衆議院

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第11号 平成24年8月7日(火曜日)

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平成二十四年八月七日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 生方 幸夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 川越 孝洋君

   理事 近藤 昭一君 理事 矢崎 公二君

   理事 田中 和徳君 理事 吉野 正芳君

   理事 横山 北斗君 理事 江田 康幸君

      柿沼 正明君    工藤 仁美君

      阪口 直人君    篠原  孝君

      田島 一成君    高山 智司君

      玉置 公良君    浜本  宏君

      三浦のぼる君    室井 秀子君

      森岡洋一郎君    山花 郁夫君

      横光 克彦君    井上 信治君

      近藤三津枝君    長島 忠美君

      丹羽 秀樹君    福井  照君

      古川 禎久君    町村 信孝君

      斎藤やすのり君    佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         細野 豪志君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   環境副大臣        横光 克彦君

   総務大臣政務官      加賀谷 健君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      清木 孝悦君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       宮野 甚一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官)         山本 哲也君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    富田 健介君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月七日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     室井 秀子君

  吉川 政重君     浜本  宏君

  岸田 文雄君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  浜本  宏君     阪口 直人君

  室井 秀子君     空本 誠喜君

  長島 忠美君     岸田 文雄君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     吉川 政重君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)(参議院送付)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

生方委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る三日既に終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、大谷信盛君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。江田康幸君。

江田(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきます。

    特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 これまで行われてきた特定支障除去等事業について総点検を行った上で、本法の有効期限である平成三十四年度末までに特定支障除去等事業が確実に完了できるよう、都道府県等に対し同事業の計画的かつ着実な実行を求めるとともに、当該事業の進捗状況を随時把握しつつ、必要とされる助言・技術的支援等を十分に行うこと。

 二 特定産業廃棄物に係る支障の除去等に当たっては、不適正処分の行為者のみならず、不適正処分の可能性の調査を十分に行わないまま処分業者に委託した排出事業者等に対する責任追及及び行政代執行費用の求償を強化・徹底して行うよう都道府県等に求めること。

 三 平成二十五年三月三十一日までに都道府県等が環境大臣との実施計画の協議を確実に行うことができるよう、特定産業廃棄物に係る支障の除去等に係る情報の提供や、都道府県等議会への説明や住民説明会への支援等必要な措置を講ずること。

 四 特定支障除去等事業として全量撤去方式以外の支障の除去等を実施するに当たっては、その残置される特定産業廃棄物が中長期的な潜在リスクを有する可能性があることに鑑み、同事業の完了後に新たな生活環境保全上の支障が再発することのないよう、都道府県等による安全性の確保に向けた継続的なモニタリングの支援等必要な措置を講ずること。

 五 一・四―ジオキサン等の化学物質による環境汚染に係る除去処理技術に関する情報の収集及び提供を行うとともに、有害物質による環境汚染の未然防止を図るため、環境汚染が懸念される化学物質のリスクに関する科学的知見の集積及び周知を的確かつ速やかに行うこと。

 六 産業廃棄物の適正処理の確保を図るため、電子マニフェストの普及拡大に向けて、普及率五十パーセント以上の数値目標を設定し、その早期達成に向けロードマップを速やかに作成すること。

 七 本法が対象としない平成十年六月十七日以降の不適正処分事案に係る支障の除去等について、産業廃棄物適正処理推進センターの基金の造成に対し、平成二十五年度以降も引き続き事業者等の協力が得られるよう努めること。

 八 不適正処分事案のうち、都道府県等が特定支障除去等事業として実施計画を策定しないものについても、地域住民から生活環境保全上の支障に係る懸念が表明されている場合が少なくないことに鑑み、都道府県等が、当該支障の除去及び未然防止を図る観点から積極的に立入検査を行い、必要に応じて勧告及び改善命令・措置命令を機動的に発出できる体制の整備に最大限尽力すること。

 九 産業廃棄物の適正処理の確保を図るとともに産業廃棄物処理業界への国民の信頼の醸成に資するため、当該業界に対し公益通報者保護制度についての周知に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

生方委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。細野環境大臣。

細野国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

生方委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

生方委員長 次に、環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木正規君、文部科学省大臣官房審議官高橋道和君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長清木孝悦君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長宮野甚一君、経済産業省大臣官房審議官後藤収君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官山本哲也君、中小企業庁次長富田健介君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君、環境省地球環境局長鈴木正規君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君、環境省自然環境局長渡邉綱男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢崎公二君。

矢崎委員 おはようございます。民主党の矢崎公二でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 ロンドンではオリンピックが行われておりまして、連日、日本代表選手の活躍が伝えられております。なでしこジャパンも決勝に進出ということで、スポーツには不思議な力がある、何か日本を元気に明るくする力があるというふうに思います。その意味では、今、日本の政治に足りないのはそんな力かなというような思いがしているところでございます。

 早速質問に入りますが、まず第一は、原子力規制委員会の人事についてでございます。

 先般の一般質疑で自民党の田中先生からも同様の質問がありましたけれども、与党の議員として、これも重要な問題であるという認識をしておりますので、いま一度、大臣のお話をお伺いしたいと思います。

 先日の答弁では、内閣官房のごく限られた少人数の人しか知らない情報であった、環境省の副大臣あるいは政務官にも知らせていない人事案件だったというお話をされていますけれども、実際、人事案件を知り得る立場にいた方というのはどのぐらいいたんでしょうか。さらには、その後の調査で何か判明したことがあるんでしょうか。

 情報がメディアに事前報道されたことについて、改めて大臣の御答弁をお願いします。

細野国務大臣 国会同意人事案件につきましては、政府として従来から徹底した情報管理に努めてきたところであります。

 しかし、今般の人事案につきまして、結果として、国会に提示をする前に関連の報道があったことにつきましては、極めてこれは遺憾でございまして、委員の皆様、国会の皆様に心よりおわびを申し上げたいというふうに思います。

 先ほど御発言もありましたけれども、私を含めて少人数で担当してまいりましたが、先般、内閣官房の副長官の指揮のもとで、政府の情報管理の状況について事実関係の確認が行われました。ただ、その中では、政府関係者から報道機関に対して情報を漏らしたという事実を確認することはできなかったということでございます。

 私自身も調査を受ける側、事実把握をされる側でございますので、人数について私自身が知り得る立場ではありませんけれども、内閣官房の準備室を含めて、私自身の関連でいうならば、情報を知り得るメンバーというのは極めて限定をされていたというふうに承知をしております。

 いずれにしても、私自身、総理からも厳重注意を受けたところでありますので、そのことについてはしっかりと受けとめて今後の対応をしてまいりたいと考えております。

矢崎委員 私もメディアに二十年間勤めていた人間ですので、マスコミが、重要な人事についてあらゆる手段を使って情報を入手して国民にいち早く知らせるという使命感を持って仕事をしているということは、十分に承知をしております。その意味では、政府の情報管理というのは非常に大変である、マスコミの取材攻勢も大変だったというふうには想像をできますが、今回のいわゆる事前報道というのは、私は極めて異例な内容だったという思いがしております。

 七月二十日、読売新聞と日経新聞の二社が報道をされました。早朝にはNHKがニュースで流しましたけれども、そのうちの読売のニュースについては、委員長の人事のみならず、ほかの四人の委員候補、さらにはその任期まで極めて正確に報道がされておりました。その意味では、政府の公文書を、どういう形かわかりませんけれども、入手をしたとしか考えられないというふうに思います。

 規制委員会の委員長人事というのは本当に極めて重要な人事でございますので、その意味では緊張感がやはり足りなかったという思いがしておりますけれども、改めてその点についていかがでしょうか。

細野国務大臣 この人選そのものは、出発点としては、去年から実質的にはいろいろな方と話をする中で検討してきたという経緯がございます。その中で、これまで、もちろん具体的に打診をするというところに至るのは最終段階でありますけれども、いろいろなやりとりをしてきた中で、情報管理については相当徹底をしてきて、関係者は注意をしてきたという事実はございます。

 ただ、これは全て結果ですので、ああいった形で報道されたということについては、緊張感が足りなかったという御指摘は、これはもう私どもも厳しく受けとめなければならないというふうに考えております。

矢崎委員 今、大臣から厳しく受けとめるというお話がございましたけれども、あの事前報道によって本当に大きな影響があったというふうに思います。

 政府の方は、二十日に予定していた規制委の人事の国会への提示を見送りました。その後は、いわゆる原子力村との関係の深い人物が多いんじゃないかというような指摘がありましたほかに、規制委員候補が日本原子力発電の研修で核燃料をテーマにした講演を行って、同社から一回当たり四万円の報酬を受けていた、あるいは、東京電力から、東京都内の電力館で地震をテーマにする講演を行って講演料を受けていたというようなことも報道をされました。

 私個人的には、そのいわゆる報酬の額については常識的な範囲内だという思いはしておりますけれども、国民はやはりそう見ない。原子力村との近さというものを思ったのではないかという思いがしております。

 原子力村の出身という指摘について委員長候補の田中俊一氏は、八月一日の所信聴取で、経歴から原子力村の住人と言われるのを否定するすべはないというお話もされています。原子力村という定義は極めて曖昧でございますけれども、私は、その原子力村という言葉だけに流されて、人事においての本質的な意味というものから逸脱してはいけないという思いをしております。

 今回の人事の焦点というのは、いわゆる原子力村との距離がどの程度か、あるいは、原子力規制を抜本的に転換できる人材なのか、さらには、国のエネルギー政策を脱原発依存へかじを切ろうとしている中で、その現状について深く認識をして厳しく規制に臨む気持ちを持ち合わせているかということが非常に大切であるというふうに思っております。

 大臣にお伺いしますが、委員長候補らの人選理由、何を一番重視して人選をしたのかということを改めてお伺いをいたします。

細野国務大臣 委員の人選の考え方でございますけれども、原子力規制委員会設置法の第七条におきまして、原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから任命をするというそういう形になっております。これに加えまして、特に今回の人選の場合は、中立公正性であるとか透明性を徹底するという観点から人選を行ったということでございます。

 その中でも特に私が意識をいたしましたのは、福島の今回の事案からしっかりと学んでいること、そしてもう一つは、原子力事業者からしっかりと距離をとれる人ということでございます。

 先ほど矢崎委員が御指摘をされた、例えば数万円の報酬であるとかそれよりも少し多い報酬ということも含めて、何人かの確かに委員候補の中でそういった事実全て公開をしておりますが、報酬額としては、一定額以上の報酬を受領していた者というふうなことで、五十万円ということもあらかじめ設定をさせていただきました。

 率直に申し上げて、内々の調査でこの部分にひっかかる、もしくは、事業者との関係において一緒に研究をやってきているというような方というのは、非常に原子力関係者は多うございます。逆に、それがない人は少ないぐらいでありまして、そういう関係から、事業者との距離感の問題で人選から漏れた人もおります。

 そういった意味では、全ての情報を公開をして国民の判断を待たなければなりませんけれども、この五人ということに関していうならば、事業者との関係において、これまでのような関係ということからは大きく決別をしてきっちりと規制をやっていただける、私は、そういう人選をさせていただいているというふうに認識しております。

矢崎委員 中立公正、透明性ということに重きを置いて人選をされたという大臣のお気持ちは痛いほどわかるんですが、なかなかその辺が国民に伝わっていないというふうに思います。そういう意味では、十分に情報公開ができていないという思いがしております。

 この原因は幾つか考えられますけれども、一つは、国会のルールで、国会の同意人事は事前報道された案は受け付けないというのがございます。

 衆議院の議事課に聞いてみましたけれども、このルールは、二〇〇七年の十月三十一日に衆議院と参議院の委員長の申し合わせで誕生したということでございます。当時の委員長は、衆議院が自民党の笹川堯さん、それから、参議院が民主党の西岡武夫さんということです。

 政府の人事案が国会に提示前に報道された場合、原則として当該案の提出を受け付けないという内容で、当時野党だった西岡氏が強く主張した経緯から西岡ルールというふうに呼ばれているそうですけれども、そもそもこのきっかけは、マスコミに地方分権改革推進委員会の一名が事前に報道された、その報道された翌日に二十八人分の人事が事前報道されたというのがきっかけだということを伺っております。

 私は、このルールをやはりきちっと見直さなきゃいけないという思いがしております。このルールがあるために、政府は限られたスタッフの中で同意人事を考えなければならない。しかも、同意人事を決めた後にも、国会議員がきちんとその人物の評価をするという機会が十分に与えられていないんじゃないかという思いがしています。その意味では、つまり国民が、ある意味、同意人事の人材の方々の品定めというか、評価をする機会について不都合が生じているのではないかという思いがしております。

