衆議院

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第15号 平成13年3月2日(金曜日)

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平成十三年三月二日(金曜日)

    午後一時十分開議

 出席委員

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 自見庄三郎君

   理事 細田 博之君 理事 池田 元久君

   理事 佐藤 観樹君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      池田 行彦君    石川 要三君

      大原 一三君    奥野 誠亮君

      亀井 善之君    栗原 博久君

      阪上 善秀君    塩川正十郎君

      田中眞紀子君    高鳥  修君

      谷川 和穗君    津島 雄二君

      中山 正暉君    丹羽 雄哉君

      葉梨 信行君    萩野 浩基君

      牧野 隆守君    三塚  博君

      宮本 一三君    八代 英太君

      五十嵐文彦君    岩國 哲人君

      生方 幸夫君    海江田万里君

      金子善次郎君    城島 正光君

      仙谷 由人君    中川 正春君

      中田  宏君    平岡 秀夫君

      松野 頼久君    白保 台一君

      若松 謙維君    鈴木 淑夫君

      達増 拓也君    中井  洽君

      佐々木憲昭君    山口 富男君

      阿部 知子君    辻元 清美君

      横光 克彦君    井上 喜一君

      近藤 基彦君

    …………………………………

   内閣総理大臣       森  喜朗君

   総務大臣         片山虎之助君

   法務大臣         高村 正彦君

   外務大臣         河野 洋平君

   財務大臣         宮澤 喜一君

   文部科学大臣       町村 信孝君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       谷津 義男君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国土交通大臣       扇  千景君

   環境大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     伊吹 文明君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      斉藤斗志二君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)           橋本龍太郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 麻生 太郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当大臣) 笹川  堯君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   内閣府副大臣       坂井 隆憲君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   防衛庁副長官       石破  茂君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   文部科学副大臣      大野 功統君

   文部科学副大臣      河村 建夫君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   経済産業副大臣      中山 成彬君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   防衛庁長官政務官     岩屋  毅君

   防衛庁長官政務官     米田 建三君

   財務大臣政務官      大野 松茂君

   厚生労働大臣政務官    奥山 茂彦君

   環境大臣政務官      熊谷 市雄君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    津野  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   参考人

   (日本銀行総裁)     速水  優君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  池田 元久君     石毛えい子君

  岩國 哲人君     高木 義明君

  生方 幸夫君     大島  敦君

  海江田万里君     前田 雄吉君

  金子善次郎君     伴野  豊君

  城島 正光君     中山 義活君

  仙谷 由人君     後藤 茂之君

  中田  宏君     山田 敏雅君

  原口 一博君     山井 和則君

  平岡 秀夫君     大出  彰君

  松野 頼久君     近藤 昭一君

  佐々木憲昭君     藤木 洋子君

  山口 富男君     赤嶺 政賢君

  五十嵐文彦君     阿久津幸彦君

  佐藤 観樹君     島   聡君

  高木 義明君     手塚 仁雄君

  中山 義活君     大畠 章宏君

  達増 拓也君     東  祥三君

  藤木 洋子君     大森  猛君

  大出  彰君     前原 誠司君

  大畠 章宏君     田中 慶秋君

  後藤 茂之君     桑原  豊君

  近藤 昭一君     後藤  斎君

  島   聡君     中川 正春君

  山井 和則君     細野 豪志君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

  大森  猛君     春名 直章君

  阿久津幸彦君     松原  仁君

  田中 慶秋君     大谷 信盛君

  手塚 仁雄君     首藤 信彦君

  中川 正春君     山花 郁夫君

  山田 敏雅君     三村 申吾君

  中井  洽君     樋高  剛君

  塩川 鉄也君     瀬古由起子君

  桑原  豊君     今田 保典君

  後藤  斎君     江崎洋一郎君

  細野 豪志君     中村 哲治君

  前原 誠司君     石井 紘基君

  瀬古由起子君     中林よし子君

  春名 直章君     矢島 恒夫君

  池田 行彦君     田中 和徳君

  石井 紘基君     大石 尚子君

  大島  敦君     山口  壯君

  今田 保典君     三井 辨雄君

  首藤 信彦君     今野  東君

  松原  仁君     楢崎 欣弥君

  鈴木 淑夫君     中塚 一宏君

  樋高  剛君     藤島 正之君

  中林よし子君     小沢 和秋君

  矢島 恒夫君     石井 郁子君

  辻元 清美君     金子 哲夫君

  横光 克彦君     植田 至紀君

  谷川 和穗君     山本 明彦君

  石毛えい子君     松本 剛明君

  江崎洋一郎君     長妻  昭君

  伴野  豊君     小林 憲司君

  前田 雄吉君     鈴木 康友君

  三村 申吾君     津川 祥吾君

  山花 郁夫君     筒井 信隆君

  若松 謙維君     斉藤 鉄夫君

  東  祥三君     達増 拓也君

  中塚 一宏君     山田 正彦君

  小沢 和秋君     吉井 英勝君

  植田 至紀君     重野 安正君

  丹羽 雄哉君     大村 秀章君

  山口  壯君     井上 和雄君

  斉藤 鉄夫君     若松 謙維君

  吉井 英勝君     児玉 健次君

  小島 敏男君     森岡 正宏君

  白保 台一君     福島  豊君

  若松 謙維君     上田  勇君

  井上 喜一君     松浪健四郎君

  田中 和徳君     後藤田正純君

  葉梨 信行君     松島みどり君

  牧野 隆守君     西川 京子君

  上田  勇君     若松 謙維君

  松浪健四郎君     井上 喜一君

  塩川正十郎君     高木  毅君

  福島  豊君     田端 正広君

  若松 謙維君     石井 啓一君

  大村 秀章君     丹羽 雄哉君

  後藤田正純君     池田 行彦君

  高木  毅君     塩川正十郎君

  西川 京子君     牧野 隆守君

  松島みどり君     葉梨 信行君

  森岡 正宏君     小島 敏男君

  山本 明彦君     谷川 和穗君

  井上 和雄君     生方 幸夫君

  大石 尚子君     平岡 秀夫君

  大谷 信盛君     城島 正光君

  小林 憲司君     金子善次郎君

  今野  東君     岩國 哲人君

  鈴木 康友君     海江田万里君

  津川 祥吾君     中田  宏君

  筒井 信隆君     佐藤 観樹君

  中村 哲治君     原口 一博君

  長妻  昭君     松野 頼久君

  楢崎 欣弥君     五十嵐文彦君

  松本 剛明君     池田 元久君

  三井 辨雄君     仙谷 由人君

  石井 啓一君     若松 謙維君

  田端 正広君     白保 台一君

  藤島 正之君     中井  洽君

  山田 正彦君     鈴木 淑夫君

  石井 郁子君     佐々木憲昭君

  児玉 健次君     山口 富男君

  金子 哲夫君     辻元 清美君

  重野 安正君     横光 克彦君

同月二日

 辞任         補欠選任

  岩國 哲人君     家西  悟君

  生方 幸夫君     加藤 公一君

  城島 正光君     田中  甲君

  仙谷 由人君     首藤 信彦君

  中田  宏君     中村 哲治君

  平岡 秀夫君     阿久津幸彦君

  辻元 清美君     北川れん子君

  横光 克彦君     植田 至紀君

  五十嵐文彦君     山内  功君

  海江田万里君     武正 公一君

  松野 頼久君     山村  健君

  達増 拓也君     佐藤 公治君

  中井  洽君     黄川田 徹君

  山口 富男君     木島日出夫君

  植田 至紀君     山内 惠子君

  北川れん子君     今川 正美君

  池田 元久君     津川 祥吾君

  佐藤 観樹君     田中 慶秋君

  首藤 信彦君     江崎洋一郎君

  原口 一博君     小林  守君

  黄川田 徹君     都築  譲君

  佐藤 公治君     一川 保夫君

  今川 正美君     大島 令子君

  山内 惠子君     日森 文尋君

  加藤 公一君     永田 寿康君

  金子善次郎君     松原  仁君

  田中  甲君     大石 尚子君

  山村  健君     山谷えり子君

  一川 保夫君     山田 正彦君

  都築  譲君     西村 眞悟君

  大島 令子君     中川 智子君

  日森 文尋君     保坂 展人君

  阿久津幸彦君     水島 広子君

  江崎洋一郎君     小泉 俊明君

  小林  守君     伴野  豊君

  中村 哲治君     後藤  斎君

  山内  功君     渡辺  周君

  白保 台一君     赤羽 一嘉君

  若松 謙維君     太田 昭宏君

  西村 眞悟君     土田 龍司君

  山田 正彦君     塩田  晋君

  木島日出夫君     松本 善明君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

  中川 智子君     原  陽子君

  保坂 展人君     菅野 哲雄君

  中山 正暉君     山口 泰明君

  赤羽 一嘉君     北側 一雄君

  太田 昭宏君     上田  勇君

  山口 泰明君     中山 正暉君

  家西  悟君     岩國 哲人君

  大石 尚子君     城島 正光君

  小泉 俊明君     仙谷 由人君

  後藤  斎君     中田  宏君

  田中 慶秋君     佐藤 観樹君

  武正 公一君     海江田万里君

  津川 祥吾君     池田 元久君

  永田 寿康君     生方 幸夫君

  伴野  豊君     原口 一博君

  松原  仁君     金子善次郎君

  水島 広子君     平岡 秀夫君

  山谷えり子君     松野 頼久君

  渡辺  周君     五十嵐文彦君

  上田  勇君     若松 謙維君

  北側 一雄君     白保 台一君

  塩田  晋君     達増 拓也君

  土田 龍司君     中井  洽君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

  松本 善明君     山口 富男君

  菅野 哲雄君     横光 克彦君

  原  陽子君     辻元 清美君

  奥野 誠亮君     阪上 善秀君

  小島 敏男君     萩野 浩基君

  岩國 哲人君     中川 正春君

  辻元 清美君     阿部 知子君

  井上 喜一君     松浪健四郎君

  森田 健作君     近藤 基彦君

  阿部 知子君     辻元 清美君

  松浪健四郎君     井上 喜一君

  阪上 善秀君     奥野 誠亮君

  中川 正春君     岩國 哲人君

  近藤 基彦君     森田 健作君

同日

 理事池田元久君、佐藤観樹君及び原口一博君同月一日委員辞任につき、その補欠として池田元久君、佐藤観樹君及び原口一博君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取




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     ――――◇―――――

野呂田委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      池田 元久君    佐藤 観樹君

      原口 一博君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

野呂田委員長 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査亀井善之君。

亀井(善)委員 第一分科会における審査の経過及び内容について御報告申し上げます。

 本分科会は、昨日と本日の二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。

 まず、会計検査院所管については、内閣官房報償費等に対する会計検査のあり方など、

 次に、内閣所管では、内閣官房報償費の使途及びその改善策など、

 次に、内閣府所管については、国民生活センターの役割、男女共同参画基本計画の策定趣旨及び基本的考え方、盗難高級車の不正輸出防止策、交通事故防止策、暴走族に対する取り締まり強化の必要性、自衛隊における小銃等の調達価格の見直し、米軍厚木基地におけるNLP(夜間離発着訓練)の移転見通しなどでありました。

 以上、御報告申し上げます。

野呂田委員長 第二分科会主査自見庄三郎君。

自見委員 第二分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、地上放送のデジタル化、市町村合併の促進、参議院比例代表区への非拘束名簿式比例代表制の導入に伴う開票作業への影響、郵便局職員の人事交流のあり方、特例地方債の発行のあり方、財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団問題、電子投票システムの早期導入の必要性、障害者への選挙情報の伝達のあり方、地方公共団体と郵便局の協力の推進、政治主導による行政改革の必要性、NHKニュースのインターネットによる二次利用問題、地域の商店街の振興策等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

野呂田委員長 第三分科会主査宮本一三君。

宮本委員 第三分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、外務省の報償費等にかかわる諸問題、宇和島水産高校の実習船えひめ丸と米原潜グリーンビルとの衝突事故に関する問題、ブッシュ米国新政権に対する我が国の基本姿勢、ポーランドに対する投資支援、繊維製品・農産物に対するセーフガード発動問題、アフガニスタン問題、日本たばこの中長期的な経営ビジョン、国及び地方の財政再建の見通し、公安調査庁の調査権限、非嫡出子の差別規定の撤廃を含む民法改正、我が国の治安維持体制の整備、少年犯罪防止のための予算拡充等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

野呂田委員長 第四分科会主査細田博之君。

細田委員 第四分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、中高一貫教育の成果と今後の課題、三十人学級の早期実現の見通し、歴史教科書検定に係る諸問題、スポーツ振興に向けての政府の取り組み、サッカーくじの導入が青少年に与える影響、幼稚園と保育所の一元化の必要性、障害児教育の向上策、我が国の情報教育の現状、地震予知研究の推進、原子力安全対策、国際熱核融合実験炉(ITER)の国内誘致等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

野呂田委員長 第五分科会主査谷口隆義君。

谷口委員 第五分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、基礎年金財源の全額税方式化、年金積立金の運用状況、少子高齢化時代の雇用問題、医療安全対策、薬害問題、原爆症認定作業の迅速化、ものつくり大学設立の是非、ホームレス対策、角膜移植の推進、朝倉病院問題、プールの水質改善などであります。

 以上、御報告申し上げます。

野呂田委員長 第六分科会主査北村直人君。

北村(直)委員 第六分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、総合的環境施策の展開についての環境省の決意、「地球と共生する「環(わ)の国」日本」実現のための具体的方途、自然環境の保全に向けた環境省の積極的役割、廃棄物問題への対処方針、有明海におけるノリ不作問題、林業の荒廃問題及び今後の林業振興への取り組み、農産物セーフガード発動への取り組み、遺伝子組み換え作物の輸入規制の必要性、日中漁業交渉の経緯、農林水産業の担い手対策等々であります。

 以上、報告申し上げます。

野呂田委員長 第七分科会主査小林興起君。

小林(興)委員 第七分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、経済産業省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、鉱業法見直しの必要性、繊維セーフガード発動への取り組み、産業集積地域の整備方針、地場産業への支援策、風力発電推進の必要性、リサイクル製品への支援措置、愛知万博の進捗状況、今後の原子力行政のあり方、計量士の信頼性確保への取り組み等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

野呂田委員長 第八分科会主査栗原博久君。

栗原委員 第八分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管につきまして二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、二十一世紀における国土交通行政のあり方、ダム建設事業等公共事業の見直し、国道の整備状況、治水対策、中央リニア新幹線の整備、首都圏第三空港、中部国際空港及び地方空港の整備、平成十二年九月の東海豪雨被害の復興状況と支援策、中小建設業者の受注機会の確保、バリアフリー化の推進、公共交通のあり方、連続立体交差事業の推進等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

野呂田委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長古田佑紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。

佐藤(観)委員 御承知のように、村上前参議院議員と申しましょうか、自民党の参議院の会長と申しましょうか、きのう逮捕されたわけでございます。

 その前に、議員辞職のときに、総理に、議員辞職をされたことについてどう思いますかということを、私なりほかの方からいろいろとお伺いをしたわけでございますが、友人関係の話、それから自民党として、幹部として大変ショックだったというような話はございましたが、この事件というのは、かねてから言われておりますように、この事件だけじゃありませんが、政官業の癒着という、自民党が与党の間に非常にたくさんあったスキャンダルの典型なんですね、延長線上なんですね。つまり、業界の方からお金と票を出して議員をつくって、議員は役所に法案をつくらせ、あるいは予算をつけさせ、そして、役所はその後、そのつくったポジションにOBを送る、この政官業の癒着の、またこれは同じトライアングルの結果が今度の事件であります。

 したがって、これは、私もこの前も申しましたように、単なる村上、小山両参議院議員、あるいはKSD側の人が捕まったというだけではなくて、自民党の今日までの政界支配の基本的な構図がそのままあらわれたというふうに私は考えておりますし、世間もそう考えておるわけでございます。

 何でかつての労働省が、最初は反対だと言われておりましたけれども、これに応援するようになったか。これは、私は言いましたけれども、いわばOBというのを、ものつくり大学をつくればまた大量にOBを送ることができる。つまり、国民の税金を使って新しい職場をつくっているんですよ。

 こういう基本的な構図であるという認識及びその反省ということについて、その反省は総理にはございませんか。

森内閣総理大臣 KSD問題に関しまして、きょうは村上前議員が逮捕されまして初めて私は国会で答弁することになりますので、少し時間をいただきまして、自分の気持ちも申し上げたいと思います。

 村上氏が参議院におきまして指導的な役割を担っておられました方だけに、私としても大変残念でもありますし、また極めて深刻に受けとめております。

 所属議員が二人もの逮捕を出したということにいたしましても、自由民主党としての責任も重く受けとめておりまして、公党として国民の皆様に心からおわびを申し上げたいと思う次第でございます。

 今後、司法当局の捜査によって徹底的に真相究明が行われ、国民の前に真相が明らかにされていくべきものであろうと考えておりますが、私としても、重大な関心を持ってその進展を注視していきたい、このように考えております。

 今、佐藤議員からいろいろ御指摘がございました。佐藤議員がそのような政官業という、そういういわゆるトライアングルの構造というふうに、すべてをそう決めつけられることについて、私はその考え方にはくみすることはできません。

 この結果を見ればそのような形をとり得るのかもしれませんが、もとより、このことを意図してそうしたことがあったとは思えないし、また、それぞれ省庁に関係するそうした団体ができる、あるいは大学ができる、今の場合は大学という御指摘でございました、それによって、まさにそこに何人ものいわゆる官僚が派遣されるからその道を開こうと思ったとか、そんなことを考えてこうした政策が進められているというふうに私は思いません。

 少なくともこのものつくり大学については、るる、これまでそれぞれの閣僚からも、また私も御答弁を申し上げてまいりましたけれども、本当に日本の古くからある大事な伝統技術といいましょうか、そういうものを大事に大事に残していかなきゃならない。そして、昨今の若い学生諸君たちも、あるいは若い青年たちと申し上げていいか、そうしたことに関心を持たないということであってはならない。そういう思いから、そうした技術を持つ技術者を養成していこう、そういう発想の中で、こうした高等教育機関が必要であるということからスタートをした。私もそのように信じておりますし、そういう方向で村上議員も、もしそのことに対しての最初の発意者であるとするならば、そういう考え方で進められたものであるということは私は疑う余地はない、そういうふうに考えております。

 しかし、いずれにいたしましても、こうしたことはやはり行き過ぎてはいけないわけでありまして、やはり自分の心の中に問うて、絶えず自分の心の中で引き締めていかなければならないということは言うまでもないし、この事件、すべてまだわかりませんけれども、少なくとも今伝えられているようなことから見れば、そうした制御する気持ちが残念ながらなかったのかなという気持ちでは、私は、かつての友人としても、かつてというか今でも友人でありますが、友人としても本当に残念だったな、そう思っている次第であります。

佐藤(観)委員 ものつくり大学の是非についてはここで随分いろいろと議論をしたわけで、そのことの内容自体が決して悪いということを言っているわけではない。

 ただ、基本的に、KSDという、業界といってもそれ自体はそう大きくはないわけですけれども、いわば政官業という言葉で言えば、KSDのお金、票、これをバックにして、この場合主に労働省、あるいは文部省もかかわってきているわけですけれども、アイム・ジャパンになればまた厚生省もかかわってくるというようなことで、いわば役所を舞台にしながら、そしてその中に、村上元参議院議員を初め、法律をつくるあるいは予算をつけるという役割を演じた人がおるわけでありまして、そういった意味で、まさにリクルートにしてもそうでしたし、あるいはロッキードにしても、政界という場にしながら、政官業の癒着のトライアングルが今度の事件である。その中には、これから追及をいたしますけれども、歴代並んでいる総裁も、これから追及いたしますにせ党員事件には実はかかわってくるんですよ。

 したがって、今総理の答弁の前半の部分は、過日、村上参議院議員が参議院議員をやめるときに聞いた話でありまして、私がお伺いしたいのは、いわばKSD疑獄といいましょうか、これは政官業の癒着という、従来から自民党さんが与党としてあったこの構造から発しているもの、そういう視点、そしてこれを直さないと、いつもこういう事件ごとに自民党さんは言います。解党的出直し、こう言われるけれども、それは本当にそういう認識の上に立たなければ解党的出直しもできないのではないか。そういう決意が森総理にはあるんだろうか。どうもそのあたりがいつも言いわけと申しましょうか、ものつくり大学は内容的にはいいものだということで、すりかえがあるというのがいつもあなたの答弁なんですよ。

 そういうことじゃないんです。本当に皆さんの方が解党的出直しをしようと思ったら、この政官業の癒着の上にこのことが発生したんだということをしっかり認識をしないと、とても解党的出直しということにはならぬのではないか、そういうお考えがありますかと私はお伺いしている。

森内閣総理大臣 私はすりかえで答弁を申し上げているわけじゃありませんが、たまたま佐藤議員が、ものつくり大学ができて、それができるとまた労働省や文部省から人を派遣することができる、そういう受け入れができるからということを例示として挙げられたから、私はそんな思いで労働省も文部省もバックアップしたのではないということを申し上げたかったわけです。

 結果としてそういう形ができてきたということが、政官業、いわゆるトライアングルの構図ということの御指摘だろうと思いますが、私が先ほど申し上げましたように、やはりいいものをつくり、いい政治をし、いい政策を掲げ、そして行政に対してもいい指導的な立場をとっていくということが大事なんであって、そうしたことが行き過ぎるということがこうした不幸な事件を招くわけでありますから、そこにやはり、みずからを律する、制するという気持ちがなければならないということを申し上げたわけであります。

 解党的なことができるかということでありますから、こうしたいろいろ不祥事を越えて、また我が党もそうしたことの反省を乗り越えて、これまでいろいろな形で、政治資金、政治と金、そういうものに対して律するような措置は随分私どもとしても積み上げてきたというふうに考えております。

佐藤(観)委員 私が指摘するような、あるいは国民の皆さんがそう思っているような、この事件の起こった背景あるいは構図、政官業がもたれ合いでこういう事件が発生をした、そういう認識はどうもないようでございますので、次に角度を変えます。

 皆さんのお手元に三枚、ホチキスでとめた資料がありますので見ていただきたいのでありますが、「党費肩代わりの実態と自民党総裁・幹事長の任期」、こういうものが行っております。どうして自民党の総裁、幹事長というのまで書いたかということは順次御説明をいたします。

 それで、毎々この予算委員会でも、例えば、ここにございます一九九一年から九九年までのKSDがかかわった党員、これはKSD側の資料等もいろいろ突き合わせてやっているわけでありますが、党費のところにクエスチョンがついておりますのは、これは家族党員等いろいろやっておりますから、ちょっと必ずしも正確じゃないところもあるかもしれないということでしたわけでありますが、今日まで十年間の間に延べ四十三万五千九百人という党員をKSDあるいは豊明会等が自民党の党員としてつくったわけであります。しかしそれが、本当に自分たちが全く自覚がない、そういう方がほとんどだということは、随分この委員会でも明らかになってまいりました。

 片山総務大臣にお伺いしたいのでありますけれども、一体、個人が全く知らない場合に、その自分の属するAならAという団体が党費といってその党に納めるというのは、政治資金規正法上、四条、五条からいって、これは党費扱いにできますか。私は寄附だと思うのですが。

片山国務大臣 この委員会でも再三お答え申し上げておりますが、個々の事案については、それぞれの事案ごとの事実関係、これを精査しなければなりません、さまざまだと思いますけれども。

 今佐藤委員言われましたように、仮に当該団体が、本人との意思疎通も全くなく、当該本人が全く知らないまま党員の申し込みを行い、その党費相当額を政党に支払った場合においては、当該金銭の支払いは債務の履行とは言いがたい、党費とは言いがとうございまして、政党に対する寄附に該当するものと考えざるを得ません。

佐藤(観)委員 片山総務大臣の有名なあうん党員という、つまり、総務大臣が言いたかったのは、全くコミュニケーションがなくて別の団体が党費の肩がわりをしている、それは事実上、そのお金は、政治資金規正法上、寄附の扱いであるということであります。

 それで、この際ちょっとお伺いしておきたいのですが、きょうは法務省の刑事局長来ていらっしゃると思いますが、こういうように全く本人が知らないうちに某党の党員にされるということについては、これは有印私文書偽造の罪になる可能性があるというふうに私は解しておりますが、それはそういうことでよろしいですか。

古田政府参考人 ただいまのお尋ねは、ある具体的な場面を想定してのお尋ねでございますので、こういう問題につきましては、やはり事実関係等が明らかになった上で捜査当局等において判断されるべき問題でございます。

 一般的に申し上げますと、有印私文書偽造は、その文書が真正なものであるように装って使う目的で、権利義務、事実証明に関する他人名義の文書を他人の氏名あるいは印章を冒用して作成するということでございます。

佐藤(観)委員 したがって、私は、総務大臣も言われましたけれども、ある会に所属する個人に全く了解を得ぬまま、つまり意思疎通を欠いたまま私印を使ってB党に入党届を出すという行為、私は豊明会とかKSDとか言ってないんですよ、そのことは有印私文書偽造罪に当たる可能性があるんじゃないですかと聞いているんで、あなた、有印私文書偽造の説明だけしたって何にも答弁にならないじゃないですか。

古田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、そういうものが私文書偽造罪に当たるかどうか、あるいはその可能性があるかということは、先ほど申し上げました私文書偽造罪の構成要件に当たるかどうかの判断でございますので、これは事実関係を前提にして考えなければならない問題でございます。そういう意味で、答弁を差し控えたいと存じます。

