衆議院

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第2号 平成26年10月17日(金曜日)

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平成二十六年十月十七日(金曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 石原 宏高君 理事 泉原 保二君

   理事 平井たくや君 理事 牧原 秀樹君

   理事 盛山 正仁君 理事 近藤 昭一君

   理事 河野 正美君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      石川 昭政君    小倉 將信君

      大西 英男君    菅家 一郎君

      小林 史明君    助田 重義君

      田所 嘉徳君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    津島  淳君

      福山  守君    藤原  崇君

      福田 昭夫君    吉田  泉君

      新原 秀人君    林  宙紀君

      浮島 智子君    田沼 隆志君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   環境副大臣        北村 茂男君

   環境副大臣        小里 泰弘君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    福山  守君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   平井 興宣君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉野 恭司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   森本 英香君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十七日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     菅家 一郎君

  穴見 陽一君     津島  淳君

  石川 昭政君     田所 嘉徳君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     池田 道孝君

  田所 嘉徳君     大西 英男君

  津島  淳君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     赤枝 恒雄君

  大西 英男君     石川 昭政君

  武井 俊輔君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官平井興宣君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、経済産業省大臣官房審議官吉野恭司君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、環境省大臣官房長森本英香君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長小林正明君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長三好信俊君、環境省自然環境局長塚本瑞天君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君、防衛省運用企画局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子でございます。

 本日は、御配慮をいただきまして、委員会冒頭に質問させていただけますことを心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 また、質問に入らせていただく前に、広島の土砂の災害、そして御嶽山の噴火、台風の災害などでお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 また、今まで懸命に捜索活動をしてくださった自衛隊、消防、そして警察の皆様方に敬意を表するとともに、心から感謝を申し述べさせていただきたいと思います。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 東日本大震災の発災から三年七カ月が経過をいたしました。この震災からの復興、そして福島の再生、これは政府そして環境省にとって、課された最大の使命であると私は思っているところでございます。

 私も、そんな環境省の中で、今回、政務官といたしまして約十一カ月間、中間貯蔵施設の整備、そして除染の推進、放射線により汚染された指定廃棄物の処理、そして福島県民の皆様方の健康管理などを担当させていただいてきましたけれども、環境省は皆様の暮らしに直結する本当に大変な仕事を担っていると実感をさせていただいたところでもございます。また、この十一カ月間、ともどもに環境省の皆様と取り組ませていただき、環境省の皆様を中から見せていただき、本当に敬意を表させていただきたいと思います。

 ただしかし、大臣の所信にもございましたように、まだまだ課題はたくさんございます。私は、本当に何が大切なのかとこの十一カ月間学んだのは、まず現場をしっかりと知ること、現場の皆様にしっかりと寄り添うこと、そして、現場のお声をしっかりと受けとめ、何ができるか、また、しなければいけないことは何かということを考えて仕事をしていくということを、今回身を挺して感じさせていただいたところでもございます。

 そこで、大臣にまずお伺いさせていただきたいのが、今回大臣に御就任をされて、福島の復興、ひいては日本の復興というか、日本の再生になると私は思いますけれども、これに向けた大臣の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。

望月国務大臣 浮島先生が我々の前に政務官として大変活躍なさって、福島の地域の皆さんと信頼関係をしっかりと構築していただいたということに、まずもって心から厚く御礼申し上げたいと思います。

 東日本大震災から約三年半たちました。一部地域では既に除染が終了するなど、復興に向けては確かな歩みを進めている、そういうことでございますが、はっきり言って、まだまだ道半ばというか、半ばまでも来ていないような状況であるなということを我々も感じております。

 ですから、その一方で、あの地域の除染を、まだこれからしっかりと進めていかなきゃいけない。中間貯蔵施設、こういったものに対しましても、国の責任でしっかり取り組んでいかなきゃいけない。そういう状況で、多くの課題が残されている、このように感じております。

 今先生がおっしゃったように、このことにつきましてはまさに地元の信頼関係がなければ一歩も進むことができない、そういうことである、私もそのことは大変大切なことだと認識をしております。こういった問題については、やはりこの問題は決して忘れることがない、風化をさせることがない、あるいはまた、そういったものについては常に緊張感を持ってしっかりと取り組んでいかなくてはいけない、こんなつもりでおります。

 私も大臣に就任してから一カ月ちょっとたちますけれども、たびたび、時間の許す限り福島に訪問させていただきました。佐藤福島県知事さんともお話ししました。例えばそういう中間貯蔵施設の問題にしても、苦渋の決断をしたと。さまざまな問題がありましても、やはりこれが福島の復興になくてはならないものだということで、今さまざまな問題がある中で苦渋の決断をした、ぜひひとつ、地域の皆さんと信頼関係を持って進めていっていただきたいというお話がございました。

 そういった皆さんのさまざまな御苦労を、それからまた福島県民の皆様の気持ちを我が気持ちとして、これからもしっかり進めていきたいな、このように思っております。

 浮島先生、在任当時田植えをなさったということで、前によく井上副大臣と一緒にその記事を見させていただきました。大変御苦労なことだったな、このように思います。それが、実りの秋といいますか、先日、十月四日の日に、我々、その関係者の皆さんから必ず来てもらいたいということで、お伺いいたしまして、先生が手植えをしていただいた稲刈りを我々がさせていただきました。

 やはり、これからもこういった努力の積み重ね、そこに来た田んぼの奥さんが、私たちも、これが決して売れるとか売れないではなくて、こうやって一歩一歩福島の私たちの町を復興させていきたい、そういうような、にこにこした笑顔が今も忘れられません。そういうことを考えて、復興の足取りをしっかり感じながら事を進めていきたいなと思います。

 もう一度、先生がおっしゃったように、まず第一に信頼関係を結ぶ。福島の復興なくして日本の再生はないと総理がかねがね言っておりますが、そういう気持ちを決して忘れないで、緊張感を持って頑張っていきたい、このように思います。

浮島委員 ありがとうございました。ぜひ、努力を積み重ねて、そして、信頼関係を構築していただけるようにお願いをさせていただきたいと思います。

 今大臣の方からもちらっとありましたけれども、震災の復興をしていくためには、私は二つの風との闘いをしていかなければならないと思っております。それは、風化、そして風評ということでございます。

 今も田植えのお話もございましたけれども、私も関西の方に帰りまして、関西の方で皆さんに言わせていただいているのは、日本全国でみんなで助け合っていかなければ復興はないんだということを今お伝えさせていただいているところでございます。これはどうやったらできていくかといったら、まさしく福島の方々が一生懸命頑張っている姿、これをいかにお伝えしていくか、そして、いかに安心、安全であるかということをお伝えしていく、この情報発信がとても重要だと思っているところでもございます。

 また、田植えもそうですけれども、私は、あんぽ柿、そして桃の収穫もお手伝いをさせていただいたところでございます。

 お話を聞くところによりますと、二十三年の十二月に、約三万五千人の組合員が総出で、高圧の洗浄機を使いまして、柿、桃、リンゴなど、四十何万本の木を一本一本除染されたと。そして、北海道から来たお客様に、遠くから見て、あの白い木は何ですかと言われて、みんながはっと見たら、サルスベリのようにつるつるしていたそうなんですね。何ですかと聞いたら、いや、あれは柿の木を除染したんですとおっしゃって、北海道から来た農家の方が、あそこまでやられるんですかと言って涙をされるぐらい、本当に皆さんは懸命にされていたと。

 そこで、私は、すごくかわいそうだなと思ったのは、あんぽ柿の収穫に行ってわかったんですけれども、一つ一つ線量をはかってから出荷をされております。でも、高額な機械を入れているんですけれども、実は、あんぽ柿が大きくなってしまって、その機械に入らないものもあるんですね。一本の同じ木から、一本の同じ枝からなっていても、片方はその機械に入る、片方は、栄養よく育ってしまって、そっちの方がおいしいらしいんですけれども、入らないがために、これは出荷ができないということで涙ながらに捨てておられました。そうして、一個一個、入るものをしっかりと線量をはかって出荷をされている。こういうふうなしっかりとしている努力をされているんですけれども、なかなかそれが日本全国の皆様に届いていないのではないかと思います。

 私も、関西で、一日もし三つ何か買うとしたら、そのうちの一つでもいい、地元のものを買うのも大切ですけれども、そのうちの一つは東北のものを買っていただきたい、それが復興につながっていくんだということでお願いをさせていただいているところでございますけれども、この情報発信、広報をいかにしていくのかということをお伺いさせていただきたいと思います。

望月国務大臣 今のお話は風評あるいはまた風化というような形でございますけれども、このことについては、全国民の皆さんが福島のことを御心配なさっているということを我々も感じております。

 ただ、それは、そういうことの中で、時間がたつに従って風化をしてしまうというようなこと、これは決してないような形にしていかなくてはいけないな。もちろん我々は担当省庁でありますし、担務としては仕事を引き続きしっかりとやっていきますが、やはり全国民の皆さんにさまざまな面でこれをいつまでも我が国全体の問題として考えていただきたい。

 ただ、我々が大変ありがたいのは、さまざまなボランティアの皆さん、今おっしゃったように、さまざまな皆さんがあの福島の地域に入って激励をしていただいているという、やはり世界の皆さんが日本の国民性というものを非常に評価しているというか、そういうことを思うと、こういったことを我々はしっかりと忘れずに、広報を通じてしっかりと知らしめて、風化することのないようにしていきたいと思います。

 それからまた、徐々に除染も終わり、そういう形というものが見えてきます。そういうことで、風評被害によって、これから再建をしていって徐々によくなってきたというものを、いつまでも地元の皆さんのお気持ちを、徐々にいい方に向かっていることに対して、これが風評被害に遭ってさまざまな面で立ちおくれてしまうことがないように、今後もしっかりと対処をしていきたいな、このように思います。

浮島委員 ぜひとも、情報発信、しっかりしていただくようお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、漂着ごみの対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私も、ことしの二月、沖縄の方、石垣と竹富町の方を訪問させていただきました。そして、現場を見てショックだったのが、これだけ大量なごみがあるのかということでまず驚いたのが現実でございました。また、一つの海岸では、人魚の里と書いてあったので、どれだけすてきな海岸かと思って行きましたら、何とごみの里になっておりまして、もうすごい、歩けないほどのごみがありました。

 この漂着物というのは、一回きれいにしたからそれで終わり、それでよしではないと私は思います。これはもう対策をずっと継続して続けていかなければならない事業だと思っているところでもございます。

 また、聞いたところによりますと、NPOの方が、ここの伊野田という海岸ですけれども、海岸の一部、五十メートル、ここをモニタリングしておりまして、毎週ここを掃除する、そして、一週間掃除して、どのくらい一週間でごみがたまってしまうかということもモニタリングをされているというところでございましたけれども、十九人の方が毎回やられておりました。でも、その方々も、数週間後にはもう同じぐらいにたまってしまう、これはもう何回何回もやってもなくなるものではないということもお伺いをしたところでもございます。

 また、漂着ごみの対策といたしましては、二十四年度の補正予算で、海岸漂着物地域対策推進事業といたしまして、二十五、二十六年の二カ年で百億円の基金を創設して対策を行っているところでございますけれども、この基金は今年度で終わることになっています。でも、終わってしまうというのではなくて、継続をしていかなければならないと思っております。

 また、この継続をしていくに当たり、財源の、とってくれというとても強い要望が私のところにも毎日、日々のように来ておりますけれども、来年度以降、環境省として、財源をいかに確保し、対策を進めていくのかということをお伺いさせていただきたいと思います。

望月国務大臣 漂着ごみの対策としては、先生がおっしゃったように、平成二十四年度補正で百億円、これは二十四年から二十六年までの基金でありますけれども、設置をして、全国の海岸で漂着ごみの回収、処理のために活用いただいております。

 私も、地元が静岡県の清水というところで、三保半島がございますけれども、世界遺産の富士山の構成資産の一つになっています。漁業組合の組合長さんが一度見に来ていただきたいということで、その漂着ごみを見に行きましたが、本当にこんなにたくさん出るのかと。それも、一回片づければいいというものではなくて、再び、何回も何回も、波が荒くなるような台風が来たり、さまざまな災害で回収を行わざるを得ないということになっております。

 浮島先生がおっしゃるとおり、これは大変大切なことでございますので、この回収、処理に係る費用については、現在ちょっと調整中、来年度の予算のことでございますので、来年度以降の回収作業に支障がないように努めてまいりたいな、このように思っております。

浮島委員 ぜひよろしくお願いいたします。ボランティアには限界がありまして、専門の業者さんにやっていただかなければならない危険なところもありますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 また、一点お伺いをさせていただきたいのは、オリンピック・パラリンピックが決まりました。私も、環境省としてどういうことができるのかということも省内でいろいろ検討させていただいてきたところでもございます。私も、前回そして今回と招致活動に携わらせていただき、たくさんのIOCのメンバーともお話をしてまいりました。そこで皆様が日本の環境問題にすごく関心を持たれているということに驚いたのも事実でございます。

 具体的には、低炭素化、ヒートアイランド対策、熱中症対策、大気汚染対策、また、東京湾そして皇居のお堀の水質の改善、あとは、スリーR、さまざまな環境の情報を発信していくとか、いろいろなことをやっていかなければならないと思っておりますけれども、その中の一つ、一番オリンピック・パラリンピックを成功させる鍵というのが、ドーピングの検査でございます。

 このドーピングの検査でなぜ環境省がかかわってくるかといいますと、注射針なんですけれども、血液をとった、その使用済みの注射針をどうするかということが環境省にかかわってくることと思いますので、この使用済みの注射針をどのように扱うのかということをお伺いさせていただきたいと思います。

鎌形政府参考人 ドーピング検査で使用した注射針についてのお尋ねでございますが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、文部科学省では、今後の競技会におけるドーピング検査のうち、血液検査で血液採取に使用された注射針について、不正防止対策等を強化する観点から、検体の一部として血液検体と同様に取り扱うこととしている、そういう予定と聞いております。その運搬などの際には、環境上適正に管理されることが重要と考えております。

 環境省といたしましても、ドーピング検査の円滑な実施に向けて、環境上適正な管理が適切に実施されるよう、関係者と調整に当たってまいりたい、このように考えてございます。

浮島委員 ぜひとも関係省庁としっかり連携をとって、オリパラの成功のためにもよろしくお願い申し上げます。

 最後に、もう時間がなくなってきてしまいましたので、動物愛護、殺処分ゼロの取り組みについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、ことしの八月、奈良県の宇陀市にありますアニマルパークを訪問させていただきました。そこで奈良県が実施しているいのちの教育プログラムという取り組みを見せていただいたんですけれども、これがもう本当にすばらしい取り組みでございました。

