衆議院

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第5号 平成28年3月25日(金曜日)

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平成二十八年三月二十五日(金曜日)

    午前八時五十五分開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 伊藤信太郎君 理事 石川 昭政君

   理事 北川 知克君 理事 助田 重義君

   理事 藤原  崇君 理事 福田 昭夫君

   理事 松田 直久君 理事 江田 康幸君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      大串 正樹君    鬼木  誠君

      菅家 一郎君    白石  徹君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      寺田  稔君    福山  守君

      前川  恵君    牧原 秀樹君

      吉野 正芳君    田島 一成君

      中島 克仁君    升田世喜男君

      真山 祐一君    塩川 鉄也君

      河野 正美君    小沢 鋭仁君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    丸川 珠代君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 掛江浩一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            森田 宗男君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    牧元 幸司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中尾 泰久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房参事官)           吉本  豊君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 志村  務君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          青木 昌浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  河野 正美君     谷畑  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  谷畑  孝君     河野 正美君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  堀井  学君     青山 周平君

  菅  直人君     升田世喜男君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小田原 潔君

  升田世喜男君     菅  直人君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     菅家 一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     堀井  学君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る二十三日に行いました福島県における放射性物質汚染対策等に関する実情調査につきまして、参加委員を代表して、その概要を私から御報告申し上げます。

 最初に、楢葉町内において、富岡町の宮本皓一町長と懇談し、町長から、同町が目指している平成二十九年四月の帰還開始を見据えた、復興拠点等における除染未実施箇所の早期除染、除染の効果が低い箇所に対する徹底した再除染、帰還困難区域における除染計画の早期策定と本格除染の実施、中間貯蔵施設の早期整備について要望を受けた後、放射性物質への懸念から壊れた住居のリフォームで生じた廃材が処理業者になかなか受け入れてもらえない現状、多くの町民が帰還を希望しないとする主な原因、ライフラインの整備に対する町民の懸念、除染の目標値や森林除染のあり方等について意見交換を行いました。

 次に、中間貯蔵施設までの車中において、環境省及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社から同施設とその事業の概要について説明を聴取した後、大熊町にある同施設の保管場において、昨年三月から行われているパイロット輸送の状況を視察しました。

 保管場では、福島県内各地から搬入された除去土壌等の確認と場内車両への積みかえ、保管場での定置の状況を見ることができ、帰還困難区域内にある現場において被曝線量に留意しながら作業に従事することの困難さを実感いたしました。

 また、視察先での移動中、車窓から多量のフレコンバッグの積まれた仮置き場が散在しているのが見受けられ、これらのフレコンバッグの受け入れ先となる中間貯蔵施設が双葉郡を初めとする福島の復興に向けて重要な役割を担っていることを改めて認識いたしました。

 その後、福島市内において、双葉町の伊沢史朗町長及び浪江町の馬場有町長と懇談を行いました。

 伊沢町長からは、町の復興に向けた町内の九六%を占める帰還困難区域の除染の推進、建設予定地の地権者に寄り添った形での中間貯蔵施設の建設の加速化について、また、馬場町長からは、平成二十九年三月の帰町目標の達成に向けた除染作業の加速化、帰還困難区域と森林における除染の推進、産業廃棄物処理の適切な実施について要望を受けました。

 その後、なりわいの中で森林資源を活用している地元住民の除染に関する意向、五年後、十年後を見据えた町づくりの構想と国の支援のあり方、中間貯蔵施設建設予定地の地権者の調査に対する町の協力のあり方等について意見交換を行いました。

 当委員会といたしましては、今回意見を交わした三人の町長を初め、東日本大震災から五年を経過しても今なお極めて厳しい条件のもとで地域の再生に向けて御努力を続けられている双葉郡の全ての関係者の皆様に対し、心から敬意を表します。

 また、除染に当たっては、復興を目指す個々の地域の事情に十分な配慮がなされるとともに、除去土壌等を受け入れる中間貯蔵施設の整備が地元の理解を得た上で進められることで、双葉郡全体、福島県全体の再生が一日でも早く実現できるよう、立法調査活動を通じて最大限の支援をするべく、会派や立場の違いを超えて精力的に取り組む必要があると改めて痛感いたした次第であります。

 最後に、今回の視察に当たり御協力をいただきました全ての関係者の皆様に深く御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本哲也君、警察庁長官官房審議官掛江浩一郎君、金融庁総務企画局審議官森田宗男君、林野庁林政部長牧元幸司君、経済産業省大臣官房審議官中尾泰久君、経済産業省大臣官房参事官吉本豊君、国土交通省鉄道局次長志村務君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長三好信俊君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長奥主喜美君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官青木昌浩君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。升田世喜男君。

升田委員 おはようございます。民主・維新・無所属クラブの升田世喜男であります。

 環境委員会で十五分間の質問のお時間をいただきました。感謝申し上げながら質問をさせていただきたいと思います。

 私は、先般、農林水産委員会で、我が地元のみならず漁業の養殖の関係に皆共通することだと思うんですが、ホタテのいわゆる残渣問題なんですけれども、これは、ホタテの養殖かごにつく海から発生したもの、あるいはホタテの貝につくワカメ等々、あるいは小さな貝殻、それを一旦陸に揚げてすぐさま海に投棄すると、それはいけないということで、なぜなんですかという質問をやりとりさせていただきました。

 そうしましたら、環境省の管轄の中で、いわゆるロンドン条約というのがありまして、この条約の中の議定書というのがそれを阻止している、こういうことがわかったものですから、きょうはお願いを申し上げて環境省に議論を望む、こういう次第でありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは一点目なんですけれども、ただいま説明を若干させていただきましたが、ロンドン条約の議定書の中でどのような規定によって海洋投棄ができないのか、まずはこの一点をお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 海洋環境の保全に関しましては、いわゆる予防的取り組みの考え方が国際的に定着してございまして、この考え方に基づきまして、廃棄物の海洋投入処分を規制するロンドン条約の内容が順次改正、強化をされてございます。具体的には、いわゆるロンドン条約九六年議定書というものが平成八年に採択をされまして、我が国は平成十九年に同議定書を批准してございます。

 このロンドン条約九六年議定書におきましては、海洋汚染の防止を一層強化するために、廃棄物等を船舶等から海洋投棄することを原則として禁止をしてございます。また、例外的に投棄が認められる場合においても、厳格な条件のもとで許可をするということが定められてございます。

 この例外的な許可について定めております附属書の二でございますけれども、この中で、海洋投入処分を予定する廃棄物等につきまして、その発生した廃棄物等に関する再利用、リサイクルの可能性がどうか、あるいは陸上処分等他の処分方法の検討を実施しまして、当該廃棄物等の海洋への排出はやむを得ない処分であるということを証明できたものについてのみ海洋投入処分の許可を発給する、こういう厳格な制度がこの条約の中で求められているということでございます。

升田委員 大変恐縮です、答弁をもう一度お願いしたいんですけれども、リサイクルのところは理解できたんですが、その後が、私のリズムの中では早口なのでちょっと理解ができなかったので、もう一度そこをゆっくり、もう一回答弁願えますか。

高橋政府参考人 失礼いたしました。

 リサイクルに加えまして、陸上処分等の、要は海洋投棄以外のほかの処分方法の検討を実施していただきまして、それが可能かどうかということを実施していただいて、海洋への排出がやむを得ない処分方法であるということが証明できた場合にのみ海洋投入処分の許可を発給する。ですから、リサイクルも処分もできないということが明らかになったものについて海洋投入の処分を認める、こういう制度でございます。

升田委員 ホタテ漁の船の上に機械を載せていわゆる掃除をするというか、海の上に船が浮かんで、その船の上に機械を載せて、そこからだと投棄ができるということが国交省の通達で数年前からできているわけでありますけれども、今の答弁の中に含まれていたとは思うんですが、いわゆる船の上からの残渣の海洋投棄はなぜ可能なのか、これを改めてまたお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私の先ほどの答弁は、船で発生したものを船から捨てるというものは含んでございません。今おっしゃられた、船舶で発生した廃棄物を船から捨てるという、この海洋投棄につきましては、これは別の条約でございまして、具体的には、船舶からの廃棄物による汚染の防止のための規則でございますMARPOL条約というものの附属書五というものがございます。これに基づいた規制がなされているところでございます。

 このMARPOL条約附属書五につきましては、この国内担保措置につきまして海洋汚染防止法で規定されておりますけれども、この規定の解釈権限は国土交通省の所管であるということでございます。

升田委員 今の答弁にあったように、海洋汚染防止法というのは、ロンドン条約とMARPOL条約、このMARPOL条約というのは国交省の管轄で、国交省の判断で、通達で、数年前から、船の上に機械を載せて、その上からだと海洋投棄してもいい、こういうことは私も勉強させていただいて理解をしております。

 くどいようですけれども、一旦陸に揚げたものがなぜできないかということをもう一度聞きたいんですが、きょうは、お許しいただいて、ここに牛乳を出させていただきました、小道具として。ここが海だとします。これは牛乳です。それで、ホタテの残渣の作業というのは海際ですから、目の前が海で、この辺が作業場なんです。私も現場に行って体験しましたのでわかります。ここが海です。ここが陸です。ここにあるこの牛乳を、これは残渣ですけれども、これをこのまま海に捨てるのはオーケーなんです。認められているんです、今やっている。これが、ここに一旦来てこう来ると、産業廃棄物ということで、出せない。

 しかし、中身は牛乳ですよ。同じなんです。実は、投棄されるものが全く同じなんです。しかも、海から揚げたものが、二日も三日も四日も一カ月も一年もたってから戻すというわけじゃない、現場でいくと。それは二時間、長くても三時間なんです。それでもって、捨てるのはいけないと。

 丸川大臣、よく聞いてください、大臣でございますから。

 二トン生産すると、残渣は一トン出るんです。三百万生産額であるとすれば、その処理費用に、平舘という地域でありますけれども、漁師が全部負担する場合は三分の一、百万かかるんです。いわゆる残渣処理の費用に百万、三分の一ですよ。六百万生産額があったら二百万です。これは相当厳しい。それで、ホタテで、いわゆる養殖で生きている漁師さん、平舘という地域名を出して恐縮でありますけれども、七十五の漁師さんがあるのが、毎年三軒やめているんですよ、このお金の分が帳尻が合わないということで。

 ですから、私はあえてきょうはお願いして、中身が変わるならば理解できます。そのことによって海の汚染が広まるということがわかるならば、これは理解できます。

 もう一度言います。

 ここからここの作業の時間はわずかに二時間か三時間しかありません。これは山のものでも、あるいは、建設の廃材とかビルの残骸とかそういうものではありません。海から発生したものを海に戻すということをだめにしているから、漁師が苦しんで廃業している。今、地方は人口減少です。こういうことを考えていきますと、なぜそれができないのかというのが、全くもって不思議でならないんですね。

 これは次の質問項目にもう一点ありましたけれども、もう既に網羅されておりますので、私、ここで私のこのやりとりを拝見している丸川大臣にひとつ御感想を求めたいと思うんです。

 その前に、もうちょっと臨場感を出させるためにちょっと説明しますけれども、朝、大体一時か二時に起きて海に行くんです。帰ってくるときは三時あるいは四時。四時ごろですね、四時になると明けてきますから、四時あるいは四時半。そのときに、近所の奥さん方が待っているんです。ですから、奥さん方が五人も六人も待っていて、時給は幾らかけているかわかりませんけれども、そういう地域のコミュニティー、きずなでもって一生懸命、ようやくそのなりわいが成り立っているんですよ。

 しかし、ここにあるものをここから捨てるのはオーケーですが、一旦この辺に持ってきて二、三時間後にここに捨てるともうだめですよと。ですから、国交省の方では機械をつくりました。その機械を船の上につけて捨ててくださいと。四百万です。本人負担は百万円です。なぜまた漁師さんに負担を求めるんですかという、私はこれは不条理だなと思っています。

 以上のやりとりで、大臣の御感想を求めたいと思います。

丸川国務大臣 私、浅虫温泉に長年つき合っている友人がおりまして、立派なホタテを御紹介いただいたことがございます。先生のお話をお伺いしまして、ああ、あの立派なホタテはそういう皆様方の御苦労の上に我々の食卓に届いているんだなということを改めて実感させていただきました。

 大変厳しい状況の中で従事されているということ、また、費用負担も、生産の現場でそれだけの負担が出ているということは生産者の皆様にとって大変なことであるということも実感をいたしました。

 農林水産委員会で先生がこのようなお話をされたことについては農林水産大臣からもお話を伺っておりまして、先生が大変な熱意を持ってこの問題にお取り組みだということもあわせてお伺いをしております。

 私どもとしても、どうすれば漁業者の皆様方が日々生計を守りながら、また私どもの所掌であります海洋環境の保全ということが実際になし得ていくのかということを、よく農林水産省とも、また国土交通省も船の上での作業について所管をされているということでございますので、今後よく相談をしてまいりたいと思っております。

升田委員 間もなく時間が来たようでありますが、ぜひ、委員長初め委員の皆さんの御理解をいただいて、一点だけお許しください。

 もはや、ロンドン条約、これは現場で合わないと思うんですよ、私は。これを変えるためにはどんな手続が必要なんですか。

赤澤委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

高橋政府参考人 これは外務省の所管でございますけれども、議定書上は、改正を提案する場合は、締約国の三分の二以上の多数によって議決をされる、締約国会議等で議決をされて採択されるということになってございます。

升田委員 終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、松田直久君。

松田委員 おはようございます。民主・維新・無所属クラブの松田でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 一昨日、この委員会で福島の方へ視察に行かせていただいて、先ほど委員長の方から御報告がありました。非常に短い時間ですけれども、委員長のお計らいもよく、いい視察をさせていただいたなと思っておるところでございます。

 現場の三町長とも懇談をさせていただきましたし、復興現場の最前線で頑張っておられる各町長さんのさまざまな御要望を聞かせていただきました。

 その中で、先ほど委員長の御報告にありましたように、やはり、国の除染作業が一体いつまで続くのかという、町全体が帰還困難、居住制限、避難指示解除準備と各区域指定に分けられている場合、仕方がないとわかっていても、各区域の線引きにより、町、町民一体の町づくりが非常に厳しいというようなお話です。

 環境省は、今月、最新の国直轄除染の進捗状況を発表しました。その中で、現在、除染作業中で、訪問しました浪江町では、宅地の除染実施率が四四%、農地三六、森林六一、道路六八となっておりまして、日常生活に密に関係のある場所においても、まだ進捗が半分に満たない。

 政府は、平成二十九年三月までに全て除染を終了するということを目標とされていますが、震災発生から五年がたった現在においても五割に満たないという現状、除染の進捗の加速化、目標の達成に向けた今後の取り組み方針を伺いたいなと思っています。

 また、除染範囲について、環境省は、生活圏から二十メートル以内と、キャンプ地やキノコの栽培などで人が立ち入る場所に限り実施対象としてきましたが、今月に入り、避難区域内の住民が身近に利用してきた森林であります里山十カ所程度をモデル地区と選んでいただいて、除染の実験をしていただくと決めていただいた。

 地域における里山は、住民の生活圏の一部であり、山とともに歩んできた地域では、町づくりをしていく上で非常に大事な場所だと考えております。さらに、川上の奥山に当たる森林は、地場産業の林業を支え、また生活用水等の水源地として非常に重要な役割をしています。

 そこで、今後、福島県の七割、特に浪江町は帰還困難区域の七割が森林だというふうにお聞きをしていますけれども、森林に対する除染範囲のさらなる拡大を望みますが、あわせて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

丸川国務大臣 除染について御質問いただきました。

 福島を初めとする被災地の復興にとって、この除染がしっかりと進んでいくこと、そしてお約束した期限のうちに完了することは極めて重要だと思っておりますので、さらにスピード感を持って今後取り組んでいく予定でございます。

 国直轄で除染を行う地域については、十一市町村のうち六市町村の全体並びに飯舘村の宅地部分では計画に基づいた面的除染を終了しておるところでございますが、残りの市町村についても、平成二十九年三月の計画どおりの除染の終了ということに向けて最大限努力を行ってまいります。

 今、森林の除染ということについてお伺いをいたしました。

 私どもも、委員の先生方がお会いになったそれぞれの首長さん初めさまざまなお立場の方から御意見を伺いまして、復興庁また林野庁と議論をいたしまして、各省庁がこれまで取り組んできた施策を徹底したりあるいは拡充をして、また、加えて、新たな施策を織り込みました福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組ということで包括的にまとめました。

 これはまさに御指摘のとおり、福島が林業県であり、そして多くの皆様が、里山に囲まれて、森とともに暮らしてきたという、そのふるさとへの思いをしっかりと私どもが受けとめて、少しでも里山とともにする暮らしというものを取り戻すために、ともに努力をしていくという姿勢とその方針を明らかにしたところでございます。

 特に、今までやってきた除染についても、よりきめ細かく御要望に従ってやるということと同時に、里山再生のためのモデル事業を設定いたしまして、こうしたものの中で、広葉樹林の整備であるとかあるいは線量マップをつくること、またさらに、奥山の林業の部分に関しては、林業の作業に当たる方に対してガイドブックをお示しして、そしてこれは林野庁の分野になりますけれども、切った木を木質バイオマスで利用することに復興加速化交付金を使わせていただくことなど、幅広く、なおかつ地元の御要望に沿ってこれからも進めていく所存でございます。

松田委員 特に、最後に森林について馬場町長さんからお話をいただいたんですけれども、森林は水源地を持っております。その辺のところの住民の方々の心配とかいうのも、これはやはり住民の側から立ったら当然のことであって、その辺の安全はどこまで確保できているのかとか、そういうところもあわせてしっかりと情報発信をしていただきたいなと思っているんです。

 聞き取りのときにいろいろお話を伺いましたけれども、やはりまだまだ情報が錯綜していまして、まだ安心につながっていないということだと思いますし、先般、里山の質問をさせていただいたところ、早速そういう形に目を向けていただいて、やはり憩いの場所というか、やはり今まで住んでいた里山があるのとないのとでは住民の方々の気持ちというのは大きく違うと思いますので、ぜひとも推し進めをいただきたいと思います。

 続きまして、温室効果ガスについて、地球温暖化に対しての質問をさせていただきたいと思います。

 我が国の温室効果ガスを二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%削減する目標を掲げ、これまで環境委員会でも何回も審議を重ねてきました。

 現状は、二〇一三年度の温室効果ガスの総排出量は約十四億八百万トン、京都議定書第一約束期間の一九九〇年に比べて総排出量比で一〇・八%増加をしています。

 部門別の間接排出量の構成を見ますと、一九九〇年では、家庭部門が全体の一一%、商業、サービス、事務所等の業務部門が約一二%を占めていましたが、二〇一三年度は、家庭部門が一五%、業務部門が二一%と増加しており、家庭部門と業務部門の排出量が大きく増加をしたことによりまして総排出量が一〇・八%も増加につながったということであります。

