衆議院

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第12号 平成13年2月26日(月曜日)

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平成十三年二月二十六日(月曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 自見庄三郎君

   理事 細田 博之君 理事 池田 元久君

   理事 佐藤 観樹君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      池田 行彦君    石川 要三君

      岩永 峯一君    小此木八郎君

      大原 一三君    奥谷  通君

      奥野 誠亮君    亀井 善之君

      北村 誠吾君    栗原 博久君

      小島 敏男君    後藤田正純君

      坂本 剛二君    塩川正十郎君

      田中眞紀子君    高木  毅君

      高鳥  修君    竹下  亘君

      武部  勤君    谷川 和穗君

      谷田 武彦君    津島 雄二君

      中本 太衛君    丹羽 雄哉君

      葉梨 信行君    萩野 浩基君

      松宮  勲君    三塚  博君

      宮本 一三君    森岡 正宏君

      八代 英太君    山本 明彦君

      横内 正明君    渡辺 博道君

      五十嵐文彦君    岩國 哲人君

      生方 幸夫君    海江田万里君

      金子善次郎君    城島 正光君

      仙谷 由人君    中田  宏君

      平岡 秀夫君    松野 頼久君

      上田  勇君    白保 台一君

      西  博義君    若松 謙維君

      鈴木 淑夫君    達増 拓也君

      中井  洽君    藤島 正之君

      佐々木憲昭君    山口 富男君

      吉井 英勝君    辻元 清美君

      横光 克彦君    井上 喜一君

      小池百合子君    宇田川芳雄君

    …………………………………

   内閣総理大臣       森  喜朗君

   総務大臣         片山虎之助君

   法務大臣         高村 正彦君

   外務大臣         河野 洋平君

   財務大臣         宮澤 喜一君

   文部科学大臣       町村 信孝君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       谷津 義男君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国土交通大臣       扇  千景君

   環境大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     伊吹 文明君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      斉藤斗志二君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)           橋本龍太郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 麻生 太郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当大臣) 笹川  堯君

   内閣府副大臣       坂井 隆憲君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   内閣府副大臣       村井  仁君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   文部科学副大臣      河村 建夫君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   経済産業副大臣      中山 成彬君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   財務大臣政務官      砂田 圭佑君

   環境大臣政務官      熊谷 市雄君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    津野  修君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (外務大臣官房長)    飯村  豊君

   政府参考人

   (水産庁長官)      渡辺 好明君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  松田  昇君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  池田 行彦君     北村 誠吾君

  石川 要三君     小此木八郎君

  奥野 誠亮君     横内 正明君

  亀井 善之君     奥谷  通君

  津島 雄二君     谷田 武彦君

  中山 正暉君     小島 敏男君

  丹羽 雄哉君     坂本 剛二君

  葉梨 信行君     武部  勤君

  牧野 隆守君     松宮  勲君

  三塚  博君     山本 明彦君

  宮本 一三君     岩永 峯一君

  八代 英太君     渡辺 博道君

  若松 謙維君     西  博義君

  中井  洽君     藤島 正之君

  山口 富男君     吉井 英勝君

  井上 喜一君     小池百合子君

  森田 健作君     宇田川芳雄君

同日

 辞任         補欠選任

  岩永 峯一君     中本 太衛君

  小此木八郎君     石川 要三君

  奥谷  通君     亀井 善之君

  北村 誠吾君     池田 行彦君

  小島 敏男君     中山 正暉君

  坂本 剛二君     丹羽 雄哉君

  武部  勤君     葉梨 信行君

  谷田 武彦君     津島 雄二君

  松宮  勲君     森岡 正宏君

  山本 明彦君     高木  毅君

  横内 正明君     奥野 誠亮君

  渡辺 博道君     後藤田正純君

  西  博義君     上田  勇君

  藤島 正之君     中井  洽君

  吉井 英勝君     山口 富男君

  小池百合子君     井上 喜一君

  宇田川芳雄君     森田 健作君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     八代 英太君

  高木  毅君     三塚  博君

  中本 太衛君     宮本 一三君

  森岡 正宏君     竹下  亘君

  上田  勇君     若松 謙維君

同日

 辞任         補欠選任

  竹下  亘君     牧野 隆守君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算




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     ――――◇―――――

野呂田委員長 これより会議を開きます。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柴田雅人君、法務省刑事局長古田佑紀君、外務大臣官房長飯村豊君、水産庁長官渡辺好明君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八代英太君。

八代委員 自由民主党の八代英太でございます。おはようございます。きょうも一日御苦労さまでございます。

 大変風邪がはやっておりまして、私も鼻詰まりの状況が続いておりまして、お聞き苦しいところはお許しをいただきたいと思います。総理もどうぞ風邪など引かないように頑張っていただきたいと思います。

 新しい二十一世紀を迎えた幕あけの国会でございますけれども、既に六、七十時間の審議がされているということでございますが、私も予算委員の一人として出席をしておりますと、ほとんどの審議の中身は、KSD問題それから外交報償費の流用問題、こういうふうな議題に終始いたしておりまして、肝心な景気とかあるいは今厳しい経済問題等々が、なかなかなおざりにされてしまっているという思いを持っております。

 さて、二十一世紀だ、まさに夢と希望の二十一世紀、こういう意気込みでいたいところでございますけれども、繰り返し繰り返しの質疑の中身でございます。暮らしのすべてが政治でございますし、今政治が非常に不信のまなざしをもって国民から見られておりますということになりますと、私も自民党に所属をしていながら、小山議員が逮捕される、きょうは村上議員が議員辞職をされる、あるいは午後においては政倫審で額賀前大臣がみずからの問題について弁明される。それは一つの政治家としてのけじめとして私はすばらしいことだというふうに思っておりますけれども、これはこれとして、今私たちも、六月にはこの首都東京で都議会議員選挙等々も控えております。特に、KSDの加入中小企業の皆さん方はこの東京に集中しているところもございますだけに、都議会の皆さんにとっても、一つ一つ弁明に歩くことを余儀なくされておりますし、まさに自民党ががけっ縁というような思いを持ってみずからを律すると同時に、この問題はしっかりと私たちはけじめをつけることが必要ではないかというふうな思いをいたします。

 そこで、総理も本会議で何回も遺憾の意を述べられております、この予算委員会でもそれぞれ遺憾の意を述べられておりますし、私も、東京都連の中においても、総裁の御指示をいただいて、しっかりその問題は、調査を今連日のようにやっているという状況下でございますが、ぜひ、自民党総裁として、今日までの推移、またきょうの村上参議院議員の辞職、小山議員の問題あるいは額賀前大臣の政倫審における弁明、こうしたものに対して御所見を伺いたいと思います。

森内閣総理大臣 今八代議員からいろいろ御指摘をいただきました。

 今回のKSDをめぐります一連の事件につきましては、国民の政治への信頼を損なうものでありまして、私としても大変深刻に受けとめております。また、今回の村上氏の議員辞職につきましては、こうしたKSD問題で世間をお騒がせし、また混乱を招いたことについてみずから責任をとり、国会議員として厳しいけじめをつけられたものであろうと承知をいたしております。多くの国民から選ばれた国会議員がみずから辞職をするということは、かなり深刻なことでもあり、同時にまた、村上議員のそうした決断というものに対して、私どもはそれなりに、それぞれのいろいろな見方はあろうと思いますが、厳粛に受けとめる必要があろう、こういうふうに思っております。私自身も大変これを重く受けとめている次第でございます。

 今後、司法当局の捜査によって徹底的な真相究明が行われることであろうと思いますし、国民の前にそうしたことが明らかにされていくべきものである、このように考えております。

 また、自由民主党としては、調査すべき点はしっかり調査をし、そして真相究明にも全面的に協力をしていくことが重要であろうというふうに考えております。また、そのように幹事長初め事務当局にも指示をいたしておるところでございます。また、真相究明を待つことなく、今回の事件を教訓として、自由民主党の仕組みについても見直すべきものは率先して見直していくべきであろう。

 既に、参議院比例代表名簿への登載基準のあり方につきましても、これは党員獲得をいたずらにあおるということであってはならない、そういう誤解を持たれてはいけないということで、今回思い切ってこのことについては撤廃をいたしたわけであります。

 入党手続は、適正には行われてきておりますけれども、党員集めが適正に行われているかどうかを党内でしっかりチェックする、そういうシステムをつくるべく、これも具体的に今作業に入ったというふうに聞いております。さらに、党として、政治倫理を厳然と確立すべく、党内に政治倫理審査会を立ち上げるべく今準備を進めているところでもございます。

 いずれにいたしましても、私としては、今回のような事件が再び起こらないよう、自民党の、そして政治の信頼回復に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

 都連、そしてこれから臨まれる都議会の候補者の皆様には大変御心配、御迷惑をかけておりますことにつきまして、また多くの国民の皆様に対しまして、このことにつきまして党の総裁としても率直に反省をし、おわびを申し上げなければならぬと考えています。

八代委員 これは、私たち自身もいろいろな意味で反省をしなければならないこともございます。そういう意味では、私たちは国民に信頼される政党として再生をしなければならない、こういう思い、この一点に尽きるだろう、このように思います。

 さて、それでは本題に入らせていただきますが、いろいろな問題がこの予算委員会では議論されておるわけでありますけれども、総理の施政方針演説で掲げる「希望の世紀」、大変すばらしい演説でございました。二十一世紀を希望の世紀、人間の世紀、信頼の世紀、地球の世紀とするべく、第一歩を踏み出したい、こういうことでございます。

 その中におけるやはり根底にあるものは、この厳しい景気を何とか浮揚することであろうし、あるいはまた少年犯罪等々に見られるように、教育の改革、心を取り戻す教育改革ということが大きなテーマでなければならないと思います。希望の世紀へのプロローグとして総理はどう判断、また今日の経済等々を踏まえて予測をしておられるか、伺いたいと思います。

森内閣総理大臣 希望の世紀、こう申し上げましたのは、やはり今日の歴史からずっとひもといていけばそうでありますが、特に戦後は、我が国の人的資源といいましょうか、人間の、日本民族のすばらしさ、そのことが今日のこうした日本の成果をつくり上げてきたものだ、こう考えております。

 たびたび申し上げておりますように、新しい時代に入って、そして今まで培ってきた人間社会の、日本の経済社会のシステムというのは大きく変わりつつあるわけですね。それは、やはり経済のグローバル化もあるでしょうし、高齢化、少子化というのが非常に極端に進んでいきますし、あるいは多様化、情報化、いろいろございます。そういう価値観の変化もございます。そういう中で、新しい時代に合ったそういうもののシステムをつくり上げていかなきゃならぬ。

 そういう意味で、私どもとしては、経済構造の改革でありますとか、あるいは社会保障の制度のあり方とか、教育改革とか、要は、人間が社会をつくっていくわけでありますから、その人間が希望の持てる社会にしていく、そういう世紀にしていくということに努力をしていくべきだろう、そう考えています。

 そういう意味で、物を築き上げていくことは、まさに人でありますから、その人が意欲を持って、そして新しい時代に意欲的に取り組んでいく、そういうシステムのためにどういう人づくりであるべきかということなどを中心に考えて、まず、教育改革というのはかねてから多くの皆さんにいろいろなお声があることも承知をしておりますし、特に最近は、この社会の現象で我々が考えもつかなかったような現象が起きている、病理的なことというふうに申し上げてもいいのかと思っていますが、そういう意味で、もう一度、人のあり方、人間というものをどうやって教育をしていくのか、そういうことも根底から考えていくべきだということで教育改革に取り組んでいるわけであります。

 そして、この国会でも、幾多の教育国民会議の中で御審議をいただき御討議をいただきましたことにつきまして、文部科学省として法案を幾つかお願いを申し上げておりますし、いずれはさらに継続的に教育改革について議論ももっと深めていかなければならぬテーマもたくさんある、このように考えておりまして、そして、新しい時代を生き抜く日本人によって本当に希望の世紀が開かれるように努力していく、そのための仕組みをしっかり今ここで御提案申し上げておくことが日本の将来にとって極めて重要なことであろう、このように考えているわけであります。

八代委員 ことしも新年会が幾つかございまして、私も、選挙区は言ってみれば下町、町工場、社長さんというよりもおやじさんという感じの小さな工場の経営者の皆さんとも話をしました。あるおやじさんが私に歌をくださいまして、

  よく見れば何の苦もなき水鳥も足に暇なき我が暮らしにも似て

こういう歌をくれたんですね。おめでとう、おめでとう、ことし頑張ろうねと言うけれども、実は現実は、あの水鳥のように水の中では休まず休まず水をかいていなければ水中へ沈んでしまう、こういう気持ちで、しかもそのおやじさんは、あの戦後ゼロ資産から今この日本の繁栄というのを我々の先輩たちはつくり上げてきた、何か今、寂しいことばかり、つらいことばかりが世の中を覆っているけれども、やはり日本人というのは、言ってみればたくみ的な技術を持つすぐれた国民性でもあるし、必ず景気はよくなるよね、頼むよねと、表では笑って明けましておめでとうございますなんだけれども、心の中の厳しさはあってもそれを顔に出さない中小零細企業のおやじさんの姿を見て、私も本当に胸の詰まる思いをしたわけでございます。

 そういう意味でも、これから、一生懸命働いている皆さん方が報われる私たちの日本経済というもの、しかも、そういう皆さんが日本の経済を支えて、もうほとんどは中小企業の皆さんが日本を支えておられるんだということを思いますと、大切だというふうに思います。

 物はつくるけれどもなかなか売れない、売れないからといって家族みたいな社員の首を切るわけにはいかない。銀行に金を借りに行こうと思ってもなかなか貸してくれない、では、畳んでいっそのこと始末しちゃおうかと思っても、自分の工場の買い手は見つからない。こんな堂々めぐり的なマイナスの状況というものを見ているわけでございますけれども、やはり願わくば一日も早くこの予算を通して、そして八十二兆円の、これがまた大きな景気の気分の気に、国民の皆さんへやる気を喚起するような形で関連法案も通していただいてという思いを迎えるわけでございます。

 その所管大臣である平沼さんに私がお願いしたいことは、この予算の中で、特に厳しい中小零細企業の皆さん、また商店街の皆さん、こうした皆さんへの何かメッセージがあったら伺いたいと思います。

平沼国務大臣 八代委員御指摘のとおり、日本の企業というのは五百万社あるわけでありますけれども、そのうちの九九・七%が御指摘の中小企業の皆様方です。

 今、新年会のお話がございましたけれども、特に、今、消費の低迷、また大変な業者間の競争等で、中小零細企業、商店街の皆さん方を含めて、厳しい状況にあることはよく認識をいたしております。

 こういう商店街の皆様方に対して、当省といたしましては、意欲ある商店街に対して、従来から、例えばアーケードや駐車場の整備などの基盤施設、その整備への補助でございますとか、空き店舗というのは今八・五%の比率であるわけですけれども、この空き店舗を商店街が借り上げて、そして低い家賃で新規創業者に提供するチャレンジショップ制、こういう空き店舗対策も力強くやっておりますし、商店街間の買い物のバスの運行や共同駐車場の活用等の駐車場対策のソフト事業に対する支援もしております。

 魅力ある商店街でなるべくお客さんに来ていただくようにしよう、こういうことでございまして、また、平成十三年度予算においては、中小小売商業者に対しましては十二年度を上回る総額二百三十三億を盛り込んだ予算をつくりまして、こういう意味でも一日も早い予算の成立が望まれるわけでありますけれども、今一生懸命やっております。

 商店街以外にも、今申し上げた九九・七%の中小企業、零細企業の皆さん方に、当省といたしましても、いわゆる特別保証制度、また新しい融資制度、そういうものを創設して力いっぱいの支援をしてまいろう、このように思っています。

八代委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 私は山梨県のひなびた田舎で生まれまして、昭和十二年、森総理もそう、橋本大臣もそう、河野大臣もそう、みんな十二年生まれでございますけれども、あのころはまさに、本当に食うや食わずというような状況下、子だくさんの時代で、大変でございました。あれから見れば、日本は大きく大きく成長をして、世界に冠たる日本という思いがありますが、しかも、東京は、日本の経済を背負っていると言ってもいいほどこの東京に集中していると思うんですね。

 そういう中にあって、おやじが亡くなる、そして長男がその跡をとる、そして田畑を耕していく、それはまた孫に、ひ孫にと、長い形の中で農業というのはそれぞれ仕事が承継されていく、継承されていくという仕組みになっているんですが、商店街の場合は、おやじさんが亡くなる、後の相続税の始末で結局その商いを伝承することはできない、承継することができない。

 こういう状況があって、この辺を町の人たちは、農業ならば相続税ゼロに近いものを、商店街等々で、親が死に、子が死に、そして孫が死んでいってもしっかりそれが受け継がれるような体制というものが税制でできないんだろうか、こんなふうな声もいろいろなところから出ております。

 だから、シャッター商店街にならざるを得ない、売れる日を待つ、相続税の始末のためにそういう状況もあるということを考えますと、どうでしょう、財務大臣、思い切って商店街相続税ゼロ作戦ぐらいのアドバルーンを上げていただくわけにはいかぬものですかね。宮澤大臣、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 従来、商店街にとって一番つろうございましたのは、地価が上昇いたしました時代に、親から受け継いだ財産でもある会社としての、企業としての基盤が非常に評価が上がりまして、したがって相続があればほとんど事業の継続ができないというような状況でございました。御記憶のとおりであります。

 それを、時間とともにかなり評価の減算をいたしまして、ほとんど一平方メートル当たりはどのぐらいというところまで下げました。その点は、恐らく今相続の問題としては余り問題にならないで済んでいるんだろうと思いますが、しかし、売り上げが同時に思ったほど伸びませんものですから、それだけ大きな財産を持っていることには違いない。それについての課税分は大きくないにしても、やはり場所が場所でございますから、相続というのはやはりなかなかつらい。

 そういたしますと、今度は、財産の評価よりは、むしろ相続税そのものの体系といいますか、それがやはり何といってもまだまだかなり重いのではないか。地方に行きますとそういう問題はございませんが、都会に行きますと、やはりかなりの財産だということには違いございませんから、土地の工夫はいたしましたが、その他の問題について、あるいはまだまだ十分でないのかもしれない。やはり相続税そのものは最高税率の問題ではなくても相当重いものでございますので、いろいろ考えていかなければならない問題はあろうかと思います。

八代委員 何といいましても、そういうものを含めて景気対策が必要なんですけれども、景気浮揚策は、いろいろな取り組みをいろいろな形でかみ合わせてこそ初めて景気浮揚ということにつながっていくわけでございます。世界の東京、花の東京といたしますと、一日に車が三百万台もこの狭いところを走っておりまして、その問題の中で、経済が浮揚するのには何といったって道路行政、道路というものが重要だということで、ちょっと野党の皆さんがよく使うパネルというやり方できょうは挑戦してみようと思うのです。

 これが先日、京浜急行線の環八踏切というところを総理、扇大臣もいらっしゃっていただけましたか、この白い矢印のところに総理がちょこっと見えますが、上から写真を撮らせていただきました。この渋滞、今平均時速が都内は十五キロぐらいだそうです、この三百万台が。これがもし三十キロになったら、経済効果は一年で五兆円と試算をする人もいるわけですね。

 こういういろいろな組み合わせ方をしながら、公共事業はけしからぬ政党もございますけれども、やはり必要たる公共事業、しかも景気のためのそうした投資というものは大変重要だと思いますし、しかも総理は、これはもう前倒しでやろうと。実は、今計画ではこれが平成二十六年完成ということらしいのです。あと十三年このままですかということなんですね。余りにも残酷ですよ。

 国土交通省も踏切対策の新しい法案を出されておりますけれども、総理、この現場へ行かれて、ひとつ前倒しでやるとおっしゃったというようなことをちらっと聞いたものですから、もう一回念を押して、前倒し、こういう形で、平成二十六年まで待たなくても大丈夫よというメッセージをいただきたいと思うのですが、いかがでございますか。

森内閣総理大臣 その場所には私もこの間参りましたが、そのときだけではなくて、実は私は、その環八を通って、休みの日などは自宅から羽田空港、選挙区に帰ったりよそに参りますとき羽田へ参りますと、必ずそこで遮断機がおりておりまして、あらかじめ十五分ぐらいそこは余裕を持って、私はいつも早朝でも出かけるわけで、毎年毎年といいますか、本当に早く解決しなきゃならぬところだな、こう思っておりました。

 そういう意味で、先般、ちょうどその近辺に参ります日程もございましたので、京浜急行蒲田第五踏切と言われておりますが、そこを視察させていただきました。御指摘どおり、交通渋滞というものが都市活動に対して大変重大な支障を来している状況を改めて石原知事さんからも御説明を受けまして、早急な解消が必要だなということを痛感いたしたわけであります。

 そこで、十三年度予算では踏切関係予算を大幅に増額いたしまして、立体交差化等によりますあかずの踏切の解消に取り組んでおりますが、確かに御指摘どおり、そのところを今の計画でいけば十三年かかるということだと思います。それをできるだけ短縮することが大事。ではどうしたらいいのかということになると、電車をとめるわけにいかないわけですから、立体にするためには、高架にするためには一時的に仮線が必要なんだそうですね。当然そうなると思います。そこの仮線と、そして改めて、立体化した、高架化したそことの引き継ぎ、その辺が何かちょっとむだがあるような気がするのですね。その辺が何かいい方法はないだろうかということで、そのとき都知事にも申し上げ、知事も考えがあるんだということをおっしゃっていました。

 だとすると、それはやはり今までの予算のシステムでいってもなかなか解決しないことになるかもしれません。これから公共事業というのは、やはり効率化させていくということが大事でありますし、ある意味では集中化させていくことは、何もこうした場所だけではなくて必要だろうと思います。従来どおりの何%アップ、何%アップということをやっている限りは、そう大きな変化というのはないわけでありますから、そういう意味からいえば十何年もかかるということになるんだと思いますから、そういう意味では、できるだけ先行的にやっていけるように、この国会でも法律を今お願いもしているわけであります。

 同時に、その写真にありますように、踏切だけではなくて、そこから百メートルぐらいでしょうか、こちらへ来たときに、大きな、それは第二京浜ですか、東京から横浜の方へ行く道路がありますね、川崎から。産業道路というんでしょうか。そこの信号でもとまるわけでしょう。ですから、そこもやらないと効果がないと私は思うんですね。

 ですから、そういうことを一体的に考えていくということになれば、国土交通省が東京都とよく相談をして、やはり国が挙げてそのことに取り組むということも大事だというふうに私は思いましたので、そのように事務当局にも指示をいたしておりますし、自由民主党としてもぜひそれをしっかり取りまとめるように、関係者にも伝えているところでもございます。

八代委員 ありがとうございました。

 環境ということが昨今叫ばれておりますが、NOxがこれで削減されていくと年間一千万トンぐらいは削減になるだろうとか、ピーク時には四十分あるいは五十分、こうしてあかずの踏切でじっと過ごすということがどれほど経済にとってマイナスかということを思うと、いろいろな組み合わせ、今度は建設省も国土庁も運輸省も、いろいろな意味でグランドデザインはかきやすい状況だと思うので、その辺を扇大臣に率直に伺いたいと思います。いかがでしょうか。

扇国務大臣 今総理から、お尋ねのお答えがございましたけれども、今八代先生おっしゃいましたように、東京都は、三十キロという表示がありましても平均時速十八・七キロという、今おっしゃいましたように約五兆、四兆九千億の年間の経済的な損失があると言われておりますけれども、とにかく全国の踏切が三万二千カ所ございます。そして、今おっしゃいましたように四十分以上踏切が閉鎖している、いわゆるあかずの踏切と言われておりますのが約一千カ所存在しております。

 そのことを考えますと、いかに日本の経済効果を損ねているかということを考えますと、国土交通省は、今までは縦割りでございましたけれども、これを国土交通省になったから速やかにできる。また、両方で立体的なものをつくって、ただ、残念ながら、立体的と言いますけれども、立体交差にするということになりますと、沿道の、踏切の周りの皆さん方の立ち退き等々がございまして、なかなか事業が進んでまいりません。ですから、私たちは、鉄道業者そのものとの話し合いによって何とかそれを促進していこうということで、試算では年間に約五千七百億円の損失になっているということでございますので、何としても一千カ所のあかずの踏切を十年間で半分は解消したい。

 そういう意味で、私たちは、少なくとも五百カ所、何としてもこれを、経済効果も、あるいは時間的ロスも、また速やかに走れるようになって、今おっしゃいましたようにNOxも少なくなるということでの効果を期待しているんですけれども、平成十二年度末に期限を迎えます踏切道の改良促進法、これが切れてしまいますので、何としてもこれを改正したいというふうに考えていますので、経済効果あるいは時間のロス等々を、すべて国土交通省になったから促進できる、スピードアップすることによってコストダウンもできるということでの全国のグランドデザインをかいていくというのが私の念願でございますので、ぜひ御協力賜りたいと存じます。

八代委員 ありがとうございました。

 これは言ってみれば経済、産業の一つの大きなバリアということになっているわけで、昨今非常にバリアフリーという言葉もはやってまいりまして、昨年十一月十五日からは待望の交通バリアフリー法が施行されるようになってまいりました。

 あわせて、これからの高齢化時代を考えていきますと、公営住宅も今二百二十万世帯ぐらいあるらしいのですけれども、かつて東京オリンピック、昭和三十九年、あのあたりに本当に急増したマンション生活、それをまた若い人たちもあこがれて新婚生活をスタートした。その人たちが今、三十年たち四十年たって、みんな足腰が弱って、重い障害を持っているという現実があるんですね。

 実は、足立区の江北というところに五階建てのマンションがずっとあるんですけれども、これも東京オリンピックのときにそこに新たに移り住んだという皆さんなんですが、五階からここ三年ほどおりたことがないというのです、おりられない。こういう公営住宅のバリアフリーということを、交通バリアフリー法の次は、ぜひ私は扇大臣、この住まいのバリアフリーだと思っているのです。しかも高齢化時代で、家の中でどこへも出ないなんというのは、やはり経済の力にも、これからお年寄りがシルバーパワーといいますか、高齢者のパワーを使うような社会に移行していくわけですから、そういう意味でも、例えばこれからつくられる公共物、準公共物は、すべての人が利用できるように設計施工されなければならない。建築基準法がそのくらいの改正をして、このバリアフリーの風を吹かせていくことが大変重要だと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

扇国務大臣 日本が高齢社会を迎えます。それだけを見ましても、二十一世紀はいかにあらゆる社会資本整備の中でのバリアフリー化が大事であるかということは、おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、今までは劇場ですとか百貨店とか、そういう多数の皆さん方がいらっしゃるところにつきましてはハートビル法、要するに、今おっしゃいましたように、高齢者あるいは身障者の皆さん方のためにそれはしなきゃいけないというハートビル法というものがございますけれども、これも施行しましてから既に六年が経過しております。それによって今度は、そのハートビル法も六年経過していますけれども、建築物のバリアフリー検討委員会、これを設置してございます。

 これによりまして皆さん方に御検討いただいて、私どもは、駅でありますとか、あるいはそういう公共のものに関しては全部バリアフリーを設置するようには予算もとりましたけれども、今おっしゃった一般の公団等々にもこれをぜひするようにと、検討委員会からもう間もなく答えが出てまいりますので、おっしゃったように、五年間もおりないということであれば本当に心寂しい日本となりますので、これも頑張っていきたいと思っています。

