衆議院

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第6号 平成26年11月7日(金曜日)

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平成二十六年十一月七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 石原 宏高君 理事 泉原 保二君

   理事 平井たくや君 理事 牧原 秀樹君

   理事 盛山 正仁君 理事 近藤 昭一君

   理事 河野 正美君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    伊藤信太郎君

      石川 昭政君    小倉 將信君

      金子万寿夫君    小林 史明君

      桜井  宏君    助田 重義君

      高橋ひなこ君    福山  守君

      藤原  崇君    福田 昭夫君

      吉田  泉君    大熊 利昭君

      新原 秀人君    林  宙紀君

      浮島 智子君    田沼 隆志君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   環境副大臣        北村 茂男君

   環境副大臣        小里 泰弘君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官      福山  守君

   内閣府大臣政務官     石川 博崇君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   平井 興宣君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (水産庁次長)      香川 謙二君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  長谷 成人君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            中島  敏君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     桜井  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  桜井  宏君     金子万寿夫君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     藤原  崇君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官平井興宣君、外務省大臣官房審議官下川眞樹太君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、水産庁次長香川謙二君、水産庁増殖推進部長長谷成人君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、海上保安庁警備救難部長中島敏君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長小林正明君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長三好信俊君、環境省自然環境局長塚本瑞天君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上貴博君。

井上(貴)委員 皆さん、おはようございます。質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 きょうは、鹿児島県議会、十時から川内原発再稼働に向けての決議がされる、ちょうどその日でもございます。そういう大きな節目のときに質問の機会を与えていただきましたことを、心から感謝申し上げたいというふうに思います。

 私は、親子三代、地元で安全、安心というものを守ってきた自負がございます。父も祖父も消防団で全国の筆頭副会長をさせていただきましたし、その中で消防団の地位向上と確立をしてきました。そして、父の時代にも、女性消防団員を設置するべきだという答申を出させていただいて、今全国に女性消防団員がいるという状況もつくらせていただきました。そして、県議会議員時代にも、親子三代、警察委員長をさせていただきましたし、本当に現場というものを中心に今までやらせていただきました。

 今回、国会議員にならせていただいて、また違う角度から、国民の安全、安心というものをしっかりつくるために質問をさせていただきたい、特に、現場目線ということを忘れずにやっていきたいというふうに思っています。

 その中で、東日本大震災から三年八カ月がたちました。福島原発の処理の現場の技術者、そして作業員の人たち、あの真夏の炎天下の中、作業している人たちの姿も見せていただきましたけれども、本当に大変な状況下の中で作業していただいております。

 そういう中、我々は、この福島原発を安全に廃炉にしていくために、またしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。そういう中、技術者の人たちの意識や、そういう人たちのことも忘れがちになってはいないかという気持ちを今持っています。

 そういう中で、まず一番最初に、もう一度原点に戻って、今の日本、世界の原子力発電の状況、幾つあるのか、そして世界にも幾つあるのか、現状から御確認をさせていただきたいというふうに思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国内でございますけれども、現在、国内には十六原子力発電所に四十八基の原子炉があるという状況でございます。

 また、世界の動向でございますが、資料も先生の方からお配りいただいておりますけれども、二〇一四年一月現在の資料が配られておりますが、今、私の手元には、二〇一四年十一月の、国際原子力機関、IAEAの原子力発電に関するデータベース、いわゆるPRISといいますが、こちらによりますデータがございます。

 こちらによりますと、世界全体で現在四百三十七基の原子炉があるようでございます。資料にあるものと比べますと、上から五番目のロシアが二十九とありますが三十三、十一番目にありますインドが二十とありますが二十一、中国が十七とありますが二十二、そしてアルゼンチンが二とありますが三、このような違いがあるようでございます。

 動向、今後の流れでございますけれども、IAEAの方で二〇一四年八月に発表したレポートがございます。

 こちらもこの資料の方にも引用されているようでございますけれども、こちらにございますように、今後、二〇三〇年までに、設備容量全体として一割から九割増加する、こういうふうに予測されております。低位予測それから高位予測というのがございまして、一〇%、九〇%という差が出てきております。

 これは、原子力発電所一基当たり、仮に設備容量を百万キロワットと仮定いたしますと、二〇三〇年までに三十基から三百三十基程度の増加に相当するものでございまして、一年当たり二基から十九基増加していくということに相当いたします。

 地域的に見ますと、こちらにまさにありますように、東アジア、東欧、中東・南アジア等で大きな伸びが予想されるところでございます。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 今、国内に十六カ所四十八基、そして世界にも四百三十七基から将来は八百基になろうかというような状況にあります。

 そういう中で、今回の福島原発後、東京電力から多くの退職者が実際出ております。初年度に三百五十人、二年目に七百人、三年目に四百五十人の方々が退職したとも言われております。

 実際の、福島原発後、東京電力からの退職者の数、そして若手の人材の流出、それから技術者の割合も、わかったら教えていただければありがたいというふうに思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの方で東京電力に確認したところ、平成二十三年度は四百六十五名、平成二十四年度は七百十二名、平成二十五年度は四百八十八名の依願退職者が出たということでございます。三年間平均いたしますと、一年当たり五百五十五名となりまして、震災前の平成二十二年度、百三十四名でございましたので、約四倍、こういった状況でございます。

 また、お尋ねのありました若年層あるいは技術者ということでございますけれども、若年層を十代から三十代というふうにしてデータを調べてみますと、若年層の割合は六七%、これは二十三年度から二十五年度まで三年間の総数が千六百六十五人に対しまして、そのうち千百十二名、三分の二がこの十代から三十代ということに相当いたします。

 また、技術者は七百四十五名でございまして、割合にいたしますと四五%、このようになっている状況でございます。

井上(貴)委員 東京電力は、福島原発事故以降、今回答があったとおり、若者層の流出、この産業から流出していく、要は、将来を担ってもらう、安全に原子力を守ってもらわなければいけない世代の人たちが全体の六七%退職している、そして、その中の四五%が技術者であると。

 これは非常にゆゆしき問題だというふうに思いますし、本当に、安全、安心ということを考えたときに、この技術者が全ていなくなったということを考えると、恐ろしい結果。我々一人一人が技術を持っていればいいですけれども、全く技術を持っていない我々がどうすることもできない。この技術者の人たちがいなくなれば、自然メルトダウンですから。

 そういうことを考えると、本当に、現場で働く人たち、そして技術者の人たちというのを大切に保護していく必要があるんだというふうに、個人的には思っています。

 そのために、これから先こういう状況であっても原子力の道に進もうと思っている人材、志願者がどのくらいいらっしゃるか、文科省、経済産業省、わかれば教えていただければと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、名称に原子という言葉を含む学科等の学生動向の調査を行っておりまして、現在、大学の学部で三学科、大学院で九専攻が開設されていると承知しております。

 震災前の平成二十二年度における原子力関係の学科等への応募者数につきましては八百二十五名でございまして、また、入学者数については三百十六名でございました。

 これに対しまして、東日本大震災以降平成二十五年度まで応募者数及び入学者数は減少傾向にございまして、震災後の平成二十五年度の調査では、平成二十二年度に比べ、応募者数で約二割減の六百九十一名、入学者数で約二割減の二百六十七名でございました。

 一方、平成二十六年度の調査におきましては、前年度、二十五年度に比べまして、応募者数で約三割増の八百九十二名、入学者数で約一割増の二百九十一名となっているところでございます。

井上(貴)委員 今御回答いただきましたとおり、震災前は八百人を超える志願者があったものが、毎年、二割ずつ減じているという状態にあります。原子力を再稼働する、再稼働しないということ以前に、原子力を安全に担保していくためには原子力の技術者が不可欠であります。そういう中で、この技術者の確保というのは今非常に難しくなっている。そして、彼らに、本当にやりがいのある、生きがいのある仕事であるというのを理解していただいて、そういう原子力の道に進む若者も担保しておかなければいけないというふうな気持ちを持っております。

 それについて御意見を頂戴したいというふうに思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 本年四月に閣議決定されましたエネルギー基本計画では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉等におきまして、高いレベルの人材が必要とされておりますというふうに指摘されてございます。

 文部科学省では、中長期にわたる同発電所の廃止措置等にかかわる人材の育成確保を行うために、廃止措置等基盤研究・人材育成プログラムや、産学官連携による幅広い原子力人材の育成を行うための国際原子力人材イニシアチブ等の施策を実施しているところでございます。

 また、本年六月に下村文部科学大臣が公表いたしました東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の加速プランにおきましても、中長期的な人材育成機能の強化が掲げられておりまして、文部科学省といたしましても、国内外の英知を結集し、東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置を確実に実施していくためにも、同プランに来年四月から着手するということを考えております。

 このように、幅広い分野の人材育成確保につきまして、各方面とも連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

井上(貴)委員 実は、エネルギー基本計画を策定させていただきました後、志願者の数が少し戻っているというデータがございます。実際、原子力に進む若者、そして、日本がこういう福島を経験したからこそ、世界に今ある四百五十基、それが将来八百基になるだろう、これは将来どちらにしても廃炉にしていかなければなりません。それを廃炉にしていくに当たって、日本が、日本の技術で廃炉をする廃炉事業、廃炉ビジネスというものを確立させてやることが、原子力の若者が意識を持ってやってもらえる大きな原動力になるんだと僕は思っております。

 実は、私は福岡県議会議員時代、警察委員長のときに、警察官の不祥事がございました。その不祥事で、どの時代でも不祥事は必ず出てくるわけですけれども、その中で、警察委員長として最後に県警本部長に対してこういうことを言いなさいというのを、必ず決められた言葉がございました。

 それは、残された善良な一万人の警察官の士気の低下がないようにお願いします。要は、その一人の不祥事を起こした警察官のことはきちっと正さなければいけません。ですけれども、残された善良な一万人の職員が、同じように、おまえもそんなことをやったっちゃないか、やりよっちゃないかと言われることによって、全体の士気が低下する。士気が低下することによって治安が悪化するということにつながってくる。それを先人の人たちは何度も経験をし、そして、我々、その次の世代に生きる者に対しての教訓として、残された職員の士気の低下がないようにお願いしますということを必ずつけ加えて言いなさいという言葉を残してくれています。

 それと同じように、今、福島原発事故が確かにありました。そういう中で、技術者、そしてそこで働く人たちの士気が低下することが最も恐ろしいことなんだというふうに私は思っています。

 私は、この質問前に、技術者になろうといって原子力に進むある二十の若者に会いました。彼はこう言いました。こういうときだからこそ、自分が原子力の技術者になって日本を救いたいんです。そういうふうに思ってくれました。

 彼は二十。四十年かかって廃炉にしていく。定年退職するまでの間、この廃炉事業にかかわっていきます。自分の人生のほとんどを原子力の廃炉のために注いでいくことになるわけです。ですけれども、彼は、自分が日本の役に立てば、国民の役に立てばという気持ちを持ってその道に進んでくれています。そういう人材が、きょうも発表になりましたけれども、毎年、六百数十名の原子力に進む若者がまだいるという状況にもあります。

 そういう中で、彼らが本当にやりがい、生きがいを持って、そして、あなたは何の仕事をしているのと言われたときに、原子力ですと堂々と胸を張って言えるような状況をつくってあげなければなりません。

 そのためにも、私は、先ほどお話ししましたように、日本の原発を廃炉にしていくことも、そして、世界の四百五十基から八百基になる原子炉が将来廃炉に向かうときに、日本の技術者が、本当に世界に貢献する廃炉事業というものをきちっと確立をさせてやって、ビジネスとして対価もいただいて、そして世界に貢献することができるような事業をつくってあげられれば、原子力に進む人たちが本当にやりがいと生きがいを持って仕事をすることができるだろう。それが、ひいて言えば、日本の四十八基の原発も安定的に営々と守り抜くことができる技術者を担保することができるんだろうというふうに思っています。

 日本の国を守る、国民の生命を守るということは、ある意味では正していくということが片方では必要。ですけれども、その中で、生きている人たちが本当に真剣にやりがいを持ってやれる土壌をつくっていくということというのも、片方では私は必要だというふうに思っています。

 最後に、大臣に、このエネルギー基本計画策定後の、原子力に進む若者、これからの技術者の担保、それから、これからの取り組みについて、そして決意をお聞かせいただければありがたいというふうに思います。

望月国務大臣 委員の熱い思いがひしひしと伝わってまいります。

 やはりこういった原子力は、何といっても人材が必要でございます。我々としても、そういう皆さんが誇りを持って仕事ができるよう、そういった問題につきましては、これは文部省あるいはまた経産省、さまざまな省庁と関係がございますけれども、環境省としてもそういったことには積極的に連絡をとって進めていきたい、このように思っております。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 これは省庁横断的な取り組みでもあります。本当に、政府一丸となって、この原子力の問題に真正面からぶつかっていきたいというふうに思っています。

 もう一つ質問をさせていただきます。

 それは、全くごろっと変わって、ペットの殺処分問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 実は、福岡県時代の大先輩でもあります蔵内会長が日本獣医師会の会長になられまして、今、日本医師会の会長、横倉会長も福岡県出身、そして獣医師会の会長の蔵内会長も福岡県から輩出をさせていただいております。

 そういう中で、動物と人との共通の感染症の予防について、食物連鎖や生活環境で川上に位置する獣医師と、川下に位置する人への医療を担う医師が連携を保つことが本当に重要だというふうに言われておりまして、福岡県出身のお二人がタッグを組まれたことは非常に心強く思いますし、誇らしく思っております。そういう中で、日本獣医師会と日本医師会が調印をされて、いろいろな諸問題について解決するべく協力をし合うというのをやられたのは非常に大きかったというふうに思っています。

 そういう中で、今福岡県のペット引き取り件数というのは本当にワーストでございまして、福岡県は転勤族が最も多くて、ペットを飼っている人がそのまま放置して帰ってしまうということによって殺処分を余儀なくされているという現状がございます。本当に悲しいことでもあります。

 福岡県のペットの引き取り件数と、平成二十六年、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトにおける福岡市のモデル事業についてお聞かせいただければありがたいというふうに思います。

塚本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の福岡県内での引き取り件数につきましては、平成二十四年度で、犬が二千九百六十頭、猫が五千五百十六頭、合わせて八千四百七十六頭となっております。

 それから、福岡市におけるモデル事業につきましては、今年度から、福岡市、福岡市獣医師会、ボランティア団体、地域住民及び環境省などが連携いたしまして、所有者不明の猫対策を推進することとしております。

井上(貴)委員 実際、福岡県は本当にひどい状況が続いておりましたけれども、今、特に福岡市が、支店経済ということもあってペットの殺処分件数というのは非常に多いんです。そういう中で、福岡市のモデル事業をやることによって、少しでもそういったことがないような状況をつくっていかなければいけない。また、獣医師会もいろいろな取り組みをしていただいておりますし、それから、今ペット産業の方々にも御協力をいただいて、いろいろな取り組みをしていただいております。

