衆議院

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第12号 平成25年5月24日(金曜日)

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平成二十五年五月二十四日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      大久保三代君    神山 佐市君

      齋藤  健君    助田 重義君

      藤原  崇君    堀内 詔子君

      前田 一男君    牧島かれん君

      村井 英樹君    生方 幸夫君

      吉田  泉君    小沢 鋭仁君

      阪口 直人君    江田 康幸君

      濱村  進君    杉本かずみ君

      中島 克仁君    野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   環境大臣政務官      秋野 公造君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  矢島 鉄也君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       宮野 甚一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           橋本 公博君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     牧島かれん君

  小林 史明君     村井 英樹君

  藤原  崇君     前田 一男君

  江田 康幸君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  前田 一男君     藤原  崇君

  牧島かれん君     堀内 詔子君

  村井 英樹君     神山 佐市君

  濱村  進君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     小林 史明君

  堀内 詔子君     岩田 和親君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

 放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、大気汚染防止法の一部を改正する法律案及び放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長矢島鉄也君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長宮野甚一君、国土交通省大臣官房審議官橋本公博君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君、環境省水・大気環境局長小林正明君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君、原子力規制庁審議官山本哲也君、原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、大気汚染防止法の改正と放射性物質整備法の二法についての審議でございます。本来ならば、大会派順で御質問をしていかれるところでございますが、今回、きょうにおいては公明党に配慮をしていただきまして、心から感謝を申し上げます。

 まず、放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案についてお伺いをさせていただきます。きょうは、時間の都合上、用意した質問ができない場合もあろうかと思いますが、御了承いただきたいと思います。

 一昨年発生しました東日本大震災、それに伴う東京電力第一原子力発電所の事故によって、放射性物質が発電所外、一般環境へ大量に放出されたわけであります。今なお十五万人の方々が避難生活を余儀なくされている、大変厳しい状況でございます。

 この放射性物質によって汚染された廃棄物や土壌の除染等の措置については、私もその制定にかかわってまいりましたけれども、放射性物質汚染対処特別措置法に定められて、今実施がなされているところだと承知をしております。

 一方で、本法律案は、原子力規制委員会設置法の附則において環境基本法の一部が改正されたという経緯に基づくものでございます。

 これまで想定していなかった一般環境中における放射性物質による汚染については、個別の法令における対応を早急に図る必要がある、こういう必要性から、本法律案の提出の意義は極めて大きいと思っております。

 そこで、改めて石原環境大臣にお伺いをさせていただきますが、この法案の意義と、環境法体系の中で放射性物質に対応していく大臣の決意についてお伺いをさせていただきます。

石原国務大臣 専門の江田先生に申すまでもないと思うんですが、環境基本法では、放射性物質による環境汚染を防止するための措置について、原子力基本法等の法律に委ねておったところでございます。

 しかし、今委員が御指摘になりましたとおり、東電の福島第一原発の事故によりまして環境汚染が生じたことを契機に、昨年、環境基本法が改正されまして、放射性物質による環境汚染を防止するための措置も環境基本法の対象とさせていただいたという経緯がございます。

 本整備法案は、昨年のこの改正を踏まえまして、個別の環境法においても放射性物質を対象とさせていただき、適用除外規定を削除することとさせていただいたところでございます。これによりましてどういうことがあるかといえば、放射性物質のモニタリングを行い、また、環境アセスメントの対象に放射性物質を含めることになったということでございます。

 決意ということでございますが、この法改正によりまして、より一層の国民の皆様方の安心、安全に貢献するようにしっかり対応していく、そういう体制をしっかりとつくっていかなければならない、こんなことを感じているところでございます。

江田(康)委員 この法律の整備によりまして種々のことが進むことになるかと思うわけでございますが、まず、放射性物質の常時監視体制が強化されるということになろうかと思います。

 今現在、環境省では、離島での放射性物質モニタリング、また福島県を中心とした東北、関東での水質のモニタリングを実施されていると思います。

 今回、新たに法律にこのような放射性物質による汚染を常時監視するということが位置づけられるというわけでありまして、現在環境省が行っている放射線モニタリングがそれに該当するものと思います。しかし、現在やっているような離島や福島、東北、東日本、関東といった限定的なものではなくて、先ほど大臣が申されました、今回の法改正の意義、大変大きな意義があることを踏まえれば、今後、モニタリング体制を大幅に拡充していくことが必要だと考えますが、秋野政務官、いかがでしょうか。

秋野大臣政務官 今、環境省が行っている放射線のモニタリングについてお話しくださいましたけれども、この改正によりまして、大気汚染防止法、そして水質汚濁防止法に放射性物質の常時監視が位置づけられることになりますので、今後、必要となるモニタリングについては、詳細について検討していくということになります。

 原子力規制委員会が実施しているもの、そして各省で行っているものもありますので、そういった放射線モニタリングの実施状況も踏まえながら、必要な実施体制の拡充についてしっかりと検討してまいりたいと思います。

江田(康)委員 今、秋野政務官から御答弁をいただきました。しっかりとモニタリングに関しては拡充をしていくということであろうかと思いますので、しっかりと万全の体制を整えていただきたいと思います。

 続いて、環境影響評価法の改正の影響についてお伺いをいたします。

 今回の改正によって、どのような事業において、どのように評価していくことになるのか、事業者に対しては具体的にどのような義務が課されることになるのか、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。

白石政府参考人 環境影響評価法改正に伴いまして、いろいろな基本的事項その他を制定していくわけでございますけれども、どのような事業においてというふうなことに関しましては、現行の法対象の事業を実施するものが全部対象になり得ますが、全国津々浦々どこでもというわけではなくて、土を動かしたり水の流れを変えたりというふうな大きな事業を放射性物質により汚染された地域等において行うときには、やはりそこの環境影響を評価しなきゃいけないわけでございますので、そういう地域等において現在の法対象の事業を実施する場合に、そういう事業を実施してどのような放射性物質の影響があるか、こういうことに関しまして、調査、予測、評価、そして環境保全措置をとるということになります。

 例えば、土地改変に伴って放射性物質による影響が周囲に及ぶような場合に、残土の運搬であるとか処理、こういった環境保全措置が想定されますけれども、そういったことをいろいろ検討していきます中で対象を明確にしていきたい、このように考えております。

江田(康)委員 続いて質問をいたしますけれども、実際に東京電力福島第一原発を中心として現在も除染などの取り組みが行われていることを考えますと、この環境影響評価の改正というのは非常に重要な論点であると思います。

 まず、今回の環境影響評価法の改正で、大震災からの復興の加速を我々政権は第一優先として取り組んでいるわけでございますけれども、そのことについて、おくれが生じるとか、そういうような影響があることになるのでしょうか、伺います。

秋野大臣政務官 現状においても、放射性物質に汚染されている地域で大規模な事業を行う際には、義務とはなっておりませんが、放射性物質による影響も含めた環境影響への配慮というのは検討が行われるものだと考えております。

 今後、そういう環境影響評価手続制度にのっとって、事業に伴う環境影響の程度や環境保全措置をしっかり説明することで、地元住民の放射性物質に対する不安感を軽減するということが非常に重要なものだと考えておりますので、そういった意味では、復興がおくれることにはならないと考えてございます。

江田(康)委員 続いて、この環境影響評価法の改正の施行までには二年かかるということでありますけれども、まさに今、秋野政務官がおっしゃったように、放射性物質による土壌の汚染が生じている最中でありまして、そこで環境影響評価法の対象事業が行われるでしょうから、施行までに二年というのは少し長い気がするわけです。

 なぜ二年を必要とするのか、それについてもお伺いをさせていただきます。

秋野大臣政務官 放射性物質に係る環境影響評価を行うために、事業者にとって参考となる手法を示す技術的なガイドライン、指針などをこれから定めていく必要があります。

 これから、有識者から意見を伺いまして、関係省庁との調整などを行いまして、そして省令、告示を改正させていただきまして、自治体、事業者に対して十分に周知を図ってまいりたいと思っています。

 そういったことから、施行までの期間を二年としておりますが、できるだけ早くできるように頑張ってまいりたいと思います。

江田(康)委員 そういう理由でございますので、環境影響評価制度が変更される、この点が事業者、関係者の皆様に十分に周知されることがこの法改正の前提であると思います。この施行までの期間に周知の徹底をしっかりと図っていただきたいことをお願いしたいと思います。

 環境基本法についてですが、環境基本法では、「政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定める」、第十六条にそのようにされております。第四次環境基本計画では、「一般環境中の放射性物質の基準又は目安などの設定、モニタリング等監視・測定の実施及びその結果の評価等の考え方について検討を進める必要がある。」ともされているところでございます。

 きょう、大臣に御質問をさせていただきたいのでございますが、新たに放射性物質についても環境基準を設ける必要があるとの考えが、これに従っていけばあるわけでございますけれども、環境基準の設定の考え方、そしてまた見通しについてお伺いしたいんです。

 ちょっと私なりの考えを申し述べさせていただきます。

 福島第一原発による環境汚染への対応として、平成二十三年に、先ほど申しました放射性物質汚染対処特別措置法を議員立法で策定いたしました。この特措法に基づいて、福島県などでは除染が実施されております。政府は、この除染事業などによって、放射線量を長期的に年間一ミリシーベルトを目指すこととしていると承知しております。

 他方で、福島県では、避難の基準として年間二十ミリシーベルトという数字があり、また、長期的に避難が必要な地域である帰還困難区域の基準としては年間五十ミリシーベルトという数字があります。

 これらさまざまな数字が存在することで、住民の間では不安が生じてきたわけでございます。

 そこで、環境基準については、福島事故の対応とは別であろうかと思います。平常時において維持されることが望ましい目標である、そのように承知しておりますが、福島県でのこうした緊急の、喫緊の状況を踏まえると、さらなる混乱を招かないように慎重な対応が必要なのではないかと私は思うわけでございますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 前政権のときの平成二十四年度からでございますけれども、環境省も、環境基準を含む放射性物質に対する取り組みについて、外国ではどうなっているんだろう、あるいは国際機関ではどんな数値があるのか、こんな情報収集を行っているところでございます。環境分野や放射線防護分野の専門家との意見交換も実施をさせていただいておりまして、秋野政務官が主にいろいろお話を聞かせていただいております。

 こういうことを踏まえさせていただきまして、一般的な環境における放射性物質の環境基準については、やはり諸外国の状況等も勘案させていただいて、それが本当に必要なのか必要でないのかといった必要性も含めて、委員が御指摘のとおり、引き続いて慎重に検討していく、そういう課題ではないかというふうに捉えさせていただいております。

江田(康)委員 大変重要な事項でございますので、環境基本法の改正に伴う環境基準の設定の考え方について、今大臣からお伺いをさせていただきました。今まさに福島では、除染等、復興の加速へ向けて十分な対応をとっていく必要があるわけでございますので、こういう基本的に大事な視点を持って法改正への対応は図っていただきたい、そのようにお願いを申し上げます。

 時間でございますので、もう一つ残りました大気汚染防止法の一部を改正する法律案について最後に大臣にお聞きして、終わりたいと思います。

 アスベストについては、さまざまな問題が生じたわけでございます。暴露した場合には、数十年を経て中皮腫とか肺がん、重篤な健康被害を引き起こす。だからこそ、飛散防止、暴露防止対策をしっかり行っていくことが必要だ。そういう意味で法律の改正が今回あろうかと思っておりますけれども、現在ではアスベストの使用については全面的に禁止された。また、アスベストの被害者の救済を目的とする、石綿による健康被害の救済に関する法律も制定をしたところでございます。

 アスベストの暴露防止及び飛散防止措置が進められてきております。そうした中で、今回、なぜまた大気汚染防止法を改正するか、その意義について最後に大臣の方から伺いまして、終わりたいと思います。

石原国務大臣 江田委員に非常に重要な点の御質問をいただいたと思っております。

 現行の大防法でも、もちろん、アスベストについて使用された建築物の解体工事に関する規制というものはございます。しかし、私もついせんだって解体現場を見に行ってまいったんですけれども、今委員が御指摘されたとおり、私が見に行ったところはもう徹底的に防御されている、減圧までして防御しているようなところであったんですけれども、アスベストが飛翔しているという事例が後を絶たないということもまた事実だと思っております。

 それはなぜかということを考えましたときに、アスベストが使用されているか否かの事前調査というものが必ずしも十分には行われていない。さらには、費用負担者である発注者から、安くしろよとか工期を短くしろということを求められるというようなことがあるようでございます。

 このため、今回の大気汚染防止法の改正では、解体作業の受注者に、アスベストの使用の事前調査と、その結果の発注者への説明を義務づけさせていただいております。その上で、発注者に、都道府県、政令市へのアスベスト除去工事の届け出を実は義務づけております。さらに、届け出がない、例えばちっちゃい解体現場などにおいても、都道府県、政令市が立入検査を行うことを可能としたところでもございます。

 これから、アスベストを使用した建物の解体工事というのは、平成四十年ごろをピークに、全国的に増加すると推計されております。健康被害を未然に防止するため、大防法の改正を行いまして、委員が御指摘されましたように、アスベストの暴露、飛散防止というものに努めてまいりたい、こんなことを考えて提案させていただいた次第でございます。

江田(康)委員 アスベストの飛散防止をさらに強化する大気汚染防止法の改正案でございます。それと、先ほど申しました放射性物質に関する法を整えるこの関係法、両案ともに大変に重要な法案でございまして、迅速な成立を図る必要があると思われますので、しっかりとよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、赤枝恒雄君。

赤枝委員 自由民主党東京都連推薦の赤枝恒雄と申します。よろしくお願いいたします。

 ここのところ、環境問題が非常に大きく取り上げられて石原大臣も非常にお疲れだと思うので、きょうは、与党自民党の私としましては、大臣にはお休みをしていただいて、大臣の答弁をいただかないというふうに予定をしておりますので、決して意地悪をしているわけじゃないので、この二十分、どうかゆっくりとお聞きおきくださいませ。

 それでは、きょうは、大防法の一部を改正する法律案と放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案の法案審議ということは承知をしております。私としては、この改正は、放射線による環境への影響や健康への影響に対して環境省は正面から向き合って取り組んでいる、そういう印象を持っております。

 きょうの質問はその法案そのものに対する質問じゃなくて、三・一一の後、私は被災地に行って、福島のいわきですが、避難所のいろいろな巡回診療をやった中で、線量計をつけてとにかく回る、この目に見えない敵の放射線ということの怖さを実感しましたので、きょうは、その放射線による健康への影響についてお尋ねをしたいと思います。

 アスベストについては、先ほども公明党の先生からお話があって、的確なお返事を大臣からいただいておりますので、それはいいとして、私は、健康被害の方、放射線の方のことについて主にお尋ねをしたいと思います。

 実は、私は昭和五十二年から六本木で産婦人科をやっています。大学時代を入れると四十五年間、産婦人科医としてやってきたわけです。その中で、いろいろな子供たちとの出会い、健康問題のキャッチボールとかもしながら、特にいろいろな不安を感じて、一九九九年、十四年前から、六本木の交差点に近い喫茶店で街角相談室というのをやってきた。

