衆議院

メインへスキップ



第1号 平成13年10月4日(木曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成十三年九月二十七日)(木曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 坂井 隆憲君

   理事 自見庄三郎君 理事 池田 元久君

   理事 佐藤 観樹君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    池田 行彦君

      石川 要三君    大原 一三君

      奥野 誠亮君    亀井 善之君

      栗原 博久君    高鳥  修君

      谷川 和穗君    津島 雄二君

      中山 成彬君    中山 正暉君

      丹羽 雄哉君    葉梨 信行君

      萩野 浩基君    蓮実  進君

      三塚  博君    宮本 一三君

      八代 英太君    五十嵐文彦君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      海江田万里君    金子善次郎君

      城島 正光君    仙谷 由人君

      筒井 信隆君    平岡 秀夫君

      松野 頼久君    白保 台一君

      若松 謙維君    達増 拓也君

      中井  洽君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    山口 富男君

      辻元 清美君    横光 克彦君

      井上 喜一君    宇田川芳雄君

平成十三年十月四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 坂井 隆憲君

   理事 自見庄三郎君 理事 城島 正光君

   理事 仙谷 由人君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    池田 行彦君

      石川 要三君    大原 一三君

      奥谷  通君    奥野 誠亮君

      亀井 善之君    栗原 博久君

      高鳥  修君    谷川 和穗君

      津島 雄二君    中山 成彬君

      中山 正暉君    丹羽 雄哉君

      葉梨 信行君    萩野 浩基君

      蓮実  進君    福井  照君

      三塚  博君    宮腰 光寛君

      八代 英太君   吉田六左エ門君

      五十嵐文彦君    岩國 哲人君

      菅  直人君    北橋 健治君

      五島 正規君    首藤 信彦君

      野田 佳彦君    古川 元久君

      松本 剛明君    山口  壯君

      横路 孝弘君    石井 啓一君

      上田  勇君    白保 台一君

      若松 謙維君    達増 拓也君

      中井  洽君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    中林よし子君

      春名 直章君    藤木 洋子君

      辻元 清美君    横光 克彦君

      井上 喜一君    宇田川芳雄君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         片山虎之助君

   法務大臣         森山 眞弓君

   外務大臣         田中眞紀子君

   財務大臣         塩川正十郎君

   文部科学大臣       遠山 敦子君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       武部  勤君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国土交通大臣       扇  千景君

   環境大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     村井  仁君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)

   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   防衛庁副長官       萩山 教嚴君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   法務副大臣        横内 正明君

   外務副大臣        植竹 繁雄君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣      南野知惠子君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   内閣府大臣政務官     阪上 善秀君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   環境大臣政務官      西野あきら君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    津野  修君

   参考人

   (日本銀行総裁)     速水  優君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  松田  昇君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十七日

 辞任         補欠選任

  池田 元久君     五島 正規君

  生方 幸夫君     首藤 信彦君

  海江田万里君     野田 佳彦君

  金子善次郎君     古川 元久君

  佐藤 観樹君     北橋 健治君

  筒井 信隆君     松本 剛明君

  平岡 秀夫君     山口  壯君

  松野 頼久君     横路 孝弘君

十月四日

 辞任         補欠選任

  亀井 善之君     奥谷  通君

  栗原 博久君    吉田六左エ門君

  宮本 一三君     福井  照君

  松本 剛明君     菅  直人君

  白保 台一君     石井 啓一君

  若松 謙維君     上田  勇君

  山口 富男君     春名 直章君

同日

 辞任         補欠選任

  奥谷  通君     亀井 善之君

  福井  照君     宮腰 光寛君

 吉田六左エ門君     栗原 博久君

  菅  直人君     松本 剛明君

  石井 啓一君     白保 台一君

  上田  勇君     若松 謙維君

  春名 直章君     中林よし子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮腰 光寛君     宮本 一三君

  中林よし子君     藤木 洋子君

同日

 辞任         補欠選任 

  藤木 洋子君     山口 富男君

同日

 理事池田元久君及び佐藤観樹君九月二十七日委員辞任につき、その補欠として城島正光君及び仙谷由人君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

野呂田委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      城島 正光君 及び 仙谷 由人君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

野呂田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

野呂田委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君、預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 それでは、基本的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久間章生君。

久間委員 おはようございます。

 総理、久しぶりでございます。先般の予算委員会では、ちょうどロサンゼルスで足どめを食ってしまいまして、我が国に帰る飛行機がないために予算委員会で質疑をすることができませんでした。しかし、そのために逆に、アメリカがあのようにテロに突入されたときに、その後の対応の素早さ、あるいはまた、それを受けての国民が一致結束して難に当たろうという姿を見ることができまして、ああ、ここにアメリカのやはり強さあるいは怖さといいますか、そういうのがあるのだなと痛感したわけであります。

 そういう意味で、このテロの問題からお聞きしたいと思うわけでございますけれども、私は、あのときテロに遭遇して、そしてそれをテレビ等で見ましたときに、これが我が国で行われたら、一体我が国はどういうことができるのだろうと正直思いました。アメリカは、すぐさまいろいろな捜査当局が犯人を特定するために一斉に動いて、犯人をほぼ特定したようでございますし、そしてまたその背後におる人物についても突きとめて、すぐさま反撃に出ようと今しているわけであります。

 ところが、その背後におる人物というのは国外におって、そこに出かけていって、その国が犯人引き渡し等で渡してくれればいいわけですけれども、そういうような条約その他がない場合には、力ずくででもその犯人を捜して連れてきて処罰する、そういうことをしなければならないわけですけれども、我が国は、残念ながら、憲法九条、そういうような制約もございますし、またそれだけの能力もないのかもしれません。

 しかしながら、こういうテロを野放しにしたときに、我が国がもしそういうことになったときには大変なことになる。そういうことを考えますと、アメリカがその反撃に出ようとすることについては、我が国としても、ほかの諸外国と一緒になって、万全を期して最大限の努力をして、こういうことが二度と起こらないようにこの際根絶しておくということが非常に大事だ、そう思ったわけであります。

 我が国においても、小泉総理が先頭に立たれて、これは憲法の許す範囲の中で最大限のことをするということで、大変陣頭指揮をとって今日まで来られました。また、その間にアメリカの大統領とも話されたわけでありまして、私は、そういう意味では、これまで総理のとってこられた態度は大変正しかったし、時宜に適したものだったと思っておりますけれども、これらの米国同時テロ対策に取り組む総理の決意といいますか姿勢について、改めて国民の皆さん方に教えていただきたい、そのように思います。

小泉内閣総理大臣 今回の米国で発生したテロに対しましては、これはアメリカ自身への攻撃にとどまらないで、全世界に大きな衝撃を与え、多くの国々も、これは米国に対する攻撃だけではない、みずからの国に対してもいずれ起こっても不思議ではない、また自由と平和と民主主義に対する卑劣な暴虐行為であるという、強いテロ行為に対する憤りを共有していると思います。

 我が国においても多くの犠牲者を出し、八十カ国に及ぶような人々があのテロ攻撃によって犠牲になった。現在でも五千人以上の方々が依然として行方不明。こういうことを考えますと、これは米国だけの問題ではないというのは、今や日本国民も世界の多くの国民も人ごとではないと私は思っていると思います。

 そういう観点から、今回のテロに対する対応については、ほとんどの国が、毅然とした対応を示さなければいけない、テロ根絶、そしてテロ抑止に向けて、一国だけではできないけれども、全世界が協力して結束してこのテロに対応する措置を考え、できるだけ力を合わせて二度とこういうテロ行為が行われないような措置をとらなきゃならないという認識だと思います。

 我が国もまさにそうだと思います。今回のテロ行為に対しては、発生したのは米国でありますけれども、日本自身の問題としてとらえて、この問題に主体的に取り組む、そして、世界各国と協力して、このテロ根絶に向け、日本の国力に応じた努力をしていかなきゃならないと私は認識しております。

 そういう中で、今我が国においても、いつこういうテロ行為を意図している人がいるかもしれないという想定に立ちながら、テロに対する対策を鋭意進めているわけであります。

 具体的に大ざっぱに言いますと、まず、今世界各国と連携をとっておりますけれども、我が国にテロリストを出入りさせない、テロリストの拠点をつくらせない、テロを起こさせないという、こういう大きな方針のもとに、それぞれ各省庁、関係省庁協力して、いろいろ警備等、情報収集等、怠りない準備を進めているところでございます。

 具体的については関係当局から答弁させてもいいんですが、いわゆる今言ったようなテロを起こさせないような万全の警備体制を、現在もとっておりますが、今後も継続して、アメリカ初め各国と協力しながら、このようなテロを起こさせないというような準備はこれから常に怠りないようにしていかなきゃならないと思っております。

久間委員 やはり、あれだけのテロが行われるためには、かなり資金量も豊富であろう、金も動いたんだろう、組織も動いたんだろう。そういう意味では、これらをあらゆる面から、やはり規制を加えるといいますか、見張っていかなきゃならないわけであります。

 そういう意味では、テロ資金が、まずアメリカを初め各国とも凍結をしておりますけれども、我が国においてもそういうことをもうなさったのかどうか。あるいは、今総理が言われましたように、まず水際で入ってくるのを防ぐ。不審者が我が国に入っているかどうかもチェックしなければなりません。

 それともう一つは、やはりハイジャックされた飛行機が武器に使われたというのは、本当にこれはまた今までなかっただけに、そういうことのないように航空機の安全面で配慮しなければなりませんし、あるいはまた、それと全然、話はちょっと異なるかもしれませんけれども、この飛行機の安全確保が図られないという意味もあるのか、保険が非常に高くなってしまっている、あるいは保険がきかない。そういうことで、外国によっては乗り入れもさせないというような、そういう国もあると聞いておりまして、航空業界も大変そういうところを危惧しておられて、政府でも、それについては対応しようというような動きがあるように聞いておりますけれども、これらの点に、関係大臣からもし何か御意見があれば答えていただきたいと思います。

塩川国務大臣 まず、お尋ねのテロ資金の問題についてお答えいたしたいと思っております。

 早速、国連安保理事会の決議がございまして、その決議によりまして九月の二十二日、タリバン関係者の資金を凍結いたしました。この名簿は大体百六十五名でございまして、この分に措置をいたしました。この具体的な措置については、外為法に基づきまして、財務省としては告示でいたしておりまして、各銀行に徹底しております。

 まず、支払いにつきましては、アフガン向けの支払いを許可制として、不審なものは全部許可しないということになっておるわけです。それから、アフガニスタン以外の国に住所を有するタリバン関係者の支払いについても同様に許可制にしておりまして、これも通知いたしております。それから、資本取引につきましては、タリバン関係者等の間の資本取引、まあ預金の契約もそれでございますけれども、こういうようなもの、これも許可制にいたしました。いずれにしても、許可の申請がタリバン関係者に係るものである場合は、全部不許可の処分にしたいと思っております。

 なお、このほかにアメリカの方からも追加の名簿が来ておりまして、それにつきましても目下チェックをしておりますが、これは国際的な関係がございますので、近く開かれますG7で、各国共通してこれの扱い方を決めようということにいたしておりますので、それに基づいていたしたいと思っております。

 以上です。

扇国務大臣 今、久間先生から大変重要な御指摘をいただきまして、我が国としても、今回の米国における同時多発テロ事件に関しまして、国土交通省としましても、今後、これは対岸の火ではなく自国のこととして、もし我が国にありせばということで、航空機搭乗前の検査装置、それを徹底的に今回は強化しよう、そういう処置を講じたところでございます。

 また、御存じのとおり、航空機を安定的に維持するために、二日の日に、航空保険の契約の見直しに関しまして、足らざるをということで、これは閣議決定をさせていただきまして、航空の保険の見直しということに、すぐに二日の閣議で対処させていただきました。

 それともう一つ大事なことは、この防止をするということに関して、もし自国であった場合に、アメリカのように日本の空域全部を一時停止することができるのかどうか、これを私も疑問視いたしまして、調査いたしましたところ、空域を停止すること、例えば飛んでおる飛行機を近くの空港に誘導することは管制で可能である。

 ただ、今わからないのは民間の練習場、あるいは農薬を散布する等々の軽飛行機等々に関してはまだ把握ができておりませんけれども、私は、自国のこととして、今何かがありせば自国ではどの程度の対応ができるか、全国一斉に、何ができるか、そしてどういうことをすべきかというマニュアルの作成を事務方に指導したところでございますので、この報告は追ってまたできると思いますけれども、今飛んでいるものを近くの空港に誘致することは今の管制では可能である。そこまでは完全に把握ができております。農薬散布に関しては、今調査中でございます。

 あと、大事なことは、今回の旅客に対しまして、九月の十一日から二十四日までの二週間で、国際線級の旅客の減がどれくらいあるかということで、これも調査させていただきました。わずかの間でございますけれども、国際線では二七%減の旅客減で減収をしておりますので、航空関係にとっては大変大きな損害が出ております。また、九月十一日から二十八日までの十八日間、約二十九万人の旅客が中止をする、そういう旅客の申し込みの減というものもありますけれども、これはまだ短期の調査でございますので、今後どの程度皆さん方に影響が出てくるか、今先生がおっしゃいました我が国での損益の経済状況も今後注目していきたいと思っております。

柳澤国務大臣 再びちょっと金融の問題に戻りますけれども、外為法関係は先ほど塩川財務大臣が御答弁になられたとおりでございますが、国内の金融機関をめぐる資金の取引、これについての規制というか、そのことについてお答えを申し上げたいと思います。

 本当でしたら、テロ資金供与防止条約に我が国が署名、批准しておればそのものが取り締まりの対象になり得るということですが、これはまだ国内法制との関係でそこまで行っていない。こういう段階で何をしたかと申しますと、幸いにしてと申しますか、我々、組織的犯罪処罰法におきまして、犯罪収益の疑いのある国内金融機関との取引、その資金が犯罪収益に関係があるんじゃないかということについては、これを届け出制にかけることができる、こういう法制になっております。

 他方、先ほど塩川大臣も触れられた国連安保理の決議では、タリバーンの資金は薬物犯罪で収益を得ているという指摘がございましたので、これはそのまま私どものこの組織的犯罪処罰法における犯罪収益による資金の取引、こういうふうにとらえることができる、こういうことになりましたので、タリバーン関係者等に関連する疑いのある取引については、まさにそうしたものとして、その取引が行われた場合には金融機関から届け出をもらう、こういう規制をいたしたところでございます。

 具体的には、九月の二十七日にこれを各金融機関の担当責任者あて通知を発出いたしまして、この要請をいたしたということでございます。届け出をいただいて、そしてそれは捜査当局にまた吟味の上つなぐ、こういう法制のもとで今その運用が行われているということでございます。

久間委員 今度のテロの背後にある特定の人物がおる、そういうようなことを言うけれども、それは証拠がないじゃないかなんという、そんな話がいろいろ出るわけです。しかし、それは私はおかしいと思うんです。アメリカだって、犯人と違うやつを犯人だと思ってやっていったんでは、本当の犯人が別におったらもっと怖いわけですから、もう真犯人をちゃんと見きわめてそれを攻撃しようとするわけですから、やられた人間の気持ちになってみれば、いいかげんな犯人捜しなんてするはずないわけですから、だから、それはもう具体的な証拠がどこまで日本に提示されたかどうかは別としまして、やはり当のアメリカ自身がそこまできちんとやってからやらないと今度は自分の身が本当に危ないわけですから、そういう意味ではもう大体特定されているんだろうと思います。

 そういうことで、アメリカを中心として、またNATO諸国も中心として、世界各国がこの行動を開始しようとするときに、我が国としてどれだけのことができるか。今、新法をいろいろと考えておられる、政府の方で出そうとしておられるというふうに聞いておりますけれども、なぜこれは新法でやらないと自衛隊の派遣が困難なのか、そういう点も踏まえまして、どういう内容の新法を、どういうようなことをまた自衛隊にさせようとしているのか、これは官房長官でも結構ですから、どうぞお答え願いたいと思います。

福田国務大臣 委員のおっしゃるように、ただいま政府としてどういうことがこの問題に対処してとり得る方策かということについて真剣に議論をし、でき得ることは進めていくということで作業を進行中でございます。

 この諸外国のテロ撲滅、根絶というために活動する我が国が実施する処置、これは要するに国際的なテロリズムの防止、こういうことでございますので、これに対して、我が国としても、総理もおっしゃっておられますけれども、主体的に、かつ積極的に行う、こういう性質のものである、そして、国際社会にいかに貢献できるかということであろうかと思っております。

 なお、申し上げれば、これは米国国内に起こったテロ事件でございますけれども、しかし、我が国の国民も二十数名殺された、こういう事実も踏まえ、これは我が国のこととして考えなければいけない、また、こういうことは今後日本国内においても起こらないと限らない、こういう観点も忘れてはならない、このようにも思っております。

 憲法の範囲内でできる限りの支援、協力、こういうものを模索しておりますけれども、そういう作業の中でもって、政府といたしましては、まず、テロ根絶のための諸外国の活動に対する自衛隊の協力、支援、そしてもう一つは、国際連合などの要請に基づいて人道的な精神に基づく活動、こういうようなことをどの分野でできるかということで検討を進めておるところでございます。

久間委員 そういうときに、よく、何か支援という言葉で、米軍に支援する法律を出すんだとか米軍のために支援するんだとか、そういうことが非常に口に上がるわけです。ただ、今回のやつはそうじゃなくて、テロを撲滅するんだ、総理が言っておられるようにテロを撲滅するんだ、そのために、いろいろなことをやるけれども、その一手段として、活動する米軍を初めとする諸軍隊に支援をすることもあるんだというような、そういう位置づけをみんな、国民の皆さん方も知っておってもらう必要があるんで、これはやはり、総理がたびたび言っておられますけれども、私は大事なことじゃないかと思っております。

 そこで、ただ、そうはいいながらも、自衛隊が出ていく場合に、やはり従来と考え方が変わったのか。例えば武力行使をするのかとか、何か基本的な考え方がこの際変わったんじゃないかというようなことも言われますけれども、私は、それはやはり、今までの政府のとってきた政策とは基本的には何ら変わってないんだというようなこともきちっとメッセージとして国民に教える必要もあるんじゃないかと思いますけれども、その辺は変わったのか変わってないのか。武力の行使等も踏まえて、まあ総理でも結構ですし、ぜひひとつお答え願いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今回のテロに対する対応についてでありますが、私は基本的に、憲法解釈、今までの政府の見解を踏襲したい。その上で、現行法では対処できない場合がある。

 テロというのはどこで起こるかわからない。テロを根絶させる、抑止させるということに対して、各国を含めて日本も支援、協力していかなきゃならない。その場合では、武力行使はしないという前提で自衛隊にも協力をいただかなきゃならない。そういう際には、現行法で対処できない場合には、新しい法律によって自衛隊に新しい任務を付さない限り海外に自衛隊を派遣することができない場合には、新しい法律を制定する必要があるということで、新法をお願いしようと思う。

 そして、民間人にも御協力をいただきますけれども、自衛隊にも協力をいただいて、世界の中で日本が国力に応じてできるだけの協力態勢をとるということで、私は、現行の憲法解釈を踏まえながら、自衛隊が新たな任務を引き受ける場合にはどのような法律が必要かという観点から、今新法制定を検討しているところでございます。

 そして、自衛隊が海外に派遣されて、立派にテロ根絶、テロ対応に対する協力を各国とともに堂々となし遂げることができるような環境を整えていくのが政府の、また政治の責任でもあると考えております。

久間委員 そのような考え方で取り組まれるのは本当に結構でございますが、ただ、今までと違いまして、今までの自衛隊が海外に行く場合は、平和五原則とかあるいは我が国周辺事態のときとかいろいろありますけれども、今度の場合は、相手がテロリストでありますだけに、思わぬところで思わぬ反撃があるかもしれないわけであります。そういう意味では、隊員ももちろんでございますけれども、隊員とともにおるその周りの人々、隊員の管理下にあった人間等についてもやはり十分な配慮をしてやらなきゃならない。そういう点では、従来よりもやや一歩そういうような配慮を余計にする必要があるのじゃないかというふうに思いますので、これは答弁は要りませんけれども、新法に当たっては、十分そういうことについても配慮していただきたいと思います。

 それともう一つ、自衛隊を派遣する、あるいはそれ以外の今いろいろと対策を講じておられるときに、やはりこれだけのテロ対策に伴ういろいろなことをやっていこうとすると、十三年度に、予算はもう組まれておりますけれども、また、これだけで足らない場合、いろいろ出てくるんじゃないかと思うわけでありますけれども、そういうときは、緊急の場合は予備費で対応せざるを得ないかもしれませんが、そういう点については財務大臣としてはどう考えておられるのか、その辺、補正予算等も踏まえてお聞きしたいと思います。

塩川国務大臣 お尋ねのありました問題は、我々といたしましては、今当面する最大の懸案でございますので、いろいろと検討いたしております。そこで、九月の十九日に総理から、当面の措置ということで政策を発表いたしました。

 それに基づきまして現在検討いたしておりますことは、いろいろございますけれども、まず第一に、医療、輸送、補給等の支援活動を実施する目的で使う費用でございますが、この費用をどのぐらい見積もっていくかということがございます。それからまた、米軍施設やその他我が国の重要施設に対する警備の費用、こういうようなものもどのぐらいかかるのかという検討項目になっております。それから、出入国管理、情報交換等に必要な、国際的な協力をする、これの費用も必要であろうと思っておりまして、それからまた、周辺の諸国に対する人道的な援助でございます。パキスタンに対しましては、四十七億円もう既に、これは現在の十三年度予算の中から支出して援助いたしております。そのほかにもまだ必要であろうと思っておりますし、それから、そのほか世界的経済システムに対する協力関係の費用というのも考えなければいけない。

 そういう費用は、まだ具体的にアメリカがどういう対応をするかということがわかっておりませんので、項目は挙げておりますけれども、まだ具体的な数字として出しておらないというところでございますが、できるだけ、補正予算を組むにいたしましても、我々、緊縮した財政の中で配慮していきたいと思っております。

久間委員 わかりました。

 具体的には数字が煮詰まらないとだめでございましょうが、とにかくそういう配慮をしておるということでございまして、安心いたしました。

 それでは、テロの問題については一応ここで終わることにしまして、このテロが発生しましたために非常に影が薄くなりましたけれども、現実の経済問題というのは本当に厳しい状況に置かれておるわけですね。これはもう総理が一番、痛いほどわかっておられると思います。構造改革は断行しなければならない、しかし、その中でこんなに厳しい経済状況をどう乗り切っていくか、大変つらい立場におられるわけであります。

 そのために、雇用も失業率がとにかく五%を超えたというような、そういう状況になってきておるわけでございまして、この厳しい経済情勢の中で構造改革を断行するという総理の決意と、それからまた、取り組まれる姿勢といいますか、どういうような考え方で乗り切っていこうとされるのか、総理のお考えを国民の皆さん方に教えていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 構造改革を進めていく中で、最近の経済情勢が悪化している、各経済指標も非常に厳しい数字が出てきております。

 そこで、この改革をいかに促進するかという観点からも、今の経済情勢をどう判断するか。そしてテロを契機に、この経済情勢も世界的な関連を持ち、世界同時不況という様相を呈してきております。その中で、テロによって不要な経済混乱を起こさせない、経済の面において日本が果たす役割も非常に大きいと私は考えております。単にテロ対応というのは、軍事作戦とか武力行使だけではございません。経済の面からどうやってお互いが協調していくか、あるいはテロに対する資金を断ち切るという面、あるいはこのテロに関連して出てくるであろう難民に対する支援、いろいろな協力の方法があるわけでありますが、まずは、日本が世界第二の経済力を持っている国として経済の面から寄与しなきゃならない面もたくさんあると思います。

 そういう中で、私は、改革なくして成長なしという観点からも、今後、この世界同時不況を食いとめるための日本としての経済的な役割というものも当然十分配慮していかなきゃなりませんが、景気対策の面からも、私は、改革を促進するような経済対策をとる必要がある。従来型の、経済状況が悪くなってきたあるいは不況になってきたからということで、国債を増発して公共事業を積み増しすればいいという状況でもないなということから、今、どういう経済対策をとれば小泉内閣が進めております改革を促進することができるかということに腐心をいたしておりまして、それぞれ、今回は、本来だったらば雇用対策国会だと言われるような、雇用対策を重点に審議されるというような状況であったと思います。ところが、九月十一日を境にいたしまして、不況に拍車をかけるような形でテロが発生し、これがまた経済面に悪影響を与えております。

 そういう観点から、私は、今後、十分に経済指標面に注意を払いながら、いかに構造改革を進めていくかということを考えますと、十四年度予算について、国債三十兆円以下で、歳出を徹底的に見直ししながら改革を進めていく方針を堅持しつつ、そして十三年度補正予算、今検討中ではございますけれども、これもできるだけその線に沿った形で補正予算を編成したいと考えております。

 具体的には、どの程度雇用対策に必要か、あるいは、新しい構造改革に向けて、構造改革を推進するような対策はどういう対策が必要か、そのための予算はどの程度要るのかということを積み上げていきまして、最初に、三兆円あればいいだろう、五兆円あればいいだろう、十兆円あればいいだろうということでなくて、どれが今後の景気対策に効果的か、有効か、それが同時に構造改革に資するかという観点から今積み上げ努力をしている最中でございます。そういう中で、安易な国債増発に頼らないという姿勢は堅持いたします。

 しかし、今後、どういう状況でこれからテロに対する対応がどのように具体的にとられるのかというのは、まだ定かでありません。具体的な対応がとられた段階で、また、どのような影響が、経済面においても、あるいは安全保障面においても世界で起こるかわかりません。そして、万が一不測の混乱、これは安全保障面においても経済面においても出た場合は、不要な混乱を起こさせないような対策を日本としても大胆かつ柔軟にとらなきゃならないと私は認識しております。

 そういう点を考えながら、今、いろいろな予測し得る範囲のことは予測しておりますけれども、今回のテロみたいに予測しがたいことが起こる場合もありますから、それはよく配慮しながら、各大臣とも綿密な協力をとりながら、現時点において、いろいろな状況を想定しながら対策を練っているところであります。

 具体的な点につきまして、もしお尋ねがあれば、関係大臣からも答弁をさせます。

久間委員 戦後のでき上がりました構造といいますか、あらゆる分野での、経済も政治もそうですけれども、それがだんだん行き詰まってきている。ここでその構造を変えてしまわないと、次の成長ができない。構造改革なくして成長なしと言われる、基本的な、総理の言われるのはよくわかります。

 しかし、さりとて、また日本の経済が落ち込むようなことがあったら大変なことになるということで、先般も、今度のテロが発生したために吹っ飛んでしまいましたけれども、総理がアメリカに行って、キャンプ・デービッドで米国大統領とキャッチボールをした。あのときには、日本経済をマイナス成長にはさせません、そこまで言われたような、そういう報道もあったぐらいですから、とにかくマイナス成長にさせないというようなことで取り組んでいただかないと、来年度の、十四年度の三十兆円という約束すらなかなか難しくなってくる。経済が落ち込み出すと税収が減るわけですから、減ったら次の枠はもっともっと広げざるを得なくなる、こういうのが日本の現在の現状ですから、これは本当にこれから先真剣に、場合によっては今言われたように大胆に、柔軟に対応していただきたいと思います。

 そこで、経済構造改革に取り組まれるに当たりまして、改革工程表というのを取りまとめられたようでございますけれども、これに基づく改革の道筋をやはり国民に理解をしてもらうことが必要であります。経済担当大臣、これについては今後どういうふうに進めようとしておられるのか、お聞きしたいと思います。

 ついでに、もう時間もございませんから、それに先立って改革先行プログラムというのも策定されたように聞いておりますけれども、これはそういう流れの中でどういう位置づけになっているのか、これらについても皆さん方にやはり教えていただきたい。

 というのは、国民の皆さん方も、構造改革はしなきゃならぬ、しかしながらその一方、痛みがどんな形で出てくるのか、どこまで耐えなきゃならぬのか、そういう思いが交錯しているんじゃないか、そういうふうに思いますので、やはり見えるように、できるだけ国民の皆さん方にわかりやすいメッセージを送ってやっていただきたいと思いますけれども、どうですか。

竹中国務大臣 久間委員から構造改革の進め方のお尋ねでございます。

 御指摘のように、改革工程表というのを先般取りまとめました。これは、三カ月前に発表しました骨太の方針に基づいて、改革を進めるために具体的にどのような政策をやっていくのかということを全部リストアップしまして、かつ、それをどのようなタイムスケジュールで行っていくのかということを示した。ある意味でこういうものは初めての試みでありますので、何を意味しているのか、確かに非常に細心の注意をもって国民の皆さんにお知らせしなければいけないと思っております。

 実は、工程表を見ていただきますとおわかりになりますけれども、これは五十ページ、六十ページに達するような非常に細かいものでございまして、なかなか御理解いただくのは難しい面もあります。

 実は、それに合わせまして、一般の国民の皆さんにわかっていただけるようなパンフレットを作成しておりまして、印刷物はあと一週間ほどででき上がりますけれども、もう既にこれはウエブ、ホームページの方には国民の皆さんに見ていただけるようなものは掲げております。加えて、これまで行ってきましたタウンミーティングないしはメールマガジンなどを活用しまして、こういった意味での公表にさらに努めていきたいと思っております。

 二番目のお尋ねでございます先行プログラムの中身でありますけれども、これはどういうものかといいますと、工程表の中に掲げているもので特に前倒しをして改革を進めるために必要なものを、予算の措置も含めて取りまとめるということでございます。これにつきましても中間取りまとめは既に終えておりますけれども、予算の措置も含めまして、最終的な改革先行プログラムを十月中に取りまとめるということにしております。これも含めまして、委員御指摘のように、国民の皆様にできるだけ御理解いただけるような仕組みをつくっていきたいというふうに思っております。

久間委員 どうかひとつ、国民の皆さん方がよく理解しながら一緒になってこの改革をやっていこう、そういう中でやっていくためには非常に大事なことでございますから、これから先もわかりやすく御説明を願いたいと思います。

 ところで、総理がアメリカに、これもまた夏に行かれましたときに、不良債権の処理を話してこられた。そしてこれは、不良債権の処理をしないと、本当に外国の投資家その他も非常に疑心暗鬼になって日本への投資がなかなか進まない、そういう問題もあって、これは早急にやらなきゃならないということで、二、三年のうちには処理しましょうというふうなことを言われたやに聞いておりますけれども、ただ、総理がそのとき頭にあったのは、やはりあれだけ大きな不良債権を抱えている大手行を中心にして、念頭に置いて言われたんじゃないかなと思います。

 といいますのは、大手都市銀行だけじゃなくて、地銀あるいは信金あるいは信組、そういったところまでやりますと、中小企業を含めまして、もう日本全国、北海道から沖縄まで、たくさんの中小企業者も実を言いますとバランスシートが崩れているのがあるわけであります。そういうようなものまで一気呵成に短期間にやってしまうというと国内の経済が非常に混乱する、耐えられない場合も出てくるんじゃないかと思うんですけれども、金融庁、金融担当の大臣として、これはどういうような考え方でこれから処理しようとしておられるのか、ちょっと皆さん方に教えていただきたいと思います。

柳澤国務大臣 不良債権問題の最終処理という言葉を小泉総理の御指導で使わせていただいているわけですけれども、不良債権をずうっと金融機関が抱えて、何も具体的に相手方に話しかけて処理をしていかないという状況、これが続いているのは非常にまずい、こういうことで年初以来、特に骨太の方針でうたっていただいたんですけれども、不良債権のオフバランス化というか、不良債権を銀行のバランスシートから切り離す、こういうことを働きかけるようになったわけです。

 しかし、それは、今久間委員おっしゃったように、大手銀行だけです。政府が二、三年のうちにやってくださいというふうに直接働きかけているのは大手の銀行。しかも、大手の銀行のうちで、もう経営が破綻しそうだという破綻懸念先、こういうものと、もう実質は破綻しているけれどもまだ法律的な破綻の手続に入っていない実質破綻先、こういうようなものについてそういう形で取り組んでもらいたいということになっているわけであります。その中に、では中小企業は一つも入っていないかというと、大手銀行といえども中小企業の皆さんとおつき合いが当然あるわけですから、その中にはやはり入っていらっしゃるわけです。

 ただ、この中小企業の方々について私が申し上げているのは、自分のやっていらっしゃる仕事がもう構造的に不況だ、景気が少々よくなったってどうせよくなりそうもないというようなものについては、やはりあるところで見切りをつけていただく、そしてまた別のところで仕事をしていただく、こういうことはやはり必要だと私は思うわけでありまして、銀行との間でそういう話をしてもらいたいということであります。

 しかし一方、中小企業には特殊性があります。やはり店と奥が一体になっているとか、まあこれは必ずしもいい慣行とは言えないまでも、その経営者の個人保証をとっているとか。そうすると、経営者の財産の状況というようなのも、企業が生き延びていくかどうかについてはこれは非常に大きな要素なんです。そういうものを一律に大手企業と同じように、店の経営が悪いからといってこれを切り捨てていっていいか。こういうようなことについては、やっていらっしゃる仕事の技術力だとか販売力だとかというものの、いわば資質というか潜在的な力をよく見て判断をしていくように、できる限りそういったものについては再建の方向で整理するように、こういうことを大いに要請しているところであります。

久間委員 今の話を聞いて、大変安心しました。どうかそういうような姿勢でこれから先、地方の金融機関等にも指導していただきたいと思います。

 というのは、今も言われましたけれども、地方の場合はやはり個人オーナーその人の資質を理解して融資も行われておった。担保はとっておったけれどもその担保価値が下がったというような形で、形式的にはアンバランスになっているけれども、この人ならやれるというような、そういうような問題が結構背後にあるわけですね。だから、私どもが党としてこの間まとめたときも、中小企業のうち、ある一定金額以下のそういうようなものについては、一斉に不良債権処理だということでやられますと困るので注意してもらいたいということをかねてから言っておりましたので、今の金融庁、金融担当大臣の話をお聞きして、皆さん方も安心しておるのではないかと思います。

 ただ、ここでちょっと注意してもらいたいのですけれども、保証協会の保証の条件を緩和してもらって、なかなか今厳しいからもうちょっと待ってくれということで、保証協会もオーケーするわけですね。二年のところを三年にしましょう、五年にしましょうと。ところが、それが要注意先企業に今度はなってしまうわけですよ。そうすると、その企業がほかから借りようとしますと、銀行から借りようとすると、銀行側から見ますと、保証協会が保証をしているわけですから一〇〇%回収できるにもかかわらず、要注意先債権であり、企業だというようなことで、ほかの銀行にその名前が要注意先だということでざあっと出回るものですから、新しいほかの取引のところはノーだという形になるわけですね。

 だから、せっかく保証協会と話がついて、よし、あなたなら大丈夫だということで保証協会がオーケーしているわけですから、そういうやつについて、全くそれを無視して、そんな要注意先だというようなレッテルを張らぬように、そういう点については、銀行に、特に地銀に対して、信組あるいは信金に対して配慮してもらいたいということを、これは要望として言っておきます。