 今回の規制委員会の委員長候補については例外的に所信の聴取というものが行われましたが、他の委員候補については行われておりません。今週中にも本会議で採決が行われるということですが、私は、できればこういった委員の方々にもお話を聞くという機会が必要ではないかというふうに思っております。

 国会同意人事のうち重要な案件というのは、そういう仕組みが日本でもございます。法律ではございませんが、国会の取り決めで、いわゆる人事院の人事官とか、会計検査院の検査官とか、公正取引委員会の委員長、日銀の総裁、副総裁、そういう方が該当します。

 米国においては、大統領が指名する政治任用者の人事あるいは大使の人事、そういったものについて議会が承認するプロセスがあって、指名承認の公聴会の場であらゆる質問をして、その公聴会をくぐり抜けなければ承認をされないという仕組みがあります。ちょっと形は違いますが、イギリスにもそういう仕組みがあるそうでございます。

 その意味では、日本でもこうした仕組みをきちんとつくっていくことが大切だというふうに考えておりますけれども、大臣はいかがでしょうか。

細野国務大臣 今回、同意人事を提案をさせていただく中で、御本人はもちろんですけれども、周辺にもいろいろ調査をしなければ提示をできないというそういう欠格要件がかなりございましたし、また、もしお許しをいただければ、事前に少しいろいろな御相談もしながら進めるというやり方も、とれればとりたいという思いはございました。ただ、こういう基本的な枠組みもございますので、それに基づいてできる限り情報管理を行って提示をしてきたつもりでございました。

 ただ、事前に情報がああいった形で報道されたということについて、結果としては御迷惑をおかけをいたしました。

 そういうことでございますので、矢崎委員が今御指摘をされた点については、今回の経緯も含めて、非常に私なりに思うところはございます。ございますが、これは議会の方でいろいろと本当にお考えになって決めておられることですので、私も議会の一員とはいえ、今、人事案について提出をする立場ということを考えると、ちょっと、余り踏み込んで発言をすることは控えた方がいいのではないかというふうに思っております。

 同様に、委員の承認なり考え方をする際に、できるだけ幅広くしっかりと情報を出して、国会でもそういう御議論をいただくという場所についても、これまた思うところはございますが、そこは議会の方でしっかりと御議論をいただいて方向性を出していただければ、そこに私どもは従って、できる限りの対応をしていくということではないかというふうに考えております。

矢崎委員 ありがとうございました。

 私もちょっと調べてみましたが、事前報道の禁止と言われるようなルールは、そもそも、佐藤栄作首相が始めたとも言われているそうです。昭和四十四年、一九六九年四月ですが、国鉄総裁の人事の事前報道がありまして、それに怒った首相が発令を見送ったというような経緯もあるようでございます。

 そういう意味では、政治家が体面にこだわるような政治というのは、やはり排除していかなければならないという思いがしている次第でございます。

 テーマをかえますけれども、次に、エネルギー・環境政策についてお伺いをいたします。

 先般、エネルギー・環境会議で三つのシナリオがまとめられました。原子力の選択肢として、二〇三〇年の日本のエネルギーの供給環境を提示をして国民的議論を付すということで、さまざま議論がされています。

 先週は、四日、五日に、政府が政策への反映に初めて導入したと言われる討論型世論調査が実施をされましたけれども、七割の方々がゼロシナリオを支持したということでございます。

 この結果についてどういう感想をお持ちで、評価をされているか、お伺いをします。

細野国務大臣 先日来、意見聴取会が全国で行われておりまして、十一カ所のうち三カ所に私も参加をしてまいりました。そこでの議論というのは、実は非常に興味深いものがございまして、それぞれの皆さんが一定の時間をかけてしっかりと御説明をいただいたものですから、大変私は有意義な意見聴取会だったというふうに思っています。

 それと同時に、この討論型世論調査というのは、それをさらに深掘りをして、それぞれの皆さんがいろいろなことについて議論をしていただいて方向性を出すという形になっております。

 概略については説明は受けているんですけれども、全体の結果につきましては、今月中旬に実行委員会より公表されるということですので、そこはしっかりと見せていただきたいというふうに思います。

 エネルギー問題というのは、もちろん国民の皆さんのお考えが何%どうかということも重要なんですけれども、国の言うならば生命線そのものでもありますので、そこは、いろいろな皆さんの御議論がしっかりと議論をしていただいた場合にはどういうふうになるのかという、この動きも含めて把握をした上で方向性を出すべきものだというふうに思っています。

 パブコメもありますので、この三つは全てしっかりとできる限りの把握をした上で、政府としての判断を行っていく必要があるというふうに考えております。

矢崎委員 討論型世論調査のその結果、それを私も楽しみにしたいと思います。

 この三つのシナリオについて、政府は苦労してさまざま説明をされ、ホームページでもその情報が出ていますけれども、政府の意思というか、意図的なものをできるだけ排除するというような形で、非常に冷たい説明になっていると思います。そういう意味では、一般の国民が、自分たちの生活にどういう影響があるのかとか実現可能性はどのぐらいあるのかというようなことがなかなかわからない。私たちも地元に帰って説明をするときに、数字だけではなかなか説明しづらいというような状況であると思います。

 その意味で、改めて、原発のエネルギーをだんだん少なくしていくわけですが、そのためには、再生可能エネルギーの導入の拡大ですとか省エネの拡大ですとか、あるいは経済への影響はどうなるかというような点があると思いますが、国民の皆さんに説明するような感じでお答えしていただければと思います。

鈴木政府参考人 今御指摘いただきました再生可能エネルギーについて申し上げますと、一五シナリオあるいは二〇から二五シナリオにつきましては、今後、再生可能エネルギーの割合を三〇%とするという姿になっております。

 これを具体的に太陽光で申し上げますと、大体現状九十万戸の屋根に載っているものを、今後、太陽光が設置可能な住戸の屋根に全て導入する、具体的には、約一千万戸の住宅に二〇三〇年までに太陽光パネルを載せていくという姿になるということになっております。

 さらに、ゼロシナリオでいきますと、再生可能エネルギーは、さらに五%上乗せいたしまして三五%というふうになっております。

 したがいまして、太陽光でいいますと、さらに屋根の強度を強化して載せていく、あるいは、現在ではなかなか風況等の観点から必ずしも立地が難しいと言われているようなところ、あるいは洋上といったところにかなり設置していくという姿になっております。

 また、省エネにつきましては、一五シナリオ、二〇から二五シナリオでは、設備や機器の入れかえの際に一定の割合で最新の機器を導入していくという姿にしております。これをゼロシナリオによりますと、こうしたものに加えまして、一定の規制を加えて、例えば、効率の劣る既存の機器、設備等を入れかえていくという姿になっております。

 経済影響につきましては、四つのモデルを使っております。それぞれのモデルでは、今後、自然体で現在五百兆円強のGDPを二〇三〇年には六百兆強にするという姿になっておりますが、それぞれの影響をモデルで計算した結果を申し上げますと、ゼロシナリオでは八兆円から四十六兆円のマイナスになる、さらに、一五シナリオでは二兆円から三十兆円のマイナスになる、二〇から二五については二から二十八兆円の自然体からのマイナスになるということでございますので、成長が一定の割合鈍化するということになるということでございます。

 ただ、それぞれモデルによりましてその影響の出方についてはかなり差があるということでございます。

矢崎委員 ありがとうございました。

 再生可能エネルギーについても、現在は一〇%ですから、それを三〇あるいは三五にするというのは相当な努力が必要、本当に大変なことだというふうに私は感想を持ちました。

 ちょっと時間がないので多くの質問はできませんけれども、十二日にパブコメの締め切りになります。政府の方は、八月末をめどに革新的なエネルギー環境戦略を策定する方針ということですけれども、これがずれ込むという報道もありますが、今後どのようになるかということを教えてください。

細野国務大臣 今、鈴木審議官の方から答弁がありましたけれども、積極的に国民の参加も促していくような形でこのエネルギー政策は取り組んでいく必要があると思っております。

 例えば、省エネなども二割省エネすることになるわけです。経済の規模が拡大をすれば、その分、現状よりも二割削減するということになると、三割とか、場合によってはそれを超える効率化をしていかなければならない。

 再生可能エネルギーについても、例えば矢崎議員の御地元であれば、長野県、例えばバイオマスなんかも非常に有望だと思いますし、さらには、例えば小規模の水力発電なんかも極めて有望だと思うんです。

 ですから、どのシナリオを選んだとしても、そういう国民の努力や地域の協力なくして絶対にできないシナリオなので、そこはできるだけ早くしっかりとお示しをした方がいいだろうというふうに思います。

 その一方で、なかなか悩ましいのは、まさに国論を二分している原子力の割合でありまして、これについては、いろいろなそれぞれ御意見があって、厳しい御意見が多うございます。そこも含めて、どの時点で方向性を出せるのか。熟議は必要である一方で、それほど時間を置くこともできないということですので、八月末というのが一つのもともと設定をしていた期限でございますので、やはり、それを一つのめどとして方向性を出すべきではないかと。

 ただ、そのときに、とにかく国民の皆さんに協力をしていただかなければならないので、前向きなメッセージをぜひ出したいというふうに思っているところでございます。

矢崎委員 ありがとうございます。

 原発依存度をできる限り減らしていく、原発からグリーンへということを基本に、前向きな結論を出していただきたいというふうに私は思います。

 時間が少ないのですが、テーマを一つ変えます。地元のお話で、四月十一日に、長野県を含めた六県の知事が、震災廃棄物の広域処理に関する共同要請というのを行っております。

 特措法の網がかかっていない地域について、例えば長野県、汚染度は低いのですけれども、原発事故で汚染された災害廃棄物の処理に非常に苦労をしています。もちろん、住民の安全、安心を確保するために自前で処理をしておるのですけれども、特措法の対象外であると自分たちでそれを担っていかなきゃいけないということで、網がかかった地域との差が出てしまうんですね。

 そういう意味では、モニタリングによる空間放射線量の調査とか放流水の測定とか、そういったものを国の方でしっかりと支援ができないかという要望でございますけれども、これについてお答えをお願いします。

伊藤政府参考人 放射性物質汚染対処特措法の対策地域内廃棄物、それから、それ以外の地域のいわゆる指定廃棄物につきましては、特措法に基づいての処理が必要となりますが、これに該当しない災害廃棄物につきましては、廃棄物処理法に基づく通常の処理により安全に処理することができるということで、こういったことについてはさまざまな観点からいろいろな普及広報をやっているところでございますけれども、それが十分まだ行き渡っていないということにつきましては、さらに我々は努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

矢崎委員 八千ベクレル以下のものについて安全だということですけれども、そういった広報というか、それもさらにしっかりとしていただきたいというふうに思います。要望をして、終わります。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、田中和徳君。

田中(和)委員 自由民主党の田中和徳でございます。

 原子力規制委員会人事案が、先月の国会への提示前に、先ほどの質問もありましたように、政府側の重大なミスによってマスコミに漏えいしてしまいました。私も七月二十七日のこの委員会で数点確認をいたしましたけれども、細野大臣の答弁ではとても納得できない、こういう認識でございまして、改めて確認をいたします。

 まず、国家公務員の管理を担当する総務省の加賀谷総務大臣政務官がお見えでございますから、伺います。

 国家公務員の守秘義務違反に当然該当すると私は思っております。国家公務員が職務上知り得た秘密を漏らすことは、国家公務員法百条に基づく国家公務員の義務違反、法律上は刑事罰の対象になっている、明らかな犯罪であります。この違反者は、免職、停職、減給、戒告などの懲戒、もしくは刑事罰として一年以下の懲役または五十万円以下の罰金という厳しい処罰が下ることになっておりますが、この認識でよろしいでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

加賀谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、一般職国家公務員は、国家公務員法、今先生が申されました百条の規定によって、「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」というふうにされております。また、その職を退いた後も同様であるとされているところでございます。

 ここで言う秘密とは、一般に知られていない事実であって、実質的にそれを秘密として保護するに値すると認められるものを言い、秘密に当たるか否かについては、具体的な事実に基づき個別に判断されるものであります。また、最終的には司法による判断がされるものというふうに理解をいたしております。

田中(和)委員 今回、このような事件が起こりまして、野田総理大臣が、担当大臣の藤村官房長官と細野環境大臣に厳重注意を行っています。この事件の真相を明らかにすることは、私は法律上当然のことと思います。

 加賀谷総務大臣政務官が今お話をされましたけれども、最終的には司法の場、すなわち、誰かが告発をされることによって明らかになっていく、こういうことの意味だと思いますけれども、政府がこの問題をみずから解決する、国民の前に誠意を示す、このことがやはり一番重要なんだろうと思いますね。

 大臣も多分そういうふうに思っていらっしゃると思うんですが、加賀谷総務大臣政務官は、総務省の立場からして、政府のあるべき姿からして、どのようにこの捜査が、いわば犯罪ですからね、行われるべきだと思っていらっしゃるのか、政治家の立場からも含めてお答えをいただきたいと思う。

