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第4号 平成14年1月25日(金曜日)

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平成十四年一月二十五日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 津島 雄二君
   理事 伊藤 公介君 理事 木村 義雄君
   理事 北村 直人君 理事 小林 興起君
   理事 藤井 孝男君 理事 枝野 幸男君
   理事 城島 正光君 理事 原口 一博君
   理事 井上 義久君
      伊吹 文明君    石川 要三君
      衛藤征士郎君    大原 一三君
      奥野 誠亮君    亀井 善之君
      栗原 博久君    小坂 憲次君
      小島 敏男君    高鳥  修君
      中山 正暉君    丹羽 雄哉君
      野田 聖子君    葉梨 信行君
      萩野 浩基君    細田 博之君
      三塚  博君    宮本 一三君
      持永 和見君    八代 英太君
      赤松 広隆君    五十嵐文彦君
      池田 元久君    岩國 哲人君
      江崎洋一郎君    河村たかし君
      筒井 信隆君    中村 哲治君
      永田 寿康君    野田 佳彦君
      松野 頼久君    松本 剛明君
      三井 辨雄君    山花 郁夫君
      青山 二三君    漆原 良夫君
      白保 台一君    達増 拓也君
      中井  洽君    中塚 一宏君
      小沢 和秋君    佐々木憲昭君
      矢島 恒夫君    阿部 知子君
      辻元 清美君    横光 克彦君
      井上 喜一君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       武部  勤君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            重家 俊範君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   参考人
   (日本銀行総裁)     速水  優君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十五日
 辞任         補欠選任
  赤松 広隆君     山花 郁夫君
  岩國 哲人君     江崎洋一郎君
  河村たかし君     中村 哲治君
  中沢 健次君     三井 辨雄君
  赤松 正雄君     漆原 良夫君
  山口 富男君     矢島 恒夫君
  辻元 清美君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  江崎洋一郎君     岩國 哲人君
  中村 哲治君     河村たかし君
  三井 辨雄君     永田 寿康君
  山花 郁夫君     赤松 広隆君
  漆原 良夫君     白保 台一君
  矢島 恒夫君     小沢 和秋君
  阿部 知子君     辻元 清美君
同日
 辞任         補欠選任
  永田 寿康君     中沢 健次君
  白保 台一君     赤松 正雄君
  小沢 和秋君     山口 富男君
    ―――――――――――――
一月二十五日
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十三年度一般会計補正予算(第2号)
 平成十三年度特別会計補正予算(特第2号)


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     ――――◇―――――
津島委員長 これより会議を開きます。
 平成十三年度一般会計補正予算(第2号)、平成十三年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として外務省中東アフリカ局長重家俊範君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省農村振興局長太田信介君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本剛明君。
松本(剛)委員 おはようございます。民主党の松本剛明でございます。
 何点か補正予算について御質問させていただきたいと思っておりますが、その前に、昨日、我が党の菅幹事長の質問の中で出ておりましたアフガニスタン復興会議のNGOの出席の拒否について、二、三確認をさせていただきたいと思っております。
 昨日の報道で、野上外務事務次官が二十四日、昨日のお昼ですね、官房長官の方に御説明に上がったというような報道がありますが、そういうことが行われたのでしょうか。また、そのとき野上事務次官が長官の方にどういう御説明をされたのかということをお伺いをしたいと思います。
福田国務大臣 昨日、午前中の予算委員会で、菅委員だったと思いますけれども、田中大臣の答弁がございました。そこで野上次官から、NGOの出席の不許可の決定、こういうことについて、特定の政治家から圧力を受けた事実があったのかないのかというようなことで質疑があったわけでございます。そのような報告を田中大臣に対して行った事実はないという報告を私は野上次官から受けました。それは昨日の昼だったと思います。
松本(剛)委員 大臣に報告をしていないという説明を受けたということでございますね。
福田国務大臣 はい、そのとおりでございます。
松本(剛)委員 野上事務次官は長官に呼ばれたというふうに言っておられるようですが、そうではありませんか。
福田国務大臣 田中外務大臣の発言がございましたので、その真実を確かめるために呼んだわけでございます。
松本(剛)委員 外務事務次官は外務大臣にお仕えになっておられるのだと思うのですが、時間的にも外務大臣とお話をされずに長官とお話をしたという理解でよろしいのですか。
福田国務大臣 それは、そういう会話がその朝あったのかどうかということについてお尋ねをしたということでございまして、外務大臣の方にも、この予算委員会終了直後にお話を聞こう、こう思ってその旨申し出ましたけれども、お忙しいようでございまして、断られました。
松本(剛)委員 断られたお話も報道でなされているようですが、事務次官は大臣にお仕えになっているとすれば、まず大臣と御相談をされるのが組織の筋ではないかと思うのですが、それはなされてないということですね。
福田国務大臣 それは、前後しても別にそれほどの問題になるような問題ではまずないだろうというように思います。また、予算委員会がございまして、時間的なこともあったということもございます。
松本(剛)委員 不条理だというお言葉をお使いになっているようで、お仕えになっている大臣のもとでの次官が、大臣のことに関してそういう言葉を使うに当たって、全く相談がない形でいきなり記者会見というのはかなり不自然な形ではないかと思いますけれども、いかがですか。
福田国務大臣 記者会見というのは野上事務次官の記者会見ですか。それは、私は、野上事務次官がいつ記者会見をしたとかそういうことは一切承知しておりません。ですから、前後関係はわかりませんからね。そもそも外務省の中のことですから、私に聞いてもわからぬのですよ、事実関係は。
松本(剛)委員 まさにおっしゃったとおり、外務省の中のお話ですから、まず中の話があってしかるべきではないか。
 いろいろ報道を聞きますと、外務省は官房長官直属というような話もあるようでございますが、それでは政府が機能しないんではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
福田国務大臣 外務大臣は外務省を統括しているわけであります。ですから、外務省の役人も統括しなきゃいかぬ、そのリーダーシップは十分に発揮していただかなきゃいかぬ、こう思っております。
 ただ、私どもは、外交というのは、今は首相外交、総理外交、こういうような部分もございます。この部分もかなり大きくなったということで、直接外務官僚とお話をするという機会は毎日のようにございます。
松本(剛)委員 リーダーシップを発揮していただかなきゃいかぬということは、今は発揮されていないというふうにも聞こえなくはないんですが。
 まさに組織の、しかし、中で同じ方向を向いているときであれば結構ですが、明らかに外務大臣と事務次官、事務次官が外務大臣のことをとらえて不条理だという表現をされているとすれば、まずそこで調整があってしかるべきではないか、このように思うわけであります。直属だということではないということだとすれば、官房長官が調整に入られるというのもおかしいんではないかと思いますけれども、いかがですか。
福田国務大臣 私は、内閣官房という立場で外務大臣とも外務省とも接触しているわけでございますので、外務省の中のことは外務省にお聞きいただきたいというように思っております。
松本(剛)委員 やはり、どうお聞きをしても、官房長官のもとに外務省官僚が直属しているというふうにしか理解できないんですけれども、これはもうそういう認識だというふうに思います。
 それから、今の御説明の中で、野上事務次官から大臣に報告はしていないという説明だったというお話ですが、外務省の方に、話題になっております鈴木議運委員長の方から接触がなかったという報告ではなかったんですね。
福田国務大臣 私は、昨日の朝の外務大臣と外務省内における会合のことだけについて、野上次官から話を聞いたわけであります。
松本(剛)委員 では、鈴木議運委員長と外務省の間で接触がなかった、あったという話はしていない、こういう理解でよろしいですか。
福田国務大臣 ですから、先ほど申しましたように、その朝の会合ではその話はなかったというように野上事務次官から私は報告を受けております。
松本(剛)委員 朝の会合の件はわかりましたが、きのうも申しましたように、圧力がかかったというような表現も行われているわけで、もし、圧力がかかったのであるかどうかということは、これは大変重要な問題だと思いますので、そのお話になっていない。ましてや、直属の外務省に、官房長官、圧力がかかったかどうかということであれば、ぜひきちっと確認をされるべきではないかと思いますが、その点は確認をされなかったということでよろしいでしょうか。
福田国務大臣 何度も申し上げますとおり、朝の会談の中身だけを伺ったわけでございます。その事実関係だけであります。
松本(剛)委員 では、圧力があったかどうかはわからないということでよろしいでしょうか。
福田国務大臣 何度も繰り返して申し上げますけれども、要するに、そういうような一連のNGO関係のことについて野上事務次官が外務大臣に話をしたことはないということであります。
松本(剛)委員 朝の会議だけではなくて、NGO全体のことについて話をした。朝の会議で話をしていないということですか。NGOの話は全然していないということですか。それ以外のことはお話しされていないということですね。
 もう一度確認をさせていただきますけれども、外務省に大変重要な役割を果たしているNGOが初日に招待をされなかったというか、NGOが入ってくることが不許可になったということは、大変重要な問題だろうというふうに思っております。その経緯についてきのうお伺いをしたところ、鈴木議運委員長のお名前が出てきたわけであります。
 それに関連をして官房長官が次官をお呼びになってお聞きになった。そのときに、お聞きになるというのは、大臣に話をしたかどうかというのも、確かに大臣が聞いたと言われたのであれば、事実の確認としてはそこはまず重要だろうというふうに思いますが、当然に、実際にそういう圧力があったのかどうかということも、まさに政府全体で外交をおやりになるとおっしゃっておられましたし、それにかかわるアフガニスタン復興会議は外務省だけではなくて日本政府、日本の国にとって大変重要な会議だろうというふうに思いますので、そのことでもしそういうことがあったという報道があったとすれば、本当にあったのかどうかというのはむしろ御確認をされるべきではないのでしょうか。おやりになっていないということでよろしいのでしょうか。
福田国務大臣 そんな時間があるような状況ではありませんので、朝の事実についてだけ確認をしたというだけの話なんですよ。NGOのことについていろいろあったことについて、私はそのことについてお尋ねをしたわけじゃないんです。朝の、そういうNGO絡みの話があったのかどうかということだけを聞いたわけで、残念ながら、それ以上のことは聞いていないんですよ。
松本(剛)委員 繰り返しになりますが、本質は、大臣と次官がお話をされたかどうかではなくて、議運委員長からそういう連絡があって決定が動いたのか動かないのかということだろうというふうに思うんですね。
 ですから、そこの本質の部分をお聞きになっていないというのは極めておかしな話だというふうに思うのですが、そのことは逆に、先ほども話したように、政府全体で外交をされるからこそ関心を持っておられる、こういう話だったと思うのですが、その部分には関心を持たれなかったわけですか。それとも、余りにそういうことが常に当たり前にあるからそのことには触れなかったということですか。
福田国務大臣 私は事実関係だけを聞いたわけでありまして、NGOのことについてお聞きする時間もなかったし、それから、そういうことを話をすれば、そのうちにだんだん話が広がって、そして日本の外交政策全部を論じなきゃいかぬ、まさに先生はそういうようなことをお尋ねになっているんじゃないのかなというふうに思うんですけれどもね。
松本(剛)委員 ちょっと違うと思うんですけれども、鈴木宗男議運委員長から連絡があってNGOを不許可にしたのかどうかということは、それほど外交全般の話ではなくて、広がる話ではないと思いますが、そういうことについて御関心を持っておられないはずはないと思うんですけれども、お聞きになっていないということですか。もう時間はすぐ済む話だと思うんですけれども。お聞きになっていないということですね。
 そうすると、もう一遍確認をさせていただきますが、鈴木議運委員長と外務省の間に何があったかは、官房長官は承知をされておられないということですね。
福田国務大臣 それは外務省と議運の、国会のことでございますので。私はほかからいろいろ話は聞いております。ですけれども、そういうようなことを聞くような時間は昨日はなかったので、聞いておりません。
松本(剛)委員 議運ではなくて議運委員長個人のお話だと思いますので……(発言する者あり)いや、鈴木宗男さんが外務省にもし報道されたとおりの行動をされていたとすれば、それは議運委員長の職責のお仕事ではない、このように思いますので、鈴木宗男さん、議員の話ですから、今議運と、国会と外務省の話とおっしゃいましたが、ちょっと質が違うんではないかと思いますけれども。そうですよね、それでよろしいですね。
福田国務大臣 どうも私に質問をされるべきことでないようなことを聞かれているような気がするんですね。やはり当事者にお聞きいただいた方がいいんですね、こういうことは。一番よく知っている方に聞いていただきたいと思っております。(発言する者あり)
津島委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 松本委員、質問をもう一遍お願いします。
松本(剛)委員 繰り返しになりますが、官房長官が次官をお呼びになって事実を確認した、その問題意識は、菅幹事長の質問で大臣がそうおっしゃった。これはどなたが考えても、本質は、NGOの不許可という問題が鈴木宗男議運委員長の影響で起こったのかどうかということであるわけで、いつそのことを大臣が確認されたかということももちろん事実に関係する話になりますが、その内容にかかわるわけですし、官房長官が会見で、大臣の勘違いではないかというような表現をとられたというふうに私ども聞いているわけですが、勘違いということの記者会見を聞けば、その本質の部分についても大臣が勘違いをされているというふうに理解をされる、このように思うわけであります。
 官房長官が次官をお呼びになって、記者会見でおっしゃっているから私は官房長官にお聞きをしているわけですので、そのことをぜひ御理解いただきたいと思います。
福田国務大臣 私は、三回ぐらい申し上げたかもしれません、昨日の朝の外務省における会合の発言の中身について、国会で質疑があったからその事実関係をただしたというだけのことなんで、それ以上のことは一切私は事務次官から報告を受けていないし、NGOのあの問題について価値判断を示したわけでもありません。
松本(剛)委員 ですから、本質は、先ほどもお話ししたように、いつ話をしたか。外務大臣は、昨日のは、二十一日も電話で確認をしたとおっしゃっておられたと思うんです。ですから、きのうの朝言っていなくても、そういうことをもし次官との間で確認をされていたとすれば、そのことの答弁は決して勘違いという話ではない、このように思うんですけれども。
 官房長官が記者会見で勘違いとおっしゃったから、長官にお忙しい中おいでをいただいてお聞きしていますので、官房長官に聞くのは筋違いと言われると、私もどこに聞けばいいのかという話になってきますので、筋違いというお話は一度直していただいて、しっかり御返答いただきたいと思います。
津島委員長 御答弁の中で、委員の御質問に対して、御質問を制約すると誤解をされるような御発言があったということを指摘しておられると思うんですが、そこはひとつ、官房長官、御答弁で気をつけて、もう一遍御答弁をお願いします。
 内閣官房長官。
福田国務大臣 要するに、事実関係の確認というだけのことでありまして、その事実関係の確認の中で、私は、その話がそれらしい、要するに正しいのではないかというように考えたから、私はそういうように記者会見で申し上げたというだけのことでありまして、そういうことなんですよ、事実は。私はその方が信憑性あるというふうに思ったからそういうように言ったんです。
松本(剛)委員 官房長官の活動についてお聞きをしているということでありますし、また、先ほども外交は政府全体の問題だとおっしゃったこともあるので、官房長官にお聞きをするのはおかしいというのは御訂正をいただくということでよろしいですか。
津島委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こして。
 福田官房長官。
福田国務大臣 先ほどの御質問で、総理官邸も総理外交というようなことで、いろいろ外交は全般にわたって関与しているわけであります。ただ、具体的なことについて細かく関与しているわけじゃありませんからね。それはもう外務省のやることですから。
 ですから、大きな問題について対応をしているということでありまして、その範囲で我々の守備範囲があるのだというふうに思っておるところでございます。
松本(剛)委員 何度も同じことの堂々めぐりでありますけれども、だとすれば、次官と外務大臣がよく相談をするようにというお話であって、官房長官が大臣の勘違いだということをわざわざ記者会見でおっしゃるというのはおかしい話になってくるんじゃないですか。
 組織、外務省の中の話なんですから、外務省の中でしっかりやるようにということであればまだわかりますけれども、官房長官が直接、また事務次官が大臣に相談もされずにどんどん記者会見で表へ言葉を出されるということ自身、日本の大事な外交の時期に、外務省がこれでは機能しないということに輪をかけることになりかねないんじゃないかと思いますが、どこまで関与されるのかということを、細かいことは関与されないと言いましたけれども、朝、話があったのかどうか。外務大臣と外務事務次官の意思疎通という問題であれば、これはまさに外務省の組織の中の問題ではないかと思います。ここまで官房長官が関与されるべき問題だという御判断なわけですね。
福田国務大臣 そういう前後するようなこともございますけれども、その前によく外務大臣と話をしてということはあった方がよかったかといえば、その方がよかったかもしれない、こう思っております。
 しかし、諸般の情勢を考えて、外務大臣もしっかり外交をやっていただきたいという思いもありましたし、いつもそういうふうに思っておるところでございますし、そういう思いを込めて記者会見でああいう発言をしたということであります。
松本(剛)委員 長官のお時間もあるとは思うんですけれども、話がなかなかすっきりいかないからですが、どちらが話をした方がよかったかという問題ではなくて、大臣、事務次官とおられるわけですよね。そこをやはりきちっとやるべきで、その後ということなんです。
 それから、官房長官にお聞きをするのは筋違いというお話だけは御撤回をいただけますか。
福田国務大臣 その分については訂正をさせていただきます。
松本(剛)委員 もう一つ。
 ですから、もう一度外務省の組織というものについて、大臣、事務次官という、これが外務省の中というお言葉をおっしゃいましたけれども、そういう理解ですよね。そこの意思疎通の問題まで官房長官の所掌範囲だという理解でよろしいんですか。
福田国務大臣 私はかねがね、外務省の中は外務大臣、事務次官、そして各局局長、幹部一体となって外交を進めるべきだというように考えております。総理もそういう思いを持ちまして、外務大臣にも、また事務当局に対しても常々、また何度も、一体となってやるように、こういうことを言っておるわけでございます。
 そういうことにおきまして、若干、外部から見ておりまして、その連携がうまくいっていないのではないかというようなことが感じられるものですから、私の感想を述べたということであります。
松本(剛)委員 まさに、一体となってというのはおっしゃるとおりだと思うので、一体となるためには普通どうするかといえば、集まってまず話をするんじゃないですか。一体となるべき方々がそれぞればらばらに、外に向かってどんどんどんどんそれぞれの言い分を言われたら、一体になれるものもなれなくなるんじゃないかと思いますが、いかがですか。おかしくないですか。
福田国務大臣 委員のおっしゃること、何を指して言っておられるかよくわかりませんので、ちょっとお答えしにくいんですけれども。
松本(剛)委員 次官も大臣も、また官邸も一体となってということだろうというふうに思いますが、官邸をお預かりになっている官房長官は、大臣と、時間がなかったかもしれませんが、お話をできずに、勘違いだと外に向かっておっしゃる。次官も、予算委員会があったかもしれませんが、大臣とお話をせずに、不条理だと外に向かって言う。これで大臣に一体になれと言う方が無理な話じゃないんでしょうかと申し上げております。そういう形で外に向かって発言をされる前におやりになるべきことがあるのではないかと思いますが、そのやり方でいいとおっしゃいますか。
福田国務大臣 その時々ですけれども、一概にこういう方式でいつもやらなきゃいかぬということではないかと思います。
 私どもは、外務省だけではありません、ほかの省庁も、直接局長を呼んだり、また担当の課長とか、そういうよく実務をわかっている方を呼ぶということもあるんです。それは、やはりそういうことをすることによって、その省庁が機能的に作用するように、作動できるような、そういう体制でやってもらいたいという思いでもってやっているわけでありまして、それ以上のことを考えているわけではございません。
松本(剛)委員 お聞きをしたのは、お呼びになったのも、省内で先に話をするべきではないかということを申し上げましたが、それ以上に、外に向かってそれぞれ、きちっとすり合わせをすることもなく、また話をすることもなく、それぞれの声を記者会見なりの形で外に向かって言われるということでは、今おっしゃった一体になるということとはむしろ逆の方向に進むことになるのではありませんかと申し上げたんですが。
福田国務大臣 きのうのことは、すべてではないと思っております。話が前後するとか、そういうようなことは多々あるわけでございますけれども、しかし、そういうこともやはり一体化をするようにと思っていろいろとやっているわけでございますので、時には勘違い、それこそ私の勘違いということもあるということは、私も記者会見で申し上げたし、そういうこともあります。間違いもあるわけですけれども、しかし、思いは、やはり日本の外交政策がきちんと、整合性のある外交政策が進行してくれなきゃ困る、こういう思いは常に持っておるつもりでございます。
松本(剛)委員 一般論ではなくて、きのうのことは、そうすると、多々いろいろ不適切なときもあるということであれば、きのうのやり方は必ずしもよくなかったということを今おっしゃったという理解でよろしいんですか。
福田国務大臣 よかったか悪かったかとおっしゃられてもちょっと困るんですけれども、まあ、そのうちにわかるでしょう。
松本(剛)委員 質問についてはやはりきちっとぜひお答えをいただきたいと思っておるんですが、もう一度繰り返しますけれども、日本の主催をしたアフガニスタンの復興会議、世界で注目されている会議で、一部のNGOの入場が不許可になったというのは大問題でありまして、それがどういうことでどういう経緯で起こったのかということは、決して見逃すことのできない話であろうと思います。(発言する者あり)ちょっと静かにしていただけませんか。
 こういう姿勢というもの、ましてやそれに有力な国会議員の方が関与をされているかどうかということであれば、極めて重要な問題であります。
 そのことについて、外務大臣の御発言、そして政府を代表される長官のこと、まさに今おっしゃったように一体となって取り組まなきゃいけないときに、国会から圧力がかかっているかもしれないと言われる。そしてまた、一体となるべきそれぞれの、外務省の事務方、大臣、長官が、外に向かってそれぞれ違うことを言われる。特に、大臣が言われたことについて、長官や事務次官が大臣とよく話をされることもなく外に向かって違うことを言われる、違っているとか勘違いであるとか言われるということであれば、一体にもなれませんし、日本の外交には大きな支障が出ると思うんですけれども、いかがですか。
福田国務大臣 昨日の朝の会議の確認だけをしたわけでございまして、それ以上の確認はしていません。今おっしゃるように、NGOのその評価、ああいうことが起こったことの評価とか、そういうことについて一切私は申しておりません。たまたま昨日は記者会見でそう聞かれたものですから、まあちょっと、その場で思ったことを、感想を申し述べたということであります。
松本(剛)委員 田中大臣の勘違いということはそのままですか。田中大臣は勘違いをされておられるのではないかというふうにコメントされたというふうに聞いておりますが、そのことは事実なのかどうかということと、それは引き続きそのまま訂正をされないということでよろしいんですか。
福田国務大臣 まあ、一回言っちゃったんですから、取り消すというわけにもいかぬでしょう。ですから、私は、先ほど申したように、まあそのうちに全体像がわかるだろうというように思っているので。私もすべての情報を持っているわけではありません。ですけれども、そのときの感想を述べたということであります。
松本(剛)委員 長官まさにおっしゃったように、全体像が問題なわけであって、全体像をお聞きになっていない段階で評価をするというのはおかしいということになると思います。ですから、そうだとすれば、きのうの勘違いという発言はこの場で御訂正になられるということになりませんか。
津島委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 官房長官、質問に対して誠実にお答えをいただきたいと思います。
福田国務大臣 なるべく正確に、誠実に答えようとしているのでありますけれども、答えにくいことをお聞きになるものですから、いろいろと表現が不適切であることもあるかもしれません。しかし、先ほど来申し上げましたように、それ以上、あの説明以上のことはないのでありますので、御了解いただきたいと思います。
