衆議院

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第9号 平成24年7月31日(火曜日)

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平成二十四年七月三十一日(火曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 生方 幸夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 川越 孝洋君

   理事 近藤 昭一君 理事 矢崎 公二君

   理事 田中 和徳君 理事 吉野 正芳君

   理事 横山 北斗君 理事 江田 康幸君

      磯谷香代子君    柿沼 正明君

      工藤 仁美君    篠原  孝君

      田島 一成君    高山 智司君

      玉置 公良君    浜本  宏君

      三浦のぼる君    森岡洋一郎君

      山崎  誠君    山花 郁夫君

      横光 克彦君    吉川 政重君

      あべ 俊子君    井上 信治君

      徳田  毅君    長島 忠美君

      丹羽 秀樹君    福井  照君

      古川 禎久君   斎藤やすのり君

      佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         細野 豪志君

   環境副大臣        横光 克彦君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (林野庁次長)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月三十一日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     磯谷香代子君

  吉川 政重君     山崎  誠君

  岸田 文雄君     あべ 俊子君

  近藤三津枝君     長島 忠美君

  町村 信孝君     徳田  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     空本 誠喜君

  山崎  誠君     浜本  宏君

  あべ 俊子君     岸田 文雄君

  徳田  毅君     町村 信孝君

  長島 忠美君     近藤三津枝君

同日

 辞任         補欠選任

  浜本  宏君     吉川 政重君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律案(内閣提出第六六号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

生方委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る二十七日既に終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、大谷信盛君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。吉野正芳君。

吉野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 国民からの使用済小型電子機器等の収集に当たっては、現状において市町村の回収がその大半を占めることから、市町村が主体となった回収体制の構築のため、国は必要な支援を行うこと。

 二 使用済小型電子機器等の収集運搬に当たって違法、脱法行為が行われることがないよう、本法及び廃棄物処理法に基づき、国及び地方公共団体が連携して認定事業者及び認定事業者から委託を受けた者に対して適切な指導監督を行う必要があることから、そのための対策を強化すること。

 三 地域に根付いた回収業者の有効活用を図るなど、安定的かつ効率的なリサイクルシステムの構築に資する諸施策を充実すること。

 四 海外で環境上不適正な処理が行われることのないよう、現行の規制を徹底するとともにその改善方策について検討すること。

 五 「アジア3R推進フォーラム」における「東京3R宣言」をはじめとした成果等を踏まえ、我が国の優れたリサイクル技術の活用がアジア全体の環境負荷の低減につながることに鑑み、我が国のリサイクル技術の国際展開を積極的に行うとともに、海外では適正にリサイクルできないが我が国ではリサイクル可能なものは輸入を促進するなど、循環資源の適切な国際移動の円滑化を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

生方委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立総員。よって、法案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。細野環境大臣。

細野国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

生方委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

生方委員長 次に、環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省農村振興局長實重重実君、林野庁次長沼田正俊君、気象庁長官羽鳥光彦君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長鈴木正規君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君、環境省自然環境局長渡邉綱男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。久しぶりに環境委員会で質問をさせていただきます。

 今、非常にいい法律が可決、採択されました。リサイクルというのは非常に大事なことでして、都市鉱山という言葉は、関係者の皆さんはみんな知っておられるんじゃないかと思います。

 どうもそっちの方にばかり目が行くんですが、ごみ、だけれども資源だというのでみんな忘れているものに、生ごみがあります。生ごみ、皆さん田舎を回ったりしておわかりになりますかね。畑や田んぼや庭が広い人は、生ごみなんてのは穴を掘って埋めておけば、夏だったら二カ月ぐらいで全く何にもなくなっちゃうんです。冬だと、ちょっと微生物の活動が鈍いのでもっとかかりますけれども。

 トイレのないマンションとか言われます。核、原発のごみの処理ができないことですね。だけれども、その核のごみだけじゃなくて、生ごみも同じになっているわけです。いっぱいできてしまっていると思う。これは、私は、都市鉱山という粋な名前がついているようですが、それをもじれば、都市堆肥センター、こういうのが必要なんじゃないかと思うんです。いっぱいあるわけです。都会の人が、金持ちですしぜいたくですから、残すものも多い。残すものが多いし、ぜいたくなものを食べているので栄養分もいっぱいある。これは土に返さなくちゃいけないと思っているんです。

 どれだけあるかというと、それで、生ごみは全部燃えるごみの中に入っているわけですね。では、小学生に聞いてみてください、生ごみは燃えるごみかと。燃えないと言うんじゃないですかね。だけれども、燃やしているんですよ。保管のものもある。だけれども、生ごみがいっぱいあると、非常にエネルギーをかけてとか燃料をぶっかけたりして燃やさないと燃えない。そういう無駄なことをしているわけです。

 九十何種類かの小型電子機器のリサイクルをするんだったら、大量に出ている生ごみもリサイクルすべきだと思う。

 こういうことを皆さんお考えになっているかどうかは知りませんけれども、私は、ツルネンマルテイさんと一緒に、有機農業推進議員連盟というのがあるんですが、その中でもこの問題に早くから取り組んでいまして、これを何とかしようと。

 食品廃棄物のリサイクル法というのがあるんです。これは業者だけにかかっています。業者だけで、これも義務じゃないんですけれども、私は、こんなことにというか、いいことなんです、小型電子機器の再資源化というのは。それだったら、生ごみも再資源化していくべきだと思います。

 環境省もいろいろ仕事はあると思います。しかし、華々しい原発とかそんなものばかりに行ってしまって、一番根本のところを忘れているんじゃないかと思います。

 この点について、この次の段階で、細野大臣がどのぐらい環境大臣をやられるかはわかりませんけれども、私は、大臣というのは二年、三年やっていただきたいと思っています。それでちゃんと役人にも、官僚にもにらみをきかせてやっていただきたいということで、この次のステップとして、都市堆肥センター、都市にはつくれませんけれども、埼玉県、茨城県に持っていって、そして農地に還元すればいいんですよ。こういうことをぜひやっていただきたいと思っているんですが、この点についての所見をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 篠原委員は、大変、もう本当に発想豊かで、常に先の問題を捉えて具体的におっしゃるので、非常に、問題意識としてはそのとおりだなというふうに思いながら聞いておりました。

 環境省は、この廃棄物の問題というのはまさに本業中の本業でございまして、おろそかにしているということではないんです。ただ、確かに御指摘のとおり、いわゆる食品の残渣、廃棄物というものについては、実際に家庭で出るものについてなかなか処理が難しいということもあって、まだ課題を残しているというのが実態でございます。

 具体的に数字を調べてみたんですが、現在、大体この利用率というのが二七%ぐらい、しかも業務用が主ということになっております。これを、二〇二〇年における利用率を約四〇%まで高めていきたいというのが、バイオマス活用の推進基本計画に基づく食品廃棄物についての目標ということになっております。

 具体的にそれを実現をするために、生ごみを再資源化する施設を循環型社会形成推進交付金の交付対象として、これを整備をする市町村等に関しては、財政支援を行っているところであります。

 また、これは研究開発も極めて重要でございますので、衛生面で問題の解決に資する生ごみの分別方法等に関する先進的な研究、技術開発を行う事業者に対しても財政的な支援を行っているところでございます。

 やはり、これだけ食料の輸入に頼っている我が国ですから、それこそ廃棄率が大変高いというのは大きな問題でありますから、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

篠原委員 分別収集なんかになると、みんな、面倒くさくてできない、できないと言うんですけれども、今現実にどうなっているかというと、ペットボトルなんというのは、キャップを外し、それからラベルを外してということまでみんなやっているわけです。それから、何種類にも分けていて、非常にみんな真面目にやっているわけです。日本人はやってやれないことはないんです。

 ですから、生ごみを別に分別して収集するなんというのは、ちゃんと意識を徹底したら簡単なんですよ。今大臣が答えられたのは業者のことなんですが、業者の皆さんにはある程度大量だからやらせて当然ですけれども、僕は、一般家庭のもたくさんあるので、それをちゃんとやって、節電とか環境とかいうのを、その意識を高めるための道具にもなると思う。ぜひこれをやっていただきたいと思います。

 次に、もっと大きなごみ、核のごみについて質問をしたいと思います。

 久しぶりで、資料をたっぷりそろえてありますけれども、私がいろいろ書いた本の引用もありますので、私の方に耳を傾けながら、私の本の引用の方をじっくり読んでいただきたいと思います。

 まず、一ページ目の「民主党政権下の原発セールス」です。

 これはいろいろありますけれども、国別になっているんです。真ん中、ベトナム、異様ですよね。今まで、政権をとってから、政府高官、党の高官、いろいろ行かれたのは十二組、これだけに行ったということもないんですが、これだけベトナム詣でをしているわけです。私は異様だと思うんですよね。

 ベトナムのところを見てください。ベトナムの上から二番目、仙谷国家戦略担当大臣と前原国交大臣が同じ日に行っているんですよね。そして、ベトナム政府の高官を真ん中に置いて、にこにこして写真に写っている。このころはそんなに問題はまだなかったころですけれども、原発の事故があってからも同じようなことをしているわけです。私は、これは余り好ましくないことではないかと思っているんです。

 どういうことかというと、農薬、ホリドールとかパラチオンとか、百姓のせがれなのでさんざん僕はそういうのを手伝いました。ひどいんです。そのころは何にも言われていない。私が小学生のころです。私の大事な役割は、ホースで消毒をじいちゃんがやっている、ホースがリンゴの木や桃の木にひっかからないように引っ張っている。とまると怒られるんです。

 それから、もっとひどいのは、土管があるんです。そこの中に農薬を混ぜて攪拌するんです。攪拌を僕がやるんです。そこで化学反応を起こして、どれだけ吸い込んだか知れません。僕がちょっとおかしいのはそのせいかもしれません。

 それで、三十年後、二十年後、催奇性がある、発がん性があるなんて言ったって、たまったもんじゃないですよね。

 ところが、それが日本で使用を禁止される。いや、これは仮定の話ですよ。ベトナムやインドネシアやマレーシア、フィリピンではまだ環境規制がない、つくってもうかるというので輸出するんです。その辺わかりますよね、環境省の皆さん。エコダンピング輸出です。こんな恥ずかしいことは、できても絶対してはいけないんです。

 では原発はどうなっているか。同じなんです。我が日本国で、心配だ、原発の事故の収束もできない、危うい、だからつくるのをやめよう。つくるのをやめようだけじゃなくて、再稼働だってきちんと安全性をチェックしなければできないというところに、自分のところでつくれないものを人の国に輸出してなんて、そんな恥さらしなことはないんじゃないかと私は思います。それを我が国の国会ではのうのうと通して、世界の環境団体からひんしゅくを買っています。

 それで、これに加勢している人たちがこれだけいるんです。済みませんね、大谷さんもついていっただけだと思う。関係者はどの程度いるかわかりませんけれども、私は、政治家の見識としてこういうのはやってはいけないことだと思っているんです。僕が政府の高官をしたら、誰に命じられたって行きませんよ、すぐに首になるでしょうけれども。だから、相手の国のことを考えてみてください。

 では、二つ続けて聞きます。

 原子力協定を結んで、核不拡散防止条約に基づいて原発から原爆をつくってはいけないというルールで、一体誰がチェックするのか、どのようにチェックできるのかと。

 それから、ヨルダンとかベトナム、ヨルダンなんか小さい国ですよ。そこで原発が事故を起こしたら、ひょっとすると全国民が国外退去しなければならないんですよね。そんな事態にどうやって対処をするんだ。輸出国の日本の責任というのは一体どうなるのかと。

 こういうことを考えたら、ちょっと良心がある人なら、こんなことはやめようというふうになるんじゃないんですか。

 その証拠に、ヨルダンの、上院は国王の指名で与党的になっているようですけれども、下院では原発の建設の一時停止を可決されている。当たり前だと思いますよ。ベトナムは、体制が違ったりして反原発運動とかなかなか起きない国だと思いますけれども、やはり常識で考えたら、そんなことはできないと思うんです。

 この点については、今どういうふうに考えておられるんでしょうか。

中野大臣政務官 私、委員ほど頭の回転が速くないものですから、ちょっと丁寧に説明をさせていただきたいと思います。

 今、恐らく三つ大きく質問をいただいたと思っておりまして、一つ目は、原発から原爆等の製造をするというふうに、要は、軍事転用される危険性があるかどうかについてどのようなチェックをしているのかということだと思いますが、まず日本について申し上げさせていただきますと、これは、日本を含む多くの国がIAEAとの間で保障措置協定というものを締結をしております。このIAEAによる査察等の検認活動を受け入れておりまして、その中で、これは、日本を含みます当該国の民生用の原子力活動が軍事転用されていないということが確認をされる仕組みになっております。

 そして、今、原発セールスというお話がありましたが、外務省としては、原子力協定を結んでいる相手国との関係について申し上げさせていただきたいと思います。

 我が国が締結している原子力協定におきましては、我が国から移転される原子力関連資機材等は、いかなる核爆発装置の研究または開発のためにも、また、いかなる軍事転用のためにも使用してはいけないということがこの協定の中では規定をされております。そして、その原子力協定に基づいて移転された核物質が、相手国政府とIAEAとの先ほど申し上げました保障措置協定の適用を受けるということを規定しておりますので、この点におきましても、原子力関係資機材等の不拡散、平和的利用を法的に確保しているというのが、これは協定の中での枠組みを含めましての御説明でございます。

 そして、ヨルダンにつきましてですけれども、ヨルダンでは、委員御指摘のとおり、原発の建設停止決議というものが出されております。その中で、ヨルダンのエネルギー政策は、ヨルダン政府の責任のもとで判断されるべきであるというのがまず第一義的なことだと思っております。

