衆議院

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第2号 平成13年10月5日(金曜日)

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平成十三年十月五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 坂井 隆憲君

   理事 自見庄三郎君 理事 城島 正光君

   理事 仙谷 由人君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    池田 行彦君

      石川 要三君    大原 一三君

      奥谷  通君    梶山 弘志君

      亀井 善之君    倉田 雅年君

      栗原 博久君    谷川 和穗君

      津島 雄二君    中山 成彬君

      中山 正暉君    丹羽 雄哉君

      葉梨 信行君    萩野 浩基君

      蓮実  進君    三塚  博君

      宮本 一三君    森岡 正宏君

      八代 英太君    五十嵐文彦君

      井上 和雄君    岩國 哲人君

      大谷 信盛君    北橋 健治君

      小泉 俊明君    五島 正規君

      首藤 信彦君    手塚 仁雄君

      野田 佳彦君    古川 元久君

      松本 剛明君    山口  壯君

      横路 孝弘君    白保 台一君

      若松 謙維君    達増 拓也君

      中井  洽君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    矢島 恒夫君

      山口 富男君    辻元 清美君

      横光 克彦君    井上 喜一君

      宇田川芳雄君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         片山虎之助君

   法務大臣         森山 眞弓君

   外務大臣         田中眞紀子君

   財務大臣         塩川正十郎君

   文部科学大臣       遠山 敦子君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       武部  勤君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国土交通大臣       扇  千景君

   環境大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     村井  仁君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)

   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   防衛庁副長官       萩山 教嚴君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   外務副大臣        植竹 繁雄君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   文部科学副大臣      青山  丘君

   文部科学副大臣      岸田 文雄君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣      南野知惠子君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   内閣府大臣政務官     阪上 善秀君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   防衛庁長官政務官     平沢 勝栄君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   環境大臣政務官      西野あきら君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    津野  修君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  松田  昇君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月五日

 辞任         補欠選任

  奥野 誠亮君     森岡 正宏君

  亀井 善之君     奥谷  通君

  高鳥  修君     梶山 弘志君

  岩國 哲人君     井上 和雄君

  北橋 健治君     大谷 信盛君

  古川 元久君     手塚 仁雄君

  山口 富男君     矢島 恒夫君

同日

 辞任         補欠選任

  奥谷  通君     亀井 善之君

  梶山 弘志君     倉田 雅年君

  森岡 正宏君     奥野 誠亮君

  井上 和雄君     岩國 哲人君

  大谷 信盛君     小泉 俊明君

  手塚 仁雄君     古川 元久君

  矢島 恒夫君     山口 富男君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     高鳥  修君

  小泉 俊明君     北橋 健治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件




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     ――――◇―――――

野呂田委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 それでは、基本的質疑を行います。

 この際、昨日の菅君の質疑に関連し、昨日に引き続き、仙谷由人君から質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。仙谷由人君。

仙谷委員 おはようございます。昨日に引き続いて、金融の問題を中心にお話を伺いたいと思います。

 きょう新聞を朝見ましたら、やはりテロ対応問題の記事が一面の方からは多いわけでありますが、日本経済あるいは金融の実態について、非常に深刻な問題が相当数記事として書かれております。

 きょうは、例えば元大蔵省の副財務官の伊藤隆敏さん、一橋大学の教授でございますが、ほか七名の教授の方々でございましたか、このままでは九七年、九八年の金融危機の再発になるということを、アピールを発表された。さらにもう一つは、与党がRCCの債権の買い取りについて時価でいくんだという決定をされた。ついに往生したか、まだ往生していないな、こう思っておるんですが、その記事。さらには、新生銀行への業務改善命令。

 この新生銀行への業務改善命令は、実はことしの夏ごろからそういう問題が提起をされておりまして、私もこの質問前に、この新生銀行による融資先からの貸しはがしは、実は昨日問題にしました瑕疵担保履行あるいは瑕疵担保特約が貸しはがしのインセンティブを与えている。したがって、一方で瑕疵担保特約を結んで、一方で貸倒引当金を積んだ、貸倒引当金が、私がようやくのことで聞き出した金額としましても、九千八百億ぐらいでございましたか、非常に巨額なものを積んでおるというところにまさに問題がある。

 つまり、新生銀行は、融資先をいわば追い込んで、そして彼らから返してもらえなければその方がいい、あるいは肩がわりを迫って肩がわりをどっかの銀行なり他の企業がやれば貸倒引当金の丸もうけ、こういうインセンティブが瑕疵担保特約で与えられている、そもそもが間違いだったということを指摘したわけであります。

 この質問の前に、貸倒引当金を積んだ件数と、そしてこれを新生銀行がどのぐらい回収したのか、貸倒引当金の丸もうけがどのぐらいあるのか、資料を出せと金融庁に要求をしました。そんなことはわからないというのが金融庁の答えだったわけでございます。私は非常にこの辺にも、公的資金を七兆数千億出した上に現在も三分の一の株主である国がというか、その監督をする金融庁がこういう態度では新生銀行を一方的に非難したところで始まらない、そういうふうになってしまうんじゃないかという危惧を抱いております。きょうは時間がございませんので質問いたしませんが、私は心していただきたいと思います。

 それからもう一つ、昨日も提起しましたマイカル債。マイカル債を首都圏新都市鉄道というのが百十億円買っていた、これが回収不能になっているという記事が出ています。これは二つ問題があると思います。

 一つは、依然としてマイカルという融資先に対する銀行の査定が甘い。だから格付がおかしくなる。だからこんな公的な第三セクターでもマイカル債を買ってずっと持ち続けて大損をする。大損は住民の、国民の負担になる。こういうことが一つでございます。

 もう一つは、これはきょう問題にいたします銀行等保有株式取得機構との関係もございますけれども、要するにお役人に運用を任せるとどうなるかということの見本のような事例であります。つまり、資金運用を二年とか三年とか五年とか、責任者がたびたびかわるような機構、あるいはどこに責任主体があるのかわからないような組織の中で巨額の資金運用を行った場合にどうなるのか、だれが責任をとるのかという点について、これまた本日の銀行等保有株式取得機構との関係で問題になります。

 そしてもう一点は、東京商銀の問題です。これは、東京商銀あるいは朝銀系信組の問題はかねてからいろいろなうわさが流れておりまして、民主党は、三年ぐらい前からでしょうか、上田清司代議士を中心に財政金融委員会では特にこの問題を提起してきたところでございます。しかし、どんどんとこういうことが起こってくるということであります。手の施しようがないような事態になっているというのが実態のようであります。これまた金融庁の金融行政、とりわけこの三年間の金融行政が改めて総括されなければならないと私は思います。

 そういう前提で、RCCの債権の時価買い取り問題についてお伺いをします。

 きょうは、昨日お伺いしなかったのでまことに申しわけなかったのですが、預金保険機構の松田理事長においでいただいておりますので、松田理事長の方からまずお話を伺いたいと思います。

 今、RCCの機能強化あるいは機能の拡充というふうなことが一方で提起され、一方では、金融再生法五十六条でございましたか、この五十六条に基づく買い取りについて、価格の弾力化というふうなことが与党の方から提起をされているようであります。私は、甚だ不可思議なことをおっしゃる方々がいるものだなと。

 といいますのは、RCCに銀行業務ができるように銀行免許を与え、あるいは、わざわざRCCをつくるときに五十三条、五十六条という、健全銀行、一般銀行からも債権の買い取りができるようにしてくれとおっしゃるものだから、そうしましょうと、ちゃんとできるようにセットしてある。

 ところが、今になってみると、これではRCCが機能しないというようなことまで言われて、どんどんRCCに対するある種の攻撃がなされると同時に、今、機能の強化とか買い取り価格の弾力化、こういう議論が行われておる。

 松田理事長、実態はどういう実態であったのか、なぜそうなのかということについてお答えください。

松田参考人 お答えをいたします。

 私、現場の人間でございますので、これまでやってまいりました一般行からの不良債権の買い取りの実情についてお話をさせていただきます。

 先生御指摘のとおりでございますが、一般行からの不良資産の買い取りにつきましては、預金保険機構が申し込みを受けて、価格を決めて、総理大臣の承認をとって、その後にRCCに買い取り及び回収を委託する、こういう仕組みになっております。

 そこで、預金保険機構としましては、金融再生法ができましてから、五十六条の、先ほど先生御指摘の、当該資産が回収不能となる危険性等を勘案して適正に定められたものでなければいけないという価格についての条文、それから、立法時、平成十年の十月二日の衆議院における提案者の御説明の中に、この五十六条を置くことによりまして、時価よりさらに低い、預金保険機構が損を出さない、そういう値段で買い取ることになりますという御説明、こういうものを踏まえまして、当機構ではこれまで、買い取り債権の一件一件につきまして、損失が出ないよう厳正に買い取り価格を算定した経緯にございます。

 なお、当機構では、算定の恣意性を排除して公正性を担保するために、外部の有識者から成る買取価格審査会を設けて、そのチェックを受け、さらに内閣総理大臣の承認を得て買い取りを行ってきた、こういう実情でございます。

仙谷委員 そうすると、今、国民の負担にならないように、損が出ないように、回収の危険性がない程度の価格で買っておる、これは総理大臣の決裁で買っておるとおっしゃっているわけだ。

 ところが、これが安過ぎるとかRCCはけしからぬみたいな議論があるわけでありますけれども、理事長の方からごらんになって、何かそういうことはあるんですか。安く買いたたくとか、足元を見てとんでもない価格で買いたたくとか、そういうことをやっているんですか、RCCは。

松田参考人 先ほどお答えしましたとおり、そういう預金保険機構として損を出さない価格で買い取るという原則を守りながら買い取っているわけでございまして、そうしますと、普通の民間サービサーでは買い取れないような種類の暴力団絡みの不良債権とか、そういうものが入ってまいりますので、そういうものを主に買ってきた、こういうことでございます。

仙谷委員 不良債権の買い取りというのは、あるいは売却というのは、不良債権市場みたいなものがそろそろ生まれておるのですね。そのために、サービサー法をつくったりSPC法をつくったり、いろいろなことをやったんじゃないですか。

 総理、この不良債権買い取りについて、何か公的な資金をRCCに入れ込んでまでRCCに銀行から大量に引き取らせるというふうな話は、民間ができることを民間にやらせるんじゃなくて、国がやってあげましょう、こういう話になるんですよね、一方では。そこまで危機が深まっておるというのであれば、そうおっしゃって、つまり銀行の資本不足という危機ですよ、それならばもうちょっとオーソドックスなことでやらないと、こういうことをやるのは、私は、まことにこそくで、小手先で、先送りでということにならざるを得ない、そういう結論を持っておるのですね。

 これは、改革工程表の中にも出てきますね。竹中大臣、あなたのそもそも今まで言われてきたことからして、簿価で買い取るという話が最初は出てきた。極めてでたらめな話。特に、きのうもるる説明したように、資産査定がでたらめな上に、それの簿価で買い取るというふうなことがまかり通ったら、どうなるんですか。

 つまり、適正な価格で買い取っているという松田理事長のお言葉を信用するとすれば、価格の弾力化をせよという話は、もっと高い値段で、RCCが損をするような価格で買い取らなきゃいけないということを意味するんじゃないんですか。そうでしょう。

 竹中大臣、RCC機能強化拡充、これについて、こんなものを構造改革の中身に入れる、マーケットフレンドリーであるべき構造改革路線が、マーケットにさおを差して介入してこんなことをやろうとするのは、あなたはどう考えているんですか、本当に。正気で考えているんですか、これでもいいと。

竹中国務大臣 仙谷委員のRCCの買い取り価格の話でありますけれども、簿価で買い取るなどという議論を我々はしたことは一度もありません。かつ、これはそういうことはあり得ないということは総理の答弁でも何回か出ていることだと思います。

 基本的には、今の不良債権問題を解決に向かわしめるためには、資産査定をより厳密にするということと、それ以降の企業の再生を速やかにする、この二つをやはり強化しなければいけない。その強化の方向を今回柳澤大臣のリーダーシップで新たに織り込んだ。その具体的な制度設計については、確かにまだ詰めなければいけないことはたくさんありますけれども、今御指摘になったような、簿価で買い取るというようなことを議論したことは一度もありません。

仙谷委員 不良債権の価格を、では、時価で買い取るとしましょう。だれが決めるんですか、値段。つまり、不良債権であっても、売り方と買い方がおるということは、売る方はできるだけ高く売りたいんですよ、買う方はできるだけ安く買いたいんですよ。当たり前じゃないですか。市場で出合ってそこで価格が決まるんでしょう。ましてや民間の市場まであるわけだ。

 なぜRCCに何兆円もの金をぶち込んで、政府が保証してわざわざ買い取らせようとするのですか。今までのままでいいじゃないですか。RCCが、これはこのぐらいの価格で買い取れば採算がとれると思ったら、RCCが買えばいいだけの話じゃないですか。特段の、今RCCの機能強化、例えばプロを、本当の資金運用のプロとか、債権売却のプロとか、売却をするための証券化のプロとか、あるいは営業のプロとかを入れ込んで強化をするという話はあり得ますよ。だけれども、買い取り価格の弾力化をするために時価という名の簿価を、簿価で買い取らせるために金をつぎ込むなんという話はあり得てはならない。

 これは総理、総理は、何か先般の参議院のところで、いやいや、あれは議員立法でやるからいいんだみたいなことをおっしゃったみたいなことを私ちょこっと聞きましたけれども、構造改革路線そのものなんですよ。マーケットとの関係なんですよ。マーケットに政府が介入するのかしないのか、そういう問題なんですよ、基本は。どうですか、総理。こんなものやめさせてください。あなたに聞いていない。

柳澤国務大臣 仙谷委員の方から簿価という名の時価というように、何か何とか簿価に持っていけないかというような傾きの質問がありましたけれども、そういうことは、今竹中大臣も言われたように、全く考えておりません。

 時価とは何かということでございますけれども、時価というのは、やはりRCCがもしそういう立場に立てば、そんないいかげんな金で入札するなんということは、仮に入札に参加する場合でもあり得ないわけです。もしキャッシュフローがあれば、それをディスカウントして現在価値に直したものになるでしょうし、またキャッシュフローがないものについては、担保価値ということで担保を厳正に査定した上で、それが自分たちの考える時価である、そういうちゃんとした基礎を持って入札あるいは何らかの相対の取引等に参加していくということが当然考えられると私は考えます。

 具体の問題は、これからもっと詰めなければいけないという考え方を私どもしておりまして、それについていろいろ御意見をおっしゃるのは我々も参考にさせていただきたい、こう思います。

 今のRCCがどうかといったら、一年二回、それでどうぞお持ちくださいというような形でやっておって、それもその取引価格というのは、今までの仙谷委員が御指摘になられたような法の運用として、もう超保守主義の価額で絶対に損失が生まれないようにということでの実は買い入れをしておるということでして、これではやはりちょっと動きがとれないというところから弾力化というものを図ろうということに尽きるわけでございます。

仙谷委員 入札に参加するのは自由でございますけれども、それから、私が先ほど申し上げたような意味での強化はこれはやらなければならないかもわからぬけれども、私はきのうから申し上げているように、金融庁が資産査定をどれだけ甘くしてきたか。

 では、今度の要注意債権を、キャッシュフローはこのぐらいある、経営改善計画が出た。経営改善計画が出て債権放棄を認めたような会社が今どんな状態になっていますか。全部そういう債権を、もしあなたがおっしゃるようなゆるゆるの資産査定に基づくようなものをRCCが買い取らされたら、結局は売れもしない、損を抱え込んだままパークとか飛ばしとかという十年前の同じことになるじゃないですか。だから私は言っているんですよ。そういう傾向が今までなかったのならば何にも言わないんですよ。あったじゃないですか。もうちょっと聞きましょうか。

 資産運用の話と銀行等保有株式取得機構の話に入りますが、簡保、簡易保険福祉事業団、いらっしゃっていますか。どのぐらいの今含み損を出していますか。

片山国務大臣 委員御承知のように、簡保の資金運用につきましては、計画に基づきましていろいろやっておりますが、その中に指定単というのが御承知のようにありまして、簡保事業団を通じて信託銀行に運用を委託してやっておりますが、これにつきましては約三兆の評価損でございます。

仙谷委員 年金福祉事業団はどうですか。どのぐらい損を出していますか。

坂口国務大臣 約一兆七千億、その中で株式のものが約四千億でございます。

仙谷委員 例えば、大手行を中心に公的資金を注入して優先株を取得しています。これはどのぐらいの含み損が出ていますか、金融庁。

柳澤国務大臣 まだ転換時期の来ていないものが大部分という状況でございますので、今この段階でそういう議論をするというのは適切でもないし、また我々はそれは困難ということを申させていただきます。

仙谷委員 民間のシンクタンクが調べると、八月末の株価で八千億、こういう話ですね。四兆数千億投入したものが八千億。九月末であればどうなるのか。もっと一割ぐらいはふえているでしょう、株価から連動して考えると。

 要するに、株とか国債という、国債でもリスクがある、責任のとれない人に公的な資金の運用を任せるということはそういうことなんだというところから出発しなきゃいけないんじゃないですか。

 銀行等保有株式取得機構を設立するというのが改革工程表にもプログラムに入っています。これは、小泉さんが総理大臣になる前の緊急経済対策の中で、三月末の決算期を控えた株価がどんどん下がっていく、そのことに対する対応として出てきたわけですよね。株価が下がることによって銀行の体力がますます落ちる、何とかしなきゃいかぬと。

 しかし、考えてみましたら、銀行が保有する事業会社の株式の売却制限、売却禁止というのは、実は一九九二年の八月の十八日の株価暴落から始まっているんですよね、銀行局長通達。ここから日本のPKOが本格的に始まったと世間では、マーケットでは言われているんです。そして、重ね重ねのPKOで、今お伺いしましたように、簡保、年福、全部含み損を抱えるようになった。これはPKOのある意味では成果なんですよ。結果なんですよ。

 こんな、マーケットへ介入をして、株価低落を防ぐというふうな手法がどこまで持続するのか、どういう結果をもたらすかということは竹中先生であればよくわかるでしょう。僕は、改革工程表の中に銀行等保有株式取得機構というのが入っているのが理解できない。

 つまり、銀行の資産というのを見てくださいよ。テレビを見てごらんになる国民は、銀行の資産というのは預金であり現金であるというふうにぱっとイメージされるのかもわからぬけれども、ちょっと商売をされて貸借対照表を見ている人はわかる。銀行は、預金は負債であって、つまり借金であって、資産は、人に貸した貸付金と大手行でいえば四十三兆円の株式、七十数兆円の国債、この三つが銀行の資産でしょう。

 その一つの債権の買い取り価格を弾力化せよ。公的資金によってカバーせよ。次は株式だ。保有株式を銀行が益出しや持ち合い解消でマーケットに出すと株価が崩落するから、これも国がそういうふうにならないようにカバーせよ。国民の負担でカバーせよ。じゃ、次はどうなるんですか。七十三兆円持っている国債を、国債保有機構をつくらなきゃいけないじゃないですか、その論理でいけば。

 そういう手法はもうだめなんだ、グローバライズしたマーケットの中ではだめなんだということを、竹中さん、あなたは言い続けてきたんじゃないんですか。何でこんなものが改革工程表の中に入るんですか。私は本当にわからない。これは小泉さんに聞きたいけれども、どうですか、竹中先生。

竹中国務大臣 私がかねてから大学で言ってきたことを先生に言っていただきまして大変ありがたく思っておりますが、基本的には、今先生が説明されたことは、やはり少し説明の仕方が私は違っておられたように思います。

 どういうことかといいますと、まず買い取り価格の弾力化ですけれども、基本的にはマーケットの価格でやはり買い取りたいわけです。ところが、マーケットが成熟していない段階ではそれが常にバイアスがかかる可能性がある。マーケットが小さ過ぎるんです、今。それを今どこかまだ見定めかねている状況で、弾力的にまさにマーケットの価格の行き先を見定めるような価格に持っていこうというのが今回の趣旨です。

 もう一点。買い取り機構の話でありますけれども、銀行が持っている株式を無条件で政府が買い取って救済するというのであれば先生がおっしゃるとおりになりますけれども、それは全く趣旨が違っていると思います。

 そもそも、株価の変動によって銀行の収益が影響を受けて、それが金融に影響するという今のメカニズムそのものに究極的な問題がある。したがって、御承知のように、アメリカでは銀行は株式所有を認められておりません。そういう形に長期的に持っていかなければいけない。その過程において株価の変動を緩和するためには、やはり激変の緩和の措置がどうしても今のマーケットをとらえると必要になってくる。

 その意味では、銀行を救済するために行っているのでは全くなくて、市場メカニズムに持っていくための過渡的な措置であるというふうに御理解いただきたいと思います。

仙谷委員 過渡的な措置を繰り返して十数年、このざまは何ですか。もうちょっと竹中先生も、原理的に正しいことを言われておったんだからそれを貫かないと。ぽろぽろぽろぽろ原則を曲げるからこうなるんじゃないですか。

 私は、この種のやり方、つまり債権買い取りのためのRCCの機能強化と称する公的資金の投入、これだったら、銀行の株式評価をちゃんとして、新たに公的資金をつぎ込めばいいじゃないですか。なぜそれができないのか。過少資本、資本不足をあらわにしたくない、経営者の責任を問わないようにしよう、それがまず金融庁の前提にあるんじゃないですか。だからこんなこそくな手段が出てくるんですよ。

 私は、金融再生法、金融健全化法をやっているときにいろいろな人から言われました。もうそろそろ正し過ぎることを言うのはやめろ、あなたみたいに経営者の責任を問うなんということを言い出したら、だれも手を挙げて公的資金の注入なんか受けなくなる、ええかげんなところでいかないとだめなんだ、生きた経済は。生きた経済を維持すると称したことが、この十年間あるいは三年間でどうなっているんですか。私は、もう今は、そんな生きた経済を知ったかぶりの人は、結局は現状維持なんですよ。改革なんかする気がないんですよ。その場しのぎ、先送りなんですよ。

 だから、足利銀行に対しても、金融庁は議決権行使しないとあらかじめちゃんと言ってある。私は、こういうやり方は、総理、やめなきゃいかぬ。総理の命令で、この銀行保有株式取得機構、やめさせてください。それから、総理の意向として議員立法でRCCの弾力化とかなんとか、そんなことは行政の方でできる話なんですよ。金をつぎ込むなんということをやめてください。どうですか。

小泉内閣総理大臣 今の仙谷委員のお話をずっと聞いておりますと、なかなか両論があって難しい状況はよくわかってくると思うんです。

 不良債権、このままじゃちっとも進まないぞ、何とかしろという一方では声がある。市場機能がよく働いていない、その市場機能をうまく働かせるのが政府の役割じゃないか、もうちょっと行政介入したらどうか、税金投入したらどうかという一方の議論。そうではなくて、やはり原則、市場経済に任せてやれと。そうするとちっとも進まない。

 今のRCCにしても、そんな買いたたくんだったら売り手が出ないよ、何とかしろということで、もうちょっと買い取れるような弾力性、一つ一つ債権を見るよりも、かなり量的に、一つは低いけれども、もう一方は高い、もうちょっと弾力的に考えたらどうかという意見。いろいろな意見が出てきているんです。

 今も、民主党の議員の中でも割れているでしょう。もっと早く、何を、不良債権を進めてやるんだという議論が、必ず同じ政党内にいろいろな議論があるんですよ。そういう点を考えて、私は、ちょっと議員立法でやるなんて話をしたのは、これは、政府として整理回収機構の問題をまた改めて提案し直すというのは、今までの議論の整合性から考えて無理じゃないか。もし、どうしても国会がやりたいというんだったら、議員立法の案も一つの手だよということを言ったまでであって、そういう今の、原則として市場経済を重視しなきゃならないということは事実であります。その市場経済をうまく機能させるために、例外的に行政介入あるいは税金投入、これをどの程度認めるかという議論だと思うのであります。

 これは非常に技術的で専門的な意見で、私より柳澤担当大臣、非常に両論があって苦労されているところであります。もっと詳しいことは柳澤担当大臣、またお願いします。

仙谷委員 終わります。(柳澤国務大臣「一言だけ」と呼ぶ)

野呂田委員長 時間が来ましたので、ちょっと、後、迷惑しますから。

 この際、横路孝弘君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。横路孝弘君。

横路委員 本日は、九月十一日起きましたアメリカにおける同時多発テロに対する、我が国政府の協力という点に絞って議論をさせていただきたい、このように思っております。

 今回のテロは、本当に想像を絶する、テロリストによる残虐非道な行為だということで、本当に深い悲しみと大きな憤りでいっぱいでございます。亡くなられた方々に哀悼の意を心から表したいと思いますし、また、関係する多くの皆さんに心からお見舞いを申し上げたい、このように思います。

 このテロについてこれから議論をしていくわけでございますが、その前に一言、昨日、ロシアのシベリア航空の飛行機が黒海で墜落をした。これもテロによるのではないかとか、あるいはウクライナの軍隊の演習の誤射じゃないかと、いろいろと報道されているところでございますが、今の情報で、この問題、どんなことになっておられるのか、まずちょっと御報告をいただきたいと思います。

田中国務大臣 御報告いたします。

 昨日、四日、日本時間の十八時三十五分、場所はロシアのソチ南西百八十五キロメートルで、シベリア航空でございますが、イスラエルからシベリアに向かいます飛行機が黒海上に墜落をいたしました。

 そして、外国の通信社は、これはウクライナ軍が演習中に誤爆したと報道いたしております。ところが、プーチン大統領は、ブレア英国首相との共同会見の場におきまして、ウクライナによる誤爆ではないと考える旨の発言をなさっております。

 いずれにいたしましても、現在さまざまなルートで事実関係を調査中でございます。

横路委員 テロであるとすれば、これは本当にやはり国際的な協力で、テロ全体をどうやってなくしていくのかということに我々努めていかなければいけない、このように思いますが、今回のテロは、その手段、方法、そしてまた被害の大きさ、たくさんの人が亡くなったという犠牲者、そしてまたアメリカにとっては首都ワシントン、金融の中心のニューヨークという場所など考えますと、アメリカがこれを戦争だと受けとめて報復だと言うそういう気持ちも私も理解できないわけではありません。しかし、基本的には、やはりテロだというように私は考えます。

 ただ、このテロは、個人によって行われたテロではなくて、極めて政治性の高い集団的かつ組織的なテロであるということだと思うんですね。したがって、国際社会として何をしなければいけないか、何よりまず犯人、そしてそのテロ組織というものを特定して、それを逮捕して、裁判にかけて処罰をする。同時に、そのテロ組織そのもの、これは国際的にかなり国をまたがって存在しているかもしれないと指摘もございます。このテロ組織そのものを解体していく、そして中長期的にはテロが生まれてくる構造というものをどうやってなくしていくのかということだろうというように思いますが、総理大臣、今回のテロを受けとめて、私はこのように考えますが、いかが総理大臣として受けとめておられますか。

小泉内閣総理大臣 今回のテロは、だれもが想像し得なかったこと、また信じられないようなことが現実として起こったわけであります。そこで、長期的にはテロが発生する根本理由にもっと目を向けろという意見は、私も理解できます。これには中東の和平問題があるんじゃないか、あるいは貧困の問題があるんじゃないか、いろいろ議論はされております。

 しかし、現実にこのテロに立ち向かうためには何が有効かということで、今米国が、これはみずからの国に対する攻撃だと受けとめて、これに対しては断固として、あらゆる手段を講じてこのテロ根絶のためにテロリストたちと闘わなきゃいかぬと。これに対して、今国際社会が一致協力して、テロ根絶のために、あるいはテロ防止のために一緒に立ち向かっていこう、積極的に取り組んでいこうということで、日本としても今、新しい法律を制定して、できるだけ国際社会の一員としてこのテロ根絶のために立ち上がろうということで取り組まなきゃならないという認識を持っております。

 しかし、この闘いは、まずテロリストを特定する、そして、これはどういう組織なのか、あるいはどういう政権が関与しているのか、あるいは背後にどういう国があるんだろうかというのは、非常に、突きとめるまでには困難な作業、また忍耐強い長期的な対応が必要だと思っております。

 こういう状況に直面しまして、私どもとしては、テロ根絶のために国際社会と協力して一緒に立ち向かうということに対して、毅然とした態度でこの問題に立ち向かい、そして米国とも協力していく、そして国際社会とも協力していくという立場で、このテロ根絶のために立ち向かっていく。その際、アメリカ初め関係諸国、NATO諸国は、このテロ根絶のためには武力行使も辞さないという決意を明確に表明しております。

 しかし、日本としては、テロ根絶のためには毅然として取り組む、できるだけの支援協力態勢をとる、しかし、武力行使はしませんということも表明しているわけです。ですから、外交努力もある、あるいは経済面の努力がある、難民支援の努力もある、いろいろ協力方法はあるわけであります。そういうための協力は惜しんではならない。日本としても国力に応じて、国情に応じてできるだけのテロ根絶、防止に向けて積極的な取り組みをしたいというのが、現在、小泉内閣、日本政府の考え方でございます。

横路委員 今総理も言われましたように、これはやはり国際的な協力が必要だと思うんですね。アメリカが当事国ですから主導権をとってというのもわからないわけではありません。しかし、やはり国連を中心にしてどういう国際協力をしていくのかということが大事だと思いますが、これは後でまた議論をいたしたいというように思います。

 アメリカはこの事件が発生して以来、外交努力も大変積み重ねてきました。軍事的な手段も選択肢を非常に広くして、そしてアメリカ政府部内でいろいろと議論もしてきたというように思うんですね。

 その議論の中で、ウサマ・ビンラディン、それからアルカイダ、こういう犯人グループ、組織。アメリカの軍事行動の目標というのは何かということなんですけれども、やはり、これを逮捕して裁判にかけるというのが非常に大きな目標でしょう。同時に、タリバン政権、これをどうするのかということもアメリカ国内でいろいろと議論されています。中には、テロ支援国家としてイラクもこの際攻撃するというような意見もアメリカの中であったようでございますが、今はそれは少し小さな声になっているようであります。

 これから米軍はどういう行動をするかということはわからないわけでありますけれども、小泉総理は、米軍の行動に対して自衛隊が協力するということで、新法をきょう閣議で決定されたというように聞いていますが、米軍のその行動というのはこれからなわけですけれども、あらゆる行動、どんな行動をも支持するということなんでしょうか。あるいは、米軍の行動、これはまだこれから、内容はよくわかりませんが、いろいろな問題点もあると思うんですね。国際世論の中では、例えばアフガンの市民へ大きな被害が出るということは何とか避けてほしいというような声もあります。この辺のところをどのように総理はお考えでしょうか。

小泉内閣総理大臣 現在、米軍が、米国がこのテロ根絶のためにどういう具体的行動をとるかということについては、まだ明らかにはなっておりません。ともかく、米軍も米国も、あらゆる手段を講じてテロ根絶のために、防止のために闘うと宣言しております。

 しかしながら、私とブッシュ大統領との会談を通じましても、あるいは他の首脳との意見交換を私が伺って感じた点についても、ブッシュ大統領は非常に冷静です、慎重です。長期的闘いになることを覚悟しなきゃならないという点から考えますと、私どももこの問題については、米軍がどういう行動をとるかわかりませんが、日本としても、憲法の範囲内でできるだけの支援協力態勢をとることが国際社会の一員として責任を果たすことになるのではないか。テロ根絶、テロ防止のために日本がいかに取り組むか。米軍のとる態度、各国のとる態度、そういうようなものを勘案しながら、日本として主体的に取り組んでいかなきゃならないと思っております。

横路委員 アメリカは、総理が言われるように、大変慎重に、外交を含めた選択肢、どういう選択をするかということを検討されているというように思います。

 国際世論の中でもいろいろな心配する声がありまして、それは例えば、カブールへの空爆でありますとかいうようなことをしますと、それでなくてもアフガニスタンの国民というのも、一九七九年、ソ連がアフガンに侵略して以来、撤退した後も内戦が続くという戦争の状態の中にありまして、インフラももうほとんど破壊されている。道路だとか水道だとか電気だとかいうのも大変厳しい状況にある。ここで大規模な地上戦とか空爆とかということになりますと、多くのアフガンの人々が難民化して、これはもう本当に大変なことにかえってなってしまうという点は、アメリカの国内でも十分考えておられると思います。

 ブッシュ大統領の発言も、別に自分たちはアフガンを占領するわけではない、国家建設まで進む気持ちはないと。ただ、この辺になりますと、最近また少しいろいろと揺れがあるようでございますけれども、そういう状況であります。

 私は、これからの行動というのは、実際とってみなければわかりませんけれども、多分、犯人一族を逮捕するというところに絞った、かなり絞られた行動になるだろうというように思います。そうすると、自衛隊の役割というのは一体何があるんだということになるわけですね、インド洋まで派遣してやる自衛隊。一体、どんな部隊がどんな目的を持ってこの協力をするというようにお考えになっておられるのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私は、日本の持てる機能をできるだけ活用して、テロ根絶のために責任を果たしたいと思っております。日本の持てる機能、能力、自衛隊も重要な日本の財産であります。機能、装備、能力、すばらしい面があると思います。一般、民間ではない、一般関係省庁、自衛隊以外の省庁ではない能力を持っている。その際に、国際社会が打って一丸となってテロ根絶のために闘う。自衛隊の持てる能力を発揮できる場ならば、私は出すのが当然ではないかと思っております。

横路委員 小泉総理は、この事件が起きた後、七項目の基本的な方針を決められて、それに基づいて本日閣議決定された新法というものをつくられ、国会に提出をするということになったわけでございますが、この点についてちょっとお尋ねをしたいと思うんです。

 まず、協力というその範囲の中で、どんな分野のどんな協力をするつもりなのか、する予定なのか。

小泉内閣総理大臣 足らざるところは防衛庁長官に後ほど答弁いただきますが、私は、自衛隊の活躍する分野というのは、武力行使をしないという前提の中で、かなりあると思います。

 例えばきょう、アフガニスタンの難民支援のために、かねてから難民高等弁務官事務所から、できるだけ物資を送ってくれないかという要請がございます。これに対しても、既にテントとかあるいは給水容器とか、日本の持っている物資、さらには先方が要求している物資、できるだけ輸送をしたいということで、自衛隊に協力を要請し、そして近く自衛隊が現地にその物資を輸送する手はずが既に整っております。そういう面もあります。あるいは、情報収集の面において、これからいろいろ各国で情報収集、情報交換、協力していこう、アメリカのみならず、ロシアを含めたG8各国、これも情報交換が大事であるということでお互い協力していこうという面については、自衛隊の情報収集能力というのは他と違って、ほかの機関と違って日本においてはすぐれたものもある。あるいはまた、医療の面においても、医療部隊というのがありますから、こういう面においても人道的な支援について自衛隊の活躍する場もある。

 ともかく、自衛隊だからいかぬという態度はとりません。武力行使はしないという中で、持てる国力、機能を通じて、日本の持つ能力を通じて国際社会に懸命の努力をする、積極的にテロ防止のために取り組むということで、私は、テロ根絶、テロ防止の役割を日本なりに果たしていきたいと思っております。

横路委員 テロは確かにひどいわけでありますけれども、しかし、これに対してとる各国の対応というのは、それぞれの憲法なり国連憲章にやはり基づいて行われなければいけない、このように思います。

 今回の問題では、アメリカも言っているのは、軍事力を結集した湾岸型ではないですよ、各国それぞれにやはり役割があるんだということを言われています。今、総理言われたように、私も、一番大事なことは何かといえば、いずれにしても、これから米軍が行動するに伴って、やはりアフガンの中で多くの難民というものがパキスタンとかイランとかあるいは北部の国境地域に出てこられる、この難民に対する人道支援というのが、日本として今の現行法の中でもやれることはたくさんあるわけでありますから、これを積極的に行っていくということですね。これはまずやはり基本にしっかり据えておかなければいけない、このように思います。

