衆議院

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第11号 平成13年2月23日(金曜日)

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平成十三年二月二十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 自見庄三郎君

   理事 細田 博之君 理事 池田 元久君

   理事 佐藤 観樹君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      池田 行彦君    石川 要三君

      大原 一三君    岡下 信子君

      梶山 弘志君    亀井 善之君

      栗原 博久君    塩川正十郎君

      田中 和徳君    田中眞紀子君

      高鳥  修君    谷川 和穗君

      津島 雄二君    中山 正暉君

      丹羽 雄哉君    西川 京子君

      葉梨 信行君    萩野 浩基君

      牧野 隆守君    増原 義剛君

      松宮  勲君    三ッ林隆志君

      宮澤 洋一君    宮本 一三君

      森岡 正宏君    八代 英太君

      山本 明彦君    吉野 正芳君

      五十嵐文彦君    井上 和雄君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      海江田万里君    金子善次郎君

      城島 正光君    中田  宏君

      永田 寿康君    平岡 秀夫君

      松野 頼久君    松原  仁君

      山田 敏雅君    上田  勇君

      白保 台一君    東  順治君

      若松 謙維君    鈴木 淑夫君

      達増 拓也君    土田 龍司君

      中井  洽君    藤島 正之君

      佐々木憲昭君    中林よし子君

      藤木 洋子君    辻元 清美君

      東門美津子君    横光 克彦君

      井上 喜一君    松浪健四郎君

      森田 健作君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   法務大臣         高村 正彦君

   外務大臣         河野 洋平君

   財務大臣         宮澤 喜一君

   文部科学大臣       町村 信孝君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       谷津 義男君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国土交通大臣       扇  千景君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 伊吹 文明君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      斉藤斗志二君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)           橋本龍太郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 麻生 太郎君

   内閣府副大臣       村井  仁君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   法務副大臣        長勢 甚遠君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   文部科学副大臣      河村 建夫君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   防衛庁長官政務官     岩屋  毅君

   防衛庁長官政務官     米田 建三君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   石川 重明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    坂東 自朗君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   守屋 武昌君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  柳澤 協二君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    伊藤 康成君

   政府参考人

   (外務大臣官房長)    飯村  豊君

   政府参考人

   (外務大臣官房審議官)  滑川 雅士君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    溝口善兵衛君

   政府参考人

   (水産庁長官)      渡辺 好明君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  石川 要三君     増原 義剛君

  大原 一三君     岡下 信子君

  奥野 誠亮君     森岡 正宏君

  亀井 善之君     梶山 弘志君

  栗原 博久君     西川 京子君

  葉梨 信行君     宮澤 洋一君

  三塚  博君     吉野 正芳君

  岩國 哲人君     井上 和雄君

  仙谷 由人君     山田 敏雅君

  中田  宏君     永田 寿康君

  白保 台一君     東  順治君

  若松 謙維君     上田  勇君

  鈴木 淑夫君     土田 龍司君

  達増 拓也君     藤島 正之君

  山口 富男君     藤木 洋子君

  辻元 清美君     東門美津子君

  井上 喜一君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 信子君     大原 一三君

  梶山 弘志君     田中 和徳君

  西川 京子君     松宮  勲君

  増原 義剛君     石川 要三君

  宮澤 洋一君     葉梨 信行君

  森岡 正宏君     奥野 誠亮君

  吉野 正芳君     三ッ林隆志君

  井上 和雄君     松原  仁君

  永田 寿康君     中田  宏君

  山田 敏雅君     仙谷 由人君

  上田  勇君     若松 謙維君

  東  順治君     白保 台一君

  土田 龍司君     鈴木 淑夫君

  藤島 正之君     達増 拓也君

  藤木 洋子君     中林よし子君

  東門美津子君     辻元 清美君

  松浪健四郎君     井上 喜一君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     亀井 善之君

  松宮  勲君     栗原 博久君

  三ッ林隆志君     山本 明彦君

  松原  仁君     岩國 哲人君

  中林よし子君     山口 富男君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 明彦君     三塚  博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算




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     ――――◇―――――

野呂田委員長 これより会議を開きます。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長石川重明君、警察庁刑事局長五十嵐忠行君、警察庁交通局長坂東自朗君、防衛庁長官官房長守屋武昌君、防衛庁人事教育局長柳澤協二君、外務大臣官房長飯村豊君、外務大臣官房審議官滑川雅士君、財務省国際局長溝口善兵衛君、水産庁長官渡辺好明君、国土交通省道路局長大石久和君、国土交通省鉄道局長安富正文君、国土交通省航空局長深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森岡正宏君。

森岡委員 皆さん、おはようございます。私は、自由民主党の森岡正宏でございます。

 政治に対する国民の信頼を裏切るような事件が相次いでおります。その一つが秘書給与をめぐる問題であり、昨年、民主党の山本譲司当時の衆議院議員が秘書の給与を横取りしたという事件がございました。そしてまた、KSD事件では、秘書給与の肩がわりをするという容疑が明らかになってまいりました。

 私は、長い間議員秘書を務め、秘書制度のあり方、また秘書給与のあり方などとかかわってまいりました。そんなことから、これは本来立法府の問題だと思うわけでございます。野党の皆さん方にもよく考えていただきたいと思いまして、私は、問題提起の意味から、秘書制度のあり方や給与問題に触れさせていただきたいと思うわけでございます。

 まず、秘書給与をめぐる不祥事について、公設秘書の給与は国の予算から出ているわけでございます。財務大臣から簡単に御感想をいただきたいと思います。

宮澤国務大臣 言語道断と申すしかありません。それはきっと今日の御所見の主題になるんだろうと思いますが、秘書というものをどう考え、議員秘書というものをどういうものとして考えるかというところに立ち至るべき問題であろうと思います。

森岡委員 ありがとうございます。

 御承知のとおり、我が国の国会議員の秘書制度は、政策担当秘書を含めまして公設秘書三名まで税金のお金で給与が出されているわけでございます。しかし、あとの私設秘書と呼ばれている人たちの給与は、私たちが集めます政治資金でありますとか、それぞれの政党の支部に対する寄附金、そしてまた議員のポケットマネーから支払われているわけでございます。

 今の厳しい小選挙区制の中にありまして、私たちが、きめ細かく選挙区の要望を把握したり、有権者と接していこうとすれば、相応の秘書の数、そしてやはり人件費も相当にわたるわけでございまして、私たちの政治活動費の中に占める人件費の割合は非常に重いものがあるわけでございます。

 私のような一期生でも、公設秘書以外に、東京と選挙区合わせまして七名の私設秘書と職員を抱えております。先生方によりましては、また選挙区の規模によりましては、二十人以上の秘書を抱えておられる方もいらっしゃると思います。野党の皆さんもいらっしゃると思いますよ。

 そういうことを考えますと、今財務大臣がおっしゃったように、秘書の存在というものは非常に大きいわけでございます。土曜日であろうが日曜日であろうが、我々議員のために、議員のかわりになって働いてくれている。そして、私たちの政治活動を支えてくれているわけでございます。だから、簡単に私たちは人件費を削るわけにいかないわけでございます。

 ところが、議員にとりましては、この人件費が大変な負担になってくるものですから、何とかして秘書の給与を低く抑えたいという気持ちが働きます。そこで、給与のピンはねが行われたり、あの山本譲司議員のように秘書の給与を横取りするというような事件まで起こってくるわけでございます。

 また、私は長い間秘書制度にかかわってまいりましたものですから、公設秘書の給料を二人分に割って渡すというような議員もあるというようなことを耳にしてまいりました。また、与野党を問わず、配偶者や子供を公設秘書にしている議員も多いようであります。秘書の登録は親族にして、そして実際の仕事は安い給料で私設秘書にやらせている、そういう事務所もあると聞いたりしているわけでございます。

 私は、このような実態を聞くにつけ、今ほど政治家の倫理を問われているときはない、それであるのに、またこのままほうっておくと、第二、第三の山本譲司が生まれてくるのじゃないか、そういうことを危惧しているわけでございます。

 そこで、アメリカでは、下院議員には、事務経費も含めた額でございますけれども、約一億円の代表手当というのが渡されまして、そのうちの五、六千万が秘書の雇用手当に充てられているわけでございます。下院では、常勤秘書を十八名、非常勤秘書を四名雇うことを認められております。そして、それぞれ秘書の給料には上限と下限が決められておるわけでございます。また、上院では、選出される州の人口によりまして、大体一億三千万から二億三千万ぐらいに相当するようでございますが、平均して議員一人当たり四十二名の公設秘書が働いているわけでございます。このようにしてアメリカでは立法機能が確保されている、こういう状況でございます。

 そして、アメリカでは、両院の秘書とも任命権者である議員に政治献金を行うことは禁止されております。また、縁者法、これは親類縁者という縁者でございますが、縁者法という法律で、議員の配偶者、子供、兄弟その他の縁者は秘書に採用できないということになっているわけでございます。

 不正が起こらないようにするにはどうすればいいと思われますでしょうか、財務大臣。そして、私は、このアメリカの法律を日本も取り入れたらいいじゃないか、そんなふうに思うわけでございますが、国家財政を担当しておられる財務大臣の立場からコメントをお願いしたいと思います。

宮澤国務大臣 事の起こりは、恐らく秘書というものを、お互いそうでございますが、最初の考え方は、やはり身の回りの世話をしてくれる人、そういうことから自然に発生していると思うんです。それは同族会社を考えますとわかりますので、奥の方でだんなさんをいろいろお世話する、しかし、そんなことをやっていますと商売になりませんので、だんだん店の方はプロの番頭さんが来て取り仕切って、それでやっていけるわけでございますので、したがって、国会議員の秘書というものはやはり、殊に立法ということになればなおさらですけれども、それに至る前でも、実際私はプロフェッショナルでなければ務まらないだろうと思って見ております。そういきますと、女房や子供では、それはいいのもいるかもしれませんけれども、ちょっとプロフェッショナルかなということになりやすいわけですから、家計を助けるために秘書になってもらっては困るので、それは奥の方の仕事で、店の方の仕事じゃございません。

 というふうに整理しますと、国会議員が国政に、立法はもとよりいろいろ働かなければならないために要る秘書の経費というのは、これは国が見て当然であります。その数は、恐らく現在のようなことではとても足りない。恐らく、今の国会議員の皆さんを見ていても、私もそうですが、秘書一人、やはり年間五百万近くかかります、旅費まで入れますと。そんなの給料からは出せない。それだけ我々は給料をもらっていないわけですから。ですから、それはちょっとやはり無理があって、秘書というものをちゃんと定義した上で入り用なだけ国がそのための経費を出す。身分も公務員に近い身分ではないんでしょうか。制度としては当然そうあるべきだと思います。

森岡委員 ありがとうございました。

 李下に冠を正さずという言葉がございます。私は、アメリカの縁者法というものを参考にしながら、日本の秘書制度、あるべき姿を与野党一体になって検討すべきときを迎えているんじゃないかな、そんなふうに思うわけでございますし、また、秘書の給料をピンはねして献金をさせる、そんなこともやはり法律で縛らなければならないんじゃないか、そんなふうに思うわけでございます。

 次に、立法調査機能を高める目的で政策担当秘書というものが、約十年ほど前でございましょうか、設けられております。しかし、少しは立法機能がよくなったというふうにも思いますけれども、本来の使命が十分発揮されているとは言いがたいように思うわけでございます。

 先ほど触れましたように、アメリカでは、すべての政策について議員が立法活動ができるようなスタッフを抱えておられる、そういう制度が整備されているわけでございます。日本もそうなってほしいな。今財務大臣がお答えいただきましたように、実態と制度がうまくかみ合うような秘書制度であってほしいな。私たちは、秘書の給与が大変だ、だけれども三人しか国では面倒を見てもらえない、しかし実際仕事は大変なんだ、そして秘書が必要なんだ、そういう実態を考えますと、日本も秘書制度をしっかりとしたものにしていくことが、いい政治をやっていく、そういうことにつながるものだと思うわけでございます。

 我が国では、それぞれの政党に対して政党助成金や立法事務費が出ております。今の政治状況、政治に対する国民の信頼度を考えますと、とても、秘書の増員をまたお願いしたいというようなことになりますと、マスコミを初め、議員はお手盛りをやっているんじゃないか、そんなふうにおしかりを受けるんじゃないかと思います。しかし、私たちは、あるべき秘書制度というもの、スタッフの制度をどうするかということ、大変大事な問題だと思うわけでございます。ぜひ私は、この国会に、与野党が一体になってこういうことを研究する機関を設けていただきたいなということを提言したいと思うわけでございます。

 行政改革を担当しておられる橋本大臣、かつて大蔵大臣を務めておられたとき、私が秘書会長をやっておりまして、大変お世話になってまいりましたし、また、秘書制度のことについて大変お詳しい方でございます。少し、私見でも結構でございます、あるべき秘書制度、どうやって立法機能を高めていけばいいのかということについて橋本大臣の御所見を伺いたいと思います。

橋本国務大臣 今議員から、アメリカの秘書制度についても言及をされながら、特に秘書会会長として御苦労になった当時を振り返られての話がございました。当時、超党派の秘書協議会の皆さんと政策担当秘書をつくるつくらないで議論をさせていただいたことを思い起こしております。

 そして、これは本来、何といいましても国会でお決めになるべきことでありますし、また、秘書の給与に係る不正な取り扱いというものは、これは我々議員が毅然として対処する以外にないことでありますから、私がお答えをするのが適切かどうかわかりません。同時に、それぞれの国において、私はその制度というのはやはり異なるものがあると思います。

 そして、私自身、振り返ってみますと、初めて当選をいたしましたときに、頼りなかったものですから秘書のなり手がありませんで、一時期母を秘書として届けた時期もございました。その後に、一緒に仕事をしようという方が見つかり、それ以来自分の身内を秘書に使うということはなくて済んでおりますけれども、そういう意味では私は、まだまだ日本の秘書制度、殊に国会議員と秘書とのかかわりというものは検討を加える余地があるものと思います。

 そして、若いころ、何本かの議員立法を書きますころ、政策担当秘書といったようなものがありませんでしたから、自分で結構、資料を探すのも大変でした。政策担当秘書というものが生まれて議員立法の機能が強化されたという部分は確かに私はあると思っておりまして、そうした意味でも、今後も、院として検討を加えられるものに行政府の立場からどのようなお手伝いができるかは検討の課題だと思っております。

森岡委員 大臣、ありがとうございました。ぜひ、あるべき秘書制度というものを探っていけるような日本にしていきたいものだと思います。

 余り時間がございませんので、最後に、全く変わりますけれども、文化財保護と開発との調整について文部科学大臣と国土交通大臣にお伺いしたいと思うわけでございます。

 私の郷里は、文化財、文化遺産の宝庫になっております奈良でございます。これらを守っていこうという努力がなされている反面、幹線道路も整備できない、大変な交通渋滞、地下には文化財が埋まっている、そういう状況から保存と開発が絶えず問題になっているわけでございます。

 私たちは、歴史と現代に生きている人間が共存していく社会を求めていかなければならないわけでございまして、具体的に例を挙げて申し上げますが、奈良には百三十ヘクタールに上る平城宮跡がございます。奈良市のど真ん中にございまして、九八%国の買い上げが済みまして、約六〇%の調査が完了したところでございます。平成十年に朱雀門が完成し、今また文化庁の方で二〇一〇年完成を目指しまして大極殿院の復元が進められているところでございます。

 一方、この平城宮跡の周辺に、京奈和自動車道という近畿圏にとりましてはまことに重要な高規格道路のルート決定、これを控えているわけでございまして、奈良市の部分だけがまだ決まっていないわけでございます。これは平城宮跡があるからということで、今国土交通省の方で地下調査、地下のボーリング調査をしていただいておりまして、地下を潜っても水脈との関係で、地下に眠っている木簡とか文化財、文化遺産が壊されることがないだろうかどうかということをやっていただいているわけでございます。

 しかし、私たち今生きている者にとりましては、道路をつけること、これも大変大事でございます。奈良市内、どこを掘っても文化財、文化遺産が出てくる、そんなことから、絶えずこういう問題に突き当たるわけでございます。

 私は、立場は違うだろうと思いますが、文部科学省と国土交通省は、どんなふうにしてこの文化財保護と開発との調整を図っていかれるのか。そして、今もこの問題につきまして奈良では、木簡学会などの人たちが、この文化財、文化遺産、そして平城宮跡を守るためには指一本触れちゃいかぬというような姿勢をとり続けておられます。

 こんな問題に対しまして、文部科学大臣とそれから国土交通大臣、双方の立場から、ぎりぎり、こういう調整についてどういう見解を持っておられるのか、伺いたいと思います。文部科学大臣からお願いをいたします。

町村国務大臣 文化財保護の重要性、そしてまた現在に生きる方々の利便性等との調和をどう図るか、大変難しい問題でございます。全国各地にそういう問題がありますが、特に奈良あるいは京都、そういう大変歴史のあるところではより一層切実な問題であろう、かように思っております。

 文化財保護法の中でも、もとより国民の財産である文化財を保護する必要性というのはうたわれているわけでありますが、同時に、文化財保護法第四条でも「関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。」という意味で、国民生活や経済活動との調整を行いながら文化財保護も適切にやっていくということの両方の必要性が述べられております。

 現実に、今、国土交通省と文部科学省との間で連絡協議会というものを設置して、全体の調整そして個別のプロジェクトごとの話の調整をしておりますし、さらに、こうした大変大規模な、奈良の都につきまして、今お話のあった京奈和自動車道ですか、こうした問題については、今度は個別にまた奈良の中で、関係省庁、奈良県庁でありますとかあるいは奈良市、あるいは教育委員会、道路事務所、さらには文化庁の方から直接出向いていって、そうした議論、調整をしているというようなことで、できる限りの調整を図る努力をこれからもまたやっていく必要があろう、こう思っております。

高橋副大臣 お答えいたします。

 文化財は我が国の歴史、文化に大変重要な問題でございまして、私どもは、社会資本の整備とともによく文化財保護ということを考えまして、今後、文化財保護部局との協議をしながら保存に努め、また社会資本の充実にも努めていきたい、こう思っております。

 京奈和線の自動車道につきましては、今後の進め方について、鉄道、私鉄の方は、あれをやる新たな路線として事業者においては並行する計画がないようでございますが、私どもは、関西大都市圏の外郭環状道路ということの機能を有する高規格道路でございますから、京都、奈良、和歌山の拠点都市の連携強化を図る意味で重要な道路と位置づけております。

 大和北道路については、奈良市の中心市街地や平城宮跡を初めとした極めて重要な文化財がありますので、文化財の保護、景観の保全等に配慮しながらルートの検討に必要な調査を進めていく、こういうことでございまして、今後とも、文化庁や奈良県等関係機関の御協力をいただいて、文化財の保護、景観の保全等に十分配慮して調査を進めていく、こういう姿勢でおります。

森岡委員 ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて森岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、西川京子君。

西川(京)委員 おはようございます。自由民主党の西川京子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、昨年からことしの新年に続いて大変マスコミ等でも取り上げられました有明海のノリ不作問題について御質問申し上げたいと思います。

 私も、一月の二十六日、古賀幹事長を座長とする与党幹事長と御一緒に現地の方に関係議員として入りまして、現地の様子をつぶさに見てまいりました。大変厳しい状況、漁民の皆様方の厳しい思いを肌で感じてまいりました。

 折も折、昨日、有明海福岡漁連の皆様が、有明、諫早干拓がこの問題に関係するかどうか、そういう思いがあったろうと思うのですが、この諫早干拓の即時中止と水門をあけろということで、干拓事務所の方とちょっとトラブルがあったようにお聞きいたしておりますが、農水大臣、その辺の状況と御所見をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

谷津国務大臣 西川先生、お地元だけに、この点については非常に御心痛のことと思います。私もまた同じ思いでもあります。

 実は夕べ、現場からの報告をずっと受けておりました。二十二日に福岡県の有明海漁連の組合員の方々千三百人が、諫早湾の干拓事業を視察した際に、現地の事務所長に排水門の開放や干拓工事の中止を求める抗議書を提出するとともに、約四時間にわたり座り込みや管理事務所への侵入を含めた抗議行動を行ったというふうに報告を受けておるところであります。

 実は、その抗議文書の中に、今お話がありました、工事を中断すべきではないかというふうなものも入っておるわけでありますが、この干拓事業につきましては、長崎県を初めとする関係地方自治体や地域住民等の強い要望に沿って、環境にも十分配慮しつつ、着実な推進をしているところであります。

 そして、近々設置する運びであります第三者委員会、これは来週早々にも委員が発表できる状況になっているわけでありますが、この委員会が早急に立ち上がりまして、調査についていろいろと検討していただくということになっております。その委員会の中で排水門をあけて調査すべきであるというふうに決定されれば、私どもはそれをあけていきたいと思いますし、その関連として工事を中断することも必要であるというふうになるならば、工事を中断することもあり得ると考えております。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 今、農水大臣の、大変時宜に合った、ある意味では、最初からの思いを持たない、公平中立なお答えがあったと思うのですが、私は、この有明海のノリ不作問題が諫早湾干拓が直接影響しているかどうか、これは甚だわからないことでありまして、もっと多くの、多様な原因というのが恐らく考えられると思います。

 現に、地球温暖化の問題、これが多分大きなことであって、西日本の海水温が二度ほど例年より高いということがあります。そして、私の地元の不知火の方で、去年は大変な赤潮の被害が発生しました。こういう問題すべてが絡んだ意味での今回のこの有明海のノリ不作と思うのですが、特に最近、有明海には黒潮が流れ込んでいる、サンゴなどが所見されるというようなこともお聞きしております。

 この徹底した原因究明というのがまず一番大事なことであると思いますので、ぜひ、その辺の原因究明に関する具体的なお話をちょっと伺わせていただけたらありがたいと思います。

渡辺政府参考人 今御指摘があったとおりでございます。

 私どもは、やはりこれは徹底して調査をする必要があるというふうに考えておりまして、とりあえず緊急調査を開始いたしました。これは一月の二十三日から実施をいたしておりまして、緊急調査の二次分として、きょう、二月の二十三日から第二次の調査をしております。

 今先生から水温の話も出ましたけれども、調査項目といたしましては、漁場環境のモニタリング調査ということで、流れの方向、速さ、水温、塩分、濁りの度合い、気温、風向き、風力、気圧、波浪、そして栄養塩類がどうなっているか、クロロフィルの状態はどうか、動植物のプランクトンの発生状況はどうかといったことを相当広範に調べております。この調査は三月中に取りまとめをして一定のガイダンスを出したいと思っております。

 それに加えまして、有明海の海がどう変わっているか、海が変わったというのが漁業者の方々の実感のようでございますので、これを海域の環境調査という形で、三月に調査委員会で検討項目を設定していただきますが、環境調査を新年度から実施をする。そして同時に、その海域環境の変化が漁業にどういう影響を与えたかという漁業面での調査も新年度から実施をいたしまして、新しい年のノリが十月に網入れがありますので、九月には一定の方向を出したいと思っておりますが、調査自身はおよそ二年はかけてしっかりとやりたい、こう思っております。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 緊急の調査、そしてさらに徹底的な、皆さんにきちんと説明のできる結果を得られる調査、これを分けて、皆さんの納得できる調査結果をぜひ上げていただきたいと思います。

 そして、もちろん、この原因究明は一番大事なことでございますけれども、現実にこの被害に遭われた漁業者の方々の大変深刻な状況を私は肌で感じる思いがいたします。ぜひ、この辺の金融支援なりなんなり、具体的な御支援の方法をお聞かせいただけたら大変ありがたいと思います。

谷津国務大臣 有明海地域は全国のノリの生産の四割を占める主要な地域であります。今シーズンのノリの養殖の生産状況は昨年に比べまして六割以下の生産量となっておりまして、過去に例を見ない甚大なものでありまして、私もこれは深刻な事態であるというふうに考えております。

 従来から、災害による被害を受けた漁業者に対しましては、その経営の安定を図るために、共済の早期支払い、それから農林漁業金融公庫資金等制度資金の円滑な融通、それから既に貸し付けされております貸付金の償還猶予等を関係機関に指導しておりまして、今回のノリの被害に対しましても、一月中旬にこれらの措置を講じたところでもございます。

 これに加えまして、今回のノリの不作は、既に本年の売上金額が昨年の同期の実績よりも百五十億円ほど下回っておりまして、養殖被害としては過去最大というようなことでございまして、水産物の被害が現実に生じていることから、被害の複数県に及んでいる等も勘案をいたしまして、この件につきましては、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金について、国と地元自治体との協力による貸付利率の無利子化、それから貸付限度額の引き上げ、これは、従来二百万だったのを五百万に上げるということであります。また、貸付対象者の所得を制限しないということを講じているところでございまして、こうした措置を通じまして被害漁業者の支援に万全を期していきたいというふうに考えております。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 近年、漁獲高の激減その他、水産関係者を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。食糧安保という問題からも、もちろん農産物とともに水産資源、かつては水産王国と言われた日本のこの水産資源にもっともっと私たちは真剣に取り組まないといけないと思います。

 今大臣が言っていただきましたあらゆる金融支援その他は大事なことですが、それはあくまで対症療法であって、水産王国の再興といいますか、根本的な取り組みをぜひ心からお願い申し上げたいと思います。よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

 続きまして、私は、大変個人的なことですが、昨年、衆議院に当選させていただきました前は、人口六千の熊本県の小さな津奈木町という町の町長の妻をしておりまして、市町村合併という問題に個人的に大変大きな関心を抱いております。特に、地方分権の流れの中で市町村合併、党主導で、三千からできたら千ぐらいにという思いがあると思います。そういう中で、その表裏一体の関係であります地方分権の受け皿としての地方自治体の財政問題、これが今大変厳しい状況にあるわけでございまして、この地方財政についてちょっとお伺いしたいと思います。

 昨日、本会議の方で総務大臣からもるる大変細かくお話しいただきまして、何を今さらという思いがおありかもしれませんが、少し絞ってお伺いしたいと思います。

 実は、地方財源の一つの策として、今まで地方の建設地方債については多く発行されてまいりましたけれども、国の赤字国債はともかくとして、地方自治体における赤字地方債というのはまかりならぬというのが今までの自治省、総務省のスタンスだったと思うんですが、ここに来まして、財源の一つとして地方公共団体の赤字地方債を発行するという動きが出たと思います。これについて、見解が変わられたというんでしょうか、そういう一つの根拠なりなんなり、御所見をお伺いさせていただけたらと思います。

片山国務大臣 今、西川委員御指摘のように、地方財政においては赤字地方債は原則として認めない、建設地方債だ、こういうことをやってまいりました。それで、毎年度、景気がこういう状況ですから、大きな穴があくわけですね、収支不足が出る。それは、赤字地方債を出さないということですから、できるだけ建設地方債をいっぱい出して、限度まで出して、それで足りないものは、国の予算の中に交付税特別会計というのがあるんですが、交付税特別会計が資金運用部というところからお金を一括で借りて、借りたものを地方団体に配分しておったんですね。そうしたら、特別会計の借り入ればかりやりますから、もう三十八兆になりまして、借りる先は資金運用部だったんですが、財投改革で資金運用部はなくなったんです。そういうことで資金調達ができなくなったということが一つあります。

 それからもう一つは、交付税特会が一括して借りますと、個々の地方団体が借りるわけじゃないから、自分の借金だという感じがないんですよ。責任、認識に大変欠けてくる。国の方ももう一つわかりにくいと。こういうことがありますから、もうこの方式は限度が来たので、ここでは特別の場合として赤字地方債を認めよう、赤字地方債を出してもらおうと。そこで、収支の穴を国に半分持ってもらうから、国の方は一般会計で加算をしてもらう、一般会計の金を入れてもらう。残りの半分はそれぞれの地方団体に赤字地方債を出してもらおうと。

 ただ、普通の赤字地方債と違いますのは、これは交付税の見返りですから、交付税と同じような計算をして各地方団体の赤字地方債の発行額を決める。それから、その元利償還はずっと後になりますけれども、元利償還については交付税の基準財政需要に入れて交付税で補てんする、こういうことにいたしたわけであります。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 ある意味では、小さな自治体にとっては大変不安になる変換だと思うんですね。去年の全国知事会においてもちょっと異論が出たようにもお聞きいたしております。そういう意味で、きちんとしたコンセンサスができるようにぜひ御努力をお願いしたいと思います。

 そして、もう一つ、こういう形の赤字地方債の発行という事態に立ち至れば、それに伴って、やはり地方分権の大きな流れの大事なポイントとして、地方の自主財源の確立、この問題が避けて通れない問題だと思うんですが、この問題をある意味では推進してきた、リードしてきた地方分権推進委員会というのがことし七月に自然に役目が終わるというふうにお聞きしておりますが、果たして、これがなくなってしまって、地方の自治体の財源配分などの問題についてきちんとリードしていく場があるのか、新たな枠組みでまた立ち上げるというようなお話もお聞きしましたが、その辺のお話をぜひ総務大臣から聞かせていただけたらと思います。

片山国務大臣 今の赤字地方債につきましては、地方六団体と十分協議もしておりますし、元利償還を全部後で交付税で補てんするということで大体御納得いただける、こういうふうに思っております。

 それから、地方分権推進委員会は、実は去年まででおしまいになる予定だったんです。それを、全国知事会等の強い要請がありまして、いろいろな議論があったんですが、一年延ばしたんですね。その一年延ばしたのがことしの六月末なんです。

 そこで、今地方分権推進委員会は何をやっているかといいますと、地方分権推進計画、あるいは地方分権一括推進法が去年の四月から施行になりましたから、それのフォローアップをしているんですよ、フォロー、監視を。それともう一つは、地方に権限や事務を移譲したものですから、今委員御指摘のそれに伴う税財源の移譲、それの議論を始めてもらっているんです。

 ただ、六月まで一年延ばしておしまいが来る、どうするのかということですが、私は、ずるずる延ばすよりも、一応ここはそれはそれで閉めて、新しい税財源というのは、大変地方も強い関心を持っておりますから、地方税財源の移譲というのか、国と地方の再配分をどうするのか、こういうことは新しい仕組みで議論した方がいいと私は思っておりますが、関係省庁やいろいろなところの御意見が恐らくありましょうから、現在それを調整して、その結果によって考えたい、こういうふうに思っております。

西川(京)委員 ありがとうございました。

 時間がそろそろなくなったようでございますので、もう一つと思いましたけれども、まとめさせていただきます。

 要するに、市町村合併の土台となる財源の問題、それをぜひ基礎工事をきちんと固めた上で、この市町村合併を推進していただきたいと思います。

 そして、一つの思いといたしましては、やはり三千を千にするという、人口その他合理的な理由だけで輪切りにしてほしくない。ある意味では、市町村というのは大小あって、いろいろな文化的、地域的な特性があるわけですから、金太郎あめのようにどこを切っても同じような市町村ができ上がってしまうという大変つまらない日本になってほしくないと思います。

 そういう意味で、小さな自治体でも光る自治体もあれば、ただ財政赤字を抱えた同士が幾つ一緒になっても財政状況がよくなるわけではないわけですので、ぜひそういうきめ細かな配慮をした上での市町村合併の推進をよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。

 次に、増原義剛君。

増原委員 増原でございます。

 昨今の経済情勢、かなり不透明感を増してきていると思うのでございますが、いろいろな要因があるんだろうと思います。不良債権の問題とかあるいは経済の構造調整が進みつつあるとか、いろいろな問題があると思いますが、その中で、私が地元でいろいろな方々の話を聞いておりまして、やはり景気は名目だということをよくお聞きします。