 そして、御指摘のヨルダンの下院の動きでございますけれども、ヨルダン政府は、現在、建設の前段階でありまして、経済的な実現可能性あるいは環境面の調査はプロセスの重要な一部であるということは、これはヨルダン政府も認めているところでございます。十分な調査を経た後に原発を建設すべきであるというこの下院の採択をヨルダン政府自身も支持をしておりまして、予定どおり計画を継続する旨表明をしているというふうに今私たちは承知をしております。

 そして、原子力協定に関しましては、昨年の原発事故を踏まえまして、私たちが経験をした事故の経験、教訓というものを世界と共有をしていくということが重要であると考えておりまして、国際的に原子力安全の向上に貢献をしていかないといけないというのが、今、私たちの政府として果たしていかないといけない一つの役割だというふうに理解をしております。

 それから、ヨルダンで原発事故が起きた場合、責任は誰がとるのかということでございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げたとおり、一義的にはやはり当該国が責任を持たないといけないということであると思いますが、先ほど申し上げましたとおり、我が国としましても、昨年の事故の経験と教訓を生かして高い水準の原子力安全が実現するように、でき得る限り相手国に対して協力をしていかないといけないということだというふうに理解をしております。

篠原委員 ヨルダン国民のことを考えたりしたら、ヨルダンの国民も心配している、日本もこんな事故を起こしてしまったと。だから、もう日本は、ほかの国と違ってそんな原発輸出競争に血眼になったりしない。安全性が確保できるのか自信ないから、原子力協定の破棄通告というのは確実にどこの協定にもあると思いますけれども、進んで日本は退くというようなことをしていくべきじゃないかと私は思います、そういうことをできるかどうかわかりませんけれども、私なら、私が皆さんのような立場にいたら、それを強く主張します。

 またこの表を見ていただきたいんですけれども、ベトナムの五番目ぐらいのところにありますか、二〇一〇年の十月、鳩山前総理、大畠経済産業大臣、菅総理、この菅総理と前原外務大臣はそのためだけに行ったわけじゃないですけれども、物すごいんですよね。これは僕は異様だと思いますよ、こういうところ。それは李明博大統領は、韓国のCEOだと言ってプラント輸出を率先してやっていると言いますけれども、日本も同じようにこういうことをやっている。

 私は、日本の誇る新幹線の技術とかああいうものでやっていったらいいんだと思いますけれども、原発と新幹線、これを一緒にしてやるというのは、民主党の政権がそんなことをするということを五年前、十年前の人たちは想像していたでしょうか。多分、していないんじゃないかと思う。そういうところに我が党の支持率が下がっている原因があるんだと思います。

 次の二ページのところを見てください。「恥ずかしい日本の原発輸出」、僕は恥ずかしいと思って書きました。上の段の線を引っ張ったところは、菅総理は、原発事故が起きてからは、いかにも脱原発をずっとやってきたようなことを言っておられますけれども、このころはそんなんじゃなくて、総理として、立場上しようがないかもしれませんけれども、推進されていたわけです。

 下のところを見てください。下のところの二百七十七ページ。死の商人じゃなくて、死の灰の商人に日本はなるかもしれないということ、これをよく頭の中に入れておいていただきたいと思います。

 それで、次ですけれども、三ページのところを読みながら聞いていただきたいんです。ここは、「二重の被災国日本は核兵器も原発も廃止宣言を」というサブタイトルのところで書いているんですけれども、日本は非核三原則という立派なルールがあるわけです。世界で唯一の原爆の被爆国だ。広島、長崎と言っていたのを広島、長崎、チェルノブイリと言われていましたけれども、広島、長崎、チェルノブイリ、福島とつくようになったんです。二重なんです。二重で、被害というか起こしているというか、原子爆弾の被爆国と同時に、原発の事故も起こしているので、二重の被災国です。

 このような日本というのは、原発について、あるいは原子爆弾について、非常にネガティブな、だめだという態度をとっても、世界じゅうの人は理解できるんだろうと思います。

 NPTの重要な加盟国でもあります。日本は、平和利用しかしないということで、核燃料サイクルとか再処理も許されています。これが日本だけが許されるのはけしからぬと言って、イランだとか韓国も、自分たちもさせろと言っています。だから、この際、日本はもっと身ぎれいになるべきなんです。

 どういうことかというと、非核三原則のところを四原則にして、原発輸出もしない。日本国内において日本国民が原発推進という判断をするんだったら、それはそれで僕は仕方がないと思うんです。しかし、大半の人は違うと思いますけれどもね。私から言うと、ちょっとずれた人以外はそんなことを考えている人はいないんです。

 だけれども、人の国に行って迷惑をかけるということは絶対しない。それは、原発の事故を起こさない、その可能性がある、収拾がつかなくなったりしてわけがわからなくなるのを責任持てない。製造物責任というのがあるんです。輸出国責任というのも絶対あるんです。国民全員に消費増税でもって我慢してくださいと言っておいて、三菱重工や東芝や日立製作所は、いや、やっていけないから原発を輸出してくれ、協定を結んで、すぐ輸出できるような状態にしてくれと。そういった企業にも我慢してもらって私は当然だと思います。

 それが一つありますし、もう一つ、原子力の平和利用とずっと言ってきたわけです。世界に原子爆弾を、核兵器をばらまかない、そのための最大限の努力はするということで、原発輸出はその意味もあってしないということを宣言して、非核四原則というのを宣言していくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

中根大臣政務官 篠原委員にお答え申し上げます。

 原発輸出を含む国際的な原子力協力に関しては、昨年八月に菅内閣において決定した政府の方針に基づいて対応してきており、現在も本方針に変更はございません。

 すなわち、原発輸出を含む国際的な原子力協力に関しては、昨年の原発事故の経験と教訓を世界と共有することが重要であり、これにより、世界の原子力安全の向上に貢献していくことは、我が国が果たすべき責務であると考えております。

 その上で、我が国としては、諸外国が希望する場合には、相手国の事情を見きわめつつ、核不拡散、平和的利用等を確保しながら、相手国に高い水準の安全性を有するものを提供し原子力協力を行っていくことには、基本的に意義があるものと考えております。

 この観点から、これまで進められてきた各国との原子力協力については、外交交渉の積み重ねや培ってきた国家間の信頼を損なうことのないよう、留意して進めていくべきと考えております。

 以上です。

篠原委員 今の点について、週刊誌等で将来の総理というふうに書かれておられる細野大臣の所見もお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 それぞれ担当がありますので、担当外の私が余りしゃしゃり出て、今、経済産業省なり外務省なりが原発の問題について直接的な海外とのやりとりをしている状況ですから、コメントは余りしない方がいいのかなというふうには思っています。

 その中で、一点だけちょっと気になりますことを申し上げますのは、原発と核兵器というのは、これはやはりしっかりと分けて考えるべきだと思うんですね。エネルギーを供給をするために原発というのを我が国も推進をしてきたし、他国もそういうことに関心を持つ国がある。ただ、それが核拡散につながってはいかぬので、悩ましい濃縮ウランの問題とプルトニウムをどのように管理をしていくのか、処理をしていくのかということについて、さまざまな取り組みが、IAEAを含めて国際社会で行われてきたんだろうというふうに思います。

 ですから、篠原委員がおっしゃるとおり、日本が脱原発でつくらないという方向を例えば明確にするということになった場合も、それでも世界の使用済み燃料なりプルトニウムなり濃縮ウランをどうするかという問題には、これは日本としても向き合っていかなければならないというのは、これはそんなに単純な話ではなくて、もうここまで来てしまっている以上、現実として取り組んでいかなければならないことではないかというふうに思っています。

 もう一点だけ、御質問ではないんですけれども、ちょっと今気がつきましたのは、御著書の二百八十五ページで、私が去年の六月十日に訪米をして、ポネマン・エネルギー省副長官と薄汚い計画を進めたと書いてあるんですが、これは、尊敬をする大先輩である篠原議員ともあろう方が全く事実に基づかずに御著書に書かれるのは、ぜひこれはちょっとお考えをいただければと思います。

 私が六月十日に行ったのは、これは、IAEAに出している報告書の説明と、エネルギー省はいろいろ原発の事故の収束に向けての協力をしてくれていましたから、そのことについてのやりとりをしに行ったのであって、着実に計画を、これはモンゴルのことをおっしゃっているんでしょうか、これを進めるということで行ったのでは全くありませんので、ここはぜひちょっと御認識を改めていただければというふうに思います。

篠原委員 私は政策も改めますし、しょっちゅう過ちをしていますので、この過ちはすぐ直します。もっときょうの委員みんなに読んでいただければ多分第二刷の印刷が行われると思いますから、そのときは削除しておきますので。失礼いたしました。

 では、ちょうど大臣からそこに向けていただきましたので、次の質問です。

 そうした中で、五ページをもう読んでいただいていたようですけれども、四ページ、毎日新聞の会川さんという記者が書いて、国際報道ですぐれた成果を上げた人にボーン・上田記念国際記者賞ですか、それをもらっておられる方なんですね。元毎日新聞記者の矢崎さんがそこにおられます。矢崎さんも、国会議員になっておられなかったら、この賞をもらえるような記事を書いていたのかもしれませんけれども、この方の記事に僕はびっくり仰天いたしました。このことを調べていって、それなりに本に書いたわけです。

 これは皆さん御存じかと思いますけれども、モンゴルに、わかるんですよ、日本なんかだめですけれども、岩大陸は、五百メートルぐらい穴を掘ってそこに埋めたら、オンカロというのがありますよね、フィンランドの核燃料の処分場です。十万年間そこに眠らせておく、そういうことができる。こういうことをやっていたわけです。私は、こういうのは原発輸出以上にひどいことじゃないかと思います。こういったのは、いつからどのようにやっていたのかということですね。

 だけれども、こういうのはやはりやってはいけないことじゃないかと思うんですが、日本国政府はどのようにこれに関与しておられたんでしょうか、そして、どのようにこの後を考えておられるんでしょうか。

中根大臣政務官 モンゴルにおける使用済み核燃料の貯蔵等の可能性について、米国やモンゴルと非公式に意見交換を行ったことはございますが、何らかの結論に至ったものではございません。

 いずれにいたしましても、モンゴル政府としても、国内法上、外国の使用済み核燃料を引き取ってモンゴル国内で埋設処分することは困難との説明をしており、我が国としても、使用済み核燃料をモンゴルに押しつけるようなことは考えておりません。

篠原委員 そういうことは恥ずかしいことですから、ぜひやめてください。

 時間がなくなっちゃったんですけれども、六ページと七ページ、両方見てください。最近いろいろ新聞に取り上げられています、原発の従事者の関係です。この点についてちょっと一言だけ申し上げたいんですが、この六ページの表を見ていただきたいんです。

 まず、一九七九年にスリーマイル島の事件が起きたとき、ソ連側はどう言っていたかというと、アメリカというのは資本主義の国で、労働者を非常にこき使って働かせる、酷使させる、そういう国だから原発事故が起きたんだと言って、我が国には起きないと言ったんです。今度は、一九八六年にチェルノブイリで起きたら、いや、ああいう体制の国だから起きたのであって、西側先進諸国では起きないと大体原発関係者は言っていたんです。

 そして、二〇一一年三月十一日に日本国に起きたときは、あの丁寧な何でもきちんとやる日本国で起こるのは信じられないということで、日本の総理や何かと違うんですね、ドイツのメルケル首相は原子力の専門家でした。原発推進論者でした、環境エコロジストで。しかし、彼女はぱっと改めるわけですね。おわかりになりますか。

 それで、その関係で、一体事実関係がどうかというのを、なかなかこういうのを把握していないんですが、電力会社、それからいろいろなメーカー等の一基当たりの従事者、この数字があるのは、電力会社では日本とフランスだけしか出ていません。一基当たり二百二十五人と二百五十九人。原発は総合産業ですから、電力会社等いろいろな人がかかわると思うんです。それで合計はどうかというと、合計の一基当たりのところを見てください。アメリカがやはり一番少ないんです。本当にそうなんです。次に少ないのが日本なんです。フランス、イギリスもずっと多いんですよ。

 日本は、きちんとした人たちを原発に従事させている体制ができていないんです。これが問題だと思います。こういうものは、ちゃんとした技術者がいたりしたら、臨機応変の対応ももっとできたんだろうし、事故も起きないで済むと思います。

 今後は、きちんと訓練されて研修を積んだ人たちがきちんと原発に従事するという体制をつくっていかなければいけないと思うんですけれども、こういうことは考えておられるんでしょうか。

中根大臣政務官 まず、原発に関する作業に限らず、電力会社として、作業の効率化等の観点から、外部の人材、ノウハウも含めて活用する場合であっても、法令を遵守しながら作業に当たる、仕事に従事していただくということは当然のことでございます。

 本年一月には、経済産業省として、電力会社のみならず、契約の相手方や下請事業者も含めて法令遵守を徹底すべきことを指示しております。特に、原発作業の危険性等に鑑み、電力会社においてしっかり取り組みがなされることを引き続き求めてまいります。

 また、既に存在する原子力発電所の安全性を維持向上していくためには、中長期的に人材を確保、育成していくことが必要だと考えております。

 経産省といたしましては、これまでも、現場技術者の能力の向上のため、原子力発電所のメンテナンス業務などを担う企業の職員を対象に、保守点検技術の実技講習、本物の設備と同規模の模擬訓練施設による実践的なメンテナンス訓練等の実施を支援してきており、平成十八年度から平成二十三年度までに、延べ約一万八千五百人が講義、訓練を受講しております。

 このように、政府としても、人材面で、保守、メンテナンス業務などを担う現場技術者の育成を支援してきており、今後とも、必要な人材の確保、育成を図ってまいりたいと考えております。

篠原委員 時間が来ています。最後にお願いだけして。

 七ページを見ていただきたいんです。私、チェルノブイリと福島の事故対応を比較したので、この「略」の一番上の「原発事故作業者」のところだけ見ていただきたいんです。

 正社員が少なくて、私は実際よくわかりませんけれども、暴力団が中に入ってピンはねしている、これが実態です。下請、孫請、第五次下請まである、第八次まである。こんな状態は世界の皆さんは知らないんじゃないかと思う。

