、一%成長しか示さないで二%成長は示さなくていいというのは、同じ政府としておかしいと思いますので、細野大臣の今のお言葉がありましたので、ぜひ、国民的議論をやっている最中に国民の皆さんに示すのは誠意ある対応だと思いますので、重ねてお願いを申し上げます。

 それから、もう一つ私が気になっておりますのは、これもきちんと議論をしていきたいと思っていますけれども、省エネの話なんですね。

 これも枝野大臣と議論させていただきましたけれども、私もいろいろ検証していると、省エネの目標というのが、皆さん、この三つのシナリオに共通のものが提案されているわけです。この三つのシナリオの共通の前提に、これだけ省エネが進むということが掲げられているわけです。省エネについては選択肢がありません。

 それはどういうものかというと、これもざっくりわかりやすく言うと、これは皆さんが書かれている表現でありますけれども、二〇三〇年にGDPが二割ふえる。さっきの話ですね、一%ずつ二十年ですから。二割GDPはふえるけれども、必要なエネルギーは今より一割少なくて済むというものであります。

 つまり、エネルギー効率という面で見ますと、三十数%から四割弱ぐらいのエネルギー効率の改善がこの十数年の間に行われるというのが三つのシナリオの前提になっているわけで、私は、繰り返しますけれども、高い目標を設定するのは賛成なんです。省エネが進んで、日本の省エネ技術は、恐らく、成長戦略の中でも位置づけられていきますし世界に売れると思っていますので、省エネを抜本的に進めていくというのは大賛成なんでありますけれども、それにしてもこの目標は高い。

 日本社会の隅から隅まで、日本社会全体のエネルギー供給効率が十数年の間に四割弱も改善をするというのは考えにくいというのが私のあれなので、高い目標を掲げるのはいいんだけれども、もう一段現実的なものを検証の対象に加えて、どういう形で国民の皆さんに示すかは別にして、もう一段きちんとしたものをつくっておく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、それでも高い目標だけでいかれるんでしょうか。

柳澤副大臣 私も先生の言われていることはよくわかりまして、現地に入って、私自身の気持ちで言えば、本当に再生可能エネルギーと省エネにはもう死に物狂いで取り組まないと、日本のエネルギーが確保できない。

 実は、一月にサウジアラビア、アブダビ、ドバイを回って、ゴールデンウイークにカタールにお願いに行って、アフリカのモザンビーク、それからオーストラリアのイクシスのガス油田、これも確保するのが非常に大変になってくる。

 とすれば、本当に再生可能エネルギーというのは、むしろ日本の財産、水に恵まれ、森林に恵まれ、しかも地熱は世界三番目のポテンシャルを持っている、風力、太陽光、そこに日本のもったいないという省エネ技術は、これは、世界に御迷惑をかけた原発事故の国としては、世界に恩返しができる取り組みだというふうに考えています。

 ですから、ぜひこの目標に向かってあらゆる努力を、政府だけではなくて、企業及び国民の皆さんにも協力をいただいて努めたいと思いますし、それができなければ日本の将来はないというぐらいに今は捉えて取り組むときだというふうに私は考えております。

齋藤(健)委員 私も意欲は副大臣と同じぐらいあるんですけれども、ただ、本当に高いですよ、この目標は。

 確かに、コジェネが伸展したり、それから家庭の意識が大きく変わるということも大きな要素としてこれからあると思いますけれども、しかし、十数年で三十何%も効率が改善するというのは、これは革命的なことですし、人類史上経験したことがないような、そのくらいな話であると思いますので、これ一本でエネルギー供給構造を考えてほかは考えないというのは、危ないと私は思っているわけです。

 もちろん、高い目標は掲げるべきだと思うし、日本のこれからの商売の種になっていくとは思いますけれども、これ一本でできなかったときには、済みません、電気足りなくなりましたというのでは済まないだろうということを私は申し上げているので、やはり、二枚腰、三枚腰の責任あるエネルギー供給構造というものを議論すべきだと思います。

 私が危険に思いますのは、繰り返しになりますが、先ほどの一%、二%の話もそうですけれども、何か決め打ちでやられていて、原発だけが比率があるけれども、そのほかのものは全部決め打ちみたいな形になっているところに今回の試算の構造的な問題があるんじゃないかと思っておりまして、成長率の問題もしかり、それから省エネの問題もしかり。私は努力することは否定しません。しかし、それだけで足りなくなりましたというのでは済まないから、責任ある対応をとるべきじゃないかということを申し上げているわけであります。

 省エネに関しては、総合エネルギー調査会でこの高い目標についてどういう議論がなされていたか。この間、枝野大臣の発言では、総合エネルギー調査会でこの高い目標についてはほとんどコンセンサスだったと話がありました。

 省エネの専門家として中上英俊さんという方が委員として総合エネ調に入っておられると思いますが、その人の発言、これは公表されている資料ですけれども、「三〇%削減を言い換えると、例えると、三日に一日、エネルギーを全く使わない日を設定するということと同義である。いずれにしても三〇%の省エネルギーを行うということは並大抵のことではないことを理解しておく必要があると考える。」という発言をされています。この人は非常に温厚な方なのでこれ以上激しい言葉は使いませんが、このくらいのことをやらなくちゃいけないと。

 繰り返しますが、目標で掲げるのは結構ですけれども、それ一本でシナリオを示すというのは、余りに危険であり、無責任と言われても仕方がないんじゃないかと思います。

 もうこれ以上申し上げません。申し上げませんが、できれば、この点についても国民的議論をしていると言うのであれば、この点についての素朴な疑問、高過ぎるんじゃないの、実行できなかったときには足りなくなっちゃうんじゃないのということについて、国民の皆さんに答えられるようなそういう説明だけはしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

柳澤副大臣 齋藤委員御指摘のとおり、私もそう思います。

 ただ、私が報告を受けていますのは、総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会の多くの声が出されて、大枠としてこれを目指そうという合意は得られていると。

 ただ、先生おっしゃるように、これはかなり高い目標ですから、国民の皆様にもっと具体的に、あるいは、省エネの技術革新も含めた取り組みをどこまでするか、また、不断の見直しもしていかなければいけないだろうというふうに思っております。

 ぜひまた、いろいろな御意見あるいは御指導もいただければと思っております。

齋藤(健)委員 あえてこれ以上申し上げません。

 三つ目の質問ですが、ここのエネルギー・環境会議の提案では、四つのモデルによって試算が行われておりますよね。この四つのモデルによりますと、このシナリオでいくと、場合によっては電気料金が今の倍ぐらいになる。そういうことがちょろっと出ているわけであります。

 現在、日本の電気料金というのは、今回の値上げを想定すると、産業用では、値上げ後で恐らくドイツの倍ぐらいでしょう。アメリカと比べては、既に三倍になっていると思います。

 そういう水準の電気料金がこれから二〇三〇年に向けてさらに二倍になっていくということ、これは、ある意味、再生可能エネルギーや省エネをやっていく上ではやむを得ないことなのかもしれませんが、しかし、それがどういう影響を経済や産業や企業に、あるいは最終的には雇用に与えていくかというその検証は、少なくともされていなくてはいけないと思うんですね。

 その点について、電気料金が二倍ぐらいになってしまうということについて経済や産業にどういう影響を与えるかということ。とりわけ、工場がこれでは海外へ出ていってしまうんじゃないか。ただでさえ、今でさえ電気料金が高い、円高だ、法人税も高いというような状況の中で今企業はどんどん海外へ出ていくんですけれども、これで二〇三〇年には倍になりますということを皆さんはこの資料で示しているわけですね。そうなったときに、企業がどういう行動をとるかということについてはどういう分析をされているか。

 事前に申し上げていなかったので、副大臣じゃなければ事務方の今井次長でも後藤さんでもいいんですが、お答えいただきたい。経済に与える影響を経済産業省としてどう見ているかという点です。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 四つのモデルについて、一つのモデルでは偏っているので、それぞれ特性の違うモデルを回しまして、そして、それぞれのエネルギーミックスそれからCO2削減量が、どういうふうな電力料金コスト、それからGDPに与える影響、これを、ある種モデルを使って算出いたしました。

 それで、細かい話になりますけれども、その中で一つだけ、エネルギーミックスが変わることが、海外との交易条件を変えて、それが日本のGDPの成長にはね返ってくるというタイプのモデルは一つだけでございまして、そのモデルによればかなり大きな経済的影響が出てくる。しかし、そのほかのモデルもいろいろ回して、平均をとって、一応客観的に事実を示して、それで比較をしたということでございます。

 それで、発電コストが徐々に上がっていくと仮定したときに、それが長期的に企業活動にどう影響を与えるかという動態的なかつ個別産業論的な評価は今この段階では行っておりませんので、これはかなり個別の産業政策論的な話になってきますので、このミックスに向けて政策を組んでいく過程で、その点も検証しながら進めていく、こういう問題だと我々は思ってございます。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

齋藤(健)委員 私がお伺いしたのは、四つのモデルがどういう試算をしているかということではなくて、経済産業省として、電気料金が二〇三〇年に二倍になっていくということについて、どう評価をし、どういう影響があると考えているのかと。

 私もこの四つのモデルについてはそれなりに研究しましたけれども、今井次長おっしゃるように、RITEの試算だけが海外へのリークというものを本格的に試算に入れていて、ほかの三つは、ちょこっと入っているけれども大して考慮していないということなんですが、私は、電気料金が二倍になったらかなり大きなインパクトがあると思います、特に電力多消費産業にとっては大打撃でありますので。