 まず、環境省として、今後のペット殺処分の減少のための施策と御決意を大臣にお聞かせいただければというふうに思います。

望月国務大臣 お答えさせていただきます。

 環境省におきましては、より一層犬、猫の殺処分を減らすために、今先生御指摘がございましたように、ことし六月に、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのアクションプランを発表したところでございます。

 このアクションプランでは、先生御指摘の獣医師会、福岡からちょうど会長がお出になっていらっしゃるということで、福岡は転勤族が多いのでこういうものが多いという話を聞いて、ああ、なるほどというようなことでございました。しかし、そういうことであっても、動物の命というものはもう本当に大切なものでございます。そういった獣医師会を含め、飼い主、ボランティア団体、それから事業者、ペットを売り買いするところの、それから関係する各主体に求められる取り組みを示しております。

 さらに、各主体の取り組みを本当にこれから強化し、連携をさせるために、環境省によるモデル事業の実施や普及啓発の強化を行うこととなっております。

 今、モデル事業は、県が七件やっていただいております。特に、福岡の場合には積極的に取り組んでいただいているということで、感謝を申し上げたいと思います。

 環境省としては、各自治体と協力をしてアクションプランを推進することによって、犬、猫の殺処分を減らすように努めてまいりたい、このように思います。

井上(貴)委員 どうもありがとうございます。

 最後に、自由民主党として、環境団体委員会で、今回、きのうちょうどあったんですけれども、ペット関係の団体に全て集まっていただく機会ができました。今までは全くありませんで、いろいろな相互連携というのが全くとれておりませんでした。そういう中で、ペット関係の団体が一堂に会して顔を合わせる初めての会合がきのうちょうど行われたところでございました。

 そして、ペットの担当を仰せつかっておりまして、一つ一つの団体を回らせていただいて、いろいろな、今からの、それから資格の問題やさまざまな問題がまだ未整備のまま残っております。

 そういう中、日本獣医師会や、それから、看護師の公的資格をどうしていくのか、それから、公務員の獣医師の待遇改善とか、動物医療法人の制度化、ペット保険の問題など、本当にペットというもの自体が、今までは、それは勝手に飼っているんでしょうみたいな感覚でいたところがありましたけれども、今はもう国民に家族の一員として認知されるような世の中になってまいりまして、このペットと言われているものを本当に制度的にも確立していく必要があるというふうに思っています。

 これから真に人とペットが共存共栄して、共生できる社会を構築していくために、我々自民党も努力をしていきたいというふうに思いますし、また、関係各省の皆様方、これは厚生労働省もかかわりますし、農林水産省もかかわります、そして、ここの環境省も当然かかわるわけです。省庁横断でかかわりますので、何とぞ、これからいろいろな諸問題解決のために御尽力いただければありがたいと思っております。

 また、この後の赤枝先生が具体的にペットの質問をされることだというふうに思いますので、質問はこのくらいにさせていただきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

北川委員長 次に、赤枝恒雄君。

赤枝委員 自由民主党の赤枝恒雄でございます。

 まず、質疑に先立ちまして、確認をさせていただきたいことがございます。

 十月三十一日、当委員会におきまして、高橋環境大臣政務官と大熊委員との間で登記に関する議論がございました。高橋政務官は四筆、大熊議員は二筆と議論がかみ合わずに、最終的に、高橋政務官が、確認をさせていただきたいという発言をされておられましたので、私自身も議論の内容が判然といたしませんので、この際、高橋政務官から、その確認の結果を伺いたいと思います。

高橋大臣政務官 お答え申し上げます。

 十月三十一日の環境委員会において、大熊委員に対して私の実家の登記に関して確認させていただきたいと述べた点についての御説明を申し上げます。

 私の実家の建物は、盛岡市本町通二丁目の隣接する二つの地番にわたって登記されております。先日の委員会で御指摘があった二百八十三番地十三、二百八十三番地十四というのは、実家の建物のある地番であり、四つに分かれていないという委員の御指摘のとおりでございます。

 ただ、これら二つの地番と隣接した二百八十三番二、二百八十三番十二の二つの地番も私の家族を所有者として登記されており、これら四つの地番が土地として一まとまりの家族の土地であることから、登記上四つに分かれている旨御答弁申し上げたところでございます。

 実家の地番を議論している中で、実家の建物とそのほかの土地の別をはっきりとせずに発言しましたことについては、答弁として不適切でございました。

 また、答弁の中で、二百八十三の一だの二だの三だの四だのというのがありと申し上げたのは、これまで御説明申し上げましたとおり、二百八十三番二、二百八十三番十二、二百八十三番十三、二百八十三番十四でございます。

 これらの答弁につきまして、おわびを申し上げ、発言を訂正させていただきたいと存じます。

 以後、一層丁寧な答弁に努めたいと存じます。

赤枝委員 わかりました。

 政務官には、今後はっきりした答弁をしていただきますよう要望いたします。

 それでは、質問に入ります。

 何かきょうはペットの集中審議みたいなことになってしまいましたが、ペットは、余りにも我々にとって家族の一員という感じで、私の友人の女性も、御両親が亡くなったときには涙も出なかったんですが、ペットが死んだらもう仕事もできないぐらい落ち込んでしまったぐらいに、ペットは家族の本当の一員となっておるような現状でございます。

 私自身も、小学校のころに迷い犬を、シロちゃんという犬を小学校のとき飼っておりまして、亡くなったとき、死んだときに私も学校に行きたくないと思ったような記憶もございます。

 その後私は、医者になるために医学生になって、それから医師になり、臨床実験や研究の過程の中で、生命倫理に直面して、産婦人科医として五十年間、いろいろなことを考え、悩み続けてきました。

 この間、人の命だけでなく、医学の進歩に貢献してきた実験動物のことを忘れることはできません。主に私はウサギでしたけれども、ウサギの耳に女性の患者さんの尿を注入すると、四日後におなかをあけて解剖して卵巣を見ると、そこに赤い斑点が出ているんですね。それで妊娠がわかるわけです。そういうことで、多い日は十匹近くのウサギのおなかをあけて、そういうふうに実験動物のお世話になっていたという過去もございます。

 私のこのような背景を踏まえまして、動物愛護についてきょうは質問させていただきます。こうした質問をきょう許していただけた先輩、同僚の先生方には本当にお礼を申し上げます。ありがとうございます。

 医学研究において、ともすれば行き過ぎた動物愛護が研究の障害になることも時としてあるわけですが、しかし、人であれ動物であれ、命というものは絶対無二のものであります。医学研究の世界では、命と命の間でどちらかを選ばなければならないときもあります。私自身、臨床産科医としてそのような場面に立ち会い、その都度やりきれない思いをいたしました。

 動物愛護の精神からは、必要以上に実験動物を使うことは許されないことですが、そのためにどのような議論や検討がされているのか、お聞きをしたいと思います。

塚本政府参考人 お答えいたします。

 実験動物に係る動物愛護管理法の制度について御説明申し上げます。

 生命科学の進展や医療技術等の開発等のため、実験動物を利用することは必要不可欠となっています。動物を科学上の利用に供する場合には、動物愛護管理法におきまして、科学上の利用の目的を達成することができる範囲で、できる限り動物を供する方法にかわり得るものを利用すること、できる限り利用に供される動物の数を少なくすること、これらに配慮することとしています。また、できる限り動物に苦痛を与えない方法を用いなければならないとされています。

 具体的には、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準がございまして、ここで、実験動物管理者は、適切な給餌、給水、必要な健康管理等の実験動物の健康及び安全の保持、そして、施設及び施設周辺の生活環境の保全、また、実験動物の逸走、逃げ出しによる人への危害の防止など、これらに努めることとされております。

 また、実験動物管理者は、定期的にこれらの基準などの遵守状況について点検を行い、その結果について、公表するとともに、可能な限り外部の機関等による検証を行うよう努めることとされています。

 さらに、実験動物をみだりに殺したり、または傷つけた者、みだりに虐待した者、実験動物を遺棄して、捨ててしまった者につきましては、動物愛護管理法によりまして罰則規定が設けられております。

赤枝委員 ありがとうございました。

 現在、ペットが、先週の金曜日にも栃木県で六十匹殺されたりして虐待されているんですが、その大きな理由の中でも、悪徳ブリーダーの存在というのがかなり原因じゃないかと思われる節があります。

 お手元に写真を、二枚目の写真を見ていただければおわかりになってくださると思いますけれども、犬が立ったら背中までつくような小さなおりの中で、この犬たちは一生ここから出られないんですね。人間になでられることもなく、毛を洗ってもらうこともなくて、散歩もできなくて、それでこのまま産み続ける。産むための道具みたいな感じになって、そのために、頻回の妊娠、出産で骨が弱って、歯はもうぼろぼろです、それから、顎も溶けたような状態になって、こういう悲惨な親から子供が生まれ、我々の市場といいますか、ペットショップの店頭に並んでくるわけですね。

 環境省の担当の方々も多分こういうのは視察に行かれたと思うんですけれども、これに対して何か強制的な調査とか取り締まりとかが、僕は積極的に何かやってもらいたいと思うんですけれども、そういう悪質なブリーダーや動物の取扱業者を規制するということはできないんでしょうか。

 規則として、施設基準とかいろいろな基準があると思うんです。あと、動物の販売時の日齢も、余りにも小さなペットをそのまま市場に出してしまうような悪徳もいるわけですけれども、この日齢についての規制とか、こういうものもどうなっているんでしょうか。教えていただければと思います。

塚本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、動物取扱業者に対する動物愛護管理法の規制内容でございますが、動物愛護管理法におきましては、ペットショップやブリーダーを業として営む場合には、事業所の所在地を所管する都道府県知事等に、第一種動物取扱業の登録を受けなければならないとされております。

 この登録を受ける場合には、まず申請書に、動物取扱責任者の氏名、主に取り扱う動物の種類とその数、飼養または保管のための施設の構造、規模及び管理の方法、これらを記載して都道府県知事に届けなければならないこととされています。

 また、この中で、特に犬と猫を販売する場合には、さらに犬猫等健康安全計画を申請書に追加しなければならないとされています。この計画には、販売の用に供する幼齢の犬、猫の健康及び安全を保持するための体制の整備、販売の用に供することが困難となった犬、猫の取り扱いなどについて記載することとされています。

 さらに、販売する業者は、飼養する犬、猫の飼養状況について帳簿に記録をして保存し、毎年一回、都道府県知事などに報告しなければならないとされています。

 これらの登録に当たっては、都道府県知事などは、飼養施設の規模や管理、犬猫等健康安全計画に係る基準に適合しない場合は、登録を拒否しなければならないこととされています。

 それから、幼齢の、日齢の規制でございますけれども、これに関しては、動物愛護管理法におきまして、第一種動物取扱業者が守るべき飼養施設の構造や規模、管理に関する基準が定められております。

 その構造や規模に関する基準としては、照明や給排水の施設など必要な設備を備えるとともに、衛生状態の維持管理が容易な構造であることが規定されています。

 飼養施設に備えるケージの構造や規模につきましては、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたくなどの日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有するものとなっております。また、飼養期間が長期にわたる場合には、より一層の広さ及び空間を有するものという、このような規定が設けられております。

 施設の管理に関する基準としては、定期的に掃除や消毒を行うとともに、汚物や残渣を適切に処理し、衛生管理を行うことなどが規定されています。

 それから、幼齢の件でございますけれども、出生後一定の期間以上を親兄弟と過ごさなかった子犬や子猫は、成長した後にかみ癖やほえ癖などの問題行動を起こす可能性が高いということを言われておりまして、平成二十四年の法改正におきまして、犬、猫を繁殖する業者は、出生後五十六日を経過しないものについては販売等のために取引または展示をしてはならないこととされました。

 なお、この五十六日につきましては、経過措置として、二十八年八月三十一日までは四十五日、二十八年九月一日から別に法律で定める日までは四十九日とされることとなっております。

赤枝委員 そのような立派な規制ができているというのは本当にいいことなんですが、通告していませんが、では、実際にどの程度の頻度で立ち入りとか、あとは警告なりそういうものを発したことは過去あるんでしょうか。

塚本政府参考人 お答え申し上げます。

 動物愛護管理法におきましては、実際の事務は自治事務に係りますので、都道府県知事が、必要な限度において、ブリーダーなどの動物取扱業者に対して報告を求めるとともに、事業所への立入検査を行うことができるという規定がございます。

 また、動物の管理の方法につきましては、基準を遵守していない場合には、都道府県知事がこれらの業者に対して、改善するよう勧告、命令することができるという規定がございます。

 さらに、命令に違反した場合には登録の取り消しができる、そして、罰則が設けられておりまして、平成二十四年の法改正におきましても、罰則の罰金が三十万円以下から百万円以下の罰金ということで金額が強化されております。

 環境省といたしましては、法の施行に当たり、不適切な飼養を行っている取扱業者に対して適切な措置が行われるよう、引き続き自治体と連携をしてまいりたいと存じます。

赤枝委員 ブリーダーの現状を、本当にいろいろな莫大な写真を見せてもらったら、やはりこれは一日も早くこの動物たちを助けなければいけないし、正しいブリーダーの姿に戻さなきゃいけないと思うんです。

 登録制というのは私はわからないんですが、登録制と、では許可制にするとどう違うのか、その辺の言葉をちょっと教えてもらえますか。許可制と登録制とどう違うのか。

塚本政府参考人 お答えいたします。

 現在は登録制なんですけれども、中身としてはほぼ許可制に近くて、登録を拒否することもできますし、基準を守らない場合にはその登録を取り消せることになっておりますので、動物愛護管理法の観点からいいますと、登録と許可はほとんど変わらないというふうに思います。

赤枝委員 この現状を回避するには、やはり一日も早い規制とか強い立ち入りとか、都道府県に任せておくだけでなくて、やはり国の関与といいますか、国のかかわり、何か国の強い指導みたいなものが僕はあってほしいと思うんですが、今後、国が地方自治体に対してペットの愛護について指導していくような計画というのは何かございますか。

塚本政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、殺処分を減らすために、犬、猫の終生飼養ですとかあるいは不妊、去勢を措置することなど、飼い主の責務の徹底について広く普及啓発を推進してまいりました。また、地方公共団体が整備する動物収容譲渡施設の整備、改修に対する補助を行いまして、引き取られた犬、猫が譲渡される機会の確保に努めてまいりました。

 こうした取り組みの結果、平成十六年度で三十九万五千頭であった殺処分数が平成二十四年度ではおおむね六割減の十六万二千頭までになりました。まだまだ多くの犬、猫が殺処分されておりますけれども、六割減少したということでございます。

 このような現状を踏まえまして、環境省では、さらなる殺処分の削減に向けて、昨年十一月に、先ほど大臣からも御発言がございましたけれども、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトを発足させまして、六月にアクションプランを取りまとめて公表したところでございます。

 アクションプランでは、殺処分をなくすための方針として、飼い主、国民の意識の向上、引き取り数の削減、それから返還と適正譲渡の推進を三つの柱として位置づけるとともに、事業者、飼い主、ボランティア団体など、関係する各主体に求められる取り組みを示しております。