松本(剛)委員 今お話しさせていただいたように、極めて全体像が重要だとおっしゃった中で、勘違いということは、やはり田中大臣は勘違いをされていたともう一度国会でお話をいただけるのかどうか、そこを、官房長官、どうぞおっしゃってください。記者会見で田中大臣は勘違いをされておられるのではないかと感想を述べられたというふうに理解をいたしますが、田中大臣は勘違いをしておられるということでよろしいですねということですので、国会で御答弁をいただけたらと思います。
 きのうの記者会見で、田中大臣は勘違いをしておられるという感想を述べられたということでございますので、きょうここで、田中大臣は勘違いをしておられるというふうに思っておられるかどうか。
福田国務大臣 きのう、そういうふうに申し上げました。その後、そういう事実関係の確認のために田中外務大臣にお会いしたい、こういうふうに申し上げたところ、時間がないのでというお断りを受けましたので、以来、ちょっとお話はできておりません。いずれ確認をしたいと思っております。
松本(剛)委員 確認をされておられないのであれば、勘違いというのも、そうでないということでよろしいのですか。勘違いをされているかどうかは、きょうはここではお答えにならないということですか。
津島委員長 松本委員に申し上げますが、官房長官としては、昨日のことを踏まえて答えられることを答えておるわけで、そして、なお委員の御質問に対して不十分であればこれからさらに調べる、こう言っておられるわけでありますから、それ以上の答弁については、もう一度お聞きになるならもう一遍聞いていただいて……。
松本(剛)委員 では、もう一度確認しましょうか。
 昨日記者会見で、感想として田中大臣の勘違いだとおっしゃったというふうに報道されております。現段階で今、田中大臣にお会いになれなかったということであれば状況は変わっていないんだろうというふうに思いますけれども、田中大臣は勘違いをしておられると思っておられますかという質問をさせていただいております。思っておられるか思っておられないか、御返答いただけたらと思いますが。
福田国務大臣 勘違いかどうかという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、そういうことかどうか、それも含めて確認をしなければいけない、そういうふうに思っております。
松本(剛)委員 官房長官のお時間もおありだと思いますが、そうすると、大変残念ですが、勘違いという御発言は、よく確認をされずに勘違いと発言をされたということでよろしいのですか。それだけお聞きをしたいと思います。
福田国務大臣 先ほど来、私から説明を申し上げていますからもうよくおわかりだと思うのですけれども、私が知り得た情報で判断をした、こういうことですね。
松本(剛)委員 長官も大事な記者会見がおありだと思いますのであれですが、きのう、少なくとも長官は、勘違いだと記者会見で、いわば国民に向かっておっしゃった。きょうここで、予算委員会で、国会で国民の代表として私がお伺いをさせていただいているわけでありますけれども、事実関係の確認がまだなので勘違いかどうかもまだ言えないという御答弁だったということでよろしいわけですか。だとすれば、きのう記者会見、国民に向かってされた記者会見とは、今はお話は変わったということでございますね。それだけ確認をさせていただきたいと思います。
福田国務大臣 きのうはああいう発言をしました。そして、その後、確認をすべくお会いするように申し入れたけれども、それができなかったということでありまして、いずれにしてもこれはきょう確認をしなければいけない、そういうふうに思っております。
松本(剛)委員 一言で結構です。きのう、きょうこの段階では田中大臣が勘違いしているとは断定できないとおっしゃったという御答弁でよろしいですね。
福田国務大臣 その後、いろいろまた情報がございまして、いろいろな話を聞いておりますので、そういうものを総合してどういうふうに今判断するか、こういうことであろうかと思いますけれども、きょうは慎重にさせていただきましょう。
松本(剛)委員 記者会見も大切な記者会見だと思いますのでお進みをいただきたいと思いますが、昨日の記者会見も大変、常に大切な記者会見だろうと思いますので、全体を御確認をされずに大臣の勘違いだとおっしゃったとするとすれば、事実は後からおわかりになるという話でありましたけれども、官邸をお預かりになる官房長官が勘違いという言葉を軽々にお使いになるのはいかがかというふうに思うわけでありますけれども、それでよろしいですか。もう特になければそれで結構ですが。(福田国務大臣「御意見は御意見として」と呼ぶ)御意見というよりは、ぜひそれは受けとめていただきたいと思いますが、よろしいですか。――はい。
 では、どうぞ、官房長官。
津島委員長 それでは、松本君、質問を続けてください。
松本(剛)委員 それでは、もっと早く終わる予定だったんですけれども、なかなか。さっさとおかしなところをお認めをいただけたらありがたかったのでありますが。
 外務省の中東アフリカ局長重家参考人においでをいただいております。
 先ほどのNGOの出席拒否の本質の話に入らせていただきたいと思いますが、拒否をしたという事実はもう既に間違いはないことであろうというふうに思います。どこがどういう理由で御判断をされたのかということをお伺いをしたいと思います。
重家政府参考人 今回のアフガニスタン復興支援会議でございますが、共同議長の合意によりまして、アフガニスタンのNGOを中心としたNGOの会合を本会議の前日に開くということになったわけでございます。他方、会議運営の観点から、我が国を含め、国際NGOの会合への参加者の数は非常に限られておりまして、絞らざるを得ないという状況にございました。
 このような状況を踏まえまして、外務省で、各NGOの一般的な評価、当該分野での活動状況、その他諸般の事情を勘案いたしまして、一部のNGOにつきましては参加不許可という決定を行った次第であります。
 この決定は外務省自身の判断で行ったものでございますし、また、アフガニスタンの復興支援につきましては、NGOとの連携協力というのは非常に大切なものだと私どもは思っておりまして、今後、これらの協力連携につきまして一層の努力をしていきたいと思っております。
松本(剛)委員 NGOについて、今、不許可、許可の基準というのは客観的なものを設けておられるんですか。
重家政府参考人 今回、参加につきまして特段客観的な基準というものはございませんが、先ほど御答弁申し上げましたように、それぞれのNGOの一般的な評価とか、どういう分野でどういう活動をしておられるのか、アフガニスタン自身に入っておられるのかどうかというようなことも踏まえまして、また、その他いろいろな要素を踏まえて判断をしたということでございます。
松本(剛)委員 幾つのNGO、国内外の希望があって、それでどれだけ不許可にされたんでしょうか。
重家政府参考人 申しわけございませんが、幾つの希望団体があったかというのは、ちょっと手元に資料がないわけでありますが、結果といたしまして、十二の団体に二十日の会議に御出席いただいたわけでございます。
松本(剛)委員 幾つ不許可にしたかというのはわからないんですか。
重家政府参考人 二、三の団体について不許可にいたしました。
松本(剛)委員 会場の関係等で数を制限されたという理解でよろしいんですか。
重家政府参考人 先ほど申し上げましたように、会議場のこともございますし、さらに、今回のNGOの会議はアフガニスタンのNGOの方々を中心にやろう、そういう共同議長国の間の合意もございましたので、そういう状況の中で数を絞らざるを得なかったということでございます。
松本(剛)委員 共同議長の御判断ということですけれども、NGOの不許可については、共同議長も不許可を御判断されたということなんですか。
重家政府参考人 個々のNGOの参加、不参加について、共同議長が関与したわけではございません。NGOの会議のあり方、全体の会議の中でどういうふうに位置づけるか、前日に会議をするということとか、どういうグループを招くか、そういうことについて共同議長で協議をし、合意したということでございます。
松本(剛)委員 外務省御自身で御判断をされたということでありますが、話題の鈴木宗男議運委員長とこの件についてお話をされましたか。外務省の局長ないしはどなたかが。
重家政府参考人 さまざまの国会議員の方々から、今回の会合につきましていろいろな御意見、御照会等をいただいたことがございます。このようなことは通常のことだと思っております。
 また、そういう意味で、鈴木先生からも、NGOにつきまして全般的な意見を言ってこられたことはございますけれども、個々の参加、不参加の点につきまして、具体的に言ってこられたことは一切ございません。
松本(剛)委員 そうしたら、鈴木宗男議運委員長とお話をされたということですね。
重家政府参考人 恐縮でございますが、今申し上げたとおりでございます。
松本(剛)委員 鈴木議運委員長とお話をされたのかどうか、そして議運委員長のお話はどういう話だったのかとお聞きをしているので、お答えをいただきたいと思いますが。(発言する者あり)
津島委員長 御静粛にお願いします。
重家政府参考人 NGOの全般的な意見につきましてお聞きしたことはございますが、今般の会議の参加、不参加について、具体的に言ってこられたことは一切ないということでございます。
松本(剛)委員 鈴木議運委員長が記者会見で、政府主催のものであるから、政府を批判する者に来ていただく必要はないというふうにおっしゃっているのをお聞きをいたしましたが、そういう意見ではなかったのですか。(発言する者あり)
津島委員長 答弁が聞こえませんので、静粛に願いますという声があります。
重家政府参考人 ちょっと、今言われたこと、承知しておりません。
松本(剛)委員 鈴木宗男議員と話をされて、NGO一般についてお話があったといって、それで中身はどうなんですかといったときに、そこから先は承知をしていないということなんですか。
重家政府参考人 一般的なNGOのアフガニスタンでの活動状況等について私も聞いたことがございますけれども、先ほど申し上げておりますように、具体的な参加、不参加の問題について意見をお聞きしたことはございません。
松本(剛)委員 アフガニスタンでのNGOの活動状況についてお話しされたのですか。それとも、復興会議での、NGO会議のことについてお話をされたのですか。どちらですか。
重家政府参考人 先ほど申しておりましたように、一般的なことでございますので、アフガニスタンでどういうNGOの活動があるかないかとか、そういうようなことはお聞きしたようなことはございますけれども、個別の、参加というようなことについてお聞きしているわけではございません。
松本(剛)委員 この復興会議の話もされていないのですか。
重家政府参考人 復興会議のことにつきましては、多くの与野党の先生の方々からも御意見をいただいておるわけでありまして、そういう中でお話はあったように思います。
松本(剛)委員 先ほど、鈴木宗男議運委員長とお話しされたとおっしゃいましたけれども、今度は、あったように思いますなんでしょうか。きちっと御答弁をいただきたいと思いますが。先ほど、あったとおっしゃったというふうに私は聞いておりますけれども。
重家政府参考人 申しわけございません。先ほど申しましたように、NGOにつきまして全般的な意見を言ってこられたことはございますけれども、今般の会議の参加、不参加の問題につきまして具体的に言ってこられたことは一切ないということでございます。
松本(剛)委員 まさに今のお言葉の中にお話があったと思いますが、普通であれば、NGOの説明をむしろ外務省がされるならわかりますが、鈴木先生が言ってこられたと、つまり、鈴木先生の方から何か局長の方に言われたということですよね。
 何を言われたかというのは、やはり国会から役所の方に話があればきちっと受けとめるのがむしろ筋ではないでしょうか。どういう話があったかというのは、一般的な話というのは、少なくとも、さっきお話しさせていただいたように、鈴木先生のお考えは、政府が主催をする復興会議に政府を批判する団体に出ていただく必要はないと会見でもしくはインタビューか何かでおっしゃっておられたわけで、当然外務省に対してもそういう御意見を言われたとしても私はおかしくないと思うんですけれども、鈴木先生が言っておられたというのは、何を言っておられたんですか。
重家政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、NGOについて全般的な意見を言ってこられたことはございますけれども、個別の、参加させるかどうか、そういうようなことにつきまして具体的に言ってこられたことは一切ないということを申し上げている次第でございます。
松本(剛)委員 私は、何を言われたのですかと。少なくとも、国会の議運委員長から局長に御連絡があって、話があって、その内容というのはきちっと、ここで言えない話だというのだったら、それはその御答弁で結構ですよ。ただ、一般的な話ということではなくて、言える話なら言っていただきたいし、言えない話なら言えない話だと言っていただきたい、こういうことを申し上げているのですが、内容について御説明をください。
重家政府参考人 私自身、全般的なことでどういうことを聞いたのかということについては、ちょっと記憶でございますけれども、例えばアフガニスタンの安全状況等について意見を言ってこられたようなことはあるように記憶しておりますが、個別の参加、不参加につきまして意見を言ってこられたということはございません。
松本(剛)委員 アフガニスタンの安全状況ということであれば、NGOの話はしなかったんですか。
重家政府参考人 具体的なNGOについてお話はしておりません。
松本(剛)委員 話をぜひきちっと聞いてお答えをいただきたいというか、わかっておいでなんだろうと思いますが、先ほど、NGO全般について話をされたとおっしゃった。今回は、アフガニスタンの安全状況等について話をしたとおっしゃっておられるわけで、話がずれてまいります。
 済みません。その前に、議運委員長というのを訂正していただきたい。これは国会召集されてからの新議運委員長でございますので、鈴木宗男議員というふうにその部分は訂正をさせていただかないと、筆頭理事に失礼だというのも、筆頭理事がお怒りになるのも、一緒にされては困るということなのかどうかわかりませんけれども、ぜひ、そこは私の勘違いでしたので、それこそ訂正をさせていただきたいと思います。
 もう一度、局長、何のお話をされたんですか。
重家政府参考人 アフガニスタンの安全状況とNGOの活動等について意見を言ってこられたことはあるように記憶しております。
松本(剛)委員 内容をお聞きしているんですから、意見があったということであればどんな意見だったのかということをお聞きしているんです。もう同じことをずっと繰り返させていただいても時間のむだだと思いますので、ぜひ委員長、ちゃんと答えるように。先ほど申しましたように、答えられないものであれば答えられないという返事をいただければそれで結構ですと私は申し上げているんですが。
津島委員長 外務省中東アフリカ局長、一言申し上げますが、松本委員の御質問の趣旨はわかっておられるはずですから、その趣旨に沿って、答えられることをきちっと答弁をしてください。あいまいな答弁でなしにしっかりと答弁してください。
重家政府参考人 申しわけございませんが、先ほど申し上げておりますように、一般的なNGOについて全般的な意見を言ってこられたということはございますが、個々の、参加させるかどうかということについては一切ございませんし、一般的なということの中には、先ほど来申し上げておりますが、アフガニスタンにおけるNGOの安全状況というようなことはあったかと思います。
松本(剛)委員 じゃ、同じことをもう一回質問させていただきますが、何にも答えをいただいてないというふうに理解をしておりますので、局長のしっかりした答弁をいただくまで私も質問を続けられないと思います。
津島委員長 中東アフリカ局長、答えられる範囲内でしっかり答えてください。
重家政府参考人 申しわけございませんが、今までお答えしていることにつけ加えることはございません。
松本(剛)委員 委員長、同じ答え、同じ質問になりますから、それでは答えになっていないと思いますが。
津島委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 それでは、もう一遍御質問して、答弁をさせます。
 それでは、重家中東アフリカ局長。しっかり答弁してください。
重家政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほどから御答弁申し上げておりますように、NGOにつきまして全般的な意見を言ってこられたことはございますが、今般の会議の参加、不参加の問題について言ってこられたことはございません。
 全般的なことが何かという御質問でございますけれども、アフガニスタンの安全状況とNGOの状況というようなことについて意見を言ってこられたことはございます。
松本(剛)委員 局長、意見があるっておっしゃったんですよ。鈴木先生はNGOについての意見を言われたとおっしゃったんですよ。今の状況なら、単なる問い合わせじゃないですか。言われるたびに中身が少しずつ変わるわけですよ。
 ですから、先ほども申し上げているように、お答えできないような内容であれば、お答えできないとはっきりおっしゃってください。
重家政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、NGOについて全般的な意見を言ってこられた、それには安全に関するそういう御意見があったということでございまして、個別のNGOの参加、不参加について御意見を言ってこられたということは一切ないということでございます。
松本(剛)委員 聞いたことに一つずつ答えていただければありがたいので、NGOの個別の参加、不参加かどうかを私はまだ一回も質問させていただいていないのに、そればかりお答えしたがるというところ、まず順々にお聞きをしていかないとということでお聞きをさせていただいているわけで、済みません、議運委員長と言ったらいかぬですね、鈴木当時の議員とお話をされたということは言われた。
 これは、鈴木議員からかかってきたということで意見を言われたということだからよろしいかと思うのですけれども、その中身について、一般的な状況ということではなくて具体的な内容について、少なくとも個別の話がなかったという御記憶があるんだとすれば、ほかにどういう話があったかの御記憶もおありだろうと思いますが、それでもここで御記憶がなくなったとおっしゃるか、それとも、それ以上はお答えできないとおっしゃるのか、二つに一つ、どちらかお返事をいただきたいと思いますが。
重家政府参考人 先ほど来御答弁申し上げておりますように、全般的な意見を言ってこられたことはございますけれども、参加の問題に関して意見を言ってこられたことはないということでございます。
松本(剛)委員 委員長が言われる前と後で変わってないですよ、答弁。
津島委員長 重家参考人に申し上げますが、一般的な御意見があったということの具体的な中身は何かという御質問でありますから、それに対して答弁をしていただきたい。
重家政府参考人 全般的な意見が何かというお尋ねでございますが、先ほどお答えいたしましたように、アフガニスタンの安全状況、それからNGOの安全問題、そういうことについて意見を言ってこられたということでございます。
松本(剛)委員 答えが全然変わっていない。私が聞いて変わっていなくて、委員長がおっしゃって変わっていない。繰り返しになりますがと局長自身がおっしゃっているので、これは国会、予算委員会に対して大変失礼な答弁だというふうに思いますけれども、よろしくお願いをします。
津島委員長 ちょっと速記とめて。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 重家中東アフリカ局長、松本委員の御質問に対してもう一遍答弁してください。
重家政府参考人 繰り返しになってまことに申しわけございませんが、NGOにつきまして全般的な意見を言ってこられたことはございますが、今般の会議の参加、不参加について、具体的に言ってこられたことは一切ございません。
 全般的なこと、話というのは何かという御質問に対しましては、先ほど申し上げましたように、アフガニスタンの国内の治安状況とかNGOの安全、このNGOの安全を確保することは非常に重要な問題でありますので、そういうことについて意見をお聞きしたことはございます。
 以上でございます。
津島委員長 松本君。
 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こして。
 もう一度、中東アフリカ局長、御答弁をお願いします。重家局長。
重家政府参考人 先ほど申し上げましたアフガニスタンの国内状況、NGOの安全確保という点でございますが、先生の御意見は、アフガニスタンにアルカイーダとかタリバンの残党がまだ残っておりますので、そういう人々、そういうグループから、例えば拉致とかそういうようなこともあり得るので、安全確保が大事だ、そういう意味で、NGOと政府との連絡をきちっと確立する必要があるというような意見を言ってこられたことはございます。
 そのほかの点につきましては、繰り返しになって恐縮でございますが、NGOの参加問題について言ってこられたということは一切ございません。
 以上でございます。
松本(剛)委員 復興会議についても一切話はしなかったということですか、全般について。
重家政府参考人 準備状況等は別といたしまして、その他個別のことは一切お話ししておりません。
松本(剛)委員 復興会議の話はしたということですね。
重家政府参考人 全般的に日程等、それはほかの与野党の先生方もそうでありますが、日程等についてお話ししたことはございますが、個別のことについてお話をしたことはございません。
松本(剛)委員 復興会議についての話はされたんですね。
重家政府参考人 先ほど申しましたように、会議の日程等についてお話ししたことはございます。
松本(剛)委員 復興会議についてはそれ以上の話はしていない、それでよろしいですか。それとも、それ以上のことはお話しできない、どちらかお答えください。
重家政府参考人 繰り返しになって恐縮ですが、日程等についてお話ししたことはございますけれども、それ以上会議についてお話ししたことはございません。
松本(剛)委員 日程の話だけをしたという理解でよろしいんですねと確認をさせていただいているんです。
 大事な話なんですよ、細かい話のように聞こえるかもしれませんが。国会の方から話があってその話になったのか。もしそうでないんだと、これは国民みんなが、もし国会議員が何か言ってNGOの参加を拒否したり不許可にしたりということになったということが誤解だとすれば、これは誤解を解かなければいけませんし、もしそうだとすれば、これはやはり、なぜそういうことになってしまうのかということをはっきりさせなきゃいけないわけで、復興会議について日程のお話だけされたので、それ以上の話はしていないということでよろしいんですね。
重家政府参考人 会議に関連しまして、NGOなどについて、そういう具体的なことについてお話ししたことはございません。
松本(剛)委員 聞いたことにぜひ答えていただきたいんですけれども。
津島委員長 重家局長、質問者の質問に答えられる範囲で正確に答えてください。
重家政府参考人 先ほど来申し上げておりますが、ほかの与野党の先生方からの御意見等もありましたように、会議の日程等についてお話ししたことはございますが、それ以上具体的なことについてお話ししたことはございません。
松本(剛)委員 鈴木先生の話に絞ってお聞きをしているのに、常に話をそっちへ持っていかれる上に、日程等とおっしゃいましたけれども、法律の解釈じゃないんですから、等と入れたから後で何でも入るというようなことでは困るので、日程とおっしゃるなら日程、それ以上の話ができないならできないと答えていただきたいと先ほども質問させていただいたので、それに答えていただくように委員長から御指示をお願いいたします。
津島委員長 重家局長、日程等ということについて御答弁をお願いします。
重家政府参考人 先ほど来御答弁申し上げております、日程等についてお話ししたことはあるということでございますが、具体的に、何日どういう会合をやるとか、そういうようなお話はあったように思います。それは、与野党の先生方すべてにそういうふうにまた御説明していたり、御意見をいただいているところでございます。
松本(剛)委員 委員長、いかがですか。全然答弁が変わっていないと思うんですけれども。委員長が先ほど御指示をいただいても変わらないということであれば、これは前へ進まなくなっちゃうんですが。大臣初め委員の貴重な時間をこれ以上浪費させないように、ぜひはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
津島委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 それじゃ、速記を起こして。
 外務省中東アフリカ局長に申し上げますが、極力誠実に答弁をしていただきたい。(発言する者あり)
 御静粛にお願いします。
重家政府参考人 日程と日本政府の会議へ向けての考え方について言ってこられたことはございます。
松本(剛)委員 日本政府の会議の考え方を鈴木先生が局長に言われたということですね。内容について教えていただけませんか。お答えはできないですか。
重家政府参考人 恐縮でございますが、特段詳細を記憶しておりませんが、ぜひ大事な会議なので成功させるように、しっかりやるようにというようなことは言っておられたと思います。
松本(剛)委員 記憶があやふやなのに個別のことについてはないと最初から出てくるということ自身がおかしくないですか。お答えいただけないものは、ですから、いろいろと機微に触れるので答えられない、これは一つの御回答だと思いますから、はっきりとおっしゃっていただきたいと思いますが、内容については記憶がないということですか。
重家政府参考人 日程と会議に臨む日本政府の考え方について言ってこられた、ぜひ成功させるようにということを言ってこられたということでございます。
松本(剛)委員 局長におかれても、私も大事な補正予算の審議をしたいということで、塩川大臣初め、官房長官ももうお帰りいただきましたけれども、大臣をお待たせして国民を代表する委員をたくさん迎えて委員会を開催しているのに、鈴木先生の電話の中身は何ですかということで、本当に一時間ぐらいかけてやっと日本政府の会議への考え方についてというのが出てきたわけですよね。
 お答えをいただくのを、もうちょっと内容を覚えておられる範囲で、そして個別のことについてはない、そこまで断言をされるのであれば全部覚えておいででなかったらおかしいわけで、どちらか、お答えいただけないということであれば、はっきりここでは答えられないとおっしゃったらどうですか。いかがですか。
重家政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、日程と日本政府の会議へ向けての考え方、成功させるようにという意見を言ってこられたということでございます。
松本(剛)委員 鈴木先生からそういう話があったということはお認めになられるということでよろしいですね。
重家政府参考人 そういうことでございます。
松本(剛)委員 鈴木宗男議員から局長に対して、アフガニスタンの復興の会議について意見を言われたということでございますね。その内容について一時間以上かけてお聞きをしたわけでありますけれども、具体的な内容については、これは事実上お答えをできないというふうに局長がおっしゃっているというふうに私は理解をさせていただきたいと思います。
 それで、次にもう一点お聞きをさせていただきたいと思いますが、先ほど、諸般の事情、会場の都合をいろいろ考えて二十一日不許可にしたとおっしゃいましたが、二十二日許可をされました。会場が変わったという話もお聞きをしておりませんし、どういう事情があって変わられたのかということをお聞きしたいのが一点。
 それから、不許可の事情について大臣が事務方から事情を聴取したとおっしゃっておりますが、御所管の局長に聴取をしたと考えるのが自然でありますが、どのように話を上げられたのか、その二点についてお答えいただきたい。