加賀谷大臣政務官 この問題は、今回のこの事案が国家公務員法第百条の規定に違反をするかどうかについては、具体的な事実に基づき個別に判断されるものだと思いますので、総務省としてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

田中(和)委員 大臣を含めて、公務員の人たちが担当してこのようなことが起こっておるわけですよね。ですから、この事実を認めて、総理大臣も厳重注意を関係大臣にされたということだと思います。

 先日、細野大臣は、私は調べられる立場だと、そう答弁をされました。その点は私も了解しますけれども、捜査の責任はとりあえずは内閣総理大臣、内閣官房で進められるべきであるし、そのように進められていると私も承知をしております。

 そこで、きょうは、調べる立場の齋藤官房副長官にお越しをいただいておりますのでお尋ねをしますけれども、犯人捜しは、この犯罪の捜査は誰が中心で、どのように行っているのか、どこまで進んでいるのか、場合によっては、みずからがきちっとできないということになれば、専門家に頼んで、いわば外部の方に頼んででもやろうとしておられるのかどうか、伺います。

齋藤内閣官房副長官 お答えいたします。

 委員の御発言で捜査とかそういったお言葉がございましたが、私どもは、調査をするということで、調査をさせていただくということで、そういうことで私どもの方は対応させたことを冒頭申し上げたいと思います。

 そして、かつ、こうして御質疑をいただくように、今回の原子力規制委員会の委員長、委員にかかわる同意人事の情報が事前に漏れた件について、国会そしてまた国民の方々にそういった疑義を与えたことについては率直におわびを申し上げなければなりませんし、私自身も衆議院の議運委員会理事会、そして官房長官も両院合同代表者会議におわびをしたわけでございます。そしてまた、御承知のとおり、内閣総理大臣から細野環境大臣そして藤村官房長官に厳重注意ということも、口頭ということではなく文書をもってしたということについて、既に御案内かというふうに思います。

 私ども内閣官房といたしまして、内閣総務官室そしてまた委員会準備室に指示をいたしまして、このことについてるる確認、調査を行いました。政府の情報管理の状況について、事前に情報を知り得る可能性があった者について、全て、漏らしたり漏えいにつながる行動があったかどうかを確認をいたしました。

 結果、政府関係者から報道機関に対して情報を漏らしたという事実、そして、資料管理に不備があったということなどにより情報が漏れたという事実は、残念ながら確認をできなかったわけでございます。

 しかしながら、報道にあらわれたということは事実ということでも一方またあるわけでございますので、冒頭申しました、国会に対する対応、そしてまた、総理大臣としての関係大臣に対する厳重注意に至ったわけであります。

 今後、いずれにしましても、政府としまして情報管理の一層の厳格化に努めていく旨を官房長官からも両院の議運理事会で陳謝をしておりますので、一層私ども、気を引き締めて対応させていただきたいというふうに思います。

田中(和)委員 今、齋藤官房副長官の話は誤解を与える可能性があります。それは、捜査がもう終わっている、これ以上は捜査をしない、事実解明に向けてはもうギブアップだ、このような認識を持っておられるような心配がありますね。まだ途中ですよ、明らかに全くされていないんですから。

 何の理由をもって、政府側の、国家公務員も含めての違法行為がなかったかということは、これは、これだけの事件があったんですから、証明しなきゃいけないですね。もし、この事実が明らかにされない、自分たちの調査能力が不足しているのならば、当然専門家に頼んででも、当然、政府の中にはいろいろな専門家がいらっしゃるわけですから、お願いしなきゃいけない、こういうふうに考えていくのが当たり前ですね。どうですか、齋藤官房副長官。

齋藤内閣官房副長官 御指摘については承らせていただきますが、捜査という観点は今官邸の中にございません、捜査という観点は。

 しかし、重大な情報と申しましょうか、経緯について報道機関に掲載されたことは事実でございますので、関係するそれぞれの関係者に個別に会い、そしてそのことについて調査をさせてきましたけれども、残念ながらそういった事実について解明できなかったということでございまして、終わったとか終わらないかということは別にいたしまして、私ども、事前情報を知り得る可能性があった者が、この事実は確認できなかったということでございまして、いずれにしましても、今、国会に同意人事をお示ししている最中でございますので、国会の方でまたその同意、不同意につきましてはしかるべき対応をまた機関等でお願いしたいというのが、私ども政府としての立場でございます。

田中(和)委員 確かに、捜査という言葉は、司直が刑事事件の捜査をするときにそういう言い方をするわけですから、それは捜査という言葉がどうかは別にして、今の官房副長官のお話は、これから事実関係の確認をしていくし、国民の前に、我々議員も含めて丁寧な説明ができるようにするということですね。

 いつまでにされる予定ですか。中間報告も含めてお答えください。

齋藤内閣官房副長官 可能な限り調査をしたつもりでございます。そして、今後、これで全てパーフェクトであるという、必ずしもこれはあるわけではないと思います。

 可能な限り努力をさせていただいてまいりますが、しかし、このことが、調査をするということの、引き続きある意味では行うということについては、絶えずその調査を行うということではなくて、常に敏感にこれらについては今後注視をしていくということになりますので、何か、いつまでということについて御指摘いただきましたけれども、必ずしも明確にいつまでということではなくて、全てこれで終わりだということではなくて、絶えず、真剣にそれらについてこれからも対応していきたいということで御理解いただければありがたいというふうに思います。

田中(和)委員 私は一般論を言っているんじゃないんです。この今回の原子力規制委員会の委員長並びに四人の委員についての漏えい問題を言っているわけですから、これから一年先、二年先の話で締めくくるというわけにいかないですよ。当然、中間報告をすべきですね。犯人が見つからなかったらば、どういう調査をしてこうこうこういうことであったということを、議員に、そして国民に説明すべきだと私は思います。

 委員長並びに委員の国会の決定については、これはまたいろいろな場で議論が行われていると思います。我々自民党の中にも賛否両論ありますし、民主党さんの中でも、政府・与党の、提出されるお立場でありながら、反対の意見がたくさんあることも私は承知しております。このことはちょっと別の話ですよね。

 今回の漏えいの問題は、西岡ルール、なぜ私がそういうことを言うかというと、実は、そのときに私もかかわる仕事をしていたんですよ。私も、あのルールは本当に見直すべきだと思います。大切なお役を務める方を国会が決めるときに、やはり一番適切な方を、ふさわしい方を決めるというのが当たり前でございまして、少し報道されたとか何か情報が漏れたというのは、いいことではありませんけれども、場合によっては仕方がない一面もあるかもしれない。私はそう思っている者の一人なんですよ。

 だけれども、今回は、実はそう簡単に見過ごせない。実は、私たちこの衆議院の環境委員会の議員立法、委員長提案で、参議院にも丁寧に答弁をさせていただいて成立をさせた法律案なんです。このことを考えると、大きな大きな重要な役目を果たすこの大切な法律がこんなことで混乱してはならないし、本当に、政府の信頼が失われる、国会への信頼もあわせて失われる、こういう事態があってはならないんですよ。

 齋藤官房副長官も議員を長くお務めですから、もう御了解をいただいていると思いますし、理解は当然されておられると思いますけれども、やはりけじめというのはつけなきゃいけないですね。総理大臣の厳重注意ぐらいではとても納得はいかない。もう一度、国民に、議員に、議会に説明をする何らかの対応をしていただけるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

齋藤内閣官房副長官 委員のこの間の議会におけます同意人事にかかわるお話、るる承りまして、私自身も衆参で活動しておりまして、同感する部分も重なる部分もございます。

 一方で、今回の件については、御承知のとおり、厳重注意に至る経過につきましても、衆議院、参議院それぞれ議運理事会、議運委員会にお諮りして、そしてそれぞれ両院のそれぞれの会派の総意で、私ども、官房長官そして両副長官、衆参に呼ばれましていろいろやりとりをする中で、そして文書による厳重注意、この報告をした後、それぞれの議運委員会で御指摘いただきまして、両院の議を得て、実は、厳重注意を総理大臣として両大臣に行ったところであるということを改めて御認識いただきたいと思います。

 もう一つ、しかしだからといって、全てそこでは厳重注意で終わればいいということではないという御指摘も、御発言もよくわかりますが、そこは、先ほど申しました点については、私どもが敏感に、そして、絶えず注視をしながら検証していくという姿勢をやはり内閣自身が持っていくということだというふうに思いますので、この間の同意人事の新聞報道、そしてその後、両院におけます、議運等中心におけます政府としての対応についてぜひ受けとめいただきまして、今後、内容等につきましてそれぞれの会派で御判断いただくということでよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

田中(和)委員 自由民主党は決して了解しているわけではありませんので、これをきちっとしてもらわなきゃいけないという立場でございますから、明確にしておきたいと思います。

 過去に、久保田円次防衛庁長官が昭和五十五年、自衛隊スパイ事件がございまして、これは辞任をしておりますね。平成十二年、虎島和夫防衛庁長官が、やはり自衛隊機密情報がロシアへ漏えいをいたしまして、このときは自主的に俸給の五分の一を一カ月分国庫に返納しております。また、近い例ですが、平成十九年、小池百合子防衛大臣が、イージス艦情報流出事件で、内閣改造に先立ち、再任を望まないという発言をして辞したような立場をとっております。

 こういう中で、細野大臣はどのように自分の身を処すべきであるか、今後どういう事実が明らかになったらどうするかということも含めて、責任のとり方は、辞任だとかいろいろな立場があるんだろうと思うんですけれども、どうされるのか、お伺いします。

細野国務大臣 私は、環境大臣として、ごく初期の段階で除染の問題で若干職員の不祥事というのもございまして既に給料については全て返上しておりまして、そういった意味ではもはやそういう処分の対象にはなり得ないという、そういうことでございます。責任をとるべきだというそういうお考えであれば、それは、私自身受けとめなければならないというふうに思います。

 ただし、この原子力の規制委員会というものに関しては、国会でもこれだけ御議論をいただきましたし、また、これは、日本のことを考えれば、早期に発足をさせてしっかりとスタートさせなければならないその責任は感じております。

 ですので、いろいろ御批判はあろうかというふうには思いますが、少なくともそこまではしっかりとやらせていただいて責任を全うしたいという、そんな思いでおります。

田中(和)委員 今の大臣の御答弁ですけれども、責任を感じておられるということは私も受けとめておきたいと思いますし、細野大臣は有能な政治家でありますし、いろいろと将来を嘱望されている政治家でもございますから、ここはきちっとしておかれた方がいいと思いますし、されるべきだと思います。

 もちろん、規制委員会は早くスタートさせなきゃいけないことは、これは私たちも責任があるわけでございますし、きちっと法律に基づく機能をさせるということは当然のことでございまして、この点については理解をしたいと思いますが、とにかく、この今回の漏えい問題は政治家としてきちっとしていただきたい。強く求めておきたいと思っております。

 続いて、実は、学校における環境教育のことについてお尋ねをしてまいります。齋藤副長官、もう結構です。

 昨年の環境教育推進法の改正に当たりまして、教育現場における環境教育が抱える問題として、年間計画における環境教育の位置づけが不明確であること、教員の多忙による環境関連研修への参加が困難である等の人材確保の問題などなど、さまざまな課題が議論されております。

 法改正から一年が経過しましたけれども、このような教育現場が抱える問題についてどのように改善をされたのか、取り組み状況について文部科学省より説明をお願いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 学校教育に関しては、平成二十年、二十一年に小中高等学校の学習指導要領を改訂し、社会科、理科、技術・家庭科などを中心に、環境教育に関する内容の充実を図りました。

 昨年六月の環境教育推進法の改正を受け、各学校において、学習指導要領の改訂を踏まえた環境教育に関する全体的な計画を作成するなど、各教科、総合的な学習の時間を通じた総合的な取り組みの推進や、教員等を対象とした環境教育の基本的知識の取得のための研修について、環境省と連携協力し取り組んでいるところでございます。

 今後とも、環境教育推進法改正の趣旨を踏まえ、学校における環境教育に関する取り組みの充実に努めてまいります。

田中(和)委員 私のこの手元に、平成二十四年三月に文科省が発行した「学校でできる省エネ 小学校・中学校版」というのがございます。目を通させていただいたんですけれども、なかなか評価できる面もありますね。

 文科省に伺いますが、このテキストはどのように生かされるのか、また、各学校での進捗状況を都道府県や市町村の数字でお聞かせをいただきたいと思います。学校の数字でも結構でございます。また、どのような連携を環境省ととってやっているのか、全くとっていないのか、その点も確認しておきたいと思います。文科省、お願いします。