八代委員 そういう意味では、消費の非常な拡大がないと、こういうことでありますが、人間がとにかく動かなきゃだめなんですね。人間が動くと、おまんじゅうも買いたい、それから何とか地蔵にも行ってみたい、劇場へ行ってみたい、パチンコをしてみたい、これはもう人間の欲求というのは果てしなくあるわけですから。しかし、海外へ行く人たちはごらんのように多いわけです。

 やはり海外は、もうほとんど欧米はバリアフリーということになっていますから、むしろこの日本を旅行するよりも、やはり海外に行った方が高齢者にとっては旅行しやすい、動きやすい。そんなふうな状況になっていることを見ると、このバリアフリーということはこれから大いに啓発をしていくことが大切だというふうに思うのです。そうすると、家の中に閉じこもっているのじゃなくて、表に出て働こう、自立をしようと。

 昨年、私も郵政大臣をさせていただいて、IT時代を迎えるに際してデジタルデバイド、いわゆる情報バリアフリーということに取り組ませていただいて、総理の御理解もいただいたのですが、あのときは座長が官房長官ということで、もう情報のバリアフリー化というのは大変重要で、障害を持った人が、車いすのようにパソコン一台あればアフリカの友達とも世界といろいろ仕事ができるし、自分で小さな事務所を抱えてタックスペイヤーになるぐらいの力が当然出てくるということを考えますと、やはりこれから情報のバリアフリー化は当然のことでありますし、ほかにも交通バリアフリー、職業のバリアフリー、教育のバリアフリー、いろいろなことがこれから二十一世紀の大きなうねりとなっていくに違いないのですが、バリアフリー閣僚懇談会はまだ存続していますか。どうですか、官房長官。

福田国務大臣 委員おっしゃいますように、政府もバリアフリーについては大変力を入れているテーマでございます。

 お尋ねの関係閣僚会議でございますけれども、これは、実は昨年三月にしまして以来していないのです。していないのでありますけれども、こういう関係につきましては、このたびの省庁再編を機にしまして、新たに閣僚を構成員として障害者施策推進本部とか高齢社会対策会議というものを立ち上げまして、そこでも積極的に取り上げていこう、こういうようなことになっております。

 おっしゃるとおり、関係閣僚会議は、これは随時開催するということになっておりますけれども、そのようなことでしておりませんが、しかし、ただいま御審議いただいております平成十三年度予算におきましても、日本新生特別枠という中でもって、これはIT、環境、高齢化、都市基盤、こういう四分野の中にこのバリアフリー化というものは積極的に取り入れるというようなことで、今御審議をいただいておりますとおりでございますので、御理解をいただきたい。また、随時今後も開かせていただきたい、このように思っております。

八代委員 そういう意味では、いろいろなバリアフリーなものが、大臣の皆さん、また我々の仲間の御努力でだんだんつくり上げられてきて、いい時代だと思っているのです。

 そういう中で、いよいよ、この国会の目玉に欠格条項というのがあります。つまり、障害を持つと、あれもやらせない、これもやらせないというのが結構、六十三ぐらいありまして、何よりも、何ができないかじゃなくて何ができるか、こういう思いで、やはり職業にだれでもチャレンジできる、そういう法整備も一つは必要じゃないかというので、その辺は今度、厚生労働省は大きな政策の目玉だなと思うのですが、坂口大臣、この欠格条項、厚生労働省の取り組み、大変御苦労をかけていると思いますが、いかがでございましょうか。

坂口国務大臣 御指摘をいただきました障害者の欠格条項につきまして、見直しを行っております。ノーマライゼーションの考え方に基づきまして、御指摘のように、だれでもどこへでも行っていただけるように、そしてまたどういう職業にでもついていただけるようにしていこう。そうしたことで、現在、医師法、歯科医師法を初めといたしまして二十七本の法律の改正に取り組んでおりまして、今三十一の制度見直しを行っておりまして、間もなく国会に提出をさせていただきたい、こう思っております。

八代委員 ぜひ成立方、よろしくお願いしたいと思います。

 こうして私たちの日本の福祉というのは、欧米先進国に追いつき、追い越せ時代から、もう今や肩を並べるまでになってまいりましたし、それはスウェーデンのように国民負担率が七五%とか、デンマークのように六八%とか、あるいはノルウェーのように六九%とかいう、国民のそういう意味での拠出があれば話は別ですが、これからはやはり公助という時代は変わらざるを得ない。そして、これから町づくりの中で、共助、ともに助け合うというものをつくって、それからは一人一人の、障害者であれ高齢者であれ、みずからの人生の決定権を持つ自立への道をつくる。その道にバリアがあったとしたら、それこそが僕は政治だと思いますし、そういう方向でぜひ頑張っていただきたい、このように思います。

 折しも、来年でアジア太平洋障害者の十年というのが最終年を迎えます。一九八三年から十年間の国連障害者の十年、そしてアジアにとっての十年をつくろうという、そのときは宮澤総理大臣でございました。そして、それを提案して、いよいよ来年、その最終年を迎えるわけでございます。

 これはもう、十月には世界の障害者会議を日本で開きましょう。日本も景気が悪いけれども、元気を出してみんな日本に集まってください。アジア太平洋の皆さん、厳しいかもしれないけれども、日本に集まって、日本のいい福祉を、欧米で取り込んだいい福祉を、アジアの一つの文化として日本でお教えしますよということで、これは今、国会議員も超党派の議員連盟が誕生いたしまして、その会長に橋本大臣がお引き受けをいただいたわけでございます。昨年十二月六日に発足しました。それで、二〇〇二年に向かって、まず外務省には、迎えるという一つの外務省の仕事をしてもらいたいと思いますし、そして国内においては、障害を持った皆さんが、自分たちの力でこの国際会議を成功させようという、今あらゆる障害者団体がイデオロギーを超えてやっております、議連と同じように。

 そこで、ぜひ、この議連会長として来年に向かう御決意を、ちょっと大臣の今の職責とは離れてまことに申しわけないのですが、ひとつ政治家としてきょうはお言葉をいただきたい、こう思いました。

橋本国務大臣 冒頭私は、議員の障害者対策に対する非常に強い、御自身の障害を乗り越えて払ってこられた御努力に対して、敬意を表したいと思います。

 日本の障害者対策、さまざまな分野がありましたけれども、それを束ねた形で初めての基本法が生まれましたのが昭和四十五年のことでありました。そして、心身障害児(者)対策基本法でありましたけれども、その心身という二文字についても、関係者の中で非常に争いが起きるぐらい、自分の障害が一番大変なんだというアピールの競争をしなければなかなか障害者対策に目が向かないという時期でありました。

 その基本法を、自由民主党が野党のときに議員はこつこつと、当時の政権党の中をも訪ねられ、議員立法で全面的な改正をして、基本法を障害者基本法として全く体系を変えてこられました。それを受けて、ノーマライゼーション七カ年計画あるいは交通バリア法の策定など、こうした新しい施策が動いております。改めて、私はこの間の議員の御努力に敬意を表したいと思います。

 その上で、最終年を迎えるに当たり、アジア太平洋障害者の十年、それを締めくくるにふさわしい最終記念フォーラムを日本が開催しようといたしております。議員連盟、私ばかりではなくすべての議員連盟の関係者、全力を尽くすつもりでおりますから、八代議員を初めとする関係各位の御協力、御指導をこの場をかりて心からお願いをいたします。

 ありがとうございました。

八代委員 時間が残り少なくなりましたが、これは、言ってみれば二十一世紀の福祉外交だと思うのですが、外務大臣には、そういう意味で各国とのコンセンサスをしっかりとってもらわなければならない。アジア五十二カ国、世界を含めると百八十六カ国、どれだけ日本に多くの皆さんがやってくるかということを考えますと、これはもうぜひ外務省の皆さんに頑張ってもらわなければなりません。ぜひ御決意を。

河野国務大臣 いろいろお話がございましたように、一九九八年の第五十四回国連アジア太平洋経済社会委員会、いわゆるESCAPの総会におきまして、八代議員のイニシアチブもございまして、アジア太平洋障害者の十年の後半五年における諸事業をさらに推進するための決議案、二十一世紀への障害者の域内支援の強化を提出いたしまして、採択をされたわけでございます。その他累次の総会で、我が国首席代表演説などを通して、当該地域における障害者を含む社会的弱者救済重視の立場をこれまでも明確にしてきております。

 今お話しのように、二〇〇二年に日本での開催を予定しておりますアジア太平洋障害者の十年の総括の国際会議の成功に向けまして、今お話がありましたように、橋本議連会長を初めといたしまして、関係省庁、団体とも協力をしながら、外務省としても積極的にこれをサポートしてまいるつもりでございます。

八代委員 ありがとうございました。障害を持った皆さんは、二〇〇二年を二十世紀の最後にしよう、二〇〇三年から新たな福祉の二十一世紀にしようなんて、いろいろな計画を立てておるところもございます。

 本当は、時間があれば、実は最近のメディアの問題を総務大臣に伺うはずでございました。大変今、テレビポリティックスの時代になってまいりまして、例えば「ニュースステーション」等々で、議員がビデオカメラを持ってダボスに行くというようなこと、こんなふうな、テレビ局の下請を政治家がやるというのはどういうことなんだと。これからいろいろデジタル時代を迎え、アナ・アナ変換で、国は八百五十億、六十億という国民の皆さんの税金で大きくデジタル時代を迎えるということになっていくのに、もっともっとメディアの不偏不党、こういうものを私たちも心から期待をしたい。その考え方を総務大臣に伺うはずでございました。

 何の質問の中身かわかりませんけれども、要は、そういう時代である。テレビ局は今は二兆円というコマーシャルの時代、全体の広告費は六兆円という時代になった。テレビ、マスメディアは二兆円広告収入がある。しかし、一局年間三百万円ぐらいしか電波の使用料は払っていないのです。そういうことをいろいろ考えると、もっとやはり不偏不党ということは徹底するべきだ。このことを実は時間があればやりたいと思っておったのですが、一言だけ最後に総務大臣に伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

片山国務大臣 八代委員の御指摘の点、私もかなり同感するところが多々ございます。

 今の放送法は、憲法で保障する表現の自由を確保する観点から、放送番組編集の自由を規定した上で、あとは放送事業者の自律、こういう観点から組み立てられた法律でございますが、いろいろな議論がありまして、放送事業者自身もBROという、前郵政大臣でございますから八代委員御承知のものをつくったりしておりますけれども、いろいろな議論がございますので、私は、さらに放送事業者にその認識を徹底してもらいたい、その上であといろいろなことが考えられるかどうかという議論になるのではなかろうか、こう思っております。

八代委員 よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

野呂田委員長 これにて八代君の質疑は終了いたしました。

 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 きょうは、総理に教育改革を中心に質問を申し上げたい、こう思います。

 その前に、まず初めに、えひめ丸事故における緊急事態への対応について御質問を申し上げたいと思います。

 愛媛県立の宇和島水産高校の実習船の事故に関して、政府の対応がこの委員会でも問題となりました。総理におかれましても判断ミスを認められておりますが、政府は常に、こういうことから教訓を得て、国民の安全に関して細心の注意を払う努力を重ねるべきだ、私はこう思います。

 さて、今回、事故に対応すべく、私ども公明党もいち早く対策本部を立ち上げまして、その後、文部科学省にも当然災害対策本部は設置されておりましたが、事故が発生して四日後に、私が今たまたま文部科学の部会長ということもあり、文部科学省に問い合わせをいたしました。

 しかし、その問い合わせを文部科学省にしても、だれが責任者なのかということがわからない。どこのセクションが受け持っているのかということがはっきりしない。内線電話であちこち回した上に、最終、不明である。やむなく内閣府の方にも問い合わせをいたしました。危機管理センターに問い合わせをしたわけですが、ここでも、対策本部が文部科学省の省内のどこにあるかわからない。こんな混乱が起こっておりました。そういう意味では、文部科学省の初動態勢にも大変私は危ういものを感じたわけでございます。

 私は、今まで災害対策特別委員会の委員もやらせていただいたこともあり、ナホトカ号の重油流出事故、それから阪神の大震災などを通して、政府の緊急事態について今まででも何回か提言をいたしました。問題点等も指摘させていただきました。

 緊急事態や災害の問題に備えて初動時の責任を明確にする、これがやはり一番大事なことではないかと思います。各省庁において、緊急事態や災害、大事故担当の副大臣をきっちりと決めるべきではないか。副大臣がだめなら政務官、都合によっては審議官、いずれでも結構ですから、災害が起こったときはだれが責任を持って初動態勢をとる、こういうことをしっかりとあらかじめ決めておく、これが大事な内容ではないか、こう思っております。

 さまざまな状況を想定して、連絡網それから対策本部の指定、また必要な体制の整備計画、こういうものを策定して、さらに訓練も行っていくぐらいの覚悟がないと、毎回毎回、このように事故が起こったときの対応について問題になる。こういうことでは、日本の緊急事態対応がどうなっているんだ、こういうことになると思います。その点について、御意見を伺いたいと思います。

 中央省庁のちょうど再編中でもあり、そうした基本的な事項を確認するという意味は大きいのではないか、こう思っておりますので、ぜひ前向きにお取り組みをいただきたい、こう思います。御答弁をお願い申し上げます。

河村副大臣 西委員御指摘の点、私ももっともだというふうに感じておりますが、文部科学省発足と同時に、ここにございますが、文部科学省防災業務計画というのがございまして、これに基づきまして、災害時における体制を整えてあるところでございます。

 大臣を初め、副大臣、政務官等々、どういう場合に出ていくとか、そういうこともきちっと書いてございますが、たまたま本事故の当日でございますが、休日に入っておったということもありまして、まず、情報を得た時点で、大臣とも事務局はすぐ連絡をとり合いまして、十一時三十五分に、文部科学省の宇和島水産高校実習船事故災害情報連絡室をまず設けたわけであります。その後、状況の判断、大きなこういう事故だということがはっきりしてまいりましたものでありますから、十四時三十分には、事務次官を本部長とするこの事故の非常対策本部を設けたところでございます。

 今後も、今申し上げた文部科学省防災計画、それから非常参集要領というのがございます、それにのっとって万全を期してまいりたい、こういうふうに思いますし、今委員の御指摘の点については、もっと徹底をしていきたいと思います。

 たまたま当日、休日でありまして、文部省本館そのものが工事の関係で全館停電の日に当たっておりまして、お隣の教育会館の方へ移しまして、休日の間そちらに本部がありまして、それから本省に戻ったということもあって、おっしゃる電話等々の周知徹底がなかった点もあったかもしれません。十分気をつけていかなきゃいけないことだ、こういうふうに思っております。

西委員 災害は時を選びませんから、そういう意味では、ぜひとも、いついかなるときでも対応できるように、私は、祭日に電話したわけではございませんで、週明けに電話したということでございますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、災害が起こったらこの人に電話すればいいという体制をぜひとも各省庁にお願いをしたい、こう思いますが、総理、何か御意見がございましたら、ぜひお願いします。

森内閣総理大臣 こうした事故が起きますたびに、いろいろと、まだまだそういう整備あるいは配慮が足りないなということを、私自身も非常に反省することが多いです。

 実は、今河村さんからも御答弁がありましたが、あの日はもちろんお休みでありまして、私自身も文部大臣に状況を聞こうと思って、実は三五八一―四二一一、文部科学省へかけたんです。そうしたら、テープでお休みですというアンサーでございました。ただし、今お話ありましたように、当時工事をしていたこともございましたけれども、それは、文部科学省だけではなくて官邸にも言えます。

 私自身も、それからずっと以後ですが、休みでしたので、危機管理室にちょっと用がありまして、電話を入れましたら、残念ながら、その直線電話はわからない。それで、官邸にかけましたけれども、そこからはつながらないんですね。それで、官邸の職員の当直されている方に電話番号を伺って、その聞いたのも、実は最初にかけたのはつながらない。だれも、ノーアンサー。二度目にかけたらやっとつながったということで、確かに、こうした意外なことがうっかりしているんです。

 この前、鳥取の地震、事故がありました。その数カ月前に、そういうマニュアルでいろいろ防災訓練をおやりになったそうですが、そのときに、こういう事態のときには自衛隊へと書いてあるそうです。ところが、自衛隊のどこにかけるかと書いてないんですね。ですから、お休みになるとつながらないということになって、そういう反省がありましたということを、当時鳥取県の方が私に話をしてくれました。

 いろいろそうしたことを反省しながら、いかなる場合にも連絡がきちっとでき得るように、体制としてはきちっととっておく、そういうことは、一回一回そういう経験を大事にしておかなきゃならぬというふうに考えました。今の電話などでも、非常に私はそのことを最近痛感いたしておりまして、すべて張り出して、どこにどうつながっていくのかということ、これは国だけではなくて都道府県、市町村に至るまで、やはりそういうことをきちっとしておくことが大事ではないかなということを教えられまして、またそういう指示をいたしております。

西委員 総理から実感のこもった御答弁をいただきました。ぜひそのように実践をしていただきたい、このように思います。

 次に、若干、教育問題そのものに入る前に、教科書問題について一言申し上げておきたいと思います。

 先日の新聞に、新しい歴史教科書をつくる会が、他の教科書を批判した著書を各地の教育委員会の教育委員らに無料で配付したことに対して、琉球大学の教授らが公正取引委員会に対して排除勧告を申し立てた、こういう記事が載っておりました。その事実関係についてまずお伺いをしたいと思います。

 また、政府はこの件に関して、制度的な原則を貫き、政治的な介入をしないという方針を出したということですが、具体的にはどのような方針をお出しになったのか、見解をお示しいただきたいと思います。

河村副大臣 御指摘の問題点でありますが、これは一義的に、公正取引委員会の判断にまたなければならないものだというふうに考えております。

 一般的に申し上げるならば、教科書採択の公正確保を図っていくというのは非常に大事なことでありますから、これまで文部科学省としても、教科書の発行者に対しては、採択関係者に過当な宣伝行為を行わないように指導してきたところでございますし、今後とも、採択関係者や教科書発行者に公正な教科書の採択が確保されるように指導してまいりたいし、関係者の注意を促してまいりたい、このように考えておるところであります。

西委員 私は、教科書の内容について政治的な介入を避ける、これは非常に大事なことだというふうに思います。しかし、自分たちでつくった教科書を無料で教育委員会に配る、こういう行為は公正を欠くのではないか、こう思っております。このようなデモンストレーションの行為に対して、政治的な中立が確保されないということになるならば、政府は厳正に対処すべきではないかというふうに私は考えております。事実とあわせて総理の見解をお伺いしたい、こう思います。

森内閣総理大臣 今、河村副大臣から御答弁ございましたことで尽きると思いますが、御承知のように、教科書の発行者が編集し作成する教科書の検定につきましては、文部科学省におきまして、学習指導要領そしてまた検定基準等に基づいて厳正に今実施されているわけであります。

 御指摘の団体が自著を各地の教育委員会に無料で配付したとして、公正取引委員会に対して排除勧告の申し立てがなされたという報道は承知をいたしております。その行為が独占禁止法に違反するかどうかについては、これは公正取引委員会において適切に判断されるものだ、そのように考えております。

 教科書というのは、確かにこれは国定教科書ではありませんので非常に難しい、一足す一が三となっておれば、これは客観的に間違いだと指摘できるわけですけれども、いわゆる社会であるとか歴史でありますとか、そうしたことになりますと、編さん、著作される学者の考え方というのはどうしてもやはり入ってくる。そこをどうやってきちんと公正な教科書にできるかということをやはり検定していくということが大事だというふうに考えております。

 特に歴史教育は、児童生徒が我が国の歴史に対する理解と愛情を深めて、そして国際協調の精神など、国際社会に生きる民主的、平和的な国家あるいは社会の形成者として必要な資質を身につけることを目指して行っているものであるわけであります。

 したがって、教科書発行者が編集し作成する歴史教科書の検定については、このような観点から、文部科学省においても、学習指導要領あるいは検定基準等に基づいて厳正に実施をしなければならない、また事実そういうふうに進めているというふうに承知をいたしております。

西委員 先日、公明党の神崎代表は、この件に関しまして、教科書については、過去の歴史を否定するようなことがあってはならないという趣旨の記者会見を行っております。

 私は、教育においては、いわゆる自虐史観や自由主義史観、いろいろ言われておりますが、このような史観的な立場に立つのではなく、あくまで歴史を事実として正しく記述し、それを正確に教えていく、こういうことが前提であり、大変重要なことである、こう思っております。独善に陥ったり、また排外的な、他者を排除する、そういう感情をいたずらにあおるようなことがあってはならないし、また二度と不幸な歴史を繰り返すことの原因になるようなことがあってはならない、こう思っております。このことを強く訴えておきたいと思います。

 続きまして、具体的な教育改革の進め方について御質問を申し上げます。

 文部科学省は、総理の私的諮問機関である教育改革国民会議の提案を受けて、独自に二十一世紀教育新生プランを策定、発表いたしました。この新生プランの策定について、与党の我々に事前に御相談いただけなかったのが非常に残念でございます。

 私たちは、教育改革を進めるに当たってこの教育改革国民会議の構想を提案したのは、そこで国民世論の火つけ役として議論をしていただいて、たたき台としての報告をお出しいただきたい、こう考えて私どもも提案をさせていただきました。

 そして、次の段階として、各地で各階層、分野の人たちと精力的な意見交換の場を広く設けて、また、地方自治体などからもいろいろな教育のプランを提示していただく、このような作業を積み重ねた上で抜本的な改革に進んでいく、こういう手順が必要なのではないか、こう思っているわけですが、そういう意味では、今回の文部科学省もしくは教育改革国民会議は、幅広く意見交換の場を、機会を設けるという意味では不十分であったのではないか、私はこのように思います。

 現在、公明党では、全国各地で中高校生を初め保護者の皆さん、それから教員の方々などと精力的に対話を行っております。実はきのうは八回目で、ほぼ毎週、日曜日には全国各地でいろいろな皆さんの御意見をちょうだいしながら、教育改革を現場の皆さんの御意見の中から見ていこう、こういう運動を進めておりまして、昨日は埼玉県の浦和市に行ってまいりました。大体二十から三十代前半でしょうか、子供を現実に育てていらっしゃるお母さん方に集まっていただきまして、約五十人ほどの対話でございましたけれども、二時間以上、本当に熱心な御意見をちょうだいしてまいりました。

 例えば、家庭教育、これも国民会議の最終報告書にも入っているのですが、家庭教育というものの中で一番多かったのが、父親の教育参加を促すような、そういう施策をするべきだ、核家族の中で子供を育てる母親は本当に孤独で、そして相談する相手も身近になかなかいない、一方、主人は朝早く行って帰りが遅い、なかなか子育ての悩みを聞いてもらうだけの余裕がない、こういう意見がございました。

 また、子育て、教育について、隣近所の若い奥さんと話をしても、みんな言うのは、結局、経済的な理由が一番大きい。大胆な子育て支援のための経済的な援助をお願いしたい。もう一人産もうと思っても、やはりすぐに、このもう一人が本当に育てられるのかということが頭に行ってしまう。今家庭の中では住宅ローンと教育費、この二つが出費の二本柱というふうになっている。こんなお話がございました。

 また、もう一人の女性の方からは、障害者のことが残念ながらこの十七の提言の中に一項目も入っていないということは寂しいことだ、こういう議論もございました。

 きのうではなくて、その前に、高校生、中学生、大学生からも意見を聞きましたが、やはり今の学生が思っているのは、一様に、先生の資質、どういう先生に教えられるかということが一番大きいと。得意な科目、得意でない科目というよりも、どの先生の科目だから得意になる、好きになるという順序なんだということを異口同音に言っておりました。それだけ先生の子供たちに与える影響が大きいんだということを述べていたのが非常に印象的でございました。

 以上のように、やはり国民の声を聞くということが、教えるという立場も大事ですが、学ぶ姿勢、学ぶ立場からどう教育をとらえていくのかという視点が非常に重要である、またこの地道な作業を怠ってはならない、こう思うわけでございます。こうした努力を行うことを具体的に指示されるお考えがおありなのかどうか、総理にお伺いをしたいと思います。

森内閣総理大臣 西委員から、多くの国民の皆さんの御意見をお聞きになりながら、そうした事例、御意見等の御紹介もございました。すべてそれに対してお答えをする時間も余りありません。

 ただ、先般、公明党の皆様方がそうしたお話し合いの会を進めておられて、一定の段階でおまとめになりましたものを浜四津代表を初め皆さんがお持ちくださいまして、とても参考になることが多かったし、ある意味では、教育改革国民会議が議論をしている視点とやはり少し違うな、もう少し細やかな具体的なテーマに入っているなという感じがいたしました。文部大臣の方にお渡しもいたしておきました。

 教育改革につきましては、国民の皆さんの意見に十分に耳を傾けて、そして、国民的な合意の上で進めていくことはもう極めて重要なことだということを認識いたしております。

 それで、教育改革国民会議は、これは小渕前総理のもとでスタートしたものでありまして、以後、私もその会議にはできるだけ出席をし、多くの皆さんの意見を伺ってまいりました。もちろん、委員の皆様だけの考えであってはならない、そう思いましたので、公聴会を行ったり、あるいは学校視察を行ったり、幅広く多くの皆さんからの意見を参考にして最終報告が取りまとめられた、このように承知をいたしております。

 現在、教育改革につきましては、国民的な議論を深めるという見地から、町村大臣あるいは中曽根内閣総理大臣補佐官、また今御答弁をされておられます河村副大臣を初めとして、副大臣、政務官、皆がそろって全国各地を回っておられて、教育フォーラムを開催しておられます。この日程も実に多くつくられておりまして、まじめに、地道にそうした地方の多くの皆さんのお考えを今聴取しておる、そういう段階でございまして、今後とも幅広く国民の声にしっかりと耳を傾けてまいりたい。

 当面、とりあえず、まとまった案については、この国会で審議をお願いしたいということで、法改正をお願いすることになると思いますし、さらに、引き続き、大きな枠組みの中での教育についても、教育改革国民会議もそうでありますし、また文部省独自も、中教審等を通じて、具体的にどういうことにしていくかという協議もさらに進めていく、このように指示をいたしておるところであります。

西委員 今国会提出の法案も、大変重要な教育改革の関連の法案が提出されておりまして、若干、同時並行的な感じもあります。そういう意味で、文部科学省におかれましては早急に現場の意見を聴取していく努力をお願いしたい、こう思います。

 続きまして、教育と地方分権のことについて少しお伺いをしたいと思います。

 私は、これからの教育改革の大きな方向としては地方分権型システムを目指すべきである、こう思います。もともと教育は地方分権という精神のもとに運営がなされているわけですが、さらにその方向性を推進していくということが大事だ、こういう観点からお伺いをしたいと思います。

 国民的に教育というのは大変大きな関心事でございます。それだけに、この教育改革について世論を喚起するという役割、これを中央、文部科学省を中心として果たしていくということは、これはよいことだと思いますが、その内容についてまで、これまでの中央主導の統制型のシステム、これを改めて、そして地域の特色が生かせるように、そのような分権的なシステムをこれから構築していくべきだ、こう思うわけです。

 ところで、現在、コミュニティースクールやチャータースクールなど、新しいタイプの学校の設置を求める声が多くございます。私は、こうしたタイプの学校は今後認めていくべきだ、こう思っておりますが、総理の御見解をまずお伺いしたいと思います。