 そうした中で、今、日本はいわゆるデフレ傾向のもとにあると思うのでありますけれども、これの原因、これを一体、いろいろな要因があると思うんですが、どこにその一番大きな要因があり、またそれをどのように手当てをしていけばいつごろまでにこういったデフレ傾向がおさまるんだろうかということと、それから、後ほど御質問させていただきますが、「財政の中期展望」などにも来年度から実質経済成長率二%という前提で書かれておりますけれども、もちろん民間設備投資もあれば消費もあると思います、一体どの程度の成長率になれば、いわゆる自律的経済回復の過程に入ったというふうにお考えになるのか、そこらあたりにつきまして、麻生大臣にちょっとお聞きできたらと思う次第でございます。

麻生国務大臣 幅広い質問なので、なかなか短時間に全部言うのは恐ろしく話をはしょるようなことになって恐縮ですが、やはり何だかんだ言いながら、確かに、実質ではなくて名目で言った方がというのは、なだらかなインフレーションぎみの方が、何となく気分的には、同じでも、前の年より売上高だけ見れば少し上がったような気になりますので、その意味の方が、戦後ずっとそれで来ていましたので、何となくなれておるという面があるんだとは思います、気分的には。

 ただ、戦後、今や初めて消費者物価の下落を、二年続けて〇・五、〇・五と下げてきておりますので、その意味からいきますと、何となく物価が下落しているというのは、デフレかと言われると、デフレはまたちょっと、もとお役所にいらしたのでよくおわかりのとおり、デフレの定義がまたいろいろありますので、少なくともGDPがある程度なだらかとはいえ伸びておりますので、ではデフレかと言われるとなかなか難しいところで、デフレ傾向かもしれませんけれども、デフレとはなかなか一概には言いにくいところだと思います。

 少なくとも、マイナスになっているという状況は戦後初めてで、多分、昭和二年か三年、高橋是清内閣のときに一回だけそのような現象が起きたという以外は、少なくとも昭和では二回目、戦後では初めてということですので、その対応をやっております大蔵省の方々もその経験は全くない。インフレ下の不況対策はやっても、デフレ傾向下の不況対策をやったことのない状況で今回のあれに取り組んでいますので、前歴を重んじるところの感じからいきますと、なかなかさようなわけにはいかなかったというのが多分歴史なんだと思います、この数年間というか、この十年間ぐらいのあれで見れば。

 ただ、そういう状況の中にありますので、これがいつまで続くかと言われるとちょっとなかなか難しいところなので、何となく気分的なものもかなりありますので、これはいつまで続くかと言われると、いつまでに直りますともなかなかちょっと今申し上げられないところですが、少なくとも設備投資が確実に伸び始め、失業率は四・七ぐらいで一応張りついた形になっておりますけれども、間違いなく求人倍率、雇用は確実にこのところ伸びてきておりますし、企業の収益から見ますと、昨年に比べて二・五倍、二・七倍ぐらいの収益が伸びてきています。

 常識的にいきますと、この収益が改善した分が雇用に回り、設備投資に回るというのが従来のパターンだったんだと思うんですが、企業が、出た利益をそのまま借金の返済の方に充てておられる傾向が強いので、実態が昔と違ってきて、企業は金が足りないというのは、資金繰りがどうか知りませんけれども、優秀な企業ほど借金をずっと返して、いわゆる間接金融の部分をどんどん減らしてきておられるというところも、なかなか、いまいち景気が名目の方に変わってこないというのが全部重なっておりますので、これはどこかのところでやっていかにゃいかぬとは思います。

 少なくとも、やはり景気が回復してきたという印象が出てこない限りはなかなか回復しにくいというところで、今回の予算につきましても、その方向を考えて、今、景気に軸足を置きながらという表現になっておりますけれども、その方向で事を進めていきたいと思っております。

増原委員 どうもありがとうございました。

 政府として自律的回復というものを当然求めておられるわけでありますが、どの段階でそれが達成されるか、そのいかんによっていわゆる次に控えております財政改革というものに取りかかれるわけでございますので、私はそれがやはり大きな関心事であります。それをいたしませんと、やはりまた景気がどんと落ち込んでしまうという懸念が多分にありますので、ぜひその点は御注意をしていただきたいと思う次第であります。

 そうした中で、いただきました「財政の中期展望」を見てみますと、実質成長率二%、消費者物価上昇ゼロ、したがって名目成長率も二%、こういう前提であります。金利が三・二%、十年債でありますが、こういう形で試算されておりますけれども、十三年度と十四年度を比べてみましても、要は、歳出の国債費と歳入の公債金、これがイコールにならないと財政はある意味ではバランスしないんだと思います。

 これを見てみますと、十三年度はその差が約十一兆であります。十四年度、いろいろ要因があるようでありますが、ぽんと十五兆にこの差が上がります。そして、十六年度でいきますと、これが十七兆五千億ぐらいになっていく。はっきり言いますと、この中期展望は、我が国の財政の赤字は発散をしていく、こういうものが示されておるわけであります。

 そういう点からしまして、先ほど申し上げたような経済の回復、もちろんこれが前提でありましょうけれども、今後、経済財政諮問会議ができましたので、もちろんこれとの関係もございますが、今後どういうスケジュールで、財政改革の青写真、具体論ではありません、フレームをつくっていかれようとされているのか。これは別に景気が自律的回復に入っていなくてもできることであります。

 今多くの国民の、有権者の方々が不安に思われていることは、先行きがわからない、全くわからない。だから、賃金が落ちましても貯蓄がふえるというような状況が起きているわけであります。こういう青写真をきちんと示すことが私は一番大事なのではないかなと思っております。

 そのスケジュールの点につきまして、両大臣、できましたらお聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 今回の省庁再編の中で、この経済財政諮問会議というのは非常に大きな変更の一つだったと思います。

 その中にあって、中長期の財政の展望というのを見ました場合に、いわゆる破局的にぶわっと公債がふえていくというところが問題であります。私自身は、借金というのは決して悪いことではないのであって、ある程度のものがあれば、必ずどんな会社でもみんな借金がありますので、それでずっと回っていくことができれば、それは別に何ということはないことなんだと思っておりますが、それが破局的にふえていくという状況は、これは断固とめにゃいかぬというのはもうはっきりしておると思って、これは野党の方々皆同じことを言っておられると思いますが、その点は間違いなく私どももそう思っております。

 そういう中にあって、財政の中においていろいろ考えていくときに、やはりいろいろ中長期的にさわらなくちゃいけない部分というのは、人口構成の比率が変更してまいりますので少子高齢化の話、それから、やはりそれに伴いまして、いわゆる社会保障の面というのは、これはどうしても今後とも検討させていただかにゃいかぬ部分なのであって、そういった方向につきましては、今の経済財政諮問会議の中において、これはいろいろ各民間委員の方にも入っていただいて、その分野について担当を決めさせていただいて、その分野で積極的にこうしていかなければならぬという問題をやっていただこうと思っておりますのが一点。

 それから、過日から宮澤財務大臣の方からも御指摘のあったように、中長期展望に関してマクロ経済モデルというものを新たにつくり上げて、こういった状況になるんだということをはっきりお示しするというのは大変大事なことだと思っております。

 先ほどから御指摘があったように、やはり将来に対する不安というのは非常に大きな要素でして、不満はエネルギーになりますけれども、不安はエネルギーになりませんので、これはやはり何となく不安という状況というのは余りいただけないんですね。不満というのはこうなって、ばんといろいろなものにつながっていくんですが、不安は何となくみんな疑心暗鬼でこうなっていく状況が続くというのが問題なんです。

 そういった意味では、私どもは、やはりこれだけ、例えば、では何年かしたらこうなりますよ、しかしその後はこうなりますというのはきちんと示さにゃいかぬというところだと思いますので、そこのところは少々きつくてもやらにゃいかぬということだと思っております。

 余りおいしい話ばかりしても、これはとても、できる話とできない話とありますので、そういった意味ではきちんとしたものをつくり上げたい、この経済財政諮問会議においてつくり上げにゃいかぬと思っております。

増原委員 今のお話でありますけれども、私は、ある意味では一刻も猶予ができない状況に差しかかっているんだろうと思います。

 来年度の借換債も含めての国債の発行は百兆円近いものであります。一年間五十四週でしょうか、ざくっとしたところでいえば、毎週二兆円の国債の入札をしなくちゃいけないわけでありますから、いつ入札残が出てもおかしくない、そういうふうな状況にもう来ているんだろうと私は思います。

 ですから、もし自律的な回復に入れば、例えば経済成長率がさらに一ポイント上がれば、今度は金利はそれ以上に上がるかもしれないわけでありますね。経済が上がっても、二%超えて三%、四%と仮に入った場合でも、実は、税収の方にはね返ってくるものよりも、ここまで借金が大きくなりますと、今度は利払いの方が拡大してくるという懸念もあるわけであります。とりわけ昨今のように二年物、三年物のような短期債を出していれば、すぐこれは借換債ではね返ってくる。こういうふうな極めて脆弱な財政状況にあるんだろうと思います。

 先ほど、今後のスケジュールと申し上げたのでありますが、景気の先行きと同様に、まだ具体的にはおっしゃられないというような状況なのかもしれません。しかしながら、今後を見ていきますと、この「財政の中期展望」に示されておりますように、例えば平成十四年度を見ましても、国債費と公債金の差額は十五兆円もあるわけであります。野党の一部に、公共事業を三分の一削ったらいいではないかという話がありますが、これを仮に三分の一にしたとしても三兆円であります。とてもこの十五兆何がしが圧縮できるものではないわけであります。

 そういう意味で、私は、これから仏つくって魂を入れようとされている行政改革でありますが、この歳出項目を見ましても、これから進んでいく地方分権の中における地方交付税制度、これも含めて、あるいは年金制度もありましょう、医療制度もありましょう、教育、防衛、そういったものも聖域なく全部を抜本的に見直していかないと、私はこれはとてもできる話ではないなという気がいたしております。

 来年度を見ましても、一般歳出で約四十九兆円であります。そして、国債費と公債金の差額が十一兆もあるわけですね。四十九兆円から十一兆削減しなければできないという大変な状況であります。とてもできる話ではない。

 すると、地方交付税制度も含めて本当にこれまでの制度を抜本的に見直していかないと、我が国の財政の健全化というんでしょうか、せめてGDP比率がもうこれ以上上がらない、その程度までのものを持っていかないと、できれば残高がもうそれ以上ふえないとか、あるいは残高が減っていくとか、そういう状況まで持っていければいいのでありますけれども、とても今のような巨大な国債、国の借金がありますと、私はなかなか難しいだろうと。しかし、せめてGDP比率で、もう一定率でとめていく、そういう強い決意を持つとしても、国債費と公債金のこれがつり合わないと、とてもできないわけであります。

 そういう意味で非常に厳しい状況が次に待っておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、そういうものにつきましてある程度の青写真をきちんと示していかないと、私は、国民の皆さん、有権者の皆さんは、とても先に対して不安があってできないんだろう、消費をしようと思っても、どうしても貯金の方に回してしまうというようなことであります。

 そこらあたりにつきまして、宮澤大臣、御所見をお聞かせいただけたらと思います。

宮澤国務大臣 今おっしゃったようなことが、さすがに御専門のお立場で、まさに問題なのでございます。

 今幾つかのことをおっしゃいましたので繰り返しませんけれども、それらのことを一度に満足する方策を考えなければいけないわけで、負担は余りなくてもいい、給付はたくさん上げますというようなことを言葉で言っていたのでは、これは一向に話になりませんので、どこまでということを、今おっしゃったような幾つかの問題についてきちんとやるとすればシミュレーションをしなければならないわけですから、そのためのマクロモデルをつくらなければ、あとは言葉でごまかされてしまうということで、さっき麻生大臣が言われたように、経済財政諮問会議にマクロモデルをつくってほしい。これは経済企画庁に長いノウハウがございますから、内閣府の研究所で、半年ぐらいかかるかもしれないと言っておられるんですが、それをつくってもらいます。

 シミュレーションをやりますと、のっぴきならないことになります。そういうことを本当にできるのかということですが、しかし、そうしなければこの問題は解決しないわけですから、二十一世紀の最初の十年か、十五年ぐらいかもしれませんが、そういう形で我が国の経済社会のあり方を考えていくということにならざるを得ない。

 しかし、そういうシミュレーションをやった上で、国民各位に選択をしていただく以外に答えの出しようがないと思っていまして、実は大変に一種ののっぴきならないことを今しようとしておるわけですけれども、しかし、そういう形でしか本当の答えが出ないのならば、やはりそういう形で本当の答えを出すべきだろうと思っておるわけです。

増原委員 どうもありがとうございました。

 私も、いろいろ地元の有権者の方々、支援者の方々とお話をしていますときに、今の日本の財政、国、県、市町村も合わせて大変な状況にあるということを常々お話をしております。赤ちゃんも入れて国民一人当たり五百万円を優に超えるような、そういう大変な情勢にありますよということを申し上げております。

 そうした中で、要は、皆さん方が言われるのは、一体幾らこれから消費税は上がるんでしょうか、もう上がることは覚悟しています、そのかわりやるべきことをきちっとやって、そして私たち有権者に対して、こういう負担をしてください、そういったような青写真を示してくれというのが実は今や国民の声ではないかと私は考えております。

 いろいろなところでいろいろな困難があると思うのでありますが、それに対して、やはり痛みを伴うことであってもきちんとやっていくんだという姿勢が今私は一番大事ではないかと思います。また、それが一番の景気対策ではないかなというふうに思っておる次第であります。

 自分の所見の一端を申し述べさせていただきました。時間も参ったようでございますので、以上をもちまして私の質問とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

野呂田委員長 これにて増原君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、具体的な施策について何点かにわたって御質問をいたしますけれども、最初に犯罪被害者対策についてお伺いをしたいというふうに思います。

 近年、非常に凶悪な犯罪が増加している中で、これまでどちらかというとないがしろになってきました被害者に対するケア、その必要性の声が高まってきたわけでございます。昨年は関係法律も整備されて、警察庁、法務省など関係行政機関の取り組みも着実に進んでいるわけでございますけれども、そうした被害者支援策の一つに、亡くなった被害者の場合は御遺族に対する犯罪被害者給付金の制度があります。我が党でも昭和五十六年の制度の創設以来強く推進をしてきた経緯がございますし、私自身も、近年の犯罪の増加、凶悪化を背景といたしまして、被害者の方々からこの制度の拡充に向けての御要望をずっと受け、それの拡充に向けて努力をしてきたところでございます。

 このたび、制度の大幅な拡充のための改正法案が提出されました。また、予算案の中でも、対前年比で一六〇%という大幅な増額が実現しているわけでありますので、今回の法改正の背景、理由、また今回の主な改正の内容を国家公安委員長にお伺いいたします。

伊吹国務大臣 ただいま先生が御指摘になりましたように、昭和五十六年にこの犯罪被害者給付金制度ができまして、その後、平成七年でございましたか、地下鉄のサリン事件のような無差別の殺傷事件に象徴されるような、全く被害者には思いがけないような被害が出てくるという社会状況が非常に重なってまいりました。

 そこで、警察当局としては、平成八年に被害者対策要綱というものをつくりまして、今先生が御指摘になりましたような、できるだけ実態に合うようにということを考えながらやってきたわけでございますけれども、どうもそれだけではやはりなかなか意が尽くせないということで、今般、法改正を国会へお願いいたしております。

 その内容は、従来の給付というものを今おっしゃったように手厚くしていくということはもちろんでありますけれども、被害の実態に合わせてできるだけ給付をきめ細やかにやっていく。それから、お金をお渡しするということだけではなくて、いろいろ心の痛みのようなものを被害者の方は持っておられるわけでございますから、そのケアをするために警察当局としてどういうことができるか。また、民間の皆様にもどういう御協力をしていただき、それに対して警察当局はどういう御協力をしながらやっていけるのかということを抱合した政策を実は盛り込みまして、予算を今御指摘のように大幅に増額するとともに法改正をこの国会でお願いしたい、これが大体今までの流れでございます。

上田(勇)委員 今回の改正で非常に大きな点というのが、これまでいろいろ犯罪の被害に遭われた方とお話をする中で、犯罪を犯した加害者の方は、そこでけがをしたりした場合にそこから先は全部公のところで手当てがされる、しかし、被害に遭った方は、結局保険の適用以外のところの自己負担部分については自分で負担をしなければいけない。今回は、改正によりまして、医療費についてもこの給付金で賄うという制度は、これは大きな前進であるというふうに思っておりますし、また、これによって多くの犯罪の被害に遭われた方の救済に役立つものであるというふうに思いますので、これは大変な前進だというふうに評価をしているところでございます。

 また、今大臣からもお話がありましたけれども、当然これは経済的な支援だけじゃなくて、犯罪に巻き込まれた方のトラウマやPTSDに対する精神的なケアだとか、その後のいろいろ捜査の過程におきます配慮、いろいろなことを総合的に進めていかなければいけないというふうに思いますので、今も大臣の方からそれをぜひ進めていきたいという御決意でございましたので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、暴走族の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 暴走族の騒音、それから交通の妨害、これは本当にたくさんの市民が迷惑をして、被害を受けているわけであります。私も、私自身が国道一号線から比較的近いところに住んでいることもありまして、頻繁に騒音の被害に遭っているんですけれども、こうした同じようなことというのは、本当に地域の方々、いろいろなところで伺うわけでございます。

 また、最近は暴走族同士の抗争とか一般の通行人を巻き込んだような事件も多発していて、私の周りにも危険な目に遭った、怖い目に遭ったという方が本当に枚挙にいとまがありません。昨年十二月には地元の神奈川県内でも通行人が重傷を負うというような事件もあったりして、もはや社会として我慢ができない、受忍の限界を超えている状況じゃないのかなというふうに思っております。

 まず警察庁の方に、最近の暴走族の実態、また警察庁でどのような対策を講じているのか、御説明をお願いいたします。

坂東政府参考人 まず、暴走族の現状についてでございますけれども、暴走族の人員は年々少しずつ減少してきているところでございますが、グループも小規模化してきておりまして、したがいまして逆にグループ数は増加の傾向にあるといったような状況にございます。

 それから、暴走族の実態といたしましては、深夜のゲリラ的な爆音暴走あるいは違法な競走行為を行うなどの暴走行為を繰り返す、そして、一般の運転者あるいは歩行者、さらには周辺の住民の方々に著しい危険とかあるいは迷惑を及ぼしているというような事情にございまして、地域住民の方々等から一一〇番等を通じまして強い取り締まり要望というものも寄せられているというような状況にございます。また、最近の暴走族は、こうした暴走行為のほかに、グループ同士の対立抗争あるいはグループ内でのリンチなどによる殺人、傷害致死等の事件、さらには、委員御指摘のように、一般人を巻き込んだ事件あるいは取り締まり警察官に対する公務執行妨害などを犯すケースが非常に多くなっておりまして、ますます悪質、凶悪化しているのが特徴ということでございます。

 こうした暴走族に対しまして、警察におきましては、交通警察のみならず、少年、暴力団対策、地域、警備等の各警察部門が一体となって取り組んでいるところでございます。

 さらにはまた、この暴走族対策というものはやはり社会全体でとらえるべき問題でもあるということから、去る二月五日には、最近の暴走族の実態に応じた諸対策を講ずることができますように、警察を含む暴走族関係八省庁による新たな申し合わせというものを行いまして、関係機関あるいは団体等が力を合わせて取り組むこととしているところでございます。

上田(勇)委員 伊吹大臣、今、事務当局の方から御報告はいただきました。私は、最近の暴走族の実態というのは社会に対して大変な脅威になっているというふうに考えているわけでありますけれども、大臣の御認識を伺えればというふうに思います。

伊吹国務大臣 ただいま参考人が申しましたような実態でございまして、率直に申しますと、私、実は、この仕事を担当して警察の諸君ともいろいろ話をしたのですが、個人の人権の尊重と社会秩序の維持とのバランスというのは常に政治の永遠のテーマだろうと思うのです。年末にも、実は初日の出暴走ということがございまして、暴走行為を繰り返す前にこれを抑えられるかどうかというのは、非常に警察は、そういう意味ではやや腰を引いたところが率直に言ってあったと私は思うのです。

 しかし、今や、参考人が申しましたように、善良な市民の日常生活や社会秩序に対しては、これは大変な挑戦になっておるわけでございますから、そのあたりはきちっと、事前にでも社会全体の公益のためには勇気を持って取り締まってもらいたいということを、私は実は指示をいたしました。

 総理からも、このことについては、単に取り締まりだけではなくて、青少年の教育のあり方、個人と社会との関係にも深くかかわることであるので、教育の分野を担当している文部科学省等とも十分な連携をとって、暴走行為を取り締まると同時に、暴走行為を起こさせない、暴走族にならないという観点もひとつ大いに大切にしながらやってほしいということを、実は年末に指示を受けました。

 先生と私はこの問題については考え方を全く共有いたしておりますので、善良な市民に御迷惑のかからないように、これからも全力を挙げて対応をさせていただきたいと思っております。

上田(勇)委員 今、大臣からの御認識を承りましたけれども、やはり多くの市民から取り締まりの強化を求める声というのは大臣のところにも届いているのではないかというふうに思います。また、いろいろと警察の関係の方から伺うと、取り締まりの強化に向けていろいろな取り組みを始められているということは承知しておりますけれども、正直言って、なかなか十分な効果が上がっていないというのが現状だというふうに思います。

 今の例えば法令だとか制度の中で、この取り締まりに対して実効性を上げるために何か改善できるような点というのがあるのかどうか、しなければならない点があるのかどうか、そのあたりの御見解を伺いたいというふうに思います。

坂東政府参考人 暴走族対策につきましては、他のいろいろな施策と相まって取り締まりを強化するということが必要であるというように私どもも考えているところでございまして、したがって、罰則の感銘力というものを高めるということを視野に入れまして、今国会に提出を予定しております道路交通法の改正案におきましても、暴走族が犯す典型的な違反行為でございます共同危険行為、この共同危険行為に対する罰則の引き上げというものを検討しているところでございます。

上田(勇)委員 今国会で道交法の改正を予定しているということであるのですけれども、私が承知しているところでは、今話がありましたように罰則の引き上げがあるのですが、実際に取り締まりを担当している警察関係の方からちょっと話を伺うと、共同危険行為で検挙するということになると、どうしても、その共同危険行為によって危険にさらされた、迷惑をこうむったという被害者の方のいろいろな協力が必要になってきて、ただ、その時点というのがいつも深夜であったり明け方であったりするし、その後も相当時間をとられるというようなこともあって、なかなか被害者の方の協力を得るのが難しいので、これを共同危険行為で立件しにくい、苦労しているというような話をよく伺うところであります。

 これから、被害者にそういった時間的、あるいはいろいろな協力をしてもらうのに負担がかからない、またあるいは最小限の協力でも検挙できるような、そういうような方向で、制度、法令等の改正ができないのかどうか、その辺を御検討いただければというふうに思いますけれども、御所見はいかがでしょうか。

伊吹国務大臣 ただいま参考人が申しましたような法令整備はいたしておりますけれども、現行法の中でも、これは先ほど私が申しましたように、暴走行為を行うであろうということがあらかじめわかる場合に、事前にこれを抑えられるかどうかというところに一番の大きな問題があると思います。

 加害者の人権と被害者の人権の重さとか、暴走行為を起こすかもわからないという状態ではまだ人権があるじゃないかとか、いろいろなことがあると思うのです。しかし、そこは、例えば年末には事前に思い切ってかなりの取り締まりを行ってそれなりの効果を上げておりますので、先生が今御指摘のような社会世論を背景として、行き過ぎたことにはならない範囲で、運用を勇気を持ってやるということが一番大きな問題だと私は思いますので、その点について、社会秩序と人権の間の御議論があれば国会で私がお答えするからということを事務当局に申しております。

上田(勇)委員 今まさに大臣が言われたように、やはり警察が行き過ぎ、やり過ぎをすると、すぐまた批判に遭うというようなリスクもあるし、またそれはいろいろな面で、特にやはり暴走族の場合には未成年者も多いでしょうから、非常に慎重に対処しなければいけないというのは、まさに大臣がおっしゃったとおりであろうというふうに思います。

 しかし、そうした中で、今本当に、安全な社会、平穏な社会に対する脅威となっているという中で、今大臣の方からそれに対して積極的に取り組んでいくという御決意をいただきまして、大変心強く感じるところでございますので、これは本当に多くの市民に大変な迷惑をかけていて、それが一年のうち何回も何回も同じような迷惑をこうむる、しかも、車で走っていても道を歩いていても、まさに命に及ぶような危険を感じるというようなことでありますし、巷間、暴走族と暴力団との関係というようなことも最近よく言われているところでありますので、ぜひ強力な対策を、また関係省庁とも御連絡をいただいて推進をしていただければというふうに御要望いたします。

 次に、今度はちょっとまた違う話でございますけれども、今度は国土交通省の方にお伺いをしたいのですが、高速道路等におきます自動料金支払いシステム、いわゆるETCの整備についてでございます。

 高速道路を走っていますと、料金所のところが渋滞の原因になっていることがよく見受けられるわけでありまして、ノンストップで通行できるETCが整備されてくれば、渋滞の解消、緩和に役立つものだというふうに思っておりますし、ひいては、流通の効率化や環境の保全といったことにも大変資するものではないかというふうに思っております。

 諸外国を見てみますと、いろいろなところでこの自動支払いシステムの整備が進んでいて、非常にスムーズに自動車が流れているというようなことも私も実際に見てまいりましたので、これは大変有効な施策であろうというふうに考えております。積極的に整備を進めていくべきだろうというふうに考えておりますけれども、今後の整備計画についてお伺いをしたいというふうに思います。

大石政府参考人 お答え申し上げます。

 ETC、ノンストップ自動料金支払いシステムについてお尋ねでございますが、これにつきましては、平成十二年四月より、千葉地区を中心とした五十四の料金所におきましてモニターの方々による試行運用を開始いたしまして、逐次運用箇所を拡大しながら、通信機能の精度向上や利用者の挙動の確認等を行ってきたところであります。今般、この試行運用を踏まえまして、本年三月三十日より、現在試行運用を行っております千葉地区を中心とする首都圏の一部料金所及び沖縄自動車道等の一部料金所、合わせて六十三カ所の料金所におきまして一般の方々にサービスを開始することといたしております。

 今後は、本年夏ごろに三大都市圏の一部料金所において、本年秋ごろには全国六百の料金所において利用可能となるよう、サービスを拡大していく予定といたしております。また、平成十四年度末には、首都高速道路、阪神高速道路の全料金所を含む全国の主要な約九百カ所の料金所におきまして利用が可能となるよう、サービスを拡大してまいりたいと考えております。

上田(勇)委員 私の見た限り、試行運用しているところでも、ETCのゲートを通行している車両というのはまだほとんど見受けられないのが現状だというふうに思います。このETC、先ほど私も申し上げましたように、非常に効果が上がるんではないかというふうに感じておりますので、ぜひその利用促進を図るための施策を考えていっていただきたいというふうに思っております。

 これは利用者のサイドからすると、新たな機器を設置しなければなりませんし、それなりの負担があることなんだというふうに思いますので、ぜひETCを利用したいというインセンティブが与えられるような制度を考えていただかなければいけないというふうに思います。利用者のそういう機器の設置に対する負担の軽減だとか、今、回数券だとかハイウェイカードでは割引なんかも行われていますけれども、そういった制度をETCについても一層拡充するとか、そういうような円滑な導入、普及のための方策が必要と考えておりますけれども、そういった点でお考えの点があればぜひお伺いしたいというふうに思います。

大石政府参考人 確かに委員御指摘のように、料金所渋滞の解消や料金収受経費の削減などにつきましてのETCの整備効果は、ETCの普及に応じて飛躍的に高まるものであると考えてございまして、ETCの普及促進を図っていくことがこれらの問題の解消に極めて重要だと考えております。

 そのため、特に初期段階におきまして、ETC利用のインセンティブを高めるために、主に一般の利用者を対象として、有料道路の採算に与える影響も踏まえながら、実施期間を限定した特例の割引を行うことについて検討を行っておるところでございます。割引率でありますとか割引対象等についての検討を行っているものでございます。昨今言われております環境ロードプライシングもその一環としてとらえているものでございます。

 また、現在のETCのシステムはクレジットカードを活用した後納システムでございますが、利用者の利便性を一層高めるためには、プリペイドの前納システムの早期導入が必要だと考えてございます。この前納システムの導入にあわせまして、ハイウェイカード等、現在の前納型割引とのバランスを考えながら、ETCにおける前納型割引の実施につきましても検討を行っておるところでございます。

上田(勇)委員 いろいろと御検討をいただいているということでございますけれども、せっかく非常に効果が上がるだろうというふうに私も思っている施策でありますので、できるだけこれを普及していかなければならないというふうに思います。私の近くでも、本当にいろいろな高速道路の料金所での渋滞というのは、私だけじゃなくて多くの市民の大変な悩みの種でございますので、これで通行が円滑に行われるということで大変期待が寄せられているところでございます。

 ただ、ETCを利用普及していくためには、どうしてもやはり事業者にそれを利用してもらうようなことが必要だろうというふうに思いますので、そのためには、やはり事業者はどうしても採算を非常に重視していくので、そういう経済的なインセンティブというのが非常に重要になってくるというふうに思います。今いろいろと御検討いただいているということでありますので、ぜひそれの具体化、拡充について今後とも取り組んでいただきたいというふうに御要望いたします。

 それでは最後に、もう時間が余りございませんけれども、今の経済の情勢、とりわけその中でも、経済財政大臣にアメリカの経済に対する認識についてお伺いをしたいというふうに思うのです。

 米国の景気の減速が我が国の景気の動向に不安な材料になっている、これはいろいろと報道されているところでございます。最近、アメリカの何人かのエコノミストの方と意見交換をさせていただく機会がありまして、その中で、若干のいろいろな意見の違いはあるものの、おおむねの意見というのは、この年の前半というのはアメリカの経済成長が若干鈍化するもののマイナス成長にはならないだろうと。その上で、既に減税や金利引き下げなどの財政金融政策が講じられるのがほぼはっきりしてきている。また個人消費も、いろいろな見方もあるようですが、一月には回復しつつあるというような見方もあるようでありますし、ずっとアメリカの経済の成長を支えていた技術革新、このペースも全然衰えていないということをおっしゃる方が多いわけでありまして、そうすると、後半には経済の成長率は回復するという見方が多かったというふうに思いました。報道を見る限り、アメリカのブッシュ新政権の政府の経済担当の主要な方々もほぼ同様の見方をしているように見受けられます。

 しかし、他方、最近のナスダックの株価の下落など、その先行きに対して悲観的なメッセージも伝わってきているところでございます。アメリカの経済の動向というのは、これからの日本の経済の先行きにも非常に大きな影響がありますので、そこで経済財政大臣に、米国の経済の見通しをどのように考えられているのか、また、それによって日本の経済にどのような影響があるというふうに考えているのか、見解をお伺いしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 御指摘のように、今アメリカの経済が明らかに陰りが見えてきておりますのは、世上言われているとおりなんだと思います。