 環境省は、このような各主体の取り組みを推進するため、関係自治体と連携してモデル事業を実施することとしており、現在七自治体でそれらを進めているところでございます。

 具体的な事業内容としては、飼い主や国民意識向上のための教育活動の推進、所有者不明の猫の対策による引き取り数の削減、マイクロチップを用いた所有明示の徹底による迷子の返還の推進、自治体の管轄を越えた譲渡の推進などを取り組んでまいりたいと考えております。

 今後、モデル事業の成果を踏まえ、全国の自治体において各対策を推進するためのガイドラインを作成し、取り組みを進めることによって、各自治体の犬、猫の引き取り数及び殺処分数の削減を目指してまいりたいと存じます。

赤枝委員 本当に、日々かわいそうな動物が繁殖のためだけに飼われて、ぼろぼろになって、最終的には殺処分されている現状を見ると、やはり動物のブリーダーの環境についてまずどうにか改善をしていただきたいというふうに強くお願いをしたいところであります。

 幸いにも、六月に、牧原プランというアクションプランができましたね。これはさっきの井上議員のお話にもありましたが、私はこれは本当に救いでありました。

 ですから、ここでもやはり一匹の動物が、一匹ずつの動物がもし登録されれば一番いいんですが、登録して、一匹の動物が十匹まで産めるとか、二十匹も三十匹も四十匹も産んでいる現状ではやはり体を壊すということがありますので、一匹の動物が十匹までお産をできるような登録みたいなものができれば、これはかなり難しいのかもしれませんが、動物の体を考えると、やはりめちゃくちゃな多産は体によくないわけなんで、その辺もこのアクションプランの中に入れていただければというふうに思います。

 日本では今、年間十六万匹の犬や猫が殺処分されていますが、先進国の中で、僕が聞いているのは、先進国では殺処分がないというような、日本だけであるとか、特にオリンピックを控えて、六年後ですか、二〇二〇年に外国人が日本に来て日本のペットの現状を見て多分驚くだろう、その辺ごろまでには日本のペットの殺処分をゼロにしなければという御意見とかあるみたいなんですが、本当に外国は動物の殺処分というのはないものなんでしょうか。

塚本政府参考人 大変申しわけございません。現在、他国がどうなっているのか手元に数字を持ち合わせていないものですから、後ほどお調べしてお届けしたいと存じます。申しわけございません。

赤枝委員 ちょっと私も読んだところによると、行政は一切殺処分は海外では行っていない。ただ、ペットに関するいろいろなNPOとかNGOとかボランティア団体、ボランティア団体とは言わないんですね、何か付随するNGOがそういう処分を行っていて、行政は一切手を下していないということなんですが。そういう海外のある程度例も教えていただいて、殺処分が本当にゼロになるのが一番理想的ですから、そうなるように、これも海外の例を勉強しながらやっていただければというふうに思います。

 ところで、一番期待しているアクションプランが現在どのような進捗状況で、プランの目標もあるわけでしょうから、その辺のところ、現在の進捗状況とあわせてこのプランのことを御説明いただきたいと思います。

塚本政府参考人 アクションプランにつきましてですけれども、繰り返しで恐縮でございますが、アクションプランでは、殺処分をなくすための方針として、飼い主、国民の意識の向上、それから引き取り数の削減、返還と適正譲渡の推進、この三つを柱として位置づけてまいりまして、事業者、飼い主、ボランティア団体、関係する各主体に求められている取り組みを示しております。

 環境省では、これらの主体の取り組みを推進するために、現在、関係自治体と連携して、まずモデル事業を実施することとしております。現在、七つの自治体を選定いたしまして、モデル事業を推進しようとしているところでございます。

 具体的な内容といたしましては四つございまして、飼い主や国民意識の向上のための教育活動の推進、それから、所有者不明の猫の対策による引き取り数の削減、そして、マイクロチップを用いた所有明示の徹底による迷子の返還の推進、最後に、自治体の管轄を越えました譲渡の推進、このようなことを実施することとしております。

 このモデル事業の成果を踏まえまして、全国の自治体において各対策を進めるためのガイドラインを将来的には作成いたしまして、このガイドラインを公表することで取り組みを進めることといたしたいと存じます。各自治体の犬、猫の引き取り数及び殺処分数の削減を推進してまいりたいと存じます。

赤枝委員 ありがとうございました。

 それでは、さっきも井上議員から、今後、動物愛護について環境省がどのように取り組んでいくのか、その決意のほどをというのがありましたが、私も、改めまして高橋政務官に、今後、この動物愛護の施策をどのように強力に推し進めていく決意があるのか、その決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

高橋大臣政務官 お答え申し上げます。

 人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのアクションプランにおいては、議員御指摘の動物取扱業者、飼い主、ボランティア団体等の関係する各主体に求められる取り組みを盛り込んでおります。

 さらに、各主体の取り組みを強化し、連携させるためには、環境省によるモデル事業の実施や普及啓発の強化を行うこととしております。

 環境省としましては、自治体と協力をしてアクションプランを推進することにより、より一層、御指摘のように犬、猫の殺処分を減らすよう努めてまいりたいと思っております。

赤枝委員 ありがとうございました。

北川委員長 次に、吉田泉君。

吉田委員 おはようございます。民主党、吉田泉であります。

 早速質問に入らせていただきます。

 先日、中間貯蔵関連のJESCO法改正案が衆議院を通過したところでありますが、まずはそれに関連して質問をいたします。

 最初は確認ということですが、福島県内の学校や幼稚園の除染土壌の問題であります。

 御存じのように、学校の校庭については、震災直後、各地で大急ぎで除染をしたという状況でした。ところが、それが特措法施行前の行為であったということで、中間貯蔵施設への搬入の対象外になりそうだという報道がございました。随分としゃくし定規ではないのかという、びっくりした声が地元から起こっているという状況でございます。

 その後、大臣から、参議院の方の御答弁で、何らかの対応が必要だと。それから、福山政務官も、これは記者会見だったと思いますが、しっかりと前を向いた対応をとるという発言がございました。

 ここで、改めて、学校関係の除染土壌もこの中間貯蔵施設へ搬入できるんだという方針を確認していただきたいと思います。

望月国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 中間貯蔵施設でございますけれども、放射性物質汚染対処特措法に基づき、福岡県内の除染により生じた土壌や廃棄物等を貯蔵する施設でございます。(吉田委員「福島」と呼ぶ)はい、福島県内の除染。

 そして、福島県の市町村から、学校等における特措法以前の、先生が今御指摘、御心配いただいておるわけでございますが、生じた土壌などの処理について大変苦慮している、そういうお話もお伺いをしているところでございます。

 環境省といたしましては、これらの土壌等については、人の健康やそれからまた生活環境に影響を及ぼすおそれがある、先生は本当に御心配をいただいておるわけでございますが、何らかの対応が必要である、これはもう我々も認識をしております。

 そういったことで、法律的にはそういうことでございますが、福島県とよく相談をさせていただいて、できるだけ早く住民の皆様等の不安を解消できるようにしてまいりたい、このように思っております。

吉田委員 法律的、財政的な手続、対応が必要だと思いますけれども、法律で禁止されているわけではないという解釈もできるかと思います。これは子供たちの関連ですので、どうぞ実態に即した柔軟な対応を改めてお願いしたいと思います。

 それから次の問題ですが、先週の法案審議で明らかになりましたけれども、中間貯蔵に持っていく土壌等二千二百万立米ですが、そのうちの二千万立米を対象に減容化技術の開発を進める、そして最終処分の方向性を見出していきたいという答弁がありました。

 つまり、搬入したものの十分の九に当たる分について再生利用を目指すということだと思います。そこに、この事業の成否が大きくかかっているというふうに私も思います。

 一方で、除染土壌ではなくてコンクリートくず、これは災害廃棄物ですが、その処理の問題があります。そして、コンクリートくず等の再生利用については、既に震災の年、二十三年十二月に方針が出されました。それによると、要するに、三十センチぐらい覆土をするという前提で、放射性セシウムの濃度が三千ベクレル・パー・キロ程度までの資材については再利用が可能である、そうすれば、周辺での追加被曝も年間十マイクロシーベルト、つまり百分の一ミリシーベルト以下に、非常に保守的に見てもなるんだという方針が出されました。そして、この方針に従って、この基準を下回ったコンクリート殻等については再生利用がもう始まっているというふうに思いますが、まず、その現状をお伺いします。

鎌形政府参考人 コンクリートくず等の再生利用の現状とのお尋ねでございますが、御指摘のように、平成二十三年十二月に、環境省から再生利用の安全性の確保に係る方針を公表したところでございます。そこで、御指摘のとおり、遮蔽効果を有する資材により地表面から三十センチメートルの厚さを確保することで、放射性セシウムの平均濃度が一キログラム当たり三千ベクレル程度までの資材を利用することが可能ということでございます。

 これを踏まえまして、平成二十五年十月には、公共工事における建設副産物の再生利用の安全確保に係る考え方、これを内閣府支援チームの取りまとめで六府省庁から周知しているというところでございます。環境省も、この考え方を踏まえて再生利用を進めているというところでございます。

 現在、環境省が確保しております仮置き場におきまして、コンクリートくず等の選別と、この方針に従った再生資材化を行ってございます。南相馬市では、約八千立米の再生資材の引き渡しを開始したというところでございます。

 引き続き、災害廃棄物の仮置き場への搬入を進め、その後の処理を通じて再生利用を進めていくという方針でございます。

吉田委員 災害廃棄物、福島県の対策地域の中だけでも八十万トンあります。そのうちの八千立米についていよいよ動き出したということですから、まだスタートしたばかりということではありますが、どうぞその方針で引き続きお願いしたいと思います。

 一方、中間貯蔵に入ることになる土壌、この再利用ということについても、いずれ、コンクリート殻と同じような考え方で基準を出す、策定するという見込みだと思うんですが、その辺の見込みはいかがでしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、中間貯蔵施設に持ち込まれます大半を占めます土壌につきまして、最終処分の検討とあわせまして、再生利用につきましても検討を進めていくことは必要でございます。技術開発等、大きな課題がございます。

 それで、先生お尋ねの基準につきましてでございますけれども、先ほど廃棄物・リサイクル対策部長の方から御答弁を申し上げたとおりでございますけれども、廃棄物といいますか、殻、コンクリートにつきましては、三千ベクレル以下という基準がございます。

 これには建設発生土も含まれているということで、土壌にも応用可能というふうには考えておりますが、除去土壌につきましては、これをそのまま適用するということが可能な基準ではございませんけれども、こういう、今御説明ございました、例えば三十センチメートル以上の覆土等を適切に行えば下層の路盤材として使えるというような知見も集積をしていきながら、速やかな検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉田委員 ここで大臣にちょっとお伺いいたしますが、三十年後、恐らく三千ベクレルという一応の基準になりそうですけれども、それを下回る土壌が相当出てくる。ただ、それを再生利用するに当たっては、いろいろな御意見、感情がありますから、非常に慎重な対応が必要だろうというふうに今から考えますけれども、大臣として、再生利用に当たっての課題をどう見ておられるか、お伺いします。

望月国務大臣 お答えさせていただきます。

 今先生お話ございましたように、除去土壌等の減容化や再生利用は最終処分に向けて大変重要なことである、これは我々の方も認識をしております。

 一方、除染土壌等の減容化処理や再利用については、現時点で、技術的に処理能力が十分でなかったり、あるいはまたコストが高かったりする、そういうようなことなどの課題がまだまだございます。これは、今後ともしっかりと我が国の技術の粋を集めて進めていかなくてはいけない、このように思っております。

 そのための技術の向上に向けて、国が責任を持って、中心となって国内外の英知を結集し、除去土壌等の減容化や再生利用に係る技術開発、実証をまず進めていきたい、このように思います。

 また、たとえ汚染土壌等の放射性物質の濃度が下げられたとしても、再生利用に抵抗感を感じる方々がいらっしゃるということも事実でございます。そのような懸念を払拭すること、これはもう再生利用の促進には不可欠。さまざま皆さんいろいろなお気持ちがございますので、こういった気持ちを払拭するような、そういうことをしっかり我々もやっていかなくてはいけないな、このように思っております。

 そのため、除去土壌等の再生利用に関する情報等を積極的にやはり発信して、信頼をいただけるような形にしていかなくてはなりませんし、国民全体の理解の醸成、これも大切でございます。どこかに押しつけるだけということにもいきません。そういった御苦労をいただくわけでございますけれども、そういった御理解の醸成につなげてまいりたい、このように思っております。

 いずれにいたしましても、中間貯蔵施設の件に関しましては、もう福島県の皆さんに本当に多大な御負担をおかけしておりますので、最終処分につきましてはしっかりと取り組んでいきたい、このように思います。

吉田委員 ありがとうございました。

 この問題は、科学的な知見と住民感情というのが交錯するような問題でございます。丁寧な対応を改めてお願いしたいと思います。

 次に、先週に引き続きということになりますけれども、高橋政務官とEMグループとの関係についてお伺いします。

 前回の維新の党、大熊委員の質疑において、こういう御答弁がございました。EM関連のあーす合同会社と自民党岩手一区支部との間のやりとりでありますが、自分が支部長でないとき、具体的には、平成二十二年五月と六月には自動車とコピー機の貸し借りにかかわっての金銭のやりとりがあった、しかし、自分が支部長のときは金銭のやりとりは一切ありませんという趣旨の答弁がありましたが、質問は、どうして高橋さんが支部長のときは一切そのやりとりがなかったのかということです。

高橋大臣政務官 私は、平成二十三年一月に岩手一区支部の支部長に就任をいたしました。それ以降、支部からあーす合同会社への支出はございませんが、振り返って思い至る特別の理由があるということではございません。

 ただ、支部の資金管理の責任者として、私もスタッフも明瞭な資金管理を行い、後ろ指を指されることのないよう努力をしております。

吉田委員 私の質問は、平成二十三年だけじゃなくて、支部長になっておられたのは、平成二十年のころもなっておられたんじゃないでしょうか。平成二十年以降、それから二十三年以降、間はちょっと抜けているときもありましたが、そのときに、それは合計すると二年とか三年とかいうことだと思いますが、なぜ支払いがなかったのか、あーす合同会社への。その支部長でなくなったときはあったわけですよね。支部長のときはどうしてなかったのかという質問です。

高橋大臣政務官 大変恐れ入ります。繰り返しになりますが、振り返って思い至る特別の理由はございません。

 私は、資金管理の責任者として、スタッフともども明瞭な資金管理を行い、後ろ指を指されるようなことがないように努力をさせていただいております。

吉田委員 よくわかりませんが、要するに、私の疑問は、同一地番に民間の会社と選挙の支部があった、そして、時々その車を借りたりコピー機を借りたりしていたんだろうと思うんです。それはあっていいですよ。ですから、お金は払うべきだと思います。お金を払わないということは、その民間の会社から無償で提供を受けていた、寄附をいただいたということになると思います。そうすると、この政治資金収支報告書の記載義務というのが出てくるわけですが、私の指摘は、それをやっていないんじゃないでしょうかということでございます。