 それで、もう時間がなくなってきましたので、今度、政府の方で雇用対策をまとめられたやに聞いております。これは、我が党としても、そのまとめられる前に緊急雇用対策というのを提言いたしまして、かなり取り入れられておりますけれども、構造改革を行う、あるいはまた不良債権の処理を行う、そういう形でやっていくときに、雇用対策といいますとどうしても後ろ向きの話になって前向きじゃないんですけれども、やはり、こういうセーフティーネットといいますか雇用の問題というのは、最大限配慮しないと社会全体が不安になりますから、ほかのいろいろな政治を推し進めていくにも大変なことになりますので、雇用というのは大事だと思っておりますが、これらについてどういう考え方で雇用対策に取り組もうとされるのか、厚生労働大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 久間議員からただいま不良債権のお話がございまして、不良債権だけの問題ではございませんけれども、そのことが雇用に大きな影響を与えることはもう御指摘のとおりでございます。その額とスピードによりまして非常に雇用に対する影響は違ってくるというふうに思っておりますが、私ども、大きく三つに分けております。

 一つは、何と申しましても、やはり新しい雇用をつくり出さなければならないわけでございますので、これは、経済産業省と協力をいたしまして、そして全国、地域を少し分けまして、九ブロックに分けて、それぞれの地域ごとにそれぞれの地域に合った雇用対策というものをやっていかなければならないというので、経済産業省とタイアップをさせていただきまして、九ブロックに分けまして、この八月からスタートをしているところでございます。

 そして、これに対しましては、さらに緊急地域雇用特別交付金の創設等も御指摘をいただいておりますので、それらも絡めまして、そしてそれぞれの地域で地域に見合った雇用をつくり出していただこうというふうに思っております。

 もう一つは、近い将来、今勤めております職場をかえようと思う人たち、その中には、御自身でかえたいというふうに思う方もあると思いますし、それから御自身ではなくて企業の都合でかわらなければならないという人も含まれているというふうに思います。この人たちがスムーズに次の職場に移行ができるように、失業なき労働移動ができるようにしなければなりません。

 それで、この人たちのために、やはり新しい技能、技術を身につけていただかなければなりませんから、企業に対しまして、その企業が長期休暇等を与えていただいたときにはその企業にも支援をする、本人にはもとよりでございますけれども、そのようにして失業なき労働移動ができるようにしていきたいというふうに思っております。

 ミスマッチがありますことも事実でございまして、それをなくしていきますためには、もう少し熱心に真剣に、やはり一人一人に御相談を申し上げなければならない。ところが、失業者がどんどんふえてまいりますと、ハローワークの方も、限られた人数の中でたくさんのことを扱わなければならないものですから大変になってまいります。それで、できる限り、民間のそうした企業にも御協力をいただく。

 そして、今提案をしようといたしておりますものは、キャリアカウンセラー。これは、お一人お一人に対してもう少し具体的にしていこうといったようなことで、御相談に乗せさせていただく人をやろう。全体で五万人ぐらいつくりたいというふうに思っておりますが、年一万人ぐらいずつふやしていきたい、もっと早く急がなければならないのならば前倒しをしたいというふうに思っております。

 最後には、現在既に失業している人たちに対してどうするかということでございますので、この人たちに対しましては、訓練延長給付の拡充、党からも御指摘をいただいておりますが、これを行いたい。しかし、ただ単に行うのではなくて、何か次に自分たちでやりたい、これをやるという御意思のある方にこれは延長をさせていただくということでやっていきたい。

 限られた時間でございますが、主に分けましてそういうことで進めていきたいと思っているところでございます。

久間委員 ありがとうございます。とにかく、みんなに不安のないようにしていただきたいと思います。

 そのときに、今度の概算要求でもそうでしたけれども、公共事業が、今やはり減らそうというような、そういう形で動いております。そうなりますと、公共事業の削減に伴って建設関係の労働者が結構失業者が出るんじゃないか。このままずっと推移していくと六十二万人ほど出てくるんじゃないか、そういう推計もできるわけですね。

 ところが、この建設業に従事される労働者の場合、なかなかその転用が、今言われるように、これはまだ地域的にも地方に散らばっておりますし、やれパソコンだ何だといって果たしてすぐ転用がきくかどうか、やはりそういうことを懸念する人も多いわけですね。六十二万人というと非常にまとまった数字になりますから、これをどうやって吸収するようなお考えなのか。これに対する雇用対策、これは国土交通大臣なのか厚生労働大臣かわかりませんけれども、お答えをいただければと思います。

扇国務大臣 私の足らざるは後で厚生労働大臣からお答えいただきたいと思いますけれども、今、久間先生がおっしゃいましたように、十二、十三、十四、十五と、ここの間で六十二万人の失業者が出るであろうと言われております。

 御存じのとおり、日本じゅうに六十万業者ができたわけですけれども、六百万という従業者、その中で今五十八万業者に減って、そして、公共投資というのが二〇%減っております。当然、業者としては苦しい、あるいは失業者も出る、こういう想像がされるわけでございますけれども、それを何とか、今先生が転用できないとおっしゃいましたけれども、私は新たな産業に必ずこれが必要になってくると思っております。

 それは、今後、環境問題でございますとか、ごみゼロ作戦というふうにおっしゃっていますけれども、その設備を新たにしたり、あるいは転業することが難しくても、環境に合った新しい事業がふえてまいりますので、私は、必ずそういうふうに転業できる。また、転業という言葉は悪いかもしれませんけれども、右のものを左へ、事業が二十一世紀型の事業に移行していく、そういうふうに思っておりますので、そこで新たに雇用が創出できる。

 また、国の対策に基づきまして、厚生労働相が今おっしゃいましたけれども、建設労働者に対します公的部門に対する雇用創出、あるいは建設労働者の労働移転に対します助成措置が講じられることになっておりますので、それを創設しようということになっておりますので、そういう人たちを雇ったところへは一人に対して二十万円の補償をしようではないか、そういう新しい雇用創出の計画もしておりますので、厚生労働相とともに一致して、皆さん方に不安を与えないような、あるいは雇用の促進が、違うところへ持っていけるような環境整備を今後も図っていきたいと思っております。

久間委員 ところで、きょうですか、きのうですか、総理から国土交通大臣に、例えば道路公団初めそういう公団の民営化についての指示があったというような報道がされておりますけれども、私はこの際、ちょっと総理も含めて、石原担当大臣にも国土交通大臣にも聞いておっていただきたいのです。

 今、これから先やる道路公団なんかの仕事の中で一番金がかかるのは、せっかくこの間扇大臣が行かれて、また石原都知事が動き始められました、いわゆる外環道なんですよ。これはキロ当たり一千億かかるわけですね。それで、今、北海道の一番東の、道東道といいますか、ここなんかは一キロ当たり二十億なんですよ。

 そうしますと、一日に想定する台数というのは、このいわゆる外環ができ上がりますと、とにかく十万台は通るだろう。ところが、十万台通っても、キロ当たり一千億かかりますから、でき上がったときの収益で全く同じ条件で計算してみますと、とにかく片一方の方は約六千億の赤字、それに対して、さっき言った道東道だったら二百億の赤字ということになるわけですね。

 だから、これから先、あれはまだいわゆる国幹道になっていませんけれども、国幹道としてやらないと、どうせ国費じゃやれませんからね、国幹道としてやってもそれだけの赤字になるわけです。そうすると、採算性だけを取り上げてやっていったんじゃやれないんですよ。

 ところが、首都機能という観点からいくと、これはやはり非常に必要な道路なんですよ。圏央道もそうです。あるいはまた、そういうようなことを考えますと、採算性だけに、経済合理性だけに視点を置いておったんではこういう問題が出てくるので、今プール制を廃止という話がありますけれども、今まではどちらかというと東名なんかの上がった収益でほかのやつをやっておったけれども、今度はまた逆に、ほかから上がってくることでそういうこともやらなきゃならない。やはり、それは持ちつ持たれつの関係で、このプール制というのは決して悪いことじゃないんじゃないか。

 だから、むしろ路線ごとにいろいろな審査をしていって、これはどうなのかということをやはり真剣に考えながら決めていってもらわないと、まず凍結だとか、まず採算性の合わないところはとにかくやめろというような話になりますと、必要性との絡みで大変問題が出てくるんじゃないか、そういう気がいたしております。

 それからもう一つは、現在のやつは、私もちょっと問題だなと思いますのは、法律がそうなっているからしようがないんですけれども、縦横の線路が、これが国幹道になっているわけですね、法律で。ところが、環状線というのは国幹道になっていないわけですよ。だから、これはほかの手法でやっていかなきゃならない。

 ところが、今言った外環なんかは、そういうことで、東北から来たやつが美女木を通って練馬の方に行く、そこまではこれが一本だ、あるいはまた、今度、上から、関越から来たのが、今言う新しい、行くのが一本だという形で、実質的には環状道路を国幹道としてやっていくわけですけれども、理屈づけはそういうふうにしているわけですね。それは、無理して法律を、本来なら変えなきゃならないのを、そういう形で読んでいるわけですよ。

 こういう問題も背景にありまして、例えば、第二東名が走ってきまして、これが、どう散らすのかというと、圏央道とか、そこで今度は分かれるわけですね。これは一般有料道路になるわけですよ。これをまともに普通のやつでやっていったのでは、長くかかるわけです。とにかく、国幹道で来た第二東名ができ上がったときに、こっちは間に合わぬわけですから、せっかく来ても、それから先どう流れるか、できないわけです。

 だから、そういうような問題も背後にありますから、もう少し路線ごとにいろいろそういうふうなことを研究しながら、まず民営化ありきとか、まず凍結とかそういう議論ではなくて、もう少し結果として、とにかくみんながなるほどなというようなことになるように、ひとつ議論をしていただきたい。

 私は何も民営化反対でもないわけです。民営化するなら今のやつをそのまま、今の公団そのものを特殊会社にしてしまえば民営化ですから。ただ、それで済む話でもない。

 背後には、それともう一つは、国幹審をつくったときに、今までは総理大臣をキャップにしてつくっていたのが、総理大臣をキャップにして政府がずらっとおると行け行けどんどんでどんどんつくってしまうということから、国会議員と民間人を入れて国幹審をつくって、総理大臣はメンバーになっても議長は互選だ、そういうふうにしたわけですね。これは、行け行けどんどんにならぬようにつくった。ところが、今度は逆に、つくった以上は、法定要件ですから、変更するときも、その国幹審の意見を聞かないと凍結とか変更はできないわけです。

 だから、そこのところの問題が背後にありますから、この問題については、大臣もよくそういう背後関係も、もちろん熟知しておられると思いますけれども、ひとつ総理ともよくすり合わせながら、間違いのないようにしていっていただきたいというのをお願いしておきますけれども、何か御意見があったら、短くお願いします。

扇国務大臣 時間内でということで、大変短くと言われても一番大事なことでございますので、簡単に申し上げたいと思いますけれども、少なくとも、聖域なき構造改革ということで我々は政府・与党、しかも連立三党で決めたことでございますし、また総理がおっしゃいます改革なくして成長なし、しかも高度成長期と違って、今の時代、何を削り、何をふやすべきか、そのめり張りをきかすということで、私は、すべての政策を見直すという大事な点に来ていると思います。

 国幹審のお話もよくわかっております。九三四二のこともわかっておりますけれども、今改めて、二十一世紀型の国づくりの基本、どこをどうするべきか、どこを削り、どこをしなければならないかというめり張りを我々は研究し、また、多くの皆さん方に御理解をいただきながら、不安を与えない枠の中で私たちはその達成を図っていきたい、そういうふうに考えております。

 短いので、約します。

久間委員 それから、財務大臣、ちょっと財投のことでもお願いしておきたいと思うんです。

 総理が、国債の発行を三十兆円で抑える、そういうふうに言っておられるわけですから、それはもうそれでいいと思うんですけれども、それは守っていかなきゃならないんですが、財投というのは、これはやはり景気が非常に落ち込んでいるときはこれに頼らざるを得ないのも事実です。ただ、財投を今までみたいに、どんどんどんどん財投で何でもやるというんじゃなくて、財投で出したやつが確実にちゃんと返ってくるかどうかを見きわめながらやらなきゃならないけれども、そういう意味じゃ効率性を考えなきゃなりませんが、こういうふうに経済が冷え込んでいるときには、やはり財投の役割というのは結構大きいんですよ。

 そうすると、ただいまの道路公団の話でも、道路公団のやつを来年は一律に一千億カットだというんじゃなくて、本当にそれが、やって、早く効果が上がって、早く料金収入が出るようなときには、今みたいな金利の安いときにつけてどんどんやらせる。こことこことやって真ん中が抜けているようなやつがあるわけですね、そういうところにはつぎ込んで早く開通させてやる。そういうことの方が結果としては財投資金の有効利用になると思うものですから、これを一律縮減という形じゃなくて、もっとめり張りを見ながら、ふやせとは言いませんよ、ふやせとは言わないけれども、財投についてもそういう有効的な利用法、こういう経済が落ち込んでいる時期であればあるほど財投の役割というのは非常に大きいんじゃないかと思いますので、ひとつよく研究していただきたいと思います。

塩川国務大臣 承知いたしました。

野呂田委員長 時間が超過しておりますので、簡潔にお願いします。

塩川国務大臣 はい、どうも。

 財投資金について、ちょっと二、三分でお願いしたいと思います。

 現在、概算要求で出てまいりました財投資金の要求は三十兆でございますが、そのうち財投機関債で募集するというのは二兆二千億で、ちょっと私は財投機関債の努力が足らぬと思います。したがいまして、これからの十二月の予算編成までの間に、財投機関債を自分らの特殊法人の努力で、これを随分と募集するように努力してほしい。その上で査定をいたしまして、本当に必要な分については財投債である程度補強する、こういう考え方でいきたいと思っておりますが、御理解いただきたい。

久間委員 終わりますけれども、財投機関債が、民営化の話が出た途端に、ほとんど引き受け手がないそうです。これは道路公団だけじゃなくてほかの団体も全部、これはもうみんな投資家が控えてしまっているそうですから、だから、財投機関債が出る前に余り話が出ると大変そういう点でも困るということも一つ理解しておってください。

野呂田委員長 この際、北村直人君から関連質疑の申し出があります。久間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北村直人君。

北村(直)委員 時間の中で、私は、いわゆるBSE、狂牛病のことについて御質問をいたしたいと思います。

 世界で起きることは日本でも必ず起きる。日本で発生しないと言われたBSE、狂牛病が発生をいたしました。今回は、消費者の方々に本当にわかりやすく、端的に御答弁をいただきたい、このように思います。

 我々の食品の安全というのはシロかクロしかないと思います。つまり、疑わしきものはクロである、食べれない、食べるものは全部シロである、これが食品の安全性だと私は思っております。ですから、疑いのあるものは回収して焼却をする、これはもう当たり前の話であります。その時期を間違えると、大きな社会問題、つまり風評被害を起こしてしまう。

 今回の狂牛病も、もう十数年前から発生が起きており、そして人にも感染することが知られていましたし、その感染源が肉骨粉であるということも知られておりました。ですから、今回の風評被害は、私は残念でありますけれども、行政の、こういった対策をとってこなかった、それにおくれた、これが風評被害を起こしたと。このことに行政を預かるそれぞれの所管の方々、しっかりと反省をしていただいて、謙虚な態勢で今後二度と再び起きないような体制をとらなければならない、このように思うところであります。

 そこで、疑いのあるものを回収して焼却処分をする。今消費者の方々が一番疑っていたのは、つまり感染源である肉骨粉、これを使わない、使わせない、すべて廃棄処分にする、これが一つの大きな不安材料であります。今回、おくればせながらと言っては大変恐縮でありますけれども、本日から輸入の肉骨粉、そして国内の骨粉を一時停止、出荷させない。これは賢明な判断でありますけれども、私は個人的には大変遅かったと。

 しかし、この肉骨粉を全面的に一時的に停止をする、出荷をさせない、それには法的根拠がなければ、ただ行政的な指導では業者が拒否をしてしまったらどうなるのか。私は、その法制的な対応をしっかりしていただかなければならない、このように思います。

 まず、そのことについて、農林水産大臣がこの法制的な、法的な措置をするのかしないのか、その一点ぜひお答えをいただきたい、このように思います。

武部国務大臣 行政の不手際で大変国民の皆さん方に不信、不安を増幅してしまいましたことを、責任者として強くおわびしたいと思います。

 今委員御指摘のとおり、輸入並びに国産の肉骨粉はきょうをもってすべて一時的に停止するという措置をとりました。これにより、完全にBSEの感染を遮断する体制が確立した、かように考えております。

 しかし、これをさまざまな皆さん方に協力をお願いしていかなければなりません。そのことにつきましては、今、法的な措置というものを検討中でございます。御意見を重く受けとめて、さらに急がせたい、かように存じます。

北村(直)委員 検討をして、それも重く受けとめていただいているということでありますから、やはりこれは法的措置をとって、しっかり業界、そして国民の目から見て、この感染源である肉骨粉を今後再び使わないということを明確にすべきである、私はこのように思います。そして、今あるものもすべて焼却をしてしまう。これはもう疑われているものはすべてこの世からなくしてしまうというぐらいの措置をしなければ風評被害はとめることはできない、私はこのように思っております。

 そこで、もう一つ農林水産大臣に御質問いたしますけれども、一部報道では、イギリスからの肉骨粉が過去三百三十トンが輸入されているというふうな情報がイギリスから流れてきて、しかしそれも、他国を経由して輸入された可能性もあるのではないかというふうな報道もされている一方、日本の方では、そんなことはない、こういうような報道がされている。一体どっちが正しいのか。そうなれば、やはり速やかに調査員をイギリスに送って、これは徹底して調査をする。これをやっているのかどうなのか。そして、やっているとするならば、いつまでにこれがわかるのか。それをきちっと国民に公開するのか、その情報を。このことを大臣にお答えをいただきたいと思います。

武部国務大臣 一九九〇年から一九九六年にかけて、英国から合計三百三十三トンの肉骨粉が日本に輸出されたという情報をEUから得ましたが、これを受けまして、在京英国大使館を通じて英国家畜衛生当局に問い合わせを行ったのでありますが、回答が得られず、さらに在英日本大使館を通じて数回調査を依頼したところでありますが、今日まで解明ができないという回答を得ていたところでございます。

 このため、九月下旬に英国に担当官を派遣しまして、英国政府、環境・食料・農村地域省との協議を行っております。この調査結果については、英国政府から正式な回答は届いておりませんが、派遣した担当官からは、英国統計の再精査により、日本に対して輸出が許可されたとされる量は三百三十三トンではなく合計百六十六トンであるということ、そして、この輸出品の内容はフェザーミールである可能性が高いことの報告を聞いております。

 さらに、他国を経由して輸入された可能性も含めまして、輸入業者等に職員を派遣し、輸入肉骨粉の流通段階における立入検査を実施することにより、輸入販売の実態調査をしてまいりたい、かように存じます。

 私自身、感ずるところ、こうしたことに対する農林水産省の認識が甘かったということは否定し得ませんので、私の責任において徹底した調査をさせますし、そういった情報が明らかになり次第、すべて国民の皆さん方の前に明らかにしたい、かように存じます。

北村(直)委員 やっと国民の人が一つの不安材料である肉骨粉のことについて、きちっと、今後は流通もしないし輸入もされない、国内のものも使わない、そして疑わしきものについてはきちっと調査をして国民の前に提示をする、公開をする、これで感染源と言われている肉骨粉のことについては消費者の皆さん方も御理解をいただけるんではないか、こう思います。

 二つ目の、消費者の方々が不安がっているのは、それでは、その輸入されてきたいわゆる感染源である肉骨粉を間違って食べてしまった、あるいは、行政の指導が徹底していなかったおかげで、食べたらだめですよという通知をしているにもかかわらず食べてしまった牛が国内にやはりいる。じゃ、それを消費者の方々は一体どうするんですか。

 私は、先ほど冒頭申したとおり、疑わしきものはすべて回収、廃棄処分にする、それにかかわる経費はやはり国がしっかり持たなきゃならない、こう思いますが、この疑われてしまった肉骨粉を食べた牛を両大臣はどう考えておられるか、御答弁をいただければと思います。

武部国務大臣 まず、これまでとった対策とBSEの性質について、ちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 これは、英国の研究実験によりましても、危険部位というものは、脳、目、脊髄、腸の一部、こういうふうにされておりまして、それ以外は大丈夫だということで、OIEも危険部位と認めておりませんから、輸出も結構ということになっております。しかし、我が国は禁止しております。

 それから、牛肉、牛乳・乳製品、これはそもそも大丈夫だ、こういうWHO等の見解でありますし、このたび、中枢神経症状のある牛は全部屠殺して検査する、そして焼却処分にするという措置をとりました。

 また、厚生労働大臣からお話があろうと思いますが、BSEに感染するのは、九九・九五%が三十カ月齢以上の牛であるという研究結果もあります。したがいまして、三十カ月齢以上の牛はすべて検査してから出荷するということですから、今後、食用にもえさ用にも屠畜場から出ていくことは一切なくなった、このように御理解いただきたいと思うのでございます。

 その上で、今委員指摘のような問題につきましても、このたび、もうすべて、輸入、国産、全面停止でありますし、委員がお話しになろうとしているのは、これまで誤用されていたもの、あるいは流用されていたもの、そういったものについてどうするんだということだろうと思いますが、私は、もう屠畜場にどんな牛が入ってきても、危ないものは外に出さないという体制がきちっと確立されれば、これで国民の皆さん方に胸を張って安全宣言ができる、そういう時期が早晩必ず来る、こう確信しております。(発言する者あり)

 早晩というのはちょっと言葉が適切でないかもしれませんが、これはそんなに遠くないということでもあり、私としては、直ちにでも安全宣言をして国民の皆さん方に安心していただきたいと思いますが、この点については、厚生労働省としっかり連携をとって判断をさせていただきたいと思います。

北村(直)委員 厚生労働大臣に御答弁をいただく前に、もう一つ一緒に答弁をいただきたいと思いますが、それでは屠場の検査、これがやはり大変必要になってきます。

 厚生労働省は、三十カ月以上の牛については全頭エライザ法で検査をして、マイナスのものしか肉にしない、こう言っていますが、私は、国民の皆さんが、今度は不安の第三点目は、三十カ月以上はわかる、しかし、それ以内はではどうして検査しないの、どっちみちやるんなら全頭やってはどうですかと。全頭やれば、すべてがマイナスであれば安全なパスポートをいただいたことになるわけでありますから、私は、三十カ月以上といわず、屠場における検査、エライザ法を含めて、全頭やる、それが一番国民、消費者の皆さん方にはわかりやすい対策だ、こう思います。ですから、そのことも含めて厚生労働大臣の答弁をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 屠畜場におきますBSEの検査でございますが、これは今御指摘のように、今月の少なくとも十八日からはできるようにしたいというふうに思っているところでございまして、陽性になりました牛は、全部これは廃棄処分、そして確実に焼却をするということに決定をいたしております。

 それまでのものについてでございますが、まずとにかくそれを一遍やらせていただく。二十五カ月以上のものの中で何か症状のありますものは今までにも検査をいたしておりますので、二十五カ月以上のものにつきましてはこれはやっていきたいというふうに思っています。それ以前のものというのは、学問的にも、それ以前に出るかということは、これは現在のところまだ不明でございます、不明と申しますか、そこは出ないというふうに考えていいというふうになっておりますので、まあしかし、そこもそれはやった方がいいということになりましたら、引き続いて体制を整えたいというふうに思います。

北村(直)委員 私も獣医学を学んだ一人でありますから、学問的、学術的に正しいことであります。しかし、それが消費者の方々の目の高さと同じかというと、なかなかそこは、学問的にわかっていても、やはり一度不安になったら、これはもうこれを払拭するというのは大変な作業でありますし、結果において、もう何千億、何兆にかかるなんということになると大変だ。

 ですから、言葉は悪いですけれども、目先の何十億円でけちることなく、私は、もう全頭やって、本当に消費者の方々が安全である、これの方が、きょうテレビを見ている消費者の方々も本当に拍手喝采を送るんじゃないかな、こう私は思いますし、あ、わかった、こういうふうになる、このように思いますので、ぜひ大臣にそこは御英断をいただきたいな、このように強くお願いを申し上げます。

 時間が来ましたので、最後に、我々人間は、牛と本当に何千年も幸せな社会を築くべく発展を続けてきたのです。つまり、牛を家畜化したりあるいは養ったり、そして利用して、人間は、我々はこれからも牛と一緒に生きていかなきゃならないのです。しかし、我々にとって牛というのは、何の役にも立たない地面に生える草を食べて、そして自分の、みずからの能力で動力と肉と牛乳を我々に与えてくれるのです。大変、本当にありがたい動物なんです。

 ですからこそ、今こそもう一度、そういうたんぱく質のリサイクル、草食動物に動物性のたんぱく質を食べさせるなんというのは、こんな生命のこれを曲げるようなことではなくて、もう一度やはり原点に戻って、我々は、国民、消費者の方々に安全な食品をきちっと提供するために、総理、やはり疑わしきものはすべて回収、焼棄して、そして財務大臣、これにかかわる経費、いろいろな関連、団体、いろいろなことについてきちっとした対策を財源的に確保していただきたい。

 最後に一言、総理の感想と財務大臣の財源的な確保について御答弁をいただきたい。

小泉内閣総理大臣 狂牛病に関しましては、日本では起こり得ないと思っていたのが起こったわけでありますので、それに対する対策、対応が不十分であったということは、今議員御指摘のとおりだったと思います。

 いわば、かなりの面において手抜かりがあったのではないか、そういう反省を踏まえまして、農水省あるいは厚労省、よく連携をとりまして、今、飼料の問題あるいは検査の問題、今出回っている牛肉に対しての国民の不安をいかに解消したらいいか。

 既に、狂牛病に関係のない、病気にかかっていない牛まで危険だという風評で肉の消費が、あるいは肉の需要が落ちちゃっている状況でありますので、こういう風評、正確な情報を提供するのがいかに大事かという、そしてその対策、措置、安全な肉を供給するという安全面、それに対する財政面、関係省庁連絡しまして、この事件を反省しながら、いかに適切な対応をとるかにおきまして、万全の対策を講じていきたいと思います。

野呂田委員長 この際、坂井隆憲君から関連質疑の申し出があります。久間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。坂井隆憲君。

坂井委員 自由民主党の坂井でございます。

 私は、実は、橋本内閣財政構造改革会議のときの自民党の財政部会長で、当時私が申し上げていましたのは、いずれにしても、日本の経済はふん詰まりである、お年寄りは資産を持っているけれどもお金がない、だから、これをどういうふうにチェンジするかということが、回転させるかということがこれからの日本経済の活性化だということで、リバースモーゲージを提唱していました。

 財政部会長を平成十年にやめまして、その後、党でリバースモーゲージ小委員会をつくって検討しまして、その結果、日本の場合は、やはり中古住宅市場がない、それから住宅の評価システムがない、そういう意味でこういうものを展開しないといけない。

 国土交通省、当時の建設省ですが、大分やってくれました。おかげで今回の経済財政諮問会議の中にも、雇用の五百万人の目標の中にも中古住宅で五十五万人ふえるという目標を立てています。ただ、その間、親の財産を子供に贈与するみたいな政策展開がありました。これはこれでいいのですが、これは余裕のある親が財産を転換するのです。余裕のない親は、やはりそれをどう使うかという問題になる。

 そこで、私は、内閣府の副大臣のときに実際の事業化はどうすればいいかという私的研究会をつくりました。自民党の財政部会長のときには、当時リンゼー大統領補佐官、今ブッシュの補佐官をしているリンゼーさんがよく日本に来られまして、彼からファニーメイの話なども何度も伺ったり、あるいは自民党で講演してもらったりしたのです。

 副大臣のときに総合研究開発機構、NIRAといいますが、そこで研究しまして、ちょうど二日前に報告書ができ上がりました。この中では、結局、日本の場合は中古住宅市場ができていないものですから、ここでは、最終的にはやはり住みかえをしてもらいたいということを提言しています。ぜひこれは、厚生労働省とそれから国土交通省、両方から参加してもらって研究会をしてもらいましたので、竹中大臣のところで、今NIRAの担当は官房長官ですが、経済財政担当として、竹中さんのところでやってもらいたいと思います。

 住みかえの場合の細かい説明は時間がありませんからやりませんが、基本的に、後で不動産を担保にお金を借りるということになると、リスクを不動産会社が負うのです。だから最初に売る。売った場合に、住宅の買いかえ、三千万円の特例控除がありますが、この報告書の中では、例えば終身賃借権、そういうものも対象にしよう。

 例えば、自分の家を売って、それへの課税の繰り延べをして、そのお金で一括して保険を払う。この試算によりますと、三千万円の保険を一遍に払うと、六十五歳の人は月十五万もらえるという試算になっています。そうすると、家を売ってケアハウスに入る、あるいは高齢者賃貸住宅。ことし国土交通省で高齢者賃貸住宅をつくりましたが、そういうもののところで所得減免もあります。そういうところで、家を売って保険に入って、課税の繰り延べをして、保険制度をつくって、金をもらっていく。

 これから恐らく、高齢者の医療問題でもそうですが、どういうふうにしていくかという議論がいろいろ出てきますから、経済財政諮問会議でもこういうリバースモーゲージの環境整備をするということが出ています。中古住宅の評価システムとかをつくるのに時間がかかりますから、ぜひこういうところについて、これを国土交通省も厚生労働省も関与した私の研究会で、内閣府の大臣の担当ですから、竹中大臣、一言御答弁を願います。

竹中国務大臣 坂井委員御指摘のとおり、リバースモーゲージに対して私たちも大変大きな期待を持っています。そのための環境整備がどうしても必要である、特に高齢者の資産が不動産という形で固定化されている中で、それを流動化するある意味で決め手がこのリバースモーゲージであるというふうに考えております。

 しかしながら、これまた委員御承知のように、今不動産の価格が下がっているということと、一方で金融機関がそれを引き受ける体力をなくしている等々で、なかなか環境整備が進まない、期待に反してそれが動いていない、そのブレークスルーをどこに見出すかという御質問だと思います。

 いろいろなタイプがあろうかと思いますが、そのNIRAの報告書にも書かれていますように、幾つかの新しいタイプのリバースモーゲージを試してみる余地はあるのではないかと私は思います。同時に、国土交通省で今議論されております中古住宅の資産市場整備、それに期待しながら、幾つかの新しいタイプを試してみるというのが今の段階ではないかと思っております。

坂井委員 そのほかに私は、住宅以外の資産は何かと考えました、平成九年ごろですね。一つは債権である。それで、債権の流動化をどういうふうに図るかということを提言しました。

 当時、通産省はなかなか腰が重かったのですが、中小企業の私募債に保証をつけまして、私は証券業協会に話してその転売制度をつくりました。問題はこの後の、売り掛け債権のパッケージ証券化、こういうものを進めていくべきだと言っていましたが、やっと最近、経済産業省も熱心になってきました。これは平沼大臣のおかげかなと思って、その後、もう答弁は要りませんが、期待を申し上げている次第でございます。

 もう一つは、問題は、金融の問題にしてもそうですが、これは債務免除企業と大手建設業の比較をしたのですが、悪いところは工事未収金というものが非常に多いのですね。ですから、基本的に、貸倒引当金をどうするかという問題ではなくて、建設産業政策をどうするか、あるいは卸、小売もですが、そういうところの産業政策をしないといけない。だからこういう未収金の問題についても、どういう形で証券化していくかということが重要になってくるのです。

 私は、平成九年に山一証券が倒産したときに、建設省建設業課長を呼びました。当時はなかなか建設省も理解がなかったのです。やっと最近は、平成十年の一月に、建設省が「建設業の経営改善に関する対策」ということをつくり上げてやってきたのですが、そのときに、合併するための点数加算なんかをやりました。それから、平成十一年七月に建設産業再生プログラムをつくったのです。

 やはりこれからは、こういう未収金をどう処理していくか、こういうことで資金繰りをつけていかないとなかなか建設産業の再編はできない。最後は、持ち株会社制度、こういうものもどうつくっていくかという問題がありますので、これも、私は質問時間が短いので、国土交通大臣と経済産業大臣によろしくお願いいたしたいと要望をして、この質問を終わらせていただきます。

 それからもう一つ。三点目。ちょっと早口で申しわけないのですが、もう一つ資産は何かといいますと、実は歴史、文化資産なんですね、文化資産。それから、政府の持っているいろいろな行政資産です。

 それで、この資産というものは、IT戦略本部にも、これからは知識創造の社会ということが出ているのです。ところが、ことしの四月から情報公開法ができたのですが、それらの政府情報がどういうふうに保管されていくか、整備されていくかという、政策の確としたものがない。各省庁が各省庁で保管するんですね。その後、必要だと思ったときに、各省庁の判断によって国立公文書館に保存するのです。国立公文書館は内閣府の副大臣の私の担当でしたけれども、そのルールがはっきりしていない。

 それで、やはり全世界を見てみますと、日本の場合のそういう行政文書整理というのが極めておくれている。やはりこれからは、NPOにしてもNGOにしても、そういう資料をどういうふうに活用していくかということをしないといけないので、そこで私は副大臣のときに、これまた、デジタルアーカイブ、これはデジタルで保存するという意味ですが、デジタルアーカイブの研究会というのをつくりました。途中で副大臣をやめましたので、これは後、私的な私の研究会にして民間ベースでやったのですが、これもこの前報告書ができました。これは総務大臣とか竹中大臣、IT担当大臣にまたお見せしますが。

 これは、ちょうど日経新聞の、ことしの八月五日の新聞ですが、情報公開の陰で非常に資料が散逸しているとあります。アメリカは、アメリカンドリームという名前のもとで、議会図書館なんかも非常に整備しているんですね。

 だから、そういう意味で、文化資産を含めて、とりあえずここは政府情報の行政情報だけなんですが、こういうものをどういうふうに整備するか。その後は、各地方の、地方自治体でもアーカイブをやっていますから、地方自治体の歴史資産、文化資産、そういうものをどう保存して、日本国内全部にあるいは世界にどういうふうに発信していくか。このためには技術開発も必要です。多言語化をどう進めていくかということも問題です。そういうものについてゆっくり取り組んでいただきたいと思います。

 あと最後は、質問は、時間がありませんので言いっ放しで申しわけないのですが、沖縄でこの関係の予算を要望しているといいますので、ちょっと尾身大臣にお願いします。

尾身国務大臣 沖縄のデジタルアーカイブにつきましては、大変意欲的に今取り組もうとしておりまして、沖縄の歴史、伝統、文化あるいは自然風土等につきまして、デジタルの手法によるデータを整備いたしまして、それを観光に来る皆様とか一般の方々に御紹介をするということをしたいと思っておりまして、十二億の予算を要求しているわけでございます。

 これを今おっしゃったデジタルアーカイブの日本の草分けにしたいという意欲も持っておりますので、御支援のほどをよろしくお願い申し上げます。

坂井委員 それでは、モデル的に沖縄を、ぜひデジタルアーカイブでモデル的な情報公開、保存をやってもらいたいと思います。

 最後に、もう時間がありませんので、総理に質問通告していませんが、ここに「外交フォーラム」という雑誌があります。これは外務省の中で非常にいい雑誌なので私はいつも読んでいるのですが、九月号がたまたま湾岸戦争十年の記念のものでした。十月がイギリスのことが書いてあるのですが、ここに、浜さんという人が小泉総理に訴えたいことを言っていました。それを読みまして、小泉総理の御意見を伺いたい、決意を伺いたいということで終わらせていただきます。

