衆議院

メインへスキップ



第11号 平成14年2月15日(金曜日)

会議録本文へ
平成十四年二月十五日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 津島 雄二君
   理事 伊藤 公介君 理事 木村 義雄君
   理事 北村 直人君 理事 小林 興起君
   理事 藤井 孝男君 理事 枝野 幸男君
   理事 城島 正光君 理事 原口 一博君
   理事 井上 義久君
      伊吹 文明君    石川 要三君
      衛藤征士郎君    小此木八郎君
      大原 一三君    奥野 誠亮君
      亀井 善之君    栗原 博久君
      小坂 憲次君    小島 敏男君
      小西  理君    近藤 基彦君
      田中 和徳君    高鳥  修君
      中山 正暉君    丹羽 雄哉君
      西川 公也君    野田 聖子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      馳   浩君    林  幹雄君
      細田 博之君    三ッ林隆志君
      宮本 一三君    持永 和見君
      森岡 正宏君    八代 英太君
      渡辺 博道君    赤松 広隆君
      五十嵐文彦君    井上 和雄君
      池田 元久君    岩國 哲人君
      江崎洋一郎君    大出  彰君
      金子善次郎君    河村たかし君
      木下  厚君    鈴木 康友君
      筒井 信隆君    手塚 仁雄君
      野田 佳彦君    伴野  豊君
      松崎 公昭君    松野 頼久君
      松本 剛明君    三井 辨雄君
      山田 敏雅君    山谷えり子君
      山村  健君    青山 二三君
      赤松 正雄君    達増 拓也君
      中井  洽君    中塚 一宏君
      赤嶺 政賢君    佐々木憲昭君
      春名 直章君    辻元 清美君
      保坂 展人君    横光 克彦君
      井上 喜一君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       武部  勤君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 村井  仁君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   法務副大臣        横内 正明君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      青山  丘君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   外務大臣政務官      今村 雅弘君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局南
   東アジア第二課長)    上村  司君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            重家 俊範君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局私
   学部長)         石川  明君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  辻  哲夫君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部長)  冨岡  悟君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   参考人
   (日本銀行総裁)     速水  優君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十五日
 辞任         補欠選任
  伊吹 文明君     小此木八郎君
  石川 要三君     渡辺 博道君
  衛藤征士郎君     三ッ林隆志君
  奥野 誠亮君     森岡 正宏君
  亀井 善之君     林  幹雄君
  栗原 博久君     近藤 基彦君
  中山 正暉君     小西  理君
  丹羽 雄哉君     西川 公也君
  三塚  博君     馳   浩君
  赤松 広隆君     大出  彰君
  池田 元久君     山田 敏雅君
  岩國 哲人君     山村  健君
  河村たかし君     松崎 公昭君
  中沢 健次君     三井 辨雄君
  野田 佳彦君     鈴木 康友君
  松野 頼久君     金子善次郎君
  山口 富男君     春名 直章君
  辻元 清美君     保坂 展人君
同日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     伊吹 文明君
  小西  理君     中山 正暉君
  近藤 基彦君     栗原 博久君
  西川 公也君     丹羽 雄哉君
  馳   浩君     三塚  博君
  林  幹雄君     田中 和徳君
  三ッ林隆志君     衛藤征士郎君
  森岡 正宏君     奥野 誠亮君
  渡辺 博道君     石川 要三君
  大出  彰君     赤松 広隆君
  金子善次郎君     木下  厚君
  鈴木 康友君     野田 佳彦君
  松崎 公昭君     河村たかし君
  三井 辨雄君     江崎洋一郎君
  山田 敏雅君     池田 元久君
  山村  健君     山谷えり子君
  春名 直章君     赤嶺 政賢君
  保坂 展人君     辻元 清美君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 和徳君     亀井 善之君
  江崎洋一郎君     中沢 健次君
  木下  厚君     松野 頼久君
  山谷えり子君     伴野  豊君
  赤嶺 政賢君     山口 富男君
同日
 辞任         補欠選任
  伴野  豊君     手塚 仁雄君
同日
 辞任         補欠選任
  手塚 仁雄君     井上 和雄君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 和雄君     岩國 哲人君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
津島委員長 これより会議を開きます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長小町恭士君、外務省アジア大洋州局南東アジア第二課長上村司君、外務省中東アフリカ局長重家俊範君、外務省経済協力局長西田恒夫君、国税庁課税部長村上喜堂君、文部科学省大臣官房長結城章夫君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省高等教育局私学部長石川明君、厚生労働省年金局長辻哲夫君、社会保険庁運営部長冨岡悟君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林興起君。
小林(興)委員 おはようございます。自由民主党の小林興起でございます。
 本日は、テレビがなくなって大変残念でございますが、それは別といたしまして、お忙しい中、大勢の閣僚の皆様にお越しをいただきました。予算委員会という大事な委員会で、まだ答弁の機会もない閣僚の方もおられるような気がいたしまして、きょうはせっかくの機会でございますので、存分にそれぞれのお話を承りたいと思っております。
 と申しますのは、昨年スタートいたしました小泉政権、まさに国民の期待にこたえて大構造改革を断行し、日本の二十一世紀の新しい未来を築いていかなければならない。国民の期待が非常に高いわけでございまして、しかし、それは総理一人のお力でできるわけではなく、まさに各省の責任を負われる大臣の陣頭指揮のもとに政府一丸となってこの構造改革を進めることによって、日本がこれからの新しい時代をしっかりと生きていくことができるかどうか、それが問われている大事な時期だと思っているわけであります。
 そして、御承知のとおり、今日、さはさりながら、経済の状況はといえば、失業率極めて高く、そして中小企業は倒産し、多くの方々が自殺に追い込まれているという悲惨な状況であります。まさにふんどしを引き締めてこれからの構造改革路線に邁進してもらいたい。
 そう思う中に、かつては、役人が悪いといいますと、何を言っているんだ、政治家が悪いじゃないか、こういうふうに言われたわけでありますが、今や、政治家が悪いといっても、いやいや、役人が悪いからじゃないかなんて言われるような時代になりまして、私が恐れておりますのは、立派な大臣の方々に我が自由民主党がいろいろな政策提言をやっているわけですけれども、そこに出てくるのは実は閣僚ではなくて役人なんですね。局長とか課長とか、そういう方が自民党の部会に出てきて、我々の意見を聞いて帰られる。しかし、帰ったその役人が肝心かなめの大臣に我々自由民主党の政策を上げているのかどうか、そのことが気がかりだという状況であるわけでありまして、そういう意味では、直接きょうは閣僚の皆様に、同じ政権党にありながら、実は直接お話をする機会がないという意味を込めて御質問をさせていただきたいと思うのであります。
 さて、平成十四年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算というのが財務省から出されました。その中で、試算一に、名目経済成長率〇・五%、こういうのがあるわけでありますが、これはだれが考えても、今のような現状でいくときの試算だというふうに思うわけでありますが、実は試算二でもって、名目経済成長率、十五年度一・二五%、十六年度以降二・五%という数字が突然出てきている。しかし、経済が少し成長するという仮定は、実は御承知のとおり、経済財政諮問会議の方から「改革と展望」というので、ある程度経済成長率を見込んだペーパーが内閣府から出されている。経済が少し成長するというのに、わざわざこの財務省の試算、この試算二は、新しい内閣府のせっかく作成したこれに準拠した財政の考え方を私は出していただきたかったわけでありますけれども、なぜこういうペーパーを出されたかということをお伺いしたいと思います。財務大臣。
塩川国務大臣 これは国会の要請がございまして、従来から、国会が予算審議の前に、その当時は大蔵省でございますが、大蔵省としては「財政の中期展望」というものを出しておりました。そして、資金繰りのいわゆる過不足を重点としてそのような試案を出しておったのでございますが、今回は、予算編成が、内閣府を中心といたしましたところの経済財政諮問会議で基本方針が決まり、それを受けて予算編成の実務を担当するのが財務省の仕事、こうなりましたので、その中期計画は要らないのではないかと思って、我々の内部の資料としては持っておりました。
 そこで、国会の要請がございまして、財務省としても中期展望に相当するものを出せというので提出させていただいた次第でございまして、そこで、我々の作業いたしましたのは、現在の制度並びに今までやってまいりました慣習、その上に立ちまして自動的に積み重ねていったものでございまして、その中にはモデル的なケースを採用しておりませんし、ましてや、政治的な配慮をしておらない純粋な数字の集計である、こう見ていただいたら結構だと思っております。
 それだけに、内閣の出しました「改革と展望」というのと若干違うことは、そこはやむを得ないと思っておりますが、内閣の方はモデルを中心にして組み立てた予想でございますので、違っておるのは当然だろうと思ったりいたしております。
小林(興)委員 私が申し上げたいのは、特に試算二の方につきましては、内閣府の「改革と展望」の経済成長率等に合わせて、統一的な成長率のもとに試算をされた方がよかったのではないかということを申し上げたわけであります。
 さて、その肝心の「改革と展望」の方の中身でありますが、竹中大臣にお伺いしたいわけであります。
 将来について我々は希望をかなり持ちたいわけでありますけれども、この「改革と展望」の経済成長率、これが将来にわたって、これは一つの案しかないわけですけれども、余り高い経済成長が見込まれていない。どうせでしたらもう少し、このぐらいいくんだ、そういう希望の持てるような案を出されてもしかるべきだったと思うんですけれども、この程度におさめた理由についてお伺いしたいと思います。
竹中国務大臣 成長率をその辺におさめたということではもちろん決してございませんで、できるだけ客観的にいろいろな要素を考えて、そのモデルの中に反映させたつもりでございます。
 しかしながら、十年間非常に低い成長率で停滞してきた日本の経済、これから構造改革を通して生産性を高め、さらには、具体的に言えば起業をふやして、女性や高齢者の労働参加を高めて、さまざまな要因を取り入れなければいけないわけでありますけれども、日本の経済成長率は、労働人口が減少が見込まれる中で、やはり中期的に当面せいぜい二%程度の潜在成長力なのかなというふうに思います。その潜在成長力に次第に集中調整期間以降は近づいていく、そういう姿を描いたつもりでございます。
小林(興)委員 どちらの数字を見ましても、今総理が言われております公債発行を三十兆円枠に抑えるということは将来とても難しいということをこの数字がはっきりと物語っているわけでありまして、財政の困窮度は極めて深いし、そしてまた、将来の経済展望もよっぽど頑張らなければこの国は危ういということをすべての指標が示しているということを言わざるを得ないわけであります。
 そこで、まさに民間経済の活力を促していくために、財政が十分に使うことができない、財政の拡大ということが非常に難しいということであるならば、当然それは金融問題であり、あるいは税制ということにいくわけでありますが、特に、ことし総理が冒頭に、税制改革をやろうという話をされました。しかし、昨年、我々が党税調にあっていろいろと議論をした中に、何がネックだったかといいますと、経済を活性化させるための税制をいろいろ考えても、税収中立という議論が出されてまいりまして、減税をして経済を活性化しようという片方で、いや、どこかで税の増収を図るんだということで、税収中立なんという議論をやっているようではとても経済が活性化するような大減税改革をすることはできない。
 ということなきように、ぜひ政治主導で、税制に最も明るい塩川大臣に、そういう税収中立だというようなことはこれから余り考えずに、どうしたら本当に経済が活性化できるかということについて思い切って考えるんだ、その結果、多少税収に穴があくようであればそれはやむを得ない、多少財政で埋めるんだというような、そういう基本哲学を私は開陳していただきたいと思います。
塩川国務大臣 十四年度税制改正を議論いたしましたのは昨年の秋以降でございますけれども、そのときにはまだ、いわば構造改革の基本的な方針等がやっと決まった段階でございまして、実施に移すのに各省ごとにどのような要求が出てくるかということは不明確な点も多少ございました。それで、年末に予算を組みましたときに、各省の改革への積極的な十四年度以降の取り組みが出てまいりましたので、それを受けて、これに相応する税制改革をやろうということを決定いたしました。したがいまして、いつでも、毎年、税制改革はその年度の後半において行うのでございますけれども、今度は十五年度に向けての改革を十四年度当初から始めようということで、意欲的に取り組んでおります。
 でございますから、十五年度以降の改革につきましては、おっしゃるように、経済の活性化に向かっていく方向への改革を推進するための税制改正に重点を置いたものにいたしたい、シフトはそこへ持っていきたい、こう思っております。
小林(興)委員 大臣の決意を伺いまして、私は、これからの税制改革、抜本的な案が出てくるだろうということを期待いたしたいと思っております。
 さて、時間の関係でもう一問ぐらいずつしか閣僚の皆様方に御質問できないのが残念でありますが、続いては金融問題であります。金融について、これからの公的資金の注入、大きな問題をいろいろと議論したいところでありますけれども、これはこれからも委員会で話が、もう出ておりますし、また出てくるだろうと思います。
 きょうはぜひ柳澤大臣に、今日、中小企業向けの金融、これが非常に大きな問題になっているということの御認識をいただきたいと思うのであります。そして、日銀が金を出しても銀行でお金がとまっている、こういう話がよくあります。そして、中小企業に金が回っていない。
 どうして中小企業に金が回っていないか。いろいろあるんでしょうけれども、よく言いますと、銀行は貸すところがないんだ、そんな公式論を言いますけれども、実はそんなことはないわけでありまして、中小企業の皆さんは資金を必要としている、しかし貸すことができない。それは何がネックになっているかといいますと、実は金融検査マニュアルだと私は思っているわけであります。
 この大銀行向けに、大企業向けにできました金融検査マニュアルによって、今検査官がずっと、銀行の検査が終わって、いよいよ信用金庫、信用組合の方に回り出した。もちろん、検査していただくのは結構でありますし、しっかりやっていただいているわけですけれども、しかし、どちらかといいますと大銀行、そしてその先の大企業向けの貸し出しをチェックするこの金融検査マニュアルは、実は中小企業の金融について、私は十分な検査基準になっていないということを申し上げたいわけであります。
 一応、マニュアルを見ますと、中小企業に配慮するなんとかと書いてあるんですけれども、しかし実際は、金融庁が検査に入って信用金庫、信用組合を調べますと、金融庁のマニュアルに基づくと、まあこれは不良貸し付けじゃないかということでどんどん不良貸し付けに分類が変更されまして、その結果、もっと引当金を積みなさいという話になる。ところが、今信用金庫、信用組合は引当金なんか積むことができないわけでありますから、そうなりますと、破綻だ、こういうふうに金融庁が言われるんですね。
 金融庁が検査に入ってから、大臣御承知と思いますけれども、どれだけ信用金庫、信用組合がこの一年で破綻ということを言われてしまったのか。この数を見ますと、これはもう恐るべき数なんですね。
 では、この金融検査をしたことによってこれだけの信用金庫、信用組合を破綻させて、それでこのことが一体何にプラスになっているのかということを私は大臣にお伺いしたいと思うのです。
柳澤国務大臣 やや多面的なお話がございました。簡潔にお答え申し上げます。
 中小企業融資がはかばかしい実績を上げていない理由は何だろうか、こう考えますと、これは銀行の側、中小企業の側、双方に理由があると思います。銀行からすると、これはやはり不良債権の重みもあってなかなかリスクがとりにくい。つまり、だからリスクを金利でとらせてください、こういうことになるわけです。それから、中小企業の側はどういう状況にあるかというと、業況が振るわない、それから担保として出し得る物件の担保価値も減少しているというようなことがあるわけで、それだけリスクが高まっている。
 こういうことですから、銀行が融資をしようとすると、そのリスク見合いのものをいただきたいということになるんですが、その合意がなかなかできない。それからまた、業況不振のために需要そのものが少ない。事業者の側の需要が少ない。これらが中小企業融資が最近振るわなくなっている理由だというふうに考えております。
 検査マニュアルのせいじゃないか、こういうことですけれども、これはもう小林委員も今御指摘になられたように、検査マニュアルには、中小企業者の特性、つまり表面にあらわれたものだけでいろいろリスクであるとかあるいは返済能力というものを判断してはならない、もうちょっと奥にあるもの、実態をよくつかまえないといけないということが書かれているわけでございまして、そういう向きの、そういう趣旨を酌んだ検査をやるように、検査当局ももう本当に、検査の前、検査中、検査の後、それぞれの段階に実際に検査に当たる者に対して、いろいろな手だてを講じてこの趣旨が徹底するように努めているという状況でございます。
小林(興)委員 そういうふうに役人から大臣に上がっていると思うのですね。しかし、実際は、そういうふうに中小企業に配慮するといっても、配慮の仕方というのがあるわけでありまして、そこについて、片っ方は配慮したといっても、中小企業の方から見れば配慮されてない、つまり、信用金庫、信用組合から見れば配慮されてないわけであります。
 それがいい例として、預貸率というのがあります。かつて信用金庫等は、一兆円の預金があれば八千五百億円ぐらい貸していた。八五%の預貸率だったわけですね。しかし、今はみんな軒並み六〇%から七五%に下がってきている。つまり、一兆円の預金があっても、八千五百億円から、もう六千億円から七千五百億円しか貸すことができない。
 信用金庫に何で貸さないんだ、貸すところがないのかと言いますと、全部、本音では、この金融検査マニュアルでびしびしやられて、そして不良債権だと認定されて、積みなさいといって破綻されちゃうから、とても怖くて貸せませんというのが実は信用金庫、信用組合の実態でありまして、その結果、一兆円の預金規模、預金なんかほとんどふえてないんですから、同じところが全部、一千億円以上貸出先が減っているわけですね。そういう数字を見れば、いかに中小企業に金が回っていないかということがもう目に見えるわけであります。
 したがいまして、別に信用金庫について特別なマニュアルという意味ではなくて、規模別、貸出先別、小さな、少額の、三百万、五百万貸すところへのマニュアル、それと一千万とか一億貸すようなところのマニュアルという、大銀行であろうと信用金庫であろうと、貸出先に向けてのマニュアルを私は変えるべきだというふうに思うわけでありまして、そういう点では、中小企業問題に詳しい平沼赳夫大臣からもぜひバックアップしていただいて、中小企業について何か特別な金融が必要ではないかという御認識をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 小林先生にお答えをさせていただきます。たくさん閣僚もおりますので、簡潔にやらせていただきたいと思います。
 今、中小企業の金融というのは分極化しているという特徴が一つあります。一つは、八割が経営内容がよくない。そこに対しては非常に厳しい姿勢で臨んできておる。二割の黒字を出している中小企業に対してはむしろ攻勢をかけて、借りてくれ借りてくれ、こういう状況になっておりまして、悪くても、やはり潜在力があって、そしてやる気がある、そういう中小企業には積極的に融資をしていくべきだ、私はこういうふうに担当大臣として思っています。
 それは、今企業が五百万社と言われていますけれども、九九・七%が中小企業で、言ってみれば日本の経済の基盤を支え、活力を支えているのが中小企業でございますから、今委員御指摘のような中小企業に対するそういう特別な、これは金融庁の所管ですから私からちょうちょう言うわけじゃありませんけれども、既に金融庁と我が方とでもいろいろ御相談をしながら、そういう円滑な金融ができるようにお願いをしておりますし、幾つか対策も講じていただいています。
 そういう中で、特別保証制度の中で、やはり一生懸命皆様方返してくださっておりますけれども、なかなか今の状況で返済が厳しい。こういうことで、金融庁も協力をしていただいて、例えば条件変更というのは、特別保証制度のときには百七十二万社に利用していただきましたけれども、十二万社に条件変更を応じさせていただいていまして、そういう中で、金融庁とよく御相談をしながら、今の経済の実態を踏まえて私どもはフレキシビリティーを持って対処すべきだ、このように思っています。
小林(興)委員 ぜひ、中小企業を担当しておられる大臣と、今言いました中小企業向け貸し付けのマニュアルについて、私は、もう一度金融庁と話をしていただきたいと思うのであります。
 今のような、政府が特別保証をして返済条件を変えるということになりますと、金融機関はそれに応じるんですけれども、しかし、検査の面から見ますと、返済条件が変わったことによってそれは不良債権扱いになって、その分もっと引当金を積めという、そういう話に全部なってくるんですね。
 政府の政策の中小企業対策に応ずるために信用金庫がそれに応じて、そしてどんどん条件変更していくと、そこから返ってくる答えは、マニュアルによって引当金を積め、それを積めなければ破綻だということになるわけですから、そういう意味では、本当の中小企業向け金融をスムーズに運用することができないということになっているわけですから、この問題は物すごい大きな問題ですので、中小企業担当大臣から、中小企業向けの貸付マニュアルについてどうだという話し合いをぜひ持っていただきたいと思うのであります。
 まだまだこのことについては細かくお話をしたいことがありますが、いずれにしても、我々は中小企業基本問題検討議連というのをつくりまして今勉強会を進めておりますが、やがて、柳澤大臣、案ができたら国会議員がどっと大挙して大臣のところへ持っていきたいと思いますので、お待ちいただきたいと思います。
 さて、次のテーマに移らせていただくわけでありますが、経済構造改革、しかし、竹中大臣が経済の将来展望を描く中に、やはり中身の構造改革は、実はきょういらっしゃる各省の大臣に大いに知恵を各省で出して頑張ってもらわないと、これは具体的な姿になってこないと私は思うわけであります。
 その中で、ちょっと考えましても、大きな経済発展に資するような産業の中には、当然、住宅産業というのがだれでも浮かぶわけであります。政府としては、不況対策で住宅産業に随分お金を入れてまいりました。その結果、この不況をある程度支えるところまで来たわけでありますが、その資金は実は住宅金融公庫から大きく流れていた。
 この住宅金融公庫が、総理の方針もありまして、縮小していこうという方向になったと伺っているわけであります。しかし、それにかわって民間の金がどんどん出てきませんと、住宅産業に資金が回らなければ、この不況下にさらに住宅産業が冷え込んでいくということになるわけであります。この住宅金融公庫の問題等をめぐって、しかし、きちっと、日本で住宅を建てよう、つくろうという人たちに十分に金が回っていくかどうかということについて、ぜひ扇大臣の所見を伺いたいと思います。
扇国務大臣 今小林先生がおっしゃいましたように、日本の今の住宅事情、これを基本的に私たちは見直していかなきゃいけない、また現実に目を開いていかなきゃいけないと思っております。
 住宅というのは、都市生活あるいは地方都市、それぞれの住宅の構成、人数、あらゆる環境、そういうものによって私は住宅のあり方というものが変わってきていると思いますし、千差万別だと思いますけれども、少なくとも今先生がおっしゃったように、住宅金融公庫というものに関して、今日まで、戦後、今日の日本の住生活を充実さすために大きな役割を果たしてきた。
 にもかかわらず、今少なくとも、総理から五年で廃止という現実を見ますときに、私どもはそれにかわるもの、民間の活力をいかに生かしていくかということで、つい最近まで低利あるいは固定、そして皆さん方に長期に借りていただくというのが、民間ではわずか二つぐらいしか例が出てございませんでしたけれども、今私の手元にも、大体、民間会社がどんどんこの住宅金融公庫にかわるローンというものを、新種を出していこうということで、今少なくとも、二つだと言われたのが十近く、二けた近く、民間企業が住宅ローンの新しい新種を出して、国民の皆さん方に供給しようとしております。
 私は、今の二十一世紀の住宅の基本的なあり方というものを考えますと、まだまだ、きょうは時間がございませんから欧米との差を言いませんけれども、先進国、欧米諸国に比べて日本の住宅の面積というものの狭さ、あるいは良好な住を完結するということにはほど遠い現状でありますので、この金融公庫にかわる住宅ローンのあり方というものを、民間の活力を生かして、より国民の二十一世紀型、しかも老齢社会と言われておりますけれども、二世帯同居等々の税制、先ほど先生税制もおっしゃいました。一緒になって、私は、国民に活力のある、未来の持てる日本の住生活というのを基本的に促進していくように、努力していきたいと思っております。
小林(興)委員 まあ都市部は、私、東京ですから、この辺にはいろいろな民間会社も出てきてお金が回るでしょうけれども、では、北海道、九州のことは知りませんけれども、地方にそんな立派な民間会社がどんどん出てきて住宅のお金を回してくれるかどうかということは定かでないわけでありまして、そういう意味では、全国に目を配って、そして、まだまだ政府がやらなければならないというときは遠慮なく住宅金融公庫の金をきちっと出すような、そういうことをぜひ大臣に考えていただきたいと思うのであります。
 それから公共事業も、どちらかといいますと、何か最近は要らなくなったという話もあります。確かに見直すべきときでありまして、むだなものについてはばさっと切り捨てるときでありましょうけれども、実は公共事業は今なお必要な部分があり、そしてまた大きな経済効果を発揮するわけでありまして、前から申し上げております。
 これは、一つは、だれが考えても必要な国際空港の建設。特に、羽田空港の国際化というのは非常に大きな経済効果を生む。これをきちっと完成を今させますと、第四滑走路をつくるということになっていますけれども、これが立派にでき上がれば、GNPに三十兆円ぐらいの影響力が出て、三十万人ぐらい雇用が拡大するとか、そういう話もあるわけでありまして、そういう意味では、雇用を非常に吸収するという意味でも私は大きな効果があるだろうと思うわけであります。
 したがって、今、第四滑走路の建設ですか、何か伺いますと七年ぐらいでやるんだという話ですけれども、これをもっとぜひ大臣、七年を五年、三年と縮めるようにして、早目にアクセス、これは三年かかるそうですけれども、これを二年に縮めるとか、建設を、三年を二年にする。突貫工事でやって、ぜひこれの早期完成、第四滑走路の建設、これを縮めるというような、そういう考え方はございませんか。
扇国務大臣 まさに国際空港というのは、国際という看板は那辺にあるかということを考えますと、近隣諸国を見ましても、今国際空港で、一本しか滑走路がない国際空港というのは、国際の看板をつけるのはおこがましいと思うくらいの状況になってまいりました。
 そういう意味では、諸外国を見ますと、国際空港で、しかも、成田を例にとりますと、一九七八年に開港して、二十五年間一本の滑走路、これでは国際の看板が泣くと思います。そして、日本が、今空洞化と言われますけれども、観光面においても、あらゆる物流の面においても、空洞化していくというのが目に見えています。
 そういう意味で、私は特に、こういう状況ですから、あるものを有効に使おうということで、羽田も有効に使わせていただこうということで、今、夜間は週四便ですけれども、四月一日から夜間七十便、そしてワールドカップサッカーのときには昼間も十便のチャーター機をおろそう、そういうことで頑張っています。
 また、第四滑走路というふうにおっしゃいましたけれども、羽田を拡張しようということで、これはありがたいことに、昨年の十二月の十九日、石原都知事と連絡をとりまして、四本目の滑走路を、少なくとも私たちは、国土交通省の案に、B滑走路にしていただくということで了解を得まして、これも早急にしていきたい。
 そして、あるものを、成田も、せっかく今まで努力いただいたんですから、成田から東京まで今まで五十分近くかかっておりますのを、これを三十分近くにしよう、これも今回の予算で入れさせていただいておりますので、十四年度、十五年度、集中的に、国際都市、国際空港にふさわしいものにしていきたいと思っております。
小林(興)委員 もう一点、大臣、これは簡単に、お金も要らずにできることなので、ぜひ実行に移してもらいたいんです。これはなかなか、事務当局に言っても、検討しているというだけの返事しか返ってこないのですが、実は今、深夜便、早朝便、これは十一時から六時という深夜、早朝を国際便に開放したんですね。
 しかし、実は羽田は、夜の八時半を過ぎますと、入ってくる便はあるんですけれども、もう出ていく便は、国内はないんですね。ですから、出ていかせることができる。あいているわけです。また、朝も、六時が早朝ですが、実は八時半まで羽田に国内からまだ入ってこない。羽田から早朝便が出るだけなんですね。したがって、入ってくる片道はあいているんです。
 この両方あいていることを考えますと、実は、十一時から六時じゃなくて、八時半から八時半、このレンジに国際便を飛ばすことができるんですね。そういたしますと、今大臣が言われました、夜七十便やろうというのは、行って帰ってくることがグアムなんかできるようになる、その日のうちに。そうしますと、実際に便がたくさん動くんですけれども、今のように十一時―六時で抑えちゃっていますと、行ったきり帰ってこれないわけですよ、受け入れてくれないわけですから。そうしますと、そんなにたくさんの便は飛ばない。
 どうせ、騒音といったって、行く便か帰る便か、そんなの、国内便だろうと海外便だろうと音が聞こえるんですから、それは実際行われているわけですから、ぜひ片道を埋めることによって、十一時―六時を八時半から八時半まで広げることができて、これはちっとも住民に影響を与えないということで、この時間帯を拡大してもらうということをぜひ大臣の決断でやっていただくことによって、抜本的な羽田空港の本当の使用をすることができると私は思うのですが、いかがでございましょうか。
扇国務大臣 小林先生は東京都御出身でいらっしゃいますから、思われることは当然だと思いますし、私も、今まで羽田で国際便を飛ばすなんということは成田開港以来できなかったことですけれども、今回は道を開き、昨年からこれを実行しているわけです。
 今の時間帯の幅を広げるということは、当然私も、ですから、五月の開催のワールドカップサッカー中は昼間もおろすということも、これも画期的なことでございますので、今おっしゃった便、そして、今少なくとも三十三カ国が順番を待っているわけです。この許容量が基本的に少ないということが大問題ですので、私はそういう意味では、近郊に四千メートル級がばんばんできていくのを指をくわえて見ているのでは日本の衰退につながると思って頑張っていきたいと思っていますので、御要望にこたえ得るように努力いたします。
小林(興)委員 お答えいただきました扇大臣、それから柳澤大臣、もう退席して結構でございます。竹中大臣も結構でございます。
 次に、経済を活性化させていくために、やはりもう一つ、情報通信産業、この分野が非常に大きいと思うわけでございますが、日本の情報通信産業のビジョンについて、きょうは片山大臣、そして平沼大臣、お越しでございますが、具体的なこのビジョンというものをどのように政府としては立てておられますか。
片山国務大臣 今、情報通信産業のお話がございましたが、これにつきましては、まず市場規模で、私どもの方は平成九年の四月に、電気通信審議会の答申で、情報通信二十一世紀ビジョンというのをつくっているんですよ。これによりますと、平成七年、九年につくったものですから平成七年が基準なんだけれども、平成七年、二十九兆の規模が、平成二十二年、二〇一〇年には百二十五兆になる、こういうことですね。
 それで、二十一世紀を支えるリーディング産業は情報通信分野だと我々は考えておりまして、推移を見ますと、IT不況なんということがありましたけれども、平成十二年に、ビジョンでは四十八兆ぐらいだろう、こう見ておりましたものが、平成十一年、六十一兆ですからね。そういう意味では、私はまあまあ順調に伸びていると。
 ビジョンは、これはe―Japan戦略ですよ。この情報通信関係も、e―Japan戦略アクションプラン、二〇〇二プログラム、こういうことの中で、我々の方はネットワークのインフラを担当しておりますから、これにつきましては、二〇〇五年までに、日本を世界で一番進んだIT国家にするために、一千万世帯が超高速ネットワークに接続する、三千万世帯が高速ネットワークに接続する、そのためにいろいろな方途を考えています。中心は民間事業者ですけれども、私は、これから公共も出ていって、例えば四年ぐらいで全市町村にイントラネットを整備したらどうだろうか、地域高速LANを、そういうことも考えておりますし、電子政府、電子自治体の話も、国会でよく議論になりますけれども、これは二年かかって申請や届け出は全部インターネットでオンライン化する、国も地方も一万六千件、こういうことをやっておりますので、その他のことも含めて、しっかりやっていきたいと思います。
平沼国務大臣 総務大臣が大体お答えになりましたけれども、私の認識は、今ITが非常に陰りがある、こういうことが言われておりますけれども、私は、今ファーストステージが終わってちょうど踊り場にいて、これからセカンドステージに向かって大きく飛躍をするんだと思っております。
 e―Japan戦略の中で、実は非常に着実に進行しておりまして、例えばブロードバンドなんというのは、去年の一月を時点にとると一万八千だったものが、去年の年末にはそれが百二十万になりまして、そしてさらに今年末には九百万に広がっていく、こういう形で着実にそういう条件整備が進んでいます。
 そういう中で、私は、ITというのは、家電ITを含めて非常に未来が大きく広がっていくと思います。例えば、BツーBという商取引でも、今は十一兆円ぐらいの規模ですけれども、これが二〇〇五年には百十一兆円になるだろう、こういう予測もございます。
