衆議院

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第12号 平成28年5月24日(火曜日)

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平成二十八年五月二十四日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 伊藤信太郎君 理事 石川 昭政君

   理事 北川 知克君 理事 助田 重義君

   理事 藤原  崇君 理事 福田 昭夫君

   理事 松田 直久君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    小倉 將信君

      鬼木  誠君    白石  徹君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      寺田  稔君    福山  守君

      堀井  学君    前川  恵君

      牧原 秀樹君    吉野 正芳君

      菅  直人君    田島 一成君

      中島 克仁君    馬淵 澄夫君

      真山 祐一君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    丸川 珠代君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           大角  亨君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       井上 龍子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           長谷川 新君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

五月九日

 建設アスベスト問題の早期解決と被害者の救済に関する請願(畑野君枝君紹介)(第一六一八号)

同月十六日

 建設アスベスト問題の早期解決と被害者の救済に関する請願(秋葉賢也君紹介)(第一八九八号)

 同(石関貴史君紹介)(第一八九九号)

 同(大西健介君紹介)(第一九〇〇号)

 同(大西英男君紹介)(第一九〇一号)

 同(菅直人君紹介)(第一九〇二号)

 同(岸本周平君紹介)(第一九〇三号)

 同(小泉龍司君紹介)(第一九〇四号)

 同(後藤祐一君紹介)(第一九〇五号)

 同(坂本哲志君紹介)(第一九〇六号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一九〇七号)

 同(長島昭久君紹介)(第一九〇八号)

 同(野田毅君紹介)(第一九〇九号)

 同(野間健君紹介)(第一九一〇号)

 同(初鹿明博君紹介)(第一九一一号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一九一二号)

 同(松本剛明君紹介)(第一九一三号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一九一四号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一九五九号)

 同(太田和美君紹介)(第一九六〇号)

 同(岡本充功君紹介)(第一九六一号)

 同(小松裕君紹介)(第一九六二号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第一九六三号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第一九六四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九六五号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第一九六六号)

 同(平沢勝栄君紹介)(第一九六七号)

 同(堀内照文君紹介)(第一九六八号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第一九六九号)

 同(秋元司君紹介)(第二〇〇二号)

 同(井野俊郎君紹介)(第二〇〇三号)

 同(池内さおり君紹介)(第二〇〇四号)

 同(漆原良夫君紹介)(第二〇〇五号)

 同(河野正美君紹介)(第二〇〇六号)

 同(城内実君紹介)(第二〇〇七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二〇〇八号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第二〇〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇一〇号)

 同(田島一成君紹介)(第二〇一一号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第二〇一二号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第二〇一三号)

 同(宮川典子君紹介)(第二〇一四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二〇八三号)

 同(小川淳也君紹介)(第二〇八四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇八五号)

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行に関する請願(田島一成君紹介)(第一九五八号)

同月十八日

 建設アスベスト問題の早期解決と被害者の救済に関する請願(今井雅人君紹介)(第二一七九号)

 同(小倉將信君紹介)(第二一八〇号)

 同(大畠章宏君紹介)(第二一八一号)

 同(大平喜信君紹介)(第二一八二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一八三号)

 同(階猛君紹介)(第二一八四号)

 同(瀬戸隆一君紹介)(第二一八五号)

 同(中川俊直君紹介)(第二一八六号)

 同(真島省三君紹介)(第二一八七号)

 同(山田賢司君紹介)(第二一八八号)

 同(若狭勝君紹介)(第二一八九号)

 同(清水忠史君紹介)(第二二五〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二二五一号)

 同(本村賢太郎君紹介)(第二二五二号)

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二一九〇号)

同月二十三日

 建設アスベスト問題の早期解決と被害者の救済に関する請願(岩田和親君紹介)(第二三〇〇号)

 同(加藤鮎子君紹介)(第二三〇一号)

 同(根本匠君紹介)(第二三〇二号)

 同(福島伸享君紹介)(第二三〇三号)

 同(國重徹君紹介)(第二三三〇号)

 同(金子恭之君紹介)(第二四一七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四一八号)

 同(辻元清美君紹介)(第二四一九号)

 同(平井たくや君紹介)(第二四二〇号)

 同(堀内詔子君紹介)(第二四二一号)

 同(松野頼久君紹介)(第二四二二号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第二四六六号)

 同(篠原豪君紹介)(第二四六七号)

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四二三号)

 同(池内さおり君紹介)(第二四二四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二四二五号)

 同(大平喜信君紹介)(第二四二六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四二七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四二八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二四二九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四三〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第二四三一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四三二号)

 同(島津幸広君紹介)(第二四三三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四三四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四三五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二四三六号)

 同(畠山和也君紹介)(第二四三七号)

 同(藤野保史君紹介)(第二四三八号)

 同(堀内照文君紹介)(第二四三九号)

 同(真島省三君紹介)(第二四四〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四四一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二四四二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二四四三号)

同月二十四日

 建設アスベスト問題の早期解決と被害者の救済に関する請願(木原稔君紹介)(第二六〇〇号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二六〇一号)

 同(島津幸広君紹介)(第二六〇二号)

 同(升田世喜男君紹介)(第二六〇三号)

 同(笠浩史君紹介)(第二六〇四号)

 同(緒方林太郎君紹介)(第二七六五号)

 同(中根康浩君紹介)(第二七六六号)

 同(水戸将史君紹介)(第二七六七号)

 同(吉川元君紹介)(第二七六八号)

 同(岩屋毅君紹介)(第二八五二号)

 同(金子一義君紹介)(第二八五三号)

 同(田中和徳君紹介)(第二八五四号)

 同(堀井学君紹介)(第二八五五号)

 同(泉健太君紹介)(第三一一八号)

 同(山井和則君紹介)(第三一一九号)

 同(横路孝弘君紹介)(第三一二〇号)

 同(藤井比早之君紹介)(第三二二八号)

 同(水戸将史君紹介)(第三二二九号)

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行に関する請願(島津幸広君紹介)(第二六〇五号)

 同(吉川元君紹介)(第二七六九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三一二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る十八日に行いました福島県及び茨城県における放射性物質汚染対策等に関する実情調査につきまして、参加委員を代表して、その概要を私から御報告申し上げます。

 最初に、福島県の富岡町にある管理型処分場、フクシマエコテッククリーンセンターにおいて、関係者から説明を受けつつ視察いたしました。

 同処分場を活用した特定廃棄物の埋立処分事業については、昨年十二月に、福島県知事、富岡町長及び楢葉町長の苦渋の決断により、受け入れを容認していただいた経緯があります。

 今回の視察で、埋立処分のための取り組みについての説明を受ける中で、これまでの経緯も踏まえ、同事業の本格実施に当たって、埋立処分における安全、安心の確保などを通じて、地元自治体の理解を得つつ、住民の方々の不安や懸念の解消に取り組む必要があることを再認識いたしました。

 次に、いわき市内において、渡辺利綱大熊町長、鈴木光一大熊町議会議長、佐々木清一双葉町議会議長、安藤正純富岡町議会議員と意見交換を行いました。

 渡辺大熊町長からは、中間貯蔵施設の用地取得に当たって地権者に寄り添った対応の必要性、帰還困難区域の見直しを視野に入れた除染の推進の必要性などについて、鈴木大熊町議会議長からは、避難されている方々に対して今後の帰還の見通し及び復興の具体的ビジョンをわかりやすく示す必要性などについて、佐々木双葉町議会議長からは、中間貯蔵施設整備の加速化、及び福島第一原子力発電所の廃炉対策の十分な安全性を確保することなどによる避難されている方々の帰還を促す取り組みの必要性などについて、また、安藤富岡町議会議員からは、放射性物質に汚染された廃棄物の処理のあり方、さらなる除染推進の必要性などについて、それぞれ意見が出されました。

 その後、指定廃棄物の長期管理施設候補地の選定が各県で難航している現状、避難されている方々の生活環境支援のあり方、帰還困難区域における除染を含めた今後の具体的な対応のあり方、除染の目標値や森林除染のあり方などについて意見交換を行いました。

 次に、茨城県の日立市にある日立市旧清掃センターにおいて、市及び県から、指定廃棄物の一時保管の状況、県内の指定廃棄物の現地保管継続に当たっての保管強化の方針などについて説明を聴取した後、同センター内を視察いたしました。

 指定廃棄物の一時保管の現場に足を運び、関係者から説明を受ける中で、改めて、現地保管を続けるに当たってのさらなる安全確保の重要性とともに、風評被害対策や地元自治体からの要望を反映した地域振興策の必要性を実感いたしました。

 当委員会といたしましては、東日本大震災の発生から五年が経過する中で、除染の実施、中間貯蔵施設の整備、放射性物質に汚染された廃棄物の着実な処理などにより、福島の復興のさらなる加速化、ひいては東日本大震災の全ての被災地の一日も早い復興が実現できるよう、立法調査活動を通じて最大限の支援をするべく、引き続き、会派や立場の違いを超えて精力的に取り組む必要があると改めて痛感いたした次第であります。

 最後に、今回の視察に当たり御協力いただきました全ての関係者の皆様に深く御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官土屋喜久君、農林水産省大臣官房審議官大角亨君、農林水産技術会議事務局研究総務官井上龍子君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、国土交通省大臣官房審議官長谷川新君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長奥主喜美君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川知克君。

北川委員 自民党の北川知克でございます。

 先ほど委員長の方から御報告がありました先週の視察についてでありますが、我々も同行をさせていただいて、被災を受けられて、またさまざまな問題で悩んでおられる地元の方々、それぞれの町長、また市民を代表する議員の方々から貴重な御意見をいただきました。悩み、苦しみ、現地の方々の思いというのも聞かせていただいて、胸に詰まる思いもいたしました。

 また、誰かがどこかでやらなきゃならない仕事であります。丸川大臣初め環境省の皆様方も、仕事とはいえ大変な中での御苦労をされているんだなということも、話を聞かせていただいて痛感をした次第であります。

 視察についての質問は後ほど我が党の石川議員がされますので、私は違う観点からの質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、質問に入る前でありますが、通告はしていないんですが、丸川大臣、私と初めて名刺交換というかお会いをしたのはいつどこか、覚えていらっしゃいますか。

丸川国務大臣 申しわけございません。昔から存じ上げているような気がいたします。

北川委員 テレビを通してかどうかわかりませんが。

 実は、大臣が参議院選挙に出馬をされる前に、九年前、ちょうど私ども第一次安倍内閣の政務官をしておりまして、実は多摩川の清掃事業というのを六月の環境月間で行いました。田中和徳先生も川崎から出席をされておりました。そのときに、大臣がポロシャツで熱心に一緒にごみを拾った、そういうとき初めて名刺交換をされて、参議院選挙で頑張られて国会議員になられて、環境の問題にも取り組んでいただいて、昨年の十二月のCOP21、また今回の富山の環境大臣会合、この仕事をこなしていただいて、九年たってめぐり合わせの中でこの重責を担っていただいているんだなということを感じているところであります。

 その中で、福島の放射線に汚染された廃棄物等々の処理にも苦労されているところでありますが、先日起きた熊本の大震災といいますか、この地震において、現地の方々にも御苦労があり、改めて亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますと同時に、まだ行方不明の方も一名おられます、そして被害を受けられた方々にもお見舞いを申し上げながら、政府として八千億近い補正予算を組まれて対応されようとしているところであります。

 昨年、災害廃棄物に対応するため、廃掃法の改正がありました。私も委員長をさせていただいておりましたが、あの法案が成立をされて施行してすぐに、鬼怒川の決壊で、小山市や常総市に対してあの法律に基づいて対応されたと思います。

 法律ができたときには、この法律がなるべく適用されないような災害のない日本であればいいなと思ったんですが、我が国の地理上の位置からして台風やまた地震の被害を受けるわけでありますので、残念ながらその地震が熊本で起こって、今回の補正予算に基づいての対応を今後されていくと思うのであります。

 前回の常総市における災害の対応もそうでありますが、あの法律に基づいてどう対応されたのか、今回熊本でも参考にされて対応していかなきゃならないと思っておりますが、まずその点について、あの法案がどう適用されたのか、御説明をいただければと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 廃掃法の改正に関しましては、北川筆頭理事におかれては大変な御尽力を賜りまして、我が国のこれまでの災害の多い国の歴史の中で、いかに復興に災害廃棄物のいち早い処理が資するものであるかということを、改めて法律の形で私たちの、国民に役立つような形にしていただいたことに対して感謝と敬意を表するものであります。

 そして、おっしゃるとおり、法律ができ上がっていち早くその体制を生かしたのが鬼怒川の決壊の事案でございまして、まずもって、自治体の処理の能力に応じまして、処理の計画をつくることについては権利を委託するという手続をとって進めることができたわけであります。

 また、この計画を立てること、また基本方針を示すことによって、災害廃棄物を処理するというスピード感、それから連携というものがしっかりと目に見える形で確立をされたわけでありまして、今回の熊本においても、自治体の規模に応じまして、県と市町がより具体的に目に見える形で連携をしながら処理を進めることができることになりました。

 今まさにそのさなかでございますけれども、これから、この廃掃法の改正によって恐らく今までよりもより迅速に処理を終えることができるのではないかという見通しを県が示していただいたところでございます。

北川委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、これからたくさんの廃棄物がまだまだ出てくると思いますので、ぜひ国としても全面的に、熊本県や関係市町村といいますか、意見を聞きながら対応をしていただければなと思っております。

 それと同時に、漏れ聞くところによりますと、やはり益城町なんかは非常に財政基盤の弱い町であるということも聞いております。あの東日本のときには、法律の改正等々をされて、またニューディール基金ですか、こういうものの対応の中で、九五%を国が負担しながら災害廃棄物の処理をされたと聞いております。

 今後、益城町を初め財政力の弱い地域については、今回、補正も組まれておりますので、そういう中で、補助率が今二分の一ですかね、それをかさ上げするとか、そういうことをぜひ国としても前向きに考えていただきたいと思うんですが、その点について大臣の方からお願いいたします。

丸川国務大臣 益城町には私もお邪魔をさせていただきまして、一万強の世帯数のうち、およそ半分の五千世帯がほぼもう再建不可能な全壊に近い状態であるという見通しでございました。益城町のような財政力の弱い自治体に対しては、今後、政府全体としての対応と整合性を踏まえながら検討するようにと事務方に指示をしているところでございます。

 特に、五月十七日の参議院の予算委員会においては、総理から、被害状況や必要となる復旧事業等の内容を詳細に点検、精査をし、各自治体の財政状況に丁寧に目配りをする中で、どのような対応が必要となるかを検討し、必要な財政支援をしっかり行っていくという御答弁がございましたので、私どもとしても、その方針のもとで対応してまいりたいと考えております。

北川委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、今回の熊本の対応等々によって、この災害廃棄物の廃掃法等についても見直し等々が必要であれば今後柔軟に対応をしていただきたいと思いますし、政令、省令で対応できる部分があれば、そちらの方でもぜひ迅速に対応をしていただきたいと思います。

 次に、同じ廃棄物といいますか、ごみについての質問でありますが、実は、東日本のあの大震災で原発がとまって、再生可能エネルギーの必要性が国民にも知るところといいますか、国民の皆さん方にもその機運が出ているところであります。

 実は、環境委員会で三年前にデンマーク等々へ視察に行ったときに、コペンハーゲンの町の廃棄物処理に関して、バイオマス発電や、そしてごみ発電をされている焼却場の視察もさせていただきました。

 我が国が、特に環境省も地産地消のエネルギーがこれから必要だということを訴えられているわけでありますが、このごみ発電について、国内でぜひ普及促進、要は、ごみ処理場というのは迷惑施設とよく言われてなかなか立地が大変でありましたが、コペンハーゲンのごみ発電所といいますか焼却場を見れば、発電がセットじゃないと許可はしないとか、市民の皆さんもすぐ近くで遊ばれるとか、それも見られる。なおかつ、近隣で新築のマンションが建つとか、そういう意識が市民の皆さん方に醸成をされているわけであります。

 そういうことを見習いながら、日本もごみ発電をぜひ普及していただきたいということで、この発電、ごみ焼却場での補助率も、熱回収が入っていれば三分の一から二分の一に引き上げるとか、さまざま手は打っていただいていると思うんですが、なかなか数もどっとふえてはいないものですから、その点について、今後、環境省の方針というものを示していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

丸川国務大臣 廃棄物処理施設を発電施設としても見られるように推進していくということについて、北川筆頭理事におかれては大変熱心にお取り組みであることに大変敬意を表したいと思います。

 環境省においては、平成二十五年に策定した廃棄物処理施設整備計画、また、平成二十八年一月に変更をした同法に基づく基本方針において、焼却時に高効率な発電を実施し、廃棄物エネルギーの地域での利活用を推進していくこととしております。

 また、施設整備への支援としては、循環型社会形成推進交付金において、高効率エネルギー回収及び災害廃棄物処理体制の強化の両方に資する施設については補助率二分の一に優遇することとしているとともに、エネルギー対策特別会計において、高効率廃棄物発電施設等の導入を補助率二分の一で支援するなど、重点的な支援を行っているところでございます。

 エネルギーの地産地消といった有効活用を図る上においても、地方創生との連携は非常に重要であると考えております。この点においては、石破大臣も御認識をいただいているかと存じますが、改めて連携をとりながら、今後さらに強力に推進をしてまいりたいと存じます。

北川委員 ぜひ、ごみの焼却場を迷惑施設から利益供給施設の方に転換をしていっていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは次に、がらっと、ごみ系統から、国立公園についての質問をさせていただきます。

 政府が三月三十日に取りまとめられた明日の日本を支える観光ビジョンに基づいて、日本の国立公園を世界水準のナショナルパークとしてブランド化を図ることを目標に、国立公園満喫プロジェクトとして、まずは五カ所程度の国立公園において二〇二〇年までに訪日外国人を引きつける取り組みを計画的、集中的に実施するということで計画をされているようでありますが、日本の国立公園は、欧米、またオーストラリア、ニュージーランドの国立公園と違いまして、自然を守ると同時に、その地域で暮らしてきた人の営みの中で醸成された文化や歴史、こういうものとセットになっている国立公園が多いわけであります。

 その中で危惧をするのは、やはり、多くの人に来てもらいたいがために大事な自然を壊してしまうとか。そういうことにならないように、このプロジェクトチームの提言を受けられて、どういう姿勢で政府としての方針を示されるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 国立公園満喫プロジェクトについては、昨日、第一回の有識者会議を行わせていただきました。大変有意義な意見交換になったと思っております。

 総じて、自然環境を保全することによって、それを重要な資産として生かしていくという視点が重要であるというような御指摘がございまして、やはり国立公園はまずもって自然の価値がベースであるという認識を私も新たにしたところでございます。

 調査等によりますと、訪日外国人の観光客の皆様方も、日本の自然と、そして、委員御指摘のとおりそこで育まれた文化等に触れたいという希望をお持ちの方がアジア、欧米を問わず大変多くいらっしゃるものですから、こうした皆様方にもより魅力を発信することを通じて、国内の国立公園の再活性化を図っていきたいと考えているところでございます。

 観光庁とも連携をして進めてまいりたいと思っております。

北川委員 ありがとうございます。

 その代表と言ってはなんですが、歴史や文化のある国立公園の一つが伊勢志摩であると思うんです。今回、サミットがその伊勢志摩のど真ん中の賢島で行われるというのは、国立公園にとっても非常に有意義だと思うんです。

 洞爺湖サミットは国立公園の中で行われたように皆さん思われているんですが、ホテルは国立公園区域外だったものですから、そういうことではなしに、今回、せっかく国立公園のど真ん中で行われるサミットでありますので、丸川大臣も、環境大臣会合でも各国の環境大臣にそのことをPRされたと思うんですが、ぜひ、日本の国立公園をこのサミットの機会に世界に広めていただいて、世界の方々が日本に来られて、日本の歴史、文化、自然を感じていただいて、安らいでいただいて、日本をPRしていただければと思っておりますので、その点についてのお答えをいただいて私の質問とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 きのうの会議でも出たことなんですが、伊勢志摩という名前は知っていても、国立公園だという認識を果たして持っていただけているかということが問題であると。これは、訪日外国人によらず、日本国民の皆様にも国立公園という御認識をいただいているかどうかということについては疑問があるというような御指摘がありました。

 大変重要な機会でございますので、G7サミット本体の方でもぜひこれをお触れいただきたいということで、まず、環境省においては、国立公園をPRするVTRを用意して、これを放映していただく手はずを整えておるところでございます。

 加えて、ぜひ総理にもお触れいただきたいということで、私の方からもお願いをさせていただいておりまして、これを機会にまた日本のすばらしい自然を国立公園という形で御認識いただけるよう、しっかり努力をしてまいりたいと思います。

北川委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、石川昭政君。

石川委員 自由民主党の石川昭政でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、先般、福島県それから茨城県の調査、視察に委員会で行ってまいりましたので、それについて、環境省の所管を中心にきょうはお尋ねしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、意見交換をやってまいりまして、さまざまな意見が出ましたけれども、やはり中心は、スピーディーに、地元に丁寧に理解を求めながら、説明しながらやってほしいというようなお話でございました。

 特に、私が聞いていて感じましたのは、今、富岡町は、御案内のとおり、帰還困難区域とそれから居住制限区域、避難指示解除準備区域が入りまじっておる関係で、やはり住民の方々がばらばらに暮らされているという中で、どうやってこの住民合意、住民の理解を得ていくか、なかなか難しい中での事業の推進だと私も重々承知をしております。

 今回の施設の受け入れに際しましては、同じ政治家として大変苦渋の決断があったんだなということを現地に行って重々感じたところでございますけれども、これから事業を推進するに当たりまして、環境省としてどのようにこの住民理解、そして地域への説明を尽くしていくつもりなのか、お考えをまずお伺いしたいと思います。

鎌形政府参考人 富岡町の管理型処分場を活用した指定廃棄物などの処理についての問題でございますけれども、これまで、その施設を活用しての廃棄物の処理をしたいということを申し入れいたしましてから、もちろん住民の御理解が大切ということで、住民説明会などを重ねるほか、もう少しきめ細かに、各地区の役員の方々の役員会とか、そういう場での御説明を繰り返してまいりました。隣の楢葉町では、特に、搬入路の近辺がございまして、そこでの戸別の訪問をさせていただいての御説明などもさせていただいているというところでございます。