  本当は小泉さんが見習うべきはブレアではなくて、サッチャーだとも言える。つまりメッセージを変えないという点でです。サッチャーも軌道修正はしていましたが、圧倒的なメッセージは、これしかないということであった。とりあえず圧倒的な国民的人気を博す「小泉純ちゃん」は、日本の「ダイアナ妃」ですが、ダイアナ妃のままではいけないのであって、「サッチャーおばさん」でないといけないのでしょうね。

というコメントがあります。私は、ぜひ総理に、やはりダイアナ妃もいいですけれども、サッチャーおばさんになって頑張ってもらいたいと思いますので、決意を一言述べてもらって質問を終わらせていただきます。

小泉内閣総理大臣 私は、女でなくて男ですから、小泉流の方法しかないと思うのですが、これは改革なくして成長なし、これでいきます。

坂井委員 ありがとうございました。

野呂田委員長 坂井隆憲君。坂井君、坂井君、あと五分あるのだけれども、いいの。

坂井委員 いやいや、いいです。

野呂田委員長 これにて久間君、北村君、坂井君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、私の方からは、テロ問題を中心といたしまして、時間が許せば狂牛病対策などについて御質問させていただきたいと思います。

 九月十一日に、ニューヨーク、ワシントンで発生をいたしましたテロ攻撃、もう先ほどからお話が出ていますが、多数の日本人を含みます六千人に及ぶ犠牲者、行方不明者を出した、本当にまさに大惨事でございまして、世界じゅうが今、恐怖、そして怒りに渦巻いているというのが現状ではないかというふうに思います。攻撃を受けたワールド・トレード・センターというのは、多くの日本人がそこで仕事をし、またそこに訪れる。私も、アメリカに住んでいるときには何回か行ったことがあるところでありまして、まさに本当に、先ほど総理もおっしゃいましたけれども、よその国の他人事とは受けとめられない、そういうことでは片づけられないというのが率直な気持ちであります。

 アメリカは安全保障上の同盟国であるだけではなくて、多くの日本人がたくさんの友人がいて親しみを感じている、本当に友人の国であるというふうに思います。そうした友が困っているときに心から激励をし、そして手を差し伸べていく、それが本当の友人であるというふうに私も思いますし、事件発生以来小泉総理がなされてきた対応というのは、本当にそういう意味で心がこもった、友人としてふさわしい立派な対応であったのではないかというふうに思っておるところでございます。

 総理も出席されましたが、犠牲者の方の追悼集会が行われまして、ベーカー駐日大使が、多くの日本の市民の方が大使館を訪れて、記帳そして献花に訪れてくれている、そうした友情に本当に感謝するという言葉がありまして、まさに本当に多くの日本の市民、同じ気持ちではないかというふうに大変感銘を受けたところでございます。そうした感情、気持ちのことは当然のことなんですが、しかし、今回のこのテロ事件、やはり絶対に許してはならないというふうに私も物すごく怒りを感じているところでございます。

 事件発生の翌日には国連の安保理の理事会がいち早くテロ非難の決議をした、これは、いかに国際社会がこうした国際テロを深刻に受けとめて毅然と対決していく姿勢を、決意をあらわしたものだというふうに思っております。我が国としても国際社会の一員としてできる限りの貢献をしていく、これは当然のことであろうというふうに思っているわけでございます。

 今回のこのテロ事件が我が国に幾つかの課題を投げかけているというふうに思います。その一つは、我が国が果たしてこうしたテロ攻撃に対して安全だということを言えるのかどうかということであります。二つ目には、この事件は、国際社会の一員としてどういうふうに対応していくのかという課題も我が国に投げかけられておりますし、そして三つ目には、今回の事件に限らず、こうした暴力や戦いを世界からなくしていくために我が国としてこれからどういう努力をしていくのか、こうした大きな課題が我が国に今投げかけられているのではないかというふうに感じております。

 きょうは、時間の制約もありますので、その中で主な論点について総理の御見解を伺いたいというふうに思っております。

 総理は十九日に、我が国としてこのテロに対してどのように対応していくのか、七項目にわたります措置を発表されましたが、それに関して何点か御質問いたします。

 まず、ちょっと議論の前提として、今回のテロ攻撃について、これまで、ブッシュ大統領を初めとするアメリカの要人のさまざまな発言から、オサマ・ビンラディンを首謀者とするテロリストの犯行であるというふうに言われておるわけでありますが、また、報道によりますと、昨日、総理の方にそういう証拠も提示をされたというふうにも伺っております。

 ここでその証拠を示せということではないんですが、この証拠を踏まえ、またこれまでのいろいろな首脳会談も踏まえて、総理は今回の事件の犯人について確証が得られているのか、そして、アフガンを実効支配しているタリバンという政権、これはこのテロリストの集団を支援しているということについても確証が得られているのか、その辺の心証をまず議論の前提としてお伺いしたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 今回のテロ事件発生以来、日米間におきましては、この事件の背景、そしてビンラーディンの関与等、いろいろ情報交換しております。先般アメリカを訪問しまして、ブッシュ大統領との会談の際にもかなりの詳しい状況を説明いただきました。

 そういう累次の意見交換、情報交換の内容を勘案しまして、私ども日本政府としても、ウサマ・ビンラーディンの関与については説得力のある説明を受けていると既に認識しております。

 ただし、ではどういう証拠があるかという点につきましては、これは外交上の配慮もありまして、具体的に公表できるものとできないものがあると思います。

 しかしながら、ウサマ・ビンラーディンとタリバンとの関係については、既に国連等において決議もされております。三年前、一九九八年八月、ケニアとタンザニアのアメリカの大使館でテロ爆破事件が起こりました。そのテロ事件を契機に、どういう組織が、まただれがこの事件に関与しているかということで、アメリカを中心として詳しい捜査が行われ、翌年、一九九九年十月十五日、国連安全保障理事会がウサマ・ビンラーディンの身柄引き渡しを決議しております、この事件に関与したということで。

 なおかつ、このウサマ・ビンラーディンとタリバンの関係につきまして、タリバンが背景にあるということで、タリバンの資産凍結などの経済制裁も決議しております。これは一九九九年十月十五日であります。そして昨年、二〇〇〇年十二月十九日、国連安全保障理事会が決議しまして、経済制裁の強化を各国に求めているところであります。

 そういうことからも、私どもとしては、ウサマ・ビンラーディンの今回の事件の関与と、そのウサマ・ビンラーディン等のテロ組織が活動の拠点としてアフガニスタンを利用しているということを認めていることは、国際的に既に共有された認識であると考えております。

上田(勇)委員 今総理から、犯人についての確信があるというお言葉がございました。現段階、いろいろと外交情報等、開示に限界があるという意味では十分理解できるところでありますけれども、これから我が国としていざ行動を起こすとき、特に自衛隊の派遣を行うというときには、これはやはり国民に納得のいく説明、根拠の開示といったものが必要になろうかというふうに思います。それはまた政府としては説明責任を持っているんではないかと私は思うわけでありますので、これからそうした証拠のできるだけの開示も含めて、できるだけ早い時期にそういうふうに国民に納得のできる理由、根拠を示していくべきであろうかというふうに思いますけれども、総理のお考えを伺いたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 今申し上げましたように、根拠等については、既に説明している分もあり、あるいはまた、今後説明、公表する面も出てくると思います。そういう状況を勘案しながら、日本としてもこれから、実際の対応活動、テロ根絶のため、テロ抑止のためにどういう行動をとるか、これをよく見守りながら、日本としても独自の、国際社会の中で責任を果たすために、どういう協力態勢をとることがいいかということを日本として主体的に考えていきたいと思います。

上田(勇)委員 先ほど私も、今回のこのようなテロに対して、日本としてもとにかく全力を挙げて可能な限りの貢献をしていくべきであるというふうに述べたところでございます。テロリストたち、本当に今回の残虐卑劣な行為を国際的な場で糾弾し、処罰し、正義を実現する必要があるというふうに考えております。

 この国際的な正義を実現するために、現在、国連でも総会が行われ、集中討議が行われているわけでありますけれども、まずは国連を中心としてそういう国際的なコンセンサスをしっかりとつくっていく、その上で世界が一致団結をして、外交交渉や経済制裁などあらゆる手を尽くして、手段をとって、それでもどうしても正義が実現できない、そうした場合に、最終的な手段として必要最小限の武力行使、これも容認できるのではないかというふうに私は考えておるところであります。

 正義のない単なる報復のための武力行使というのは、結局はさらなる暴力を生み、問題の解決にはならない、このことは、これまで総理もそういうふうに述べていただいていると思いますし、国際社会でもそういうふうに認識されていることではないかというふうに思います。やはり政治目的を明確にし、しっかりとしたプロセスを、手順を踏んでいくということが大切なのではないかというふうに思います。

 そこで、今、私の見解を述べさせていただいたのですが、総理にお伺いいたしますけれども、総理は、どのような場合にアメリカを初めとする諸外国による武力行使が正当化され、それを支持されるのか、そして我が国としても支援していくことができるのか、どういう条件が必要であるというふうにお考えなのか、基本的なところで結構でございますので、お伺いしたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 今回のテロに対してアメリカがどういう具体的措置をとるかというのは、現在の状況ではまだ明らかにされておりません。しかし、現在、国連安全保障理事会決議一三六八号が今回のテロを国際の平和と安全に対する脅威と認めております。これを踏まえて、国際的なテロの防止及び根絶のため、国際社会は、国連加盟国全部、すべてがこれに対処すべきだという考え方を共有しております。

 そういう中で、日本がこれに対して協力していくのは当然ではないかと思いまして、私は、その対応を、日本の国力、国情に応じてできるだけの支援をしたいと思います。そのために新法が必要だと考えておりますので、今、新法を作成して、できるだけ早く国会で御審議をいただき、成立を期していきたいと思っております。

上田(勇)委員 私も、国連の安保理がいち早く、翌日には決議をしたというのはもうすごい、そういう意味では一致した決意のあらわれであるというふうに冒頭申し上げたのですけれども、そういう意味で、我が国としてできる限りの貢献をしていくのは当然であるというふうに考えるのです。

 ただ、これは、武力を行使するという段階には、やはり諸外国、アメリカを初めとする諸外国の動向というだけじゃなくて、我が国としてやはり明確な基準、それをはっきりさせる必要があるのではないかというふうに思いますし、それはやはり自主的に、国際社会との協調ということはもちろん大切でありますけれども、武力の行使あるいはそれに対する支援を行うといったときには、そういう自主的な判断基準というのをもっとはっきりさせなければいけないし、また、それをアメリカや国際社会にも訴えていく、そのことによってより我が国の外交に対する尊敬が得られるのではないかというふうに思いますので、またぜひこれから、今総理から新しい法案についての御発言もありましたので、そうした議論の中でこうしたこともさらに議論を深めていきたいというふうに思うわけであります。

 もう一つ、これから武力行使が行われる可能性が高いし、それに対して我が国としても支援をするというのは非常に重大な決断だというふうに思うのでお伺いしたいのですけれども、国際社会による武力行使が行われる、それはどういう目的で行われるのか、あるいはどういう成果が得られればいいのか。今回、そういう国際社会の活動の、先ほどは入り口の部分についてお話をさせていただきましたが、出口はどんなふうに想定されるのか、あるいはどういう成果を目指していくのか、総理の基本的なお考えを伺えればというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 現在アメリカは、ウサマ・ビンラーディンの身柄引き渡しを要求しております。そして、このテロ組織の壊滅、根絶を目指しております。事件の事柄を考えますと、一個人でできるものではございません。かなり大きな組織、綿密な計画、テロリストの訓練、そしてそれを支援する拠点がなければ、今回のようなアメリカでのテロ事件は発生し得ないという認識から、アメリカは、各般の要求を、いろいろな関係諸国と協力しながら、アフガンのタリバン等に対しても行っていることは御承知のとおりでございます。

 そういう中で、いかなる軍事行動にアメリカが出るか、武力行使に出るか、また、イギリス初めNATO諸国がどういう軍事協力をするのか、まだ定かではございませんが、日本としては既にはっきり表明しております。国際社会の一員として、テロ根絶、抑止のためには全力を尽くす。ただし、武力行使は参加しません、武力行使には協力できません。しかし、その他の面でできるだけの支援、協力をしたい。

 ですから、憲法の前文にありますように、国際社会、国際協調のもとに、日本の持てる力を発揮して、何としてでも、テロ根絶、テロ防止のためにできるだけの協力はする。ただし、武力行使はいたしません。その他の面で、外交努力、経済支援、医療活動あるいは難民支援等、日本としても武力行使以外の面でできることはたくさんある、そういう面で協力をいたしますということをはっきり表明しているわけであります。今後、そういう観点から、今新法も検討しておりますし、日本として恥じない、日本の国力に応じた支援態勢を国際社会に対してもはっきりと示していきたいと思っております。

上田(勇)委員 総理は、当初から憲法の枠内でできる限りのことをするということをおっしゃっていまして、今もその答弁のとおりだろうというふうに思います。

 ただ、日本が直接手を下すかどうかという問題も大事なんですが、同時に、国際社会がどういう場合に武力を行使するか、そのことに対しても、日本としての考え方、スタンスをきっちり持っておかなければいけないのではないかというふうに思いますので、今、入り口についての判断基準、それから出口についての判断基準を質問させていただいたわけでございます。

 これから新法の議論の中でこうした議論はさらに行われるのではないかというふうに思いますので、次に、ちょっと具体的な話に移らせていただきたいというふうに思います。

 総理の七項目の措置の中で、自衛隊を医療、輸送、補給等の支援活動を実施する目的で派遣するために所要の措置を早急に講ずるというふうになっております。何点か、このことにつきまして総理の見解を確認させていただきたいというふうに思います。

 総論は今伺ったところでございますが、まず初めに、この自衛隊の派遣というのは、我が国が、国連決議などを踏まえまして、国際社会の一員として、国際テロの防止、根絶に、積極的で、しかも主体的に取り組んでいくのだ、そういう趣旨に沿って予定されているものであって、日米安保に基づきます対米支援、それが直接的な目的ではないというふうに理解をしておりますが、総理の御見解、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 現在考えておりますこのテロ対策の新法、簡単に申せばテロ対策特別措置法と言ってもいいと思うのでありますが、これについては、テロに対して、いかに根絶、抑止を目指すかというのが主目的であります。

 そういう中で、アメリカを初め国際社会が具体的な行動に出た場合、結果的にアメリカを支援する、あるいは米軍を支援するという状況がありますが、その中でも、武力行使は日本はしないということで御理解いただきたいと思います。

上田(勇)委員 さらにお伺いをいたしますけれども、今回自衛隊が行う活動、それが実施されるのは、そのときに戦闘が行われていない地域、そしてその活動の間も戦闘が行われることが予想されない地域に限られる、したがいまして、それは、外国の軍隊によります武力行使とは一体化しないものに限られるのだというふうに理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

小泉内閣総理大臣 日本の持てる国力をできるだけテロ防止のために、テロ根絶のために活用していきたいと考えておりますから、当然、自衛隊も入ります。

 その際に、その自衛隊の活動というのは武力の行使に該当しないことが重要であります。同時に、もし、同意を得た自衛隊が派遣されて日本以外の地域で活動する場合、その外国の領域や公海及びその上空で実施する場合には、現に戦闘行為が行われていない、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われないであろう、そういうことが認められる地域に限定しているということを今考えております。

上田(勇)委員 この議論で、新しく法律をつくって自衛隊の海外派遣を行う、そういう話の中で、これは自衛隊にとっては初めてのことになるのですが、一部に、この新法の制定によってなし崩し的に自衛隊の海外派遣というのが定着してしまうのではないかというような、そういう懸念もおっしゃる方がいらっしゃいます。しかし私は、今予定されている法案では、これまでの国会における周辺事態安全確保法での議論、そうしたことも踏まえて、自衛隊の活動の内容や地域、今総理がおっしゃったように限定されているということ、それから、自衛隊の武器の使用についても極めて抑制的になっているというようなこと、それからさらに、一定の期限を決め、目的も極めて特定をした特別措置法になるということなどと、相当な歯どめがあるので、こうしたなし崩し的に広がってしまうのではないかというような懸念はないというふうに理解をしておりますけれども、総理に再度確認をさせていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今議員御指摘のような点も十分参考にして、この新法で対応したいと思います。

上田(勇)委員 次に、総理の七項目の中に、避難民の支援というのも含まれておりました。

 これは、これから実際に自衛隊が行ってどういう活動をするかというのは、事態の推移を見ながら基本計画を立てていただくことだというふうに思いますが、そうではなくて、現に、もう既に国連の高等弁務官事務所の方から、テントやそれから毛布、給水容器、そうした物資を支援してほしいという要請が来ており、それにこたえる形でもう既に政府の方からも現地で調査を行っているというふうに伺っておりますし、その調査の状況というのは、特にそういう物資の支援を行うことに支障はないというような報告であるというふうにも伺っているところでございます。

 私たちも、こうした支援というのは、今の現行法の中でも実施できることでありますし、人道的な観点からも、早急な対応をこれまでも要請をしてきたところでございます。さらに、今日本が備蓄している物資だけじゃなくて、医薬品とか血液が不足しているというような報道もされております。ぜひ、こうした今できること、調査の結果もすぐ出るというふうに聞いておりますので、今できることというのは、特に、まだ安全な地域でもありますし、速やかに実施に移していっていただきたいというふうに思いますけれども、これからの方針を伺いたいというふうに思います。

田中国務大臣 難民支援の関連でもお尋ねがございましたので、現在の状況も含めまして答弁させていただきたいと思いますけれども、アフガニスタン難民等の支援ですけれども、これは、NGOだけではなくて、関係の政府でございますとか国際機関、それらが主体的に連携をとり合いながら支援をする態勢をとっております。

 そして、このたびは十七億円パキスタンの難民支援ということでもって決めておりますけれども、これのほかにもまた、いろいろな場面でもって私たちがNGOをバックアップできる態勢をつくっております。

 具体的には、私も、十月の一日に、ジャパン・プラットフォームという、もう御存じでいらっしゃると思いますけれども、そういう団体の方ともお目にかかりまして、そういうところにも、資金援助等積極的にNGOを個別にも支援できるように準備態勢を整えております。

上田(勇)委員 私がちょっとお尋ねしたのは、今実際に現地で調査団を派遣されていて、日本が備蓄しているいろいろな物資をUNHCRの方に提供するというような方向で検討されているというふうに伺ったので、それをぜひ早く、今の現行法の中でもできるので、実施してほしいという要請をさせていただいたのですけれども、それについてはいかがでしょうか。

田中国務大臣 お尋ねの件も含めまして、機動的に運用できるようにいたしております。

上田(勇)委員 私は、報道等を見ると、相当話が進んでいるというふうに伺ったんですが、何かちょっと今の答弁だと逆に最近の報道よりもずっと遠のいたような感じがするんですけれども、その辺ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今の御質問ですが、アフガニスタンの難民支援活動について、既に、今外務大臣が答弁しましたように、日本に、必要な物資を早く届けてくれないかという要求が来ております。そこで、その準備作業を進めているところであります。これは現行法で対処できます。

 そこで、アフガニスタンからの難民が出てくるパキスタン等に対して、どういう状況で支援態勢がとれるか。また、支援物資、日本にある支援物資の中で、どういう点を向こう、先方が要求しているか。例えば、必要ないものを持っていったってしようがありませんから、テントとか毛布、ビニールシート、寝袋等あるいは給水容器、いろいろな要求が来ております。そういう中で、日本でできることはできるだけしたい、また、日本にある物資は、できるだけ向こうの、先方の要求にこたえたい。

 できるだけ早く持っていきたいんですが、そのためには、やはり現地がどうであるか、その状況も把握しなきゃいけません。その派遣職員においても、あるいは実際業務に携わる方々の安全確保も考えなきゃいけません。そういう点も含めて、今調査中であります。しかし、これが、できるだけ早く救援活動、また、救援物資が現地に支給されるような態勢を今準備しているところでございます。

上田(勇)委員 やっと御質問の趣旨を御理解いただいたようでございますので、ぜひ早急に実施をしていただきたいというふうに思います。

 次に、今度は、我が国もやはりテロ攻撃の対象にも、標的にもなり得る、そういう可能性があるということで国内の対策について質問させていただきますが、今回のこの事件の発生の前後に、各府省間の連携が悪いとか、情報の共有が十分でないとか、あるいは総理官邸の内閣情報官や危機管理監のところにちゃんとした情報が集まっていない、分析できないというような形でのいろいろな報道等がございました。そうした情報収集や分析機能に対する指摘があったんですが、その後、総理官邸の中で、内閣の中でいろいろな検討をされて、いろいろな改善策をとられたというふうにも聞いておりますが、細かいことは結構でございますけれども、どういうような基本的な改善をとられたのか、お伺いをしたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 これは、今回の米国のテロ発生以来すぐ、危機管理対策等の情報収集あるいは対応は、日本政府としてはきちんと、しっかりと対処したつもりでございます。発表の点においていろいろ御批判もあるのも承知しておりますが、具体的な対応については、私は、万全の対応が、現在の法的範囲の中で対応できる措置は、既に準備はあのテロ発生以来することができたと思っております。

 現在も、いろいろなテロに関する情報等も収集し、予測し得るような点、あるいは予測し得ないことまで予測しろという要求が来ておりますが、非常に難しいことなんですが、そういう点も含めまして対応をとっております。これについて、いろいろ詳しい点も、発表していいものと、しない方がいいものと、すべきでないものがあると思います。防衛庁、警察庁あるいは海上保安庁等、関係各省庁が緊密な連絡をとりながら、考え得る範囲の万全の態勢をとりたい。

 ただ、情報収集というのは実に難しいんです。情報があったのになぜ対応をとらなかったかという御指摘もありましたけれども、アメリカでさえも、これは何か不穏の情勢があるんじゃないかということで警備当局に連絡がございました。しかし、これは発表していいものかと。アメリカでさえもわからなかったからああいうニューヨークにテロが、あるいは国防省にテロが起こったわけであります。

 これから情報収集の場合においても、現在非常に難しいなというのを私感じているところは、本物の情報とにせものの情報を見分けるのは実に難しいんです。むしろにせものの情報が多いのは現実であります。しかし、情報があるからには対応をとらなきゃならない。

 けさもびっくりしましたよ、私。来る前に、インドでハイジャックが起こったと。本当にしてこっちに来たら、うそだったと。あれだけテレビに流されるから、あれを見た人は本当だと思うでしょう。しかし、実際は誤報だったというんですから。

 こういうふうに、どれが本当の情報で、どれがうその情報か、そのために全部関係省庁、緊急に集まって対策をとらなきゃいけないんです。そういう点も含めてやらなきゃならない。しかし、やるべきことはきちんとやる態勢は整えていかなきゃならないし、やっているということを御理解いただきたいと思います。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

上田(勇)委員 今総理も多分おっしゃったことというのは、やはりこれから本当に外交の力というのは情報の力というのが大きいというふうに思います。いかに今世界で起きていることを正確に把握し、それを正しく分析、認識していくか、それで対応をとっていくかということが重要なことはもう間違いないわけでありますので、これからこうした、まあこの一連の流れを見てきますと、やはりアメリカやヨーロッパの諸国、かなりこういう情報面で力を入れている。我が国としてもやはり、これからいろいろな難しい局面に総理が対応していくときに、この情報の力というのをもっと身につけていかなければいけない、ぜひそこをまた小泉総理に力を入れていただきたいということを要請申し上げます。

 最後にちょっと、テロの関係については以上で質問を終わらせていただきまして、狂牛病の問題についてお伺いをいたします。

 まず、厚生労働大臣にお伺いをいたしますが、狂牛病対策として、厚生労働省それから農林水産省で今般、先ほどの質問の中でも出てきましたが、安全な牛しか出回らないようにする対策を講じた。三十カ月以上のすべての牛の検査の実施、あるいは肉骨粉の輸入、製造、販売の停止などの措置を講じたわけであります。まだいわゆる発症の原因、感染のルートというのが解明されていないので、一〇〇%というのはなかなか難しいのかもしれないんですが、少なくとも、現在想定される、これまで外国の例などを見ながら現在のところ想像できるあらゆる感染のルートはこれで遮断されたというふうに、そういうような措置がとれるんだというふうに、そういう対処ができたというふうに理解してよろしいんでしょうか。大臣にお伺いします。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

坂口国務大臣 昨年の十二月にさかのぼりますけれども、英国を初めといたしまして、この狂牛病が発生をいたしております国々からの、我々の方では、食料にいたしますところの骨粉、あるいはまた薬等にいたしますところの原材料、こうしたものをすべて輸入禁止にするということをしてまいりました。

 しかし、日本の国の中でも起こったわけでございますので、日本の国の中におきましても同様に、薬でありますとかあるいは健康食品でありますとか、そうしたものに対します材料につきましても、外国のもの同様に、これはすべて禁止をするということにしたいというふうに思っております。

 そのほか、食肉に関しましては、先ほどお話がございましたとおり、三十カ月以上のものにつきましては十月十八日から完全に検査をいたしまして、そして、もし仮に陽性のものが出ましたならば、そのものにつきましては全部焼却処分にするということにしたいというふうに思います。それ以外の健康なものでありましても、脳でありますとか脊髄でありますとか目でありますとか、あるいは回盲部でありますとかというような危険性の高いもの、そうしたものにつきましては使用しない、焼却処分にするということにしたい、国民の皆さん方の安全におこたえをしたいと考えているところでございます。

上田(勇)委員 こうした措置が講じられれば、人が感染する経路はもうすべて遮断されたというふうに理解をいたします。

 それで、最後に農林水産大臣にお伺いするんですが、今回の措置の中には、狂牛病に感染するおそれがないと言われている豚とか鶏の残渣を原料とするような肉骨粉の製造も禁止いたしておりますし、科学的に言うと若干過剰な面があるのも否定できないんではないかというふうに思います。これは、感染ルートが解明されていない以上、万全に、完全にシャットアウトするという現在の措置、これはもうやむを得ないことであろうというふうに思うんですが、これはいつまでも続けておくというわけにはなかなかいかない。やはりそれは費用の負担もかかるし、家畜のリサイクルの鎖が壊れて大量の産業廃棄物が出るというような問題も今懸念されているのであります。

 こうしたことを解決していくために、当然のことながら、関係者に対する当面の経済的な支援を行っていくということも重要でありますけれども、やはり原因を解明して合理的な規制とするように将来できるだけ早く持っていく、そのためにも、まずはこの感染ルート、原因の解明に全力を挙げて、それを一刻も早く解明していただきたいというふうに考えているところでありますが、大臣の御決意、御見解を伺いたいというふうに思います。

武部国務大臣 委員御指摘のとおり、WHOあるいはOIEの見解は、牛の肉骨粉が豚だとか鳥に感染するということはないという見解をとっております。したがいまして、科学的な根拠をもって今回これらをすべてストップしたということではありません。国民の皆さん方の不安を解消するために、一時的に、全面的に停止するという措置をとったものでありますし、EUはペット用のフードだとか肥料というものは禁止していないのです。今でも禁止しておりません。しかし、今回、我が国におきましては、それらも一時的にストップさせていただきました。

 今後は、厚生労働省と一緒に設置いたしますBSE対策検討会において、さまざまな議論をいただき、助言をいただくことになっておりますので、そうしたところでしっかり御意見をちょうだいして、厚生労働省と一致して今後の対応に努めてまいりたい、かように思います。

 いずれにいたしましても、数多くの皆さん方に御迷惑をかけているということは事実でありまして、この場でそういった方々におわびをしなきゃならないということと同時に、ぜひ、こういう事態でありますので、御協力方もお願いしたいということを申し上げたいと思います。

上田(勇)委員 以上で終わります。

野呂田委員長 この際、石井啓一君から関連質疑の申し出があります。上田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 私は、まず経済財政問題について質問をさせていただきますが、今回の米国同時多発テロの我が国経済に与える影響について、まず、これは竹中大臣にお伺いをいたしたいと存じます。

 今回のテロが米国経済に大変深刻な影響を与えております。株価も低迷しておりますし、あるいは消費心理も冷え込んでおる、こういうことで、米国の経済に大きな影響を与えている。これが我が国に対してもやはり深刻な影響を与えることが容易に考えられるわけであります。

 ちなみに、この六月にまとめられた骨太の基本方針の中では、十三年度、十四年度の経済の姿といたしましては、「景気の現状を踏まえると、今後、年末にかけて調整圧力が強まる」「十三年度のGDP成長は、当初の政府経済見通しをかなり下回る」「しかし、平成十三年末以降、アメリカ経済の回復傾向が明らかになっていけば、輸出、生産が次第に回復に転じ、やがて設備投資も改善していくと見込まれる。また、適切な経済運営のもとで構造改革の進展の成果もあり、平成十四年度の景気は徐々に回復への動きをたどることとなる。」こういうシナリオを立てていらっしゃったんですけれども、このシナリオは相当修正する必要がある、こういうふうに思います。これはどういうふうに変わっていくのかというのが一点。

 特に、十三年度の経済成長率については、当初の政府見通しは、一・七%、プラス一・七%でございましたが、この六月の骨太の基本方針では、ゼロから一、ゼロに非常に近いところ、こういう御説明がございました。ところが、今回の事態を踏まえますと、これは相当厳しいな、マイナスに行く可能性が相当大きいな、こういうふうに考えられるわけでございまして、特にこの十三年度の経済成長の見通しについてもお伺いをいたしたいと存じます。

竹中国務大臣 日本の経済、大変基盤が弱いところにもってきまして、御指摘のように、外的なショック、外からの非常に冷たい風が強く吹き始めたということだと思います。恐らく二つの外的なショックがある。一つは、予想を上回るような世界的な規模でのIT不況、これはアメリカを中心に、予想を上回るようなものになってきている。さらに加えて、今回のテロでございます。

 第二次世界大戦のときに、こういう比較が意味があるかどうかはともかくとしまして、数%であった貯蓄性向が、アメリカの場合、一気に二五%まではね上がって経済を停滞させたという事例があります。しかし一方で、湾岸戦争のときにはこの貯蓄性向の上昇というのは一%ポイントぐらいであった。今回アメリカでどのような消費者心理の冷え込みが起こるかということは、これは大変重要なキーポイントでありますが、同時に、これはなかなか今の時点では読めないという状況になっております。したがって、我々としましては、その外的なショックをできるだけ正確に見きわめる努力をする、加えて、この基盤のところを強くするための構造改革を加速させるということが大変必要になっている。

 お尋ねの今年度の見通しでありますけれども、今のような状況下でなかなか正確な数字を明示することは難しい。今後、補正予算での議論を煮詰めていく過程、さらには、経済財政諮問会議では年末から年始にかけまして中期の経済財政計画をつくるということを目標にしておりますので、こういった日程の過程で、今申し上げたような情報収集に万全を期して、できる限りの正確な見通しを出していきたいというふうに思っております。

石井(啓)委員 なかなか今、数字では示せないということでありましたが、ただ、例えばIMFでの見通しによりますと、二〇〇一年の我が国の経済成長率はマイナス〇・五%という予測をしております。あるいは、民間のシンクタンクで今回のテロ事件の影響を踏まえて予測を修正したのが発表されておりますが、それを見ましても、マイナス〇・四%からマイナス一・五%ということで、これはかなり厳しい、マイナス成長になる可能性が非常に今のままでは強い、そういう状況かと私は思います。

 そこで、総理にこれはお尋ねをいたしたいと思いますけれども、今回のテロを踏まえての我が国の経済面での対応でございますが、これは各国と協調いたしまして、金融面での協調あるいは為替面での協調、これはこれまでもやってきましたし、これからもきちんとやる必要がある。それと同時に、やはり、今回のテロ事件が世界同時不況を招くのではないか、そういう懸念も強いわけでございますから、我が国が世界の経済を引っ張っていくという、そこまでおこがましいことは言えないと思いますけれども、少なくとも我が国の景気の悪化が世界経済の足を引っ張らないように、そういう対応をすることが私は必要だと思っております。

 そういった意味で、今年度の経済成長がマイナスにならないように、そういう経済運営をしていくことが今回のテロ事件を踏まえての我が国の重要な対応である、こういうふうに私は考えますけれども、総理の御見解をお伺いいたしたいと存じます。

小泉内閣総理大臣 今年度予算が審議をいただき成立した四月時点と現在の状況は、全くさま変わりと言ってもいいぐらい変化しております。そういう中において、非常に今後の経済成長に対する各種経済指標は思わしくなく、先行き不透明な点等、ますます情勢についての悪化傾向も否定できないもろもろの状況が起こっております。

 加えて、今回のテロにおきまして、今後日本としても経済先進国、G7関係諸国と協力して、このテロによって経済面において不測の混乱が、不要な混乱が起きないような責任を果たしていくことも重要であります。特に、さきのジェノバ・サミットにおきましても、各国から日本の改革に対して強い期待が表明されました。また、さきの日米首脳会談、ブッシュ大統領におきましても、日本の経済の再生、発展というのは世界にとっても必要だというような指摘もございました。

 そういうことを踏まえまして、私は、低成長になろうともこの改革の手を緩めることはいたしませんが、改革を促進するためにも、マイナス成長よりもプラス成長の方が望ましいことはわかっております。そういう中で、今までの経済運営あるいは財政状況、安易な国債増発に頼らないでどのような景気対策が可能か、また、その景気対策を打っていく場合に、今後の構造改革にどのように資するか、そういう観点を踏まえて対処しなきゃならないと思っております。

 十四年度予算に、税収が五十兆円程度の前提のもとで、三十兆円以内に国債の発行を抑えようという目標を堅持しながら構造改革は進めていこうという方針のもとに、今いろいろ苦労しております。また、そういう中で、今回、補正予算の問題が浮上しております。特に、改革を進めていくうちにおいて痛みを伴う場合、いわゆるやむなく職を離れなきゃならない人に対する雇用対策、そして、新たな経済に対応できるような新しい産業の創出、雇用づくり、両面から対策を打たなきゃなりませんので、その点につきましては、四月の時点での情勢が変わったということは私も認識しております。

 原則を堅持しながらも、状況の変化に対しては大胆かつ柔軟に対応していくという点で、この今までにない経済現象に誤りない対応を期してまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 よろしくお願いをいたしたいと存じます。

 続いて総理にお伺いいたしますけれども、今回のテロ対応の資金としまして、具体的に当面の資金としまして、例えばパキスタンへの経済支援を決めましたね。約四千万ドル、これが約四十七億円。このパキスタン以外の、ほかの周辺国に対するやはり経済支援というのも今後考えられますでしょうし、また、パキスタンに対して追加支援ということもあり得ると思います。

 また、国連のアナン事務総長から、半年間の国連機関が実行する難民の支援のための費用として五・八四億ドル、日本円で約六百九十億円の拠出が加盟国に求められております。日本は通常二〇%から二五%ぐらいの割合で拠出していますから、百五十億前後の拠出ということになると思いますけれども、そういう費用も必要になってくる。

 また、これから特別立法で議論をされますが、医療とか輸送とかあるいは難民支援で自衛隊等を派遣する、そういった経費もある。また、そのほか、今想定されないようないろいろな事態もあると思いますけれども、現時点でそういった額をきちんと把握するというのはなかなか難しいとは思いますが、かなりの額がやはり必要ではないか。これを十三年度の予備費で支出をされるのか、あるいは補正予算に組み込んでいくというお考えなのか、この点について確認をいたしたいと思います。