 どういうものかといいますと、捨てられた猫や犬をそこで預かりまして、人になれるように訓練をします。その訓練できた猫や犬たちを、子供たちに自由に来てもらって触れさせる。そして、そこで自分の気に入った犬や猫をもらっていく。

 そして、子供たちに授業をしておりまして、そこには牛やウサギやいろいろな動物も飼われております。動物にも触れさせる。そして、触れさせた後に教室に戻ってきて授業をするんですけれども、今遊んだ、触れた猫ちゃん、ワンちゃんたちは飼われていた、でも捨てられてしまった、でも、ここでまたもらわれていかなければこのまま殺処分されてしまうということで、殺処分の部屋も見せるんですね。そうすると、子供たちは、動物というのは一回飼ったら最後まで命は面倒を見なければいけないんだということもそこで学びます。

 それと同時に、牛とかいろいろなものに触れさせて部屋に帰ってきて、家畜、ペット、いろいろなものに自分たちで分けます。そこで、さんざんいろいろなことを学んだ後に、先生が、みんなきょうは疲れたね、おなかすいちゃったね、夜は何を食べたいと言うと、子供ですから手を挙げて、ハンバーグ、ステーキと言うらしいんですね。そうすると先生が、じゃ、きょうはどの牛さんにしようかと言うと、子供たちが青ざめまして、あっ、あの生きている命を自分たちはいただいているんだということで、やはり動物に対しての、生きている命をいただいている感謝、ありがとうという気持ちも生まれてくる。

 このプログラムをやって、先生がおっしゃったのは、小学校二年生を対象に実施していて、年間で県内四十五校、約二千七百人が受講すると言っておりましたけれども、まず動物を大切にする、命を大切にする、好き嫌いがなくなった、そして、感謝の気持ちを学べるようになったということでございます。それと同時に、このプログラムの効果もあって、昨年度は二〇〇八年度と比較して七百十四頭殺処分が減ったという事例も出ているところでもございます。

 そこで、公明党もこの五月に殺処分ゼロに向けた提言を環境省に対して行っているところでもございますけれども、環境省として、殺処分ゼロの取り組みをどう進めていくのかということと、この提言を受けとめ、どう実行していくのかということをお伺いして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

望月国務大臣 公明党の皆さんからいただいた提言をしっかりと踏まえまして、犬、猫の殺処分を減らすために、ことし六月に、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、このアクションプランを発表したところであります。

 環境省といたしましては、犬、猫の殺処分を減らすために、飼い主、ボランティア団体、事業者等、関係する各団体の取り組みを強化、連携できるように、自治体と協力してアクションプランを推進してまいりたいと思います。

 ただ、先生がお話ししましたように、子供にそういう体験をさせて教育をしていく、これは非常に、感受性が強いときにそういうようなことをしていただくというのは大変いいことではないかなというふうに思います。

 そういう方面にも注目をして、我々はアクションプランを推進してまいりたい、このように思います。ありがとうございます。

浮島委員 ありがとうございました。終わります。

北川委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 久しぶりに環境委員会に戻ってまいりまして、きょうは、早速質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げたいというふうに思います。

 また、この間、自然災害、御嶽山の噴火等々、災害で多くの方が犠牲になられたことに心から哀悼の意を表し、被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。また、救援救助活動に御奮闘いただいております自衛隊、地元の警察、消防、関係の皆さんに心から感謝と敬意を表したいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 質問を通告させていただいておりますが、少し順番が変わることをお許しいただきたいというふうに思います。

 それでは、まず、去る十月の九日、国の責任を認める泉南アスベスト訴訟の最高裁判決が出たところであります。

 現在、環境省が行っている健康被害救済制度は国の責任とは切り離した行政的な救済措置である。しかし、労災に係る案件ではありますけれども、国の責任を認める最高裁判決が出たということでありますから、環境省が行っている健康被害救済制度は見直して、一人でも多くの方を救済できるようにすべきだと考えますが、いかがでありましょうか。

望月国務大臣 お尋ねの件でございますけれども、最高裁判決、これは厚生労働省の所管する労働関係法規に関する訴えについての判断が示されたと伺っております。そういうようなことで、環境関係法規に関する訴えについては、一義的には国の責任が認められなかったと承知しています。

 ただ、そういうことでありますけれども、我々も、国の厚生労働省がそういうことであるというようなことをやはり重く受けとめて、今後、そういったことを旨として環境行政の方にもしっかりとした考え方を取り入れていきたいな、このように思っております。

 そしてまた、石綿による健康被害の救済制度でありますけれども、これにつきましては、原因と被害との因果関係を、それから三十年、四十年たっておりますことが、非常に困難という、石綿による健康被害の特殊性、なかなか因果関係がわからないというようなことであります。民事上の賠償責任から離れて、社会全体でこういったものに対して、費用負担により広く、補償ということではなくてこれは救済する、そういう形での仕組みであります。

 そして、環境省としては、これまでも、制度の実施状況などを踏まえて、指定疾病の追加や肺がん等の判定基準の見直しなどを適時適切に行ってきております。

 今後とも、引き続き、救済制度の適切な運用を図るとともに、調査研究の推進などにより、石綿健康被害者の救済に全力を尽くしていきたい、このように思います。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 今、お答えをいただいた。この間、被害に遭われている方、因果関係というおっしゃり方で今大臣もおっしゃられたんですけれども、そういう中で救済をしていくという制度ができた、そのことはそのことで多としたいと私も思ってはおります。ただ、そういう中で、やはり、先般、泉南のアスベスト関連ということで、国の責任を認めるということの判決が出た。私は、そこは重く受けとめなければならないんだというふうに思うんです。

 ですから、そういう意味では、確かに今まで、過渡的で、因果関係がはっきりしない、しかし救済をするという制度であった、そういう中で存続をしてきたということでありますが、やはり、その最高裁の判決、国の責任、国が十分にしっかりと規制をしてこなかったということが認定されたわけですから、私は、今大臣もおっしゃっていただいたように、そこは受けとめて、環境省が所管をする救済制度もよりよきものに、そして、今申し上げたように、この判決を受けとめて進めていっていただきたい、かように思います。

 それでは次に、原子力防災体制についてお聞きをしたいというふうに思います。

 原発事故に備えた自治体の防災計画の策定など、原子力防災対策を支援する新組織が十四日、内閣府に設置されたわけであります。これまで原子力規制庁の職員約三十人が併任で行っていた業務を、専従五十人体制で対応する、こういうふうにされておりますが、専従のうち環境省の職員は何人いるのか、規制庁から専従になる職員について、規制庁に来る前はどこの所属だったかの内訳をお聞かせいただきたいと思います。

平井政府参考人 お答えいたします。

 内閣府の職員となった者のうち、環境省からの職員は二名でございます。

 また、規制庁から内閣府の職員になった者のうち、規制庁職員となる前の所属の内訳は、経済産業省が八名、文部科学省が二名、防衛省が二名、JNES、旧独立行政法人原子力安全基盤機構からの者が十三名、その他が五名となっております。

近藤(昭)委員 今お答えいただいたようなことであるわけでありますけれども、この間、他の予算委員会等々でも質問が出ているというところであります。民主党政権時代に、あの三月十一日の東電の福島第一原発の事故を受け、以前からそのことは指摘されていたわけでありますが、推進と規制をしっかりと分けていく、そして、その関連の中で、防災計画もやはり、推進の立場、推進の関係部署とは切り離して、しっかりとこの問題にも取り組んでいくということになった。

 ノーリターンルール等々のこの間の質疑もありましたが、この体制については、私も、与野党協議、当時は与党であったわけでありますが、与野党協議の中で与党も野党もなく、しっかりとした規制と、そしてそのもとでの防災体制ということで協議をしてまいりました。

 新たな形で内閣府に設置をされたということでありますが、しっかりと規制が進んでいくということで、これからも、いろいろと要望させていただいたり意見を交換させていただいたりしてまいりたいと思います。

 次の質問に参りたいと思います。

 福島第一原発で働く労働者の被曝線量の問題であります。

 先般、私も、福島の第一原子力発電所のサイト、四回目と私はなるわけでありますが、視察に参りました。そこで、現場でも質問させていただいたんですけれども、非常に関心を持っていることでありますので、質問させていただきたいと思います。

 原発で働く労働者の被曝線量は電離則で決められているわけでありますが、現実にはそれも守られていないという話もあるわけであります。被曝線量は一元的に東京電力が管理する責任があると考えますが、いかがでありましょうか。

大西政府参考人 委員御指摘の電離則、電離放射線障害防止規則でございますけれども、放射線業務従事者に対する線量管理の義務を個々の事業者に課しているところでございますが、厚生労働省におきましては、福島第一原発の実態を踏まえまして、東京電力において一元管理するように指導し、被曝線量分布を、定期的に報告を求めているところでございます。

 また、被曝線量の把握ということでございますけれども、管理区域に立ち入る際には、作業者証と電子式の線量計の固有番号を電子的に読み取らせて入場させる、そうでないと入場できないというような仕組みをつくっていただきまして、東京電力において、作業者の被曝線量を確実に捕捉できる仕組みになっているというところでございまして、引き続き東京電力の指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。

近藤(昭)委員 視察をしましたときに、現場の責任者の方からも説明を受けました。

 低線量ではあっても、被曝ということであります。被曝をしながら作業をしていくという、ある種の危険を伴いながら作業する。以前よりは低くなっておるのかもしれません、しかし、それでも被曝をしていくということ。

 そして、線量が下がった、あるいは現地での体制が以前よりは整ってきたということでありましょうか、現場で働く人たちの求人募集といいましょうか、そうしたものは以前よりスムーズだと。一日六千人以上の人が働いておられるわけでありますから、大変な人数の方が残念ながら被曝をしながら働いている。幾ら管理をされているといっても、そこは被曝をしているということであります。そういう中で、現地の責任者の方は、以前より求人はスムーズだ、こういうお答えも実はありました。

 ただ、私が質問させていただいたときに、確かに東電の現地の責任者の方は、被曝線量については知っている、管理をしているとおっしゃった。私が次にお聞きしたのは、では、二次請、三次請、四次請、そうしたことで多層的な請負をしている、いわゆる現場で働いている人たちのそういった状況は知っているのかという質問に対して、残念ながら責任者の方は知らないと言ったわけであります。

 つまり、東電、そして作業をしているそこの元請があると思いますが、確かに、そこから管理をして、そこから東電には上がってくるのかもしれない、しかし、必ずしもその現場のことをよく知らないのではないかな、よく知らないというふうに私は思いました。二次請、三次請、四次請、こういう人たちがどれぐらいいるのかということ、このことをどう思われるのかということを質問したいということ。

 もう一つは、現場での被曝線量を、個々の働いている人の線量を管理している。それでは、その人がほかの部署、例えば、Aさんという人が東電の福島第一原発で仕事をしている、では、ほかの場所でも仕事をしていたことがあるのか、あるいは途中でそこの現場を離れて違うところに行く。つまり、個人としての、その現場で働くAさんという人ではなくて、Aさんその人の被曝線量の管理についてはどうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。

大西政府参考人 先ほど申し上げました東京電力における一元管理の関係でございますけれども、作業者証というのがございまして、IDが入っているわけでございまして、これと電子式の線量計というのをポケットにつけて行っているわけでございますけれども、それぞれのデータを電子的に機械に読み取らせて、それぞれのIDの作業者証の人ごとに線量を足し合わせて管理しておるというような手続をとっておりますので、そういったことでしっかりと管理していただいているものではないかなと思っております。

近藤(昭)委員 ちょっとよく説明がわからなかったんですけれども。つまり、Aさんという方はほかの作業所にもいたかもしれないわけでありまして、その人の一生でというか、働く中での、別の場所も含めた被曝線量のことであります。

大西政府参考人 大変失礼いたしました。

 ほかの事業所に移られた場合等のことでございますけれども、その場合には、私どもで一人一人の方に放射線管理手帳というものを交付しておりまして、その手帳の中に一元的にその方のそういう状況を管理する、そういう仕組みをとらせていただいているところでございます。

近藤(昭)委員 審議官、その個人の手帳というのは、個人が管理をしている、例えば、東電の福島第一原発で働いた、そこでどれだけ浴びたか、それを自分で書きとめる、こういうシステムということですか。それとも、それも含めて、その方がどれだけ被曝をしているかということをどこか、つまり公のところできちっとどう把握しているかということをお聞きしたいんです。

大西政府参考人 先ほど申し上げました放射線管理手帳でございますけれども、こちらは民間の事業者が管理しているものでございまして、それをデータベースとして管理しているというような状況でございます。

近藤(昭)委員 質問通告にしっかりなかったことからかもしれませんが、私がお聞きしたいのは、やはり被曝線量をきちっと、東電が確かに情報としては持っているかもしれないけれども、しっかりと管理をしているのかどうか。そしてまた、その現場だけではなくて、ほかの現場でも働いている、つまり生涯で被曝をしていることをどう管理していくかということ。

 そして、確かに、今審議官もおっしゃったように、民間のデータベースというものは一応といいましょうか、できているわけでありますが、私は、そういうことが、より国が責任を持って、あるいは、今回、東電の場合は確かに把握はしているかもしれないけれども、その被曝をしている人の、現場で働いている人のいわゆる被曝による健康管理に責任を持つのは東電ではないのではないかと思うんですが、そこは確認をさせていただきたいんですが、審議官、いかがでありましょうか。

大西政府参考人 委員御指摘のとおり、そういう作業をしている元請という立場としての、元請といいますか、失礼いたしました、福島第一原発で働いていただいている、そういう立場での東電の責任はあるわけでございまして、私どもとしても、そういったことで線量を一元管理するように指導はしているところでございますが、いわゆる法令の規定から申し上げますと、基本的には直接雇っている事業主が一番その労働者に近いということで、そこの責任が第一義的なものであるというぐあいに考えております。

近藤(昭)委員 最後、ちょっと確認をさせていただきたいと思うんですが、きょうの質問の趣旨は、私は被曝線量は一元的に東電が管理する責任があると考える。その趣旨は、ただデータ的に持っているということではなくて、きちっとその現場のこと、実態をしっかりと把握すべきだということ。