 きょうはちょっと時間の関係でこの辺にしますけれども、引き続き、もう少し、二十三年だけじゃなくて二十年のときも支部長をやっておられるわけですから、それも含めて精査をしていただきたい思います。

 次に、望月大臣の政治資金関連をまた取り上げさせていただきます。

 先日、私の方から、関連資料、報告書等の提出をお願いしたわけですが、まだ実現しておりません。したがって、大臣は記載ミスとおっしゃいますけれども、私は、単なるミスというよりも意図的な一部経費の隠蔽、つけかえという見方もできるんだろうと思うんですが、一体何を隠蔽しようとされたのかがよくわからない。書類がありませんので、ちょっと今の時点では何とも解明できません。これは、大臣の方で主体的に調査をしていただいて、委員会に報告をしていただきたいと思いますが、きょうはそれ以外のことについて何点か伺いたいと思います。

 まず、実行委員会の形式についてであります。大臣の御答弁によると、この賀詞交歓会というのは後援会の人だけじゃない、よその人もたくさん来るんだ、したがって後援会主催は不適当である、実行委員会形式がふさわしいんだ、こういう答弁がありました。

 ただ一方で、後援会の総会、これは恐らく後援会の会員の方がほとんど、一〇〇%だろうと思うんですが、その後援会総会についてまでこの実行委員会形式でやっておられる、その理由は何でしょうか。

望月国務大臣 お答えさせていただきますが、後援会総会については後援会によって実施されておりますけれども、委員の御質問の趣旨が。

吉田委員 この間の御答弁でしたか、記者会見でしたか、ちょっと今、忘れましたけれども、ゴルフコンペをやって、ゴルフ懇親会をやったその席で後援会の総会を行った、場所代は後援会として出したと。その関連で、これも実行委員会形式でやったんだというコメントがあったと思うんですよ。

望月国務大臣 多分、そのような発言はしておらぬと思います。

 要するに、今、ゴルフはそのときのことだと思いますけれども、もともと有志による実行委員会ができて、そしてゴルフ懇親会を行ってきたわけでございます。ですから、ゴルフは、もちろんプレー代は各自が払い、それから、懇親会は五千円の会費でしたか、そういうようなことで懇親会を行ってきたわけでございます。

 こういう場合、後援会以外の方の参加が多く見込まれる、そういうことでございますので、参加者から徴収した参加費で収入、支出を過不足なく賄うことから、後援会よりもむしろ有志による実行委員会で開催をさせていただいているということでございます。

 これは本当に悩ましいところでございますけれども、後援会以外の方が多く参加費を負担する会の収支を後援会に計上するということは、後援会設立の目的外と指摘される可能性があり、こうした疑義を避けるためにも、これは実行委員会で開催をしているところでございます。

吉田委員 そうしますと、同じ会場ではあったが、ゴルフの懇親会までは実行委員会でやり、その後の総会は後援会でやった、こういうことですかね。

 もう一つ追加でお聞きしますが、そうしますと、総会以外に何か後援会主催でやった事業というのはあるんでしょうか。

望月国務大臣 さまざまございます。

 吉田先生も御存じのとおり、後援会設立の趣旨に沿って後援会に入会をしていただくことが主なる活動、これが後援会だと我々は認識しております。もちろん、後援会に入会をしていただくために、会合を開いて打ち合わせをしたり、それから、議員本人の考え方、我々の考え方を知ってもらって賛同してもらうために、後援会の、配布等の広報活動等々、さまざまそういう活動をしているところでございます。

吉田委員 私の質問は、お金がかかるようなイベント的な事業ということでしたが、結構です。

 要するに、私も、最近三年ぐらいの望月後援会の報告書は見せていただきましたけれども、新年会はもちろん、いろいろな事業が全く入っていないですよね。恐らく、そういう事業は全部実行委員会形式でやっておられるんだというふうに思います。そこを確認したかったんです。

 そうしますと、この間も申し上げましたけれども、実行委員会には収支報告の義務がありません。これは、全部事業はそういう方式でやるんだとなると、規正法の趣旨を逸脱する状態になっていないのかという私の疑問でございます。

 ちょっともう一点、確認したいと思います。

 賀詞交歓会、問題になった二〇〇八年、二〇〇九年、収入が記載されていないわけですが、それぞれの参加人数は、いろいろな資料で残っておられるんだと思うんですが、いかほどだったのでしょうか。

望月国務大臣 先生の御質問でございますが、二〇〇八年、平成二十年、それから二〇〇九年ということでございまして、これは、もちろん実行委員会の方でやっていただいておりますので、そちらの方のことでございますが、資料は残っておりません。それから、法的な保存期間も過ぎております。

 ただ、もちろん、我々も来賓として出席させていただいておりますので、会場等を見て、二〇〇八年は大体千五百人程度、それから二〇〇九年は千八百人程度であった、このように思います。

吉田委員 わかりました。

 何らかの形で、書類でそれが確認されれば一番ありがたいんですけれどもね。

 いずれにしましても、もう時間だと思いますので終わりますが、我々は、今回、記載ミスとおっしゃいますけれども、程度は相当悪質だというふうに思っております。会費、会合費などを、どちらかというと隠蔽して、賀詞交歓会の費用につけかえたというふうに言わざるを得ないと思います。それも、奥様だけじゃなくて、私は、ここまでの記載変更というのは、やはり常識的には政治家が知らないわけがなかろうと思っておるんですが、そこは行ったり来たりになりますので申し上げません。

 いずれにしても、要求してある資料ないしはそれに基づいた厳格な望月大臣サイドでの調査、それに基づく報告、これをいただかないとなかなかこの不透明な部分が解明されないということでございますので、委員長にお願いしたいと思いますけれども、ぜひこれを当委員会に出していただけるように取りまとめ願いたいと思います。

北川委員長 後日また理事会で検討をいたします。

吉田委員 終わります。

北川委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、一般質疑ということでありますけれども、放射性指定廃棄物の最終処分場問題で反対の動きが大変激しくなってきている福島、宮城、栃木、三県の問題点についてただしてまいりたいと思いますので、大臣以下、簡潔にお答えいただきたいと思います。時間は二十分しかないものですから、簡潔にお願いをいたします。

 まず、国と都道府県と市町村の関係についてであります。

 一つ目は、総務省は、地方分権を進めるに当たって、これからは国と地方、都道府県、市町村は対等、協力の関係になるんだと盛んに喧伝をしたわけでありますけれども、その考えに今も変わりはありませんか。

あかま大臣政務官 簡潔にお答えいたします。

 今委員おっしゃるとおり、分権型社会においては、国と地方が、それぞれ役割分担をしつつ、国民福祉の増進という観点にあって相互に協力をする関係、これが形成されるべきものと考えております。

 以上です。

福田(昭)委員 それでは、二つ目は、今度の特措法では、国と地方公共団体の関係は対等、協力の関係にあるのではないかと思っていますが、環境省はどういう認識をされておりますか。

小里副大臣 特措法におきまして、国の責務は、原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任に鑑み、事故由来放射性物質による環境汚染への対処に関し、必要な措置を講ずるものとされております。

 また、同法におきまして、地方公共団体の責務については、国の施策への協力を通じて適切な役割を果たすものとされております。

福田(昭)委員 そういうことになりますと、小里副大臣の言動にはどうも地方の意思を無視するようなことが目立ちますので、ぜひ今後注意をしていただきたい、そのように思います。

 次に、福島、宮城、栃木、三県の指定廃棄物最終処分場問題についてであります。

 まず、福島県の問題点について小里副大臣にお聞きをいたします。時間の関係で二つ一緒にお聞きをしたいと思います。

 まず一つ目は、なぜ今回、福島県の場合は、避難指示解除準備区域内にある民間の管理型の最終処分場を選んだのかどうかということが一つであります。もう一つは、富岡町住民の疑問に対して、六月の住民説明会後、いまだ環境省は富岡町に対して回答を出していないそうでありますけれども、なぜ出していないのか。この二点、お答えをいただきたいと思います。

小里副大臣 まず、双葉郡を中心にして、放射性物質に汚染された廃棄物が大量に発生しておりまして、復興を進めるためには、できるだけ早くこれを処理する必要があります。また、十万ベクレル以下の廃棄物については、特措法の処分基準に従って、既設の管理型最終処分場で安全に処分できます。このため、双葉郡にあり、十分な残余容量を有するエコテックを活用することとしたわけであります。

 また、御指摘の、いろいろな質問に対してどう回答しておるかということでございますが、町議会、説明会等でいただいた質問、御意見に対しましては、富岡、楢葉両町、また福島県に対して考えを説明してきておるところでございまして、今後ともしっかり誠意を持って説明をしてまいります。

福田(昭)委員 新聞報道によりますと、地元の人たちは、このエコテックを使って最終処分場にするということは富岡町の未来がなくなるということで、反対をしているそうであります。これがもしできたら、除染が終わっても若い人は帰ってこない、そういうことを言われております。また、富岡町の宮本町長も、十一月三日現在で新聞社の取材に対して、いまだに国から明確な回答はないままだ、このように答えております。ぜひ、そういった意味では、しっかり富岡町が納得するような、あるいは住民の皆さんが納得するような返答をすべきだと思います。

 次に、宮城県の問題点について小里副大臣にお聞きをいたします。

 一つ目は、市町村長会議は法律に位置づけられた会議なのかどうか、どういう御認識なのかお聞きしたいと思います。

小里副大臣 この指定廃棄物の処理は、特措法におきまして、あくまで国の責務で行うこととされております。

 市町村長会議は、その中で明示的に、要するに法律上、位置づけられているものではございません。新たな選定プロセスの一環として、地元との共通理解を醸成する、あるいは参考意見をいただく場として捉えているところでございます。

福田(昭)委員 小里副大臣のそういう認識であれば、まさに市町村長会議は決定力、拘束力がないわけですよね。その拘束力がない市町村長会議で決めたことだからといって、従えということは実は言えないわけであります。

 二つ目でありますが、宮城県の知事は市町村長にかわって詳細調査の受け入れを国に返事をしたんですけれども、それは有効ですか。そんな返事ができますか。いかがですか。

小里副大臣 宮城県におきましては、七回の市町村長会議を経て、八月四日の市町村長会議で、村井知事がさまざまな、市町村長さん方から出された意見を取りまとめをして、市町村長の総意として詳細調査を受け入れるとの御報告をいただいたのでありまして、その報告を重く受けとめて、環境省において対応しておるところでございます。

 あくまで御意見を取りまとめて報告されたものでありまして、市町村長にかわって回答されたようなものではございません。

福田(昭)委員 それじゃ、おかしいじゃないですか。加美町の町長が反対しているのに、栗原市、加美町、大和町、三カ所の調査を受け入れると知事は環境省に報告したんですよ。全く、全部がそろって詳細調査を受け入れると言わないのに、環境省はそれをよしとして詳細調査に入った。

 大学の授業の代返じゃありませんから、加美町の町長の代返を知事ができないんですよ。ですから、それを了としてやったということについては、最初に申し上げましたが、環境省がやはり国と地方との関係をしっかり認識していない、そういうことだというふうに思います。

 次に、三つ目でありますが、三つ目は、宮城県の県議会の自民党の最大会派が、指定廃棄物を福島県内で処理することを提案して、近く環境省に要請文を提出するということを決めたそうでありますが、御存じですか。

小里副大臣 県議会からそのようなお申し出はいただいておりません。したがって、環境省としては、その事実関係を確認できないところであります。

福田(昭)委員 これは、十月三十一日の仙台放送の記事であります。

  最終処分場の建設問題で、宮城県議会の最大会派、自民党・県民会議が、政府に対して、指定廃棄物を福島県で処理するよう要望する準備を始めた。

  この動きに、村井嘉浩知事も「同じ方向を向いている」と連携する考えを示した。

  三十一日午前、栗原市役所を訪れた、自民党・県民会議の県議五人。

  佐藤勇市長に対し、指定廃棄物を「福島県内」で処理することを提案した。

  相沢光哉県議は「(福島県内で)一カ所、集中管理・処理が、日本全体で見た場合でもいいのでは」と述べた。

  指定廃棄物の福島県への集約は、東日本大震災後から議論されてきた。

  しかし、福島県の反発を受け、政府は指定廃棄物を「発生した県ごとに処理する」と閣議決定。

  宮城の市町村長会議でも、「県内一カ所に最終処分場を建設する」と合意していた。

  それが、ここに来て、当初の議論に立ち返る理由とは。

  相沢議員は「(福島県の)佐藤前知事が、自らの地位を閉じることを代償に、中間貯蔵施設の県内受け入れを表明した。なんとか、打開の道はあるのではないかと」と述べた。

  福島県は、八月、これまで難色を示していた除染廃棄物の「中間貯蔵施設」の県内建設について、受け入れを表明した。

  これを契機に、指定廃棄物の「福島集約」についても、あらためて議論し直すべきと県民会議は強調する。

  県民会議から、話を受けた建設候補地のトップは。

  佐藤市長は

栗原市のですね、

 「ちょうど見直しの時期に来ているので。閣議の指針も決定も、もう一回考え直してもらういいチャンスと思っている。大いに歓迎」と話した。

  浅野元大和町長は「方向性の一つとして、(福島集約は)考えられる方法の一つだと思う」と述べた。

  猪股洋文加美町長は「加美町が、かねてより主張していたことに歩みを共にしてもらい、この会を立ち上げてくれてうれしく思う」と述べた。

  ここにきて、にわかに動き出した福島集約論。

  これについて、村井知事も「わたしも、県外に集積してほしいという思いを、たびたび国に伝えている立場ですから、わたしは同じ方向を向いていると思っています」と述べた。

  県民会議は、早ければ、

今月ですね、

 十一月中にも政府に要望を伝える方針。

こういう仙台放送の報道がございました。まだ御存じないんですね。

小里副大臣 その全文はなんですが、おおよそのことは、報道としては承知をしております。

 また、知事からは、指定廃棄物を他県に集約して処理を行うことが可能となるよう、基本方針の見直しの可能性を検討していただきたいとの話を従前よりいただいているところでございます。

 これに対して、環境省からは、あくまで基本方針によって定めた各県ごとの県内処理の考え方を見直す予定はないことをお伝えしてきているところであります。

 また、実際には、県知事、村井知事におかれては、県内に処理施設をつくる方向で御協力をいただいてきているところでございます。

福田(昭)委員 副大臣、今まで村井知事も協力してきたんでしょう。しかし、今度は無理だということがわかったから、この県議会の最大会派の皆さんの提案を、同じ方向を向いていると答えたわけですよね。

 こうなったら、いかがなんですか。どうなんですか。これで、詳細調査、宮城県でこれからも続けられるんですか。いかがですか。

小里副大臣 あくまで市町村長会議の御意見を受けて、現在進めております。詳細調査は進めてまいりたいと思います。

 ただ、並行して、何とか御理解をいただけるように、説明に努めてまいります。

福田(昭)委員 それは無理だと思いますよね。ここで議論している時間はありませんので、先に行きます。

 次に、栃木県の問題について望月大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、平成二十五年十二月二十四日開催の第四回の市町村長会議で決めた栃木県の新しい選定基準の3には、「候補地の提示方法は、地元の意向を十分に聴取した上で検討」とありますけれども、今回、地元の意見を聴取しないで塩谷町を候補地として指定しちゃったんですが、何で地元の意見を聞かなかったんですか。