 ですから、電子政府を初めとして、経済産業省としては、やはり技術革新、イノベーション、そういうものを真剣に、産学官連携の中でIT分野に力を注いで、そして、我々が描いている二〇〇五年までには先進のアメリカに追いつき追い越す、そういう形でいろいろな形で構築をしていく、こういうことで、私はITの未来というのは確実にある、こういうふうに見ております。
小林(興)委員 そこで、せっかく大情報産業化を、情報社会の建設に両大臣頑張っていらっしゃるわけでございますが、大臣等のお力で、今、日本に非常に光ファイバー網が建設されるようになりました。どこでも通っているわけです。
 しかし、例えば私の友人なんかは中小企業の人たちが多いわけですけれども、そういう中小企業が入っております中小の古いビルには、実は光ファイバーがすぐそばまで通っていながらそこはつながっていない。そのビルのオーナーが、自分の建物ですから、そのオーナーがうんと言わないとそこにつなぐことはできない。したがって、個々に入っている中小企業としては、どこか新しいビルに出ていかないと光ファイバーに接続することができないんですね。
 したがって、ぜひ政府の国家予算で、わずかな工事費、百万かそこらでしょうから、そういうもので、中小のビルのオーナーにそういうお金を与えて、そして光ファイバーをビルにつなげてやる。百万ぐらいでつながるわけですから、そうすれば、中に入っているところは、やりたければ全部光ファイバーを活用することができる。
 つまり、光ファイバーを皆さんの役所の、政府のお力で全部引いたにもかかわらず、あと一歩、中小企業で働くところにつながっていない、こういう問題がありますので、ぜひ大臣の英断でもってそういうつなげるような予算を措置をとっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 今小林委員御指摘の点は、かねがね関係のところで問題になっていることですね。
 特にマンションはなかなか難しいですね、入れる、入れないが。例えば、四分の三の同意が要るというものを二分の一でもできるような運用で考えておりますが、今の点は、一番末端のそれぞれの個人の問題になりますが、難しい点はありますが、大都市の中で一番おくれているなんというのは困りますから、そういうことを含めて、関係のところで十分検討してまいります。
小林(興)委員 ありがとうございます。どうぞ大臣、退席してください。
 そして、いよいよ情報化も推進をしていく中に、やはり大変な最先端産業ですから、教育の問題というのはあるわけですね。そういう中になりますと、やはり日本の高等教育がおくれている、そういう中にいろいろあります。施設について十分な金が注ぎ込まれていない。大学について、これから研究施設を拡大していくという話もあるでしょうけれども、しかし、そういう中にあって、先生が足りないという話があるんですね。外国人の優秀な講師、先生を日本の大学にもっと大量に呼ぶ、そういう交流については、文部大臣、いかがお考えでしょうか。
遠山国務大臣 委員お話しのように、優秀な外国人研究者を日本の大学に受け入れるということは、日本における教育研究を活性化させる点でも、あるいは成果を出す上でも大変大事なことだと考えております。
 このために、我が省といたしましては、科学技術、学術関係の国際交流事業におきまして外国人研究者を積極的に受け入れておりまして、平成十二年度には一万二千人を超える受け入れを行っているところでございます。特に、日本学術振興会では、外国人特別研究員制度等の事業によりまして、平成十二年度に三千三百人を超える外国人研究者の受け入れを行っているところでございます。
 また、各大学におきましても、これは大学のみずからの発想で外国人研究者ないし外国人教授たちを呼ぼうということを考えてくれればできる制度になっているわけでございまして、大いに活用していっていただきたいと思っております。
小林(興)委員 ぜひ超一級の研究者を日本に受け入れて、そして急速にそういう先生方の指導で学生のレベルがアップするような、そういう方策を大臣の力で進めていただきたいと思います。
 ちょっと飛んじゃったんですけれども、尾身大臣、大変失礼いたしました。尾身大臣、科学技術の振興という中に、日本の産業を振興させるために、やはり科学技術によほど大きな予算をつぎ込み、そしてよほどいいテーマを絞り込んで、まさに政治主導で日本の科学技術振興をさせていくことが経済の構造改革に大きく資するんじゃないかと思うんですが、最も経済に造詣の深い、しかも今科学技術担当をしておられます尾身大臣から、これからの科学技術の展望についてお伺いしたいと思います。
尾身国務大臣 今の経済状況を見ますと大変に厳しい状況にありますが、私は三つ要因があると思っております。一つは、いわゆる景気循環の過程における底にある、二つ目が、十年前ごろからのバブルの崩壊があって、まだその後始末がついていない、それから三つ目が、経済のグローバリゼーションに伴いますいわゆる産業の空洞化という問題であります。
 前の二つ、いろいろな関係大臣、関係者、御努力をいただいておりますから、私は、景気循環の問題とバブルの崩壊という問題は時間がたてば解決するような問題であるというふうに考えております。
 ただ、経済のグローバリゼーションに伴います産業空洞化という問題は、これはまさに日本経済の構造的な問題でございまして、我々が努力をして解決をしていかなければならない極めて大事な問題であり、そしてこの問題の解決こそがまさに小泉構造改革の一番のポイントになってくるというふうに考えております。
 このためには、私どもは科学技術を振興させて、新しい産業を起こし、新しいベンチャーを起こし、新しいサービスを起こしていく、そのことによって頭脳で勝負するような国に日本という国をつくりかえていかなければならない、これが非常に大事だというふうに考えているわけでございまして、私は日本経済の再生のゴールデンキーは科学技術の振興にあるというふうに考えております。
 特に、その中で大学の頭脳を産業の活性化に生かす、あるいは地域における科学技術を振興させるということが大きなテーマになっているわけでございますが、十四年度予算につきましてはこの点についてもかなりの金額をふやしていただいておりまして、そういうことを軸として日本経済の活性化を図っていく、それによってこれから二十一世紀に向かっての活路を見出して、一流の経済産業国にしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。そのためにも、この科学技術創造立国を目指して、国挙げて頑張っていくということがどうしても必要であるというふうに考えているわけでございまして、ぜひとも御支援をお願い申し上げます。
小林(興)委員 大臣、ありがとうございます。
 大臣にぜひ、今文部大臣あるいは経済産業大臣と手を結んで、産学官の大きな共同作業によって、まさにかつて日本がやってまいりました大型プロジェクトというような国家プロジェクトに民間の力を加えて、あるいは学界の力を加えて、そして具体的な最先端技術を、大型技術を開発していくように御尽力をいただきたいと思います。大臣、結構でございます。
 今、日本の産業の中で非常に大きな問題は産業の空洞化ということになっておりまして、つくる方から片端から出ていってしまったのでは、日本の経済をどうやって拡充していくかということになるわけでありますが、産業の空洞化について、経済産業大臣、どうお考えですか。
平沼国務大臣 御指摘のとおり、産業空洞化というのが今顕著でございまして、例えば一九九〇年を見てみますと、いわゆる海外への移転率というのは六・四%でございましたけれども、それが直近では一四・六%まで高まっていて、そしてこの五年間でも三〇%移転率がふえている。特にお隣の中国を中心として、そういう意味では空洞化が進んでいるということは事実です。
 これは、言ってみれば、日本の産業力、産業潜在力を低下する、こういうことにもつながりますので、ここをやはり歯どめをかけていかなきゃいけない。そのためには、やはり一つは高コスト構造を是正して、そして環境を整備するということも大事ですけれども、日本はまだ潜在力があるわけですから、イノベーションというものをしっかり起こして、そしてそのイノベーションによって一歩ずつ先んずるような、やはりそういう産業構造をつくっていく、こういう形でそこに重点的に政策の力点を置いていく、こういうことが必要だと思っておりまして、今そのために高コスト構造の是正ですとかイノベーションだとか、新しい企業を起こすためにどういうインセンティブを与えるか、こういうことを一生懸命にやっているところであります。
小林(興)委員 まさに中長期的な方向としては今平沼大臣がおっしゃったとおりだと思うわけでありますが、当面の問題として、中小企業の皆さんから、生産現場の皆さんから聞こえてくる声は、とにかく日本人が、私たちがやっている、ある中小企業については、働きに来てくれない、したがって、そこはぜひ外国の、特にアジアの方で働きたいという人に入ってきてもらって一緒に仕事を手伝ってほしい、そうすれば、また技術もその人たちに伝授して、そしてまた国へ帰ってその国の産業を起こすこともできるという中に研修制度というのが非常に大きなウエートを占めてくると思うわけであります。
 その際、心配なのは、一つは、失業率が上がってきておりますので、そういうことをして外国人を入れると日本の国内の労働者が失業するんじゃないかというふうに言われがちなんですけれども、しかし、そこは、今中小企業の話を聞きますと、来る人がいないので、別に、日本で失業した人が入ってくれない、そういう職種なんだということがあるわけでございます。そういう意味で、外国人の研修制度というものについて、厚生労働大臣、どうお考えでございましょうか。
坂口国務大臣 言わずもがなでございますけれども、開発途上国の人づくりをどう支援するかということで技能実習制度というのはでき上がったわけでございます。つくりましたときにはわずか十七職種でございましたが、現在五十九職種にふえております。
 これからも、開発途上国のニーズを十分に踏まえまして、そして、皆さん方が、こういうことで日本の技術を学びたい、そういうことで勉強したいと言ってお見えになる、そうしたことにつきましては十分に私たちもこたえていきたいというふうに思っております。
小林(興)委員 今大臣が非常に前向きな答弁をしていただきましたので、多くの中小企業も喜んでいるかと思うんですけれども、その際、日本にせっかく来るときに、日本の技術を教えるのに、やはりどうせならすぐに教えたら覚えるというのに何が大事かといいますと、一つは語学なんですね。日本に来てからまず日本語を勉強して、それから技術の勉強といいますと、非常に時間がかかる。という意味では、日本に来るときに日本語を知っていて来てもらうと実は非常に助かるという話があるんです。
 今、アジアの国々で日本語を勉強しようという熱が高まっているんですが、私は、ODA予算等の一部を割いて、アジアにもっともっと本格的な日本語センターというものを設けて、そして、文部省から教える人を出していただいても結構ですし、ODA予算は外務省が握っているんでしょうけれども、外務省の予算の中でもう少し日本語教育を抜本的にアジア全体に広げる、そういうことについては、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
川口国務大臣 海外における日本語の普及は、日本文化の理解の促進及び国際相互理解の推進のために非常に重要であると考えております。
 外務省は、国際交流基金を通じまして日本語教育の普及に努めておりまして、アジア諸国におきましても、日本語学習者の増加など、成果が上がっていると考えております。国際交流基金の日本語センターは、バンコク、ジャカルタ、クアラルンプール及びソウルに設置されておりまして、研修セミナーの実施、それから図書館の運営等を行っております。
 外務省といたしましては、今後とも日本語教育の普及に努めてまいりたいと考えております。
小林(興)委員 どちらかといいますと、外務省の方針は、政府の金だから相手も政府的なところに出したいということで、純粋の民間の草の根みたいなところになかなか金が回ってない。
 しかし、語学を教えるのは別に公立でなくてもいいわけでありまして、日本から帰った留学生がやる私塾みたいなところでも日本語は十分に勉強できるわけでありますから、私は、ODA予算の一部を割いて、もっともっと民間のところにお金を、その日本語学校にも外務省の金が、つまり日本国の金が流れるような、語学についてもそういう抜本的な拡充をしていただきたいということを大臣にぜひこの際申し上げておきたいと思うのであります。
 そしてまた、日本から日本語を教える先生について、文部省としてもかなり予算を組んできてはいらっしゃると思うんですけれども、これについては文部大臣、いかがお考えですか。
遠山国務大臣 海外におきます外国人に対する日本語教育は、今外務大臣から御説明ありましたように、主として国際交流基金が中心となってやっていただいていると思っておりますが、我が省といたしましては、外務省等関係省庁と連携協力を図りながら、外国の中等教育施設に現職教員を派遣しております。ただ、この数はまだ十分ではございません。
 ただ、最近は、インターネットを利用して日本語教育支援のための各種情報を流しておりますし、特に映像、音声など多様な教材等作成用の素材を提供いたしておりますが、これは中国などの辺地におきましても大いに活用され始めておりまして、いずれにいたしましても、いろいろな手段を活用しながら、こういう問題について取り組んでいきたいと思っております。
小林(興)委員 ありがとうございます。
 それで、また先ほどの問題ですけれども、外国人の方が研修で来られる。そのときの最大の問題は、一応日本に入るわけですから、やはり入管でチェックをしなければならない。大勢の方が来ますと、その分入管も大変になってくるわけであります。そしてまた、入った人がそのまましっかりと研修制度で勉強して帰っていただければいいんですけれども、それについて、突然行方不明になったりして、いろいろな問題が起こるということを大変法務省は問題にしていると思うんです。
 こういう問題に対して、しかし、ここで入らないということになりますと、なかなか人もふえてこないという中に法務省としての悩みも多いかと思うんですが、こういう外国人研修制度を拡大したときに、法務省としては十分に対応できるかどうかということについて、法務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
森山国務大臣 今まで各大臣からお答えがございましたように、技能研修生あるいは留学生その他、お互いにそれぞれ大変貢献し合っているというふうに思いますし、途上国の発展のために日本がそういう意味で貢献できるということはプラスだというふうに思っておりますが、今先生御指摘のようなマイナスの面もあるわけでございまして、その点を非常に心配しているということは確かでございます。
 しかし、最近、この問題について世間の、社会的な関心も大変高まっておりまして、日本の治安、日本の安全、日本人の生活の安心ということを考えなければいけないということで、御理解をいただきまして入国管理局関係の予算の中で、十四年度の予算案の中には百二十人の増員をお願いするということになっております。十分ではございませんけれども、精いっぱいその人員を活用いたしまして、成果を上げたいというふうに思っております。
小林(興)委員 文部大臣、経済産業大臣、結構でございます。外務大臣も結構です。
 それでは、引き続き法務大臣にお伺いしたいんですが、途中で脱走する、これはみんな逃げるという人は、不良外人とか言っていますね、そういうふうになっていくわけであります。また別の面では、新宿あたりに行きますと不法滞在している人たちが非常に多くて、その中には、もちろん生活のためやむを得ないという、普通に生活している人もいるんでしょうけれども、場合によっては、つまり泥棒だとか強盗だとか、悪い人たちになっていくということがあって、非常に日本人の中に、したがって外国人が来ることは嫌だ、こういう雰囲気が広がっていることがこの外国人受け入れに非常にマイナスだと思っているわけです。
 そういう途中でおかしくなってしまった人に対する、取り締まりは一応は入管でしょうから法務省なんでしょうけれども、法務省でこの取り締まりというのは十分に今できているのでしょうか。
森山国務大臣 警察のお力も拝借いたしまして、両者協力してやっております。
小林(興)委員 今、警察というお話がございました。
 町に出ますと、警察の方も一生懸命交通取り締まりなんかでは頑張っている姿はよく見るわけです。しかし、我々国民が期待しているのは、別に交通取り締まりをやっちゃいかぬというわけじゃないですけれども、やはりもっとおっかないところに警察官が常時体を張って頑張っていただいて、そして我々の生活を守ってほしい、こういう希望が多いわけですね。そういう中で、どうしてこの不良外人と思われる人がうろちょろしているのに警察は取り締まってくれないんだろうかという声が我々のところに届いてくるわけであります。
 そういう意味では、何かよく強化月間、交通については取り締まり強化月間といって、しょっちゅうシートベルトがどうだこうだと強化月間をやっているんですけれども、不法滞在といいますか不良外人取り締まり強化月間とか、そういうものを少し警官の方を集めていただいて抜本的にやるとか、そういうことについて国民の期待は多いと思うわけですけれども、国家公安委員長、いかがでございましょうか。
村井国務大臣 全く同感でございまして、来日外国人の犯罪というのは実は非常にふえておりまして、さらに凶悪化あるいは組織化というような傾向がございます上に、地方への拡散というような現象も顕著でございます。
 例えば一例、強盗でございますけれども、これは十年前に比べまして検挙件数で約三倍ということまでいっております。
 私どもも大変危機意識を持っているわけでございますが、この背景には、今委員御指摘のように、不法入国者の存在、あるいは不法滞在者が高水準で存在している、こういったこと、それとまた不良日本人との連携というのがこれは出てまいります。
 それで、警察におきましては、これの実態解明を図るとともに、部門の壁を超えましてプロジェクトチームを組みましたりいろいろいたしまして、また入管とも連携をとりまして、一生懸命やっているわけでございますけれども、何分にもこれは非常に手間がかかる。言葉がわからない、日本語がわからないふりをしてみたり、いろいろ目に余ることがございます。
 私どもといたしましては、去年の七月に、官房長官を本部長に、それから私、副本部長になりまして、関係の省の副大臣にメンバーになっていただきまして、組織的窃盗対策等に対する国際組織犯罪等対策推進本部というものを立ち上げまして、いろいろ具体的な提案もいたしております。
 それから、これは国際協力が大事でございまして、実はこの一月に私、北京へ参りまして、中国の賈春旺公安部長と、それからその上に羅幹という国務委員がおりますけれども、これと会談いたしまして、日中協力してしっかり不法外国人、不法中国人に対する取り締まりをやろうじゃないかと。これは、今委員おっしゃるように、日本にきちんとした形で仕事をしておられる善良な外国人の名誉のためにも大切なことだということで、合意をしてきたところでございまして、今後とも、御指摘に沿いまして、しっかりやってまいりたいと存じます。
小林(興)委員 外国人研修生の受け入れについて厚生労働大臣から前向きなお話をいただく中に、法務省も、また国家公安委員会の方でも、しかるべきことはやってくださる、こういうお話を承りました。
 そういうことを実行していくためには、最後は、やはり必要な人員とかなんかについては思い切った予算措置も必要ではないかと思うわけでございますが、適時、必要な予算については絶対つけてやる、こういう財務大臣のお答えを最後にいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。財務大臣。
塩川国務大臣 今小林先生から御質問されたことは、全部、内閣としては新しく重点分野として取り上げているものばかりでございますので、今後ともその重点分野における予算の配慮ということを格段に強めていきたいと思っております。
小林(興)委員 お忙しい中、多くの閣僚の皆さんにおいでいただきまして、貴重な御意見を賜りましたことに心から感謝申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
津島委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。
 次に、河村たかし君。
河村(た)委員 河村たかしでございます。(発言する者あり)ありがとうございます。もうちょっと待っていただいたらいいと思います、実現いたしますから。
 本日は、前回の国税庁の疑惑については、お話ししましたように、小泉さんも積極的なお言葉をいただきましたので、若干一週間ほどですけれども、対応を見たいと思っておりますので、また後日ということで。
 きょうは、この間、ここにパネルを持ってきて、ちょっと出しましょうか、これは見えるようになっております。一月二十四日の日に、ここで菅さんが質問をいたしまして、あのときは眞紀子さんが鈴木さんの名前が出たということがあって、それで午後はうそつきだとかいうような話でもめた日の夜十一時半から、眞紀子さんを抜いて、鈴木さんと松岡さん、それから外務省の重家さん、小町さん、それから上村さんもお見えになりましたかね、そういう方が十一時半から密会をされておりました、密会を。
 要するに、その場でとんでもないことが起こった。外務省はわかっていますよ。NGOというのが今どれだけの力があり、どれだけの大切なものかと。それがそういう圧力というか、そういう言葉はいいですよ、そういうものによって出席が没になってしまった。これはとんでもないことであるということを、要するに口裏を合わせた。そういう疑惑というか、会ったことは間違いないです。そのことについてお話をしたい、こういうことです。
 ちょっと事前に、二、三分ですけれども、鯨のことをずっとやってまいりまして、非常にシンプルにぱぱっと伺いますから、淡々とお言葉をいただければいいです。
 いわゆる捕鯨問題について、武部さんの方に。
 IWCへの対応は、科学的必要性と持続的利用の原則に基づいた調査捕鯨計画とすべきではないかということで、武部さんに、端的にお答えください。
武部国務大臣 捕鯨問題に関しましては、今委員からお話ありましたように、我が国は従来から、持続的利用の原則、科学的根拠重視の原則、食料問題への長期的対策及び文化の相互理解の四つの観点から取り組んでおりまして、資源的に問題がないことが明らかになった鯨種については、科学的根拠に基づきまして持続的な利用が認められるべきと主張しているところでございまして、鯨の捕獲調査につきましても、これまでと同様、科学的根拠重視の原則と持続的利用の原則を基本として調査計画を策定し、実施してまいっておるわけでございます。
河村(た)委員 それでは、外務大臣に、外務省としてそういう方針をきちんと対外的に強く説明する必要があるのではないか。そういうことを申されているか、それが日本外交の一つの試金石になるのではないか、そんなことで、端的にお答えください。
川口国務大臣 先ほど武部大臣がおっしゃられましたような方針を、外務省も国際捕鯨委員会等の場できちんと今までも主張をしてまいってきておりますし、今後とも引き続きやっていきたいと考えております。
河村(た)委員 それは、いわゆるIWCで認められた調査捕鯨、それは正当な権利ですよね。だから、それをさらに強く主張していくということでいいですね。もう一回。
川口国務大臣 捕鯨調査につきましては、IWC条約八条にのっとりまして、健全な鯨資源のみを対象として実施をしているわけでございます。
 従来より外務省は、捕獲調査の正当性と必要性につきまして、在外公館を通じまして各国にきちんと主張してきてまいりましたし、捕獲調査の……(河村(た)委員「強く主張すると」と呼ぶ)強く主張してきてまいりましたし、捕獲調査の実施につきましても、引き続き粘り強く関係各国に主張してまいりたいと考えております。
河村(た)委員 何か、日本でことしはやるそうですので、そこでもう一回、さらに強く頑張っていきたい、主張していきたいと、もう一言言ってください。
川口国務大臣 おっしゃるような方針でやりたいと考えております。
河村(た)委員 ありがとうございました。
 それでは、お待ちどうさまでございました。この密会問題について、きょうは――武部さん、結構でございます。どうもありがとうございました。お話をさせていただきたいと思います。
 まず、これをもう一回ちょっと出しましょうか。初めに、これは店が二つ書いてあります。一応ABCDで書いてありますが、まず、鈴木さんがTBSの地下になりますか、このZというお店ですが、ここで会われておったということですが、まず上村課長、この二十四日の夜ですけれども、上村課長は、鈴木さんと夜一緒におられましたね。その店の名前をおっしゃってください。
上村政府参考人 お答え申し上げます。
 一月二十四日の夜、私と国連関係者、これはアフガニスタンの復興会議に携わった国連関係者でございますが、鈴木先生にお招きを受けまして、赤坂のステーキのお店に……(河村(た)委員「ざくろという店でしょう」と呼ぶ)はい。ざくろという店に招かれておりました。
河村(た)委員 そこにはどういう人が出ていましたか。
 余り遠くにいないで、そこら辺に座っていてもらうわけにいかぬですかね。まあ、いいですけれども。
上村政府参考人 お答え申し上げます。
 その国連関係者と私と、それから総務課の課員が同席しておりまして、先方は鈴木先生の関係者だったと記憶しております。
河村(た)委員 支払いはどうだったですか。
上村政府参考人 お答えいたします。
 鈴木先生がお支払いになったものだと思っております。
河村(た)委員 まず、これはすぐ何でもかんでもごちそうになるんですかね。こういうものですか。倫理規程違反じゃないですか、これは。
 もう一つ、それもありますけれども、官房長とか局長というのは、この会は前から知っていましたか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、今上村課長に御質問の倫理規程との関係でございます。これは倫理規程上問題ないというふうに了解をしております。
 それから、この鈴木先生の慰労会といいますか、会合は、まさにアフガン復興会議が一段落した段階で、国連関係者の慰労ということで行われたものというふうに理解をしております。(河村(た)委員「いつからセットされましたか、この会は」と呼ぶ)ちょっと私自身はそれは……。
河村(た)委員 いつからセットされましたか。
上村政府参考人 お答え申し上げます。
 私がお誘いを受けましたのは、その日の夕刻であったと記憶しております。
河村(た)委員 夕刻。どうもおかしいな、やっぱり。慰労会、慰労会って、普通だったら、もっと前から何人か集めてやりますよ、そんなの。当たり前じゃないか、そんなこと。またうそだ、これ。本体の会は夜中にあったんだよ、十一時半に。そこで口裏を合わせる必要が出てきたんだ。午前中大変なことが起きた、外務省大変だ、外務省を守らないかぬ、それから大好きな鈴木さんを守らないかぬ、そういうことなんだよ。それで、にわかに、後でもう一つの会を言います、松岡さんの会。にわかに何かいわゆるでっち上げたんだよ、この会を。夕方聞いたんじゃないか。何がアフガン復興支援会議の慰労会ですよ。こんなものが突然夕方セットされるのは考えられぬ。そうでしょう。
 では、聞きますが、この会へ鈴木さんがお見えになるんですが、あなたは外務省の方だ。幾ら昔あなたが田中眞紀子さんともめてあの人が嫌だといっても、やはり午前中とんでもないことが起きたわけでしょう。昼からは、要するに宗男さんがそんなことは言っておらぬ、眞紀子さんはうそつきだと言った。そんなところに宗男さんに呼ばれて勝手に行ってもいいんですか、あなた。勝手かどうか知りませんが、あなたの上司は眞紀子さんですよ。上司でない、敵と言っちゃ語弊があります、ちょっと言葉は慎みますが、もめた対象者のところにのこのこと出ていくんですか。慰労会なんてうそだよ、それは。言いなりになっていいのかということですよ。どうですか。
上村政府参考人 お答え申し上げます。
 私は、当時、総合政策局の企画官をしておりまして、その際に、アフガニスタン問題の調整連絡役を務めておりました。その職責上、国連関係者と私は連絡役を務めておったということがございます。したがいまして、私は、その調整役という役目で鈴木先生にお招きをいただいたというふうに理解しております。
 したがいまして、確かに御指摘のとおり非常に思いの至らなかったところはあると思います。そういうことでございますので、李下に冠を正さずということを深く受けとめております。
河村(た)委員 うそだ、うそだ、うそなんだよ、これが。アフガンで今までやっていたと言ったって、電話がかかったのは夕方ですよ、慰労会だって。そんなの、プロだったら前からセットされてわかっているじゃないの。だれだって、あ、これは、きょう起こったことで、眞紀子さんの、あの人はどうなのこうだのということは私も言える立場に若干あるから、そういう打ち合わせをするんだな、そう思ったんじゃないですか、あなたは。
上村政府参考人 二点お答え申し上げます。
 私は、先ほど申し上げましたとおり連絡役を務めておりました。という関係で、確かにその席にお招きいただきましたのは夕方でございますが、実は、その国連関係者というのがその翌朝日本を離れることになっておりました。したがいまして、私にとっても、いろいろ今後の事務の打ち合わせをするのに最後の機会であったということはあったと思います。
 それから二つ目は、そういう先生の今御指摘の後段の部分、国会答弁の関係で何か打ち合わせをするとか、私の申し上げたいことを申し上げるとか……(河村(た)委員「口裏合わせをするということ」と呼ぶ)口裏合わせをするとか、そういうことは一切ございませんので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
河村(た)委員 それは、口裏合わせをするために集まったと言ったら大変だよね、これは。それは言わない。だけれども、こんな夕方に集まって、とんでもないよ。何が……(発言する者あり)まあ、そういうことだ。事務の打ち合わせをなぜざくろでやるのかということもあるが、まだほかの疑惑があるから、松岡さんの会の。ここはちょっと先に進みたい。
 川口さん、今の話を聞いていて、どう思われます、あなたは。外務省改革といって何か自民党もやっておるようだし、新聞に出ていますよね。不当な圧力を排除しよう、透明性を高めると言っていますよね。こういう方が現にいて、本当に改革できるんですか。どうされますか、あなた。
川口国務大臣 外務省の改革ということは非常に重要なことであると考えております。
 そのために、私は、先般、「開かれた外務省のための十の改革」というものを発表させていただきまして、変える会という第三者委員会の場でそれを御検討いただき、タイムスケジュールもきちんと決めまして、アクションプログラムも決めまして、進めていきたいと考えております。
河村(た)委員 あなた、評論家で学者じゃないんだよ。変な大学かなんかの講義しないでくれよ、これは。今の具体的こういう問題を含めて……(発言する者あり)変な大学はやめます、立派な大学の、そんな講義じゃないんだよ。あなたは実際の政権を担当しておるんでしょう。いろいろな各論について何かやらないじゃいかぬのじゃないですか、今の話を聞いて。大臣の部下だったんだから、あの人は。いいですか、彼の指揮者というのは眞紀子さんだったんだから。その人の問題になった相手方の人と、夜、突然電話がかかってきて、変な会合だといって、変なことでっち上げて、そういうところで集まって相談している。こういう人は何か処分要るんじゃないの。どうですか。
川口国務大臣 河村委員には、そこの場で答弁について打ち合わせがあったのではないかという御推測をなさっていらっしゃいますけれども、私は、この点について聞きまして、そういう事実はなかったという報告を受けております。
 ただ、申し上げたいのは……(河村(た)委員「こういうときに集まってやっていることについてどうかということですよ」と呼ぶ)
津島委員長 答弁を続けてください。
川口国務大臣 ただ、申し上げたいのは、これは、先日も申しましたように、外務省への信頼を、国民の目から見ての信頼を回復しなければいけない、こういった時期に、この間官房長官もおっしゃいましたけれども、李下に冠を正さず、瓜田にくつを直さずといったことをきちんと守る必要があると思っておりますし、この点について、そういう行動がとれなかったということについては私は遺憾だと考えておりますし、外務省の人たちには、そういうことは既に言っております。
河村(た)委員 何らかの処分をするということはないんですね。処分というのは大きいことですけれども、注意をするとか、そういうものを含めてですよ。どうですか。少なくとも口裏を合わせたなんて言うはずないじゃないですか。そんなばかな話ないんですよ。そういうところに突然呼ばれて、自分の仕えている上司と対立するであろう人と一緒に、多分一杯飲んどったわけでしょう。そういうことはいいんですか。それについて注意するとか、何かされたらどうですか。
川口国務大臣 そこで話し合われたことについては、私は、委員のお持ちのような推測はいたしておりません。
 それで、その点につきまして、先ほど申しましたように、李下に冠を正さず、瓜田にくつを直さずということで、注意するようには私は既に申しております。
河村(た)委員 やはりだめですね。これはもう中身を守っておるだけで、本当にすべてを明らかにしようという姿勢がない。そんなことをしておらぬなんと言うことは当たり前のことですし、あり得ない。
 それと、慰労会というのは外務省がやるんじゃないのかね、これ。鈴木さんが慰労会を主催するわけ、これ。それも突然。大臣、どう思いますか。
川口国務大臣 慰労会ということにつきましては、これは、そういうことについて、それぞれの方がこの会議についてそれぞれの思いがおありでいらっしゃいましょうし、そういう思いに基づいて慰労会をなさりたいと思われる方がなさったんではないかというふうに思います。私の立場からは、どちらがすべきであるとかというふうなことについては、何ら予断は持っておりません。
河村(た)委員 外務大臣として、慰労会、外務省としてフォーマルなやつはやったんですか、それじゃ。やってないんだ、やってないんだよ。こんなの簡単に答えられるじゃないか。省のことを聞いているんだよ。
杉浦副大臣 翌日だったと思います、二十五日だと思いますが、大臣から、アフガン問題の関係者が大臣の部屋へ呼び集められまして、幹部、私どもも参りました。あれは大臣室の奥の大会議室ですが、そこで、大臣として、皆さん御苦労さんでしたと、いわば御苦労さん会がなされました。ビールとかつまみぐらい出ておりましたが、開かれております。
河村(た)委員 その会は、別にお酒が出たわけじゃなくて、まあいわゆるミーティング的なものだったんですね。
杉浦副大臣 ビールとおつまみ程度が出ておりまして、軽食と申しますか、和やかな会でございました。
河村(た)委員 要するに、こういう慰労会なんというのを特定の議員が何か夜中に突然主催して、お金を全部持ってやったと。本当の、本当のかどうか知りませんが、外務省のものはこそこそとやっている。何か本当の慰労をするのは議員がやって、何かちょこちょこっとやるのは外務省がやる、こういうことなんだよ、要するに。もうずぶずぶなんだよ、議員と。こういう実態がわかりました。
 それでは次に、もう一つの会があります。(発言する者あり)ずぶずぶということは、議員と役人がもう抜き差しならぬ関係になっておるということです。そういうのを日本語でずぶずぶと言うんだ。
 それでは、これは重家さんかな、重家さんにお伺いします。
 一方、あるお店に集まっておられたというんですが、どういうふうで集まっておられたですか、ここは松岡さんとの話のようでございますが。どのお店で、どういう理由で行かれたかということをお答えください。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 二十四日の夜、私は、小町官房長とともに、松岡利勝先生の、私の主管しております地域の国の外交団を呼んだ席に急遽呼ばれまして伺ったということであります。私自身はおくれて参りまして、十時半ごろだったかと思いますが、そこでお伺いしたということであります。
河村(た)委員 そうしますと、今、前回私が聞いたときの会議録がありますが、重家さん、「お答え申し上げます。二十四日の夜、私は、官房長と一緒に、松岡利勝先生、吉田六左エ門先生主催の在京外交団、これは私の局の所掌している地域の国の外交団でございましたが、との夕食がございまして、」ということで、まあこういうことでよろしいんですね。こういうことでいいんですね。
 では、もう一回答えてください。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 私がお伺いしたときには、吉田先生はもう既におられませんでした。
河村(た)委員 一つ言います。ちょっと今メモが入りました、ちょっとわかりませんが。