 基本的には、五%ぐらいの成長率が二%ぐらい落ちるだろうとか、いろいろな表現をいろいろなところでしておられますけれども、正直申し上げて、グリーンスパンという人は御存じのように共和党の人だったのですが、この人は民主党で八年間やって、ブッシュ共和党政権になってさらにまた今それをやっておられるという方なんですが、少なくとも三千ドルぐらいだった株価をずっと一万ドル超えるまでつぶさないように持ってきて、今いろいろな意味で、金融政策等々を見ても、バブルをつぶそうというんじゃなくて、少なくともソフトランディングというものを目指してやっておられるというような傾向などなど、いろいろ施策をやっておられますので、私もそう急激にならないだろう、ばあんとなるということにはならないだろうと思っておりますのが一点。

 もう一つは、日本に対する影響というところですが、昔、あちらがくしゃみをすればこっちが風邪を引くとか、風邪を引いたらこっちが肺炎になるというような力関係だったんですが、今アメリカの経済成長が一%下がりますと日本に与えます影響は〇・一七五とか、いろいろ数字が出ておりますので、その意味からいきますと、仮に三%下がって〇・五、それぐらいの影響があることは覚悟しておかなければなりませんが、日本の場合はGDPの中に占める貿易比率はもう一〇%、その中でアメリカの経済は約三〇%ぐらいのものだと思いますので、全体から言えば三%。それから、アジア経由でアメリカに入っていますものを含めましても、今申し上げましたような比率でありますので、かつてほどの大きな影響が急に日本に来るというんではなくて、徐々にきいてくることは間違いないとは思いますが、今申し上げたような比率の数字から見ましてもそう急激に大きな影響が出てくるとは考えにくいと思っております。

上田(勇)委員 以上で終わります。

野呂田委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。

 次に、松浪健四郎君。

松浪委員 おはようございます。保守党の松浪健四郎でございます。

 質問の時間がそれほど長くございませんので、大演説をぶつのではなくて、淡々と短く質問をさせていただきたい、このように思います。

 最初に、衛藤征士郎外務副大臣にお尋ねを申し上げたいと思いますけれども、過日、アメリカとイギリスがバグダッド近郊を空爆いたしました。これはブッシュ政権が誕生して本格的な最初の軍事行動である、こういうふうに思います。国連の安保理の常任理事国である、アメリカとイギリスを除いた、フランス、中国、ロシア、これらはこの空爆に対して極めて批判的であります。

 アメリカはイラクを封じ込めるあるいは孤立化させる、この必要性は我々も認識するところでありますけれども、アラブの情勢がだんだんと変わってまいりました。それで、外務省はいろいろな問題があっててんやわんやの騒ぎで忙しく、また日本のメディアも、この空爆については、そのときには伝えましたけれども、後続いて記事を書くということは余りないわけであります。

 そこで、外務省も恐らくはNATOの国々と同じように、事前の通告、これは受けておらない、こういうふうに思うわけですが、その日に衛藤副大臣はワシントンにおられたわけであります。そして、国防長官を初めVIPの皆様方とお会いをされております。それらに空爆についてのお話があったのか、そして、日本政府としてこの空爆の見解というものをはっきりとされておりませんので、この空爆の見解についてお尋ねをさせていただきたい、このように思います。

衛藤副大臣 松浪健四郎議員にお答えをいたします。

 確かに、私は、米並びに英、それぞれ両軍がイラク空爆を開始した折ワシントンにおりました。しかし、私の、今回の首相、外相の指示を得た訪米の目的はあくまでも原潜並びにえひめ丸の衝突事故に関する懸案でございました。そういったことで、ちょうど私どもが国防省でこの会談を終わった後に空爆が開始された、こういう状況でありまして、事前にはお話がございませんでした。これが第一点でありますし、もちろん、NATOと同じように、我が国に対しましても米国からの事前通告はなかったということを申し上げておきたいと思います。

 また、本件に対する我が政府の評価でありますが、言うまでもなく、我が国の外交は国連を中心とした外交が基軸であり、一方、日米同盟という、日米の新しい体制を求めるこの外交は一つの大きな軸足でもあります。当然、国連外交と日米同盟の外交、そういったことを十分視野に入れながら、本件に対して、国益を損なうことのないよう、中長期的に、しかし、かつ戦略性を持って慎重に私どもは評価をしていかねばならぬ、これが基本的な立場であります。

松浪委員 わかったようでわからないような名答弁であったかと思いますけれども、いずれにいたしましても、私たちは、産油国、これらの国々に対してどのように考えていくか、そしてまた国連の中でどのような形でアメリカと共同歩調をとっていくか、極めて大切な問題であろう、こういうふうに思います。

 しかし、この前、そのとき実は私もアメリカにおりまして、CNNやABCのニュースを見ておりますと、この空爆のニュースよりもえひめ丸のニュースの方が大きかったということに、私は、アメリカは人権の国なのか、それとも日本という国をそこまで大切な国としてとらえておるのか、ちょっと判断に迷ったところがございましたけれども、ちなみに、空爆のアメリカ市民の支持率は七六%でありました。この数字は、どこかの国であればいいなという思いをしましたけれども。

 この月の終わりから北朝鮮の幹部がアメリカの民間の財団の招きで、ニューヨークやワシントンを訪問されるということを聞いております。これは恐らく、アメリカと北朝鮮が本格的な交渉に入る前にアメリカという国を見ておいてもらう、同時に、北朝鮮側にしてみれば、テロの国であるというようなこと、これを外してもらわなければならないし、アメリカからは経済的支援を仰がなければならないという、一つのデモンストレーションであるかもしれませんけれども、私どもは国民の貴重な税で米を北朝鮮に送るということを決めており、今鋭意その行動が進んでおるというふうにお聞きしておりますけれども、米をやるけれども、本格的な国交回復のための交渉に入る、そういうようなニュースをなかなか耳にしないわけであります。

 えひめ丸の今回の事故から想起することは、やはり人命のとうとさというもの、これは大変なことなんだ。これを北朝鮮の拉致問題とあわせて考えてみますと、やはり北朝鮮の問題、これも私たちは本気にならなきゃならない。どうもちょっと熱が冷めてきたんじゃないのかという印象を持っております。何としても北朝鮮との交渉、会談、これをやっていただかなきゃならないわけですが、全く耳にしないわけであります。それらについてどのようになっているか、衛藤副大臣からお尋ねしたいと思います。

衛藤副大臣 松浪健四郎議員にお答えいたします。

 もう御案内のとおり、日朝の交渉等々、いかに難渋しておるかということは御承知のとおりだと思います。私どもは、基本的には対話、対話、そして抑止という、このアプローチで対北朝鮮との交渉を進めていかなければなりません。先方にとりましても、抑止のカードというものが結構きいておるわけであります。それは御案内のとおり、KEDOの枠組みのことしかり、また、我が国と米国と韓国との緊密な関係というものは当然彼らにとっては抑止のカードに映るわけであります。

 しかし一方、我が国としては、当然主体性を持って、粘り強く対話、対話の路線で話を進めていくつもりでございます。相当なこれからの時間もかかるのではないかと思いますが、粘り強く対北朝鮮との外交を進めてまいる所存であります。

松浪委員 ともかく粘り強く交渉を続けていっていただきたいということを私の方からも重ねてお願いをしておきたいと思います。

 続きまして、先日、日本のスポーツの大恩人で、勲三等瑞宝章を受章され、吉川英治文化賞をも受賞されました和田勇さんという方が九十三歳で逝去されました。この方は、和歌山の御坊市の名田町というところで生まれられました。お父さんは善右衛門さん、お母さんはキシノさん、こういうふうにおっしゃいますけれども、この人は名田町の尋常小学校を途中でやめられてからアメリカに渡りました。そして、ハイスクールを卒業後、お父さんの手伝いをしながらスーパーマーケットを経営し、まあまあ経済的に成功をおさめられた方であります。

 この方が、日米水泳大会でアメリカを訪れた古橋広之進選手らを初めとして、日本選手団を手厚くもてなしました。そして、日本の選手に大活躍をしていただく。食べるものもない極めて経済的に厳しい状況の中で、日本の選手団を支えてくれました。それに加えて大きな功績は、東京でオリンピックを開催するに当たりまして、この人は、私費でヨーロッパそして南米を行脚されて、東京オリンピックの招致を成功させた大功労者であることは御存じだと思います。この人の伝記が出版されて、私も読ませていただきましたけれども、涙を流させていただく場面が何カ所もございます。

 この人が亡くなられて、新聞がいろいろな形で取り上げておりますけれども、文部科学省はこの和田さんの死についてどのように思われているのか、お尋ねをしたいと思います。

河村副大臣 昭和三十九年の第十八回オリンピック東京大会、この招致に当たって和田さんが大変な御功績があったということ、私もお名前は知っておりましたが、改めて今回、御逝去に当たって、その御功績の大きさに深い感銘を覚えておるところでございます。

 今、松浪委員御説明ありましたように、私財をなげうって日本の東京オリンピック招致のための準備委員として頑張られたということ、そして特に、東京オリンピックは昭和三十五年のミュンヘンでのIOC総会で決定したわけでありますが、この和田さんの御活躍で中南米諸国はこぞって日本に投票した、こう言われておるわけでございます。あの東京オリンピック、私も学生のときに開会式に参加をいたしました。非常に感銘を受けましたが、その裏でこういうことがあったということを、改めて本当に感謝しておるわけでございます。

 どのように評価を文部科学省としてということでございますが、国といたしましては、和田さんの御功績に対しまして、昭和三十九年、開催のときに、当時のIOC委員長ブランデージさん等とともに叙勲を差し上げております。勲四等瑞宝章をあのとき差し上げて、そして先ほど御紹介ありました勲三等は、その後の日系人としての御活躍に対して、平成元年に勲三等瑞宝章ということでございます。

 さらにこの上にということで、私もこのお話を聞いたときに、叙位というようなこともあるのではないかと思ったのでありますが、これは日本の国籍の方にしか与えられないということもございます。現時点でそれ以上追叙というようなことは考えておらないわけでありますが、改めてその御功績に感謝をし、心から御冥福を申し上げておる、こういうことでございます。

松浪委員 和田さんが亡くなられて、ここにその和田さんの死を悼んで話をさせていただいたのでございます。

 和田さんを思い起こすと、やはりオリンピックの招致の問題である。今、IOCのオリンピック評価委員会の皆さん方は北京を視察中であります。そして、間もなく大阪にもやってこられます。今この時期、和田さんのような方がおられれば大阪でのオリンピックの開催も有利なのにという思いから、私は、和田勇氏の功績をほうふつとさせられたものであります。

 そこで、間もなくオリンピックの評価委員会の皆さん方が視察のために大阪にやってこられますけれども、とにかく、大阪オリンピックの招致について文部科学省はどのように取り組んでおられるのか、そのことをも大臣にお尋ねしたいと思います。

町村国務大臣 二〇〇八年のオリンピック招致、大阪ほか四都市が手を挙げているわけでございます。IOCの評価委員が現地視察をするということで、今御指摘のように北京におられる。大阪の方は、今月の二十六日から来月の一日までの間、行われるということになっております。

 この視察は、IOC委員と正式立候補都市との接触が限られております。といいますのは、従前の招致運動にかかわるスキャンダルめいたようないろいろな話があったものですから、今回からは非常に誘致活動というものに制約が加えられておりまして、直接その委員に接触してはいけない等々の状況があるものですから、そういう意味では今回の正式の視察という機会は大変重要だと私どもも思っております。

 そんなこともありまして、日曜日に関西空港に一行がお着きになるようでありますから、まだはっきり決まってはいないようでありますが、多分河野外務大臣が関空にお出迎えをされるというような話も漏れ承っております。また、私自身も、日程が許し、また当委員会のお許しなどがいただければ、月曜日の朝に一つのセレモニーがあるということなので、それに出てひとつ政府の気持ちを伝えたいし、またさらに、水曜日の夜にレセプションのパーティーがある、そんな話も聞いておりますので、そうした場を活用して政府の気持ちを率直にIOCの評価委員の皆さん方にお伝えしたいな、こう思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、大阪市と政府と連携をとりながら、二〇〇八年の開催が決定をされますように今後とも最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。

松浪委員 とにかく、七月十三日のモスクワで開催されますIOC総会でどのようになるかはっきりするわけでありますけれども、それまで大臣におかれましても最大の御尽力を心からお願いしたい、このように思います。

 続きまして、河村文部科学副大臣にお尋ねをさせていただきます。

 この前からいよいよ二〇〇二年のワールドカップサッカーのチケットを売り出しましたが、どうもごたごたしている模様でありまして、ファンとしてちょっと心配をしておりますので、そのことについて御説明をいただきたい。

 それと同時に、この前、シドニーのオリンピックで金メダルをとられましたマラソンの高橋選手がプロになる。これは大いに結構なことであるし、現に有森、また藤村両選手は既にプロになっておるわけでありますけれども、私の心配しておりますのは、このようにアマチュアの選手がプロになっていく。社会人であるからまあ問題はないだろう、こういうふうに思うんですが、もしかしたならば、小学生、中学生、高校生、また大学生がプロになるというようなことが十分に考えられるような時代になってまいりました。それは、プロとアマの交流が密になって、そしてオリンピックにプロの参加が認められるようになった今日、その心配はしなきゃいけない。そうしたときに、学校の現場で混乱があるのではないのか、また、文部科学省はそれにどのような形で対応されるのか、そのことをあわせてお尋ねしたいと思います。

河村副大臣 ワールドカップのチケットの件でございますが、インターネットの申し込みの分についてコンピューターのサーバーがふぐあいであった、これはFIFA、国際サッカー連盟の方が開設しているインターネットでございましたが、このために日韓両国ともインターネットの受け付けが延期される、これが混乱の一つのもとになったわけでございます。

 大会の組織委員会としては、予定どおり受け付けを開始しておりますが、まず郵送分ということで、申込書を増刷いたしまして、全国の郵便局で対応できるようにしております。それ以外に開催自治体あるいはオフィシャルショップ等が対応できるということにいたしておりますが、これは委員御指摘のように国民の関心も高いわけでございますので、インターネットもきちっとさらに整備をして開始するというふうに聞いておりますので、万全を期して、皆さんに御心配なきようにしていきたい、このように考えております。

 それから、女子マラソンの高橋選手を初めとする選手方のプロ化の問題でございます。

 卓球の福原愛さんのケースもございますが、プロまで行かれるといいますか、そこまで行かれる方というのは、相当厳しい訓練を経てそこまで行かれた。それに対しては周囲もそれなりの対応をきちっとしてきたと思います。

 しかし、これからだんだん高校生、大学生という方々もプロという方向へ行く。そういうことになりますと、プロとアマチュアが一緒の場でというような問題があろうと思います。その辺十分配慮して、少なくとも、プロを目指して、またプロ化した選手がそのことによって自分の能力がそがれるというようなことにならないように十分配慮しなきゃいかぬと思いまして、文部科学省としても、そのことに十分配意をしながら対応を考えていくというふうに思っておるところでございます。

松浪委員 教育的にもいろいろな問題が起こる可能性、それらをはらんでおりますので、今後十分に研究をしておいていただければありがたい、このように思います。

 続きまして、国土交通省にお尋ねをしたいと思います。

 一月三十一日、大変な日航機のニアミスの問題が起こりました。あのえひめ丸の問題にいたしましても、あの大きな海でなぜあんなことが起こったんだろう、この大きな大空でなぜこのような事故が起こったんだろう、我々素人から見ますと不思議に思うことがありますけれども、この日本航空機のニアミス事故は空前の大惨事になる寸前の大事故でありました。なぜこのような事故が起きたのか、このことをまずお尋ねしたいと思います。

泉副大臣 一月三十一日の日本航空九〇七便の事故につきましては、大変憂慮される事態であったと思っております。そして、今なお一名のお客様が入院加療中であるということでございまして、一日も早い御快癒をお祈りいたしたいと思っております。

 お尋ねの事故原因につきましては、航空事故調査委員会で鋭意お取り組みをいただいておるところでございまして、今この場でその事故の原因を御説明するということにはなりません。

 ただ、私どもとしまして、事情聴取を管制官等からいたしましたところ、指示対象機を取り違えたという事実が判明いたしました。先ほど申しましたように、この取り違えが事故原因であるかどうかは今後の解明にまたなければなりませんけれども、現在、その調査結果を待ちながら、なお国土交通省として対応すべきことに鋭意取り組んでおるところでございます。

松浪委員 調査委員会が鋭意努力をしてくださっておるのでしょうけれども、それらの進捗状況も国民の皆さんにきちんと開示をしていただきたい、こういうふうにお願いをいたします。

 日本航空九〇七便の事故が発生してから、国土交通省は航空会社に対してどのような指導を行ったのか、このことをお尋ねしたいと思います。

泉副大臣 事故発生後、国土交通省としての対応は幾つかございますが、関係の航空事業者等に対しましては、本事故の重大性にかんがみまして、事故発生の翌日、二月一日でございますが、関係団体を通じまして、日本航空を含む各航空会社に対し、外部監視の徹底等の異常接近の防止策を航空機乗務員に再徹底するなどの措置をとるよう通達をいたしたところでございます。

 また、省内にありましては、先ほど一部お答え申し上げましたように、関係の委員会等を設置いたしまして、毎日飛行機が飛んでおるわけでございますので、万が一にもこのような同種の事故が起きないよう努めておるところでございます。

松浪委員 ついでに、国土交通省にもう一つお尋ねをしたいのですけれども、羽田空港の深夜早朝枠を使った国際チャーター便が十六日解禁されました。それで、第一便が飛び立ったわけでありますけれども、これは国際化へテークオフしたのか、こういうふうに思うわけでありますけれども、今後これを続けていく上において、どのような問題、そして、本当に国際化へこれがテークオフしたことになるのか。そういうような、このチャーター便の問題についてお尋ねしたいと思います。

深谷政府参考人 羽田からのチャーター便についてお尋ねがございましたけれども、先生御案内のように、羽田空港の有効活用という観点で、先般十六日から、国際チャーター便、ビジネスジェット等の運航をしていただけるような措置をとりました。

 ただ、深夜、早朝でありますとかあるいはいわゆるCIQ体制等々の関係でいろいろな制約がございますけれども、おかげさまで、十六日につきましては、関係機関の御理解もいただいて、希望会社五社すべてが予定の時間に、特段のトラブルもなく、スムーズにスタートをしたところでございます。

 今後につきましては、それぞれのエアライン等からのニーズあるいはお客様の御希望、そういったものを踏まえながら、さらなる有効活用ができるよう、関係方面ともいろいろ御相談しながら進めてまいりたい、かように思います。

松浪委員 時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

野呂田委員長 これにて松浪君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田敏雅君。

山田(敏)委員 民主党、山田敏雅でございます。

 本日は、ODAに関して御質問したいと思います。

 予算の共同組み替え要求をいたしております。ODAに関して二百八十億円の削減、特に、従来のインフラ関係の巨大なプロジェクトから、人道援助とか人材を育成するとか、あるいはNGOともっと密接に連携してやるということで、削減を要求しております。さらに、国際協力銀行の出資金を一〇%減らしてほしいということを要求しておりますので、私はその件について御質問したいと思います。

 私は役人をやっておりまして、一時ジュネーブの国際機関政府代表部に勤めておったことがございます。そのときの経験、体験を今国民の立場から御披露して、外務大臣に御意見をお伺いしたいと思います。

 今から十四、五年前でございますが、代表部の大使公邸、これが約十七億円という公邸を購入したという報道がございました。その当時私はジュネーブにおりまして、現地のスイス人の方、ヨーロッパの方は驚きを通り越して、十七億円のおうちに住むということはヨーロッパではまるで王族のような気分でございます。これは、国民の公僕が国民の税金を使って住むようなものではないという、非常に国民感情から反した経験をしたことがございます。

 私は毎晩十一時まで働いておりましたけれども、それで言うのではございませんが、毎晩大使、公使に夜連絡しておりました。ほとんど毎晩高級レストランで食事をされておりまして、私はそのレストランに毎晩電話しなきゃいけないんですが、こっちは十一時まで大使館におって働いているわけです。ジュネーブというのはレストランが非常に高額でございまして、日本の東京より高い。行くと一晩で何十万円もかかる。さらに、大使館は一人で食事されませんので、必ず多人数で行かれる。その当時の私の一カ月分の給料が一晩で吹っ飛んでしまうという思いをしたことがございます。

 これは、今いろいろ外務省の報償費の問題がございますけれども、ちょっと外務省の意識改革をしていただかないと、普通の会社や家庭では、ぜいたくなことを一回やると二回目はちょっと控えようとか遠慮しようとか、そういうことがございますが、ほとんど毎晩そういうことがあると、国民感情としては納得できない。

 後で御報告いたしますが、私、バンコクに行ってまいりました。ODAの、タイの国家的な関心事になっているプロジェクトがございましたので、見てまいりました。そこでいろいろな方にお会いいたしまして、約二十名ぐらいの方、関係者すべての方にヒアリングをいたしました。

 その中で話が出てまいりまして、四、五年前のタイの大使、名前は申し上げませんが、日本人の集まりのコンペであいさつに立たれまして、私は毎日ゴルフをしていますというふうに言われました。ゴルフが私の仕事です、こういうふうにおっしゃいました。それを聞かれたタイに住んでいらっしゃる日本人の方は、国民の公僕である大使が、そのような仕事が本当にあるんでしょうか、どんな理由であれ、公費で毎日ゴルフをするという感覚、それはちょっと納得できないという話でした。

 最後にもう一つ、これは私の知人でございます。ロンドンの大使館の邦人保護に参りました。その方はある事件に巻き込まれました。邦人保護の窓口に行きました。窓口はガラスで遮られております。その被害を何とかしてくださいということで参りました。そうしますと、対応に出られた大使館の、恐らくこれは現地採用のアルバイトの方だと思うんですが、女の方なんですが、スコットランドヤード、日本でいう警視庁ですが、そこの地図を書かれまして、バスで何番で乗りかえて何番で行ってください、自分でスコットランドヤードへ行って被害届を出せと。

 これは日本の旅行者ですのでもちろん英語はできないわけですから、バスの何番に乗って、乗りかえて、スコットランドヤードに行って、届けて、被害届の英語も読めないのに、これは余りにも、大使館の邦人保護の予算は非常に大きな予算がついているわけですから、しかもその場に、担当の公使か書記官が中にいらっしゃった、話し声が聞こえる、しかし窓口に出てこない、対応もされない、こういうことでございます。

 時間もあれですので、簡単に申し上げました。

 河野外務大臣、次回の大使会議で、国民の代表である、国民の血税を使っている、そして国民のための大使館であるというその意識改革をぜひ訓示をしていただきたい、通達をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

    〔委員長退席、自見委員長代理着席〕

河野国務大臣 国家公務員たるものが国民の税金を使って、今お話しのようなことが事実だとすれば、つまり、連日ゴルフをやっておるとかそういうことが私的に行われているとすれば、それは厳正に処分しなければならない事柄だというふうに思います。

 仮に連日食事をどこかでとるにしても、それが相手がしかるべき情報を持つ人間であるとか、あるいは国際的に話し合いを持つべき相手であるというならば、これはまた熱心に仕事をしておると言わなければならないと思います。

 いずれにしても、私は、今日外務省に対して寄せられております多くの批判あるいは意見というものを謙虚に受けとめて、今お話しのように、外務省の意識改革に取り組まなければならぬということは私も痛切に感じておりまして、お話があるまでもなく、既に大使会議において何度となく訓示をし、あるいは通達をいたしておるところでございます。

山田(敏)委員 こういうことが起こるというのは、報償費、これがあるということでございます。在外公館分の報償費は毎年三十六億円でずっと続いているわけですが、平成九年度より在外公館分のODAの報償費というのが毎年約十五億円、四年間で約六十億円の報償費が、これはODAの報償費として立てられております。

 ODAは、私たちの、国民の税金を使って外国に援助するわけですから、本当だったら相手方の報償費を使って日本側が接待を受けるというのが当たり前の話なんですが、こちらから六十億円も使って、これは一体、ODAの報償費というのは何なのか、何の目的でどういうふうに使われるのか。

 そうして、会計検査院が計算証明規則第十一条で、この外務省のODA報償費については承認でいいですと。どういうことかというと、請求書は要りません、置いておいてください、そこに行って会計検査院が見て、そして適正に使用されたという心証を得たらそれで結構ですと。ということは、これは、厳正に、ましてODAの目的自体からしておかしな予算でございますが、そのことがどういうふうに使われたかということは、事実上、会計検査院がチェックするという機能はないわけであります。

 ですから、先ほど申し上げましたように、外務省の意識改革が大きくここではっきり示されないと、国民は税金を払う気にならないんじゃないでしょうか、外務大臣。

河野国務大臣 かつて役所で働いた御経験をお持ちで、しかも国際機関での御経験もあると言われる山田議員からの御質問でございますが、この問題は、また、この予算委員会でも数度にわたって御答弁を申し上げておりますが、お尋ねでございますからもう一度申し上げておきたいと思います。

 この政府開発援助報償費の性格及びその使用目的というものについて申し上げれば、OECDの開発援助委員会の合意に基づいて、援助実施にかかわる各国の行政経費の一部を政府開発援助に算入することが認められているわけでございます。

 我が国の場合、従来、在外公館における一般行政経費全体に占めるODAを、在外公館において経済協力関連事務に従事する在外職員が専ら外交事務に従事している職員に占める割合をもとに算出をしているわけでございまして、平成十年度より、財政構造改革の推進に関する特別措置法を受けまして、在外公館分の一般行政経費について、報償費を含め、ODA部分と非ODA部分に分けて予算計上することとなったわけです。すなわち、従来からODAとして報告していた行政経費を、立目することによって予算書上も明らかにしたということでございます。

 以上のとおり、ODA報償費は、ODA庁費、ODA在外公館等借料、ODA諸謝金等他の一般行政経費と同様、予算計上の方法に関する国際的な議論を受けた技術的変更によって計上されているものでありまして、ODAの使い方とは全く別の問題でございます。

 なお、ODA報償費も報償費の一部でありますので、その使途について御説明をこれ以上申し上げることは差し控えさせていただきます。

山田(敏)委員 今のお話では、行政経費を頭割りで割って、そしてODA報償費にしましたと。行政経費と報償費というのは全く違う性格のものでございまして、行政経費であれば、通常の経費と同じようにきちっとした領収書を出して、それを会計検査でやる、その仕組みでございまして、ODAの報償費といえば、これは今申し上げましたように、領収書も要らない、現地に行かないとわからない、会計検査院も検査できない、こういう性格のものでありますから。これは報償費ではありません。いかがでしょうか。

滑川政府参考人 御説明申し上げます。

 ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、これは、機械的に経費を分配して、ODA分と非ODA分に分けて計上したものでございます。そうした意味では、いわゆる在外公館その他に係る経費につきましては、機械的に分けているものでございまして、それ自体がODAの使途とは全く関係がないものであるというふうにお答えさせていただきたいと思います。

山田(敏)委員 ちょっと、質問を聞いてからここへ来てください。何のことを答えているのか全然わからない。私が申し上げたのは、報償費というのは、会計検査の計算証明規則第十一条で「特別の事情がある場合の」ということで認められたのが報償費ですね。行政経費が何でこれになるのでしょうかというのが質問ですから、それに答えてください。

滑川政府参考人 基本的には、ODAというのは途上国に対して……(発言する者あり)恐れ入ります。それは、外務省の行政経費をODA分と非ODA分に機械的に分けるということでございまして、それは、外務省の経費をそういう形で二つに分けて、ODA相当分として計上をする。それは、先ほど外務大臣が御答弁申し上げましたように、OECDの開発援助委員会、DACというところで、行政経費についてODAと非ODAに分ける、それで、ODA分につきましてはDAC統計上のODAとして計上することができるという規定になっております。

 そうした意味で、外務省の経費につきましてもそういう形で分けまして、ODA相当分についてはODAとして計上させていただくということですが、これは機械的な分配でございますので、使途とは直ちに関係がないということでございます。

山田(敏)委員 ちょっと、時間のむだですので、同じ間違った答えをなさらないでください。

 ちょっと大臣、答えていただきたいのですが、行政経費と報償費というのは、根本的に違うものですか、同じものですか。それを答えてください。

河野国務大臣 これは、議員のお尋ねでございますけれども、今議員が御議論をしておられるものは、すなわちDACに報告をするかどうかということの問題でございまして、これは先ほども申し上げましたように、新しく予算計上の仕方を、こういう立目をして、こういう予算計上をしようということになったというだけで、機械的に、全く機械的にこれまでやっていたものを分けたという以外の何物でもないということを申し上げます。

山田(敏)委員 今、今国会で一番求められているのは、予算の透明性、国民の前にすべてを明らかにして、国民が気持ちよく税金を払いたいというのが私たちの議論でございまして、今のお答えでは何の納得もいかない。

 改めまして、予算委員会で会計検査院に対して、報償費ではないというお答えがいただけませんので、今のお答えですと行政経費であるということでありますから、この十一条の「承認」を外して、そして行政経費として改めて経費をすべて明らかにする、そういう手続をとりたいと思いますが、外務大臣はそれについてどう思われますか。お答えください。

    〔自見委員長代理退席、委員長着席〕

河野国務大臣 繰り返し申し上げて恐縮でございますが、今も御答弁申し上げましたように、従来からODAとして報告していた行政経費を、立目することによって予算書上も明らかにしたというのが今議員のお尋ねの部分でございまして、これは従来と何ら、予算書上明らかにしたということ以外は何も変更はないと。

山田(敏)委員 これは行政経費であるという明らかな答弁をいただきましたので、予算委員会として、改めて会計検査院にこの承認を取り消すように要望いたします。

 次に、ODAの重債務貧困国に対する無償資金協力でございます。

 一九九四年から、約二十カ国のうち、これはODAを無償で提供したわけですが、何に使ったかという報告書を日本政府に提出することになっています。一九九四年からこれの供与を受けた二十カ国のうち、毎回提出しているのはたったの二カ国で、十四カ国は一九九四年から九七年までの調査で一度も提出していない。要するに、何に使ったか報告しなさいといって報告がなければ、外務省は催促をして、出しなさい、出さなかったらもう出さない、新たな供与はしない、これが普通の神経でございますが、何と九四年から九七年、何も言わないで、しかも十四カ国については一度も報告がない。これが去年の十一月の会計検査院の報告でございます。

 それから四カ月経過いたしました。これは総額で百四十四億円、その中で検査院は、外務省は資金使途の監視のための取り組みを一層強化する必要があると明記してあります。この報告から約四カ月たちました。この二十カ国の国の十四カ国は一度も報告がないということについて、その後報告があったのか。そして、この資金使途について監視するということを何かなさったのかどうか、お聞きします。

河野国務大臣 十四カ国ございまして、会計検査院からも御指摘をいただいたことも事実でございます。その後、その十四カ国に対しまして報告書の提出を求めておりまして、現在、十四カ国のうち五カ国が報告書を出してきておりますが、残る九カ国については、依然として報告書の提出を見ておりません。

山田(敏)委員 これは国民の立場に立って、これはもう新聞に出たわけですから、報告がないのに毎年毎年供与する、出してくれと言ってもまだ出さない、四カ月も五カ月もたった、これは今年度の供与からカットすべきだというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