 ですから、その辺の影響がどうなるかというものも国民的議論をすると言うのであれば、もっとわかりやすく説明して、こういう痛みもあるけれども乗り越えていこうという説明をしないと、何か都合のいいことだけ国民と議論して、痛いところは全然言わないみたいなのでは、私はまずいと思うんですね。

 ですから、この四つのシナリオを示すのは結構だけれども、これを踏まえて、政府としてあるいは経済産業省として、経済への影響はどうなんだということを本当は堂々とここでおっしゃっていただきたいなと。二十三年間飯を食わせてもらった我が組織に対して、この試算はちょっと甘いぞと私は本当に思います。

 このエネルギー選択は、ちょっとほかにも質問しなくちゃいけないのであれなんですけれども、本当に大変な選択だと思います。成長二%を前提としたら、物すごく苦しいエネルギー供給構造になると思いますよ。それから、ここまで革命的に省エネが進まないとすると、物すごい苦しいことになりますよ。つまり、成長を犠牲にするか、CO2を犠牲にするか、原子力をやむなくやるか、そういう厳しい選択が迫られるというのがこの本質なんですよ。

 その本質を隠して、何とかうまく回りますみたいな提案を国民にしているようにしか私には見えないんだ、本当に。もっと厳しい選択を迫らなければ、我々、これからエネルギー問題というのは乗り切っていけないんですよね。甘いと思うんですよ。

 ですから、二%成長でやって省エネもここまで進まなかったときには、さっき言ったように、成長を諦めるか、CO2を出すか、あるいはやむなく原子力を少しやるか、この三つですよ、そのどれをとりますかという国民的議論をしなければいけないと私は思っております。

 それから、細野大臣にお伺いしますが、少しテーマは変わるんですけれども、CO2の二五%削減、先ほど江田委員からもありましたけれども、素朴な疑問なんですが、この目標というのは今も生きているんでしょうか、それとも死んでいるんでしょうか、どういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。

細野国務大臣 ちょっとその御質問にお答えする前に、先ほどの齋藤委員の御指摘ですが、私も齋藤委員がおっしゃるとおりだと思います。

 つまり、今国民の皆さんに御議論いただいているのは、まさにそういう選択を問うているわけですね。ただ、その問い方について今いろいろと厳しい御指摘がございました。実は、両サイドからあります。

 つまり、本当にそれで経済が回るのかという御懸念を持たれる齋藤委員のような立場から、それはしっかりと提示をした上でやるべきだという御指摘もある。

 一方で、もう原発はゼロにすべきだというところから出発をしておられる方もたくさんおられて、そういう方々からすると、こんなに厳しいんだよということを既に言い過ぎていて、例えばゼロシナリオのような場合は、先ほど、省エネは選択肢がないとおっしゃいましたけれども、さらに厳しい、本当に社会的な規制までするのを提示しているんですね。

 これを提示をするということは、結局原発を続けたいから言っているんだろうという御指摘を、今度、ゼロシナリオ、もうこれが絶対だとおっしゃる方からはされているわけですね。

 そうしますと、結局、俯瞰的な情報を加えれば加えるほど、どちらかに誘導しているのではないかと見られる面があって、そこで、できるだけニュートラルに、しかし、わかりやすい範囲で情報を提供しているというこの苦しい提示の仕方をしているということは、ぜひここは御理解をいただきたいなというふうに思います。

 その上で、今の御指摘で、例えば省エネの部分であるとか成長率の部分であるとか、具体的に非常に鋭い御指摘をいただきましたので、そういった皆さんの疑問にも答え得るようなしっかりとした情報を出していくことの必要性については、私も改めてそうだなというふうに思いましたので、対応してまいりたいというふうに思います。

 二五%でございますが、先ほど江田委員にお答えをいたしましたが、現実に二〇二〇年ということを考えたときに、森林吸収源や、さらには海外の排出権を買ってくるということを想定したとしても、非常に難しくなっているというふうに考えております。

 したがって、現実的な二〇二〇年に向かっての数字というものをこの八月に同時にやはりしっかりと検討していく必要があるというのが、今の段階での政府の立場でございます。

齋藤(健)委員 今、細野大臣がおっしゃられた前半の部分なんですけれども、私が申し上げているのは、別に、ある一定の方向性を私は前提として議論していません。成長を犠牲にするか、原子力をある程度やるか、あるいはCO2を犠牲にするか、ニュートラルにきちんと問うような国民的議論をするのであれば、そういう提案をした方がいいんじゃないかと。

 そういう目で見たときに、余りに甘い前提が多いぞ、これではきちんとした国民的議論にならないよということを言っているので、ある一定の方向を考えている人はいろいろな目で見ますけれども、政府自身がそういう思いがなく虚心坦懐に示してあるのであれば、堂々とそれをやればいいじゃないですか。私は、この提案は堂々とやられているものとは見えない。そう思います。

 それからもう一つ、二五%の削減目標ですが、これも、細野大臣もいろいろ苦しい立場でやられているので、私は細野さんを応援したいと思っているのでこれ以上申し上げませんけれども、二五%削減した場合にどういう影響が雇用や海外生産シフトやそれから経済に出るかという政府全体の試算というものが、いまだに出ていないんですよ。環境省は出しました。経産省は出しました。しかし、それぞれ矛盾するものです。二五%削減した場合にどういう影響がありそうかという政府全体の見解って、いまだに出ていないんですよ。

 ですから、今回のエネルギーの環境会議がまとめるものについても、今のような一%の成長でやりましたとか、省エネが人類史上ないような革命的な前進をしましたとかいう前提のもとでこれを選びましたというふうにされても、全く説得力がない。いわんやそれを、世界にこれから日本はこうしますなんということを間違っても言わないでいただきたい。二五%削減の二の舞ですね。私は本当にそう思います。

 ですから、やるのであれば、二%を目指すのであれば、そのときのエネルギー供給はこうならなくちゃいけないということを堂々と示して、そして省エネも、余りに、こんなに進むわけないじゃないかと世界の人たちから眉唾で見られるようなものじゃなくて、なるほど、日本ならそこまでやれるなというようなものを世界に示すなら、堂々と示していただきたい。

 少なくとも、二五%削減のように、いまだにどういう影響が経済に出るかというものを政府として示されていないようなこういうことをまた続けるのは、私は日本の信用を落とすだけだというふうに思っていますので、しっかりやっていただきたいなと。それができないなら我々にやらせてくださいということであります。

 この問題だけやっているわけにはいかないので、ちょっと先へ進ませていただきます。

 済みません、もう経済産業省は結構でございますので、ありがとうございました。

 少し細かい話になって恐縮ですが、放射性物質汚染対処特別措置法の運用について、高山政務官と三月かな、少し議論させていただきましたが、私はぜひ細野大臣にも現実を知っていただきたいという意味で、幾つか確認的な質問をさせていただきたいと思います。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

 私の地元の話で恐縮なんですけれども、ホットスポットと呼ばれておりまして、周辺地域より放射線量が少し高くなっていまして、どの市とは言いません、風評が出ちゃいけないんですけれども、今まで人口がふえ続けていた東京近郊のある市が、これを契機に人口減少に転ずるというようなことにもなりました。これは生方委員長もホットスポットの選出であるんですけれども、私が実際に知っているところによりますと、よく聞く話は、幼稚園のお父さん、お母さんが仕事をかえてまでこの地域から出ていってしまったとか、そういう話も結構ありまして、福島だけじゃなくて、ほかの地域でも苦しんでいるよということなんですね。

 それで、まず最初にお伺いしたいんですけれども、このホットスポット問題、要するに、放射性の物質がある日降り注いで土壌や何かを汚染してしまったということについての責任、これが市町村にあるかどうかということについて大臣の見解をまず伺いたいと思います。

細野国務大臣 まず、責任がどこにあるかということで申し上げると、それはもう明確に、汚染の原因をつくった原子力事業者に一義的な責任があるということであります。

 さらに、それとあわせてやはり自覚をしなければならないのは、この原子力政策を推進し、そして事故を防ぐことができなかった国に大きな責任があるということであります。

 したがって、国会で御議論をいただいた除染の特措法の中では、財政的な負担を含めて、国が全面的にしっかりやっていくことになっているということであります。

 実際上の除染の作業を市町村にお願いをしているのは、大変、本当に心苦しいなという思いがあるわけですが、住民の理解を得て具体的に作業を進めていただくということになると、どうしても市町村の力をかりなければなりませんので、そこは、国として全面的にしっかりとお支えをするという形で除染を実現していきたいと考えております。

齋藤(健)委員 議論の出発点として確認をしなくちゃいけないのは、高山政務官には以前確認しましたけれども、自然災害の場合は、国にも都道府県にも市町村にもそれを防いでいく責務、義務というのがあるわけで、自然災害の場合はそれぞれ責任があると思いますけれども、この原子力事故の場合は、市町村には一切責任がないわけです。

 しかも、その周辺市町村でもないわけでありますので、原子力事業者であり、推進してきた国、自民党政権のもとで推進をしてきたので私は大変じくじたる思いはありますけれども、責任は誰かと言われれば、国であり原子力事業者だと私は思いますので、市町村には一切責任がないんだというところから出発をしていかないと、この議論はややこしくなっていってしまうわけであります。

 それで、この放射性物質汚染対処特別措置法というのは、大臣御案内のように、我が党提案の議員立法でできたわけでありますけれども、お聞きになっているかどうかわかりませんが、非常に現場でやはり市町村が苦しむような事態になっておりますので、きょう、二、三その実例をお話をしてお話を伺いたいと思いますが、一つは、前回、政務官とは議論させていただきましたけれども、こういう問題があります。