 そして、その中で、今、審議官、もう一度確認をしたいんですが、つまり、責任というか、現場で働いている人たちの被曝線量をしっかりと把握してその健康管理に責任を持つのは、東電ではなくて、法律の仕組み上でいうと、その作業を受けている元請ですよね。仕事を発注している東電ではなくて、いわゆる仕事を受けているところの元請ですよね。そこを確認したいと思います。

大西政府参考人 健康管理につきましては、私どもといたしましても、東京電力及びその元方の事業者に対しまして、法令に基づく特殊健康診断及び一般健康診断を半年に一回実施するように厳しく指導させていただいているところでございます。

近藤(昭)委員 委員長、今の説明でおわかりになられるでしょうか。

 何か、法令に基づいてと言うわけですけれども、私はもう一度だけ聞きますよ。つまり、責任を持ってやらないと、それが現場でどうなっているのか、そこが曖昧になっていくのではないか。つまり、これだけ大きな、これだけというか、本当に大きな事故を起こした、そして今なお多くの方が避難をしておられる、そしてそのことのある種の収束に向けて今現場でたくさんの方が働いている。さっき申し上げたような状況で六千人以上の方が働いているわけです。

 ただ、その六千人の方の被曝線量についての責任を持っているのは東電ではないですよね、現場で受けている元請の会社ですよね、本当にそれでいいんですかということであります。これだけの事故を起こした、東電が起こしたんだと私は思います。一義的にというか、もともと東電の発電所ですから、そこで起きていることに対して東電がなぜ責任を持たないのか、責任を持つべき体制であるべきだ、こういうことを申し上げているんです。

北川委員長 厚生労働省大西大臣官房審議官、今、近藤議員のおっしゃっておられることは、現場における作業員の方の第一義的責任、所属のその請負企業であり東電がその第一義的責任を負うのはおかしいのではないかという中で、東電も今後どのように対応していくのか、また政府もどのように対応していくのか、こういう御質問であると思いますので、明確にお答えをいただければと思います。

大西政府参考人 はい。

 委員御指摘のとおり、この法令上の責任は直接雇用している事業主の方にあるわけでございますけれども、福島第一原発の実態を踏まえまして、東京電力において一元管理するように私どもとしては指導しておるところでございます。

近藤(昭)委員 言葉を使うと、責任は元請が持っている、それに対して東電もしっかりと管理をしなさいということを政府が言っているということだと思うんですが、私は、管理ではなくて責任を持つべきだというふうに思っているんですね。

 望月大臣、いかがでありましょうか。私は、政府の責任として、このことはやはり、最もいわゆる現場に責任を持つ東電が、現場で働く人たちの被曝線量についてもしっかりと、管理だけではなくて責任を持ってやっていく。何か現場で元請人に管理をさせておいて、そのことに、管理はしているけれども責任を負っているのかどうかということが明確ではないと思うんですけれども、いかがでありましょうか。

望月国務大臣 この問題については、労働者ということになりますと、労働法制といいますか、そういう雇用関係のものでございますので、環境省としての発言は若干、厚生労働省の方の所管でございますので発言を控えさせていただきますが、さまざまな地域の皆さんが御苦労なさって、苦しい生活を強いられている、そういうことを考えますと、我々も、そういったことについては、やはり緊張感を持って、さまざまな面で関係を持っていきたいな、このように思っております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 この問題は、厚生労働省の所管ではあるわけでありますけれども、事故と密接に関係しているということで大臣にも御認識をいただいたと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは次に、原子力の問題はまた質問させていただきたいと思いますが、少し違う問題をまず質問させていただきたいと思います。廃棄物、リサイクルについてであります、大臣。

 全国的に、一般廃棄物処理施設の老朽化が進んでおります。過去にダイオキシン対策を講じた施設も含め、その更新需要が今後大きく増大すると見込まれておるわけであります。市町村にとっては大きな財政支出を伴うものであることから、国の支援が不可欠であるわけであります。市町村の要望に対して予算が十分に手当てされていないと聞いておりますが、このことに対する現状認識及び環境省の取り組みについてお答えをいただきたいと思います。

望月国務大臣 先生御指摘のとおりでございます。

 かつてダイオキシン対策のために集中的に更新した一般廃棄物処理場の老朽化が進んでおりまして、新たに大きな更新需要が発生しております。ちょうどその当時というのは、平成四年から十年間ぐらいだったと思います。そのときに一気に進めたそういった処理場が、今まさに新しくしなくてはいけない、そういう状況になっております。

 この増大する更新需要に対するために、環境省では、循環型社会形成推進交付金により市町村を財政支援しており、平成二十七年度の概算要求においては増額の要求を実はしておるところでございます。

 環境省としては、市町村が一般廃棄物の処理を適正かつ着実に行っていく上で、本交付金の財源確保は重大な課題である、このように考えております。そのために、予算の平準化、平準化というのは、これは長寿命化に対する平準化、あるいはコスト削減、まあ技術も大分変わってきておりますので、そういう意味では、コスト縮減に向けた取り組みを推進しつつ、引き続き可能な限り、これも大切な地域のことでございますので、可能な限り対応に努めてまいりたい、このように思っております。

 以上です。

近藤(昭)委員 大臣、私も環境副大臣をさせていただいておりましたときに、この問題は大きな財政の課題ということで受けとめてまいりました。

 かなり足りないのではないかと思うんです。つまり、例えば十あるところに八はあって二足りないとかじゃなくて、十あるところに二ぐらいしかなくて、そんな状況ではないかと思います。

 大臣の決意、思いは今お聞かせいただきましたが、どれぐらいの予算が不足しているというふうに分析していらっしゃるのか、また、全国でそういうところがどれぐらいあるということなのか、少しお聞かせをいただけますでしょうか。

鎌形政府参考人 まず、予算についてでございますけれども、今年度の予算は三百四十三億円のところ、来年度予算につきましては増額要求、大臣から答弁ございましたが、五百二十六億円ということの増額要求をしてございます。

 一方、交付金につきましては、要望額の調査というのを市町村に行ってございます。この要望額自体は、時の経過に伴って変動はあるわけでございますけれども、平成二十七年度についての要望を聴取した結果、合計千二百億円程度だったということでございます。

 いずれにしましても、先ほど大臣から答弁ございましたとおり、予算の平準化やコスト縮減に向けた取り組みも推進しつつ、可能な限りの対応をしてまいりたい、このように考えてございます。

近藤(昭)委員 箇所数は四百から五百と聞いておるわけでありますけれども、今、私が申し上げるまでもなく、大臣として、その御認識のもとでおられる。ぜひ委員の皆さんにも共通の理解をしていただきたいと思って、改めて質問させていただきましたが、今年度は三百数十億円、来年度はふやして要望している。しかし、一つの計算といいましょうか、全国から上がってくる要望を合わせてみると千二百とか千三百億、こういう予算の需要があるんだということであります。

 厳しい財政状況の中でありますけれども、こうした一般廃棄物処理の問題、ダイオキシンの問題とかさまざまな、廃棄物を処理する過程で起きてきた環境問題で、随分とこの委員会でも論議があったわけであります。そういう意味で、そうした対策の一環として、廃棄物処理の施設の補助についてはしっかりと進めていただきたい。私も野党の立場でありますが、ともに進めていきたいというふうに思います。

 続きまして、地球温暖化の問題について、簡単にというか簡潔にお知らせいただきたいと思いますが、我が国としての二〇二〇年以降の温室効果ガス削減目標の約束草案は、いつ、どのように設定、公表するのかということと、温暖化対策としては、再生可能エネルギーを最大限導入していくことが重要ではないかと思うわけでありますが、九州電力等が再生可能エネルギーの買い取り手続を中断しているわけでありますが、環境省としては今後どう取り組むのか。

 つまり、私も、ニュースを見ながら、あるいは国会で、予算委員会でも取り上げられましたけれども、再生可能エネルギーを入れていく、これは、安倍総理も国会の中でおっしゃっていることでありますし、地球温暖化の問題等の関連でいうと非常に重要な問題である。

 九州電力が主張していること、私はいささか、この間何をしてきたのかということとか、大きな計画の中で、いわゆるエネルギー基本計画がきちっとできていない、そのことも問題だというふうに思っているわけであります。つまり、再生可能エネルギーの数値目標がきちっと入っていない、そして、数値目標が入っていない中で、九州電力もどうやって接続をしていくのかということに必ずしもしっかりと取り組んでこなかったということがあると思うんです。

 そして、そういう中で、化石燃料を燃やして九州は電力を一応というか賄っている。そして、再生可能エネルギーについては、接続の問題があるといって、はねている。しかし、その中で進んでいることは、温室効果ガスがより排出されているということだと思うんですね。大臣、いかがでありましょうか。

望月国務大臣 環境省といたしましては、低炭素社会の実現のためには、省エネの推進とあわせて、先生おっしゃるように、再生可能エネルギーの導入を中長期的に着実に拡大していくということ、これは非常に大切なことだ、このように我々も認識をしております。

 その中で、今の固定価格買い取り制度の接続回答保留問題についてでありますけれども、これは、経済産業省が外部の専門家による検討の場を設置し、ちょうど昨日、第一回目の会合が開催されたと伺っております。経済産業省と協力して、どのような対策が実現可能かについてしっかりと我々もやっていきたいな、このように思います。

 私は、先日、ニューヨークに総理とともに伺いまして、さまざまな皆さんとバイ会談をしたりしてまいりましたが、そのとき、その前だったか、今ちょっと思いつきなんですけれども、ゴアではなくてあれはケリー長官ですね。ケリー国務長官が、やはりこういう再生エネルギーというのは非常に大切だ、やはり気候変動というもの、これは今の時代における最大の大量破壊兵器だと、そんなふうな言葉が象徴的に言われておりましたが、まさにそういう意味では、再生可能エネルギー、これは、我が国が環境先進国として、また、さまざまな技術というものを世界に向けて持っているということを考えると、まさに先生がおっしゃるように、ここは我々はしっかりと位置づけをしていかなきゃいけないな、このように思っております。

 それから、二〇二〇年の削減目標でありますけれども、COP19の決定、これはCOP21に向けて、なるべく早い時期にそれぞれの国が数値を出しなさいということになっております。我々も、それに向けて、各国の動向や将来の枠組みに係る議論の状況、それからエネルギーの政策やエネルギーミックス、先生のおっしゃったエネルギー政策、エネルギーミックスに係る国内の検討状況を踏まえてしっかりと検討して、それから、できるだけ早期に提出、これはさまざまな関係がございますけれども、そういったことを踏まえて、一日も早く我が国としては提出を目指したい、このように思っております。

 以上です。

近藤(昭)委員 大臣も、先般会合に出られての経験というかそのときのことも踏まえてお話をいただきましたが、私は、今非常に懸念をしておりますのは、再生可能エネルギーを入れていく、買い取り制度、まあ買い取り制度の課題もいろいろとあると思いますし、あるといいましょうか、あればそこをきちっと不断に直していくということは重要だ、当然だと思うんです。

 ただ、今の状況を見ていると、再生可能エネルギーにはやはり、どうしても、再生可能エネルギーが持つ欠点と申しましょうか、克服しなければならない課題があると思うんです。

 私なりに申し上げますと、再生可能エネルギーをどう入れていくか、ある種の欠点をどう克服していくか、それはヨーロッパの状況を見ていても、送電網を整備し、余った電力を他地域へ融通していく、広域で考えていくということだと思うんですね。ですから、広域というのは、例えば九州でいうと、九州だけでなくて本州、四国、あるいはもっと広域的に、余った電力をできるだけ融通し合っていくということだと思うんです。太陽光でも、日照、太陽が照る時間が違うわけでありますから、そうしたことを、きちっと送電網を整備して、他地域へ融通していく。

 そして、もう一つは、これは費用がかかってくる問題ではありますが、蓄電池を持って、蓄電池に、貯蔵庫にしてそれを出していく。

 もう一つは、これはネガティブであるわけですが、つまり再エネは抑制をする。つまり、再エネで課題ができたときには、その課題を克服するために今申し上げた二つのようなことをやるか、課題は課題として、もう再エネは抑制をする。抑制することによって、受け入れられないということ、課題を克服するということで、この三番目は私は問題だと思うんですね。問題だと思います。

 ですから、九州電力、今あることの状況の中で、私は、そういうことでいうと、原子力がもうずっと何十年も、使用済み核燃料をどうするんだ、最終処分場をどうするんだ、いわゆる核燃料サイクルをどうするんだということを何年も議論してきた。答えは出てこないようなところがあった。いや、これから研究します。最終処分場はどうする、これから場所を探します。何年も何年もそんなことをやっているのに、再生可能エネルギーについては三年足らず、いやいや、うまく入らなかったからもうそれは抑制しますよ、そんな結論を出していいんでしょうか。それも、先ほど大臣もおっしゃった温暖化の問題と関連しているわけでありましょう。大臣、もう一度、お考えを聞かせていただきたいと思います。

望月国務大臣 再生エネルギーについては、環境省としては、これは何としても低炭素社会構築のためにはしっかりと位置づけて進めていきたい、このように思っております。

近藤(昭)委員 大臣、しっかりとということでありますから、しっかりとということは具体的にということだと私は思いますよ。

 ですから、今、受け入れられない、受け入れがないから太陽光は抑制をするというような形、そして再生可能エネルギーを入れなくてはならないから地熱あるいは風力を重視する、こういうふうな方向だというような報道もありますけれども、地熱にしても風力についても時間がかかる、あるいは投資が大きい。

 これからの電力というものは、やはり国民全員がこの問題について考えていく。どこかに、電力というものを、便利なものを使う、一方で、そこで負荷がかかってきた、そして、その最大の負荷が福島で起きた。これを私はなくすべきだと思っているし、その段階では少なくしていくべきだと思っているし、少なくする過程で再生可能エネルギーを入れる、入れていくということで買い取り制度もできた。

 その過程は、つまり、国民のものとして捉えていく、そして国民自身がこの電力問題を解決していく。つまり、個人の方、個人の家でも太陽光発電をする。これは、ある意味で投資は個人にとっては大きくても、まだそこに踏み込むことができる。でも、今度はより大きな投資とまた時間がかかるものをやるということであります。

 それでは、最後に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 安倍政権は、民主党政権が決定した二〇三〇年代原発ゼロという方針を見直し、原子力輸出、原発再稼働を推し進めようとしているわけですが、原発の再稼働は誰がどのような責任で最終的に決めるのか、このことをお伺いしたいというふうに思います。