 この点について、今御答弁がございましたけれども、もう一度、やはり人道支援という立場に立った現行法ででき得る活動というのをしっかり行うということを確認していただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 自衛隊を海外に派遣するということについては、これが武力行使ではないということを明らかにする必要があるし、他国に警戒心を持たれないようにする努力も必要だと思います。

 そういう面において、現行法でできることと、あるいは現行法でできなくてなおかつ武力行使でない、そういう場合に自衛隊が活躍する場があれば、派遣された隊員についても、しっかりとした対応をとってもらうために法律的な整備が必要だと思います。どういう任務が必要なのかという任務の規定がないままに派遣されるというのは、派遣された自衛隊も不安でしょうし、そういう点が不備がないように、現行法でやれることは精いっぱいやる、現行法の解釈においては無理があるという場合には新法を制定するという点において、私は、自衛隊の働ける場は現行法以上に国際社会に貢献するという意味においてあるのではないかということで、やはり新法が必要だなということで新法を提出して、これから国会で御審議いただくということが適切ではないかと思っております。

横路委員 私は、PKOの人道支援という活動で対応すべきだというように考えております。

 七項目についてちょっとお尋ねをしたいのですが、この七項目がベースになって新法ができているわけですね。この七項目の中の一つ、「情報収集のための自衛隊艦艇を速やかに派遣する。」というのがあります。この根拠は、本会議の答弁などでは、防衛庁の設置法のいわゆる所掌事務の遂行に必要な調査研究だということでやってきていますね。従来も不審船事件のときにこれを使って警戒監視活動を行ったということがあるわけですが、従来のケースというのは日本の周辺に限られていたわけですね。今回はインド洋まで派遣されるということになります。

 情報収集といいますが、一番大事なのは、周辺諸国家のイランだとかパキスタンだとかいう国の外交ルートを通じての情報収集が一番基本ですから、艦艇を派遣して情報収集するというのは、これは何を目的とするんですか。一体、避難民の支援のためなんですか、あるいは日本の防衛のためなんですか、米軍を守るためなんですか。

中谷国務大臣 お答えいたします。

 根拠となる事項は防衛庁設置法第五条十八号に定めておりまして、防衛庁の所掌事務の遂行に必要な調査研究を行うということでございます。

 防衛庁といたしましては、我が国の安全保障を初め、現在国際貢献活動も行っておりますし、また、災害等に対しまして救援活動も行っております。いわゆる全般的な防衛庁の所管に関することでございまして、そういう観点で、この条項に基づいて情報収集を行うということは十分可能ではないかというふうに思います。

横路委員 いやいや、インド洋へ行って何の情報収集するんですか、艦艇派遣して。

中谷国務大臣 今後どういう事態が発生するかわかりません。現在、湾岸諸国等に向けても、我が国の経済活動に必要な一般の商船を初めたくさんの船舶が航行いたしております。防衛庁といたしましては、日本の安全保障にかかわることでありまして、いかなる事態が発生しても、我が国の安全保障にかかわる情報におきましては幅広く国際的に情報を入手する必要もございますので、そういう点も理由の一つではないかというふうに思います。

横路委員 今、問題はアフガンでしょう。ここにいると言われているウサマ・ビンラディン、アルカイダ、このテロの犯人たち、犯人組織というものをどうやって逮捕して処罰をするかということが問題なわけですよ。そうすると、ここに一体どんな艦艇を出すんですか、情報収集のために。

中谷国務大臣 現在、艦艇の派遣につきましては、総理からいただいた御指示に基づいて検討と準備を行っておるわけでありますけれども、状況をよく見て分析をいたしておりまして、その派遣規模とか派遣時期とか派遣場所等につきましては、適時適切に派遣ができるように、現在適切に対応をしている最中でございます。

 また、どういう目的で情報収集するかということでありますけれども、これは、テロ活動の再発に関する情報、それから邦人輸送、また人道的な国際救援活動、平和協力業務として実施するに必要な情報等も必要ではないかというふうに思っておりますし、船舶、航空機の航行状況、気象、海象また港湾の状況等、必要な情報を入手する等のことも考えております。

横路委員 難民のための情報収集というのは、パキスタンにもう既に派遣しているわけでしょう。そこで現地の情報というのはとれますよね。しかも、米軍の行動というのはかなり限定した行動になるだろうということが言われているわけですよ。そのときに、総理、そんな大きな部隊を送って、これは何をするんですか。アメリカに対する、ただ忠誠心を示すためだけの派遣じゃないかというように受け取られますよ。

小泉内閣総理大臣 テロ根絶のために米軍初め関係各国が協力して軍事行動を起こすという可能性も否定できない。そういう際に、日本は、武力行使はしませんけれども、そういう支援活動、自衛隊がやるべきことはやっていきたい。

 どういう地域に派遣するか、インド洋になるのかどうかというのはまだわかりません、どういう展開になるのかわかりませんから。これは、自衛隊としていろいろな米軍支援活動というのはできると思います。武力行使をしないという前提の中で米軍の支援活動はやらなきゃならない。それは、時期を見て、状況を見て判断するべき問題だと思います。

横路委員 本来は、米軍の作戦行動というのがあって、それに対して日本が協力するとかしないとかというのは決めるわけでしょう。まだ何をやるか全然わからないのに、もう大部隊を送るような話になっているわけですよ。これはAWACSなどの、情報収集の、警戒監視の航空機なども出すんですか。

中谷国務大臣 いろいろと新聞報道にはそういうふうな内容が一部あったというふうに聞いておりますが、防衛庁といたしましては、具体的にそのようなことを決定したことはなくて、現にそのようなことを報道した通信社に対しましては抗議をいたしております。具体的にそのようなAWACSを派遣するというようなことは決めておりません。

横路委員 要するに、この情報収集という、しかも防衛庁設置法というあいまいな法律、あいまいな根拠で、従来、警戒監視ということで日本の周辺でやっている行為についても、もっとしっかりとした法律根拠を持たなきゃいけないという議論があったにもかかわらず、そういうこともしないで、ともかくいきなりインド洋へ情報収集ということで出すということになると、これはもう歯どめがなくなりますよ。そして、結局は将来において米軍のあちこちからの要望に断り切れなくなってしまう、そういうこともあります。

 この情報収集の目的というのも、今お話を聞いたら、よくわからぬじゃないですか。結局、その協力というのは、アメリカがテロの犯人を逮捕するという行為にどう協力するかという話なんですから、こんな大きな部隊を送って、ちょっとよく内容がわからない、米軍の行動もわかりません、どんなことになるかわからない中で派遣を決めるという、この情報収集のための活動ということについてはやはり大きな問題があるというように思います。少し米軍の行動を見て、考え直されたらどうですか。

小泉内閣総理大臣 新しい事態に対応するための新法を予定しているのです。現行法上では対応できないから新法を制定するのです。日ごろから用意しろという要求にかなっている対応を今政府はしようとしているのです。現行法で解釈は無理があるじゃないかという声は多いじゃないですか。だからこそ、しっかりとした新法を対応してできるように、活動ができるような新法を制定しよう、備えあれば憂いなしという言葉もあるように。

 誤解しないでくださいよ、今イージス艦を派遣するなり大部隊を派遣するなんというのは一言も言っていませんよ。マスコミが報道している例は一部ありますけれども。どういう事態が起こるかわからないから、いろいろな、想定し得る対応に即応できるような態勢を考えなきゃいかぬ。準備はしておかなきゃならないということであって、準備をすることと実際に行動することと違います。新しい事態の対応を見て即応できるような新法を制定したい、御理解いただきたいと思います。

横路委員 この情報収集のための自衛隊艦艇の派遣というのは、新法と直接関係はないわけですね。従来の法律でやっているわけですよ。

 しかし、従来は日本周辺だけの警戒監視活動が、いきなりインド洋へどんどん飛んでいくといって、どんなことでもできるようになる。これは歯どめも何もないじゃないですか。そうすると、これからアメリカ軍の要求に応じて、あちこちどこでも世界じゅう情報収集だといって軍隊を出すことができるようになるんじゃありませんか。そこが問題ですよ、これは。

中谷国務大臣 そのお尋ねの前提でございますが、インド洋に派遣するというようなことを決めた事実は全くございません。

横路委員 そうすると、イージス艦もAWACSも、それからインド洋にも、これは出さないということでいいのですか。イージス艦やAWACSは出さないということで。

小泉内閣総理大臣 今のところは言っていないと。一部のマスコミは、もう出すとか決まったとか勝手なことを報道していますけれども、そんな事実は全くありません。しかし、将来どういう事態が起こるかわからない、その際には派遣できるように新法をつくりましょう、しかし武力行使はしませんよということなんです。(発言する者あり)だから、新法ができてからですよ。

横路委員 オーストラリアの首相やフランスの大統領も、結局、これからの米軍の行動を見てから自分たちどうするか決めよう、米軍の行動が、例えば一般の市民に大きな打撃を与えるというような軍事行動の場合は協力しない、そういう権利を自分たちは持っているということを言っています。

 これからどうするかということでございますが、イージス艦やAWACSなんて、これは出す必要はありますか。

中谷国務大臣 防衛庁といたしましては、我が国の安全保障に関することや、また諸外国の事案におきましても、いざというとき、たくさんの邦人が行っているわけでありまして、そういった邦人を救出するということも可能性は否定できません。

 そのときに、いざ、事前に調査をしていなくて、いきなり行けというふうに言われてもなかなか対応に困難な点がございますので、そういう点につきましては、事前に情報収集等をして、速やかに邦人を救出したり、我が国の船舶の安全に資するというようなことは必要ではないかというふうに思っておりますので、今の時期にそういうことはできないというふうに縛るということは、国民の安全のためには好ましくないというふうに思っております。

横路委員 AWACSというのは、おわんのようなレーダーを積んだ航空機で、半径四、五百キロぐらい、飛んでくる飛行機の敵味方の識別ができるというものですね。それから、それに対してイージス艦というのは、多数、十数機飛んでくるような飛行機に対してもミサイルでもって対応できるという防空能力の非常に強いものですね。しかも、これが米軍の方とつながっているんですね、このシステム全体が。

 ですから、イージス艦やAWACSを派遣するということはどういうことかというと、相当大規模な軍事行動というものを想定して、そしてその上に立って米軍との間の協力関係をつなぐという話にしかならないわけでして、これを出す必要なんて全くないですよ。何を考えているのか。出したという実績だけをどうも海上自衛隊はつくりたがっているんじゃないかというように思います。

 これは、総理、イージス艦やAWACSなんというのは出す必要ないですよ。そこをはっきりさせてください。

小泉内閣総理大臣 それは、今出していませんから。将来どういう事態が、わかりませんし、米軍なり関係各国がどういう軍事的行動をとるかもわかっていない状況で、今ああしろこうしろと言われてもこれは答弁しようがないし、現在あたかも出しているかのような御質問ですけれども、出していないんですから。

 今、現行法で対処する活動はします、情報収集。これから将来、現行法ではできない対応がある場合はやはり新しい法律が必要だろう。武力行使をしない、そういう前提の中でどういう支援活動ができるかということを考えているのであって、現在準備していること、していないことをもう既にやっているかのような、決めつけて考えるのはどうかな。

 AWACSとかイージス艦、この専門的な能力については防衛庁長官の方がよく詳しいでしょうから、答弁を補足したいなら、防衛庁長官、ちょっとしてください。

横路委員 官房長官、結構です。何か記者会見だということでございます。

 そこで、新法の議論をちょっといたしたいというように思いますけれども、アメリカは、事実上アメリカ主導型でアフガンへの武力行使を行おうとしているわけですが、日本がそれに協力しようとすれば、基本的には、やはり日米安保条約のいわば日米防衛協力以外にないわけですね。

 その防衛協力というのは、ガイドライン法でこれは個別的自衛権の範囲に限るということになっているわけであります。米軍が自衛権の発動だと言っています、これもいろいろと問題のあるところでございますが、ともかくそういう主張をされている。NATOやANZUSの方は、では、これに協力するんだから集団的自衛権の発動だ、こう言っているわけですね。ですから、日本の自衛隊が協力するということになると、個別的自衛権に協力するんですから集団的自衛権ということになるわけですよ。

 集団的自衛権については、既に憲法上確定した解釈というのもあるわけですね。だから、非常に今回の場合は無理をされているんじゃないかと思います。そこをやはり、ごまかし、あいまいにして、協力するということ、自衛隊を出すということを先行させてしまっているのではないかなとこの新法を見て思いますけれども、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 今回の新法の趣旨は、テロにどのように対応するか、そういう法律であります。個別自衛権とか集団自衛権、武力行使しないんですから、そういう問題じゃないんですよ。テロ根絶のために、テロ防止のために世界各国が取り組む、その際にどういう協力をする必要があるか、そういう法律であるということを御理解いただきたいと思います。

横路委員 今回の法律の大きな特徴というのは幾つかあると思いますが、従来と非常に変わってきている点が四つほどあると思います。

 一つは、自衛隊の行動に地理的な制約がなくなってしまった。どこでも、自衛隊は自衛隊として米軍とともに行動できるように、地球の果てまで米軍とともにということにその道を開いたというのが一つです。

 もう一つは、外国の領土内での活動というものが可能となったという点です。

 それから三つ目は、米国以外の外国の軍隊との協力というのもこの法律の中で打ち出しています。これも初めてであります。米軍が自衛権を発動した、これに対してNATO諸国が集団的自衛権の発動だ、この集団的自衛権の発動したものにも協力していくということになりますから、アメリカ軍を中心とした幅広さ、つまり、自衛隊の行動について行動の対象と幅が非常に広がったというのが三点目です。

 それからもう一つは、武力行使の一体性との関連でございますけれども、しかし、少なくとも、日本の国が直接武力攻撃されていないのに軍事行動によって他国に協力するということは、やはり集団的自衛権の問題を、憲法上の問題をあいまいにしたまま事実上集団的自衛権に道を広げた。これは、この間ずっといろいろ議論してきた、海外において日本の自衛隊は武力行使はしないという専守防衛ということの枠を、いずれにしても非常に超えたことになると私は思います。

 目的はテロといったって、米軍の行動はどういう行動になるかわからないわけですね。その米軍の行動に対して協力する、しかも、アメリカは自衛権の発動と言っているわけです。これに対して協力するということになれば、集団的自衛権しかないじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 これは、本来、非武装中立という旧社会党の観念からいえば、そういう、自衛隊は絶対海外へ出しちゃいかぬという理論になってくるのでしょうが、時代の変遷によって、今はPKO、平和協力活動、かつては絶対自衛隊は海外へ出しちゃいかぬという活動にも、平和維持活動なら出してもいいという、時代が変わってきた。

 今回、湾岸戦争みたいに、これはイラクとクウェート、国との戦いじゃない。テロというのは、どこで起こるかわからない。戦争という、国家と国家の争いじゃない。町中でもこのような安全が脅かされてしまう。全く新しい事態にどうやって国際社会の中で協力していくか。

 私は、国際社会の中で日本が責任ある行動をとりたいということと、憲法九条の、日本としては武力行使をしないという、これをいかに調整していくかというのが今の日本に課せられた仕事ではないか。そういう中で国際社会の責任を果たしていこうということであって、その中で、国際社会の一員として日本の責任を果たしていく中で、自衛隊を使うなという立場じゃないのです。

 自衛隊にできることはできるだけ、自衛隊もほかの民間の方たちとも協力しながら、政府としてできることは何かということを考える。そして、現行法で自衛隊の任務にない場合は、新法で、自衛隊に新たな任務ができるように法律的な裏づけをしようということでありますから、そういう中にあって、絶対自衛隊を使うな、自衛隊の役割は極力もう狭めよというのと、日本の自衛隊も日本の国力なんだ、日本の機能なんだ、憲法の範囲内で世界の諸国と一致して、できるだけ日本の国情、国力に応じて国際社会に対しての責任を果たそうという場合には、自衛隊も重要な機能ですから、重要な能力ですから、重要な財産ですから、その任務を、国民の支持を得て、はっきりとした法律の裏づけを持って新しい任務を与えて、自衛隊にも頑張ってもらおうというのがこの新法の趣旨であるということを御理解いただきたい。

横路委員 私が今申し上げたのは、後藤田正晴さん、自民党の方ですよね。後藤田さんも言っておられる、同じことを私は言ったわけです。

 問題は、自衛隊については、憲法の九条もある、そして自衛隊の任務というのは、日本の国土防衛というのがベースです。しかし、国際的な社会の協力も必要になってきているからPKO協力法で、要件は決まっていますけれども、その範囲の中で平和活動、人道支援活動、こういった活動について自衛隊も出ることができるようになった。

 しかし、今回の問題は、米軍は自衛権の行使と言っている、それに対して協力をするというと、これはやはり従来の議論の上で問題になってくるわけであります。

 例えば、武器や弾薬の輸送が今度新法の中でできるようになっていますけれども、しかし、戦争というものを考えてみますと、これは武力行使とは別だといっても、補給というのは非常に大きなウエートを持っているわけですよ。その補給なしに戦争というのは遂行されないわけでして、まさにその行方を決めているのは補給のところなわけですよ。ですから、武器や弾薬の輸送というのは武力行使とは別なんだといったって、戦争の実態からいえば、そんなところで区分けすることはできないわけですよ。

 総理、この問題というのは、今まで積み重ねてきた枠組みがやはりあります。それを外してしまうというのでなくて、国連憲章もあるし日本の憲法もある。その中で果たしてきた自衛隊の役割、これを今回は、綿密な議論もなしに、憲法や国際法の根拠もなしに今回のようにインド洋に派遣をするということについて、私どもは、問題だと問題を提起しているわけであります。

 どうですか。武器や弾薬の輸送だって、これは実際一体じゃないですか。一体であるとかないとかという議論、いろいろありましたけれども、私は、これはごまかしの議論だと思います。

中谷国務大臣 我々が検討をしているのは、今の憲法の枠内で何ができるかということでございます。その中で、武力行使はいたしませんし、武力行使と一体化することはしないというのが大前提で、では何ができるかということで、お尋ねの武器弾薬の輸送ということにつきましては、いわゆる輸送という物を運ぶ行為ですね。これは、現在我が国でもやっておりますけれども、物を運ぶということについての行為でございます。

 この行為は、日本で現実に物を運んだら、これは武力行使に当たるわけではありません。ですから、そういう行為自体は武力行使に該当するものではありませんし、また実施する地域も、我が国の領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に限定をいたしております。

 そういう意味に照らしていきますと、対象となる物品が武器弾薬であっても、米国等との武力の行使の一体化をするということでなく、憲法上の問題は生じ得ないというふうに考えております。

横路委員 アメリカは、憲章五十一条の自衛権の発動だとしているわけですね。国連憲章で戦争というのは違法になっていますから、その武力行使というのを認められるのは二つだけありまして、一つは、国連安保理事会が措置をとるまでの間、緊急な行為に対する自衛権の発動、個別的、集団的自衛権というのが五十一条です。それからもう一つは、憲章の第七章で、国連が軍事制裁をする、これは平和に対する脅威であるということを認定して。その場合は武力行使ができるようになっていますが、今回の決議の一三六八はテロ非難の決議であって、ここで別に米軍の軍事力の行使を容認しているものじゃないわけです。これは、イラクがクウェートに侵略したときのあの国連の安保理事会の決議と比較してみると、それはもう明快ですよね。

 そこで、日本政府が九月十二日の決議一三六八などを根拠にして自衛隊の参加というのを、参加、協力するというのには無理があると思います。つまり、新しい国連決議というのがどうしても必要になってくる、米軍が行動するに当たっても、日本政府が行動するに当たってもですね。新しい国連決議ということで、日本政府もその方向で動いたんじゃないんですか。

田中国務大臣 自衛権を行使する上で安保理の決議は改めて必要はございません。今、委員も一三六八及び一三七三のこともお触れになりましたけれども、今回は、同時多発テロ、それについて米国がいかなる行動をとるかは現段階ではもちろん明らかではございませんけれども、その上で申し上げますれば、このテロに関しまして、国連で、安保理で採決された一三六八及び一三七三は、国連憲章の第五十一条で規定されている自衛権が各国固有の権利であるということについて改めて言及をしているものでございまして、その意味におきましては、今般のテロに対応して米国等が個別的あるいは集団的な自衛権を行使し得ることを確認いたしております。

横路委員 これはもう前文に書いてあるだけの話でもって、内容はテロの非難決議で、むしろ、最後のところでは、あらゆる必要な手続をとる用意があると、国連が用意があると。ところが、国連はその中身はまだ決めていないわけですよ。

 一つ、タリバーンだとかこのウサマ・ビンラディンに対して経済制裁を含めた決議がずっと今まで行われていますよね。一二六七それから一三三三というような決議というのはずっと積み重ねてきていますよね。こういう決議が積み重ねられてきていて、経済制裁をしてもタリバーンの方は言うことを聞かない、ウサマ・ビンラディンの方も言うことを聞かないというときに、やはり次の決議で、じゃ、どうするのかということになるんじゃないんですか。それを横に置いて、いきなり個別的自衛権の発動ということになるんですか。今までずっと国連決議でもってやってきているわけですよ、積み重ねてきているわけです。ですから、あと、経済制裁の次は強制措置なら強制措置、身柄を確保するための強制措置、こういうことになるんじゃないんですか。

田中国務大臣 先ほどの繰り返しになって恐縮でございますけれども、今回のテロのような綿密な計画性を持って組織的に行われた犯行につきましては、まさに国家の存立、そういうものをも危うくするものでございますから、政府としては自衛権の行使の文脈でとらえられるものと考えております。そして、あのようなことが二度と起こってはならないわけでございますから、先ほども申し上げましたけれども、国連憲章の五十一条によりまして加盟国の固有の権利として認められたものでありまして、先ほど来申し上げています一三六八、これは確認をしております。安保理で決議をしております。

 いずれにしましても、米国等が自衛権を行使するために改めて安保理で決議をする必要はないというふうに考えます。

横路委員 私が言っているのは、例えば決議一二六七の中でどういうことを安保理事会は決議しているかといいますと、タリバーンの支配下にあるテロリストについて適当かつ効果的な措置をとると。並びに、訴追されたテロリスト、これはアメリカがオサマ・ビンラーディンを訴追した、司法手続をとるための努力に協力しなさいと。そして、タリバーンはオサマ・ビンラーディンを司法手続をとることができるように身柄も引き渡せ、こういうような決議になっているわけですよ。それが実行されないうちに今度の事件になったわけですね。

 だから、国連としてとるべきなのは、この安保理の次の措置、つまり強制措置なら強制措置をとるというのが安保理事会における流れじゃないんですか。

田中国務大臣 五十一条の自衛権の行使でございますけれども、これにつきましては、許可の必要はございません。報告のみでよい。

横路委員 いやいや、自衛権の行使じゃなくて、実はこのアフガンのタリバーンとウサマ・ビンラディンに対する問題というのは、国際社会の中でもうこの数年間問題になってきているんですよ。そして、日本政府も怠慢だったと思いますが、この中で、例えば一二六七の決議で財産、資産についての凍結みたいなものをすぐやりなさいと言ったのが、これはいつですか、一二六七ですから……(田中国務大臣「九九年です」と呼ぶ)そうですね。もう二年、三年前の話になるわけですよ。それを今まで放置してきて、今回の事件が起きて初めてとったということですね。

 ですから、こういう積み重ねをずっと安保理事会はきちっとやってきているわけです。やってきたんですから、その延長上で問題を考えるべきじゃないんですか。だからもちろん、安保理事会の次の話としては、こういう決議、警告を発し、要求をしながら実行しなかったタリバーン、そしてその中にいるウサマ・ビンラディンに対して、では次はどうするかということになるわけですよ、国際社会で。次どうするかということを国連は何も決めていません。国連はこれからあらゆる必要な手続をとる用意があるということを決議で言っているだけで、この主体は国連ですよ。

 ですから、本来は、国連の安保理事会の決議に基づいて、世界が協力をして行動するということになるんじゃないですか。そうすると、その集団的自衛権の問題やなんかとは別の話になるわけですよ。

田中国務大臣 たびたび同じことの繰り返しでまことに恐縮でございますけれども、やはり我が国は、ウサマ・ビンラーディンや同人を庇護するタリバーン等に対する制裁を定めた安保理決議、先ほど来から委員がおっしゃっていますけれども、千二百六十七、それから一三三三というのもございますね、それを履行するための国内の手続を先月の二十二日に日本は完了いたしております。そして、具体的には、アフガニスタンに向けてのすべての支払いを許可制にかからしめる等のいろいろな制度も日本ではいろいろとやっております。

 ですから、これでも十二分に、国連というところの決議は大変重うございますので、もう何度かやっておりますので、さらにここでやる必要はないということを申し上げます。

横路委員 いや、国際社会というのは一定のルールのもとにあるんですね。今度は本当のひどい残虐な行為ですから私どもそのことをつい忘れがちになりますが、しかし、やはり国際法の原則、それは、それぞれの国は国の、国内の憲法に基づいてやらなければいけない。

 この問題は、本当に数年前から国際社会の中で議論されてきたことです。しかし、関心はそんなに強くはなかった。一九九八年に例えばこのタリバーンやウサマ・ビンラディンの資産について凍結するような措置をとりなさいよということ、そしてそれをちゃんと報告しなさいよという国連の決議があったにもかかわらず、今日までやっていなかった。この事件が起きるまで、三年間放置してあったわけですね。やられていなかった。世界各国がそういう措置をちゃんとしていれば、まだ状況というのはやはり違ってきたわけですよ。

 そういう国連の努力の延長上にやはり物事を考えないといけないというように思いますから、やはり安保理事会でそういう積み重ねというのは、あと残るのは何かというと、言うことを聞かないわけですから強制的な措置をとるということで、それを国連の、国際社会の合意にして、それに日本政府も憲法の中で協力できることは協力する、こういうことにするのが物事の筋道なんですよ。そうじゃなくて、米軍は個別的自衛権というのに固執をされている。それに対しての協力というのは、どうしたって集団的自衛権にしかならないわけですよ。私が言っているのはそういうことです。

田中国務大臣 お答えいたします。

 先ほど来、集団的自衛権との関連で我が国のことをおっしゃっておられますが、総理がきのうの審議でもきょうもずっとおっしゃっていますように、我が国がすることは、我が国の憲法の範囲内で行うということなんですね。憲法の範囲内ということは、武力行使をしないということでございます。武力行使をしないということは、すなわち集団的自衛権を行使しないんです。これは三段論法で明らかでございます。

横路委員 そんなこと聞いているわけじゃないですよ。

 国連でもってこういう決議を積み重ねてきたんだから、あととるべき措置は、今回の決議も踏まえて新しい決議をする、それは国際的な協力を、では強制力を使ってどうするか、そういう決議になるんじゃないですか。私はそれが必要だということを言っているんです。

小泉内閣総理大臣 大分見解の相違があるようですが、今回は、国連の安全保障理事会は、国連憲章の原則と目的を再確認し、テロリスト活動によって引き起こされた国際の平和及び安全に対する脅威に対してあらゆる手段を用いて闘うことを決意し、憲章に従って個別的または集団的自衛の固有の権利を認識し、一、二、三、四、五、何項目かにわたって、一緒に共同してこれからのテロ防止に努めるということを採択しているわけですよ。

 ところが、アメリカはこれはアメリカに加えられた攻撃だといって個別自衛権の発動だと言っているんですから、それに対してこれからどういう、この決議以外にどういう決議を採択するかというのは、これから国連の問題です。

 しかし、既に国連によって、国際社会、平和と安全に対する脅威であるといって、あらゆる手段でテロと闘うという決議をしているんです。それで、アメリカは個別自衛権だ、もうNATO諸国を初めロシアもG8、サミットも協力してテロに立ち向かおうという中で、今度は日本が、そういう国際社会の環境の中でどういう態度をとるかということを主体的に考えなきゃならないのが今の日本の立場なんですよ。

 その際に、アメリカも関係諸国も、どういう行動をとるかはこれからの問題です。事態の展開を見ながら、日本としてはできるだけのことをやる、憲法の範囲内で、武力行使をしないという範囲内で、できるだけの支援、協力をするというのであって、今横路議員が言われたような問題は、今後国連がどうする判断かということだと私は思います。

横路委員 テロに対して国際的な協力が必要だ、そのために日本も大いに協力していかなければいけないという点については、みんなが一致した見解だと思いますよ。ただ、その協力の手段、方法はどうなのかということが問題なわけです。

 それで、一三六八の安保理決議の本文の方にはこういうのがあります。三項目め「これらテロ攻撃の実行者、組織者及び支援者を法に照らして裁くために全ての国に対して共同して迅速に取り組むことを求めるとともに、これらの行為の実行者、組織者及び支援者を援助し、支持し又はかくまう者は、その責任が問われることを強調する。」そして五項目め「二〇〇一年九月十一日のテロ攻撃に対応するため、あらゆる形態のテロと闘うため、国連憲章のもとでの安保理事会の責任に従い、あらゆる必要な手順を採る用意があることを表明する。」と。

 国連がこれをやりますよ、法に基づいてやるんだということを、法に基づいて正義を実現する、そのために国連は必要な手段をとります、そういう用意があるよというのが一三六八の決議ですよ。じゃ、それをどうするかというのは、この後の決議では、いろいろなテロリストに対する資産の問題や何かについて決議はされまして、それはまた各国が受けて実行しているわけですよ。ただ、強制力を行使するということについてはまだないんですね。しかも、この一三六八は、これだけの決議じゃなくて、その前の一二六七、そして一三三三、あるいは一三三九もありましたか、そういうような決議をずっと積み重ねてきているわけです。

 だから、総理、日本政府が協力するなということを言っているわけじゃなくて、それは日本の持っている、これから議論したいと思いますが、中東外交についての日本の独特の力というのがあるわけですよ。それを活用してどうするかということなどがやはり大事なことになってきているわけでして、私はもう一度繰り返して御答弁をお願いしたいと思いますが、そういう国連の決議、よくこれを見て、国際法的にどうなのかということを見なきゃいけないわけですよ。ですから、こういう決議をずっと積み重ねてきた延長上で考えなければいけないんじゃないんですか。

 そして、日本が自衛隊を出すということ、これは実力組織を出すわけですから、その根拠というのはどうなのかということになると、集団的自衛権はだめなわけですから、国際社会がどういう協力をするかということをやはりはっきりと明示するということがなければいけないんじゃないんですか。

 これ、もう一度だけお答えください。

小泉内閣総理大臣 自衛隊だけの活動じゃないということを御理解いただきたい。今、自衛隊、自衛隊と言いますけれども、自衛隊の活動は一部であります。日本は、外交努力もあります。経済面もあります。あるいはテロ資金凍結の問題もあります。そういうことは今までもやってきましたし、これからもやります。なおかつ、自衛隊も、新しい活動の場があれば自衛隊の役割も考えますよと。

 国連のいろいろな決議もあるでしょう。それに沿って今までやってきたこともあるし、あるいは足らざるところもあった、未締結の問題もある、テロの防止条約で。そういう点、あるいは金融機関のテロ資金の不備な点もあると思います、テロ資金の凍結の問題において。そういう点はできるだけ早く不備を直すような措置をしなきゃならない。

 外交努力、経済面の努力、あるいは人道的な支援、努力、いろいろな中にあって、自衛隊も一つの日本の国力の一部としてこれから活動してもらう、協力する態勢を整えるということでありまして、自衛隊にすべてを任せるなんということじゃないのですから。

 やるべきことはほかにたくさんありますよ、日本は。ただ、世界の各国が、アメリカは軍事行動、武力行使を辞さない、イギリスもNATO諸国も武力行使を辞さないという決意を示している中で、日本は憲法の範囲内で、武力行使はしませんよ、武力行使はしないけれども、その他の活動で、あらゆる国力を通じてこのテロと闘っていきますということであるのであって、好きこのんで自衛隊だけに全部やらせろということじゃないんだということを御理解いただきたい。

横路委員 では、日本の外交の姿というのが今日まで見えてきているかというと、正直言ってさっぱり見えてまいりません。

 新法は、これはきょう閣議決定ですからこれから議論をしていくわけでございますけれども、やはり非常に危うさを感ずるのは、例えば国会承認の問題なんかはそうです。シビリアンコントロールの原則というのは国の基本でございまして、急のことだからとりあえず事後報告でということになりますと、また軍事優先になってしまうわけですよ。これは我々の歴史の教訓じゃないんですか。それを忘れて国会承認というのを外してしまう、こんなところにちょっとやはり非常に大きな危うさを感じます。総理、いかがですか。

中谷国務大臣 今回の法案につきましては、九月の十一日に起こったテロ事案に対応してとり得る特別措置法でございまして、現に発生する事態への対応が念頭に置かれております。しかも、将来的に対応措置が必要がなくなれば廃止にされるということが前提になっておりまして、こういう点を見ますと、今後の自衛隊の派遣部隊等についても、国会の同意が得られるという点は、法律の成立をされると、お認めいただいたということにみなし得ると判断をいたしております。

 なお、周辺事態法は国会承認が必要でございますが、いわゆる周辺事態というのは、我が国の周辺地域における日本に対する重大な影響が出る事態ということで、こういう事態だということがまだ明確でない点がたくさんありますので、それはその都度都度に国会承認を得て行うという点で違う面がございます。

横路委員 あなた、新法が通ればそれが国会の承認だなんという議論というのは、暴論ですよ、それは。一つ一つの、軍事組織、実力組織を出すわけですからね、インド洋まで行くわけですから、それはやはり国会がちゃんと承認する仕組みにしなければいけないわけでして、これはもう本当にとんでもない話だというように思います。

 もう一つ、今度の新法の中で、捜索救助活動というのが入っています。これは、米軍などが、戦闘行為によって遭難した者への捜索救助ということなんですが、一体どんな事態を想定して、どんな自衛隊部隊を送って協力するつもりなんですか。

中谷国務大臣 自衛隊に対する歯どめの問題だと思いますが、まだ具体的に、こういう事態にこういう対応をするということは、検討の一歩もいたしておりません。そういう法律が制定した後に具体的に生じるものでございます。

 また、もう一点、基本計画というものをつくります。この基本計画の中で、対応措置を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、この自衛隊の部隊の規模、構成、装備、派遣期間などを定めるということにいたしておりまして、基本計画を作成する場合にこのような規模が検討されまして、国会に報告をされるということでございます。

横路委員 米軍がいろいろな行動をする場合には、救助の態勢、つまり何か起きた場合の態勢というのはちゃんと組んでやるわけです。そうすると、それで日本が協力するということになりますと、役割分担とか事前の協議というのがどうしたって必要になってくるわけですよ。つまり、日米共同で行動するということになるわけですね。そういういわば今後の場合に、そういう米軍との間の、いわば共同でどうするかというような取り決めみたいなものはあるのですか、ないのですか。つくるのですか、つくらないのですか。

中谷国務大臣 米軍とは、常時、各首脳レベルとか、防衛、外交首脳とか、密接に連携しながら、協議をしながらやっております。

 本件に関しましては、いわゆるガイドライン法案は日米安保の協力法案でございますが、今回の件につきましては、テロ事案に対して国際社会の中でいかなる対応をするかという点でございまして、今後、どのような行動を行っていくかということにつきまして、計画をつくり、実施をしていくものだというふうに思っております。

横路委員 非常に問題が多いわけで、十分な国会の論議が必要だというふうに思います。

 あるアメリカの研究者が、今回のテロへの日本政府の対応について、ブッシュ政権が何を日本に求めているのかとか、あるいはどうやったら自衛隊は米軍を満足させることができるのだろうかという問題ではないということを指摘しています。全くそのとおりだというように思います。

 そこで、日本のテロ対策への貢献ということになると、やはり一つは外交ですね。これは、中東あるいは中央アジア、南アジアといったところへの外交の活性化ということで、各国は本当にいろいろな努力をしてきています。日本の外交の姿はすっかり見えない。そして、すっかり見えないことに、今の外務省の中における体制がやはり問題じゃないかという気がいたします。