重家政府参考人 一部のNGOにつきまして参加不許可の決定を行ったわけでございますが、その後、さらに検討を行いまして、結局、二十二日の閉会セッションに、オブザーバーとして、ほかのNGOと同じように参加してもらうこととしたわけでございます。
松本(剛)委員 なぜ、二十一日は不許可で、二十二日は許可なんですかとお聞きをしているんですよ。それで、大臣にはどのように御報告をされたんですかと二つお聞きをして、今の答えなんですよ。本当に、大臣やら委員の時間を局長一人でこれだけ使っておられるということを少し考えていただきたいと思いますね。私もこれだけ一生懸命用意をしてきて、大臣にもお願いをして予定しているんですから、繰り返しになりますがという答弁をこれだけ続けられては我々も質問を続けられなくなっちゃうんですよね。しっかり答えていただきたいと思いますが。
津島委員長 中東アフリカ局長、松本委員の今の二点に対して正確に答えてください。
重家政府参考人 当初の不許可の決定の後、先ほど申し上げましたように、いろいろな要素も出てまいりましたので、それを含めてさらに検討の上、閉会セッションにオブザーバーとして出席していただくことを決めたということでございます。
津島委員長 中東アフリカ局長、もう一点質問があります。
重家政府参考人 どのように大臣に報告したか、ちょっと記憶をしていないわけでありますけれども、秘書官を通じて、こうこうこういうふうに二十二日の朝の閉会セッションには参加していただくようにパスを、あの日の午前十時半だったと思いますが、発出することにいたしましたという報告をいたしました。
松本(剛)委員 大臣に相談せずに不許可にして、大臣から指示があったから許可にした、こういうことですか。
重家政府参考人 大臣も答弁しておられますように、最初の不許可のときに大臣に御報告していなかったことは事実でございます。
松本(剛)委員 官房長官もお帰りになって、同じ話の蒸し返しはもういたしませんけれども、どこに許可を得て、だれに決裁を仰いで行動されている組織なのかということを大変疑問に思うわけでありまして、アフガニスタンの復興会議というのは日本にとって大変重要な会議だったんではないですか。大変重要な会議にだれが参加をするかということは極めて重要な話であろうというふうに思いますし、NGOの果たしてきた役割というのも、カルザイ議長にしても緒方共同議長にしても、また日本政府でも高く評価をするという話もあるわけで、どのNGOが参加をするかということは大変重要な話ですが、そういうことは大臣の許可を一切得ずに不許可にされるわけですね。
重家政府参考人 最初に不参加を決定いたしましたのは、私ども事務レベルで決定をいたしました。それを再度検討する段階で、大臣と相談しながら、大臣の指示を得て、最後の二十二日に参加していただくようにしたわけでございます。
松本(剛)委員 事務レベルの御判断というのは、局長ですか、事務次官ですか。
重家政府参考人 次官まで相談しております。
松本(剛)委員 やはり、ぜひ事務次官においでをいただいて一度お話を伺いたい、このように思っております。
 いつまでもお話をしていてもあれですし、本当に局長、申しわけないですけれども、繰り返しになりますがということでこれだけ長い時間を引っ張られたことは、私もきつく抗議をさせていただきたいと思います。
 もう一度確認をさせていただきますが、鈴木宗男議員から電話があった、復興会議について意見があったということで間違いないということだと思いますし、またアフガニスタンの復興会議について、事務次官の判断で不許可にしたが、大臣から指示があって許可をした、こういう事実だというふうに理解をしております。間違いないかどうかだけ、一言で御答弁ください。
重家政府参考人 鈴木先生の関連でございますが、日程と日本政府の考え方、それに、成功をさせるようにというようなことについてお話をしたということでございます。
 また、最初の一部NGO団体の不許可につきましては、省内で事務次官まで含め相談して、外務省として判断したところでございます。
松本(剛)委員 大臣の御指示があって許可をしたということは、不許可の判断は間違っていたということですよね。
重家政府参考人 その後さらに検討いたしまして、オブザーバーとしてほかのNGOと同じように参加していただくことが、閉会セッションの部分だけでございますが、望ましいということで、そういう決定をしたということでございます。
松本(剛)委員 いつまでもやっていたくないんですけれども、大臣からの指示がなかったら閉会セッションも不許可だったわけですよね。大臣から指示があったから出たわけですよね。事務方の御判断と大臣の判断と違っていたということですよね。その点、確認させていただいていいですか。
重家政府参考人 その点はちょっと、何とお答えしていいのかわからないのが実感でございます。
松本(剛)委員 私は、大臣からの指示がなければ不許可なまま閉会セッションにもNGOは出なかったんですね、大臣から指示があったから許可になったんですねとお聞きをしたんですが、あれでは回答になっていないと思うんですが。
重家政府参考人 大臣の指示を得まして、外務省全体で判断してそういうことに決めたということでございます。
松本(剛)委員 本当に貴重な時間なんですから、時間をできるだけ節約していただきたい。大臣からの指示があったので変わったということで確認をさせていただいたというふうに受けとめさせていただきます。
 それではもう一遍、もう御答弁は結構です。鈴木議員から電話があって、アフガニスタンの復興会議について意見をもらった。で、事務次官までで判断をして不許可にした。しかし、大臣から指示があったから閉会セッションには出てもらうことにした。こういう事実関係を確認させていただいたということで、一言で言えばこれで終わっちゃう話なんですから、本当に。局長、一時間もかけてやっと中身の話まで行くというような対応は、ぜひ御容赦をいただきたいというふうに思います。
 それでは、残された時間は多分わずかだと思いますけれども、補正予算の話に入らせていただきたいというふうに思っております。
 各大臣におかれましても、かなり時間があると思っていろいろ御準備をいただいた中で、まことに申しわけなかったと思うんですが、まず竹中大臣にお聞きをさせていただきたいと思います。
 お聞きをしようと思っておりますことを二、三まとめてお聞きをしたいと思いますが、経済の現状認識については、もう昨日もいろいろと議論がありましたので繰り返しお聞きをいたしませんが、緊急対応プログラムをつくられて、それに合わせて補正予算が策定をされたというふうに理解をしております。緊急対応プログラムをつくるに至った経緯、そしてそれをもとにつくられた今次補正予算、竹中大臣、どう見ておられるかということをまずお聞きをしたいと思います。
竹中国務大臣 お答え申し上げます。
 緊急対応プログラムの策定の前に、御承知の、もう一つの雇用を中心とした第一次補正予算というプログラムを編成しております。
 実は、その第一次の補正予算を念頭に置いたプログラムの作成の指示が総理から出ましたのは、九月の初旬でございます。その後、御承知のように、九月十一日の出来事があり、その一カ月後にアメリカのアフガン侵攻があり、その時点では、経済が世界的なIT不況の中で減速する中で、雇用を中心としたセーフティーネットにいかに対応するかというのが喫緊の課題でございました。
 しかし、御承知のように、九月十一日以降、世界の状況が大幅に変わった。その中で、日本の経済はさらに減速して、これはデフレスパイラルに陥らないように、デフレスパイラルが起こっているとは認識しておりませんが、そうならないような新たな対応が必要になった。そこで、これは第一次補正予算をお認めいただいた直後であったと思いますけれども、この新たな緊急対応プログラムで、もう一段のてこ入れが必要だというふうな判断をしたわけでございます。
 しかし、基本的には、経済の活性化のためには、きのうからも議論されていますような構造改革が必要である。構造改革はあくまでも押し進めるということを基本にしながら、一方でデフレスパイラルに陥ることを阻止するという需要面への配慮も考慮して、今回の緊急対応プログラム、その予算面の裏づけである第二次補正予算というふうなことになった。
 これは、需要面に関しても、GDPを〇・九%通年で押し上げる規模がある。もちろんその中身は、構造改革の骨太の方針に沿った重点項目に重点を置いている。そういう意味で、構造改革を進めつつ、デフレスパイラルへ陥るのを食いとめるという、そういう総合的な効果をねらっている、そのように御理解をいただきたいと思います。
松本(剛)委員 デフレスパイラルを回避するために需要を追加した。中身については、今おっしゃったように、構造改革型の事業をということですが、中身についてはこれからお聞きをしていきますが、大枠としては、デフレスパイラルに陥ることを回避するために需要を追加したものであるというのが今回の対策の根っこであるということでよろしいですか。
竹中国務大臣 基本的には、構造改革をさらに推進する。しかし同時に、これはもう前から言っておりますけれども、供給側を強くしながら需要側にも配慮する。しかし、需要側に配慮するに当たっては、景気が悪いからすぐに財政を出動するというような微調整の考え方ではなくて、あくまでデフレスパイラルに陥るというような緊急的なリスクを回避するための、その意味でも需要側の対応策である、このように御理解をいただきたいと思います。
松本(剛)委員 従来から需要追加型の対策というのは数々繰り返されてきたというふうに思うわけであります。政策評価については長いスパンが必要だというふうなお話もきのうあったように記憶をしておりますけれども、この十年間の需要追加型の経済対策というのをどのように評価をされて、今回も需要追加の要素が含まれていることはおっしゃったとおりだろうと思います、むしろ私はそれがメーンだろうというふうに思っておりますが。需要追加の効果というものをどのようにお考えになっていますか。
竹中国務大臣 過去におきましても、需要側に配慮する政策、幾つかの異なったパターンが私はあったのではないかと思います。
 例えば、九八年ごろだったと思いますが、極めて金融不安が高じて、それによって一種のコンフィデンスクライシスといいますか、信認の危機のような状況が起こりかねない、そういう危機的な状況の中では、これは政府はなりふり構わず市中にお金を、マーケットにお金を投入しなければいけませんから、そういう意味での需要の政策もあった。しかし、同時に、景気が悪くなったからそれを微調整しようという考え方もあった。
 これは、私自身は、微調整という考え方は大変、そういうことを考えている国は私は先進工業国の中ではないというふうに思っておりますので、そういうことはやらない。しかし、危機的な状況なりリスクがあるときは、これは総理のお言葉で、いわゆる柔軟かつ大胆にやらなければいけない。今回はまさにそういう措置をとろうとしているということであるというふうに理解をしております。
松本(剛)委員 危機が目前というようにもお聞きをするんですけれども、必ずしも危機が近くないという話もある。
 内容があっちこっちへ飛んでいるような気がするんですが、この「構造改革と経済財政の中期展望の骨格」というところを見ると、財政健全化に向けた動きが消費を拡大すると書いてあります。
 今回の、これは需要追加型、へそくりがあったというお話でありますけれども、へそくりであっても元来国のお金であったわけでありまして、へそくりといいながらも国債の整理基金ですから、これを使わなければほかに使える、もしくは国債の償還に使えたはずでありますから、やはり今回のは財政健全化に向けた動きということにはならないというふうに思うわけでありますけれども、財政健全化に向けた動きが消費を拡大させるとすれば、消費を縮小させるおそれがあるということにはならないですか。
竹中国務大臣 これはまさしく、長期的な財政の健全化に向けての動きと足元の経済に対する目配りと、その両方をどのようにバランスをとるかという、もうその問題に尽きているのだと思います。
 一方で、今委員御指摘のように、中期展望の中で、中長期的に見て財政は健全化させていく。そうしないと国民の安心感は出ませんから、そうすることによって国民も安心して消費へのインセンティブが生まれてくる。しかし、足元の経済が、御承知のように、これは九月十一日以降の世界経済の同時収縮という、ちょっとこれは緊急的な、異常な状況の中に私たち今置かれているわけでありますので、これに対しては適切な、短期的な手当ても行う。そういった長期の財政の健全化と足元への目配り、そのバランスをいかにとるかという、総理の言葉を使えば、苦心惨たんの策であるというふうになるのだと思います。
松本(剛)委員 要は、こっちもやるけれども、あっちもやっていると。でも、こっちもやっていないし、あっちもやっていないということに。財政健全化とお金を使うということは、少なくとも国民の、我々のレベルでは同一には論じられないというか、どっちもできるということにはならないと思うのです。
 これも、先ほどの財政健全化に向けた動きも、でも集中整理期間の中に入っているんですよ、長期的なところではなくて。これ、大臣がお書きになった部分だと思うんですけれども。今、目の前で財政健全化をばしっとやることが消費を拡大させるとおっしゃっているように読めるのかなと思うと、今度はデフレスパイラルだから需要を追加すると言われる。これでは、どういう方向を向いているのかということがわからないようになってしまうのであります。
 もう一度お聞きをしますが、今回の補正予算、これは緊急対応プログラムに基づいて策定をされたという理解をさせていただいて間違いないと思いますが、これはデフレを回避するための需要追加型の経済対策であるという理解でよろしいですね。
竹中国務大臣 今、私たちの経済はまさにジレンマの中にあるのだと思います。
 委員御指摘のように、中長期的には財政を健全化しなければいけない。では、とにかく財政の引き締めを続けるのがいいことか。多分皆さんはそうは思われないんだと思います。今、足元の経済が非常に厳しい状況にある。厳しい状況にあるから、例えば減税とかそういうものを繰り返していけばよいのか。これもそうではないというふうに思います。
 いわゆる時間の中の矛盾といいますか、タイム・インコンシステンシーが私たちの目の前に間違いなくあって、そのジレンマをどのように解くかということを、これは謙虚に地道に判断して解決策を見出していかない限り、日本経済の再建の道はないというふうに考えるわけです。
 そのジレンマを解く道として、中長期での財政の健全化を一方で明確に示しながら、しかし、足元については、特にこれは九月十一日以降の特別な状況がございますから、それについては配慮を行う。そのジレンマの中での解決策を、私たちはこれを模索して、このような形をとろうとしているということであります。
    〔委員長退席、木村(義)委員長代理着席〕
松本(剛)委員 私は、一番問題にしなきゃいけないと思っているのは、総理もおっしゃっておられますけれども、しっかりと国民の信頼を得てこの厳しい時期を乗り切る、そのためには、きちっと国民に対して本当のことをお話しいただく必要がある。
 つまり、財政の健全化に向けて、中長期的な展望に向けてやろうと思ったけれども緊急事態が発生したので当面これは棚上げだと言うんだったら言うで、はっきりおっしゃった方がよろしいわけで、こっちもやっているんだけれども需要追加型もやっている、これはどう考えても相反していると私は思うんです。そこをはっきりと、しばらくは緊急事態だから政策転換をするとはっきりおっしゃった方がむしろ私は国民にわかりやすいと思うんですが、いかがですか。
竹中国務大臣 財政の健全化を棚上げにするということは、やはりこれはとれない政策なのではないのでしょうか。そういうふうな宣言をした途端に、やはりこれは、そうじゃなくても格下げが続いている日本国債に対する世界のマーケットでの信認は大きく揺らぐと思いますし、だから、ジレンマなんだと思います。
 しかし、この二律背反の二つの政策を、狭い道を歩んでいく限り、ほかに日本が再生できる道は現実にはないのではないでしょうか。例えば、委員は、長期的な財政健全化を棚上げして、そして需要を拡大する政策に賛成かと言われれば、恐らく委員はそうではないというふうに言ってくださるんだと思います。
 その意味ではやはり、この両方の、短期と長期の目的を明確に示して、そのバランスをとるということを追求していくしかないというふうに考えております。
松本(剛)委員 今、くしくもお答えだったと思います。
 つまり、長期的には財政の健全化を目指すけれども、短期的には財政の健全化ではなくて需要の追加に行く、こういう理解でいいんですか。それをはっきりとおっしゃった方が私はマーケットからもむしろ信頼をされるんではないかな、このように思うんですけれども。
    〔木村(義)委員長代理退席、委員長着席〕
竹中国務大臣 いや、これは申し上げましたように、財政の健全化を棚上げして需要拡大を当面するというような政策をとるのは、やはり適切ではないというふうに考えるわけです。その両方を追求しているんだという姿勢を示すことが、今の政府にとっては、マーケットに対する発信としては大変重要だと思います。
 これは国民のアンケート調査を見ましても、必ず両方あるわけですね。財政は財政でしっかりと健全化して、子供たちのために安心できるような社会をつくってほしいと。だから、それはこういう形でつくれますよということを改革と展望で示している。しかし一方で、経済が非常に悪くなっているということに対する懸念も国民の間では示されている。そのまさにバランスをとるということを私たちは模索しているわけで、これはどちらか片一方に足を置いた途端に日本の経済というのは非常に厳しい状況に直面するのではないかというふうに私は思います。
松本(剛)委員 いや、二・五兆公共投資を追加しておられるわけですよね。ですから、ここで需要の追加が必要だとお考えになっておやりになったということでいいじゃないですか。今は大変厳しいので需要を追加せざるを得ないということではっきりおっしゃっていただいた方が、私は、国債もマーケットで格下げが続く、またさらに格下げの懸念すらあるという状況は、むしろ日本政府が何をしようとしているのか、どういうふうにしようとしているのかが、残念ですけれども信用できないと言われているに等しいというふうに思って、懸念をしているので申し上げているんです。
竹中国務大臣 その意味では、二・五兆の需要をつけるということを私たちは否定していないわけです。そうすることによってまさにデフレスパイラルに陥るようなリスクを回避するということは、私たちは明確に申し上げているつもりです。
 しかし一方で、これはぜひとも考えなければいけないのは、財政の健全化というのは、十年前もこれは長期的な課題であるというふうに言われていた。財政の健全化というのは常に長期的な課題なんです。その意味では、これを、やはり明確に私たちはその健全化のプロセスの中にいるという意識を私たち一人一人が持ち続けない限り、これはもういいと言った途端に、いわゆる財務大臣のお言葉を言うと、たがが外れるというか、そういう一種の膨張主義といいますか運動メカニズムのようなものを、やはりこの民主主義における財政というのは持っているのだと思います。
 その点では、やはり長期的な財政の健全化というものを常に示していく、しかし、足元について底割れの懸念を防ぐような対応策はとらなければいけない、それを繰り返し申し上げているわけです。
松本(剛)委員 構造改革と総理がおっしゃるということは、経済が構造的な問題を抱えているという認識の上でなっていると思いますが、今回、これは構造改革加速と看板も上がっていますけれども、この対策というのは、景気の循環に対する対策なんですか、それとも構造に対する対策なんですか、もしくは、今お話があったように、危機に対応した緊急の対策なんですか。その点の御認識をお聞きしたいと思います。
竹中国務大臣 一律にラベルを張るとかえって誤解を生む可能性もございますけれども、一義的な解釈として申し上げるならば、これから行おうとしている補正の需要の側面から見る限り、これは危機を回避するためのものである。その支出の中身について見る限り、これは構造改革を推進するためのものである。一義的には、これは全部とは申し上げませんが、一義的にはそのように御理解いただいてよろしいかと思います。
松本(剛)委員 余りこのことばかりに時間をかけておれませんが、おっしゃる危機というのはどういうものを想定されるのかだけ、一つお伺いをしておきたいと思います。
竹中国務大臣 きのう申し上げましたように、私、危機が到来するというふうに強く思っているわけではございませんけれども、いわゆる経済のスパイラル的な悪化、これが一つの危機だと思います。
 つまり、経済というのは、特に一億二千七百万の人口を持つこの日本の経済というのは非常に複雑にそれぞれが影響し合っていて、例えば、消費が低下すると売り上げが落ち込みます、企業収益が低下します、企業収益が低下して設備投資も落ち込みます、さらにそれで景気が悪くなって、人々の賃金も下がって、さらに消費が落ち込みます。そうすると、同じ、悪い循環がどんどん続いていく。こういう一種の運動メカニズムを持っているところが経済の一つの怖さだと思います。逆のことはバブルのときに起こったわけでありますけれども。
 そういうスパイラル的な悪化を食いとめなければいけない。それが、そういったリスクを回避するために行う。危機というのは、その意味では、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、スパイラル的な悪化のリスクというふうにお考えいただきたいと思います。
松本(剛)委員 どっかに書いてありますよ、デフレスパイラルの危機を回避するためにというようなことが書いてあったように思いますけれども。
 だから、危機なら危機で、はっきりとおっしゃった方がいいんじゃないですかということを私はさっきから申し上げているんで、言葉ばっかりが歩くよりも、今大変な時期だからぼんと需要を追加するんだと言ったら、国民はすぽんと入ってくるんですよ。よくわからなくなっちゃう、私もそんなに頭がいいわけじゃないものですから。大臣のお話は、ずっと聞いているとそうかなと思うんですけれども、後でまとめてみようと思ったら話はどっちに行っていたのかなと思いながらお聞きをしているわけで。
 危機なら危機という、中身は今わかりました、スパイラルリスクということですから。ですから、危機が間近だから、これだけ、二・五兆円、それでもやはり国民のお金ですから、つぎ込まなきゃいけないという状況だというふうに判断をしたとおっしゃっていただいたらいいと思うんですけれども、いかがですか。
竹中国務大臣 危機なら危機とはっきりと言ったらどうかという御指摘でありますが、では、危機とは一体何かということに関して言うと、これは定義はないのだそうであります。少なくとも経済に関して、実は、経済危機という言葉がよく使われますので、そういうことが国際機関等々でも話し合われたことがあるのだそうですが、経済的な意味での危機の定義というのはないんだそうです。
 ところが、政治の世界では、危機という定義が何人かの専門家によってなされているのだそうです。それは、例えば、想像できないようなことが起こるとか、アンコントロール、コントロール不能になる。それをあえて経済に無理やり当てはめるとしたら、さっき言ったスパイラルというのは、やはりコントロール不能なぐらい悪くなるということです。
 そういう意味で、日本はスパイラル的な危機ではないというふうに思います。しかし、九月十一日以降の予測しがたい経済状況の中で、そういったリスクがかいま見える。それを回避するために、今回、経済の基盤を少しでも強くするような措置を需要、供給、両面からとる、そういうふうに考えています。
松本(剛)委員 言葉の定義ばかりやっていてもしようがないんですが、大臣、一つだけ申し上げたいと思いますが、危機という言葉は、私が申し上げたのではなくて大臣が先におっしゃったというふうに理解をしていますので、危機という言葉に定義はないとおっしゃいましたが、大臣が、この対策はある意味で危機を回避するためにとおっしゃったので、ぜひそこは、大臣自身の方からおっしゃった言葉を私はお聞きしているので、危機という言葉に定義はないという講義を私は受けに来たわけではないので、しっかりと言葉をお使いいただきたい、このように思います。
 時間がないので駆け足になりますが、この補正予算の中身についてお聞きをしていきたいと思っております。
 今もちょっとお聞きをしましたが、おいでをいただいております経済産業大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、一言で言えば、第一次補正を指示して組んだときよりもさらに状況が大変になったので、組まないと言った第二次補正予算を組まざるを得なくなった。経済産業大臣は早くから第二次補正が必要だとおっしゃっておられたようにも記憶をしておりますが。だとすれば、少なくとも私の周りを見る限りは、中小企業は第一次補正を組んだときよりもっと大変になっているというふうに私は認識をしております。
 とすれば、この第二次補正、いろいろな制度の制約はあると思いますが、我々は立法府でありますから、憲法に反することはできませんけれども、国民のお金をどう使うかということは、政府の御提案なり我々の国会の中での論議でさまざまな工夫ができると思うのですが、今回のこの第二次補正予算というのは、見る限り中小企業対策というものは余り中に含まれていないように思われるわけでありまして、大変苦しんでいる中小企業に対してどういうふうにお考えになっているのか。
 一次補正で中小企業のセーフティーネットを幾つか御準備はされましたけれども、昨日の売り掛け債権担保の融資制度についてもまだこれからというのが実態だというお話でしたが、その辺の効果というのが、これからいつ出てくるのか、どのぐらいの量で出てきて、第一次補正がこれから出てくればもう安心だ、こういう御判断で第二次補正には含んでおられないのか。その辺のところを、御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 委員御指摘のように、二次補正というのは一次補正に比べて、それは委員御承知のようにその原資の性質上ソフト面が入れられない、こういう制約があったことは事実です。
 第一次補正では、二千五百億の規模で、今御指摘の売り掛け債権に着目をした新たな保証制度でありますとか、それからセーフティーネット貸し付けあるいはセーフティーネット保証、これを千四百億の原資でやらせていただき、さらには新しい企業を創出させるための、五年間で倍増しよう、こういうことも盛り込まさせていただきました。
 二次補正に関しては、総額で九百億を計上させていただいています。それは、やはり側面的に一次補正のそういった手だてを補完する、こういう考え方から、冒頭申し上げたように、原資の使い方に御承知のように制約がありますので、ベンチャーを含めて中小企業に対して、例えば新しくイノベーションを起こすための共同研究施設、こういったことに力点を置いて、そして、産業総合科学研究所の中にそういう地域のベンチャーあるいは地域の企業、中小企業が利用しやすいそういう共同研究施設を設けてインセンティブを与える、これが一つです。
 それから、額では六十二億という少ない額ですけれども、やはり地域という形で、地域の中心市街地の活性ですとか商業地の活性、そのための施設費、そういうものも計上させていただいています。
 そういうことで、多くを申し上げると時間が制約されていますので一部を申し上げますと、この一次補正では、特に現下厳しい経済状況ではございますので、中小企業のセーフティーネット、この貸し付けと保証、これで一千四百億やらせていただきまして、来年の三月三十一日までですけれども、総額二兆四千億のそういった大きな融資と保証をさせていただく。
 これは私は非常に大きな効果がこれから出てくると思いますし、貸付制度もきのうの御論議の中で、いわゆる貸し付けというよりも売り掛け債権に着目をした、これもこれから実績が出てきますので一生懸命PRに努めて、総合的に厳しい状況の中で私どもは頑張っていかなきゃいかぬ、このように思っています。
