衆議院

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第4号 平成26年4月1日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 田中 和徳君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 吉田  泉君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      小倉 將信君    大串 正樹君

      川田  隆君    菅野さちこ君

      熊田 裕通君    小林 史明君

      新谷 正義君    助田 重義君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      牧原 秀樹君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    荒井  聰君

      生方 幸夫君    上野ひろし君

      小沢 鋭仁君    百瀬 智之君

      浮島 智子君    中島 克仁君

      林  宙紀君    野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      牧原 秀樹君

   環境大臣政務官      浮島 智子君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中野  節君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 広瀬 行成君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官)   竹内 大二君

   政府参考人

   (原子力規制庁放射線防護対策部長)        黒木 慶英君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     八木 哲也君

  井野 俊郎君     宮崎 政久君

  井林 辰憲君     川田  隆君

  岩田 和親君     田畑 裕明君

  大久保三代君     大串 正樹君

  藤原  崇君     藤井比早之君

  小沢 鋭仁君     上野ひろし君

  林  宙紀君     小池 政就君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     熊田 裕通君

  川田  隆君     井林 辰憲君

  田畑 裕明君     新谷 正義君

  藤井比早之君     高橋ひなこ君

  宮崎 政久君     青山 周平君

  八木 哲也君     穴見 陽一君

  上野ひろし君     小沢 鋭仁君

  小池 政就君     林  宙紀君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     井野 俊郎君

  熊田 裕通君     菅野さちこ君

  新谷 正義君     岩田 和親君

  高橋ひなこ君     藤原  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  菅野さちこ君     大久保三代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中野節君、外務省大臣官房審議官広瀬行成君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、環境省大臣官房長鈴木正規君、環境省水・大気環境局長小林正明君、原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣君、原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官竹内大二君、原子力規制庁放射線防護対策部長黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 おはようございます。自由民主党の田中和徳です。

 本日は、放射線発散処罰法の改正案について質問をいたしますが、その前提として、世界や日本国内の核をめぐる現状や課題を指摘しながら、核セキュリティーの分野における国際的な枠組みや、今後我が国日本が果たすべき役割について明らかにしていきたいと思います。

 現在、世界では約四百基以上の発電用原子炉が設置されておりまして、今後もハイピッチで増設が見込まれています。我が国では、廃炉が決まっている福島第一原発の六基を除き四十八基の発電用原子炉がありますが、現在、全て停止中です。

 独立した三条委員会である原子力規制委員会が、世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な審査を行い、これに適合すると認められた原発については再稼働を進めていくというのが政府の方針となっております。

 また、商業用原発だけではなくて、原子力に関する研究開発、エックス線撮影や放射線治療のような医療への利用、自然界に存在するラジウム温泉のようなものまで、その種類や量、リスクに違いはあれども、原子力は私たちの身の回りでさまざまに利用されております。

 なお、私の地元川崎市内にも、今までに民間企業や大学の研究用原子炉が五基ありました。現在稼働しているものは非常に小規模なものが一基だけですけれども、私の住まいの近くにございます。意外と、知らずのうちに近くに原子炉などがあるケースも珍しくありません。

 そこで、まず、発電用原子炉以外の試験研究炉や貯蔵施設などの原子力施設は、現在、我が国に何カ所設置されているのか、また、極めて小規模な原子力施設も本法律の対象となるのか、原子力規制委員会に確認をさせていただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 現在、原子力規制委員会では、原子力発電用原子炉に加えて、いわゆる規制法に基づいて、試験研究炉、再処理施設、加工施設、核燃料物質の使用施設等の規制を行っておりまして、これら大小の施設を含めまして約二百六十カ所ございます。

 それから、小規模な施設も対象になるのかという御質問でございますが、原子力施設に関する行為については、処罰の対象として、いわゆる規制法の新第八条の対象になりまして、こういった施設は、原子炉等規制法第二条第七項に規定される原子力施設として、極めて小規模な原子力施設も本法案の対象になっております。

田中(和)委員 我が国の中にも、二百六十カ所という数字が示されましたけれども、大変たくさん小規模の炉だとかいろいろな施設があるということがわかったところです。

 簡単に言うと、大きいところは警備等いろいろと厳しい対応もすると思うんですが、小規模のところほど実はやはり課題があるのではないか、このように認識をしております。

 原子力施設の内容が多種多様であればあるほどテロリストの手に渡りやすい可能性があるわけでして、核兵器だとかダーティーボムなどに代表されるような、テロに利用される危険性がある、このように思います。私たちの日々の安全、安心な暮らしを脅かす問題が、世界や日本の国のいろいろな場所である可能性があるということを認識しなければならないと思います。

 また、廃炉を決定したとしても、決してそれで問題が解決するわけではありません。使用済みの核燃料の除去だとか解体設備の処理、廃止措置が完了するまでの長期間、依然としてリスクは継続をするということになります。当然、こうした事実をしっかりと踏まえながら、テロの脅威から我々は全てを守っていかなくてはならないということになります。

 本法律案の提出の背景にある、核テロを含めた国際テロの脅威について、世界各国はどのような枠組みやルールで取り組んでいこうとしているのか、また、日本はどのように現状を認識し、テロ未然防止に向けて世界じゅうの各国政府とどのような協力なり働きかけを行っているかについて、規制委員会に再度お伺いをしたいと思います。

田中政府特別補佐人 核を用いたテロの脅威に関しましては、各国は、核物質防護条約、核テロ防止条約等の条約を批准するとともに、いわゆる国際原子力機関、IAEAによる核物質防護勧告に基づいて、具体的な核セキュリティーの対策を講じているところでございます。

 我が国においても、昨今の厳しいテロの情勢を鑑みまして、こうした取り組みを強く推し進めるとともに、来年春までには、核物質あるいは関連施設の防護体制につき国際的な知見を得るため、IAEAのIPPASミッション、核物質防護諮問サービス、これは国際的な評価になりますが、これを受け入れる予定でございます。これを受けて、国内における核セキュリティー文化の醸成活動とともに、核セキュリティーの強化に努めてまいりたいと思っております。

 また、二〇一〇年十二月に立ち上げました、アジアでは初めてですけれども、核セキュリティーに関する各国の人材育成を行う拠点である、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターがありますので、これを活用して拡充していきたいというふうに思っております。

 今後も、国内外の核テロの懸念を解消し、世界からの日本に対する期待に応えるため、引き続き全力を尽くしてまいる所存でございます。

田中(和)委員 今度は大臣にお尋ねをしたいと思います。

 核物質防護条約改正の背景には、一九九〇年代の旧ソ連、東欧諸国を中心とした核密輸の横行、そして二〇〇一年の米国同時多発テロとそれ以降の自爆テロの多発によって、核テロの脅威が増大し、核に関連したテロリズムに万全の措置を講ずる核セキュリティーが強く求められていることがあると思います。

 また、北朝鮮など、日本周辺国における核開発の動きは、核テロ防止の観点からも、注視しなければならない大きな問題であります。

 核テロ防止のためには、各国の治安維持組織が相応の能力を持つと同時に、強固な国際ネットワークを形成して、さまざまな情報を収集してテロの動きを察知すると同時に、適切に対応していくことが必要であります。

 こうした中、オランダのハーグで開催され、先日三月二十五日に閉幕した第三回核セキュリティーサミットでも、安倍総理から、核物質防護条約の改正等の日本国内の取り組み強化が表明されております。

 核物質防護条約の改正がIAEAにおいて採択されたのは二〇〇五年であります。発効要件であります九十九カ国のうち、既に七十三カ国が締結済みでございますけれども、我が国はまだ締結に至っていないのであります。この手続にこれほど時間を要していることについては、行政だけではなく、我々国会議員としても反省すべき点があると考えておりますが、今回の法案を提出するに至った経緯や条約改正の批准について、改めて石原大臣にお考えをお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま田中委員が、一九九〇年代のソビエトの崩壊、東欧社会の混乱に乗じて核テロのおそれが高まったと。こういうものを受けまして、今委員が御指摘をされました核物質の防護に関する条約、これを整備していこう。しかし、残念ながら、発効に必要な九十九カ国のうち、まだそこに至っておりませんし、今回御審議をお願いしております放射線発散処罰法の改正案というものは、この条約を担保する上で必要となる法制上の措置を講ずるもので、一日も早い成立が望まれるところでございます。

 これもまた田中委員が御指摘をされましたけれども、二〇〇五年のIAEAにおきまして、国際的な取り組みを原子力施設、核物質等々に強化していこうということで、改正が採択されました。この発効に向けまして、二〇一二年の、前回の第二回核セキュリティーサミットにおいて、締約国は二〇一四年までに改正条約を締結するための手続を加速化することが要請されました。

 これを受けまして、今日、今国会に改正条約の承認を求めさせていただきますとともに、その担保措置としての放射線発散処罰法の改正案を提出させていただいたというのが趣旨でございます。

田中(和)委員 私も過去に外務省の大臣政務官を務めたことがあるんですけれども、条約物が非常にたまっているんですね。場合によっては本当に国益を失うというような感じもするものもございまして、これは、政府側ということも非常に重要なことですけれども、議会側もやはり考えていかなければいけない課題だと私は思っておりまして、ぜひ、外交案件の議案等は優先的にやれる方法を何か考えるべきだなと常々思っておるところでございます。

 我が国は、IAEAによる厳格な保障措置の実施等を進めてきたことで、非核保有国の中で唯一、使用済み核燃料を再処理することが認められ、原子力の平和利用に徹してきた歴史がございます。また、広島、長崎の原爆の被爆、福島第一原発の事故を経験した国でもありますし、IAEAの事務局長には日本人の天野氏が就任しておられます。まさに今こそ、この分野で日本が積極的なイニシアチブを発揮して、国際的な核セキュリティーの取り組みに重要な役割を果たすべきであることを指摘しておきたいと思います。

 法律案についてでございますけれども、海外では、例えばモルドバで核物質を密売しようとしたグループが逮捕された事例がありましたし、このような不適正な輸出入や強要行為については当然現行の法制度下において処罰されると思いますが、今般の法改正によってその取り組みがより強化されるものと考えております。

 本法律案では、特定核燃料物質をみだりに輸出入する行為の予備を行った者は三年以下の懲役に処することが規定されておりますけれども、どのような行為が当該輸出入行為の予備行為として判断されるかについては、個別具体的に判断されることになると想定されておりますけれども、処罰法の運用に係るものでございまして、重要なポイントであると思います。

 そこで、処罰対象となる具体的な予備行為の範囲について政府の考え方を、改めて原子力規制委員会に確認いたします。

 また、原子力施設に対して行われる行為等により人の生命等に害を加えることを告知した脅迫による強要行為が新たに強要罪の処罰対象として追加されることになりましたけれども、この具体的な強要行為のイメージについてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

黒木政府参考人 予備とは、未遂行為の準備段階における行為を指しておりまして、例えば、みだりに輸出入することを目的とした輸出入行為に係る資金調達、そのための会社の設立などが考えられるところでございます。

 新第八条に言いますところの強要罪でございますが、例えば、原子力施設の損壊を行うことを告知することで脅迫し、収監中のテロリストの仲間の釈放を要求するような行為が考えられるところでございます。

 以上でございます。

田中(和)委員 原子力施設における核セキュリティー対策としては、原子力施設における防護措置を確実に実施するための体制整備が重要となることは当然であります。原子力施設において防護すべき設備の中には従業員等の接近が容易なものがあることから、出入管理時の本人確認、身体及び持ち込み物品の検査等を強化して徹底することが求められております。

 アメリカやフランス等の原子力利用主要国においては、国家安全保障や治安維持を第一義的な目的として、国防や治安分野を中心に、国家レベルでの包括的な信頼性確認制度を整備しています。また、原子力分野に関しても、そのような分野横断的な信頼性確認制度と同様の制度を整備しています。

 我が国では、現行、不法行為防止のため、出入りを許可された少なくとも二人の作業者で作業をさせること、すなわち二人ルールなど、信頼性確認の暫定的な代替措置が実施されている状況でありますけれども、これらの取り組みをもっと強化すべきと考えております。

 身辺調査では、プライバシーの侵害ではないかといった議論もあるようですけれども、テロの脅威から守るためには、原子力というものが持っているリスクを踏まえてしっかりと対応していくべきだと思います。

 一方で、信頼性確認制度をしっかりやろうとする場合、例えば作業員の家族に危害を加えるといって脅迫されるとか、ありとあらゆる事例を想定しておかなければならないと思っております。

 その点も踏まえ、内部脅威対策の実効性強化としての信頼性確認制度の導入の議論の進捗状況について、原子力規制委員会に確認をしておきたいと思います。

黒木政府参考人 お答えします。

 個人の信頼性確認制度につきましては、現在、原子力規制委員会の核セキュリティに関する検討会において、警察等の関係行政機関と連携をとりつつ検討を行っているところでございます。幅広い観点から実務上の検討を行うことが必要でございまして、そのため、検討会のもとにさらにワーキンググループを設置し、検討を行っているところでございます。

 具体的には、信頼性確認を行う者の範囲、信頼性確認の項目、誰がどのような確認を行うのかといった実務上の検討を行っており、また個人のプライバシーにかかわる問題もありますことから、慎重な検討が必要と認識しております。

 個人の信頼性確認は、潜在的脅威の事前排除という面で、内部脅威対策の一手段として認識しておりまして、まずはワーキンググループでの実務上の課題に関する検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

田中(和)委員 核の危険性あるいはセキュリティーの問題は国民の理解が非常に重要だと思いますので、国民のありとあらゆる層に正しくわかっていただけるような努力が必要だと思いますが、子供たちにも学校教育の中で何らかの取り組みがあってしかるべきだと思いますので、文科省にお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 学校教育におきまして、児童生徒に核や原子力をめぐる事柄に対して正しく理解させることは非常に重要でございます。