 そうした中で、先般の委員会での御視察の中でも、まだまだ説明が必ずしも十分じゃないというような御指摘があったというふうに私どもは認識してございます。

 町当局としては、苦渋の御決断をいただいて、受け入れということの御判断をいただいたわけでございますけれども、私どもとしては、事業を進めていく上で住民の御理解は大切なことだと思いますので、引き続き御説明には小まめにあるいは丁寧に通って対応してまいりたい、このように考えてございます。

石川委員 やはり、環境省の役人の皆さんは本当に現地で頑張っておられましたけれども、特にお願いしたいのは、政務三役の皆様方に、ぜひ政治家同士腹を割って、地元の町議会、町長、そういった皆さん方と話し合っていただいて、ひいてはそれに、福島の復興に対して余り時間もかけられませんし、そういった合意を同時並行で進めながら事業を推進していくということをぜひ心がけてやっていただきたいというふうに思います。

 次に、茨城県内の視察についてお伺いしたいと思っております。

 茨城県においては、指定廃棄物を集約型ではなくて分散管理型にしていただくということでお決めをいただきました。私どもとしては大変ありがたく感じているところでございます。

 先般、委員会で視察をいただきました茨城県日立市でございますけれども、県内の町村の中で最も多く指定廃棄物を保管している日立市の清掃センターを御視察いただいたところでございます。

 かつて茨城県は、ジェー・シー・オーの臨界事故というものが起きまして、その際に、東海村を中心に県内各地、農林水産業、観光業に対して甚大な風評被害というのがあった経験がございます。そういった中で、風評被害の恐ろしさというものは茨城県の皆さんは本当に身にしみて感じているところでございます。

 そして、今なお福島原発事故の風評被害というのは続いているわけでございます。風評被害に関する損害、営業補償というものは、一義的には東電が対応し、それに納得できなければADRという手続に進むことになっているわけでございます。しかし、実際にADRに持ち込む、特に地方公共団体はなかなか、ちゅうちょする、ためらっている自治体もあるというふうに聞いているわけでございます。

 ことし二月、地元茨城県の保管市町村との会合が開かれまして、そこで環境省は、保管場の安全対策の強化、それから、住民説明会を開く、地域振興、風評被害対策を行うということを保管市町村の首長さんに提示したというふうに承知をしております。

 先般、環境委員会で御視察いただきました茨城県日立市の小川市長からも、風評によって海水浴客がまだ戻っていない、そういう切実な声が上がっておりました。また、茨城県の担当者からも、県内十四市町村で保管している保管施設の強化に対して要望がありました。

 これに対して、今、環境省の具体的な取り組み方針等ございましたらお伺いしたいと思います。

白石大臣政務官 石川委員にお答えさせていただきます。

 先般は、御視察をいただきまして、まことにありがとうございます。また、委員の御地元でもあります日立市においても御協力を賜っておりますことを、この場をおかりして改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 茨城県においては、今御発言のとおり分散管理という形をとらせていただきました。その指定廃棄物の保管場所の現地確認を改めて今行っているところでありまして、県や保管自治体の御要望をお伺いしながら、必要に応じて保管の安全性を高めていくということをこれから対応してまいりたいというふうに考えています。現在、幾つかの保管場所では、コンクリート製の建屋の新設などについても具体的な相談を進めているところでございます。そのように進めてまいりたいと思っております。

 また、風評被害対策についてでありますけれども、これも委員がおっしゃっていただいたとおりでありまして、今のところ、地域振興費を五県合計で五十億用意しておりまして、地域ごとの要望を踏まえて、この地域振興費については、幅広い使い方ができるようなものにしております。

 ただし、茨城県でこれからどのような対応ができるか、今もおっしゃっておられたように、海水浴等の風評被害もあるとお伺いしましたけれども、その対応については地元自治体ともこれからも相談をして積極的に検討を進めてまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

石川委員 ありがとうございます。

 茨城県の保管状況というのは恐らく関係の担当者の方が現地に入って具体的に調査をしていることと思いますけれども、政務三役の皆様におかれましても茨城県内に行ってぜひとも意見交換等をこれからやっていただきたいというふうに思いますので、そのあたりのことのお話を、ぜひお返事をいただきたいと思います。

井上副大臣 地元にいろいろ保管などについて御迷惑、御心配をおかけしております。ですから、我々政務といたしましても、やはり保管場の方に直接足を運んで、そして地域の方々のいろいろな御意見を賜るということは非常に重要だというふうに思っております。

 私自身も、福島、宮城、栃木、千葉など、そういう意味では保管場のところに視察に行って意見交換もしておりますけれども、茨城の方はちょっと今まで機会がなかったものですから、ぜひ機会をつくってまた伺いたいと思っております。

石川委員 井上副大臣におかれましては、高萩市の一カ所に集約するというお話から始まって何度も茨城県には足を運んでいただきまして、矢面に立って御説明いただいたのは本当に重々承知しておりますので、今後とも、現地に足を運んで、現地の首長さん、議長さんとも意見交換等を進めていただきたいというお願いをしたいと思います。

 次にお伺いしたいのは、分散保管をしていく上で、八千ベクレルというのが一つの基準になっておるわけでございます。茨城県の場合は、三千五百トンあったものが十年後には七十八トンに減少するということで、徐々に保管量も減っていくだろうと。

 しかしながら、高萩市の稲わら、それから牛久市の汚泥の二カ所だけ、三十年たっても八千ベクレルをずっと超え続ける、ちょっと長寿命核種のものが含まれているというふうに承知しておりますが、これに対する対応、対策をお伺いしたいと思います。

白石大臣政務官 今委員がおっしゃったように、高萩と牛久は、二カ所、まだまだ高い線量の廃棄物を保管していただいているということは承知をしております。

 八千ベクレル以下になるのに長期間を要する廃棄物については、一カ所に集約して長期にわたり安全に管理できるようにするという方針はいまだに変えていないわけでありますけれども、御指摘のようにその二カ所については濃度も高いところでございますけれども、当面は現地の保管が続くことでありますから、保管自治体の御意見もよく伺って、必要に応じて保管の安全性を高めていかなければならないというふうに考えております。

 特に、高萩のわらに関しては未指定でもありますけれども、環境省としてもそれについてもしっかりと現地と話し合いをして進めておりますので、今後、その対応については、先ほども申しましたようにしっかりと図ってまいりたいと思っておりますので、どうかこれからもよろしくお願いします。

石川委員 次に、八千ベクレルを下回った指定廃棄物の指定解除についてお伺いします。

 仮に七千九百九十ベクレルになったから、もうすぐに指定解除というわけにはいかないと思います。といいますのは、やはり最終処分場を持たない自治体というのがございます。そういった場合にその自治体が受け入れてもらえるかどうかという、これまた難しい問題が生じているわけでございます。

 これについて、指定解除の手続、それから費用負担等々について、今の方針をお伺いしたいと思います。

 それと、時間の関係で、もう一点お伺いしたいと思います。

 学校施設、保育園、こういったところには、環境省のガイドラインによりまして、除染した土壌というものがその敷地内に埋められて保管をされている状況であります。先日、日立の教育委員会に行ってその保管状況等を確認してまいりましたけれども、線量等も今のところ異常なしということでございました。

 当面は現地保管という形をとっておりますけれども、今後の方針等もあわせてお伺いしたいと思います。

鎌形政府参考人 まず、指定廃棄物の解除についての御質問でございます。

 指定解除の仕組みにつきましては、四月二十八日に、いわゆる特別措置法の施行規則の一部を改正する省令を公布して施行したところでございます。

 これによる手続につきましては、まず、八千ベクレルという基準を下回っているかどうかという測定をいたします。その測定結果に基づいて物事が進むわけでございますけれども、今おっしゃったように下回ったから直ちに解除というのではなくて、保管者あるいは御地元とよく協議をする、そして、その協議が調った上で解除の手続に進む、こういうような仕組みになってございます。

 そして、実際にどうやって処理していくかということでございます。具体的にどのように処理するかにつきましては、今、先ほど申し上げた再測定も行っているところでございますが、そういった結果を踏まえて、保管自治体と個別によく相談していく、こういう形で進めていきたいと考えているところでございます。

高橋政府参考人 学校施設の除染でございますけれども、現在、除染に伴って発生しました除去土壌でございますけれども、仮置き場に保管したり、あるいは学校、公園など、除染の実施の現場に保管をされてございます。保管状況につきましては、委員の御質問ございましたけれども、定期的に空間線量の測定などを行いまして確認してございまして、現在、除去土壌から受ける追加被曝線量は極めて低く抑えられて安全な状態であるということになってございます。

 今後の扱いでございますけれども、福島県外において発生した除去土壌につきましては、国が定める予定の処分基準に基づきまして、除染実施者である市町村等が処分をすることとされてございます。

 現在、環境省におきまして除去土壌の処分基準の検討を進めているところでございます。市町村が地域の実情に合わせて対処できる処分基準を早期に策定できるよう、鋭意検討を進めていきたいと考えております。

石川委員 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

赤澤委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 おはようございます。民進党の田島一成でございます。

 いよいよ通常国会も終盤に差しかかり、恐らく環境委員会での質問はこれが最後になろうかというふうに思います。あれも聞きたい、これも聞きたい、まだまだお尋ねしなければならないテーマ、課題が山積する中、きょうは、三十分というお時間を頂戴いたしましたので、すべからく、健康被害という切り口で幾つかのテーマについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず、大気汚染による健康被害についてであります。

 皆さん御承知のように、平成二十年の三月に、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を成立させました。そのときの附帯決議について、二点、お尋ねをさせていただきたいと思っております。

 まず、附帯決議の一番最初に掲げたテーマでありますが、「ぜん息等の疾病にかかり苦しんでいる多くの人々がいる現状にかんがみ、当該疾病の種々の原因の早期解明と効果的な予防・回復方法の確立と普及に政府が一丸となって取り組むこと。」というふうにつけてあります。

 これまで、どのような形で効果的な予防や回復方法の確立と普及、そして原因の早期解明に政府一丸となって取り組みをされてきたのか、確認をさせていただきたいと思います。お答えをお願いいたします。

北島政府参考人 お答えいたします。

 第一種地域の指定を解除することとされました昭和六十二年の公害健康被害の補償等に関する法律の改正に際して、附帯決議によりまして、局地的大気汚染による健康影響に関する調査及び環境保健サーベイランス調査を実施することとされました。

 「そらプロジェクト」の結果につきましては、平成二十三年五月に公表しておりまして、この調査により蓄積された科学的知見等を最大限に活用して、より効果的な環境保健サーベイランス調査を行う必要があることとされました。

 また、環境保健サーベイランス調査につきましては、平成八年度より毎年度実施しておりまして、大気汚染とぜんそくの関連性を一定の傾向として捉える状況にはないと有識者検討会において評価をされております。

 今後とも、環境保健サーベイランス調査を継続し、地域住民の健康状態と大気汚染との関係を注意深く観察してまいります。

田島(一)委員 二問目、三問目までお答えいただきました。ありがとうございます。

 やりにくくなりましたね。まあいいです。

 二問目の「そらプロジェクト」、これは実は、私どもも、環境省にいるときに、いわばこの「そらプロジェクト」の結果を待って適切な対処をしていきたいということでずっと答弁をしてきた立場の一人なんですね。それだけに、実際に、この「そらプロジェクト」自体を大規模な疫学調査として実施してきた。これが、いわゆる附帯決議の四番目に挙がっております。「主要幹線道路沿道等における自動車排出ガスと健康被害との因果関係に関する各種疫学調査等を精力的に推進し、そこで得られた科学的知見に基づき、必要な被害者救済のための方途を五年以内に検討し見直すこと。」ということを附帯に当時つけさせていただいていたものであります。

 したがいまして、この附帯決議に対しては、「そらプロジェクト」でしっかりと疫学調査を実施して、このプロジェクトを通して今後被害者救済のために取り組みを進めていく所存ですという答弁を我々はしてきたんですけれども、果たしてこの「そらプロジェクト」の結果というものがどのように生かされてきたのか、科学的知見というものが本当に出てきたのかどうか、被害者救済のために一体何を取り組んでこられたのか、このあたりについてお尋ねをしようと思っていた順番だったんです。

 ただ、今のお答え、もう先ほど答えが先に出ましたからあれですけれども、この「そらプロジェクト」、事業仕分けの困難も乗り越えてやってきたわけですよ。被害者の皆さんにも本当に一緒になって闘っていただきました。ですから、財務省からの非常に厳しい予算削減も何とか無傷でこれは残してきたんですけれども、この「そらプロジェクト」、せっかく予算をつぎ込んで事業を展開し、科学的知見も集積してきたはずなのに、これが今何一つ生かされていないんじゃないかと私は実は思うわけなんですね。

 そこのあたり、もう一度、この「そらプロ」の結果がどのように生かされ、そしてどうこれからの事業に展開しようとお考えなのか、もう原稿なしで、お考えをお聞かせください。

北島政府参考人 「そらプロジェクト」の結果を踏まえまして、サーベイランスを強化しようということで取り組みを進めているところでございます。特に、この「そらプロジェクト」の報告書を受けまして、局地的大気汚染を考慮するための暴露評価手法並びにPM二・五及び光化学オキシダントの追加を検討しているところでございまして、検討状況については随時中間報告として公表させていただいているところでございます。

 また、暴露評価手法につきましては個人暴露量の推計方法や屋外濃度推計のためのモデル構築を検討しているところでございまして、PM二・五等の追加に関しましては推計精度の向上が課題となっておりますが、引き続きしっかりと検討してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 先ほども御紹介申し上げた附帯決議の中には、「必要な被害者救済のための方途を五年以内に検討し見直すこと。」というふうに私たちは書かせていただいております。それに沿ってしっかり取り組みますと時の大臣もお答えになられましたが、もう八年経過しているんですね。一体どうなっているのかなというのが正直なところなんです。

 検討、検討。検討も大切ですけれども、何らか、もう五年を優に超えてやっているということを考えると、国会で附帯決議したことがほごにされているような気がしてならないんですね。

 これについては、また細かく逐一追及しても、どうせ今すぐに何か返ってくるとは思えませんので、先へ進めさせていただきますけれども、附帯決議等々はやはり遵守していただきたい、尊重していただきたいということを声を大にして申し上げておきたいと思います。

 大臣、何かお考えがありましたらお答えください。

丸川国務大臣 大変患者様の立場に立ったこのような調査を継続されてきたことは大変重要であると考えておりますし、それを受けて、より精度の高い評価方法や対象項目を加えるということについては、引き続きしっかりと検討してまいりたいと存じます。

 附帯決議という国会の御意思にできる限り誠意を持って応えることが政府の仕事であると思いますので、この点については、委員の御指摘も受けて、引き続き努力をしてまいりたいと存じます。

田島(一)委員 私、全てがだめだと言うつもりは全くありません。例えば、自動車の排出ガス規制の取り組みなんかは非常に評価をしている一つであります。

 大気汚染の健康影響を継続的に観察していくために実施することとなりました全国の三歳児健診、二〇〇四年からは六歳児健診で、ぜんそく有症率に関するサーベイランス調査は九六年から毎年実施されていること、この点については高く評価もしているところであります。

 当時、中曽根首相が答弁で、大気汚染の健康影響は灰色、調査を継続して関連性が明らかになれば所要の措置をとるというふうにお答えになっていらっしゃる。これは答弁書にもしっかりと書かれています。

 そこで、平成十九年以降、国は、この大気汚染とぜんそくの有意な正の関連が認められることが何回かあったんですけれども、一定の傾向として捉えられる状況にはない、因果関係が明らかではないというふうにしてこられました。こういうことを受けて、東京公害患者と家族の会や弁護団の皆さんは、サーベイランス調査は、そもそも調査の設計が大気汚染との関連性をはっきりさせるようなものではない、そして、公健制の全面復活ではなくて、明確な因果関係よりも、医療費救済制度の創設を求める運動を展開しようというふうに考えていらっしゃいます。

 どうも、被害者団体とそして環境省の間には、交わることのない、歩み寄ることのないようなそんな雰囲気が漂っているわけでありますけれども、今後、こうした患者と家族の会や弁護団の方からの要請等々についてどのように受けとめていこうとお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

丸川国務大臣 「そらプロジェクト」も受けて強化をされました環境保健サーベイランス調査でございますが、御指摘のとおり、一部有意な関連性が認められたこともありますけれども、全体の傾向としてそれが続いていくというような状況には今のところないという点も一方でございますので、今後とも注意深く観察する必要があろうかと思います。

 そして、医療費を何らかの形で支援するということについては、やはり一定の因果関係を持って、財源をどのように確保するかということが見通せるかと思いますので、私自身もぜんそくの患者でございますけれども、今後、調査の中でどのような結論が出てくるのかということを、しっかりと患者の一人としても確認をしてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 患者の一人であるならばなおのことですよね、大変だと思います。そういう方々がやはり大勢まだまだいらっしゃるんだということ、そしていろいろとこの調査や検討を重ねる中で、皆さん、本当に大変な御負担を抱えて、医療費等々の負担をなさっていらっしゃるということ、こうした直面されている課題というものを、やはり当事者であるだけに痛みもおわかりのはずですから、どうぞ、大臣という要職にいらっしゃる間に、ぜひいい形でその新たな救済制度の創設等々についても前向きに検討していただきたい、そのことを強くお願い申し上げて、大気汚染の健康被害についてはこれで終わりたいと思います。

 次に、アスベストの健康被害についての質問に移らせていただきたいと思います。

 ことしの三月で法施行から十年目を迎えたこの石綿健康被害救済法でありますが、今、中央環境審議会の石綿健康被害救済小委員会でこの救済法の見直し作業が進められているというふうに仄聞しております。

 これまで中環審ではあり得なかった、公害やそして環境問題における被害者、そしてその御家族の方が、当事者がこの小委員会の委員として初めて参画することになったことは大変喜ばしいことだと思っておりますし、その英断に私は心から敬意を表したいと思っているところでもあります。

 患者団体からは、それこそ法改正の事項ということで、救済給付の遺族年金の創設や、介護認定された石綿によるがんの介護保険自己負担の給付、労災時効救済に係る特別遺族給付制度の請求権の延長などが求められているというふうに聞いておりますし、また、政令改正事項として、石綿肺の合併症と胸水を指定疾病に追加すること、さらには、救済給付の肺がん判定基準の緩和などの要望も上がっているようであります。

 そもそも、この石綿救済法、成立をしてから十年と申し上げましたが、その間にも、二〇〇八年、そして二〇一一年に、私ども、議員立法で改正案を提出し、成立をさせてきたという経緯がございます。

 現在のこの見直し作業においても、この答申の内容によって立法での対応がこれから必要になってくるのではないかというふうにも考えられるわけでありますが、今後、この小委員会の議論を受けた報告、どのような形のスケジュールで改正の方に進めていこうというふうにお考えなのか。今回の改正については、環境省、閣法としてお出しになられるつもりでお考えなのか。ぜひ、お考えをお聞かせください。

北島政府参考人 第一回の御指摘の小委員会につきましては、四月二十日に会合を開催したところでございます。第二回につきましては、今のところ、六月中に開催したいという考え方で調整をしているところでございます。それ以降のスケジュールにつきましては、今後の議論の動向を踏まえまして調整してまいりたいと考えております。

 また、法改正等を考えているのかという御質問でございますけれども、この第一回におきまして議論を開始したところでございまして、その際、家族や患者の方々からいろいろな意見を頂戴しております。こういった御意見、そして今後の御意見を踏まえまして、どのようなことができるのか、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 緒についたばかりだからというようなお話でありますが、ぜひスピード感を持ってやっていただきたいなということを強く要望しておきたいと思います。

 実は、私自身も幾つか、いろいろと問題点というのを意識して考えているところがありますので、その中の幾つかをちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。

 現在、元労働者に対しては、厚生労働省の方が、石綿暴露従事歴それから胸膜病変など一定の条件に基づいて健康管理手帳を交付して、制度として健康管理を図っていただいております。

 これは、早期の異常所見確認やリスク保有者の安心につながっているものと私も評価をしているところでもありますが、その一方で、法律上労働者とならない一人親方については、それこそ建築現場の先頭に立って石綿を吸引し、暴露したにもかかわらず、この健康管理手帳が支給されていないという点が問題としてクローズアップされています。

 そもそも、この法令上労働者とならない一人親方の健康管理手帳の不支給、不交付については、環境省はどのようにお考えなのか、お聞きかせをいただきたいと思います。

北島政府参考人 労災補償制度は、労働基準法上の事業者の災害補償責任を保険の方式で担保することによりまして、療養、休業、遺族補償に係る給付等を行う制度でございます。

 この労働基準法上の労働者でない一人親方につきましても、労災制度の給付が受けられるよう、厚生労働省において労災の特別加入制度を設けているものと承知をしております。

 これに対しまして、石綿健康被害救済制度は、労災制度の対象とならない石綿による健康被害について、特別、個別的な因果関係を明確にすることが困難という石綿による健康被害の特殊性に鑑み、民事上の責任とは切り離して、事業者、国、地方公共団体の全体の費用負担により被害者の迅速な救済を図る制度でございます。

 こういったことから、石綿健康被害救済制度におきましては、被害者の損害を填補することを目的とした労災制度とは異なるものでありまして、厚生労働省と役割分担をしながら、この制度を適切に運用してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 しっかり連携をやはりとっていただきたいんですね。これだけはくれぐれもよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さらに、アスベスト被害は、元労働者だけではなく、クボタ・ショックで御存じの兵庫県の尼崎に代表されるように、石綿工場の周辺の住民にも大きな被害が確認されていることは、もう皆さん既に御承知のことだと思っております。

 発症に至らずとも、リスクを保有している方もいらっしゃいます。しかしながら、この元労働者以外のリスク保有者の健康管理がなかなか制度として保障されていないというのが、これまた現状であります。

 現在、環境省では、尼崎や大阪の泉南地域などの自治体で、石綿の健康影響に関する試行調査を実施していただき、制度化に向けた検討をしていただいているというふうに聞いておりますけれども、これによって、以前実施されていたリスク調査とあわせて、この当該地域の住民の健康管理というのは一定保障されたというふうに思っておりますが、今後、リスクが相対的に高いと思われる地域住民に加えて、石綿関連の肺病変を抱える方に対しても、地域を限定しないで手帳を交付するというような制度構築というものが必要になってくるのではないかと考えますけれども、どのようにお考えか、お聞かせください。

北島政府参考人 試行調査でございますけれども、全国の各自治体に呼びかけまして、特にリスクが高いことが懸念されるような自治体さんには、できるだけこの調査に参加をいただくよう呼びかけているところでございます。