 そして、関連をしてくるわけでありますけれども、二〇一二年の六月、原子力規制委員会をつくる際、私は、先ほど申し上げましたように、与野党修正協議の座長をしていましたが、委員会答弁でも、提案者として、これは私だけではありません、当時の野党、自民党の方もこう答えているわけでありますが、何度か答弁をしています。安全とは、「いざというときの災害発生した場合に対しての避難経路の問題、あるいは日ごろの防災対策、こうしたものを全てを含んでいるということであります。」と、参議院の環境委員会で答弁をしております。

 したがって、再稼働を決定する際には、当然に原発三十キロ圏の自治体がつくった避難計画が実効性を持つ計画であるかの判断が必要だと思います。新聞の報道を見ると、急場しのぎで、とにかく再稼働ありきの実効性を伴わないものになっているのではないか。内閣府による確認ではなく、きちんと内容を審査する必要が、原子力規制委員会という意味でありますが、あると思っています。

 つまり、誰が最終的に判断をするのか。私は、与野党協議をしたときにも、原発は万が一の事故がある、つまりリスクがゼロではない、リスクがある。では、リスクがゼロではない中でどうするか。次の手段として、次の手段といいましょうか、万が一が起きたときにいわゆるそのリスクの中で避難をする。つまり、地域原子力防災計画、避難計画、その次の万が一のときに動いてくるのがこれだ。そうであるならば、きちっと原子力規制委員会がこの問題についても責任を持つべきだ、こういう答弁をしているんですね。しかし、そういうふうになっていない。そして、そうなっていない中で、リスクがある中で誰が最終的に再稼働を決断し、判断をする、そして責任を持つのか、いかがでありましょう。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、原発の再稼働を誰が責任を持って判断するのかという点でございますが、法令上、個々の原子力発電所につきまして、原子力規制委員会によりまして規制基準に適合すると認められた場合に、実際にその再稼働を行うのは事業者でございます。

 四月に閣議決定されましたエネルギー基本計画におきましても、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。」こういった旨が明記をされておりまして、政府は、この方針に基づきまして、川内原発につきましても再稼働を進めるというふうに考えております。

 もちろん、御指摘の点も含めまして、政府全体としての考え方を立地自治体等に対して御説明する必要があるという観点から、九月の十二日付で、小渕経済産業大臣の名前で鹿児島県知事宛てに文書を出させていただきました。

 その内容をかいつまんで御紹介いたしますと、政府の方針について、エネルギー基本計画に基づき、政府として、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組むこととし、新規制基準への適合審査の結果や、エネルギー政策、原子力政策の内容、原子力災害対策の内容などを丁寧に説明していくこと。それから、御指摘もございましたが、避難計画を含む地域防災計画につきまして、政府として、計画のさらなる充実のための支援や、その内容の確認を行うとともに、計画の改善強化に継続して取り組んでいくこと。それから、実際の再稼働は、今後、原子力規制委員会によって、工事計画認可など所要の法令上の手続が進められた上で行われます。さらに、再稼働後についても、政府は、関係法令に基づき、責任を持って対処する。

 こういった旨を文書によって明らかにしているところでございます。

近藤(昭)委員 余り時間がなくなってまいりましたが、防衛省、お越しいただいていると思いますが、お聞きをしたいと思います。

 原発で重大事故が発生した際、県から自衛隊の出動が要請されたとき、出動の最終判断は誰が行うのか、原子力災害対策本部の議長としての総理か、お答えをいただきたいと思います。

 さきの東電の福島第一原発の事故、あの事故の処理に当たって、命をかけての作業が起こるわけであります。アメリカなどでは州兵が、最終的には命をかけてでも現場に行け、こういうふうな仕組みがある。非常に非人間的といいましょうか、難しい問題でありますが、しかし、そういうシステムがある。私の認識は、そういうシステムが必ずしも日本はできていないのではないか。そういう中で、さきの東電の福島第一原発のときには自衛隊が出動した。では、今改めて、その決断はどこがするのか。

 そして、つまり、再稼働の責任はどこが負っているのかということであります。時間が来ているので。

深山政府参考人 お答えを申し上げます。

 原子力災害におきまして、事態が悪化いたしまして放射性物質が外部に放出されるなどの全面緊急事態となった場合には、原子力災害対策本部長、これはすなわち内閣総理大臣でございますが、これが防衛大臣に対して部隊等の派遣を要請することができるという枠組みがございます。原子力災害派遣と申しております。

 これは自衛隊法第八十三条の三でございますけれども、これに基づきまして、防衛大臣が原子力災害派遣命令を下令いたしまして、派遣部隊が関係機関と協力を行い、住民避難、物資輸送、避難住民の方の除染、スクリーニング等も行うという計画になっておるところでございます。

 一言付言いたしますと、全面緊急事態に至らないような事故が起きました場合であっても、これは通常の災害派遣の枠組みで、都道府県知事からの要請があれば、我々は出動することとなります。

近藤(昭)委員 引き続き質問していきたいと思います。ありがとうございます。

北川委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。

 引き続き、今国会も環境委員会の理事を務めさせていただくこととなりました。よろしくお願い申し上げます。

 また、先日、大熊委員が我が党会派に所属となりましたので、維新の党、今国会から環境委員四名で臨ませていただきますので、あわせてよろしくお願い申し上げます。

 質問に入らせていただきます。

 本日は、前回の望月義夫大臣の所信を受けまして、環境政策及び原子力防災に関して質問させていただきたいと思います。

 まず、大臣は、就任以来既に五回福島県を訪問されたということでございます。行動力と、現場第一と考えられている姿勢に対して、心より敬意を表したいと思っております。

 放射性廃棄物の問題につきましてはまた別の機会に改めて質問させていただきたいと思いますが、「福島第一原子力発電所の事故による放射線に係る住民の健康管理対策については、有識者会議の御意見を踏まえ、適切に進めてまいります。」という御発言がございました。

 大臣としては、具体的にどのような健康管理対策を考えておられるのかをお教えいただけたらと思います。

望月国務大臣 福島へ何回か私訪問しましたが、河野先生おっしゃるように、これは信頼関係が大切だということで、そのような御意見をいただきまして、我々もその気持ちをしっかりと心にとめて、これからも仕事に邁進していきたいと思います。ありがとうございます。

 健康管理対策の問題でございますけれども、住民の皆様の健康に係る安全と安心の確保は、震災からの復旧復興の、さまざまな仕事がございますけれども、これは本当に重要な柱の一つと私も認識をしております。

 こうした中で、福島の県民の中長期的な健康管理のために実施する県民健康調査は今後も着実に実施していくことが必要だ、このように思っております。国としても、引き続き財政的、技術的な支援を行ってまいりたい、このように思っております。

 また、現在、環境省では、健康管理のあり方に関する専門家会議を開催し、国際的な知見や福島の健康調査の結果等を踏まえ、今後の支援のあり方について専門家の視点から科学的に検討をしていただいているところでございます。

 環境省といたしましては、これまでの取り組みを継続しつつ、専門家会議の検討を踏まえ、放射線に係る住民の健康管理について適切に対応してまいりたい、このように思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 健康管理、住民の方が不安にならないようにしっかりとやっていただきたいと思います。

 先ほど、民主党の近藤委員の方からもお話がありましたが、次に、地球温暖化対策に関連して、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの導入を進めという御発言がございましたので、この件についてお尋ねを申し上げます。

 私の地元、九州・福岡では、九州電力が、先ほどの話にもありましたように、鹿児島県の川内原子力発電所再稼働の準備をしている一方で、太陽光や風力など再生可能エネルギー事業者が発電する電気の新たな受け入れを制限するという方針を示されました。地域で非常に大きな不満の声が聞かれているところだと思っております。また、地元紙等でも連日大きく報道されておりました。

 この件に関して、再生可能エネルギーをしっかり開発して、コストも安くしていかなければいけない中でこういったことがあると、普及に二の足を踏む方もたくさん出てくるんじゃないかと思いますけれども、環境大臣としての御見解、御感想をお聞かせいただきたいと思います。

望月国務大臣 先生まさに九州の地元、非常に関係が深いということで、さまざまな御心配をかけて御努力をいただいているということはかねがねお伺いしておりまして、大変ありがたい、このように思っております。

 環境省としては、先ほどからお話がございますように、低炭素社会の実現のためには、省エネの推進とあわせて再生可能エネルギーの導入を中長期的に着実に拡大していくことが不可欠である、これは先ほどの質問の中でも答えさせていただきました。まさにこれは大変息の長い仕事ではございますけれども、今現在、しっかりとこれを進めていかなくてはならない、我々もそのように考えております。

 そして、回答保留問題については、経済産業省が外部の専門家による検討の場を設置いたしまして、昨日から対策が検討をされているところでございます。その結論も踏まえて、経済産業省と環境省が協力をいたしまして、どのような対策が実行可能かについて検討していきたい、このように思っております。

 並行して、自立分散型の低炭素社会の構築に向けて、具体的に言えば浮体式洋上風力や潮流などの新たな再生可能エネルギー源の開発とか実証、あるいはまた、バイオマスの発電や地熱利用の促進により、多様な再生可能エネルギーの導入を果たしていきたい、このように思っております。

河野(正)委員 私は原子力が決して安いエネルギーではないと思っておりますけれども、一方で、やはり太陽光、風力、さまざまなもの、再生可能エネルギーというのは非常にまだコストもかかり、高いエネルギーになってしまっているんだと思います。

 そういった意味で、買い取りがされないということになりますと、どうしてもちゅうちょされて、開発が行われないということになっていきます。そうすると、普及しなければ当然コストもかかるわけでございますので、その辺はしっかりと閣僚の一員として、環境問題、環境大臣としてリーダーシップをとって発言していただけたらと考えております。

 また、再稼働に関しまして一言お話をさせていただくと、一〇〇%にもう限りなく近い安全性の確保が最重要課題だというふうに考えております。

 万が一の場合、地域住民、これは健康な方ばかりではございません。お年寄りであるとかあるいは病気の方、非常に移動の困難な方もたくさんおられます。果たして安全に避難できるのか。バスで移動させるというようなことも言われておりますけれども、大体バスが地域にそれだけの台数確保されているのか。また一方で、バスに乗せて運んでいっても、それが汚染しているということになれば、除染作業ということで、そのバスは一回使ったら次使うまでにまた相当な期間を要するということになります。

 望月大臣の御地元、比較的近い位置にも原子力発電所はあると思いますけれども、こういった安全性の問題、再稼働に向けて、もしよろしければ一言コメントをいただきたい。

望月国務大臣 今、緊急時の場合の想定について御質問がございました。

 特に、避難に必要になった場合の具体的な自動車、車両の必要台数とかというところまで言及をなさいましたので、それについてお答えをさせていただきたいと思います。

 今回、特に川内原発の場合、要支援者の方を含む住民の避難に際して、移動の手段となる車両の確保はやはり重要な課題と認識しております。このため、内閣府といたしましては、国土交通省、要するに国の実動部隊、実動省庁と、自衛隊、警察でございますけれども、連携し、取り組みを進めてきたところであります。

 鹿児島の川内地域については、緊急事態になった場合には、原発からおおむね五キロ圏内の避難にバスや福祉車両がそれぞれ台数最大、八十五台、避難バスでございます、それから、福祉車両が二十五台必要になると見積もっております。

 どういったところにどういう施設があって、何人の方がいて、どういう状況かというのを一人一人把握して、そして、バスやそれから福祉車両が必要になるということはしっかりと計算を実はしております。その前に、もちろん自分で、車のある方は移動してもらう。車もない、あるいはまた要支援者といいますか、病人だとかさまざまな方がいらっしゃいます。そういう方を一人一人把握して、移動手段というものを実は考えております。

 そのために、薩摩川内市内のバス会社に緊急時の住民避難の協力を依頼するとともに、九州電力にももちろん車両を提供してもらう、こういうことにさせていただいております。

 また、それはもういろいろな災害がございますので、万々が一、鹿児島県内の輸送手段で不足する場合、応援協定により周りの隣接の県からバスを調達する、こういうことをしております。そういうのを把握して、大体千台ぐらいのバスと車両を用意する、そういうようなことも考えております。

 さらに、民間企業からの提供では不十分な場合、十分な輸送力が確保、それであってもできないという場合には、自衛隊や警察等の実動部隊から支援を得る、そういう形になっておりまして、これらの二重三重の考え方によって、避難に必要な車両を確保していく、そういう形にしてございます。

河野(正)委員 ぜひしっかりと、一〇〇%の安全ということはございませんので、万が一のときにも備えてという方針を内閣として担保していただきたいと考えております。

 「世界自然遺産や国立公園を未来の世代にしっかりと引き継いでいきます。」という御発言がございました。

 最近、日本各地で、大雨や台風を初めとした自然災害によって多くのとうとい命が失われております。心より御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、被害に遭われた方の一日も早い回復をお見舞い申し上げます。

 通常国会閉会直後におきまして、ここにおられる委員の方で前期からおられる方は行かれた方もいらっしゃいますけれども、環境委員会の視察で屋久島に行ってまいりました。

 屋久島ではニホンジカの亜種であるヤクシカというのが生息しておりまして、この生息数が、昭和五十年代は二千頭から三千頭であったというのが、現在、平成二十五年度の環境省による調査では推定二万頭から三万頭ということで、大変多くふえておるところであります。

 ヤクシカの採食圧により森林植生に大きな変化が見られ、森林内に入りますと、島の各地で山肌が露出したような状態になっております。土壌の流出や新しい木が育たない、あるいは、ヤクシカが好まない、食べたくないということで残った植物ばかりがどんどんどんどんふえていくというような、いろいろな問題があるというふうにお聞きしました。

 災害という面からしますと、屋久島というのは、一カ月に三十五日間雨が降るというように言われるぐらい雨の多い地域だということでございます。私も九州ですから当然関心を持って、また報道も多くあるわけですけれども、九州地方に台風が接近するというニュースを聞くたびに、屋久島は大丈夫なのかなと思うようになってしまいました。山崩れという心配が大変大きくあるかと思っております。

 環境大臣として、自然を守る、そしてまた離島を守るということは、我が国固有の領土を守る点からも非常に大切なことだと思っていまして、こういった島の自然を守っていく、非常に大きな課題だと思っております。環境大臣としての意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

望月国務大臣 この鹿の問題でございますけれども、私も、私の選挙区といいますか、地元に富士宮というところがございますけれども、ここは非常に牧場が多くて、夜、車で行きますと、牛は寝ているはずなのに目がぎらぎらした動物がいる。それが何かと話を聞いたら、これは鹿でございまして、私もびっくりしたんですけれども。