清木政府参考人 お答え申し上げます。

 省エネルギー法もございまして、学校もその対象になるものでございますので、学校において一人一人の教職員や子供たちが省エネ活動に積極的に取り組むということは、大変重要なことであると考えております。

 このため、文部科学省としましては、パンフレットの作成、配付や講習会の実施などを行ってまいりましたが、ただいま先生から御指摘のように、ことし三月には「学校でできる省エネ」という冊子を作成いたしまして、これは、教育委員会、校長、教員、児童生徒がそれぞれの立場でできることから取り組めるようにということで、具体的な取り組み事例も紹介した内容でございます。

 御質問ございました各学校での取り組み状況、それぞれの学校でどのような取り組みをしているかというところまでは、恐縮でございますが、調査はいたしておりませんが、いずれにしましても、さまざまな機会に、今後とも、講習会の実施その他を通じまして、学校における省エネ活動の取り組みが一層進むように、私ども、普及啓発に努めてまいりたいと考えておりますし、また、これまでもそうでございますけれども、それらの過程で、環境省とも十分連携をとりながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田中(和)委員 幾らお金がかかっているのか、時間の関係で承りませんが、当然全国的なことだと思いますが、やはり、これだけのものをつくって各学校にお渡しをしているんだろうと思いますし、これが効果的に生かされているかどうかというのは、これは非常に重要なことなので、また調査をしてお知らせをいただきたいと思います。

 特に、私どもの地元の横浜では使われているようにも伺っているんですけれども、どうなっていますか。

清木政府参考人 実は、この冊子の作成過程で、横浜市の教育委員会の関係者にも協力をいただいたところでございまして、先生御指摘のとおり、横浜の学校で使われているということにつきましては承知をいたしております。

 また、先生から御指摘ございましたように、この冊子も含めまして、私ども作成しておりますものが十分学校で活用されるよう、今後とも、学校での活用状況も含めまして、十分把握をしてまいりたいというふうに考えております。

田中(和)委員 大臣、実は環境省とも協議しているということでありますけれども、こういう立派な本ができているんですよ。学校でやる環境教育というのは、極めて重要なことは言うまでもないことでございます。ぜひまた、現状を確認していただいて推進方をお願いしたいと思います。

 実は、私の地元の川崎市の小中学校で平成十七年から二十年にかけて、環境教育に関する実験的な取り組みとして、フィフティ・フィフティという、光熱費だとか水道料金の節減分の金額を還元するプログラムを実施をいたしました。フィフティ・フィフティは、児童や生徒と教職員が協力して省エネ活動を行い、節減できた光熱費や水道料金を全て自治体の財政に戻すのではなくて、一定の割合を、学校、すなわち生徒に還元するという仕組みなんですね。これはドイツのハンブルクで始まった制度でございまして、世界そして我が国にも広がっております。

 平成二十二年の調査ですけれども、四府県二十六市区町がプログラムを実施した中でございまして、終了した自治体が十四、一時的に中断しているのが二つの自治体です。

 プログラムの導入目的は、自治体の経費節減だとか環境教育だとか地球温暖化防止などいろいろと有意義なんですけれども、川崎市の場合、水道水については節減分の五〇%、電気に関しては、過去二年間の平均実績値の対比で五%から一〇%が学校側に還元され、その還元分は、生徒たちが学校で使用する図書だとか体育用具などの消耗品等の購入に充てた、このように伺っております。また、雨水タンクや太陽光パネルなど、さらなる省エネに役立つことに活用する投資をしている学校もございます。

 このフィフティ・フィフティは、まさに、節約と教育を両立させるという一石二鳥のすばらしい取り組みだと私は思うんですが、細野大臣が、将来の低炭素社会を担う人材育成のために、子供たちが楽しみながら環境の大切さを学び、身につけられるこのすばらしい取り組みにどのように取り組んでいっていただけるのか、感想も含めてお伺いします。

細野国務大臣 環境教育は、環境省にとりましても非常に重要なテーマの一つであります。特に、これから我が国のエネルギー事情を考えますと、さらには地球温暖化に対するこれからの姿勢を考えますと、特に子供たちの教育現場において実践的な活動がなされるというのは、極めて重要なことであるというふうに思っております。

 今御説明をいただいたフィフティ・フィフティにつきましても、これは、具体的に学校が努力をすれば、もちろん自治体にもメリットがあるわけですが、学校にもメリットがあるという非常に画期的な仕組みだというふうに思います。

 平成十七年度には地域協同実施排出抑制対策推進モデル事業として実施をしたということもございますし、こうした有効な取り組みが各自治体で行われることは本当にすばらしいことだというふうに思います。

 さまざまなバックアップの仕組みというのが、文科省とも協力しながらであればできるというふうに思いますので、それを後押しをするような政策をぜひとっていきたいというふうに考えております。

田中(和)委員 残念なことなんですが、私の川崎でももう終わったんですけれども、大体長くて七、八年続けばよい方でございまして、うまくいかない面があるんですね。

 これはもちろんいろいろな理由があるんですけれども、一つの理由は、節約すれば、それだけ次の年次の節約の量が厳しくなってきますのは当然のことでございまして、成果が見えなくなってくる。それが、なかなか子供たちにインセンティブを提供し続けることができないんですね。

 これは知恵を絞らなきゃいけないんですが、ドイツは、環境省がテキストを作成しておりまして、環境教育をスムーズに進めるための支援を国がやっているんですよ、ドイツだけではないかもしれませんが。こういうことを考えるときに、大震災が起こった、原発事故が起こった我が国にとって、非常に重要な視点ではないかと私は思っているんです。

 大臣が強いリーダーシップをしてひとつぜひ環境教育、学校の子供たちあるいは学校で働く人たちとともに、実にレベルの高い事業としてフィフティ・フィフティを、環境省、国の政策としてぜひ御検討いただき努力をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

細野国務大臣 いろいろと自治体の皆さんをしっかりとお支えをすることはできるというふうに思います。

 なかなか悩ましいのは、制度としては、節約をしたらその分が還元をされるという仕組みですので、国がやると、要するに財政の出動だけをするという仕組みになってしまうわけですね。ですから、なかなかお互いにとってメリットのある仕組みにならないというのが悩ましいところだというふうに、先ほど資料を見ながら感じておりました。

 学校教育においてこの省エネ、極めて重要ですので、このフィフティ・フィフティという制度に限定せずに、幅広くどういったことができるのか、もう一度しっかりと考えてみたいというふうに思っております。

 御指摘ありがとうございます。

田中(和)委員 終わりますが、ぜひひとつこのフィフティ・フィフティ、頑張っていただければありがたいと思います。

 終わります。

生方委員長 次に、福井照君。

福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 本日も質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 では、まず大臣、先週質問させていただきまして本当にありがとうございました。ネット世論に対する御意見、コメントの質問の途中で終わらせていただいたのでちょっと続きをさせていただきたいんですが、まずその前に、直接民主主義ということで、大臣、毎週、〇%がいいのか二六%がいいのかということで直接国民と対話していただいて、本当に敬意を表させていただきます。

 たまたま私、静岡県の掛川市の助役をやっておりまして、当時、もう三十年前、掛川市長が、当時は非常に珍しかったタウンミーティング、直接民主主義をやっていまして、ようこんなことやっていますね、どうしてこんなことを続けられるんですかと聞いたら、いや、それはコツがあるんだと。

 掛川市長の当時のコツは、すれ違いのコツというので、とにかく俺は、掛川市長はこういうふうにしたいんだという志しか言わない。住民の皆さんは、うちの周りの道路の穴ぼこを埋めろということぐらいしかおっしゃらないので、それはそれで言わせるんだけれども、俺は志しか言わない。もう永久にすれ違う、平行線でいくということが直接民主主義のコツだと。なるほどなということで、たった四回ですけれども、選挙戦もそうやってやっているんです。

 そういういわば百人、千人という人数を相手にする我々の政治の目標と、今、ネットで金曜日に集まって原発再稼働反対というふうにおっしゃる皆さん方の、ネットで醸成されている世論にどう向き合うのか。何が本物で何がにせものかということを、どういう目で、どういう物差しで判断されているのかということについて、もうまさにその最前線に今は大臣いらっしゃるので、コツまでいっていないかもしれませんけれども、今どういう気持ちでその世論と向き合っているのか、この機会ですから、ぜひ御紹介いただきたいと思います。

    〔委員長退席、川越委員長代理着席〕

細野国務大臣 毎週金曜日には官邸の周りに大勢お集まりになっていますので、その皆さんの声というのは、本当にそれはしっかりと我々が受けとめなければならないというふうに思っております。

 例えば、国民の中でどれぐらいの割合かとか、どういうグループの方々かとか、どういう地域の方々かとかいろいろなことを、限定的じゃないかと言う方もいるんですけれども、私はそれはちょっと受けとめ方が違うんじゃないかと思っていまして、わざわざ官邸の周りまで来てデモをされているという方は、これはもう、もちろん人数も多いですけれども、人数だけではなくて一人一人の皆さんの思いが強いわけですから、そこはそれだけ強いものがあるということは受けとめなければならないだろうというふうに思います。

 その一方で、やはり我々がもう一つ考えなければならないのは、個人個人の皆さんの思いはしっかり受けとめなければならない。ただ、エネルギー政策ということになると、国としての生命線をどう守るかということを考えなければならないわけですね。ですから、国家という視点を決して忘れてはならないだろうと。

 この、個人の皆さんの視点と国家の視点をどうこれを一致をさせていくのかというのは、本当にそんな簡単なことではないなと思いながら毎週拝見をしておるという、そんな状況でございます。

福井委員 ありがとうございました。まさにそのずばりをおっしゃっていただいたと思っていまして、ネット世論ですから、どうしても観客民主主義になるわけですね。当事者じゃなくて観客になってしまう。もうほとんど九九・九九九九九%の方が観客だということなんですが、しかし、ネット社会というのは、価値は観客が決めるということにならざるを得ないというのが現実ですね。

 世界でネットに参加している人は何が生きがいかというと、世界のムーブメントをつくるキャタリスト、きっかけをつくる、世界じゅうがその動画を見たり、世界じゅうがそういう動きになったりするきっかけをつくりたいというふうに思っているんだけれども、しかし、これはMITのラボの伊藤穰一所長が何かおっしゃっているんですけれども、日本人だけ違うんだそうです、動機と生きがいが。世界じゅうの人は世界じゅうのムーブメントをつくるキャタリストをつくりたいんだけれども、日本人は、仲間内だけで認められたい、仲間内だけでいいんだ、仲間内で認められればそれでもう十分満足、世界じゅうに出たらちょっと恥ずかしいということなんですね。先週申し上げた、日本人は社会と個人との関係というのが一番強い民族だということなんですよ。

 つまり、個人と社会と尊厳をやりとりするということでコミュニタリアンという政治思想が最近生まれてきたということを先週申し上げましたけれども、ちょうど素粒子がやりとりされて力が生まれるように、エネルギーが生まれるように、尊厳をやりとりして社会の本質が一つ進化するという、今、そのきっかけの時代にあるんじゃないかと思うんですね。

 ですから、もし次の政治があれば、政治の混乱から経済にということで昭和三十年に起こったけれども、今回は、経済から文化とか、経済から生きがいとかという次のきっかけというのは、ネット世論というのはばかにできない、ネット世論の中にこそその芽があるというふうに思っているので、政府とネット社会、政府とネットを通じての各個人個人の価値観にどうやってアクセスしているか、あるいはいくかということが一番重要だということを先週から言っているわけでございまして、それが足らないという証拠を今からちょっと政府参考人に質問させていただきますので、三問終わったら、またちょっと感想を聞きたいわけです。

 まず最初に伊藤さん、広域処理だけで結構ですので、まさに大臣も苦労されている全国広域処理、東北の災害廃棄物の広域処理の現状について、簡単で結構ですから、ちょっと御紹介いただきたいと思います。

伊藤政府参考人 実は本日、第四回目の災害廃棄物の処理の推進に関する関係閣僚会議が開催されまして、その中で、東日本大震災に係る震災廃棄物の処理工程表の取りまとめが行われ、広域処理の調整状況と今後の方針についても整理をされました。

 広域処理につきましては、県内処理を最大限進めてもなお処理が間に合わない分について受け入れをお願いしているところでございまして、広域処理が必要な岩手県、宮城県の災害廃棄物百六十九万トンのうち、既に受け入れ先が決まっているものを除くと、現時点で調整を要するものは、岩手県で約三十二万トン、宮城県で約百万トンとなってございます。

 このうち、岩手県の可燃物、木くずや宮城県の可燃物につきましては、現在調整中の自治体での受け入れの実現とともに、受け入れ実績のある自治体による追加的な受け入れに向けての調整を図っていくこととなりました。