 事件が起きて以来、外務省の中にはこのための対策本部をつくりました。そこで情報収集などを行い、日本政府として外交的にどういう措置をとっていくのかということを議論し、官邸の方と連絡をして情報交換して決めていく、こういう仕組みになっているわけであります。

 しかし、毎日開かれていると聞いていますけれども、このオペレーションルームにおける幹部協議、大臣、必ずしも毎回出てその議論に参加しているということではないんじゃないんですか。私が外務省の方にどうなっているのかということを聞きましたら、部内の会議であるから大臣が出席したかどうかはお答えできないという回答を外務省の方からいただいております。そんな、毎朝やっている幹部協議に出ているか出ていないかぐらい、何の隠さなきゃいけない理由があるのでしょうか。

田中国務大臣 外務省で行っているオペレーションセンターでのことでございますが、私のスケジュールをということでもって委員に差し上げてございます。

 確かに、毎回全部出るわけにはいきませんで、そのときに来客が来られたり、それから国際的な電話が、特に今回のテロが発生しましてから、国際電話があったり、閣議があったりとか、きょうも、八時からでございますか、七時二十分に家を出て、早朝から用があったりします。

 ただし、報告は、領事移住部長でありましたり、担当の課長でありましたり、事務次官とか、それぞれから綿密に、いつも細かくじかに、フェース・ツー・フェースもありますし、電話等で報告は確実に受けております。情報はしっかりと掌握いたしております。

横路委員 今、外務大臣の一番大事な仕事といいますと、そういう情報をしっかり収集した上で、どういう政策をとるかということじゃないんでしょうか。例えば、イランとサウジアラビアに高村さんが行かれた、それからパキスタンへ副大臣ですか、行かれたというようなことは、これはやはり、外務省のそういう会議の中でもって議論をして、今、日本政府は何をしたらいいのかということで、イランの政府の意向も聞きながらこちらの考え方も伝えようとか、そういうことがやはり一番外交の基本じゃないんでしょうか。

 パキスタンにも行かれなかったわけですし、その辺のところは、これは総理、官邸で決めているのですか、あるいは外務省である程度こういう、今、外交上ここが必要だからというようなことで、官邸と外務省の方との対策本部の打ち合わせ会議もあるようですけれども、そういうところで決めているのでしょうか。

小泉内閣総理大臣 後ほど外務大臣からも答弁いたしますが、これは外務省と綿密な連絡をとっております。

 また、国会と相談しなければならない。国会が全部自由に行っていいよと言えばいろいろ行ける場合もありますけれども、国会の中では、大臣が出席しないとまずいという場合は、やはりそういう事情も配慮しなければならない。そういう事情を勘案しながら綿密に連携をとって、大臣が行けない場合は副大臣がいいのか、あるいは政務官がいいのか、あるいは別の方がいいのか、そういうことについては緊密な連絡の上で判断をしております。

田中国務大臣 決して外国へ行くのを断っているわけでもサボっているわけでもございませんで、今総理がおっしゃいましたように、九月二十七日の臨時閣議というものの予定があって、閣僚はやはり確実に最初からいなければいけないということがございます。

 そして、確かにパキスタンを含めまして、近隣の国を訪問するということを官邸や関係のところと一緒に相談をしたこともございます。ですけれども、検討はいたしましたけれども、そうした国会の日程等がございましたので、杉浦副大臣に行っていただきました。そして現在も、高村元外務大臣や橋本元総理もそれぞれのところに行って、情報を交換してくださっております。

 私も、その間、UNHCRの代表でございますとか、在京のパキスタンやサウジアラビア、イランの大使、それから中国ですとか、きのうも韓国の大使ともお目にかかったりいたしましたけれども、あらゆる情報をとって緊密に連絡をとっておりますということを御報告申し上げます。

横路委員 国会なんというのは早くから、大体二十七、八日ぐらいという話なんというのははっきりしていたのですから、幾らでもそんな時間は都合がつけられるわけでして、問題は、自分がやる気があるかないかという話だと私は思いますよ。

 特にパキスタン。例えば、この事件が起きた後アメリカはすぐ第一にどこといろいろな話に入ったかといったら、パキスタンでしょう。それから、北部同盟の話がありますからロシアとも早く話しましたね、NATO諸国は別にして。これは、アフガンのことを知っていればそうなわけですよ。そことまず話をしなければ何も動かない。

 アメリカは中東諸国で随分国交を持っていない国があります、イランもそうですし、イラクもそうです。そうすると、日本の場合は今まで、中東政策について必ずしもアメリカと一緒ではない、一線を画してきたわけです。そこがある意味でいうとイスラム国家から大変評価されているわけですね。まさに外交として出番だといいますが、まさに日本がやらなければならぬときに外務省は眠っていたのだと私は思いますよ。日本の外交の姿が見えない。外務大臣の姿も見えない、どこにおられたのか。

 私は、そんな意味で、残りの時間、これからの外交について若干お話をさせていただきたいというように思います。

 そんな意味で、日本としてアメリカとの関係も、やはりアメリカはアメリカの国益がある、日本は日本の国益がある、何といったって、石油はあそこに八六%も依存しているわけでありますから。しかも、今まで、あの地域で日本は手を汚していないわけですよ。欧米諸国はみんな、長い植民地支配の歴史を持っています。ですから、これからの中東外交というのは、まさにますます大切になってきているわけですね。これを基本的にどう考えていくのか。これからの中東外交について、総理、どうですか。

小泉内閣総理大臣 中東は、日本のエネルギー供給を考えても大変重要な地域でございます。

 また、今のお話にありますように、今回のテロとの対決は、たとえテロリストがイスラム教徒であろうとアラブ人であろうと、アラブとの対決でもないしイスラム教徒との対決でもないということは、もう再三再四、日本としても明言しているわけであります。

 日本として外交努力をする場合、中東外交、当然重要な分野だと思っておりますし、現在でもそれぞれのパイプを通じて、今後とも中東和平についても努力をしていかなければならない、あるいは中東関係の友好関係を促進していくためにも努力をしていかなきゃならない。いわば、ある面においては日本が他の国ではなし得ない分野も中東外交の中にはあるのじゃないかということを考えながら、この中東面においての友好関係、親善というものも独自の努力をしていかなきゃならないなと思っております。

横路委員 中東問題の一つの大きなかぎは、やはりパレスチナ問題だと思うのですね。これはもう今まで国際社会がいろいろな形で協力をしながら、一定の枠組みのもとに話がずっと進んだり引いたりしながらしてきているわけですが、去年の九月以降、またパレスチナとイスラエルの関係というのは非常に最悪の状態になっています。

 やはりこれは一つは、パレスチナ国家をどのように認めるかということにもうそのポイントはあるわけでございますけれども、これについて日本政府としてどういうことをしていくのか。

 今、このテロの問題が起きて、イスラム諸国もテロ防止のためのネットワークというのはつくっていこうという気持ちになってきているわけですね。だから、そういう意味でいうと、ここで日本がまさに、例えばテロ防止のネットワークのための会議を日本が呼びかけるとか、欧米ではできないことが日本にとってあると思うのですね。その中でやはり、パレスチナ国家をつくっていくんだというその目標に向かって関係者の合意を得る努力というのも、今までもたくさんの努力があって、それはなかなか実現していないわけですけれども、しかし、やはりあえてこの際日本としてはやるべきことの大きな一つではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。(田中国務大臣「委員長」と呼ぶ)

野呂田委員長 総理大臣に聞いているんだからね。総理大臣に聞いていますから。(小泉内閣総理大臣「外務大臣に」と呼ぶ)

 では、外務大臣。

田中国務大臣 簡単に事実関係だけ申し上げさせていただきます。

 大変よい御指摘をいただきました。ありがとうございます。

 日本の本当に中立的な立場、この中東問題ではこれは本当に私たちが十二分に活用し、自覚して、中東和平のために努力をしていけるところであるというふうに感じておりまして、具体的にも、過去、私も着任してから五カ月でございますけれども、ペレスさんの方からも、こちらからおかけして三、四回お話ししておりますし、去る二十八日も、パレスチナのシャースという、自治政府国際協力庁の長官というのでしょうか、外務大臣に匹敵すると思いますけれども、長時間お電話をさせていただきました。そして、その中でもって、本当に今ミッチェル・レポートを遵守してやっていきましょうということはG8のときも会談でトップに出ましたけれども――はい、短く話します。

 とにかく、できるだけ粘り強く話をする、対話をする、そしてお互いが武器を持たないで話し合いをしてほしいということを申しましたし、いつでも東京をその場所に提供するということも、私はシャースさんに二十八日に申し上げたところでございます。

横路委員 それからもう一つ、アフガンという国民というのは、本当にある意味でいうと、国際情勢の中で翻弄されてきたと言ってもいいのですね。本当に気の毒な立場だと思います。国際社会も、冷戦のときはばあっといろいろなバックアップして、ソ連が撤退し冷戦がなくなると、もう後、ちょっとそこのところはほうってしまって、内戦が起きてタリバーンが政権をとったということなんですね。

 日本は、こういういろいろな紛争のときに、随分お金は出しています。その紛争の国、その紛争周辺の国にお金だけは随分出しているのですね。しかし、もっと何か身を入れて、その紛争の後をどうするかということについて、日本政府の努力というのは必ずしも今まで十分ではなかったと思います。

 最近、日本の中でも、JICAもそうですが、平和構築のためにどうしたらいいのか、紛争の後のことを考えてどうするかということですね。今、日本政府は、米軍の行動これからというときにこういう議論はいかがかという意見もあるかもしれませんが、そうではなくて、やはりアフガンに何ができるのかということを考えるのも、日本の国際貢献の非常に大きな要素じゃないか。

 結局、アフガンに平和が来て、責任あるいわば国民和解政府みたいなものをどうやってつくっていくのか、それに対してどういう支援をしていくのかということですね。これはやはり政府も、今軍事の方に目がみんな行っていますけれども、そうじゃなくて、先ほど申し上げた中東外交とか、それからこの後のアフガンの国をどうしていくのかというようなこと、これをしっかり今考えてもおかしくない。むしろ、それをちゃんと日本政府としてもやるべきだ。そこの責任を担っていくというのも、日本のいわばテロ対策。

 アフガンというのは、麻薬なども栽培して、それをタリバン政権は資金源にしているとか、それから、テロリストの訓練所になっているというような現状ですから、やはりこれを変えて、本当に平和な国民和解のアフガンというものをつくるために、日本としてもそういうこともひとつ頭の中に入れてやっていただきたいと思いますが、いかがですか。総理にお伺いします。

小泉内閣総理大臣 今のお話の点については、同感であります。

横路委員 最後に、テロ対策についてちょっとお聞きしたいと思いますが、資金の流れを断つことですね。これはもう措置をとられましたし、世界各国も対応しているところです。

 あるいは、テロリストについての情報交換というものを徹底してやっていくということで、APECの会議があります。多分、テロ対策というのはAPECの会議の大きなテーマになると思いますけれども、アジアの中にもイスラム国家もありますし、中にはイスラムの過激派グループを抱えている国もあるわけでありまして、それぞれ問題を国内に抱えている国が多いわけですから、APECの中でも、どういう体制をつくっていくのかということをしっかり議論していただきたい、このように思います。

 それから、一つは、こういう犯罪が起きたときにどうするかということで、国際刑事裁判所ということで、日本も参加して議論してきています。なかなか実現できない大きな理由は、アメリカがちょっと反対しているんですね。

 アメリカが、海外で駐留するアメリカ兵が何か事件を起こしたときに、その国から国際刑事裁判所に直接訴追されるんじゃないか、提訴されるんじゃないかということを何か心配されているようで、これは誤解もあるようなんですけれども、いずれにしても、アメリカも説得して、こういうテロに対する国際的な機能というものをしっかり持つということもテロ対策として大事なことだというように思いますが、総理、いかがでしょうか。

田中国務大臣 今おっしゃっている国際司法裁判所の問題にいたしましても、それからアフガニスタンの紛争後の再興に向けての努力につきましても、本当によい御指摘をいただいたというふうに思っております。

 これまで、国連その他の国際機関におけるテロ防止に関する条約の作成やその締結の促進を通じまして、日本も国際テロ根絶のための抜本的な対策に取り組んでおりますが、なお一層励むことをお約束申し上げます。

横路委員 国際刑事裁判所はどうですか。

 私は、国際的なこういうテロや何かが広がってきていますし、あるいは人道に対するいろいろな罪で告発されているケースも随分たくさん出てきていますから、どうしてもやはり、国際的なこういう機能というのは必要だと思うんですね。

 これに対して、アメリカがともかく今のところはこれは批准しないと言っているんですが、そこをやはり説得して、日本も早く国内的な整備を行って、実現するように努力すべきだと思いますけれども。

田中国務大臣 まさしく横路委員おっしゃるとおりでして、国内の法整備、法令との整合性も求めながら、できるだけ早くにそうしたものが成立するように努力したいというふうに思います。

横路委員 通告しておいてなかなか時間がなくて申しわけないんですが、狂牛病の問題で、最後に一点ちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、食べ物というのはやはり、消費者にとりまして安全であって、国民が安心して食べることができるというのが何よりも一番大きな前提だと思うんですね。しかし、最近、O157とか雪印の問題とか、今回の狂牛病でありますとか、ダイオキシンとか、遺伝子組み換えとか、いろいろな問題が次から次へと起きてきています。

 そこで、雪印のときも議論したんですけれども、そのいわば一つの基本法になっている食品衛生法、これがどうも、戦後間もなくできた法律で、しかもかなり権力行政で、業者に対する取り締まりということ、業者に対するコントロールをどうするかということを軸とした法律の体系になっていまして、消費者という言葉はどこにもこれは出てこないんですね。

 ですから、まず、例えば食品衛生法の目的ですね、食品の安全とか、それから消費者の権利とか、それから情報の公開でありますとかいうような問題について、これをやはり抜本的に見直す必要があるんじゃないだろうか。何回かの改正をしてきていますけれども、肝心のところがどうもやはりまだ弱いというように思っています。

 今回の問題でも、農林省、厚生労働省、それぞれ対応したわけですけれども、どうもやはり事業者の方に初めのうちは目が向けられていて、思い切った安全措置ができないで来たということを見ましても、この基本になっております食品衛生法、これそのものをやはりしっかりとしていくということが大事じゃないかと思いますけれども、厚生労働大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 今御指摘をいただきましたように、この食品衛生法第一条におきまして、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。」こういうふうになっているわけでございますが、ここのところがもう少し不明確ではないかという御指摘も実はあるわけでございます。しかし、ここのところで、「衛生上の危害の発生を防止し、」というふうにここは書いてありますので、これを厳密に実行すればそれは起こらないはずでございますから、もう少し今御指摘の趣旨は十分に踏まえながら、私たちは、こういうことが次々と起こらないように、できるだけ予防的措置を講じていかなければならないというふうに思っております。

横路委員 情報の公開も大事ですし、食品に対する関心が強いものですから、私ども今民主党内で、食品Gメン法、農林物資の表示に対して調査権限を持つものを創設して対応していこうとか、遺伝子組み換え食品の認証と表示の透明性に関する法律案でございますとか、有機農産物などの促進法案でありますとか、食品の安全に関して、もっとさまざまな法体系を整備していく。

 戦後にできた法律では、国際化が促進して、もうあちこちから物が入ってくる時代に、やはりなかなか対応し切れないというように思いますので、そこをしっかりやっていただきたいというように思います。

 最後に、農林水産大臣。

 今回の農林省の対応について、農水大臣もいろいろと問題が多かったということを言われています。これについてどのように、出すべき方針は一通り出てきた、肉骨粉の追跡など十分できていない面はまだこれからの課題ですが、こうした中で、一体農林省の責任というのをどうお考えになるのか。

 それからまた、家畜衛生と食肉検査行政というのを各国見ますと、ヨーロッパ、アメリカもみんな一緒になっていますよね。日本だけが分かれている。こういった行政の組織対応、この二つについてお答えいただいて、私の質問を終わります。

武部国務大臣 今回一番大きい問題は、焼却処分したと言いながらそうなっていなかった、ではなぜ焼却処分されていないのかというところが一番問題なんです。

 本来、焼却処分されていなければならない。これは、家畜が屠畜場に入りますと、と畜検査員が生体検査、それから解体前検査、解体検査とやっていくわけなんです。今回の場合には、BSEを疑わず、敗血症という診断で全部廃棄、こうなっているわけですね。それで、既に加工場に回っていたということが一番大きな問題であります。なぜそういうことになったかというのは検査体制の問題です。厚生労働省、農林水産省ともに、これは真摯に受けとめなければなりません。

 そこで、検査体制の万全を期すということがこれから一番大きな問題でありまして、今委員御指摘のように、食の安全ということについて、厚生労働省、農林水産省の連携が欠けていたんじゃないかという御指摘でありますが、まさにそのとおりでありまして、私ども検査体制の万全を期して、まずは消費者に、国民の皆様方、人の健康に影響を与えないということで、これは全部廃棄ということになっていましたので少しほっとしましたけれども、今後そういうことにならないためには、屠畜場に入ってくる、それはどの牛も全部検査する、そういうようなことが一番必要だ、こう思いまして、屠畜場からは、食用にもえさ用にも、危ないものは絶対出さないということと、家畜を飼っている間に中枢神経症状等のあるもの、こういう日常のサーベイランスが非常に大事だ、このことをしっかりやろうということで、そこまでは来ました。

 しかし、風評被害が非常に広がっておりますので、このことに対して、我々は、輸入も国産も全部一時停止、このことについては法的規制もする。その上に立って、まだ解明されていないルートの解明については、輸入の肉骨粉に原因があるだろう、こう言われておるわけでありますから、その辺のことについても、英国に職員を派遣させたり、それからデンマークやイタリアについてもいろいろ指摘されておりますので、そういったことを今徹底調査させておる次第であります。

 牛肉、牛乳・乳製品、これは一〇〇%安全ですし、給食にありましても、ちょっと不思議に思ったといいますかほっとしたのは、牛乳をやめている学校は一つもありません。牛肉は一万校以上自粛しています。しかし、牛乳をやめておる学校は一つもないということですね、私はこれはちょっとほっとしているんですが。

 いずれにしましても、国民の皆さん方に食の安全ということについて信頼回復をしていかなくちゃいけない。厚生労働省と一体となって真剣にやってまいりますので、今後ともの御鞭撻をお願いしたいと思います。

横路委員 終わります。

野呂田委員長 この際、城島正光君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城島正光君。

城島委員 城島でございます。

 私の方からは、今回の臨時国会が、まさしく総理がおっしゃったように雇用対策国会、こういうふうに言われます。先ほどから論議されている、突然起こりましたテロ、これにかなりの関心が集中するし、我々もそこに対しては真剣な論議をしているわけでありますが、同時に、やはり国民生活という観点からすると、当初総理がおっしゃった、まさしくこの国会、我々の最大の論点の一つがこの雇用対策、雇用問題ということにあるというふうに思います。

 それで、まず、総理の所信表明演説の私の率直な印象ですけれども、今回のこの臨時国会を雇用対策国会だというふうにおっしゃった割には、それに対して、率直に言うと肩透かしみたいな印象をぬぐい去れない。

 総理が所信表明の中でこの雇用問題について何点かおっしゃっていますが、繰り返しませんが、総理、どうでしょうか、現下の大変に厳しい雇用情勢、前回の閉会中審査のところでも私申し上げましたが、この厳しい状況に対して、今回の所信表明演説は、特に非自発的失業、これが百万を超している、そういう方々が百万を超している、そして一年以上失業されている人が八十三万人を超している、というような方々に対して、なるほど、これで今回政府は真剣にこの雇用問題を何とかしてくれるというような感じで受けとめられたというふうにお感じになっているんでしょうかどうか、そこをまずお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 雇用対策というのは、失業せざるを得ない方に対する対策と、それと、新たに失業を起こさせない、雇用をつくるという両面が大切だと思っております。今回、そういう両面に配慮した対策を打っていこうというのが我々の趣旨でありまして、これについていろいろ御意見がありますが、私どもとしては、精いっぱいこの雇用対策に取り組んでいきたい。

 いろいろな立場がありますから批判されるのは御自由ではございますけれども、余り後ろ向きの悲観的なことばかりでなく、こういう景気が厳しい状況においても、新たな企業を起こそうとか、あるいはむしろ自分から新しい職に挑戦しようという方もたくさんあるんですから、暗い面ばかりでなくて両面、明るい面も見ながら、新たな雇用づくりにも積極的な施策を講じなきゃならないという意図を込めたものであるということを御理解いただければありがたいと思います。

城島委員 現下の情勢の中で、特に雇用情勢は、新しい雇用をつくっていくということが一つ大変大事だということはもちろんそうでありますし、それから、できるだけ失業を出さないということも大事でありますし、同時に、残念ながら失業された人にきちっとした次の職を与えるための対策というのも大事である。

 もちろん、そういう面ですべてに目配りしながらやっていかにゃいかぬということは、私も当然だというふうに思っておりますが、やはりもう一つ大事なことは、短中ないしは長期という観点で、今どうしても早急に対策が必要なところは一体何であるかというようなことも、今の極めて深刻な情勢からすると抜け落ちてはいけないし、そこに対して早急に今手だてをやらにゃいかぬというのがいっぱいあるのじゃないかということを申し上げたかったわけでありまして、それと同時に、今総理がおっしゃった部分については、確かに、少なくとも中期的に極めて大事なところでありますから、それも今から手だてをしていかにゃいかぬということだと思います。

 ただ、もう一つ、そういう点でいうと残念なのは、今回依然として、方針は出ているのですけれども、一体どれぐらいの財源を使ってどうするのかというのが見えていない。したがって、これで一体どれぐらいの、今総理がおっしゃったようなことが具体的に成果として出てくるのか、これが率直に言って見えないわけであります。

 方向は幾つかの点がわかるわけであります。ただ、中には確かに、年間十八万社にとどまる開業、創業を五年間で倍増するというような数字がありますが、ほとんどのところについては、一体どれぐらいの財源を使って、短期的にはどれぐらいの雇用を生み出す、あるいはこれぐらいの成果を出すということが明示されていないのは、率直に言って、今申し上げたような観点からすると、非常に対応としては遅いのじゃないかという感じがしているわけであります。

 現段階でも、こういうふうに補正予算の中で雇用対策に使う、投じる、そういう予算というのは一体どれぐらいかというのが定かじゃないわけでありますが、大体どれぐらい使われるのですか、財務大臣。

塩川国務大臣 まだ補正予算の内容につきまして、いろいろと要求等が出ておりますことを精査いたしております。もちろん雇用対策中心になるということはもう御承知のとおりでございますが、その規模等につきましてはまだ定かには決まっておりません。

 第一、補正予算の財源について、税収の見込み、これはやはり九月の末にならぬとちょっと正確な把握ができないものでございますので、これはもう全力を挙げてその実態を調査しておりまして、十月早々になればこれが掌握できますので、規模もほぼ見通しがついてくるのではないかなと思ったりいたしておりますが、まだ今のところ正確に申し上げることはできないという状況です。

城島委員 ちょっと認識に違いがあるのじゃないかと思うのです。それは、そういう予算を決める立場からはそうかもしれませんが。

 とすると、規模がとおっしゃいますけれども、一体今、雇用対策ということに使われている金額というのはどれぐらいあるのですか。

坂口国務大臣 雇用対策というのは非常に大きいものですから、失業保険から何から入れますと随分な額になりますしいたしますので、ちょっとどこからどこまでというふうに、それによっては随分違うと思います。雇用保険なんかでいいますと二兆円以上の額になっておりますしいたしますから、これは、どこからどこまでというのはちょっと申し上げにくいわけでございますけれども、今財務大臣からもお話がございましたとおり、この補正予算におきましても、私たちは、ひとつできる限りの額をそこに取り上げていただきたいと思っているところでございます。

城島委員 雇用保険等に対しての支出を除けば、率直に言って、先進国の中でも、GDP比率でも非常に低い金額しかないと思いますよね。財源として、純粋な今の雇用情勢ということを含めた雇用対策費というのは、今財務大臣がおっしゃるような規模というほどに、逆に言うと、ぜひそれぐらいの規模を投じてほしいなというふうに思うわけであります。

 金額というか財源がまだ明確じゃないということなんで、どれぐらい今回の所信表明演説で総理がおっしゃったことが具体化していくかということについて非常に半信半疑なところでありますが、まあ、少なくとも所信表明でおっしゃっているこの幾つかの点、雇用対策あるいは雇用創出ということについて少し具体的にお尋ねをしたいわけでありますが、一番明確に書かれている、年間十八万社にとどまる開業、創業を五年間で倍増する、こう計画が、明確に倍増しますというふうに言い切られているわけでありますが、これは具体的にはどういうところが責任持ってこの方針を立てて、具体的にはどうやって五年間倍増されていこうというふうにお考えになっているのでしょうか。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

坂口国務大臣 そこに出ております倍増等の数字につきましては、それが実現をできるように私たちは考えておりますし、そしてそれだけの財源をひとつお願いしたいということを今言っているところでございます。

城島委員 ということは、まだこれも、いわゆるこれからということですか。(坂口国務大臣「これから」と呼ぶ)

 同じようなことで、例えば、「地方公共団体と協力し、教育や環境保全などの分野での公共サービスにおいて、人材を活用し、雇用を創出してまいります。小中学校で社会人としての経験を教育に生かす補助教員を三年間で五万人を目標に採用します。また、森林保全に不可欠な間伐、下草刈りなどの作業や、放置された廃棄物の撤去を一層進めるためのごみマップの作成などに地域の人材を活用します。」これはどうでしょうか。

坂口国務大臣 それらのさまざまな課題を課題として私たちは出し、そして人員につきましても、今お述べになりましたように、そうしたことを計算いたしまして今提案をしているところでございます。

 ただし、それに対する財源がどれだけになるかということにつきまして、今財務省の方で御検討いただいているところでございまして、今のところそれが確定していないのが現状でございます。

川口国務大臣 今御質問をいただきました森林の下草刈りですとかごみマップの作成でございますけれども、要求中の数字あるいはその人員については今厚生労働大臣からお答えいただいたとおりでございますけれども、私どもで考えておりますことは、例えばごみマップの作成ということでございますと、地域の人材を活用いたしまして、不法投棄されたごみがどこにどれぐらい、またどういう種類のごみがあるかということをメッシュをつくって地図を作成していくということで、これはかなり人手を要する仕事でございます。

 それから、森林の下草刈りということでございますけれども、里山等の森林に、これもやはり地域の人材あるいは環境に詳しいその地域のリーダー等が参りまして、下草刈りあるいはそこにおける生物多様性の保全といったようなことを行いまして、環境の保全とともに地域の雇用の確保をしたいということを考えておりまして、ただいまお願いをしているところでございます。

 以上でございます。

遠山国務大臣 文部科学省におきましては、三年間で五万人を目標といたしまして、全国の公立学校に社会人を補助教員として受け入れまして、そして活躍していただくための学校いきいきプランを推進することといたしております。このプランは、地域社会でいろいろな能力を持った社会人がおられるわけですけれども、その方々に学校に来ていただきまして、いろいろな形で学校の活動に御助力をいただく、これによって学校教育の一層の活性化と、それから子供一人一人に目配りのきいた教育を、指導を展開していただくということをねらいにいたしております。もちろんこれは、学校において新たな雇用を創出するという雇用対策としての側面も持っておりますので、厚生労働省とも連携しながら、今年度の補正予算の活用も含めて、このプランの具体化について目下検討しているところでございます。

城島委員 それでは、ぜひ補正予算の段階で具体的な論議をさせていただきますが、先ほど総理もおっしゃいましたけれども、あえて触れますと、新しい事業を起こしていきたいという人ももちろんいっぱいいるわけでありますし、我々も、特に我が党の岩國さんあたりはそう言っているんですけれども、明るく失業、明るく開業、開業倍増計画、バイマッチ計画なんかいいじゃないか、こういうふうにいつも主張されているわけです。

 私も実は、例えば開業、創業というところで調べてみますと、アメリカの大学とか大学院では、調べましたら大体五百科目ぐらいこのための講座があるんですよ、もう既に。かなり多くの成果があるんですね。

 そういう点では、どうでしょうか、日本の場合、今、例えばそういう観点で大学や大学院を含めたこうした講座あるいは科目、どんな状況になっているんでしょうか。

遠山国務大臣 先生御指摘のとおり、こうした新しい産業創出において大学の役割というのは大変重要だと考えております。

 このような観点から考えますと、大学における高度な技術を身につけて、それを事業化できるような創造性、主体性に富んだ人材の養成を行うことが重要でありますのと同時に、失敗を恐れないでチャレンジする精神の涵養とか、あるいは経営管理能力などの育成ということが大変大事でございます。

 こんな観点から、各大学におきましては、学部や大学院におきまして、在学中に企業の実務に触れるためのインターンシップを行っておりますほか、ベンチャービジネスに関連する授業科目といたしまして、平成十二年度において国公私立合わせて百三十九の大学で、例えば企業家精神論、トップマネジメント講座等の多様な内容の授業科目といたしまして、合わせて約三百三十科目が開設されているところでございます。このような面について今後さらに充実してまいらねばならないと考えております。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

城島委員 今後のこうした産学官の連携強化というのはどうしても必要だと思います。特に、その中で大学等の果たす役割というのは極めて重要だ。今後の日本の、まさに発展の基本的なところもこの辺が握っているというふうに思いますので、そこはぜひ積極的に力を入れていただきたいと思います。

 ちょっと平沼大臣にお尋ねしたいわけでありますが、失業問題の中で、実はよく調べてみますと、失業者がふえていく中で、後から論議する勤労者の場合もそうでありますけれども、どうも自営業者あるいは家族従事者というんでしょうか、特に自営業の廃業がものすごく多い。急ピッチで廃業ないしは倒産というところで、そこで働く皆さん方が、大変多くの皆さんが失業状態に入っているということも、極めて大きな雇用問題の中の一つだというふうに思うんですね。

 そのためには、もちろん中小あるいは商店街を含めた自営業者の皆さんへの対策ということがもう一つ基本的には大事でありますが、同時に、そうした皆さんの多くは、これも後で論議になるかもしれませんが、多くの人は、雇用保険にも入っていない人が多いわけなんで、この人たちに対する、ある面では失業対策ということが極めて重要じゃないかというふうに思っているんですけれども、そういう観点からの取り組みというのはいかがでしょうか。

平沼国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 最近の直近のデータでは、倒産が自営業者を含めて一万八千件あるわけでありまして、バブル後でも、平均では一万五千台でございましたから、大変厳しい状況になってきています。

 そして、委員御承知のように、完全失業率も二カ月連続五%、こういう形で、その中で特に自営業の方々、中小企業の方々は大変厳しい立場に立っているわけでありまして、まずそういった方々に、私どもとしては、やはりセーフティーネットを張って、そして倒産をしないような仕組みをまずつくるべきだ、こういうふうに思っておりまして、いろいろ考えております。

 一つは、やはり土地担保だけでは非常に厳しい状況になっておりますので、土地の担保と同じぐらいの固まりのある売り掛け債権に着目をして、この臨時国会でぜひお願いをしようと思っておりますけれども、そういう形で、売り掛け債権でいわゆる保証枠をつくって、そして積極的に融資する、こういうこともやらせていただく。

 それからもう一つは、厚生労働省が、その失業対策というのはいろいろ具体的なメニューが出てきているようでありますけれども、私どもといたしましては、やはりどうしても、そういう債権処理、そしてそういう痛みの伴うことをやると、失業者が出てきます。その失業者を、大きくはアメリカが、七〇年代、八〇年代のあの三つ子の赤字と言われた中で、九〇年代に新しい産業を起こして、そこに雇用を吸収してきた、こういうことがございます。

 ですから、そういう中で、ちょっと岩國先生の例を言われましたけれども、ベンチャーを含めたそういう新規の企業が創出されやすい環境をつくらなきゃいけない。従来は非常に、新規産業を立ち上げるに当たっては、例えばいろいろなメニューがありますけれども、国民金融公庫のメニューなんかは、新規に起こそうとする人々に対して、その業で六年実績がなきゃだめだ、そしてさらに、政府が用意した専門研修員で六カ月以上研修を受けなきゃいけない。こうなると、だれも意欲が出てこないわけですね。

 そこで、私は、やはりその事業の内容に着目をして、新規に始める方々は担保もない、保証もない、そういう形ですから、内容を迅速に吟味して、無担保無保証で、そして極端に言えば、そのやろうという、例えば倒産をして新たに起こそうという方々も含めて、ともすると、倒産した人たちに対しては日本の場合はレッテルを張っちゃいます。そうじゃなくて、そういう経験も生かしていただくという形で、その人たちの目を見て、とにかく積極的にそういう新規産業を起こしていく、こういうことも今私どもとしては、ちゃんとそれをやろう、新規産業を創出しよう。

 そういうことで、少し長くなりますけれども、これは先生よく御承知ですけれども、意欲を持っている人は今非常に多いわけですよ。例えば、百二十万人以上の人たちが新しく企業を起こしたいと思っている。それで、五十七万人ぐらいの人たちが寸前まで行くんです。しかし、さっき言ったような障害がありますから、実際やる人たちは十八万人しかいない。ですから、五年以内にそれを倍増しよう、そういうインセンティブを与えて倍増しよう、こう思っています。

 それから、あとは厚生労働大臣からお答えになると思いますけれども、本当に自営業者を含めて、そうやって失業された方々には、雇用保険でその範囲に入らない方々に対しても一定の条件の中でいわゆる必要な資金をお出しするというようなことは、厚生省もそういう形のメニューを用意されています。

 いずれにいたしましても、私どももようやく、坂口大臣とやりまして、この八月から、全国に九カ所我が方の経済産業局があり、厚生労働省には労働局がありますから、そこが連携をして、いわゆる非自発的失業者に対してきめ細かい対応をしよう、こういうことで頑張らせていただいている、こういうふうに思っております。

城島委員 我が党も、前回のこの委員会でも申し上げましたけれども、そうした特に自営業をやめざるを得ない、廃業せざるを得ないという人たちに対しても、雇用保険外の中で新しい制度として、まさに次の業を起こす、あるいは新しい職につくというための支援制度を設けるべきだという提言をさせていただきましたから、そういうことを含めて、ぜひ補正予算の中でも具体化をしていただきたいなというふうに思っております。

 同時にもう一つ、最近非常に気になるところが、失業に伴って、特に高校生が中途で高校を、特に私立の高校が多いようでありますが、退学をせざるを得ないというところに追い込まれている学生さんがふえております。データを見ても、大変残念なことですが、着実にというか、年々ふえてきている。こういうことはやはり大きな問題だと思うのですね。

 ですから、こうしたことについて特段の配慮がされているのかどうか。現状、どうなっているのでしょうか。

遠山国務大臣 日本の未来を背負ってくれる学生たちが安心して学ぶということは大変大事なことでございまして、その観点からこれまでも奨学事業について力を入れてきたところでございますが、特に、今委員御指摘の、高校生段階で、親の失業等の理由によって急に家計が貧しくなったというようなことで学校をやめざるを得ないというような子供たちは本当にかわいそうでございます。

 そのようなことを勘案いたしまして、平成十一年度から、実は、学業の継続を助けるために、年間を通じて随時無利子で貸与を行います緊急採用奨学金制度というものを実施いたしておりまして、現在のところ、希望者には貸与することが十分可能でございますので、ぜひこれを活用してもらいたいと思っております。

 また、その関連で、特に私学に通う生徒を間接的にバックアップしますために、私学助成についても充実を図りますとともに、平成十二年度から授業料減免事業臨時特別経費というのを措置いたしまして、家計急変によって授業料納付が困難になった生徒を支援しているところでございます。