 原発は、環境省にいろいろなことが移りましたけれども、ソ連の場合、ほかの国の場合、軍隊がやっているんです。国民の生命財産を守るというのは軍隊の役割です。日本もそういうことを考えていっていい時期が来ているんじゃないかということを指摘いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

生方委員長 次に、古川禎久君。

古川(禎)委員 おはようございます。自民党の古川でございます。

 ロンドン・オリンピックで熱戦が繰り広げられております。日本選手団の健闘に対しまして心からエールを送りたい、このように思っております。

 柔道では、ジュリー制度というんでしょうか、誤審をめぐっていろいろな議論があるようですけれども、私は、二〇〇〇年のシドニー・オリンピック、世紀の誤審と言われた篠原選手、あの場面をいつも思い出すんですね。あの場面、フランスの選手を相手にして金メダルをかけた決勝戦です。内股透かしで事実上これは間違いなく篠原選手は勝っていたにもかかわらず、負けてしまった。試合後にマイクを向けられた篠原選手は、もうあれこれ言わずに、一言、自分が弱いから負けたんだ、こうコメントしました。あのとき、私は本当に感動しましたね。これが日本の武道精神、日本の心だと思いました。

 ただ、世界には通用しないでしょうね。ああ、日本人、自分で非を認めたじゃないか、自分で負けたと言ったじゃないか。あるいは国内においても、日本人のこの主張できないところがだめなところだ、こういう論調すらありましたけれども、そうではない。実は、この潔さあるいは奥ゆかしさ、ここに日本の精神文化の深みがあるんだということで、私は、涙を流しながら大変感動したことを覚えております。

 確かに、日本のこの精神文化というのは、世界の中でも特別、特異なものではないかなと思うのですが、その精神文化、日本文化と言っていいでしょうか、これを醸し出すものは、それは美しい日本の国土であったり、美しい日本の気候であったり自然であったりということだろうというふうに私は強く思っているわけなんですけれども、この国土が、今、非常に気象が暴れておりまして、痛めつけられておる。

 近年、ゲリラ豪雨という言葉もありますけれども、気象が暴れ出している、こういう印象を拭えません。先ごろの九州の豪雨災害におきまして気象庁は、「これまでに経験したことのないような大雨」という言葉を使って警戒を呼びかけておられました。

 気象庁長官、気象が暴れているというのは、これは温暖化の影響ではないんでしょうか。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの、これまでに経験のないような大雨という情報につきましては、この六月から新たに発表を開始したものでございまして、おおむね一定の地域の広がりを持って、五十年に一回程度出現する豪雨、これを対象として発表することとしております。

 この六月からの運用でございますが、九州北部豪雨で初めての発表ということで、さまざまな注意喚起ができたのではないかと思っています。

 一方、温暖化との関係等でございますが、気象庁の全国のアメダスの観測所で観測されました短時間強雨、これにつきましては一九七六年以来データがあるんですが、これについて評価いたしますと、例えば、一時間降水量八十ミリ以上の年間の出現回数、これは増加傾向にございます。さらに、一時間降水量五十ミリ以上のデータについて年間の出現回数を見ますと、これについては、さらに明瞭に増加傾向があらわれてございます。

 しかしながら、アメダスのデータは過去三十年を超えたというところでございまして、十分な統計的な期間もないということもあって、温暖化との関係について影響を明らかにするということはできない現状でございます。

 なお、国際的な気候変動に関する政府間パネル、IPCCという機関がございますが、二〇一一年に極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書ということを取りまとめていまして、将来的には、温暖化の進行とともに、極端な大雨の発生頻度は長期的には世界的に増加するであろうという予測を行ってございます。

 以上でございます。

古川(禎)委員 私、南九州に住んでおりますが、この数年、雨の降り方がもう随分違います。南方のスコールというんでしょうか、これはもう肌で感じることですから。科学的にどういう表現をするかということはあるでしょうが、私は、やはり温暖化の影響だと言っていいと思うし、そういうつもりでいなきゃいけない、このように思います。

 大震災以降、まず国民の関心は、原子力発電所をどうするかとか、あるいは電力をいかにして確保するか、こういうところに集まっているように思うわけですけれども、震災以前と変わらず震災後の今も、この温暖化問題というものは相変わらず深刻な状況だと私は思っておるんですけれども、環境大臣、この問題の重さについてどのように認識しておられますか。

細野国務大臣 確かに、原発問題が一番国民的な関心事になっていることは否定をできないと思います。

 ただ、昨年の節電、省エネもそうなんですけれども、日本人の意識の中で気候変動の問題、温暖化の問題というのは決して薄れてはいなくて、そのこともしっかりと考えた上でエネルギー政策を議論していかなければならないという機運は、国民の中に非常に強く残っているというふうに私は思っております。

 最近のゲリラ豪雨の強さも、明確な因果関係がどうかということについては、先ほどの気象庁の長官のようないろいろな考え方があるのかもしれませんけれども、大きな方向性として、気候変動というものが極めて大きな悪影響を及ぼす可能性が高いということについては、国際的なコンセンサスにもなっております。

 したがって、そういう流れを決して我々はそれこそ忘れることなく、エネルギー問題とともに環境問題に取り組んでいく必要があると考えております。

古川(禎)委員 ありがとうございました。

 先ほど、柔道の篠原選手の美しい日本の心についてお話ししましたが、この日本の文化を醸し出したのは、日本の国土であり自然環境ですね。これが、近年の気象条件、気候の変化によって非常に悲鳴を上げている状況ではないかというふうに私は思っています。世界に類を見ない日本文明を持つ日本国の環境大臣として、やはり、そういうことを腹の真ん中に据えてぜひ取り組んでいただきたい、そのように思っております。

 さて、この地球温暖化対策としまして、排出抑制も大事なんですが、同時に、森林吸収という問題も大事だと思います。やはり、森林にしっかりと手を入れて、そしてCO2の吸収力を高めなきゃいけない、このように思っているわけですけれども、森林吸収源が温暖化対策においてどういう役割を担っているか、環境省としてどう考えているか、お尋ねします。

鈴木政府参考人 御承知のとおり、我が国の国土の約三分の二が森林で占められておりまして、こうした木材の役割あるいは森林の役割というのは、温暖化防止、あるいは水環境保全、生物多様性の保全など多面的な機能を有しておりまして、温暖化のみならず、環境面で重要な役割を果たしているとは思っております。

 その上で、温暖化について申し上げますと、我が国の京都議定書の六%削減約束の達成については、そのうち三・八%分を森林吸収源対策により賄うというふうにされておりまして、これまでも、間伐等の吸収源対策が実施されてきているところでございます。

 さらに、二〇一三年以降の地球温暖化対策においても、引き続き、森林の適正な整備等による吸収量の確保や、炭素の貯蔵等に効果のある木材、木質バイオマス等の利用等を進めていく必要があるというふうに考えております。

古川(禎)委員 私の地元宮崎県は、杉丸太生産日本一、豊かな森林が広がっておるわけです。

 森林、林業の現場においては、そこに携わる人が一生懸命努力をしまして、そして山を守っています。森林を守ることによって国土が守られる、水が守られる、災害を防ぐ、そして地球環境問題にも貢献しているということなんだと思います。

 ところが、林野庁にお尋ねいたしますが、実はことしに入って、材価の急落、暴落が著しいんです。これは尋常ならざる状態です。こういう状態が続きますと、事業者は廃業やむなし。その結果、森林の管理、国土の保全、そして地球温暖化対策、こういうものに支障が出てくることは明らかです。

 この異常事態に対して、林野庁として具体的に迅速に的確な手を打っていただきたい。どのように対処されますか。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、丸太価格、市場の価格でございますけれども、下がってきているというような状況にあるわけでございます。ただ、丸太の価格につきましては、例年、秋から冬にかけてピークを迎えまして、その後、梅雨時期に底を打つという傾向でございます。

 確かに、去年と比べて下がってはおります。ただ、七月に入りまして、一部の市場でございますが、若干値戻しの傾向にあるというふうに認識しておるところでございます。

 そういった中で、私どもとしても、きちんと林業を活性化して、そして森林を適正に管理していくということは極めて大切なことだというふうに思っておりまして、そういった意味でも、木材の利用の拡大でございます、こういったものが非常に大事だと思っておりまして、例えば公共建築物におきます木材利用促進法、それに基づきます木材利用の一層の促進の働きかけ、それから、固定価格買い取り制度を活用した木質バイオマス発電での木材利用の促進、そして、やはり一般消費者の方に御理解をいただかなければいけないというようなこともございますので、木材のよさについての国民の理解の醸成といった取り組みを進めてきているところでございます。

 私どもとしても、こういった木材の価格の低迷というものが、森林の適正な整備、そういったものがおろそかにならないように意を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

古川(禎)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 利用拡大ということでございましたが、今回の値崩れ、やはり、需要と供給のバランスがおかしくなっているということがあるだろうと思います。それは、ユーロ安から何から、いろいろな要因があるでしょう。震災後の住宅着工が戻らないということから何からあるでしょう。しかし、この利用拡大という中長期的なことのみならず、例えば出荷抑制であるとか、今すぐ打てる手があれば、これはもう全て打つという姿勢で臨んでいただきたい。

 一部、市場で戻っているという話がありました。私もそれは承っております。ただ、宮崎県でいいますと、都城の方はやはり依然厳しい状況のまま続いていまして、この夏が過ぎても、果たしてどうなるんだろうかと大変現場は危機感を募らせておりますので、こういう形で打つべき手は打つんだというところをぜひ御努力いただきたいと改めてお願い申し上げておきます。

 さて大臣、この日本列島を人工衛星から見ますと、緑の列島でありますね。これは、北半球でも数少ない、水の豊かな国土であります。同じこの緯度帯を見ると、ほかのところは砂漠ばかりなんですけれども、日本列島だけが、奇跡的にというんでしょうか、緑色をしております。これは、気流や海流、微妙な自然のなせるわざでありましょうが、藤田東湖の「天地正大の氣、粹然として神州に鍾る」、まさにあの言葉は真実だというふうに私は常に思っておるわけです。この豊富な水は、豊かな大地をつくり、そして作物を実らせる。食料を生み出すわけですね。

 そういうことを考えますと、今後、世界が大変な人口増あるいは水不足の時代を迎えるということが言われているわけだけれども、水に恵まれた日本列島というのは、これそのものが人類にとっても一つの資源である。日本列島は日本人だけのものではないと言った総理大臣がいましたけれども、日本列島のこの豊かな国土を守るということは、人類的な使命でもあると私は思っています。

 さて、TPPの参加の議論というのがいまだにあるわけですけれども、いろいろな意見がある中で、いや、もう食料は安いものを外国から買ってくればいいんだとか、農業は二の次、三の次でいいんだとか、こういう声もたまに聞こえてくるわけなんですけれども、私は、これは大変危ない、誤った考え方ではないかなと、こう思います。

 今申し上げたように、豊かな水に恵まれたこの日本列島できっちり食料をつくる潜在的な力を持っている。これは守っていかなきゃいけない。世界の人類のためにも子孫のためにも、農地と水と、それから農業技術というのは守っていかなきゃいけない。そのときに、いや、安いものを買ってくればいいんだというのは、実にこれはひとりよがりで、日本人らしくないと僕は思うんですね。

 と同時に、それ以上にこれは、大自然というものに対する冒涜ではないかというぐらいに思うわけですが、TPP推進を標榜しておられる野田内閣の閣僚として環境大臣の細野大臣は、このTPP、これは本当に人類の福祉にとって資するものだと思っておられますか。

細野国務大臣 閣僚をやっていまして思いますのは、それぞれ重要な役割がありますので、まずはその役割をしっかり果たす、まだ十分果たし切れていないところが私はあると思っていますので、それをしっかりやるということだと思っておるんです。

 TPPというのは、これはいろいろな確かに問題がありますので、環境省の方としてもかかわりはあるわけでありますが、主要な担当ということでいうと、それは外務大臣なり経済産業大臣がやっております。その中で、個人的にはどうなんだということを言えと言われると、これはちょっとなかなか悩ましいところがあるわけですが、そこは役割分担かなと思っています。

 その中で、今、古川委員がおっしゃったような問題意識は私も共有しています。すなわち、日本の農業は本当にしっかりと守らなければならないし、水の環境も含めて、すばらしいこの環境というのは守っていかなければならない。そのしっかりと守るべきものは守る中で、どのように世界と自由な交易をしていくかという観点から貿易の自由化というのは考えるべき問題であるというふうに思っています。

古川(禎)委員 ありがとうございます。

 お答えづらいことをお聞きしたと思いますが、TPPというのは、資本の論理の究極形ですね。それに対して日本文明というのは、調和を重んずるのがこの日本文明だと僕は思っておりまして、これは相入れないものだというふうに私はかたく信じておるわけです。

 さて、この水なんですけれども、水というのは、食料のみならず、電気エネルギーも生産するわけですね。太陽光がよくもてはやされるわけなんだけれども、水の豊かな日本なんですから、もっと、水力による発電というものに関心が集まってもいいのだということを僕は思っております。

 この列島の小水力の発電包蔵量というんですか、包蔵力というんでしょうか、一説には三百万キロワット程度だということを聞いたことがありますが、さほど電力供給源としては大きくないのかもわかりません。しかし、CO2の排出がないということ、それから、分散型の地域電力供給源たり得るということですね。そして何よりも、自然の恵みに素直であるという意味で、やはり、もったいない精神、日本精神になじむ。僕は、そのような意味からこの小水力発電、国を挙げてやるべきではないかとこう思っておるわけですが、環境省としてのお取り組みをお尋ねします。