松本(剛)委員 お忙しい大臣にお待たせをして、もうちょっと実は中小企業の話も詰めてお聞きをしたかったのですが、お聞き及びであったとおりのことでございます。
 ただ、私自身は、確かにいろいろな制約はあるかと思いますけれども、大臣も政治家でいらっしゃいますし、さっきお話ししたように我々も立法府でありますから、さまざまなこれまでの考え方とはこれだけの大変な事態であれば考え方を変えて、必要なものには必要なお金をつぎ込むということをぜひ考えていく必要があるのではないか。
 お話をさせていただいたように、今回二・五兆という、総理のお言葉をかりれば、塩川大臣でしたかね、へそくりというお話があったと思いますけれども、この見つけたへそくりを何に使うかといったときに、全部公共投資に使う。確かに、これまではそのお金はそういうふうに使っておられたのだろうと思いますけれども、本当にそれでいいのか。国民の二・五兆というお金を全部公共投資に使うということは、大変失礼な言いようかもしれませんが、官僚の頭ではそこまでしか思いつかないと思うのですが、政治家の頭であれば柔軟に考えて、私自身は、中小企業対策、もっと状況は、事態は悪化をしている。ソフトの面というお話でしたけれども、真剣に取り組んでいただく必要があるのではないかということをお願い申し上げて、大臣との議論は終わらせていただきたいと思います。
 引き続いて、中小企業と同様に、坂口大臣に雇用の問題でお伺いをしたいと思います。
 雇用のセーフティーネット、本会議での討論でも私申し上げさせていただきました。もっと早くに取り組んでいただいたらもっと被害は小さかったのではないかということですが、一応、雇用のセーフティーネットをお張りいただいた。
 内容については、私どもも、委員会やら本会議の討論を通じて申し上げたいことも、幾つかある点は申し上げてまいりましたけれども、とりあえず第一次補正では雇用対策をとっていただいたわけでありますが、今の中小企業と全く同じでございます、雇用状況は悪化をしている中で、今回の公共投資によっても雇用は当然創出はされるとは思いますけれども、ストレートな雇用対策の方が効果は高いというふうに思うわけで、雇用対策について、当面はこれで十分だとお考えになっているのか。ただ、現状の失業率の悪化の状況を見ると、まだ第一次補正の効果がひょっとすると出ていないのか、もしくは打ち込む方向が間違っていたのかということになると思いますが、今の御判断と今後の対応について御所見を伺いたいと思います。
坂口国務大臣 第一次補正によりますものにつきましては、この一月の十五日から各四十七都道府県全体におきまして、いわゆる地域交付金を御使用いただくことになりまして、いよいよ第一次の方は、これから三月に向けまして成果が出てくるものというふうに思っております。
 御指摘いただいておりますように、雇用情勢は一段と厳しさを増しているというふうに思っております。第二次補正におきましては、先ほど平沼大臣からもお話がございましたとおり、原資が持ちますところの制約から、なかなか思うように、直接的な雇用政策というのはなかなか組み入れることができ得なかった。ですから、第一次の補正の結果を次の本年度の本予算の方にどう結びつけていくかということだろうというふうに思っている次第でございます。
 全体といたしまして、雇用情勢、非常に厳しくなっておりますし、今までやっておりました雇用政策、きめ細かくいろいろなことをやってまいりましたが、どちらかといいますと、今までの雇用政策はやはり後追いと申しますか、いわゆる結果を見て、事後処理的な雇用政策が中心であった。ここはやはり、もう少し積極的な雇用政策を行わなければならないのだろうというふうに思っています。
 今考えております一つは、東京で、中心ですべてを決めるのではなくて、やはりそれぞれの地域に見合った雇用政策というものをもう少しやらなければなりませんので、これは平沼大臣のところと協力をさせていただいて、そして、全国各地域におきます地域に密着をした雇用政策の確立に、今立ち上げたところでございます。それが一つ。
 それからもう一つは、なかなか政府がやっておりますこの政策が十分に国民の皆さん方に理解をしていただくことができ得ないということもございまして、昨日も議論がございましたが、キャリアカウンセラー制度というのを、今まで日本に余りありませんでしたので、これをつくり上げて、そして、いわゆる企業側の意見、個人の意見、そして国の施策、それぞれをお互いに紹介して、こういうふうなものだということをして、納得をもう少ししていただけるような体制をつくり上げるというので、第一次補正では、千人規模でございますけれども、これを全国に配置した。次の本予算におきましては、一万人規模のキャリアカウンセラーをつくっていくということをやっております。
 三番目には、やはりワークシェアリングをどう進めていくかということでございまして、今、政労使三者で会合を重ねているところでございます。三月までに結論を出させていただいて、そして、できるところからおやりをいただくということにしたいというふうに思っている次第でございます。
松本(剛)委員 これもまことに申しわけない。時間がなくなりましたので、本来であればもっと突っ込んだお話をさせていただきたいところでありますけれども、相当厳しい雇用の情勢、そして補正予算を組んでいろいろな費用を捻出するということであれば、ぜひやはり私はもっと雇用の要素も入れていただきたかったということを申し上げて、大臣との議論も終わらせていただきたい、このように思います。
 あと、扇大臣、塩川大臣、武部大臣にもおいでをいただいております。一つ一つお聞きをして内容を国会の場で明らかにさせていただきたいなというふうに思っておったんですが、時間も限られてきましたので、まとめて率直にお聞きをしたいと思います。また、竹中大臣にも御感想をお伺いしたいと思うんです。
 一つは、今回、二兆五千億の公共投資ということであります。内容は構造改革加速の事業ということでありました。緊急対応プログラムによれば、高い経済活性化効果が期待できる事業というような表現も出ておったかのように思うんですけれども、内容を、私は、これは予算書を全部拝見をさせていただきました。当然、公共投資でありますから、全部建設事業であります。
 私は特色が二つあるんではないかというふうに思っておりまして、一つは、時間的な制約もあったかと思いますが、継続案件ばかりであります。これまでやってきた公共事業ばかりしか見えない。新規の案件を新たにおとりになった様子もありませんし、我が党の城島議員の代表質問で、裏負担との関係で地方からの希望に応じたものであるというようなお話でしたが、今回新たに地方から希望をとっていないというふうにも私は理解をしています。
 率直な申し上げようをさせていただければ、公共事業も昨今の批判の中で大分削っておったものを、ここぞとばかりに、滞貨一掃でいろいろなものが出てきたんじゃないか、こういう感じもしなくはないわけでありますけれども、今回、この公共事業については、一番大きいところは扇大臣のところだろうというふうに思いますが、案件についてはどういうふうに選んで申請をされていったのかということをまずお聞きをしたいと思います。
扇国務大臣 今の松本先生の御質問でございますけれども、国土交通省として、今回の第二次補正予算、今おっしゃった、確かに、年度内執行ということで継続事業というのも多いことも事実でございます。けれども、これをすることによって、二次補正で集中投資することによってスピードアップができ、スピードアップすることによってコストダウンができる、相乗効果というものは大変大きい。
 まして重点七項目というのもございますので、私どもも国土交通省として、御存じのとおり、構造改革に資する重点項目七項目を重点にしながらも補正予算を組んだわけでございますけれども、先生がおっしゃっております重点の継続のみならず、一、二、例を挙げさせていただきたいと思いますけれども、今回の二次補正によりまして……(松本(剛)委員「一つだけにしていただいて。申しわけない」と呼ぶ)それでは、一つだけ申し上げましょう。
 それは、今回、羽田空港の拡張でございますけれども、拡張自体ではなくて国際ターミナル、これは四月から成田がオープンいたしますので、四月から今度、今使っております国際ターミナルが二社ございます。それが成田へ行きますので、その国際ターミナルをサッカーのときのチャーター便の受けにしようということで、ここへ今、この予算が通りましたらすぐ、四月を待たずに、皆さん方の御協力をいただければ、一日も早くこの国際ターミナルをチャーター便の受けのターミナルに準備したいということで、国際的なワールドサッカーのイベントにも我々は国土交通省としてそごのなきように、また国際的に受け入れられるようにということで、即これを拡張するということもしております。
 あとにもありますけれども、一点だけという御制約でございます。
 そういう意味で、公共工事といいましても、今までと違った面、そして新たな視点で二十一世紀型の公共工事、二十世紀のハードから二十一世紀のソフトへの転換というその思想のもとで今度予算を組ませていただいたわけでございます。
松本(剛)委員 議論をする時間がなくなって残念なんですけれども、私はこれを全部、各項目、金額を拝見させていただきました。ほとんどが継続の案件でございまして、小泉内閣が成立してからの中身ではなくて、継続ということは、これまでの自民党の内閣でおつくりになったわけです。
 やってきたことがいいか悪いかはそれぞれ意見があろうというふうに思うので、私が申し上げたいのは、改革推進公共投資という八文字を前へ全部くっつけて、今までと同じものに全部改革推進公共投資という名前だけつければ構造改革推進になるという、さっき申し上げたように、需要追加型財政健全化と一緒ですよね。いや、今までやっていたことは正しいんだ、国民のためになっていたんだからこれをもう一回やるんだとはっきり言われた方がいいんじゃないか。改革推進公共投資、前と変わったと言われても、実は中身を見たら余り変わっていないという状態は、かえって国民に失礼な話ではないかということを一点申し上げたかった。
 それからもう一つは、これはぜひ自民党の先生方もお聞き届けをいただきたいと思いますが、この二兆五千億の中身、全部ごらんになりましたでしょうか。ばあっと見まして、役所を直すとか役所を建てかえるという話が随分と多いなと思いました。これは国立病院まで含めてですが、幾らあるか御存じでしょうか。私がずっと足してみますと、全部で二兆五千億のうち六千六百二十九億。大方二割以上が役所の改築費、営繕費なんですね、独立行政法人まで含めていますけれども。
 残念ですが、急いでつくる、また急いで執行するためには、確かに直接役所の事業をされるのが早いのかもしれませんけれども、これが本当に厳しい生活を強いられている国民にとって構造改革で次にプラスになると。役所は快適になるかもしれませんし、まあ快適になれば多少は役所の効率が上がるのかもしれませんけれども、本当にこれで国民のための補正予算なのか。もう率直に、最初に申し上げたように、いや、もうこれだけ金を使うことに目的があるんだというふうにはっきりおっしゃっていただいた方がよっぽどわかりやすい話じゃないか、このように思うんです。
 ですから、この点について、一点は、塩川大臣に今申し上げた点について、中身、当然御吟味をいただいたと思いますが、御所見を伺いたい。それから、竹中大臣にも、中身は構造改革に向けた事業だとおっしゃったわけですけれども、私が申し上げたようなことも含めて、もう一度お考えを伺いたい。中身まではもう財務大臣に任せてあるということであれば、そうお答えをいただけたらありがたいと思いますので、その二点をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 農林大臣におかれては、お聞きをしたいことがたくさんあったんですけれども、時間が切れましたが、後の同僚議員がたくさんお聞きをしたいことがあると申しておりましたので、よろしくお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
塩川国務大臣 いろいろと御意見ございますけれども、私は、かなり一方的な見方だなと思っております。
 今度の補正予算、第二次補正予算で、確かに継続のものもございますけれども、新しいものも相当ございまして、しかも、それらは小さい公共事業に配慮されております。従来型の公共事業じゃないということで、新しい分野を開拓して、それを構造改革を推進という、名前は大げさな名前ですけれども、確かにそうは思いますけれども、しかし一方、そういう方向へ持っていこうという意欲を出しておるということ、しかも中小企業対象の事業が多い、これだけは御承知いただきたいと思っております。(松本(剛)委員「役所が多いことについては」と呼ぶ)いや、そんなことはない。
竹中国務大臣 個々のプロジェクトに関しましてはもちろん財務省が査定をしておられるわけでありますけれども、今、財務大臣の話にもありましたように、私も、かなり新しいものが入っている、羽田等々も含めてですね、そういうふうに認識をしております。
 それと、これは、昨年の八月の概算要求以降は、特に雇用創出効果とかその経済効果について厳密に査定していただきたいという仕組みを諮問会議でも議論しておりますので、その意味では、やはり今までとかなり変わった内容になっているというふうに理解をしております。
松本(剛)委員 ありがとうございました。
 終わりますが、目玉の幾つかだけ見て全体の数字をしっかり見ずに、ぜひ役所にだまされぬように大臣にはお願いをいたしたいと思います。質問を終わらせていただきます。
 ここへお招きをした大臣には、短い時間になりましたこと、また、武部大臣、柳澤大臣には質問させていただけなかったことをおわび申し上げて、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
津島委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。
 次に、松野頼久君。
松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。
 きのうの予算委員会を聞いていましても、武部大臣、このBSE問題に対して随分議論が集中をしてまいりました。本当に連日お疲れかと思いますが、ぜひこのBSE問題、本当に地元を歩いていると大変な問題でありまして、とにかく何とかしてもらいたい、まず国民に食の安全を与えてくれ、それがひいては私たち生産農家の利益が上がることだという声を本当に聞くわけであります。
 ちょうど、武部大臣も御存じかと思いますが、ことしの一月七日、私の地元熊本で六頭の捨て牛が出ました。その牛のおなかには、小泉HELPと書かれていたり、また武部大臣に対する批判が書かれていたり、動物愛護法上違反ですから、決していいこととは言えないのですけれども、ただ、畜産農家の皆さんにとっては、その気持ちはわかるということを地元では口々におっしゃっています。
 そしてまた、ちょうど去年の年末に、私の知り合いの肉の卸屋さんが自殺をされました。本当に、この不況の中で、またこのBSE問題の発生によって、これでは借金が返せない、友達に借りたお金が返せない、もうこれしか手段はなかったということを言い残して亡くなられたわけであります。
 ですから、本当に連日連日、このBSE問題で質問していること、また重ねて同じ質問になるかと思いますが、どうかそこの部分はお許しをいただきたいというふうに思います。
 まず、きのうから、また以前連合審査からるる出ていますが、一番消費者の不安をかき立てていますのが、原因がわからないことなんですよ。大臣、この発生の原因と、そして感染ルート、今どの辺まで捜査の進捗状況が進んでいますか、お答えいただきたいと思います。
武部国務大臣 私、大臣就任時、農林水産省は消費者と生産者の間に立って仕事をしよう、食と農の一体化、顔の見える生産者と消費者の関係を構築しようということを提唱しながら、今回のBSEの発生でございます。
 消費者の皆さん方も生産者の皆さん方も、なかなか感染原因あるいは感染ルートということが究明されずに、屠畜場から出回る牛肉は全頭検査によって安全を証明されたものしか流通しないという体制になったとはいいながら、いわゆる安全の問題と安心の問題の間に開きがあるということが私どもに対しましての非常に大きな批判になっている、かように私どもも肝に銘じている次第でございます。
 そのために私どもはこの感染源、感染ルートの究明に全力を挙げているわけでありまして、いまだ特定できないということは非常に残念なことでございますが、委員も御承知のとおり、BSEは異常プリオンを口から摂取して初めて感染するものでございます。
 したがいまして、感染経路の調査につきましては、十一月三十日に中間報告を発表させていただきましたけれども、引き続き、発生農家を起点とする川下から、また、輸入肉骨粉を起点とする川上からの調査を行っているところでございますが、現在のところ、具体的に申し上げますと、二例目及び三例目の農家に飼料を供給していた飼料工場について調査をした結果、当該飼料に肉骨粉は使用されていないことが確認されましたが、鶏、豚用飼料に使われていた肉骨粉の混入の可能性を完全に否定できない工場が、新たに一工場判明したわけでございます。
 しかし、一例目に関係する工場も含めまして、肉骨粉の混入の可能性を否定できない工場が使用していた肉骨粉は、一部豪州、ニュージーランド産の原料であることを除きまして、国産であるということを確認しているわけでございます。
 また、三例目に関係する飼料工場の使用されていた魚粉等への肉骨粉の混入の可能性については、エライザ法、PCR法等によりまして、今検査を行っているところでございます。
 イタリアからの輸入肉骨粉に関しましては、一九九八年六月以前に輸入された肉骨粉は、湿熱百三十六度C、三十分の加熱処理基準を満たしていなかった可能性があるということが判明いたしまして、しかし、イタリア政府からは、我が国が要求している加熱温度、時間を満たしていたと回答、主張しているものであります。加圧、加熱方法の詳細について、なお不明な部分もありますので、一九九八年六月以前に設置されていた加熱器の機種が判明したことから、この機種の加圧能力等について国内の専門家に確認しているところでございます。
 さらに、一例目から三例目までの農家において、同一の銘柄ではないが共通の成分が含まれている代用乳が使用されており、その原料として、BSE発生国であるオランダから輸入された動物性油脂が使用されていた。このため、担当官をオランダに派遣いたしまして調査を行ったところでございますが、現地調査においては、当該動物性油脂の原料はBSEの感染性のない牛の脂身等であるとの回答を得たのでございますが、現在、持ち帰った調査資料により、このことが確認できるかどうか等について分析を行っているところでございます。
 現時点におきまして感染経路を解明するに至っていない、先ほど申し上げたとおりでございますが、私は、何度も申し上げておりますように、迷宮入りはさせないとの覚悟を持って、引き続き、想定される原因に関する調査に全力を挙げてまいりたい、かように存ずるところでございます。
松野(頼)委員 大臣、済みません、時間も限られておりますので、私もある程度調べてきていますので、簡潔にお願いをしたいと思います。
 大臣、確かに、EUでも感染ルートを十何年も発見できていないというふうにおっしゃっていますが、日本は島国でありまして、日本は今までBSEはいなかった国なんですね。異常プリオンを口から摂取と言われていますが、この三頭の牛はちょうど九六年生まれであります。ですから、イギリスからの肉骨粉の輸入がされている年です。
 ですから、その三頭の牛に対して、もうちょっときっちりとした、さっきおっしゃいましたが、油脂、それも特に、油脂でも二種類あるそうでありまして、レンダリングオイルという質の悪い方の、要は危険部位まで含めてレンダリングした油脂が入っているんじゃないかということをこの間のレクチャー、ヒアリングでも伺ったところでありまして、一つずつ、三頭の牛が一体何を食べてきたのかということをやはりしっかりと、追っかけていけない量ではないと思うんですよ。
 ですから、とにかくここの原因がわからない、そして感染ルートがわからない、それによってどういう対応を打っていいのか、一体何なんだろうかというところが、一番風評被害の大きな拡大だというふうに私は思います。
 ですから、もう一回伺いますが、感染ルート、それはもうわからないということでありますから……(発言する者あり)いや、まだ調べている最中だということですから、次に参りまして、では、被害総額。
 これもきのうのこの委員会で質問が出ていましたけれども、これもまだわからないんだと。せめて農林省関係とか畜産関係とか、一個一個パーツを絞っていけばある程度出てくるんじゃないかと思うんですが、そこのところはいかがでしょうか。
武部国務大臣 委員御指摘のように、感染源、ルートについては徹底究明してまいりたい、かように存じますので、御理解いただきたいと思います。
 また少し長くなるかもしれませんが、ただいまの被害総額についてでございますが、BSEの発生が生産者及び関係業者に及ぼした影響は、牛の枝肉の卸売価格は、十二月は対前年比六四%減の低落、子牛の取引価格は、BSE発生前と比較して一割程度低下、主要量販店における牛肉の売り上げは、十二月は対前年三ないし五割程度の減少、焼き肉店に対する調査によりますと、十二月下旬は二割程度の減少と、回復傾向にありますものの、生産者、流通段階、小売、外食産業等に大きな影響を生じているということを私ども厳しく認識している所存でございます。
 また、この被害総額についてでございますが、産地段階では繁殖農家、酪農家、肥育農家等、流通段階では食肉流通、輸送、保管、卸売、小売等、その他に焼き肉店のみならず多くの外食、中食、給食サービス等、最終消費に仕向けられる極めて多種多様の段階を経ることから、牛肉の枝肉卸価格の低下がどの段階でどの程度還元されているかを把握することが大変困難でございます。
 そういう問題がありまして、試算を行うに当たりましては、どのような考え方でどのように試算するのが最も適切かという点についての検討を急がせている次第でございます。
松野(頼)委員 きのうから全く進んでおりませんので、できれば、まず被害総額、これを早急に出してもらいたい。そして、その被害に遭った人たちにどうやってしたらいいのかということをぜひ考えていただきたいと思います。
 続きまして、雪印問題をお伺いします。
 確かに、きのう大臣は、この雪印のやったことに対して、これはとんでもないことだということをおっしゃっていましたが、そのとんでもないことだというところじゃなくて、私が感じますのは、なぜその牛肉、要は国産牛と輸入牛がわからないのか。補正の予算含めて千五百億というお金を使って補助事業でやっているわけですよ。これは、ある意味では税金を使ってやっているわけですから、何でこんな簡単にだませるのかというのと、輸入牛も日本の牛もわからないで本当にそれでBSEを完全にとめられるんだろうか、こんな簡単なものなのかということを、きのう実はある人が言っていましたし、非常にそういうことを感じるわけでありますが、なぜこういうことが起こり得たのか。また、そのお金を換金するなりスタンプをもらうなり、そこのシステムをちょっと教えてください。
武部国務大臣 今委員お話しのとおり、なぜこんなことが起こったのか、本当に断腸の思いで税金を使わせていただいているという立場からいたしますと、国民の皆さん方に申しわけない思いでいっぱいでございます。
 したがいまして、私ども、当初は、屠畜証明書のように屠畜年月日が確認できる書類を添付させることを考えました。しかしながら、具体的に実施方法を詰めてまいりますと、部分肉については、同じ部位ごとに屠畜日の異なる牛のものを一つのボックスにまぜて収納しているケースが多いわけです。したがって、屠畜証明の添付は困難であることから、在庫証明により、市場隔離した牛肉の入庫月日、品目、数量が確認できる上、必要に応じ現品確認をすることとしたわけでございます。
 また、当時の販売環境から見まして、検査済みで自由に流通できる十八日以降の牛肉を隔離するような事態は考えられないわけでありまして、新聞でも御案内のとおり、書類の改ざんという、よくぞそういうことをやってくれるものだ、雪印といえば一応名の通った会社じゃありませんか。
 そういうことを思いますと、私どもは、厳正に責任問題についても対応してまいりたいと思っておりますし、ここで申し上げますが、今どんなことを行おうとしているかということについて申し上げますと、雪印食品が保有する二百八十トンについて、補助事業なしで完全に自分で処分、焼却してもらう、そのことをきょう申し渡します。
 さらに、自主的に関係法令の遵守や社会倫理に適合した行動をとることを内容とする行動規範の策定及び社内における周知の徹底、再発防止策が確立され、これが社内的に周知徹底されるまでの間、牛肉関係業務の自粛、こういったことを申し渡したい、このように思っておりますし、きのう答弁申し上げましたように、刑事告発の手続をしております。
 委員はもとより、国民の皆さん方が、なぜこんなことが起こったんだろう、悪質きわまりない、こういう倫理にももとることを二度と許してはならないという意味でも、厳正に対処してまいりたい、かように存じます。
松野(頼)委員 いやいや、そういう話じゃなくて、できれば流れを教えていただきたい。
 十七日前の肉は絶対に流通させないといって、保管していますよね。在庫保管緊急対策事業なんですが、その保管されたところから、まず肉はどうやって流れてくるわけですか、助成の対象になるためには。
武部国務大臣 これは、ハム・ソーセージ工業協同組合ほか六つの団体が事業主体でございまして、ここが当該牛肉を買い上げるわけでございます。そして、これをきちっと焼却してから補助金を出すということに相なっているわけでございまして、ハム・ソーセージ工業協同組合からは前払いというような形で出ているようでございますが、国の補助金は今回は出ておりません。これは、きちっと処理してから出すということに相なっております。
松野(頼)委員 いやいや、ちょっとわからないんですけれども、BSEが発見された一頭目のときも、システムの流れが非常に悪くてああいうどたばたが起こったと思うのですよ。今回もやはり保管をしてあるところから。
 まず、どこで保管しているんですか、これは。
武部国務大臣 全国二百五十九の冷蔵庫でございます。
松野(頼)委員 その冷蔵庫は、今回の雪印の例でも構いませんが、何か密封してあるとか証明書があるとかいう状態ですか。
武部国務大臣 これは在庫証明書がございます。
松野(頼)委員 その在庫証明書は、一頭分丸ごとあるんでしょうか。それとも部分部分に分けてあるんでしょうか。
武部国務大臣 これは部分ごと分けて、箱ごとでございます。
松野(頼)委員 あれ、きのうは、その部分部分に分けて在庫証明書がないからわからなくなったんだみたいな答弁だったと思うのですが、部分部分に分けてある証明書を発行したものを、次にどこに持っていくわけですか。
武部国務大臣 部分肉を箱ごとに入れまして、その箱ごとのロットで在庫証明書をつけているわけでございます。この二百五十九の冷蔵庫に、関係の六つの事業体が買い上げて、全国から、約一万二千六百トン余だったと思いますけれども、全部集めて冷蔵庫に入れているわけです。
 中には国産牛だけの冷蔵庫、国産肉だけを扱っている事業体もあります。それから、冷蔵庫の中には国産牛と輸入牛が同じ、事業体によっては、ハム・ソーセージ協同組合などは両方扱っているというところもあるようでございます。
松野(頼)委員 協同組合では、冷蔵庫を例えば借りて、このスペースは十七日以前の肉をためておくところですよということはしていないわけですか。
武部国務大臣 その冷蔵庫に、在庫量それから品目、そういったものが明確に在庫証明によってそこに冷蔵される、そういう仕組みでございます。
松野(頼)委員 じゃ、箱に、例えばインボイスみたいなものがついて、その中にインボイスがついたものに関しては買い上げますよということでやっているわけですか。