 放射線が高いということがはっきりしました、昨年ですね。そして、昨年の夏に小学校でお父さん、お母さんが、ボランティアで一生懸命夏休みを利用して除染をしました。その除染をする前は〇・二三マイクロシーベルトを超えていました。しかし、素人が手作業でやって少し下がったので、〇・二三マイクロシーベルトを下回りました。

 ところが、環境省の補助金では、〇・二三マイクロシーベルトを上回ったものの除染費用は出すけれども、下回ったものは出さないということになっていまして、自分たちで努力をして、少し下がって〇・二一とか〇・二二ぐらいになってはいるんだけれども、でも、本格的な除染は業者を使ってやらなくちゃいけないんですよ。やらなくちゃいけないの。やらないじゃ済まないんですよ、お父さん、お母さんとの関係で。

 ところが、それはもう下がっているから補助金の対象にしませんよということになっていまして、むしろ、放置をして夏休み何もしなかった、努力をしなかったがために〇・二三を超えているという人はお金が出て、少しでも減らそうと事前に努力をした人は、ちょっとばかり下がっちゃったものですから、もう国が面倒を見てくれないということを三月の時点で高山政務官に確認をして、そうだ、そういうふうに制度はなっているんだということで、私はちょっと怒りまくったんです。

 細野大臣も、大臣として、国がやってくれないから、しっかり努力を、では自分たちでやりましょうと進んでやった人たちがばかを見るようなそういう制度というのは、大臣、本当におかしいと思いませんかと。

 まず、その一点をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 お気持ちはよくわかりますし、できるだけ、何ができるのかということについて対応を検討してまいりたいというふうに思っています。

 やはり、福島も含めてそうなんですけれども、除染というのを、みずからの体を動かして本当に一生懸命地域でやっていただくというのが、最もありがたい、とうとい行為であります。ですから、そういった皆さんが損をするようなことは、これはよくないというふうに思います。

 昨年除染をやっていただいたものについては、それは遡及をして、その費用については持つことができるという形にはなっておるんですね。したがって、去年、早い段階で、例えば千葉県内でそういう除染をされたところがあるとすれば、その費用は昨年の中で請求をしていただければ出すという形になっておるんです。

 ただ、皆さんがそれこそ手弁当でやられたような場合は、費用はむしろかかっていなくて、それで努力をされて〇・二三を下回って、ことし、いざやろうというところについて現段階で適用する制度になっていないで、新しい除染ですね、今年度、〇・二三を下回っているんだけれどもさらに除染をしたいといった場合に、それは対象にならないというのは、制度上、確かに御指摘のとおりになっております。

 どういうやり方があるか、ちょっと私も、過去のことも含めて、努力をされた方に対して報いる方法を少し検討したいというふうに思います。

 もう一つ、齋藤委員にぜひここは、いろいろな方とお話をする中で十分わかっていらっしゃると思うのですが、申し上げたいのは、汚染をしたという意味では国と東京電力に全ての責任があります。しかし、現実としてそういう状況が生じてしまっているわけですね。そういう状況が生じてしまった状況についてはおわびを申し上げながらも、本当に低いレベルのこの低線量の問題とどう向き合っていくのかというのは、これは、特定の地域ということではなくて、日本で生活する以上、全ての方々にお考えいただかなければならないということをぜひ申し上げたいと思います。

 その上で、〇・二三を下回るということになりますと、放射線量の追加部分で一ミリを下回るということですから、例えば日本の国内と海外でいえば、自然放射線量でいうと一ミリぐらいの差はあるわけですね。日本は比較的低いところで生活をしている。さらに厳密に言うならば、関西と関東でも違います。それこそ、地域によっては、例えば関東よりもかなり高いところもあるわけですね、日本国内でも。

 そういう中の、言うならば、通常の状態でどこで生活するかというぐらいの違いの差であって、お引っ越しをされるというようなリスクのある世界ではないということは、ぜひいろいろな形で、私どももそういうことを御説明する必要があるというふうに思っておりますが、齋藤委員、いろいろな方と接しておられると思いますので、そういうことなんだということを皆さんにわかっていただけるようなお伝えをいただければと、そのようにも思います。

齋藤(健)委員 まず、前半部分で細野大臣が、どういうことができるかちょっと考えてみるとおっしゃっていただいたのは、非常に多とします。

 私、想像するに、環境省の皆さんというのは財務省に対して非常に弱いですから、だから、財務省がこうだこうだと言われると押し切られるんですね。そこを大臣や副大臣や政務官がよく見て、これはおかしいから安住に言うよという形で押し戻さないと、下から上がってくる制度を皆さんがうんうんと言っているのではこういう結果になりますよということなんですよ。私はその構造がもう目に見えています。

 ですから、そういう意味でいうと、こういうところには目を配って、努力した人たちにお金が出ないで、放置した人にはお金が出るというのはやはりおかしいから、まさか民主党がそういう社会を目指しているとは思いませんので。今からでも私は間に合うと思いますよ。どういう是正をするか、しっかり政治主導でこういうところこそやっていただきたいなと思います。

 それから、放射線の話がありましたけれども、これも高山政務官には前お話ししたんですけれども、自分の家の犬がほかの家の庭をばあっと荒らしちゃった、それでほかの家の人は怒ってきて、これを直してくださいと言った。そのときに、いや、健康に問題ありませんから直しませんと言えるかというんですよ。そういう問題なんですよ。

 ですから、大臣がおっしゃるように、健康についてどうかというのはよくわかりませんが、しかし、現実問題、幼稚園は、五センチのところではかって〇・二三マイクロシーベルト超えていたら、あるいは超えていなくても、やらざるを得ないんですよ。やらなければ父兄との関係でもたないんです。それが現実なんです。だからやりますよ。でも、それを、健康に影響ないから、国が責任者、原子力事業者が責任者であってもやらなくていいんだというのは、お金も出さなくていいんだというのはおかしくないか、さっきの犬の例と同じじゃないかと私は言っているわけです。

 なぜこうなったかというのも、これは大変苦しい中でやられているからやむを得ないところはあると思うんですが、放射線の知識についてのリスクコミュニケーションが国民と政府の間でうまくいかなかったということにも原因があるわけで、ですから私は、現実問題そういうふうになっているということについては、健康上問題がないからお金出しませんというのは、さっきの犬の例と同じじゃないかと思います。

 そういう意味でいうと、二つほどそういう現実の問題がありまして、今言ったのが、つまらない話なんですけれども、現場で起こっていることをぜひ細野大臣に知っていただきたいんですが、二つあります。

 一つは、小学校の校庭の除染をします。そうすると、最後、ほこりが散らないように防じん加工をしなくちゃいけないんですね。ところが、これというのは小学校が数年に一回やっているので、今回対象にはしていない。補助金が出ないんですよ。でも、今回、除染作業をしたら必ずやらなくちゃいけないんですよ。でも、それは数年に一回やっているものだから、今回のものとは関係ないというふうに判断されて補助金が出ないんですよ。これも、防じんのところは絶対にやらざるを得ないわけで、数年に一回やることになっているから、今回たまたまやったということなんだから、出しませんというのはちょっとむごくないかと思いますが、環境省はそういう指導を今しているわけですね。

 それからもう一つは、汚泥ですね。八千ベクレルを超えていなければ民間の中間処分場で処理して構わないということになっているんですけれども、現実は受け入れてくれないんですよ。二千ベクレルを下回るぐらいのものじゃなければ現実は受け入れてくれないんですよ。それでどうなっているかというと、どんどん清掃工場とか市の公有地にたまっていっているということなんですね。ですから、政府が幾ら八千ベクレル以下は大丈夫です大丈夫ですと言っても、現実はそうなっているわけですね。

 ですから、現実に対応してきちんとした手を打つように、もし二千と八千の間で民間が受け入れてくれないんだったら国の方で何とかするよとか、現実を踏まえて、八千以下だから大丈夫ですとほっぽらかすんじゃなくて、実際は受け入れてくれないわけですから、そういうものに目を配ってきちんとした対応をしていただきたいなというふうに思うんです。

 大臣から見たら細かい話かもしれませんが、こういうことをやはりないがしろにしては私はいけないと思っておりますので、大臣に対する質問としては細か過ぎるかもしれませんが、現場に起こっていることについて大臣どう思われるか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

細野国務大臣 今の御指摘は細かいことだとは私は思いません。重要な御指摘だと思いますし、私が日々やっておるのは、そういう個別のことについて一つ一つどう解決をしていくかということですので、本質的な御質問をいただいたというふうに思います。

 例えば汚泥の問題をとりましても、個別に、処理が進んでいなくてどこにどういうようなものがたまっているのかということも、環境省としては把握をしております。そして、そこはもうどうぞ地方で勝手にやってくださいなんということは絶対に言うべきではない。一つ一つ問題を解決をするように、説明を我々も一緒にやるというスタンスでおります。

 ただ、このことはぜひ御理解をいただきたいんですが、国がやるとしても、その例えば処分場なり民間の施設はどこかの市町村にあるわけですね。これは、国の直轄地が日本の場合はあるわけではありませんので、必ずそこの自治体さらには住民の皆さんに、これはわかっていただかなければ処理をすることができないわけです。それをわかっていただく方法としては、遠くのものが来ましたというよりは、この近くのものなので何とかわかってくださいという、顔が見える環境の中で解決するしかないということなんです。

 そうなってくると、国ももちろん努力はするんだけれども、自治体の皆さんの力をかりなければならないんだというこのことは、もう率直にお願いをしなければならないということを申し上げたいと思います。