 今後とも、大変厳しい財政状況のもとではありますけれども、日本は人でございますので、こういう育英事業の充実あるいは私学助成の充実について力を尽くしてまいりたいと思います。

城島委員 大臣おっしゃったように、こうした若い世代がまさにこれからの日本を背負うわけでありますので、少なくとも、向学心に燃えた中でこうしたことで退学をしていかざるを得ないというような生徒が一人でも少なくなるような配慮をさらにお願いしたいと思います。

 同時に、特に非自発的失業で大変なのは、高い金利のときに買った住宅ローンの返済と、まさに子供の教育費、この二つが、どのアンケートを見たりどのデータを見ても、失業状態の中で極めて生活が苦しい状況の二本柱でありますから、我々民主党も、この二つのことについては何らかの手だてみたいなことが大切じゃないかということを訴えておりまして、この住宅ローンの、特に高金利のときに買われたところの問題と子供の教育費についての検討も、ぜひ補正予算の中で検討していただきたいということを要請しておきたいと思います。

 それで、ちょっともう一度総理に基本的なところをお尋ねしたいと思うのですけれども、この雇用問題を論議するに当たって、実は、総理が真っ先に、雇用問題だけじゃないですけれども、雇用の改革ということの中で最初に厚生労働省に指示されたのが、新聞報道によると、有期雇用の問題というような報道がありました。

 その後の一連の検討の動きを見てみると、今までの日本の、ある面ではもちろん変えていかなければならぬ部分はいっぱいありますけれども、それこそ雇用という面において、日本型雇用、今までは非常に有機的に、効果的に機能してきた部分がある。新しいグローバル化時代の中において、当然、日本型の長期あるいは年功的な雇用体系というのは、修正をしていかなきゃいかぬ部分というのはいっぱいあるわけでありますが、そうした中で、今大きくこの雇用のあり方ということについて見ると、いわゆる一般的に言うアメリカ型の雇用、社会状況というものと、ヨーロッパ型の状況というかスタイルがある。総理がお考え、あるいは描かれている雇用を中心とした社会経済システムは、日本型を修正していくとすれば、どちらの方を想定されているんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 結論から申し上げますと、アメリカ型でもヨーロッパ型でもなく日本型である。アメリカのよさもヨーロッパのよさも取り入れていくのが、日本独自のいいものが出てくるのじゃないか。

 日本というのは、明治以来非常に、新しいものを受け入れるということに対して、一たび決するとちゅうちょしないですね。それを決するまでは大変な抵抗があるんです。一度受け入れると、これは一挙に受け入れて、そうすると、同じものを受け入れても、これがまた独特の、似て非なるものと言われるぐらい日本独特のものをつくっていく。

 野球でさえも、大リーグだけれども、野球に来ると、アメリカ人は、アメリカの野球と日本の野球は同じベースボールといっても違うと言う人もいるぐらい、運用の仕方、あるいはプレーの仕方、随分戸惑いがあると言っているぐらい、同じものでも日本独自のものをつくり出していく点においては、非常にすぐれた能力を持っていると思うのであります。

 今回も、雇用形態ですが、私は、今の雇用形態というのは、終身雇用前提ではもう対応できないんじゃないかという面において、もっと雇用の流動を図れるような措置も必要じゃないか。現に、今企業が、失業を希望する人、これだけ、例えば何百人、何千人退職してもらわなきゃならないというときに、希望者出ろ、苦労すると思ったところが、むしろ多過ぎちゃって、自発的に、それだけだったらおれは別の職業を探した方がいいよという方が出てくるぐらい、当初の考えとは違った方々も出てくるぐらいの状況であります。

 ですから、私は、雇用の流動化を促進することができる、企業家にとっても、新しい人材を採用しやすいような形態、労働者にとっても、終身縛られるのは嫌だ、ある場合には自由に職を移りたいという人もたくさんいるんです。そういう人に対しては、そのようなチャンス、機会を提供するような形態がないものか。

 それは、具体的には今厚生労働省に検討をお願いしていますが、今までの一度会社を決めたら終身勤めるのがいいんだという状況じゃないということを念頭に置いて、幾つかかわりたいという人がたくさんいる。一流会社に入った大学生の優秀な人でも、今、わずか数カ月でやめて新しい会社に移っていく人がいるという時代でありますから、そういう点も踏まえて、雇用の流動化、あるいはいろいろな人々の新しい事業に挑戦していくような形を促進できるような形態を、厚生労働省によく検討してくださいという指示を出しているところでございます。

城島委員 新しい経済の動向に応じた、あるいはそれに適応した、それこそ日本型の雇用形態というのでしょうか、それを模索していくという面においては、そのとおりだと思いますね。日本型のよきものを何とか維持できる中で、新しいところでそのよさが常に発揮できる、そういう方向での、当然新しいことを模索していくのはそのとおりだと思うので、それは、総理がおっしゃった新しい時代にふさわしい日本型を模索していきたいということについては同感だというふうに思います。

 この九月二十一日の日経新聞の「経済教室」で、東大の神野教授の論文の中でも、まさに今のこの雇用形態というのは、もう各国、先進国最大のある面ではテーマになっている、雇用問題の深刻さとあわせてこれをどうしていくかというのは最大の各国のテーマになっているという中で、ヨーロッパの報告が出ているわけであります。

 ちょっと読ませていただきますと、福祉と雇用を重視する伝統を維持しながら米国モデルに対抗する新しい社会経済モデルを目指していくことを昨年三月決めた欧州では、ことしの六月にスウェーデンで開催された欧州社会経済会議で四つのEを打ち出した。エンパワーメント、これは権限付与というふうになっています。それからアントレプレナーシップ、企業家精神となっていますね。エンラージメント、拡張。エンプロイメント、雇用。この四つの頭文字のEを掲げて四つのEというふうに言っています。

 第一に掲げられている権限付与というのは、知識社会に参加する能力をすべての人に付与しよう。これからの社会というのは、やはりきちっと技能と知識を持った中であらゆる人が社会に参加できる、その参加する力をみんなに持ってもらおうという意味でのことだそうでありますし、企業家精神というのは、まさに今総理もおっしゃった新しい時代にふさわしい経営、組織のあり方、しかも、それは技術革新という革新を伴った企業形態、組織のあり方というものを目指した企業家精神である。

 拡張というのは、これはヨーロッパ特有だそうでありまして、これは東欧も巻き込んだ社会をつくろうということのエンラージメントだそうであります。それから、最後の雇用というのは、これも単なる雇用の保障というのではなくて、まさしく生涯教育としての知識、技能をみんなが身につけるということを通して、例えば高齢者もそれから障害者も社会に参加できるという積極的な雇用保障。

 この四つを具体的なアクションとして起こしていこうということを決めたそうでありまして、まさに、そういう面でいうと、ヨーロッパ型の伝統的な福祉と雇用を新しい時代にもどう重視していくことができるか、そのために何をやらなければいかぬかということを、一年間討議の中で決めたという報告があります。

 そういう点でいうと、今総理がおっしゃったようなことを、あらゆる知恵を出しながら、日本型のDNAをしっかり残す中でそれが有効に機能するような、日本型社会の中での雇用のあり方というものをやはり模索していく必要があるというふうに思います。

 そういう中で、もう一度雇用問題の具体論の中に入っていきたいというふうに思います。

 雇用問題を論議する上でもう一つ大事なことは、やはり短期的な対応。どちらかというと今までは少し中期的な、新しい企業をどう起こしていくか、あるいは企業家精神をどうやってやっていくかということも論議しましたけれども、当然、現下の情勢の中で、失業されている人、今失業率五%、しかし、潜在失業率を入れると一〇・四%という、約十人に一人の方が現実的には失業している、この大変な状況を一刻も早く少しでもいい方向に改善していくということが大事であるというふうに思いますが、そういう点からすると、少なくとも、今どういう原因で失業されているのか、どういう原因で失業期間が一年以上の人が四分の一もいるのかという失業の原因を徹底的に分析して、それに対応した政策を打つということが肝心だというふうに思うんですね。

 昨今のこの失業状況というのは、かなりの部分が構造的なあるいは摩擦的な失業というのが多い。五%の失業率でいうと、大体四%がそれに当たるんでしょうか。需要不足による失業率が大体一・〇ぐらいだと思うんですね。そうすると、構造的失業というのはいろいろな観点でのミスマッチだ。地域間のミスマッチもあるでしょうし、労働条件のミスマッチもあるでしょうし、それは能力においてもそうでしょう。

 いずれにしても、その構造的ミスマッチをどうやって解消していくかということが大事だとすれば、少なくとも、その構造的なミスマッチの大きな要因がどこにあるか、それに対して的確な対応をとっていく必要があるというふうに思いますが、今、そのミスマッチの構造的問題の最大のものは、例えば年齢とか、あるいは能力、賃金、こう言われていますが、どういうふうに分析されているんでしょうか。

坂口国務大臣 ミスマッチの問題を今御指摘いただきましたが、今御指摘いただきましたとおり、年齢によりましてその内容はかなり違うというふうに思っています。

 若い皆さん、とりわけ三十五歳未満、この辺のところは、やはり労働条件、その中で、とりわけ賃金がやはり一番に挙がってきております。そして、四十歳以上あるいは四十五歳以上、この辺のところになりますと、年齢制限ということになってきているわけでございます。

 そこで、四十歳なり四十五歳なりの皆さん方に対する年齢制限は、これはどう考えましてもまだまだこれからの人生でございますから、その皆さん方に対して年齢を制限するというのはやはりやめてもらわなければならないというので、先国会でございますか、皆さん方のいろいろの御議論をいただきまして、そして、これは努力義務ではございますけれども、年齢制限を廃止するという方向でこの法案をつくっていただいたわけでございます。そして、その中で今、これで二、三カ月たちましたけれども、各企業に対しましてそれを今周知徹底しているところでございます。それで、どうしてもやはりこの年齢制限というものをなくしていく方向に持っていかないといけない。

 それからもう一つは、若い皆さん方の問題でございますが、若い皆さん方に対しましても、労働条件というものについてもう少しやはり理解をしていただかなければならないところもございますし、そして企業の方にも理解をしていただかなきゃならないところもございます。

 そこで、もう少しここは具体的に皆さん方とお話し合いを詰めないといけないというふうに思っています。皆さん方にお任せするのではなくて、もう少し積極的にお話をする、間に入る人が必要だというふうに思っておりまして、いわゆるキャリアカウンセラーを日本ももっとふやさないといけない。

 アメリカは十七万人というふうに言われておりますが、日本で今失業しておみえになります方々の中でも、企業の中でそういう御経験のある優秀な方もおみえになるわけでございますから、そうした皆さん方のいわゆる再就職も兼ねまして、早くこのカウンセラーを日本の中にもつくって、新しい企業を、新しい雇用を見つけ出すという仕事も一つ一方でございますし、それから、今職を失っている皆さん方の具体的な御相談になる。

 今もハローワークの中ではそれをやっているところもあるわけでございますが、そうしますと、非常に優秀なものをお持ちであるんだけれども、御本人は違うところをやりたいというふうに言っておみえになる、しかし、そのやりたいというふうに思われる方向のものは今ない。そうしますと、あなたはこういう優秀なところをお持ちなんだから、ここを中心にしてやられたらどうですかというような御提案を申し上げて、そしてそれが実ったりというところもかなりございますので、早くそのカウンセラーをふやして、より具体的に御相談に乗せる体制をつくり上げていきたいと考えているところでございます。

城島委員 それでは、最初に御指摘になった年齢制限の問題にちょっと触れたいと思いますが、アンケートによると、やはり、中高年齢層が再就職できなかった、あるいは再就職するとき一番困難だった理由はこの年齢制限だというふうに挙げる人が七割から八割いるんですね。

 改正雇用対策法で、この十月一日からこれは施行されたわけでありますが、年齢制限のところで指針が出されておりますね。十項目でしょうか、年齢制限が逆に認められる場合ということで、十項目ほどあるんですね。

 これを読みますと、時間の関係で全部読みませんが、これはもうほとんど全部入るんじゃないか。年齢制限が認められないというのですから、逆に言うと年齢制限していいということにこれはもうほとんどイコールになって、法的な当初のねらいはこれでは全く機能しない指針になっているんじゃないでしょうか。逆に言うと、何だったら年齢制限しちゃいけないのかと逆に聞いた方がいいぐらいの指針になっているというふうに思うんですが、いかがですか、大臣。

坂口国務大臣 一つは、一つはと申しますか、前提といたしまして、この年齢制限をこれから取り払っていくということでございますから、今までの雇用形態の中でこれを実現していくためには、多少の時間の必要なところもございます。

 よくその中で言われますものの中に、指針では年功序列賃金を取り上げているではないか、これが御指摘をいただくところで一番大きいわけでございますが、これは就業規則上、入社後の年数ではなくて、年齢により賃金が決定されている賃金体系の企業、いわゆる就職なすって何年だから賃金をこれだけにするという、年功序列といいましても、そうではなくて、年齢によって、四十歳だったらこれだけ、四十五歳になったらこれだけというふうに、そういうふうにお決めになっているところがある。そうしたところについては、このことを導入いたしますと、そうすると、現在勤めている人にも混乱を起こすものですから、だから、そこは除外をしますよということであって、普通の年功序列型のところの皆さん方のところでそれはだめですよということを言っているわけではございません。その辺のところも一つあるわけでございます。

 十項目、確かにございまして、そして、しばらく猶予をしていただくところもございますけれども、できる限りそれは取り除いていきまして、最終的には、これは義務的な問題ではなくて、義務的と申しますか、努力義務ではなくて、これは完全な義務にしていかなければならない、そういうふうに思っております。

城島委員 現実に採用する企業の、特にハローワーク等のデータを見ますと、確かに、その会社の体系はいわゆる年齢を中心とした賃金体系になっていても、中途入社の採用の条件では、ほとんどそれとは関係なく賃金の条件も出している企業が圧倒的に多いんですね。ハローワークのデータを見ますと、その賃金の水準だけ見ると、もうこれは完全に横ばいですよね、年齢に関係なく。そういう、実態としては、中途採用しようという、再雇用しようというところの企業の条件というのはもうそうなっているわけで、確かに、その企業の中にいる体系はそうかもしれないけれども、採用する側の条件はそういうことで出している企業が圧倒的に多いわけですから、そういうことも含めて見ても、この十項目じゃ、まず間違いなく、年齢制限をやめようという企業は、一社もないと言うと言い過ぎかもしれませんが、気分的には一社もないだろうなというふうに思いますね。

 ですから、このミスマッチの特に一番厳しい中高年齢層の皆さんの再就職を阻害している七、八割の要素になっているこの年齢制限が、これでは全く機能しない。したがって、このことによってはミスマッチの解消にはまずつながらないというふうに断言してもいいというふうに思います。これは早急にこういう十項目をもう一度見直していただかないと、これでは全く効果がないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、能力開発、教育の部分について問題指摘をさせていただきたいと思いますが、これもやはり、どういう需要があって、地域ごとにも違うと思いますし、先ほど大臣もおっしゃった年齢によっても違うと思うし、大きく言うと、例えば男女によっても違うかもしれません。そういうきめ細かな能力開発というのが求められると思いますが、その点の、きめ細かな能力開発の対応ということについてはどういう状況になっているのか、どういう状況だと把握されているのでしょうか。

坂口国務大臣 先ほど平沼大臣からもお話がございましたが、やはりこれは地域地域における差もかなり大きいというふうに思っています。地域格差というのもある。それで、今まで東京発ですべてをくくっていたわけでございますが、そうではなくて、それぞれの地域においてやはり格差もあるだろう。それぞれの地域においてこの雇用というものをどう考えていただき、そしてそこでどう育てていただくかということがあるだろう。

 そこで、経済産業省と協力をさせていただいて、地域ごとの求められる雇用のあり方、あるいはどういうものをつくり上げていくか、あるいは今何が必要かといったことをお出しいただいて、そしてそれを地域にふさわしい内容にしていきたい、それが一つでございます。

 それからもう一つは、やはり、現在お勤めになっているけれども、近い将来においておやめにならなければならない方があるわけです。その皆さんの中には、御自身の意思でおやめになる方もありますし、それから、会社の都合でやめなければならないというふうにお考えになっている人もあるだろうと思うんです。その両方を含めまして、近い将来職場をかわらなければならない、あるいはかわろうという御意思の皆さん方に対してどう手を打つかといったことを考えていかなければならない。それに対しては、職業訓練等を中心にしながらこれはやっていかなければならないというふうに思っておりますが、時間の都合がございますので、詳しくはまた午後の御質問等でお答えをさせていただきたいと思います。

城島委員 では、午後に続きを引き続いてやらせていただきます。

野呂田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。城島正光君。

城島委員 それでは、午前中に引き続いて、特にミスマッチの中心的なポイントの一つであります職業能力開発について質疑を続行させていただきます。

 我々民主党は、実は、雇用対策の一つの大きなポイントとして、この職業能力開発訓練ということをいかに充実させるかというところに主力を置いておりまして、総枠で二兆円規模のここに対する予算というものを求めたいというふうに思っております。

 例えば雇用保険の加入者について言いますと、雇用保険の支給が切れた後も、上限二年間にわたって、能力開発の教育を受ける人については年間六十万円を限度にこの支給をし続けるということを一つの提起としておりますし、先ほど論議をさせていただきました加入者以外の、特に自営業等を中心とした方々の失業されている方につきましても、同じように二年間の中でこの教育訓練をぜひ受けていただくということについては、同じように今言ったような金額を補助したらどうかというふうに思っております。

 と同時に、この訓練機関を大学とか各研究機関まで拡大して、今いろいろなところに拡大をして、民間にも随分委託されておりますけれども、率直に言ってまだ極めて不十分だというふうに思っておりますので、これは大々的に、やはりこの職業能力開発訓練についてお金も投じ、我が国のいろいろな研究機関も活用するということをぜひやっていただきたい。そのために、補正予算として、この分野についても二兆円の要求をしていきたいというふうに思っております。

 それで、実は、いろいろな職業訓練の状況を調べてみました。先ほど大臣は、地域の特性とかあるいはいろいろなニーズに応じたものにしていきたいと。まさにそのとおりだと思いますが、現実的にはまだまだなかなかそうはいっていない。それは大臣も御認識のとおりだと思いますが、いろいろな状況を各資格ごとの、例えば専門学校あるいは民間のところも含めて講座を調べてみましたが、やはり時代の要請というものと合致していない部分がかなりある。

 これから五百三十万人の雇用創出計画がありますが、そうした分野の、例えば介護、IT、情報関連というところの講座はどんどん必要だとうたわれているし、ふえてはきておりますが、私が調べた限りにおいては、全体からいくとまだ一割から二割程度の講座というんでしょうか対応になっておりますから、これはもう少しやはり拡大していく必要があると思いますし、定員と応募の倍率を見てみますと、これにはかなり差がある。倍率が非常に高いところと定員を大きく割っているところとかなり、例えば技術専門学校なんかを見ますと、差が大きくあるなというふうに思います。

 専門学校にすると、定員が大体三十名ということにほとんどのところが統一しているところが多いわけでありますし、そういう点からいうと、やはり応募あるいはニーズに応じて定員もできるだけ臨機応変に変えていくということもあわせて必要ではないかなというふうに思います。

 と同時に、実は、先日、私のところにこういうメールが届きました。二十六歳の、実は技術専門学校に通っている男性の学生さんからですけれども。

 私は、現在技術専門学校に通っています。厚生労働省管轄の職業訓練校です。ここも雇用対策ということで運営されているのだと思いますが、私は情報工学科というコンピューターSEを、システムエンジニアを養成するクラスに在籍しています。ここでの環境は、予算が足りないのか、インターネットの接続ができない、指導員の教育にお金をかける分が少ないのか、指導員の技術レベルが低い、外部講師の質も低い、教えられる人間がいないので、スタッフが少ないので、カリキュラムどおりには授業を構成できないといった環境下にあります。

 もちろん、この人は、ほかのところがそうだと言っているわけじゃないけれども、自分のところは少なくともこういう状況だということで訴えております。

 先日も確認をしたんですけれども、現実的にそういう状況だというところもあるということでありますから、ここについては、やはりぜひ時代に応じ、しかも内容、設備も、それから教師の皆さんの実態もちょっと調べてみたんですけれども、やはりなかなか最先端のものに追いついていくような教師の手だてがまだできてないという部分もかなりあって、この職業訓練の体制については随分課題が多いんじゃないかというふうに思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 ただいまの職業能力につきましてのお答えを申し上げます前に、きょう午前中に御質問をいただきました問題で、全体の雇用に要しております予算でございますが、一般会計で申しますと四千四百四十四億円でございます。ちょっと御報告を申し上げておきたいと存じます。

 そして、能力訓練のお話でございますが、私の方も、現在、全国的に展開をしております能力開発の中で、古いものはどんどんとやめて、そして新しいものに切りかえをやっておるところでございます。この数年のところでやめましたものでも百十一コースにも及んでおりまして、多くのものを、もう古いものはやめて、そして現在に対応できるようにいたしております。

 それから、確かにそれを教える先生、教える人たちの問題もございまして、新しいところに対応できないところは外部の講師をお願いいたしまして、どしどし外部の講師の皆さん方に入っていただいて、そして教えていただくというふうにいたしております。そうしませんと、特にITなどは日進月歩でございまして、なかなか追いついていけない面もございますのでそのようにいたしておりまして、これからもそのようにしていきたいというふうに思っているところでございます。

 定数等の問題につきましても、特に介護でありますとか医療でありますとか、あるいは保育でありますとか、こうした方面のところで必要なところが多いということも承知をいたしておりまして、介護等を中心にして、そして極力皆さん方の御要望にこたえられるように充実をしていきたいというふうに思っているところでございます。

城島委員 これは東京都のデータなんですけれども、訓練の内容と、それから、訓練の内容は市場のニーズに合致したものであるほど当然効果は高いわけでありますが、非常におもしろいデータが出ているのは、訓練効果の高い訓練内容というものは、その対象者が高齢者であるか若年者であるか、あるいは男性か女性かなどによっても大きく異なるというデータが出ているんですね。

 したがって、例えばということで、男性の高齢者においては、例えばビル設備の管理といったような科目の方がこれを卒業すると非常に定着率も高いし、それから、前もらっていた賃金よりも余り下がらない、場合によっては高い賃金がもらえるというようなことで、非常に訓練効果がある。しかし、女性においてはこの科目においてはこういう傾向は出てこないということで、いろいろな属性においても非常に違っているということが出ておりますから、こういう点もきめ細かなやはり配慮というものが必要ではないかなというふうに思っております。

 同時に、先ほどもちょっと論議いたしましたけれども、特に若年層の場合、若い人たちの中では、特に三十四歳以下では半数以上が自発的失業者になっている、自分でやめている。これはまた、いろいろ分析した内容を幾つか読みますと、一言で言うと、やりがいのある仕事というのはなかなか見つかっていない、これが三十四歳以下の自発的失業者の最大の要素になっているということがどうも言えそうでありまして、そういう点でいうと、やはり今からいろいろな、民間企業も大事でありますけれども、やりがいのある職場をどうつくっていくかということも私は大事なことではないかなというふうに思っております。

 そういうことを含めて、実は、民主党、ずっと長いこと雇用問題を大変大きな問題として検討してきた中で、二年前、ヨーロッパを含めて、いわゆる雇用問題の、ある面では長いこと経験していた国々、ずっと各国訪問をして見てみたんですけれども、いろいろなところで非常に参考になったのは、何といってもやはり教育あたりでしたね。

 もう御案内のとおりなんで繰り返しませんが、例えばイギリスにおけるブレアのやったニューディールという政策。これは、若い層の失業者をどうやって仕事につけるかというところからスタートして、今、長期の失業者やあるいは高齢者に対しても同じような政策としてやっておりますけれども、これは何といっても、私もびっくりしたんですけれども、マンツーマンなんですよね。

 いわゆる政府のカウンセラーという、先ほどふやすとおっしゃいましたけれども、その人たちがマンツーマンで、少なくとも四カ月間徹底して、失業している人の能力、適性、なぜ就職できないか、なぜ職につけないか、分析してアドバイスする。それでも職につけない場合は、要するに、例えば一年間職業訓練に通ってもらうか、あるいは民間企業に半年間、いわゆる政府の補助は民間企業に出ますけれども、企業で働いてもらって、ぜひ正社員になるように努力せいという意味でそういうところにやるか、あるいはボランティアをやるか、幾つかコースはありますが、いずれにしても、徹底した個人指導をする、あるいは教育を徹底してやる、これがイギリスの失業対策。大体、ドイツも含めて共通しておりました。

 そこで、ある種一つ感銘を受けたのは、やはりどこへ行っても大体異口同音に言われたのは、一時、イギリスも含めて、ある面でいうとイギリス病と言われた時代がある。国際競争力が低下した。国際競争力の最大のものは何かといったら人材競争力だという原点に返ったんだと。ですから、ブレアが就任のときに言ったという有名な言葉がありますが、今イギリスで一番大事なことは、一に教育、二に教育、三に教育、こう言ったわけですけれども、そういう姿勢がみなぎっているんですね。そこに最大の投資をする。

 まさに今、最大の、公共投資でいえば人材投資ということで最大のそういう力を入れているというのはやはり見事だなというふうに思ったわけでありまして、それが大変大きな効果を上げているわけでありまして、そうした観点からも、若い世代のこの失業問題も含めて、ぜひこうした点に、先ほどおっしゃった四千四百四十四億円ですか、一般会計、ぜひゼロを一つつけていただくぐらいの気持ちでこの能力開発に最大の、国際競争力、人材競争だという視点も含めて、雇用対策だけじゃなくて、ぜひその大英断をそれこそ総理にお願いをしたいものだなというふうに思います。いかがでしょうか、総理。

小泉内閣総理大臣 簡単にゼロを一つつけてと言いますけれども、これはもう兆単位になっちゃいますので。気持ちはよくわかりますよ。

 私があの五月の所信表明で言ったのも、米百俵は痛みに耐えてと。痛みに耐えてばかり皆さん言いますけれども、そうじゃないんですよ。痛みに耐えて、あすをよくしようとする、だからこそ教育が大事であるといって、あの小林虎三郎は米百俵を食べないで売って学校を建てたわけでしょう。それは、人づくりが大事だから。そして、当時は藩士の子弟しか学校へ行けなかったのを、無学の子弟をなくそうということで、全部、小学校から学校へ行けるようにした。それが今日の日本の発展を築いたものだということを、私は、ジェノバ・サミットの先進国の首脳と発展途上国の首脳が大勢集まるときに、貧困を援助してくれ、資金を援助してくれという話で、私は、それも大事だけれども、そのお金はすぐなくなるけれども、人材、人が、教育が大事だということを米百俵の例を挙げて言ったんですよ。

 そして、終わったら、いい話だ、これは本当なのかと言うから、ドナルド・キーンが英訳した、あの米百俵を。ドナルド・キーンが英訳しているんですよ。それを長岡市が私のところへ持ってきてくれた。毎年一回、米百俵デーをつくっていると。それを首脳に贈ったんです。

 そうしたら、先日、南アフリカのムベキ大統領が来て、米百俵を読んだと言うんだ。あなたの話をジェノバ・サミットで聞いて感銘を受けて、わざわざ本まで贈ってくれた、読んだ。本当に教育は大事なんだ。文字も読めない人がいる。やはりエイズをなくすにも病気をなくすにも、どれを食べたら病気になるのか、どうしないことになったら病気にならないのか、これはやはり教育が大事だということで、感銘を受けてくれて、私も非常に感銘を受けましたよ。

 だから、結局、職につく場合にも教育を受ければ、今職がなくても、新しい時代に適応した職業訓練を受ければ職につける人はたくさんいるんです。今の御指摘、大変重要ですし、これから教育を受け、訓練を受ければ新しい職場が開く、新しい職が見つかる、自分の可能性が広がる、そういう意味において、私は、教育訓練、職業訓練、大変重要だと。いいお話を聞かせていただきました。これからも、どしどしそういういい点を取り入れて、できるだけ多くの人が新しい職につけるように、また失業しないで済むような対策をつくっていくことが重要だと思っております。

城島委員 強い総理の決意を聞かせていただきました。ぜひ、その決意からすると、当時の米百俵からするとゼロ一つつけてもおかしくないぐらいかなというふうに思いますけれども、四兆円ぐらいあってもいいかなと思いますが、期待をしたいというふうに思います。

 能力開発のところでは、この辺が一番就職と関連するわけでありまして、これも、その調査の中で、アメリカの事例をちょっと見てきました。

 これも大変すごいなというふうに思ったのは、職業訓練と日本でいえばハローワークと、ある面ではセットになっているようでありまして、しかもその場合、非常にアメリカの場合、納税というか税をどう使うか、そういう意識が高いからだと思いますけれども、もちろん職業紹介、基本的には州政府が中心になってやっておりますから、お金は、少なくとも九〇、私が行ったところは九五%はいわゆるそういう面では税金ですけれども、日本流に言うと、総理がよく言われる民営化論ではありませんが、競争するんですね、そういうところも。

 それはどういう形でやっているかというと、形態は日本流に言うと公的でありますが、その残りの五%のところに、民間のアウトプレースメント企業とか、アメリカの場合NPOが結構多いみたいですけれども、それをセットで、どこかと組んで、先ほど言ったイギリスと同じように、求人の申し込みと求職の申し込み、どうやってうまく合わせていくか、それをカウンセリングしながら教育を与えながら就職させていくという民間のその企業ないしNPO、日本流でいう入札をさせまして、目標を立てて、それがうまくいったらそことしばらく契約をする。目標どおりいかなかったら、また新たに民間のそういうところを共同運営するような形で募集をするという形で、常にそういった日本流ではハローワーク、職業訓練所もいい意味で切磋琢磨しているということで、常に高い効果を上げている。

 なるほどすごいものだなというふうに思いまして、そういうこともやはり取り入れていく、あるいは検討していく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。

 日本の場合は、大変ある面では幸いなことに、長いこといわゆる実質的に完全雇用の時代が長く続いたわけですね。失業率一%、二%というのは、ある面で言うと、ほとんど完全雇用に近い。それが三%、四%、五%になった。これはもうつい最近のことでありまして、三年ごとに大体三%になり四%になり五%になったということでありますから、このハローワークとか職業訓練、特にハローワークの体制も、ある面で基本的にはそういう完全雇用の時代の体制というものがベースになっているわけなので、これだけの状況の中にあると、やはりそういう体制に、ある面では人員も少ないわけですし、調べてみましたら、面談するのは一人当たり大体九分ですよね、今ハローワークでは。そういうような状況になっているということであります。

 大体、再就職した人のデータを見ますと、一番多いのはやはり縁故知人、これが約二百万人、その次に情報誌、同じように二百万人、それからハローワークが百五十万人、こういうことになっているので、この辺も、やはり体制をもう一度つくりかえるみたいなことも含めた、要するに、求人側も求職側にとってもいい、利用価値のある、効果的なハローワーク体制にしていく必要があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 そこは御指摘のとおりというふうに私も思っております。

 現在のハローワーク、あちらこちら私も回りまして現状を見ておりますが、中には、午前中にも触れましたように、ハローワークの職員だけではなくて、そこに、臨時の方ではございますけれども、今まで企業等で熱心にそうした問題にお取り組みになったような方にも来ていただいて、そして、いわゆる求人の掘り起こし、これが非常に人脈の多い人なものですから、非常に多くの人脈を掘り起こしていただいて求人がふえている。そして、それだけではなくて、最も合った職種は何かということの、そういうお話にも非常に積極的に関与をしていただいている。

 今御指摘のように、マンツーマンでやはりやっていくということにせざるを得ない現在の状況でございますと、ハローワークに対してどんどんと失業者がお見えになるものでございますから、病院と一緒でございまして、多くの人がお見えになればなるほど一人に対する時間は短くなっていく、そういう悪循環を繰り返しているわけでございます。そこを埋めていきますのは、キャリアカウンセラーという名前がいいかどうかはわかりませんけれども、やはりそういう人をより多くそこに導入できるかどうかということになっているだろうというふうに思います。

 そして、現在のこの状況を乗り越えていきますためには、新しい産業、とりわけベンチャー企業をつくることと、それにふさわしい能力のある人材、先ほど議員が御指摘のとおり、そういう人材をいかに多くつくるかという、この二つに尽きてくるわけでございます。そうしなければ、現在の日本におきます賃金を維持しながらやっていけないわけでございますから、その辺のところを私たちも十分頭に入れながら、ひとつやっていきたいというふうに思っております。

城島委員 その次に、もう一つ、セーフティーネットとして最も大事な要素の一つであります雇用保険についてお尋ねしたいと思います。

 我々は、民主党では、この雇用保険の、いわゆる失業保険、ことしの四月から再スタートしたということもあって、この雇用保険の大きな枠組みはそのままにして、しかし現実、今みたいな情勢ですから、実質的に支給が延長できるような別な体系として、この支給、支援体制、先ほど言った能力開発を受けるということを前提に再スタートを切れるような、支給を二年延長してやったらどうかということで、いわゆる意味合いとしては、雇用保険の支給の延長に近い形をとりたい。しかし、今言いましたように、スタートしたばかりなので、抜本改正を近々にらみながら、当座として実質延長になるような仕組みを提案しているわけであります。

 そのために、この雇用保険財政に二兆円規模の基金をつくったらどうかということを提言をしているわけでありますが、この今の状況の中で、例えば八月の雇用保険の受給者を見ると百十六万七千人、これは、今の仕組みに変えるときの前提を調べますと、大体七十三万人ということの前提の中でいろいろ財政が悪化したので変えた記憶があるんですけれども、これからいくと、やはり相当また財政も厳しくなっているんじゃないかというふうに思うんです。

 政府自身はこの状況の中で、二点ほどお尋ねしたいんですけれども、一つは今の雇用保険制度をどうするのかということと、それから財政面においてはどういう展望があるのか、この二点をお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 一つの方のこれからどういうふうにしていくのかというお話でございますが、確かに、現在の雇用保険の中で最高が三百三十日でございまして、それ以上はないわけでございます。ただ、これを一年も二年もさらに延長をしていくということは、これはやはり少し考えなければならない。

 私たちは、ここを延ばすときには、いわゆる技能、技術、そうしたものの勉強をどうしてもしたい、そういう皆さん方に対しましてはその期間を見ていかなければならない。今まで一つの勉強をしてそれで終わりでございましたけれども、一つの勉強をして、さらにその次にもう一つまたその上をやりたい、こういうふうにおっしゃる方はその次をやっていただいてもいいといったようなことで、ここはかなり範囲を広げて、そして、皆さん方に能力を身につけていただくようにしたいというふうに思っております。しかし、それは何かをやろうという目的を持った人でありまして、目的を持たずに、ただ暇だからやろうという人は御免こうむりたい、こう思っているわけでございます。

 それから、現在の財政の枠組みの中で大丈夫かというお話でございますが、これはまさしくこれからの経済状況によるわけでございまして、経済状況がさらに悪くなって失業者がさらにふえるということになってくれば、現在の枠組みではなかなか難しいということになってくるだろうというふうに思いますけれども、しかし、これは今後の経済の動向の話でございますから、それを今から云々するわけにはまいりません。現在の枠の中で最大限の効果が出るように頑張りたいと思っております。

城島委員 趣旨は我々も同感でありますが、しかし、現実的に今の状況というのは、労働移動をするにおいてもなかなか新しい産業が生まれてこない。しかも、能力開発を含めて、移動させるにもその訓練も必要な時期だ。そういうことから平均的な失業期間が七カ月から八カ月になってきている。そういう時期にあるわけですね、今の状況は。

 それで、一年以上の失業者が二五%もいることからすると、この雇用保険の仕組みも制度もそれに合ったように変えることも必要じゃないかということを申し上げているんです。そういうことからすると、本当に最長、しかもこれは勤続年数と失業の形によって最長三百三十日にしているわけでありますから、そういう点からいくと非常に、一番短いのは九十日ですから、こういうところからすると、そこを見直すということも当然私は必要じゃないかなというふうに思っております。