 それで、その牧場の皆さんが困っているのは、やっと牛のためにつくった草を、そういった飼料を全部根こそぎ食べてしまう、たいへんもないことだということで、非常に嘆いていたということを思い出します。

 そういった意味で、先生のおっしゃったように、鹿の食害により表土が露出すると山の保水力がなくなり土壌が流出することから、鹿対策は、この対策については、生態系保全の観点に加え、国土の保全という、今おっしゃったように重要な課題であると私たちは認識をしております。

 屋久島では、鹿の食害による土壌の流出や希少植物の採食が確認されております。そのため、地元の鹿児島県、屋久島町を初めとする関係機関により積極的な鹿の捕獲が行われております。環境省におきましても、生息状況や被害状況の把握や植生防護柵の設置を行ってきているところでございます。地域が一体となって鹿対策に取り組んでいかなくてはいけない。もちろん、環境省もそれに加わっていきたいなと思います。

 国立公園であり、世界自然遺産にも登録をされている屋久島、この自然環境を、やはり島の皆さんが一生懸命守っていただいておりますが、これはもう国の宝物として将来の世代に引き継いでいくため、引き続き、地域の関係者と連携して、より一層の保全対策の推進に取り組んでまいりたい、このように思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 望月大臣におかれましては、安倍内閣の一員として、再生可能エネルギー、そして環境保全、日本の国土を守って自然を守っていくという意味で意見を発信して、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

北川委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 維新の党の新原秀人でございます。

 本日、環境委員会ということで、初めてこの委員会に来させていただきまして、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 私は、原発というのは、何か、マルかペケ、悪かよしかというような議論ばかりが先行されていまして、どちらかというと、必要か不必要かということをもっともっと考えていかなければならないと思っております。

 そういった中で、もちろん必要性は感じているんですけれども、再稼働するということで、やはり安全審査ということを国民の方々、特にその周りの住民の方々に理解していただくということが非常に重要なことだと思っております。

 今、政府は川内原発の再稼働を検討されていまして、安全性の審査が行われておりますけれども、そういった中、御嶽山のああいった噴火、そして台風も想定外というようなことが出ておりまして、竜巻とかそういった、今まで日本の国では想定されていないようなことがどんどん起こってきております。

 そういった意味において、想定外、想定内ということを含めまして、予想できない自然災害というのが今ふえていますので、そういったことの審査の状況等についてはどうなっているんですか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 昨年七月八日に新しい規制基準を施行いたしまして、その後、現在までに、電力会社十社から十三の発電所、合計二十基の原子力発電施設の申請を受けまして、今、新規制基準への適合性審査を進めているところでございます。

 そして、先生からも御指摘がございましたとおり、九月十日に、九州電力川内原子力発電所一、二号炉の原子炉設置変更許可申請に対して、新規制基準への適合性を確認して設置変更許可を行った、こういうところでございます。

 この川内発電所につきましては、引き続き、工事計画認可、それから保安規定の変更認可の審査を行うこととしてございます。

 また、そのほかのプラントにつきましても、鋭意、新規制基準への適合性の審査を進めている、そういう状況でございます。

 後半の御質問にございました自然現象への対策ということでございますけれども、新規制基準におきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、地震、津波、あるいは先生の御指摘のありました火山、竜巻、そのような自然現象への対策、これまで必ずしも明確に規制上の要件になっていなかったことも含めて、対策の強化を求めていくということをしてございます。

 さらに加えまして、当然、想定を何かしないと対策ができないわけでございますけれども、その想定を上回るようなこともあるかもしれない。また、いろいろな状況によっては、想定を上回るような、安全機能が喪失するとか、そういうようなことが起きて、重大な事故が起きるかもしれない。その重大事故が発生した場合にも対処できるような十分な対策を講じることも要求しているということでございます。

 さらに加えまして、自然現象も想定規模を超えるようなことが起きるかもしれないということで、その場合には、もしかすると原子力施設がかなり大きな規模で損壊を受けるかもしれない。そのような場合にどうするかということも含めて対策を求めまして、その審査もしっかり行ってきたというところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 原子力は悪だと言う方は、結局、そういった事故のことを言ってみれば前面に出している。やはり、安全性なり、そういう何か起こったときの対策ということをどんどん広報して、国民、特に川内原発でありましたら、川内市内に住まれる市民の方々等に安心感を与えるということが非常に重要ですので、今後とも、そういった審査ということを丁寧にやっていただきたいと思います。

 そういった中で、避難経路といいますか、避難計画について、先ほどは、河野理事の方からはバスの台数等も聞かれておりましたけれども、言ってみれば道路ですね。

 例えば川内原発に行くときに、避難するバスと、それから、何か事故が起きたときにそれに対して対策に行く例えば自衛隊なり、そういった、言ってみたら細いといいますか、道の幅等で、いわゆる行き違いで、いろいろな原発の視察も僕は行ったことがあるんですけれども、その道が割と問題になりまして、つまり、避難といわゆる原発の収拾部隊というのがかち合って、そういったことの渋滞等、避難経路等についても、どのような感じになるんですか。

平井政府参考人 川内地域につきましては、災害対策基本法に基づき、県、関係九市町が地域防災計画、避難計画を策定しております。

 そして、要援護者とか移動手段の確保、さらには複合災害の対応といった計画の具体化を、内閣府が地域ごとに設置いたしましたワーキングチームの取り組みとして国と県で進めているところであります。

 その中には、もちろん、先ほど言われました自衛隊の方、あるいは県警の方も入っておられまして、そういう緊急時の対応につきましては、県警の方で素早く交通の統制を図っていただきまして、避難される車は外に、あるいは救助に向かう車は中にということを、交通の規制を行うということで進めてまいりたいと思っているところであります。

 いずれにしましても、この計画につきましては、去る九月十二日の原子力防災会議で報告されまして了とされたわけでございますが、川内地域のほかにも原発地域があります。川内地域以外のところにも、このような同様の計画を今後とも進めていくことにしておりますので、内閣府としてもしっかり対応していきたいと思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、そういった避難計画についても、住民の方々の信頼といいますか、これは大丈夫だなというふうなことをやはりアピールしていただいて、そういった審査基準で見ていただきたいと思います。

 そういった中で、原発再稼働ということなんですけれども、今回、九州電力における川内原発が再稼働されるということなんですけれども、現在、福島で、そういった原発事故のために国費というものが多額に投入されております。

 つまり、この川内原発、九電が再稼働するというときに、審査基準に合う原発が今から再稼働していく可能性が多い中、地域性とかを見てみると、何か九電の原発は再稼働しやすいのが多いということになりますと、現在、国において福島の収拾に当たっている、国費を入れている中、九電だけがそういった原発の、言うてみれば再稼働における利益を享受できるみたいな形にするのでは、これはほかの電力会社も逆に、原発を早く再稼働しなければならないというふうな気にもさせます。

 それよりも、九州電力の川内原発における利益というものは、もっともっと国全体で、再分配とは言いませんけれども、それなりの経費を引いた後については、福島の収拾に充てるとか、そういった考え方等はないのでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、九州電力の置かれている状況を御説明させていただきたいと思います。

 大震災後、御案内のとおり、川内、玄海、両原発が順次停止をいたしまして、その結果、これを代替するための火力燃料費が増加をいたしまして、その結果、二十三年度二千二百八十五億円、二十四年度三千三百九十九億円と、二期連続の赤字を計上しております。このため、昨年の五月には、九州電力は料金の値上げ、六%強でございますけれども、実施をいたしております。

 この料金値上げをする認可の際でございますけれども、原発の再稼働の時期を想定しております。その想定時期でございますが、川内の一、二号機につきましては昨年の七月、ちなみに、玄海の三、四号機は昨年の十二月と、いずれも昨年中にこの四つの原子力発電所が動くという想定で値上げを申請しておりました。

 しかし、これらが現時点では再稼働に至っていないということでございまして、昨年値上げをしたにもかかわらずでございますけれども、二十五年度も千三百七十二億円の赤字ということで、三期連続の赤字になっているというのが、現在、九州電力が置かれている状況でございます。

 この間、もちろん九州電力は、経営効率化努力に加えまして、純資産を九千六百七十五億円ありましたものを三千四百十四億円まで取り崩しをいたしておりまして、こうした苦しい状況をしのいできているというのが実態であるということでございます。

 したがいまして、今後川内原発が再稼働したということになりましたとしても、当然収支の改善効果はございますけれども、再稼働により直ちに九州電力自身が利益を受けるということでは必ずしもないのではないかと思っております。

 ただ、現状はこうした状況でございますけれども、今後、川内原発に加えまして玄海につきましても再稼働が進み、将来的に収支が一層改善していけば、適切な形で需要家に対して適切に還元されていくものと思っております。

 先生御指摘のありました、全国的に再分配をとお話があったかと思います。

 この点について一言だけ申し上げますと、御案内のとおり、各電力事業者は、それぞれの経営判断で原発を幾つ持つかといったようなことを判断してきております。したがいまして、この結果、震災後も原発への依存度が高い電力会社におきましては、それだけ経営が苦しくなり、値上げをしなければいけない状況になる、逆に、原発が少ないところは、これまでも、例えば中国電力とか北陸電力といったところは値上げをしないままここに至っている、こういった状況にございまして、今回、御指摘の川内原発のこと、そこだけを捉えて、それをまた全国的にということにはなかなかなりにくいものかな、このように考えております。

 以上でございます。

新原委員 御丁寧な御答弁ありがとうございます。

 ただ、僕は思うんですけれども、去年の六月に再稼働の予定で値段を決定していたということ自体の、九電になるのかそれを認可した政府になるのかは知りませんけれども、今、原発が動かなくて困っているということは、企業さんには大変かもしれないけれども、もう国民とか市民は理解していますよね。だから、逆に言うたら、今もう少し上げて原発が動いたらちょっと下げるとかいうふうにした方が逆に国民には理解ができますし、原発の必要性、原発は悪とかいいとかいう問題じゃなくて、必要であるか必要でないか、もちろん安全性は確認しなければならないですけれども、そういったときに、原発が動かなければこれだけ高くなるんだということを、隠さないで、もっと国民の方々とか企業の方々に僕は知らせるべきだったんじゃないかなと。

 だから、値段設定が、六%上がったということ自体よりも、もう少し上げておけば、みんな、ああ、それは原発は必要やな、もちろん安全性は確保しなければならない、という方が、だから、この六%で赤字がまだまだ続いたということは、僕は、もしかしたら九電と政府の作戦ミスじゃないのかなと。もちろん、予想、いわゆる想定ミスですよね、稼働するという時期もずれていましたので。

 そういったこともありますので、今後、そういう料金設定については、今、国民の方々は理解されていますので、逆に注視もされていますので、そういった面も含めて考えていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございます。

北川委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 今国会から私も維新の党の所属になりました林宙紀でございます。

 毎回バッターで立っていた時代が懐かしくなるな、今はこの委員会に同じ会派として四人所属ということで、過去に私の経験にないことでございますが、できるだけ毎回立つつもりでぜひやっていきたいなというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 私、宮城県の人間ですから、さきの通常国会もほぼ全て、例の指定廃棄物等の問題についてお伺いをしてきたところでございます。きょうは十五分いただいておりますが、今の時点で確認をさせていただきたいことを粛々と聞かせていただきたいと思っております。

 この国会が閉会している間、大分長くありましたが、宮城県内で今、指定廃棄物の最終処分場候補地として選定されております三つの市町、栗原市、加美町、そして大和町と、全ての候補地に私も自身で行ってまいりました。

 まず、率直に申し上げまして、ここに処分場をつくるというのはなかなか難しいんじゃないのかと私自身は思っています。それは、私は地質の専門家ではありませんが、一目見て、なかなか難しいだろう、これでは住民の皆さんが不安だというのも納得できる、そんな状況の中で今選定を進めようとされている。

 それは、政府の方にはそれなりの論理があると思うんですけれども、さきの九月に、副大臣と政務官におかれましては、実際にこの三市町をごらんいただいている、視察をされているというふうに伺っております。まず、そのときの感想を率直にお聞かせいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

小里副大臣 お話をいただきましたように、九月十七日に三市町の現場に伺いました。また、その際に、特に加美町からは質問書をいただきましたので、その回答も兼ねて、十月二日には再度加美町にお伺いして、また、現場も回答書と照らし合わせながら視察をしたところでございます。

 御指摘をいただきましたように、地域にいろいろな御懸念、御不安があります。例えば、地すべりの心配はないかとか、自衛隊の演習場が近いが大丈夫だろうかとか、あるいはまた地形がどうか、面積がどうだろうかといったような御指摘もいただきました。そういったところを特に意識しながら視察させていただきまして、地域の皆様と問題意識がある程度共有できたかな、そんなふうにも思った次第でございます。

 ただ、当然、一目見ただけではわからない要素がたくさんございます。地下の地質の問題、あるいはまた地盤の性状等の問題があります。特にまた、御懸念の点等を含めてさらに詳細調査を進める中で、そういった御懸念の点等についても検証し、評価をし、お答えをしてまいりたい、そのように思っております。

 引き続き詳細調査をしっかり進めた上で、データを整理して、地域の不安に応え、また、施設の安全性を確保してまいりたい、そのように考えたところでございます。

林(宙)委員 やはり実際に見ていただくというのは何より大事なことだと思うんですね。私なんかが見て、すぐ近くに崩落した場所があるとか、地質的に、さわってみたらすぐに壊れるような土壌のところに何でつくろうとするのかなと。そのぐらいのことは、やはり行ったらすぐにわかるわけですよ。

 今のようにごらんいただいた上で、最終的にどのような判断をされるにしても、それをわかった上でするのとしないのでは、やはり説得力が違ってくると思うんですね。これは、引き続き、視察をされたときの状況をしっかり念頭に置きながら今後進めていっていただきたいというふうに思っています。

 もう一つ、ちょっと確認を先にしておきたいなと思ったのは、今、この指定廃棄物の問題を抱えているのは宮城県だけではございませんで、五県ございます。その五県に対しまして地域振興策という名のもとに五十億円ほど予算をつけていくというようなお話があるようなんでございますが、この五十億円という数字につきまして、今後どのような数字に変わっていくのかわかりませんが、まずその算定の根拠をお伺いしたいと思います。

 というのは、何をするにしても、予算をつける上では必ず論理的な説明というのが必要になってきまして、後で、いろいろな、どのような額をどこに幾らという配分をしても、必ず賛否両論が出てくるわけですね。そのときに、一定程度、ああ、そういうことかと、やはり論理的な説明というのが必要とされてくると思います。