武部国務大臣 在庫証明で確認されたものだけですね、それは買い上げるということでございます。そして冷蔵会社が冷蔵するということでございます。その冷蔵庫と事業主体の六つの団体との間の契約でそういうことになっているわけでございます。その冷蔵庫は、先ほど言いましたように、全国二百五十九ということでございます。
松野(頼)委員 その全国二百五十九の冷蔵庫と契約をして、ここは例えば農水省が借りますよということをしているんでしょうか。さっきだと、輸入牛肉もまじってきちゃうからよくわからないんだみたいな話をされましたけれども、輸入牛肉は今回の助成の対象じゃないはずですので、どうか、そこのところを混乱されるとまた被害が拡大しますし、不安を抱きますので、お願いします。
武部国務大臣 ちょっとおわびしたいと思いますが、輸入牛肉を扱っている業者もいるということでありまして、在庫証明によってそこに貯蔵する国産牛はきちっと分けてやっているということでございますので、これは誤解を招くといけませんので訂正いたします。冷蔵庫によってはそういう両方扱っている業者がいるという意味で申し上げました。
 ちょっとこのスキームを申し上げますと、農畜産事業団が全国六団体に対しまして助成金を支払う仕組みでございます。そして冷凍保管する肉を六団体が買い上げまして、そして冷蔵庫に冷凍保管するわけでございます。そして、焼却処分の実施後、市場隔離した牛肉は着色等横流れ防止を行いまして焼却するという仕組みになっているわけでございます。
 そして、補助金は農畜産事業団から全国の団体にはこの焼却が済んでから支払うという仕組みでありますが、今回の場合にはその事業団体が代金を前払いしていたという、そういうことがあったようでございます。しかし、これは国からの補助金は入っていないということは明瞭でありますので、御理解いただきたいと思います。
松野(頼)委員 いや、何か説明を聞くと余計わからなくなってくるんですが、じゃ、一体、今回どこのところで不正が起こったわけですか。どこでだれがどうやって取りかえたわけですか。
武部国務大臣 新聞等でも御案内のとおり、雪印食品が倉庫の中で箱に入れかえたという、しかも書類まで改ざんしているという、本当に信じがたいことをやっているという、そういう事実がわかったわけでございます。
松野(頼)委員 余りここで時間とりたくないんですが、それじゃ、その保管する倉庫はだれでも入れるわけですか。その書類は、どこか印刷屋さんか何かでインボイスを、全く同じものを印刷したわけですか。
武部国務大臣 今、正確に、徹底的に調査するようにということで立入調査等やっておりますけれども、簡単に言いますと、雪印が書類を改ざんして、そのことは、その冷蔵会社もそれに協力しているということだろうと思います。
松野(頼)委員 これは今はまだ税金じゃないかもしれません、国の金じゃないかもしれませんが、行く行くは国の金で買い上げるわけですよね、立てかえたものを。ですから、税金を使うんだからよっぽどしっかりしているんだろうなという思いがあるわけですよ。
 僕もこんなにここのところで詰まると思わず、さらっと行こうと思っていたんですけれども、本当にこれで、要は、一頭目が発見をされたとき、BSEを認定するまでの間、一カ月以上の時間がかかって随分どたばたをいたしました。そして、東京都の例でも、BSEのまだ疑似患畜、もしかしたらBSEかもしれないなという、一次検査で陽性になっていた牛の内臓が飲食店まで行っていたわけですよ。これは、結果的にシロだったからよかったんですけれども。ただ、そういうことへのシステムが一番心配なわけですね。ですから、この雪印の問題、いい、悪い、それは悪いことは悪いんですけれども、できればこれは、きちっとわかりやすく一発で説明してもらいたかった。
 輸入牛なのにお金を払っちゃって、こうやって説明を聞いてもよくわけがわからないし、輸入牛がまたまじるような話もされるし、どうかこれは本当にしっかりとした管理体制、でなければ、今後BSEが絶対に日本に入ってこないんだと言っていることに対して信頼性がないですし、また、総背番号制をこれから導入をして食の安全を、生産者から末端まで肉を管理するんだなんてことは、これができなきゃ夢の夢の話なんですよ。ですから、もう一回そこのところをちょっと説明をお願いしたいと思います。
武部国務大臣 きのう来申し上げておりますように、私は、今委員が御懸念のように、やはり事実関係というものを正確に徹底究明するということが今一番大事だと思います。
 私自身も、現段階では、新聞の記事でありますとか農林水産省の現段階までの調査の報告による情報、それ以上のものは持ち合わせておりません。そしてもう一点は、これは本当にどうしてこういうことが起こるかということ、要するに、書類まで改ざんして、会社ぐるみと言っても過言でないやり口でやっているわけでございます。ですから、このことは、少しく時間をいただきたいと思います。正確に、徹底して事実解明をいたします。
 しかし、これは詐欺に当たる犯罪でありますから、私どもは直ちに刑事告発の手続をとっているわけであります。また、雪印に対して、二百八十トンすべてについて我々は認めませんので、自主的に焼却処分をするように、きょう申し渡します。さらには、六団体をきのう呼びまして、点検、確認を至急やってもらうような、そういう指示もいたしております。さらにまた、我が農林水産省といたしましても、綿密に点検をするということを命じておりますので、そういった事実関係が明らかになった段階でもっときちっとしたことをお伝えできる、かように思います。
 なぜこれがわからなかったのかというのは、先ほど説明いたしました。私どもも最初は、屠畜証明書のように、屠畜年月日が確認できる、そういう書類を添付させることを考えていました。しかし、実際には屠畜日の異なる牛のものを一つのボックスにまぜて収納しているケースが多いわけでございまして、屠畜証明書の添付は困難であるということから、在庫証明書により、市場隔離した牛肉の入庫月日、品目、数量が確認できる上、必要に応じ現品確認をすることとした次第でございます。
 そういうことでございまして、今委員御指摘のように、我が省といたしましても、こういうことが起こるということ自体、これはもう大変な背信行為、犯罪ですから、我々は、徹底的に厳正に対応したいと思いますが、農林水産省としても、これ以上のことができなかったのかということについては、反省しなきゃならないというふうに思っております。
松野(頼)委員 いや、単純な話なんですよ。一体、どこで、だれが、どの、別にだれと犯人特定をするつもりはありませんけれども、どの段階で、そのシステムの流れの中で改ざんされたのかというところを聞いているので、結局、さっき言いましたけれども、一頭目のどたばた、東京都のどたばた、全くそれではシステム的に改善されていないじゃないですか。もう一回ちょっとそこのところをお願いします。
武部国務大臣 今回の雪印食品の事件では、倉庫業者と通謀して書類を改ざんするという極めて悪質なものでありまして、したがいまして、事前にチェックができなかったというものでございます。(発言する者あり)だから、私どもは、これ以上のことはできなかったのかということについて反省はしておりますが、しかし、先ほども申し上げましたような事情で、もう箱にばらばらいろいろなものが入っているわけですから、これはもちろん国産牛ですよ、それを今度の場合は、箱ごと輸入肉と、堂々とと言ったらおかしいですけれども、倉庫の中で入れかえているわけですよ。
 こういうようなことは、いろいろなチェックをしております、事業団体も含めて。我々も抜き取り調査もやっております。しかし、今これを数をふやして徹底してやろうと。一万三千トンですから、今これは動きません。今冷蔵庫に入っていますから、これは動きません。だから、これはこれから全部点検していきます。そういうようなことでありますから、そこに今度新たに新しいものがまじるということはありませんで、それは動きませんので、これを今徹底的に点検、確認を事業団体を通じて、また農林水産省もやろうということでございます。
 こういうことが、本当にこういう背信行為があり得るということ自体、本当にもう我々としては言語道断という思いでありまして、委員御懸念のことを含めて、我々はこれから厳正に対応してまいりたいと思います。
松野(頼)委員 いやいや、そんなことを聞いているわけじゃなくて、結局、十七日以前の肉というのは、もしかしたらということがあったら困るからということで流通させないわけですよね。その肉のある倉庫の中にだれでも入れるみたいな話を今されているわけですよ。一体、どこの流れの中でそれを取りかえたのかという非常に単純な、別に事件の背景を聞いたり、どこの印刷所でその紙を印刷したかなんて聞いているわけじゃなくて、どの動きの中ですりかえられる要素があったのかということを聞いているんです。その管理している冷凍庫は、じゃ、だれでも入れるわけですか。
武部国務大臣 それは荷主の許可がなければ入れないはずですし、冷蔵庫の事業主の許可がなければ入れないわけでございます。
松野(頼)委員 じゃ、許可を出したわけですか。
武部国務大臣 だから許せない話なんでして、荷主みずからが入っていって、みずから書類を改ざんして、みずからこういう悪質な犯罪をやっているわけです。
松野(頼)委員 じゃ、雪印が契約している保管庫だったわけですか。
武部国務大臣 雪印が契約している冷蔵庫でございます。
松野(頼)委員 では、その契約している荷主が交換をしたということですね。
 別にここで僕は何かするつもりじゃなくて、たまたま非常に不安を覚えるような答弁をされたんで、でき得るだけ国民が安心なんだと思えるような答弁をぜひしていただきたい。
 なぜこれを聞くかというと、国のシステムをきちっとさせたいという思いなんですよ。私の県も全国で四位の畜産県です。ですから、いたずらに風評被害は決してあおりたくありません。できれば、もう一刻も早く鎮静化させてもらいたい。そのために、システムをとにかくきっちりしてもらいたい。
 一頭目の発見のときのことをちょっと伺いますが、まず、八月六日に解体をされました。十五日、プリオニクステストで陰性を確認して、千葉の保健衛生所で組織を確認した。二十四日にスポンジ状の確認をした。そこからこの九月の六日まで、改めて検体を送付するまでの間の問題というのが随分報道されているわけですが、このときの連絡体制を教えてください。
武部国務大臣 雪印の問題は厳正にやりますので、御理解いただきたいと思います。
 今の一例目の感染牛について、どうしてこういう事態になったかということを申し上げますと、八月六日に乳用牛一頭が屠畜場で屠畜検査員により敗血症と診断されまして、全牛廃棄とされたわけでございます。屠畜場より連絡を受けた千葉県の家畜保健衛生所は、サーベイランスの対象として頭部を引き取り、空胞が確認されたため、九月六日に当該検体を動物衛生研究所に送付いたしまして、九月十日にBSE感染を示唆する結果が得られたものでございます。
 これはどういうことかといいますと、農林水産省がサーベイランスをやる場合に、年三百体ぐらいを目標にやっておりましたが、なかなか集まらないというので、全国の屠畜場に、検体に適当なものがあったら教えてもらいたいという、その教えてもらいたいという対象の一頭なわけでございます。そして、九月十日にBSE感染を示唆する結果が得られたものでございます。
 九月十日の記者会見の際に、当該牛が屠畜場での検査でBSEが疑われたものと思いまして、焼却された、こういう発表をしたわけでございます。しかし、実際には焼却されていなかった、肉骨粉として処理されたことを、私は十四日の夕刻にその事実を知りまして、急遽この事実を公表させました。
 ここのところは、今も委員御指摘のように、非常に大きな問題でございます。つまり、屠畜検査場でBSEを疑っていれば、生前検査、解体前検査、それから解体後検査をやって、BSEを疑っていれば、これは焼却処分にするというマニュアルがあるんです、最後は帯広畜大に送付されて。そして、これが陽性と確認されれば全部焼却するということになっているのでありますが、敗血症という、そういう診断でレンダリングに回っていたということで、これは危機管理の希薄さや縦割り行政の弊害と行政上の構造的な問題があった、私は、かように痛感いたしました。このことを率直に認めなければなりません。
 ですから、今、第三者による調査検討委員会にありとあらゆる資料を提出しまして、これも公開のもとで客観的な検証と科学的な知見に基づく検討をお願いしているわけでございます。
 以上のような次第でございます。
松野(頼)委員 この間の連絡体制を実は聞いているんですが。
 ただ、一つ不思議なのは、普通、屠畜場は厚生省ですよね。なぜこれは農林省管轄の外郭団体でやっているのかということと、そして、この間に、BSE発見のファクスを送ったものが四、五日放置されていたりとか、相手と連絡がとれなかったから時間がかかったとかいう報道があるのですが、それは本当ですか。
武部国務大臣 それは事実でございます。
 要するに、屠畜場の管理は県ですね。そして、屠畜場を所管する役所は、食肉検査所は厚生省の所管、家畜保健衛生所は農林水産省の所管。したがいまして、こういう連絡の、これはもうそごなんというものじゃありませんね。仮に、畜産部長が焼却したと記者会見で発表したとしても、そうでないという事実を知っている関係者は、私はたくさんいるのではないのかと思うのですね。屠畜場にもおられるでしょうし、いろいろいたのじゃないかと思います。したがいまして、そういうことのないように、今後、畜産・食肉衛生行政のあり方というものを抜本的に見直さなきゃならないということで、厚生労働大臣と私の私的諮問機関の第三者による調査検討委員会で今検討いただいているわけでございます。
 いずれにしても、政府、関係省庁、都道府県、そういったことの連絡というものについては、委員御指摘のとおり、厳しく見直していかなきゃならない。その後、そういうことで、報告、連絡、点検と確認ということを私は厳重に職員を呼びまして注意を促し、叱正をし、その後、初期段階のこういう混乱を一日も早く抜け出さなくちゃいけないということで努力してきた所存でございます。
松野(頼)委員 いや、ですから、なぜこの雪印のシステムの話を聞いたかというと、このとき、その失敗があるわけじゃないですか。この失敗をしているにもかかわらず、まだシステムがきちっと把握をされていない。大臣がまず、どういう管理体制で、どこは厚生省、どこは農水省という線引きをしっかりしてその管理体制をもう一回組まないと、またおととい同じようなことが雪印の問題で起こっている。これは全く内容は違いますけれども、物の動きと、病原体の動きとBSE発生の牛の動きと違いますけれども、全然改善されていないじゃないですか。まして、箱に詰めたものが改ざんされたとか。とにかく、そのシステムをしっかりしてもらいたい。
 もう一回、この二十四日から十日の発表までの一体どこで失敗したのかという話をちょっと教えてください。
武部国務大臣 どこで失敗されたのかという御指摘ですが、これは犯罪ですから、これは冷蔵庫と荷主と……(松野(頼)委員「いや、一頭目が発見されたとき」と呼ぶ)二十四日と言いましたね、今。(松野(頼)委員「ごめんなさい。八月二十四日から九月の十日まで」と呼ぶ)ああ、あの一頭目の。失礼しました、そのお話ですか。いや、今度の雪印のお話と重ねますと国民に誤解を与えます。今回は犯罪です。
 その一頭目の問題は、これは行政上の危機管理の希薄さ、それによる検査体制の甘さ、言ってみれば行政上の問題でございます。ですから、このことについては、やはり千葉県とか農林省所管の家畜保健所でありますとか、あるいは屠畜検査所でありますとか、そういったところの連携が不十分だったということに尽きるわけであります。
 どこが悪かったかというのは、私は、これはもうそれこそ農林水産省も、本当に危機管理意識の希薄さというもの、これは行政上非常に大きな問題だったと思いますし、また、これは厚生労働大臣を前にして失礼な言い方でありますけれども、屠畜検査所においてなぜきちっとした検査をしてくれなかったのか。ここでBSEを疑ってきちっとした検査をやっていれば、これは今回のように、食用には回っていませんけれども、レンダリングとして肉骨粉に回るようなことはなかったはずなんです。
 言ってみれば、リスク管理ということについての大きな問題だ、こう認識しておりまして、このことを今後、早急に体制を新たにしていかなくちゃいけないと思いまして、畜産・食肉衛生行政のあり方、行政上の問題解明等について、今第三者による調査検討委員会でいろいろ御議論をいただいているわけでございます。
松野(頼)委員 いやいや、そういう話じゃなくて、済みません、八月の二十四日にとにかくスポンジ状を確認したわけですよね。そのスポンジ状を確認した状態を受けて、県が電話とファクスで農水省に連絡をしたわけですね。で、そこから電話が全く、十日たっても連絡が来ないので、連絡をして、九月の六日にもう一度再検査を依頼したとあるのですが、ここの連絡をなぜしなかったのかというところをちょっと教えていただけませんか。
武部国務大臣 そこのところが私はもう驚き入って激怒したのですけれども、連絡はしたのだけれども、相手がいないからその後電話しなかったとか、そういうようなことが双方にあったというふうに聞いております。
 ですから、もうこれは基本的なことです。基本的なことが欠けていたということがこういう問題を引き起こしているわけでありますので、今後そういうことがないような体制をしっかり構築しなきゃならない。そういうことが国民の皆さん方や消費者の皆さん方、あるいは生産者の皆さん方に大きな不信感を生む原因になっているということは、私どもも十二分に承知の上で今体制をとろうとしているわけでございます。
 もう今、その体制は、全頭検査によって安全を証明した食肉以外は流通しない、そういう全頭検査体制をとった、それを急いだということも、そういう自覚、認識からであることを御理解いただきたいと思います。
松野(頼)委員 いや、だから大臣、全頭検査の体制をとられて、その全頭検査をする前の肉が、今回雪印の問題でまたこういう詐欺を行われているわけじゃないですか。ですから、今回のこの一頭目を発見したとき、関係ない話なんですけれども、そこから約半年近くたって、四カ月、五カ月たってシステムが全く機能していない。八月ですよね。それは、今お認めになったように、とにかくそのシステムをきちんと組むということを、大臣みずからこれは意識の中で持つべきなんじゃないですか。
武部国務大臣 何度も言うようですけれども、今回は犯罪です。それは御理解ください。今回は、システムの問題ということについても、私ども反省することはなかったのか、もっとやりようがあったのではないかということも含めて、これは我々自身もみずからを厳しく見詰め直さなくちゃいけないと思っているのです。それは御理解ください。
 それで、一頭目の問題でありますが、まだシステムができていないというような御指摘ですが、そんなことはありませんで、今回一頭目の問題を踏まえて、BSE発生時の初動体制の確立、関係機関との連携強化等に万全を期する観点から、BSE発生時の関係省庁、動物衛生研究所、都道府県との連携体制、役割分担等について定めたBSE検査対応マニュアルを作成して、今これに沿ってBSEの防疫対策に万全を期しているということは御理解いただきたいと思います。
 今の全頭検査体制が機能しているということは、二頭目、三頭目で証明されたと言っても過言でないと思いまして、消費者の皆さん方には安全を証明された牛肉以外は流通させないという体制にはなった。
 あとは、もろもろこれからのことはあります。これからのことは、先ほど言いましたように、調査検討委員会で今、二千ページにも及ぶ資料も出していまして、今四回やっていますが、公開でやっています。私のことを御批判されますが、今までのは、そういういろいろな審議会というものは公開しませんでした。今度は、BSE対策検討会も公開です。それから、BSE問題に関する調査委員会も公開でやっています。とにかくオープンにやろうということで、今、新しい改革に向けて努力しているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
松野(頼)委員 確かに、その検討委員会というのは、私たちから見ても、大変オープンにしてやられているというのはわかります。
 もう時間がないので、ちょっと過去の話になりますけれども、飛ばして伺いたいと思いますが、九六年にWHOの専門家会議で勧告を受けましたね。これも何度も出ている話です。肉骨粉の法的規制をなぜここでしなかったのか。これについて、なぜしなかったんですか。
武部国務大臣 当時として、英国においてのBSEの発生状況等について調査を実施し、英国及びアイルランドからの肉骨粉の輸入について一定の加熱処理条件を義務づけるとともに、生きた牛の輸入を禁止した等から、反すう動物の組織を用いた飼料原料について反すう動物に給与する飼料とすることのないような指導通達、また、その後、家伝法の改正の際に、衆参両院の農水委員会でも、今後とも指導するという附帯決議がある等、そういったことは私は承知しておりますけれども、私は、先ほども言いましたように、そういったこと自体が危機意識の希薄さ、縦割り行政の弊害等、行政の構造的な問題によるものである、このように認識いたしておりまして、やはり法的規制をすればよかった、このように思っているんです。法的規制をしたからといって、絶対ないと言えるかどうかということはわかりませんが、しかし、その感染リスクは低下していたもの、このように思うんです。
 したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、過去のことについての客観的な検証、科学的な知見というものを専門家の皆さん方や消費者の皆さん方も入ったこの調査委員会で御議論いただいて、もちろん私どもも行政の責任者として主体性を持ってやりますよ、やりますが、ありとあらゆるデータを出して、オープンに議論していただいて、しっかりした畜産・食肉、食品衛生行政のあり方というものをつくらなくちゃいけない、このように考えて、今努力している次第でございます。
松野(頼)委員 過去のことはわからないという話で、過去のことはもうしようがないということであるんでしょうし……(武部国務大臣「いや、そうじゃないんです、違います」と呼ぶ)違いますか。
武部国務大臣 過去のことを客観的に検証する必要がある、そういうことを申し上げたんです。
 私自身は、危機管理をしっかり持っていたならば、今にして思えることかもしれません、当時はいろいろな人、学者だとか専門家にも相談してやったんだろうと思います。議会においても、両院の農水で決議しているその内容も、指導通知なんですね、指導するということ。だから、過去のことはどうでもいいとは思っていません。しかし、私は、法規制をすべきであった、このように常々申し上げているわけでございます。
松野(頼)委員 確かに、法規制をここでしていれば、それですべてというわけじゃないと思いますけれども。
 ただ、九七年にアメリカとオーストラリアは法規制をしています。日本は行政指導をしただけなんですね。この行政指導に対して、大臣は、行政指導を知らない農家は恥ずかしいと思わないのかというふうに、一月十日の衆議院農林水産委員会閉会中審査で、筒井議員の質問に対してそれはお認めになっているわけですが、大臣、このときに出された通達というのは、内容は御存じですか。
武部国務大臣 それは、牛由来の肉骨粉を牛に使わないということでありますとか、そういうことを徹底するようにということなどの通知でありますし、今、私は、これも誤解しないでほしいと思うのは、行政指導を知らないのは恥ずかしいということは、私の友人の生産者の方々が、非常に数多くの方々がそういうことを言っている、私はそういうことで申し上げたんですよ。ですから、私はそれを……(発言する者あり)生産者に責任転嫁してなんかいません。だから、先ほど来言っているじゃないですか。(発言する者あり)
津島委員長 説明してください。
武部国務大臣 いや、それは巡回指導だとかもろもろやっているわけですよ。それは県もやっているわけです。ですから、それは……(発言する者あり)いやいや、委員長、ちょっと整理してください。
津島委員長 質問に答弁をしてください。答弁を締めくくってください。
武部国務大臣 今きちっと答えているわけですから、答えが終わってからあれこれ指摘してください。
津島委員長 質問者に答弁してください。
武部国務大臣 私は、行政指導を知らなかった者が悪いなどとは言っていないのです。そういうことについて数多くの方々が私に言うのは、当然、英国であれだけの発生がしている、ヨーロッパでもそうだ、自分の飼っている家畜に対して何を食べさせたらいいのか悪いのかというようなことは、みんな我々は自分で真剣に考えている、そういう方々の話を申し上げてきているわけなんです。これはタウンミーティングでもそういうふうに、タウンミーティングということがありましたでしょう。だけれども、その前に我々は、行政の危機管理意識の希薄さ、縦割り行政の問題、このことははっきり言っているわけですよ。
 だから、行政の責任を生産者に転嫁したりほかの者に転嫁したような発言ではございませんので、しかし、そういった報道等によりまして国民の皆さん方に誤解を与え、関係者の皆さん方に結果として御迷惑をおかけしたということは、不徳のいたすところだと思っています。本当に申しわけない気持ちでいっぱいであるということも、私ども、あえてまたここで申し上げさせていただきたいと思います。
津島委員長 松野頼久君、時間が参りましたが、最後の一問、締めくくってください。
松野(頼)委員 とにかく、この発言をめぐってまた午後やりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
津島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十分開議
津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松野頼久君。
松野(頼)委員 済みません、昼休みを挟みましてさっきお話をしていたところで、大臣が、行政指導を知らない農家は恥ずかしいと思わないのかと言ったというところですが、これを言ったんでしょうか、言わないんでしょうか。
武部国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、行政指導は、都道府県段階では巡回指導とかそういったこともやっているわけです。
 したがって、生産者みずからが、英国の事情、ヨーロッパの事情、そういうものを考えたならば、自分の大事な資産でもあるし、家族同様に飼育している大事な牛でもあるし、こういったことについて自分たちは一番真剣に考えなきゃならない立場なんだという話を私は数多くの私の知り合いの生産者から言われまして、その人たちの、みんな知っているよ、知らないというのはおかしいというような話の中から、私は、政府の責任は大きいけれども、今後、生産者も国の言いなりになったり、あるいは農協の言いなりになったりするんじゃなくて、みずからの責任で、自立自存の精神で立っていくというような考え方が必要ではないのかと。
 行政指導を知らないというのは恥ずかしいということは、私の友人はそういうことを言っているということをタウンミーティングのときに言ったというようなことについて触れたわけでございまして、私は、そういうことが誤解を与えて関係者の皆さん方に御迷惑をかけたということは、私の不徳のいたすところであり、やはり表現には十分気をつけなくちゃいけないな、こう思いまして、まことに関係者の皆さん方には申しわけない、そういう思いでございます。
松野(頼)委員 大臣は、この通達はだれにあてて出したものか、見たことはありますか。
武部国務大臣 これは、農林水産省畜産局の流通飼料課長から、都道府県畜産部主務部長、肥飼料検査所長、飼料関係団体の長あてでございます。
松野(頼)委員 いや、ですから、この通達を見ると、生産者、団体にあてて送っているわけでもありませんし、主務部長にあてて、そして肥飼料検査所長にあてて、飼料関係団体の長にあてているんです。
 ですから、昨日、BSEを発生させてしまった猿払村の農家は、先日廃業されてしまいましたけれども、この行政指導を見たことがないというふうにインタビューにお答えになられているわけですよ。これで本当に、そのときに肉骨粉を行政指導したから大丈夫なんだ、もう流通しないんだということにはならないんじゃないでしょうか。そこのところ、どうでしょうか。