鈴木政府参考人 再生可能エネルギーの導入ポテンシャルにつきましては、小水力も含めまして詳細な調査をしてきておりまして、本年六月にまとめました調査結果によりますと、小水力発電は日本各地にその賦存が認められておりまして、発電出力が一万キロワット以下のものの小水力発電を合計いたしますとその導入ポテンシャルは、設備容量で八百七十四万キロワットに上るということでございます。

 こういうことでございますので、ただいま先生御指摘ありましたように、貴重な電力資源ということでございます。

 したがいまして、こうした小水力発電を開発しようと思われる地方公共団体が率先的に取り組まれる事業や、あるいは、それぞれの地域の方が協議会等をつくられて再生可能エネルギーとして取り組んでいこうという場合には、費用や技術面で支援を行うというスキームを有しておりまして、ぜひ今後とも、こうした小水力発電の開発を支援してまいりたいというふうに考えております。

古川(禎)委員 八百七十四万キロワット、私の三百万と言ったのは随分古い情報だったんですね。意を強くいたしました。ぜひみんなで頑張りましょう。(発言する者あり)もっとあるんですか。篠原先生がおっしゃるんだから、本当に意を強くいたしました。

 さて、瑞穂の国日本であります。先人が農業用排水路を四十万キロですか、この数字は合っていますか。四十万キロメートルというと、これは地球十周分ですね。まさに人間の体に毛細血管が張りめぐらされるように、日本列島がこの農業用排水を隅々まで行き渡らせているわけですね。

 ところが、政権がかわりまして、土地改良であるとか基盤整備であるとか、こういうところの予算がばっくり切られてしまったわけですけれども、私は、これは将来に大変禍根を残す間違いではないかと思って心配をしておるわけです。

 この用排水路を使って小水力発電というのは、いろいろ事例がたくさん出ております。こういうことをどんどん推進していくべきだと私は思っているわけです。

 固定買い取り制度もスタートいたしました。水利組合ですとか土地改良区が主体となって行うようなこういう小水力、中小水力発電、今後どういう展開になっていくか、見通しをお持ちでしたら教えてください。

實重政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本全体で農業用水路は四十万キロ、地球十周分に及ぶわけでございます。再生可能エネルギーの導入が社会全体で強く求められている中でございます。小水力といったような未利用の資源を活用することは、エネルギーの安定供給はもとより、地域の活性化ということにもつながってまいりますので、重要と認識しております。

 今御指摘もございました土地改良区等の農業用用排水施設の管理者についてでございますが、ことしの三月末に土地改良長期計画を策定いたしまして、その中で、今後五年間で、約一千地区におきまして小水力発電等の再生可能エネルギーについて計画を作成するようにしてもらうということを目標に掲げているところでございます。

 土地改良区等におきましては、現在のエネルギー事情を踏まえまして、また、設定されました再生可能エネルギーの調達価格を踏まえまして、小水力発電の取り組みに対する意欲を大変高めている状況でございます。

 農林水産省といたしましても、導入可能性を調査いたしましたり計画の策定をいたしましたり、あるいは、設計などのソフト面での御支援を申し上げる、また、小水力等の発電施設の整備といったハード面での御支援を申し上げるというような形で、両面から積極的に支援してまいる所存でございます。

古川(禎)委員 期待しています。よろしくお願いいたします。

 大臣、「我が胸の燃ゆる思いに比ぶれば煙は薄し桜島山」、これは福岡藩の平野国臣の歌です。実際、桜島が最近これは火山活動が大変活発なんですが、私の地元都城から、この桜島から噴き上がる噴煙がよく見えます。都城からは、昨年の新燃岳、もうこれは噴火しましたけれども、こっちを見たらこっちが噴煙が上がるし、こっちを見ればこっちから煙が上がるという、実にこれはすごい列島に我々は暮らしておるんだと、勇壮、雄大であると同時に、大自然に対する畏敬の念というものを深くするわけでございます。

 この新燃岳も桜島も、霧島錦江湾国立公園にあるんですね。

 ところで、最近、国の出先問題、国の地方機関を広域連合に移管しようという議論がなされております。しかし、国立公園は、これは国の貴重な資源ですね。これを国が責任を持って守る、そして責任を持って次の世代に手渡していかなきゃいけない、こういう責任があると思うんですけれども、この国の出先問題、大臣はどう捉えておられますか。

細野国務大臣 特に九州は、すばらしい自然環境に恵まれておりまして、特に、勇壮な火山の景観であるとか、また、それを取り囲む環境のすばらしさであるとか、そういった意味で、非常に数多くの国立公園が存在をしております。地元の皆さんにも、非常にそれを大切にしていただいて御協力をいただいているというふうに思っております。

 出先の問題につきましては、分権というのは極めて重要でありますから、私は推進をする立場です。

 ただ、その中にあって国立公園というのは、今、古川委員も御指摘をされたとおり、日本が全体として保護してきて、世界に対してもそれをしっかりと説明をしてきた生物多様性の観点からも、そういう位置づけでございます。

 何よりも大事なことは、国立公園を国全体でしっかりと維持をしていくノウハウ、これをしっかりと継続することではないかというふうにも思っております。

 具体的に、自然保護官、レンジャーと言われる職域が全国の、国立公園を今しっかりと守る役割を果たしておりますが、そういったことも含めて、この国立公園に関しては国がしっかりとした役割を果たすべきであるというのが私の考えでもあり、環境省全体としてもその方向性で今取り組んでいるということであります。

古川(禎)委員 国立公園、ちゃんと守っていただきたいんですが、今、大臣、地方分権は大事なので推進する立場だとこう答弁されましたが、今回、政府の中で用意されているこの法案の骨子を見ますと、大臣の求めておられるものになっておりませんよ、申し上げておきますけれども。

 大事なことは、要するに、国がやるべきことはどこまでか、自治体がやるべきことはどこなのか、この役割分担のあるべき姿というのを議論するところから物事は出発しなきゃいけないんですね。しかし、その議論は一切なされないまま、移管そのものが目的化しているという状況です。

 国、都道府県、そして市町村、現在ある三層構造が、この法案が通ってしまうと、結果的に広域連合が入ってきて、三層構造から四層構造にふえてしまうという、笑止千万と僕は思いますけれども、そういう内容になっておりますから、地方分権を望んでおられる、それを希求される大臣のお考えに沿うものではないと私は思います。

 さて、時間も迫ってまいりましたが、これは一つだけ。

 豊かな自然環境には、当然、豊かな生態系というものが伴っているわけですね。しかし、近年、鹿ですとかイノシシ、猿、こういうものが大変ふえてきまして、例えば、私の地元であります国立公園内のえびの高原、ここでは鹿の被害がもう大変です。天然記念物のノカイドウあるいは植樹をした木の芽なんかを食べちゃう。畑作物も食べちゃう。食害ですね。この被害は甚大ですよ。そして、猟友会の方々もやはり年々人が減っていかれるという中で、これはもう手がつけられない状況になっているんですね。

 ですから、生態系ですとか農林業の被害防止に向けて鳥獣の保護管理を一層環境省は徹底していかなきゃいけないと私は強くそう思っていますが、どう対応していかれますか、お尋ねします。

渡邉政府参考人 先生御指摘のとおり、野生鳥獣によります生態系や農林業被害、全国的に大変深刻な状況にあるというふうに考えております。また、鳥獣管理の担い手であります狩猟者の数が年々減少傾向にあると同時に、高齢化が進行しているという状況にあります。

 環境省として、各都道府県に対して、鳥獣保護法に基づく特定鳥獣保護管理計画を策定をし、個体数の調整、被害防除対策、そして生息環境整備を総合的に実施するように指導助言を行ってきましたほか、効果的な捕獲技術や調査手法に関する研修などの取り組みを実施してまいりました。

 加えまして、今年度から、鳥獣保護管理強化総合対策事業を創設をいたしまして、その中で、鳥獣保護管理に係る人材の育成、地域ぐるみでの捕獲推進のモデル事業、そして国立公園におけます鹿対策の促進、こういったことについて抜本的な強化を図ったところでございます。

 今後、関係省庁そして自治体と連携を強めて、効果的な対策の実施を進めてまいりたいというふうに考えております。

古川(禎)委員 何事もバランスというのが大事だと思いますが、今の状況はもう本当にその限度を超えております。ぜひ、引き続き御努力、御尽力をお願いいたします。

 終わります。

生方委員長 次に、丹羽秀樹君。

丹羽委員 自由民主党の丹羽秀樹でございます。

 本日は、環境委員会で一般的な環境の問題を含め、質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 大臣、連日暑い日が続いております。外も暑いし、室内でオリンピックを見ていても暑くなるし、本当にあっちっちになっちゃうぐらい大変なシーズンだと思っていますが、被災地の方々も、いまだに劣悪な環境の中で皆さん生活されております。私も、毎月十一日は、自民党のチーム・イレブンとして、小泉青年局長を初め皆さんと一緒に被災地の方にお伺いいたしております。

 瓦れきの処理の問題、冒頭に質問させていただきます。

 現在、平成二十四年二月末の時点で処分割合六・七パーという状況でありましたが、今時点では処分割合はどのぐらいまで進んでいますでしょうか。

伊藤政府参考人 災害廃棄物の処理は復興の大前提であり、平成二十六年三月末までを目途に完了することを目標としております。

 岩手、宮城及び福島の三県の沿岸部の災害廃棄物の処理の進捗状況につきましては、六月末の時点で、災害廃棄物推計量約一千九百万トンのうち二〇・三%、三百八十二万トンの処理が完了しているところでございます。

 こうした災害廃棄物の処理の進捗により仮置き場の解消も進んでおり、一部の箇所では、跡地が利用できる状況となっております。

 今後とも、災害廃棄物の一日も早い処理に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

丹羽委員 私も、先般、宮城県の亘理町の方へ行ってまいりまして、被災地における仮設焼却施設、順次稼働している状況でもございますが、仮設焼却施設の現時点での稼働状況と、残りの焼却施設の稼働見込みについて御説明をいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 被災地三県における仮設焼却炉の稼働状況につきましては、まず、岩手県におきましては、設置予定の二基が既に稼働中でございます。

 宮城県におきましては、合計二十九基設置予定でございます。このうち十五基が稼働中であり、さらに六基が今試運転を実施中でございます。残り八基ございますけれども、このうちの一基につきましては本年の八月、三基につきましては九月、二基につきましては本年十二月、そして、残りの二基につきましては来年の一月までに順次試運転を実施し本格稼働をしていく、こういう予定になってございます。

 また、福島県につきましては、国の直轄事業または代行事業により仮設焼却炉などの整備を進めているところでございまして、具体的には、相馬市及び新地町の災害廃棄物については、災害廃棄物特措法に基づく代行処理により、相馬市において仮設焼却炉の設置を進めているところでございまして、来年二月には本格稼働する予定でございます。

 警戒区域及び計画的避難区域内の災害廃棄物処理につきましては、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして、国が直轄で処理を行うこととなっております。現在、仮設焼却炉を設置すべく、各自治体と調整しているという状況でございます。

丹羽委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げました宮城県の亘理町で、焼却施設で働いている方々の話もお伺いしてまいりました。自分たちが住んでいた地域の津波で流された瓦れきがベルトコンベヤーで運ばれてきて、それが目の前を過ぎると非常に感慨深いものがある。でも、それによって瓦れきが処理されて、またあしたからやっていこうという新しい思いにもなる。

 政府の方々、あの被災地の瓦れきの処理、これは、絵を描くキャンバスでいいますと、残っているところに描くよりも、やはり真っ白なキャンバスに描くというのが創造意欲が湧くわけですから、復興のためにも、この瓦れき処理というのは本当に急がなきゃいけない大きな課題だと私は思っております。

 答弁の中でもありました。平成二十六年三月末までに全ての瓦れきを処理する、これは何度も答弁されておられますが、今現在、六月末で二〇パー、あと八割の瓦れきを二年足らずでどうやってやっていくのか、処理計画をちょっと御説明いただきたいと思いますが、お願いいたします。

伊藤政府参考人 東日本大震災により発生しました災害廃棄物の処理は、復興の大前提でございます。そういったことで、平成二十六年三月末までに終えることを目標としているわけでございます。

 処理の進捗状況につきましては、先ほど申し上げたとおり、六月末時点で二〇・三%ということでございます。

 仮設焼却炉につきましても、既に、先ほど申し上げましたとおり、十七基稼働しているところでございます。その他の仮設焼却施設なども順次稼働することとなっておりますので、処理のスピードは加速度的に上がっていくだろうというふうに期待しているわけでございます。

 また、広域処理につきましても、既に七都県、具体的には、青森県、秋田県、山形県、群馬県、茨城県、東京都及び静岡県で実施されており、これに加えて、具体的な調整が行われているほかの自治体もあるわけでございます。

 この結果、岩手県の可燃物あるいは木くずにつきましては、既に調整中の自治体における広域処理が実現すれば、広域処理の必要量をカバーできる見通しが得られつつある、こういう状況でございます。

 また、宮城県につきましても、東京都等による着実な受け入れに加えまして、北九州市による取り組みも今進展している、こういう状況でございます。

 環境省におきましては、これらの状況を踏まえつつ、岩手県、宮城県と調整を今行っているところであり、目標達成をより確実なものとなるよう、具体的な災害廃棄物処理の全体計画をぜひ近日中に定めて公表したい、こういうふうな予定でおるところでございます。

 今後とも、二十六年三月末の目標達成に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

丹羽委員 ぜひ実行していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 大臣、先ほども言いました。連日、全国で猛暑が続いている中で、やはり瓦れきも長期間放置されていますと、去年もありましたが、腐敗による悪臭やハエの発生、また、自然発火による問題など、衛生上、防災上の観点からもいろいろな問題があると考えております。周辺に仮設住宅がある近くの仮置き場とか見ていますと、本当に大変な状況だなというふうに思っております。