 この試行調査を通じまして、今後どのような形で健康管理をしていくかということを整理し、検討してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 二〇一四年十月の大阪・泉南アスベスト国賠訴訟判決について、被害者への和解方針を国はお示しいただきました。

 この方針を簡単に申し上げますと、昭和三十三年五月二十六日から昭和四十六年四月二十八日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において石綿粉じんに暴露する作業に従事したこと、二つ目が、その結果、石綿による一定の健康被害を被ったこと、三つ目が、提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること、この三点に当てはまる方とは迅速に和解を図っていくというふうにされていらっしゃいます。

 この方針を受けまして、これまでに十数件に及ぶ形式上の提訴がされているわけでありますけれども、労災認定されている被災者が、さらに詳細な証拠の提出を求められているという驚くような事実が明らかになりました。

 一例を挙げますと、粉じんが発生していた機械から何メートル離れたところで作業していたんですかであるとか、作業工程ごとの機械の役割と粉じん発生の程度、さらには、扱っていた製品の原材料名などを提出するように執拗に求められているという話であります。

 実際に仕事に従事されていた当事者ならばまだしも、同様の証拠提出を亡くなられた当事者の御遺族にまで求められていて、常識的に考えると、現場にも入ったことのないような原告にこの立証を求めることというのは、極めて理不尽なことだと私は思います。原告側から複数の同僚の陳述書というのを添えて提出されたとしても、一緒に働いていたのかどうかが不明だなどというようなへ理屈を立てて、さらに詳細な立証を国から求められているというような悲鳴も届いております。

 一体、こんなふうにまでしてこれから過度な立証を被害者や遺族に求めていくことが本当にいいのかどうか、それをしなければだめなのかどうか。それこそ、少なくとも労災認定されている石綿製品製造業の元労働者であったらば、そのようなものは普通求めなくてもいいのではないかと私は考えるんですけれども、どのような御認識なのか、お答えください。

北島政府参考人 お尋ねの建設アスベスト訴訟につきましては、環境関係法規について争われておらず、所管事務の範囲外であることから、コメントは差し控えさせていただきたいと考えておりますが、一方では、私ども環境省では、因果関係を問わずに広く救済するという救済制度を設けておりますので、そういったさまざまな方々を漏れなく救済できるよう、今後とも努めてまいりたいと考えております。

田島(一)委員 所管でないから答えにくい、それは当然なのかもしれませんけれども、同じ政府の中で、環境省は、すべからく広く、何とか健康被害に手を打っていこう、差し伸べていこうとしているにもかかわらず、こうした一人親方の方々については非常におかしな立証まで求められているというような事態があるんですね。

 どうぞ、閣僚会合で、ぜひこうした問題点をしっかりと対応していただきたい、私、このことだけ大臣に強く要望しておきたいと思っております。

 残すところあと五分となりました。最後の質問に入らせていただきたいと思います。

 健康被害の中で、まだまだこれからグレーな部分がたくさんあるとおぼしき化学物質対策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 北島部長、済みませんね。きょうは集中攻撃しているみたいで、本当に申しわけないです。

 皆さんも報道でお聞きになられていらっしゃるかと思いますけれども、韓国のオキシー・レキット・ベンキーザー社の殺菌剤オキシーサクサクによる死亡事故。加湿器で、本来ならば化学物質オキシーサクサクを洗浄目的で使用するように許可されていたものが、人の呼吸器が直接暴露する加湿器殺菌剤にかえて使用されていたという事件であり、多くの方々が命を落とされたという報道がありました。

 お隣韓国のことで、日本にはこの同製品が流通していなかったので、このような事故はあり得ないというふうに思いたいところでありますけれども、果たして日本におけるこうした化学物質の対策というのは本当に万全なのかどうか。ここもやはりもう一度点検をするタイミングだと私は思っております。

 他山の石として、韓国でのこの事案、韓国内では、このオキシーサクサクの問題で一気に化学物質管理についての対策が進んできたことは、恐らく大臣会合等々でもお聞きになっていらっしゃることだと思います。韓国のことだからで終わらせない、日本ではどうなんだろうかということをやはりしっかりと受けとめていただきたい。この日本ではどうなのかという点についてお尋ねをしていきたいと思うんです。

 まずは、大臣、今回の韓国でのオキシーサクサクの、多くの方々が命を落とされていたという事案、どのように受けとめていらっしゃるのか、御感想を聞かせてください。

丸川国務大臣 先日の日中韓三カ国環境大臣会合の場においても、韓国が化学物質管理に極めて熱心に取り組んでいるということについての御披露がございました。

 私どもの国で、今、その場面場面において適用される法律において管理しているということは現状としてあるわけですが、やはり関係省庁が縦割りになっては、これはいけないということだと思います。

 今、化学品の表示に関して、世界的に統一されたルールであるGHSの導入推進については、連絡会議を設置しているところでございますが、私どもとしても、ほかの分野にまたがってしっかり連携をとっていくことは重要であると思いますし、委員がかねてより御指摘の横串という視点ということは、横串をもって化学物質管理に当たるということは世界的にも重要な視点であろうと思いますので、今後とも、できることから取り組んでまいりたいと思っております。

田島(一)委員 問題意識は共有できているんだろうなというふうに、今答弁で思いましたけれども、でも、やはり動きがないんですね。本当に、縦割りであってはならないと今大臣は御答弁されましたけれども、やはり縦割りなんですよ。本当に縦割りですよ。

 一度、そっくり全部洗ってみてください。化学物質関係の法律、それこそ、化審法、化管法、労働安全衛生法、家庭用品品質表示法、医薬品医療機器法などなど、本当に多岐にまたがっています。省庁もまたがっています。

 その省庁がまたがり、また法律もまたがっている中で、同じ成分の化学物質であっても、それぞれの法律に基づいて、表示するべき名前も全部異なっていたりするものがいっぱいあるんですね。こうした整理がまだこの日本ではついていない。

 これがいわゆるオキシーサクサクであったとしても、本来ならば殺菌剤として使わなきゃいけないものを直接人体に暴露するものにまで使ってしまった。殺菌剤としてだったらオーケーだったのに、それを使途目的が違うもので使われたということが、結果的には、私は、この延長線上で、日本も同じ問題を多分抱えているんだと思うんですね。

 そのためには、省庁横断のテーマをやはり一つにくくる、化学物質に関する基本法なるものをきちっと据えて、そのもとにおいて各省庁の化管法や化審法などなどでしっかりと対応していくという方が本当に望ましいと思っているんですけれども、政府で、環境省で、化学物質基本法をおつくりになられる御予定はありますか。

北島政府参考人 議員御指摘のとおり、化学物質対策は、省庁連携で取り組むべき重要な課題であると考えております。

 このため、環境基本計画、あるいはSAICMやGHSの関係省庁連絡会議といった仕組みを活用いたしまして、各省庁と密に連携して取り組んでいるところでございますけれども、今後も、どのような連携方法がとれるのか、しっかり考えてまいりたいと思います。

田島(一)委員 時間が参りましたが、省庁によってはもう温度差が本当に激しいですよ。十数年間全くホームページもいじっていない役所もありますよ、本当に。

 全くその温度差が違う中で、各省庁連携をとってと、耳ざわりはいいんですけれども、どうぞリーダーシップをとってください。やれないんだったら私たちがやります。その覚悟を表明申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民進党の馬淵でございます。

 昨年の十二月の十八日以来の質疑になります。きょうは、政府の閣議決定がございました地球温暖化対策計画、並びに、温暖化に伴う被害を減らすというその対応策をまとめた適応計画、これにつきまして質疑をさせていただきたいと思います。

 今国会で、地球温暖化対策法が成立いたしました。また、昨年の十二月のパリ協定を受けて、政府は、温暖化対策計画を先日、五月十三日に閣議決定をされたわけであります。これによって、地球温暖化の緩和策を進めていくこと、これは当然重要でありますが、緩和策とあわせて、懸念される悪影響に備えるためのいわゆる適応策、これをより一層進めていかなければならないということはもう御承知のとおりだと思います。

 この緩和策と適応策というのは、これはいわゆる車の両輪だと言われているわけであります。もう皆さん御承知のとおりでありますが、この地球温暖化の中で、同時展開をしていく必要がある。しかしながら、現状では、この適応策については、法定化した地球温暖化対策法のようなものはない。したがって、基礎法となるべき法律が存在しない状況の中で、大臣にまずお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 この適応計画策定と実施の根拠となる法律は、現在、存在しません。各省庁は、どのような形で、どのようにしてこの適応計画の策定、実施に取り組んでいるのかということの大臣の御認識を伺いたいと思いますが、各省、きょう私は呼んでおります。したがって、各省の中身について大臣からお答えいただく必要はありません。この適応計画の策定、各省の取り組みについて、大臣の御所感というので結構です。具体は各省から私はしっかりと答弁をとりますので、お答えいただけますでしょうか。

丸川国務大臣 昨年十一月に、我が国で初めて気候変動の影響への適応計画を閣議決定いたしました。

 この対応についてでございますが、各府省連携でまずこの計画を決めてまいったところでございまして、今後の適応の推進については、予算をとってくることも含めて、各関係府省庁において必要な検討がなされると理解をしております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 閣議決定をして、もちろん、それまでに連携会議を進めてきたということでありますが、しかしながら、これは各省ごとにやっているということなんですね。さまざまな表現はあるかもしれません、私からすれば、ばらばらに取り組んでいるということだというふうに理解をしております。

 そこで、事務方に確認します。

 この適応計画実施の取り組みに関して、このための新しい予算を各省は確保しているのかどうか、これを事務的に端的にお答えください。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 適応につきましては、農業あるいは防災など非常に幅広い分野にわたっております。そして、その中では、これまでにも取り組みが行われているものはございますし、また、知見の足りない分野もございまして、今後、調査研究を行うといったようなさまざまなレベルにあると思っております。

 私ども環境省といたしましても、例えば、気候変動適応情報プラットフォームにかかわる予算の構築等の……(馬淵委員「各省ね、各省」と呼ぶ)

 各省につきましては、実は、昨年十一月に閣議決定をしたということで、ことしの予算要求が、計画策定後初めての予算要求の年に当たります。私どもとしても、適応計画の推進のための必要な予算を要求してまいります。そして、各省におきましても必要な検討がなされるものと考えておるところでございます。

馬淵委員 局長、質問にちゃんと答えてくださいね。私、ちゃんと通告していますから。各省は新たな予算の確保はしていませんね。他の省のことですから、なかなか言いにくいのかもしれません。各省、予算は確保していないんです。

 こういう状況の中で、それぞれの、後ほど各省から聞きますが、この適応計画実施のための予算、これは既存の枠内で進めておられます。各省です。そういう状況であります。すなわち、計画についてはばらばらに取り組んでおり、既存の枠内の予算で行っている、こういう形です。

 一方、環境省。環境省は、当然ながら、これは具体的な取り組みとして予算措置もしておられますが、これにつきまして、簡潔で結構です、大臣、環境省としての適応計画実施に向けた具体的な取り組みについてお答えいただけますでしょうか。

丸川国務大臣 環境省としては、まず、地方公共団体や事業者等の皆様にワンストップで適応に関するさまざまな情報を提供できるよう、ことしの夏ごろをめどに、気候変動適応情報プラットフォームを国立環境研究所に立ち上げます。

 また、モデル事業で、地方公共団体において気候変動影響評価の実施や適応計画の策定を支援するモデル事業を引き続き、これはもう以前から行っておりましたけれども、やってまいります。

 それから、途上国の適応計画策定や気候変動影響評価への支援を行うということと、知見共有ネットワークの強化の取り組みを進めていくということに取り組んでおります。

馬淵委員 環境省としては、これは当然、まずプラットホームをつくる、また海外との連携、そして研究者との連携、さらに自治体との連携、予算措置をしながら進めていただいているということであります。

 しかし、各省が個別対応している、こうなりますと、どうしても、個々の所管事項に対応した短期的な視点での計画が進められがちではないか。連携による相乗効果、長期的な視点に立った取り組み、こういったものが不足するおそれがあります。各省庁が既存の予算の枠内で適応計画に個別に対応していくということになればなおさらではないかというふうに考えられます。

 こうした状況で、やはり、各省所管しているものについて横断的に取り組まなければならないというふうに考えられ、また、各省庁との連携を強めるためにも、統一的な指針となるべき根拠法、これが必要ではないか、こんなふうに考えるわけであります。

 たびたび、この法制化に関しましては、この委員会でも質疑で上げられておりました。

 ちなみに、海外においては、イギリスで二〇〇八年十一月に気候変動法が成立しました。この施行の中に、CCRA、英国全体の気候変動リスク評価を行うということで、五年置きに実施するCCRAに基づいて、国家適応計画、これも五年置きに策定をするということが法定されています。これはイギリスの例であります。

 このように、やはり、自治体あるいは各省それぞれ縦割りにならないように法制化によってしっかりとくくっていく、これが諸外国でも行われているわけであります。

 また、環境省が実施しようとされています全国的に進めるためのプラットホーム、あるいは自治体への作成支援ということでありますが、環境省がさまざまな形でお手伝いをしてくださるということでありますが、やはり、これは、法律で整備されていないと自治体というのは非常にやりにくい、こういう問題があるというのも、これもたびたび指摘をされているところであります。

 国立環境研究所の亀山室長なども、計画づくりは多数の部署にまたがって時間と手間がかかる、こんな指摘もされておられる。あるいは、中環審の部会での意見の中でも、自治体は、法的な、制度的な裏づけがないと取り組みにくい、これは三村委員がこのように発言をされています。さまざまな形でこの法制化というのは識者からも指摘をされている、こういう状況であるわけであります。

 そこで、大臣に改めて問いますが、各省庁が計画を独自に定めて実行していくよりも、法制化によって、法律に基づいて、くくる、計画が定期的に作成され見直されるという、こうした形にしていくということが十分必要だと考えますが、現時点において、この適応計画、法制化を行うということの検討は行っておられますでしょうか、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 現時点においては、まず、この計画の実施状況がどうなるかということを拝見しているというか、各省どのぐらい取り組んでいただけるかということを注視している状況です。

馬淵委員 前にも、中島委員の質問にもそのようにお答えをされていますね。また、参議院でも、直嶋さんにもそのようなお答えをいただいているというふうに承知をしておりますが、まずは実施を見きわめてということであるということであります。

 では、その実施の状況はどうかということを確認していきたいんですが、これは、各省の事務方にきょうお越しをいただいております。

 国土交通省、事務方にお尋ねをします。

 環境省が中心になって各省実施を行っていく中で、適応計画、これは当然今進めておられるということでありますが、この適応計画の法制化の議論ということについては、実施を行いながら何らかの議論というのは、国交省、行っておられますでしょうか、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 国土交通省でございます。

 私ども、適応策にかかわる分野が多岐にわたりますことから、政府の適応計画の策定に関係省庁としても取り組んでまいりました。また、推進についても現在取り組んでおるところでございます。

 お尋ねの政府の適応計画の法制化につきましては、当省においては行われてはおりません。

馬淵委員 各省においては、実施は行っているということでありますが、法制化についての議論は行っていない、こういうことでありました。

 国交省の気候変動適応計画については、自然災害、水資源分野の調査研究、技術開発、これについて計画を立てて進めている、法制化は議論をしていないということでありますが、重ねてお尋ねします。

 国交省は、現在、法制化の議論はしていないということでありますが、では、将来においてこの法制化の議論については、国交省の立場として否定されるものでしょうか、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省は、政府の適応計画の中で多くの分野の諸施策を所掌しておりまして、将来、適応計画に関する法制化の議論がなされる場合には、これら適応策の実行に取り組んでまいります観点から、適切に議論してまいりたいというふうに存じます。

馬淵委員 確認しますよ。いいですか、もう一点確認します。簡潔にお答えくださいね。では、すなわち、将来的な法制化の議論は排除するものではないということでよろしいですか。

長谷川政府参考人 排除するものではございません。

馬淵委員 法制化の議論は国交省は排除しない、このように答えていますね。

 では、農水省、お願いします。農水省にも同様のお尋ねをします。

 農水省は、農水省の気候変動適応計画策定ということで、影響評価の実施ということをやっておられる。水稲、果樹、病害虫、自然災害等々、農林水産分野における計画を策定して推進を行っているということであります。

 こうした食料にかかわるところに大きく責任を持っていただいているわけでありますが、農水省も同様に、この実施の過程の中で、この法制化ということについては省内の議論を行われていますでしょうか、簡潔にお答えください。

井上政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省といたしましては、平成二十六年四月、省内に大臣政務官を本部長とする農林水産省気候変動適応計画推進本部を設置し、適応計画の策定に関する議論を重ね、昨年八月に農林水産省気候変動適応計画を策定いたしました。その議論の中では法制化に関する議論は行われておりません。

 また、推進本部に加え、省の適応計画の策定に当たっては、農林水産分野の有識者等を構成員とする審議会を開催し、委員から意見を聴取いたしましたが、その中では政府の適応計画の法制化に関する議論は行われておりません。

馬淵委員 農水省も、あくまでも、所管をする食料の安全、保全のための計画の策定、実施という立場ですから、それを法制化するという議論は行われていない、こういう答弁です。

 同じように農水省にもう一度聞きますが、では、この法制化の議論は行われていないということでありますが、将来的に法制化の議論を排除するものではありませんか、いかがですか。お答えください。

井上政府参考人 農林水産省といたしましては、適応計画に基づく施策を確実に実施していくこととしておりまして、法制化については政府全体として検討していくものと認識しておりますが、適切に対処したいと考えております。

馬淵委員 すなわち、政府全体の方針とこれは歩調を合わせていきたいということでありますから、議論を排除するものではない、反対の立場をとる立場ではないということだ、今こういう御答弁をいただきました。

 経済産業省もお尋ねします。

 経産省としてお尋ねしますが、法制化の議論は行われていますでしょうか、いかがでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで経済産業省といたしましても、昨年十一月の気候変動の影響への適応計画の策定に尽力を申し上げてきたところでございますが、本計画を法制化するということに関しましては、これまでのところ、議論はなされておりません。

馬淵委員 経産省は、国交省や農水省と違って、気候変動適応計画というものについて大枠の策定はされていません。しかしながら、中小企業やあるいは開発途上国への支援、こういった活動を施策として具体的に取り組んでおられる、エネルギー分野、製造業分野に対する取り組みということでありますが、こうした中で法制化の議論は行われていないというお答えをいただきました。

 同じようにお尋ねしますが、経産省はこの法制化の議論は必ずしも排除するものではないということでよろしいでしょうか、お答えください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしまして、気候変動の影響への適応というものは、御指摘のとおり、製造業、エネルギー需給、商業等の当省所管の各分野において、現時点での影響の研究事例が少ないため、計画に基づきまして、今後、科学的知見の集積を図ってまいりたいと考えてございます。

 お尋ねの適応計画の法制化につきましては、昨年策定いたしましたこの計画の実施状況、課題、それから今申し上げました科学的知見等々を踏まえて検討されるべきものと認識しておりまして、経済産業省といたしましても、関係府省庁連絡会議での議論を通じ、法制化の必要性、その内容も含めて、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

馬淵委員 ぐだぐだと説明いただきましたが、これは要は排除しないというお答えだったというふうに理解しますが、経産省、それでよろしいですね。

 では、はいと言ってもらいましょうか、答弁で。

星野政府参考人 はい、適切に対応してまいります。

馬淵委員 この現場各省は、法制化に対しては議論を排除しないと言っています。

 私は、なぜきょう各省にお話を聞かなきゃいけないかというと、幾ら環境省の皆さん方が旗を振っても、現場レベルの折衝で、申しわけないですが、なかなか簡単にいかないんですよ。私も国交省を所管していたのでよくわかります。

 各省は、それぞれ自省の予算の枠内で、そしてそれぞれの権限の中で物事を進めたい。したがって、適応計画を策定する中で何らかの権限が制限される、あるいは、予算がそれによって既存の枠組みからそれこそ横串の予算に移ったときに背丈が変わってしまう、これは大変嫌がるんですよ。だから、今、答弁を私はちゃんととりましたが、各省、前向きになかなかやってもらえないことが多いんです。

 今、議論を排除しないと三省は答えました。国会ではこれは初めて確認しました。その上で、どのように進めるかということはやはり重要なんです。

 今、適応計画の法制化は、各省、現時点で検討していない、否定するものではないということでありましたが、やはりここは、将来的な法制化に向けては、環境省がイニシアチブをとらなきゃいけない。大臣ですよ。あるいは、政権の中で環境省をつかさどる方が、今後も含めてです、イニシアチブをとっていかなければならないんです。

 今後の姿勢について少しお尋ねをしたいんですが、過去の議事録を見ますと、平成二十五年の三月の二十六日に環境委員会で、中島克仁委員、今現在我が党の中島さんが質問をされました。このときは、政府参考人の関さんが、「今後は、適応につきましても、別途本格的に法制上の位置づけ等について検討が必要だ、このように考えております。」と答弁されています。この答弁から三年が経過しました。

 平成二十六年の四月の八日、環境委員会で自民党の小倉さんが質問されました。同じように適応計画についてです。このときは当時の北川環境副大臣がこのように述べられています。「適応計画の法定化につきましては、適応策をより確実に実施する上では有効であるとも考えられるのでありますが、まずは、既存の関係府省連絡会議を最大限活用して、適応計画の策定を急いでいきたいと考えております。」と答弁されています。すなわち、適応計画自体の策定が終わった段階、すなわち今ですね、今は実施の段階ですから、今のステップがまさに法制化に進むべきだということがこのときの答弁でうかがい知れるわけです。

 そして、昨年の五月の二十九日、前任の望月環境大臣。中島委員が適応計画の法制化について再度質問をされています。この質問に対して望月大臣は、「法制上の措置にいたしましても、これはそういう御指摘もございました、検討していきたいな、こんなふうに思います。」と発言されています。この大臣答弁から一年がたちました。

 このように、三年以上前から、この適応計画の法制化については何度も、検討するという答弁がなされてきたわけです。そして、現在、適応計画が策定をされた。そして、これは今後数十年にわたる長期的な計画、これをもって各省に取り組んでもらわなきゃならない。その場の、一年間一年間、予算は単年度主義ですよ。しかし、これは今後長期にわたる課題なんです。