森内閣総理大臣 西委員御指摘のように、今後の学校教育におきましては、地域住民の要請にしっかりとこたえて特色ある教育を行うということは極めて重要だというふうに考えます。

 コミュニティースクール等の新しいタイプの学校につきましては、教育改革国民会議でも提言されておりまして、現行制度との関係も考慮しながら、文部科学省においてその課題や可能性などについて検討を進めることといたしております。その際、地域の特性というものも、十分にこれは考慮すべき課題の一つであろう、こういうふうに考えております。

 また、西議員個人また公明党の皆様方からも、どういう新しい学校のタイプがいいのか、具体的にまたいろいろと御指導賜れれば、このように考えて、希望いたしておきます。

西委員 これから積極的に私どもも取り組んでいきたいと思っておりますし、総理初め内閣におかれましても、やはり新しい学校の選択の可能性を子供たちに与えるという意味で前向きに取り組んでいただきたい、このように思います。

 私、これまで地方の立場に立ってさまざまな教育施策に関する提言を行ってまいりました。私の育った地元が小さな規模の学校だということもあって、そういう意識が強いわけですが。三年前の文教委員会で、中高一貫教育制度の導入の議論がありました。その際にも、過疎地において、現状のままでは法律の制限があり高等学校を設置することができない、こういう問題がありました。そのために生徒が親元を離れて高等学校に行く、そういう事情がありました。一たん高等学校に行くために地元を離れることによって、だんだんと地元離れ、なかなか地元に帰ってこられない、また来ないという事情を指摘申し上げました。

 今国会提出される公立高等学校標準法の改正で、公立高等学校の設置主体に関する制限が撤廃をされまして市町村が高等学校を設置できるようになる、そういう文部省からの改正が出るようでございます。大変うれしいことだと思っております。

 先ほど総理から新しいタイプの学校についてお伺いをいたしましたが、この新しいタイプの学校については、一つは、公立民営という意味で、私立の学校との競合関係がどうやら一つの問題点となっているようでございます。一つは完全に私学という形、もう一つは、公立が例えば建物を建てて、その上に自由な私学的な教育をするということに対して、若干こちらの方が運営が楽じゃないかというような議論もあるわけでございます。その議論は議論として、私は、もしそうならば、まず私立と競合しない、つまり公立の学校しかない、比較的田舎のそういう場所において設置を認めていくという手もあるのではないか、こう思うのです。

 総理のお地元でも、都市部には私学の高校があるでしょうけれども、少し田舎に行きますと、公立しかない、ここしか行けないという高校の状態がきっとおありになるんじゃないかと思うのですが、そういうことを想定していただいて、新しいタイプの学校をそこに限って小中学校でも認めていく、こういうことが可能ではないか、こう思います。

 文部科学省が学校選択の多様化を推進しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、地域によっては全く選択の余地がない、そういうところもあるわけでございます。そういうことに対して、条件をつけて、私学と競合しないという範囲で、まず新しいタイプの学校を認めていく、こういうことに取り組むように要請をしたいと思います。

 教育の新たな可能性を実践的に示す意義からも、新しいタイプの学校の許可要件をまず緩和していただき、そのかわり、一方で教育実践の成果をきちっと報告していただく、こういうことでやっていけたらと思いますが、御意見をお願いしたいと思います。

森内閣総理大臣 新しい仕組み等については、もしお時間があれば文部副大臣からお答えを願えればと思います。

 私は、早い時期から中高一貫制ということを主張してきた一人でもあります。それは、ちょうど小学校を終えまして、十五歳を挟みました一番大事な、人生の多感な時代に、結局受験勉強のための教育といいましょうか学校、これはやはり子供たちにとって決していい結果を生まないんではないか。そのためには、非常に短絡的ですが、ハードルをできるだけなくしてあげることが一番いい、そういう思いから、中高一貫制ということを主張してきました。

 一方は、高等学校そのものは自主教育ということでありますから、確かに進学率は全国平均では九七、八%までいっているというふうに言われておりますが、しかし、あくまでもこれは自主教育ですから、行かれない人はどうなるのかねという問題がやはりそこに、暗礁に乗り上げて、前回の中曽根内閣のいわゆる教育改革の中から、その問題について具体的に取り上げるようになったわけです。

 一方、私学と公立の関係というのは非常に難しゅうございまして、今でも、地域がきちっと固まっておりますと、やはり私学は、確かに御指摘どおり、私どもの郷里でも都市部にございます。どうしても郡部では経営が成り立たないということになります。東京あるいは大阪とか、大都市と地方の大きな違いは、こういうことを申し上げると多少誤解を生むかもしれませんが、都市部の方は、確かに私学の方が何か入学の、入る難度が難しいといいますか、私の今の立場ですから余り具体的なことは言えないのですが、地方へ参りますと、逆に県立高校、いわゆる公立高校がそういう意味でははるかに試験が難しい、こう言われています。

 私は、自分の石川県の私学経営者に、決して公立の残った人をもらうというような感覚じゃいけませんよ、もっと誇りを持って、県立へ行く前にきちっと私学が試験をやって、きちっとやる、あるいは、同時試験をやりなさい、同じ日に試験をやりなさい。本当に私学の理念、哲学、いわゆる私学の考え方、そういう学校設立の理念、哲学に応じた者が受けるべきだというのが本来私はあるべきであって、大学も、東大も京大も早稲田も立教も明治も受けて、上がるところへ上がりますということでは、やはり本来の私学の意味がないと私は思っているのです。同志社には同志社の意義がある、上智には上智の建学の精神がある、私は常にそういう考え方を述べてきたつもりでございますが、地方と都市部においては必ずしもこれは一体化しないということになります。

 では、なぜ私学が地方にできないのかといえば、これはやはり財政的な問題。そういう意味で、私立学校振興助成法、残念ながら若干その助成が年々薄くなっているという面もございます。また、あるいは私学振興財団法で融資の道をつくるとか、そういうことをこれまでやってきたわけであります。

 しかし、基本的に大事なことは、やはり大学の受験を目標にする教育であってはならないということだと思うのです。それは年々是正されてきつつあると私は思うし、現実に、十八歳人口がこれだけ激減をしているわけでありますから、いずれは、そういう難しい問題で試験をして入れるという時代はもうなくなってくるだろう。

 むしろ大学側からぜひお入りください、入ってくださいと呼びかけていく時代に入っていくということになれば、高等学校も中学校も小学校もあるいは幼児教育も、学問、知識中心の教育よりも、人格形成の方に重きを置いていくことになるのではないか、そのような方向にむしろ我々は努力していくべきではないかな、そんなふうに私は常に思っているところでございまして、西議員のそういう御主張にまさに一致するものではないかなというふうに私は思っております。

河村副大臣 地方分権の視点からも、地域の特性を持った学校を研究していくということは、これからの一つの方向だと思います。

 先般も、たしか熊本県のある町長さんがお見えになりまして、不登校になっている子供たちを集めて再教育する方法はないだろうか、その場合には公立の先生を派遣していただけますでしょうか、学校は我々がつくるんだ、こういう御指摘がありました。

 こういう問題について今研究を進めておるわけでございますが、アメリカのチャータースクールあたりは、地域の盛り上がりがあって、そこへ、そういうことに理解のある先生が集まってきて、お金は国が見ます、そのかわり五年間なら五年間でやってください、成果が上がらなければ廃止します、このぐらいはっきりしたものがございます。

 そういうことも含めて、研究を今進めておるところでございますが、今、私学との兼ね合いもございます。これは私学でやるのか公立でやるのか、この辺の議論も含めて、新しいタイプの学校を考えるべきだ、二十一世紀の時代にふさわしいあり方を研究しろという国民会議の御提言もございますので、本格的に研究を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

西委員 多様な学校選択が可能になるような、そういう教育システムということは非常に大事なことだと思います。一方では、今の教育を取り巻く環境を考えてみたときにも、もう猶予はない、一刻も早くそういうシステムを立ち上げていく、それぐらいの気概を持っていくことが大事ではないかと思います。

 戦後、随分いろいろな議論がなされてきましたけれども、ようやく中高一貫教育が、先ほども総理のお話がありましたように、立ち上がりました。ようやく学校選択の自由が、一つ風穴があいたというふうに私は思っておりますので、ぜひともまた精力的に文部科学省としても取り組んでいっていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

森内閣総理大臣 今、西議員のお話の中で、私はぜひ西議員にも、そして予算委員会の皆さんにもお聞きをいただきたいことが一つあります。

 先般、私は、横浜市立三ツ沢小学校というところへ、河村副大臣と一緒に視察に行ってきました。八百数十名おられるのですが、不登校はゼロだそうです。まさに横浜の町の中にある学校ですけれども、どうしてそうなったのかというのは、これはいろいろあるんだと思いますが。

 一つは、自由な時間、ゆとりある時間というのを使って、一時間半ぐらいの時間を自由に与えて、そこで、ホタルをどうやって後ろの川に生息させることができるかとか、せせらぎがあるのですが、それを市で改良してもらう。あるいは、花を植えて、アサガオを先輩が持ってきて、それをきちっと、土から堆肥から、みんな自分たちでつくって、秋にはどうやって咲くかということをやったり、それから、近所のおじいちゃん、おばあちゃんに、みんな来ていただいて、そこで一緒に健康体操などをやるのですね。

 そういうことをやったり、あるいは、生徒さんの中のお母さんは、障害を持つお母さんもある。そのお母さんをお招きして、そのお母さんが中心になって手話を勉強していく。ありとあらゆることをやっているのです。それは全く先生は触れてない、生徒が自主的にやっていらっしゃる。

 なぜこれがうまくいくのかと話を聞いてみますと、いわゆる支援グループというのがあって、その町内の、近所の皆さんが参加されるわけです。ですから、もう八十歳、九十近いおじいちゃんが、どうやってここに竹のさくをつくるか、どうやったらこの縄をなうことができるか、どうやってこの竹と木材をうまく結びつけるかという、独特のやり方がありますね、ああいうことをみんな子供たちに教えている。それで子供たちがもう楽しくて楽しくてしようがなくて、ですから、お昼休みの以後の授業にそれを入れますと、もうお昼の時間からそれに取りかかっている。

 それがとてもおもしろくて、自分の趣味に応じ、自分の意識に応じて参加するのだろうと思いますが、私は、本当にいい試みで、校長先生は、その結果よかったかどうか知りませんが、子供たちが非常に楽しんで学校に来るようになりました、そして、近辺の父兄の皆さん、別に自分の児童、子供を通わせていないのですよ、近辺のそれぞれそういう専門の皆さんが支援をしに来てくださるということで、結果的に学校がおもしろくなってきたということで不登校がなくなったのではないだろうかということをおっしゃっていました。

 横浜市長さんも後で、そのときお見えになっておられまして、この仕組みは非常に成功したと思うから、横浜の公立の中学校と小学校に全部それを自主的にさせてみたい、したがって、一切お金の制限をつけず、まとめて、三百万とおっしゃっていましたけれども、横浜の公立学校は五百五十ぐらいありますから、そこへ全部、そのお金を校長先生に差し上げて、自由にやってみてくださいということをやってみるのだということもおっしゃっていました。

 私は、やはり新しい学校の、そして、子供たちが学校に興味を持つ、もう一つは、近辺の社会人がその学校、地域の社会に対して協力をしていくという意味では、非常に成功している例ではないかと思って、済みません、あなたの時間をとってあえて御紹介を申し上げておきたいと思います。

西委員 時間が終わってしまいました。

 総理、大変苦しい答弁の時期もおありのようですが、このことについては、文部大臣の経験者でもあり、随分いろいろなお話をいただきました。私も、基本的には総理のおっしゃるとおりだと思います。

 これから本格的な教育改革を目指して、国民全体がやはり意識を持っていく大国民運動として、これから総理を初め文部科学大臣、文部科学省全体で取り組んでいっていただきたい。私どももまた全力で応援をしていきたいと思います。

 終わります。

野呂田委員長 これにて西君の質疑は終了いたしました。

 次に、小池百合子君。

小池委員 保守党の小池百合子でございます。

 まずは、与党の一員といたしまして、一日も早い予算の成立を推し進めてまいりたいということをお伝えしておきたいと思います。

 その上で、何点か伺いたいことがございます。

 まず、ハワイ沖での実習船えひめ丸とアメリカの原潜グリーンビルの衝突沈没事故に関連いたしまして、先週の金曜日に、私ども保守党といたしまして決議をいたしたところでございます。

 これに関連いたしまして、政府からの御答弁をちょうだいいたしたいと思いますが、その前に、その決議について少しお伝えをしておきたいと思います。

  わが国の宇和島水産高校の漁業実習船とアメリカ原子力潜水艦との衝突事故から経過した今も九人の実習船の乗組員がいまだに行方不明となっている。ご家族の心中は察するにあまりある。

  この間、驚くべき事実が次々と明らかになっている。原子力船に乗船していた民間人は当初二人と伝えられていたのに、実際は十六人であったこと、「えひめ丸」をソナーで察知していたのに司令官室の画面が故障していたこと、詰めかけた民間人が邪魔になり「えひめ丸」の航跡図がつくれなかったこと、訓練ではなくデモンストレーションであったことなどである。米海軍の「民間人を乗せていたことと事故とは無関係である」との主張を覆す事実である。

  アメリカ政府はこれまで、事故の責任を全面的に認め、謝罪を表明するなど、一定の誠意を見せてきた。その反面、行方不明者の探索を一時は打ち切ろうとし、海軍の査問会議を延ばし延ばしにするなど、行方不明者の救助と原因の糾明に必ずしも積極的な姿勢を示していない。同盟国としては、余りにも不誠実である。また以上述べたように、当初の発表とは違う事実が次々と明らかになっている。

  日米同盟はわが国の安全保障の根幹である。同盟関係の維持発展させるためには、日米両国の信頼と協力が不可欠である。お互いが「言うべきことは言い、正すべきは正す」、これが同盟国としての絆を築く基本である。

  よって政府は、米国の主張を鵜呑みにし、報告を待つだけの消極的姿勢に終始することなく、米国政府に対し、次のことを積極的に求めるべきである。

  一、海軍の査問会議の早期開催を求めるなど、事故の原因と真相の解明に全力を尽くすこと。

  二、沈没した実習船の早期引き上げに全力をあげることを求めると同時に、日本として必要な協力を申し出ること。

  三、日本政府として、原子力潜水艦の電磁的記録など衝突事故に関わるすべての記録、データーの提出を求めること。

 右、決議する。

ということで、金曜日に官房長官の方にこの決議文をお届けしたところでございますが、今述べました三点について、政府の対応を総理からお伺いしたいと存じます。

森内閣総理大臣 本件事故が発生をいたしましてから、政府といたしましては、米側に対しまして、あらゆるチャネルを通じまして、抗議の意を伝えるとともに、えひめ丸の引き揚げ、徹底的な原因究明等を強く求めてきたところであります。今後とも、早急かつ徹底的な原因究明を求めますとともに、衝突事故に関する情報、資料等の提供も米側に求めてまいりたいと思っています。

 また、原因究明に関しまして、米海軍は査問委員会を招集することを決定いたしました。我が国としては、本件事故の解明のため、米側の招請に応じまして、二十一日、海上自衛隊の将官をアドバイザーとして既に現地に派遣し、米側の行う調査に参加をすることといたしております。

 さらに、米国政府は、ファロン大将をえひめ丸事故への謝罪の表明のため、特使として、恐らくきょう、明日ではないかと思っていますが、日本に派遣することを連絡してまいりました。ファロン大将は、査問委員会を含め、現在進められております調査の進捗状況について日本側に説明する予定でございます。

 なお、船体の引き揚げにつきましては、米側は技術的実現可能性のみに基づいて行うとしておりまして、我が国も、二十日に実施いたしましたえひめ丸引き揚げ問題に関する関係省庁連絡会議の結果を受け、二十二日にえひめ丸の引き揚げに関する専門家ミッションの派遣を現地にしたところであります。

 査問委員会にアドバイザーとして参加するようになったことも、それから、今申し上げたこの専門家ミッションを送るようになったことも、これは日本側からむしろ申し上げてきたのです。一方的にアメリカ側が結論を出してもらっては困るということから、こうした派遣をしたり、あるいはアドバイザーとして参加をしたりということをきちっとして、アメリカ側だけで、自分たちで結論づけてしまわないように、十分日本の国民の目が注視をしているということをきちっとやはり意識してもらいたいということで、こうしたことをできるだけ先手先手に申し上げてきたことがこうした形であらわれているというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。

小池委員 アメリカのメディアなどを見ておりますと、船体引き揚げということは、これは日本の文化的な国民性の違いから出ている要望であるというふうに報道もされているところでございますが、例えばアメリカの場合も、ベトナムでの米兵の遺体もしくは遺骨の引き取りということをいまだに主張している。これをタクティクスとして使っているという部分もございましょうが、しかし、やはり家族の思いということを徹底的に日本側は今回きっちりと主張していただきたい。もちろん技術面の問題もございましょう。しかし、その意味で日米共同してこの作業に当たるということは、今後の日米関係にも大きな意味を持つものであるということを強く主張してまいりたいと存じます。

 それから、総理は、もうこの問題ばかりで、ついにはゴルフ場のスコアカードを出せとまで言われて、ちょっとその面ではお気の毒だなというふうな気持ちもいたしますが、阪神大震災を経験した一人といたしますれば、やはり一国のリーダーとして、例えば高速道路がばたんと倒れている、それを承知の上でそのまま決められた予定どおりの日程をこなすというのは、ちょっと私は信じられないというようなことはございました。当時は、スイスの犬よりも総理大臣の方が遅いなどということも野党として批判したこともございます。ただ、それは揚げ足をとるというのではなくて、やはりリーダーたる者の感性ということを問うたわけでございます。

 また、きのうは、総理の動向というところを新聞で拝見いたしますと、一日私邸にいらしたということでございますが、昨日は大阪で、IOC、オリンピック招致評価委員会の皆さんが来阪されまして、今北京との綱引きになっている大変な時期でございますが、せっかくであるならば、また大阪側も要請していたことでございましょうし、ぜひとも、けさは無理だとしても、きのうの歓迎式ぐらいには出ていただきたかったというのが地元の考えではないかと思いますが、そのおつもりは全くなかったのでございましょうか。総理に伺います。

森内閣総理大臣 私は、スポーツ好きではもうだれよりもだれよりも自分で任じておりまして、何とかして大阪のオリンピックが決まるようにと思って、これまでも事前のいろいろな働きかけ等についても、政府として、また総理という立場でも積極的に私はPR活動もしてまいりましたし、ずっとこれからその以後も、外国へ参りますときにも必ず外国の首脳に、もちろん首脳が決めることではないけれども、大阪にぜひお願いをしたいということもその都度関係者にも申し上げてきたことでございまして、大阪の先頭に立っておるつもりでございます。

 たまたま昨日は実はお呼びかけがございませんで、きょうか二十八日においでいただきたいということでございました。きのう、よほど夕方行こうかなと考えましたけれども、そうしますとけさの予算委員会に間に合わなくなるといけないということで、官房長官はおりませんが、絶対東京を離れるな、もし大阪へ行ってもしものことがあったらまた国会でおしかりをいただくということでありましたから、きのうはあきらめました。きょう伺おうと思いましたら、きょうこういうことで国会の予算委員会にお招きをいただいておりまして、当然これでまたきょうはだめになりました。

 また、二十八日当日は予定を立てておりましたけれども、これもまた予算委員会にどうも出ろということでございまして、オリンピックも大事なことでありますけれども、予算を何とかして、今冒頭に小池さんからもお話がありましたように、やはり何としても年度内に成立をさせたいということからいえば、なかなか二十八日は動けないのかなと思って心配をいたしております。

 そういう意味では、中国へ行かれて毛沢東氏と……(発言する者あり)失礼いたしました、江沢民主席ともお会いになっておられますし、私としてもぜひ、IOC委員長に私がお願いしたからどうなるというものではありませんけれども、日本の政府の姿勢としてはやはり大阪に行きたいな、こう思っております。

 これは、あとは久間筆頭理事を初めとして与野党の理事の皆さんが、私に何とか二十八日の日程に間に合うような日程で国会を少し出していただければ、私は伺うことは何らやぶさかではありませんし、むしろ積極的にそうしたいと考えております。

 実はきのう、与野党のいわゆるオリンピック推進議連の皆さんからも相次いで電話がありまして、私は大分しかられたのですけれども、どうぞ予算委員長と久間筆頭理事、各党の皆さんにひとつお話をしていただきたいということを申し上げておきました。

小池委員 あの世から毛沢東さんが出てくるとは思いませんが、現職で生きていらっしゃるのですから、そういう機転はきかせていただきたかった。

 つまり、私が感じたのは、今回の問題でなますを吹いちゃいけないということを申し上げているのでございます。何が重要で、そして何を優先すべきかということは、これはぜひなますを吹くことなく、このあたりはぜひとも敏感に反応していただきたい。大阪は、やはりこれからの起死回生としてこの位置づけを大変重要なものにしておりますし、まさにIOCの評価委員の皆さんが現場にいらっしゃるのですから、このプライオリティーは極めて高いのじゃないかなと私は思うわけでございます。

 では、次の点を伺いたいと思いますが、きょう、ちょうどタオル業界の方からセーフガードの発令要請があったかと思います。これに対して、政府としての対応はどうなのか、伺わせていただきます。

    〔委員長退席、自見委員長代理着席〕

平沼国務大臣 今、小池委員御指摘のように、本日、日本タオル工業組合連合会からセーフガード発動に対しての要請が正式にございました。これは御承知のように、WTOの繊維協定でも認められていることでございまして、我が国としましても、国内整備を急いできたところでございます。

 したがいまして、正式な発動要請を受けまして、御承知だと思いますけれども、まず、二カ月以内に発動するかどうか、よく調査をいたします。そして調査をしまして、今度は正式に調査開始、こういうことになりますと、六カ月以内に調査を完了して発動をするか否か、こういうことになりますので、私どもとしては、国際ルール、それから関連の規則にのっとって適切かつ厳正に行ってまいりたい、このように思っています。

小池委員 このセーフガードでございますが、私はやはり、先ほど、国際ルールにのっとって、まさにそのとおりだとは思います。

 ただ、会社名を挙げたらあれですけれども、今大変なブームでありますが、例えばユニクロという会社がございますね。これは、帝国データバンクの発表では、法人税の申告が第二位に躍り出て、五百八十五億円の申告があるというふうに見込まれているわけでございます。今、産業構造を変えようというときに、新しい産業を育てて、そして新しい雇用の場を育ててというところで、そこでもうかっているところを余り、いじめると言うとあれですけれども、私は本来、税の思想からいえば、まず太らせて、そしてそこからいただくものはちょうだいして、そして活力をつけていくというのが筋ではないかと思うんでございます。

 悲鳴を上げるところもある、それは産業の構造、まさに変革のその過程であるというふうに思うわけでございます。こういった形では、評論家的なことは言えませんけれども、しかし、日本の産業構造を変えていこうというふうな大転換をしているときに、それに逆行するようなことをすれば、元も子もなくなる。つまり、税金を納められない、納める今状況にはないところに納めているところから引っ張っていくということで、結局、どっちつかずになって、日本の産業はかえってめちゃくちゃになるんじゃないかということを懸念しているわけでございますが、そういう点について、もう一言いただければと思います。

平沼国務大臣 いわゆるセーフガードを発動するに当たりましては、非常に輸入が急増して、大変著しい被害を与えている、あるいはまたその業界自体が大変危殆に瀕するような被害が出ている、そういうことと同時に、消費者やユーザーの動向も総合勘案をして、そういう意味で、適切、厳正にルールにのっとってやっていく、こういうことでございまして、御指摘の意味はよくわかっております。

小池委員 安くていい品物だということで評判なわけでございますけれども、これで、いわゆるデフレの認識ということが、この間のパレルモでのG7においても、日本経済について、かなり物価の下落が続いて下振れリスクが残っているという声明文がございました。これについて、私は、デフレ的とかデフレ懸念とか言っている場合ではなくて、IMFの定義によりますと、物価下落が二年続けばデフレとする定義になっているわけですね。むしろ、こちらに合わせる方が的確な対応、対策、政策が立てられるのではないか。デフレかデフレ的かデフレ懸念かと言って、こういう経済学上の議論をしている間に、生きた経済はどんどんとまさに物価下落の方向に行っているわけでございます。

 ということで、デフレに対する認識、私はここで言い切るべきだというふうに思っているんですが、麻生大臣、いかがでございましょうか。

麻生国務大臣 今、デフレにつきましての見識、見解が分かれるところなんで、不景気になれば皆デフレと言ってみたり、いろいろな方がいろいろおっしゃいますので、なかなかこれは学術的に論争していくと非常に難しいところなんですが、御指摘のように、先進国の中で少なくとも消費者物価が前年度比でマイナスになっている国というのは日本以外ありません。それはもうはっきりいたしておりますので、そういった意味では、デフレ傾向という、ちょっとデフレの定義がまた難しいところなんで、御指摘のようにそういう傾向があることは非常に大きな問題なんであって、そういう認識を持って経済対策をしていくべきだという御指摘は正しいと思います。

小池委員 ですから、私は、経済学上の論争ではなくて、まさに、この国の経済をどう立て直すかという現実論、そして政治論ということで、デフレということを真っ向から認識して対策を立てるべきだということを主張させていただきたいと存じます。

 今、与党の証券市場活性化対策プロジェクトチームの一員もさせていただいているんですが、今回、金庫株の解禁ということで、議員立法の作業も進めさせていただいているところでございます。

 ただ、既に金庫株を解禁しているアメリカの場合、懸念されるインサイダーについてのいろいろな防止策がインフラとして既に整っております。アメリカのSECの場合ですと、三千二百名を超える陣容で、また、弁護士そして会計士をずらっとそろえて、そういった対策にも応じている。片や、我が国の証券取引等監視委員会でございますが、二百五十名の定員で、十二名、今度ふやすというので大変喜んでおられるというのだけれども、文字どおり、けたが違うんじゃないかというふうにも思うわけでございます。

 大体、これまで総務庁の定員管理の方が、はい、こっちに二名、だったらこっちに三名と、鉛筆なめなめそういう管理をしていたのですが、これまでの事前規制から事後チェック型へと行政が大転換をするということを定めているのにもかかわらず、実は行政における人材ミスマッチというのが起こっている。

 これを、二人、三人のレベルでやっていると百年たってもそのスピードに追いつかないんじゃないか、むしろ、例えば日本のSECに対しては百人単位でふやすというぐらいのことをやったらどうか、これは役人にはできなくて、むしろ政治主導で、そして我が国の行政、社会、産業、こういったことを踏まえて大胆に行うべきではないかということを私は提案させていただきたいと思います。

 もちろん、公務員ですからいろいろな制約があることはよく承知いたしておりますけれども、これはむしろ政治主導で、橋本大臣に伺いたいんですが、日産のゴーンさんみたいにガーンとやってほしい、ゴーンにガーンというのはおかしいですが、やっていただきたいという思いを込めて質問をさせていただきます。

    〔自見委員長代理退席、委員長着席〕

橋本国務大臣 私は、議員のお考えはよく理解できるつもりです。私自身が、新しい姿で環境庁が省に昇格をする時点に思い切って増員ができないとか、そうした現行の制度の限界を感じております。