河野国務大臣 国民の皆様に対して、外務省としてはこの使途報告書の提出を求めるのは当然のことだと思います。

 ただ、あえて申し上げれば、提出のない国々は、今議員からもお話がありましたように、極めて貧しい国でございます。例えば、国名を挙げるのもどうかと思いますが、ニジェールとかギニアとか、そういった国、あるいはエチオピアのように内乱、内戦が続いてしまう国、こういった国は、使途の報告をしろと言ってこちらから督促をいたしましても、実際問題としてなかなか出せない国情もあるかもしれないというふうにも思うわけです。こういう本当に貧しい国、そういう国に対して、報告書の提出がないということで切ってしまうということで果たしていいかどうかという問題もあると思います。

 我々としては、報告書提出を求めるためにでき得る限り、例えば報告書の提出について、供与資金の使途を第三者機関にモニターさせるとか、そうしたことも考えなければならぬというふうにも思いまして、現在、この九カ国に対しましては知恵を絞っているところでございます。

 今、私、ニジェール、エチオピアなどと申しましたが、大変失礼しました、これらは使途の報告を行った五カ国のうちの一つでございました。

山田(敏)委員 私の質問は、報告書は勝手にどんどん書けばいいわけですが、資金使途というのはあるわけですから、この資金使途を監視するための体制をどういうふうにとられたかという質問に答えていただきたい。

野呂田委員長 ちょっと、答弁を正確にしてください。

滑川政府参考人 補足しながら今の御質問にお答えさせていただきます。

 御指摘のように、供与国十四カ国から使途報告の提出がございませんで、昨年十一月にそういう旨の指摘を受けました。直ちに私ども、それを督促いたしまして、現在のところ、すべての被供与国から早期に提出する旨の回答を得ております。

 ただ、先ほど大臣から御報告申し上げましたように、本日までのところでは五カ国からその使途報告があったということでございます。

 そして、今大臣から申し上げましたように、新たな措置として、第三者機関によるモニタリングというのを現在検討しております。これは当然、その出てきたもののモニターをするとともに、この督促にも寄与するものというふうに考えておりまして、現在、その手法等につきまして検討しておるところでございます。

山田(敏)委員 お答えでは、このまま供与を続けるということでございます。

 では、何のために私たちの税金を使って報告書を出さない相手に対して供与を続けるのか、非常にこれは国民としては納得できないものであると思いますので、ぜひこれは、納税者の立場で、この供与を中止するように要望いたします。

河野国務大臣 報告書の提出をさらに求めたいと思っております。

山田(敏)委員 いつまでにということをちょっとお願いいたします。

河野国務大臣 できるだけ速やかに提出をされるように求めたいと思います。

山田(敏)委員 これはペナルティーがないと絶対行われないことでございますので、国際通念上非常におかしいやり方だと思いますので、要望いたします。

 もう時間もございませんので、次に、先ほど申しましたODAの我が国の援助、これは財務省所管のアジア開発銀行、それから外務省の国際協力銀行、これによる融資でODAは行われております。

 タイの七百億円という下水処理プラント、これはタイの国にとって、今まで見たことのないような大変大規模な百万坪という下水処理プラントでございます。どのぐらいすごいかといいますと、名古屋市、二百万人の下水処理量とほぼ同じ量を一カ所でやる。名古屋市の場合は十五カ所で下水処理をやっています。それをバンコクの南のサムットプラカンというところで一カ所に集めてやる。百万坪、百八十万トンという計画でございます。それを聞いただけで、これは非常におかしなプランだということでございます。

 私と同僚の葉山議員と二人で、先月バンコクに行ってまいりました。ここに現地の新聞がございます。これは、英字紙それからタイ字紙、それからタイの大衆紙でございます。いずれも一面で扱っております。タイのすべての新聞が、私どもが下水処理プラントを調べに来たということを報道しております。非常に国家的な関心事になっております。

 それに先立って、タイの上院議員百三名が、全部で二百名ですから過半数の上院議員が署名をしている手紙があります。内容は、ADB、アジア開発銀行総裁あてに、このプロジェクトはいかにもおかしいと。アジア開発銀行の趣旨、これは融資のガイドラインというのがあるんですが、それからいっても、大きな政治家の汚職が絡んでいると。そして、環境影響調査を行わないで工事を始めた。ここに約七万人の漁民の方が住んでいて、ムール貝の養殖を一千万坪でやっております。この七万人の人たちが、このムール貝、タイのほぼ半分を生産する海でございますが、その養殖場の真ん中に百万トンという下水を毎日出します、それについて環境影響調査をやらないで工事を始めました、これは幾ら何でもおかしいんじゃないですかという内容です。

 財務省所管のアジア開発銀行は、我が国が最大の株主でございます。拠出金も我が国が最大。したがって議決権も我が国が最大。これを所管する財務大臣に、この手紙をお読みになっていると思いますが、ADBの総裁、千野さんあての手紙の、ぜひこのプロジェクトを見直してくれ、いかにもアンフェアであるということについて、一言御感想を宮澤財務大臣にお願いいたします。

宮澤国務大臣 サムットプラカン下水処理プロジェクトに対しましては、一部の人たちから非常に問題にされておることは存じておりまして、我が国としましても、したがいまして、ADBに対しましてこのプロジェクトに対する的確な調査と情報開示を従来要請してまいったところでございます。

山田(敏)委員 ADBは汚職に関するガイドラインというのを持っております。汚職の疑惑が起こったときには直ちに調査をして、そして、日本国民のお金が政治家の懐に全部入ってしまうような、そういうのはやらないということになっております。

 実は、このプロジェクトは九七年から始まっているわけですが、その前に、政治家がずっと地上げをやってまいりました。これはワタナさんという内務省副大臣でございますが、この人がずっと十年間にわたって地上げをして、百万坪やったわけですが、そのときに、一九八八年にバンコク・ポストという現地紙ではもう既に、この土地の地上げはおかしいと。

 なぜかと申しますと、この内務省副大臣が所管するのは土地局というところでございます。土地局は何をするかというと、土地の権利書を発行するところでございます。こういうような百万坪の地上げをやると、タイの場合は土地の権利書が一部ありません。ですから、土地の売買ができません。ところが、この地位を利用すれば、この土地局の権限によって権利書を発行することができる。実際に、約十三カ所の候補地があって、それはいずれも権利書が不備であるという理由を、これはタイ政府が言っているわけですが、それによってこの土地に決まったということでございます。

 このように一九八八年、一九九四年、一九九八年の三回にわたってバンコク・ポストはこの問題を、政治家の汚職であるということを詳細に取材をしまして、報道しております。それについてADBは一切関知をしないということは、ADBの政策違反であると思いますが、いかがでございましょうか。

溝口政府参考人 御指摘のプロジェクトでございますが、バンコクのやや東南の海の方にたくさん工場がございまして、そこで処理されない工場からの排水が出るという問題があったわけです。それから、生活排水がそのまま海に流されているという問題がもともとございまして、そういう環境問題がありましたので、タイ政府は、その環境問題を解決したいということで、このプロジェクトを始めたわけでございます。

 それで、始めましたのは、九三年ぐらいから調査をいたしまして、工場の排水をどこで処理をしたらいいかというようなことをいろいろ研究いたしまして、実際に、タイ政府の方でこの事業を開始するというふうに閣議で決めましたのは九五年の十月でございます。

 御指摘のように、規模が大きいものでございますから、タイ政府は、ADBそれから日本の海外経済協力基金に資金協力を求めてまいったわけでございます。ADBの方は、一九九五年に融資の決定をいたしました。そのときには、ADBも環境のガイドラインというのを持っておりまして、環境のガイドラインに沿いまして、初期の環境調査というのを実施いたしまして、その上で実施しているわけでございます。

 それから、汚職の問題、これも土地の買収に絡みまして、そういう話が出てきたようでございます。そこで、もちろん実施する前にはそういうことはわかってはいなかったんだと思いますが、昨年十月ぐらいだったかと思いますが、現地の方でタイの国の中に汚職防止委員会というのがございまして、そこが、そういう汚職なんかの問題がありますと、客観的な調査をいたしまして、それを裁判所に送りまして、その結果、裁判所で犯罪があるのかどうかというのを調査するような仕組みになっているようでございます。

 したがいまして、始めた段階ではそういうことは確認されていないわけでございますが、御指摘のように、ADBにおきましても、アンチコラプションのポリシーというのがございまして、汚職が実際に確認をされ、それがADBの業務の執行に非常に支障があるとか、あるいは開発途上国自身の開発に大きな影響を及ぼすというようなことが確認されますと、ADB当局は、当該国の政府、それからADBの意思決定機関でございます理事会に諮りまして、融資の中止等をすることができるようになっております。

 ただ、現段階では、まだタイの当局の裁判所にもまだ行っておりませんで、先ほど申し上げました委員会で調査をしておるということでございますので、私どもも、ADBに対しまして、よく監視をするように申し入れているわけでございますが、その結果を受けて、いろいろな対応をADBがすべきものだと思いますし、私どもも、ADBにそういうことについて慫慂してまいりたいというふうに考えております。

山田(敏)委員 では二点。

 環境調査があったということでございます。これは、私は二日間行って関係者に全部会いましたので、詳しくお聞きしました。九五年にやった環境調査は、先ほど言いました十三カ所の候補地を選んで、それは非常に簡単なものでございます。その後、この政治家がここに決める。強引に、全然違う場所に決めた。今あるところは、先ほど申しましたように、ムール貝の養殖をしている海の真ん中でございます。そこについては、環境影響調査は行われていません。それははっきりしてください。

 それから、汚職のことでございます。

 反汚職委員会に行ってまいりました。委員の方にお会いしました。昨年九月に住民から提訴がありました。そして、約五カ月間にわたってプレスタディーというのですか、予備調査、これを委員会にかけるかどうかという調査を行いました。終わりました。

 そして、私が行ったときには、これを委員会にかけると。かけるべきかかけないべきかという調査をやったわけですが、かけるということが決まりました。昨日、国際電話をいたしました。この汚職委員会の委員の方に電話をしました。来週の火曜日にこの委員会に汚職問題としてかけますということでございます。

 ここに私が持っていますのは、プーチャガンという現地紙のミスター・ノンさんという方の、これは取材ノートをちょっとコピーしたのですが、これによりますと、ワタナさんという副大臣がやりました土地は約百万坪ですが、その農民を証人として、証人というか、証言を得ましたということです。その土地を売った農民ですね。

 一ライ、これはタイの土地の単位ですが、一ライを三万バーツで売りました。そして、政府の買い入れ価格は、一ライ百万バーツ、実に三十三倍の値段で政府は買い上げました。なぜかといいましたら、今申し上げましたように、副大臣という地位を利用して、土地の権利書を自分の好きなように発行できるということを、これはこの取材ノートにもありましたが、就業時間外、要するに役人が全部帰った後、この権利書を作成されたということでございます。

 そして、このワタナさんという一人の政治家が約六十億円の利益を得ました。これがプーチャガンという、これはタイの最も有名な新聞でございますが、その方が約三年間調査をされた結果でございます。それをもとに、汚職委員会は、既にこれをやりますと言っているわけです。

 先ほども申し上げましたように、これは詳しく言うと時間がございませんので、環境影響調査は行われていません。そして、私が行ったときには、もう百人の漁民の方、住民の方が集まられました。私は、無差別に二人の方に、あなたはこの下水処理プラントができて、自分たちの海や生活のもとである養殖場がどうなるかということを知っていますかという質問をしました。二人の方に無差別にやりました。全く知りません、知らされていませんと。環境調査というのがあるということも知らないと。

 要するに、何も知らせないでどんどん工事をやって、ある日看板ができて初めてわかったと。これは、日本は文明国家ですから、我が国でそんな百八十万トンという巨大な下水処理場を海のノリの養殖をしているときに出すのに、環境影響調査をやらないでやるということはあり得ない。

 これは、タイの上院議員が私に直接言ったことでは、日本でやらないことを何でタイでやるんだ、タイでやるときは、住民が生活をして、そして自分たちの美しい海を持っているところに来て、日本政府が一生懸命バックアップしてやる仕事とは、タイの人たちにとって一体何なんだと。

 ODAという、私たちの国民の税金が使われる、両国民が喜んで、そして日本の安全保障に役立つために使っているんじゃないんでしょうか。全くそれは意に反して、今住民は、日本のやっていることは非常に冷たい、人間的でない。ある日突然来て、こんな巨大なものをどんどん建設、きょう現在、建設が進んでおります。そして、海の中には、排水溝が養殖場の真ん中にもう既に建てられております。それについて、再三再四外務省に対し、そしてADB、すなわち大蔵省に対して要請をしてまいりました。何の返事もない。

 手紙も書かれました。先ほど申し上げましたADBの総裁の返事は、きのう参りました。これはまだ公表されておりませんけれども、この環境影響調査を私は確認しますという手紙です、千野さんというADBのですね。こんな手紙をタイの上院議員に出して、果たして日本は本当に民主主義国家なのか、文明国家なのかと言われざるを得ません。その点について、今おっしゃったことを確認してください。

溝口政府参考人 二点御質問があったかと思いますが、一つは環境調査の問題でございます。

 このプロジェクトは、タイ政府が、タイの環境省と申しますか、エンバイロンメント・コントロール・デパートメントがやっているわけでございますが、ADBは、環境のガイドラインというのが九三年の当時においてもう既にございました。その環境のガイドラインによりますと、環境の調査をするのに二つカテゴリーがございまして、Aのカテゴリーは、さっき先生がおっしゃったような、建てるプロジェクトそのものが環境にどういう影響を及ぼすかという詳しい調査をやるものがAでございます。Bのものは、いわばどういうところにつくったらいいかとか、さっき十三のサイトについていろいろな比較をした、そういう調査でいいという、二つのグループがあるわけです。

 このプロジェクトは、当初申し上げましたように、もともと工場排水が海に垂れ流れておって、あるいは生活排水が流れておって汚染が生じておったのを改善しようという、環境を改善するためのプロジェクトであったために、これはADBの事務局が決めたわけでございますけれども、Bのカテゴリーで調査をしたわけでございます。そういう意味では、十分でなかったというのは御指摘のとおりだろうと思います。

 その後、工事が実際に開始されまして、住民の方々などからいろいろな意見が出るようになりまして、特に、昨年ADBの総会がタイのチェンマイでございまして、そのときに、NGOの方々あるいは住民の方々からいろいろなお話がございました。ADBは、それを受けまして、もちろん前からそういうあれがございましたから話し合いをしているわけでございますが、ほとんど毎月タイの現地に参りまして、住民の方々と、どういう対応をしたらいいかという話し合いをしているわけでございます。それから、国際協力銀行も一部このプロジェクトに融資しておりますけれども、国際協力銀行もそういうのに合わせまして一緒に行きまして、現地で話し合いをしているわけでございます。

 しかし、御指摘のように、住民の方々の関心にこたえるような大規模な調査をしなきゃいかぬわけでございまして、もともと調査はタイ政府がやらなきゃいかぬわけでございますけれども、タイ政府が実はかなりやりまして、暫定的なものでございますけれども、昨年の十一月に一つの報告書ができております。

 ADBといたしましては、この報告書が非常に客観的で正しいものかどうかというのをチェックする必要がございます。そこで、ADBの総裁は、先ほど先生がADBの総裁の書簡に言及されましたけれども、その調査の客観性につきまして、第三者による調査委員会のようなものを設けて調査をしてもらうということを表明しております。それがADBの総裁が書簡に書いたことでございまして、ADBは、国際協力銀行と協力いたしまして、大体ADBで五、六名、国際協力銀行で五、六名の、タイの専門家の方々を中心に国際的な環境の評価をできる人たちで、そのタイ政府がつくった調査報告書を評価するということにしております。

 その調査報告書の中には、どういう問題があって、それを改善するためには何をしたらいいかということも書いてあるようでございまして、そういうものを第三者の目で見まして、それでその第三者の専門家の方々が報告書をつくりまして、それをADBに出しますと同時に、ADBはタイ政府に、こういうことだから調査報告をもう少し改善してほしいということを申し入れる予定でございます。その上で、住民の方々とも話し合いをする。調査が終わりましてから話し合いをして、どういう対応をとったらいいかということもやる予定でございます。

 汚職の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、今そういう当該政府の機関において調査中でございますので、私どもとしては、それを早く実施し、結果を第三者にもわかるようにしてもらいたいわけでございまして、そこを今ADBにもよく注意するように申し入れているという状況でございます。

山田(敏)委員 このプロジェクトは、今申し上げましたように、最初に住民に何も言わないでいきなりパイプラインの仕事を始めて、立て看板を出した。もちろん、環境影響調査はない。そして、汚職の問題についても、一九八八年から言われているにもかかわらず、ADBは、これはアンチコラプションポリシーの中に汚職防止ユニットという、すぐ調査をするということになっていますが、これはもちろん行われておりません。

 そして、環境影響調査とともに社会影響調査、すなわちこの七万人の人たちはムール貝とその加工で生活しているわけですから、特にこの下水処理プラントが工業用水の排水を集めてやる、生活排水と一緒にやる、これも大変無謀な話で、重金属がたくさん含まれているわけですね。それが貝の中に濃縮されると、この人たちの生活は一瞬にしてなくなってしまう、こういう社会影響調査も非常に大きなものがあるわけです。もちろん、こういうものもなされていない。

 そして、工事は五〇%進んでいる。一刻も早くこれをやめてほしいというのが、これは普通、住民、私でも皆さんでもそうだと思うのですが、住んでいる人であれば当然のことであって、それを無視して工事をどんどん進める。今調査しています、今確認しています、四カ月かかります、手続を踏んでやります、ヨーロッパの国でこういうことをやるでしょうか。環境影響調査はない、国民がそこで生活している、そこに何にもなくて工事をどんどんする。まずとめるのじゃないでしょうか。重大な影響があるのはだれが見ても明らかです。それを何で日本政府はできないのか。

 そして、汚職についても十分な、私たち国民の税金が六十億円もタイの政治家に個人的に渡ったというのは、非常に悲しいことです。そういうことにならないように厳重な、ADBのポリシーなり、もちろんJBICもあると思いますが、これは現実に証拠として出て、議論されている。それを何カ月も待って、一年も待って、工事ができ上がったころに、これは汚職でした、では今からやめます、そういう判断をするでしょうか。これをぜひ宮澤財務大臣に御意見をお伺いしたいと思います。

宮澤国務大臣 ただいま局長から詳しい経緯を申し上げましたので、もとより委員は御存じでございますが、皆様も御了解いただけたと思います。

 つまり、こういう国際機関が、ある国から寄せられましたプロジェクトについて、本来ならばその国の主権を尊重しておればいいわけですけれども、実際には民衆が反対をしている、あるいは問題がある、主権国に問題があるといえば言いにくい話ですけれども、しかし実際あることもあるわけですから、ですから国際機関としては、それをそのままのむわけにいかないという立場に立ちます。しかし、主権国に対しては非常に注意深くその点を指摘しなければならないことは、ただいま局長が申し上げましたように、政府のいたしました調査について、実はADBは疑問を投げかけたわけでございますね。自分の方としては、それでよろしいのですかということを申したということはただいま御説明をいたしました。

 汚職事件についても、これはまだ申し上げておりませんけれども、そういう汚職事件になって、民衆の不満がある、あるいは批判があるときに進めてよろしいのですかということを、相手の国に言うような話でございますけれども、実際言わなきゃならない場合がある。これは恐らくそのケースかもしれないということは、ADBの総裁が口に出さないことだと思いますが、よく知っておるはずであって、そういうことの納得ができませんと、この話はなかなか進められないというふうに私どもは見ております。実際、ならば主権国が御自分で考えてほしいことではあるけれども、なかなかそうならないというときは、ADBとしても、自分の決断をしなきゃならないことがあるかもしれないと思います。

 正直言って、相手の国の政治的な紛争にもややかかわることになりかねないものですから、運びは慎重にしてもらうつもりではございます。

山田(敏)委員 河野外務大臣あてに、現地の市長及び住民代表が手紙を、要請文を出しております。二月十九日付でございます。それは外務省の方によく御説明しております。

 この市長の手紙の中に、今私が申し上げたことが、非常に住民にとってアンフェアであり、そしてタイの法律を犯している。これは、一九九七年にタイは民主的な憲法を制定しました。その九七年の憲法の中には、このようなプロジェクトは環境影響調査をやらなければいけないということをはっきり書いてあります。この憲法の発効が九七年の十一月、そしてこのプロジェクトの閣議決定が九七年の八月、三カ月早くこのプロジェクトはできたから、環境影響調査をしなくても憲法違反ではありません、これが我が国の立場であります。ODAの性格からして、余りにも国民の感情、相手国の感情、そして日本国民の感情を逆なでる内容であります。

 この手紙について、河野外務大臣、お答えをお願いいたします。

河野国務大臣 御指摘の手紙は、私の手元に届いております。その手紙によりますと、本事業について、現地市長、地元住民から、本事業の環境や住民生活への悪影響の懸念、実施手続の不透明さなどを理由に、本事業への円借款供与の中断を求める要望書というものが内容でございます。

 政府といたしましては、これまでも、政府ミッションの派遣の機会などをとらえて、本事業に関し、環境への配慮、住民との対話及び実施手続の透明性の確保の重要性をタイ政府に指摘してきております。タイ側としても、本事業の環境への影響にかかわる種々の調査を実施してきたほか、住民対話の場を設けるなど、さまざまな努力を払ってきたという説明をされております。

 いずれにいたしましても、今財務大臣からも御答弁がございましたように、私どもとしても、タイの政府内における本事業に対する対応の状況、あるいはADBにおける対応の状況などを十分注視しつつ、本事業の実施に対して慎重に対処してまいりたいと思います。

山田(敏)委員 時間が参りましたが、非常にわかりにくい答弁でございました。ただ、ADBもJBICも、汚職がはっきりした場合、あるいは環境に重大な悪影響がある場合、これは中断するというふうに書いてありますし、JBICの職員もそう申されたそうですので、ぜひ政府の方で、できましたら前もって中断をしていただきたい、何か証拠が出た場合には直ちに中断するということを要望いたします。

 五分間になりましたので、最後、別の御質問をさせていただきます。

 厚生労働大臣にお伺いいたします。

 私は広島で生まれました。広島で育ちましたので、原爆の体験が周りにございます。ただいま広島に、原爆の広島平和祈念館というのが建設中でございます。これはちょっと考えると不思議なんですが、原爆資料館とか原爆ドームとかいろいろあるのですが、新たに国として広島の方に弔意をあらわすために、この広島平和祈念館というのを建設中でございます。あと二年後にできるそうでございます。

 この祈念館は、亡くなられた方の体験記をすべて掲示する、それから遺影を出す、こういうことでございまして、それ以外に何もないということで、せっかく六十億円という巨費をかけて祈念館をつくる割には、地元の皆さんとしては、いささか物足りないというところでございます。

 ここに原爆の火というのがございます。原爆が投下された八月六日から約一カ月後に、ある大きな書店の地下に行かれた方が、まだ原爆の火が残っておりました、くすぶっておりました、その火を大切に懐炉にとって、五十六年間保存されております。これを原爆の火と申します。これは福岡県の方でございますが、去年、おととしぐらいから、全国の都道府県で、この原爆の火を平和の象徴として永久保存しようという運動がほとんどの県で広がりました。ただ一県、広島県だけが、この原爆の火の永久保存をしておりません。

 これは市長さんの方にも申し上げたのですが、現在原爆の火がともっておりますので、二つも火は要らないということだと思うのですが、ぜひ平和祈念館にこの原爆の火、そのときに亡くなられた方の鎮魂として本当にふさわしいものだと思いますが、厚生労働大臣、ぜひ真剣に、これは国の費用で六十億円を投下してやっておりますので、できるだけ地元の方に本当に国の弔意をあらわすという意味で、この火をともしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 山田先生の原爆被爆者への熱い思いを込めてのお話でございます。

 私も詳細に存じませんでしたが、今回先生の御質問をいただくということで、担当者から詳しく聞かせていただきました。

 現在、原爆死没者追悼平和祈念館というのが建設中だそうでございまして、被爆者援護法に基づきまして、原爆死没者のとうとい犠牲を銘記し、恒久の平和を祈念するために、被爆地である広島と長崎に設置するということでスタートしたようでございます。このうち、広島の方は、平成十四年度の開館を目指しておるようでございますが、現在、広島平和記念公園内に建設中であるというふうに伺っております。

 それで、この祈念館の基本構想ですとか設置の具体的な内容につきましては、平成二年から検討を始めまして、広島市やあるいは被爆者団体の方々の御意見や御要望をできるだけ尊重したいというので、お聞きをして、関係者の合意を得ながら今日を迎えているという状況だそうでございます。

 しかし、現在、御指摘の原爆の火を祈念館にともすことにつきましては、これまで、今までのところは関係者の皆さん方からそういうお話が出ていなかったということも事実のようでございます。したがって、現在建設中のこの祈念館にはその計画が今のところ含まれておりません。

 まず、地元の方の被爆者団体の皆さん方、御関係の皆さん方との間の合意が大事かというふうに我々も考えておりますので、先生の御指摘を私たちも十分に尊重させていただきたいというふうに思っておりますが、どうぞひとつ、地元におきましても、その団体の皆さん方との間のお話し合いを進めていただきますようお願いを申し上げたいと存じます。

野呂田委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岩國哲人君。

岩國委員 民主党を代表して、質問させていただきます。

 まず最初に、河野外務大臣に、えひめ丸の事故について。

 私は先般の質問でも、フィッシングベッセル、漁船という単純な、あるいは誤解を招きやすい、そういう表現は適切ではなかったのではないかと。そうしたアメリカ人の心の中に、高校生たちが勉強のために来たのではなく、ハワイにまで日本の漁船が魚をとりに来たんだ、一部の報道はそういう印象を与える、現にいろいろな、インターネット、Eメールなんかでそのようなリアクションもあったということは、私は懸念したことが現実になって大変残念だったと思います。

 それについて、外務省として、私の質問の十九日の翌日、二月二十日に、プレスコンファレンスということで、服部報道官がその点について、アメリカのマスメディアに対してそのような不適切な表現は使わないようにと、私はこれはやるべきだったと思います。問題は、十日間たって、私の質問があってから行われたこと。その十日の間に十分もうダメージは浸透してしまったということは大変残念なことなんですね。私は、一国の外交官というのはそういう言葉の問題について、言葉で勝負をするのが外交官であるならば、もっと敏感であってほしいというふうに思います。この点について十分これから注意していただくことはもちろん必要ですけれども。

 もう一つ残念なことは、二十日に行われたということは、この委員会で私が取り上げ、外務大臣もそれについて答弁されながら、その後何回かこの委員会が開かれながら、そのような措置をとったということはこの委員会のメンバーには一切連絡もないままに行われている。しかも、二月二十日そういうことが行われたということを、私はある支持者の方からのファクスで知ったのです。プレスコンファレンスでこのようなことが行われたと。

 なぜ、質問をした私にそういう連絡を服部報道官はしていただけないんですか。一国会議員に指摘された、それでもってプレスコンファレンスをしたということは外務省のこけんにかかわる、したがって、そんなことはできるだけ知られない方がいい、私はこれはおかしいんじゃないかと思うのです、もしそういう気持ちがあるならば。なぜ二月二十日、いかにも私の質問があった直後というふうに私は理解せざるを得ないし、支持者の方もそういう受け取り方をしておられるのです。なぜそういうことが、本委員会で取り上げられた質問に基づいてとられたその後のフォロー、措置というものが報告されないんですか。その点を一点、お伺いいたします。

河野国務大臣 前回にも御答弁申し上げましたが、議員の前回の御質問の以前にも、ワシントンにおきまして、公使からアメリカに対しては、用語の使い方について正しい使い方をしてもらいたいということを言っております。その後、議員からのお尋ねがございまして、確かに議員のお尋ねはそのとおりだと思いましたので、報道官をしてきちんと説明をさせたわけでございます。

 議員に御連絡をいたしませんでしたことはまことに申しわけなく思っておりますが、議員の御指摘もあってこうした間違いが正されたということは、大変よかったというふうに私自身も思っておりまして、お礼を申し上げたいと思います。

岩國委員 二月二十日のプレスコンファレンスでわざわざそれを取り上げられたことは、二度目、三度目の措置であったという外務大臣の御答弁でありますけれども、それならば、なぜ、埼玉県のその方が私の質問を見て、外務省、本当にどうなっているんですかと聞かれたときに、送られてきたのがそのたった一枚の、二月二十日のことだけしかなかったのです。もう既に二月十日にも十一日にもこうやっておりますよと言われたら、その方はもっと納得されたんじゃないでしょうか。外部に出せるものが二月二十日のものしかなかったからと理解されてしまってもしようがなかったのではないかと思います。

 では、その質問はこれで終わらせていただきまして、外務大臣、お忙しいと思いますから、どうぞ。

 二番目に、ゴルフの会員権の使用について、本委員会でも各委員から取り上げられたことでありますけれども、官房長官に。

 私は恐らく、森総理大臣はきょうこちらにいらっしゃいませんけれども、第一報を受けてから相当心を動揺され、しかも気にされて、やむなくか、御自分の判断としてその場でゴルフをお続けになったという新聞の報道であり、また森総理からも御説明がありましたけれども、危機管理のときにおける最高責任者、私はそれがよかったか悪かったかというと、また議論を蒸し返すつもりではなく、ゴルフのスコアにどれだけ大きな影響を与えたのか、私はそれに大変関心があるのです。

 これは決してやじ馬ということではなくて、危機管理の最高責任者がそのような大事な連絡を受けたときに、どれぐらい心が動揺し、そしてゴルフというのはメンタルなスポーツの象徴だと言われていますから、そのメンタルな動揺というのが私はスコアにかなりあらわれるんじゃなかろうか。これは、今後の危機管理のあり方、そして危機管理の最高責任者としてのそうした動揺というものが、数字的にたまたま、幸か不幸か、一つの参考例としてなるわけですから、ぜひスコアカードを本委員会に資料提供をしていただきたい。委員長、理事会で必ずお取り計らいいただきたいと思います。

 どのホールで一報が入って、その後のスコアがどのようになっておったのか。これは危機管理の最高責任者のインパクトというものがどういうものかというのを、これは実験するわけにいきません。しかし、幸か不幸か、これがそういう数字的にあらわれる、それを参考にしなきゃならないと私は思いますから、今後のそうした危機管理のあり方、そういうときに数字的にどのようなものがあらわれたのか、資料として提供していただきたいと思います。官房長官、いかがですか。

福田国務大臣 ゴルフのスコアということでございますけれども、ゴルフのスコアが動揺したらすべて悪くなる、スコアを崩すということなのか、逆のこともあるということでございます。

 参考になるかどうかわかりませんが、いずれにしても、このことは委員会の方の御判断にお任せしたいと思います。

岩國委員 逆によくなられる、かえって気分が引き締まってスコアがよくなるという場合もそれは考えられないことはないと思いますから、いずれにしても資料として資料請求をお願いいたします。

野呂田委員長 岩國君、ひとつ質疑の間で明らかにしてもらいたいと思います。

 どうぞ質問をお続けください。

岩國委員 いや、今の御注意はどういうことでございましょうか。

野呂田委員長 そういうことを今理事会で諮るべきかどうか、私も結論を出しかねますので、質問の中に明らかにしたらいかがでしょうかということを提案しているわけです。

岩國委員 いや、私が官房長官にお願いしたことは、何ホールまでされたのか、そしてそこに必ずスコアというものがあるはずですから、こういった危機管理のときに、最高責任者としてどういうインパクトがそういうところにもあらわれるものか、これはみんな関心があることですから、ぜひそういった資料として提供していただきたいということを官房長官にお願いし、次の質問に移らせていただきます。