 また、岩手県の漁具、漁網や宮城県の不燃混合物の処分先の確保については、引き続き調整中の自治体に加え、新たな受け入れ先との調整が必要であり、引き続き全力で取り組んでいくということとなってございます。

福井委員 また告白をさせていただきますけれども、自由民主党の高知県第一選挙区支部大会で福島の米を吉野さんに頼んでお土産にしようかと思ったんですけれども、皆さんからやめてくれと言われまして、もう本当に情けないという思いをさせていただいている。では、それをおまえはひっくり返したかと言われて、それがまだできていないのでここで告白をさせていただきますし、高知県の全体でもまだ災害廃棄物を受け入れていませんので本当に生意気なことを全く言えませんけれども、そういう状態が現実。

 では、国民一人一人のリテラシー、放射性物質と放射線の量と健康との間にどういう関係にあるのかということは、去年、環境委員会で図表をもって御説明させていただいたんですけれども、まだやはり役所からの絶対量が足らないし、特に健康との関係においては、データもないといえばないんですけれども、しかし、百ミリシーベルトより下のところでどういうふうに考えるべきかというのは、もっとそれは言っていいと思うんですね。厚生労働省としてじゃなくて環境省として言っていいし、ましてや、今のごみの中にそんな放射性物質はほとんど入っていないわけですから、もっと言っていただきたいなというお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、まさに間違った情報が垂れ流されているのではないかということで、事実経過だけ御説明いただきたいのは子供の被曝のデータですので、佐藤環境保健部長から、今のチェックの状況について御説明をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 福島県民の皆様の中長期的な健康管理を可能とするため、福島県が創設しました福島県民健康管理基金に国の平成二十三年度の二次補正予算で七百八十二億円を交付いたしまして、全面的に県を支援しているところでございます。

 福島県はこの基金を活用していただきまして、全県民二百二万人を対象に県民健康管理調査を実施していただいているわけですけれども、この調査の中は大きく分けて二つに分かれていまして、各個人の外部被曝線量を把握するための基本調査というものと、各個人の健康状態を把握するための健康診査などのいわゆる詳細調査と呼ばれるものから成っております。

 それで、最初に申しました基本調査ですけれども、ここが御質問の部分でございまして、一般住民、二十歳未満でこれまでに外部被曝線量の推計が終了した方で見てみますと、四千三百九十名のうち九八・六%が五ミリシーベルト未満で、九九・九五%が十ミリシーベルト未満ということでございました。この結果については、県民健康管理調査の検討委員会でも、「放射線による健康影響があるとは考えにくい」という評価をいただいているところでございます。

 あと、今は外部被曝の話でしたけれども、一方の内部被曝につきましては、SPEEDIによりまして甲状腺の等価線量が高いと評価された地域、具体的には川俣町、飯舘村、いわき市になりますけれども、このゼロ歳から十五歳までの計千八十名を対象に原災本部が実施いたしました結果では、原子力安全委員会が示しているスクリーニングレベルである毎時〇・二マイクロシーベルトを超える者は認められなかった、こうされておりまして、県民健康管理調査では、こういう健康状態を把握するための詳細調査として、被災時に十八歳以下であった全員を対象とした甲状腺超音波検査も実施しておりまして、こういう形で、生涯にわたり県民の健康を守ることとしております。

 このほかに、子供や妊婦さんを中心としたホール・ボディー・カウンターによる内部被曝検査を実施しておりまして、現在までに四万五千六百九十四名が検査を受けられておりまして、九九・九%の方が一ミリシーベルト未満で、最大の方でも三・五ミリシーベルト未満ということで、相当低い結果ということで承っています。

    〔川越委員長代理退席、委員長着席〕

福井委員 ありがとうございました。

 どんな検査でも、HIV検査でも、ネガティブでもポジティブというふうに出る確率というのは必ずあるわけですね。一億分の一か何千万分の一かはそれぞれの検査であるわけですけれども、要するに、この放射性物質の話はそういう確率問題なので、幾ら難しくても、確率問題として国民一人一人にわかってもらわなきゃこれはもうどうしようもないので、まさに今おっしゃったようなことを、数学的に、統計学的にこういうことなんだということを、飽きずに、本当にうまずに、毎日でも毎月でも国民に向けてデータ発信をぜひしていただきたいと、お願いでございます。

 もう一つは、人間の洞察ということで、それはやはり単価が高いですから、原発で働きたいという人がいらっしゃる。これはもういらっしゃるわけだから、線量を累積したものが高くなって、では、もう出ていって別のところで働けというふうに言われても困る人がいるので、そうした人たちがいるということを前提で、東京電力から受けた会社あるいはその下請の会社、またその下請している会社に行政指導をしなければならないんだけれども、それを本当にしているかどうかということについて聞きたいんです。

 まず山本安全審査官から、今の現状について御説明いただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、今回、鉛板で被曝線量をごまかしたという件がございました。これにつきましては、七月二十日でございますけれども、保安院から東京電力に対しまして報告を求めたところ、協力会社であります東京エネシスというところの下請の会社の作業員五名の方がそういう鉛カバーを装着していたという証言があったという報告を受けたところでございます。

 それで、現在、この放射線管理につきましては、放射線従事者の被曝管理も担当としております、労働安全行政を所管いたします厚生労働省においても調査中ではございますけれども、私ども保安院といたしましても、こういう放射線従事者の方の適正な被曝管理の遂行の観点から、大変遺憾であるというふうに思ってございます。

 そのために、保安院といたしましては、七月二十四日に東京電力に対しまして、三点について報告するよう求めております。まずその第一が、今般の不正行為によりまして線量管理への影響がどうであるかということを調べなさいということ、それから二つ目が、線量計の管理あるいは保安教育の徹底などの再発防止対策をしっかりつくってそれを徹底すること、それから三つ目は、不正を防止するための仕組みの構築を図ること、これらについて東京電力に対して報告を求め、八月十三日までに報告をするように指示をしているところでございます。

 こういった中できちっとした対応がなされるかどうかも当然見てまいりますけれども、実は、この七月二十四日から八月十日までの間でございますが、東京電力福島第一原子力発電所に対しましては、私ども国の検査官が保安検査という形で現場に立ち入って、その実施状況、対応状況を確認しているところでございます。現場の線量管理についても、改めて今、現在確認をしているところでございます。

 この調査の結果を踏まえて評価をしてまいりますし、それから、今後、東京電力から八月十三日に報告が出てまいりますので、これまでの線量管理の問題あるいはその再発防止対策がどうであるかと、こういったことにつきましては厳格に確認をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

福井委員 では、厚生労働省の宮野さんから、もう簡単で結構ですので、よろしくお願いします。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 私ども厚生労働省といたしましても、今般の、線量計を鉛で覆って作業をしていたという事案につきましては、労働者の被曝管理の根本を揺るがす重大な問題であるというふうに認識しております。

 これにつきましては、現在、所轄の労働基準監督署、労働局で詳細な事実関係を調査をしております。仮に法令違反が認められれば、厳正に対処したいというふうに考えております。

 また、先般八月三日にも、別の線量計の不装着事案というものが発生をしております。こうした不適正な線量管理事案が発生をしていないかどうか確認するために、現在、昨年の十一月までさかのぼって実態調査を実施をしております。

 また、東京電力に対しましては、再発防止策の検討というものも求めております。これに対しましては、先般、東京電力から、一定の線量以上の被曝が見込まれる作業については、胸部、胸の部分でございますけれども、これが透明な防護服を着用させるという報告も受けたところでございます。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましても、労働者の被曝管理がしっかり行われるように、今後とも指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。

福井委員 ありがとうございました。

 大臣、だから事ほどさようなんですよ。だから子供は、一生、不安と絶望に近い形と闘わなければならない。その闘いにスタンドバイしているかどうかというのは、今の大臣、次の大臣、政権問わず日本国としては、必ず横に二十四時間立っていますよというふうに信用してもらわなきゃ何の意味もない。

 それから、原発で働いていらっしゃる方は、それはいつかは限界に達するわけですから、次の職場を探して与えなきゃ、だから、人生全体に対して、子供に対しても働いていらっしゃる方に対しても、思い合わせ、思いやりがあるかどうか、ケアしているかどうか、スタンドバイしているかどうか、ここが問われているので、ここがもう本当に大事です。

 政治家の世界だと思うので、今の三問の答えを聞いて、ネット世論もそうですけれども、全体的に今の政府のやり方についてどう御感想を持って、そしてこれからどうしようと思っていて、今のままでいいのはここで、これからこうしようと思っているということがもしあれば、御紹介いただきたいと思います。

細野国務大臣 御質問と答弁を聞いておりまして、二つ感じたことがあります。

 一つは、やはりしっかりと被災地に寄り添っているという姿勢が政府としても明確でなければならないし、例えば私が担当しておる分野でいうならば、閣僚として原発の問題であるとか瓦れきの問題であるとか、そういったところで根本的になければ、これはもう本当に問題が前に全く進まないということです。

 そのことは私自身も非常に強く自覚をしておりまして、若干個人的な事例になりますけれども、私は福島の米を買い込みまして毎日食べています。これは家族も同じなんですね。今ちょうど果物のシーズンですから、サクランボがおいしかったり、桃がそろそろいい季節になりますので、行くと必ず買ってきて食べます。周りにも配ります。

 さらには、福島の皆さんということを考えると、いろいろ説明をするんですけれどもなかなかうまくいかないというジレンマの中で、ちょっといろいろ考えたのですが、三月に静岡から五百人弱、後援会を連れていきまして、いわきと会津へ旅行したんですね。そうしますと、福島の皆さん、本当に喜んでいただきました。

 ですから、まず根っこのところで福島の問題にどう向き合っていくかということについての思いがないと、問題解決はできないということを感じました。

 もう一つは、こちらは全くまだ不十分だと思うんですけれども、コミュニケーションをどうとっていくかということについて十分な対応がこれまでできていなくて、そこは改善が必要ではないかというふうに思っています。

 一つ事例として申し上げると、瓦れきの広域処理についても、非常に厳しい世論が一時期あったんですが、我々ももちろん努力しましたが、自治体の皆さんにも現場で随分頑張っていただいて、最近行いました世論調査ですと八八%ぐらいの方が、岩手県、宮城県の瓦れきの広域処理については賛同いただけるところまで来ました。これは、同じことを繰り返し繰り返ししっかり伝えていくということが、ようやく少しずつですけれども、結果としてつながってきたのではないかというようなことを感じております。

 ですから、それを、例えば福島の健康の問題についてももう少し丁寧に説明していく必要があるだろうと思うんです。先ほど佐藤部長が、放射線による健康影響があるとは考えにくいというような答弁をしました。疫学的には確かにそのとおりなんですね。これを私ども繰り返し繰り返し言っています。ただし、先ほど福井先生もおっしゃったとおり、ではリスクがゼロなのかと言われると、低線量被曝について全て事実が明らかになっていて断言をできる人がいるかというと、これは、わかっていない部分があるのも率直にあるわけですね。

 であれば、それは、個人の御家庭であるとかお子さんであるとかのリスクとして放置をするのではなくて、そこはまさに、政府が寄り添うことでそのリスクを顕在化させない、そこをしっかりとケアしていくんですよという姿勢があわせてないと、大丈夫ですよと言っただけだと、こんな不十分なコミュニケーションはないわけですよね。

 ですから、そこの部分でまだまだリスクコミュニケーション、皆さんへの説明ということで、リスコミという言葉も、冷たい響きがあるなと感じてちょっと私も使わないようにしていますが、今は使ってしまいましたが、そういうお伝えの仕方というのはまだまだ工夫の余地があって、至らない点が多いなというようなことを感じております。

福井委員 ありがとうございました。

 まさにその議論の先をもっともっと深めていきたいなと思いますけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、資料一をごらんいただきながら糟谷事業部長から御答弁いただきたいんですけれども、まさにこういう写真とかが、今までこの一年半、出ていないんですよ。だから、四十年で多分もうぼろぼろになっているだろうというふうに思い込まされているようなのが一億二千七百万人の状況なんですよ。

 この圧力容器のまさにそこにぶら下げているんですよ。同じロットでつくった炉心の材料をぶら下げて、それよりも内側だから中性子が多いわけですよ。金属だから、その結晶構造が中性子でどこかがやはりやられる可能性がある。何百億分の一の確率で脆弱になっているかもしれないということで、三十年たったら、十年置きにあるいは毎年検査しているという状況。

 この写真を見たら一目瞭然ですよね。試験材料等の写真を四ページにわたってお示ししましたけれども、こういう見えるものをぜひ説明をしていただきたいので、ということは、四十年を超えたら全部だめという議論はあり得ないし、そして、たまたま超えてもいいということにしていただきましたけれども、一回限りというのも理論的じゃないわけですね。