 カリキュラムの基準でございます学習指導要領は大綱的なものでございますので、核セキュリティーそのものについての指導内容を記載しておりませんが、例えば、中学校理科においては放射能の性質と利用、高校の理科、物理基礎における放射線及び原子力の利用とその安全の問題、あるいは中学校社会の公民分野におきまして核兵器の脅威、あるいは高校の公民、政治・経済におきまして軍縮や核兵器廃絶などの核や原子力について取り扱うこととしているところでございます。

 さらに、中学校や高校の社会科の教科書におきましては、核兵器がテロリストの手に渡ることの懸念やIAEAによる核不拡散の取り組み、あるいは国連主導によります核物質防護条約の締結などについて説明している記述が例としてございます。

 文部科学省におきましては、今後、原子力等に関する教育の充実に努めることを通じまして、核セキュリティーに関する国民の理解の促進につなげてまいりたいと考えております。

田中(和)委員 ありがとうございました。

 終わります。

伊藤委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 民主党の荒井聰でございます。

 本審議を始める前に、まず大臣にお伺いをしたいと思います。

 大臣は、参議院の環境委員会で審議時間に遅刻されたということで、新聞紙上でもそのことが書かれていますけれども、大臣はいつものとおりの時間にちゃんと家を出られたのかどうかも含めて、事実関係も含めて、この件に関する大臣の見解を明らかにしてください。

石原国務大臣 重要法案の審議のさなかに、私の本当に面目ない行為によりまして荒井委員にこのような御質問をされるということは、本当に申しわけなく思っておりますし、事実関係につきましても、どんな理由があるにせよ、委員会の遅刻ということは許されない。

 私も、二十数余年の議員生活の中でこのようなことは初めてでございますので、以後こういうことのないように厳に注意をしてまいりたい、また、心から申しわけないと申し述べさせていただきたいと思っております。

荒井委員 大臣は今、約十六万人にわたる人たちの避難生活に直接影響を与える行政を担っておられ、また、世界的に見ても、チェルノブイリに続いた、あるいはチェルノブイリよりももっと大きな事故の規模かもしれません、その規模の事故について世界じゅうが注視している、その担当大臣の一人であります。

 週刊誌などでは、大臣がもっと重要な大臣を期待していたけれども、環境大臣というような大臣だったので、その仕事の仕方について御自分で若干の不満を持っておられるのではないかといった、そういうあってはならないような批判もされています。

 私は、世界で今一番注目をされている大臣ポストだと思います。そういう意味で、ぜひしっかりと業務に専念されるようお願いを申し上げます。

 さて、今回は、核セキュリティーサミットに基づいて、いろいろな法案の改正なりが出てきたと思うんですけれども、もともと二〇〇九年のプラハで行われたオバマさんの核セキュリティーサミットの提唱からこの問題は発生していると思います。オバマさんは、アメリカの今の民主党政権の中で、オバマ・ケアと並んで最も重要な、核軍縮あるいはそれに関係する核セキュリティーということを大きな政治テーマにしたんだというふうに私は思います。

 その意味では、今、アメリカ政府とは若干日本の政府がぎすぎすしたところはあるんですけれども、この核セキュリティーサミットに日本政府がどのような形で携わっていくのかということは、とても大きな、国際的な、あるいは日米関係の問題でもあるというふうに思います。

 核セキュリティーに関しては、スリーマイル事故の後、ジミー・カーターがIAEA体制をつくるべきだということを世界に提唱して、IAEA体制をつくりました。ほとんどはこのIAEAの中で、核セキュリティーも含めたプルトニウムの管理の話でありますとか、そういうことは行われていたんですけれども、あえてオバマさんがこの核セキュリティーサミットというのを開いて、今回のさまざまな条約をしていったという意味、この意味というのはどこにあるのか。あるいは、IAEAとの体制はどういうふうに整理をされているのか。そこを外務省、もしもあれば。

広瀬政府参考人 まず、核セキュリティーサミットの概要でございますけれども、二〇〇一年の米国の同時多発テロ以降、国際社会は新たな緊急性を持ちましてテロ対策を見直し、取り組みを強化してまいりました。オバマ大統領は、先ほど言及されたとおり、二〇〇九年の四月にプラハにおきまして、核兵器のない世界という演説において、核テロは地球規模の安全保障に対する最も緊急かつ最大の脅威とした上で、核セキュリティーサミットの開催を提唱したところでございます。

 それに基づきまして、二〇一〇年四月にワシントン、それから二〇一二年三月にソウル、それから今回、二〇一四年三月にハーグで三回目のサミットが開催され、各首脳レベルで核テロ対策に関する基本姿勢や取り組みの状況について議論がされたところでございます。

 また、IAEAとの関係についてのお尋ねがございました。

 IAEAは、原子力の平和的利用の推進及び軍事的利用への転用を防止することを目的に設立され、その事業の内容には核セキュリティーの強化も含まれております。この核セキュリティーサミットにおきましては、IAEAはオブザーバーとして参加してきているところでございます。

 いずれにしても、IAEAの活動は、核テロ対策の強化と国際協力の推進という点で、この核セキュリティーサミットと同じ目的ということで、相乗効果があるものと考えております。

 以上です。

荒井委員 このセキュリティーの条約参加国には、NPTに参加をしていないイスラエルでありますとかインドでありますとか、そういうものも参加しているんですね。ほとんど核にかかわる部分というのが全体的に参加しているという意味で、幅広く包み込んでいる、そういう意味が大きいのではないかというふうに思います。

 そこで、先ほど田中委員からも質疑がございましたけれども、今、この前提となる今度の法改正の第六条で、特定核物質をみだりに輸出または輸入する行為などについての条文がありますけれども、この条文に抵触するような事例が世界じゅうでどのぐらい、どういうふうに発生しているのか、それを御説明いただけますか。

黒木政府参考人 直近の例で申し上げますと、二〇一一年に、旧ソ連のモルドバにおきまして、コンテナに格納されました高濃縮ウランの密輸が警察によって発見されました。密輸業者が訴追されたと聞いております。

 なお、これ以外にも、近年、ロシアを中心に核物質の密輸事案が発生しているものと承知しております。

 以上でございます。

荒井委員 日本ではこのような事例は発生していないんですけれども、世界的なレベルから見て、日本のこのようなテロまたは密輸入、輸出に対するコントロールというか管理が弱いのではないかということはずっと指摘をされていたんですね。

 原子炉によく身分のわからない人が作業員という形で出入りしているというような例は、以前からIAEAの中でも指摘されていたと思うわけでありまして、このような点から今回の改正につながったというふうに思います。

 この改正を受けて、どのような安全対策、あるいは法的、まあ法律の外面はこういうふうに書いたんでしょうけれども、具体的な管理なり制御というのはどのように考えておられるのか、どなたか説明できますか。

田中政府特別補佐人 我が国の原子力発電所等のセキュリティー対策については、原子炉等規制法に基づいて、事業者に対してテロリストの侵入を阻止するための種々の防護措置を求めているところでございます。

 これらの措置の基本になりますのがIAEAの核物質防護に関する勧告文書であります。

 具体的に申し上げますと、原子力施設の周辺には立ち入り制限区域あるいは周辺防護区域等を設けて、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置し、警備員による巡視を実施しております。

 また、海水冷却ポンプとか、そういったハード面で重要な施設につきましては、原子炉施設内の重要な設備とかそういうようなものを大きな衝撃から守るため、周辺に防護壁を設けるというようなことも行っております。

 また、出入り口における身分証による従業員等の本人の確認、金属探知機等による探知の実施、重要な設備の周辺で作業をする場合には二人以上で行うといったことを我が国の国内規制に取り込んでいるところでございます。

 さらに、原子力発電所の警備につきましては、警察の銃器対策部隊が二十四時間体制で常駐警備などを実施するとともに、海の方、海上保安庁では、全国の原子力関連施設の周辺海域に巡視船艇を常時配備していただいているところでございます。

 我が国の核物質や関連施設の防護体制については、来年春までに、IAEAの核物質防護専門家からの評価ミッション、先ほど申し上げましたいわゆるIPPASミッションを受け入れることにしておりまして、こういった国際的観点からの評価を踏まえて、原子力規制委員会においても継続的に核セキュリティーの強化に努めてまいりたいと考えているところでございます。

荒井委員 今、文章ではいろいろなことをおっしゃったんですけれども、私は、基本的には、核セキュリティーに対する管理体制というのは世界水準にはほとんど達していないというふうに思うんですね。

 それはなぜかというと、ほとんどの国は軍隊またはそれに類いするような人員配置を行っているのが通例でありますし、さらには、アメリカの場合などでは、FEMAというような特別な組織をしっかりとつくって、一旦事があればそこが対応するというようなことが行われているんですね。

 この核セキュリティーというのは、国内で思っている以上に重たいものであり、一旦破られれば重大な事故が発生するということは明らかなわけでありますから、それなりに政府は努力をしていると私は思うんですけれども、これは自衛隊法の改正も含めて、あるいはこの種の危機管理についてのもっと大がかりな仕組みをつくらなければいけないのではないかというふうに私は思います。このあたり、大臣、いかがですか。

石原国務大臣 ただいまの荒井委員と田中委員長の議論を聞かせていただきまして、日本の国内法の中では、警察が重火器を持って警備をする、また海上保安庁が海上から警護をする、それなりの対応をしているというお話でございましたが、IAEA・IPPASのミッションを受け、委員の御指摘のような点が国際的なものと比較して十分か十分でないかということをしっかりと認識した上で、必要とあらば、委員の御指摘のとおり、さまざまな法改正をやり、より核セキュリティーに対して強いものをつくっていかなければならないというのは同じ考えでございます。

荒井委員 今、日本の政府は、私たちの時代からそうだったんですけれども、世界で最高の安全水準を持つ基準をつくるということで、日本の原発は安全だ、そういうことが伝わりつつあるんですけれども、私は、この伝え方というのは第二の安全神話を生んでしまうのではないかと。

 ある部分の基準については確かに世界最高水準かもしれませんけれども、全体的に見てどうなのか。例えば、このテロ対策などについて本当に世界最高水準なのかというと、決してそうではない。あるいは、もう既に原子炉が七基以上並んでいるような原子力発電所がありますけれども、世界の原発の安全基準からいけば、三基以上並べるというのは法外なことであって、日本のように六基、七基並んでいるなんというのは安全性をほとんど考えていなかったんじゃないかというふうに言われても仕方がないぐらいの、そういう当初の設計だったのではないか。

 さらには、福島第一原発の事故の直接原因は、外部電力が入ってくる鉄塔が倒壊したことから始まるんですね。外部電力についての安全規定というのは一体どうなっているのかというと、今回のこの基準の中でも、あるいは原子力規制委員会の安全基準の中でも、外部電源の鉄塔の部分についてはほとんど言及されていないというふうに思います。

 最近出た、経産省のある役人が書いたと言われている本の中に、「原発ホワイトアウト」という、これはもうベストセラーになった本だと思いますけれども、ぜひ大臣も関係者もお読みになったら、大変おもしろく書いてありますから。ただ、あの中で、テロで外部電源を吹雪の日に倒壊させるんですね。それに対する対応策は本当にできているのかということを問いかけた本、小説だというふうに思います。

 こういう意味でいくと、全体的な安全性というものでは日本はまだまだだというふうに思います。この点、田中委員長はどう思いますか。

田中政府特別補佐人 今御指摘の外部電源について見ますと、今回の規制では独立商用電源として外部からは二系統設けるということがまず一つ。

 それから、そういったものが喪失された場合においても、内部において、今回の事故でいきますと複数の非常用電源が皆同じようなタイプで、同じようなところに置いてあったということでだめになっちゃったわけですけれども、今回は水冷と空冷とを設けるとか、場所を変える、それから、さらにバッテリーのような蓄電池系統のものも相当もつようにするということで、電源の確保については極めて注意深く、規制委の方でも注意を払わせていただいております。

 先生御指摘のように、セーフティーとセキュリティーというのは、国際的に見れば安全を守る一体のものであるということであります。それで、そういった点については私どもも十分に認識しておりまして、セキュリティーについては今後ともさらなる改善強化を図っていきたい、そのように考えています。

荒井委員 このセキュリティーという観点では、ここへ来て急に、核セキュリティーサミットの話もあり、またそれに基づく法案の改正ということもあったりして、急に関心を呼んだわけですけれども、実はアメリカのNRCが日本の原子力発電所に対する、テロ対策が非常に甘いのではないかということで、NRC自身がB5b、そういう書類をつくり、それに対して、これは間接的というふうにも言われているんですけれども、勧告をしているんですね。

 NRCの元委員長のディアズという方が、もし仮に、日本でこのB5bの安全強化策を効果的かつタイムリーに実施をしていれば、福島第一原子力発電所の運転員が直面した事態は軽減されていたであろう、とりわけ、燃料プールの冷却への対策がなされていただろうということを、平成二十三年十月の第十九回原子力工学国際会議で発言されているんですね。

 私は、このことは、原子力の安全をつかさどる、特に当時の保安院だと思いますけれども、その責任は大変大きいというふうに思いますね。ここのところできちっと対応されていれば、日本は幾つか、原子力の安全にかかわるものについて行政はサボっていたところがあると思うんですけれども、この事態は大変大きいと思うんです。当時のことを知っている人はおられないかもしれませんけれども、いかがですか。

竹内政府参考人 二〇〇一年九月十一日の米国同時多発テロ以降、米国NRCは航空機衝突等への対策を講じてきておりまして、我が国も、二〇〇六年と二〇〇八年に原子力安全・保安院の担当者がNRCを訪問しまして、メモ取り禁止、内容は公開不可という条件のもとで、説明を受けております。

 これを受けまして、二〇〇九年三月、原子力安全・保安部会におきまして、今後、航空機衝突を念頭に置いた対応につき調査検討を行うということを公表しましたが、米国からB5b本文を入手できず、独自に技術的な検討を行っておりました。二〇一一年の時点では検討が継続していたところと承知しております。

 なお、新規制基準におきましては、テロに対する備えとしまして、意図的な航空機衝突などによりプラントが大規模に損傷した状況におきまして、消火活動の実施や、炉心の格納容器の損傷を緩和するための対策を求めているところでございます。