 もうよく御理解いただいているように、気候変動が及ぼす食料やあるいは自然災害に対しての現場の対応、これは、すぐに起きるわけではない、関連性がなかなかわかりにくいからこそ、今日、世界的な取り組みになっているわけですよ。この状況の中で検討していきたいと前大臣もおっしゃった、望月さん。

 では、丸川大臣、実施を見てからというお話はもうさんざん聞いております、承知しております。いつまでに検討し、そしていつまでに結果を出そうという御意思なのか、お答えください。

丸川国務大臣 適応の法制化について、馬淵委員初めさまざまな委員から御指摘をいただいておりまして、環境省としては、温かい御支援をいただいているという認識でございます。改めて、本日の御質問にも感謝を申し上げたいと存じます。

 その上で、法制化を進める前に、まず計画ができたことは、ひとまずCOP21に向かって望ましいことであったかと思いますが、引き続き、実際にもう既に始まっている気候変動の影響をどのように受けとめていくかということにおいては、やはり各分野、濃淡があるのだなということを改めてきょうの各省答弁でも確認したわけでございますが、この変化のスピード等にしっかりと我々が先んじる形で対応していくことは極めて重要であろうかと思います。

 そうした感度を持っていただくためにも、引き続き、法制化ということについては、各省、事務的にでも議論をする機会を持てたら望ましいなと思っているところでございます。

 また、いつまでにということは、国会の状況もございますし、また、パリ協定を受けた議論が今後本格的に始まってまいりますので、こうした議論の進展も受ける中で、途上国を支援する一方で自分の国の中でなかなか進まないというわけにもいかないと思いますので、こうした議論の進展も踏まえつつ、政府を挙げてより積極的な取り組みをするためにも、議論を深めてまいりたいと考えております。

馬淵委員 お立場的にそれ以上の答弁は出ないのはよく承知をしておりますが、私はちょっと提案をしていきたいと思います。

 事務方にお尋ねしたいと思います。

 ごめんなさい、ちょっときのう細かいところの通告をしていなかったので、お答えできなければ私の方で言いますが、気候変動の影響に対して関係府省との連絡、これについては、気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議というものが設置をされていますね。この会議の目的、これはどのようになっていますでしょうか。お答えいただけるのであればお答えください。通告なしですが、大丈夫ですね。では、お願いします。

梶原政府参考人 設置の目的でございますけれども、気候変動の影響への対応に関し、関係府省庁が緊密な連携のもと、必要な施策を総合的かつ計画的に推進するため、設置されるものでございます。

馬淵委員 局長、ちゃんと読んでください。対応じゃなくて適応に関しですからね。いいですか。(梶原政府参考人「はい」と呼ぶ)間違えないように。

 すなわち、この設置会議がまさに関係府省庁の連携をつかさどる会議なんですよ。この会議が設置されているわけです。

 そして、この会議、開催状況はどうなっていますか。

梶原政府参考人 開催状況でございますけれども、適応計画の閣議決定に至るまで三回開催をしております。(馬淵委員「最後はいつですか」と呼ぶ)最後は、昨年の十一月の二十五日でございます。

馬淵委員 過去三回なんですね。これは、計画の策定というところで過去三回行われたということで、十一月の二十五日でしたか、これが最後ということであります。

 すなわち、計画の策定というところで、それをつくるまでの連携を図ったわけですが、先ほど局長に目的を読んでいただいたように、これは計画をつくるためだけの会議じゃないんです。これは推進をするということも含めてこの会議体に所管されているんです。

 大臣、私は、適時適切に対応してまいるじゃなくて、具体的に申し上げますよ。

 大臣、この気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議、あなたは、招集をかけて、しっかりと総理ともお話をされて、ビークルとしてこれを動かすべきですよ。

 先ほど来申し上げたように、結果を見てからよりも、同時並行可能なんです。同時並行を逆にしていかなければならない。もう実施に入っているわけですから、実施の状況というものを各省と連携をとりながら情報共有すべきですよ。

 環境省は所管をする立場で、プラットホームづくりや国際連携、あるいは研究者、地方自治体の支援、これは三百六十度やっている。現場レベルの国交省、農水省、経産省、具体の状況はどういうことなのかということを、大臣はこの会議体を使って情報を共有することができるんです、連携を図ることができるんです。

 大臣、だから提案なんですが、目的は合致していますよ。法制化という言葉を今出すとまた関係省庁がわあっと言うのであれば、言わなくてもいいですよ。この会議、開催をしてください。招集はあなたの権限ですよ。会議を招集して、実施の段階の連携も図るんだと。これは、ほっておいたらこの十一月のままになりますよ。大臣、いかがですか。

丸川国務大臣 関係府省庁連絡会議は、この先、未来永劫開かないというものではないので、しっかりと時期を捉えて開催をしたいと思います。

 一方で、各省で予算をとっていただくというお話がございました。環境省が予算を見るときには、各省で環境の面でどのように取り組んでいただいていますかということを確認する作業が必ずあるわけでございますが、こうしたものを通じて、少なくとも各府省が十一月の閣議決定以降どのようにお取り組みいただいているかということは確認をするべきであろうと思っておりますので、こうした場はつくってまいりたいと思います。

馬淵委員 大臣、再度確認します。

 私、応援する立場で今言っていますよ。わかりますか。もし国のためにならない施策にそれこそ動くのであれば、これは野党として断固厳しく質問しますけれども。

 大臣、このビークルを使うべきです。繰り返し今おっしゃっていただきましたが、確認です。この適応計画連絡会議の開催、これを行うということでよろしいですか。今申し上げた法制化、言葉は使わなくても結構です。各省の連携を深めるために開催を行っていく、この場ではっきりとお答えください。

丸川国務大臣 適応計画の進捗状況を確認する等の目的を持って、ぜひ、関係府省庁連絡会議は今後、適時適切に開催をしてまいりたいと思います。

馬淵委員 ありがとうございます。

 こうしたさまざまな設置された会議体、時にはこれが大体、置き去りにされている場合がよくあるんです。目的が合致していれば、これは各省もあらがうことはできません。こういったビークルを使いながら、申しわけないですが、予算の小さな省というのはなかなか権限が届かないというふうに見られがちです。建制順という言葉もあるように、役所の中の力関係があるんです。

 しかし、あなたは環境の政策責任者ですから、堂々と胸を張って、各省に呼びかけて、これはあらがえませんから、そして意見をまとめて、法制化は、繰り返し申し上げますが、イギリスも同様に法定している、世界じゅうの流れです。いつまでも自治体にそれぞれやってもらうなんというレベルの話じゃありません。リーダーシップをとっていただきたい。そのためにビークルを使ってください。そのことを最後に私はお伝えをして、きょうの質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 きょうは、多分、今通常国会最後の質疑となりますので、どうしても確認しておきたい件につきまして政府の考えをただしてまいりますので、大臣初め、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、バイオマスの環づくり交付金、株式会社エコシティ宇都宮の返還問題について、農水省の考え方をお伺いしたいと思います。

 一つ目は、事情は全て農水省は知っていると思いますので説明しませんけれども、栃木県知事は、補助金適正化法第二十二条の範囲が宇都宮市や株式会社エコシティ宇都宮に及ばないと裁判で判示されたとして、不当利得返還請求権に基づき、国に返還を求めておりますけれども、国はなぜ返還をしないのか、その理由を教えてください。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、四月二十六日付で、栃木県知事から関東農政局長に対しまして、栃木県から国へ返還した補助金相当額の返還請求がございました。これに対しまして、五月十二日付で、関東農政局長より、栃木県の請求には理由がないため受け入れられない旨回答したところでございます。

 国といたしましては、栃木県から国への補助金相当額の返還は、平成十七年に関東農政局が栃木県に本補助金を交付する際に、栃木県知事は関東農政局長の承認を受けないで財産処分の承認をしてはならないこと、また、栃木県から宇都宮市、さらには宇都宮市からエコシティ宇都宮に補助金を交付する際、栃木県に付した条件と同一の条件を付すること等の条件を付していること、その上で、平成二十三年に関東農政局長が栃木県知事に財産処分の承認をする際に国庫補助金相当額の納付を条件としていることから、法的根拠があると考えております。

 このため、栃木県に対しましては、国への補助金相当額の返還については法的根拠があることを丁寧に説明し、理解を得ていきたいと考えております。

福田(昭)委員 今の答弁ですと、民法第七百三条には「不当利得の返還義務」というのがございますけれども、「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」とありますけれども、この規定されてあります法律上の原因はないじゃなくて、法律上の原因はちゃんとあるということですね。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、国としましては、栃木県から国への補助金相当額の返還につきましては、国が栃木県に補助金を交付する際に付した条件等に基づくものでございまして、法的根拠はあるものと考えております。

福田(昭)委員 それでは二つ目でありますが、二つ目は、栃木県知事は、昨日五月二十三日までに国が納付するよう督促状を出しております。国が返還に応じない場合は法的措置をとると言っておりますけれども、裁判になるということでありますが、裁判になっても国は勝てるのか。裁判に臨む国の考え方を教えていただきたいと思います。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 裁判につきましては、仮定のお話となりますので基本的にはお答えできませんけれども、これも繰り返しになりますが、先ほど来申し上げておりますとおり、法的根拠はあるというふうに考えておりますので、そのような基本的な考え方に基づいて対応してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 この件については、これからの裁判の結果や、あるいは国と地方が対等、協力の関係になったことなどを踏まえて、私は、補助金の適正化に関する法律自体の見直しが必要になってきているのではないかというふうに考えておりますので、引き続き政府の考え方をただしてまいりますので、農水省としてもぜひよく研究をしておいていただきたいと思います。

 次に、東京電力福島第一原発事故に伴う放射性廃棄物の最終処分について、今国会としての総括的な質問をしてまいりたいと思います。

 一つ目は、原子力発電所の廃炉に伴う放射性廃棄物の最終処分の責任者についてであります。

 先日の話では、廃炉に伴う放射性廃棄物の最終処分責任者は原子力事業者だということでありますが、それは何という法律の何条で決められているのか、教えていただきたいと思います。

山田政府参考人 お尋ねの法律的根拠でございますけれども、原子炉等規制法第四十三条の三の三十三第一項に基づき、発電用原子炉設置者は、発電用原子炉を廃止しようとするときは、核燃料物質によって汚染されたものの廃棄等の措置を講じなければならないというふうに規定をされてございます。

福田(昭)委員 そうすると、原子炉規制法に規定されているということですね。

 経産省の方からは、こういう資料もいただきました。核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の第四十三条の三の三十三「発電用原子炉の廃止に伴う措置」ということで、発電用原子炉設置者は、発電用原子炉を廃止しようとするときは、燃料用物質によって汚染されたものの廃棄その他の原子力規制委員会の規則で定める措置を講じなければならないということで、こうした法律に基づいて申請をして許可を受けて処分をしていく、こういうことになるんですかね。はい。

 それでは、そうしたことに基づいて、原子力規制委員会は、先日の新聞報道ですと、原子炉の廃炉に伴う放射性廃棄物の処理方針をこれから具体的に、二〇一六年中に定めるという報道がありましたけれども、その具体化というのは進んでいるんですか。

山田政府参考人 お尋ねの点につきましては、原子炉を廃止する際に出てきます少し放射性物質の濃度の高い廃棄物の廃棄をする際の基準のことだと認識をしておりますけれども、それについては、原子力規制委員会の方に検討チームを設けまして、ただいま基準についての検討を進めているところでございます。

福田(昭)委員 先日の質問の中で、原子力規制委員会が廃炉に伴う廃棄物をどういうふうに処分するかという表を出してお聞きいたしましたけれども、あれでまだ具体的なものは何も決まっていないわけですよ。

 ですから、具体的なものをしっかり決めないと、これからどんどん廃炉作業が、東海第一原発の廃炉作業もスタートしている、そして、この福島第一原発の廃棄物もしっかり処分していかなくちゃならないということですから、これはやはり早急に決める必要があると思います。

 これ以上お聞きしませんが、ぜひ早急に規制委員会としては廃炉に伴う放射性廃棄物の処分の具体的な考え方、方針を定めるよう要請をしておきたいと思います。

 それでは二つ目でありますが、二つ目は、福島第一原発事故と放射性物質汚染対処特措法の制定についてであります。

 先日、東京電力の社長に確認をいたしましたら、事故当時の社長が福島県議会で約束したこと、つまり、放射性廃棄物を原発敷地内を含めた東電関連施設で受け入れるということを約束したわけでありますが、しかし、そのことが実現しなかったのは、特措法ができたから特措法にお任せすることになったということで答えがありました。

 そのときに、やはり特措法で、原子力事業者、つまり今回は東電でありますけれども、東電の責任が相当曖昧になったのではないかと考えておりますが、このことについて環境省はどう考えているんですか。

丸川国務大臣 放射性物質汚染対処特措法は、議員立法により制定された法律でございますが、立法府としては、事故の原因企業である東電とともに、これまで原子力政策を推進してきた国も社会的責任を負っていることに鑑み、東京電力とともに国も責任を持って汚染廃棄物の処理に当たるべきという考えであったという認識をしております。

 このため、指定廃棄物の処理は国が実施をしつつ、その費用を東京電力が負担することとし、双方がそれぞれの立場で責任を果たすという枠組みになったと認識をしております。

福田(昭)委員 私は、特措法ができたことを非難するわけでもありません。あれだけの混乱の時期ですから、やむを得なかったのかな、東京電力も存続できるかどうかわからないような状況の中での法律でありましたから、やむを得なかったかなと思っております。

 しかし、この特措法ができたことによって、実は、放射性指定廃棄物の最終処分場の問題が、五県から受け入れられない、そういう大きな原因をつくったのではないか。つまり、特措法によってこの放射性指定廃棄物の最終処分を各県処分に決めたということが、実は混乱をさせた大きな原因だったのではないかと考えております。

 そこで、三つ目の質問でありますが、新潟県知事の放射性指定廃棄物の東京電力への引き取り要請についてであります。

 資料の一をごらんください。

 これは環境省がまとめている指定廃棄物の指定状況でありますが、下から三行目、新潟県は、浄水発生土が四件で、千十七・九トン保管をしております。この千トン以上というのは、実は群馬県とほぼ変わらない。群馬県が千百八十六・七トンということで、群馬県とほぼ変わらない量だけ実は新潟県も保管をしているわけでありますが、しかし、新潟県はこの特措法の枠組みに乗ってこなかったんですね。

 指定廃棄物の最終処分場をつくるということに乗ってこなかったんですが、それはなぜですか。その理由を教えてください。

鎌形政府参考人 新潟県に関するお尋ねでございますが、まず、指定廃棄物の処理方針につきましては、平成二十四年三月三十日に公表いたしました指定廃棄物の今後の処理の方針で示してございまして、その中では、「国は、既存の廃棄物処理施設の活用について引き続き検討を行いつつ、」「指定廃棄物に相当する八千ベクレル・パー・キログラムを超過する廃棄物が多量に発生し、施設において保管状況がひっ迫している都道府県において、必要な最終処分場等を確保することを目指す。」としております。

 この方針に基づき、指定廃棄物を保管している新潟県を含む関係県と相談をいたしました。その結果、国が施設を確保することに理解をいただき、国からの協力要請に応じていただいたのが、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の五県でございます。この五県において長期管理施設の設置の検討を進めているところです。

 一方、新潟県におきましては、放射性物質を含む廃棄物について、東京電力が引き取って管理することを求めておりまして、国による長期管理施設の設置に御理解をいただいていない、こういう状況でございます。

福田(昭)委員 新潟県の泉田知事は、経産省出身ですから、先ほど原子力規制委員会からの答弁がありましたけれども、放射性廃棄物の最終処分責任者は原子力事業者だ、つまり東電にあるということを知っていたから、最終処分場が逼迫していないんじゃなくて、あるんだけれども、東電に責任があるということを泉田知事は知っていたから、環境省がやろうとしたこれに乗ってこなかったんじゃないんですか。違いますか。

鎌形政府参考人 私ども、泉田知事から、例えば、原子力事業者が責任を負うべき範囲についてのものについて、あるからというようなことを具体的に承ったことはございません。御相談いたしたところ、長期管理施設の設置について御理解いただけなかったということに尽きるところでございます。

福田(昭)委員 それは新潟の知事は大人ですから、そういう答えはしなかったと思いますけれども、しかし、新潟の知事は、私がお聞きしたところ、特措法ができたのが平成二十四年一月一日施行でありましたが、何と、その年の、平成二十四年十二月から平成二十八年三月まで十回にわたり、東京電力に対して浄水発生土の引き取りを要請しているわけですが、これをどう思われますか。

丸川国務大臣 この件に関しては、東京電力がその御要請を受けて、放射能濃度が再利用できるレベル以下の汚泥であれば、再利用を視野に引き取る意向であることを回答して、現在、どのような対応ができるか検討中であると承知をしております。

福田(昭)委員 ですから、再利用できるということになると、もしかして八千ベクレルを下回って、全く一般廃棄物あるいは産業廃棄物になっちゃうわけですから、指定廃棄物を引き取るという答えはないわけですよ。実は、これは特措法が邪魔しているわけですよ。ですから、そういう認識を環境省も持つべきだと思います。

 そこで、次の質問に入りたいと思います。

 四つ目は、福島県内の中間貯蔵施設の貯蔵廃棄物と指定廃棄物の違いについてであります。

 基本的に、この違いはどこにあるんですか、お答えください。

鎌形政府参考人 指定廃棄物は、放射能濃度が八千ベクレル・パー・キログラムを超える廃棄物で、環境大臣が指定するものでございまして、焼却灰、下水汚泥、稲わらなどがございます。

 また、中間貯蔵施設には、福島県内の除染に伴い発生した土壌や廃棄物などのほか、放射能濃度が十万ベクレル・パー・キログラムを超える焼却灰などの廃棄物を貯蔵することとしてございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 それでは、資料の二をごらんください。

 これは、環境省の資料をもとに、私の事務所で整理をしてみました。福島県の中間貯蔵する廃棄物と指定廃棄物の種類と量及び五県の指定廃棄物の指定状況と放射能濃度に関する将来推計、これを一つの表にまとめてみました。

 左の方が、まさに福島県の中間貯蔵する廃棄物と指定廃棄物の種類と量でありますが、これを見ていただきますと、中間貯蔵する廃棄物については、十万ベクレル超のものは約三万立米しかないんですね。総量二千百九十九万立米のうち、十万ベクレルを超えるものは約三万立米ということで、パーセンテージにすると、わずか〇・一三%にしか当たりません。

 福島県の指定廃棄物の最終処分するものはその右側にありますが、今、鎌形部長が答えたようなものが入っているわけですが、これらは全て、中間貯蔵する三番目のものと実は同じと考えられる。それから、二番目の焼却灰は焼却灰と同じものに考えられる。

 ということは、まさに、福島県の中間貯蔵する廃棄物と指定廃棄物を分ける理由はどこにもない。つまり、二千百九十九万立米の中に、福島県の指定廃棄物は全て入ってしまう。ですから、わざわざエコテックセンターを買い上げて、そこに指定廃棄物を処分するといいますか、そういう理由は全くないんじゃないでしょうかね。

 そして、富岡、楢葉の町長が苦渋の決断をしたということでありますが、先日も、訪問した際に、楢葉の入り口には最終処分場反対だといういろいろなものが立っておりましたけれども、あそこの地域住民はいまだに反対を続けているそうであります。

 ですから、そうじゃなくて、福島県のこれから出る生活廃棄物、家庭から出る一般廃棄物や産業廃棄物をこのエコテックセンターに埋設するということであれば、それこそ、環境省が考えている六年、八年じゃなくて、もっと長もちしてエコテックセンターを使うということができるんじゃないでしょうか。そして、反対している人たちも安心するんじゃないでしょうか。

 反対している人たちは、あそこが指定廃棄物の最終処分場になったのでは若い人が帰ってこないということで反対しているわけであります。ですから、この中間貯蔵におさめるものと指定廃棄物の違いはないんだから、エコテックセンターは指定廃棄物はおさめないで一般廃棄物や産業廃棄物をおさめるということであれば、本当に地元の人たちの心配がなくなる、こう思うんですが、いかがですか。

鎌形政府参考人 十万ベクレル・パー・キログラム以下の指定廃棄物は、既存の管理型処分場で安全に処理できるというふうなものでございます。したがいまして、福島県内の十万ベクレル・パー・キログラム以下の指定廃棄物については、大量の指定廃棄物や対策地域内廃棄物が発生している双葉郡内にあって、かつ十分な残余容量を有する既存の管理型処分場であるフクシマエコテックを活用し、安全かつ速やかに処分を進めることが適切だと考えております。

 この事業につきましては、中間貯蔵施設の設置とあわせまして、福島県と地元の四町に受け入れを要請いたしまして、昨年十二月、御指摘がございますように、福島県知事、富岡、楢葉両町長から活用を容認するというような御決断をいただいたところでございまして、こうした経過からも、現在の計画に基づき事業を進めていきたいというふうに考えてございます。

 なお、周辺住民の皆様の御理解についてでございますけれども、やはり御理解をいただくことが大変重要と考えてございますので、いかに安全に処理していくかということを含め、引き続き、御地元の皆様の不安解消のために説明の努力を続けていきたいと考えております。

福田(昭)委員 先日視察をしてびっくりしましたけれども、エコテックセンター、国が買い上げた、でも、管理をエコテック社に頼むのでは全く同じじゃないですか。それはまさに地元の人を裏切る行為ですよ。国が、例のJESCOあたりに、中間貯蔵施設をつくる機構に頼むのならわかりますよ。だけれども、エコテック社に頼んだのでは、管理を委託したのでは、全く国有化した意味がないんじゃないですか。地元の不安解消にならないんじゃないですか。どうなんですか。

鎌形政府参考人 フクシマエコテック社の管理型処分場につきましては、国有化のための契約を既に結んだところでございます。そういう意味では、現在は国の管理下にあるということでございます。まだ処分場の中については準備のための工事なども始めてございませんけれども、現状の維持管理につきまして今フクシマエコテック社に管理を委託しているということでございますが、責任は国にある、国が責任を持って事業を進めていくという点では国有化した意味はあるというふうに考えております。

福田(昭)委員 まあ、この問題はそれ以上議論しません。

 この資料の二の右の方を見ていただきますと、宮城県初め五県の指定廃棄物について整理をさせていただいております。これは環境省がつくったそのものをまとめたものでありますけれども、これを見ますと、もともと指定廃棄物が五県で二万五千三百四十七・一トンであります。これが、現在は既に、推計でありますけれども、一万四千八百三十八トンになっているだろうということであります。それから、五年後は九千百四十九トン、そして十年後は六千二百二十三・六トンということでありますが、これらは、実は、この中間貯蔵する二千百九十万立米と比べますと、現在でも既に〇・〇六七四%であります。五年後は〇・〇四一六%、十年後は〇・〇二八%の量にしかなりません。