 まず、あなたはそう言いましたけれども、今急遽言いましたけれども、吉田さんが見えなかったと。吉田さんがお見えになるから私は名誉のために言っておきますよ。彼は主催していないんだ、全然、悪いけれども。本当ならここでしゃべってもらってもいい。だけれども、そういう手続がないから、ないからやりませんが、私、御本人から本当のことを聞きました。吉田さんは、時間が何時だったかな、突然、八時半ごろ松岡さんから電話が来て、ちょっと顔をかしてくれと言われて行ったんですと。私は主催なんてとんでもないんだと。本当のことを言ってほしいと。私もやはり、本当のことを言わないかぬ。議員というのは選挙区もありますし、非常に誠実な方ですから、吉田さんというのは。あなたは、うそじゃないか。冗談じゃないよ。「松岡利勝先生、吉田六左エ門先生主催の」ですよ、二人の。何でこんなうそをついたんだよ。これ答弁してくれよ。
重家政府参考人 松岡先生と吉田先生の共催というふうに聞いておったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、吉田先生はもう既におられませんで、かつ、私のところにお声があったのは松岡先生でございます。
河村(た)委員 シリア大使がお見えになったという話がありますけれども、話じゃない、これは私はっきり聞きました。二月七日の日に、私、こういうことで松岡さん、鈴木さん、そして当局、外務省が会って、夜密会をしたという情報を得ましたので、それで聞いたんだよ、外務省にきちっと。そうしたら、どう言って答えたと思いますか。
 二十四日夜……(発言する者あり)なぜ密会か、今からわかる。初めの答弁では言わなかったんです、外務省は。今から言います。
 二十四日夜、松岡利勝先生がシリアの大使を招いて食事をしていた。そこに松岡先生から要望を受けて小町官房長、重家局長が同席していた。用件は、シリア大使館の土地建物をめぐる問題の相談だ。他方、同じ夜、鈴木宗男先生が、アフガン会議の慰労会として外務省関係者多数を招いた食事を主催していた。小町、重家はこの会には同席していない。こういうふうに返事してきた。
 これは、そう言えばそのとおりに聞こえるんだよ、僕。ああ、同席していなかったと。じゃ、この話というのはやはりなかったんだなと一時私は思ったよ。(発言する者あり)そういうことなんだよ。今言われた鈴木宗男さんの会議には、重家さんと小町さんは出ていなかったということを、坂場総括審議官さんがお見えになって、目の前でメモしました。こういうふうでいいですねと言って、そのとおりですと言ったのが今の書類です。
 これをぱっと聞くと、この後、僕は、ああそうか、まあこれはやはり無理だから――変な推測じゃ私、質問しませんよ。だから、ああこれはだめなんだなと思って、ちょっと、うちに帰ってビールを飲んだ後かな、何かわかりませんけれども、おかしいなと。だけれども、これ、終わってからどうなったんかなと思ったんだよ、この会は。それで、改めて聞いたら、実はこうだとわかったんだよ。
 なぜ言わないんだよ、外務省は初めに。僕は二つの会を言ったんじゃないよ。夜会っていませんでしたかと聞いたんだ。そうしたら、何とこんな答えが返ってきた。密会じゃないか、これは。おれだって議員だぜ。ちゃんと国民から税金をもらってやっているんだよ。これを議員にはちゃんと言わないかぬ、夜会っていたかどうか聞いたら。だから、僕は物すごく怒っているんだよ、特に。隠そうとしたんだよ、隠そうと。(発言する者あり)そういうことなんだ。隠そうとしたでしょう。外務省。
重家政府参考人 全くそういうことはございません。
河村(た)委員 聞いてくださいよ、全然違うからね。そういうことがないなら、正直に言えよ。うそもいいかげんにしておいてもらわないかぬ、あなたじゃないけれどもね。あなたじゃないけれども。坂場さんだ、坂場さん。聞いてください。やめてくれ、こういう話は。やっぱり議員には本当のことを言わないかぬよ。議員には本当のことを言わないかぬ。そうでしょう、委員長。どうですか。
津島委員長 河村君に申し上げます。
 委員会における質疑でございますから、表現等については適正を欠かないようにお願いをします。
河村(た)委員 適正を欠いているのは外務省ですよ。私がなぜ適正を欠いているんですか。冗談じゃない。
 私は国民に本当のことを知らせたいんだ。こういう問題が出てきたときに、実は、役人と議員というのは、夜集まって一杯飲みながらいろいろな答弁の打ち合わせをする、こういうふうなずぶずぶの関係があるんだ、こういうことを私が言いたい。わしがなぜ不適切なんですか、これ。外務省が不適切なんです。まあいいや、こんなことは。
 続けます。それと、シリア大使を招いてと言っていますけれども、シリア大使は本当に来たんですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 シリアの臨時代理大使がおりました。
河村(た)委員 臨時代理大使。それじゃ名前を聞きましょうか、名前。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 シリアの臨時代理大使は、ハイダールという名前でございます。
河村(た)委員 シリア大使とは違うんですか、これ。代理大使、臨時代理大使。これはどうしましょうか。そうでないという可能性があるんですけれども……(発言する者あり)ちょっとわかりませんけれども。最初は大使と言いましたから、違いますけれどもね、それは。臨時代理、これは違う。それじゃ、これはもう一回またきちっと確認しましょう。これは、申しわけないけれども、私どもももう一回確認しますので。
 シリア大使がどういう方であって、どういう話であったか。土地の話をされておったということは事実のようです。これは集まった方がシリア大使、少なくともシリア大使ではない、今。それから、いろいろ向こうも何か言いたいようです。だから、委員長、これはまた後日、別の質問の機会でやりますけれども、これがもし違っていたら大変ですよ。
 土地の問題に官房長がなぜ行くんですか、官房長。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 私もその日松岡議員からお声がかかりまして、急遽この席に行きました。この席でシリアの臨時代理大使、たしか今シリアには、重家局長の方が正確に申し上げることができるかもしれません、シリアには大使がおりませんので今臨時代理大使が代表を務めているということだと思いますけれども、そのシリア大使との間でどういう話がなされたかについては、私の方から申し上げることは差し控えたいと思います。
河村(た)委員 ただ何ですか。ただついていっただけなんですか。その大使館の土地の問題のための協議に行ったんじゃないんですか。どうですか。何の話をしたんですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 シリアの臨代とどういう話があったかにつきましては、相手との関係もございますので、詳細は差し控えさせていただきたいと思います。
河村(た)委員 事前通告もしていますし、はっきり、二月七日の日に外務省の坂場総括審議官が私のところへ見えて、これはちゃんと確認しています、これでいいですねと。そこで用件はシリア大使館の土地建物をめぐる問題の相談ですとはっきり答えております。坂場三男総括審議官さんです。それを答えられなかったら、これはだめですよ、うそですよ。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 坂場審議官がどう御説明したのか承知しておりませんが、相手国政府との外交関係もございますので、詳細申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。(河村(た)委員「だめだ、だめだ、これ」と呼ぶ)
津島委員長 河村君、質問してください。(発言する者あり)
 河村君に申し上げます。
 外交上の問題もあると理解をしておりますので、その取り扱いについては理事会にお任せをいただきたいと思います。(発言する者あり)ですから、理事会で相談します。(発言する者あり)
 それでは、ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 河村委員に申し上げます。
 それでは、整理をした上で今答弁をさせますから、論点を絞ってもう一度御質問ください。(発言する者あり)いや、河村さんに、絞って質問をしてくれとお願いをしています。
 河村さん、質問のポイントを絞って質問をしてください。(発言する者あり)
 じゃ、速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 それでは、速記を起こしてください。
 重家中東アフリカ局長。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 シリア大使館の土地、建物についても議論がありましたけれども、その中身については、外交上の関係がございますので、申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
河村(た)委員 松岡さんがこういう話を全部知っておって、予算委員会で何もわからぬて、どういうことですか、これは一体。癒着そのものじゃないですか。
 では、外務大臣、松岡さんが知っておって、全部やっておるわけですよ。松岡さんが何で知っているのですか。何をやっておるの、これ。どういう資格なんだよ、一体。こんな、外交の機密と言うのだったら、何をやっているんだよ、これ。これを私たちに全然教えてくれない、こんなばかなこと……。
 外務大臣、どう思いますか。これこそ、あなた、今こそリーダーシップを発揮せないかぬ。当たり前じゃないか。
津島委員長 杉浦副大臣、答弁をお願いします。
杉浦副大臣 お答えをいたします。(河村(た)委員「大臣でなければいかぬわ」と呼ぶ)
津島委員長 指名をしましたから、答弁をしてください。
杉浦副大臣 松岡先生が主催をされたようでありますが、ということは、松岡先生がその問題に関心をお持ちになっていたんだと思います。(発言する者あり)その点については、私どもはわかりません。
津島委員長 河村君。(発言する者あり)速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 外務省重家中東アフリカ局長、答弁してください。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 シリア大使館の土地建物について話し合いが行われましたけれども、その中身につきましては、相手国に迷惑をかけることもございますので、詳細は申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、松岡先生はシリア議連のメンバーでございまして、日本とシリアの関係など非常に熱心でございますので、この会合を主催されたものと思います。
河村(た)委員 議連のメンバーがすべてを知っていると。議連のメンバー、私は余りそういう議連というのにはそうは入りませんけれども、たくさんいますよ、議連は。そんな方がすべてを知っている。松岡さんは外務省の何かきちっとした役職ですか。それをちょっと確定してください。外務大臣ですか、何ですか。松岡さんの外務省上の役職。
小町政府参考人 松岡議員は外務省の役職等とは関係おありになりませんけれども、いろいろ外交関係に対して熱心にやってきておられるところでございます。
河村(た)委員 外交関係に熱心なんというのは、私も熱心ですよ、言っておきますけれども。冗談じゃないよ。
 そういう主催といいますが、この在京外交団、この答弁、悪いけれども、重家さん、もう一回言いますよ。ちょっと吉田先生に、余り繰り返すと申しわけない。吉田先生は関係ないということがわかった。二月十三日水曜日、おととい、「私は、官房長と一緒に、松岡利勝先生、吉田六左エ門先生主催の在京外交団、」そういうふうに会ったと答えられている、はっきり。これはどういうことですか、在京外交団て。何ですか、これは。それから、吉田六左エ門さんは、何遍も言いますけれども、彼は、主催では全くない、とんでもない迷惑だと言っております。うそじゃないですか、これは。はっきりうそです、これは。答弁。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども外務省の中では、おわかりにくいかもしれませんけれども、外交団という言葉で言っているわけですが、そういう意味ではもう少しほかの言葉を使うべきだったかと思います。
河村(た)委員 これはいかぬ。はっきりわからないもの。わからない。主催と言ったのは、松岡さんが言ったのね、これ。吉田六左エ門さんと一緒に主催だと言ったのは、松岡さんが言ったわけね。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 最初に、外交団という言葉でございますけれども、我々、東京にいらっしゃいます外交官の方々を呼ぶときに……(発言する者あり)はい。したがって、正確に申し上げればシリアの、そういう意味で、今、重家局長が申し上げましたように、外交団というよりは在京臨時代理大使というふうに申し上げた方がよかったと思います。
 それから……(発言する者あり)
津島委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 委員長から答弁者に御注意申し上げますが、正確に、質問に対して正確に、誠実に答えていただきたい。特に、答弁を重ねていく間にだんだんとニュアンスが変わっていくというようなことが、この質疑を混乱させているということを深く自覚をして、正確な答弁をしてください。
 それじゃ、官房長、もう一遍答弁してください。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 在京外交団という言葉について誤解を招いたことについて反省をし、これからそういうことがないように対応していきたいと思います。
 それから、松岡利勝先生と吉田六左エ門先生、両議員の共催というふうに申しましたのは、我々がそういうふうに聞いておったということで、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
河村(た)委員 これは大変だ。聞いていたって、だれに聞いていたんですか。
小町政府参考人 松岡先生からそういうふうに聞いておりました。
河村(た)委員 これは大変だ。大変だよ。吉田さん――吉田さんは見えぬけれども、これは大変ですよ。松岡さんが、松岡さんと吉田さんが主催するんだと言ったということですね、今。そういう答弁です。そういって松岡さんから聞いたと言われた。
 だから、吉田さんから聞いたよ、私。吉田さんの名誉のために言っておこう。夜八時半ごろ、あるところにいた。松岡さんから電話がかかってきた、ちょっと顔かせよと、急に。おれは嫌だと。いいから、とにかく五分でも十分でも顔を出してくれよと。これですよ。松岡さんがそう言ったといって、吉田さんが言われた。だけれども、吉田さんは、私はこんな主催なんかとんでもないということなんです。(発言する者あり)いや、ということは何が言いたいかというと、こういうことなんだ。
 要するに、十一時半からの会合が、本チャンの会合があるわけです、本チャンの会合が。当局とそれから鈴木さんが答弁の打ち合わせをするんだよ、ここで。口裏合わせをする。だから、その前に二つの会合を、何か、さも本当らしい会合をでっち上げたんだ。こういうことなんですよ、実は。こういうことなんだよ。(発言する者あり)あなたたち、自分たちの味方のことだよ、吉田さんのことは。何を言っているんですよ、味方のことだよ、本当に。これは全然事実と違うんだけれども、どうしますか、これ。
 じゃ、とにかく、まず、出席者を確定しようか。この会、松岡さんの会に出席されていた方を全員きちっと挙げてください。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 この会合に出席しておられましたのは、松岡議員のほかに、シリアの臨時代理大使、それから通訳の方、それから私及び重家局長、あと一名か二名いらっしゃいましたが、ちょっと私、失念しました。日本の方です。
河村(た)委員 忘れること、考えられない。
 求めてください。少人数ですからわかります。だめです。委員長、求めてください、それは。
津島委員長 小町官房長、記憶に照らして、正確に、誠実に答えてください。もう一遍お願いします。もう一遍答弁してください。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、松岡議員、シリアの臨時代理大使、通訳の方、私及び重家局長、それから、松岡先生がお呼びになったと私が推測しておりますけれども、日本人の方が……(発言する者あり)それは私、本当に覚えておりません。名刺は交換いたしましたけれども、今私、持ち合わせておりません。
河村(た)委員 これは、名刺交換したから、答えられないとだめ。審議できぬ、これは。無理だ。
津島委員長 これは後日、調査の上、答弁をさせます。
 小町官房長、今記憶、できないとすれば、できるだけ近い機会に、正確に調べて、当委員会で答弁をしてください。
 小町官房長。
小町政府参考人 先ほど申し上げましたように、名刺をいただきましたけれども、ただいま持っておりませんので、ちょっと、本当に覚えておりません。(河村(た)委員「いや、だめだよ、そんなもの」と呼ぶ)
津島委員長 後日、調べて、委員会に報告をしてください。
 河村君。
河村(た)委員 じゃ、重家さんはどうですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 私も記憶しておりません。(河村(た)委員「だめだ。もうだめだ」と呼ぶ)
津島委員長 河村君。(河村(た)委員「だめ。うそを言うような外務省には質問できない」と呼ぶ)
 では、速記をとめて。
    〔速記中止〕
    〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
    〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
津島委員長 それでは、速記を起こしてください。
 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十分開議
津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。河村たかし君。
河村(た)委員 本当に疑惑が一層深まってまいりまして、十一時半からの密会問題をやろうと思っておったのですけれども、その前でとんでもないお化けといいますか、出てきたということでございます。時間はこれ、何分ぐらい用意しておったらよいですか。――これから四十五分。はい。
 それでは、この場所はいいですから、初めのこれはいつから始まったのですかね、この会合。今のTBSのこっちにある料亭ですね、小町さんが途中で、十時半から行かれた、シリア大使の方を招かれてやったという会合ですよ。どうですか。お店の名前も言っておいてください、みんなわかっていますけれども。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 私がその場に着きましたのは、記憶が、たしか九時前だったような気がいたします。
河村(た)委員 重家さんと一緒ですか。
小町政府参考人 いや、重家局長はもっとおくれて来られました。
河村(た)委員 九時前に始まった。
小町政府参考人 そのときにはもう始まっておりました。
河村(た)委員 店の名前を言っておいてください。
小町政府参考人 乃木坂の鶴八だったと思います。
河村(た)委員 そこへ吉田先生が行かれて、先ほどちょっとメモをいただいたのだけれども、自民党さんが出された。
 これをちょっと読まさせていただくと、「松岡、吉田両議員は、在京シリア大使館から、建物を巡る裁判について相談を受けた。在京シリア臨時代理大使からこの件で二十四日午後、本日夜松岡、吉田両議員とお会いしたい旨の申し出が松岡議員に対しあったので、松岡議員は吉田議員と連絡の上、二十四日急遽、会合をセットした。」
 ずっとこの夜、こういうことで連絡、これはだれに聞けばいいのですかね。外務省になるのですか。自民党が答弁してもいいけれども……(発言する者あり)理事に。こういうことですね。連絡の上ということですね。これはちょっとだめですわ。これは確認ですね。いいですね。これは当然いいですね。――では、藤井筆頭がこのとおりでいいと言われましたから。
 これは、悪いけど、吉田六左エ門さんが、全然違うんだよ。八時半にある料理屋におった。会合に出ていた。松岡さんから電話。ちょっと顔かせよと、急に。おれ、嫌だと。いいから、五分でも十分でもと言って、すぐ帰るからねと。
 おいおい、これはどうなっているの、本当に。全然違う。いや、これはだめですよ。(発言する者あり)いやいや、そんな個人的な問題じゃないですよ。何が個人的なんだよ。どういうことなんだよ。これはどうしたらいいのかね。全く違う。
 どうしますか、委員長、これは。全く違う。これは外務省に聞いたってだめ。(発言する者あり)やればいいじゃないって、そんなことではなくて、委員会の審議をきちっとするために、どういう状況で来たかということは、委員長、きちっとしようということだから。そんな個人的な、別にだれかをおとしめようとか、そういうことじゃない。何をむきになっているんだよ。冗談じゃない。はっきりして、もとからきちっとした会なのかどうなのか、全然違うじゃないですか。どうするんだ、これは。全然、理事の了解事項がおかしいんだよ。
津島委員長 河村君に申し上げます。
 この文書は、与党の理事の方で事実を確かめて出したというふうに聞いておりますので、それを前提に質問をしていただく以外はないと。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を再開して。
 河村委員に申し上げます。
 ここに書かれている事実と委員の調査した事実との間に乖離がある場合には、当事者にお確かめをいただく以外はないと思うのでありますが、そういうことで質問を続けてください。
河村(た)委員 当事者といいましても、これはちょっとやはり違うんですよ。この話は、吉田さんと松岡さんがきちっと連絡されて、そういうグループとして、ちゃんとこういうシリアの話に出たか、吉田さんがたまたま何か呼ばれて来たのか、これは大分意味が違うから、悪いけど、これは本当に参考人で来てください。はっきりしましょう、全部。委員長、そうしましょう。
 吉田六左エ門さんに……(発言する者あり)いいじゃないですか。ちゃんと出てきていただいて、私に言われたことが、ここにメモありますよ、言っておくけど。(発言する者あり)何が関係ないんだよ。一人の国会議員が、ちゃんと僕がここで、ああ、そうか、それじゃ吉田六左エ門さんの主催じゃない、そういうことも含めてきちっと名誉を明かさないかぬから僕が言えることは言いますよと言って、目の前でメモをとったんだよ、これ。冗談じゃないよ。
津島委員長 河村委員に申し上げます。
 理事会で協議をいたします。
河村(た)委員 はい。
 それから、松岡さんの紹介でお二人が何か見えたということですけれども、これについて、シリア側の関係者であったと。シリア側の関係者であって、名刺は交換したが、松岡先生がお呼びになった、こういうふうに言っているんですよね、小町さん。小町さんの議事録いきます。
 小町政府参考人、「お答え申し上げます。先ほど申し上げましたとおり、松岡議員、シリアの臨時代理大使、通訳の方、私及び重家局長、それから、松岡先生がお呼びになったと私が推測しておりますけれども、日本人の方が」云々ということでございます。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 私、そういう印象を与えて申しわけございません。私の勘違いであったと思います。
河村(た)委員 またまたここも本当に疑惑が深まりまして、ここでまた一個ずつ全部とめておってもしようがありませんから、ここも今度またはっきりしていただきたい。二十日にありますから、はっきりしていただくということでございます。
 ですが、これは二人あっているんですけれども、何か個人の、シリア側に迷惑をかける、名前を出すことは差し控えたいということでございますので、何ですかこれ、弁護士さんとか、職業とか、男性であったか女性であったか、名刺交換したんでしょう、そのぐらいは教えてください。お願いします。
小町政府参考人 私が先ほど申し上げましたように、シリア側の関係者でございますので、確かに名刺はそのときいただいたと思いますけれども、相手側に迷惑をかけると思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
河村(た)委員 ああ、それもありますね。職業ぐらい言ってください。
小町政府参考人 相手の方の御職業をしかと覚えておりません。男性の方だったと思います。
河村(た)委員 そうしたら、重家さんと小町さんにお伺いしますけれども、それぞれ、本当にシリア側の方だということを思っておられるんですね。どうしてそれがわかるんですか。どうしてわかるんですか。
小町政府参考人 お答えいたします。
 同席していた方につきましては、シリア側の関係者でございますので、シリア側に迷惑をかけますので、確かに名刺はいただきましたけれども、名前を出すことは差し控えさせていただきたいと思います。(河村(た)委員「なぜシリア側とわかる」と呼ぶ)
津島委員長 外務省重家中東アフリカ局長。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 同席しておられました民間の方につきましては、シリア側の関係者でございますので、シリア側に迷惑をかけることになりますので、名前を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
河村(た)委員 勘違いだ、勘違いだと言って、こんな完全にころっと変わるなんてこと、そんなことあるんですか。勘違いという場合は、よくわかりませんということですよ、勘違いの場合は。
 津島委員長、だれかと会ったときに、勘違いだったというときは、その方が違うところの人だとはっきりわかるのを勘違いと言わないですよ、そんなもの。よくわかりませんですよ、返事は。またうそじゃないか、これ。どうなっているんだ、これ。
 それじゃ、なぜシリア側の人だとわかったんだよ。答えてください。なぜシリア側の人だとわかったのか。答弁。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 同席していた民間の方につきましては、シリア側の関係者でございますので、先ほど申し上げましたとおり、名前を出すことは差し控えさせていただきたいと思います。
河村(た)委員 いや、答えてください。委員長、ちゃんと答えるように、なぜわかったのかということを。(発言する者あり)答弁していないもの、だめだよ、そんなの。それは答弁していないですよ。だめですよ、それは。
津島委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こして。
 それでは、小町官房長。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 この点は、先ほど藤井筆頭理事が松岡、吉田両議員に確かめられた結果でございます。
河村(た)委員 そうしたら、それは、藤井さんと松岡さんが話されたということで、外務省としては、わからなかったんではないんで、松岡さんが連れてきた人だと思っていたんだ。それは間違いですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど私が推測を交えて申し上げたことは、間違いであったので、取り消させていただきたいと思います。
河村(た)委員 いや、これ、いわゆる政府高官でしょう、あなたたちは。政府高官ですよ、高官。そういう人が、夜、呼ばれて、何にもわけのわからぬ人と話するんですか、夜、酒をともにして、飲食をともにして。こんなの、むちゃくちゃですよ。
 ちょっとここで、大臣。大臣、今わかりましたか。重家さんと小町さんも、何かよくどういう人かわからぬということだったわけですよ。ごちそうになったんですよ。ごちそうになったんだ、わけのわからぬ人と夜。こんなことで本当にどうしますか。あなた、こういうのをほかっていくわけ。どうしますか。処分されるの。答弁。大臣、大臣だよ。何言っているんだよ。何を言っているの。
川口国務大臣 私、国会議員の方に、これは私の推測を交えてということでございますけれども、国会議員のみならず一般に、食事をするときに、御招待をいただいて伺ったときに、そこにほかの方がいらっしゃるということはよくあることではないかというふうに思います。
 ただ、いずれにいたしましても、私といたしましては、こういう予算の委員会での重要な時期に、しかも、国民の皆様の外交に対する信頼を回復することが非常に重要な時期に、こういうような誤解を招くようなことが起こっているということについては、私としては非常に残念に思っております。
河村(た)委員 もう一回言います。
 残念じゃなくて、会った人がわけのわからぬ人であったと……(発言する者あり)わけのわからぬ人だよ。外交という、機密だとかいろいろ言っているでしょう。私も日本人としてそうですよ、外交はしっかりしてもらわなきゃ。めちゃくちゃじゃないですか。
 そういう人が、夜、出ていって、松岡さんはいる、しかし、何か二人、全然知らぬ人がいる。そこに、官房長と局長ですよ、国の。代理大使。そういうところで、全然知らぬ人が二人おって、わけわからぬのに交渉するわけ、話をするわけ。名刺交換するのよ。すぐ抗議してくださいよ、あなたたち、何するのか言って。大臣、とんでもないことですよ。
川口国務大臣 一般的に申しまして、御招待を受けて、夜、席に伺いましたときに、そこにいろいろな方がいらっしゃって、中には存じ上げない方がもちろんいるということはあると思いますけれども、御招待した方の立場、その他への配慮から、そのまま席を御一緒にするということは、これは私の経験からもあることでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、こういう重要な時期に、それから国民の外務省に対する信頼を回復することがまず大事なときに、こういった国民の方の誤解を招くような行動をとったということについては、私は非常に残念だと思っておりますし、その旨の注意を既にいたしております。
河村(た)委員 いや、一般的に、いろいろな会合の中にお一人二人おらぬ場合がそれはありますよ。全然違いますよ、この会は。シリアの代理大使がいるわけでしょう、そこに。それで、あなた、官房長と局長ですよ。日本国民として極めて残念ですよ。おこれてきますよ。その人たちがどういう人かわからぬなんて、何を言っているんだよ、本当に。ええかげんにしておいてくれよな、外交の責任者が。
 大臣、きちっと言いなさい、この事件に対して。一般じゃないんだよ。ごく数人がおるんだよ、そこに。そんなときに……(発言する者あり)皆さんが、外務省というのは日本の国益の最高責任者なんだよ。どういう人かわけわからぬなんて許されぬじゃないか。ちゃんと言ってくださいよ。もう一回言ってください、ちゃんと。どう思うんだよ、この事件に対して。一般的じゃないよ。
津島委員長 河村委員にお願い申し上げます。
 当委員会における審議でございますから、できるだけ静粛に、そして平常心で答弁できるようにお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、川口外務大臣。
川口国務大臣 本件につきましては、私は既に注意をいたしております。
河村(た)委員 では、土地をめぐる裁判という話でございますけれども、これはどういうことなんですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 在京シリア前臨時代理大使が移転先として見つけました物件、賃貸借契約を結びましたそういう物件が、抵当権の問題で係争になりまして、裁判の問題になった、そういう事案でございます。
河村(た)委員 元サウジアラビアの土地がうまくいかない、シリア大使館を移転するという話ですか。どういう話。ちょっとよくわからないんだ。正確に言ってください。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 以前、サウジアラビア大使館が使っていた建物を、シリア大使館、カブール、前の臨時代理大使でありますが、これが移転先として賃貸契約を結んだ……(河村(た)委員「建物ですよ、土地じゃなくて」と呼ぶ)建物でございます。
河村(た)委員 サウジアラビアの使っておった建物を、シリアと今度は賃貸借契約を結びたい、こういう話ですか、これは。そういうことですね。――はい。
 そこに松岡さんが何で出てこられるのですか。どういうふうですか。なぜですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 在京シリア大使館から松岡先生、吉田先生に、この件につきまして相談があったというふうに承知しております。
河村(た)委員 相談があったということは、それは何ですか。何か議連とかなんかですか。なぜそこに行ったんですかね、相談というのは。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 その間の事情は、私どもとして承知しておりません。
河村(た)委員 頼まれた、何にもわけのわからぬ関係の会議で、何か、一応、ただ一般の議員で、そこへ出ていくんですかね、皆さん。事情が何だかわけのわからぬところへ。そういうことですか。
重家政府参考人 ああいう時期に何が適切な行動であったか判断すべきであったと今思っております。
河村(た)委員 そうしましたら、まあいろいろなわからぬことがありますけれども、外務省は何を頼まれましたか、その席で。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 この問題の経緯を聞かれました。(河村(た)委員「はあっ」と呼ぶ)
津島委員長 局長、もう一遍答弁してください。質問者に通じていませんので。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもが頼まれたことはございません。
河村(た)委員 では具体的に、ではどういうふうになったんですか。何も頼まれていない、何のために行ったんですか、何のために。どういうことを言われたんですか、具体的に。
重家政府参考人 この件は外務省も、在京大使館の建物の件でございますので、話をシリア大使館から聞いておりましたので、その間の経緯を聞かれまして説明を申し上げたということでございます。
河村(た)委員 そんなことで、官房長と局長と両方出ていくんですかね、これ。何で官房長がおるんですか。官房長は、なぜですか、なぜいたわけ。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 当日夜、重家局長がほかの件でどうしてもすぐに行けなかった状況がございまして、その間、松岡議員の方から私に、もし許せば来てくれないかという趣旨のお申し出があったわけでございます。
河村(た)委員 いろいろどんどんありますけれども、前へ進まないかぬものですから。
 委員長、これ、ただいま、写真を撮ったそのサウジアラビア大使館。(写真を示す)壊しているじゃないか、これ。建物ないよ。どうだ、これ。何が賃貸借なんだよ、一体。
 委員長、悪いけれども、私、別に品が悪いわけじゃないんだ。これではおこれてくるよ、これ。うそだよ、これ。答弁。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 裁判所の問題になりまして、東京地裁によります強制執行が行われまして、所有者の方に占有権が移ったわけでございます。したがいまして、その後、私どもは承知しておりませんでしたが、所有者がそういう措置をとっておられるということではないかと思います。
河村(た)委員 本当によく知ってみえますよ、これは。すなわち、この建物を借りようというのはうそだということはわかっちゃった。答弁を修正しますか。建物を借りる――はい。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 東京地裁による強制執行を受けまして、所有権といいますか占有権が所有者に移りましたので、その後そういう措置がとられたものだと思います。
河村(た)委員 どうもこれもわけがわからぬ。後で写真が出てきたからそうした、そうにしかとれない。
 では、次へ行きましょうか。
 では、その料理屋さんのお金はどなたが払ったのですか。
小町政府参考人 私ども、呼ばれた立場でございますので、それは確認することはできませんけれども、主催者の方がお払いになったというふうに考えております。(河村(た)委員「主催者というのは松岡議員ですね」と呼ぶ)松岡先生が払われたというふうに理解しております。
河村(た)委員 よくわからないと。業者が払った可能性もあるのですね。一応ちょっと言うてください。(発言する者あり)
津島委員長 質問者以外の方は質問しないでください。聞いていてください。
 小町官房長。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、松岡議員が支払われたというふうに理解をしております。
河村(た)委員 ここは、しかし、あとの二人の方がわからないし、これ、ある会合に集まった、そこへ議員さんがいる。そして何と行政の権限を持っておられる、そういうところに出ていって、官房長と局長がいる。いわゆる政府高官がいる。それで議員が、これからはちょっとわかりませんね、これはこれから確定する必要がある。何かを頼んだ。経緯を説明したと言っているけれども、これははっきりしない。そこでお金を払った。外務省に何か頼んだか、説明だけなのか。
