衆議院

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第7号 平成28年4月5日(火曜日)

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平成二十八年四月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 伊藤信太郎君 理事 石川 昭政君

   理事 北川 知克君 理事 助田 重義君

   理事 藤原  崇君 理事 福田 昭夫君

   理事 松田 直久君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    小倉 將信君

      鬼木  誠君    神谷  昇君

      白石  徹君    田中 和徳君

      高橋ひなこ君    寺田  稔君

      野中  厚君    福山  守君

      古田 圭一君    堀井  学君

      前川  恵君    牧原 秀樹君

      宮崎 政久君    吉野 正芳君

      菅  直人君    田島 一成君

      中島 克仁君    宮崎 岳志君

      真山 祐一君    池内さおり君

      塩川 鉄也君    小沢 鋭仁君

      河野 正美君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         丸川 珠代君

   環境副大臣        井上 信治君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   防衛大臣政務官      熊田 裕通君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 内藤 尚志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 重夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           若井 英二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 塚原 太郎君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     宮崎 政久君

  小倉 將信君     神谷  昇君

  前川  恵君     古田 圭一君

  馬淵 澄夫君     宮崎 岳志君

  塩川 鉄也君     池内さおり君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     小倉 將信君

  古田 圭一君     前川  恵君

  宮崎 政久君     野中  厚君

  宮崎 岳志君     馬淵 澄夫君

  池内さおり君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  野中  厚君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官内藤尚志君、外務省大臣官房参事官山田重夫君、経済産業省大臣官房審議官若井英二君、経済産業省大臣官房審議官三木健君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長三好信俊君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、防衛省大臣官房衛生監塚原太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江田康幸君。

江田(康)委員 おはようございます。公明党の江田康幸でございます。

 丸川大臣には初めての質問になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、ポリ塩化ビフェニル廃棄物特別措置法、PCB特措法の改正について質問をさせていただきます。

 早速でございますが、PCBは、昭和四十三年のカネミ油症事件を契機にこの毒性が社会問題化されて、昭和四十七年以降製造が中止されたところでございます。その後、民間主導で処理施設の立地が試みられましたけれども、これはどこにも立地することができずに、三十年という長い時間が空費されました。

 PCB特措法は、こうした状況を踏まえて平成十三年に制定され、政府主導でPCB廃棄物の処理が進められることとなり、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、JESCOの五カ所の処理施設において処理が進められてきたところでございます。

 しかし、当初予定されておりました平成二十八年度、まさに今年度でございますけれども、その処分ができずに、平成二十六年に五事業所の地元自治体との調整を行った上でPCB廃棄物処理基本計画の見直しが行われて、期限の延長がなされました。

 それでもなお、このJESCOに処分委託しない事業者、また使用中のPCB使用製品なども数多くある、そういう状況の中で、各処理施設の計画的処理完了期限の達成が危ぶまれる状況にあります。そこで、今回の改正案は、この自治体との約束である期限内処理を確実に達成するために提出されたものと理解しております。

 まず、環境省にお伺いしたいと思います。そもそも、PCB廃棄物の処理はなぜここまでおくれてしまったのかということであります。

 平成十三年の特措法の制定からすれば、平成二十六年の基本計画の見直しまで、それでも十三年かかっているわけでありまして、この期限内処理に向けての問題認識の甘さ、また判断のおくれがあったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

鎌形政府参考人 PCB廃棄物の処理のおくれについての御質問でございます。

 PCBは、御指摘のとおり、昭和四十三年のカネミ油症事件を契機にその毒性が社会問題化いたしまして、昭和四十七年の製造中止後、民間主導で、全国三十九カ所においてPCB廃棄物の高温焼却処理施設の立地が試みられました。しかしながら、分解されずに残ったPCBが排ガス中に含まれるのではないかといった不安や、副生成物質としてダイオキシンが発生するのではないかといった不安から住民同意が得られず、三十年間以上にわたり処理が滞ることとなりました。

 こうした状況を踏まえ、平成十三年にPCB特措法が制定され、立地地域の関係者の御理解と御協力のもと、国が中心となってJESCOを活用いたしまして、全国五カ所に拠点的な処理施設を整備し、平成二十八年三月までに事業完了することとされました。これは、平成十三年の法施行後五年間で施設整備を行い、その後十年間で処理を完了させることを想定して設定されたものでございます。

 しかしながら、JESCOにおける高濃度PCB廃棄物の処理は世界でも類を見ない大規模な化学処理方式によるものであったため、処理開始後に明らかとなった課題への対応などにより、当初想定していた平成二十八年三月までの事業の完了が困難となったところでございます。

 そのため、立地地域の関係者の御理解、御協力のもと、平成二十六年に基本計画の見直しを行い、各施設の操業開始時期が異なることや各事業所の処理見込みを踏まえ、五つのPCB処理事業所ごとに計画的処理完了期限を定められたということでございます。

 このJESCOの各処理事業所の計画的処理完了期限は、二度と再延長しない旨を地元関係者と約束して設定されたものでございまして、国として必ず守らなければならないものでございます。

 このため、計画的処理完了期限を守るために必要な措置を改正法案に盛り込んだところでございまして、御指摘を重く受けとめて、期限内の処理の達成に万全を尽くすこととしてございます。

江田(康)委員 今ございましたように、今般の法案というのは、これまでこのPCB廃棄物の処理が思うように進まず、非常に長い年月がかかってきたこと、そして、いよいよその最後の期限が迫ってきた、このことから必要な措置を講ずるものでございます。

 大臣にお聞きいたしますが、JESCOの処理施設の立地を受け入れた自治体との約束を守るため、今回はもはや失敗は許されないわけでございます。そこで、今般の改正案では、期限内の処理を確実に達成するために必要な措置を盛り込んだものと理解しておりますが、その重要なポイントは何か、また、従来環境大臣が策定することとされていましたPCB廃棄物処理基本計画を閣議決定に格上げすることとされておりますが、その意義と内容について御説明を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、この事業を受け入れていただいている地元の皆様との約束は必ず達成しなければならない約束でございますので、今回の改正案においては、期限内の処理を確実に達成するために以下四つの措置をポイントとして挙げさせていただきます。

 これまで環境大臣が定めることとしておりましたPCB廃棄物処理基本計画を閣議決定計画に格上げをする、委員御指摘のとおりです。そして二点目として、計画的処理完了期限前における高濃度PCB廃棄物の処分や高濃度PCB使用製品の廃棄の義務づけ。そして三点目が、届け出がされていない高濃度PCB廃棄物等に係る事業者への報告徴収や立入検査の都道府県等の権限の強化。そして四点目として、保管事業者が不明等の場合の都道府県等による高濃度PCB廃棄物の処分の代執行でございます。

 こうした措置によって、政府一丸となってPCB廃棄物の期限内処理に全力で取り組んでまいります。

 そして、この新しい基本計画を閣議決定にしたという点でございますけれども、この基本計画においては、期限内処理の完了に向けたロードマップと関係者の役割分担を明らかにすることとしておりまして、取り組みの進捗状況について定期的にフォローアップを行うことによって、期限内処理に万全を尽くしてまいります。

 改正法が国会で成立いたしました暁には、公布後できるだけ早い段階でこれを閣議決定したいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 次に、それぞれ各論に入ってまいりますが、掘り起こし調査について質問をさせていただきます。

 高濃度PCB廃棄物を期限内に処理するためには、まず全国にある高濃度PCB廃棄物の全容を把握する必要があるわけであります。JESCOの計画的処理完了期限が過ぎてしまうと、高濃度PCB廃棄物が新しく出てきても処分委託することができないということから、早期に徹底的に掘り起こし調査を行うことが不可欠でございますが、この掘り起こし調査は具体的にどのように進めていくのか、間違いなく全ての高濃度PCB廃棄物の掘り起こしができるのか、お伺いをいたします。

鎌形政府参考人 掘り起こし調査についてのお尋ねでございます。

 環境省におきましては、平成二十六年に掘り起こし調査マニュアルを策定し、都道府県市に周知しているところでございます。

 このマニュアルにおきましては、まず、調査効率を向上させるため、原則として、トランス、コンデンサーの使用が明らかな、電気事業法に基づく自家用電気工作物設置者を調査対象とすることが適当としてございます。また、安定器につきましては、昭和五十二年三月までに建築、改修された建物にはPCB使用安定器が使用された可能性があるとしているところでございます。

 現在、各都道府県市では、このマニュアルを踏まえ、電気事業法に基づく届け出データを用いて、PCB使用製品を保有している蓋然性が高い自家用電気工作物設置者を調査対象としてアンケート調査票を送付することにより、掘り起こし調査が行われているところでございます。また、調査結果に基づき、個別の事業者に対する電話や訪問調査を実施し、未処理事業者への指導等を行うこととしてございます。

 しかしながら、アンケートの回答率が五割程度にとどまるなど、調査が難航しているところでございまして、今後、国においては、電気事業法等の既存の届け出情報等を活用して調査対象事業者を絞り込んだデータを作成し、都道府県に提供することで、都道府県の調査をさらに効率化することとしてございます。

 また、自治体においては、より効率的かつ実効性のある掘り起こし調査が実施できるよう、掘り起こし調査マニュアルの改定について今後検討を行って、改めて自治体に対して周知を図ってまいりたいと思います。

 このような措置を通じて、掘り起こし調査に万全を期していきたいと考えております。

江田(康)委員 その掘り起こし調査を行うのは都道府県市が中心になるわけでございますけれども、全ての都道府県市が徹底的な掘り起こし調査を行うためには、これを自治体任せにするのではなく、国としてしっかり後押しを行っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

白石大臣政務官 先ほど鎌形がお答えしましたとおり、また先生もおっしゃいますとおり、徹底した掘り起こし調査、これが不可欠でありまして、期限内に処理するためにはPCB廃棄物等の全容を把握することが重要であります。必ずしも十分な把握ができていないのが現状でありまして、このため、現在、各自治体においてアンケート調査による掘り起こし調査が行われているところですが、この回答率も五割程度にとどまるなど、調査が難航している状況であります。

 これを踏まえて、まずは、掘り起こし調査の効率化のため、電気事業法の届け出データ等をもとに調査対象事業者を絞り込んだデータを環境省で作成し、都道府県に提供することといたしました。これも先ほど申し上げました。

 また、未届け出の高濃度PCB廃棄物等について、都道府県等による事業者への報告徴収や立入検査の権限を強化するなど、現行法では緊急時のみに限られていた環境大臣の立入検査、報告徴収の権限を拡大して、特に必要な場合には、地方環境事務所も活用して国も立入検査、報告徴収を実施することといたしております。

 さらに、環境省や自治体のみならず、経済産業省、電気保安関係団体等も加えた早期処理連絡者会議を各事業エリアごとに立ち上げたところであり、関係者間の連携協力の具体的な進め方について協議するとともに、掘り起こし調査の進捗状況について定期的にフォローアップを行うなど、関係者の連携体系を一層強化してまいります。

 このように、自治体の取り組みを後押しするとともに、国としてもしっかりとした必要な措置を講じてまいるつもりでございます。どうぞよろしくお願いします。

江田(康)委員 ありがとうございます。徹底的な掘り起こし調査というのが鍵を握ると思いますので、自治体の方をしっかり後押ししていただきたいと思います。

 次に、処分、廃棄の義務づけについてお伺いをさせていただきます。

 今般の法案では、JESCOの五カ所の処理施設ごとに定められた計画的処理完了期限に基づいて、高濃度PCB廃棄物の処分や高濃度PCB使用製品の廃棄を義務づけることになります。

 環境省によれば、計画的処理完了期限の一年前までの処分や廃棄を義務づけるようでありますが、なぜ一年前としたのか、その理由について、また、万が一この計画的処理完了期限を過ぎてから高濃度PCB廃棄物が出てきた場合にはどうするのか、環境省のお考えをお伺いいたします。

鎌形政府参考人 御指摘のJESCOの計画的処理完了期限は、事業者がJESCOに対し処分委託を行う期限として、二度と再延長しない旨を地元関係者と約束して設定されたものでございますので、国として必ず守らなければならないものということでございます。

 このため、計画的処理完了期限より一年前に事業者に対し処分を義務づける処分期間を設定し、これを徒過した事業者には命令や代執行がかけられる仕組みとしております。この一年間につきましては、改善命令や代執行等を行うに当たり必要な期間ということでございます。この期間内に、計画的処理完了期限までに確実にJESCOへの処分委託を完了させることとしてございます。

 また、JESCOの計画的処理完了期限の経過後は、排出事業者責任に基づいて、事業者の責任でPCB廃棄物を民間主導で処分することを求めることになります。

 しかしながら、PCB特措法制定以前に全国三十九カ所で高濃度PCB廃棄物の処理施設の設置が民間主導で試みられたものの、いずれの場合にも地元の御理解を得られず操業に至らなかった、こういった経緯に鑑みますと、民間主導でPCB廃棄物をみずから処分することは現実的には困難な状況ということでございますので、こうした事態を生じないように、今般の改正案に盛り込んだ措置により計画的処理完了期限内に処分委託が完了するよう、全力を尽くしていく考えでございます。

江田(康)委員 各事業所とも化学的処理方式を採用してこれを進めておりますが、その種類は三種類ぐらいあるわけですね。脱塩素化分解、また水熱酸化分解、そして高温プラズマ溶融、こういうような化学的処理がなされていくわけですけれども、これが長い年月をかけて確立したわけでありましょうが、その処理費用というのは、やはり焼却処理に比べればはるかに高額なものとなっているわけであります。

 今後、確実な処理を進めていくためには、特に中小企業者に対しての経済支援というのが非常に重要になってくるかと思いますが、どのような支援策を講じようとしているのか、お教えください。

白石大臣政務官 委員おっしゃるように、中小企業者にとって処理費用というのはかなりの負担になりますところから、中小企業等については、費用負担能力が小さいため、その負担軽減を図り、計画的に確実かつ適正な処理を促進することが必要であります。このため、独立行政法人環境再生保全機構にPCB廃棄物処理基金を設立して、中小企業等については処分料金の七〇%を軽減するとともに、特に費用負担能力が脆弱な個人については処分料金の九五%を軽減しております。

 基金の規模も、出捐総額で五百六十億円と大規模なものとなっております。当該助成を継続することによって、引き続き中小企業等の負担を軽減していくことといたしております。

江田(康)委員 ありがとうございました。しっかりと中小企業への経済的支援を進めていっていただきたい、そのように思います。

 次に、電気事業法の所管するところの電気工作物というものについてお伺いをさせていただきます。

 トランスやコンデンサーといった電気工作物については、電気事業法の定めるところによるとされておりまして、PCB特措法の適用除外となっております。

 電気工作物も、JESCOの計画的処理完了期限より前に廃棄されなければ、廃棄物として処理することができなくなってしまいます。また、電気事業法に基づく経済産業省令では、PCBが使用された電気工作物は電路への施設が禁止されておりますけれども、この省令の施行以前に施設されたものについては、省令の附則では、引き続き使用してよいということになっております。

 そこで、経済産業省に伺わせていただきますが、電気事業法のもとで今後どうやって高濃度PCB使用電気工作物の期限内の廃棄を進めていくのか、この省令は見直しが必要と考えますが、どのような内容の見直しになるのか、また、いつまでに改正を予定しているのか、お伺いをいたします。

三木政府参考人 高濃度PCB使用電気工作物につきましては、これまで、電気事業法におきまして、昭和五十一年以降の新規設置を禁止するとともに、それ以前に設置された電気工作物につきまして使用判明時や廃止時における届け出を義務づける措置を講じてきております。

 経済産業省では、今般のPCB特措法の改正とあわせまして、委員御指摘のとおり関係省令等を改正しまして、既に設置されている電気工作物につきましてそれぞれ期限までの廃止を義務づけることに加えまして、新たに、毎年度、使用中の電気工作物の廃止、処分の見込み、処分事業者との委託契約の有無等につきまして国への届け出を義務づけるなど、PCB特措法改正案と同等の措置を講ずることとしております。