 そして今、公務員制度を根本から見直しております中に、必要に応じて大きな異動ができるようにならないか、それから、一つの省庁がその定員の中で、省庁内において、課室間の編成ですとか定員の異動でありますとか、一年前に要求をして、査定をして、その結果が一名とか二名とかの増員といったような形ではなく、もっと機動的に編成できる仕組みがないのかという宿題を公務員チームに与えながら、検討を続けております。

 ですから、私は、議員の御指摘を理解いたしました上で、このごろ政治主導という言葉が大変はやりますけれども、実態に応じたこうした異動ができる仕組みを考えたいと言いかえさせていただきたいと思います。

小池委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて小池君の質疑は終了いたしました。

 次に、宇田川芳雄君。

宇田川委員 21世紀クラブの宇田川芳雄でございます。

 まず、森総理大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、午前十時三分に、参議院の本会議におきまして、村上正邦参議院議員の議員辞職願の許可が議決されたとお聞きしております。

 村上正邦議員といえば、森総理にとっては大変大切な方だったと承っているわけでありまして、かつてテレビで拝見したんですが、森総理が村上議員を励ます会に行かれて、村上議員に大変称賛の言葉を述べておられるのをお聞きいたしました。村上議員というのは参議院においては尊師と呼ばれるほどのお方だという、あの尊師という言葉がまずかったのかなと思うんですが、その後やはり検察庁の関心の持たれるところになってしまったわけですけれども、しかし、そういう立場の村上議員が、きょう、直前に辞職が決定されたということに対しては、森総理としてはたくさんの思い入れをお持ちだろうと思います。率直にただいまの御感想をお聞かせいただきたいと思います。

森内閣総理大臣 尊師というのは、私はそこで言ったかもしれませんが、参議院では、そういう呼称で呼んでおられた方もありました。それから、励ます会でございますから、当然、できる限り称賛の言葉で激励をするということも通例であろうというふうに思っています。

 ただ、個人としましては、私も国会議員の秘書をいたしておりましたので、その当時から、やはり秘書をしておられた村上さんとは長いおつき合いをして、御指導もいただいておりましたので、そういうことから考えまして、きょうそうして議員辞職された、本当に努力をされてこられましただけに、本当に残念なことだというふうに私は思っております。

 村上議員は、KSDをめぐる問題で世間を騒がせた、混乱を招いたということについて責任をとって、みずから国会議員をやめるという厳しいけじめをつけられたというふうに承知をいたしております。私としても、このような事態に至ったことはまことに残念でありまして、極めて深刻に受けとめております。

 いずれにしましても、今回の一連のKSDをめぐる問題につきましては、たびたび国会でも申し上げておりますように、今後、司法当局の捜査によって徹底的に真相の究明が行われるであろうと思いますし、また、国民の前にその真相を明らかにされていくべきものだと考えます。自民党としましても、この真相究明には全面的に協力をしていきたい、こう判断をいたしております。

 また、既に申し上げておりますとおり、真相究明を待つことなく、今回の反省の上に立って、自民党内の仕組みについても見直すべきことは率先して見直して、党改革を進めているところでございまして、今回、その一環として、政治倫理を厳然と確立すべく、党内に政治倫理審査会を立ち上げるべく今準備をいたしておるところでございます。

 こうした取り組みによりまして、我が党の、そして政治の信頼回復に断固たる決意で取り組んでまいりたい、このように考えております。

宇田川委員 きょうは二月二十六日でございます。昭和十一年二月二十六日、まさに二・二六事件が勃発いたしまして、大変歴史的な事件となったわけでありますが、きょう、その日に村上議員が辞職を許可され、そして午後には森総理の大変信頼される額賀前大臣が衆議院の政治倫理の審査会に出頭する、こういうようなことになりました。

 これはまさに、くしくも因縁とも思えるんですが、私は当時のことを、子供でありましたから、よく覚えておりませんけれども、史実によりますと、やはり今のような経済環境、今よりは大変苦しかったときだと思いますが、非常に苦しい経済環境の中で、農村出身の兵士たちが、家族の困窮の度合いに耐えかね、こんな政治が続いていたんじゃいかぬという、そのような燃えるような正義感がやはりあったからこそ、あれだけの事件が起こったのではないかと思います。時代とともにその経済環境の悪化の度合いは違いますけれども、やはり今、先ほどから各委員から話があったように、今の経済情勢というのはもう大変な状況にあります。

 こういう大変な状況の中で、きょう二月二十六日を迎え、あの苦しい、もう血の出るような思いで稼いで、将来に幾らかの福祉を求めようといってKSDに加入して、資金を提供していた人たちのお金を、事もあろうに政治家が群がってこれを利用したということは、私は許すべきことではない、そういうときをこの日に迎えたということも何か因縁のような感じがいたします。

 現在の政治環境、経済環境を踏まえまして、総理、もう一言お答えをいただければと思います。

森内閣総理大臣 宇田川議員からるる歴史的なことの考察も踏まえて御意見をちょうだいしたわけでありまして、私もまさに委員の御指摘どおりの同じような心境でございます。

 ちょうど私は、議員と、少し若うございまして十二年でございますので、その翌年に生まれたということもございますし、今はウイークデーは公邸におりまして、一人で静かにあそこにおりますと、いろいろな思いがございます。今でもそういう弾痕の跡でありますとか、多くのそういう歴史的な経過を経てこの公邸があるんだな、そういう思いをしながら、いつも緊張をしながら、私は、そういう歴史を振り返って、何といってもやはり国民生活を安定させていくというその大きな要諦は政治の安定だというふうに考えております。

 御指摘のとおり、国民生活を安定させて国民が将来に対して安心を持てるようにしていくためには、政治の安定が極めて重要であると考えております。政治の安定のためには、まず何よりも政治が国民の皆様から信頼をいただくということが大切であると考えます。今回のKSDをめぐる事件などによって損なわれました政治への信頼をいま一度回復すべく、私は、政治倫理の確立のためにあらゆる努力を払うことを国民の皆様にお約束を申し上げますとともに、党改革についても断固たる決意で取り組んでまいりたい、このように考えています。

 また、二十一世紀の我が国が力強く発展し、国民が将来に対して安心や明るさを持てるような国家をつくるためには、私は、これまでの日本の発展を支えてきたシステムや物の考え方、これをこの時代にふさわしいものに変革をさせなければならない、そういう意味で日本の経済社会を抜本的に構造改革しなければならない、このように考えています。

 具体的には、そういう意味で、あと一押しとなっておりますこの景気の足取りを確かなものにするためには、ぜひIT革命の推進や、あるいは経済構造の改革、さらには教育、行政改革等の改革にも積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

 そういう意味で、まずは、今御審議をいただいています、いろいろな問題がございます中に、予算委員長を中心にして予算委員会の与野党の皆様方が粛々と審議を進めていただいていることに政府としては心から感謝を申し上げまして、何とかして年度内にこの予算が成立するように、なお一層の御努力をいただきますように、皆様にお願いを申し上げたいと思う次第であります。

宇田川委員 宮澤財務大臣にお聞きをしたいんですが、月例経済報告などを通じまして政府の発表している数値がいろいろありますが、これと国民が実感をしている、いわゆる生活実感とはもう大変な違いがあるような感じがしております。

 去る二月十六日に発表された月例経済報告の中で「我が国経済の基調判断」というところによりますと、「景気の改善は、そのテンポがより緩やかになっている。」こうなっております。ここ数カ月、下方修正をしておられるわけですが、こういう言い方をしているんですけれども、国民の九九%、私は大部分の人は緩やかにしろ何にしろ回復基調にあるなんというふうには思っていないんじゃないかと思います。きょうもある新聞が各企業の経済観測について述べておりましたけれども、ほとんどはそう思っていない、もうだんだん悪くなる、そう思っているわけであります。しかも、そこへ加えて、「先行きについては、アメリカ経済の減速など、懸念すべき点がみられる。」こううたわれております。何か他人任せというか、他人のせいにしているような感じもするわけであります。

 このような不安定な経済の見通しに基づいて平成十三年度予算が編成されたとするならば、予算そのものの内容について私どもは心配になってくるわけであります。機密費を減額するとかいろいろ出ておりますけれども、そういったものより、もっと基本的に、経済の基本的な数値が狂っているとすれば、予算が果たして今のままでいいのだろうか、また途中で補正予算という大幅な補正が必要になってくるんじゃないか、そんなような心配も出てくるわけであります。

 先ほど総理がお話しありましたように、今回のこの本予算というのは、もちろん国民生活に重大な影響をもたらすものでありますから、年度内にはどうしても成立させなければいけない、私どももそう思っております。しかしながら、果たして内容の中でこれで万全なんだろうか、これでいい、大丈夫だ、財務大臣はそう自信を持ってお答えできるような内容なんだろうか。そんなことが一つ心配になっておりますので、まさに経験豊かな宮澤財務大臣の御見識を伺いたいと思います。

宮澤国務大臣 大変ごもっともな御質問でございますが、お時間がございましょうから簡単にお答えをさせていただきます。

 もう三年越しになるわけでございますが、私自身は、いわゆる官需から民需へのバトンタッチが昨年の秋ごろにはできるだろうと実は考えておりました。そのうちで、企業活動は、私の予想よりもはるかに早く、しかもはるかに力強い基調で回復いたしましたが、過去の例と違いまして、これが家計になかなか連続しない、連携しないという出来事が起こっておりまして、これは過去の景気回復のときには必ずそうなりましたが、今度はそうなっておりません。そのことが、我が国の経済の回復が、バトンタッチが片っ方は行われていないというところに一番の問題があると思います。

 理由は、長く後になりませんとわかりませんが、私自身は、恐らくはITに伴う革命で、企業側は早く体制を整えましたが、雇用側がなかなか、技術の問題やなんかがありまして、そう簡単に対応できていない。アメリカの場合はレイオフをしてしまったわけでございますから、これは簡単でしたが、我が国はそんなことができるわけはございません。

 しかも、将来に向かって、長い間の雇用の慣行が恐らく変わってくる、今我々はそういう問題を経験しているんではないかと。ですから、有効求人倍率はよくなっておりますけれども、完全失業率は必ずしもよくなっていないような。家計は、一番最近の、この間の年末のボーナスは一年前に比べますと一%足らず、〇・六何がしの上昇だったそうですから、ほとんど動いていない。消費意欲も、消費係数も上がっていない。これさえ動けば我が国の経済は完全に数%の成長に入るはずで、六〇%ほどございますから、したがって、これがいかにして家計に定着するかということが、今政府の一番の政策の中心と考えております。

 お尋ねの点は、実は私は、昨年の暮れに予算を編成しますときに、少しそういう傾向が見えておりましたので、思い切って公共事業予備費をもう一遍組ませていただきました。実はこれはしなくてもいいかと思っておりましたが、何かそういう動きが遅いもので、三千億計上いたしておりまして、時間がたてば必ずそうなるとは思いながら、現在の予算あるいは補正予算を一生懸命執行しながら、いざというときにはそういう準備もいたしておるというのが、ただいまの問題でございます。

宇田川委員 ありがとうございました。以上で終わります。

野呂田委員長 これにて宇田川君の質疑は終了いたしました。

 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十一分開議

野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐藤観樹君。

佐藤(観)委員 きょうは二月の二十六日、午前中にもお話がございましたが、六十五年前は二・二六事件が勃発した日でございまして、もちろん、私はそのときのことは知りませんけれども、国会の中では、御承知のように、参議院の自民党の前参議院議員会長でございました村上正邦氏が議員辞職を承認される、また今、十分前までは、同じくKSD疑惑に絡んだということで、政治倫理審査会の方で額賀福志郎前経済財政大臣が弁明をされ、その質疑が行われた、つい十分前のことでございますけれども。そういった意味では、二十一世紀始まって初めてのといいましょうか、えひめ丸の沈没がございましたけれども、国会の中では衝撃の一日と言ってもいいんじゃないかと思います。

 それで、森総理にとりまして村上前参議院会長というのはいわば五人組の、五人組といっても森当時幹事長自身も入っているわけですから。森総理、森内閣をつくるのに、小渕総理が生死の境にあるときに、ここにいる森さんでいいでしょうと最初に口火を切ったのは村上さんだと言われておるわけでございますけれども、その村上さん、そして額賀福志郎さんが政治倫理審査会ということでございまして、最初にこの二件につきまして、森総理及び総裁としての宮澤大臣あるいは橋本大臣、河野大臣、かつて総裁を経験したという立場からも、ちょっとこういう疑惑問題についてお伺いをしたいと思います。

 そこで、最初に私たちお断りしなきゃいかぬのは、額賀さんの弁明を聞き、今各党からいろいろ質問がございましたけれども、聞いている方からいいますと、どうしてもやはり話に無理があるんじゃないかという感じがしてならないわけであります。

 あそこにいらした小林照夫さんという秘書は、橋本登美三郎先生の秘書を長いことやっておられて、その後継者であるところの額賀福志郎さんのところに来られて十八年、平成七年からはお金を預かる秘書、私設秘書という格好になっているんだそうでございますけれども、その秘書さんが、平成十一年の十一月にお金を五百万受け取られた。その後、翌年の四月に一千万また受け取られて、本人は預かったんだと言っておられました。預かったんだと。そして、報告をしたのがその年の五月の二十日。ほぼ半年たってこの五百万という、本人も言っておられましたけれども、大金を小林秘書が、議員会館の机の引き出しに入れたままになって、本人には報告をしていなかった。

 まずこれが大変不思議な、あるいは考えられないことであります。後の一千万にしてもほぼ一カ月から二カ月かかっているということです。金銭を預かる秘書さんが、いかに官房副長官という仕事が忙しいか、雑務というか、いろいろな用件が入る仕事であるかということは私もわかりますが、五月の二十日の報告というのも、小林秘書から額賀さんに電話で報告をしている。

 いかに忙しい方だからといって電話一本ぐらいかけられるだろうし、あるいはその秘書さんが官邸に行っても報告できることであります。その間全く報告がなかったということもおかしいし、本人も、当時の古関理事長に領収書はと聞いて、領収書は結構ですと言われてそのまま帰ってくるというのもおかしいし、千五百万提げて自分の車で行ったんだそうでありますけれども、本当に返すことの証明だったら領収書をもらってきてしかるべき話であります。

 そこで、いろいろな憶測ができるのでありますが、いずれにいたしましても、これは聞けば聞くほど、私もメモをとってまいりましたけれども、おかしな話の連続だと言わざるを得ないので、私たち民主党といたしましては、引き続き額賀福志郎前経済財政担当大臣の証人喚問を求める、衆議院で予算が通る前に求めるということをまず冒頭宣言をしておきたいと思います。

 それから、村上正邦氏につきましては、二十八日に証人喚問が参議院で行われるようになっておりますので、私たち民主党や野党は、村上さんが参議院議員であることは私たちも承知をしておりますが、これは院にとらわれる課題の問題ではない、この解明を求めること。しかも、私が二月の九日にも質問をさせていただきましたが、これは予算、とりわけ当時の労働省の雇用保険特別会計から出ているという、予算そのものにかかわる話でございますので、そういった意味では、このことについても本衆議院予算委員会において引き続き証人喚問を求めていくということを、冒頭はっきりと我々としては表明をさせていただきたいと存じます。

 さてそこで、額賀さんが言っているのは、秘書はその五百万、一千万を当時のKSD古関理事長から預かってきた預かり金だというのでありますけれども、この預かり金というのがよくわからないのであります。これは、総理初めどなたでも結構でございますが、自民党さんの中には預かり金というやり方というのはよくあるんでしょうか。総理、いかがですか。

森内閣総理大臣 一般的な問題としてしか私は今申し上げられませんが、預かり金という形のものが固定的にあるというふうに考えられませんけれども、それはいろいろなケースがあるんじゃないでしょうか。お返しをしたいお金だとか、それは、それじゃとりあえず一時的に事務所でお預かりしておきましょうということもあるでしょうし、やはりケース・バイ・ケース、ケースによっていろいろあるんだろうと思います。全くそのこと自体がないということも言えないんじゃないかなと思っています。

 いずれにしても、政治家とまたそれを支える秘書との関係が極めて信頼関係が深い間柄でなければ、金銭の問題というのはやはり慎重にしていかなきゃならぬことは言うまでもないことだというふうに私は考えます。

佐藤(観)委員 領収書の問題というのは非常に大事で、我々のところだって微々たるものでございますけれども、受け取るときはやはりちゃんと領収書を、しかも、私のときにはそんな心配はないのですが、五百万、一千万となりますと、一体、向こうが政治資金規正法上出していい金額かどうなのか、残念ながら私はそういうことを心配したことはありませんが、私がずっと担当してきた立場からいえば、当然、向こうがそれだけの団体なのかどうかということを、量的規制というのにかかわらないかどうかというのは当然考えてしかるべき。

 しかも、小林さんという人はずっとお金を扱ってきた秘書さんというのでありますから、そういうことを考えてしかるべきで、政治資金を受け取るときには、まず、領収書をどういうふうにするのか、どういうあて名にするのか、個人ですか、法人ですかと。法人ならば、今の場合には御承知のように政党支部しか受け取れないわけでありますから、そういうことを考えるのでありますけれども、その預かり金というのは一体どういう性格のものか。

 何でも知っていらっしゃる片山さん、どういう手続が一番真っ当で普通ですか、政治資金を預かるときには。物知り博士だそうですから。

片山国務大臣 突然の御指名でちょっとぼんやりいたしておりましたが、一般的には今総理のお答えになったとおりで、預かり金というのはいろいろなケースがあると私も思います。ただ、政治資金規正法上にはそういうあれはありません。

佐藤(観)委員 そうでしょう。一番最後の言葉が大事なんです。政治資金規正法上では、そういう預かり金なんというものは認められていないんですよ。だから、それがそういう格好になっているというのは、まことにまず不思議であります。

 それと、今額賀さんが疑問を持たれているのは、小渕総理の施政方針演説の中に、突如第三回目の読み合わせのときからものつくり大学というのが入ってきた。あそこも、確かに文章上も何で突然こんなことが出てくるんだろうと思うようなところがあるのであります。

 この前官房長官に、一体施政方針演説の読み合わせというものは、どういう人がポジションとして最低限、それは内閣、内閣によっていろいろ色合いがあるだろうし、早い段階では各省のまた意見を聞くこともあるだろうから、そこに入る場合もあるんだろうけれども、最終的な総理がやる施政方針演説ですから、そんなあやふやなものじゃないと思うのですが、一体、総理はもちろんだと思いますが、官房長官、官房副長官、それから内閣官房の首席参事官ですか、最低限これだけの人がそろっていなきゃならぬという、今まで各内閣、どういうふうになっておりましたか。

福田国務大臣 一般的に申し上げれば、今委員の言われたような方が出席して原稿を詰めるというようなことをしていますけれども、しかし、必ずしもすべての人が、今おっしゃった中でいなければいけないということでもないというように私は思っております。いろいろなケースがあるだろうと思いますので、その会議でだれがとか、そういうようなことはその時々に違うということと、もう一つ申し上げれば、そういう記録は、今でもそうですけれども、とっておりません。だれが出席してどういう発言をしたかということは、記録はとっておりません。

佐藤(観)委員 もう一回確認しますけれども、最後の読み合わせでいいのでありますが、最後の読み合わせのときにはどういう方が最低限そろっていなきゃいかぬ、あわせて、そのことの事務の責任者は一体だれになるんですか。

福田国務大臣 原稿の実務と申しますか、そういうのは、当時は参事官室ですか、参事官室が担当するということでございます。(佐藤(観)委員「複数ですか、その参事官室というのは」と呼ぶ)参事官室は、まあ、大体複数だと思います。

佐藤(観)委員 どうも官房長官の話を聞いていますと、あやふやなんだな。

 橋本行革担当大臣、あなたはこういうことを非常によく覚えていらっしゃる方なんで、橋本内閣のときには、橋本総理が最終的に演説なさる施政方針演説というのは、どういうポジションが最後にはいらっしゃるんですか。

橋本国務大臣 最終的には、閣議で読み合わせ、それによって決定をいたします。

佐藤(観)委員 閣議はわかっていますが、その前に総理の周辺で原稿をつくりますでしょう、つくる最後の読み合わせをしますよね。その読み合わせのときに最低限だれとだれとだれがいなきゃいかぬということになりますか。

森内閣総理大臣 それは定まったものではないというふうに私は教えられております。その都度その都度、総理大臣の考え方、あるいは内閣の考え方、それから、組閣をした最初の施政方針演説、あるいは引き続いての所信表明というような場合とか、その演説のケース、環境といいましょうか、条件によってもまたいろいろ変わってくるというふうに伺っています。

 私の場合は、基本的には首席参事官、今の内閣総務官が中心になって、いろいろな皆さんの御意見をあわせながら、時折私の意見をその文章を見ながらまた入れる、そして各閣僚あるいは各役所の省庁の意見なども聴取しながら最終的な取りまとめをしていくということになりますが、今お尋ねは、恐らく最後の読み合わせというのは、閣議の前で最低限どれだけいるのかねということでしょうが、これは、今申し上げたように必ずしも定まっておりませんで、官房長官もおれば、副長官もおれば、あるいは総理の秘書官が皆いる場合もあるというふうにお考えいただいていいんじゃないでしょうか。

佐藤(観)委員 額賀さんの疑念というのは、額賀さんがそれを入れたのではないか、ものつくり大学のことを入れたのではないかということで疑念を持たれているわけですよね。その真実の解明を今やっておるわけでございますけれども、どうもそのあたりが、それは内閣、内閣、あるいは総理の個性によっていろいろな場合があるんでしょうけれども、どうも余りはっきりしない。

 この前も福田官房長官にお伺いしたら、額賀さんのときにも、いや、出たり入ったりしますから、よく定まっておらぬのですという御答弁がございましたけれども、いやしくも内閣総理大臣が本会議で読まれる施政方針演説がそんなあやふやな、出たり入ったりするような、そんなざわざわとしたところで最後の読み合わせというのはなされるのか、そういうものを我々は聞かされているのか、そしてだれか声の大きい人が来れば一行そこに入っちゃうのかなという感じを持たれるようなものが総理の施政方針演説なのかなという感じを私は持ちまして、額賀さんのときのこともお伺いしましたが、どうもそのあたりがはっきりしない。

 そんなものではない、いや、ちゃんとしっかり責任持って最後の人が読み合わせをして、事務の最後の、今でいいますと首席参事官ですか、ちゃんと最後の責任を持ってやります、やっておりますと、事務的には。政治的にはいろいろな意見があることはわかりますけれども、やります、こういうふうに理解をしてよろしいんですか。

福田国務大臣 出たり入ったりというのは原稿作成の信頼性に欠けるというお話でございましたけれども、決してそういうことじゃないんで。しかし現実問題として、用事があるとか電話がかかってくるとかいうようなことで席を立つとかいうようなことはあるわけです。常時、いつもの会議にいるという人は、これはおりますよ、間違いなく。ですけれども、それは内閣ごとに違うだろうし、またその演説時の状況次第で変わってくるだろう、こういうふうに思っております。

佐藤(観)委員 どうも問答が時間ばかりかかるようなんで、この部分は省きます。

 そこで、橋本大臣にお伺いしたいんですが、今政治倫理審査会で弁明が終わりました額賀さん、あなたのところのグループから第二次森内閣に経済財政大臣ということで、あなたのグループということで入れられた、こういうふうにお伺いしております。最終的には森総理が判断されたことでありますけれども。そこで、一体そのKSD疑惑のことについて、こういう言い方がいいのか知りませんが、橋本派会長と新聞は書いていますわね、には報告があったんですか。

橋本国務大臣 その報告というのは、その就任時においてですか。(佐藤(観)委員「前に」と呼ぶ)就任前におきましては報告はございませんでした。

佐藤(観)委員 額賀さんのKSDの問題というのは、その前からいろいろなことを言われておるわけですよね。そういうときに、自民党さんのあれというのは、おいおい、どうなっているんだねというふうに呼んで聞かれる、ましてやグループの人だったら聞かれるということはないんですか。そして結局それは、森内閣に経済財政大臣として入り、三人目の辞任という事態に政治的には大きく波及したわけですね。

 そういった意味では、受けた方も受けた方だろうけれども、推薦した方もかなり責任があると思うんですが、そのあたりは、いや御報告前後にはKSDの問題はありませんでしたということで済むようなことなんでしょうか。そこはどうなっていますか。

橋本国務大臣 済むようなものかどうか、その時点において、私は、こうした問題が大きくなり、その中に、額賀さんが一時期政治資金の提供をしようというものを預かっていたという事実を存じませんでした。

佐藤(観)委員 ただ、KSDの問題というのは前から随分言われていた問題ですよね。その意味で、預かっていたということ、どうなっていたかということについてもやはりお伺いすべきではないだろうか。

 先ほどの弁明では、質問に対しまして額賀さんは、野中その当時の橋本派事務局長にはお話をしましたということを言っておられました。はあ、自民党さんのグループというのはそういうものなのかなという感慨を持ったのでありますけれども、どうもそのあたりが、これだけ大きな問題になっているにもかかわりませずグループの長も知らない、このことに対してまことに不可思議に思うのであります。それ以上言っても、知らないものは知らないと言われるかと思いますので、よしますが。

 次に、村上元自民党参議院会長の話でございます。

 先ほど言いましたように、正確に言えば自民党総裁候補予定者と言うんでしょうか、ここにいる森さんでいいでしょうという最初に口火を切った方だと言われておる、いわば森内閣生みの親だったわけでありますけれども、このことが、また森総理は反発をされるけれども、内閣の正統性ということについて疑念を持たれた。確かに形式的には、ちゃんと自民党総裁になり、国会で当然のことながら議決を経て、森総理、森内閣ができるわけでありますけれども、どうもその決め方が、森総理、当時は幹事長ですね、森幹事長を含めて五人で決めてしまったということが、後から政治的にはいろいろ言われるようになった。

 私は、戦後、東久邇内閣以来、内閣の正統性というのが、問われるとまで言わないにしても、いろいろと言われるというのは、森内閣の不幸の始まりではなかったか、こう思うのであります。このときにあなたは、そんな私生子みたいなことを言わないでくださいという失言第一号をなさったのでありますけれども、そういった意味で、村上元自民党参議院会長が議員辞職をされたという、いわばあなたの生みの親の一人がこういう事態に至ったことについて、総理はどのように考えておられますか。

森内閣総理大臣 佐藤議員の前段のいろいろなお話、仮定のお話がございましたが、そういう話は別としまして、長く参議院議員、我が党の大変な功労者でもあるし、我が国の憲政史上にも大変大きなお力を示してこられました。そういう意味では、村上さんがこうしたことで議員辞職をされたというのは本当に残念なことでございます。

 しかし、御本人としては、いろいろ御迷惑をおかけし、またいろいろな疑いもかかっているということで、これ以上党の皆さんにも御迷惑はかけたくない、また、参議院の皆さんに対しても私はこの際自分なりの潔白をこれから主張してまいりますけれども、議員を辞職したい、こうおっしゃったということは、私は本当に一つの御判断としてはとうとい判断であったな、そう思っています。

 さて、私の生みの親といろいろおっしゃってくださるわけでありますが、何も党の責任のない人たちと言うとちょっとこれはまたおしかりをいただくかもしれませんが、当時としては党に責任がある立場の方々が、当時ちょうど、小渕さんが急遽倒れられて、同時に与党連立を組んでおりました自由党が離反をするという事態になった。