武部国務大臣 このことも、私はいろいろな委員会等で述べておりますように、行政指導が徹底していなかったということは、これは認めざるを得ませんと。ただ、今までやってきた中では、いろいろな巡回指導だとかそういったことをやっていると役所の説明はありましたけれども、私は、行政指導が徹底していなかったということは事実じゃないか。したがって、私は、今にして思うと法的規制にすべきだったと思うということも、こういういろいろな委員会で述べている所存でございますから、私は、それが徹底していたとは思いません。
松野(頼)委員 そうしますと、九〇年に農林省が調査チームをイギリスに送っています。そこから、WHOの勧告を含め、九七年に家畜伝染予防法でBSEを指定するまで、この間の七年間というのは、行政の不作為が招いた大きな問題なんじゃないでしょうか。
武部国務大臣 このことも最前申し上げておりますように、BSE発生後、いろいろな当初段階の混乱がありました。私はそのときに、危機管理意識の希薄さ、そしてそれが検査体制の甘さになっていた、これは行政の構造上の問題として徹底究明していく必要があると。したがいまして、第三者による調査委員会に過去のことについてのありとあらゆる資料を提供して、そこで客観的に過去のさまざまな問題も検証していただく、あるいは科学的な知見による御提言もお願いしようということで、これも先ほど来申し上げておりますように、すべて公開でやっているわけでございます。
 私は、はっきり申し上げて、何が問題か、発生したときにすべてオープンにする必要がある、そういうことを徹底していなかったがゆえにこういった問題の遠因になっていたんじゃないかということで、BSE対策検討会もBSEの問題に関する調査委員会も公開でやろうという次第でありまして、そのことについては、委員御指摘のことは認めざるを得ないと思います。
松野(頼)委員 それで、ことしの一月八日に、熊澤次官と永村部長が退官をされています。この退官の理由は何ですか。
武部国務大臣 今般、一月八日付の人事は、WTO、セーフガード、予算などの懸案につきまして一定の節目を迎えた時期でもございまして、先ほど来申し上げておりますように、人事の刷新を行い、新体制のもとで農林水産省の改革に向けた努力をしていこうということで、新たな気持ちで、能力を生かし、各種の懸案に取り組むことにより、農林水産省の組織の力が発揮されるようにするためのものでございます。
 今回のBSE発生に関しましては、農林水産省の組織全体として、危機意識の希薄さや縦割り行政の弊害等、行政の構造的な問題が顕在化した、そういう認識でございまして、これらの点について、BSE発生後、私から、幹部を初め関係職員に対して、二度とこのようなことのないように厳しく指導したところでございます。
 今回の人事は、農林水産省の組織全体として刷新を図り、組織の力が発揮されるようにするために行ったものでございます。
松野(頼)委員 済みません、もう時間がないので、短くお願いします。
 それで、九〇年から九七年まで家畜伝染予防法の指定伝染病に指定をしなかった、また、こうして肉骨粉が国内に出回ること、この当時の畜産の責任者が熊澤さんと永村さんなわけですよ。その方が退官をする。
 薬害エイズのときに、行政の不作為の責任というのを問われました、当時の松村製剤課長がです。これだけ狂牛病を発生させて、そしてこれだけの被害を与えた行政の不作為の責任、これを問われないように今回人事異動したんじゃないのかというふうに思えてならないわけですが、これは引責辞任ですか、それとも定期の人事異動ですか。この二つに一つの答えで答えてください。
武部国務大臣 ただいま申し上げましたように、これは組織全体の新たなる活力を生み出そうという定期的な異動でございまして、引責辞任というものではございません。
松野(頼)委員 では、これだけの被害を与えて、農水省はまだだれも責任をとっていないわけですか。
武部国務大臣 私は、農林水産省の最高責任者という自覚、認識を持っておりまして、今度のような大きな問題の発生を受けて、やはり感染源、感染ルートの究明、どうしてこういうことに至ったのか、そして、当初段階の問題については、先ほど言いましたように、一人一人幹部を呼んで厳正に叱正し、注意を促しました。そして、その後は全頭検査によって屠畜場からは安全な牛肉しか出回らない体制等をつくったり、さまざまな対策を講じてまいりました。
 そういったBSE対策に万全を期するということが責任でありまして、今委員指摘のように、責任をとるということがやめるということであるならば、私どもは、そういうことではなくして、二度とこういうことにならないような体制を構築していく、そのために全力を尽くすということが私どものとるべき責任だ、こう思っているわけでございます。
松野(頼)委員 今の答弁を聞かれて、これだけ今被害に遭われている畜産関係の方、農業関係の方、本当に納得がいくんでしょうか。今、もう本当に叫びに近いような苦しい状態が続いているわけでありますが、これだけの状態を招いておいて、農林省はいまだにだれも責任をとっていない、この認識でよろしいんですね。
武部国務大臣 今は組織を挙げてこのBSE対策の実を上げるべく全力で努力している、これが農林水産省のとるべき最も大事な責任、姿勢だ、私はこう思っておるわけでございます。委員が、責任をとるということがだれかをしてやめさせるとか、そういうような考え方であるならば、私は、こんなことも申し上げたと思います、二度とない人生、二つとない命だ、将来においてこれだけのことを役人時代にやったことはなかったと言えるぐらいのことをしようじゃないか、そういうようなことで徹底してきているわけでございます。
 諸般の対策は、私は、短い間に相当な対策を講ずることができたと思っておりますが、しかし、生産者はもとより消費者の皆さん方に至って、非常に深刻な状態にあるということは、私ども肝に銘じてこれからも努力したい、このように考えている次第でございます。
松野(頼)委員 もう時間がありませんので、とにかく、今の答弁を畜産農家、酪農農家の皆さんがどう御判断をされるか。そして、ドイツでは二人の大臣がおやめになっています。そのことを最後に一言だけ申し上げまして、次に伺いたいと思います。
 続きまして、文部科学大臣、全然テーマが違うんですが、平成十四年度予算で約三千万のコミュニティースクールに対しての予算要望をされていますが、そして、モデル校を五校決めて、これからどんどん進めていくのかというような動きが出始めているんですが、私自身、このコミュニティースクールに非常に大きな期待を寄せておりまして、子供の学校への選択権、またいろいろなバリエーションのある教育を受けるチャンスということで、非常に期待を寄せているわけであります。
 どうか、もう時間がないので一言だけで結構ですから、どうやって取り組んでいくのか、今後どんどんいくのかということだけちょっと教えていただければありがたいと思います。
遠山国務大臣 コミュニティースクールは、個々の子供たちの個性に合わせて教育をする一つの新しいタイプの学校をつくろうという動きでございます。
 すぐに制度的にそれに踏み込むというわけにもまいりませんので、今御紹介がございましたように、実証的な研究をまずすべしということで、来年度予算案に学校運営のあり方に焦点を置いた実践研究に係る経費を計上したところでございます。
 今後は、コミュニティースクールのあり方について、この実践研究の成果も踏まえながら対応していきたいと考えております。
松野(頼)委員 そして、そのコミュニティースクールとちょっと違う観点かもしれませんが、インターナショナルスクールというのがございます。このインターナショナルスクールに対して、当時の小渕総理が議長を務めました対日投資会議、そしてまた、総合規制改革会議の中で、なるべく国際化を目指していこう、外国の方にどんどん日本に入ってきてもらうためにインターナショナルスクールの整備をしていこう、英語のインターナショナルスクールということが言われているんですが、その答申を受けて、何か今までの政策から変更していこうとか、そしてまた、こういうふうに政策が変わったんだということがありましたら、ちょっと教えていただきたいと思います。
遠山国務大臣 今お話しのように、対日投資会議の提言がございまして、これを踏まえながら、平成十一年には、中学校卒業程度認定試験と大学入学資格検定の受験資格の弾力化を図りました。これによって、国際化への対応、あるいは個人の学習成果が適切に評価される生涯学習体系への移行を図るというような観点から進めているところでございます。
 また、廃校となった公立学校施設を、インターナショナルスクール等を設置する法人などへ、設置者である市町村が無償で貸与する場合には、通常は必要となります補助金相当額の国庫への納付を不要とする措置をとったということでございまして、あの提言の趣旨を踏まえて、幾つか弾力的に今対応しているところでございます。
松野(頼)委員 これから非常に国際化の時代で、そして、私たちの子供の世代、本当にネーティブな英語がしゃべれるような、バイリンガルな教育機関が、少し、本当に数%でもいいからあってもいいんじゃないのかな。確かに、今の学校教育法の中では非常に難しいかと思いますけれども。
 そしてまた、日本に来て仕事をされる企業の方とか、なかなか日本には行きづらいんだと。そして、子供をもしインターナショナルスクールに入れた場合には、今、各種学校ですから、学位がもらえない。例えば、中学校を卒業して、もう一度検定試験を取らなければ高校の試験が受けられない。しかし、本国、例えばアメリカの方が日本のインターナショナルスクールに来て、そしてアメリカの学校に戻るのは、そのまま戻れます。アメリカの学校から日本の学校に戻ることもできるわけですが、日本の中のインターナショナルスクールから日本の高校を受けるときだけは、検定試験をもう一度受けてからしか入れないわけですね。
 この受験資格の問題はどのようにお考えになりますか。
遠山国務大臣 中卒の認定試験につきましては、平成十一年度に改正を行いまして、新たに、学齢を超過し就学義務を負わなくなった人でありますとか就学義務を負わない外国人に対して受験資格を拡大したところでございます。
 インターナショナルスクールの生徒の高等学校入学に関しましては、昨年十二月の総合規制改革会議の第一次答申が、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、」「高等学校に入学する機会を拡大すべきである。」と指摘しているところでございます。
 今後、この提言を踏まえまして、我が国の義務教育制度との整合性等の観点も十分に勘案しながら、どのような方法によって高等学校に入学する機会を拡大するかについて検討してまいりたいと考えております。
松野(頼)委員 ぜひ前向きな方向に向かっていっていただきたい。そして、私たちの子供の世代を、本当に多くの教育のチャンスを与えられるような時代に持っていっていただきたいというふうに思います。
 そしてまた、このインターナショナルスクールなんですが、各種学校ですから、当然国からの援助はいただいていない。そして、運営が非常に苦しくなっている。そこで、せめて税制、自分たちで寄附を集めるから、税制の優遇措置ぐらいはしてほしいなという声がたくさんあるわけです。
 なかなか、外国人の方相手なので目の届かない施策かもしれませんけれども、そういう学校が実際にあって、そして活動しているということをどうか頭の隅に置いていただいて、そして、ある意味では私たちの国の財産だと思いますので、それをどんどんいい方向に、そして私たちの次の世代の子供たちに活用できるような施策をとっていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
津島委員長 これにて松野君の質疑は終了いたしました。
 次に、中塚一宏君。
中塚委員 自由党の中塚でございます。
 きょうは、まず最初に、私どもの同僚議員が昨日質問をいたしましたBSE、狂牛病の問題、特にこの感染ルート、感染源ということについて武部農水大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 武部大臣、きのう私どもの同僚議員の山田委員が尋ねまして、このEUの報告書を、これも国会として見せろという話だったものが新聞報道が先行して出てきたということで、そのこと自体も大変な問題なわけですけれども、それで武部大臣は全文はよく知らなかったというふうにきのうお答えになっておられます。よく御存じになっていなかったというのはこの報告書のここの部分でいいんですか。「ただし、現在の科学的な知見によれば、先の処理だけでBSE病原体を完全に不活性化させることは難しく、BSE病原体がそれらの輸入を通じて日本へ持ち込まれる可能性は依然として残っている。」というところでよろしいんでしょうか。
武部国務大臣 私が全文を知らなかったというのは、六月にはその説明は受けて、概要は聞いておりましたけれども、新聞にいわゆる機密文書、コンフィデンシャルなところが出たわけですね。それまでその全文を自分自身が見たことはなかったという意味で、知らなかったということを申し上げたわけでございます。
中塚委員 全文御存じなかったということですが、今私が申し上げた部分については御存じだったのですか。
武部国務大臣 それは、その後いろいろレクチャーを受けまして、説明を受けました。
中塚委員 ということは、やはりここのところは御存じなかったということなわけですね。その御存じなかったということに基づいて今までずっと国会でも答弁をされてきたということになります。
 それで、このEUの報告書案のところ、特にきのうは同僚議員がイタリアの件について質問をしておりますので、またそのイタリアの件について伺いますが、イタリアは、約五万トン(日本の国別調査書)あるいは五万四千トンの輸入総量があるというふうに記載されておりますね。この五万トン、五万四千トンというのは、九五年以前、つまり、まだこのOIEの基準適用前のWHO基準のものも含めて五万トンないし五万四千トンということでいいんですか。
武部国務大臣 九五年以前はほとんど輸入がなかったということでございますが、このEUステータスの第三次案において記載されている八百トンの証明書は、EUとの協議において、イタリアからの肉骨粉の加熱処理状況を説明するための参考資料として、実際に輸入された肉骨粉に添付された証明書の写しのごく一部を提出したものであるということでございます。このことは、EUのステータス評価報告書においても「若干数の証明書の写しも提供されており、」云々、また、「約五万トンから五万四千トンの輸入総量のうち、約八百トンの肉骨粉についての証明書が提供された。加熱基準は百三十六度C三十分三気圧であった。」と記載されているわけでございまして、したがって、昨日指摘ありましたように、EU側に証明書を提出しなかったイタリアからの肉骨粉の輸入についても、国際基準に沿った加熱処理がなされた旨、輸出国政府の証明がなされたものに限って輸入を認めてきており、農林水産委員会における答弁に誤りはないということでございます。
中塚委員 答弁が間違っていたとか、その八百トンがどうしたというのはまだ聞いていないんです。
 お伺いしておるのは、この五万から五万四千というものの中に、九五年以前、OIEの基準というのがまだない前のWHOの基準であったものも含まれているのかどうかということを聞いているんです。
武部国務大臣 入っているということでございます。
中塚委員 だから、入っておるわけですね。そこからさらに今のお話を伺いますが、要は、五万トンないし五万四千トンの中には、OIE基準の前のWHO基準のものも入っているわけですね。入っていて、その中の八百トンについてはこのOIE基準の肉骨粉の証明書というのが添付されている、そのことはもう農水省としても把握はされておるわけですね。
 それで、その八百トン以外の肉骨粉については、この証明書というのはあるんですか。
武部国務大臣 WHO基準の証明書のものもあったということでございます。
中塚委員 WHOのもあったし、OIEのもあったんですか。八百トンのはOIEの証明書なんでしょう。八百トンはOIEですね。(武部国務大臣「そう、OIEです」と呼ぶ)それで、WHOのは、どれだけあるかわからないけれども、WHOのもあるわけですね。けれども、それはちょっとなんでしょう、九五年前だから。それ以外のものについてはOIEの証明書はあるんですかというお尋ねなんですけれども。
武部国務大臣 九八年四月以降に輸入された肉骨粉に添付されていた検査証明書については、動物検疫所行政文書管理規程、つまり、保存期間三年により保管しているものの、それ以前のものについては、既にそのほとんどが廃棄済みであるということでございます。
中塚委員 その廃棄済みのものは、証明書はあったというふうに考えてよろしいんですか。
武部国務大臣 証明書がなければ輸入を認めておりませんので、あった、かように考えているわけでございます。
中塚委員 さてそれで、要は、五万トンから五万四千トンの肉骨粉というのは、WHOだろうがOIEだろうが、その証明書というのはあるわけですね。その証明書がある中でも、OIEの証明書について、この処理の中身ですね、百三十三度、二十分、三気圧というようなことがちゃんと守られていたのかどうかということ。つまり、証明書がついていたとしても、その証明書の信頼性の問題というのは別にあるわけですね。それを今お調べになっているわけですが、その辺はいかがですか。
武部国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、BSE発生後、さまざまな議論がございまして、イタリアにも職員を派遣して調査しているという次第でございます。その中にはまだちょっと不明な部分がございまして、今、最終的に問い合わせを継続中ということでございます。
中塚委員 というわけで、当時の基準でそれがあったから輸入をしたというお話ですね。ただ、今になってみれば、その証明書自体の信用も怪しいということで、向こうまで人を派遣してお調べになっているわけですね。それに加えて、このEUの報告書では、「現在の科学的な知見によれば、先の処理だけでBSE病原体を完全に不活性化させることは難しく」ということが書いてあるということなわけですね。
 だから、そういった意味で、こういった肉骨粉を日本に輸入をして、それによって肥育された牛というものが、それが安全だということにはならないということですから、そういったことを踏まえて、委員会の答弁もお願いをしたいし、また、これからの行政というのもしっかりとやっていただきたいということであります。
 どうもありがとうございます。
 では次に、補正予算のお話、その前に、きょうは日本銀行の総裁にお越しをいただいておりますので、金融政策ということについて伺いたいというふうに思います。
 十三年の上期の財務諸表というのが発表されまして、拝見いたしました。
 今、日本銀行のバランスシートというのが百十五兆六千億、まあ百十六兆円にも迫るような大きさになっているわけですね。これが、一年前の十二年の上半期のときは八十五兆三千億ですか。だから、一年の間にバランスシートが三十兆円も膨張しちゃったわけですね。だから、三割以上ぐらいは膨れてしまったということになるわけです。もちろん、そのバランスシートが膨れてしまったというのは、これはもう当然のことながら、金融緩和をしているということで、資産としていろいろなものを買い取っているということが一番大きな原因なわけですね。
 さて、ここできょう速水総裁にお伺いをいたしますけれども、百十五兆円のバランスシートを持っているということです。GDPから比べても四分の一ぐらいにまで膨れているわけですね。このバランスシートがどんどんと大きくなるということについて、総裁としてどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますか。
速水参考人 お答えいたします。
 御指摘のように、日本銀行のバランスシートは、昨年末、十二月末で百十八兆円、確かにかなり膨らんできております。既往最大の水準になっております。これは、日本銀行が潤沢な資金供給を継続しているということを反映したものだと申し上げられると思います。
 私ども、こうやって、資産、負債の総額がふえておりますけれども、負債サイドでは、申すまでもなく、銀行券とそれから当座預金ですね。資産サイドでは、買い入れ手形と国債、買い入れ手形で二十四兆ぐらい、国債で七十五兆ぐらいという残高になっておるわけでございまして、これらはいずれも大変健全な資産でございますから、量的緩和といいますか、必要な資金を出していく場合に、見合いの資産としては、買い入れ手形、買い入れ手形というのは、銀行から担保として、国債とか社債とか、そういった間違いのない担保をとって入れるものでありますし、国債の方は七十五兆円ぐらい今買っておりますけれども、このうち、中長期は四十九兆円ということでございますので、これは資産としては最も健全性、中立性、そしてまた流動性、この三つのことを間違いないように、私どもの出していきます銀行券の見合いとして持つ資産でございますので、健全性を失わないように十分注意をしているつもりでございます。
中塚委員 健全だったら幾らバランスシートが大きくなっていってもいいというふうにお考えなんでしょうか。
速水参考人 健全であれば幾らでもいいということでございますが、それは、必要な資金量を供給していく見合いとして健全な資産を持っているということでございまして、あくまでも必要な資金量を供給していくのが私どもの任務であるというふうに考えております。それ以上のことはする必要がないと思っております。
中塚委員 健全であれば構わないというふうにしかとれないような答弁なんですけれども、果たしてそれでいいんでしょうかね。こんなに、GDPのそれこそ四分の一近くまで中央銀行のバランスシートが膨れてしまって、それは確かに、健全だ、健全だとおっしゃるけれども、バランスシートが大きくなって資産の種類がふえればふえるほど不健全なものが紛れ込む可能性だって高くなるわけですよね。しかも、そのうちの七十五兆円が国債なわけですね。そうすると、この国債というもの自体がそれこそ不健全資産になりかねないという可能性だってあるわけですわね。
 そのときに、どんどんとこういうふうな形で、今の調子でバランスシートを膨れさせていくということについて、総裁としていいとお考えなのかどうなのかというお伺いなんですけれども。
速水参考人 所要の資金供給を円滑に行っていくに必要と判断される場合に長期国債の買い入れをやっておるわけで、銀行券の発行残高を限度とするという規則がありますから、そうむちゃくちゃにふえていくものではございません。銀行券を発行しながら、相当程度を国債の買い入れで賄っていくということでございます。
中塚委員 通貨供給量を上回らないというのは、それは当然の話なんです。当然の話ではあるんですけれども、ただ、これからもどんどんとバランスシートは大きくなっていく傾向ですよね。今、月に八千億円の買い切りオペをされている。月に八千億ということは年間で十兆ですから、これも、どんどんと日本銀行のバランスシート自体は膨れていくことになっていくわけですね。
 さて、国債を月に八千億買っていらっしゃる。それだけではなく、来年、再来年とどんどんと償還が迫ってくる額も半端じゃないですね。もう何兆円のオーダー、五兆円、六兆円、七兆円とすごいオーダーで償還をしていくということになりますが、この長期国債は償還をするとまず全部一度TBに乗りかえられるわけですよね。TBに乗りかえられた後は、二分の一TBを買ったり、あとは何ですか、それは総裁の御判断でいろいろなものに乗りかえられるということなんですが、いずれにしても現金に償還するということですわね。現金に償還をするということは、これは通貨を吸収するという意味合いも持つわけですね。要は、金融緩和のためにどんどんと国債を買い入れて、そしてそれでマネーを供給している、その一方で、国債を買い切りにして現金に償還してしまう、その場で今度は通貨を吸収するということですね。これはトレードオフの関係に思えてならないわけですが、いかがですか。
速水参考人 日本銀行が保有国債の現金償還を受ける場合でも、さまざまな金融調節手段を利用して市場に潤沢な資金供給を行っております。目標とする日銀当座預金残高を供給する上で問題を生じてはおりません。したがいまして、保有国債の現金償還が金融緩和効果を阻害することは全くないと申し上げていいと思います。
中塚委員 阻害することは全くないとおっしゃるわけですけれども、またそのお金でどんどんと毎月買い切りもされているということですね。
 ということになりますと、通貨発行量は上回らないとはいうものの、もうほとんど日銀は直接国債を引き受けているも同然じゃないかというふうに思わざるを得ないわけですね。バランスシートだって膨れていく。もう少なくとも年間十兆のスピードで膨れることは決まっているわけです。現金償還をして通貨を吸収して、そしてまたそれで国債を買うということで、ロールして乗りかえるということになっていきますと、国債を日本銀行は直接引き受けているということとほとんど変わらない。
 だから、金融緩和のために国債を買っているのか、あるいは国債を買い支えするために買っているのか、そこのところは外見から見た分にはもうほとんど変わらないようなところまで来ているんだと思うんですよ。こういうことをいつまでもやり続けていっていいのかどうか。財政事情が厳しいということはもちろんよくわかりますけれども、こういったことがそんなに長く続くわけはないというふうに思います。
 竹中経済財政担当大臣にお伺いをしますが、このような日本銀行のバランスシートの現状というか、あと、金融緩和の持っている意味というか、そういうことについてどういうふうにお考えでしょうか。(発言する者あり)
津島委員長 御静粛にお願いします。
竹中国務大臣 私は経済財政の担当でありまして、金融はまさに日本銀行の独自の判断のもとで専門性を活用して行われる。したがって、日本銀行がどのように通貨価値の安定を目指していくのか、その中でバランスシートをどう維持するかというのは極めて技術上の問題でありますから、ここはまさに速水総裁以下日本銀行の方々が専門的に議論しておられることだというふうに承知をしております。
 政府としては、先ほど直接引き受け云々の話がありましたけれども、直接引き受けがなぜいけないかというと、これは財政の規律を生じて、無制限の、際限のない国債発行につながりかねなくて、それが国債の価値を暴落せしめて、究極的には中央銀行のバランスシートを劣化させる。そういう節度をかけるという意味で、各国、新規の引き受けをやっていないわけで、だからここは、日銀のバランスシート上国債がふえるということと、現実には新規の国債の引き受けは日本銀行は一切やっていないわけですから、そこは厳密に区別をされるべきであるというふうに思います。
中塚委員 直接引き受けをしていないのは、それは当然のことですが、直接引き受けと変わらないようなことをやっているんではないか。その結果として日本銀行のバランスシートもどんどんと膨れていっている。それをほったらかしにしておいていいのか、また、これがいつまで続けられるものなのかということを指摘をしているわけです。
 今、財政規律の問題、お話がありました。
 財政規律、先ほどからいろいろと質問されている方も多いわけですが、この第二次補正予算案の歳入面、財政規律ということについて財務大臣と経済財政担当大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 この補正の財源ですけれども、へそくりというふうに言われる方もいらっしゃるようですが、へそくりではないですよね。要は、国債を返すためのお金。だから、へそくりというのは、そういう使途が決まっているお金のことを余りへそくりとは言わないですね。借金を返すために決まっている、そのために用意してあるお金なわけですが、それを今回、たまっていたから補正予算に使うということですけれども、それは五年先までにはちゃんと償還をして取り戻してこなきゃいけないということにもなっています。