佐藤(観)委員 そんなばかな話はないでしょう。時間のむだだ。

 ちょっとおかしなことになったけれども、昔、あなたたちの先輩で則定刑事局長というのがいたんだ。まことにいい答弁をなさった。一般論であれ、いい答弁をなさった。

 私は何も豊明会の話とかそういうことを言っているわけじゃないじゃないですか。本人の意思なくして、全く意思の疎通を欠いたまま入党届を出せば、そういう行為は有印私文書偽造罪に当たる可能性とまで言っているじゃないですか、私は。それも答えられないのかね。やめたらどうだ、局長を。

 そこで、時間のむだですから、先ほど総務大臣から言われましたように、そういうような行為は寄附に当たると政治資金規正法にはちゃんと書いてあるわけです、四条をとるか五条をとるかの解釈は別にしまして。そこで、そういう会の寄附ということになりますれば、当然のことながら、これは政治資金規正法上の量的制限に抵触しますね。量的制限を受けますね。

片山国務大臣 せんだっての答弁で冒頭申し上げましたように、個々の事案につきましては個々の事案ごとに具体の事実に即して判断されるべきものでありますが、今のお尋ねで、寄附になるとすれば、事実認定をしまして量的制限は受けます。

佐藤(観)委員 そうすると、量的制限では、いかなる団体の経費がありましても、一億円を超える寄附というのはできませんね。

片山国務大臣 いろいろな要件がありますが、現在一億円でございます。

佐藤(観)委員 そうしますと、当然のことながら政治資金規正法上、一つの団体から一億を超えるような寄附は、政治資金規正法上、二十二条の二、皆さんのお手元にも法律が行っておりますけれども、二十二条の二によりまして「受けてはならない。」と。そして、受けた場合には、違反をした場合には罰則、制裁がある。罰則、制裁の中身で申しますけれども、そういうことになりますね。

片山国務大臣 この問題で、党費と認識をして受けたものについては同法に違反しないものと考えられますが、一方、量的制限を超える寄附であることを認識して受けたものについては同法に違反しますから、それは罰則の適用があります。

佐藤(観)委員 そうしますと、寄附をした方も受けた方も、認識の問題はこれから、何か頼りないけれども刑事局の方で調べると思いますけれども、これは五十万円以下の罰金とか一年以下の禁錮とか、当然そういう罰則が一般論として、これは法の二十六条にかかわりますね。

片山国務大臣 この問題は、佐藤委員、基本的には事実認定、認識認定の問題でございますけれども、もし、今言いましたように量的制限を超える寄附であることを認識して贈り、受け取るとすれば、罰則の適用があります。

佐藤(観)委員 その受けた方が団体である場合には、団体も、あるいはその役員または構成員、これも両罰規定があって五十万円以下の罰金、あるいは、団体は監獄に入れるわけにはいきませんから、ありませんけれども、役員または構成員の場合には一年以下の禁錮または五十万円以下の罰金、こういう法律がありますね。

片山国務大臣 違反が明らかになるとすれば、罰則の適用があり、両罰規定の適用ももちろんございます。

佐藤(観)委員 そこで、これはちょっと余り今まで例がないと思いますが、団体の役員または構成員というのは、今までこういうのが抵触したことはあるんでしょうか。恐らくないと思いますので、どこまでかわかりませんが、いわばこの場合、団体と言っている場合には、今、事実認定でありますから、それは刑事局に調べてもらうにしても、この団体というものを今の現実に、これを豊明会に当てはめてみますと、団体のトップは森総裁であったり、かつては宮澤総裁であったり橋本総裁であったりするわけです。(発言する者あり)いやいや、受けた方だから。

 ですから、私はここに、一枚目に示しましたように、その当時の自民党の総裁、幹事長というのがこういう方々です。したがって、皆さん方も、それは事実上は知らないと思います。知らないと思いますが、しかし、法体系としては責任がある、こういうことになっているわけでありまして、もし具体の場合になれば、恐らく会計責任者とか、自民党の場合には経理局長というんですか、等々が具体的にはなるんだと思います。あるいは、そこの実務をやっている人になるんだと思いますが、法体系としてはそういうふうになっているのであります。

 ですから、森総理、余り人ごとみたいなことではないのでありまして、皆さん方歴代、海部総裁、小渕幹事長以来の皆さん方、これは宮澤財務相もしかりでございますし、あるいは河野外相もしかり、橋本大臣もしかり、こういう体系になっていますから、これは極めて重大なことなのであります。

 そこで、再々この委員会でも森総理・総裁にお伺いしましたけれども、これは実は、昨年十一月の秋の臨時国会からもこの問題は言われているのであります。そのことについては、KSDを所管いたします旧労働省の方で調べを待ってというような答弁も総裁もあるわけでありますが、いずれにしろ、きのうきょう起こったことじゃないんです、これは。そして、総理もお調べになるということを言っておられたんですけれども、もうきょう総括で予算が終わろうというときに、やはり御党の名誉にもかかわる話じゃないですか、これは。

 しかも、お配りをしておりますように、党員数の合計が四十三万五千九百人と言われている。党費も結局十七億四千三百万。これはバックがありますから、還付金四億六千三百六十万を引いたのが本部へ入っているんだと思いますけれども。いずれにしろ、これは法体系上、総裁及びお金を扱っている人というのは非常に責任が重いわけであります。一年以下の禁錮または五十万円以下の罰金、あるいは両罰規定もある。こういう体系になっているわけでありますから。

 再々、総理に、調べておりますかということについては、調べております、調べておりますと言っておられるが、聞くところによると、何かコンピューターでこれは全部わかるそうじゃないですか。では、だれに命じて、一体いつその報告が来るんですか。

森内閣総理大臣 佐藤議員のお話で、私は決してこれを人ごとのように考えておりません。先ほど申し上げたように、極めて深刻な問題であるというふうに私は受けとめておりますし、反省すべき点は反省しなければならないと考えております。

 ただ、我が党がこれまで進めてまいりました、党員を獲得し、そして党費が党に支払われるという、いわゆる入党の手続については、特にこれまでのこの形では一応問題はないわけです、手続上は。そして、所定の手続を経て党員登録がされている以上は、党がこれを正規の党員として受け付けざるを得ないわけでありまして、今佐藤議員からいろいろ御指摘ありましたような形で、いわゆるこの国会でも、この予算委員会でもよく言われましたように、幽霊であるとかもみ殻であるとか、いろいろ御指摘があったんですが、そういう形であったかどうかということは、党本部ではその時点ではやはり定かではないんです。そのことだけは、ぜひ、仕組み上、理解をしていただきたいと思うのです。

 そこで、このやり方が、こうした過ちがあったり、こうした大変行き過ぎた形があるとするならば、これをどうやってチェックでき得るか、そのことも含めて今党で検討をいたしておるところでありまして、あくまでもこれは党の中の問題でございますし、もちろん責任上は明らかにしていかなきゃならない点は明らかにしなきゃなりませんが、ここで詳細に、どういう経過があって、どういう形で、どういう方向へ持っていくということは、今の時点で申し上げるということは控えさせていただきたい。あくまでもこれは党の活動の問題でございますから。しかし、少なくとも法に触れるようなことはあってはならないということは言うまでもないことでございます。

 いずれにいたしましても、今、党として深刻にこれを受けとめながら調査をしておるということをぜひ御理解いただきまして、その結果等につきましては、また改めて党として御報告申し上げる機会があるというふうに御理解を賜りたいと思います。

佐藤(観)委員 今申しましたように、この問題はきのうきょうではなく、予算委員会が始まったのは二月の八日でして、そのときからもう各党から言われている話で。そして、調べている、調べていると言っても、これは単なる御党だけの問題ではなくて、政治の信頼にかかわる話なんですよね。

 したがって、森総理が一体いつこのことをはっきりするのか。きょうが最後でありますから、本衆議院予算委員会としては。なるべく早くきれいにした方が御党のためでもないですか。きのうきょう言い出した話じゃないんです、これは。さかのぼれば十年も前の話で、それからずっとですよ。しかも、今の話を聞いていると、どうもまた開き直りみたいで。前から調べる調べると言うんだったら、もう最後なんですから、きれいな結果を持ってきてもしかるべきことではないかと思いますが、どうも首を横に振っているから、時間が過ぎるだけでありますので、不満ですが。

 刑事局長、これだけ、私が指摘をしましたように、延べ四十三万人の人が有印私文書偽造罪に当たるんじゃないかと国会で指摘をされたら、当然のことながら、法務省としては、刑事局としてはこれを調査に入る、そういう答えがあってもしかるべきだと思いますが、いかがですか。

古田政府参考人 まず最初に申し上げておきたいんですが、法務省刑事局は捜査をする機関ではございません。

 お尋ねの件については、そういう意味から申し上げますと、捜査機関の問題だろうと考えさせていただくわけでございますが、どういう事柄を捜査するかというのは、これは捜査機関の判断にかかわることでございます。しかしながら、一般的に申し上げまして、検察当局その他捜査機関におきましては、諸般の証拠等を考慮いたしまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、これはきちっと対応するということになるものと承知しております。

佐藤(観)委員 この前、二十八日に、村上前参議院議員の証言の中にも、このにせ党員問題というのが追及をされまして、党においてしかるべき返済、返還ということも考えられるでしょうということを村上さんも言っておられるわけであります。

 これは、中小企業の人々が月々二千円ずつ掛金をして、そして百万人おって二百七十億集まった、その中からそもそも原資は出ているわけですね。あなたの方だって気持ちよくないんじゃない、こういうお金をずっと、合計にして十七億何千万というお金をそのまま党費の中に入れていくというのは。天下の公党として、しかも政党交付金をもらっている政党として、こういう疑いがかけられたらしっかりと調査をして、そして返すべきものは返す。確かに、これは時効は三年なんです、時効は三年でありますけれども、そういう時効の問題ではなくて、天下の公党として中小企業の皆さん方に、KSD自身はまだあるわけですから、やはりそこに返してしかるべきだと思いますが、いかがでございますか。

森内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、KSD豊明会、そしてこのKSD側の我が党の支部にかかわった皆さんがどういう形で党員を取りまとめられたのか、これがなかなか我々としても今承知していないんです。

 党としては、さっき言いましたように、所定の手続を経た書類が党本部に来ているわけでありますので、これは正規の党員として当然認めざるを得ないわけですね。それが、登録がなされている以上、正規の党員として、原則として手続を経なければ、党員を剥奪するということは、これは一方的にこちら側からはできない仕組みになっているということはぜひ理解をしてもらいたい。この事件が起きて、今となればやれるじゃないかということになりますが、当時としては、党員の手続をして、そして党員に入ってきてくださる方を一人一人チェックして、あなたは資格がないからおやめくださいということは、これは当時としてはとり得ない措置であったというふうに私は思います。

 そして、その間に党からいろいろな資料が送られています。あるいは党報、新聞等も送られております。あるいは、その間にもし総裁選挙があったとするならば、総裁選挙の投票用紙も送られていますが、もし自分が党員でないということであるなら、それは当然送り返されているのか、私どもにはそういう意識がございませんという何らかの意思表示が私はあるべきだろうと思いますが、私ども、今までの調査ではないんですね、そうしたことが。

 したがって、そこのところの調査が非常に難しいし、それをまとめられた方がどういう形でどういうふうにまとめて党員を集められたかということが、今の段階を、それを今調べているということをぜひ御理解いただき、コンピューターがあるから簡単だとおっしゃいますが、それは何万という人たちに一人ずつ会ってやらなきゃならぬということにもなるわけでありますから、ぜひその点は御理解をいただきたいと思う。

 そこで、今佐藤議員からありましたように、もし不正でそうしたことがあったということであれば、当然返還をしなければならぬと私は思います。ただ、問題は、返還を求めるというその請求があるのかないのか、そのことももう少し私はやはり調査をしていく必要があるのではないかというふうに思います。

 お返し申し上げるといってもお受け取りにならないケースもあるかもしれません。それは、今佐藤議員が言われたように、あるいはKSDであるとかそういうところにまとめて払えばいいじゃないかという意見があるかもしれませんが、それはちょっとやはり筋が、性格が違うんじゃないかというふうに思います。党員が返還をしろということである、あるいは、私は党員ではないし党費を知らないうちに払われた、それはぜひ返してほしいということであれば、これは私はお返ししなきゃならぬということは言うまでもないことだと思います。

佐藤(観)委員 総理の答弁では、その当時はわからなかったと。その当時はわからなかったと言われるけれども、今はそれから時間がたっているんです。それで、この件については野党である我々みんなが指摘をして、我々でも調べられるようなことなんですから。大体、そこにおたくの、自民党の支部があるかないかぐらいだってわかる。我々でもわかる話が、身内であるところの皆さんがわからぬわけがない。

 それに、しかも、大体いろいろなことを見れば、あなたは自民党のいろいろなものを送ったと言うけれども、それはだめなんですよ。党員を団体で、それを、書類を段ボール箱に入れて送ったら、そのまま本人に行かないんだから。支部に送って、それを焼いちゃったり、断裁しちゃったりしているんですから。そんな、申告がなければやらないみたいな言い方はやめた方がいい。もう少し党の信用として深刻にこれは考えた方がいいです。考えるべきです。

 今、ここで、やはり党としての正義感みたいなものが疑われるんですね。森総理が答弁すればするほど、いや、こちらはある程度のことは関係者から聞いて質問しているんですから、いかに全然調べていないかということがわかるということになるので、もうこの問題はやめますけれども、ひとつ十分認識を持って、正義感を持って、こういうような格好で集められたお金というのは月々二千円の共済金を掛けていらっしゃる方のお金ですから、しかも、こんな政治に使われるなんということは全然思ってもいない。

 もし自分の体がだめになったときに幾らもらえるという労災の上乗せのためにやっているお金がこういうようなことに使われた、そういうことからいったら、天下の自民党、しっかり調べて、そしてその不正な、全く党員ではない、寄附金に当たるそういったお金は、当然しかるべきところに返すべきであるということを申し上げて、その次に参ります。

 御承知のように、日銀が二月の二十八日に公定歩合を下げ、それから東京市場の株価もバブル崩壊後最安値を更新するということが続いております。

 それで、きょうは日銀総裁にお越しをいただいたのでありますけれども、一つは、去年の八月にゼロ金利を、解除するという表現がいいのかどうかわかりませんが解除されて、そのときも大変いろいろな議論がありました。それから、公定歩合を、この場合には上げ、そして二月の九日にはちょっと下げ、そして二月の二十八日にまた下げた。

 半年余の間に一体、大変きつい言い方をすれば、どうしてこんなに見通しが狂うような事態が起こったんだろうか。特に、二月の九日に公定歩合は下げ、そしてさらに今度、二月の二十八日。二十一日間、三週間ですよ。大変酷な言い方をしますが、どういう現象で、大体我々は知っていますよ、表面的には知っていますが、どうしてこれだけ大きく狂うような情勢になったのでしょうか。

 あわせて、見方によっては、これはそんな底が抜けるような、がたんと落ちるものじゃなくて、もう少し短期のものではないかという見方もあるわけですね、少数派か多数派かは別にして。そのあたりの経済情勢というのは、速水総裁はどういうふうに見ていらっしゃいますか。

速水参考人 お答えいたします。

 最近の公表されております経済指標を見ますと、次の三点が非常に大きな特徴だと思います。第一は、輸出の減少傾向がさらにはっきりするという動きの中で、生産が足踏み状態になってきたということですね。二つ目は、設備投資の先行きにつきましてもやや懸念される材料が出始めている。機械の受注、発注とか、そういうものです。三つ目は、金融資本市場の動きの中で、御指摘のように株価が低迷してきたということでございます。

 昨年の八月のゼロ金利解除のときと比べますと、海外経済の減速ということと、それから株の下落という、この二つの下方に向けて動くリスクというものがかなりはっきり現実化してきた。私どももこれはリスクとしては評価して考えてきたわけなんですけれども、それが現実化しつつある。これによって景気の回復テンポが鈍化してきておりますし、先行きの不透明感も強まってきているように思います。

 この間、物価の方を見ますと、やはり弱含みの動きが続いております。今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が再び強まる懸念があることに留意をする必要があると思っております。

 こうした状況のもとで、経済、物価情勢につきましては、これまで以上に入念に点検してまいりたいと思っております。

 そして、やはり最終的には、私どもできるだけのことはやってきているつもりですが、民間需要が構造改革のために動き出す、もう既に動き出してはおりますけれども、そういうものに対しても、私どもとしては金融サイドから十分市場を通じて資金を供給していきたいというふうに思って、最近相次いでこういう二つの措置をとった次第でございます。

 その効果は、九日の効果は、中期金利の低下といったような形、あるいは短期証券を買い取るといったような買い切りオペをやりまして、効果は既に上がってきていると思っております。

佐藤(観)委員 総裁に二点お伺いしたいのですが、一つは、量的緩和を求める声というのがありますね。ところが、いろいろ調べてみますと、M2プラスCDのGDP比というのは一一〇%から一二五%と、量的にかなりあるのです。貸し出しの方がむしろマイナスになっている。これ以上量的緩和をしてみても、ほとんど効果は期待できないのじゃないかというふうに私たちは見ております。

 それから、またゼロ金利に戻せという意見も当然いろいろちまたにはありますね。しかし、ゼロ金利というのは、まず預金者から見てみてもたまったものではないし、いろいろ資源の再配分ということからいっても決して好ましいことではないというふうに、それは私たちが思っているのでありますが、そうでございます。

 一体、量的緩和を求めるというけれども、今量的には十分緩和されているのじゃないかというふうに私なんか見ておるのですが、その点はいかがでございますか。

速水参考人 御指摘のように、私どもは、当面十分資金は供給しておるというふうに思っております。そのほかに、まだいろいろ、例えば長期国債の買いオペをやってはどうかとか、それからゼロ金利まで下げてはどうかとかいうようなことがちまたで言われておりますけれども、こういうものにつきましては、これまでの中央銀行としての経験あるいは歴史からいきまして、効果や副作用につきましては十分慎重な検討が必要だと思っております。

 特に、ゼロ金利にしましたときは御承知のように九九年二月で、まだ法律の方も整っておりませんでしたし、デフレスパイラルで大銀行がつぶれそうだという、まさにつぶれたわけですけれども、そういう直前に、財政の方も公的資金を入れようという動きが出てきますし、金融の方では、できるだけ危機を乗り越えるために、ゼロ金利というものをとった次第でございます。

 日本銀行としましては、その時々の経済情勢を踏まえながら、中央銀行としてとり得るさまざまな選択肢の中から、今必要にして適当であると思うことをやっていくつもりでおりますし、そうしてやってきたつもりでございます。

 持続的な回復を確実なものにするためには、金融システム面あるいは経済産業面の構造改革というのは、今申し上げましたように、ぜひ必要なことなので、これを私どもが言うのはおかしいのですけれども、国民の立場からしてもぜひ実現させていただきたい。

 それをするためには、いろいろなやはり投資を奨励するような措置が必要だと思います、税制の面も含めまして。そういうことを、各方面から構造改革を起こしていくといったような動きを今こそ出していただきたい、私ども金融はそのためのお支えをする、支援をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

佐藤(観)委員 構造改革の話はちょっと後でお伺いしますけれども、この前の記者会見で、今言われたように、ゼロ金利政策がいろいろと問題がある、買いオペもいろいろと限界があるというような中で、総裁が言っておられましたのは、ゼロ金利政策を含め、通常行われないような政策も慎重に検討する必要があるということを言われたのでありますが、なかなか手がないように思うんですが、今そういう事態まで至っていないからなかなか答弁は難しいのかと思いますけれども、何らかの示唆を、通常行われないような政策というのはどういうイメージなのか、もし言えるならばお願いします。

速水参考人 御指摘のように、ゼロ金利も通常行われない措置だと思います。資本主義経済の中で、一晩であっても、大量の金を貸すのに、ゼロで、金利を取らないで貸すなんということは、資本主義では成り立たないのです。そういうことをやったわけですが、それは、だからなるたけ早く通常の形にしたいということでございます。金利というのはリスクをカバーするためのものですから、これがゼロになっていくというのはおかしなこと。

 そのほかに、例えばインフレターゲティング、インフレの目標を掲げてはどうか。これは、今なかなか、物価の指数だって、必ずしも信頼できないということが起こるのです。そういう中で、インフレ率何%にしろというのはなかなか難しいことだと思います。

 それから、国債の買いオペをふやせ、これは、もう現状でも毎月二千億ずつ、二回、長期国債を買っております。それに加えて、今度、短期証券の買いオペを始めたわけですね。二月九日以降二週間の間に、既に三千億買っております。それは五倍の申し込みが来ているのです。これは金利が稼ぎたいから日本銀行に売り込んでくるのであって、やはりそういう市場機能というものを生かしながらやっていくということが大事だ。

 金融はそういう、ここはちょっと財政と違うところかと思いますけれども、市場機能を生かしていくということを前提にして考えていかないと、どういう思い切った措置といっても限度があるというふうに考えます。どうぞ御理解ください。

佐藤(観)委員 いや、限度のあることが私もわからぬわけじゃないが、それでもなおかつ、総裁が記者会見で、通常行われないような政策も考えると言われるから、どういう手があるのかなということを私はお伺いしているので、今言われたアイテムにおのおの限界があるのは私たちもわかっているので、そこで、長い中央銀行としての知識、経験を使ってどういうことをされるのかなと、きょうは総裁に来ていただいて楽しみにしておるのでございますが、再度お願いをいたします。

速水参考人 やはり私どもとしては、先ほどから重ねて言っておりますように、民間主導の構造改革が早く行われていくこと、それから、金融機関の構造改革といいますか、不良債権の直接償却といったようなこともその中に入ってくると思います。

 そういうものが起こってきたときに私どもは支えていくことは十分やっていきたいと思いますし、もう一つ申し上げたいことは、今、資金が必要なのに、寝ている資金というのは、御承知のように家計で寝ている千三百八十兆なんですね。これは、長い間の護送船団方式で、とにかく民衆の稼いだ所得は銀行に預けておれば銀行はつぶれることはないし、金利はどこへ預けても同じだということがこれまで続いてきたわけです。それが今度変わるわけですね。家計は家計で、これからどうやって手元の資金を運用するかということを考え始める時期に来ているわけです。

 そのときに、今こそこういう金を株の方へ流していくのにはどうすればいいか、あるいは国債に運用させるのはどうすればいいか。ファンドをつくったり、あるいは投資を助成する税制を、税をまけてやるとか、何らかの奨励策がきっかけになってそういう動きが出てくるのだと。この寝ている金が株や国債に動き出せば、今のこの危機は、やや時間はかかりますけれども、必ず解決すると思うのです。それに、需要の方で構造改革の需要が出てくれば、うまくミートしていくと思うのです。そのことをもう今から始めなきゃいけない。

 ドイツは現に、ここ数年、銀行預金から株へ移すのに奨励策をとったのです。それが見事に成功して、かなりの資金が銀行から株の方へ回っているんです。そういう前例もございますし、そういうことも含めて、この時期に、私どもも検討しますけれども、政府の方におかれましても何らかの措置がとられていくべきではないかというふうに考えておる次第でございます。

佐藤(観)委員 せっかくの機会ですから、宮澤財務相も含めてちょっとお伺いしたいのは、今、アメリカが急激に、思った以上に悪くなってきていますね、一々数字は挙げませんけれども。

 しかし、ちょうどきのうですか、ブッシュ大統領が予算教書を議会に送っている。それを見ますと、もちろん予算教書ですからここに出てくるような予算そのものではないけれども、片方でグリーンスパンさんはかなり青くなって、思った以上に下落しているというのは大変だ、こうやっているけれども、片方のブッシュさんの方は予算教書でかなり強気の、例えばこの十年間に平均三・一とか二とかの成長率を考えたり等々、かなり強気なんですよね。これはどういうふうに考えたらいいのか。つまり、短期的には確かに急激に下がったけれども、かなりやはりアメリカ経済というのは底がたくて、そんなに心配することないよと。

 これが日本経済にも関係するものですからお伺いをするんですが、そこは、どちらからでもいいですが、財務相、宮澤さんでも結構なんですが、そこはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

宮澤国務大臣 ブッシュさんは、かねてから一兆六千億ドルの減税をするということで選挙を済まされたわけですが、それが果たしていいかどうかという議論があっておりますうちに、短期的に米国の経済が少なくともこういう状況になったものですから、グリーンスパン自身も、こういう状況であれば減税というものはやはりプラスになるということを申した、それが追い風になったということでございます。

 おっしゃいますように、グリーンスパンの面している問題はやや短期の問題でございますし、大統領のされる減税はやや長期の問題ではあるが、両方とも今、グリーンスパンから見ても、大統領のやっておられることも決して自分の短期的な目的と反するものではない、こういうお話になっておるということだと思います。

 大統領自身は、十年間の平均成長率は多分三・三%というようなことを言っておられる。それは、長期的にアメリカの経済は悪くないと言っていますし、グリーンスパン自身も、アメリカの経済は強い、その点ではまた似たような認識でございましょうと思います。

速水参考人 アメリカは、昨年の前半までは年率五%の成長を遂げていたわけですが、そのアメリカが昨年末以降急に減速をしてきた。少なくとも本年前半は成長率がかなり低下するだろうということは、皆が見ているところでございます。