 まさにそれぞれの県の指定廃棄物がどんどん減っていく中で、各県に最終処分場、長期保管施設と言っておりますけれども、それをつくってどうするんですか。

 ですから、こうしたものもしっかり考えていくべきだと思っておりますが、先日、現地調査をしたときに、大熊の町長とそれから富岡の安藤町議の考え方は全く違いました。安藤町議は、原発を誘致した責任と、それから現在も四十六都道府県に福島県民が避難をしてお世話になっているということを考えれば、福島が引き取るということも一つの選択肢ではないか、こう答えました。そして、大熊町長は、そういう町民もいるけれども、しかし、もし引き受けると風評被害などが発生するという意見もあり、ぜひ各県で処分をしてほしいという意見を言いました。そのとき、お互いさまと受け取ってくれ、こういう話をされました。二人の議長は触れませんでした。双葉町と大熊町の議長は触れませんでした。

 そこで、お互いさまの意味でありますけれども、私は、お互いさまは、全国民が所得税の増税に応じたり、あるいは、物心両面で、ボランティア活動で福島の皆さんを応援する、これがお互いさまだと思うんですね。放射性指定廃棄物を引き取ることまでお互いさまだとは考えておりません。最初から申し上げているように、放射性廃棄物の最終処分責任者は原子力事業者にあるわけですから、この大原則を外すということは私は許されないことだと思っております。

 そういうことで、お互いさまの意味が違うんじゃないかというふうに考えておりまして、ここは、今後多くの皆さんと議論をして結論を出すべきだというふうに考えております。

 そこで、五つ目でありますが、五つ目は、五県の指定廃棄物の再測定の方針と進捗状況についてでありますが、先日、視察の際に簡潔にお話しいただきましたから、ここは省略をしたいと思います。多分、五県とも再測定をするということになるんだと思いますので、急いで再測定を進めてほしいと思います。

 そして、六つ目でありますけれども、六つ目が指定廃棄物の再測定と指定解除の仕組みについてであります。

 先ほど石川委員からも質問がありましたので、私からは詳しく申し上げませんが、栃木県でもきのう説明会があったようでありますが、多分、一番心配しているのは、八千ベクレルを下回った場合にその廃棄物を市町村やあるいは保管者に任されるということであって、環境省が逃げてしまうんじゃないか、こういう心配をしているようでありますが、その点について、環境省としてどのように対応しようとしているのか、お答えをいただきたいと思います。

丸川国務大臣 指定解除後の件につきましては、まず、解除するかどうかということについて県また市町村としっかりと議論をして、合意に至らなければ解除ができないわけでございます。

 加えて、解除後につきましても、処理業者やあるいは処理施設の周辺住民に対する処理の安全性の説明等の技術的支援というのはしっかり行ってまいりますし、指定解除後の処理の費用についても、全額国が補助をするなど必要な財政的支援を行ってまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 まさにその点を非常に各市長や町長は、あるいは栃木県の知事などは一番心配しているようでありますので、その点、環境省としてしっかり対応して、五県の理解を得て、一日も早く再測定をされるということを要請しておきたいと思います。

 次に、七つ目でありますけれども、七つ目は、原子力事業者の責任と再測定の結果などを踏まえた特措法と基本方針の見直しの必要性についてであります。

 特措法については、改めて、平成二十八年度末、平成二十九年三月三十一日をめどに、施行、進捗状況を踏まえて再び検討することになっていると思いますが、間違いございませんか。

鎌形政府参考人 放射性物質汚染対処特別措置法につきましては、昨年、環境省におきまして、外部の有識者から成る検討会において施行状況の点検を行いました。その結果を九月に取りまとめたというところでございますが、そこで平成二十九年三月において再度点検をするというふうなことが書かれてございまして、そのように対応する方針でございます。

福田(昭)委員 そこで、原子力事業者の責任、これを私は今度は明確にする必要があると思います。とともに、中間貯蔵施設の進捗状況、指定廃棄物の再測定の結果などを踏まえて特措法と基本方針の見直しが必要だと思いますが、いかがですか。

鎌形政府参考人 先ほど申し上げました昨年の点検でございますけれども、九月に取りまとめたものでございます。その取りまとめにおきましては、「現時点においては、現行の枠組みの下で、施策を前進させることに総力を挙げることが重要」というふうな記述になってございます。

 そういうことで、環境省としては、まず、この取りまとめに従って、現行の枠組みのもとで指定廃棄物の処理実現に向けて努力したいと考えているところでございます。

福田(昭)委員 部長、大臣もそうですけれども、現行の枠組みで進めてきて、どこも決まらないんですよ、五県とも。事故から丸五年たちました。特措法の施行からも丸々四年たちました。五県とも、どこも何も進まないんですよ、実は。茨城県など、もう分散保管を認めちゃった。

 ですから、どこも進まないものをこれからあと五年続けていこうとするのか。進まないとなったら、ここで立ちどまって、どうすべきかというのを考えるべきじゃないですか。どうですか。

丸川国務大臣 まさに、昨年、外部の有識者の皆様方にこの特措法の施行状況の点検をしていただいた、その結果を九月に取りまとめたわけでございます。その点検の結果として、「現行の枠組みの下で、施策を前進させることに総力を挙げることが重要」と指摘をされたわけでございまして、立ちどまって考えなかったわけではなくて、立ちどまって考えた結果、現行の枠組みで前進をさせることで解決することが最も総合的に考えて望ましいということであろうかと思いますので、私どもは、今後ともこの枠組みの中で、しっかりと解決に向けて御理解を得るべく努力を続けてまいりたいと存じます。

福田(昭)委員 私は、その外部の有識者が信用できないんです。そんな、だめですよ、環境省の言うことを聞く人ばかり集めてやったって。だって、現状をちゃんと正確に認識をするということが大事であって、現状をしっかり認識した上でどう対処するかということを考える必要があると思うんです。

 そこで、指定廃棄物の長期保管施設というのをやめましょう。これは中間保管施設にしましょう、中間保管施設。そろそろ時間がなくなりますので、最後は提案をして終わりにしたいと思いますが、指定廃棄物も中期保管をするという考え方、長期保管施設、最終処分場というのはやめる、そして、この際、そうしたことをして、今整備に入った中間貯蔵施設に中期保管をして、三十年以内に福島県外での最終処分を検討する、そういうことを考えるべきだと思います。

 せっかく、五月に、中間貯蔵開始後三十年以内に福島県外での最終処分を完了するための取り組みの進捗状況に関する報告を環境省から受けました。これはちゃんと、ここに工程表もできています、四点。ですから、指定廃棄物も中間貯蔵施設にまず中期保管をして、その上で、三十年以内に本当に県外に持っていけるんだったら、県外に持っていくための方法を考えるべきだと思います。それが原子力事業者の責任も明らかにすることであって、明確にすることであって、五県の人もそれなら納得すると思います。

 そうした考え方をやはりしっかり、それこそ有識者懇談会で諮ってみてください、有識者の皆さんが何と言うのか。ぜひ、環境省として、有識者の皆さんにそういう提案もしていただいて、検討していただいて、結論が出るように私は提案をして、今国会の締めくくりの質問とさせていただきます。

 大変ありがとうございました。

赤澤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

赤澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。

 きょうは、アスベスト対策に関する行政評価、監視について質問をしたいと思います。

 アスベストによる健康被害を防止する観点から、建築物の解体時等や災害時におけるアスベストの飛散、暴露防止対策について、それらの実施状況を調査の上、結果をまとめ、必要な改善措置について本平成二十八年五月十三日付で総務省から勧告が出され、公表されている件について質問させていただきます。

 この勧告の背景は、アスベスト含有建材が使用された可能性のある建築物は、老朽化の進行等に伴い、今後、平成四十年ごろをピークに大量解体の見込みがあること、近年、アスベスト含有建材の使用の有無に係る事前調査が不十分な事例や東日本大震災発生時の倒壊建築物からのアスベスト飛散事例が発生していること、さらに、大気汚染防止法の改正により建築物の解体時にアスベスト含有建材の有無の事前調査を義務づける等、飛散、暴露防止対策を強化するということが背景にあります。

 それでは、順次質問させていただきます。

 まず、建築物の解体時等のアスベスト飛散、暴露防止対策についてから質問させていただきます。

 事業者が事前調査でアスベスト含有建材を見落とす等により、適切な飛散、暴露防止措置を講じず解体等の工事が実施されているということで、飛散、暴露防止措置を講じず解体等の工事を実施したのが五十二件のうち二十九件、無届け出により解体等工事に着手した件数が五十二件のうち四十一件となっています。

 この一で出された勧告について、これまでに行ってきた対応、対策について、まずお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 建築物等の解体等に伴うアスベストの飛散防止対策でございますけれども、このさらなる強化を図るために、平成二十五年六月に大気汚染防止法を改正いたしまして、二十六年六月から施行してございます。この改正によりまして、建築物等の解体等を行うに際しまして、アスベストの有無に関する事前調査の義務づけ、工事実施の届け出義務者を解体工事の受注者から発注者に変更するなどの規制強化がなされてございます。

 まずは、これらの規制を着実に実施していくことが重要でございまして、これまでも、自治体向けの講習会などで改正内容を周知してまいりました。

 今回、総務省からの勧告を受けまして、環境省では、自治体に対しまして、事前調査の不徹底により解体工事が行われた事例についての情報提供を依頼したところでございます。また、来月には自治体のアスベスト対策の担当者会議を開催いたしまして、自治体に対しまして、勧告の内容の周知徹底をしてまいりたいと考えております。

玉城委員 この勧告については、環境省と厚生労働省、それぞれに取り組むようにということで勧告が出されておりますが、本委員会では、環境省に対する勧告について質問をさせていただくということにいたします。

 それでは、続いて、大気汚染防止法の規制対象外のアスベスト含有成形板について、事業者による湿潤化不足等による飛散、暴露のおそれについて質問いたします。

 条例で独自にアスベスト含有成形板を規制している県、市の状況を見ると、事業者による調査が不十分なことや建材の湿潤化不足により、飛散、暴露のおそれがあるというふうに調査結果が述べられておりますが、特にスレート波板ですね、スレートは、いわゆるアスベストを含有している場合でも、セメント等と混合して固められて飛散性が低いため大気汚染防止法の規制対象外ということですが、ところが、破砕や切断した場合はやはりアスベストが飛散するおそれがあるというふうに調査結果では述べられています。

 では、この大気汚染防止法の規制対象外のアスベストの飛散、暴露のおそれについて、規制対象外のアスベスト含有成形板等について法律上の取り扱いをどのように行えるのか、その見解を伺いたいと思います。

高橋政府参考人 御指摘のございましたアスベスト含有成形板などいわゆるレベル3建材と言ってございますけれども、これらにつきましては、吹きつけアスベストなど飛散性の高い特定建築材料に比べましてアスベストの飛散が少ないと考えられているため、現在のところは大気汚染防止法に基づく届け出義務等の対象とはしてございません。

 現在のところ、このレベル3建材につきましては、手作業による取り外しを行うとか湿潤化等によりましてアスベストの飛散を防止することが可能と考えられておりまして、環境省が定めております飛散防止対策マニュアルの中でもこのような対策を推奨しているところでございます。

 しかし、今回の総務省からの勧告では、レベル3建材についても、処理実態を把握し、大気汚染防止法上の取り扱いを含め所要の措置を講ずることとされてございます。このため、レベル3建材解体作業時のアスベストの飛散状況でございますけれども、まだ調査事例が限られておりますので、現在、情報収集や実態調査を実施しているところでございます。

 これらの調査結果を踏まえまして、これらレベル3建材の規制の必要性について検討してまいりたいと考えております。

玉城委員 今回のこの勧告については、やはり事前の十分な通知でありますとか、あるいは調査でありますとか、その取り組みについて非常に弱いのではないかということがうたわれております。

 アスベストの飛散、暴露防止措置の不備等、県、市による指導事項の改善の確認が不十分であるということも調査結果で明らかになっています。県や市では、指導件数の約二割、二百五十件のうち五十五件について改善状況が未確認であったこと、また、未確認事例のうち、飛散防止シートによる覆い、いわゆる養生の不備など、飛散、暴露防止のための重要なものが約半数、五十五件のうち二十三件ということになっておりまして、これは、飛散、暴露措置をとっているかどうかということをやはりしっかりと通知するということと、それを確認するということに尽きると思います。

 そこで、この件について質問させてください。

 この改善の確認について、措置を行う前あるいは措置を行った後の確認体制をどのようにとり得るのか、お聞かせください。

高橋政府参考人 先ほど御答弁申し上げたとおり、平成二十五年度に大気汚染防止法が改正されまして、アスベスト対策が強化され、翌二十六年六月に施行されております。これ以降、自治体による解体現場等への立ち入り件数あるいは行政指導の件数は増加をしてございます。

 具体的に申しますと、特定粉じん排出等作業に関する立ち入り件数は、施行前の二十五年度は六千件余りでしたけれども、二十六年度は一万五千件余り、また、行政指導の件数も、二十五年度は六百六十件余りだったものが、二十六年度は二千七百件余りということで、これらの件数はふえておりますので、改正の効果は一定あったと思っておりますけれども、今回の勧告をいただきまして、この立入検査における改善指導事項に対する改善措置状況の速やかな確認を徹底する必要があるという勧告を受けましたので、既にその旨、自治体宛てには通知をさせていただいております。

 また、先ほど申し上げましたように、ただ通知をするだけではなくて、来月には自治体の担当者の方に集まっていただきまして、先駆的な取り組み、先進的な取り組みを行っている自治体から事例も御紹介いただきながら、そういうものを自治体間でも共有を図りながら、この改善措置前後の確認についてもしっかりと実施できるように、自治体とも連携をしながら強化を図っていきたいというふうに思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 以上は平時におけるアスベストの飛散、暴露の拡散を防止するための取り組みについて確認をさせていただきましたが、続いて、災害時のアスベスト飛散、暴露対策についてお伺いいたします。

 環境省は、平成十九年八月、これまでの石綿、アスベストによる健康被害の実態に鑑み、阪神・淡路大震災の教訓なども生かすことを踏まえ、学識経験者、被災自治体、建設関係者、廃棄物処理事業者などで構成する災害時におけるアスベスト飛散防止に係る取り扱いマニュアル作成検討会を設置し、第一章「総則」、第二章「平常時における準備」から第八章「自治体による一時保管」、第九章「中間処理・最終処分」までの具体的なマニュアルを策定して、速やかに適切な処理を行うことにより災害時におけるアスベストの飛散防止の徹底を図ることについて公表し、取り組んできた経緯があります。

 そこで、お伺いいたします。

 環境省の、本マニュアルなどについて、周知徹底についてのこれまでの取り組みの経緯をまずお聞かせください。

鬼木大臣政務官 お答えいたします。

 地震等の災害発生時においては、建築物の倒壊などに伴い多くの建築物が解体されます。この解体において石綿の飛散防止を図ることを目的に、専門家の意見を伺いながら、環境省において委員御指摘のマニュアルを作成いたしました。これが平成十九年八月のマニュアルでございます。

 本マニュアルは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平常時の準備を規定しております。また、災害時の対応において、応急措置のほか、被災建築物の解体時のアスベスト飛散防止の留意点等を整理しております。

 環境省においては、随時、本マニュアルを自治体に周知するとともに、平成二十四年六月には、本マニュアルを集約したパンフレットを自治体に送付いたしております。今般の熊本地震の際も、マニュアルの概要を取りまとめ、被災自治体への周知を行ったところでございます。

 総務省からのこのたびの勧告を受けまして、環境省としては、東日本大震災や熊本地震の経験を踏まえた本マニュアルの改定を今年度末を目途に行います。また、マニュアルの具体的内容について、通知の発出や担当者会議の開催などを通じて、改めて自治体に対し周知徹底し、対策の強化を促してまいります。

 以上です。

玉城委員 この災害時におけるアスベスト飛散防止に係る取り扱いマニュアルの背景の部分では、災害時においては平常時における対策がとりづらいことから、このマニュアルは、今般、石綿による、アスベストによる健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律の施行により、石綿、アスベストの飛散等による人の健康または生活環境に係る被害の防止の徹底が図られたことを受け、災害時においても速やかに適切な処理を実施できるよう、災害時におけるアスベスト建築物の解体及び廃棄物の処理において飛散防止を図ることを目的としているというふうにあります。

 今御説明があったとおりなんですが、平常時から常にその対策をとるということは、先ほども勧告の内容を確認させていただいたとおり、つまり、平常時で常にその体制を十分とっておくことによって、いざ災害が起こったときに、当該市町村やあるいは自治体間の連携等によって、できるだけ速やかに飛散防止もあわせて取り組むということが求められているわけです。その場合には、当然ですけれども、環境省のみならず各省横断で取り組むことも必要と思われまして、その点について、一点質問をさせていただきたいと思います。

 この勧告では、いわゆる総務省関連における取り組みについては、地域防災計画に災害時のアスベスト飛散、暴露防止対策を規定していない県や市があるということで、それも勧告がなされているわけですね。地域防災計画を立てる際に、飛散、暴露防止規定の設定及び強化対策について、環境省側で、各省でどのような、いわゆる横串を通すという連携を図っているかについて、一点確認をさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 地域防災計画における位置づけということでございますけれども、環境省では、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルにおきまして、アスベストに関する情報の受け付け、伝達体制の整備、事業者等への指導体制の整備など、事前の準備事項を示してございます。

 今回の総務省の勧告では、このマニュアルに沿った準備を行っている自治体がまだ一部にとどまっていること、災害時にアスベストの飛散、暴露対策を円滑に実施する観点から、地域防災計画に当該対策を規定する必要性が高いことなどが指摘をされました。

 この勧告を受けまして、環境省では昨日、地方自治体の環境部局に対しまして、地域防災計画に災害時のアスベストの飛散、暴露対策がしっかりと規定されるよう、県内の関係部局との調整をしてください、それを求める通知をしたところでございます。

 今後とも、地方自治体と連携を図りながら、また関係省庁とも連携を図りながら、災害時の飛散、暴露防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 いわゆる悪性中皮腫等の発がん性の物質であるということはもう一九七〇年代からずっと問題だと言われ、さらに、一九九五年から一九九八年までの四年間で中皮腫による死亡者数が二千二百四十三人に上ったことも確認されています。

 アスベストは絶対に飛ばさないということをしっかりと守るために取り組んでいただくよう申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ニフェーデービタン。ありがとうございます。

赤澤委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきましてありがとうございます。

 また、先般は、委員会として福島県への視察をしていただきましてありがとうございます。

 福島の復興に関してお聞きさせていただきたいと思いますけれども、その前に、先月、四月に日中韓三カ国環境大臣会合、そして先般、G7環境大臣会合がございましたので、その内容について先にお聞きをさせていただいて、その後、福島のことについてお聞きさせていただきたいと思います。

 まず、第十八回日中韓三カ国環境大臣会合、TEMM18が四月二十六、二十七と開催をされました。

 そして、TEMMにつきましては、北東アジアの環境問題について率直な意見交換を行い、三カ国の協力関係を強化することを目的として、一九九九年から毎年持ち回りで開催してまいりまして、今回、十八回を重ねたということでございます。その間、当然、日中また日韓におきましても大変関係が難しい時期もございましたけれども、環境問題は共通の地域課題ということで、TEMMが開催されてきたことは大変意義あることというふうに認識をしております。

 しかも、今回は、昨年十二月、パリ協定が成りまして、そして、先般、G7富山環境大臣会合が控えている、そういうタイミングの中で開催をされたわけでございました。

 このパリ協定において世界最大の排出国である中国が参加したということも大変大きな意義がございますし、今後どのように取り組んでいくかということにも注目が集まっている中でございまして、そういう中でTEMMの果たす役割というのは非常に大きいのではないかということも、私もこれまで指摘をさせていただいたところでございます。そしてまた、持続可能な開発目標、SDGsについても、環境分野は多岐にわたることから本委員会で取り上げさせていただいて、そして、その推進体制の構築など、要望させていただいてまいりました。

 そして、五月の十五、十六とG7環境大臣会合が開催されたわけでございます。

 このTEMM18またG7環境大臣会合ともに、そのほか多岐にわたる分野について議論がなされたことと思いますけれども、今回のTEMM18並びに環境大臣会合における成果について、環境大臣にお伺いさせていただきます。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 先月、第十八回日中韓三カ国環境大臣会合を開催し、韓国の尹環境部長官、中国の陳環境保護部長とお会いをしました。トップ同士で、三カ国間の協力関係をさらに発展させていくことを確認することができました。

 前回の会合で取りまとめました三カ国共同行動計画に基づく協力プロジェクトの進捗を確認し、それぞれ、継続、拡大することをトップレベルでコミットすることができました。そして、日本が蓄積した災害廃棄物処理などのノウハウや経験を三カ国で共有する機会を設けることを提案し、合意いたしました。これらについて、共同コミュニケをまとめることができました。

 今後も、今回のTEMMでの新たな合意をもとに、三カ国の協力関係を強化していく所存です。

 そして、五月十五日、十六日と二日間にわたって行われましたG7富山環境大臣会合でございますが、大変建設的でそして活発な議論を行いまして、コミュニケの採択を通じて、G7の国内外における環境政策の実施に向けた強い意思を改めて確認することができました。

 主な成果として三点申し上げますと、まず一つは気候変動対策です。

 全ての国によってパリ協定に沿った気候変動対策が実施されるよう、各国が決定する貢献、いわゆる削減目標等の早期かつ着実な実施によりG7各国がリーダーシップを示すことを、決意をともにいたしました。また、できる限り早期の協定への参加に向け必要な国内措置を講じること、長期温室効果ガス低排出発展戦略を可能な限り早期にかつ十分にCOP21で定められた期限内に策定し提出することへのコミットなどを盛り込むことができました。

 二つ目は、資源効率性・三Rです。資源の効率的な利用等を目的とし、G7各国が今後行うべき野心的な取り組みを示した富山物質循環フレームワークに合意することができました。これは、昨年のエルマウ・サミット本体での合意を受けたものでございます。