望月国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 栃木県においては、詳細調査の候補地の選定手法や提示方法を確定するまでに、お話ございましたように、市町村長会議を四回開催し、議論を重ね、地元の意向を十分に聴取してきた、我々はこのように思っておりますが、御指摘の資料の記載は、候補地の選定手法や提示方法について、市町村長会議において意見交換を行うに当たり、新しい選定手順の一つとして示したもので、これは第二回の市町村長会議において既にお示しをさせていただいております。

 このように、地元の意向……(福田(昭)委員「時間がないから、いいですよ」と呼ぶ)済みません。

福田(昭)委員 おかしいじゃないですか。塩谷町を指定したときに、塩谷町に対して事前にしっかり意見を聞かなきゃいけないんじゃないですか、この手順によれば。これじゃ、民主党政権時代に突然、矢板だとか高萩を指定したのと全く同じですよ、今回。要するに、民主党政権はとんでもないと言って批判したのに、全く同じじゃないですか。

 次に行きますね。

 次は、時間がなくなってきたから、2は飛ばして3に行きますけれども、十一月九日日曜日午後六時から開催する異例の市町村長会議でありますけれども、これは誰に要請されて開くのか、大臣、簡潔にお答えください。

望月国務大臣 これは、七月に詳細調査の候補地を公表して以降、さまざま、先生が今おっしゃったように、動き等がございました。これも……(福田(昭)委員「いいですよ。誰にと聞いているんです。はっきり答えてください」と呼ぶ)

 私が御説明にお伺いしたい、このようにしております。

福田(昭)委員 大臣、だめですよ、隠しても。地元の新聞にトップ記事で書いてあるんですから、大臣が十一月九日にやってくる、市町村長会議を開くと。そのことは、自民党の栃木県連の幹事長、政調会長、そして公明党の県本部長、これが環境省に来て要請したんじゃないですか。それに応じて、市長会や町村会長にそれぞれ連絡をして、異例の十一月九日の日曜日午後六時から、とんでもない日に、十年間、土日なんか一度も開いたことのない市町村長会議を、しかも午後六時から開くということを決めたんじゃないですか。これはおかしいですよ。

 きのうのゆうべのNHK、それからけさのNHKで、全国放送で、塩谷町の見形町長の話が報道されておりましたけれども、この九日の市町村長会議で福島へ持っていけということを提案するそうです。どうですか、大臣。

望月国務大臣 私のところへはさまざまな皆さん、さまざまな御意見がございますので、我々の場合はオープンでございますので、そういった皆様方の御意見をお伺いするということはございます。ただ、こうやって、この会合に出席させていただいて、これを開くというのは、私がもちろん決めたことでございます。

 なお、日程につきまして、いろいろお話ございました。日程をちょっとお話しさせて……(福田(昭)委員「いいですよ。もう時間がないんだから。委員長、やめさせてください」と呼ぶ)

福田(昭)委員 大臣、これは、宮城県と栃木県、候補地を指定した二カ所で、どっちもだめだと言っているんです。しかも、どっちも集約しろと言っているんですね。そういうことに対して、環境省がもっと柔軟に頭を変えないと。

 ですから、いいですか、役人の方々は、残念ながら、決められたことをやるんだから、彼らには変えられない。これを変えられるのは、大臣、副大臣、政務官、政務三役だけですよ。皆さん方が本当に真の解決はどういう方法なんだということをしっかり考えてやらないとだめですよ。

 まだ時間がちょっとあるようですから、大臣、それでは、この間事務方にしっかり、大臣によく見て答えるようにと言ってあるんですが、前回と今回の総合評価結果を見て、大臣はどう思われますか。これで納得できますか。こんな見方でもし大臣の地元の静岡県のどこか市町村が選ばれたら、それで納得できると思いますか。

望月国務大臣 前回お話がございました。県や市町村との十分な意思疎通がないまま選定方法を確定し、候補地を提示した、そういうお話がございましたが、これに対しまして、今回は以前の選定プロセスを大幅に見直しました。新たな選定プロセスとして、有識者会議と市町村長会議を並行して開催し、丁寧に議論を重ねて、栃木県の地域の実情を踏まえた選定方法を確定したわけでございます。

 今回の選定方法は、スクリーニングや総合評価の項目が前回と大きく異なっておりまして、これに従って選定作業を行った結果、前回と異なる結果となったところでございます。

 どちらにいたしましても、我々は、ただただ、福島の皆さんに多大な御心配をかけておりますので、これ以上のことをお願いするわけにはいかない、ぜひひとつそれぞれの各県でこういったものをやっていただけるように、これからしっかりと丁寧に。さまざまございます、私の静岡県においても、お茶の被害とか、そういったことでやはり大変な思いをしました。今やっと立ち直りかけつつありますけれども、先生からいただいた御心配、そういったものを払拭するように我々はしっかりとお願いをしてまいりたい、このように思っております。

福田(昭)委員 大臣、だめですよ、役人が書いたものを読んでいたんじゃ。ちゃんとしっかり、前回の評価結果と今回の評価結果をよく見て。セシウムは水に流れやすい。河川との距離を今回判定基準に入れていないわけですよ、点数に。今回の塩谷町の場所は河川のすぐそばですよ。それから、指定廃棄物の保管量の重みづけもあえて二分の一にした。これも、前回の評価では五番目、六番目だった塩谷町を選定するための評価方法の変更ですよ。こんな悪質な、でたらめなことをやったのでは理解は深められません。

 以上で終わります。

北川委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 維新の党の河野正美です。

 ここ数日来大きく報道等で取り上げられております、中国船籍によるサンゴの密漁、乱獲についてお尋ねをいたしたいと思っております。

 まず、小笠原諸島周辺での宝石サンゴの密漁が横行しているというふうに報道されております。改めて我が国が有する自然資源の豊かさを実感するとともに、そうした自然を将来世代に継承していくことが今の時代を生きる私たちに課せられた責務であるというふうに考えているところでございます。今回の密漁を契機として、豊富な海洋資源を守り伝えていくことにより一層力を入れていかなければならないというふうに考えております。

 そこで、サンゴの密漁との闘いぶりについてお尋ねをいたしたいと思います。

 現在の被害状況について、政府が受けとめられておる実態をお聞かせいただきたいと思います。

 新聞記事をさかのぼりますと、一九八〇年にはサンゴ密漁摘発の記事がもう既に見られます。今回問題となっている小笠原近海だけではなく、沖縄や奄美、五島列島など多くの地域で被害が発生しております。

 これまでのサンゴの密漁の摘発状況、被害の実態、全容はいかがなのでしょうか、教えていただきたいと思います。あわせて、我が国が国家として密漁船にどのように対応していくのか、そういったことについてもお聞かせいただきたいと思います。

中島政府参考人 お答えします。

 海上保安庁では、中国サンゴ漁船と見られる漁船が小笠原周辺海域において多数確認されたことを踏まえまして、同海域において、大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な体制を整えまして、違法操業を行う中国サンゴ漁船の取り締まりを行っております。その結果、十月五日以降、これまでに五人の中国人船長を逮捕しております。

 引き続き、水産庁及び東京都が派遣している漁業取り締まり船等とも連携をし、法令にのっとり厳正に対処してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 今、五人の船長逮捕ということをお聞かせいただきましたが、中国船籍が非常に急激にふえているという状況にあると思います。

 逮捕したときに船からサンゴ等を押収されているのかどうか、被害状況についてもう一度お答えいただけますでしょうか。

中島政府参考人 お答えします。

 今回、五人の逮捕をしておりますけれども、その中からサンゴが見つかったという事例はございません。

河野(正)委員 現在、取り締まりで非常に大変な状況だというふうに伺っておりますけれども、一九八〇年代から問題になってきているわけですけれども、そもそも海中にサンゴがどれぐらいあって、そしてなおかつ、どれぐらいとられたのか。

 今、新聞報道によりますと、新聞紙上などでは密漁、乱獲などという言葉が非常に躍っているような状況になっているわけですけれども、そもそもどれぐらいの量があって、今被害がどれぐらいなのかというのを把握されているんでしょうか。

長谷政府参考人 宝石サンゴは、年間〇・二ミリから〇・三ミリしか成長せず、一旦損なわれますと、回復に非常に長い時間がかかる資源でありまして、中国サンゴ船の違法操業は宝石サンゴ資源に悪影響を与える可能性が高いというふうに認識しております。

 しかしながら、宝石サンゴ生息域は水深が深く、密漁の影響を把握するためには潜水艇等を用いた大がかりな調査が必要であるため、正確な情報は持ち合わせていないことにつきまして、御理解いただきたいと思います。

河野(正)委員 今御答弁いただきましたように、密漁で乱獲されているということなんですけれども、そもそもどれだけの宝石サンゴがあったかを把握されていない。一九八〇年代から指摘されていたにもかかわらず、全くどれだけの宝石サンゴがあるかわからないという状況で、現在も、五隻拿捕したように伺っておりますけれども、どれだけとられたのかもわからないというような状況ということなんですけれども、そういった理解でよろしいでしょうか。

長谷政府参考人 そのとおりでございます。

河野(正)委員 やはり、我が国の財産として宝石サンゴがどれぐらいあるのかはしっかり把握していただいて、そして、どれだけとられているのか、その辺をきちんと考えていかないと、これは言葉だけが躍っている状況になっておりますので、毅然とした態度で中国にもいろいろ申し入れしていく上でも、把握しておかなければいけないんじゃないかなと思います。

 尖閣諸島の警戒もあって、非常に限られた人員、予算の中で大変な御苦労もあるんじゃないかと思っておりますが、これはしっかりと対応していただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 これまでのサンゴ保全の取り組みについてお尋ねをいたしたいと思います。

 二〇一〇年四月、環境省を中心にサンゴ礁保全計画が定められました。そのいきさつと狙いについて教えていただきたいと思います。その計画の策定過程においては、密漁とも関係するようなものなのかどうか。これはサンゴの違いがあるというふうに聞いておりますが、その辺を教えていただきたいと思います。

塚本政府参考人 お答えいたします。

 サンゴ礁は、主として熱帯から亜熱帯の浅い海に発達する造礁サンゴによって形成される地形でございます。サンゴ礁という地形は非常に豊かな生物多様性を支えておりますので、その保全が最優先の課題だというふうに考えております。一方、サンゴ礁が随分劣化をしておりましたので、環境省では、サンゴ礁生態系保全行動計画を、委員御指摘のとおり、平成二十二年に策定いたしました。また、国際的にも国際サンゴ礁イニシアチブが平成六年に発足して、我が国もそのメンバーとなっております。

 一方、サンゴ礁を形成する造礁サンゴのほかにもサンゴがございまして、現在問題となっている宝石サンゴは造礁サンゴとは全く別のものでございます。先ほど御説明がありましたとおり、浅い海ではなくて深い海に生息している生き物でございます。そのため、宝石サンゴは、今申し上げましたサンゴ礁生態系保全行動計画やサンゴ礁イニシアチブの対象とはなっておりません。

河野(正)委員 私も不勉強でして、これについて、きょうの質問に当たっていろいろ調べましたところ、先ほどお話がありましたように、サンゴ礁の持続的利用と保全にかかわる関係者が対等な協力関係のもとに集まる場として、国際サンゴ礁イニシアチブ、ICRIというのがあるそうです。そういったところで議論されているんでしょうが、サンゴ礁をつくっていく石のサンゴと宝石サンゴというものが違うということで、イシサンゴの方が、環境省としては、生態系や光合成などに関与していて非常に重要な関心事であって、宝石サンゴというのは別のものだということなんだと思います。

 いずれにせよ、東アジア地域会合などもこのICRIは開催されており、こうした場を通じて、サンゴ礁の保全も議論していき、種類の違いはありますが、サンゴ全体の保全に向けた国際的な協力関係を築いていくべきではないかなと思います。

 我が国は世界有数のサンゴ保有国でもございますので、その保全と利用に向けて我が国がリーダーシップを発揮していかなければならないというふうに考えておりますが、今後のサンゴに対する取り組みについて、決意のほどを環境大臣に伺いたいと思います。

望月国務大臣 豊かな生物多様性を育むサンゴ礁、今先生御指摘ございましたように、サンゴ礁、それから宝石サンゴ、若干種類が違うということでございまして、サンゴ礁の方は、生物多様性の保全、そしてそこに暮らす人々の暮らしにとっても非常に大切な我が国の財産であると思っております。今後とも、そうした豊かな環境をやはり次世代に引き継いでいく、そういうサンゴ礁生態系保全行動計画に基づいて、関係省庁や国内外の関係者とともにサンゴの保全を推進していきたいと思います。

 また、宝石サンゴについてでございます。御指摘がございましたのでお答えしますが、これは、漁業法とかいろいろ我々も法律を駆使しておりましたが、水産関係の制度で対応がなされているということでございまして、そういったことを承知しております。

 しかしながら、環境省としても、生物多様性の保全と持続可能な利用の推進の観点から注意深く見守ってまいりたいし、また、我が国だけの問題ではございませんので、外務省及びさまざまな関係省と力を合わせて、我が国がリーダーシップをとれるように、いろいろ我々も研究をしていきたいと思います。

河野(正)委員 大臣、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、ワシントン条約に関連してお聞かせいただきたいんです。

 サンゴの資源量の低下を背景に、二〇一〇年三月、第十五回ワシントン条約締約国会議において宝石サンゴの輸出規制案が示されましたが、これは否決されております。輸出の際に輸出国の許可証を発行するという規制案ですけれども、我が国は反対ということを表明しておりますが、この反対した理由についてお聞かせいただきたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 二〇一〇年開催のワシントン条約第十五回締約国会合におきまして、漁獲量の減少等を理由に、アメリカ及びEUが宝石サンゴの附属書2への掲載を提案いたしました。この提案につきましては、投票の結果、賛成六十四カ国、反対五十九カ国となりまして、三分の一以上の反対により否決されました。

 その際、我が国は、漁獲量の減少については、燃油高騰等により撤退する漁業者が増加したなどの経緯もあり、必ずしも資源量の減少を意味するものではないこと、また、我が国の宝石サンゴを採捕する漁業は、関係都県の知事の許可制などの管理のもとに置かれていることから、附属書2掲載に反対したところでございます。

河野(正)委員 時間がありませんので、先に行きたいと思いますが、やはりワシントン条約等も考えて、国際取引ということをしっかりと規制あるいは見守っていかなければ、密漁の横行を抑えることにはならないと思いますので、政府としてもしっかりと今後見守っていただきたいと思います。

 この問題の最後に、いわゆる領域警備法というような考え方について伺いたいと思います。

 今後、いわゆる集団的自衛権などの安保法制の際に議論されるというお考えかもしれませんが、こういった緊急の事態でもございますので、喫緊の課題として、いわゆる領域警備法なる法案等を政府として検討される予定がございますかどうか、伺いたいと思います。