 これっていいのかね。断定はまだいたしませんけれども、刑法に罪がありますよ。何か頼んだ、公務員、その職務に関しということですよ。皆さんごちそうになったんでしょう。公務員でしょう、小町さんも重家さんも。公務員、その職務。皆さんは、その大使館をどうするかという権限があるんでしょう。職務に関し、ごちそうになった。いいんですか、これ。いいですか。答弁してください。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 その席でこの問題の経緯の説明を求められましたので、その経緯を申し上げた次第でありまして、特段、何を頼まれているということでもございません。
河村(た)委員 説明というのは、いろいろな方がお見えになりますけれども、私も落選十年ですが、当選九年しております。あと一年で同じになります、それは関係がないですけれども。いろいろな方がお見えになる。普通の説明の場合は課長補佐さんとか、そういう方で結構十分な場合がありますよね。局長さんと官房長だ、これ。そこで、ただ経緯を言いに行くんですか、こんな夜に。あり得ない、これは。大変なことかもわからぬ、これは。大変なことかわからぬ、これはひょっとしたら。
 だから、ここでは多分答弁できぬと思うので、委員長、このお金をだれが払ったか、これは極めて大きいんですよ、この問題は。ですから、ぜひひとつここは委員会の作業としてこれを確認されるようにお願いします。
津島委員長 理事会で協議をいたします。
河村(た)委員 それでは、シリアの大使はいつまでおられたですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 シリアの臨時大使は、十二月の上旬だと思いますが、上旬に交代いたしました。(発言する者あり)
 申しわけございません。私は非常におくれて十時半ごろ参りましたので、もう既にシリアの臨時代理大使はおりましたので、何時ごろ来たのか承知しておりません。(発言する者あり)
 帰ったのは、みんな終わって一緒に帰ったと思いますから、十一時半ごろではなかったか、十一時半過ぎじゃなかったかと思います、記憶でございますが。
河村(た)委員 そうすると、十一時半まではいたということですね。十一時半ごろまではいたということですね。それで、そこでお開きになったということでいいですね。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 シリアの臨時代理大使は最後までいらっしゃったということで、たしか、十一時半ではなくて、もっと遅くまでいらしたと思います。
河村(た)委員 では、ちょっとここのところをはっきりさせていただきますか。
 大使はいつ帰って、その後、二人の方もお見えになったんですか、そこのところ。その後、そして、その会が何時に終わったかは、あなたたちはお見えにならないからわからないんですが、そこのところ、はっきりしましょう。二人の方はどうだったんですか。見えたわけかな。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 たしか、十二時を過ぎて我々は帰ったというふうに記憶しております。
河村(た)委員 十二時を過ぎてということは、重家さんと小町さんは途中で出られたけれども、ほかの、大使の方とほかの二人の方は十二時過ぎまでその席におられたということでいいですか。ちょっとお答えください。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 シリアの臨時代理大使を含めて、出席者の方はおおむね同じ時間帯にその場所を出たというふうに記憶しております。
河村(た)委員 記憶ということ。あ、そうか、ずっと来たわけだな。
 それから、次の問題ですけれども、松岡さんが鈴木さんに電話をされたということですよね。これは何時ごろになりますか。(発言する者あり)いや、わからないことはないです。わかっていますから。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 正確な時間は覚えておりませんけれども、何回か電話をかけておられたような気がいたします。
河村(た)委員 何回かかけておられたですか。
 十一時半ごろに鈴木さんがそこに来られたということは本当ですね。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 たしか、今先生御指摘の十一時半ごろに鈴木先生が来られたと思います。
河村(た)委員 ですから、その席には鈴木さん、松岡さん、その大使、それからお二人の方、それだけですか、お見えになったのは。それだけは少なくとも全員おられた。あと外務省、それを確認しましょう、だれがいたかを。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 その席には、松岡議員……(河村(た)委員「ちょっとゆっくり言ってくださいね」と呼ぶ)松岡議員、それからシリアの臨時代理大使、シリア側の関係者二人、私、重家局長、鈴木議員、あと外務省の人間が、それから、済みません、臨時代理大使の通訳の方が一人いらっしゃいました。外務省は上村総政局の企画官と、国連関係者と、あと二名ぐらいだったかと思いますけれども。
河村(た)委員 あと二名とか、悪いですけれども、後、ごちゃごちゃするといけませんので、確定してください。委員長、もう一回聞いてください。
津島委員長 小町官房長、確定できますか。確定してください。
小町政府参考人 お答えいたします。
 あと、外務省関係者といいますか、外務省の職員として、粗参事官、谷崎総務課長、沼田企画官、それから国連関係者、これは、ブラヒミ特別代表の秘書的な役をこのアフガン会議の間しておりました高橋博史、いずれブラヒミ特使の政務官になる予定の人間でございますけれども、それも一緒におりました。
河村(た)委員 そこでまた、新たなメンバーになりましたけれども、ここでもやはりこのシリア大使館の話は出たんですか。
小町政府参考人 その場では、シリア大使館の話は出ておりません。
河村(た)委員 出ていないということになると、関係者も全部おって、夜中の十一時半に鈴木さんがわざわざ来て、集まった。
 では、これは何時ぐらいに終わりましたか、この会は。三十分ですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 松岡議員が鈴木議員と連絡をとり合っておられて、結局、十一時半ごろだったと思いますけれども、鈴木議員がおいでになりまして、両議員で、たしか十分ぐらいだったかと思いますが、話をされて、鈴木先生は帰られたというふうに記憶しております。
河村(た)委員 記憶しておりますというのは、何かようわかりませんけれどもね。しかし、その席というのは、初めに戻りますけれども、その午前中にここでいわゆる眞紀子さんの答弁をめぐって大紛糾したときですよね。特に重家さんがここで答弁されていましたけれども、重家さんは鈴木さんと話が、鈴木さんの話も違ってまいりましたし、鈴木さんは、眞紀子さん、そんなことうそだとかなんとか言ったわけでしょう、午後に。というようなことですから、何か話し合わなきゃいかぬでしょう。何かそのためじゃなかったんですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 そういう事実は全くございません。
河村(た)委員 しかし、わざわざ来て、それからえらい遠くでというふうに、遠くからというふうな。私、きのう、そこにおります上田清司氏と一緒に行ってまいりましたよ、ここに。マグロの赤身を食いましたけれども、なかなかおいしかったですよ。そんなに大きいところではなかったですね。遠くからというのはどういうことですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 近くでごあいさつしたということではなくて、離れてといいますか、離れたところでちょっと会釈をしたということでありまして、直接の会話はしておりません。
河村(た)委員 では、本当にどういう状況だったですか。ちょっと悪いですけれども、僕はなぜ言うかというと、やはり信じられぬのですよ。
 十一時半にわざわざ鈴木さんが来て、わざわざですよ、夜中に。そこで、当日、その午前中、大もめにもめて、午後も鈴木さんがそういうコメントを発して、そういう夜に、本当の当事者ですよ。オールキャストそろっちゃっているんだよ、ここで。(発言する者あり)田中大臣だけはおらぬけれども。それが、全く何もしゃべらないとは全く信じられない。
 だから、入っていってどういうふうだったか、ちょっと説明してくださいよ、その席を。何階のどういう部屋ですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 私はシリアの関係で呼ばれておりまして、先ほど来申し上げておりますように、そういうアフガニスタンの話は全くその場でしておりません。それから、何階だったかというようなことも、正直申し上げまして記憶しておりません。
河村(た)委員 そんなの、何階だなんて、私どれだけ酔っぱらったって覚えていますよ。ちょっと重家さん、その辺ははっきり言った方がいいんだよ。何階のどういう部屋だともう一回言い直してくださいよ。
重家政府参考人 申しわけございません。一階ではありませんでしたので、二階じゃないかと思います。
河村(た)委員 何か、そんなばかな。本当に、私も夜よう酒を飲みますけれども、そんな、一階か二階、それで部屋の中はどういうふうだったわけ。一番端におったわけですか、どうですか。二階のどういう部屋のどういう位置に座っていたか言ってくださいよ。
重家政府参考人 お答えを申し上げます。
 長細い部屋だったように記憶しております。私はたしか真ん中、長い部屋の真ん中あたりに座っていた、ちょっと窓側に近い方だったかと思います。
河村(た)委員 よう覚えてみえますが、その後から鈴木さんがお見えになって、そこで、どう考えたっても、一ついかぬのは、やはり、そのときは重家さんも小町さんも、上司は鈴木さんじゃないよね、眞紀子さんだよね。それは間違いないですよね。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 そのときの外務大臣は田中大臣でございます。
河村(た)委員 問題は、その田中眞紀子さんのことがうそであったかうそでないのかということを言っておられた当事者と、夜まずそういうところへ出ていってまた酒を飲むということでしょう、これ。こんなことはいいんですかね。考えられませんね。
 大臣には一番最後に聞きますけれども、よく聞いておいてくださいね。まあ、ずっと聞いておられると思いますけれども。いろいろ一つ一つ事実をやはり詰めていかないかぬ。ええかげんに言っておったってしようがないからきちっとしておるんだよ、これね。
 だから、そういう席で、これはえらいことになってしまったと。NGOというのは外務省は知っているから。これは今世界の、こう言っちゃ何だけれども、私、NPO法案一番最初に提案した本人だよ。だれも褒めてくれぬから、ここで自分で言うよりしようがないけれども。今世界はNGOの時代だよ。それも、税金も自分たちで選択して出せるような法案出したのはおれだよ。このくらいええこと言わせてくれよ、努力してやってきたんだから。
 そういう人が、そういう会が、ある事情で、一議員の、まあ圧力というかどうか知りませんが、そういうもので没になった。これは大変なことになった、だからどうしますかと。外務省も守らないかぬ、鈴木さんも守らないかぬということで、口裏合わせをしたんでしょう、そこで。どうですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど重家局長から御答弁申し上げましたとおり、その場でNGO問題に関するやりとりは一切ございませんでした。
河村(た)委員 上村さんは何か発言されませんでしたか、そのときに。眞紀子さんのことについては何か言われませんでしたか。
上村政府参考人 お答え申し上げます。
 私は、戸口でごあいさつしたのみでございまして、田中大臣のことにつきましては一切何も申してございません。
河村(た)委員 私は、ここは多分、鈴木先生、うちの野上次官はそんな鈴木先生の名前は出していませんよ、そんなことを言ったんじゃないですか。多分、眞紀子さんの批判で盛り上がったんじゃないんですか。そう思われてもしようがないんだよ、反対に言えば。そういう会に出ていって夜おごってもらっているんだからね。その辺のところはこれからはっきりさせていただきたいと思います。
 以上、いろいろ聞いてまいりまして、大臣、川口さん、松岡さんの新たな疑惑も、疑惑と言っては失礼ですが、これから、私はプライバシーを大事にする、背番号に反対する人間ですからなまじっかなことは言いません。きちっとファクトを確定しましょうよ、委員長も言われましたから。お金をだれが払ったかということ、これからきちっとしましょう。
 それで、こういう大変な問題になった日の夜に、こういうオールキャストが集まって、酒を飲んでおごってもらう、こういうふうになっているんだよ。あなたは、政治家のそういう不当な圧力を排除する、オープンにしてクリアにしていく、そういうふうに言われましたよね。どう思われるか、これ。
 それで、こういう関係の中で重家さんとか小町さんがずっと職務を続けておられて、本当にやっていけるのか。ずぶずぶじゃないのかということです。まあ処分というか一定のことをされるのかどうか、毅然とした態度をとられるのかどうか。それとも、相も変わりませず、役人の世界だけはかちっと守られる、役人の世界だけはアンタッチャブルだ、そういう態度をとられるのか。国民、注視していますよ、ここのところは。
 小泉内閣というのはそういうときにそこを破ってくれると、その殻を。僕の国税庁を言った話もそうだよ。あれも最大の、情けない、僕は税金を払う人間として。最もあってはならないことが国税庁の脱税問題ですよ。そういうのを破っていってくれると、小泉さんは。だから人気が高いどころじゃないんだ、みんな期待しているんだよ。
 だから、大臣、川口さん、同じことじゃだめですよ。答弁してくださいよ。国民にこたえるように、全部。口裏合わせはありませんとか、そんなことじゃだめですよ、本当に。では、答弁してください、どうされるか。
川口国務大臣 先ほど申し上げましたように、この時点で外務省がなすべき重要なことは、外交に対する国民の信頼を回復することであり、そのベースの問題として、外務省に対する国民の信頼を回復することであるというふうに私は思っております。
 このような重要な時期に国民の疑惑を招くような行動があったということについては、私は、先ほど申しましたように、非常に残念であり、非常に遺憾であると思っておりまして、このようなことが二度とないようにと十分に注意をいたしました。
 いずれにいたしましても、今外務省に期待されていることは外務省の改革でございまして、先ほど私は十の改革ということを発表させていただきましたけれども、これを懸命に、第三者委員会「変える会」の御助力もいただきながらやっていくということが重要であると思っております。
 特に、一番最初に項目に挙げております、政と官の関係を透明なものにするということについては、「変える会」及び諸先生方も含めて、大勢の方、国民の方の御議論をいただきたい、それでいい成果を得たいというふうに思っております。
河村(た)委員 まあ、本当によく言われるんだけれども、やはり自分の言葉が聞こえてこぬのだよな、これを見て。そうやって言えば無難でしょう、そういう抽象論を言えば。
 立派な料理屋でしたけれども、そういうところで政治家と役人がこういうふうに酒を飲んでいいのか。こういう時期ですよ。それに対して、ただこうやって、十の改革だから注意しますということではいかぬじゃないですか。何か自分で、あなたはそれで、これはいつ聞いたかな、私。水曜日でしたか、NHK……。何日かありますから、その間どういう行動をとられましたか。
津島委員長 外務大臣川口順子君。――河村委員、外務大臣への御質問ですか。
河村(た)委員 外務大臣ですよ。
 外務大臣、この間、私ここで言ったでしょう。前回の質問以後、私が聞きましたがね、今と同じことを。夜十一時半から密会をされておったということ、そんなこと言っていないとは言われておるけれども、しかし、その当日の夜に、オールキャストで、外務大臣の批判しておるときに、批判しておる人と集まって、議員は何でもいいですよ、外務省は部下だからね、やはり外務大臣の。それについていろいろ聞きましたよね。それからどうされましたか。
川口国務大臣 厳重に注意をいたしました。もちろん、その前に、どういうことであったかということは聞きました。(河村(た)委員「何だと言うておられるの」と呼ぶ)
津島委員長 厳重注意をしたそうです。
河村(た)委員 悪いけれども、だれにどうされましたか。
川口国務大臣 再三再四お答えいたしましたように、こういう重要な時期に、国民の不要な疑惑を招き、外務省の信頼をさらに地に落とすような行動をすることは非常に遺憾である、したがって、今後そういうことを招かないように十分に注意するべきであるということを言いました。
河村(た)委員 だれに。
津島委員長 川口外務大臣、だれに注意されたか、お答えください。
川口国務大臣 外務省の事務当局の代表としての次官、それから官房長及び重家局長です。(河村(た)委員「三人ね」と呼ぶ)あと、ほかにも大勢いるところで言いましたので、ほかにだれかいたかもしれませんが、私も、だれがいたか記憶にありません。
河村(た)委員 わかりました。
 大勢ですか、一般論ですか。答えてください。
川口国務大臣 国会の答弁の、私はまだ新米でございますので、朝、時間を幹部に割いてもらって勉強をいたしますけれども、その折に言ったということでして、ほかに、当事者以外にだれがいたかというのは、私は実は全員の名前もまだ覚えていない段階でございますので、言うことはできません。
河村(た)委員 これはだめだね。ついでだよ。(発言する者あり)今打ち合わせしておるから。ちゃんと、どういうことだったのか、もう一回聞きたい。ついででしょう。
川口国務大臣 さらに申し上げれば、次官及び官房長には別途注意はいたしております。
 それから、さまざまな折にこのことについては、私は、ありとあらゆる場で繰り返し繰り返し言っておりますし、現在、そういう趣旨の文書も用意をするように言ってあります。
河村(た)委員 ちょっと今の話も、悪いけれども、そこに小町さん行かれて、話したよね。それからあなた言われたよ。今相談されたんじゃないのか。そうじゃないか。そうだったら、一番最初に僕に言ったはずだよ。
 個別のことを聞いているんだよ。それはしてなかったんでしょう、別には。
川口国務大臣 厳重に注意を既にいたしております。
河村(た)委員 では、いつ、どこでされましたか。
川口国務大臣 何回もいたしておりますので、すべての場所を挙げることはできないと思いますけれども、外務省の政府控室、外務省の大臣室、それから廊下を歩きながら、さまざまなところでやっております。
河村(た)委員 何回も注意していると、何か立派に言ってみえますけれども、反対ですよ。何回もじゃないよ。塩川さんまでうなずいておるじゃないか。こんなばかなことあるの。
 そうじゃないでしょう。きちっとお二人を呼んで、夜、本当に会って何も話さなかったのか、あなたたち、口裏合わせしていなかったのか、きちっと聞いて、一回きちっと言うべきですよ、それは。どうなんですか。結局は個人にきちっと注意していないんだ。
津島委員長 河村委員に申し上げます。
 外務大臣の答弁は、当人にわかるようにきちっと注意をしておるというふうに私は受けとめておりますけれども、再度外務大臣から答弁させます。
川口国務大臣 本人にわかる形できちっと厳重に注意をいたしました。
河村(た)委員 いつ、どこでしたんですかと聞いておるんだよ。それを、何遍でもしたと。そうしたら、何遍でもせな聞いてくれぬのですか、あなたの注意は。どうですか。
川口国務大臣 よく女性はくどいというふうに一般に言われますけれども、私もその部類でございまして、何回も注意をいたしております。
河村(た)委員 どういうことかといいますと、やはり、今度外務省改革だと言っているわけでしょう。国民はどう思っているかというと、はっきり言って、役所というのは、役所総体でこれは守っていくんだ、傷つけない、そういうイメージがあるわけですよ。そこをやはり一人ずつ、あなたのやっていることは間違っているよときちっとやってくれるかどうか。そういうふうにしなきゃだめということですよ。
 大体これでわかってきました。やはり本当に難しい。自民党にお願いしたいのは、自民党というのは、やはり自由を守ってきた政党ですよ。官僚機構に対しては厳しく出てほしい。役人を守るな。お願いしたい。自由を守ってほしい。そういう姿をぜひ、民主党はしっかりやっていきますけれども、見せてほしい。
 またこれから質問が続くと思いますが、結局私は、やはり外務省の伏魔殿というか官僚機構に対して、今の状況では食い込むことは全くできない、残念だけれども、そういうふうに思います。
 以上で終わります。
津島委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。
 木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 まず総論から、教育問題についてお伺いしたいんですが、大臣、よろしゅうございますか。
 今、教育の荒廃あるいは学力の低下が叫ばれて久しいわけですが、改善されるどころか、ますます悪化の方向にあるのではないか、私はそんな危惧をしております。
 これといった資源のない我が国にあっては、まさに人的資源の確保、つまり人材育成こそが、二十一世紀の日本が世界をリードし、あわせて国内を経済的にも社会的にも活性化させ、あるいは発展させる重要なポイントになるのではないか、そんな思いがいたします。
 そういう意味では、森前政権が教育改革を政策の大きな柱にした、続いて小泉政権も教育改革ということを一つの政策の柱にしておられる、これは私は当然のことだと思います。しかし、残念ながら、口ほどに教育改革はまさに進んでいない。
 教育には、その年齢に応じてさまざまな教育段階があります。私は、やはり大学の充実こそがひときわ重要ではないかと考えているわけでございます。
 小泉首相も、さきの施政方針演説でこのように述べております。これからの日本が世界とアジアの一員として貢献していくためにも、国際的に競争力のある独創的な研究の推進や人材の育成など、知的基盤の拡大を図るための大学の構造改革を進めます、こう国民に公約しております。
 しかし、残念ながら、今、大学はさまざまな問題を抱え、あるいは学力低下、さらには大学運営にかかわるさまざまな不祥事が多発しております。こうした中で、教育改革をうたう小泉内閣あるいは文部科学大臣として、大学をどう位置づけ、そして大学教育に何を求めているのか、あるいは何を期待しているのか、それをひとつ最初にお答えいただきたいと思います。
遠山国務大臣 まさに今後の日本を考えますときに、知の世紀を担っていくのは、私は大学の役割がまことに大きいと思っております。その意味で、一九九〇年代から大学改革はその潮流がございますし、各大学いろいろ努力をしていただいておりますが、まだまだ、国際的な競争力を持つか、あるいは国際的に魅力がある大学であるかということを見ますと、必ずしも十分でないという面もございます。
 そのようなことから、今、大学の構造改革ということで、全体の教育改革の一番上の段階の、大学についての改革を進めようとしているところでございますが、では、どういう大学というものが望ましいかといいますと、やはり大学の機能は、一つは教育であり、そして研究であり、同時に、これからは、いろいろな研究の成果も踏まえた上で社会的に貢献していく、そういう存在でなくてはならないと思います。
 教育といいましても、やはり高等教育でございますので、幅広い一般的な教養を身につけた上で、専門的な知識も十分持った、そういう付加価値の高い学生を卒業させていくべきであろうと思います。また、研究の面でも、大学の教授たちは独創的な研究をし、あるいは非常に大事な分野については継続をしていく、知の継承をしていくということも大変大事だと思いますし、それから、これまでは、どちらかといいますと学内に向けた、内に向けたいろいろな努力がなされておりましたけれども、私は、これからは、大学はみずからの教育研究の成果を外に向けて発信していく、あるいは地域に貢献していくということが大変大事だと思っております。
 その意味で、最近は、その面についても、それぞれの大学がいろいろと自覚をされまして、努力が始まったところでございますので、これを大いに支援しながら、そういう方向に、国際的な競争力を持つすぐれた大学に育っていっていただくように私どもとしても支援をしたいと思っております。
木下委員 大学の中でも専門的な分野ということになりますと、やはりその大きなポイントは医科大学であったり大学の医学部であろう。とりわけ、少子高齢化の中で、さまざまな医療問題が発生してきております。そうした中で、今、政府の方は医療制度改革ということを盛んに言っておられ、今国会の大きなテーマになるだろうと思うのです。
 そうした中で、医科大学あるいは大学医学部、こういった大学に対してどんな期待をし、どんな人材を厚生労働省としては求めているのか。それを厚生労働大臣から、簡単で結構でございますので、お伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 御指摘をいただきましたように、医学部におきます医師養成の重要性というのは大変大きいものがあるというふうに思っております。
 医師を養成するわけでありますから、基本的なこととして、知識でありますとか技能というものを重視しなければならないことは、これはもう当然でございますが、現在の医学教育は、ややもいたしますと、ややもいたしますとというよりも、かなり知識、技能に偏り過ぎている、そして、バランスのとれた一人のリーダーというものを養成するということに非常に欠けているのではないかというふうに思っています。
 といいますのは、六年間の間にさまざま覚えなければならない知識や技能がだんだんふえてきたものですから、もう詰め込みになっておりまして、それ以外のことを余りやる時間がなくなってきているというのが現状ではないかというふうに思います。
 しかし、この人たちは、出ましたら、将来、病院の院長になりましたり、あるいは地域のリーダーになりましたり、そういうふうにしていかなければならないわけでありますから、全体として、人格の涵養ということをもう少ししっかりとやらなければならないというのが一つ。
 それから、大学の方におきましては、大学は教育の場であり研究の場でもありますが、それだけではなくて、やはり地域の医療というものをもう少し重視していく。地域に派遣された人たちが、その地域の住民との間のコミュニケーションが少しできるようになったと思いますと、もう研究のためにといってすぐ引き揚げてしまうといったようなことがあってはならない。やはり地域医療というものをもっと重視する大学というものをつくり上げていかねばならない。そうしたことが大きな点ではないかというふうに考えております。
木下委員 今、大臣がおっしゃったように、医療に携わる者をつくるわけですから、非常にモラル的にもしっかりした教育をしてもらわなきゃいけない。
 とりわけ、最近、医療機関による、あるいは医師による医療過誤あるいは医療ミスが大きな社会問題になっていますが、厚生労働省は、医療過誤や医療ミス、こういったものをどの程度実態を把握しておられるのか、ちょっとその数だけを、わかるだけでも結構ですので、教えていただけますでしょうか。
坂口国務大臣 残念ながら、全国的な規模で大々的な調査というのはやっていないわけでございますが、都道府県知事に対しまして、医療機関における事故事例というものの提供をずっと求めておりまして、例えば平成十一年の一月から平成十三年の十月までの間、都道府県から寄せられました情報では二百十五件ございます。また、そのうちで大学病院に関するものは六十二件でございます。
 大変ラフな数字で申しわけございませんけれども、そういう数字でございます。
木下委員 この数値を見ると、かなり大学病院での医療事故が多いという感じがします。
 もちろん、医療事故や医療ミスにはさまざまな要因があると思うのですが、その中でも、やはり医師の質の低下あるいはモラルの欠如に起因するものも少なくないのではないか。その点は、厚生大臣、私の意見に対してどんな御意見をお持ちでございますか。
坂口国務大臣 もちろん、御指摘のように、医療従事者の安全意識の欠如と申しますか、そうしたところにも大きな原因があるというふうに思っておりますが、それに加えまして、今までの医療は、どちらかといえば一人の医療従事者あるいは二、三人の医療従事者で事を行っておりましたのが、チーム医療になってまいりまして、多くの職種の医療従事者が一つのことにかかわるというふうになってまいりました。
 ここにもやはり一つの問題点があるというふうに思いますし、もう一つは、日進月歩いたします医療器具あるいはまた医薬品、そうしたものに対するなかなか知識が後から追いついていかない。これは、医師の素質あるいは勉強ということにも、御指摘のことにかかわってくるわけでございますが、そうしたことがミックスされているというふうに思っている次第でございます。
木下委員 私自身、ここずっと医療事故その他調べてきたのですが、ここのところやはり、医学教育、特に大学医学部あるいは医科大学に関する経営不祥事、あるいは、例えば入試をめぐる漏えい事件等、医科大学や大学医学部が金銭的に非常に、どちらかというと、金もうけ主義と言っては語弊があるかもしれないですが、そんな風潮があるんですね。
 その一つとして、つい最近大変大きな問題になりました帝京大学医学部の入試前の寄附金、この報道がございましたが、合否判定前に受験生の父母から寄附金名目で多額の金を集める、そして裏金としてプールして別の法人に、一たん口座に繰り入れる、そして後で戻して使う、そういった報道がありました。
 簡単に帝京大学というのを、皆さん御存じだと思うんですが、その規模を言いますと、板橋区に医学部、八王子市に経済学部、法学部、文学部、神奈川県相模湖町に薬学部、栃木県宇都宮市に理工学部の六学部を持つ総合大学。また、これ以外に、国内に帝京平成大学、帝京科学大学という二つの四年生大学、それから五つの短期大学、多数の専門学校、予備校、高校、中学校、幼稚園、病院、老人ホーム、さらには海外にも三つの大学、高校、分校など、まさに巨大な教育コンツェルンになっているわけですね。私も、データを調べて、数を数えようとしました。しかし、実態がよくわからないのもある。
 今問題になっているのがこの帝京大学なんですが、新聞報道された寄附金、合否判定前の寄附金について、文部科学省は、帝京大学の総長である沖永荘一総長ですね、新聞報道によると、呼んで聞き取り調査をしたというような報道がありましたが、聞き取り調査はされましたか。
遠山国務大臣 我が省といたしましては、帝京大学にかかわります不正入試疑惑が報道されたということを受けまして、昨年十一月以来、沖永荘一学長からの事情聴取を含めて適宜同大学から事情を聴取いたしております。
木下委員 その結果はどうなっていますか。聴取しただけじゃだめです。結果が出ていますか。
遠山国務大臣 事情聴取の結果、帝京大学側からは以下のような説明を受けております。
 三点ございますが、一つは、合格発表前の寄附金の受け渡しなど、報道されていることについては大学としては全く関知していないということが一点でございます。
 二点目は、報道されている帝京大学理事長の親族の方がおられますけれども、その親族は大学とは無関係であって、同氏の関与を含め大学として実情を把握していないというのが二点目でございます。
 そして第三点目には、医学部入学者選抜における合否判定というのは公平に行われているという説明を受けました。
 私どもといたしましては、やはり社会が納得できるような徹底した調査を実施する必要がございますので、一つは保護者からの聴取、あるいは理事長、親族御自身からの聴取を含めまして、社会が納得できるような徹底した調査をまず大学側で実施してもらうように要請をいたしております。
木下委員 帝京大学に関しては、これまで再三裏口入学とかあるいは合否判定前の寄附金を集めることでマスコミ報道されたり、随分問題のある大学として何回も話題になった大学なんです。
 実際、総長を呼んで聞き取り調査だけで、そんなものではっきり答えが出ますか。どういう心証を持っていますか。
遠山国務大臣 帝京大学は私立大学でございまして、それぞれの私立大学は自主性を持って運営しているということもございますが、報道された内容が国民がいろいろな関心を持つ点でもございますので、社会が納得できるような徹底した調査を実施してほしいということで要請しております。
 これを受けまして、同大学では学内に、入試や寄附にかかわらない教職員でありますとか、外部の弁護士、公認会計士などを構成員とする調査委員会を設置しております。この設置は十二月五日でございますが、そこで今調査を行っていると承知しておりまして、我が省といたしましては、今後、この調査の推移も踏まえながら厳正に対処してまいりたいと思っております。
木下委員 大臣、この帝京大学は、まさに教育コンツェルンの巨大な大学です。これは総長がすべての実権を握っている。人事も含めすべて総長が実権を握って、人事も含め、あるいはその他の問題も含め、カリキュラムまで総長が全部つくっているんですよ。
 その総長が、先ほどの大臣の答弁だと、合否判定前の寄附金はありません、それから、問題になった親族は関係ありません、これで納得できますか。幾ら調査機関をつくったって、結局、その調査機関は総長の意向のもとにつくるわけでしょう。総長の息のかかった人が選ばれて調査したって解明できますか。答えてください。
遠山国務大臣 私立大学にかかわりますこういう問題につきましては、まず第一に学内できちんとその調査をしていただく、その結果を待って次に判断をしていくという方法でこれまでも対処してまいっておりまして、調査委員会そのものはかなりの頻度で開かれておりまして、熱心な調査が進んでいるというふうに聞いております。
木下委員 確かに私立大学、とはいえ、国から毎年多額の補助金が出ているじゃないですか。幾ら出ていますか。ここ五年間、幾らずつ毎年出ていますか。
石川政府参考人 帝京大学に対する補助金に関するお尋ねでございます。
 私立大学等に対する国からの補助金につきましては、教育研究に係る経常的経費に対して補助をいたします経常費補助金と、それから教育研究に必要な施設、装置、設備の購入費等に対する補助金がございます。
 帝京大学に対する過去五年間の補助額についてでございますけれども、平成八年度では六千四百万円、平成九年度で六億三千九百万円、平成十年度では十六億九千万円、平成十一年度では二十四億八千五百万円、平成十二年度では二十億一千三百万円という状況でございます。
木下委員 平成十一年度と十二年度では二十四億円と二十億円出ているんですよ。
 私立だから自主性に任せる。しかし、帝京大学は、これはさっきも言いましたように、これまで何回もそういう問題があった大学なんです。だからこそ、自主的に解決できない。
 これだけの国民の税金が使われているんです。どうですか、文部省主導で何らかの形で調査する気はありませんか。もし、このまま放置しますと、これはもうまさに医療に対する不信、医科大学あるいは大学医学部に対する不信、これがますます高まります。きちんとしてください。どうですか。
工藤政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣から申し上げましたように、大学の方からは潔白であるという御報告だったのでございますが、先生も御指摘のように、私も同じでございますけれども、本当にそれで、大丈夫だと言われても、大丈夫なだけの調査、努力をしていらっしゃいますかと。
 先ほどおっしゃいましたように、寄附金は大学では受け取っていないと言われているわけでございますが、新聞等によりますと、現に保護者の方がお出しになっているということもありますので、全く大学は身が潔白であるのであれば、では、贈ったと言われる方が大学に入っていないにしても、大学の名をかたったどなたかにお金を渡していれば大変ゆゆしい話でございますので、そういう保護者の方の調査も含めて厳正に御調査をお願いしているところでございます。
 それで、調査委員会が外部の方も含めて設置されてございますけれども、そういう保護者への調査も含めて若干手間取っているようでございまして、発足当初は昨年末までには報告したいということでございましたが、それが延び延びになってございまして、今日までまだ調査結果がまとまっていないという状況でございます。
 いずれにしても、大学もそういう外部の保護者も含めた厳正な調査の努力をしてございますし、私どもも、その調査を見守りつつ、引き続き厳正を期して事実の解明に努めてまいりたいと思っております。
木下委員 あの大学はなぜか卒業名簿をつくっていないんです。あるいは教職員名簿がないんです。私も何回も卒業生に聞きました。なぜ出していないのか。普通どこの大学でも卒業生名簿あるいは教職員名簿を出します。なぜ出していないのか。要するに、追跡されるのが嫌だから出していないんですよ。だから、みんな入学した人はクラスの人たちだけでお互いに確認し合いながら名簿をつくっているんですよ。私のところに名簿が来ていますよ。みんな、個人個人が、おたくどこから来た、今どこに住んでいる、全部名簿をつくってやっているんです。卒業生もみんな同じなんです。
 どう思いますか。卒業名簿がないなんという大学はありますか。どうですか。