 そして三つ目は、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダです。いわゆるSDGsの達成には、環境政策と統合的に進めることが有効かつ重要であるとの共通認識を得ました。また、持続可能な消費と生産、食品廃棄物等についてG7が協調して行動することをコミュニケに盛り込みました。

 このような成果を上げることができたのも、COP21、また、その前の持続可能な開発目標等で大変機運が盛り上がったものを受けて、やはりG7がリーダーシップをとるべきだという共通の意識が持てていたことにあるのではないかと思っております。

 我が国の国内対策にもしっかり今後取り組んでまいりたいと存じます。

真山委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃられたとおり、本当に、環境問題につきましてはこの近年非常に大きく盛り上がっている中でありまして、日本の果たすべき役割、さまざまあろうかと思いますけれども、ぜひ、リーダーシップのもと、推進いただきたいと思います。

 そして、少し具体的な中身についてお聞きをしたいと思いますけれども、G7の環境大臣会合におきまして、そのコミュニケ文書を読ませていただきますと、本委員会でもいろいろ議論がございました市場アプローチを含むカーボンプライシングについて記載がございまして、これはノーベル経済学賞のスティグリッツ教授が指摘したこともあって、本委員会でも何度か議論があったように記憶をしております。

 そして、昨年のエルマウ・サミットを踏まえて、今後、この炭素市場プラットフォームの第一回戦略対話が開催される運びでございまして、これは主にドイツが主導しているというふうに聞いておりますけれども、第一回は、これは日独共同議長という言い方で正しいのかちょっとわかりませんけれども、この東京で開催をされる運びというふうに聞いてございます。

 日本として、このカーボンプライシングに関する取り組み方針をやはり明確にして事に当たっていく必要があろうと考えておりますけれども、政府の考えをお伺いいたします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の排出量取引制度でありますとかあるいは炭素税といった、炭素の排出に価格をつけるというカーボンプライシング、これにつきましては、経済的インセンティブによって企業や消費者の方々に効率的な排出削減を促す有効な政策手段というふうに認識をしてございます。

 御指摘のとおり、G7の環境大臣会合のコミュニケにおきましても、イノベーション及び長期的な排出削減のための低炭素投資の強化に効果的な手段であるというふうに位置づけられているところでございます。

 また、本年二月に、環境大臣の私的懇談会でございます気候変動長期戦略懇談会からの提言では、社会構造のイノベーションが長期間にわたって連続的に起きる工夫として、環境価値を内部化する本格的なカーボンプライシングの導入が有効であるという御指摘もいただいているところでございます。

 環境省といたしましては、これらの考え方を参考といたしまして、世界の動きも注視しながら、今後必要となる長期大幅削減への対応を含め、どのような施策が必要か、予断を持つことなく、しっかりと検討してきたいというふうに考えております。

真山委員 次に、資源効率性・三Rについても採択されておりますので、先ほど御答弁いただきました富山物質循環フレームワークについてお聞きをしたいと思います。

 先ほど大臣から三点、いろいろお話しいただいた中で、非常に重要なフレームワークでございますけれども、この具体的な中身を少し確認させていただきましたところ、いろいろな取り組みがあろうかと思うんですけれども、先ほど少し出ました災害廃棄物処理、これも含まれている。そして、今これも非常に大きな問題である食品ロス削減の観点からの食品廃棄物処理。そして三つ目に、電気電子廃棄物処理ということで、これは家電製品などのリサイクルなどの関係かと思います。

 そういった取り組みも非常に具体的にこのフレームワークの中には入っているということでございまして、こうした採択に環境省として今後どのように取り組んでいくお考えか、お伺いさせていただきます。

鎌形政府参考人 富山物質循環フレームワークで取り上げられた事項についてのお尋ねでございますが、まず、議長国として取りまとめを主導した我が国として、当然に積極的に取り組んでいくということでございます。

 具体的には、まず災害廃棄物の処理でございます。我が国は、東日本大震災などにおける災害廃棄物対策に係るノウハウを有しているということから、これをG7各国や中韓両国を初めとする国々とも共有し、今後、ともに連携協力しながら取り組みを主導してまいります。

 食品ロスの削減につきましては、環境省では、学校給食における食品ロス削減や、リサイクルのモデル事業や普及啓発などに取り組んでございます。今後は、家庭から排出される食品ロスの実態把握やCO2削減に資する食品廃棄物のスリーR事業への支援など、自治体と連携し、取り組みのさらなる促進を図ってまいります。

 廃家電を含む循環資源の国際移動の適正化によるリサイクルの推進につきましては、我が国の誇る環境技術の先進性を生かしつつ、非鉄金属のリサイクルを着実に推進するため、バーゼル法における規制のあり方などにつきまして、平成二十八年度中に検討を行い、その結果を踏まえ、早期に必要な措置を講ずるということとしてございます。

 以上です。

真山委員 ありがとうございました。

 三点にわたって御答弁いただいたわけですけれども、御答弁の中にもあったとおり、やはり、日本がこれまで培ってきたノウハウというか技術、そういったものが活用できる分野でございまして、こういったことも、今後の取り組みの中でさらに具体化を検討していくことと思いますけれども、ぜひ推進をお願いしたいと思います。

 そして次に、化学物質管理についてもコミュニケの中に今回入ってございます。特に、日本がこれまで実施をしてまいりましたエコチル調査、これについて大きな関心が寄せられたというふうにお聞きをいたしました。

 このエコチル調査は、子供の健康に化学物質が与える影響を調査するものでございまして、私も以前本委員会で取り上げさせていただいた内容でございます。子供の健康と健やかな成長を守る観点から重要な取り組みであり、ずっと継続してきている事業でございますけれども、やはり今後も着実に進めていかなければならない、しかも、かなり長期にわたることから根気の要る作業でございますけれども、着実に進めていかなければならない、そのように考えているところでございます。

 それが今回の環境大臣会合において大きな成果の一つに入っているということでございますけれども、今回の環境大臣会合における成果について、さらに、こうした研究成果を今後どのように、国内もそうでございますけれども、国外に対して発信していくお考えか、環境大臣にお伺いをさせていただきます。

丸川国務大臣 子供の健康と環境は、過去の環境大臣会合においても議論されてきた重要なテーマの一つであります。

 今回の富山環境大臣会合においても、このエコチル調査に対しては大変高い評価をいただきますとともに、皆様方が関心を持って大いに期待しておられるということがよくわかりました。

 エコチル調査については、現在、質問票や血液などの分析を進めているところであります。その成果がまとまり次第、我が国が開催しているエコチル調査国際シンポジウムを初め国際会議、国際学会での発表などを通じて積極的に世界に発信をしてまいりたいと存じます。

真山委員 このエコチル調査は、データヘルスという観点からも非常に重要なデータでございますけれども、一方で、プライバシーへの配慮というのも非常に必要な取り組みでございまして、これからこういった調査結果を発信していくという観点で、やはりデータ管理のしっかりしたルールづくり、調査に協力いただいている御家庭のプライバシーをしっかり守るというルールが必要であると考えておりますけれども、現在環境省内で検討されているのかどうか、答弁をお願いいたします。

北島政府参考人 ただいま御指摘いただきましたとおり、エコチル調査は長期に及ぶ大規模調査でありますことから、参加者の信頼を得るためにも、適切なデータ管理が極めて重要であると考えております。

 エコチル調査に係る個人情報につきましては、エコチル調査における個人情報管理に関する基本ルールを定めております。このルールに基づきまして、調査実施機関である各ユニットセンターにおいて、それぞれ情報管理責任者を置き、個人情報の匿名化や情報のランクづけを踏まえた取り扱いを行っております。

 また、インターネットに接続されていない専用回線でデータを取り扱い、データのアクセスに生体認証を導入する等により、セキュリティーを担保しております。

 加えて、適切な取り扱いがなされているかどうか定期的な点検を行っているところであり、引き続き適切なデータ管理に取り組んでまいりたいと考えております。

真山委員 ありがとうございました。

 こういった大きな取り組みは各国でもなかなか実施されていないというふうに聞いてございまして、そういったデータが欲しいという研究者もいるやに聞いておりますけれども、しかし、そこで、一方で守らなければいけないものもしっかりあるということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、福島の復興について、この間の視察を踏まえての質疑にかえさせていただきたいと思います。

 まず、中間貯蔵施設についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 中間貯蔵施設の整備につきましては、直近の発表によりますと百十三件が契約に至っているというふうに資料で確認をいたしました。少しずつ少しずつふえている現状であろうかとは思いますけれども、登記記録上は二千三百六十五人、そのうち連絡先が把握できているので千四百八十人、この千四百八十人で大体九割ぐらいの面積になるんでしょうか、建物等の物件調査の承諾を得ている件数は千二百二十件ということで、こうした状況を鑑みますと、着実に進んでいるとはいえ、やはりさらなる加速が必要であることは言うまでもないことでございます。

 先日、委員会視察におきまして、大熊町の町長、議長、そして双葉町の議長、富岡町の町議の方々と意見交換をさせていただきました。その中でいろいろな意見があったわけでございまして、従来から言われていたことでございますけれども、改めて意見としておっしゃられたことが、どうしてもっと地元に協力を仰がなかったのか、仰がないのか、そういった御指摘がありました。

 御承知のとおり、地元は、本当に苦渋の決断の中、やはり復興を進めなければいけない、それに必要な中間貯蔵施設を整備しなければいけないという中で判断をなされたわけでございまして、地元の理解がなければ決して進められない事業であり、そして必要なことでございますけれども、やはりそうした声が起こってくるというのは、従来からそういったお声はありましたけれども、改めてお聞きしますと非常に残念な思いがするところでございます。

 中間貯蔵施設の用地交渉及び施設整備について、立地両町、また県を含めて、連携協力体制がどういうふうになっているのかということと、今からでも遅くないと思いますので、地元とのより強固な推進体制を共同でやはりしっかり構築していくべきではないかというふうに考えておりますけれども、環境省の考えをお伺いさせていただきます。

高橋政府参考人 中間貯蔵施設整備に係ります地元との連携協力ということでございますけれども、この中間貯蔵施設の整備につきましては、福島県並びに大熊、双葉両町と締結をしてございます安全協定に基づきまして、定期的に報告を行い、また御助言等をいただきながら取り組みを進めております。引き続き、まず安全に万全を期して施設の整備を進めてまいりたいと考えております。

 また、中間貯蔵施設に係る用地の取得でございますけれども、昨年十一月に公表いたしました地権者説明の加速化プランに基づきまして加速化を図っているところでございます。また、今年度からは、地元の事情に精通をされた福島県の職員十名を派遣していただいております。それを含めて百十人体制で、福島の事務所におきまして用地の取得に取り組んでいるところでございます。

 加えて、連絡先不明の地権者の方々についても、これは地元も含めた関係機関にいろいろと御協力をいただきながら、引き続き調査を行ってまいります。

 こういう形で、いろいろな切り口で地元との協力連携をいただいているところでございますけれども、引き続き、地元の御理解をいただきながら、着実に事業を進めていきたいと考えております。

真山委員 立地町である大熊町そして双葉町、やはりこういう両町との連携というのが非常に重要だと思うんですね。

 全然話は違うかもしれませんけれども、例えば、今、いろいろな地域の避難指示解除が議論されておりますけれども、非常にこれはきめ細やかに、住民懇談会や、また、場合によっては一軒ずつ対象の方を訪問しながら事を進めていたりするわけですね。また、官民合同チームなんかも、一軒一軒被災事業者の皆さんを訪問して、そして御意見を聞きながら展開をしているわけです。

 そういった、少し分野は違うかもしれませんけれども、そのぐらいきめ細やかな対応をしていかないと、やはり地元との信頼関係が構築していけない、継続していけないということだというふうに思いますので、ぜひ、今からでも遅くないと思いますので、今後の強化をお願いしたいというふうにお願いさせていただきます。

 そして、次に、廃棄物の関係にしたいと思います。

 除染によりまして発生した除去土壌について、重要な指針となります中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略が発表されました。

 中間貯蔵施設に搬入される除染廃棄物のそのほとんどを占めるのは除去土壌、土でございますけれども、この膨大な除去土壌の減容化及び再生利用について方向を示したのが先ほどの戦略でございます。

 これは、二十三年十一月に閣議決定された放射性物質汚染対処特措法の基本方針に沿って取りまとめられたわけでございますけれども、いろいろな幾つかの減容化技術を検討し、それに伴う具体的なケースを想定しておりますけれども、本戦略の意義についてお伺いをさせていただきます。

白石大臣政務官 真山委員の御質問にお答えさせていただきます。

 今委員おっしゃったように、除去廃棄物戦略につきましては、四月八日に、有識者検討会における議論を踏まえて、中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略として取りまとめをさせていただきました。

 福島県外における最終処分場の実現というものに向けては、対象となる除去土壌等の物量、放射能濃度、処分場の必要面積などについて、一定の見通しを立てる必要があると考えております。

 委員おっしゃったように、今、除染土壌も二千万立米ほどに推計されておりますけれども、その中で、減容についても、九〇%は減容したいという大きな目標を掲げて今回の戦略も提出させていただいております。

 この戦略によって、中間貯蔵後の三十年以内には福島県外に最終処分場の実現を図りたい。そこで、除染で生じた土壌の減容技術、これを開発していかなければならない、これがまず第一でありまして、第二には、減容処理後の浄化物の再生利用の推進、つまり、減容して再生できるものはどんどん再生していきたいということで、それに係る当面の十年の取り組み目標及びその工程表をお示ししておるところでございます。

 今後、本戦略及び工程表に沿って、今申しましたように、減容技術の開発と再生利用の推進等について取り組みを着実に進めてまいるつもりでございます。

真山委員 減容化、また再生利用について今御答弁いただいたわけでございますけれども、やはり重要なのは三十年以内に県外最終処分という、これはもう大前提中の大前提でございますけれども、そのための戦略であり、そこに向かうためのロードマップを検討している、そういうふうに認識をしております。

 そして、先ほどもありました技術の開発が大前提なわけでございますけれども、この技術の開発につきましては、いろいろな取り組みがあろうかと思いますけれども、例えば、福島復興の希望の柱として、イノベーション・コースト構想がございます。

 これは、廃炉作業の最先端技術を開発するという目的とともにやはり地域産業の復興とセットでこの構想は練られていまして、そういった意味で取り組みが進んでいるわけでございますけれども、こういった除去土壌の減容化、また再生利用というのも、実は、技術開発をして、そしてそれが地域産業としての可能性が非常にあるわけでございまして、民間レベルではそういったワークショップなんかも展開をされているようでございます。

 そういった観点で、この研究開発体制をどのように構築していくべきかということ、技術開発にどのように環境省として取り組んでいくお考えか、お伺いさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 技術開発に取り組む体制ということでございますけれども、まずは、先ほどございました、今回取りまとめました戦略と工程表に沿いまして、技術開発等を着実に進めるための必要な予算等の確保に努めてまいりたいと考えております。

 また、技術開発や再生利用を着実に、かつ持続可能な形で効率的に進めるためには、さまざまな関係機関との連携協力も重要と考えてございます。今御指摘のございましたイノベーション・コースト構想における関連する取り組みも含めまして、国内外の学術研究機関等との相互の情報交換、成果の共有などの連携についても努めてまいりたいと考えております。

真山委員 今、減容化の技術の話をさせていただきましたけれども、再生利用についても本戦略では記載がありまして、当然、一度指定されたものでございますので、非常に管理が必要であろうということなんかも記載がされているわけでございます。

 再生利用するに当たっては、いろいろ基準値をお考えだとは思いますけれども、やはり、一度指定されたものがどこかで使われるというのは、心情的になかなか、住民の方もそうですし、また、広く国民の皆さんのコンセンサスというのも必要ではないかというふうに考えておりまして、先ほど言いました、技術が開発されるということが大前提ではございますけれども、現時点において、再生利用の考え方及び国民理解をいかに得ていくのかということについて、環境省の考えをお伺いします。

白石大臣政務官 真山委員のおっしゃるとおりでございまして、御指摘のとおり、再生利用の実現に向けては、再生利用の必要性やその安全性が社会的に受け入れられなければならない、それが一番の必要なところでございまして、そのために、情報の発信だけではなく、双方向のコミュニケーションや、実証的、モデル的な再生利用の取り組みを通じて、また、関係する府省庁、自治体等とも連携をいたしまして、安全、安心に対する全国民的な理解、信頼を醸成することを図ってまいりたいというふうに思っております。

 委員のおっしゃったことを肝に銘じてこれからも頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

真山委員 恐らく時間的に最後の質問になろうかと思いますけれども、先ほどもほかの委員の方から議論がございましたけれども、ことしの四月に、放射性物質に汚染された廃棄物の指定解除に関する省令改正がございまして、そして、それを受けて、今、再測定とかそういったことがされているわけでございます。

 やはり相当な放射線量の低減が、自然減衰が確認されているのも事実でございまして、先ほどの再生利用もそうでございますけれども、当然、国民理解が必要であることは言うまでもないわけでございますけれども、この五年間、八千ベクレル以下のものについては通常の処理がなされてきたわけでございまして、これもやはり、基準としてしっかり考えていくべきだと考えております。

 その一方で、処理費用についての御懸念もあるわけでございまして、そういった観点から、指定解除の取り組みについて最後に質問をさせていただきたいと思います。

鎌形政府参考人 指定廃棄物の指定解除についてのお尋ねでございます。

 この指定解除の仕組みといたしましては、放射能濃度が八千ベクレル・パー・キログラムを下回ったことが確認された指定廃棄物につきまして、国と一時保管者などの協議が調った場合に指定解除を行うことができる、こういうものでございます。

 指定解除後の廃棄物の処理費用につきましては、国が全額補助する財政支援を行うこととしております。

 以上です。

真山委員 以上で終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは最初に、東電福島第一原発の津波対策についてお伺いいたします。

 今、熊本地震を機に、地震、津波などについての新たな関心、不安の声が上がっております。一Fにつきましても、地元からの地震、津波対策についての懸念の声もお聞きしているところであります。

 そこで、原子力規制委員会、規制庁にお尋ねしますが、原子力規制委員会が設置をしました特定原子力施設監視・評価検討会における、より大きな地震、津波への防護対策に関してお聞きします。そこでは、東日本大震災以前の一Fの防潮堤の高さが幾つであって、この検討会の議論の中で出されているような、津波、地震で防潮堤が破壊された後、現在の仮設防潮堤はどのような基準で高さと強度を決めたのか、この点について教えていただけますか。

山田政府参考人 福島の第一原子力発電所の敷地高さは十メーターになってございます。

 それで、東日本大震災以前にここには防潮堤はございませんでしたけれども、東日本大震災以降に新たに仮設の防潮堤というのが設置をされてございます。この仮設の防潮堤につきましては、福島沖の海溝の周辺で発生する可能性があると言われておりますいわゆるアウターライズ地震に伴う津波、これへの対策ということで検討をされたということでございまして、十四・二メーターのものが設置をされているということでございます。

塩川委員 東日本大震災以前については、防潮堤ではなくて防波堤というお話でお聞きしております。現在の仮設防潮堤は、今お答えがありましたように、大震災後の緊急対応として、アウターライズの津波を想定してということで十四・二メートルということです。

 そこで、東日本大震災時の津波の高さは十五・五メートルだったわけです。原子力規制委員会は、想定される津波の高さの再検討を東電に求めたわけですけれども、その考え方を御説明いただきたいのと、その結果、東電が提出をした津波の最高水位というのが何メートルになったのか、お答えください。

山田政府参考人 原子力規制庁、原子力規制委員会におきましては、先ほど先生の御指摘をいただきました福島第一原子力発電所監視・評価検討会というのを開いてございまして、そちらで東京電力に対して検討用地震動及び津波高さというものの検討をするようにという指示をしてございますけれども、そこでは、東北地方太平洋沖地震の知見を踏まえること、それから、実績のあるモデルを使用すること及び福島第一原子力発電所後に策定をいたしました新規制基準に準拠することといったようなことを前提条件として検討をして設定するようにということを求めてございます。

 その結果として、東京電力はいろいろと検討いたしまして、検討用地震動としては九百ガル、検討用の津波高さとしては二十六・三メーターという検討結果を出してございます。

塩川委員 東日本大震災の経験も踏まえ、新規制基準に準じてということで検討を求めて、その結果、東電が出してきた検討用津波策定結果が最高水位二十六・三メートルということです。

 田中委員長にお尋ねしますが、こういった二十六・三メートルという津波が想定をされるということですけれども、この二十六メートルの津波に対応した防潮堤の強化策というのはあるんでしょうか。

田中政府特別補佐人 まず、検討用地震とか検討用津波の考え方ですけれども、これは新しい規制基準で、例えば津波の場合には、大きな津波が来ても敷地内に津波が浸入しないということを求めています。ただ、これは、福島第一については一つは念のためということもありまして、それを、もともとああいう状況ですから、敷地内に津波が浸入しないということまで求めることは現実的ではないということもあります。

 ただ、地震動につきましては、使用済み燃料がまだ炉室に残っていますので、これはきちっと炉室の健全性を保たなきゃいけないということで、先ほど申し上げました九百ガルというものについての評価はしています。

 実際に、二十六メートルの津波、これは実際に先日の津波よりも十メートルも高いわけですので、そういった津波に対する防波堤をつくるということは、現実的にあそこの場所では非常に、極めて困難でありますので、私どもとしては、浸入防止というよりも、汚染水の大量漏えい自体を防止する対策の方が重要であるという考えのもとで、幾つかの対策を求めております。

 その上で、私ども、リスク低減マップ、中期の低減マップをつくらせていただいていますけれども、一Fは、御存じのように、さまざまなリスクがまだ存在しています。そういったことを考えて、どういうふうなところから手をつけるべきかということであります。

 当然、二十六メートルもの津波が来れば、一定程度原子炉建屋の方に、タービン建屋とかそういうところに入り込みますので、引き潮によって一定程度の汚染した水が外に出ていくのは、これは避けられないと思います。ただ、幸いなことに、炉室の方はまだ穴があいていますので完全ではありませんけれども、高濃度汚染水は炉室の方にありますので、そこから大量に出るということはないだろうというふうに想定しております。