 ただし、日本と違うと言うとあれなんですが、彼らが自信を持っているのは、やはりIT関連の経済活動を軸としまして、アメリカの成長力、生産性ですね、生産性、競争力というものが十分ある。そこへ少しバブル的な金が出過ぎて、株が暴騰したりそれが急落した、あるいは製品が行き過ぎて在庫がふえたりしたといったようなことで今景気の減速が起こっているわけですが、FRBとしましても年初以降政策金利を相次いで引き下げる、これはちょっと異例なことだと思いますけれども、そういう政策をとって、政策の効果も徐々に浸透しつつあるというふうに見ていいのではないかと思います。

 米国経済の動向が世界経済に及ぼす影響がいかに大きいか、私どもにもアジアを通じ、直接間接に影響を受けているわけですから、引き続いて重大な関心を持って見ていきたいというふうに考えております。

佐藤(観)委員 柳澤金融大臣、今、日銀総裁からも直接償却の話がありました。これは、我が衆議院の財政金融委員会の方でも真剣にいろいろな議論がされております。ただ、御承知のように、銀行は国民の税金を注入しておるところもありますから、やり方には一定の限度、節度というのがいろいろとあると思うのです。

 それで、今の経済情勢を受けて、金融相としてはどういうふうに進めていこうとしておられるのか、その点の見解を伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 佐藤委員御存じのとおり、不良債権の残高が横ばいであるわけです。しかし、これが金融機関の健全性にとって大変な問題であるとは我々は認識していません。しかしながら、他面、金融機関の収益性、それからひいては貸出先の収益性、こういうことがやはり非常に大きな足を引っ張るというかおもしになっているのではないか、こういう認識で我々は今回、各金融機関に呼びかけて、この不良債権のオフバランス化、これを進めようではないかということを始めたわけでございます。

 今現在、各金融機関から、オフバランス化を進めるということを考えた場合に、何が一体障害なんだということを問い合わせて、ヒアリングをしているところでございます。もうかなりの時間がたっておりますので、私の立場にもいろいろな断片的な情報が来ているわけでございますけれども、なかなか、ある貸出先について稼働部門とそれから非稼働の分野をミシン目を入れるというか、そこを切り離すべく区画をするということ、これ自体がまず非常に見解が分かれるというか、そういうことも否定できない。

 しかし、それ以上に非常に問題なのは、実は、各貸出先に対する融資が一行だけで行われておるということが実はないわけでございまして、関係する金融機関が非常に多い。したがって、ここは不稼働資産だからこれはもう整理しよう、清算に持っていこうということをした場合、そこに当然損失が生ずるわけですけれども、その損失を各金融機関がどのように分担していくか、ここがやはり非常に意見を集約するのが難儀である、こういうようなことが多く伝えられているわけでございます。

 したがって、このあたりのことについて、私どもは、一体そこにガイドライン的なものが必要なのか、あるいはもっと具体的に仲裁役というか行司役みたいなものが必要なのか、こういうようなことを今いろいろと論議しておりまして、これはなかなか難しい問題なものですから、ここ一カ月ぐらいの間に、そういう一つの処理をする場合のフレームワークというかスキームというか、そういうものを何とかつくりたい。

 そして、これは両当事者、両方とも民間ですから我々は強制したり何かすることはできませんけれども、このフレームワークでひとつ今言った難儀な問題を克服できないだろうか、こんなことを呼びかけていくことによってこの問題を処理したい、こういうように考えているというところでございます。

 したがって、まず、私、ちょっと立ったついでと言っちゃ大変恐縮ですが、何か税務署の差し押さえ処分みたいにぺたぺた人の門前に来て赤札を張っていくというような、そういう話ではないんだ、何か倒産が続出するだとか、雇用は若干影響が出るかもしれませんけれども、雇用側に大変大きな悪影響が出るとかというのとはちょっと違いますよということを、まだフレームワークがしっかりでき上がっていませんから確言はしませんけれども、どうもちょっと直接償却という言葉のニュアンスからそんな感じを世間の人たちが持っておられるような節も見えますので、そこはそうでないんだ、もっと話し合いのもとで、お互いの合意のもとで、民間主導でやるんだということを、ついでと言っちゃ恐縮ですが、ぜひ御理解賜りたいと思って申し上げさせていただきました。

佐藤(観)委員 その問題についてもいろいろあるんですけれども、時間の関係もございますので。

 今のような低金利が続いておりますと、銀行は大変助かる、借りている企業も助かる。一番困っているのはお互い身近な生命保険です。これは恐らく銀行十社、経常一兆七千億ぐらいになるんじゃないかと思いますが、上位十社だけでね。それで、生保の方が、逆ざやの部分が一兆四千億ぐらいになるんじゃないか。さらに今度は公定歩合が下がりましたから、またこれは運用がなかなか難しいということであります。

 その途中のことはすべて時間の関係で省きますが、私は三つ提案したいのです。

 一つは、なるべく生保が運用益を出せるように、そのためには、今まで認可制になっております商品を許可制にして、機動力を増すようにしていく必要があるんじゃないか、それが一つ。

 それから、相互会社が多いわけですので、利益の八割はお金を掛けている人に還元しなさい、こういうことになっておりますが、この際、私は、時限立法でもいいから、例えば五年なら五年でもいいから、八〇%というのをもう少し下げて内部留保を厚くしないと、これは先々お互いに、国民ほとんどの人が掛けているわけで、一人が二・三ぐらいだったかな、掛けているわけですから、心配なので、こういうことも考えたらどうか。

 それから、株式会社でいえば授権資本をあらかじめ決めておいて、許可を、必要なときに発生をするように、生命保険の場合には基金でありますけれども、基金を一定の限度額まではひとつ大臣かから許可をもらっておいて、そして適宜資本の厚みを増すというようなやり方、こういうようなことをやらないと、これだけ超低金利がまた続いていくことになりますと、国民も非常に心配だし、ここがまた倒産ということになってそれがまた金融にいろいろな格好ではね返るということになったのではこれはいかぬと思いますので、今私が提案をしましたことについて、簡単で結構でございますから、もうたくさんの説明はいいですから、わかりましただけ言ってもらえば。

柳澤国務大臣 先生から大変的確な御指摘をいただいたと心得ます。

 我々は、逆ざや問題がさらに低金利のもとで厳しくなるということも十分認識をしておりますけれども、ただ、先生、一言だけ言わせていただきますと、もう釈迦に説法でございますけれども、保険会社の収益というのは利差だけから出てくるものではなくて、死差、費差、こういうものがありまして、今、収益の全体の姿としては黒字でございまして、それはそんなに、しりに火がついているというような状況ではありません。

 私どもは、ただ、今先生御指摘のような問題は、確かに経営全体の問題として、国民に不安を与えないようにするためにはフレームワークを改正しなきゃいけない、こういうことで、二月から金融審議会にこれをかけることに決定しました。今先生がおっしゃったことを含めて、大体八月ごろには審議会の結論をいただきたい、こんなふうなことで今進めているところでございます。御指摘を踏まえて審議を進めさせていただくことを申し上げる次第です。

佐藤(観)委員 最後に、例の機密費の問題でありますけれども、いろいろとここで審議をしましたが、なかなかわからぬ。予算委員会は予算委員会の限度においてその限り、その後は外務委員会の方でさらに、国民の税金にかかわる話ですから、していきたいと思います。

 過日の審議の中で福田官房長官は、上げてこられる数字はあくまで官房の機密費であり、かつ、使うのは、総理に官房の人と外務省の人がついていく場合の差額ということを言われたのであります。

 それで、大蔵省の人が、当時は大蔵省だから大蔵省と言わせてもらいますが、大蔵省の人が総理についていったときに、その宿泊の差額というのはどうだったのでしょうか。それは官房機密費から出るのですか。宮澤先生にそんな細かい話を聞いて恐縮ですが、たしか他の人の質問にもありましたけれども、私の聞いている限り、大蔵省はそういう差額は官房機密費からは出ていないというふうに聞いたのですが、それでよろしいですか。

宮澤国務大臣 総理大臣の海外出張に随行した大蔵省職員の旅費の差額でございますが、大蔵省といたしまして、大蔵省は機密費はございませんので、旅費から出して処理をしております。したがって、内閣官房報償費から差額の支払いを受けたという事実は把握しておりません。

佐藤(観)委員 それでは、その次に多いのが昔の通産省なんですね。通産省の人が行く場合にはどうなっていますか。

平沼国務大臣 宿泊費の差額の支給が行われたかどうかのお尋ねでございますけれども、保存されている会計書類を調査いたしましたところ、松尾元室長在任中の総理の外国出張の際には、そのような事実はございません。

佐藤(観)委員 農水省はいかがでございますか。

谷津国務大臣 農林水産省からの随行者が報償費から差額を補てんしてもらったという事実は把握しておりません。

 なお、平成十二年三月以前に農林水産省において差額を補てんした事実はございません。

佐藤(観)委員 昔の経企庁。

麻生国務大臣 私どもの方でもそのような事実を把握いたしておりません。

佐藤(観)委員 昔の郵政大臣、今の総務大臣。

片山国務大臣 当方もそのような事実は把握しておりません。

佐藤(観)委員 実は、まだまだ、法務省もそうだし、労働省の方もついていかれたことがあるのですが、警察を除いてはみんな一けたなので、聞いても恐らく同じだと思います。

 つまり、官房長官が言われましたように、内閣官房の機密費から出ているというのは、結局、内閣官房の方の旅費の差額と外務省の方の差額。細かいこともあるのです。本当は河野さんにもっと怒って言いたいことがたくさんあるのですが、ちょっと今そのことは除きます。これは過日平岡議員が整理をしましたので、ホテル代を持ってとか松尾がどうしたということはありますが、ややこしいからそれはちょっと省きますと、結局、官房機密費でその差額を出したのは、内閣官房の随員の方と外務省の随員の方、こういうことになるというふうに理解してよろしいですね。

福田国務大臣 前にもこれは答弁しておりますけれども、今回の差額、旅費差額と申しますのは、おっしゃいますように、内閣官房職員の規定分の宿泊費と内閣官房職員、また外務省職員及び他省庁職員の宿泊費差額、こういうふうに答弁をいたしております。これは松尾元室長に渡したものでございます。

佐藤(観)委員 そこで私は、昔の大蔵省どうですか、農水省どうですかと聞いたら、そういう差額は内閣官房の機密費から出ていないと。ほかのところも、みんな。

福田国務大臣 そこで、お答えいたしますけれども、本件につきましては既に捜査が開始されているところでございまして、その中で真相解明がなされていくもの、こういうふうに考えております。

 各省の公式随員一人一人について、実際に宿泊費差額が手渡されているかどうか、こういう調査につきましては、現時点で正確に把握することは非常に困難であるというように思います。捜査の進展も見ながら、その必要性の有無を含めて検討してまいりたい、このように思っております。

佐藤(観)委員 それは官房長官、あんまりな答弁だ。今あなた少し前に、他省庁のと言ったじゃないですか。そうすると、今度は、今警察に捜査されているからそれは答えられないとか。私は、だから、あらかじめ他の省庁はどうなっているのですかとお伺いしたら、他の省庁は、今重立った、二けたの方が随員で行かれたところを聞いてみたら、それはいただいておりませんと。ですから、内閣官房の機密費から出ているのは、内閣官房の方と外務省の方だけじゃないですかということになっているので、そうくるくる答弁を変えられたのでは、これは本当に審議になりませんよ。

福田国務大臣 渡された先のことは、これは御党の平岡委員が、以前にこの委員会でこの資料を配付しているんですね。ここにも書いてある。これは、私どもの答弁を見て書いたものだというように思っております。

 ただ、今申し上げますように、各省の一人一人のことについてこれを実際に把握するというのは非常に困難だということを申し上げているんですよ。ですから先ほどの答弁のようになったわけであります。

佐藤(観)委員 今の答弁は納得できません。それなるがゆえに私は他の省庁の方はどうなっているんだと聞いているのです。

 つまり、これは本問題の、一番最初からありましたように、やはり内閣官房の中に俗に言う外務省分があるのではないか。外務省の機密費なんかそっちへ行っているのではないか。だから、他の省庁の人のことは面倒見ませんよ、同じ総理についていった人の、他の省、つまり内閣官房と外務省以外は払ってあげませんよ、あとは自分のところの手前でやってくださいよということになっているのだ、これは。だからそうなると、やはりあの官房機密費というのは外務省からも上納金があるのかな、あるのだと言わざるを得ないので、今福田さんの答弁を聞いていたって、くるくる言うたびに変わるのだから、これはもう聞いていても時間の問題がありますので。

 最後に総理、十三日が党大会で、いろいろと皆さん、おろそうという方がいらっしゃるようでありますけれども、今どういうふうに決意を持っていらっしゃいますか。それを聞いて終わります。

森内閣総理大臣 今この予算委員会でも、佐藤議員を初めとして大変大事な意見が出ておるわけでありますし、また、政府としても一生懸命当面の課題を解決しなければならない。あるいは、二十一世紀のこれからの百年、その最初の十年が極めて大事だということを私は本会議でも申し上げてきたわけでありまして、まさに当面する課題と、そして、これから十年間我が国にとりまして極めて重要な施策をこの国会に多く実は御提言を申し上げ、また御審議をいただく法案もたくさんございます。そうした責任を、内政、外交すべてにわたって私は全知全能を傾けて一生懸命努力したいというのが、今の私の心境であります。

佐藤(観)委員 終わります。

野呂田委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 総理初め担当大臣に、数点にわたりこの予算に関連してお尋ねを申し上げます。

 まず第一に、総理の外交姿勢でございますが、二十六日の本委員会での私の質問に対して、沖縄の県民の皆様への大変な思いを語られ、そして地位協定の見直しということに、総理は視野に入れてという形で言及をされました。歴代総理の中で日米地位協定の見直しに言及されたのは森総理だけであります。私はそのとき、沖縄県の長い苦悩の歴史を考えるときに、胸に迫るような思いがいたしました。

 総理、どのようなスケジュールで、どのような形で米側の理解を求め、見直しを進めていかれるのか、お尋ねを申し上げたいと思います。

森内閣総理大臣 先般私が御答弁申し上げたことを原口議員がどうも一方的に解釈をされているような感じがいたします。私はそのときの答弁のすべての要旨をここに持っておりますが、改めてこれを読み上げるというようなことをしても御迷惑だと思います。

 地位協定の問題につきましては、これは村山元総理もまた橋本元総理も言及されておりますように、歴代の内閣も真剣にこれについては取り組んできているところであります。

 先日、私から申し上げましたとおり、まずは、閣議決定にあるとおり、運用の改善によって個々の問題に機敏に対応することが重要である、こう考えておりますが、それが十分効果的でない場合は、これは相手のこともありますけれども、地位協定の改正も視野に入ってくると考えられますと、こう申し上げたと思います。

 米側と具体的にどのように協議を進めていくかにつきましては、関係省庁におきまして対応を検討することとなりますが、既に、先般河野外務大臣より外務省の事務方に対しまして、起訴前の被疑者の身柄の引き渡し問題について、平成七年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意における「その他の特定の場合」の明確化につきまして米側と協議をするように指示があったところでございます。

原口委員 そのときの議事録、これはまだ未定稿でございますが、「これは相手もあることでございますけれども、地位協定の改正も視野に入れていくべきであろう、」とはっきりお話しになっておるわけで、これはあくまでその前提に見直し、運用改善が不十分な場合という留保がついているというふうに理解をしております。

 さて、先ほど我が党の佐藤委員の方から質問をさせていただきましたけれども、本当に聞けば聞くほどわからないのは官房報償費の問題でございます。

 委員長のお許しをいただいて理事会で、これはプライバシーの関係がございますし、捜査の関係もありますので詳しくは申し上げることができませんが、松尾元室長名義の第一勧銀口座の残高について、私たちは政府から資料をいただきました。

 きょうの審議の中でも非常にわからないのは、私たちには、他省庁の分の旅費や差額分も入っている、このことは、今答弁が一分前と一分後が違った。

 もう一つここでわからないのは、平成十二年の十月三十日、残高合計の確認ができる最後、普通口座と定期口座の額がここに書かれています。その後が平成十二年の十二月二十七日、詳細記録を持つ最後ということで、この二カ月間の間に大変な金額が普通口座でもふえている。そして、定期口座については、これはもうわからないということが報告をされている。大変な事実だと思うのですね。

 なぜわからないのか。そして、二カ月の間に、金額は申し上げません、信義の問題がございますが、びっくりするような額が上がっているのは、委員長もそして理事の皆さんもごらんになったとおりでございます。私がここで出任せを言っていることではない。なぜこんなことが起こっているのか。外務省はどうお調べになったのか、外相にお尋ねを申し上げます。

河野国務大臣 室長が室長職から離任した以降の問題でございますが、離任以降の残高は御指摘のとおり減少しておりますけれども、横領、すなわち公金を私的目的に流用したことを特定するに当たり、同期間に口座にあった金のうち、どの程度が私金か公金かが特定できなかったこと、かつ、口座からの支出の使途について特定できなかったことにかんがみまして、横領の疑いが明白であるとまでは言い切れず、告発の対象としなかったということでございます。

原口委員 質問をお聞きになって、私はこれは通告しているんですね。

 競走馬購入直前より室長離任時の方がふえているんですよ。そして、皆さんが告発されたのはことしの一月でございますが、そこではもう定期口座については幾らかわからないという報告なんです。私は、これではこの予算審議自体もできないということは総理の前でも申し上げましたし、そして大変な公金が、ひょっとするとこの十二月の二十七日にすべておろされて、そしてどこへ行ったかわからないということになっているのではないかという危惧を持つわけでございます。私は、国会でこういう議論をしなければいけない、信じられない思いだということを前に申し上げました。

 どうぞ外相、なぜ十二月の二十七日、この定期口座の確認がされないのか、明確に理由をお述べください。

河野国務大臣 なぜそうなっているかという御質問でございますけれども、私どもにもそこは資料の提出が本人からございませんので、私どもには調査できなかったということでございます。

原口委員 それではお尋ねしますが、平成十二年の十二月二十七日、私どもは、普通口座も定期口座もお調べになったんだというふうに思っていました。しかし、私たち予算の理事会にお示しをいただいた資料を見ると、そうではなかったんだ。

 平成十二年十二月二十七日にこの松尾元室長の身分は何ですか。

河野国務大臣 これはどういうふうに申し上げていいかわかりませんが、委員長並びに理事会の皆様には資料をお示しいたしてございますが、平成十二年十二月二十七日の口座の残高につきましては、普通口座についてのみ私どもが知り得ておりまして、定期口座については知り得ていないのでございまして、その点は御説明を既に申し上げていると思います。

原口委員 委員長、私の質問に、そんな細かい質問を私はしているつもりはございません。閣僚の皆さんもですね。このときに松尾さんの身分は何だったのかということを伺っている。簡単なことだと思います。

河野国務大臣 十二年十二月当時、松尾元室長はサミット準備室の次席でございます。

原口委員 これだけ重大な疑惑があり、提出をいただいていない。それでは、一体幾らが横領されたかもわからないし、どのような形で私たちが審議をすればいいかわからない。答え方がわからなければ聞き方までわからない。

 委員長にお願いします。

 私は、きょう、この後さまざまな日程があるということでございますが、そのことにはあえて触れません。しかし、このまま、官房報償費、外務省報償費を私たち予算委員会が何の言及もなく通してしまうことについては、今の御答弁一つとってみても大きな危惧を感じます。理事会で御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

野呂田委員長 先に外務大臣の御答弁がございます。

河野国務大臣 繰り返して御質問でございますけれども、私どもは、外務省として、できるだけ早く疑惑部分の調査をいたしまして、できるだけ早く、横領の疑惑が明白になった部分について警視庁に告発をいたしております。

 私どもが告発をいたしました五千数百万の金額につきましては、これが疑惑のすべてではないだろうということを、私はここで何回も御説明をいたしました。そして、その疑惑の解明は、警視庁に告発をいたしましたので、捜査当局にお願いをしている。その捜査当局の捜査について、外務省は全面的にこれに協力をするということを繰り返し申し上げているわけでございまして、それ以外の部分についてお尋ねがございましても、私どもには強制的な捜査権もございませんので、捜査の方法がないわけでございますから、それは捜査権を持つ捜査当局にお願いをする以外にないということを、繰り返し申し上げているわけでございます。その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。

野呂田委員長 委員長からお答えいたしますが、今の原口議員のお話につきましては、引き続きひとつ協議してまいりたいと思います。

原口委員 ありがとうございます。

 私金と公金の区別がつかなくなっているということを再三再四おっしゃっているわけです。どうしてここで、その公金の保全の措置をとられないのか。

 そして今、サミット事務局の次長だということをおっしゃいましたが、公金横領事件の松尾元室長については、新たに九州・沖縄サミットに関連した収賄疑惑も浮上をしています。本件の事実をつかんでいらっしゃるのか、外務省として何らかの調査を行っていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。

河野国務大臣 一部新聞で報道された件についてもしお尋ねであるとすれば、私どもは、今調査をいたしております。

原口委員 九州・沖縄サミット、大変大きな行事でございました。沖縄イニシアチブ、クリントン大統領がお話しになって、若い人たちの日米の交流のかけ橋、このことを提言された。森総理もそこで大変大きな力を入れられた。

 このことが、あれは九百億近いサミットの費用、このことについていろいろ言う人はいました。しかし、沖縄でやってもらって本当によかったな、そういう思いを持つ国民、ほとんど多くの国民がそういう思いだったと思います。しかし、そのサミットの裏でこういう疑惑が起こることはとても許せない。あるいは、疑惑の報道がなされることは、大変残念なことであります。

 このことをお話ししていても、外相は同じようなお答えをされます。次に進みます。

 きょう、日銀の総裁にお見えいただいていますが、先ほどインターネットで検索をしますと、株価は一万二千四百円台、大変な急落をしています。そして、二十八日ですか、公定歩合を〇・一%お下げになった。これはどういう理由でお下げになったのか、総裁にお答えいただきたいと思います。

速水参考人 お答えします。

 二月の九日に新しい政策を発表しまして、二週間余りでまた金利を下げたのはどういうことかという御質問かと思います。

 先ほどもお答えしたんですが、それ以降の数字を見ておりますと、輸出の減少傾向、それからそれに伴って生産の足踏み状態、それから設備投資の先行きについて懸念が出始めている、それから株価が低迷しているといったようなことを踏まえますと、景気の回復テンポは一段と鈍化しているように思えましたし、先行きの不透明感が、これは株価にしても、アメリカのこれからの動向にしても、金融機関の不良資産の償却をどれぐらいのスピードでどういうふうにしていくかといったようなことにつきましてもまだわかっていないわけですが、物価の方も弱含みの動きが続いております。

 こういった状況のもとで、経済、物価情勢についてはこれまで以上に入念に見ていかなきゃいけないというふうな判断をいたしました。金融面から景気回復を支援していくということを考えていきますと、物価の安定に資するという目的のために決定したのが今回の措置でございます。

 日本銀行は、日本経済が民間需要主導の自律的な回復軌道に復することを目指して、今後とも機動的、弾力的な金融政策運営に努めてまいる方針であります。

 日本経済の持続的な回復を確実なものにしていくために、金融システム面や経済産業面での構造改革は不可欠の条件です。こういう構造改革に向けた取り組みが一層速やかに進展していくということを強く期待しておるわけでございますが、民間の構造改革が需要を生み出す、我々はそのための下準備としても金融市場への配慮を行っているつもりでございます。

 何か少しずつ小出しにして、腰が引けているじゃないかといったような御批判が新聞などにも出ておりますけれども、私どもはむしろ、そういった先行きが不透明なことが多い中で、前向きに手を打っているつもりでございます。

原口委員 先ほど、いわゆる金融サイドから十分な資金を上げている、資金を供給している。むしろ、私たちの日本経済を見るときに、左手に過剰な流動性、右手に国債の大きな残、そして不良債権の残、こういったものの間でバランスをとりながら、微妙なバランスの中で――公述人の幾人かの方がおっしゃいました、まだ体力が回復されないから、やはり思い切った財政出動をすべきじゃないかと言う方もいらっしゃいました。しかし、ことしより来年、来年より再来年、それが、世界経済が上向くという確信を持てればそれでいいかもわからない。しかし、今のような大変大きな不良債権を抱えながら構造改革を先送りする、あるいは財政構造改革を先送りすることは、リスクを拡大させていくんじゃないか、私はこのように考えています。

 先ほど日銀総裁がインフレターゲット論を明確に否定された。昭和七年に日銀が国債引き受けをして、そして経済のアンカーである日銀がどのようなことになったか、経済がどのようなことになったか、日銀百年史の中に痛恨の事件として書かれています。ともすれば日銀の独立性を奪うような、そういう議論もございますが、今お話しになりましたような、インフレターゲットを明確に否定し、そして金融のアンカーとしての決意をぜひここで御披露いただきたい、このように思います。

速水参考人 これから先、経済がどういうふうに展開していきますか、不透明なことが非常に多いわけでございますけれども、私どもは、物価につきましては、インフレでもないデフレでもない、ゼロインフレといいますか、安定した状態に持っていくことが私どもの任務だと思いますし、物価を安定させながら、それを通じて経済の安定的な成長を続けていく、始めていくということがこれからの向かうべき方向であると思います。

 そのためには、内外情勢の展開をよく見ていく必要がありますし、適切な手を打っていきたいと思っておりますが、今おっしゃったような長期の国債を無制限に買っていくということは必ず後になって副作用が出てきて、救いがたい状態になったケースは、先ほど御指摘の昭和の不況から戦争に至る事態、あるいは第一次大戦後のドイツの事態、最近のイタリアの事態、どのケースを見ても、それは始めると、なかなかとめられないことなんですね。そういうことはやはり最初から十分注意して政策を進めていくべきだと思いますし、インフレをターゲットにするということにつきましても、それを言っただけで、やはり巨大な蓄積を持っておられる家計は、インフレになるのかということだけで驚くだろうと思うんですね。そういうことはやってはいけないと思っております。