 そこで、二〇一三年度の温室効果ガスの総排出量が一九九〇年度比で一〇・八%増加していることに対して、環境省の見解を求めたいと思います。

 また、さらに、環境省としては、国内では業務と家庭の分野で大幅な削減を行う必要があるとしていますが、一九九〇年度比、業務部門では一〇八・五%の増加、また家庭部門では五三・二%の増加としている状況から、これまで環境省がどのように取り組んできたのか、温暖化対策の施策効果についても同様に質問をさせていただきます。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 一九九〇年からの温室効果ガスの排出量の伸び、特に、今先生御指摘いただきました業務部門と家庭部門が非常に伸びております。

 これらの原因でございますけれども、まず、業務につきましては業務床面積が、そして家庭については世帯数が九〇年以降一貫して増加傾向にあるということが一つの大きな要因でございますし、また、二〇一一年度以降につきましては、原子力発電所の停止に伴います火力発電からの排出量が増加をしている、そして電力の排出原単位が大幅に悪化したことが大きな原因となってございます。

 今申し上げましたように、業務部門そして家庭部門の排出削減のためには、当然ながら、結果としまして、電力の排出原単位の改善に加えまして、それぞれのところでの省エネ対策が非常に重要になってくるということでございます。

 環境省といたしましては、業務部門におきましては、オフィスなどの業務ビルの照明、空調機器等の改修を促進することが必要であるというふうに考えておりまして、工場、事業場を対象といたしましたCO2削減ポテンシャル診断等によります支援、そして、工場、事業場等で共通的に使われます空調、給湯器等の機器に関しまして先導的な炭素技術が導入されていただきますように、それをリスト化して公表するL2―Tech製品の情報発信等を実施しているところでございます。

 また、家庭部門におきましては、高効率照明の導入あるいは住宅の省エネ改修等を促進する必要がございまして、各家庭のエネルギー使用状況でございますとかライフスタイルに合わせたきめ細かなCO2削減対策の提案を行います家庭エコ診断事業等を実施させていただいているところでございます。

松田委員 御説明はいただいたんですけれども、一〇八・五%、倍増しているんですね、一九九〇年から。今御説明いただいた取り組みで本当に目標値を達成できるのか。恐らく、今の御説明では不十分というか、これはかなり厳しいんだろう、私はこう思っています。

 ですから、やはり家のがふえるのはわかります、業務の床面積もふえるのはわかりますけれども、それは承知の上でどうするかということにお取り組みをいただかなければ、これはもうわかっていることですので、今さらながらの話ですので、しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、先に進めさせていただきます。

 三月十八日の環境委員会における大臣の御答弁で、地球温暖化対策に対して徹底した省エネ、再エネに取り組んでいくという発言がございました。その取り組みの重要性は、地球温暖化対策の推進に関する法律第八条に基づく地球温暖化対策に関する計画、いわゆる地球温暖化対策計画案の記載の中からも理解できます。

 特に、環境省が直接関連するエネルギー起源二酸化炭素の各部門の排出量の目安では、家庭部門からCO2排出量を、二〇一三年度実績二億百万トンCO2から二〇三〇年度の排出量の目安一億二千二百万トンCO2と、約四〇%削減する計画になっています。数字だけを見ると、二〇三〇年までに毎年三%削減を課すという計画になっている。

 家庭のエネルギー使用量は、震災前の二〇一〇年と比較すると、二〇一三年度では約七・四%のエネルギー使用量が削減できています。三年で七%。国民が一致団結した成果だとも思うんですが、今回の地球温暖化対策計画案では、より高いハードルを国民にお願いすることになると思います。それを踏まえて、大臣の徹底した省エネの発言にそれがつながっているものだと思います。

 そこで、これらの省エネについて、国民一人一人に対してどのような形の施策として反映をされていくのか、大臣にお伺いをしたいと思います。

 さらに、省エネ法は、工場とか輸送とか建物、機械等のエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置を目的とするものであって、国民一人一人に省エネを勧めるものではないと思います。それに対して、地球温暖化対策の推進に関する法律では、第六条に、国民の責務として、「国民は、その日常生活に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を講ずるように努める」とございます。国民一人一人に対して省エネ活動を求めていると思います。

 この六条の「措置を講ずる」という文言でも、果たして徹底した省エネまで求めているのか、つながるのか。また、今後、省エネ法のような削減目標を、国民一人一人に通じる家庭部門にも課すのかどうか。大臣の見解をお伺いします。

丸川国務大臣 家庭、業務部門、特に家庭部門について、これからどのような取り組みができるのかというお話でございました。

 まずは、私どもの掲げている二〇三〇年度目標達成に向けて四割という削減をしなければいけないということを共有していただくことが重要でございまして、これは、共有するという意味での目標という理解でございます。

 そして、一人一人の意識変革のために国民運動をということで、これからチームをつくって展開をさせていただくことにしておりまして、既に昨年から、クールチョイスということで、国民の皆様方が自分の生活の中で何か選択するときに、環境に優しい、そしてCO2削減につながるような選択をしていただくということをキャンペーンとしてやっておりますけれども、これをより具体的に取り組むようなことをしていきたいと思っておりまして、今、そのクールチョイス推進チームというのをこれからつくらせていただいて、実際の計画を立てていこうと思っているところでございます。

 工場や業務部門においても設備の更新時は非常に大きなきっかけでございますが、家庭においても、やはり電球を取りかえるときですとか、リフォームをしていただくとき、あるいは給湯器を取りかえていただくとき、こういう設備の更新時に、環境に優しい、CO2をより出さないものにかえていただくということが非常に重要でございます。

 我々の建物は厚労省と環境省が入っている合同庁舎なんですが、三階のフロアにLEDを全て導入しまして、今入っていないフロアと比べましたらば、電気にかかるお金だけですけれども、六割削減することができました。

 やはり、LED化というのは一つの大きな削減のかなめになると思いますので、家庭においてもこうした、LEDにすると初期コストはかかるかもしれないが、最終的にはきちんと電気代が下がるということで、相殺もできる上に、環境にも非常に優しく、効果がある、廃棄物を出すというサイクルの上においても、長期間使っていただけますので、廃棄物としても少ないということが、御家庭の皆様に見える形で伝わるような工夫をこれからさせていただこうと思っております。

松田委員 LEDはこのように今から普及していかなくてはいけないんですけれども、それだけでは本当に十二分なのか。今の私が数字を挙げさせていただいたものを抑制できるというか、それで十二分なのか。大臣がいつも言われていますイノベーション、それもやはり家庭にしっかりと導入をしていくということが必要だと思うんですね。それにはやはり、家庭の負担もこれからどうなっていくのか、我々がその負担をするのか。

 例えばイノベーションなんかでも、国が例えばエコカーとかいろいろなことの推進にもつながっていくのかなというようなことが、恐らくいろいろな形で今考えられているとは思うんですけれども、そういったことも含めて、将来、イノベーションも含めて、個々の家庭にしっかりとした考え方というのをやはり啓蒙していかなくてはいけないというふうに思いますので、大臣、先頭に立ってひとつお考えをいただきたいと思います。

 もう一分少々になったものですから、最後に質問させていただきたいのは、先般、三月の四日ですけれども、林経済産業大臣が、閣議後記者会見で、二〇五〇年に八〇%のCO2の削減という長期的な計画、これについては現状の対応では非常に厳しい、こう記者会見で言われました。

 その後大臣も、この発言を取り上げ、地球温暖化対策の長期目標達成の見通しは、現状の対策では非常に厳しいというような形で、大臣も言われています。そのためには社会構造のイノベーションが必要であるという提言をいただいておるというような発言がございました。

 経産大臣がああいうことを言われるということは、自分のお立場で言われているんですけれども、やはり私とすれば、この経産大臣の発言をかき消すぐらいの丸川大臣の思いというのを、やはりそこで切り返して伝えていただきたいなというのが実は私の思いだったんですけれども、あえてここで、経産大臣の言葉に対して、いやいや、こうなんですよというようなことがあれば、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 二〇五〇年八〇%の削減は、既成の、今までの取り組みの延長線だと思えば確かに厳しいかもしれません。でも、私たちは、まさに委員が御指摘になった革新的なイノベーション、技術の力、そして私たち国民一人一人の思いによって必ずたどり着ける目標だという思いを持って臨んでおりますので、ぜひとも今後ともお知恵をいただいて、国民からも広くお知恵をいただいて、しっかりとこの目標を目指してまいりたいと思います。

松田委員 今の大臣の思いが国民一人一人にしっかりと伝わることを願って、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 二十三日は福島県内の視察、大変御苦労さまでございました。多くの勉強をさせていただきました。

 福島の復興を促進するためには、まず何といっても福島第一原発の廃炉作業が順調に進むこと、そして、除染が進んで放射線量が安心して生活できるレベルまで下がることが重要だということを改めて確認をしてまいりました。除染については同僚委員から質問があると思いますので、私からは、きょうは中間貯蔵施設と指定廃棄物について環境省の考えをただしてまいりますので、大臣以下、簡潔にお答えをいただければと思います。

 まず、福島県の中間貯蔵施設の整備と特定廃棄物の処理の進め方についてであります。

 一つ目は、中間貯蔵施設は福島県内の何を貯蔵するのか、改めてお伺いをしたいと思います。

丸川国務大臣 中間貯蔵施設は、放射性物質汚染対策特措法に基づいて整備をするものです。

 この施設では、福島県内の除染に伴い発生した土壌や廃棄物、一キログラム当たり十万ベクレルを超える焼却灰などを貯蔵することとしております。

福田(昭)委員 今大臣に改めて確認をいたしましたが、一つは、仮置き場等に保管されている除染に伴う土壌や廃棄物、そして、二つ目として、十万ベクレルを超える放射能濃度の焼却灰など、こうなっております。

 先日視察したときに、そうかなと思いましたけれども、除染土壌などの推計発生量は最大約二千二百万立米で、五つに分類されておりますけれども、そのうち十万ベクレルを超えるものは約三万立米、パーセンテージにして〇・一四%となっております。九九・八%は十万ベクレル以下となっているわけでありますが、先日の大熊町のパイロット事業の輸送の現地では、一つ一つどうも放射性廃棄物の中身と線量を再測定しているようでありましたが、それで間違いありませんか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 パイロット輸送におきましては、仮置き場から中間貯蔵施設、仮保管場にフレコンを搬送する際には、フレコン一つ一つの表面線量、これをはかることによって内部の土壌等の濃度を確認するということをしてございます。

福田(昭)委員 大量の廃棄物についても再測定をしているということであります。

 そこで、二つ目でありますが、二つ目は、福島県内の特定廃棄物、指定廃棄物と対策地域内廃棄物は、何をどのように処理するのか、お伺いしたいと思います。

 まず、資料の一をごらんください。福島県内で発生した指定廃棄物については、八千ベクレルを超え十万ベクレル以下のものは既存の管理型処分場、つまりフクシマエコテックセンター、そして、十万ベクレルを超えるものは中間貯蔵施設に搬入するということになっておりますが、これで間違いございませんか。

鎌形政府参考人 福島県内の指定廃棄物につきましては、十万ベクレル以上のものは中間貯蔵施設へ、そして十万ベクレル以下のものにつきましては既存の管理型処分場に搬入するということとしてございます。

福田(昭)委員 そうすると、同じ福島県内で発生した指定廃棄物を、中間貯蔵施設へ保管する廃棄物と区分する、わざわざ分ける理由はどこにあるんですか。

鎌形政府参考人 十万ベクレル以下と十万ベクレルを超えるものとで区別しているわけでございますけれども、十万ベクレル以下の特定廃棄物につきましては、既存の管理型処分場で安全に処分できるというところから、双葉郡内にあり、かつ十分な残余容量があるフクシマエコテックを活用して処理することとしているものでございます。

 一方、除染に伴い発生する土壌や十万ベクレルを超える廃棄物につきましては、福島県内では、他の都道府県と比較して、濃度の高いものも含めて大量に発生していることなどを勘案いたしまして、十万ベクレル以下の廃棄物を搬入する施設とは別に中間貯蔵施設を整備して、そこに搬入するというふうな方針にしているところでございます。

福田(昭)委員 私は、分ける必要はないと思うんですね、同じ福島県内の廃棄物ですから。

 そこで、三つ目の質問なんですが、中間貯蔵する廃棄物と指定廃棄物の種類と量についてであります。

 資料の二をごらんください。これは、私の事務所が環境省の資料によりまとめたものであります。廃棄物の種類と量を一覧表にしました。この表を見れば一目瞭然、中間貯蔵施設と管理型処分場へ分ける必要はないと思いますが、よく見てください。

 今部長から答弁がありましたけれども、中間貯蔵施設に貯蔵する廃棄物は、一応、五分類。一番目が、八千ベクレル以下の土壌など約一千六万立米、二つ目が、八千ベクレル超から十万ベクレル以下の土壌など約一千三十五万立米、三つ目が、十万ベクレル超の土壌など約一万立米、四つ目が、除染廃棄物の焼却灰約百五十五万立米、五つ目が、十万ベクレル超の対策地内廃棄物など約二万立米で、合計約二千百九十九万立米であります。

 一方、指定廃棄物最終処分場、管理型処分場に処分する指定廃棄物については、一つ目が焼却灰、一般廃棄物と産業廃棄物の焼却灰が十万五千七百八十九・一トン、そして二番目が浄水発生土で、上水と工業用水の工水で二千四百四十九・三トン、そして三番目が下水道汚泥で、焼却灰を含んで一万五十・二トン、それから四番目が農林系副産物、稲わらなどが二千九百九十六・五トン、その他、五番目、一万二千六百六十七・五トン、合わせて十三万三千九百四十六・六トンであります。

 この表を見ていただければよくわかりますように、実は全て中間貯蔵施設に貯蔵することが可能な指定廃棄物となっております。したがって、わざわざ福島県内のものを分ける必要はないと思いますけれども、どうでしょうか。

鎌形政府参考人 まず、既存の管理型処分場、フクシマエコテックを活用するということにつきましてでございますが、福島県内の指定廃棄物がおよそ十八万立米入るというふうに想定してございますが、そのほかにも、対策地域内廃棄物、いわゆる旧避難区域の瓦れきなどの四十四万立米、それから双葉八町村の十年分の生活ごみ、こういったものをあわせて管理型処分場で処理する、こういう計画にしてございます。

 そして、そういった計画も含めて、国の方から福島県及び四町に対して中間貯蔵施設と既存の管理型処分場の活用ということをお願いして、苦渋の決断ということでございますが、受け入れられたという経過がございます。

 こういった経過で成り立ってきているというもので、この方針で臨んでいきたいと思っております。

福田(昭)委員 その考え方もわかりますけれども、しかし、やはり指定廃棄物と、一般廃棄物、産業廃棄物は分けるべきじゃないですか。

 ですから、仮にエコテックセンターを使うにしても、そちらは対策地域内の一般廃棄物と産業廃棄物を処分して、指定廃棄物は中間貯蔵施設に貯蔵する、こういう考え方の方がすっきりするんじゃないですか。どうですか。

鎌形政府参考人 繰り返しになりますけれども、今回の除染に関する土壌や廃棄物の処理と、そして対策地域内廃棄物、そして福島県内全体の指定廃棄物、これをどう処理していくかということにつきまして総合的に検討した結果、双葉町、大熊町に中間貯蔵施設を、そして富岡町にございますフクシマエコテックにつきまして活用していく、こういうことで、全体として、福島県及び地元四町に対して申し入れたということでございますので、このプロセスを重んじていくことが大事かと思っております。

福田(昭)委員 部長、宮城県の再測定で、放射線量が大幅に減少するということはよくわかったわけですよね。五県のものも推計をしてみたら、相当下がるということがわかったわけであります。ですから、福島県内の指定廃棄物も、再測定したらば結構下がるということがわかってくるんじゃないですか。

 そうなったら、本当に、中間貯蔵施設におさめるべきものと、それからまさに、対策地域内で出てくる一般廃棄物と産業廃棄物はエコテックセンターにおさめる、こういう区分けをしないと、環境省が考えてきたことが矛盾してきちゃうんじゃないですか。どうなんですか。

鎌形政府参考人 福島県内の指定廃棄物につきましては、先ほど来申し上げているとおり、管理型処分場を活用した埋立処分など、その処理方針を私どもとしてまず決めておるということがございます。また、指定廃棄物の量が他県に対して非常に多くて、最近でもまだ新たに指定を受ける廃棄物があって、その量が増加しております。また、指定廃棄物の減容化処理に伴って、減容化処理された指定廃棄物の濃度が上昇していくということがございます。また、福島県内では八千以下の廃棄物の処理も逼迫している、こういうような事情でございます。

 そういうことがございますので、他の五県と状況が異なりますから、八千ベクレル以下のものを、再測定して指定廃棄物の量を減らして処理を進める、そういう状況ではないというふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは、四つ目の方に行きたいと思いますが、フクシマエコテックセンターの活用についてであります。

 資料の三をごらんいただきたいと思っておりますが、実は、この件については、先ほども答弁ありましたけれども、福島県と富岡、楢葉両町から同意を得たとしております。しかし、両町に反対運動があるのは御存じですか。

丸川国務大臣 エコテックの搬入路に当たります楢葉町の繁岡、上繁岡行政区の住民の皆様の中に、エコテックの特定廃棄物の受け入れについて御理解をいただけない方々がいらっしゃるということは承知をしておりまして、私どもの担当者が関係の皆様方のところへ御説明や、御意見を伺いにということで御訪問をさせていただいております。

 住民の皆様の御理解というのは非常に重要でございますので、今後とも、町とよく相談をさせていただきながら、地元の皆様方の不安の解消につながるような意見交換、また情報の提供をさせていただいてまいります。

福田(昭)委員 大臣、町と相談しても反対運動はとまらないんですね。なぜかというと、楢葉町の議会は反対の方が多いんですよ、議員は。にもかかわらず町長が一存で賛成をしてしまったということで、反対運動はこれからますます大きくなると思うんですよ。

 なぜそうなるかというと、国も県も、地元の要望を三つのうち二つしか聞いていないんです。

 それはどういうことかというと、地元の要望は、まず一つは、国が管理する、民間じゃだめだということが一つ。それから二つ目は、福島第一原発により近いところで、放射線量の高い帰還困難区域に設置してくれというのが二つ目です。三つ目が、地域振興策であります。そのうち一番大事な、福島第一原発に近い帰還困難区域の設置になっていないからであります。

 それは、もしこのエコテックセンターが指定廃棄物の最終処分場になれば、若い人が帰ってこなくなる。エコテックセンターがある地域は居住制限区域ですから、将来除染をすれば帰ってこられる地域になるんじゃないか、しかしここに最終処分場ができたのでは若い人が将来帰ってこなくなっちゃうということで、実は反対をしているわけであります。そのことを、国も県も全く実は酌み入れていないわけであります、地元の要望を。ですから、町長が賛成しても、議会の多数は反対、住民の皆さんが反対運動を続けているわけであります。

 どうですか。改める考えはありませんか。

鎌形政府参考人 フクシマエコテックの富岡町、楢葉町への受け入れの要請につきましては、それぞれの町の議会で、複数回にわたりまして全員協議会での御説明を積み重ねました。