 時間が来ましたので、最後に一点だけ。

 本当に雇用を何とかふやすということにおいて見ると、もう一つ、どの研究機関からも出ておりますけれども、労働時間の問題というのは、これは効果があるということは、時間がないので省きますけれども、明らかになっているわけですね。前々から言っておりますように、今日本で法的にも問題な、いわゆるサービス残業をやめるだけでも九十万人の雇用増がある。最新のデータでも、その他、総労働時間、実総労働時間を千八百時間にするということだけやるにしても、一番少ない数でも約百五十万人の雇用増がある。

 やはりこの労働時間と雇用という問題は、当然厚生労働省も研究されていると思いますが、本当に雇用をふやすという面からいうと、この問題もしっかりと検討していく必要があるということを申し上げまして、この問題、さらにいろいろ検討が必要だと思うし、また、財源措置がまだできていなかったものですから、具体論として、補正予算が出た段階も含めてでありますけれども、ぜひ雇用問題についての集中審議を委員長、お願いをしたいというふうに思います。

野呂田委員長 これにて菅君、仙谷君、横路君、城島君の質疑は終了いたしました。

 次に、中井洽君。

中井委員 自由党の中井です。

 今回のアメリカで起こった悲惨で卑劣なテロに対して、激しい憤りを抱き続けています。断固こういう行為をなくすために、私どもも、やれる範囲で、世界の仲間と一緒にやれることをやっていく、こういう思いは一緒であります。同時に、被害に遭われた方、亡くなられた方にも心からお見舞いとお悔やみを申し上げたい、この機会に思います。

 そういう観点で、少し、まだ御遺体の捜索が続いている最中でありますが、日本には犯罪被害者等給付金支給法という法律があって、交通事故あるいは通り魔、いろいろな形で亡くなられたり、傷ついた方に対して救済措置をとっております。今回のこの事件に関して、日本人の被害に遭われた方々にこの制度を適用する、こういうお考え、総理おありでしょうか。

村井国務大臣 犯罪被害者等給付金支給法は、私ども警察の方の所管と承知しておりますけれども、あくまで国内における犯罪被害者の救済に当てるという形になっている法律だと承知しております。

 今委員御指摘の点につきましては、ちょっと突然の話でございます。なお研究をさせていただきたいと存じます。

中井委員 対象となる犯罪被害、「日本国内又は日本国外にある」、こう書いてございます。船舶、航空という条件もありますが、私は、拡大解釈すれば十分適用できることだと思っております。御配慮いただきますようお願いをいたします。

 次に、またいろいろな場所で我が党の委員が質疑をされると思いますが、四日の幾つかの新聞に、田中外務大臣が、天皇陛下に九月、内奏をされて、こういうことを言った、天皇陛下の御反応はこうであったといったことを漏らされたというニュースが報じられておりました。

 外務省並びに外相はこれを否認をなさっているようでありますが、総理は、この事実を御確認されたのか、あるいはまた外相にお確かめになられたのか、こういったこと、突然ですが、お尋ねをいたします。総理大臣にお尋ねします。

小泉内閣総理大臣 私は全く聞いておりません。どういう形で報道されたのか、報道によってこういううわさが流れているということですが、恐らく外務大臣もその報道を見たんでしょう、すぐ否定されています。だから、何でこういううわさが出るのかね、それが不思議でしようがないんですよ。だから、外務大臣が否定されているんですから、私は、そういうことはないと思っております。

中井委員 なければ結構であります。しかし、私も予算委員会で質問をさせていただく以上、いろいろな形で調査もいたしております。ぜひ、総理におかれましても官邸でお調べをいただく、事実があったかないか、きちっとしていただく。また同時に、外務大臣、大変恐縮だけれども、いろいろと否定されるが、国会で言われたこと、記者会見で言われたこと、テレビで言われたこと、すぐ否定される名人でありますから、私どもはなかなか、そこら辺を思わざるを得ません。そういった意味で、十分御調査いただきますことをお願いして、質問に入らせていただきます。

 私は、五月十日、本会議で小泉総理に、総理はかねてから自衛隊は軍隊であるとおっしゃっておられる、また、自民党の総裁選挙に当たって、自分が総理になったら集団的自衛権は従来の解釈と違って認めるんだ、この行使を認めるんだ、こういったことを言われておりましたのを受けて、集団的自衛権、憲法解釈を変えられたらどうですか、こういう御質問を申し上げました。総理は、長年の経過があるからなかなかそうはいかない、しかし幅広く研究したい、こういうお答えでございました。

 今回、このテロ事件に対応するに当たって、いろいろな議論がこれから行われるわけでありますが、やはりもうここまで来たら、憲法解釈というものを変えてきちっとした形でやらない限り、法案に無理がある。どうしても、この難しい質問、また現実的じゃない議論をせざるを得ないと僕は思うんですね。

 そういう意味で、国民は、もう湾岸戦争以来十年たって、よく理解をされておりますから、堂々と集団的自衛権の憲法解釈をお変えになって、それは反対の方もおられます、その上で自衛隊に働いてもらう。このことが国家としてとるべき当然の姿だと私は思いますが、率直に、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 中井議員はもうすべてわかった上での御質問だと思うんですが、今までの自衛隊論争、憲法論争、あるいは湾岸戦争以来の議論を聞いていますと、本当にこれ、技術論、法律論、この議論を聞いたら外国がどう思うかと思うと、ちょっとおかしいんじゃないかという議論を、この三十年近く、私もいろいろ速記録を読みながら、憲法解釈の問題、集団自衛権の問題、よく見直してみましたよ。

 これは学者の間でも憲法論が分かれているんですから。憲法を読んで、いまだに自衛隊は憲法違反だという学者もいるし、国会議員もいる。そういう中でいかに、自衛隊は合憲である、そして国際社会の中で協調していくかということで、今まで、戦後、歴代政府は、国会の議論を踏まえながらいろいろ苦労してきたと思うのであります。

 今回も、全く新しい事態です。個別自衛権、集団自衛権は保有しているけれども行使できない、これがまたいろいろな今議論になっております。そういう中で、私は今回、五月の所信表明演説の中では触れませんでしたけれども、総裁選挙の過程で、集団自衛権というものについてもう一度研究してもいいのじゃないかということは言いました。今回も、今まで過去のいろいろな政府答弁、いろいろ勉強させていただきまして、この全く想定しなかった新しい事態にどう対処するか。

 そこで、私が行き着いたのは、憲法前文と憲法九条をどうやって調整するか。憲法前文は、世界と協調しながら国際社会の中で日本は名誉ある地位を占めたいと高らかにうたっております。そして、自国のことのみにとらわれて他国を無視してはならない。そういう中でいかに国際協調を果たしていくか。

 一方、いまだに日本では自衛隊は軍隊でないと言っても、外国は、自衛隊が出ていけば軍隊扱いです。それは、日本の観念と外国の観念と違う面が随分ある。今度のPKO活動にしても、外国の軍隊が参加しています。その中で、一時期は、自衛隊と名がつけば海外に派遣してはいかぬという議論の中で、ようやく平和維持活動だったら自衛隊も派遣していいということでPKO法案が成立した。このときだって、あのPKO法案が成立したときだって徹夜ですよ。賛成、反対、反対でもう徹夜でやっと成立したぐらい。

 こういう中で今回、新しい事態ですが、私は、そういう事情を踏まえながら、今までの憲法の範囲内で何ができるかということで行き着いたのが、きょう閣議決定しました新法案なんです。いわば自衛隊の任務に、今までの解釈では海外に派遣するのに無理がある。やはり法的な整備を裏づけて、自衛隊に新しい任務が、きちんと法的整備の裏づけのもとで外国でいろいろ活動してもらおう。ただし、それは武力行使はいたしません。

 そういう前提のもとで、今の、テロを根絶する、テロを防止するためには日本は何ができるか。それは自衛隊の皆さんにも協力してもらう、民間の皆さんにも協力してもらう、経済の面でも協力する、あるいは外交の面でも協力する、医療の面でも協力する、人道的な面でも協力する。そういう中で、自衛隊だから海外に派遣できない、自衛隊だからできることをしないということは、私は、国際協調のもとで、これは日本がこれからの国際社会の中で責任を果たしていかなきゃならないということを考えると好ましくない。

 自衛隊でもできることは精いっぱいやってもらおうということで、今回、自衛隊の役割といいますか、新しい任務もできるような形で新法を制定したい。そういう中にあっては、現行の憲法の範囲内、そして今までの政府の解釈を変えたわけではないということを御理解いただきたいと思います。

中井委員 それではお尋ねをいたしますが、総理は、総理大臣をやめられた後、まだお若うございますから政治家としておやりになる、その間もずっと集団的自衛権の解釈は変えない、こういうことで政治活動をされますか。これが一つであります。

 それから、憲法解釈を変えたことではないと今言われましたが、集団的自衛権行使に対する解釈は従来どおりでありましょうが、例えば、従来武力と一体化だ、こう言われておった輸送あるいは医療、こういったところへ踏み込んでおられる。従来の憲法解釈を変えておられるんだ。僕は、変えて悪いと言っておるのじゃないんですよ。変えるのだから、もっと思い切って集団的自衛権の行使、ここまでいけばどうしてこんな法律が要るのですか、要らない、自衛隊だって胸を張って行ける、そういうことを申し上げているのであります。

 赤軍のテロ事件、湾岸戦争、PKO、私もずっと議論をいたしました。民社党、新進党と来ましたけれども、常に自衛隊の活用ということに賛成で今日まで参りました。ここへ来てこの法案に反対の立場で質問するなんて、夢にも思いませんでした。しかし、やはりこれは日本の国会議員としてきちっとしてやっていかないと、またこの次に同じような法律をつくるのですか、皆さん。何回こういう法律をつくるのですか。そのたびにすき間をついておるのじゃないですか。そういうこそくなやり方でいって、自衛隊が胸を張ってやれるのか、諸外国はウエルカムと言うのかということも含めて、私はこの質問を申し上げたわけでございます。

 総理大臣、これからも憲法九条の集団的自衛権の解釈を変えずに政治活動をやる、これについて御答弁いただきます。

小泉内閣総理大臣 私は、総理になる前から言ったのです。集団的自衛権の行使を認めるのだったらば憲法を改正した方がいいと。今、状況を考えて、憲法を改正するような状況じゃないですよ。その中でいろいろ知恵を出して、憲法の前文と憲法九条の間のすき間、あいまいな点があるところを、どうやって国会議員の皆さんの知恵をかりながら日本ができることをやろうかということを考えている。

 確かにあいまいさは認めますよ、あいまいさ。すっきりした、明確な、法律的な一貫性、明確性を問われれば、答弁に窮しちゃいますよ。大体、憲法そのものが難しいです。学者でさえも違憲論、合憲論あるんだから。一貫性というか、そこはすき間がある、解釈によっていろいろ活躍あるいは役割が持てるという中で考えたんですから。これは、もう中井議員の、私は賛成の立場で言ってくれると思ったら、まさか反対の立場で質問されているとは思っていなかったけれども。

 そういう点を考えて、憲法の範囲内でぎりぎり、国際協調の中で日本は何ができるかということを主体的に取り組もうと。確かにすっきりした答弁はできないかもしれませんが、それは憲法の範囲内でできる限りのことをやるという今の努力というもの、これをやはり日本としても国際協調をもってしなきゃならないという点から今考えているところであるということを御理解いただきたい。

中井委員 憲法を改正する時期ではない、こうおっしゃったけれども、小泉総理は構造改革を言われて、聖域なき構造改革と言われている。日本を根幹からどうしようかという議論をするのに、憲法を考えずに聖域なき構造改革なんてできるわけがないんだと僕は思っていますよ。あなたがそれを言わないのは、勇気がないだけだよ。だから、それはこれだけにして、憲法論議でやらずに今の法律の中で行かれるというのだから、私どももあえて今の法律にのっとっていろいろなことを申し上げなきゃならない。

 先ほど、横路議員の御質疑の中で、国連決議の問題がございました。僕は、横路さんのおっしゃるとおりだ。本当に二十年間で初めてですよ、横路さんと一緒だという、こんなこと。知事さんをされておったから、しばらくはあれですが。

 これは本当に、それではどうして今の国連決議で、こんなに自衛隊を出すんだ出すんだと行かれるんだ。きょうパキスタンへ物資輸送されたのは、難民の事務所からの御要請だから結構でしょう。しかし、どうして国連決議で、あの決議で行けるんですか。湾岸戦争のときに、何回国連は決議しましたか。武力行使をみんなでしてもいいというまで、どれだけの国際間の努力があったんでしょうか。今回はテロだから早くやらなきゃならないとか、国家相手じゃないからとか、いろいろなことはあるでしょう。しかし、この間の国連決議だけで、安全保障の常任理事国でもない日本がぱっと行っちゃう。これはどうなんでしょうか。

 せめて国連できちっとした決議ができるように日本として最大限努力をする、その上でこの法案と一緒に自衛隊の行動を考えます、こういうふうにお答えになるのが私は憲法をお守りになるという総理大臣の考えに近い、こう思いますが、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 湾岸戦争のときは今と違うんです。それはイラクとクウェートの戦争だったんです。アメリカは関係ないんですよ。だからこそアメリカは国連決議をしようとしたんです。クウェートが侵略された、クウェートを救うために自国の青年の血を流さなきゃいけない。関係ない、しかし世界の平和と安定のために、侵略を認めるわけにいかぬということで、はるかかなたのイラク、クウェートに対して自国の軍隊を投入するために、個別自衛権という観念じゃ無理がある。だから、これは侵略を認めたら大変なことになるということで、世界と協調する態勢があるということで武力行使の国連決議を求めたんですよ。

 今回、アメリカは違いますよ。個別自衛権だと。自国の本土で、国防省とニューヨークのトレードセンター、これは自国への攻撃だと認めたのです。はるかかなたの自分の関係ない国じゃないんです。だから、個別自衛権、安全保障理事会でも個別自衛権を有すると認識しているんです。

 そういう中で、これは自国にだけ攻撃されたんだけれども、八十カ国に及ぶ国民があのワールドセンターで犠牲になっている。日本人も犠牲になっている。だから、世界と協力して、想像できないようなこのテロに対して、国際的な協力のもとに対決しようということで立ち上がっている。そのときに、日本ができるだけの国力に応じて協力しない、そのリスクを考えるならば、私は、ここはやはりテロ根絶のために、テロ防止のために、これだけ世界が立ち上がって、日本も国力に応じてできるだけの協力をしよう。それは自衛隊だけじゃありません。いろいろある。だから、そのできることをやるということを御理解いただきたい。

中井委員 湾岸戦争のときにはアメリカはそういう考えもあったかもしれませんが、サウジとの安全保障条約もあったんだ。サウジアラビアを侵略されたら大変なことになるということもあって出た。だから、そこら辺は、総理、十分お互い気をつけてしゃべった方がいいんだろう、このように思います。

 私どもは、政府が持てる力をもって国連で最大限の決議ができるよう努力されることを強く要望をいたしておきます。

 それから、日本にありますアメリカの軍が、在日米軍が既に佐世保や沖縄からインド洋あるいは近辺へ出ておる、こういうニュースが報じられております。

 日米安保条約で、日本におります米軍は極東の安全のためだけ、また日本の安全のためだけ日本の基地を使える、こういうふうに規定されているわけでございます。今回、米軍は行った、頑張れ、何ぼでもお手伝いする。どこにそんな法律があるんですか。これは、政府に連絡があって、政府はオーケーと言ったんですか、お聞かせください。

田中国務大臣 お答えいたします。

 これは在日米軍の、軍の単なる移動というふうに解釈をいたしております。

中井委員 僕、外務大臣に余り質問したくないんだけれども、第六条、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍、海軍が日本国において施設及び区域を使用することが許される、こうなっておるんです。

 世界じゅうに飛び立つのを日本は許すことになっていないんじゃないですか。それを、どうしてそういう答弁なさるんですか。あれは訓練に行っておるんですか。

田中国務大臣 米国は我が国防衛の義務があります。これは安保条約の第五条でございます。そして、一方、我が国はアメリカに我が国及び極東の平和と安全のために施設と区域の使用を認める、これは安保条約の六条でございますけれども、このことによって米国の義務とバランスがとれます。

中井委員 だから、違うでしょう、やっていることが。

 委員長、だめです、あの答弁。今の答弁だめです。僕の言ったことを答えただけですから。(発言する者あり)

野呂田委員長 速記はとめないでください。撮影の時間がありますから。

 外務省に申し上げますが、的確な答弁を再びお願いいたします。

 中井洽君。

中井委員 僕は、今回、アメリカがすさまじい怒りを持っている。全国民一体となって、やるんだ、こうやっておられるあの勢い、すさまじさ、久間さんは怖いと言われました。私も、そこも含めてアメリカという国を見ています。このアメリカに、同盟国としてテロ撲滅のためにいろいろなことをお手伝いするのは結構だ、これは申し上げています。しかし、法律はきちっとしてください、守るものはきちっと守ってやってください、こう言っているわけであります。

 日本にある米軍基地が、世界じゅう、どこのため、何のためでも、日本政府の了解もなしに飛び立って軍事行動ができるというのなら、日本国民は米軍に基地を使用さすことについてためらいを覚えるんじゃないですか。ここら辺をきちっと整理して、次の機会にお答えをいただきたい。

 肝心のことがわからなくて、今までかかるんですか。(発言する者あり)何でだ。どうしてだ。どうしてだ。

野呂田委員長 不規則発言はやめてください。

 外務大臣。

田中国務大臣 施設と区域の使用目的というものは極東の範囲に限られております。しかし、運用上は、在日米軍の移動はあり得るのでございます。

中井委員 これは湾岸戦争のときの政府解釈と違う。それは統一してこの次の、特別委員会開くんですか、あるいは私どもの党の質問している間にお答えをいただきたい。時間がありますから。これは湾岸戦争のときのお答えと違う、今のお答えは。

 それからもう一つは、施設と設備を極東の安全と平和のためだけ使える。こういうのなら、どうして自衛隊は、今度法律改正して、米軍の安全のために護衛に行くんですか。護衛につけるようにするんですか。今度新しい法律で、自衛隊は警備体制をしけるようにするんでしょう。違うの。世界じゅうに行くために日本は護衛に出るんですか。そういうことになるでしょう。

中谷国務大臣 基本的に、在日米軍基地というのは我が国の領土内でございます。その使用権は米軍にございますが、我が国の領土でございますので、我が国が安全保障を管理するのは当然のことであるというふうに思います。

中井委員 世界一の最強の軍隊はアメリカであることは、だれも異論がないと思います。その世界一の軍隊を我が自衛隊が守らなきゃならないというのは、僕は少しおかしいと。ただ、日本のために働いてくれて、あるいは極東の安全のために働いてくれている。そのときに、御家族の方だとか留守になった施設やらを自衛隊が守るということであるならば、それはあり得るだろう。しかし、世界じゅうどこへでも日本から行く、その米軍の安全を日本の自衛隊がどこまでも守るんだ、そんなことはないでしょうと、このことをあえて申し上げておきます。

 それから、引き続いて法案の中身に行きますが、この法案について先ほど小泉総理は、テロ撲滅、こう言われました。テロ撲滅のためなら、どうして二年間、時限立法になさるんでしょうか。僕は、この法律は、例えばタリバンならタリバンというテロを撲滅する、もっと限定されるべきだ。

 テロというのは世界じゅうにあるじゃないですか。撲滅といったらいつ終わるんですか。今回、自衛隊をこの法律のもとに出動させられる。ビンラーデンという犯人、主犯格と目される男が殺されたり捕まったら自衛隊は引き揚げるんですか。タリバンがアフガンの実効支配をやめたら自衛隊は引き揚げるんですか。いや、アメリカがまだテロは世界じゅうに残っているといってあっちこっち戦い続けようとしたら自衛隊も行くんですか。どっちなんでしょうか。これはテロと書いてあるんです。

福田国務大臣 今度提出させていただきます法案におきましては、九月十一日のテロ攻撃への対応にその目的を限定しております。したがいまして、性格上、目的を達成した時点で廃止されることが予定をされております。(中井委員「その目的は何ですかと具体的に聞いているんです」と呼ぶ)ですから、これは、これからどういうことがどういう事態になるか、今予測ができないんですよ。ですから、その事態に至って、その都度判断をしていくということ以外にはないと思います。

中井委員 私どもは、ずるずるずるずると自衛隊が何でもできるという状況になる、このことを心配しているわけであります。今回、横須賀を出港しました空母に対して、日本の自衛隊が研究調査と称して護衛についた、内閣は知らなかったというようなことを含めて、どんどんどんどんと自衛隊が法律や国会のシビリアンコントロールなしに動く。そういう体制がだめだから今の憲法ができたんじゃないでしょうか。

 そういう意味で、このテロの定義、どうしたら戦争というものをやめて自衛隊は帰ってくるんだといったところをきちっとされるべきだ、このことを申し上げておきます。

 その次にこの中でわからないことは、戦闘行為によって遭難した戦闘参加者の捜索、救助を行う、こう書いてございます。これは、今までにない新たな任務。戦闘行為によって遭難した人が、どうして戦闘行為のない安全な地区にいるんですか。自衛隊は、戦闘行為のない、戦闘行為がこれからも起こらないところへ相手の国の了解を得て行くんでしょう。どうしてそこで戦闘行為で傷ついた人やら遭難者を助けるんですか。僕は全然わからぬ。

中谷国務大臣 これは、やはり人間として、前で、川で人がおぼれていたらみんな飛び込んで助けるのに、じっと立って見ているのかという議論に似たような感じで、我々、現在のガイドライン法案でもこの規定はございます。

 ただし、戦闘行為が行われている場所には自衛隊は行かないという前提でありますので、せめて、戦闘行為が行われていない部分でそういう救援活動を行っていくというような内容でございます。

中井委員 今いみじくも長官からお話があったように、アフガン国境でパキスタンにおられる自衛隊の方が、ゲリラ戦か何かがあって米軍の死者が出た、そうしたら、目の前だから助けに行かなきゃしようがないじゃないか、こういって出かけるというわけでしょう。そういうことじゃないですか、今のお話は。それは、人間としてそうなっちゃうんだよ。それは違うと法律に書いてあるんだよ、これは。地域が違う。

 今ガイドラインのことを言われたけれども、そのときには後方地域と言われたんだ。そこへ、日本を攻めてくるのはまた別の戦争だ、こういうお答えだったわけ、小渕さんのお答えは。しかし、今度は後方地域と書いてないんですよ。実施地域と書いてある。どう違うの。

 要するに、一線を画して交戦のないところでやるんだと言うけれども、実はあいまいだからそれを越えても行けるんだという書き方じゃないんですか。そういうあいまいなことで現地の自衛隊に判断を任せていいんですかということを申し上げているわけです。

中谷国務大臣 その件につきましては、あらかじめ、実施させる前に、基本計画におきまして戦闘行為が行われていない地域を指定いたします。そして、その戦闘行為の行われていない地域においてのみそういう救援活動を行うということでございます。

中井委員 そういう形で、無理してすき間すき間をねらって法律をおつくりになるから、どうしても、私みたいに素人の者が質問しても、わけがわからぬ、お答えに困るような状態になるわけです。

 アメリカに国全体挙げて協力してテロ対策をとるというのはそのとおりだ。しかし、例えば、総理、十月一日のニューズウイーク、「マーシャリング フォーシズ ツー ファイト テロリズム」、こう書いてあるんですね。「ライクリー パーティシペンツ イン ミリタリー アクション」、軍人を出して、軍を出して一緒に戦ってくれる国、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、ニュージーランド、こう言っている。「マイト アロー US ツー ユース ゼア ベーシズ」、基地を貸してくれる国、日本、こういうふうに入っておるわけです。勝手にもう言ってしまっておるわけです。だから、もうそれでいいんじゃないですか。

 フランスなんかは、ここにはっきりと期待されておっても、戦艦二そうですか、二機ですか、出すだけで、後方支援、こう言っているんです。今回はゲリラ戦ですから、なかなか出し方は難しい。何が何でも出すんだというようなことは、よくお考えになっておやりになるべきである、こう思っております。

 それよりも、我が国としてもっとみんなで考えなきゃならぬことはいっぱいある。例えば、オウムをなぜ許したんだ、オウムを。今回のテロよりもっと悲惨なテロだったじゃないか。破防法の適用もしなくて、いまだにオウム真理教は活動しているじゃないですか。こういったことの反省ができていないと僕は思います。

 あるいはまた出入国管理、法務省は五年で千百人ですか、増員体制を組まれようとしていますが、なかなかこれだって、中部国際空港が間もなくできようとしているけれども、この体制もできない。国内のテロ十数人、イスラムの原理教の連中が潜伏した、こういう情報機関の連絡はあるけれども、これはだれがキャッチするんだ、だれが調べるんだ、担当局もない。総理は、情報をいろいろな形で集めて一元化して使うんだ、こうおっしゃる。そのとおりです。だけれども、どこがこういうテロに対してやるんだという対応もきちっとしていない。あるいは、日本の中で飛行機を含めた公共輸送、例えばJRのある会社には、ゲバをやり続ける革マルというグループが千人もいる。ほったらかしだ。

 こういったことを含めて、国内の法整備や体制や、みんなでテロときちっと闘うんだ、こういう意識統一というのが私はアメリカに対する応援になる、また、日本でそういう仲間をふやしたり応援をしたりする者を出さない、こういう体制づくりになるんだ、こう思いますが、総理はいかがお考えですか。

小泉内閣総理大臣 御指摘のとおりであって、まさに有事対応体制といいますか、危機管理体制、これは日本で欠けている面がかなりあると思います。そういう面において、平時から有事に備えるというような体制をとるということは極めて重要なことであると認識しております。

中井委員 お話のあった危機管理体制ということ、私どもも本当に、マニュアル化してでも考えていかなきゃならないと思っています。

 今回のテロ事件が起こって、総理初め幹部の皆さんが官邸へお集まりになられた。これはこれで結構でありますが、例えばあのときに、どの大臣とどの大臣が集まるんだ、これをきちっと決めるべきだ。与党の幹部まで行って、情報管理センターはもう座るところもないというふうなことでは、仕事もできないじゃないか。与党の幹部はあんなところへ行っちゃだめだ。それは総理以下、防衛庁長官はまあ海外にいらしたらしいが、ちゃんとルールで決めて、この大臣とこの大臣とこの大臣で対策をとる、こういうことをやっていくことが僕は危機管理だと思うんですね。

 そういった意味で、日本はたびたびこういうことに遭いながら、いまだにマニュアルがつくられていない。

 そして初めの、初動のところを役人に任す。役人がそのときそのときの判断をしちゃう。役人に任すなら、もう徹底的にマニュアル化をすべきだ。そして、いざというときに、国民は、ああ、総理が働いてくれている、官邸が動いている、アメリカの大統領の動きみたいに感じられる、そういう体制をつくるべきだと思いますが、官房長官、お答えください。

福田国務大臣 中井委員のおっしゃられることは、私、正論だと思います。

 私ども、いろいろなケース、反省しながらよりよい危機管理体制をつくらなければいけないということで努力はいたしております。しかし、危機管理というのは、まことに思わざるときに、また思わざる形で起こるということで、どういう体制というのは、その危機の中身にもよるということもあります。しかし、そんなことは言ってはおられない。本当の意味の危機管理体制とはどういうものかということを、私ども懸命に努力してこの体制づくりに励みたい、このように思っております。

中井委員 僕はそう間違ったことを言っていないですから、正論だとお褒めいただいてもありがたくも何ともありませんが、要するに、やるかやらぬかですから。毎回こんなことを言っているんですね、えひめ丸のときも言っている。

 だから、それは、いろいろなことが起こる、いろいろなことに対して全部マニュアル化をしていくという努力が要るんだ。これは、専門家も含めて大至急御協議いただいてつくっていく、足りなかったら、また次つくっていく、そういう努力を常にしていくことが政治のあるいは行政のトップにおる者の責任だ、こう思いますので、お考えをください。

 このテロ問題や新しい法案については、また機会があれば私も委員会で質問をしたいと思いますので、幾つかその他のことについて申し上げたいと思います。

 総理は、来週、中国と韓国をお訪ねになる、こういうことでございます。この中で、僕は一つだけ気になることがあります。中国へ行かれて盧溝橋へ行かれる。盧溝橋というのは、私も四度ほど行きましたが、すばらしくきれいな橋でございます。しかし、そこにあります人民抗日戦争記念館、ここへお行きになるというのは、村山さんが行かれたり、ひょっとしたら橋本総理も行かれたかもしれませんが、私は余りお勧めできません。ぜひ御一考いただくようにお願いを申し上げます。

 それからもう一つは、過般、台湾において、かつてない、歴史上初めてというような大変な台風が襲来をいたしました。台北は多分、今も地下鉄が不通になっている。かつてない水害でございます。日本に一番近いところにある、国と言っていいかどうかわかりませんが国、そして、一年間に二百万近く日本へ訪れて、阪神・淡路大震災のときにも大変な御心配をいただきました。日本はここに対して何もお見舞いもいたしておりません。少しお考えをいただくということはありませんか、お答えください。

野呂田委員長 中井委員、どなたに答弁をお求めですか。

中井委員 総理が答えてくれれば、総理で結構です。

小泉内閣総理大臣 どういう被害状況か、私は今、定かに把握しておりません。また、台湾からどういうような要請が来ているか、あるいは人道的支援で日本がどういうことを今やっているか、詳しく把握していませんので、研究してみたいと思います。

中井委員 それでは、残り十分ほどしかありませんが、銀行の不良債権問題について、少し私なりの考えを申し述べたいと思います。

 不良債権問題処理が構造改革の何か目的みたいに言われている、これは全く違うんだと思っています。構造改革というものを本当に痛みを伴ってでもおやりになればなるほど、不良債権というのはふえてくるものだ。同時に、この不況下で、やはり中小企業の倒産等が相次いで、銀行が償却しても償却してもふえ続けている、これも事実。それからまた、デフレで企業の活動が縮小していますから、どうしても不良債権というものもふえてくる。

 総理は、御就任のとき、二年と三年、古いのは二年、新しいのは三年で完全処理をする、こう言われ続けました。しかし、この間の所信表明では、最終年度までに正常化をする、こういう言い方に変えられているわけでございます。この言葉をお変えになった理由、そしてどこが違うんだ、ここを御説明ください。

小泉内閣総理大臣 後ほど柳澤担当大臣にもお話しいただきますが、まず、不良債権は、ゼロになるというのは無理なんですよ。最終処理というと、ゼロになるんだと思っている人もおられる。そうじゃない。最終的には、たしか四%以下かな。そういう問題がありますから、変えたわけじゃない。てきぱきと適切に処理しなきゃならないけれども、その点について誤解がないように表現しなきゃならないということを御理解いただきたい。

 柳澤担当大臣、あとをお願いします。

柳澤国務大臣 不良債権の処理と構造改革の問題ですけれども……(発言する者あり)短くします、恐縮です。

 要するに、不良債権の処理を引き当てだけでやっていると、これは実体経済とほとんど何の関係もありません。しかし、我々が言っているように、最終処理をする、バランスシートから落とすということは、相手方との関係が生じます。

 不良債権の相手方には二つあります。経済状況が悪いという、ただサイクリカルな不況で不良債権化しているものもあるし、構造的に不良債権化しているものもあります。したがって、我々は、構造的な分野について不良債権の処理をすれば、それはやはり構造改革そのものだという考え方をするわけでございます。しかし他方、今委員が御指摘になられたとおり、構造不況あるいはデフレの中で不良債権が新規発生するということも、これはもう否定できない事実でございます。

 正常化ということは、今総理お答えになられたとおり、不良債権の残高がバランスシートからなくなっちゃう、これはもうあり得ないことです。金融機関がリスクをしょって貸している以上あり得ないことで、一般に全与信に対して、リスク債権に対してどのぐらい不良債権が占めている場合に正常だと言えるかというと、いろいろな見方があるようですけれども、例えばアメリカの格付会社などは、四%以下であれば正常と言えるのではないか、こういうことを言っておりまして、私どもも三%台あるいは四%というところを目指していきたい、このように申し上げている次第であります。

中井委員 昨日、総理は仙谷議員の質問に対して、市場に信用されていない、こういうことを他人事のように言われました。今の御説明は私は、少し詭弁だ。二年から三年でオフバランスをする、かなりのときに総理も柳澤さんも言われておる。それを今、オフバランスでなんて完全にできないんだ、そして三年だと。こういうのは違うでしょう。二年と三年というのと三年でというのと違うでしょう、僕らもいろいろなことを知っていますが。そこら辺を少しずつ言い方を変えていらっしゃる、ここに市場が信用しない理由があるんだ。

 総理、もう一つ私、申し上げたいことがありますが、総理も柳澤さんも、この不良債権の処理に関して、金融不安が起こったときに使える十五兆円の枠のお金は今は使う考えはないと、これだけを強調されました。私の本会議の質問に対してもそうお答えになりました。

 しかし、これまた市場が信用していない。使わないというところだけ逆に不安を持っている。処理しますが、万一金融不安が起こるようなことがあれば即座に適用します、こう言われるのが役割だ、私はこう思いますが、間違いですか。

柳澤国務大臣 全然間違いではありません。総理も何回もそのことはおっしゃっていますし、私も申し上げているのです。

 要するに、金融システム危機が起これば、金融危機対応会議というものが総理を議長のもとに開かれまして、そして、この十五兆円を、もう既に用意されているわけですから、これをもって資本注入をするということでございます。

 我々が資本注入をしないという理由は二つあって、今はまだ、今はまだと言うといつか来そうな話になりますが、そういう状況に、そういう必要性はないのですということを申し上げていると同時に、私は、若干個人的なことですけれども、自己資本の注入はできるだけ避けたい。何となれば、銀行を国家管理することになるのです。今だって、十年ぐらい銀行のはしの上げ下げまで我々は言え、言えと言われているのです。

 そういうようなことをやって、民間主導の経済というものをこれから実現しようというとき、およそ逆行することになるのじゃないかということに、私は大変なちゅうちょを感じているということも御理解賜りたいと思います。

中井委員 もう一つ、雇用の問題について、あるいは景気対策を含めて提案がありますので、坂口大臣になりますか、あるいは他の大臣になりますか、お答えをいただけたらと思います。

 先ほどから雇用のミスマッチということが盛んに言われておりましたが、実際一番難しいのは、四十以上の方を雇うというと、給料体系はどうだろう。それから、四十、五十代でリストラをされて、あるいは早期に退職をされて職を探しておられる方は、割かし退職金やらいろいろな積み増しでお金をお持ちだ、したがって、給料をうんと下げてまでお勤めにならない。雇う方は、四十前という年齢制限じゃなしに、やはり給料なんですよ。この給料で来てくれるのならということです。

 そういう意味で、僕は、四十代、五十代の人が新しい仕事をいろいろな形で探されるということも必要で、お手伝いをすべきだと思います。しかし、これらの人はいろいろな経験を持っていますから、仲間と一緒に株式会社、企業を起こしてもらう。例えば、そういう人が五人寄って二百万ずつ出して一千万の仕事をなさる。ここへ国民金融公庫やら政府系が特別の融資も考える。もし三年なら三年で失敗したら、その二百万円は、過去さかのぼってか、延ばしてか、税額控除する。リスクヘッジを少し国の方で考えて、皆さん頑張って一遍おもしろい仕事をやってみてください、こういうお手伝いをするというやり方はないのかと私は思っています。