 さらに、現時点で判明していない高濃度PCB使用電気工作物の掘り起こしを行う観点から、電気工作物の保安を担う電気保安法人等に対しまして、毎年度、現在使用中の電気工作物がないか点検する義務を課すこととしております。

 これらの取り組みにつきましては、公布後三カ月以内とされておりますPCB特措法改正案の施行に合わせまして措置できるように、関係省令等の改正作業を進めてまいります。

江田(康)委員 これら関係省令については、今ありましたようにPCB特措法の期限に合わせて改正が行われるということでございますので、期待をしたいと思います。

 高濃度PCB使用電気工作物は今言ったように電気事業法で捕捉されて、それ以外の高濃度PCB使用製品はPCB特措法で捕捉されるというのは、縦割り行政という印象も否めないものがございます。

 経済産業省と環境省の連携、それからPCB特措法に基づく事務を担う都道府県市との連携、情報の共有というものが必要不可欠だと思いますが、政府として、どうやって高濃度PCB使用製品の全体像をきっちりと把握して廃棄、処分を進めていくのか、両省の考えをお伺いいたします。

井上副大臣 高濃度PCB使用製品につきましては、規制の体系がPCB特措法と電気事業法の二つの法律に分かれることとなるため、議員御指摘のとおり、環境省、経済産業省、PCB特措法に基づく事務を行う都道府県市の連携や情報の共有は極めて重要でございます。

 このため、事業エリアごとに、環境省、経済産業省、自治体、関係団体から構成される早期処理連絡者会議を立ち上げたところであり、関係者間の連携協力を具体的に進めております。

 また、改正案では、高濃度PCB使用製品である電気工作物の期限内処理の達成のために必要がある場合には、環境大臣が経済産業大臣に必要な協力を求めることができる旨の規定を置いております。さらに、環境大臣、経済産業大臣、都道府県知事等の関係者の連携協力に関する規定も改正案に盛り込んだところです。

 改正法案が成立した暁には、このような規定も踏まえ、経済産業省や都道府県市等と協力をして、高濃度PCB使用製品の全体像を把握し、期限内処理に万全を尽くしてまいります。

三木政府参考人 経済産業省側の答弁を申し上げます。

 高濃度PCB使用電気工作物の期限内処分に向けまして、関係省庁や都道府県等が緊密に連携していくことが不可欠であると認識をしております。

 経済産業省では、従来から、都道府県等に対しまして、電気工作物の設置やPCB使用電気工作物の使用状況について情報提供を行ってきております。また、平成二十七年度からは、環境省、都道府県等、当省に加えまして、電気工作物の点検を担う電気保安法人等が一堂に参画する地域PCB廃棄物早期処理関係者連絡会を通じまして、適時に情報共有しながら廃棄に向けた取り組みを推進してきております。

 また、当省では、先ほど申し上げましたとおり、今般のPCB特措法改正案を踏まえまして、高濃度PCB使用電気工作物の届け出義務を強化することとしております。今後は、そうした取り組みを通じて得られる情報につきましても、都道府県等に対し随時提供をしてまいります。

 さらには、電気事業法に基づく規制の対象外であります照明器具の安定器につきましても、PCB特措法改正案により環境省を中心とする廃棄に向けた取り組みが強化されることを受けまして、当省としましても、電気保安法人等を通じ、その処分の必要性について周知する形で、適切に協力してまいります。

 いずれにしましても、電気工作物を含め、高濃度PCB使用製品全体の期限内処分の実現に向けまして、環境省、都道府県等と緊密に連携し、しっかりと取り組んでまいります。

江田(康)委員 しっかりと連携協力をしていっていただきたいと思います。

 次に、代執行について環境大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 法案では、高濃度PCB廃棄物の保管事業者が不明になっているような場合においては、都道府県知事がその廃棄物の処分を代執行することができるという規定を盛り込んでおります。高濃度PCB廃棄物の期限内処理を達成するためには必要な措置だと思います。

 しかしながら、保管事業者が不明であるとした場合にはその費用は誰が負担するのかという問題があるわけでありまして、通常の代執行であれば義務を負っている者に求償することになると思いますが、都道府県が肩がわりせざるを得ないのか。これでは、都道府県が代執行に二の足を踏むというような事態にも陥る可能性があるわけです。

 環境省として行政代執行に対する支援のあり方についてどのように考えておられるのか、環境大臣にお伺いをいたします。

丸川国務大臣 委員御指摘のとおり、期限内の処理を完了するためには、一定数存在している保管事業者等の破産等によって処理が滞っているものをしっかりと把握をし、また、行政の代執行が行えるようにすることが、しかも円滑に行えるようにすることが重要でございます。

 改正法案の中にもそんなような規定を設けてございますが、一方で、このことに関連をいたしまして、ことしの二月に取りまとめられましたPCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会の報告書の中で、事業者が不存在、資力不足等の場合であって、行政代執行に要した費用を事業者から徴収することが困難な場合について、支援のあり方をあわせて検討する必要があるという御指摘をいただいております。

 これを踏まえまして、環境省においては、有識者等から成る検討会を設置いたしまして、都道府県が行う行政代執行に対する支援のあり方について議論を開始したところでございます。速やかに検討を進めてまいりたいと思います。

江田(康)委員 これまでるるお聞きしてまいりましたけれども、今回の法案というのが、やはりPCB廃棄物の処理にこれまでかなりの時間がかかってきたということ、そして、PCB廃棄物の処理についても思うように進まなかった、こういう中で、いよいよ最後の期限が迫ってきたことから必要な措置を講ずるということにしたものでございます。これについては、長い年月の中でかけてきた地元自治体との約束を守らなければならない。今回、本当に失敗は許されない、そういう状況の中での改正でございます。

 そこで、環境大臣に最後の御質問をさせていただきますが、これまでの経験と反省を踏まえて、また対応が先送りになることがないように、まずは期限内処理完了に向けたロードマップを明らかにして、取り組み状況について定期的に進捗の点検を行うことが必要不可欠ではないかと思います。

 そこで、この法案に盛り込まれた措置を着実に実施して期限内処理を確実に達成する、そのための環境大臣の決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。

丸川国務大臣 委員御指摘のとおり、立地自治体の皆様に延期をお願いしてお約束したこの期限というものは必ず守るべきものであるという認識でございまして、必ず守るために今回の改正法案にさまざまな措置を盛り込ませていただきましたが、この措置を確実に運用し、そして、処理期限内にきっちりと確実に処理を終えるために我々全力を尽くしてまいります。

 速やかに、まずPCB廃棄物処理基本計画について見直しを行うということ。そして、ロードマップのお話がございました、また、関係者の役割分担もあわせて明らかにいたしまして、この基本計画に基づいた進捗の管理をしっかりと行っていくということ。定期的なフォローアップも、少なくとも一年ごと、必要であれば一年より短い範囲でもこうしたフォローアップを行っていくということをしたいと思っておりますし、また、実効性については不断の点検を行っていく所存でございますので、この期限内の処理の達成に向けて万全を期してまいります。

江田(康)委員 では、時間でございます。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 PCB廃棄物特措法について、二回目の質問をいたします。

 きょうは、PCB廃棄物の処理費用全体の問題についてどうなっているのか、その費用負担を誰に求めるのか、この問題について最初に質問をいたします。

 環境省にお尋ねしますが、そもそも、当初想定をしていたPCB廃棄物全体の処理に要する費用は幾らだったのか、このことについてまず確認をいたします。

鎌形政府参考人 当初の想定についてのお尋ねでございます。

 高濃度PCB廃棄物処理に係る費用としては、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、JESCOのPCB処理事業が開始されたのが平成十六年度でございまして、この時点で約四千百五十五億円と推計してございます。

 その内訳といたしましては、施設整備に必要な費用として約千五百六十五億円、施設の運転費用として約二千五百九十億円と推計しているところでございます。

塩川委員 当初想定していた費用として、施設整備費千五百六十五億円、運転関係について二千五百九十億円、合計四千百五十五億円ということであります。

 その際に、この費用の負担者の内訳はどうなっているでしょうか。排出者の負担額、国や都道府県の負担額、そしてPCB製造者、PCB使用機器製造事業者の負担額というのはあるんでしょうか。それぞれ幾らか、お答えください。

鎌形政府参考人 先ほど申し上げました推計の約四千百五十五億円につきましては、排出事業者として、排出事業者のうち大企業者の負担を約千九百九十五億円、中小企業者の負担を約六百六十億円、以上が排出事業者の負担として推計しているものでございます。また、国の負担を約千二百二十億円、都道府県の負担を約二百八十億円と推計してございます。

 この推計には、先ほど御指摘ございましたPCBの製造事業者あるいはPCB使用製品の製造事業者の負担は含まれておりません。

塩川委員 当初想定した四千百五十五億円については、排出者の負担額、中小企業の負担軽減策はありますのでその分を引いた排出者の負担額は二千六百五十五億円、それから国、都道府県の負担額は一千五百億円、PCB製造事業者、PCB使用機器製造事業者の負担額は想定していないということです。

 中小業者の負担軽減策もあり、国や都道府県の拠出が大きいわけですが、一方で、製造事業者に負担を求めるものとなっておりません。

 そこで、現時点の高濃度PCB廃棄物の処理費用実績額は幾らになっているのかについて御説明ください。

鎌形政府参考人 処理費用実績についてのお尋ねでございます。

 平成二十七年三月末日までにJESCOにおいて処理いたしましたPCB廃棄物の処理に要した費用につきましては、約四千四百億円ということでございます。

塩川委員 平成二十七年三月末日までにJESCOにおいて処理したPCB廃棄物に要したコストが約四千四百億円ということですから、当初想定していた金額をもう既に上回っているということになります。

 その費用の負担者の内訳はどうなっているのか。排出者の負担額、国、都道府県の負担額、あわせて、PCB製造事業者、PCB使用機器製造事業者の負担額はどうなっているのかについてお答えください。

鎌形政府参考人 これまでに各関係者から負担された額ということでお答え申し上げますが、排出事業者の負担は約二千八百億円、国の負担は当初の出資なども含めまして、現物出資なども含めまして約千七百億円、都道府県の負担は約六十億円ということでございます。

 御指摘の、PCBの製造事業者ないしPCB使用製品の製造事業者の負担は含まれてございません。

塩川委員 ということでありまして、排出事業者は二千八百億円、国が千七百億円でしたね、都道府県が六十億円、製造事業者の負担はないということです。

 既に現時点の高濃度PCB廃棄物の処理費用実績額というのは当初想定より膨らんでいるわけですけれども、その理由は何か、御説明ください。

鎌形政府参考人 JESCOにおける高濃度PCB廃棄物の処理は世界でも類を見ない大規模な化学処理方式であったため、処理開始後に、作業員の安全対策が必要になったことや、PCB廃棄物の紙、木などの部材に含まれるPCB洗浄などの処理に長時間を要するなどの課題が明らかとなりました。

 また、JESCO施設の処理能力については、操業開始から終了まで施設の処理能力が一〇〇%発揮できるという条件で計画されていたところでございます。これに対しまして、先ほど申しました操業開始後の諸問題への対応による立ち上げのおくれ、稼働率の低下、また、一部の事業所におきましてPCBの漏えい事故への対応で長期間停止を行ったことなどで処理がおくれているという状況がございました。

 こういった処理のおくれによりまして、当初の想定よりも処理に要した費用が増加しているものと考えております。

塩川委員 世界に類を見ない大規模な化学処理施設ということで、いろいろな、初めて直面するようなトラブルでもあった。先週質問しましたように、人的なトラブルも含めて、現実には稼働率一〇〇%の想定自身がそもそもそれで妥当だったのかということもあると思います。現実には、こういう形で期限も延び、結果として処理費用全体も膨らむということになっているわけです。

 それで、今後の話ですけれども、今後、高濃度PCB廃棄物の処理にどれだけの費用がかかると見込んでいるんでしょうか。

鎌形政府参考人 今後の処理に要する費用についてのお尋ねでございます。

 処理対象のPCB廃棄物の全体がどうなっているか、どういう量でどういう額になるか、あるいは、処理が終了した後、施設の解体撤去に係る費用の全体量などが現時点では明らかになってございません。そういう意味で、現時点で見通しを示すことは困難でございます。

 ただ、一つの試算としてでございますが、JESCOにおける推計によりますと、平成二十七年十月以降の高濃度PCB廃棄物の処理対象量を、トランス類六千六百九十六台、コンデンサー類八万六千七百六十四台、安定器など汚染物九千九百六十四トンと見込んでいるところでございまして、仮にこれらの処理対象量に標準的な処理料金として推計する料金を掛け合わせますと、約三千八百億円と試算されます。必ずしもコストに対応した数字とは言えませんけれども、処理対象量の推計量に処理料金の推計を乗じた場合には約三千八百億円と試算されているということでございます。

 いずれにしても、今後幾らかかるかにつきましては、現時点で見通すことは困難ということでございます。

塩川委員 高濃度PCB廃棄物の処理コストで今後三千八百億円もかかるということです。

 確認ですけれども、その中には施設の点検、補修の経費、また施設の解体撤去費用は含まれていないということでよろしいですか。

鎌形政府参考人 先ほどお答えした費用のうち、あくまで試算でございますが、それにつきましては、先ほど申しましたとおり、JESCOが試算する今後の処理対象量に標準的な処理料金の推計の料金を掛け合わせたというものでございまして、御指摘の施設の点検、補修に関する費用、あるいは処理終了後の施設の解体撤去費用が全て含まれているわけではございません。

塩川委員 高濃度PCB廃棄物の処理施設の解体撤去というのはかなりの経費を見込む必要があると思うんですけれども、そういう推計というのはないんでしょうか。

鎌形政府参考人 解体撤去費用自体についての推計はございませんが、今後精査していく必要があるということでございます。

塩川委員 このように、まだ推計も出ていない経費もあるわけであります。ですから、現行で四千四百億円かかって、今後、高濃度PCB廃棄物の処理コストだけで三千八百億円が見込まれ、それに施設の点検、補修や施設の解体撤去費用も上乗せされるということになってまいります。このように膨大な経費がかかるということです。

 その費用は、PCB廃棄物の排出事業者の責任で負担されるのが原則とされております。しかしながら、排出事業者の負担に加えて、多額の予算が投入をされ、国民が負担をする税金という形で穴埋めをすることになっております。

 私は、改めて、この費用負担について、PCB製造事業者、PCB使用機器の製造事業者の責任を問うべきだと考えます。毒性を持ち、難分解性のため高額な処理費用を要するPCB及びその使用製品を製造した事業者の責任は極めて重い。

 もともと、政府は、汚染者負担の原則に基づいて、回収、処理の一切をメーカーとユーザーに委ねる、これが対応の基本だったんではないかと思うんですが、いかがですか。

鎌形政府参考人 汚染者負担の原則につきましては、まさに汚染の行為をした方に負担を求めていくということで理解してございます。そういう意味で、排出事業者の負担を求めていくという考え方でございます。

塩川委員 ですから、そのもとになる毒性の強いPCBをつくり、PCB使用機器をつくった、そういうメーカーの責任も問われるべきではないですか。

鎌形政府参考人 廃棄物処理法の世界でも、排出事業者責任ということでいわゆる汚染者負担の原則を体現しているということでございまして、製造業者に対して負担を求めるという構造にはなっていないところでございます。

塩川委員 PCB特措法においては、第四条に、PCB製造者等は、PCB廃棄物の確実かつ適切な処理が円滑に推進されるよう、国及び地方公共団体が実施する施策に協力しなければならないとあります。また、法第十五条には、環境大臣は、PCB製造者に対し、PCB廃棄物の確実かつ適切な処理を円滑に推進するための資金の出捐その他の必要な協力を求めるよう努めるものとするということで、第十五条では、PCB製造者、これはPCB使用機器の製造事業者も含まれているわけですけれども、資金の出捐、協力を求める、こういうことが書かれているわけです。