工藤政府参考人 今御指摘の卒業名簿あるいは教職員名簿の作成というのは、それぞれの大学の御判断ではございますが、帝京大学に照会しましたところ、インターネットで教授のリストあるいはその教育研究分野等の整理はしているようでございますが、御指摘のように、いわゆる住所等が入った教職員名簿、卒業者名簿はつくっていないと聞いてございます。それは、どうしても個人情報等が入りますので、その個人情報の漏えいを防ぐ観点から作成していないというのが同大学の御姿勢のようでございまして、それはそれなりにその大学の御判断でございますので、私どもの立場でとやかく申しにくいのでございます。
木下委員 ですから、私も卒業生を探すのに随分苦労しました。しかし、何人かやはり情報を寄せてくれました。私のところへ、本当に、中にはやはり裏口入学ととられるからプライバシーだけは守ってくれという形で何人も情報を寄せてくれました。あるいは、じかに私の議員室へ来ていろいろ教えてくれました。そうした人たちの話を聞きますと、やはり帝京大学医学部には指定推薦枠あるいは特別ルートというのがあるんだそうです。そして、その枠は毎年三十人、そして入学試験の成績に応じて約四千万円から一億円、寄附金を出して初めて入学が許可される。
 どうですか、新聞報道と変わらないですよ。私も全部調査しました。どうですか。こういう実態があるじゃないですか。
工藤政府参考人 私どもがこれまでに大学にお聞きしているところによりますと、そういう特別ルートといいましょうか、裏口入学という言葉がいいかどうかはありますけれども、特別な入学ルートが全くないというのは大学側のお話でございます。
 いずれにしても、発端が医学部の入試に絡む合否判定前の寄附金の収受の疑惑でございますので、それに関しまして、学内での先ほど申しました調査委員会で調査している最中で、私どもはまだそのレポートをいただいてございませんが、その全貌の解明の中で、こういう点につきましても、私ども事実解明に努めてまいりたいと思っております。
木下委員 一つだけちょっとお伺いしますが、公式に教職員名簿がない、補助金はそれでも出せるんですか。文部省の方には教職員名簿はあるわけですか。帝京から提出させているわけですか。
    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕
石川政府参考人 補助金の交付に際しましては、教職員等の数についてはきちっと大学側から求めてやっておるところでございます。
木下委員 それは数だけですか。それとも、ちゃんと名前と住所の入ったきちんとした名簿ですか。
石川政府参考人 実際にそのような職員がいるということがわかるような形で把握をさせていただいております。
木下委員 それをぜひ出してもらいたいんですが、よろしいですね。インターネットに出ているんだったら出せるでしょう。私、インターネットを見たけれども、名前しか出ていないんですよ。
 委員長、どうですか。名簿、ぜひ文部科学省にある名簿を出してもらいたい。
北村(直)委員長代理 理事会で協議いたします。
木下委員 それから、実は、合否判定前の寄附金による入学は、医学部だけじゃないんです。経済学部でもあるんです。新聞報道にあります。そして、私自身、実はあるところから大学のその合否判定、それをいただきました。
 ちょっと古い資料ですが、これは、帝京大学の附属のある高校から帝京大学の経済学部を受験した人たちの名簿です。それで、一番左に受験番号があります。ここに実名が出ています。それから、評価点数、三・八から三・一、そしてこれを段階で、B、B、C、C、点数によってBランク、Cランク、全部つけてあります。
 そして、私が確認したところによると、試験が終わり、そして採点が終わった後、これが総長室に届けられます。そうすると、総長がこれを見て、三・八、Bクラス、あと百五十万、三・六、Bクラス、この人はあと二百万、Cクラス、あと二百五十万追加、全部総長が自筆で書いているんだそうです。そして、そばにいた職員が直ちに、例えば一番上の三・八、B、彼のところへ、自宅へ電話を入れます。今直ちに百五十万現金で持ってきてくれ、そしたら入学を認める。
 全部同じです。こういうことをやっているんですよ。これは約十年前です。(発言する者あり)いや、同じことを今だってやっているんですよ。附属というか、帝京グループの高校です。こういう形で、しかも、総長ルートというのが書いてあります。これは、内部から私が入手した資料です。どう思いますか、文部大臣。大臣、答えてください。(発言する者あり)
北村(直)委員長代理 静粛に。
工藤政府参考人 入試の公正な運営ということについては、私どもかねがね、帝京大学のみならず、全大学に申し上げているところでございまして、今回は、こういう疑惑が報道されたことを機に、調査委員会で、そういう入試の判定も含め、判定がどういうところでやられ、しかるべき適正な運用がなされているかどうかも含めて、しっかり今調査していただいているところでございまして、その調査結果を受けて私ども適切に対応してまいりたいと思います。
木下委員 これは大学も高校も含めてですよ。この場合は、帝京グループの高校から帝京大学の経済学部に受験した人たちの受験番号と合否の判定です。総長みずからが手書きで書いて、そして各受験生の父母に電話して、直ちに金を納めてくれ、そういう形で合否の判定をする。十年前ですけれども、しかし依然として今も続いている。このことは何人からも証言を得ました。
 どうなんですか、文部省は一九八一年に通達を出していますよね。合否判定前に受験生の父母に会ってはならない、あるいは寄附金を要請してはならないという、あれは事務次官通達でございますか、されていますよね。それは確かですね。
工藤政府参考人 大変残念なことに、昭和四十年代から五十年代にかけまして、各地の大学、特に医科大学等で、入試に伴う寄附金の収受というのが明らかになりまして、大きな社会問題にもなったところでございます。
 それに伴いまして、私どもとしては、入試の公正確保という観点から、昭和四十九年に「入学時の寄附金募集の抑制について」という、これは局長通知でございますが、それからさらには昭和五十二年、医学部、歯学部を含む私立大学に対して「私立大学医・歯学部における入学に関する寄附金の収受等の禁止及び入学者選抜の公正確保等について」、同じく局長通知でございますが、発しているところでございます。
 しかしながら、再三にわたりこういう御通知をしながら大学の努力を促してきたところでございますけれども、その後さらに昭和五十六年に、当時、やはり一部の私立大学の医学部で同様の事態が発生いたしましたものですから、改めて五十六年五月に、入学者選抜の公正確保及び入学に関する寄附金等の収受の禁止などにつきまして通知をしながら、各大学の努力を促しているところでございます。
木下委員 一九八一年の、事務次官通達を出したそのときも、実は帝京大学の問題だったんじゃないですか。違いますか。
工藤政府参考人 今さら特定の固有大学のお名前をお出しするのはいかがかと思いますが、当時は、新聞等で報じられている事実でございますのであえて申し上げますと、昭和四十九年には大変多くの大学、二十六の私立大学でこういう件が起きました。それから、昭和五十二年の時点では、愛知医科大学、それから東北歯科大学でこういう事件が起こりました。さらに、昭和五十六年でございますが、この時点では北里大学と東海大学で、今さらながらという形でこういう件が起きましたものですから、その通知の徹底の趣旨で、改めての通知をお出ししたところでございます。
木下委員 それ以後も、さっきも私言いましたように、帝京大学医学部に関する不正入試、あるいは事務次官通達以後も、合否判定前に父母と接触したり、あるいは寄附金を要請したりという話はずっと出ているんですよ。それは御存じありませんか。随分マスコミ報道されましたけれども、御存じありませんか、大臣、どうですか、答えてください。
遠山国務大臣 私自身は、その詳細については承知いたしておりません。
木下委員 では、どうですか。ずっとやっておられたんでしょうから。
工藤政府参考人 大臣から申し上げましたように、私ども、帝京大学についてその後の話は聞いてございませんし、今回の疑惑につきましても、疑惑は疑惑ではございますが、大学側は潔白であると主張してございますし、私どもからすれば、完全に潔白と言えるだけの御努力をしているかどうかということがございますので、まだ調査中という段階でございまして、まだその疑惑を事実と前提とした対応をしにくい。したがって、厳正な調査を求めている段階でございます。
木下委員 いや、本当に文部科学省が本気になって調べると思えば、私だって一人か二人で何人も探してきたんですよ。それを紹介します。
 私は大変、勇気ある彼の行動に本当に涙が出るほど感激しましたよ。自分が不正入学か裏口入学か、これはもうわかりません。ただし、合否判定前に多額の金を払って合格し、そして、十三年間もいたのに、毎年六百万円の授業料を払っています、留年留年を繰り返して、十三年たってほっぽり出された。その彼が私のところへ来ました。そして、私も何回も事実確認をするため文書をつくり、そして彼にも何回も、これで間違いないか、間違いないかと確認しながら書きとめたものです。長いですのでちょっと要約します。ちょっと古い話ですが、依然として同じ体質が残っているということを私は言います。
 昭和五十七年、開業医である父親が大学時代の同輩である開業医に会った際に、医学部入学の話が出た。結局、大学の後輩に当たる帝京大学M病院の幹部医師Yを紹介してもらう。五十七年十二月、紹介を受けたY医師の指示により、両親が帝京本部の総長室と思われる部屋に訪れ、沖永総裁とあいさつ。金額の話はなく、商談に終始した。
 明く五十八年一月、Y医師より、大学へ二千五百万円の小切手を用意するようにとの指示。同輩のアドバイスでY医師にも五十万円用意し、帝京大M病院へ両親が訪問。Y医師に面談し、すぐに沖永恵津子院長、総長夫人です、にY医師より引き合わされた。その場で総長夫人に二千五百万円の小切手を手渡し、場所は会議室のような小さな部屋、小切手の受領書を要求したが、拒否された。この受け渡しについては、自宅近くの都市銀行で自宅建物を担保に三千万のローンを組んだので、登記簿等で金を用意したことは確認できる。
 その後、二月に受験、合格発表。五十八年六月十日付の二枚の領収書が、そのころ帝京から送られてきました。しかし、この二枚の領収書のあて名に関しては、聞いたことがない、そういう領収書です。これがその領収書です。(パネルを示す)まず一千万円、そして千五百万円、二千五百万円を払っています。私も確認をいたしました。そして、登記謄本も、私も確認をいたしました。確かに三千万円借りて払っています。
 そして、実は、先ほど言いましたように、領収書が六月十日付になっています。しかし、試験は二月に行われております。ですから、試験前に二千五百万円払ったのに、領収書を請求したらなかなかくれなかった。そして、六月になって、この日付で、しかも、帝京大学ではなく、学校法人帝京第一学園、学校法人愛媛沖永学園、こういう受領書が来ています。これは間違いない、本物です。
 そして、三年まで順調に進級、しかし三年から四年に上がるときに初めて留年。留年の理由は、字が汚いこと。四年のときには、落とした科目が一科目までなら進級できるとの説明があったが、一科目め落としただけで留年。結局、三年を二回、四年を四回、五年を二回、六年を三回、計十三年間にもなった。落第すると、年間授業料六百万円、当時です、今はもっと高額になっていますが、余計に必要になります。
 家計は大変だった。休学しても正規の授業料が必要。また、再試験、追試ですが、一科目につき五千円必要だったので、そのたびに数万円のお金がかかった。そして、六年生のとき、卒業が決定する前にアルバムをつくるので、平成六年の卒業アルバムには載っている、そのアルバムは十万円。そこには、そのときの六年生だった学生の住所録が載っているが、それ以外に同窓会名簿などもなく、他の学生の住所などは一切わからない。
 平成八年、卒業できない、これ以上医学部で勉強できない旨の書面が大学より届きます。その後、帝京技術専門学校へ転学する勧めの書類が送られてきましたが、申し込みをせず、首にするなら裏口寄附金だけでも返還してくれと折衝したが、拒否。結局、授業料などを含め総額一億円を払い、そして、本当につぶしのきかない年になって大学をほうり出された、彼はこう書いています。
 そして、お母さんがまたこう言ってきています。彼のお母さんです。
 先日、テレビ、新聞、ラジオに出たことは、もう、二十年前の医学部は、合格発表前に寄附金を取っていることは連綿としている、日付を、二月上旬なのに六月にごまかした医学部、そして受領書が他校名になっている、各学園の半数が、留年させ、学生数があふれている、今、単位を取っても卒業を認めない、それは、国家試験が通るかどうか、兼ね合い、すなわち、自校の国家試験の合格ランクが、上にすることができるかどうかを考えて卒業を見合わせられてたまらない、自殺者が複数出ているのも御存じなのか、こういうことをお母さんが連綿と書いてきています。
 どうですか。どうですか、大臣。こうした親御さんの気持ち、あるいは十三年間も、毎年六百万円、合計一億円、こういう親御さんあるいは息子さんを見てどう思いますか。
    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕
工藤政府参考人 今回の疑惑の発端はNHKのニュースでございましたけれども、似たような事例があるような報道ぶりでございました。私ども、今の先生のお話も含めて、まさにそれが事実であれば大変なことでございますので、徹底的な調査をしている最中でございまして、現段階では、何ともコメントしようがない部分がございます。
 ただ、他方で、大学の教育、あるいはその学生の勉学のあり方については、いろいろ御議論があるところでございます。
 日本の場合に、ややもすれば、入学が難しく、卒業が簡単過ぎるんではないかという御批判もある中で、各大学の教育方針でいろいろな御努力を、あるいは工夫をしてございます。
 帝京大学がどうということではなくて一般論でございますけれども、近年、特に大学の就職状況も厳しい中で、学生一人一人にどういう付加価値をつけて、しかも胸を張って世の中に出ていくような品質保証をするかということで、いろいろな工夫をしていらっしゃいまして、その一環で、残念ながら、入学はしたけれども留年するという学生が出ている大学もあるのは事実でございます。帝京大学あるいは今の先生のお話がそうだと言っているわけではございませんけれども、一般論で恐縮でございますが、そういうことでございます。
木下委員 いや、そんな一般論を私は聞くつもりでお答えをお願いしたんじゃないです。先ほどやじで、それは両親も悪い、息子も悪い。確かにそのとおりかもしれない。しかし、これは我々も同じです。同僚だって、選挙に当選したいがために塀の上を渡り歩いているじゃないですか。何人もおっこっているでしょう、塀の内側へ。それは大人ですよ。しかし、自分が大学へ行って本当にやろうとしているときに、あるいは親心が、何としても自分の息子をやはり大学にやりたい、そういう親心を逆手にとって、弱みを握って、金出せば入学させてやる、これが大学のやることですか。
 大臣、どうぞ答えてください。
遠山国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、大学のあるべき姿というものを、すぐれた人材の養成、研究、そして社会貢献というところに置いておりますので、その考えから見ますと、今お伺いしたような事実がもしあるとすれば、それは我が国の大学にとってまことにふさわしくない事態であると思います。
 ただ、そのこと自体は個別の話でございますし、また事実、そのような形で、また一方で、特に医学の関係は人間の生死を左右するほどの大変大事な職業でございますので、これからはそういうふうなことが起きないように、いずれの大学においてもきちんと対応してもらいたいと私は思います。
木下委員 大臣がそこまでおっしゃるんだったら、先ほど私が例に挙げた人から、文部科学省の皆さん、事情聴取したらどうですか。する気はありますか。あるいは、もし信じられないとするならば、私、この場所へ連れてきます。彼のプライバシーを守ってもらえれば、彼とお母さんが堂々と証言してくれます。どうですか、会うつもりはありませんか。
工藤政府参考人 そもそもの発端で報道されておりますのがその方かどうかは別としまして、NHKのニュースでの報道は、そういう方がいらっしゃるようであるということでございました。
 先ほど御答弁申し上げましたように、大学側はそういう事実はないと言っておられるわけですが、他方で、大学に関係ない、たまたま親族であるようでございますが、大学とは関係ない方がお金を収受していたのではないかという疑惑も報じられているところでございます。であるとすれば、大学側からすれば、身の潔白を晴らすために、その疑惑の主からの事情聴取、さらには、お一人じゃないでしょうから、仮にあるとすれば複数の可能性がないわけではございませんので、保護者の方々からの事情聴取なども含めまして、学園全体の身の潔白を晴らすための御努力を今お願いしているところなわけでございます。
木下委員 今、おかしなことを言いましたね。潔白を晴らす。潔白じゃないと言っているんですよ。疑惑があるから、私言っているんですよ。疑惑を晴らしてください。
 大臣、どうですか。潔白を晴らすとはどういうことですか。疑惑を問い詰めて調査してくださいよ。
工藤政府参考人 あるいは私の物言い、言いようがおかしかったかもしれませんが、要は、疑惑が報じられてございまして、大学側は潔白だと主張しているのでございます。私どもとしては、ああそうですかというわけにいきませんので、大学がとことんあらゆる手を尽くして疑惑の主とされる方への接触、それから保護者への調査も含めて、大学が潔白だというのであれば、これだけの努力をして、大学とは関係ない、むしろ大学の、第三者がしたかどうかは別としまして、どういうことであるのか、もっと徹底的な調査をお願いしているところなのでございます。
木下委員 それは、もう何回もこの政治の場でも指摘してきましたが、身内が身内を調査して、そんなもの正当な調査ができますか。もしあれだったら……(発言する者あり)いや、訴えていますよ、何回も。訴えていますよ。そんなことよりも、それは違法性があるから、それは裁判は裁判でやればいい、私は私で追及しているんだから。補助金のことを追及しているんですよ。だから、どうですか。きちんとやってください。
工藤政府参考人 つまり、寄附金の収受についての疑惑なわけでございますが、贈ったと言われる、寄附金をお出ししたという方がおられ、大学は受け取っていないとしているわけでございます。
 そうすると、仮に贈ったという方がいらっしゃるとすれば、どなたかが受け取っているはずでございます。それが学園の方でなければ、学園以外のだれであるのか。徹底的に追及するのが、やはり自分が白い、潔白であると主張する限りは、その必要な努力であると思っているわけでございまして、学園の方でも、親族が絡んでいるということでございましたが、部外の方も含めてその徹底的な調査を今している最中でございまして、私どももそれを見守って、この事実の解明に努力してまいりたいと思っております。
木下委員 では、調査はいつまで、そういうことは指定してございますか。いつまでに調査して疑惑を晴らしてくれという期限は切っていますか。
工藤政府参考人 昨年十二月初旬に調査会が発足して、精力的に調査中と聞いてございますが、私どもとしては、疑惑を晴らすため、かつ、今在校生もいらっしゃるわけですし、入試のシーズンで、帝京大学を希望しておられる学生もいらっしゃるわけでしょうから、そういう社会の不安を払拭するためにも、できるだけ早く結論をいただきたいとお願いしてございます。
 ただ、まだ調査に手間取っているのが事実でございまして、他方で、先ほどの御質問にもありましたように、入試の公正を欠くような寄附金の収受がありますと、これまでの取り扱いにおきまして、私学助成が今、今年度、これからお出しする分が保留になってございます。これが、疑惑がはっきりいたしませんと、なかなか執行ができませんので、そういう意味でも年度内の早い機会に結論をいただきたいと思っているところでございます。
木下委員 もし、あれですか、年度内、そうすると三月末までということですが、来なかった場合は、文部科学省独自に調査をするということですか。ただ補助金だけ打ち切って、あとは知らぬということなんですか。
工藤政府参考人 調査の結果を督励してございますけれども、年度を越えても、あるいは三月の末になりましてもそれが来ないとすれば、私どもとしてしかるべき判断をしなきゃいけないと思ってございます。
 ただ、まだ大学側は相当お忙しい方々をお集めしながら精力的な調査をしていると伺ってございますので、その努力を加速いただきまして、できるだけ早い機会の結果報告を促してまいりたいと思っております。
木下委員 そうすると、文部科学省では、あくまでも大学の問題だ、うちはやりませんよ、報告だけを待つ、そしていけなくなれば補助金を切る、ただそれだけのことですか。大臣、答えてください。独自に調査をやるつもりはありませんか。
遠山国務大臣 冒頭お答えいたしましたように、現在、外部の弁護士なり公認会計士などを構成員とする調査委員会を設置して、しっかりそこで調査するという話でございます。
 そこで、今後、その調査の推移も踏まえながら、厳正に対処したいというのが私どもの立場でございます。
木下委員 大学のだれが調査すると言っているんですか。沖永総長ですか。
遠山国務大臣 その調査会のメンバーは、先ほど申しましたように、外部の方も入れた、そして、直接大学の関係者で金銭にかかわるような仕事をしていない方々によるメンバーだと聞いております。
木下委員 それは、だれが中心になって設立したものなんですか。聞いていますか。
工藤政府参考人 これは、大学側の自己努力でございまして、特定のどなたかが特に御選任されたということではなくて、大学側からの御報告で、当時の沖永理事長からの御報告で、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、入試や経理に関係していない学内者と、学外の公認会計士、弁護士等の方々の御協力を仰いで進んでいると伺ってございます。
木下委員 さっきも言いましたように、総長は絶大な力を持っているんです。その総長がみずから設立して、人選して、そして調査したって、疑惑なんか晴れませんよ。ふたをするだけじゃないですか。
 調査委員会の名前、出せますか。名簿、出せますか。出してください。
工藤政府参考人 少なくとも、外部の、例えば弁護士さんとか公認会計士さんというのは、それぞれのお仕事の立場上、公正を期しながら職務を遂行するお立場と私どもは信頼しているわけでございますが、この名簿につきましては、私ども、お届けさせていただきます。
木下委員 では、名簿をお待ちしています。それからまた改めてこの問題を質問します。
 それから、帝京大学には依然として学債という制度があるんですね。一口百万円で五口以上、つまり五百万円以上の学債を在学中の学生の父母に買わせ、買わないと、留年をさせる、そして進級させない、あるいは卒業させない、買っても卒業後に返済しないという内部告発、私も何人もいただいていますが、この学債については把握していますか。
石川政府参考人 学債についてのお尋ねでございますけれども、帝京大学における学校債につきましては、大学側に問い合わせいたしましたところ、昭和五十九年を最後に発行されていないというふうに聞いております。
 学校法人が学校債を発行することにつきましては、学校法人がそれぞれの経営基盤強化という観点からなさるわけで、必要に応じて活用が図られるべきものだというふうに考えているところでございますが、現実には、ただいまのところは発行されておらないというふうに聞いております。
木下委員 いや、今やっていないという話でしたが、これも私も何人かからも聞いています。現実に今、学債が発行されている。学債が悪いとは私言いません。しかし、それが進級の条件になったり、あるいは卒業後に返還されない、こうした事実があったとすれば、これは大変な問題です。
 大臣、どうですか、この学債という問題については。先ほど答弁がありましたけれども、もう一度。
遠山国務大臣 先ほど私学部長がお答えいたしましたように、学校法人が学校債を発行することにつきましては、学校法人の経営基盤の強化という角度から、厳密な形で運用されれば、私はそれは一つの工夫ではあろうと思います。
 そのかわり、発行に際しましては、募集目的、あるいは消費貸借契約に基づく学校法人の借入金の性格を有するものであるという旨を募集要項に明確に書いていただいて、募集対象者に周知していくということが大事かと考えます。
木下委員 ちょっと話をかえますが、現在、最近十年間の帝京大学医学部に対する入学者数、留年数、あるいは卒業生の数、中退者の数、除籍者の数、五年でも結構ですが、出ますか。
工藤政府参考人 医学部について申し上げますと、入学定員百人なのでございますが、各年の入学者、若干ばらつきはありますけれども、十年前といいますと、平成四年度で入学者百一人でございます。当該年度に卒業した方、前年まで留年された方も含めて、卒業した方が百三十五人、それから当該年度に新たに留年した方が四十三人、在籍者が八百四十人で、中退者は当該年度は五人でございました。
 平成十二年度で見ますと、同じ入学定員百人の中で、入学者数が百三人、卒業者数が九十三人、留年された方が三十四人、在籍者の総数が六百七十七人、中退された方が三人でございます。
 学部によって、留年の数、割合、学年によっても年度によっても違う要素がございまして、若干細こうございますので、御必要であれば後ほどまたお届けさせていただきます。
木下委員 私が予想していたとおり、やはり留年者数がかなり多い。この数というのは、他の医学部と比べてどうですか、比較されていますか。
工藤政府参考人 申しわけございません。今にわかに他の大学と比較した数値は持ってございませんが、医学部に限らず、例えば法学部とか、一定の国家試験への養成課程を抱えている学部というのは、大学の方針もありましょうけれども、学生の都合で、司法試験を受けたからもう一年頑張るかとかということも含めて、いろいろばらつきがあるところでございます。したがって、一概に帝京大学のこの例がどうのこうのというのはいかがなものかという感じを私どもはしてございます。
木下委員 それでは、帝京大学医学部を卒業されて医師国家試験に合格した数、これはここ五年間でどのぐらいになりますか。あるいは、都内だけでも結構ですが、都内の医学部あるいは医科大学の中で何番目ぐらいに位置していますか、合格者数。
工藤政府参考人 帝京大学医学部の医師国家試験の合格率でございますが、平成十三年の合格率、これは受験生が百四十八名、合格者が百十九名で、八〇・四%と承知してございます。厚生労働省の方でデータは整理していらっしゃいますが、これは年度によって若干違ってございまして、前年の十二年は、合格率だけで申し上げますと四八・五%、その前の十一年は七三・〇%等々、いろいろばらつきがございます。
木下委員 これは都内の医科大学あるいは大学医学部の中で、大体合格率は何番目ぐらいになるわけですか。
工藤政府参考人 申しわけございません。今手元に資料がございませんので、後ほどお届けさせていただきます。
木下委員 では、それは後で出してください。
 それから、もう一つ帝京大学で問題なのは、大学の経営幹部らが理事長や理事を務める財団法人、これは実に十財団を超えています。そのうち、八つの財団法人が抱える預貯金や株などの内部留保の資産は二〇〇〇年度で総額二百五十億円を超えることが、私ども、各財団のいわゆる財務諸表を精査した結果明らかになりました。これ、今お配りさせていただきますが、とにかくすさまじい金額でございます。
 今資料をお配りしますけれども、国は、優遇税制が適用されるいわゆる財団法人の資産については、内部留保額を事業費などの三〇%以下に抑えるよう基準を設けているんですが、これはどうなんですか、このとおりでございますか。基準を設けておりますか。わかりますか。――では、これはもう私も調べていますので、要するに、三〇%以下に抑えるよう基準を設けているはずなんです。
 ところが、例えば今ここにある、内部留保額が最も多い旭オールドエイジセンター、これは千葉県にあるのですが、内部留保額が約七十六億五千万円と巨額なのに対して、実際に執行された事業費は約一千五百万円。また、二番目の帝京育英財団、これは愛媛県にありますが、内部留保額が約七十五億八千万円に上りますが、事業費は約一千二百万円。山梨県にある帝京育英会も、内部留保額が実に二〇〇〇〇%、国の基準三〇%より圧倒的に大きいわけです。
 しかも、各財団では資産を株式などで保有するケースも多い。例えば、帝京育英会の内部留保の内訳は、有価証券が半分近い約二十一億五千万円、帝京育英財団は、有価証券が資産の四割を占めています。
 こうした、帝京は要するに受験生から集めた金を各財団に寄附をして、それを有価証券で運用しているわけですね。
 実は、私も一時ジャーナリストでしたので、株の問題もやりました。しかし、兜町へ行きますと、帝京大学というのは仕手筋として知られているのですよ。こうした実態を文部科学省はどこまで把握しているか。また、財団法人の資産運用として、株式などいわゆるリスクのあるこういう運用方法というのは問題なのではないか。その点、いかがでございますか。大臣、答えてください。
岸田副大臣 まず、基本的な考え方としまして、先生御指摘されましたように、学校法人の資産運用のあり方、これにつきましては、これら学校法人が設置運営する学校の教育研究活動を支える大切な資産であります。このことから、これを効率的に運用するとともに、効率的だけではなくして安全性にも十分配慮する、この二つが大切だという認識、そのとおりでございます。
 しかし、学校法人の資産運用の一形態として株式保有をするかどうか、このことにつきましては、法律上、その規制、制限というものは一切ございません。ですから、法律上は可能ということでありますが、しかし、その際に、リスクについては十分配慮し、学校運営に支障を来すことがないように配慮するということ、これが大切だというふうに思っております。
 そういった認識のもとに、どのような形態、方法によって資産運用を行うか、このことにつきましては、それぞれの学校法人の責任において判断すべき事柄だという認識でおります。
木下委員 いや、これだけの内部留保があるところに毎年二十億円以上の私学助成を出す。問題じゃありませんか、大臣。
遠山国務大臣 今お話しの財団は、これはいずれも地方の財団でございますね、各県で認可をしている。したがいまして、大学を運営している財団とは、これは別途の目的と別途の設置形態であろうかと思っております。
 その意味で、ちょっとただいまの御質問については、私としてはコメントを控えさせていただきます。
木下委員 では、もう一つ指摘しておきます。
 帝京大学は、日本テレビの株三十九万株、三・五%、第五位の大株主です。朝日放送十三万株、三・六%、第四位の大株主になっている。マスコミの大株主になっているのは特別の意図があるかもしれませんが、それについては後で詳しく指摘したいと思いますが、国から多額の助成金を受けたり、先ほど大臣は地方自治体の問題だ、しかし今度は帝京大学です、本体です。優遇税制で守られ、あるいは固定資産税その他さまざまな恩恵をこうむっている大学が朝日放送、日本テレビ、こういったところへ莫大な投資をしている。どう思いますか。
岸田副大臣 学校法人の資産運用につきましては、効率的に運用するということについてはその学校の判断というものが尊重されなければいけないわけですが、その一方で、リスク等、大切な資産を損なうことがないように十分配慮するということ、これは大切なポイントだと思っております。
 ですから、効率性とリスクがないように配慮するという考え方、これを両立させながら、学校法人における責任において判断すべき問題だと思っております。
木下委員 いや、そんな話を聞いているのじゃないんです。そんなことわかっていますよ。
 そうじゃなくて、国から多額の助成を受けている大学が、本体が、これだけの株、これは計算すれば時価で幾らになりますか。十三万株ですよ、三十九万株ですよ。どうですか、大臣。
遠山国務大臣 今の額は、庶民感覚からすると余りにもかけ離れている数値ではございますけれども、私立大学がそれなりの見識を持ってやっておられることでございますので、コメントを差し控えさせていただきます。
木下委員 見識があればこんな問題を起こさないですよ。大学のトップにいる人が、言っちゃ悪いけれども、見識がないからこれだけの問題が起こるんじゃないですか。そんな公式的な答弁じゃ納得できません。ちゃんと言ってください、いいのか悪いのか。これだけの私学助成をもらっている大学が、堂々とテレビ会社、あるいは朝日放送、大株主。何のためにやっているんですか。いいですか、こんなことで。大臣、もう一度答えてください。
遠山国務大臣 今、突然の数値をお出しいただきまして、私自体も大変驚いております。それはまさに市民の感覚とはかなりかけ離れておりますけれども、そのこと自体について今いい悪いとここで言うようにというお話でございますけれども、そのことについては私はコメントを差し控えさせていただきます。
木下委員 事実確認できたら何らかの指導はするつもりですか、大臣。何らかの指導はしますか。
遠山国務大臣 今回、入試の問題を契機といたしまして、社会的に大きな問題になっております。その意味で、今、調査のプロセスに入っておりまして、その段階をきちんと踏んで、私どもとして、厳正にいろいろな問題について対処する必要があろうかと思っております。
木下委員 帝京大学が朝日放送と日本テレビの大株主になっているのはまた別の意図がある、これはまた後で指摘します。
 その前に、今度は、帝京大学と文部科学省との関係、これを追及させていただきます。
 旧文部省あるいは現在の文部科学省から、これまで、財団を含む帝京大学グループ、ここに天下りまたは就職した人は何人いますか。
結城政府参考人 昭和六十年、一九八五年から現在までを調査いたしました。旧文部省及び現在の文部科学省といたしまして、帝京大学グループからの要請に基づきまして、五名の者を紹介し、その者は帝京大学グループに再就職いたしております。
木下委員 その五名について、私も何回も要請をしました。しかし、明らかになっているのは二人だけです。その五名を明らかにしてください。どこから、役所のどこの部署から来て、帝京のどこに、あるいは役職はどうなのか、それをきちんと出してください。今言ってください。言えますか。
結城政府参考人 具体的な固有名詞はちょっと控えさせていただきますけれども、旧文部省退官時の役職とその後の再就職先を御説明申し上げます。
 まず、名古屋大学の事務局長でやめられた方でございますけれども、この方は、帝京大学理工学部設立準備委員会の事務局長、さらには帝京大学理工学部の事務局長に就任いたしております。
 もう一方は、山梨医科大学の事務局長で退官された方ですけれども、この方は、先ほどの方の後任でございますけれども、帝京大学理工学部事務局長に就任いたしております。
 それから三人目でございますけれども、横浜国立大学の事務局長で退官された方ですが、この方は、帝京科学大学法人の大学事務局長に就任いたしております。
 それから四人目ですが、鹿児島大学の事務局長で退官された方ですけれども、帝京科学大学事務局長に就任いたしております。
 最後に、五人目ですけれども、千葉大学の事務局長で退官された方ですけれども、この方は、帝京技術科学大学の事務局長、その後同じく帝京技術科学大学の大学の顧問に就任されております。
 以上でございます。
木下委員 要するに、全部、文部省から来た人たちは事務局長になっているんですよ。事務局長というのは相当な権限があります。
 それから、今ありましたように……(発言する者あり)
津島委員長 木下君、質問してください。
木下委員 事務の一切は、総長の意向に沿ってやるわけです。そして、力を発揮するのは、まさに文部科学省の方へ力を発揮するんですよ。
 では、申し上げます。
 一九八〇年代後半から九〇年代にかけて新たな学校法人、帝京大学ですよ、新たな学校法人や学部、財団を次々と設立しているじゃないですか。その認可に当たって、文部科学省からの天下りの受け入れによる便宜供与があったんじゃないですか。どうですか。大臣、答えてください。
岸田副大臣 学校法人及び学部等の設置認可でありますけれども、御案内のとおり、大学設置・学校法人審議会の審査を経ることになるわけであります。この審議会、三十名近いメンバーがあり、それが二つの分科会に分かれて、そして項目ごとにその基準に基づいて審査をしていく、そういう積み重ねを行うことになっております。
 そのメンバーは、学校関係者のみならず、企業人あるいは弁護士、さらには公認会計士、こういった方々も含めてこの組織をつくっているわけでありますから、この仕組みの中で手順を踏んでやった場合、その天下り人事による便宜があったんではないかという話でありますが、そういった余地はこの制度、仕組みの中にはないと考えております。
木下委員 では、もう一つ言いましょう。
 帝京大学と文部科学省の関係でいえば、いわば一九八八年、六十三年ですね、あの例のリクルート事件で文部事務次官をやめた高石邦男さんが設立した生涯学習振興財団に、帝京大が当時八億円もの寄附をしていることが発覚し、マスコミに大きく報道されましたが、その当時に、学校法人、学部新設、財団設立が集中しているんです。しかも、その生涯学習振興財団は、申請からわずか二日という超特急スピードで認可されているんです。当時、大変問題になりました。そんなあり得ないことが起こったんです。ですから、マスコミでも盛んに話題になりましたし、私も、当時ジャーナリストでしたから、随分追及をいたしました。そういう事実があるじゃないですか。どうなんですか、大臣。