荒井委員 そのときのアメリカのNRCの指摘の最大のものは、非常用電源を分散しろ、なるべく安全性を確保するために分散をするべきだ、飛行機などがぶつかった場合、近くにあれば全部だめになってしまうということではなかったかと思いますが、いかがですか。

竹内政府参考人 米国で二〇〇二年にB5bを含む命令が出されましたが、当時、非公開でございまして、また、その後、二〇〇五年に手引が発行された際も、当時、非公表でありましたし、先ほどお答えしましたように、原子力安全・保安院が話を聞きに行ったときの資料も非公表ということで、公表がされたのは福島第一以降ということと承知しております。

荒井委員 原子力の安全を審査する、あるいはそれに携わる人たちが、このB5bが何のためにつくられたのか。これは、航空機をぶつけられたとき、自爆テロが行われたとき、それに備えてでしょう。それに備えているならば、何が問題になるかというのは想像できるはずですよね。想像性の問題だと思いますよ。ちゃんと考えている人だったらば、やはり、どこに一番欠陥が出てくるのか、弱点が出てくるのか、それは想像できたはずですよね。それについてすぐさま手を打たなかった。

 それは、私は保安院の怠慢以外の何物でもないと思いますよ。むしろ技術的なレベルが霞が関は少し下がっているんじゃないですか。そういうことについて真剣に議論しなかったということが、結果的には数十万人の人たちに被害を与えたということにつながったというふうに私は思います。どうですか、もう一回。

田中政府特別補佐人 まず、先生御指摘のように、核テロ、そういった航空機落下だけではなくてさまざまなことを考えなきゃいけないわけですが、一つは、電源の確保につきまして、今、分散すべきだという。

 先ほど申し上げましたけれども、移動用電源といいまして、電源車も複数備えておきまして、それは少し場所の離れたところにきちっと置いておいて、最低限そういった電源車を確保するということでございます。

 それから、使用済み燃料プールの問題ですが、これにつきましても、注水システムをきちっと、移動用の消防自動車、ああいうようなことで注水が確保できるようにするということ。

 それから、原子炉につきましては、第二制御室と俗称で言っておりますけれども、仮に制御室が壊された場合でも、外の方から原子炉は安全にとめられるようにする。

 そういった規制要求をして、いわゆる先生御指摘のようなことについては、できるだけ私どもとしても知恵を絞って対策を求めているところでございます。

荒井委員 全ては、全交流電源の喪失ということは考えなくてもいいという、当時の、これは保安院なんでしょうか、原子力安全委員会だったでしょうか、そこから発したことが原因になっているというふうに私は思うんです。今の田中委員長の御発言は、全交流電源喪失に対してはこういう形で対応しているというお話だと思うんですけれども、原発あるいはプルトニウムの管理問題については、想定外のことがいろいろ出てくると思うんですね。それに対して全面的に対応できるかどうかというのは、そのときそのときに的確な対応ができるような人材なり、あるいは日ごろの訓練ができているかどうかということにかかっていると思います。

 したがって、私は、第二の安全神話に溺れることなく、そういう人材を育成するなり、あるいはそういう対応を常にできるような体制をぜひつくっていっていただきたいというふうに思います。

 次に、プルトニウムの話を少しさせてもらいます。

 IAEAをつくるときも、ジミー・カーターは、彼は原子力の専門家でもあったので、プルトニウムというのがいかに危険な、そして人間にとって、人類にとって処理のしがたいものであるかということを承知していて、そこからIAEA体制をつくったというふうに言われています。

 今回、ハーグ・サミットで、これは日米合意の話は後で斉藤委員がされるというふうに聞いておりますので私は余りしませんけれども、プルトニウムの処理及び日本における保管状況というのは一体どういうふうになっていますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、我が国の電気事業者の保管している使用済み燃料でございますけれども、現在、約一万七千トンがございます。このうち一万四千トンにつきましては、各原子力発電所の使用済み燃料プール、または、一部、乾式貯蔵施設において保管をされております。残り約三千トンが日本原燃の六ケ所再処理工場の使用済み燃料プールで保管をされてございます。

 また、我が国の電気事業者が保管しております核分裂性のプルトニウムでございますけれども、約二十六トンございます。このうち約二十三トンが海外で保管をされてございます。残りの三トンでございますけれども、国内で保管をされておりまして、うち〇・六トンが、新しいMOX燃料集合体として原子力発電所内で保管をされてございます。残りの二・三トンにつきましては、MOX粉末などとしまして六ケ所の再処理工場内で保管をされてございます。それぞれ保管先の事業者が厳重な管理をしている状況でございます。

荒井委員 通常四十四トンというふうに言われていて、そのうちの三十五トンがフランスもしくはイギリスというふうに理解をしていたんですけれども、今の話だと二十六トンですけれども、この数字の違いは何かあるのかな。

高橋政府参考人 先生御指摘の四十四トンにつきましてはプルトニウム全体でございまして、今私どもが申し上げましたのは、そのうちの核分裂性のプルトニウムが二十六トンということでございます。

荒井委員 プルトニウムというのは非常に危険だし処理しがたいということで、世界各国、プルトニウムの処理については頭を悩ませていますよね。今度のサミットでも、利用目的のない余剰プルトニウムは持たないというのが原則なんですけれども、この利用目的のない余剰プルトニウムというものは、日本ではどういうふうに管理をされ、定義をされ、あるいはこの処理をどういうふうにしようとしているのか。それはわかりますか。

中野政府参考人 原子力委員会におきまして、平成十五年八月に、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」という委員会決定を行っております。その中で、利用目的のないプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないという原則を明示しているところでございます。

 また、原子力委員会においては、プルトニウムの利用の透明性の向上を図るということが国内外の理解を得るために重要であるという認識に基づきまして、平成六年から毎年、国内外での分離プルトニウムの保管状況、保有量に関して事業者等からヒアリングを行って、「我が国のプルトニウム管理状況」を取りまとめ、公表するとともに、IAEAに報告を行っているということでございます。これが全体として四十四トンということでございます。

 さらに、原子力委員会におきましては、平成十八年から平成二十二年にかけてですが、電気事業者等のプルトニウム利用計画に関しましてヒアリングを行って、「電気事業者等により公表されたプルトニウム利用計画における利用目的の妥当性について」を取りまとめて公表しているところでございます。

荒井委員 世界的な規模でいって、核保有国でない国が、四十四トン、もしくは先ほどの二十六トンほどのプルトニウムを持っているということは、異常ではないんですか、異例ではないんですか。この規模感というのはどうなんでしょうか。

中野政府参考人 原則としまして、余剰のプルトニウムを持たないような利用計画があるということが一つの考え方でございまして、そうした管理が行われるべきものと考えております。

荒井委員 資源エネルギー庁も来ていますね。この余剰分をMOX燃料として利用しようとする今の計画では、MOX燃料をどの程度消費しようとしているのか。その計画はいかがですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 余剰プルトニウムを持たないという原則につきましては、今内閣府から御説明のとおりでございます。

 プルトニウムにつきましては、MOX燃料として今後消費をしていくということでございますけれども、震災前、平成二十二年九月に電気事業者が示したプルトニウム利用計画におきましては、十六基から十八基の軽水炉で、MOX燃料として年間五・五トンから約六・五トンのプルトニウムを利用するという計画でございます。

 六ケ所の再処理工場の竣工がこれからでございますので、今後、それに向けて、電気事業者におきましては、そういった再稼働の状況とか、あるいは六ケ所の再処理工場の開始時期等も踏まえながら、新たなプルトニウム利用計画を策定するということで考えてございます。

荒井委員 余剰プルトニウムをMOX燃料として消費していくという計画なんでしょう、それしかないんでしょうけれども、ただ、MOX燃料をつくれるところはもう日本には現在ないでしょう。あるいは、フランスかイギリスに頼んでいたと思うんですけれども、その工場も閉鎖したんじゃないですか。

 MOX燃料製造の可能性というのは今どうなっているんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 MOX燃料の加工につきましては、現在工事が進められておりまして、二〇一〇年から青森六ケ所でMOX加工工場の着工を始めておりまして、今工事の最中でございます。

荒井委員 いつできるんですか。それで、それはどのぐらいの能力を持っているのかという製造能力の方と、それから、消費は、今あなたは五・五トンから六トンぐらい毎年使うと言っていたけれども、現実的にはどうなんですか。現実的にはそんなに使わないでしょう。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 六ケ所で工事を進めておりますMOX燃料加工工場でございますけれども、計画によりますと、年間の最大加工能力が百三十トンということでございます。

 竣工時期でございますけれども、今、新しい規制基準ができておりますので、その規制に適合性の審査を行っているという状況でございますので、それを踏まえて、今後、具体的な竣工時期が確定されるということでございます。

 また、プルサーマルでございますけれども、これは今後、再稼働の状況にもよりますけれども、今、新規制基準の適合性申請をしている原子炉の中にもプルサーマルを行うという原子力発電所もございますので、そういった中で着実に進めていきたいと考えてございます。

荒井委員 百三十トンというのはプルトニウムの話じゃないよね。燃料全体が百三十トンということだよね。これの大体一割ぐらいかい。プルトニウムが含まれているのは数%でしょう。

 つまり、プルトニウムを本当に消費するのは、MOX燃料を使ってもまたプルトニウムが出てくるはずですから、四十四トン。あるいは、これから原子力を、ウラン型で使用済み核燃料が出てくるとすれば、その中に含まれるプルトニウムというのはなかなか消費しがたいというふうに思うんですけれども、どうですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 プルサーマルでの消費でございますけれども、現在、プルサーマル計画につきまして、地元の了解を得ている原子力発電所は九基ございます。そのうち七基につきましては、現在、新規制基準の適合性申請が行われているという状況でございます。これによりまして、MOX燃料を使いながら着実にプルトニウムの消費をしていきたいという考えでございます。

荒井委員 このプルトニウム、MOX燃料の使い方については、また別の機会でいろいろ議論をしたいと思うんですけれども。

 次に、国民が一番心配しているのは、こういう余剰のプルトニウムあるいは使用済み核燃料が、セキュリティーとして比較的弱い形のところからこの使用済み核燃料に含まれているプルトニウムを抽出して、そして核爆弾をつくることができるのかどうか。そこについて国民は心配をしているんだろうというふうに思うんです。ここはいかがですか。

中野政府参考人 御懸念の兵器転用でございますけれども、一般的に申しまして、プルトニウムは、原子核分裂の過程におきまして高エネルギーを放出する核燃料物質でございます。

 先ほど原則を申し上げましたけれども、我が国の原子力利用におきましては、原子力基本法の基本方針に基づき、平和の目的に限定されておりまして、御指摘のようなプルトニウムの兵器転用はないものというふうに認識しております。

 また、我が国においては、プルトニウムはもとより、保有する全ての核物質がIAEAの保障措置のもとに置かれておりまして、IAEAは、これらの核物質が全て現在のところ平和活動下にあるとの結論を出していると理解しているところでございます。

荒井委員 今テロの話をしているのであって、政府が関与するところで核爆弾をつくるなんという議論をしているわけじゃないよね。テロがこの使用済み核燃料や既存のプルトニウムを盗み取って核爆弾をつくるようなおそれはないのかということを聞いているわけで、そのときの技術的なベースなりなんなりというのは、今、日本の技術力であればどうなのかということを聞いたんだよ。

中野政府参考人 内閣府として、日本が転用する技術を持っているかということについてお答えするのはちょっと難しいところですけれども、技術的にそういうことが言われていることは認識してございます。

荒井委員 アメリカとの最初の原子力協定はいつだったでしょうか、もう二十年ぐらい前になるんでしょうけれども、そのとき、ジミー・カーターのときだったと思うんですけれども、ジミー・カーターは、日本に対して、プルトニウムの抽出技術を含む原子力協定を結ぶことに本来反対をしていたという情報があります。

 それはなぜなのかというと、日本の核開発技術からいけば、プルトニウムから核爆弾をつくるのはそんなに難しくない、極めて容易だ、ある技術者は、日本の技術だと二週間ぐらいでつくれると言ったというような話も伝わっているんですけれども、それほどでないにしても、プルトニウムの純粋化というものができれば、私はかなり、そんなに困難でなく、核爆弾はつくれるんだろうというふうに思います。

 今までの議論を踏まえて、これから核セキュリティーの話というのは、想像以上に、想定以上に大きな課題になっていくのではないかというふうに思います。そのために、人材の育成や予算の処置などなど、政府が果たすべき役割は大変大きいものがあると思います。

 最後に、石原大臣に、その点についての決意をお聞かせ願いたいと思います。

石原国務大臣 先ほど、田中委員長の方から、セキュリティーとセーフティーは同義語である、同義語に近いことであるというお話がございました。セキュリティーを万全に強化していくということでございます。

 原子力規制委員会が職務を全うできるように、しっかりサポートしていく立場に環境省はあると思いますし、規制委員会の方は、福島第一原子力発電所における事故対応、あるいは、きょう御議論いただきました原子力防災、核セキュリティー対策の充実強化、さらには、原子力発電所の審査や検査、大変多くの課題を抱えていると認識しております。

 こういう全ての期待に応えられるようなサポート、予算面、人員面の確保など、着実に進めてまいりたいと考えております。

荒井委員 最後に、田中委員長に申し上げたいと思います。

 もともと、安全性というのは、本来、技術的な問題であり、あるいは、政治と密接な関係はあるんですけれども、政治と独立して行っていかなければ所期の目的は達成できないというのが国会事故調の結論でありました。ですから三条委員会にしたんですね。

 最近、どうも政治の圧力が田中委員長のもとに来ておられるような、よそごとながら心配をしております。激励の意味を兼ねて、田中委員長には、あくまでも安全性を守る、それが御本人の使命であるということをお伝えいたしたいと思います。

 以上です。終わります。

伊藤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日は、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる放射線発散処罰法改正案について質問をさせていただきます。