原口委員 ありがとうございます。総裁、どうぞ。

 そこで、柳澤大臣にお尋ねをしますが、直接償却という言葉がひとり歩きしているような気がいたします。私は、これはとても危険なことだというふうに思います。今も現に直接償却はやっているわけで、大体、不良債権の流動化、法的整理に伴ういわゆる直接償却、債権放棄、それから部分償却、この四つがいわゆるオフバランスシート化の中にあって、柳澤大臣がおっしゃっているのは、このオフバランスシート化のことをおっしゃっているんじゃないかと私は思うわけでございますが、いかがでございますか。

柳澤国務大臣 そのとおりでございます。

原口委員 やはりテレビとかで政治家が出て、そして非常に不完全な議論をする、そのことを私たち、自戒を込めて反省をしなきゃいかぬというふうに思います。

 このまま不良債権を銀行が抱えたままですと、収益性に問題がある、コストはかかるけれども収益は生まないものをいつまでも抱えるわけですから、あっという間にやる、公平にやる、透明にやる、こういう三つの原則で果敢にやることが必要だというふうに思います。

 ただ、森内閣になって、総理、約八千円ほどの、日経平均株価が落ちています。この平均株価の下落が銀行の自己資本に与える影響をどのようにお考えになっていますか。

柳澤国務大臣 ちょっとあれでございますけれども、せんだって、九月末の日経平均で申しますと、株式の価格は一万五千七百四十七円であったわけでございます。きょう、本当に私ども、残念なんですけれども、先ほど先生が御指摘になられたような相場ですが、一万二千四百円台ということですが、仮に一万二千六百円台がちょうど二割減、一万五千七百四十七円の九末の株式相場からすると二割減でございますけれども、これでどのぐらい自己資本比率が影響を受けるかと申しますと、これは単体ベースと連結ベースと二つあるわけでございます。単体ベースの方が厳しく出ますが、それで申しますと、〇・八%の自己資本比率の低下を招く、こういうことでございます。

原口委員 また、こうやって自己資本比率が落ちると、一体、中小企業の人たちはどうなるんだろうか。例えば、私たちは今度の予算の組み替えの中に、総理、公共事業の大幅な見直しを入れています。

 今地元とか歩いてみますと、大きなゼネコンに、巨大な資金を注入された銀行がそのゼネコンのいわゆる不良債権を棒引きにしてくれて、そして、元気を取り戻したところが地方へ出ていっている。地方の、今まで支えてきた多くの中小の建設業は、とても信じられないような価格競争にさらされて、もう悲鳴を言っています。私は、このようなことが本当にあっていいんだろうかというふうに思います。片っ方では借金の棒引きがあり、そして一方では、それをもとに、全くまじめに頑張っていた人たちが大変大きな影響を受ける、どこかおかしいんじゃないかというふうに思います。

 また、ゼロ金利政策が続いて、銀行の方の収益は確かに上がったかもわからない。しかし、生保の方は一体どうなっているのか。この逆ざやが続けば続くほど、国民生活に最も密着をしている生命保険の破綻。私も、多くの皆さんが、自分の生命保険はどうなるんだ、こういう不安を持っていらっしゃる声を幾度となく聞きました。

 金融大臣にお尋ねをしますが、今の生保が抱える問題について、どのような処方とお考えをお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。

柳澤国務大臣 生命保険会社は、先生今御指摘のいわば利差、これは予定利回りと運用の実績利回りとの差でございますが、これが逆ざやになっているということがございますが、保険会社の収益というものはその関係だけですべて結果するというものではございませんで、御案内のとおり、死差、費差というような他の分野での収益というものもトータルに影響するわけでございます。それを全体として我々が評価しておるわけですけれども、現在においても、なお全体としては黒字基調でございます。

 しかし、確かに逆ざやがあるということは事実でございまして、したがいまして、生命保険会社の経営全体について検討をしよう、そういうことを我々は方針を決めまして、去る二月から金融審議会にこの関係の、つまり全体の生命保険会社の経営問題、これには、先ほど佐藤先生御指摘の業務面、財務面、それからディスクロージャー、あるいはコーポレートガバナンス、こういうような各面をトータルにして審議をしてもらおう、こういうことになっておりまして、現在、審議が始まったという段階でございます。

原口委員 今の経済状況、この株価の下落も、アメリカのナスダックの大きな下落が日本にも心理的な影響を与えているんだと。一方で、我が国の場合は、総理は非常に、一つの決断をされたかのようなお顔をされていますが、与党の中から早くやめてくれだの、あるいはきょうも幾つかの地方議会が即刻退陣を求める決議というのをしています。こういったことが起こって、アメリカはナスダック、日本は政権がレームダックになっている、このことが多くの国民に大変な不安をもたらしている。

 なぜこのように政権基盤が揺らいでいるのか、総理はどのようにお考えになりますか。なぜこのようなことが起こっているのか、支持率の低下も含めてお答えをいただきたいと思います。

森内閣総理大臣 現在の経済状況については、私も大変心配をいたしております。あと一押しというところまで来ておりますときだけに、今議論が出ておりますように、アメリカ経済また株価の低迷、いろいろ要因はあろうと思います。しかし、まずはやはり前回の補正予算を早く執行しその効果を上げていくことと、そして今御審議をいただいて、でき得ればこの十三年度予算を年度内にぜひ成立させていただきたい。そういうことをまた国民の多くの皆さんも期待していると思うのです。

 この予算の動向というものについても国民の多くの皆さんがやはり大変関心を持っておりますし、それは、我が国だけではなくて、世界全体から見ても日本のこの国会運営についても関心を持っているということであろうと思っています。

 先ほどの佐藤議員の御質問にもお答えを申し上げましたように、今はただ、この予算がしっかり通り、予算関連案がしっかりと国会を通り、そして幾つかの構造改革――構造改革を示せということはよく皆さんから御意見が出ます。経済を中心にする構造改革、行政改革あるいはまた教育改革、すべてこれはサプライ側のサイドです。このことを一生懸命やり遂げることによって、日本の国の構造が改善をされていく、改革をされているということが世界の目に映ってくる、そのことが大事だ、私はこう考えて、皆様方のこの国会における御協力をぜひお願い申し上げたい、こう思っている次第であります。

原口委員 構造改革が必要なこと、私はおっしゃるとおりだと思います。しかし、今回の予算の中に、その構造改革のメッセージがどれほど入っているか。特に雇用ということについて、それから省庁再編、行政改革。

 先日、行革担当相のところで若手の官僚の方々の調査をされたやに聞いています。それはどういうものでございましたでしょうか。

橋本国務大臣 先般発表いたしましたのは、公務員制度改革の検討の参考にするために、一月の下旬から二月の中旬にかけまして、行政改革推進事務局が、各府省に勤務します若手の職員、あるいは一部民間の方々、さらに一部若くして公務員から去っていった職員、こうした方々を対象に、日ごろ感じている問題意識、あるいは公務員制度改革に期待することを忌憚なく述べてほしいということで行ったヒアリングでございます。

 一部、私も一緒に同席して聞かせていただいた部分がありますが、細かい報告が必要ですか。(原口委員「概略でいいです」と呼ぶ)はい、わかりました。

 一つは、ヒアリングをしてみますと、幾つかの共通点の中で、慢性的な長時間労働というものを解消してほしい、そして政策をじっくり考えたり勉強する時間が確保できるようにしてほしい、あるいは、公務員バッシングの空気の中で公務員という職業に誇りを持てないという大変危惧すべき意見もありました。同時に、公務員においても信賞必罰を徹底して一生懸命仕事をしている人が報われるようにするべきだ、専門性を高めてみずからのキャリアアップを図っていきたい、そういった積極的な意見も出されました。これを今私どもはベースに、今後の公務員制度のあり方についてその大枠の作業の土台としております。

原口委員 私は、その中に、やはり政が官に何を要求しているのか公表すべきだ、これは新聞の報道でございますが。あるいは、政治主導の名で本来あるべき政策がゆがめられている、こんなことが報道に載っていました。実際に、官であれ民であれ、もたれ合いの構造があれば、それは幾ら官を民に民営化したところで全く同じだと思います。むしろ、その前向きの中の意見でありましたように、官の信頼性を取り戻すことが一番だ。

 そのためには、今回の大きな疑獄のようなことを起こさないために、さらにオープンにする、情報を公開する、そしてそれぞれのパフォーマンスを国民の皆さんにお知らせする、このことが大事だというふうに考えます。

 中央省庁再編基本法の二十九条の中に、政策評価というものをうたっております。私は、戦略そして政策、そして政策の効果、さまざまな面からそれを数値化し、それを国民の皆さんにしっかりとお示しする、あるいは、政治家が官に対してさまざまな要望やさまざまな要請をすることも、これも一定の基準を設けて公開をしていくべきだ、このように考えますが、橋本行革担当相の御所見をお伺いいたします。

橋本国務大臣 ちょっと最後の部分がもう一つ、私は議員の一定のとおっしゃる一定のが何を指すのかわかりませんので、正確なお答えにならないかもしれません。

 しかし、行政の公正性ですとか透明性を確保するというのは、これは当然のことであります。そして、本年の四月から施行されます情報公開法にも一定の不開示情報の基準は設けております。そして、その基準に該当するもの以外は開示をされることになっているわけであり、私は、これから先、この情報公開法の円滑な施行への努力を初めとして、引き続き国民に開かれた透明性の高い行政に努めてまいりたいと思っております。

 その上で、先ほど一定の基準という言葉を使われましたので、ちょっとそこは、私はその基準がわかりませんので、お答えのしようがございません。

原口委員 私が考えます一定の基準というのは、やはり政治、私たち立法府の側が、官庁にさまざまな請託や、あるいは、例えば一つ一つの事業に対してさまざまなお願いをする、そういったことについても、オープンになれるところとなれないところとあるだろう。箇所づけやいろいろなところにまで口を出してくる、政官業の癒着、こういったことをしっかりと担保する上で、個々の項目については言えないかもわからないけれども、しかし、何々議員から何日にどういう省庁に話があった、こんなこともオープンにしていくべきではないか、このように考えています。

 三年前に、財政構造改革法を審議しているときに、私は、当時の郵政省の皆さんにお願いをして、膨大な資料をつくっていただきました。ここにございます。これは、全国五千の特定郵便局の、いわゆる郵政三事業ごとの収支、コストとそれから収入でございます。

 何でもかんでも官を民にすればいい、これは私は暴論だというふうに思います。しかし、ことし再びこの各郵便局の収支を出してくださいというお願いを政府にいたしました。要請をしました。出てきません。聞くところによりますと、新たな地方自治の、さまざまな住民票あるいは登記簿謄本、これも郵便局でとれるようになる、こういうことも考えていらっしゃるようでございます。しかし、それぞれの個々の郵便局のパフォーマンスがわからなければ、どうやってそれを私たちは判断するか。そこに導入していいのか、過重な労働があったり過重なお仕事があるのかもわからない、どうやってわかればいいのか。

 こういったことについては、その年々に政府の態度が変わるのではなくて、日ごろから数値化をする努力が必要ではないかというふうに思いますが、総理、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 お尋ねが二つ一緒になっているような気がいたしますので、一つ一つまずお答えいたします。

 平成九年の当時、郵政審議会が、二十一世紀を展望した郵便局ビジョンをつくりたいというので、今委員が言われました郵便局ごとの収支をというお話がありましたので、これは一定の仮定の上に業務量を案分して出したわけでありまして、少しも正確なものじゃないんですよ。何でかといいますと、郵政三事業は二万四千七百の郵便局のネットワークで仕事をしているんですよ。

 例えば郵便事業をとりましても、収入は郵便を出すところに入るんですよ。そうでしょう。それで、出したところが、今度は集中局に持っていって、配達する集中局に持っていって、配達局に持っていく。その間、トラックその他で運ぶ。それは全部、今度は支出の方はそっちの方に入るんですね。運送費は、これは地方郵政局になるんですよ。貯金でもそうでしょう。貯金でも、まとまったものは今までは資金運用部でやる、国債を買う。だから、それは本省に一括で入るんですよ。支出の方は、利子を個別に払うのはそれぞれの郵便局。オンラインや回線の費用は、これは本省と貯金センターですからね。

 そこで、これは個別にはなかなか難しいので事業ごとにはお出ししますよ、こういうことでやっているわけであります。御理解賜りたい。

 それから、地方自治体の仕事を引き受けるかどうかは、今法案を出す準備をしておりまして、近々出しますけれども、これは郵政事業庁とそれぞれの市町村が相談してもらいまして、郵便局で引き受けてもいいよというところに委託をするんですよ。どの仕事をどれだけやるか、個々に決めていただく。その経費は委託費で市町村が払うんです。郵便局の経費にはいささかの影響もありません。郵便局の予算にも影響ありません。

 以上であります。

原口委員 郵便局がどんな仕事をなさっているか。先日も冬の真っただ中に一枚一枚年賀切手を駅頭で売っていらっしゃる方々がいらっしゃいました。本当に頭の下がる思いであります。郵便事業がどうなっているかなんていうのは私もよく存じ上げています。今さらおっしゃらなくても結構です。

 ただ、ある仮定を置いて、それで個々の郵便局を評価しなければ、それは、実際に個々の郵便局にどんなコストがかかっているのか、あるいはもっとパフォーマンスを上げるさらなる手があるのかどうか、わからないじゃないですか。今おっしゃったように、出と入りが違ったり、三事業ごとに会計が違うことは、私、存じ上げています。その仮定の上でこれを二カ月ぐらいかけておつくりいただいたわけです。私はこれは大変評価したんですよ。オンラインで結ばれて、そしてそれぞれのネットワークがそれぞれのパフォーマンスをチェックする、このことは当然じゃないでしょうか。

 私は、もう時間があとわずかになりましたので、雇用の問題を最後に坂口厚生労働大臣にお尋ねをします。

 きょう数値が発表されましたが、最悪の失業率四・九%をまた数字が示しています。この雇用状況を厚生労働大臣はどのようにお考えなのか、お尋ねを申し上げます。

坂口国務大臣 失業率が四・九%ということになりました。先月発表分も季節調整をしますと四・九ということだそうでございますので、その意味では先月からは横ばいということになるわけでございますが、四・八六という数字でございまして、四捨五入いたしますと四・九になる、こういうことだそうでございます。

 労働省の方でとっております有効求人倍率の方も〇・六五になりまして、〇・〇一ポイント下がったわけでございます。この内容を見てみますと、サービス業でありますとかあるいはその他の製造業といったところの新規求人というのはふえ続けてはいるんですが、ふえるスピードと申しますか、ふえるふえ方が緩やかになってきたといったことがございまして、大変心配をしなきゃならない事態になってきているというふうに思っております。

 今までこの三、四カ月、有効求人倍率の方はだんだんと回復をしてきていたわけでございますが、しかし、反面、この失業率の方が横ばいまたは悪化ということが続いてきた。これにはミスマッチがあるということをずっと言い続けてまいりましたが、ミスマッチも確かにございますけれども、もう一つ、ミスマッチだけではなくて、少し、景気の回復は、新しい有効求人などがあるということが流れたものですから、今まで労働市場に参入しておみえにならなかった方々が新しく参入しておみえになるというところがございます。非自発的、自発的以外の、その他という項目がございまして、ここがかなりふえてきているということはそういうことを意味しているのだろうというふうに思います。

 ですから、一部新しく職場につかれる皆さん方もおみえになるわけですが、その後を次から次へと予備軍が埋めてきている、そういう状況が続いているというふうに理解をいたしておりまして、そのための対策を立てていかなければならない、そんなふうに今考えている次第でございます。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

原口委員 失業のコストを試算してみますと、例えば、五十代でリストラされた年収六百八十万円の勤労者、四人家族で三人扶養の場合に、大体年間二百七十五万円の公費が必要になります。これが、約三十歳で失業した年収三百六十万円の勤労者、扶養家族なしの場合、九十五万円。いずれにせよ、失業にかかわる国費のコストだけでこれだけです。これは社会的コストまで考えると、意欲も能力もある人的資源が有効に活用されない、そして、中高年層の自殺、若年層の大変な雇用が奪われる、規範の低下など、さまざまな問題が生ずることになります。これは試算では上がってこない大きな数字であります。

 私は、国が雇用の責任を持つのだ、第一義的に持つのだという決意が必要だというふうに思います。そして、失業なき労働移動をするための積極的な施策が必要だというふうに思います。

 今、坂口大臣がお話しになりましたように、これまでは労働市場にいなかった人たちが労働市場に入ってきている。若年者あるいは女性。女性の頭の上には見えないガラスがあるということを言った人がいました。男女平等社会といいながらも、なかなか職場に行くと厳然たる壁に悩む。そういう人をしっかりと支えていくのが国の責務ではないかというふうに思います。

 今、森内閣で、坂口大臣、どのような失業なき労働移動のための施策をお考えなのか。そして、今回の予算で、私は必ずしも十分ではないと思うのですが、今のような四・九という失業率を見て、さらにどんなことを追加していくべきだとお考えでしょうか。

坂口国務大臣 原口委員御承知のように、今まで日本の雇用慣行は終身雇用であり、そして年功序列が続いてまいりました。これにはやはりそれ相応のメリットもございましたし、それで日本の雇用状態は安定していたとも言えるわけでございますが、経済のグローバル化等がございまして、社会の環境、企業を取り巻きます環境が変わってまいりました。そして、労働移動というものが、今御指摘のように、非常に大きく起こってくる状況になってまいりました。

 今までのように、終身雇用あるいは年功序列が続いておりますときには、企業の中で職業訓練等がずっと続けられてきたわけでございます。ずっと生涯その企業の中にいるわけでありますから、その企業の中で職業訓練を受けるということがそれなりに評価をされてきたわけでございますが、最近のように次々と雇用をかわる、企業をかわるというような状況になってまいりますと、そういうことができなくなってまいります。企業にお願いをできなくなってまいりますから、どういたしましても、社会全体でこの職業訓練等を受けるというようなことが大事になってまいります。そこを国あるいは地方の都道府県等が引き受けをして、そしてもし仮に労働移動が起こりましたときに、それがスムーズに、速やかに起これるような状況をどうつくり上げていくかということが、これからの雇用政策として非常に大事なポイントであるというふうに思っております。

 そういう意味で、ことしの予算にも組ませていただきましたが、企業の中で、もし、現在勤めております企業がまだ倒産とかそういうことではない、まだ順調にいっているときに、そこに働いておみえになる皆さん方が、何か自分に次の技能、技術をつけたいと思われるようなときには、それが受けられる体制というのをつくり出していこうじゃないか。だから、それをやりたいということを申し出た人に対しまして、企業はそれをバックアップすべきだ、そして、それに対しては国もバックアップをするという体制をつくろうというので、法律も出させていただいているところでございますし、そうしたことを今やろうとしているわけでございます。

 まだ十分でないことは私たちも承知をいたしておりますが、そういう新しい方向を一つ目指しているということも御理解をいただきたいというふうに思います。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

原口委員 雇用対策法の一部改正や雇用保険法の一部改正、そういったことも視野に今検討をされている。ただ、雇用安定等事業などいわゆる三事業関係の収支を見てみますと、この長引く不況で、もう安定資金残高は八百五十一億円までに落ち込んでいます。そして、今お話しになりましたような、企業に新たな再就職のトレーニングをお願いする、この額は、これは特別会計の予算でございますが、十八億円です。私は、今大臣御自身がお認めになりましたように、いかにもこれでは今の急激なグローバル化には対応できない、国民の雇用の不安に対応できないというふうに思います。

 そういう意味で、総理、私たちは予算の組み替えを要求しています。不必要な公共事業を削除し、そして、それを雇用やあるいは医療や教育や福祉といったところに振り向ける。十六本の公共事業基本計画を一本にし、一括して地方に交付をする。そうすることによって、地方が独自に自分たちの必要な事業を選ぶことができます。

 財務大臣に最後にお尋ねをいたしますが、先日御議論をさせていただいたマクロモデルができれば、歳入構造の改革にももう取りかかられるのか。本委員会で消費税の増税についても言及をされたというふうに思いますが、歳入構造の改革についてどのようなプランをお考えなのか、財務大臣にお尋ねを申し上げます。

宮澤国務大臣 先般、消費税のことについて、消費税の複数税率を主張しておられますある委員からお尋ねがありまして、それが財政改革との関連でちょっと御質問がありまして、私がお答えしましたので誤解を招きました。今、財政改革を具体的に考えておりませんので、それとの関連で消費税を云々ということは、今考えておりません。

 そこで、最初の本筋のお尋ねでございますが、先般の経済財政会議でマクロモデルをつくるということが決まりまして、つくり方にもよるようでございますが、大体夏過ぎごろにはできるということでございます。そうしますと、シミュレーションが可能になるわけですが、そのときに我が国の経済がまずまずの足取りでおります限りは、その段階からシミュレーションにかかることができるのではないかなと思っておりますが、御承知のように、これは、税制あるいは中央、地方の行財政、なかんずく社会保障の各問題、全部を一義的に一度に答えを出すという試みでございますから、いろいろな問題、なかんずく負担と給付というものについて国民的な選択をしてもらわなければならないということになると思います。

 したがって、これは政治的にはなかなか容易ならないことになりますけれども、しかし、そういうこと以外に二十一世紀の最初の十五年そこらに当たっての経済社会のあり方というものをきちんとできないと思いますので、あえて、国民は恐らく事実を示すことによって理解をしてくれるという信念のもとに、そういう選択を国民にお願いしようかと思っております。

 したがって、その御質問は、具体的には、国民負担がどのぐらいだと決まりましたときに、その負担を保険料と税金とにどのように分けるかというようなことになってまいりますものですから、したがって、税制改正の内容がどのようになるかということを今から具体的になかなか申し上げにくい。ただ、申し上げられることは、歳出にも歳入にも一切聖域というものはないということにいたしませんと、このシミュレーションはなかなか難しいのではないかと思っております。

原口委員 かなり思い切ったことを国民に求めないと、この「財政の中期展望」を見ましても、私たちがとり得る選択肢はこの十年でどんどん狭まっているというふうに思います。そして、逆にリスクの方がふえている。ここは、しっかりと政治の信頼を回復して、そして経済、財政、社会を立て直す、そういう強いリーダーシップが求められているというふうに思います。

 政治そのものを取り巻く環境が激変しています。社会そのものが転換しているということをはっきり自覚すべきだというふうに思います。瞬時に無限大に情報が広がっていく、そういう中で私たちは今政治をやっている。だれでもが情報の発信者になれる社会であります。そういう社会のときに、猛烈な情報消費社会、一挙手一投足が多くの人たちに信頼を与えあるいは勇気を与えます、あるいは逆に不信を与えます。

 最後に、総理にお尋ねをしますが、政権運営のこれからの意欲と、そして、聞くところによりますと、この予算が通ればもう党大会前には云々ということがささやかれていますが、総理御自身の身の処し方、そして御決意を最後にお尋ねをし、私は、この間のさまざまな不信や、きょうもお答えになれないようなことがありました、そういうことを考えると、一回私たち野党に政権をお譲りになって、そしてもう一回解党的な出直しをされて、そしてまた切磋琢磨できるような、そういう状況になるのが望ましいのではないかというふうに思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。

森内閣総理大臣 原口議員の大変よく御勉強されました御議論を伺って、我々も大変参考になることは多いのです。しかし、確かに、古い体質あるいは改革をしていかなきゃならぬ、そういう行政の仕組みもたくさんあると思いますけれども、やはり我々の先輩たちが長い経験のもとに構築をしてきたものでございましょう。

 ですから、公共事業は改めなさい、改めなさい、こうおっしゃいますが、先ほどからおっしゃっているように、構造改革が進んだり、あるいはグローバル化が進んだり、経済の企業間の競争が激しくなればなるほど、やはり失業者はふえてくること。そうであれば、即効的にこの人たちを就業の場に救っていくのはやはり公共事業なんですね。その公共事業も、それもまた、中央のこうした東京だけではないわけであって、北海道もありますし沖縄もありますし、そうした地方にもそうしたいろいろな雇用の場をやはり我々は適切につくり上げていく、そういうものを少しずつ少しずつ改善していくということがやはり改革の道筋だというふうに私は考えております。

 先ほど入札のお話もございましたけれども、こうした入札の問題についても、数年前にこの国会でいろいろな議論があって、そしてランクづけであるとかあるいは談合であるとか、そういう問題の指摘があって、競争社会というものをつくり上げてくることによって、むしろ大手が大変大きな仕事を小さなところにまで席巻をしていくということにもなっているのも、やはり地方の方からいろいろな声として私ども聞くことがございます。

 改革は進めていかなきゃなりませんけれども、それはやはり適切な、ある程度のモラトリアムのそうした期間も必要であって、今やじが出ましたけれども、そういうことを頭に置いてお話をすると、それは古いというふうに一言で片づけられてしまうものではないと私は考えています。

 どちらにいたしましても、先ほどから各閣僚からも申し上げておりますように、やはり新しい時代に合ったそうした行政改革、あるいは先日もこの委員会で申し上げたと思いますが、経済、財政の改革も、単なる財政の再建ではないのであって、やはり社会の仕組み、そしてまた国民の意識がどう変わっていくか、そうしたことなども十分に考えながら進めていかなければならぬ、私はそういう大事な問題だと考えております。