 これについて、坂口さんなり平沼さんなり、どちらかお答えをください。

坂口国務大臣 そこは御指摘のとおりと私も思います。

 今失業しておみえになります皆さんの中には、今おっしゃったように、大きい企業にお勤めになった、そして四十五、五十歳の人もおみえになりますし、それから、自営業を今までからなさっていて、そして今やめざるを得なくなった人もおみえになりますから、その人に対する支援、あるいは財政的な支援、それからまた仕事の内容のお手伝い、きめ細やかにここは支援をする体制をつくらなければならない。(中井委員「税金」と呼ぶ)税金をまけるところまで私が言うわけにはまいりませんので、そういうことにしたいというふうに思います。

平沼国務大臣 ちょっと午前中の答弁でも私触れましたけれども、やはり日本の場合には、非常に、新しく企業を起こす、そしてベンチャーを含めてそれに対するインセンティブが少ない、そういうことがあります。したがいまして、事業計画に着目をして、そして援助をするという入り口のところと、それから、午前中の答弁でちょっと触れましたけれども、例えばアメリカなんかは、失敗したそういう人たちも、あるいはいわゆる非自発的で仕事を失って経験を生かしてやろうという人たちには非常に投資しやすい環境があるし、税制でもそういう優遇措置があります。

 ですから、そういうことはこれからの日本は含めて考えていかなければいけない問題だ、このように思っております。

中井委員 終わります。

野呂田委員長 この際、達増拓也君から関連質疑の申し出があります。中井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。達増拓也君。

達増委員 今国会は、内外に非常に大きな危機が山積する中で開かれる特別な国会だというふうに考えております。

 この国会が始まる前、ある新聞で見たのですが、今回の国会で取り上げられるであろう重要なテーマはKで始まっている。例えば、米国中枢テロ勃発に伴う危機管理、そして経済、あるいは景気、雇用、そして改革の問題。また、高祖議員にまつわる選挙違反の問題、そして狂牛病もまたKで始まる言葉であります。

 私はこれに、小泉内閣そのもの、これもまたKで始まるわけでありますが、これだけ危機が山積する中であるからこそ、この内閣でいいのかという問題意識、これは内閣不信任案提出権を有する国会議員としては常に念頭に置いていなければならないことですけれども、このような危機の中であるからこそ特に、この内閣でいいのかという問題意識、これは今国会、念頭に置きながら進んでいかなければならないと考えております。

 そこで、高祖憲治元参議院議員をめぐる選挙違反事件について質問をいたします。

 この事件は、近畿郵政局長、同局総務部長、そして普通郵便局局長や特定郵便局長等、十六名の逮捕を見る、そういう事件でありますが、これは一つは、中京郵便局ですとか大阪中央郵便局ですとか、そういう大きい郵便局の中で、上司から部下への投票と投票取りまとめ依頼という選挙違反が行われたということ、もう一つ、特定郵便局長の会議で、約百名の特定郵便局長に対して投票及び投票取りまとめの依頼が行われた、この二つの会議が発覚しておりまして、合わせて二百名の特定局長を巻き込んだ事件であります。

 これはもう、個々の公務員が個別に犯罪を犯したということではありません。よく、公務員不祥事、公務員の逮捕といいますと、公務員が個別に犯罪を犯すというケースがあるわけでありますけれども、これはもう近畿郵政局長まで逮捕されている。日本を分けて、近畿全体の郵政事業を統括する、そういう近畿郵政局長まで逮捕されている。その近畿郵政局長以下そういう郵政事業庁の組織がそのまま選挙マシンとなって動くという、役所ぐるみの、そういう組織的な犯罪なわけであります。

 行政府の選挙への介入というのは、およそ民主主義国では絶対あってはならない話でありまして、これは憲法秩序を破壊するようなことだと思います。一件でもあってもそれはよくないわけでありますけれども、これだけ大規模に、国の役所の組織が組織的に選挙違反を行っていた、選挙マシンとして動いていた、これは、憲法の理念を守ろうとする者であれば決して許すことができないことなはずであります。

 さて、特に特定郵便局長、特定郵便局のそういう全国津々浦々に広がるネットワークを有している郵政事業庁が組織的に選挙違反を犯す可能性については、今回の参院選前、厳しく指摘されていたわけであります。これはもう昔から指摘されていた話で、選挙のたびにそういう話が出ていたと言うこともできますけれども、特に昨年の秋、参議院の選挙について非拘束名簿方式が突然導入される運びとなりまして、これはもうそういう組織、団体をフル回転させる選挙が過熱してしまう、かえって日本の選挙を悪くしてしまう、そういう指摘を私たちはしていたわけであります。

 そういう中でありますから、特に郵政事業庁を預かる片山大臣としては、そうでなくても大臣というものは部下に選挙違反をさせないよう注意を払う監督義務があるわけでありますけれども、通常以上にそういう監督義務があったはずであります。国内、激しくそういう議論が行われた中で、みすみす大規模な犯罪の発生を許し、逮捕者を出してしまった責任を片山大臣はどう考えておられますか。

片山国務大臣 今お話しのように、近畿郵政局管内におきまして公選法違反で局長以下多数の逮捕者を出しましたことは、郵政事業を預かる者として大変遺憾なことに思っておりますし、責任を痛感いたしております。

 いずれにせよ、現在捜査中でございまして、司法当局の判断が示されると思いますけれども、刑事処分等を含め、全容が明らかになった段階では、国家公務員法その他の法規に照らしまして厳正な対応をいたしたい。候補者の責任はもとよりでございますけれども、管理監督者責任、私まで含めまして、しかるべき対応をいたしたいと思っております。

 御指摘のように、組織ぐるみと疑われかねない、こういうことが二度とあってはなりませんので、服務規律等の徹底をさらに図ってまいりたい、こういうふうに思っておりまして、現在、そのためにどうやるか具体案を検討中でございますし、特に、国民生活に密接に関係いたします郵政事業は国民の信頼の上に成り立っているわけでありますから、ぜひ国民の信頼を回復するように、今後とも最大限の努力をいたしたい、こういうふうに思っております。

達増委員 組織ぐるみの犯罪であることを疑われかねないとおっしゃいましたけれども、そうでないことを示唆する証拠、情報はないと思います。これは完全に局長以下組織フル回転でやった大規模選挙違反であります。

 しかも、当委員会においてもこの問題は選挙の前に取り上げられておりました。二月九日の予算委員会、これは、辻元委員が実際特定郵便局長が選挙運動をしているということをこの委員会で取り上げた際、片山国務大臣ははっきりと「私どもから十分注意しておりますから、御心配なく。」はっきりそういう答弁をされております。大臣が「私どもから十分注意しておりますから、御心配なく。」と受け合っていながら、こういう大規模な犯罪、多数の逮捕者を出してしまった。この答弁は当時テレビでも放映されておりましたから、たくさんの人が見て覚えていると思います。

 しかも、片山大臣は、郵政事業庁を所管する大臣であると同時に、日本の選挙を所管する大臣でもあるわけであります。我が国の国政選挙、参議院議員選挙がこのように異常に行政府の介入でゆがめられてしまったその責任をとるには、もうこれは辞表提出以外にないんじゃないでしょうか。そして、その辞表提出、辞職ということこそ最大の再発防止、今後このような大規模な行政府の選挙介入が行われたら、即大臣が辞職することになるという前例をつくることこそ最大の再発防止と考えますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 確かに、二月の予算委員会でございましたが、そういうことを答弁した記憶はございます。

 したがいまして、私は、口頭でも何度も綱紀粛正、服務規律、選挙に絡む地位利用その他、事前運動はやってはいけないということを申し上げましたし、関係の方面に、さらに通達もいつもよりは早目に出したわけでありまして、私としては、当総務省の職員を含めまして、そういうことはないということを強く期待いたしたわけでありますけれども、まだ全容は解明されておりませんが、逮捕者を出したこと等につきましては、私の期待に反してまことに残念だ、こう思っておりますし、いろいろお話がございましたが、私は、再発防止に全力を尽くす、綱紀粛正をさらに徹底することが私の責任ではないかと思っております。

達増委員 やると言ったことはやる、大丈夫と言ったら大丈夫、それが小泉内閣なんじゃないでしょうか。

 これは小泉総理に伺いたいと思いますが、九月十四日の予算委員会、今のこの国会直前に開かれた予算委員会で、これは仙谷委員の質問に対する小泉総理の答弁でありますけれども、この高祖議員をめぐる選挙違反事件について小泉総理は、「公務員がなぜ選挙運動を厳しく制限されているかよく考えなきゃならないということは、常々私が申し上げていたところでありますが、今回のこの郵便局を拠点とした選挙違反事件の捜査を見ますと、常々私が憂慮していたようなことが果たして行われていたのかどうか、まことに遺憾であります。」やるべきことをやっていなかった、これはもう片山大臣の監督不行き届き、遺憾だ、こういう趣旨で発言した、こう受けとめてよろしいでしょうか。

小泉内閣総理大臣 国家公務員、地方公務員がなぜ政治的中立の立場をとらなければならないかという認識が欠けていた、そういう点において極めて遺憾な今回の選挙違反行為だったと思います。そういう点において、これは捜査の全容解明を待って適切な判断がなされなければならない、そして、選挙運動のあり方、これは全員厳しく問われなければならないと思っております。

達増委員 やはり、やると言ったらやる、そういう、政治は言葉、自分の言葉に、その重さというのを自覚してきちんと発言しなければならないと思うわけでありますが、総理は九月十四日の答弁の今私が引用した続きの部分で、「そういう観点から、今後、公務員の選挙運動のあり方、公務員の規律、そして政治構造の問題、これらについてもはっきりと改革していかなきゃならないということを痛感しております。」と答弁しています。

 公務員の選挙運動のあり方や公務員の規律というのは、これはもうふだんからきちんとしなければならない問題であり、かつ、この高祖事件については郵政事業庁の特殊性というのもありますから、これを直ちに公務員倫理一般の問題には還元できないと思います。ただ、総理がはっきりおっしゃっている政治構造の問題、これについても改革しなければならない。

 まさにこの政治構造の問題というのは、これは質問の中で仙谷委員は、特定郵便局長が郵政事業庁のもとできちんと公的なそういう組織をつくってやっている、並行して特定郵便局長の任意団体もつくっていれば、自民党の職域支部としてのそういう団体もつくっている、同じ行政の機関がそのまま政治組織として動いている、そういう政治構造が問題の背景にあるんじゃないかということを指摘したのに対して、そういう政治構造の問題もはっきり改革しなきゃならないと答弁しているんですけれども、これはどういう改革をするんでしょう。

小泉内閣総理大臣 まず、公務員が選挙運動をしてもおかしくないと思っている議員も結構いるんですよね。(達増委員「自民党には」と呼ぶ)与野党ともに。だから、そういう点において、厳しくこういう点については認識を改めなきゃならない、これも大事であります。

 そして今後、国民の間にも、公務員というものが本当に選挙運動をしていいんだろうかという監視の目といいますか、これについても、選挙運動のあり方について、やはり選ぶのも国民側でありますから、これも非常に高い意識が必要です。同時に、今後、役所に頼らないそういう候補者を政党の側も考えなきゃいかぬ。

 当然、私は、これからの選挙制度のあり方、いろいろ議論されておりますが、政治改革の結果、小選挙区制度になりました。あるいはまた比例代表制が導入されました。そういう中においても、制度は導入されたけれども運用の面においてまだまだ正すべきあり方もたくさんあるのではないかと。制度面、運用面、それから国民意識の面、政党の候補者の選定の仕方についても、今後、今のような事件が起こらないような配慮が必要ではないかと思っております。

達増委員 五月十五日の予算委員会においては、我が党山岡委員が、やはりそういう候補者はかえた方がいいんじゃないかということを言っていたんですね。それに対して小泉総理は、大丈夫だというような趣旨の答弁をされていたわけでありまして、今、そういう候補者の選び方についても云々とおっしゃいましたけれども、それは本来、選挙の前にやっておかなければならなかったことだと思います。

 したがって、先ほど片山大臣についても、十分注意する義務、それは通常以上の注意をすべき義務があったと申し上げましたけれども、総理についてもそれは同じだったと思います。あえてそういう注意を十分払わないで、このような行政府の選挙への組織的な、大規模な介入を許し、逮捕者を出してしまった。

 先ほど片山大臣は、辞職するということはおっしゃらなかったんですけれども、そうしますと、あと残るのは、総理が片山大臣を更迭するか、あるいは総理も自分自身の責任を引き受けて内閣総辞職かということだと思いますけれども、総理、この点はいかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは、二度と起こらないような再発防止策、厳にあり方を反省しなきゃならない問題であって、今後の実際の行動で、このようなことが起こらないように対処していく必要があると私は思っております。

達増委員 先ほども質問したんですけれども、政治構造の改革、それをこれから検討するような話もあったかもしれませんが、確認させていただきますけれども、どういう政治構造の改革をするんですか。

小泉内閣総理大臣 いろいろ構造の改革はあります。政策の議論の仕方、今私たちも進めております行政構造の改革とか一般経済構造の改革、いろいろあると思います。そういう中において、政策の論議のあり方、選挙運動のあり方、いろいろ政治構造の改革は各般にわたっていくと思います。あるいは一票の格差の是正の問題等、いろいろあると思います。

達増委員 具体的にこれをやるという中身も念頭にないまま、ただ改革をやるとぶち上げるのは非常に無責任なスタイルだと思うんですけれども、そうしますと、さっきの九月十四日の答弁の時点で、政治構造の問題についてはっきり改革していかなきゃならないとおっしゃったのは、その中身については特に念頭にないが、何かやらなきゃならないなという程度で発言したということでしょうか。

野呂田委員長 達増君の時間が参りました。簡潔にお願いします。

小泉内閣総理大臣 いろいろ政治構造の改革として、私は、首相公選制も政治構造の改革だと思っていますね。これも政治構造の大改革ですよ。だからこそ、これは懇談会を立ち上げて、一年程度で一つの具体案を提示してもらおうと。一票の格差是正も、これは政治構造の改革です。今言ったような、公務員は選挙運動を厳しく制限されている。これも意識改革です。いろいろありますよ。

 だから、それは一つじゃない。各般にわたっておりますから、それを一挙にやるというのは、今議院の選挙制度協議会においても協議している最中ですから、その点についてはそれぞれの立場で議論を積み重ねていく必要がございます。

野呂田委員長 これにて中井君、達増君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男でございます。

 九月十一日にアメリカで起きましたあの大規模な、野蛮なテロ事件、これは本当に世界に大きな、深刻な衝撃を与えました。今、世界は、このテロ事件の問題で、テロの犯罪者を追い詰めて何としても法の裁きのもとに置こうじゃないか、その大きな方向での取り組みが始まっていると思うんです。私は、今、そのためにも、どのような手段で、そして国際的にどういう共同をしながら犯罪者を追い詰めていくのか、このことが本当に深く問われていると思います。

 テロ犯罪に毅然と立ち向かい、その根絶を図っていく、この点に今、世界の願いの合流があると思うんですけれども、同時に、現時点での性急な武力行使については、これを是認するような一致はないと思います。現に今、ニューヨークで国連総会が開かれております。この国連総会は、国際テロ根絶措置、このことを議題にした初めての集中討議だ、このように言われていますけれども、この総会の議事の経過を見ましても、各国の意見の表明を見ましても、明瞭だと思うのです。やはり武力行使に危惧の念を表明されている国々の方々は、武力行使が罪のない住民に新しい惨害をもたらす、そのことにるる懸念を表明されております。特に今、国際社会が憂慮しておりますのは、米軍がアフガニスタンのタリバン政権を名指ししながら武力行使の準備を進めて、事態が日ごとに緊迫化していることです。

 先週月曜日には、九月二十四日ですけれども、ユニセフ、国連児童基金、それから世界食糧計画、国連難民高等弁務官、それらの六つの国際組織の代表者の方々が「アフガニスタンで危機に瀕する市民」という緊急の共同声明を発表いたしました。これを読みますと、この声明の中では、米軍が戦争準備態勢をとっている中で、アフガン周辺では、不安に駆られた住民が閉ざされた国境地帯に押し寄せる一方で、食糧援助が滞ってしまっている。そのために、この共同声明によりますと、「五百万人以上の一般市民(その大半は女性と子ども)が生存の瀬戸際に追いやられている。冬の到来で、その状況は一層厳しくなるだろう。」こういう警告です。

 実は、私も、一週間前なんですが、東京の渋谷にあります国連難民高等弁務官事務所、ここを訪ねて、資料といろいろな情報をいただいてまいりました。ここにその国連難民高等弁務官事務所でいただいた、今のアフガニスタン周辺の難民の状態を示す地図、これを持ってまいりました。一部小泉首相にも、質問の関係がありますので、ごらんいただきたいと思います。

 このアフガニスタンという国は、皆さん御存じのように非常な山岳地帯ですけれども、その国境線が長いわけですが、今問題になっているのはアフガニスタンとパキスタン、それからイランの国境線ですけれども、イランの側は国境線を閉じたと言われております。そして、アフガニスタンとパキスタンの間では、ここで黄色の二つの点が示されておりますけれども、ジャララバドというアフガニスタン側とペシャワールの間、それからカンダハルとクエッタの周辺、多数の人々が国境を越えるには大体大きなところでは二つぐらいの検問所しかない、こう言われています。ところが、イラン側が閉ざされ、そしてここも実際上閉ざされている。そのために、アフガンの人たちは外に出られないし、中にいて食糧援助もままならない。これが今世界が心配しているアフガニスタンで起きている深刻な飢餓の状態だというふうに思うんです。

 ここでもう一つ国際機関の警告を御紹介したいんですが、これは国連食糧農業機関、FAOというふうに呼ばれていますけれども、それが、九月の二十日ですが、スペシャルアラート、特別警戒という情報を発表いたしました。これを読みますと、このまま事態が進行しますと六百万人の方が飢餓に直面する、こういう警告なんです。この六百万というのは、アフガニスタンの現在の人口、あそこの場合は推定人口ですね、なかなか移動がありますからわかりませんので、その三割近い規模に及んでいる。それだけに今世界の目がここに向いてきているというふうに思うんです。

 それで、小泉総理にお伺いしたいんですけれども、二日の衆議院での私どもの代表質問で志位委員長が、これらの声明も紹介しながら、こうした地域で今武力行使を行えば、罪のないたくさんの住民に被害が及んでしまう、テロ根絶のためには罪なき市民に犠牲者が出てもやむを得ないと考えているのか、このように総理にお伺いいたしました。まだ今週のことですから、総理御自身よく記憶されていると思うんです。

 そこで、そのときには総理から答えはなかったんですけれども、私は改めてお聞きしたいんですが、総理は、テロ根絶のためには罪のない住民の方々に犠牲が出ても仕方がないという立場にお立ちなのか、それとも住民への犠牲は許されない、そういう立場なのか、総理の基本の立場を答えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

小泉内閣総理大臣 今回のテロによって罪なき市民が多数犠牲になっているわけです。それに対して、テロを根絶しなきゃならないということで、米国を初め、これは自国だけの問題ではない、全世界一緒に立ち上がろうという中で、日本もテロ根絶、防止のために主体的に、積極的に取り組もうとしているわけであります。

 だれが罪のない市民が犠牲になることを望んでいるんですか。アメリカが私は一番慎重だと思いますよ。だからこそ、あらゆる手段を講じてもやろうと言っているけれども、できたら外交努力で、武力行使は最後の手段だということで、今慎重に、冷静に、忍耐強く対応しなきゃならないとブッシュ大統領が言明しているように、やっているんだと思います。

 言葉じりとらえて一々犠牲を望むか望まないか、望まないに当たり前じゃないですか。(発言する者あり)

北村(直)委員長代理 静粛に。

小泉内閣総理大臣 できるだけ犠牲を出さないように犯人を捕らえる、テロリストを撲滅する、私は当然のことだと思いますよ。

山口(富)委員 言葉じりをとらえてというのは、総理、ひどい話だと思います。といいますのは、ちゃんと衆議院の本会議で聞いて、答えがきちんとしたものが出なかった。だから聞いているんです。

 だったら、総理はどの党が聞いても、これは当たり前だと思ったらお答えにならないんですか。

小泉内閣総理大臣 そう悪意にとれば言いますけれども、いや、いろいろな職務につく場合は犠牲を問わず職務につきますという方もいますよ。犠牲を望んでいるのかといえば、みんな望みませんよ、そんな。できるだけ犠牲を出さないような方法を考える、私は当然だと思いますよ。

山口(富)委員 では、犠牲を出さないという問題なんですが、今アフガニスタンで起こっている問題というのは、アメリカが戦争態勢をとっているもとで、これだけの、アフガニスタンから出ようとして難民になっている方もいらっしゃいます。そして、国内の中でも現実に食糧が届かなくて困っていらっしゃる方がいる。こういう実際の問題が起こっているから私たちはこれだけ問題にしてきたんです。

 続いて聞きますけれども、だったら小泉さん、犠牲を出さない方向と言うんだったら、武力行使しないで、アフガニスタンにいろいろな援助も含めて、そういう解決の方向でやるという真剣な検討があるんですか。もちろん、テロを許さないために、テロの犯人を追い込んでいく、これは後でたっぷり、きょうは時間がありますからお話しします。

小泉内閣総理大臣 アメリカばかり批判しますけれども、実際テロを起こしたのはだれなんですか、多くの市民を犠牲にさせたのは。だから、タリバン政権がかくまっている、容疑者であるウサマ・ビンラーディンを引き渡せ、身柄を引き渡せというのに、応じないんでしょう。どうしてテロリストに対してあなたは批判しないんですか。私は、この無実の、関係のない市民を巻き込むテロ行為を断じて根絶しなきゃならない、そういう当たり前のことを言っているんですよ。

 それで、話し合いに応じる相手じゃないでしょう、テロリストは。だからあらゆる手段を講じてこのテロ撲滅に世界各国は協力しなきゃいかぬ。だから、難民に対しても日本としては人道的な支援をやるということで、きょう既に必要な物資の派遣を決定しております。話せばわかる人もいますけれども、話してもわからない人が今テロリストをやっているわけでしょう。ここが難しいところなんですよ。

 あらゆる手段を講じて、冷静に粘り強くテロ防止、テロ撲滅のために日本も協力していかなきゃならないなと。そういうときには、できるだけ犠牲の少ない方法をとれれば、それにこしたことはない。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

山口(富)委員 私たち日本共産党の立場ははっきりしているのです。憎むべきテロの犯罪の根絶を目指す、しかしそのために市民が犠牲になるようなやり方はやるべきでない、こういう立場なんです。(発言する者あり)その話はこれからやりますから。

 それで、今、難民救援のお話も出ましたけれども、総理のお話ですと、犠牲が少ない方がいいんだということでしたけれども、これは言葉じりをとらえた質問ではありませんが、先に言っておきますけれども、今度の武力行使がやられた場合に、住民の被害が生まれる可能性がある、その認識はお持ちですか。

小泉内閣総理大臣 可能性は否定できません。

山口(富)委員 先ほど私、幾つか国際機関の警告でお話ししましたけれども、一番多いところで六百万という話が出ております。私も、この問題について、アフガンにいた方ですとか国連の難民高等弁務官事務所に行きまして、どうしてこれだけの、私たちにとっては非常に大きな、六百万といったら大変なものです、これはどういうことなんだと聞きましたら、やはり二十年間内戦状態が続いて国土が荒れ果てているもとでこれは現実に起こり得る問題だ、こういうふうに言っていました。

 ですから、多少の犠牲にとどまらない深刻な事態が今度の武力行使の中で生まれる可能性がある。だから、それを食いとめるための努力を今やらなきゃいけないんじゃないでしょうか。

小泉内閣総理大臣 既にテロ行為によって六千人以上の犠牲者が出ているんですよ。しかも無実の、軍人でもない、戦闘行為に参加している者でもない、全く戦争とは関係のない市民が六千人以上命を落としているわけですよ。それに対してどう対応するか、話し合いに応じないテロリストたちに対してどう対応するのか。これに対して今、全世界、力を合わせようとしているわけでしょう。しかも自爆を、みずからの命を犠牲にして、ああいうハイジャック、民間飛行機を武器に使って多くの人を犠牲にして何とも思わない、こういう相手に対して戦うのは容易じゃないですよ。そういう極めて困難な戦いに全世界が力を合わせようとしている。

 日本だけが一切の犠牲が出ないという前提でこれに取り組むことはできない。多少の犠牲は、ある程度は覚悟しなきゃならないでしょう。それはどういう犠牲かわからない。あるいは、東京にいてもテロ行為に遭う場合は命を落とさなきゃならない、けがに巻き込まれるかもしれない。民間飛行機に乗っても命を落とす覚悟があるかもしれない。今や旅行者というのは、事によると、ハイジャックされたら命を落とすかもしれないという覚悟で飛行機に乗らなきゃいけない状態になっちゃったでしょう。

 そういう点において、あらゆる犠牲がないのでなければだめだといったら、これは対応をとれない。ある程度の覚悟を持ってこのテロと対応しなきゃならないということを私は言っているんです。

山口(富)委員 ある程度の犠牲はやむを得ないという立場は、今度の問題ではとるべきではないと思うんです。

 なぜなら、私たちは、戦後、このテロの問題で、犠牲の出ないやり方でどうやってテロ犯罪を根絶していくのか、そのための努力を積み重ねてまいりました。そして、国連を中心にしながら、犯罪者や支援者を厳しく追及して、捕らえて、法の裁きのもとに置く。今そのことが現実に、法の裁きのもとでの新しい条件が生まれている。だから、次にこの問題に私は入りたいと思います。

 今、アメリカでは、オサマ・ビンラディン氏とその軍事組織のアルカイダ、これが今回のテロ事件に関与していた、その証拠をNATOやイギリス、ロシア、パキスタン、日本などに提示されたと言われています。

 そこに安倍官房副長官がいらっしゃいますけれども、安倍さんは、三日の記者会見で、これらの証拠について、私、あなたがごらんになったかどうか知りませんよ、記者会見で、すべてを総合的に勘案して、説得力のある説明だと認識している、こう述べています。これは、総理、政府全体の認識なんですか。

小泉内閣総理大臣 私は、今までのブッシュ大統領との会談、そして各国との意見交換、情報交換、外務省当局等の情報交換を総合して、ウサマ・ビンラーディンがこの事件に深く関与しているという認識は私も持っておりますし、内閣としても持っております。

山口(富)委員 その点、ちょっと整理してお聞きしたいんですけれども、それは既にアメリカ側からある程度の証拠が示されているということなんですか。それとも、ブッシュ大統領との会談などの中で総合的に勘案して、安倍官房副長官がおっしゃっているような認識を政府としても持っているということなんですか。

小泉内閣総理大臣 総合的に勘案して、説得力あるような状況だなと考えております。

山口(富)委員 では、証拠自体は提示はされていないのですか。

小泉内閣総理大臣 今の段階で、どれが証拠でどれが証拠でないかと言うことは、差し控えさせていただきたいと思います。

山口(富)委員 イギリスやその他の国々は報告書を出したり、ある程度のものを示しているようですけれども、いずれにしましても、総理自身が総合的に勘案した場合に、説得力のあるものだという御説明がありました。

 そうしますと、それほどのものであるなら、アメリカは、証拠に基づいてオサマ・ビンラディン氏を国内法で訴追をして、そして、その結果を国連に報告する、これが求められるんじゃないでしょうか。今、国連は、まだ今度のテロ事件については容疑者やその組織について特定していないのです。そして、そうやってこそ国際社会の共通認識として国連安保理が関係者の引き渡しやそれを実現するための一連の措置をとることができる。そういう方向に日本政府としても進むようにアメリカと国連に働きかける、これが今大事なんじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 既に一九九八年ですか、ケニア、タンザニアのテロ爆破事件によって、国連でウサマ・ビンラーディンの身柄の引き渡しを要求する決議を採決していますよ。出てこない、相手は。出てくればいいですよ。出てこないのですよ、何度言っても。あなたが、出てきなさい、共産党が寄ってたかって出てこい、出てこいと言ったって出てこない。国連が全部出てきなさいと言ったって出てこないのだから。

山口(富)委員 私、そのタリバンの制裁決議の話、きっと小泉総理はされると思いましたよ。

 その問題は後でたっぷりやろうと思ったのですけれども、その話を先にやりますと、確かにその九八年のケニアとタンザニアでのテロ事件にかかわって国連のタリバン制裁、これが始まりました。しかし、これが本格的に始まったのはいつなのかという問題があるんです。

 例えば、タリバン支配地域に対して武器の禁輸ですとかビンラディン関係者の資産凍結などの決議、これは国連安保理の決議一三三三、去年の十二月に出たものです。その制裁措置が発効したのはことしの一月、そして、あらゆる制裁措置の状況を監視する、モニターするというふうに原文には出ておりますけれども、この委員会が設置されたのは七月のことです。

 だったら、これは外務大臣にお聞きするのでしょうか、その制裁措置の全体を見ていく、状況を監視するという監視するメンバー、モニター、これ、五人いるんですけれども、その方々の任命が発表されたのはいつのことですか。何月でも結構です。

田中国務大臣 任命が、今何ておっしゃいましたでしょうか。今まで六回、テロに関する安保理の決議がされておりますけれども、その中で、今、任命が何ておっしゃいましたですか。済みません。

山口(富)委員 確かにおっしゃるように、何回か出ているんです。昨年の十二月に、安保理決議一三三三、千三百三十三、これが採択されまして、それで新たな経済措置の強化が決まったわけですね。それを進めるために、いろいろな仕組みをつくったわけです。その監視するモニター、そのメンバーは、いつ発表されたのか。五人います。

田中国務大臣 モニタリングのメカニズムは、その一三六三になっておりますけれども、メンバーが、どれが指定されたかということは今すぐにはお答えをいたしかねます。済みません。

山口(富)委員 先ほどから総理は、タリバンの制裁の問題で、幾らやっても出てこないのだというお話がありました。しかし、今、この大事な問題で、国際社会が経済制裁を強めようとして、そしてそのための態勢をとったと。私、きのう、このタリバン制裁の問題について今の到達点を詳しく聞きますからというお話をしてありますけれども、実は、この監視グループというのは、お答えにならないようですので申し上げますけれども、九月十八日です。あの凶暴で野蛮なテロ事件が起こった後、九月十八日に任命されて、動きを開始しているんです。

 答弁できないのは、私、いささか不思議に思うんですが、ではもう一つ、ついでに田中外相にお聞きいたしますけれども、あなたが最近発表した外務省の告示なんですけれども、決議一三三三などによるタリバン制裁のために、百六十五の個人や企業をタリバン関係者として示したはずですが、それを示したのは一体いつなんですか。

田中国務大臣 九月二十二日でございます。

山口(富)委員 田中外相、そのことはおわかりだったようです。九月二十二日です。

 これは外務省だけの問題じゃないんですね。同時に、このときの官報に載っておりますけれども、塩川財務大臣も名前が出ているんです。まだお忘れじゃないですよね。タリバンの国連の経済制裁について日本としてどう進めるのかという告示をやっているんです。それから、もうお一方いらっしゃいます。平沼大臣、いらっしゃいますか。御記憶にありますか。この問題、新聞にも大きく取り上げられたんですね、実は。

 このように、タリバンの制裁の問題について言いますと、これまでの幾つか積み重ねられてきた決議のもとで、実際に本格的な制裁に移ろうとしているのが今の段階だったんです。国連自身が監視グループを任命していったのもあのテロ事件の後だし、日本政府としてこれをやろうじゃないかと動きをつくって報告、報告といいますか告示しているのも九月二十二日のことだったわけですね。ですから、この道をきちんと進んでいかなきゃいけないということを私申し上げたいと思うんです。

 それで、続けたいんですが、先ほど私は、アメリカに証拠の問題できちんと示す必要があると申し上げました。といいますのも、どこの一般社会でもそうですが、犯罪が一つ起こったら、かつて認定したから容疑者ということで全部対応できるわけじゃないんです。やはり一つ一つ、国際社会は確定していくわけですね。そして今度の事件については、まだ確定していないから、国連安保理決議、あのテロ事件以降二つ出ていますけれども、いずれも名指しできないわけですね。

 ですから、それをやっていくために、国連の力を出していくために、もしそういう信頼に足る証拠があるなら、総合的に勘案してこれはなかなかのものだよということなら、アメリカや国連に、その証拠を出してください、こういう働きかけを日本政府はすべきじゃないんでしょうか。重ねてお聞きいたします。

 私は総理にお聞きしたいんです、基本の問題ですから。

小泉内閣総理大臣 これは、説得力ある説明が必要だ、証拠が必要だということは日本政府としても要求しておりますし、世界各国も要求しているし、アメリカも提示している。そして多くの国が、説得力ある証拠であると今共有の認識を深めているわけであります。

野呂田委員長 山口委員にお願いですが、質問者を名指しをして質問してください。お願いします。

山口(富)委員 はい、わかりました。

 そうしますと、総理、日本はアメリカに対して、証拠なるものを国連安保理に提示しなさいというところまではっきり明言しているんですか。

小泉内閣総理大臣 これは日本に対して私は要求しているわけであります。アメリカは個別自衛権で戦おうと言っているんですから。その中で国連の安保理は、このテロの根絶に対して、アメリカが個別自衛権を有している、戦うということを国連安保理決議で採択しているわけですから、それに対して今世界が協力しておるという状況であります。

 いつ武力行使に出るかわかりません、それは。しかし、既に多くの説得力ある証拠であるという状況説明はし、多くの国の政府がそれを共有しているということが現在の状況であるということは、議員もお認めいただけると思います。

山口(富)委員 この問題は、アメリカの自衛権の問題、その話の前の問題なんです。つまり、国際社会が数回の決議を上げて、これは別件の九八年のテロ事件の方ですけれども、それに対して、タリバンへの制裁と、その容疑者をきちんと出してきなさい、そしてその裁判をやろうという提案をしているわけですね。ところが、今度の事件についてはまだそれがきちんとレールに乗っていない。

 先ほど総理は、犠牲はない方がいいんだということはお認めになりました。だったら、そのためにも、この今国連が積み重ねてきた法のもとでの裁きというところに大きな道を開いていく必要があると思うんです。

 私、ここで大事だと思いますのは、実は、今度テロ事件が起きた後に国連が二つの安保理決議を上げておりますけれども、その二つの安保理決議の中で、いずれも犯人の法のもとでの処罰を強調しているわけですね。

 例えば、九月十二日に国連安全保障理事会、安保理が採択した決議一三六八ではこう述べています。これらテロリストによる攻撃の犯人、組織者及び支援者を法に照らして処罰するためにすべての国に対して迅速にともに取り組むことを求める。

 それから、続いて出されました九月二十八日の決議一三七三、ここでもこう述べています。テロ行為の資金調達、計画、準備、実行、あるいはテロ行為の支援に加わったすべての者が裁判にかけられることを保障し、彼らに対するその他のあらゆる処置に加えて、このようなテロ行為が国内法及び諸規定において重罪として確立され、その処罰がこのようなテロ行為の重大性を適切に反映するように保障すること、こういうふうに加盟国に求めております。

 このように、アメリカに訴追を求める、そしてそれを国連に報告しなさい、そのことを堂々と提案していくというのは、二つの国連安保理決議に立ってのことだと思いますけれども、繰り返しになりますが、総理、この問題でアメリカがやはりそういう道に足を踏み出す、そのための努力を日本政府として行う、この気持ちはおありなんですか。

小泉内閣総理大臣 基本的に違いますね。犠牲をできるだけ少なくする。何もしなかったらテロによる犠牲は起こらないんですか。何にもしなくても六千人以上の人が亡くなっているんですよ。このまま放置していたら、アメリカだけじゃない、テロリストは、アメリカが敵だ、アメリカ人を殺すと言って、あのニューヨークのタワーを飛行機で突入し、国防省を爆撃して、日本人まで亡くなっている。できるだけ少なくする、このテロリストらに何もしなかったら、じゃ、犠牲は起こらないんですか。そうじゃないでしょう。

 今までやってきた、身柄を引き渡しなさいと言って国連で決議しても出てこない。出てこないからあらゆる手段を講じてやろうとしているのに、じゃ、犠牲を少なくするために武力行使はいけない、武力行使はいけないと……(発言する者あり)