 御質問の前で飼い主の話をされました。その例えで言うならば、国が庭を荒らした飼い主そのものですから、いや、それは問題ないですよというのは、大変これは言いにくいわけです。言いにくいわけですが、今、日本全体で不安でいろいろなことが言われている中で、やはりどこかで、低線量というものはこういうものなんですよ、これ以上についてはこういう対応をしましょう、しかし、これ以下については健康には問題ないんですよというのを誰かが言わなければ、物が動いていかないわけですね。

 ですから私は、それを言うことが非常にいろいろな意味で厳しい御批判があるということは十分承知の上で、ただ、同じことを繰り返し言うしか今の問題を解決する方法はないと思って、あえて申し上げておるということでございます。

齋藤(健)委員 恐らくこの議論を聞いている皆さんが感じることは、やはり、初期における放射線の影響について相当混乱しましたね。一ミリシーベルトなのか二十ミリシーベルトというところから始まって、そしてあの食品の規制の値についても、五百ベクレルでやっていたのが、ちゃんと検討したら百になりました、ええ、では今まで食べていたのはどうだったんだろうみたいな、そういう経緯が積み重なってきているんですね。

 ですから、今から白地で話をするときにはその細野大臣の言うことはよくわかるわけでありますけれども、私も地元でやりますけれども、政府が何を言っても聞く耳ないですよ。吉野先生のところはもっと深刻かもしれません。

 それで、私自身は、自分の宣伝になっちゃうかもしれませんが、放射線というのはこういうものだというのを自分自身で調べて一枚の紙にして、地元で九万枚配りましたよ、リスクコミュニケーションを自分でやろうと思って。これはどんな書き物よりもわかりやすかったと何人もの人に言われましたけれども、そういう努力はしています。でも、それでももう信用してもらえないのが現実なわけです。

 私は、何も全てやれと言っているわけではありません。だから、五センチでみんなが満足するのであれば、五センチではかって除染したものは金を出してやったらいいじゃないのと。何でも出せと言っているわけじゃないですよ。五センチでみんな納得するのであれば、それを基準にして考えてあげたらいいんじゃないの、何で一メートルにそんなにこだわるのと。現実に一メートルだって信用されていないんだから。そういうことを言っているだけなんですよ。

 だから、五センチ以上のことをやれと言っているわけじゃないですよ。五センチで〇・二三を超えているものはやってやったらいいんじゃないのと言っているだけであって、五センチで〇・一でもやれとか言っているわけじゃなくて、現状はそれでみんな満足するわけですから、私の地元においては。だから、現状でみんなが納得するようなやり方でやったらいいんじゃないかということを申し上げているわけですね。

 それから、同じような汚泥の話にしても、現実がそうなっているわけでありまして、私は市町村は努力していると思います。例えば、清掃工場をとめて、それでそこに全部持ち込んでいるし、それから、私の知っている、余り具体的に言うと風評になるので、何市、何市とは言いませんが、私の地元のある市は、市役所の庭に持ち込んでいます。そうやって努力をしているんです。でも、八千ベクレルを下回っていますからと言っても、誰も引き取ってくれないんですよ。

 だから、そこのところをもう少し、八千以下は関係ないと国がするんじゃなくて、二千から八千ぐらいの間も現実がそうなっているんだから、二千で満足してくれるんだったら、何かうまい手を考えてあげるとか、そうか、現状はそうなっているんだったら一緒に考えようとか、何かそういう姿勢が欲しいなと思っているわけであります。

 私は、この限られた時間とエネルギーの中で、福島が、本当に吉野さんのところが大変なのでそっちに目が向いてしまうのはやむを得ないと思うんですけれども、こういう問題も実はあって、少し政治が目配りすれば私が言ったようなものは全部解決するから。私が大臣の立場だったら全部解決しますよ、今の話。解決します、少なくとも五センチの話とか。

 だから、そういう話なので、政治主導で目配りして少しでも前進をさせていただきたいとお願いをして、時間が来たようですので、私の質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

生方委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 国民の生活が第一そして新党きづな共同会派として、初めて環境委員会で質問に立たせていただきます斎藤やすのりでございます。

 電気代が高くなるとか経済に影響があるので原発は動かし続けるべきだという意見があるのはわかります。一方では、きのう、政府の事故調の報告で、委員長が言っていたんですが、やれるところまでの努力をした、しかし、放射線が強過ぎて実物に近づけないことに尽きる、だからいま一つよくわからなかったというようなことを発言しておりました。

 ここがまさに原発のコアなところで、一度事故が起きると人間が制御できないものなんです、原発というのは。今は、自然災害のリスクということは、さまざまなストレステスト等で計算に入っているようでございますけれども、テロとかそれから飛行機災害、こういったものが一度あればこれはもう原発は吹き飛んでしまって、日本の国家としてのその存亡というところにもかかわってくるというふうに思っておりますので、私は、新党きづなとしてのこれは見解ですけれども、やはり、日本のエネルギーは脱原発に明確に向かうべきだということを主張しております。

 一方で、これは政府に率直に聞きたいんですけれども、政府は原発をどうしたいのか、これがちょっとよくわからないんですよ。やめるのか続けるのか、ここがわからない。閣僚の方も、卒原発と言っている人もいれば、あしたにでもとめたいと言っている大臣もいます。基幹エネルギーとして位置づけたいのか、あるいは原発ゼロにしたいのか、過渡期のエネルギーとして位置づけたいのか、明確なビジョンというのはないんでしょうか。

 済みません、これは質問通告していないですけれども、副大臣、ちょっと答えていただいてもよろしいでしょうか。

横光副大臣 今、委員の御質問ですけれども、そういった、これは国民の生活、日本の産業全てに非常に影響する課題でございますので、政府としては、さまざまな国民の意見をお聞きした上で決める。現在、今の質問について政府は方針を決めているわけではございません。しかし、多くの方たちの御意見を参考にして、政府としては八月末には方向性を決めよう、今、そういう状況でございます。

斎藤(や)委員 今、副大臣、大変重要なことをおっしゃいました。国民の議論を踏まえて今後のエネルギーのあり方を決める。きょうは、たくさん、続原発の方も原発ゼロの方もこの環境委員会の様子を衆議院テレビで見ていらっしゃると思いますけれども、国民の議論に耳を傾けて、そして、国民の議論が原発の将来のあり方を決めていくんだという心強い副大臣の今のお話がありました。

 それを踏まえた、これから夏にかけて、さまざまな国民の議論を聞く場所があるわけでございますけれども、今政府は、二〇三〇年の原発の比率がどれがいいか、三つのシナリオを用意して国民の皆さんに議論してもらっております。

 今副大臣がおっしゃった答弁とかぶるところがあるんですけれども、この議論を、どの程度八月下旬に発表される取りまとめに盛り込もうとしているのか、どれぐらい重視をしているのか。客観的にここぐらいまでとかこのレベルまでというのは非常に難しいところだとは思います。抽象的な御答弁になるかもしれませんが、そこをちょっと教えていただけないでしょうか。

柳澤副大臣 おっしゃるとおり、この問題は非常に多くの声が寄せられておりまして、私自身が、福島の現地対策本部長とすれば、原発の事故の悲惨さというのは肌身で感じています。

 一方で、経済をどうするのか、日本をどうするのか。そういう意味では、今回、三つのシナリオをもとに政府が考えを持ってやるということではなくて、国民の皆様に本当に聞いてみよう、そして国民同士でも対話をしていただこうという、非常にフラットな状態で今聞かせていただいております。

 ですから、情報提供データベースの整備、全国十一カ所での意見聴取、パブリックコメントの募集、討論型世論調査などを通じて、それを全部集めて、その中からもう一回ゼロベースできちんと真摯な方向性を八月中には政府として示したいというふうに考えております。

斎藤(や)委員 一つここで確認なんですが、その八月のさまざまな討論型世論調査とか、それから今、パブコメの募集とかやられていますけれども、これは、結論に導く議論というか、結論に導く手段ということで捉えてもよろしいんでしょうか。

柳澤副大臣 はい、手段だと思っています。最後は、政府が責任を持って、それを踏まえた考え方を示すということになるというふうに思います。

斎藤(や)委員 ありがとうございます。

 副大臣が、国民の議論というものが非常に重要である、そういうさまざまな方式の手段も参考に取り入れるということですが、おおむね国民の議論を中心にこの後決めていく、これが民主主義では当たり前だと思うんですが、そういうことだと思います。

 私は多様な議論があるべきだとは思っているんですが、少数意見もきちんと吸い取らなければいけない。しかし、一方で最も重要なのは、選択肢の中でどの意見が最も多かったのかということを重視することだと思います。これが民主主義国家の鉄則だと思っております。

 ちょっと嫌みったらしいことを一つ言わせていただければ、私は去年まで民主党の国会議員でしたから、復興税の議論でも、TPPの議論でも、消費増税の議論でも、やはり増税は反対である、デフレ下の増税は慎重に行うべきである、TPPも慎重にという意見が党内議論の中にも多かったにもかかわらず、その多くの議論を無視して政権主導で話が進んでしまった。このことで今民主党が崩壊に向かっているということだと思いますので、同じ間違いをこの国民的議論の中においても起こしてはいけないというふうに思っております。

 七月に入ってから仙台、名古屋で行われた意見聴取会、これは、その民主主義のルールからはかなり逸脱したものであるのではないかというふうに私は言わせていただきます。

 細かい数字を言います。仙台の会では、意見表明希望者が九十三人です。九十三人のうち、ゼロを選択したのが六十六人、一五%が十四人、二〇%から二五%が十三人。実際に発言した方は、〇%が四人、一五%が二人、二〇%から二五%が三人。民主主義の鉄則でドント方式でいけば、〇%の方にもっと意見表明させるべきで、一五%や二〇%以上、これは少なくていいはずだと思うんですけれども、これについて政府はどういうふうに見解をお持ちでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘のとおり、これまでの意見聴取会では、ゼロシナリオに意見表明を希望する方が多かったということがございます。また、事後のアンケートを拝見すると、三つのシナリオ以外の立場からの御意見も多かったということがございます。