 そういう中で、これからの政局の運営をどうすべきか、あるいは連立というものをどう進めていくかというようなことを、当時党の責任ある立場と申し上げますから、例えば私も幹事長でございましたからそこにいたわけでありますが、そういう皆さんでこれからの善後策をどうしていくのかということで御相談を申し上げたわけでありまして、何か密室で次の総裁を決めるために集まったとかそういうことではないということは、たびたびいろいろな機会で申し上げております。

 そういう中でたまたま私にその指名はおりたわけでありますが、しかし、その後は、党の中の両院総会にも御審議をおかけし、そして党としての首班指名候補として国会にお出しをいただいたという経緯は、佐藤さんもよく御存じのとおりでございます。

 そういう意味で、村上さんは、先ほど申し上げた、参議院議員としての責任をしっかりとこの際果たしていくということから、身を引くということの方がより賢明な判断だというふうになさったというふうに考えています。

 私個人として、生みの親とかそういうことじゃなくて、長い間、午前中の御質問にもお答えを申し上げましたが、私も秘書時代がございましたので、村上さんも秘書をされておられましたときから非常に仲よくおつき合いをしておりましただけに、大変私は残念に思っているというのが今の心境でございます。

佐藤(観)委員 このKSDの疑惑というのは、逮捕された小山さん、それから議員辞職をされた村上さんだけの問題じゃないんですね。これは、自民党の方を中心にして陣中見舞いが出た方が五回で百四十二人という膨大な数字に上っている。それから、参議院の本会議場、あるいは参議院の委員会、あるいは参議院の特別委員会等を舞台になされていること。それから、秘書の提供を受けた人とか事務所の提供を受けた人とか。そういう意味で、単なる二人の議員だけの問題ではなくて、自民党全体にかなりいろいろな関係でかかわった人がおるというのが私は非常に重大な問題だと思うのです。

 こういうふうに、単なる二人の問題だけではなくて、その他多くの自民党の議員がいろいろな格好で金銭的な問題を含めて関係をしてきたということは、極めてこの問題の大きさというのを感じざるを得ないのでありますが、こういったことについて、きょうは歴代総裁が四人いらっしゃいますので、どういうふうにこれを感じていらっしゃるのか、おのおのお聞かせをいただきたいと存じます。

宮澤国務大臣 いろいろ感想はございますけれども、申し上げることは御遠慮させていただきます。

橋本国務大臣 今、本会議でと言われましたが、本会議で村上議員のものつくり大学についての質問を受け、答弁をしたのは私です。(佐藤(観)委員「その答えは要らないんだ」と呼ぶ)いいえ、あなたがお聞きになりましたからお答えをさせてください。

 そして、私は、本当に日本という国は、徳川時代から明治に移り変わるときも、職人の力によってこの近代化をなし遂げたと今までも申してまいりました。そして、その技能を継ぐ若い人たちが減りつつあることにあちこちで警鐘も鳴らしてまいりました。その意味で、非常にむしろ積極的にこれに対しては、よい意見を出していただいたと評価をいたしましたが、これは私自身、政治家として今まで申してきたことをそのとおりに申し上げたことで、何ら恥じるものはございません。

佐藤(観)委員 私は、元総理のその発言だけをとらえているのではないんです。自民党全体がこの問題にかかわったということ、各議員が。かかわっていない方には失礼だけれども、そういう意味じゃなくて、多くの自民党の議員の方が、KSDのお金なり、秘書をあれしてもらうなり、あるいは事務所のお金を出してもらうなり、こういうことでかかわったということについてどうだということをお伺いしているのであります。

 いいです、いいです。森総理、いかがでございますか。それでは、失礼ですから、河野元総裁。

河野国務大臣 政党を構成しております議員は、選挙の洗礼を常に受けているわけです。衆議院議員もそうです。参議院議員もそうでございます。地方の議員の方々も、皆それぞれ有権者から信任をいただいて議席をちょうだいしているわけです。それは、裏返せばまた、そうした有権者の皆さんに理解をしていただく、あるいは支持をしていただくための努力というものも一方ではあるということの裏返しにもなるかと思います。

 私は、長い間自由民主党という政党が政権をお預かりしてやってきているということは、やはり、有権者の方々に対して理解を求めるための努力もし、また、有権者の皆さんから御批判をいただいたときには、その御批判にこたえる活動をしてきたということがあるというふうに考えるべきだろうと思います。もちろん、いろいろな御批判もございましょう、あるいは御指摘もあろうかと思います。それらについて、一つ一つ、一人一人が感慨を持って対応するというその結果が今日の状況に、つまり、長い間政権をお預かりするということになってきたというふうに考えております。

森内閣総理大臣 歴代総裁就任順番でございますので、私は今の総裁であります。

 この問題につきまして、今既に逮捕者も出ておりますし、議員辞職ということもございまして、大変残念でありまして、党の総裁として責任ある立場では、率直に、深刻に受けとめておる、こう申し上げたいと思います。

 ただ、今、佐藤議員も、非常に控え目なことをおっしゃりながらも、我が党に対して痛烈な御批判をいただいたというふうに私受けとめていますが、自由民主党の議員がたくさん絡んでいる、こういうふうに自民党、自民党ということをおっしゃいましたけれども、確かに、中小企業の振興ということで議員連盟ができました。これは誤解がございますので、直ちに解散をいたしましたけれども、その当時、中小企業の振興あるいは福祉というような問題について関心のある議員の我が党の皆さんが議員連盟に参加したことは事実だけれども、それだけをもってして自民党がすべて絡んでいるというような御指摘は大変私はまず残念でございます。

 そこまでお話しになると、言いにくいことでございますが、御党の方も、御党の幹事長も何らかの形で関係をされたわけでありますし、自由民主党、自由民主党、こうおっしゃるのもわからないわけではございませんけれども、私どもとしては、十分本件について司法当局でしっかりとした真相究明をしてもらいたい、そう思っておりますし、我が党としても協力をさせていただきたい。

 また、党内の仕組みにつきましては、再三御質問の中でお答えを申し上げましたように、でき得ることから党内の改革をさせるように、今、幹事長が中心になりまして事務当局でその検討をいたしておるというふうに御理解をいただければと思います。

佐藤(観)委員 我が党のことについては、返すべきものは返し、かつ、実費として朝の勉強会でいただいたものは、それは食事もしている、講師代も要ることですから、それはそういう処理をしておりますので誤解のないようにお願いいたします。

 それで、私は、前回は落ちましたけれども、それまでずっと本院におらしてもらって、自民党さんを見ていますと、自民党さんというのは自浄作用、自浄能力というのはあるんだろうかと疑わざるを得ないのであります。

 これは私も、ロッキード、リクルートあるいは佐川急便事件といろいろな事件がこの日本の政界に起こり、それごとに国民の信頼を失ってきたわけでありますが、例えば我が党でリクルート事件に絡んで、秘書が何らかの形で絡んだという場合には、これは我が党でいえば、当時社会党時代でありますが、書記長が、その真実をその議員に解明し、そして議員辞職をしてもらったというのでしょうか、迫る、こういう処置を我が党としてはしてくるわけであります。

 ところが、ロッキード以来、自民党さんというのは、みずからそういうことを解明して議員にしかるべき処置といいましょうか、するということをやってこない。幾らかはあったかもしれませんが、やってこない党なんですね。ですから、どんどん信頼がなくなっていくわけであります。

 これから何かそういったことをする会をつくられるようでありますけれども、今いみじくも総理が言われていましたように、最終的には司直の手でありますが、司直がとる前に党として自浄作用といいましょうか、そういったことがあってしかるべきだと思いますが、自民党さんを見ていると、みずから解明や何らかの処置をしてみずからの党を清めるといいましょうか、襟を正すということなく、最後に出てくるのは、解党的出直しといういつもの言葉が出てくる。それは解党的出直しは自民党さんの話でありますから、それはそれで結構でございますけれども、本当にそういった意味では、自民党という党は自浄作用、自浄能力というのがまことに欠けている政党ではないか。

 それは御党のことだと言ってしまえばそうだけれども、かなりの部分を、今河野さんの答弁は答えになっていないと思いますが、とにかく、長い間与党におられたわけですから、与党を形成しているわけですから、与党がたびたびそういうスキャンダルを起こすということは即、すなわち政治の信頼性をどんどん失うということになってくるわけでありますから、私はそういうふうに見ておるのでございますが、簡単でいいですから、森総理、我が党には自浄能力ありやと。

 もう一つ、坂口さんにお伺いしたいのでありますけれども、公明党さんはこういう政治的スキャンダルについては厳しく対応してきたというふうに私は見ておるわけでございますけれども、あなたはこの前の答弁の中で、自民党は変わっておりますかというどなたかの質問に、いや、自民党は変わりつつあるということを答弁なさいましたけれども、本当にそうでしょうか。本当にそう思っていらっしゃるのでしょうか。お伺いいたします。

森内閣総理大臣 御指摘をいただきましたように、我が党は、この種の問題が起きますと、それは随分私は変わったと思いますよ。佐藤さんはそういうふうにごらんになっているかもしれませんが、あなたも昭和四十四年初当選、私と一緒だったわけですから、ずっと我が党をある意味では見てこられ、御批判もあり、また理解もいただいてきたというふうに私は思っておりますが、それでも、そうした問題が起きれば、自発的に党を離れるあるいは議員をおやめになるというようなことなども、やはり議員の皆様の自主的な御判断でしていただくということが一番よろしいわけでありまして、それは、集まった政党として志を一緒に持って政治を動かしてきた、そういう仲間が何か恣意的にアドバイスをするということよりも、やはり御本人がそうした判断をされていくということが政治家として最も私はとるべき道ではないか。また、党としてもそういう自浄作用がそういうふうに向いていくように、恐らく多くの人たちが心を砕いてきているというふうに私は理解をいたしています。

 しかし、それにいたしましても、そうした問題、そうした疑惑を受けるようなことは慎まなきゃならぬことは言うまでもございませんし、同時に、政治家として常に反省をしながら、こうした問題には厳しく対応していくことがより大事なことだというふうに、御指摘をまつまでもなく、私もそのように考えております。

坂口国務大臣 我が党は我が党として、一生懸命、政治は清潔でなければならないというので努力をしているわけでございます。また、自民党さんの方は自民党さんでそれぞれ御努力をいただかなければならないわけでございまして、先日、変わりつつあるというふうに私がお答えをさせていただきましたのは、例えば企業献金の問題につきましても、今まで大変難しい中を、例えば自社さ政権のときにもいろいろと御議論をされたということをお伺いいたしておりますが、そうした問題につきましても、一つ一つ懸命に議論をされてそれを乗り越えておみえになるという姿を拝見して、自民党、大変御努力なさり、変わりつつあるということを申し上げたわけでございます。

 今回起こっております問題はそれ以前の問題でもございますので、大変残念だというふうに思っておりますが、しかし、やはりこれからさらに変わろうと努力をしておみえになるというふうに私は理解をいたしております。

佐藤(観)委員 連立をしているためか、かなり寛大なる答弁だと私は見るのでありますけれども。

 さてそこで、今、政治の最大の関心事は、森総理にとりましてはまことに残念と思いますけれども、森総理がいつやめるんだろうかというのが最大の関心事になっている。これは何も私だけが言うのではなくて、皆さんの方の県連の各あれから、とにかく参議院選挙は森さんじゃ戦えない、あるいは総裁選挙を前倒ししろ、こういう話がどんどんと出てきておるわけであります。

 それで、政局運営について、先週の金曜日、閣議が終わった後の閣僚懇で、ひとつ気を引き締めてやってもらいたいということを、一番気を引き締めなきゃいかぬのは、私は総理だと思うのですけれども、そう大臣に督励をしたということが言われておるのでありますが、二十三日の閣僚懇で、総理が各大臣に異例の要請をしたのはどういう内容でございますか、そう長くなくて結構でございますので。

森内閣総理大臣 できるだけ簡単に申し上げます。

 二十三日の閣議の後に閣僚懇が行われました。ちょうどその前日に村上議員の辞意表明というものが伝えられました。閣僚懇は、正直申し上げて、皆重い気持ちで臨んでおられたんだろうと思います。

 私は、本来そこで皆さんに、自民党の総裁として、特に連立を組んでおります扇、坂口両大臣もいらっしゃいますので、申し上げればよかったのですが、逆に扇大臣から、保守党の総裁というお立場からも、しっかりやっていこう、いろいろ批判も厳しいがということでございました。そして激励もございました。

 本来私から申し上げるべきでございましたと、こう前提をいたしまして、大事な問題が国会にたくさん提出をされているし、特に今、予算委員会では十三年度の予算案というのを審議をいただいております。何としてもこれは年度内には成立をさせていただきたい、こういう気持ちでおりますし、また予算関連法、さらには幾つかの各改革法案、皆国民が求めているものであるから、それをしっかりやろう。そうした不幸なことは不幸なこととしてお互いに反省をしながら、内閣一体となって取り組んでほしいと。

 大体このようなことを私は申し上げて、皆さんに率直におわびも申し上げると同時に、こういうときこそしっかり頑張ろうということを申し上げたというふうに私は記憶をいたしております。

佐藤(観)委員 今予算の審議中でありますけれども、予算はいずれ成立をする、参議院は自然成立という日程がだんだん迫っておる。

 今総理が言われた、予算と言っている中には、予算関連法案も当然入っての話ですね。

森内閣総理大臣 もちろん、そういうことでございます。それから同時に、それ以外の法案も、その後にいろいろと政府として提案をしている法律がありますということを申し上げているわけです。

佐藤(観)委員 そこで、三月十三日に御党の党大会を迎えるわけでありますけれども、森総理という、あるいは森総裁ということが一字も出てこないということが言われておるのでありますけれども……(森内閣総理大臣「何に」と呼ぶ)運動方針。

 それは御党のことでありますから、私が触れるべきでないのかもしれませんが、しかし、一国の総理が、党総裁をやっていらっしゃる御党の運動方針というものに総裁の名前が出てこないということになりますと、我々としても、国民としても、非常に関心を持たざるを得ないのであります。

 そこのところは、総裁としてしっかりおれもやるんだということの表明があるんだろうと私は思っているのですけれども、三月十三日の党大会、運動方針に総理の名前が全然出ていない、森の木の字も出ていないというのはどういうことなんでしょうか。

森内閣総理大臣 何か数日前、そういう報道が新聞になされておりました。私もちょっと気がかりになりまして、党務も随分やっていましたので、運動方針だとかそういう政策などに当時の総裁、総理の名前が書いてあるのかなと。実は、私も気がつかなかった。調べてみましたけれども、書くケースもあるが、ほとんど、そういう場合に総裁の特定の名前を、総理の名前を書いているというケースは余りないというのが事務局のお答えでございました。

 しかし、いずれにいたしましても、今はまだ、どういうものにしていくのか、国会の審議の状況なども踏まえながら、恐らく党の政策あるいは党のそうした運動方針、基本方針というものを今事務当局で検討しているところではないかなというふうに思っております。したがいまして、まだそうした草案も私は見ておりませんし、また、そういう相談も受けておりませんが、私の名前がないということで大変佐藤さん御心配をいただいたということについては、私は大変感謝を申し上げたいと思っております。

佐藤(観)委員 そこで、坂口さんにもう一言聞きたいのですが、あなたも連立を組んでいるわけだ。そして、あなたの党から、もうやめてもらいたいとか、名誉ある撤退をとか、あなたのところの幹部が講演でしゃべったりしているわけですね、退陣の流れはできたとか。連立を組んでいる片方の方からそういう話が出てくるのですが、あなたは公明党の代表として第二次森内閣に入っておられるわけで、私たち、細川政権のときに、当時は社会党でありましたが、山花さんが大臣として、社会党に対する質問というのは全部山花さんが代表して答弁をされた。

 公明党ということになれば坂口さんということになるわけでありますけれども、ひとつ、おたくの幹部がこういうことをどんどん言っているというのは、総理にも、一体公明党さんとはどうなっているのですかと、あるいは坂口さんはどういう立場でおられるのですかと聞かざるを得ないのでありますが、総理は大体答えはわかっていますから、坂口さん、いかがでございますか。

坂口国務大臣 我々公明党は森内閣を支える連立政権の中に入れさせていただいているわけでございますから、時には、まことに失礼でございますけれども、森総理を叱咤激励申し上げなければならないこともあるわけでありまして、大変失礼だとは思いながら、御助言を申し上げさせていただくことも時にはあるということだろうと思うのです。

 もし、我が党のだれかがそういうことを言ったとすればそういう意味で申し上げたのであって、今後どうしていく、こうしていくかは、それは自民党の皆さん方がお決めになることであり、我々がそこにとやかく言うという筋合いのものではないというふうに思っております。

 何か我々の方がちょっと物を言いますと、一つの方向へ、方向へとストーリーをつくって持っていこうというマスコミもあるわけでございますけれども、決して我々はそんなことを考えておりませんで、我々には我々のストーリーがある、こういうことでございます。

佐藤(観)委員 もうやめてもらいたいとか名誉ある撤退とかいうのが叱咤激励だと受け取る日本人はいないのではないか。退陣の流れができたという、これはおたくの党の幹部が公に言っていることでありまして、そういう意味では、坂口さんの立場は私もわからぬわけじゃないからこれ以上は聞きませんけれども、そういうものではないだろうというふうに思います。

 本当なら保守党の扇さんも聞きたいのでありますが、残念ながら時間がないものですから、ちょっと次に行かせていただきます。

 そこで、総理の訪米問題であります。

 これも正確なところを聞かせていただきたい。

 日米関係は大事であるし、えひめ丸の米原潜によりますところの沈没事故もあるし、そういった意味では大変重要な時期だと思いますので、総理の訪米について、報道するところでは何か断られたとかいう話がありますが、一体そこのところはどういうふうになっているのですか。

森内閣総理大臣 今、佐藤議員からお話しのように、日米関係を考えましても非常に大事なことでございますので、外交のことでございますから、細かにすべてお話をするということは控えなければなりません。

 ただ、アメリカ政府に対して礼を欠くような報道もやはりございます。同時にまた、私どもにとっても極めて遺憾な表現もございます。それぞれマスコミはいろいろなところから取材をされて、当て推量で書いておるとは私は思いませんけれども、しかし、事柄は日米間にとってとても大事なことでございますので、この際申し上げておきたいと思いますが、基本的には二回、電話でブッシュ大統領とお話を申し上げておりますので、日程がつき次第、できるだけ早くお会いをしたいということでございました。

 アメリカも、これまでの大統領が御就任なさいますと、大体一つのパターンがございまして、カナダ、メキシコという、まず近隣諸国とお会いになって、その後ヨーロッパ、アジア、こういうふうになっていくわけでありまして、そういう点で、この際ですから私は初めて明確に申し上げておかないと、何か今御指摘があったように、向こうが私とどうも会わないようにしているだとか、そんなふうに伝えたのでは、アメリカに対しても失礼だ。

 米国政府は当初、この一日、二日、このあたりにぜひ日米首脳会談ができないだろうかという打診が実はあったわけです。それは、ちょうど私どもにとりましては、まだわかりませんが、かなり前の話ですから、ちょうど国会にとっては最も重要な段階になるだろうと。私も国会対策をやっていましたからわかります。ですから、そういうふうに考えて、この二日、一日、このあたりは非常に難しいですと。

 それでは、週を越えてどうなんですかということも内々の話がございましたが、これは、仮に二十七、八日に成立できれば、あるいは週を越すようなことがあれば、また五日や六日は参議院の総括ということにもなるわけでしょう。これは仮の話ですよ。しからぬでください。ですから、そういうことにもなるので、その辺の日程もとても難しいですね、こう申し上げてあるわけです。

 そのために、でき得れば三とか四とか、こういうふうでいかがでしょうかというふうに申し上げましたが、残念ながら土日はやらないということになっておりますし、ブッシュ大統領としてもそういうふうに、土日は必ず御自分の個人の時間になっておるので、これは大統領時代からそうなので、ぜひ御理解を賜りたいというお話が来て、今日に至っているわけです。

 したがって、それをどういう形で調整をするかということにまさにかかって今事務的なことをやっているわけでありまして、事柄、内容、今御指摘ありましたようなことで政治的なことでおくれているとかいないとか、そういう問題ではないのだということを、佐藤議員も大体おわかりいただいておられると思いますが、そういう詰めをいたしておる段階だというふうにぜひ御理解を賜りたいと思います。

佐藤(観)委員 米国側が土日は会わないといいますと、国会は六月二十九日まであるので、なかなかそこのところは日程が合わないということになりますよね。それは、予算関連法案が通った後は、一般的な法案がいろいろあるから、そのすき間を縫って、総理が出ない委員会も多いからとも言えますけれども、かなり先なことというふうになってしまいますね。そのあたりが一体どうなんだろうかということ。私が心配しなくてもあなたが考えるのかもしれません。

 そのことを一つ、何しろ大事なことでありますから私はあえて聞いておくのでありますが。

 それから、三月二十五日にイルクーツクでプーチン大統領と会われるという話が、これは電話会談で決まったようでありますが、そのことに関連をして、この前、北方四島について、スターリンが占領したのはスターリンの政策の間違いであったというようなことが報じられて、それは本当にそんなふうに理解するようなロシアだったらまことに話は早いのだが、そんなことは誤報であろうと私は思ったのでありますが、何か総理周辺からそういう話が出たということ、これまた大事な話でありますので、その報道はどうだったのか、どういうのが真意なのかということをまずお伺いして、その次の訪米、訪ロについて私はお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 訪米につきましては、先ほど総理が申し述べられたとおりでございます。十三日の電話によります首脳会談もございましたし、それらを踏まえて鋭意両国の首脳の都合のいい日にちを選ぶということで、目下、日程調整中でございます。

 なかなか、土日でない、日本から総理がワシントンなりアメリカへ出かけていける日というのは、おっしゃるように限られてはおりますけれども、しかし、ないわけではございませんので、例えば日本の休日というようなこともございますから、日程を何とか探したいと思っております。

 ちなみに、アメリカの大統領はまだヨーロッパの首脳とはそれほど多く会っていないという状況でございまして、日本との首脳会談だけがひどく先送りになっているということではないということは御理解いただけると思います。

 また、日ロにつきましての報道ぶりについて御質問がございましたが、そういうやりとりがあったということを私どもは全く聞いておりません。

森内閣総理大臣 十三日に私とプーチン大統領と直接電話会談をした、私はその当事者でございますから、私が一番よく知っています。

 この日の会談は、日程がなかなか定まりませんので、率直なお互いの日程を出し合って、日程についての話し合いのみが行われました。したがって、領土問題の内容については一切話されておりません。報道のような発言をプーチン大統領が行ったという事実はございません。

佐藤(観)委員 それで、訪米についても訪ロについても、それは総理としては意欲的にやられる、それはわかるけれども、とにかく、国内で、政治的に、森総理がいつやめるんだろうか、いつやめるんだろうかとばかりいろいろ報道されている中で、訪米される、訪ロ、ロシアに行かれる。そして、ロシアといえば、当然のことながら、日本人最大の関心事であるところの領土問題。一体、レームダックとも言われております森総理が領土問題でロシアに行ったとき、本当に対等な立場での交渉になるんだろうかというふうに心配しているのは、私一人じゃないと思うんですね。

 これはやはり国益の問題であるわけで、そこのところは、総理、今あなたを取り巻く政治環境からいって、本当に訪米あるいはロシアで領土問題を話し合うことが国益にかなうんだろうかというふうに私は思って、おやめになる方が一番国益ではないかと思っておるのでありますが、総理はどういうお考えでございますか。

森内閣総理大臣 首脳会談というのは個人個人の会談ではない、それはもうあなたのようなベテランなら十分おわかりで、自由民主党と民主党の党首会談というのは、個人の私と鳩山さんじゃないと思いますね。やはり、その当時の総裁、あるいはその当時の党首といいましょうか、代表ということだと思うのです。したがって、首脳会談は、個人ブッシュ、森、あるいはプーチン、森ということじゃないと思います。日本国総理大臣とアメリカ大統領、日本国の総理大臣とロシア連邦の大統領ということだと思いますから、きょう決めて翌日かわることだってあり得るわけで、それは違う人が当たったとしてもその国の代表として会談をするということは当然なことだと思います。

 現に、私が就任早々、昨年、最初にサンクトペテルブルクに参りましたときも、当時は小渕総理として日程を組んだんです。そして、突如ああしたことになりましたので、私が急遽赴いてプーチン大統領とお目にかかったということでございます。

 大変御心配をしていただいておりますことについて、本当に感謝を申し上げますが、どういう立場であれ、日本国のやはり国益、そして将来の二国間、そのことは世界全体の平和と繁栄のために話し合うものである、このように私は理解をしております。

佐藤(観)委員 今、アメリカとの関係については、細かく言えばいろいろなことがあるのだろうけれども、全体的には、えひめ丸の沈没の問題等をちょっと除けば、外交上の大きな課題があるわけじゃない。細かく言えばまた幾らもあるのだけれども。

 そういう意味では、アメリカとの関係は別といたしましても、ロシアというのは領土問題ですから、やはり国内基盤がしっかりしていないとこれは交渉にならぬだろうと私は思うので、確かに形上は一国の総理だけれども、党内基盤が弱いときにはなかなかそれは話がうまくいかないのじゃないかと思うのであります。

 最後に、いろいろ河野外務大臣にお伺いしても、言うたびごとに事務局の言うこととも違う機密費の問題であります。

 もうきょうはそれ以上のことは言いませんが、私たちは、民主党としては、官房の持っております報償費、機密費というものについては四分の一にしなさい、それから外交機密費については半分にしてはどうか。ただし、その中で、何も機密だ、機密だとしなくていいものが幾らでもあるわけですよ。それはちゃんと表に出して、透明性を高めて、そしてやるべきではないかというふうに我々は考えて、もう予算もそうそう長いこと審議に時間があるわけじゃないので、何でも機密だ、秘密だということでやり過ぎる。

 説明がよく日にちごとに変わるということもさることながら、これは一度整理しますが、何でも隠していこう、隠していこうというこの態度というのは、私はまことに、国民から見て、やっていることがおかしいのじゃないか、私たちの税金がどう使われているかわからない。そういった意味では、交際費なり事務費なりに移せるものは移してやるべきではないかというふうに思っておりますが、河野外務大臣の御答弁を求めます。

河野国務大臣 再三お尋ねをいただいておりますのに、どうも佐藤議員の気に入る御答弁ができないことを申しわけなく思っております。

 しかし、いずれにいたしましても、私どもは、今回予算委員会でお取り上げになられました外務省職員のまことに申しわけない不始末な事件というものを解明して、こうしたことが二度と起きないように、再発の防止ということを考えて機構の改革もいたしたい、いたしたいというか、しなければならぬというふうに真剣に考えております。

 一方で、繰り返しこれは申し上げてまいりましたが、現在の近代社会の中で情報が持つ意味、価値というものは極めて高いわけでございまして、いかに正確かつ的確な情報を入手することができるかということは、言ってみれば国の存亡にもかかわる場面もあるわけでございまして、そうしたことを考えて、情報収集のためにぜひ、これまでお認めをいただきました外務省の報償費につきましては御理解をいただきたい。

 何せ、これまたおしかりをいただくかもわかりませんが、十数年来こうした予算額で、そうこれをふやすこともなくやってきたものでございますだけに、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

佐藤(観)委員 本会議で、もっとふやしてもらいたいという、国民感情からいったらまことに逆なでするようなお話があったわけですけれども、実は、こういう議論をしているときに私の方にも電話があって、河野外務大臣がこの大きな機密費を、大臣だけが扱うわけじゃありませんが、扱っているのはおかしいと。河野さんのところには、あなたの塀の中に小田原市の土地があるじゃないか、こういう外務大臣に機密費を預けるのはおかしいということを言われました。