 次に、行革担当の橋本大臣にお伺いしたいと思います。

 こうした予算委員会の質問というのは、与党の質問は要らない、野党のためだけにあるものだという議論もたしかありました。実は私は、そういったことも、国会のあり方というのは、与党の皆さんが選ばれた内閣ですから、同じ与党同士の議論になるよりも野党のために質問は十分にとられるべきだといったような意見が今国会のこの委員会でもたしかあって、そして橋本大臣から大変興味深い、私は橋本大臣の意見に反対ではなくて、むしろ与党同士でも意見の食い違いもあるのだから、与党の質問権というのはそういう意味で裏づけられるのではないか、たしかそういった御答弁をされたことがあったと思います。

 私は、考えてみますと、野党だけの質問、それが国会のあり方だという考え方を一時持ったことはありますけれども、橋本大臣の御答弁を聞いて、やはりそういう考え方もしなければいかぬなと。あるいはさらに、政権交代ということはこれからも時々あり得る政治体制になるとすればなおさら、与党のときには全然質問をしなかったというよりも、与党のときも質問をして野党になるための準備をするという角度から考えても、いや、それは大臣がおっしゃったことではないんですよ、これは私が大臣の答弁を聞きながら、そういったことも考えると、私はやはり与党の質問権というものもより一層裏づけられるのではないかと。これは私の感想として橋本大臣に申し上げます。

 お伺いしたいことは、西暦の使用についてです。それからもう一つ、予算年度は四月から三月までというふうになっておりますけれども、行政改革の一環として、この予算年度というものを暦年のように一月から十二月に、このように改革してみる。そうすることによっていろいろなメリットもある。

 変更するときにはそういった不便さというものもあろうかと思いますけれども、いろいろな点で、暦年なのかあるいは予算年度なのか、九八年度のとかあるいは平成十二年度のと言うときも、それが四月から三月のことを言っているのか、あるいは一月から十二月のことを言っているのか。時々混乱をしたり、あるいは表現するときにややこしいこともありますけれども、そういった点について、行革を担当される橋本大臣として、予算年度と暦年を一致させてみようというふうなことをお考えになったことがおありかどうか、あるいは、そのメリット、デメリットについて何らかの検討をされたことはおありでしょうか。

橋本国務大臣 これは私がお答えをする権利のある部分なのかどうか、ちょっと本当に戸惑うわけでありますけれども、私は、元号というものが国民の暮らしの中にもう完全に長年続いてきた慣習として広く定着をしている、そして法制化もされているということをまず申し上げたいと思います。その上で、西暦も社会生活において広く使用されておりますが、こうした状況の中で、今、政府として西暦の使用というものに何らかシフトしなければならないという状況ではないように思います。

 同時に、今、暦年と今の予算年度との一致をどう考えるかというお話がございましたけれども、私は、行革担当大臣としてこれを考えたことはございません。ただ、私どもがちょうど初めて当選をいたしました直後、臨時行政調査会の答申の中で、暦年制採用を随分検討されたようでありますが、その結果、採用は困難だという答えを出しておられることを承知いたしております。

 議員の御質問があるということで振り返ってそのデータをとってみましたが、いろいろな理由を挙げておられますけれども、例えば、経済の季節波動が十二月に集中される、あるいは学校教育上各種の支障を生ずる、さらには、予算編成時期が六月から八月にかかっていくということは、秋の台風災害による次年度の災害復旧費の見積もりが難しくなる。いろいろな議論があったと伺っておりまして、こうしたことから、宮澤先生もたしか大蔵大臣当時に、既に百年の歴史を経ている、これを変えることはなかなか問題があるのではないかという御答弁をされたと承知しております。

 私自身も、行政改革担当大臣という立場でこの問題を考えたことはございませんでしたが、その理由は、今申し上げたようなところにあります。

岩國委員 行政改革というのは、役所の中の事務の合理化に、今の元号制度の方が便利なのか。あるいは、世界的に使われている西暦の方に切りかえて、役所の仕事はもう西暦で、二〇〇一年とか二年とか三年とか。天皇陛下がかわられるたびに呼び方を変えなければならない。あるいは、昭和五十三年から平成三年まで何年かかったか、そのたびに頭の中でややこしい計算をしなければならない。こんなことを年がら年じゅうたくさんの人が繰り返しているわけです。

 二十一世紀がやってくる、そういう世紀が変わるということでもって政府は二千円札を発行されました。にせ札ではなくて二千円札。この二千円札というのは、西暦に基づいて、別に平成十二年になったから、あるいは十三年になるから二千円札を発行しようという発想ではなかったと思うんですね。世界の先進国の中にどこの国が、二千円札とか二千ドル札とかそういうものを発行したところがありますでしょうか。宮澤大臣、お答えいただけますか。そうした世界の先進国の中で、二十世紀から二十一世紀に変わるということを記念して新しい紙幣まで発行した国はどこにありますか。

宮澤国務大臣 どうも不勉強で存じません。

岩國委員 あったら教えていただきたいと思います。私はあるはずがないと思うのです。

 西暦を全然使わない、役所の中で西暦をまず否定し、自分の国の年号しか使わないような役所が三千三百あって、そういう国がなぜ二千円札を発行するのか、私はその辺からおかしいと思っておりまして、そして、現に二千円札はほとんど使われることがなかったわけです。そういった二十世紀だ二十一世紀だ、あるいは、西暦をそれほど意識されるのであれば、政府がやるべきことは、お金を印刷することではなくて、年号を西暦に切りかえる、それの方が私ははるかに意味があったと思います。

 毎日の新聞でも、西暦を書いて括弧の中に年号を併用しています。私はそれでもいいと思います。そのような西暦と年号と、どうしても年号が楽だ、なじんでいるということから、年号の方がいいという方もいらっしゃるでしょうから、ある一定期間併用しながら将来は西暦一本にする。そのような、それこそ身近なわかりやすいことの改革を含めたもの――行政改革というと、何か省庁を一緒にしてそういうのが行政改革だというふうな理解が国民の間にあるようですけれども、そういう身近なことを変えていく。

 役所の仕事のやり方、役所の文書のつくり方というもの、縦書きから横書きに変えてみるとか、いろいろな改革が今まであったわけですから、そういう年号そのものについて、きちっとよその国にも通用する年号に役所の文書を変えていく、それこそわかりやすい行政改革ではないかと思うのです。

 橋本大臣は総理のときに、六つの改革ということで改革という精神を非常に強調されました。私はいいことだと思います。しかし、こういう身近な、そして、子供たちの頭の意識の切りかえにも役に立つ、ボーダーレスとかあるいはグローバルという時代に、依然としてよその国へ行ったらよその国の年号に頭の中でコンバートしなければならない、それをいつまで続けさせるのですか。私は、身近な行政改革というものに、行革担当の大臣であればもっと真剣に取り組んでいただきたい。そういう要望をして次の質問に移らせていただきます。何かコメントをいただけるのでしたら、いただけますか。

橋本国務大臣 大変残念でありますけれども、私は、この点については委員と見解を異にいたします。

 そして、確かに西暦というのが便利であるということを御主張になることを否定はいたしません。しかし同時に、日本の一つの歴史的な流れの中で既に根づいている伝習を否定されるということも私は必ずしも納得のいくことではございません。そして、キリスト教暦に基づく西暦というものが万国普遍のものだとは私は思いません。

岩國委員 なぜ日本の代表的な新聞は全部併用し、むしろ西暦を頭に出しているのですか。それから、この元号制度というものも日本が独自に始めたものではありませんでしょう。これはよその国から伝わってきたものをまねたにすぎないのです。朝鮮半島から中国から、そうした千二、三百年前から始まったものがたまたま日本で採用され、そして本家本元の中国や韓国を見ると、そんなの全然もう使っておらないわけですから、全部西暦でやっております。

 ですから、過去に始まったものが日本に根づいて、これも、伝統的とおっしゃいますけれども、これはよそから来たというだけの話ですから、その点においては、前から来たか後から来たか、それほど大きな差は私はないと思います。この点については、残念ながら橋本大臣とは意見を異にいたしますし、そしてこうした、根づいたからいつまでも変えてはならないという気持ちからは、私は、これこそ行革だという目覚ましい行革は生まれてこないのではないか、そういう懸念を表明しておきます。

 橋本大臣、お忙しいところ、どうもありがとうございました。この件につきましてはまた……。

 次に、株式市場の再建策について質問させていただきます。

 きょうは財務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この十年間にアメリカの株式は五倍、日本の株価は半分。あっちが五倍でこっちが半分ということは、差し引き十倍の差がついたということですね。同じように勉強して同じように汗をかいて、十年間に十倍の差をつけられる。どこに原因があったのか。いろいろな原因がそれはあったと思います。しかし、こうした中で、政策の違いというものも大きかったし、もう一つ私は大きいと思うのは、金融政策、金利政策で、日本の大きな金融資産が千四百兆円あるといいながら、日本で働かないでアメリカへ出稼ぎに行っている、これが大きな理由の一つではないかと思うのです。

 お金にも賃金をもらう権利があります。日本でお金が一年間仕事をすると、給料は、一%の給料。お金がもらう給料のことを金利と言っています。アメリカへ行くと六%の給料。日本のお金がアメリカへ行って二カ月仕事をすると、日本の一年分の給料がもらえて、残り十カ月は休暇がもらえる。すばらしいというんで、日本のお金がどんどんアメリカへ出稼ぎに行ってしまうんです。人間が出稼ぎに行こうとすると、パスポートが要ります。ビザも要ります。お金がよその国に出稼ぎに行くときには、パスポートも要らないし、ビザも要らない。これが宮澤大臣がとられた金融開国の結果として、お金は、パスポート、ビザなしでよそで働けるということになったわけです。これは私はいいことだったと思います。

 しかし、金融鎖国のときには、日本のお金は、どんなに給料を下げられても、あるいはゼロ給料にされても、出ていけないから仕方なしに日本の中で仕事をしておったのです。これが金融鎖国時代。金融開国時代はどうですか。日本のお金は、結果的に出ていってしまうんです。

 そういう、お金を出稼ぎに行かせてしまって、大量の金融資産があるといいながら、アメリカへ行ってアメリカの株価を上げるお手伝いをしている。お手伝いだけではなくて、アメリカの金と一緒になって日本へ帰ってきて、そして日本の企業を次から次と買い取ってしまう、こういう現象も目立ってきました。

 山一証券投げ売り、日興証券安売り、日産自動車たたき売り、日本長期信用銀行おまけ売り、次々とこういう形でもって、日本のお金が向こうへ行って、向こうのお金と一緒になって日本の代表的な企業を次から次と買い取ってしまう、そういう現象まで出てきているわけです。金融鎖国時代の発想や考え方で金利政策をいじっていると、こうした株式市場も結果的に泣かされている一つじゃないかと思うのです。

 よくPKOということが株式市場で言われます。政府も何度かそういうことを実行されたし、あるいは実行しようとされたことがあります。PKOというのは、平和維持軍の方ではなくて、プライス・キーピング・オペレーション、株価維持工作。考えてみると、日本のお金はアメリカへ行ってアメリカのPKOに参加しているんです。日本の自衛隊はPKOに出かけませんけれども、日本のお金はアメリカへPKOに行っています。こういうことが大臣のなさった金融開国の結果としてできることになってしまったんです。

 そして最後に、これは大臣に質問のためにお伺いいたしますけれども、マーケットの構造が違うんじゃないでしょうか。アメリカは個人が大多数の株式を持っているキャピタルマーケット、日本は法人がほとんど持っているキャピタルマーケット。したがって、不景気のときには、もろに株式市場は法人の動向によって大きな影響を受ける。

 景気対策も、結局は、株式市場をにらみながら景気対策をやろうとすると、法人が株式を持っているということを意識しながらやらなきゃいけませんから、景気対策というのは、一般個人を対象にした景気対策ではなくて限りなく大企業中心の景気対策にならざるを得ないのは、企業が株式を持ってしまっているというアメリカにはない特異な現象があるから、アメリカの景気対策と日本の景気対策はそこからも違ってくると思うのです。

 資料を配っていただけますか。

 例えば、アメリカの株式は、個人が四一%、年金、投資信託が四六%で、合わせると八七%を個人が支配しているストックマーケットになっています。日本はどうか。個人が持っているのはわずか一八%、年金とか投信で持っている間接的な所有は一五%、合わせてわずか三三%。それに対して、日本の株式の四七%は法人に持たれているんです。アメリカの株式の企業所有は限りなくゼロに近いんです。私は、そういった株式市場の所有構造というものの体質改善、これをやらないと、日本の経済構造改革にもなかなかつながらないし、景気対策の効き目も、いつまでも大企業中心の景気対策を打ち続けなければならない、そのように思います。

 この個人の所有が非常に少ないということは、最近になってどんどんひどくなってきたんです。ごらんいただきますように、かつては日本の株式も、個人がもっと持っていた時代があったんです。それは、マッカーサーの占領軍のときに、株式民主化、証券民主化運動の結果として、個人の株式所有比率は上がりました。最近はどんどん減る一方です。

 こうした個人の株式所有比率を上げるということについて、宮澤大臣は、これは上げなければならないという認識を持っていらっしゃるか、あるいは、まあそれは個人の御勝手にされればいいでしょうというような感じでしょうか。上げなければならないという認識をお持ちでしたら、どういう対策を持っていらっしゃるんですか。税制を変えるとか手数料を変えるとか、そういったこともあると思いますけれども、第二次証券民主化運動ということによってもっと個人の株式所有比率を上げるということが必要だとお思いになりませんでしょうか。この点について御答弁をお願いします。

宮澤国務大臣 いつも示唆に富んだお話を伺いますので、反論を申し上げるという気持ちでお答えをしているのではありません。個人がもっと資産に株式を持たなければならないと思っています。

 戦後、財閥、いわゆる閉鎖機関等々からの放出株をもとにしまして、証券民主化運動というのはいっときかなりいきましたのですが、やはりどうも基本的に日本人が、毎度申しますように、勤倹貯蓄はよろしいんですが、その後の投資ということになると、せめて国債とか、昔でいえば農工銀行の債券とかいう、それから先へ行けない習慣がございます。今もどうもまだ、代議士は株を持ってはいけないような話がございますように、何となくこれはやはりうさん臭い世界であるということがございますので、これは直していきませんと、個人の資産運用としてもまた企業のあり方としても、どうも私はよくないと思いますので、おっしゃっておられますようないろいろな意味で、これは今度、これだけ経験をしておりますから、改めていかなければならない習慣だと思っています。

岩國委員 そうした、政治と株式市場が妙な意味で非常に密接に癒着しておった、政治家の銘柄を冠した何々株、何々株というのが言われた、これは日本の特有な現象だったと思います。それの極端な反動として、今度は、政治の世界にいる者はむしろ株式を持たない方がいいんだというキャンペーンのようなものがなされているのも、これもまた私は行き過ぎだと思います。

 私自身は、三十年間ああいう世界におりましたけれども、株を買ったことは私は一遍もありませんでした。株は嫌いじゃなかったんです。お金がなかったから。ただ、株式を売ったことは一回だけあります。買ってもいない株式をどうして売れるのか。メリルリンチの役員としていただいた株式を、私は出雲市へ帰る直前に売却した。だから、買ったことは一遍もありませんけれども、売ったことだけは一回あります。それがたった一つの私の株式体験です。

 しかし、まじめな意味で、健全な意味で、私は、個人の株式所有比率というのは、たとえそういう立場にある方にはある程度の制限があるとしても、もっともっと広げて、アメリカと日本とが同じ資本市場ということを議論するときに、アメリカが日本にあれこれ言ってきますけれども、しかしそれは、ある意味では、アメリカの資本市場が頭にあるような人が日本の政策にいろいろと注文をつけてこられるわけである。そういうときに、日本の資本市場とあなたの資本市場とは全然構造が違うんだということは、恐らく認識はないし、こちらにもその認識はないかもしれません。

 そういう意味で、世界の二大経済国というところは、ある程度わかりやすい、そして資本主義のあり方からいえば、これは経済の民主化にもつながることですから、株式の個人所有というのは、直接的にも間接的にももっともっとふやしていくこと。そして、証券を持っている、株式を持っているからこそ、政治に関心を持つ、政策も読む、そういう観点から政党も選ぶ。そういう選び方をされるから、政党も政治家ももっと経済政策に真剣にならないと有権者の信頼をかち取れない。私は、政治の民主化にも近代化にもこういった株式の個人所有を広げるということは大変有意義だ、そのように思います。

 私はそういうところに勤めておったから、そういうことになりますと、またそんなことを言うのかと言われやしないかということを私は気にして、この予算委員会でも今まで余り株式市場のことは言いたくなかったんです。しかし、今、私は、言わなければならないと思っています。日本の金融政策のためにも、そして経済の民主化のためにも、株式の所有構造がこんなに法人中心に偏在しているということは、政治が何らかの手を打たなければならないときに来ているのじゃないでしょうか。

 ましてや、大手銀行が、大臣も答弁されました、アメリカでもヨーロッパでも株式を持たない銀行ということを前提にしてBISの八%、四%はできているとき、日本の銀行だけは四十兆円も株式を抱えている。そういう腹が出っ張ったような体型では、スリムな体型の八%、四%のベルトの穴が合わなくなっているわけです。日本用に穴を幾つか継ぎ足さなきゃならぬ、それが公的資金の投入だったんじゃないでしょうか。体型をまず近づけていくためにも、私は、銀行の持っている株式を政府は買い取る、税金ではなくて民間の資金で買い取る、そのような対策が今必要ではないかと思います。

 ちょっと資料を。

 私は、以前にも宮澤大臣にこの点御質問させていただいて御答弁もいただき、またその繰り返しで大変御迷惑だと思いますけれども、当時とまた環境も違ってきております。二年前に私がここで質問したとき、そのときも株式市場は危機的な状態にありました。それから小康状態を得て、また二年たって今、三月決算を迎えて、あるいは九月の中間決算を迎えて、企業も銀行も目の色が変わってきています。

 そして、自民党の幹部の方も閣僚も、銀行が株式を売りに出しては大変なことになると。今株式市場活性化に真剣に内閣も自民党も取り組んでおられることは大変適切なことでもあるし、残念ながら、もっと即効性があって、ただ即効性だけあって飲んだ薬がすぐ消えてしまうんじゃなくて、即効性があって、しかも将来の体質改善や日本の経済構造の改革にもつながるような転換国債、国債を発行して、一般の個人あるいは法人、海外の投資家にも買っていただいて、民間の資金で二十兆円を買い取って、公的資金という税金を投入することをやめて、株式を買い取るという形で体型をスリムにする。

 なぜ二十兆円残しておくのか。銀行も二十兆円が値上がりするということは必要だと思いますから、この対策によって株式市場が上昇するならば、上昇のメリットは、全くなくなるよりは二十兆円分は銀行に帰属する。二十兆円はそれを買い付けた国債の投資家に帰属する。

 転換社債というのは、皆さんよく御承知だと思いますけれども、将来値上がりしたら株式に転換できる。日本国が株式を発行するわけにいきませんから、千五百銘柄を買い付けて、それを缶詰にした、値上がりしたときにはそれに転換する権利を持った、国債としては珍しい国債だと思いますけれども、証券の民主化を進めていく。そして今、失業しているお金がアメリカへ出稼ぎに行っている、そういう出稼ぎに行ったお金を里帰りさせるためにも、こういう安心して投資ができて、しかも値上がりの楽しみもある、そのような商品を提供して、それを金融市場の構造改革と銀行の体質改善と、そして日本の経済の民主化に結びつけるべきではないかと思います。

 柳澤大臣、銀行行政という立場から、こういう構想についてどのようなお考えをお持ちでいらっしゃいますか。

柳澤国務大臣 岩國委員の長い実務経験から、今の銀行保有株の解消の受け皿として、いろいろ知恵を絞っていただいた案を御提示いただいたわけでございます。

 私ども、そのこと自体については敬意を感じておりますけれども、そんなに細かいスキームのところまでお教えいただいたというか、我々もまだ勉強が足りないのかもしれませんが、基本的な問題として、私どもがなかなか難しい問題があるのではないか、このように考えますのは、結局、まず第一には、国が株式市場の当事者としてこれを買い取るようなことをするということ、そのことがどういうことになるか。株式の市場というのは、すべからく民間の間で行われるということが大事だと思っておりまして、そういう意味合いから、いささか基本的に問題がありはしないか。

 それから、第二番目はやはりリスクでございまして、損失が生じたときにだれが一体この損失を担うのか、このこと。いわばリスクの分配と申しましょうか、そういったことが非常に重要なのでございますけれども、その点についても、細かいところまでわかった上でないのかもしれませんが、どうもこれが公の部門に転嫁されているというように感じるわけでございまして、そのこともまた、何か特別のことがない限り、例えば金融再生法で、預金者の全面的な保護をするために、その損失が生じた場合に国の税金でもって補てんするというようなことが行われたときのことを顧みますと、それは相当の理由がない限り、公のお金でもってリスクあるいは生じた損失を補てんするということは国民の皆さんから理解をしていただけないのではないか。

 こんなことを基本的なところで感じておるということを申し上げさせていただきたい、このように存じます。

岩國委員 ありがとうございました。

 しかし、オーソドックスな方法で解決できる、あるいは異常な事態には税金を投入する、これが今まで行われてきたことですけれども、しかし、今株式市場がよそとの比較から見ても異常な事態にある、そういうことを考えると、異常な事態にはある程度異常な対策でなければ効き目がないのではないかと思います。

 それから、公的資金で買い取るということが批判をされるのではないかという大臣のお考えですけれども、公的資金を投入しながら株式を買い取りもしないという、むしろその不作為の方が私は問題にされるんじゃないかと思います。銀行が持たなければならないのを無理やり奪うという状態ではない、持ち過ぎているものをこちらへ売却させるというお手伝いをすることですから、褒められることはあっても非難されることでは決してないと私は思います。

 それから、万一の場合の損失、二十兆円を発行して、五年後に二割下がっていれば四兆円を、その分だけはリスクを税金でカバーしなければならない。しかし、その保険がついているからこそ皆さんが買う、皆さんが買うから株式市場が立ち直って、五年後の二割値下がりというふうな事態は想定しなくて済む、掛けた保険は使われなくて済む、そちらの方に行くんじゃないでしょうか。

 仮に、五年たってもまだ今の水準より二割株価が下がっているという事態を想定するならば、日本の経済は血みどろの状態だと思います。今よりもさらに二割下がっている、そんな事態を皆さんは想定していらっしゃるんですか。政府の政策が正しく、前向きに回復するんだったら、五年後の二割を恐れること、それを口にされることがむしろ私たちは驚きです。それほど自信がないんだったら政権を交代してもらわなきゃいけない。

 東芝の岩田会長が、東芝百年のときにこの方式で発行されました。そのときに、私は呼ばれました。転換社債というのは、業績は来年、再来年と順調に伸びる、そういうときに、より低利な社債として発行される、これが常識です。

 私は伺いました。百周年を記念して、よそがやったことのないような方式でやりたい。来年の業績見通しはいかがですか。来年は悪くなる。そんな転換社債でヨーロッパや中近東で発行するわけにはいかないでしょう、再来年はいかがですか。再来年はもっと悪くなる。岩田会長、これはだめですよ、来年悪くて再来年もっと悪くなる、そんな話を正直にヨーロッパや中近東の投資家の前で言ったらまず私は引き受けることはできません、五年後はどうですか。五年後業績は必ず上がる。私は、その岩田会長の言葉を担保にして東芝の転換社債に踏み切ったんです。

 これは世界で初めての方式でした。結果的には、五年後には十分値上がりして、百万円を百万円で、額面で償還してくれなどということを言う人は一人もいなかったんです。

 今の日本の政府の置かれている状態は東芝の十五年前に似ていると私は思います。来年、再来年、上がらないとはおっしゃれないんでしょう。公式には緩やかに回復しつつあるとおっしゃるんですから。しかし、「緩やかに回復しつつ倒産し」、町の中では緩やかに回復しつつあるといいながら倒産しているところがたくさんあります。来年も再来年もまだ見通しがはっきりとよくなると言えない、しかし五年後には、せめて五年後には責任を持っておられるのが政府だと私は思います。であるならば、五年後に保険をつける、そのような方式でもって、安心して投資家に新しい商品を提供し、それで日本の銀行の体質改善を一挙に図る、そのような方策を打つべき時期が来ているのではないかと思います。

 ぜひ、政府の方でも御検討いただきたいことをお願いして、この質問はやめたいと思います。

 次に、今麻生経済担当大臣がいらっしゃいませんから、宮澤大臣にだけお伺いしますけれども、きょうの昼のNHKのニュースで、日本の国債が格下げになったということについて宮澤大臣はコメントしておられました。その後、麻生大臣もコメントしておられました。麻生大臣のコメントは、日本の国債は外国に買ってもらっているわけではないから、買ってもらってもいない国債の格付をどうのこうのされるのはおかしいじゃないか、こういうコメントをされたんです。私は唖然としました。買ってもらっていない国債じゃなくて、買ってもらえない国債になっているんです。まず、その認識の違いがあります。

 そして、仮に買ってもらえない国債であっても、さらに続けて、日本の人が買っている国債なんだから余計なとはおっしゃいませんでしたけれども、外国の格付機関の信用度が下がった上がった、そんなことは気にする必要はないと。それは日本の投資家をばかにしている話だと思います。

 外国の人が持っているんだから信用度が上がったり下がったり政府は気にするけれども、日本の人が持っているんだったら別に格付が上がろうと下がろうと気にしないのが当然だみたいな、これは経済担当大臣として麻生大臣は勉強が全く足りないし、格付ということに対する認識もないし、また、宮澤大臣のけさのニュースでの御答弁も、そうしたお金を借り過ぎてしまった国がこういう評価を受けるんだということに対する真摯な反省がなかったことを私は大変残念に思います。

 十三年分の税金を前倒しして使ってしまっている。六百六十六兆円の借金が積み上がって、世界の国の中で十三年分の税収を前借りして使ってしまった国がどこにありますか。

 私は、スタンダード・アンド・プアーズがムーディーズにおくれながらも格付をアメリカより下げたというのは適切な格付だったと思います。大臣の御所見をお伺いいたします。こういった格付はやはり不適切なのか、適切だったのか。

宮澤国務大臣 しかし、今十年物の利回りは一・三とか一・四とかいう驚くべき利回りでございますから、このこと自身は国債の信用ということを幾ら申しても私は間違いでないと思います。しかし、こんなにたくさん国債を持って、ことしも出さなきゃならないんだから、需給関係からいえばいろいろ問題があるだろうと、あるいはスタンダード・アンド・プアーズが思えば、それはもう何とも申しませんけれども、しかし、ああいうことを言えば国債の価格は下落するんだろうとおとりになる方が多いとすれば、今の利回り、ついこの間までは一・七とかなんとか、とにかく一・三とか四とかのところにいるわけですから、マーケットはそういうふうにはなっていないと私は思うのです。

 外国に買ってもらうんじゃないのでというのは、ちょっと手拍子だったかと私も思いましたけれども。

岩國委員 私の質問時間が終わりましたので、ここで終わります。どうもありがとうございました。

野呂田委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。

 次に、中田宏君。

中田委員 民主党・無所属クラブの中田宏でございます。

 各大臣の皆様におかれましてもお疲れのことだと思いますし、とりわけ河野洋平外務大臣におかれましては、外交機密費、外務省の職員による官房機密費、この問題があり、えひめ丸の問題があり、そして連日の国会で……(発言する者あり)神奈川県だからというお話もいただいたわけでありますが、いつも河野さんに優しくしていただいているんだったら私もそういうふうな気分になるんですが、日ごろ大変厳しい御指導ばかりが県内においてあるものですから、私も議会においてやはり厳しく、成長している姿をお見せしないと意味がない、こう思うものでありますから、きょうも外務大臣にはお聞かせをさせていただくということであります。

 外務省の松尾前室長による問題というのは、私は、決して現政権が責められているという問題ではないと思うんですね。ただ、私たちは、この問題を明らかにし、今後の我が国の機密費の使い方、予算の組み方といったことを改善していくためには、現政権にひとえにその責任を持って対応してもらわなければいけないということでありまして、そのために言わなければいけない、そして、それがやはり政権を担当している以上の責任だと思います。

 ですから、議論がここまでのところ、お聞きをしても、外務省は、努力する、期限を区切らずに速やかにやる、こういったことばかりの繰り返しの中で、残念ながら、こちらがしたくなくても瑣末な議論にならざるを得ない。事実関係どうなんですかというような話をせざるを得なくなってしまうというところが実は私はあるなと思います。

 この問題が出てから、既にいろいろなところの新聞などでも出ていますけれども、かつて日露戦争の前に、明石元二郎大佐がおられ、そしてこの明石元二郎氏が機密費を使って、やがての日露戦争の我が国の勝利に結びつけていくべく努力をしていった。それは当時の百万、今の貨幣価値にするならば百億でしょうか、といった金額を使って、まさに我が国のために機密費を有効に活用して、その活路を開いていったというような話も既に幾つか紹介をして、私も歴史をひもときました。しかし、明石氏は決してみずからを肥やすことはなく、最後、日本に戻ってきても、すべて受領証から領収証からはきちっと出せたということだというふうに、故司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」には書いてございますし、ましてや今回の一件のように、それを本当に言うのも情けないような使い方をするということはあり得なかったわけであります。

 随分と御自宅は古びて、雨漏りをするような、そうした自宅に住んでおられても、周りが改修工事をせよと勧めても、それを断り続けたということでありまして、その断られた真意というのは、まさにこうした機密費というものを扱っている自分自身が、たとえ小さなことであったとしても、疑われるような身の処し方、行動をしてはいけないんだという、そうした一念で拒み続けたということだったと私も勉強をいたしました。立派な生き方だと思いますし、各党の議員がこの件を扱う際に、決して、一部違う方もいるかもしれない、一部違う党もあるかもしれませんが、基本的には外交機密費そのもの、あるいは官房機密費そのものすべてを否定している言い方はしていませんよね。私だってそうだと思います。

 私は、機密費というのは国の中にあってしかるべきものだと思います。それは日本人同士の中では金銭で解決できない、日本の、我が国の中における法律がきちっとありますから、その法治国家としてのルールを守りながら人と交渉しなければいけませんけれども、事外国という、相手が我が国の法で縛られる存在でもなければ、本当に日本人という国籍や風貌ではなかなか手に入れられない情報等をしっかりと入手をしていくことなどに、決して怪しげにお金を渡すということのみを想定した言い方ではなく、それは会食もするでしょう、ホテルも使うでしょうといった当然のことはあるわけでありまして、私はそのことすべてを否定するわけではないし、だからこそこうしたことについて森政権を責める云々ではなかったと最初は思うんですね。

 しかし、余りにも外務省の内部の調査はずさんであり、それに対して追加の調査をすると言っていながら、いつまでたってもそのことについて出てこない。一方で、新聞記事等に新たな情報が出てきてそのことを取り上げれば、新聞というのはいいかげんだというそうした声が閣僚席からも与党席からも相次いで出てきて、新聞に書いてあることがすべて本当じゃねえだろうなんて、こんなやじが飛び交う始末でありまして、実に情けない。