 これらを踏まえまして、今後は、ゼロシナリオに対する御意見や三つのシナリオ以外の立場からの御意見により多くの表明機会を確保する形で運営していこうということとしております。

 具体的には、先週末の大阪、札幌会場からは、ゼロシナリオに対する意見表明者を六人というふうに拡大しております。また、今週末の富山会場等からは、三つのシナリオ以外の立場からの御意見も表明していただこうということで、具体的には、ゼロシナリオを四名、一五シナリオを二名、二〇から二五シナリオを二名、それから、三シナリオ以外の御意見も四名というふうに考えているところでございます。

斎藤(や)委員 こういうのは、試合が始まってからルールを変えるというのがそもそもやはりおかしなことでございまして、始める前にきちんとそういったことはわかっていたわけですから、そこはやはりしっかりやっていただかなければいけないと思っております。

 それから、私が問題視しているのは、発言者の選択、これがきちんとフェアに行われていたのかどうかということでございます。

 ここでもちょっと細かい数字を言います。仙台の場合です。一五%シナリオで意見表明を希望したのが十四人、七人、半数の方が県内在住、しかし選ばれたのは、二人とも県外の方。二〇%―二五%シナリオは、十三人の意見表明希望者中六名が県内希望者、今度は県内在住の方が二人確かに選ばれているんですが、選ばれた二人は二人とも電力会社関係者、あとの一人は県外の方です。大阪でも、二〇―二五%シナリオで選ばれた二人は二人とも電力会社の社員。本当に電力会社の方はくじ運がいいなと思ってしまうわけなんです。確率としては十分あり得るというふうに言われるかもしれませんけれども、しかし私から見れば、本当にこれはうさん臭い。

 この発言の選択者、くじは誰がどのように引いたんでしょうか。ちょっとこれを教えていただけないでしょうか、細かい質問なんですが。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 意見表明者につきましては、委託先であります博報堂におきまして無作為で順次抽出しておりまして、そういう意味では、今先生がおっしゃりました属性とかお住まいについて、全く考慮せずに無作為でやってございます。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 済みません、その委託先の博報堂でやられているということですが、その博報堂さんはどういう形でくじ引きをされているんでしょうか。ちょっと細かい質問で済みませんが。

後藤政府参考人 具体的な方法を申し上げます。

 具体的には、意見表明者に名前の順番に数字を並べまして、それを乱数処理をしまして、その乱数の中で数字の大きいものから順番にとっていくという手段をとってございます。三名であれば三名、その先は、四番目以下は補欠という形で、一名から三名の方が何かの都合で抜けた場合にはそれを繰り上げていくというやり方をとらせていただいております。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 恐らく、博報堂のその運営担当者のスタッフのパソコン上で、エクセルか何かで乱数処理されているんだというふうに思いますけれども、博報堂の方がやられるときにどなたか政府の方がチェックをしているとか、そういうことというのはあるんでしょうか。どうなんでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には博報堂さんの方に委託してやってございますので、政府の関与、途中の段階ではございません。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 そういうことであれば、私は疑ってはいけませんけれども、博報堂の方、恣意的にこれはできるんじゃないでしょうか。一回きりじゃなくて、都合のいい結果を出すために何度も何度もクリック、クリック、クリック、クリックしていれば。

 名前と、あとたしかメールアドレスがあるはずですよね。電力会社の方のメールアドレスは博報堂の方なんかはすぐわかるかと思いますので、これは、十分に恣意的に利害関係者が発言できるような仕組みを政府が放置している、私はこう言わざるを得ません。これはやってはいけないことだと私は思います。

 特にこの議論というのは、先ほど副大臣がおっしゃったように、日本のエネルギーの未来を左右するわけですから、エネルギーの未来を左右する重要な議論であれば、きちんとフェアなルールというのをつくって当たり前だというふうに私は思っています。

 そして、もう一つ、私は気になる事業があります。八月四日と五日に行われる討論型の世論調査です。

 これは、無作為に三千人に世論調査をして、そこから三百人抽出して、グループに分けて議論をするということなんですが、この三千人から三百人の抽出というのも、これは広告代理店に委託するのでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃったとおり、これも広告代理店に委託はいたしております。

 ただし、その場合には、慶応大学の曽根先生という人を中心とした実行委員会、これは政府も入ってございませんが、その専門家の実行委員会が中心となって準備をし、具体的な作業を博報堂に委託しているという形になってございます。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 中間的な考え方の大学の教授に託すから大丈夫だということじゃなくて、何度も言うようですが、非常に重要な議論で、非常に重要な事業だと思います。ですからこれは、今までのディベートだとか今までの討論会とか、そういうものとは全く別物なんだよ、そういう形でぜひ政府にも捉えていただかなければいけないというふうに思います。

 それから、この三百人の抽出なんですけれども、これはドント式で人数を配分しないんでしょうか。これもちょっと教えてください。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的には、最初に電話をかけた段階で、その段階ではもう無作為に電話番号でやってございまして、そのときに、今度その三百人として参加していただけるかどうかという意向を確認します。そういう意味では、三千人の段階からもう順次確認をしていく形になっておりますので、そのタイミングにどのシナリオを選択するのか、希望するのかというようなことは一切入ってございません。

斎藤(や)委員 三千人のときはわからないということですね。(後藤政府参考人「はい」と呼ぶ)三千人から三百人に抽出されるときもわからないんですか。(後藤政府参考人「わかりません」と呼ぶ)

生方委員長 こっちで答えて、後藤内閣審議官。

後藤政府参考人 失礼いたしました。

 三百人に絞った段階でもわからないということになってございます。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 それともう一つなんですが、この三百人の討論会、小グループに分けるということですけれども、ここで使われる例えばペーパー、資料というものは、誰がどうやって、どういう意図を持って配るのかというのはわかりますでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 運営委員会の下に専門家委員会といって、これは中立的な学者の先生を中心にした委員会、八人の先生にお集まりいただいて、そこに使う資料をつくります。ですから、今回私どもが国民的議論に使っている資料とは別なものをこの委員会の方で準備をして、これはもう右から左からいろいろな方々に入っていただいてチェックをしていただいたものを使いますので、かなり客観的なものだというふうに考えてございます。

 以上です。

斎藤(や)委員 八月四日と五日のこの討論型世論調査というものを非常に重視されているという話を聞きますので、これは本当に民主主義のルールにのっとって、慎重に、慎重に、そして、後からまた国民から何やっているんだとお叱りを受けるようなそういうことは絶対にないように、心からお願いいたします。

 さて、もう一つは、原子力規制委員会の人事についてちょっとお伺いしたいと思います。

 田中さんという方を原子力規制委員長にするという人事案が、先週の週末、報道されました。私は、ここでその報道されたことに対する是非ということは特には言いません。この方の資質についてちょっとお話を聞きたいというふうに思います。

 副大臣、この田中さんという方、初代の委員長としてふさわしい人物だと評価されていますでしょうか。

横光副大臣 国会で選んでいただく、同意していただくために選んだ方でございまして、最終的には国会で御判断されることだと思います。

森本政府参考人 恐縮でございます。

 今回の原子力規制委員会の委員につきましては、この間通していただきました原子力規制委員会設置法案で、専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して判断していただくために、いわゆる人格が高潔で、原子力利用における安全の確保に関して専門的知識、経験、高い識見を持っておられる方、そういう方を選んでいただくということで国会同意のプロセスがあるものでございます。

 しかしながら、現時点においては、まだ政府としては正式に提示させていただいている段階ではございません。したがって、個別の人事案につきましては、今のところ、大変申しわけございませんが、何も申し上げることはできないということでございます。

 正式に人事案件を提示させていただいた後に、丁寧に御説明をして、委員長あるいは委員の選任について政府の考え方を、今申し上げた原子力規制委員会の設置法案の趣旨に沿って御説明申し上げたいと思います。

 恐縮でございます。

斎藤(や)委員 ただ、マスコミには出ていますから、恐らくこの田中さんという方が出るんでしょう。

 この原子力規制委員会の人事案というものが、今の政府の原発政策、放射能対策へのスタンスというものを十分示しているんだというふうに私は思います。私は、この規制委員会の人事というものが、将来の日本の放射能、日本の原子力というものを決める重要なキーポイントだというふうに思います。これ以上事故を起こさない、それから間違いを起こさないためにも、私は本当に慎重に選択をしなければいけないと思っているんです。

 田中さんというのは、過去、こんな発言をしております。

 健康管理について国は科学的な根拠に基づかない基準を設定している。食品の基準を一キロ当たり五百ベクレルから百ベクレルに下げ、水は百ベクレルから十ベクレルまでに下げることとなったが、数字だけが一人歩きしている。基準を超えたものは有害にとらえられ、住民を混乱させている。風評被害や将来の不安を拡大しているように思う。専門的な知見から言えば、厳格化するばかりでは理にかなっていないことを国にしっかり認識してほしい。

こんなことを言っております。

 政府に聞きます。政府の除染に関する基本方針の原案では、被曝線量を年何ミリシーベルトに抑えることを長期目標としているんでしょうか。

鷺坂政府参考人 お答えいたします。

 放射性物質汚染対処特措法に基づきます基本方針でございますけれども、追加被曝線量が年間二十ミリシーベルト以上である地域については、「当該地域を段階的かつ迅速に縮小することを目指す」、このようにしております。ただ、線量が非常に高いところについては、「長期的な取組が必要」ということの留意も書いてあります。