 ここで、その五年先なんですけれども、財政の中期展望の参考資料を見ても、四年先、五年先というのは、ここで公債発行額がゼロになっているわけでもありません。ということは、今二・五兆円のこのNTT株の売却益というものは、五年先にはやはり建設国債または赤字国債を発行して回収をしなければいけないということになるわけですね。ということは、十三年度は三十兆円の発行枠は守るけれども、五年先、十八年、十七年というのは、まあそれはそのときのことだ、財政規律という意味から今の三十兆円を守れればいいということなんでしょうか。塩川財務大臣、いかがでしょう。
津島委員長 財務大臣、NTT財源についての御質問であります。
塩川国務大臣 借金の先送りということ、隠れ借金とよく言われますけれども、そうではなくして、やはり……(中塚委員「隠れ借金なんて言っていません」と呼ぶ)国庫の中に納めてある保有金を活用したということでございます。
津島委員長 もう一度御質問をお願いします。
中塚委員 塩川大臣と竹中経済担当大臣にお伺いしますというふうにお話をしてから答えていただいているわけですから。(発言する者あり)
津島委員長 どうぞ、御質問をお願いします。答弁を正確にさせますので、もう一度質問をお願いします。
中塚委員 その前に、竹中経済財政担当大臣から同趣旨でお答えいただけますか。
津島委員長 竹中大臣、それではまず御答弁を。
竹中国務大臣 これは本会議での御質問に対してもお答え申し上げましたけれども、後年度に対して何らかの負担が生じるということはあり得ることであるというふうに考えております。
 しかし、その後年度に関しては、歳出の削減を行うことができれば、その部分、実は実質的な新たな国債の発行増にはつながらないわけで、それは、やはり五年先のことでありますから、その時々の状況に応じて考えていくということになるのだと思います。
 基本的に、今回の問題というのは、三十兆の目標というのは、平成十四年度に財政規律を示すという意味でこれはきっちりと守りたい。しかし、中期の展望に明示していますように、その後につきましては、政府の一般歳出、歳出規模そのものについて、これを前年を上回らないような形で管理していくという形で、財政規律をコントロールするやり方も今年度以降少し変えるということも御理解いただきたいと思います。
中塚委員 ということは、十三年度の財政規律を守れれば、それはそれでいいということですな。後の年のことはまた後で考えるということですか。
 この補正予算自体は、デフレスパイラルにおっこちないように編成されるという面も持っているわけでしょう。そういう面も持っているわけですよ。そういう面を持っていて編成をするけれども、三十兆円の枠がある。では、NTT株の売却益でも使ってみよう。ああ、五年先、それはどうなるかわかりませんなということですか。
 経済財政諮問会議の方でまとめられた財政の中期展望を見ても、もう一回繰り返しますが、五年先、四年先というのは、要調整額というか公債金というのはちゃんと残っているわけですよ。そこで公債金がゼロになるというのなら、景気がよくなって税収が入ってきたから、その税収でこのお金は返しますというふうになりますわね。けれども、そのときだって、要は国債を発行しているということは、やはり今の借金というのは後年度に新たに借金をして返済をするということにしかならないわけでしょう。では、ことしの、今年度の財政規律しか守る必要はないということじゃないですか。
竹中国務大臣 いえ、そうではございませんで、後年度に関して、歳出額をトータルとして抑制していくという中で、どのような形で歳出と歳入のバランスをとりながらプライマリーバランスの回復を目指していけるかということを示したのがその改革の展望であります。
 それぞれの年については、指針として、一つの方向としては、この歳出額を抑制するために、そこの試算に示しておりますのはあくまで内閣府の試算ですが、例えば一つの方法として、公共投資を三%削減していくということを前提に計算したらこうなるということは書いております。しかし、こんなことはもう委員に申し上げるまでもありませんが、予算編成権は、これはまさに予算を決定されるのはその時々の国会において決議されるわけでございますから、それを縛るということでは断じてない。したがって、そのときの指針を示したのが改革と展望である、マクロのシナリオを示したものであるということであります。
中塚委員 その時々というお言葉が、要はことしだけ守れればいいということじゃないですか、それだったら。財政規律、財政規律というふうにおっしゃるから言っているわけで、また本予算案の予算委員会でも同様の、あれこれこっちからとってき、こっちからとってきということでつじつまを合わせる、そういうふうなことがいっぱいありますから、またそのときにあわせて質問させていただきますけれども、私は、こういったやり方は、三十兆円枠を守らなかったときよりも財政を悪化させると思いますよ。
 では次に、きょうは片山総務大臣にもお越しをいただいていますが、国の借金は、そういう形で三十兆円の枠というのがはまっておるわけですね。今回、二次補正予算が編成をされます。二・五兆円の国費が投入されるわけですが、それに応じて地方自治体も、これは直轄事業であったら負担金は要るし、あるいは補助事業であれば補助裏が要るわけですね。地方自治体は、これまた借金をされるわけですね。ということは、要は、国さえ守れれば、国が三十兆円の国債発行枠を守れれば地方はどうでもいいのかという話なわけですよ。
 国がこうやって補正予算をするたびに地方もそれに応じて借金をして、その負担裏を賄っていくというふうな形になっていく。こういう仕組みについて片山総務大臣に伺いたいんですが、一体、地方の借金というのは果たして地方の借金なんですか。国が補正予算をするから地方も借金をしてそれにつき合うわけですよね。そして、元利償還は交付税で面倒を見るという話になっておるわけですけれども、地方の財政の規律ということが一つと、もう一つは、地方自治体がする借金というのは地方の借金というふうにお考えになっているのか、あるいは、やはりそれは国が面倒を見てくれるから構わないんだというふうにお考えなのか、どっちでしょうか。
片山国務大臣 今回の二次補正、国の二兆五千億は、委員御指摘のようにNTT売却益といいますか、それを充てる、こういうことですが、地方にはありませんからね。今回の二次補正の必要性は地方も十分感じているわけで、だからその二兆五千億に対する裏負担等は、これは全額地方債にせざるを得ないと思います。極めて好ましいことではないかもしれないけれども、私はやむを得ないと思っています。したがいまして、その地方債につきましては、後年度、これは地方財政計画の策定を通じて、交付税の確保その他によってこれは補てんしてやろう、こういうふうに思っております。
 そこで、これは国の借金なのか、地方の借金なのか。地方債ですから、地方の借金であることは決まっております。ただ、地方の借金だけれども、こういうある意味では緊急を要する財政措置ということでやりますので、これの元利償還等については、やり方はいろいろありますよ、しかし最終的には、トータルではそれは国がその補てんをする、責任を持つ、こういう仕組みにせざるを得ない、こういうことであります。
中塚委員 塩川財務大臣、今の総務大臣の御答弁なんですけれども、これについてはいかがお考えですか。
谷口副大臣 今の中塚委員の御質問でございますが、財務省といたしまして、今片山総務大臣がおっしゃったように、これは決して裏負担を強制しておるということではない、地方からの要望に応じて予算措置を講じたということでございます。
 また、地方負担分については原則として一〇〇%地方債によって措置をいたしておるところでございますが、その償還費につきましては、後年度による地方財政計画の策定を通じて所要の財源を確保するといったようなことでございますので、まさにおっしゃるように裏負担を強制しているということではないということは財務省として申し述べたいというように思います。
津島委員長 中塚君、時間が来ております。
中塚委員 ニーズはあるけれども好ましいものではないというふうなことを言い続けているから、地方だってどんどんと財政事情が悪化していくわけですから。借金は国の三十兆だけの問題じゃありませんので、また予算委員会で議論をしていきます。
 終わります。
津島委員長 これにて中塚君の質疑は終了いたしました。
 次に、小沢和秋君。
小沢(和)委員 日本共産党の小沢和秋でございます。
 総理は、これまで聖域なき構造改革を声高に叫び続けてきましたが、今回の補正予算では公共事業を二兆五千億円上積みし、結局、従来どおりの景気対策を繰り返そうとしております。我が党はこれまで一貫して、むだと環境破壊の公共事業をやめ、暮らしや社会保障に回して景気対策をと主張してまいりました。
 きょうは、従来型の公共事業のあしき典型である諫早湾干拓事業と川辺川ダム建設事業について質問をいたします。
 まず、川辺川ダムについて国土交通大臣にお尋ねをいたします。
 川辺川ダムが従来型のむだな公共事業であることは、今や国民の常識であります。現地では、農民がダムの水は要らないと裁判を起こし、漁協では昨年二度にわたって、ダム建設に伴う補償案を否決いたしました。ここまで追い詰められながら、国土交通省は強行の姿勢を変えず、昨年十二月十九日には、漁業権や土地の強制収用の裁決を申請いたしました。私がきょう特に指摘したいのは、この肝心の強制収用の手続に重大な問題があるということです。
 私は、去る十四日、裁決申請の対象にされた五木村の共同所有地五筆について、所有者である自分の許可も得ずに、勝手に道路がつくられたり伐採や墓地の撤去が行われたとの訴えを受け、現地調査に行ってまいりました。
 ここに、きょう発行された週刊誌フライデーを持ってまいりましたが、ここにその土地の状況が写っております。ここに座っているのが、私に訴えを持ってきた共同所有者の一人である米田重信さんであります。訴えどおり、収用の対象になっていない部分を含めて、勝手に樹木が伐採され、墓石が積み上げられておりました。皆さんのお手元にも資料をお配りしておりますが、その四枚目に、私が調査をしたときの写真を添えております。ここには、私が二十基以上積み上げられた墓石を調べているところが写っております。別の二筆には道路までつくられ、工事に使われております。ところが、さらに先日連絡があり、十九日に現地に行ったところ、積み上げられていた墓石がすべて持ち去られていた。これは泥棒ではないか、国は墓石を返してほしいとかんかんに怒っておられた。
 こんなことがまかり通るなら、土地収用制度など何の意味もないことになるのではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
扇国務大臣 今、小沢先生の御質問でございますけれども、わざわざ現地にお越しになって、お写真まで拝見して、手元に配っていただきました。残念ながら、その今の雑誌は私まだ拝見しておりませんので、遠くからでよくわかりませんでしたけれども。
 ただ問題は、川辺川ダムの重要性と、川辺川ダムを今まで三十年間、多くの皆さん方の反対もありながら、最初は反対したけれども必要性にかんがみて賛成に回ったという貴重な方も大勢いらっしゃいます。
 そして、私どもは、皆様方と一緒にこの三十年間、現実的には三十五年ではございますけれども、多くの水害の被害者を出して、いかに住民の皆さん方の生活の安全と安心を保障するか、それが国土交通省の役目でございますので、今先生が御指摘になりました土地、これは、事業を進めるために附帯道路、土砂の仮置き場所とすることで昭和五十六年から月次無償で借り受けておりました。
 そしてまた、その使用に当たりましては、まず所有者の御了承を得る、そういうことで、当時の所有者でございました共有者の方々にお話をした結果、実際当該の土地を使用、利用している五人の方々とおのおの使用の貸借の交渉をするようにということで、これを決めさせていただきまして、五人の方々と使用貸借契約を締結し、それ以降、使用貸借契約について一年ごとにこれを更新してまいりました。今日に至っているところでございますけれども、引き続いて共有者の皆様方の御理解を得ているものと私には報告が来ております。
 ただ、その中にお亡くなりになった方があって、随時後継者に名義変更をなすった方もあるやに聞いておりますけれども、この土地の使用に当たりましては、今先生が御指摘になりました立ち木と墓石、そういうものにつきましては移転の必要があったために、立ち木についてはそれぞれの所有者と、また墓石につきましてはそれぞれの祭祀されている方との移転に関する契約を締結しております。そして、それぞれの方によって昭和五十六年から順次立ち木、墓石の移転をさせていただいております。移転費用は当然こちらで負担しております。
 なお、共同墓地につきましては、関係の方々の御意向によりまして平成十三年までに契約を締結しているところでございますから、先生も現地においでになったらそのことは御存じだろうと思います。
 その後、事業の進捗に伴いまして、事業に対する御理解が得られることになっておりましたけれども、土地の持ち分を取得することについて交渉してまいりましたけれども、その結果、所有者である共有者が、亡くなられて順次八人から八十一人に今ふえておりますね。
 そして、今その八十一人中七十四人の御理解を既にいただいておりますけれども、共用持ち分のうち八分の七の持ち分を取得することを既にいたしておりますけれども、これらの粘り強い交渉にもかかわらず、現在、先生が今お名前を挙げられた方も含めて七人の方々と契約ができておりません。やむを得ず、昨年、先生がおっしゃったように、十二月の十八日、収用の裁決の申請を行ったところでございます。
 以上が経緯でございます。
小沢(和)委員 長々と答弁をいただきましたけれども、要するに、共同所有者やらほかの立木の所有者とか、そういうような関係者の了解を受けたり、あるいは契約をしたからということなんですけれども、肝心のその共同所有者の一人である米田さんには一切連絡をせず了解を受けておらない、そこが一番の問題なんです。
 米田さんについては、土地の共同所有者の一人として、数年前から、国土交通省の方から訪ね、何回も話し合ってまいりました。だから、所在もわからないなどということは言えません。それなのに一切事前に、今度のような木を切るとか、墓石を倒してしまうとか、片づけてしまうとか、そういうことについては何の相談もしておらない。どうせ強制収用するんだから、こういうことで、もう収用した気になって必要な手続もせずにやりたい放題のことをやったということじゃないんですか。
扇国務大臣 どうせ収用するんだから、ほっちらかしておいてなんとかとおっしゃいましたけれども、そんなことはございませんで、昨年まで、一言も当方にはそのお言葉もございませんし、交渉しておりまして、一月過ぎてから突然そういう、私は反対なんだよという御意思があったということで、今申しましたとおり、八十一人中既に七十四人の皆様方には、我が方としては、差別をして交渉したつもりはございませんで、皆さんと公平に話し合いを持っておりますので、何も話がなくてということは、先生のお聞きになったことがそうなのか、私どもとはその受け取り方が違うということだけは申し上げておきます。
小沢(和)委員 ことしの一月になって急にそういう話を言い出したなどと言いますけれども、さっきも言いましたように、もうこの人には国土交通省の方から数年前から何回も話を持ってきているんです。で、話がまとまっていないことは事実なんですよ。あなた方が強制収用しなきゃならぬというふうになったぐらいですからね。
 だから、私がさっきから言っているのは、それならばきちんと手続を踏みなさいと言っているんです。例えば、特に墓地について言うなら、神聖なものとして最大限に慎重に扱うことが求められている。ところが、その墓地の移設とか撤去などは埋葬法で県知事に許可を受けなければならないのに、私が先ほど問い合わせをしたら、五木村にも熊本県にも一切その許可の申請も何もなしであなた方はやっているんですよ。これでちゃんとした手続を踏んでいるんですか。
竹村政府参考人 お答えいたします。
 細かい事務的なことでございますので、私の方からきちんと事実関係を御説明させていただきます。
 まず、共同墓地でございます。
 墓地に関しましては、名目がわかっている方々に関しては個人的にすべて契約できちんと補償してございますが、共同墓地に関しましては、その共同墓地を管理している墳墓管理代表者の方と去年の十一月九日に契約をいたしまして、その墳墓管理代表者が責任を持って共同墓地をきちんと整理するという契約内容になっております。
 それに基づきまして、その墳墓管理代表者の方が昨年の十一月二十日から墓石の仮移転を始めました。そして、先生が現地に行かれたときは、その墓石の仮移転のところを見たと考えております。そして、一月十九日に本移転をさせていただきました。
 この墳墓管理代表者が責任を持ってやるという契約になっておりまして、この共同墓地に関する移籍、移転に関しましては、私ども国土交通省は一切関知してございません。
 なお、法的な問題でございますが、これは無縁仏ではございません。共同の、コミュニティーの方々が祭られているということは間違いございませんので、これは、その墳墓管理代表者の方々が責任を持ってやるということで、法的には問題ないと認識してございます。
 そして、立ち木の件に関してでございますが、この当該、今先生御指摘の土地の八分の七は、私ども国の名義になってございます。八分の一が今問題になっていることでございますが、八分の一の残りの方々に関しましても、約九〇%以上の方の所有はもう了解がとれておりますが、残念ながら、今先生の御指摘の方々の三家族、試算しますと約一%程度でございますか、そういう方々の了解を得ていませんので、その方々の了解を得るような努力を今まで続けてきたというのが実態でございます。
 以上でございます。
小沢(和)委員 だから、現に話のまとまってない人がいるからあなた方は強制収用の手続をしているんですから、手続をするからには、堂々とちゃんとしなさいと。その手続をする前からもう木を切ってしまったり墓石を片づけたりというようなことで、所有者の一人が到底納得できないと言っているんですから、それについてきちんとした調査をして、改めてその結果について報告を願いたい。
 時間もありませんから、この問題はそれぐらいにして、次に諫早湾の干拓の問題についてお尋ねをします。
 我が国の農業危機はますます深刻化して、長崎県内だけでも既に五千九百八十一ヘクタールの耕作放棄が行われております。こういう中で、なぜ干拓して農地を造成しなければならないのか。
 私は、先日、工事再開に抗議する漁民の激励のため、現地に参りました。漁民たちは、目の前の休耕地を指さしながら口々に、これだけ農地が余っているのになぜ干拓をするのかと怒っておりました。この人たちに何と説明するのか。
 あなたの前任者、谷津さんが昨年十二月七日付毎日新聞で、減反の時代に水田をつくるなんてあり得ることじゃないんだ、私の結論はノーなんだよ、ところが大臣としてはそれは言えない、だから、水門をあけて、海水が入ってきて、実質上事業を中止に持っていこうと思ったと述べております。あなたも本心では、干拓はとんでもない浪費と思っているんじゃないんでしょうか。それならもうこの辺できっぱりやめると言っていただきたいが、いかがでしょうか。
武部国務大臣 お答えいたします。
 長崎県の諫早湾周辺における耕作放棄地の多くは、中山間地の傾斜地などで発生しております。今後、農業上の効率的な利用が見込めない状況でございます。
 一方、同県は平たんでまとまりのある農地が少ないことに加えまして、諫早湾周辺地域は、農業経営面積の拡大や園芸作物による新たな経営展開による営農意欲が非常に強いところでございます。ですから、生産性の高い農地に対する地域の期待は高いわけでありまして、諫早湾干拓事業により優良農地の造成を進めているところでありますことを御理解いただきたいと思います。
小沢(和)委員 今現に危機に陥っている農家の人たちがこれから営農意欲を持つようにやるのが、一番農業政策としては肝心なんじゃないですか。それをほったらかしておいて、別に新しい、もっと結構な農地をつくる、こんなことは世間じゃ通らないということを一言言っておきたいと思います。
 私が次に言いたいのは、こういう干拓事業を続けた結果がどうなったか。それは、直ちに有明海の環境破壊と漁業の衰退となってあらわれております。潮受け堤防着工後に、まず諫早湾口のタイラギ、有明海特産の二枚貝が全滅状態になり、続いてその他の貝類、さらに魚類へと、有明海全域に次々と被害が広がっております。
 このパネルは、政府が私に提出した数字をまとめたものであります。ここには漁獲量とその金額の過去十六年分の推移を示しております。一見してわかるとおり、一九九〇年には九万トン近くあったものが、堤防着工直後から減り始め、堤防締め切り直後からさらに加速し、一昨年はついに着工時の四分の一、二万数千トンに減っております。大臣は、この事実、間違いないとお認めになるでしょう。
武部国務大臣 有明海の漁獲量は、平成元年から平成四年のオゴノリの異常発生による漁獲量の増加を除けば、昭和六十年以降、漸減傾向というふうに私ども理解しています。平成十一年には二万八千トン、平成十二年には二万一千トンとなっております。
 また、生産金額で見ますと、昭和六十三年の三百十九億円をピークに減少傾向にございまして、平成十一年には百億円、平成十二年には七十八億円になっている、このように承知しております。
小沢(和)委員 確かに、これは漸減じゃないと思うんですよ。これは急減じゃないですか。しかも、どこから減っているかというのを見れば、一九九〇年、諫早の工事が本格的に始まってから以後急減しているわけでしょう。だからこれは明らかに、こういう状態になったというのは、この工事が原因だということをこのグラフはもうはっきり示しているんじゃないんでしょうか。
 あのギロチンで有名になった潮受け堤防の締め切りで、広大な干潟が一挙に消失し、有明海の浄化機能と稚仔魚などの再生産機能が失われた。その結果、今言ったように、かつて宝の海と呼ばれた有明海が死の海になりつつあるわけです。養殖ノリも同じ傾向であります。
 こういう深刻な被害を前にして、干拓中止、水門開放を求める声がますます大きくなってきております。それは、農水省が干拓に関連して設けたあなた方の二つの第三者委員会の意見にもはっきり反映してきております。
 まず、昨年八月、九州農政局に設けられた時のアセス第三者委員会が、環境への真摯かつ一層の配慮を条件に事業を見直されたいという答申を行いました。
 これを受けて農水大臣は、農地を半分にする縮小見直し案を発表しました。しかし、この見直しでは、肝心の干潟の中心だった西工区をあくまで農地化することになっております。干潟をつぶしておいて何が有明海の再生なのか。また、調整池の中にアシを植え、調整池の水は淡水化したまま浄化するというんですが、このような自然を破壊した状態を固定化することがどうして環境への真摯かつ一層の配慮と言えるのか、お尋ねをします。
武部国務大臣 今、再評価第三者委員会の意見に関してお述べになりましたが、諫早湾干拓事業については、再評価第三者委員会からの、環境への真摯かつ一層の配慮、事業遂行に時間がかかり過ぎるのは好ましくないとの意見を十分踏まえまして、防災機能の十全な発揮、概成しつつある土地の早期の利用、環境への一層の配慮、予定された事業期間の厳守の四つの視点に立ちまして総合的な検討を行い、干拓面積を約二分の一に縮小するとともに一層の環境配慮対策を実施すること等を内容とする見直し案について、長崎県と協議し、昨年十二月十三日に了解を得たところでございまして、御理解をいただきたいと思います。
小沢(和)委員 さらに、昨年の十二月には、ノリの第三者委員会が、諫早湾干拓事業は有明海全体の環境に影響を与えていると想定され、潮受け堤防の排水門をあけ調整池の中に海水を入れる調査について、開門はできるだけ長く大きいことが望ましい、また、できるだけ毎日の水位変動を大きくし、できる干潟面積をふやすことが望ましいという見解を出しております。
 前々から農水大臣は、第三者委員会の結論に従うと繰り返して述べてこられました。もしこの態度に変わりがないのなら、工事再開などあり得ないことではないでしょうか。干拓が有明海全体の環境に影響を与えていると想定されているのですから、調査の結果によっては、干拓そのものをやめることもあるはずです。ところが農水省は、ついに干潟の中心だった西工区の工事を全面的に再開した。これは、調査にはお構いなしに、工事をあくまでも強行するということではありませんか。この機会に、心からの抗議を表明いたします。
 本当に第三者委員会の結論に従うというのなら、今すぐに工事を中止し、開門調査に取りかかるべきであります。少なくとも、いつから開門調査を始めるか、ここで明確にしていただきたい。
武部国務大臣 昨年十二月十九日のノリ不作等第三者委員会におきまして、有明海の環境悪化の原因についての情報を得る一環としての開門調査の進め方についての考え方を示しました見解を取りまとめていただいたところでございます。
 農林水産省としては、一年間の現状のままの調査終了後、適切な時期に開門調査を行うとの基本的な考えのもとに、第三者委員会の見解や地元の声などを踏まえまして、排水門をあけることによって被害が生ずることがないよう、また、そのことを地域の方々が実感し得るよう、後背地対策も含めまして、調査の方法等についての総合的な検討をただいま進めているところでございます。
小沢(和)委員 長崎県知事は、開門調査を認めないと言っております。今の答弁を聞いていると、農水省はそれを利用して開門調査を先送りしようというのではないかと不安を感じるんですが、そういうことは絶対ないか、ここではっきりもう一遍言っていただきたい。
 第三者委員会は、短期間でなく、開門調査はできるだけ長期間、流出入する海水はできるだけ大量に、毎日の水位変動をできるだけ大きくと注文をしております。これに忠実にこたえるような調査をしていただけますか。
武部国務大臣 ただいまお答えいたしましたように、現在、総合的な見地に立って検討させていただいているところでございます。
小沢(和)委員 だから、検討していると言うわけですから、これはあくまで開門調査をやる、そして第三者委員会が求めているような方向にこたえる方向でやる、こういうふうに聞いたんですけれども、いいですか。
武部国務大臣 第三者委員会の検討を踏まえて、総合的に今検討しているところでございます。
小沢(和)委員 では、時間もありませんので、次の質問に移りたいと思います。
 私は、もう一つの防災効果の問題についても触れたかったんですが、ちょっと時間がありませんので、もう一つ、どうしてもここでお尋ねしておきたいと思うのは、さっき言いました縮小見直しで費用対効果がどう変わったかということを伺いたいんです。
 現計画では、委員各位にこの資料を配付してありますけれども、この表にもありますとおり、費用対効果は一・〇一、これは土地改良法に照らして、文字どおり、事業の要件ぎりぎりの数値であります。しかも、中身を見れば、作物生産効果は全体のわずか一八・五%、災害防止効果が五八・八%、国土造成効果が二〇・三%と、農業とは関係ない効果が大部分であります。これでは、農水省はいつから国土交通省になったのかと言いたくもなります。
 ところが、今度の見直しで、農地は約半分になる。作物生産効果が現計画より下がり、費用対効果が一を切ってしまうことはだれが考えても明らかではないでしょうか。この事業は土地改良法違反の事業ということになるんじゃありませんか。
武部国務大臣 諫早湾干拓事業については、昨年十二月十三日に長崎県の了解が得られた成案をもとに、土地利用計画、営農計画及び工事計画と事業計画の変更作業を鋭意進めているところでございまして、費用対効果分析につきましては、この計画変更の過程で行うこととしております。
小沢(和)委員 要するに、今のお話は、まだ費用対効果を示せる状態でないということだと思うんですが、これはもうまことに奇怪な話だと思うんです。
 本来まず、計画を変更するならば、それをきっちり固めたら、それがこの土地改良法に、要件に満ちているかどうか、一をクリアすることができるかどうか計算して、事業を継続するかどうかを決めるのは当たり前じゃないですか。計算して数字を出せば続行できなくなるので、ほおかぶりで押し通そうということじゃないんですか。そうでないのなら、いつまでにその数字を示せるか、ここで示していただきたい。