 それぞれ御意見もございまして、御指摘のとおり、例えば富岡町の議会では、富岡町の中の帰還困難区域につくるべきではないかというふうな御意見もございました。これに対して、私たちは、これだけの量の廃棄物を安全に処理するためにはまとまった施設をつくるだけの面積をとるということはなかなか難しい、こういったことなどを御説明してきたというところでございます。

 そういう中で、それぞれの議会での御意見なりを踏まえた上で、両町長が苦渋の上で受け入れという御判断に至ったというふうに考えております。

福田(昭)委員 以前の部長とのやりとりで、この福島県には指定廃棄物の最終処分場をつくる場所も、また時間もない、こういう答弁がありましたが、実はそんなことは全くないんですね。

 私も、福島第一原発と中間貯蔵施設の周辺の航空写真を手に入れておりますけれども、その中で、緩衝地帯となっている地域は全て田んぼです。広い場所がたくさんあります。

 そしてしかも、お金も、どうも今まで聞いてきた話では、各県に一カ所ずつ最終処分場をつくるとなると、一カ所概算三百億かかるというんですよ。五カ所つくったら千五百億ですね。そんなことを考えたら、ここに、福島に一カ所つくってまとめれば、どうってことない話にも実はなるわけであります。その話はこれ以上しませんけれども。

 そこで、ぜひ、私が先ほどから申し上げているとおり、指定廃棄物は十万ベクレル以下も中間貯蔵施設に保管して、エコテックには一般廃棄物と産業廃棄物だけを処分するようになれば、反対運動はおさまるんじゃないですか。どうですか。これをもしこのまま強行すると、政争の町になりますよ。そうなったらこれは収拾がつかなくなると思いますが、そこまで考えていますか。

鎌形政府参考人 フクシマエコテックにつきましては、先ほども申しましたとおり、中間貯蔵施設とある意味一体の位置づけの中で県と四町に要請をいたしまして、受け入れていただいたということでございます。地元の住民の中には、さまざまな御意見がおありだとは思います。そういったことも踏まえて、両町長が苦渋の決断をされたということだと思います。

 そういう意味で、私どもは、その決断を受けとめて、住民への説明もしっかりと続けながら対応していきたい、こういうふうに考えております。

福田(昭)委員 この問題はこれ以上追及しませんが、私が心配している政争の町になっていったのでは収拾がつかなくなっていくということだけは申し上げておきたいと思います。

 次に、五県の指定廃棄物の現状と対応方針についてであります。

 まず、一つ目でありますが、指定廃棄物の再測定の目的と実施計画についてであります。

 先日、再測定の目的については、大臣から、現状をまず把握すること、そして今後の方策を検討することとお聞きしておりますので、きょうは、その実施計画が立てられているのかどうか、それをお伺いしたいと思います。

鎌形政府参考人 先般の委員会で大臣から御答弁申し上げましたとおり、再測定につきましては、一時保管の現状を把握し、今後の方策を検討するという目的で実施するということでございます。

 再測定の実施に当たっては、県、市町村、保管者の御理解が不可欠ということで、これらの関係者と調整をして対応していくということとしてございます。

 よって、今、あらかじめ期限を定めていつまでに何をするという実施計画を策定しているというところではございませんが、今後、少なくとも栃木県につきましては、現在、やるということで方針を固めてございますので、関係者との調整に今入っているという段階でございます。

福田(昭)委員 それでは、二つ目でありますが、まだどこも決まっていないようでありますが、五県の現状と対応方針についてであります。それぞれ五県について伺いますので、簡潔にお答えください。

 まず、茨城県についてであります。

 二月四日、第二回の茨城県一時保管市町長会議において、現地保管継続、段階的処理が決まったということでありますが、どういうことなのか、簡潔にお答えください。

鎌形政府参考人 茨城県の動きでございますけれども、御指摘のとおり、二月四日の指定廃棄物一時保管市町長の会議におきまして、知事、市町長の御意向を受けて、八千ベクレル以下になるまで長期間を要さない指定廃棄物、茨城の場合には、過半のものが相当早く八千ベクレル以下になるということでございますが、そういった指定廃棄物につきましては、現地保管を継続し、減衰後、段階的に既存の処分場などで処理するという方針を決めたということでございます。

 また、一方、八千ベクレル以下になるのに長期間を要する比較的濃度が高いもの、ごくわずか残ります。これにつきましては、災害リスク等の観点から、県内一カ所に集約することが望ましいという方針を私どもとして維持しているというところでございます。

 現在、保管場所の現地確認を改めて行っているというところでございます。県や保管市町の御要望を伺いながら対応していくということでございます。

福田(昭)委員 茨城県については、当面の方針が定まったということであります。

 次に、宮城県についてであります。

 宮城県につきましては、三月の十九日、市町村長会議を開催して、クローズなので中身がオープンになっておりませんが、村井知事は、三候補地の首長から白紙撤回の表明を受けて、候補地の再選定を含めて協議をする方針をマスコミに発表いたしておりますけれども、そして、そのことを井上副大臣に対して、詳細調査をしないように申し入れたとの報道がありますが、これは正しいんですか。どうなんですか。

鎌形政府参考人 三月十九日に開催されました市町村長会議で、私どもから再測定結果や方針につきまして御説明いたしました。その後、私どもが退席した中で県と市町村長との間で議論がなされたというふうに理解してございます。

 その中で、詳細調査につきましてはさまざま議論を続けていくということでございますので、議論になったのは、八千ベクレル以下のものをどう処理していくかとか、そういったさまざまな議論があるということでございますので、詳細調査については凍結するように国に申し入れる、こういうようなお話があったと聞いております。

 それを受けまして、村井知事の方から井上副大臣の方に、そのような詳細調査の凍結という申し入れがあったということでございます。

福田(昭)委員 それを受けてなんだと思いますけれども、丸川大臣が記者会見で、宮城県については、当面、詳細調査は行わないと発表しているようでありますが、そのとおりで間違いありませんか。

丸川国務大臣 村井知事から井上副大臣を通じて、詳細調査候補地の調査について凍結をしてもらいたいということで御要望がございまして、これについて、私ども、最大限尊重させていただきまして、その御意向に沿うつもりでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは次に、千葉県についてであります。

 千葉県については、千葉市からの再協議の申し入れがあり、平成二十七年、昨年の十二月十四日に回答したそうでありますが、どのような内容なのか、お伺いをしたいと思います。

鎌形政府参考人 千葉県につきましては、昨年四月に東京電力千葉火力発電所の土地の一部を詳細調査候補地として選定したところでございますが、その後、六月に千葉市長から、指定廃棄物を排出自治体内で保管するための再協議を求める申し入れをいただいたところでございます。これを受けまして、十二月には環境省から回答させていただきました。

 環境省からの回答につきましては、県内一カ所に集約して処理する方針は堅持する、こういう旨を回答したところでございます。そういった内容の回答をしたというところでございます。

福田(昭)委員 そうすると、千葉市に対しては、そのまま分散保管を認めるということは全く判断していないということですね。

鎌形政府参考人 環境省から県内一カ所に集約して処理する方針というものを伝えたということでございまして、この方針については変わっておりません。

福田(昭)委員 それでは、千葉県については再測定する計画はあるんですか。

鎌形政府参考人 再測定につきましては、現状を把握した上で今後の方針を考えていくということで、重要なものというふうに位置づけてございます。

 現在、千葉市について行うというようなことは決めてございませんけれども、県などとよく相談していきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは次に、群馬県についてであります。

 群馬県は、平成二十五年以来全く動きがないようでありますけれども、実質、分散保管となっておりますが、群馬県とは接触しているんですか。また、再測定の考えはあるんですか。

鎌形政府参考人 群馬県につきましては、これまで市町村長会議を二回開催しておりますが、いまだ処理方針は決定していないということでございます。

 今月の十一日になりますけれども、群馬県とそして指定廃棄物を保管している市と村の担当者にお集まりいただきまして、指定解除の仕組みの案とか、あるいは県内の指定廃棄物の一時保管の状況について説明を行ったというところでございます。そういう意味では、接触して、説明、意見交換をしているというところでございます。

 環境省といたしましては、群馬県において県内一カ所に集約して管理するという方針に変更はございませんが、今後、県や保管市村と相談してまいりたいと思います。

 再測定につきましても、どうするかということは県と相談していきたいと思っております。

福田(昭)委員 そうすると、千葉県についても群馬県についても、まだ再測定をするかどうかは決まっていない、そして、両県に対しては、あくまでも今までの環境省の方針である各県一カ所という方針は変えていないことを伝えてある、こういうことですか。

鎌形政府参考人 御指摘のとおりでございます。

福田(昭)委員 わかりました。

 そうすると、それは宮城県についても伝えてあるということですか。

鎌形政府参考人 宮城県につきましては、先般の市町村長会議で、再測定の結果とそれに基づく減衰予測についてもお示ししながら御説明をいたしました。そして、県内一カ所に八千ベクレルを超えるものを集約して処理するという方針には変わりございませんが、八千ベクレルを下回ったものについて、指定解除の仕組みを活用しながら順次できることから進めていくということが望ましいのではないかというようなことは申し上げているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、宮城県については一カ所に集約することが望ましい、こうなったわけですね。ほかのところは一カ所の方針は変わりないと言っているのに、宮城県は望ましいというのはちょっとニュアンスが違いますが、それはどうなんですか。

鎌形政府参考人 宮城県につきましても、また茨城県につきましてもでございますけれども、八千ベクレルを超えるというものが長期間続くものにつきましては一カ所に集約して処理するという方針には変わりないということでございます。

 ただ、八千ベクレル以下になるものにつきまして、順次処理するということについて議論をしているというところでございます。

福田(昭)委員 では、本質的なことは何も変わっていないということですね。

 それでは次に、栃木県についてであります。

 詳細調査候補地に選定された塩谷町が、昨年九月の豪雨により詳細調査候補地が洪水地域であることが新たに判明したため、詳細候補地の選定結果を返上したわけでありますが、宮城県のように再協議するためには再測定することが必要だと思います。

 県との協議はまとまったのかどうか、お伺いをしたいと思います。

鎌形政府参考人 栃木県につきましては、県ともお話しした結果、再測定を進めていくということにしておるわけでございますけれども、具体的な進め方については、先ほどもお話ししましたとおり、県や該当する市町村、そして保管者としっかりと調整、協議をしていくことが必要でございますので、それをどのように進めていくかについて意見交換、協議をしているというところでございます。

福田(昭)委員 それでは、大臣、栃木県も再測定をするということが決まったようでありますので、塩谷町も宮城県と同じように全戸訪問も詳細調査も当面見送る、やらないとぜひお約束いただけますか。

丸川国務大臣 宮城県のことに関しましては、宮城県知事から我が副大臣に対して申し入れがあったところでございまして、その点について協議をさせていただいた結果、尊重するということになったわけでございまして、栃木県については、まだ詳細な濃度の再測定についてのプロセスをこれから御相談させていただく段階にございますので、また、そうした協議を通じる中でどのような意見交換がなされるかということに基づいて調整を進めたいと考えております。

福田(昭)委員 昨日、塩谷町の町長と議長から栃木県の知事に対して、また知事を通じて環境大臣に対して、やはり一日も早く再測定をするようにという要望書が出されたようであります。こうしたことは一日も早くやるべきだ、再測定をするべきだと思います。

 それで、三つ目でありますが、再測定結果を踏まえた対応方針の策定についてであります。

 平成二十八年度は、改めて特措法の進捗、施行状況を検討することになっておりますので、五県の指定廃棄物を全て再測定して今後の対応方針を策定することが重要だと考えておりますが、それに向けての大臣の決意をお伺いしたいと思います。

丸川国務大臣 放射能濃度の再測定を行うことは、指定廃棄物の現状を把握する上で重要であると考えております。

 一方で、減衰を考慮することは必要なことだとは考えておるものの、やはり、放射能濃度が八千ベクレル・パー・キログラム以下に減衰するのに長期間を要する指定廃棄物については、災害等に対する対応の観点から県内一カ所に集約して安全に管理することが望ましいということはこの五県について共通の対応方針でございますので、そのことを基本に考えて、また、各県でどのような御要望やお考えをお持ちかということは各県の状況が異なりますので、よくお伺いしながら、今後とも進んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、私は各県につくることは絶対反対であります。環境省が国民のための真の解決を図るなら全面的に協力することをお約束して、私の質問を終わります。

赤澤委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 きょうは三十分のお時間をいただきましたので、先日衆議院の環境委員会で視察をさせていただきました福島の放射性物質汚染対策に関する質問を中心にさせていただきたいと思います。

 一昨日でございました、三十人の委員の中で出席したのは十四人、全員の皆さんに本当は見ていただくべき視察だったと、非常に充実した視察内容であったことをまずお越しいただけなかった皆さんに御報告しておきたいと思います。

 福島第一原発事故から早いもので五年。帰還困難区域が残る地域をバスで走らせていただく中で、人の気配も、また生き物の気配もない、そんな中を、このようなことを二度と繰り返してはならない、他の地域で同じような帰還困難区域をつくることは絶対にしてはならない、そんな決意も新たにさせていただいたところであります。

 ちょうど五年目を迎えた三月十一日の前日、三月十日に、安倍総理が記者会見で、放射線量の自然減衰を理由に、帰還困難区域の見直しをこの夏までに決めると非常に大胆な表明をなさいました。

 まず大きな風呂敷をお広げになられるのが安倍さんの常套手段でありますから、帰還困難区域を抱えている自治体の皆さんは大変大きな期待を寄せられたところでありますけれども、翌日、三月十一日の丸川大臣の記者会見では、記者の質問に対して、まだ何も決まっておりません、総理がお話しになった、ことしの夏までに政府全体として帰還困難区域の取り扱いを明確にすべく、議論をするというところまででございまして、中身はまだ決まっておりませんという、何やら火消しに走られたような記者会見のお話でありました。

 大臣は閣僚の一人でありますから、総理とは以心伝心で、よく御理解していらっしゃる話だろうと思いますけれども、総理がおっしゃっている、この夏までにのこの夏とは、大体いつのことを指しているのでしょうか。そしてまた、現段階で何が決まっていて、一体どんな議論が現在進められているのか、つまびらかにしていただきたいと思います。

丸川国務大臣 御指摘の内容は、総理の御発言の、帰還困難区域の区域見直しに向けた国の考え方をことしの夏までに明確に示したいとおっしゃった部分かと存じます。

 除染を含めた帰還困難区域の取り扱いについては、具体的な政府の方針を早く決めてもらいたいというお地元の声が強くなってきておりまして、今後、政府全体としてできるだけ早く対処すべき大きな課題であるという認識をしております。

 ことしの夏までに政府全体として帰還困難区域の取り扱いを明確にするということは私どもも共有をしておりまして、ことしの夏というのは、まさにことしの夏でございます。まだ議論はこれからさせていただくわけでございますけれども、そもそも、帰還困難区域をどう取り扱うかということについては、既に政府として、放射線量の見通しと住民の皆様方の帰還の意向、将来のその地域の産業ビジョン、なりわいでございますね、そして復興の絵姿等を踏まえて、地元の皆様と協議をする中で検討を深めていくということを従前より申し上げておりまして、その考え方に沿って、ことしの夏に向かって、その具体的な方向性について議論していくものと理解をしております。

田島(一)委員 そもそも、その考え方は、私ども、同意できないんですね。帰還ができるかできないか、これははっきり言って放射性濃度によるべきところでありまして、現在、時間が相当経過をしてきて、自然減衰等々もやはり起こってきています。このことも総理も記者会見の中でおっしゃいました。実際に測定をする中で、これなら帰れるかどうかは、地域の産業発展であるとか町づくりだとか、それは二の次、三の次の話だろうと思います。そこのところ、何やら問題をすりかえていらっしゃるような気がしてなりません。

 この点については、明確に、この夏とはいつかと問いましたけれども、お答えいただけませんでしたので、まだまだ大風呂敷のままで、結局、被災地の皆さん、とりわけ帰還困難区域の皆さんには、期待だけはさせるけれども、何一つ決められていないんだということが今の答弁で明らかになりました。

 非常に無責任に期待だけを膨らませてしまう、これは絶対よくないことだと思います。やはり、明確にいつからこの帰還困難区域を見直すということがお答えされるまで、また引き続き問うていきたいと思っております。

 さて、私たちが訪れた、この帰還困難区域を抱えている浪江町。浪江町にありましては、帰還困難区域の七割が森林であります。

 森林除染についてはこれまでいろいろと議論も重ねられてきたところでありますが、馬場町長におかれては森林除染を強く要望されてきたところであり、三月十二日付の読売新聞においては、森林は生活の場であり、住民の帰還を進めるには森林除染は不可欠だと報じていました。二十三日、お伺いすると、町長は、町内の森林全てを除染しろと言っているのではない、町内に十軒あるシイタケ農家が栽培できる森林を除染してほしいという話だとおっしゃったところでもあり、これはやりとりをさせていただく中でお答えいただいたものであります。

 環境省がこれから先、森林除染についてどのように進めようとしているのかもありますが、この馬場町長がおっしゃっているシイタケ栽培ができる森林を除染してほしいという点については、やはりこれは、正直、本当に大丈夫なのかなと案じる部分でもございます。

 実は、農水省が発表している平成二十七年度の農産物に含まれる放射性セシウム濃度の検査結果、こちらの放射性セシウムの基準値は百ベクレル・パー・キログラムでありますが、この基準値を超える農産物は、キノコ、山菜類が他の食品、農産物と比べても群を抜いて多いという結果が出てきております。

 キノコ、とりわけ町長がやりたいとおっしゃっているシイタケ栽培、シイタケは、菌床栽培、菌床のシイタケよりも原木のシイタケがセシウム濃度は高く、さらに施設内での栽培よりも露地での栽培の方が高くなる、このことは御存じない方でも想像すればよくおわかりいただけるのだろうと思っております。

 そこで、馬場町長がおっしゃっている町内のシイタケ農家が栽培できる森林除染をやったところで、露地栽培のシイタケが果たして本当に放射性セシウム濃度が基準値以下になって食べられるのかどうかという点に関心が行くのだろうと思いますが、農水省の方で、現在の放射性セシウム濃度の検査結果、毎年お出しになっておりますけれども、この傾向からして、シイタケは本当に基準値以下にまで、除染すれば食べられる状況になるとお考えかどうか、お答えいただけませんか。

牧元政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘をいただきました平成二十七年度農産物に含まれる放射性セシウム濃度検査結果、これは平成二十八年二月末時点の数字でございますけれども、キノコ、山菜類につきましては、検査点数七千九百十八件のうち、野生のものを中心といたしまして八十七件が基準値を超過しているという結果になっているところでございます。

 これは、特に露地栽培の原木キノコにつきましては、原木の汚染による影響、それからほだ場の汚染による影響が考えられるところでございます。このほだ場となる森林内の地表部の除染のみによりましては、原木キノコの放射性セシウム濃度の基準値超過を完全に回避することは難しいものというふうに考えているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、栽培管理に関するガイドラインに基づきまして、安全なキノコ原木の調達管理、また、放射性物質の低減を図るための適切なほだ場の管理等の取り組みの普及を図ってきたところでございまして、具体的には、安全な原木等の生産資材の導入、放射性物質の防除施設の整備について支援を行いますとともに、放射性物質の汚染を低減させるための技術の検証等を行っているところでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。やはり想像どおり厳しい状況であることに変わりはありません。