 いずれにしても、きちっとそういった大きなリスクからまず対峙していくという方向で対策を進めていくよう求めていきたいと思っています。

塩川委員 もう一回確認ですけれども、二十六メートルの津波に対して、防潮堤で防ぐ考えはないということですね。

田中政府特別補佐人 そのとおりでございます。

塩川委員 二十六メートルを超える津波を想定しながら防潮堤の強化策がないということは、極めて重大だと言わざるを得ません。

 二十六メートルの津波に備える、つくるのは現実的に困難だ云々という話がありますけれども、そもそもこういった影響が出ることについて、汚染水が漏れるかどうかというだけが判断基準、対策の基準ではないと思います。実際、東電による建屋構造評価の中でも、二十六メートルの津波の場合にタービン建屋の外壁が壊れるとかという評価をしているわけですよね。こういうのも含めて、防潮堤も必要ないということなんでしょうか。

田中政府特別補佐人 御承知かと思いますけれども、既にタービン建屋自身も相当傷んでおりまして、もう壊れております。できるだけ開口部を塞ぐなどしてそういった浸水を防ぐようにはしておりますけれども、二十六メートルというとてつもない津波が来た場合に、それによって、それを完全に防潮堤だけで防ぐというような防潮堤を本当にあそこの場所につくれるかどうかという問題もあります。ですから、そういうことを考えて、とにかく大きなリスクにならないということを中心に対策を求めています。

 原子力発電所の方で二十六メートルで汚染水が出たからといって大きな災害につながるということではなくて、もっともっと大変な事態が、周辺の海岸、浸水して大変なことが起こりますので、そういうことを考えて、やはり大きなリスクからまず対峙していくというのが我々に与えられた任務だと思っています。

塩川委員 防潮堤だけで防ぐというふうにいかないということですけれども、いろいろな選択肢として、あらゆる手段を尽くすという中での防潮堤というのも当然のことながら考えるべきじゃないのかということを申し上げているわけで、委員長お話しのように、タービン建屋が傷んでいるわけですよね。

 もともと一Fは、四十年以上経過をした老朽原発であります。そこに、地震の影響、津波の影響、それに爆発事故、いわば四重の負荷がかかっているということになるわけであります。五年前の津波では、建屋に海水がしみ込んで、内部の鉄筋もさびているんじゃないのかという懸念も当然ありますし、コンクリートもそれによって脆弱になっているんじゃないかということがうかがわれるわけであります。

 そういった点で、地震や爆発でも強度が損なわれていると考えられるわけで、東電によるこういう建屋の構造評価というのは、こういうような四重の負荷による建屋の劣化というのをそもそも想定しているものなんでしょうか。

田中政府特別補佐人 今回の地震によりまして、さまざまな、いろいろなところが傷んでおります。大きく言えば、水素爆発によって建物自体も相当破壊されております。そういったことを踏まえて、先ほども申し上げましたように、使用済み燃料が残っている一、二、三号炉は特にそうですが、そういった先ほど申し上げました九百ガルといった大きな地震が来ても、きちっと原子炉建屋の健全性が保てるように補強等も施しておりまして、一応、もつという評価を私どもとしては出させていただいております。

塩川委員 現行の原発とは違って、一Fの場合には実際の被害状況が、損壊状況といっても現場で確認できるわけではほとんどありませんから、そういった点が本当に適切に実態を反映したような評価になっているのか、それに伴う対策になっているかというのは、これは極めて重大な危惧があるところであります。

 そういう意味では、汚染水の対策の問題だけではなくて、例えば、今後でいえば、使用済み燃料の取り出しを引き続き行うことや燃料デブリの取り出し等々、不安定化になるようなそういった問題も考えられるわけですけれども、そういった取り出し作業なども想定した際に、防潮堤はもう必要ないということでいいのかと思うんですが、いかがですか。

田中政府特別補佐人 結論から申し上げますと、必要ないというよりは、防潮堤をつくるのは現実的には不可能でありますし、使用済み燃料の取り出しとかデブリの取り出しと防潮堤とは直接関係あるものではございませんので、そこは、燃料取り出しとか、将来、デブリをどういう形で取り出せるのかどうかも含めて今後の課題ですけれども、そういったことについては十分に安全を確保できるような対策を求めていきたいと考えています。

塩川委員 いや、防潮堤をつくるのは不可能だ、そういう前提から入ると対策には当然ならないわけで、実際に一Fで作業されている構内労働者の方のお話を伺っても、不安に感じているわけですよ。

 大体、現行の仮設の防潮堤といっても、若干石を積み上げているだけなわけですから、津波が来ればそれも流されますねというのは、実際、規制庁や東電も認識をしているところであるわけです。そういったものについて、仮設の防潮堤を強化するといったことも含めてなされていないということについて、労働者の皆さんにすれば、現場がわかっているのかという懸念の声になってくるわけであります。

 やはり、原発の一般常識が通用しないような今の一Fの現状に対して、とるべき手だては全てとる、こういう立場で臨むことが必要だと考えています。

 そもそも、このように、津波対策としてもう防潮堤をつくることは考えていないということは、地元の皆さんは承知しておられることなんですか。

山田政府参考人 まず、福島第一原子力発電所におきます廃炉作業の状況の地元自治体、住民の方々への説明ということについては、まずは当事者である東京電力みずからが取り組むべきものというふうに認識をしてございます。

 一方、原子力規制委員会におきましては、福島第一原子力発電所の地震、津波対策について検討を行っております特定原子力施設監視・評価検討会で、敷地内の津波の浸入防止よりも汚染水等の大量漏えい、こういった事態を防止する対策が重要であるといったことにつきましては公開の場で議論をしてございまして、この検討会には福島県にもオブザーバーとして参加をしていただいているところでございます。

 また、福島県には地域原子力規制総括調整官という者が駐在をしておりまして、地元自治体に対しましては、この検討会での検討内容等については丁寧に情報提供をしているところでございます。

塩川委員 実際に、それでは、双葉ですとか大熊ですとかといった住民の方、あるいは町長さんや議会の議長さん、議員さんというのは承知していると思うんですか。

山田政府参考人 十分な御理解をいただけるところまで進んでいるかどうかということについては、いろいろと見方はあるかとは思いますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げました地域の統括官を通じてできる限りの努力をして御説明したいというふうに考えてございます。

塩川委員 では、地域の統括官がそういった、今、避難自治体の皆さん、町長さんですとかあるいは議会の関係者、さらには住民の方に説明したということなんですか。

田中政府特別補佐人 昨年の十月ですが、各首長さんを中心に、十四市町村ですけれども、二時間ぐらいずつお訪ねしまして、一Fの状況については私の方から直接、地域統括官も一緒に同行させて説明させていただきました。それで、いろいろな不安とかいろいろな御要望をお聞きしましたので、それはいろいろな形で、私どもだけではなくて、しかるべき、丸川大臣にもお伝えしたところもありますし、いろいろなことを御説明させていただいています。

 それで、一Fの状況について全く不安がないかというと、いろいろな不安はありますが、基本的に、具体的に防潮堤の問題とかそういうことではなくて、やはり、もう一度爆発するようなことはないのかとか、そういった質問がありましたので、そういったことはありませんよという話はさせていただきながら、御理解を求めてきたところでございます。

塩川委員 防潮堤をつくる考えがないということについて説明したというお話はありませんでした。

 先日、環境委員会で視察に伺いまして、地元の議会関係者の方にお話を伺いました。懇談の時間内ではお聞きすることができなかったので、終わった後にお声をかけた際に、今言った防潮堤の強化の計画がないということをお伝えしましたら、そういうことについては御存じなかったわけであります。私は、こういった状況で、周辺住民の方、国民の方の理解が得られるのかと率直に思うわけであります。

 大臣、原子力防災担当大臣として、こういった一Fの事故収束に当たっての取り組みを国として進めているわけですけれども、地域の住民の皆さんが地震、津波対策で不安も感じておられるときに、こういった津波に備えて防潮堤の建設の計画がないといったことについて地元の方は御存じない、こういったもとで話を進めていくということでいいのか、率直に思うんですけれども、大臣のお考えのところを聞かせていただけませんか。

丸川国務大臣 防潮堤の件に関しては、原子力規制委員会が専門家の立場から判断をされていることについて、国として尊重するということでありますが、それをどのように情報発信するかということについては、検討会には県もオブザーバーとして御参加をいただいていることでありますし、また、県には調整官が駐在をしているということでございまして、こうした情報提供の場をきちんと活用すること、また、コミュニケーションを日ごろからとることということは重要であると思います。

 一般論として、今回の熊本の地震の際も含めて、規制委員会また規制庁を通じた発信というものは、安全であるということも含めて国民の皆様にお知らせすることは重要であると考えております。

塩川委員 はっきりとしたお答えがありませんでした。

 防潮堤をつくらないということについて地元への説明もない、こんなことで進めているということが結果として地元住民の皆さんの不安を拡大するだけになる、こういうことを指摘し、こういったあり方について、やはりあらゆる手だてをとるという立場から、防潮堤の強化などをしっかりと行うということを求めておくものであります。

 次に、東電福島第一原発の労働者の作業環境の改善について、まず、経産省にお尋ねします。

 ことしの四月二十八日の廃炉・汚染水対策チーム会合資料の中に、「敷地内の環境改善等の作業」というのがあります。そこには、福島第一原子力発電所敷地内の環境線量低減対策の進捗状況を踏まえて、汚染度合いに応じた防護装備の適正化を行うことにより、作業時の負荷軽減による安全性と作業性の向上を図るとしています。

 この間、どのような改善を図ってきたのかについて説明をしていただけますか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の労働環境にかかわるところでございますけれども、福島第一原子力発電所では、これまで、フェーシング工事ですとか除染作業といったところで環境線量低減対策を進めてきたところでございます。

 こうした環境線量低減対策の進捗を踏まえまして、東京電力といたしましては、三月の八日より、一から四号機の建屋周辺やタンクエリア等といった汚染度の高いエリアとそれ以外のエリアを区分いたしまして、それらの区分に応じた防護装備の新たなルールを導入したところでございます。

 これによりまして、除染されたエリアを可能な限り低い汚染レベルに維持しリスク低減を図るといったこととともに、作業時の負担軽減による作業員の安全性及びコミュニケーションの安定化といったことを通じた作業性の向上といったことを期待しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、福島第一原子力発電所構内、レッド、イエロー、グリーンということで、三つの区域に区分をしております。それぞれの区域に応じた防護装備の適正化を図っているところでございます。

 最も汚染されているエリアでありますレッドゾーンにつきましては、全面マスクとタイベックスーツ二重、またはタイベックスーツの上に防水性のスーツを重ね着するといったところでございますし、イエローゾーンにおきましては、全面マスクまたは半面マスクとタイベックスーツといったことでございます。さらに、敷地の約九割を占めるグリーンゾーンといったようなところにつきましては、防じんマスクと構内専用服または一般作業服といったような形での適正化を図ってきているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 汚染度に応じた防護装備のルールを定めて今実施をしているところということでありました。

 私は、一Fの構内作業労働者の方のお話をお聞きする中で、レッド、イエロー、グリーンの三区分がある、そのグリーンゾーンでは、以前はタイベックの防護服、防護装備だったわけですけれども、今は簡易装備で、ナイロン製のようなつなぎの構内作業服を着ているという話をお聞きしましたが、非常に通気性が悪いというんですよ。ですから、以前はタイベックで、そのタイベックの方が通気性がよかったと。そのために、非常に以前より装備が軽くなっているはずなのに、実際にはかえってきつい装備になっているという声が寄せられております。

 タイベックの場合は、以前はそのまま使い捨てだったんですけれども、今度の構内作業服については洗濯して再利用ができる、そんなコスト面の話もあるみたいですけれども、それが結果として、熱がこもる、通気性が悪いということで、夏にはまた熱中症がひどくなるんじゃないのかという声が寄せられているんですけれども、そういう声を聞いていませんか。そういうのについての改善策というのは考えていませんか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、三月八日以降、先ほど申し上げたとおり、グリーンゾーンの部分におきましては、放射線防護装備、防じんマスクと構内専用服または一般作業服と定められているところでございます。

 御指摘のタイベックスーツ、これにつきましても、もともと動きづらく、作業時の行動が制限されている、通気性が悪くて熱がこもりやすいといったようなことで、熱中症が懸念されていたといったような課題があったところでございまして、その点からも、タイベックスーツの着用が不要なエリアというところの拡大につきましては、人身災害防止ですとか労働環境作業の観点から大きな効果が上がることというように我々考えておりますし、期待しているところでございます。

 さらに、今御指摘ありました構内専用服、こちらにつきましても、季節に合わせまして、六月からは夏用の構内専用服に切りかえるといったような予定があるというふうに伺っております。

 直接、我々の耳元に委員の御指摘のような御懸念というところが聞こえてきているわけではございませんが、東京電力では定期的に作業員の労働環境改善に係るアンケート調査を実施してきているところでございます。

 調査結果を踏まえて、労働環境改善に係る措置、これも、そのアンケートの結果に応じて講じてきているところでございまして、次回のアンケート調査におきましては、こうした放射線防護装備の適正化というところにつきましても、こうした取り組みについて調査を行って、必要に応じて改善措置が講じられるよう、そうしたことを我々もお話しさせていただきたいというふうに思うところでございます。

塩川委員 今までとは違う夏用の構内専用服を六月からという話がございました。現状は、非常に熱がこもるような、そういう状況にあるという訴えというのがあるわけで、ただ、そういった、では六月から切りかえますよなんていう話は、現場の労働者に全然伝わっていませんよ。

 そういう意味でも、作業環境の改善というのは、見通しも含めてしっかりと、現場で働く皆さんの意欲につながるような働きかけとしてやる必要があるということは改めて求めておくものでありますし、やはり熱中症対策の心配というのは大変大きなものがあります。

 その点で、厚生労働省にお尋ねしますけれども、先週、塩崎厚労大臣が記者会見で、東電福島第一原発の作業員の健康相談の体制をとるというのは、どのようなことを行うのかについて御説明いただけますか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 東電福島第一原発におきます廃炉作業等においては、通常の作業よりも高いストレスが加わることが多いと考えておりまして、また、協力企業の中には産業医の選任義務のない中小企業があるなど、健康管理体制にも差があるところでございます。

 また、今御指摘もございましたように、これから暑い時期を迎えることになりますが、作業中に体調を崩したり、作業後も含めて基礎疾患が悪化したりという事案が少なからず発生している現状もございますので、労働災害防止対策だけではなく、現場で働く方の健康管理に力を入れる必要があるというふうに考えております。

 このため、先ほど御指摘いただきました、先週金曜日に大臣から発表させていただきましたように、下請企業の方を含めて、東電福島第一原発で働く全ての方の健康管理のために、現場で働く方々が医師等に対しまして気軽に健康相談ができる相談窓口を設置したいと考えておりまして、七月上旬までを目途に開設すべく、現在、労災病院、産業医科大学等の関係機関と調整を進めているところでございます。

塩川委員 私は、この間、東電の広瀬社長にも求めてきたのが、一F内における救急医療室の拡充の話でありまして、医師のローテーションもなかなかやりくりが大変だという話もしておられましたけれども、そういった専任の医師の配置を強化する問題ですとか、あるいは、ドクターヘリの問題なんかについても、これまでは、一Fの敷地内でランデブーポイントが設けられていないわけですよね、双葉側のところに設置をするような状況になっているわけですから。そういった点について、関係者の御理解を得て対策を進めていく。

 やはり、事故、労働災害が起こった現場の直近で医療の支援がしっかりと行われるということが重要だと思うんですが、そういった、当然事業者の、東電の責任として行うべき労働安全衛生の仕事があるわけですけれども、それと今回の厚労省がやろうとしているものの違いといいますか、その辺で、プラスしてということに当然なるんだと思うんですけれども、その考え方はどうなっていますか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、労働者の健康管理につきましては、一義的には東京電力において進めていただくということが大事であるというふうに考えております。このため、昨年の八月にガイドラインを発出いたしまして、日常的な健康管理の実施も求めているところでございますし、その実施状況を福島労働局富岡労働基準監督署において指導をしているところでございます。

 ただ、一方で、今お話がありましたように、東電におきましても医療体制の整備に御努力いただいておりますが、やはり、働く方々から見ると、東京電力ということではなかなか相談しにくい内容であっても、国による健康相談窓口には相談ができるというようなことも想定をされるかというふうに考えておりますので、こういった方々の健康相談に幅広く対応できるように今回の窓口を設置していきたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 そういう点でも、それぞれ、東電としての責任をしっかりと果たしてもらうと同時に、やはり一Fの労働者の皆さんの健康管理に対して万全の体制で臨んでいく、それが事故収束、廃炉対策を着実に進めていく大きな力になるという立場で、しっかりとした対応を求めたいと思います。

 そういう相談窓口の場所の問題なんかも、当然、工夫も必要だと思っておりますので、そういった労働者の方の通勤経路ですとか、場合によっては一Fの中に置いたっていいんじゃないかと思うんですよね。そういったことを含めて、立地の問題についてもしっかりとした対応を求めたいと思うんですが、その点はいかがですか。

土屋政府参考人 現在、設置場所も含めまして調整中でございますが、今御指摘がありましたように、相談される方が立ち寄りやすい場所、特に一Fの構内も含めて検討してまいりたいと思います。

塩川委員 作業環境の改善、健康管理に万全を期すことを強く求めておくものであります。

 残りの時間で、熊本地震のアスベストの飛散、暴露防止対策についてお尋ねをいたします。

 熊本地震における建物解体の際のアスベスト対策について、既に我が党は政府への申し入れも行ってまいりました。

 熊本地震で壊れたビルや家屋から、発がん性がある有害物質のアスベストが飛散する危険性が指摘をされています。阪神大震災のときには、瓦れき撤去作業に従事した労働者の方が健康被害で亡くなるという事例もありました。東日本大震災でも、大気中のアスベストの濃度が通常を大きく上回る事例があったと承知をしております。

 そこで、環境省にお聞きしますが、このような瓦れきの置き場や倒壊家屋の密集地域、多くの人が集まる避難所や学校周辺など、アスベストの大気中濃度の測定、調査を実施することが必要だと思います。これまでの対応と、今後どのように取り組んでいくのかについて確認をしたい。

高橋政府参考人 熊本地震に関するアスベストの大気中濃度の調査でございますけれども、これにつきましては、既に熊本県及び熊本市が、国立環境研究所や埼玉県の支援を得て、今月上旬から実施をされているというふうに認識をしてございます。

 また、環境省といたしましても、アスベストの飛散防止対策や被災した住民の暴露防止対策の観点から、熊本県及び大分県の計二十地点程度においてアスベストの大気中濃度の調査に近く取りかかることにして、今準備をしてございます。

 具体的な測定地点としては、今御指摘もございましたけれども、全壊、半壊等をしている建築物が多くある場所でございますとか、それらの解体現場、あるいは瓦れきの集積所、避難所の周辺などを想定してございます。

 今後、熊本県や熊本市、大分県と調整をしながら、その大気中濃度の調査を実施してまいりたいと考えております。

塩川委員 ぜひ、まずは、その濃度調査で現状がどうなっているのかということをしっかり把握することが重要であります。

 その点でも、二十カ所でいいのかというのがあるわけですよ。ですから、もちろん必要な、瓦れきの置き場ですとか、倒壊家屋が集中している地域などで実際に解体撤去作業に当たるような方、あるいは住民の方の健康面でも、そういう場所での調査も必要ですけれども、避難所に加えて、例えば学校の近くですとか、やはり地元の住民の方が心配されるような、そういう場所での調査地点を設けることが必要なんじゃないのか。

 ですから、学校等も含めて調査ポイントをふやすということは、国の方が考えておらないですか。

高橋政府参考人 具体的な調査場所につきましては、いずれにしても、今後、地元の調査もいたしまして、地元とよく相談をして、それから、先ほど申し上げた国立環境研究所における調査なども参考にしながら、具体的に調整をしてまいりたいと考えております。

塩川委員 調査ポイントをふやして、学校周辺も入れるという立場で臨めばいいと思うんですけれども、そういうふうにする考えはありませんか。

高橋政府参考人 調査につきましては、一度だけということではなくて継続的にやっていきたいと思いますけれども、そういうことも含めて、県の意見もよく聞いて選定をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 調査ポイントをしっかりふやして、心配に応えるような、そういった実態の把握というのをやっていただきたい。

 それと、実際に地震で壊れたビルですとか木造家屋があるわけですけれども、そういった地震で損壊したビルのアスベストの含有の調査がどうなっているか。また、木造の倒壊家屋のアスベスト調査というのはやっていないというふうに承知しているんですけれども、その点についてはどうですか。

高橋政府参考人 まず、アスベスト含有建材の調査でございますけれども、これまでのところ、熊本県、熊本市におかれまして益城町などを調査されてございまして、具体的には、県の方で百五十九の被災建築物の調査をされて、アスベストが使用されている可能性がある建物は三件、それから、熊本市の方の調査でございますと、二百八十七件の被災建築物のうち、アスベストが使用されている可能性がある建築物は三十七件というような結果が出ているというふうに把握をしてございます。

 また、御指摘のございました木造家屋につきましては、一般的に、飛散性のアスベストが使用されている可能性は低いというふうに認識してございます。他方で、石綿含有成形板、こういうものは使用されている可能性がございます。こういうものは、セメント等で固化されておりますので、通常の状態では飛散をしないということでございますけれども、今後、木造家屋の解体等の作業において、こういう石綿含有成形板を切断したり破砕したりという際には飛散をする可能性もございますので、これは飛散防止マニュアルもつくってございますけれども、これらの適切な取り扱いについて、県や市にお知らせをし、また解体業者にも指導していただくように通知をしてございます。

 これも含めて、県、市と連携をしながら、今後、解体作業が本格化してまいると思いますので、万全を期してまいりたいと思っております。

塩川委員 余震も続いていますから、ビルでも実際にはさらに亀裂が広がるとか、中で、前回目視で確認できなかったようなところにも実際にはアスベストが使われていたということだって起こりかねないわけですから、引き続きそういったビル等の調査も求めたいと思いますし、やはり、木造家屋におきましても、お話あったように、成形板等、スレートなんかも使われているわけですよ。古い住宅が多ければ、なおさらそういう可能性というのは高いわけですね。

 皆さん、倒壊家屋のところで、家屋の解体撤去の際に、やはり思い出の品を取り出したい、解体撤去する作業のところに立ち会ってそういった品を取り出したいというふうに、立ち会っている方なんかもいらっしゃるんですよ。ですから、散水して、水をまいて粉じんが立たないようにして、アスベストを吸引しないようにするというのができない。いわば、水をまいちゃうと貴重なものがぬれてしまうということなんかもあって、なかなか実態は、本当にアスベストの粉じん、暴露防止対策になっているのかという心配もあるわけです。