 やはりしっかりこのことについて、現在政府を持っているものとして、それは羽田政権や細川政権にさかのぼったっていいんですよ、どんどんさかのぼってもいい、しっかりと今までのことを解明して次に結びつける、我が国の予算、国民から疑われることのないようにしていく、そのために私はもっと河野洋平外務大臣には御努力をいただきたい。

 この後ちょっと幾つか各論を聞きますが、まず現状、今私が申し上げたことについて一言のお答えをいただければ、まずはお聞きをしたいと思います。

河野国務大臣 それぞれ、官邸には官邸の、外務省には外務省の報償費というカテゴリーの中でいわゆる機密費というものがあって、それがそれなりに重要な場面で必要な意味を持っているということについて御理解をいただけることを大変ありがたく思っております。

 一方、現在外務省に対します厳しい御批判、さまざまな御意見、こういったものにも我々は謙虚に耳を傾けて、調査すべきことは調査をするということが重要だ、さらには再発を防止する、そういう手だてもやっていかなければならないということを考えているわけでございます。

 今議員からお話がありましたように、外務省の調査が余りにずさんだということを御指摘になりましたけれども、これはもう累次にわたって申し上げておりますように、私どもとしてその問題の全貌を解明するということはなかなかできないことでございまして、努力はいたしましたけれども限度があるということは御理解をいただけると思いますから、その点は捜査当局にお願いをして、捜査当局の捜査に全面的に協力する、どんなことでも協力を外務省としてはしなければならぬ、こう考えて、捜査当局の力によってこの問題の解明をしてほしい、またしていかなければならぬと思っているわけでございます。

 今議員がお話しになりましたように、さまざまな報道によって、いろいろな過去の問題等について指摘があったりしておりまして、私どもも省内でそうしたことについては極力、その報道が具体性があるものであれば、どうも雲をつかむようなものではなかなか調べるわけにはいきませんけれども、具体性があるものであればそれはきちっと調べて、もしその指摘が当たっているとすれば厳正な処分をするということにしたいと思っておりまして、今荒木副大臣を調査委員長として調査を継続しているというのが現状でございます。

中田委員 謙虚に耳を傾けて、こう言っていただくんですが、本当にこういうことをやっていると、残念ながら、やはりこれが政府のということではなく、これは私が言っても別に皆さんにはこたえないかもしれないけれども、やはり自民党の体質だという話になるんですよね。そのことは本当に政治全体の不信をさらにきわめているわけであって、ぜひ本当の努力をする必要があると思います。

 人間、心底謙虚に耳を傾け、そして次に向けて具体的な態度をあらわそうということになれば、私は河野大臣には、やはりリーダーシップというのはこういうときにこそ発揮すべきであって、むしろこういうのをチャンスに生かして国の体質を改善していくというふうな姿勢が見えてもいいと思うし、今、恐らく、外務大臣がリーダーシップをとって本気でやろうと思ったら、みんな言うことを聞くというのは変な言い方だけれども、一つの方向づけが私はできると思いますよ。

 例えば、外交機密費の中にも、これまでの議論でもあったように、ホテルの差額代、これは既に対応がなされていますけれども、こんなのは隠すべきことでもないし、会食にしても、だれとどこで飯食ったなんというのを一々一々そんなのを聞きたい話じゃなくて、これからも公開しなくても結構ですよ。ただ、例えば会食費にどれだけかかったのかということの内訳を出すなりの改善があってもいいのかもしれないとか。

 私はあともう一つ、一番、こういうことをやったらいかがだろうかと思うのは、期限を区切ってある程度の公開をしていく。例えば、十年後には、機密費の使われ方について、十年前のものについてはそれをオープンにしていく、こういったことについて私は真剣に検討すればいいと思うし、これは河野大臣がやれば、それこそ先ほど前置きの中でいろいろと出ていたように、私は神奈川の政治家としてこういうことにリーダーシップをとっていただければ本当に一つの大きな業績になると思います。

 大臣、こういうふうに期限を区切って公開をしていくとか、それは内訳でも結構ですが、私はそういうリーダーシップをとるべきだと思いますが、そういったお考え、前向きにお考えいただけませんか。

河野国務大臣 大変具体的な御提案をいただきまして、ありがとうございます。

 私もこうした問題について国民の皆さんの理解を得るための手段、方法はいかにあるべきかということを真剣に考えているわけでございます。報償費の性格上、明らかにできないということがございますけれども、もし明らかにできないのなら、それなりに、会計検査について、十分な会計検査が行われるような方法を考えるとか、あるいは公表する場合には一体どういうことを前提に置いて考えるかとか、そうしたことについて私どもも考えないわけではございません。

 具体的な提案をいただきましたことをお礼を申し上げますが、今直ちに私からあれこれ申し上げることはしばしお待ちをいただきたい、御勘弁をいただきたいと思います。

中田委員 まあ、ちょっとがっかりした答弁でありまして、そういうところに断を決して先に進んでいくというのが私は政治家の仕事だと思うのでありますけれども。

 それでは、ちょっと先に進みます。

 官房機密費がどうも横領されたという形になってはいるんですが、外交機密費の方について、一点だけ確認をしたいと思います。

 先般、新聞でこういう報道がありました。これはもう既に外務省もある程度肯定をしているやに私は聞いていますけれども、その外交機密費の五十五億七千万円に上る金額の中で、情報収集といった形の名目で使われている飲食費、いろいろなところでの会合でありますね、それについて、先般朝日新聞が二月の十六日金曜日に一覧表もつけて公開をしておりました。

 幾つかのランク分けがなされていて、まず一番上の区分が大臣、次官、その次が外務審議官、その次が局長、部長、その次が審議官、参事官、そして課長、室長というふうに、合計で五つのランク分けがなされています。

 それぞれ、和食だったら幾らだ、洋食だったら幾らだ、中華料理だったら幾らだと非常に細かい使い道といいますか限度額というのが決まっていて、レセプション、朝食、全部決まっているんですね。和食の場合は、大臣、次官級だと三万五千円、一回当たり使いますよ、一人当たり使いますよ、来る人一人当たりですね、そういうふうに使いますよ、中華だったら二万円ですよとか、こういうふうに、これは内規で、官房長名で昨年の三月三十日付で出されたというふうにありますから、きちっと現存するものだと思いますけれども、これはまず事実ですね。

飯村政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども、報償費の適正な執行を図るために、その使用に関しての外務省としての内部の手続は整えておりまして、その一環として、使用についての一定の目安はございます。ただ、報償費の使用に際しては、その時々の必要に応じて個別に必要な手続をとった上で適切に対応しております。

中田委員 事実か事実じゃないかと聞いているので、席に着く前にもう一回答えるように。

飯村政府参考人 新聞の報道に最近何件かございますけれども、具体的な報償費の使途にかかわる点については答弁を差し控えさせていただけたらと存じます。

中田委員 本当に、先ほども、冒頭申し上げたように、自民党席からも時々私やじをいただいて建設的な議論をしろと言われるけれども、建設的な議論をさせないのがこういう方々じゃないですか。

 皆さん本当に、委員長も、こういうばかばかしい議論をやるからますますこっちも険悪な雰囲気を持ちながら追及型になっちゃうんだけれども、内規は官房長名で昨年三月三十日付で出されているというふうに報道されている。では、事実じゃないんですか、これは。事実なんでしょう。別にこれがあること自体がいい悪いじゃなくて、まず事実なんでしょうが。そして、ましてや、機密費ということについては決してそれそのものを全部否定するわけじゃないと私も申し上げているわけだし、これが事実なのか、もう一回きちっと答弁してください。

飯村政府参考人 御質問の点でございますけれども、まことに申しわけございませんけれども、具体的な報償費の使途についてはコメントを差し控えさせていただけたらと存じます。

中田委員 河野大臣にお聞きします。

 ああいう答弁しかできない役人を部下に従えておられるわけでありますけれども、先ほどから申し上げているとおり、大臣のリーダーシップということを申し上げているわけであって、これは、こういうふうに皆さんの議論、本当に、また余計なことを言わなきゃいけないけれども、総理が出てきてもそうだけれども、仮定の話には答えられません、事実をこちらがきちっと言えば、なぜあなたは決めつけると言われ、何か資料を入手してこちらが言えば、出どころ不明のものには答えられないと言う。いいかげんにしろと言いたい。国会における高尚な議論が成り立っているんじゃなくて、ここでは日本語が成立していないじゃないか。日本語が成立していないよ、ここでは。

 なぜその程度の答えしかできないんだ。全く情けない、我が国の国会は。もう涙が出てくるぐらいばかばかしい、ここの国会は。全く会話が成立していないよ、ここでは。国民もそれは見るの嫌になるよ、NHKがやっていようが何やっていようが。

 民主主義を機能させず、国民をますます政治から遠ざけ、ますます関心を持たないようにさせ、民主主義を死に至らしめ、それが目的でやっているなら仕方がない。しかし、余りにもひどくないか、我が国のこの国会は、現状は。予算委員会も、この二週間やってきたけれども。余計なところで会話につまずかなければならない。

 外務大臣、いかがですか。

河野国務大臣 繰り返し御答弁を申し上げて恐縮でございますが、報償費の使途あるいは報償費の姿というものは、これは申し上げないということになっておりまして、したがって、答弁がどうしても御満足のいく答弁にならないことをまことに申しわけなく思っております。ぜひとも報償費のその性質、性格を御理解いただきたいと思います。

中田委員 内訳をお聞きしているわけじゃないんですよ。何も外交機密費のさわられたくない部分にさわろうとしてお聞きをしているわけではないんですよ。情けないな、本当に。(発言する者あり)いや、本当にそうですよ。国民の皆さん、マスメディアの皆さんも、やはりそういうことをちゃんとマスメディアの皆さんも国民に知らせていただきたいけれども、我が国の国会は審議にならぬのですよ。全く会話が成立していない。

 議論がかみ合わないとか皆さんさらっと新聞なんかにも書いているけれども、議論がかみ合わないなんて問題じゃない。こちらが聞いていることに対してまともな答弁をしないでも許されていることがおかしい。これだったら、野党がどんなに議論をして、そしてそのことを国民の前に明らかにしようと思っても、何にもこの予算委員会、国会では会話ができない。(発言する者あり)何が当たり前なんですか、自見さん。機密費の内訳を聞いているわけじゃないでしょう。

 では、できるものについて、この後もお聞きをしますけれども……(発言する者あり)当たり前じゃないですよ。機密費の中身を聞いているわけじゃないじゃないですか。(発言する者あり)どちらが紳士的にやりなさいだ、いいかげんにしてくれと言いたい。

野呂田委員長 官房長に申し上げますが、どこかの新聞に出たという記事について、そういう事実が、事実であるかどうかということだけは返事できますか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 たびたび申し上げて恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたように、目安はございますけれども、直接のその記事の内容については言及を避けさせていただけたらと思います。(発言する者あり)

野呂田委員長 場外でやじるのはやめてください。

中田委員 どうも、この外交機密費についても、議論の前提がもう成り立っていないから言ってもむなしいだけなわけですけれども、この出ている事実は若干違うようでありまして、年間の限度額なども、外務大臣、事務次官、外務審議官は無制限だそうであります。局長級は六百万円……(発言する者あり)無制限はあり得ないと、今どなたのやじだか知らぬけれども、無制限と書いてあるから、じゃ、それだったら、無制限じゃないなら無制限じゃないと答えればいいんだよ、そっちが。(発言する者あり)そんなの、余計なことを横で、やじでがちゃがちゃ言って。そういうメンバーも、まただれが言ったんだか僕は知らぬけれども、またそういうメンバーが与党に、今度は内閣の中に入ってろくでもない答弁しかしないんだ、我が国は。

 課長級は五十万とか書いてあるけれども、しかし、課長級なども実際はこんな五十万じゃない。一月当たり十二万という限度があるらしい。年間でいうならば百四十四万。それが実際の事実関係ということで私も情報を入手しているわけでありますけれども。

 先ほどからの繰り返しで、これは中身がどうのこうのじゃなくて、今後建設的な議論をしようと思っても、与党の中だけで全部我々決めるんだ、野党なんかは審議に参加してくれなくてもいいんだ、政策決定には加わってくれるなと。こういうことの腹づもりなんでしょう、人をばかにしながら。

 しかしそれは、例えば証人喚問の件もそうですよ。僕はこんなところで別に言うつもりもなかったけれども、村上正邦、額賀福志郎、小山孝雄、それから古関忠男、それからこの外務省の松尾克俊、この五人、要求してきても、全くこれだって何にも一顧だにされていないじゃないですか。

 毎度毎度、理事会で諮る、理事会で諮ると、委員長も何とかの一つ覚えのように理事会で諮りますと言って、その場だけしのいで前に進んでいるけれども。そして理事会で毎度、諮って、協議しました……(発言する者あり)だから、自見さんに言わせればそれが民主主義だと思っているんだ。大間違いだ。それが民主主義だと思っているんだよ。多数決なんというのは、最後、みんなで話し合った結果最終的に……

野呂田委員長 ちょっと質問者に申し上げます。

 これは与野党の理事会で真剣に議論しているところですから、理事会そのものを中傷することは許しませんよ。それ以外の質問をしてください。

中田委員 済みません。よく聞こえなかったんで、もう一回言ってください。

野呂田委員長 理事会そのものを侮辱するような発言はやめてください。理事会は真剣に議論しておりますから。今も引き続き協議しているところですから。

中田委員 わかった。今のが侮辱というなら幾らでも侮辱しよう。全くゼロ回答じゃないか。村上さんの問題にしたって、きのう本人が議員辞職届を出して、そうしたらもう、喚問やる必要ないなんという、そうした言動が既に出てきているではないか。

 村上さんにしたって何だって、人間としての情はあったとしても、政治家としての責任について皆さんたち自身がむしろ律する姿勢を持たなければいけない、そんなことは余計なお世話だ。しかし、野党が……(発言する者あり)我々だって国民の代表でここに来ているんだ。

野呂田委員長 ちょっと待ってください。ちょっと委員長の言うことを聞いてください。

 二十八日まで、野党から最終的な返事をくれということでありますから、それまで検討をまた重ねながら、二十八日正午あたりに検討するということになっておるので、それ以外の問題について議論してください。

 訂正します。引き続き協議ということになっておりますので、御了解ください。(発言する者あり)

中田委員 久間さん、私も久間さんのお人柄は存じ上げているし、今までも御指導いただいたことがあるけれども、何だったらここで採決してもいいんだよと、だからもう、そういうところが、もう民主主義を皆さん履き間違えているよ、履き違えている。(発言する者あり)だから、それは証人喚問だけじゃないんですよ。国会というのはすべて採決で決めるんですよ。しかし、採決で決める、多数だ、それですべて何でもこの数年押し切ってきたじゃないか、皆さんは。中立公正が聞いてあきれる委員長だ、率直に申し上げて。

 不信任案は既に出た。しかし、それももちろん否決をされた。(発言する者あり)いや、どんなに失礼と言われても、失礼なのはあなたたちだ。(発言する者あり)言い過ぎだと言われても、あなたたちの方が失礼だ。

 我々だって国民の代表としてここに来ている。その我々に対してまともに答えもしない、失礼だ。(発言する者あり)

野呂田委員長 どうぞ皆さん、不規則発言はやめてください。中田君、冷静に質問を続けなさい。

中田委員 冷静に……(発言する者あり)そちらも冷静になってくれ。(発言する者あり)

野呂田委員長 ちょっと、不規則発言はやめてください。

中田委員 何が失礼だよ。さんざん失礼な答弁を繰り返して、全く議論をやる気がないじゃないか。そういう中で、野党に対してのみののしり、多数決だと言い、まあ国民がそのことをしっかり見て判断をしていただければ、その民主主義はまだ死なずと思うけれども、しかし、民主主義の土俵すらも多数決で勝手にぽんぽん変える人たちですからね、まあ余計なことまで言いたくないけれども。

 いや、もう私、質問きょうやめます。ばかばかしい。

野呂田委員長 それでは、質問は終わりました。

 これにて中田君の質疑は終了いたしました。

 次に、土田龍司君。(発言する者あり)

 質問がないと言っているんだから、しようがないじゃないですか。(発言する者あり)速記は続けてください。本人の質問がないそうでございますから……あなた方は、そう言うなら質問者に質問させてくださいよ。(発言する者あり)そんなことないよ。あなた、余計なこと言うなよ。民主党が言うべきで、本人が質問ないと言っているんだから。速記はとめないでね。

 それじゃ、本人が質問がないと言ってお帰りになりましたから、やむを得ません。これ以上質問は続行できません。次の質問時間が三時から土田君になっておりますが、その間暫時休憩いたします。

    午後二時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時開議

野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。土田龍司君。

土田委員 大変珍しい形で休憩になってしまいましたけれども、今休憩中に与党の方々や何人かの方々が話をされているのをちょっと聞いたのですが、まあ国会というのはこんなものだよとか、若いからかっかするんじゃないかという意見もあったように感じますけれども、もしもそういうふうに感じるのだったら、やはりこれは我々の間違いでございまして、中田委員の方が普通なんです。このような空虚な議論を何年も何年も、あるいは何十年も続けてきたところに、うんざりするような、あるいは国民の皆さんから見ても腹立たしいような、テレビを見てもしようがない、国会審議はつまらないというふうになってきた。これはやはり中田議員が非常に情熱を燃やしてこられた証拠じゃないかというふうに思っております。

 しかしながら、国会審議というのは、多分、私がここで感情的になってテーブルをたたいても変わらないでしょうから、自由党が政権をとるまでしばらく我慢しながらやっていきながら、我々が政権をとって、日本の一新をやって、日本の改造をやって、国民の信頼にこたえるような政治をつくるまでしばらく我慢しながらやっていきたいと思っております。

 今回の外交機密費の問題が新聞に出たのが一月の一日でございましたけれども、四日からその調査会を発足させて、一月の二十五日にその調査結果を発表された。私は外務委員会の委員でもありますから、外務委員会の中でも閉会中審査をと何回もやったけれども、与党は全く応じない。外務省は、二十五日とは言っていませんでしたが、調査結果が出るまで待ってくださいの一点張りで、ほとんど積極的に不信にこたえようという姿勢は見られておりません。

 このような状況があるからこそ、ますます疑いが深くなるわけでございまして、新聞には連日いろいろな疑惑といいましょうか、証拠といいましょうか、そういった証言が出てくる。外務省は何も発表しない。外務大臣も発表しない。捜査権がないからとか、自分たちは一生懸命やっているとか言うばかりで、こういう状態が続けば続くほどますますおかしくなって、また第二の中田さんが出てくるんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 冒頭に、外務大臣に、本気で疑惑解明をする気はあるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 私は、国民の皆様に心から申しわけなく思っております。外務省という組織がこうした不正を長期間にわたって見逃してきてしまったということについて、その結果、国民の皆さんの貴重な税金を横領されるという事態が生じ、さらに皆様方の外交に対する信頼を低下させたということを重く受けとめておりまして、ぜひともここで、外務省の機構も機能も強化しなければならぬ、この機会を逃してはならぬというふうに考えておりますし、一方で、こうした事案の解明がきちっと行われるということを何より重要だと考えております。

土田委員 この機密費の問題についてはちょっと間を置きまして、後でもっと突っ込んだ質問をさせていただきます。

 きのう、突然村上正邦さんが議員辞職を提出されました。村上さんは、御存じのとおり森内閣を密室でつくったいわゆる五人組の一人でございまして、森内閣を支えてこられた重要な方であったわけです。この森内閣を支えてこられた村上さんが議員辞職をされるということに対して、官房長官、どういった感想を持っておられますか。

福田国務大臣 まずはまことに遺憾なことであるというように思っております。その辞任をされたという原因が今委員の指摘されたことに起因することであるということは皆さん御案内のことだというような、そういう前提に立ちまして、私ども、特に自民党の中にあって極めて重要な仕事をされてこられた、そういう議員でございますから、その方がおやめになるということは極めて重大なことであるというように受けとめております。

土田委員 労働大臣はどういうお考えでしょうか。といいますのは、小山さんも村上さんも、KSDの問題で議員をおやめになった。労働省の労働行政に非常にかかわってきたというふうに言われております。まず、感想からお尋ねします。

坂口国務大臣 小山前参議院議員、そして村上参議院議員、ともにこの労働省がかかわっておりますKSDとの関係の責任を表明しておみえになるわけでございます。我々旧労働省を抱えます現在の厚生労働省といたしましては、今までこのKSDに対するいろいろの指導も行ってまいりましたが、しかし不十分であった、そこは非常に反省をいたしております。

 その今まで不十分でありました中身をいろいろ見てみますと、いろいろと指導してまいりましたけれども、しかし旧労働省の中の体制が、きちっとした専門官がいて、そしてKSDを初めとする公益法人の指導監督をするという体制になっていなかった。みんなが多くの仕事を抱えながら、そして片手間にやっていた。そういうふうなことでは公益法人の指導監督はできないというので、専門官を数名きちっと置くといったことをしたところでございます。

 また、このKSDそのものに対しましては今までにもいろいろ指導してまいりましたけれども、それをなかなか聞かなかった。十二年、立入検査をいたしまして、そして、いわゆる補助金として出しておりますものの中身を明確にきちっとすべし、あるいはまた、その補助金として出しておりますものと、それからそれを受けました側のところは、独自の予算等を明確に、予算上、会計上、区分をきちっとすべきである、そうした指導をしてきたところでございますが、その直後に司直の手が入りまして、そして現在に至っているということでございまして、豊明会は解散をした、事実上まだこの三月までは存在をいたしますけれども、そういう状況にございます。

 二度とこういうことが起こらないように、これもきちっとしていかなければならない、今後の指導を強化していきたいと思っているところでございます。

 また、関係のアイム・ジャパンでありますとか、あるいはまたKGSでありますとか、そうした関連のところに対しましても指導を強化いたしておりまして、一月には立ち入りをし、そして調査をし、現在その最終のまとめをいたしているところでございまして、きちっとした指導を行いたいと思っているところでございます。

 過去のことにつきまして我々は問題はなかったのか、そのこともきちっとしなければならないということで、旧労働省の担当の課の人たちに対して、KSDからどういう働きかけがあったのか、あるいはまた政治家からどういう働きかけがあったのかといったようなことにつきましても、今鋭意聞き取りをしているところでございます。

 こうした問題、間もなく結論を出したいというふうに思っておりますが、そうした問題も踏まえまして、そして二度とこういったことが起こらない体制をどうつくり上げていくかということに懸命に努力をしたいと考えているところでございます。

土田委員 今の大臣の答弁からしますと、やはりいろいろなことをやったということは、そういった政治家からの圧力によって労働行政がゆがめられたことがあったというふうに判断をされたからですか。

坂口国務大臣 政治家からのいろいろの御意見というのは常にあるだろうというふうに思っております。

 しかし、いろいろの意見があります場合に、それは、党としての意見、あるいはその当時の連立政権としての意見というものとして提示される場合もございますし、また個人的な意見としてそこに提示されるものもあるというふうに思っております。

 いわゆるものつくり大学等につきましては、これは一人の人といいますよりも、それは党として、当時の連立政権としての一つの意思として提示をされていたというふうに私は認識をいたしております。

土田委員 ものつくり大学への補助金の上乗せの問題なんですが、平成十年度の概算要求枠は四億九千万で、政府予算は一億四千万減っていますね。平成十一年度が、二十三億の概算要求に対して、政府の予算は十二億。ところが、平成十二年度予算は、労働省の概算要求は五十億に対して、政府の予算は七十一億とふえているわけです。

 ちょうどこの時期に、十二月でございますから、そのときにいろいろな会談が行われたことが新聞で発表されました。十一月の末に都内のホテルで、亀井、小山、村上、藤井さん、それに労働省の幹部が会食をした。十一月下旬に亀井さんが大蔵省の主計局に電話をしたと書いてあります。それによって翌年の一月二十八日の施政方針演説に組み込まれた。概算要求は五十億円だったのに、政府の予算は七十一億に膨れ上がった、これはどういう理由でしょうか。

坂口国務大臣 ものつくり大学に対します予算は、平成十年、十一年、十二年という三年間でございます。

 十年、十一年は、御指摘をいただきましたとおり、初めの予算案を全部消化するに至りませんでした。したがいまして、初めに組みました予算よりも少額の、その中の一部が使用されたということでございます。

 最後に御指摘になりました十二年度の予算でございますが、御指摘のように、初めはいわゆる五十億何がしかの予算が組まれていたわけでございますが、民間の方にも三十億ほどの予算を集めていただこうというのでお願いをしていたようでございますが、これがなかなか集まらないということになりまして、その民間の集めていただく予定にしていた分をどこかが負担をしなければならないということになりまして、労働省の雇用勘定の方から出してほしいというお話があった、こういうふうに聞いております。そうした意味で、七十一億という予算がそこに最終的に組まれたというのが事実のようでございます。

土田委員 それでは、外務大臣に対しまして報償費のことをお尋ねさせていただきます。

 河野外務大臣がかつて新自由クラブをつくられたころ、ちょうど私は大学の四年生でございまして、非常に大きな感動を覚えた記憶がございます。神奈川県から出ていらっしゃる立派な政治家だな、将来日本をしょって立つ方だなというふうに思った記憶がございました。

 ところが、あれからもなかなか政治は変わってこなくて、ほとんど同じような自民党政権が続いて、改革が行われないで、相変わらず、さっきの中田議員じゃありませんけれども、空虚な審議が行われてきているのです。しかも、今回外務省の所管である機密費が横領されたということで、国民の不信感がさらに高まってきた。

 私は、最近森総理がそろそろおやめになるのがきょうかあしたかと言われている状況になってきて、後継首班はだれかという話までささやかれて、その中には河野大臣の名前は出ておりませんけれども、もしここで河野大臣が本当にこの疑惑究明をやるならば、国民の皆さんから大きな喝采を浴びて信頼を得て、首班指名の番が回ってくるんじゃないかというふうに思っているんです。

 今回、外務省の中に荒木副大臣を委員長とします調査委員会がつくられましたね。さっき質問しましたように、一月の二十五日に調査結果を発表したことだけで、全く外務省や外務大臣からはそれ以後のメッセージはありません。この調査委員会がいずれ調査結果を発表するかもしれませんけれども、多分外務大臣はまた、捜査権がないとか一生懸命やったとか、そういった報告をされるんじゃないかという感じがしてならないわけです。

 ですから、内部的な調査機関を幾らつくってもなかなか効果が上がらないわけです。ただ、外務大臣として、各部局が持っている情報や書類を大臣の命令で出させて、その上で検討するということは十分に可能であると思うわけですね。そこまでやらなければ本当の疑惑解明はできないし、大臣のリーダーシップも発揮されない。そこまでおやりになるのかどうか、お答え願いたいと思います。

河野国務大臣 現在外務省内で行っております調査委員会の作業の状況をちょっと御説明申し上げたいと思いますが、荒木副大臣を委員長といたします調査委員会が活動を始めておりまして、外務省内六百名に上る人たちに対します調査を今行っております。この調査の結果が荒木調査会でまとまりますれば、何らかの形で御報告を申し上げたいというふうに思っているところでございます。

 誤解のないようにお願いをしたいと思いますけれども、捜査権のある、ないというのは、まさに私どもが横領事件で告発をいたしました松尾元室長の取り調べについて、これは捜査当局に捜査権を持ってやっていただかなきゃなりません。一方、今外務省内で調査をいたしておりますのは、外務省に対しますさまざまな御意見、御批判というものを受けまして、外務省内に国家公務員としてあるまじきことをした人間がこの松尾元室長に絡んであったのではないかというような批判がございまして、これらについてきちっと調査をしようということで調査をいたしているわけでございます。

 これにつきましては、まず、衛藤副大臣、荒木副大臣、二人の副大臣と三人の政務官と私とで政務会議というものをつくりまして、そこで今回の外務省に対しますさまざまな御指摘に対して、それに答えを政治主導で出そうということで、荒木副大臣には省内の調査、衛藤副大臣には再発の防止と、それぞれ手分けをして、それぞれが担当をして今作業をしているところでございます。

 荒木調査会の方の調査がどういうふうに進んでまいりますかは私ども随時報告は伺っておりますけれども、御報告申し上げられるように取りまとめができますれば御報告を申し上げたいと思っています。

土田委員 その調査会の報告はいつごろ出す予定でございますか。

河野国務大臣 ちょっと何月何日ということは申し上げられませんが、そんなに遅くなく出せると思っております。

土田委員 もうちょっと具体的な話をしていただけませんか。来年とか十年後でなくて、何月ごろとか、お願いいたします。

河野国務大臣 調査委員会の調査をどの程度まで深くやるかによって時間のかかり方は違ってくるかと思います。私としては、疑惑があるかないかということはこの調査委員会ではっきりさせてほしいと思っているものですから、この点については、荒木副大臣ともう少し相談をして、そのめどについては申し上げたいと思います。

土田委員 最初、この問題は松尾何がしの個人的な犯罪として調査を立ち上げておりますね。だから、組織ぐるみの犯罪ではないんだということで終始してきているわけです。だから、一月二十五日の発表もほとんどが松尾何がしの問題だということばかり言ってきた。そのために、与党はもちろん、野党も国民もみんな信じなかった。それで、もう一回調査会をつくって、今度は組織ぐるみの犯罪じゃないかということを調査し始めたわけですね。

河野国務大臣 ちょっと誤解があるといけませんので、そこははっきりさせておきたいと思いますが、私ども、一月四日に調査委員会をつくりまして、一月の二十五日まで本当に頑張って調査をいたしまして、その中から五千数百億の明白な横領の疑いがあるということで告発をしたわけでございます。この告発の対象は松尾元室長でございます。

 したがいまして、私どもはこの松尾元室長の横領事件、こう考えているわけでございまして、その後、今申し上げましたように、この松尾元室長に絡んで、省内で、例えばどういうふうに申し上げればいいか、供応とでも申しますか、そういったことがあったのではないかという指摘が紙上ございますので、そうしたこともきちっと調べてみなければいかぬということで現在調査をしている、こういうことでございます。

土田委員 今回の調査結果の発表はまだいつ答えられるかもわからない、いずれ答えますということで、非常にあいまいなわけですが、では、もう一つ、大臣が誇らしげに今おっしゃいました政務会議ですね。これも省内の、与党だけでつくるわけですね。仲間だけでつくってやるわけでして、こんなものつくったってだれも信用しないわけでございまして、やるならば超党派でやってくださいよ。野党の議員も含めた中でやれば、それだけでイメージ的にもっと解明がされるだろう。全部仲間内でやって、それで済まそうとするから、皆さん、疑惑がなかなか減らないわけでして、この政務会議も超党派でやる考えはございませんか。

河野国務大臣 どうもこのところ数字を取り違えまして、まことに申しわけございません。五千数百万でございますので、訂正させていただきます。

 今、与党だけでやっていたのではだめだという土田議員からの御指摘でございますが、これは与党だけというよりは外務省の大臣、副大臣、政務官で今やっているわけでございまして、調査の状況によっては外部の意見、外部の目が必要になってくるということもあるいはあるかもしれません。私どもも、例えば再発防止については外部の方々の御意見をいただくために会議を既にスタートをさせておりまして、この荒木調査会につきましても外部の方の目をお願いするということは私の考えの中にはございます。それが必要であると考えればそうしたいと思っております。

土田委員 これまで報償費の使い道として、例えばということで一つだけ例が挙がったのが旅費の差額を補てんしていたということなんですが、さっき中田委員も非常に熱心に言っておりましたけれども、ほかにあるんでしょう、なぜ出さないんですかというところからさっきの中断話が始まったわけでございまして、なぜこれは旅費の差額だけでほかには使っていないと言い張るんですか。なぜそれにこだわるんですか。