 その中で、思春期の子供やいろいろな方との出会いの中、また診療の中で知り合った妊婦さん、いろいろなことの思いが、この三・一一の後に一番心配だったのはそのことだったですね。妊婦さんとか思春期のお子さんのこと、そういうのが一番に頭をよぎったわけです。

 子供たちに放射線が何か重大な影響を起こすのではないかとそのときに心配しましたけれども、その後の報道とか、同僚の医師や研究者からは、チェルノブイリに比べたら大したことないよ、小さな事故だよというような意見があって、そんなに健康被害のことも心配ないんじゃないかという意見が実はあったわけです。

 しかし、何もないはずで終わってしまうわけでもないので、とりわけ、低線量の放射線の影響についてこういう定量する方法というのはないわけですよね。そこで、当面は、丁寧に健康被害のことを説明して、また、健康管理を行いながら、データを収集して分析する必要があると思ったわけです。その結果を情報発信することが我々は一番大事なことじゃないかというふうに思います。

 それは、被災された方の安心感を得るためだけではなくて、先進国に住んでいる我々が他の国へ果たす責務でもあるのではないかというふうに考えたわけです。

 そこで質問をさせていただきます。

 今般の事故で子供さんに対する放射線の影響が懸念されますが、福島県民の健康管理調査などにおける妊婦さんとか子供たちの健康管理はどうなっているのかという、まず、その辺の実施状況をお尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 福島県が福島県民健康管理基金というのを創設いたしまして、これに対しまして国が交付金を拠出しまして、全面的に支援をしております。

 福島県は、この基金の中で、全県民を対象にいたしまして県民健康管理調査を実施しております。具体的には、被曝線量の把握、事故時に十八歳以下であった方を対象とした甲状腺超音波検査、それから妊産婦の方を対象としまして、健康状態を把握するための妊産婦に関する調査などでございます。また、御質問の中にもありました、懸念される妊婦さんや子供を対象にいたしまして、ホール・ボディー・カウンター、こういった検査によります内部被曝検査も実施しております。

 県民健康管理調査の中で基本調査というのがあるんですが、これは、今申し上げましたのは健康のチェックですが、そもそも、どのくらいの被曝量であったかということを記録する上で外部被曝というのは非常に重要になってまいりますので、震災後四カ月間の行動記録を御提出いただきまして、これで外部被曝線量をとるということになっております。

 ちょっと時間が限られておりますので全部は御紹介いたしませんが、行動記録の回収率は、平成二十五年の一月末現在で、全体で約四分の一に当たります二三%ちょっとというところになっております。ただ、相対的に被曝線量が高いと思われる川俣などの先行調査地区では、五六%という回収率になっております。

 結果に関するところでは、二百二万人のうちの約四十万人、つまり五分の一ぐらいの推計が終了しておりまして、県全体では、九九・八%の方が五ミリシーベルト未満の被曝であったということになっております。

 被曝の中でも内部被曝に関しては、先ほど申しましたホール・ボディー・カウンター検査というもので検査をしておりますが、これまでに約十二万三千人が検査を受けまして、九九・九%の人が一ミリシーベルト未満であるという報告を受けております。

 以上であります。

赤枝委員 今のお話で、健康への影響を評価する上でやはり被曝線量の把握が物すごく重要なんですが、これもやっていただいているということで、本当にこれは安心をいたしました。

 次の問題は、現地だけでなく、国内全体でその被災された方に対する偏見といいますか、被災した人は不妊症になるとか、妊娠しにくくなるとか、あと、がんになりやすいんだとか、それから、被災を受けた人のお嬢さんが一人でもいたら、そこの家系は結婚とかいうときに響くとか、そんなことが言われたりしているわけです。

 こういった風評に対して、やはり、国が正しい情報をどんどん積極的に発信してそういうことは否定するというようなこともしていかないと、大変な本当にこれは、言葉に出ないような、いつの間にかうわさ話になっていって被害が広がるということにもなるので、まず、こういう風評みたいなことの状況はどういうふうに評価をされているんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほどももうお答えしましたので繰り返しは避けますが、外部被曝に関しては先ほどのような形ですし、また、内部被曝については、ホール・ボディー・カウンター検査で先ほどのような結果が出ております。

 そうしてトータルで考えますと、現時点では健康に影響が及ぶ数値ではないということでありましょうし、また、あわせてWHOが、本年の二月末に健康リスク評価専門家会議報告書というのを出しております。この中では、健康への影響、とりわけ発がんの影響についても評価をしております。これはどちらかというと高目に高目に評価されたものだと言われておりますけれども、それにしても、この中では、被曝線量が最も高かった地域においても被曝による健康影響が検出される可能性は低いというような報告がなされていると承知しております。

 そうしたことでございますので、やはり、将来の健康について大きな不安を抱いておられるのも事実ですけれども、こうした現状というものを正しく知っていただくことも重要だろうということで、環境省が事務局となりまして、昨年五月には、関係省庁等から構成されます原子力被災者等の健康不安対策会議というのを設置いたしまして、ここでアクションプランを作成しております。

 このほか、このアクションプランにのっとる形で、統一的な基礎資料の作成、つまり、正しい知識を住民の方によくわかっていただく、被災されている方にわかっていただくための統一的な基礎資料、それから、保健師や、学校あるいは保育所のようなところで実際に御指導に当たっていただく、御説明に当たっていただく方など、保健、医療、福祉その他の関係者への研修なども進めているところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、こうしたアクションプランや、これまでのアクションプランに沿ったリスクコミュニケーションの活動を充実させてまいりたいと考えております。

赤枝委員 完璧な御答弁をありがとうございました。

 次に、甲状腺の超音波検査についてお尋ねします。

 事故当時十八歳以下の子供さん全員について、今年度末ですから、来年の三月三十一日までに全員に一回目の検査を実施する計画と聞いていますが、この計画の進捗状況というのは今どうなっているんでしょうか。

 二十三年に実施された子供さんの例ですと、精密検査によって、三万八千人の中の三名ががんというふうに診断をされているわけですね。それで、七名がその疑いということで判明したというふうに聞いております。

 この数字を聞くと、私は何か高いんじゃないかと思うんですが、我が国の人口動態統計とか地域がん登録の結果とか過去のチェルノブイリの事例に照らして見ると、これは高いんでしょうか。もし高いとしますと、どういう理由が考えられますか。これは、政務官から医師としての感想をぜひお聞かせを願いたいと思います。

秋野大臣政務官 先生が今御指摘いただきました甲状腺検査ですけれども、平成二十五年度までに一巡をするということで、今、十五万人の方、約半数の方が検査を終えているということであります。

 今先生がおっしゃってくださった三万八千人の方は、平成二十三年度に甲状腺検査を受けていただいた。その中で、三名の方が甲状腺がん、七名の方が甲状腺がんの疑いが強いという結論となっているところであります。

 これについては、「県民健康管理調査」検討委員会の先生方の見解によりますと、これまで行った調査によると、原発周辺の地域の子供たちの甲状腺被曝の総量は総じて少ないということ、それから、平成二十三年度、事故後まだ間もない時期の結論であるということから、原発事故によるものとは考えていないということでありますが、今先生が言われた、一般的に、この自然発生率といいましょうか、十万人当たり一人ぐらいと言われているようでありますが、それと比べると非常に高いということにはなっているかと思います。

 しかしながら、その理由としては、今回のように、精度の極めて高い検査を、それも熟練した先生方に、そして無症状の子供を対象として実施をした例がないということ、そういったことが挙げられているかと思います。そしてそれは、早期の小さながんがこれまで知られている発生率以上の割合で確認された可能性もあるのではないかと思っています。

 そういった意味では、今後も、国としても、調査の実施状況それから結果についても注視をしてまいりたいと考えています。

赤枝委員 次に、健康に対するこの漠然とした不安を背景に、子供に対しても血液検査を実施すべきだという意見があるわけですが、子供の採血なんというのは、大体我々医師はわかるわけですけれども、血管が細いしとりにくい。しかも、子供は注射に対して特に怖がるわけですよね。

 その子供たちに対して血液検査を実施する意味といいますか、そこまでしてと思うわけですけれども、低レベルの被曝でも、検査をすることによって、結局、放射線との関係でどんな異常がどの程度発見されるものだろうかというところがちょっと私自身疑問に思っていますので、政務官の方からでも、御感想なりお聞かせ願えればと思います。

秋野大臣政務官 どういった方を対象にどういう検査を行うかということは、やはり、医学の専門家の先生方の御意見を十分に尊重することが大切ということで、福島県民健康管理調査の実施に当たっても、あるいは他県での判断についても、そういう専門家の意向を尊重しながら行政としての判断が行われているものだと思っています。

 そういった意味では、福島におきましては、学校健診などこれまで行われてきた健康調査に加えて、事故時に避難区域に住んでいた子供たちに対する血液検査は行うという整理をしている。

 甲状腺検査については、エコーで、超音波で一次検査を行いまして、二次検査が必要とされた場合に血液検査を含む精密検査を行うということを、専門家の御判断として行っていると承知をしております。

 そういった意味では先生御指摘のとおりだと思います。できる限り子供に負担をかけることなく、本当に必要な検査がなされるよう、今後も最新の医学の専門家の意見を尊重しながら、健康管理に取り組んでまいりたいと思います。

赤枝委員 ありがとうございました。

 次に、厚労省にちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 今般の事故を受けて、妊婦さんや子供さんたちを中心にした健診とか調査を体系的に行って健康管理を進めているということは私は十分理解をしているわけですが、これによって、被災された住民はもとより、国民全体の安心感にもこれはつながっていることだと期待をしております。

 しかし、科学的には、一定の期間を経過した上で、本当に疾病や障害が放射線によって起こっているのかどうか、やはりこういうことを明らかにすることが重要で、具体的には、人口動態統計のデータとか、また放射線に関しては、特にがん登録制度というのがあるわけですから、このがん登録制度の充実と、データをしっかり活用して分析してこれを使う。それは、被災地におけるがん登録制度やこういう人口動態統計などのデータというのは、どのように今は取り組まれているんでしょうか。

矢島政府参考人 がん登録の件でございますが、がんの罹患状況ですとか生存状況等につきましては、各都道府県が実施をいたします地域がん登録により把握をされております。がん対策やがんの予防等の研究に活用されているところでございます。

 御指摘のとおり、がん登録を継続的に全国で実施し、地域別、それからがんの種別にがんの罹患状況等を把握していくということは、大変重要なことであるというふうに認識をしております。

 がん登録につきましては、現在、議員立法の動きもありますので、厚生労働省としては、こうした動きも見据えつつ、がん登録実務者に対します研修の実施ですとか医療機関を支援するということなどによりまして、継続をしてがんに関するデータを収集する体制を充実していきたいというふうに考えております。

赤枝委員 これまで質問してきた健診とか調査も大切ですけれども、実際には、地域の復興や、さらには帰還を考えるときに、医療体制の一層の充実が欠かせないというふうに考えております。

 そのために、その実施主体である県とか、今もお話に出ましたが、医療機関、医療関係者への支援、それとやはり国との相互の連携、これを十分にとることが重要だろうというふうに指摘をして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

吉野委員長 次に、穴見陽一君。

穴見委員 どうぞよろしくお願いいたします。私は、自由民主党の新人議員、穴見陽一でございます。

 環境委員会においては初めての質問に立たせていただきます。吉野委員長また理事の皆様にも、このような機会を賜りましたことをまず御礼を申し上げまして、石原大臣を初め、秋野政務官、大変公務御多端の中、お運びいただいて本当にありがとうございます。

 それではきょうは、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 先ほど江田委員から御指摘もありましたし、その御質問の中で大臣からもこの改正についての意義についてお答えをいただいたところでございますけれども、私としては、もう一度、政府のアスベストの健康被害についての認識について問わせていただきたいと思っております。

 アスベストは、安価で加工しやすくて、屋根や壁のスレート材、また鉄鋼への吹きつけ、配管の保温材等々で活用されまして、一九五〇年代から約五十年間で、何と一千万トンも日本国内で消費をされてきた。そして、昭和五十年にようやく規制が開始されまして、二〇〇四年に製造、販売が禁止されたわけでございますが、この間に、鉄骨や鉄筋コンクリート建物だけで、二百八十万棟にも及ぶ建物に使用されているというふうに聞いております。

 そしてまた、一旦吸い込んだアスベストは一生排出されないということで、中皮腫の原因の大半がこのアスベストではないかと言われている。そして、ここ数年、毎年千人を超える中皮腫の死者がいることの非常に大きな原因ではないかとも言われているわけであります。潜伏期間が非常に長くて、発覚するまで、この因果関係が表になるまで随分な時間がたったわけでありますけれども、だからこそ、今後また、このような肺がんもしくは中皮腫による死者が増加していくのではないかというおそれがございます。

 二〇〇〇年から四十年間でアスベスト関連死者が十万人にも上るのではないかという説を述べる方もいらっしゃるようでございますけれども、政府としてのこのアスベストの健康被害についての認識をお尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今、議員の御質問の中にもありましたように、石綿は、一度吸い込まれて肺の中に入りますと、長い潜伏期間を経て、中皮腫などの健康被害を引き起こすとされております。また、中皮腫以外にも、肺がんの一部、それから石綿肺と呼ばれるじん肺の一種、そして、ちょっと専門的な用語ですけれども、びまん性胸膜肥厚とか胸膜プラークなどの被害が知られております。

 このうち、今、先生の御質問の中にもありましたが、中皮腫につきましては、そのほとんどが石綿が恐らく原因であろうと考えられまして、非常に予後が悪い、つまり、生き死ににかかわるといいますか、死亡率が高い。そして、年間の死亡者数で見ますと、平成二十三年で千二百五十八人と、毎年千二百人程度がお亡くなりになっております。

 これ以外の、例えば肺がんとかそうした疾患については、その原因となる物質が人口動態統計上明確にされておりませんので私ども把握はしておりませんけれども、肺がんの中の一定の割合、そして石綿肺ももちろんそうですし、十万人かどうかはちょっと私どもで把握のしようがございませんけれども、かなり、一定の数の患者さんがいらっしゃるだろうと思います。

 また、今の御質問の中にもありましたように、石綿の輸入量や使用の禁止の時期、それから潜伏期間等々を考えますと、今後の推移というものについてもまた慎重に見守っていかないと、これで終わったということではないだろうということで、引き続き、対策や、それからモニタリングしていかなければならないと考えております。

穴見委員 ありがとうございます。

 先ほど、大臣からは今回の改正についての意義についてはお聞かせいただいたんですけれども、これだけ潜伏期間が長いということで、因果関係がはっきりするまでに随分時間がかかったと思います。

 そういう意味では、今回の改正等にもつながってきた、さまざまなきっかけとなった事情について大臣からお聞かせいただければと思っております。

石原国務大臣 ただいま穴見委員が、健康被害の方からこの問題についての現状認識を問いただされておりましたけれども、これだけの健康被害が報告されていながら、近年、建築現場の解体等々でアスベストが飛散する事例というものがいろいろなところに報告されているわけであります。

 一つの例を出しますと、東日本大震災の被災地においても、環境省が独自にちょっと調査をしたのでございますけれども、解体現場の七地点において、作業所内で石綿が飛散していた事例というものが実は確認されたところでもございます。