 これは私、ちょっとびっくりして調べてみたら、小田原市の成田字上耕地二百三十二というところと、諏訪脇というのですか、細かく言うと二百二十九の二というところの間に小田原市の土地があるんですね。公図で調べてみて、それから境界確定図写しというのを調べてみたら、確かに小田原市の土地があるんですね。

 お宅の南の方にかわりの土地を、道をつけたようでありますけれども、しかし、今言った百四十一平米の、この間にある土地というのは小田原市のものになって、つけかえがされていない。見に行かせたら、このことは随分古い話で、西側の方は鉄の扉になっていて、東の方のところは塀になっていて、ちょっと北に鉄の扉があるというような状況になっている。

 こういう人に機密費を任せて、国民の税金を、小田原市の土地を自分の塀の中に囲ってしまっているというような大臣に機密費を預けるのはおかしい、そういう電話がありました。

 これは、森総理が、あなたの名義で持っているゴルフ権を、いやいや譲られたんじゃないんだ、名義がそうなっているんだというのと同じことですよ。国民から疑念を受けるようなことは、国民の貴重な税金を使っておるわけでありますから、やめるべきであるというふうに思いますが、もし経過について、事実関係について間違っているなら言ってください。私は、間違っていないと思いますので、確信を持っておりますから、答弁があるなら言ってください。

河野国務大臣 御指摘は、週刊誌から取材をされたものをもとにして、佐藤事務所が小田原市役所までわざわざお出かけになったということも伺っております。まことに、御指摘の部分は事実の部分がございまして、申しわけないことだとおわびをいたします。

 事実関係を申し上げますと、事実関係を申し上げますとと申しましたけれども、何せ古い話で、余り正確なことがよくわからない部分も実はございますが、昭和三十年代の前半だったと思います。私の父親の時代でございますが、隣接する農家の所有する農地を、測量会社の立ち会いのもとで、自分の離れた田んぼと無償の交換をいたしました。

 その結果、当時存在した、交換をいたしましたら真ん中にあぜ道が一本残りまして、あぜ道といっても六尺を少し超えるぐらいのあぜ道でございますが、その残っていたあぜ道も取り込んでしまうような形になった関係で、南側に、自分の土地及び、等価交換をいたしました農家の方と話し合いをいたしまして、そのあぜ道のつけかえの道路をつくったわけでございます。その道路が今使われておりますが、つけかえた道路が現存しておりまして、そのかわりに、自分の土地の中に入れ込んでしまったあぜ道は自分で使うという形になりました。

 しかし、申しわけないことは、それを登記していなかったというミスがございます。このミスに私気がつきましたのが、昭和四十六年に気がつきまして、昭和四十六年に、小田原市に対しまして、その等価交換をいたしました隣接の農家の方々とともどもに署名をして、登記がおくれていることはまことに申しわけないということを申し出まして、御指導をいただいて、適正にこれを直します、こういうことを言ったわけでございます。

 そう言っておきながら、またそれが適正に処理できずにおりまして、昨年のことだったと思いますが、ちょうどその上に県道が新しく計画をされまして、道路の買収の予定地にそれがかかるということになっているのが現状でございます。いまだに、その買収にもかかっているということではありますが、まだ実際はかかっておりませんが、そういう計画はもう既に通告があるというのが現状でございます。

 あぜ道のつけかえについて、登記が大変おくれてしまっていたことについてはおわびをせねばならぬと思っておりますが、これをもって五十五億の外務省報償費を任せるのはだめだとおっしゃられるのは、いささか私としては、佐藤議員の御指摘ではございますが、ぜひ御寛容にお願いをしたいと思うわけでございます。

佐藤(観)委員 あなたは外務大臣ですから、条約が締結される前に自分で勝手にやっちゃいけないことぐらいのことはわかっているわけで、そういった意味で、国民の気持ちとはそういうものですよ。一事が万事という言葉がありますように、それで指摘したんです。

 終わります。

野呂田委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 総理並びに関係大臣に幾つかの点について質問をしたいと思います。

 まず、先ほどインターネットのニュースで、沖縄県議会において稲嶺知事が、海兵隊の訓練のグアムへの移転、これをお願いしたいということをおっしゃったそうであります。

 今、沖縄の県民はもうぎりぎりのところまで来ています。この長きにわたる基地そして訓練の重圧。一体、沖縄県民は何を怒り、何を日本政府に求めているのか、総理にまずお尋ねをいたします。

河野国務大臣 私、昨日沖縄に行きまして、沖縄県内の大多数の市町村長にお目にかかってまいりました。市町村長からこもごも、さまざまな御議論がございまして、今日の、一月以来の事故の続発についてはもう正直我慢がならぬ、こうしたことが引き続き起きないようにしっかりと米側に話をするべきだというお話がございました。と同時に、県議会あるいは幾つかの市議会を通じまして、兵力の削減、海兵隊の削減、さらには地位協定の改定というような御希望がそれぞれ出たところでございます。

 ただ、私といたしましては、地元の御意見、お考え、お気持ちはよくわかりますけれども、兵力の削減等につきましては、これはかねてからこの委員会でも申し上げておりますように、国際情勢というものを考えなければ、そうしたものを考えずに兵力の削減をするというわけにはまいらないので、今後、日米間ハイレベルで行われます会談等におきまして、国際情勢につきましてはより一層注意深く話し合いたいというふうに思っておりますということを申し上げてまいりました。

原口委員 今外相がお話しになりましたが、平時において、いわゆる朝鮮半島で起こったあの有事のそのまんまの状態が長きにわたって沖縄で続いているんです。私たちは、昨年、民主党として、軍転特措法の改正案、それから地位協定の見直しということを政府に強く求めました。

 総理、日米関係は世界の中で最も重要な二国間関係であるというふうに思います。そういう中でも、私は、今のような状況が放置をされている、身柄の引き渡しについても、あるいは環境条項については外相は昨年の予算委員会の私の質問に前向きの御答弁をいただきましたが、もうこの運用の改善で済む話ではない。二国間関係が重要であればあるほど、私は地位協定の見直し、これに真剣に踏み込み、検討を始めるべきだというふうに思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。

森内閣総理大臣 前段のお話は、まだ私もそのニュースを見ておりませんので、今外務大臣からお答えを申し上げたとおりであろうというふうに思います。

 在日米軍施設・区域が沖縄県民の皆さんに多大な御負担をかけている、そういうふうに集中的に御負担をかけている、こういう意味では、沖縄県民の方々のお気持ちのあらわれとしてさまざまな御意見があるということはよく承知しておりますし、先週も、我が党の沖縄県選出の国会議員が私のところにお見えになりまして、一連の不祥事等が起きたことについて、沖縄県民の怒りといいましょうか、そうしたものも私は十二分に伺いました。

 私は、そういう意味で、この日米地位協定の問題は、今御指摘があって御批判がありましたが、まずは運用の改善をどこまでやり得るか、そのことはやはり日米関係を重要視してやっていくべきだと思っています。そして、個々の問題に対して機敏に対応することが重要、とりわけ沖縄の県民の皆さんの気持ちにすぐ対応でき得るような、そうしたことをすることがまず第一だろうというふうに考えます。それが十分効果的でないということの場合には、これは相手もあることでございますけれども、地位協定の改正も視野に入れていくべきであろう、このように私自身も判断をいたしておるところでございます。

原口委員 今総理がお話しになりましたとおり、運用見直しというのはずっとやってきたのです。ですから、地位協定の改定を視野にというはっきりとした御答弁をいただいたことで、次へ移りたいと思います。

 委員長のお許しをいただいて、資料を十二枚、お配りさせていただきます。

 この一ページ目から四ページ目までは、私ども四野党が、この平成十三年度予算に対する共同組み替え要求ということで、私はその実務者として、自由党の鈴木委員、共産党の山口委員、社民党の阿部委員、四名で、今の政府予算にかわる、私たちが考える予算の骨子をここに出させていただきました。

 その中に沿って幾つか御質問をしたいと思いますが、まず一番の内閣官房報償費及び外務省報償費の仕組み、これについては何回も議論をさせていただきました。

 会計検査院、さきの十五日の委員会の質問で、私は皆さんに、松尾さんが御自身の判断でああいう官房機密費を扱うようになったのか、調査をいつまでに出すのか、上司の決裁はあったのかということをお尋ねしましたが、その後の検査の結果をお尋ねします。

石野会計検査院当局者 今回の事態につきましては、現在、会計検査院といたしまして事実関係を検査中でございます。

 なぜ今回の事態が発生したのか、その原因はどこにあったかを究明しまして、再度このような事態が生じないよう、その再発防止策を図るという方策を検討していきたいと考えております。

 現時点で、こういった検査結果をいつまでに取りまとめるのかということを明示することは困難でございますが、十分に検討しました上で、なるべく早期に取りまとめたいというふうに考えております。

原口委員 さきの予算委員会でお願いをしたのは、私たちは、いわゆる暫定予算やそういったものを目指してここで審議をしているのじゃありません。期限を区切って、この予算、国民生活に大事な予算、これは与党にも何回も言われる。私たちもそうだと思う。だとすれば、はっきりしないデータでは予算の審議はできないから、今月中のできるだけ早い時期に出してくださいということを言っておるわけでございます。

 委員長に求めますが、再度この委員会の理事会にお諮りいただいて、この検査結果、上司の決裁なくてどうやって官房機密費、報償費を取りに行けるんですか。松尾が、松尾が、松尾さん個人の犯罪にしようとしているが、本当にそうなのかというのは、質疑を行えば行うほどわからない。むしろ、これまでの質疑では、外務省ぐるみじゃなかったか、こんなことまで疑いをかけられているんです。政治に対する信頼を取り戻すために、一刻も早い資料の提出を求めます。

 二番の公共事業の削減でございますが、資料の五ページ目をごらんになってください。

 先日私は、「ムツゴロウ」という新作狂言、これは、ふるさと伝統祭りという中で演じられたものでございますが、今、有明海の状況、もう沸騰せんばかりであります。諫干の事務所に千人を超える漁民の皆さんが詰め寄って、宝の海を返してくれ、こういうことを言っている。

 この劇の中で演じられたのは、鬼剣舞、岩手県北上市。高千穂の夜神楽、宮崎県高千穂。手杵祭り、福井県小浜。そして、なまはげ、男鹿市。新居浜太鼓祭り、新居浜。ここには、私たち日本人が持っていた自然に対する恐れ、自然を大事にし、つつましく生きていくという日本古来の姿が、このさまざまな伝統芸能の中にうたわれています。その清冽さ。これは御後援を文化庁と総務省がされたそうでございますが、私は改めて日本の古い営みの、自然を大事にするその心に触れた思いがいたしました。そういう意味で、御後援をいただいた各省にも、政府にもこの労を多とするものであります。

 しかし、今私たちが諫早で起こしていることは、一体どういうことなのか。総理、漁家の皆さんが千人も、宝の海を返せということで干拓事務所に詰め寄っていることに対して、どのようにお考えになりますか。

森内閣総理大臣 私も、昨日また一昨日あたりからのニュースなども十分に見ておりまして、関係漁民が大変強い要望をしておることもよくニュースでは承知をいたしております。

 政府は、そのためには、まず最初の調査を行って、専門家の皆さんで十二分に検討もし、必要があれば干拓湾をあけるということもやらなきゃならぬということは当然言っておられるわけでありますし、その時期が、問題は次のノリの栽培の時期といいましょうか、それが五月というふうに聞いておりますから、それまでの間にはきちっとした結論を出すように調査を進めている、こういうふうに承知をいたしております。

 詳しくは、農水大臣にでもお尋ねいただければと思います。

原口委員 資料の六をごらんになってください。この諫早湾は有明海の子宮であります。ここにすむ何億という生物をあの干拓で失ってしまいました。珪藻プランクトンは一向に減りません。この珪藻プランクトンがノリの栄養をとってしまう。その中で、この資料の六は、有明海における魚類の産卵期でございます。つまり、これはほとんどこの三月、四月、五月から産卵が始まるのです。

 私は、総理に御決断をお願いしたい。調査ということでございますが、調査はこの諫干が始まったときからずっとやっておかなければいけないものなんです。その証拠を次のページでごらんになってください。

 七ページの三「諫早湾干拓事業に起因し、有明海水産業に被害又は支障を生じた場合には、貴職が責任をもって必要な対策を講ずること。」四「有明海水産業への影響並びに環境の変化を把握するため引続き定期的に調査を実施すること。」これは、昭和六十二年二月十三日に九州農政局と佐賀県有明漁連の会長との間で取り交わされたものでございます。

 さらに八ページ「諫早湾干拓事業に関する確認書」の三「諫早湾干拓事業に起因し有明海水産業に予測し得なかった新たな被害又は支障が万一生じた場合には、乙は誠意をもって甲に協議し、解決するよう努めるものとする。」

 たくさんの資本を投下しています。ことしまた同じような状況になれば、今九月までというお話になりましたが、もうそれでは遅いのです。私は強く求めたい。それはまず、今、諫早湾の湾の中に締め切られてたくさんの物質がたまっています。これをしゅんせつしてください。そして、農水大臣は、海のことは漁民に聞けという名文句を私どもにおっしゃっていただきました。まさにそのとおりであります。海のことを漁民に聞くにも、漁民の生活は、ことしまた同じことが起こればもう立ち行かない。しゅんせつをして、できるだけ産卵期の前に水門をあけて、水門をあければどうなるんだと言う人もいます。しかし、今一日のうち二回あけているんです。

 あるいは、私たちがこの事業の説明を受けるときに、干拓事業をすればあの水害に悩んできた諫早湾の人たちは救われるんだ、こういう御説明もいただきました。しかし、実際にその内容を見てみると、そのときの説明が本当に真実だったか、知れば知るほど多くの疑問がわいてきます。そのことについて、もうここで右か左かと議論をするつもりはありません。まず、しゅんせつをし、そして水門をあけ、有明漁民に宝の海を返す、この決断を早急にしていただきたいというふうに思います。

 総理、いかがでございましょうか。

谷津国務大臣 先生おっしゃるとおり、水の問題は古老に聞けというふうに私のところでも言われているんですが、私は海のこともそうだろうと思いまして、きょう第三者委員会を立ち上げたわけでありますが、その中に四人の漁民の方に入っていただくということにいたしたわけであります。

 そして、今この水門をあけるかどうかということでありますけれども、第三者委員会が調査の項目の中で水門をあけて調査したいということであるならば、私は水門もあけましょうというふうに申し上げているところでございます。

 今、何が原因であるかということは正直言いましてまだわからないわけでありますから、総合的に調査をしてもらうことが大事だ。しかも、これを早くやってもらいたい。今お話がありましたように、総理からもお答えがありましたように、ことしの十月になりますればまた網を入れなきゃならぬ。しかし、準備ということを考えると、もっと早く一つの中間報告をして、安心してノリ網が入れられるような、原因をまず確かめてそれをやることが大事だというふうに考えております。

 それからまた、水門をあけるなというふうな長崎県側の考え方もあるわけであります。先生もそういった面を踏まえて、前にそういったことについての御発言があったようでございますけれども、いろいろな御意見もありますから、私どもは、予断を持たないで、しっかりと調査を早くやっていただいて、そして万全を期していきたいというふうに考えているところであります。

原口委員 この状況はもう数年前から指摘をされている。そして、調査は、今お示しした資料に書いてあるとおり続けてなきゃいけない話なんです。明らかにプランクトンを食べる捕食者が何億という数で減っている、この捕食者を有明海に戻さない限り、また結果は同じだ。

 ですから、今前向きの答弁をいただきました。あとは委員会で細かく質問をさせていただきますが、できるだけ早くその御決断をいただきますように求めて、次の質問に参ります。

 今回の予算は、一体どっちを向いているんだろうか、財政構造改革について踏み込んでいるんだろうか、あるいは莫大な長期国債の残高についてしっかりとした歯どめがかかっているんだろうか。ことし、いわゆる郵貯の大量満期に伴う税収が十二年度に三・四兆円ありました、この分が季節的にどんと乗っている。

 昨年、この委員会で宮澤財相と議論をさせていただいたときには、たしか、あれはベイスターズですか、佐々木投手を一回から投入したような予算だ、ワン・モア・バジェットだ、ことし限りの予算だ、そしてその効果があらわれなければ責任をとりますというお話をされたのを覚えています。

 しかし、ことしまた、皆さんから出されてきた予算は、ツー・モア・バジェット、もう一回ことしもという予算であります。あれほど、あの当時は小渕総理でございましたが、十五カ月予算というものまで組み、そしてその効果がなければ責任をとると言われ、またことしも同じような予算が出てくる。これは一体どうしてなのか。

 橋本行革担当相が隣にいらっしゃいますが、橋本六大改革、特に財政構造改革を議論させていただいた、あのときになぜ貫徹をしなかったのか。私たちは橋本財政構造改革法の修正案を出させていただきましたけれども、そこの総括を一回して、そして、この資料の十一ページにあります「新たなマクロ経済計量モデルの構想」ということで、今麻生大臣のもとで、新たなディメンジョンを入れて、新たな座標軸を入れて、日本の社会と経済を分析する、そういう作業をされていますが、なぜあの財政構造改革が貫徹をしなかったのか。

 そして、ことし、昨年あれほどのことを言われながら、なぜこのような予算が出てきているのか。来年、三・四兆円といういわゆる郵貯の大量満期のお金は一兆円台に減るのじゃないでしょうか。そうしたときに本当にこんな予算でいいのだろうか。総理に御質問をいたします。

宮澤国務大臣 ちょうど昨年の今ごろであったと思いますけれども、私としては、ちょうど秋ごろには民間経済へのバトンタッチができるだろうということを申し上げました。企業へのバトンタッチは確かに予想以上にできましたが、御存じのように、従来の不況回復のパターンと違いまして、家計の方にそれが移っていかない。したがいまして、GDPの六〇%を占める消費がなかなかプラスになっていかないというのが今の現状でございます。

 それは、恐らくITに伴います社会の変化に対して、アメリカはレイオフをいたしますが、我が国はやはり労働の方がそれに対応していく、労働慣行が変わっていくのだろうと私は思っておりますが、そういうふうに時間のかかる部分が見えてまいりました。

 したがいまして、このたびの予算を組みますときに、ちょうど昨年の十一月ごろですが、どうもそういうことが見えますので、念のため公共事業予備費三千億円を改めて組ませていただきました。これは私は、前には、念のためという意味が、申し上げますように想像していなかった、しかしそうしておかないと家計の回復が遅いかもしれない、そういう部分が確かにおっしゃいますようにこのたびの予算にございます。それは原口委員の言われるとおりです。

 しかし、他方で、国債発行額は四兆円ほど、理由もございましたが減らしまして、国税も少しふえた。ですから、本格的に財政改革をするにはまだ至っておりませんが、そういう復調の気配もございますので、それで麻生さんにもお願いいたしましてこういうマクロモデルをつくって、恐らく半年ぐらいかかるのじゃないかと専門家は言っておられますけれども、その上で日本経済がそういうふうに向かっていきますとシミュレーションを始めることができるのではないかというふうに今考えております。

原口委員 私は、労働慣行に消費が移っていかなかった理由を求めるのは少し早いのではないか、いや議論が飛ぶのではないかというふうに思います。

 橋本財構法のときに、私は二つのことを御指摘しました。一つは、世界の情勢。四月に始まるバーツの下落にスタートをする通貨危機、このことを考えるとディプレッシブな予算は厳しいんじゃないかということを何回も申し上げました。もう一つは、十二ページに書いておりますが、私は二十代のころに、松下政経塾で中曽根内閣のブレーンの皆さんに育てていただきました。中曽根内閣は、官から民に、そして思い切った行政改革をやり、むだを省く、臨調というものをもとにさまざまな改革を打ち出しました。サッチャー・レーガン革命というものも同じような文脈の中にあったのかもわかりません。

 しかし、そこで、私たちは区別をしなければいけないのは、この丸の下に書いていますが、人間には満たさなければいけない最低のラインというのがある、雇用であるとか福祉であるとか、医療やあるいは年金、教育、こういったことは果たして自由競争や自己責任が第一義なんだろうか。私はそうではないというふうに思います。ここでやるべきは、むしろ社会や公的な部分がしっかりと支えるという態度ではないでしょうか。

 一方で、それが満たされた人たちが、その先で自由な競争をする、規制を緩和する、この部分については市場はもっと改革をされていい。しかし、それがごっちゃに議論をされてきたのではないか。市場万能主義をやれば、日本のような均質な社会は大きなひずみを持ちます。私は、ここは人間尊重主義を入れるべきだと思う。教育についても、競争政策を言う前に協力政策を言わなければいけないというふうに思います。

 人間は、四百ccでこの世に生をうけて、千四百ccまで五歳の間に脳が発展をします。その間の私たちの教育の環境、これが圧倒的に今の時代を規定している。それを考えると、総理が出された教育改革、これは一定の方向を向いていますが、ゼロ歳から五歳までの間についてもっと真剣な議論が必要である。そこでは、人間の本質をとらえた協力の理念が必要だということを申し上げたいというふうに思います。

 予算の組み替えに戻らせていただきますが、「児童手当所得制限緩和による追加支出額の削除」、これは当委員会で他の委員も詳しくやりました。また、四の「ODAのあり方の見直しによる予算の節減、防衛費は前年度並とする。」

 政府の対外政策予算を見ると、これは官房長官、前、小委員会の座長になって官房長官がおまとめになったペーパーがあるやに聞いていますが、対外政策経費を見ると、国際機関への拠出金やあるいはさまざまな円借款、これが重複をしてみたり、あるいは目的と現実とが乖離をしてみたり、先ごろ山田議員が外相に質問をさせていただきましたが、貧しい国々に対する援助もその報告すらももらっていないで予算案を出している、こういうこともあるんですね。

 どのような改革をされようとしているのか、総理に伺いたいと思います。

宮澤国務大臣 ODAにつきまして、このたび世間にも、また私ども連立の内部にも反省がございました。その理由を詳しくは申し上げませんが、簡単に申せば、やはり効率化、重点化であるということでございまして、このたびの予算では前年度比三%の減額を行いました。

 ただ、それを行うに当たりましては、我が国が軍備をもって世界の平和に貢献のできない国でございますから、ODAこそは我が国が世界の平和に貢献できる道であるということ。また、長い経緯の中から各国間に約束のでき上がっているものがございますから、それらを変更するについては、相手方と話をしながら、多少の時間を要するといったような心組みでこのたびの編成をいたしました。

原口委員 外相、ODAの予算については、機密費とあわせて、どのような改革をされるつもりなのか、御所見を伺いたいと思います。

河野国務大臣 ODAの予算と機密費の予算とを一緒に議論するのは余り適当でないと思います。ODAは日本の外交政策上極めて有効なものでございますし、それは、恵まれない国あるいは開発途上国に対して、日本が、国際社会への参加を招請するためにできる限りこれに対して努力をするということが、これはただ単に日本の国の問題だけではなくて、国際社会の中で先進国は開発途上国に向かってそうしたことをやっていく、これは言ってみれば国際社会の中の一つのルールと申しましょうか、マナーと申しましょうか、そういったものの一つであろうというふうに思うわけです。

 自分だけがよければそれでいいというふうに考えるわけにはまいりません。恵まれない人たちがこれだけこの地球上にいるということを考えれば、我々も、現在、経済的に極めて厳しい状況にはございますけれども、その中でももっと厳しい、もっとつらい生活を強いられている国というものに対して手を差し伸べる。しかし、それはできる限り有効な方法で手を差し伸べる、国民の理解を得ながら手を差し伸べるということが重要だと考えています。

原口委員 目的そのものは、だれもODAについてこれを全部ゼロにしろなんと言う人はいないと思います。しかし、その中で、一つ一つがチェックをされない。あるいは、サンセットすることがその中に必ずしも盛り込まれていない。そして、世界的に見るとかなりの拠出金を我が国が負っている。このことを、この十年を数える不況下の中で、国民は本当にこれでいいのかなということを感じている。このことは真摯に受けとめなければいけないというふうに思います。

 私は、先ほど協力政策ということを申しましたが、市場万能主義をもう私たちこれからの日本の内閣はとるべきではないというふうに思います。市場で何でもかんでも勝ちなさいということは、家庭の方からどんどん市場に行きなさい、社会の方から行きなさいということであります。社会の方はどんどん荒れる。社会の方が荒れるものだから、そこは心だのきずなだのということを殊さら言わなければいけない。

 私は、心の問題については、政治はこれを扱うときによほど慎重でなければいけない、良心やあるいは思想や信条の問題を政治が扱うときには、心の発達だとかあるいは心の病理だとか、そんなことを話すのは私は大事なことだと思います。境界性人格障害といって、自分を導く自分というのを持てない子供たちが、ある調査によると百人に一人できている。このことについては、政治はしっかりとこたえなければいけない。しかし、今回のさまざまなレポートが示すように、あるいは所信の中で心の問題が大事だと言われるような形では、これは結構厳しい、きついことなんだなというふうに思います。

 宮澤財相、宮澤財相は、政治が心の問題について語るときに抑制的であるべきだということをかつておっしゃり、私もそのとおりだというふうに思っているのですが、政治と思想や信条あるいは心の関係について御所見を伺えればというふうに思います。

宮澤国務大臣 私が申し上げようとしましたのは、政治が人の心に直接に指図をするようなことをすべきではない、政治の役割は、おのおのの人が自分の心のことを大事にし、自分の心のことを自分で考えられるような、そういう環境をつくることが政治の仕事である、こういうふうに考えております。

原口委員 私もそのとおりだと思います。

 今、シンガポールでは、ITを利用して、世界一の教育にだれでもがアクセスできるような、そういう仕組みをつくろうとしています。個々の学校の枠を超えて、あるいは国の枠を超えて、それぞれの子供たちが世界の最高の真善美に、そして教育のプログラムにアクセスができる、このことこそ今私たちは必要なんではないでしょうか。

 今、東西冷戦が終わって、世界はそれぞれ理想的なシステムをその国々でどのようにつくるかという競争の時代に入っています。

 そこで、私たちは、教育費を今のような状況で削っていってはならない、むしろ、この教育にさらなる力を入れるべきである、そして新たなシステムを構築すべきである、こういう思いから、この予算の組み替え案、四党で随分教育に力を入れた組み替え、それでも限られた予算の中なので、まだ満足にいくとは限りませんが。

 文部大臣、お尋ねしますが、教育にかける予算、今の状況、文部大臣の御所見を伺いたいと思います。

町村国務大臣 教育予算についてのお尋ねがございました。

 教育予算について、何か減少しているという御指摘がありましたが、それは事実と反すると私は考えております。(原口委員「減少していると一言も言っていない」と呼ぶ)減少と、さっき削減傾向にあるというお話をされましたが、私どもは、ちゃんと必要な、この厳しい財政の状況でありますから、私ども文部科学省も政府の一員としてその財政状況を認めながら、その中で最大限私どもが必要だと考える予算を今御審議いただいているところであります。

原口委員 私は、この分野で、これも資料に出させていただきましたが、資料の九、一人当たりの国民所得額順の上位十カ国の財政状況、これを見ると、我が国はついに二〇〇一年、上位十カ国の中で債務残高、SNAベースでございますが、最悪の国になってしまいました。