塩川国務大臣 今、その試算を要件だけずっと検討いたしましたのですが、どのぐらいの規模になるか、これはわかりませんので、まだ現在の実際的な予測はついておりません。けれども、先ほど御質問の中にございましたように、パキスタンに対する四千万ドル、これは四十七億相当でございますが、これは十三年度予算の中で処理しておりまして、そのほか、できるだけこの十三年度予算内、対応できなければ予備費の取り崩しということもできるだろうと思うておりまして、それで当面の支出を継続していきたい、こう思っております。

石井(啓)委員 それでは、総理がおっしゃっている国債三十兆円枠についてでございますけれども、補正予算、当然のことながら、これは構造改革に資する、これが大前提でございますけれども、やはりマイナス成長にしないような配慮、構造改革に資するという中でも、その需要政策というのはとれるわけであります。

 また、今申し上げましたような、テロ対策に備えた新たな経費が必要になるということもある。またさらに、その上に、当初予算での税収見通し、これは今約五十兆七千億円ですね。こういう税収見通しでありますけれども、これは、今年度の経済成長は一・七%という前提の上での税収見通しでありますから、これは今のこの景気の悪化の状況の中では相当厳しいなと。特に法人税については相当厳しい。この税収見通しが当初見通しよりも下回りますと、これは国債でやはり補てんしなければいけない。

 こんなことを考えますと、最初から何兆円ということではなくて、必要な経費を積み上げていった結果、三十兆円が多少上回るということがあっても私はやむを得ないんではないかというふうに思うんですが、その点、総理、いかがでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 税収面については後ほど財務大臣から答弁いただきますが、全体の、補正予算に対しての三十兆円枠がどうかという御質問でありますので私から答弁いたしますが、今年度は五十兆七千億円程度の税収があるのではないかという、そういう見通しのもとに、今二十八兆円程度の国債の発行を認めた予算が既に執行されております。そういう中で、いろいろ今後雇用対策あるいは経済対策等、補正予算を組む場合に、まだ一兆数千億円の国債発行枠があるじゃないかという前提で、今どういう経済対策が必要か、またどういう雇用対策が必要かという検討を進めております。

 そのときに、今こういうテロが起こってきたわけであります。各国から今いろいろな資金援助、救援活動、要請が来ております。新たな想定していない要求にどうこたえるかということも含めまして、これから改革に資するような手当てはどういうものが必要か。規模も額も含めて、最初に何兆円が必要だということではなくて、どういう対策が改革に資し、そしてなおかつ、どういう救援態勢、どの程度の額が国際社会から日本に要求されているのか、その点も含めて、予備費で対応は可能か、あるいは新たに、テロが起こってきた後の対策のために補正予算を計上しなきゃならない面があるのか、両面から勘案して対処していかなきゃならない。

 原則を堅持する方針に沿って今対策を進めておりますが、新たな要因も無視することはできないということは、私は十分考えております。経済成長の面あるいは雇用の悪化の面、いろいろな経済指標、状況を勘案しながら、いかに改革なくして成長なしの対策が実効あるものになるか、これについて私は総合的に考えていきたいと思っております。

 あとは、税収面においては財務大臣から。

塩川国務大臣 税収の見通し、私たちも非常に心配しておりました。近いうちに全国の財務局長並びに国税局長の招集をいたしまして見通しを立てたいと思っておりますが、現在のところ、八月末のものがはっきり出ておりまして、それによりますと、去年とほぼ変動はないような状況でございまして、特に、去年に比べまして、八月時点で対比いたしますと、消費税が若干去年よりは上回った状態になっておる、法人税、所得税、ほぼ同様であるということでございますが、おっしゃるように、景気は非常に厳しい状態でございますので、税収について十分な注目をしていきたいと思っております。

石井(啓)委員 総理の御答弁、原則は堅持しつつも新たな事態に柔軟に対応する、こういうふうに理解をいたしました。

 総理も、所信表明演説の中で、進化論のダーウィンを引かれて、この世に生き残る生き物は変化に対応できる生き物だ、こういう演説がございました。今まさに、当初予測しなかったテロという、この変化に対応しようということでございますから、三十兆円という枠は、多少こういったことがあっても、それは変化に対応するということであって、総理の責めに帰する問題ではないというふうに私は申し上げておきたいと存じます。

 次に、金融、不良債権の問題について質問いたしたいと思います。資料をちょっと配っていただけますか。

 今、資料の内容をパネルにいたしましたので、パネルと資料を見ていただきながらお話をいたしたいと思いますけれども、これは、ことしの三月期の主要十六行、大手十六行の債権分類の状況でございます。

 ごらんになっている方にわかるように簡単に説明いたしますけれども、縦の方、これがいわゆる債務者区分というもので、正常先というのは、全く問題ない。要注意先というのは、これは金利を減免したり、あるいは財務内容に多少問題があるということで、今後注意を要する債務者。要注意先のうち、要管理者というのがございますけれども、これは、要注意先の中で、三カ月以上延滞債権を持っていたり、あるいは貸し出し条件変更をした債権を持っていたり、そういう債務者を要管理先と。破綻懸念先は、今後破綻する可能性が高い債務者。破綻先は、もう既に破綻している、実質破綻先は、もう実質的に破綻をしている債務者ということでございます。

 横が担保等の分類状況でございますけれども、第1分類というのは全く問題のない部分でございまして、優良担保、優良保証とで担保されている。2分類は通常より回収に危険性がある部分。3分類というのは回収に相当懸念がある部分。4分類というのは回収ができない部分ということで、こういうマトリックスで分類をしているわけでございますけれども、今の不良債権問題で焦点になっているのは、二つございます。

 一つは、破綻懸念先以下の債権のオフバランス化と言われるものでございますけれども、これはパネルの方で赤でちょっと区切っている部分でありますが、破綻懸念先、それから破綻先・実質破綻先、主要十六行で十一・六兆円、これを銀行のバランスシートから外していく。これをいかに着実に、確実にやっていくかという問題が一つございます。

 もう一つは、今度はパネルで黄色の部分でございますけれども、要注意先、主要十六行で四十九兆円があるわけでありますが、この要注意先の査定、引き当てが甘いんじゃないのか、こういう問題。大別してこの二種類の問題がございますので、質問をいたしたいと思いますけれども。

 まず、要注意先の方の問題でありますが、先日マイカルが法的整理を申請いたしました。このマイカルは、大半の銀行で、先ほど黄色の部分でありました、要注意先というふうに分類をされていたんですね。それが突然破綻した。ここに象徴されますように、あそこの要注意先で分類されているけれども、相当問題のある債権がここにあるんじゃないか、こういう懸念がございまして、私は、そういうふうに懸念されるのもやむを得ないというふうに思っているわけであります。

 今回の改革先行プログラムの中では、そういった懸念にこたえるために、特別検査をおやりになる、また引き当ても、市場の格付等を反映した、そういう引き当てもきちんとやる、こういうふうに位置づけられておりますけれども、この部分は本当にきちんとやってもらわないと、日本の金融行政に対する信頼にかかわる問題でございますから、これはちゃんとやっていただかなければならない部分でございまして、柳澤大臣の御答弁をいただきたいと存じます。

柳澤国務大臣 質問時間を使っていただいて、本来私がすべきかもしれません説明を大変詳細にしていただいて、まずありがとうございます。

 今お触れになりましたように、要注意先の引き当てあるいは本来要注意先に区分されるべき債務者なのかということについて、問題がありはしないかということで、私どもも、今回の改革先行プログラムで今先生御指摘になったような二つの新しい施策を打ち出させていただいた、こういうことでございます。

 まず第一に、本来でしたら、銀行というのは情報産業でございまして、特に自分がお金を貸している先の状況ですから、一番よくいろいろな情報を知っていなければいけません。ところが、担保主義というか、そういうようなものがずっとバブルの時代を通じてやってきましたものですから、やはり銀行の審査能力というか、つまり情報処理能力、こういったものに問題が出てきているのかもしれない。こういうようなことで、もう一つ市場のシグナルというものについて配慮すべきじゃないか。

 こういうようなことで、要注意先について、実は銀行の中で要注意先一本でやるんではなくて、格付をして、一本でやっているところも何かあるやにも聞きますが、基本的には幾つかの細分をしているわけでございます。それで、細分をした上で、引き当ていかにあるべきかというのは、実は勝手にやるわけにはいかない。これは、将来の損失だとか費用というものは客観的な根拠が必要だということで、今は、予想の損失をそれぞれのカテゴリーについて算出をするときに、貸し倒れ実績というものをつかんでそれを反映させて、客観的な根拠を持ってこういう引き当てが必要なんですよということになっているわけでございます。

 そういうようなことでございますけれども、私どもは、今回、この貸し倒れ実績というものをつかむときに、この市場の評価という視点を入れて、一番簡単に考えちゃえば、市場の評価が非常に悪いところに新しいカテゴリーをつくっちゃって、それに応じた貸し倒れ実績というものをつかんだときに一体どうなるんだ、そして、そういう同じ評価しか受けていない債務者についてはそこに区分をするということになれば、自然的にこれは高いウエートの引き当てをしなきゃならなくなるだろう。こういうようなことを考えて、今回の要注意先の行内区分、銀行の中での区分の仕事に市場のシグナルというものを反映するようにしなさい、そういうことで引き当ての充実を図りなさい、こういうことを申しているわけであります。

 もう一つは、しかし、今御指摘になられたような小売の問題が起こった。これは実は非常に我々にとっても衝撃的なことでございまして、どういうことで起こったかというと、六月に外部の格付機関の格付が四段階おっこったということが起きまして、途端に取引先から非常に、例えば手形のサイトなんかも短縮させられる、もっと言ったら現金取引でなきゃ取引をしてもらえないということになりまして、非常に必要な運転資金というものが膨らんでしまった、ところが、それをなかなか銀行サイドもいろいろ慎重になって供給できない、こういうことで破綻が起こってしまったということですが、この問題は、実は我々はタイムラグの問題だと思っておるわけでございます。

 この新しい今度の債務者区分とか引き当てについて考える場合に、タイムラグをなくさなきゃいけないということで、特別な検査をすることにいたして、一番最近時の格付機関の格付あるいは株価というようなものを反映して検査をしようじゃないか、こういうことにいたしたということでございます。

 ちょっと長くなったかもしれませんが、しっかりやらせていただきますので、ただ、最後の点は非常に風評リスクというのがあるんです。これはもう石井先生御案内のとおりでございますが、風評リスクを避けながらやらなきゃいけないということで慎重に対処していきたい、このように思っています。

石井(啓)委員 これは、ぜひしっかりとこの査定、引き当て、お願いしたいと思います。

 柳澤大臣、引き続いて確認いたしますけれども、この査定と引き当てというのは、実は銀行側の問題なんですね。その裏腹の問題で、債務を抱えている企業の方の話があるわけです。銀行の側だけ対処していても企業の方が再生をしないと、実は問題は半分しか片づかないということでございまして、この過剰債務、企業の過剰債務をどうしていくのか、これがもう一つ大きな問題でございます。

 今、特別検査等が入って破綻懸念先というふうに分類されれば、それはもう私的整理なり法的整理なり、あるいはRCCなりに売却ということでなると思いますけれども、要注意先に引き続いて分類されたとしても、やはり過剰債務をどうしていくかという問題は残りますので、きちんと企業を再生していく、それを促していかなきゃいけないと思うんですね。その点についての危機感というのが残念ながらこれまで欠けていた。私は、政府もやはりそういった点をきちっと促していくべきじゃないか、こういうふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、正直言って私ども金融のサイドだけで何かができるということではないと私は考えて、ことしの一月から、つまり私が就任してすぐからですが、関係の役所にも御協力を呼びかけさせていただいて、そして私的整理のガイドラインというものをつくらせていただいたわけでございます。過剰債務を持った企業の再生を図るために、このガイドラインを使ってむしろ健全化をしていく、こういうようなことで、御承知のとおり、ちょっと長くかかりまして、専門家がリーダー役になりましたのでほぼ完璧なガイドラインができた。

 私的整理というのは、関係の金融機関、これはもう大体、そういう大口の債務者、企業にとりますと融資している銀行がたくさんあるわけでございますが、こういう複数の銀行の利害というのはとかく対立をしがちなんですけれども、それを基本的にルールに従って意思をまとめて、今言った過剰債務問題を解決して、そして本来の企業の力を、潜在的な力を引っ張り出して再生を図っていく。こういうスキームをつくりましたので、それらを活用して、今後は、この要注意先債権についてはむしろ健全化の方向、もちろんだめなものは先ほど先生がおっしゃったように破綻懸念先におっことして、それでそういう形で処理しますけれども、基本的にそういう考え方でやっていきたい、このように考えているわけであります。

石井(啓)委員 この点についてもお願いをいたしたいと思います。

 今申し上げましたのは要注意先の話ですけれども、今度は破綻懸念先以下の方の話題でありますが、これはオフバランス化していく、既存のものは二年でやる、新たに破綻懸念先になったものは三年かけてやる、こういうことでありますけれども、そのオフバランス化の手法としては、私的整理、銀行が債権放棄するという手法もあります。また、会社更生法とか民事再生法、こういった法的整理にする。あるいは、RCC等を初めとする回収会社、サービサーと言われる回収会社の方に売却をする。大別してこの三種類手法があるわけですが、二年あるいは三年かけてやるのが遅いんじゃないかというような指摘もあるんですね。

 一つのアイデアとしてですが、破綻懸念先以下というふうに分類された債権を、一たんRCCの方に集約させる、整理回収機構の方に集約させる。その売却価格はどうするかという問題が今度は残るんですけれども、整理回収機構に集約させた上で、その整理回収機構の方が、私的整理なり法的整理なりあるいは回収なりというふうに集約して、集中的にオフバランス化を図っていく。そういたしますと、銀行からは、その時点で、RCCへ移した時点でオフバランス化というのができますので、こういったことが非常にスムーズな措置として考えられるのではないか。こういうアイデアもございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。

柳澤国務大臣 RCCの機能を強化してそうした企業再生の問題にも取り組ませようじゃないかということも、今回の改革先行プロジェクトにも書かせていただいている点でございます。

 ただ、今先生がおっしゃったように、銀行から破綻懸念先のものを移してしまってRCCにやらせるんだ、こういうことですけれども、やはりRCCがまた二年、三年かけて、あるいはまた五年かかってやるということになると、結局、問題の先送りという非難というかそういう批判も否めないことに私はなると思うんですね。

 そういうことで、私としては、本来やるべき銀行の仕事だという基本に立ちながら、しかし、そういうものについてむしろRCCの方も営業をかけて、それでいろいろ、今までのように、官僚組織のように一年に二回、はい、候補者があったら言ってきてくださいというふうな仕事の仕方ではなくて、自分の方で何か手伝えることがないのかというようなことで、双方が協力をして今の二年、三年のスケジュールでとにかく整理を進めていく、再生を進めていく、こういうことが私は必要なんじゃないか、このように考えているわけでございます。

石井(啓)委員 従来、整理回収機構というのは、どちらかというと債権回収の方が中心的な役割だ、こういうふうに位置づけられてきたわけでありますが、これは企業の再生の方にもこのRCCを活用して積極的に取り組んでいこう、そういう施策の方向にあることは間違いないと思っています。この点については、私ども与党内でもこれからしっかり議論していきたいと思っていますし、政府でもこれは引き続き御検討をいただきたいと思います。

 先ほどの久間委員の質疑の中で指摘がございましたけれども、信用保証協会の特別保証、これの返済期間の延長等の返済条件の変更についてでありますが、これは、従来も経済産業省の方でガイドラインを出されていたということでありますけれども、金融機関の方が、この条件を緩和すると、貸し出し条件緩和債権、先ほど言った要管理債権のところに位置づけられちゃうんじゃないか。要管理債権となると、これは一応不良債権として公表しなければいけないということが義務づけられていまして、そういうふうに位置づけられるとすると、これは不良債権に位置づけられると困るなということで、金融機関の方がなかなかそこを渋っていた。そういう事態があって、この特別保証の返済条件の緩和というのがなかなかできなかったという事態があるようでございます。

 もっとも、私もすべての企業の返済条件を変更しろと言うつもりはございませんけれども、今一時的に資金繰りが苦しくても条件を変えれば十分返済ができる、そういった中小企業については、実情に応じてやはりきめ細かく対応することが必要だと思いますので、この点について、平沼大臣それから柳澤大臣、御答弁いただきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘のように、特別保証制度というのは、一年延長をして、十兆円上積みをして、そして保証をさせていただきました。この三月三十一日で、異例、特例の措置という形で打ち切りました。

 しかし、やはり今の経済情勢が厳しいということで、昨年の十二月に信用保証協会連合会に私の方から通達を出しまして、既往債務に関してはやはり条件緩和をすべきだ、また、今御指摘の点のようなところも配慮しながらやるべきだ、こういう形でこの八月末に締め切りましたら、約九万四千件がございまして、そして、これは全体の五・五%がそういう形で既往債務の条件変更をさせていただきました。

 しかし、なお今の経済情勢が厳しいものですから、この九月二十八日に、金融庁とも御相談をしながら、再度、全国の政府系金融機関や信用保証協会、また金融庁からはそれぞれの中小の金融機関に対して、さらに柔軟に対応するように、こういう形にいたしておりまして、御指摘の点も踏まえて私どもはさらにきめ細かく対応していきたい、このように思っています。

柳澤国務大臣 特別保証の期限の延長をして、それに係る債権の延長も同時にやるべきではないか、そこに一種の条件緩和債権イコール要管理債権への区分けというものが行われるならば、それは大変金融機関にとってはそういった動きを制約する要因になるんじゃないか、こういう御質問でございますけれども、私どもも、今回改革先行プログラムにも書かせていただきましたけれども、その取り扱いについては十分配慮をしていく。

 もちろん、ノー文句で画一的にすべての期限を延長する、そしてまた区分も変えないというようなことは、これはなすべきではないと思いますが、あくまでケース・バイ・ケースで判断させていただきますが、逆に、では、その関係の債権の延長をしたからといって、それのみで要管理先に区分けをするというようなことはしないということをここで申させていただきます。

石井(啓)委員 よろしくお願いしたいと存じます。

 続いて、平沼大臣にお伺いいたしますけれども、今、売掛金債権を担保にした新たな保証制度を検討されていると。これは実に話題が高いというか、期待が大きゅうございまして、従来も手形の割引制度というのはありましたけれども、売掛金についてはそういうことを担保して保証する制度というのはございませんでしたので、これは中小企業にとっての資金繰りは相当助かるなということで非常に期待が高いところでございまして、ぜひこれは早期に実現をしていただきたいということが一点と、もう一つ、従来の手形の割引制度でも、銀行の方がなかなか応じてくれないということで、これは資金繰りに困っているというケースもあるんです。ですから、この新しい保証制度に従来の手形の割引も含めてやれるようにしたらどうか。この二点について御答弁いただきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 確かに、今、土地担保というものが非常に厳しい状況になってきております。中小企業の土地担保というのは、大体総額で九十一兆あるというふうに言われています。それから、現金と預金というものが大体七十八兆で、今御指摘の売り掛け債権というのが、フラクチュエートがありますけれども、八十七兆と言われています。

 そこに着目をいたしまして、私どもは、今国会で中小企業信用保険法、これを改正して、一日も早く、今期中にそういう体制をとるべく、一生懸命お力をかりながら努力をさせていただきたいと思っています。

 それから、受取手形に関しましては、既に中小企業信用保険法の中で認められておりまして、例えば、平成十二年度の実績では四万件、そして三千億の保証はさせていただいていました。しかし、今回の新しい売り掛け債権に着目したこの新制度にも当然含むこと、こういうことで考えていきたいと思っております。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて上田君、石井君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井上喜一君。

井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。

 去る九月の十一日に、ニューヨークでテロによります一大惨事、残忍な、極めてひきょうな事件が起こりまして、アメリカが犯人の逮捕とかあるいはテロ組織の根絶に立ち上がった、極めて当然のことだと思いますし、多くの国際社会の国家が同じような行動を起こすということを言いました。日本政府も、日本自身の問題としてテロの根絶のために毅然たる態度を示されたのでありまして、まことに適切な行為だったというふうに思うのであります。

 今、関係の法律案が準備をされているということでありますが、一日も早く成立をいたしまして、適切な対応がとれることを心から期待いたすものでございます。

 そこで、こういう大惨事が起こりましたときに、日本として果たしてテロに対する危機の管理体制というのは十分なんだろうかということを考えることも必要だと思うんですね。現状を点検する、さらに充実していくところは充実をしていくということが大切だと私は思うのであります。

 そこで、危機担当の大臣、官房長官のようでありますので官房長官にお伺いするのでありますが、もし仮に日本で、東京でアメリカのニューヨークのようなああいう惨事が起きた場合に、そして政治経済の中枢部が攻撃された場合に、日本としてはどんなことになっていただろうか、政治や社会、経済にどういうような現象が起こったのであろうか、こういうことについてまずお伺いしたいと思います。

福田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、もし仮に、米国における今回のような同時多発テロというようなテロ行為が日本で発生すれば、これはもう米国と同様な甚大な被害をこうむるということは間違いないだろうと私は思います。さらに申し上げれば、東京のような都市機能の集積した地区、そういうところの被害というのはさらに大きくなる可能性を含んでいるのではないか、このように考えております。

 ですから、こういう被害を、これを食いとめると申しますか、起こらないようにするためには、日ごろから情報収集機能、これを十分に発揮させなければいけない。このことは、テロを未然に防止するためには一番大事なことだろうというふうに思います。

 それから、テロリストを入れない。先ほど総理からもお話がございましたけれども、テロリストを入れない、拠点をつくらせない、そしてテロを起こさせない、こういう三ない方式でもって出入国管理、具体的に申し上げれば、出入国の管理を厳しくする、それから不審者の動向の監視、ハイジャック防止及び重要インフラの警備に万全を期していく、こういうことが大事になってくるわけであります。

 また、万が一、それでも万が一そのようなことが起こった場合に、警察を初めとします関係機関が総力を挙げて被害者の救済、援助などを始めまして、被害者の被害の最小化に努める一方、テロ組織の追及、根絶に全力を挙げる、これはもう当然のことだと思っております。

井上(喜)委員 私は、テロ対策でまず大切なのは、やはり情報の収集だろうと思うんですね。十分に情報を集める、そしてそれを一元化していく、そして政府の中枢部に伝わっていく、そしてそこからしかるべき指示が各所に出ていく、こういう体制がまず必要だろうと思うのであります。

 これまで、阪神大震災が起こりまして、自然災害等につきましては、やはり危機管理が大切だということで、その方面の体制というのはだんだん整備をされてきていると思うのでありますけれども、事テロにつきまして果たして大丈夫なのか、そういう心配をするわけですね。

 といいますのは、テロの情報というのを把握するのはなかなか難しいところがありますし、今総理のお話がありましたが、情報が本当かうそかというのは確認も難しいとか、あるいは情報自身を秘密に処理しないといけないというようなことから、なかなか情報をきちっと把握して、それが適切に処理されるというのは非常に難しいのじゃないかと思うのですけれども、テロ対策につきましての情報収集体制、これは今どの程度になっているのか、どの程度のものをお考えなのか、官房長官にお伺いします。

福田国務大臣 情報収集体制についてのお尋ねでございますけれども、これは委員も御指摘のとおり、情報収集が大事である、私もただいま申し上げたばかりでございますけれども、このために政府は総合力を十分に発揮できる体制を整えるということが大事でございますので、このことについては十分意を用いているつもりでございます。

 例えば、我が国の危機管理体制につきましては、これまでも、二十四時間体制の内閣情報集約センターというものを持っております。そしてまた、危機管理を担当する内閣危機管理監というものを置きまして、危機管理に必要な行政組織を機動的に指揮監督できるようなことになっておりまして、体制整備、充実に努めてまいっております。

 特に、ハイジャックなどの重大テロ事案というようなことにつきましては、それに的確に対処できるようなマニュアルを作成するとかいうようなこともしておりますし、またそういう場合における装備、資機材の整備、訓練の実施などというような必要な体制は整えてきたつもりでございます。

 事案の内容によりまして、危機担当管理監が総理また私、官房長官等と相談をいたしまして、必要に応じ閣議を開く、また安全保障会議を開く、関係閣僚会議を開くなどというような、そういうことをして、的確な対応を全組織に対して指令するというようなことができることになっております。

 これでもって私、十分なんだというように申し上げているつもりはございません。特に、今回のような新しい、規模の大きい、また国際的なテロに対して、全く新しい体験というか経験でございます。この貴重な経験を生かして、今後の情報収集活動、またさらにその対応の仕方、これは十分に考えていかなければいけない。そのために日々努力をしておるところでございます。

井上(喜)委員 あと、入国管理についてお伺いしようと思いましたけれども、御答弁で、テロリストが入ってこないようにきちんとしているんだ、こういうようなお話がありましたので、あえて聞きませんけれども、どうも入国管理というのは余り厳密じゃないのじゃないかというのが私の印象でありますので、これからもぜひ、そういうテロリスト等についてのチェックを厳しくお願いいたしたいと思います。

 次に、政治関係の重要な施設あるいは新幹線なんかの交通機関あるいは原子力発電所等々、これらについてのテロ対策、マニュアルがありまして、それに基づく訓練等々、どの程度整備され、実施されているのか、これは国家公安委員長ですか、どなたにお聞きしたらよろしいのですか、お聞きします。

村井国務大臣 公的なさまざまな重要施設、今、新幹線というような例をお挙げになりました。あるいは、当然のことでございますけれども、政府の持っている施設等々、これにつきましての防護でございますけれども、これにつきましては、第一義的に警察が中心になりまして、それぞれの施設の管理者等と連携を保ちながら安全の確保に努力しているということでございますが、特に、現段階でマニュアルがあるケースもありますけれども、そのマニュアルがすべてについて整っているということでは、これはちょっと言えないのではないかと思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、それぞれの施設の形態によりましていろいろな対応をしておりまして、現時点で、特に九月十一日以後でございますけれども、米軍の関係施設あるいは米国の関係施設、それから原子力発電施設等公的な施設あるいは政府関係施設等々を含めまして、全国で四百五十の施設につきまして特に重点的な警護態勢を私どもとしてもとっているところでございまして、通常でございましたらいわゆるパトロールをするというだけにとどめますところへ、常時ある程度の人数の警察官を張りつけるというような態勢をとるとか、あるいは、何といいましょうか、テロが車で爆弾を持って飛び込んでくるというようなものを防護するような特別な対応も一部しているところもございます。いろいろな形でできる限りの対応を現段階でしているつもりでございます。

井上(喜)委員 警備につきましては警察が第一次的に担当すると思うのでありますが、場合によりましては警察が自衛隊とも協力をして対処していく、こういうこともあろうかと思います。

 そこで、警察と自衛隊との協力関係といいますか連携といいますか、どの程度やられているのか。これもいろいろなケースを想定して、やはりマニュアルのようなものをつくりまして、日常の訓練をしておかないといけないと思うんですよね。

 あるいは、防衛庁の方についていえば、治安出動なんというのがあるのでありますけれども、そういう治安出動の発動基準みたいなもの、あるいはそのマニュアルなんかもつくられているのか、それぞれお聞きをいたしたいと思います。

村井国務大臣 治安維持につきまして、委員ただいま御指摘のとおり、警察が第一義的な任務を持っているのは当然でございますが、自衛隊法上いわゆる治安出動というような形態もあるわけでございまして、さような意味では、連接をきちんとしていくというのは非常に重要な点でございます。

 そのために、私どもといたしましては、国家公安委員会と防衛庁との間で治安出動の際における治安の維持に関する協定と呼ばれるものをつくっておりまして、これを昨年十二月、これはもともとあるものでございますけれども、全面的な見直しをいたしまして、各都道府県レベルで、各都道府県警とそれに対応する自衛隊の部隊との間で連携をきちんとするというような体制をとり、また合同訓練なども折々やるようなことをしておりまして、連携を密にしているつもりでございます。

 ちなみに、一つの例を申し上げますと、例えばオウムの事件が起こりましたとき、これは官庁間協力というような形態ではございますが、当時防衛庁が持っておりました化学防護に関するさまざまの技術、資機材等々の供与を得て、警察と防衛庁との協力が非常にうまくいったケースではないか、このように思っているところでございます。

中谷国務大臣 警察と自衛隊が連携を密にとるという御指摘、まことに重要だというふうに思っております。公安委員長がお話ししたとおり、第一義的には警察が対処をし、警察機関では対処が不可能な場合もしくは著しく困難な場合には、治安出動もしくは海上警備行動を発令して対処するということになっております。

 防衛庁としては、具体的には、一昨年三月に能登半島沖で不審船が来た折に、そのときの経験を教訓に海上保安庁との間で不審船共同対処マニュアルというものを作成いたしまして、既に共同訓練もいたしております。

 また、警察との共同につきましては、先ほど公安委員長もお話ししたとおり、昨年の十二月に、武装工作員などが侵入した場合に自衛隊と警察が共同して有効に対処し得るように治安出動に関する協定を改正し、現在この改正に基づきまして効果的な運用ができるような要領を策定中でございます。

 御指摘のとおり、警察と自衛隊、密接に連携をとるべきだという御指摘に基づきまして、今後、共同訓練を実施するなど、さらに連携を密にしなければならないというふうに思っております。

井上(喜)委員 テロにつきましてこれから最大の問題点は、やはりサイバーテロについての対応だと思うんですね。IT化、IT化と言われまして、もう社会の隅々までこれが広がってくる、ああいう情報通信システムが本当に実生活を支配するといいますか、実際中に入り込んでくるわけですね。

 経済社会もそうであります。行政分野にも電子政府なんというようなことで、もう通信関係の技術、システムがどんどん入ってきますから、これがテロの攻撃の対象になりますと、えらい大きな混乱あるいは打撃を社会に与えてくるんじゃないかと思うんですね。

 これにつきまして特別にやはり対策をとられていかないといけないと思うんでありますが、これについてはどんなことが今考えられていますか。

村井国務大臣 とりあえず、警察として対応しておりますことにつきまして申し上げたいと存じます。

 サイバーテロの問題につきましては、電子政府の実現というようなことを視野に入れてまいりますと、非常に重要な課題だと私どもも認識しているわけでございます。警察では、このサイバーテロの未然防止のために、平成十三年四月、ことしの四月でございますが、警察庁、それから各管区の警察局にサイバーテロ発生時の被害拡大防止、それから攻撃元の追跡をやる、こういった機動的な技術部隊としてサイバーフォースという特殊なセクションを設置しまして、必要な資機材の整備、それから要員の訓練を行っております。

 実は、警察は情報通信局というのを持っておりますが、これは実は警察の通信システム全体を運用管理している技術部隊でございますので、同時に大変な技術の蓄積もございまして、当然のことでございますが、こういったサイバーテロに対するノウハウもかなり持っておりまして、企業などへの情報提供でございますとか、あるいは企業からの御相談に応ずるというような形でサイバーテロ対策をしっかりやる。それからまた、さまざまの機関から得ました情報に基づきましていろいろな警報、警告などもやるというような対応をしているところでございまして、私どものこういった機能をまたいろいろな形で生かしていただければありがたい。

 警察に関することだけとりあえず申し上げました。

福田国務大臣 私の方から、それでは、このサイバーテロに対しましては民間の協力も得なければいけないという部分がございます。民間のインフラですね。例えば、電力とか水道、ガス、そういうような部分のセキュリティーとの関係もございますので、これは官民挙げて取り組むべき問題であるというふうに考えております。

 このため、昨年からIT戦略本部、これを立ち上げまして、そして、この戦略本部の中で高度情報通信ネットワーク社会における安全性、信頼性確保のあり方を検討して諸施策を講じてまいっておるところでございますが、昨年十二月には、重要インフラのサイバーテロ対策に係る特別行動計画、こういうものを策定いたしました。

 そういうことで、これをいかに着実に具体化していくかということが今後の課題でございます。

井上(喜)委員 以上、幾つかの点につきましてこのテロ対策をお聞きしたのでありますが、総理、これをお聞きになりましてどういうような感想をお持ちになりましたか、一言お願いします。

小泉内閣総理大臣 危機管理体制を強化しなきゃならないのは、これは当然なんですが、アメリカで起きたテロを見ると、もしああいうことが組織的に計画をされ、実行に移そうとするテロリスト、テロの組織があった場合に、果たして日本ですべて防げるのかというと、甚だ疑問に思わざるを得ない。

 特に、民間航空機をハイジャックして、しかも関係のない人を巻き込んで、自分が死ぬのをいとわないというんですから。これは、もし人を殺そうとして自分が逃げることを考えれば阻止することも可能ですが、自分も死ぬことをいとわないといって相手をねらったら、ほとんど防ぎようがないですね。私なんかはしょっちゅう多くの人と会っていますから、そういう人の中にテロリストが紛れ込んで暗殺をねらおうとしたら、これは防ぎようがない。あるいは施設に対して、毒物等を持参して多くの人に被害を与えようと思ったら、そういう施設はたくさんあるわけです。

 いろいろな想定をして今準備しておりますが、そういうテロを起こさせない防止策と、万が一、予測し得ることは予測しているんですが、予測し得ないような対応が起こって、万が一そういう事故が起こった場合にどういう対策を打てるかということも含めて、今管理体制を強化する必要がある。今のニューヨークあるいはホワイトハウス、国防省で起こった事件はまさに人ごとではないなと。

 そういう面においては、日本だけでは対応できない面もありますから、国際社会の中で各国と協力しながら、ぜひともテロリストの組織を根絶させなきゃいかぬ、また、そういう体制を強化していかなきゃならぬし、当面は、関係各国との情報収集を得ながら、テロリストを入国させない、各国においてそれぞれテロリストの組織があるようですが、日本ではそういう拠点をつくらせない、テロを起こさせないというようなことを各界、民間も含めて、関係省庁を含めていろいろ対応を練っているところでありまして、でき得る限りの予測に対応するような措置を考え、強化していかなきゃならないと思っております。

井上(喜)委員 次に、特殊法人の改革等についてお伺いをいたします。

 特殊法人が本格的に導入されるようになりましたのは、昭和三十一年の日本住宅公団と愛知用水公団なんですね。それ以降たくさんの特殊法人が出てきた、こういう経緯があるわけであります。そういったことで、もちろん特殊法人というのはもっと範囲が広いですから、それ以前に設立されたものもありますが、まあまあ問題になるのはそういう特殊法人でありまして、私は、約半世紀これはたっておりまして、そういう中できちっと見直して整理合理化をしていくべきだと思うんですね。

 したがいまして、半世紀たちますと、国がやるべきことが変わってきていると私は思うんでありまして、やはり国がやるべきことは何なのだということをきちっとして、やるべきことがあれば、それをどういう形でやるのが一番効率的なのかということを検討していくべきだと思うんですね。

 ところが、私は内部がまだよくわからないんでありますけれども、新聞等で拝見いたしますと、そういうある種の政策議論とかそういうのを抜きにして、何か民営化するんだとか何とかするんだというような、そういう議論が先行している。そうなりますと、形だけ変えればいいじゃないかというような議論になりはしないかと私は思うんですよね。

 だから、本当の本質的な議論をして、それからどうするのかということをぜひ議論すべきだと思うんでありまして、私は総理も恐らくそういう考え方なんだろうというふうに思っております。その点はどうですか。お願いします。