 このため、都道府県や政令指定都市からも、これはやはりこんなに多いのかということで、規制強化を望む声というものも多く寄せられております。

 さらに、これはもう既に御答弁させていただきましたけれども、委員の先ほどの経緯の説明の中にあったとおり、かなり多くの量が集中して一時期に塗布され、そして、それが耐用年数を迎える時期が平成四十年ごろがピークになるのではないかということは、全国的にこのようなことが増加する。

 このため、やはり石綿の飛散防止対策のさらなる強化を図るために、今般、この大防法の改正案を提出させていただいた、こういう流れでございます。

穴見委員 大臣、ありがとうございます。

 アスベストは、今も工事が行われ続けているわけですけれども、吹きつけアスベストと言われるものだけではなくて、本当に種々多様な建材に、また多様な形で使われております。これは、相当な専門性を持った方が現場で見つけていかなければ、古い建物では、もはや図面も仕様書も残っていないという中で発見していくのは大変困難であります。解体業者といえども、専門的な知見のない方が現場に行って、これはアスベストが使用されている、使用されていないというような判断をするのは、実は非常に困難ではないかなというふうに感じております。

 このアスベストの存在をちゃんと識別ができる専門職またはそのような資格というものがございましたら教えていただきたいんですけれども、よろしくお願いいたします。

小林政府参考人 御指摘ございましたように、アスベストにしっかり対応していくために、いろいろ専門性あるいは経験を要する部分がございます。

 そういう中ではございますが、現時点におきまして、民間団体の認定制度があるということは承知をしておりますが、国が機関をあるいは人を認定するというふうな制度は、他省も含めて承知しておりません。まだないというふうに認識をしております。

 これにつきましては、中央環境審議会で今回の制度改正につきましていろいろ審議をいただいた中におきましても、要所要所で、例えば登録制度を設ける、あるいは人材の育成制度を設けるというふうなことを通じて、専門性のある人材を育成するように検討していくべきである、こういう提言もいただいているところでございます。

 こういうことを受けまして今回法改正もお願いをしているわけでございますが、そういった登録制度の具体化、あるいは、適正な調査ですとか対応ができますような人材の育成ということにつきましても、この制度の改正、またその運用も踏まえながら、しっかり検討していきたいと考えているところでございます。

穴見委員 ありがとうございます。

 ぜひ、公的な資格ということも視野に入れて進めていただければというふうに思っております。

 また、今回、法改正の内容で、都道府県また政令市の立入検査対象を届け出のない建物まで拡大してということでございます。大変前向きなことだと思いますけれども、ただ、そのときに私も心配しておりますのが、専門性というのが都道府県、政令市に今は備わっているのかということについてお尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 都道府県あるいは大きな市におきまして、従来から、石綿が使用されている建築物の解体などの現場におきまして、立入検査をしたり事業者の指導をしたりということをやってきていただいております。

 各都道府県、市、大小によっても違いますが、環境あるいはそれに類するような科学的な知見を専門とする職員もおりますし、経験を積んできておりますので、それなりの専門性あるいは経験というものは持っているというように考えているところでございます。

 しかしながら、人材育成をしっかりサポートしていくというのも国の重要な仕事であると考えているところでございまして、今後さらに、こういった立入検査の際のマニュアルの整備、あるいは技術講習会の開催、こういうことを通じまして、都道府県が効率的にまた効果的に立入検査を行い、また指導が行われる、こういう体制の整備はぜひ進めていきたいと考えているところでございます。

 また、こういうものを支える枠組みとしまして、例えば関連の省庁との連携体制をしっかりとって、自治体レベルでも横の連携ができるようにとか、こういうようなことも含めて支援をしていきたいと考えているところでございます。

穴見委員 ありがとうございます。ぜひそのように指導を強化していただきたいと思っております。

 それと、少し話が細かいことになりますけれども、中央環境審議会の中間報告を読ませていただきますと、作業中の大気濃度の測定をすべきではないかという指摘がなされております。これについてはどのように対応されようとお考えなのか、お聞かせください。

小林政府参考人 御指摘がございましたように、中央環境審議会の中間答申におきまして、これは、今、作業基準というものを設けました。きちっとした対応をしていただこう、こういう規制をかけているわけでございますが、しかしながら、予期せぬ箇所から石綿の飛散が確認された、こういう事例もございます。必ずしも意図しなくても、あるいは気づかないうちに石綿が飛散している、こういうことも起こり得るわけでございまして、こういうものを施工業者が確認をするために、作業の期間中に大気濃度の測定を行う、こういうことはぜひ必要なのでやるべしというような答申をいただいているところであります。

 ただ、一方で、今こういうやり方の規制をかけているわけでございますが、この解体作業というのは、大分限られた期間でいろいろな多様な作業が行われる、こういう特殊性がございます。一方で、大気濃度の測定にはかなり時間を要する、こういう指摘がございまして、そういう意味で、規制の本体そのものは、今の作業基準を設けてこれをやる、こういうことを維持しながら、そこに濃度の測定、こういうものを組み合わせていく、こういう方向が指摘されておりますので、これをしっかり専門家とも相談しながらやってまいりたいと考えております。

穴見委員 ありがとうございます。

 最大の健康被害者は現場作業者の方だと思いますので、やはり、良好な状態で、被害を受けない形での現場作業が遂行されるような作業の仕組み、規制等をぜひ構築していただきたいと思っております。

 それと、これは環境省が国土交通省などのデータをもとに行った推計でということですが、これからアスベスト除去ビジネスの市場規模が、何と年間一千六百四十億円にも拡大してくるのではないかというようなことが言われております。

 そういう中で、これからますます専門家もしくは専門業者の育成を行っていく、それがまた都道府県や政令市の立入検査等にも、こういう民間業者の協力を得るというような形で、届け出のないもので危険な作業が行われないようなことを規制していく面でより大きな役割を果たすと思われますけれども、専門家また専門業者の育成や、また立入検査への活用についてどのようにお考えか、ぜひ秋野政務官にお聞きしたいと思います。

秋野大臣政務官 先生が一貫して御指摘をしてくださっています専門家の育成というのは非常に重要な観点だと思っておりまして、先ほどから答弁をさせていただいておりますけれども、都道府県などが立入検査を効率的に実施できる環境を整備するために、これまで国としても、座学などを使いながら、研修をずっと行ってきたところであります。

 これも先ほど答弁しましたが、今後、立入検査マニュアルの整備、実務的な技術者講習会を通してさらなる人材育成への支援を図ってまいりたいと思っています。

 そして、建築物の石綿の使用状況の調査機関に関する登録制度の具体化、優良事業者とかをしっかり認定していくような制度、そういうイメージかと思いますが、こういったことも御提言をいただいているところでありまして、石綿濃度を測定する組織や専門家等の育成のあり方について、今後、専門家を入れて検討していくような形になっておりますので、こういったことを具体化していくことが、都道府県等における人材活用の可能性を広げることにも資すると感じますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

穴見委員 ありがとうございます。

 ぜひ、専門家、専門業者、また優良な業者を育成していただいて、しっかりと、環境への影響、並びに、働いていらっしゃる方はそういう専門知識のない方々が解体作業等を行われることもあろうと思いますので、やはりそういう方々の健康を守っていくためにも、また、これから平成四十年をピークに、現在年間五万棟、そしてそれが倍の年間十万棟、建物が解体されたりまたは改装されたりというような件数になってくるというふうに聞いておりますので、将来の健康被害を防止するためにも、ぜひそういうことを進めていただきたいなと思っております。

 また、同時に少し気になった点がございまして、実は、この届け出制度であるとか説明義務等、これからこの法案によって課せられていったときのこれに違反した場合の刑罰、これが諸外国の事例と比べると軽いのではないかという指摘がなされているようでありますけれども、これについてお聞かせをいただきたいと思います。

小林政府参考人 刑罰、罰則が、制度をしっかり運用していくためにどうあるべきか、こういうことも、実は審議会の中でも議論がございました。外国の制度と日本の制度を比べるのが、全体の体系の問題もございましてなかなか難しい面がございます。

 幾つかの事例を調べてまいりますと、例えば米国などですと、罰金は、州によって余り高くないところからかなり高いところまでまちまちのところがあり、余り懲役刑などはかけていないようでございます。一方でEU諸国などは、これも国によってちょっとずつ違いますが、懲役も含めて罰則をかけている、そこの金額もまちまちということで、一概に日本が一方的に軽いということもございませんが、より厳しい刑罰を持っているところもあるということで、審議会でも議論をしたところでございます。

 そういう中におきまして、今回は、先ほど大臣からも御答弁がございましたが、届け出の義務者自体を、従来は施工業者でありましたものを発注者ということで切りかえていくということで、大変幅広い方々が対象になってまいります。そんなこともありましたり、また、事前の調査も義務づけるということで、大きく充実をしていくということがございます。

 そういう中で、こういった施行状況もよく見ながら、どのぐらいその実効が上がっていくかということを検討し、そういう中でまた引き続き罰則のあり方についても検討していくべきではないかというような提言をいただいているところでございます。

 この辺は、よくよく諸外国の状況などにも目を光らせながらしっかり対応していきたいと考えているところでございます。

穴見委員 ありがとうございます。

 ぜひ慎重な検討をしていただいて、今回の事案というのは、私も地元の大手の解体業者の社長さんなんかに実態も聞かせていただいたりしたんですけれども、そうしますと、解体工事というのは、最初、解体業者の見積もり担当、社長に近い方が現場に行かれて、アスベストの問題もそうですけれども、その解体にどれぐらいの経費がかかるか、また、古物として売却できる資産がどれぐらい入っているかとか、いろいろなことを見積もった上で見積書を提出して、そこでコンペが行われるということですから、実は、最初の見積もりをする段階での解体業者自体の専門性というか知見が高くないと、今の段階では、そこで見過ごされてアスベスト処理費が計上されないということになると、実際はアスベストが存在していても、そのまま何の対策もされないまま工事が行われるという実態も、実際は潜在的にたくさんあるのではないかというふうに思われます。

 そういう意味では、これから都道府県また政令市の立ち入り権限の範囲が拡大いたしますし、ぜひ知見を高めていただいて、それと同時に、違反した場合、意図的ではないにせよ、もしそれを見逃して届け出をしなかったことによって周辺環境または労務者に対するアスベスト健康被害が起こったときの会社側が受けるリスクの大きさということをしっかりと解体業者の皆さんにも認識をしていただいて、そして、本当にアスベスト被害がこれ以上拡大しないという実効が上がるような法律の整備と、そして諸制度の充実を図っていただきたいということを最後にお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原でございます。

 二つの法案がかかっておりますけれども、私は大気汚染防止法を中心に質問させていただきたいと思います。大気汚染防止法、非常に大事ですし、非常に重要な役割を演じてきたんじゃないかと思います。

 二、三週間前の新聞を見ていましたら、皆さんはお気づきになったかどうか、全紙には書いていなかったんですけれども、東京から富士山がどの程度見えるかというのを、吉祥寺の成蹊学園の先生が指導して、何十年とずっと続けてきているんだそうです。大臣の選挙区にも、富士見ケ丘でしたっけ、井の頭線の駅の名前、富士見町とか、長野県にもあります。そこらじゅうにあるかと思います。どれだけ見えるかというのを、きょうのはアスベスト、石綿の問題ですけれども、中国が今は大気汚染がひどくて、PM二・五もありますけれども、煙のようだ、先が見えないと日本も笑っていますけれども、ついきのうの日本の姿だったわけです。

 その新聞記事によりますと、相当改善してきていると。去年一年間で百二十六日、富士山が見えたんだそうです。一番ひどいときは一九六五年、たった二十二日しか富士山が見えなかった。大気汚染防止法ができたのは一九六八年、うんとひどいときにできているんです。公害関係の基本法もこのころ。このころ、日本の公害真っただ中だったんですよね。いっぱい努力をしてきた成果だと思います。多分、川もきれいになってきているんです。やはり、やればできると。

 そして、これは最近また、規制緩和、規制緩和と言っています。ですけれども、環境なんていうのは、規制しなかったら守れないんです。やたら規制緩和と言う人たちは、こういう規制もよくないんだということをすぐ言い出すんです。大臣、これには絶対体を張って、違うんだ、環境規制というのは規制していかなくてはだめなんだと。すぐ早くいっぱい建物をどんどんつくって、解体なんていうのは一日で終わらせて早く新しいのをどんどん建てた方がいいんだという感じのことを言う人がいるんですよ。やはり、健康には何倍も注意していかなくちゃならないんじゃないかと思います。

 非常に改善してきているんです、明らかに。二十二日だったのが百二十六日です。

 それで、日本人はいつも見ているから気がついていないんですけれども、江戸から明治の初期にかけて日本に来た人たちはいっぱい日記を残しているわけです。この人たちは、富士山が余りにもきれいなので、きょうも見えた、おとといも見えたと日記をつけているんです。明治時代の初期のころもやはり百日ちょっとだそうです。ですから、今は明治時代と同じきれいさになっておる。

 ただ、もうちょっと問題がありまして、ヒートアイランド現象です。乾燥して水蒸気が少なくなったのでよく見えるようになったというのもあるんです。これはこれでまた問題なんです、湿度とかいうのは我々には見えませんから。だから、こういうことをやはり相当気にしていかなくちゃいけないんじゃないかと私は思っております。

 それで、私の前の質問者の皆さんも触れておられましたけれども、こういうものについての認識というのは、先進国でも各国によって違うんです。

 例えば、私がやってきています食の安全の分野でも、日本人は、遺伝子組み換えとかBSEとかを物すごく気にするんです。アメリカ人は、遺伝子組み換えなんというのは、簡単に言うとあっけらかんのかんです。ああいうものは科学技術の進歩で、いい品種ができていいんだからいいんじゃないかと。我々は薄気味悪い。東洋の人たちは結構そういう人たちが多いんですね。安全性に対しても跛行性があるんです。

 アスベスト、石綿がいつごろからこれはおかしいとわかり出したのかというのを私ちょっと調べてみたら、意外と早いんですね。一九三八年でドイツでもうわかっていたんです、新聞に公表されて。ドイツは何でも早いんです。

 これは大臣も見習っていただきたいんですが、原発廃止です。日本は再稼働なんてぼけたことを言っていますよね、委員長。そういうのはやっちゃいけないんです。

 それで、すぐ換気施設を導入したり労働者への補償を始めたんです。ところが、第二次世界大戦でパアになっているんです。それで戦後、世界で研究が進んで、一九六四年に、今問題になっている、大気中のアスベストが人体に有害だということがもう完全にわかってきて、アメリカでは一九七三年ごろから大問題になって、あちらは訴訟社会ですから、石綿をつくっている一番でっかい会社は五万件の訴訟、推計ですけれども二十億ドル、それは払えなかったので倒産しましたけれども、二十億ドルの補償金を払わなくちゃいけないということで、厳しい規制が行われた。一九八〇年代中ごろです。

 やはり日本は、この点については遅かったんです。まだ高度経済成長とかしなくちゃいけないというのもあったんですが、やはり遅かったんじゃないかと私は思うんです。

 この点については、改善はされてきているんですが、遅い。今回の改正はいいんですよ。いいんですけれども、どうもアスベストについてはちょっと立ちおくれているような気がするんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