 こういうのが盛り込まれているのは何でなんですか、それでは。

鎌形政府参考人 PCB特措法におきましては、処理責任という意味では排出事業者に課しているところでございますけれども、PCBの製造事業者あるいはその使用製品の製造事業者についても協力ないし一定の貢献をするというようなことを求めているということがこの法律の構造でございます。

塩川委員 PCB廃棄物の処理費用の負担を求めるということも含んでいるんじゃないですか。

鎌形政府参考人 法律上の規定では、協力を求める、あるいは一定の出捐を求めるということでございますが、PCB処理費用の負担そのものということは法律上の記述には直接的には書いていないかというふうに思います。

塩川委員 では、排除をされているのかということではどうですか。

鎌形政府参考人 先ほど申しましたとおり、直接的に負担を求めるという記述にはなってございませんけれども、負担を求めないと書いてあるわけでもございません。

塩川委員 非常に重要なところだと思います、この後の話の議論にもつながっていくわけですけれども。

 では、ちょっと事実関係をもう少し続きで聞きますけれども、過去、特措法の規定に基づいて、PCB製造業者、PCB使用機器製造業者に資金の出捐を求めたということはないんですか。

鎌形政府参考人 先ほど御指摘の特措法十五条の出捐を求める規定でございますが、これに基づきまして、PCBの製造事業者あるいは使用製品の製造事業者に対して正式にPCB廃棄物処理基金への出捐を求めたことはございません。

 ただ、これまで、事務的に産業界の関係者に資金の出捐の必要性について協議をして、その結果として、平成十四年度までに、PCB製造者等が過去出捐をしておりました財団法人電気絶縁物処理協会から四億八千万円がPCB廃棄物処理基金に拠出されたところでございます。

塩川委員 電気絶縁物処理協会、昔、ピーシービー処理協会と言われていたところですけれども、そこから出捐金四億八千万円がPCB廃棄物処理基金に提供されていて、これがJESCOの研究、研修費用に充てられているということですが、その経費は廃棄物処理費には充てられてはいないということですか。

鎌形政府参考人 今申し上げました財団法人電気絶縁物処理協会から出捐された四億八千万円の使い道でございますけれども、PCB廃棄物の処理の研究などに充てられているということでございまして、処理費用に充てられているものではございません。

塩川委員 もともと第十五条に基づいての資金の出捐を求めた経緯ではないこともあるんでしょうけれども。

 それでは、経産省に確認しますが、この電気絶縁物処理協会が資金を出捐した経緯について、簡単に説明してもらえますか。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 財団法人電気絶縁物処理協会は、電気絶縁物の無害化処理に関する技術の研究及び無害化処理の推進を図ることを目的に、昭和四十八年に設立されたものでございます。

 同協会は、PCB使用機器製造事業者のほか、幅広い事業者から寄附金を募りまして、PCB処理対策のための基金を組成したところでございます。

 平成十三年にポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の施行等が行われたことを受けまして、PCBの処理業務はこの法律等によりまして国、地方公共団体、環境事業団の業務とする旨が法定をされましたため、同協会は解散をいたしました。

 同協会の解散に伴いまして、残余財産四億八千万があったわけでございますけれども、これは、この財団の設立根拠でございます民法の規定にのっとりまして、類似の目的を有してございますPCB廃棄物処理基金に拠出をされたということでございます。

塩川委員 電気絶縁物処理協会そのものは、PCB廃棄物の処理のための研究開発も行うし、実際には回収をする、それを処分する、そういうのを民間主体にやるということでつくられたものであって、それが、焼却処分がなかなかにっちもさっちもいかないということで、国が出て化学処理という形になった。そういう際に、協会としては解散をし、持っていた資金については出捐をするという形になったわけであります。

 この電気絶縁物処理協会を構成していた主要なPCB製造業者、PCB使用機器製造業者がどういうところかについて教えてもらえますか。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 財団法人電気絶縁物処理協会には、役員及び評議員といたしまして、鐘淵化学工業、東京芝浦電気、日立製作所及び三菱電機等の製造事業者、日本国有鉄道、電気事業連合会及び日本鉄鋼連盟等の機器の使用者が運営に参画をしてございました。

 同協会の解散に伴って、先ほど申し上げましたように、その資金についてはこちらのPCB廃棄物処理基金に拠出をいたしたということでございます。

塩川委員 今紹介いただいたように、カネカのようなPCB製造事業者、それから東芝、日立製作所、三菱電機などのPCB使用機器の製造事業者、あと、業界団体で電事連や鉄鋼連盟の、ユーザーの立場も含めて入っているということであります。

 先ほどもちょっと言いましたけれども、もともと、PCB廃棄物の回収、処理というのは、電気絶縁物処理協会を中心に、製造事業者を中心に進められてきたんだと思うんですけれども、その点。

若井政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、財団法人電気絶縁物処理協会が、電気絶縁物の無害化処理に関する技術の研究及び無害化処理の推進を図ることを目的に設立をされたということは事実でございます。

塩川委員 大臣にお尋ねいたします。

 こういう歴史的な経緯を考えますと、当初想定していた処理費用が大きく膨らんでいく、そういうときに、排出事業者に負担を求めるのと同時に、実際には国や都道府県の負担というのも大きな額が支出をされているところであります。そういった事情を考えれば、やはりこういったPCBの製造事業者、PCB使用機器の製造事業者に対して、もともと無害化処理でも責任を負ってきたわけだ、であれば、今はそれが解散して国によろしくとなっているだけで話が終わるわけではなくて、少なくとも費用の負担ぐらいしっかりとしてもらうということが必要なんじゃないでしょうか。

 法の第十五条にもあるように、PCB製造事業者、PCB使用機器製造事業者に必要な資金の拠出を求める、こういう立場で臨むことが求められると思いますが、大臣はいかがですか。

丸川国務大臣 PCB廃棄物については、排出事業者責任に基づいて排出者が責任を持ってPCB廃棄物を産業廃棄物として処分し、排出事業者がその費用を負担することが原則であると考えておりますが、一方で、排出事業者が不明また倒産をしているというような場合には、排出事業者に処理費用の負担を求めることが困難でございますので、その費用負担のあり方については別途検討をしてまいります。

塩川委員 今、代執行の経費のお話のところだけ触れましたけれども、いや、それも含めてやはり全体に大きな費用がかかっているんですから。

 何でかかるかというと、やはり毒性がある物質の処理のために経費がかかっているわけで、そういったときにしかるべく責任を果たしてもらうという点で、PCB製造事業者等に負担を求めるという立場で臨むということが必要じゃないか。その点、もう一回。

丸川国務大臣 私が特に代執行について申し上げましたのは、保管事業者の破産等によってPCB廃棄物の処理が滞っているものが一定数存在しておりますので、処理期限内の処理の完了ということを達成する場合に、代執行が円滑に行えるようにするということが極めて重要だという認識があるからでございます。

 そのための措置を法の中にも盛り込んでいるところでございますし、また、本年二月のPCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会の報告書で、事業者が不存在また資力不足等の場合であって、行政代執行に要した費用を事業者から徴収することが困難な場合について、支援のあり方をあわせて検討する必要があるという御指摘をいただいております。

 これを踏まえて、環境省において、有識者等から構成される検討会を設置しまして、都道府県が行う行政代執行に対する支援のあり方について三月に検討を開始したところでございますが、この検討会にはPCBやPCB使用製品の製造事業者にも御参画をいただいております。速やかに、この検討会においてその支援のあり方について議論を進めてまいりたいと存じます。

塩川委員 代執行、つまりPCBの排出事業者が不存在あるいは資力が足りないような場合に限ってこのようにPCB製造事業者等に負担を求めるという、限定的に使うというのは、今の全体の経費の額を考えたときに、余りにも小さ過ぎるのではないのかと率直に思います。

 改めて、PCBの製造事業者等にしっかりとした費用負担を求める、先ほどの第十五条の解釈のところでも、負担を求めないというところまでは書いていないという言い方もされておりましたので、私は、こういう立場で踏み込んだ対応が行われるべきだと。それでこそ、今後においても、毒性を持つようなそういう物質を製造する事業者が生まれるような場合についての必要な責任を求めていく、そういうことにつながっていくと考えております。

 次に、掘り起こしについてでありますけれども、経産省にお尋ねしますが、使用中のPCB使用電気工作物の掘り起こしについて、経産省はこれまでどんなことをやってきたんでしょうか。

三木政府参考人 PCB使用電気工作物につきましては、平成十三年のPCB特措法制定以前から、電気事業法及び関係省令によりまして、経済産業省として必要な措置を講じてきているところでございます。

 具体的には、昭和五十一年にPCB使用電気工作物の新規設置を禁止しますとともに、平成十三年には、使用する電気工作物つきまして一定水準以上の濃度のPCBを含有していることが判明した場合、その時点で国に届け出ることを義務づけております。また、これらに違反した場合には、技術基準適合命令等により必要な改善を求めることとしております。

 こうした規制の内容とともに、PCB使用電気工作物の廃棄の必要性やその手続につきまして、例えば毎年八月の電気使用安全月間における啓発活動などを通じまして、電気工作物の設置者等に対して周知を図ってきているところでございます。

塩川委員 そこで、使用中の高濃度PCB使用電気工作物、この届け出数というのは幾つになっていますか。

三木政府参考人 本年三月末までに電気事業法の電気関係報告規則に基づきまして届け出を暫定集計いたしましたところ、現状では約二万台程度の高濃度PCB使用電気工作物が使用中であると承知をしております。

塩川委員 使用中の高濃度PCB電気工作物が約二万個ということであります。

 環境省にお尋ねしますが、PCB特措法に基づく届け出によると、高濃度PCB使用製品の使用数というのは幾らなんでしょうか。

鎌形政府参考人 PCB特措法におきましては、PCB廃棄物を保管する事業者がその保管状況について届け出する義務を負っているところでございまして、その届け出におきまして、PCB廃棄物の保管及び処分の状況について参考となるべき事項として、PCB使用製品の使用状況についても記載してもらうこととしてございます。

 その届け出のデータでございますが、電気事業法の電気工作物に当たりますトランス類五百五十台、コンデンサー類六千四百十四台、合わせて六千九百六十四台となってございます。

 このため、PCB特措法では、逆に、PCB廃棄物を保管する事業者には届け出義務がありますが、持たないPCB使用製品の使用事業者については届け出義務はないということでございまして、この分は把握できていないということでございます。

 したがって、電気事業法の届け出との間での相違が生じているというふうに考えてございます。

塩川委員 電気事業法に基づく使用製品の届け出の数は約二万個、それに対して、特措法に基づく使用製品の届け出の数は約七千台ということで、一万三千台もの開きがある。

 今、その説明について、特措法というのはPCB廃棄物を保管する事業者に参考情報として聞いているからそういう限りがあるんだというので、その差の説明をされておられました。

 そこで、環境省にお尋ねしたいのは、先ほどJESCOが試算をした今後の廃棄物の処理対象量の見込みがありましたよね。トランス類が六千六百九十六台で、コンデンサー類が八万六千七百六十四台、合計九万三千四百六十台。これは、そもそも見込まれる数に掘り起こしの一割を上乗せした数なはずなんですよ。

 この九万台余りの今後の処理対象量、それは、今特措法で言っている七千台を前提に計算しているのか、それとも経産省の二万台を織り込んで計算しているのか、どっちですか。

鎌形政府参考人 現在特措法で把握しておりますPCB廃棄物と、それから先ほど申しましたように、付随して把握できる使用中のもの、これを見込んで、かつ、それに、掘り起こしをされ、およそ一割増しになるだろうということで算定しているところでございます。

塩川委員 いや、そういった数になっているんですか。つまり、電気事業法で把握をしている使用製品の二万台がもともとのJESCOの数字に反映されているということなんですか。だって、届け出がされているわけじゃないんでしょう。

鎌形政府参考人 申しわけありません。説明が悪かったと思いますけれども、先ほど申しましたのは、PCB特措法の届け出で把握されているものをベースに一割増しにした、そのPCB特措法の届け出で把握されているもののベースには付随して届け出いただいている使用中のものも含まれている、そういう意味で申し上げました。

 ですから、電気事業法の届け出との間でのものを全て見込んでいるということでお答え申し上げたわけではございません。

塩川委員 ということは、PCBの使用中のものについては廃棄物になっていませんから、要するに、特措法上のあくまでも参考情報なわけですよ。ですから、もちろん特措法でつかんだ七千台余りの使用中のものはカウントしているわけですけれども、経産省がつかんでいる二万台の分は入っていないということなんですよ。つまり、二万引く七千の一万三千台分というのは対象にならずに、この九万台余りという総数になっているんじゃないですか。もう一回。

鎌形政府参考人 掘り起こし調査によって一割程度が発見される、このデータは、北九州市における掘り起こし調査の経験から、それを参考にしたということでございます。

 北九州市における掘り起こし調査につきましては、全ての事業者に対して調査を行いまして、使用中のものも含めて把握したということでございますので、そういった新たに出てくる使用中のものも含めて一割増しぐらいかというような推計をしているということでございます。

塩川委員 今後の処理対象量の見込みというのは九万三千台なんですよ。その一割ということになれば九千数百ですよね、一割足してということでは。でも、今言ったように、経産省と環境省がつかんでいる使用中の製品の差は一万三千なんですよ。掘り起こしで入れたとしても、一万三千台なんか全部のみ込めないじゃないですか。

 だから、経産省がつかんでいるような数字も反映せずに将来の対象量の見込みを立てている、こういうことになるということであれば、今後の計画そのものの見通しが大きく変わってくるんじゃないですか。

鎌形政府参考人 先ほど申しましたとおり、一割増しというところは北九州市の調査を参考に立てているものでございますけれども、そこには、今後、改正法ができましたら使用中のものとして届けられるもの、そういったものもカウントされていくということで、一割増しということで推計しているということでございます。

塩川委員 大臣、聞いていてどうですか。

 今言ったように、経産省の把握する数字と環境省の把握をする使用製品の数に大きな開きがある。それは、数字としての違い、性格がありますから、違いがあるのはいいんですけれども、実際に今後の処理量の見通しについて、ワーキンググループにおける議論にJESCOが出した資料の中には、こういった経産省が把握をしているような使用製品分について反映されていない数字を出しているんですよ。これはまずいんじゃないでしょうかね。

丸川国務大臣 ですからこそ、掘り起こしの作業をできるだけまず早くやるということは極めて重要だと考えております。

 経産省の方のデータも、まずは我々が掘り起こしを行うときに使わせていただいて、それを都道府県に見ていただいて、掘り起こしの作業に当たっていただくわけですが、まず掘り起こしをしっかりとやるということ。

 加えて、処理の能力としてこれが十分かどうかということは、実効性という意味でもフォローアップという意味でもしっかりと見ながら、できるだけ早急に、必要な状況があるならば、それを進めていくということだろうと思います。

 大変重要な御指摘をいただきましたので、私どももしっかり真摯に取り組んでまいりたいと存じます。

塩川委員 この問題は、掘り起こしは必要ないんです。だって、経産省がデータを持っているんだからそれをもらえばいいんですよ。その上で、今後の処理量の見込みについて立てる必要があるんじゃないですか。

丸川国務大臣 経産省からいただいているデータというのは、実際に掘り起こしの作業でその裏づけをとっていくといいますか、確認をしていくものでございますので、私どもも、既にこれはいただくことになっているわけでございますけれども、しっかりとこれを都道府県で確認していただいて、今後の処理のプロセスに反映をさせていただきたいと思っております。

塩川委員 大臣がちょっとどのことを言っているのかというのはよくわからないんですけれども、いわゆる電気工作物の数が六十八万台、これはこれとして非常に、不十分であっても共有しましょうとやっているわけですよね。

 今言っているのは、使用中の製品について経産省が把握をしている数というのは既に二万台あります、こういうデータについて、そもそも突合がされているんですかという話なんですよ。突合がされていないから、さっき言った、JESCOにおける今後の長期処理の見通しの中にカウントされていないんじゃないのかということにつながるんですけれども、既に突合されているんですか。

