衆議院

メインへスキップ



第1号 平成26年2月18日(火曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十六年一月二十四日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 田中 和徳君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 吉田  泉君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      大久保三代君    小林 史明君

      助田 重義君    藤原  崇君

      牧原 秀樹君    荒井  聰君

      生方 幸夫君    小沢 鋭仁君

      百瀬 智之君    浮島 智子君

      中島 克仁君    小宮山泰子君

      野間  健君

平成二十六年二月十八日(火曜日)

    午後零時二十分開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 田中 和徳君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 吉田  泉君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      小林 史明君    助田 重義君

      田畑 裕明君    藤原  崇君

      牧原 秀樹君    荒井  聰君

      生方 幸夫君    小沢 鋭仁君

      百瀬 智之君    浮島 智子君

      中島 克仁君    林  宙紀君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   環境副大臣        北川 知克君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      牧原 秀樹君

   環境大臣政務官      浮島 智子君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            富越 和厚君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十七日

 辞任

  小宮山泰子君

同日

            補欠選任

             林  宙紀君

二月十八日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     田畑 裕明君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     大久保三代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 環境の基本施策に関する件

 公害紛争の処理に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 環境の基本施策に関する事項

 地球温暖化の防止及び低炭素社会の構築に関する事項

 循環型社会の形成に関する事項

 自然環境の保護及び生物多様性の確保に関する事項

 公害の防止及び健康被害の救済に関する事項

 原子力の規制に関する事項

 公害紛争の処理に関する事項

以上の各事項につきまして、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

伊藤委員長 環境の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。

 この際、環境大臣から所信を聴取いたします。石原環境大臣。

石原国務大臣 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の石原伸晃です。

 第百八十六回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境政策及び原子力防災に関する私の考えを申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 まず、東日本大震災からの復旧復興について申し上げます。

 東日本大震災の発生から、この三月で三年を迎えます。環境省は、この三年という期間を一つの目安として災害廃棄物の処理や除染に全力を挙げてきました。私自身も、平成二十四年十二月の就任以来、被災地の皆様の思いを直接伺い、ともに取り組んでいくことが大切という考えから、地元の役場や除染の現場だけではなく、ふくしま復興サポーターとして復興支援の取り組みや座談会に参加するなど、できるだけ地元に足を運んでまいりました。

 震災からの復旧復興に向けた道のりは決して平たんではありませんが、地元の皆様とともに東北を新たな創造と可能性の地としていきたいとの思いを強く持ち、引き続き全力を尽くします。

 除染は、福島の復興にとって極めて重要です。国直轄で計画に基づいて行う本格除染については、十一市町村のうち田村市及び常磐自動車道では既に終了いたしました。川内村ではおおむね終了、楢葉町及び大熊町では今年度中に終了できる見込みです。今後とも、復興の動きと連携し、除染の加速化、円滑化のための施策を総動員し、しっかりと事業を実施します。

 また、除染を進めるために必要不可欠な中間貯蔵施設の整備や、汚染廃棄物を処分するための既設の処分場の活用については、昨年十二月に関係自治体に国の施設計画案を提示しました。その後、二月十二日に福島県知事から計画案の見直しについての申し入れがあり、その検討を進めています。地元の御理解のもとで、平成二十七年一月からの中間貯蔵施設への搬入を開始できるよう、政府一丸となって全力を尽くします。

 災害廃棄物の処理については、被災自治体の懸命な御努力や多くの地域に御協力をいただいた広域処理により、昨年十二月末時点で、岩手県と宮城県の二県についてはおよそ九七%の処理を完了し、今年三月末までに全ての処理を完了するとの目標を達成できる見込みです。福島県では、住民の方々が避難している地域での処理がおくれていますが、帰還の妨げとなる廃棄物の早期撤去を最優先の目標として、処理を着実に進めます。

 放射性物質で汚染された指定廃棄物の保管が逼迫している県においては、最終処分場の確保に向けて地元との調整を進めるとともに、原子力事故に伴う住民の健康管理対策を着実に進めます。また、昨年五月に創設した三陸復興国立公園や、みちのく潮風トレイルなどを観光資源として活用します。

 次に、低炭素社会の創出について申し上げます。

 IPCCが昨年九月に公表した報告書で、人間の活動により地球温暖化が進行していることが改めて確認されました。私も幾つかの島嶼諸国を訪問し、地球温暖化が国家の存亡に大きな影を落としている状況を目の当たりにし、まさに、今そこにある危機との認識を新たにいたしました。世界各国の地球温暖化対策に大きな影響力のあるIPCC総会が三月に初めて横浜で開催されるのを機に、地球温暖化対策を一層強化します。