小林政府参考人 今、先生から、アスベストをめぐります歴史的な経緯あるいは科学的な知見のお話がございました。

 論文レベルで早い段階から、一九三〇年代というお話は今先生から伺ったところでございますが、例えば、ILOですとかWHO、特にこれは労働環境での問題がまず先に起きまして、それからだんだん一般環境の問題になってまいりました。そういう意味ではILOなども当初から目をつけておりましたが、そのレベルで発がん性が認められたというのは、一九七二年というように言われております。各国がそれぞれに対応を始めている、そういうことがございます。

 一般環境の方で申しますと、環境省、当時はまだ環境庁でございましたが、一般環境でどうであるか、労働環境の方は厚生労働省、当時の厚生省あるいは労働省が対応し、一般環境はどうかということは、毒性についてはわかってまいりましたので、どのぐらいの濃度にあるかというようなことを一九八〇年代の当初からいろいろなモニタリング調査をやりました。一般的な外部では余り高い濃度にはなっていないということで、この有毒のものをどうするかということを気にしながら、規制の発動というところにはもう少し検討が要るかということで、調査を継続したい、こういうような経過がございました。

 そういう中で、一九八九年、平成元年に、大気汚染防止法に基づきまして、まず、こういう石綿製品の製造工場についての規制をかけたというのが一般環境の方の対策の始まりでございまして、それから解体現場などの規制に入ってきた、こんな経過でございます。

篠原委員 今聞きますと、一番最初に手をつけて禁止し出したのは一九八九年ということで、やはり遅いんですよね。こういうのは速やかにやって、それで、こんなに規制し過ぎたと言って後から怒られて、まあいいよというのでもいいんだと思うんです。おくれるのは絶対よくないと思うんです。環境省は、こんなに厳しくしなくたっていいんじゃないかと常に言われるぐらいのことをやっていい役所だと私は思います。それをぜひ認識しておいていただきたいと思います。

 それで、これは現場の社会になると僕はわからないんですけれども、建築リサイクル法というのは届け出主体はもともと発注者だったのに、この大気汚染防止法は、施工者というか、受注者だったのに発注者に変わるという。これはいろいろな不手際があったからだと思いますけれども、受注者が届け出をしろと言っていたときは、どういう不始末というか、どういう不適切な事例があったんでしょうか。それが今度発注者にするということでどう改善されていくのか。僕はよくわからないんですけれども、これを教えていただけたらと思います。

小林政府参考人 今御指摘ございましたように、現時点で比べてみますと、建築リサイクル法の方は発注者が届け出責任者になっておりまして、大気汚染防止法の方は施工事業者がなっているというのでずれておりますが、解体事業につきまして規制をかけましたのは平成八年の法改正でございますので、時点としては大気汚染防止法の方が先であると思いますが、確かにそこは一致していないというところがございます。

 もともと公害法の体系は工場みたいなものが中心でございましたので、特に事業者自体にかけるというのが大きな原則でもありましたので、解体工事についてもそういうことになっていたのかなということでございます。

 それで、そういうことも含めましてですが、今御指摘ありました不適切な事例という意味でいきますと、今回また出てまいります事前調査が必ずしも法的な明確な義務になっていなかったということもございますが、そういう意味で、きちんと調べずに、大丈夫だろうというので届け出が出てこないとか、あるいは、これは後になって判明したことでございますが、石綿があるということを知りながら無届けで解体工事をしてしまった。これがいろいろな経緯からわかってきた。こんなものもある。そういう意味で、施工業者が不適切な工事を行ったものがある、こういうことでございます。

 それで、実は今回、中央環境審議会の特に専門委員会でいろいろな関係者からヒアリングも行って、どこに問題があり、どうすればしっかりした対応ができるか、こういうことを議論いたします中で、施工業者がしっかりやってもらわなきゃいけない、あるいは先ほどの御指摘もございましたが、優良な業者を育てなきゃいけない、こういうところから議論が始まったわけでございます。

 そういう中で、やはり事業者だけでは、発注主が強い力を持っておりますので、ここが十分なお金をなかなか出してくれないとか、先ほど大臣からも御答弁ありましたが、早く仕上げてくれ、こういうことになりますとなかなか抵抗しがたいという事情がある。そういう意味で、発注者も責任なり役割というものをもう少し重くしていかないとしっかりした対応ができないのではないか、こういう指摘がございました。

 それから、またこれもヒアリングの中で出てまいりましたのですが、むしろ施工業者の方も、いや、自分のところは安くやれますよとか短くやれますよと言って、自分がかぶればいいやというような形で事が進むというケースもある、そんな議論がございました。

 そういう中で、届け出義務者を変えるということですけれども、結構大きな改正になるわけでございますが、発注者が届け出をしなければいけないということになりますと、自分の責任というのを明確に認識することになります。

 また、やはり施工業者は、発注者を法令違反あるいは行政の指摘を受けるようなそういう状況に追いやるようなことというのはなかなかしがたいものであるということで、発注者が届け出の責任を持ち、それから施工業者がしっかり作業の準則を守っていく、こういう両方が持ち合うような形になるといい体制ができてしっかりした対応につながるのではないか、こんな指摘をいただきましたものですから、今回の改正を御提案申し上げた、こういうことでございます。

篠原委員 関係者からさんざんヒアリングをして、中間段階の地方自治体のヒアリングもされて、審議会でさんざん議論していただいて、その上での結論ですからうまくいくんだろうと思いますけれども、どっちもどっちのような気がするので、ここは、両方というのはないんですけれども、私は、受注者、施工者もきちんと義務を負うようにしておいた方がいいんじゃないかな、解放されるみたいな感じになってはいけないんじゃないかなという懸念を持ったんです。

 だから、もしこれからインチキが行われるようになったら、冒頭申し上げましたが、これは厳しくやるということに徹してください。多分、手抜きが相当行われるんじゃないかと思います。責任の明確化、今まで発注者は、解体業者に任せたんだからいいや、俺は知らないというのがなくなるというのはわかるんですけれども。

 後で出てきますけれども、調査があるからいいんですが、一体私の家にアスベストがあるかわからないんですよ。解体業者は、あっちの家も解体している、こっちも解体しているからわかる。彼らの方が知識はずっと豊富なので、何でそれにもうちょっと義務をつけ加えないのかなと思う。改善されているのはわかります。

 事前の調査というのを、今までちゃんとしなくてもよかったのに義務づけるようになったんです。今までは、調査が前提になっていて義務づけられていなかった。そうすると、これは相当不都合があったような気がするんですが、これまた後々のためになるんですか。どんな不都合で、どんなごまかしが行われたんでしょうか、その事前調査についてです。

小林政府参考人 全般にわたっての御指摘、ありがとうございます。

 今御指摘ありました事前調査、発注者と施工業者それぞれがしっかり責任を持つべしという先生の御指摘は、まことにごもっともなことだと思っております。

 そういう意味で、届け出は発注者がいたしますが、解体工事自体は作業の準則に従ってやる、これに違反すればこれも法律違反になりますので、これは責任を持って解体業者がやることになります。

 そのときに、一体アスベストがどのぐらい、どういうように使われているかということがわかりませんと作業ができないわけでありますので、これは、当然、アスベストが使われていれば規制を守ってやってくださいよ、こうなっておりますので、データが残っていればそれを見てやる、なければしっかり調査をしてやるというものであるということでありましたが、御指摘ありましたように、明確に事前調査という形でそれをやる、それをどこかに届ける、こういう仕組みが法律上の義務になっていなかったということでございます。

 そういう意味で、さっきはちょっと非常に意図的に問題な事例も申しましたが、必ずしもそうでなくても、アスベストがどの程度どこに使用されているのかということを十分認識せずに解体工事を行って、後で、あるいは何か問題を感じて自治体が立ち入ってみたら問題があった、そういう事例があったという例が確認をされております。

 そういう意味で、健康被害が生じるものをしっかり対応していくということでございますので、万全を期してやるという意味では、事前調査を義務づけて、これがしっかり発注者にも伝わる、それから、それを見て地方自治体もチェックができる、こういう体制をつくりたいというふうにしたということでございます。

篠原委員 実態がなかなか頭の中にちゃんと浮かんでこないのでわからないんですが、多分今までは、施工者、受注者はろくに調査もせずに、やっている間に、ああ、こんなところにアスベストがあったか、しようがない、それで済ませていたんだろうと思いますよ、多分。それはよくないということで事前調査をちゃんとするということになったので、これもいい改正だろうと思います。

 しかし、僕はこれを見ていると、本当に日本の法律というのは性善説になっているんですね。アメリカなんていうのは厳しい国ですから、規則、罰金、規則、罰金で物すごいですよ。徹底しています。人間は悪いことをするものだ、インチキするものだという大前提に立っている。日本は、いや、これでやるとみんなやってくれるんだなというふうになっているんだろうと思いますけれども、なかなかこれはうまくいかないんじゃないか。

 発注者が責任を持つと言う。では、発注者も受注者も一緒に、こんなのは早く簡単にさっさとやっちゃった方がいいな、さっとやろうと言ってささやかな談合をしてしらばっくれようと思ったら、簡単にこんなことは、私の親しい解体業者に頼んで、もう安くやってくれ、早くやりたいんだ、もちろんわかったわかった。アスベストを使っているんだけれどもというのは、僕はわからない、あちらはわかっている。そうするとささっとやってしまう。

 だから、これは全部やるとなるとまたお金がかかりますけれども、よく調査の場合、一千平米以上のでっかい建物とかとありますよ。ある程度でかいものになったりしたら、何階建てになったりしたら飛散するケースも多いですから、ある程度大きなところは第三者機関にちゃんとチェックさせてきちんとやるというようなことが必要なような気がするんですが、私のように、私は本当は優しいんですよ、みんないい人たちばかりだと思っているんですが、世の中には悪い人がいるんです。そういう人たちをちゃんとするために、法律はそういうことも想定してやった方がいいような気がするんですが、審議会とか何かのヒアリングの過程で、第三者機関にやらせるべきだというような意見はなかったんでしょうか。僕は、規模を区切ればそれでできるような気がするんですけれども。

秋野大臣政務官 先生、私どもとしては、どこまでも今回の改正では、発注者に届け出主体を変更することによって、発注者として事前調査をしっかり行うということ、これの必要性がしっかり出てくるということ、そして、受託者は事前調査の結果を発注者にしっかりと書面で説明することを義務とすることによって事前調査はいいかげんなものとならないという整理をさせていただいているわけでありますけれども、先生御指摘のとおり、第三者機関による調査というのは、中央環境審議会の中間答申におきまして、事前調査の信頼性の確保が重要であって、適正な調査を行う機関の登録制度について、改正後の制度の運用状況を踏まえて具体化について検討することが必要という提言をいただきました。

 先ほど、穴見委員の質疑の中でも触れさせていただきましたが、こういった提言を踏まえまして、調査機関に関する登録制度の具体的なあり方について、有識者を交えてこれからしっかりと検討してまいりたいと思います。

篠原委員 調査機関というのが考えられるのは当然でしょうけれども、それも、善意でもって調査機関にちゃんと調査してもらうんだったらそっちに頼んでくださいよというふうになっているんです。義務づけじゃないんです。だから、これはやはり、でかいところは義務づけてやるべきだと僕は思うんです。

 なぜかというと、長野にはそんなにでっかい建物はないですけれども、家を建てるのは、誰が施工業者かと書いてありますよね。誇らしい、一生に一回、あるいは二世代でやっと一つかもしれません。でっかく書いてあります、どういううちを建てるんだというのを。しかし、解体現場にそういうのがきちんと今度は表示されるわけですよね。余り見たことがないな、ここは危険ですよというような。

 だけれども、それは新しく建てるんだったらそんな変なものはないですけれども、これからは石綿が出てくる。出てきて、それを吸い込んだりしたら、潜伏期間が長くて何年か後に病気になるかもしれない。これはやはり国が、都道府県がきちんと乗り出して、きちっとそういう不安から取り除いてやる。目に見えないわけですから、放射能と同じです。こういうのはきちんと我々が、国が責任を持たなければならないと私は思います。

 次に、では、どれだけの規模で、どれだけあるのか。先ほど穴見委員からもいろいろ御指摘がありました。どれだけ使われていて、どれだけ解体されていくか。もう使わなくなったんだから、つくる方はいいんですけれども、今までさんざっぱら使ってしまったもの、これはやはり始末に負えないんですね。始末に負えないけれども、きちんと処理していかなくちゃならない。原発の廃炉と同じなんですね、考え方が。きちんとやっていかなくちゃいけない。いいかげんにやれない。

 一体どのぐらい使われていて、どのぐらい出てくるというのをきちんと正確に把握しておられるんでしょうか。それから考えていけば、これだけ手を加えればいいんだということも出てくるわけです。原発よりかはやりやすいです、もう廃止と決まっているわけです。廃止というか、もうこれ以上ふえることはないんですから。だから、やり方は簡単なんです。その点、どういうふうに計算しておられるんでしょう。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、吹きつけ石綿等の使用が開始されたとされる昭和三十一年、一九五六年から、法令上石綿が全面的に禁止された平成十八年、二〇〇六年までに建築された民間建築物のうち、吹きつけ石綿等の使用がまれであるとされる戸建て住宅、木造の建築物等を除いた建築物の総数約二百八十万棟につきまして、石綿を使われたおそれがあるというふうに考えております。

 ただし、この二百八十万件全てに使われておるというわけではございません。二百八十万件のうち、平成元年までに施工されたおおむね一千平米以上の大規模な民間建築物二十七万棟について、吹きつけ石綿等の使用の有無を実際に調査をいたしました。

 現在までに調査報告があった二十三万棟のうち、露出して石綿の吹きつけがされている建築物は約七%でございました。さらに、平成元年以降は、業界の自主規制もなされたこともありますので、吹きつけ石綿等が使用されている民間建築物の割合はさらに低くなっておると思います。

 ただ、これから、これらの建築物の解体等が起きるというふうに推計をいたします。まず、二百八十万棟のベースでこれからどれぐらいの数が毎年解体されるかということを推計をいたしますと、現在は年間五万棟強が解体をされておりますが、これからふえていきまして、ピークとなる平成四十年前後では、年間十万棟ぐらいが解体をされると推計をしております。ただし、先ほども申し上げましたとおり、実際に石綿が使われておるのは、このうちの七%あるいはそれ未満ではないかというふうに推計をしております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、土屋(品)委員長代理着席〕

篠原委員 今の数字を聞いていますと、第三者機関なり、少なくとも大きな建物については、びしばしきちんと検査しても全く罰は当たらない。

 ちょっとまた例をBSEに限って済みませんけれども、日本は全頭検査をずっとしてきていたんです。それは屠畜場に来てからかもしれませんけれども、こんな丁寧なことをしてきているのは、世界じゅうでは日本だけなんです。

 二十カ月齢以下はBSEにかかっていないとわかっているんです。日本がそれだけ検査したからわかるんです。ほかの国は三十カ月齢以下なんです。二十カ月から三十カ月の間に数頭、BSEにかかっている牛がいたんです。それだけお金をかけて検査している。それで、もともと高い牛肉がもっと高くなっているわけです。安全を求める消費者は、それについて文句を言わないんです。高くたっていいんだ、安全なものが必要なんだと。