 それから、追加被曝線量が年間二十ミリシーベルト未満である地域については、「長期的な目標として追加被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下となることを目指す」、こういうことになっております。

斎藤(や)委員 長期的には年間一ミリシーベルト以下ということを政府として目指しているということでございますけれども、この田中さんという方は、いや、避難解除の目安には年五ミリシーベルトを目指すのが現実的だという、その政府の見解とは違うことを言っている。いや、五ミリシーベルトでも大丈夫なんだよということを言っている。

 私はここに非常に危機感を覚えます。これはうがった見方ですけれども、東電の費用削減というものを子供の健康より優先しているんじゃないか。危険なものを安全だと言っている、典型的なこれは原子力村の住人なのではないかというふうに私は思いますけれども、まだ案の段階ですが、副大臣、このことについてどういうふうに考えられますか。

横光副大臣 この案の人選、人員の方に対していろいろな御意見がございましょうが、本当にまだ案でございまして、これから国会でそれぞれ御判断されるということでございますので、今の御質問について私の意見ということは、ちょっと差し控えたいと思います。

斎藤(や)委員 本当にこれだけの事故があったにもかかわらずこういう人事案が出てくるというのは、私は非常に疑問です。

 それから、昨今の断層に関する報道、これに対してもちょっとお伺いしたいというふうに思います。

 断層があると疑いがあるのに、原発を再起動してしまいました。こういうことが、金曜日の夜にあれだけの方が官邸の前に集結してしまうということにつながっていると思います。やっていることの筋がやはり通っていないんです。

 あの大飯原発、破砕帯が横切っています。ここで私、不思議なことが二つあります。さっきも言いましたけれども、先週の十八日に原子力保安院が関電にこの破砕帯を調べるように指示をしました。ところが、その同じ十八日に四号機を再起動させた。これはどういうことなんでしょうか。正当性はあるんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありました大飯原発のF―6と呼ばれる破砕帯につきましては、先般の七月十七日の原子力安全・保安院の意見聴取会、これは専門家から構成されているものでございますが、そこで御意見を伺ったところ、活断層であるとの指摘はなく、活動性はないのではないかという意見が複数ございました。しかしながら、その活動性を完全に否定するためには、現状の資料では十分でなく、現地での調査、確認が必要である、こういう指摘があったところでございます。

 したがいまして、これを受けて、七月十八日に関西電力に対しまして、念のために、現地での直接確認が可能となる調査計画を速やかに策定し報告するよう指示したところでございます。

 なお、専門家からでございますけれども、これまでの活動性評価を変えるだけの指摘はないというふうに考えております。

 したがいまして、大飯原発三、四号機の再起動に関する点を含め、これまでの判断を変える必要はないものというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 震災でやはり原発のあり方というものが変わったと思うんですよ。ですから、今までは万が一という話ですけれども、これからは百万が一なんです。

 破砕帯というのは、これは地震の巣です。確かに十万年、二十万年という規模ですから、まさか今起きるわけないだろうというのが皆さんの考え方なのかもしれませんけれども、ただ、やはり十万年でも二十万年でも、動いた形跡があるのならば、それがはっきりと安全だという確信がきちんとなければ私は動かすべきではないというふうに思いますので、ぜひそこを酌み取っていただければというふうに思います。

 本当に毎日、新聞を見ますとがっかりすることが多いんですが、六月二十日に成立した原子力規制委員会設置法では、原発の運転は四十年に設置することが盛り込まれました。それなのにもかかわらず、今週の十九日には早速美浜二号機運転延長を認めるという話が報道をされておりますけれども、本当にこれでいいんでしょうか。どうでしょうか。

山本政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今の関西電力美浜二号機の四十年運転の認可の件でございますが、これはまず、現行法上、運転開始後三十年目までに、それからその後の十年ごとに、いわゆる高経年化技術評価というのを実施することを義務づけております。その結果を踏まえまして保守管理の方針を策定するということが事業者の責務でございます。これは原子炉の稼働の有無に関係なく実施すべきものというものでございまして、この認可を受けたからといって、運転再開あるいは十年間の運転延長を認める趣旨の制度ではございません。

 しかしながら一方で、この高経年化対策に係ります安全規制、これを停滞なく実施していくことが非常に重要でございますので、現行法令に従って粛々と手続を行うことが必要であるというふうに考えております。

 そのため、先ほど御指摘ありましたように、関西電力美浜二号機につきましても、現行法に基づき認可申請が提出されましたので、専門家による意見聴取会にて評価を行った上で七月十九日に認可をしたという経緯のものでございます。

 なお、御指摘のとおり、この運転年数、原則四十年で制限することを含みます原子炉等規制法の改正法案が成立しているところでございますので、当然、この法律の施行後におきましては、美浜二号機も四十年運転制限の適用を受けることになるというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

斎藤(や)委員 現行法の安全基準でやっちゃうから問題はないよねというそういう方向性で大丈夫なのかなと思うんですが、これは駆け込み審査なんじゃないかというふうに思わざるを得ません。

 この美浜二号機というのは、私が参加している原発ゼロの会の調べによりますと、脆性遷移温度、これは、金属の劣化が進むと、ある温度より低くなりますと、陶磁器が割れるように小さな力であっさりと割れてしまう温度ですけれども、これは七十二度です。冷やすのにお湯をかけなきゃいけない。この脆性遷移温度は全国で三番目に高いです。事故率は年間〇・七回、高い方から十番目です。こちらも、保安院が活断層の調査が必要だと言っている原発です。

 私たち原発ゼロの会では、この美浜二号機は即廃炉にすべきだと言っている大変危険な原発だと思いますので、私は、この駆け込み審査で運転延長を認めるのはやめていただきたいというふうに抗議をしていきたいと思います。

 きのう、政府の事故調の調査結果が出ました。その中で、国と東電の姿勢について、過酷な事故が起きないという安全神話にとらわれ、危険を現実のものと考えなかったことに根源的な問題があると出ておりました。

 ところが、ここ一週間だけでも、規制委員会の人事、それから国民的議論の運営、破砕帯があるとわかっているのに再起動、これでは全く事故前とスタンスが変わらないじゃないか、安全神話のもとでいろいろなものを動かしちゃっているよねということになっていると思います。

 国民の皆さんが官邸の前に怒ってやってくる。今のめちゃくちゃな運営、国民の皆さん、私はわかります。それから、筋の通っていない理不尽なことを繰り返しているということが今現実に起きているわけなので、ぜひ、本当にもう二度と事故が起きないように政府は襟を正していただきたいというふうに思いますので、強く強くお願いいたします。

 私からの質問は以上でございます。ありがとうございました。

生方委員長 次に、玉置公良君。

玉置委員 最後になりましたけれども、私、衆議院議員の玉置公良でございます。質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 私は、きょうは世界遺産の関係についてのみ絞って御質問をしたいと思います。

 まず、国における世界遺産の位置づけについてお聞きをしたいと思います。

 昨年は、東北大震災のそういった中で、振興の、復興の光として、平泉が世界遺産登録されました。さらに、環境省でいえば、自然遺産の小笠原諸島が登録をされました。また、富士山も暫定リストに登録をされてきております。こういったことを含めて、今、日本における世界遺産の状況というのは、本年は、世界遺産条約が採択をされて四十年、そして我が国日本が加盟をして二十年、こういった大変大事な節目の年であります。

 日本では、十九年前に初めて、自然遺産では白神山地、そして屋久島、文化遺産では法隆寺、姫路城の登録をされまして、現在、十六の世界遺産が登録をされております。世界では、複合遺産も含めて、いわゆる文化遺産、自然遺産、複合遺産と、三つの形があるわけですけれども、九百三十を超える世界遺産があります。

 そこで、私が言いたいのは、世界遺産は環境保全や世界平和のシンボルだとこう言われておるわけです。さらに、そのことを登録することによって、ふるさとに誇りと関心を持つとか、さらには訪日観光客の増加が見込まれていくとか、そして世界遺産の新しい産業とかビジネスが生まれてくる、新しい雇用など、こういった大きな力を私は秘めておると思っております。言いかえれば、我々の、日本の、我が国の方針や課題に対して、これまでとは違った新しい解決策を見出せるヒントがいっぱい詰まっておるのではないかと私は思っております。

 そこで、国は、この二十年がたった今日、十六になった世界遺産、さらには、先ほど言いましたが、富士山も含めて暫定登録リストが九つもある。さらには、未登録地を登録してほしいというのが五十を超える。こういった、我が国の世界遺産がかなりの形でふえてきておる。

 これを、国家戦略として世界遺産をどのように今までは位置づけてきたのか、そして、二十年たったこれからどう位置づけていくのか、このことについて関係省庁にお聞きをしたいと思います。

神本大臣政務官 玉置議員におかれましては、御地元の紀伊山地の世界遺産登録に向けても、また、日ごろから世界遺産議連として重要なお仕事をしてこられたこと、存じ上げております。

 お尋ねの、我が国における世界遺産の位置づけに対する認識はいかがかということでございますが、世界遺産は、先生も御指摘のように、人類全体の遺産として顕著な普遍的価値を有する文化遺産、自然遺産を、世界遺産一覧表に記載をいたしまして、これらを国際的な協力によって後世に守り伝えようとするものでございます。

 先ほど先生もお触れになりましたように、我が国は平成四年にこの条約を批准いたしまして、現在までに十二件の文化遺産と四件の自然遺産、合計十六件の登録を得ているところでございます。