 こうした地元でさまざまな住民からの要望を受けて、町長さんからいろいろな御要望等もいただいてきたところでありますが、こうした大変厳しい環境にある中で、難しい課題をさらにクリアしていくことの困難さを、しっかりと大臣の方から町長さんにお伝えをいただいているのかどうか。浪江町の七割に及ぶ森林の除染を要望されているものの、どのように受けとめていらっしゃるのか、また本当にできるというふうにお考えなのか、明確にお答えをいただけますでしょうか。

丸川国務大臣 今回、森林・林業再生のプロジェクトチームで取りまとめをさせていただくに当たっては、馬場町長ともお目にかかって、お話を伺っております。この取りまとめをつくる前にお伺いをして、まだまだ私自身ももっと馬場町長とコミュニケーションをとりたいなと思っているところでありますけれども、少なくともお伺いしたお話については、今回我々が取りまとめをするに当たって参考にさせていただきました。

 御承知かと思いますけれども、シイタケはもちろんでございますけれども、シイタケのほだ木についても福島県は大産地でございますので、この取りまとめの中に広葉樹林の整備というのを入れさせていただいておりますが、これはまさに、新しい、いいほだ木を育てていただくための整備をきちんと進めていくという意味が込められております。

 ただ、浪江町に関して申し上げますと、実際に森林がどこの部分にあるかといいますと、多くが帰還困難区域の中にあるわけでございまして、この帰還困難区域の取り扱いについては、先ほど私が委員に申し上げさせていただいたとおり、これから議論をさせていただく中で、帰還困難区域全体の取り扱いを検討する状況を踏まえながら、森林除染のあり方についてもともに検討していくということになろうかと思いますので、まだ具体的に、どのように帰還困難区域が、森林除染という視点から進められるかということについては、はっきり申し上げられるわけではございませんが、馬場町長の思いというものもしっかり受けとめさせていただいておりますので、皆様方にこれからそうした方針をことし夏に向かってお示ししていく中で、きちんとその視点を取り入れていきたいと思っております。

 先ほど、線量が下がることがまずもって基本であるというのは、私もそのとおりだと思いますが、一方で、これは必要条件ではございますが、十分条件ではございません。この点、避難指示解除ということに関しては、お地元の皆様方から、線量が下がったからといって解除できるものじゃないんだということは再三私どもも言われております。

 線量が下がった上で、インフラがきちんと整備できていること、そして、何よりも地元の皆様方が、うん、これならいいといって同意をいただけるということが非常に重要でございますので、私どもは決して、線量が下がったから、では解除しましょうということではないということは委員にもぜひ御理解をいただければと思います。

田島(一)委員 できることはやはりどんどん進めてあげていただきたい、要望に応えていただきたい、その気持ちは私も全く一緒であります。しかしながら、そこで生産されたシイタケは、その土地だけで消費されるわけではなく、当然、市場に出て、全国各地へと出ていくわけであります。

 今、食の安全というものに非常に関心が集まっています。もちろん、今回、TPPの大筋合意に基づいて海外からどのような危険な食べ物がやってくるのかというような心配のお声もいただいている中で、やはりこうした放射性セシウム濃度の高い食品が出回りはしないかというような不安の声も今なお出てきておりますし、安全であっても風評被害でまだまだ売れていないというような現状、市場価格が随分低く設定されているというような現状などなど、課題が多いことを私も承知しているところであります。それだけに、淡い期待をお持ちの地元の皆さんに、本当に持たせることが幸せなのかどうかということを、私は町長と意見を交わす中で自分自身に問うたところでもあります。

 前向きに重く受けとめて検討していきたいと大臣はおっしゃってくださいました。それは政治家として当然の姿勢だろうと思いますが、本当に安全なシイタケ生産ができていくのかどうかといった点についてもしっかりと展望し、科学的根拠に基づいた形でお示ししていくのも、これは、嫌われようと、政治家の大きな使命であろうというふうに思います。

 どうぞ、これから先、夏までにとおっしゃいました。夏といっても、何月なのかまでお示しいただけない中で、初夏もあれば晩夏もあります、初夏であることを私は強く期待申し上げて、一日も早く、速やかなこの計画見直しが行われるようにお願いをしておきたいと思い、次の質問に移らせていただきます。

 次に、安定沃素剤の配付についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 実はきょう、田中委員長にもお越しいただきたくお願いを申し上げておったのですが、お越しいただけませんでした。非常に残念であります。

 平成二十七年の二月六日付で、新潟県の泉田知事から原子力規制委員会委員長田中俊一様宛てに、「住民等の防護対策について」と題した要望書が届いているはずですね。こちらの方、その後、知事と意見交換を交わされて、もう解決しているのかもしれませんけれども、特段文書で御回答されたというような話は私の方は聞いておりません。その要望書の中に、この沃素剤の配付についての要請が盛り込まれております。

 安定沃素剤、皆さん余り御存じないか、いや、お勉強なさっていらっしゃる方はあるかもしれませんけれども、私も常に、持ち歩きはしませんけれども、事務所に置いてあります。放射性の悪い沃素を体内に取り込む前に、自然界にあるものと同じよい沃素で甲状腺のタンクを満たしてしまう、そのことによって放射性沃素をブロックするというのがこの安定沃素剤の服用の意義というふうに理解をしております。

 この安定沃素剤の配付について、実は、原子力規制庁原子力災害対策・核物質防護課が平成二十五年七月十九日に作成された、「安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって」というガイドラインとおぼしきものがございます。二十五年七月に作成をされて、去年、二十七年十二月二十四日までに四回修正されておることを承知いたしましたが、この中身を拝見すると、屋内退避や避難時の服用の指示を出している具体的なケースというものが想定されていません。実際に安定沃素剤を備蓄している自治体に聞いても、具体的なケースが想定されていないので自治体としても配付についての指示が出せない、とりあえず保管、備蓄しているだけであるというような非常に不安な声が上がってきているのも事実であります。

 一体、規制委員会の方では、このガイドラインをおつくりになられて、配付、服用についてどのようにお考えでいらっしゃるのか、自治体任せで本当にいいというふうにお考えなのか、そのあたり、お聞かせいただけますでしょうか。

片山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の「安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって」という文書は、原子力災害対策指針において示しました安定沃素剤の運用について、その具体的な方策を地方公共団体の職員向けに解説した文書でございます。

 その解説書の中に、「緊急事態での対応」という章がございます。この中におきまして、PAZ、おおむね五キロ圏でございますが、PAZにつきましては、安定沃素剤を事前に配付し、全面緊急事態に至った、これはいわゆる原子力災害対策特別措置法における十五条の、通報が事業者からあった段階でございますが、全面緊急事態に至った場合の避難の際に、服用の指示に基づき速やかに安定沃素剤を服用するということとしております。

 また、UPZ、おおむね五キロ圏から三十キロ圏でございますけれども、ここにつきましては、緊急時モニタリングの結果などを踏まえまして、追加的な防護措置が必要になった場合に、避難や一時移転を指示いたしますけれども、その際に、あわせて安定沃素剤を配付、服用することとしております。そのために、事前に配付場所や配付方法を定めて準備することを求めているというものでございます。

田島(一)委員 これで完璧だとお考えですか。お答えください。

片山政府参考人 お答えいたします。

 全面緊急事態というのが一体どういう事態なのかということにつきましては、原子力災害対策指針におきまして定めてございます。

 原子力災害対策指針におきましては、原子力施設で何らかの異常が発生して、それが最終的に公衆に対して放射線の影響をもたらす可能性が高い事態まで、いわゆる緊急事態の区分というのを三つに分類しております。(田島(一)委員「そんな話聞いていないから」と呼ぶ)はい。それぞれの事態に応じて、初動対応において適切な防護措置ができるような枠組みをつくってございます。それに基づいて安定沃素剤の配付、服用の指示を行うという仕組みを構築しているところでございます。

田島(一)委員 何にも答えになっていませんよ、それは。

 では言いますけれども、乳幼児は、沃素剤、どうするんですか。このあたり、何も書いていませんよ。実際に、今市場で、乳児に対しての沃素剤は開発されているんですか。

 それと、沃素剤は医薬品ですよね。被災地に、万が一避難所でお医者さんがいなかったときには、一般医薬品として配ることはできるんですか。誰でも配れるんですか。そんなことはできませんよね。

 こうした課題がまだまだいっぱいある中で、果たしてこれで本当に全ての皆さんに安定沃素剤を配ることができるのかというふうに聞いているわけであります。

 はっきり言って、まだまだ私は不十分だというふうに思うんですね。現実に、備蓄されている自治体がこれでは十分に対応し切れないという不安の声も私のところにも届いております。こうしたこともきょうしっかりとお聞きいただいて、また何度でも何度でも修正されるのならば修正されるで結構ですけれども、もうそろそろ明確に完成版をおつくりいただきたい、このことが私からの強い要望であります。

 さらに、今、PAZの話もなさいましたけれども、五キロ圏内どころではない、原発から四十五キロも離れている兵庫県篠山市での安定沃素剤配付のことをきょうは御紹介させていただきたいと思います。

 ことしの一月三十一日から、福井県の原発事故が起きたときに備えて、甲状腺被曝を防ぐために服用する安定沃素剤の市民への配付を篠山市が始められました。市内で十五会場三十回、あと一会場二回を残すのみとなり、間もなく予定の配付事業は終わるようであります。

 五キロ圏内では住民への事前配付を、三十キロ圏内では備蓄を求めていただいているところでありますけれども、四十五キロも離れているところですら、こうした住民の原発事故に対する不安を解消するため自治体が手を打っている、そういう事実もあります。

 現に四十五キロも離れている篠山市ですら、全住民への安定沃素剤配付に市の予算で踏み切っているところでありますが、今、規制庁では、この三十キロ圏内で安定沃素剤の配付計画等々が組み立てられている、明確に計画がつくられている自治体というのは把握をされていらっしゃいますか。

片山政府参考人 お答えをいたします。

 安定沃素剤の配付、備蓄場所、あるいは全面緊急事態に至った場合にどこで配付をするのか、そういった手順というものにつきましては、地域の原子力防災計画の中で具体的に定められていくものだというふうに承知をしております。地域の原子力防災計画の策定支援というのは、内閣府の原子力防災担当が行うということになってございます。

 原子力規制庁の役割といたしましては、そういう地方公共団体がおつくりになる際に我々が技術的な支援をする、どういうようなやり方をすれば住民に対する説明会がうまく円滑にいくのかといったような、そういった技術的な支援をするのが我々の役割だというふうに思ってございます。

 委員お尋ねの件、恐縮でございますが、具体的な数字を今直ちに持ち合わせているわけではございません。

田島(一)委員 御承知のように、フランスやアメリカでは、もう既に、国を挙げて、この安定沃素剤配付に踏み切っています。その取り組みの先進事例等々もある中で、日本においては、このような大きな原発事故を起こしておきながら、まだその取り組みが自治体中心だという流れは変わっていません。泉田知事からも財政措置の要請があったと思いますが、まだそれにも十分応え切れていない。実際に、内閣府で今年度、来年度、予算化されているのは、住民説明会等々を開催されるに当たっての費用支援にとどまっています。

 本気で国民の命を守りたい、甲状腺被曝を回避したい、そうお考えであるならば、私は、国がやはり率先して、この沃素剤の住民配付をフランス、アメリカに倣ってやっていくべきだと思います。

 また、この篠山市、四十五キロも離れていながら、それでもリスクを背負うことになったときには、とっとと逃げていく、しかし、そのときには沃素剤を服用するということを住民一人一人に説明されている、この取り組みも私は見習うべきだというふうに思います。

 だんだんと時間がなくなってまいりましたけれども、こうした諸外国の動向等々をごらんになられると、首を振っていらっしゃる大臣、この沃素剤の配付についてはどのようにお考えか、お聞かせいただけませんでしょうか。

丸川国務大臣 どのような範囲に沃素剤を予防的にあるいは事態に対応して配付をする必要があるかということについては、規制委員会が判断をし、それに対して財政的な措置を内閣府原子力防災の方で行っております。

 自治体が独自に判断される範囲というのは、別途、自治体の独自の判断でございますので、対応されたい自治体は対応されるということでありますが、必要かどうかということについては規制委員会の判断があり、それが尊重されるべきものと考えております。

田島(一)委員 大臣個人として、沃素剤を持っているということに対する住民の安心感というのはお認めになられますか。

丸川国務大臣 持っていることと同時に、どのような期間それに効力があるのか、そして副作用等がどういうものがあるのかということについても、しっかり理解をしていただいた上で備えていただくことは極めて重要であると考えております。

田島(一)委員 そこは説明会できちっと伝えていくことがやはり大切でありますから。それでも、やはり持っていることの方が安心感があることはお認めになられました。

 平成二十七年六月十七日付で、篠山市の原子力災害対策検討委員会が「原子力災害対策計画にむけての提言」というのをおまとめになっていらっしゃいます。前提となるべき兵庫県の避難計画等々がまだつくられていない段階で、篠山市が避難計画をつくっていくためのひな形というふうに理解をしているものであり、大変よくまとまっている。とりわけ、この沃素剤の配付等々についても非常に緻密にわかりやすくおまとめをいただいているものであり、ぜひ皆さんには参考文献としてごらんいただくことをお勧めしたいと思っております。

 原子力規制委員会が提示している原子力災害対策指針というのは実情に合っているとは言いがたい、その声は原発の周辺地域の自治体からも随分聞かせていただいておるところでもあります。しかも、周辺自治体の避難計画の策定すらまだできていないという実態の中で原発の再稼働が着々とまっしぐらに進んでいるというのも、これまた非常に首をかしげなければならない事態だと言わざるを得ません。そして、せんだっての大津地裁での仮処分決定に至りました。

 福島第一原発事故と同規模もしくはそれよりも大きな事故に対して、国の責任で、立地県だけではなく周辺住民が確実に避難できる現実的な対策を立てていくこと、さらには放射線防護の徹底化を図っていくことが何よりも望まれると思いますし、私は、一昨日現地を訪れて、強くそのことを感じた次第であります。

 具体的な避難計画を、現実的なものを立てていくこと、さらには放射線防護の徹底化を図っていくことについてどのようにお考えか、最後にお尋ねをして質問を閉じたいと思います。大臣、お願いいたします。

丸川国務大臣 原子力規制委員会が定めておられるこの災害対策指針というものは極めて重要でありますし、また、福島の反省を踏まえた避難や防護の考え方というのは必ずしもまだ皆様にとってなじみのあるものではございませんので、これからも、どうしてこういう考えに基づいてこういうことになっているのかという御理解をいただく努力を私どもはしていかなければいけないと思います。

 と同時に、地域の原子力防災協議会の中で避難計画等について丁寧に丁寧に議論を進めさせていただくわけですが、やはり、このプロセスを通じて自治体の皆様が初めてさまざまな考え方について御理解いただく場面も多くあると理解をしておりますので、とにかくまず、私どもとしては、よくコミュニケーションをとって、そして、考え方を御理解いただく中でしっかりと具体的な内容を詰めていくということの上に我々の防災が成り立つことが重要であると考えております。しっかり取り組んでまいります。

田島(一)委員 終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、小倉將信君。

小倉委員 自由民主党の小倉將信です。

 本日は、丸川大臣初め環境省の皆様方に質問をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございました。また、委員長初め理事、委員の皆様方にも感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問に入らせていただきますが、先日、丸川大臣が国立公園の視察をされたというような報道を拝見させていただきました。観光ツアーを開発するなどして、国立公園の外国人観光客の訪問数を今の四百三十万人から一千万人ぐらいにふやすというような具体的な数字についても言及されたというふうに伺っております。

 これまで安倍内閣では政府を挙げてインバウンドに取り組んでおりまして、昨年の観光客数は、二〇二〇年の目標が二千万人に対して、それに迫る千九百七十三万人に達したという話であります。そして、その経済効果は三兆円規模であります。

 都心部や京都などの限られた従来の観光地だけではなくて、今では全国津々浦々に外国人観光客の姿を見かけるようになりましたし、私のような東京の西側の、地元の町田市や多摩市などでも、朝晩に団体で観光バスからおりてこられるような、アジアの外国人観光客の方の姿も見かけるようになりました。

 今や国の柱であります観光政策には、経済効果だけではなくて、外国の方に日本のよさを広く味わっていただいて、感動して帰ってもらって、その後、日本のファン、つまり親日家になってもらうということにも大きな意義があるんだろうというふうに思います。

 その日本のよさの部分といたしまして、日本の歴史や文化を感じさせる場所だけではなくて、四季折々の姿を見せる雄大な自然であったり、その自然に直接触れることができる国立公園があるべきだというふうに私は思っております。

 そこで、まず、丸川大臣に国立公園を視察された感想をお伺いしたいというふうに思います。

丸川国務大臣 近年、日本の自然に対して思いを持って我が国を訪問してくださる外国人観光客の方がふえている傾向がございます。

 私たちの国の国立公園は、その自然と同時に、生活がその場にあり、そして、伝統文化や暮らしもともに見ていただくことができるという特色がございますので、こうした点からも、国立公園を訪れることによって日本のふるさとの暮らしや自然を丸ごと見ていただけるという意味で、大変大きな我が国の資源、そして地方再生に資するものであるという認識をしております。

 そうした中で、今回、阿寒国立公園を観光庁長官とともに視察させていただいて、地域の方々のお話をお伺いしてまいりました。

 この阿寒地域の特徴的なことは、地域の皆様方がまずもって自然を大切に守っていくという思いを大変強く持っていらっしゃるということです。阿寒湖周辺の地権者の方が、大変大きな区域を持っておられるんですが、この方が大変熱心に森林を守り、そして、今、阿寒湖で特別天然記念物で大事に守っているマリモを守るために森も守っておられるわけでして、観光というよりもまず自然を守ることからスタートして、そしてそれを一体として資源として生かしていこうという思いを地域の方が持っておられるということが、今回改めて訪問することによって理解をすることができたのは、環境省にとって非常にうれしいことでございました。

 加えて、アイヌ文化との結びつきが大変強いところでございまして、そうしたものも生かしながら、アイヌの文化というのは自然とともに生きる文化でございまして、こうしたものも生かすということを地域の皆様が考えておられること、これにも敬意を表したところでございます。

 ぜひとも、こうして自然資源を守り、生かしながら、それを地域の活性化にも生かしていくという考え方を私どもも持って、今後、国立公園満喫プロジェクトというものを進めてまいりたいと考えております。

小倉委員 大臣、どうもありがとうございました。

 国立公園を観光施設にすること自体が目的ではなくて、大臣のお話によりますと、地域の皆様方が自然を愛して、その区域をしっかりと守ってくださることによって、それが結果として観光資源としての魅力を帯びてくるということなんだろうというふうに思っております。