 食べ物にはやたら、毎日のことですし、目に見えるからかもしれませんけれども、ちょっと知られていないこういうのについては、中皮腫になった人、これがもとで肺がんになった人、それは工場にいる人たちはすぐわかるわけです。クボタやニチアスにいた人たち、あるいは自動車のブレーキのところ、その作業ばかりしていた、そして粉じんを吸ったという人はわかりますよ。一般に、大気中にあるので吸った人たちはわからないわけです。わからないから国民の声として出てこない。出てこないから、何かなまくらに自主的にやっていればいい。完璧にプロがきちんと検査しているんですよ、BSEについては。

 それを、受注者が自分で事前調査して、書面でもって、発注者、解体する建築主、家を持っている人、建物の所有者に、はい、こうなっていますよ、アスベストが使われていますよと言って、やる。私は、これでみんなうまくチェックされてアスベストの粉じんがふえなくなるとは思えないんですね。思い切って厳しくやって、お金もかけても私はいいんじゃないかと思います。

 それは、先ほど佐藤部長が答えていましたが、千二百人、中皮腫がある。これはもう完全にアスベストだ。肺がんのうち何%が石綿が原因かわからない。因果関係が疫学上わからないわけですよ。相当なっているはずです。

 それを考えたりしたら、たばこについては、私はたばこは吸わないんです、いいことだと思いますが、たばこについてはやたら厳しくしている。それと比較考量したらちょっとなまくらなような気がするんですが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 きっちりした専門機関を養成し認定して、そういうところがしっかりした態勢をとってやるべしという御指摘でございます。

 さっきも申しました。実は審議会からも、かなり議論の結果、登録機関をしっかり整える必要がある、こういう議論がございました。

 一方で、では、今どのぐらいの専門的な対応ができる人間がいるかと。一部にかなり経験を積んでいる業者あるいは専門家が育ってきていることは確認をしておりますが、これから件数もふえていく中でどのぐらいの態勢がとれるかということもしっかり見きわめる必要があるということで、こういう者を育てていくということは答申上でも宿題でございますが、そういった人数の見きわめ、あるいはどうやってそういう人を育てていくのか、さらには、しっかりした調査をやるという意味においては、例えば分析方法などもしっかりしたものを確立していく、そういうような課題がある、こういう指摘がございまして、これから、その実態あるいは制度の運用も見ながら、登録制度の具体化や人材育成について検討せよ、こういう位置づけでございます。

 今、先生御指摘ございましたように、甚大な、健康影響にかかわる課題でございますので、これは速やかに検討していきたいというように考えております。

 また、人材の育成なども、関係省庁とか関係者の協力を得て、ぜひ進めてまいりたいと考えております。

篠原委員 雇用の確保、雇用の確保と言われていますが、雇用の確保というのは、何か物をつくるだけじゃないんです。安全を確保するために人をつぎ込まなくちゃいけないんです。アスベスト診断士、こういう人たちじゃないとできないんだ、こういう人たちにちゃんと検査させるんだということになれば、経費はかかるわけです、経費だけかかったって、何千人あるいは何万人の人たちが肺がんや中皮腫から救われるわけですから、それは惜しんではいけないお金じゃないかと私は思います。

 それから、次はまた問題で、私は本当は優しいんですけれども、罰則ですよ。外国と比べたらそんなに緩ふんじゃないと言われますけれども、この次に出てくる種の保存法、説明を聞いたら、これはすごいんですよね。百万円の罰金から一億円の罰金になっております。絶滅危惧種、人間は山ほどいて絶滅する心配はないから安くていいんだみたいな、そういう嫌みを言いたくなりますよ。絶滅危惧種がなくなって、それは地球生命全体にとって損だから、そういう悪いことをしちゃいけないから、悪いことをしたら一億円の罰金だと。だからこっちも、人間も、人一人の命は地球より重いとダッカ事件のときに福田首相がたしか言われたですよ。ちょっと変な比較ですけれども。

 だからそういうことを考えたら、これで悪いことをするのは懲罰的にがばっと罰金を科してもいいような気がするんですけれども、何で同じ環境省の中の法律で、タイミングが悪いですね。一週間ずれて出てくるときに、片方は緩くて片方は厳しくしている。どうしてこういうことをするのかな、歩調を合わせてくればいいのにと思って指導してあげているんですけれども、どう思いますか。

    〔土屋(品)委員長代理退席、委員長着席〕

小林政府参考人 罰則が適正であるか、もう少し厳しくする必要があるか、こういうこともいろいろな論議はしてきたところでございます。

 大気汚染防止法の対象になっておりますのは、工場の煙突の規制も含めまして、ほとんどみんな健康にかかわる項目でございますので、法律の全体の中でのバランスですとか、あるいは、本件のこの石綿の問題に関しますと、実は、関連が深い制度として建築リサイクル法の中でも、アスベストがあればこれはきちっと処理をする、こういう義務が、さっきから御指摘ございましたように、ございます。

 また、ちょっと局面は違うのでございますが、労働安全衛生法は、作業者の保護という、目的が違うのでございますが、作業としてやらなきゃいけないことはかなり共通した面がございまして、そういうものとの比較の議論もございました。

 そういう面でいきますと、建築リサイクル法とか労働安全衛生法との比較ではむしろ大気汚染防止の方が厳しいというようなことがありまして、全体体系をどう見るかというような議論がございました。

 さっきもちょっと申しましたが、法律の仕組みが、届け出義務者を変えるというようなことを初め、全体が変わるということもございまして、そういったものの今後の実効性があるかどうか、そういうことも見ながらやるべしということで、今後の検討課題になっているというふうに認識をしております。

 確かに、環境の法制度の中でも、特に、罰金を払ってでもやった方がもうかるような実態があるものについては、おっしゃるような相当高いものが出て、こういうものと直ちに比較できるかどうかわかりませんが、健康にかかわるものをしっかりやってもらうというのは、都道府県などと連携して法律をしっかり守っていただくということも含め、また、抑止力となるような罰則ということも重要な課題だと思っておりますので、引き続きぜひ検討させていただきたいと思っております。

篠原委員 今、小林局長のところは抑止力と言って、核の抑止力というのをきのう安全保障委員会でちょっと触れたんですけれども、そっちの方の抑止ばかり好きな人もいますけれども、これも抑止なんですよ。あんた、悪いことしたらこれだけ取るよという萎縮効果、これは絶対必要ですから、よく考えて、この次の課題としてください。今さら附帯決議云々というのは言いませんから、ちゃんと心にとめておいていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、今度は外に対してですけれども、大気濃度の測定は義務づけられていないんですね、難しい、いろいろ基準があるからと。しかし、これもまたよくなくて、これもまた規模が大きいのと小さいのですが、相当大量に使われているのはやはり隣近所に迷惑をかけてはいけないから、ちゃんとはかって、これだけしかないですよというのをやる。

 私は杉並清掃工場の隣なんです。杉並清掃工場の隣に家というかマンションがあるんです。そこの狭いところでこの十年ぐらい生活しているんですけれども、最初から物すごくいろいろ言われたので、大気を汚染する物質がどれだけかというのが細かく出るようになっているんですよ。

 そういうことを考えると、直接の因果関係がわかっている石綿の濃度、これをちゃんと義務づけて、でっかいところは外に張り出せと、大丈夫ですよというのを。そのぐらいしたってこれもまた何のあれもないと思うので、張り出すところに、どのくらいの期間で工事するか、作業方法がこうだと書くんだから。だから、その大きさですよ。大きさでやるというのを、これもちょっとやってもいいような気がするんですよね。

 それは、測定方法もまだきちんとしていない、統一基準がないとか、ないない尽くしじゃだめなので、こういうのは、お金をかけて早く研究してもらってこれでやるんだというふうにやっていく以外にないと思うんですけれども、この点についてはどの程度進捗しているんでしょうか。

小林政府参考人 対策に対して大変前向きな御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 大気濃度の測定につきましても、これも、今回の改正に向けていろいろ議論をしてきた部分でございます。

 それで、先生はよく御承知のこととは思いますが、一応、今の基準自体は作業基準ということで、しっかり封じ込めますとか集じんに気をつける、やり方の規制でやっているわけでございます。

 これを、工場などと同じように、敷地境界での濃度基準に変えるかということもまた改めて議論をいたしましたが、特に解体の作業の場合には、かなり短期間の間に態様が変わりながら推移して終わっていってしまうということ、一方で、今の段階ですと、きちっと本数をはかろうと思いますと、電子顕微鏡で見るというようなことを含めてかなりの時間がかかりますので、これを変えてしまうということは難しいということで、基準の本体は引き続き作業基準を設けるということを維持すべきであろう、こういう結論になりました。

 ただし、おっしゃいますように、濃度をはかるというのは、非常に数値が、これははかり方の問題はあるのでありますが、かなりはっきりしたものが出てまいります。そうすると、自分では封じ込めたつもりでいましても手落ちがあったということが、悪気とかなくても、そういうことが起こり得る可能性がございます。そういうものをチェックするという意味で有効だ、こういうことがございます。

 そこで、実は答申の中でも、作業基準は維持をしながら、むしろその作業基準の中でしっかり濃度も測定する、こういうことも必要だという結論をいただいておりますので、これにつきましては、濃度をはかるということを、省令での作業基準の中でしっかり義務づけたいと思っております。

 そのときに幾つか課題がございまして、今、測定法の問題もございましたが、どの程度濃度にこだわったことをやるのか、そうするとまた、測定法をどうするかという課題がございます。どこでどうはかってどう使うかということも、幾つかの案が出ております。敷地境界ではかって、外に出ていないということが確認できるというのが一番いいわけでございますが、では、そのときは濃度がどのぐらいかという、今度は基準の問題も出てまいります。

 ただ、もう少しある意味でハードルを低くというか取り組みやすい方向で考えていきますと、特に、漏れてくる可能性があるところで何回かはかれば、そこで濃度が上がってくればこれは問題だというようなことがわかるという意味で、いろいろな対応の仕方がございますので、やり方については施行までの間にしっかり検討したいと思いますが、とにかく濃度をしっかりはかってもらう、これは制度の中でしっかりやりたいと思っております。

篠原委員 どうも建築業者とか解体業者のところには優しいような気がしてならないんですね、僕は。

 今のを聞いていると、入り口というのか、規制できちんと外に出すなというふうにやればいいと。きちんとテントを張って、ちりを全部吸い込む機械で外に出すなと。それはあるんですけれども、それはだめなんです。

 漁業の世界で、この網を使っちゃいけない、これ以上小さなものでやると小魚もとるからとやっているけれども、とっちゃうんです。だから、出口で、これ以上とったらだめだぞと。出口規制と入り口規制、両方必要なんです。

 濃度をはからせて濃度が高かったら、出る方を手抜きをやっているということがわかるわけです。どうしてそういうことができないのかなという気が僕はするんですよ。皆さん、よく考えてください。

 国土交通省の審議官が来ていますけれども、びっくら仰天のがあるんです、厳しいもの。

 農家民宿、ヨーロッパにはいっぱいあるんです。日本はなかなかできなかったんです。これが私からしたらとぼけた規制で、食事を出すから、うちの人が食べるのと全く違う台所にしないといけないと言うんです。そんな、何日お客が来るかと。三百万か四百万かかる、そんなことまでしてやるかと。それからもっと傑作なのは、人を泊めるので、火災報知機をこことここにつけなくちゃいけない。火災報知機がなくても、戸をあければ外に出られるので。火災報知機に頭をぶつけてけがをする確率の方が高くなる。そういうことまでしているんですよ。命ということにかかわるからです。

 ところが、こういう公害関係の命についてなんかは本当にルーズで、いいわ、いいわにしているんです。比べるといろいろなところがわかってくるんです、どこかおかしい。誰がやっているんだかわからないようなものについては、ちょろまかしが行われちゃうんですよ。だから、それを厳しくぜひやっていただきたいと思うんです。

 それで、最後に大臣に。

 ずっと聞いていただいていました。私は、やはり大臣にしっかりしていただきたい。同僚の荒井聰議員が、環境大臣にこんな大物が来ていただいたと。環境大臣から総理大臣というコースができたっていいぐらいだと思っているんです。財務大臣から総理という、前のうちの政権の財務大臣なんてそんなに大したことない人がなっていましたしね。いや、当選回数が下だということだけですよ、将来は立派になられるという可能性は秘めておられるんだと思いますけれども。

 だけれども、やはりこれはぴしっとしていただかないと。どうも見ていると、BSEの例はいっぱい出してきました。BSEの肉を食べて新型クロイツフェルト・ヤコブ病になる確率なんというのは、わかりませんけれども、何千万分の一か、下手すると何億分の一なんです。それだってあれだけ金をかけてやっているんです。それを考えたら、こっちの検査にもっとお金をかけたって全くおかしくない。どうしてこういうふうに跛行性があるのかなと思う。

 恐らく、国民の関心が違うというのがあるのかもしれませんけれども、こっちは大半の国民は知らないんです。知らないんだから、国が、責任を持ってあなたたちの生命を守りますよと。

 僕は予算委員会で安倍総理に申し上げたんですが、何も国防軍だけで命を守るんじゃない、食の安全基準、環境基準、これでTPPでアメリカのなまくら基準を受け入れるなんというのは、そんなことをされたら困りますよ、そっちの方が先ですよということを申し上げたんです。

 これについて大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

石原国務大臣 篠原委員の議論を聞いているとどんどんそっちに引っ張られていくので、これは気をつけて答弁しなきゃいけないなと思ったんですが、やはり、石綿が外に飛翔することによって、それを吸引して肺気腫等の、肺がん等々も含めて病気が起こっているわけですから、今度の法律改正によってこの事態を食いとめる、その点で悪いところがあれば、今言ったように、発注側、受注側が性悪であるならば大きな問題でありますし、今度ひとつ、きょう御議論にならなかったんですが、届け出がなくても、地域の通報等々があれば都道府県なり政令指定都市が入れます。私の見てきた現場でも、担当の課長さんに聞いたら、そういう話が結構来ると。ここは解体しているけれどもアスベストは大丈夫ですかと。そうしたらそれは必ず入ると言っているんですね、その専門知識を持った行政の方が。

 そこで、今委員が御指摘されるような事案が多発したら、やはり再改正を行うぐらいな意気込みを持って、ともかくこのアスベストによる健康被害をなくしていく、強い意思を持って進んでいかなければならないというふうに感じました。

篠原委員 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 今、大臣の力強い御答弁があった後に、きょう、今まで審議をやっております大気汚染防止法の一部改正法律案、放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律整備に関する法律案、二法案について、私の方から主として大気汚染防止法についてお尋ねいたしたいと思います。

 まず、余りに基本的なことで皆さん聞かれていないのかなと思いますけれども、そもそもアスベストというものが一体どのような物質と認識すればいいのか、簡単に御説明いただきたいと思います。

小林政府参考人 アスベストについてのお尋ねでございます。

 これは、天然に出てまいります鉱物群のうちで、特に、抗張力と言っております、引っ張りにも強い、それから柔軟性もある、こういう繊維状のものの俗称であるというように認識をしております。

 ですので、この中には幾つかの種類のものがございまして、例えば、蛇紋石系のクリソタイルというようなものもありましたり、あるいはアモサイト、茶石綿と言われるようなものがありましたり、大変健康への影響が大きいということで知られておりますクロシドライトというような、幾つかの種類のものがこの中にはあるというように承知をしております。