野呂田委員長 不規則発言は慎んでください。

小泉内閣総理大臣 武力行使しないでテロリストの組織を壊滅できれば、こんないいことはないです。あらゆる手段を講じてテロ根絶のために立ち上がろうとしているので、既にアメリカは個別自衛権を発動して、国連安保理決議でそれを認めて、各国協力しようとしているんです。私は、そういう中で主体的に日本政府として判断したい。

山口(富)委員 テロ組織を根絶していく、そのために私たちは犠牲のない方法でやろうとしている。そのために国連が積み重ねてきた。

 あなたは、総理は、繰り返し国際協調というのをお出しになりますね。しかし、これは日本国憲法の中で大事な、平和の立場で世界に貢献していくということを決めた精神なんです。だったら今、テロの犯罪をなくすために、せっかくつくってきたそのルールのもとでやる、そのことに賛成できないんですか。

小泉内閣総理大臣 ルールを尊重しながらも、国際社会と協力した方がいいのか、協力しない方がいいのか、テロ根絶のために。私はアメリカの個別自衛権を認めています。安保理の決議も認めています。国際社会が立ち上がろう、それも認めております。そういう中で、日本が国際協調のもとでテロ根絶のために立ち上がろうと、そうしていることであります。

山口(富)委員 アメリカの自衛権にかかわる問題は後でやりましょう。

 しかし、私が今言っているのは、信頼に足るような証拠があるんだったら、何でそれをこの国連の場に出さないのか。それは、テロ事件後にやった二つの国連の安保理決議もそういう方向を求めている。それだけじゃないんです。実は、アメリカ自身がこれまでそういう、訴追をやって国連に報告して経済制裁を求めていく、このことをやってきたんです。

 例えば九八年の、先ほどからアフガニスタンを実効支配しているタリバン政権への制裁の問題がここで話題になりましたけれども、この問題ももとはといえば、九八年のケニア、タンザニアでのテロ事件でビンラディンを訴追し、そしてそのアメリカの訴追を受けて国連が容疑者としてビンラディンを第三国で裁判にかける、そのための一連の措置をとったわけですね。

 一体なぜこういうことをとらざるを得なかったのかというと、例えば今テロリズムを考えるときに、その基本文献だとされる一九九四年の国連総会決議があります。「国際テロリズムを排除する措置に関する宣言」、こういうものですけれども、この中ではっきりこう述べています。各国は、国際テロリズムと闘うことに関して、まあ一部略しますけれども、「効果的で断固とした措置をとる」と。では、その中身は何かといいますと、各国の国内法の関係条項に従ってテロ行為の実行犯の逮捕、訴追、引き渡しを保証する、これが原則なんです。

 そして、もう一つ追加しますと、国連の事務総長は、その問題について、事態が一体どういうことになっているのか、きちんとつかんでおかなきゃいけない。

 ここまで今国際社会はテロ問題で、一体どうやって犠牲をなくして、きちんと法のもと、法の支配下に容疑者、犯罪者を置いて、根絶していくのか、そのことをやってきたわけですよ。やはり今回そういう方向を目指すことが重要だというふうに私は思うんですが、総理、重ねていかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 そういう努力も必要だと思いますが、過去やってきて、身柄引き渡し要求をしても本人が出てこなかった、タリバンも引き渡さなかった。そういううちに、ケニアとタンザニアの大使館だけでなく、アメリカ本土に対するああいう悲惨な犠牲者を出したわけです。このままの状況だったらもっと被害が出るんじゃないかということで、今世界が立ち上がったんじゃないですか。

 あなたの言うとおり、国連が決議して、犯人が出てくればいいですよ。出てこないうちに、二年たって、三年たって、タンザニアとかケニアだけじゃない、ニューヨークとワシントンで起こって、しかもアメリカ人だけじゃない、世界各国の市民が六千人以上犠牲者になって、ではこのまま、テロリスト根絶のためにはある程度犠牲が出るから、もう一回呼びかけて出てくるまで待とうといったら、またいつ犠牲になるかわからない。これじゃいかぬということで、今世界が立ち上がろうとしているんです。

 根本的に考えが違うから、どうしようもない、これは。

山口(富)委員 いや、おかしな議論ですよ。おかしな議論ですよ。

 今回のテロ事件は、残虐さの点でも規模の点でも類例のないものです。小泉総理自身は繰り返し新しい時代だと言っています。だったら、国際社会というのは、そういうことが起こったときに、これまでの積み重ねを台なしにしてやっていく、そういう選択をするべきじゃありません。実際に、今度の国連総会の中でも、きちんとこの容疑者について証拠も確認をして詰めていこうじゃないか、こういう議論、たくさん出ていますよ。

 それから、繰り返し、犯人が出てこない、出てこないと言いますけれども、さっき私が詳しく言いましたように、日本政府だって、あのテロ事件が終わった後にタリバンへの制裁を強めるためのいろいろな措置をやったんじゃありませんか。だったら、そのことを国際的な規模でやれるように、その努力をしようじゃないかというのが私たちの提案で、そうしてこそ、本当に団結しながら、つまり、テロをなくしたいという気持ちは皆さん一緒なんですよ。総理、お笑いになっていますけれども、その気持ちは一緒なんですよ。ところが、それをどうやってやるかとなると、いろいろな意見の違いが出てくるわけですね。

 そして、もしここで今武力行使などをやってしまったら、現実に問題になっているのはアフガニスタンですから、そこで数百万規模の大きな問題が起こるじゃないかという警告がある。そういうことで、その道を選ぶんじゃなくて、やはり証拠も出てきたんだったらそれを国連に報告し、国際社会として共同の対処をする、これが最も確固とした真っ当な道じゃないでしょうか。

 この点、基本の問題ですから、総理と、外務大臣がお手を挙げていますので、お答え願いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今までのテロ撲滅、テロ防止のための国連の決議を積み重ねてきたのを無視して壊滅させたのがテロリストじゃないですか。何度決議したんですか、テロのために。全部無視して今回の事件でしょう。このままだったら、どこまで世界に広がるかわからない。

 今までだったら、日本は人ごとでよかったかもしれない。ケニアで起こった、タンザニアで起こった、USSの艦艇に起こった、人ごとでよかったかもしれない。しかし、今回のテロのニューヨーク、ワシントンを契機に、これはもう人ごとじゃない。アメリカを敵にしているけれども、テロリストは明言している、アメリカ人を殺すんだと。アメリカ人を標的にしたけれども、実際に犠牲になった人はアメリカ人だけじゃない。日本人も含んで、アラブ諸国の人もイスラム教徒も犠牲になっている。

 そういう中にあって、今までの国連決議をなし崩しにするのかと言うけれども、むしろ、なし崩しにして、無視して多くの犠牲者を出したのはテロリストじゃないですか。それに対して、今テロリストに対して、穏やかに話し合いでやりなさい、外交努力でやりなさい、経済制裁、みんなやっていますよ。みんなやっていることを無視したのがテロリストなんですよ。

 だから、関係諸国が、これは人ごとじゃないから、自分のことと考えて、テロ根絶のために立ち上がらなきゃならない。今までの努力を無視するものじゃありません。今までの努力にさらに世界が協力して、いつ起こるかわからないテロの防止のために立ち上がろう、それが私は普通の市民の常識だと思います。

田中国務大臣 先ほど来山口委員は、テロに関する安保理決議、六本もあったということをおっしゃっていましたよね。ということは、安保理の決議というのは非常に重たいということは、御存じでいらっしゃると思うんです。

 にもかかわらず、総理がおっしゃるように、ウサマ・ビンラーディンは今現在出てきていますか。(発言する者あり)それを無視している。そうです。無視しているんですよ。それをどうするか。テロを容認する国家も国民もいない、そこでどうするかということでこういうことになっているということをつなげて頭の中で考えていただきたいというふうに思います。

山口(富)委員 私、外務委員会で田中外相と討論しますけれども、先ほどタリバンの制裁について一連のことを知らなかった大臣が六つもあるじゃないかという答弁をされてきたので、ちょっと驚きました。

 実際、国連はこの問題では、総理、例えば一九八八年にイギリスの上空で起きたパンアメリカンの爆破事故がありましたよね、事件が。日本人の方も一人亡くなりました。これについて国連は断固とした措置をとった。

 何か国連の措置が甘いかのような、先ほども御答弁になったんですけれども、どの文書を読んでも、この犯人をきちんと処罰していく、それが一番断固とした措置だということは、いろいろな国連文書にきちんと明記されていますよ。

 そして、八八年の事件について言いますと、今、リビア政府がとうとう容疑者を引き渡して、裁判が行われている最中でしょう。

 このように、テロの問題では、これまで積み上げてきたものを壊したのがテロリストで、だから何をやってもいいか、そういうふうにならないんです。無法者に対しては無法で対応したら、これは泥沼になります。

 私たちは、やはり国連が示してきたような、国連を中心とした、そして国際社会が共同して、このテロ問題で犠牲のない方向でどうやって毅然とした対応をやっていくのか、このことにもっと力を尽くすべきだと思うのです。

 例えば、先ほど紹介しましたけれども、ちょうど国連総会が行われていますね。この中でアジアの、マレーシアの代表が発言しているのですけれども、その中でマハティールさんの発言がありまして、こう言っています。マレーシアの代表が国連総会で演説して、その中で、うちの立場はこうだよということでマハティール首相の演説を紹介したのですけれども、無実の一般市民が犠牲にされる武力行使に反対だ、そして、もしこれにテロだということで武力行使のような行動をとったら、これは悪循環で危険と背中合わせだ、こういう道じゃないということをアジアの一国の首相が明言されております。

 やはり世界は、そういう方向があるということで、今国連総会の中で論議している最中じゃないでしょうか。このことを私、改めて日本政府によく認識していただきたいといいますか、そのための努力を今後とも尽くす必要がある、そのことを重ねて申し上げて、きょうはもう少し時間がありますから、きょう閣議で決定されて提出されましたテロ対策の特措法案の問題について入っていきたいと思います。

 この問題というのは、テロ勢力との対決を掲げている米軍が武力行使をやった場合に自衛隊が支援しようとする、そういうものだと思いますけれども、となりますと、米軍などの武力行使が国際法上どういう性格のものかという吟味が当然必要になると思います。

 それで、この点では、法案への態度にかかわりなく、米軍の武力行使の国際法上の吟味が必要になるわけですけれども、政府はこの点で、アメリカが武力行使できるという国際法上の根拠についてどういう吟味をされましたか。これは外務大臣ですか、それとも官房長官でしょうか。

福田国務大臣 今回の同時多発テロ、これに関し採択された安保理決議一三六八及び決議一三七三、これは国連憲章第五十一条で規定されています自衛権が各国固有の権利であるということについて改めて言及しております。

 そういう意味で、これらの決議は、今般の同時多発テロに対応して米国が個別または集団的自衛権を行使し得ることを確認したものであるということでもって、国際法上の根拠は十分にある、こういうことです。

山口(富)委員 その二つの安保理決議が、加盟国が自衛権を持つと言ったのは、それは当たり前のことを書いただけなんです。今度の事件でそれを行使し得るとか、テロ事件で武力行使を求めたというようなものじゃ全くありません。

 では聞きますけれども、国連憲章の五十一条は自衛権の発動についてどう定めていますか、五十一条。

福田国務大臣 これは、憲章の案文を読むだけですから、私から答弁いたしますけれども、「武力攻撃が発生した場合には、」いろいろ書いてありますけれども、「個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」こう書いてございます。

山口(富)委員 それは全文でしたか、五十一条。もう一度、再答弁をお願いします。

福田国務大臣 では、五十一条全部読みましょう。

 「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当つて加盟国がとつた措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く機能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」ということです。

山口(富)委員 大事な点は、自衛権の発動については安保理が必要な措置をとるまで、こう定めているというところなんです。今お読みになりました。これは、こういう点を厳格に定めましたのは、この国連憲章が、紛争の解決に当たっては国連第一、国連中心で当たるべきだ、そういう考え方を持っておりますからこういう規定が生まれたわけですね。

 既に安全保障理事会は、決議一三六八、これは先ほどお読みいたしましたけれども、テロ事件のあった翌日採択された中で、テロリストに対する対応の問題、決議を上げております。それから一三七三決議、九月二十八日、こういう決議の中で必要な措置をとり始めております。この点からいっても、アメリカの武力行使に国際法上の根拠を与えることはできない、こういうふうに考えるのです。

 国際法上根拠をきちんと示さない、そういう戦争に自衛隊を派遣するのが今度の特措法だと思いますけれども、私、次に、この中身についてお聞きしていきたいというふうに思います。

 この法案が支援すると言っています米軍等の武力行使につきまして、これ、きょういただきました。新聞等には出ておりましたけれども、これを読みますと、米軍等の武力行使には地理的な限定や制約がない、そういうふうに読まざるを得ません。

 例えばアメリカは、テロ犯罪の容疑者と支援者を区別しないで壊滅させると言っています。現在、アフガニスタンが一般には攻撃対象と言われておりますけれども、アメリカ自身はそれで終わりとは言っていないわけですね。そして、現に初めのころ報道では、この攻撃対象にアフガン以外の国名も挙がっていたほどです。そうなりますと、アメリカが行う武力行使に対して、それが世界じゅうどの国や地域で行われても自衛隊が支援するということにこの法案はなるんですか、官房長官。

野呂田委員長 どなたに御質問ですか。

山口(富)委員 官房長官。

野呂田委員長 官房長官。(発言する者あり)手を挙げてちゃんと言ってください。

 内閣法制局長官。(発言する者あり)事務的に法制局長官に答弁させて、その後、官房長官に答弁してもらいます。

津野政府特別補佐人 この法律でございますけれども、この目的に、平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃が国際連合の決議等で脅威と認められた、そういうことで、それに対して各国がその防止等のために適切な措置をとるということになっておりまして、その国際社会の取り組みに我が国が積極的にかつ主体的に寄与するというふうになっております。

 それで、現実の問題としてこの対応措置がいろいろとられるわけでありますが、これにつきましては、現実には、例えば一つの措置といたしまして、「テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与するアメリカ合衆国その他の外国の軍隊その他これに類する組織の活動に対して我が国が実施する措置」でございますから、そういった措置が基本的に、法的にはこの部分につきましては必ずしもすべての、特定の地域に限定されているというわけではございません。

 それから第二号の、いわゆる「我が国が人道的精神に基づいて実施する措置」もあるわけでありますけれども、これもそういう意味では地理的に限定して特定しているわけではございません。

山口(富)委員 官房長官には後ほど発言していただくとして、今の説明は私の聞いていることに全く答えていないのじゃないですか。

 アメリカが、この法案の場合に、世界のどの地域であれ、あなたがおっしゃった目標を掲げて武力行使をやった場合に、これはどの国や地域でも自衛隊が支援できる、そういう仕組みになっているのかと聞いているのです。明確に答えてください。

津野政府特別補佐人 お答えいたします。

 これは基本的に、法的には明らかにしておりませんけれども、これは内閣総理大臣が基本計画等を閣議に諮りまして決めます。それから防衛庁長官が実施区域等も決めます。

 したがいまして、この基本計画に従いましていろいろな区域が決められるわけでございますから、当然、無限定にどこにでも行くというようなことではなくて、適正に基本計画を運用することによって日本の対応措置が決められていくということでございます。

山口(富)委員 とんでもない話ですよ。法的には明らかにされていない、しかし運用で解決するなんて、そういうばかなことがありますか。

 官房長官、繰り返しになりますけれども、この問題は、総理が国会でも、予測し得る可能性を考えてつくったのだと繰り返し答弁されました。私が聞いているのは、アメリカが武力行使をやる際に、目的を掲げてやる際に、世界じゅう、可能性としてはいろいろなことが起こり得るわけですけれども、法律の仕組みとしてそれは全く無限定なのか、このことをお聞きしております。

福田国務大臣 この活動の目的、これはテロを撲滅する、こういう目的があると思います。

 具体的に自衛権の行使ということで米軍がどのようなことをするか、これはまだわかりません。ですから、それは今法制局長官が答えたように、そのときに、必要なときに基本計画を作成して、それに従って行う、こういうことになるわけでありますけれども、その場合にでも戦闘地域には行かないということですね。非戦闘地域の、公海とそれから同意をした外国の領域、こういうことになっております。

山口(富)委員 アメリカの今回のテロ事件についての武力行使の国際法上の根拠はない、このことは重ねて申し上げますけれども、だったら、予測し得る可能性の問題として再度具体的にお聞きしますが、アフガニスタンからテロの容疑者や組織が別の地域、国へ移動する。そうなると、米軍がそれに伴って移動して戦闘が起こりますね。

 その場合、この法案ですと、米軍の作戦に伴って自衛隊も軍事支援のできる場所というものを移動しながら支援を続ける、そういう仕組みになっているのですか。そういうことを可能にしているのですか。

福田国務大臣 ですから、今私が申し上げたそのような状況の中で、これからどういう事態が起こるかわからないけれども、基本計画を作成して、そしてまた必要があれば、その計画を変更するということもあり得るだろうと思いますけれども、今、どこに行ってとかいうようなことを申し上げる、そういうのは適切でない、こう思っております。

山口(富)委員 事態がわからないという話がありましたけれども、小泉総理自身は、予測し得る可能性を考えてつくると繰り返し申されたのですよ。(発言する者あり)いや、言葉じりじゃありません。これは本当に法律の基本の構成にかかわる問題なんです。こんな答弁が続くようだったら、委員長、私、質問できませんね、これは。

小泉内閣総理大臣 はっきりしているんですよ、これは。まず、武力行使はしない。仮にどういう事態がこれから起こるかわかりませんが、このテロ撲滅のためにアメリカ初め関係国が戦闘行為に出た場合、日本としては、戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる公海、その上空、及び同意を得た外国の領域に限定されていますから。

 ただし、これは想定できる状況は、テロですから、では東京で起こってきた場合はどうなのか。その場合はまたそのときに基本計画で、閣議で諮って、どういう対応に出るか、あるいはまた、全然戦闘行為が行われていない他国の領域で突然テロ行為が起こったという場合、各国の関係がどういう態度をとるか、それはそのときに状況判断しなきゃならない。

 ともかくはっきりしているのは、武力行使はしない、戦闘行為にも参加しない、戦闘地域に出ない、それで、戦闘が行われるであろうというところにも行かない。はっきりしているんですよ。

山口(富)委員 先ほど法制局長官は、地域的な限定の問題について法的には明らかにされていない、こういうふうに言いました。そして、それを担保するのは基本計画の運用の問題だ、こういう説明だったのです。

 これは結局、基本計画といいますけれども、どこを戦闘場所に、戦争の場所にするかというのは、これはアメリカが決めることなわけですね。そうしますと、自衛隊がどの場所まで移動して軍事支援するのか、このことは米軍の決定を待つしかない、こういうことになるんじゃありませんか。

野呂田委員長 法制局長官の発言に対する質問ですから、長官から答弁させます。

津野政府特別補佐人 お答えいたします。

 これは、先ほど申しましたように、第一条で各種の、先ほどから申しておりますような一連の国連決議を引っ張っているわけであります。したがいまして、これらの国連決議を踏まえて考えますれば、そんなに世界じゅうどこへでもここへでもというようなことはありませんで、おのずから地理的にはまず限定的に限界が画されるであろうということはわかると思います。

 ただ、それを正確にどこからどこまでだというのは、どこだと言われても、現在アメリカにおいて、あるいはほかの諸国において具体的ないろいろな行動がとられているわけでもございませんので、現時点においてどこまでだというようなことをこの場でお答えすることはできないということでございます。

山口(富)委員 あなたの答弁、何回聞いても、これはアメリカ軍の起こす武力行使に対して地域的には結局無限定だ、そのことを確認するだけなんですよ。しかも、まだわからない、わからないと言いますけれども、実際にアフガニスタンでアメリカ軍の軍事の態勢がとられているんじゃありませんか。

 だから、私は、仮に予測し得る可能性と繰り返しおっしゃいますから、その問題として、もしアフガニスタンから別にテロ組織が移動した、そうしたら、それに応じて戦線がそちらに行き、自衛隊の支援もそれに応じて各地に広がっていくのか、そのことを聞いているのです。そして、法律の中ではそのことは無限定になっているんじゃないか、このことをお聞きしているのです。

小泉内閣総理大臣 それは、無限定といえば無限定ですよ、どこで戦闘が行われているかわからないんだから。ただし、限定しているといえば限定しているのですよ。言葉のあやで、ここがちょっとややこしいかもしれないけれども。

 というのは、なぜ無限定かというと、どこで戦闘行為が行われるかわからないんだから。限定しているといえば、戦闘行為が行われるところには行かないんだから、限定しているでしょう。(発言する者あり)共産党の人まで言っている。

 それは、どこで戦闘、ニューヨークで戦闘が行われた、日本で戦闘が行われた、アフガニスタンで戦闘が行われた、わからないんだから。そういう意味においては無限定。世界じゅうどこで起きるかわからない。その意味でいえば、確かに無限定。しかし、戦闘行為が行われているところには行かない、限定されているんです。武力行使はしない、限定されているんです。

山口(富)委員 今、総理は、地理的には無限定である、このことをはっきりお認めになりました。しかも、総理がおっしゃった一線画すという話は、これは日本だけで言っていることであって、国際的には、日本の支援活動は武力行使と一体だというのは、もうこれは繰り返し、周辺事態法の審議のときでも、国会の場で明らかになってきたと思うんです。

 それじゃ、もう一点お伺いいたします。

 この問題で、主体的な判断という話が先ほど出ましたけれども、それでは、日本が国連に加盟してから、米軍の武力行使に対して反対をしたことはあるんですか、一回でも。そのことを官房長官……(発言する者あり)じゃ、外務大臣に。

田中国務大臣 ありません。

山口(富)委員 今、外務大臣お認めになったように、一回もないんです。地理的に無限定、主体的判断といっても、一つ一つの問題について、結局これ、反対したことはない。こういう法律、これが今つくられようとしている。これがこの特措法の大きな問題だと思うんです。

 委員長、この問題、大変いろいろな議論をされましたから、私、この点について政府の見解を出していただきたい、理事会で協議していただきたい、こう思います。

野呂田委員長 山口委員にお答えしますが、今後、国会の討論を通じてひとつ解明していただきたいと思います。

山口(富)委員 この地理的無限定に続いて、自衛隊による米軍への支援活動の中身も、これはなかなか重大な問題をはらんでいると思います。

 例えば、武器等の輸送の問題がありますね。今予想される問題として、米軍は、インド洋にあるディエゴガルシア島から空爆するとか、パキスタンの飛行場から空爆するとかいろいろな話が出ており、さまざまに予測される可能性というのはありますけれども、この法案では、自衛隊が、米軍機が発進する飛行場に移動して、そこまでの輸送や飛行場での給油、整備、補給、こういう支援ができるようになっているんですか。

津野政府特別補佐人 ちょっと今手元に条文を持っておりませんが、この法律案におきましては、米軍等の航空機に対する給油等はすることにしておりません。

 それから、輸送等はすべて後方地域、いわゆるその活動の期間を通じて戦闘が行われない、あるいは現に戦闘が行われない、そういう地域において活動するわけでございますので、そこまでの輸送は考えておるということでございます。

山口(富)委員 今のお話でも、この法案というのが、地理的な問題の無限定でも内容上も、なかなかよく議論しなきゃ大変なことになるということがよくわかりました。

 今回の法案というのは、シミュレーションじゃありません。もう間近に米軍が武力行使をやろうとしている、その危険性がある、そのもとでの法案審議になっております。戦後初めて自衛隊が海外に、いわば戦争の行われるところへ出かけていく、このことで自衛隊員がけがをしたり他国民に被害を与える、こういう現実的な可能性がある。

 しかし、私たちの国の憲法は、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」、このことを確認し、そして、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争解決手段としては、永久にこれを放棄する、こういう憲法の平和原則を持った国です。この憲法のもとで、米軍の武力行使、戦争を支援するような法案をつくることなどとてもできないと思います。

 私は、テロ根絶のためにも、軍事力による報復でなくて、国際社会が求める法と理性に基づく裁きに力尽くすこと、それから、このような戦争参加、報復戦争参加につながるような憲法違反のごり押しは絶対許されない、このことを重ねて表明いたしまして、質問を終わります。

野呂田委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。

 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 きのうきょうと長時間にわたっての審議、総理初め閣僚の皆さん、御苦労さまでございますが、あともうちょっとよろしくお願いいたします。

 九月十一日、本当に残忍な、悲惨な、そしてまた恐ろしいテロ事件が発生したわけでございますが、このテロの関連の質問は後で同僚議員がいたしますので、私は、経済、雇用関係を中心にお尋ねをいたしたいと思います。

 アメリカを襲ったテロ、これが今度は、アメリカを中心として、全世界の経済を襲おうとしている。つまり、世界同時不況の兆しが見えようとしている、そう言っても過言ではないと思うんですね。現にアメリカでは、もうこのテロの影響、打撃が大きく出始めております。ITや、あるいは自動車産業に加えて、航空や保険や、あるいは観光や、いろいろな分野でこの影響が出始めている。

 そういった状況の中、アメリカ政府も、景気後退期に入ったと表明をいたしております。さらに、FRBが歴史的な低水準に近いまで公定歩合を引き下げている、こういった状況。アメリカ経済というのは、世界のGDPの四分の一を占めるという巨大な経済規模でございます。そこが今そういった状況であるだけに、デフレ状況にある我が国にとりましては、一番この影響を受ける、ダメージを受けるということが否定できないと思うんですね。

 日本の経済環境、どこを見ましても明るい材料がないわけですが、そういった中で総理は改革に取り組もうとされている。であるならば、やはり細心の注意と、そしてまた最大のセーフティーネット、これらの必要性、これはもう大前提であろう、このように考えておるわけでございますが、国民の皆様方は改革に対しての期待も持っております。と同時に、不安も持っております。期待と不安が入りまじっている状況であると思うんですね。ですから、その不安をどのようにして解消していくのか。その不安解消のために、政府はどのような対策をとろうとしているのかを中心にお尋ねをいたしたいわけでございます。

 確かに、この構造改革という装いは立派ではございますが、これは一歩間違えば、弱者にはさらなる痛みを、そしていわゆる富める者には一層の利益、こういった印象を私は非常に強くするわけでございますが、今求められているのは、雇用とか年金とか、そういった将来不安の解消策に特化した、いわゆる国民の暮らしの向上に結びつくようなそういった構造的な具体案、これが今求められていると思うんです。これがない限り、つまり、この具体案の提示と、それを着実に実行すること、これがない限り、やはりGDPの六割を占めるという個人消費が伸びるわけはない。

 そうなりますと、こういう中で、小泉流の改革手法というのは、結果的には、限られた階層あるいは限られた業界にとっては喜ばしい状況をもたらすかもしれませんが、大多数の国民にとっては、本当に将来不安が募るばかりであり、財布のひもが緩むどころではない。つまり、個人消費低迷の一層の膠着化によって、物は売れない、そうすると、企業の業績の悪化、リストラの拡大、所得減、また物は売れない、こういった負の連鎖に引きずり込まれることは火を見るよりも明らかだと思うんです。

 ですから、結果的に、そうなりますと必然的に税収不足というものが生じます、法人税、所得税。これが生じてしまいますと、特例公債に頼らない限り、構造改革推進へ欠くことのできない、いわゆる大前提でありますセーフティーネットに必要な財源さえ用意できないと批判せざるを得ないわけでございますが、こういった国民の不安に対して総理はどのようなお考えを持っているのか、手短にわかりやすくお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 長い間続いてきた制度も大分有効に機能しなくなってきた、そこで、行政構造にしても経済構造にしても、仕組みを変えていかなきゃならない、いわゆる改革なくして成長なしということで、今、大胆な改革に取り組もうとしておりますが、その過程で生じる痛みをいかに和らげるかというのは、これまた政治の責任だと思います。

 景気回復まで改革を待てという議論もありますが、私は、そういうことをやったらますます景気回復はしないと思っております。改革しないでどういう展望が開けるか。開けないからこそ改革が必要だということで今やっているわけですから、そういう際には、新しい時代に対応したようなあり方が当然問われているわけであります。

 今、失業が出たらという問題がありますが、同時に新たな雇用をつくるということで、五年間で五百三十万人の計画を立てていますね。具体的に言えばたくさんありますけれども、これも決して法外な数字ではなくて、積み重ねていけば不況期でも四百万、五百万の雇用は出てきたわけですから、過去の例から見れば。これから五年間かけて、失業した場合の対策と新しい雇用をつくる対策、両面から対策を打って、できるだけ簡素で効率的な行政構造、経済構造をつくり上げていこうというのが私は必要ではないかと思っております。

横光委員 今、失業率のお話がございました。七月、八月と、史上最悪水準の五%というところで張りついてしまっている。普通ならば、八月というのは失業率は少し落ちるのが例年なんですね。ことしはそれが落ちなかった。非常に厳しい状況をあらわしているということでございましょうが、先ほど私が言いました、いわゆる負の連鎖を断ち切る、そして先の見える安心社会をつくり出すことが望まれているわけですが、そのためには、今総理のお話にもございましたが、今こそ政策も財政も私は総動員すべきだと思いますよ。

 そして、その政策の一つが、先般政府から出されました総合雇用対策でございます。これは、私から言わせていただきますと、相変わらず迫力不足と言わざるを得ない、小出しの感を否めないものになっていると言わざるを得ないわけです。ざっと見渡しても、もう少し早く実施されていればといったもの、いわゆる周回おくれの感じ、そういった色彩が濃いものが多く含まれているわけですね。

 例えば、やっと日の目を見ることになりました失業給付にかかわる訓練延長給付。これは、失業者がみずからを安売りしなくても、再就職を果たすために必要ないわゆる能力開発やスキルアップとの両立を図るものであり、大変意義のある制度だと私は思っております。

 意義のある制度であるならば、これを十分に積極的に適用していかなければならない。この問題は、先ほど同様の質問がございました、財政的措置、指導陣の充実あるいは施設の整備、こういったものを早急に、せっかくいい制度ができたのですから、要するに、受け皿が足りないというような事態が生じないような対策が必要であるということですね。

 そういったことで、大臣、これはもう答弁は求めません、先ほどの四千四百四十四億円と同じ答弁になりますので。早急に整備をよろしくお願いしたいと申し上げたいと思います。

 引き続き、厚生労働大臣にお尋ねしますが、これもまた遅きに失したとはいえ、自営業者向けのメニューを整えることになりました。いわゆる自営業者やパートなど雇用保険対象外の人たち、こういう人たちに対する生活資金貸付制度、いわゆる離職者支援資金というものが創設されたわけですね。これも、ある意味、私は一歩前進だと思っております。しかし、もう一歩踏み込むことはできないか。

 つまり、私たちは、ミクロの生活権の保障、最低限の生活権の保障の積み上げこそがマクロの景気対策の牽引車になり得る、そういう立場から、国民の生活再建に直結する施策の必要性をずっと訴えてまいりました。そういった意味では今回前進でございますが、これをさらにもう一歩進めることはできないか。

 例えば、一般会計による予算措置を講ずることを前提に、不良債権の最終処理が済むまでという明確な期限を限って、倒産あるいは廃業等に追い込まれました中小零細企業者あるいは自営業者の方々に対する教育訓練支援、この創設も必要じゃないか。それともう一つは、国民みずからが取り組む能力開発や技能訓練などに対する無利子ローン制度。この二つの制度にもう一つ踏み込んでいただけないか、自営業者の皆様方の御苦労を解消するために、そのように思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 今御指摘でありますが、いわゆる無利子ローン制度でございますが、これは御指摘のとおり、我々もこの無利子ローンというのはやりたいというふうに思っております。とりわけ教育ローンは、あるいは文部科学大臣の方からお答えがあるかもしれませんが、この教育ローン制度につきましても、各種の公的な制度におきまして、職業訓練を受けた場合を対象にした無利子または低利子の融資というものを行いたいというふうに思っています。

 労働者が自主的に講座を選択できて、そして修了した場合には受講料の八割を支給する教育訓練制度というのは、これは今やっているわけでございますが、今御指摘になりましたように、さらにもう少し踏み込んだ制度をこれからつくっていきたいというふうに思っています。

横光委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 それと、先ほどもこれは質問がございましたが、いわゆるハローワークの充実の件ですが、これに関連するいわゆるしごと情報ネットですね。国、地方の借金が六百六十六兆に達しようとしている中で、できるだけ国債を発行したくないという総理のお考え。であるならば、いわゆる金を投入できないならば、知恵と工夫を投入して、いろいろな施策を私は示していただき、その中の一つがしごと情報ネットであろうと思います。それは総理も、所信表明演説でこの重要性は述べられました。

 これは本当に、失業、職を求めている人たちには大変意義のある制度なんですよね。要するに、インターネットで民間の個人情報、いわゆる就職情報を探そうとしてもなかなか見つかりにくい、あるいは手間暇かかる、またどの情報が信頼できるか非常に疑問である。そういったものを解消する、いわゆる全官民が求人情報を入手するためワンストップサービスが可能になるわけでございますので、職を求めている人たちには大変助かる制度でございます。

 ところが、これがもう八月にスタートしているんですが、このしごと情報ネットに登録しているハローワークは、まだわずか八十三カ所しかないのですね。全国に五百近いハローワークがあるわけですから、そういった意味ではまだ少ない。そして、やれるところからまず一歩というお考えでしょうが、次の一手は、やはり全ハローワークをこのしごと情報ネットに登録する、早急に完備する。これは金目のものは要らないのですから、総理が言う財政の健全化にはそぐわないということは通用しない。そんなに金目の要る問題じゃないです。早急にこれを整えていただきたい。いかがでしょうか。

坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、しごと情報ネット、これは官と民、両方を一度にごらんいただけるというものでございまして、現在のところ、東京圏と申しますか首都圏、近畿圏、それから政令指定都市、こういうところでございますけれども、これはどうしても全国に早く広げなければいけませんので、この補正予算の中で、ひとつぜひ広めていきたいというふうに思っておりまして、多分財務大臣からの御理解もいただけるものと思っている次第でございます。

横光委員 財務大臣、よろしくお願いいたします。

 次に、医療制度改正についてお聞きしたいんですが、実は、この厚生労働省案が出されましたが、その出される前、九月十四日、閉会中に本予算委員会が開かれまして、私、そのときに総理にもお願いしたんですが、本当にまじめにこつこつ働いて保険料を納め続けている、そういったほとんどの国民の皆様方が悲鳴を上げるような制度改正にしないでほしい。長寿国でありますが、長生きを祝福できないような制度改正をしないでいただきたいということをお願いしたのですが、出てきた改正案は、まさにほとんどの国民の皆様方の悲鳴を上げそうな負担増、それから高齢者の方々を祝福できないような負担増、こういったことが中心であって、要するに医療提供体制の方は非常にあいまいな、検討するとか見直すとかあるいは目指すとか、そういったあいまいな漠然とした文言が羅列されておりまして、実効性というものが非常に不透明でございます。

 その上に、今度財務省からも独自案も出されました。こちらの方は、逆に医療機関の効率化を厳しく求めているわけですが、政府内に二つの案ができるという異例な状況になっている。なぜか。利害関係が絡んでいるからです。

 私は、総理、これは年末までに政府案を決定するということですが、総理にお願いしたいのです。事国民の健康と命にかかわる制度改正でございます。利害関係とか業界団体とか政治とか族議員とか絡めないでください。そして、真に国民のための制度改正をしていただきたい。このことを国民の前で、そういうことは一切絡めない、そう明言してくれますか、総理。

塩川国務大臣 今二つの改正案が出ているとおっしゃいましたけれども、そういったものを財務省から全然出しておりません。大変な誤解でございまして、そうじゃなくて、いろいろと今まで長い間、厚生省の時代から検討してこられた中で、論点、こういう点は問題点がありますから検討してくださいということを言っただけであって、決して案を出したものじゃ全然ございません。誤解しないでください。