 この上位十カ国を見て一つ気づくことは、この十カ国がすべてアングロサクソン流の競争政策をやっている国とばかりは言えない。むしろ福祉やあるいは教育や医療といったもののしっかりとしたネットを張っている国だということは、私たちの国の改革の方向性を示しているのではないかというふうに思います。

 ことしの世界経済の懸案事項は二つだと思います。

 一つは、世界から五千億ドルお金を集めないと回らなくなったアメリカの経済、この経済に減速の兆しが見えていること。もう一つは、一年間に百兆もの借りかえをし、そして国債を発行する。こういう中で、その国債をこれ以上発行し続けることがまだできるんだろうかという日本の今の状況であります。

 不良債権処理が遅々として進まず苦しんでいた時代、この時代を少し抜けてきたのか。整理回収機構というものをつくって、そして住専以来の不良債権についてさまざまな取り組みが行われているところでございます。

 預金保険機構に伺いますが、この間の預金保険機構が把握をされている整理回収機構の回収実績、これをお尋ねいたします。

松田参考人 お答えをいたします。

 先生の資料の中に十二月までの数字が載っておりまして、それは正しいんですが、その後、一月末の数字が出ました。

 十二年度の回収実績は、本年の一月末現在で、住専勘定が二千六百八十一億円で、破綻金融機関からの債権回収でありますRCB勘定は七千五百十三億円。そういたしますと、合計で約一・一兆円となっております。あと二月、三月分を織り込みますと、本年度の回収実績は過去最高の水準になる、このように考えております。

 創設以来現在までの回収の累計は、両勘定でおよそ四兆円弱となっておりまして、それぞれ買い入れました簿価に対する回収率としては、住専勘定は四八・三%、RCB勘定では四七・一%、こういう数字になっております。

原口委員 大変な御苦労があったというふうに思います。スタッフの皆さんや多くのこれにかかわった皆さんの御苦労を多としたいと思います。

 ただ、その中で、幾つか不適切な回収事例も報告をされているやに聞きます。それはどういうものですか。

松田参考人 お答えいたします。

 御指摘の案件は、回収機構が、みずから厳正な事実調査を行いました上で、昨年十二月とことしの一月に、社長から記者会見で公表いたしまして、かつおわびを申し上げました事案でございます。指導すべき預保としてもこの点についてまことに遺憾であり、残念であると思っております。

 その事実関係のポイントと申しますのは、旧住専管理機構当時に、大口の債務者から債権の回収を図る際に、ふくそうしてあります担保物件の売却をめぐって、同じく、住管機構よりも上位の抵当権をお持ちの二つの金融機関、ある意味での競合関係になるのですが、その二つの金融機関に対して、既により高額な売却代金が一体として設定されているのに、それを相手が、より低い金額でまとまりつつあると誤解していたのに対して、住管機構の担当者があえてそれを訂正しなかった、こういうような、この土地、担保物件の処分にまつわります数点にわたりまして、相手の、競合している共同債権者に対しまして、重要事項の的確な伝達、連絡、それらを欠いて住管機構が回収をした、こういう点が不適切な事例でございます。

原口委員 本当は知っていたのに相手に伝えなかったというのか、最初からそのつもりで、だますつもりであったのかということについては、さまざまな資料をもとに議論をしますが、私たちは立法府として、法律をつくっただけで、それでは十分ではない。実際にさまざまな運用がどのようになされているか、厳しくチェックをしなければいけないというふうに思います。

 私が聞いているところでは、今理事長がお話しになったこととは必ずしも同じじゃない。むしろ、さまざまな資料は、RCCが、その回収のノルマを果たそうということで、もともと知っていて、二重の、異なる主体に対してそれぞれ違うことを言っている、その疑いが出てまいりました。

 これは、きょうもうここで詳しく取り上げる時間がなくなってしまいましたが、きっちり一〇〇%預金保険機構が株を持っていらっしゃる、そういう国策会社だというふうに認識をしています。多くの正義の人たちが集まって、そしてバブルに狂った人たち、土地転がしに踊った人たちの整理をする、もう大変な御苦労があると思います。あるいは厳しい、危険もあるんだというふうに思います。その中で頑張っていらっしゃるということははっきり私も知っていますが、しかし、だからといって何でも見過ごせるわけではない、このこともあわせて申し上げておきます。

 最後に、先ほど政倫審でお話がございましたが、私は、総理、高度情報化社会において、もう情報の持つそのものの意味が違っているんだというふうに思います。今までは、自分たちの均質な団体をつくって、その団体で通用する論理、あるいはその団体でだけ行われる分配、これでよかったかもわからない。しかし、もう今や、そういうときを超えている。会社でいけば、最前線の人たちが上司に直接メールで手紙を送る。世界が狭くなって、Aという集団とBという集団との基準が違うなんということは、これも困る。そのこと自体が起こっているにもかかわらず、同じような事件が続発をする。

 きょうの中でも、幾つも明らかにならないことがありました。

 実際に額賀さんの秘書がKSDにいつお金をもらいに行ったのか、お金を取りに行ったのか、このことについてもわかりませんでした。そして、なぜ五百万円については半年間も代議士に無断で、大臣に無断で机の中に入れるということがあるのか、事実関係が必ずしもはっきりしなかった。

 五月二十三日には、古関理事長室からその秘書さんが官房副長官室に電話をかけて、そして古関さんと額賀さんがお話をされたということもしっかりとお話しになりました。

 だとすれば、これは委員長に求めたいと思いますが、五月二十三日のこの発信記録、これを当委員会として取り寄せていただきたい。私は、何カ月も秘書が預かって、そしてそれが机の中にあったということは、とても国民の皆さんが理解をできる話ではないというふうに思います。委員長にお願いをいたしますが、理事会に諮っていただいて、この発信記録を取り寄せていただきたいと思います。

野呂田委員長 理事会にお諮りいたします。

原口委員 この問題は、きょう村上議員が辞職をされ、そして多くの皆さんが、政治に対する信頼、本当にどうなっているんだろうかということを私たちのもとにも寄せられています。

 しかし、よくやっていることじゃないか、こんなことはよくあることじゃないか。例えば、今、参議院選挙直前でありますが、公益法人を利用して、そして何々政治団体、何々公益法人の理事長というものがパンフレットに堂々と載って、そして国の補助金が流れているにもかかわらずそこが選挙主体になる、政治活動主体になる、もうこういうことはやめないといけない。

 法的なことを聞けば、いや、それは許されているんですよという答えがこの委員会でも返ってきた。しかし、本当にそれでいいんでしょうか。公益法人、税法上の優遇措置を持ち、そしてすべての人たちに開かれて、すべての人たちの利益を追求するための法人が、一部の政治団体や一部の政治家の資金集めや、あるいは選挙の手助けをする、こういったことはもう厳に慎まなければいけないんじゃないか、このように思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。

森内閣総理大臣 たびたび午前中からの御質問の中にも私申し上げてまいりましたが、御指摘のKSDをめぐる事件により損なわれました国民の政治に対する信頼を回復するために、改めて政治倫理の確立に断固たる決意で取り組むとともに、政治の原点に立ち返って、国家国民のことを第一に考えて務めを果たさなければならない、このようにまず考えております。

 KSD事件につきましては、司法当局が今捜査をいたしておりますから、徹底的な真相究明が行われて、国民の前に真相が明らかにされていくものと考えておりますし、自由民主党といたしましても、調査すべき点はしっかりと調査をし、真相究明に全面的に協力をしてまいりたい、このように考えています。

 また、公益法人について、いろいろ委員のお考えも示されながらお話がございました。

 公益法人の業務運営に当たりましては、設立目的に沿った適正な運営がなされるべきであるということは言うまでもないことでございます。このため、政府といたしましては、公益法人に対する厳正な指導監督体制を徹底してまいりますために、指導監督の責任体制を確立する、立入検査の確実な実施、一定規模以上の公益法人に対する外部監査の要請等について、政府全体として取り組むことをこの二月の九日に決定いたした次第でございます。

 なお、KSDに対しましては、労働省が数次にわたり指導を行ってきたにもかかわりませずこうした事態に至ったということは、こうした労働省の指導が結果として十分徹底していなかったということによるものでありまして、極めて遺憾であると考えておりまして、今後、KSDが公益法人として適切な運営が図られますよう厚生労働省に厳正に対処させる、そういう考え方でございます。

 なお、政治活動等についての御意見もございましたが、公益法人であること自体により政治活動が禁止されているものではないということから、公益法人の政治活動を制限することについては、団体の政治活動の自由との関連を十分に考慮する必要があろうと思っております。

 いずれにいたしましても、十二分に監督し、こうしたことで国民の不信を招くようなことがないように、内閣としても、また党としても全力を挙げて取り組んでいきたい、このように申し上げておきたいと思います。

原口委員 終わります。

野呂田委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、達増拓也君。

達増委員 KSD事件について、総理大臣に質問いたします。

 けさの新聞報道によりますと、KSD、「自民党費十五億円負担」「九年間延べ六十三万人分」、そして「党員名ねつ造も」ということで「家康も五右衛門も入党」、これは徳川家康とか石川五右衛門という名前も党員の名前に入っていた。KSD会員の名前を機械的に書き写すだけではなく、氏名のでっち上げまで行われていた。これは司法当局に取材しての記事でありまして、総理がおっしゃったように、司法当局の捜査もかなり進んでいるというのはそのとおりのようであります。

 そこで、総理に伺いたいのは、党の方でもかなり調査を行っている。この党費肩がわり問題は、もう数億円、十五億円という報道もあるわけですけれども、それだけのお金がかかわっている非常に大事な問題で、しかも私は、去年八月の臨時国会の際も、久世金融担当大臣の党費肩がわり問題、そのころから党費肩がわりの実態については調査すべきと訴えておりました。あれから大分たつわけでありますけれども、今回のこのKSD事件をめぐる党費肩がわりの実態調査は党内でどのくらい進んでいらっしゃるのでしょうか。

森内閣総理大臣 党の党員手続等につきましては、たびたび申し上げておりますが、地方支部から所定の手続を経て党に報告をされるものでございまして、そうした意味では、今日までの党員の獲得についての手続については誤ったことがあったというような報告はされておりません。

 ただ、こうした事態がいろいろと出てきております中に、もう少し細かに調査すべき点を調査して、全面的な調査を今進めているところでございまして、こうした真相究明というものを待つことなく、今自民党内の仕組みについて十分に見直すべきものは率先して見直していきたい。自民党総裁といたしましても、今回のような事件が再び起こらないように、自民党のそうした政治の信頼回復に全力で取り組んでまいりたいと思うのです。

 今指摘ありました自民党豊明支部への納入党費の立てかえにつきましては、今申し上げたように、手続においては特に問題がなかったというふうに聞いておりますが、KSD豊明会がどのような形で党員を取りまとめていたかについては、これは党としては、本部としては把握し得る立場にはなかったわけであります。

 しかし、いずれにしても、党としては所定の手続を経て党員が登録をなされている以上、正規の党員として認めるほかはなかったわけで、また党員に対しましては、党から機関紙が配付されたり、いろいろな連絡が行くわけであります。あるいは、党の総裁選挙では有権者として投票用紙が送付されるわけでありまして、そうした際に、自分は党に入っていないのだということであれば、当然それに対する拒否があるべきだと思います。党として、正規の党員としてそうした拒否がなければ、やはりこれは事務的に取り扱っていくことはやむを得ないというふうに私は考えております。

 しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、今回の問題に関連いたしまして、本人の意思の確認がないままに入党申込書が提出された方々も含まれているのではないかという指摘でありますので、党としても、道義的な観点から何らかの対処が必要という認識をいたしておりまして、今調査を行っております。どこまで進んでおるかということの御質問でもございますが、今捜査をいたしておるところでございますので、私、詳細にそのことを報告申し上げるほどつまびらかな報告をいただいているわけではないことを、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 ただ、今例として、マスコミの報道ではありますけれども、報告されましたが、私から聞いちゃいけないのかもしれませんが、司法当局からそういうものが漏れたということについて私は若干疑問を持つわけであります。間違いなく司法当局がそういうことを漏らしたということになるのかな、私はそういう疑問を持つわけであります。

達増委員 道義的な責任ということをおっしゃいましたけれども、これが例えば民間企業、あるいはそういう市民感覚、民間感覚であれば、去年たくさん食中毒を出したメーカーが、もうこれは被害を受けた皆さんに一人一人謝って歩いたわけですよ。当然賠償はしましたし。そのときには、本当にそのメーカーの製品のせいでおなかを壊したかどうかはっきりしないようなところまで、それはもう道義的責任ということで謝って歩いた。それが国民感覚からすれば、当然の責任の果たし方だと思います。

 先ほど、もし本人が違っていれば、何か党から連絡があったとき変だと言ってくるということをおっしゃいましたけれども、豊明支部は、その各県の事務所にまとめてそういう文書が送られて、個人個人のところには、そういう政党の関係の連絡がわざと行かないようにされていたそうであります。

 もう一つ、これは総理に伺いたいのですが、去年の八月の臨時国会の際も、あと秋の臨時国会で十一月二十日に私が質問に立った際も、党内で参院選の名簿の順位を決めるときに後援会名簿も集めていた、提出を求めていた。後援会名簿については、無作為抽出して党から電話をして、本物の後援会員かどうかをチェックしていた。そういう直接本人に電話をして確認するというチェックをやっている。

 この党員問題も、もう無作為抽出で、百人なりあるいは千人ぐらい選んでもいいでしょう、電話をすればすぐわかる話です。これは、一日、二日、三日でほとんどが、架空だったならそうだという結論がすぐ出るはずなんですけれども、なぜその本人、党員一人一人、電話で直接確かめるということをしないのですか。

森内閣総理大臣 後援会の集め方と、党員の募集といいましょうか、これはおのずと性格は違うと思います。同じような扱い方はできないと思います。

 後援会は、当該の議員あるいは議員の後援会が集められるわけでありますから、そのことについて正確さを期すということで、党が調査をするということは当然だろうと思います。党員は、先ほど申し上げましたように、支部を通じて県連に上がり、そして本部に送られてくるものでございますから、自主的に党員手続をされたことを、私どもとしてはその当時としては信頼すべきだというふうに考えます。

 ただ、今日こうした事態になったということについて、チェックの仕方をどうあるべきか、これはこれから考えていかなければならない、こう申し上げているわけです。

達増委員 では、伺いますけれども、これから党員、そういう直接の確認をしますか。

森内閣総理大臣 一つの考え方として、当然、どういうチェックができるかということを幅広く考えていかなきゃならぬ。一つのまた方策かもしれません。参考にはさせていただきたいと思います。

達増委員 全然事態の深刻さが認識されていない。説明責任という、そういう自覚が全くないなという思いであります。

 きょう、額賀福志郎議員の政倫審もあったわけですけれども、これは額賀議員の申し立てで行われた審査会でありました。

 当然、額賀議員が身の潔白を晴らすということで、数々の疑惑に対して、それが事実無根だという証拠を示して弁論するのかと思いましたところ、全然そういう証拠は出てこないのですね。単に、あれはこういうことだった、こういうことだった、そういう、自分とあと秘書の言葉に基づいた弁明はありましたけれども、第三者の証言、例えばものつくり大学が総理の施政方針演説に入った経緯、自分は関与していない、では、だれがあれを入れたのだという質問があったのですけれども、それはわからない、ただし、自分が関与してはいないということはたくさんの人が言ってくれている、では、だれがそういうふうに言ってくれているのだと聞くと、名前を出すわけにはいかない。

 政倫審の場合は、これはみずから申し立ててやっているわけですから、むしろ挙証責任というくらいまで重い責任が額賀議員の方にあるはずなんでありますけれども、そういうことが全然満たされていない。そして、このKSD問題全体についても、自民党としてのそういう説明責任が全然果たされていない。

 自民党内では、これは一種のクライシス、党としての、組織としての危機だと思います。危機というのは、それまでのいろいろな組織的、制度的矛盾が噴き出して危機になる。そうした場合、うまくそれを扱うとかえって大きい改革をするチャンスになるはずでありまして、自民党内には解党的出直しという議論もあるようでありますけれども、総理に伺いたいと思います。

 自民党の解党的出直しをしなければならないという意見についてどう思いますか。

森内閣総理大臣 まさに解党して、新たないろいろな施策、方策等も十分に苦慮しながら進めていくことだというふうに考えております。特に、党員の手続等については、先ほどから申し上げておりますように、どうした形でチェックができるそういうシステムができるか、今検討をいたしておるところであります。

達増委員 解党するとおっしゃいましたが、我々としては、もう今すぐ下野していただいて、ゆっくり党改革を野党としてやっていただいて、その間我々に政権を任せていただければというふうに思っております。

 もう一つ、組織を解体するくらいの思い切った出直しをやらなければならない分野として機密費の問題があると思います。これも本当に制度的な矛盾、今までなあなあでやってきた矛盾が、ついにもう耐え切れなくなって、一気に事件として噴出して、まさに思い切った改革が今求められているところだと思います。

 それで、機密費問題について伺いますけれども、まず、外務省報償費。

 松尾事件は官邸の報償費が使われた事件でありますけれども、いろいろな新聞、雑誌等の報道で、松尾事件以外にも外務省報償費が国内で、あるいは在外でかなりむだに使われている、そういう指摘が出てきております。確かに、制度的にむだ遣いを抑止するのが困難、やろうと思えば末端、現場でむだ遣いができてしまう、そういう制度になっていると思います。

 外務省内でいろいろ調査されているそうでありますけれども、これは国会での答弁でも、適切に使っているかと聞けば、それは、報償費というのは定義の中で適時適切に使う費用とありますから、適切に使っていないとは答弁の中では言えないわけですね。これは外務省の官僚に幾ら聞いても、適切に使っているという答えしか出てこないと思います。

 もちろん、事実の究明、真実を明らかにすることは非常に大事なんですが、外務省内でそういう犯人探し的なことをやればやるほど、正直に言った人と言わない人の間の不公平が出てくる、また、そういう中でわだかまりが残って、組織全体として沈滞してしまう。

 私は、外務省は今、戦後最大の組織体としての危機を迎えていると思うのですが、これを今までと同じような省内の積み上げ形式で直すことはできないと思いますし、平岩外四さんとか尊敬しますし、曽野綾子さんも好きですけれども、そういう人たちに任せていい問題でもない。まさに政治のリーダーシップで、この際外務省にびしっと一むち当てていただくことで、省員一人一人をよみがえらせて、新しい外務省に生まれ変わって、機密費、情報関係費の使い方についても戦略的にきちんとやっていただきたい。

 そういう意味で、前にも申し上げたことでありますが、国際情報局、そういう情報部局の関与をきちっとやって、事前か事後にその使い道についてチェックをし、戦略的に報償費の使い方を検討できるようにする。

 同時に、今回、人心一新、外務省の意識をがらっと改革させるため、また、これだけの疑惑が報道されている中で、やはり半分くらいは外務報償費を減額し、同時に情報部局の関与を徹底させる制度改革を行って、十三年度予算はそういうことで臥薪嘗胆、その結果、外務省が生まれ変わってきちっと仕事をするようになった十四年、十五年、そこで必要に応じて、というよりも、報償費の額というのは、これは積算で決まる話でなく、政治決断、国家の意思としてどれだけそういう情報的なところにお金を使うかという決断ですから、そういう決断が今政府に求められていると思うのですけれども、これは外務大臣、いかがでしょう。

河野国務大臣 私も、率直に言って、外務省が思い切って意識を改革しなければならぬというふうに思います。そのために、私は、できることを政治的リーダーシップを持ってやりたい、やらねばならぬ、こう思っております。

 今いろいろお話をいただきましたけれども、外務省の報償費の支出については、課から申請をして、部、局まで了解をとって支出をするということに制度としてきちっとなっているわけで、さらに会計検査院の検査があるという、制度的にはそういう制度ができているということは、議員はもう御経験上御承知だと思います。

 そうした制度が緩んでいたんじゃないかというふうに言われれば、私は、今意識改革という意味で、もし緩みがあったとすればそれはきちっとしなきゃならぬというふうに思っているわけです。

 他方、メディア、週刊誌その他を通じて、いろいろ外務省に対する御批判、御指摘がございます。私は、外務省の省内の調査委員会に対して、こうした批判、指摘については一つ一つ具体的に全部洗ってくれということを言っております。ただし、雲をつかむような根拠のない批判は、これは洗いようがないわけで、私は、メディアからの批判が、具体性があって捜査、調査の対象となり得るというものであれば、もうそれは遠慮なく全部洗ってくれ、そして、もし言われるようなものであるならば、私は厳正な処分をするということも言っているわけでございます。

 他方、外部の有識者の意見も聞きながら、これは内部だけのことでやったのではなかなか御理解をいただけないだろう、外部の意見、厳しい意見も自由に御意見をいただいて、その意見を徴して、改革、再発の防止のために採用したいということを言っているわけでございます。

 さらに、議員が御指摘になりました国情局、国際情報局の問題についても、これは国情局がどういう機能を持っているかは議員も御承知のとおりでございます。国情局は局の一つでございまして、ここがすべての情報を管理しているわけではございません。情報は、それぞれ在外公館でも情報収集をやっております。

 そして、言ってみれば、例えば総政局などが全体をにらんだ外交政策の戦略的な組み立てをやるということもあるわけでございまして、私、今考えておりますことは、二重三重のチェックということを前から申し上げておりますけれども、そうしたチェックについても考えていこうというふうに思っておりまして、事件の解明と再発の防止、そしてそれが外務省の意識の改革につながるということにならなければならぬ。

 ただ、議員がおっしゃるように、外務省の改革のために、国益にかかわる部分が一年、二年減ぜられるということで果たしていいかということも、他方考えていただかなければならないわけでございまして、私どもとしては、国民の皆様の御理解をいただけるように努力をしながら、外務省の改革に取り組みたいと思っております。

達増委員 外務大臣に引き続き質問しますけれども、外務省報償費のかなりが、身内の飲み食いあるいは過剰な国会議員の接待、そういったむだなことに使われている疑いがかなり出てきているわけですね。また、これは外務省員の意識改革だけじゃなく、国民の意識改革のためにも、情報関係に使われるそういう機密的な予算というのを国民の了解のもとで使う体制を国民とともにつくっていくためには、やはりここはそういう政治のイニシアチブが必要なんだと思うんですよね。

 今の日本の政府はそういう政治的イニシアチブが、もうこれは経済の分野でも、あらゆる分野で圧倒的に足りないところが国債の格付の引き下げにもつながってきていると思うんですけれども、特に国民との関係でも、そういう機密に対する理解を求めるため、みずから本当に血を流す覚悟は政治決断で必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。

河野国務大臣 ちょっと御質問の趣旨が、もう一つ私意味がよく理解できなかったわけですが、しかし、議員のおっしゃるように、情報収集は情報収集、それから儀礼的、社交的な部分については、そういうものも議員は、一応国民の理解があればそういうこともあるだろうというふうに思っていらっしゃると考えてよろしいんでしょうか。(達増委員「報償費以外から当然出ると思いますけれども」と呼ぶ)そこは、社交的な、儀礼的なものと報償費とはおのずから性格が違うというふうに私どもは考えておりまして、今のお話はもう少し研究をさせていただきます。

達増委員 終わります。

野呂田委員長 これにて達増君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男でございます。

 私は、今国会に課せられた仕事の問題なんですけれども、今度の国会は冒頭から、KSDの汚職、機密費の疑惑、それから米原潜による水産高校の実習船の沈没事件、こういうものが相次ぎまして、本当に冒頭から徹底的に究明すべき問題、それに遭遇している国会だと思うのです。このいずれもが、政治倫理の問題でも、国民の命と暮らしや予算にかかわる重大な問題になっているのですけれども、その際に、どの問題をとっても、森総理御自身の政治姿勢と資質が問われ続けてきたように思うのです。

 本日は、KSD汚職とさまざまな疑惑をめぐって、村上正邦前自民党参院議員会長が議員を辞職されました。それから、午後には、衆議院の政治倫理審査会で、KSDから千五百万円を受け取った額賀前経済財政担当相の疑惑が審査をされました。

 このような事態に至った中で、改めて今回、森総理の政治姿勢について、幾つかお尋ねしていきたいと思うのです。

 まず、村上正邦氏の議員辞職についてなんですけれども、総理は、村上氏が議員辞職を表明した際に、大きな功績のあった政治家だけに大変残念に思う、こう述べていらっしゃいます。これは各紙に報じられました。

 そこで、総理は、今回の議員辞職に至った村上氏の政治的責任について、今どのような認識をお持ちなのか。まず、この点をお尋ねしたいと思います。

森内閣総理大臣 これは、けさほどからも、山口議員の御質問の前に、各議員からもお尋ねがございました。

 村上議員の問題については、これはこれから司直が判断をし、捜査当局がいろいろな形で捜査、解明をされていくものであろうというふうに思います。

 しかし同時に、議員をみずからの判断でおやめになるということは、これはもう大変なことだというふうに私は思います。そういう意味で、そういう御判断をされた村上議員のお気持ちというものを私は大事にしなければならぬなという思いがございます。同時に、私も昔からよく親しくさせていただいておりました。同じような秘書同士でやっていたこともございましたので、親しいもので、よく彼を存じ上げておりますし、また、今日、参議院の我が党の議員会長というお立場になられるまで、いろいろな意味で党のためにも努力をされた方でございますから、そういう意味で、おやめになるということはとても残念なことだと、私は率直な気持ちを申し上げました。

 しかし、先ほど申し上げたように、御自身の判断で、国民の皆さんから疑いをかけられる、あるいはまた党のみんなに、また参議院全体としても御迷惑をかけてはならない、そういう決断をされたということについては、私はそれなりの、村上さんの気持ちを大事にしてあげなければならぬ、そういう思いで感想を申し上げたわけであります。

山口(富)委員 村上氏の議員辞職は、村上氏の決断や判断、気持ちの問題ではないと思うのです。やはりKSDの疑惑、特に国政にかかわる疑惑の重大な性格からいきましても、議員辞職は国民の気持ちから見て当然の、当たり前のことなんですが、そこに至った村上氏の政治的責任を総理が今どう認識されているのか、そこを国民の皆さん、やはり知りたいところだと思うのです。

 それで、村上氏は、広く指摘されておりますように、政治家としての地位そのものがKSDによって支えられていた、このように言われております。ですから、今度のKSD汚職をめぐる一連の事態でも、その中心にいたわけですね。私、総理の、村上氏が議員辞職を表明された際の、大きな功績があったというお話にちょっと驚いたのですけれども、私自身は、大きな功績があったどころか、村上氏の辞職で残ったものは大きな疑惑だった、こういうふうに思うのです。

 では、一体どういう疑惑、村上氏に答えていただかなければいけないものが残っているかといいますと、幾つか挙げてみますと、第一は、KSDが推進していたものつくり大学、この設立に向けて参議院本会議で質問をし、その見返りとして五千万円に上る資金提供を受けた疑いが出ている。それから二つ目に、いわゆるアイム・ジャパンというものですけれども、その設立をめぐって、KSDのマネーで行政をゆがめた疑いも出されている。その上、事務所の経費や秘書給与の肩がわり。さらに、みずからの比例名簿の順位を上げるために、何万人もの架空の党員づくりと億単位の党費の肩がわりをKSDにさせた疑い。こういう、いわば疑惑のオンパレードになっているように思うのです。このような村上氏の一連の疑惑は、どれも政治と行政を本当にゆがめる点で、国政上極めて深刻な問題だと思うのです。