河野国務大臣 報償費の問題は、その性格からいって、その使い道は申し上げないということで御勘弁をいただいているわけでございますが、差額の問題は、これは官房長官からも累次御答弁がございましたように、事件に絡んだものだということでこの数字については公表しているわけでございまして、それ以外のものについてはお許しをいただきたいと思っております。

土田委員 これは何回も何回ももう質問されて、同じような答弁をされておりますけれども、旅費の差額だけじゃないと思いますので、もうちょっと答えてくれれば少しは話が進んでいくんだと思いますけれども、ちょっと時間がありませんので最後の質問にしたいと思うんです。

 この松尾何がしが横領したお金につきまして、現時点で判明された金額を発表されました。幾らだ、それから旅費の補てんに使った金額はどのくらいだということであるわけですが、これはある程度単純計算でできるわけですので、来年度予算から減額するのは当然じゃないかと思うんですね。外務大臣はずっと、説明はいいかげんにして、調査は身内だけに固めて、そして内容は言わないということになれば、国民の皆さんはなおさら不信を持ってくるわけでございまして、こうなると、今申し上げましたある程度の数字が単純に出せるということになれば、来年度予算から減額するのは当然じゃないんですか。なぜかたくなに減額はしないんだと言い張るんですか。

河野国務大臣 私どもはこの報償費、いわゆる機密費でございますけれども、報償費の必要性というものを、外交政策を遂行する上で重要だということを非常に痛感しているということがございます。もちろん、限られた条件の中でこれをできるだけ効果的に正しく使うということはもう当然のことでございますから、私どもとして、その有効性あるいはプライオリティーの高いものを考えて使っているわけでございまして、これを減額されるということになりますと、我々が考えております情報収集でございますとか、あるいは外交政策の円滑な推進ということにそごを来すおそれもあるということで、私としては、この使用方法について、厳正な使用についてのルールをさらに一層厳正にやっていくということで御理解をいただきたいと思っているわけでございます。

土田委員 それはだめです、そういった答弁では。それはもう聞き飽きている答弁でございまして、ばれた分は返せと言っているんです。ばれたら返しなさいよというのが国民感情でございまして、それにかたくなに、減らさないんだ、いや、ふやしてほしいぐらいだという答弁でしょう。それはだめですよ。そういうことをやっていると、国民からますますばかにされるということになるわけでして、これは真剣に、やはり来年度予算から減額をして、ばれた分は一回返しますというようなことをしなきゃだめだと思います。時間が来ましたので、これでやめますが。

 ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて土田君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤島正之君。

藤島委員 私は、まず最初に、KSD事件についてお尋ねしたいと思います。

 昨日、御承知のように村上議員が辞職願を出したわけでございますが、参議院議長をうかがう地位まで行ったわけですけれども、ある意味では、御本人は大変ここのところ苦悩されておったんだろうと思いまして、個人的には若干同情のようなものがあるわけですけれども、悪いことをやったのは悪いことをやったということで、そこはきちっとする必要があると思います。

 昨日の辞意表明に対しまして、いろいろ自由民主党の中で御意見をおっしゃる方がいらっしゃるわけですけれども、中でも、元自由民主党の重鎮でありました松野頼三先生が昨日テレビに出ておっしゃっていましたけれども、かつての疑獄は個人個人がやったんだ、まあ御自分のことをも含めておっしゃっているのかどうかわかりませんけれども、ただ、この問題は個人じゃない、やはり自由民主党の組織的なものが背景にある、ここが違うんだ、こういうふうにおっしゃって、私も、まさにそういうことじゃないかなという感じがしたわけであります。

 きょう、法務大臣にわざわざお越しいただきまして、今、NHKKですか、次期総理に、野中広務先生、それから橋本先生、小泉先生、それで高村先生、こう名前が出ておりまして、私は、昔から先生にお世話になっておりまして、高村先生が総理にでもなったら大変うれしいし、これはいいことだ、こう思うわけですけれども、そういう立場にある法務大臣は、昨日の……(発言する者あり)今は感想を聞くわけですから。辞意表明につきましてどういう感想を持っているか、お伺いしたいと思います。

高村国務大臣 法務大臣としてこの辞職願について所感を述べる立場にないと思っておりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

藤島委員 法務大臣としての立場で伺ったわけではないので、先ほど申し上げました、NHKKの一人として、これから自由民主党を指導していこう、こういう立場の高村先生の所感をお伺いしておるわけですけれども、もう一度お願いします。

高村国務大臣 NHKというのは聞いたことがありますが、NHKKというのは聞いたことはないので、そういう立場というのはないわけでありますが、個人とすれば、ここに至る経緯は別にして、政治家として切腹されたということは御本人のそれなりの美意識のしからしむるところかな、こういうふうに思っております。

藤島委員 これ以上伺っても、そういったような言葉しかお聞きできないと思いますので、これはやめまして、ところで、宮澤財務大臣は、これまでずっと自民党の中で指導者としてやってこられて、今でも重鎮であり、内閣の副総理格でいらっしゃるわけですけれども、どういうふうに感想をお持ちでしょうか。

宮澤国務大臣 私はそのNIKKとかいうようなものにはないんですか。

藤島委員 これは私が入れるわけじゃありませんで、世論の方が入れるわけでございますので。ちょっと違う立場で、今まで自由民主党の指導をしてきた、そういう立場から御意見を賜りたいと思います。

宮澤国務大臣 やはり個人、政治家のことでございますので、意見を差し控えさせていただきます。

藤島委員 扇大臣にも伺いたいんですが、きのうちょっと何かコメントされていますので省きまして、きょうお見えになっておりますけれども、田中眞紀子先生は、捜査当局が動いているから慌てて議員辞職するというやり方はこっけいだし、時代にも合わない、辞職で一件落着ではない、非常に歯切れのいいことを言っておられるんですが、私もまさにこういうことじゃないか、こう思うわけであります。また、公明党のある議員は、政権も含めて一から出直さなければと心配している、こういうことでございまして、このあたりが本当に今度の、昨日の件に関する正しい見方といいますか、そういった見方ではないか、こう思うわけであります。

 私が申し上げたいのは、要するに、昨日の議員辞職でこれで一件すべて落着、こういうものでは決してないということであります。最初に松野先生の話を申し上げましたけれども、要は、今証人喚問の問題が出ておるわけでありまして、辞職したからといって、そういった事実の究明といいますか、これをないがしろにしていい、幕を引いていい、これとは全く違うものだ。先ほど高村先生もおっしゃるように、非常に潔いとかあるいは人間的にすっきりしていいんだ、こういう問題と、犯罪行為を行った事実をはっきりしていく、これは違うものだということ、したがって証人喚問については必ず実施すべきものだということを、はっきり私は申し上げておきたいと思います。

 次に、いわゆる村上議員の幽霊党員の問題でございますが、九七年、九八年の二年間で延べ十九万人の架空党員をつくり、五億二千六百万円近くの党費を肩がわりしていた。その結果、比例名簿の順位が二位になり、当選を果たした。この点については、先日の予算委員会の審議でも、総理にいろいろな党から質問があったときに、それと順位の二位とは別問題だ、順位の二位はいろいろな要素があって決めているんだとおっしゃっていましたけれども、確かにこれがすべてだとは思いませんけれども、現実問題として二位になったということは、これが十中八九ウエートを占めていたと言えるわけであります。

 そこで、私はまた御指摘させていただきたいのは、KSDがやったことは、名簿を使って本人の了解なしに勝手に自民党に入党させ、その党費を肩がわりした。それが、一般的に自民党の党員をふやす、こういう観点から党費を肩がわりして架空党員をふやしていった、これは問題はありますけれども、まだある意味では党勢拡大というだけで、いい面はあるかもしれませんけれども、今回のこれは、先ほど申し上げましたように、村上議員を二位にしよう、こういう目的がもうはっきりしておるんですね、個人をそういうふうに上げていこうと。この目的のために党員を集め、党費を肩がわりした、ここに非常に、普通のケースと違う大問題がある、私はこう思うわけであります。

 それで、端的に言いますと、いろいろ言われていますけれども、あるいは詐欺的な行為であるとか、あるいは有印私文書偽造になるんじゃないかと。これは何か報道によりますと、自由民主党の入党申込書というのは五枚つづりになっておって、紹介者と本人の署名捺印をそれぞれ四カ所ずつ、本人のみの分をさらにもう一カ所、全部合わせて九カ所にしなければならない。これは立派な有印私文書であり、これを本人の了解なしにつくるということは、まさに有印私文書偽造ではないのか。しかも、村上議員の分で十九万人分という恐るべき分量を組織的に偽造した。それだけ三文判をかき集め、何人もの人を動員して、住所、氏名を書きまくり、判こ、三文判を押しまくった、こういうことであります。これが、先ほど申し上げましたように、村上議員という特定の方をそういう地位に上げる、こういう利益のためにこういうことをやった。これは何らかの犯罪行為にかかわるのじゃないか。これは国民の常識だろうと思うんです。

 そこで、法務大臣にこの点についてお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

高村国務大臣 犯罪の成否というのは新聞に書かれた事実について認定するものではなくて、証拠によって認定された事実について犯罪の成否は決めていくものだと考えておりますので、法務大臣としてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

藤島委員 これはある程度明白な事実じゃないかと思うんです。こういうのを放置しておくということは法務行政の観点からいっても、事実があればというのは、それはもちろん当然のことでありますが、調査を積極的にやる、こういうことが逆に国民に対する自由民主党のいろいろな疑惑を晴らしていくことになりまして、かえって自由民主党のためにもいいんじゃないか、こういうふうにも思われるんですが、いかがですか。

高村国務大臣 自由民主党のためにいいかどうかは別として、何らかの目的でもって私が指揮権を発動するつもりはございません。

藤島委員 これ以上追及しませんけれども、この件も速やかに事実関係が明らかになることを私は期待したいと思います。

 次に、KSDの掛金の問題でありますので、厚生労働大臣に伺いたいと思います。

 KSDは、会費は月二千円、会員になれば、業務上かどうかを問わず、けがをしたとき、補償総額六千万円の範囲内で何回でも補償を受けられる。例えば、死亡時には二千万円、入院時は一日四千円といった内容だそうでございます。これは最初、つくったときは規模も小さかったんですけれども、一種の保険と同じわけであります。この点について、こういう内容は間違いないんでしょうか。

坂口国務大臣 今御指摘いただきましたその数字は、間違いないようでございます。

藤島委員 これは最初、つくられたころは規模も小さくてそんなに問題はなかったわけですけれども、古関氏が理事長になってから非常に、金融機関と組んだりいろいろなところと組んでどんどん規模を大きくし、ついには百万人の大台まで持っていった、ここから非常に問題が出るわけです。なぜ問題が出るかといいますと、掛金を集めたものから死亡とか障害で出ていく分、これがほとんど同じような額が諸経費を引いて出ていっておればそんなに問題はないわけなんですけれども、これが実際にいわゆる返戻金となっていった分がかなり少ない、ここに問題があるということであります。

 厚生労働大臣に、ある年で結構ですけれども、最近の年で、どれぐらい掛金が入って、それに対して実際に、いわゆる実損といいますか、そういう形でどれぐらい出ていったのか、それで差額がどれぐらい残ったのか、お答えいただきたいと思います。

坂口国務大臣 その時期によりましてかなり違いますのでどの時点のときのを申し上げればいいかちょっとよくわかりませんが、これは平成十二年の八月一日現在のところでございますが、会員事業所数は六十二万事業所でございます。そして、被共済者は百万人、百七万九百五十七人という数字が出ております。そして、会費、月に二千円ということでございまして、決算額といたしましては二百七十四億円ということでございます。その中で災害補償に出ておりましたのは八十三億円でございます。

藤島委員 二百七十四億円入ったわけでありますけれども、支払われた額が八十三億円。これは何%になるんでしょう。とても半分はいっていないわけですね。三〇%ですね。そうすると、その残り百九十億程度、これが一体だれのためにどこへ行っちゃうか。ここからいろいろなことを古関氏は考え出したわけであります。これがとんでもない問題の始まりだと私は思うわけでありまして、やはりここをきちっとチェックしなかった厚生労働省の体制が問題ではなかったか、こういうふうに私は思うわけであります。

 そこで、このKSDの会員から集めた掛金が自由民主党の方にどういう形でどういうふうに流れていったのか、現在わかる範囲でお答えいただきたいと思います。

坂口国務大臣 KSDは我々厚生労働省の管轄でありますが、ただいま御質問になりました点につきましては、これは厚生労働省の範囲外のことでございまして、我々にそこは知る由もございません。

藤島委員 厚生労働省の守備外、これは私は大変心外ですね、きちっと公益法人で管理監督しているわけですから。そこがこういう事件を起こした。これを事後的にでも、どこにどういうふうに金が流れていったか。これは守備範囲じゃないから全然知らない、こんな答弁はないと私は思いますが。

坂口国務大臣 知らないというのが現実でございますけれども、現在、捜査が行われているわけでございまして、その捜査の結果を待つ以外にないと思っております。

藤島委員 先ほどの外務省の機密費と同じで、捜査が入っていると確かに担当の役所といえどもなかなかやりづらいことは十分わかるのでありますけれども、だからといって知らぬ存ぜぬ、こういう話ではないはずでありまして、残っている資料、あるいは人間は残っているわけですから、そこに聞いたらいいんですね。やる気がないから何も出てこない、こういうふうに思うんですが、どうですか。

坂口国務大臣 先ほど災害補償のことを申しましたけれども、その振り分け、二百七十四億円の中で、管理費といたしましては五十九億円、そして災害補償としましては、先ほど申しましたように八十三億円、そして福利厚生としまして三十九億円、そして災害防止として十億円、人材育成として十六億円というのが使われていたというのがこの時点のことでございまして、これらの分析はいたしておりますけれども、それ以後、その書類一切は今ないわけでございますから、そこをより具体的にと言われましても、それ以上のことは我々のところではわからない、こういうことでございます。

藤島委員 KSDからKSD豊明会を、これは任意団体をわざとつくったわけですね。当然、公益法人は政治行動できませんので、その隠れみのという形でKSD豊明会というのをつくって、任意団体をつくって、そこに補助金という形、何か補助金の出し方にも差額が出るような出し方をやっていたとかいろいろあるようでありますけれども、いずれにしても補助金を出して、そこから政治活動資金として自由民主党を中心に流れたということでありまして、政治資金として、細かいのは随分ありますけれども、名前がある新聞に載っていますけれども、十万円ずつのパーティー券だとか寄附だとか、私はこういうのは問題にする必要ないと思っているんですね。これと今回のような大口の大変なものと一緒くたにするのがどうもいけないんですね。

 この寄附の陣中見舞い、これは今この新聞だけですけれども、自由民主党だけで十何名とか、いろいろ野党の名前も出ているようですけれども。私はそれと大口の金額と混同しちゃう、一緒にして、十万もらっているのも悪いじゃないか、パーティー券だって悪いじゃないかと、これはやはり議論としておかしい。というのは、これを十万円とか二十万円もらっていた方が、じゃ、KSDがどういうものだったかそんなに調べないでもらっているわけですね。ところが、村上さんとかなんかは、ここの性格、行動の内容は全部よくよくわかった上でもらっている、ここが私は一番問題があると思うんです。

 私はそこが問題があると思いますけれども、結局、私が申し上げたいのは、そういうふうなKSDの会員が、中小企業、零細の方が本当に血のにじむ思いで少しずつ出した金が、そういった全然入るときに認識していなかった目的に使われていってしまっている、しかも、先ほどのように、自分らに本来戻ってこなきゃいかぬ、あるいはもっと補償を上げられるところを上げないでそういうふうな金になっているということがいけないので、私は先ほど厚生大臣に申し上げたのは、そこはある程度明らかにした上で、やはりKSDの会員それぞれ、中小企業、零細の方に返してやる、こういう施策を厚生労働省としても考えて実施すべきじゃないか、こう思うから申し上げているわけですが、この点はどうでしょうか。

坂口国務大臣 そこは先ほどもお答えをいたしましたとおり現在捜査中でございますから、その結果が明確になりましてからの問題であるというふうに思っている次第でございます。

藤島委員 その結果がわかれば、今のような、しかし明らかに相当な額が流れていることはわかっているわけですから、私はぜひその掛金を負担した方に返してやるべきだということをこの際主張しておきたいと思います。

 次に、先ほど同僚議員から話がありましたけれども、監査等をしっかりやるべきだということに対して、人がいない、公益法人をチェックする人がいない、専門官がいない、こうおっしゃっているんですが、厚生労働省では公益法人を幾つお持ちですか。

坂口国務大臣 旧労働省時代には公益法人は六百二十一法人だったそうでございます。最近、若干減ってきたのもございますし、地方でそれを見るものもできたものでございますから、五百幾つかに減っておりますが、その当時としましては六百二十一というふうに聞いております。そして、専門官がいなかったというのはその当時の話でございまして、だからそこを、それではいけないというので、現在きちっと専門官を置いた、こういうことを先ほど申し上げたわけでございます。

藤島委員 公益法人の専門官は、それじゃ何名おるんでしょうか。

坂口国務大臣 最近でございますけれども、専門官を五名置いたところでございます。

藤島委員 六百で五名ではなかなか調査がいかないと思いますけれども、私は、要は専門官の人間というよりも、こういう場合の調査ですから、人材を集中してやれば、それは役所ですからできないはずはない。ただ、一応形だけ調査をしている、こういうことじゃないかという感じはしますけれども、先ほどの答弁で報告はきちっとしたものにするとおっしゃっておりますので、そこは私も信用していきたいとは思いますが、一言御注意申し上げれば、余り中途半端な報告はしない方がいい、やるなら徹底してやった方がいいということだけを私忠告させていただきたいと思います。

 次に、そのチェックとの関係になるんですけれども、ここにいわゆる天下り、旧労働省だけじゃなくて、天下りは何名おりましたでしょうか。全体の理事あるいは部長以上でもいいんですけれども、それと、その中に占める割合を教えてください。

坂口国務大臣 その当時といたしましては、旧労働省から、理事としましては二名、全体としては、職員としては十七名というふうに聞いております。しかし、もうその二名もいなくなっておりまして、現在はゼロでございます。

藤島委員 十数名中、天下り役員が十四名とか十七名とか、こういう数なんですね。

 私も、公益法人に役所の方が天下りすること自体に決して反対しているわけではないわけでありまして、余りそういうことで行っておりますと、やはりウエートが余り高いと、今回の最初の調査にしてもそうだと思うんですけれども、役所自身がこういうところに借りができておる、あるいは古関理事長に借りができておる、こういうことであると、役所が幾ら改善指導をしようとかいろいろ言ったところで、なかなか思うように動かない。ぎりぎりこういうふうににっちもさっちもいかなくなってからやっと腰を上げて、変えていかなきゃいかぬ、こういうことになるわけでありまして、ほかの労働省の公益法人もいっぱいあるわけですけれども、その辺も過多になっていないのかどうか、ぜひ見直していただいた方がこれからのいろいろな不祥事を発生させないためにもよろしいのではなかろうか、こういうふうに申し上げておきたいと思います。この点どうでしょうか、厚生労働大臣。

坂口国務大臣 先生の御指摘、十分に拝聴いたしました。その先生の御指摘を十分に踏まえて、これから努力したいと思います。

藤島委員 それでは、この問題の最後でございますけれども、KSDがいろいろ政治的な力を蓄え、行使しようということでいろいろやっているようでございますけれども、公明党の機関紙に対する広告という名目で年間五百四万円の広告費を出していた、これは形を変えた裏献金ではないか、こういう記事が実はあるわけでありますが、坂口大臣にこの所感をお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 きちっとした数字を聞いておりませんが、その一年間のうちの半分、六カ月分というふうに聞いております。したがいまして、その半分というふうに思います。したがって、二百五十二万円でございますか、そのぐらいの額というふうに聞いております。

 しかし、新聞が広告を受けましたことは事実でございます。

藤島委員 KSDの問題はここで終わりまして、もう一つ、余り不祥事的なものばかりやるのは私は本当は不本意なんですが、実は、愛媛県の大洲市ですか、ここに西田興産という会社が、丸投げで利ざや三億八千万円、こういう記事があるわけでありまして、西田興産は現場に技術者を一人派遣していただけであるということでありますが、須田トンネルという工事で、一九九七年八月に入札が行われ、地元の堀田建設が落札した、事業費は追加発注を含めて約十九億一千万円で、うち十億五千万円が国の補助金、こうなっております。

 それで、その主要工事を十六億四千万円で西田興産に下請に出した。同社は即若築建設に約十二億六千万円で下請に出した。ところが、本体工事で落盤や地すべりが相次いで予算がかさんだため、県は西田興産の担当予定の工事を中止し、後日、別の県内業者に一億三百万円で追加発注。これにより、西田興産の担当工事はなくなった。しかし、なぜか契約は破棄されず、同社は現場に技術者を一人だけ派遣しただけで、約三億八千万円の利ざやを得た。この額は、同社のここ数年の年間平均利益をも上回ると。

 これについて、国土交通大臣の御所見をお伺いしたい。

扇国務大臣 今御指摘になりました数字の中には約というのを入れておいていただくと、もう少し細かい数字がございますので、それを訂正する時間はございませんので。

 感想ということでございますが、私は、これをるる、時間的な差異はございますけれども、調査の内容に関しましては、関係業者に対する愛媛県を通じた事情聴取が十八回行われております。関係業者に対する国土交通省による事情聴取が六回、そして愛媛県からの報告聴取が五回ということで、私は、感想と言われますと、昨年臨時国会において与野党皆さん全会一致で公共工事に対する契約・入札に関する適正化法を通しておいていただいてよかったなというのが感想でございます。

藤島委員 適正化法は、本当は何かしり抜けみたいな法律だと私は思っておりまして、余り効果があるとは思っていないんですけれども。

 ともかく、こういう事実がある。こんなにうまい話であれば、それはだれでも乗りたいということになろうかと思うんですけれども、少なくとも国の補助金を十億出しておる、要約でいいんですけれども。それがあっという間に、何もやらないで、一人だけ現場に技術者を派遣しただけでこんな大金が中間マージンで入って、これはどこかおかしいんじゃないか、これは国民だれもそう思うと思うんですね。発注額の二〇%以上が何もやらないところに抜けている。これで本当に工事は大丈夫なのか。大丈夫であるとすれば、やはりどこか発注の何かがおかしいかしかない。この点はどうでしょうか。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

扇国務大臣 今数字をおっしゃいましたので、議事録に載りますので正確に申し上げておきたいと思います。

 この須田トンネルの建設工事につきましては、元請、これは堀田建設でございます。今大ざっぱにおっしゃいましたけれども、正確には十九億千五百万円でございます。これは全体の施工管理と道路工事でございます。一次下請というのが西田興産でございまして、十六億四千六百九十万円でございます。これはトンネル本体の工事費でございます。二次下請が若築建設でございまして、十二億六千百四十三万円でございます。これもトンネルの本体工事でございまして、うち補助金が、今おっしゃる約十億ではございませんで、十億五千三百二十五万円が正確な数字でございます。

 ですから、私は、皆さん方が今まで国会の中で、丸投げはいけないとかあるいは談合だとおっしゃっていましたことの現実がこういうことであるから法律をつくったということであって、今回の成立させていただいた法律では、丸投げはすべて禁止ということになっておりますので、やはり法律がよかったなと。全面的禁止というものがあるということだけは私は御認識いただいて、この法律を施行前に役に立たないと言うことは、私は御賛成いただいた政党の皆さん方としては残念だと思いますので、四月一日から施行させていただきます。

藤島委員 細かい数字はいいんです、余り細かい数字にこだわるつもりはないんですけれども。

 ところで、最終の若築建設というのは幾らぐらい利益を得ているのでしょうか。若築建設というのはここからでもまだ利益があるのでしょうか。

扇国務大臣 今私の手元にあります中には、その利益がどれだけあったかということはわかりませんけれども、トンネル工事にトンネルをした会社の利益というのはわかっております。

藤島委員 やはりこれは大変重要な意味があるんじゃないかという感じがいたします。西田元自治大臣がこれにどういうふうに関与していたかどうかということ、これはまた別の次元の問題としましても、公共事業が、二〇%もトンネルをしている会社に抜けておってもなおかつやっていけている、こういうことは国民の目から見て何と説明されても納得いくものじゃないし、私は、これが明確であれば当然のことながら、法的な措置は本当は難しいのかもわかりませんけれども、これを国としてあるいは地方自治体として取り戻す努力は何としてでもやるべきだ、これは国民の切なる気持ちじゃないでしょうか。そこだけをはっきり申し上げておきたいと思います。

 あと本当に二分しかなくなりましたので、もう答弁は結構です。

 財務大臣に一言だけ、ちょっとお伺いしておきたいと思います。

 以前、ダム論というのがございました。企業利益が上がればそれがいずれ、ダムの水に例えてあふれ出して、これが賃金になり、賃金が家計を潤し、それが個人消費につながっていく、そうすれば必ず我が国経済はよくなる、こういうダム論ですけれども、これについて、現在財務大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

宮澤国務大臣 私は、そういうことを申したことがなくて、昨年の八月ごろにしきりに言われました。経済が順調に動いておればそういうことが普通でございますでしょうけれども、我が国の経済はそういうふうに動いていないというところに問題があったわけですので、そのころからどうも怪しい話だと思っていました。

藤島委員 実はまだまだいろいろ予算の件について伺いたかったわけですけれども、時間がなくなってきましたのでもう一つだけ伺っておきたいのです。

 きのうの本会議でも私は質問させていただいたのですが、今の予算で本当に景気がよくなる、こう考えているのかどうか。私は、皆さんはそう思っていないんじゃないかという感じがしてならないんですね。これは自民党の先生方もみんなそうだと思いますけれども。

 それで、予算さえ通ってしまえば、あとは選挙の前に補正をやればいい、選挙対策で補正をやればいい、こういうふうに実は考えておられるのじゃないかと思えてならないのですけれども、もう一度、今の予算で、今はとおっしゃるかもしれませんけれども、すぐ時間が来るのです。ですから、少なくとも参議院の前には補正予算は組まない、こういうふうに断言できるのかどうか。もう一つ、本当に今の予算案で日本の景気はよくなると考えているのかどうか。この二点について伺って、私の質問を終わります。

宮澤国務大臣 きのう本会議で意を尽くしませんでしたが、そういうつもりはないと申し上げたのは本当の気持ちでございます。

 つまり、企業活動は結構うまく動いているのですから、それがどうして家計に回ってこないのかというのは、やはり雇用とか労働慣行が今度のことで変わったとか、そういうことで時間がかかっているのだろうと思いますけれども、これは来なければおかしいはずでございますから、多少時間がかかるかもしれないだけで、そのために何かここで補正予算を組んだところで答えにはならないので、今までの予算をきちんとやっていくことで自然に企業の活動が家計に響いてくる、こう考えるのが本筋だと私は考えておるわけでございます。

藤島委員 今の答弁、私はちょっと不満はありますけれども、時間が来ましたので終わらせていただきます。

野呂田委員長 これにて藤島君の質疑は終了いたしました。

 次に、中林よし子君。

中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。

 私は、セーフガード問題についてお伺いしたいというふうに思います。

 そもそも一般セーフガードは、ガット体制以来現在のWTO体制に至るまで、特定の産品の輸入に対する緊急措置として認められているもので、特定の輸入品の急増による国内産業の打撃を回避するための国際貿易ルールとして認められております。WTO協定では、セーフガード協定として協定され、内容面でも、従来のガット十九条に比べ発動がよりしやすくなりまして、整備強化されております。

 先進国を含め、各国が輸入品の急増から国内産業を守るためにこのセーフガードを発動してまいっております。五十年間、二〇〇〇年までの間、アメリカでは三十二回、カナダでは二十二回、オーストラリアでは三十八回、ECが二十一回発動し、日本はゼロ回、こうなっているわけですけれども、間違いございませんでしょうか。

平沼国務大臣 一般のセーフガードについての回数のお尋ねでございますけれども、我が国の発動がしていない、こういうことでございますけれども、具体的に過去の例を申し上げますと、我が国においては、過去、ニンニク、ショウガといった品目について、当時の大蔵省、財務省と農林水産省で検討を行ったことがありますが……(中林委員「そういう経過はいいのです。今の数が合っているかどうかということをお聞きしているのです」と呼ぶ)それは間違いございません。

中林委員 時間が短いので、お聞きしたことに端的にお答えいただきたいというふうに思います。

 日本では、今間違いないとおっしゃったように、戦後、ガット体制以来現在に至るまで、一般セーフガードの発動を一度もしてまいりませんでした。なぜ一度も発動しなかったのか、これもなるべく手短に、経済産業大臣お答えください。

平沼国務大臣 今ちょっと、前の御質問でそれも含めてお答えしようと思いましたけれども、過去、ニンニクとショウガといった品目についてございました。しかし、中国側がこのニンニクやショウガについては輸出管理強化を行う、こういった措置の発動があったわけでございまして、そういう意味で発動をしなかった、こういうことでございます。

中林委員 輸入が増大したのはニンニクだとかショウガだけではございません。これまで一般セーフガードの対象になるのは、あらゆる品目になるわけですね。

 私はここに、一九七九年二月十三日の衆議院大蔵委員会でセーフガード問題に対する政府の答弁、それを持っているわけですが、どのように答弁しているかというと、我が国の場合は、過去におきまして発動したことはございません、我が国の場合は、専ら輸出志向主義を重点に置いていて、国内産業の保護をやれば他国の報復を食らうのではないかというような不安感もございまして、勢い慎重にならざるを得なかったということも事実でございます、こういう答弁。ここにやはりこれまでの政府の本音があらわれているというふうに私は思います。

 つまり、国内の農業だとか中小企業の保護よりも輸出大企業の利益を優先する、そういう一貫した政府の姿勢、これが今日まで日本の場合は一度も発動してこなかった、このことだということを指摘しておきたいというふうに思います。

 そこで、日本共産党は一九九五年七月十二日に政府に対して、農水産業、中小企業を救済するために緊急輸入制限の発動を求める緊急申し入れを行い、政党として最も早く農林水産物に対するセーフガードの発動を求めてまいりました。これに対して政府は政府調査さえ行わず、五年も今まで経過してまいりました。

 具体的に、その間、ではどういうことになっているのかという事例を見ていきたいというふうに思います。今回、政府のセーフガード発動を前提とした調査の対象になったイグサについてでございます。

 日本共産党は、九八年に熊本のイグサ生産地に調査に入り、畳表の輸入量の急増と、産地の自殺者が出るほどの深刻な実態を目の当たりにして、畳表に関してセーフガードの発動を強く求めました。これに対して、農水省の一貫した姿勢は、セーフガードの発動などとんでもない、できない、この一点張りでございました。結局、政府がとった対策というのは、中国との話し合いで、中国側に自主規制をさせてきた。

 しかし、その後の実態はどうなったかといいますと、九九年度の輸出ライセンス枠三万トン、それを七千二百トンも上回るイグサ製品の輸入がなされて、その結果、さらに価格は下がり、イグサ生産農家の経営は、九九年の十アール当たり所得では、粗収益より生産費が大幅に上回る絶望的な状況で、十三万円弱の赤字、こういう事態になっております。