鎌形政府参考人 御指摘のデータは現時点で突合されてございませんので、掘り起こし調査ないしこの改正法におきまして義務づけられる届け出のデータ、こういったものをあわせて、そして経産省からも電気事業法のデータをいただいて、今後精査していくということになります。

塩川委員 いや、今後じゃないでしょう、今法案審議しているのに。これからしっかりやりましょうという法案を審議しているときに、既にあるデータさえ突合もせずにこれでやってくださいと審議するというのは、余りにも不誠実じゃないですか。

 大臣、環境省の対応としてこれでいいのかということが問われていますよ。

丸川国務大臣 実際に現場でどうなっているかということをまさに掘り起こしの作業を通じて確認していくわけでございますので、データはデータとして、そのデータと実態がどうなっているかということを、確認の作業をしっかりと進めてまいります。

塩川委員 そもそも、こういった差があるということについて、まずかったなという思いはありませんか。

丸川国務大臣 重要なデータでございますので、掘り起こし作業のときにはしっかりと連携を図って、実態としてどうなっているのかという確認をこれからもしっかり進めてまいります。

塩川委員 ですから、これは、処理量の見通しが甘いという話なんですよ。わかっている数字さえ反映していないんですから。こんなことでちゃんとできるのかということが問われてくるんです。

 先週、丸投げの話をちょっとしましたけれども、ちょっと角度は違いますけれども、今後の処理量について、わかっているデータさえ突合もせずに見通しを出すということでは、これは本気で環境省がやる気があるのかということなんですよ。そういう姿勢が今問われているんだと思うんですけれども、改めて、反省がないのか。

丸川国務大臣 PCB処理が行える事業所というのは、これまでの長い経緯の中で、これだけの事業所ということが限られており、しかも、それぞれに期限が決められているわけでございますので、私ども、今回の法改正に盛り込ませていただいた措置をお認めいただいた暁には、これをしっかりと活用して、かつ今御指摘をいただきましたようなデータもしっかりと生かしながら、実態として今どこにどういう危機がまだ存在をしていて処理が必要であるかということを、早急に掘り起こし作業を行いまして、全力でこの処理に当たってまいります。

塩川委員 だから、掘り起こしの話じゃないでしょうと言っているんですよ。だって、今回、経産省が持っているデータなんですよ。掘る必要はないじゃないですか。そう思いませんか。

丸川国務大臣 情報は情報でございまして、その情報をしっかりと、実態としてどうであるのかということをこの作業を通じて確認してまいります。

塩川委員 では、経産省の資料は信用できないということですか。

丸川国務大臣 データはデータとして、実態としてどうであるかということを確認することは極めて重要だと思っております。

 実際に数を確認するだけではなくて、どこにどういう形であるのかということも、また、所有者がどうなっているのかのみならず、どういう状況に置かれているのかも含めて今後の処理にとっては非常に重要でございますので、データはデータとして非常に重要でございますけれども、実態を把握することが極めて重要であるという認識でございます。

塩川委員 何だか曖昧なような資料の話をされるんですけれども。

 ちょっと経産省に確認しますが、これは電気関係報告規則第四条に基づき届け出されたものだというので、それぞれの地方の産業保安監督部単位で出されている数字ですよね。ですから、一件一件、どこの事業者とかそういうのも、こういうデータの中には、もともと原データには当然含まれている話ですから、環境省のデータと当然突合できますよね。

三木政府参考人 現行の電気事業法の届け出制度におきましては、PCBの濃度にかかわらず、それを使用する電気工作物の使用が判明した段階及び廃止した段階に、個別に国に届け出ることにしております。さらに、その届け出では、濃度の高低等に応じた区分を明確化することまでは求めておりません。

 したがいまして、国として個別に高濃度PCB使用電気工作物を抽出して定量化するという作業が必要でございまして、これが先ほど申し上げた暫定の集計となっている理由でございます。

 こうした情報は環境省と共有してまいりますけれども、経産省としまして、今回のPCB特措法改正案を踏まえまして届け出の強化をしてまいります。毎年度、使用中の高濃度PCB使用電気工作物の数量でありますとか廃止、処分の見込み等々について、明確な形で国への届け出を義務づけてまいりますので、より精緻に定量的に把握してまいりたいと思っております。

塩川委員 今度の法改正でより精緻に、しっかりと出していくというのは当然のことなんですけれども、現状でも今言ったように数字の精査、暫定値とは言いましたけれども、拾えるわけですよ、やろうと思えば。

 だから、それを環境省の方が求めれば当然のことながら応えることができるという関係であるわけで、そういったことを何でやってこなかったのかなというのが率直な疑問であるし、これはやはり環境省の対応としても、また、当然一体として、使用製品については経産省の対応が問われているところですから、そういうことについて、それぞれ一言ずつ、反省がないのか。

鎌形政府参考人 JESCOが先ほど来御指摘のある見通しを出したとき、経産省のデータをいただいてつくったというわけではございませんが、これからも届け出のデータにつきましての把握の強化を図っていかれるというような御答弁がございましたので、そういったものも含めてしっかりとデータを積み上げていくということに取り組んでまいりたいと思います。

三木政府参考人 高濃度PCB使用電気工作物の期限内処分に向けましては、やはり関係省庁、都道府県等が緊密に連携していくということが必要不可欠であると認識をしております。

 経済産業省では、従来から、環境省や都道府県等に対しまして、当省が把握する電気工作物の設置やPCB使用電気工作物の使用の状況につきまして情報提供を行ってきているところでございますが、今回のPCB特措法改正案を踏まえまして高濃度PCB電気工作物の届け出義務を強化することとしておりますので、今後は、そうした取り組みを通じて得られる情報も含めまして、環境省、都道府県等に対して随時提供してまいりたいと思っております。

塩川委員 今後連携するというのは当然なんですけれども、これまでそれもやっていなかったというところが問われているわけですから、そのことについて真摯な反省の上に対応を求めたいと思っております。

 最後に大臣にお尋ねしますけれども、大臣からも一言、反省の言葉があってしかるべきだと思いますが、そもそも処理対象量の見込みに含まれていなかった分があるわけですから。この点については、少なくともしっかりと経産省のデータも織り込んで、処理対象量の見込みの変更も踏まえた対策に資する、処理対象量の見込みというところが当然変わるわけですから。それを踏まえた対応をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 データも重要でございますし、その裏づけを、実態としてどうなっているのかとっていくことも重要でございまして、これまでそれが十分にできる体制になかったからこそ、今回の改正案をお願い申し上げているところもございます。

 我々の努力もまだまだこれから必要なことがたくさんございますし、実態として推計というものは今後変わり得るものであると思いますので、確実に把握を進める中で、どのような処理の見込みが立つのかということについては、計画の見直しも含めて今後しっかりとロードマップをつくり、またフォローアップをできる限り、一年以内もしくは必要があればそれよりも早い段階で行うことによって、確実な処理を進めてまいりたいと存じます。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 二日にわたりましての法案審議でございます。かなりの項目、また確認しなければならない事項についても随分明らかになってまいりましたので、できる限り、これまで質疑に取り上げられなかったことを中心にお尋ねをさせていただきたいと思いますので、簡潔な答弁をぜひお願い申し上げたいと思います。

 まず最初に、基本計画につきましてでございます。

 今回、この基本計画の策定手続が環境大臣の決定から閣議決定に格上げされることになりました。政府一丸となって今後PCBの廃棄物処理に取り組むというふうにされているわけでありますけれども、そもそも、このたてつけ、これまでなぜ閣議決定ではなくて環境大臣の決定で済んでいたのか。環境大臣の決定だからこれまでPCB廃棄物の処理がおくれてきたのかというような、そういう誤解もやはり感じてしまうところでもあります。

 廃棄物行政を専管している環境大臣によって策定される現行法に基づく計画と、全閣僚の全会一致の閣議決定によって策定される計画の間で違いが何かあるような、扱いが変わるような、そんな印象もあったり、また法的な効力などについて差異が生じていくのではないかというような印象も持たれるわけであります。

 具体的に、今後、計画決定後の運用場面等々において、目に見えるような具体的な差というものが閣議決定に格上げされることによって出てくるのか、であるならば、それをまずお示しいただきたいと思います。

丸川国務大臣 閣議決定によって基本計画を定めるということにすることによって、一つは、今回の改正案で使用中の製品の規制をさせていただきます。使用中の製品への対応強化ということをお願いするに当たって、政府としてお願いをするということが一点。

 それから、関係省庁の連携の強化ということがやはり重要であろうということがこれまでの議論でも認識をされるところでございますけれども、事改正法案においては、電気事業法によって経済産業省が対応するということにされている電気工作物に該当する高濃度PCB使用製品についての措置、これについて、電気事業法に基づいて新たに措置を盛り込むということについても、やはり政府を挙げてということが極めて期限内処理に向かって重要になるということがございます。

 加えて、政府内でもPCB廃棄物の処理が必要な部分がございまして、政府自身が取り組むということの決意を示す、政府内にございます高濃度PCB廃棄物についての処理の促進ということ。

 これらの観点からして、環境省でこれまでもお願いをしてきたところでございますが、改めて、政府全体として取り組んでいくために閣議で決定をしていただくことが必要であろうということで、今回、閣議決定でこの計画を定めるということにさせていただいた次第でございます。

田島(一)委員 環境省のさまざまな法律また計画を見渡しますと、環境省だけで完結できる仕事というのは実はそんなに多いわけではないんですね。他省庁と連動しなければならないこと、連携しなきゃならないことが山盛りございます。

 となりますと、連携をとっていく必要があるもの等々についてはやはり閣議決定をした方がいいというような大臣の御答弁でありましたけれども、では、ほかの法律も今後、全部閣議決定に格上げされますか。

丸川国務大臣 これからも政府を挙げて取り組まなければいけないことというのは環境省の範囲の中にたくさんあるわけでございますけれども、事私どもの働きかけの中でも政府がイの一番にやっていかなければいけないということに関して、あと、他省庁にもみずから取り組んでいただかなければならないことをより一層後押ししなければいけない場面においては、やはり閣議決定を進めていかなければいけないという認識でございます。

田島(一)委員 本当に、他の省庁がなかなか動いてくれないから施策がうまく進まないなんてことは、何もこのPCB廃棄物だけではなく、ほかにもいっぱいありますよね。どうか、今回の法改正を機に、もう一度、これは閣議決定に格上げした方がいいぞというようなものは省の中でしっかりと点検をしていただく、この作業をしていただくきっかけにぜひしていただきたい、このことをまず冒頭に大臣の方に申し上げておきたいと思います。それが大臣として大きな足跡を残すことに多分なろうかと思いますので。

 では、基本計画の細かい部分について廃リ部長の方にちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、追加された項目の追加の理由と、それから内容についてであります。

 基本計画に定める事項ということで、今回、この法案におきましては、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理の推進に関する基本的な方針」、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理を計画的に推進するために必要な措置に関する事項」、そして、「政府が保管事業者としてそのポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理のために実行すべき措置に関する事項」の三つが新たに追加されております。

 これまで、これらの三項目というのは計画に定める事項というふうにはされてこなかったわけでありますけれども、今回の改正を機にこの法律に盛り込まれたという理由について簡単に御説明していただけますでしょうか。

 現在、環境省の方で基本計画の改定というのを検討されているようでありますけれども、これが、本法案の成立、公布というものを見込んで、施行の前に施行後の内容で策定できるとしている附則の二条に基づく改定に向けたための検討なのかどうかについても、あわせてお尋ねをさせていただきたいと思います。

鎌形政府参考人 まず、基本計画の記載事項についてでございます。

 御指摘のとおり、三点、今回追加しておるわけでございます。

 まず、一点目でございます、PCB廃棄物の……(田島(一)委員「盛り込んだ理由だけ言って。さっき、僕、読み上げたから」と呼ぶ)はい。

 基本的な方針についてでございますが、基本計画を閣議決定で定め、PCB廃棄物の処理に政府一丸で取り組むこととなるために、政府全体としての基本的な方針、例えば期限内処理を確実にするとか、そういったことを閣議でしっかり決めていく、こういう必要があるので、新たに規定することといたしました。

 また、計画的に推進するために必要な措置ということでございますが、本改正案で、高濃度PCB廃棄物の期限内処理に関する措置の強化、そしてまた使用製品の措置の強化ということでございます。こういう意味で、使用中のものから、そしてそれが廃棄されて処分に至るまで計画的に進めていく、そういうロードマップを明らかにするという必要性から、これを新たに記載事項としたということでございます。

 さらに、政府が保管事業者として実行すべき措置につきましては、この改正案によって、民間事業者に対する規制が格段に強化されます。その強化されるということで、政府が率先垂範してPCB廃棄物の処理に取り組むということを示す必要があるということで、こうした規定を設けたものでございます。

 また、今御指摘のございました、基本計画についての検討の作業を進めていることの位置づけでございますが、現在はまだ法案は国会で御審議いただいているということでございます。現在の検討につきましては、この法案の立案のもととなりました有識者から成る検討会におきまして、PCB廃棄物の期限内処理の早期達成に向けた検討、あるいは追加的方策を検討していただきましたが、その中で現行の計画についても早期処理に向けて見直す必要性が指摘されていることを踏まえまして、検討を開始しているということでございます。

 そういう意味で、今後の国会の御審議も踏まえまして、また、法案を成立させていただいた暁には法案に基づいての検討に移行するということになりますが、現時点では、PCB検討会の指摘を踏まえて、現行の基本計画についての見直しをすべきであるということに基づいて検討しているということでございます。

田島(一)委員 となりますと、今回、法案の提出前に出されています、先ほどもおっしゃいました有識者の検討委員会の報告書、この内容が今後反映されるというふうに考えられるんですけれども、具体的な内容について、どのように定められるかという点については言及いただけないんでしょうか。先ほど申し上げた三つの項目について、具体的な記載事項等々についてぜひお答えをいただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

鎌形政府参考人 まさに、PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会で取りまとめをいただいたその内容をどのように実現していくかということで基本計画を見直していく、こういうことでございます。

 そこに具体的に規定する内容ということでございますけれども、やはりPCB廃棄物の処理については、期限内に確実かつ適正にPCB廃棄物の処理を行うことが大原則であるということで、そういった内容は基本的な方針として定めることが適切ではないかというふうに考えてございます。また今後検討してまいりますが。

 そしてまた、計画的に推進するために必要な措置に関する事項としては、期限内処理に向けたロードマップと関係者間の役割分担を明らかにするということが必要かと考えております。

 また、政府が保管事業者として実行すべき措置については、政府が保管するPCB廃棄物を期限内に、一日でも早く、安全かつ確実に処理するための取り組みについて記述していくということを想定してございます。

 いずれにしても、基本計画の今後見直していく内容につきましては、この法案の国会審議での御指摘も踏まえて、そして、関係者間の御意見を伺いながら検討していきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 先ほど三つの新たに追加された項目を示させていただいた中の最後、政府が保管事業者として実行すべき措置に関する事項については、今後、その具体的な措置というものを定めるということになると今御説明いただきましたけれども、実際に、政府が保管事業者としての措置として今後一番大事になってくる保管状況でありますとか処理状況というのは現段階でどのようになっているのか、お示しいただけますか。

鎌形政府参考人 政府における保管状況でございます。

 平成二十八年四月におけるJESCOの登録データによりますと、国家行政組織法に規定する行政機関やその地方支分部局などが保管するPCB廃棄物などの量は、トランス類が約十五台、コンデンサー類が約四百五十台、安定器等が約二百十七トンであります。

 また、既にJESCOにおいて処理された量でございます。これは、トランス類が約百五十台、コンデンサー類が約千七百台、安定器等が約百七十六トンというふうになっているところでございます。