太田政府参考人 費用対効果の問題でございますが、現在、計画変更作業を鋭意進めております。この中で、今回見直します土地利用計画、営農計画、工事計画等の諸元を現在まさに詰めておる段階でございまして、具体的な費用対効果分析についてのコメントについては差し控えさせていただきたいと思います。
 これが出た暁には、手続の中で当然明らかにしてまいりたいと考えております。
小沢(和)委員 差し控えるなんて格好のいいことを言うんじゃないですよ。要するに、示したらあなた方はこの事業ができなくなるから、示せないんでしょう。じゃなかったら、いつまでにやる、それぐらいここで言いなさい。
太田政府参考人 国営事業につきましては、事業の開始に当たっては、土地改良法上、費用対効果が一・〇以上あることが求められているものでございますが、計画の変更に当たりましては、法文上は必ずしも費用対効果が一・〇以上であることは求められていない状況にございます。
 いずれにいたしましても、費用対効果分析については、今回の計画変更の過程において実施しておりますので、そのように御理解いただきたいと思います……(小沢(和)委員「いつまでに出すんだと言っているんです」と呼ぶ)今、その作業を進めております。
小沢(和)委員 結局言えないということでしょう。だから、それはあなた方がもうそこまで破綻したんだということです。もうそれ以上言いません。
 さっきも谷津さんの言葉を引用しましたけれども、谷津さんが、退任したら、減反の時代に水田をつくるなんてことはあり得ることじゃないんだ、私の結論はノーなんだよと率直に本心を明らかにしております。別の新聞では、農水省の中でも、農村振興局の技官以外は、この事業がある限りいつまでも悪者扱いされるとうんざりしていると伝えております。ぜひ大臣に、干拓中止、水門開放の決断を求めたいと思います。
 ここまで追い詰められているのに、なぜこのむだと環境破壊がとまらないのか。この背景には、与党である自民党への多額の企業献金があるのではないでしょうか。
 今、委員各位に配付しております資料は、諫早湾干拓事業の受注企業が最近六年間に自民党長崎県連に献金を行った金額を長崎県の公報からまとめたものであります。この六年間に三億三十万円もの多額の献金がゼネコンから自民党長崎県連に渡っております。ごらんになるとわかるように、五洋建設とか若築建設とか、こういう海洋ゼネコンの名前がずらっと並んでいる。これこそ事業をやめられない本当の理由ではありませんか。
 もう一つ重要な問題は、干拓の総事業費二千四百九十億円の約半分、千二百十億円を投入した潮受け堤防工事を受注したゼネコンへ農水省官僚が大量に天下りしていることであります。
 この資料も次につけておりますが、わかっているだけでも元九州農政局長や同農政局諫早湾干拓事務所長などの肩書を持つ三十三名が、ゼネコンの常務、専務などにおさまっている。これもむだな公共事業が一たん始まったらとまらない仕組みの一部ではないでしょうか。
 きょうは総理がいないので、官房長官に最後にお聞きしたい。
 小泉内閣が本気で改革を叫ぶのであれば、この政治家、官僚、ゼネコンの癒着にメスを入れ、諫早湾干拓事業の中止をきっぱりと結論すべきではないか。
福田国務大臣 お答えいたします。
 政治の分野でもこの改革というものは進めるべきであり、改めるべき点は改める、そしてまた真に国民から信頼される政治を目指す、こういう必要が当然あるものであります。そして、政官財の癒着とか利益の誘導政治が行われないように努めるとともに、税金のむだ遣いなどが起こらないように努力していかなければいけないと思っております。
 先ほど来話題になっております諫早の問題でございますけれども、平成十一年三月の潮受け堤防の完成以降、これは防災機能が着実に発揮されて、地域住民からは大いに感謝されているところでございまして、諫早湾干拓事業はむだな公共事業という指摘は当たらないというふうに考えております。
小沢(和)委員 終わります。
津島委員長 これにて小沢君の質疑は終了いたしました。
 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 冒頭、本日の予算委員会のトップを務められました松本委員のさまざまな御質問の中で、いわゆる外務省の外交姿勢をただすというか問うものがございました。
 思い起こせばテロ対策支援法のときに、この場所にいわゆるNGOのペシャワール会という、パキスタンで医療活動をしておられる中村哲先生が来られていろいろな意見陳述をなさいましたが、やはりこれからの世界の中で、我が国がさまざまな外交問題あるいはテロ等に取り組んでいく場合に、NGOの活動ということをきちんと、いわゆる官の側も取り入れて、その立場を重要視して、お互いにすみ分けながら、相手を携えていくべきことと思われます。
 一番残念なのは、中東局長の御答弁もさることながら、外務省の事務方と外務大臣田中眞紀子さんとの間で取り交わされているさまざまな論戦に、もう席を立たれましたが、福田官房長官が、そのうちわかるでしょう、本当のことは、こういうふうに言うのが、私は、非常に政治家としては投げやりな、かつ無責任な放言であると思います。
 やはり今我が国にとって一番大切なのは、外交姿勢でございます。自衛隊を送るか否か以前にどんな外交をするかということが問われるときに、正直言って、外務省のさまざまなていたらく、不祥事、大臣とのあつれきは、我が国にとって本当に何の益もないことでございます。この事態にかんがみて、この時代であるからこそ、きちんとした内閣を挙げた対応をまず冒頭望みまして、本日の質問に入らせていただきます。
 竹中財政担当大臣にお伺いいたします。
 本日、「構造改革と経済財政の中期展望について」等の文書も出されており、また、昨日、本日の予算委員会を通しまして拝聴いたしましたところ、どう考えましても、竹中財政担当大臣のおっしゃる長期的な財政健全化展望と今回の約二・五兆円、NTTの売却益から、国債という形ではないにしろ、将来に負担を送った形での財政への繰り入れ、いわゆる危機を避けるためという表現を使うかどうかは別として、デフレスパイラルを避けるための今回の短期的な手当て、この間にそごはないのか。こういうことをして、本当に、長期的に見て、おっしゃるような二〇〇八年度から一〇年度、プライマリーバランスの健全化ということに資していくのか。その点について、再度お考えをお願いいたします。
竹中国務大臣 中長期的に財政を健全化させていきたい、しかし、足元の経済が底割れしてデフレスパイラルに陥ると、その出発点の経済が非常に傷んでしまう、そのジレンマの中で今回のような意思決定を行ったということでございます。
 そういうことを行って両立が可能か、矛盾はないかというお尋ねであるわけですけれども、まさにその中期展望というのは、プライマリーバランスを約十年をめどに回復させる、そういう財政運営をするということを閣議決定した。それをどのような形で行うかということに関しては、十四年度は三十兆というその収支差額を一つの目安にする、それ以降は支出をコントロールすることによってそれを行っていくという、そのこともまた閣議決定を行いました。
 一方で、そういったシナリオが現実に数値的に可能かどうかを見る一つの手段として、これは閣議決定の対象ではありませんけれども、内閣府の参考の試算としてこういうものを出した。
 先ほども申し上げましたが、年々、毎年毎年どのような政策をとるかということを今の時点で厳格に議論することはできないわけでありまして、その試算でも、御承知のように、今後五年ぐらいのところを大まかに試算して、それ以降は同じような財政健全化努力を続ければこうなるというシナリオを示して、数値的に、これは努力すれば、大変な努力であるけれども、それは可能なシナリオであるということを今の時点で申し上げているわけでありまして、委員御指摘のように大変難しい二つのジレンマの中で何とか狭い道を運営していくことは、そこに書いているような形をとれば可能であるというふうに考えています。
阿部委員 では、具体的に二点お伺い申し上げます。
 今回のNTTの売却益を組み込む予算の編成の中で、いわゆる公共投資、それも施設投資を中心にしたものにかなりの予算が補てんされております。果たして、竹中財政担当大臣はこのような施設型の投資を行うことが本当に我が国の足元の経済の補強になるとお思いか否かが一点。
 それから、大臣が任命されてからの月日の中で、いわゆる構造改革による需要創出効果などを、これは学者としてもそれなりの指標を持ってごらんになってきたと思いますが、構造改革、果たしてどこまで進んだか、何点か、政策評価をお願いいたします。
 以上、二点です。
竹中国務大臣 お尋ねの一点目が短期的な効果、足元の効果ということでございましたから、これは、政府がお金を出すということに関しては、それなりの需要創出は短期的には間違いなく行われるわけで、その意味で足元の効果はある。むしろ難しいのは、それが長期的な経済の構造の強化につながるような内容にするというところが実はなかなか難しいわけで、そのために今回、重点項目に絞って最大限の努力をしたということであります。したがって、お尋ねの足元の効果ということに関しては、我々の試算では、GDPを年ベースで〇・九%程度押し上げるということは可能であるというふうに考えております。
 構造改革は何点かということでありますから、これはいわば自己査定的な意味も持ちますからなかなか難しいのでありますけれども、私は、構造改革はまだ緒についたばかりである、しかし、正しい方向に向かっている、政策全体の方向を変えるのはなかなか大変であるけれども、財政の健全化への一歩、特殊法人改革への大胆な一歩等々、正しい方向にかなり大胆に踏み出したというふうに思っています。
阿部委員 大胆に踏み出されても、雇用情勢も一向に改善せず、経済の空洞化も防げないという事態の中での政権の運営ですから、やはり現実に厳しい評価をみずからの政策に課してみることも政治家としては大変重要だと思います。
 そして、今回、短期的に足元の効果はあると。これはいわゆるカンフル剤的な使用方法ですが、そのことが本来の蘇生、生きる道につながらなければ、これはやはり大きな目で見ればむだということになってまいりますし、私は、今回の補正予算、組むべきとは思っておりますが、このような形で、例えば既に土地も取得され、計画もされているものを、急に緊急的な課題としてこういう予算措置をしていくという考え方の自己撞着ということを、極めて政策的な問題が多いだろうと思います。
 その中にあっても、先ほど扇国土交通大臣は、一例をお挙げください、今回のいわゆる補正予算で、二次補正でどのようなメリットの策がありますかという御質問に対して、羽田空港の整備のことを挙げておられましたが、塩川財務大臣にお願いいたします。
 大臣の財政演説を拝読いたしまして、この中でも繰り返し、構造改革を推進しつつ、高い経済効果が期待できる施策について緊急実施するための編成であると。例えば、塩川財務大臣にとって、今回の補正予算で提案されたものの中で、これぞ目玉、これぞこの具体案だというふうなものがおありであれば、先ほどの扇大臣のようなものがおありであればお聞かせください。
塩川国務大臣 まず、今回の公共事業的な事業として、教育施設の改善というものに重点を置いて配分しておることが一つございます。それから、都市改造の中の一つとして、交通の渋滞を緩和するために、いわゆる右曲がり、左曲がりの交通点の整理ということを重点に置いております。それから、教育施設として、公立学校にIT関係の施設を充実さすというようなことをやっております。そういうものが多々ございますが、福祉の関係におきましても、特別養護老人ホームの増設あるいは認可保育所の支援というようなものも含まれておりますし、要するに、従来の公共事業でない公共事業的なもの、そういうものを入れております。
 それでは従来型の公共事業というものは一体何なのかといいますと、よく言われております長期計画でございますね、今、公共事業として十六本の長期計画がございますが、その長期計画に入っておらない公共事業、これを重点に今回配分したということでございます。
阿部委員 いわゆる平成十四年度の予算の中で、公共事業費が頭打ちないしは削減傾向にあります分を、むしろ補てんされたというところが現実的な案かと思われます。そして、本当にこれが緊急の二次補正であるべき正しいターゲットであるかどうかということについては再度お考えをいただきたいと思いますが、引き続く財務金融委員会も大臣とは御一緒いたしますので、ここではこれだけでとどめさせていただきます。
 引き続いて、坂口厚生労働大臣にお願いいたします。
 私は、小泉首相が掲げられる構造改革、中身において私とは違いますが、やはり今の現代社会、日本の困難性を次代に本当に展望していくためには、必要な構造改革があると思います。やはり、少子高齢化、子供たちの数が少なく御高齢な方がふえていき、生産年齢人口が減る、このことは大前提でございまして、果たして、私にとっては、この先みんなが本当に安心して、特に命の安心をきちんと保障されて暮らし得る社会が展望できるかどうかが一番大きな課題でございます。
 そのためにも、医療資本整備、医療提供体制の整備ということを、いわばこれは短期的にも中期的にも長期的にも本当に構造改革していくような形で国の予算が使われるべき。今は過疎と都市の医療格差も開いておりますし、世田谷の病院での先般のセラチア感染症を見ても、本当に、命の安全ということについて、今、国は揺らいでおると思います。
 その中にあって、ぜひとも坂口厚生労働大臣には御尽力いただきたいですが、今回の補正予算案の中で、長期的、中期的に見た医療の安全供給体制に寄与していけるような展望があるとお思いであるか、また、あるとすれば何であるか、お教えください。
坂口国務大臣 第二次補正という非常に限られた中ですべての展望があるかと言われれば、それは非常に限定されたものだというふうに言わざるを得ません。
 全体といたしまして、六百八十四億円、第二次補正の中で医療施設整備に使われております。電子カルテの導入の促進、それから療養病床への転換、そして国立成育医療センター、いわゆる小児科の中心病院でございますが、その研究所等の整備、こうしたことを中心にしてこの施設整備が行われているわけでございますが、これらはそれぞれの今後を目指します一端でございまして、今御指摘になりましたように、少子高齢化に対してどう対応をしていくか、それにつきましては、やはり小児科病院等が大変数も少なくなってきておりますし、先生の数も少なくなってきているというような状況にどう対応をしていくかといったことも含めて、総合的な対策が必要ではないかというふうに考えております。
 長くなりますから、また、このぐらいにしておきます。
阿部委員 今の御答弁とも関連して、私の方から二、三お願いがございます。
 世田谷のセラチア感染症でもそうですが、私立病院は、土地の取得、病院の建設に至るまで非常に負荷が強いものでございます。この世田谷の病院でも、例えばある個室に手を洗うような場所があれば、感染が看護者から広がっていくというふうなこともいかようにも軽減されます、絶対なくなるということはまた別でございますが。そのような、いわゆる医療業界における官民格差、これは小泉改革が民主導ということをうたっておられる中にあっても、医療は特に官民格差が強い分野でございますので、施設整備、特に安全性についての施設整備に国からの補助をしかるべく考えていただければと思います。
 もう一点。さきの厚生労働委員会で、いわゆる障害のある方たちが医師や看護師や薬剤師になれるという医師法の改正がございました。ただし、この改正には予算措置がついてございませんで、私の後輩で、やはり参考人でお話しさせていただきましたが、頸椎損傷の若者が今医者の研修を受けておりますが、その彼のための、さまざまな病院の機構というか病院の建物自身、彼が実際に診療したり宿泊したりできるようにはなってございません。バリアフリー化ということをあわせて予算措置していただければ、やはりさまざまな障害のある方が医療現場でも働くようになれる、そのことによって医療の質が優しくなれると思いますので、これは坂口厚生労働大臣の御見識で、きょうとは申しませんから、ぜひとも、私の方からの要望でございますので、お聞きおきくださいますように。
 引き続いて、武部農水大臣にお願いいたします。
 昨日、本日の予算委員会、雪印問題といわゆる狂牛病に関連したことがかなり論議されておりました。
 そして、私は従来から、武部農水大臣は、実は主観的にはとても誠実に御答弁なさっているのだと思います。こういう評価を私がするのは大変失礼と存じますが、しかしながら、私は、御答弁を聞いてそのようには思います。ただし、その主観と客観の間に生ずるずれがさまざまな問題を引き起こしておると思いますので、そのずれについて、きょうは、失礼ながら私の方から何点か指摘しました上で、どうやってこの事態を改善していくかということについて、幾つかの質問をさせていただきます。
 雪印問題、確かに雪印食品のこの間のさまざまな、武部農水大臣の言葉をおかりすれば、信じられない、あり得ないような偽装工作をもって発覚いたしておりますが、実は、輸入牛肉を和牛と偽る、この手法は今回に始まったことではございませんで、公正取引委関係では毎回のように、輸入牛肉を和牛と偽り高く売るということは、既に幾つもケースがあると言われております。
 そうした公取委の経験を踏まえました場合に、果たして今回のいわゆる検品体制が万全であったか。検品とは、保管されている牛肉を焼却に回すまでの間チェックをいたしまして、いろいろな意味でこれが本当に和牛であるのか、そして焼却にどの部分から回していくのかということを各倉庫別に行っていく作業ですが、この検品体制に問題はなかったのか。この点をやはりきちんと詰めないと、今、もちろん雪印食品は大変悪うございますが、逆に悪をはびこらせるような行政体制があったのではないかということも非常に重要でございます。
 検品体制について、特にこれは農水省の外郭団体といいますか、特殊法人の農畜産業振興事業団というところが行っておられる由ですので、その部分に実務的に詳しい方から、検品体制についての実際、そして問題点、改善点を伺います。
須賀田政府参考人 検品体制でございます。
 今回の事業は、事業主体が在庫証明で確認をしていたわけでございますけれども、事業団の方は昨年の十二月二十五日から一月二十四日まで、隔離牛肉を保管している二百五十九の倉庫のうち、三十二カ所で抽出の検品を実施したところでございます。
 その検品は、まず保管数量の多い倉庫を選びまして、次に倉庫ごとに保管数量に応じた一定の抽出数を確定しまして、必要箱数について証票等を確認する。それから、箱をあけまして中身を取り出して、在庫証明書の記載事項と同一であるということを目視によりまして確認するということでございまして、一倉庫当たり二人から四人でやっておりました。
 今般の不祥事の発生によりまして、このチェック体制にも問題があったんじゃないかとさまざまな御指摘を受けまして、そういう御批判にも率直に耳を傾ける必要があろうというふうに思いまして、まず手始めに、今後は検品を全倉庫に対して実施するということとしている次第でございます。
阿部委員 けさの朝日新聞の報道の中で、公取委関係の方が述べておられますが、最近の牛肉の生産の様子を見ると、目視で和牛か輸入かということを見きわめるのは極めて難しいというふうな記載もございます。果たして、御指導のとき、業務として検品を指導するときに、そのような留意点、改善点はございますでしょうか。もちろん、こんなことは次にあってよくないことですが、万全を期してなおということでございますから、その点について。
 それから、この業務にかかわる職員は一体何人でございましょうか。
須賀田政府参考人 確かに、一般的には国産牛肉と輸入牛肉は、赤身のぐあいでございますとかカットの仕方が異なっておりまして、よく判別ができていたわけでございますが、最近、豪州でございますとかアメリカでございますとか、日本向けの専門の輸出牛肉をつくる、カットも国産と同じようにするということで、なかなか、物を見せられて国産と輸入牛肉とを判別するのは難しくなっております。そこで、できる限りの、シールでございますとか伝票でございますとか、その周辺の状況でできるだけ確認、判別をしていくというふうにしております。
 なお、検品の職員数でございますけれども、約百八十名でございます。
阿部委員 昨日私がお伺いしたところ、事務方は十名という御答弁でしたので、どうしてそんなことでできるかなと思いましたが、今の御答弁を公式と伺います。
 そして、なお目視で難しいことは、やはり解体のその時点から牛の由来をきっちりして最後まで、ブロック化されたところまでそれをつけるという、逆に言えば、消費者のところまで生産がどこであるか、解体がどこであるかを明示するような体制をおとりになるべきだと思います。その辺が、先ほど武部農水大臣おっしゃいましたが、安全と安心の間には乖離がある、確かに乖離でございますが、その間の行政がきちんとしないと、やはり安全と安心の間には乖離ができて当然だと思います。特に、食品衛生法等も消費者への周知という視点が極めて薄い法律でございますから、やはりきちんとした生産管理、そして流通の仕組みを農水行政としてやっていただきたい。
 それからもう一点、やはり武部農水大臣にぜひともお考えいただきたいのは、せんだって三頭目の狂牛病が発生した群馬県の事例ですが、二千頭に及ぶ牛を牛舎で飼っているわけでございます。牛の波ですね。こういうふうに大量に牛を肥育する体制。そして、これは実は牛乳問題でもそうですが、酪農において生産調整、これも大量につくり、水と脱脂粉乳に分けてまた合わせるというふうな手法、工場様式を導入すると、どうしても個々の管理の安全性というものが保証されない。
 ですから、これからは食の安全性体制というのは極めて、逆に言うと小さな区分で確実に目配り、手配り、気配りがいくような体制に農水行政を改めるという、この決意とお覚悟を持っていただかないと、実は、安心と安全の間には乖離があり続けると思います。
 この点について御意見を伺います。
武部国務大臣 阿部先生のような方がスタッフにいて御協力いただければ、安全と安心の間の距離を縮めることができるのになと、先生のお話に大変恐縮しながら、そんなことを考えさせられた次第であります。
 まず、農林水産省としてトレーサビリティーを徹底してやろうということで、今その準備を進めております。もう実際にこれを進めております。
 また行政、農林水産省は、正直申し上げまして、やはり生産者に軸足を置いていたのじゃないか、こういうふうに言われても否定し得ないところがあったのではないか、このように思っております。食と農の一体化、生産者の向こう側には消費者がいるのだ、消費者と生産者の間に顔の見える関係というものをしっかり構築するということが私は大事だと思いまして、就任時には、我々は生産者と消費者の間に立って仕事をしよう、こういうことを訓示した次第でございます。
 なお、やはり行政上の構造的な問題を、このBSE発生で私は感じました。したがいまして、過去のことについても、客観的な検証、科学的な知見というものをもとに、今後の畜産・食品衛生行政のあり方というものを抜本的に見直す必要があるのではないか。縦割り行政の問題もございます。そういう意味で、微力ではございますけれども、そういう意識、認識に立って、しっかり農林水産省の大改革に取り組んでまいりたい、かように存じている次第でございます。
阿部委員 もう一点、いわゆる感染源、果たして何がこの狂牛病問題の感染源として考えられなければいけないかということについても、スタッフとしてくださるというので、一、二御提案がございます。
 先ほど農水大臣が、いわゆる感染経路について三つのことを挙げられました。この一、二、三のうち、国内で肉骨粉と他の飼料がまざる可能性がないか、この点について、ニュージーランドから輸入されたものがまだまざって起こしたかもしれない可能性がある。二点目が、イタリアから輸入したものが高温の処理を経ていない可能性がある。三点目は代用乳の問題で、この原料の中に、オランダから輸入の油脂が入っておったという三点を指摘されました。
 私も、実は、この狂牛病問題、どの時期に牛が何を食べればこのような事態になるかをずっと考えてまいりました。そして、私の経験からすると、かなり消化管、腸管が未熟な時期に取り入れたものが、三年、四年の潜伏期を経て狂牛病を発生するのではないかと医学的な見地から思っております。その場合に、私自身は、一番代用乳が問題と思っておりまして、質問主意書も出させていただきましたが、質問主意書の中でもお答えがいただけませんでした点が一点ございます。
 実は、油脂に関しましては、レンダリングの途中で生じてくる油脂以外に、牛を解体したときの脂身を油脂製造工場で処理いたします。この脂身にもしプリオンが付着していた場合、これはめぐりめぐって代用乳の中の添加油脂となる可能性がございますが、一点お伺いしたいのは、オランダの油脂については、どのような精製過程の油脂であったか。そして、なぜ日本の国内においては、肥料等の取り扱いの規制の中にこの油脂が含まれていないのか。二点。
 もし御存じがなければ、次回お調べいただいての答弁でも結構ですが、私は、原因究明をきっちりしない限り、消費者の不安も生産者の悲劇も解決しないと思います。購入したえさで、自分たちは気がつかずに、ある意味で与えさせられ続けていたわけです。牛もかわいそうですし、生産者は本当に今悲鳴を上げています。この意味からも、本当の意味で、農水行政のきちんとした原因究明ということは大事と思いますので、今お伺いいたしました、オランダでの油脂の由来、我が国はなぜ油脂類を規制しないのか、この二点、お願いします。
須賀田政府参考人 ちょっと知識のない部分はまた次回お答えをさせていただきたいと思いますけれども、油脂は背脂肪と腹の脂肪でございまして、まじる割合は〇・一五以内ということで規制をされているところでございまして、そういうものであれば安全だと言われております。
 オランダのものは、持ち帰った調査試料によって、その安全性が確認できるかどうか、今分析を行っていただいているところでございます。
阿部委員 では、日本でのこの油脂についてもぜひとも分析を行ってください。なぜこういうことを申しますかというと、これは成分規格等省令の規制の対象となっていないのです。もしそこの中に混入したものがあれば、これからも、牛は大体一週間目くらいから代用乳を与えられますから、感染は継続することがございます。
 そして、最後に、武部農水大臣にお願いというか、私なりの考えがございます。私は、冒頭申しましたように、農水大臣の個人的誠意は人後に落ちないと思います。ただし、物事がこういう事態を招いたときの責任体制ということは、これは政治家であれば構えなければいけないことが多々あると思います。私は、先ほどの農水大臣がきちんと農水省を指導するというお言葉、それは一つとても大事と思いますが、物事の節目、けじめもございますので、この点については、よくよくいつどのような判断で国民にきちんとした謝罪を最高責任者が行うべきかということをお考えいただきたいとお願い申し上げて、私の質問を終わります。
武部国務大臣 ただいま阿部先生から、非常に重みのあるお言葉をいただきました。私も、BSE発生以来、本当に今度のことではいろいろなことを体験しましたし、また感ずるところ多々ございますが、とにかく今なお消費がふえない、生産者にも消費者の間にも不満がうっせきしているというこのときに、対策の実をどう上げていくかということが今一番大事なことではないか、このように認識して努力をしている所存でございます。
 また、同時に、私の政治家としてのあり方と農林水産大臣としての責任ということも常々考えて、総理も、職責をしっかり果たし、国民の皆さん方に安心していただけるような体制づくりに全力を挙げるように、こういう御指示でもございますので、今阿部先生のお言葉も拳々服膺して、しっかり努力してまいりたいと存じます。
津島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十二分散会


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