 昨年十一月、国連気候変動枠組み条約事務局に対し、我が国は、二〇二〇年度の温室効果ガス排出量を二〇〇五年度比で三・八%削減するとの目標を登録しました。これは、原子力発電による削減効果を含めずに設定したものであり、今後のエネルギー政策の検討の進展を踏まえて見直し、確定的な目標を設定いたします。二〇二〇年度以降の約束についても、昨年のCOP19における決定を踏まえ、二〇一五年の第一・四半期を念頭に検討を進めます。

 この二〇二〇年目標を達成しつつ、その後も長期にわたって温室効果ガスを大幅に削減していくため、地球温暖化対策のための税の税収も活用して、積極的な対策を実施していきます。具体的には、民間資金を呼び込むための環境金融の拡大、大幅な省エネにつながる効率的な設備の導入の加速化等により、再生可能エネルギーを中核とした自立分散型の低炭素エネルギー社会を実現し、地域活性化に貢献します。

 気候変動に対する国民の皆様や企業の関心を再び高めるための新たなキャンペーンを立ち上げ、地球に優しいライフスタイルを奨励します。そして、平成二十七年の夏を目途に、気候変動の影響に適応するための政府全体の計画を策定いたします。

 我が国のすぐれた環境技術を海外に展開し、地球環境の保全に貢献するとともに、国内経済の活性化につなげます。二国間クレジット制度の一層の推進など、技術を通じて世界全体の排出削減に貢献する、攻めの地球温暖化外交戦略を推進するとともに、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みの構築に積極的に貢献します。

 加えて、二〇二〇年はオリンピック・パラリンピック東京大会の年でもあり、大会を契機として我が国のすぐれた環境技術や取り組みを世界に発信できるよう、検討を進めます。

 循環型社会を実現するため、廃棄物の発生抑制、リユースやリサイクルの徹底、廃棄物の適正処分を進め、貴重な資源やエネルギーを有効に活用する取り組みを国内外で積極的に推進いたします。

 まず、国内では、地域の生活基盤を支える廃棄物処理施設の老朽化への対応が待ったなしです。今後、早急に施設の更新を図ります。また、首都直下地震などの大規模災害に備え、廃棄物を広域圏で処理する体制を確保し、廃棄物処理施設における防災拠点機能を強化します。

 浄化槽の普及や、PCB廃棄物の早期処理に向けた体制の確保を進めます。また、昨年施行された小型家電リサイクル法に基づき、幅広い市町村の参加を得て小型家電を効率的に回収し、再資源化を進めます。

 さらに、国際的にも、我が国のすぐれた廃棄物処理技術、リサイクル技術の展開を促進いたします。

 人と自然が共生する社会の実現に向け、生物多様性国家戦略に基づく取り組みを積極的に進めます。

 近年、鹿やイノシシなどによる生態系、生活環境、農林水産業への被害が深刻化しています。鹿やイノシシの生息頭数を十年後までに半減させ、被害の拡大を防ぐため、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正法案を今国会に提出します。また、さきの通常国会での法改正を踏まえ、国内の希少野生動植物種の指定拡大や、外来生物の防除に取り組みます。

 我が国の類いまれな自然環境を有する世界遺産や国立公園を、未来の世代に引き継いでいきます。オリンピック・パラリンピック東京大会の開催も見据え、国内外の方に楽しんでいただけるよう、我が国の豊かな自然に関する情報を世界に発信します。三月には、沖縄の慶良間諸島を新たに国立公園として指定し、質の高い保護管理を進めてまいります。

 環境省の基本任務である国民の健康と良好な環境の確保に、積極的に取り組みます。

 昨年来、PM二・五による大気汚染に、多くの国民が不安を感じています。地方公共団体と協力しながら、引き続き常時監視体制を強化するとともに、原因の解明や削減対策の検討を進めます。あわせて、日本の経験を生かし、中国を初めとするアジア各国との都市間連携を進め、大気汚染対策に関する協力を推進します。

 また、水、土壌などの保全や、製造から廃棄に至るライフサイクル全体を通じた化学物質の環境リスクの低減に取り組みます。さらに、水銀に関する水俣条約の早期発効を目指し、国内担保措置の検討や途上国支援を進めるとともに、水俣病を初めとする公害健康被害対策、石綿健康被害者の救済について、引き続き真摯に取り組みます。

 我が国の提案で開始された、国連持続可能な開発のための教育の十年、いわゆるESDの十年がことしで最終年を迎え、十一月に岡山市と名古屋市で、ESDに関するユネスコ世界会議が開催されます。さまざまな環境問題の解決に向けて行動できる人を育てる取り組みを推進します。