 こういったところを一刻も早く処理が進むように御尽力いただきたいと思っていますが、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 この瓦れきの処理に関しましては、自民党の皆さんに本当にお世話になりました。皆さんの御協力がなければ、地方の皆さん、議会の皆さんも含めて、ここまで来ることができませんでしたので、心より感謝を申し上げます。

 田中筆頭も、川崎で街頭にまで一緒に立っていただいて、苦しい時期を一緒に乗り越えていただいたというふうに思っております。

 今御質問の、丹羽委員がおっしゃった、生活環境からできるだけ瓦れきを離すというのは極めて重要です。

 私もかなりの数の被災地に行きましたが、仮置き場にもいろいろな種類がありまして、例えば、かなり生活の場から離れたところに集積をさせておくということであれば、きちっとそこを保管をすれば随分環境についてはきちっと管理をできるんですが、やはり生活の場の近くになると、どうしても悪臭があったり、ハエが発生をしたり、それこそ、ほこりが舞ったりいたしまして環境を悪化させます。したがって、そこを一刻も早く生活の場所から離れた場所に持っていくというのが緊急の課題であるというふうに思っております。

 かなりそこは進んでまいりました。一例を挙げますと、宮城県の岩沼市では、十一カ所、一次仮置き場がございましたが、そのうちの十カ所については、六月末に解消することができました。

 そういった形で広域処理が進めば、もしくは大規模な現地での仮設の焼却施設の稼働による処理が進めば、廃棄物が減っていくわけでありますが、それを待つことなく、生活環境に近い一次仮置き場については、解消してもとに戻していくというのが極めて重要なことであるというふうに認識しております。

丹羽委員 ぜひ広域処理も含めて、また亘理町では、住民の方々が地域振興にもなる、仕事がなくなった方々が一時的にその処理施設で働けるというのは、非常に自分たちも、今まで家でずっと寝ていたもしくはハローワークで仕事を探していた人たちが、働く場所があるというだけでもありがたいとお母さん方もお話しされておりましたので、地域振興も含めて、これは本当に急いでやっていただきたいというふうに思っています。

 そこの中で今度課題になってくるのが、仮設焼却場もしくはさまざまな行政的なことをやる場合、土地の用途変更をしようとする場合とか、多分、役所に書類を出さなきゃいけないですよね。そういった場合、役所がいまだに平時のままの進行状況で、なかなかその書類がすぐ上に上がらずに認められないという話も聞いておりますので、大臣、その辺も環境省主導でもっとスピーディーにやっていただきたいと思っておりますので、こちらの方もよろしくお願いしたいと思います。

 先ほどの広域処理の問題でありますが、私の地元の愛知県においても、県の臨時議会にて、震災瓦れきに向けた地元住民説明会などの費用が約七千万、関連予算が可決されました。現在、岩手県では十一年分、宮城県では十九年分と言われる瓦れきが発生して、迅速な処理には、やはり広域処理というのが本当に大きな課題だと思っています。

 政府がこの広域処理の問題についてきちんと、先ほど細野大臣、田中理事と一緒に街頭をやったという話をされていますが、なかなか街頭だけじゃメッセージは伝わらないと思うんですよね。そういった点、政府の説明が不十分だというふうに私は感じていますが、特に放射性汚染の瓦れき処理の問題について、大臣、どのようなお考えでしょうか。

細野国務大臣 率直に申し上げて、十分でなかった面があるというふうに思っております。

 基準は早い段階でつくりまして、その基準に基づいてやれば安全性がしっかりと確保できるということについては、環境省としては責任を持ってやったという思いはございます。

 ただ、それは、こういう事故というのを経験したことがない中において国民の皆さんからすると不安を持たれる方がおられるのは、これは当然のことでありまして、その皆さんに応えるだけの情報をお伝えをすることができたかというと、そこはいろいろな反省がございます。

 そこで、具体的に例えば受け入れていただく自治体であるとか関係者の皆さんであるとか、そういったところには環境省の職員が直接伺いまして、説明をさせていただいております。

 至らない点はまだまだあるかとは思いますが、そこは、丁寧に対応することで、できる限り皆さんに安心をして受け入れていただけるような状況をつくりたいと考えております。

丹羽委員 もちろん、環境省の職員の方々が各自治体に行ってそこで説明いただくのは非常にありがたいと思いますが、そこから下がなかなか地元の住民の皆さん方に伝わらないという、これはやはり工夫しなきゃいけないんじゃないかなと私は思っています。

 地元住民の方々がそういった説明を聞かずに先に新聞発表なんかされますと、もうかちんかちんになっちゃって、やはり、何だというふうな感情的になる問題が今度ございますので、そこを本当にしっかりと丁寧に工夫してやっていただきたいと思っています。

 震災瓦れき処理のための自治体に対する財政支援を政府が打ち出したということは、私は非常にすばらしいことだなと思っています。

 その費用に対して、各県一トン当たりの瓦れき処理の負担費用についてちょっとお教えいただきたいと思います。お願いいたします。

伊藤政府参考人 現在、岩手県、宮城県におきまして、おおむね災害廃棄物を仮置き場に搬入し、その一部は処理を開始しておるわけでございますけれども、大部分の災害廃棄物はこれから処理が本格化する、こういった段階にございます。

 したがいまして、現時点で各県一トン当たりどれぐらいになるのかということは、まだ正確には我々も算出することは困難な状況でございますけれども、しっかりこれは注視をしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。

丹羽委員 具体的な数字というのはまだ今後多分ふえていくか、減るということは余りないと思うんですが。

 そこで、今回のケースでいくと、阪神・淡路大震災のときの瓦れき処理の費用と比較すると大体どれぐらいの水準になるか、お教えいただきたいと思いますが。

伊藤政府参考人 阪神・淡路大震災における災害廃棄物の処理単価は、一トン当たり約二万二千円でございました。

 今回の東日本大震災におきましては、阪神・淡路大震災と異なりまして、被害が非常に広範囲に及んでいること、それから、何より津波の影響を受けておりまして、災害廃棄物自身に塩分が含まれているといったこと、それから、阪神・淡路大震災の際には近隣に埋立処分場がもともとあったという状況でございましたけれども、今回は長距離の移動を必要とする場合があること、それから、先ほど来御議論ありましたけれども、住民の安心、安全のために放射能の測定費用なども追加的にかかるという場合があることなど、阪神・淡路大震災と比べると、さまざまな価格の上昇要因があるのではないだろうかというふうに考えております。

 それはある意味ではやむを得ない面もあるかと思いますけれども、しっかり把握していきたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、川越委員長代理着席〕

丹羽委員 瓦れき処理の推進のための自治体の財政支援というのは非常に各自治体も重要だというふうに考えておりますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいんですが、今、国会の方は消費税の議論も行われております。今回のこういった瓦れき処理に関しても、やはり税金が使われるわけであります。国民の皆さん方も、消費税が上がる、瓦れき処理もまたお金がかかる、瓦れき処理にお金を使うなというわけじゃないんです。その透明性というのが非常に求められると思いますが、これは大臣、御所見を伺いたいと思いますが、どうでしょう。

細野国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 阪神・淡路大震災の場合は、都市部で起きた大規模な地震でしたので、コンクリートなんかが多くて、その処理については比較的スムーズにいったという経緯がございます。

 それと比較をすると、やはりコストがかかるのはやむを得ないところがあるわけですが、そのコストがいかほどであり、例えば、いろいろな業者との契約などにおいて、それが合理的な範囲のものであるということを証明をする、説明をする責任は政府にあると考えております。

 具体的に指針の中で、公平性、透明性を確保することなどを明記もしておりますし、具体的にそういったことを各自治体にもお願いをさせていただいておりますが、ある程度、例えばこれぐらいかかったというめどが立ったところで御報告することも含めて、最大限の努力が必要であると考えております。

丹羽委員 ぜひ、大臣を初め政府の皆さん方、一生懸命取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 先般も岩手県の野田村の方に行ってまいりまして、比較的沿岸部ということもありまして、いろいろな話が聞けました。聞かせていただきました。防波堤が完成しないと高台移転の住宅がなかなかめどが立たないとか、その高台移転の場所が保安林の場所にあるので、早く保安林の解除をしてもらわないと移転が進まない、でも、解除するときに、今のままのスピードでいくとちょうど消費税が上がる時期だから、今度、住宅の費用負担が五%余分にかかってしまう、何とかしてほしい、そういう話もあったんですが、やはり、先ほども申しましたが、有事のときぐらいのような規制緩和、被災地はいまだに有事ですよ、そういった面でしっかり捉えて、被災地の方々のこういう有事のときの規制緩和というのを、なるべく政府が責任持って、誰かが責任とらなきゃいけないと思います、後世にも。大臣を初め政府の方々も、責任持って自分たちがやるんだというぐらいな思いでこれをやっていただきたいというふうに思っています。

 今後、環境省として、各省庁と連携して何か新しい方針というか、復興のための方策というのはあるんですか。ちょっとその辺、大臣の御見解をお伺いしたいと思いますが。

細野国務大臣 私も、被災地に行った中で一つ非常に記憶に残っておりますのは、気仙沼に行きましたときに、海岸のいろいろな状況を改善するのに、もちろん砂浜もあるわけですが、その横にJRが通っていて、道路がつくってあって、防災林もある。それぞれ担当が違うわけですね。JRなどの場合は、民間企業という側面もあります。そのときに、まちづくりの計画をつくるのに、一緒に、一体に考えたいんだけれども、なかなかそれができないんだというような御指摘を市長さんからいただきました。

 そのために、やはり国会でも御議論いただいて、復興庁というのをつくっていただいたんだというふうに思うんですね。

 ですから、そういう町のこれからのあり方の計画についてももちろんですが、規制があってそれがうまくいかないところについても、まさに、当事者の立場に立って復興の立場からやっていくという、コントロールタワーをぜひ復興庁に果たしていただきたいというふうに思っております。

 私も、現地に行きまして気がついたことは必ず復興庁に伝えて、その方針のもとで環境省としていろいろな取り組みをするつもりでありますから、そういう連携をしっかりと密にしてまいりたいというふうに思っております。

 具体的な規制緩和ということに関して言いますと、例えば東北地方というのは、発電でいうならば地熱に対しての期待が非常に高うございますので、そういったことについて、国立公園であっても、環境や生物多様性を、また景観を、これをしっかりと守ることができるところであれば特別に掘ることを認めていくとかいうことも含めて、個別の項目については幾つか玉がございますので、そういったことを着実に実行してまいりたいと考えております。

丹羽委員 大臣から積極的な答弁をいただいたので、非常に私もうれしく思っています。

 復興庁がもちろんやることも当然でございますが、場合によっては環境省がかじ取りを、しっかり復興庁のグリップを握って、環境省が全面的に出て進めてもいいんじゃないかなというふうに思っていますので、ぜひその辺も取り組んでいただきたいと思っております。

 先日、新聞にも載っていましたが、民間企業と大学の共同研究チームで、ちょっと放射能除染の話をさせていただきたいと思います。

 今、民間企業なんかも、放射性物質に対する、土壌、河川の汚染を除去する新技術の開発というのがいろいろと行われておりますが、除染新技術の供与や事業化について、政府は今積極的に取り組まれておられるんでしょうか。何か具体的に御答弁をお願いします。

    〔川越委員長代理退席、委員長着席〕

細野国務大臣 除染において新しい技術をどんどんと導入をしていくこと、また、その開発を促していくというのは、極めて重要であるというふうに認識しております。

 昨年十一月に、放射性物質汚染対処特措法、これに基づいた基本方針というのが出ておりまして、その中で、調査研究、技術開発などの推進についてを、重要事項ということで位置づけております。その大きな方針に基づいてさまざまな研究をしているということであります。具体的に一番いいのは、それぞれの企業に手を挙げていただいて実証実験をする、これが一番確実に効果を検証できます。

 昨年も、早い段階で内閣府を中心に二十五件、その後、環境省で二十二件実証事業をしておりまして、その成果が出ておりますので、順次それを現場に投入しております。

 期間限定ということではなくて、随時新しい実証実験をしていく必要があるというふうに思っておりますので、今年度についても、できるだけ早い段階で実証実験、これをやりたいと思っておりますので、それこそ、我こそはということで意欲を持っておられる事業者の皆さんには手を挙げていただいて、まずは技術的にしっかりと審査をして、必要なものについては実証実験、それを現場に投入をするというこの流れを、確立をしていきたいと考えております。

丹羽委員 原子力発電に関しては経済産業省が管轄されて、この除染に関しては環境省が管轄されていますが、除染の問題というのは、やはり技術があっての除染だというふうに私は考えております。ぜひしっかりと経済産業省とも連携して、日本というのは、広島、長崎の原子力爆弾を初め、今回の福島第一原発の汚染状況でもそうですけれども、これほど放射能に悩まされる国というのは、私は、世界各国を見ても珍しいというふうに思っています。

 これは、日本のギルティーセンスじゃないですけれども、罪悪感も、我々が次の世代に何とかしなきゃいけないという思いでこの技術開発というのを、これは相当費用がかかると思います、新しい技術をやるわけですから。ぜひ大臣、責任を持って行っていっていただきたいというふうに思っています。

 質問の時間も迫ってまいりましたので、ちょっと原発のデモについて、これは大臣の個人的な見解で結構でございます、御質問させていただきたいと思います。

 毎週金曜日に官邸前でデモが行われております。関西電力大飯原発の再稼働に反対する抗議デモ、大臣、どのように見ておられますでしょうか。

細野国務大臣 あれだけ大規模なデモというのは、日本の歴史上も非常にまれでありますし、特に近年においては、なかなかそういうデモというのは規模が小さくなってきた。こういう時代において特に非常に大きなデモであるし、それはまさに国民の声であるというふうに受けとめております。そうした原発に対する厳しい認識があるということを、しっかりとまず受けとめることが重要です。