 要するに、今生産者はどういう事態になっているかというと、自主的な減反、つまり、もうつくらないということで、みずからつくることをやめてしまっている。イグサ生産の中心地、八代市のイグサ生産面積は、九八年、千四百四十一ヘクタールあったのですけれども、ことしは何と半分以下の六百四十一ヘクタールにまで下がっている。現地の人たちは、あと二年ぐらいでイグサ生産者もいなくなるのではないか、こういう危惧を抱いております。

 だから、私どもは、あの申し入れたときにセーフガードをやっていただいていればこういう事態にはならなかった。政府の責任、そして今回は政府調査に入った、その違いは一体どこにあるのか、お答えいただきたいと思います。

谷津国務大臣 先生御案内のとおり、一般セーフガードの発動をするためには、予想されなかった事情の変化によりまして輸入が増加していること、あるいは国内産業に重大な損害またはそのおそれが生じていること等が必要であります。また、他の要因による損害の責めを輸入の増加に帰して発動することはできないこととされているところであります。

 平成十年ごろから、畳表、いわゆるイグサの価格の低迷は認められていたものの、畳表の輸入は平成七年から九年は減少傾向にあったことに加えまして、畳表の需要に大きな影響を与えるところの新規住宅着工戸数が平成八年から十年にかけて大きく減少傾向にあったこと等、輸入の増加が価格の低迷の要因とは言いがたい状況であったことから、この時点ではセーフガードの発動に向けた調査の開始を要請するには至らなかったところであります。

 しかしながら、平成十一年以降は、新規住宅着工戸数が若干上向きに転じる一方、畳表の輸入量は急増していることから、今般、政府調査を開始することといたしました。

中林委員 責任については一言もお触れになりませんでした。私は、今言われた理由というのは、本当に言いわけにすぎないというふうに指摘せざるを得ません。

 なぜなら、農水省は、政府調査を要請するかどうかを決める内部基準、それを定めたのは、やっと昨年の十一月二十二日でしょう。だから、そういろいろなことを言われるのだけれども、この基準さえなかったときに、そういうことをやらなかった責任というのは重大だというふうに思います。これは、先ほど大臣が紹介されたように、国内産業に影響がある、あるいはおそれがある場合は発動できるというのがWTO協定でちゃんとルールとしてあるわけですから、本来発動しなければならなかった。

 では、発動しなかったために現地では一体どういう事態になっているのかということなんですが、私はあえて申し上げたいというふうに思います。

 それは、九八年当時、私どもが調査に入ったときに、あの熊本で、半年間に未遂者も含めれば二十人を超える自殺者が出た。しかも農水省が進める、専業で、しかも四十代、五十代、いわば中核農家としてやってこられた人たちがみずからの命を絶って、生命保険と引きかえに、それで後始末してくれ、こう言って亡くなっていっているのです。ある四十六歳の男性が亡くなったときに、そこのお母さんは、頑張ってきたばってん、もうだめですたい、こう言って、もうイグサ生産から手を引かざるを得ない、こういう事態になりました。しかも、自主規制を中国側に求めましたけれども、それが役に立たなかった。

 今皆さんどういう事態になっているかというと、この八代市の隣、鏡町、竜北町、千丁町、そして八代市でも、それぞれ今なお自殺者が出ているわけですよ。役場や市役所に何人自殺しているんですかと聞くと、数は言えない、このように言っておられます。

 だから私は、政府の責任、本当に強く感じていただかなければならないということを、あえて答弁求めませんけれども、申し上げておきたいと思います。

 そこで、現在政府は、戦後ガット体制に入って以来初めて、一般セーフガードの発動を前提とする政府調査を長ネギと生シイタケと畳表の三品目について開始いたしました。多くの農業者が輸入農産物の急増で苦しめられ、離農もさせられている状況の中で、むしろ遅過ぎたとも言えるこういう状況の中で、今農業関係者の人たちは、今苦しいんだけれども、やはり意欲を持って前向きに取り組むためにも、セーフガードの発動を一刻も早くやっていただきたい、一筋の光が欲しい、こういう切実な要求をしているのです。

 農水大臣、あの自殺をせざるを得なかった方々の無念な思いを受けとめていただいて、本当にもたもたしないで、早くセーフガードの発動に踏み切るお約束をしていただきたい。しかも、調査の結果が出る前でも暫定セーフガードの発動ができる、そういう項目もございますから、暫定セーフガードの発動を今決断すべきだ、このように思うのですけれども、いかがでしょうか。

谷津国務大臣 ただいまお話がありましたように、ネギ、生シイタケ及び畳表の三品目については、昨年の十二月の二十二日から調査を実施しているところであります。

 今お話がありました暫定的なセーフガードを発動するかどうかというお話でございますが、暫定措置は、セーフガード協定上、遅延すれば回復が難しい損害を与えるような危機的な事態が存在すること、こういう場合に、輸入の増加が重大な損害を与えていること等について明白な証拠があるという仮の決定に基づいて行うことができるわけであります。

 今、調査をしている最中でございますけれども、この調査の過程において明白な証拠があるという仮の決定、いわゆるそういう証拠がしっかりと出てきたということになりますれば暫定的なセーフガードをかけることができるということであります。

 今、そういった調査の最中でございますが、そういう事態が起こってきた場合においては、これは、財務省それから経済産業省とも相談の上において発動することもやぶさかではございません。

中林委員 前向きな答弁をいただいたと思うのですね。

 それは、昨日、松岡農水副大臣が、暫定発動を検討する、このように記者会見で述べられましたので、大臣としてもぜひこの検討を約束してください。もう一度お願いいたします。

谷津国務大臣 今、調査の過程でございまして、いろいろそういう報告等も出てきておるところでございますので、そういった過程の中において、そういうものが明らかにはっきりと出てきた場合においては、これは暫定的なセーフガードの措置をすることもやぶさかではないと申し上げているところであります。

中林委員 三月二十六日ぐらいまででその調査の結果が出るということになっておりますので、私は、本当に一刻も早くということを重ねて要求しておきたいと思います。

 そこで、この三品以外にも発動を前提とした政府調査に入るべき品目は本当にたくさんございます。当時、農水省は六品目、政府調査の対象とすべきだ、こういうふうに言っていたのですが、トマトとピーマンとタマネギが外されました。その外された理由は全く釈然としない外され方です。

 農水省に聞いたのですけれども、なぜかというと、例えばピーマンの問題ですが、輸入が増加しているのはジャンボピーマンであり、これが国産ピーマンの市場に影響を与えているかについての検証をさらに行う必要があるということからなんですね。つまり、形が大きいからということで外されたわけですけれども、ピーマンには変わりがないのですよ。

 農水大臣、もしこんなことが許されるならば、輸入業者に対して、日本にセーフガードに抵触しないように輸入させようとすれば、形を変えたり色を変えたりすれば同じ品目でもどんどん入ってくる、こういうことにお墨つきを与える、そういう結果になりかねないというふうに思います。

 大臣、ごらんになったかわかりませんけれども、実は、二月十八日、NHKスペシャルで、「「日本の野菜市場をめざせ」なぜアジア野菜が急増するのか・韓国 タイの戦略」、こういう特集番組がありました。韓国では国家プロジェクトとして、輸出向け野菜を、日本を巨大市場として国を挙げて生産している、この実態が生々しく放映されて、ミニトマトに至っては、九八年から二〇〇〇年の間に十四倍の生産量になっている、こういう事態になっているわけですね。

 今、農水省が中国だとか韓国に事情を説明に行っておられる、その努力は私は否とはいたしませんけれども、こういう相手なんですよ。そうであるならば、WTO協定上も貿易のルールとして世界的に認められているセーフガードの発動、これが本当に強力な武器になると思うのですね。

 私は、日本が食糧輸入の大国だということでどんどん許していたら、セーフガードを発動していないそのところにつけ込まれて、こういう大量のものが来て、日本から産地がなくなり農業がなくなってしまうのではないか、こう思うので、今回三品目しか調査対象になっておりませんけれども、それから外されて緊急監視品目だとか監視品目にされているそういうものについても、早く発動に向けた体制と調査をとるべきだと思うのですけれども、端的にお答えいただきたいと思います。

谷津国務大臣 今お話のあったテレビの件は、クローズアップ現代だろうと思います。私もこれは見ましたし、録画を撮ってございます。

 これにつきまして、今、セーフガードの検討に必要な情報を常時集中していく体制を整備したところでありまして、当面は、トマト、ピーマン、タマネギ、木材、合板、ウナギ、それからワカメ、カツオ等の品目をその対象として監視を続けているところであります。

中林委員 セーフガードの発動がなかなかできないということで、私は、じゃ、日本でそのための体制が一体どうなっているのかということを調べてみました。時間が迫ったので、私の方から農水省からお聞きした点で申し上げたいと思うんですけれども、農水省の中にセーフガードを専任とする職員は一人もいらっしゃらなくて、兼務でやっていらっしゃる。それから、セーフガード予算は特別にはなくて、庁の予算の中でやりくりしながらやっていらっしゃる、こういう実態ですね。

 それで、こういう調査に向けてのさまざまな動きの中で、兼務されている職員の方々がどのぐらい残業されているのかと聞いたら、大体月百五十時間から三百時間、これが実態になっているわけですよ。だから、兼務ですから本来の仕事の業務がそれによって阻害されているし、労働者の方はこれによって健康を害する。結局は国民が大変な損害をこうむることになるというふうに思うんです。

 そこで、私は、諸外国がどのような体制でセーフガード発動に至っているのかということを調べてみました。資料をお配りいただきたいというふうに思うんです。

 官房長官、ぜひ見ていただきたいんですが、諸外国では、アメリカ、韓国、カナダ、オーストラリア、この主なところを調べたわけですけれども、それぞれ、日本以外は政府とは独立した機関になっております。それから、専任職員の数、これをぜひ見ていただきたいんですけれども、アメリカのITCという組織では、委員六名、職員三百六十五名、膨大なスタッフを持っております。お隣韓国でも、KTCという独立機関で、委員が七名、職員五十名。カナダでも、CITTという組織で、委員八名、職員八十六名。オーストラリアでも、委員、調査員だけで三十名以上いる。

 私が特に注目したいのは、発動のための調査に入る条件、ここなんです。私どもが農水省にずっと要請をし続けて五年以上たってきたわけですが、アメリカ、韓国、カナダを見ていただければ、生産者等の関係団体の提訴、申請あるいは不服申し立て、これで調査に即刻入ることができる。その結果、発動件数は、先ほど申し上げたようなこういう膨大な数になって、日本の場合は機関もなければ専任もいない、そして発動件数もゼロ、こういう結果になっているんですね。

 だから、官房長官、ぜひ政府として、やはり日本は農産物の輸入では世界の大国なんですよ、一番大きい。そういうところでこういう機関を当然前向きに検討すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

福田国務大臣 セーフガードの発動要請につきましては、関係各省がそれぞれの組織体制面において柔軟に対応しているということでございまして、現在、組織体制面の理由でセーフガードを発動されなかった、こういうことはなかったというように私は承知いたしております。関係各省で、今後、必要に応じ、適切な体制のもとに的確にセーフガード発動要請に対応する、こういうふうに思っております。

 諸外国の例、今こういうふうにお配りくださいましたけれども、一九九五年、この五年間ぐらいを見ますと、アメリカは五回セーフガードを発動していますけれども、EUはゼロ、それから韓国が二回、カナダがゼロ、オーストラリアがゼロ、日本がゼロ、こういうふうなことでございまして、そういう意味で、日本が特別なことで発動していないということではないんじゃないかな、こういうふうに思っております。

中林委員 極めて政府に都合のいい数字を挙げられて、私も、WTO協定以後どのくらい発動しているかというのは知っています。でも、もともと輸入大国である日本が、そういうことで国内産業にこれだけ影響を与えている、自殺者がたくさん出ている。こういうときに、じゃ、何人死ねばあなた方は独立した機関を設ける検討に入るのか、もっと死ねばいいのか。農家の人や中小企業の方々がどういう思いをされているかということを受けとめれば、当然、こういう諸外国の体制から学ぶ必要があるのではないかということを強く申し上げたいんです。

 そして、最後に、経済産業大臣、申しわけないですけれども、繊維セーフガードの問題。先日、十六日に、日本タオル工業組合連合会がタオル製品の繊維セーフガードの発動を経済産業省に申請することを決議いたしました。

 ここでも、今本当に自殺者が後を絶たない。生命保険でやっているんですよ。だから、これはすぐに、経済産業省としてもこれまでの申請条件を改善されたわけですから、申請があったら直ちに調査に入って発動の方向で努力していただきたいということを申し上げたいと思うんです。

平沼国務大臣 今委員から御指摘のように、十六日にタオル業界が工業組合で決議をいたしまして、恐らく来週あたりに正式に私どものところに要請があると思います。

 それを踏まえまして、私どもとしては、事情を、WTOの繊維セーフガードのルールにのっとってよく調査をいたしまして、そして速やかに対処をするようにいたしたいと思っています。

中林委員 以上で終わります。

野呂田委員長 これにて中林君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁長官伊藤康成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党・市民連合の東門美津子です。よろしくお願いします。

 まず、今月十日に起きました宇和島水産高校の実習船えひめ丸と米原子力潜水艦グリーンビルの衝突事故は、米原潜による人為的な過失が原因である可能性が高いと言えます。しかし、この事故に関して、これまで米国側からはたび重なる謝罪がございましたが、日本政府がこうした米側の重大な過失や失われた人命の重さに見合う厳重な抗議を米国に対して行ったようには見えません。

 日本政府からの抗議は、森総理が十一日の午後になってようやく形ばかりの抗議の意を伝えたほか、訪米された衛藤副大臣が情報提供のおくれ等について抗議をしているものの、今回の事件に対する国民の怒りを十分に伝えているとは言えないと思います。桜田政務官に至っては、米側の救援活動に落ち度はなかったと弁明し、まるで米国を弁護しているかのようです。

 民間人が操舵席に座り緊急浮上の操作を行ったことを初め、航海図を作成する作業を中断していたことなど、事故当時の驚くべき事実が明らかになるたびに、国民は米軍に対する怒りの感情を募らせています。にもかかわらず、なぜ日本政府は明らかになった米軍側の落ち度について改めて厳重に抗議をしないのですか。その見解をお聞きいたしたいと思います。

河野国務大臣 議員御指摘のとおり、事態がだんだん明らかになるに従って我々は驚きの連続でございます。

 御承知と思いますけれども、我々に事故の連絡が届きましたのは十日でございまして、直ちに桜田政務官を私はホノルルに派遣をいたしましたし、その後、各レベルで、アメリカ側にはこうした遺憾な事故の発生というものに対して強い抗議の気持ちを伝えております。アメリカ側からは繰り返しおわびの意思が表明されておるわけでございます。これは、御承知のとおり、大統領から総理に、あるいは国務長官から外務大臣に、あるいは防衛庁長官に対して国防長官からもそうした意思が伝えられておりますし、私どもは、その後も、こうした事態の明らかになりました状況を見て、さらにアメリカに対して、これらの問題についての明確な説明を速やかに欲しいということを申し入れております。アメリカ側からは、調査委員会その他でこうした原因を究明した上で速やかに日本にも説明をいたしますということを言っているわけでございます。

東門委員 行方不明者の方々の安否を気遣っておられる御家族の皆様の御心中は察して余りあるものがございますが、その方々にとって、えひめ丸の引き揚げは何としても実現してほしいとの強い思いであろうと思います。米国には、こうした御家族の方々の気持ちに配慮して、最大限の誠意を尽くしてもらいたいと私は心から思います。

 しかし、米国側は、報道によりますとですけれども、引き揚げについて、技術的な検討が必要で極めて困難だとか、技術的に可能かどうかという点に基づいて引き揚げの実行を決定するとしています。ですが、今月十六日から十八日にかけて米海軍が実施しました海底探査にオブザーバーとして技師を参加させたサルベージ会社が、引き揚げは技術的に可能との見方を示したことが報道されています。

 引き揚げの技術的可能性の検討には今後数週間かかると言われておりますが、その結果として、米国がえひめ丸の引き揚げは行わないということがあり得るのかどうか、また、その場合、日本政府はどう対応するのか、御見解を伺いたいと思います。済みません、手短にお願いいたします。

河野国務大臣 大事なお尋ねでございますので、若干お許しをいただきたいと思います。

 政府としては、これまでアメリカ側に対しまして、引き揚げについてあらゆる手だてを尽くすよう申し入れをいたしてまいりました。二十日、アメリカ側は、えひめ丸の引き揚げの決定は、今議員がお話しになりましたが、技術的実現可能性のみに基づいて決定をする、及び、引き揚げの技術的実現可能性を決定するのに必要なデータを収集するための調査が引き続き行われている旨、この二点公式に発表をいたしております。これは二十日のことでございます。

 我が国といたしましては、事件発生直後の十二日から民間のサルベージ専門家を現地に派遣するとともに、二十日には、えひめ丸引き揚げ問題に関する関係省庁連絡会議を開設いたしまして、右連絡会議の第一回会合の結果を受けまして、現在行っている調査及び今後行われるデータ分析について米側と協議をするために、二十一日より専門ミッションを日本から現地に派遣をし、米側と協議を行わせておるところでございます。

東門委員 といいますと、技術的に可能であれば、そしてデータのこともございましたが、主に技術的に可能ならばということになると思いますが、その場合は、費用がかなりかかると言われています、そういう費用は関係なく、あくまでも米国によるえひめ丸の引き揚げを求めていく、そういう方針でございますね。ぜひお答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 ただいまも御答弁申し上げましたように、引き揚げの決定は技術的実現可能性のみに基づく、こう言っております。その米側の発表は繰り返し行われておりまして、この考えは間違いのないところだと思っております。

東門委員 今回のこの事故が起きた経緯、また、現地米軍の対応を見るにつけて、私にとっては本当に、沖縄で長年繰り返されてきた米軍と県民の関係を見る思いがいたしました。

 今月六日、在沖縄米軍のトップの地位にあるヘイルストン四軍調整官が、沖縄県知事を頭の悪い弱虫などと中傷するメールを在沖縄海兵隊幹部に送付していたことが明らかになっているのは、もう皆さん御存じのとおりです。

 沖縄で米兵による犯罪が発生するたびに、米軍は謝罪をし、隊員の教育の強化、あるいは綱紀粛正と必ずおっしゃいます。そして、再発防止に心がけますとおっしゃいます。しかし、今回明らかになったこのメールの内容は、こうした建前の裏にある本音を物語っているように思われてならないのです。少なくとも、こうした人物をトップに据えている米軍を沖縄県民が信用できないのは明らかであり、形ばかりの謝罪で済まされる問題ではありません。米国防総省は、この問題に関して同調整官への処分を一切行わない方針を示していますが、米国は沖縄の問題をまるで理解していないのではないかと思われます。

 この問題を受けて、沖縄市議会は今月七日、ヘイルストン調整官の謝罪と更迭を求める決議を採択いたしました。政府は沖縄県民の信頼を損なったヘイルストン調整官の更迭を米国政府に申し入れるべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 御指摘の問題は、ヘイルストン調整官によれば、一連の事件を踏まえ、在沖海兵隊におけるさらなる綱紀粛正の強化を求めるため、配下の司令官に対して発した私的な電子メールであると承知しておりますが、たとえ私的な電子メールの中のものとしても、こうした言及はまことに適切でないというふうに考えます。

 御承知のとおり、ヘイルストン調整官は既に稲嶺沖縄県知事を訪ねて謝罪をしたというふうに承知をいたしておりまして、こうした既に謝罪をしたヘイルストン氏に対して、政府としてこれ以上の対応を求めるということは現在考えておりません。

東門委員 確かに、謝罪をしたというのは新聞で読みました。テレビでもその様子を拝見いたしました。しかし、それで、では県民はよしと、あるいは県知事はよしとしたかというと、私は決してそうではないと思います。たとえそれが私信であっても、在沖米軍のトップである人がそういうメールを送る。大臣、本当にそう思われますか。それは私信である、だから、それに対しては、御本人も謝罪したことだからいいじゃないか、そういうふうに済ませるものなのでしょうか。

 日ごろから、調整官は、よき隣人政策を遂行していきたいとお話ししておられる。よき隣人というのはどういうことなのか、このメールではっきり出てきたと思うのです。こういうトップのもとではよき隣人にはなれないと私ははっきり申し上げたいと思います。

 もう一度お願いします。

河野国務大臣 たとえ私信であっても、こうした表現はまことに適切を欠く、品位に欠けるものだというふうに私は思います。

 ただしかし、私信のメールの内容について、しかも調整官自身が知事を訪ねて謝罪をするということがございました。こうした状況を踏まえて、さらに私どもがアメリカに対してこれ以上のことを言うということは現在のところ考えていない、先ほど申し上げたとおりでございます。

東門委員 次に、日米地位協定についてお伺いいたします。

 河野大臣は、今月十四日に行われました稲嶺沖縄県知事との会談で、日米地位協定の改定を前向きに検討する考えを示されました。この予算委員会でも、幾人かの委員の質問に答えられて改定の可能性を示唆されました。橋本沖縄担当大臣も、私はもともと改定してもおかしくないと言ってきたと話され、また森総理も自民党の議員に、今のままでは県民の理解は得られない、それなりの対応をしなくてはならないと述べられたとの報道もございます。今回、一連の事件の後で、地位協定の改定に向けてやっと動き出すのかなと思ったのもつかの間、やはり運用面の改善にとどめるという従来の域を出ない対応になりそうだとの報道もあります。

 昨日、二十二日の沖縄の地元紙の報道は、地位協定改定せずとありますが、大臣、改定するのでしょうか、しないのでしょうか。

河野国務大臣 先般、沖縄におきます放火事件がございまして、その被疑者の身柄をめぐって、私どもとしては、米側に対しましてその身柄を日本側に引き渡すようにということを言ってきたわけでございます。

 この問題につきましては、かねて、地位協定だけではこうした被疑者の身柄の引き渡しはなかなかできないということがございまして、運用の改善によって被疑者の身柄を早期に引き渡す方法がとれるのではないかと考えて、運用の改善をいたしました。

 しかしながら、その運用の改善の中には、殺人と強姦という二つの罪状については明示的に書かれてございますが、それ以外のものについては特定のというだけで明示的にそれが書いていないということで、我々としては、その特定とは何なのか、その特定の中に入るものは一体何なのかということで、米側とは以前からそうした議論があったわけでございます。

 私は、今回もし身柄がなかなか日本側に渡されない、つまり放火というのは書いてないわけですから、それを盾にとって渡されないということであれば、この運用の改善は不十分であるというふうに考えまして、運用の改善の改善をやるのか、そうでなければもう地位協定そのものの改定まで視野に入れて米側と話し合うしかないなということを考えたわけでございまして、先般、予算委員会でも、地位協定の改定まで視野に入れて考えるということを申し上げた次第でございます。

 その後、身柄は日本側に引き渡されたということがございまして、この問題に関する限り問題は解決をしたわけでございますけれども、それでいいかどうかということもまた考えなければならぬというのが今の状況でございます。

東門委員 済みません。よくわからないんですが。

 私の質問は、改定するのでしょうか、しないのでしょうかとお伺いしたんです。運用の改善は、この間も私はお尋ねしまして、同じお答えが返ってきましたから、それはよく承知しております。しかし、事件が起こるときにだけ、では今度は放火だから放火を入れようとか、あるいは別の事件が起きたらそれを運用の改善の中に入れていかなければいけないか、そういうふうな対応の仕方ではもうだめだと思うんですよ。

 例えば、今回の放火のような凶悪犯罪でさえ、米軍の好意的な配慮によって犯人を引き渡すとか引き渡さない、そういうようなことが決まるような力関係を放置しているというのは、外交上の怠慢としか言いようがないと私は思います。今回の事件も、身柄が引き渡されてほっとしておられるかもしれません。今の御発言はそういう感じも受けましたけれども、決して一件落着ではない、確かにございました、そう思います。県民は納得しておりません。

 起訴前の身柄引き渡しについて改定は当然であり、さらに、基地内で環境汚染が発生した場合や緊急の場合には自治体が施設に立入調査する、米軍人や軍属と離婚後、養育費を受け取れない日本人女性や事件、事故の被害者の経済的損失を補うなど、不公平さの是正に取り組むのは主権国家として当然ではないのかと思います。

 なぜ政府は地位協定の改定にそんなにちゅうちょなさるのですか。私にはとてもわからないんですよ。沖縄県民が絶対納得しないと思います。しておりません。ぜひ踏み込んでいただいて、いつまでも運用の改善だけではなくて、今、政治主導という声も聞こえております。本当にこれは河野大臣のもとでやっていただきたいと思います。

 なぜ地位協定の改定にそんなにちゅうちょなさるのですか。運用の改善の方が地位協定の改定よりもいいんだ、だからいいんだと、時間がかかるというだけじゃなくて、それ以外の理由でありましたら、ぜひそれをお答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 運用の改善ということにして先方と議論をした結果、運用の改善は実現をしたわけです。地位協定の改定というテーマで議論をして、それがどういうことになるだろうかということも考えなければならないと思います。地位協定は、アメリカは日本とだけ結んでいるわけではありません。世界の幾つかの国と結んでいるわけでございますから、そうしたことも我々は見ながら、我々にとって一番うまくいく方法、つまり合理的にうまくいく方法は何かということを考えて運用の改善ということを行ったわけでございますが、この運用の改善が必ずしも十分でないとするならば、さらにその先を考えなければいけない。その先は、地位協定の改定も視野に入っているだろうし、それから運用の改善の改善もあるかもしれないし、そこはこれからしっかりと考えていかなければならないと思います。

 これは、議員おっしゃいますけれども、相手のあることでございますから、地位協定を改定しますかと聞かれても、しますという答えはなかなかできないわけで、地位協定の改定を提案するかどうか、こうお尋ねになれば、我々とすれば、運用の改善でいけるのか、あるいは運用の改善をさらに改善することによって効果が上がるのか、そうでなければさらに地位協定の改定も視野に入れて考えるということを考えなきゃならぬと思っているわけです。

東門委員 では、私の言葉の使い方だったと。地位協定の改定を提案するのかと私も置きかえればよかったんですが、その中で、そういうことで運用の改善で議論をしてこられたと。地位協定の改定ということで議論をしていかれるという意思はおありですか。

河野国務大臣 これは、問題をもっと精査しなければならぬというふうに思っております。

東門委員 また後でやりたいと思います。

 地位協定との絡みもございますけれども、一連の事件、事故が続く中、もはや沖縄は法治国家のもとにはないとか、海兵隊は撤退をみずから予兆させているなどと県議会議員の鋭い怒りの声を載せて、昨日の地元紙は米海兵隊によるクレー射撃問題を報じております。

 在沖海兵隊基地のキャンプ・コートニー、これは具志川市にございますが、キャンプ・コートニーで軍人らが一九九九年まで、二年前まで三十五年間にわたってレクリエーションで海に向かってクレー射撃をしていたということが判明いたしました。米海兵隊は実弾の使用を認めているとございます。

 その場所は、具志川市民が一月から四月ごろにかけて自生ヒジキを採取している場所です。そして、このヒジキは食材として県民に好まれ、親しまれておりますが、海中に落ちた実弾、鉛でございますが、それがどのようにヒジキに影響があり、あるいは人体に間接的に影響があるかということは、もちろん調査はまだこれからだと思いますが、きのうの時点で、取材に対しまして防衛施設庁は、クレー射撃について、初めて聞いた、驚いていると話したということです。

 これを聞いて、私は本当に驚きました。基地の運用状況さえ把握していないということです。三十五年間も行われていたということですよね。ですから、確かに提供水域ではあっても、しかしそれは一部であって、この鉛の実弾は二百五十メートルも飛ぶと言われているわけです。

 そういう中で、防衛施設庁長官にお伺いしたいと思いますが、どういうことなのでしょうか。きのうの新聞によりますと、すぐ米軍側に事実関係を確認するとお答えになったようですが、どういうお答えがあったのか。そして、沖縄には沖縄大使がおられますし、防衛施設局もございます、情報がないというようなことではないと思いますので、ぜひお聞かせください。

伊藤政府参考人 ただいま御質問のキャンプ・コートニーのクレー射撃場の件でございますが、先生今御指摘のとおり、私どもも直ちに現地の局をして米側に照会をさせておりますが、まだ実は、詳細なところは私どものところまで報告が上がっておりません。

 現在までに把握しているところと申しますと、当該クレー射撃場が福利厚生施設として設置されていたということ、そしてまた、今先生もお触れになりましたが、平成十一年まで設置されていたということの回答を得ているところでございます。

 なお、米側は、この周辺の水域につきまして現在調査を行っているというふうに承知をしておりますので、いずれその結果も私どもは掌握したいと思っているところでございます。

東門委員 ということは、まだ何も把握していないということですか。

 防衛庁長官にお伺いします。この実態をどう認識されておられるか、御意見をお聞かせください。これから米軍に対してどういうふうになさるのか。

斉藤国務大臣 調査の件は、しっかりと調査させます。

 御案内のように、米軍は、施設・区域において活動に当たっては公共の安全に妥当な配慮、考慮を払うということとされておりまして、当庁といたしましても、米軍が施設・区域において種々の活動を行う際は、地域住民の方々が御不安や御懸念のないように配慮することが重要であるというふうに考えております。

東門委員 これもやはり地位協定があるためのことだと思います。本当に空も海も、陸上はもちろんですが、自由に使えない。県民のものであって県民のものではない、そういう状況にある。やはりまず地位協定を改定することが一つだと思いますが、何が何といっても私たちが求めるのはやはり基地の整理、縮小、撤去でございますから、それを一言申し上げておきたいと思います。

 国民の生命と安全そして財産を守るために存在するはずの政府が、一県に集中して他国の軍隊を駐留させて、その提供施設の運用状況の実態も把握せず、人命が脅かされ、人権が侵害され、尊厳が守られない状況に置かれていてもなすすべもないような姿勢をとっている政府に、とても残念でございます。そして、かけがえのない財産、自然が破壊されることを許している政府です。地位協定の見直しさえ踏み込めない政府の姿勢は余りにも情けなく、本当に国民に対して責任を果たす意思があるのか疑問に感じます。

 外務大臣、外交の責任者として、本当にお聞かせください、どういう気持ちでその任に当たられているのでしょうか。ただ沖縄県民の負担の軽減をという言葉はもう結構です、これは何度も聞きましたので。外務大臣の本当のお気持ちをお聞かせください。

河野国務大臣 私は、日本の国民の生命と財産というものを守るということが政治の何より重要なものだと思っております。その日本の財産、生命を守るという考え方の基軸として、日米安保条約を我々の先輩が選んでくれたわけです。その日米安保条約によって日本の安全というものが守られてきているということは、これは恐らくあらかたの日本人は認めてくださることであろうと思います。

 ただ、その結果として米軍基地を日本に置かなければならないということになって、そのことが沖縄の皆さんに大変な御負担をおかけすることになったということにつきましては、我々は日本人全体でこの負担をみんなで考えなければいけない、この負担の軽減のために努力をしなければならないということを考えているわけでございまして、この点は、この日米安保条約という基軸をこれまでも守り、これから先もそれによって日本の安全というものを考えていくという考え方は、まだこれから続くということをぜひ御理解いただきたいと思います。

野呂田委員長 質問時間が終わりましたので。

東門委員 安保条約があるために一県、ある一部の人たちだけが苦しむ、そういうことだけはぜひなくしていただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。

野呂田委員長 これにて東門君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会




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