小泉内閣総理大臣 本質的な見直しをしなきゃならないから、私は、廃止、民営化を前提としてゼロベースで見直しなさいと言っているんです。そうでなかったら、役所は全部存続の理由を言ってきます。必要だからあるんだから今現在特殊法人は存在しているんだ、この理由ばかりですよ。改革がいかに難しいか、発想の転換をして本質的な見直しをするためには、むだがないか、必要がないかというからこそ、まず廃止、民営化を前提に打ち出したんです。そうでなかったら全部存続の理由ですよ。改革なんかできませんよ。

 私は、廃止、民営化を打ち出したのは、ゼロベースで見直しなさい、むだな税金を投入しているんじゃないのか、民間でできるものはたくさんあるんじゃないのか、なぜ役所がやらなきゃならないのか。民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、この原則を貫くために廃止、民営化が前提だと言っているんです。今、すさまじい抵抗ですよ。

 これは、私は断固として、税金のむだ遣いを阻止するためにも、この改革をどうしても進めない限りは、あっちこっち、必要な事業も必要な機関もあるでしょう。しかし、税金を使うんですから費用対効果を考えなきゃいけない。余分だったら全部あればいいですよ。どれほどの税金を使ってその事業は必要か、それだけの税金を使う必要があるのか、財源がどこにあるのか、優先度をはっきり考えながら各特殊法人は事業の見直しをしてもらいたいということで指示を出しているんです。

 廃止、民営化というのは、まさに根本的な存在理由があるかを問うために言っているんです。廃止、民営化が前提でないんだったら、全部、存続理由を言ってきますよ。改革はできません。御理解いただきたいと思います。

井上(喜)委員 そこで、よく問題になるのは道路の問題なんですね。道路の問題というのは、公団の問題とちょっと別に、道路の問題自身も問題になるわけです。道路の問題が問題になるから、関連してその組織の問題も問題になるわけでありまして、この道路でありますが、高速自動車道、国道ですね。これは、現在、国土交通省が考えているものもありますけれども、国幹審で決定されたものが九千三百四十二キロだというわけですね。

 私は、基本的に、高速自動車国道ネットワークというのは整備が必要だという考えでありますけれども、どこまでを整備していくのかというようなことは、今のお話のように、経済性もあるし、あるいはその地域の必要性といいますか公共性とか、いろいろなことを考えてやっていくべきだと思うのであります。しかし、国幹審で承認を得た九千三百四十二キロというのは、いろいろなことが検討されて決定されたと思うのでありまして、将来変更されることは多少あるかもしれませんけれども、基本的にこれは必要なんじゃないかと思うんですが、総理はこれについてどんなお考えですか。

小泉内閣総理大臣 都市、農村を問わず、都市、地方を問わず、道路をつくってくれという要望は強いです。恐らくほとんどの議員は、地方から、少しでもこういう道路をつくってほしいという陳情を受けているでしょう。

 それは、やはり財源の問題を考えなきゃいかぬ。多くの利用しない国民が税で負担しているということも考えなきゃいけない。多くの国民が税で負担しているけれども利用しない道路は本当に必要なのか。その点の見直しが必要であり、現在の道路公団が考えているのを、予定した道路を全部つくると言われたって、幾ら税金を投入したって足りませんよ。税金、財源はどうなのかということを考えなきゃいかぬ。

 だから私は、扇大臣に、五十年、六十年かけて償還するようなことだったら切りがないじゃないか、もう我々は死んでいる、少なくとも三十年以内で、税金も投入しない形で必要な道路が建設されるような方法はないものかということから、一つの方針を出しているわけであります。

 そこで、本当に必要な道路だったら税金を使っていいと私は思いますよ、本当に必要なら。それはこれから政治家が考えることですよ。多くの国民の要望に全部沿えればいいです。それは、財源等を考えて今後検討していくべき課題ではないかと思っております。

 現在の前提で全部道路をつくるんだったら、私は民営化できないと思いますよ。そのかわり、民営化しない方がいいという人の立場に立てば、税金をどんどん投入していくと言うでしょう。それでいいのか。また増税が待っていますよ。増税は嫌なんでしょう、国民は。その点を考えていただきたい。

井上(喜)委員 もう時間が来たようでありますので、これで終わります。

野呂田委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅直人君。

菅(直)委員 小泉総理、本論に入る前に一つだけ。

 昨日来の本会議で総理は棒読みをずっと続けられておりまして、それは何か質問が悪いとでも言いかねないようなことを言われて、我が党の議員からも大変反発が出ております。きょうはぜひ私の質問に対して、総理としての御意見を伺いますので、棒読みは避けていただきたいということを、まず話をする冒頭に申し上げておきたいと思います。

 そこで、総理、小泉さんが総理に就任されて、きょうで何日目になりますか。

小泉内閣総理大臣 何日目か勘定したことはありませんからわかりませんけれども、四月ですから、五カ月ぐらいたったんでしょうか。

菅(直)委員 たしか四月二十六日に就任されていますので、きょうで百六十二日目になろうかと思っております。

 このように申し上げるのは、言うまでもありませんが、これまで何度も総理に私も議論をしますと、いや、菅さん、そう言ったって、まだ一、二カ月じゃできっこないじゃないの、三、四カ月じゃできっこないじゃないのと、いつもそういうふうに言われますので、少なくとも五カ月を超えて百六十二日間たった中で、一体何が総理の言われたことが進んでいて、何が進んでいないのか、そのことをまず少し点検させていただきたいと思います。

 総理は、総裁選あるいは総理になられるときの公約として、二つのことをみずから言い出されました。一つは、靖国神社に八月十五日に参拝する、一つは、国債の発行を三十兆以内に抑える。一方は既に変更され、もう一方も風前のともしびと言える状況になっております。

 総理は、みずからの公約を守ってきたと自信を持って国民の皆さんに言うことができますか。

小泉内閣総理大臣 私は、改革なくして成長なしの手段として、今、十四年度予算については、国債発行枠三十兆円の目標のもとにあらゆる見直しをして改革を進めていくという方針で、今準備を進めております。

 靖国神社につきましては、十五日参拝を十三日に前倒ししましたけれども、これについては、確かに約束を守らなかったということに関してはそれは言えます。しかしながら、靖国参拝ということに対しては大方の国民の理解を得ているのではないか。

 そして、私の発言に対して、菅さんは何もやっていないと言うんでしょうけれども、参議院選挙におきましては、私がやっていること、やろうとしていること、言っていることに多くの国民が理解と支持を示してくれたからこそ、民主党よりも多くの議席を、私を支えてくれる政党に与えてくれたのではないか。この期待と支持にこたえて、今までのように公約を実行に移すよう全力を尽くしていきたい。

 ただし、今言われたような、十五日に参拝しなくて十三日に参拝したじゃないかという点においては、それは約束を守れなかったということは言えると思います。

菅(直)委員 私は、総理が今、参議院選挙で国民の皆さんの支持を得て、そういう意味では自分の方が期待されている、私はそのとおりだと思います。ですから、まさに総理は、みずから公約をして総裁・総理になって、そして国民は参議院選挙でその小泉総理を支持されたわけです、多くの人が。だから、私は、総理が公約したことを着々とやれる条件が整っている、しかし、やっているんですかということを申し上げようと思って、まず冒頭に、総理になられるときの、みずからわざわざ出された公約、決して野党が八月十五日に行ってくださいとお願いしたわけでもありません。三十兆という数字を最初に挙げたのは総理みずからであります。いろいろな見通しを持ってその二つのことをわざわざ国民の前に約束をして、しかし、結果において、少なくとも一つのことは実現できなかった。

 もう一つも、いろいろ予想を超えたことが起きていることも事実ですが、一つの見通しを持ってみずから言われたことが果たしてできているんですか。つまり、最初の二つができなくてあとのことができるというのは、なかなか国民としても、あるいは我々としても信用できにくいものですから、最初の二つの約束について申し上げたところであります。

 それでは、それに関連して、靖国の問題を契機にして、まあそれだけではありませんが、日中関係、日韓関係、大変厳しい状態になっております。きょうの主題とも言える米国の連続テロ事件に対して、今から日本がどういう行動をとっていくのか、その行動をとる場合に、中国や韓国の首脳ともきちんと意思疎通をしておく必要が大変重要だと思いますが、総理は、この間、中国の江沢民総書記や、あるいは韓国の金大中大統領とこの問題について直接話をされたことはありますか。

小泉内閣総理大臣 直接お話ししたことは、就任後、金大中大統領とは、電話会談はいたしましたけれども、テロ問題についてはまだお話ししてはおりません。状況が許せば、近いうちにできるだけ意見交換をしたいと思っております。

菅(直)委員 これがどういう意味を持つかは、皆さんおわかりだと思うんです。

 今から新法を出されて自衛隊を、どういう理由をつけるかは別にしても、遠く日本から離れた地域に出すことになるかもしれない。そのときに、その真意が決して中国とか韓国とか、あるいはアジアに対する、もちろん軍事的な何かの意図を持って行うことではない、そういうことをきちんと話をされるとすれば、当然ながら首脳同士がそういう話をすることが必要になる。

 しかし、最も日本に近い国である韓国とも、そして最も近い国である中国とも、トップが話ができない関係になってしまっている。このことを今総理みずからが認められたわけでありまして、このことの持つ意味といいましょうかマイナスは、私は大変大きいということをまず申し上げておきたいと思います。

 そこで、少し、まさにきょうの本題に入っていきたいと思います。

 ブッシュ大統領は、今回の連続テロ事件に対して新しい戦争という表現をされております。あるいは総理もそれに近いことを言われていると思いますが、私もまさにそのように思います。総理の言われる新しい戦争というのは、端的に言えば何が従来の戦争と違うという意味で言われているんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 まず、戦争といいますと想起されるのは、思い出されるのは、国と国との戦いですね。しかし、今回、国とは言えない。これは極めて異例の形の戦争状態である。しかも、民間人を多く巻き込む。しかも、武器でない民間の飛行機が武器になってしまう。しかも、この犯罪行為の当事者の姿が見えない。これは極めて異例と言ってもいい、新しい、想起できなかった状態が現在起きている。

 これに対応するのは非常に難しいんですけれども、難しいけれども、このテロを根絶するために、抑止するために世界が協力しなきゃならない問題だと思っております。

菅(直)委員 私もやや似た感想を持っております。

 つまり、かつての日本とアメリカの戦争、ベトナム戦争あるいはイラクをめぐる湾岸戦争、それは少なくともどの国とどの国が戦争をしているかということがはっきりしていた。多くの、日本の憲法も、場合によれば国連の憲章も、国と国の戦争を前提としていろいろな論理を組み立てております。

 しかし、今回、犯人と言われているビンラディン氏はサウジアラビアのもともと人物であって、そしてそのテロ集団は、エジプト人もいれば他の国々からの人たちもいる。ある意味では多国籍なテログループ、ゲリラグループであって、その存在も、今アフガンに最大の拠点があると言われておりますが、必ずしもアフガンに限らない。また、被害を受ける国も、今回はアメリカが中心でありましたが、日本人も二十数名犠牲になられておりますし、どの国で起きるかわからない。そういった意味では、従来の国と国を軸とした戦争とは非常に性格が違っている。それでは、そのことに対してどのような対応をとるのかということも、当然違ってこなければ有効な対策はとれないわけであります。

 私は、そういう意味では、国際的なある意味での警察機能、そういう犯人グループを、情報を集めてどこであるかを特定し、そしてそれを捕まえる、捕まえるために必要であれば何らかの実力行動も含めて検討する、そういう国際的な警察機能というものが大変ある意味で必要になっている。

 それには、いわゆるマネーロンダリングとかいろいろなインサイダー取引によって資金を得ているのではないかとか、そういった経済的な、過去の例でいえばいわば経済封鎖ということになるのでしょうが、国ではありませんから単純な封鎖という形にはならない。そういういわば警察機能というものをいかにして国際的につくり上げ、そしてこのテログループを追い詰めて、ある意味では根絶するか、こういう形だと思います。

 そこで、お聞きします。

 今、アメリカはこのテロに対して、自国が攻撃を受けた、つまりは、アメリカとしては個別的自衛権の行使という形で行動しようとしています。NATO諸国はそれに対して、NATO条約五条で言う集団的自衛権を行使することでこれと共同歩調といいましょうか、とろうとしております。

 総理は、日本が、米軍支援ということをしきりに言われておりますが、そういう行動をとるときに、どういう基本的な考え方でもって行動をとろう、とるべきだとされているのか。そのことを国民の皆さんにわかりやすく説明していただきたい。

小泉内閣総理大臣 極めて大事な問題でありまして、テロに対しまして日本がどう対応するか。

 今回私が考えております、近いうちに法案を提出して御審議をいただく内容、趣旨に関しましても、まず、テロ根絶のための、テロ防止のための対応に必要な法的措置をとらなきゃいかぬという観点から、国際社会と協力して、日本のできるだけの支援、協力態勢をつくりたいという趣旨でこの問題を考えていきたいと思います。

菅(直)委員 今ので終わりですか。

 アメリカは、アメリカとして自国を攻撃されたということで個別的自衛権の行使をしようとしている。NATO諸国は、NATOの条約の五条に基づく集団的自衛権の発動。あるいはオーストラリアも、ANZUSですか、同盟に基づく発動という位置づけをしている。我が国で総理が考えられているのは、どういう位置づけでやろうとされているのですかと聞いたのですよ。

 国際的な協力で云々という話は当然です。新しい法律をつくってまでやろうとしている米軍支援は、どういう位置づけでやろうとされているんですか、国民にわかりやすく説明してください。

小泉内閣総理大臣 これは誤解をしていただかないようによく注意して聞いていただきたいんですが、日本は武力行使をしないんですよ。個別自衛権、集団自衛権の問題は、武力行使をする場合のことでしょう。そこを誤解しないでいただきたい。

 日本は武力行使をしません。テロ根絶、テロ抑止のために支援、協力態勢をつくるというのが今考えている新法の考え方であるということを御理解いただきたい。

菅(直)委員 総理も国民に誤解を招くような表現はされないでくださいね。

 私が別に、日本の新しく用意されているものが自衛権の問題だとか集団的自衛権の問題だと言っているんじゃありませんよ。私は総理に聞いているんですよ。少なくともNATOはこういう位置づけでやっている、アメリカはこういう位置づけでやっている、オーストラリアはこういう位置づけでやっている、それでは我が国はどういう位置づけでやるんですかと私が聞いているんですからね。

 それに対して今のお答えは、武力行使をしないからそういう位置づけは特別にないという意味ですね。

小泉内閣総理大臣 これは、アメリカは、個別自衛権を発動して武力行使も辞さないということでやっているわけです。NATO諸国もそうです。イギリスもそうです。

 日本は、武力行使をしないと言っているんですよ。国際協調の観点から、テロ行為を根絶するために、防止するために、できるだけの支援、協力をしましょうと。個別自衛権とか集団自衛権の問題でこの新法を今考えているわけじゃないということを御理解いただきたいと思います。

菅(直)委員 これで少しはっきりしましたね。ちょっと声が小さくなりましたが、最後の総理の答弁は、今回の法律は個別自衛権とか集団的自衛権ということで考えてはいない、こう言われましたね。そういうことをちゃんと国民の前で説明された方がいいんじゃないかと思って、わざわざ質問しているのですよ。

 そこで、もう一つ申し上げたいと思います。

 よく、米軍支援に関して、米国の軍事行動に対する支援に対して、日本が、例えば湾岸のときに巨額の資金は出したけれども目に見える行動がなかったということを、しきりに自由民主党の中でも言われる方がたくさんおられます。また今回も似たような、何か、日本は何もやっていないんだ、私から見ると強迫観念にも似た、トラウマにも何か冒されているような、そういう声がしきりに聞こえてきます。

 しかし、私は、米軍の世界的な作戦行動の中で、客観的に見て、日本ほど定常的に支援している国はない。まさに小泉さんのおひざ元にある横須賀の米軍基地というのは、第七艦隊の母港であります。それは、単に第七艦隊が寄港するということではないことは御存じでしょう。つまりは、第七艦隊の乗組員の家族までが、横須賀の近郊に奥さんや子供も住まいをしていて、作戦行動が終われば日本に戻ってくる。そういう意味の、海外に家族まで移している母港というのは、私が知る限り、アメリカの場合、第七艦隊だけだと聞いております。

 また、沖縄の基地を含めて日本には、米軍の外国基地は、広さからいっても、兵員の数からいっても、そうした規模からいっても最大のものがあるわけであります。

 また、地球儀を見ればわかるように、アメリカの東海岸から中東に行こうとすれば、スエズ運河を通らなければ簡単には行けません。西海岸から行こうと思えば、太平洋を越えてインド洋を越えなければ、例えば中東地域、アフガン地域には届きません。日本を基地にしているからこそ、例えば西海岸から行くのであれば、地球の三分の二回らなければいけないところを、三分の一で済む。

 アジア地域でいえば、まさにアジア地域そのものに存在している、アメリカの世界戦略の最大とも言える第七艦隊や第五空軍を中心としたその機能に対して、日本は、いわゆる思いやり予算を含めて、世界の中で比較して最も大きな定常的な支援をしている、こう思いますが、総理はどういう認識をお持ちですか。総理の認識を聞きます。

小泉内閣総理大臣 日米安保条約は、日本の安全を確保するために必要不可欠なものだと思っております。日本に攻撃があった場合は、アメリカは日本を守るために、あらゆる手段、武力行使も含めて日本を守る。日本は、アメリカが攻撃されても、アメリカに対して武力等の支援はしないけれども、基地を提供するということによって、この日米安保条約を維持している。これは両国の安全にとって重要なものだと認識しております。

 そして、この観点から、これで十分じゃないかと思うのと、私は、今回のテロ抑止のために、できるだけのことをしたいと思ってやります。基地提供だけで十分だとは思っていません。国際社会が、テロ根絶のために、テロ抑制のために、できるだけのことを国力に応じてやりたい。日本も、国力、国情に応じて、憲法の範囲内でできることは何かということを主体的に考えて、私は、あらゆる日本の機能、能力を生かして、世界と一緒になって、このテロ根絶、テロ防止のために支援態勢をとっていきたいと思っております。基地の提供をしているから十分だとは思っておりません。

菅(直)委員 どうも総理は自分の言いたいことは言われますが、私たちが聞いておることについては半分ぐらいですね。

 まず、少なくとも、我が国が世界の他の国に比べて、それは韓国も協力しているでしょう、NATO諸国も協力しているでしょう。しかし、基地提供等といったような形で直接的な米軍の支援では、私は、日本が最も大きな貢献をしている、そのことをお聞きしたわけです。

 その上で、私がさらに申し上げたかったのは、そのことをもう少しアピールされたらどうですか。つまり、強迫観念ばかりで、日本は何もやっていないんだ、つまりは不十分だからもっと追加的支援をするという言い方なら、意見の差はあるにしても、まだ位置づけはわかります。位置づけの大きなところは、それ以上やるんですか、必要ないんですかという議論になります。

 何もやっていないんだという認識からスタートするのと、相当程度にはやっている、定常的には世界で最も米軍に対して支援している、もちろん反射的効果として、まさに日本の安全にも役立っていることは、それはあると思います。しかし、あれだけの軍事力を持って、それが日本の防衛のためだけにあるという位置づけでないことは、これはアメリカ自身も十分に知っているわけでありまして、そういう意味では、日本の防衛にも反射的にはプラスになっているけれども、まさに、アメリカがアジアにおける最も重要なプレゼンスとしての存在、さらには、地球上の半分の地域をカバーしていく、そういう存在として、日本がそれを相当の力でサポートしている。もっとアピールされたらどうですか。

小泉内閣総理大臣 断っておきますが、私は、何もしていないという強迫観念なんかにとらわれていることは一つもありませんよ。あなた自身がそう言っているんでしょう、私が強迫観念にとらわれていると。だから、そういうことは誤解だから、私はやめていただきたい。私は、何もしていないから何かしなきゃならない、強迫観念にとらわれているなんか全然思っていませんよ。できるだけのことをしたいと思っているんです。テロ根絶のために、テロ防止のために、アメリカ初め関係各国と協力しながらできるだけのことをしたいと思っているだけであって、何にもしていないから強迫観念なんというのは全然思っていませんよ。

 現に、日米の、ブッシュ大統領との会談におきましても、ブッシュ大統領は私に対して、自衛隊を派遣してくれとか、自衛隊にあれこれやってくれとなんて一言も言いませんでした。日本に対する感謝の言葉でした、ブッシュは。日本はアメリカに協力してありがたい。日本の経済の発展は日本だけの繁栄にとどまらない、世界のために必要だ、いろいろ難民の救援のためにも。感謝の言葉がブッシュ大統領からあったわけでありますけれども、あれをやってくれ、これをやってくれなんというのは、ブッシュ大統領は言いませんでしたよ。

 私は、これは日本国として、日本国民として、日本政府として、テロ行為防止のために、根絶のために何ができるかと主体的に、積極的に考えるのが日本の責任だと思っております。

菅(直)委員 いや、それでいいんですよ。ですから、そういう答弁をちゃんとしてくださいということで聞いているんじゃないですか。

 多くの自民党の人たちの議論は、あるいは識者の議論の多くは……(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。多くの人たちは、湾岸のときに百三十億ドル出したけれども、日本の日の丸が見えなかった、だから今度は見えるようにしなきゃいけない。アーミテージ副長官がショー・ザ・フラッグと言った、それは日本の旗を見せることだ。そういうことで強迫観念に駆られているような発言が大変多いものですから、総理がそうでないのならそうでないということをはっきり言っていただこうと思ってわざわざ質問したんじゃないですか。

 総理、ちょっとついでにお聞きしますが、ショー・ザ・フラッグという言葉が飛び交っておりますが、私は余り横文字は得意じゃありませんが、総理は得意なようですが、ショー・ザ・フラッグというのはどういう意味で理解されておりますか。

小泉内閣総理大臣 文字どおり解釈すれば、ショーは見せろでしょう、フラッグは旗でしょう、旗を見せてくださいということじゃないですか。

菅(直)委員 それはアーミテージ氏が日本の柳井大使に言われたそうですが、その意味するところは何を見せろというんですか。旗というのは例えば何の旗ですか。

小泉内閣総理大臣 それは、私はショー・ザ・フラッグについてどういう意味かということは一言も言っていませんけれども、いろいろ報道とかいろいろな人が言っているのは耳にしております。また、新聞等で読んでおります。いろいろな人の解釈はさまざまでありますけれども、日本も協力してくれという意味に私はとらえております。

菅(直)委員 お手元に、私も自分の能力では足らないものですから、二つの英和辞典を引いてみました。研究社の英和辞典では、ショー・ザ・フラッグという熟語に対して「外国の港を公式に訪問する。」というのに加えて「旗幟を鮮明にする。」つまり、態度を鮮明にするということが入っております。また、旺文社の方には、「旗振り役を務める。扇動する。」というのに加えて「支持していることを示す。」こう書いてあります。

 つまり、私は、先ほどの、まさにブッシュ大統領に会われたときに、ブッシュ大統領は日本に具体的にあれをしてくれ、これをしてくれと言われなかった。ただ一つはっきり言われましたよね。これは総理も言われたと思いますが、アメリカ側に立つのか、テロリスト側に立つのか、それをはっきりしろと。これはテレビで私もその演説を聞きました。まさに、旗幟を鮮明にしろ、旗色を鮮明にしろ、そういうことであったと思います。

 そういう意味では、ショー・ザ・フラッグというのは、日本にきちっと、テロリズムに対抗するという立場でアメリカや他の国々と協力する、そういう立場を鮮明にしろという意味なのではないでしょうか。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 私も、ショー・ザ・フラッグというのは日本に協力してくれというような意味に解釈しております。

 そこで、私はもう早くから、今回のテロ行為に対するアメリカの被害状況あるいは無差別殺人というような強い憤りを共有しておりますから、断固として、毅然としてテロ根絶にあらゆる努力を傾注しようとしているアメリカを強く支持し、支援態勢をするということをはっきりと表明しており、ブッシュ大統領にじかに会ってそのような趣旨をはっきりと伝えております。

菅(直)委員 そこで、ちょっと外務大臣に嫌な質問をしなければなりません。

 今回の事件に関連して何よりも重要なのは情報だ、このことが特に最近の情勢の中でパウエル長官などからも何度も繰り返されております。まさにそのとおりだと思います。逆に言えば、テロリスト側にとっても、情報というものは、ある意味では効果的なテロを行えるか失敗するかの大変重要な問題です。

 たしか、私はテレビで外務大臣が答えられているのも見ましたが、あの貿易センタービルに突入のあった数時間後、四時間後とか五時間後とか言われていますが、アメリカの国務省が本来の場所から避難をしている、その情報を外務大臣が記者団に漏らされたと。それを問われたときに、私が見たテレビでは、田中外務大臣は、事務方から口どめがなかったからということを言われたのを私はテレビで見ました。

 事務方から口どめがなかったからということは、その情報が極めて機密に属することなのか、それともそうではないことなのか、みずから判断できないということをみずから表明されたように思います。私は、これから日米間で、あるいは他国と、テロの撲滅のための共同行動をとろうかというときの日本の外務省の責任者がそういうことで、外国から信用されないだけではなくて、その国に住む我々も、とてもではないけれども不安である。どう思われますか。

田中国務大臣 あの九月十一日の夜、ワールド・トレード・センターへのアタックがございまして、その後すぐにオペレーションセンターが官邸と外務省で立ち上げられました。その後、いろいろな情報ももたらされておりましたけれども、朝、午前中、夜中の二時か二時半ごろであったと思いますけれども、現地の緊迫した状態が伝わってまいりまして、そして、外務省のオペレーションセンターの外のぶら下がりの記者会見ではございましたけれども、情勢が非常に不透明な段階であって、あのような発言をしたことは不用意であったと思います。

 ただ、結果として、アメリカからは何ら実害もなく抗議もございませんけれども、不用意であったということは認めます。

菅(直)委員 それは、実害があるということはどういうことを意味しているか御存じなんでしょうね。実害があるということは、場合によったら五機目、六機目がその新しい場所に突っ込んでいたかもしれないということでありまして、実害がなかったことはまさによかったですけれども、抗議がなかったからといって済む問題なのかどうか、これは御自身、考えられればいいと思います。

 総理はどうお考えですか。

小泉内閣総理大臣 情報収集と情報交換、そして情報管理というのは極めて重要なことでありまして、今、田中外務大臣も反省しておられるように、お互い、情報交換する場合においても秘密は守らなきゃならない。そして、そうした信頼関係を前提にいろいろ意見交換できるように、今回のことをよく大臣も反省されておりますので、今後そういうことはないと思っております。

菅(直)委員 女性に優しい総理ですから、それ以上あえて私からは申し上げませんが、そうした、まさに何もなかったからよかったというのはアメリカ国民にとっても日本国民にとってもでありまして、何かあったときでは遅いんですから、任命責任者である総理としても、その責任はともに負うということで考えていただきたい。

 もう一度、一つだけ確認をしておきたいと思います。

 それは、日本が、先ほど総理の言い方で言えば国際的な協力のためにと言われましたが、武力行使をしないことを前提に自衛隊を活用しよう、そういう法案を出されるようでありますが、それをベースにして、近い将来といいましょうか、既に一部はPKO法で動いているようですが、自衛隊が例えばアフガニスタン近辺に出かけていくというときに、それよりもできれば前に中国や韓国の首脳ときちんと話し合って説明されるのがいいと思いますが、そうされるおつもりはおありですか。

小泉内閣総理大臣 現行法で現在のテロ発生以後の事態についてできるだけのことはやっていきたいと思っております。また、中国、韓国の首脳の方々とも、状況が許せば、できるだけ早い機会にじかにお目にかかって意見交換をしたいと思っております。

菅(直)委員 それに直接は関係しないんですが、ただ、今回の中国、韓国との総理のディスコミュニケーションといいましょうか、コミュニケーションがしにくくなった大きな原因が靖国参拝にあることは周知の事実です。

 来年の靖国参拝をどうされるのですか。また、来年までに、いろいろ議論があります、我が党も提案しております、靖国神社にかわるそうした公的な、国賓の皆さんにもお参りしていただけるような施設を整備すべきだという議論がありますが、その点はいかがですか。その二つの点をお聞かせください。

小泉内閣総理大臣 来年のことについては、来年状況を見て考えたいと思っております。

 また、今、平和の祈りあるいは戦没者に対する慰霊、そういう施設に対しましては、靖国にかわるような施設は考えておりません、靖国は靖国神社として存在しているわけですから。日本国として、何か新しい施設として、平和の祈りあるいは戦没者に対する慰霊の施設として多くの国民がわだかまりなくお参りできるような施設はどういうものがいいのか、そしてどういう形で、これをもしつくる必要があるならいろいろな意見も聞かなきゃなりませんので、各般の方々の声を聞きながら今後検討すべきものではないかなと今検討している最中でございます。

菅(直)委員 それは来年の八月十五日までに間に合わせるという方向でやられるつもりですか。

福田国務大臣 その件につきましては、今総理からも答弁されましたけれども、やはりこれは大変大事な議論だと思いますので、懇談会をつくっていろいろ意見を言っていただこう、このように考えております。その結果、来年八月十五日どうのというような、期限をつけてということではございません。

菅(直)委員 きょうは日中問題が中心じゃありませんので余り深入りはしませんが、たしか来年は国交回復三十周年。今の中国政府にとっては、その前の中華民国時代は別として、今の中国政府にとっては、国交回復イコール戦争状態が終わったという認識を持っておられます。戦争状態が終わるに当たって、どういう認識で一致したか。当時の一部の軍国主義者の人たちによって日本国民も、そして中国国民も大変な被害を受けた。そういう認識の中で、その一部の軍国主義者の人たちの責任である、一般国民の、大衆の責任ではないという位置づけの中で国交回復がされたと私は理解をいたしております。

 そういった意味では、ただ来年どうしますかとかいうことで申し上げて、ただ単にそう言っているわけではありません。この問題をはっきりしないであいまいにしたまま日中関係、日韓関係の改善を図ろうと思っても、私は、多分大変難しいんだろう。ですから、こういったものをあいまいにしたまま、できれば説明をしたいと言っても、そのこと自体が障害になっている。しかも、その障害は総理みずからが自分でつくり出している。このことを認識されて、私は、きちんとした姿勢を総理みずから示されるべきだ、こう思います。もし御意見あったら聞かせてください。

小泉内閣総理大臣 私は、常にきちんとした立場を説明しているつもりであります。靖国神社に参拝したことも、二度と戦争を起こしてはならない、心ならずも戦場に行って命を落とした方々に対して心からの哀悼と感謝の念、敬意の念をささげたいという気持ちで靖国神社に参拝した。決して戦争を美化したり戦争を正当化したりするものではないということを、再三再四みずからの立場をはっきりと表明しているつもりであります。今後もその立場に変わりはございません。

菅(直)委員 得意の小泉節が出ましたけれども、小泉さんの言葉ははっきりしているけれども、来年までにどうするかもはっきりしていませんし、また、小泉さんのそういう主張そのものが中国にも韓国にも受け入れられていないということを踏まえて、それではっきりしたことになるのか。私は、とてもそうではない、言葉だけはっきりしているけれども、それで日中関係、日韓関係が改善されるとは思えませんので、このことは指摘をするにとどめます。

 そこで、少し次に話を移します。

 自衛隊の活用の中で、難民支援ということが大変大きく浮かび上がっております。実は私も、この質問を前にして、日本のNGOの中で、アフガニスタンやパキスタン、あるいはトルコとかユーゴとかいろいろな国々に出かけて活動しておられるメンバーの皆さんから、何人からか話を伺いました。先ほど外務大臣がジャパン・プラットフォームということも言われておりましたが、このプラットフォームに参加されているグループの幾つかの方からお聞きをいたしました。そこで、率直に、そういう皆さんに、どんなことをされているんですか、そして、自衛隊がもし出るとしたらどういうことを期待されますかと、いろいろ聞いてみました。

 多少、簡単に申し上げると、今度C130が飛ぶようでありますが、例えばあるグループは、テントやいろいろな支援をしたい、既にかつてアフガンにいたけれども、またパキスタンに近く行く。どういう形でテントやいろいろな食糧支援をするのか聞きましたら、大体コーディネートをしているのはUNHCRのようですが、自前の、まさにプラットフォームからの資金援助やそういうUNHCRなどからの資金援助やみずからの募金で集めたお金で、こういうことをやりたいということを言って、あるところの仕事を引き受ける。

 例えば、物資は大部分現地調達だ。食べ物でいえばパキスタンで買い上げる。テントでいえば、パキスタンとかインドは大変テントの生産国だそうであります、そういうところから買い入れる。自動車、輸送はどうするんだと言ったら、いや、あるグループは、輸送も、パキスタンに日野の自動車工場があるので、そこで合わせて四十台ぐらいの車を買う予定だ。では運転はどうするんだ、それは現地の人たちを雇用してそういう人たちにやってもらうんだ。そういう話をされておりました。

 また、例えば食料を分配するに当たっても、ここにマニュアルを一ついただきましたけれども、「食糧はただ配ればよいというものではなく、配給する際には細心の注意が必要である。まず、配布する食糧は、量・内容など適切で一定基準に沿ったものでなくてはならない。難民キャンプ内で皆が均一に食料を受け取れるように、一定の組織による調整が不可欠である。」つまりは、不公平な配り方をするだけで大変混乱が生じる。そういったことを含めて、私なども想定していたのとはかなり違うノウハウの集積がなくてはなかなか大変だということがわかりました。

 空輸なんかはどうするんですかと言いましたら、あるグループは、例えばウクライナの業者はアントノフとかイリューシンという、百七十トンぐらい積めるような貨物輸送機、大型輸送機を持っていて、例えばコペンハーゲンにあるいろいろな集積所から持ってくるとか、日本からC130で三泊四日で、持っていってまた日本まで戻ってくるのかもしれませんが、そういうものとはかなり違っておりました。

 また、医療従事などについても、例えば、その地域その地域でマラリアとかいろいろな病気が、日本では余りない病気があって、そういうものにきちんと対応できるのか、こういうこともありました。

 そこで、まず中谷防衛庁長官にお聞きしたいと思いますが、あなたは制服として自衛隊で勤務をされたこともあるわけですけれども、自衛隊が例えばパキスタンに出ていって、こういった難民のキャンプの中でどういう活動ができるとお思いなのか、どういうことで役に立つとお思いなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 現在たくさんの難民がパキスタンに流入しておりまして、今後どのような所要が来てくるのか、今後の状況によるわけでありますけれども、自衛隊の持つ能力と特性を生かした貢献が可能ではないかと思っております。

 これまで自衛隊による海外における難民支援といいますと、二回ございます。

 一回目は、平成六年の九月から十二月までのルワンダ難民、いわゆるザイールのゴマに派遣をしたときに、このときは自社さ政権で、社民の岩垂寿喜男先生が団長で、さきがけの高見議員、また民主党の五島議員、私も事前に調査団で行ってまいりましたけれども、特に医療と給水支援、それから防疫という消毒ですね、それから空輸の業務を実施いたしました。ゴマに病院を建てまして、非常に高度な手術もして、非常に現地のキャンプのNGOの人と役割分担をして、非常に有効に行われたということで、現地からも評価をいただいていると思います。

 もう一点は、平成十一年の十一月から平成十二年の二月まで、インドネシア共和国において東ティモールの難民のための輸送業務を実施いたしました。このときもUNHCRの物資を運ぶということで、西ティモールから東ティモールに運びましたけれども、これも非常に効果のある業務であったというふうに思っております。