 アスベストは大変広く使われたわけでございますが、これはやはり、熱に強い、それから摩擦にも強くて切れにくい、酸やアルカリにも強いという、一言で言えば、大変丈夫で変化しにくいという特性があることから、いろいろなところに使われたわけでございます。

 特に、防火用の耐火壁あるいは天井などの建材には大変多く使われましたし、その他いろいろな製品、あるいは自動車のブレーキライニング、こういった石綿の工業製品にも広く使われた、こういう経緯がございます。

 鉄骨の耐火の被覆、それから天井などの吸音でございますね、防音的な効果がある。それから、結露の防止ということを目的として吹きつけて使う、吹きつけ材というような形態。それから、特に、ダクトなど、配管の保温とか断熱材として使用される、これは巻きつけるような形態でございます。そんなものがございましたり、さらには、屋根材とか外装材とか内装材とか、そういう材料の中に封じ込められるといいますか、一部として使用される。幾つかの形態があるわけでございます。

 健康影響については環境保健部長から御答弁したとおりでございますが、この暴露によりまして中皮腫とか肺がんなどの疾病を引き起こすということで、順次禁止されてきた、こういうものでございます。

河野(正)委員 大変丁寧に詳しくお教えいただきまして、ありがとうございます。

 そのように、鉱物であって、耐久性、耐熱性、耐薬品性、そして電気絶縁性などの特性に非常にすぐれ、また安価であったということから、我が国におきましては、奇跡の鉱物などと珍重されて、建築資材、電気製品、自動車、家庭用品、さまざまなところで広く用いられているものだということだと思います。

 次に、アスベストは危険であるのかどうかということで、今中皮腫ということが出てきましたけれども、そういった認識についてお尋ねいたします。

 実は、一九七六年、昭和五十一年に、旧労働省が、石綿工場の従業員だけでなく、作業着を洗濯する家族などにも被害が及ぶ可能性を指摘する通知を出しておられるようです。この後も、作業場での粉じん濃度が、世界保健機構、WHOの基準値の二百倍のまま、三十年近く、あるいはそれ以上でしょうか、放置されてきたということでございます。それについて、現在はどういうふうに改善されているのかどうか。

 二〇〇五年当時の報道によりますと、二〇〇五年七月二十日の国会質疑で当時の西副大臣が、決定的な失敗だと個人的に考えると答弁されたということでございます。それで、行政の責任を認めるかのような発言があった。一日置いて二十二日に当時の尾辻厚生労働大臣が記者会見で、その都度対策をとってきたと言われたというふうに出ておりました。

 現在の状況、そして現在の見解はいかがなのか。これについて、厚生労働省の方からコメントをいただけますでしょうか。

宮野政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、現時点での規制でございますけれども、これは労働安全衛生法五十五条におきまして、労働者に重度の健康障害を生ずるものについては、製造、輸入、使用等々を禁止しております。その対象物質として、アスベストが適用されております。

 これまでの経緯でございますけれども、厚生労働省といたしましては、それぞれの時点において、それぞれの時点での科学的知見に応じて必要な対応をとってまいりました。結果として、現時点、今申し上げたように、全面禁止に至っているというところでございます。先ほど御紹介があった、当時の尾辻大臣の見解のとおりであるというふうに認識をしております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 実は、損保業界、大手の保険会社が、一九八〇年代半ばごろから、石綿を使用する工場などに対して、従業員や周辺住民で被害が生じても賠償責任保険を支払わないという特約事項を盛り込んでいたということでございます。

 保険会社によれば、当時から、既に米国などでは石綿関連の損害賠償が広がるなど、米国の経済に非常に深刻な影響が出ている、さらに、石綿を吸い込んでから中皮腫などを発症するまでの期間が長く、因果関係の立証が難しいといった理由から、免責事項にしたと。工場などの使用者に対する施設賠償責任保険で、石綿損害等不担保特約事項ということで新設されていたということであります。

 また、保険契約更新時に企業に説明しても、特段のクレームがなかったというように報道されております。したがいまして、工場などの企業側も、石綿の特約というのが免責事項に入ってもやむなしというふうに、すなわち、企業も、危険であるという一定の認識があったものだと思います。

 このような事実を国として認識されていましたでしょうか。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 当時からの規制に向けての経緯について、御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、昭和四十七年でございますけれども、ILO、WHOにおいて、アスベストが発がん物質であるということが認められたことを受けまして、昭和五十年、アスベストの吹きつけ作業の原則禁止、湿潤化による発散防止等の使用規制を行っております。さらに、昭和六十一年でございますが、クロシドライト、いわゆる青石綿でございます、これの使用禁止を求めるILO石綿条約が採択されております。

 厚生労働省といたしましては、それ以前の昭和五十年には、アスベストを含む化学物質等について代替物の使用を努力義務化するとともに、アスベストの代替措置を促進する行政指導を進めてきております。

 クロシドライト、青石綿、あるいは、先ほどこれも言及がございましたアモサイト、茶石綿の法令上の禁止措置につきましては平成七年でございますけれども、今申し上げたような行政指導によりまして、クロシドライトについては平成元年には使用の実態がなくなっていたことを確認しております。また、アモサイトについても平成五年には業界として使用を中止しております。

 さらに、クリソタイル、いわゆる白石綿でございますけれども、こちらについては、昭和六十二年にWHOがその代替品について、人に対してがん原性となる可能性があるという分類をしていたことを踏まえまして、厳格な管理のもとに使用を認めてまいりましたけれども、平成十三年にWHOが代替品の評価を、人に対するがん原性として分類され得ないということに変更いたしました。これを受けまして、平成十六年から、当時代替困難であったものを除き、全てのクリソタイルを含有する製品の製造、輸入等を原則禁止し、平成十八年には製造等の全面禁止をしたところでございます。

 以上申し上げたように、私どもといたしましても、それぞれの時点での科学的知見に応じて、それぞれの時点で必要な対応をとってまいったということでございます。

河野(正)委員 お聞かせ願いたかったのは、損保の免責事項に入っていたことを御存じだったかどうかということなんですけれども、次の質問とあわせてお答えいただきたいと思います。

 そういうふうに、段階的にいろいろなアスベスト類が禁止されていたということですけれども、危険という認識のものが最終的に平成十八年九月まで使用が可能であったというのが非常に大きな問題ではないのかなと思っているわけです。これについて、あわせてお答えいただけますでしょうか。

宮野政府参考人 お答えいたします。

 まず、当時の損保会社の措置でございます。

 恐縮でございますが、当時、私どもとしてこれについて認識していたのかどうかということについて、私、現時点で承知をしておりませんので、お答えいたしかねる部分がございます。

 いずれにいたしましても、今申し上げましたとおり、アスベスト自体、がん原性があるということは、昭和四十七年、ILOあるいはWHOの指摘で明らかになりましたけれども、一方で、冒頭環境省からの御答弁がありましたように、アスベストは非常に我が国のさまざまな生活の中で欠くべからざる用途として使われているという部分もございました。

 そういう中で、代替品の問題等も含めまして、順次使用を禁止する。ただ、使用する場合については、きちんと厳格な管理のもと、具体的には、例えば保護具の使用ですとかあるいは換気の問題等々、これは法令で規制して、使用を認めてきたというところでございます。

河野(正)委員 いずれにせよ、昭和四十年とか、先ほど篠原委員の方からは、ドイツでは一九三八年というお話がありましたけれども、そういったものが平成十八年九月まで使用できていたという。ほかに代替品がなかったのかなという思いもするんです。そういった思いが強く残っております。

 次に、では一体、アスベストというものが我が国の市中に今なおどれぐらい、建物の中に入っているものを含めて、入っていると推定されるのでしょうか。把握されている量をお答えいただきたいと思います。

小林政府参考人 日本で使用されました石綿の大半は輸入によるものというように承知をしております。これは財務省の貿易統計からの数字でございますが、戦後、輸入が再開されて以降、平成十八年までに約一千万トンが輸入されたというような数字を承知しているところでございます。

 このうち、八割以上は建材に使用されたというふうに言われているものでございます。そういう意味で、建築物の解体工事についての飛散防止は重要な課題だというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 一千万トンということだそうです。

 古い建築物の壁や、あるいはエレベーターなどではエレベーターの昇降部分ですね、いわゆるエレベーターの通る筒になった部分にアスベストが塗布してあるということでございます。こういったものを、封じ込めというふうな言葉を使うそうですけれども、アスベストが飛散しないように、先ほどもちょっとあったかと思いますが、表面をセメントなどで塗り隠す対応がとられてきたということです。

 しかし、私どもの方に、詳しい方からは、封じ込めた部分、封じ込めてあるはずのところに傷がついて、エレベーターの筒の中でアスベストが飛散しているとか、そういった例もあるというふうに御指摘をいただいているんですけれども、この辺のチェック体制あるいは監視体制はどうなっているのか。例えば、古いマンション等でそういうエレベーターを利用される方は非常に不安に思っている方もいらっしゃるようですので、その辺をお答えいただきたいと思います。

小林政府参考人 今御指摘ありましたように、石綿がいろいろな局面で使われておりますので、そういう意味で、政府全体としては、使われ方によりましてそれぞれ対応しているということでございます。先ほどの厚労省さんであれば、作業者の健康というような面で対応されておりますし、私どもの方は、それが外に出てくるような場面があればしっかりチェックしなきゃいけないということです。

 経緯から申しますと、一番最初には、どうも濃度が高いということが判明いたしましたのが石綿の建材などを製造する工場でございましたので、ここは平成元年に規制をかけたわけでございます。

 その後、解体工事などについても、どの程度の実態があるかということを検討いたしまして、平成七年、これは阪神大震災なども契機になりましたが、こういった解体現場についての規制をかけて、今あるような大枠の規制がかかったということでございます。

 さらに、平成十七年、十八年で、しっかり対応しなきゃいけないということになりまして、規模要件を撤廃しますとか、そういう規制強化を行うということで対応してきているということでございます。

 建物の中のものは、またそれぞれの所管で、政府全体で対応している、こういうような認識を持っているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 新聞報道によれば、国交省のデータとして、石綿が使われている可能性のある民間建築物、先ほどの質問の中であったかと思うんですけれども、私が調べた国交省のデータで、全国で二百八十万棟とも推定されているということが書いてありました。

 そこで、アスベスト含有の建造物の耐用年数というのが、これからどんどん耐用年数超過ということになってくると思うんですが、そもそも何年ぐらいにピークが訪れるのか。平成何年から何年にかけて耐用年数オーバーで解体が集中的に行われるというようなことが考えられるのか、お聞かせいただきたいと思います。町のあちこちでそういう解体工事が行われるということであれば、我々も含めて、相当な監視体制をしいておかなければいけないと思いますので、よろしくお願いします。

小林政府参考人 これも国土交通省の方で、全体二百何十万棟という、含有しているポテンシャル、可能性のある建物があるわけでございますが、これがどのぐらいの含有率になるか。先ほど、七%というようなお答えもございました。そういう中で、建築物は住宅とまたオフィスなどで平均的な耐用年数が違いますので、そういうものを掛け合わせまして、国土交通省の方でシミュレーションした数字がございます。

 これによりますと、一応、耐用年数が来れば速やかに解体されるという前提でということのようでございますが、平成四十年にピークが来るであろうと。国土交通省さんの資料ですと、平成二十一年がシミュレーションの時点でございますが、それに比べますと二倍ぐらいの解体の棟数になるのではないか、こういうような推測があるところでございます。

 私ども、それを受けて、これからピークが参りますのでしっかりした対応が要る、こういう認識を持っているところでございます。

河野(正)委員 先ほど江田委員の御質問のときも平成四十年ということが出てきたのかなと思っていますけれども、それでは、二十一年比でいうと二倍ぐらいの数が解体されるということになりますので、実際、解体作業というのはどういうふうにやっていくのか。基礎的なことでまた恐縮ですが、お答えいただきたい。水でぬらすとか、そういった程度で構いませんので、よろしくお願いします。

小林政府参考人 現在の大気汚染防止法に基づきまして規制をかけておりまして、これは作業の準則を決めまして、これに従って事業者は作業をしてくれ、こういうことにしているわけでございます。

 その具体的な中身でございますが、まず、存在している作業場自体を隔離するということで、しっかり養生して封じ込めていただくということがございます。

 それから、出入り口から漏れますといけませんので、前室と言っておりますが、入り口から出ないように、途中にクリーンルーム的な場所を設けて、そこから出入りをするというようなことがございます。

 それから、内部を負圧ということで外の気圧よりも低い状態を保ちまして、外に出ないようにしながら、しっかりした、精度の高いフィルターをつけた集じん装置をつけて排気を行うということ。

 それから、今先生の御指摘もございましたが、飛散を防止するということで、除去するアスベストが含まれました材料を湿潤化するというようなこと。最終的にも湿潤化して飛散しないようにし、作業が終わっていく。

 こういう手順で作業していただくということになっているところでございます。

河野(正)委員 では次に、法改正の実効性という観点から若干お尋ねしたいと思います。

 全面禁止後も生活場面に大量のアスベストが潜んでいる。過去、建築を中心に一千万トン使われているということをお聞きいたしました。また、これが相当量残っていると言われておりますし、今まではずさんな解体工事も放置されてきたのではないか。そういったことで、今回の法改正に至ったものと考えております。

 まず、石原大臣は本法律案の提案理由説明におきまして、「建築物等に石綿が使用されているかどうかが事前に十分調査されていないため、解体作業等において石綿が飛散したと推測される事例が生じていることや、」と述べられましたが、この根拠となる事例というのがもしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。

小林政府参考人 先ほど来の御審議の中で御報告もしているところでございますが、中央環境審議会に専門の委員会を設けまして、ここには、実際作業に当たる業者の方、あるいは調査を専門とする方、それからNGO的にチェックしている皆さんもいらっしゃいます。それから、こういったことに詳しいいろいろな分野の学者さん、地方自治体の方、こういった方から成ります委員会でいろいろな実態の整理をしたわけでございます。また、その過程では、ヒアリングということでいろいろな関係者から状況を聞く、こういうことをいたしました。

 そういう中で、今回の改正点が浮かび上がってきたわけでございます。

 一つは、やはり責任を持って事業をやる施工業者がしっかり基準を守ってやっていただく、漏れがないようにする、こういうことが重要なわけでございますが、そのときに、やはり発注者の責任、立場というのは非常に重い、そこがしっかり自覚を持ってやっていただく必要があるというようなことで、そういったことも出てまいりました。それから、やはり実態をつかむ上で事前調査が大事、こういうことがございました。

 特に、自治体、それから現場に入る皆さんから、どんな問題事例があるかということもヒアリングをしたわけでございますが、そういう中で、事前調査がございませんので、曖昧なままに、大丈夫だろうというようなことで、届け出もしない、あるいは、届け出をしても実態にしっかり合った形の現状把握になっていない、こういうものがある。場合によっては、薄々あると知りながら届け出もしない、こういうこともあるということが浮かび上がってまいりました。

 これをもう少ししっかりした形で顕在化するということで、法律上の事前調査をかけましてこれを明らかにしていくということがそこを改善する力になるか、こういうことになったわけでございます。