 既に総理御指摘のように、この問題は今後、法的な責任も当然調べられていくわけですけれども、そのことを考えますと、ますます総理御自身が自民党の最高責任者として村上氏の政治的道義的責任の解明にきちんと力を尽くすべきではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。

森内閣総理大臣 村上議員は、党を離れられる前まで我が党の、先ほど申し上げたように重要なお立場でありましただけに、自由民主党の責任者である私としては大変残念であると同時に、遺憾にも思っておりますし、そういう意味では、国民の皆様にもおわびを申し上げなければならないというふうに思っています。

 ただ、今いろいろと例示を挙げての御指摘がありました点が、まさに今、これから捜査をされていくわけでありますから、そのことがそうした、当局によって一つの結論を出すまでは、今の段階でそのことについて、どういう迷惑がかかったとか、どういうことだということをこの時点で私から申し上げるというのは適当ではないのではないか。

 しかし、おやめになったということ、そして院でそれが了承されたということについては大変残念であり、遺憾であり、同時にまた、所属をされておられましただけに、我が党としての責任ある立場の私としては、心から皆様におわびを申し上げたい、こう申し上げているわけであります。

山口(富)委員 森総理の口から国民の皆さんにおわびするという言葉が出ましたけれども、それが本当に言葉として生きていくためには、単に司法の分野で法的責任が問われるだけでなくて、やはり政党政治家としての政治的道義的責任、この解明に自民党の責任者としての森総理の力が必要だ、そのことを強く指摘しておきたいというふうに思うのです。

 さて、総理御自身は、きょうの答弁の中で、随分村上氏と以前から親しいというお話が繰り返し出てまいりました。それで、私、この点では早くから村上氏とKSDとの関係について森総理は知り得る立場にあったお一人だと思うのです。

 それで、きょう一つ持ってきたのですが、九五年六月に、自民党の幹事長時代ですね、KSDの古関前理事長と対談をなさっていらっしゃいます。どういうわけか、これが、九五年の六月ですけれども、自由新報に載ったのと合わせて、KSDの機関誌の「愛S」というものにもほぼ同文が出ているのですね。

 ここにも写真がかなり大きく出ておりますけれども、この中で、村上氏とKSDのいわばみつ月ぶりに触れながら、特に参議院の中小企業対策特別委員会、ここでの村上氏の仕事ぶりに話が及んでいるのです。この委員会こそ、実は村上氏と古関氏によって、いわゆるKGS財団の設立というのがあるのですけれども、それをめぐって一連の疑惑の舞台になったところだったのですね。だから、古関氏側は、いろいろなところで実は村上氏の功績の第一にこの活動を挙げているのです。

 もう一つつけ加えますと、総理御自身が、村上氏が会長を務めていた豊明議連それからKGS議連、この二つの議連に加わって、実際上古関氏の活動を支援してきたというふうに思うのですけれども、今振り返ってみて、総理御自身の政治姿勢が問われると思うのですが、その点に責任を感じる、こういうことはないのでしょうか。

森内閣総理大臣 村上さんの今度の事件と、今いろいろ御指摘ございましたようないわゆる議員連盟、これは中小企業を振興させていきたい、あるいは中小企業の皆さんの福祉の問題、そうした問題を議論していこうということでできた議員連盟だろうと思いますから、当時、私としても中小企業問題には関心を持っておりましたから、参加をいたしまして当然だと私は考えております。ただ、そうした経緯で誤解がありますので、今はその議員連盟が二つとも解散をしたというふうに報告を受けております。

 もう一点は、私は、九五年と今御指摘ありましたように、その方は見ておりませんけれども、自民党の新聞の方は見ております。これは、幹事長でございますので、我が党の、衆議院であれ参議院であれ、あるいは小選挙区制であれ比例代表であれ、それぞれの組織を育てていくために、あるいは組織に対していろいろと物を喧伝していくというためにそうした新聞がつくられるわけでありまして、その関係議員と幹事長なり政調会長なり、あるいは総裁の場合もあるかもしれません、そういう対談をする形式をとるということは、党活動の上において何ら問題はないと私は考えております。

山口(富)委員 予算委員会の中でも繰り返し明らかになったのですけれども、古関氏側はこの議連について、自分たちの政治方向に、いわば、俗っぽく言いますと引っ張っていくための場にしようとした。それがいろいろな文書で明らかになっているのです。そのことを私は今の時点できちんと直視して、やはり国民の怒りがこれだけ広くあるわけですから、これまでの活動についてもよく自省といいますか、それを求めたいと思います。

 さて、森総理が自民党の幹事長時代にKSD側は、九八年ですけれども、参議院選挙に村上氏が出馬するということで、比例名簿の順位を上げるために、随分架空の自民党員を集めて、多数の党費を肩がわりされたと言われております。この点は、先日の予算委員会で我が党の志位委員長が、政治資金収支報告書に記載をされましたKSD関連の四つの自民党豊明支部、このことを取り上げて、党費がKSDに九年間肩がわりされたんじゃないか、それから、実態としても支部としての実体がなかったんじゃないか、このことをただしました。

 先ほど達増委員が紹介しましたけれども、きょうのマスコミ各紙はこの疑惑を確認して、例えば、村上、小山氏の比例名簿順位を上げるために党員名まで捏造して、延べ六十三万、十数億円を肩がわりしたんじゃないか、このように報じております。ある論説では、これは実際上、党費を装ったやみ献金ではないか、こういう指摘がありますが、やはり、個々の議員に渡ったにとどまらず、KSDのお金が自民党に流れていった、入っていった、このことが今度の大きな問題である、これはもう間違いないと思うんです。

 そこでお尋ねしますが、先日の予算委員会の中で、この問題は党にとっても大変深刻な話だ、だから党として調査をいたしておりますという話でした。その中身は先ほど少しお聞かせいただいたんですけれども、それでは、マスコミでも大きく報じられています、KSD関連の四つの自民党豊明支部があったわけですけれども、これは、この疑惑が発覚した直後、昨年十一月に一斉に解散届を各県の選管に出しております。このことは総理は御存じなんですか。

森内閣総理大臣 解散届を出したということは、私は報告は受けておりません。

山口(富)委員 それはやはり国民に、党として調査をしているんだ、精査という言葉もお使われになったと思いますが、その割にはちょっと驚く話だと思うんです。

 つまり、KSDの党費立てかえや支部の実体がなかったという問題は、いわば今度の疑惑の温床になっちゃっている問題なんですね。ですから、その支部がどうなっているかを知らなかった、あるいは報告をしなかった人も悪いと思いますけれども、これはやはり大きな問題だと思うんです。

 それで、私ども調べて驚いたんですけれども、実は、先ほど、党員になる手続について何の問題もないというお話もあったんですが、今度の解散に当たっては、支部の代表者とされた人たち自身は、解散の書類に署名押印していないんですね。それから、東京、千葉、神奈川、この三つの支部がありましたけれども、その代表者とされた人たちは、解散届などを全く知らないというふうに述べています。このように、支部をつくったときも架空の党員で、解散したときも架空の党員ということになってしまう。

 さらに、この四つの自民党豊明支部というのは東京、千葉、埼玉、神奈川の一都三県にまたがっていたわけですけれども、九七年、九八年を見ますと、実は、驚くべきことに、取り仕切っていた人は四支部とも同じ、同一の事務責任者なんです。しかも、この人は、KSD豊明会の本部経理部長を務めて、その上、豊政連、ここの事務責任者まで同時に兼任しているんですね。これだけとってみても、四つの豊明支部なるものが、やはりKSD関係者によってつくられた、実体のない支部だったというふうに考えていいと思うんです。

 そこでお聞きしますけれども、総理のおっしゃる調査というのは、KSDの党費肩がわりにまつわる、このような豊明支部の実際の姿を具体的につかむものになっているのかどうか、このことをまず、もう一度確認したいと思います。

森内閣総理大臣 今御指摘ありましたことなども含めて、どういう党組織をつくられ、どういう党員の募集をされたのかということを今調べているんだろう、そう思っています。

 ただ、党本部としては、たびたび申し上げておりますように、それぞれの組織が都道府県連の支部を通じて党本部に入ってまいりますので、都道府県連支部から上がってくるものについては、党本部としてはそれを受け取るというシステムになっております。

 実態は、今いろいろ御指摘があったようなことがもし事実であったとすれば、これは私も大変残念なことだと思っていますが、そうしたこともあわせて調査をいたしておる、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

山口(富)委員 党費肩がわりというのは、小山氏や村上氏をめぐるKSD疑惑の重大な内容のそれこそ中心部分に据わっているわけですから、早急な調査、それはその気になったら幾らでもできるものですから、そのことを強く求めておきたいと思います。

 さて、少しつけ加えますと、千葉県の議会で自民党の県連の政調会長が、今私、調べたら、その気になったらわかるというお話をしたものですからちょっと紹介しますと、千葉の豊明支部は架空だ、豊明支部などという人たちとは会ったこともない、我々は全然知らない、こういう発言をしているんです。ですから、県のこういう方に聞くだけでもこれだけのことがわかってくるだろうと。

 やはり、繰り返しになりますけれども、四つの支部の実態というのは、少なくとも十数億円に上ると見られる自民党費の肩がわりの疑惑に直接かかわるものですから、国民にその調査内容と結果を示す責任と義務があなたにおありになるということを私は指摘しておきたいと思うんです。

 さて最後に、きょうの政治倫理審査会で、額賀氏がKSDから千五百万円を受け取り、返したということについて、昨年の内閣改造を前に野中氏に話していた、こういうふうに語っておりましたが、森総理は、額賀氏を経済財政担当大臣に任命するに当たって、野中氏からどういう報告を受けていらしたんですか。

森内閣総理大臣 内閣を組閣するに当たりまして、私なりに、省庁にどうしたテーマがあり、どういう政策を進めていかなきゃならぬか、そういう意味で、我が党の中、また、今は連立を組ませていただいていますので、当然保守党そしてまた公明党からの御推薦もございますが、少なくとも我が党に関しましては、私の判断で選考をさせていただきました。別に野中議員から直接的に指示があるというようなことはございません。

野呂田委員長 山口君、時間が参りました。

山口(富)委員 一言だけ。

 今度の政倫審では肝心なことは明らかになっていないんです。ですから、やはり額賀氏の疑惑が残っていますので、証人喚問での真実の解明を求めたいというふうに思います。

 それから、きょう私、KSD汚職を初めとした政治腐敗事件についていろいろ森総理の政治姿勢をお伺いしましたけれども、やはり国民の皆さんがこれだけ政治と金をめぐる腐敗と疑惑に本当に怒りの声を上げているわけですから、それに対してもっと誠実な対応をすべきだ、そのことができないならやはり国政を託すことはできない、このことを最後に申し上げて、質問を終わります。

野呂田委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。きょうは、最後の質疑者になりますので、前の委員の皆さんがお聞きになったことも含めまして、疑問点を総理を中心に質問させていただきたいと思います。

 まず、村上正邦自民党前参議院会長辞任について、きょう総理は御答弁で、残念で極めて深刻に受けとめているというような御発言がありました。かつ、先ほど、この村上議員は自民党の重要な立場にいらっしゃった方であるというようにもお答えをされています。この総理の御答弁で、極めて深刻に受けとめている、この中身をもう少しお話しいただけますでしょうか。

森内閣総理大臣 村上議員が議員としてこれまで御活躍されたことを私一番よく承知していますし、いろいろなテーマにつきましても、若干私どもと信条が違う点もございましたけれども、非常にまじめに政策にも取り組んでおられたという点で、私は議員が辞職されたことはとても残念だというのは率直な気持ちです。

 大変残念に、そしてまた遺憾に思っておりますということは、我が党にとりまして立場が重い方であればあるほど、それだけに我が党にとっても大きな打撃であるということを私は深刻に受けとめているわけです。

辻元委員 自民党にとって立場が重い方であるという御発言がありました。

 さて、ちょっと振り返ってみまして、森総理は、森政権は昨年四月に誕生しております。四月の五日に誕生していると思いますが、小渕総理がお倒れになって、いろいろな混乱がありました。そのころをちょっと振り返ってみたいと思います。

 四月の二日の早朝に、当時の青木官房長官は、主治医の電話で起こされて、緊急入院をお知りになって、その後、青木氏は村上さんの宿舎に、パジャマ姿で、大変だというように相談に行かれたようです。二日、青木さんが村上さんのところに行かれたのです。そして、正午に東京紀尾井町のホテルで、ここから森総理も加わるわけですけれども、青木、村上両氏のほか、今の森総理、野中広務幹事長代理、亀井静香政調会長の五人が相談をいろいろしていく。そして、午後七時半ごろ、青木氏が病院で首相とお会いになりまして、九時過ぎに再び五人の方々にその結果を、容体等々を報告されまして、午後十一時半の会見を終えて、また青木氏はホテルに戻った。その後、総理の臨時代理をどのように選ぶのか、そして次期総裁をどうするのかという話し合いが、この五人でなされた。

 そこで村上さんは非常に重要な役割をされたというように承っておりますが、総理は、この五人で今後どういうふうに政権運営をしていこうかという相談をなさったと思いますが、そのとおりでよろしいですか。

森内閣総理大臣 辻元さんは新聞を読みながらでございまして、かなり、今お読みになった点と違う点がたくさんございます。

辻元委員 そうしますと、この中で村上議員が一番最初に口火を切って、次期総理について、森さんでいいんじゃないかというようにおっしゃったというように承っておりますが、それは事実ですか。

森内閣総理大臣 それも、私はそんなふうには聞いておりません。

 そもそも間違っているのは、私は青木さんにも当時お聞きしましたが、青木さんが村上さんのところへパジャマ姿で飛んでいったというのは本当ですかと聞いたら、そんなことはないとおっしゃっていました。

 それから、あの日は何で集まったのかということを、時間をとって悪いんですけれども、きちんと申し上げておかなければいけませんが、一緒に連立を組ませていただきました自由党が離脱をされた。そして、そのことで小渕さんが大変心労されたんでしょうね、その日の夜、お倒れになるわけです。私どもは、自由党さんが連立を離れたものですから、これから後の連立、国会運営等をどういうふうにしようかということで、実は、翌日が日曜日でありますから、今お話しになった二日がたしかそうだと思います、それぞれ日曜日はいろいろな日程を持っておりますから、夕方会おうということで、夜お会いをすることに決めてあったのですが、朝、突然、小渕総理が入院をされたということを聞きましたので、それじゃ、その病状のことも報告を受けることが大事だろうということで、急遽お昼に繰り上げたということでございまして、別に、後継をどうするとかそういうことでみんなが集まったというわけではないということを、ぜひ承知おきを願いたいと思います。

辻元委員 私がこういうことを申し上げますのは、自民党の中の仕切り役のお一人が村上さんであったと。私は、村上さんが辞任されたからといって、このKSDの疑惑は終わるわけでもないし、むしろこれから自民党問題として発展していくというように考えているからなんです。そしてさらに、森内閣誕生の折に村上さんがされた働き、どういう役割をされたかということも国民みんな知っている中での今回の辞任です。ですから、これでKSD疑惑、村上さん辞任しはったから、もう自民党もおやめになりましたのでというような対応は一切なさっていただきたくないなというふうに思うのです。

 もう一点、いろいろな政治不信が今高まってきている中で、当時のKSDの、これは「沙羅双樹」という、一九九八年四月号ですけれども、ここで当時の橋本総理が来賓でごあいさつされている一文をちょっと紹介したいと思うのですね。当時は大蔵省の疑惑がある渦中で、総理がKSDの大会で発言されています。

 「今、行政に対する大変な不信が募っています。特に、二名の逮捕者を出し、一名の自殺者を出し、しかもなお、捜査は続行し、三塚大蔵大臣、小村事務次官の辞職という、深刻な事態に発展してしまった大蔵省の不祥事に対して、この場をお借りして皆様に心からお詫びを申し上げること。そしてきちんとした究明を進めると同時に、改めてもう一度行政の信頼を取り戻す努力をすること。」とおっしゃっています。

 これに引き続き、「実は今日ここに出席するかどうかも本当は迷いました。参議院自由民主党の村上幹事長に率直にご相談を申し上げましたところ、「きちんとお詫びの言葉を言うのが一番大切なことではないか。そして事態の究明に全力を尽くすと同時に、金融システムを安定させ、」云々かんぬんということで、村上さんがこういう立派なことを、KSDの大会でおっしゃっていたわけです。その裏でこの疑惑があった。

 今国民から向けられている疑惑の目というのは、今も立派な答弁をされている責任ある立場にある方々も、このKSDの疑惑だけじゃなくてほかの人にも疑惑の目が向けられているというところをきちっと認識すべきだと私は思うわけです。

 さて、そこで、先ほどの架空党員の問題をきちっと調査していただくことが、まず、すべての人たちに向けられている疑惑を解明する上ではとても大事だと思います。

 そこで、森総理にお聞きしたいのですが、森総理が、もしも御存じない間に、例えば社民党の党員とか共産党の党員に勝手にだれかが登録してしまっているというような事態を知ったら、どうされますか、どう思いますか。

森内閣総理大臣 私が、一国民として、私の了解といいましょうか、知らないうちに党員登録されているということであれば、その党を支持するかどうか自分の信条とも相談をして、そしてやはりそうでないという考え方をするならば、これは自分が求めて入ったわけではないわけですから、当然、党に対して党員でないということを申し上げる手続をするということになるのだろうと思いますね。

辻元委員 これは党費の立てかえ問題というのも論じられてまいりましたけれども、政治信条というのはやはり一人一人自由であって、そして自由な政治信条にのっとって私たち公党は党員を獲得し、入党していただくということであると思うわけです。

 そうなりますと、これは与野党問わず言えることだと思いますが、仮に、架空に、政治信条に従わず勝手に党員を登録させる、またそれを受け付けてしまっているということがあるならば、公党の責任においてきちっと調査するのが筋だと私は思うのですよ。

 ですから、それは相手が申し出がなければできないというのではなくて、少なくともKSDから党員という形で自由民主党の方に届けられた分については、一切をもう一度、党員でいるべきなのかどうかという確認を御本人にされた方がいいと私は思います。

 この際、国会の中で、これは与野党問わず、架空党員なんということがあったらますます政治の信頼が下がっていきますので、そういうことは他の野党も含めて一切政党はしない、違反であるというぐらい厳しく決めた方がいいのじゃないかと私は思っております。

 さて、そこで、今政治信条の問題を申し上げましたが、もう一つ、政治資金規正法との関係。先日この委員会で明らかになってきましたけれども、きょうの報道でもなされていますが、九年間で延べ六十三万人分の党費十五億六千万円をKSDが負担したという全容が明らかになってきた。そして、さらに、入党意思がないのに無断で名前を使われた、入党確認した者は一%もいないのではないかなどとも言われています。

 さて、この中で、政治資金規正法では本人以外の名義または匿名での政治献金を禁じています。このKSDの行為は、この質的制限違反であるとまず言えると思うのです。この委員会を通じまして、片山大臣も御答弁の中で、「何万人も立てかえて結構だなんてどこにも言っていない。」または「全く党員でない者が党員の申し込みをしてお金を払うということはよくない」とはっきり言い切っていらっしゃいますね。

 そして、この委員会でさらに明らかになってきたことは、質的制限と同時に政治資金規正法では量的制限も設けられています。今回の案件はこの量的制限違反でもあると私は思うわけなんです。政治資金規正法第五条第二項に、実際に、これも片山大臣の御答弁ですが、「団体がある党の党員になり、あるいはある党の団体、政治団体のメンバーとして党費を払ったといっても、それは認められない、それは寄附として、寄附の量的な制限の対象になります」と御答弁されているわけです。

 そこで私は森総理にお伺いしたいのですが、この案件については、二月六日の本会議場で我が党の土井たか子党首も、党員名簿をチェックし、どれだけが本人の了承を得ていない架空の党員なのかを調べ、それぞれの方に謝罪し、返金することは考えていないのですかというように、ほぼ一カ月ほど前に言っています。しかし、今に至って自由民主党からは積極的な対応が見られないと私は思うのですね。

 どうですか。もう一度お聞きしたいと思いますが、私は、参議院選挙までにきちっとなさらないと、自民党のためにも、崩壊を加速するのではないかと心配して申し上げておるのですが、いかがですか。きちっとやっていただけますか。

森内閣総理大臣 我が党に対して御心配をいただいて、本当に恐縮に存じております。

 たびたび申し上げておりますが、KSD豊明会がどのような形で党員を取りまとめていたかというのは、我々としては知り得る立場ではないわけです。党としては、所定の手続を経て党員登録がなされている以上は正規の党員として認めるというほかはないわけでありまして、原則として、手続を経なければ党員資格を剥脱するということも、これはできない仕組みになっております。

 しかし、今御指摘がありましたようなことで、そうした事態がもし起きているとすれば、御心配をいただきましたように大変大事な問題だと思いますので、今その調査をいたしておりますが、これまで、党から、党の機関紙でありますとか党総裁のときの投票用紙とか、そういうことについてもこちら側から送付しているわけですから、したがって、そうした際にまず拒否をされれば、これはそういう手続をとらざるを得ないということになりますが、今日までそういう手続を経ていない面もあるわけであります。しかし、御指摘がありました点は極めて大事なところでございますので、もう一度、どういう形ができるか、あるいはチェックがどうしたらできるか、そうした点について今検討しておるところだ、こう申し上げておきたいと思います。

辻元委員 森総理は、所信表明演説の中で、国民から信頼される「信頼の世紀」にできるよう最大限の努力をしてまいりますとおっしゃっているわけですよ。この努力ですよ、努力の中身。ですから、やはりどういう努力をしていくのかということが問われていると思います。

 そこで、宮澤大臣に一点お聞きしたいことがございます。この委員会でも前回から問題になっておりました森総理のゴルフの会員権問題なんです。財務大臣にぜひひとつ聞いてほしいと、きのうある中年の男性から言われたことがあるのです。これは結局、自分もゴルフが好きで、そうしますと、森総理のような手続を踏めば名義を変更して贈与税など払わなくてもいいのか、そうであるならば自分もそうしたい、国民みんなが森総理のような手続を踏めばそうできるのであれば、どんどんやっていいのだねということを、ちょっと財務大臣にこの際はっきり聞いてきてくれと言われているのですが、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 この間から申し上げておりますことは、法律によれば、くれた方が法人であれば一時所得が生ずる、それから個人であれば贈与税がかかる。それは法律の適用でございますが、事実問題として贈与があったかなかったかということは、これは一つ一つのケースで調べなければわかりませんので、したがって、このお話の場合にはどういうケースであるかがわかっておりませんので具体的なお答えはできない、こう申し上げております。

辻元委員 それはこの間の御答弁と一緒なんですが、そういうややこしいことを総理大臣がしたらあかんと私は申し上げたいと思うのですよ。

 もう一点、この場で確認させてください。一部もう報道されています、そのゴルフが何かチョコレートをかけていたとか、私は図書券と違うかと言うたのですよ、ほんまに。これは、何かかけてゴルフをなさっていたのではまさかないでしょうね。いかがですか、森総理。この際、はっきりこの場できちっと答弁してください。

森内閣総理大臣 今総理大臣としてよくないとおっしゃいましたから、私はおわびを申し上げたわけでありますが、これは友人がそういう好意を持って、いつでも使えるようにしてあげますよということでございましたから、その御好意を受けたのです。何も総理大臣のときではありません。今から十六年前の話でございます。

 ただ、それを放置しておいたということは、これは大変適切ではなかったと思いますから、今その手続をいたしております。ただ私は、性格上そういうものを自分のものにしてはいかぬし、そういう疑いがかかってはいかぬと思いましたから、税理士とも相談をいたしました。したがって、この会員権は、私にその好意を示してくれた会社のものであるということの資産の登録をきちっとしてもらい、なおかつ私との間には、それをお借りしているものだということの、そういう約定書もつくったというのはそういう意味からでございます。

 ただ、いつまでもその友情に甘えていたということは反省をしなければなりませんし、今の立場になるということであれば、即刻解消しておけばよかったわけですが、ここ数年全くそこに行っておりませんものですから、ついうっかりそのままにしておいたということでございまして、その点につきましては、今手続をいたしておるということでございます。

 それから、チョコレートというのは、これは、あなたはゴルフを御存じなのかどうか知りませんが、そういうゲームをするときは、例えば囲碁でも将棋でも、何手、先手をどうするとか、私は詳しいことはわかりませんが、何事にもそういうものについての努力目標があるわけでしょう。当然そうでしょう。ですから、そのことでかけるとかどうかという、そういうことはあの事態で考えられないことじゃないですか。

辻元委員 何だか、努力目標とあの事態で考えられないことというのは、ちょっとつじつまが合わない答弁ではないかと思いますけれども。

 ですから、おかけになっていないということだけ言っていただければいいのですよ。

森内閣総理大臣 最初にスタートするときは、そういうことの事態が起きていないときですから、スタートするときにはそういう努力目標をして、勝つとか負けるとかということの話し合いはあっておかしくないじゃないですか。そうでしょう。

 ただ、結果として、終わった後だからそういうことはあり得ないと言っているのです。

辻元委員 では、スタートするときは努力目標で賞品や何か物を、かけと言ったら言葉が悪いですが、何かそのようなものを示して、そして行っていたという理解でよろしいですね。

 さて、なぜ――森総理、待ってください。

森内閣総理大臣 いやいや、確認をしたから答えておかなければいけない。

 ですから、スタートするときには相手が、例えば私がこの間一緒にした方はシングルといいますか、ほとんどハンディのない人です。だから、そういうハンディのない人に自分がどれだけ挑戦できるかということを、やはり技術としてそれを試そうと思うのは当然なことじゃないですか。かけたとかそんなことじゃないのです。

辻元委員 最後になりますが、総理、これは一九九二年当時なんですが、総理は代表質問で、政治不信を払拭するということでこういうことをおっしゃっています。「世間の常識を超えた額と、」この後なんです、「公私のけじめの不透明さによって生じた国民の政治不信を払拭し、金のかからない公正な政治の実現」、これは代表質問で立派なことをおっしゃっているわけですよ。

 この公私のけじめですよ。今のゴルフの会員権の問題や党員問題もそうです。公私のけじめです。そこをきっちりされていないんじゃないかという指摘をしています。そして、当時村上さんも立派なことをおっしゃっていたわけです。しかし、はっきり言えば、立派なことをおっしゃっている裏で何をしていたのかということですよ。ですから、今もしっかり議事録に御答弁が残っておりますけれども、私はやはりこの公私のけじめが足りないんじゃないかと思います。

 最後になりますが、きょう政倫審で額賀前大臣が証言されましたが、私にとっては疑惑が深まるばかりの答弁でしたので、委員長、ぜひ証人喚問を秘書の小林さんと同時に求めたいと思いますので、理事会で御議論をよろしくお願いいたします。

 以上です。

野呂田委員長 これにて辻元君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成十三年度総予算審査のため……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)この際、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)分科会の所管以外の事項、第二分科会は、総務省所管、第三分科会は、法務省……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)財務省……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)行いたいと存じます……(聴取不能)これに賛成の諸君の起立を求めます……(聴取不能)よって……(聴取不能)決しました……(聴取不能)委員長に御一任願いたい……(聴取不能)よって、そのように決しました……(聴取不能)公聴会を開会……(聴取不能)開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十八分散会




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