 こうしたデータをもとに取り組んでまいるということでございます。

田島(一)委員 さすがに、政府自体が保管事業者という位置づけで数字をきちっと把握されているということについては、今よくわかりました。

 やはり、これから先、掘り起こしの話も今まで質問に随分出ておりましたけれども、各自治体の協力をいただかないことには掘り起こしなんというのはできませんし、北九州の実績等々を見ても本当に時間がかかるということは、皆さんも承知、覚悟されていることだろうと思います。政府がやってきたから、しかも、自治体の認識の甘さ、低さについてはやはり指摘せざるを得ない実態がございます。そこについては本当に気合いを入れてやっていただきたい、このことを強くお願いしておきたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきますが、大臣の事務執行についてお尋ねをしたいと思います。

 新たな処理期限内に完了する意気込みは、質問に対する答弁で頑張りますということは何度も大臣もおっしゃいましたけれども、正直申し上げて、本当にこれは期限内にいけるのかなという不安が頭をよぎるんですね。

 要は、明確な廃棄であるとか確実な処理を達成していくための強力な環境省サイドの関与というものが重要になってくるわけですけれども、先ほど来からの質問にもあるとおり、都道府県知事の権限と並行した形で規定されている環境大臣の権限については、積極的に、より行使していかなければならないものなんですけれども、今回、法改正の中に盛り込まれております二十七条の環境大臣の事務執行については、どうも現行の規定と比べてみますと要件が何か緩和されているような印象を持つわけであります。

 具体的にどのような場合を想定していらっしゃるのか、お答えいただけますか、大臣。

丸川国務大臣 御指摘のとおり、二十七条に定められております環境大臣の事務執行の要件についてでございますが、現行法では、「緊急の必要があると認められる場合」、しかもそれが、「適正に処分されないことにより人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること」という限定がついておりますけれども、改正案では、「特に必要があると認められる場合に行うものとする。」となっておりますし、その要件として、「処分等措置若しくは報告の徴収又はその職員による立入検査若しくは収去は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物が確実かつ適正に処分されないことを防止するため特に必要がある」という条件になっております。

 つまり、処理期限内にこれを処理するために必要な作業というのを進める上で特に必要がある場合というところになっておりまして、より処理を進める上で大臣が必要と認められるときに事務ができるというようになっております。

 ですので、都道府県がこの権限を有するということについては原則だということは考えておりますけれども、一方で、計画的処理完了期限が迫っているにもかかわらず都道府県による対応が困難な場合については、国が積極的に対応していく必要があるということを考えておりますし、そのための措置ができるようにこの法改正をお示しさせていただいているところという認識でございます。

田島(一)委員 大臣、今回の大臣の事務執行の部分ももちろんそうなんですけれども、都道府県がより身近なところでやっていただきたい、その気持ちはよくわかるんです。ただ、政務官なんかも答弁でおっしゃったとおり、アンケートをとったって五〇%に満たないような、そんな数字だとかを考えたときに、都道府県が、今の厳しい財政と厳しい人員の中で、本当に掘り起こし作業等々も含めてやっていただけるのかどうか、意識がまだまだ低いような状況の中で、緊張感と緊急性というものをどこまで共有していただけるか。

 しかも、代執行の費用負担についても、今までの答弁ですと、まだこれから決めますという話で、非常に不透明な部分があって、それをつくっていくだけでも相当また時間がかかっていくだろうな、この期限内で本当に終わるのかなという不安が私はどうしても頭をよぎってしまうんですね。

 実行可能なものであるべきだということは御認識をいただいていると思うんですけれども、どうぞ、自治体に対しての、思いを共有していく努力、ここは本当に、大臣が先頭に立ってというよりも、もうこれは閣議決定していくわけですから、総理が先頭に立ってやらなきゃいけない話ですよ。それぐらいの気持ちを持って、尻をたたいていただきたい、そのことだけは強くお願いを申し上げたいと思います。

 ほかにも、都道府県等々の規定を発動するに当たってのガイドライン等についても、他の方の質問で、今後策定していく予定だということをお答えくださいましたので、報告徴収、立入検査等々についてのお尋ねは割愛させていただき、次に、行政代執行について一問だけちょっとお尋ねをしておきたいと思います。

 現行法においても行政代執行法というのがありますから、都道府県等が代執行を行う余地というのは十分にあったわけでありますが、今回、PCB特措法の中で行政代執行が新設をされたということ、これは特筆すべきことでありますけれども、今後さらにどういったケースで発動ができるようになったのか。現行法の限界があったからこそ、今回、法改正の中に新設された行政代執行だというふうに認識をしておるわけですけれども、今回の行政代執行を新設したことに伴って、処理の進展がどれほど期待できるのか。例えば、具体的に今動いていないものの事例等々をお示しいただいて、これが速やかに動きますよ、速やかに代執行できますよというようなことがあるならば、ぜひお示しをいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 まず、法律上の仕組みからでございますが、行政代執行に係る一般法である行政代執行法は、行政代執行ができる場合について、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときという条件を設けてございます。しかしながら、この発動要件の意味が必ずしも明確でないというような都道府県の受けとめもございまして、代執行をちゅうちょすることも少なくない、こういう指摘を受けてきてございます。

 また、行政代執行法では、代執行を行うことができるのは、法律により直接命ぜられ、または法律に基づき行政庁により命ぜられた行為ということでございまして、命令すべき者を確知できない場合には対象とすることができない、こういうことがございます。

 そういう意味で、今回は、PCB特措法におきましては、高濃度PCB廃棄物について、保管事業者が破産、死去、相続等により不明確となり処理が滞っている場合、それから、資力不足等の理由で処分委託を忌避し続けているような場合に行えるというようなことで、要件も書いているということでございます。

 要件を明確化し、かつ命令すべき者が確知できないという場合でも、例えば不明確となっている場合でも発動できる、こういうふうな規定でございますので、今まで都道府県がお困りになっていた部分を解消して進めていくことができるというふうに考えております。(田島(一)委員「具体的なことを何か言ってよ」と呼ぶ)

 具体的な例でございますけれども、保管事業者が不明、破産等の事案につきましては、トランス、コンデンサー、安定器などを含めまして、高濃度のもので百四十七事案、濃度不明のもので七十四事案というものが調査によってわかってございます。こういった事例に対して都道府県などの対応がまず進むようになるんだというふうに考えてございます。

田島(一)委員 具体的な地名等々がおっしゃれないということも一定理解はいたしますけれども、ただでさえ、わかっている件数だけでももう二百件を超えているわけですよね、合計で。それが一気に行政代執行できるとも思えないし、本当にそれが立ち入りできるのかどうか等々、今回の法改正がどこまでその効果を発揮するのかという点が、私も含めて皆さんは多分注目されていると思うんですね。

 行政代執行というのは、どこの自治体でもやはりやるのは嫌がりますよ、批判も大きいところがあって非常に二の足を踏む。だけれども、今回、こうしてわざわざ特措法の中に盛り込んだわけですから、これが円滑に、速やかにできるような後押しというのをやはり環境省がしっかりやっていただきたい。

 代執行法でこれまでできたんだけれども、今回あえて法律の中に入れたんだというところ、そこをやはり強調して、彼らのやりやすい形というものを後押しすること、そのことが今停滞しているものを明らかにまた回収し、適切な処分ができることにつながるんだろうと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後、たしか誰も取り上げていらっしゃらなかったと思った低濃度PCB廃棄物の処理についてだけお聞きかせをいただきたいと思います。

 今回、低濃度PCB廃棄物につきましては、その処分期間も含めて、これまでの規制からの変更というものがないように判断をいたしました。そのことで間違いはございませんか。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、低濃度PCB廃棄物に関する措置につきましては、今回の改正案による変更はないということでございます。

田島(一)委員 ないということは、裏返せば、現行法の規定のままでも処分期限内の処分が行える、そういう見通しがもう立っているんだというふうに判断できるんですけれども、取り組みがおくれている以上、処分期限はまだ先であったとしても、対策強化というものがやはり必要と考えられるわけであります。

 なぜ今回、低濃度PCB廃棄物の処理はそのままで、手つかずのままで来たのか、法律上の措置について追加する必要が本当になかったのかなというふうに思うんですけれども、いかがですか。

鎌形政府参考人 低濃度PCB廃棄物についてでございますが、これはJESCOではなく民間事業者により処理が行われているということでございますが、この低濃度PCBの存在自体が、PCB特措法の制定以降に問題が発覚したということで、使用中のものが相当数あることが想定される、処理体制が整備の途上にあるなど、高濃度PCB廃棄物とは状況、事情が異なっていることに留意する必要がございます。こういったことで、まず実態をしっかり把握した上で対応を決めていく必要があるということでございます。

 ただ、ストックホルム条約においては、低濃度を含むPCB全体につきまして、平成三十七年までの使用の全廃、平成四十年までの適正な処分が求められておりまして、低濃度PCB使用製品につきましてもその廃棄、処分を着実に進めていくということで、実態把握の上でしっかりとした対応を行っていく必要があるというふうに考えております。

田島(一)委員 そうまでおっしゃるんだったら期待をしたいと思いますので、よろしくお願いしますね。

 最後、見直し規定についてちょっとお尋ねしたいと思います。附則の五条であります。

 附則の五条では、「政府は、この法律の施行後五年以内に、新法の施行の状況等を勘案し、ポリ塩化ビフェニルが使用されている製品に関する施策の在り方を含め、新法の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というふうに定めていらっしゃいます。

 ここで言う「ポリ塩化ビフェニルが使用されている製品に関する施策の在り方」というのは、具体的にどういう内容を想定していらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

鎌形政府参考人 附則五条の規定についてでございます。

 今回の改正案では、JESCOでしか処理できない高濃度PCB廃棄物の期限内処理のための措置をとったということでございまして、低濃度PCB廃棄物につきましては、先ほども御答弁申しましたとおり、実態の把握をまず進めて、民間事業者による処理体制の充実、多様化を図っていく、こういう中で対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。

 そこで、この附則五条の規定におきましての、PCBが使用されている製品に関する施策のあり方を含め、検討をということにつきましてでございますけれども、まずは、低濃度PCBにつきまして、ストックホルム条約の期限内に対応していく、そういうための施策のあり方を含めて対策を検討していく必要がある、そういったことから設けているということでございまして、そのような検討を行うことを想定しているところでございます。

田島(一)委員 時間もなくなりました。

 最後、JESCOの事業所についてだけちょっと触れさせてください。

 私、先週、時間をつくって、東京PCB処理事業所にお邪魔させていただきました。環境省の方もわざわざお運びいただきまして、何を見ているんだろうかと多分関心があったのではないかなと思ったんですけれども。

 操業されている時間帯ではございませんでしたので、具体的な処分、解体等々を拝見することはできませんでしたけれども、今、東京は、作業されていらっしゃる方というのがだんだん高齢化してきている、要は、人材がなかなか確保できないんだというような、そんな声も聞かせていただきました。

 もちろん、東京ですと、いろいろな賃金の高い仕事があって、そっちに人が回っている。事業所にはなかなか、あの防護服を着て、そしてガラス越しに、手袋で、手作業で一つ一つやらなきゃいけないという本当に気の遠くなるような作業であります。コンデンサーなんかも、昔の、それこそたくみのわざが凝縮された、木や紙、アルミといった部材を一つ一つ丁寧に分解しなければならないという気の遠くなるような作業、こういった作業に当たっていただける若い人たちがいないというような、そんな話も聞かせていただきました。

 それを考えると、今回、法改正で期限内にJESCOで処分、処理をしてもらおうというのはいいんですけれども、実際処理していただける人を確保しなきゃいけない。環境暴露等々に万全を期していらっしゃる、それはもちろん当然のことなんですけれども、まず、作業に、解体等々に当たっていただける人を確保するということが大変大事だと思うんですね。

 そこまでお考えになっていらっしゃるのかどうか。もし今お気づきになられたんだとしたら、これからどういうふうにこうした現場で作業をされている方々を確保しようとお考えなのか。ぜひ、最後、決意も含めて大臣からお聞かせをいただきたいと思います。

丸川国務大臣 私も豊田の事業所を拝見しまして、本当に細かい手作業を通じてでなければこの作業は進まない、物理的に大変手間と時間のかかる作業であるということを改めて認識した次第でございます。

 ですので、何よりもまず作業の安全に万全を期すことだと思いますし、加えて、PCB処理という使命がいかに我々の生活環境また社会を維持するために重要な仕事であるかということをあらゆる場面で国民の皆様に広く知っていただく、これは都道府県の皆様に掘り起こし作業をしていただく上でも重要かと思いますが、そうした取り組みを通じて、この仕事にかかわる皆様に誇りを持っていただけるような環境を整えていくことも極めて重要であると思っております。

 しっかり取り組んでまいりますので、御指導よろしくお願い申し上げます。(田島(一)委員「人員不足に対して」と呼ぶ)

 人員不足についても、これは積極的にJESCOと環境省と協力をして、そうした作業にかかわる皆様の安全を守りつつ、この作業の重要性ということについて、より広く世の中に訴えてまいりたいと思います。

田島(一)委員 きちっと人を確保することに光を当ててください。よろしくお願いいたします。

 終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民進党の中島克仁です。

 本日は、PCB廃棄物の適正な処理に関する特措法改正案に対する先週の金曜日に引き続いての質疑でございまして、私からも質問をさせていただきたいと思います。

 先週の金曜日、そしてきょうの質疑の中でも、論点がかなり抽出されてきたと思います。私からは、重複する部分もあるかと思いますが、今回の改正に至るまでの経緯、また、金曜日、またきょうの午前中、この前の質疑の中でも、その内容にちょっと気になるところもございますので、その内容を踏まえた質問をさせていただきたいというふうに思います。

 PCB、これはもう何度も何度も言われております、絶縁性、不燃性などの特性を有するということから、トランス、コンデンサーといった電気機器を初め、幅広い用途で使われてきました。昭和四十三年のカネミ油症事件、この問題でその毒性が社会問題化いたしまして、その後、使用製品の製造が中止されることとなった。製造中止後、PCB処理施設の立地が試みられたわけですが、地元の同意などが得られず、PCB処理が一向に進まないまま、約三十年保管をされた。保管が長期にわたったことから、この間に紛失したり行方不明となったりしているものも数多くあるというふうにされております。

 まず、基本的なことをちょっとお聞きいたしますが、これまでに紛失、行方不明となったPCB廃棄物、製品はどのくらいに上るのか、環境省として、紛失、行方不明となったPCB量、また台数をどのくらいと把握されておられるんでしょうか。

鎌形政府参考人 紛失ないし不明となったPCB使用製品の量でございます。

 まず、平成四年と平成十年に、当時の厚生省が調査を行ってございます。その際には、約一万一千台のトランス、コンデンサー等の紛失が判明しているということでございます。また、その後、都道府県市を対象とした調査によりますと、年間三十件から五十件程度のPCB廃棄物の紛失事案、また、年間二十件から三十件程度のPCB廃棄物の不適正処分事案が発生していると把握しております。

中島委員 今お答えいただいたように、特措法施行前の平成四年と十年に旧厚生省で調査を行って、約一万一千台が紛失、行方不明となっているということは承知しております。

 そして、平成十三年の特措法成立のとき、この附帯決議の中で、十項目の五番目、「現在まで適切な処理がなされず、不明・紛失しているPCB廃棄物について、早急に実態調査を行い、その調査結果を公表する」というふうに附帯決議が付されております。

 今お答えいただいたように、年間に三十台もしくは二十台届け出がというお話がございましたが、全体として、現在、旧厚生省が調査して把握した一万一千台、累計でどのくらいだというふうに試算しているんでしょうか。

鎌形政府参考人 先ほど申しました年間のデータにつきましては、平成二十年度から平成二十六年十月末までの毎年度実施しているものでございまして、その合計では、高濃度のトランス、コンデンサーについて、二百五十一台の紛失事案、それから八十一件の不適正処理事案ということでございます。先ほどの年間の幅で申し上げたものを足し上げた数字が以上のものでございます。

中島委員 これも確認ですが、旧厚生省では一万一千台だということですから、その後特措法が施行されて、トランスで二百五十一台、不正届け出ですかが八十一台ということで、その旧厚生省の一万一千台プラス今お答えになったのが、現時点で紛失、不明になっているPCB機器もしくは量ということでよろしいんでしょうか。