 もっと言うと、中から壊れるというのは原子炉工学家がもう数十年間やってきたわけですけれども、外から壊れるという想定外の事態にどうやって対処するか、その安全性の確率を一万倍、一億倍にもっと高めていくという作業をしなきゃなかなか国民世論が、では、どこだって再稼働オーケーというふうにはならないというふうに思います。

 特に四国は、伊方がないので、先週も言いましたけれども、毎日四億円石油代をかけている。この四国で電気代がもし上がったら、四国から工場が出ていったら、今でも一番貧しいのに一体どうするんですかという声が、これはインプリシットな、さっき大臣がおっしゃったように、国民の意識にはまだ上がっていないんですけれども、しかし、私たちはそこを説かなきゃいけないので、この伊方について、原子力規制委員会の先ほどの御質問もありましたけれども、まだ人事も決まっていないんだけれども、その規制委員会ができて、その尺度をつくってということになりますと一年二年はすぐたっちゃうから、暫定的な物差しをつくってぜひ伊方の再稼働をしていただきたいというふうに思いますが、事業部長として言える範囲内だけおっしゃっていただいたら結構でございますので、よろしくお願いします。

糟谷政府参考人 震災の後、原子力発電所の再起動に当たりましては、従来の手続に加えまして、ヨーロッパでやっておりますストレステストを参考に、新たな安全評価を実施しております。個々の原子力発電所を個別に安全性を判断するということが大前提であるというふうに考えております。

 伊方につきましては、伊方の三号のストレステストの評価報告書が提出されまして、三月二十六日に、保安院がその結果を妥当とする審査書を取りまとめ、原子力安全委員会に提出をし、そのままの状況が続いております。

 今後、原子力規制委員会が発足した後、その規制委員会が独立した立場から安全性の評価を行っていただくということになるというふうに理解をしております。

 先ほど先生もおっしゃいましたように、原子力がとまり、その分化石燃料をたき増しているということで、日本全体で約三兆円という追加的なコストがかかっているという状況にございます。御指摘のように、この状況が続きますと、早晩、電気料金の値上げ、また、これに伴う産業競争力の低下、国民負担の増加ということが懸念をされます。

 我々の立場から、独立性を持って審査に当たられる規制委員会にどうこうするようにということは申し上げるわけにいきませんけれども、そういう国民経済への影響に鑑みますと、速やかに規制委員会が発足をしていただいて、速やかに基準を見直していただいて判断をいただくということを期待申し上げております。

福井委員 ありがとうございました。

 あとまだ二分ありますので、では一番最後に、資料二の二を見ていただきますと、先週申し上げました成長戦略の事例を、まるで政府側の与党のようにつくってまいりましたので、見ていただきたい。

 「食と農とエネルギーの重層的事前防災まちづくり」ということで、附則十八条第二項の成長戦略と事前防災、減災を全部一緒にしたまちづくりは可能だということがありまして、今、津波で三十四・四メーター来るだとか二十メーター来るだとかということで、高台移転します。残った平場にCO2を施肥するわけですね。カリウムとかナトリウムだけじゃなくて、CO2を施肥して、とにかく成長させるわけです。野菜を早く成長させる、成長が早い木を植える、それで付加価値を高めるという新しい農業というのが可能なので、せっかくできた平場には、農業で成長戦略というのをやりたい。

 ここで御答弁いただきたいのは、その高台移転に、財務省を説得していただいて、今は東北でグループ補助金というのをつくっていただいて本当にありがとうございます。とにかく複数であれば個人の財産に税金が投入できるという、二人以上、現実には三社以上ですけれども、グループであれば補助金を商売の基盤に投入できるという四分の三の補助制度をつくっていただいて本当にありがたいんですけれども、それを事前にしなきゃ意味がないんですよ。

 東南海、首都直下が来るということを踏まえて事前防災にグループ補助金を適用するという決意を、今はあきまへんというのじゃ許しませんので、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。

富田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘をいただきましたグループ補助金でございますけれども、東日本大震災による被害、我が国の歴史上類を見ない、大変広範囲で甚大なものであるということでございまして、それを踏まえまして、あくまで、極めて特別な措置として今回講じさせていただきました。

 したがいまして、その補助金は、今回、復興のリード役となるような中小企業のグループ等が施設を復旧する、そういったものを対象にしておりまして、大変残念ながら、事前防災の観点から、被災する前に高台に移転するような場合にこの補助金を適用することは非常に困難であると思っております。

 ただ、御指摘をいただきました事前防災の観点というのは大変私ども重要だと思っておりまして、私どもの取り組みを一つだけ御紹介をさせていただきますと、中小企業が災害によるその被害を軽減をし事業を継続する、このために、事業継続計画というものをつくっていただいて取り組んでいただくということを私ども支援をさせていただいております。

 具体的な支援内容でございますけれども、国の指針に基づいて中小企業者の方が事業継続計画をつくっていただいて、その計画に基づいて、例えば施設の耐震化を進めるとか、あるいは施設の移転を進めるとか、そういった場合に、その資金について日本政策金融公庫の特別利率を適用する、こういう融資制度も設けてございます。

 私どもとしても、中小企業の事前防災、これをしっかり進める観点から、今申し上げたような施策を通じて今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

福井委員 時間が参りました。後藤さん、済みませんでした。では、これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、横山北斗君。

横山委員 七月三十一日の環境委員会におきまして、被災地を初めとする東北地方における再生可能エネルギーの利用可能性について質問させていただきましたが、改めて環境省の御見解を伺いたいと思います。

生方委員長 鈴木地球環境局長。――いなかったんだ。(鈴木政府参考人「済みません、ちょっと入ってくるのが遅いですね」と呼ぶ)わかりますか。もう一回質問しますか。

 横山君。

横山委員 被災地を初めとする東北地方における再生可能エネルギーの利用可能性について、改めて環境省の見解をお伺いいたします。

鈴木政府参考人 大変申しわけありませんでした。

 環境省では、再生可能エネルギーのポテンシャルを平成二十一年から継続的に調査しておりますけれども、東北地方の再生可能エネルギーのポテンシャルというのは非常に大きくて、特に風力、地熱発電は、北海道に次いで日本で二番目のポテンシャルを有しております。また、河川部におきましては、中小水力の中では、各地方に比して一番高いポテンシャルを有しているということでございます。

 そういうことで、東北の再生可能エネルギーのポテンシャルというのは、非常に日本の中では高いということで承知しております。

横山委員 では、再生可能エネルギーの導入量を飛躍的に拡大するためにどのように取り組んでいかれるのか、改めて環境省の御見解をお聞きいたします。

鈴木政府参考人 ただいま申し上げましたように、こうした地熱、風力、小水力、いずれもポテンシャルが高うございますが、絶対量としては、風力が非常に大きいということがございます。

 そこで、二十三年度に、東北地方におきまして風況変動データベースというのを作成しております。これは、過去二十年間の年平均の風速と変動を五百メートルメッシュで調査したものでございまして、今般、五月に公表したところでございます。

 こうしたデータをもとに、風力発電事業者が的確な風況を把握した上で、その適正な風力発電の設置に向けて大変力強く取り組んでいただくことを期待しているということでございます。

 また、それ以外にも、二十三年度補正におきまして、各地域の中で再生可能エネルギーを防災拠点等に導入していただく等のための予算としまして、グリーンニューディール基金、総額八百四十億円を設けて地方の県等の地方公共団体の支援を行うということにしておりまして、こうしたそれぞれのノウハウとそれから財政的な支援を含めまして、こうした再生可能エネルギーが進むことを期待しているということでございます。

横山委員 私も、環境省が意欲的に、また具体的に再生可能エネルギーの拡大のための戦略を練っているということは、また、その計画を着実に進めているということは重々承知しております。

 それでは、今、政府が新しいエネルギー戦略、国民的議論をさまざまな形で進めていますが、先ほどの御答弁にもありましたが、政府・民主党としての結論をいつごろ出されるのか、改めてお聞きしたいと思います。

細野国務大臣 八月末というのを一つの目標として作業を進めてまいりました。一日、二日、ここでということで八月末ということでこだわることはないというふうに思いますけれども、やはり日本のエネルギーの状況というのは非常に今は厳しい状況ですので、大きな方向性はできるだけ早く出した方がいいというふうに思いますので、基本的には、当初の予定どおりの目途で決めていくということになろうかと思います。

横山委員 八月末ぐらいまで、要するになるべく早くということだと思うんですが、先ほどから細野大臣も、エネルギー、二〇三〇年の比率、何%にするか、政府としての責任というものがあるという話をされておりました。

 それはわかりましたが、しかし、選択肢としては、二〇から二五、一五、〇、どれをとっても、脱原発という方向で減らしていくということには違いはないんでしょうか。その点についてちょっと教えてください。

細野国務大臣 その認識は御指摘のとおりであります。

横山委員 その場合、どちらにしても減らしていくと。

 それで、代替エネルギーの確保が重要なんですが、この点については、先ほどの鈴木様の御答弁で、二〇三〇年までに三〇から三五ぐらいを代替エネルギーとしては確保したいと。ごめんなさい、それは改めて間違いないですか。

鈴木政府参考人 一五%シナリオあるいは二〇から二五%シナリオは大体三〇%程度、それから、〇%シナリオについては三五%程度を再生可能エネルギーで確保したいというのがシナリオの内容でございます。

横山委員 ありがとうございました。

 ということは、今の原子力の比率に大体相当するか、あるいはそれ以上ぐらいに代替エネルギーを二〇三〇年に向かって開発していくということです。それはよくわかりました。

 と同時に、この代替エネルギー施設をどこに設置していくのかということにつきましても、環境白書などを見ますと、北海道あるいは秋田などの名前もありました。一極集中型の原子力から地域分散型の再生可能エネルギーへという方向性だろうと思います。

 ですから、政府の進めた国民的議論の場では、発言者の六八%が〇%を支持したということになっております。この国民の声に応えてゼロにした場合、あるいは、一五%でも現在の半分ですから、それはあと十七、八年ぐらいで現在の原発立地地域はエネルギー供給基地としての役割が大きく後退していく、そういうことになります。原子力を拡大させていくという公約を掲げた党が政権にでもつかない限りは、そうなるということだと思います。

 私、消費税もそうですけれども、TPPそして原発の問題、国民に信を問う場合、すなわち総選挙ということになれば、議員それぞれが選挙区でそれぞれ好き勝手なことを言うわけにはいかなくなります。きちんと党としてどうするのか、国民の前に選択肢を示さなければならないだろう。

 そういう意味でも、政府・民主党としての、まずは与党民主党としても明確な見解を早期に国民の前に示していただきたいということを、これは要望でございます。特にお答えいただかなくて結構でございます。

 それでは、日本再生戦略について今度はお尋ねいたします。

 閣議決定された日本再生戦略、ライフ、情報通信、食と農の再生、さまざまな分野があります中で、エネルギー・環境が十一の成長戦略の筆頭に挙げられております。

 自然豊かな東北地方は、とりわけバイオマス、地熱、風力など、自然の資源に恵まれて、それらを生かしたエネルギーの地産地消のシステムをつくり上げることができ、どこよりも大きなポテンシャルを持っている。

 そういう意味で、被災地の地域経済の再生にとってもエネルギー・環境分野の成長戦略が大きく貢献できると考えておりますが、環境省として、この環境・エネルギー分野全体でどの程度の市場規模、雇用の創出が見込まれると考えているのか、お尋ねいたしたいと思います。

白石政府参考人 御指摘のとおりでございまして、環境・エネルギー分野、今後大きな成長を見込むことができる分野と考えておりまして、先月三十一日に閣議決定した日本再生戦略におきましては、この分野の二〇二〇年までの目標としては、五十兆円以上の環境関連新規の市場、それから、百四十万人以上の環境分野の新規雇用ということを掲げておるところでありまして、環境省としても、その達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

横山委員 それでは大臣にお尋ねしますが、具体的にどのような分野で被災地の再生に寄与することができると、アイデアをお聞かせ願えればと思います。

細野国務大臣 御指摘のとおり、日本再生戦略の筆頭がこのグリーン成長というものでございまして、日本再生の中でも、被災地の再生というのは最も優先順位の高い課題でありますので、先ほど白石局長が答弁をしたその方向性で、地元でもできるだけ具体的なメリットのある形で進めてまいりたいというふうに思っております。

 恐らく最も可能性があるのは、先ほど来横山委員の方からも御指摘がございました、豊富な自然資源を生かした再生可能エネルギーの大幅導入であるとか、地域が一体となった省エネルギーの推進など自立分散型のエネルギーシステムへの転換、この部分だろうというふうに思っております。

 この仕組みは、例えば風力発電などについて、全体でどこが有望なのかということを調べるような意味で国としてやるべきところもあるんですが、一方で、フィード・イン・タリフという固定価格の買い取り制度になっておりますので、投資を促すことでやっていただける仕組みになっているので、地域の取り組みをできるだけバックアップをするというそういう体制がまず必要ではないかと思っております。