 お話がございましたように、いろいろ私のことに御心配いただいておりますが、私は、先ほども佐藤議員にも申し上げたとおり、今は予算をまずしっかりと衆議院を通過させていただき、参議院にぜひ成立をさせていただくということが私の今一番頭の真ん中にあることでございまして、なお各般の改革の政策も、この国会で十二分にお願いしなきゃならぬ点がたくさんございます。そうした問題もしっかりとやり遂げなきゃならぬと思っていますし、外交案件もたくさんございます。

 どうぞひとつ、そういう意味で、幅広く日本の内政、外交に当たって私は責任を持ってやっていきたい、こう考えておりますので、引き続き健全な野党として御協力を賜りたい。まだまだ、野党の皆さんに渡してください、こうおっしゃいますが、野党の皆さんだって国の基本についてはばらばらじゃないですか。そういうことがしっかり政策的にも、基本的な国の運営についても、外交方針についても、防衛についてもきちっとして統一されなければ、私はむしろ国民が不安感を持つのではないかというふうに思う次第であります。

原口委員 時間が来ましたからもうやめますが、私たちは、今までのようなピラミッド、あるいは補助金を利用したような支配の構造、こういったものを壊して、そして多くの人たちが、総理はITのお話をよくなさいますが、リナックスのように、たくさんの人たちが知恵を集めて、そして未来の処方せんを考えられるような、そういう政権政党を目指して自民党にかわっていきたい。このことを申し上げて、質問を終わります。

野呂田委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 ただいま数字がちょっと変わりまして、二時五十一分現在、株価は一万二千三百四十一円であります。(発言する者あり)また下がっている、そうすると四百円近い下落になっているわけであります。これはもはや、上がったり下がったりする一時的な現象だというようなレベルではない。下がったり下がったり、大変厳しい。支持率と同じでありますけれども。これは何を意味するかということを考えなければいけないと思います。

 これは何か。私は、政治全体に対する市場の不信感ということだろうと思います。そしてそれが経済不況をもたらし、国民に対して不安感をもたらしているわけであります。特に、その政治全体に対する不信の引き金をつくっているのは、森総理御自身であると私は言わざるを得ないわけであります。

 総理の言葉が非常に重いというのは、歴代の総理・総裁、みんな御存じでありました。また、国民の将来に対して責任を持たなければいけないということについても、皆さん大変深く考えられたと思います。赤字国債を出すに当たって、森総理の師であられる福田赳夫先生は、全治三年のためにやむなくやられたけれども、大変お悩みになられたと思いますし、歴代の総理、公債を出すに当たっては、大変慎重な姿勢をとられたと思います。

 ところが、森さんについては、先日も総理がおられないところで指摘をさせていただきましたけれども、月刊自由民主二月号、森さんのインタビューの中で、小渕さんから、こんなに出しちゃっていいんだろうか、心配なんだという相談が当時の森幹事長にあって、国難だからどんどんやりましょうと言ったというのが、いかにも誇らしげにインタビューの中で披露されておりますけれども、この二代の総理の間に非常な、異常な額の国債が累積されたということについて、その副作用が今当然ながら来ておる。このことを十分にかみしめなければならないと思います。

 また、言葉ということでいえば、総理は大変言葉が上手であります。自己正当化、自己弁護の名人ではないかと思われるわけでありますけれども、それが実は国民の不信を招いている大もとであります。

 例えば、例のえひめ丸事件のときに、ゴルフ場でプレーを続行された。そのこと自体、そのときの実務的な判断が誤ったかどうかというのは、これはまた別の話だと思います、確かに。しかし、当委員会の中で、総理はどういうおつもりでプレーを続行されたのかという野党議員の質問に対して、行方不明者があれば、それが助かるように、祈るような気持ちで私はおりましたということを言われたわけです。

 本当に国民の生命を大切にする総理大臣、リーダーであれば、祈るような気持ちであれば、プレーは続行されなかったはずであります。祈るような気持ちでゴルフクラブを振り回されたところに、その言葉と行動との乖離、その言葉のむなしさ、これに国民の強い非難が集まったわけであります。ゴルフをプレーするときは、祈っているのはうまく飛ぶようにということではないんでしょうか。

 そういう自己弁護のお上手さが、逆に総理の言うことは信頼できないな、本心とは違うんだなという思いを国民に抱かせ、政策についても、果たしてどちらを向いている総理なんだろうか、政権なんだろうかという疑問を起こさせているんだろうと思います。

 総理は、御自身のお言葉、それが国民に与える影響についてどのように自覚をされているのか、一言で結構ですから、御説明をいただきたい。

森内閣総理大臣 言葉を発するということは、政治家にとっては極めて真剣な、私は勝負だと思っています。言葉は真心を持って誠実に発しております。

五十嵐委員 残念ながら、国民にはそのように映っていないというところが問題なのであります。

 総理は、たびたび総理番記者と言われるマスコミとトラブルを起こされておりますけれども、マスコミの諸君の対応についてどのような思いでこのようなトラブルを次々と引き起こされているのでしょうか。

森内閣総理大臣 国の大事な基本等については、歩きながらお話をするということはいろいろ誤解を受けるケースも多いから、できるだけ私は避けたいと思っております。

五十嵐委員 実は、歴代の総理大臣も悩みながら応対をしていると思います。しかし、常に政策のこと、国民の将来のことを考えていれば、その時々、自分の思いを、自分の考え方を国民に説明するんだ、単に新聞記者に話しているんではなくて、それは、その裏に国民が、どのような気持ちで総理がおられるのか、どういう考え方を持っているのかを知りたがっている国民がいるんだという思いの上に立って、それをいわば代弁する形で記者諸君は聞いているわけでありますから、歴代の総理大臣もそのように答えてきているわけです。的確に、短い言葉で福田赳夫先生も答えられていた。軽妙な言葉で時にはお答えになって、確実に自分の気持ちが、考え方が国民に伝わるように、効果的に伝わるようにというお話の仕方をされたと思います。

 総理の方には、目の前にいる至らない、若い、総理にとってはですよ、と思われる記者と応対をするという気持ちが先に立って、その裏にいる国民の目というものを自覚をされていないのではないかということを私は思うわけであります。

 それから、この間、私は予算委員会をずっと聞いてまいりました。私、実は昭和四十九年、三木内閣のころから新聞記者として予算委員会を生で聞いてきております。これほど議論が成り立たない国会というのは珍しいなということで、大変残念に思っているところであります。

 国民から投げかけられている一定の合理的な疑いがあるものについてはできるだけ誠実に答えようとする、あるいは、そうでないということをおっしゃりたいなら、その挙証責任は政府の側、権力の側にあるということを、歴代の国会では与党も野党もそう思ってきましたし、歴代の内閣もそのような立場で対応されてきたと思っております。しかし、今回の国会を見ますと、実に異常であります。異常であります。

 例えばあのKSD事件について言いますと、KSDから豊明会に入ってくるのは、KSDの会費とわずかのレクリエーションの負担金以外にない、そして出ていく方は、レクリエーションは対応して出ていくものがある、あとは豊明支部への献金だということになれば、ほとんどが、KSDの会員の会費が、豊明支部という自民党の下部組織に流れていると言って間違いはないではないですか。二引く一は一みたいな話。これを申し上げると、そんなことはない、決めつけだという答えが返ってきたわけであります。これは論理が成立しません。私は、こういう論理を成立させないような議論というのは国会の場としてはふさわしくない、そう思うわけであります。ぜひ反省をしていただいて、説明責任を負うということを改めて自覚をしていただきたい。

 今、予算を早く成立させていただきたいという言葉もありました。しかし、予算を早く成立させていただきたいなら、どうしてもっと早く国会を召集しなかったのですか。言葉と思いとが、思いと行動とが一致していないではないですか。私どもは、そのような政府の姿に対しては本当に国民が不信感を持っているということを改めて指摘をしなければなりません。

 私の指摘についてどう思われるか、総理にお答えを求めます。

森内閣総理大臣 私は委員会にすべて出席をいたしておったわけではございませんけれども、我が内閣におきます閣僚は、誠心誠意、誠実に御答弁を申し上げてきた、そのように私は信頼をいたしております。

五十嵐委員 そうではないということは、この間総理がおいでになった委員会の審議の中でも十二分にもうおわかりになっているはずだと思うわけであります。

 次に、今の政府の基本的な方向がどっちに向かっているのか国民はわからないから不安だ、不安だから貯金に走って、個人消費を伸ばすことができないということがあるのだろうと思います。

 この委員会の冒頭に、自民党から亀井静香政調会長が立たれました。その当委員会での亀井政調会長、大実力者でありますけれども、お話を聞きましても、あるいはテレビ等、メディアに映る亀井さんの発言を聞きましても、これはもう行け行けどんどん、御本人、ドンガメと言われていますけれども、行け行けどんどんのドンガメであります。クマしか乗らない新幹線でもいいんだ、つくるんだと。(森内閣総理大臣「五十嵐君、そういう人の名前、いないところで言っていいんですか」と呼ぶ)いやいや、御自身がドンガメと言われているから、そう言われているということです。(森内閣総理大臣「公式な場で言うのと違うでしょう」と呼ぶ)それは本人も愛称として言われているんですから。私も悪口で言っているわけではありませんから。それは後で審議をしよう。総理はそういう場面で私の発言を邪魔しないでいただきたいと思います。今、肝心な話を言っているんですから、肝心な話を。

 財政出動にどんどんと歩を進めろ、そういう立場のお方がいる。一方で……(発言する者あり)

野呂田委員長 不規則発言はやめてください。

五十嵐委員 柳澤大臣は、ここへ来て、直接償却という言葉に対する誤解があるというお話もありましたけれども、しかし、直接償却をかなりのスピードで早めようという決断は、私は一つの政策の変更だと思っております。これは、不良債権を長い間金融セクターに放置しておくと、一方では日本の産業の構造改革が進まないんではないか、実はそういう見方から思い切った政策の前進というものを図られたんだろう、私はこう思っているわけであります。

 構造改革という言葉は、この間までは、いわば二兎を追うということで、ちょっと待ったをかけるんだという立場が政府の立場だっただろうと思いますが、ここへ来て微妙に発言が変わってまいりました。一体どちらに軸足を置いていくのか。亀井さんの路線でこれからもどんどんいくのか。

 あるいは、ゼロ金利に戻すという要求が自民党内に出ております。亀井さんも、どうもお話を聞いていますと、ゼロ金利に戻す、あるいは量的な拡大を思い切ってやれというふうに聞こえますが、ゼロ金利政策というのは、国家丸抱えで不良債権を少しずつ償却していくという時間稼ぎの一時的な政策であります。これは、構造改革路線とは逆行する話でもあります。一体どちらの路線をとるのか。ああいったことについて国民は疑心暗鬼であります。

 あるいは、インフレターゲティングの話が出ました。自民党の席からもインフレの方がいいんだという声が出ております。しかし、日銀総裁は、インフレは、このように過剰流動性が一方でたまりつつある状況の中にあると制御するのが難しい、ハイパーインフレや恐ろしい制御不能のインフレに陥る可能性があるということを言われている。

 一体、政府はどちらの方を向くのか。インフレターゲティングを否定するのか、それともこれを視野に入れていくのか。それが国民にとっては不明である。大きな路線はやはり大きく示さなければならない。

 これは財務大臣ではなくて総理大臣にぜひ伺いたい。あなたはどちらをとるのかということであります。私どもはインフレターゲティングはとりません。

麻生国務大臣 景気というものが、インフレがいいかデフレがいいかと。安定しているのが一番よろしいんで、なかなかそれはインフレターゲットを目指しているわけではないんであって、景気回復というものをまずなさなければ財政改革にはつながっていかないというのが優先順位だと思っております。

五十嵐委員 あなた方のおっしゃる景気回復というのはどういうものか。その景気回復がなされた結果、一体、積もり積もった借金の元利は返済できるのかということをさんざん審議してきたじゃありませんか。あなた方のおっしゃる通常の路線の経済成長率に戻ったとしても、この累積した財政赤字を解決の方向に持っていくことは難しく、むしろ発散してしまう、すなわち返せなくなってしまう。

 ですから、これをどうするのかという問題があるということをさんざん指摘されてきているじゃないですか。総理大臣として、もはや決断をすべきときであります。マクロモデルをつくられると言ったけれども、それは一種の時間稼ぎではないかと私どもは思うわけであります。もうとっくにマクロモデルのもとになるべきものはなければならなかった。

 九七年に橋本総理大臣のもとで年金の将来像というのは五つの選択肢が示されて、そのうちほぼ一つに固まってきた。その半分はこの間の年金法改正で、私どもは改悪だと言っておりますけれども、実現をされたけれども、残りの保険料率を引き上げる方は凍結をされている。

 凍結したままでどうするのか、いつ解除するのか、このバランスが合わない部分をどうやって解決していくのか。これはもう既に政治の問題であります。政治の問題ではないですか。国民に選択と合意を求めるというよりは、政治が選択肢を示しつつあるわけですから、これから先こうしたいということを総理が選択して国民に説明し、納得を得るということが必要ではないでしょうか。総理の意見を求めます。

宮澤国務大臣 総理大臣がしばしば、いま一歩のところまでと言われますのは、私はそのとおりだと思っていまして、設備投資は既に期待以上の回復をしてきたわけですから、いわゆる家計消費にそれが移ればいい。恐らくは、先ほどもお話がありましたが、いろいろな雇用の変化等々で、坂口さんがおっしゃいましたが、それがおくれているのでしょうが、しかし、家計消費が正常に動けばもうGDPとしては六割何分でございますから、そこのところまで来ているじゃないかということを総理大臣が言っておられるわけですね。

 それで、確かに大変に借金はした。それはしかし、これだけに経済を回復するのにやむを得なかった。ただ、これについては、将来を考えると、財政を根本的に変えなければならない。そのためには地方財政も税制も社会保障もみんな一時的に将来への姿を一義的に決定をしなければ、これはあれ、あれはこれでは答えが出ませんから、そのためにはマクロモデルをつくってやらざるを得ないだろう。そこで国民的な選択が行われるわけですから、政治としては、実はこれは非常につらいやり方でございます。ごまかしのできないやり方です。しかし、それを既に経済財政諮問会議で始められたわけですから、そういうふうに向かって我々は進んでおるという、それを総理は言おうとしていらっしゃるんだと思います。

五十嵐委員 それはわかっているんですよ、もう既に九七年からその選択は始まっているんですから。

 あの大平さんのように、私はこうする、こういう世の中をつくります、負担をこういうふうに残念ながら求めなければなりませんと大平さんは示された、そのようにどうしてできないのですか。そして、国民はもう既にその準備をしている。

 ですから、国民を早く安心させる、将来の年金の姿、医療保険の姿を早く示して、国民に将来は心配ありませんよと言っていただくことが今の景気回復につながるんだということを申し上げているんですよ。今の景気回復につながるんです。今のままでは、政府に対する国民の信頼がないままでは、個人消費は絶対伸びないということなのであります。

 だって、これだけの、いわば重厚な顔ぶれと言われましたけれども、歴代の総裁を四人も並べた政権をつくって、どうして国民の信頼がこの内閣は地に落ちるんですか。そこを考えなきゃいけないですよ。信頼感が、国民の信頼を取り戻すことが、個人消費を取り戻し、そして景気をよくする、これは最大の手段なのであります。それには、総理が本当の意味でリーダーシップを発揮して、そして、できるだけ国民の前に出て説明をし、説得をするということが必要なわけであります。

 私は、学生時代に古代ギリシャ語を勉強いたしました。アテネ、アテーナイというところで民主政はスタートいたしました。そこでは、ペイトーという言葉がはやりました。ペイトーは説得するという言葉であります。そして、説得するというだけではなくて、大文字で書くと説得の神という神様になります。これは大変尊敬をされました。アテーナイの町のあちこちに説得の神、ペイトーの神の像が建っていたんです。なぜアテーナイの市民はペイトーを尊敬したか。物理的な暴力を使わなくても人を従わせるからであります。これが本来の民主主義の本当のあり方であります。説得をするという作業に誠心誠意努めていくのが政治家の務めであります。ぜひ、みずからの言葉で国民に向かって説得をしていくという作業を続けられるべきだと私は思います。もっと真剣に、どうしたら切り返せるかということではなくて、真剣に、国民の前に立って、みずからの道を説明される。

 そして、私は、これだけ国民の信を失った今は、総理としてはやはりひそかにラグビーのボールを置かれることをお勧めするわけであります。

 もう一度、私からも、総理がどのような心境で、この苦しい、支持率の低い、そして株価、株式市場からの信頼も失った政治というものを、政局というものを運営していくのか、お答えをいただきたいと思います。

森内閣総理大臣 たびたび申し上げておりますが、今私どもとしては、景気回復に軸足を置いているのです。あくまでもそのことを強く国民の皆さんにも申し上げておきたいと思うのです。

 先ほど財務大臣も申されましたように、消費がもう一つ伸びないというのは、景気を回復させていこうという政府の考え方から少し変わってきたのかねという、そういう陰りといいましょうか、そういう心配をさせてはいけないということだ、私はそう思っているのです。

五十嵐委員 ですから、景気を回復するには、まず国民に信頼をしてもらうことの方が先で、景気回復というと、かつてのケインズ政策で、公共事業しかないんだ、あるいは金利を下げるしかないんだと思い込んでいるところに今の政権の間違いがあるんだということをずっと申し上げているわけであります。

 そして、そう言うと、民主党は公共事業を敵視するのか、こうおっしゃる。そうじゃないんです。効果のある公共事業をやるべきである、大型のプロジェクトでコンクリートの化け物を日本じゅうにつくって、そして瀕死のゼネコンを救うだけの、そういう公共事業では効果がないということを申し上げているのではありませんか。景気対策をやるなと言っているんじゃないんです。もっと効率的な公共事業のやり方もあるし、もっと公共事業に頼らない――大体今ケインズ政策というのをとっているのは日本だけですよ。多くの自民党の議員さんとも私お話をいたしますと、もうケインズ政策は古いんだよね、変えなきゃねと言われる自民党の議員さんも実に多いんですよ。世の中をわかっている、経済がわかっている多くの議員さんはそうおっしゃっている。幹部と言われる方々もそうおっしゃっている。

 ぜひそのことをお考えになって、私は、まじめにこれからの行く末をお考えになるということをお勧めいたしまして、私の質問といたします。ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて五十嵐君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木淑夫君。

鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。

 きょうは、まず、パネルをお示しして話を始めたいと思います。

 このパネルは、二日前に発表になりました、鉱工業生産、出荷、在庫率まで入れた、最近三年間ほどの生産、出荷、在庫率の推移でございます。

 一番の上の丸ポチで結んであるのが生産でございますが、御承知のように、一月の数字が発表になりましたところ、予測指数ではプラス〇・七%のはずだったものが、実績はマイナス三・九になったのですね。この三・九のレベルというのは、ごらんになって驚かれるかと思うのですが、こんな低いところです。その後、予測指数で、二月はちょっと上がって、三月はまたちょっと下がるというのですが、この一、二、三の平均というのは、どう見たって、十―十二の平均より低いところへおりますでしょう。結局、今振り返ってみると、このポッチが一番高いんですね。これは八月です。なものですから、今民間のエコノミストの間では、去年の八月が景気のピークだったんじゃないかということを言う人がふえてきています。

 生産はがたがたしていますけれども、四半期平均をとっていきますと、四―六月が前期比プラス一・七です。七―九月が前期比プラス一・六です。その辺までは、緩やかな回復だと言っていてよかったと思うのですが、八月がピークだということは、もう既に十―十二のところで増勢はぐっと鈍化して、〇・四になっちゃったんですね。そして一―三はついに一・七という大きな下落に転じた。

 だから、これを素直に見ますと、やはり生産の回復は、月でいえば八月、四半期くくっていけば十―十二月をピークとして減少に転じたということなんですね。

 これは一時的な減少ではありませんよ。なぜならば、出荷も下を向いていますが、この在庫率をごらんになってください。在庫率が上を向いてきたのですね。つまり、過剰在庫の発生ということです。過剰在庫が発生してくれば、在庫減らしの生産調整をこの先やらなければいけませんから、この一―三の生産の減少というのは一時的減少にとどまりません。この先まだ減少していく可能性が非常に高いということでございます。

 なぜこのグラフから話を始めたかと申しますと、森総理を支持する自民党の方が、時々、総理は失言をされたりちょっとゴルフ場に長くとどまり過ぎちゃったりするけれども、何の失政もしていないという言い方をする人がいますね。しかし、経済に関する限り、森内閣の経済戦略は完全に破綻したのですよ。完全に破綻した。破綻しなければ、こんな、生産がピークアウトして下がってくるなんということはあり得ないのですね。

 どういう戦略を描いておられたかというと、この委員会でもあるいは本会議でも何回も言っておられますけれども、設備投資と輸出が緩やかな回復を引っ張っている、それで公共事業、財政で何とか支えている。そのうち消費に点火する、それで公需から民需へのバトンタッチが終わる、こういうことを繰り返し繰り返し、さっきもまだそんなことを言っていましたよ。私がこのグラフをお見せしたのは、もうそんな時期はとうに過ぎちゃったと申し上げたいからなんですね。

 なぜ生産が下がってきたか。それは、御存じだと思いますけれども、輸出がもう十―十二からマイナスに転じています。一つのエンジンは逆噴射を始めている。二つ目のエンジンの設備投資はと言えば、さっきまだ設備投資は調子いいようなことをおっしゃった方がおられますが、冗談ではない。設備投資の先行指標である機械受注の、船舶、電力を除く民需というもの、これは一―三月はマイナスですよ、今、予測ですけれどもね。明らかに設備投資の先も鈍化し、ひょっとしたら、これは六カ月から九カ月の先行指標ですから、来年度の中ごろからは落ちてくる可能性もあるのです。

 二つのエンジンのうちの一つが逆噴射を始め、もう一つが出力が下がっている。しかも、三つ目の消費というエンジンに点火しないのですから。森経済戦略といいますか、あるいは自公保経済戦略と申しますか、完全に破綻しているじゃないですか。失政ですよ、これは。森総理には失政がないとおっしゃる人がいるけれども、これは失政ですよ。どう思われますか、総理。

宮澤国務大臣 鈴木委員のお話にしては十分でないと思いますね。(鈴木(淑)委員「宮澤大臣にはこの後お伺いしますよ」と呼ぶ)十分でないと思いますね、鈴木委員のお話としては。

 確かに、生産はかなり早くから始まりましたから、どこかでピークアウトするだろう。それから機械も先行指数としてはどうかな、それもそう。輸出も少し落ちかけ。

 大事なことは、何で消費が出てこないのですかと、それを議論していただきませんと。

鈴木(淑)委員 時間が制約されているから、余り長く言いたくないですが、そんなことはこの前も私は言ったでしょう。

 なぜか。製造業が輸出と設備投資に引っ張られて上がってきた。消費はだめだから、非製造業はまるでだめだけれども、何とか製造業が頑張って上がってきた。その製造業の収益が回復してきた。普通ならその収益は、いずれ雇用の増加とかあるいは賃金上昇になって、個人所得がふえ、消費に点火する。ところが、今度はその仕掛けがとまっているんだと僕はこの前も申し上げたじゃないですか。お忘れになったかもしらぬ。

 なぜとまっているの。それは、もうけを使って、一部は設備投資に回していますよ。だけれども、かなりの部分を、借金の返済と、それから値下がりしてしまった不良資産の損切り売りと、そして不良債権の償却に使っているからだ。つまり、後ろ向きの貯蓄に回っちゃっていて支出に回っていない、雇用に回っていない、賃上げに回っていないからだと申し上げた。

 雇用について言っておきますが、きょう発表になった失業率、もう御存じだと思います、閣僚方。四・九%です。一度去年の八月に四・六%まで下がったんですよ。ところが、その後またじりじり上がり出して、十二月が四・八と言っていたのが修正されて四・九になった。そしてこの一月はその修正された十二月期横ばいですよ。おわかりですか。要するに、森経済戦略は破綻していると言うのは、あなた方が考えていたように、消費に火がつく仕掛けが壊れているんですよ。だからだめなんですよ。

 私は、森総理が答えてくださらないから、宮澤大臣が勝手に答えられるのでもう宮澤さんの方にお聞きしますが、今ここで議論しております予算案で、どういう理屈で、下を向いちゃった製造業の生産、製造業が何とか引っ張っていたんですよ、それは後ろに設備投資と輸出がいたからだ。一つは逆噴射を始め、一つは出力が下がっちゃった。早く消費出てこいと言っているのに消費は出てこない。それどころか、雇用は失業率四・九%へ増。私は、間もなくこれは五%台に上がってくると思いますよ。そんなので消費が出てくるわけないじゃないですか。一体どういう理屈で今の個人消費を支えることができるんですか。

 どういう理屈で公共事業を、この前、詳しくグラフを示して申し上げましたが、いつぞや財政金融委員会で。公共事業の水準だって下がっていますよ、GDPベースで書いたら。どういう理屈で、この予算案が成立したら、昨年末の補正予算と一緒になって、下がってきた景気を持ち上げられるんですか、お答えください。

宮澤国務大臣 鈴木委員がもしこの経済をおやりになるんでしたら、恐らく、今のようなことであれば、どうやって消費を呼び戻すか、どうやって雇用をつくるかということをやるべきだとおっしゃるんだろうと思う。私どももそう思っているものですから、そのことを今一生懸命やっているわけでございますね。