 いずれにしましても、派遣をした場合に、現地のNGOの方々、そしてUNHCRの方々を中心に難民の支援に当たるべきだというふうに思っておりまして、単なる自衛隊が単独で活動するよりも、NGOとか国際機関と連動しながら難民救援に当たるべきではないか、その点は自衛隊の特性を生かせる業務が多いのではないかというふうに思っております。

菅(直)委員 長官は二つの例を挙げられました。それはそれなりに効果があったのだと思います。

 ただ、現場を知っている人の評価はちょっと違うのですね。それは、来なかったよりは効果があったかもしれません。しかし、ルワンダではたしか五十数億円の費用をかけられていますが、確かに医療とか給水とかですから費用はかかるのかもしれませんが、NGOがやっている仕事量でいえば、費用は十分の一以下で十分できるというのが、私が知るそういう方の評価でありました。多分、自衛隊というのは非常にコストがかかります。私もかつてPKOの部隊を見ました、カンボジアも見ましたし、モザンビークも見ましたが。ですから、費用がかかる、かからないだけでもちろん判断するのではないと思うのです。

 しかし、少なくとも難民支援という効果でいえば、本当に軍隊が行かなければできないようなことは何なんでしょうかということをそういう人たちに聞きましたら、それは本当に危険なところでしょうと。かつての例えばボスニアのような戦闘状態が半ば続いているようなところで、なかなかNGOは活動できない。しかし、そうでないところであればNGOの活動の方が費用対効果は断然高いのではないでしょうかというお話でした。

 それからもう一つは、制服の自衛隊員が行くことの、あるいは日本に限りません、軍隊が行くことのプラスとマイナスです。その国が、もし例えば今回の場合、アメリカのNGOが入れば相当な反発を食らうでしょう。それで、軍隊と一緒に行動することがいい場合と、逆に悪い場合があると言っていました。つまりは、本当に守ってもらわなきゃいけないようなケースというのは逆に言えばまれで、あるいはそういうところには行かなくて、逆に言えば、自分たちが敵対視していないんだ、自分たちは食糧援助や医療援助をするために来たんだ、丸腰で来たんだということの方が安全を守ることであって、ではどういうことで安全を守っているのですかと言ったら、まあ襲われる心配はほとんどないんだけれども、泥棒のような形で襲われることがある、お金があるとか衣料品があるとかですね。そういう意味では、例えば現地のガードマンとかあるいは門番とか、武装している、していない人を含めて、そういう人を雇うケースはありますと言っておりました。

 ですから、軍との共同行動というのは、プラスの場合もたまにはあるけれども、一般的に言えば、余り軍と一緒に行動すると、その軍を出した国が評判が悪いと、逆に一番弱いNGOが、あの軍のお友達のNGOということで攻撃対象になることもあり得るので、軍と一緒の行動をとるのはレアケースです、そういう話を聞きました。もう一度中谷長官に聞きたいんですが。

 ですから、私は、今回の問題は、何とか自衛隊を出したい、何とか日本が、まさにショー・ザ・フラッグじゃありませんが、そのフラッグを多分日の丸と理解して、日の丸がついた、政府が命令のもとに動かせる部隊をそういうところに送りたいというのが先にあって、その送りたいという先の中で本当に効果のある支援ができるのか。これで、もしアメリカの軍事行動がある段階で終わったら、自衛隊の難民支援をもしやっていても、そのまま残って難民支援をするのか。多分一緒になって引き揚げるんでしょう。

 しかし、NGOの活動は、そうなったからといってすぐには終わらない、まだまだ難民の帰還がちゃんとできるまでは続いていくわけでありまして、そんな、何か日本の存在を示すための行動として難民支援ということを言われるのは、わからないじゃありませんけれども、本当の意味で難民支援の効果ある活動になるのかということを考えますと、どうなのかなと疑問に思いますが、もう一度、中谷長官、どう思われますか。

中谷国務大臣 確かに、軍とNGOの関係、プラス、マイナスあるかもしれません。

 しかし、問題は、難民を支援することに対して日本が国際社会から評価を受け、尊敬をされるかどうかでありまして、それはNGOであろうが自衛隊であろうが、やはり日本政府の姿勢というものが問われているというふうに思っております。そして、難民を助けるという非常に人道的な活動において、やはり国家の持つ組織や機能を少しでもプラスに使っていくということによって国際社会から尊敬を受け、評価を受けるということはプラスであります。

 私、実際、NGOの難民を助ける会の方からもお話を聞きました。NGOの方はそれぞれ独立してやっておられますけれども、やはりいざとなったら物品が必要なときもありますし、安全が必要なときもあります。たくさんの国々の軍が難民キャンプの周辺にあって日本だけがない、何かあったらやはり自分たちの軍の存在が非常に心の支えになって、それで活動の基盤ができているということも聞いておりまして、やはりそういったNGOの方々と力を合わせてやっていく、そのために派遣するというのも大きな意義があるのではないかなというふうに思っております。

菅(直)委員 余りこれ以上この問題ばかりをやるわけにはいきませんが、中谷さんはよくおわかりだと思いますが、やはり軍というのは戦うためにつくられているんですね、普通は。それに、特に日本の自衛隊は海外での作戦行動を余り前提としてつくられていないはずです。

 ですから、本当にそういうところに出かけていって、例えば現地の、それが難民であるかUNHCRの人であるか、あるいはパキスタン政府の人であるか地元の商人であるかは別として、話をして、交渉して人を雇って何とかしてというようなことのトレーニングはほとんどされていないんだと思うんですね。ですから、もしやられるのであれば、相当トレーニングをしっかりされないと余り機能しない。

 あるいは最悪の場合は、今、軍隊がいたから安心だということを言われましたが、私も聞いてみました。そうしたら、確かに、しっかりした軍隊と一緒に行動するのは安心だけれども、変な軍隊と一緒に行動すると自分たちがいつの間にか最前線に立たされているようなケースもある、そういうことを言っていました。つまり、現地のことがわかっていないと、道路のことから何から情報がわかっていない軍隊だと、そういうことに対して……(発言する者あり)静かにしなさいよ。ちょっと委員長。

野呂田委員長 静粛に聞いてください。静粛に。

菅(直)委員 ちょっと静かにさせてください。

 私が申し上げているのは、いろいろな国々で活動した人の例を言っているので、自衛隊が出たことはほとんどありませんから、自衛隊のことを言っているのじゃありません。

 そういう意味で、これからいろいろな委員会で審議されるときに、私は、ぜひそういう現場を知った人たちの話も十分聞いてもらいたい。これは私自身を含めて、やはり机の上で考えていたのとはかなり違うんだなと思いました。

 そこでもう一つ、せっかくですから申し上げておきたいと思います。

 先ほど田中大臣が、ジャパン・プラットフォームの方に支援をしている、あるいはパキスタンにも支援をして、そのうちの十七億が人道支援だということを言われておりました。私は大変結構なことだと思いますが、現場の人たちの話を聞きますと、もっとNGO経由でいろいろな資金を流してもらえれば、それがまさに日本のNGOの活動として現地の人たちにも理解されるんだと。それが、大部分はUNHCRに直接資金を提供したり、相手政府といいましょうか周辺政府に直接資金をかなりの巨額提供するけれども、プラットフォームには、今回、五億二千万でしたか、その程度の金がODA資金から出されているようですが、もう少し大きな費用をやってもらえればもっと活動ができると。

 しかも、それは、まさに自衛隊ではないかもしれないけれども、例えば現地で調達した麦の袋に日の丸をつけることも、日本のジャパン・プラットフォーム提供と書くこともできるわけですから、そういうことは大いにやりたいというように言われていましたが、そういう支援にもうちょっと力を入れていただけないでしょうか。

田中国務大臣 さすが菅委員、非常にこのことには詳しくていらっしゃって、感動しながら伺っておりました。

 確かにおっしゃるとおり、先ほどの、午前中の質問にもお答えいたしましたけれども、関係国の政府でありますとか国際機関とか、あるいはNGO、そうした、それぞれが主体的に連携して行うということがもちろんございますけれども、先ほど、午前中申しましたように、十七億円というものは対パキスタン難民支援というものに、各主体に適切に配分もしておりますが、それだけではなくて、今おっしゃった五億八千万円というものをジャパン・プラットフォームに拠出しておりますが、やはり私たちの税金でございますから、それらが本当に人道上も、そしてあらゆる意味でもって効率的に使われるようなきめの細やかな配分の仕方、使われ方ができるように、なお一層気をつけてまいりたいと思います。

菅(直)委員 この問題は、あす正式に新しい法案が閣議決定をされるようでありますし、国会での議論もこれから本格的になりますので、きょうのこの場は、この問題についてはこの程度にさせていただきますが、私は、必ずしも、アメリカを含むいろいろな国々と協力することが、もちろん悪いと言っているのではありません。ただ、気をつけないと、ショー・ザ・フラッグという言葉に象徴されるように、何か、見せることが自己目的化して、本当にテロを撲滅するのに効果的なことよりも、何かやっているんだ、やっているんだということを見せることがその中心になるのではないかという、率直なところ、そういう危惧を持ちます。

 そういう意味で私は、既にやっていることがたくさんあるわけですから、それはまさに横須賀であり、嘉手納であり、そういうことについてはきちんと世界の人たちに、日本はこういうことはやっているんだということを伝える。あるいは、難民支援ということであれば、短期の発想だけではなくて、その後の、どういう形になるかわかりませんが、多分、アフガニスタンの政情が安定するまでは相当の期間がかかると思われますので、そういう中でどういう対応をしていくのか。そこに、自衛隊というものが本当に関与するプラスのところがどこにあるのかという形で考えていかないと、表向きは、日本、よくやってくれたと言われながら、本音のところでは、何だ、また慌てふためいて何かやっている、そういうふうにしか見られないおそれがあるということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。

 次は、狂牛病のことについてお尋ねといいましょうか、申し上げてみたいと思います。

 まず、農水大臣、農水大臣の在任中であるか、その前であるかは別として、狂牛病というのは一九八七年ごろから特にイギリスで、発見はもっと前でしょうが、イギリスで大問題となって、今日までに四百八十万頭の牛がイギリスでは処分された、焼却された、このように聞いております。

 この、イギリスから我が国が肉骨粉を輸入していたというか、逆に言えばイギリスからは輸出していたというデータ、知らせがEUの調査報告で昨年の十一月ごろに農水省に伝わっていた、その事実は御存じですか。

武部国務大臣 昨年末、一九九〇年から一九九六年にかけて英国から合計三百三十三トンの肉骨粉が日本に輸出されていたとの情報をEUから得ておりました。

菅(直)委員 それに対してどういう対応をとったのかが問題なんです。私が聞いたところによりますと、EUがランキングする申請でそのことが指摘をされたときに、当初は、薬や化粧品のランキングにもわたるので、EUの輸出があるから、ランク一の、一番大丈夫だろうと思って行ってみたらランク三になりそうだ、また、化粧品や薬品が外れたので、そのランキングをする申請を取り下げた、このように聞いております。

 私は、取り下げたことがいい悪いは別にして、そのことが問題じゃありません。三百三十三トンの肉骨粉がイギリスから入ったという知らせがあった、日本のデータにはなかった、それで終わったんですか。

 つまり、そのデータがうそかもしれません、本当かもしれません。しかし、この問題が、先ほど申し上げたように、イギリスでは四百八十万頭の牛を焼却処分しなきゃいけないほどの、少なくとも農水省にとっては最大級の危機管理の問題、水際で防がなきゃいけない問題だ。その認識があったら、少なくとも、EUがそれなりの調査の中で三百三十三トンが日本に入っていた、日本のデータにない、では、どうなっているんだと政府にすぐ問いただして、イギリスに相談して、そして、どの業者からだれに送られたのかすぐ調査に入るべきだったと思いますが、昨年の十一月、十二月、何をされていたんですか。

武部国務大臣 委員御案内のとおり、英国は一九八六年から十八万頭余の発生があるわけです。EUも、一九九一年フランスで初めて発生して以来、二千二百頭余の発生があります。したがいまして、英国とかEUからの肉骨粉の輸出入については極めて神経を使って対処すべきだ、私はかように思います。

 就任以来、このことについても厳しく申し上げている所存でありますが、英国については、在京英国大使館を通じて再三にわたりまして回答を求めたけれども得られず、また在英日本大使館を通じて数回調査を依頼したが解明できずという回答でありますが、こうした役所の回答に対しましては、私もいささか愕然としている次第でありまして、九月下旬に英国に担当官を派遣させました。

 そして、英国政府と協議を行いまして、この調査結果については英国政府からの正式な回答はまだ届いておりませんが、派遣した担当官からは、英国統計の精査により、日本に対して輸出が許可されたとされる量は三百三十三トンではなく、合計百六十六トンであるということ、しかも、この輸出品の内容は肉骨粉ではなくてフェザーミールである可能性が高いこと、そういった報告を受けております。

 英国政府から正式の回答が届いておりませんので正式に発表するに至っておりませんが、今さまざまな対応を打って、BSE感染のおそれのある牛が屠畜場から食用にも飼料用にも出ていかない態勢をとりました。また、感染牛との同居牛についても全頭数調査しました、生存していたのは。

 しかし、ではなぜこの牛が感染したのか、やはり問題は肉骨粉であろう、輸入肉骨粉であろうという認識をしておりまして、これからこの経路を徹底的に究明しなきゃならぬという認識を持っております。

菅(直)委員 もう一つちょっとお聞きしますが、EUがレベルスリーにするといったときのその根拠に今の三百三十三トン以外にもう一つ指摘があったんじゃないですか。あったとすればそれは何ですか。

武部国務大臣 ちょっと今すぐ思い出せませんが、もし菅委員が御存じであれば教えていただければと思います。

菅(直)委員 私が農水省の担当者から聞きましたのは、二つ指摘があって、一つがそのイギリスからの購入、一つは、たしか国内の肉骨粉の扱いだと思いますが、輸入も含めてかもしれませんが、牛の飼料として肉骨粉を使うことの禁止が行政指導であった、法律的な禁止事項になっていなかった、こういう指摘もあったと聞いておりますが、違いますか。

武部国務大臣 今、遠藤副大臣が耳元で行政指導ということを伝えてくれましたので、そのとおりであります。

菅(直)委員 つまり、今になって考えれば、EUの指摘は、それが直接の原因になっているかどうかは別として、それぞれ的確な指摘をしているわけですよね。今、その危ないですよと言われたことに対して、いや、そんなことはありませんと言ったけれども結果的に出て、とっているやり方は、今度は行政指導ではなくてきちんとやろうということになりました。

 ちょっと言葉が私わからなかったので聞いておきますが、先ほど、百六十六トンは肉骨粉ではなくてレザーミールと言われましたが、それはどういうものなんでしょうか。

 それから、あわせて聞いておきますが、肉骨粉ではなくて骨粉そのものが相当量そうした国からも輸入されていて、それが飼料に使われているんじゃないかということも言われていますが、その二つについて説明いただきたいと思います。

武部国務大臣 日本の統計では、骨粉は入っていないということであります。

 それから、フェザーミールというのは羽毛粉だそうであります。

菅(直)委員 ちょっと私も不勉強なんですが、肉骨粉と羽毛とどういう関係になるのですか。どういうことですか。フェザーミールというのは羽毛ですか。

武部国務大臣 鶏の羽だそうです。もし、正確を期する意味では、副大臣に答弁させてよろしければ答弁させます。

遠藤(武)副大臣 フェザーミールというのは、羽毛、羽を原料としたたんぱく質でございまして、鶏の羽です。鳥等の羽からたんぱく質を取り出して、それを飼料等にも使えることは使えます。

菅(直)委員 農水大臣、いろいろ御苦労されていることはわかりますが、何か安全だということを早く言いたいがために、結局、ちゃんとした原因とかそういうルートの押さえをしっかりしないうちに、結果だけ安全だと言いたいものですから、後になっていろいろな問題が出てきて、ますますその不信を買っている。

 今の、私も不勉強で、そのフェザーミールというものが、なぜ鶏からのものが肉骨粉としてイギリス政府が扱ったのか、それはイギリス政府の話ですからよくわかりませんが。あるいは、骨粉については日本にデータがないと言っておりますが、日本にデータがないのか、向こうにデータがないのか。それから、今私が農水省にお問い合わせをしているのは、香港からもかなり入っているけれども、香港というのが、香港自身でつくられた肉骨粉なのか、例えばイギリスから中継輸出で来たのか。そういった可能性を全部きちんと洗い出す必要があるんじゃないか。

 つまりは、肉骨粉からしか事実上この病気は感染しないと言いながら、あの牛が狂牛病になったということはどこかで食べているはずなんですから、もしそのことが一つの科学的な根拠だとすれば。ですから、それは徹底的に調べ上げていく必要があると思うんです。

 そこでもう一点、厚生大臣の方に聞きたいと思います。

 今言われているのは、肉については、三十カ月齢以上のものについてはすべての牛をいわゆる屠殺した後検査するということを聞いておりますが、それ以下は大丈夫なんですか、三十カ月以下は。

坂口国務大臣 EU等のさまざまな研究の結果を拝見いたしますと、一応三十カ月以上のものをチェックすれば、それまでのものはまず大丈夫ということでございます。ただし、二十五カ月以上で何らかの症状のありますものは、今までからも全部チェックをしておりましたので、それはやりたいというふうに思っています。

 きょう午前中にも、もうこの際に全部やってはどうかという御意見もあったわけでございますが、一応、三十カ月、そこを徹底的にチェックのできる体制をつくり上げて、なおかつその後で、まだそれでも不安が残るということがあれば、それ以下のことについても着手したいというふうに思っておりますが、現在のところは、現在の学問レベルで申しますと三十カ月以上でいい、こういうことでございます。

菅(直)委員 我が党にもこの対策本部をつくりまして、羽田特別代表に本部長になっていただいて、昨日も千葉の現地を視察いただいております。そこでも、我が党でも、三十カ月齢でいいのかなと。少なくとも二十四カ月齢には下げるべきではないか、場合によればもっと下げることも含めて考えるべきではないか、こういうことを我々も考えておりまして、そのことを一つ申し上げておきます。

 それからもう一つ。牛からつくられる化粧品とか薬品とか健康食品とか、あるいはいろいろな何かに使うような添加剤的なもの、これらについて、厚生大臣が何か、ある報道によれば何かと何かを混同していろいろ、多少の混乱があったとか聞きますが、大丈夫という根拠を、もし大丈夫と言われるならですよ、まだここまで決まっていないというなら、まだここが決まっていない、大丈夫だと言われるなら、こういうふうにしたから大丈夫ということを、わかりやすく国民の皆さんに説明してください。

坂口国務大臣 基礎的なことでございますけれども、いわゆる狂牛病、BSEと言われております病気、これは牛を中心でございますが、その前にもう一つ、羊とかヤギに起こりますスクレイピーという病気がございます。この両方ともこれはよく似た病気でございまして、そして、このスクレイピーから、それが牛にうつって狂牛病になったのではないかというふうに言われております。これは、両方ともプリオンが異常を来すということで共通されているわけでございます。

 それで、今食品の方を見ました場合に、これは脳、それから脊髄、それから目、回盲部、この辺のところを動物実験等でマウス等に接種をいたしまして、そして感染するかどうかを見ているわけでございますが、そういたしますと、今挙げました四つの部位からはいわゆる狂牛病が感染するということが認められております。それで、牛の場合には、この部分につきましては食品としては一切もうこれは使わないということになっております。食品はこの四つになっております。

 ところが、このスクレイピーという方、ヤギ、羊の方に感染いたします方を検討いたしますと、ここはもう少し広い範囲に感染することが、感染と申しますか伝播と申しますか、することが今認められているわけでございまして、薬品をつくります場合には、どうしましても薬品の場合には、これは濃縮いたしましたり、あるいはまた培養いたしましたり、そうしたことをするものですから、このスクレイピーの危険部位を中心にして、そこも実は禁止にするというのがEUの今とっております方法でございます。

 そこで、日本の方も、薬の部位につきましては、EUが言っております方の脳、脊髄、目、回盲部以外に、リンパ球でありますとか腸でありますとか、脾臓でありますとか扁桃腺の扁桃でありますとか、硬膜でありますとか松果体でありますとか胎盤でありますとかというようなものも実は含まれているわけでございまして、こうしたものも薬には使わないということにしているわけでございます。

 私が多少混乱したと申しますか、言い過ぎましたのは、食品につきましても、今言われております脳、脊髄、目、回盲部だけではなくて、もう少し広く使わないように自粛をしてもらってはどうかということを言ったわけでございますが、しかし、そこまで食品のときにはする必要はないということだったものでございますから、少し範囲を広く言い過ぎましたということを申し上げたわけでございます。

 ただ、食品の中にも非常に濃縮をするようなものもありますから、濃縮をするようなものはやはり少し気をつけた方がいいのではないか、私はそう思っている次第でございます。

菅(直)委員 わかったような気もしますが、結局のところ、どの部分をもう少し強くしたらいいのか、これはかなり細かい問題にもなりますので、きちっと、だれが見てもわかるように、文書か何かで記者発表するなりしていただきたい。

 もう二点ほどといいましょうか、あれしておきますが、国内の肉骨粉については流通を一時的にストップさせたと言われておりますが、これは、法律的な拘束力がある形でストップさせているのか、行政指導なのか。また、ストップさせたという意味は、今あるものを全部焼却処分にするという意味なのか、それとも単にためておくという意味なのか。あるいは、今次々にそうした食肉以外の骨などが出てくるものについて、いわゆるレンダリング処理をしたものを焼却するということなのか、それともためておくということなのか、それもしないということなのか、どういう形なんですか。

武部国務大臣 とにかく、私どもは人の健康に影響を来すようなことは絶対しないというようなことを第一に考えて、今厚生大臣のお話にもありましたように、屠畜場から食用にもえさ用にも出回らないという体制を確立したわけであります。

 しかし、今大きな問題は、いわゆる風評被害でございます。幾ら説明してもなかなかわかってもらえない、私がテレビに出れば出るほど理解が深まらない、そういう感じすらあるのではないか、こう思っているわけでありますが。

 そこで、輸入物も国内産物もすべて一度空にする、そういう考えに立たざるを得ない。ですから、輸入の一時停止、国産のものの製造、出荷の停止、今ある肉骨粉は全部焼却。

 しかし、年間百六十万トンもの家畜の個体が屠場から出てくるわけです。このままでは焼却炉の問題その他大変ですから、今考えているのは、レンダリング業界の皆さんに御協力をいただいて、一度レンダリングに回して、肉骨粉といいますか、そういう加工をして、そしてそれを焼却するというようなことをお願いしようと思っております。

 しかし、お願いするということでは、なかなかこれは容易なことでありませんで、今委員が、行政指導でやるのか、そういうようなお話がありましたが、私どもは、できることなら行政指導で徹底できればいい、このように思っておりますけれども、肉骨粉等を反すう動物以外の家畜等へ給与することは科学的には問題ありませんけれども、現下の情勢に迅速に対応するための緊急な措置として行う必要があったわけでありますけれども、法制度による措置とはせずに、行政指導で今実施しました。

 しかし、農家段階を含めて確実に規制する必要がある、私はこのように認識しておりますので、現在、そのための飼料安全法に基づく省令改正作業を事務方に命じております。今後、農業資材審議会の意見を聞いた上で結論を得ることになりますが、省令改正により、罰則を伴う法的規制が措置されることになることから、今般の一時停止の措置の徹底が図られるもの、こう考えておりまして、そういうことで進めていきたいというふうに今考えている次第でございます。

菅(直)委員 そういうことというのは、法的に決めるということですか、決めないということですか。行政指導でいくということですか、法的に決めるということですか。

武部国務大臣 今申し上げましたように、法的に規制するということを今検討させているということでございます。

菅(直)委員 私も、O157のケースのときに、あの病気を法定伝染病に指定をするという法律をつくったことがあります。隔離がなくてもいい伝染病に指定することによって報告義務が出ますので、それによって発生を抑えるという。

 ですから、行政指導と法律というのは、単に効果が強い、弱いだけではなくて、例えば、それが起きたときに強制的に捜査ができるとか、そういうこともあるわけですから、私は、本当に危ないところはきちっと、まさに行政指導で徹底できなかったわけですから、つまりは牛には食べさせないという行政指導が事実上底抜けだったわけですから、そういうことを考えれば、きちっとやられた方がいいんではないか。

 それから、あえて申し上げますが、そうしたEUの報告があったとき、多分、前大臣であり、あるいはそのころの事務次官、畜産局長、衛生課長、国際衛生対策室長、名前はここに出ておりますけれども、一体、当時の大臣まで上がっていたんですか。だれの判断で、そういう報告があったにもかかわらず対応しなかったのか。ある報道によれば、当時の局長がそういう報道をすることを押しとどめたという報道もありますけれども、一体だれがそういう一番の危機的な情報を危機として認識しないまま放置をしたのか、そのことについてどうですか。

武部国務大臣 ちょっとお尋ねしますが、EUのステータスの話ですか。(菅(直)委員「はい」と呼ぶ)これは、私が六月に聞いたのは、EUのステータスを受ける背景は、化粧品とか医薬品とかそういったものの輸出の関係でステータスを受ける必要があった、しかし、基本的にはEUの主張は、OIEの基準に照らして、サーベイランスの状況であるとかそれから発生状況でありますとか、極めてかけ離れた主張であった、そこで我が国は、国際基準に照らしたやり方をすべきだということを主張した、こう聞いております。

 同時に、今言いました医薬品、化粧品はその対象に入っていなかったということで、我が国としてそのステータスを求める必要性がなくなったということ。それからさらに、五月の末から六月だったと思いますが、OIEの総会でOIEの新しい基準が採択された。これも情報によれば、EUがOIEの基準に照らして新たにつくる、実際にEUは七月にOIEの基準に合わせたものにしているわけです。したがって、我が国は、新しい基準が適用されたときに申し込めばいい、そういう報告でしたので、私は、それはそれでいいのではないか、このように申し上げました。

菅(直)委員 ちょっと聞いていることが違うのですよ。

 つまりは、先ほど申し上げたようにランクスリーになる理由として三百三十三トンというものが言われて、最近、九月になってやっと担当者をイギリスに送られたようですが、本来なら、その時点で送って、その時点で事実関係を明らかにして、場合によっては、それでもし入っていたとすればそこで押さえるべきだった。それが水際というものだと思うのです。それが、現実に発生してから、今になって後追いで送っているわけです。

 ですから、私は、調査報告を取り下げた云々はそれはそれでまた別の問題がありますが、そうじゃなくて、つまり、そこで日本に汚染された肉骨粉が入ったかもしれないという指摘があったのに、それに対して何も国内的に対応しなかった、その責任はどうなっているんですかと。一体だれまで上がって、だれが知らなくて、どういう判断でやったのかということを申し上げているのです。

武部国務大臣 それは、生産局長まで報告があった、こういうふうに後で聞いておりますが、しかし、菅委員にあえて申し上げますけれども、先ほども言いましたように、英国では十八万頭、EU、英国以外のヨーロッパでは一九九一年以来二千二百頭以上に及んでおるのです。そして、今、私どもが今度とった措置は、十年後のことしの一月からなんですよ、すべての肉骨粉を全家畜に禁止するというのは。

 したがいまして、私どもは、確かにそういう日本に英国から肉骨粉が入っているということに対しての受けとめ方、これは先ほど言いましたように、認識が甘い、今度の対応も認識が甘いということは申し上げておりますが、しかし、当時の状況からして、生産局長がそのことに対して適切な判断をしなかったというような、そういうことまで私どもが責任を追及するまではないのではないか、かような認識をしております。

菅(直)委員 あえて、もう一度だけ申し上げますが、この狂牛病というのは、多分酪農の世界ばかりではなく、この数年間のヨーロッパの少なくとも大きなニュースの一つで、先ほど申し上げたように五百万頭近い牛を処分しなきゃいけなくなる、少なくとも数千億、場合によってはそれ以上の費用がそれにかかっている、それだけの大事件で、まさにそれを水際でいかにとめるかということが最大級の仕事であったはずなのに、そういうシグナルに対して応答しなかった。

 これが、そういうバックグラウンドがなければ、それはいろいろな病気がありますからそういうこともあるかもしれません。そういう意味で、私は大臣の判断とは違いますが、それは国民の皆さんが、まあそれは仕方ないだろう、まだ当時日本には一頭もいなかったんだから、逆に言うと、一頭もいないからこそやらなければいけなかったわけでありまして、私は、その判断は少し甘いのではないかと思います。

 また機会があれば同僚の議員からさせていただきますが、この程度にさせていただきますが、最後に一つだけ懸念を申し上げておきますと、羊やヤギから牛に感染する、牛から人間に感染する、しかし、牛から豚や鶏や魚には感染しない、それが科学的な事実だと皆さんよく言われるのですが、もしかしたらわかっていないだけかもしれません。

 ですから、私は、動物性のものをどのように考えるかというときに、何か一方のときだけ科学的というようなことを言われますが、今から何年か前までは、まさか人間にうつるなんてだれも思っていなかったわけですし、まさかヤギから牛にうつるとも思っていなかったわけですから、そういうことについてもう少し神経を払うべきではないか。遺伝子の問題などもいろいろありますけれども、もっとそういう目で見ていかないと、逆に人間がそういう、ある意味では自然界に復讐されるのではないか、このことをこの問題の中で最後に申し上げておきたいと思います。

 そこで、残された時間でもう一、二点お伺いをいたします。小泉総理の最も得意とする分野についてお伺いをいたしますが、まさに聖域なき構造改革であります。

 私は、小泉総理が、特に官から民、民間でできることは官の分野でやるべきでない、特殊法人などについて、基本的には廃止か民営化かどちらかだ、そういう方向については賛成であります。あるいは公共事業の見直しなどについても、総理も言われています。基本的な方向は賛成です。

 ただ一つわからないのは、なぜ、すぐにでもできることをすぐにやらないで、時間がかかることと一緒に議論されているのかもしれませんが、百六十二日たった今日も、やるべきことですぐでもできることがやれていないのか。

 私が口を開けば同じ言葉が出るかもしれませんが、民主党は、昨年の衆議院選挙で、四つの公共事業について中止を公約いたしました。諫早湾の干拓事業の中止と水門の開放です。あるいは吉野川の工事、これはとまっております。あるいは中海の問題、川辺川ダムの問題。

 こういった、特に諫早湾の問題などは、あのノリの色落ちなどもありまして、最近ではとうとう農水省の調査委員会までもが、水門をあけなければだめだ、ここまで言っている。しかし、今なお、小泉政権ができてから五カ月たった今なお、そのままである。いよいよ次のノリのシーズンに入りつつある。なぜ、すぐできることをやらないのですか、総理。

小泉内閣総理大臣 これは、専門家が今調査している段階である。私は、諫早湾の状況について専門家ではございません。どういう形でノリの問題に影響があるか、また干拓事業が必要かというのは現地の皆さんが一番よく知っている、また専門家の皆さんが一番よく知っているわけです。

 そういう中で今議論が進んでいる。時間を区切って結論を出すという方向、見直しの方向で検討しているはずです。それの結論を待ってからでいいんじゃないでしょうか。まだわけのわからないようなものが、何でもやめろと言っていいものかどうか。これはやはり独断とか偏見につながりかねないので、私がわからないところは専門家の、識者の意見を聞いて判断した方が適切ではないかなと思っているだけであります。

菅(直)委員 小泉総理がいかにこの問題がわかっていないかということがよくわかりました。どれだけの議論がこの間あって、どれだけのいろいろな答申なりが出ているかということを御存じないのでしょう。結局は、お役所が決めるまでは待っている。それでこの工程表が本当にできるのでしょうか。

 ちょっとこの工程表を見てみたいと思うのです。鳴り物入りでこの九月二十六日に工程表が発表されました。これは、この頭によりますと、六月の骨太方針をどのように具体化するか、そしてそのタイムテーブルを明らかにすると、なかなかめり張りのついたことが書いてあります。

 そこで、私は中を見てみました。例えば今申し上げたような問題が書いてあるのは、ページ数でいうと、ちょっとお待ちください。公共事業というところがありますけれども、この部分を見てみますと、三十三ページに「社会資本整備」というところがあります。この工程表をちょっとポイントだけ見てみますと、例えば九月末までに措置するところ、今の問題にかかわるところをちょっと読んでみますと、「農林水産公共事業の抜本的改革。」「限度工期の設定等、事業実施方式の抜本的な改革に着手する。」改革に着手するというのが措置ということになっているのですね、九月までの。

 それでは、その後どうなるか。十四年度の予算、いろいろありますが、大規模ダム云々については「重点的に見直し検討を実施する。」見直しを実施するというのが、これが工程表なんです。

 さらにその後を見ておりますと、十四年度中の措置、これも大規模ダムのところを見ますと、「引き続き、重点的に見直し検討を実施する。」見直しに検討があって、実施するがあるんですね。これがタイムテーブルなんですよ。これは何のタイムテーブルなんですか、一体。検討する、見直しを検討する、重点的に改革に着手する。結局、何にも決まっていないということじゃないですか。総理、どうですか。

小泉内閣総理大臣 後ほど国土交通大臣から答弁させますが、これは十四年度予算編成の問題なんですよ。これについて今歳出の徹底的な見直しを進めているのであって、これから具体策を考えるのは国土交通省。私が全部各省庁やるわけにいきませんから、方針を明示して、むだな部分がないか、必要でない部分がないか、そういうために各省の担当大臣がいるのですから、担当大臣の役割も重視しなきゃならない。私が全部やるわけにはいきませんから、大きな方針は打ち出しております、その方針に沿って今見直しを進めていただきたいと。

 国土交通大臣から詳しい説明はさせます。

菅(直)委員 総理、勘違いじゃないですか。それは先行プログラムのことを言われているんじゃないですか。先行プログラムじゃないですよ、私が言っているのは。改革工程表のことを言っているのですよ。

 十四年度だけじゃありませんよ。先ほどのもうちょっと続きを読みましょうか。さっきのは十四年度の予算まで言いましたけれども、十五年度以降の措置まであるのですよ。この大規模ダムのところをもう一回読んでみましょうか。これは十四年度と同じですね。「引き続き、重点的に見直し検討を実施する。」と書いてあるのですよ、十五年度以降も。言っておきますが、来年の予算じゃありませんよ。

 これにのっとって、総理は聖域なき構造改革をやると言われているんじゃないですか。骨太の方針を具体的な工程表にしますと言って、自信を持って言われたのが、十五年度以降までが、例えばこの問題でいえば、ダムの問題でいえば、重点的に見直しの検討を実施するというのが、これが日程表ですか。

小泉内閣総理大臣 よく見てくださいよ。今、十三年度ですよ。十四年度中に措置する案と……(菅(直)委員「十五年以降です」と呼ぶ)十四年度、十四年度中に分けているわけですよ。(菅(直)委員「その下に十五年度以降の措置も書いてあるじゃないですか」と呼ぶ)十四年度から十五年度に実施しますから。大規模事業というのは継続性がありますから。

 しかし、継続案でも、むだなものは凍結しなきゃならない場合もあるでしょう、中止しなきゃならない場合もあるでしょう。それも含めて、既に今年度予算はもう執行されているのです。今年度予算が執行された段階で小泉内閣というのは成立したのです。その中で、早くできること、今年度にできること、十四年度にできること、十五年度にできることがあります。それを整理したものであるということを御理解いただきたい。