石川大臣政務官 安保法制を担当させていただいておりますので、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。

 領土、領海の治安の維持につきましては、先生御案内のとおり、警察や海上保安庁がまずは第一義的な対応の責任を有しておりまして、今般の事案のような海上における外国漁船の監視、取り締まりにつきましては、水産庁及び海上保安庁等におきまして実施していただいております。

 その上で、一般論として申し上げれば、自衛隊は、警察機関では対応が不可能または著しく困難である場合等には、海上警備行動等の発令を受けまして、警察機関と緊密に連携して対処する、このような制度となっているところでございます。

 このような制度下におきまして、現時点では法整備を新たに行う必要があるとの認識には至っておらず、海上警備行動の発令等の手続の迅速化など、運用の改善を検討することとしているところでございます。

 いずれにいたしましても、今般の事案を含めまして、防衛省・自衛隊といたしましては、状況を注視して取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 今後、法律案が出るかどうかは別として、しっかり現行法で対応していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 話題をかえまして、次に、環境カウンセラー事業ということについて伺いたいと思います。

 そもそも、この環境カウンセラー事業、環境カウンセラー、どういったものか、簡単に御説明いただけますでしょうか。

小林政府参考人 環境カウンセラーの制度でございますが、平成八年に創設をいたしました。これは、環境基本計画の中でこういった人材の登録システムの充実というようなことが位置づけられたのを受けて具体化したものでございます。

 具体的には、環境省の実施規程というものに基づきまして、環境保全に関する専門知識、豊富な経験を有し、環境保全活動に関する助言などを行うことができる人材というものを選んでおこう、こういうことで、環境省が行う書面審査それから面接審査、これを経て登録をしているものでございます。

 事業といたしましては、インターネットを利用しまして環境に係る取り組みについての相談、助言などを行う、また、環境講座などの講師あるいは自然観察会の指導者などとして現地に派遣する、こういうことをやっているものでございます。

 現在、全国で約三千八百人の環境カウンセラーが登録されておりまして、各分野で活動しているというものでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 実は、この環境カウンセラーについて十一月四日付の東京新聞に報道がございます。これについてお聞かせいただきたいんですけれども、環境カウンセラーというのは更新講習が義務づけられているということでございます。

 お手元に資料を配付しておりますので、ごらんいただきたいと思います。

 まず最初に、熊本で行われる例が左側に出ておりまして、あと、委員長の近畿地区であるとか、理事の先生方の中部、中国四国地区のスケジュールを四カ所分掲示させていただいております。

 ところが、見ていただくと、この九州地区のものは、まず基調講演といたしまして、「身の回りにある放射能と放射線について基礎知識を学ぶ」ということになっております。これは全員が受ける講習であります。そして、午後から分科会になりますが、第一分科会は「原発の必要性」というテーマになっております。他の地域での講義内容も比較していただきますと、他地域に比べて、九州・熊本会場はいささか原発に特化した内容になっているんじゃないかなというふうに思います。

 少なくとも、必須講義にも入りまして、記事でも指摘されておりますが、第一分科会が四十名中大体三十名ぐらいが選ばれているということでございますので、ほとんどの方が原発関連問題だけを学んでいかれるということになります。

 ちなみに、「原発の必要性」、地球温暖化ということで言いわけというか、言われるのかなと思いますが、そもそも第二分科会に「地球温暖化」がございますので、やはりこれは、原発の必要性を本当にしっかりと勉強してくださいということになるのかなと思います。しかも、講師が、九州電力の広報担当の方が選ばれているということでございます。

 環境省としては、中立の立場であるべきではないかなというふうに考えますが、このプログラムを見ますと、いささか偏っているのではないかなという印象が否めません。

 研修内容がどのようにして決められているのか、こういった内容に至った経緯についてお聞かせいただきたいと思います。

小林政府参考人 今先生御指摘の点でございます。

 まず、この環境カウンセラー研修、どういう形でやっているかということでございますが、全体を統括しておりますのは、私の局の担当セクションが全体を統括しております。

 そして、具体的には、各ブロックでやっておりますので、各地方環境事務所ごとに実施をいただいていまして、研修の内容あるいは講師ということにつきましては、それぞれの事務所で、それぞれの地域の特性ですとかあるいは社会的な関心の度合いがどうかというようなことを総合的に検討して決めていただくということにしております。

 全体的に最近のトピックスとしてこんなことをというようなことは本省からもアドバイスはしておりますが、最終的には事務所で決めていただいているというところでございます。

 今御指摘ございましたように、十一月十七日に九州の地方環境事務所で開催予定しております分科会、四つのうちの一つには「原発の必要性」というものが挙げられております。

 これについての見解でございますが、放射能にかかわるテーマというもの自体は国民の関心も高いものがあると思いますし、最近では、環境省も、健康への影響ですとか、除染その他でかかわってきておりますので、そういうテーマであるというふうに考えておりますが、この分野につきましてはやはりさまざまな意見がございますので、バランスよく研修で取り上げることが必要であるというふうに考えます。そういう意味で、テーマ設定、講師の選定については、慎重に検討する必要があるものであるというように今考えているところでございます。

 そういうことに照らしますと、この御指摘の分科会につきましては、テーマあるいは内容について、あるいはどんな方にお話をいただくかということにつきましては、全面的に変更するように、今、事務所に指示をいたしまして調整をさせていただいております。

 また、念のためでございますが、ほかの地方環境事務所も、まだテーマ未設定の分科会などもございますので、こういったところにつきましては、よくバランスを含めて慎重に考えて実施していく必要があるということを指示したところでございます。

河野(正)委員 即時に対応いただきましたことにつきましては評価したいと思いますが、慎重に行動していただきたいと思います。

 以前にも述べましたけれども、九州電力は、全国に先んじて、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の受け付け保留ということを表明されております。ひねくれて考えていきますと、九州から原発再稼働を行うという、官民挙げての強い意思のようにも受け取ってしまうわけであります。

 きょうの報道によると、宮沢経産大臣がカワウチ原発と発言されたということですが、川内原発が近々再稼働に向けていくということで、そういったことから、どうしても九州ではそういった広報活動なり、活動されているのかなと思ってしまうわけであります。

 我々維新の党は、持続的な日本経済の成長と国民生活への影響、代替エネルギーの安定供給見通しなどを総合的に勘案し、即時原発ゼロなどということは言っておりません。電力の再編自由化や原発推進施策の廃止などによって、脱原発依存、市場原理によるフェードアウトということを考えているわけであります。

 脱原発依存には、再生可能エネルギーのさらなる普及によりコストを下げていくことが絶対必要であると思いますし、官民挙げてこういったことをされるようであれば、再生可能エネルギーへの転換の気勢をそいでしまうというようにも思えてなりません。

 さきの当委員会、十月十七日、私は望月環境大臣に対しまして、再生可能エネルギーの普及に関しては、閣内にあって、環境大臣としてしっかりとリーダーシップをとって頑張っていただきたいとお願いしたところでございますが、再度、大臣のお膝元でこういった状況がございますので、いかがでしょうか、一言だけお願いします。

望月国務大臣 まず、地方環境事務所のことでございますけれども、今お話があったことでございますが、やはり誤解を受けないように、先生の御指摘を真摯に受けとめて、テーマ内容等を変更する、そういうことでやらせていただきたい、このように思います。

 それから、御指摘の再生可能エネルギーについては、先日も御質問いただきました。低炭素社会の実現のために最大限の導入を図っていく、これは環境省の方針でございますので、しっかりと進めていきたいと思います。

河野(正)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

北川委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 ありがとうございます。維新の党の新原秀人でございます。

 本日は、川内原発再稼働ということで、福島の原発事故以来、今いわゆる原発というのは全部とまっていますので、再稼働ということについては、やはりもちろん慎重にしなければならないし、国民の御理解ということを環境省としては非常に大切にしていかなければならないと思う。特に、今全てとまっている中で、最初の再稼働ですから、この最初ということが非常に大切だと思っているんですね。

 それで、私、維新の党としては、先ほど河野委員がおっしゃいましたように、即時ゼロということを求めているのではなく、やはり、再稼働するにしても、国民の理解、そして実際、安全性というものを高めていかなければならないと思うんです。

 そういった中、これは少し古い判決になりますけれども、最高裁の判決、伊方一号炉のいわゆる設置許可処分取り消しということで争われましたところ、結局、これは最高裁で棄却はされているので、これについては認められなかったわけでございますけれども、その判決要旨の中に、資料一でありますけれども、原子力委員会もしくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過しがたい過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、原子炉設置許可処分は、これはもう設置はされておりますので再稼働ということに今は変わっているとは思うんです、この国民の方が違法とすべきであると。

 ただ、不合理な点、つまり、それはおかしいんじゃないかという主張や立証は、訴えた側、つまり原告が負うべきものであるということなんですけれども、そのためには、やはりそれなりの、いろいろなデータとか、いろいろ行政庁が持っているデータ等を全て明らかにして出さなければならないということでありますね。

 つまり、被告行政庁の判断に不合理な点がないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が主張、立証を尽くさない場合には、行政庁がした判断に不合理な点があると事実上推認されるということですね。

 だから、行政庁自体は、いわばデータ等をどんどんどんどん出していかなければならないという形、それによって、いわゆる国民の安心なり信頼が原発自身に対して高まっていくという判断がされているわけです。

 その中で、福島第一原発の過渡現象記録装置というものがありまして、これは全部の原発についているそうなんですけれども、これは二〇一三年七月、まさに近々なんですよね、今まで出されていなかった資料が一気に、一度に公開されてきたということなんですけれども、この過渡現象記録装置というものはいかなるものか、ちょっと御説明いただきましょう。

    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

櫻田政府参考人 過渡現象記録装置のデータについてお尋ねがございました。

 この装置は、原子力発電所でいろいろ異常な事象が発生する場合がございますが、そういった異常の事象があった場合に、その発生数分前と、それから発生した後三十分間のプラントのさまざまな挙動を示すデータを収録したものでございます。

 このデータは、当然、東京電力福島第一原子力発電所の事故においてもありまして、このデータについて、東京電力から、平成二十三年五月十六日に当時の原子力安全・保安院に報告がなされております。それから、その後、平成二十五年七月十七日に、新たに確認されたデータ等について、追加して原子力規制委員会に報告された、こういうことでございます。

 内容でございますが、具体的には、原子炉の水位や圧力、それから非常用ディーゼル発電機の電圧とか電流の値、また高圧配電盤の電圧、こういったようなデータが中に含まれてございます。

新原委員 ありがとうございます。

 言うてみたら、飛行機でいうたらブラックボックスみたいな形のものだと考えていいんだと思うんですけれども、これは、そういった異常があったときだけ公表、もちろんふだんの間は公表はしなくてもいいと思いますけれども、異常があったときに公表するということで、もちろん福島は大きな異常ですからこれは公表しますけれども、今までに、そういった軽微なり、いわゆる異常があったときに、そういったデータは今まで報告等はされてきたんですか。前例はどうなっておりますか。

櫻田政府参考人 今回の東京電力福島第一原子力発電所の事故に関しては、先ほど申し上げたような形で報告がありますけれども、さまざまな事象が発電所で起きる可能性は当然ございます。過去にも起きているんですけれども、全てにおいてこういう報告がなされたかどうかというのは、今手元にデータを持ち合わせてございませんので、申しわけございませんが、お答えはちょっとできかねます。

新原委員 済みません、僕が今、通告の中にちょっとそこのところが含まれていませんでしたので、申しわけないです。

 だから、言うてみたら、今まで軽微な事故等もいろいろあったわけですから、そういった場合に、やはり、こういった装置なりデータがあるということがもう皆さん、国民の方々に知れ渡っていますので、今後は、何かあったときには、こういったことでこうだと、データとともにいわゆるそれなりの主張、実証、そういったことをすぐオープンにしていただきたい。

 これは去年の七月ですから、データが出てきたのはかなりたってからですから、そういったことが、何か隠蔽していたのではないかということを結局推認されることになるんですよね。これは、最初に伊方原発の最高裁の判決ということで出したのは、つまり、国民は、もしデータを何か出していたり隠していれば、結局、何か出したらまずいから隠しておったのと違うかというふうに推認されるわけですよね。

 だから、そういったことは避けなければならないというふうに言われていますので、そういった、参考になったり、そういう立証、いわゆる判断したデータは即時に今後は出していくことが、やはり、原発に対しての信頼を国民に対して、非常に求めるものであると僕は思いますので、今後はそういったことを気をつけていただきたい。

 そういった中で、岩波ですか、それについて、このデータに基づいて、木村さんという方が、「科学」という月刊誌があって、その中で、このデータのこの方の解析によれば、炉心融解は福島原発では起こりましたけれども、それは津波で結局電気がとまって起こったのではなくて、地震自体、つまり地震の揺れによって水が漏れて、既に一分三十秒で始まっていたというふうな論文なりを書かれているんです。

 津波でいわゆる炉心融解が起こったのと、地震自体で炉心融解が起こったのでは、全然、今後の安全基準にとって判断が全部変わってくるんですよね。ということなので、規制庁さんといたしまして、この点のこの主張とデータ等についてはどのようにお考えなのか、お教えください。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 私どもが入手しておりますデータに基づきますと、地震が発生したのが三月十一日の十四時四十六分ごろでございまして、津波が到達したのが十五時三十七分ごろでございますが、この地震が発生してから津波が到達するまでの間は電源が失われておりませんでした。したがって、原子炉の水位、圧力等のデータも、先ほど御紹介したような過渡現象記録装置等に記録されております。

 こういったデータを見ますと、津波が到達するまでの間、原子炉の水位や圧力に大きな変化は見られておりませんで、炉心は冠水している、水に浸っている、こういう状態にあったことを確認してございます。したがいまして、その間に炉心が損傷したり溶融するということはあり得ないものというふうに考えてございます。

 やはり、炉心損傷に至った原因といたしましては、津波によって非常用の電源を喪失して、原子炉を冷却する手段を失ったことが原因であるというふうに考えてございます。

 それから、地震で配管が破損をして漏えいがあったのではないか、こういう御主張もございますけれども、今申し上げましたように、津波が到達するまでの間、原子炉の水位や圧力に大きな変化がないということでございますし、また、圧力容器からの漏えいを示すほかのデータといったものも見られておりません。それから、原子炉建屋への蒸気の漏えいなどが発生するわけでございますけれども、そういった警報等の記録もございません。したがいまして、津波が到達するまでは、漏えいが発生した、そういうことを示すようなデータは見出せていないというのが現状でございます。

 それから、では、何か起こったときの状況を計算によって少し解析してみてはどうかということもございまして、この点は、実は原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で何が起こったのかということをよく調べる事故調査も重要な業務でございまして、それをずっと検討してまいりましたが、先日、中間報告書をまとめてございますけれども、その中でも大事なポイントの一つというふうに考えて検討しました。