 今の段階でこの五十億円をどう算定しているのか。また、算定の根拠というのがいまだ薄いという状況であれば、今後参考にするものが何かあるのか。例えば、ほかの迷惑施設、こういったものを過去にはつくりました、そのときにはこのぐらいでした、だからそれを参考にします、そういったところまであるのかどうかを含めて、お答えをいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで五県で開催いたしました市町村長会議等の場におきまして、国に対して、指定廃棄物の処理施設を設置する場合の地域振興策並びに風評被害対策を明確に示すべきとの御意見を多数いただきました。

 こうした地元の御意見に真摯に対応するため、平成二十六年度予算において、指定廃棄物の処理施設を設置する場合の周辺地域振興等のための事業を支援する予算として、五県合計で五十億円を計上しているというものでございます。

 この五十億円は、あくまでも予算の枠として確保したものでございます。今後どうしていくかというお尋ねもございましたが、今後の執行につきましては、処理施設を設置することとなる地元自治体が決まりましたら、しっかりと御相談させて、その内容を固めていくということになろうかと思います。

林(宙)委員 今御説明いただきましたように、この五十億円というのはあくまで枠なんですよね、まだ。大体全部でこのぐらいは今のところは確保できていますという程度だと思うんですよ。こんなので地元に行って今のところ五十億円ですと言ったって、誰も納得しないわけです。だからこそ、今の段階でこれはもうしようがないと思いますので、今後、確実に金額を決めていくという際には、こういう理由でこうなっているんですということはやはり政府としてちゃんと説明をする、それも責任の一つだと思うんですよ。

 今責任と言いましたけれども、もう一つ、責任というところからは、私、ちょっとクリアにしておきたいところがあるんですけれども、地元が反対をしている大きな理由というのは、その一つは、やはりこれを受け入れることによって必ず風評被害が出てくるんだ、そういう懸念がすごく大きいわけです。

 中央というか、東京で科学的なものとかをいろいろ考えてこの問題を見れば、今政府の皆さん、環境省の皆さんがおっしゃっていることも、それは確かに根拠としては正しい、科学的にはそうだよねということになると思うんです。しかしながら、人間は論理だけじゃ動きませんから。やはりそこには感情というものがつきまとうわけなんですね。

 これは私自身が直接業者から聞いているわけではありませんので、地元の皆さんがおっしゃっていることですので、確実かどうか、どこまでかはわかりません。しかしながら、今の段階で、処分場に決定したというその段階で取引を停止すると何社から言われているんですというところも地元でたくさん聞くわけですね。

 では、もしこれが本当だったとすれば、この風評被害が起こったときにどういう対策を国としてとっていくのか、責任をどこまでとるつもりなのか、これを聞いておきたいなと思うんです。

 なぜならば、今、宮城県というのは、御存じのとおり東日本大震災で大きな被害を受けました。今一番、地元、被災地で何が課題になっているかというと、例えば水産加工、加工の工場まではもとに戻しました、生産できるようになりました、売り先がないんですね。どういうことかというと、売る場所がないんです。

 今まで、加工してつくった製品をお店に置いていただく、たなといいますけれども、被災したことによって製品を出せなくなってしまったら、そのたなが、当然お店の方としては、では、ほかの業者から仕入れようといって、たなを別の業者のもので埋めるわけです。では、一たび、被災地が回復して、ああ、つくれるようになりました、もとに戻してください、そういうわけにはいかないということがあるんですね。

 風評被害も一緒なんですよ。風評被害でも、一度商品を引き下げてしまったら、それを回復するのに物すごい時間がかかるんですね。だからこそ、地元の人々が、これだけはやめてくれと物すごく懸念しているわけなんです。

 これについて、どこまで責任を持とうと思っているのか。当然、先ほどの地域振興策等々の中にも含まれていくかもしれませんが、その金額、具体的に今決められるわけではないと思いますので、国の姿勢として、それについてはどう対応しようとしているかという、今の考えをお聞かせいただきたいと思います。

小里副大臣 林委員とは農林水産委員会で随分議論させていただきましたが、地元の方々にとって本当に大事な農林水産物あるいはまた観光面での風評被害、極めて御懸念が大きいということは痛感をしておりまして、これは特に気をつけてかからなければならない問題であると認識をしているところでございます。

 まずは、処理施設の安全性、必要性についてしっかりと説明をしていく必要がございます。これまでも、七回にわたる市町村長会議を通じて、あるいはまた新聞などの媒体を通じて、その説明に努めてきたところでございます。

 また、地元の方々のみならず、広く国民の皆様の御理解を得ていかないといけないと考えております。そのために、施設の安全性についてのPR、例えばホームページ等による広報であるとか、あるいはモニタリング情報の公開等により、しっかりと正確な情報というものを広く国民の皆さんに提供していく必要があろうと考えているところでございます。

 また、御指摘のことも踏まえまして、段階段階に応じて、これはまた環境省だけではなくて農林水産省とかそれぞれの関係省庁と連携をして、あらゆる手を尽くして、これこそ体を張って地域を守っていかないとならない、そのように考えているところでございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 もう少し安全な、安全なというかそういう御答弁をいただくかなと思いましたが、今、体を張ってというふうにおっしゃっていただいたのは、私の中では、一つ、思ったよりも踏み込んで答えていただいたように感じていますので、さらに、それだけで十分とは私は言いませんけれども、そういう姿勢を貫きながらやはり地元の皆さんと交渉していただきたいですね。小里副大臣とは、先ほどもおっしゃっていただいたとおり農水委員会でもいろいろと議論させていただいたところもあるので、そこはぜひお願いをしたいなというふうに思っています。

 時間がそろそろなくなってきましたので最後の質問なんですが、先ほど、冒頭にも申し上げたように、副大臣、政務官には、地元をごらんいただいた上で今後議論をしていただくというところになっております。

 これは、大臣におかれましても、ぜひ一度はこの現場を全て見ていただいた方がよろしいのではないかなと私は思っております。

 地元に行かれて、地元というか、宮城県でもほかの四県でもそうなんですけれども、上の、トップの知事ですとかそういった方々とお話をしてというのももちろん大事なことではあると思うんです。しかしながら、実際にそれがどういったところにつくられようとしているのかというのをしっかりと肌で感じた上でお話をされるのとそうでないのとでは全く結果が違ってくると思いますし、何より、大臣みずからが足を運ばれるということに非常に大きな意味がある。先ほども質疑の中でありましたが、福島県には既に五回ほど行かれているということでございました。

 私は、前の国会のときも、大臣に、ぜひ一度でも足を運んでいただいて、その上で交渉をしていただくべきだというお話をさせていただいておりましたが、ついぞ私の質疑の中で明確にそのように訪れるというお話はなかったというふうに記憶をしております。それがいいとか悪いとかというお話ではありません。それが前大臣のスタイルだったんだと思います。

 ということで、新しく環境大臣につかれました望月大臣におかれましては、こういったことについて、すなわち、地元宮城県を含め、他の四県も含めて足を運んで、その上で物事を進めていこう、そういうお気持ちがあるかどうか、最後にお伺いをして、終わりたいと思います。

望月国務大臣 指定廃棄物の処理につきましては、これは重要な課題と我々も認識をしておりますので、これまで一貫をして政務レベルで主導して対応しているということでございます。

 したがって、現場の第一線での取り組みは、まずは副大臣や政務官に尽力をしていただいております。私としては、その報告をしっかり聞いて、大臣としてはさまざまな判断を行いたいと考えております。

 そして、今の指摘の問題でございます。そういった中で、いずれかの段階で、私みずからが行くことも含めてよく考えていきたい、このように思います。

林(宙)委員 ぜひ早期の段階で足をお運びいただきたいというふうに要望いたして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 自由民主党の伊藤信太郎でございます。今回、質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 冒頭に、御嶽山の噴火、また一連の台風、豪雨によって犠牲になられた皆さんに心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、救難救助のために、まさに責務のために本当に命を張って活躍をなさっている自衛隊、消防、また関係の皆さんに対して、この場をおかりして感謝と敬意の誠をささげたいと思います。

 本日は、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により発生した放射性廃棄物の中でも特に、今話題になっております、環境省が定める指定廃棄物の最終処分場の件について、私からもお伺いしたいと思います。

 先週十月十日の本委員会におきまして、望月環境大臣の所信の中で、「指定廃棄物については、安全かつ早期に処理を行う必要があることから、県内で発生した指定廃棄物は県内で処理するという方針のもと、指定廃棄物の保管が逼迫している県において、地元に対して誠意を尽くしつつ、安全な施設の確保に向けた調整を進め」るという御発言があったわけであります。

 このことは、少し歴史をさかのぼりますと、平成二十三年八月三十日に施行された放射性物質汚染対処特措法に基づき、同年十一月十一日に閣議決定された基本方針にのっとり進めるということであろうと思います。

 しかしながら、現実の状況は、それぞれ最終処分場を建設する予定の五県、宮城、栃木、千葉、茨城、群馬それぞれ、もう選定過程あるいは選定方針を決める段階で大変な難航、また、もちろん地元の強い反対があるわけであります。

 私の地元である宮城県でございますけれども、本年一月、建設予定地として三候補地が選定されました。そしてまた、詳細調査を実施するという段階まで進んでおります。しかしながら、そういった意味では、段階的に言えば五県の中で一番前に進んでいるわけでありますが、実際は、この候補地と決まった三市町とも、それぞれ建設地としては適さない旨の強い意見、見解、御主張もあり、地元自治体、住民は強く反対しているというのが現実でございます。

 そこで、きょうは少し具体的にお伺いしたいわけでありますけれども、その三候補地のまず一つ目、これは大和町下原であります。ここは、自衛隊や在日米軍が実弾射撃を行う場所がありまして、王城寺原演習場なんですけれども、これは長い射程の大砲を撃つわけでございますので、今回候補地の一つとなっているところは着弾地点から六百メートルしか離れていないということであります。

 したがいまして、演習をしている過程において跳弾、誤射が生じる、またその結果、候補地に着弾する可能性、危険性というものがないのか、あるとすればどの程度あるのか、また、事故防止の対策というのは講じられているのか、これは防衛省の方にお伺いしたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の王城寺原演習場におきましては、自衛隊が戦車砲、迫撃砲、りゅう弾砲など、そしてまた、米軍もりゅう弾砲などの実弾射撃訓練を実施しております。実弾射撃訓練の安全対策、こうした実弾射撃訓練によりまして御指摘の演習場外への弾着等がないように、さまざまな安全確保策を講じておるところでございます。

 具体的に申しますと、自衛隊の場合ですと、射撃前の安全処置といたしまして、安全図、図面でまず確認をする。あと、弾薬及び装薬、装薬と申しますのは大砲の火薬でございますが、火薬の点検。射向、砲の向きの点検。そして、その砲自体に自動で砲の向きを示す安全表示資材を取りつけるなどの物理的処置を講じておりますほか、射撃の都度、その方向、射角、角度でございます、こうしたものを点検して、そうしたことが起きないように注意をいたしておるところでございます。

 さらに、大砲ごと、砲ごとに安全係というのをつけまして、実際に撃っている人間以外の者もそうした安全をチェックするような対策を講じておるところでございます。

 また、米軍につきましても、これは北海道で若干、外へ飛び出すという事故が起きましたが、その後、各砲に安全手順を張りつけるなど、米軍におきましても最大限の安全対策を講じておるところでございます。

 したがいまして、我々といたしましては、安全面に十分配慮してやっておりますので、そうした弾着が外へ出るというようなことにつきましては、御安心をいただいてよろしいのではないかと考えるところでございます。

伊藤(信)委員 防衛省にさらにお伺いしたいと思うんですけれども、例えば突然の強風であるとかは、どんな安全策をしても、人間のやることですから、全く誤りがないということもないと思うんです。ですから、その可能性が本当にゼロ%なのか、そこをお伺いしたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から、強風の場合という御指摘がございました。

 もちろん、風速というものがどれほどになるかということで影響は出ないとは申せませんが、そうした風向も当然考慮に入れて射角等は決めることになります。

 また、砲弾というのは非常に重いものでございますので、風の影響というものはそれなりに計算ができますし、また、普通のものと違って、風が吹くので非常に大きくずれるということはなかなか考えづらいと思っております。

 ただ、その一方で、可能性がゼロかというお尋ねでございますが、先ほどちょっと申しましたが、先般、北海道で、米軍演習のときに演習場外に出るということがあったのは事実でございます。また、王城寺原でも、随分さかのぼりますが、過去に一回、これは一九八八年のことであると承知しておりますが、戦車砲が出たことがございますので、ゼロと申し上げることはできませんが、例えば王城寺原では、一九八八年以降は全くそうした事故は起きておらないと承知しておりますし、先ほど申し上げましたような安全対策を講じて、そうしたことが起きないように努めているところでございます。

伊藤(信)委員 それでは、今度は環境省にお聞きします。

 今の防衛省の見解というものを踏まえて、環境省として、この地区が最終処分場の建設候補地として問題がないとお考えかどうか、お聞かせください。

望月国務大臣 御指摘の点につきましては、ただいま防衛省から答弁があったとおりでございますが、演習場敷地外への着弾や誤射に最大限に注意をし、さまざまな安全対策をとった上で訓練がなされている、そもそもそういうことであると我々は聞いております。

 ただ、これまでの環境省、宮城県、三市町関係者会談等の場において、大和町からは、着弾に伴う振動の影響についての御懸念も伺っておるところであります。そのため、現在実施している詳細調査において、今後、演習時の振動の測定を行い、処理施設の安全性についても確認する予定であります。

 いずれにしても、詳細調査を実施する中で、地元からの御懸念に対しては可能な限り丁寧に対応していくつもりでございます。

伊藤(信)委員 それでは次に、栗原市についてお伺いします。

 栗原市の深山嶽、この候補地でありますけれども、ここは地質、地形の科学的調査の結果、大変地すべりの可能性の高い地区とされております。建設地の選定から除外する要件である自然災害のおそれのある地域に該当する、そういう見解がありますけれども、この点、どうお考えか御答弁願いたいと思います。

望月国務大臣 まず、詳細調査の候補地の選定に当たってでございますけれども、市町村長会議で選定した選定方法、確定した選定方法に基づいておりまして、全国的に整備され、県内全域を一律公平に評価ができるデータを採用することを基本的な考え方としております。

 このような考え方のもとで既存データをもとに選定作業を行ったところ、栗原市深山嶽の候補地は、自然災害を考慮して避けるべき地域に該当しませんでした。

 現在、詳細調査を実施しておりますが、既存の知見に加え、ボーリング調査などにより、地質、地盤性状に関する詳細なデータ等の追加的な情報を得て安全性を評価したい、このように考えております。