鎌形政府参考人 現時点で私ども環境省として把握しているものが、今おっしゃったとおり、一万一千台と、それから二百五十一台の紛失事案、八十一件の不適正処理事案ということでございます。

中島委員 わかりました。

 後段でもちょっと御質問するんですが、やはりPCBを適切に処理していくに当たって、その全体像というか、全体が今どういう状況にあるのか、このことをしっかりと把握するということが大前提になるというふうに思います。

 昨年の七月には、以前調査してPCBが混入されていないと言われた静岡の学校で漏えい問題が起こったり、たびたびそういったことが特措法施行後も起こっているということでございまして、現在もやはりどこにあるのかわからない紛失、行方不明というPCBが大量になっているということも想定されるということでございます。

 今後も、PCBの漏えい問題、いつどこで起こるかわからないといった現状が続くという現状認識も、この附帯決議でもしっかりと現状認識するというふうにはっきりされておるわけですから、この件については、今後、後段でも御質問いたしますが、掘り起こし調査と同時に、この全体像の把握のためにしっかりと把握をしておいていただきたいというふうに思います。

 これも何人もの委員から質問されておることだとは思いますが、当初予定をされていた期日に処理が完了しない、困難だということで、平成二十四年十二月、同法を改正し、処分の期間を最長で平成三十九年三月まで延長、さらに基本計画を改定し、計画処理完了期限、事業終了準備期間を設けて、最長でも平成三十七年度までに処理を完了することとなっておるわけです。

 当初の予定どおり処理が進まなかった原因については、きょうもさっき前段の委員の皆さんからも御質問があって、たびたび答えていただいておるわけですが、さまざまな理由があるにせよ、端的に、やはり当初の計画が認識が甘かった、計画に無理があったという結果、現在に至っているということでよろしいんでしょうか。

鎌形政府参考人 当初の計画では、平成十三年の特措法制定の時点で、施行後五年間で施設整備、その後十年間で処理完了ということで、平成二十八年三月を設定したわけでございますが、先ほど来御説明申し上げているかと思いますけれども、JESCOの処理は世界でも類を見ない大規模な化学処理方式によることであったということで、処理開始時点ではわからなかった課題が出てきた。

 そういった課題としては、例えば、JESCOの作業環境におけるPCBの揮発量が想定よりも多くて作業員の安全対策が必要になった、あるいは、PCB中の紙や木などの部材に含まれるPCBの洗浄に時間を要する、こういった当初わからなかった事態が生じてきたということでございますので、当初は、当初わかっている範囲でもって見込みを立てたということでございますが、結果的にその見込みどおりにはいかなかったということでございますので、改めて地元との協議の上、延長に至ったというところでございます。

中島委員 たびたび答えていただいておるわけですが、さまざまな、化学処理による処理、作業所に係る安全対策や処理開始後に明らかになった課題がたくさんあったということだとも思います。

 これは塩川委員からもお話があったと思いますけれども、やはり、PCB処理、これは委託をされているのはJESCOだけということもあり、これまでに莫大な予算、公費が投入されておるということは、先ほども御指摘がありました。

 そして、掘り起こし調査から全てにおけるステップの中でさまざまな課題が出た結果、期間内にということもわかりますが、そもそも、これは、JESCOに搬入された高濃度PCB廃棄物の処理進捗状況も、現在で、トランスで六九%、コンデンサーが六八%、安定器で二三%というふうになっておって、平成二十三年度末の時点での進捗率も、トランスが四五・七%、コンデンサーが三四%となっていて、この時点で、平成二十八年、ことしの三月までに処理を完了することは困難な状況だったと言えると思います。

 これも先ほどの塩川委員とちょっと重複するかもしれませんが、確認なんですが、これまで高濃度PCB処理のためにJESCOに投入された公費、税金は、施設の維持管理、人件費も含めてどのくらいになるんでしょうか。また、処理期間が十年延長されたということで、今後どのくらいの費用がかかると試算をしているんでしょうか。

鎌形政府参考人 まず、これまでJESCOにおける高濃度PCB廃棄物の処理に投入された国費でございますが、施設整備の補助金や、あるいは発足当初の現物出資も含むいわゆる出資金、資本金でございます、こういったものを含めまして、現在までのところ、約千七百億円というふうになってございます。

 また、今後についての御指摘でございます。これにつきましても、今後のPCB処理量の見込みあるいは処理後の解体費用などの見込みがまだよくわからない、よく見込みが出ていないということ、そしてまた、国としてどういうところを負担していくかということについてもはっきりしないところがございますので、現在のところ、将来については見通しておりません。

中島委員 これまでの間に千七百億円という公費、そして、今後については、当然ながら、これから掘り起こし調査、さまざまな全体像を把握して、どのくらいの処理、JESCOの試算というのはございますが、不確定なところもあるということであります。

 これまで大変苦労されてきたことは理解をいたします。今回の法改正でも、これは国が責任を持って対応するということ、基本計画に対しても閣議決定をして、その意気込みを示しているわけですが、今後十年延長する、どのくらいの費用で行うのか。

 前回の質疑でも、今後、ロードマップをつくって不断の努力というか見直しを図りながら進めていくということでありますが、やはり莫大な公費が使われているということで、今回も、PCBの処理が思うように進まなければ、当然のように処理期間を延長して、結果、当初の想定されていた処理期間を超して、処理施設の巨額の施設維持費についても当然のように公費が使われてしまうということ。

 もちろん、それは安全性、環境への影響などを考慮した結果だということですが、金曜日の質疑でも、JESCOのガバナンスの問題、北九州事業所で協定値を大きく超えるベンゼンの排出が一年半にわたって放置されたり、それに対して、やはり職員の自覚が足りないとか、そういったガバナンスの問題が指摘をされていて、これに対しては、第三者評価機関をつくって今後管理をしていくということも言われておる中で、今後十年間、今までにも千七百億円の公費が、税金が投入をされておるということで、いたし方ない部分があるとはいえ、これに対してはやはり少なくとも、また延長しない、その決意はわかるんですが、今後、こういった問題について、この責任の所在はできる限り明確にしておいた方がいいのではないかと私は思うわけです。

 このJESCOのガバナンスの強化とともに、今後十年間延長して、意気込みはわかりますが、公費の使い方、まだまだ不確定な要素がたくさんあるということで、どのくらい膨れ上がっていくのか、その辺についても、やはり環境省として、JESCOに対する指導管理、ここも含めて、しっかりと位置関係というか関係性は明確にしておいた方がいいと思うんですが、大臣にお考えをお聞きしたいと思います。

丸川国務大臣 まず、費用の点に関してでございますが、御指摘のとおり、当初の見込みよりも大きくなってきたというのは、一つには、それまでに、民間主導で処理をしようということで、全国三十九カ所で処理施設の設置が試みられながら、いずれも地元の理解が得られなかった結果、世界でもまれな、非常に規模の大きい化学的な処理を行うことになったというわけでございます。

 まさに地元の理解が得られる形で、環境に安全な形で処理を進める上でのコストというものが生じたというわけでございまして、これに無駄なくしっかりと今後とも確実に期限内に処理ができるようにということで今回の法案を出させていただいておりますが、法案が成立した暁には、ここに盛り込まれております措置をフルに発揮して、なおかつ、進捗状況の管理というものをしっかり行う形で、処理期限内にこれを処理するということを進めてまいりたいと思います。

 加えて、JESCOのガバナンスの問題ですが、私もこれは非常に重要な問題だと思いまして、このことの報告があって、すぐに第三者の目を入れるようにということを指示いたしまして、JESCOの方からもそのような報告書が上がってまいりました。

 地元の皆様方に信用していただいてこそのこの処理事業であると思いますので、引き続き、ガバナンスにおいては、JESCO自身が身を締めていただくと同時に、私どももしっかりと目を光らせていくということ、そして、環境省とJESCOの関係のみならず、第三者の目でこの関係、事業を見ていただくということが重要であると思っておりますので、今後とも、私ども自身の取り組みを含めて、しっかりとJESCOに対する指導監督を徹底してまいりたいと存じます。

中島委員 これは質問主意書等でも以前確認してみると、JESCOは特殊会社ということで、国が全株式を保有する、代表取締役には元環境事務次官、取締役、監査役にも環境省のOBが入っているということで、これは第三者から成る評価委員会の評価を受けて適任ということで、天下りには当たらないということになっておるわけですが、先ほど来言われているように、先週の金曜日のお話だと、塩川委員の質問からいくと、北九州の問題であり、さらには丸投げしているんじゃないかとか、一方で、環境省がJESCOに対してグリップがきいていないんじゃないかというようなことも、この外形上のことからいくとそのように見られても、先ほど住民の方々の信頼感ということもございました。

 今後の進捗状況次第では、その責任はどこにあるのかということも問われることもあるかもしれないので、やはりその辺は、ガバナンスの強化については大変重大だという御認識でありますので、ぜひしっかりとしていただきたいというふうに思います。

 続いて、先ほど冒頭にも言った、PCBの処理すべき全体像が把握できなければなかなか進んでいかない、徹底的な掘り起こし調査がその前提となるというお話をさせていただきました。

 まず、全体像の把握の部分で、これは資料でもいただいておって、確認なんですが、現在、高濃度PCB廃棄物、高濃度PCB使用製品の状況、届け出されているものの数はわかりましたが、未判明なものがどのくらいと想定をしているのか、お尋ねいたします。

鎌形政府参考人 未判明のもの、いわゆる掘り起こし調査によって今後判明していくというものでございますが、過去、北九州市が管内の全ての事業者を対象とした掘り起こし調査を徹底してやったということでございますが、その事例によりますと、それまでに把握されていたものの一割に相当するものが新たに判明したということがございます。

 そういうものを参考にいたしまして、今後出てくる高濃度PCB廃棄物、高濃度PCB使用製品の量は、今届け出がされている量のおおむね一割程度というふうに見積もられるということでございます。一割増しになるだろうということでございます。

中島委員 これは資料にも書いてあったんですが、平成二十年に北九州で行った掘り起こし調査の結果をもとにというのが根拠だというふうに思います。

 この北九州での調査、市内全ての事業所、五万三千六百十六事業所の掘り起こし調査を前提ということでございますが、今回は、掘り起こし調査の対象は、自家用電気工作物設置者、昭和五十二年以前に建てられた工場、事業所等というふうになっております。これは、母集団はやはり北九州の調査とは違うということになるわけです。

 はしょって質問いたしますが、恐らくお答えは蓋然性が高いという理由ということになるんですが、やはり約束期間の期日を踏まえれば、実質最後の掘り起こし調査ということになるというふうに私は思います。先ほども言ったように、静岡で以前はないとされていたところからPCBの漏えい問題が出たり、たびたびそのようなことが起こっているわけでして、これが実質上最後の掘り起こし調査というのであれば、これで本当に全体像を把握できるのか、最後の掘り起こし調査としてはいささか不十分ではないかなというふうに思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 実際に今後掘り起こし調査に取り組んでいくわけでございますけれども、現実的に、今、PCB事業所でお約束している期限を過ぎてももう処理するところはないということでございますし、そうなった場合には排出事業者の方の責任で処理をするということになりますが、それは現実的に不可能なわけでございますので、まずこの危機感をいかにして共有していただくかということは極めて重要だと思っております。自治体のみならず、保有、保管をしている事業者、使用している事業者、こうしたところにしっかりと周知徹底を図って、その危機感を共有していただいた上で掘り起こしに対して応じていただく、そういう環境をつくっていかなければなりません。

 加えて、我々がそれを受け入れる体制というものについてもう一度しっかりと点検をさせていただいて、一年ごとにと言わず、少なくとも一年ごとにですが、必要とあればさらに短い期間で、この法律を通していただいた暁に実行できる措置が実効性があるのかどうか、しっかりとフォローアップを行いたいと思っております。

 こうしたことを通じて、今どうなのかという御指摘がございましたけれども、確実にやり遂げるという決意を持って臨んでまいりたいと存じます。

中島委員 時間もないので、ちょっと順番を変えて、この掘り起こし調査、掘り起こしマニュアルを都道府県に配付して各指導しているということですが、この前提となるアンケート調査、実は回収率五割程度ということになっているんです。

 私もいろいろなところのホームページを見て、そのアンケート調査の内容を調べてみましたら、各県によって随分差があるなというのが印象でした。ある県は、PCB機器、トランス、コンデンサーが写真入りで、製品の名前まで出ているところもあれば、ある県は本当に簡素なものになっていた。これは、本当に、不明等で全部返ってきてしまったら、何か意味があるのかなというような内容だったんですね。

 それで、ちょっと確認したいんですが、各自治体がアンケート調査として配付しているものは、これは全て統一されているものなのかどうか、そして、回収率五割程度というふうにお答えになっておりますが、正確に、効率よくしていくためには、このアンケート調査の正確度と、さらにはその回収率を上げるための努力が一番入り口になるんじゃないかと思うわけですが、この二点についてお答えいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 まず、アンケート調査の方法やその際に使います様式などについてでございますが、環境省としては、掘り起こし調査マニュアルを策定いたしまして、掘り起こし調査の方法、調査票の様式を示しているということでございます。各自治体においては、これを参考にして、自治体の実態に即した調査票を作成して調査を実施しているというふうに認識してございます。

 今後、自治体においてより実効的な掘り起こし調査ができるように、御指摘の点も参考にいたしまして、掘り起こし調査マニュアルは改定していくということを検討してまいりたいと思います。具体的にどういうものが対象になるかとか、そういうものが明示されていないものもあるというような御指摘がございましたので、どういった形で調査をするのが効果的かということも踏まえて、マニュアルの改定も含めて検討してまいります。

 それから、アンケート調査の回収率につきましては、現在五割程度ということでございますけれども、調査対象者の選定に当たって、基礎的とすべき自家用電気工作物の設置者の情報などについて、国において、PCB特措法の届け出情報やJESCOへの登録情報などなどの情報を整理、突合して、調査対象事業者の絞り込みや連絡先のアップデートなど、そういった情報の整理をして、都道府県市に提供して、調査を効果的にしていくというふうに考えております。

中島委員 時間になりましたので終わりますが、先ほど言ったように、アンケート調査、私が見ただけでも、これは随分差があるなという内容だったんですね。やはりこれはしっかりと統一化して、より効率的にやるために、ただでさえこれは自治体の負担が高くなってしまいますので、そういった工夫は環境省としてぜひやっていただきたいというふうに思います。

 もう一点聞きたかったんですが、期限内に処理できなかったPCBに関して、ちょっと私は環境省さんからここに関しては明確な答弁をいただけていないなと他の委員の質問を聞いていて思ったわけですが、やはりこれは、現実的に、期間を超えてPCBが処理できなかったものに関してしっかりと明確にしておく必要があるということだけ最後につけ加えさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 おおさか維新の会の小沢鋭仁でございます。

 法案の議論に入る前に、けさ、一点、大変気になった記事がありますので、申し上げておきたいと思います。

 産経新聞の記事でありまして、「炭素税導入 論議じわり」、こういう記事ですね。これは、次回以降、温暖化対策基本法の法案に入りますので、そこでじっくり議論をさせていただきたい、こう思っておりますが、この委員会でもさきにスティグリッツさんの話を申し上げて、この話を大臣にも申し上げたことがあります。

 最大のポイントは、四月一日からいわゆる温対税がフルのモデルになります。三度目の増税、こういう話になるわけであります。三年かかったんですね。

 ただ、これについて、スティグリッツさんの意見は、大変おもしろいのは、いわゆるこの増税は投資につながると言っているんですね。景気刺激のためにこの増税を考えろ、こう言っているんですね。これは、私なんかが今まで考えてきた話とはちょっと毛色が違う話でありまして、大変興味深い話であります。消費税の増税のかわりにこれを考えたらどうか、こういう案でありますけれども、環境省としてもこういった観点からぜひ検討を進めていただきたいと冒頭申し上げておきたいと思います。