河野(正)委員 そういうふうに、専門の委員会等でヒアリングされた。

 ところで、今まで工事施工業者が行うこととしている、石綿が使用されている建築物等の届け出について、届け出義務者が工事の発注者に変更されるということでございます。

 実は私、医療法人の理事長の職にありまして、昨年、病院を新築いたしました。まさに最近、旧病院の解体を発注したところで、これまた偶然なんですが、先ほど、理事会の最中に電話が鳴りまして、始まる前に電話したところ、来週ぐらいから解体を始めますからということでした。

 私は、実は事前に調査しました。二段階で、もしアスベストがあった場合はこれです、アスベストがなければこれぐらいということで、見積もりがかなり、数百万円単位で違っていたと思うんですが、そういうことが稟議書で回ってきておりました。

 うちはなかったですよねということで確認しましたら、実は煙突の部分にはあったということで、そこはちゃんとやっていますし、料金もその分を入れて請求していますということだったんですけれども、まさに私が発注者でありながら知らなかったわけで、これは、本当に偶然理事会の最中に鳴った電話でございまして、非常にタイムリーなので驚いてしまったんです。

 そういった意味で、私は多分、今回病院を壊したら当分壊すことはないと思うんですが、こういうふうに、我々みたいな素人にいろいろこういった責務を負わせるのも一つの手段だと思いますけれども、工事事業者への罰則の強化であるとか、やはりそういう工事事業者さんの方が何度もこういった現場でやるわけですから、法違反があった場合には公共事業の指名を一定期間停止するとか、そういった方策が考えられるんじゃないかと思います。そういったことについて、御見解はいかがでしょうか。

小林政府参考人 今御指摘の点は、法改正の検討の中でも非常に議論がありました部分でございます。

 私ども、今回これを整理していく中で、やはり発注者は工事を発意する方でありますし、最終的な費用も負担をしていただく、今先生のお話にあったとおりでございまして、ある意味で、環境の方で言う原因者負担の考え方というようなこととも一致いたしますので、一定の責任を負っていただくのが環境のためにぜひ必要、こういう考え方でございます。

 そういうことで、届け出の主体を発注者に変更して、届け出義務を負っていただくということになるわけでございます。これによって、適切な使用状態の把握とか届け出が進むというふうに考えているところでございます。

 今お話ございましたように、大抵の方はこういった経験がないわけでございまして、そんなにしょっちゅう起こることではないわけであります。そういう中で、むしろ、やはり解体の工事に当たる業者の方が専門知識また経験も有していることが多いし、ますますそういう力をつけていただかなきゃいけないということで、いわば素人である発注者に責任を負わすということで実態がうまく動くのか、こういう議論がございました。経団連の皆さんや、特に、いろいろ大きな事業所を抱えているところからはそういう御指摘もありまして、何回も議論をしたわけでございます。

 そういう中で、事業を行う専門家たるべき施工業者が、こういう届け出が必要になりますよというようなこともしっかり説明をする。その際に、先ほど来出ています事前調査が非常に重要でございますので、事前調査をしっかりした上で、その結果も含めて伝えていく。それで、発注者の理解を得た上で、事業自体は施工業者が責任を持ってやる、こういうことで、両方がそれぞれの責任を果たすということでしっかりした対応につなげたい、こういうことになったわけでございます。

 そういう意味で、幅広い発注者にこれをよく周知していく。もし通していただきましたら、これをしっかり周知して、認識を深めていただきながらやっていくということは大きな課題であるというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 さきのフロン回収法案の審議の際にもお話をしたんですけれども、我が党の部会におきまして、そもそも国が使用を認めていた物質、あるいは推奨していた物質もあったということで、それが、後になって危険性が発覚したからといって、発注者や施工業者、使用者すなわち国民に責任を負ってもらう、責任を問うという考え方はいかがなものかというのが御意見として出ております。

 今まで、どうぞ使ってくださいと言っておきながら、それは危ないのがわかったから回収しなさい、あるいは、不適切な取り扱いで外に漏らしたり飛散させたりすれば罰しますよと言う。こういう考え方について、政府としていかがなのか、大臣のお考えをもしよろしければお聞かせ願いたいと思います。

石原国務大臣 人間でありますので、より利便的な生活、より快適な環境というものを求めて、時に、開発されたもの、あるいは化学物質としてそれが有効であるというものを使用するというのは、人間の進化の歴史の中で、また特に産業革命以降顕著になってきた事実であると私は認識しております。

 そんな中で、誰が負担をするのかということでございますけれども、先ほど局長の方から答弁をさせていただきましたように、益を受けた者にその責任を問う。国あるいは地方自治体、財源は限られたものでございますので、今のような財政状況の中では、この基本的な考えにのっとって処理をしていくのがより現実的であるというのが今回の法案の根底にあるものだと推察しているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 次に、アスベスト、もう何人かの方から出ておったかと思いますが、アスベストが原因と思われる中皮腫であるとか肺がんなど、アスベスト由来と推定される、お亡くなりになった方の数、死亡者数はどれぐらいと把握されているのか、お尋ねいたしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来御質問もいただいておりますので、繰り返しはできるだけ避けますが、石綿による健康被害の代表的なものとしては、中皮腫、肺がんなどがあるということです。

 中皮腫ですが、もう先生御存じのように、ほとんどがアスベストが原因であろうというふうに推測されておりまして、厚生労働省の平成二十三年の人口動態統計によりますと、千二百五十八人と言われております。

 それから、肺がんですけれども、年間の死亡者数は、やはり同じ人口動態統計で七万二百九十三人、こうなっております。

 これも先生よく御存じと思いますけれども、肺がんの全てがアスベストというわけではありませんので、この中の一部であろうかと思います。しかしながら、先ほどの御質問の中でもお答えをいたしましたが、肺がんの原因となった物質とかものとか、あるいは遺伝的素因とかについてまで統計上収集する仕組みになっておりませんので、理由はちょっとよくわかりません。

 なお、石綿救済制度の中での肺がんの認定者数は平成二十三年度で百十四人ということになっていますし、また、私ども環境省ではありませんが、労災認定の方では、石綿が原因だろうというふうな形で認定された者は四百二十三人というふうに聞いております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 中皮腫で大体千二百人ぐらいの方がお亡くなりになっている。百十四人、四百二十三人というのがどれぐらい多いものなのかというのはちょっとはかりかねるところですけれども、そういうふうにアスベストが原因で苦しんでいらっしゃる方がおられるだろうということだと思います。

 早稲田大学の村山教授の、諸外国のデータをもとにして検討されたものというのをいただいたんですが、我が国では二〇三〇年ごろにピークを迎え、中皮腫でお亡くなりになる方が、推計では最高で年間五万人以上いらっしゃるんじゃないか、低位の予測でも一万人ぐらいというふうなデータを出されているようです。

 中皮腫などでは、発症まで二十年とか三十年かかるとも言われております。実際の解体現場で働く方は、非正規雇用であったり、複数の企業傘下を転々と就労される方も少なくないのかなと思っております。こうなると、二十年以上たって原因企業を特定していくことというのは非常に困難なのかなと思います。

 こういった観点から、ばれないから大丈夫だろうというような企業の考えが生じないように、企業に対する指導、教育、監督というのが極めて大切なものになると思いますけれども、この辺の企業に対する指導というのはいかがなものでしょうか。

宮野政府参考人 お答えいたします。

 まず、アスベストが使用されていた建築物の解体でございますけれども、これは石綿障害予防規則に基づきまして、所管の労働基準監督署への届け出、除去工事の隔離措置、保護具の着用等を事業主に義務づけております。

 この石綿障害予防規則の施行については、全国の労働基準監督署において、解体工事に際しての届け出を確認するとともに、届け出内容に問題があると思われる場合や、あるいは、届け出がない場合でもパトロールで不適切な工事を発見した場合には、解体工事現場の指導等を行っております。

 具体的な数字で申し上げますと、平成二十四年においては、監督署に解体工事に係る届け出等が九千五百二件ございました。また、現場の確認については二千五百四十一件行っているところでございます。

 今後とも、こうした措置が徹底されるように、現場の指導、パトロールを実施してまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 次に、アスベストに関して、技能、資格制度というのがあると思います。これについてお聞かせいただこうと思ったんですが、先ほど篠原委員の質問にもございました。

 多分、これは三つの資格があって、アスベスト診断士、作業環境測定士、石綿作業主任者という資格があるのかなと思います。

 建築物の解体前の事前調査に始まって、工事中の監督、監視、施工完了検査など、アスベストに精通した人材の育成や確保が非常に必要だと思います。また、今後、どんどん耐用年数が訪れて、平成四十年にはかなりのピークがやってくるということでございますので、これらの技能、資格を持った方が一体現状でどれぐらいおられて、そして平成四十年に向けて対応できる数が確保されているのかどうか、そういったことをお聞かせいただけますでしょうか。

小林政府参考人 専門性のある人材を育てることが重要ということで、これは、今御指摘ありましたように、いろいろな場面がございます。事前調査、これは、取っかかりのキーになりますので、非常に重要でございます。あと、途中でいろいろはかっていく場合の測定についても専門性ということが言われておりますし、完了のところをどうするか、これも大きな宿題でございます。さらには、これに当たる全体の解体業者自体を、なるべく優良事業者を育てるようなことも考えるべし、こういうこともございます。

 今ちょっと御指摘がありました、一定の資格を持っていらっしゃる方、どういうような形が大気汚染の防止という面で十分かどうかということは検討していく必要があると思っております。ちょっと今人数を把握しておりませんので、またの機会にお答えをさせていただきたいと思います。

 そういう中で、いかに技能の向上を国もバックアップできるかというようなことがございますし、そういったしっかりした人が育ってきた場合に、それが世の中にしっかりわかる、そういう方たちがしっかり重用される、こういう仕組みが大事でございます。そういうものとして、登録制度というようなことも審議会でも問題提起がございます。

 資質を高めるということと、仕組みの上においてしっかり認められるようにする、こういった課題に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 実数は、何人と聞いたところであれなので、別にいいんですけれども、やはりしっかりとした、これからピークに向けて確保していくということが大切なのかなと考えております。

 また、今回の法改正におきましては、特定工事の施工者に限定せず、報告徴収や立入検査が可能となるということですけれども、どのようなときに立入検査を行おうというふうに想定してこの法改正を行うのか。現状で、法律をつくる上で想定されているケースをお教えいただけますでしょうか。

小林政府参考人 大気汚染防止法では、こういった解体工事、該当する工事を行います場合には十四日前までに届け出る、こういうことになっております。そこで一定の計画が出てまいります。地方公共団体は、計画上疑問な点があればそれをチェックし、最終的には計画変更命令をかける権限もあるわけでございます。そういう中で、現場を確認する必要があるときには行くということが一つ大きなところで想定されるところでございます。

 あと、特に大きなものでありますとか近隣との関係で懸念がある場合には、先ほど来出ています濃度をはかるというようなことも含めまして、しっかりした対応をとれているかどうか、こういうチェックも重要でございますので、そこら辺は状況によって機動的にやられるものと思っております。

 また、しっかりやり終えたかという完了のところ、これも課題でございまして、幾つか今後さらに詰めていかなきゃいけない問題がございますが、こういうところについては、懸念があるものについては、しっかり報告しなさいよというふうなことを言っておいて確認に入っていく、こういう場面もあろうかなと考えているところでございます。

河野(正)委員 どのようなときに行ってみようかなということをお聞かせいただきたかったんですけれども、時間がありませんので次に移ります。

 被災地のアスベスト対策についてお尋ねしたいと思います。

 さきの東日本大震災におきまして、アスベスト含有の建築物が崩壊したということが予想されます。仮に、この建物にはアスベストが含まれていると認識していたものでも、今回のように、津波で建物が本来あった場所と離れたところで壊れてしまった場合、阪神・淡路大震災のときと比べて非常に悩ましい、ここにあった建物はアスベストが入っているよとわかっていても、違うところで壊れていたら非常に困ってしまうのかなと思います。

 一方で、阪神・淡路のときに比べると、東北の被災地はそもそも建てかえが進んでいて、そういう危険な建物、アスベストについては少なかったという報告もあるようなんですけれども、非常に厳しい状況なのかなと思います。

 これは報道の事実だけなんですけれども、昨年、春の園遊会におきまして、天皇陛下が村井嘉浩宮城県知事に対して瓦れき処理問題についてお話をされたというふうに報道されております。その際、天皇陛下は、危険なものが含まれているんでしょうね、アスベストとかということで、アスベストを名指しで言われた。十分に気をつけて処理されるよう願っていますとおっしゃったというふうに報道されております。

 また、同じく昨年の十二月二十一日、当時の野田総理を初めとした閣僚らとの午さんの場に臨まれ、この際にも、当時の平野復興大臣に対して会話でアスベストを話題にされたというふうに、これもまた新聞で報道されております。

 これらの報道から、かなり強い関心をお示しになっておられるのかなと思いますけれども、こういった報道について、大臣、御存じだったかどうかだけ伺えたらと思います。

石原国務大臣 これはルールとして、天皇陛下がどういうときに何を言ったということについては一切コメントしないというのがルールでございますので、一切ノーコメントでお願い申し上げます。

河野(正)委員 ありがとうございました。そういったことが報道されているということでございます。

 福島では今なお放射能汚染の問題が続いており、一部地域では国も関与して大がかりな除染作業が行われております。

 この前、私どもも視察に行かせていただきましたが、アスベストが被災地で浮遊していないのか調べる手だてというのはございますでしょうか。

小林政府参考人 今先生御指摘ございましたように、今回の東日本大震災による影響というのは非常に広範で甚大なものがございました。膨大な数の建築物が倒壊をいたしましたので、震災直後から、ほかの有害物質もそうでございますが、石綿の飛散防止あるいは暴露防止ということが非常に重要だという認識は持っていたわけでございます。

 まず、具体的には、現地に入られる自治体の方あるいはボランティアの方がいらっしゃいますので、被災地の自治体を通じまして、防じんマスクなどの着用について周知徹底をお願いしたということがございます。また、関係省庁とも連携をして、防じんマスクの無料配付というようなこともいたしました。

 一方で、実際どういった状況になっているかということを把握いたしますために、アスベストの大気汚染濃度をはかってきておりまして、これまでに千二百二十四地点の調査をしてきております。これは、今後もまだ継続する必要があるだろうという認識でございます。

 結果について若干短く申し上げますと、大半のところは高い濃度ではございませんでした。七つの地点において飛散をしているということは確認されましたが、工場で規制しているような、問題だというレベルまでには達していないのかなという反応をしているところでございます。

河野(正)委員 残り時間も少ないので、次にお尋ねします。

 中皮腫は二十年から三十年で発症すると言われているようですけれども、阪神・淡路大震災の復旧作業員の場合、十三年で発症したという報告もあるそうです。また、当該地域にお住まいの住民の方、今ちょっとお話もありましたように、ボランティアで当地に赴いた方が後になって中皮腫に罹患してしまったという場合、ある意味、公害問題として国の責任を問われてくることもあるのじゃないかな。

 こういったことから、その辺はちょっといろいろありますので、住民健診とかをこれからやっていく予定があるのかどうか。あるいは、国が直接行わないにしても、補助金を出して、地方自治体等にやっていくように指導していくとか、そういったようなお考えはございますでしょうか。