 本論に入ります前に、先日来報道されております石原環境大臣の参議院環境委員会遅刻問題、先ほど民主党さんの方からもありましたが、この件について、及び、私どもの党といたしましては、宮中行事欠席問題についても触れさせていただきたいと思います。

 自民党が野党であられました時代、当時の与党民主党の閣僚に対して、遅刻や宮中行事の欠席に関しまして極めて厳しく糾弾されていたのではないかなと認識しております。

 例えば、総務大臣が、衆議院本会議が予定より時間がかかってしまったために、参議院総務委員会への移動がおくれたということで、委員会開会時間に間に合わなかったことにより、委員会を流会にするなどの対応がとられているというふうに聞いております。

 当時、石原環境大臣は、自民党の幹事長というお立場にあられまして、民主党の政権運営、国会運営について緊張感の欠如等を厳しく指摘されてきたお立場であったのかなというふうに思っております。そうした方がこういった問題になったというふうに認識しておりますので、当時発せられたお言葉を鑑みまして、現在の大臣の認識をお尋ねいたしたいと思います。

石原国務大臣 この点につきましては、先ほど御同僚の荒井委員に申し述べさせていただきましたとおり、本当に面目ない。また、参議院の環境委員会、参議院の予算委員会で陳謝をさせていただきましたし、また、この場をおかりいたしまして、このようなことが二度とないように戒めてまいるということ、そしてまた、環境大臣の職責を全身全霊をもって全うさせていただく、こういうことを述べさせていただき、深く深く申しわけないと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。しっかりと受けとめていただきたいと思います。

 参議院予算委員会におきましては、大臣は、四半世紀の間議員を経験されて、一度も遅刻はなかったというふうに答弁されておられるかと思います。九時十五分に出発されて十時からの委員会に出席するという、私どもから見ればかなり綱渡りのような日程のようにも感じられるわけでございます。本当に、こうした日程で遅刻が今までなかったのかという意見もあるかと思います。

 大臣の自宅を出られる時間はどのように決められていたのか。今回のように、国賓の方の移動による交通規制等が予定された場合、道路混雑を予想して自宅を出られる時間を早めるなどの対応をとられた方がよかったのかなと思っております。

 大臣車の運転手さんや警護官、大臣室のスタッフ、それぞれが、大臣の職務を適切に執行できるようにサポートしていく意識を常に払っておられるプロフェッショナルであるというふうに考えております。こういった方々から、出発時間を早めるなど、あるいは危機管理上からも意見はなかったのでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘のとおり、秘書官や警護官等がついていながら今回の事態を招きまして、大変申しわけなく考えております。

 今回、秘書官たちは、出発時点で情報をとったところ、通常どおり所要の時間で国会に到着できるという情報を得ておりましたので、大臣にも通常どおりの時刻に出邸いただいたということでございますが、結果として、申し上げますと、複数の故障車両の発生等によります渋滞などによりまして、国会におくれるということに至ったものでございまして、まことに申しわけなく思っております。

 今後このようなことが二度と起こらないように、省内に対しまして、交通情報を的確に活用し、また不測の事態も想定の上、国会等に絶対におくれることのないように改めて指示をしたところでございます。申しわけございませんでした。

河野(正)委員 石原大臣は、これまでも国土交通大臣、規制改革担当大臣などさまざまな大臣を歴任されておられますので、その辺きちんとされてこられていたのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 石原大臣は、原子力防災担当の内閣府特命担当大臣も兼務されておられます。原子力防災会議の副議長あるいは原子力災害対策本部の副本部長であり、緊急時には本部長である内閣総理大臣を助けるとともに、事故がある際は職務を代理する立場で、その指導力が問われていくことになられると思います。

 石原大臣は、東京八区の御選出であり二十三区内にお住まいをお持ちということで、議員宿舎に入ることができない状態にあるかと思います。緊急時の参集に時間がかかることも予想されますが、このような場合に対して、緊急時の備えというのはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘のように、原子力災害本部が立ち上がるような緊急事態に際しましては、石原大臣は速やかに官邸に参集することになっております。

 このため、災害等さまざまな事態が生じた場合であっても速やかに大臣とは連絡がとれるよう、大臣秘書官には衛星携帯を携行させておりますし、また、大臣の御自宅にも衛星携帯を配備させていただいております。

 こうしたことによりまして、緊急時にも必要な対応がとれるよう体制を整備しているというところでございます。

河野(正)委員 これまで、大臣の遅刻というのは事務的な連絡ミスが主だったように聞いております。交通渋滞による遅刻というのは余り聞かない例でございますし、意見の中には、大臣は、昨年一月、除染事業の不正発覚の際も登庁していないというようなことを言われる方もいらっしゃるので、緊張感を持って当たっていただきたいと思います。

 この問題の最後に、先ほどもお話ししましたように、ベトナム主席閣下及び同令夫人歓迎行事欠席について、一言だけお尋ね申し上げます。

 先ほども指摘させていただきましたが、大臣が野党当時、幹事長を務めておられました自民党では、民主党政権の閣僚であった当時の一川保夫防衛大臣が宮中晩さん会に欠席した際、国賓をお迎えする基本的な姿勢に欠けるということを指摘されていると思います。

 宮内庁のホームページによりますと、

  国賓とは、政府が儀礼を尽くして公式に接遇し、皇室の接遇にあずかる外国の元首やこれに準ずる者で、その招へい・接遇は、閣議において決定されます。皇室における国賓のご接遇には、両陛下を中心とする歓迎行事、ご会見、宮中晩餐、ご訪問がありますが、両陛下はじめ皇族方は心をこめて国賓のご接遇をなさっています。

というふうに書かれております。内閣の一員でもあります大臣は、お客様をお招きする立場から、礼をもって接遇するべきなのではないかなと思っております。

 ちなみに一川大臣の場合は、欠席された後に、先方の国の総領事館に出向いておわびをされたということでもございますが、石原大臣の国賓をお迎えする姿勢について、あるいは、大臣がこれまで国賓の歓迎行事、宮中晩さん会などの出席をされた状況について一言だけお聞きしたいと思います。

石原国務大臣 環境大臣に就任をさせていただきまして、フランスのオランド大統領、トルコのエルドアン首相の二回については歓迎行事に出席をさせていただいておりますが、三月十七日に行われましたサン国家主席の歓迎行事は、欠席という返事を途中で出してしまいました関係で、欠席をいたしました。

 外交関係というものは特に大切に考えておりますし、私は、ベトナムと大変御縁がございまして、大使館とも緊密に連絡をとる関係でございますので、こういう御懸念のないように対処してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 このような事態が重ねられますことは、今後の環境、原子力防災行政に悪影響を与えかねないことが心配されますので、緊張感を持って職務に当たっていただきたいということを改めて申し述べまして、法案に関する審議に入らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 放射線発散処罰法改正案について、その改正の背景にある核セキュリティーに対する我が国の取り組み状況を中心にお尋ねしてまいりたいと思います。

 平成二十四年三月に出されました原子力委員会の報告書、「我が国の核セキュリティ対策の強化について」を見ますと、信頼性確認制度の導入、輸送時の核セキュリティー対策、設計段階からの核セキュリティーの考慮、核セキュリティー文化の醸成、放射性物質及び関連施設の核セキュリティー、規制上の管理を外れた核物質及びその他の放射性物質に関する核セキュリティー、それぞれが今後の課題として挙げられております。

 過去には、ジェー・シー・オーでの臨界事故により従事者が被曝により死亡するという不幸な事件も発生しております。一〇〇%の安全という言葉はないと私は思っております。

 これまでの対応を振り返ると、いわゆる原発では事故は起こらないとする安全神話と同様に、原発ではテロは起こり得ないと考え、対応が十分でなかったようにも感じられます。特に、我が国におきましては、テロという言葉に関して深刻な思いを持つ方は少ないように思っております。

 原子力施設の現在の体制について、石原大臣は十分と考えておられますでしょうか、認識をお尋ねいたします。

田中政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 先ほどの御質問にもありましたように、我が国の原子力発電所等のセキュリティー対策については、原子炉等規制法に基づいて、事業者にテロリストの侵入阻止あるいはそのための必要な防護措置を種々求めております。

 具体的には、先ほども申し上げましたとおり、いわゆる立ち入り制限区域を設ける、それから、周辺防護区域を設けて、フェンス、センサー、監視カメラを設置して、二十四時間警備による巡視を実施する。

 あるいは、海水冷却ポンプ等が屋外にありますので、そういった重要な設備、あるいは原子炉建屋内の重要な設備についても、テロリストの大きな攻撃から守るため、周辺に防護壁を設置するというふうなことも求めております。

 それから、出入り口においては、身分証による従業員等の本人確認、金属探知機による探知の実施、それから、中で作業する場合には二人以上で行うというようなことで対策を進めております。

 先ほどの繰り返しになりますけれども、発電所につきましては、警察の銃器対策部隊が二十四時間体制で常駐警備を実施しておりますし、海上保安庁では、巡視艦艇を常時配備して、いわゆる周辺海域からの警戒に当たっていただいております。

 今後とも、IAEAのIPPASミッション等のレビューを受けつつ、継続的にセキュリティー強化を図っていくということを考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 法案に入っていっておりますので、重複する質問もあるかと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、プルトニウム、ウランの保有状況についてお尋ねいたします。

 これは、先ほどもあった、重複になりますけれども、現在、どこにどれだけ存在するのかを教えていただけますでしょうか。

中野政府参考人 原子力委員会が毎年、分離プルトニウムの管理状況を発表しておりますけれども、昨年発表いたしました二十四年末のプルトニウム保管量で見ますと、再処理施設に約四・四トン、燃料加工施設に約三・四トン、原子炉施設等に約一・六トンございまして、国内に約九・三トンという保管量がございます。さらに、海外に保管中の分離プルトニウムの量が約三十五トンということでございます。

河野(正)委員 今回、原研機構の所有するプルトニウムを米国に返還することとなったと思います。研究を進める上で保有を続けることが必要という認識であって、そういった意見もあったと聞いておりますけれども、今回返還してしまうことによって研究への影響があるのかどうかをお尋ねいたしたいと思います。

田中政府参考人 お尋ねがございました、今回、米国と合意いたしました日本原子力研究開発機構が保有いたします高速炉臨界実験装置の高濃縮ウラン及びプルトニウムの撤去につきましては、我が国として、国際的な核セキュリティー強化への貢献に積極的な姿勢を示す観点からも大きな意義があるものと考えてございます。

 一方で、今回合意いたしました高速炉臨界実験装置の高濃縮ウラン及びプルトニウムの撤去により、同施設を活用してこれまで行ってきたデータの取得等への影響につきましては、今回の合意に際しまして、第一に、米国が過去に取得した同様のデータを日本側に提供すること、第二に、高濃縮ウランのかわりに低濃縮ウランを活用し、同等のデータを得るための新たな研究の取り組みを行うことなど、日米が積極的に協力して行うこととしてございまして、これらの活動を通じまして、我が国における研究には影響がないものと考えてございます。

河野(正)委員 今、最後におっしゃいましたように、日米協力でデータを得るので研究は大丈夫だということと認識させていただきます。

 最終的に返還ということになったわけでございますけれども、返還を決断された判断の根拠というか、その理由について、もう一度教えていただけますか。

田中政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、我が国は、国際的な核セキュリティー強化への貢献の観点から、従来より、核テロの脅威となります核物質、すなわち高濃縮ウラン及びプルトニウムの削減プログラムの取り組みに積極的に協力してきているところでございます。

 その取り組みの一環といたしまして、文部科学省と米国エネルギー省の間で、従来より、日本原子力研究開発機構にございます高速炉臨界実験装置の高濃縮ウラン及びプルトニウムの取り扱い等について交渉を重ねてきたところでございます。

 今般合意に達したことを受けまして、三月二十四日に、ハーグ核セキュリティーサミットの開催に合わせて、日米首脳の共同声明として、その合意事項について発表したものでございます。

 今回の合意は、我が国として、国際的な核セキュリティー強化への貢献に積極的な姿勢を示すものであると考えてございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 今お答えにあったように、核セキュリティーということをずっと繰り返しおっしゃったわけですけれども、これまで、原研機構の警備が原発と比べて手薄なのではないのかという指摘もされているかと思います。そうした指摘を受け入れて、いわば施設の持つリスクを減らすために返還してしまおうというようになったのではないかという懸念もありますが、それとは関係ございませんでしょうか。

田中政府参考人 先ほど申し上げましたように、今回の返還になりました経緯につきましては、あくまで、我が国が国際的な核セキュリティー強化への貢献の観点から、従来より行っております核テロの脅威となる核物質、すなわち高濃縮ウラン及びプルトニウムの削減プログラムの取り組みに積極的に協力してきたところでございまして、その一環というものでございます。

 ちなみに、原子力機構にございます、例えば高速炉臨界実験装置の核燃料に対しましては、国際原子力機関、IAEAの基準を踏まえた国内法、規則にのっとって、防護区域の設定でございますとか立ち入り制限区域の設定、核物質防護管理のための情報管理など、適切な核物質防護措置を実施しているところでございます。

河野(正)委員 しっかりと警備はされているということだと思います。

 また、巷間報道されているところではございますが、ことしの夏にも原子力発電所の再稼働が予想されております。また、今後、再処理工場を稼働することとなれば、これからもプルトニウムがふえていくことが予想されますけれども、どのように考えて備えておられるのかをお尋ねしたいと思います。

中野政府参考人 我が国のプルトニウム利用の基本的な考え方についてという平成十五年八月の原子力委員会決定におきましては、余剰プルトニウムを持たないとの原則とともに、プルトニウムを分離する前に、電気事業者等がプルトニウム利用計画を公表することとしております。これに基づきまして、再処理工場も含めまして、新たにプルトニウムの回収が開始される前には、電気事業者等がプルトニウム利用計画を策定、公表するものと理解しております。

 また、これまでも、こうしたプルトニウム利用計画が出てまいりましたときには事業者からヒアリングを行っておりまして、プルトニウム利用計画における利用目的、原子力基本法の平和利用に限るという目的に照らして妥当性があるかどうかということについて取りまとめて、公表しているところでございます。