 大臣、もし感想がありましたら、質問通告していないのでいいんですけれども、どうぞ。

丸川国務大臣 成熟した経済においてどのように需要を喚起していくかという課題を抱えている我が国にとって、非常に示唆に富んだ指摘であると思っております。

 一方で、環境、今後特に温暖化に対してどのようにして我々は取り組んでいくかという中では、あらゆる手段について予断を持たずに検討していく必要があると思っておりますので、また今後議論させていただきたいと思います。

小沢(鋭)委員 法案の中身に入りたいと思います。

 この法案も二日にわたって議論をしてまいりました。もう最終バッターのその前、こういう位置づけでありますので、かなり議論も出尽くしております。私としては、我が党はこの法案に賛成でございますし、具体的な内容に関しては異議はありませんので、ここはある意味ではもうちょっと視点を広げて、いわゆる公害問題について、環境省あるいはまた環境委員会はどういうふうに取り組んだらいいのか、こういうような観点を持ちながら質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。

 御案内のとおり、この環境委員会も、昭和四十年に最初に発足をいたしましたけれども、最初の発足は産業公害対策特別委員会の設置からですね。ですから、公害問題というのはこの環境委員会にとっていわゆる原点、こういう話になるわけでありまして、このPCBの話もカネミ油問題から端を発してきているわけでございます。そういった観点で、少し幅広の議論を進めたいと思います。

 ただ、PCBの処理について、まず一点お聞かせいただきたいと思います。

 もう前の委員の方が何度か聞いておりますので繰り返しになりますが、この処理問題が進まなかった理由。先ほど鎌形部長の方から、最初、開始時点でわからなかったような話が出てきているんです、こういう答弁でありましたけれども、それにしても、この処理がおくれているのは相当なものでありまして、普通の民間事業でありましたら、いわゆる納期がおくれるというような話は大変な問題なんです。にもかかわらず、ここまで、過去一回、たしか延長をしたと思います。今回またこういった延長であります。

 ここまでおくれる最大の理由を、もう一回、環境省としての見解を整理してお話しいただけませんでしょうか。

鎌形政府参考人 おくれた、処理が進まなかった理由ということでございますが、まず、JESCOによる処理を始める前は民間主導で進めようということでございました。

 PCBの製造が禁止された昭和四十七年当時には、我が国にはPCB廃棄物の処理施設はないということで、PCB使用製品を使用していた事業者がその製品が廃棄物となった後もそのまま保管し続ける、こういう状況がございました。

 そういう中で、民間主導でPCB廃棄物の高温焼却処理施設の立地が試みられましたが、さまざま住民の不安がありました。PCBが排ガス中に含まれるのではないか、あるいは、副生成物としてダイオキシンが発生するのではないか、こういった不安から、全国三十九の候補地全てで地方自治体や地域住民の理解が得られない、立地について理解が得にくい、こういうような背景がございます。それがまず長期間にわたって滞ることとなった理由でございます。

 そして、そうした状況を踏まえて、政府主導で進めるということで、国出資一〇〇%の特殊会社でありますJESCOを活用した処理ということに乗り出したわけでございますが、その処理におきましても、先ほど言及いただきましたけれども、処理開始後に初めて明らかになった課題ということが出てまいりましたので、当初予定していたものよりおくれてきているということでございます。

 当初想定していなかった課題ということにつきましては、JESCOの作業環境におけるPCBの揮発量が想定よりも多くて作業員の安全対策が必要、それから、PCB廃棄物中の紙や木などの部材に含まれるPCBの洗浄等の処理に想定よりも時間を要したということでございます。

 こうしたことは、いずれも、労働環境ないし環境への安全というものをしっかりと確保していくことが求められる、そういう事業であるということでございます。そういう意味で、慎重に進めていくというような必要性もあったということかと思います。

 そういう意味で、おくれが出ているということでございますが、今回法案を整理させていただいて提出させていただいているということでございますので、二度とこういった期限の延長に至らないように、こうした法案が成立させていただきましたらば、その仕組みをしっかりと活用して、掘り起こしと処理に万全を期していくというような考えでおります。

小沢(鋭)委員 今の説明は、説明としてわからないわけではないんですけれども、今回のこの法案は、処分の義務づけだとか立入検査だとか、ある意味でいうと事業者に対する対策になっているんですが、先ほど来議論を聞かせていただきながら、あるいはまた私の過去の経験でいうと、JESCOの処理能力そのものが問題ではないか、こういう気がしてならないんですね。

 先ほど田島委員のお話の中で、人の確保は十分か、こういうお話がありました。実は、それに関して、質問通告の二番目は飛ばします、もう先ほどありましたので。JESCOのホームページにQアンドAがありまして、その質問の一つに、「直ぐに処理してくれるのか。(処理の時期は誰が決めるのですか。)」こういう問いに対して、アンサーの方は、「大変申し訳ございませんが、当社の施設の処理能力には限界があり、すぐに処理が出来るという訳ではございません。また、地方自治体の計画により都道府県市ごとの処理時期が決定するため、当社だけでは処理時期を決められなくなっております。処理時期につきましては決まり次第、当社からご連絡させていただく予定でございます。」等々、ホームページにこういう記載があるんですね。

 そして、これは私の経験でも、ある会社が会社を解散する、しかし、PCBの処理をしないことには解散ができない、そこで処理を急いでくれるようにお願いしているんだが、なかなかその処理が進まない、こういう話もかつてあったやに記憶をしています。

 そういった意味では、人員の確保を含めて処理能力そのものを拡大しなきゃいけないんじゃないか、問題はどちらかというとそこにあるのではないか、こういう思いもするのでありますが、それについてはいかがでございましょうか。

鎌形政府参考人 計画的処理完了期限までの能力という意味で考えますと、全体としての処理能力が要処理量に対して不足しているということはないというふうに思いますけれども、ただ、JESCOにおける処理が当初予定よりおくれてきたということで、受け入れが滞って、保管事業者の皆様に処理をお待ちいただいているという状況があることは事実でございます。

 こうしたことを踏まえまして、今後でございますが、期限内の処理委託が円滑かつ迅速に行われるよう、JESCOとして、事業者と相互に調整を図るということで、処理委託の見通しをしっかり明らかにしていく、こういうことを求めてまいりたいと考えております。これは、先ごろ有識者を交えて議論いたしました検討会でも指摘されていた事項でございまして、環境省としても、JESCOが事業者と相互調整をする、こういう取り組みをしっかりと後押ししていくというふうに考えてございます。

 また、人員ということでございます。

 JESCOにおいては、平成二十六年十二月に中間貯蔵に関する業務が追加となったわけでございますが、これは別として、PCB廃棄物処理事業に関しても人員増により体制を現在も強化しているというところでございますので、PCB処理事業が着実に推進できるように、体制面もしっかり整えてまいりたいと思います。

小沢(鋭)委員 今、答弁の中にもありましたけれども、平成二十六年のときには、中間貯蔵施設の業務をJESCOに委託する、こういう法案の改正を行いました。私が環境委員長のところに、そこに座っているときにやらせていただいた案件でありますけれども、今の鎌形部長の話だと、それはそれとして、いわゆるPCBの処理に関しては人員の拡大も検討している、こういう答弁であります。

 政府の方は、一〇〇%出資の特殊会社ですから、行革の折、なかなか拡大というのは言いづらいというのもわからないわけではないけれども、ここまでおくれが来ていると、やはりそこの処理体制、まさにJESCOの体制そのものを拡大するということをもうちょっと真剣に考えなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

鎌形政府参考人 処理のおくれにつきましては、先ほど申し上げました当初想定しなかったような事態がございまして、それらの対応ということで今処理のおくれが出ているということでございます。

 そういう意味で、現在稼働率は高まってきているということでございますので、お待ちいただいている現状はございますが、現状の設備をしっかりと稼働させていく、こういう中で対応していきたいと思っております。

 ただ、事業者との相互調整などしっかりと対応していくという意味で、人員の体制の整備も必要かというふうに考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 あともう一点は、一〇〇%出資の特殊会社、こういう話になります。

 大変JESCOの皆さんたちが現場で頑張っていただいていることは私もよく承知をしておりますし、敬意を表するところでありますが、競争なきところに改善努力なしみたいな一般論もあるわけでありまして、こういった形態でのあり方ということに問題はないのでしょうか。

鎌形政府参考人 PCBの処理は、先ほど来申し上げておりますように、安全性について地元の御理解を得ていくということが必要な事業でございますので、国が前面に立って一〇〇%出資で取り組む、そういうようなことで現在まで進めてきているというところでございます。

 ただ、一方、今御指摘ございましたように、効率的にしっかり進めるということは大切なことでございます。やはり経営努力というものもしっかりと求めていかなければならないということでございまして、私ども環境省といたしましても、しっかりとした経営努力のもとに効率的な取り組みがなされるように指導監督してまいりたいというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 それでは、冒頭申し上げましたように少し視野を広げて、いわゆる公害問題に国あるいは国会はどう対応すべきか、こういう観点から質問させていただきたいと思います。

 まず、公害問題、現在係争中のもの、環境省が関与しているもの、こういう言い方でもいいんですけれども、そういった問題はどのくらいありますか。

北島政府参考人 お答え申し上げます。

 公害等の問題に係る訴訟に関しましては、例えば水俣病関係で、損害賠償請求訴訟が七件、行政訴訟が六件ございます。また、環境省関係では、平成二十七年までに終結しておりますが、アスベスト関係等もございました。

小沢(鋭)委員 そのアスベストの話でありますけれども、いわゆる環境省の関係している周辺自体への汚染といいますか影響といいますか、それについてはもう解決している、こういう話でありますけれども、依然としてこの問題は国交省あるいは厚労省が対象になってまだ裁判が係属しているわけですね。それをもう一回確認させてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 アスベスト、石綿の健康被害に関する訴訟でございますけれども、環境省が関与しているものにつきましては二つございます。大阪・泉南アスベスト訴訟第一陣と神戸・尼崎アスベスト訴訟第一陣の二つがございます。いずれも、石綿関連疾患の責任は、国が環境関係法規でございます大気汚染防止法による規制権限行使を怠ったことによるとして、損害賠償を求められたものでございます。

 いずれの訴訟につきましても、環境関係法規、すなわち大気汚染防止法に関する点につきましては第一審、第二審とも国の主張が認められ、最高裁においても、これは平成二十六年及び平成二十七年でございますけれども、原告の方々の上告不受理という決定がされましたので、この点については国の勝訴が確定をしているという状況でございます。

小沢(鋭)委員 今申し上げたのは、環境省の方はそういった形で終わっている、ただ、まだアスベスト訴訟そのものは国交省並びに厚労省を対象とした訴訟が続いている、こういう認識を持っているんですが、それはそれでいいですか、こういう質問です。

高橋政府参考人 御指摘の点については、そのとおりでございます。

小沢(鋭)委員 この問題を私が取り上げますのは、アスベストの工事で飛散の問題がまだ大変起こっている、こういう話があるからでありまして、現状でも依然としてそうした問題が続いているわけですね。

 今、訴訟の最大のポイントはどこにあるかという点は、どのように把握をされていますか。

北島政府参考人 ただいまお答え申し上げましたとおり、環境省の所掌外ではございますけれども、今、建設アスベストの訴訟があるということを伺っているところでございます。

小沢(鋭)委員 訴訟の、いわゆる環境省の担当ではない、こういう話になるとなかなか言いづらいのはわかるんですけれども、ただ、環境被害であることには変わりないわけでありまして、そういった点で質問をさせていただいています。

 こういった公害問題に関して、まず大臣にお尋ねをしたいんですが、いわゆる公害というのは公の害と書くわけで、公という言葉がつくときに国の役割というのは一体どういうものなんだろうか、それをまず大臣の御認識を聞かせていただけますか。

丸川国務大臣 長い、我が国が重ねてきた、そして被害者がおられる現実を踏まえての公害の歴史の上に今の我々の環境が成り立っているわけでございまして、私ども国が取り組むべき仕事の一つは、環境の保全、まさにこの環境の保全上の支障を未然に防止することでございます。そのために、環境の保全についての基本理念にのっとって、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定して、それを実施するという責務を負っております。

 そしてもう一点は、公害に係る被害の救済のための措置、これを円滑に実施していくことでございます。被害を受けられた皆様の救済の措置というのがございますけれども、これを円滑に実施していくことがもう一つの国の重要な責務であるという認識でございます。

小沢(鋭)委員 基本的には、公害を起こす原因となった原因企業がある意味では責任を持つ、こういう話が大原則としてあるわけですね。しかし、今大臣からも答弁ありましたけれども、いわゆる公、こういう言葉がつく以上は、大変規模も大きい、範囲も広い、そういった中で、原因企業だけに責任を押しつけていては被害者の救済ができない、こういう問題が起こっているのが公害問題のある意味では大変特徴的な問題ですね。

 そこで、私は、国の公害問題に関しての役割、あるいはまた国会の役割というのは、少なくても、責任はどこかという話とは別に、全体の解決策を提示すること、解決策をつくり提示することが国会の役割であり、あるいはまた政府の役割である、こう思っているわけですけれども、これについてはいかがですか。

丸川国務大臣 まさにそのような姿勢で、このアスベストに関しても、健康被害に対する救済措置というものが、労働災害の雇用、被雇用の関係とは別に、迅速な救済を図るという目的でつくられ、そして今まさに運用されているわけでございます。

小沢(鋭)委員 今、たまたま大臣がアスベストの問題についてもと、こういうお話がありました。私が先ほど公害の話をしたときに、水俣あるいはまたアスベスト、こういう話がありました。水俣は、少なくても救済策を国会が提示して、政府がその方向で進めている、こういう状態になっているんですが、このアスベストは、いまだその解決策が全体像として提示されていない、私はこう思っているんです。

 そこの最大のポイントは何か、こういう話になりますけれども、例えば、アスベスト含有廃棄物の増加に対して最終処分場が足りているのか足りていないのか、こういう問題があります。これはいかがですか。

鎌形政府参考人 まず、御指摘のアスベスト含有廃棄物の排出量の関係でございますが、財団法人日本環境衛生センターの報告書によりますと、石綿が使用されている建材量をその出荷量から推測したデータをもとに、建築物の耐用年数を三十年と仮定した場合に、石綿含有建材のストック量は平成十三年の段階で四千万トンを超えるというふうに推計されてございます。

 また、この報告書によりますと、今後、毎年百万トン以上の石綿含有建材が廃棄物として発生し、平成三十二年ごろから減少していくとの予測がございます。

 平成二十四年度末の産業廃棄物最終処分場の残余容量は、一億八千三百万立方メートルでございます。毎年百万トン、比重換算いたしますと七十万立方メートルになりますが、これが埋立処分された場合であっても、現時点では、現時点ではでございますが、石綿含有廃棄物の増加に伴う最終処分場の逼迫までは生じないというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 今、鎌形さんからもお話がありましたけれども、いわゆる無害化の処理、これがおくれている、こういう話になるわけでありますが、こういう話はいわゆる市場原理に任せていてはなかなか進まない、こういう話だというふうに思いますけれども、無害化処理認定施設がふえない理由はどこにあるとお考えですか。

鎌形政府参考人 廃石綿あるいは石綿含有廃棄物などにつきましては、今御指摘のありました無害化認定施設による溶融、あるいはそれ以外の無害化処理でやる方法のほかに、廃棄物処理法に規定された処理基準に基づく埋立処分も可能となってございます。

 このうち、埋立処分については、無害化処理などに比べまして処理費用が安いということがございます。そういう意味で、多くの廃石綿等の排出事業者が埋立処分を選択する傾向にあるというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 無害化処理をしないで埋め立てをすると、埋立施設に占める割合が大変大きくなる、そういう問題があるんじゃないですか。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、溶融などにより減容化していくということではなくて、廃アスベストを安全にこん包などしてそのまま埋立処分をするということになりますと、減容化するよりも当然に容量をとるということになりまして、最終処分場での必要な容量というのは、溶融などの無害化処理をした場合に比べて埋立処分を直接した場合の方が多くなるということでございます。