 そういった点でも、事業者に対するきちんとした指導を行うのと同時に、そういった現場の実態を踏まえた対応ということが必要だ。

 最後に、大臣に伺いたいんですけれども、このような熊本地震でアスベストの飛散、暴露によって健康を害されることがないように、解体作業に従事する労働者の方、また近隣住民の健康被害を絶対に起こさないという立場でも、しっかりとした実態調査を求めたいと思いますし、対応策に万全を期していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 今回の地震に際して、我々もいち早く、熊本県また熊本市に対して、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル、飛散防止をこのマニュアルに沿って行っていただけるようお願いをし、そしてまた、厚生労働省と連名で、解体工事等におけるアスベストの飛散防止対策についても通知をいたしました。

 県も市も、これまでのところ、非常によく認識を持って対応していただいているという認識でございますが、今後、県、市と協力しながら調査を進めていく上においては、やはり先生御指摘のような視点をきちんと踏まえて、よく周辺環境について住民の方の御理解を得られるよう努力をしてまいりたいと思います。

 また、今後とも、今回の反省を踏まえて、見直すべき点がないかどうかということについても今後も見てまいりたいと思いますので、引き続き飛散防止対策にしっかり取り組んでまいります。

塩川委員 先ほど玉城さんも取り上げたような総務省の勧告などを踏まえたこういった災害時におけるアスベスト対策に対してもさらなる改善を求めて、質問を終わります。

赤澤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 本日は、世界自然保護会議について伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 自然や自然資源の保全と持続可能な利用に関する世界最大のネットワークであるIUCNが主催する世界自然保護会議が、ことし九月に第六回会議としてアメリカのハワイで開催されることとなっております。

 IUCNは、絶滅に瀕する生物種を調査したレッドデータブックなどで知られた組織で、我が国の自然環境の保護、保全を進める上でも大きな役割を担っていることと思います。

 政府としましては、このIUCNが世界の地球環境の保護に果たしている役割をどのように捉えているのか、また、四年に一度開かれる世界自然保護会議の意義についてどのように認識されているのか、伺いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 IUCNは、世界の貴重な自然環境の保全や野生動植物の保護を図るために活動することを目的とした国際的団体で、各国政府、政府機関、国内及び国際的非政府機関が会員となっています。

 具体的な活動としましては、約一万人の科学者と専門家のネットワークを活用して、野生生物の保護や、自然環境及び自然資源の保全に関する調査研究、開発途上国への支援などを行っています。

 世界自然保護会議は、環境保全と世界規模の課題に対する自然による解決策の活用を目的として四年ごとに行われる会議であり、会員総会とそれにあわせて行われる世界自然保護フォーラムで構成されます。

 会員総会では、IUCNの一般的政策の決定、プログラムと予算の承認、国際的な自然保護の主要な課題への対応に関する議論などが行われると承知しております。

河野(正)委員 今、内容もちょっと触れていただきましたが、ことし九月の世界自然保護会議ではどのような議題が設定されていて、また開催に当たって政府がどのような姿勢で取り組んでおられるのかを教えていただきたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 ことし九月にハワイで開催される第六回世界自然保護会議のテーマは、プラネット・アット・ザ・クロスロード、岐路に立つ地球とされており、自然環境の保全に関する幅広い議論がなされる予定です。

 この会議には、我が国より環境省及び関係省庁からの代表団が出席し、世界の自然環境の保全に向けた議論に参画してまいります。

河野(正)委員 世界自然保護会議の第七回開催国は、これから各国が誘致に向けて名乗りを上げ、審査された上で決定されていくことになるかと思います。この開催国がどのようなプロセスで決まっていくのか、政府としての認識を確認させていただきたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 IUCN憲章によれば、世界自然保護会議の開催国については地域バランスを考慮して選定することとされていますが、これ以外に明文化された規定はありません。

 なお、ことし九月に開催されるハワイでございますが、第六回世界自然保護会議の場合でございますが、三年前の平成二十五年五月を締め切りとして誘致の関心表明が募られまして、その後、立候補国からの提案書の受け付け、IUCN評価チームによる現地視察、覚書の交渉などを経て、IUCN理事会にて開催国の決定に至ったと承知しております。

河野(正)委員 このような地球環境を議論する世界規模の会議が開かれることというのは、我が国にとってどのようなメリットがあると考えられているのか、政府の認識を伺いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 世界自然保護会議の開催は、自然環境の保全に関する我が国国内の普及啓発及び我が国の環境問題への取り組みに対する対外発信の観点などから、一定の効果があることは考えられます。

 しかし、その効果の発揮は、会議が開催されるタイミングや開催国の機運に左右されるものと考えられます。

 一方、生物多様性条約締約国会議と異なり、開催国が議長として議論を主導することはないなど、開催国政府の存在感は必ずしも大きくないため、我が国での会議開催については費用対効果の観点からも慎重な検討が必要と考えております。

河野(正)委員 第七回世界自然保護会議が開かれる二〇二〇年は、持続可能な開発の世界保全戦略による提案から四十周年に当たる年になります。加えて、生物多様性条約第十回締約国会議で世界が合意した愛知目標の最終年にも当たり、以降の国際目標の出発点にもなるかと思います。

 このような大きな節目の年でもある二〇二〇年に世界自然保護会議を我が国で開催するということは、これからの地球環境の保護、生物多様性の保全に先頭を切って取り組む姿勢を世界に示すことにつながっていくのではないかと思います。

 世界を見渡してもまれに見るような東日本大震災という大災害に直面し、それを国の内外の支援、協力を得て乗り越えようと取り組んできた我が国において、国や地域の自然資源の保全、持続可能な利用を国際社会一丸となって議論する場が我が国で持たれる、開かれるということは、人類と災害、そして自然環境の保護、利用に、世界とともに、それをリードして取り組むことをアピールできる絶好の機会ではないでしょうか。

 今局長の方からもお話があったように、費用対効果を十分検証しなければいけないということと、開催国といってもそれほどのメリットはないんじゃないかというお言葉もありましたが、二〇二〇年、第七回世界自然保護会議の開催国として名乗りを上げるべきという意見もございます。丸川大臣のお考えを伺いたいと思います。

丸川国務大臣 二〇二〇年はいろいろな意味で節目の年であると思います。先生が今御指摘いただいたようなさまざまな区切りもございますし、一方でオリンピックの開催ということも控えているわけでございます。そうしたタイミングで我が国で開催することが我が国にとってメリットがあるのかどうかということをまず見きわめる必要があろうかと思います。

 加えて、日本で開催することの意義と、一方ではやはり予算あるいは体制が十分に整うのかということと、それから生まれる効果がそのタイミングでどのように波及をしていくのかということも見きわめなければいけないと思いますので、やはり政府全体として、全体的に二〇二〇年に抱えているものというのをよく見た上で検討する必要があろうかと思っております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 今、インバウンドなどといって、外国人観光客による世界経済の活性化ということが言われております。私も福岡の出身ですので、非常にそういった意味では、アジアのゲートウエーとしてたくさんの外国人の方が来られて地域経済が活性化しているんじゃないかなというふうに認識をしているところであります。

 IRの議論についてはなかなか進んでいないように思っておりますけれども、MICEなど、国際会議で我が国経済を活性化させていくという施策も大変に重要なことではないかなというふうに考えております。

 この会議は、世界から、関係者を含めて一万人規模の大規模な会議になるというふうにも聞いております。これまで、カナダやヨルダン、タイ、スペイン、韓国など、さまざまな地域で開催されてきたということです。開催に当たっては、開催地となる自治体や国の内外で活動する環境団体の協力も欠かせません。非常に大きなイベントになるかと思います。

 大臣言われましたように、二〇二〇年、我が国ではたくさんのイベントというか行事が予定されておりまして、政府としても非常に大変なのかなというふうに思っておりますが、国から自治体や環境団体に対してこのような世界会議が開かれることを告知して、関心がある自治体に対して積極的に情報を提供するなど、国として世界会議の誘致に向けて機運を高める取り組みも進めたらいかがかというふうに考えますが、最後に改めて政府の考え方を伺いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年の第七回会議を誘致することにつきましては、その意義や効果を十分に見きわめる必要があると認識しておりますが、仮に世界自然保護会議の日本への誘致を行うとすれば、国内のIUCN会員団体や開催地となります自治体等の関係者への呼びかけや調整を行うことが必要になると想定されております。

河野(正)委員 十分に検討していただいて、やはりそういった国際会議ということで海外からお客様を招く、そういったことによって、地域の経済も活性化しますし、環境問題を本当に真剣に学び直すいい機会にもなるかと思いますので、そういった検討がされることを提案しておきます。

 時間がまだちょっと残っておりますけれども、次に小沢委員が控えておりますので、交代したいと思います。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 おおさか維新の会の小沢鋭仁でございます。

 きょうは最後のバッターということでございますが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 テーマは違うんですが、まず最近開かれた国際会議、日中韓三カ国環境大臣会合であるとかあるいはG7の環境大臣会合の話を幾つかお聞かせいただきたいと思います。

 まず日中韓の三カ国環境大臣会合ですが、「大気汚染防止へ日中韓が覚書」、こういう記事が四月二十七日付の新聞に載っておりました。

 いわゆる越境の問題、PM二・五、海洋ごみ、それから黄砂、あるいは酸性雨、そういった意味では海を越えてこういった問題が日本に押し寄せているということでございまして、私もそういった問題に対応した経験があるんですが、なかなか、中国、また海洋ごみでは韓国もそうですけれども、それぞれの国がそういった責任を認めない、こういうことで大変歯がゆい思いをしてきたわけであります。

 今回、話を事務方から聞きますと、かなりこういった問題に中国も真剣に取り組むようになってきているというふうに聞いておりますし、新聞報道ではそういった覚書もつくれたという話でございますが、例えば黄砂の問題、PM二・五の問題、日本の国民が安心していられるようになったのかどうか、あるいはそうなっていくのかどうか、その辺の御報告をいただければありがたいと思います。

丸川国務大臣 御質問ありがとうございます。

 先月、静岡市で開催しました第十八回日中韓三カ国環境大臣会合において、私は中国の陳環境保護部長と初めてお目にかかりましたが、極めて率直な意見交換をすることができたと思っております。特に、環境問題の改善に向けては、かなり積極的に取り組んでおられる姿勢をうかがうことができました。

 中国国内において二〇一五年に施行されました改正環境保護法でございますが、これを通じて、地方自治体に対しての監督の強化ということや企業への処罰等の厳格化に取り組んで、大気汚染や水環境の改善につなげているのだという御報告がありました。ルール、制度もさることながら、それをいかに機能させるかということについて、強い関心を持って、熱心に取り組んでおられるという御様子でありました。

 そしてまた、環境協力の面においても、日中韓三カ国で環境汚染防止・抑制技術のための三カ国協力ネットワークを新たに立ち上げることに合意いたしましたが、これは我々が持っている技術を、お互いにニーズと技術をマッチングさせるというようなことで、お互いにプラス、ウィン・ウィンの関係を築いていくことができるということが日中韓の間で成り立っているということだと思います。

 加えて、二国間で、日中の間では、大気汚染改善などの環境汚染対策と温室効果ガスの排出削減対策を同時に達成するコベネフィットアプローチ協力に署名をいたしました。これまで多く先輩方が取り組まれてきた成果とも言えるのではないかと思いますが、今、日中間、大変いい関係で環境改善に取り組んでいる状況だと思います。

小沢(鋭)委員 ぜひその方向で、特にまた事務方の積み上げの会議等を開いてやっていただきたいと思うんですが、いわゆる黄砂とかいう話の原因がどうも大陸の側にあるというところまではお認めになったんでしょうかね。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 各国の間で、それぞれデータを今交換しております。その中で、それぞれの寄与についてもデータを交換しておりまして、その中で、お互いに誰が悪いとか彼が悪いとかいう言い合いはしておりませんけれども、協力して対策を進めていくんだという機運をちゃんとしっかりつくっているところでございます。

小沢(鋭)委員 国際問題ですから、そういった意味では誰が悪い彼が悪いというのはなかなか言いづらいのはわかりますけれども。

 そういったデータを事務方間できちっと精査して積み上げの議論をしていけばおのずと原因と結果はわかるわけで、原因がわからなければ対応のしようもないという話でありますから、ぜひ、繰り返しになりますが、日本の国民が安心していられるような、そういう対応をお進めいただきたいとまず申し上げたいと思います。

 次に、G7の環境大臣会合についてお尋ねしたいと思います。

 G7ではいろいろな幅広い議論がされたのは承知をしているわけですが、私、報道を見て驚きましたのは、食品ロスという問題が出ておりました。これはもしかしたら環境省が全て所管できる話じゃないとは承知をしているんですが、そういった食品ロスの問題がG7の一つのテーマだったということで、きょうはここで質問をさせていただきたい、こう思うわけであります。

 まず、この食品ロスの問題は貧困の問題とも大変関係もしてきていて、そういった観点で、実はフランスで食品廃棄禁止法というのがことしの二月ですか、できているんですね。例えば、今回の食品ロスの議論の中でこの食品廃棄禁止法の話等は出たんでしょうか。

丸川国務大臣 直接この法律について言及はございませんでしたけれども、複数の国から、食品のロスや食品廃棄物の削減が重要な取り組みであるという旨の発言、言及がございました。

小沢(鋭)委員 我が国でも、私が実はこれに関心を持っておりますのは、私の地元の山梨ではフードバンク山梨というNPO組織ができておりまして、米山さんという大変立派な女性の理事長の方が運営していますけれども、要は、そういった賞味期限切れというか、日本の場合は三分の一ルールとかいうのがあって、とにかく賞味期限の前には全部卸はそういったスーパー等に渡さなきゃいけないとか、あと、そこに間に合わなければもうそれで廃棄しちゃわなきゃいけない、こういうようないわゆる暗黙のルールがあるようですから、それを超しちゃったものに関しては、全然賞味期限切れでもないので、そういったものをもらっていろいろな諸団体に寄附をしていく、こういう構造の活動をしているわけです。

 そういった日本のある意味では食品ロスに関して、これはさっきも申し上げましたように環境省が全部所管できる話じゃないと思っているんですが、今回のG7の会合等で出ましたものですから、大臣としては、どのように認識をしていて、どのような取り組みが必要か、特に、フランスのそういった禁止法のような法律の作成、策定というようなことまでお考えになっているか。その辺の認識をお聞かせいただければと思います。

丸川国務大臣 食品ロスについては、SDGs、持続可能な開発のための国連目標十二の三に、実は、SDGsというのは余り具体的な数字的な目標がない中で、この十二の三のゴールだけは、二〇三〇年度までに世界全体の小売、消費レベルにおける一人当たりの食料廃棄を半減させというふうに、かなり具体的に書き込まれております。

 このSDGsの議論と、そして一方では、昨年のエルマウ・サミットの本体にも資源効率性、三Rということが、これは環境大臣会合ではなくて本体の方に書かれているということに私は非常に大きな意味があると思っているんですが、そうした資源効率性、三Rの流れがあって、こうしたものに統合的、水平的に政策として取り組んでいくという上において、これは我が国もSDGsの推進本部を立ち上げたわけでございますので、より具体的に取り組んでいくことは政府として極めて重要な課題だと私は認識をしております。

 そうした中で、今々私たちが持っている法律といいますと食品リサイクル法がございまして、そこで発生抑制の目標を三十一業種の食品関連事業者について設定しておるわけですが、努力義務として、今委員がおっしゃったフードバンクの活用ということが法律に基づく基本方針に書き込まれております。

 非常に重要な視点と認識をしておりますので、今後、もちろん関係省庁の協力がなければ進まないことではありますけれども、こうした取り組みを含む、自治体、NPOなどが連携した取り組みを支援してまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 食品ロスに関連する省庁というのは、一体どことどこになりますかね。

丸川国務大臣 消費者庁が一応連携の間をとっておりまして、我が省とそして農林水産省ということになります。

小沢(鋭)委員 最近よく取り上げられる貧困の問題というのは、格差の問題、貧困の問題ですけれども、決して日本は他人事ではないんだろうと思うんですね。

 資料を見ますと、OECDの加盟国三十四カ国のうち、日本は十一番目に貧困率が高い国に既になってしまっているということでありますし、十七歳までの子供の六人に一人は貧困にある。ちなみに、生活保護を受けている人数は二百十七万人。こういう問題を日本でも抱えていて、そして、食べ物というのは、もう当たり前のことでありますが、生きていくために水と食べ物は絶対必要不可欠なもので、それが食べられないという話は、こんなにつらいことはない、不幸なことはない、こういうことだろうと思います。

 そして、同時に、食品ロス、余ったものの廃棄が大変多くなっているということでありますから、ぜひそこは消費者庁や農水省とも連携をとってこの問題に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。

 これは、フランスでは禁止法ができておりますが、世界を見ると、イギリスでも、ソーシャルスーパーマーケット、こういうような低所得者向けのマーケットができたりとかしているわけでありまして、日本でもそういう動きが出てくればいいなと思いますので、ぜひ、大臣におかれましては、繰り返しになりますが、関連省庁に働きかけを行ってこの問題をお進めいただきたいと要請をしておきたいと思います。

 日本は、ちなみに、もったいないという言葉をずっと持っているわけでありまして、そういったまさに言葉を持っている国としてもしっかりそれに取り組んでいただきたい、こういうふうに思うところでございます。

 それでは、あと、今度は、災害廃棄物の問題についてお聞かせをいただきたいと思います。

 最後のバッターでございますので、もう既に質問が出てきているかと思いますが、今回の熊本での震災の災害廃棄物の処理状況でございます。

 「熊本県方針 地震がれき処理「二年以内」」、こういう新聞報道があります。五月十九日付の報道であります。阪神・淡路大震災の処理期間が約三年、新潟中越地震が約三年、東日本大震災が約三年、こういうことでありまして、今回の熊本地震の瓦れき処理を二年以内にという目標を県の方では掲げているようであります。同時に、熊本県は、県外の自治体などの協力を得て広域処理を進め、期間を短縮したい、こう言っているわけであります。

 時間になりましたから一緒に質問させていただきますが、その処理状況と、それから、環境省は、三月に、大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方の中で、ある意味でこれと同じような、広域処理の連携のためのガイドラインを作成するという方針を確認しているわけでありますけれども、こういった広域処理についての取り組み、その状況をお聞かせいただけますでしょうか。

鎌形政府参考人 熊本地震の災害廃棄物の処理状況とそれから広域処理の考え方ということでございます。

 まず、処理状況につきましては、どれだけの発生量があるかという推計は百万トンから百三十万トンという推計を出しております。

 そこで、熊本県の方で、二年以内に処理を終了する、御指摘ございましたようなそういった基本方針が示されたところでございます。さらに、その後、処理を進めるために、熊本県が幾つかの自治体から事務委託を受けて実施していく、こういうことが決まってございます。

 具体的には、宇土市、南阿蘇村、御船町、嘉島町、益城町、甲佐町、この六市町村から、県がその災害廃棄物の事務委託を受けてほしい、こういう要請がありまして、受託することを決めた、こういう形で体制を整えてございます。

 これらを踏まえて、今、環境省の現地支援チーム、発災直後から入ってございますが、処理実行計画の策定に向けた検討や家屋解体に向けた体制整備について支援をしている、こういう状況でございます。

 そこで、広域処理についての考え方でございますけれども、環境省といたしましては、広域処理が必要になった場合には環境省が積極的に調整に入る、こういうことを申し上げているところでございます。

 それで、御指摘もございましたが、環境省の方では、災害廃棄物対策の今後のあり方ということで、広域処理についてのガイドラインを作成するというような方針でございますが、これはまだ現在できておりませんけれども、これまで地域ブロック別の協議会などで関係者の議論をよく進めてきたということも踏まえて熊本地震に対応していきたいと思いますけれども、そういったことも踏まえまして、広域処理についてもガイドラインの作成につなげていきたい、このように考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 広域処理がずっと言われてきているにもかかわらず進まない原因というのは、一体どういうふうにお考えになっているんでしょうか。

 というのは、東日本大震災のときも広域処理という議論がありました。そして、私も、ささやかながら実はそういう活動をさせていただいて、環境省の皆さんにも御苦労いただいた部分があるんです。

 時間もありませんから端的に申し上げると、広域処理が進まない一つの理由は、受け入れ地域の反対運動が起こるということですね。それからもう一つは、これが意外と言われていないことなんですけれども、被災した地域の民間事業者が自分たちの仕事としてそれを囲ってしまうので、広域処理に出さないというか、反対をする。この二つがあるんですね。その二つがあるために、なかなか広域処理が進まない。

 そうすると、例えば、仮置き場でずっと災害廃棄物をためておきますと何が起こるかというと、燃えるんですね。ガスがたまって、ぶすぶすと煙が出たりする。もちろん、だから、その燃えるまでも、においだとかあるいはまたハエだとかのそういった問題というのが起こるわけですが、最終的には、ガスがたまって、燃えちゃう。そんなことが起こっても広域処理が進まない、こういう話でありまして、私はそのときに、船を使って全く違うところに、固有名詞はやめますが、そこに運んで、そこで処理をしたらいいじゃないかという話をしたけれども、結局できなかった。

 ということでありまして、それは、住民運動の反対と、住民運動というのは受け入れ地の住民運動の反対、これは原子力の問題とは全然別ですよ、普通のごみですけれども、反対と、それから、民間業者の反対ということがありました。

 こういった問題にきちっと対応してもらいたいと思いますが、それについてのお考えをお聞かせください。

鎌形政府参考人 広域処理についてのお尋ねでございますが、今回の地震におきましても、実は、九州、あるいは九州以外のところも含めてですけれども、例えば、ごみ収集車を派遣してもらって収集に当たりますとか、あるいは、それぞれその収集したごみをお持ち帰りいただいてその場所で焼却するという意味の、広範囲にわたる協力を得ながらの処理というのが進み始めているところでございます。

 今後、家屋などの解体で大量の瓦れきを処理していくということになりますので、基本的には、災害廃棄物は一般廃棄物なので、市町村の区域内での民間の事業者を活用していくというのが基本になりますけれども、ただ、それを前提にしつつも、迅速かつ適正に処理するために、必要に応じて広域での処理をお願いするということで、先ほど申しましたように、被災の市町村や民間事業者との協力につきまして、緊密に連携して取り組めるように環境省が積極的に調整に入る、こういうことで対応を進めていきたいと考えております。

小沢(鋭)委員 ぜひ頑張っていただいて、一日も早い処理を進めていただきたいとお願い申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十八分散会


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