伊藤(信)委員 次に、三つ目の候補地、ここは私の本籍地でもありますが、加美町の田代岳です。

 加美町は、九月一日発行の加美町の広報紙、広報かみまち号外第四号、きょうは委員のお手元にあると思いますが、によりますと、処分場建設に必要な面積の二・五ヘクタールの平たんな土地が確保できない、したがって、候補になること自体がおかしいという御主張をなさっています。お配りの配付資料の二ページ目の上のところにそのことが書いてあります。

 ここに書かれているように、候補地の選定の条件を満たしていないということなのでありますけれども、この点についてまずお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

望月国務大臣 今回、詳細調査を実施する候補地の選定に当たっては、宮城県の市町村長会議において確定した確定手法に従い、丁寧に作業を行いました。

 その結果、田代岳の候補地については、処理施設の設置に必要な面積二・五ヘクタールを超える二・六ヘクタールを確保できるものと考えております。

 この二・六ヘクタールの土地は、平均の勾配が一五%以下という選定の基準を十分に下回るなだらかな土地であります。

伊藤(信)委員 そうしますと、大臣の御発言は、この広報紙に書かれている内容は誤りだということを御指摘なさっているわけですか。

望月国務大臣 平成二十六年九月一日の加美町の広報紙、今ここにありますけれども、田代岳の候補地の平たん部は約二ヘクタールであり、処理施設に必要な面積二・五ヘクタールは確保できないと主張していることは承知をしております。

 しかし、田代岳の候補地は、かつて岩の採石場として利用されており、当時の水路、それから沈砂池が今も残っております。

 加美町御指摘の約二ヘクタールはこれを除いておりまして、中央部の平たんのみを面積としているものと考えられます。

 一方、環境省としては、候補地内にあるこうした水路や沈砂池も処分施設の設置のために利用可能な土地である、そこに含まれるということで、これらを含めた二・六ヘクタールの土地を候補地としたものであります。

    〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤(信)委員 同じ面積に対することなんですけれども、環境省が加美町に対して示した図面では、候補地内に三十度を超える傾斜地があったと伺っております。にもかかわらず、このことに言及していない説明資料だということで、環境省が意図的に不適地である要因を隠したのではないかという疑義、不信を生じさせているわけであります。

 実際に傾斜地がないのであれば、なぜそのような疑義が生じたのか。今一部御説明があったと思いますが、御説明願いたいと思います。

鎌形政府参考人 今の大臣の答弁にもございましたとおり、宮城県での施設設置に必要な土地は二・五ヘクタールということでございますが、田代岳では二・六ヘクタールが確保可能ということでございます。ただ、その土地を含めた七・九ヘクタールの国有地全体の中では、なだらかな土地以外の部分に急傾斜地が含まれていることは事実でございます。

 加美町が、町の要望で環境省から提出した図面につきまして、この七・九ヘクタールの国有地を赤く塗り潰して出したわけでございますが、このことにつきまして、環境省が意図的に国有地の中に急傾斜地があることを隠したというふうな主張をされていることは承知してございます。

 しかしながら、これは、急傾斜地が示された複雑な図面上において、候補地の所在を明確かつわかりやすくするために着色したことでございまして、意図的に急傾斜地を隠す意図があったわけではございません。

 いずれにいたしましても、田代岳の候補地につきましては、なだらかな土地で、施設設置に必要な面積である二・五ヘクタール以上、今回、二・六ヘクタールでございますが、その確保が可能な土地であるということには間違いございません。

伊藤(信)委員 加美町はこの広報紙で、この広報紙は町民全員にというか全戸に配付されているものでありますので、これをごらんいただいてわかるように、要するに、それぞれの自治体当局、町民の皆さんの認識と環境省の認識というのは非常に異なっているわけですね。このことが、住民の環境省に対する不信であるとか、あるいは最終処分場の建設に対する大きな不安というものを増大させているわけです。

 こういう認識の相違について、環境省としては、どのような活動、あるいはどのような方針で臨むのか、これをお聞かせ願いたいと思います。

鎌形政府参考人 加美町の広報と環境省との認識の違いについてのお尋ねでございますが、指定廃棄物の処理につきましては、地元の方々にとって御関心が高く、御心配されているということはよく認識してございます。だからこそ、正確に情報を伝えることの重要性を改めて感じているところでございます。

 これまでも、新聞やテレビ、パンフレットの各戸配付などを通じた周知などに努めてきたところですが、引き続き地元の方々の御理解を促進するため、例えば、国の主張、加美町の主張を丁寧に比較してお伝えするなど、正確な情報が伝わるように努力してまいりたい、このように考えてございます。

伊藤(信)委員 きょうは、地元の例を具体的に質問させていただきましたけれども、今度の指定廃棄物の最終処分場の建設については、最も段階としては進んでいる宮城県でもこれだけの問題なり疑義が生じているわけですね。他の四県についても同様でありますし、今後、さらに大きな問題が次々と現出してくるということが考えられるわけです。

 そこで、震災から三年七カ月過ぎたわけでありますけれども、平成二十三年の放射性物質汚染対処特措法、またそれに基づき閣議決定された基本方針を、やはりもう一度見直すということも視野に入れるべきではないかなと思うんですね。そうしないとなかなか、どこでも壁にぶつかるということになる可能性が非常に高いと思います。その方が指定廃棄物の処理が結果として近道になるのではないかなということを思うんですが、そういう新しい枠組みに方針変更する、そういうお考えがあるかどうかお聞かせ願いたいと思います。

望月国務大臣 指定廃棄物でありますけれども、大量に発生しておりまして、特に保管状況が逼迫をしているという宮城県や栃木県などにおいては、処理施設を確保すべく早急な対策が必要だ。これは時間との闘いもございます。

 環境省としては、関係地方公共団体とも協力して、各県における指定廃棄物の処理を進めるべく、取り組みを進めているところであります。特別措置法に基づく基本方針において定めました指定廃棄物の県内処理の考え方を、今のところ見直す予定はございません。

 指定廃棄物の早期の処理に向け、国が責任を持ってしっかりと取り組むという決意は変わりません。

 引き続き、指定廃棄物の県内処理に向けて御理解と御協力をいただきますようによろしくお願いしたい、このように思います。

伊藤(信)委員 宮城県、またそれぞれの被災県というのはまだ復興の途上にあるわけですね。ですから、この途上にあって、住民の安全や自然環境が脅かされたり、また風評被害その他によって産業振興が妨げられる、このことが起きるとやはり復興の足かせになりますし、今政府が進めている地方創生ということにも逆行する懸念があるわけです。

 そういうことが起きないように、ぜひ、放射性廃棄物の処理に当たっては、まず、地元住民の立場を尊重し、その理解の上に立った施策を進められるように被災地選出の委員として強く求めて、私の質問を終わります。

北川委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 日本維新の会改め次世代の党になりました田沼隆志でございます。

 私、初めて環境委員会での質問となります。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。先輩方も初め、どうぞ御指導いただければと思います。

 今、伊藤委員も御質問されていましたが、私もまず指定廃棄物について、千葉も被災県でありますので、先ほど大臣のお言葉に千葉はありませんでしたが、まあそれはいいんですけれども、お尋ねしたいと思います。

 大臣の就任会見でも、総理から、全閣僚が復興担当大臣になったつもりで働いてもらいたい、特に汚染廃棄物の処理や除染の加速化をしっかりやってもらいたい、スピードアップしてもらいたいという話があったということでありましたし、先日のこの委員会での大臣の所信の中でも、「指定廃棄物については、安全かつ早期に処理を行う必要があることから、」「指定廃棄物の保管が逼迫している県において、地元に対して誠意を尽くしつつ、安全な施設の確保に向けた調整を進めます。」ということでございました。

 千葉も指定廃棄物が三千六百六十四トンございます。先ほど宮城のお話もありましたけれども、千葉に関しても、動向について質疑したいんです。

 つい三日前、十月十四日に、指定廃棄物の処分問題、千葉も難航しております、本来でしたら来年の三月末までに国が最終処分場を県内に整備するということだったわけですが、もう困難だというふうに判断されたということで、今、千葉県の手賀沼というところに県営の終末処分場がありまして、皆さん御存じでしょうか、我孫子とか印西というところがあるんです、千葉の北部の方ですね、あの辺に多いんです。そこで一時保管しているんですね、五百トン余りを。もともと搬入したもとであった松戸と柏と流山という三市が特に大きいんですけれども、ここの三市に対して持って帰ってくれという伝達をいたしました。十月十四日です。

 大臣、このことを御存じだったでしょうか。

望月国務大臣 十月十四日に御指摘の会議が開催され、千葉県の手賀沼終末処理場で一時保管されている指定廃棄物を二十六年度末までに搬出し、各自治体で保管することになったことは承知をしております。今お話がございましたように、千葉県のほか、松戸市、柏市、流山市、我孫子市、印西市の担当者、全ての皆さんが御出席しているということを聞いております。

 私自身も、関係する自治体から処理施設の早期確保について直接要請を受けておりまして、大変重要な問題であると認識をしております。九月十日に、松戸市長、柏市長、そしてまた我孫子市長、印西市副市長が私のところに要望といいますか陳情にお見えになっていただきました。

 そして、詳細調査の候補地については、現在、選定作業を進めておりますが、千葉県では選定対象に民有地を含めるということで、選定作業に時間を実は要しているということでございます。

 このため、指定廃棄物を保管していただいている自治体の皆さんに、本当に、皆様には大変御苦労をおかけしているな、そういうことを我々も認識しております。

 千葉県における指定廃棄物の処理が前進するように、まずは、できるだけ早く詳細調査を実施する候補地を確定できるように努めてまいりたい、このように思っております。

田沼委員 この問題はそう簡単な問題ではないことは十分承知しておりますし、是々非々の次世代の党でございますから一方的なことを言うつもりはありませんけれども、地元の自治体の住民からも、国はちょっとこれは余りに無責任でしょうという声はやはり上がっていますよ。

 柏、流山などの自治体では、大臣は御存じと思いますけれども、持って帰ってくれと言われたものですから、しようがないということで保管と運搬の補正予算を組み始めました。柏市が一番大きいんですけれども、柏は四億円、四億九百五十万円ということですね。私は千葉市出身なので、千葉市は一般会計三千億ですが、柏は一千億程度なんですが、やはり四億というのは大変なものですよ、補正予算を組むというのは。

 やはり、まずもちろん早期に最終処分場を決定しないといけないんですが、時間がかかるなら、スケジュールを出すということですね、せめてどれぐらいかかりそうだということを。それから、その間の運搬とか保管はやはり財政支援を、どう考えたって責任は国にあるんですから、しなければならないと考えます。調査も、詳細調査は半年かかると言われているわけですから、ちょっとやそっとでは、時間がかかるのは誰もがわかることですから、これを自治体に持ってくれというのは余りにちょっと虫がいいかなとも思うんです。

 八月の二十二日でしたか、井上前副大臣が、自治体が求めている運搬、保管費などの財政支援について前向きに検討しているというお答えが、記者会見でしたか、ありました。その後、具体的な、特に財政的な支援がどうなるのかというのが、ちょっとまだお聞きしていないので、大臣、財政支援に関して御見解があればお尋ねします。

望月国務大臣 委員が御指摘の面は、本当に各地方の皆さん御苦労なさっております。そのところは十分に認識をしていかなくてはいけないことだ、まさに御指摘のあったとおりでございます。

 指定廃棄物の一時保管及び運搬のために必要な費用については、現在、国が全額支援を行う、こういうような形に取り決めをしております。

 お尋ねのさまざまな費用ございますけれども、同様に、国として必要な費用については全額支援を行っていく、こういうように取り扱いさせていただく、こういうことでございます。

田沼委員 ちょっと確認ですけれども、それは、運搬と言われたような気もしますが、保管も含めてということで全額支援でよろしいですか。

鎌形政府参考人 保管も含めてということでございます。

田沼委員 ありがとうございます。ありがとうございますというのもあれですが、正しい御判断かと思います。

 これは国とか県とか市とかが責任のなすりつけ合いみたいになってはいけませんので、大臣の心中もお察しいたしますけれども、ただ、約束を守られなくちゃという信頼性を住民の方、首長さんたちにやはり持っていただくことが、これからオール・ジャパンで解決していくためには非常に大事だと思いますので、ぜひ今回の御判断をベースに、また信頼関係を築いていただきたいと思います。

 一点、これは大臣の決意の言葉で結構なんですが、千葉でも五百トン余りの指定廃棄物が今、手賀沼にあるんですけれども、そこに持ち込みが決まったときには、二〇一二年の十二月ですね、トラックを地元の住民が阻止しようとしたというぐらい大変な事態になったのであります。今でもテントで管理しているんですね。あの辺は最近台風とか竜巻とかがあるので、怖いんですよ、地元の方からすれば。これは大丈夫か、この灰が飛んでいっちゃったらとか、せっかく集めたのにという不安がまだ今でもあります。

 ですので、これから、大臣も先ほど所信で、地元に対して誠意を尽くしつつ、安全な施設の確保に向けた調整をするということで言われておりましたけれども、具体的にどのような思い、どのようなことなのか、もしあればお答えいただければと思います。

望月国務大臣 これは、先ほど私お話ししましたように、指定廃棄物の一時保管場所が大変もう逼迫をしているそういう五県においては、指定廃棄物の処理施設を早期にやはり確保して速やかな処理を進める、これが基本でございます。

 その処理に当たって地元の方々のやはり御理解が得られるように努力することは、もうこれは基本中の基本というか、非常に重要なことだと私は思っております。

 これまでも、市町村長会議などの場において、地元の不安だとか御懸念の事項に対しては丁寧に説明をしてきたところでございますけれども、今後も、地元に対しては誠意を尽くしつつ、安全な処理施設の確保に向けて調整を進めてまいりたい、このように思います。

田沼委員 ぜひお願いします。

 今、三日前の決定を受けて、もう早速、その前の住民説明会とかでも、国は無責任だという声がやはり強いんですよ、とてもね。ですから、今大臣言われたように、信頼関係をまた築けるような、納得のいただけるような、誠意を尽くした対応をぜひお願いいたしたいというふうに思います。