 そういう意味では、国立公園における自然を守ってくださっておりますのは、地域の方々はさることながら、やはりレンジャーの皆様方の存在というのが非常に大きいんだろうというふうに思っております。

 そのレンジャーについてなんですけれども、残念ながら、レンジャーの数でいきますと、非常勤のアクティブ・レンジャーを含めても全国でわずか三百七十名程度しかおりませんで、公園一カ所当たりで換算すると、わずか十一名になります。担当区域がどれぐらいの広さかというと、大体、山手線の内側に匹敵するぐらいの範囲を一人のレンジャーで担当されているというような話も伺っております。

 これは制度が違うので単純比較はできないんですけれども、アメリカの場合は、数が全体で二万二千人いて、担当範囲も、国立公園一カ所当たりで三百七十二人ですから、四百名近くいるということでございます。

 私ども自民党では、きょう、事務局長も務めていらっしゃる牧原委員もいらっしゃいますけれども、昨年、国立公園レンジャー振興議員連盟を設立いたしまして、丸川大臣に予算要望をさせていただきました。

 そういう意味では、国立公園の規制緩和とか開発促進と並行して、国立公園の現地管理を担っていらっしゃるレンジャーの増員や適正配置など、現地管理体制の強化並びに業務環境の整備に取り組んでいかなければならないというふうな思いを強く持っておりますけれども、この点について、環境省の取り組みをお伺いしたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました国立公園の管理につきましては、全国の国立公園に、委員御指摘のありましたレンジャーが二百七十三名、アクティブ・レンジャーが九十二名、現在配置されまして、地元自治体などの関係者と協働して管理を行っているところでございます。

 委員御指摘のように、国立公園のすぐれた自然環境の保護と適正な利用を進めるためには日常の管理が非常に重要と認識しておりまして、国立公園満喫プロジェクトを進めていく上でも、国立公園の現地管理体制の強化などにより、管理の一層の充実を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

小倉委員 御答弁どうもありがとうございました。

 奄美大島とか沖縄でも国立公園指定の動きがあるようでございます。ますます数も範囲も広がっていくと思いますので、引き続き、環境省にはレンジャーの方々への御支援をお願いしたいと思っておりますし、私も微力ながら応援をさせていただきたいなというふうに思っております。

 続きまして、ちょっと通告の質問の順番を変えさせてもらって、海洋ごみ、とりわけマイクロビーズに関する質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 我が国においては、漂流ごみとか漂着ごみにつきましてはかねてより関心が大変高かったと認識しておりますけれども、世界的に見れば、近年、マイクロプラスチックやマイクロビーズというふうに呼ばれます微細なプラスチックの粒子が海洋に多く流出していることが問題視をされております。

 このマイクロプラスチックというのは、五ミリ以下の微細なプラスチックごみでありまして、PCBとかPBDEと呼ばれる難燃剤等の化学物質を吸着、含有して、食物連鎖に取り込まれることによりまして、人体も含めて生態系に及ぼす影響が懸念をされているというようなことでございます。

 このマイクロプラスチックも二種類ございまして、一次的なものと二次的なもの、この二次的なものというのは、もともと大きなサイズで製造されているプラスチックが自然環境の中で破砕されて細分化されてマイクロサイズになったというようなものでございまして、これについては、マイクロ化する段階で回収強化を行うことで対策可能というふうになっております。

 今回の質疑の中で取り上げたいのは、二次ではなくて一次的なマイクロプラスチックについてであります。

 この一次的なものについては、この名のとおり、そもそもマイクロサイズで製造されたものでありまして、例えば洗顔料とか歯磨き粉のスクラブ剤に利用されていて、排水溝を通じて自然環境に流出しますから、これは実際にその前に回収をするということは、二次的プラスチックと違ってなかなか困難というふうに言われております。

 そういった中、世界的な議論はどうかと申しますと、昨年の六月にドイツで行われましたG7エルマウ・サミットで合意されました首脳宣言の中にこのような記述がございます。「マイクロビーズの自発的な段階的廃止など、環境便益を得るための持続可能な包装の開発及び製品からの原因物質の除去に取り組むことを産業界へ奨励」する、このように明記しているわけであります。

 アメリカでも、昨年の末に、このマイクロビーズを含有する歯磨き粉を含んだ化粧品の販売や流通を禁止する連邦法が制定されましたし、カナダでもこのような動きが実際に始まっている。同様に、オランダとかイギリスでもこういう規制がなされるのではないかというふうなことを聞いております。

 こうした中にあって、我が国では、このマイクロビーズ、特に一次的マイクロプラスチックに対する対策をどのように考えているのか、環境省と、そして業界を所管いたします経産省にそれぞれお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のプラスチック製のマイクロビーズ、いわゆる一次マイクロプラスチックでございますけれども、御指摘のとおり、近年、下水と一緒に排水管を流れまして海洋に流出、蓄積する、あるいは、海洋中において有害化学物質を吸着したマイクロビーズを海洋生物が捕食した結果、食物連鎖を通じまして化学物質の濃縮が起こるというような環境影響の可能性が指摘をされてございます。

 環境省におきましては、まずは実態、リスクの把握が大事だということで、マイクロビーズを含めましたマイクロプラスチックにつきまして、その海洋汚染の実態を把握するための調査研究を進めてございます。

 具体的には、海洋中に存在するマイクロプラスチックにつきまして、日本周辺海域、あるいは、今、ことしは遠洋域まで調査を広げてございますけれども、分布状況を調べてございます。また、マイクロプラスチックに吸着をしているPCB等の有害化学物質の量を把握するための調査を実施しているところでございます。

 引き続き、これらの調査を進めるとともに、御指摘にもございましたサミットの提言も踏まえまして、関係省庁と連携しながら必要な取り組みについて検討を進めていきたいと考えております。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましても、欧州等でこのマイクロプラスチック、ビーズの環境負荷に関する議論が始まりました数年前より、継続的に、これらの物質を使用した製品、具体的には先ほど御指摘のございました化粧品などでございますけれども、こういったものを製造しております国内産業団体と密接に情報交換などを行ってきております。

 こうした中、たった今御答弁がございましたけれども、現在、化粧品などに含まれるマイクロビーズを含めたマイクロプラスチックに関する海洋汚染の実態に関する調査研究を環境省さんの方で行っておられます。これは結果もまだまとまっていない状況ではございますけれども、御指摘のとおり、G7サミットでの首脳宣言、あるいは私どもを含めました行政との意見交換、情報交換などを踏まえまして、既に一部の業界では自主的な対応をとる動きも出てきております。

 具体的に申し上げますと、例えば、全国の化粧品関連事業者が会員となっております日本化粧品工業連合会、こちらの方では、千社を超える会員企業に対しまして先ごろ文書を発出いたしまして、マイクロビーズの使用中止に向けた速やかな対応を促す、こういったようなこともやっておられまして、現に、一部の大手企業におきましては、使用中止あるいは代替品への切りかえ、こういったものを完了あるいは予定しておられるところもある、こういうふうに承知しております。

 いずれにしましても、経済産業省としましては、これらの状況を踏まえまして、関係省庁あるいは産業界とも引き続き密接に連携しまして、今後とも適切に対応してまいる所存でございます。

小倉委員 どうもありがとうございました。

 環境省に事前にいただいた資料によりますと、平成二十六年に九州大学が環境省さんから委託をされて調査を行っておると。その結果によりますと、日本周辺海域には、北太平洋のおよそ十六倍、世界平均でいえば十七倍もの個数のマイクロプラスチックが存在するということが示されたそうであります。つまりは、日本近海は、今申し上げたマイクロビーズのホットスポットになっているわけでございます。

 それぞれ環境省さんも経産省さんもお話を進めている、調査研究であったりとか、一部業界団体や企業との話し合いを進めているということだとは思うんですけれども、やはり中身を聞いてみるとまだまだ腰が重いなというような印象を正直受けたわけであります。

 アメリカでは既に実際に立法措置もなされていて、そしてそれに追随する形で諸外国も規制の検討を始めているわけですから、まずは日本でこうした規制をすべきかどうかの立法事実の判断をきちんとできるような調査を早急に進めてもらうように、環境省を初めとした関係機関にはここでお願いを申し上げたいなというふうに思います。

 それでは次の質問に移りまして、残りの時間を使いまして、地球温暖化対策について、日ごろの議論の中で私が気になっている点についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 先日示されました地球温暖化対策計画案の中で、二〇五〇年までにCO2を八割削減するというような長期目標が盛り込まれました。国際的に見ても各国とも同水準の長期目標を立ててやっていますし、再エネや省エネに対する企業の投資を促すというような観点からも、こういった長期目標を案の中で掲げられたことに対しまして、環境省と経産省の皆様方の御努力に心から敬意を表したいと思います。

 そして、現在、パブリックコメントの最中ということでありますので、これから閣議決定に向けてこの長期目標はしっかりと維持をしてほしいというふうに思っております。

 一方で、この長期目標について言えば、二〇三〇年の二六%削減目標は積み上げでやっておる。ただ一方で、二〇五〇年については、その後二十年間で削減目標八割というかなり高いハードルを設定しているがゆえに、一部では、二〇五〇年は大分先の話だからこういった目標を置けているのではないのか、そういったことについての根拠はあるのか、まさに腰だめの数字なんじゃないのかというような疑念を抱く人も出てくるのではないのかなというふうに思っております。

 これから、そういった中で環境省がやるべきことというのは、この二〇五〇年の長期目標が信頼に足り得るものであるのかどうか、しっかりと具体的な施策の中身を提示していくことなんだろうというふうに思っておりますし、まさにこうした観点から、環境省として気候変動長期戦略懇談会を設立し、具体的な提言も既に出されたというふうに伺っております。

 そこで、この懇談会の提言内容を中心にお話しいただいて、そしてそれを踏まえて、今後、環境省としてどのように対応されるのかということについてお伺いをしたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 二〇五〇年八〇%削減という目標は、従来の取り組みの延長では実現が困難です。ですので、技術のイノベーション、それから社会構造やライフスタイルについてもイノベーションと言うのにふさわしいような変革を進めていかねばならないと考えております。

 しかも、長期的、戦略的にたゆむことなく常に上を目指していく、こういう取り組みが必要だと思っておりまして、パリ協定においても、各国に長期の温室効果ガス低排出発展戦略の策定が求められているところでございます。

 御指摘の、気候変動長期戦略懇談会から、温室効果ガス長期大幅削減のための社会構造のイノベーションが必要であるという御提言をいただいておりますが、その中では、気候変動問題と経済、社会的課題の同時解決を進めるという観点を持って、本格的な炭素税について、社会保障改革、法人税減税等との一体的な導入が考えられるという御指摘をいただいております。

 炭素税など炭素に価格をつける制度は、経済的インセンティブによって企業や消費者による効率的なCO2排出削減を促す有効な政策手段であると認識をしておりまして、長期大幅削減を実現していくためには、あらゆる手段というものを考慮に入れながら議論をしていくことが必要だと考えております。

 加えて、その目標が実現した暁にどのような社会になっているのかという絵姿を共有すること、そして、そこに至る道筋については、幅広い皆様に御議論に参加していただいて道筋を共有することが必要だと考えておりますので、今後そうした議論を巻き起こしていく原動力に我が省がなっていきたいと考えております。

小倉委員 大臣、どうもありがとうございます。

 大臣が、経済、社会問題の同時解決というようなお話もされましたし、その中で、カーボンプライシング、グリーン税制等々が非常に重要だというような御指摘もされたんだろうというふうに思っております。

 私もこの点は非常に重要だと思っておりまして、日本の場合は、例えば、省エネ投資とか再エネ設備の促進に対して税制、予算措置を講ずるというような、まさにエネルギーとかCO2削減の中で閉じた話でありますけれども、例えばドイツなんかは、CO2を排出する人や企業に対して課税をして、それを一般財源化して社会保障に使うというような施策も具体的に始めているというふうに伺っております。

 そういう意味では、CO2を出さない生活をすることを通じて、それがまさに自分たちの身近な、例えば年金や医療や介護の問題につながるといえば、もっと国民的な意識の喚起にもつながるというふうに思っておりますし、そういうことも検討していただきたいというふうに思います。

 税の話というのは、各省庁の話もございますので、前に進めるのが非常に難しいとは思いますけれども、手おくれにならないように、少なくとも調査研究はしっかりとやっていただきたいなというふうに感じる次第でございます。

 続きまして、もう一つ紹介したい点がございます。

 先日、環境省の持続可能な東京都市圏づくりに関する懇談会というものがありまして、それにおいて最終取りまとめ報告書が提出されまして、東京都市圏における環境対策のモデル分析がなされました。その中で、コンパクトシティーというキーワードが再三登場しております。コンパクトシティーというと、人口減少社会における地方創生のキーワードを中心に思い浮かぶ方もいるのかもしれませんけれども、そのコンパクトシティーが、それのみならず、温暖化対策においても有用であるというようなことを提言の中でされているんだろうと思います。

 そういった、今ちょっと私が申し上げてしまった部分もあるんですけれども、これらの懇談会の内容を環境省に御紹介いただきたいなというふうに思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御紹介いただきましたとおり、持続可能な東京都市圏づくりに関する懇談会におきまして、最終提言を取りまとめさせていただきました。

 環境省では、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会が契機となりまして、多くの主体による環境対策が進むことが重要であると考えておりまして、今年度、国立環境研究所を初めといたしまして、官民の研究機関や関係行政機関の協力も得まして、東京都市圏において環境対策に取り組んだ場合の効果を定量的に明らかにする取り組みを進めてきたところでございます。

 結果を少々御紹介させていただきますと、ある一つの分析ケースにおきましては、これは先生御指摘をいただきました東京都市圏における都市のコンパクト化の効果といたしまして、二〇三〇年時点で約一千二百万トンのCO2の削減量が得られるということが明らかになっておりまして、これは、東京都市圏内で実施する対策に着目した場合、全体の削減量の一六%を占めるという結果になっているところでございます。

 また、この分析ケースにおきまして、同時に、昼間の平均気温が最大で〇・八四度低下するということも明らかになっておりまして、この分析によりまして、二酸化炭素の削減量だけではなくて、気温の低減効果も同時に明らかにすることができたというふうに考えております。

 環境省といたしましては、今後、中長期を見据えた温暖化対策の議論にしっかり取り組んでいく必要があるところでございますけれども、今回の分析手法も一定の役割を果たしてくれるものと期待をいたしておりますし、また、私どもといたしましても、今回の分析結果も踏まえまして、都市におけるさまざまな主体による環境対策が一層促進されるよう、その取り組みを後押ししてまいりたいと考えているところでございます。

小倉委員 どうもありがとうございました。

 何でこういった御答弁を頂戴したかと申しますと、環境省さんに事前に確認した話によりますと、この町のコンパクト化による排出量の削減というのは、二〇三〇年までの積み上げ目標の中にはまだ考慮されていない、組み込まれていないというようなことでございます。

 ですので、二〇五〇年まで、高いハードルをクリアするためには、まだ二〇三〇年までにおいて検討されていないものも十分に排出量の削減につながるんだということも、学術的な知見を生かしながら取り組んでいくということが重要だと思っておりますので、このコンパクトシティー化によって一六%もの削減が可能になるというのは、非常に大きな発見だったんだろうというふうに思っておりますし、このファクトファインディングをもとに、コンパクトシティー化が温暖化対策の観点からも有益なものであるということがはっきりとわかってくれば、政府としてもさらにこれを後押しする根拠になるはずであります。

 ぜひ、環境省におかれましては、この知見を国交省や総務省と共有しながら政策を推進していただきたいなというふうに思っております。

 この町づくりという観点にしても、地方公共団体の役割が非常に重要であります。この温暖化排出目標自体は国のゴールでありますけれども、やはり地方公共団体が協力をしなければなかなか達成できないわけでありまして、例えば、東京の場合はかなり先進的な取り組みをしている。二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%削減をして、それを達成するために独自で排出権取引制度もやっておられるのが東京というようなことであります。

 では、ほかの地方公共団体はどうかということを紹介させてもらうと、実際に地方公共団体の方にも温暖化対策計画を立ててもらっていますが、その区域施策編については、中核市以上にしか義務づけられていないこともありまして、全体の二割強しか策定できていないというふうに聞いております。

 そこで、環境省として、できるだけ多くの自治体にこの温暖化対策計画を立てていただくためにどのような取り組みを今後していくのか、お伺いをしたいというふうに思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇三〇年二六%という厳しい削減目標を達成するためには、全ての地方公共団体を含めたあらゆる主体が温暖化対策を強化していくことが必要と認識をいたしております。

 一方で、先生御指摘いただきましたとおり、小規模の自治体の中には、人員的な問題でありますとか予算的な制約から、地球温暖化対策推進法に基づきます地方公共団体実行計画、中でも区域施策編の策定が困難になっているところがあるということも認識をしております。

 これを踏まえまして、環境省ではこれまでにも、簡便なデータ入力で計画を策定できるひな形ツールを小規模自治体向けに作成するとともに、地方公共団体の職員の皆様向けの研修を実施させていただいたところでございます。

 また、二十八年度中をめどに、実行計画の策定マニュアルや手引を全面改定いたしまして、計画策定、評価プロセスの電子化や、優良事例の収集、展開等を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、現在国会に提出させていただいております地球温暖化対策推進法の改正案の中では、小規模自治体を含む複数の自治体による実行計画の共同策定が可能である旨を明示する規定を盛り込ませていただいたところでございまして、これらの取り組みを通じまして、小規模自治体においても実行計画を策定、実施しやすくなるような環境を整えてまいりたいと考えているところでございます。

小倉委員 どうもありがとうございました。

 何事も、計画はただ立てっ放しにするだけではなくて、ちゃんとKPIを設定して、PDCAサイクルを回して、そして、その結果をきちんと評価して、頑張っていただいている地方公共団体に対してさらなる支援をするというような仕組みづくりが重要だと思っておりますので、ぜひ、この点について環境省さんにしっかりとやっていただきたいなというふうに思っております。

 まだまだ質問したいことがございまして、環境金融とかあるいは環境教育についても御質問をさせていただこうというふうに思ったんですけれども、もう時間が来てしまいましたので、丸川大臣に対しまして、さらにこの地球温暖化対策、これから地球温暖化対策推進法でさらなる質疑がなされると思いますけれども、リーダーシップを発揮していただきますことを期待申し上げまして、そして、私自身も、環境委員会の委員の一人として、微力ながらお支えをさせていただきますことをお話し申し上げまして、質疑を終わりたいというふうに思っております。

 本日はどうもありがとうございました。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初にLRTの問題について質問をいたします。

 宇都宮のLRTの計画がございます。今資料を配付させていただきますが、ごらんいただきたいんですが、環境白書を拝見しておりますと、その中に、「地域経済・社会的課題の解決に資する持続可能な地域づくり」の項において、市街地のコンパクト化に関連して宇都宮市が紹介をされております。

 環境白書で紹介をしている宇都宮市の市街地の構造の特徴は何か、このことについて、まず環境省から説明を求めます。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、平成二十七年版の環境白書におきまして、都市の人口密度と温室効果ガスの関係から、人口、面積が同じ規模の都市である栃木県宇都宮市と愛媛県松山市を取り上げて比較をしたところでございます。