河野(正)委員 関連しまして、輸送時の核セキュリティー対策についてお尋ねをいたします。

 これからプルトニウムを米国に返還するということになるわけですけれども、当然、何らかの方法によって運んでいかなければならないことになるわけでありますが、これは先ほどから返すということですけれども、アメリカの方がとりに来てくれるのか、あるいは我が国が持って、返しに行くのか、どちらでしょうか。

田中政府参考人 今回の合意を受けまして、高速炉臨界実験装置の高濃縮ウランとプルトニウムを米国に返還するわけでございますけれども、その輸送方法などの具体的な計画につきましては、今後、日米間で協議していくということになってございます。

河野(正)委員 現時点では、まだどちらが、返しに行くのか、とりに来てもらうのかわからないということだと思います。

 いずれにせよ、どちらが運ぶにせよ、返却途中で事件や事故があってはならないことだと思っています。輸送時のリスクへの備え、対策を政府としていかに考えておられるでしょうか。

黒木政府参考人 お答えします。

 当該輸送物における核物質防護対策でございますが、具体的なそのときの情勢を踏まえまして、今後、関係省庁において検討することとなりますけれども、一般論として申し上げれば、防護措置は、船舶安全法に基づき、国土交通省において輸送物、輸送方法が技術上の基準に適合することを確認し、また、治安機関において輸送経路、日時等の届け出、指示が行われることとなります。当然、その情勢を受けまして、所要の警備がつくことになります。

 以上でございます。

河野(正)委員 きちんとやっていただきたいと思います。

 輸送時のセキュリティー対策について、我が国は多くの課題を抱えているのではないかと考えております。

 核物質の輸送に関係する省庁が、今国土交通省とか治安ということでおっしゃいましたけれども、多岐にわたっており、その連携確保がスムーズに進んでいくのかどうかが心配されるところであります。

 例えば、陸上輸送をしている場合は、輸送物については原子力規制委員会、輸送の方法について、敷地外であれば今おっしゃった国土交通省、敷地内では原子力規制委員会、輸送経路、日程については都道府県の公安委員会などが担当されるのかなと思います。また、船で持ち出した海上輸送については、輸送物や輸送方法について国土交通省、輸送経路、日程については海上保安庁になるのではないかなと思っております。

 このように、内容によっても、どこからどこまでということでも担当省庁が非常に複雑に入り組んでいるということで、実際の輸送においてトラブルが発生した場合に、省庁間のすき間に落ち込んでしまう、それによって対応が後手後手に回ることがないのかどうか、こういった懸念もありますけれども、どのように連携を確保されているのかを教えていただけますでしょうか。

黒木政府参考人 お答えします。

 防護対象の核燃料物質の輸送につきまして実効性の高い規制が行われますように、関係省庁がそれぞれの知見に基づきまして、先ほど申し上げました形で役割分担をしているところでございます。

 トラブルが発生した際には、原子炉等規制法に基づき、輸送ごとに作成される緊急時対応計画によりまして、輸送事業者より関係省庁、第一報は治安機関でございますので、陸上であれば警察、海の上であれば海上保安庁になると思いますが、そこに速やかに通報がなされ、それを受けた関係省庁は必要に応じ情報共有を行い、必要な対応についての連携がとられる体制となっております。

 原子力規制委員会は、こういった意味においても、関係省庁のいわゆる調整をする役になっておりますので、原子力規制委員会が中心になって、こういった形の対応に当たることになると思います。

 いずれにしましても、引き続き、関係省庁がしっかりと連携して対応していきたいと考えております。

 以上であります。

河野(正)委員 関連しますけれども、今後、各原発で保管されている使用済み核燃料が中間貯蔵施設等に運ばれるなど、輸送の機会がふえていくと考えます。その輸送の際の核物質防護対策はどのようになっているのか、今のお答えにもありましたけれども、国内の問題について、考え方を再度お聞かせいただけますでしょうか。

黒木政府参考人 防護対象の核燃料物質の輸送における防護措置でございますが、その措置が有効に機能することを確認するため、陸上輸送におきましては原子炉等規制法、海上輸送におきましては、船舶安全法に基づきまして国土交通省が、これは原子力規制委員会が輸送の取りまとめを行っておるわけでございますけれども、輸送時の安全及び防護措置を定めた運搬に関する計画書により、輸送方法の確認並びに輸送前の現場確認を行っているものと承知しております。

 運搬の日時、経路につきましては、陸上輸送においては、原子炉等規制法に基づきまして都道府県公安委員会、警察が確認をいたしております。また、海上輸送におきましては、船舶安全法に基づきまして海上保安庁が確認をいたしております。

 あと、陸上輸送における輸送容器を含む輸送物につきましては、原子炉等規制法に基づきまして原子力規制委員会が、技術上の基準の確認を行っているところでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 次に、放射性廃棄物貯蔵、保管、処分施設での核セキュリティー対策についてお尋ねいたしたいと思います。

 実は、先ほどから質問していましたように、昨年末、日本維新の会国会議員団有志によりまして、青森県むつ市に建設されております中間貯蔵施設を視察してまいりました。この際に、運搬のことについて、いろいろな先生方が、大丈夫なのかなということを言っていたわけであります。

 まだ放射性廃棄物が貯蔵されていない状態ではございますが、核物質防護対策も施されております。中間貯蔵施設における核物質防護の対策をどのようにとられているのか、お聞かせください。

黒木政府参考人 具体的な状況でございますけれども、IAEAが決めますところの核物質防護に関する勧告文書、いわゆるINFCIRC二二五Rev五、第五版という文書がございまして、これが、我が国のみならず全世界におきまして、こういった核物質防護に関する基本的な文献となっておりまして、これに従って、全世界において核物質防護に関する措置がとられているところでございます。中間貯蔵施設につきましても、このIAEAの文書に基づきまして、我が国においても同様の対応がとられておるところであります。

 具体的には、原子力施設の周辺に立ち入り制限区域、周辺防護区域を設け、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置し、警備員による巡視を実施しています。これは、テロリストが入ってくることを検知すると同時に、一番重要な部分に近づくのをなるべく遅延させるといった効果を狙ったものでございます。

 出入り口における身分証による従業員の本人確認、金属探知機等による探知の実施、重要な設備の周辺で作業する場合には、いわゆるツーマンルールと言いますが、二人以上で行うこと等を我が国の国内規制に取り込んでいるところであります。これは、中に入る人々には、きちんとした形の確認をした上で、かつ持ち物もきちんと点検して、テロ等のキットを持っている人間の入る部分を防ぐといった意味でございます。

 原子力施設は、ほぼ共通でございますけれども、こういった措置をとっておるところでございます。

河野(正)委員 続いて、今も少しお話しいただきましたけれども、関連施設に出入りする者による脅威への対応をお尋ねいたしたいと思います。

 福島第一原発や青森県六ケ所村の核燃料サイクル施設を視察しても感じたことでありますけれども、毎日数千人に及ぶ方々が施設の中で働いておられます。これだけ多くの方々が出入りされておれば、一人一人の思想、信条や各種事情を完全に把握しておくことは極めて難しい、もう不可能に近い問題だと思っております。

 そうした方々が内部で情報を盗み取ったり、あるいは破壊行為に及ぶなどのリスクに対し、現在、今ツーマンルールということもおっしゃいましたけれども、どのような対策を備えておられるのか、お聞きしたいと思います。

黒木政府参考人 我が国においてもテロの脅威が高まりつつある中で、内部脅威対策というのは一つの課題でございます。

 核物質防護上の情報につきましては適切な情報管理が必要でございます。このため、原子炉等規制法に基づきまして、防護措置に関する詳細な事項は、これを知る必要がない者に知られることがないように管理することを求めております。

 特に、核物質防護に関する秘密につきましては、秘密の範囲及び業務上知り得る者を指定し、管理の方法も厳重に定めることにより、その漏えいの防止を図ることを求めておるところでございます。

 それから、施設に出入りする者による妨害、破壊行為等を防止するための対策につきましても、先ほど申し上げましたように、金属探知機や警備員による点検により、妨害、破壊行為の用に供される可能性のある物品の持ち込みを防止しているところでございます。

 さらに、身分証明書等の確認による厳格な本人確認や、特に防護が必要とされる枢要設備の中で作業等を行う場合に、二人以上の者が同時に行う、いわゆるツーマンルールによる内部脅威対策を講じること等で、防護措置に万全を期しているところでございます。

河野(正)委員 ちょっと重複してくるかと思いますけれども、福島第一原発事故では、溶け落ちた燃料の取り出しや汚染水への対応を初め、さまざまな復旧活動が行われております。そこで働く人々の労働条件が悪いこともこれまで指摘されてきており、また、反社会勢力の関与を指摘する声もあるかと思います。

 昨年、福島第一原発を視察させていただきました際に、私は、バックヤード、いわゆる作業員の方々の休憩室まで見せていただくことができました。この場所で詳細を述べることは控えさせていただきますが、いろいろな方々が汗をしておられる、大変な職場であるなというふうに実感してまいりました。

 福島第一原発での信頼性確認、どのように対応されているのか、改めてお尋ねいたしたいと思います。

黒木政府参考人 福島第一原子力発電所における信頼性確認というお話でございますが、まだ信頼性確認に関する制度は我が国ではでき上がっておりません。

 今やっておりますことは、出入り管理を厳重にやることとツーマンルール、そういったことでございまして、福島第一原子力発電所の出入り管理につきましては、運転免許証などで立ち入り者の身分を確認し、または立ち入りの必要性を確認した上で立ち入り証明書を発行し、立ち入りしている間はその証明書を所持させるといった措置をとっております。

 また、発電所構内に誰が入り、誰が出るのかという点も、敷地の正門付近の管理棟で厳重に管理をしているところでございます。

河野(正)委員 個人のプライバシー保護とのバランスをとることも極めて大切だと思いますけれども、今お話ししましたように、実際は下請の方とかがたくさん労働力として入ってこられるということで、こういった下請の方々、極めてプライバシーの問題であるんですけれども、犯罪歴とか薬物使用の有無とか、そういったことについてどのように考えられているか、お願いできますか。

黒木政府参考人 原子力発電所には、恐らく、一日当たり四千人から、多ければ五千人、六千人という大変多くの方が入られます。その方々一人一人を全てチェックする、信頼性確認ということでしょうけれども、なかなかこれはまた難しい問題も実務上ございます。

 そういった中で、どういうふうな形で一番大事なものをきちんと守れるかという観点から、信頼性確認をどういう形で、誰に対して、誰が確認するのか、確認項目は何かといった非常に実務的な問題に踏み込んだ検討が必要でございまして、今、まさにその点について、原子力規制委員会のもとに設けられました検討会、さらにはワーキンググループをつくりまして、鋭意検討しておる最中でございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 現在、非常に情報があふれる社会になっておりまして、スマートフォンやSNSの普及により、やろうと試みれば、内部の写真などを撮ってすぐにデータを出すことが可能となってしまいます。

 この点、携帯電話の持ち込みであるとか、そういった問題についてお聞かせください。

黒木政府参考人 原子力規制委員会は、事前に持ち込み許可を受けていない携帯電話を含む情報端末の防護区域内への持ち込みを禁じるとともに、原則として、防護区域出入り口において、警備員による点検を実施することを事業者に指導しているところでございます。

 さらに、事業者は、協力会社社員を含む全ての社員に対しまして、許可なく構内の写真撮影を行うことのないように社員教育を徹底するとともに、見学者等の一時立ち入り者に対しても、入構の前に、許可なく写真撮影を行うことを禁止する旨の注意事項を説明するなどして、情報流出対策に万全を期しているところでございます。

河野(正)委員 本当に、携帯電話とかはすぐ隠して持ち込むこともできますし、やろうと思えば撮れてしまうような状況だと思います。

 私どもが視察に行きましたときも、この場所は撮らないでくださいとか、特に入り口、扉、セキュリティーのところは絶対撮らないでくださいと。たまたま、ちょっとそれが写ってしまうような写真をフェイスブックに出した同僚の先生がおられて、すぐさま消してくださいということで連絡をいただいたりもしましたので、かなり厳しくはされているんでしょうけれども、やはり、先ほどから話しましたように、多くの方が出入りするところで、どんな方が入ってくるかもわかりませんので、その辺、きちんと対策をとっていただきたいなと思います。

 時間も余りありませんので、最後に、その他のリスクについてお尋ねしたいと思います。

 まず、送電網の安全確保等についてお聞きしたいと思います。

 匿名の現役官僚による著作でベストセラーとなった「原発ホワイトアウト」をここに今持ってきているんです。この本でも送電線のこととかが書かれておりまして、それをお尋ねしようと思ったんですが、時間もありませんし、荒井委員のところでお答えいただいていると思いますので、では、送電線や送電網への攻撃に対する備えはどのようになっているかをお聞かせいただきたいと思います。ただ、これは手のうちを明かしてしまうこともいけないことだと思いますので、可能な範囲で教えていただけますでしょうか。

竹内政府参考人 送電線の役割は、原発内部の機器を動かすのに必要な電力を外部から供給することにございます。

 ただ、敷地外に広大に広がります送電線を規制することは現実的ではございませんので、このため、原発の設計に係る基準の考え方としましては、外部電源については期待しないこと、すなわち、外部電源が失われても、内部の発電機で必要な電力を供給できることを求めております。

 しかしながら、外部電源の有無が福島第一原発事故の結果を大きく左右したということも事実でございます。新規制基準では、別々のルートを通って異なる変電所に接続される二回線以上の送電線を原子力発電所の各号機ごとに接続すること等として、外部電源の信頼性を高めるように規制を強化しておりますし、さらに、この外部電源がなくても、内部の発電機で必要な電力を供給し、安全を確保するという考え方にしております。