 ちょっとまた質問を次に移りまして、廃棄物処理施設についてのお伺いをいたします。ごみの焼却場とかも含めますけれども。

 私も千葉市議会議員出身でありまして、大体、自治体、地方議会だと、やはり環境、特にごみの問題は非常に重要、私はもともと維新の会で、維新の会も地方からの声を届けるという、今の次世代の党ももちろんそのままですが、ということが一つの立党の理念でありますので、自治体における廃棄物処理施設というのは非常に重要な基盤であります。

 これは大きな施設で、高いお金もかかるわけですね。千葉だと、一個清掃場に百五十億円とかかかるんですね。やはり国の支援がなければやっていけません。具体的には、循環型社会形成推進交付金というものを主な財源としているというふうに聞いております。

 ただ、平成二十五年度の交付の内示が、初め、要求額より大分低かったらしいんですよ。追加内示でやっと出たということで、千葉の担当者さんと話したら、ああ、びっくりした、危なかった、冷や冷やしたと。非常に不安だという話を聞きました。

 廃棄物処理施設の整備は、当たり前ですけれども、これからの地域社会には非常に重要なものだと思います。これが今、補助の交付率が三分の一なんですよね。ですけれども、アップダウンがあったりとか、三分の一で足りないとかならないように、やはり安定的な運営ができるように施設の整備をしなければいけませんから、交付されないと、計画がおくれちゃうとか老朽化とか大変な問題がいろいろ起きますので、一律二分の一にするべきじゃないかという御提案を思うんです。

 エネルギー回収型廃棄物処理施設という方に適合すると二分の一なんですよね。なので、この際、一般の廃棄物処理施設に関しても、安定的な処理ということを考えると二分の一にすべきじゃないかという提案をしたいんですけれども、大臣、見解をお伺いします。

望月国務大臣 循環型社会形成推進交付金でございますけれども、低炭素社会の実現の観点から、これも大変大切な問題だと思っておりますが、特にすぐれた先進的な施設整備に対しては、交付金を二分の一という形にしております。

 全てを二分の一にするという財政支援の申し入れでございますけれども、これは重要な地域のインフラとして必要不可欠なものと我々は認識をしておりますけれども、今数多くの廃棄物処理施設が老朽化をして、先ほどの御質問にございましたけれども、更新期を迎えておりまして、更新需要が一気にふえてきているというのが実情でございまして、国の財源にも限りがある中で、交付金の、これをかさ上げすることによって、結果として数が狭まってきてしまうということになると、更新需要に適切に対応できなくなるという可能性もあるということをやはり留意する必要があると思います。

 しかしながら、市町村の仕事としては、一般廃棄物の処理はやはり大切なことでございまして、適正かつ着実に行えるように、引き続き可能な限り、さまざま、いろいろ検討して対応に努めてまいりたいと思いますが、基本的には、財源とかさまざまなことを考えて、先進的なCO2の二〇%削減とか、耐震の設計をしてあるとか、そういうさまざまなことを考えて二分の一、そういうような形にさせていただいているところでございます。

田沼委員 わかりますけれども、先進的なことも大事なんですが、やはり、大臣もまさに言われましたけれども、老朽化がもう進んできている自治体が多いですね、千葉もそうでした。それから、ごみの削減を頑張っているところ、千葉も三分の一にしようということで、三つあった処理場を二つ、我が党の中田宏横浜前市長も、七個あった処理場を四つにするとか、やはりその削減の努力も同時にされています。

 更新とか建てかえとかのスケジュールがおかしくなると、やはり非常に不安になるわけです。そういった努力がうまく成就しないリスクまで起きてくるわけですから、ぜひ自治体の要望を真摯に酌み取っていただきながら御検討いただければというふうに思います。

 次の質問なんですけれども、まさに今大臣が言われた先進的な施設という観点ですと、高効率のごみ発電という施設についてです。

 ごみは、普通燃やすだけでは発電は難しいんですけれども、かなり高圧高温での運転をする、タービンが非常に高度なものだと発電ができるというものであります。これも千葉ばかりで恐縮なんですが、千葉のもそういう施設なんですけれども。

 この高効率のごみ発電は非常にいいんですけれども、ただ、当然お金がかかるわけですね。維持管理費用が莫大になるということです。ただ、これはまさに発電もしているわけですから、今後の再生可能エネルギーの活用という意味で非常に重要な施設であろうと思います。

 これに関して、ごみ焼却熱をどう利用していくのかということに関しての大臣の御展望、それから、もしお聞きできるなら財政支援についてのお考えもあるのかどうか、そういった、引っ張っていく力のかけ方についてお尋ねできればと思います。

鎌形政府参考人 ごみ発電は、不要物となったものの有効利用という意味で、循環型社会の実現につながる重要な取り組みという認識でございます。加えまして、再生可能エネルギーの利用やエネルギーの効率的利用による低炭素社会の実現の観点からも重要性が高い、こういう取り組みだと考えてございます。

 東日本大震災以降、電力不足などもございまして、分散型であってかつ安定供給可能なごみ発電、この果たす役割は非常に大きくなっている、こういう認識でございます。

 環境省におきましては、この循環型社会形成推進交付金によりまして、災害対策の強化にも取り組む高効率ごみ発電、これにつきましては交付率を通常の三分の一から二分の一のかさ上げにして、導入促進を図っている、こういう対応をしているところでございます。

望月国務大臣 内容については今お話をしたことでございますが、少なくとも、補助率のかさ上げを三分の一から二分の一にするとかさまざまな面を考えて、これはもう循環型社会、そしてまた新しい時代を築いていくのに大変大切なことでございますので、委員のおっしゃったように、環境省としてもこの問題については真摯に取り組んでいきたい、このように思います。

田沼委員 きょうも地元の支援者の方が来られているんですけれども、やはりごみの問題が多いんですよ、地方は。だから、大臣が今言われましたけれども、例えばこの高効率のごみ発電も各自治体にどんどん、特に千葉は政令市だからできたという面もあるでしょうけれども、各自治体にもぜひ誘導していただければと思います。

 ちょっと時間があれなので、最後の質問ですが、水素ステーションの活用です。

 我が党の平沼党首が代表質問において、水素ステーションの活用とあわせ、再生可能エネルギーを利用した水素の製造とガスライン構築によって、エネルギー自給率一〇〇%の国を目指すべきだということを代表質問で安倍総理にお尋ねさせていただきました。総理の答弁も、水素は未来のエネルギーです、基本的にその方向で行きたいです、そして、水素を安定、安価に供給するシステム確立を目指しますという非常に前向きな御答弁をいただきました。あと、大臣も所信の中で、この低炭素エネルギー社会の構築を目指すということで、徹底した省エネ、再生エネの導入を進めるということで、おおむねその方向なんだと思います。

 この水素ステーション、我が党は具体的に代表質問でも、海上メガフロートに一万個つくってそこで風力発電をして、それで海水から水素をつくって、パイプラインで送って、ガスラインで送って、全国のガソリンを全部水素で賄ってしまえばいいんじゃないかという御提案をしたんですけれども、それが具体的なものであるかどうかは別としても、大臣の今後のステーションの進め方について展望をお伺いしたいと思います。

望月国務大臣 低炭素社会の実現に向けて、燃料電池自動車を初めとする次世代自動車の普及促進を我々は図っているところでありますが、その普及のためには、まさに、燃料を補給する水素ステーションが必要欠くべからざるものであります。

 このため、本年四月に閣議決定をされましたエネルギー基本計画において、平成二十七年度に日本全国で百カ所程度の水素ステーションを整備することを目標と、そういうようなことを定められておりますので、これを受けて、環境省としても、水素ステーションの整備を支援するための予算を平成二十七年度の概算要求に盛り込んでいるところでございます。

 今実際に、埼玉県の県庁で実はこの実証試験、それからまた商用化に向けてそういったものも既に始めているところでございまして、経済産業省とも連携しつつ、水素ステーションの整備を、やはり先生のおっしゃる皆さんの党の方針、これもまさに日本の未来を築くものでございまして、こういったものについて環境省もそういった御意見を参考にさせていただいて、前向きな姿勢で取り組んでまいりたい、このように思います。

田沼委員 時間ですので終わりますが、ぜひ、期待しておりますので、よろしくお願いします。

 終わります。

北川委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の野間健です。

 本日は、貴重な質疑の時間を与えていただきました。各党理事、委員の皆さんに心から感謝を申し上げます。

 さきの望月大臣の所信の中でも、きょうは地球温暖化問題について御質問したいんですけれども、近年の豪雨や猛暑など異常気象の発生、これには気候変動や地球温暖化が大きな影響を与えている、その原因である温室効果ガスの抜本的、継続的削減が必要だということを強調されているわけです。

 残念ながら、我が国の温室効果ガスの排出量、二〇一二年度は二〇一〇年度と比べると〇・八五億トン増加をしております。特に電力分野がふえているんですけれども、電力分野以外の排出量は〇・三億トン減少しておりますけれども、電力分野は一・一億トン増加をしている。

 環境省として、この原因をどのように分析され、また、今後、多い電力分野の排出量の削減にどのような有効な対策があると考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今、二〇一〇年度と二〇一二年度の二年間を比較いたしましたら、今委員がおっしゃられるように、全体としては〇・八五億トン増加をしております。その中で、電力の分野では約一・一億トン増加しているところでございます。

 排出量が増加した主な原因といたしましては、発電電力量につきましては、御家庭あるいは企業の方々の節電ということで全体としては約七%減少したのでございますけれども、原子力発電所の停止に伴う火力発電での化石燃料消費量の増加によりまして、電力からの二酸化炭素排出の原単位、これは一単位の電力を発電するために出すCO2でございますが、約四割増加をしたということが挙げられております。

 対策といたしましては、電力分野の排出量の削減に向けては、大胆な省エネで電力消費量そのものを削減するということもございますけれども、再生可能エネルギーの最大限の導入、あるいは老朽火力発電所を最新鋭の高効率の設備に更新するといったような、電力の低炭素化を進める必要があるというふうに考えております。

野間委員 電源には、石油、石炭、LNG火力など化石燃料由来のものを初め、風力とか太陽光、地熱など再生可能エネルギー、さまざまな電源がありますけれども、ライフサイクルのCO2削減という概念がありますが、つまり、発電所の建設とか運用、解体、燃料の生産、輸送、加工、そういった発電にかかわるさまざまな全工程における総CO2の排出を勘案しての観点でありますけれども、こういった観点からすると、今申し上げたような各電源、どのように排出量の削減に寄与しているのかということを示していただきたいと思います。

梶原政府参考人 今委員御指摘のように、ライフサイクルでということになりますと、発電の装置、施設をつくる際のCO2も含めて、全体ということでございます。これはいろいろな統計があるわけでございますけれども、押しなべて申しますと、石炭火力からのものが一番多いということでございます。

 それで、太陽光とか風力の再生可能エネルギーは、発電時には二酸化炭素を出しませんけれども、施設の例えば太陽光パネルをつくるとか風力の施設をつくるといったところに若干出ます。ただし、それは若干出ますが、十年、二十年、そして三十年というふうに使っていくということの段階で出ます火力発電が一番多い。

 一般的に申し上げまして、例えば石炭火力が一〇でありますと、石油火力が八ぐらいのイメージ、そして、天然ガス火力が五ぐらいのイメージ、つまり、石炭火力の半分ということでございますが、水力あるいは再生可能エネルギーというのが〇・二とか三とか、そういったようなイメージでございます。

野間委員 政府は、徹底した省エネルギー社会の実現、再生可能エネルギーの導入促進を目指すべきエネルギー政策としているわけです。きょうも質疑でありましたけれども、二〇一二年に導入された再生可能エネルギーについて、既に、太陽光を中心に、各電力会社から接続の回答の保留など、ある種の限界が表面化してきておりますけれども、環境省として、温室効果ガス削減に有効とされているこの再生可能エネルギーの限界について、どのように認識されているでしょうか。

高橋大臣政務官 再生可能エネルギーについては、地球温暖化対策はもとより、地域に投資と雇用を生み出すなどの効果をもたらすものであると考えております。

 その一方で、再生可能エネルギーの種類によっては、天候等によって出力が変動するなどの課題があります。

 しかしながら、低炭素社会実現のためには、省エネの推進とあわせて、再生可能エネルギーの導入を中長期的に着実に拡大していくということが不可欠です。

 環境省としては、そのような課題も踏まえつつ、浮体式洋上風力や潮流などの新たな再生可能エネルギー源の開発、実証、蓄電池を用い効率的に変動を制御し、再生可能エネルギー導入可能量の拡大と経済性の向上を図る技術実証等に戦略的に取り組んでまいります。

野間委員 環境大臣がニューヨークを訪問された際も、COP21に向け、削減目標を早く先進国の責任として出さないといけないと。もう既に米、中、EUなどは三月に出すという報道もされております。

 我が国も、なかなか、もう待ったなしの、削減目標の提出には時間がない状態になっておりますけれども、一方で、経済産業省を中心に、エネルギーのベストミックスのまた計画も立てないといけない、同時に削減目標も立てないといけないということで、やはり、地球環境温暖化の防止に向け、環境省としてもこのベストミックスの議論にもしっかりと発言をして、こういう電源構成が必要だということを強くまた訴えるべきではないかと思いますけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。

望月国務大臣 今御指摘がございましたように、私は先日、ニューヨークの方で気候変動の会議に出てまいりました。そこで、イギリス、フランス、アメリカ、その当時できなかったところもありますけれども、ことしの十二月にペルーでCOP20、それから来年COP21がパリで行われますけれども、そのための準備段階として、それぞれの国の環境大臣とさまざまな道筋についてのバイ会談をさせていただきました。非常に各国の環境大臣、積極的にこういったものに対して、地球の温暖化がさまざまな自然環境とか災害に関係をしているということを認識しておりまして、非常に積極的なそういった御意見を多く承ってまいりました。

 そして、この約束草案でございますけれども、COP19での決定、これはCOP21の前になるべく早く数値目標を出しなさいということでございまして、各国の動向や将来枠組みに係る議論の状況のほか、御質問のあったエネルギーミックス、エネルギー政策に係る国内の検討状況、こういったものを踏まえて検討していきたい、このように思っております。

 削減目標提出に向けた検討作業を、これも加速するために、十月二十四日に中央環境審議会と産業構造審議会の合同会議を始めまして、御指摘を受けたように検討を開始していきたい、このように思います。

 環境省としては、徹底した省エネルギーの推進と最大限の再生可能エネルギーの導入が不可欠と考えておりまして、エネルギーミックスのあり方をめぐる議論についても積極的に貢献をしてまいりたい、このように思います。

野間委員 ありがとうございました。終わります。

北川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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