 内閣府特命担当大臣として、原子力防災に取り組みます。

 原子力発電所の安全については、防災対策とともに事故を防止することが大前提です。原子力規制委員会が科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、環境大臣として、しっかりサポートします。

 専門性の向上のため、原子力規制委員会に独立行政法人原子力安全基盤機構を統合します。国民の期待に応えられるよう、専門性を備えた人材の育成を支援します。

 また、核物質防護条約の改正を踏まえ、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の改正法案を今国会に提出いたします。

 さらに、安全神話に陥ることなく、万一の事故にも対応できる防災体制を日ごろから整備しておくことが重要です。

 先般の事故の教訓を踏まえ、関係地方自治体において、地域防災計画や住民の避難計画を策定し、充実する取り組みが進んでおります。政府としても、原子力防災会議を中心に、関係省庁を挙げて、地方自治体の計画策定、災害時要援護者への対策に関する助言等や防災資機材の整備への財政支援など、きめ細かな支援を行ってまいります。

 以上、環境大臣として、また原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取り組みの一端を申し上げました。

 伊藤委員長を初め理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

伊藤委員長 以上で環境大臣の所信表明は終わりました。

 次に、平成二十六年度環境省所管予算及び環境保全経費の概要について説明を聴取いたします。北川環境副大臣。

北川副大臣 平成二十六年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算では、総額三千四十三億四百万円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、地球環境保全対策については、昨年十一月にポーランド・ワルシャワで開催された気候変動枠組み条約第十九回締約国会議の成果を踏まえ、全ての国が参加する将来の法的枠組みの構築を目指すとともに、国内の各種地球温暖化対策を着実に進めてまいります。また、アジア太平洋地域を中心とする環境協力やフロン類対策を含む地球環境保全対策の推進を図ります。これらに必要な経費として、一千三十七億八百万円を計上しております。

 第二に、廃棄物・リサイクル対策については、循環産業の育成や国際展開の支援、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆるスリーRの取り組みの推進、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として、六十二億五千三百万円を計上しております。また、循環型社会形成推進交付金などを活用した廃棄物処理・リサイクル施設や浄化槽の整備に必要な経費として、四百七十八億七千九百万円を計上しております。

 第三に、自然環境の保全対策については、鳥獣保護管理の強化、絶滅のおそれのある種の保存や外来生物対策の推進など、国内における生物多様性関連施策、国立公園や世界自然遺産などのすぐれた自然環境の保護と適正な利用、生物多様性分野の国際貢献の推進に必要な経費として、百二十七億九千六百万円を計上しております。

 第四に、総合的な環境政策の推進については、環境、経済、社会が相互に高め合う社会経済の仕組みを構築する基礎を確立するべく、事業活動や金融のグリーン化、持続可能な地域づくりの推進、実効ある環境影響評価の推進などに必要な経費として、二十九億三千五百万円を計上しております。

 第五に、公害健康被害対策等については、水俣病対策、公害健康被害補償制度や石綿による健康被害に係る救済制度の適正かつ円滑な実施、国内における旧軍毒ガス弾対策、化学物質対策の着実な推進に必要な経費として、二百七十二億三千八百万円を計上しております。

 第六に、大気、水、土壌環境等の保全対策については、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五対策、自動車環境対策の推進、水環境保全対策の推進、経済発展の著しいアジア諸国において環境汚染対策と温室効果ガス削減対策を同時に進めるコベネフィットアプローチを推進する取り組みなど、良好な環境を確保するために必要な経費として、五十億二千万円を計上しております。

 第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発については、環境汚染の監視と防止、地球環境の保全、廃棄物の適正な処理に関する調査研究、技術開発の推進に必要な経費として、百十二億七千九百万円を計上しております。

 第八に、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開するため、地方環境事務所における経費として、五十五億八千九百万円を計上しております。

 第九に、原子力安全の確保については、原子力規制委員会が行う原子力規制・防災対策の推進に必要な経費として、五百四十六億八千六百万円を計上しております。

 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、エネルギー対策特別会計予算では、総額一千六百九億六千六百万円を計上しております。

 以下、その内訳について御説明申し上げます。

 第一に、地球温暖化対策については、民間資金を呼び込む環境ファイナンスの推進、我が国のすぐれた環境技術の海外への展開、大幅な省エネにつながる最先端の設備の導入加速化、地域主導による再生可能エネルギーを中核とした自立分散型の低炭素エネルギー社会の実現などに必要な経費として、エネルギー需給勘定に一般会計から一千八億円の繰り入れを行い、総額として一千百十六億三千二百万円を計上しております。