 その中では、漏えいがあった場合、あるいはなかった場合、その二つの状況を想定しまして解析をしてみました。解析値を見ますと、漏えいがないというふうな仮定をした場合の解析値の方が、実際に測定されたデータとよく一致しているということがございます。

 それから、漏えいの量が非常に小さい、そうするとなかなか見られないんじゃないか、そういう御指摘もございますけれども、仮に微小な漏えいが発生したとした場合であっても、原子力発電所には、これ以上の漏えいになると何か措置を講じる、そういう対策を講じるような必要があると、あらかじめ定められた漏えい量というものがございます。相当小さい量ですけれども、この定められた漏えい率を超えるようなものは起こってはいなかったというふうに考えられるところでございます。

 こういった点は、先ほど御紹介いたしました、先日原子力規制委員会で取りまとめた中間報告書にも記載をしているところでございます。

新原委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 ということなんですけれども、津波が起こった後のデータといいますか、とまってからのデータ等は残っていないということですか。それもちょっと確認をお願いいたします。

櫻田政府参考人 津波に襲われて電源が全て失われたという状況になると、記録を計測することもできなくなりますので、その時点以降は記録がないということになります。

新原委員 ありがとうございます。

 それは多分、片手落ちになると思うんですよね。今後は、言うてみたら、飛行機のブラックボックスは別、墜落しても絶対に残るような形で、いわゆる全ての状況をとっている。

 つまり、津波が来て電源がとまったから過渡現象記録装置がとまった。言うてみたら、本当の炉心溶融に対するデータが結局とれていないんですね。だから、今後は、電源がとまってもこの過渡現象記録装置は動き続けるように変更をしていかなければ、実際に後は結局推測。

 例えば、これが、津波が来た後に実際にずっと炉心溶融が起こるまでのデータをとっていれば、この時点で起こりましたということが実際に言えるんですけれども、結局、電源がとまった影響でデータがとれない、つまり推測でしか言えないので、このような御意見も出てくるわけですね。

 だから、非常に解析を一生懸命やっていただいて、言うてみたら、実際はもっと後で炉心溶融が起こったというふうに主張されているので、私はそれを是としたいんです。だけれども、本来ならば、飛行機のブラックボックスと同じで、こういった事故が起きたときの装置というのは、電源がとまっても常に動くような装置をつくることは、結局、それ単体で、いわゆる何らかの形で電源を確保できるようにつくること自体はそんなに難しい話じゃないと思うので、今後は、やはり何があってもこの装置は動き続けるような努力をしていただきたい。これは要望ですね。それによって正確な判断、データに基づいてこうですと言い切れますので、お願いしたいと思います。

 つまり、電源自体は非常に大事だということなんですけれども、今度、川内原発の再稼働に関して、電源確保ということを、もちろん安全基準の中にハードルを高くされておると思うんですけれども、そのような形で、今お話ししました過渡現象記録装置の電源も含めて、川内の再稼働についてはどのようなお考えを持っていますか。

    〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

櫻田政府参考人 委員の今御指摘ございましたように、電源が失われたというのが福島第一原子力発電所事故の最大の原因ということでございますし、その教訓を反映しまして、新規制基準では、電源を強化するということを厳しく求めているところでございます。

 川内原子力発電所につきましては、まず、外部からの電力の供給の信頼性を向上させるということが一点。それから、その外部からの電力が得られない場合も想定いたしまして、発電所の中に設置されている、これは今でも非常用電源設備がございますが、その非常用電源設備を七日間以上連続して運転できるように燃料タンクを増設するといったようなことを要求しまして、これが整備されることを確認してございます。

 それに加えまして、外部からの電力の供給も受けられない、また、発電所内に設置した非常用の電源設備も使用できなくなる、そういったような場合もさらに想定をいたしまして、それでもなお電力を供給できるように、大容量の空冷式の発電機、これは冷却水がなくても発電できるという、そういうものを、一号、二号がございますけれども、それぞれごとに一台ずつ設置するということ。それから、それに加えまして、発電機車というものがございますが、これは合計で六台設置するといったようなことを行う方針ということを確認してございます。

 この電源の強化の中には、先ほど御指摘のございました、計器の電源やそれを記録する装置の電源も当然含まれるというふうに考えてございまして、そこも含めて確認をしたところでございます。

新原委員 やはり、国民の方々の御理解を得るために、そういったたゆまぬ努力はしていただきたいと思います。

 また、安全基準のもとになっている、いわゆる地震ですよね、だから、この木村さんという方は、結局地震で潰れたんじゃないかということを言ってはるんですよね。だけれども、安全基準のもとになっている基準地震動は平均値で出していて、直下型、つまり下からどんと上げる阪神・淡路大震災のような瞬間的な大きな揺れ、私も神戸で経験いたしましたけれども、突き上げる、どんというふうなこと、結局そういったことは考慮されていないんじゃないかなというふうに言われているんですけれども、その点については、川内についてはどのようにお考えですか。

櫻田政府参考人 基準地震動でございますけれども、これは原子力発電所の耐震設計の基本となる大変重要なものでございます。これを策定する場合には、活断層の長さとか深さとか、そういったもののさまざまな不確かさを考慮した上で、保守的といいますか安全側に評価をするということを求めてございます。

 今御指摘がございました瞬間的な大きな揺れというのは、先生のお話にもございましたように、震源から極めて近いところで観測される、そういうようなことでございまして、原子力発電所の近くに震源となるような断層がある場合には、十分な余裕を持った地震動を設定する必要があるということだと思います。

 一方、川内原子力発電所については、いろいろな調査をさせて、敷地のごく近傍にはそのような震源となるような断層がないということがわかってございまして、基準地震動は適切に設定されているということを評価してございます。

新原委員 ありがとうございます。

 そういったことを、皆さんが心配されていることについては、一つ一つ皆さんに御丁寧に説明していっていただきたいと思います。

 そういった中で、前回ちょっと通告していまして、今回に先送りしたんですけれども、この川内原発が動くことによってかどうかわかりませんけれども、結局、九州電力が、再生可能エネルギーの、いわゆる太陽光パネル、つまり、言うてみたら、それの買い取り制度の申請を保留しているということでありましたけれども、前回、政府は、努力してまいる、十二月までに何とかということ、年内にという形ですけれども、その後の状況等を含めてお話しいただけましたら。

木村政府参考人 九州電力を初めとします接続申し込みの保留でございますけれども、太陽光発電の接続申し込みが昨年度末に急増した、そういう事実を踏まえたものというふうに承知をしております。

 全ての認定案件が電力系統に接続されると需要量を上回ってくるということで、安定供給に支障が生ずる可能性があるということで、現在、九州電力の中でも精査を進めているものと承知をしてございます。

 私ども、今委員御指摘のとおり、政府といたしましても、中立的な専門家による検討の場を設けまして、各電力会社への接続可能量につきまして、第三者の立場で厳しく検証を進めるということにしております。具体的には、算定方法をまずどうするかということを統一的な尺度で決めまして、それに基づいて各社に試算をしていただくという手順を今とっているところでございます。

 それから、接続可能量の拡大方策につきましてもあわせて検討してございます。例えば、調整電源の利用の仕方でございますとか、あるいは揚水発電所の活用の方法でございますとか、あるいは会社間の連系線の活用でございますとか、さまざまな角度から拡大方策についても検討を進めているということでございます。

 技術的にどうしても一定の期間を要しますけれども、年内にはその検証結果が得られるように作業を急いでいるところでございます。

新原委員 時間が来ましたので、最後に要望としてお話ししておきますけれども、つまり、原発を動かすから、電力をこれだけ確保できたから、再生可能エネルギーはもう要らないよというふうに、時期的にも重なっていますから、そのようにとられると、環境省としては逆の方向なので、そういったことは丁寧に、やはり本当にこうなんだということをちゃんとしていかないと、原発を動かすから、いわゆる回答保留というか、認めないよという話では、話が本当に逆戻りしますから。

 だから、そういった意味も含めて、年内にちゃんとそういったことを報告をまとめて、原発とは関係なく、実際にこうなんだというふうにしないと、原発が稼働することを前提にこの話をすると、多分、今回のことについては九州では大問題になって、それはおかしいだろうという話になると思いますので、その点を御丁寧に検討していただいて、説明していただきたいと思います。

 以上で終わります。

北川委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 次世代の党の田沼隆志でございます。

 きょうは、自然環境保護の観点で、アカサンゴ事件、サンゴの密漁の問題、河野委員も取り上げられたのかもしれませんが、改めて私からも御質問させていただきます。

 大変に大問題であると思っておりまして、きょうは、水産庁さん、外務省さんにもお越しいただいておりますけれども、率直な感想としては、なめられているなと思いますよ。あってはならない。私のツイッター、フェイスブックでも、大変な憤りの国民の皆さんからの声が届いておりまして、これは断固たる措置をとっていかなければならないと思います。

 まず水産庁さんにお尋ねですが、外規法とかあと主権法、ありますね、ちょっと時間がないので略していますが。サンゴに関して、この両法での違反行為の規定というのはどういうふうになっているんですか。

香川政府参考人 お答えいたします。

 サンゴ漁業につきましては、両法の対象となっております。

 小笠原海域における中国船の違法操業につきましては、領海内の操業につきましては、外国人漁業の規制に関する法律第三条において、外国人は我が国領海内において漁業を行ってはならないとされております。これに違反した場合は、同法第九条において、三年以下の懲役もしくは四百万円以上の罰金、もしくはこれを併科することによって、同法違反をした者が所持する漁獲物、船舶等については没収することができるということになっております。

 一方、我が国排他的経済水域での操業につきましては、排他的経済水域における漁業の主権的権利の行使に関する法律第五条一項において、外国人は農林水産大臣の許可を得なければならないということになっております。これに違反した場合は、同法第十八条において、一千万円以下の罰金に加え、同法違反をした者が所持する漁獲物、船舶等については没収することができるということになっております。

田沼委員 このアカサンゴは最近高騰しているそうですね。けさの水産庁さんの資料ですと、今はもうキロ二百五十万ぐらいまで来ているそうですね。これは、だから、罰則金も保釈金も大幅に上げないと意味がないですよ。そうなっているそうですね。だから、一千万だったとしたら、四つとればもうペイというか、とれてしまうわけですから、大幅に上げないといけないと思います。日本国民の怒りをきちんと形にあらわすべきだと思います。

 報道によりますと、きのうくらいからでしょうか、罰則強化の方向で検討を始めたというふうにお聞きしております。これは具体的にどのような方向に、どれぐらいの幅とかは答えられるかわかりませんが、どのような検討をされているか、具体的にお答えいただければと思います。

香川政府参考人 サンゴの価格につきましては、近年の平均で申し上げると、一キログラム当たり二百万円、特に品質がいいアカサンゴにつきましては、一キログラム当たり約六百万円というふうにされております。

 これに比べますと罰金額が低過ぎるのではないかという指摘は、十分承知しております。このため、これらの法律の罰金額の引き上げが可能かどうか、現在関係省庁と協議をしているところでございます。

田沼委員 もう少し具体的にお答えいただけるとうれしいですけれども。ぜひ、これは絶対やってください、これは国民の怒りが爆発しますので。お願いします。

 きょう外務省さんにお越しいただいていますので、外務省さんにもお聞きしたいんです。

 そういう状況でございます。けさの外務省さんの資料がまたあって、五度にわたって外交ルートで申し入れをしてきたということでありますけれども、私はまだ甘いと思う。もっと例えば謝罪を要求するとか、あとは、賠償というわけにはいかない、日本のお金に換算できるものじゃないかもしれませんが、ただ、被害額ですね、件数でもいい、何かもっと強く迫っていかなければならないと思います。

 菅長官は一定の評価をされているというふうに報道もされておりますけれども、ちょっとそれは余りにおとなし過ぎると私は思います。

 貴重な日本の資源が、密漁船で、しかも大挙して来て盗まれているということ、しかも領海の中も平気で入ってきているというのは、完全にこれは認められません。ですので、単なる懸念伝達とか再発防止申し入れじゃなくて、もっとやるぞということも、外務省として、ポーズでもいいから出すべきじゃないでしょうか。ちょっとそこの御見解をいただければ。

下川政府参考人 小笠原周辺海域におきます我が国の領海や排他的経済水域における中国サンゴ船の違法操業は、まことに遺憾でございます。そして、決して認められないものであるということは、先生おっしゃるとおりでございます。

 現在、関係省庁が連携し、違法操業を行う外国漁船の取り締まりを強化しているところでございますが、外務省といたしましても、東京及び北京において、累次にわたり中国側に申し入れをしているところでございますが、再発防止ですとか懸念の表明というにとどまらず、中国国内における取り締まりの強化といったようなことについても強く申し入れているところでございます。

 遺憾の意を伝え、再発防止を求めるに当たりましては、最近では、東京におきましては、十一月五日、外務省アジア大洋州局長から在京中国大使館に対して申し入れを行ったところでございます。また、これよりさかのぼりますけれども、十一月三日に、我が方の中国大使館公使から局長に対して、大使からの書簡も含めて手交して、申し入れをしたところでございます。

田沼委員 ぜひお願いします。

 とどまらずというふうに、遺憾の意を伝えるだけでなくということを御答弁いただきましたので、その一歩先の対応をぜひお願いいたしたいと思います。

 やはり、私は、もう本当に、尖閣のときの、あの中国漁船が衝突してきて、船長を逮捕したら、あっちで日本人が逮捕された、フジタの職員とか。あと、レアアースが輸出を停止されたとか。もうあのことは忘れられませんよ。だから、我々もちゃんと反撃しないとだめだと思います。

 何か、APECがもうすぐあるから少しあつれきにならないようにしたいとか、そういう意図もあるとか、そういううわさも耳にはしますけれども、それこそ、そのときにこそ交渉すべきですよ。きちんとかの国には、かの国に限らずですけれども、日本の言い分はちゃんと伝えるべきです。

 私が思うのは、被害の実態をもっと早急に調査して、これだけ被害を受けているんだというふうに、外交カードにすべきじゃないかと思うんですよ。それは強く迫らないと、一定の評価をするなどと、菅長官はきょうはお呼びしていませんけれども、そんな甘い対応をしていたら非常に心配であります。断固たる措置をしていただきますよう、要望いたします。

 ちょっと、また環境省さんの方に戻って。

 この問題は環境省としてもぜひ対応していただきたいんですね。例えば、国際会議で、サンゴの保全とか管理を主導している国際会議がありますね。そういったところできちんと強く主張するべきじゃないでしょうか。これは地球環境保全という立場で、それも同じなわけですから。

 九三年十二月に発効した生物多様性条約がございますね。つい先日、条約締約国での会議もあったそうですけれども、これは二年に一度しか開かれないということですが、緊急アピールとかを出して、日本政府として国際社会に味方をつくる。これは個人的な見解ですが、さきの大戦でやはり日本が失敗したのは、国際社会を味方にするのにちょっと失敗した。あと、尖閣のときもそうです。