菅(直)委員 ですから、整理して何ができるかが書いてあるのなら、こんなことまで言いません。この事業については十五年度でこうしますとか、これまでには結論を出しますとか言っているのなら言いません。十五年度以降の文章そのものが「引き続き、重点的に見直し検討を実施する。」と。見直し検討を実施するというのがタイムテーブルになるのですか。これは総理の責任ですよ、言っておきますが。扇大臣には後でゆっくり聞きますから、お待ちください。

 日程表で、もしかしたらこれは竹中さんですか、こういうものを国民に出して、やっているんだ、やっているんだと言うのは、見ようによったら国民をだましていることになるじゃないですか。検討を実施するというのが何が日程表なんですか。

竹中国務大臣 この工程表は、菅委員ごらんいただいたように、非常にたくさんのものが入っています。その中には、問題の性格によって、書き方はかなり多様にならざるを得ないというものがたくさん入っております。

 例えば、工程表、これは今お手元にあると思いますけれども、例えば十七ページでありますけれども、例えばITに関しては、ブラックファイバーの情報を公開する、これはもう既にやりましたということを書いているし、今国会のその措置についてはインターネットプロバイダー等の法案を提出する。例えば、インターネットの、これも電子化を可能にするための法案を提出する。こういうものも実はたくさん含まれているわけです。

 問題の性格によっては、さらに検討を要するものもありますし、しかし、かなり、法案を提出したもの、提出するもの、予算措置するもの、そういうものもたくさん含まれている。その点はぜひ詳細にごらんいただきたいと思います。

菅(直)委員 ですから、例えば司法制度改革なんかは、去年ですか、ことしの報告が出ていますから、かなり具体的に書いてありました。しかし、少なくとも大きな課題にこの間なってきている社会資本整備という大きな項目について、今具体的に申し上げたんです。決して細かい、重箱の隅みたいなことを言ったんじゃないんです。この社会資本整備というのは、まさに、三十兆の問題を含めて、公共事業の見直しというのがかなり大きな柱になっているはずだから、それで言ってみたんです。

 そこで、少し具体的なことを申し上げましょう。

 今、国土交通省の所管の特殊法人の、例の道路に関する四公団について、いろいろ議論がなされております。私は、この問題では、少なくとも、報道されている表現で言えば、小泉総理が言われる方向に基本的には賛成です。しかし、小泉総理が言われていることと、国土交通大臣が言われていることと、ましてその部下の皆さんが言っていることは全く違いますね。

 総理は御存じでしょうが、行革断行評議会が、本四架橋の公団を含む四公団を一たん合併して、同時に六つの会社に分割をして、そして、例えば非常に赤字の大きくなるであろう本四架橋は東名高速などと一緒の会社にして、それぞれ保有機構は別個に設けて、それぞれに収益を上げさせて、そして、そのメンバーの言をかりれば、三十年以内に全部償還します、ただし、現在の九千何百キロの工事はもう一度見直す、こういう考え方を述べられていますが、総理は、この考え方について御存じですよね。御存じだとすれば、その考え方についてどう思われていますか。

小泉内閣総理大臣 今、民営化ないしは廃止検討を指示して以来、いろいろな案が出てきています。今、菅議員が言われたような案も出てきております。そして、国土交通省からはまた別の案も出てきております。今後、自民党、与党からも案が出てくると思います。その中で最終的にどれがいいかということについて、私は、第三者機関を設けて決定したい。

 本来、全部一律にやるというのを、一番困難であろうと言われていた、しかも一番税金を投入しなきゃならないと言われていたものから先にやることによって改革を促進したいということで指示をしているわけでありまして、この問題については、確かに、私の意見に反対する議員も役所もたくさんあることは承知しております。しかし、基本方針に沿って、最終的にはどの民営化案がいいかということは、より多くの識者、専門家の意見を聞きながら判断をしたいと思っております。

菅(直)委員 扇大臣、国土交通省の皆さんに聞きますと、九千三百四十二という数字がよく出てきますよね。これは、整備計画で決定されているんだ、国幹審で決めたんだから金科玉条だ、変えられないんだと。どういうふうな認識ですか。そういう思いですか。それとも、いやいや、これは大臣の権限で変えることができるんだ、閣議で変えることができるんだと。どういうお考えですか。

扇国務大臣 菅代表が昨年の公約をさっきおっしゃいました。我々も、私、参議院議員でございますから、ことしの参議院で、与党三党で連立を組んで選挙後もやるという話し合いをし、なおかつそのときに、総理がおっしゃった聖域なき構造改革を断行するということで選挙を戦いました。選挙後も、総理がおっしゃった改革なくして成長なし、そのことに関して我々は、大変つらい、また今おっしゃったような国土交通省の関連の公団、少なくとも、今まで役に立ってきましたけれども、それぞれの公団が果たしてきた役割の重さというものを考えれば、国民の多くの皆様がそれを利用し、なおかつ生活の向上、今日の社会整備というものの社会的な向上を図ってくださったことを考えれば、今の、菅さんがおっしゃった九三四二という数字も、確かに平成十一年の十二月に国幹審で決めたことではありますけれども、時代が違った。

 しかも今、今日の経済状況の中で、我々は新しい世紀を迎えて、二十一世紀、国土の基本的なあり方はどうあるべきか、そういう立場に立ってすべてを見直す時期である。しかも、総理がおっしゃった、今どこのむだを省いてどこに使うかというその選択に我々は挑戦する。そのことで決断したことでございますので、私たちは、いささかも総理との見解の相違もありませんし、抵抗勢力とおっしゃるそういう方も皆さん方知恵を出して、自民党も案を出してくださった、我々も案を出した。そういうところでお互いの案を、私は、国民にメニューをいろいろ出して、どのメニューが一番国のためになるか、国民のためになるかを切磋琢磨して選ぶためで、民主党もぜひいい案を出していただきたいと思っています。

菅(直)委員 そうすると、そこまで言われるのなら、先ほど申し上げた四公団を合同した後、六つに分けた民営化というのは大臣は賛成ですか。

扇国務大臣 これは、行政改革協議会で出された案で、これは国の案でもございませんし、私が今申しましたメニューの一つだと考えております。

 私どもは私どもで、私は四公団を統合するのではなくて三公団を統合する。なぜ三公団かといいますと、本四架橋のみは、本四公団はもう工事が既に終わっています。ただ、抱えている借金をどう償還するかという問題だけで、あとの三公団はまだ工事中でございます。また、工事をしなければならないものも、見直すものは別として、残っていますので、工事が終わったものと、まだ工事を継続中、将来も工事をするというものとに分けたということでございまして、一つのメニュー、そして、私たちもまた違ったメニュー、そういう分け方をしております。

菅(直)委員 隣から久間さんが、それでいいんだ、それでいいんだと言われていますから、まさにお役人と自民党の道路族の言うとおりのことを大臣が言われておるわけです。

 つまり、本四架橋を……(発言する者あり)ちょっと待ってください。本四架橋を特殊会社化するということはどういうことを意味しているか。これはだれが見たってわかるんですよ。本四架橋には有償の負債が三兆八千億あるんです。年間の収益が、交通費でたしか九百億弱ですよ。そして、必要経費を含めればそれがさらに少ない。そうすると、この三兆八千億かかったものをリップルウッドが三兆八千億で買ってくれるんですか、これを。

 結局は、債務を圧縮すると書いてある。どうやって圧縮するか、JRと同じじゃないですか。ちょっと待ってください。つまり、民営化、民営化といったって、それは総理が民営化と言ったから、最後に民営化という言葉をくっつけるために、簡単に言えば、大赤字の本四架橋は、もうこれ以上幾ら何でも四本目、五本目の橋をつくれとは言えないから、どうせ工事もないから、公共事業のメリットもないから、その部分だけ切り離して、赤字だけは国民の税金で穴埋めさせて、他の三公団はまだ九千億の工事があるから、あるからと言って終わるのを待っていたら二十年はかかるでしょうが、その部分だけは今までどおりのやり方でやって相変わらず天下り先を残そうという、それは扇大臣が、本人がどう思われているかは別として、私などが見たら、そういうふうに書いてありますね、これは。全部見えている。

 だから、自民党が、この国土交通省案ならまあまあいいけれども、さっき言った行革何とか会議の案ではとんでもない。ですから、大臣は総理の言われることを、本当にこの部分がもし同感だと言われるんだったら、余り役所の案文をいい声で朗読されるのはやめた方がいいんじゃないですか。

扇国務大臣 菅さん、私は役所の文章を朗読しているのではありません。原稿なしでしゃべっています。

 そして、さっきおっしゃいました、官と自民党とが結託していると、いかにもそういう言い方は……(発言する者あり)役所と。それは絶対ありませんで、私は、自民党から案をいただいてそれを役所の案にしたわけでもございませんし、この三公団統合は、私が役所に指示して各公団の総裁全部お呼びいただいて、しかも本四の公団の総裁もいらしていただいて、総裁の皆さんの御意見を聞いて、それぞれ皆さんの、自分のところの、自分の首を絞めるんですから、それは死に物狂いで考えていただいた案で、自民党から示唆されたこともございませんし、自民党と相談したこともございません。

 そして、今おっしゃいましたように、我々は、真に国民のためになるためにはどうしたらいいか。正直言って、私は、国会議員が決めたことで間違っていることは国会議員で直すしかないとまで申し上げてあります。それは、本四に三本橋をかけるよりも四国に一本高速道路をつないでいたらもっと赤字が少なくて利用者も多かったかもしれない。そういう反省も、我々は、政治家が決めたことだったら政治家で改革しよう、その決意のもとに行っているということだけは御認識賜りたい。

菅(直)委員 何か、役人が痛みを感じている、感じているということを代弁されますけれども、痛みを感じているのは国民ですからね、間違わないでください。つまり、公団がなくなって痛みを感じるのは、それは天下りの痛みかもしれないけれども、その赤字をかぶっているのは国民ですから、逆じゃないですか。

 例えば、普通の自治体で市長や知事になれば、市民のために、その自治体の、必要なら行革もやるし、必要なら人員削減もやるんです。民間企業だったら、マーケットに生き残るためには、ゴーンさんじゃありませんが、みずからやるんです。それをやる仕事が大臣の仕事じゃないんですか。国民が総理大臣を選んで、総理大臣が大臣を選んだんじゃないですか、その間に選挙がありますけれども。痛みだ、痛みだと言って、だれの痛みのことを言っているんですか。役人の痛みを代弁されるから私は申し上げているんです。

 ちょっと、もう一人どうしても聞いておかなければいけません。石原行革担当大臣、どうぞ。

石原国務大臣 白熱する議論を聞かせていただきました。

 ちょっとだけ整理をさせていただきますと、菅委員御指摘の行革断行評議会というのは、あくまで私の私的な諮問機関でございまして、アドバイザリーグループでございます。その案をまとめられたというものを菅委員が意見の開陳としてお示しされ、小泉総理、また扇大臣も、メニューの一つだ、アイデアの一つだというお話をされたんだと思います。

 私どもは、効率化の観点からむだがあるんじゃないか、特に道路四公団、菅委員御指摘されましたように、本四架橋公団をそのまま債務の処理を行いますと、地元負担等もございますが、国民の負担が大ざっぱな計算として二兆円から三兆円出てくる。そういうような観点から、やはり利益を上げている、キャッシュフローを上げているところと一つにして、債務というものを発生させないように、国民の負担を出さないようにしていこうという案が行革断行評議会の案であると承知をしているところでございます。

 先般、総理の方から扇大臣の方に御指示がございまして、来週早々にも国交省としての案というものを改めて当事務局の方にお示しいただけるということでございますので、その案をまた中心に御議論をいただければと思っております。

 以上でございます。

菅(直)委員 我が党は、本当にやらなければいけない行政改革については、小泉内閣ができるよりもずっと前からきちんとした提案を出してきております、公共事業の見直しを含めて。ですから、いろいろな議論があることは結構ですし、我々も、国会に、例えば先ほどのような案を、我々が納得できるような案を出されれば、いいものであればちゃんと賛成します。

 しかし、与党もまとめられない、政府の中もまとめられないで、野党に手伝ってくれ、手伝ってくれなんという、そういう甘えたことは言われないでほしい。ちゃんと国会に法案を出されれば、それが中身がよければちゃんと申し上げます。

 そこで、最後の時間、一つだけ申し上げます。

 与党三党の改革協議会なるものが、あそこに座長もおられるようですが、九月二十日に何か案をまとめられたようであります。漏れ聞くところによると、自民党の中でも、こんな中身を議論するのが恥ずかしいとか、座長みずからが何か連立維持のために妥協したのだとか言われております。

 総理は、先日の我が党の鳩山代表の代表質問で、重く受けとめると言われましたが、それまでの以前は、昔は知りませんよ、最近では、一部を中選挙区にするなんというのはおかしいということをたしか発言されていたと思います。何か総理にとっては、公明党が主導されたというこの案は、聖域になってしまったのですか。

小泉内閣総理大臣 今、選挙制度改革について与党で議論を重ねていることは承知しておりまして、特に自由党と公明党と自民党の連立の時代から、この選挙制度改革については議論があったことは承知をしております。そして、先日、一部を複数区にするというような案も議論されていることも承知しております。

 これは、選挙制度改革というのは、各党それぞれ重大な関心を持ち、また議席の消長に大きく影響するものですから、各党間の議論が必要だ。しかしながら、与党三党で一つの方向を出してこれを尊重していこうという議論が今進められておりますから、この協議を見守る必要がある。自民党内には、先日出した案に対して非常に反発が強い、認められないという声が出ているのも承知しておりますが、今後与党内でどのような形でまとまるかというものも、今状況を見なきゃならない。さらに、野党、民主党を初め皆さんの意見も聞かなきゃならない。

 いずれにしても、与党としての協議は協議として重く受けとめつつも、最終的にこれは、どのような形で選挙制度というものを各党の議論の中で詰めていくかというのは、これからの問題だ、各党十分協議していただきたい。その上で、お互い選挙制度に関しましては、各党、一つが特別に有利になる、不利になるというようなものでなく、いかによき代表が選出されるような制度がいいかということについて、十分私は議論が必要だと思っております。

菅(直)委員 総理はよく御存じでしょうが、間違っても、例えば、小選挙区中心にする制度が我が党に特別有利かといえば、まさにせんだっての参議院の比例選挙を小選挙区に当てはめてみたら、我が党の小選挙区の議席はただ一つというデータですよ。羽田孜先生のところだけですよ。

 決して我が党は、これが有利だ、これが不利だから、有利だと賛成で不利だから反対と言っているのじゃありません。まさに一九九三年以来、あるいはそれ以前から、政権交代を可能にするには小選挙区中心の制度がいいのではないか。当時、それは賛成された方も反対された方もあるかもしれませんが、最終的には、与野党を含めて一定の合意に達したわけであります。そこで基本的なことを決めて実行されてきているわけです。

 それを、そういった基本的な理念の議論もなくて、単に何か大きな自治体が二つに分かれたから分かれないからという、よくわけのわからない議論で、しかも、これが勘ぐりだったら勘ぐりと言っていただいて結構ですが、この新法に絡んで、ちょうどこの時点に火事場泥棒的に案をまとめて、そして、新法等の対応とこれとを絡ませてバーターをしているのじゃないかと多くの識者は見ていますし、私も率直に言って見ています。そういう議論の仕方をしている。

 今やらなければいけないのは、法律に書かれている一票の格差の是正、これは当然やらなければいけません。しかし、今の段階で、まさに理念もなく、中選挙区を都市部なり大都市だけ一部に導入するなんという考え方を重く受けとめるとか、そういうことを言われるようであれば、私は総理の見識を疑います。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

野呂田委員長 この際、仙谷由人君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。仙谷由人君。

仙谷委員 民主党の仙谷由人でございます。

 総理、五月ごろの党首討論でございましたか、不良債権問題について鳩山代表から質問をしましたら、そんな具体的なことは予算委員会で柳澤大臣とやってくれ、こういう答弁をされましたよね。きょうは、そういう意味で、にもかかわらず、これだけ総理も不良債権処理問題についても発言なさっておるので、まあお二人、及びもっと細かくなれば官僚のトップの方に来ていただこうと思って、きのう総理が、おとといですか、本会議でおっしゃったように、そんなことは役人に聞け、政治家に聞くことじゃない。ただ、そういう細かいことも聞かなければ、そして事実を前提にしなければこの話は前へ進まない、そういう問題ですよね、不良債権の問題というのは。

 そこで、きのう金融庁長官を、委員長、この席へ呼んでくれ、参考人として呼んでくれとお願いしたのです。きょう委員長の決裁で、今回は呼ぶことまかりならぬと言ったか、呼ばない、そういう結論を出されたのですね。私は、総理の、細かいことを聞かれたら原稿が棒読みになるのは当たり前だと言うのも、何とかの三分の魂か、三分の理ぐらいはあるんじゃないかと思って、現にそれは、データはすぐに見つかりませんからね、それで金融庁長官をお願いしたら、拒否されたんですよ。おかしいんですよ。(発言する者あり)いや、前職じゃないじゃないですか。ずっといらっしゃる方ですから一番よく知っていらっしゃる方だと思ってお願いをしたのです。

 そういうことでございますので、委員長、私は、きょうの参考人として金融庁長官をお呼びいただけなかったことを抗議いたしておきますし、今後はこの予算委員会の議論というのも、特にきょうはテレビが入っていますから、国民の方々にもわかるように、何か神学論争とか空中論争みたいなことじゃなくて、わかるようにひとつ、そのために私の方で、きょうは金融庁長官が必要なんだ、こういうふうに申し上げておるわけですから、呼んでいただかなければいけません。善処ください。

野呂田委員長 委員の皆さんに申し上げますが、このことについて長時間理事会で諮りましたが、与党が呼ぶことを認めない、野党の皆さんは呼んでいただきたいということでありましたが、御案内のとおりのルールによりまして、証人や参考人の招致は全会一致で決めておりますので、このたびは呼ぶことにならなかった、こういうことでありますので、御了解をいただきたいと思います。

仙谷委員 大変遺憾に思いますが、時間の関係がございますので質問を進めます。

 総理、先般、テロに対する対応をめぐってアメリカへ行かれて日米首脳会談をなさったんですね。新聞記事を拝見しておやっと思ったわけでありますが、そのときに、特段この不良債権の問題というのがブッシュ大統領から提起をされたんですか、どうですか。

小泉内閣総理大臣 それはブッシュ大統領から提起されたわけではありません。私は、日本経済の再生を図るために、先般来主張しております不良債権を二、三年以内に処理するというこの方針は堅持している。決してこの方針を緩めたわけでもないし、いいかげんにしているわけではない。日本経済の大きなかぎを握るこの問題については今までも、今後もより一層積極的に取り組んでいくということを表明したわけでありまして、ブッシュ大統領からじかに、不良債権どうなっているとか、そんなことはブッシュ大統領から聞かれたことはございません。

仙谷委員 新聞の、ブリーフを記事にしたものにそういうふうになっていたから、おやっと思ったんです。

 さらに、外務省からもブリーフの原稿をいただきました。

 ブッシュ大統領は、日本にも不良債権処理を含む改革をぜひとも実行していただきたいと。ブッシュさんが、テロ対応でまさに軍事的な面を、中心なのかあるいは大きな要素として、その他大変いろいろなことを考えなきゃいけないのに、日本には不良債権処理を含む改革をぜひとも実行していただきたいとおっしゃったというんですね。私は、これはやや情けないなと思ったんですね、新聞記事を読んでですよ。

 なぜ情けないか。ちょうど一九九八年の夏に、ラリー・サマーズという財務省の財務次官が日本に来られて、長銀がそろそろ株価の方で、マーケットで打たれ始めたころですよ、日本に不良債権処理の仕方を教えてやると言わんばかりに乗り込んできて、日銀へ行ったり自民党の当時の執行部と一緒に話したり、少なくとも新聞報道の上では、不良債権処理について注文をつけたかあるいは要請をしたか、そういう事態があったんですね。夏を過ぎて長銀の破綻ですよ。歴史的にはそうなっているわけです。

 ことしの正月に、森さんが一月にダボス会議に行かれた。日本はバブルの負の遺産を完全に解消し、雄々しく再興に向けて進んでいるみたいな、物すごく格好のいいことをおっしゃった。

 ところが、三月、アメリカへ森さんが日米首脳会談で行ってみると、またまた不良債権問題が提起されて、一生懸命やりますと約束して帰ってきた。それで小泉さんが五月に行かれたときも、五月だったですね、行かれたときも……(小泉内閣総理大臣「六月。六月下旬」と呼ぶ)六月ですか、六月の初めに行かれたときにも、その種の、また不良債権問題の話が首脳会談で出たような外務省のブリーフなり報道がなされておるんですね。

 何でアメリカにこんなしつこく不良債権の処理をせいとかなんとかということを言われ続けなきゃならぬのですか。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 仙谷委員の御指摘、もっともな点、多いと思うんですよ。信用されていないんですよ。だから私は、方針はわかっているんだ、何でこんなに信用されていないのかと、もっと信用されるような体制をとれということを今口やかましく言っているところなんです。それで、方針は方針として、要注意債権が、大丈夫だと言っていたのが破綻する、これは何なんだと。結果を出すような体制をとってくれということで、今鋭意そういう体制をとっている。だから、問題は信頼。

 同時に、各党でもいろいろ意見が違います。不良債権をそんなに性急にやると、逆に不況が深刻化するぞと言う人もいると思えば、あるいは、いや、逆に、不良債権を進めないと、これは経済再生はできないという意見がありますので、今の御指摘も含めまして、これから本質的に不良債権が処理されるように、市場からも信頼されるような対応ができるようになるような体制をとるよう、柳澤大臣も積極的に今準備を整えておりますし、これから多くの金融関係者からも信頼されるような行政対応をしていきたいと思います。

仙谷委員 総理は割と率直なところがおありになるなと思っておって、今本当に信用されていないんですよというのは、その抽象的なレベルでは正鵠を射ているんですね。もうちょっと言っていただかないとわからない。だれがだれに信用されていないんですか、これは。

小泉内閣総理大臣 市場がどうも、今のやり方で本当に不良債権処理が二、三年以内に最終処理されるんだろうかという点に疑念を抱いているんですね。

 それで、柳澤担当大臣もきちんと説明しているんですが、説明が誤解される場合がある。それを誤解されないように、よく説明も大事ではないか。

 そして、金融当局、金融庁もいろいろな、どういう点が誤解されているのか、どういう点が市場から疑念を抱かれているのかという点も含めて、信用されるような、誤解されないような対応をとるように積極的に対応しようということで、今懸命に努力している点も御理解をいただきたいと思います。

仙谷委員 ちょっとあいまいなんですが、正確に具体的に私の方で意訳をしますと、日米のマーケットあるいはヨーロッパのマーケットから、市場から、日本の金融機関と当局が、つまり日本でいえば金融庁が信用されていない、こういうふうに具体的に言えば正しいですか、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 いや、言葉じりをとるわけじゃありませんが、信用されていないというよりも、より正確に言えば、疑念を持たれているというのかな、はっきり言うと。この疑念を解消するための具体的措置、経営者の態度、銀行の審査体制、これに甘さがあるんじゃないか。もっと今の現行法でも、人によって違う、見る人によってこの審査は正しいのかどうかというのは、節穴の人がいるとわからない。ちゃんと見る人が見りゃ、これはおかしいぞと言うんだけれども、あんまりわからない人が見ると、節穴同然で何だかわからない、だまされちゃう。

 だから、そういう点も含めて、人によって変わる場合が随分ある。だから、そういうわかる人の配置というものも大事だ。現行法でも、やる気があれば変わるのは十分あるんだということも含めて、信用されるような、疑念を抱かせないような体制と検査監視体制をとるように、今鋭意努力しているところでございます。

仙谷委員 何か検査官の個人的力量に責任があるかのような方に話を持っていかれたけれども、違うんですよ。これは構造的なんですよ。日本の構造、あるいは金融当局の構造なんですよ、私に言わせれば。そうしないと、こんな病膏肓深くならない。あえて言えば、これは平成四年からの問題ですよ、私の体験でも。最短距離でいえば、九八年から何をやってきたんだという、こういうマーケットの声であり、国民の声ですよ。じゃないでしょうか。

 といいますのは――ちょっと配って。よくわかるようにフリップをつくってきました。見てください。

 総理、この総計三十二兆四千七百二十四億円という金額は頭の中にありましたか。私も実は相当、この三年間、金融問題について注意を払ってきた方だと思っておりますが、しかし、これは三年間だけではないのですが、ほとんど三年間です。何と、金融破綻処理等々と言われるものにつぎ込んだ金が三十二兆四千七百二十四億円、大ざっぱに言いまして。極めて大きい。にもかかわらず、九八年から、事態がよくなっているのか悪くなっているのか。専門家の相当部分は、より深刻化していると言っていますね。金融庁の方は、いやいや、そんなことはない、何とかなるんだみたいな話がこの間国会でも議論されていますし、外へ伝わってくる話もそういうことなんですよ。

 いかがですか。この三十二兆四千七百二十四億円という金額が少な過ぎたのか多過ぎたのか、やり方が間違ったのか、何が原因で事態の改善を見ていないのか。その点について、では柳澤大臣、どうですか。

柳澤国務大臣 仙谷議員から随分御批判をいただきながらの御質問でございますけれども、これは、まず、この二つというか、この公的資金投入というのは法律に基づいて行われているんです。

 それで、そのうち、この左側の十六兆八百五億円それから損失補てんの四千五百億円、これは預金者、預金その他の金融機関の債務を全額保護します、こういうことを言った結果、こういうことになったんです。それを再生法で法律化した結果、これだけのものを金融機関に入れなければ、金融債の保有者も、それから預金者も、預金が払い戻してもらえないんです。そういうものを入れようというのが再生法だったんです。それから、瑕疵担保の特約も、保全部分は保全されますけれども、しかしこれも、大なり小なり、預金者保護のための補てんと考えて、この三つはほとんど全部、預金者のための投入なんです。

 銀行に入れるものは資本だけなんです。銀行という法人に入れるのは資本だけなんです。ほかのものは、銀行を経由して、銀行のバランスシートの負債側にある債務者、銀行にとっての債務者、これを保護するための投入なんです。仙谷先生ほどの人だったらみんなおわかりだと思うんです、これは。そういうものを一緒くたにして、この資産の買い取りも、これは不良資産の買い取りなんです。みんな法律で決めてあるんです。そういう法律の運用をゆだねられたのが我が金融庁なんです。一つ一つ、しかもそれは行政委員会方式で、絶対に間違わないようにということで、国民の中の識者を全部集めてこの運用に当たったのではありませんでしょうか。ですから、預金者の預金を全額保護するということの言葉の重みがここにあらわれているということです。

 ペイオフをこれから、四月から実施しますけれども、みんな、金融機関が破綻したら、負債側もある程度は負担をするというのが一般の企業の破綻の整理です。それを、そうしない。そうしなくて、その破綻をしたことによって生じた損失を全部税金で埋めます、これが金銭贈与十六兆であるし、損失補てん四千五百億であるし、後で問題になるかもしれませんが瑕疵担保特約。本当は、この瑕疵担保特約をつけなければ、損失として即刻あらわれたものなんです。

 そういうことを、みんな仙谷先生御存じなんでしょう。そういうことを全部合計して、非常に国民の皆さんを誤らせるような言辞を弄されるというのは、私は、法律の運用ということの重みです、それをぜひ御理解賜りたいと思います。

仙谷委員 私の話をよく聞いてくださいよ。これだけの金額を使ったのがいけないと一言も言っていないですよ。ただ、部分的には、私は当時からずっと、金融債の問題、劣後ローンの問題、瑕疵担保の問題、あるいは査定の仕方の問題、いろいろちゃんと、こんなことはやってはいけないというのは、あなたに、あるいは当時の事務局長にずっと言ってきたじゃないですか。

 きょう、逐一やってあげますよ、時間があるから。問題は、そこをさておくとしても、それはまさに資産査定の問題につながる問題だから、私はやらなきゃいけないと思っているんだけれども、さておくにしても、これが現時点で効果があらわれていないということは何なのかということを僕は申し上げているんじゃないですか。

 あらわれているんですか。あらわれているんだったら、毎日毎日週刊誌や新聞で、経済危機だ、金融危機だ、そんな記事が載るはずないじゃないですか。アメリカに、毎回毎回、不良債権処理をやれとかなんとか総理が何で言われなきゃいけないんですか。

 一国のトップが、金融不良債権処理をやらなきゃいかぬよね君、なんていうことを、相手のトップに、それもアメリカの大統領に言われる。そういう事態になったことについて、もっと柳澤さん、責任を感じなきゃ、あなたは。私はそう思う。

 そんなに顔を真っ赤にして、金を使うのがいけないかのような、興奮してしゃべるような話じゃないですよ。少なくとも、国民の税金を使ったのは、ほとんどがあなたの責任で使ったんですよ、これは。そのことは肝に銘じてもらわなけりゃ、税金を払っている国民は浮かばれない。

 そこで、あなたにもう一点聞きましょうよ。いいですか。では、九九年の三月十二日の記者会見を覚えていますか。公的資金の注入を決めた、その後の記者会見ですよ。

 このときに最も問題になったのは、前年に佐々波委員会という、あれは金融機能安定化基金だったですか、そういうものを、我々からいうといいかげんな審査をして、いいかげんな入れ方をした。案の定、公的資金の注入を受けても、どんどん九八年につぶれていった。マーケットにつぶされていった。そこで、再生法ができ、我々は、そんな緩いというかモラルハザードを起こすような金融機能早期健全化法には乗れないと言ったけれども、むちゃくちゃに審議を進めて、自民党と公明党で通過させたんじゃないですか、健全化法を。それに基づいてやったのが一九九九年の三月の公的資金注入だったでしょう。

 そのとき、あなたは記者会見で何と答えましたか。佐々波委員会の二の舞はしない、聞かれて、絶対にそんなことはあり得ないとおっしゃったんですよ、そのときに。それから、基本的に、十一年三月期、つまり九九年の三月期には不良債権問題の処理を基本的に終了する。つまり、したということですな、する。つまり、三月の十二日に、三月三十一日には終了するとおっしゃったんですよ。

 今や、金融、経済関係で出てくる対応策というのは、これからそういうでたらめなことはやめた方がいいと僕は言うつもりなんだけれども、ずっとこの金融問題じゃないですか。不良債権処理の問題と、要するに金融機関の健全性の問題じゃないですか。財務体質の問題じゃないですか。

 では、この三年間せっかく、ここでいえば八兆、正確には七兆四千億ぐらいですか、当時入れたのは。それを入れて二年ぐらいはのほほんともったかもわからぬけれども、急におかしくなった。急におかしくなることが顕在化してきた。同時テロがなくても、ずっと言われていたじゃないですか。昨年のネットバブルの崩壊以降、どこかでおかしくなるぞということを言われていたじゃないですか。何か反論ありますか。

柳澤国務大臣 もうちょっとその図表の話をさせていただきますが、国民の皆さんにおわかりいただくために申し上げますが、この金銭贈与、損失補てんというところが、これは行きっ放しの税金なんです。そうですよね、仙谷先生も御案内のとおり。ほかは、まあ佐々波委員会はなかなか難しい問題を含んでいますけれども、一概に言えないんですけれども、資本増強は、これはまさに資本金を入れたわけでありまして、これはいずれ、我々が普通株に転換して市場で売却するか、あるいは投入された金融機関が、注入された金融機関が利益でもってそれを返済してくる、こういうことが期待されているわけで、いわば資本性の取引でございます。

 そこで、私が一九九九年の三月の十二日に記者会見をしたということでございますけれども、そのときに、大手行でいっても、前年の佐々波委員会のときに十三兆、それから私どもが入れたときに十三兆、二十六兆の不良債権の処理をこの大手の金融機関、主要行と言われるところは行ったわけであります。そういうことで、それだけの処理損を出せば自己資本は当然かなり低下しますから、それを、先ほど言った、大手行だけだと五兆九千何ぼでございますけれども、そういう公的資金、これは八兆四千九百三十三億の一部でございますけれども、それを投入することによって自己資本比率を確保した、こういうことを私どもはさせていただいたわけであります。

 その後の不良債権の処理損の出現の仕方を見ますと、一挙にその十三兆からもうけた違いに違ってきて、そして不良債権の処理損というものがそんなには多くならない。まだ業務純益を上回る処理損が出ていますけれども、まずまずのラインでいっているということであります。

 私は、去年の十二月の四日でございますけれども、再びこの職につかせていただいたんですけれども、そのときの一番の問題というのは、株価の下落が自己資本比率に影響するんじゃないかということでありました。昨年の十二月ごろから株価は非常に低落しましたから、そういうことで私は国会でも随分論議を浴びたわけでございます。

 そのころから、また今度は、マーケットの悪口を言うわけにはいきません、マーケットには私も誠実に耳を傾けていくわけですけれども、マクロ分析から実は不良債権はもっと多額、巨額にあるんだというようなことでもって非常にいろいろなことが取りざたされてきましたけれども、我々は、自分たちがやってきたこと、皆さんにお見せしたいろいろな基準、法律あるいはマニュアル、こういうものの基本的なラインを崩さない範囲でマーケットの送ってくるシグナルをできるだけアコモデートする、取り入れる、こういうことをやって、今、総理の御指導のもとで努力をさせていただいているということでございます。

仙谷委員 総理、もっともっと強烈に指導しないと、この金融庁という官僚機構と銀行業界の体質は、とてもじゃないけれども厳しい資産査定なんかできませんからね。

 お配りした資料の一番下を見てください。柳澤大臣、九九年の三月の十九日、衆議院の大蔵委員会、ちょうどこの公的資金投入をお決めになった次の機会に、つまり一週間後、私が質問に立って、これを提示して、金融庁のマニュアルどおり資産査定をしたら、第一勧業銀行と富士銀行、あえて言いますけれども、その時点で八%を切っているじゃないか、こういう指摘を私はしたんですね。金融再生委員長の――ごめんなさい、ちょっとお配りした資料が手違いがありました。それじゃ、ちょっと訂正します。

 三月十九日に、大蔵委員会で私がそういう指摘をしたことを覚えていませんか。そうしたら、当時の森事務局長が、いや、これは金融健全化法がつくられる以前の民間がやっている自己査定の現行基準でやったから、その基準によると八%は超えていたから健全銀行として公的資金の注入ができるんです、こんなお答えをした。私が、それは金融健全化法が引用する金融再生法の資産査定のやり方について、あなたは法律をつくるときにいなかったから全然知らないだろうけれども、私とかそこにいる石原さんはそこへ丸ごと突っ込んでいたから知っているのよと。そんな資産査定の仕方をしてはならないと。厳しく銀行の財務体質については査定をして、そこでたとえ公的資金の投入額が多くなろうと、それはやむを得ない。ただし、こういう場合には当然のことながら減資が要りますね、経営者の責任も必要ですねと。

 我々が当時申し上げておったのは、健全行に入れる、健全行だから入れるというふうなコンセプトのつくり方は間違っていると。今、はしなくも大臣おっしゃったように、不良債権の償却を進めていけば、資本不足に陥る可能性があったり、実際は資本不足に陥っている、その可能性があるから、正しく査定をして過少な部分に公的資金を入れて健全な財務体質にしましょう、そういう議論をし、主張をし、そういうやり方で公的資金の注入をやらなければならないということを申し上げてあったのに、今度もこんなごまかしのようなことをするのはけしからぬということで私が申し上げて、それで大臣が、当時の金融再生委員長たる柳澤さんが、これはちょっと私は今のところ判断できませんから持ち帰らせてくださいと言うので、質問が宿題になったままなんですよ。今までまだ宿題なんです、この話も。議事録を見てください、残っていますから。