 これは、やはり政治の中心というのは、結局、雇用ということであるし、国民生活ということでございますから、それは一つの手は多分ないんだと思うんです。しかし、長いことこうやって予算を執行してきて、そしてだんだんに家計というものがよくなる、もう少し早くという気持ちはあるんですが、恐らくいろいろな理由で今度それほど早くありませんが、しかしそうならなければならないんだから、そのための政策はやはりとっていかないといけないんじゃないんでしょうか。

鈴木(淑)委員 与党あるいは大臣の方からどうしたらいいんでしょうと野党に聞くということは、完全に政策対応能力を失ったということですね。あるいは、経済戦略そのものが破綻しちゃってどうしていいかわからぬということでしょう。

 それでは申し上げますよ、我々野党が考えていることを。(発言する者あり)教えちゃいけないと言う人がありますが、しかし、我々は間もなく組み替えの動議を出しますから。

 要するに、あそこにある政策思想というのは、まず歳出については、中身が効率の悪いところへ偏っていますね、もっと効率のいい大都市圏の交通とかあるいは防災とか環境とかの関係にお使いなさいよというのが一つですよ。

 もう一つは、消費に直結していくようなところにもっと金を回しなさい、それは失業関係の対策であるとか、それから一部は福祉の関係とかあります。それが二つ目ですよ。

 それから三つ目は、抽象的な文言で書いてありますが、今の補助事業というのはいかにもむだが多過ぎますよ、補助事業をやめましょう、補助金相当分は、人口三十万ぐらいから上の市だと思いますが、そういうところに一括して交付して、自分たちで決めるように地方自治を進めましょうとか、そういうことで、同じ金額の歳出でも、もっとむだを排除して効率よくやりましょうというのが一つですよ。これが我々の組み替え要求の思想です。

 さらに、我が自由党の考え方は、この際はそれに加えてやはり減税すべきだと思うし、それから社会保険料が二・四兆円、この予算じゃふえちゃうんですよ。国民負担率が上がっちゃうんです、〇・四%ポイントくらい。介護は、保険料は今スタートしたばかりですから、我々は消費税方式への転換を頭に置いていますから、今なら保険料の徴求をストップできると思いますよ。こういうことで直接消費を刺激する手を打つ。それから、公共事業ももっと乗数効果の高いところへ回す、組み替えしていく、そういうことですよ。

 ここで、柳澤大臣にお伺いしたいと思います。こういう政策対応能力を喪失した内閣のもとで、株価は三日連続暴落をしましたね。きょうは、驚くべきことに、三日目だというのに四百十九円下がったのですよ。だから、終わり値は一万二千二百六十一円です。

 僕は、柳澤大臣は内心ではわかっておられると思う。だから、ここではなかなかおっしゃりにくいところもあるかもしれませんが、専門家の間では一万二千円台というのが非常に危ないゾーンだと言われていて、一万二千円を切ったら、この三月の決算はえらいことになるというのが常識ですよ。一万二千円を切ったら、まさかまさかと言っているうちに、どうですかきょうは、二百六十一円までいっちゃった。これは非常に危険なところへ来ています。

 柳澤大臣、大臣は、不良債権の直接償却をなるべくしなさい、その償却をすることによって金融の再建、健全化計画どおりに収益を回復できなくなっても、きちっと直接償却しているなら大目に見るという意味のことを言っておられますが、この株価の水準ではそんな余裕はないですね。余裕ありません。

 去年の三月の金融機関、銀行の決算はなぜ何とかやれたかというと、経常益は全部、直接であれ間接であれ不良債権の償却に使ったんです。そうしたらそこでもうとんとんになっちゃうんだけれども、幸いにして株価が二万飛び台にいました。その過程でうまく売却益を出しておいたから、それで配当できる程度の収益を計上したんですね。

 この三月はどうですか。株価のところは逆ですよ。こんなところで益は出せない。そうしたら、一生懸命不良債権を償却したら本当の赤字になっちゃう。配当できなくなっちゃう。それどころか、一万二千円を切ったらもっと深刻な話になってくると私は思います。

 しかも、時価会計が入るでしょう。この三月に時価会計で決算するのは東京三菱のような割と内容のいいところだけですが、一般的にはこの九月の中間決算ですが、六月にこの三月の決算を発表したときには、欄外に保有株式の評価損が出ちゃうんですよ。そのことによって、実はこの三月の決算が赤字だったということがばれる金融機関がばあっと出てきますよ。

 柳澤大臣、これはえらいことになってきましたね。どうするおつもりですか。ちょっと方針を転換するというか、つまり、直接償却しなさい、しなさい、そんなことを言っているうちにえらいことになってきた。何か公的資金でも入れる仕掛けをこしらえるのですか。どうするんですか。

柳澤国務大臣 今先生、不良債権の償却のために株式の売却益を活用しないと通らないんじゃないか、こういうお話かとお承りしました。それが、なぜ不良債権の処分損がそんなに膨らむかということは、私が今呼びかけているオフバランス化から出るのではないか、こういうようにおっしゃっているかのように私はお聞きしましたけれども、それはそうじゃありません。

 我々は、かねて申し上げているように、オフバランス化というのは、来年度、平成十三年度において初めて、あのスキームをつくった上で呼びかけていきたい、こういうことをかねてこれは申し上げているわけでございます。

 しからば、それがないというふうにしたら、処分損というのはどのぐらいのレベルになるだろうか。これは確かに問題であります。問題でありますけれども、昨今の我々の不良債権の処分損の推移を見ますと、何とか業務純益の範囲におさまる、そういうふうには我々見通しているわけです。

 現に、先般、十二年九月末の中間決算の折に、それぞれに業務純益の見通し、これは下方修正しています。それからまた、処分損については上方修正しています。それでも業務純益の範囲内におさまる、こういう見通しは明らかにしておりまして、そのいわばまだすき間というか、それはそれなりにあるというふうに我々は思っていますので、したがって、今先生がおっしゃっていらっしゃるように、オフバランス化からすごく処分損が拡大するんじゃないか、それは実はないわけです。

 それから、そもそもそうかということについても、私も何回も、特に先生のように御専門の方には御批判を仰ぎたいという意味でも、私はもう正直に我々の処分の仕方については申し上げております。そんなにその処分損が拡大するというようには我々は考えておりません。

 そういうようなことで、私は、今先生のおっしゃったのは、少し悲観的な材料をどんと押し込んだような上での御結論、もちろん私は今の株価について心配は全くしていませんなどと言うつもりはありません。しかし、今先生がおっしゃるように、何もかも押し込んで、非常にペシミスティックなピクチャーを描くということには必ずしも賛成しないということであります。

鈴木(淑)委員 私は、直接償却だから大変なことになると言っているんではないんです。直接であれ間接であれ、不良債権の償却の原資が、去年の三月期は経常益のところから出てきた。今度もそうなるかもしらぬが、ちょっときついですけれどもね。そこもきついが、それでも去年の場合は株式の売却益というのがほかにあったから、それで何とか配当もできて、決算が整ったんですね。今度はそれがない。それがないどころか、六月に数字がばれてしまうと、評価損を考えた場合、赤字だったということになりますぞと言っているわけですね。これはえらいことだということを言っております。

 総理、株価がここまで下がってきていることについては、いろいろな原因があると年じゅうおっしゃいますが、私は、それは基本的には、日本経済の先行きがもう明らかに景気後退に入ってきている可能性が高いからだというふうに思いますね。

 そして、公聴会のときの公述人が資料をもって説明していましたが、生産のグラフとそれから株価のグラフが八カ月のラグでかなりよく相関しているんです。株価のピークは去年の四月の初め、月の平均では三月ですよ。そうしますと、本当に半年たったところから生産の増勢が鈍化し、とうとうマイナスになってきちゃったというふうに相関していますから、景気の影響が私は基本だと思いますが、それだけではないというふうに思いますね。失礼ながら、総理退陣のうわさが流れたとき株価がちょっと上がったということに示されているように、今の自公保内閣の政策対応能力の喪失というものに対して、やはり市場は非常な不安を持っていますよ。

 それから、これは株価が割と高いところにいたときの内閣をお調べになるとわかるのですが、みんな改革志向で、相当強く改革のことを言っていた内閣ですね。細川、羽田のときに一度高いところにいました。それから、自自公の末期に二万飛び台にいた。去年の三月ですね。ですから、やはり改革を思い切って推し進めてくれるのかどうか、それから景気の微妙な変化に対して政策対応能力はあるのかどうか、ちゃんとしたビジョンを持っているのか、経済戦略はうまくいっているのか、そういうことからもやはり今の株安は起こっていると思います。

 ですから、総理、お答えくださらないので、総理が答えていただけそうなKSDの方にいきなり振ります。経済のことを言っていると答えてくださらない。

 先ほど佐藤委員から、党員数四十三万、党費肩がわり十七億というお金が自民党さんに入ったという資料が出ていました。それに対して当事者を今調べているということでかわされましたけれども、きのうのNHKでこの同じことを詳しく国民に伝えているんですね。幽霊党員六十三万人、そしてその期間まで言っていますね、平成三年から十一年までの間に六十三万人。その間、代払いされた党費が十五億円。

 まだ調べがついていないというお答えをさっきされましたけれども、総理、調べがついたらこれはお返しになりますか、KSDに。KSDに入っている中小企業経営者の福祉に回らなきゃいけないお金が幽霊党員の党費代払いで来ているんですよ。調べがついた後、それは返すというなら、そうおっしゃってください。調べがつこうがつくまいが返さないというふうに国民は受け取りますよ、今のままでは。いかがですか。

森内閣総理大臣 たびたび申し上げておりますように、今調査はもちろんいたしておりますが、これを取りまとめをされる方々がそれぞれKSDの支部あるいは豊明会支部にいらっしゃったんだと思います。これがどういう形で取りまとめられたのか、なかなか私どもとしては定かに、本部としてはつかめないわけです。ですから、これは細かく今やっておるということは、事実調べているわけでありますが、返還の要求があれば、仮に今鈴木議員のそういう御質問、きょうはテレビがやっているのかどうかわかりませんが、そういうことをごらんになっていて私が入っていないということであるのであれば、そういう返還要求があればこれは直ちにお返しします。そのような基本的な方針はきちっととっております。

鈴木(淑)委員 言ってこなきゃ払わない、だけれども言われれば払うという御答弁は確かに伺いました。

 それでは、次は機密費であります。

 これものれんに腕押し、幾ら言っても調べている、調べているで、それだけを聞いていたのじゃどうしようもないので申し上げますが、それでは、調べがつくまで、この平成十三年度予算の中にある機密費、凍結しようじゃありませんか。機密費凍結について、総理、どう思いますか。

宮澤国務大臣 機密費の使途につきまして、いろいろ御解明があって、いろいろ反省しなければならないと所管大臣が述べていらっしゃいますが、使い込みがあったからこの予算はやめようというわけには、そこは論理が全然切れているので、そういうつもりはありません。入り用なものは入り用であります。

鈴木(淑)委員 使い込みがあったというのは、その分要らなかったという証拠ですからね。そうでしょう。だから、このままでいいということにはなりませんよ。

 それから最後に、時間の関係で例の原潜衝突問題について申し上げます。

 私は、この問題についての総理の御答弁を伺っていて一番がっかりしたのは、秘書官が茶屋にいろと指示したからとおっしゃった、あるいは私が急いで行かなくたって官僚がこういうふうに動いているからと、いわゆる政治家が駆けつけたのは全部遅いのですからね。そうでしょう。私は、一国の総理が秘書官や官僚に指示されたり、あるいは官僚がいるから大丈夫だと、これは情けないと思いますよ。総理というのはやはりでんとそこへ座っているだけで危機管理上非常に重要なんですよ。だから、直ちに駆けつけなければいけないぐらいのことをお考えにならないで、秘書官が指示したとか、私が行かなくたって官僚組織は動いていたみたいなのは非常に情けない。

 私事にわたって恐縮ですが、私はたまたま戸塚のメンバーでした、野村総研の理事長時代。だから、あそこのゴルフ場の構造を知っております。どこの茶屋だって外の道路とつながっています。総理ともあろう方が、大変だ、おれは帰ると言えば、総理の車が茶屋にだって乗りつけようと思えば乗りつけられる構造になっていますよ。私は、戸塚でプレーしているときに、もう亡くなった母のぐあいが悪いという一報が入ったことがあります。そうしたら、クラブハウスは、すぐに私に向かって車を飛ばしてきてくれました。それぐらいちゃんとしたゴルフ場ですよ。だから、総理にその気があれば、直ちにその姿で茶屋から直行できたはずです、官邸に。

 ですから、そこのところを秘書官やあるいは官僚に危機管理を任せて、様子を聞きながらその指示に従ってと、本当に私は情けない御答弁だと思います。いかがでございますか。

森内閣総理大臣 あなたは、テレビに随分出ていらっしゃったから、何でもそう決めつけてしまわれる。秘書官が連絡してくれなかったら、だれが連絡するんですか。連絡するのが秘書官であり、官僚であってはいけないんですか。(鈴木(淑)委員「連絡と指示とは違います」と呼ぶ)いやいや、ちょっと待ってください。私は、指示だと言っておりませんよ。(鈴木(淑)委員「すりかえだ」と呼ぶ)そうじゃありませんよ。連絡は秘書官からするのが当然じゃないでしょうか、それぞれ役所担当の秘書官がおられるわけですから。

 第一報は、すべてつまびらかな状況がわからなかったんです。どうもこういうようなことになっているようです、もうちょっと今から詳細を調べますから、直ちにまた次の詳細が入るまでお待ちください、こういうことです。(発言する者あり)いやいや、連絡でしょう。ですから、私は、その時点で直ちに車の手配もいたしました。いつでも出られるようにいたしました、次の連絡を待つまで、次のまたいろいろな詳報を聞くまで。

 ただし、私は、そのとき何にもしないでいるわけじゃないんです。そのときに、外国ですから、アメリカですから、外務省を中心に情報収集を徹底してやってほしい、それから、これは事故なのかあるいは危機管理なのか、いろいろな見方はあるだろうが、直ちに官邸の危機連絡室の対応をしてください、学生であるということであれば文部省との対応も必要でしょうから、その連絡もとってください、そうしたことを一つ一つ私なりに的確に指示をいたしました。これは指示です。そして、それが動き出すかどうかも、もう少し私は見よう、こういう対応をしたということです。

 ですから、私は、別に言いわけをいたしませんけれども、そういう形で決めつけられる、結果的に場所がよくないからいろいろなことを言われますけれども、私は、どこにいたとしてもそれだけの対応だけはきちっとして、そうしてから動くべきだという判断をした、こういうことです。

鈴木(淑)委員 総理、連絡と指示とは違います。

野呂田委員長 質疑時間は終了いたしました。

鈴木(淑)委員 これで、結びの言葉です。

 連絡と指示とは違います。そこにいてくださいというのは指示です。それに対して、いや、おれはすぐに行くとおっしゃればいいんですよ。それが政治家、総理大臣の態度ですよ。すぐに行くとおっしゃれば、携帯電話だって何だってあるんだから、総理の車はそういう装備、立派でしょう、ずっと走りながら連絡はとれます。あくまでも指示に従っていたからいけない。そういう方は総理としての資質を欠いているという言葉が出てもしようがないというふうに思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。森総理に、KSD問題についてお聞きをしたいと思います。

 昨日、KSD汚職の中心人物でありました村上正邦前自民党参議院議員が、受託収賄容疑で逮捕されました。容疑内容は、KSDから請託を受け、ものつくり大学について代表質問をした見返りに七千三百万円のわいろを受け取ったというものでございます。

 村上氏は、一昨日の参議院での証人喚問で、このように述べていました。

 我が党の代表質問というのは、草案が練られる、草案が練られる段階は、私は、代表質問させていただきます場合には、多くの議員の皆さん、それからまたマスコミの方たちにも御意見をお聞きし、学者の方々にもいろいろ意見を聞きながら、我が党の政審のスタッフの皆さんにも加わっていただいて議論をし、草案をつくって、そして、でき上がったところで執行部会にこれをお諮りして、そして党の代表質問としてこれを本会議場で国民に発信していくという、そうした姿が代表質問だと思っております、このように村上さんは言っておられるわけです。

 そこで、総理にお聞きをしますが、与党自民党の代表質問というのは、個人の見解を述べるというより、党を代表しての質問だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

森内閣総理大臣 基本的には党を代表して述べることになると思います。

佐々木(憲)委員 きょうのニュースによりますと、村上氏は、九六年一月の代表質問の内容について、事前に古関氏と相談していたことが明らかになっております。国会における政権与党自民党を代表して行った代表質問がKSDのわいろによってゆがめられ汚染されていた、こういう事実は極めて重大でございます。

 村上氏によれば、この質問については、自民党の執行部会に諮られ、そこでオーケーが出された上で実行されたということですね。したがって、自民党そのものがこの疑惑の対象になっていると言わざるを得ない。

 森総理、あなたは自民党の総裁として、その責任をどのように感じておられるか、お聞きをしたいと思います。

森内閣総理大臣 昨日も、またきょうの先ほどの他の会派の御質問の中でもお答えを申し上げたように、自由民主党におきます大変重要なまた役割を担ってこられた村上前議員でございますだけに、私も大変残念に思っておりますと同時に、公党として、党の責任者として、我が党からこうして二人の逮捕者が出たということについては、まことに遺憾なことであり、申しわけないことだ、国民の皆様にも心からおわびを申し上げたい、このように申し上げました。まさにそういう気持ちでおります。

佐々木(憲)委員 二人の逮捕者を出したということについては申しわけないとおっしゃいましたが、党の執行部会でオーケーをもらって、それで質問されているわけです。そういう意味で、党としての責任といいますか、その点についてどのようにお考えでしょうか。

森内閣総理大臣 あなたは何か、わいろであるとか、古関さんと相談をしてつくった文書といいましょうか演説であるというふうに決めつけられてお話しになって、決めつけじゃない、前提としてお話しになっておられますが、今あたかもNHKの報道によればとおっしゃったように、やはりこれは、これからきちっとした捜査によって明らかにされることじゃないでしょうか。

 ただ、自由民主党としては、たびたび申し上げておりますように、そうした職人大学、当時我々はそういうふうに言っておりましたように承知しておりますが、ものつくり大学であれ職人大学であれ、この政策そのものは私は正しいものだと思っておりますし、これは長い間、何も村上議員だけじゃなくて、私は特に教育問題を党では担当しておりましたから、もうずっと昔から、宮大工初め左官業、こうしたものがだんだん少なくなるということについて心配をいたしておりましたから、これは党の政策としてずっと掲げてきた政策、議論をしてきた政策でございますから、これが村上議員の演説の中に入っていたとしても、これは私は当然なことだと思っております。

佐々木(憲)委員 私は、そういう姿勢は全く無責任だと思うんですね。といいますのは、村上氏は古関さんと相談をされて、請託を受け、そして代表質問でものつくり大学に触れた。その見返りに七千三百万円のわいろを受け取って逮捕された。そういう質問を、党としてそれを了解されている。つまり、党の代表質問としてされたわけですからね。その点について全く何の反省もない。これは本当に、私は全く無感覚な姿勢だというふうに思うんです。

 しかも、野党質問と違いまして、政権与党の場合の質問というのは、政府が行う答弁とも一定の整合性が図られるというふうに思うんですね。当時は橋本総理だったわけですが、興味を持って勉強させていただきますと前向きの答弁が行われております。この点でも、私は政権与党自民党の姿勢が問われているというふうに思うんですね。村上氏個人の問題にとどまらない、そういう点が私は非常に重要だと思うんです。

 KSDは、村上氏と小山氏の比例代表の名簿順位を上げるために、KSD会員名簿で勝手に幽霊党員をつくった。村上氏は一九九二年と九八年、小山氏は九五年の参議院選挙でKSD丸抱えの支援を受けたわけであります。村上氏は九二年に二万二千人、九八年に九万八千人、小山氏は九五年に七万人の党員をKSDにつくってもらって、党費も丸ごと肩がわりしてもらったという疑惑であります。

 九一年から九九年までの間に、我々の調査によりますと、KSD側から実に延べ四十四万六千百十二人の党員名簿をつくってもらっている。その大部分が架空のものでございます。しかも、十八億円近い党費が肩がわりされている。そして、それが自民党本部に流れ込んで、まさに自民党を丸ごと汚染している、これが実態であります。

 我が党の志位委員長は、二月九日、この委員会で証拠を示しましてこの点をただしました。その際、森総理は次のように答えておられます。

 こういう問題がいろいろ指摘をされておりますので、ですから、どこにどういうような間違いがあったか、あるいは、今あなたが指摘されるようなことがもしあるとするならば、どういうやり方をしたのかということはやはり調べる必要があるということで、今、党に対して、でき得る限りの調査をして報告をまとめなさいということを総裁として指示しております。

このようにおっしゃっておられましたね。また、

 党の中の組織、あるいは党員の登録の問題、これはやはり党の責任だと思います。御指摘をいただいたり、いろいろ御注意をいただいたりすることは私は謙虚に受けとめます。党にとっても大変深刻な話です。私は、率直にそれは認めます。ですから、今一生懸命に、党の事務局をして、精査をしてください、こう申し上げているわけです。

このようにお答えになっておられます。

 この答弁からほぼ一カ月経過をいたしましたが、疑惑を持たれている、焦点になっているのは、自民党豊明支部というのは、これは東京、埼玉、千葉、神奈川、この四つであります。実態はどうなのかというのは、これは当事者に聞けばすぐわかる話であります。この程度の調査に時間はかからないと思うんですけれども、その調査結果について、ここで御報告をいただきたいと思います。

橋本国務大臣 大変恐縮ですが、先ほど私の名前も引用されましたので、私から一言申し上げさせていただきたいと思います。

 私の答弁の是非について御論評いただくことは結構でありますが、野党質問と違って与党質問という言い方をされました。今私は野党質問にお答えをしておりますけれども、与党質問と差をつけて礼を失するようなことはいたしておりません。本会議においても当然のことでありまして、この言葉だけは私はちょっと取り消していただきたい。院の権威にかかわることだと思います。

佐々木(憲)委員 今ちょっと先に突然橋本大臣がお出になりましたので。

 今の御答弁を聞いておりますと、村上氏の逮捕容疑は、古関さんからの依頼にこたえて本会議で代表質問をし、その見返りに資金を受け取ったという、これが贈収賄容疑の対象になっているわけですね。贈収賄事件の容疑者の質問に対して前向きに答弁をしたということが問題になるわけですよ。この点について、何の胸の痛みも感じない、開き直れば開き直るほど、これは党全体がKSDによって丸ごと汚染されているという疑いをますます深めざるを得ない、そういうことになるんじゃありませんか。

橋本国務大臣 大変私どもには理解のできない論理を展開されました。

 私は当時、KSDという団体、そのトップ、そしてその運営、我が党のだれとどういう関係があるか、そのようなことを今報道されているような状態で知る立場にはございませんでした。その上で、政策として、私自身職人の技術というものを大事だと言い続けてきた人間でありますから興味を示して、前向きに検討したいと思ったそのままを申しました。

 大変失礼でありますけれども、私は、御党の御提案で心から賛意を表したものがあったかどうか、記憶にございません。

 しかし、本席におられる中で、扇議員が野党のお立場で私に質問をされました中で、薬物対策について、非常に私はよい御提案をいただいたと思って賛意を表した記憶を持っております。

 与党であるから、野党であるからという先ほどのあなたのおっしゃり方に、政府の責任者として御答弁を申し上げるときに差をつけていないということを私は申し上げているのでありまして、余り奇怪な論理を展開されることは迷惑であります。

佐々木(憲)委員 弁解をされればされるほど、何かあるのかなと思わざるを得なくなりますよ、これは。おかしいじゃないですか。これ以上やりませんけれどもね。

 では、森総理に先ほど質問したので、どうぞお答えください。どうぞお答えください、森総理大臣。

野呂田委員長 それでは、森総理大臣。(発言する者あり)静粛にお聞きください。

森内閣総理大臣 今の橋本大臣の御答弁といいましょうか、また議論はこの後続けていただいて結構でございますが、今橋本大臣からもお話がありましたが、私はさっき、あえて、決めつけと言って、また佐々木先生の御人格を考えて前提と言い直しましたけれども、私は、やはりこれを前提と言い直すのをやめます。あなたは決めつけなんですよ。(佐々木(憲)委員「決めつけじゃないですよ」と呼ぶ)いやいや。事実これは容疑でしょう。村上議員に対する疑いがあるから逮捕されたんです。あなたは全部それが事実、まさに事実のようにおっしゃる論理展開というのは、我々はそれはやはり認めるわけにはいかない。それはまた、そういうふうな質問をされては赤旗に書きたいからでしょうから、私はきちっと申し上げておきますよ。

 それから、もう一つ申し上げておきます。村上議員の丸抱えだ、丸抱えだとおっしゃるのも、もう少し詳細をお調べいただきたいと思うんです。

 村上議員は、あるいは小山議員は、このKSD組織のみで推薦を受けている方ではございません。たしか傷痍軍人会を初めとして数多くの団体を支持団体に持っておられますので、どういう数字でそういうふうにおっしゃるのかわかりませんが、すべてそれはKSD……(発言する者あり)質問に答えていますよ、ちゃんと。それが二つ目の質問だったんです。