河野(正)委員 では、最後に、原発の集中立地への対応についてお尋ねをいたしたいと思います。

 原子力発電所は、その多くで複数の原子炉を抱えていると思います。例えば、東電柏崎刈羽原発の場合は七つの原子炉があるというふうに聞いております。こうした原発では、一つの原子炉で不測の事態が生じた場合、そこに近づけなくなることで他の原子炉も制御不能になる重大なリスクが存在するかと思います。

 話はちょっとずれますけれども、先日三月二十七日にも、福島第一原発二号機原子炉建屋五階で汚染状況を調査していた米国製の作業ロボット、ウォリアーというのが転倒してしまい、バッテリー切れで回収不能になってしまったというふうに報じられております。再起動するには本体のスイッチを操作しに行かなければならないんですけれども、放射線量が高いため回収を断念したというふうに記事になっております。

 話を戻しまして、複数の原子炉のうち一基にふぐあい、事故などが生じた場合、一つがだめになってしまった場合、それによってほかの原子炉のメンテナンスができるのかどうか、どのように備えているのか、対策を教えてください。

竹内政府参考人 新規制基準では、複数基が一つのサイトに立地する場合の、一つの原子炉の事故への対応がほかの原子炉の対応に悪影響を及ぼさないように、全ての号機で同時にシビアアクシデントが発生した場合にも対応できることを要求してございます。

 具体的には、事故に対処するための要員、資機材が原子炉ごとに配備されていること、隣接した原子炉からの影響を防止する観点から、原子炉建屋の水素爆発防止対策や、瓦れき撤去用の重機の配備などを求めて対策を講じているところでございます。

河野(正)委員 福島第一原発事故の教訓の一つとして、一〇〇%の安全はないということだと思います、先ほどもお話ししましたように。原子力規制委員会が新しい規制基準をつくり、再稼働に向けた審査を進めておられますが、それを適用したから、その原発の安全運転が一〇〇%保証されるものではないと思っております。

 重要なことは、事故が起きたときに、事態を確実にコントロールし、被害を最小化できるかどうかだと思います。その意味で、発災時の避難計画の作成がおくれるなど、状況は心もとないようにも思います。このまま再稼働が進むならば、また同じ道を歩みかねないという懸念もあるかと思います。

 事故は起こり得るという前提で、可能な限りリスクに備える姿勢が求められているのであり、原発がテロの脅威に備える際にも、想定外という姿勢は許されないと思っております。

 最後に、私、新潮文庫から出ている「朽ちていった命」という本を読ませていただきました。これは、東海村の臨界事故でお亡くなりになった作業員の方の治療記録でもあります。

 当初は意識もしっかりとしていて、コミュニケーションがとれていた方が、体の内部から染色体レベルで徐々に命が壊れていくさまが記録されています。私は医師でもありますけれども、残念ながら、今の人類には放射能事故をコントロールしていく能力はないというふうに考えております。本の中でも、治療に当たった方の印象として、海図のない航海という記述がありました。九九%の安全があるとしても、一〇〇%の安全という言葉はないということを確認させていただきまして、申し述べさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 私は、今回の法案審査に関連しまして、先日、核セキュリティーサミットで出ました日米首脳による共同声明、このことについて質問をさせていただきます。

 まず、この三月二十四日に発せられました、核セキュリティーサミット、日米首脳による共同声明、「日本にある日本原子力研究開発機構の高速炉臨界実験装置から、高濃縮ウラン及び分離プルトニウムを全量撤去し処分することを表明した。」とございます。この高濃縮ウラン及び分離プルトニウムの量と純度、そして化学組成をお伺いします。

田中政府参考人 日本原子力研究開発機構の高速炉臨界実験装置にございますプルトニウムの量は、原子力委員会により公表されてございますけれども、その量は三百三十一キログラム、そのうち核分裂性のプルトニウムは二百九十三キログラムと承知してございます。

 ただし、プルトニウムの形態、それから高濃縮ウランの量、形態につきましては、核物質防護の観点から公表されておりませんので、回答は差し控えさせていただきます。

斉藤(鉄)委員 量は公表するけれども、純度や化学形態は公表しない、これはいわゆるセキュリティーの観点からであるということでございます。

 そういうことで、ここで聞いてもお答えにならないんでしょうけれども、既に、一般には、非常に純度が高くて、特に、プルトニウムは金属状況の中にあって、ある意味で、いつでもいわゆる核兵器に転用できる状態にある、このように言われておりますが、それは確かでしょうかと聞いてもお答えにならないんでしょうけれども、そのようなことが一般に言われているということは御存じでしょうか。

田中政府参考人 一部の新聞報道で、先生がお話しになりましたようなことがされているというのは承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、その形態でございますとか、あるいは高濃縮ウランの量、組成につきましては、回答は差し控えさせていただきたいと思います。

斉藤(鉄)委員 正直申し上げまして、私もこの分野にちょっと関連した人間として、こういうものが存在するということは、これは私の勉強不足ですから私の恥にかかわることですけれども、知りませんでした。こういうものが日本に存在している、そして今回アメリカに返ることになるということを、今回の共同声明を聞いてびっくりしたということでございます。

 もう一つ確認しておきます。

 例えば、プルトニウムが三トン近く日本に存在する、そのうち〇・六トンについてはMOX燃料という形をしているというふうな説明がこれまでございました。このプルトニウムと、現在原子力研究開発機構にある、今話題になっているプルトニウムとは全く形態は違うということも答えられないですね。

 そうしますと、今、例えば三トン近くあるプルトニウムはどういう形態で存在しているんでしょうか。

田中政府参考人 ただいまちょっと手元に資料を持っているわけではございませんけれども、一般的には、プルトニウムは、例えば酸化物のような形態で存在しているケースが多いと承知してございます。

 そういう意味では、直ちにそういう軍事的な目的に転用しにくい形態であるというふうに承知してございます。

斉藤(鉄)委員 酸化物という形で、新聞報道によれば、今原子力研究開発機構にあるのは金属形態で非常に純度が高い、こういうことかと思います。

 この原子力研究開発機構にあるプルトニウム及び高濃度のウランの情報公開の状況をお伺いします。

田中政府参考人 プルトニウムの量につきましては、その利用の透明性の向上を図ることによりまして国内外の理解を得ることが重要であるとの認識に基づきまして、原子力委員会により公表されているものと承知してございます。

 高濃縮ウランの量につきましては、先ほど申し上げましたように公表はされてございません。

斉藤(鉄)委員 IAEAにはちゃんとその化学形態や純度は全て報告されているんでしょうか。IAEAには報告している、日本国民には知らせないということですか。

田中政府参考人 申しわけございません。現在、IAEAにどの程度の情報を提供しているかについては確たる情報を持ち合わせてございません。

 もちろん、日本国政府として公表しているデータについてはIAEAにも通知されているものと了解しておりますけれども、それ以上の詳しいデータを提供しているかどうかについては、現在、ちょっと私は確たる情報を持ってございません。

斉藤(鉄)委員 その点についてちょっと質問通告をしていなかったので、そのことは申し上げておきますけれども。

 今、私もうまく表現できないんですけれども、平和国家としての日本、核兵器は持たないということを世界に宣言している日本として、こういう、ある意味ですぐにでも核兵器に転用できる物質が日本の中にある、公表はされないけれども新聞紙上では一般に言われている、こういう状況というのはどうなんでしょうね。もう少し整理する必要があるのではないか。

 つまり、持つなら持つで、きちっとこれを公表してセキュリティーをしっかりする、もしくは、持たないなら持たないということの方が日本国民は納得すると思います。

 それで、「米国に安全に輸送された後、セキュリティの強固な施設に移送され、」と書いてございます。ということは、今保管している日本での施設はセキュリティーの強固な施設ではないということをこの文章の後ろに言っているように読めるんですが、その点、いかがでしょうか。

広瀬政府参考人 核物質の最小化につきましては、今御指摘いただきましたように、今回発表したところでございます。また、核セキュリティーサミットで採択されましたハーグ・コミュニケにおきましても記載されておりまして、国際社会が取り組むべき課題であると考えております。

 米国は、機微な核物質をより機微でない形に転換する能力を有していること、それから、これまで各国の機微な核物質を受け入れ、処分をしてきた実績がございまして、今回の決定に当たりましては、この機微な核物質を最小化するに当たりまして最も適切な方法を日本政府として考えた結果、総合的に判断した結果によるものでございまして、今、日本と比較して米国の方がセキュリティーがより強固である、より安全であるという御指摘がございましたけれども、そういった考えに基づくものではなく、今申し上げましたように、機微な核物質を最小化するに当たりまして最も適切な方法を日本政府として総合的に判断した結果であるということでございます。

斉藤(鉄)委員 確かに、その文章の後に、「米国に安全に輸送された後、セキュリティの強固な施設に移送され、より機微でない形に完全に転換される。」と。この「より機微でない形」というのはどういう形なんでしょうか。

田中政府参考人 高速炉臨界実験装置の高濃縮ウランとプルトニウムの米国に移送された後の具体的な取り扱いを含めた詳細計画につきましては、今後、日米間で協議していくことになってございます。

 ただし、米国による、核テロの脅威となる核物質の削減プログラムにおきましては、一般的には、高濃縮ウランについては低濃縮化処理をすることで再利用していく、プルトニウムにつきましては酸化処理などによりまして兵器転用ができない形とした上で処分されるものと聞いてございます。

斉藤(鉄)委員 そして、機微でない形に完全に転換されて、「最終処分に向けた処理がなされ、」と書いてありますが、アメリカで最終処分がされるということだと思いますが、この最終処分というのは具体的には何なんでしょうか。

田中政府参考人 先ほども申し上げましたように、高濃縮ウランとプルトニウム、特にこの場合はプルトニウムのことだと思いますけれども、プルトニウムの米国に移送された後の具体的な取り扱いを含めた詳細計画については、今後、日米間で協議をしていくことになってございます。

 いずれにしましても、プルトニウムについては、最終処分というのは米国内での適切な施設において保管をされるということだと理解してございます。

斉藤(鉄)委員 そもそもにちょっとまた戻りますが、このような高濃縮ウラン及び非常に純度の高いプルトニウムが日本に存在する理由及び今回米国に移送、輸送しなければいけない理由を改めてお伺いします。

田中政府参考人 日本原子力研究開発機構の高速炉臨界実験装置は、一九六七年四月に運転を開始いたしまして、これまで高速実験炉「常陽」や高速増殖原型炉「もんじゅ」の炉心設計に必要な核データ等の基礎的なデータを得るために利用してまいりました。このような高濃縮ウランあるいは分離プルトニウムといったものにつきましては、核データをとるという意味では基礎研究に非常に有用であったというふうに理解してございます。現在、この高速炉臨界実験装置は東日本大震災により運転を停止してございます。

 一方で、我が国は、国際的な核セキュリティー強化への貢献の観点から、従来より、核テロの脅威となります核物質、すなわち高濃縮ウラン及びプルトニウムの削減プログラムの取り組みに積極的に協力しているところでございます。

 その取り組みの一環としまして、文部科学省と米国エネルギー省の間で、従来より、日本原子力研究開発機構にある高速炉臨界実験装置の高濃縮ウラン及びプルトニウムの取り扱い等について交渉を重ねてきたところでございます。今般合意をいたしたことを受けまして、三月二十四日に、ハーグ核セキュリティーサミットの開催に合わせて日米首脳の共同声明としての合意事項にして、発表をさせていただいたものでございます。

斉藤(鉄)委員 この共同声明の終わりの方に、米国は低濃縮ウランを利用している日本の複数の施設から研究炉の使用済み燃料の受け入れを継続するという文章がございます。

 これは、ほかにもこれと似たような状況のところがあって、そういう低濃縮ウランもしくはプルトニウムをこれからもアメリカに継続して移動させていくという意味でしょうか。

田中政府参考人 我が国といたしましては、国際的な核セキュリティー強化への貢献の観点から、従来から、米国が進めております核物質の削減プログラムに積極的に協力してきておりまして、その取り組みの一環として、研究用の原子炉で使用している高濃縮ウランを低濃縮ウランに転換する取り組みをこれまでも進めてきてございます。

 具体的には、日本原子力研究開発機構の研究炉、JRR3、JRR4、材料試験炉、JMTRや、京都大学の京都大学研究用原子炉、KURで使用する燃料として、高濃縮ウランから低濃縮ウランへの転換を行ってございます。これらの研究炉は、現在も、中性子利用、医療利用等、我が国の原子力基礎基盤を支える活動拠点となっているところでございます。

斉藤(鉄)委員 これで終わりますけれども、先ほど申し上げましたように、余りこれらのことについて我々は知りませんでした。それは知らなかった方が悪いということなんでしょうけれども、何か不透明な感じがいたします。

 情報公開をしてセキュリティーをしっかりさせる、もしくは、こういうものを持たないなら持たない、ある程度はっきりさせた方が、私は、今後の日本の核セキュリティーに対しての信頼性を上げるのではないかということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、いわゆる放射線発散処罰法の一部を改正する法律案ということで、私にも少々お時間をいただきたいと思います。

 本法律案は、核物質防護条約の改正の適確な実施を確保するため、国内担保法として、特定核物質をみだりに輸出入する行為等の処罰規定を整備することを主な内容としておるということで、きょうも多くの議員の方から質問がされておりまして、私も通告はしてあるんですけれども、できるだけ重複しないように、先ほど答弁いただいたこともちょっと考慮しながら、少し変更して質問させていただければなというふうにも思います。

 三月二十四日、二十五日ですか、第三回核セキュリティーサミットが行われまして、総理も出席をなさったということです。どちらかというと日韓米会談の方が、何となく注目度があって、取り上げられた感じはございますが、この核セキュリティーの問題は非常に重要なことだなというふうに私も再認識したところです。

 資料の二枚目、これは三月二十四日の朝日新聞、センセーショナルな見出しなのではないかなと私は思ったんですね。「日本の原発はテロリストの格好のターゲットだ」、「米、核の警備不安視」というようなタイトルでございます。この内容を一つ一つということではないんですが、日本の原子力施設のテロ対策や警備についてアメリカは強い懸念を抱いている、このような見出しになっております。これは、先ほど河野委員からもございましたように、たびたび答えられております信頼性確認の問題だと思うんですね。