 御指摘の市街地の構造でございますけれども、宇都宮市は、環状道路周辺等に広く人口が分布いたしまして、市街地が拡散をしているという特徴がございまして、一方、比較いたしました松山市におきましては、市内の中心部に路面電車が存在し、その周辺等に人口密度の高い人口集積地区があるという分析をいたしております。

 温室効果ガスの排出量についてでございますけれども、一人当たり年間の自動車CO2排出量は、宇都宮市が約二・二トン、松山市が約一・三トンということでございまして、宇都宮市の方が一人当たり年間の自動車CO2排出量が多いという結果を得ているところでございます。

塩川委員 松山市との対比ということではありますけれども、宇都宮市が、要するに、中心部の人口密度がそれほど高くなくて市街地が拡散しているというお話でありました。

 そこで、環境白書では、CO2の排出量削減や行政コストの削減、中心市街地活性化、都市全体の自動車依存度の低減など、環境に優しい町づくりのためとしてLRTの活用が紹介されております。

 この点、どんなふうに書かれているか、説明いただけますか。

三好政府参考人 環境白書での御紹介でよろしいでしょうか。

 松山市と宇都宮市の市街地の構造を比較した上で、仮に宇都宮市の市街地が松山市と同程度の人口密度にコンパクト化し、あわせて公共交通機関の利便性を高めたなどと仮定した場合におきまして、その結果を推計いたしております。

 データを簡単に御紹介いたしますと、メニューといたしまして市街地のコンパクト化と公共交通の整備というものを挙げておりまして、その公共交通等の整備の中にLRTの整備、公共交通の便数の増加、自転車利用環境の向上を入れさせていただいているところでございまして、例えば、総走行距離と平均燃費がそれぞれ三割削減される場合、総排出量は半減することになるというような試算結果もあわせて紹介しているところでございます。

塩川委員 公共交通機関の利便性の向上、整備、その一つとしてLRTが例示をされています。

 松山市に路面電車があって、宇都宮市に、既存のものはありません、新設ということで次世代型路面電車のLRTの建設計画が今進んでいるところです。

 LRTの役割、効果というのは理解するところであります。同時に、住民合意があってこそそれは発揮をされるということを申し上げなければなりません。

 そこで、この宇都宮市のLRT計画について国交省にお尋ねをいたします。

 配付資料は、宇都宮市の「広報うつのみや」であります。このように、宇都宮駅の東口から東に向けてLRTを敷設して、右手の方ですけれども、清原工業団地、芳賀工業団地、芳賀・高根沢工業団地と工業団地を結んで、終点は本田技研の北門というふうになっているわけです。隣接する芳賀町と共同で計画が出されているんですけれども、芳賀町の中心部の方には行かずに、本田技研の入り口が終点になっているというのが現時点の計画であります。

 ですから、これは、地域住民というよりも工業団地の立地企業の従業者の利用を狙った路線となっており、従業者の皆さんにとって自動車利用よりもLRTの利用の方が便利だということをアピールしており、所要時間の短縮というのが最優先課題となっています。アピールする従業者が本田技研というのもなかなかのポイントですけれども。

 実際、この芳賀・高根沢、そして芳賀工業団地は二万人の就業者があるところですけれども、その八割が本田技研の関連の企業という点においても非常に大きなウエートを占めている、そういう工業団地とを結ぶという路線になっています。

 時間短縮のために、鬼怒川を渡る部分などが、自動車道路との並走を行わずに、新たに軌道を設けることにしております。

 国交省に提出をされております宇都宮市、芳賀町の軌道運送高度化実施計画では、運行最高速度について、スタート時は時速四十キロとしております。ただ、将来的にはそれをもっとスピードアップするということも書かれておりまして、この配付資料でも、左下の欄外に注があります。米印の三を見ていただきますと、「将来的に運転最高速度は自動車交通との併用区間で時速五十キロメートル、鬼怒川橋りょうなどのLRT専用走行区間の一部で時速七十キロメートルとする軌道法の特認を目指します。」とあります。

 こういうふうに計画に盛り込まれているということは、国交省も御存じのことですよね。そのことを確認します。

志村政府参考人 存じ上げております。

塩川委員 つまり、四十キロでスタートするんだけれども、将来には五十キロ、七十キロで走らせたいというのが宇都宮市、芳賀町の計画になっております。

 申請者の宇都宮市、芳賀町は、四十キロ走行の場合の所要時間を何分ぐらいとしているのか、また、七十キロ走行の場合の所要時間というのは、駅と本田技研の北口とを何分に想定しているのかというのはどういうふうに出されておりますか。

志村政府参考人 今回認定申請のありました高度化実施計画に伴って申請者の方から提出されました運転計画の資料によりますと、最高速度時速四十キロメートル、それから、JR宇都宮駅東口から本田技研北門、これは十四・六キロメートルでございますが、この区間全線にかかる所要時分は、快速列車で三十八分、普通列車で約四十四分となってございます。

 その時間短縮効果でございますが、同区間の自動車による所要時間につきましては、宇都宮市の方から、朝夕の時間帯におきまして約七十分と聞いてございまして、快速列車で約三十分、普通列車で約二十分の時間短縮となります。

塩川委員 七十キロ走行の場合についての所要時間というのは出されているんでしょうか。

志村政府参考人 国土交通省としては、運転最高速度時速四十キロメートルを前提とした審査を行っているところでございまして、申請者による将来的な構想におきます時間短縮時分につきましては承知してございません。

塩川委員 配付資料「広報うつのみや」で見ていただくと、LRTの路線について、そもそも全線四十キロ走行としているわけですけれども、赤い部分は五十キロで走りたい、青い部分については最高速度七十キロになるような、そういうスピードで走りたいというふうに書かれているわけなんですよね。ですから、宇都宮市、芳賀町はもうこのように、つまり七十キロ走行を念頭に置いた計画を大々的に住民にアピールをしているわけなんですよ。この計画の中にも、このことを目指すということが書かれているわけですよね。

 ですから、LRT計画について、時速については四十キロと言っているようですけれども、そもそも工業団地を結ぶ路線ですから、速達性を重視する、とにかく速く移動することによって利用者を確保したいという趣旨ですから、狙いとすれば、四十キロで走るんじゃなくて、やはり七十キロを目指すというのが売りになっているわけなんですよね。これを今言ったように市民の皆さんにも大きくアピールするという格好になるんです。

 ですから、国交省として、この宇都宮市、芳賀町から出された計画に七十キロを目指すと書いてあるわけですから、この計画を認定するということは、七十キロ走行を国が認めたということになりはしませんか。

志村政府参考人 今回認定申請のありました実施計画におきましては、軌道運送高度化事業の内容として、運転最高速度時速四十キロメートルと記載をされております。

 先生おっしゃられるように、同申請書におきましては、ただし書きがございまして、運転最高速度については、将来的に自動車交通との併用区間で時速五十キロメートル、それからLRTのみが走行する区間において時速七十キロメートルで走行する軌道法における特認を目指すものとし、軌道線形の設計を行うものとする、こういうふうに記載されているところでございますが、これは申請者における将来的な構想を記載したものというふうに理解してございまして、国土交通省としては、運転最高速度四十キロメートルを前提とした審査を行ってまいります。

 したがって、最高速度五十キロメートルでございますとか七十キロメートルでの運転を、今回の認定に当たって認定するということにはなりません。

塩川委員 私が最高速度の指摘をしているというのは、現地における交通安全対策があるんですよ。

 もともと、このLRTの軌道は、道路の上を走る部分と、そうでない、田んぼあるいは民地、そこのところに新たに敷設する軌道になっている部分があるわけですよね、青いところなんかはそこですけれども。私が伺ったところでは、県道に接する平石中央小学校、その中央小学校の裏の敷地を削って、民地を削って軌道を敷設するんですよ。そうなりますと、小学校の入り口のところが、交通量の多い県道とLRTの軌道の交差部分になるんです。ですから、児童の安全対策としてもどうなるのか。

 そもそも、敷設をされて走ること自身に心配の声が当然地元からありますし、その速度が七十キロになるとなれば、当然のことながらいろいろな危険が伴うじゃないか。だとしたら、四十キロの場合の安全対策と七十キロの場合の安全対策は違うだろう。施設を一度つくった場合に、四十キロ想定のものでつくってしまったら、七十キロの最高速度になったときに対応できないんじゃないのか、こういう問題が出てくるので聞いているわけなんです。

 このように、この場所というのが、県道の交通量は一日当たり行き来で二万台近く通過をすると聞いておりますし、LRTはピーク時に三分間隔で通過をするわけですよね。それなのに、LRTの軌道と県道の交差部分というのは信号操作だけなんです。踏切を設置するという予定も出されていない。こういうもので大丈夫なのかという声が出るのも当然なわけで、道路交通環境の悪化、教育環境の悪化、住環境の悪化という懸念があるわけです。

 そこで、警察庁にお尋ねしますが、宇都宮のLRTは、併用軌道と言われるように、道路の上に軌道を敷設して走らせる。ですから、道路をLRTが走るわけですけれども、これは道路交通法の対象ということになるかと思いますが、その点を確認したいと思います。

掛江政府参考人 道路交通法の対象となります。

塩川委員 そうしますと、道路交通法における道路を走るLRT、路面電車の制限速度はどういうふうになっているんですか。

掛江政府参考人 都道府県公安委員会において、道路の交通実態や道路状況等を踏まえて、四十キロメートル毎時以下の最高速度規制が行われている道路、そこをLRTが通るという場合には、他の車両と同様、LRTも当該速度を最高速度として進行することになります。三十キロの規制であれば三十キロ、四十キロであれば四十キロということでございます。

 他方、都道府県公安委員会において四十キロメートル毎時を超える最高速度規制が行われている道路においては、LRTは、基本的には軌道法令の規定に基づき、四十キロメートル毎時を最高速度として進行することとなるものと承知しております。

塩川委員 当然、道路ですから、道路の最高制限速度に規定をされる。同時に、軌道法に基づいて、LRT、路面電車の場合については、車両の重みもありますし、制動の距離が長くなるという点でいうと、最高制限速度というのが四十キロにそもそも定められている。つまり、道路を走るLRTの場合については、そもそも四十キロということですから、四十キロ以上出すというふうにはなりません、そこの道路の最高制限速度が三十だったら三十にという考え方の説明をいただいたところです。

 ただ、この宇都宮のLRT計画というのが、今お話ししましたように、事業者の方は最高速度七十キロというのを掲げているんですよ。

 道路を走る、併用軌道としている宇都宮のLRT計画は、将来的には七十キロにしたいと言っているんですけれども、これは、こういった道路交通を所管する栃木県の公安委員会、栃木県警としては、この宇都宮LRT計画について、最高制限速度四十キロを超えるような、七十キロというような走行を認めるんですか。

掛江政府参考人 先ほど、LRTは基本的には、公安委員会の方で四十キロメートル毎時を超える最高速度規制が行われている道路では、軌道法令の規定に基づき、四十キロメートル毎時を最高速度として進行することになると申し上げましたが、国土交通大臣の許可によりまして、LRTの最高速度について例外が認められる制度がございます。ただし、その場合でも、都道府県公安委員会が指定した当該道路の最高速度を超えて進行することはないというふうに承知しております。

 いずれにしましても、本件につきましては、栃木県警察において交通実態や道路状況等を把握して適切に対応していくものと認識しております。

塩川委員 地元の方では、ここに地図で示した青い部分というのはLRTしか走らないんですよ、ほかの道路とか人が通るわけじゃないんですよね。それを、本来、鉄道の軌道に相当するような部分を道路にしているんです。そうすると、道路だからというので軌道法の世界になって対応するということなんですが、では、その場合の制限速度というのをどう考えるかという問題になってくるんですよ。

 事業者の都合で決められるという場合になったら、道路なんだけれども軌道事業者の都合で五十、六十、七十というのができるのかどうか、それをそもそも公安委員会が認めるのかという問題なんですけれども、そこは改めてどうですか。

掛江政府参考人 先ほど例外が認められる制度があると申し上げましたが、その場合でも、都道府県公安委員会が交通実態や道路状況等を把握して指定しました当該道路における最高速度を超えることはないという制度になってございます。

 また、軌道法の関係につきましては、国土交通大臣において適切に判断されるものと承知しております。

塩川委員 道路交通法では、最高速度に関する規制実施基準というのがあるというのをお聞きしました。

 基準速度を定めた場合に、上に上げたり下に下げたりという補正をするケースがある。下方に補正するケースとして、通学路であること、また大型車混入率が高いということが示されています。

 その理由は何か、説明をください。

掛江政府参考人 先生御指摘のとおり、速度規制の下方補正要因として大型車混入率、通学路等が挙げられておりますが、その理由でございます。

 速度規制に関しましては、警察庁において、その地域が市街地であるか否か、車線数、中央分離帯の有無、歩行者交通量の状況などの基準を示しているところでございますが、その他考慮すべき事項の例示として、交通事故発生状況、歩道の設置の有無等の道路構造、そして沿道状況、交通特性等を挙げており、この中には御指摘の大型車混入率が高い、通学路であるなども挙げられているところでございます。

 御指摘の大型車混入率が高いや通学路であるということについては、大型車の衝突事故は重大な被害につながりやすいと考えられますことや、通学路は、児童が通り、また生活道路である場合が多いと考えることなどから例示として挙げているものでございます。

 都道府県公安委員会においては、こうした点に加え、さまざまな要因を考慮して規制速度を決定しているものと承知しております。

塩川委員 学校周辺は生活道路だからというところがあるわけですけれども、その生活道路というのは、実際、最高速度については普通は何キロの規制になっているものですか。

掛江政府参考人 生活道路における速度規制につきましては、歩行者、車両の通行実態や交通事故の発生状況等を勘案しつつ、住民、地方公共団体、道路管理者などの意見を十分に踏まえて、速度を抑えるべき道路を選定し、このような道路の最高速度は三十キロメートル毎時を原則とするというふうにしてございます。

塩川委員 よく住宅団地なんかの道路の最高制限速度というのは三十キロなんですよね。ですから、そういう意味では、本当に、児童が通学をするような道路というのは高い速度にはなっていないのが前提なんです。

 今紹介をした交差部分というのがまさに小学校の入り口と言いましたように、そういった生活道路、そういう意味では、本来、車であれば三十キロで走るようなところに当然なってまいりますし、大型車両というのがやはり重大事故をもたらす、普通車よりも質量が大きいですから、当然のことながら事故も大きくなってくるという点でいって、LRTなんかまさに大型車両ですよね。百五十五人の定員の車両であるわけですから。そういったものについて、本来であれば、定められている制限速度よりも下方に補正をする、そういう対象の場所になってくるんじゃないのかということです。

 警察庁にお尋ねしますけれども、今説明いただいたような点も踏まえて、最高速度に関する規制実施基準に基づけば、このLRTの最高制限速度の四十キロ、これよりも低い速度に設定するということが現場で必要になってくるんじゃないでしょうかね。

掛江政府参考人 ただいま申し上げました生活道路における速度規制でございますが、これは、速度を抑えるべき道路を選定し、その場合には三十キロメートル毎時を原則とするということですので、全ての生活道路が三十キロメートル毎時を原則とするというわけではございません。

 先ほど申し上げましたように、交通実態ですとか道路環境を勘案しまして、総合的に公安委員会の方で適切な速度規制を定めるものと承知しております。

塩川委員 国交省にお尋ねしますが、本来、鉄道であれば、鉄道と道路の平面交差、踏切はなくすというのが基本方針なんですよね。国交省、政府の大方針であります。ですから、過去三十年間、新たに敷設をされた鉄道を全部拾ってみて、そういった過去三十年間に新たにつくられた鉄道において、平面交差の踏切というのは一カ所もないんですよ。当たり前の話で、やはり重大事故につながるから踏切は解消するんだというので、立体交差化を図ってきているわけなんですよね。

 だけれども、この宇都宮のLRTは平面交差なんですよ、新設のものであるにもかかわらず。なぜそうかというと、LRTは鉄道事業法の対象じゃなくて軌道法の対象だから、こうなっているんですよね。だけれども、今お話ししましたように、軌道法だからこそ最高速度が四十キロという制限もあるにもかかわらず、宇都宮市などは七十キロまで飛ばしたいと言っているわけなんですよ。そのためにも専用の軌道もつくったわけですよね。

 普通であれば、こういう専用軌道をつくるときには、鉄道事業法の規定を踏まえて、鉄道事業法に基づく技術基準省令を適用する、つまり鉄道と同等の扱いにするということは本来やるべきなのに、あくまでも軌道法の世界でということを言っているものですから、結果として、七十を目指すような専用軌道をつくりながら、鉄道事業法の対象にせず、軌道法のままにしているために、平面交差になってしまっている。

 これは、安全基準の後退だと言わざるを得ません。こんなことになるのも、需要を大きく見込みたいがために、駅と工業団地の所要時間を短縮していくことに血道を上げているからで、こういった需要予測によって安全対策が軽視されるようなことがあってはならないわけであります。

 ですから、国交省にお尋ねしますけれども、宇都宮市は七十キロなんて書いているんですけれども、こんなの本来実現できるはずないんですよ。実現できるはずもないようなことを大々的に市民、住民に宣伝をしている。こんなのおかしいんじゃないですか。そういう根拠になっているというのが、皆さんの方に宇都宮市、芳賀町が出した計画であります。

 ですから、この軌道運送高度化実施計画、七十キロ走行、ただし書きということであっても書かれている。そういうことは、この計画は認められないという立場で臨むべきで、こういう計画そのものをそもそも白紙に戻すということこそ国交省がやるべきことじゃないですか。いかがですか。

志村政府参考人 先生がおっしゃられていますように、道路の路面に敷設する併用軌道区間の最高速度につきましては、原則毎時四十キロメートルを超えることは認められない、こういうのが原則でございます。

 他方、道路の路面に敷設する併用軌道区間については例外規定もございまして、軌道運転規則の第二条の規定によりまして、例外取り扱い許可を受けて、毎時四十キロメートルを超えた最高速度を設定することもできるとされているところでございます。

 いずれにいたしましても、現時点で、私ども、四十キロ走行を前提とした実施計画の提出を受けたところでございまして、将来五十キロ化、あるいは専用敷となります区間につきましては七十キロ化と記載されてございますが、この七十キロ化でありますとか五十キロ化に当たりましては、その際どのような設備を考えているのか、その際の手続の中でしっかりと審査をし、判断をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 もし七十を出す計画は認めないというのであれば、この実施計画を書き直ししろと言うべき話なんですよ。七十キロを出すのであれば、そもそも、平面交差じゃなくて立体交差化を図るようなそういう計画なんですよ。そんなこともやらないような計画をそのままオーケーと言えるのかという問題なんですよ。

 こういう計画を宇都宮市は出してきているわけですけれども、宇都宮市のこの問題の担当の副市長というのは国からの出向者と聞きましたけれども、どこの国かわかりますか。

志村政府参考人 何省の出身かということでございますか。国土交通省の出身と承知しております。

塩川委員 ですから、宇都宮市で推進している副市長は国交省の出向者なんですよ。身内でやっているような計画で、安全基準を緩和するようなことというのは絶対認められない。