小沢(鋭)委員 ということでありまして、いわゆる最終処分場のキャパシティーが足りない、こういう話になるんだろうと思うんですね。

 だから、そういう意味でいうと、先ほど私が申し上げましたように、市場原理に任せておいたらばそれは進まない、こういうことでありますから、無害化処理認定施設の件数、そういったものを国が指導してふやしていくというような話が必要になるんじゃないでしょうか。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、今後の建築物の解体等を鑑みますと、石綿含有廃棄物の排出量の増加が見込まれているということで、将来的には、最終処分場の容量を確保する観点から、直接埋立処分をするのではなくて、溶融などの無害化処理により減容化を進めていくことが重要と考えております。

 このため、今御指摘のありましたような無害化認定制度というのを創設して、その推進を進めているということでございます。

 ただ、現時点では、この無害化認定を受けた施設は二施設にとどまっているという状況でございまして、この無害化認定施設の新規申請や、あるいは新技術の事前相談に応じるといったことで、認定施設の拡充に向けた取り組みが必要であり、それを行っているというところでございます。

 また、先ほどコストの面も申しましたけれども、石綿含有産業廃棄物等処理施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用が平成二十九年度までいわゆる税制措置として認められているところでございまして、こういったことも含めまして、認定施設の処理体制の充実が進むように取り組んでいきたいと考えております。

小沢(鋭)委員 今のは、その認定施設の増加を進める、こういう答弁でよろしいんですか。もう一回、端的に。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、無害化認定施設をふやしていくということが必要と考え、それに向けて取り組んでまいります。

小沢(鋭)委員 ぜひその方向で環境省は取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。

 先ほど冒頭にも申し上げましたけれども、「石綿飛散 防がず工事」、こういう記事が最近ございました。これは、そういう工事が行われていると飛散するわけですね。一般の住民がその被害に遭う、こういう話でありますから、ある意味では大変環境省案件である、こう思っておるんですけれども、これに対する対応はどのようにお考えになっていますか。

高橋政府参考人 解体工事に伴うアスベストの飛散への対応でございますけれども、まず、平成七年の阪神・淡路大震災の際に解体等に伴うアスベストの飛散が問題になりまして、平成八年に大気汚染防止法を改正いたしまして、飛散のおそれの高い吹きつけアスベストを使用している建築物の解体等につきまして、届け出と作業基準の遵守を義務づけてございます。

 また、平成十七年には、アスベストに関する健康被害が社会的に大きな関心になりまして、それを受けまして大気汚染防止法施行令を改正いたしまして、規制対象建築物の規模要件を撤廃する等、規制の強化をいたしました。

 また、平成十八年には、大気汚染防止法を改正いたしまして、建築物だけではなくて、石綿等を使用している工作物、例えば煙突とか橋でございますけれども、こういうものについても規制対象といたしました。

 さらに、その後も規制の強化をしてございまして、特に、今後、平成四十年に向けてアスベストを含む建築物の解体がピークを迎えていくということもございまして、平成二十五年六月に大気汚染防止法を改正いたしました。この改正においては、アスベストの有無に関する事前調査の義務づけ、あるいは、工事実施の届け出義務者を、従来は受注者であったんですけれども、工事の発注者に変更するというような規制強化をいたしまして、平成二十六年六月から施行してございます。

 引き続き、自治体や事業者にこの改正法を周知いたしまして、アスベストの飛散防止対策の徹底を図ってまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 冒頭申し上げましたように、私は、公害に対して国の役割というのは極めて大きい、市場原理では進められない、そういった問題に対する国の責任、また国会の責任、我々立法者としての国会の責任は極めて大きい、こういうふうに思っております。今の高橋さんの答弁は結構であると思いますけれども、実際に事件は起こっているのも事実でありまして、そういった意味においては、もう一歩踏み込んだ規制というのがあり得るかどうか、我々も考えてみたいと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それからまた、この石綿の無害化の問題に関しては、まだまだ対応がおくれている、私はこう思っておりまして、こういった問題に関してぜひ国が率先して対応を検討し、推進していただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。

 PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、内閣提出第四〇号、二日目の質問で、本日もまた最後の質問者となります。

 前回の委員会では、環境省に今回の改正法案について幾つか質問をさせていただきましたが、我が国では、それ以外の省庁が所管するそれぞれの法規によってPCBの廃棄物あるいはPCB使用製品についての指定や管理などを定めております。

 そこで、きょうはまず経産省に幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 経産省では、電気事業法によってPCB含有電気工作物などPCBの使用製品について指定、管理、廃棄などの項目を定めて、それに従って取り扱っているというふうに思料いたします。まず、その電気事業法における扱いについてお伺いいたします。

三木政府参考人 電気事業法のPCB使用電気工作物に該当するものとしましては、発電所や変電所、受電設備などに設置されておりますトランスやコンデンサーなどが該当いたしまして、それぞれ高濃度のものと低濃度のものが存在をいたします。そういうことでございます。

玉城委員 高濃度PCB含有電気工作物は、五千ミリグラム・パー・キログラム超のもの、それからそれ以下のものというふうに分けられ、それぞれこういう製品についてはしっかりと把握をして管理をしているという状況にあると思います。

 では、電気事業法による高濃度PCB使用電気工作物の使用届等について、現状どこまで全体的に把握されていらっしゃるかについてお聞かせください。

三木政府参考人 電気事業法におきましては、電気関係報告規則に基づきまして、平成十三年以降、一定水準以上の濃度のPCBを含有している電気工作物、具体的には〇・五ppmを超えるものでございまして、高濃度のもの、低濃度のものもございます、一定水準以上の濃度のPCBを含有している電気工作物の使用が判明した場合及びこれを廃止した場合に、国に届けることとしております。

 この制度のもとで、現在使用中の高濃度PCB使用電気工作物について届け出をいただいているところでございます。

玉城委員 では、その届け出をいただいている具体的な数について、どのぐらい把握していらっしゃるのか、お聞かせください。

三木政府参考人 電気事業法、電気関係報告規則に基づきまして、平成二十八年三月末までの暫定の集計でございますけれども、約二万個の高濃度PCB使用電気工作物が使用中として届け出られているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 届けられている二万個の電気工作物ですが、高濃度PCB使用電気工作物、例えば省令の適用外になっている、今現在使用されているものもあるというふうに資料で拝見いたしました。しかし、いずれにいたしましても、PCB使用電気工作物、特に高濃度の工作物については、早期の使用廃止に向けた取り組みが経産省にも求められると思います。

 そのことについて、どのような取り組みをしていらっしゃいますでしょうか。

三木政府参考人 高濃度PCB使用電気工作物につきましては、電気事業法におきまして新規設置を禁止する等の措置をこれまで講じてきたところでございますけれども、この電気事業法の枠組みを最大限活用いたしまして、処分施設の操業期限内の処分を進めていく方針でございます。

 具体的には、高濃度PCB使用電気工作物につきまして、関係省令等を改正しまして、期限までの廃止を義務づけるとともに、使用中の機器の廃止、処分の見込み、処分事業者との処分委託契約の有無などを毎年度国に届け出る義務を課すこととするなど、PCB特措法改正案と同等の措置を講ずることを予定しております。

 加えまして、現時点では判明していない使用中の高濃度PCB含有機器の掘り起こしを行う観点から、電気工作物の保安を担う電気保安法人等に対しまして、使用中の機器がないか点検、確認する義務を課すこととしております。

 こうした措置に基づきまして関係省令の改正作業を進めているところでございまして、適切に措置をしてまいりたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございました。

 使用中の掘り起こし調査が非常に重要になってくるというふうに思います。そして、高濃度、低濃度を問わず、このPCB汚染物質、汚染工作物というものが国民の安心かつ安全な観点からの視点に応える取り扱い、保管、そして廃棄に向けていただきますよう経産省にもぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 では、続いて、今度は外務省にぜひお伺いしたいと思います。

 米軍基地及び自衛隊基地、自衛隊基地は防衛省にお伺いいたしますが、汚染問題への取り組みについてお伺いいたします。

 平成二十七年九月二十八日、日米両国で署名された環境補足協定で想定される、米軍基地内で土壌汚染が発生した場合の対処についてお伺いしたいと思います。

 従来、地位協定の運用の改善で対応するというふうにされていたわけですが、立入調査の立ち入り手続の作成、維持、それから、環境に及ぼす事故が現に発生した場合などについては取り組むということになっておりますが、従来の地位協定の運用の改善で対応することとしてきた方法と、今回の環境補足協定で想定される対処の明らかな違いについてまずお伺いしたいと思います。

黄川田大臣政務官 委員にお答えいたします。

 日米地位協定の環境補足協定は、公共の安全に影響を及ぼすおそれのある事態に関する入手可能かつ適当な情報の交換、日米両国のまたは国際的な環境基準のうち、より厳しいものを採用する米側の基準の発出、維持、文化財調査を含む返還予定地の現地調査や環境事故の際の視察のための立ち入り手続の作成、維持といった規定を明確な形で含むものとなっております。

 日米地位協定が締結されてから五十五年を経ておりますが、補足協定の締結は初めてであり、政府間の法的拘束力を有する協定という形式で環境基準や立ち入りに関する規定を定めたことは、日米地位協定の内容を所与としてその運用のあり方を在日米軍との間で決める運用改善とは質的に異なっており、歴史的な意義を有するものと考えております。

 その上で、例えば、これまでは、環境事故の際の立ち入りや返還予定地の現地調査のための立ち入りの都度米側に申請してきておりましたが、申請にかかわる統一的な手続は存在していませんでした。いかなる場合に立ち入りが認められるかなどが明らかではなかったというのがこれまででございます。一方、本協定におきましては、これらの場合における立ち入りを行うための手続を定めることが明確に規定されました。

 日米合同委員会合意にて当該手続が定められたことによりまして、日本側関係当局にとって予見可能性、透明性が高まり、こうした現地調査をより実効的に行うことが可能となったという意義があるということでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 続けて聞こうと思っていました、土壌汚染が発生した場合どのような手続によってなされるのかというようなこともあわせて今答弁をいただいたものというふうに思いますので、質問を進めさせていただきます。

 さて、先ほど、非常に厳しい条件によって補足協定のいわゆる取り決めが発効するということなんですが、しかし、この環境に関する協定についての日米合同委員会の「目的」という欄を見てみますと、両国政府が環境の管理のために成功裏に取り組んできたこと、合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業が公共の安全に妥当な考慮を払って行われなければならない旨の参照に基づいて、施設及び区域への適切な立ち入りを行うことができるよう手続を進めるというふうにあります。

 ですから、何が言いたいかというと、結局は米軍側の好意的な配慮、考慮、おもんぱかって、そしてその手続が進められるということになると、これは義務にはなっていないというふうに、私たちはそういうふうに受け取っているわけですね。

 では、一点、現地での現状を踏まえてお伺いいたします。

 沖縄県浦添市のキャンプ・キンザーの、米軍が一九九三年七月に作成した有害物質の汚染に関する資料で、農薬や殺虫剤が原因の魚の大量死がしばしば発生していた事実を認めて、その報告書に明記しています。これは、イギリス人のジャーナリストの方が情報公開請求で入手し、キンザー沿岸で、農薬のディルドリンほか、PCBなども使われていたということが明らかになっているわけですね。八十二ページにわたるこの「キャンプ・キンザーの有害物質による汚染の可能性に関する資料」というところでは、農薬のクロルデン、ディルドリン、さらにPCBに汚染された油類など、高いレベルで土壌や水、魚に含まれていたとあるようです。

 では、このように過去の使用が原因で土壌汚染が発覚した場合に、環境補足協定は十分に機能する規定、内容となっているのでしょうか。確認いたします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の日米地位協定の環境補足協定に基づきまして立ち入りが認められます「環境に影響を及ぼす事故(すなわち、漏出)が現に発生した場合」とされる場合は、いわゆる環境事故が発生した場合でございまして、これは、発生から長い期間が経過した過去の事故ではなく、環境への汚染の放出が現在進行形で発生している場合を意味いたしております。

 したがいまして、これに該当しない事案は環境補足協定の立ち入り手続の対象自体にはならない形になっておりますが、そのような事案におきましても、日本側として環境汚染を疑うような場合には、別途、既存の日米合同委員会に従って米側に調査要請や立ち入り許可申請を行うことが可能とされております。

 また、今回の環境補足協定では、日米間において公共の安全に影響を及ぼすおそれのある事態に関する入手可能かつ適当な情報を交換することについても規定してございます。

 いかなる事案が今回の環境補足協定に基づく環境事故の際の立ち入り申請の対象になるかについては、個別具体の事案に即してしかるべく判断されることになりますけれども、政府といたしましては、地元の方々の御関心に応えられるように環境補足協定が運用されていくことが重要だと考えておりまして、施設・区域内外の環境対策が実効的なものとなるべく、引き続き努力を続けてまいりたいと考えております。

玉城委員 環境補足協定は過去のものに適用しないというお答えでよろしいですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 本件の、御指摘のございました汚染事案、これは一九七〇年代に発生したものであるというふうに承知しておりまして、環境事故の際の立ち入りの今回の手続の対象にはならないというふうに考えております。

玉城委員 これから大規模な米軍基地が返還されようとしている沖縄でそれが対象にならないということは、では、一九七二年の本土復帰前のことはあずかり知りませんということになるわけですよ。そういうことでよろしいんですか。

山田政府参考人 今回の環境補足協定におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、環境に及ぼす事故が現に発生した場合の立ち入りに加えまして、返還前の立ち入りについても規定をしております。

 この返還前の立ち入りに関しましては、返還日の百五十労働日前を超えない範囲内で立入調査が通常認められ、両国間で合意すれば百五十労働日よりも前であっても立ち入りが可能、そういう枠組みをつくっております。

 したがいまして、地元の御事情を踏まえまして、立ち入りを柔軟に行う余地を確保した形になっております。

 いずれにしましても、日本政府といたしましては、米軍が環境面に最大限配慮するようさまざまな機会を捉えて米側には働きかけを行ってきたところでございまして、今後、引き続き米側に対して同様の働きかけを行い、適切に対処してまいりたいと考えております。

玉城委員 時間が参りましたので、このことについては引き続きしっかり追及させていただきたいと思います。我々の、現場での問題ですから。

 沖縄市で見つかったドラム缶の、ダイオキシンに汚染されているかもしれないという土壌は、いまだにどういう調査が行われ報告されているかということがこちらに届いていないんですよ。

 ずっと以前の話でこういうことがずっと続いていく。これからどれだけ基地が返還されてこの汚染が発見されるかわからない。しかし、百五十日というと、百五十日割る三十日イコール五カ月ですよね。たった五カ月前からしか、あるいは考慮を払えばもうちょっと前からできるかもしれないと。沖縄県は三年前から調査させろということを、この補足協定が締結される前に求めていたはずなのに、一顧だにされていない。

 環境大臣、先ほど大臣は、環境の保全、支障を未然に防ぐために、環境省はそのために万全を期して、万難を排して取り組むということがありました。しかし、調査、処理、報告と長い時間がかかり、補足協定は、今のように、過去の事例に当たらない、しかも百五十日前からしか調査させない。

 そういう取り決めで、我々は、独立国家たるその法律を、米軍や米国、諸外国に対して、日本の基準は厳しいですよということがしっかり言えるんでしょうか。厳しい立場から、環境政策を所管する大臣から一言いただきたいと思います。

赤澤委員長 申し合わせの時間を経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

丸川国務大臣 百五十労働日前ということでございまして、一カ月二十日と仮定すれば七カ月強かと存じますが、いずれにいたしましても、在日米軍基地における土壌汚染については、この環境補足協定に基づくものも含めて、適切な対応が行われることが重要と考えておりますので、環境省としても、必要に応じて、今後、関係機関と連携して、技術的支援等をしっかり行ってまいりたいと存じます。

玉城委員 三十日と計算した私は働き過ぎだったようですね。失礼いたしました。

 以上で質問を終わります。ニフェーデービタン。

赤澤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤澤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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