 だから、今回の問題でも、早く日本は動いて、外務省さん中心かもしれませんが、環境省さんも外務省と分けていないで、国際社会を味方にするべきですよ。だって、明らかにあちらの方が悪いんですから。というのを思うんですけれども、環境省さん、御答弁いただけますか。

塚本政府参考人 お答えいたします。

 国際会議の場でアピールすべきではないかという御指摘ですけれども、宝石サンゴの生息状況について科学的な知見を集めながら、対応を注意深く検討してまいりたいと存じます。

田沼委員 今のはちょっとよくわからなかったんですけれども、やるのかやらないのかはっきりしてもらわないと。いや、聞きませんけれども。

 何しろ、そういう学術的なものなのかもしれませんけれども、とにかく枠組みがあるんですから、そこで、もう何でもいいからとにかく日本の言い分はちゃんと伝えないとだめですよ、国際社会に対しては。いい子じゃだめなんです、国際社会の中では。日本の中では、それは大人の方がいいですよ。だけれども、国際社会の中で、明らかにこれは違うんですから、中国側のやっていることは。それは、やはり毅然とした対応をぜひお願いいたしたいと思います。

 この問題、いろいろな、地球環境保全という意味でも結構ですし、中国船のアカサンゴ問題、どのように大臣としてもお考えか、御見解をいただければと思います。

望月国務大臣 先生から、やはり環境保全ということで大変御心配いただいているということで、我々もしっかりと対応していかなくてはいけないと思っております。

 アカサンゴの密漁問題、先ほど申し上げましたが、これは我々も法律を調べてみますと、漁業法だとか水産資源保護法だとか、幾つかの法律はほとんど水産関係の制度で対応がなされているということでございます。

 ただ、環境省としても、生物多様性の保全と持続可能な利用の推進、そういった観点で、注意深くやはりこれは見守っていきたいし、できる限り我々もさまざまな面で努力をしていきたい。また、生物多様性の問題でまた外国の皆さんと、他国の皆さんと話をする機会がございます。そういった方面におきましても、我々も環境省として発信をさせていただきたいな、このように思っております。

田沼委員 ぜひお願いします。

 被害の額を、被害の実態を調べるとか、そういったことはやはり環境省さんの力も必要だと思いますし、これは、政府として縦割りを排して、きょう外務省さんとか水産庁さんも来ていただいていますので、ぜひ取り組みを、そして、ちゃんとした、毅然とした反対のアピールをしていくということをお願いいたしたいと思います。

 一説では、これは防衛的な視点かもしれませんけれども、尖閣諸島との距離のあるところに漁船を来襲させて海保の機動力を試しているんじゃないかとか、そういう識者の意見もありますね。中国の漁船団というのは、基本的に、中国海警局の管理下にある、自由に動き回ることはないというふうに言う識者もおられる。ちょっとそれは実態がわからないですけれども、この問題は、安全保障上も非常に重要な問題でもありますので、政府を挙げて対応していただければというふうに強く要望いたします。

 もう時間があれなので、あと一問だけです。

 資源エネルギー庁さんにお越しいただいていますので、固定価格買い取り制度、ちょっとがらっと変わりますけれども、再生エネルギーの買い取り制度について、これは制度開始から二年なのにもう実質破綻という声もありましたね。非常に懸念しております。

 これは予測できなかったんでしょうか。価格が固定なんですよね。そうしたら、あとは、供給がふえれば、量がふえれば、それはそのうち事業者さんがたくさん出てくるかもしれない。そうしたら、接続の問題とかですか、電力会社さんの方でもトラブルが起こるというのは、私のような素人でも容易に想像できる気もするんですが。

 予測をしていたのかどうかはお尋ねしませんけれども、今後の制度改善の方向で、今どういう方向に進めていくつもりなのか。再生エネルギーの発電事業にもう投資しちゃった方々がたくさんいるわけですよね。そういった皆さんは非常に今不信感を持っていますよ。私も知り合いがいるんですけれども、初めは、送れないと聞いたときには顔面蒼白になっていましたよ。過去の部分はいいという話で一応は大丈夫だったようですけれども。今後の制度の維持が非常に懸念されます。ですので、今後どういうふうに制度設計自体をしていくのか、お答えいただければと思います。

木村政府参考人 固定価格買い取り制度でございますけれども、再生可能エネルギーの最大限の導入の原動力として、導入拡大に大きく寄与しているということは事実だと思っております。実際、平成二十四年の制度開始以降、再エネの導入量は五割以上拡大しておりまして、そういう意味で、投資にしっかりとした見通しをつけるこの制度の有効性自体は揺らいでいないというふうに理解をしております。

 他方、このたび、電力系統が受け入れられる再生可能エネルギーの量に制約があるということ、あるいは、太陽光発電が先行した導入拡大をしておりますので、将来的な国民負担の上昇を懸念する声、そういったもので直面する課題も明らかになってきているというのは事実でございます。

 いずれにしても、国民の負担で支えられている制度でございますので、そうした課題に一つ一つ真摯に向き合っていく必要があると思っておりまして、最大限の導入をあくまでも前提に、国民負担を抑制しながら費用対効果の高い導入というのを実現していく。このために、現在審議会で御議論をいただいておりまして、年内を目途に論点等を整理いたしまして、精力的に見直しについて検討を進めてまいりたいと考えております。

田沼委員 わかりましたけれども、既に投資して参入してしまった皆さんは絶対に守るとか、そういう一言はぜひつけていただくと今後の制度が維持しやすくなると思いますので、とにかく始めた以上は責任が発生していますから、どうかこのことも御配慮いただきたいという要請をさせていただきまして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の野間健です。

 本日は、貴重な質疑の時間を頂戴いたしました。各党理事、委員の皆様の御配慮に心から感謝を申し上げます。

 先ほども、井上委員や新原委員からも御指摘がありましたけれども、鹿児島県の薩摩川内市、川内原発の再稼働に向けての議論が、まさに今の瞬間も、鹿児島県議会臨時会が開催をされ、協議、審議がなされているところであります。

 また、先月十月二十八日には、薩摩川内市議会におきましても早期の稼働を求める陳情も採択され、その後、岩切秀雄薩摩川内市長が、再稼働に対して国の責任のもとで進めるという政府の方針に立地自治体として理解をするという非常に重い決断をなされました。

 私も薩摩川内市民の一人、住民の一人として、また地域選出議員の一人として、この判断を重く受けとめ、そして何よりも、万が一の事故が起きたときの地域の防災計画、そして住民の避難計画、これが、最も地域の自治体、また住民、市民の皆さんがきちっとこれをしてほしいということを望んでいるわけでありますけれども、こういった関係自治体の地域の防災計画や住民の避難計画の策定に対して国としてどのような支援、関与をされているか、また計画策定の進捗状況について教えていただきたいと思います。

平井政府参考人 政府といたしまして、昨年九月の原子力防災会議決定に基づき、地域ごとに国のワーキングチームを設置し、地域の実情を踏まえて、関係自治体と一体となって地域防災計画、避難計画の作成、充実化に取り組んでおります。

 川内地域につきましては、万が一の原発事故の際に住民の方々が安全に避難できるよう、関係自治体とともに、要援護者の所在場所とおのおのの場所での人数の把握、行政区ごとの避難先の施設の決定、複数の避難経路の選定、必要な輸送バスの確保、屋内退避の施設の整備など、安全な避難のために重要な事項について具体化を図ってまいりました。

 そして、避難計画を含む川内地域の緊急時対応については、本年九月、関係省庁、鹿児島県、関係市町が参加したワーキングチームにおいて、IAEAの国際基準や国の指針にも沿った、具体的かつ合理的なものとなっていることを確認したところであります。

 また、川内地域には、地域防災計画、避難計画のさらなる充実や計画内容の内容促進を図るために、国の職員を県、市に派遣し、支援に当たっております。

 地域防災計画、避難計画の整備に完璧や終わりはありませんので、継続的に内容の充実強化に努めていきたいと思っております。

野間委員 ありがとうございました。

 今お話に出ました川内地域の緊急時対応という、かなり詳細な計画があるわけでありますけれども、先ほども申しましたけれども、ある意味、国策として再稼働をしなければいけない、安全性の確保を大前提にしてしなければいけないという中で、薩摩川内市や鹿児島県、一つの市や県で背負い切れない大きな重荷を背負っているわけでありまして、福島の教訓を見るまでもなく、万が一のことが起きたときは、とてもその市や県だけで対応できる問題ではないということはもう御承知のとおりであります。

 したがって、こういう緊急時対応、しっかりした計画もできているわけでありますから、これをただ単に紙の上のことだけではなくて、実際に訓練や緊密な自治体との連携などを図っていただかなければ、実効性をあらしめることはできないと思います。

 来年二月に鹿児島県で防災訓練が、特にこの原子力災害に特化した訓練が行われるやにも聞いておりますし、ぜひ、これに対して国も積極的な参加なり支援を行っていただきたいということ。あと、この緊急時対応の計画の中にもありますけれども、避難路といいましても、非常に狭い県道の林道、車の離合ができないようなところなどもかなりあります。こういったものの整備についても、さまざまな財政的な支援も含めてぜひお願いしたいということ。

 今後、やはり、地元の薩摩川内市や鹿児島県と何か定期的な協議なり緊密な連携というのを目に見える形でやっていただくことによって、住民の不安の払拭になり、常時この訓練計画を点検、チェックしていくという意味で必要だと思いますけれども、原子力防災担当の大臣のお立場で、御決意、御所見を承りたいと思います。

望月国務大臣 鹿児島県でございますが、ほぼ毎年、原子力防災訓練を実施しております。もう十年ぐらいですか。それで、二年ばかり、台風が来たとかよっぽどのことがない限り、ほぼ毎年訓練を実施しております。政府としても、この支援や参加をさせていただいております。本年九月に取りまとめられました川内地域の緊急時対応について、これはさらなる改善を図る観点からも、鹿児島県が訓練を実施する場合には内閣府としても積極的に参加をしてまいりたい。先生のおっしゃるとおりでございまして、国としても全面的に参加をしていきたい、このように思っております。

 さらに、関係自治体の行う原子力防災対策につきましては、内閣府において、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金、こういうようなことで御支援をさせていただいているところでございまして、ことしはちょうど百二十億だったと思いますが、また来年度の必要な予算の確保、そういった意味でも、しっかりと引き続き努めてまいりたい、このように思います。

 それから、ただいま道路のお話がございました。

 これはやはり、国がただつくって出せばいいということでなくて、本当に、やはり地域のことは地域の皆さんがよくわかっておりますので、この道路はこういったときには災害で通れなくなるよ、こういった道路はもっと広げた方がいいのではないか、ここがネックになるよというような話がございますので、そういった意味では、道路の整備につきましても、具体的な要望があれば、国土交通省等に我々の方からしっかりと伝えていきたい、このように思います。

野間委員 ちょっともう一点、地元自治体や県との、どういう形がいいかわかりませんけれども、定期的な、密な連携、ぜひその点についても言及していただきたいと思います。

望月国務大臣 どうも申しわけございません。

 引き続き、内閣府が設置いたしました地域防災に関する川内ワーキングチーム、今回ワーキングチームをつくって、さまざまな皆さん、もちろん国もそこに入らせていただいて、鹿児島県、薩摩川内市を初めとする関係市町と緊密に連絡をとらせていただきたいと思います。そして協力して、具体的な課題解決や改善を一つ一つ着実に進めていきたい、このように思います。

野間委員 ありがとうございました。

 次に、いわゆる海岸漂着物対策について御質問したいと思います。

 いわゆる海のごみですけれども、平成二十一年度から二十四年度まで、基金という形で六十億、二十五年度、二十六年度までで百億という形で、かなりな漂着物の回収、焼却等の成果が上がったわけですけれども、二十七年度以降について、まだなかなか決まっていないということを聞いております。

 私ども鹿児島県も離島が多く、非常に漂着物が多いわけであります。とりわけ、甑島が今、来年、国定公園になろうということで指定を受けております。また、今後、奄美群島も国立公園の指定、世界自然遺産への登録を予定しておりますので、こういう観光地におけるごみ、特に海洋漂着ごみの排除をやっていかなければ観光地にもならないということで、ぜひこの制度の継続を地元も望んでおりますけれども、いかがでしょうか。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 海岸漂着物のごみの問題につきましては、地域で非常に大きな問題ということでございまして、法律といたしましては、海岸漂着物処理推進法をおつくりいただきまして、その中でしっかりとした財政措置を講じていくということでございます。

 今先生御紹介いただきましたとおり、平成二十一年から二十四年度に関しましては、海岸漂着物地域対策推進事業によりまして約六十億円、それから、二十五年、二十六年度、今年度までにつきましては約百億円の基金を創設されております。これは、先生御紹介いただきました鹿児島県を初めといたしまして、全国の海岸で、海岸漂着物の回収、処理対策等に御活用いただいているというふうに承知いたしております。

 そういうことで、来年度以降どうしていくのかというお尋ねでございますけれども、これはしっかり、私ども、来年度当初予算として予算要求をさせていただいております。海岸漂着物の回収、処理に係る費用の来年度以降の負担のあり方につきましては、関係者との調整を現在行っているところでございますけれども、いずれにせよ、来年度以降の回収作業に支障が生じないように、最大限努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。

野間委員 ぜひ継続でお願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、漂着するごみの統計をとってみますと、地域によっても違うんですが、特に、九州地方などは韓国、中国からの漂着物が非常に多いわけであります。やはり、この両国に対して、発生を抑制するような働きかけ、主張をやっていくべきだと思いますし、過去、三大臣の会合などでも行われていると思いますけれども、これについて、環境大臣の御所見を承りたいと思います。

望月国務大臣 先生今御指摘のように、我が国に漂着する韓国、中国など外国からの海洋ごみについては、これはもう関係国における発生抑制対策が大変重要である、このように我々も認識をしております。

 このため、関係国との二国間協議の場、あるいはまた、日本、中国、韓国及びロシアから構成される北西太平洋地域海行動計画の多国間の枠組みなど、さまざまなチャンネルを通じて、外国由来の漂着ごみ対策について、関係国との協力を強化できるように積極的に働きかけをしております。

 特に、ことし四月に韓国で開催されました日中韓三カ国環境大臣会合、TEMMと申しますけれども、ここにおいて、日本のイニシアチブのもと、海洋ごみについて、三カ国間共通の重要課題として協力して取り組んでいくとの合意がなされました。

 また、環境大臣、私は、九月に気候サミット、あるいはまた水俣条約の発効に向けて、ニューヨークでの会合に行かせていただきましたが、そのときに、やはりバイ会談で、イギリスだとかフランスだとか韓国、さまざまございましたが、特に、韓国の尹韓国環境部長官にお会いして話をいたしました。韓国も、実は中国の方から大分来ているらしいと。ところが、中国、韓国、そういったものが日本に大分来ている。そういうことで、韓国も、そういう立場でありながら、また被害者でもあるというようなことで、大分話をさせていただいて、意見交換をして、このことについてはお互いに国として積極的にかかわり合いを持ちましょう、そういう話も実はさせていただいているところでございます。

野間委員 ありがとうございました。終わります。

北川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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