小林政府参考人 関係方面に確認をする必要があると思います。現時点で、そういうことがあるということは承知しておりません。

 まずは、飛散を防止するということで、しっかりモニタリングをする。これは現実に起こっている問題でございますので、もし高いところがあれば直ちに通報して注意する、こういう対応をしております。極力そういう未然防止の対応でいきたいと考えているところでございます。

河野(正)委員 時間もなくなりましたので、最後に、私ども日本維新の会には、アスベストは今後我が国最大の公害事件になる可能性があるんじゃないかという御意見が寄せられております。

 環境省だけでなく、国交省、厚労省、文科省、経産省など多くの省庁にまたがる非常に厳しい問題であると思いますが、いただいた御意見の中には、各省庁間でばらばらの施策で、自分の省庁では解決済みだという認識が蔓延しているのではないか、問題の抜本的解決への意思と強い責任感のある、中核となる組織がないというふうに御指摘をいただいております。

 あるいは、我が国には他国に比べて事の重大性に対する情報が不足しており、マスコミも問題に対する意識がなく、国民と議員もアスベスト問題はもう終わってしまったんじゃないかと思い込んでいないかというような厳しい御意見もございました。

 こういった意味ですので、ぜひ環境省の皆様方が中心となってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 それでは始めさせていただきます。みんなの党の杉本であります。

 まず、大気汚染防止法の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。

 当該法改正の必要性について、地方公共団体からの要望が一つのきっかけになっているやに伺っておりますが、この地公体からの要望、具体的な内容を、ちょっと事例として説明をいただきたいと思います。

秋野大臣政務官 御答弁申し上げます。

 地方公共団体からの要望として主なものを三つ挙げさせていただきますと、一つは、石綿の使用状況の事前調査の義務づけをしてもらいたいということ、二つ目には、石綿使用のおそれのある解体工事現場への立ち入り権限を拡大してもらいたいということ、それから三つ目は、敷地境界等における大気中の石綿の濃度測定の義務化といったような御要望がございました。

 今回の改正法案につきましては、受注者に事前調査を義務づけさせていただきまして、自治体が届け出の有無にかかわらず解体工事に立ち入ることができるとさせていただいておりまして、そういった意味では、先ほど申し上げた一番目と二番目につきましては、現場の声をしっかり反映させることができたと思っています。

 濃度測定については、これから省令で定める作業基準の中に盛り込むことを検討しているところでありまして、具体的な濃度測定のあり方については、専門家を交えて引き続き検討してまいりたいと思います。

杉本委員 恐縮なんですけれども、具体的に、都道府県、あるいは市町村なのか、具体例を問題がなければ教えていただきたいと思います。

小林政府参考人 大気汚染問題は、基本的には、広域的な面もあるということで都道府県でございますが、一定の事務について実力のある、政令市はもちろんでございますし、一定の能力を備えたところには市町村に事務をおろしている局面もあるわけでございます。

杉本委員 次に、大分御説明がほかの方の質問であったかと思うんですが、アスベストの製造関係の工場周辺のアスベスト被害といったものには長い歴史があるやに感じております。それに対する補償の歴史といったものをちょっと概説お願いしたいと思います。

佐藤政府参考人 御質問の趣旨ですが、石綿の製造工場周辺のということでお伺いしておりますから、恐らく、工場労働者ではなくて一般住民のことを御質問になっているんだという想定のもとにお答えをいたします。

 一般住民におきます石綿の健康被害につきましては、平成十七年の六月に、かつて石綿を含む住宅建材等を製造していた工場の周辺住民に中皮腫が発症しているという報道がなされた。これを契機にいたしまして社会的問題になりまして、その際に、労災補償の対象とならない、今の御質問にあります工場周辺の住民や労働者の家族などを救済するための制度として、平成十八年に石綿健康被害救済制度が創設されました。

 平成二十三年度末までの石綿健康被害救済制度での認定者数は、延べ七千五百十名となっております。

杉本委員 質問の趣旨は、聞きたかったことを答えていただいて、ありがとうございます。

 次に、解体等工事で、いただいた国交省さんの資料でいくと、平成四十年ごろをピークにということで、それに向かってどんどん増加していくということですが、データ上は民間建築物という表現であったものでして、むしろ、公的セクターである国であり地公体でありといったところの建造物も恐らく解体の作業が必要になってくるかと思います。こちらの建造物等の増勢の見通し等を教えていただければと思います。

小林政府参考人 公的な建築物について、解体件数の推計というものをちょっと承知しておりません。消防庁などの資料で、四十四万棟ぐらいあるというような、これは全体像でございますが、そういう情報には接しておりますが、解体件数というふうな面での推計値は現在得ておりません。

 ただ、いずれにしましても、昭和三十一年から十八年までは使われた可能性がございますし、耐用年数が参りますので、解体件数自体は増加をしていくのかな、こういうように見ているところでございます。

杉本委員 公的建造物についても、十分な御留意をいただいて解体という流れになることを、当法案が通って実施されることを望みたいと思います。

 次に、非常にまた庶民的な感覚というか素人的で申しわけないんですけれども、実際、具体的に何をすると飛散防止ができるのか。水をまくのか、化学的な措置をするのか、そういった部分がちょっと実は見えないんですけれども、そこを丁寧に御説明いただけるとありがたく存じます。

小林政府参考人 大気汚染防止法上、作業基準というものを設けておりまして、これを事業者に守っていただく。守っていただかない場合は命令をしましたり、それも聞かなければ罰則もある、こういう体制でやっているわけでございます。

 その具体的な中身といたしましては、作業をやります場所を隔離する、外に空気が出てこないようにするということでございます。それから、出入り口が、あけ閉めがございますと出てまいりますので、前室ということで、途中の小さな部屋というかそういうものを設けまして、出入りのときに出てこないようにするということでございます。それから、内部をマイナスの圧、負圧に保ちまして、しっかりしたフィルターをつけた集じん装置を経由して空気を出す、こういうこと。それから、今御指摘もございましたように、除去しなければならないアスベストを含んだ材料に薬液をかけまして飛び散らないようにする、湿潤化というふうな行為がございます。こういうことをやって、しっかり剥ぎ取った上で、最後、また薬液などを散布して出ないようにし、しっかり確認して作業を終わっていく、こういう流れでございます。

 細かくはいろいろなマニュアルなどを設けて、従来も指導しておりますが、また法改正を受けまして、しっかりしたそういう対応をしていきたいと考えているところでございます。

杉本委員 これは私、また存じ上げなくてお恥ずかしいかもしれないんですが、ちょっと相談もありまして、具体的に。

 もう亡くなられたケースになっているんですが、どうやら中皮腫で亡くなられたようなんです。仕事もそういう関連の仕事をされていたやに聞いている方がいるんですが、さかのぼって労災認定というのがあるか、それによって補償を得られるか、この点を確認させてください。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 恐らく、御質問は労災による補償の御質問かと思います。

 厚生労働省が担当しておりまして、私どもも労災補償制度の細部までをよく承知しているわけではございませんので、知り得る範囲でお答えをさせていただきます。

 労災制度では、死後五年の間は遺族補償給付を請求することができるとされております。その上で、石綿による疾患ということでございますと、労災制度の遺族補償給付の請求権を時効により失った場合でも、石綿救済制度に基づきまして、特別遺族給付金を請求することが可能であるというふうになっていると承知しております。

 なお、環境省におきましては、石綿救済制度に基づきまして、仮に労災補償等の対象にならない方でございましても救済を実施しておりまして、石綿関連疾患に起因してお亡くなりになったということが認定されました場合には、その遺族に対しまして特別遺族弔慰金や特別葬祭料を支給しているところでございます。

杉本委員 わかりやすい御説明、どうもありがとうございます。

 次の方の法案で、放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案についてお伺いいたします。

 大気汚染にかかわって、放射性物質の飛散状況等を常時監視するというふうに規定されているんですけれども、セシウムだとかいろいろあると思います。具体的に、どの放射性物質に対して、いかなる方法で行おうとされるのかを教えてください。

小林政府参考人 現在、まだ法律に位置づけがない段階でございますが、環境省では、人為的な影響が少ない離島十カ所におきまして、環境中の放射性物質のモニタリングを実施しております。これも、改正されますれば、この法律の常時監視に当たっていくものというふうに考えております。

 ここでは、放射線量をはかるとともに、大気の浮遊じん、浮遊してくるちりでございますね、それから大気の降下物、こういった試料を採取して、放射性のセシウム、ストロンチウム、こういったものの濃度をはかっているわけでございます。

 また、あわせて、水質ですとか周辺の土壌、こういったものの分析もしているところでございます。

杉本委員 次に、同じ放射性物質の調査に当たって、水質汚染についてもチェックをされるということなんですが、海、河川、湖沼、いろいろあると思います。

 被災地に行っていても、レンタカーを借りてちょっと走っていると、池が見えて、この濃度をチェックされているのかなという気がしてならないんですけれども、こちらについても確認ですが、どういう物質に対して、どういう調査をされるのか、確認させてください。

小林政府参考人 まず、現時点でやっておりますことの御報告をいたしますと、今お話ございましたように、東日本の大震災以降、懸念がございますので、福島県を中心といたしまして、東北、関東の地域で、海、河川、湖沼、こういったところにおきまして水質の放射性物質のモニタリングを実施しております。

 これも法律の常時監視に当たるものというふうに考えておりますが、それ以外のところをどうするかとか、そういうことも含めまして、具体的な今後のあり方につきましてはまた検討していく必要があると考えているところでございます。

 物質としては、先ほどと大体同様でございますが、セシウム、ストロンチウム、そういったような物質につきまして、それぞれ場所に応じて頻度をいろいろ検討しながら採取をし、値をはかっている、こういうことでございます。

杉本委員 これからしっかり詰めていただくということだと思いますが、特に、海洋国家日本でございますので、海洋の状況も含めて十分監視をしていただきたいとお願い申し上げます。

 次に、幾つか質問を飛ばしますが、今回、南極地域の環境の保護に関する法律改正ということがあります。

 そもそも、南極観測隊というのは所管はどこだったのかなと思うと文科省なんですけれども、環境問題が中心になってきている中で、文科省が引き続き所管していていいのかななんと思いながらも、やはり長い歴史があるということもあるかと存じますが、具体的に、環境保護とか環境調査とかいった意味で、環境省さんと文科省との連携、あるいは観測隊との連携など、どんな形で行われているかを教えてください。

伊藤政府参考人 南極観測隊でございますけれども、これは昭和三十年に、日本学術会議の建議を受けまして、当時の文部省に南極地域観測統合推進本部が設置され、この本部のもとに観測隊が置かれたところでございます。

 観測隊の活動は、南極における地球物理学的な現象の観測とその結果の分析等が中心だということで、学術分野を担当するということで文部科学省が今まで所管してきていた、こういうふうに承知しているところでございます。

 一方、環境省は、当然のことながら、南極地域の環境の保護に関する法律に基づきまして、南極地域における諸活動が南極の環境に悪い影響を及ぼさない、こういうことを監督していくという立場にございます。

 したがいまして、南極観測隊の活動計画につきましても、環境省が事前に審査を行いまして、環境大臣が、悪影響を及ぼさないとの確認を行っている。具体的には、廃棄物をどうするのか、全部持ち帰れとか、そういったチェックを行っているということでございます。

 また、文部科学省が所管する南極観測隊の活動との連携を図るため、環境省は、観測隊の事前訓練の中で南極環境保護法の内容について隊員への説明を行っておりますし、さらに、二年に一度は環境省職員が観測隊に同行して南極に行きまして、南極環境保護法の遵守状況を確認するとともに、必要に応じて現地で助言を実施している、こういう状況にございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 今次法改正に当たって、個別環境法、廃棄物処理及び清掃に関する法律、土壌汚染対策法、ほかもろもろ、この改正については、法整備をしていきますということなんですけれども、ここについても放射性物質についてしっかりと関係法規を変えていただく必要があると思いますが、この点について急ぐ必要はないのか、予定期限はいつなのかを教えていただきたいと思います。

石原国務大臣 今回の整備法案の中には、廃棄物処理法とか土壌汚染対策法は含まれておりません。

 このほかの関連する対象法令というのはあるんですけれども、これは整理をさせていただきまして、例えば、今、二つの法律についての整理は、福島の原発事故を受けまして放射性物質汚染対処特措法をつくっております、除染や放射性廃棄物の処理の今後の状況を踏まえた検討が当然必要になってくると思います。

 この特措法の附則に三年後の見直し規定が入っておりますので、この検討にあわせて、残る個別環境法の取り扱いもそのとき整理をさせていただく、三年間かけてやっていくという整理をさせていただいているところでございます。

杉本委員 三年間かけてということで確認させていただきました。ありがとうございます。

 次に、法案からはちょっとずれるかもしれませんが、放射性物質に関係する放射線の関係で、原子力規制委員会のことについてお伺いしたいと思います。

 昨今話題になっています、原電、日本原子力発電の敦賀二号機の活断層の問題について、廃炉云々ということなんですが、最終決定は、さきの環境委員会の質疑でも確認させていただきましたけれども、日本原子力発電さん、会社側に委ねられているということなんです。

 これは答弁を求めないで、私の意見として言わせていただければと思いますけれども、やはり原子力規制委員会の設立趣旨、設置法が成立した背景、推進と規制を分離し、専門的な知見に基づいて中立公正な立場から独立した原子力規制に関する職務を行うという観点から考えると、廃炉決定権限も、せっかく国家行政組織法の三条二項の委員会ということで決定したわけでありますから、ちょっとこれには法改正が必要なのかもしれませんけれども、廃炉決定権限も原子力規制委員会に持っていただきたいなというふうに考えております。

 きょうは簡潔に質問をまとめていきたいと思っておりますので、幾つかまた飛ばさせていただいて、オフサイトの住民防護対応において、緊急対策というのがあって、安定沃素剤の配付、服用方法といったものを考える必要が当然あって、それを環境省さんが検討いただいていますけれども、この点について、厚労省との連携、地公体との連携はどのように図られているか、教えてください。

黒木政府参考人 現在、原子力規制委員会におきましては、安定沃素剤の配付、服用方法のあり方をお示しするため、原子力災害対策指針の改定作業を進めているところでございます。

 また、厚労省と連携して、安定沃素剤の配付等を行うために必要な、医師を初めとした医療関係者の協力体制につき、検討を重ねているところでございます。

 さらに、今後、本指針に基づきまして、地方公共団体が住民に対する安定沃素剤の配付や服用方法の周知を円滑に行うことができるように、地方公共団体の御意見をお聞きしながら、必要なマニュアルや補足説明資料の作成、財政支援等を行ってまいる所存でございます。

 以上でございます。

杉本委員 ポーランドの事例なんかをよく言われて、沃素剤をさっとまいて、子供たちが内部被曝を免れたやに聞いております。絶対忘れてはならない教訓が我々の目の前にあったわけでございますので、ぜひ気を引き締めて、関係機関に沃素剤の配付についてもお願いしたいと思います。

 切りがいいので、ちょっと早いんですけれども、以上で質問を終わらせていただきたいと思います。

吉野委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

 次に、内閣提出、放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

吉野委員長 次回は、来る三十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十三分散会


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