 そしてもう一つ、逆に私の方からこれから呼びかける必要があるかなと思っていますのは、脱原発依存という方向性は政府としても決めておるわけですね。ただ、悩ましいのは、では、どうやってエネルギーを供給をするのかという問題にまだめどが立っていないわけです。化石燃料に依存をするというやり方は、これは余りに安易でありますから、やはりできるだけ選択すべきではない。そうなると二つしかないわけですね。

 一つは、省エネ、節電にできるだけ国民の皆さんに御協力をいただいて、それを、我慢の節電から、本当に明るい、日本の技術を世界に打って出られるようなものにする意味での前向きなものにしていくこと。

 もう一つは再生可能エネルギーです。ここは、もう本当にあらゆる手段を尽くして再生可能エネルギーをそれぞれの地域でしっかりと育てていただかなければ、この問題を乗り越えることができません。

 ですから、脱原発依存ということについて非常に強いエネルギーを私は感じています。それはそれでしっかり受けとめながら、明るい方の日本のエネルギー政策をどうしていくのか、そのことにできるだけ皆さんにエネルギーを使っていただけるような訴えかけを政府としてはしていかなければならないのではないかと感じております。

丹羽委員 環境省の答弁としては非常にモデルケース的な、本当にそれしか方法はないんじゃないかなというふうに私も思っています。我慢する省エネじゃなくて、やはりこれからは、大臣がおっしゃるように、省エネすると何か明るくなるような、そういったふうにつながっていくといいなというふうに考えています。

 そこで、七月二十日の金曜日、鳩山元総理がこのデモに参加して、マイクを握られて声を張り上げておりましたが、政権与党の総理経験者が官邸前でデモに参加したというのは、私はテレビの画像で見て非常にびっくりいたしました。大臣、どのようにお考えでしたでしょうか。

細野国務大臣 デモに参加をされている方もいろいろな思いがおありだと思います。デモを受けとめる側の国会議員もいろいろなやはり思いがあると思うんですね。私にもいろいろな感慨がございます。そういう中で、鳩山元総理が直接皆さんの話を聞こうということで行動されたというふうに受けとめております。

 そこは、やはりそれぞれの皆さんの思いがありますので、それについていいとか悪いとかということではなくて、ではそれを、どう問題を解決していくのかというのを、国会の場合は特にいろいろな声を糾合していく必要がありますので、そういう次の段階にできればしっかりと議会としては入っていきたい、そのように感じております。民主党としてもそういうふうに持っていきたいというふうに考えております。

丹羽委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、最後に一言だけ。

 鳩山元総理は、当時、首相になったときに、地球温暖化問題に全面的に取り組んでいくというお話をされました。整合性がとれていないかなというふうに私は思っていますが、その辺は大臣、しっかりと民主党内でもグリップを握っていただいて、また民主党の整合性をとれるようにしていただきたいと思っています。

 やはりそういったところがとれないと、先ほどの瓦れき処理の広域処理も、住民の方々が納得できない部分があるんじゃないかなというふうに私は思います。

 以上、終わります。

生方委員長 次に、横山北斗君。

横山委員 平成二十四年度の環境白書に、再生エネ導入の地域経済にもたらされる効果というものが記されておりました。岩手県が五十四億円、福島県が二十三億円、宮城が五億六千万とのことでした。

 お金がかかることで恐縮ではありましたけれども、私、青森が幾らになるのかということを環境省の方にお願いしておりました。どういう数字が出たのでしょうか、お聞かせ願えればと思います。

白石政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、ことし、平成二十四年版の環境白書におきましては、東北地方における太陽光発電及び風力発電導入の地域経済効果ということにつきまして、岡山大学の中村先生の方に計算をお願いをして紹介したことがございます。

 これは、各県におきます太陽光それから風力発電の導入ポテンシャル量の一%分が導入された場合、それを各県の地域産業連関表を用いまして比較するという手法をとりまして、再生可能エネルギーの導入による地域経済波及効果を算出した例でございます。

 御指摘のように、これは、特に被災で大変であったという意味で岩手、宮城、福島の例を紹介をしたコラムでございますが、中村先生の方にもお願いをいたしまして、同じような手法で青森県を計算いたしましたところ、年間で地域経済波及効果、約三十六億円というふうに計算をされております。

横山委員 どうもありがとうございました。

 再生エネの導入ということについて同じように環境白書の方を見ますと、エネルギーの開発における東北地域のポテンシャルということも目をつけた理由である、しかしもう一つ、東北の経済復興という点にも主眼が置かれている、そういう文章になっておりますが、その点、再生エネの爆発的導入によって東北地域の経済復興を図るという考え方、間違いないのかどうか、お聞きいたします。

白石政府参考人 委員御指摘のとおり、ことしの白書におきましては、エネルギー開発における東北地方のポテンシャルについて記載をしておりまして、例えば、導入ポテンシャルが最も大きい風力発電でございますれば、東北地方、全国の約四分の一が集中しているという計算でございますし、その中でも、青森県が最も大きな導入ポテンシャルを有しておるという結果になっております。

 御指摘のように、経済復興の観点からは、御案内の復興構想七原則というのがございます。「潜在力を活かし、技術革新を伴う復旧・復興を目指す。この地に、来たるべき時代をリードする経済社会の可能性を追求する。」というのが原則の一つでございますが、こういった理念を踏まえまして、我が国が目指すべき経済社会の先駆けとなる取り組みとして、再生可能エネルギーを活用した被災地の復興、太陽光発電及び風力発電導入の地域経済効果ということについて記述をさせていただいております。

横山委員 ありがとうございました。

 その目的の達成のために、環境省では、グリーンニューディール基金等を活用した経済発展など、そういう財政措置も怠りなくやっているわけですが、再生可能エネルギー特措法第五条というものがございまして、これのために、地元業者の参入が困難になる状況が生じております。

 東北電力が、再生可能エネルギー特措法第五条の規定に基づきまして、風力発電に関しまして自治体枠の撤回を行ったのですが、その理由についてお尋ねいたします。

北神大臣政務官 まず、法制度上どうなっているかといいますと、再生可能エネルギーの特別措置法では、電気事業者がむやみに正当な理由なく接続の拒否をできないように、物理的に容量がないとか、そういったことを限定的に列挙しているということでございます。その接続拒否の理由については、自治体であるとかどうかとか関係なしに、非常に差別的にならないような扱いになっているところでございます。

 それで、私も詳細はわからないんですが、おっしゃる東北電力が、もともと自治体の枠を設けるという話もあったやに聞いておりますが、今の申し上げた制度の趣旨に鑑みて、自治体という分け方じゃなくて、蓄電池とか、そういった枠組みにしたというふうに伺っています。

 法制度上はそういう趣旨で、東北電力の運用という話を今申し上げたところでございます。

横山委員 法律上、東北電力としてはそうせざるを得なかった。他の電力会社も皆そのような今は状況になっているんですけれども、そのために、全国的に、それはないだろうという声が出ております。

 ケースを紹介しますと、これまで風力発電を行うためには、東北電力ですと、この送電系統に接続しなければならない。したがって、そのために、募集に応募して抽せん形式でした。ですから、資金力にまさる県外の大企業であれば、一度に複数の案件をぱっと応募することができますので、ノウハウの足りない地元企業であると、抽せんに当たるケースも少ないと。

 それで地元企業の参入への弊害が生じていたわけですけれども、それを東北電力は、昨年の十一月、まだ半年ですよね、その段階で、応募の受け付け日の半年以上前から立地県内に本社を構え、資本金の五〇%以上を同県内の個人、法人が出資する、同時に、建設費の五〇%以上を地元の金融機関などから調達できる企業、こう想定して地元枠を設けたわけです。

 それから半年たって、固定価格買い取り制度が始まり、この法律が始まったことによって、もう接続できませんと。だから、当然準備していたところだってあるわけですよ。それで今どうなっているかというと、対象は、先ほど政務官が申されたとおり、全ての募集者に拡大すると。

 ですから、順次募集を受け付けて、先着順に同社の送電網に接続可能かを協議するというわけですから、当然、こういう技術、能力、経験を持った大手ばかりが優遇されざるを得ないという状況に今なっております。

 したがって、準備をしてきたところからは大変な不満が漏れている。これは私の地元の青森県もそうですし、東北各地、山形県とか至るところで不満が出ているんですけれども、この点、いかにお考えか。せっかく環境省がニューディール基金とか設けて地元利益のためにとやっている中で、この法律があるがために地元の企業の参入が阻まれるという事態に対して、またその改善策、どのように経産省としてお考えか、お聞かせ願いたい。

北神大臣政務官 私も初めて委員から詳しく伺ったんですが、そういったことで、東北電力の運用の、昨年の十一月という話だったんですが、そういった運用というよりは、その運用の前の段階でそういう話をしていたということは、一方で、法律は当然国会で審議を経てやっていたわけですから、ちょっと地元の業者に混乱を生じてしまったことには、非常に残念に思っています。

 やはり、私どもも地元の経済につながっていくことは非常に重要だというふうに思っていまして、この固定価格買い取り制度も、初期投資の回収のみならず、さらに、それに適正な利潤を乗せたそういったことも保証される仕組みでありますし、非常に価格についても、我々は、再生可能エネルギーの事業の促進につながるというふうに確信をしております。

 また、それだけじゃなくて、太陽光あるいは風力の設置に当たって、法人税の即時償却、こういったことも設けておりますし、政策金融の面では、十五年間で利率が一・三五%と、かなり低い水準の設定もさせていただいております。

 したがって、こういった固定価格買い取り制度のみならず、税制上、金融上の政策を総動員して、地域の経済の活性化にもつなげてまいりたいというふうに思っています。

横山委員 今、政務官が法律も同時に審議されていたと言うんですが、だからわかっていたことではないんですよ。こういうふうに地元参入枠まで撤廃されるような法解釈がされるというふうにどこも思っていなかったんです。だからみんな準備していたんです。それが、これは地元参入できないんですよという法解釈にぽんとなってしまった。ここに問題があるんです。

 だから、法の解釈を変えることだってできるわけですよ。だって、これは経産省が省令で出しているわけですから。その点いかがですか。

北神大臣政務官 これは、さっき申し上げたように、この買い取り制度というのは、基本的にはやはり、自治体内の業者であるかどうかとか、そういったものにかかわらず、基本的に公平にやるべきだというふうに考えておりますので、その辺のいきさつのことについて私も一回調べてみたいというふうに思いますが、基本的に、制度としてはこの趣旨で御理解をいただきたいというふうに思っています。

 ただ、さっき申し上げたように、委員の地域の地元の業者の混乱、あるいは、より大きな話として地域経済の活性化につなげるべきだ、こういったことはしっかり念頭に置いて運用していきたいというふうに思っています。

横山委員 政務官、最後に、今、しっかり念頭に置いてと言いましたけれども、ぜひ省内で検討して、現状、県外資本に利益が行くと言ってはなんですけれども、そういう現状を改善しなければ、もともと、再生エネルギーを普及させよう、地域経済の活性化につなげようという趣旨を完全に満たすものではないですから、省内で検討してどういう結果になるのか、改めて私に聞かせてほしいと思いますので、その点、お約束願えますか。

北神大臣政務官 今申し上げたように、ちょっと経緯も調べて、どういうことができるかというのをまたお伝えしたいと思います。

横山委員 以上でございます。ありがとうございました。

生方委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 きょうは、原子力規制委員会の人事案について大臣に直接お伺いしたいと思います。

 先週の金曜日の環境委員会の質疑から、人事案が事前に漏れるということに対しての抗議それから質疑というものはありました。これは当たり前のことです、事前に漏れてはいけないものですから。一方で、この人事案についての中身、これがほとんど議論の俎上に上っていない。しかも、大手メディアもほとんど触れられていないということで、アンタッチャブルな案件になっているんじゃないかというふうに私は感じております。

 一方で、国民の皆さんは、フェースブックとかそれからツイッターで、この人事案が出された瞬間に、この人事の方々の肩書やら過去の発言やらを拡散しておりまして、今は、再稼働への怒りというものの矛先がこの人事案に対する怒りというものに変わってきている、そういう形になってきております。

 質問です。大臣、この委員長候補の田中俊一氏、この方はふさわしいと考えていらっしゃいますでしょうか。

細野国務大臣 この人事案は、総理が最終的に責任を持って提出をされたものでありますけれども、私も人事案の策定には直接かかわっておりますので、責任者の一人として、田中俊一氏は委員長にふさわしいと考えております。

 その理由は幾つかあるんですけれども、私は、今回の事故を受けて、本当に深い反省に立ってこの原子力規制をやり切らなければならないと思っているんです。その面からすると、まず絶対的な条件は、福島の事故についての、本当に深刻な被害があったわけでありますから、深い反省があるということが大前提です。

 私もネット上でいろいろな声が出ているというのは承知をしておりますが、田中俊一氏は、事故から二カ月後には現地に入って、本当に自分でスコップを持って除染をやってきたという意味において、福島出身ということももちろんあるんですが、最も反省に立って向き合ってきた人だというふうに思っています。

 もう一点、私がこの田中俊一氏をふさわしい人ではないかというふうに考えた理由は、ジェー・シー・オーの事故、多分、斎藤委員も覚えておられるんじゃないかと思うんですが、あれは一九九九年で、東海村だったんですね。あのときに真っ先に現場に入って陣頭指揮をとって、みずから放射線をはかって、まさにあれも危機的な事故だったと思うんですが、それに正面から向き合ったのが実は田中俊一さんだったんです。これは専門家の間では有名な話ですが、国民的にはそういう人がいたことは余り知られていません。

 決して、一人の人間を例えば何人か英雄扱いをするようなことは全く意味がないと思うし、私は、田中俊一さんはそういう存在だというふうに受け取っているわけではありません。

 ただ、危機管理を経験をし、福島の問題についての反省をしているという意味においては、私は、我が国においては非常にほかにかえがたい人材ではないかというふうに考えまして、委員長として提案をさせていただいたということであります。