坂口国務大臣 厚生労働省としての案を御提示いたしましたが、年末まで、皆さん方の御意見をお聞きして最終案をまとめたいというふうに思っております。

 その中で、国民の皆さん方にも何らかの御負担をお願いしなければなりませんが、しかしこれは、医療提供側に対しましてもさらに大きな御負担をお願い申し上げなければならない。それははっきりそういうふうになっているわけでございまして、全体として、若い皆さん方が御負担をいただける範囲内でどういう制度をつくるかということでございます。

小泉内閣総理大臣 この医療の問題は、私が四年前厚生大臣をしたときからの大きな課題でありまして、若い人にどの程度の適正な負担をいただければ、老いも若きもこの医療の重要性を理解していただくか、医療保険制度を維持していくことができるかということで、利害団体にとらわれないで、あるべき改革を目指して断行しなきゃいかぬと思っております。

横光委員 本当にありがとうございます。

 それで、厚労大臣、今、確かに負担増というのは、財政が危機的な状況、わかるんです。ただ、お医者さんも健保組合も患者も、みんなが平等に負担しないとこの制度は成り立たないわけですから、三方一両損という話がありましたが、これじゃ一方三両損という状況になっているから国民は納得できないという声が上がりつつあるんです。

 最後に、厚労大臣、これは質問通告していないんですが、十分認識されている問題でございますので、一言お答えいただきたいのです。

 狂牛病が大きな問題になっておりますが、頭の硬膜移植でヤコブ病に罹患した、いわゆる薬害ヤコブ病についてちょっとお伺いします。

 これは第二の薬害エイズとも言われておりまして、現在、国と企業を相手に訴訟を係争中なんですが、結審が終わって三月に判決が下されることになっておりますが、裁判所は和解をしてほしい、和解協議を進めてほしいということが今の段階でございます。九月に行われた和解協議で、裁判所から、協議をしつつ、できるだけ早い機会に和解についての裁判所の基本的な考えを示したいという趣旨の発言があったと聞いております。

 歴代の大臣は、これまで、裁判所の判断を仰ぎたいと述べられておりますし、裁判所から、今月中にも裁判所の和解案が出されると思うんですが、もし和解に向けての基本的な考えが出された場合、裁判所の考えを尊重し、前向きに対処をしていただけますか。一言お答えください。

坂口国務大臣 大津地裁そして東京地裁から和解勧告を出していただいております。そして我々も、今までの主張は主張として述べながらも、その和解勧告に応じさせていただくというので今お話し合いを進めさせていただいているところでございまして、ただ、まだどういう条件で和解をするかという条件が今のところ示されておりません。十一月半ばというふうにお聞きをいたしておりますが、それをお聞きいたしまして、そしてできる限り私たちもその御要望にこたえたいと思っているところでございます。

横光委員 終わります。

野呂田委員長 この際、辻元清美君から関連質疑の申し出があります。横光君の持ち時間の範囲内でこれを許します。辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 まず最初に、総理にお願いします。総理に答えてくださいと申し上げたときは、ぜひ総理に答えていただきたいと思います。でないと、なぜ答えられないかを答えてから人に振ってください。お願いします。でないと、また総理、総理ということになってしまっては時間のむだですので、最初に申し上げます。

 今、横光議員が雇用や経済の問題を質問させていただきましたので、私は、アメリカで起こりました同時多発テロについて中心に質問いたします。

 まず最初に、このたびこのテロで犠牲者になった方々、これは日本、アメリカだけではなく、他国の方、犠牲になっておられます。御関係の方もいらっしゃるかと思うんですが、これは本当に、みんな何回も、国会でも哀悼の意を表しましたけれども、哀悼の意を表しながら、それからニューヨークで復興活動それからたくさんのボランティア活動で今支えていらっしゃる方にも敬意を表したいと思います。

 その上で質問をさせていただきます。

 私は昨日どきっとしました。テルアビブから飛び立った飛行機が墜落した事件です。もしかしたら、何か報復の連鎖と申しますかそういうことが新たに始まるのだろうかという大きな不安を持ちながら、この場に立たせていただいているんです。

 やはり今回のテロについては根絶しなければいけない。しかし、武力行使を伴う報復についての賛否が分かれている、これは皆さん御承知のとおりだと思うんです。その理由は、今申し上げましたような報復の連鎖が起こり、さらに大きな戦争、第三次世界大戦なんという言葉も聞こえてきますが、などに広がる可能性があるんじゃないかというような不安を持っている人もいるわけです。

 そういう中で、私は一通の手紙を紹介したいと思います。これは、今回のテロで犠牲になられた方の親御さんが寄せられた手紙なんです。

 私たちの息子グレッグは、世界貿易センターへの攻撃の中で行方不明になった多くの人々の一人です。私たちは、最初にこのニュースを聞いたとき以来、彼の妻、二人の子供、私たちの友人と隣人たち、彼の親しい同僚たち、毎日ピエールホテルで顔を合わせるすべての悲嘆に暮れる家族たちとともに、悲しみと、慰めと、希望と、絶望と、楽しい思い出を語り合ってきました。私たちの心の傷と憤りは、私たちが会ったすべての人々に伝わりました。

 私たちは、この災禍について毎日の情報の流れを追っていることはできませんが、それでも、私たちの政府が暴力的な報復に向かっていることは、私たちが読んでいるニュースから十分に感じ取れることができます。そのような報復によって、遠い地で別の息子たちや娘たちや友人たちが死に、苦しみ、私たちへの憎しみをはぐくんでいくのではないか。それは進むべき道ではないのではないかと思います。それによって私たちの息子の無念が晴らされることはありません。それは、私たちの息子の名において、そういう行動は行わないでほしい。

 こういうお気持ちをお持ちの親御さんもいらっしゃる。私は、さまざまな思いで、今回はどのように対応すればいいか、これはアメリカの方々も同じであるという意味を込めて、まず紹介させていただきました。

 さてそこで、何点か具体的な議論をさせていただきます。

 一つは、心配していますのが、日本、自衛隊を出そうという話がありますが、その前に、アメリカを中心にして行おうとしている武力行使になりますが、この中身についてなんです。小泉総理は、ブッシュ大統領にお目にかかられたようなんですが、何だか私のイメージは、この中身については白紙委任状を渡してきたというような印象を率直に受けたんですね。そこで、幾つか日本の国是に従って質問をさせていただきます。

 まず一つなんですけれども、今回総理は、今回のアメリカを中心に行うこのテロに対する報復戦争について日本が全面的な支援をすることを表明されています。この中のアメリカの軍事行動、テロリストと闘うあらゆる手段をとるとアメリカは言っています。その中に、戦術核兵器を使用して地下ごうなどに隠れた相手をせん滅するという作戦もこれは排除されていないわけです。ですから、ここでちょっと総理にお聞きしたいんですが、日本が全面的な支持ということになりますと、この核攻撃も含めて支持するということにつながると思いますが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 仮定の話ですが、あらゆる手段を講じてテロ根絶の闘いをしていくというアメリカの決意は、断固たるものがあると感じております。しかし、そのアメリカでさえも、できるだけ犠牲は少なくしよう、ましてや核兵器を使おうということは考えてはいないのではないかと私は思っております。

辻元委員 核の使用というのは仮定のことではなく、私はアメリカは選択肢の一つからは排除していないと思います。していると言うなら、その根拠を挙げてください。

 なぜかといいますと、アフガニスタンの地形ですね。そして、地下ごうをつくっていると言われています。今、アフガニスタンを対象にしています。間もなく雪が降ります。岩盤の中、岩山ですね、ここをターゲットにした攻撃をする可能性はあるわけです。

 御存じでしょうか。例えば戦術核兵器の中の、これは湾岸戦争のときはありませんでしたが、B61―11という、地中貫徹爆弾というのがあるわけです。これは、ポイントをねらって、そこに撃ち込んで、その中を核でぐじゃぐじゃにするという。

 地下ごうというもの、例えばベトナム戦争のときも地下ごうでゲリラ戦を戦いました。私、ベトナムに行って、この地下ごうに、戦争が終結してからですけれども、入りました。こうやって歩いて入れるんじゃないんです。匍匐前進のような横穴です。それがずっとつながっていて、大きな部屋があるわけです。本当に、はうようにしてしか移動できない迷路のようなもので地下ごうというのは軍事作戦のためにつくられていたわけですね。ベトナムで、私、現場に行きましたよ。

 そうしますと、いろいろな方法を選択肢として、特殊部隊だなんだ言われていますけれども、私は、ピンポイントで使う核兵器の使用は排除していないと思うんです。日本は、唯一の被爆国として、あらゆる核は使わないということを言っているわけです。現実に即して私は申し上げているので、飛躍ではありません。

 いかがですか、総理。要するに、核兵器の使用はアメリカ軍の選択肢の一つにないと明言できるんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 アメリカはそういうことを言いませんよ。また、私が今言ってもどうにもならない。日本は武力行使しないんですから。戦闘行為には参加しないんですから。

辻元委員 今、アメリカは言いませんとおっしゃった。そのとおりなんです。ですから、アメリカの作戦の一部に入っていくということは、アメリカが核の使用を排除していない戦列に私たちは加わるということなんです。

 これは私は、武力行使について全面的に支持するということの中身を申し上げているわけです。そこまできちっと考えた上で、単に、ドンパチ撃ち合いするところの後ろから何か運びますよという話と違いますよ。パウエル国務長官は、湾岸戦争のときに核の使用については、回顧録でも、検討しているというくだりがありますよ。ですから、そういうことに日本は、言ってみればサポートするんですかというぐらい、今回の選択というのは重いんです。

 私は何だか、先ほどからのやりとりをお聞きしていても、洞察力に欠けると思います。どのようなことを私たちは今選択しようとしているのかということをきちっと、この核の問題一つにしても、いや、やるかどうかわからない、アメリカは言うわけない、それで一国の総理大臣が務まるんでしょうか。

 さて、もう一点申し上げます。七項目の今回の支援の中身についてなんです。こういう前提の中での武力行使に、言ってみれば後方支援という形で自衛隊を出していこう、その中の特徴的なことを一、二、具体的な事例で質問したいと思います。

 一つは、避難民の救助です。

 あした政府は、避難民に対する物資を届けるということ、そのために飛行機が飛び立つ、自衛隊機が飛び立つということを聞いております。

 中谷防衛庁長官にお聞きしたいんですが、私はこのように聞いているんです。航空自衛隊の小牧基地所属のC130輸送機六機が、テント三百十五張り、毛布二百枚、給水容器四百個などを輸送する。六日午後には小牧基地を出発し、那覇、フィリピン、タイ、インドを経由して九日に、三泊四日ですか、パキスタンのイスラマバードに到着、そして十二日に帰国する予定。隊員は、航空、陸上自衛隊員百四十人で、九ミリけん銃四十丁を持っていく。このとおりでしょうか。

中谷国務大臣 本日朝、安全保障会議を開きまして、そのことが決定されました。

辻元委員 私は、これをわざわざ自衛隊機で運搬する必要がどこにあるのかと疑問なんです。

 実は、民間機はイスラマバードまで飛んでいます。そして、この自衛隊機は六、七機で行く、こうあるわけですが、この毛布二百枚とか運ぶのに百四十人ついて行くわけです、何機も飛ばして。それも、イスラマバードまでは、民間機ですと十一時間で行けるんです。三泊四日かけて、マニラやあちこちとまってしか行けないわけですよ。そして、民間機のカーゴですと、この六機分は一機で運べます。

 中谷防衛庁長官、きのうの御答弁の中で、一刻も早く難民の皆さんに大量の物資を届けたいと御答弁されていたんですが、わざわざ自衛隊機で行く必要がどこにあるんでしょうか。民間のカーゴで行った方が、もう今から行けば夜中に届きますよ。いかがですか。

中谷国務大臣 まず、このことにつきましては、総理の七項目に従いまして、その一つに入ったわけでございますし、また、現在アフガン情勢が非常に微妙な時期で、悪化した場合に最大百五十万人の難民が発生する可能性がありまして、この点もございます。

 また、きょうの朝の報道で、誤報でありましたけれども、インドにおいて航空機がハイジャックされたとかいうようなこともありまして、何が起こるかわかりません。

 そういう意味も持ちまして、政府のもとに政府が責任を持って輸送するという見地から、国際平和協力本部長から自衛隊機による空輸の打診があって、空輸を行うわけでございます。

辻元委員 きょうも、イスラマバードに向けて民間の航空機はお客さんを乗せて飛んでいます。テント三百十五、毛布二百枚、給水容器四百個を自衛隊員百四十人をつけて飛ばすわけですよね。これは、総理、民間にできることは民間で、むだをなくす、これが総理のモットーだったじゃないですか。

 UNHCRは世界から物資を集めていますけれども、いかに安く、大量に仕入れて持ってきてくれるかということ。私はNGOの活動をしていたんですが、きのう、テントはパキスタンなんという話がありましたが、普通中国で大体買うんです、いろいろな援助物資は、世界に送る場合は、民間でやる場合は。そして、中国から運ぶわけなんです。そうすると、例えば、そういう呼びかけをしましたら、日中で援助しようじゃないか。今、総理、ちょっと、中国も行かれるらしいですけれども、何だか孤立感もお持ちかもしれませんよ。

 そういうように、そこの部分は答弁要りませんが、総理、民間でできることは民間で。あした飛ばされるのを、私は民間航空機がいいと思いますけれども、これからこういうむだは、何かわざわざ自衛隊を派遣するために、どうなんですか、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 日本は、日本の国力に応じて、できるだけの機能を活用したいと思います。そして、民間機もこれから、必要なら行ってもらいます。協力を求めます。自衛隊ができることをやっちゃいけない理由はないと思います。

辻元委員 きのう、ショー・ザ・フラッグという議論がありました。日本の旗見せてと何かアメリカのアーミテージ国務副長官がおっしゃったというような話が出てまいりましたけれども、難民支援というのは基本的に民間なんです。UNHCRや赤十字がやっているわけです。それは、現場をよく私も存じ上げています。その上で、これは、あした飛ばす、あした飛ばすとさっきからおっしゃっているんですが、中身を見ると、何だか、ショー・ザ・フラッグ、旗見せに行くのかなというように言わざるを得ないですよ。

 そして、もう一つ難民の支援の現場の話で、自衛隊も派遣しようということをおっしゃっていました。この難民支援活動は、国際的にはUNHCRや赤十字、NGOを中心にやっていますね。一番の基本は中立性なんです。要するに、難民に変装したゲリラが爆弾などを仕掛けるような可能性があるので、武器を持った自衛隊員を派遣しなければいけないとか、難民支援は危険だから武器使用基準を緩和しなければいけないというような声が政府から聞こえてきますが、これは現場を余り御存じない方の意見だと思います。

 なぜかといいますと、どこかの国の軍隊が入っていくことによって秩序が乱れてトラブルが起こるということが多いと考えるからなんです。要するに、難民支援、UNHCRとか中立にやっています。そうすると、ある軍隊が入っていくと、その軍隊に敵対していると思われる勢力が、この軍隊が入っていることによって、そこに攻撃をかけてくるということはあるわけです。ですから、極力赤十字などは、警備をするとしましても、その国の軍隊や、そしてその国の警察が警備をするというのが、これは難民の支援の一つの大きな特徴だと思います。

 ですから、今回自衛隊を難民キャンプに送る。日本はアメリカと一緒に、アメリカをサポートしようという側ですね。そうすると、国際的にはアメリカと一緒となってきますと、これはタリバン政権をもアメリカは攻撃対象にしております。自衛隊が難民キャンプに入るということはアメリカ側の勢力が入っているということで、だからねらわれる可能性が高くなるというのが、難民救助の現場での、私はこっちの方が常識だと思います。

 そこで、中谷防衛庁長官にお聞きしますが、昨日、難民救助についてルワンダの例やザイールの例をお出しになって同列に論じられました。同列ですか。ルワンダやザイールの場合は、日本はどちらかの勢力に加担して行っていたんでしょうか。今回は全く違う状況に日本そのものが置かれているという認識が、私は、中谷防衛庁長官、防衛庁長官として薄過ぎると思います。私ははっきり申し上げまして、ザイールやルワンダで水くみ、給水作業をしたことと、今度のパキスタンに自衛隊員を送ることを同列にお考えですか。もう一度お伺いします。

中谷国務大臣 私は、辻元委員がNGOに熱心で、難民救援に一生懸命取り組まれているということについては承知しておりますし、敬意を表します。しかし、難民を救う気持ちの問題だと思うんですね。やはり、飢えそれから病気、食糧がない、こういう人を救う上において、NGOの方もやっておられます。しかし、政府がやってどうしていけないんでしょうか。

 ルワンダと同列かということでありますが、私は、難民を支援する会の方に伺ったことがありますけれども、NGOの方も心理的に非常に不安を抱えつつも勇気を出してやっておりますが、いざというとき、やはりどこかに駆け込む場所があれば非常に心の支えになるわけです。例えばルワンダの例にいたしましても、あのキャンプで、自衛隊が支援していた末期にキャンプ内で騒乱が起こりました。そういう際も、NGOの方々が日本の自衛隊の宿営所に避難をしたり、またそれに対する協力も行ったり、やはり各国の何か拠点とか支援の場所があればNGOの方も安心して活動できるという点がございます。

 お尋ねの、ルワンダと今回のような件の違いがあるかということにつきましては、やはり難民を救うという見地では余り違いはないというふうに思います。

辻元委員 確かに不安はあるんです。私はカンボジアに初めて行きましたのは一九八五年でした。何年か活動している途上で、目の前で発砲されたということはあります。目の前に、銃口から火が噴きました。そのときは、カンボジアの軍の人も一緒にいました。でも、これはカンボジアの警察や軍が第一義的に警備する仕事なんです。しかし私は、日本の責任者として、軍は全部後ろに下がるように指示したんです。相手が発砲したからといってこっちで銃を持った人間が対峙すると、撃ち合いになるんですね。ですから、NGOの、特にUNHCRや本当にプロで難民キャンプに行っていらっしゃる方々というのはいろいろな心得を持っています、トラブルを引き起こさないための。

 ですから、私はそこに、まず言葉がわからないですね。例えば、自衛隊の皆さん、パシュトゥーン語とか。特に外国の軍隊が発砲する場合が一番危ないわけです。なぜかというと、今申し上げました、事情がわからない。そのカンボジアの一件のときも、まあカンボジアの皆さんと一緒でした。でも、ここに外国の軍隊で言葉もわからなくて事情もわからなくて、何が起こったんだと緊張する状態を一番避けるというのが難民支援の現場での一つの私はセオリーだと思っておりますので。

 私はちょっと総理にお伺いしたいんです。今回、現地の情報をいろいろ聞きました。UNHCRとNGOなどは、九月二十六日からパキスタン北西州の州境で難民キャンプ設置候補地を七十五カ所調査して、そして、アフガン難民百万人まで収容できるキャンプ予定地百カ所を指定して、今スタンバイをする。そして、水源やそれから衛生施設、保健環境、交通の便、いろいろなことを調査して、ニーズの発生から一週間から十日以内に受け入れ可能になるスタンバイを始めています。そして、ここに参加しているのは、世界食糧計画、ユニセフ、WHO、デンマーク・アフガニスタン難民協力団、国境なき医師団です。そして、ほかのクエッタでもやっています。十五団体がこの間、一日には会談をしています。その中で、イギリスの大きなOXFAMや、それからアメリカのセーブ・ザ・チルドレンなどが、今いろいろな情報交換をしてやっているわけですね。

 私は、日本から人を派遣するのはいいと思います。しかし、今申し上げましたように、自衛隊として、自衛隊の指揮系統のもとで動くという形で難民キャンプにやるということには反対なんです。これは自衛隊行く行かないにも反対ですが、現場から見ても反対で、そうであるならばUNHCRや赤十字の資格で、多国籍そして中立の立場に入れて派遣するということこそ本当の難民支援じゃないですか。総理、いかがでしょうか。検討してくださいよ。ちょっと待ってください、総理にお聞きします。

小泉内閣総理大臣 私は、民間の方が行ってもいいし、自衛隊の方が行ってもいいと。できるだけ、きょうはこの予算委員会が十二時に終わって、お昼に難民高等弁務官の代表の方が官邸に見えて、非常に喜んでいましたよ、自衛隊が物資輸送すると。ほかの国が来ていますか、まだ来ていませんと。自衛隊の方が行っていただいて、私は感謝されましたよ。たしかあれはタイ人かな。

 それで、私は、自衛隊だけじゃない、民間の方もこれから協力願わなきゃならない。自衛隊も、役割があるんだったらば自衛隊もその役割を果たさなきゃならない。現地の人が、こういうものを送ってください、日本のあるものを送ります、喜んでくれて、非常にいいことだなと思っています。

辻元委員 物資を運んでくれてありがとうと、それは当たり前だと思いますし、ただ、私先ほどから、自衛隊がわざわざ運ぶ理由や、そして自衛隊の資格として難民キャンプに送るということは、これは、自衛隊はアメリカと一緒に行動しているということをもう世界にショー・ザ・フラッグしたい、したい言うてしているわけですから、自衛隊が行っていて、その自衛隊がねらわれて、それこそトラブルの原因になるというような事態になったらどうするんでしょうかね。

 私は、ですから、今回もう一度検討していただきたいと思います。日本から人を送る場合も、国際機関の一員として、わざわざ別に自衛隊として行かなくても、国際機関の一員に身分なり切りかえて行ったって同じことができるわけですから。そちらの方が私は、現場から見たら意味があると思います。御検討をお願いします。

 さて、もう一点難民関係でお伺いしたいんですが、アフガニスタンからは今回たくさんの難民が出てくる。そうなると、本当の意味で日本の国際貢献が問われるのは、次のポイントだと思うんです。

 それは、アフガニスタンの難民を日本も引き受けますかということですよ。本当の国際貢献というのは、旗見せに行くことでも、ちょっとお手伝いに行くことでもないんです。難民をいろいろな国が引き受けています。私たちの社会に受け入れるような形で一緒に共存できるのかというところまで問われるのが、私は本当の国際貢献だと思っているわけです。

 そこで、法務大臣にお伺いしたいんですが、難民について、この十年間、日本はどれぐらい受け入れてきたのか、そして他国、今回よくEU諸国やアメリカと一緒になんて言っていますが、アメリカ、ドイツ、フランスの受け入れはどれぐらいあるか、お示しください。

森山国務大臣 アメリカ、フランス、ドイツ、そして日本の過去十年の難民の認定状況について申し上げますと、一九九〇年から九九年までの数字しかございませんので、それによりますと、アメリカは八万二千三百、フランス七万三千百、ドイツ十五万六千七百、日本は四十九でございます。

辻元委員 例えば、日本は四十九というような状況なんですね。

 私は本当に、今回、例えば世論の中にもあるんです、自衛隊でも派遣しないと、国際的に何かしていないことになるんじゃないかというような声も率直に聞きます。しかし、先ほどから私も意見を述べさせていただきましたが、本当の国際貢献というのはいろいろな方法があるわけです。本当に役に立つことは何かを熟慮せなあかんと私は思います。

 それで、国際的に協力したいとか、アフガンの難民の子供たちを助けたいというならば、毛布二百枚とテント三百十五ですか、送られるのもいいでしょう。しかし、難民を自分たちの社会に受け入れる覚悟も含めて難民問題に取り組むべきだと思うし、自衛隊を送って、とにかく、これは私から見れば、ショー・ザ・フラッグ、旗を見せる。しかし、自分たちの周りに変化があることは嫌だというような日本社会であったら、私は、本当の意味での国際貢献はできないし、したことにならないと思うんですよ。

 ですから、私は、今回の難民の件については、総理は何事についても熟慮されますので、これは与野党を超えて、自衛隊が行くことについては現実的な意味からも私は反対しておりますが、それ以外でしたら、さまざまな経験をしている人もおりますので、難民問題ではぜひ総理のお力になりたいと思いますよ。

 総理は、難民キャンプに行かれたことがありますか。

小泉内閣総理大臣 行ったことはございません。

辻元委員 別に、行った行かへんは、そんなことで判断はしたくありません。しかし、現場に即して、今私たちに何ができるかということですよ。ですから、自衛隊出さなきゃ難民支援はできないというわけではないし、自衛隊を出すことの弊害もきちっと考えなあかんと思います。

 さて、もう一点お伺いします。

 ブッシュ大統領は、この報復戦争の主要なターゲットをオサマ・ビンラーディン及びその組織のアルカイダのせん滅にあるとしていますよね。

 防衛庁長官に、では、お聞きします。

 アルカイダは多くのイスラム諸国及び非イスラム諸国にも拠点を持っていると言われていますね。そうなってくると、アフガニスタンにはこのアルカイダの拠点があるということで、今回アメリカはターゲットにしていると思いますが、パキスタンにはありますか。報道ではパキスタンにもアルカイダの拠点があるというように報道されていますが、これは防衛庁長官としてどういう情報をお持ちでしょうか。

中谷国務大臣 アルカイダの拠点等につきましては、報道等で把握をいたしているわけでございますが、パキスタンのみならず全世界に数十カ所あるというふうに聞いております。

辻元委員 パキスタンのみならずあるという御答弁ですから、パキスタンにもある、またはあるだろうと。

 そのアルカイダの拠点があるパキスタンに自衛隊を、後方支援と申しますか、水や物資、武器弾薬の輸送も含めてパキスタンにも送ろうとしています。先ほどから戦場と一線を画したところと言っておりますが、私は、今の御答弁ですと、パキスタンは、それこそ言われる武力行使との一体化に一番可能性がある地域だと見ていいんじゃないでしょうか。防衛庁長官、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 今後どうなっていくかは予測はできませんが、現在におきましてはパキスタン国内において戦闘行為が行われておらず、また、現状としては戦闘行動が行われるかどうかということにつきましてはこの事態の推移を見なければならないというふうに思います。

辻元委員 将来においても起こる可能性がないところじゃなかったんでしょうかね、先ほど。

 いかがですか。パキスタンは将来においてもないと防衛庁長官としては今御判断ということでよろしいんですか。いかがですか。

中谷国務大臣 先ほど総理もお話をされましたけれども、テロ行為でありますので、日本も含めて、世界じゅうどこでもそのテロの事案が発生する可能性というものは否定はできません。

辻元委員 先ほどの御答弁と違うと思うんです。

 私は、先ほどから総理も――久間さん、横でやじを飛ばさないでくださいね。きょうは飛ばさないと先ほどおっしゃったじゃないですか。先ほど総理は、武力行使はしないんだとおっしゃっています。総理はどのように武力行使を定義されているんでしょうか。どうぞ。

小泉内閣総理大臣 武力を行使しない、定義は法律家に任せた方がいいんじゃないですか。武力行使はしない。これは、自衛隊が戦闘行為に参加しない、これが武力行使をしないんです。

辻元委員 広辞苑で引きますと、武力というのは軍隊の力、兵力なんですよ。これはどう考えても、武力行使というのは作戦行動で行いますので、戦闘行為、前線で撃ち合いなりなんかするところだけを切り取って武力行使とは言わないわけですよ。それは常識だと思いますよ、総理。ですから、私は、物資を運んだりすることも武力行使の一環だというように考えます。いかがでしょうか。どう違うんですか。どこで切り取るんですか。では、ここまでは武力行使でここは違うとどうやって切り取るんですか。

小泉内閣総理大臣 今のお話を聞いて、昔の安保論議を思い出しました。基地を提供することによって日本は戦争に巻き込まれる、自衛隊が参加することによって逆に攻撃の対象になるのではないか、そういう議論ですよね。

 ところが、難民キャンプ等においても、ある場合においては、よその国の軍隊がいると武力組織を持ったテロ組織はその軍隊を目指して攻撃するかもしれない。逆に、一方では、軍隊があった方が付近の住民は安心だ、盗賊などに襲われる心配はない。地域によって違う。だから、これはなかなか難しいですよ。

 だからどこが、今回はテロですから、どこが戦闘地域になるかわかりません。ニューヨークになるかもしれない、東京になるかもしれない、この国会になるかもしれない。そのときに、今の時点でパキスタンは戦闘行為が行われていない、難民が来て困っている、当分戦闘行為が行われないであろうということは、私は世界の常識だと思っているんです。

 そして、これからどういう事態が起こるかわかりません。パキスタンがアメリカと協力してこのウサマ・ビンラーディンとタリバン政権に対して危害を加えると思ったら、テロ組織がパキスタンをねらってくるという可能性は否定できません。では、そのときになったらまたどういうふうになるのかと判断しなきゃいけない。

 しかし、今の時点で、戦闘行為が行われていない状態で、難民高等弁務官から、ぜひとも協力を頼む、物資を送ってくれと要請が来ている。そこに対して自衛隊が行くというようなことは、私は何の心配もないし、反対する理由もないと思うんですが。

辻元委員 今の総理の御答弁はごまかしがあると思います。UNHCRに依頼を受けて自衛隊が物資を運ぶことを指しているのではありません、今私が申し上げていますのは。米軍に対する武器弾薬も含む輸送の問題を申し上げているわけです。

 私は、先ほど難民キャンプの現状も申し上げましたが、今回、新法をつくって対処されようとしていますが、法的にも現状から見ても無理があると思います。

 どういうことかといいますと、日本の、特に自衛隊にまつわる法体系、先ほどから安保条約との関係も議論していました。そして、周辺事態法のときも議論しましたが、法律そのものは一つの法体系の上にやはり成り立ってきていると思うんですね。どう考えても今回は、この法体系から見ても、これは私の意見ですが、超法規的なことを無理やり新法をつくってやろうとしている、今までの日本の安全保障の積み重ねからいくと。

 というように、私は無理があると思うし、今申し上げましたように、空理空論で申し上げているわけではなく、一番よく言われるのは、いや、難民の救援やったらええんちゃうのという意見をよく聞くんですよ。それは現実離れしているんです。

 じゃ、自衛隊が行って何ができるのと。先ほどお話がありましたけれども、これは私、以前ザイールの件も紹介しましたが、ザイールでも、このとき給水ということで自衛隊が行きましたが、隊の本部には自衛隊員は三十人いて、現場に四十人なんですよ。自衛隊という組織で行ったら物すごく頭でっかちになっちゃって、動きもなかなか機敏にとれないというようなのが、あちこちで、これは現場でも声が上がってきているはずなんです。ですから、私は、今回の新法については、きょう提出されたようですけれども、考え直した方がいいと思います。

 そういう中で、もう一点。となってくると、やはり外交が大事です。この外交問題で二点お聞きしたいと思います。

 一つは、アメリカの統計によりますと、昨年は四百二十三件世界じゅうでテロがありました。そのうち二百件がアメリカをターゲットにされているわけです。ですから、私はここで、やはりアメリカを、先ほどのニューヨークの救援活動についてもサポートした方がいいと思うし、サポートすることと、これから日本の外交や世界の外交を考えるに当たって、アメリカが半数近くターゲットにされる、これはどういう意味を持つのかということをきちっと論じるべきだと思います。

 こういう議論をすると、テロリストの肩を持つんかというようなことを言う人がいますが、私は、そういうことを言ってこの議論にふたをしてしまうことこそ、テロの根本的な解決を遠ざけてしまうと思うからなんです。

 そこで、田中外務大臣にお伺いしますが、率直に、アメリカはよくターゲットにされますが、なぜターゲットにされると田中外務大臣はお考えでしょうか。

田中国務大臣 アメリカがターゲットということをおっしゃいますけれども、このテロリズムというのも、先ほどの議論でも、六つもテロに関する決議を国連で、安保理でやったことを申しましたけれども、やはり世界的に今、二十世紀のころに比べて戦争の形態が変わってきていると思いますね。例えば、このテロリズム、人間が本当に予測がつかないような形でやる手法もありますし、あとはミサイルのようなものになってきまして、戦争の形態はやはり二十一世紀になって非常に変わってきていると思うんですよ。

 ですから、今過去のことだけをおっしゃるけれども、じゃなぜそういう原因が起こるかということがG8でもって議論されましたけれども、そのときにやはり一番言われているのは、多分関心がおありになると思いますけれども、世界での貧困でありますとか差別でありますとか、そういうふうなことがやはりルーツにあると思うんですね。それがやはり国際会議でもって随分問題になってきています。

 ですから、そういうことを踏まえて、日本も自立した国家として主体的に何ができるか。先ほどからショー・ザ・フラッグばかりおっしゃっていますけれども、その方が、きのうも何かトラウマにとらわれているという質問をなさった方がいますが、そういうことを言う方がよほどトラウマであって、私たちは、独立した日本の国民としてどのように世界に貢献できるかということであります。

 ですから……(発言する者あり)いや、答えております。ですから、そういう意味では、外交努力を私たちは文明の対話、衝突ではなくて、そのために主体的にやることによって、テロを減らすという方向にいけるというふうに思います。

辻元委員 私は今、アメリカの外交政策についての御見解を聞いたように思うんですが、今の御答弁は、ちょっとそこからかなり大きくなっちゃって。私、日本の外務大臣として、やはりこれは、アメリカをどう見るかということはきっちり押さえてほしいと思うんです。

 この間、やはりその背景に、きょうも出ておりましたが、中東問題があるとも言われています。特に、先ほどから国連決議の話が出ていますが、イスラエルがパレスチナを占領している。これについては国連の非難決議がたびたび出ておりましたけれども、これをアメリカは無視していますね。そして、この間も、ダーバンでの人権にかかわる大きな国際会議でイスラエルに対する非難が出たときに、アメリカの外交団は席をけって帰ったとか、いろいろなことがありました。私はやはり、アメリカは最大の被害国で、サポートするところはサポートするけれども、きちっとするところは議論せなあかんと思うんです。

 なぜかといいますと、友人関係でも、いきなりやみ討ちに遭わされたとしますね、だれかが。そうしたら、かわいそうやな、それもあります。何かできることあるかと言いますよ。しかし、何か恨まれてへんかと聞くわけですよ、何かないんかと。やはり気づいていることがあったら、あんた、ここ直さなあかんと言うてやるのが、総理、本当の友人です。私は、日米関係をそういうものにしたいと思うわけですよ、これを機会に。

 そして、最後にもう一点申し上げたいと思うんです。

 日本は、外交の中でもいいことをやってきたんです。これは何ができるかの提案を二点だけして終わりたいと思います。

 一点は、アフガニスタンの問題で、日本政府も努力して、このタリバーン勢力の方からも人を呼んでいますね。保健大臣とか何回も呼んでいるんです。それで外務次官も呼んでいます。ということは、タリバーン勢力とも日本はパイプがあるわけです。

 アメリカとタリバーンは今対立しています。タリバーンは、証拠があって、オサマ・ビンラーディンをイスラムの法廷にと言っています。アメリカは、うちに引き渡せと言っている。そういうときにこそ、日本が第三国として、証拠がはっきりしたら日本に引き渡したらどうなんやと、そういうぎりぎりの外交交渉をするのが、私は、今やるべきことだと思うんです。そんな甘いもんじゃないと言う人ほど、私は甘いと思います。総理は、何でもやってみなきゃわからないとおっしゃるじゃないですか。

 そしてもう一つ、日本は東アジアで孤立してはいけないということだと思います。それは、結局、このテロの問題の東アジアでの情報交換が非常に大事です。その中で、総理は、靖国や教科書問題で、東アジアからあれが原因で孤立していますよ。しかし、近所の国々と腹割って情報交換できぬでテロ対策できるんでしょうかね。今度、韓国や中国にやっと行けるようになったらしいですから、せいぜいその信頼関係もきっちりと結んできてほしいと思います。

 最後になりますが、ぜひ総理、熟慮をしてください。今大きな日本の分かれ道です。一緒に私は熟慮したいと申し上げて、終わります。

野呂田委員長 これにて横光君、辻元君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会




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