 第二に、原子力規制・防災対策については、原子力規制のさらなる高度化、原子力防災対策等のさらなる充実強化及び原子力規制委員会の専門能力の強化等を図るために必要な経費として、電源開発促進勘定に一般会計から四百五十三億八千五百万円の繰り入れを行い、総額として四百九十三億三千四百万円を計上しております。

 次に、東日本大震災復興特別会計予算では、災害廃棄物の迅速な処理、放射性物質に汚染された土壌等の除染や廃棄物の処理等の推進、三陸復興国立公園への再編成を軸とした、東北の豊かな自然環境を生かした取り組みの推進などに必要な経費として、復興庁所管予算に総額五千四百六十八億五千三百万円を計上しております。

 以上が、平成二十六年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。

 最後に、各府省の平成二十六年度環境保全経費の概要について御説明申し上げます。

 まず、政府全体の環境政策を効果的に実施することを目的として取りまとめております環境保全経費については、平成二十六年度におけるその総額として、一兆七千百八十二億円を計上しております。

 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために四千九百五十五億円、生物多様性の保全及び持続可能な利用のために一千三百七十九億円、物質循環の確保と循環型社会の構築のために九百八十二億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために九百二十三億円、大気環境の保全のために二千三十一億円、包括的な化学物質対策の確立と推進のために六十一億円、放射性物質による環境汚染の防止のために五千五百六十八億円、各種施策の基盤となる施策等のために一千二百八十三億円をそれぞれ計上しております。

 以上、平成二十六年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費の概要について御説明申し上げました。

 以上であります。

伊藤委員長 以上で説明は終わりました。

 次に、平成二十五年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。富越公害等調整委員会委員長。

富越政府特別補佐人 公害等調整委員会が平成二十五年中に行った公害紛争の処理に関する事務について御説明申し上げます。

 まず、公害紛争の処理に関する事務についてでございます。

 第一に、平成二十五年に当委員会に係属した公害紛争事件は、合計七十七件でございます。

 主な事件といたしましては、申請人らの家屋の損傷及び健康被害が工場から排出されるガスによるものかどうかの判断及び損害賠償を求めた、大東市における工場からの排出物質に係る大気汚染等による財産被害等責任裁定申請事件及び同原因裁定申請事件、油の漏えいによる土壌汚染をめぐる民事訴訟が係属中の大阪地方裁判所から嘱託された、泉大津市における土壌汚染被害原因裁定嘱託事件、近隣ビルの解体・新築工事による振動等のため申請人所有のビルに沈下、傾斜等の被害が生じたとして損害賠償を求めた、中央区におけるビル工事による地盤沈下被害責任裁定申請事件などがございます。

 また、平成二十五年中に終結した事件といたしましては、マンション建設現場からの騒音、振動、低周波音による肉体的、精神的苦痛を受けたとして損害賠償を求めた、江東区におけるマンション工事による騒音・振動・低周波音被害責任裁定申請事件など二十件でございます。

 以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に症状の変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める申請が三件係属し、うち二件について手続が終了しております。

 当委員会では、公害紛争の迅速、適正な解決に向け、多様化、複雑化する公害紛争への着実な対応と公害紛争処理制度の利用の促進を図ってまいりました。

 具体的には、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、被害発生地などの現地で審問期日等を積極的に開催すること、事実関係を明らかにする事件調査の充実を図ること、国民や関係機関に本制度を積極的に周知することなどに努めてまいりました。今後もこうした取り組みを一層進めてまいります。

 第二に、平成二十五年に都道府県公害審査会等に係属した公害紛争事件は七十八件でございます。公害の種類別では、騒音に関する事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は三十六件でございます。

 第三に、全国の地方公共団体の窓口に寄せられた公害苦情につきまして、平成二十四年度の実態を調査いたしました。

 公害苦情の総件数は、前年度からわずかに減少して、八万件となっております。

 これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七公害に関する苦情は約五万四千件、それ以外の苦情は約二万六千件となっております。

 当委員会といたしましては、住民に身近な場で公害紛争や公害苦情の処理を担う地方公共団体との情報交換などにも努め、緊密な連携を図ってまいります。

 以上が、平成二十五年中に行った公害紛争の処理に関する事務の概要でございます。

 続きまして、平成二十六年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。

 当委員会の歳出予算要求額は、五億八千百万円でございます。

 要求に当たっては、厳しい財政状況の中、公害紛争の迅速、適正な解決に資するよう、第一に、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、現地で審問期日等を開催する経費として千三百万円、第二に、事実関係を明らかにする事件調査の実施経費として三千二百万円をそれぞれ計上しております。

 以上が、平成二十六年度公害等調整委員会の歳出予算要求額の概要でございます。

 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速、適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

伊藤委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.