 まず冒頭に、先日の核セキュリティー会議、どういう内容だったかは、先ほど御答弁いただいて、私も聞いておりました。こういった問題を踏まえ、この新聞の記事の下の方は、中国の懸念増幅ということも書かれております。核セキュリティーに関して、諸外国から、改善事項も含めて、日本にどのような指摘がなされたのか、お答えいただきたいと思います。

広瀬政府参考人 三月二十四日から二十五日に行われましたハーグ・セキュリティーサミットにおきましては、活発な議論が交わされたところでございます。

 特に、核物質の最小化につきまして、多くの国が重要性を強調し、我が国を含みます複数の国が具体的な取り組みを発表いたしたところでございます。また、核物質防護条約の改正の早期発効に向けた取り組みの加速化や、IAEAの役割の重要性などにつき、多くの国が強調したところでございます。

 日本に対する言及でございますけれども、例えば、世界的な核物質の最小化への貢献に関する日米首脳共同声明の発表につきまして、オバマ大統領から、このサミット全体におきます最大の成果ということで、よいと思うという旨安倍総理に対して述べられた。また、閉会式におきましても、オバマ大統領から我が国との今般の合意に個別に言及がございまして、サミットプロセスの成功につながる大きな成果として紹介されたところでございます。

 以上でございます。

中島委員 オバマ大統領から成果についてお褒めの言葉と言ったら違うのかもしれませんが、この見出しを見て、諸外国から、先ほど言いました、二枚目というか裏側ですね、「信頼性確認制度の比較」というところで、新聞記事の中にもございます、日本は主要国で唯一、原子力施設で働く労働者の犯罪歴、素性をチェックする法制度がない、信頼性確認制度が未確立というふうなことになっておるわけです。これをもとに、米国からは、日本の警備は大変不安だ、危機共有ができていないということが指摘されておるということですが、そのようなことは一切話し合われなかったというか、御指摘はなかったということでよろしいんでしょうか。

広瀬政府参考人 ただいま申し上げましたように、今回の核セキュリティーサミットにおきまして、個別具体的に日本のセキュリティーの状況について言及がされたというふうには承知しておりません。

中島委員 わかりました。

 セキュリティーサミットというぐらいですから、各国のそういう共有をするための会議かなということで、もしかしたらそのような話題も出たのかなと思ってお聞きをさせていただきました。

 続いて、今の信頼性確認についてお聞きをしたいと思うんですが、平成二十四年三月に原子力委員会が決定した我が国の核セキュリティー対策の強化において示されている主な検討課題のうち、先ほどから申し上げておるとおり、信頼性確認制度の導入について議論が進められていると。

 先ほど答弁の中で、原子力規制委員会で議論されているというふうにお答えになっておりました。ちょっと確認なんですが、現状で日本においては信頼性確認制度自体がないということで、議論の内容というのは、この制度をつくるということを前提に議論されておるんでしょうか。

黒木政府参考人 ただいまの議論の状況でございますけれども、基本的にはつくるべきであろうと。しかし、つくる際には、例えばガイドラインでやるとか事業者が自主規制するとかそういうのではなくて、やはり、事柄の性質上、これは正面から法律でやっていくのが正しいのではなかろうかというふうな形の議論が今進んでおるところでございます。

中島委員 何度も申し上げてあれなんですが、先ほどのように、このセンセーショナルな見出し、これを国民の方が見て、福島第一原発事故後の問題も含めながら、一方では、エネルギー政策の中で原発をベースロード電源、そのような位置づけをしていく中で、警備不安視と。

 そういう中で、どのくらい前から信頼性確認制度を議論されていて、今後、着地点というか、こういう見出しが出て不安に思われている中で、大変重要な問題だというふうに認識しておるわけですが、早期につくるつもりなのか、検討するだけだったら誰でもできるということになってしまうわけで、いつごろまでに結論を出すか、予定か何かございますか。

黒木政府参考人 この問題は基本的に原子力規制委員会の方で法律を担当する形になると思いますが、原子力規制委員会の方に正規の報告はまだいたしておりませんが、実は検討会レベルの話では、さまざまな実務上解決しなきゃいけない論点、これは別にやらないよというのではなくて、やるためにはここをどうしてもクリアしなきゃいけない論点というのがかなり出てきております。

 それに対して一定の方向性をつけた上で、きちんとした形での立法に向かっていくというふうな形になろうかと思いますので、現時点で、いつ、どの時点においてやるという形としては申し上げにくいような状況でございますが、ただ、決してのんびりやれるような話ではないのももちろん承知しておりますので、一生懸命やっていきたいと思っています。

中島委員 つくった方がいい、創設した方がいいという認識であれば、論点整理をしっかりとしていただいて、できるだけ、できるだけという言葉ではないですね、やはりしっかり期限を決めてつくっていくべきかなと。

 この新聞の中にもございます。やはり、先ほどから質問の中にも入っておりますが、テロに対する認識というか危機意識というのは日本において非常に薄いのかなと。アメリカの外交の方からは、「日本人は自分たちはテロの脅威から切り離されていると考えている。我々の懸念は届かなかった」ということも入っております。

 そういった意味で、やはりその防護にかかわる問題、セキュリティー、この制度そのものが主要国の中で日本のみないという現状でございますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 輸送の核セキュリティーの課題も先ほど御質問の中にございました。御答弁の中で、これも原子力規制委員会が中心に各管轄を調整してやられていくというふうにお答えになっておりましたが、これも前提ですが、では、今のままのあり方、各省庁、例えば輸送物、陸上に関しては原子力規制委員会、海上に関しては国土交通省、輸送方法は、所外では国交省、所内では原子力規制委員会、輸送経路、日時には各都道府県、海上では海上保安庁、こういう区割りの中で、調整役を原子力規制委員会が果たすということは先ほど御答弁でわかりましたが、要するに、こういうはざまの部分、問題意識、課題意識は先ほどの答弁の中でもございましたが、今の体制のままでいいという認識でよろしいんでしょうか。

黒木政府参考人 核燃料物質の輸送の問題というのは、実は一つの専門的分野で全てがぱっと割り切れるものではございませんで、やはりさまざまな分野の総合という面がどうしても必要になってくると思います。そういった面で、やはり関係省庁がどうしてもそれぞれの、餅は餅屋と申しますけれども、やっていかなきゃいけない部分があるということでございます。

 これが縦割りにならないようにということ、特に緊急時において縦割りが、要するに通報がおくれるとかそういうふうになっても大変でありますので、そういった意味では、原子力規制委員会を中心に、核セキュリティーのさまざまな会合がありますので、そういった際にいろいろな形の注意喚起というのもしながらやっていきたいと思っております。

 ただ、これを一つの省庁にまとめるとかそういうことはちょっと難しかろうかと思っております。

中島委員 問題意識は抱えながら、ちょっと難しいという答えであると、これは解決にならないじゃないかということにならないんでしょうか。

 要するに、先ほど言ったように、核セキュリティー、信頼性確認制度、その確立もさることながら、これは各省庁、その範囲によって担当が違うということになるわけですよね。先ほど縦割りと言いましたが、こういうはざまにつけ入られるということは非常に懸念されるんじゃないかというふうに思うわけです。

 そして、課題だとおっしゃっているのなら、これは核の問題ですから、しっかりとこの輸送に関して一元化して、例えば、日時、輸送経路については都道府県の公安委員会ということになりますと、情報、いつ、どういうふうな経路か都道府県にはわかっているということになるわけですよね。そうなってくると、さっきの信頼性確認制度ももっと幅が広がってしまうということになるんですね。

 課題意識を持っているのであれば、やはりこれは何とかしないといけないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

石原国務大臣 中島委員と理事者との話を聞かせていただきまして、やはり一元的にこのセキュリティーの問題、取り組んでいかなければならない、輸送もしかりでございます。田中委員長がセキュリティーに関して発言されていた、セキュリティーとセーフティーは一体である、この一言に私は尽きるんだと思います。

 また、施設につきましても、田中委員長からも既に御答弁されておりますが、IAEAの評価ミッションを来年春までに引き受ける。そんな中で、国際社会の評価というものを明確化した中で、今委員の御指摘になられましたその輸送等々も含めて、どんな形がいいのか早急に取りまとめるよう規制庁の方にも私の方から申し述べさせていただきたいと思っております。

中島委員 やはり、今回の改正案も、みだりにというか、いろいろな核輸送のテロに関することということで、核セキュリティーサミット自体も、米国の同時多発テロ、そういったことの中で、ちゃんとやるべきだ、そういう認識だと思うんです。

 日本においては、東日本大震災から三年がたって、海外からの注目度も高いのではないか。そういった意味で、三年がたって、先日も政府のエネルギー政策というものが出たわけですが、原子力発電をベースロード電源にするということの中で、この核セキュリティーの問題、一方では、海外に原発輸出というようなことも進められている。やはりこれは、国内での核セキュリティーがしっかりと確立されていないと、問題だと思うんです。

 その上で、そのことを海外に輸出する、私の感覚は、余りに無責任かなと。恐らく、経産省、大臣も、総理も、その後は国の法整備ですることだということになるのかもしれませんが、やはり、福島第一原発事故、私は医者でございます。子供たち、小児甲状腺がんの問題もこれからまさに問題になってくるという中で、トータル的に見て、日本の核セキュリティーが確立されていない、それを海外に輸出する、やはり無責任かなと私は思うわけですが、これは私の感想なのでなかなか答えづらいと思いますが、大臣はどのように思われますか。

石原国務大臣 セキュリティーに関しては、これまでの御議論を聞かせていただきまして、やはり確保というものは重要である、それも縦割りになってはならない、まさに中島委員の御指摘のとおりで、環境大臣としては、外局に原子力規制委員会がありますので、このセキュリティー対策というものを強力にサポートしていかなければならないと思います。

 一方、原発の輸出というのは、ある意味では、原子力発電所の利用に関する部分でございますので、その一方で、規制の元締めであります規制委員会を外局として抱えている環境大臣が、委員の感想に感想も含めてコメントをするのは控えた方がいいのかなというような、私はそんな印象を持っております。

中島委員 無理な御質問だと思いながら聞かせていただきました。

 私は、もちろん、電力としての原子力の技術移転というか、そういったこととセキュリティーの問題はまた別論点だということはわかるんですが、やはり、一たび原発の事故が起こってしまったら、福島第一原発事故の、今も終結できていない状況、まだまだ被災地におられる方のことを考えると、そのことも含めて、ワンセットで、しっかりと確立された上でなければ、余りにも無責任と言わざるを得ないのではないかなというふうに思うわけです。

 たくさん通告はしてあったんですが、今回の改正案の中身についても、テロ防止ということで、新第六条、特定核燃料物質をみだりに輸出入する行為、または、未遂等ということで、この等には予備行為ということも入ると。会社の設立や、核の不正な使い方のために資金を調達することを予備行為というふうにされるとおっしゃっておりました。これに対して三年以下の懲役等ということになっておりますし、第八条の、原子力施設に対して行われる行為等により人の生命等に害を加えることを告知した脅迫による強要、これは五年以下の懲役というふうになっておるわけですが、明らかにこういう行為があった場合、テロ行為として判断すると。

 そういう意味では、この三年以下の懲役、五年以下の懲役というのが、果たして抑止力になるのかなと。担保法ということなので、ある程度はやむを得ない、もちろん、刑事罰、いろいろな法整備の中での今回の改正案だと思うんですが、これが本当に抑止力になるのか、私自身はちょっと疑問なんですが、御見解をいただきたいと思います。

黒木政府参考人 罰則の量刑の検討に当たりましては、我が国の法律全体の刑の均衡を考慮しまして、法務省と調整して決定したものでございますが、今回の改正は、本法律と同様な危険物質の取り扱いに関する法律でありますサリン等による人身被害の防止に関する法律、これにおきましては、輸入罪の予備的行為の量刑が三年以下の懲役になっておりますことから、新第六条第三項の量刑についても三年以下の懲役としたものでございます。

 第八条の強要罪の懲役五年以下は、既に第七条において懲役五年以下としておりますので、こういう形の新しい構成要件が、従前の窃盗、強取を行うことを告知した脅迫による強要行為と、基本的には、悪質性という観点から同等であろうと判断いたしましたので、懲役五年という現行の法定刑に従ったところでございます。

 以上であります。

中島委員 諸外国と比較してどうなのかというのはちょっと調べられていないんですけれども、サリンのことをもとにというふうにおっしゃっていました。先ほど冒頭にも言った朝日新聞の記事なんですけれども、このことがどうということではないんですが、日本において、もちろんこれはいいこと、いいことというか、今までにそういう歴史が薄いということもあるのかもしれません。日本においてテロに対する危機意識というのはやはり薄いのかなと。もしイスラムの国とかそういうところであれば、予備行為に当たるところでかなりの処罰、私、済みません、調べていないので、どの国でどうということはないんですけれども、何となくこの罰則自体が、サリンと比較とおっしゃいましたが、ないということを前提につけられているのではないか、そのように感じるのは私だけなのかなというふうに思うわけです。

 時間になってしまいました。ほかにもたくさん通告をしてあったんですが、もちろんこれは国際条約上のことということで、反対する余地はございません。我が党といたしましても賛成をしていくわけですけれども、とにかく、課題になっている部分については、しっかり今後、検討だけではなくて、こうやって見出しに出されてしまって、国民の方々は大変不安に思われている方も多いと思います。一方で、福島第一原発事故後の収束、処理の問題も含めていきますと、核輸送の問題、信頼性制度の確立は大変重要な観点だと思いますので、ぜひ大臣にも積極的に取り組んでいただきたいと思いまして、そのことだけお伝えさせていただいて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。