 我が国として保存継承してきました文化財が世界遺産に登録され、人類全体の遺産として価値づけされることは、我が国としても大きな誇りでございますし、世界遺産への登録を批准することは、登録を目指す過程で、地域における総合的な文化財保護の取り組みが格段に充実するといった点からも大きな意義があるというふうに考えております。

高山大臣政務官 世界遺産の中でも自然遺産を保全管理する立場の環境省からも答弁をさせていただきます。

 世界遺産は、世界に一つしかない、かけがえのない人類共有の財産であります。そして、このことを念頭に登録や保全管理を進める必要がございまして、現在、世界遺産条約関係省庁連絡会議の枠組みのもとで、各省が連携して、これは縦割りにならないように、登録等の対応を今しております。

 そして、自然遺産に関しましては、生物多様性基本法に基づきまして、平成二十二年に閣議決定されました生物多様性国家戦略がございます。

 この中におきまして、生物多様性保全の観点から、人類全体にとって重要な世界の遺産を登録し、遺産として認められた価値を将来にわたって保全することを重要な取り組みと位置づけております。そして、関係機関等との連携、調整のもと、適切な保全管理を推進することということをこの国家戦略の中で規定しております。

玉置委員 今、御答弁はいただきましたけれども、私は、先ほども申しましたように、これから二十年たった、こういった中で、世界遺産のやはり国家戦略を持つ必要性があると思っております。

 そうした中で、私自身も、十四年前に私は県会議員をしておりましたから、熊野古道を世界遺産にということで県議会で発言をした経験があるんですけれども、そういう思いもありまして、ずっとこの世界遺産に取り組んできました。九年前には、紀伊山地の霊場と参詣道が登録をされたんですけれども、その間も、国会議員にならせてもらってからも、世界遺産地域の保全とか活用をどのようにしておるか、こういったことを、世界の十五カ国ほど行ってきました。先週もスウェーデンに行ってきました。

 私の印象では、やはり一番進んでおるのがイタリアだと思っています。イタリアは、四十七カ所持っております。イタリアの政府関係者の方の話ですけれども、世界遺産になるということは、国家勲章、国家の勲章ということ、つまり、このことで国を動かせるんだ、こういった中で観光戦略とかをやっておるわけです。

 そういった意味で、これから二つの点についてお聞きをしていきたいと思います。それは保全と活用であります。

 そのまず一つの、保全について聞いていきたいと思います。

 世界遺産地域の、熊野古道でいえば、その歩く道をコアゾーンというんですけれども、そして、その周辺の森、五十メーターぐらいをバッファーゾーンというんですけれども、実は、ここらにつきましては、その保全の管理の仕方がばらばらなんです。コアゾーンは、いわゆる国の文化財で守られておる、しかし、バッファーゾーンは、市町村の景観条例でしなさいと。そういった中で、統一されていない、何とかしてほしいという要望が私どもにも来ておりますし、私もそのように感じております。

 そういった中で、自然遺産につきましては、後ほど御答弁があろうかと思いますけれども、ほとんど国立・国定公園でありますから、国が責任を持ってやっていける、そういうことがあるわけですけれども、推薦とか登録に当たっての責任が国にあるのに、国の宝でありますから、包括的な保全管理も、当然、コアゾーン、バッファーゾーンも国が責任を持つべきであると思いますけれども、どうなのかお伺いをしたい。それが一点。

 そうした経費も、文化財保護経費とは別枠で補助率をかさ上げするなどの措置をすべきではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

高山大臣政務官 玉置先生のおっしゃるとおりでございまして、まず、最近、自然遺産になりました小笠原にも私は昨年も参りましたけれども、これは、国だけではなくて、まさに地域の方々、その自治体だけではなくて、普通の一般の住民の方の協力もなしには全く実現できない価値でございます。

 その上で、今御質問の世界遺産地域の維持管理ということですけれども、これは世界遺産条約でございますので、締約国が自国内の自然遺産を保護し保全していくという責任を負っております。

 したがいまして、これは国が責任を持って自然遺産の管理や適切な保全をしていくということでございます。

 実際に、自然遺産に関しましては、環境省や林野庁が中心となりまして、関係する国の機関や地方自治体、自然保護や経済関係団体などなど、遺産地域連絡会議を設置して、地域と連動して保全に当たっているということはございます。

 ただ、先生の御地元の場合は、文化遺産でありますけれども、豊かな自然の中にあるという特殊性はあるということも我々は承知はしております。

神本大臣政務官 世界遺産として認められる維持管理につきましては、条約に基づく作業指針というのがございまして、それによって、国、県、市町村の各段階において適切な保護措置をとることが求められておりまして、我が国では、世界遺産に推薦するときに、各遺産に応じた適切な管理体制が確保できるということ、そのための準備を行って、登録への取り組みをしているところであります。

 我が国の文化遺産につきましては、主に文化財保護法によって保護措置がとられております、いわゆるコアの部分ですが。その場合、文化財の所有者または管理団体が適切な管理を行うことになっておりますので、世界遺産に対する予算措置については、主に指定文化財に対する財政的支援として、ハード面については、災害復旧や土地の公有化、案内板やガイダンス施設の設置等の整備、こういったものに対する国庫補助がございます。また、ソフト面につきましては、広報資料の作成や、体験学習会やシンポジウムの開催などの国庫補助がございます。

 それで、バッファーゾーンについても国が支援すべきではないかというふうに今御指摘でございますけれども、今申し上げましたように、構成資産については主に文化財保護法によって保護措置がとられており、その場合、その文化財のある地域で管理することが適切であるため、文化財の所有者または管理者が適切な管理を行う。緩衝地帯、バッファーゾーンについては、各遺産の特性に応じた適切な管理体制が確保できるように、国の法律または自治体の条例など、さまざまな手法による保護措置がとられているところであります。

 この緩衝地帯を含めた世界遺産の保護管理につきましては、国及び地方公共団体の適切な役割分担によって保全していくことが適当でありまして、文科省としましても、それに対する助言や整備における国庫補助等を通じて支援をしてまいりたいと考えております。

 以上です。

皆川政府参考人 世界遺産の管理につきまして、林野庁の立場から答えさせていただきます。

 まず、我が国の世界自然遺産地域の中の陸域のうち、約九五%が林野庁所管の国有林野でございまして、この国有林野の管理主体である林野庁が、その管理、保全に責任を持って取り組んでございます。

 具体的には、国有林野のほぼ全域を、原生的な天然林を保全することを目的にした、原則として伐採を行わない森林生態系保護地域に設定するなどして、厳格な保全管理に取り組んでございます。

 また、世界自然遺産のみならず、世界文化遺産の緩衝地帯、バッファーゾーンという御指摘がございましたが、を含みます遺産地域周辺の景観等に配慮した森林の整備、保全といったことにも取り組んでございます。

 今後とも、人類全体の財産である世界遺産及びその周辺地域におきまして、関係機関と連携を図りながら、国有林野の適切な保全管理に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

玉置委員 ありがとうございました。

 今の御答弁で、自然遺産と文化遺産の管理、保全の仕方が明らかになったと思います。

 私は特に文化遺産についてお願いしておきたいと思うんですけれども、当然、通常の維持管理というのは、これは、当該の市町村、当該の県とか、これがやったらいいんですよ。やるわけなんですけれども、つまり、バッファーゾーンのそういう維持をしたり整備とか、買い上げをしていくときに、やはりお金が要ってくるんです。自然遺産で、この間、台風とかでもじけたり。こういったところについては、きちっとやはり国がバッファーゾーンについても見ていく。

 というのは、私も、イタリアの関係、先ほども申しましたけれども、イタリアは、保全に対する管理計画については、世界遺産特別法というのをつくって、国の責任を明確にしておるわけです。こういったことも含めて、ぜひとも御検討をお願いをしたいということで、要望しておきます。

 それと、時間もございませんから、三点目の、今度は保全と活用の中の活用です。生かすことについてお聞きをしたいと思います。いわゆる世界遺産を生かした国の取り組みと考え方、さらに、もう一つの項目も聞きたいと思います。世界遺産間のネットワークです。

 一つは、世界遺産を生かした外国人旅行客の誘致とか、地域振興とか、教育とか、環境、平和等への国の取り組みについて、また、今後の国の取り組み方針を伺いたいというのが一点。

 それと、きょうは観光庁の方も来られておられますので、政務官も来られておりますので、世界遺産を活用した外国人旅行客誘致のための予算規模はどのぐらいあるのか。これから訪日観光客戦略で大変力を入れていくということでありますけれども、この世界遺産を活用することが大変大事だと私は思います。そういうことについてお伺いをしたい。

 それと、世界遺産間のネットワークについてもあわせてお聞きをしておきます。

 一つは、私どもも二年前に、民主党の中で多くの方々の御協力を得て、「世界遺産」議員連盟というのをつくりました。そこでいろいろと関係の登録地の方々の御意見とかを聞いてきておるんですけれども、やはりネットワークをきちっとつくっていきたい、要ってほしいと。ここにはやはり国の大きな指導が要ってくると思います。京都市長が会長の「世界文化遺産」地域連携会議というのが設立をされまして、つい先日、七月に国会へ来ていただきました。こういう方々もおられますけれども、日本の世界遺産におけるネットワークはあるのか。国はネットワークの必要性をどう考えておるのか、これもあわせてお聞きをしたい。

 さらには、九百三十カ所を超える海外の世界遺産と日本の世界遺産の間のネットワークはあるのかとか、そして、その必要性はどう考えておるのかということをお伺いしたいと思います。