岸田副大臣 まず、今御指摘の時期前後で大学、学部の創設あるいは法人の設立の動きでありますが、その大学、学部設立に関しては、当該時期に帝京大学関係で三つあるわけですが、それにつきましては、先ほど申し上げましたように、審議会の手続を経ているわけであります。
 また、加えて今御指摘の時期前後、昭和六十一年、六十二年に二つ、そして六十三年に三つ、この財団の設立が行われているわけでありますが、これらはいずれも都道府県所管であります。ですから、これは都道府県の判断で行われたわけでありますから、文部科学省が直接かかわっている事案ではないと認識しております。
木下委員 そんな答弁を私は聞いているんじゃないです。力があった。事実なんです。
 では、もう一つ、今度は、帝京大学と自民党衆議院議員の松島みどりさんとの関係についてお聞きします。
 もう既に御承知だと思うんですが、このように新聞報道されました。帝京大学の関連会社である株式会社帝京サービスから、平成八年から十二年、初当選するまでの約四年間にわたり給与として約三千万円受け取り、そして、東京国税局の指摘により雑所得として修正申告をしていたとのマスコミ報道がありますが、これは事実かどうか、国税当局、確認させてください。
村上政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の報道があったことは承知しておりますが、個別にわたる事柄でございますので、守秘義務がかかる関係上、具体的に答弁することは差し控えさせていただきます。
木下委員 事実であったというふうに私は思いますし、新聞報道、もしあれだとすれば松島本人が告訴すれば済むことですから、これは事実だということですが、そこで、もう一つお聞きします。
 帝京サービスが支払った松島議員への給与は、人件費に見せかけた経費の水増しに当たるとして、このほかの経理処理も合わせて、帝京サービスに約五千万円の申告漏れを指摘し、重加算税を含めて約四百万円を追徴課税したとの報道もされたが、これも事実かどうか確認したい。どうですか。
村上政府参考人 お答えいたします。
 あくまで一般論でお答えしたいと思いますが、給与所得の場合は、法人経理上は、それは損金になります。もし給与所得に当たらない場合、例えば、これはあくまで一般論で申し上げているわけでありますが、法人から原稿料の支払いを受けているとか、あるいは一方的な金銭の贈与を受けている、こういった場合には、受け取った方は雑所得になるかと思いますし、法人の経理は、損金になる場合もございますし、寄附金になる場合もございます。寄附金の場合は、限度額計算を行いまして、一定の限度額以上になれば損金不算入となります。
木下委員 しかし、私が調査したところ、松島議員は勤務実態がほとんどないんです。とすれば、これは架空給与ではないのか。あるいは、当時松島さんは、平成八年の衆議院選挙に東京十四区から自民党公認候補で立候補しており、もし架空給与だとすれば、むしろ政治的、道義的責任が生ずると思いますが、私はその点も追及しておきたいと思います。
 お答えになる人がおられないと思いますのであれしますが、それともう一つ指摘しておきたいことは、先ほど来、私ごとを言って申しわけないんですが、私も一介のジャーナリストでした。そして、松島さんがテープ起こしをした、あるいは原稿を書いたと言っています。しかし、一時間のテープを起こして幾らになると思いますか。二万円ですよ。二万円でやって、三千万円には何回やるんですか。あるいは原稿料、安いものですよ。四百字原稿用紙一枚書いたって、多くて六千円かそんなものです。どうやって、このテープ起こしと原稿書き、私も一時は必死に書きました、連日書きました。月に五、六本持っていても五十万にもなりません。フリージャーナリストの人たちは、そうした血の出るような苦労をしているんです。それを、四年間で三千万円、冗談じゃないですよ。これが給与として、しかも立候補しているじゃないですか。
 国税庁、どうですか。(発言する者あり)税金を払えば済むという問題じゃないんですよ。どうですか。
村上政府参考人 あくまで一般論でお答えいたしますが、原稿料であるかどうか、それはその契約の内容であるとか役務提供によって判断するところでありますが、原稿料であっても、受けたものは雑所得になります。原稿料でなくて一方的に何か資金の提供があったという場合も雑所得でありますので、税務上の取り扱いは同じになるかと思います。国税当局としては税務の処理だけをいたしております。
木下委員 ですから、それはそれだけの価値があった、冗談じゃないですよ。ふざけたこと言うんじゃないですよ。
 それから、その後も帝京サービスから毎年多額の献金をもらっているんです。個人の政治資金団体みどり会には、平成十一年度百五十万円、個人の限度額いっぱいです。平成十二年度百五十万円。さらに、平成十二年十一月八日に赤坂プリンスホテルで開かれた松島みどりさんの飛躍を期する会では、パーティー券八百八十九枚、収入二千百十二万円のうち、帝京大学の関連企業である帝京サービスが百五十万円、同じく同大関連会社の三荘企業、これが百五十万円分のパーティー券を購入しています。
 私もこの住所に行ってきました。しかし、名札はあっても、ビルの中は空っぽです。そして、調べてみたら、この会社は帝京大学の中にあるんです。全くペーパーカンパニーなんです。
 しかも、また、松島議員が支部長を務める自由民主党東京十四選挙区支部には、帝京大学の沖永荘一総長から、平成十年度に百万円、平成十一年度五十万円、平成十二年度百万円の寄附金を受けています。
 幾ら個人や関連企業とはいえ、国から多額の補助金を得、あるいは受験生の父母から多額の寄附金や学生から多額の授業料を得て大学を経営し、そこから報酬を得ている帝京大学総長が、特定の政治家にこれだけ多額の献金をするというのは問題ではないか。大臣、どうですか。
石川政府参考人 お答えを申し上げます。
 国から補助金を受けておる学校法人につきましては、国会議員の先生方に政治献金をするということについては政治資金規正法のいろいろな制限があるわけでございますけれども、学校法人の役員個人の立場で寄附をされるという場合につきましてはこのような制限はないものと承知をいたしております。
 そんなことで、学校法人の役員等がそのような寄附を行う際は法令の規定に違反するものではないわけでございますけれども、設置する学校の政治的な中立性の確保などにも留意しながら、それぞれ各個人として自主的に御判断されるべきものであろうかというふうに考えております。
木下委員 ちょっと待ってくださいよ。実体がないペーパーカンパニーを通じて、いわばダミー会社を使って帝京大学が金を出しているんじゃないですか。どうですか、ダミー会社を使って。
石川政府参考人 これらの関連団体といいますか、その企業と学校法人は別の主体でございますし、先ほどパーティー券のようなお話もございましたけれども、パーティー券の購入を含めまして、どのような資金的な援助といいましょうか、活動をしておるかについては、私ども承知しておらないところでございます。
木下委員 それは、やはり金額的にも問題だと思いますので、ぜひ調査してもらいたいと思いますが、調査していただけますか。大臣。
石川政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたけれども、一応、私どもが所管する学校法人とは別の法人格を有している団体でもございますので、直接に調査をするということはなかなか難しいかと思っております。
木下委員 それじゃ、私の方から、やはりこの真相は政治家としてきちんとしてもらいたい、そういう意味で、松島みどりさんをぜひ参考人としてこの委員会に呼んで、事実関係をきちんとしてもらいたい。委員長、それをよろしくお願いします。
津島委員長 理事会で協議をいたします。
木下委員 それから、先ほど言いましたけれども、なぜ、帝京大学が、及び総長の沖永荘一氏が松島議員をこれほど手厚く支援するのか。いろいろ調べてみたんですが、一つだけ思い当たる節がある。
 帝京大学や沖永総長をよく知る人たちが口をそろえて言うのは、さまざまな帝京大学の、あるいはグループの疑惑にかかわる問題を何とか表に出したくない、そういうことで、帝京大学並びに沖永さんの周辺にはマスコミ人脈が、強固なものができています。
 松島さんは、朝日新聞の政治部記者、経済部記者出身であります。実は、朝日新聞から、二人の、経済部長と編集委員が帝京大学教授として入っております。そして、その二人が帝京大学の広報委員長を務めています。つまり、マスコミ対応の最前線でやっているわけです。
 さらに、この帝京大学には、例えば、毎日新聞のサンデー毎日の元編集長、あるいは日経新聞の記者、読売新聞の記者、あるいはテレビ東京、広告代理店の電通、ここから引き抜いてきて、一部は帝京大学、一部は帝京平成大学、こちらの教授として採用しています。そして、先ほど私が指摘しましたそのマスコミ対策の一つとして、朝日放送そして日本テレビの株を買って大株主になっているんじゃないか、そういう疑惑がさまざまな形で影響を及ぼしている。
 例えば、この松島議員の報道に際しても、他の新聞が松島議員トップできました。ところが、朝日だけは小さく松島議員。ですから、朝日新聞を含むマスコミ人脈と帝京大学との間に深いつながりがある。その辺を今後さらに鋭く追及していきたいと思いますが、これについて大臣、真相を究明してください。あるいは御感想をひとつ、何でもいいですよ、御感想をひとつ言ってください。
遠山国務大臣 御指名ではございますけれども、そのようなことについて私が感想を申し上げる立場ではないと思います。
木下委員 しかし大臣、国民の税金を使って補助金が出ているんですよ。やはりこの事実に対して何らかのコメントを出してくださいよ。そんな話じゃだめですよ。
工藤政府参考人 大臣は多分言論界の言論の自由という原則を尊重しながら今答弁を差し控えられたのだと思いますが、一般論で恐縮でございますが、申し上げますと、それぞれの大学がいろいろな工夫でいろいろな人材を集めてございます。大学をPRするのも大変大事な側面でございますし、教授、スタッフにつきましても、企業経験者を登用するとかということも含めて、外から人材を集めることそれ自体が、私どもからすれば問題視することではないのかと思いますが、先生の御主張の疑念はそれなりに受けとめさせていただきたいと思います。
木下委員 いや、そんな答弁聞いてないですよ。大臣、もう一回答えてください。補助金が出ているんですよ。きちんと答えてください。そんなばかにした答弁はないですよ。
遠山国務大臣 私は、最初にお答えいたしましたような大学についての強い期待と、そしてあるべき社会での重要な存在ということを常に頭に置いております。大学関係者は常にそういうふうなことを念頭に置きながら大学運営に当たってもらいたいと強く感じました。
木下委員 こんな答弁じゃとても納得できませんので、この問題はまた再度改めてやりたいと思います。
 最後に。
 この松島議員を帝京大学の沖永総長に紹介したのは、実は関西から選出されている大物自民党の政治家です。一九九五年、平成七年秋ごろ、ある場所で会合が持たれ、そこでその大物代議士から帝京大学の沖永荘一総長を紹介された。そのとき同席したのは、自民党国会議員五人。大学からは沖永荘一総長が出席していて、その後、松島議員は沖永総長と会うようになり、給与をもらうようになった。
 しかし、それにしても、これだけ多額の給与や寄附金をもらうのは余りにも不自然である。もし私の指摘が間違っているならば、ぜひ松島議員にはこの場へ出てきてもらって、身の潔白をぜひとも明らかにしてもらいたい。
 また、先ほど私が言いました関西出身のA代議士については、これは帝京大学と大変な関係がある。そして、帝京大学あるいは沖永総長から毎年百五十万、百五十万、三百万、奥さんと総長、両方から百五十万ずつ献金を受けている。そして、数年前には千九百万、多額の献金を受けている。そして、さまざまな便宜供与をしているという事実も明らかになっています。
 これは、次の予算委員会あるいはほかの委員会でのお楽しみにさせていただいて、これで私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
津島委員長 これにて木下君の質疑は終了いたしました。
 次に、中塚一宏君。
中塚委員 まずは、G7のお話からお伺いをしたいと思います。
 先週末からG7、先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議が開催されたわけですけれども、まず、財務大臣が御出席になられましたが、財務大臣の御所管は国際金融ということになるわけですね。国内金融というのは柳澤金融担当大臣の御所管になっているはずなんですけれども、G7に国内金融に関する制度の企画立案を所掌する大臣が出席しない国というのは、恐らく日本ぐらいだろうというふうに思うのですけれども、財務大臣は、これでこの会議に支障はないというふうにお考えですか。
塩川国務大臣 G7の構成されましたのは随分古いことでございまして、その当時、日本は代表に大蔵大臣となっておりました。その後、日本の方の内閣の分担が変わりまして、金融担当大臣というのが内閣府の直属の大臣として設置されたものでございますから、G7ではそのまま財務大臣の指名があって、それ以来、ずっと私がそれを引き継いで出席しておる、こういうことでございまして、これはG7の協議の中で決まったことでございますので、その事情はそういうことであるということは申し上げておきたいと思います。
中塚委員 支障があるかないかということをお尋ねしたわけです。
 G7では、それこそ塩川大臣は、株式の買い上げ機構のことも御説明されたわけですね。この株式の買い上げ機構の法律自体は、金融庁が所管で、金融庁の提案で審議がされた法律だったわけですけれども。
 柳澤金融担当大臣、同じことを伺いますけれども、今回のG7、テロ対応の話が共同声明では一番多かったようですが、やはり日本ということがこれだけ注目を浴びているわけです。そういった中で、金融担当の大臣、国内金融の制度の企画立案というのを所掌される大臣が御出席されないというのは、これでいいというふうにお考えですか。
柳澤国務大臣 財金分離の議論があったときに、この点も非常に、論議の一つのポイントであったという記憶がございます。しかし、やはり財金分離の方が大事だということで、では、国際的なエクスポージャーというのはどうするのだといったら、やはりそれは、ほかの国とのバランスもあって財務大臣がそこに出席をされて、あとの問題はできるだけ、これは政府の代表でもあるという意味もあって、国内的によく連携をするということによってカバーをすべきだ、こういう結論になって、現在の姿が続いているものと思っております。
 私としては、日本の行政改革の中で国際的なエクスポージャーというものがそういうふうに整理をされたということを踏まえて、できる限り塩川財務大臣がすべてを踏まえてそこで御発言になられるようにいろいろとまた連携をさせていただいておるということでございまして、現在のところそれで十分機能している、このように考えております。
中塚委員 検査監督というのが別になっていても、制度の企画立案ということが分離されているということだから、やはりこれは、G7に出席をされるように働きかけるなり、あるいは行政組織というのを見直した方がいいのだろうというふうに思います。
 このことだけではないのですが、きょう、経済財政関係のお話を伺おうと思って、財務大臣、金融担当大臣、そして経済財政担当大臣、日本銀行総裁とお越しをいただいているのですけれども、おのおのの、この大臣の方々の連携というのは本当によくとれているのかどうか、おっしゃっていることが全部何か逆の方向を向いているのじゃないかというふうに思わざるを得ないところがあって、それでかなり日本経済、また財政というのも混乱をしておるということも、ちょっとこれから御質問したいというふうに思います。
 G7での塩川財務大臣の御発言について伺いますが、塩川大臣はG7で、経済成長率を二〇〇二年度にゼロ%、二〇〇三年度に一%に引き上げるということを表明されたわけですね。これは閣議決定したことではない、政府の方針でも何でもないというふうにお話しになっていて、あくまで努力目標であるというふうに言われているようです。
 ここに、財務省のホームページから拝見しました、二月十二日の「塩川財務大臣閣議後記者会見の概要」というのがあります。
 記者の方が「これ確認なんですけれども、ちょっと厳しいような気がするんですが。」と。一%のことですね、二〇〇三年度一%。大臣はそれにお答えになって「ああ、厳しいです。」というふうに素直にお答えになっているわけです。さらに問われて、「政府として内外に公約した政府の方針ということでよろしいでしょうか。」というふうに聞かれて、「政府の方針でも何でもない。これは閣議で決定しているわけじゃないからね。」というふうにお答えになっているわけであります。それで、大臣は引き続いて、「しかしね、IMFは二〇〇二年は一・一でしょう。二〇〇三年はIMFでは何か非常に高めに見ているんですね。それから、日本は、ちょっと日本だけが低いんだな。ほかの国、みんな高く見とるんだよ。潜在能力は日本はあるのになぜ発揮できないのかということなんですよね。」というふうにお答えになった。
 伺いますが、IMFの二〇〇二年の世界経済見通しにおける日本の成長率というのは、実質成長率がマイナス一・〇なんですね。財務大臣はこの一・一という数字はどこから仕入れられたんでしょうか。
塩川国務大臣 名目成長率がIMFでいろいろ議論があるようでございまして、私は、いろいろな人の集まりの中、あるいはいろいろな論評の中で名目成長率一・一ということが出ておるということを確認をしておりまして、そうであるとするならば、やはり日本の潜在成長率というものは、アメリカ等から見ましたら日本は二〇〇三年で二ないし三%あるじゃないかという説を言う人もありますし、世界各国からそういうことを言っている。それが、やはりIMFの会議の中でそういう議論が出てきたということは事実でございますので、そうならば日本も、〇・六というのは、ちょっと元気を出して一%にしてもいいじゃないかということから私は一%と言った次第でございます。
 それは、何か評論家のことどおり言えということが無理な話でして、私も政治家としてはやはりちょっと物を言うことはございますし、評論家のとおり、あるいは雑誌のとおり言わなきゃならぬということはないだろうと思っております。
中塚委員 そういうことになりますと、これは虚言大臣というふうになっちゃうわけですね。政治家として物を言うという話と、財務大臣としてG7で発言をするということは、これは全然違うわけです。
 そういった中で、今、名目で一・〇とおっしゃいましたが、実質の話なわけですね。実質でマイナス一・〇としていて、大臣は、IMFは名目で一・一というふうにおっしゃる、それはちょっと今確かめるあれはないですけれども。それで、日本は、これが二〇〇三年は一%だというふうにお話しになったということになりますと、そんな、自分の思いつきで世界会議で御発言になるというのはめちゃくちゃな話ですよ。
 それで大臣、このIMFの、二〇〇二年の一・一というのはあらかじめ御存じだったのですか、それとも、後からそういう一・一ということをお知りになったのですか。
塩川国務大臣 私は、いろいろなソースから一・一ということは承知しておりました。したがって、どこにはっきりと書いてある、レポートに出ておるというものじゃございませんけれども、IMFの予測だとかいろいろなものが出ております。そういうようなものを私も報告を受けておったし、それからしてそれが頭にあったということです。
中塚委員 けれども、それは、ちゃんと出典というのが明らかになれないということであれば、IMFが二〇〇二年は一・一と言っておるというふうにはならないと思いますよ。そうではなくて、大臣が、確かに思いつきで言ったということなんでしょうけれども、思いつきで、二〇〇三年は日本は一・〇だというふうに御発言になったということなわけですね。そういった思いつきな発言であるわけですけれども、これはもう、会議で言った以上は、幾ら大臣が努力目標とおっしゃっても、それに向かって努力をしなきゃいけないわけですね。
 それで、竹中経済担当大臣にお伺いしますが、この一%発言というのはどうなんでしょう、達成可能なんでしょうか。
竹中国務大臣 これは二〇〇三年の話でありますから、今の時点で政府の正式な経済見通し、閣議決定された経済見通しというようなものではございませんので、想定される姿だということで、これは委員御承知のように、内閣府の試算では〇・六というような形で、今後、潜在成長力に近づいていくというような形を示していたと思います。しかし、これも実はトレンドとしての姿でありますので、その中で、景気の変動で若干の上下がありますので、これも幅を持って見なければいけない。
 そういう点からいきますと、塩川大臣がおっしゃったのは、私は、どういうシチュエーションでおっしゃったのかというのは、これはもう大臣にお任せしているわけでございますけれども、政府が描いている中期のシナリオから決して外れているものではないというふうに思っております。
中塚委員 本当にもうこの内閣は、おのおのの大臣が思いつくままに発言をして、そして、どれとして本当にちゃんと信用できる数字がない。
 竹中大臣の経済財政諮問会議でおつくりになられた、あの「改革と展望」ですか、それでは〇・六なわけですね。そして、それはフォーシーアブルフューチャーという意味では一番近い未来であって、やはり大臣はその数字についてもっと自信をお持ちになるべきだろうと思うんですね。そして、そのために竹中さんは経済財政担当大臣におなりになっているはずなんだから。
 それで、この目標になった数字の真偽、その達成の度合いということになるわけですけれども、こうやって塩川大臣はアバウトに一%というふうにおっしゃるということ、そして竹中大臣は、そうなるかもしれないなというふうなことをおっしゃるわけですが、では、それに向かって、一%を実現する具体的な政策というのは一体これはどうなるんでしょうか、竹中大臣。
竹中国務大臣 中期展望に書いております数字の性格をぜひ御理解いただきたいと思うんですが、どのようなペースで日本が本来持っている二%近い潜在成長力に回復していくかというそのプロセスを描いているわけですね。
 その中で、実は、そのモデルの制約条件としてるる述べられていると思いますが、いわゆる循環的な影響というのはその中に入ってこないわけです。したがって、その〇・六が実現できるか一パーが実現できるか、そういう形を議論するためにその数字が出されているのではなくて、中期的な移行のプロセスを示しているものでありますから、それが実現できるかどうかということの議論には少しなじまないものであろうかと思います。
 重要な点は、構造的な改革を進めて潜在成長力を高めていくということであって、そのプロセスを示したものであるというふうに御理解いただきたいと思います。
中塚委員 それなら、竹中大臣に伺いますが、塩川大臣がG7で一%というふうにおっしゃったことについて抗議はされたんですか。
竹中国務大臣 内閣府として抗議を申し上げるような性格のものではないと思います。
中塚委員 竹中大臣は、以前からずっとデットハングオーバー、デットオーバーハングの話をされている。そもそも、以前委員会でもいろいろと議論しましたが、裁量的な財政出動というのは余りお好きではないということで、まず、財政出動により高目の成長率を維持するよりは、不良債権の処理等に取り組んでいくべきであるということをずっとおっしゃっているわけです。そういう意味において、この〇・六%というのも実はかなり低目の数字なんではないですか。
竹中国務大臣 これは、モデルによって、中期的なパスを示したモデルの試算結果を非常に着色せずに出しておりますので、高い低いということをいわゆる鉛筆をなめてどうこうしたという数字ではございません。したがって、高目にしている、低目にしているというような気持ちは一切持っておりません。
中塚委員 来年度はゼロ%なわけですね。私はやはり、一国の経済財政担当大臣、財務大臣もいらっしゃいます、国の経済見通しをゼロ%と発表すること自体、本当に異常だと思うんですね。要は、成長できないということを政府みずからが宣言している。そして、もうそれでもしようがないということを言っているということになるわけですよ。そして、それにはやはり、昨年度ずっと、四月以降ですか、小泉内閣が発足して、この政策の失敗、経済財政運営の破綻というものがあるというふうに思います。
 次に、この来年度の予算案について伺うんですが、そもそも、この平成十四年度予算案が提出をされる前に、十三年度の二次補正予算案というものが提出されたわけですね。十三年度の第二次補正予算案、デフレスパイラルに陥るのを防ぐためにということが緊急対応プログラムの中に書かれてあった、そういう性格のものだったわけです。そういった意味で、デフレに陥るのを阻止するために第二次補正予算案が必要だというふうな状況の中にあって、この平成十四年度予算案というのはこれで十分だというふうにお考えになっているんでしょうか。財務大臣、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 それは多い方にこしたことはありませんから、十分とは言い切れないけれども、当面必要なものを、その財源の問題、あるいは財政的にニーズとして起こっておる行政項目等にはめていくという点においては、私はこれで十分だったと思っております。
中塚委員 同じ質問、竹中経済財政担当大臣、いかがですか。
竹中国務大臣 足元の経済をできるだけしっかりと運営したい、しかし、同時に財政の長期的な破綻は絶対に避けなければいけない、その狭い道の中でとり得るぎりぎりの選択肢であったというふうに思っています。
中塚委員 やはり、おっしゃいましたとおり、多ければ多い方がいいわけですね。財務大臣がいみじくもおっしゃったとおり、多ければ多い方がいいわけで、十分ではないということをみずからおっしゃった。
 それで、二月の十三日に、今度は小泉総理がデフレ対策というのを指示されたわけです。
 財務大臣にまず伺いますが、二月十三日に小泉総理がデフレ対策を指示されたということは、今審議をされているこの十四年度予算案にはデフレ対策というのは入っていないということなんでしょうか。
塩川国務大臣 いや、現在も予算にはデフレ対策というものを十分織り込んでおりますし、十三年度一次、二次の補正予算におきましても、それを念頭に置くならばこそ一次を編成し、二次においてはさらに一層の加速をするために重点項目に配分したということでございますから、絶えずデフレ対策というものを念頭に置いておることは間違いございませんが、今回総理が指示をいたしましたのは、それを集約してさらに重点化するということを断行していく上において、どの分野に重点を置くべきかということを指示されたものでございまして、それが四項目、四分野にわたっての指示であったということであります。
中塚委員 デフレ対策の指示があった。ブッシュ大統領の来日も控えているということがあるんだろうと思いますけれども、要は、まず十三年度の二次補正予算を編成し、デフレスパイラルにおっこちるのを防ぐため補正予算案を編成し、そして次にこの十四年度予算案をつくってはみたものの、やはりそれでは不十分だった、そして、それに加えてもう一回、今度デフレ対策が必要になったということであって、明らかに、この平成十四年度の当初予算案というのは、十三年度の二次補正予算案と新たに指示されたデフレ対策ということに挟まれた欠陥予算案だということになるんじゃないですか。竹中大臣、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 先日の、小泉総理から関係閣僚に対する指示というのが出ておりまして、ちょっと済みません、今手元にはございませんけれども、大きく二つの部分に分かれていたと思います。一つは、基本的な考え方がどうであったかということ、それと当面の対策がどうであるか。
 その基本的な考え方の中では、既に財政面ではそれなりの措置がとられておって、とにかく今回の予算を速やかに通していただいて、補正予算と本予算を切れ目なく運用すること、かつさまざまな構造改革を進めること、それがデフレ対策としての基本であるということを述べております。
 それに加えて、当面の課題として、さらにそれを金融面で補完するために幾つかの措置を講じなさいということで、五項目を挙げておられます。金融政策を入れたら五項目、マクロの金融政策を除くと四項目でありますが、これはいずれも金融面からの措置ばかりであります。不良債権の処理、金融システムの安定化、さらには中小企業に対する金融、それと資産市場の活性化。その意味で、今回は金融面からの措置であるというふうに御理解をいただけると思います。
中塚委員 そもそも小泉内閣は、不良債権処理と国債発行抑制というのを二枚看板にしてスタートしているわけですね。規制改革ということも言っていらっしゃる。ただ、全部これは、要はすべて短期的にはデフレ圧力を伴うものなわけですね。
 竹中大臣はイングランド銀行に一月に行かれましたね。そのときに、ジョージ総裁にお会いになって、ジョージ総裁は、不良債権処理に伴って発生するデフレ圧力をどう回避するのかというふうに指摘をされているはずです。
 要は、小泉政治自体がこういうデフレ圧力を伴う政策というのをずっとやってきたわけですね。けれども、それでもやるんだというふうにずっと絶叫されてきたわけですよ。失業率が上がろうが、建設会社がつぶれようが、これが構造改革なんだ、だから構造改革が必要なんだというふうにずっと強弁をしてこられ、この改革に伴う痛みというのが実はデフレ圧力でしょう。そして、それは耐えるべきだというふうにずっと主張されてきたはずなわけですね。緊縮財政というふうに人が言っても、税収が五十兆しかないのに、これで緊縮だと言う人の方がおかしいというふうな話をずっとされてきたわけですね。
 つまり、これだけのデフレ圧力というのをかけておきながら、それが今になってデフレ対策を指示するということ自体が、みずからの政策の失敗を認めたということになる、私はそのように思わざるを得ないわけですが、財務大臣、いかがでしょう。
塩川国務大臣 それは、私は非常に極端な発言だろうと思っております。
 実は、ずっと一貫してデフレ対策、景気回復を、イコールでデフレ対策でございますが、それをやってまいりました。けれども、なお一段の、本年度運営に当たって、十四年度運営に当たって、さらに一層重点を置くべき政策として掲げたものであって、予算の問題とそれから政策の重点というものとは、中身は同じでございましょうが、表現は違ってきておるということでございまして、したがって、これが十四年度においてさらに一層、予算の上ではなくて、政策実行の上において重点を置くべきものを一つはデフレ対策、それを具体化するためには何をやるかということで四項目示してきたということであります。
中塚委員 同じ質問を竹中経済財政担当大臣、いかがでしょう。
竹中国務大臣 今中塚委員がおっしゃった不良債権処理とデフレの関係というのは、確かに一面の重要なポイントだというふうに私も理解しておりますが、同時にこれは、はっきり言いますと鶏と卵の関係にある、両面があるというふうにぜひ申し上げたいと思います。(発言する者あり)いや、そうなんです。
 なぜデフレが生じているのか。なぜデフレが生じているんでしょうか。それについては経済財政白書でかなり詳しい分析をしておりまして、その中で三つの要因を挙げております。その中の三つの要因の一つが、デフレが起こる一つの要因が、金融仲介機能が低下していることによって需要不足が生じるという問題があるということです。
 したがって、これは、デフレを解消しようと思ったらまさに不良債権処理を進めなければいけない、ここはやはり私は大変重要な問題だというふうに思っております。その両面があるということを経済財政白書ではかなり詳しく分析させていただいたつもりでおりまして、それに基づいて今回の政策ができているということです。
中塚委員 金融仲介機能とおっしゃるが、そうではなくて、銀行がちゃんとリスクをとれる能力を持つということなんですね。だから、それを上昇させるという環境整備が必要なのであって、今の銀行のビジネスモデルを改善しない限りは、それは無理なんですよ。そして、貸出利率にちゃんとリスク分を上乗せしなければ、そのリスクというのはとれないわけですね。
 だから、そういったことをないがしろにしたまま、それこそ今予算委員会がずっと行われている中で、こうやって予算委員会の途中で政策が変わっていく。実は、前もこういった内閣がありまして、それはまさに橋本内閣だったわけです。
 平成十年のときに、平成九年のデフレ予算をつくって国民負担増を押しつけて、そして金融不安を引き起こして、平成十年度当初予算の前に平成九年の補正予算案を提出したわけですよ。そして二兆円の特別減税を行って、それで今度は十年度の当初予算が成立して、その後十年度の補正予算を提出したわけですよ。全然もう経験からも学んでいないわけですね。
 そして次に、日本銀行の総裁に伺いますが、竹中大臣は今度のデフレ対策、金融面ということをおっしゃっています。二月の十二日の経済財政諮問会議で、物価下落、デフレの背景として、速水総裁が提出された資料は「景気の悪化による需要不足」ということが一番上の項目に出ているわけですね。今の不況の原因というのは需要が足りないのか、それとも供給側に問題があるのか、どちらだというふうにお考えですか。
速水参考人 お答えします。
 日本経済の回復を実現するためには、金融システム面、それから経済産業面での構造改革を通じて民間需要を活性化させることが不可欠だと思います。今回の対策がそうした取り組みを進める上で効果のあるものとなることを願っております。また、日本銀行としましても、今後とも、日本経済が早期に持続的な成長軌道に復するよう、中央銀行として最大限の努力を続ける方針であります。
 短く申しますれば、総理が言っておられる改革なくして成長なし、これは私、全く同感でございます。それから、私どもの立場から言わせていただければ、成長なくして物価の上昇なし、デフレの解消なしということでございます。
中塚委員 速水総裁、もう一つ伺いたいんですが、金融緩和ということで需要というのは創出できるんでしょうか。
速水参考人 現在の情勢におきましては、私どもの方で中央銀行から資金をさらに供給いたしましても、需要がそれに呼応して生まれてくるとは思っておりません。前年比二三%近い増加の金を出しておりますけれども、それに対する貸し出しはマイナス三%なんですね。実体経済はほとんど動いていないわけです。物価もほとんどゼロなんです。そういうところでさらに金を出しても、やはり実体経済面での構造改革が起こらない限り需要は生まれてこないと思います。
中塚委員 まさにそのとおり、速水総裁のおっしゃるとおりだと思うんですね。だからこそ、小泉内閣の政策というのはもうここで実は大転換しなきゃいけないし、そして、本当にアナウンスなき政策転換が行われようとしているのがこのデフレ対策の指示のはずなんですよ。
 今の速水総裁の御意見に対して、竹中大臣、いかがお考えですか。
竹中国務大臣 物価の動きについては、専門家の間でも非常に異なった見方があろうかと思います。
 しかし、物価の上昇、下落というのは、究極的にはこれは貨幣的な現象でありますし、現状、金融は確かに、日本銀行は目いっぱいの緩和を続けて名目金利はゼロになっておりますが、一方で、この委員会でも野党からの御指摘にもありましたように、実質金利が高いという状況もございますから、そこは大変難しい問題ではあるけれども、まださらにそこで知恵を絞って、工夫の政策の余地があるのではないかというふうに思っております。
中塚委員 実質金利が高いのはデフレだからなわけですね。
 そもそも、財政赤字の削減とか不良債権の処理とかいうことは、確かに大切なことではあるけれども、そのこと自体が別に構造改革の目的ではないわけです。ところが、そういったものを構造改革だというふうに偽ってきたから、今矛盾が噴き出して、景気も悪化し続けているわけですね。そして、構造改革ではないものを改革だというふうに絶叫してきたから、世論をミスリードしているわけです。
 景気の悪化をほったらかしにしておいて、そして不良債権の新規発生というのはどんどん進んでいるわけですね。不良債権の処理なんというのは、このままだともう絶対することはできない。いつまでたったって、金融機関の収益も上向いていかないわけです。
 今になってデフレ対策というものの、不良債権自体ふえてきているわけですが、今後の不良債権の最終処理ということに向けて、今の政府のとっている経済運営で金融担当大臣はいいというふうにお考えですか。柳澤大臣、今の経済運営で不良債権の処理はできるとお考えですか。
柳澤国務大臣 先ほど竹中大臣が答弁されたように、不良債権の処理には二つの面がある。みずからがデフレ的な影響をもたらす面もある、しかしまた同時に、デフレが不良債権をつくるという面がある、こういうことがございます。
 しかし、私は、不良債権をそのままバランスシートでただ抱きかかえているだけでは何の突破口も見つかってこないというふうに考えているわけでございます。そうではなくて、企業の再生というものを不良債権の処理ということを通じて、できればいろいろな行政あるいは実体経済の側の取り組みというようなものを期待しながらそれを進めていくということが、実体経済の側の企業の再生ということを通じて不良債権処理はいい影響を与えることができる、このように考えて今進めているわけであります。