 一方で地熱発電なんかの場合は、これは国家プロジェクトとして進めるべき部分があるだろうというふうに思っております。環境省としても、優良事例については、国立公園の中についても採掘を認めるという判断をいたしました。これが昭和四十七年以降の大きな政策の転換になりましたが、東北さらには日本の全体のことを考えれば、やるべきだろうという判断をいたしました。もう既に東北でも幾つかのプロジェクトは動き出しておりますので、そこは、地域に任せるのではなくて、国が前面に出る形で前に進めてまいりたいというふうに思っております。

 そのほかにも、地域のコミュニティーで省エネルギーと発電を組み合わせるような取り組みが、既に幾つか芽が出てきておりますので、そこは政府全体でしっかりとバックアップする形で、東北をみんなで応援してまいりたいと考えております。

横山委員 具体的な事例をお聞かせくださいました、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 では次に、国立公園についてお尋ねいたします。

 東北は、その美しく雄大な風景が広がって、生物多様性、豊かな自然環境が広がっております。それを背景に、陸中海岸国立公園を初めとする多くの自然公園が指定されてきました。豊かな自然環境があるからこそ、観光業や農林水産業が発展し、地域社会経済にも大きなベネフィットをもたらしております。

 自然資源の価値は短期的にはなかなか評価されにくいわけですが、これをどういうふうにわかりやすく国民や事業者に説明していったらいいのか、環境省のお考えをお聞かせください。

渡邉政府参考人 東北地方の強みであります豊かで特有の自然環境を保全しながら地域経済の振興に生かしていくということは、大変重要な課題というふうに認識しております。

 環境省では、ことし五月に、三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興のビジョンを策定いたしました。この中で、自然の恵みと自然の脅威を現場で学びつつ、それを活用しながら復興していくことの重要性を基本理念として示したところでございます。

 この地域の特徴であります自然資源と、その自然に根差した地域の暮らし、営み、文化、こういったものをうまく紡ぎながら復興の取り組みを進めていくことが持続可能な地域の発展にとって必要であり、真の復興につながるものというふうに考えています。

 このため、三陸復興国立公園の指定そして具体的な整備を進めていく中で、さまざまな地域の関係者の協力を得ながら、こうしたグリーン復興の考え方を広く発信をしていきたいというふうに考えております。

横山委員 ありがとうございました。

 被災地の復興の主要施策の一つとして、三陸復興国立公園の創設と関係するプロジェクトの実施に向けた検討が進んでいるということです。

 国立公園の制度は、地域の貴重な資源を次世代へ確実に継承するとともに、その自然を生かしたエコツーリズムなど、都市部の人々を呼び込んで復興にも大いに貢献できると期待しておりますけれども、その検討状況につきまして、また、これによって具体的に地域経済への貢献がどのように期待されるとお考えか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

細野国務大臣 東北はすばらしい自然環境に恵まれたところでありまして、特に三陸というのは、地形からいっても景観からいってもすばらしい、本当にいい地域だというふうに思います。浄土ケ浜は私も訪れましたけれども、青森県にもすばらしい景勝がございますので、そこもつなぐ形で三陸復興国立公園というのを指定をしてまいりたいと思っております。平成二十五年度当初ということを目指して、現在、指定の準備を進めているところでございます。

 国立公園の指定に伴いますグリーン復興プロジェクトの一環といたしまして、国立公園の利用拠点の整備、さらには、被災地を南北につなぐ長距離の自然歩道、東北海岸トレイルの設定、さらには、その地域はちょうど水産業が盛んな地域でございますので、水産業と連携をした復興エコツーリズムの推進などを行うこととしております。

 三陸復興国立公園をこういった形で創設をさせていただきまして、この地域の自然や文化に深く触れ合うことができるような観光を支援することで、できる限り地域経済も支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

横山委員 三陸復興国立公園創設、平成二十五年当初にはというお答えをいただきました。もちろんそれよりも早くても、とにかく地元の人たちが大いに期待しているところなので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、最後の質問になります。

 今、自然公園の質問をして、その前に再生可能エネルギーの質問をして、その爆発的普及も必要だろうという話をしましたが、この再生可能エネルギーの開発が重要である一方で、地熱の開発によって我が国が誇る貴重な自然環境を破壊するということは許されないと思います。環境保護団体や地域住民から、国立・国定公園や温泉資源などへの影響を懸念する声も上がっております。

 特に国立公園、我が国の五・五%の面積しかなくて、かけがえのない国民の財産でありますので、地球温暖化対策やエネルギー対策の観点から地熱開発にも取り組む必要性を認める一方で、国立公園の保護も環境省としての重要な責務であり、おろそかにすることはできないと思います。

 この地熱開発に対し、自然環境の保全を確保するためにどんな取り組みを行っておられるのか、横光先生の方にお聞きしたいと思います。

横光副大臣 横山委員から、ただいま、国立公園は我が国の国民のかけがえのない財産であるというお言葉がございましたが、まさにそのとおりであると認識いたしております。このため、国立・国定公園における景観や自然環境の保全、これをしっかりと守っていかなければならない、このように考えております。

 しかしその一方、地球温暖化対策として、お話にもございました再生可能エネルギーの開発もこれまた重要でございまして、そういった意味から、自然環境の保全と地熱の開発、この二つを高いレベルで調和させていくことが重要であると考えております。

 環境省といたしましては、この国立公園、国定公園における地熱開発の取り扱いについては、本年三月、新たに、国立公園、国定公園における地熱開発の取り扱いの通知を発出いたしました。それとともに、委員が大変御心配されております温泉資源の保護に関するガイドラインも策定をいたしまして、自然環境保全のための方針等を示したところでございます。

 また、私を責任者といたしまして省内に部局横断の検討会議を設置いたしまして、四月以降、地熱開発事業者への説明会の開催や、あるいは事業の進捗状況等のヒアリング、さらには助言などを行っているところでございます。

横山委員 どうもありがとうございました。

 国立公園は、もうその地域ではなく、国の、もっと言えば地球のということになってしまうのかもしれませんけれども、国の財産として国がしっかりと管理していただきたい、そのように思っておりますので、開発と環境の保護という点を両立させながらしっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

生方委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 先ほどからもあるように、ロンドン・オリンピックもたけなわではございますけれども、我が国のお家芸である柔道を初めとして、日本選手の活躍は連日報道されております。

 こうした明るい報道とは裏腹に、言わせていただかなければならないのは、政権与党の迷走ぶりは相変わらずであり、先日も、我が国の今後のエネルギー政策の根幹を決める革新的エネルギー・環境戦略の取りまとめが、八月中と言っていたものが、各地で多くの反発を受けて、秋以降に延期するという古川大臣の発言が報道されました。また、昨日は、野田総理は、将来の原発ゼロの課題の整理を指示して、今月じゅうの取りまとめにこだわらない考えも示しております。

 東日本大震災と第一原発事故の発生から既に一年半近くも経過しております。原子力に依存しない新たなエネルギーシステムの構築が急務であるべきなのに、こうした政権の混迷は、国民や日本企業の不安をいたずらにかき立てるばかりではないかと思います。

 これまでも私は、選択肢は非常にわかりにくいことを指摘してまいりました。原発比率にしても、二〇三〇年の姿しかない。また、四〇年、五〇年はどうか。最終的に原発をゼロにするのか。そのための省エネへの取り組みや再生可能エネルギー導入のあり方、さらには、経済や国民負担への影響などの課題についても明示されたとは言いがたいですよ。多くの批判を受けて取りまとめが延期されるのは、当然の帰結だと私は思います。政府は、あらゆる情報を開示して前提条件を見直して、議論をやり直すべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

 公明党は、今後のエネルギー政策のあるべき姿については、中長期的に原子力の依存度をゼロにしていく、原発ゼロの日本をつくることを目指すべきであると主張しております。これを実現するためには、思い切った省エネ、また、火力発電の高効率化を実現するとともに、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを爆発的に普及拡大させていく、これが重要であります。

 再生可能エネルギーの導入拡大には、七月から始まった固定価格買い取り制度の本格的な活用とともに、規制緩和や導入時補助金の拡大、さらには、技術革新が重要と考えております。

 まず、細野大臣にお伺いをいたします。

 日本経済が落ち込み、政治に対する不信も高まる中で、今こそ、日本が得意とする省エネルギーや再生可能エネルギーなどのグリーン技術を大いに振興して、エネルギー問題、環境問題、そして経済、雇用問題を一挙に解決するという力強いメッセージを、今こそ大臣、早急に政府が示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 江田議員御指摘のとおり、この環境エネルギーの分野において日本の将来の鍵があり、それをしっかりとやることによって経済も活性化をしていく、雇用にもつながるという姿を描く必要があるというふうに思っております。

 特に再生可能エネルギーというのは、地域においてもいろいろなメリットがございます。風力発電もそうですし、地熱発電もそうですし、さらにはバイオマスなどもそうだと思います。これまでのように、大規模集中の発電で、消費する側はそれを受け取るだけということではなくて、地域でやっていただければ地域にメリットがあるという形でありますから、そういう明るい未来について皆さんが行動していただけるような情報発信は極めて重要であるというふうに思っております。

 三つのシナリオをお示しをしておりますが、いずれのシナリオにおいてもそのことは重要でありますから、環境戦略、エネルギー戦略をつくる際には、そういったことをしっかりと国民の皆さんにお伝えをできるような方針を示す必要があると考えているところでございます。

江田(康)委員 今、政府が革新的エネルギー・環境戦略を取りまとめるという中において、私も、この件については、経済産業委員会や本委員会でこれまでも多くの質問をさせていただいてまいりました。

 きょうは、我が国が世界に誇るグリーン技術の中で、家庭と地域発のグリーンイノベーションについて政府の取り組みをただしたいと思っております。今も環境大臣が申されたこの点について、より深く質問をさせていただきたいと思っております。

 時間の限りもございますので、まず、風力発電についてお聞きをいたしたいと思います。

 この風力発電、先ほども出ましたけれども、欧州の、ヨーロッパの再生可能エネルギー導入先進国を見れば、再生可能エネルギー導入量の中心的な役割を担っております。

 我が国でも、二〇三〇年に向けて、電源構成の二五%から三五%程度を再生可能エネルギーとしようとするのであれば、風力発電の抜本的な導入拡大は必要不可欠であります。その中でも、洋上風力は膨大なポテンシャルを持つエネルギーでありまして、実用化技術の開発は不可欠です。日本は、沿岸域から海底が深いんですね。ですから、着床型というよりも、浮体式、すなわち、海上に浮かぶ浮体式洋上風力の開発が大変重要であると思っております。

 この浮体式洋上風力については、福島県沖の実証研究と長崎県五島沖の実証事業が進められているところと承知しております。

 福島県からは、地域経済の再生と復興、そして新たな雇用の創出に強い期待が寄せられておりまして、これは、経産省に強く、強力に進めてもらいたいと申し上げたい。

 私の地元九州である長崎県の五島沖の実証研究、これは環境省が進めておられますが、我が国初となる二メガワット級の実証機一基を外洋域に平成二十五年までに設置することを目指しております。離島の活性化にも直結する、強力にこれを進めていかなければならないと思う次第でございますが、これらの浮体式洋上風力については、いつまでに洋上風力発電技術の実用化を確立できると考えているのか、お伺いしたい。また、そのことによって将来どれだけのエネルギーを賄うことができるのか、政府の見解をお尋ねしたい。

細野国務大臣 着床式の風力発電につきましては、既に、商用のスケールで実用段階に移行しつつございます。これはこれでしっかりと進めるということになろうかと思いますが、日本の場合はすぐ海が深くなりますので、そこは浮体式についても、世界に先駆けて発電システムをぜひ開発をしたいというふうに考えております。

 我が国におきまして環境省が行っている実証実験は、長崎県の五島列島沖において行っておりますものでありまして、パイロットスケールである百キロワット級の試作機を六月に設置をいたしました。既に横光副大臣は見に行っておりますが、私も、今月中には試験運転を開始をする予定ということでありますので、できるだけ現場に立ち会いたいというふうに思っているところでございます。

 商用のスケールとなりますと、やはり二メガワット級の実証機ということが必要になりますので、現在、建造を開始をしたところでありまして、来年には設置、運転を開始をしまして、平成二十七年までに試験運転を行う予定をしております。

 この実証事業におきましては、台風に果たして耐えられるのかどうかということが大きなやはり問題になります。そして当然でありますが、漁協の関係者の皆さんとの調整というのが必要になります。そして、洋上ということでありますので、環境に対してどういう影響があるのかというアセスについての手法を確立をする必要がございます。そうした課題を検証して、そこで得られたノウハウを、福島県沖の実証実験を含めた今後の事業展開に移行していきたいというふうに思っております。