 花粉症が二十七年目に突入いたしまして、大分ちょっとお聞き苦しい声になっておりますが、風邪ではございませんので御安心いただきたいと思います。

 早速きょうの質疑をさせていただきたいと思いますが、まず、今回のこの法案に関しては、私自身も、これはもう粛々と通すべきものでしょうということで受けとめております。今、みんなの党の中島委員からいろいろとお話もあったとおり、私自身も、その罰則等々の関係が本当にそれで適正なのかとか、いろいろと問題意識は抱えてはいるものの、それでも一つ前進することには間違いないというふうには考えております。

 きょうは、この条約の締結に至るまでのプロセスですとか、あるいはこういった核物質を防護するという観点において、さまざまお伺いしたいなというふうに思っております。

 まず最初なんですが、この核物質防護条約の改正というのが採択されたのは二〇〇五年だということになります。九年前だということですね。今回、九年たって日本が実際に締結に動くという形になるわけなんですけれども、最速でこの条約改正の締結を行った国というのはどこで、いつだったのかというのをまずお伺いしたいと思います。

広瀬政府参考人 この核物質防護条約の改正は、今御指摘いただきましたように、二〇〇五年の七月に採択をされました。この改正を最も早く締結した国はトルクメニスタンでございます。締結した時期は二〇〇五年の九月でございます。

林(宙)委員 ということで、トルクメニスタンに関しては物すごく速いスピードでこれを締結したということになります。締結に至るまではいろいろな論理というか、周りとの関係を見ながらというところもあると思いますので、それはそれで結構なんです。

 次にちょっとお伺いしたいのは、今回、そうすると、この核物質防護という観点からいくと、やはり一番最初に来るのは、我が国のように原子力発電所を持っている、そういった国ということになると思うんです。原発に関して、どのように守っていくのかということは非常に重要な観点なので、原発を保有している国に関してということになりますが、これらの国がこの条約改正を締結したのはいつなのか、また、締結していない国はどこなのかを改めてお伺いします。

広瀬政府参考人 原発を保有している、あるいは原子力の先進国について、近年の例で申し上げますと、例えばイギリス、これは二〇一〇年の四月に締結いたしました。ドイツは同じく二〇一〇年の十月、フランスは二〇一三年の二月、それからカナダが二〇一三年十二月に締結しているところでございます。

 そのほかの国といたしまして、ロシアが二〇〇八年の九月、中国が二〇〇九年の九月に締結をしております。

 また、未締結の国、例えばG8で申し上げますと、アメリカ、イタリア、それから我が国、これが未締結というふうに挙げられようかと思います。

林(宙)委員 ありがとうございました。

 ちょっと通告の順番が前後しますが、アメリカということで今おっしゃっていただきましたので、アメリカは今、未締結だということでございます。いろいろと状況の方は報道でも聞いているところですが、アメリカに関しては、どうやら、下院の方ではうまく通ったんだけれども、その先がちょっとまだ進まないよというようなことだと伺っていますが、内政のことですので、それについて公式にお伺いするということはいたしません。

 なぜこういった質問をさせていただいているのかというと、条約を締結するということにおいて、普通に考えれば、普通というのは、余り政治にかかわらない視点からということで考えると、いいものだったら早くやればいいじゃないかという原則があると思うんですね。それには、政治においては、他国との関係ですとか、この内容についていろいろと議論をしなければいけないということがあって、むしろそれなりに時間をかけなければいかぬということもあることは承知しております。

 ちょっと話が長くて恐縮ですが、今回のこの条約改正のことを考えたときに、前に、これは去年の話なんですけれども、私、農林水産の方もやっておりますので、米債権の免除に関する法案というのをやったわけなんです。

 あれは、そもそもその根拠になるODA債権の放棄ということを決めたのが、当時、平成二十五年でしたから、そこから考えて十四年前のことだったわけなんですね。最も貧困国であるとされている国に関しては、これまでODA等々で貸し付けていたものですとか、そういったこちらが持っている債権を免除しましょうというようなことを十四年前に決めた。なんですけれども、それに対応する国内法の整備が進まなかったことで、結果的に、そこに伴う利子といった形で、百億円レベルで国民が負担するような格好になったということなんです。

 当時は、財務省の方、外務省の方そして農林水産省の方々にいろいろとお話を伺いました。

 これは、いろいろな問題があった、問題というか、なかなかその話が先に進まないということでこのような状況になってしまった。ただ、結果的には国民に負担をお願いするような形になってしまったということで、これは大変問題なんじゃないかと。法案はもちろん通すべきだから賛成ですよと言いましたけれども、そういうことをやっていかなきゃいけないんじゃないかと指摘したことがあります。

 今回、何を言いたいかというと、別にこれは、そこに予算が絡むわけでもないですし、これによって、遅かったからといって何か問題があるかと言われればないと思いますけれども、当然、内容的にこれは早く進めた方がいいでしょうと。二〇〇七年の核テロ防止条約というのがあって、そこから各国が手続を加速化していったという側面もあるので、日本もその流れに乗っていると思えばそれでいいんだと思います。

 ただ、日本というのは国際社会でプレゼンスを発揮していくべきだという観点からいった場合に、こういう、内容的には進めてしかるべきでしょうというものに関しては率先してやった方がいいんじゃないのか。率先してやることにそんなに大きな問題があるわけでもなさそうなので、それについてはどのようにお考えかというのをお伺いしたいと思います。

広瀬政府参考人 今先生おっしゃいましたとおり、核物質防護条約の改正、これの重要性については十分私どもとしても認識しているところでございます。

 この核物質防護条約は、多数国間の条約でございますので、この条約の規定上は、条約の締約国、現在百四十八ありますけれども、その三分の二、九十九カ国が締結した後に発効する。現在七十三カ国が締結しているところでございます。こういった他国の締結状況、それから発効の見通しも踏まえつつ、締結に向けた作業をこれまで行ってきたところでございます。

 この改正の締結に当たりましては、特に新たに犯罪化が義務づけられる行為につきまして、既存の国内制度との整合性、必要な立法の範囲等を慎重に検討する必要がございましたけれども、今般、放射線発散処罰法に必要な改正を加えることが適当であるという結論が得られ、これを受けまして、放射線発散処罰法改正案とあわせて今国会に提出したところでございます。これにつきましては、先般のオランダ・ハーグで行われました核セキュリティーサミットにおいても発表したところでございます。

 この改正の作成に積極的に私ども日本も参加してきました。この改正を速やかに締結いたしまして、この条約の早期発効に寄与することが重要であると考えております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げたとおりで、条約等々に関しては、特に他国が絡むことでもありますので、そこは慎重を重ねるというのは、それはそれでいいことなんだと思います。なので、いいものについては日本が率先してやっていきましょうということを、今後もいろいろなところでお考えいただければよろしいのではないかなというふうに思っております。

 そうしますと、御質問の内容が少し変わりますが、今度は核物質を防護するというところから、今回の法案は、そういった放射線を発散させていくようなことを取り締まりましょうというようなことになっていくわけなんですけれども、そうすると、先ほど、原発というのが一番大きなところでしょうというお話をしました。

 一方で、原発、要は原子力発電所の原子炉以外もこういった核燃料を扱っているところというのはさまざまあるわけで、そうしますと、まずお伺いしたいのは、こういった核物質と言われるものを扱うところ、例えば研究施設とか、そういったところも含まれていくと思うんですね。そうすると、そういう研究施設がどのぐらいあって、総量としてどのぐらいの核物質が扱われているのかというのをまずお伺いします。

黒木政府参考人 我が国で核物質を扱う研究施設等でございますけれども、いわゆる核物質防護規定の作成が求められている試験研究炉施設及び使用施設、これにつきましては、試験研究炉は十四施設でございます。それから、核物質防護上重要とされず、核物質防護規定の作成を求められていない使用施設、これは全部で約百九十施設がございます。

 という状況でございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 事前の理解でいきますと、要は、原子炉のような形で持っているところと、そうではない、非常に微量と言ったら変ですけれども、物すごく少ない量で持っているところに分けられるんだと思うんですけれども、今おっしゃっていただいた後半に当たると思うんですが、事業所なんかでそういった核物質を一応扱っていますよというところは結構いろいろあるわけです。今お答えの中で百九十施設ぐらいありますよという話だったんですが、個別には申し上げませんけれども、これは民間の企業とか教育機関、研究機関というところがやはりあるわけです。

 そうすると、もちろん、量としてそんなに多くないというものに関しては、そこに余りにも過大な警備をしても、コストという面で余り折り合いがつかないんでしょうから、それはそのバランスというものがあると思うんですけれども、そういった核物質を扱う研究施設等の警備や管理というのが実際にはどのようになっているのか。恐らく、具体的には、核物質の防護区分等、定められているものに従っているのではないかなと思っていますが、そこについて改めて御答弁をお願いします。

黒木政府参考人 大きく分けまして、先ほど申し上げましたように、核物質防護規定の作成が求められている施設とそうでない施設、そうでない施設は百九十ございます。

 そうである施設につきましては、当然、核物質防護規定の作成が求められておりますので、ほとんどは原子力発電所と同じような形の、厳重な警備となります。

 それ以外の施設につきましては、そこまでは防護対象の核燃料物質を持たない使用施設ということでございますので、管理区域、周辺監視区域を設定し、人がみだりに管理区域内に立ち入らないための措置などを講じるとともに、核燃料物質の貯蔵施設には原則として施錠または立ち入り制限の措置をとること等を求めておりまして、その意味では、そうでない、つまり核物質防護規定を設ける施設に比べれば、警備的にはより軽い要件になっております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 先ほどの中島委員の御質問の続きのような形になるわけなんですが、先ほど御質問のあったのは、今回の改正法案の罰則規定というか、そういったものが本当に適正なんでしょうかという御質問だったと思います。私もそこについては、ううん、どうなんだろうというふうに思っているところはあります。

 先ほどはそれそのものについてお答えをいただいたので、私は、ちょっとここでお伺いしておきたいのは、今回の改正法案で設定されている刑罰の重さというのが、ほかの締約国あるいはもう既に締結している国と同レベルなのかどうか、同じぐらいなのかどうかということについて、教えていただけないでしょうか。

黒木政府参考人 この点、網羅的に調べたわけではないということをお断りして申し上げますが、例えば、本改正法案の新第六条で規定されております特定核燃料物質輸出入罪に関して申し上げますと、今回の改正案において七年以下の懲役と設定したところでございますが、ドイツにおいては五年以下の懲役となっております。フランスにおいては十年の拘禁刑また罰金というふうになっております。

 なお、国内の罰則の量刑の検討に当たりましては、我が国法律全体の刑の均衡を考慮して決定することが重要であると考えております。

 以上であります。

林(宙)委員 もちろん、それぞれの国の国内の法で定める内容ですので、それは全ての国が同じ、一致するということはないでしょう。ただ、大体考え方が、皆さん違うわけではないと思いますので、それなりにはバランスのとれたというか、内容としては足並みがそろっているような結果になるんだろうなというふうに考えているので、今お答えいただいたとおりでよろしいのではないのかなと思います。

 そういったことについて、今後、いろいろな事例がある中で、また検討を加えていくというのももしかしたら必要なのではないかなと思います。

 きょうここまで聞いてきて、最近物すごく考えていることは、扱っている核物質が多いとか少ないとか、要するに、危険度がどのぐらいなのかということにかかわらず、実はこの放射線を発する物質というのは不安を物すごくかき立てる物質であるということには変わりがない。

 この環境委員の皆さんは既に御存じのとおりで、三年前の東日本大震災で原発の事故が起こり、その影響というのがいまだに色濃く残っているわけです。過去の質疑でも私も何度か大臣や副大臣にお伺いをさせていただきましたが、私の地元の宮城県でいきますと、汚染稲わら、牧草といったようなもの、これは当然、核燃料廃棄物とかそういったものに比べれば、放射線量は大変低いものだということになります。しかしながら、ではそれをどこかに保管しなければいけない、あるいはどこかで処理をしなければいけないという話になったときに、物すごく地元では、そんなものは受け入れられるかという反対、もちろんその根底にあるのは不安、こういったものが起こるわけです。

 ということは、今おっしゃったように、研究施設とか扱っている量が少ないところに関してはやはり余り大きな警備等々は、大げさな警備はつけられませんよ、そのとおりなんですけれども、ただ、微量でも、もし外に持ち出された等々のことがあれば、これは非常に大きなパニックを引き起こす要素になり得ると私は思っています。

 犯罪というのはそういった混乱というものの中で非常に助長されていく部分があると私は思っていますので、例えばなんですが、そういう意味でいくと、今後、福島県に中間貯蔵施設というものが建設されていくとか、そういうような動きが、動きというか流れになっているわけなんですけれども、もっと言うと、私たち宮城県の方も、先ほど申し上げたとおりで、低レベルのものではありますけれども、そういったものを貯蔵していくもの、あるいは処理したものを保管していく施設、そういうものがやはりできるわけです。

 そのときに、そういった中間貯蔵施設等々の防犯あるいは警備といったものはどのようなことを考えているかということを、最後にお伺いします。

小林政府参考人 今お尋ねの、除染によって発生します放射性物質を含む除去土壌などを確実に、安全に保管する中間貯蔵施設は、今、プロセスを踏みながら、特に、これから地元にその安全性などをしっかり説明していくことが重要である、こういうふうに考えているところでございます。

 そういう中におきまして、今お尋ねの警備、防犯の関係でございますが、これにつきましても、施設周辺にフェンスを設置して立ち入りを制限いたしますとか、あるいは警備員による施設内の見回り等というようなことを今検討しているところでございます。

 これは、除去土壌を安全に、かつ集中的にしっかり管理、保管するという、今後、復興に向けてキーになる、鍵になる重要な施設でございますので、防犯、警備についても万全を期してまいりたいと考えております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、今回の事故後の影響というものをずっと見てくると、放射線というのは目に見えないがゆえに、本当に少ないものでも、微量でも人々には大変な不安材料になるんだということはやはり事実としてわかったことですので、こういった、原子炉だけではなくて、核物質を扱っているところはやはり厳重に、厳重にというか、それなりにしっかりと見直しながら、今の防犯体制、警備体制がいいのかどうかということをしっかりチェックしていっていただきたいなというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十八分散会


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