 もちろん現在の不況というものが不良債権を生む面もありますけれども、それを嘆いてばかりいては、私の仕事、私の使命としては果たし得ないということだと私は考えておりまして、したがって、不良債権の直接処理を通じて企業の再生を図り、産業の再生を図り、国民経済の再活性化のために役立ちたい、こう考えて、今みずからの仕事を進めさせていただいているわけです。
中塚委員 次に、きのう総理から指示があった金融システム安定化策ということについて伺いますが、例の特別検査、これを厳格に進めて検査結果を公表せよという指示があったというふうに聞いております。
 今まで柳澤担当大臣は、この結果のディスクローズということは、これはもう全く私どもそうしたことを行うことを想定しておりませんと財務金融委員会等でたびたび答弁をされてきたわけですが、今回、総理からのこういう指示があって、検査結果は公表されるんですか。
柳澤国務大臣 きのう総理といろいろ、私の仕事について御報告もして、いろいろな御指導、御指示をいただく場面がありましたが、その中で、特別検査をしっかりやってくれ、やってほしいということと同時に、検査結果は何らかの形で公表した方がよい、こういうお言葉をいただいたわけでございます。
 私としましては、特別検査については、常に、風評のリスクということをもたらしてはいけないということで、これまで随分いろいろ慎重な物の言い方をさせていただいてきたわけですけれども、同時に、特に不良債権処理についての信頼を向上させたいという思いで特別検査をさせていただいておりますので、それが本当に信頼を向上させるものだったんだ、こういうことをやはり国民の皆さんに何らかの形でお示しする、風評リスクを最大限避けながらそういったことを公表して信頼をいただく、こういうような努力をしなければならない、このように考えているわけであります。
中塚委員 たびたび財務金融委員会でも大臣が答弁をされてきたのは、特別検査というのは自己査定の結果を検査するんだ、それがちゃんと適正に行われているわけだから、特別検査が終わっても、その債務者区分が変更になるようなことがあっても、それで引き当てが積み増すようなことはないし、また、それによって銀行が過少資本に陥るようなことはないという御答弁をずっとされてきたわけですね。今もってもそのお考えというのは変わらないんでしょうか。
 というのは、総理は、大手銀行の自己資本や体力を気にせずに特別検査を進め、銀行経営に影響を与える大口債務者を厳格に査定するようにと指示をしたというふうに聞いているんですが、いかがですか。
柳澤国務大臣 もちろん、資産査定のプロセスとしては、基本的に、まず銀行の自己責任による自己査定ということがあるわけでございます。今回の特別検査というのは、そこの自己査定の行われている時期にまさにその現場に立ち会わせるというのはちょっと物理的に、表現としてはよくないかもしれませんが、いずれそこに入って、まさにリアルタイムの状況を、貸出先の状況を反映するような自己査定を行わせるということが目的であります。
 そういうようなことで、私、それは、変更がないとか、そういうようなことを言ったつもりはございません。そうではなく、それでは全く検査の意味は余りないわけでありまして、かなり厳しいというか、これは自己査定そのものなんですね。検査は事後的なことが普通なんですが、自己査定のところでそういういわば三者協議で共同作業的にやるということでございます。ですけれども、そこには私ども検査当局の目も存在するという検査であります。その結果については、我々はそれなりの成果を上げるというか、当初銀行が考えていたものとは変動が起こり得る、このように考えます。
 ただ、その結果、私どもの見通しで、自己資本比率というものを非常に危うくするというようなことはないであろうという見通しは依然変えておりません。
中塚委員 ということで、特別検査をされても、債務者区分が変更されることがあっても、それによって引き当てがふえて過少資本に陥るようなことはない、十分に金融機関はその余力を持っているということですね。
 そうなると、それに応じて、今度は公的資本の注入の可能性というのもない、またあるいは、債務超過になって破綻処理をする必要もないということでよろしいんですか。
柳澤国務大臣 事態は進行中でありまして、私ども、見通しというか、そういうものをする以外にないわけですけれども、私ども、今委員が指摘されたような事態が生ずるという認識は持っておりません。
中塚委員 柳澤大臣のおっしゃることがすべて事実なら、私は柳澤大臣に抗議の辞任をすることをお勧めしたい。
 というのは、特別検査の結果を公表しろ、要は、金融庁の特別検査というのが総理から信用されていない、そういうふうに考えざるを得ないわけですね。こうやって大臣は今まで至るところの委員会で、特別検査をやっても金融システムに動揺はない、ちゃんと銀行は、金融機関は大丈夫なんだ、もう繰り返して答弁をされてきているわけです。そういった意味において、この検査結果の公表、柳澤大臣にとっては非常に屈辱的なことなんだろうというふうに思いますので、ここは抗議の辞任をされるべきではないかとお勧めをしておきたいというふうに思います。
 いずれにしても、こうやってもうペイオフの解禁を一カ月とちょっとというところに控えて、今になってまた駆け込みで特別検査をやるということになって、これもまたすごいデフレ圧力をかけてくるわけですね。要は、結局、このようにいろいろな政策をそれこそ思いつくままに羅列をしてやろうとする、そういったことが、国民生活にも大変大きなしわ寄せを寄せることになるわけです。
 きょうはちょっと時間が押してしまいまして、厚生労働大臣と総務大臣にお越しをいただいておりますので伺いますが、要は、財政支出の削減、三十兆円枠の話と関連のお伺いなんですけれども、来年四月からの医療費の本人負担のお話です。四月から三割負担になるということですけれども、結局、この医療だって、制度、仕組みを見直さないままにまず三割負担というのが決まっていくわけですね。
 伺いたいんですけれども、この三割負担ということが先に決まって、抜本改革というものが行われて、そしてその結果、この三割負担というのが二割に戻るということはあるんですか。
坂口国務大臣 三割負担の問題と抜本改革の問題、これをどういう手順でやるかということにつきましていろいろの意見がありますことも承知をいたしておりますが、とにかく、総理から、四月一日から断行すべし、こういう社長命令が出たわけでありますから、それに従いまして私はやるということになっております。
 それに対しまして、やはりそれまでに抜本改革を、国民の皆さんが、そこまでやるか、よし、そこまでやるんならもう三割負担してやろうというふうに言ってもらうまでやる以外にない、そう決意を固めております。
中塚委員 抜本改革をして、給付水準、いわゆる給付の内容、質を落とさないで額を減らす方法というのもあるんだろうと私は思うんですね。例えば、カルテをICカード化したりすることによって効率化をしていけば、給付の質を落とさなくても医療費の抑制というのはできると思うんですよ。
 そういった制度改革を先にすれば、何も先に本人負担を三割に上げるということを決める必要はないんじゃないかというふうに私は思っておりまして、ぜひとも、そういう意味で、坂口厚生労働大臣も抗議の辞任をされるようにお勧めをしておきたいというふうに思います。
 そして、最後に片山総務大臣にお伺いをいたします。
 それこそ、塩川財務大臣と三十兆円の国債発行枠ということについていろいろとお話をしてまいりました。三十兆円枠を守れとか守るなというよりも、守れないでしょうということをずっと言ってきたわけですね。三十兆円で国債発行枠をかけることによって景気もよくならない、そうすれば税収も落ち込む。そして、その結果、この三十兆円枠というものは絶対に実現をすることはできないだろう。厚生労働大臣がお越しになっていて、基礎年金の国庫負担の二分の一引き上げということも伺いたかったんですけれども、そういったことを含めて、三十兆円の枠なんて、もう守りたくても守れないでしょうというお話をしてきたわけです。
 ただ、そういう前提になっておりました交付税特会の新規借り入れ、要は、これを本来は来年度から行わないという予定だったわけですね。ところが、結局、三十兆円枠というのを維持するために借り入れが行われることになってしまった。こんなことは、まさに、本当に上っ面だけを重視して中身をごまかすという小泉自民党政治の一番悪いところだというふうに思います。
 そういった意味において、これから、それこそ来年度、再来年度と財政の話をしていく、財政の規律、規律というふうに皆さんおっしゃいます。けれども、私らだって財政の規律はちゃんと戻していかなきゃいかぬと思っておるわけですよ。
 そういう大前提の話として、この交付税特会の民間借り入れ、来年度だけではなくそれ以降も継続されるかどうかはっきりしていないわけですけれども、これはどのようにされるおつもりなんでしょうか。総務大臣にお伺いします。
片山国務大臣 中塚委員御指摘のように、一昨年、本年度の地財計画、地方財政対策を議論するときに、いつまでも交付税特会で、財投その他から借り入れをやって地方団体に配分するのはもうやめよう、こういうことを当時の宮澤大蔵大臣と合意いたしまして、御承知のように、二カ年でやろうと。
 それで、十三年度半分やって十四年度は残りの半分をやろう、こういうことでございましたけれども、今御指摘のように、国の方には、国債発行三十兆円限度という一つの大きな制約があります。それから、地方の方も、十三年度と十四年度を比べますと、地方の方は赤字地方債なんですが、赤字地方債が三倍以上になるんですよ。
 今のような景気の中で、地方財政も困窮している中で、三倍の赤字地方債の発行は、これは大変だろう。そこで、二分の一じゃなくて、十三年度二分の一やりましたから、十四年度は四分の一やろうと。だから、四分の三は解消したわけですよ。四分の一だけ特別会計の借り入れは残したわけでありまして、これは、十五年度の景気の状況、財政の状況によりますけれども、筋からいうと、十五年度は解消すべきだ、こういうふうに考えております。
中塚委員 そういう意味で、まさに去年もそうおっしゃっていたわけですね。もういよいよ画期的だということを去年の今ごろおっしゃっていて、結局このていたらくなわけですよ。小泉内閣というのは、要は、失業率が上がってもしようがない、企業が倒産してもしようがない、でも、三十兆円枠は守りたいということをずっと言い続けてきているわけですね。そして、そのしわ寄せというのは、本当に国民生活というところに全部寄ってきていることになっているわけです。
 ぜひ、一刻も早くこういった間違った政策というのはおやめをいただきたい、そのことを申しまして、私の質問を終わります。
津島委員長 これにて中塚君の質疑は終了いたしました。
 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 私は、外務大臣と防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。
 まず、ブッシュ大統領の一般教書の問題ですが、対テロ戦争はアフガンで終わるどころかまだ始まったばかりだとか、あるいは、我が部隊はフィリピンで、ボスニアで、ソマリア沖で活動していると言いつつ、さらに、北朝鮮、イラン、イラクは大量破壊兵器を使って平和を脅かすテロ支援国、悪の枢軸だと述べました。これに対して、小泉首相は、テロを撲滅しよう、大量破壊兵器拡散を許さないというすごい決意のあらわれと評価しているわけですね。
 外務大臣は、これは総理と同じ認識なんでしょうか。
川口国務大臣 私も、この点については総理と同じ認識を持っております。
赤嶺委員 私は大変な姿勢だと思います。テロの撲滅ということで世界じゅうが力を合わせて頑張らなければいけない時期に、およそテロの撲滅ということを真剣に考えるのであれば、もっとこの悪の枢軸というのを真剣に検討していかないと国際社会は団結できない、私はそう思っています。
 そこで伺いますけれども、この一般教書で、北朝鮮やイランやイラク、こういう国を名指しして、これらの国々は悪の枢軸だと断じている、こういうやり方ですね、こういうやり方について、外務大臣はこれはどう考えますか。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、このブッシュ大統領の一般教書演説につきましては、テロとの闘いの決意を表明して、大量破壊兵器の開発を許さないという強い警告を発したものだというふうに考えております。
赤嶺委員 そういうことであれば、やはりイラン、イラクそれから北朝鮮は名指しされて当然、悪の枢軸と決めつけられて当然というのが外務大臣の立場ですか。
川口国務大臣 これは、アメリカの、テロに対する闘い、それから大量破壊兵器、このことについてはずっと言っているわけでございまして、これを警告したということだと思います。
赤嶺委員 私は、名指しをして悪の枢軸と決めつけるこういうやり方、これについて外務大臣の考えを聞いているんです。ブッシュが、テロの撲滅だとか大量破壊兵器をなくすんだとかという、こういう一般的な決意を聞いているんじゃないんです。こういう形で一般教書で発言していく、こういうものについてどうなのかということです。
川口国務大臣 アメリカの大統領の年頭教書は、アメリカの政府部内で真剣に議論をされ、その結果、大統領が議会で演説をするものでございまして、どういう方法、どういうプレゼンテーションのやり方で発表するかというのは、これはアメリカの政府の中の判断の問題でございます。
赤嶺委員 私、全然国民的な立場に立っていないと思うんですよ。アメリカはアメリカ、ブッシュはブッシュと言いますけれども、皆さんは日米同盟だということを一生懸命言って、アメリカの発言一つ、動向一つで、私は沖縄県なんですけれども、沖縄がどういう目に遭っていくかという、こういう立場に立った場合に、日本の外務大臣として、アメリカの発言です、ブッシュの発言ですというようなことには絶対ならないと思うんですよね。やはり国民の立場で、国民の目線で、こういう問題については言っていただきたいと思うんです。
 さらに、教書は、これらの国について、世界平和を脅かしテロリストに武器を与える、無関心でいれば破滅的な結果を招くとして、我々は同盟国と連携してあらゆる手段を講じる、こういうふうになっているわけですね。
 それで、アメリカが軍事行動を起こすときには、当然、同盟国である日本に要請があると思います。その場合、日本はアメリカと連携をしていくのですか。
川口国務大臣 まず最初に、私、先ほど年頭教書と申し上げたかもしれませんが、一般教書という意味で申し上げました。失礼いたしました。もし年頭教書と申し上げていたらですが。
 それから、御質問に対してですけれども、我が国は、テロに対しては、これは人類全体への極めて卑劣な許しがたい挑戦であるというふうに考えておりまして、テロ根絶のためには、世界の国々が一致団結して断固たる決意で立ち向かうべきであると考えております。
 他方で、米国が今後いかなる行動をとるかということを予断すること、あるいは、このような中で将来の我が国の対応について確定的に申し上げるということは、適当ではないというふうに考えております。
赤嶺委員 私、今の答弁も、やはり質問に正面から答えていないなということを感じるんです。
 皆さんは、ああいうブッシュの一般教書での表明は断固たる決意と非常に高く評価していらっしゃるんですよ。そして、日本政府としてもテロの根絶のために全力を挙げて闘うと言っていらっしゃる。そういう場合に、アメリカがテロ根絶のために同盟国と連携をして闘う、一緒に闘おうじゃないかというようなときに、基本的な姿勢はどうなんですか、基本的な姿勢は。それを伺いたいと思います。
川口国務大臣 我が国がテロという卑劣な行為に対して断固闘うということは、我が国の主体的な問題であるというふうにとらえておりますので、そういった意味で、我が国としては、国際的なテロの防止及び根絶に向けまして、米国を初めとする国際社会の取り組みに積極的に寄与していきたいと考えております。
赤嶺委員 テロ根絶というのは、国際社会で一つの基準があると思うんですね。国際社会がテロ根絶のために力を合わせなければいけない基準というのがあると思うんです。
 ところが、一般教書では、こういうことも言っているんですね。一般教書では、テロリストについて、アフガンの訓練キャンプは壊滅させたが、少なくとも十数カ国にまだ残っている、こう述べて、そして、テロ対策に及び腰の政府もある、行動しないのなら米国が行動する、こう言っているわけですね。
 こうしたアメリカの考えで、テロ根絶のためであれば、この十数カ国にあるテロの組織、これを根絶する、及び腰の政府があればアメリカが乗り込んでやっていきますよ、こういうのは、本当にテロ根絶のために国際社会が力を合わせられる基準だと思いますか。テロ根絶のためには一般教書のような立場に世界各国が立たなければいけない、そうでなければアメリカが乗り込んでそのテロ根絶のためにそこで戦闘を起こすというような、これを、皆さん、テロ根絶のために高く評価するという。これを高く評価してよろしいんでしょうか。
川口国務大臣 国際的なテロに立ち向かう、立ち向かうべきであるという強い意志は知らせる必要があるというふうに考えております。そういう観点で、これはブッシュ大統領が強い警告を発したのだというふうに考えます。
赤嶺委員 これはもういよいよもって、私、川口外務大臣の立場というのは一般教書で言われていることと変わらないなということを思うんです。
 私たち人間社会にも、どんなに怒りを持っていても、どんなに相手が間違っていると思っていても、言っちゃいけないことと言っていいことというのは区別してかかっていると思うんですよ。
 国際社会も同じですよ。テロの根絶のために、それを願ってない国際社会はいないと思いますよ。テロリストを養成して、そのテロリストを国家がテロ行動に走らせるというようなのはともかく、その国にテロの組織があったときに、そのテロの組織をどうするかというのは、その国の主権の問題じゃないですか。それを及び腰と、アメリカのように断固やらないのであれば、アメリカが出ていって、やるぞ、こういうのは国際社会では絶対に言っちゃいけないことじゃないですか。国際法や国連憲章にも反することじゃないですか。
 こういうことは言っちゃいけない、国際法やあるいは国連憲章にも違反をしている、もっと節度を持って、そして、テロ根絶のために国際社会が力を合わせるべきだ、こういうことを言うべきじゃないですか。独立国とか自主的にというのであれば、そういうことが大事じゃないですか。
 私、及び腰であればアメリカが乗り込んでいくぞということまでテロ根絶のための断固たる決意ということは、言っちゃいけないことをどんどん言いなさいと言われているような感じがして、非常に納得いきません。本当にそういうことでいいんですか。
川口国務大臣 国際的なテロの根絶のための努力というのは国際的な協力を必要としているというふうに考えます。このテロ根絶の意志ということはブッシュ大統領がこの警告という形で表明をしているということでございまして、アメリカが今後どういうような行動をとるかにつきましては、今の時点で予断をするということはできないと考えます。
赤嶺委員 アメリカは、同盟国と連携して一緒にやろうじゃないかというところまでいっているんですよ。
 ですから、私は、今の政府の態度は、逆に、国際法や国連憲章、あるいは戦後国際社会が打ち立てた世界の平和の秩序、これを乱すようなアメリカの言動に同調しているという点では、非常に国際社会での役割、地位が落ちていくというぐあいに指摘せざるを得ません。
 川口大臣にお聞きしますが、フランスや韓国やドイツというのは、テロ根絶のために国際社会で力を合わせようとしている国ですか。いかがですか。
川口国務大臣 そのように認識をいたしております。
赤嶺委員 そのように大臣が認識している、そういう国の首脳が、一般教書にやはりいろいろ発言していらっしゃるんですよ。
 フランスのベドリヌ外務大臣は、特定の国が独断で対策を示せば大量破壊兵器やテロ、危機が一気に解決されるとは思えない、こう言っているんですね。特定の国が独断で対策を示しても、これで危機が、テロが一気に解決されるとは思えない、これはフランスの外務大臣です。
 韓国の外交通商相は、こういうことで北朝鮮との間で緊張を招くということで、我々の憂慮を米国に伝える、このように発言しているんですね。
 それから、ドイツのフォルメル外務副大臣は、欧州人はこれに警告を発する、これにというのは一般教書にですが、警告を発する、イラクがテロにかかわっている証拠はなく、テロの論議は古い敵意を合法化するためには使用できない、このように述べているわけです。
 ブッシュ大統領が来日をいたします。私は、最小限、外国の首脳が発言している内容で、小泉総理がブッシュ大統領に懸念を表明すべきだと考えています。そうでなければ、日本とアメリカだけで、国際社会でテロの根絶のために働けるのですか。そんなこと、できっこないですよ。
 フランスやドイツや韓国の首脳がこれだけの危機感、危惧を表明しているのに、日本がブッシュ大統領に、もっと頑張れ、あなたの決意は立派だという発言をしてごらんなさいよ。テロ根絶で一致団結しようとした国際社会が分裂するじゃないですか。ルールなき国際社会になっていくじゃないですか。
 そういう意味では、ブッシュ大統領に対して、少なくとも世界の首脳が、証拠もないのに悪の中枢だと決めつける、何でイラクが、テロとのかかわりは証拠もないじゃないかということをヨーロッパの首脳が言っている。こういうことは本当に国際外交のルール違反のやり方だということで、ブッシュ大統領にきちんと進言することを求めたいと思いますが、外務大臣はいかがですか。
川口国務大臣 我が国といたしましては、国際的なテロの防止及び根絶に向けての取り組みにつきまして、主体的な判断を持って積極的に寄与をしていくという考えでおります。
 我が国といたしましては、日米両国が引き続きテロとの闘いに協力をして取り組んでいくべく、地域情勢についても忌憚のない意見交換を行いまして、緊密な協力を行っていく考えでおります。
赤嶺委員 主体的な判断というのは、アメリカが立派だという判断でしょう。そのことを言っているわけでしょう。テロ根絶のためにブッシュ大統領が力強い決意を表明したと言ったじゃないですか。主体的な判断というのは、それ以外の判断があるんですか。
川口国務大臣 先ほど申しましたけれども、ブッシュ大統領の一般教書演説においての表現、一連の言っていることでございますね、それは、テロとの闘いの決意を表明し、警告をしたということだというふうに考えております。
 それで、我が国のそれぞれの国に対しての政策ということにつきまして若干申し上げさせていただきたいと思いますけれども、北朝鮮につきましては、これを申し上げるのは、我が国の主体的な判断が何かということの例として申し上げさせていただくわけですけれども、我が国としては、韓国及び米国との緊密な連携を持ちながら、今後とも日朝国交正常化の交渉の進展に粘り強く取り組んでいくということを通じまして、安全保障上、それから人道上の諸問題の解決を目指していくという考えでおります。
 一例として申し上げました。
赤嶺委員 そういう主体的な判断がある、しかし大筋においてはブッシュ大統領のああいう一般教書での演説をよしとする。私はやはり、国際社会が本当に団結してテロの根絶というのであれば、国際社会で打ち立てられた平和の秩序のルールを守るという立場をとらない限り国際社会の団結は不可能だ、テロを前に分裂しか生み出さない。そういう点では、一般教書について批判的な見地、世界各国の政府首脳が発言している、いわば北朝鮮の評価だとか、イランの評価だとか、イラクの評価だとかということではなくて、国際社会はどういう秩序とどういうルールで外交が展開されるべきかという見識を政府はやはり失っていると思います。
 アメリカ一国の軍事力で、世界をアメリカの考えの枠内におさめようというのは不可能です。やはりそういうようなことを見たときに、どこにきちんとルールを求めるべきか、そういう戦後の国際社会が打ち立ててきた平和の秩序、平和のルール、これに沿って外交していくということを強く求めていきたいと思います。
 それで次に、アフガニスタンへの日本の軍事支援について聞きたいと思います。
 アフガンへの報復戦争は、タリバンが崩壊し、テロの組織、テロのキャンプも破壊した、こう言っているわけですね。それで、暫定政権ができて復興へというぐあいになってきている、国づくりが本格的に始まろうとしている。こういう中で、アメリカの軍事行動というようなのは依然として続けられている。
 また、日本も支援活動というのは継続をしているわけですが、インド洋で米軍支援に従事している海上自衛隊の艦隊の一部を交代させました。そして、十二日、十三日、両日にわたって、護衛艦二隻と補給艦一隻が新たに出港いたしました。また、三月中旬にも追加派遣が検討されているというわけですね。それから、ディエゴガルシア島にも派遣するということが報道されているわけです。
 このアフガニスタンの戦争が終息に向かい、そして、アルカイダのテロ組織も壊滅し、暫定政権のもとで国が復興に向かっているときに、日本は、さらに自衛隊の艦船を新しく送る、それからディエゴガルシア島にも送る、三月にはさらに追加して送る、こういうことになっているわけですが、日本がどういうことをやっているかというようなのは国民にはさっぱりわからないわけですね。
 それで、日本は今どんな支援活動をしているのか。また、一部では活動を五月まで続けるとも報道されているわけです。日本の軍事支援というのはいつまで続けるつもりなのか、そして、何をもって活動の終わりとしようとしているのか、このことについて防衛庁長官、お願いします。
中谷国務大臣 まず、テロ対策支援の内容でございますが、第一に、被災民救援活動として、昨年の十一月二十五日に掃海母艦の「うらが」によって、テント、毛布等をUNHCRの要請に基づいてカラチに輸送をいたしまして、十二月三十一日に帰港をいたしております。
 協力支援につきましては、現在まで、十二月二日以降、米国並びに英国の補給艦、駆逐艦に対して、三十二回、計五万キロリットルの給油を実施し、提供いたしております。
 通常、艦艇の勤務等につきましては、修理のサイクル、また、洋上の行動における乗員の疲労等を考慮いたしまして、大体三カ月か四カ月をめどとして派遣部隊を交代させるということを標準として予定をいたしておりまして、派遣後、「くらま」「きりさめ」「はまな」におきましては三カ月が経過しようといたしております。昨年の十一月九日に派遣をいたしまして、これまでの間全力で活動いたしておりますが、これらの艦艇を帰国させるべきだと判断をいたしまして、このため、交代の艦艇を派遣することにいたしたわけでございます。
 あと、C130機におきまして、航空自衛隊においての輸送支援を行っております。
 そこで、どのような状況になれば活動が終了するのかということでございますが、今回のテロ対策支援の対応措置は、昨年の米国におけるテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去を目的として行われるものでありまして、これらの脅威が除去されれば対応措置は終了することになるわけでございますが、具体的にどのような状況がこれに当たるのか、まだ予断をできる状況ではございません。この脅威というものは、現在、オリンピックを米国で行っておりますが、数万人規模の警察官並びに国家公務員の厳重な警戒のもとに行っておりまして、いつ何どきテロが発生するかわからない状況でございます。
 現在のところ、アルカイダの責任者でありますオサマ・ビンラディン氏またオマル氏が逮捕されたということが確認もされておりませんので、同様な攻撃が再発する可能性が十分高い状態が継続しているというふうに判断をいたしておりまして、現時点におきましては、引き続き活動支援をしてまいるというふうな状況でございます。
赤嶺委員 今の長官の答弁は、これは防衛庁から、この程度のことであればペーパーに出ていて、答弁になっていないと思うんですよ。脅威が引き続きあるなんて、そういうことを言いますけれども、沖縄の米軍基地を警備していた警察、機動隊は引き揚げたんですよ。全然、防衛庁長官の言っていることと、米軍基地が集中している沖縄で展開されているテロへの認識が違うじゃないですか。だから、そういう話ではなくて、本当に国民が知りたいところに答えていただきたいと思うんですよ。
 つまり、アルカイダのテロリストのキャンプは破壊したと一般教書で言っているわけですね。暫定政権ができた、復興に向かっていると言っている。そういうときに、そういう時期に、だれしもこのテロ支援は終息に向かうのかなと思う。思うときに、皆さんは新たな自衛艦を派遣していく。そのときに、こういう時期に何をしているんだろう、一体いつまで送るんだろう、五月までという話もある、どういうことなんだと。今の状況に絡めて、かかわって、今の自衛隊派遣はどうなんだということをはっきりおっしゃってくれないと、さっぱりわからないですよ。
 それから、この憲法違反の行動は、皆さん流に言えば、武力行使と一体化しないとか戦場と一線を画するとか、いろいろ言ってきました。こういうことについても、国民は今のあなたの答弁だと検証するすべがないじゃないですか。
 もっとはっきり、もっとしっかり私の質問に答えていただきたいと思います。
中谷国務大臣 現在の世界の認識につきましては、アルカイダ等を中心とする集団のテロに対する脅威がなくなったかといえば、なくなったと判断しているところはないのではないか。その証拠といたしまして、現在、インド洋におきまして、各国艦艇等を派遣してテロ対策活動を実施しておりますが、どの国もまだ活動をやめて帰国をしたところがございません。
 現時点におきましては、テロ対策の活動が引き続き続いているというふうに認識をいたしておりまして、我が国といたしましても、引き続きテロ対策支援を行うものでございます。(発言する者あり)
赤嶺委員 そういう、主体的な判断がないじゃないかという、そのとおりなんですよ。だれしもこの脅威の除去というようなのは、脅威の除去という皆さん流の軍事支援も一つの区切り、段階を迎えたなと考えるのが当然じゃないですか。
 では、日本の軍事支援というのは、このビンラディンが逮捕されるまで、あるいはビンラディンが死んでいるかもしれないし、遺体が確認されるまで、そういうところまで続けるということですか、インド洋に自衛艦を派遣し続けると。
 アフガニスタンの情勢そのものが変化してきているんですよ。変化してきているのに、むしろ支援体制を強化して、派遣するというのがおかしいじゃないか。そういうことについて、はっきり答えてくださいよ。
中谷国務大臣 テロを防止し、二度と米国で起こったような、ああいう大量の罪のない一般市民が犠牲になって市民生活が心配な状況に置かれないという状況をつくり出すのには、国際社会が一致結束してテロと断固闘っていくという姿勢が何よりであるというふうに思っております。
 このテロ攻撃によってもたらされている行為というのは、昨年のテロ攻撃を行った者、アルカイダという組織による攻撃が再発する可能性というものは、私は、判断として、まだ蓋然性が高いというふうに判断をいたしておりまして、引き続き、このテロの再発防止のための国際的な活動の一員として、我が国として断固たる対応をとってまいりたいというふうに判断をいたしております。
赤嶺委員 私、去年の十月、ちょうどアフガニスタンへのアメリカの空爆がピークのときに、そしてラマダンを迎える、冬を迎えて国際社会が食料の心配をしているというときに、パキスタンに調査に行ってまいりました。
 パキスタンの新聞の報道は、毎日毎日のアメリカの空爆によって罪のない国民が犠牲になっている。そして、アフガニスタン側から、国境が閉ざされていますから、公然と国境を越えては出てこれない、しかし、いろいろな方法でパキスタンの側に逃げてきた人たちの、この戦渦の中をくぐり抜けてきた人たちの表情というようなのは、そのパキスタンで私は、沖縄の糸満市出身のNGOの女性の方に会いましたけれども、何でこういう地域でNGOの活動をしているのかと言ったら、やはり糸満市の出身で、あの沖縄戦で焼け出された母のこういう姿と重なって見える、こういうことを言っていたわけですね。
 ですから、戦争だとか空爆とかというのは、あらゆる犠牲を伴っていて、それで、これについての検証も図らなきゃいけない。きょうはそういう議論じゃないんですが、そういうことを思っています、アフガニスタンのあの戦争でいえば。
 そういう点では、立場の違いはあります。立場の違いはありますけれども、明らかにアフガニスタンの情勢は変化しているんですよ。あとはビンラディンの拘束。本格的な戦闘支援、戦争支援のレベルというようなのは、いろいろなレベルがあっていいはずです。いいはずですけれども、同じようなレベルでというか、あるいはどんどん強化していこうとするこの日本政府の姿勢が、日本政府のそういうことが国民に全く説明されていない。一般論ですよ、まだまだ危険だと。
 国際社会もインド洋から引き揚げていない、危険だ危険だと言って、テロリストから基地を守ると言ってあれだけ沖縄に警官隊、機動隊を配置して観光客減らして、沖縄のリーディング産業である観光産業にあれだけの打撃を与えて、しかし、あの沖縄でさえ機動隊を引き揚げた。これは一つの段階でしょう。一つの段階だと思いますよ。アフガニスタンの情勢の変化だと思いますよ。
 そういう変化について、変化にふさわしい対応があるんじゃないか。変化にふさわしい対応がやられてなくて、今までどおり、今まで以上ということであれば、なぜですかという国民の疑問に防衛庁長官が答えるのは当然じゃないですか。一般論として説明されたって、国民はわかりませんよ。ちゃんと説明してくださいよ。
中谷国務大臣 国際的ないろいろな情報とか各国の支援の対応とか政府のコメント等を総合的に判断をいたしまして、昨年のテロ攻撃を行った者による同様の攻撃が再発する蓋然性がまだまだ残されているという状況であると判断をいたしております。
 したがいまして、そういった脅威が除去される世界を目指して、我々も国際社会の中で全力を尽くしてまいりたいというふうに思っておりますし、また、アフガニスタンの国におきましても、こういった国際社会、せんだっても日本でアフガン復興会議が開催をされましたけれども、国際社会が努力をした結果、アフガニスタンの市内の人々に笑顔が戻り、そして一般の、通常の生活に戻り、女性も自由を、拘束から解放され、結果的には以前のような楽しい、幸せな生活が戻ったというふうに判断をいたしておりまして、引き続き日本としても国際社会の平和と安定のために全力を尽くして貢献をするべきだというふうに思っております。
赤嶺委員 こういうのは全くさっきと同じ答弁の繰り返しで、同じ話で、私が求めていた情勢の変化の中でどうなのかということには全く答えていない。そういう点では全く納得がいかない。また、あなたの答弁を聞いていて国民も絶対納得しないだろうと思います。
 それで、報道によりますと、ブッシュ大統領は、イラクに軍事攻撃を含む強硬手段に出る意向を固めた、それで周辺国の説得などの準備に入った、こう言っているわけですね。アメリカがテロ勢力の根絶を口実にイラクへの報復戦争を始めたら、あるいはイラクへの戦争を始めたら、日本は支援活動を行うのですか。そして、テロの脅威の除去ということでイラクへの戦争に移ったときに、皆さんとしては、今自衛隊を派遣している基本計画の変更、あるいは基本計画を改めてつくり直すのか、そういう手続をとって国会でちゃんと審議をするんでしょうか。いかがでしょうか。
中谷国務大臣 先生の方からイラクに対する言及がございましたけれども、日本政府といたしましては、米国等他国から、イラク等に対する軍事行動を行うとか行いたいとか、そういう要請はまだ一切受けておりません。一般教書演説は、議論がございましたけれども、あれは大統領としてアメリカ国民に対して行ったものでございまして、正式な外交的な話として日本にはこういったイラクを初めほかの国々に対する言及も全くない段階でございまして、そういった仮定の御質問にお答えできる状況ではないわけでございます。
赤嶺委員 基本計画は、防衛庁長官。
中谷国務大臣 米国はイラクに対する軍事行動を行っておりません。また、行おうというようなことも我が国に対して言ってきておりませんので、基本計画の変更等につきましては、現時点でお答えをすることはできないわけでございます。
赤嶺委員 もしアフガン以外にテロの脅威の除去ということで米軍がそういう武力行使を始めた場合に、自衛隊が後方支援に行く、アフガン以外に行くという、これは本当に一般論ですよ、そういうときには、手続としては、基本計画というようなのは見直す、国会にもう一度手続をとるということになるんですか、行政上の流れとして。
中谷国務大臣 あえて仮定の話にお答えをするならば、一般論といたしましては、米国の軍事行動の場所が拡大するような場合であっても我が国が現在行っている活動を継続するかどうかという問題につきましては、法律が基本でございます。
 この法律によりますと、先般のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることによって国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊の活動を支援するためのものであるということでございますので、これを踏まえて我が国の対応について主体的に判断するということになりますし、そのような支援活動を実施することが今回の基本計画によっては行うことができないと判断される場合には、基本計画を変更することになるというふうに考えております。
赤嶺委員 これは非常に大事な問題でありますので、脅威の除去という冠がつけば、基本計画の変更についても、それは法が求めているものではないといったようなことは許されないと思いますので、また追及していきたいんですけれども、ちょっと時間がありませんので、せっかくの機会ですから、沖縄問題について聞きたいと思います。