 ですから、そういう意味では、丸抱えだということは、私はどうもそれも決めつけだということを申し上げておきたいと思います。

 三番目、調査は早く報告しなさいということでございますが、これも先ほどからの各党の皆様にも申し上げておりましたように、党は党として今調べておりますが、極めて、なかなかそう簡単に調べられるものではない。どういう取りまとめをされたのか、どういう形でおられるのか、例えば、今お話しのように、幽霊だとかとおっしゃるのであれば、幽霊を探すというのは、なかなかこれまた難しいことでございます。

 ですから、いずれにしても、党としてはしっかりと今、どういう経緯をもって、どういう過程をもって党にその進達があったのか、そのことを今私どもとして調べているわけであります。

佐々木(憲)委員 本当に奇怪な答弁ですね。

 幽霊を探すのは難しいと言うけれども、幽霊をつくった人ははっきりしているわけですから、幽霊をつくった方に問い合わせればいいじゃないですか。何を言っているんですか。

 KSDの疑惑の核心というのは、まさに党費の立てかえにあるんです。それが国会で指摘されて、大問題になっているにもかかわらず、実態を明らかにできない。全く私は無責任だと思いますよ。

 一昨日の証人喚問で、我が党の筆坂議員が村上氏に、どれくらい幽霊党員がいるのか調べたのか、こう聞いたところ、村上氏は、豊政連の中村事務総長に問い合わせたと答えました。これは、支部自体が実態のない幽霊支部で、実際には中村事務総長が切り盛りしていたということを示していると私は思うんです。

 村上氏が幽霊党員について聞いたところ、中村事務総長は、そんなことはないと答えたが、村上氏は、それを丸々信じたわけではない、こういうふうにおっしゃっているわけですね。つまり、村上氏は、幽霊党員のことをもみ殻党員とも言っているわけでありますが、こういうところに実態の一端があらわれているのではないかと私は思う。

 さらに、村上氏は、別の議員が、自民党東京都豊明支部というのを知っていますか、このように尋問をしましたが、それに対して、存在というより、呼称でしょう、つまり呼び方でしょう、こうお答えになっています。読み方は聞いております、所在地は知りません、こう答えました。そして、豊政連には立ち寄ったことがある、こう言っているんですね。

 このことから明らかなのは、自民党豊明支部というのは実体のない支部で、幽霊党員を届けたり党費を立てかえるなどの事務は豊政連の中村事務総長が取り仕切っていたということだと思うんです。これが実態じゃありませんか。どうですか。

森内閣総理大臣 今いろいろとお話しになったことは、私どもとしてはその辺は定かにいたしておりません。ですから、そうした疑いについて、これから司直の手でしっかりとお調べをいただいて、そして御判断をいただくということなのではないでしょうか。

佐々木(憲)委員 私が聞いているのは、党内の話ですから、それは責任者としてみずから調べるのは当たり前じゃありませんか。あなたは、調べる調べると言って、実際に何も出てこないということは、調べていないんじゃありませんか。当時、豊政連の事務総長であり、かつ、自民党豊明支部会計責任者だったのが、逮捕された中村勝彦であります。こんなことは調べようと思ったらすぐわかるはずなんですよ。イロハのイなんですね、そういうことは。こういうことさえまともにやっていないということだと思うんですね。本当にそういう点で疑惑をみずから解明しようとしない、そういう姿勢が国民から大変大きな批判を浴びているんだと私は思うんです。

 私どもは、それぞれの支部長と言われる方々にも、これは登録されているわけですから、お会いをして、本人の了解なしに支部長として登録されていたということがいよいよ明らかになりました。まさに幽霊支部長であります。

 森総理、あなたは九六年十一月から自民党総務会長をされて、九八年七月からは幹事長をされています。ですから、九八年当時は党組織の状況を一番よく知り得る立場にあったと思います。

 一昨日の村上氏の証人喚問で筆坂議員が紹介しましたように、九八年の東京都の自民党党員数は十八万人でございます。ところが、豊明支部だけで九万人、約半分を占めているんですね。二百以上ある支部、この中でたった一支部が東京全体の党員の半分を占めるという極めて異常な状況であります。

 これ自体、森さん、異常だというふうには思いませんか、この数字。

森内閣総理大臣 党に共鳴をしてくださったり、また党の議員を御推薦いただいている、そういう組織、団体は、それぞれ一生懸命党員の獲得をしてくださったり、あるいは御支援をしていただくわけでありまして、結果としてどういう数字が出るからそれはおかしいですねということを、私はそういう立場で、おかしいというか、おかしくないというようなことは、申し上げられる、そういう立場ではないと思います。

佐々木(憲)委員 どうも、まともに調査をする姿勢が見られないし、先ほどから私が指摘しておりますように、直ちに電話一本かければわかるようなこともやっておられないようだ。本当に無責任だと私は思います。(発言する者あり)静かにしなさい。うるさい。

野呂田委員長 静粛にお願いします。

佐々木(憲)委員 KSD事件は、中小企業の汗の結晶である共済掛金を自民党本部に流し込んで自民党を丸ごと汚染した、過去に例のない悪質なものであります。だからこそ国民の大きな怒りを買っている。KSD丸抱えでその意向を酌んで暗躍した小山前参議院議員、村上前参議院議員も受託収賄容疑で逮捕されている。このような事態になってもなお無責任な態度をとり続けている。そういう姿勢では、これはもう絶対に国民から支持が集まらないと思います。私は、直ちに退陣をされるべきだ、このことを申し上げたい。

 この衆議院予算委員会の質疑も、与党の一方的な日程の設定によってあとわずかということであります。しかし、予算に直接かかわる機密費について言いますと、外務省から内閣官房への上納という財政法違反の疑い、あるいは与野党議員に対するせんべつ、国会対策費、そういう税金の党略的流用、こういう問題が浮かび上がっております。しかし、その実態は依然として隠されたままであります。

 四野党が共同で要求したKSDと機密費に関する証人喚問、これについても、いつまでたっても衆議院のこの予算委員会では応じようとしない、全くゼロ回答のままであります。

 しかも、森総理は、肝心なみずからの党内のことについても、何を聞いてもまともに答えようとしない、まさに疑惑にふたをしたままで、ともかく予算を通せという一点張りであります。まさに疑惑に包まれているこういう状態を放置しておいて、そして、国民にとってプラスにならない内容の予算を強引に強行するということは、絶対に納得できません。

 私は、国民の期待にこたえて、やはり、野党四党結束をして今闘っておりますけれども、これまでの自民党の政治の根本的な転換が求められていると思います。そのことを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

野呂田委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。

 こうした場で森首相とこの距離で質問をさせていただけるのは、もしかしたら私にとってきょうが最初で最後かもしれませんので、森首相に心からの御答弁をまずお願い申し上げます。

 私は、昨年の七月に初めてこの国会の場を踏みました、経験いたしました。しかしながら、私が経験いたしました国会は、久世金融再生大臣の辞任に始まり、先日の村上前参議院の自民党会長の逮捕という非常に異常な事態の中の七カ月でもございました。とりわけ、この村上氏の逮捕に関しましては、森首相の誕生にかかわる、あるいはまた自民党の長きにわたる顔として、そしてまた憲法調査会の会長として、現在の自公保路線の中軸におられた方かと思います。

 その方の逮捕に当たって、森首相にお伺いいたします。

 先ほど、自由党の鈴木淑夫委員の御質問の中に、同じ戸塚のカントリー倶楽部でゴルフをなさっていたとき、お母様の急変を聞かれて車を飛ばして帰られたと伺いました。

 森首相は、もしもあの日、えひめ丸の事件を聞かれたとき、あの中に御自身のお子さんが、あるいはお孫さんがおられたとして、同じようにゴルフを続けられましたでしょうか。これは人間の、人間としての価値にかかわる部分でございますので、御答弁はみずからのお言葉でまずお願いいたします。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

森内閣総理大臣 事故の連絡が参ります。その事故が、できるだけ大きな事故でなくてほしいなというのはだれもが考えること、そして、それがどういう状況になっているかというふうに考えるのも当然のこと。その連絡が、まだ詳細が細かに私どもにはわかっていない、そういう連絡でございましたから、仮に、今あなたがそういう仮定の御質問をなさるというのは、余りいい仮定ではありませんが、そこにもし私の身内がいたとしても、私は同じ指示をしたと思います。

阿部委員 森首相は、御自身、長く教育問題にかかわってこられたと言いました。今のような感覚の持ち主が、他人の痛みを一切理解し受けとめることのない方が教育問題を語るからこそ、今の若者たちはこの社会に、日本に限りない閉塞感を覚えるのだと思います。

 今、国会の前には若者たちが座り込んでおります。また、有明海の水門をあけろということで、漁民の方々も見えておられます。いずれも、この国がいかに人の命ということを軽んじ、その陰で政治の自己利害に右往左往しているかということを嘆く、本当に真っ当な、未来を託すべき若者の姿であろうかと思います。そして、このことは、実は森首相が考えておられる教育の中身でもありますから、御自身は、まず教育国会云々の前に、人間の原点に立ち返られて、子供たちに見せるべき後ろ姿をしっかりと御自身お考えくださいませ。

 引き続いて、私に与えられた時間は大変短うございます。そして、事が予定どおりに運べば、この予算委員会が終わり、動議が出され、あるいは本会議後、森首相の不信任案等々と進んでいくのかもしれませんが、私にとりまして、そうはさせられない事情がございます。

 それは、私は本予算委員会二回目の質問でございますが、さきの質問におきまして、河野外務大臣並びに福田官房長官に、外交機密費そして官房機密費についてお伺いいたしましたことの質問に対する明確な、誠意ある答えをいただけてないからでございます。

 実は、外交機密費、官房機密費の問題は、一九八三年、我が社民党の前身社会党の稲葉代議士が問題にしたところから始まります。当時の官房長官は、その席にお座りの宮澤財務大臣でございました。約二十年間問題になりながら、本質的な解決がなされずに、また今回、予算措置に伴って進んでいこうとするこの外交機密費、官房機密費については、絶対にこの場でとめねばならぬと思っておりますので、日本の根腐れ政治を絶つためにも、心からの御答弁をお願いいたします。

 まず、河野外務大臣にお伺いいたします。

 せんだっての予算委員会で私が質問いたしましたことへの回答をいただきました。松尾氏が警察庁から事情聴取を受けておられることを、いつお知りになりましたか。もう一度お願いいたします。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

河野国務大臣 昨年の十二月の二十二日でございます。

阿部委員 十二月二十二日にお知りになってから一月四日に調査委員会を立ち上げられるまで、河野外務大臣御自身は何をどのようになさいましたか。

河野国務大臣 当時のことを思い出してみますと、ちょうど外務省としては予算編成の作業もございましたし、さまざまな年の締めくくりの問題などもございました。

 ただ、今議員が御関心の松尾元室長の問題につきましては、二十二日にこうしたことがあるという報告を聞きまして以来、さらにどういうものであるのかよく調査をしてほしいという指示を出したことを記憶しております。

阿部委員 松尾室長には、昨年の暮れ、海外への転勤が内示されていたと伺いますが、河野外務大臣、御存じでいらっしゃいましたか。

河野国務大臣 そんな事実は全くございません。

阿部委員 年が明けましてから、この内示が取り消されたという報道がございましたので、確認をさせていただきました。

 では、十二月二十二日、河野外務大臣がこの松尾前室長の事件と申しますか、取り調べを受けたという事態をお聞きになりましてから、その間、一月四日まで、ただ周辺からの事情聴取のみでございましたでしょうか。

河野国務大臣 今申し上げましたように、二十二日に報告を受けましたので、本人からよくさらに事情を聞けという指示をしたわけでございます。その後、外務省の人間は松尾元室長から事情を聞いていたというふうに承知しています。

阿部委員 では、河野外務大臣は直接に松尾氏本人には事情は聴取されなかったということでよろしゅうございますか。

河野国務大臣 私が直接松尾元室長から話を聞いたことはございません。

阿部委員 では、河野外務大臣が、この松尾室長が横領したとされる公金が外交の随行員の差額補てんの代金であったというふうに認識されたのはいつですか。

河野国務大臣 私は、一月四日に正式に調査委員会を発足させるように指示をいたしまして、その数日後から外国に出張をいたしておりまして、十八日に帰ってきたかと思います。帰国直後に調査委員会のメンバーから調査の結果について聞いておりますので、そのときに聞いたと思います。

阿部委員 その聞かれた内容を確認いたしますが、外遊の宿泊費差額分という報告を一月十八日に受けたということでよろしゅうございますか。

河野国務大臣 調査委員会が私に報告をいたしました報告を一月二十五日に報告書として発表いたしております。その内容は、恐らく十九日、帰国直後だったと思いますから十九日と思いますが、そのときに私に報告をされた内容と同じものだと思います。

阿部委員 この横領分が外交機密費ではなく官房機密費であるということを河野大臣がお知りになったのはいつですか。

河野国務大臣 今申し上げたとおりでございます。

阿部委員 一月十九日にお知りになったというふうに承りましたが、一月二十五日の報告書の中には、この横領されたる公金の出自でございますね、どこから来たものであるかというのは、実は明確な報告書にはなっておりません。この点も、外務省がおつくりになる報告書として極めて不徹底でございますが、あわせて伺います。

 この中で、外務省職員の外遊の宿泊差額代も官房機密費から出されていたということはいつお知りになりましたか。

河野国務大臣 ちょっと正確でないかもしれません。ちょっとお待ちいただきたいと思います。確認をいたします。

阿部委員 事が起こりましてから、ことし一月の初め、冒頭でございます。そして、特に私が今この場で問題にいたしたいのは……

野呂田委員長 ちょっと質問者に注意しますが、向こうが調べていますから、質問されても聞いておりませんよ。

河野国務大臣 今申し上げましたように、たしか十九日に報告を受けたときに、今お尋ねの、内閣官房から松尾元室長が受け取ってきたというふうに報告を受けたと思っております。

阿部委員 失礼いたしました。

 では、一月十九日にそのことをお知りになってから現在まで、大体一カ月半ございます。先ほどの冒頭の佐藤観樹委員の御質問の中で、他の省庁の随行員については実は官房機密費からは支払われていないということが確認されました。

 申しわけありませんが、資料をお手元にお配りください。

 平成の五年以降の外遊の随行員について、各省庁、多方面の省庁が随行されておりますが、せんだっての二月十九日の中井委員の御質問の中で、少なくともこの中で、旧通産省、今の経済産業省の職員に関しましては官房機密費からの補てんを受けていないということがこの委員会で答弁されております。それから、旧大蔵省、現在の財務省の職員についても官房機密費からの宿泊費補てんはなされていないと二月十九日に答弁されております。

 では、外務省職員の外遊随行時にだけ官房機密費が差額補てんに使われたということを河野外務大臣は認識しておられますでしょうか。

福田国務大臣 私の方から、以前からここで申し上げていること、それを繰り返して申し上げます。

 これは、今回の犯罪容疑の対象となった宿泊費に関しましては、内閣官房職員の規定分の宿泊費、それから内閣官房職員と外務省職員及び他省庁職員の宿泊費差額、これを松尾元室長に渡したということでございまして、他の省庁にも渡したということになっているのです。それで、今それが実際に渡ったかどうかということについて捜査をしているというように御理解いただきたいと思います。

阿部委員 では、ここで内閣の構成メンバー内の大きな不一致点が判明したわけでございますね。

 今、私は本当は河野外務大臣に伺いましたが、官房機密費から宿泊の補てんを受けていたのは外務省職員並びに官房職員以外にもありというふうに福田官房長官は認識しておられたということですね。確認してよろしゅうございますか。

 そして、他の省庁、今の経済産業省並びに財務省のおのおのの責任者は、みずからの省庁の随行者については一切かかる官房機密費からの補てんは受けておりません、そして行かれたメンバーの個人名までわかっておりますと、二月の十九日の中井委員の御質問にございました。

 では、二月の十九日に既にそのような差が判明いたしましたのに、見解の相違でございますね。福田さん並びに河野さんは、他の省庁の分も出していたよと。しかしながら他の省庁は、いや、おれたちはもらっていないよと言われた。このことが判明したのは既に二月の十九日でございます。その後、約一カ月弱ございますが、何をしておられましたでしょうか。

 少なくとも、他の省庁については、この宿泊が何人分であり幾らであるということは、既に先ほど申しました平沼国務大臣、並びに財務省関連は提出されております。提出されていないのは官房職員と外務関係の職員分でございます。特に、補てん分が幾らであったかが出ておりません。

 まず一点、他の省庁の責任者との認識の違いが二月十九日あったということを福田さんはお認めになりますか、河野大臣はお認めになりますか。このことを伺います。

福田国務大臣 今私申し上げましたけれども、松尾室長の報告、こういう人が行きますということは松尾室長から聞くわけですね。それに対して、報償費の方から支出をしたということでありまして、それが果たして各省庁の随員にまで渡ったかどうかということが、これはどうも、いろいろ話を聞いておりましたら、そうでないというようなこともあるやに最近になって聞いておるわけであります。

 これは、各省の公式随員一人一人について、実際に宿泊費差額が手渡されていたかどうかという調査を、これはもう現時点では正確に把握するのは非常に困難なんですよ。ということは、もうそういう人が、当時の人が退職をしているという方もいますし、どこに行っているかわからぬというような人もいますし、また記憶も不確かだ、こんなこともあるんですよ。だから、一人一人に当たって非常に困難を伴っているだろうということ。ですから、これは捜査の方にお任せをしたいということになっているんですから、それを待つしかないんですよ。我慢して待ってください。

阿部委員 大変残念なことに、ここに平沼国務大臣の御答弁がございます。福田官房長官は出せない、河野外務大臣も警察任せにするしかないとおっしゃる、その差額費の問題でございます。

 平沼国務大臣は中井委員の御質問に答えまして、総理の外国出張に通産省から職員が随行いたしましたのは四十六回のうち四十回です、そして、公式随行員の延べ人数は二百四人、そのうち云々、すべからく明確にされております。そしておまけに、差額は一切受け取っておりませんと明言されております。

 これは同じ内閣内におられながら、片や国務大臣は受け取っていません、福田さんの方は、いや、渡したかもしれないんだけれどもな、あとはよくわからないから警察調べてちょうだいということでは、やはり官房長官としての責任。

 そしてもちろん、これは先回私が予算委員会での質問に河野外務大臣にお伺いいたしました、延べ何泊分、何人分でございますか、このお返事もいただいておりません。また、一回の差額補てんが幾らであったかについても、今日に至るまで、この予算委員会が終わろうとする時点にまでお返事をいただいておりません。他の省庁で明らかにできたことが、なぜ外務省並びに官房長官では明らかにできないのでしょうか。

福田国務大臣 何か一方的にがんがん言われましたけれども、私ども、聞かれたらお答えしますよ、お答えできるところは。私どもはやはり誠心誠意お答えする、そういうつもりでやっておりますので、冒頭そうでないような言い方をされましたけれども、そういうことは言われないでいただきたいと思っております。

 それで、もし具体的にお知りになりたいということがあれば、ちょっとこちらでも用意はいたしました。それ、御説明申し上げましょうか、時間がなくなっちゃうかもしれぬけれども。

阿部委員 もちろんこれは質問通告してございましたので、何人分、何泊分、差額幾らですかと。申しわけありませんが、その数値だけお願いします。何人分、あるいは延べ何泊分、差額が幾ら、数値だけで結構です。御心配いただきますように、時間がございません。外務省と福田官房長官、お願いいたします。

福田国務大臣 内閣官房の分につきましてお尋ねがありましたので、これは調べてあります。

 これは二千八百万円の分ですね、これは正規の分でございます。この分につきましては、松尾元室長在任中の期間のうちの平成七年度以降における内閣官房職員の宿泊料規定額ということになっておりますけれども、この官房職員数は延べ四百五十八人でございます。

阿部委員 一泊の差額についてももう一つお答えくださいませ。

 それから、同じ御質問を外務大臣にお願いいたします。差額一泊。

福田国務大臣 これは、怒られるかもしれぬけれども、直接お答えすることは、捜査との関連もあり難しい面があることをまず御理解はいただきたいと思います。

 ただ、宿泊費差額の具体的なイメージ、これはお示しすることができる、こう思っております。それをお示ししましょうか。――それではさせてください。(阿部委員「ちょっと待ってください」と呼ぶ)いやいや、させてください。

 総理外交団の宿泊先は、首脳外交に便がよく、また一国の代表者としての格を勘案するため、しばしば高額になる、こういうことでございます。

 それからもう一つ……

野呂田委員長 阿部君、残念ながら質問時間が終わりました。

阿部委員 額で教えてください。額が答えられないとおっしゃるなら、それで結構です。

野呂田委員長 では、額を言ってください。

福田国務大臣 金額は、この二千八百万円に該当する分ですか。――これは五年間なんですけれども、松尾室長の犯罪に関係するというものは、これは七年間なんです。この七年間の分の中で五年分をということは、先ほど申しましたように、捜査上のことがございますのでお答えできない、こういうふうに申し上げます。

阿部委員 委員長、ちょっと。

野呂田委員長 あなたは河野大臣にお聞きですから、河野大臣が答弁します。

河野国務大臣 お尋ねでございますから、外務省分について申し上げられるところを申し上げたいと思います。

 外務省の宿泊費規定額は九千三百万円でございます。この九千三百万円という数字には、松尾元室長在任中の四十六回の総理外国訪問のうち、最初の十一回の訪問の際の宿泊費規定額は算入されていないこと、それから人数でございますが、申し上げました九千三百万円に当たります総理外国訪問の外務省同行者につきましては、延べで千六百三十三人でございます。

野呂田委員長 阿部君、質疑時間が終わっています。

阿部委員 終わっているのは重々承知ですが、申しわけございません、本当に申しわけございません、これは私が質問通告したことであって、差額については……

野呂田委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成十三年度予算三案に対する質疑はすべて終局いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 ただいままでに、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の四派共同による、佐藤観樹君外五名から、平成十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、本動議について提出者から趣旨の弁明を求めます。原口一博君。

    ―――――――――――――

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員 私は、ただいま議題となりました平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の野党四会派を代表して、その趣旨の弁明を行います。

 まず、私たち野党四会派が平成十三年度政府予算案の組み替えを求める理由を申し上げます。

 私たちが予算の編成替えを求める第一の理由は、外務省元室長の横領事件をきっかけに次々と明らかになってきている政府機密費をめぐる不明朗な会計処理、不正流用疑惑等を踏まえ、国民の常識と情報公開の視点及び国益にかなう情報収集体制の整備の視点で政府機密費の抜本的な改革と大幅な削減が不可欠であるということであります。

 この間、外務省から内閣官房への機密費の上納の仕組みを示す内部文書の存在等、政府ぐるみの不正流用等の疑惑が次々と暴露されています。このような税金、公費の乱用支出は到底許されるものではありません。政府機密費は、国民の安全や国の重大な利害にかかわる情報収集活動に限定して適正に支出されていてこそ、その存在が辛うじて容認され得るものであり、その使途の限定や会計検査の適正化、国会によるチェック体制の確立が求められます。政府機密費の仕組みを抜本的に改革するとともに、これまでの不正支出等の実態も踏まえた大幅な減額を行うことなくして予算を政府案どおり成立させることは、国会の予算の審議権の放棄と言うほかありません。

 第二の理由は、危機的な水準に達している財政状況を顧みない旧態依然の公共事業中心ばらまき予算に終止符を打つと同時に、国民生活の不安を解消するための雇用、福祉関係施策や教育施策、立ちおくれている大都市圏の交通、防災、環境関係施策などに歳出の重点を移す必要があるということであります。

 先進国中最悪の財政赤字を垂れ流しながら、政府が行っている景気対策は何ら効果を上げておりません。利益誘導型、従来型の公共事業を大幅に削減するとともに、個別補助金を整理し、地方公共団体に一括して交付することなどの思い切った改革が必要です。

 来年度予算におけるばらまきのもう一つの典型は、児童手当の所得制限緩和であります。政府案は、恒久的な財源手当てを欠く上、支給対象年齢を義務教育就学前児童に限定したまま所得制限のみ緩和することで支給対象児童を拡大するものであり、支給対象年齢を超える児童のいる低所得世帯との不公平を拡大するものと言わざるを得ず、削除すべきであります。

 ODA及び防衛費については、厳しい財政状況も勘案し、それぞれ一定の削減及び前年度並み額への据え置きが適当であります。

 他方、今日の景気低迷の大きな要因の一つである個人消費の冷え込みが雇用不安や今後の社会保障、福祉への不安に起因していることは明らかであり、こうした国民生活上の不安を解消するため、雇用対策、仕事と家庭の両立支援策、社会保障、福祉施策等の拡充を行うことが必要であります。

 また、公共事業関係では、大都市部における道路の立体交差事業等の交通円滑化対策、緑のダム、すなわち森林の保水力向上のための間伐事業など、住民の必要とする事業についてはむしろ一層の拡充が必要であります。

 このほか、三宅島・有珠山噴火、愛知水害などの自然災害、有明ノリ被害、JR新大久保駅ホーム転落事故、えひめ丸沈没事故などの痛ましい出来事も踏まえ、避難島民の就職支援、被災者生活再建支援策の大幅拡充、主要駅へのホーム転落事故防止設備の早急な整備、世界最高水準の海難救助技術を備えるための調査研究などに、予算上も組み替えによって迅速適切に対応すべきであります。

 以上のように、野党四会派は、来年度予算について、政府機密費疑惑への適切な対応、財政健全化への方向づけ、国民生活の安心の向上のため、別途お配りしております重点事項に沿って組み替えるよう要求するものであります。

 何とぞ御賛同くださいますようにお願い申し上げ、趣旨の弁明といたします。

野呂田委員長 これにて本動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 これより討論に入ります。

 平成十三年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。

北村(直)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております平成十三年度予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。