 最後に大臣にお尋ねしますけれども、こういうLRTの一般的な意義というのはわかりますが、このように安全対策を後退させるような計画のままでいいのか。そういう点でも、住民合意がないような計画というのは認められない、こういうことこそ今求められていると思うんですが、率直な感想をお聞きします。

丸川国務大臣 コンパクトシティー化を進める上で、LRTを活用された自治体というのはたくさんいらっしゃると思いますが、やはり地元の住民の皆様方ときっちりと理解を深めた上で計画を進めていかれることが重要ではないかと考えております。

塩川委員 地元ではBRTなどを活用するような、いろいろな形での地域公共交通機関の活性化というのはあるんです。ですから、LRTを前提にしたような、こういうことを一方的に押しつけるようなやり方というのはきっぱりと改める、白紙に戻す、こういうことこそ必要だということを最後に強調して、質問を終わります。

赤澤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 限られた時間でありますので、早速質問に入りたいと思います。

 私は九州の福岡でございますけれども、九州の地から、今、原発が再稼働して、また核のごみがふえ続けている状況にあります。

 九州電力の川内原子力発電所が再稼働しまして半年を過ぎました。その中で、昨年十二月になりまして、新設する予定だった免震棟の建設を撤回するということがわかりました。再稼働に至るプロセスでは、地元への説明の機会などでもこの免震棟の新設を説明してきたというふうに思います。それが、再稼働した後にその建設を取りやめるということになったのは、九州電力のみならず、新規制基準の適合性審査そのものの信頼を損なう事態になるのではないかと危惧するところであります。

 まず、この間の経緯と現在の状況について伺いたいと思います。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 九州電力からは、昨年の十二月十七日に、既にこれは許可を受けたものでございますけれども、免震重要棟内の緊急時対策所の設置を取りやめる、そして、耐震構造の代替緊急時対策所、これは既に設置をされて使用されてございますけれども、これを緊急時対策所として利用するという変更の申請がございました。

 その後、ことしになりまして、一月二十六日の審査会合におきまして、当該変更がどのようにさらなる安全性の向上につながるのかという点について説明を求めましたが、十分な回答が得られませんでしたので、再度よく検討するようにという指摘をしたところでございます。

 九州電力には、この指摘を踏まえて、一層の安全性の追求をすべく、緊急時対策所についていま一度よく検討してもらいたいと考えて、今その返事を待っているという状況でございます。

河野(正)委員 必ず安全でなければならないというふうに思います。

 やはり日本経済を活性化していくためには、安くて安定したエネルギーというのが絶対必要であるというふうに思っています。原発は安定したエネルギーかもしれませんけれども、安いエネルギーではないと思いますし、やはりリスクとかを考えると、安全、安心な運転をしてもらわなきゃいけないということを考えると、非常にお金もかかると思いますし、厳しくやっていただかなければならないと考えているところであります。

 福島第一原発事故におきましては、免震棟が各原子炉を統括し、現場の中央指揮所となりながら、加えて、東京電力本店との調整に当たるなど、事故対応の中心となりました。

 もし免震棟がなかったとすれば、そして、仮にその機能が津波や地震によって失われていたとするならば、どのような事態が考えられたんでしょうか。仮定では答弁しにくいというふうには思いますけれども、現在の考え方、認識を可能な範囲で結構ですのでお答えいただきたいと思います。

青木政府参考人 仮に免震重要棟がなかった場合のお尋ねですが、仮定の話でありまして、お答えすることは困難でございます。

 事故当時の規制基準におきましても、事故対応の拠点といたしまして、緊急時対策所を原子炉制御室以外の場所に施設することを求めておりました。

 事故後に策定しました新規制基準におきましては、事故の教訓を踏まえまして、大規模な自然災害が発生しても緊急時対策所が機能するよう、基準地震動や基準津波に対しても機能を失わないこと等の要求事項を追加しているところでございます。

河野(正)委員 免震棟は、地震と津波の複合災害に直面した原発にとって生命線とも言えるほど極めて重要な役割を果たしています。しかしながら、新規制基準では免震棟の建設は義務づけられておらず、事業者が耐震施設で十分と判断すれば認められてしまうようになっています。

 原子力規制委員会では、この点について、どのような判断のもとに現在の基準を設定し、審査に当たっているのか、見解を伺いたいと思います。

青木政府参考人 新規制基準でございますが、緊急時対策所につきましては、重大事故等に対処するために必要な指示ができること、必要な数の要員を収容できることということの役割を求めておりまして、性能としましては、重大事故等に対処するために必要な情報を把握できる設備の設置、原子炉設備内外の必要な場所と通信連絡を行うための設備の設置、基準地震動及び基準津波に対しての機能を確保すること、電源設備の多重性または多様性の確保といったことを要求しているところでございます。

河野(正)委員 必要な、必要なということでしたけれども、極めて基準が曖昧じゃないかなと思いますので、しっかりと示していただきたいと思います。

 そもそも、川内原発の新規制基準の審査の過程では、暫定的な耐震施設の建設にとどめ、ことし三月末までに免震棟を新設し、そこに緊急時対策所を設けることとなっていたはずであります。ところが、昨年末になって、その計画を撤回し、暫定措置であるはずの耐震施設をそのまま活用するという方針に変更されました。

 これが認められるのであれば、エネルギー基本計画に明記されている、「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。」というプロセスに早くも抜け道が生じてしまったように思えます。

 なぜ最も厳しい水準である新規制基準に適合した原発が、再稼働に、当初の前提を変更するような対応が許されてしまうんでしょうか。こういったことが抜け道ではないのかというふうに思えるわけであります。

 規制当局として、この問題にどのように対処していく考えか、今後の見通しを含めて政府の見解を伺いたいと思います。

田中政府特別補佐人 先ほど櫻田部長の方から説明させていただきましたように、一昨年九月に設置変更許可を行った際は、免震重要棟内に新たな緊急時対策所を設置することを含めて許可を行っております。原子力規制委員会としても、事業者が免震重要棟を設置するものとこれまで考えていました。

 ただし、法的には、事業者が許可の内容を変更する申請を行うことは妨げられるものではありませんので、そういった設置変更許可があれば、原子炉規制法に定める許可の要件に適合しているかどうかということが私どもの判断の基準となります。

 一方、事業者に対しては、やはり常に継続的に安全を向上させるということが求められておりまして、今回の事業者からの変更申請がどのように安全の向上に寄与するのかというところについては、しっかりと説明をしていただきたいと考えています。

 審査の見通し、今後の見通しがどうなるかということについては一概に申し上げることはできませんが、近々、変更申請の見直し内容が出てくると聞いておりますので、それを十分に説明を聞いた上で、審査基準に適合しているかどうか、少なくとも、従来許可をしたレベルを上回るような安全性を確保できるかどうかということについては、厳正に審査をしていく考えでおります。

河野(正)委員 お言葉にありましたように、厳正にやっていただきたいというふうに思います。

 東京新聞二月七日付の記事によりますと、現在、再稼働を申請している十一の原発において、当初の方針と比べ、面積を縮小したり、免震機能をなくしたりするなどの対応をとっているというふうなことも報道で指摘されております。九州電力川内原発の再稼働後の変更申請を受けて、各電力業者とも対応を変えてしまっているようにも見えるところであります。

 原子力規制委員会は、この状況をどのように把握されているか、お答えいただきたいと思います。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会に対して、これまで十六の発電所についての原子炉設置変更許可の申請を受けて、今現在、審査を進めているという状況でございます。

 これらの十六の発電所のうち、当初の申請におきまして免震構造の緊急時対策所を計画していたものについて調べましたところ、川内原子力発電所以外では、伊方、玄海、東通、女川、柏崎刈羽、島根、この六つの発電所でございます。

 この六つの発電所のうち、伊方発電所につきましては、基準地震動の変更がありまして、これを受けて、既に設置されている免震構造の緊急時対策所はありますが、これを自主的な設備として活用しつつ、新たに耐震構造の緊急時対策所を設置するといった変更がなされまして、この審査をした結果、昨年七月十五日に設置変更の許可を行ったというところでございます。

 それから、柏崎刈羽原子力発電所につきましては、これは審査中でございますが、当初の免震構造の緊急時対策所、これも既に存在してございますけれども、そのほかに、耐震構造を持った三号機の原子炉建屋に別の緊急時対策所を追加設置するという旨の説明を受けておりまして、現在審査を進めているという状況でございます。

 そのほかの発電所の申請につきましては、現在までの審査の過程においては、事業者から緊急時対策所に関する計画変更をしたという説明はまだ受けていないという状況でございます。

河野(正)委員 しっかりと対応をお願いいたします。

 今回、再稼働への地元同意を得る過程、原子力災害時の避難計画を策定する過程、それぞれで行われてきた事業者の説明が大きく変更されています。免震棟が建設されないのであれば、緊急時の対策所の機能が失われる事態も想定して、地域住民の避難計画などを再検討しなければならないはずであります。

 このような大きな変更が生じた場合は改めてその過程をやり直す必要があるのではないかと感じるところでありますけれども、政府の見解を伺いたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、原子力発電所の再稼働後に設備の設置変更がなされる場合には、先ほどから御説明ありましたように、原子力規制委員会におきまして、新規制基準のもとでしっかり確認をされ、審査をされ、その上で許可がなされるというふうに認識しているところでございます。

 一方、原子力防災の立場でございますが、設置変更許可がなされたものでありましても、原子炉の運転等により事故が発生し、放射性物質等が異常な水準で放出される事態によって国民の生命、身体または財産に生ずる被害となる原子力災害、この原子力災害に備えた対応を行うものが原子力防災でございます。このような原子力防災の考え方によりまして、原子力規制委員会が策定いたしました原子力災害対策指針の考え方に基づいて、各自治体におきまして避難計画が策定されているというふうに承知しているところでございます。

 それで、避難計画の充実につきましては、再稼働のいかんにかかわらず、住民の安全、安心の観点からも重要でありまして、不断の見直しを継続的に行っていくべきものというふうに承知しているところでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 川内原発の方も視察させていただきましたけれども、やはり何か起きたときに、自力で避難できる方とは限りません。お年寄りで車のない方もいらっしゃいますし、足腰の弱っている方もいらっしゃいます。また、病人である方もたくさんいらっしゃいます。そういった方々にどのように避難していただくかということで、地方の自治体の方で詳細に検討されてマップをつくられたり、あるいは、バスで避難していただくとして、その避難場所まで介助が必要なのかどうなのか、その地区に何人ぐらいそういった方がいらっしゃるのか、極めて詳細に、本当にまさに足で稼いで市役所の方々とかがそういうものをつくっておられました。

 やはりそういったところは情報を共有してきちんと対策をしなければいけないと思いますし、地方だけにそういった責務を押しつけてやってもらうというのも極めて厳しい、大変な事業じゃないかなというふうに考えております。

 九州電力さんも、いろいろそういったことについて私はお尋ねさせていただきましたけれども、地方自治体等々から要請があれば手伝いますよというような極めて他人事っぽいことも言われていましたので、そういったものは政府がしっかり、きちんと厳しくやっていただきたいと思います。

 今月の十一日で福島第一原発の事故から五年を迎えました。一つの節目ではありますが、今なお原子力災害の被害の真っただ中にある方もまだまだ少なくありません。五年という節目で、事故にかかわった多くの方々がその経験を発信される機会ともなっております。政治家のみならず、原子力安全委員会委員長の立場にあった方も、御自身でホームページを開設され、当時の経験を漫画やアニメの形で発信されたりしております。

 一点気になるのは、先ほどもお話ししましたように、極めて他人事のように書かれている、あるいは発言もそういったことが見受けられます。

 現在要職にある方が、かつてその任に当たられた方のさまざまな発信をどのように受けとめておられるのか、そして、御自身のこの五年間の経験をもとに、次の五年、十年、何に重きを置いてどのように取り組んでいかれるか、考えを伺いたいと思います。

田中政府特別補佐人 今御指摘がありました個々の方の御発言の内容については、私も、その趣旨も含めて詳細に確認しているわけではないので特に申し上げることはございませんが、私自身の考えについては、先日、規制庁の職員、規制委員全体の中で発言させていただきました。

 簡単に御紹介申し上げますと、大震災から五年たちましたけれども、なお十七万人を超える人たちが避難生活をしているというこの事実は重く受けとめなければいけないということです。それから、大震災に伴って起こった福島第一原子力発電所の事故、これが私どもの発足の原点であるということを再度肝に銘じて、こういった事故を二度と起こしてはいけないということを常に忘れてはいけないというようなことを申し上げました。

 原子力規制委員会としては、まだまだ新たな課題が山積している状況にありまして、今も先生からの御質問にもありましたように、九州電力の川内原子力発電所一号機、二号機が稼働し、ことしに入り、関西電力三号機も稼働し始めましたけれども、先日の仮処分によって停止しております。

 私たちの責務は、規制を担う者として、原子力発電所の安全を確保するという観点から、審査の段階できちっと厳格に進めると同時に、今後稼働した原子炉についても、稼働中の検査の強化を図りながら、きちっと安全を図っていく必要があるということ、それから、原子力規制委員会と規制庁に課せられた責務は非常に重いということを自覚して、誇りを持って、臆することなく職務に臨んでほしい、こういったことを申し上げました。

河野(正)委員 五年の節目を迎えて、原子力防災担当である丸川大臣のお言葉もいただきたいと思います。

丸川国務大臣 まず、東日本大震災そして福島第一原子力発電所の事故から五年が経過して、改めて、お亡くなりになられた方々、また御遺族の皆様、そして被災をされて今なお避難をされている皆様方に、心からお見舞いの気持ちを向けたいと思います。

 一度こうした大きな事故が起きることによって、いかに多くの方々が生活を変え、人生を変えねばならぬことになるのかということの重みに私どもは改めて心をいたして、しっかりと、これから自分たちが誰のために何をすべきかということをよく考えて仕事をしていかなければならないと思うところでございます。

 それぞれの方がさまざまな思いを述べられるということは、それはもう個人のことでございますので、私が何かを申し上げる話ではございませんけれども、少なくとも、これまで、福島原子力発電所の事故において、オンサイトまたオフサイトでどのような課題があったかということについては、国会の事故調であるとか、あるいは政府事故調等で示されておりまして、決してこの教訓を風化させてはならないという思いで、今、原子力防災の仕事に取り組ませていただいております。

 この防災の考え方について、まだ必ずしも十分に国民の皆様の間に浸透しているということではないと思いますので、各地域での原子力防災協議会での議論はもちろんですが、そうしたことを通じて、また国民の皆様に御理解をいただくような努力、発信というものも我々は心がけていかねばならないと思っているところでございます。

 先ほど委員が御指摘いただいたように、各自治体の皆様方には、事細かに、どこに要援護者がおられて、その方々が避難をするためにどのような手だてがあって、足りない部分をどう補うのかということは子細に計画の中に詰めておるところではございますが、こうしたものは不断に見直しをしていく必要がございます。

 御承知のとおり、それぞれの方の状況は常に変わるわけでございますから、我々は決して現状におくれることなく、こうした見直しを訓練等も通じてさらにブラッシュアップしていく努力を重ねてまいります。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 五年という節目は迎えましたけれども、まだまだ苦しんでいらっしゃる方がおられる状況で原発再稼働となっておりますので、しっかりとそれぞれの立場でやっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 改革結集の会の小沢鋭仁でございます。

 本日は一般質疑ということで、私は、環境と経済、こういう視点から幾つか質問をさせていただきたい、こう思います。

 まず、最近、報道で、エネルギー・環境イノベーション戦略、これの記事が見受けられます。環境省の方は、地球温暖化対策計画、こういう話の取りまとめをしているわけでありますけれども、このエネルギー・環境イノベーション戦略と環境省の方の温暖化対策計画との関連、あるいはまた、環境省がどのようにこのエネルギー・環境イノベーション戦略に加わっているか、かかわっているか、そういったところをちょっと御説明いただけますか。

梶原政府参考人 地球温暖化対策、とりわけ中長期の対策というものを考えた場合に、研究開発の強化あるいはすぐれた低炭素技術の普及というのが極めて重要になってまいります。そして、今、パブリックコメントにかけております私どもの地球温暖化対策計画の案についての関係ということでお尋ねがございましたけれども、その中の基本的な考え方の一つに、そのような技術開発そして普及というものをしっかりと位置づけているところでございます。

 具体的には、地球温暖化対策と経済成長を両立させる鍵は、革新的な技術の開発である、エネルギー・環境イノベーション戦略に基づいて、有望分野に関する革新的技術の研究開発を強化していく、加えて、JCM等を通じまして、すぐれた低炭素技術等の普及や緩和活動の実施を推進するという形で明確に明記をしているところでございます。

 この戦略につきましては、ことしの春までに総合科学技術・イノベーション会議におきまして取りまとめるという予定でございますが、実際、この戦略をつくっております会議にも参加させていただいておるところでございます。そしてまた、関係省庁が非常に多うございますので、その中の一つとしてしっかり協力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 環境省といたしましても、例えば、その中でパワーエレクトロニクス技術という形でも書いてございますけれども、その中のガリウム窒素を使いました電子デバイスでありますとか、セルロースナノファイバーの技術でありますとか、そういったものについてもしっかりと主体的に技術開発を進めてまいりたいというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 方向としては大変いい方向だ、こういうふうに思っておりますし、私も大変関心が深い分野であります。

 今、梶原さんからも話がありましたが、環境分野に関して、特に温暖化対策の分野でありますけれども、研究開発、技術革新、そういった話が極めて重要だ、こういう話であります。それはまさに、ある意味では経済政策としても大変重要だ、こういうことで、私も一貫してそういう主張をしてまいりました。まさに技術革新を進めていくためには投資が必要であります。投資を進めていくためには、そのバックアップといいますか、金融が重要であります。そういった意味で、きょうは幾つか質問させていただきます。

 まず、環境技術投資の現状。

 かつて私がやっていたころは、環境関連エコファンドとかいわゆる投資信託、そういった統計資料があったように思うんですが、最近はそういうのが余りないようですね。ですから、環境省の方で持っているのはESGの投資額だ、こういう話ですが、これはエコだけではなくていわゆる社会的な問題だとかガバナンスの問題も入っちゃっているんですが、とりあえずそれを丸川大臣も閣議か何かで発言されたというふうに聞いていますが、その現状はどうですか。日本は世界と比べて遜色ないんでしょうか。

丸川国務大臣 御指摘のESG投資でございますけれども、NPO法人社会的責任投資フォーラムがまとめたところでは、二〇一五年において、日本におけるESGの投資運用額がおよそ二十六・七兆円でございます。

 他方、世界全体を見ますと、ESG投資運用額は、責任投資を推進する国際イニシアチブであるグローバル・サステーナブル・インベストメント・アライアンスのまとめによりますと、二〇一四年において、二十一・四兆アメリカ・ドル、およそ二千二百兆円でございます。