 環境省としては、本実証事業が成功し、実証事業が終了する平成二十七年以降に、浮体式の洋上風力発電が実用化をされ、洋上風力発電の導入が拡大していくことを期待をしております。

 将来的にどれぐらいまでいけるかというのは、ちょっと今の段階で見通すことは難しゅうございますので、風力全体としては位置づけをしておりますが、その中で、洋上でどれぐらいいけるのかということを、再度、こういう検証を踏まえて判断をしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

江田(康)委員 風力全体でどれだけのエネルギーを賄うことができるとなっていますか。

鈴木政府参考人 全体で風力と太陽光、それぞれ今のところ同量程度を見込みたいというふうに思っておりますけれども、済みません、今手元に詳しい数字がちょっとございませんので、また後ほど御説明させていただきたいと思います。

江田(康)委員 原発の依存度を下げていく中において、この風力と太陽光でこれはかなりな代替エネルギーになると私は思っております。

 次に、日本が誇る地熱発電についてお伺いをさせていただきます。

 創エネ技術として、天候など自然条件に左右されない安定的な出力が可能で、資源枯渇もない、そういうのが地熱エネルギーでございますが、火山国である我が国は、インドネシア、アメリカに次いで世界第三の地熱資源量があると言われております。加えて、世界の地熱発電設備の約七割を日本のメーカーが供給するなど、この分野における日本の技術力は相当高いものがあります。

 私の地元九州はそのポテンシャルが非常に大きい。全国十八カ所の地熱発電所のうち約半数は九州にあります。大分県の八丁原地熱発電所、これは十一万キロワット、そして、鹿児島県指宿市の山川地熱発電所は三万キロワットの出力を有しております。また、鹿児島県、大分県、そして熊本県、非常に大きな可能性を有しているんですね。

 今後、原発の依存度を下げていかなければならない、それにかわるエネルギーとして、また、我が国のグリーン成長の源泉として地熱発電の将来性は大変大きいと思いますけれども、政府のこの取り組みと大臣の見解をお伺いをいたします。

細野国務大臣 風力発電さらには太陽光発電というのは、発電量としては非常に期待が大きいわけでありますが、若干の弱点がございますのは、発電量が安定をしないということにあるわけでございます。

 そういった面でいいますと、再生可能エネルギーの中でも地熱というのは、これはベースロードになり得るという意味で、非常にこれは有望なものであると考えております。

 環境省といたしましては、やはり、これまで守ってきた自然環境であるとか温泉資源というものとの調和をしっかりと図りながら地熱の開発を進めていくことが重要であるというふうに思っておりまして、本年三月には、自然公園法であるとか温泉法にかかわる通知を発出をいたしまして、国立・国定公園における地熱発電にかかわる優良事例というものをぜひ形成をしていきたいというふうに思っております。

 四月には、環境副大臣をヘッドといたしました検討会議も設置をいたしまして、具体的な問題を事業者と一緒にいろいろな協力をしながら解決をするべく、努力をしているところでございます。

 地元では、やはり、温泉場の方であるとか観光業者の方などともしっかり対話をしていく必要があります。地域の協議会を設立する必要がありますので、そういったものについても人的、財政的な支援を行っているところでございます。

 今後でございますけれども、地熱は、日本の場合はもともと研究者が多かったんですが、なかなか開発が進まないものですから、その専門家が実はちょっとばらけてしまっているようなところがございまして、もう一度その力を結集する必要があるというふうに思っております。

 私自身も個別にぜひ話をしてみたいと思っているそういう専門家がおりますので、そういった皆さんの力もかりながら、安定的な地熱発電をしっかり開発する、まさに、国家プロジェクトとしての体制をぜひ早期につくりたいと考えているところでございます。

江田(康)委員 今、大臣申されましたように、地熱資源の多くが自然公園内にありまして、これは自然公園法の規制がネックになってもおりました。しかし、環境省の積極的な今回の取り組み方針によって、ここも緩和されてくる、積極的に取り組めるようになってくるということでもあるかと思います。

 特に、地元の温泉事業者との利害調整というのは、これは非常に丁寧にお話をしていかなければならないところでもございます。こういうところもしっかりと進めていただいて、やはり、我が国の誇るこの地熱発電の将来をしっかりと切り開いていっていただきたいと申し上げたい。

 次に、蓄電池などの、電力供給の制御技術についてお伺いをいたします。

 今後、再生可能エネルギーを大量に導入していかなくてはなりませんけれども、太陽光や風力といったエネルギーは、天候など自然条件に左右されます。送電網に流れる電力全体の調整をここで行う必要が出てくるわけですね。このために、需要を上回る電力を一時的にためる技術、蓄電技術が非常に大事になってまいります。

 この蓄電技術については、リチウム電池など高効率な蓄電池技術の分野においては、日本企業は世界のリーディングカンパニーであります。

 既に、ハイブリッドカーなど、我が国の蓄電池技術は商品化されておりまして、普及が進みつつありますけれども、今後、東日本大震災の教訓を生かすためにも、災害時のバックアップ電源という観点も踏まえて、地域主導による再生可能エネルギーと蓄電池をセットで整備していく、こういう取り組みが非常に重要になるかと思いますが、環境省、また大臣のこの取り組みをお伺いをいたします。

細野国務大臣 再生可能エネルギーの導入と蓄電のこの技術、さらには蓄電池の設置というものは、これは同時に進めていかなければならないというふうに認識しております。

 先日取りまとめました日本再生戦略におきましても、この蓄電が、まさに重点施策としても掲げられているところでございます。

 特に、系統の安定化対策を行うことによりまして再生可能エネルギーの導入量を飛躍的に拡大をするという観点や、災害時における再生可能エネルギーの効果的、効率的な活用の観点から、蓄電池の整備を環境省としても重要政策としてぜひ進めてまいりたいと考えております。

 地域において再生可能エネルギーと蓄電池をあわせて導入する事業を支援をするグリーンニューディール基金というのは、これはもうかなり定着をしてまいりましたので、これをさらに進めていくということ、さらには、再生可能エネルギーの出力安定化のために、蓄電池を導入し、その効果を検証する事業というのを今年度の予算に既に計上しております。さらには、地域の再生可能エネルギーを活用した自立分散型の地域づくりのモデル事業という形で後押しをする、これも今年度の予算に計上しているところでございます。

 今後は、従来の取り組みに加えまして、蓄電池の技術を活用いたしました電力系統安定化のための先導的な技術の実証プロジェクトを展開をすることを考えておりまして、蓄電池を活用することで再生可能エネルギーの導入促進をぜひ図ってまいりたいと考えているところでございます。

江田(康)委員 ちょっと視点を変えまして、ラムサール条約の登録湿地への取り組みについて質問をさせていただきます。

 先月、ルーマニアで、ラムサール条約の第十一回締約国会議、COP11が開催をされました。このラムサール条約の理念というのは、湿地の保全と、湿地がもたらす恩恵を持続可能な形で賢く利用していこうとするワイズユースであります。また、それを支える普及啓発活動、これを理念としているところでございます。

 このCOP11を機に、日本はラムサール条約湿地を新たに九カ所登録して、日本のラムサール条約湿地は三十七カ所から四十六カ所になりました。環境省の御努力に、また地元の御努力に深く感謝を申し上げたいわけでございますが、新たに登録された湿地を抱える地元自治体にとっては、この国際的な条約に認定されたことを、知名度を上げるため、また地域の活性化につなげたい、そういう強い思いもございます。

 九州から登録された、私の地元である熊本県の荒尾干潟、これは、日本の干潟の四割を占める広大な有明海において初めてのラムサール条約の湿地でございます。沖合一・五キロ、長さ約五キロメーター、七百五十四ヘクタールの湿地でありますが、多種多様な底生生物や魚類が豊富に生息している。この荒尾干潟には、多いときには六千五百羽にも上るシギやチドリ、そういう多くの渡り鳥が訪れます。

 そして、こうした干潟は、ここが大事なんですけれども、同時に豊かな漁場ともなっておりまして、市民の皆さんは、この荒尾干潟の生物多様性とともに生活を営んできたわけであります。まさに、ラムサール条約がうたう湿地のワイズユース、賢明な利活用ということがなされてきた場所であるんですね。

 地元荒尾市は、ラムサール条約湿地への登録を受けまして、この条約の掲げるワイズユースの考え方や干潟の重要性を伝え、また、季節ごとに異なる多くの鳥類を観察できる機能を有する拠点施設、ビジターセンターを国に整備してもらいたいという強い希望を持っておられます。荒尾市からの要望書も出ておるかと思いますが、この九カ所の中でも、これまでの中でも荒尾市のこの熱意は、一番だと私も思います。

 そこで質問をさせていただきますが、ラムサール条約に登録するということは、湿地の保全とワイズユース、賢明な利活用を国として世界に宣言するということでありまして、国としても、ラムサール条約湿地については、とりわけ積極的にその保全とワイズユースについて推進すべきであると思います。

 そこで、ラムサール条約湿地の今後の保全及びこのワイズユースを進めるに当たっての環境省の考え方をお伺いしたい。また、荒尾干潟のようなラムサール条約湿地におけるビジターセンターなどの拠点施設整備の重要性、そして、荒尾市が求めるこの整備要望への環境省の対応について、大臣、お伺いをいたしたい。

細野国務大臣 我が国では、ラムサール条約のもと、一九八〇年以降、着実に登録湿地の数をふやしてまいりました。今後は、計画的な登録だけではなくて、登録をされた湿地の管理の充実、さらには、質的な向上というのを図ってまいりたいと考えております。

 今、江田委員の方から御指摘がございました、ラムサール条約が掲げております保全とワイズユースというものを推進をするためには、地域の活動が積極的に行われることが重要でありまして、そうした観点から、御指摘のような湿地の部分における施設の存在は、大変有意義であるというふうに考えております。

 荒尾干潟などの新規の登録湿地における施設につきましては、地域の活動状況を踏まえた整備のあり方や管理運営に対する地域の参画方針などにつきまして地元とともに考えていくことを通じまして、要望にできるだけ応えることができるように努めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 荒尾市は、ラムサール条約に登録された日を荒尾干潟の日とする予定でございまして、行政と市民が一体となって、湿地の保全や環境教育、これも非常に大事な環境教育に取り組んでいこうとされておられます。

 この荒尾市は、今後、干潟の保全活動をより大きく取り組むために、地域住民、事業者、行政が一体となって設立した荒尾干潟保全・賢明利活用協議会、これを中心として、海岸の清掃や探鳥会、また、市民参加による生物調査、そして環境教育など、積極的に行われているんですよ。もう既に行われているわけでございます。

 先ほど大臣は、地域の取り組み状況、また、地域の皆様とお話をして、そしてビジターセンターなどの拠点施設の整備については検討を図ってまいりたいと申されました。改めて申し上げますけれども、これは、地域のそういう強い要望があれば、環境省がこれについては検討するとも申されたことでもございます。

 ラムサール条約に登録するということは、この湿地の保全とワイズユースを国として世界に宣言することであるわけで、また、国はその保全とワイズユースに責任を持って取り組む、このことを意味しているわけであります。また、それを進めるためには、行政や市民が一体となって進めていかなければなりません。協力が要ります。そのための拠点施設というのが本当に重要になってくる。

 予算等の問題もあろうかと思いますけれども、大臣、積極的にこれは取り組んでもらいたい。その実現に向けてこのビジターセンターを設置していただきたい。これは、本当に地元からの強い要望なんです。どうか大臣、改めてこの設置に関してお言葉をいただきたいと思います。

細野国務大臣 今お話を聞きまして、荒尾市の皆さんが、それだけこの干潟の問題に一生懸命取り組んでいただいているということがよくわかりました。

 地元でしっかりとそういう御努力がされるところをしっかりとお支えをするというのが最も理想的な姿だというふうに思っておりますので、いただいた具体的な御要望、できるだけ応えることができるように努力します。また、ほかでもない江田先生が大変な熱意を持っておられるというのも、御発言を聞いてよくわかりましたので、その思いも踏まえて環境省として対応してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 環境省の重要な仕事は、これは、エネルギーとともに地球温暖化対策であります。また、循環型社会の構築、そして、今私が取り上げました自然との共生、地球環境の保全、生物多様性ということが私は大変重要なことであるかと思っております。

 最近、エネルギー問題、地球温暖化に比べて、自然との共生、生物多様性というのが話題に上るのが少なくなってまいりましたけれども、やはり環境省の中心はそこにあるべきであり、そのための地球温暖化対策であり、エネルギー対策であり、循環型社会の構築である、そのように思っております。

 どうぞ、しっかりと取り組んでいただきますように大臣に強く申し上げさせていただいて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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