 平成十三年度予算は、我が国の新たな発展基盤の構築に資する施策に一層の重点化を図りつつ、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、我が国経済を自律的回復軌道に乗せるとの観点に立って編成されております。あわせて、十三年度末の国、地方の長期債務残高が六百六十六兆円に達するなど、厳しい我が国の財政事情にかんがみ、財政の効率化と質的改善を図っており、現在の日本経済にとって、まさに適切かつ重要な予算となっております。

 賛成の第一の理由は、本予算案が、新たに迎えた二十一世紀の発展の礎を築きつつ、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるための十分な措置を講じていることであります。

 我が国経済を本格的な回復軌道に乗せ、日本経済の再生をなし遂げることは最重要課題であり、このため、国民の皆様の不安を一掃し、安心できる社会を実現するため、十三年度予算を早期に成立させる必要があります。

 十三年度予算においては、三年連続となる高水準の公共事業関係費を確保するとともに、公共事業等予備費三千億円を計上するなど、景気に万全の対策を行っております。また、二十一世紀の発展基盤を構築し、日本経済の新生を図るため、総額七千億円の日本新生特別枠を活用し、公共事業、非公共事業を通じて、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野を中心に重点的な予算配分を図っております。

 賛成の第二の理由は、本予算案が、限られた財源を真に国民のニーズに合った分野に配分するため、財政の効率化と質的改善を図っていることであります。

 まず、公共事業について、個々の事業の徹底した見直しにより、投資効率の乏しい事業を中止しております。また、地方財源対策において、新たに特例地方債を発行し、あわせて、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入額を増額する等の制度改革を行うことにより、国、地方を通ずる財政のさらなる透明化を推進することとしております。

 さらに、中央省庁等改革を機に、施策の融合化と連携を図る等の取り組みを行っております。

 以上、本予算案に賛成する理由を申し述べましたが、経済対策を踏まえて編成した十二年度補正予算を着実に執行していくこととあわせ、この平成十三年度予算によって公需から民需への円滑なバトンタッチを実現し、民需中心の本格的景気回復を実現させることができると考えております。本予算の速やかなる成立のため、議員各位の御理解と御賛同をお願いする次第であります。

 なお、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合から提出された平成十三年度政府予算に対する共同組み替え要求は、現在の経済情勢等に照らして到底現実的な提案とは言いがたく、断固反対するものであります。

 十三年度予算は、二十一世紀における国民生活の活力と安心のかぎとなる、まことに新世紀のスタートにふさわしい予算であり、ここに賛成の意を表するものであります。

 本予算の一日も早い成立を期して、私の賛成討論といたします。(拍手)

野呂田委員長 次に、池田元久君。

池田(元)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算に反対し、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合提出の予算の編成替えを求める動議に賛成する立場で討論を行います。

 まず、野呂田委員長と自公保三党の不公正かつ一方的な委員会運営について、一言申し上げなければなりません。

 野呂田委員長と与党三党は、きのう受託収賄容疑で逮捕されました村上正邦前参議院議員や額賀福志郎議員など、KSD疑惑や機密費横領疑惑にかかわるキーマンの証人喚問を実現しようという姿勢は全く見せませんでした。そればかりか、委員長の職権を乱用して、いまだ解明されていない多くの課題を残したまま、予算審議を途中で打ち切りました。これは、疑惑隠しと政局を優先させたもの、つまり自公保三党の退陣工作を優先させたものであり、野呂田委員長と自公保三党の責任は極めて重大です。猛省を促したいと思います。

 次に、平成十三年度予算案に反対する理由を申し上げます。

 今や、我が国の財政は破綻の危機に瀕しております。バブル崩壊後の失われた十年の間に、景気対策のため巨額の借金をふやしながら、なぜ我が国の経済は低迷し続けているのか。それは、思い切った構造改革を先送りし、不良債権の抜本処理に手をつけることなく、安易かつ非効率なばらまきの財政出動を続けているからにほかなりません。

 宮澤財務大臣が漏らした歳出削減なき安易な消費税増税論は、まさに政府・与党の本音だと考えざるを得ません。財政健全化への道筋を示すこともなく、ただいたずらに財政赤字をふやし、後の世代にツケを回す自公保三党の放漫かつ整合性のない経済政策の集大成が、まさにこの平成十三年度予算案だと言わざるを得ません。

 とりわけ、総理大臣官邸と外務省が組織ぐるみで食い物にしている疑いの強い機密費について、その実態を隠し、予算も一切修正しようとしないことに、国民は強い憤りを感じております。また、森総理の露骨なまでの我田引鉄である整備新幹線のフル規格化、旧態依然とした旧来型公共事業の実施など、自民党得意の利益誘導政治によって不健全な企業を延命させることはできても、日本経済が立ち直るような効果は望めないと私は考えます。

 以上により、本予算案には到底賛成できないことを申し上げたいと思います。

 これに対して、野党四会派提出の予算の編成替えを求める動議は、機密費の大幅削減はもちろん、非効率な公共事業も削減する一方で、国民の将来への不安を取り除く雇用や社会保障、教育、環境、災害対策などの分野への歳出を手厚くするなど、国の資源配分を大きく変えることを主張しておりまして、政府・与党は真摯に耳を傾けるべきだと考えます。

 最後に、六百六十六兆円という膨大な借金を残す財政政策とともに政府・与党の経済失政の双璧をなす金融の不良債権問題について、一言申し上げます。

 金融担当大臣は、今ごろになって不良債権処理を加速すべきだというような発言をしております。しかし、この議論は、九八年の金融国会で私たちが何度も強く主張した議論です。あのとき厳格な資産査定と引き当てを初めとする不良債権の早期かつ抜本処理を先送りしたことが、不良債権問題の深刻化を招いております。

 政府は、金融システムに不安はないという考えのようですが、それは全く甘い認識と言わざるを得ません。しかも、現実の資産査定と引き当てが不十分であることが露見する直接償却を、銀行経営者の責任を不問に付すことによって促進しようとする政府・与党の姿勢は、モラルハザードを一層蔓延させるものであり、許されるものではありません。七十兆円という巨額の公的資金と二年半の時間を与えられながら不良債権問題を一向に解決できなかった自公保政権には、政権担当能力が大きく欠けていると言わざるを得ません。

 以上、申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

野呂田委員長 次に、谷口隆義君。

谷口委員 私は、公明党を代表して、平成十三年度政府予算三案に賛成、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合提出の編成替え動議に反対する立場から討論を行うものであります。

 日本経済は、今まさに、確実な自律的回復ができるかどうか、正念場にあります。アメリカ経済などの影響もあり、大幅な株価の低迷、生産の停滞など、決して予断を許さない状況にあると言わなければなりません。

 そうした中で編成された平成十三年度予算は、財政の効率化と質的改善を図り、公債発行額の可能な限りの縮減を図りつつ、我が国の新たな発展基盤の構築に資する施策に重点化を図るとともに、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、我が国経済を自律的回復軌道へ乗せるために適切かつ重要な予算であります。

 私は、今政治がなすべきことは、我が国の景気回復に全身全霊を傾け、財政、金融にわたって切れ目のない経済運営を実行すること、なかんずく平成十三年度予算の年度内成立が不可欠であると認識するものであります。

 以下、順次、主な賛成理由を申し述べます。

 賛成の第一の理由は、本予算案が、我が国経済社会の新たな発展基盤の構築に資するための重点配分を図るとともに、景気の自律的回復軌道に向け、十分な対応を講じている点であります。

 我が国経済は、バブル経済崩壊に伴う地価や株価の低迷や不良債権問題等により、長期にわたる停滞が余儀なくされ、金融システム不安等、厳しい時期を経験いたしました。我々連立三党は、こうした厳しい景気状況から脱却し、我が国経済の新生を図るため、的確な経済対策の実施に全力を尽くしてきました。その結果、我が国経済は厳しい状況にあるものの、緩やかな改善を続けている状況にまで回復をさせることができたのであります。

 この景気回復への流れを本格化させるため、十三年度予算においては、十一年度、十二年度当初予算と同水準の公共事業関係費を確保するなどの万全な体制をとるとともに、十二年度補正予算に引き続き、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野への重点配分を講じております。

 さらに、雇用や社会保障、教育・科学技術の振興、中小企業対策など、国民の暮らしと未来への礎となる分野にも十分な予算配分を行い、国民の安心や社会経済の安定を支える予算となっております。

 賛成の第二の理由は、本予算案が、限られた財源の中で、公共事業の見直しなど、財政の効率化と質的改善を図っていることであります。

 まず、公共事業につきましては、個々の事業の徹底した見直しにより、過去最大の二百七十二もの事業を中止いたしました。

 また、地方財政対策におきましても、新たに特例地方債を発行し、あわせて交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入額を増額する等の制度改正を行うことにより、国、地方を通ずる財政のさらなる透明化を推進することとしております。

 賛成の第三の理由は、厳しい財政状況のもと、公債発行額をできる限り縮減したことであります。

 平成十三年度の公債発行額は前年度当初予算より四兆二千九百二十億円減額し、また、公債依存度は四・一ポイント減少して、三四・三%となる見込みであります。

 なお、報償費については、現在、外務省において、第三者の方々を含めた外務省機能改革会議が設置され、報償費のチェック及び管理体制、透明性の確保など、報償費のあり方についての見直し議論が進行中であり、これらの議論を踏まえた上で、予算の執行段階において厳正に運用していくべきであると考えております。

 以上、本予算案に賛成する主な理由を申し述べました。

 私は、十三年度予算は、二十一世紀における国民生活の活力と安心のかぎとなるまことに新世紀のスタートにふさわしい予算であると自負いたしております。

 平成十三年度予算案に対する議員各位の御理解と御賛同を心よりお願いを申し上げる次第でございます。

 なお、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合から提出された平成十三年度政府予算に対する編成替え動議は、現在の経済状況等から照らして、到底現実的な提案とは言いがたく、反対をいたします。

 二十一世紀最初の予算を審議する過程で、KSD事件、外務省公金横領事件など、まさに二十世紀型政治の最も悪い部分が露呈したことは残念であり、まことに遺憾であると言わなければなりません。私たち政治家一人一人が襟を正し、二十世紀型政治のすべてのうみを出し切る覚悟で事件を究明し、再発防止に全力を挙げなければなりません。

 私たち公明党は、国政全般を担う責任ある政権与党として、国民の皆様の批判を謙虚に受けとめ、不正に対しては真正面から立ち向かうとともに、二十一世紀を希望の世紀とすべく、あらゆる構造改革を断行し、国民の皆様の負託に断固としてこたえてまいる決意であることをここに表明し、私の討論を終わります。(拍手)

野呂田委員長 次に、達増拓也君。

達増委員 私は、自由党を代表して、ただいま議題となっております平成十三年度予算三案に反対、野党四会派提出の編成替えを求める動議に賛成の立場から討論を行います。

 株価は、バブル崩壊後、最安値からさらに落ち込みました。個人消費は依然低迷しています。経済産業省の発表した一月の鉱工業生産指数は前月比マイナス三・九%と予想を大きく下回り、一―三月平均も前期比マイナスに転じると予想されます。一月の失業率は四・九%という最悪のまま改善されていません。次々発表される各種の経済指標は、最悪の経済状況への警告を発し続けております。

 このような中で、こんな政府予算案ではとても国民の期待にこたえ得るものではありません。

 政府予算案反対理由の第一は、国や国民全体のための景気対策にはほとんど寄与していないことであります。

 効率性、緊急性、採算性にも疑問が持たれ、しかも、一部の業界やそれにかかわる政治家のための安易な公共事業の積み増しに終始しております。また、パソコン減税の廃止等に見られるように、ITを内閣の看板政策に掲げているにもかかわらず、逆方向の政策が行われようとしています。一方、景気回復のかぎを握る個人消費の刺激策については配慮されず、介護保険料や雇用保険料の引き上げで景気回復の足を引っ張ることは明らかであります。

 反対理由の第二は、経済構造改革に向けた動きがほとんど見られず、従来どおり、数字を積み上げただけの場当たり的なものになっていることであります。

 経済構造改革の本質は、規制を撤廃し、縮小した権限を地方分権する、官から民へ、中央から地方への流れをつくることにあります。しかし、森内閣ではその視点が全く見られません。

 政府案に反対する第三の理由は、財政健全化の配慮が見られないことであります。

 財政健全化の道筋を示す指標の一つであるプライマリーバランスは、十二年度当初と比較して約五千二十八億円悪化しております。これは、中身に変化のないまま政策経費が膨張する結果、より赤字体質が進むということであり、政府案は、財政健全化に配慮しているといいながら、実はこれに逆行したものとなっています。

 野党四会派が提案している来年度予算の組み替え動議は、不透明、不明瞭な内閣官房報償費及び外務省報償費を大幅に減額し適正化する方向が示されております。また、新幹線や空港等、効率性、緊急性の観点からむだの多い公共事業については削減し、バリアフリー施策や都市交通、防災、環境関係施策など、より緊急性の高い事業に重点化したこと、さらに、個別補助金を整理し、その相当額を地方公共団体に一括交付する方向を示していることは、社会経済構造改革に大いに資するものであります。

 これらの方針のもとで、プライマリーバランスの悪化を抑制しながら、国民が求める課題について、より効果的、重点的な予算編成を行うことで、経済の活性化と国民の安心の確保が可能になるものと考えます。

 最後に申し上げます。

 KSD事件や機密費問題、さらに、えひめ丸と米国潜水艦との衝突沈没事故への対応、厳しい経済情勢、これら山積する厳しい課題に対して、森総理は必要なリーダーシップを示すことができていません。最近の各種世論調査では、内閣支持率は一〇%を切りました。株価も下落の一途をたどって、底が抜けたようなありさまであり、内閣は市場からも支持されていません。政府予算案も同様に、国民からも市場からも賛成されていない、理念も政策も政治主導もない無責任予算であることを申し上げ、政府予算三案に反対、野党四会派提出の編成替えを求める動議に賛成し、私の討論を終わります。(拍手)

野呂田委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 私は、日本共産党を代表して、政府予算案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成、政府予算三案に対し反対の討論を行います。

 今国会では、KSD疑惑、機密費流用問題を初め、予算審議上、徹底的に究明すべき国政上の大問題が相次いでまいりました。

 機密費疑惑は、外務省から内閣官房への上納という財政法違反の疑いや、与野党議員に対するせんべつ、国会対策費という税金の党略的流用を問題の核心としたもので、国民は、予算に直接かかわる問題として、その全容の究明を求めております。KSD疑惑は、村上前参議院議員の逮捕で新しい展開を見せ、予算委員会での徹底審議はこれからと言わねばなりません。しかも、KSD疑惑と機密費問題に関して野党が要求した証人喚問はいまだ実現しておらず、こうしたもとでの予算の強行は許されません。

 我が党を含む野党四会派は、機密費の仕組みの抜本的改革と大幅削減、むだな公共事業などを削減し、国民生活に安心をもたらす各種施策の充実を求め、政府予算を撤回のうえ編成替えを求める動議を提出いたしました。この内容は、自公保政権への国民の怒りと不満の声にこたえた差し迫ったものばかりであり、私たちはその実現に力を尽くすものです。

 次に、政府予算案について述べます。

 反対する第一の理由は、日本経済が深刻な不況にあるもとで、この予算案が国民生活の安定にも景気の回復にも逆行するものとなっていることであります。

 失業率は四・九%と最悪の水準にあり、勤労者の所得はふえず、経済の六割を占める個人消費も低迷しております。最近の株価下落も経済の実態を反映したものです。

 ところが、予算案には、家計を直接温める施策、雇用不安の解消を図る見るべき対策が全くありません。そればかりか、医療改悪、改悪雇用保険法の四月実施、十月からの介護保険料の引き上げを初め、国民負担を強める内容すら盛り込まれております。しかも、介護保険料、利用料の減免措置など、国民の強い要求には背を向けたままです。その上、中小企業予算、農業予算は相変わらず最低水準です。これでは国民生活と景気に冷水を浴びせるだけと言わねばなりません。

 政府予算案に反対する第二は、これが浪費を拡大し、財政危機を一層深刻化することにあります。

 公共事業費は前年度と同程度、三年連続して公共事業等予備費が計上されました。採算の見込みのない関西国際空港の二期工事のほか、ITの看板をかぶせた従来型公共事業など、ゼネコン浪費型の公共事業も膨れ上がったままです。さらに、新中期防の初年度として巨額の軍事費が計上されていることも、アジアの平和の流れに反し、財政の浪費を拡大するものとして重大です。これでは財政危機の深刻化が消費税の増税などにつながるのは必至であり、断じて認めることはできません。

 今、国政に求められているのは、公共事業優先、社会保障抑制の逆立ち財政を転換して、財政危機打開への第一歩を踏み出すこと、雇用と社会保障、暮らしと営業を支える予算への抜本的組み替えで、国民生活を守り、景気の回復を図ることです。

 このことを強く要求して、野党四会派提出の編成替えを求める動議に賛成し、政府予算案に反対の討論を終わります。(拍手)

野呂田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、二〇〇一年度政府提出予算三案に反対、民主党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合四党提出の予算編成組み替えを求める動議に賛成の立場で討論します。

 さて、本年度政府提出予算、この予算案は、一般歳出規模では四十八兆六千五百億円と過去最高になっており、むだをカットするという省庁再編の目指す理念が反映されているとは言えません。相も変わらぬ公共事業中心の予算は、建設業の構造改革をおくらせ、中長期的な成長阻害要因を内包していると言えると思います。公債依存度は三四・三%と依然と高水準で、財政健全化の足がかりとするにはほど遠い内容になっていると思います。

 さて、野党四党組み替え動議では、五千百億円の減額を提案しています。福祉や環境や女性政策のさらなる充実を図り、政府案で三千億円計上されている予備費などのむだをカットしています。私たちは、この組み替え動議への議員各位の御賛同を強く訴えたいと思います。

 さて、本予算委員会には、KSD疑惑と機密費問題の解明も重要なテーマでした。

 額賀福志郎前経済財政担当大臣の政倫審での弁明は、さらに疑惑が深まったとしか言いようのない内容でした。

 一千五百万円、領収書のない金を小林照夫私設秘書がKSDから受け取って額賀議員に報告をしなかったと弁明しましたが、これは、政治資金規正法にのっとって処理しない、いわゆるやみ献金と言われるものとどこが違うのか、合理的な説明はありませんでした。

 昨年の五月二十日に小林秘書から報告を受けて、五月二十三日にKSDに返したと弁明しましたが、直前の五月五日号の週刊誌にKSDの記事が記載され、さらに、五月十七日から十八日にかけて労働省がKSDに立入検査を行った経過から、問題になりそうなので慌てて返したという疑惑が政倫審でさらにあぶり出されましたが、これに対しても納得のいく弁明はありませんでした。

 小渕前総理の施政方針演説にものつくり大学推進の一文が挿入されたことに対しても、証明してくれる人がいると弁明しましたが、それはだれかと問われると、それは言えないという答え。御本人も、これで国民の皆さんに納得していただけるとは思えませんと言うありさまでした。

 皆さん、予算委員会を続行して、きっちり証人喚問を開くことが私たちの責任ではないでしょうか。私はそう思います。

 逮捕された村上正邦自民党前参議院会長の証人喚問も本予算委員会で求め続けてきましたが、与党はこれも拒否。さらに、自民党の幽霊党員問題や党費立てかえ問題では、きょうに至っても、その報告がされるどころか、文句を言ってくる人がいたら対応すると総理が答弁するありさまです。

 機密費の問題では、河野外務大臣の答弁は、核心に触れそうになるとお答えできませんの一点張り。機密費に群がっていた外務省の組織的問題であるにもかかわらず、松尾元室長一人の問題に閉じ込めて、何とか予算委員会を切り抜けたいという姿勢だったと思います。

 さらに、この問題で官邸にメスが入ると最大のタブーの一つに触れることになり、事態が収拾つかなくなるため、福田官房長官は、外務省の問題だけにすりかえて、強引に逃げの一手だったと思います。真相隠しのつじつま合わせに血眼になっている答弁のうさん臭さを国民はちゃんと見抜いていると私は思います。

 これでは、予算委員会が税金の使い道を審議する場ではなく、まるで税金にたかって生きてきた人たちを守る場に化してしまっているじゃありませんか。

 さて、最後に、疑惑、疑惑と騒がずに政策論争をしろなどという声を聞きますが、これは、今の政治の本質の問題をはぐらかし、目をそらせるための声でしかないと私は申し上げたいと思います。

 票と金をくれる業界に抱えられた国会議員が御用聞きになり、国会質問や予算編成そのものをねじ曲げるえこひいき政治と、税金を食い物にするたかり政治の構造を残したまま、幾ら立派な政策を口で言っても、絵にかいたもちにすぎないと思います。

 特に、愛国心や道徳を人一倍口にしてきた議員たちが逮捕されたり保身に走る姿を不問に付して、金科玉条のごとく、予算の早期成立をという主張が全く説得力がないことは、内閣支持率や株価の下落が如実に示していると私は思います。

 私は、森政権の早期退陣を求めます。そして、二〇〇一年度政府提出予算三案に反対、四野党提出の組み替え動議に賛成の立場をはっきり表明して、討論を終わります。(拍手)

野呂田委員長 次に、井上喜一君。

井上(喜)委員 私は、保守党を代表して、ただいま議題となっております平成十三年度予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。

 以下、賛成する主な理由を申し上げます。

 平成十三年度予算は、二十一世紀の最初の予算であります。総理の施政方針演説にありますように、新世紀の最初の十年は、今後の百年の大計を決する極めて重い意味を有するものであります。この十年の間に、前世紀から積み残した課題を集中的に処理するとともに、新たな時代に対応した改革を徹底的に進めていく必要があります。

 平成十三年度予算は、その第一歩を踏み出す予算となっていると考えます。

 第一に、失われた十年とも形容されるバブル崩壊後の低迷してきた我が国の経済を着実に自律的な回復軌道に乗せるための努力がなされております。

 具体的には、十一年度、十二年度当初予算と同水準の公共事業関係費を確保するとともに、公共事業等予備費三千億円を計上するなど、公共事業による景気の下支えに十分な対応を行うこととしております。他方で、公共事業について与党三党が主導してその抜本的見直しを行った結果、投資効率の乏しい事業を中止するなど、質的な面での改善にも十分な配慮を行っております。

 第二に、新たな時代に対応するための構造改革に向けた準備にも十分な配慮がなされています。

 情報化、少子高齢化、国際化といった内外情勢の急激な変化に対応した構造改革の必要性が叫ばれて既に久しく、産業の分野を初めとして規制緩和などの改革が進行中であります。

 十三年度予算においては、このような新たな時代のニーズに対応し、二十一世紀の発展基盤の構築に資するような分野に十分な対応を行っております。具体的には、総額七千億円の日本新生特別枠を活用するなどして、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備といった分野に重点的な配分を行うこととしております。

 また、経済社会の構造改革に応じて、行政自体も変貌していかなければなりません。この一月六日、中央省庁の新たな体制がスタートいたしました。十三年度予算においては、省庁の統合等に伴う施策の融合化、連携にも配慮し、行政が新たな時代のニーズに十分対応していくことができるような工夫も行っております。

 税制面でも、新世紀のスタートにふさわしい改正を行うことといたしております。まず、景気回復に配慮して、新たな住宅ローン制度を創設するとともに、中小企業投資促進税制を継続するなどの措置を講じております。また、我が国企業が経済社会の環境の変化に柔軟に対応できるよう、企業組織再編成にかかわる税制を整備することといたしております。

 さきにも述べたように、二十世紀の最後の十年間、我が国経済はバブルの崩壊により苦闘を続けてまいりました。特に、この数年、我々連立政権による大胆な政策の効果もあり、我が国経済はデフレスパイラルに陥りかねない極めて厳しい状況から脱却し、いまだ厳しい状況を脱していないものの、緩やかな改善を続けています。

 しかしながら、足下の経済情勢を見れば、株価の低迷、企業部門の回復の鈍化など、予断を許さない状況にあることもまた事実であります。

 このような状況のもと、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せ、国民生活の安定を図ることが目下の最重要課題であり、このためには、十三年度予算を早期に成立させ、国民の不安を一掃した上で、新たな時代への一歩を踏み出していく必要があります。

 なお、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合から提出された平成十三年度政府予算に対する共同組み替え動議については、我が国経済の状況や国民生活の実態を踏まえたものとは言いがたく、反対いたします。

 十三年度予算の早期成立、着実な執行を通じて、二十一世紀という新たな時代に対応するための第一歩を順調に踏み出していくことができるよう祈念して、私の賛成討論といたします。(拍手)

野呂田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 これより採決に入ります。

 まず、佐藤観樹君外五名提出の平成十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野呂田委員長 起立少数。よって、佐藤観樹君外五名提出の動議は否決されました。

 次に、平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野呂田委員長 起立多数。よって、平成十三年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成十三年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

野呂田委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 去る二月七日の審査開始以来、終始真剣なる議論を重ねていただきましたが、特に報償費に関しては、その透明性の確保、管理の適正をいかに図るかに多くの議論がなされました。当委員会の審議の経過にかんがみ、政府におかれても、これらの問題についてより一層の対処を強く望むものであります。

 本日ここに審査を終了いたしましたが、これもひとえに委員各位の御理解と御協力のたまものであり、ここに深甚の感謝の意を表する次第であります。ありがとうございました。(拍手)

 本日は、これにて散会いたします。

    午後六時七分散会




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