 我が国が世界全体に占めておる運用額ということになりますと、世界全体の一%程度ということでございまして、最近大変ESG投資に関する興味、関心が高まっているところではございますけれども、まだまだこれからという面がございます。

小沢(鋭)委員 大変残念な数字ですよね、これは率直に言って。

 まさに今の安倍内閣、成長戦略が重要だ、こういう話になっているんですけれども、この成長戦略の柱にしていかなきゃいけないんじゃないですか。大臣、どうですか。

丸川国務大臣 やはり企業がこの先どの分野に投資をしていただくかという判断をいただく上で、その資金の出し手である投資の分野、金融の分野で環境が大きく意識をされるということは極めて重要だと考えております。

 GPIFが国連のESG投資の責任原則にコミットしていただいていることは非常に心強いことでございまして、こうした動きが我が国の金融分野においても広がることを大いに期待し、また奨励したいと思っております。

小沢(鋭)委員 エコファンド、それからリース、環境ファイナンス、こういったところをしっかりとぜひ進めていただいて、中身に関しては政府はそんなに具体的な話はリードできませんから、そういうバックアップの体制をしっかりとれば民間はやるんですよ。ですから、そういう体制をぜひ整備していただきたいと思います。

 環境金融、この分野は私は精いっぱい当時やらせていただいたつもりですが、今、環境金融に関しては、環境省、どういう取り組みをされていますか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 環境投資を強力に推進していく、環境金融を推進していくということで、かねて御指導賜っているところでございますけれども、例えば、現在の取り組みといたしましては、中小企業等が低炭素機器をリースにより導入する際の費用の一部を補助する事業でございますとか、民間金融機関が環境に配慮した融資を行う際の利子補給事業を実施しているところでございます。このほか、低炭素化プロジェクトに民間からの投資を呼び込むための、グリーンファンドからの出資によりこれらのプロジェクトを支援する事業でございますとか、また、御指摘ございましたESG投資を我が国に広げていくための情報発信や環境情報開示システムの整備などに取り組んでいるところでございまして、今後とも、これらの取り組みを通じまして環境金融の推進を図ってまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 経済政策的な話になると、環境省がというのは何か違和感があるように思うかもしれませんが、こういった分野を本当にしっかりやることが先ほど申し上げた技術革新といったものにつながっていく、こういうことでありますので、ぜひそういった視点を強く持っていただきたい、こういうふうに思います。

 この前も申し上げましたけれども、いわゆる経済政策の勉強会というんでしょうか、サミットに向けての、スティグリッツ先生をお呼びになってやっていましたけれども、スティグリッツさんもその中で相当強くこの分野を言っていますね。スティグリッツさんはある意味で大変興味深い発言をされていて、環境税を世界じゅうが強化していく、炭素に税金をかけるという話をしていけば、税金をある意味では節税化する、そのために投資がそこに呼び込める、こういう言い方もしているわけですね。

 そういった意味では、この税の話、今質問しようと思ったんですけれども、時間がなくなってきたので私が言いますけれども、二千億円程度の税に今なっていて、四月である意味では完成する、こういう話になるわけですね。

 そういった意味では、投資を呼び込むという意味もありますし、同時にまた、その二千億の実際の額を新たに投資に使っていくという話もあるわけでありまして、ぜひその税も有効活用しながら考えていただきたい。経済という意味では税も極めて重要ですから、そういうふうに御提案を申し上げておきたいと思います。

 最後に、時間にもなりましたので一つだけ、具体的なプロジェクトで御質問させていただきます。

 地中熱という言葉があります。私は、ずっと一貫してこれを推奨してきているんですが、私がやっていたころも環境省はなかなか熱心にやってくれなかったんですね。

 地中熱というと地熱とよく混同されるわけでありますけれども、この地中熱は、ボーリングして、地中の中の温度というのは必ず表層よりも夏は低いし、冬は温かいですから、冷暖房に使っていくという意味ではどこでもとにかく使えるんですね。

 ですから、私はこれは大変有望だと思っていて、そして二〇二〇年の東京オリンピック、これも既にアクアティクスセンター、プール、水泳競技のところ、それから有明アリーナ、バレーボールのところ、この辺では地中熱の活用が決まっているようですが、選手村とか新国立競技場では今まだ協議中、こういうことなんですね。

 環境省として地中熱をどのように評価されるか、さらにはまた、二〇二〇年の東京オリンピックというのは世界に向けてのある意味では環境日本を大変アピールする場でもありますから、ぜひ頑張っていただきたいと思うんですが、どんな状況でございましょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御紹介いただきましたとおり、地中熱は、気象や地域特性に大きく左右されない再生可能エネルギーでございまして、昼夜を問わず、一年を通じて安定的な利用が期待できるエネルギーでございます。再生可能エネルギーの中でも、導入可能な場所の制限が比較的少ないため、地球温暖化対策としても有望であるというふうに考えております。

 このため、環境省では、例えば今年度は、グリーンプラン・パートナーシップ事業におきまして、栃木県農業大学校の校舎と園芸用ハウスに地中熱利用設備を導入する事業を支援するなどしてきたところでございます。

 また、来年度からは、現在御審議をいただいております予算におきましては、再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業を掲げさせていただいておりまして、地方公共団体等が地中熱利用設備等を導入する際の補助を開始する予定でございます。

 こうした事業によりまして、地域における優良な導入事業の形成を支援いたしまして、モデルとして全国に示すことによりまして、地中熱を含め、地域における再生可能エネルギーの自立的普及を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、御指摘いただきました東京オリンピックに向けましても、どのようなさらなる活用が可能か、環境省としても積極的に議論に参画してまいりたいというふうに考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 ぜひ、改めてお願いを申し上げますので、この地中熱、環境省としても強力に推進をしてもらいたいと思うんですね。

 今、三好さんから栃木県の話が出ました。これはハウスと農業大学校の本館ということのようですが、これは、地方で住宅開発しますね、そういったところで一本ボーリングして、そして地中熱を例えば十戸とか二十戸の住宅開発のところを導管で結んで冷暖房をやっちゃうという話をすれば、大変クリーンで、継続可能で、いい対策ができる、こういうふうに思うんですね。

 そういった話にも十分に使えますので、ぜひ大臣におかれましては、改めて認識をいただいて、頑張っていただきたい。

 特に、東京オリンピック、今も頑張るという話がありましたが、決意を一言最後に言ってもらいたいと思います。

赤澤委員長 申し合わせの時間を経過していますので、手短にお願いします。

丸川国務大臣 環境都市東京ということをこのオリンピックでぜひ世界の皆さんに見ていただきたいと思いますので、議員の御意見も踏まえて、よく東京都とも相談させていただきたいと思います。

小沢(鋭)委員 終わります。

赤澤委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 国の環境政策に関する件、特にきょうは、先日三月二十三日に福島県における放射性物質の汚染対策等に関する視察を行いましたので、その件について幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 私たちが視察に参りました富岡町、双葉町、浪江町、富岡町の宮本町長、双葉町の伊沢町長、浪江町の馬場町長からそれぞれお話を伺って、そして現地も見てきたわけなんですが、あの震災から五年たつものの、福島第一原発の放射性物質の放出事故によって汚染された、推定年間積算線量が五十ミリシーベルト超の帰還困難区域、それから二十ミリシーベルトを超えるおそれがあると確認された居住制限区域、さらには二十ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認されている避難指示解除準備区域のそれぞれの状況について拝見させていただきました。そして意見を聴取させていただきました。

 私は、バスの車窓からずっと外を眺めながら、五年たっていまだに、一階部分は津波によってもう完全に壁が崩れ、取り払われているんですが、鉄骨のまま二階建ての住宅が残っているそういう状況や、そして、当然ですけれども、除染が行われずに、もともと畑だった場所が、私の身長、私は身長が低いんですけれども、一メーター六十八しかないんですが、私の身長を優に超えている雑草が茂っている状況を見ると、一体いつになったらここに昔の笑顔が戻ってくるんだろうかということを本当に考えながら、その車窓から見る風景を早くもとに戻したいと。

 この放射性物質の半減期は、二十八年、二十九年、長きにわたるものがあります。当然、それ以上に半減期が必要なものがあるわけですけれども、しかし、さりとて、環境省には、国を挙げてこの復興に対しては本当に力を尽くしていただきたいという気持ちは変わりないと思います。

 そこで、きょうは、この視察でもろもろ改めて確認をさせていただきたいことについてるる質問をさせていただきます。最後の質問者ですので、質問内容が重複する点もあるかと思いますが、その点は御考慮いただいて、しっかり御答弁をいただきたいと思います。

 まず、この富岡町、双葉町、浪江町の状況について伺います。それぞれの町域における除染の進捗状況について御説明をお願いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 除染は、被災地の復興にとって極めて重要だと認識してございまして、スピード感を持って対応していく必要があると考えてございます。

 この三つの町の進捗状況でございますけれども、除染実施計画に基づきまして、双葉町では本年三月末までに、また富岡町と浪江町につきましては来年三月末までに、避難指示解除準備区域及び居住制限区域の除染を完了する予定となってございます。

 二月十五日時点における実施率でございますけれども、まず双葉町が、宅地が九一%、農地が九七%、森林が九九%、道路が六一%の実施率になってございます。同様に、富岡町につきましては、宅地九三%、農地八五%、森林一〇〇%、道路が九八%完了してございます。浪江町につきましては、宅地が四四%、農地三六%、森林六一%、道路が六八%となってございます。

 残りの除染につきましても、被災地の一日も早い復興に向けて、予定どおり除染が終了できるよう、最大限の努力を行ってまいります。

玉城委員 今、このように、除染可能な地域についてはるる除染が進んでいるということではあります。しかし、例えば、除染が完了した後においても、雨どいや集水升などの放射性物質が集積しやすい箇所では、除染の効果が低い、つまり、そこにまた新たに放射性物質の堆積といいますか、それが見られるということで、徹底した再除染が求められるということで、この内容についても、富岡町の宮本町長からは、復興に関する要望書の中に、そのような再除染をぜひ行っていただきたいというふうなことも求められています。

 そういう問題への対応についてはどのように取り組んでおりますでしょうか。お聞かせください。

高橋政府参考人 いわゆる再除染についての御質問がございました。

 除染が終わってからおおむね半年から一年後に、その効果が維持されているかどうかを確認するための事後モニタリングというものを実施してございます。その結果、再汚染があったり、あるいは取り残しがあったりということで除染の効果が維持されていないと認められた場所につきましては、合理性や実施可能性を判断した上で、フォローアップ除染を実施することとしてございます。

 このようなフォローアップの除染の考え方につきましては、昨年十二月に、有識者による検討会で実施手順等も取りまとめましてお示しをしたところでございまして、引き続き、これらに基づきまして適切にフォローアップ除染を実施してまいりたいと考えております。

玉城委員 フォローアップの除染についても、るるその要望について真摯にお応えいただきたいと思います。

 さて、双葉町の伊沢町長からお話を伺ったところ、双葉町は、実は、九六%が帰還困難区域、四%が避難指示解除区域になっていて、避難指示解除区域は除染が進められているということなんですが、九六%が帰還困難区域であるということについて、私がバスで走りながら見たそういう光景が広がっているのも、まさに、帰還が困難だ、一体いつになったら戻れるのか、その期日さえお示しすることができないという場所になっていると思います。ところが、この帰還困難区域の除染もやはり、それぞれの町長さんからは、そこもしっかりやるべきではないかということが求められております。

 帰還困難区域の除染対策についての現況をお聞かせください。

井上副大臣 除染を含めた帰還困難区域全体の取り扱いにつきましては、政府全体の方針として、放射線量の見通し、今後の住民の方々の帰還意向、将来の産業ビジョンや復興の絵姿を踏まえ、地元とともに検討を深めていくこととされております。

 具体的な政府方針の早急な提示を求める地元の声も強くなってきており、今後、政府全体としてできるだけ早く対処すべき大きな課題であると認識しております。ことしの夏までに政府全体として帰還困難区域の取り扱いを明確にすべく、環境省としてもその中でしっかり検討してまいります。

 なお、復旧復興のために特に必要性の高い広域インフラや復興拠点につきましては、関係省庁と連携をし、既に必要な除染も行っておりますけれども、引き続きこちらの方も進めてまいりたいと思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 なお、宮本町長からは、居住制限区域と帰還困難区域が道路によって隔てられている、わずか、道路幅によってそれが分けられてしまっているということについては、そこはやはり、居住制限区域として放射線量がもし低いということが認められるのであれば、本格的な除染もしていただきたいということが要望に上がっておりますので、その調査などについてもしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 続いて、除染作業の進捗と住民の一時帰還への期待についてお伺いいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、住民の皆様からは、被災から五年たった、さあ、いつ帰れるのか、あと五年待つのか、それとももっと待つのかというふうな声が上がっています。

 一時帰還への期待とそれらへの対応について、内閣府の方からその状況を聞かせていただきたいと思います。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、帰還困難区域の中には放射線量が低下した地域も出てまいっております。

 帰還困難区域の区域見直しに関しましては、今月の十日、安倍総理より、帰還困難区域の区域見直しに向けた国の考え方を今年の夏までに明確に示したいとの御発言がございました。

 したがいまして、帰還困難区域の取り扱いにつきましては、ことしの夏までに明確にお示ししますというこの総理の御発言を踏まえまして、関係省庁と連携して検討してまいります。

玉城委員 鋭意その旨取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、指定廃棄物の処理について伺います。

 福島第一原発事故によって大気中に放出された放射性物質に汚染された廃棄物ですが、一キログラム当たり八千ベクレルを超え、環境大臣が指定したものということになっております。

 福島県内はおおむね八千ベクレルから十万ベクレル以内であるということが環境省のホームページでも紹介されておりますが、この指定廃棄物、まず、全体の処理に関する進捗状況についてお伺いいたします。

井上副大臣 福島県内の指定廃棄物の現状でございますが、現在、約十四万トンの指定廃棄物が保管をされております。

 種類別の内訳といたしましては、焼却灰が約十一万三千トン、浄水発生土が約二千五百トン、下水汚泥が約一万トン、農林業系廃棄物が約三千七百トン、その他の種類の廃棄物が約一万三千トンとなっております。

玉城委員 その中で、廃棄物の量を減らす、ごみの量を減らすために焼却処分をするということが進められています。

 減容化などの中間処理などを行った灰についてお伺いいたしますが、一般及び産廃から生ずる焼却灰に関する処理の進捗状況、これについてお伺いしたいと思います。

鎌形政府参考人 福島県内の指定廃棄物の焼却灰についてでございますが、一キログラム当たり八千ベクレルを超え十万ベクレル以下の放射能濃度のものは既存の管理型処分場へ、そして、一キログラム当たり十万ベクレルを超えるものは中間貯蔵施設に搬入する、そういう方針で臨んでおるところでございます。

 既存の管理型処分場へ搬入する焼却灰につきましては、放射性セシウムの溶出が比較的多い飛灰等についてセメント固形化を行うほか、雨水の浸入を抑制する土壌層やシートの設置、浸出水の処理などを行い、放射性物質の漏出防止のための多重防護の措置を講ずることとしております。

 また、中間貯蔵施設に貯蔵することとなる一キログラム当たり十万ベクレルを超える焼却灰につきましては、専用ドラム缶等に入れた上で遮蔽効果を有する建屋に貯蔵するということとしてございます。

玉城委員 焼却灰の管理に関しては、このような手順、基準によって行われております。

 一方で、例えば、これも環境省の指定廃棄物というホームページに書いてある文言なんですが、焼却処理をすることで放射性物質が濃縮され、十万ベクレルを超える場合もあるという記述があります。それを超えた灰の管理については当然先ほどお答えいただいたとおりなんですが、それが焼却される段階において、放射性物質の濃度が高まるということとあわせて、放射性物質の拡散をやはり食いとめなければいけないということも懸念されるわけですね。

 施設における拡散防止はどのようになっておりますでしょうか。お聞かせください。

鎌形政府参考人 まず、指定廃棄物の焼却を行う焼却施設でございますが、バグフィルターなどの設備により排ガス処理を行ってございます。これにより、排ガス中に含まれる放射性セシウムをほぼ一〇〇%除去することができるということでございます。また、排ガス中の放射性物質の濃度や焼却施設周辺の空間線量の測定を行い、焼却処理に伴う周辺環境への影響がないことを確認することとしております。

 これまで環境省が福島県内に設置した仮設焼却施設では、排ガス中の放射能濃度の測定結果は全て検出限界未満となってございます。また、周辺の空間線量も処理開始前と比べてほとんど変化ないことを確認してございます。

玉城委員 時間が参りましたので、中間貯蔵施設については後刻また改めて一般質疑などで聞かせていただきたいと思いますが、とにかく、復興そして放射性物質の除去については懸命に力を注いでいただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

赤澤委員長 次に、内閣提出、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。丸川環境大臣。

    ―――――――――――――

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

丸川国務大臣 ただいま議題となりましたポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCBは、昭和四十三年に発生したカネミ油症事件でその毒性が社会問題化したことから、我が国では昭和四十七年以降は製造は行われていませんが、既に製造されたPCBについては、その廃棄物の処理が長年の課題となっています。

 現在、高濃度PCB廃棄物の処理は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に基づき、中間貯蔵・環境安全事業株式会社の全国五カ所の処理施設において、立地地域の関係者の皆様の御理解と御協力のもと、進められています。立地地域の関係者の皆様と約束した処理施設ごとの計画的処理完了期限は、早いものでは平成三十年度末、遅いものでも平成三十五年度末とされています。このように、この期限までに残された時間は長くありません。しかしながら、高濃度PCB廃棄物の処分を処理施設にまだ委託していない事業者や、現在もなお高濃度PCB使用製品を使用している事業者も存在し、期限内処理の達成はこのままでは容易ではありません。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、この期限を遵守して一日でも早く確実に処理を完了するために必要となる制度的な措置を講じようとするものです。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、PCB廃棄物処理基本計画の閣議決定についてであります。

 PCB廃棄物の確実かつ適正な処理に向けて政府一丸となって取り組むため、従来環境大臣が定めることとしていたPCB廃棄物処理基本計画を閣議決定により定めることとします。

 第二に、高濃度PCB廃棄物の処分等の義務づけについてであります。

 高濃度PCB廃棄物を保管している事業者に対し、計画的処理完了期限より前にその高濃度PCB廃棄物を処分することを義務づけ、義務違反者に対しては、都道府県知事がその処分を命ずることができることとします。また、現在もなお使用中の高濃度PCB使用製品について、その所有事業者に対し、この期限より前に廃棄することを義務づけます。

 第三に、報告徴収及び立入検査の権限の強化についてであります。

 いまだ都道府県知事に保管の届け出がなされていない高濃度PCB廃棄物や、使用中の高濃度PCB使用製品について、その全容を把握するため、都道府県知事による報告徴収や立入検査の対象に、これらを保管または所有している疑いのある事業者を加えます。

 第四に、高濃度PCB廃棄物の処分の代執行についてであります。

 処分の義務を負う事業者が不明である等の場合に、都道府県知事が高濃度PCB廃棄物の処分の代執行を行うことができることとします。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

赤澤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十九分散会


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