斎藤(や)委員 深い反省を持っている、それから一生懸命除染に携わっているということで選ばれたということなんですが、そもそも、この規制委員の存在なんですが、これは、利用と規制の分離、それから国民から信頼を得る、こういう理念のもとで、人選に関しては中立性、公正性、透明性の確保を徹底するということになっておりますが、本当にこの利用と規制の分離、それから中立性、公正性、透明性が確保されている人事案かというと、私は疑問です。

 言います。田中俊一氏、この方は、元日本原子力学会の会長です。それから元日本原子力研究開発機構の特別顧問。つまり、今まで強力に原発を推進してきた方ではないですか。

 そしてもう一つ、地元自治体や母親の学校除染の要請で環境省が除染目標を年一ミリとしたときに、これに反対して五ミリまで切り下げを主張。それから、損害賠償紛争審査会では、収入が得られる状態までというとこれは終期がないようになってしまうので、どこかでけじめをつけなければいけない、こういうふうに発言しております。被災者の苦難を見捨てて東電を救済するような、そういう主張を繰り返していた。

 それから、児玉龍彦東大アイソトープセンター長が、BGO検知器、これは食品の検知器ですけれども、これを昨年導入を提案したときに、金がかかり過ぎるといって妨害発言をした。

 それから何といっても、電力会社との秘密会合を持って刑事告発されている、原子力委員会の委員長代理である。

 大臣、利用と規制の分離と書いてありますけれども、この田中さんというのは、原子力村の村長そのものなんじゃないんでしょうか。大臣は、この田中さんの肩書、発言というのは知っていたのか。了とする前に、こういうものも全て組み入れて了としたということですか、大臣。

細野国務大臣 私は、田中さんとは、もちろん除染で現場で御一緒したこともありますが、原子力の例えば四十年の運転制限制度など、これを議論するときも含めて相当議論をしております。

 その中で、福島県内で活動してこられたこと、発言の中身、それについても、今個別に言われたのを全て全部私が知っていたかというと、それはいろいろなものがありますけれども、そういう立場も含めていろいろな発言をされていたというのは、よく承知をしております。承知をした上で提案をさせていただきました。

 五ミリの話をされましたが、これは、除染について二十ミリで十分と言う人もいるわけですね。しかし、できるだけ下げた方がいいだろうということで、十ミリを目標にし、その後、五ミリを目標にするという形にしました。ですから、確かに一ミリにするのが望ましいんだけれども、まず、優先順位をつけてそうやってやるべきだというのが、田中さんが一貫して主張してきたことです。

 斎藤委員、ぜひ御理解いただきたいのは、それを言って手をこまねいて見ていたのであれば、今の御批判は当たると思います。児玉先生も立派な方です。私も何度もお会いをして、本当に福島と向き合っておられる立派な方ですけれども、この田中俊一さんという方については、目標を決めてこれをやろうと言ったら、みずから体を動かして、地域の方と一緒に汗にまみれながらやったという意味において、単なる口だけで言った人ではないというところはぜひ前向きに評価をしていただきたいというふうに思います。

 JAEAの中にいたであるとか原子力委員会の委員長代理であったとか、そういったことについては、御指摘のような御批判があるのは承知しています。

 ただ、田中委員に関して言いますと、例えば原子力研究開発機構の中でも、ずっと旧原子力研究所の担当で来ましたから、そういった面から、原子力の基礎的な研究であるとか測定の問題であるとか、そういったところでキャリアを積んできました。ですから、例えば「もんじゅ」を推進をするとか原発をどんどんふやしていくという立場よりは、むしろ、基礎的な原子力そのもののあり方についての研究者としてそれなりの地位を築かれた方というふうに私自身は理解をしております。

 その上で、安全規制をしてきた人も推進をしてきた人も、これまでの安全規制をしてきた人も、やはりむしろ推進派だというそういうカテゴリーにどうしても今は属するわけですよね。そういうことに関して言うと、全ての原子力の専門家は、今は反省をして、どうすれば規制、安全をできるのかという立場から行動すべき時期に来ていて、田中俊一氏は、そういう立場から新しい規制委員長にふさわしいのではないかというふうに考えたということでございます。

斎藤(や)委員 田中さんだけじゃないんですよ。

 例えば委員候補の更田さん、この方は、福島第一原発事故後も、原発推進を前提とした原発の継続的改善を主張している方で、日本原子力研究開発機構、これは皆さん御存じのとおり、「もんじゅ」を運営する機構でございます。その現役の幹部です、この更田さんは。しかも、今でも、二〇〇三年から日本原子力発電で、毎年、講習会で報酬をもらっている方でございます。

 それから中村佳代子さん、この方は、日本アイソトープ協会、これはもう規制対象事業者と言ってもいいと思います。

 こういった方々、いわば原子力村の方々が委員候補に連ねている。しかも細野大臣は、六月十八日の環境委員会、これは参議院ですか、原子力村からは選ばないというふうにはっきりとおっしゃっております。

 どう見たって、この皆さんのリストを見れば、この方々は原子力村の皆さんじゃないんですかというのが、これは、野党の私たちだけじゃなくて、与党の、この中にいる多くの委員の皆様も疑念に思っていることであるということをお伝えしていきたいというふうに思っております。

 細野大臣は、この人事は国会でよく審議してほしいということを言われました。ぜひ委員会で、環境委員会でも経産委員会でもいいんですが、委員長、委員を呼んで所信表明をしてもらって、質疑の時間を設けるべきだというふうに私は思うんですけれども、このあたり、どう考えていらっしゃいますでしょうか。

細野国務大臣 あす、国会として田中氏が発言を許されているというふうに聞いております。もちろん、これは大事な人事ですので、しっかりと皆さんに見ていただいて御判断いただくということではないかというふうに思っています。

 あと、個別にどういうふうにやるかは、私がここは申し上げることではありませんので、国会でお決めをいただければ、それに基づいて本人がしっかりと発言をしていくということになろうかというふうに思います。

 御質問にはありませんでしたけれども、規制対象だということに関して言いますと、「もんじゅ」をやっているという意味では、これは推進サイドというところが当たるかもしれません。ただ、旧原研ということに関して言うと、それはまさに研究所であって、その役割を全うしてきたわけです。旧原研も、いわゆる検査の対象で規制はできないのではないかという議論になってしまいますと、そうしますと、例えば東京大学も京都大学もそうなわけです。

 ですから、そこは、いわゆる推進サイドのさまざまな事業者との関係であるとかそういったところはしっかり断ち切って、田中氏に関しては、学会の会長までやった中においては、業者とは極めて厳しいいろいろなやりとりができる、そういうことをやってきた人であります。

 そういったところでいわゆる私がイメージする原子力村というのは、広くとれば全部原子力村ということになるのかもしれませんけれども、業者との癒着をしっかり断ち切れるという意味で、そこの弊害をなくしたいという趣旨で申し上げたということでありまして、そういう意味においては、今回提示をさせていただいているメンバーは、事業者に対しては厳しい姿勢で臨むことができるそういうメンバーだというふうに考えておりまして、ぜひともそこを個別にごらんをいただければ大変幸いでございます。

斎藤(や)委員 では、本当にその人事が正しいのかということはぜひ国会でもっともっと議論を深めなければいけませんし、一度の議運の質疑でさあすぐ採決というのは、これは国会議員もそれから国民も納得しませんので、ここはぜひ理解をしていただきたいというふうに私は思います。

 今度できる規制委員会というのは、もうこれは釈迦に説法ですけれども、独立性と非常に強い権限を持ちますから、原発村の意向をまともに受けてしまいますと、もうこれは大変なことになるわけなので、この規制委員会の人事というのはすごく重要です。

 この人事について問題意識を持っているのは、私たち新党きづなや国民の生活が第一だけではなくて、みんなの党さんや社民党さん、それから、政権与党民主党の中でも反対の意見を持っている方が非常に多いです。きのうも民主党の新たな勉強会が発足されて、この規制委員会の人事には反対をするという姿勢を見せました。

 この人事案を採決した場合に、私は造反は十人で済まないと思っています。数十人規模で御党から造反が出るのではないかというふうに私は推測しております。その中には党員資格停止処分になられた方もいるはずで、これは御党の話ですから余計なお世話なんですが、これを採決すれば、政権崩壊のトリガーになってしまうというふうに私は思っております。

 新たな人事案を出し直さないと大変なことになりますよということを忠告をさせていただきます。

 そして、何よりもやはり、国民が許しません。なぜ多くの国民が今の野田政権の原発対応に怒っているかというのを、もう少しやはり理解していただきたいと思います。これだけ事故があったにもかかわらず、こういう人事案が出てくるわ、それから、断層がある疑いがあると発表したその日にその断層の上の原発を再起動させてしまう。やはりこれは筋が通っていないんです。こういうことに対して、おとといのあの国会の包囲のデモがあって、毎週金曜日に一般の市民の方が多く参加するデモがあるということをぜひわかっていただきたいと思います。

 最後に、この人事、日本の原発政策、エネルギー政策を決める大変重要なものです。国会の事故調の報告で、規制する側が規制される側のとりこになっていたとありました。ぜひこの提言を受け入れて、この人事の選考をやり直していただきたいと心から心からお願いいたします。

 以上、質問を終わります。

生方委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は一般質疑ということで、福島の復興の大前提となる放射能汚染の除染対策の進捗状況、また、その取り組みについて政府にお伺いをさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 七月十三日、野田内閣は、東京電力福島第一原発事故で被害を受けた福島県への支援策をまとめました。福島復興再生基本方針でありますが、この基本方針を閣議決定をいたしました。

 この基本方針では、原発事故で避難している全ての人が帰れるように国が責任を持って対応するとし、帰還を望む全ての避難住民が帰れるように、県内全域で追加被曝線量が年間一ミリシーベルト以下になることを目指すとしております。

 このように、放射性物質の除染は、現在避難している全ての人がふるさとに帰還してもとどおりの生活を再建できるようにするための大前提であります。

 ところが、この除染の作業が現状では思ったほど進んでおらず、除染が終わる見通しも全く立ちません。そのため、避難住民の中には、いつ帰れるかわからないふるさとに帰るのを諦めて、別天地に移ることを決めた人も多い。地域コミュニティーがこれ以上崩壊しないように、また、食いとめるためにも、このまま手をこまねいているわけにはいかないわけであります。

 こうした意味からも、除染の作業は一刻も早く行われる必要があるということを踏まえまして、以下のとおり質問をいたします。

 まず、避難区域の再編のための除染の取り組み方針についてお伺いをいたします。

 本年四月には田村市、川内村、南相馬市で、そして、去る七月十七日には飯舘村で、避難区域が再編されました。放射線量の低い順に、避難指示解除準備区域、居住制限区域、そして帰還困難区域に三分割されたわけであります。しかし、残る七町村では、避難区域の再編の見通しが立っておりません。

 再編された地域では、上下水道の生活基盤が復旧していないこともあって、除染作業にも支障を来している状況だと思います。国による除染作業が進まないと、避難指示解除はできずに、住民が居住のための帰宅をすることができないのではないでしょうか。

 こうした中で、警戒区域が解除された地域の住民からは、生活できない環境で仕事や商売はできない、警戒区域の解除が余りにも早過ぎたのではないか、そのように怒る声が出ているほかに、楢葉町議会では、除染などがされない限り、国の区域再編計画には応じないとの決議が採択されております。

 そこで大臣にお伺いをいたしますが、避難区域はいつかは見直さなければなりませんけれども、その前提として徹底的な除染がなされていないので、帰りたくても帰れないのが現状ではないですか。避難区域の再編を着実に進めるためにも、除染の具体的な方法や日程を早急に住民に示す必要があると考えますが、これまでの経緯も含めて、また取り組みも含めて、今後の方針を大臣にお伺いをいたします。

細野国務大臣 御指摘のとおり、住民の皆さんに帰っていただくためには、除染やインフラの復旧等を総合的に進めることが極めて重要であると考えております。住民の一日も早い帰還が実現できるよう、環境省としても、国会で御審議いただいて通していただいた放射性物質汚染対処特措法にのっとりまして、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

 区域の見直しと並行いたしまして、警戒区域及び計画的避難区域にあった地域につきましても、さまざまな取り組みを進めてまいりました。

 例えば、公共施設における先行的な除染、常磐道のように基幹になり得るところについては、これは除染のモデル事業というのも実施をいたしました。

 そういった中で、本格的な除染については、まずはおおむね二年間で、二十ミリシーベルト以下の地域については、長期的に追加被曝線量が一ミリシーベルト以下になることを目指す、二十から五十ミリシーベルトの地域においては、平成二十五年度内をめどに、住宅地や農用地における空間線量を二十ミリシーベルト以下にすることを目指す、そして五十ミリ超のところについては、これは若干やはり厳しい状況がございますので、そこは除染のモデル実証事業を行いまして、結果を踏まえて対応の方向性を検討するとしておるところでございます。

 現在、五つの市町村で計画を策定をし、そのうち田村市については、本格的な除染を開始をいたしました。三つの町村におきましては、具体的には楢葉町、川内村、飯舘村ということになりますが、こちらについては、具体的な事業の発注段階にあるという状況でございます。

 そのほかの自治体において区域の見直しや賠償の問題、これも密接にかかわっておりまして、除染について本格的にできていないところがございますので、そういったところについては、できる限り早い段階で本格化をしていきたいというふうに思っております。

 加えまして、区域の見直しについては、本日朝、原子力災害対策本部の会議を開きまして、楢葉町につきましては、八月十日に区域の見直しをするということが決まりました。

 確かにスピードという意味においては、地元の合意も含めてなかなかスムーズにいかないということが続いておりますが、しっかりと地元の皆さんに納得をしていただける状況をつくって除染や区域の見直しにつなげてまいりたい、そこは責任を持って国として対応したいと考えております。