 以上です。

室井大臣政務官 それではお答えをいたします。

 まず、玉置先生には、世界じゅうを駆けめぐって世界遺産の勉強をされておることに対しまして、心から最高の敬意を表したいと思っております。

 観光庁として二点御質問をいただいたというふうに理解をしております。

 まずは、世界遺産の活用、政府はどのように取り組んでおるのかということが一点と、もう一点は、世界遺産を、外国人旅行客の誘致の予算規模は観光庁としてどのくらいであるのかというような質問だったと思います。

 まず一点、世界遺産は、先生もおっしゃるとおり、国の財産であり、有益な観光資源であるということはもとより、外国人観光客の誘致の点からも重要であり、日本の国も、観光立国として成長戦略の重要政策の中に入っておるところであります。

 そういう背景で、観光庁は、海外へのプロモーションにおいては、まず、海外旅行者に対する世界遺産を含むツアーの造成の働きかけを積極的にしておりまして、海外での広告宣伝の素材として、素材はポスターとか写真でありますが、世界遺産の活用などを積極的に取り組んで行っております。

 あわせて、世界遺産を有する観光地と連携したプロモーションを展開しており、平成二十四年は、奈良県と連携した古都奈良の文化財などを活用した関西及び紀伊半島のプロモーションや、先生の和歌山県でありますが、連携した紀伊山地の霊場と参詣道を活用したドライブツーリズムのプロモーションなどに取り組んでおるところであります。

 さらに、これらの事業は、平成二十四年度のビジット・ジャパンという事業予算、約四十九・三億円でございますが、その中に先生のお尋ねの世界遺産を活用した外国人誘致の予算はどのくらいかということでありますが、この中に含まれておりまして、誘致としての予算というのはこの中の一部として入っておるというふうに御理解をしていただければありがたく思います。

 観光庁、百名のスタッフでありますけれども、積極的にこれからも取り組んでいきたい、このように思っております。

 以上でございます。

渡邉政府参考人 地域振興の件とネットワークの件、お答えしたいと思います。

 まず、地域振興の関係で、世界的にも貴重な財産であります自然遺産の保全と豊かな地域づくりを結びつけていくことは大変重要な課題というふうに考えておりまして、そのためにも、地域に住んでおられる方々に、世界遺産の価値、そしてその保全の大切さを理解していただきながら、地域の関係者との協働によって保全管理や活用を進めていくことが、地域の誇りも高め、ひいては、遺産を活用した地域づくりにつながっていくというふうに考えておりまして、こういった観点からも、環境省といたしまして、自然遺産を対象としたエコツーリズムや環境教育を推進してきたところでありまして、今後とも、そういった面についてもぜひ力を入れていきたいというふうに思っています。

 もう一点、ネットワークの関係です。

 それぞれの世界遺産の管理状況について情報を関係者間で共有していくということが、効果的な保全管理にとって欠かせない、ネットワークは大変重要だというふうに考えています。

 国内のネットワークとして、自治体の世界遺産の関係都道府県会議があります。そういったものにも環境省として積極的にかかわっておりますことに加えて、環境省として、シンポジウムの開催などを通じまして、遺産地域の取り組みについて、情報の共有、あるいは人の面でのネットワークづくりにも力を入れていきたいというふうに考えています。

 もう一つ、国際的なネットワークの関係ですけれども、遺産条約に基づいて設置された遺産委員会を初めとして、国際的な情報共有のためのさまざまな機会や仕組みがあります。こういった機会を通じて、日本としても、世界的な遺産地域の保全、活用についての情報の交換、共有についても取り組みを進めていきたいというふうに考えているところです。

神本大臣政務官 世界遺産間のネットワークについて、その重要性についてでございますが、世界遺産に登録されたその地域にとって、その保全管理、維持管理については非常に重要な任務として受けとめていただいて、また、登録されたことが誇りであるということで、その活用についてもやっていただいている。

 世界遺産に登録された地域の方々の課題を共有化したり、連携によって課題解決をするということは、各遺産間のネットワークを構築してやろうという、それは大変有用なことでございますし、先ほど御紹介がありました「世界文化遺産」地域連携会議、これが発足していることも承知をしております。

 文部科学省としましても、このような取り組みとしっかりと連携をしながら、世界文化遺産における課題に取り組んでまいりたいと考えております。

玉置委員 ありがとうございました。ネットワークの必要性とか世界遺産を生かした活用についての取り組み等の報告がございましたけれども、私は、やはりここが大きなキーポイントになってくると思っています。

 例えば、私のところの高野・熊野でいえば、仏教とかいろいろな宗教があっても仲よくしようじゃないか、こういうところがユネスコに世界遺産の精神文化として認められました。今、宗教紛争が起こっておりますけれども、こういったことを、この世界遺産の意義を含めて、世界平和のサミットみたいな形で、世界の聖地として高野・熊野をしていくのだというような話も今取り組んでおります。そういった、世界遺産を活用していく、そんな戦略をよろしくお願いをしておきたいと思います。

 そこで、いろいろと、世界遺産でも各省庁またがるわけですね。今聞くだけでも、環境省、農林水産省、文科省さらには国交省、外務省もございますけれども、こういったことがあって、いい面と、いい面というよりも、二十年たって、私はまだまだこれはやはりきちっと連携をもっと密にしていかなあかんということを思っております。

 省庁の関係のこの連携につきまして見解をお伺いをしたいと思いますけれども、よろしくお願いします。

中野大臣政務官 委員におかれましては、先ほど来お話しありますけれども、県会議員時代からこの世界遺産につきましてはライフワークということで取り組んでおられて、地元の紀伊山地におきましての世界遺産の登録についても非常に大きな御尽力をされたというふうに伺っておりまして、私たち外務省としましても、敬意を表させていただく次第でございます。

 委員の御質問に対しましてですが、先ほど来、環境省そして文部科学省からもお話しありましたけれども、国レベルの各省庁の連携につきましては、世界遺産条約関係省庁連絡会議というもの、これは外務省主催でございますけれども、設けて、今、特に世界遺産の一覧表の登録決定についてやらせていただいております。

玉置委員 今も、聞く限りでは、やはり統一したそういった取り組みができるような、これから最後に提案いたします世界遺産法みたいなのが国家戦略として必要ではないかなと私は聞きながらも思ったわけですけれども、最後の質問といたしまして、私流で言えば、日本で初めての世界遺産推進法、こういったものをぜひともつくる必要があるのではないかと思っております。

 今聞きましたように、関係省庁が幾つもあり、縦割り行政がいろいろな意味で今ある。そういった中で、統一をした国家戦略が必要である。さらには、保全と活用についても、国が一体となった取り組みの重要性を私は今質問しながら聞かされたわけですけれども、そういったことを踏まえて、世界遺産の中には、こういった我が国の方針や私たちが抱える課題に対して、先ほども申しましたけれども、これまでとは違った新しい切り口というんですか、解決策を見出すことができるヒントがいっぱい詰まっておると思うんです。そういった意味で、その戦略をぜひとも世界遺産法の制定というような形でつくろうではないかという提案であります。

 先ほどもイタリアの世界遺産特別法を言いましたけれども、これは、イタリアは全部で五条の管理計画だけです。私は、管理計画の保全と活用、この二つを入れた、世界で初めての世界遺産推進法、これは私どもの議連でも今これから議論をしてまいります。そういった中で副大臣の見解をお伺いをしたいと思います。

横光副大臣 まず、玉置議員、本当に、先ほどからお話がありますように、世界遺産の登録等、あるいは環境問題に熱心に取り組んでおられることに心から敬意を表したいと思います。

 今、壮大なといいますか、お話がございました。世界遺産推進法を制定すべきだということでございますが、やはり一点は、関係省庁に多くまたがっているじゃないかということがあろうかと思いますが、そういった関係主体間のネットワークを構築していくということは、これまで説明がございましたように、我が国の生物多様性基本法に基づいて国家戦略にもこの世界遺産は位置づけておりますし、そういった中で活用やあるいは管理や保護を進めているわけでございます。ですから、各関係主体間が今ネットワークをしっかり実はこの問題では築き上げておると言ってもいいと思っているんですね。

 例えば知床の例を挙げますと、知床世界自然遺産管理体制というのがございますが、これは、国、北海道、それから地元のいろいろな関係団体、例えば、シャケが遡上するためにはどういう取り組みが必要かということで漁協の方も入っていただいておりますし、いろいろな形でこのネットワークを構築して、この日本のモデルともいうべき知床の例は、非常に世界でも評価が高いわけですね。非常によくやっているという評価をいただいております。

 そういった意味では、まずはこうした既存の枠組みを活用した上で、十分に世界遺産の保全、活用、これを最大限進めてまいりたい、このように考えております。

玉置委員 今、確かにそれぞれ個々の世界遺産につきましては頑張られておると思います。

 しかし、私が今回指摘したのはネットワークであります。そして、国の宝として、国の国家戦略としてどう生かしていくか。例えば、海外では世界遺産地域を、観光でいえば、五つ回ったら一カ所はただにしますよとか、いろいろな戦略をやっておる。それはやはりネットワークをつくらなあかんのです。

 これだけじゃなしに、これだけの国の宝が二十年たってできた。だから、私はやはり、先ほどの答弁を聞く中では、個々の世界遺産はそれぞれ頑張られておる。しかしいろいろな問題がある。そうした中で、国家戦略として世界遺産推進法、いわゆる保全と活用、これは恐らく縦割りになりますから、私は議員立法が一番いいかなと思っておりますけれども、そういったことを含めてぜひとも取り組んでいきたいと思いますので、皆さん方の御協力をお願いをしたいということをここで言わせてもらって、もう時間が来ましたので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

生方委員長 次回は、来る二十七日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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