 事ほどさように、やはり今株価が低落しつつあるから、それはおっしゃったときよりもはるかに、今だったらもっと低落していますよね、銀行の財務体質、体力が弱って、いよいよ問題が顕在化してくるということになってきたという認識がおありになるとすれば、やはりここの危機は深いという認識のもとに、本気でこれから取り組んでもらわなきゃならないんじゃないですか。どうですか。

柳澤国務大臣 ただいま仙谷委員が触れられた九九年三月十九日の、私、大蔵委員会でございましょうか、予算委員会でございましょうか……(仙谷委員「大蔵委員会」と呼ぶ)大蔵委員会ですか、そのことを詳細に実は記憶はいたしておりませんけれども、私も当時でもその程度の知識はあったんじゃないかと回顧しますけれども、この健全化法におきまして減資を求められるのは、現に著しい過少資本行という場合なんでございます。

 もちろん、債務超過になっていない程度の健全行でなければ健全化措置の対象にはならないわけでありますけれども、仙谷委員御案内のとおり、対象は三つに区分されております。八%以上の健全行、それから四%から八%の自己資本比率を持っているもの、あるいは債務超過ではないけれども四%未満のものというものが区分けされておりまして、それぞれに資本注入に当たっての要件というものが決められているわけでありまして、今、仙谷委員がおっしゃられた減資を必要とするというのは、ゼロから四%の著しい過少資本の状況にある、そういう銀行に限られるということでありまして、私、突然の御指摘ですから、まだ記憶もそこまでは詳細に思い出すこともできないわけでありますけれども、しかし、この要件の程度のことは、私がそこで答弁に行き詰まって持ち帰るというようなことは申さなかったのではないか、このように、大変恐縮ですが、思うわけでございます。

仙谷委員 私が人が悪ければ、とまって、今までずっと大蔵委員会は動いていませんよ。宮澤大蔵大臣が隣におって、これは大変だとうろうろしたじゃないですか。金融健全化法違反の公的資金注入だということが、私が指摘したら、答えられなかったじゃないですか、あなたも。それはいい。

 では、次に行きましょう。では、今お渡しした資料の四枚目。

 実は、これは柳澤大臣、ことしの七月の十九日に、外国記者クラブというんですか、そこで大臣が何か講演をされていらっしゃるんですよね。新聞にもそのことは報道をされておりました。

 要旨を申し上げれば、いわゆるマーケットのアナリストからは、金融庁あるいは自己査定の結果として発表されている不良債権の金額が少な過ぎる、二倍も三倍もあるという文章とか話が巷間流布されておる。柳澤さんが、幾らあってもそんなにはない、二五%ぐらいあるかもわからないという話をされたんですね。

 二五%を前提にして計算してみた、この二五%。不良債権が、今あなたがおっしゃっている、これは主要行だけですが、主要行が二五%さらにあるという前提。たった二五%ですよ。そうすると、計算すると、自己資本比率で、どうです、十五のうち八つが八%を完全に切っているじゃないですか。

 もしその種の疑いを柳澤さんが、大臣がお持ちだとすると、先ほど総理がおっしゃったように、より保守的に、より厳しく査定はやらなければならないという原則に立つならば、このぐらいの計算は金融庁だったら一時間もあればできるわけですから、では、どこにその病巣があるのかということで探らなければならない、そういうことになるんじゃないですか。その二五%問題、お答えください。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

柳澤国務大臣 その講演は私もよく記憶をいたしております。どういうことを申したかと申しますと、要するに、金融検査については、私は二次にわたって改革が行われたという解釈をしているものであります。

 第一回目は何かというと、いわゆる早期是正措置絡みで、いわば引き当ての方も検査しなければいけない、それで自己資本比率というものをしっかりつかまなきゃいけないと。こういうことになったのが、大蔵省時代ですけれども、今まで資産の分類だけしてきた、そういう検査から、やはり一つ改革が行われた、これが第一次の改革です。

 それから、第二次の改革は、検査マニュアルというものが制定されたというのを第二次の改革と私考えているわけですけれども、この第二次の、金融検査マニュアルというものが制定され、それが適用されるという段階になったときに、正直言ってかなりこれは厳しいものでありましたので、その第一次の改革までで検査されたものに対して第二次の基準を当てはめるとどうなるかということを、まだ途中なんですけれども、実は、それからまた基準日も区々でありますけれども、仮に集計しておおむねの数値をつかもうとした場合でもこの程度でありますよと。

 しかも、その第二次の検査マニュアルによる検査というのはどういう状況にあるかといいますと、検査マニュアルが制定されたことによって初めて明確化された、こういういわば条件緩和債権というのが、今までやや、相手を支援する手紙が行っているとか行っていないとかというような末梢的な議論に終わっていたようなんですが、そうではなくて、同じリスクを持っている貸出先に新しく貸すと同じような信用リスク、そういうものを契約の更改時に上乗せしない限り、これは条件緩和債権なんだと。こういうように非常に厳しい、新しい基準とも言えないんですが、いわば明確化された基準というものを打ち出したわけでございます。

 そういうものが適用されますと、先般、ある行が非常に大きな要管理債権を表にいたしましたけれども、そういった形で、新しい検査マニュアルができたことによって、しかもそれが明確化されたことによって非常に、不良債権のうちの要管理、不良債権の一番上位に位するものですけれども、そういうものが増嵩をする、こういうことがあったわけでございまして、しかも、基準日も区々だということを今も申し上げたんですが、ですから、極めてテンタティブな数字として私あえて言うんですけれどもという、何重もの、私、条件をつけながら、誤解のないようにしてこの二五という数字に触れた、こういうことでありまして、そういうものとして御理解を賜りたいと思います。

仙谷委員 このごろ世の中は便利になっておりまして、日本外国特派員協会にインターネットでアクセスしたら、ちゃんと大臣のそのときの発言がタイプになって出てくる。

 それを見ますと、テンタティブ、テンタティブとおっしゃっているけれども、「まだ極めてテンタティブに一部の主要行の検査の結果を仮に集計したところではどのくらいリスク管理債権が増大したかと言うと、まあ、二五%くらいと言っておきます。」これは確かにこう言っているんだ。だから、割と明確に言っていますよ、二五%ぐらいと言ったと。だからこれは、ある銀行の検査結果に基づくとそうだと言っている。

 この前に実は、これも我が党の、参議院では峰崎議員それから浅尾さんもやりましたかね、例のことしの三月末決算における三菱東京フィナンシャル・グループの五割増しの不良債権額の認定と公表という事態があって、私も質問しましたよね。これは、日本で最も優秀で、かつアメリカに上場しSECの審査を受けている銀行がこういうふうにちゃんと審査をして公表をしてきたんだから、ほかの銀行もやはりそういうふうにされた方がいいんじゃないですか、実態を早く正確に把握しないと治療の方法がわからないんじゃないですか、こういう話を申し上げたはずです。我が党の方から全部言った。

 ところがそのときに、いやいや、これは特殊な例でという答弁をされているんですよ。僕は夕べ一生懸命、夜の夜中までかかって速記録を読み直しましたから。これは特殊な例だとおっしゃっている。

 ところが、また、つい最近、マイカルが倒産したことによって、みずほグループとしても、三兆数千億を四兆二千億ですか、やはりもうこれを出した方がいいと、あるいは、そういうふうに厳し目に資産査定をして、しかる後にさあどうするかというふうに取り組まないと、あいまいなまま社内格付をし、分類、非分類に分ける分けない、あるいはそこに引当金を積むとか積まないとかということで、ずっと中途半端なままいっていたらろくなことがないというふうに三菱、みずほはついに決断をされたんじゃないかなというのが私の率直な感想なんですよ。

 今の大臣のお話を聞いていると、どうも、テンタティブなというのは、あるいはある銀行のというのは、そういうことを指していらっしゃるんですか。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 余り技術的なことをいろいろ触れますと、そうだからだめなんだ、こういうことを言われかねないものですから私も非常にちゅうちょを感ずるんですけれども、率直に言って三菱、三菱と言っていいのか、個別の行名を挙げて論ずるというのは私はやはり避けるべきだと思うんですけれども、一般論として申し上げて、先ほど言ったように、いわゆる条件緩和債権、この条件緩和債権とは何かということが明確化されたわけです、マニュアルの制定後。そのことによって、そうした銀行も大幅に要管理債権を計上しなければならなくなった。つまり、条件緩和債権というものが、融資されているということで、これはやはり要管理債権なんだ、だから不良債権の一部なんだというふうに認識しなければならなくなったということ。

 これは、私、先ほどまさに言ったことをもう一回。具体の銀行を仙谷委員は提起されたんですが、私は具体の銀行に触れない、一般論としてそういうことを申させていただく、こういうことであります。

 また、マイカルのことについては、御質問があればお答えしたい、このように思います。

仙谷委員 それでは、私、特にこの金融問題だけは、一九九一年の証券・金融スキャンダルからたまたま関与することになったものですから、ずっと、十年間やっているんですね。これはきちっとした総括をやらない限り、どうも質を変えて前へ進めないという考えにとらわれているんですよ。この三年間、特にそうなんですね。

 そこで、長銀の総括をちょっと国民の皆さん方にお見せしながらしたいと思うんですが、二枚目です、「長銀=新生銀行への公的資金投入額」。

 私もこんな金額になっているとは知りませんでしたが、佐々波委員会から資本注入されたのは一千七百六十六億円、これはもう消えてなくなっている。それから、ほとんどは金融債とか預金に払われておるわけでございますけれども、問題は、この株式含み益の二千五百億円をプレゼントしたとか、資本増強二千四百億円が、実は日本政府が買った株式は一株四百円で、リップルウッドが買ったのは一株四十一銭で、その一株と一株は対等の価値であったという、私は、そんなことはやってはいけない、こう申し上げたんだけれども、やってしまったというのがこの新生銀行の十億円の譲渡劇なんですよ。

 さらに、資産査定との関係で言えば、この瑕疵担保特約というのがどうにもならない。これは私の法理論からすると絶対に、民法五百六十三条だったですか、こんなものは使えない、でたらめだと声を大きくして委員会でも指摘したのでありますけれども、いや、これしか方法がないんですとおっしゃって、やった。私は、こんな民法の悪用というか曲解、曲用というのはないと当時も申し上げたし、今も思っております。

 思っておりますが、いずれにしても、これを瑕疵担保という名前で、実はそごうのような、買い手の方から見るとやや危なっかしい、回収見込みが、危険度が、ABCとあるでしょうけれども、ある債権を受け取るために、もし二割を超えて減価、つまり値打ちが減ったときには全額払いますよという契約をしたんですよ。それがこの瑕疵担保という名前で出てきている。

 大臣、今、要するに長銀をリップルウッドさんに売って新生銀行になってからどのぐらいの瑕疵担保の履行を迫られておるのか、件数と金額をおっしゃってください。同時に、日債銀もわかればおっしゃってください。

柳澤国務大臣 この瑕疵担保特約と申しますのは、たびたび議会でも我々御説明させていただいているわけですけれども、結局、再生法に、契約が成就した、譲渡が完了した後にさらに追加の支払いをするというような条項が、住専の処理の法律などと違って存在をしなかったわけであります。

 ところが、二次ロスについては何らかの手当てをしなければいけない、できるだけ譲渡を早くしなければいけない、こういうようなことのいわば窮余の一策みたいな形で、それでは民法に売買をする当事者の間の公平を図るために瑕疵担保という法理があるではないか、こういうことに気がつきまして、この法理をここに適用できるかということについては、金融再生委員会内の法律家を初めとするいろいろな分野の権威のある方々にも十分御相談をした上で、やはりこの瑕疵担保特約をつけて早く譲渡をする、そういう結論に達したということでございます。

 今この瑕疵担保特約がついている契約というのは、結局新生銀行とあおぞら銀行ですか、旧長銀と旧日債銀のみでございますので、先生ここで表にお書きになったところが現在の支払いを行っているところということでございまして、その後のことについてはまたそれぞれの時期に、私ども、この法律に基づきまして、破綻金融機関の処理については大体六カ月に一度国会に報告書を送るように、こういう法規に基づきまして報告書を送りますので、そのときに明らかにさせていただきたい、このように思います。

仙谷委員 いやいや、ついせんだって出たじゃないですか。それで、報告書には件数と金額しか書いていませんから、私の方で、国民のお金をこんな格好で、何とかに追い銭みたいに追い銭を払った、それは国民感情からしたら納得できないですよ、こんなものは。それで、名前を出してこいと言ったら、二社の名前だけは出さないで私のところに持ってきましたよ。ということは、多分法的な手続か何かの、整理の手続か何かに入っているんですよ、これは。

 私に持ってきたのは、そごうグループ三十八社を含めて、長銀の方は五十五社、実際の追加払い額は千五百五十六億円、債権総額は二千六百五十八億円、それから日債銀、こちらの方は、そごうグループ十二社を含めて合計十六社、債権総額が三百七十三億円、支払い額、つまり追い銭が二百十二億円、こういうふうに報告書にも書いてあるし、具体的な名前までありますよ。

 私は、我々の感覚が麻痺して、一千五百五十六億円なんという金が小さい金のように思っているのかもわからないけれども、決してそんな金ではない。やはりこういうものが、つまり、今私質問していましても、大臣席でもこちらの席でも、えっ、そんなことあったのという感覚で皆さん聞いていらっしゃる。それは、いかに国民にもディスクローズされないまま、悪く言うと、やみからやみへこういうことが行われようとしているかということに近いんですよ。本当ですよ、これは。

 僕は、こういうやり方でやる以上、国民が、日本の金融システムは非常に大事だ、だから、あるときは税を大量に投入してでも守っていかなければならないということになかなか理解がいただけない。むしろ、まだ政治家の連中が、何かでたらめなことをして、いいことをして銀行だけ助けるみたいな話にしかならない。だから、税金を使うときには、ある意味でシビアな感覚で、銀行を助けるとか、銀行の取締役がかわいそうだとか、彼らがいろいろ泣き言を言ってくるから助けなきゃいかぬとか、そんな気分に一厘でもなったら間違いだと思うのですよ。どうですか。

柳澤国務大臣 私も、実は昔、税務署の署長をやりまして、本当に、もう何万円の税金を最終的に徴収するためにどんな現場があるかというようなこともそれなりによくわかっているつもりの人間であります。そういう意味で、この国民の税金というものがどんなに大事なものかということについては、私なりに理解をしているつもりでございます。

 そこで、そういう前提であっても、この瑕疵担保の問題について申し上げますと、瑕疵担保の特約を契約の中で入れましたということは、契約のときにももう十分これは公表を、私は実は契約のポイントのところまでやっていたという記憶なんですけれども、そのポイント、概要を発表するときにも、この瑕疵担保特約をつけさせていただきましたということはもう国民の皆さんに公表しておりまして、決してやみからやみにこういう条項を入れたというものではありません。

 それから、仙谷委員はもうこんなことは釈迦に説法ですが、国民の皆さんに御説明ということですけれども、もしこれを譲渡のときにRCCに送ってしまっておりますと、同じような損失がその段階で出る。だから、いわば損失の出現するというか表現されるタイミングのずれの問題なんだということは御理解を賜りたい、こう思います。

仙谷委員 だけれども、それは随分違うんじゃないですか。長銀の資産を適と不適に分けるときに、手心を加えたとは言わないけれども、何らかの政治的な思惑かあるいは、僕は、ある意味で極めて政治的な、もしその時点で不適債権に認定したら、その会社が倒産するばかりではなくて、日本の銀行のこの貸し込み合いという風習からして、各主要銀行ですらおかしくなる、財務がおかしくなる、健全性がおかしくなる、そういう判断を金融庁がしたのかな、こういう想像をしていたんですよ。そういう判断を働かせてこんな無理なことをしたのかなと。

 しかし、のど元過ぎれば熱さを忘れるだけれども、一九九八年の金融再生法が通るとか通らないとかという寸前の緊迫感は、長銀を国有化した後は、私に言わせれば緊張感なくなりましたよ、それは。それから、金融健全化法で公的資金の注入をやってからはなくなりましたよ。そこで旧来の何とか体質に返ったんではないかと私は見ているんですね。

 だから、私が大蔵委員会でもそのときに指摘したけれども、適債権にした会社が、たった二、三カ月の間で、十二ぐらいだったですか、債権放棄の要請をしてきた。それは皆さん方がよく知っているゼネコン、ゼネコンなんか五つぐらいあったじゃないですか。今株価が三十円ぐらいでおるじゃないですか。そういう会社を適債権にした。後講釈じゃなくて、やはりこれは、そのときの資産査定がただ先送り、先延ばしにしかすぎなかったんじゃないかということを私は今改めて反省をしなければ、このやり方を続けていく限り、失われた十年が失われた二十年になる。そして、そのうち、余裕のある三十数兆円を出せないうち、日本の国債が信認を受け得られなくなるときが来る。そういうふうに心配するから、危機感を持っているから申し上げているんじゃないですか。事は急ぐんじゃないですか。

 例えば、柳澤大臣じゃなくて竹中大臣に聞きましょうか。どうですか、緊迫感。どのぐらいの危機感を持ってやったらいいんですか、竹中さん。

柳澤国務大臣 大変恐縮ですが、竹中大臣御答弁の前に、先ほど触れられた問題について、私の考え方を申させていただきます。

 それは、いわゆる資産判定の問題ですけれども、まず再生法というのが仙谷さんたちの努力で結実したわけですけれども、やはりあのときの考え方の中に、預金者の保護だけではなくて、債務者というか、貸出先の保護というか、あるいは金融の機関からいえば金融機関の仲介機能の維持というものが重視されていたというふうに私どもは考えておりました。したがって、それはRCCにどんどん送ってしまえば非常にいいわけですけれども、やはりそれではこの本来の再生法の趣旨とは違うのではないか、こういうのが委員の中に共通に流れていた気持ちだったということを私は申させていただきたいのが第一点です。

 それから第二点は、資産判定については基準をつくれ、そしてそれはあらかじめ再生委員会が公表しろ、これも法律が命じているところでありまして、そういう意味で、基準をつくり、公表してあるわけです、事前に。その基準に基づいて我々は資産の判定をさせていただいたということ。

 この二点をぜひ御理解賜りたいと思います。

仙谷委員 だから、思いは同じだったのか、それぞれちょっとはずれていたのか知りませんけれども、要するに、あの時点でも、金融機関を正常化というか健全化というかしない限り、この貸し渋り、貸しはがしはなくならないと。そうですよね。ますますうみが大きくなる。金融仲介機能や信用創造機能が発揮できるような金融機関をつくらなければならないじゃないか、少々手荒いかもわからぬけれども、資産査定は厳しくしようじゃないか、そういうことを話し合って、再生法に結びつき、最後、健全化法は不幸にして一緒にならなかったけれども、少なくとも私は、そういう理念のもとにあの時点での手術が行われるんじゃないかと思っていたんですよ。

 ところが、一つずつ、あれ、これはモラルハザードを起こしかねないな、これじゃまた第二次、第三次紛争みたいのが起こるなと。現にそごうで起こりましたでしょう。それはたまたまじゃなくて、あらかじめ予測のつくことというのはあるじゃないですか、多少は。それに、マーケットの動向等々に大きく反してはならないということも一つの教訓だったと思うんですね。

 そこで、本題に入ります。

 改革先行プログラムの中に金融庁関係でいろいろなことが提起をされておるようでございますけれども、目新しいのは、特別検査と、それからRCCに簿価で買い取らせるという新聞記事が出ましたけれども、何かどのぐらいで買い取らせるのかわからぬけれども、要するに買い取り価格を弾力化させるというまたまたいいかげんな話が出てきているなという、この二つ目。三つ目は、株式買い取り機構。銀行だけから株式を買い取るという、これも私に言わせれば、先進国でよくこんなことを考え出す人がおるな、こういうことでありますが、この三つですよね、目玉は。

 この特別検査というのはいつから始めるんですか。

柳澤国務大臣 特別検査は、そこに記させていただいておりますとおり、銀行の決算前の自己査定の段階に立ち入りをして検査をする、こういうことになっておりますので、直近で申しますと大体一月から三月ということになりますが、もちろんこの検査は非常に微妙きわまる検査で、どこどこの債務者が着目されたとかなんとかということが憶測を呼んで、風評リスクというものが顕在化するというおそれが十分あります。

 そこで、慎重の上にも慎重を期してやらなければならない、こういうふうに我々考えておりまして、そのための準備をその実施の時期までに費やしたい、このように考えているわけであります。

仙谷委員 きょうが十月の四日、何で年内にすぐにできないんですか。

柳澤国務大臣 要するに、この検査は、検査という名前がいいかどうかなんですけれども、自己査定のときにマーケットの送っているシグナルをどういうふうに考えているか。つまり、いやそれでもマーケットの方が間違っているよ、そういう主張も十分あり得ると我々考えているわけでありまして、やはりそれに対しては、マーケットはこういうシグナルを送っているじゃないか、これはかくかくしかじかの分析に基づいて行われているんじゃないかということで、やはり正すべきは正す。この両方の論議を自己査定のときに行いたいというふうに考えておりまして、自己査定が行われているときでないとやはりこれは、通常の検査のように、もう既に実施された決算についてその適正、的確性を判断するのと違うものですから、そういう意味で、自己査定に合わせての時期ということにならざるを得ない。それまでは本検査の制度あるいは基準というものの作成に時間を使いたい、このように考えているというわけであります。

仙谷委員 せっかく特別検査があるという、これはまさに特段の措置をやろうと。これは改革先行プログラムに書いてあるんですか。だから、小泉内閣のまさに柱、前提である不良債権処理の、さあ今からやろうという話が、来年にならないと始まらない。マーケットの方は待ってくれるかどうか、私知りませんよ。

 現に、さっきも申し上げたように、大手三十社問題がどうのこうのという話がありますけれども、そういう、ある種、大手三十社という眼鏡をかけて一生懸命日本の株式欄と社債欄を見ておりましたら、ああ、確かに三十ぐらい危ないのがあるなと思うじゃないですか。何ですぐ特別検査に入らないんですか。

 つまり、その会社のためじゃなくて、銀行の財務の健全性が果たしてあるのかないのか。危なくたっていいんですよ、銀行がちゃんと引当金を積んでいれば。危なくないじゃないですか、何が起こっても。引当金を五%しか積んでいないところが突如どかっといったら銀行までおかしくなるという話なんじゃないですか。我々が重要なのは、銀行の機能、銀行が健全に機能を発揮してくれるかどうかの方が重要なんです、とりあえず。

 そして、この間のマイカルのように、これはまた後で時間があればやりますけれども、銀行がちゃんとそこを行内格付をしていないことによって、社債の格付にまで影響して、素人さんが大変な被害を受けたという事件がマイカル債で発生しているじゃないですか。そのために、二十日か何か、どこか証券業協会か何かへ行って、そのことを言ったかどうかは別にして、一人のふらちなやつがおったら証券業界が不信を買うという演説をされたんでしょう。そうじゃなかったんですか。マイカル債の事件を知らないですか、マイカル債。どうぞ。

柳澤国務大臣 仙谷委員御案内のとおりでございますけれども、各企業は必死になって生き、また自分たちの事業活動を通じて社会に貢献しようということで、それぞれ頑張っているわけであります。それを、いわゆる風評というようなもので殺すことも簡単なんですけれども、我々は、私どもの立場は、絶対に風評で企業を殺すというようなことがあってはならない。

 したがって、風評リスクというのは起こしてはいけない、こういう考え方をとっているわけでありまして、三十社というようなことでいろいろなリストが出回っておるようでございますけれども、そういうことで取りざたをして、何とか立ち直ろう、あるいは何とか頑張って生き抜こうとしているそういう人たちに、大変なむちを当てるというか、そういう厳しい目に遭わせるということを、我々は、金融当局としては決して望んでいない、またなすべきことではないというように考えております。

 そういうことで、我々としては、引き当てをしていればというお話もありますけれども、もちろん引き当てについても今回の改革先行プログラムでいろいろな工夫をさせていただいておりますけれども、これもまた仙谷委員御存じのとおり、株主の権利との、債権者の保護とのぶつかり合いの場面でして、そう引き当てさえ厚く積んでおけばというので、えいやといって腰だめでもっていろいろなことをやれるというような制度ではないということ、これまた御案内のとおりかと思います。

仙谷委員 では、ちょっと横道にそれますが、マイカルで昨年の一月と十月、一月に四百億、十月に五百億のマイカル債が個人投資家向けに発行されて、結局、今デフォルトを起こして、この人たちがどのぐらいの配当になるかわからないんですね。

 もっと言えば、日本の、ここからがちょっとしたというか大きい問題なのは、社債管理会社というのがあるんですってね、社債を発行するときには。社債管理会社が銀行が七行ですか、この七行の銀行は全部、一般債権の貸し主でもあるわけですね。社債を管理する仕事と、貸し主である仕事と、株主である仕事を全部やっているというんですよ。この九百億がどうも貸し主である銀行の債権回収に回ったんじゃないかという疑いが出ているというんですよ。そうすることは十二分にあり得ると僕は思いますよ、お金には色がついていませんから。

 事ほどさように、問題は、だからマイカルがもしマイカル債を発行するときにちゃんとした格付に基づいて、例えばそれは、百円のものが二十円だったら買う人もリスクをとって買っているわけだからいいわけですが、そうじゃないときに買った素人さんというか普通の人々は目も当てられないことになるわけですよ。

 だから、普通の市民にも被害が及ばないようにするためには、やはり最初は銀行の借り主に対する査定が厳格に行われるべきだ、それから第三者の格付の評価も受けるべきだ、社債の管理会社と貸し主はやはり別でないと利益相反行為を起こす、これはいろいろな教訓が生まれると思うんですけれども。かといって、社債を買ってなくした人はお金返ってきませんから、あるいは利息も入ってきませんから、大変なことになっているということなんですよ。この話知りませんか、大臣。

 私は、九月二十日に全国証券大会があって、柳澤大臣が来賓として行かれて、個人投資家を中心としたビジネスモデルの構築に努めてほしい、こう言われて、一人だけ法令違反を犯すやつがおれば業界全部がおかしくなるとおっしゃったから、これは多分このマイカル債のことを多少イメージしておっしゃったのかなと思っていたんです。御存じなかったですか、このマイカル債の問題。

柳澤国務大臣 私、記憶がよみがえりまして、大変恐縮でした。

 証券業大会に行きまして、私もそういう趣旨のあいさつをいたしたわけですけれども、そのときに、何か具体の事案が念頭にあってそういう表現をしたということでは実はございません。そういうことで、そういう事案を念頭に置いて、今仙谷委員が言われたように私が言ったというのは、ちょっと、大変恐縮ですが、誤解と申しますか、そういうことでございます。

 そこで、私、あえて申させていただきますと、結局、格付会社というのも、その後急激に落とすわけですね。四段階もある特定の会社の格付を落とすというようなことをやって、そのためにマイカルは資金繰りに窮して破綻をしてしまうわけですけれども、余り申しちゃいけないことかもしれませんけれども、マーケットの格付会社ももう少ししっかりやっていただければこういうことはなかったんじゃないかと、あえて申させていただきます。

仙谷委員 ちょっと話が飛び飛びになりますが、健全化の計画に基づいて例の公的資金を注入したところにフォローアップされていますね。私は、この中でどうしても納得できないことがあるんです。リストラ状況が、真剣にやっているかどうかという点は、これは各行いろいろあるでしょう。私も言いたいことはあるけれども、細かいことを言ってもしようがない。

 ただ、一つだけ、これは世の中に対しても大変大きい悪い影響をもたらしていると思うのは、役員に退職慰労金を出しているんですね、これは。つまり、国民から、さっきあなたがおっしゃったように、半分、実質借りたような格好にして、そういう部分があるわけでしょう、公的資金というのは。ところが、役員が退職するときに、あなたは功績がありましたから御苦労さんという、この退職慰労金を支給することを会社が決定し、取締役以上でしょうね、役員がもらっている、それを金融庁が認めている。ここが私は、大変なモラルハザードを起こしているんじゃないかと。何だ、だれが責任を持っているんだ、だれが責任をとっているんだ。

 後から申し上げるけれども、その銀行が、こんなにアメリカからも毎回言われるような、あるいはさっきも申し上げた、マスコミにも書かれるような事態でなければいいですよ。何なんだと、これは。この点はどうですか、金融庁。

柳澤国務大臣 これはオフレコでの会合の話ですから、私がこういうようなところでこれを申させていただくのはルール違反ということを、ある意味でそれを犯すという意識を持って申し上げざるを得ないのですけれども、この点については、私どもも、到底認められないということを申し伝えてはあります。

仙谷委員 これは、もし金融庁の御意思がそうだとすると、やはり公的資金を投入した銀行には、もう少し、役員、特にトップ層に対しては厳しい何らかの措置があってしかるべきなのではないですか。この役員の退職慰労金だけは私も認められない。これは返還請求でもしたいぐらいですね。つまり、株主代表訴訟を国に起こせと言いたいぐらいなんですよ。権利があるんだから、ちゃんと商法の規定に基づいて。

 ねたみややっかみで言っているんじゃないんですよ。つまり、本当に、ある雑誌で、この種の責任感覚のなさ、無責任さをリーダーたちが持っていることが日本の今の全社会的なモラルハザード、無責任体制になっているんじゃないか、なっているという議論が、極めてまじめな人が書いているんですよ。それが頭に残ってた、気になったのです。私もそう思う。これは絶対に許してはならない。

 これは総理、金融庁に命じて、具体的な何か措置をとってください。

小泉内閣総理大臣 仙谷委員の言うことはもっともだと私も思っております。

 柳澤大臣も、言葉を慎重に選んで、恐らく仙谷委員の持っておられる憂いを共有していると思います。それができないところに問題があるんじゃないかと。こういう甘い査定あるいは責任感のなさ、こういうことに対して、もっと厳しく企業責任、経営責任を持ってもらいたいと。これが行き届くように今柳澤大臣も真剣に検討しております。

 今後、まさにこの点につきましては、企業は人なりという言葉がありますけれども、経営は人なり、人がどうなんだという点も含めまして、今仙谷委員が言われた憤りの念、憂慮の念、これを今後の行政運営に対してどうやって生かして実効あるものにしていくか、懸命に努力をしていきたいと思います。

仙谷委員 特別検査について、ちょっと最後までやっておきます。

 特別検査をやられたら、これは当然のことながら、個別の引き当てをちゃんとなさるという前提で特別検査をやるのでしょうね。

柳澤国務大臣 特別検査の結果、破綻懸念先に区分されるべきだということになれば、当然これは個別引当金を積ませるということになります。

仙谷委員 いや、要注意先だったらどうですか。要注意先でも、今までは例えば三%とか二%の引き当てしかしなかったものを、やはり五%とか一五%すべきだという意見がありますよね。各銀行のその種の社内格付を、ランクをちゃんとせよみたいなことを金融庁が言って、多いところは十何ランクあるところがあるじゃないですか。だから、それだけつくるということは、引き当ても、個別引き当てを相当数つくる、やる。特別検査をやるということは、そういう個別引き当てをやる、商法の原則に返って、あるいは、企業会計原則に返って個別引き当てをやる。資本をそのことによって少々毀損しても、その指導をするということでなければ私は意味がないと思いますけれども、いかがですか。

柳澤国務大臣 法律の専門家であられる仙谷委員から、返済が不可能になるおそれがある先については債権の保全という考え方のもとでの引き当て、つまり個別引き当てをするようにと、この商法の規定をどう読むかという問題なんです。

 私どもは、要注意先というのは、別に、債権の返済に重大なおそれがあるというふうには読めない債権が要注意先債権ではないか。したがって、要注意先債権、要管理を含めてですけれども、要注意先債権までは一般貸倒引当金で対処すべきものだ、このように考えておりまして、ただ、そうは言い条、要注意先の行内格付において、マーケットの状況をよく酌み取ったような引き当てというものが実現されて、そして、それはほかのものとひっくるめて一般貸倒引当金ということで会計上は処理されるんですけれども、その積算の過程で、そういった引き当てが充実されるような、結果を招来するような格付というか、そういうものを工夫するようにとは申しておりますけれども、私どもは、要注意先債権の引き当てというのは一般貸倒引当金の世界ではないか、このように考えております。

仙谷委員 柳澤さんがその方針を明確に変えたということをマーケットにメッセージを送らない限り、さっき言った、総理の言ったマーケットの大臣に対する信認回復は多分ないと僕は思いますよ、今聞こえてきている声は。

 時間がもうほとんどございませんで、わざわざお呼びして発言を求めなくて申しわけなかったのですが、日銀総裁、速水さん、今の日本の金融問題というか、金融危機とかいろいろ書かれておりますけれども、総裁からごらんになっておって、各金融機関、これに対しては、本当は日銀としてはどういうふうに希望として考えているんですか。つまり、じゃぶじゃぶにお金を出しているけれども、余り使ってくれない、国債ばかり買っているというのも一方にございますよね。一方には、マーケットからは何か怪しげな、怪しげなと言うとおかしいけれども、攻撃的な声が随分ある。どういうふうにごらんになりますか。

速水参考人 先ほどからのお話を伺っておりまして、私も九八年のころからずっと総裁をしておりますから、ずっと見ておったつもりでございます。九八年の当時に比べますと、大手銀行、特に公的資本の投入もありましたし、資本基盤が増強されまして、現状では金融システムの安定というのはあのころよりはずっとよくなっていると思うのです。

 ただ問題は、そこへ加えて今度小泉内閣での構造改革で、先行プロジェクト、あるいは工程表の中であれだけのことが書かれてきて、真っ先にやるということになっているわけですから、その点私は非常に、これからさらによくなっていくだろうというふうに思っております。

 しかし、これは銀行というのはやはり信用問題でありまして、ただ法律だけであるいは行政だけで押さえているものじゃないので、お客さんはみんな世界じゅうの預金者であり借入人であるわけですから、その銀行自身の経営に、やはり信頼されなければ敗者になってしまうんですから、そこのところはこれからが戦いだと思うんですね。

 私は、九八年のときに一番強く言われましたのは、グリーンスパンなんかが盛んに教えてくれましたのは、銀行に今不良貸し出し、大事なことは三つあると。

 一つは、やはりバランスシートから、悪いのは落としていけと。それから二つ目は、資本金ですね、資本金でもコアキャピタル、本当に償却に使えるキャピタルをふやしなさいというもの。ただ一一%、二〇%でなくて、コアになり得るキャピタルをふやしていきなさいよと。それから三つ目が、不良貸し出しでなくても、要注意で、不良貸し出しにどんどん入っていくのがあるんだから、その辺のところをよく判断して、育てるなり、仕方がなければ破綻するなり合併させるなり、その判断を早くするように指導しなさいよというようなことを教えてくれました。

 まさにそのとおり、今これからやるべきことはそのことだと思うんですね。それは、やはり自己査定であり、自己検査であり、その辺の、自分が自分の経営をしっかりやっていくということが一番大切だと思うんです。それができなければ敗者になるんです。そのことだけを言わせていただきます。

野呂田委員長 次回は、明五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.