江田(康)委員 迅速な放射能の除染への取り組みについては、放射性物質汚染対処特別措置法案の制定を我々はやったわけであり、それからかなりの時間がたっております。

 そういう中で、ロードマップに従って今まさに進めてきているお話が大臣からありましたけれども、さらに多くの幾つかの問題があると思っておりますので、それについて確認をさせていただきたいんです。

 昨年来、環境省と独立行政法人の日本原子力研究開発機構、JAEAが警戒区域内と計画的避難区域内で行っていた除染モデル事業の報告書が、六月末にこれは発表されております。

 この報告書では、三十ミリシーベルト未満の区域内で実施したケースでは、二十ミリシーベルト未満まで下げることはできた。しかし、四十ミリシーベルト超の区域内で実施したケースでは、二十ミリシーベルト未満には下げられなかった。また、除去土壌の発生を抑える手法をとれば、放射線量は余り下がらないこともわかったということであったかと思います。

 このように、来るべき本格的な除染作業を見据えた場合に、除染モデル事業の結果は、これは厳しいものではないですか。まず、今回の除染モデル事業の結果に対する環境省の評価を伺います。

鷺坂政府参考人 昨年来、本格的な除染につながります面的な除染ということで、十六カ所において除染モデル事業を実施してまいりました。

 この除染モデル事業を通じまして、新技術を含めた有効な除染方法でありますとか作業員の安全管理の進め方、モニタリング方法等の知見を集めることといたしておりまして、このモデル事業につきましては、一定の成果が得られたものと認識をしております。

 具体的には、さまざまな技術を使用して面的除染した場合の空間線量に与える効果、あるいは、一定の遮蔽措置を講じた仮置き場についての空間線量がどうかとか、あるいは、若干高線量の、例えば年間の積算線量五十ミリを超える地域で作業した場合の被曝線量等々について、さまざまなデータを収集したところでございます。

 私どもといたしましては、本モデル事業で得られた知見を、これからの本格除染においても活用しながら効果的な除染を実施してまいりたい、このように考えております。

江田(康)委員 次に、放射性物質汚染対処特別措置法、これを我々は議員立法で制定をいたしましたが、間もなく一年でございまして、しかし、放射線量が高くて国が除染を行うこととされている除染特別地域では、汚染土壌の仮置き場が設置されないから除染もできない状況、また、放射性瓦れきの仮置き場がないから瓦れきの撤去がままならない状況が続いていると思います。

 現在、この除染特別地域に加えて、自治体が中心となって除染を行うこととされております汚染状況重点調査地域において、この汚染土壌の仮置き場がいまだに設置されていない自治体は八割を占めているという状況ではないでしょうか。

 この仮置き場をどこにどのように確保していくのか、この件については、私も、またほかの委員の皆様も、本委員会で再三にわたり質疑を行ってきましたけれども、国からは、最善を尽くしているとは思いますが、自治体に任せるという対応にとどまっている。不十分であると私は思うわけであります。

 確かに、地域の実情に詳しいのは自治体であります。国は、自治体によるこの仮置き場の確保に向けて最大の努力をしてきたのか、それが私は見えないのではないかと思うわけです。

 地域住民、特に、子供を抱えているお母さん方の放射性物質に対する不安は極めて大きいですよ。仮置き場を着実に確保するためにも、仮置き場の安全、安心を確保するための具体的な措置を、細野大臣、明快かつ誠意ある答弁をお願いしたい。

細野国務大臣 仮置き場につきましては、地元の皆さん、特に市町村の皆さんに大変な御苦労をおかけをしているという状況だと承知しています。

 汚染状況の重点調査地域につきましては、百四の市町村がございますが、そのうち約九割の自治体については、法定の計画または除染に関する緊急実施基本方針に基づく計画を策定をしていただいています。この中で仮置き場についても位置づけることになっておりますので、それぞれの自治体についても、かなりの具体的な動きをしていただいているというのも実態でございます。

 ただ、具体的に仮置き場をそこに設置をするということになると、住民の皆さんの理解をいただかなければなりません。その説明会をするときなどについては、環境省も、現地の環境再生事務所から職員を派遣をするなど、当然一緒に取り組んでおりますが、その了承がなかなか得られないということで、仮置き場が設置をできず、除染が進まないという、そういうところで苦しんでいる自治体が多いというのが実態でございます。

 財政的な支援や技術的な支援はもちろんですが、それを地元の皆さんに理解をしていただくという意味で、我々がみずから汗をかくということは極めて重要だというふうに思っておりますので、きょうの御指摘を踏まえて、さらに誠意ある対応、さらには、結果を出すことができる体制というのをつくってまいりたいというふうに思っております。

 加えまして、仮置き場が設置できないもう一つの理由は、やはり中間貯蔵施設がめどが立っていないということがございます。そこも含めて国の責任は極めて大きいと考えているところでございます。

江田(康)委員 細野大臣、現地に入って仮置き場の住民の理解を進める努力をされているのは、私もよく伺っております。大臣が今申されました。そこにずっと汚染物質が仮置きされるのは、住民にとってこれはよろしくないという反対意見が多いかと思います。

 そこで大事になってくるのが、やはり中間貯蔵施設、これが明確に決められているのかどうかということであります。

 除染等に伴って発生する汚染土壌のうち、一キログラム当たり十万ベクレルを超えるものを一時的に貯蔵する、これが中間貯蔵施設でありますが、これについて環境省が示したロードマップでは、国は平成二十四年度中に場所を選定する、そして、二十七年から順次搬入を開始するとされております。

 この中間貯蔵施設の設置場所について、環境省はことし三月に提案をなされましたね。それは、双葉町、大熊町、そして楢葉町の三カ所に分散設置する考えを示したと伺っておりますが、首長さんや地元住民の反対、懸念の声が上がって、楢葉町議会が設置反対の意見書を採択するということなど、協議が難航しているのは聞いております。今月から開始する予定とされていた施設の、これでは基本設計の策定のめどすら立っていないという厳しい状況であるのではないでしょうか。

 福島県の復旧復興を考える上で、汚染土壌の貯蔵先の確保は、避けて通れないこれは大きな問題であります。除染作業が本格化すれば仮置き場もすぐに満杯となることは明らかであります。汚染土壌が撤去されないと住民が低線量被曝にさらされることになりますので、早急に中間貯蔵施設を確保しなければならない。

 そこでお伺いをいたしますけれども、政府としてこの中間貯蔵施設の確保の必要性について、自治体や住民に対して、これまでも、また今後、どのように説得していくそういう勝算があるのですか。また、中間貯蔵施設の建設のめどが立たないこの現状を踏まえると、今ロードマップで予定しているところの、平成二十七年からの開始を予定しておりますが、このロードマップ自体も修正を余儀なくされるというようなことにはなりませんか。

 私は、これは、福島の復興を考える上においてはやはり除染がおくれてはならないと思いますし、おくれることがあってはならないと思います。この点についても大臣にお伺いをいたします。

細野国務大臣 中間貯蔵施設につきましては、ことしの早い段階でロードマップをお示しをいたしました。めどが立っていない中でロードマップを示すということについてはいろいろな意見がありましたけれども、やはり、目標を持ってそれに向かって一歩一歩進まなければ問題は解決しないというふうに思いましたので、あえて踏み込んで、国の考え方ということで提示をさせていただいたということであります。

 今年度中には設置場所をできるだけ特定をしたいというふうに思っておりまして、全体のスケジュールでいうならば、確かに個別のプロセスは、それこそ今めどが立っているのかと言われれば十分でない面がございますが、何とかこのロードマップに基づいて中間貯蔵施設を設置をしたいと今考えているところでございます。

 これまでも、双葉の地方の町村であるとか福島県との協議の場所においては、何度か説明を、何度かというか、かなりの回数させていただいております。また、お許しをいただいた場合には、関係の町議会の方にも説明をさせていただいております。また、私も直接伺いましたけれども、大熊町では住民説明会をやっていただきまして、そこでも直接、中間貯蔵施設についての必要性については説明をさせていただいております。

 そうした状況ですので、しっかりと我々としては必要性と安全性について御理解をいただきたいというふうに思っておりますが、やはり、首長さんであるとか県であるとか、そういったところにまずここで納得をしていただくというか考えていただかないと、前に進めることは難しいということも感じております。

 時間はかかりましたけれども、賠償については、まず基本的な方針を出させていただきましたので、その次はやはり、除染や区域の見直しに伴う御帰還ということもやっていかなければなりません。

 そういった大事な時期を今迎えておりますので、できるだけ地元の皆さんに御理解をいただけるように、とにかく一つ一つ丁寧に、しかし確実に前に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

江田(康)委員 今、大臣からもるるお聞きしていると、本当に、以前の問題がなかなか前に進んでいない、解決されていないということを非常に心配いたします。

 しかし、今まで避難されていた方々が、これは、一番大事だった生活再建というのがやはりございました。そういう生活再建に対して、国が全面的な、また、この賠償をしっかりと進めるという方向が今見えてきているというようにも私も思います。その次の段階として、やはり住民の皆さんが今度は本当にふるさとを除染して帰還できるように、そこに最大の関心を持っていかれるのではないかと思うわけであります。

 政府の丁寧な説明、やはり、安心であるということを本当に皆様方に御納得、御説明をしていく、そこが非常に大事な段階に入ってきているのではないかと思っておりますので、さらなる万全の努力を大臣に要望するわけであります。

 この中間貯蔵施設の問題も、三十年後、最終処分場にそれらを持っていけるのかという、いわゆる最終処分場が確保できるのかという問題にも関係してくるわけであります。

 そこで、その最終処分場のあり方について、これもまたお伺いをさせていただきます。

 汚染土壌の最終処分については、環境省のロードマップでは、中間貯蔵開始後三十年以内に福島県外で最終処分を完了することが明記されております。しかし、具体的にどの地域にどのような施設をつくるのかは、ロードマップには記載していない。地元自治体からは、最終処分場の具体像、あり方、これを国が明確にしなければ中間貯蔵施設の設置には応じられないという声もあるわけで、国として、早急かつ積極的に最終処分場の設置の具体的な検討、調整に着手すべきではないかと思います。

 また、平時の原発施設内で発生した低レベルの放射性廃棄物でさえ最終処分場の当てがない現状に鑑みれば、果たして、今回の原発事故で発生した汚染土壌の最終処分場を現実に確保できるのか。三十年以内に最終処分を完了するというロードマップの文言を根拠に、最終処分についての結論を三十年後に引き延ばすということは絶対にあってはならないと思うんです。あらゆることが進みません。

 政府は、この場所に最終処分場を設置して、遅くとも三十年以内に最終処分を完了させる旨を明言すべきではなかろうかと思うんですが、大臣の明快な答弁を求めます。

細野国務大臣 先ほど、ロードマップをことしに入ってと申し上げましたが、大変失礼いたしました。昨年十月にお示しをしておりました。それに基づいて現在取り組んでいるということでございます。

 今御質問の最終処分でございますけれども、除染に伴って発生をする土壌や廃棄物に関しましては、やはりどうしても濃度の高いものが含まれますし、また、その量についても、これも非常に膨大なものがあるというふうに思っております。

 そうした中から、減容化をして、そして、その汚染したものをしっかりと安全に運び出すという意味では、どうしてもそこは技術革新が欠かせない、そのように考えております。

 したがいまして、現時点で、最終処分の方法であるとか場所について明確に御答弁することは難しいというのが実情でございます。

 ただ、やはりこれだけの御負担を福島にお願いをしている以上は、そこは、最終処分のあり方ということに関しては、もちろん、我々が一番責任者として考えていかなければならないというふうに思っておりますが、日本全体で捉まえるべきものであると考えております。

 昨年十月に公表しましたロードマップで、「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で」ということを書かせていただいておりますので、それに向けて話をしっかりと進めてまいりたい、必要なことについて研究開発を進めてまいりたい、そのように考えております。

江田(康)委員 中間貯蔵施設がなし崩し的に最終処分場になってしまうのではないかという自治体や住民の皆さんの懸念があるわけで、その皆さんの不安を解消するために、環境省は、中間貯蔵施設の稼働期間の上限を三十年とした上で、最終処分は福島県外で行うとする方針、これを放射性物質汚染対処特別措置法に明記する方向で調整に入ったという報道を伺っておりますが、この件について、大臣、このことも踏まえてですけれども、これからの細野大臣の、やはり現実的な対策として、政治家として明確なビジョンをお持ちなのか、そこをお伺いをいたします。

細野国務大臣 先般閣議決定をいたしました福島復興基本方針の中では、地元からの強い要望も踏まえまして、以下のような記述をしております。「中間貯蔵施設の在り方について、」しばらく飛ばしますが、「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる。」となっております。この方針自体は、法律に基づいた、しかも閣議決定をした文章でございますので、これは非常に重い意味合いを持つものであると考えております。

 今、法制化につきまして審議をという御質問でございました。そこも、もちろん検討していかなければならないというふうに思っております。

 ただ、まだ中間貯蔵そのものについての受け入れをいろいろな形で今お願いをしている最中でございますので、勝手に法制化をするというわけにはもちろんこれはまいりませんので、そこは、いろいろな自治体の皆さんとの議論や住民の皆さんとのいろいろな対話の中で、どういった方法が一番福島の皆さんにとって受け入れていただきやすいものなのか、そこは政府内でしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 時間でございますが、福島の復興のためには、迅速な除染は必要不可欠であります。住民の皆さんが一刻も早くふるさとに帰還して安心して生活していただけるように、国の総力を挙げて、さまざまな問題はあります、今大臣にも確認をあえてさせていただきましたけれども、それらに迅速に取り組んで、除染を迅速に、早急に進めることのできるように取り組んでもらいたいと思います。

 大臣に強力なこの点に関するリーダーシップをとっていただけますように心から求めまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 次回は、来る八月三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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