 まず、外務大臣に伺いたいんですが、沖縄というのは、今度のアメリカのテロの戦争で戦略的な拠点となって、それでベーカー大使も、沖縄なしにはこの地域で米軍の投入を行うことはできない、グアムやハワイが代役を果たすことができないというほど重視された基地の島であるわけですね。そこに、今普天間基地の名護への移設だとか、あるいは那覇軍港の浦添移設だとか、あるいは山原の森を破壊したヘリパッドの建設だとか、環境大臣のときにもお聞きになったと思いますけれども、そういうことがSACO合意ということで進められているわけですね。
 SACO合意というのは、実際は、基地の整理縮小を願っている県民の願いを逆手にとって、私は非常に大事になってきた沖縄基地の再編強化だと思っているんです。
 そういう中で、今普天間基地をめぐる焦点の問題で、十五年使用期限があります。
 田中前外務大臣は、退任をされる直前に沖縄に行かれまして、十五年使用期限というのは、第一アメリカが納得するはずがないじゃないか、非常に困難だということを申されておりました。
 川口大臣、十五年使用期限、どのようにお考えですか。
川口国務大臣 普天間代替施設の使用期限問題でございますけれども、国際情勢もありまして、厳しい問題があるというふうに認識をいたしております。
 知事及び市長から要請があったことを重く受けとめまして、米国政府に対して、今まで取り上げてきたわけでございますし、今後とも平成十一年末の閣議決定に従いまして適切に対処をしていく所存でございます。
赤嶺委員 日本政府は、先ほどのベーカー大使の発言について、ベーカー大使は続けて、沖縄の基地の代役はどこも果たせないということを言った後に、日本側もそのことを理解しているとおっしゃっているんですね。
 ですから、日本側がアメリカの覇権主義的な軍事戦略拠点にすることを認めている中で、十五年使用期限というようなのは極めて困難なことがわかりつつ、あたかも今日に至ってもまだ何か交渉の余地があるかのようにごまかすのはやめていただきたいと思います。それで、本当に正直なことを県民におっしゃっていただきたい。そういう点では、田中外務大臣は、やめる前ではありましたけれども、外務大臣のままで、極めて困難であると沖縄で記者会見で述べておりますから、そういう立場、本当に正直な言葉で県民に、基地問題に向かっていただきたいと思います。
 最後に、そういう沖縄に、今都市型の特殊部隊の訓練施設を建設しようとしております。アメリカ本国では予算もつきました。
 都市型訓練施設というのは、かつて沖縄の恩納村につくろうとして、県民の怒りを呼んで、県民ぐるみの闘いを巻き起こした、そういう訓練施設です。これを、テロの戦闘訓練という名目で建設をしようとしておりますが、外務省は建設中止をしっかり求めるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
川口国務大臣 詳細につきましては、現在米側に照会中でございます。
赤嶺委員 もう終わりますけれども、早く調べてほしいということは、沖縄県の側からも去年の段階から皆さんの方に行っていると思うんですよ。それを、今日に至るまで、まだ詳細についてつかんでもいないということは極めて遺憾であります。こういう姿勢では沖縄の基地問題も解決できない、小泉内閣の改革に偽りありということを申し上げて、私の質問を終わります。
津島委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。
 次に、保坂展人君。
保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 まず冒頭、お二人の大臣に伺いたい。
 まず、竹中大臣に伺いたいと思うんですが、一月一日に日本にいないと、住民税が請求されずに、払わなくてもいい、毎年暮れに住民票を海外に移して、つまり一月一日海外にいれば、合法的に節税になるという御意見があるようですが、どういう見解でしょうか。
竹中国務大臣 これは課税のルールの問題だと思いますので、担当の大臣は別にいらっしゃいますけれども、基本的には住民の台帳に基づいて課税するということになっているんだと思います。
 ただし、住民票を海外に移すというのは、そんなに自由に勝手にできることではありませんので、やはりそこは生活実態の問題だと思います。
保坂委員 きょうこれから経済財政諮問会議に出席されるということで冒頭ということでしたけれども、九二年にアメリカに住民票を移されて、そして九四年六月にはまた藤沢に戻されて、同じ年にまた十月にアメリカに戻されて、そして九五年五月にはまた藤沢、そして九五年の十一月にアメリカ。一月一日、見事にいないんですね。
 どうでしょうか。これは竹中さん、日本のように人口の多い経済大国では背番号は当然だ、サラリーマンは勤務先がこれを捕捉するから公平に課税できるけれども、自営業者は、これはフリーライダーが少なくないからという、これは持論ですか。そういう持論に合わせて、今の住民票を移されたということを、どういう今見解を持っているのか、言ってください。
竹中国務大臣 まず、事実の問題としまして、私は、九二年から九六年までコロンビア大学の客員の研究員をしておりました。したがって、その間は、家族を含めて、家もニューヨークに持ち、猫もそこで飼い、車もそこで持ち、アメリカで生活をしておりました。ただし、四月半ばから七月半ばまでは慶応大学で集中講義をするために、その間は日本に三カ月だけおりました。それにあわせて住民票は移しましたけれども、基本的には生活の基盤はアメリカにあり、アメリカでその間の地方の税金をすべて払っております。
 後段のちょっと御質問の趣旨でありますけれども、私は、生活実態はそういうことでございますので、あとは、税のことを全般にどう考えるかということに関しては、これは当然のことながら、生活の実態、所得の実態に合わせてきちっとこれは納税される、そのための制度をきちっとつくっていくということは、これは税制改革としては、当然のことながら必要だと思います。
保坂委員 これは、この厳しい状況の中でいかに国民は苦しんでいるのか。今から経済財政諮問会議に行かれるわけですから、みずからの胸に手を当てて、大臣の資質があるかどうか、しっかり問い返していただきたい。
 続いて、武部大臣に伺います。
 BSE問題で、閉会中審査のときに伺いました。このとき実は、これは感染源についてわからない、これは感染源、明確にどこかつかまなきゃいけないということで、私は、そこで魚粉の問題を挙げたわけですよね、魚粉の問題。そして、実は、議員会館に帰って、その閉中審査のとき、テレビを見ると、魚粉工場に農水入っていたんですね、その質問の当日です。そういうことを答弁全然されないで、そのときに私は、早く、これは魚粉の中に、魚粉という表示であっても魚粉とは限らないということがわかったわけですね。つまり混合魚粉というのがあって、その中に肉骨粉など入っている危険があると。これは重大な問題ですね。
 どうなりましたか、この問題は。
武部国務大臣 まず最初に、委員に、昨年十二月十七日の質問時に、魚粉の、エライザ法を用いた肉骨粉の混入検査の実用化について、私どもの職員が言及しなかったということについてはまことに非礼であったと、私はこのことをおわびしたいと思います。そして、その後、関係職員を厳しく叱責いたしました。このことをまず申し上げておきたいと思います。
 また、魚粉の問題でございますが、委員からは、とにかく一日も早くサンプルを集めてやる方法が一番いいのではないか、それはできるのではないか、そういう御指摘がございました。
 私も専門家でありませんので、委員のおっしゃることはもっともだなという印象を受けまして、担当職員にそれはできないのかということを申し上げましたところ、十二月から本年一月にかけて、魚粉工場への立入検査に際して、各工場からのサンプルの収集を可能な限り迅速に行ってはいるのでありますが、この立入検査は飼料安全法に基づく立入検査でありますので、法令違反等が確認された場合には、製造の禁止や廃棄、回収命令等の行政処分の根拠となるものであります。したがいまして、法令に基づき厳正に実施する必要があるんだということでございまして、この立入検査の実施については、飼料等検査規則等により、関係の立ち会いを求めることでありますとかサンプルを採取するための方法等を定めておりまして、この規定に従って厳正な検査を行っているということでございます。
 その後の結果については、これは、混入の一つの事例として考えられることは、食品残渣を原料の一部として使用しているということがわかりました。帳簿等の検査において、肉骨粉を原料として使用した事実は確認されていないということでございますが、しかし、検出された哺乳動物由来たんぱく質は、こうした飲食店からの食品残渣に由来するものであると考えられますが、念のために、混入魚粉の工場については再度立入検査を行い、混入の原因等を確認しているというところでございます。
保坂委員 これは重大な答弁なんですね。ちょっと長くて、最後のところはちゃんと明快におっしゃっていないんですけれども、魚粉の工場に立ち入って調べたら、動物由来たんぱくの反応が出たということですよね。ある程度、全部じゃない。ある割合で、二割ぐらいですか、二十カ所ですか。今おっしゃったんですが、その反応が豚なのか牛なのか明快にしていないんですよね。
 しかも、スーパーマーケットなんか、食品の残りかすが出る。その肉のかすだと何で断定できるんですか。なぜ肉骨粉と肉の残渣と区別できるんですか。大臣、そこを把握していますか。大変な問題ですよ、これは。
須賀田政府参考人 先生御指摘のように、百七工場のうち二十カ所から哺乳動物由来のたんぱく質が検出されました。エライザ法とPCR法とそれから顕微鏡、これで見たわけでございますけれども、これの検査の結果、肉骨粉を原料として使用した事実はこの検査では確認をされなかったということでございます。
保坂委員 武部大臣、これはもう約束していただきたいんですけれども、大変な問題、これでずっと尾を引いて、大変な被害が広がっているでしょう、今、御存じのとおり。何があるのか、しっかりデータを出してほしいんですよ。この工場で実際にPCRとエライザと顕微鏡で検査したと今言っていますよね。生データを出してください、農水以外にも専門家はいるわけですから。そして、どういうデータだったのかということを――例えば輸入から混入してくる危険もあるわけですよ。インドネシアとかマレーシアとか、これは肉骨粉を扱っているけれども、肉骨粉工場がない。イギリスから輸入しているんじゃないかなどの疑いもあるんです。だから、しっかり感染源を特定することは解決の一歩ですから、はっきり約束してください。データを出してください。
武部国務大臣 感染源の究明が何よりも不可欠でございます。委員御指摘のことにつきましては、業者の了解を得て公表したい、このように思っております。それは徹底究明いたします。
 つまり、どうしてこういう答弁をするかというと、違法ではないということでございますので、ちょっと私、その辺のところを詳しく今承知しておりませんので、調べた上で、私はこういった情報は徹底的にオープンにすべきだという考えでありますので、このことは信頼していただきたいと思うのです。
 ただ、違法性がないのに公表するということについては、当事者の了解も必要なわけでございますので、了解を求めてやる必要があるということは御理解いただきたいと思います。
保坂委員 これは、業者にとってもちろん深刻なことはわかりますよ。しかし、生産農家や流通、そして飲食関係や一般消費者、みんな大変なわけです。ですから、このデータについてはしっかり出すということを、そういう姿勢を少し示されたと思いますが、委員長、これはぜひ委員会として求めてください。
津島委員長 理事会で協議をさせていただきます。
保坂委員 それでは、外務省問題に移りたいと思います。
 まず、今回、辻元清美議員から、一昨日でしょうか、鈴木宗男衆議院議員の外遊というか、ロシア中心ですけれども、外務省のラスプーチンと言われる佐藤主任分析官、これは、では官房長に伺いますが、この人と鈴木議員というのはどんな関係ですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 佐藤主任分析官は、ロシア、中央アジア等の分析等について大変能力があって、他方、鈴木議員は、やはりロシア、中央アジアに深い関心をお持ちでございますので、鈴木議員からの求めに応じまして、佐藤主任分析官が説明に行ったりしていることはあると思います。
保坂委員 前回の辻元議員の質問に対して、これは外務省として鈴木議員に頼んで行ってもらった、こういう答弁をされているんですね。したがって同行は公務であり、費用は公費だったと、佐藤さんの方ですね、そういうふうに答弁されていますよね。これは幾らぐらいだったんですか。では、鈴木さんの方の費用はどうだったんですか。お答えいただきたい。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 最初の点でございますけれども、私、辻元議員にお答えしたときには、北方四島への鈴木議員の訪問に関連して、公の記念式典出席で外務省としてお願いしたというふうなことを申し上げたつもりでございますけれども、ただいまの佐藤主任分析官の出張経費につきましては、先般お答えしたとおり、基本的にすべて外務省から支払っております。
 御通告がなかったもので、幾らかはちょっと用意してまいりませんでした。また後日、お答えしたいと思います。
保坂委員 たくさんいろいろ行かれているんですが、アフリカ関係に大変頻繁に行かれているんですよね。平成十二年にモザンビークに行かれているようなんですが、このときにはケニアの大統領などとお会いになったというようなことは、これは政府特使として行かれているようですけれども、どうでしょう、そういう記録はありますか。中東アフリカ局長でもよろしいですよ。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 鈴木先生は、特派大使として、モザンビークのチサノ大統領の就任式典に、平成十二年一月中旬、十四日に成田を出発されまして、十七日まで現地を訪問されております。
 また、式典の間にケニアの大統領とお会いになったということはないというふうに承知しております。
保坂委員 それで、外務大臣に、お疲れでしょうけれども、伺わなければいけないと思うんですね。
 外務省改革の骨太方針、私は、これは太い骨にはちょっと思えないんですけれども、非常にまだまだしっかりした骨太と言えるものじゃないというふうには思いますけれども、しかし問題意識はうかがえるわけですね。
 そこで伺いますけれども、ODAをチェックするNGOの役割をどのように考えられるか。この方針の中には具体的に書かれていますよ。例えば「経済協力局幹部(評価担当)に外部の人材を起用します。」とあるんですね。どういう理念に基づいてこう言われたんですか。
川口国務大臣 この骨太の方針をつくるに当たりまして、私が三つの大事なこと、キーワードでございますが、として考えましたことは、透明性、スピードそれから実効性ということでございます。
 おっしゃった、ODA関係、NGOの関係につきましては、このときの理念というのは、いかにして透明性を盛り込むかということでございます。
保坂委員 それ自体は大変いいことなんですよね。
 それで、この透明性のところにはなお具体的に踏み込んでいまして、これは、やはりODAというのはお手盛りじゃいかぬ、そういう問題意識なんですよね、外部の人を登用するというのも。外部の方の参加により透明性をいろいろ高めていく仕組みの一つとして、ここに、在外公館は現地で活動するNGOの意見を聞いた上でいろいろ判断していく、こう書いてあるんですね。
 これは、例えば外務省やJBICや関係者だけで決めちゃうというのではよくなくて、やはり客観的な評価をきちっとしよう、そういう問題意識だと受けとめていいですか。
川口国務大臣 幾つかのことを申し上げたいのですが、まず、この骨太の方針の役割といいますか、その位置づけなんですけれども、それにつきましては、これは私の……(保坂委員「いや、そんなこと聞いていない。現地の大使館が現地のNGOを……」と呼ぶ)
津島委員長 どうぞ答弁してください。
川口国務大臣 これは私の外務省に対する方針ということでございまして、これは今後、「変える会」という枠組みで御議論をいただきますので、私がここに書いてあること以上にいいことがあれば、それはやっていくということでございますし、これに実際上問題があるということであれば、そこは皆さんに御検討いただくというのは、一つ前提として申し上げたいと思います。
 それで、NGOの役割ということでございますけれども、私の認識といたしましては、ODAの事業というのは今それなりに透明性は盛り込まれているというふうに考えます。ただ、こういう仕事の仕方について今後さらに透明性を盛り込んでいく必要があるという観点で、これを組み入れたわけでございます。
 それから、NGOとの関係で言いますと、これは、現地で活動をしていらっしゃるNGOの方々が、現地の状況についてNGOの方なりの御判断をお持ちであろうというふうに私は思いましたので、そういった方の御意見を伺うということも一つの透明性ではないかというふうに考えたわけでございます。
保坂委員 簡潔に答弁をお願いしたいのですが。
 それでは、これは、川口大臣のそういう思いだということですね、今の答弁だと。
 それで、私、きょう、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電所の問題についてきちっとこれは聞いておきたいのですけれども、現地ケニア大使館はNGOの声に耳を傾けてきたんでしょうか。これははっきり答えていただきたいのです。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 現地の大使館も、現地にありますNGOと対話を行ってきたというふうに承知をいたしております。
保坂委員 現地の大使館は、九八年にケニア現地のNGOが調査を始めて、九九年三月以降何度も大使館を訪ねているが、門前払いを食った、まともに話は聞いてもらえなかった、受付で拒否されてしまった、こういうふうに聞いています。ちゃんと話を聞いてきたのですか、その時期、九八年、九九年。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 今特定をされました時期における個々のやりとりは承知をいたしておりませんが、今回の事件につきましては、委員御案内のとおり、現地のNGOの方、住民の方との対話というものは、仕組みもできておりまして、その枠組みも含めて、大使館はいろいろな形で折衝をしてきたというふうに理解をいたしております。
保坂委員 去年の六月に外務委員会でこの点を質問したのですが、外務省からそのときにもらったケニアのケニア・タイムスというのですか、その新聞記事を見ると、青木大使は、政治家とNGOによる敵対的な活動によってソンドゥ・ミリウ事業は危機に瀕している、アフリカ・ウォーター・ネットワークの名で活動するNGOが、日本に悪意に出た情報を流している、AWN議長はこれを否定しているが、大使館としてはこの点確信がある、こんなことを言っているのですね。
 それでは伺いますけれども、これは六月にも伺ったことではあるけれども、二〇〇〇年の二月、同事業、これはケニアの中で大規模でしょう。そして、総額二百億円程度の大事業ですよね。問題に当時からなっている、現在もこれは焦点になっている。ここを、住民集会の取材に赴いた日本人記者二人がケニアの警察に拘束をされて、鴻池組の車に乗せられて連行されちゃった、こういう事実があるのですね。
 これに対して、私は聞いてみましたよ。カービン銃を突きつけられて連行されたということですね。穏やかならざる事態であることは言うまでもないのです、これは。大使館、何をやっていたのですか、これに対して。ちゃんとケニア政府に抗議しているのですか。
 これは質問主意書でも聞いているけれども、この事態について、何だか、広報文化センター所長が郡の長に対して、その地域の首長に対して書簡を出して、逮捕状況、理由について説明を求めるとともに、「かかる事件が日本人報道関係者にケニア側が不法に取材活動を妨害しているとの誤解を与えることを懸念する」というお手紙を出したけれども、いまだに返事が来ませんということを質問主意書答弁で答えているのですよ。
 これは大使館の大使が政府にばちっと言うべきじゃないですか。カービン銃を突きつけられて……。どういうふうに対応したのですか。(発言する者あり)何が内政干渉だよ。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 当時における大使館の対応ぶりは、まさに質問主意書におきまして政府としてお答えをしたとおりでございます。(保坂委員「だから、その後どうなったのか」と呼ぶ)その後につきましては、御案内のように、先ほど申し上げました作業委員会等の場を通じ、さらに、ケニア政府の高いレベルにおいてこれについては申し入れをしたというところでございまして、ケニア側から、先般、このような問題については十分対応していくというような回答も得ているところでございます。
保坂委員 大使館が何をやっているかというのは本当に大問題なんですよね。こういうことで、回答も延々来ないのに、こういう本当にお茶を濁すようなことをやってきているわけなんです。
 この大事業、第一次円借款は動いて、そして、もうはるか以前に第二次が、これは交換公文が締結されるはずだったのに、今どうなっていますか。とまっているんでしょう。何でとまっているんですか、理由は。なぜ動かないんですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 これは、日本側より事前通報をいたしまして、交換公文を締結すべく作業を開始するという段階がございましたが、その後、委員御案内のとおり、ケニア側の債務の問題、それから環境の問題等々の問題がございまして、慎重に対応して検討を続けているという状況でございますので、結果的にENが結ばれていないということでございます。
保坂委員 これは、ちょっとやそっと、とまったという話じゃないんですよ。交換公文が締結されないで、これは百億ですよ、第二次。百億円近くかけて第一次でつくっちゃったわけですよ、途中まで。とまったら、それこそ大笑いですよ。
 借金はみんなケニアがかぶるといったって、ケニアの債務総額というのは、二〇〇〇年度末で千百九十四億円でしょう。大変な巨額の重債務国ですよね。これは、とてつもなく巨大な事業をケニア側に押しつけた、こういう反省はないんですか。
西田政府参考人 ただいまお答えをいたしましたが、国会での御指摘も踏まえまして、その後、委員御案内のとおり、先方のいわゆる現地の住民あるいはNGO、実施機関等でつくっております作業委員会がございますが、等においても議論が十分に行われ、作業委員会としまして、今回のこのいわゆる第二期の工事についてはぜひ続けてほしいということ、それから、環境問題等についての問題点については、いわば歩きながらその場で対応するという対応をとっていただきたいということが決議されたというふうに承知をしております。
保坂委員 これはケニアも多いんですけれども、九八年の外務省の資料で、日本の重債務貧困国に対する公的債権の残高、大変これはアフリカが多いんですね。ODA債権が一兆四百億円、非ODA債権が千四百億円。そのうち、中近東・アフリカ諸国のODAが五千五百億、非ODAが千二百億で、これは五七%が全部中近東・アフリカなんですね。どうしてこんなことになっているんですか。
 もちろん、アフリカは貧しいというのはあります。しかし、中南米は一〇%ですよ。やはり何か集中的にODAがアフリカ諸国に注ぎ込まれている。しかも、今、不良債権問題を論議していますけれども、これは、そもそも返す力もないような大変貧しいところに巨大なプロジェクトをどんどん押しつけてきたんじゃないですか。どうしてそんなにパーセンテージが高いんですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 日本のODAに占めます対アフリカのポーションは、大体安定的に推移して、一〇%ということでございます。日本の債権、クレームが多いのは、御案内のとおり、日本が、いわゆるバイの国としてはローンというものを持っている極めてユニークな、いわばドナーだからであると理解をいたしております。
保坂委員 川口大臣にもう一回伺いますけれども、聖域なき構造改革、まあ最近は余り聞きませんけれども、そう言って小泉内閣が発足したわけですよね。そして、道路公団問題でさんざん見せ場をつくってやりましたよ、それは道路公団改革と言って。ODAの問題だって同じ質の問題を含んでいるじゃないですか。族議員がいて、そしてわけのわからないところで、今回、第二次の円借款の交換公文が締結されていないのに、もう入札は終わっちゃっているんですよ。全部日本のゼネコンが並んでいる。そんなむちゃくちゃなことにメスを入れないと、これはどうしようもない。そのためには情報公開が必要なんですよ。
 六月六日には、田中眞紀子大臣が、私のそういう質問に対して、アカウンタビリティーとディスクロージャーの問題ですね、これは、はっきりこうなっていますというデータを出さないと、国民も、税金払う方も納得できないでしょうと言っているんです。
 財務諸表も含めて、全然ODAは公開されていない。どういう使途で、どの予算で、どれだけ使ってこう計画していますなんという報告だって、国会にだってないですよ。そんな体質を、はっきりメスを入れるということを、問題意識ありますか。それによって改革を語る資格があるかどうか問われますよ、大臣。
川口国務大臣 ODAの透明性の一層の向上につきましては私も関心を持っておりまして、改革の一環としてこれは御議論をいただきたい、「変える会」に御議論をいただきたいというふうに思っております。
 ただ、ODAにつきましては、私もまだ勉強は十分にできてはおりませんけれども、私が現在承知している範囲でも、かなりの部分がデータは公表され、公開をされているというふうに私は認識いたしております。
 ODAの場合は、外国の国で使われるということから、外国の国の政府あるいはその外国の企業が関係していますので、その観点で、必ずしも、国内の公共事業のようにデータをとるということについては、それと同列では論じられないところがあるというふうに私は今の時点では思っております。
保坂委員 不良債権処理の問題というのは、本当にあらゆるところでメスを入れて見なきゃいけないんですね。焦げついてしまったり延滞するようなことになって、そして全体としてダウンしちゃったら、これは戻ってこないわけですから、そういうことも含めて、これはぜひ今後論議していきたいと思います。
 坂口厚生労働大臣にお聞きしたいんですが、消費がずっと低迷していますね。要するに、お金を使わないわけです。お年寄りで、ある程度の貯蓄があっても、不安だと。あるいは、五十代、まだまだ元気、それでも不安だと。年金に対する不安というのが非常に広がっているんですね、国民に。
 今、日本の年金の積立金の残高というのはどのぐらいあるんですか。
辻政府参考人 数字でございますので、こちらから。
 百四十八兆円でございます。
保坂委員 これは、ではもう一回大臣、今の一問目も含めてお聞きしたいんですが、財投から転換して自主運用へ、こうなったわけですね。
 我々、三年ほど前、年金福祉事業団のいわゆる年金運用の失敗と焦げつきについて厳しく批判してきたんですね、これはだれが責任とるんですかと。そうしたら、これ、責任とってこの年福は解散します、そしてできたのが、年金資金運用基金という人を食ったような名前ですよ、私から言わせれば。これは焼け太りで、実際にどんどん運用額というのはふえているでしょう。
 実は二年前に、当時の丹羽雄哉厚生大臣と、先ほどまでいらっしゃいましたけれども、ここの予算委員会で議論させていただきました。これは運用の結果、また焦げつきが出ているんじゃないですかということを私は聞いたんです。当時は、七千五百億円、今のところ大丈夫ですと、ちょうど二年前言っていたんです。
 ところが、これは厚生労働省から、では現状はどうかというペーパーを持ってきてもらったんですね。これを見ると、やはり二年前の年度末で焦げついていましたよ。これはトータルで、総合収益額で一兆四千億円、利払いで八千四百五十二億円と、大変な額が焦げついているんですね。そして、年金資金運用基金における、つまり昨年から始まった十二月末までの実績というと、総合収益で一兆七千四百五十六億円、これはマイナスですよ。だから、両方合わせれば三兆以上の焦げつきを出しているということになるんです。こんな状況をみんな心配にならないわけがない。
 大臣、どういうふうに認識していますか、これ。
坂口国務大臣 今のお尋ねは、グリーンピアの件でございましょうか。それも含めて……(保坂委員「グリーンピアの件はまだ聞いてない」と呼ぶ)運用の話ですね。
 運用につきましては、今御指摘のように、一部、これは株式に充てているわけでございますが、これはもう先刻御承知のとおりでございますけれども、今まで、資金運用部資金に一度入りまして、そこから借りる形になっているわけでございますので、やはり高い金利で借りているということもあって、そして全体としてマイナスになっている。しかし、マイナスになっていることには間違いがないわけで、それで、その年金の資金運用のあり方につきまして今検討いたしております。
 それで、年金資金運用基金、そのあり方につきましては、次の年金の再計算までにその基金のあり方、それはもう廃止も含めて検討するということに今なっているわけでございまして、ここはしっかり検討をし直したいというふうに思っておりますが、今までの、過去の経緯につきましては御指摘のとおりでございます。
保坂委員 この年金積立金というのは、もう世界でないわけですね、こんな積み立てられている国が。だから、もっと国民は本来なら安心して、政府はこれだけの期間年金は出せますよと、年金安定支給宣言でもやってほしいと思いますよ、私は。
 しかし、年金局長と当時から議論をしていても、じゃ、今一体どのぐらい損失があるんですかということすら言わないんです、これ。ですから、議事録を振り返ってみれば、丸二年前は損失はありませんと言っていたんですよ、この丸二年前は。七千五百億円、むしろ黒ですと言っていたんですよ。今数字を持ってきてもらうと、一カ月半で一兆四千億、ひっくり返ったんですね。それが一カ月半で二兆円、そんなに激しく動いたんですか。これ、きっちり精査して、もう本当のことを出してくださいよ。そうじゃないと、これは年金の再建の話できません。いかがでしょう。
坂口国務大臣 きちっと出させております。恐らく、先生のところにもそのものをお渡ししているというふうに思いますが。
 いずれにいたしましても、株式でございますしいたしますから、こういう経済の厳しいときには、どうしてもこれはマイナスに出る。しかし、この運用につきましては、株式等の場合には長い目で見なければなりません。長期的な展望の中でどうするかということでございます。
 一番の問題になりますのは、この運用部資金のお金を株式に利用するかどうかということでございます。それによって今後の基金のあり方というものが変わってくるだろうというふうに思っておりまして、そのことも含めて検討する予定でございます。
保坂委員 財務大臣に伺いたいんですが、今坂口大臣が期せずして、私ずっと聞いているんですよ、これ。余りにも巨大な年金ファンドというのは、これは四十兆近くですよね、そのままいけば。四十兆近くやりますと言ったって、日本のマーケットの規模から見ても、これは余りにも巨大過ぎてどうしようもない。同時に、外資系も含めてたくさんの金融機関に四百六十億円ですか、手数料も払っていくわけですよね。こういう年金運用のあり方について、健全なマーケットをもう一回再建するという問題意識の中で、どうお考えですか。
塩川国務大臣 私も、実はかねてから、そういうことについてどうなっているのかなという関心も持っておったんです。ですから、これは私、ちょうど今その職務についておりますので、一度よく勉強しまして、国民の皆さんがやはり実態を把握していただくような方法をとっていきたいと思います。
保坂委員 これは、年金積立金というのは国民から預かっているお金なんです。預かっているお金なんですよ。だから、それは国が、政府がしっかり預かってくれているということを信頼してこその将来設計があるわけですよね。
 また、そういう年金の積立金の中で、グリーンピア問題も発生していますよね。これは三年ほど前からたびたび議論になってきております。このずさんな経営と運営、現在のところ、坂口大臣、損失は幾らに膨れ上がっておりますか。
坂口国務大臣 事業開始時、昭和四十八年から平成十二年までの間でございますが、総合計いたしまして、一兆七百八十三億円。これは、全部、トータルでございます。
保坂委員 福田官房長官に伺います。
 これは……(坂口国務大臣「ちょっと数字が違っている。ごめんなさい」と呼ぶ)はい、どうぞ。違うの。
津島委員長 辻年金局長。正確に答えてください。
辻政府参考人 今、大臣のお答えになりましたのは、国民年金、厚生年金の福祉施設に今までどのような整備費を累積で出したかという額でございまして、グリーンピアにつきましては、累積で二千七百八億円、昭和四十八年から支出を行っております。
保坂委員 ちょっとまた数字がおかしいんですけれども、もう時間がないので、今、官房長官に聞きかけたので。
 要するに、年金の積立金の相当部分が株式市場も含めた運用ということで、不安も出てきているわけです。
 それから、こういった施設の赤字というのも、聞いてみてびっくりするんですよ、これは。運営しているのはそれぞれの財団なんですが、買うのはこの年金の資金で買っているわけですよね。そして、建物もそれで建てています。つまり、民間のホテルとかだったら、土地を取得して建物を建てますよ。そして、その借金を返したりしながら運営していくわけでしょう。この財団の場合は、土地はただ、建物もただ、おまけにあるんですよ、古くなってきたら補修費もただ、それで赤字なんですよ。そんな放漫経営をやっていて、年金の不安が解消できるわけないですよ。
 福田官房長官に見解を伺いたい。
坂口国務大臣 済みません、一言だけ。
 結論だけ申し上げますと、昨年の十二月の特殊法人等整理合理化計画によりまして、今後おおむね十年間でこれを廃止することにいたしておりましたけれども、前倒しをいたしまして、平成十七年度までに廃止をするということに決定をいたしております。
福田国務大臣 いろいろと御指摘のようなことも私も伺っておりますので、これは、よく実態を調べて、対応は考えるべき問題も多いのだろうというふうに思っております。
保坂委員 社会保険庁が年金の積立金というのをいろいろ扱って、これは右肩上がりの時代だったらよかったんですよね。まさに、今、このデフレ時代で、いわば苦戦しているわけです、国民のこの積立金をどうやって保持するか。やはりこれまでのことを全部見直していただきたいわけ。
 例えば、成人式用に、新成人に向けて、年金の仕組みというのを配るんですが、百六十八万冊刷っているんだよね。だけれども、私も、いろいろな成人式、最近、若者の声を聞きに行ったりしても、何ももらっていないですよね。どこでこれをどうやって配っているんだという感じがするわけです。しかも、これは大体業者に委託しているわけですね。
 こういうところも含めて、国民から預かった大切な年金積立金を一銭たりともむだにしないと、徹底的に監査してほしいんだね。その決意を伺いたい。
坂口国務大臣 それはもう当然、御指摘のとおりでございまして、そうしたいというふうに思います。
保坂委員 それで、前倒しして改革するというのはいいのですよ。
 ただ、グリーンピアなんてあんな巨大なものを、一個だけ売却の話が済んだみたいでそれはよかったと思いますけれども、しかし、今自治体も国同様大きな大きな債務に大変圧迫されているわけですよ。だから、自治体に売るなんていったって実際処理できないんじゃないですか。こんなでかいものをいっぱいつくって、これは、厚生年金で百十八施設、国民年金で六十施設、それから社会保険センターや社会保険健康センターなど九十九施設、全部で二百七十七もあるのですよ。
 これは、具体的にどういう方針で抜本的に処理しようと思っているのですか。大臣に伺います。――坂口大臣に聞いているんですよ。
津島委員長 まず事実を答弁させます。
冨岡政府参考人 事実関係を答弁いたします。
 国民年金、厚生年金の福祉施設につきましては、従来から、新たな施設は設置しない、既存の施設につきましても廃止を含めた見直しを行うということで、関係経費の大幅な圧縮を図ってきたところでございまして、今後とも、平成十二年の閣議決定などに基づきまして、経営の合理化、またそういったことに努めたいと思っております。
坂口国務大臣 どういうふうに民間やあるいは地方の自治体に持ってもらうかというところ、私もそこまできちっと調べておりませんが、しかし、これは余り安く全部渡してしまっても、これもそれこそまた年金のお金でございますので、できるだけ皆さん方にお願いをするということにせざるを得ないというふうに思いますが、民間も含めまして幅広くひとつ対象を広げまして、そして意義あるようにしたいと思っております。
保坂委員 年金積立金がしっかりと、もう一銭も漏らさず国が、政府がこれをしっかりやるという決意と情報公開がなければ、年金の不安というのはおさまりませんよ。それをしっかりやって、年金についてビジョンをしっかり示すという前提でそれをやっていただきたいということを求めて、私の質問を終わります。
津島委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.