衆議院

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第12号 平成14年2月18日(月曜日)

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平成十四年二月十八日(月曜日)
    午後一時三十分開議
 出席委員
   委員長 津島 雄二君
   理事 伊藤 公介君 理事 木村 義雄君
   理事 北村 直人君 理事 小林 興起君
   理事 藤井 孝男君 理事 枝野 幸男君
   理事 城島 正光君 理事 原口 一博君
   理事 井上 義久君
      伊藤信太郎君    伊吹 文明君
      石川 要三君    衛藤征士郎君
      小此木八郎君    大原 一三君
      岡下 信子君    奥野 誠亮君
      亀井 善之君    栗原 博久君
      小坂 憲次君    小島 敏男君
      竹下  亘君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    野田 聖子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      林 省之介君    細田 博之君
      三塚  博君    宮本 一三君
      持永 和見君    八代 英太君
      五十嵐文彦君    井上 和雄君
      池田 元久君    岩國 哲人君
      金子善次郎君    河村たかし君
      小泉 俊明君    筒井 信隆君
      中沢 健次君    野田 佳彦君
      松野 頼久君    松本 剛明君
      山花 郁夫君    青山 二三君
      赤松 正雄君    達増 拓也君
      都築  譲君    中井  洽君
      中塚 一宏君    佐々木憲昭君
      瀬古由起子君    辻元 清美君
      中川 智子君    横光 克彦君
      井上 喜一君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       武部  勤君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   総務副大臣        若松 謙維君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    津野  修君
   会計検査院長       金子  晃君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   最高裁判所事務総局民事局
   長            千葉 勝美君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            重家 俊範君
   政府参考人   
   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君
   政府参考人 
   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十八日
 辞任         補欠選任
  大原 一三君     谷田 武彦君
  奥野 誠亮君     小此木八郎君
  小坂 憲次君     竹下  亘君
  小島 敏男君     林 省之介君
  高鳥  修君     岡下 信子君
  野田 聖子君     伊藤信太郎君
  萩野 浩基君     中本 太衛君
  赤松 広隆君     山花 郁夫君
  岩國 哲人君     井上 和雄君
  河村たかし君     小泉 俊明君
  松野 頼久君     金子善次郎君
  達増 拓也君     都築  譲君
  山口 富男君     瀬古由起子君
  辻元 清美君     中川 智子君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     野田 聖子君
  小此木八郎君     奥野 誠亮君
  岡下 信子君     高鳥  修君
  竹下  亘君     小坂 憲次君
  谷田 武彦君     大原 一三君
  中本 太衛君     萩野 浩基君
  林 省之介君     小島 敏男君
  井上 和雄君     岩國 哲人君
  金子善次郎君     松野 頼久君
  小泉 俊明君     河村たかし君
  山花 郁夫君     赤松 広隆君
  都築  譲君     達増 拓也君
  瀬古由起子君     山口 富男君
  中川 智子君     辻元 清美君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――
津島委員長 これより会議を開きます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 三案審査のため、外務省関係予算に関し、特にNGO問題について、来る二月二十日、田中眞紀子君、鈴木宗男君、以上両名の方に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 次に、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長小町恭士君、外務省欧州局長齋藤泰雄君、外務省中東アフリカ局長重家俊範君、外務省経済協力局長西田恒夫君、厚生労働省医薬局長宮島彰君、厚生労働省保険局長大塚義治君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 次に、お諮りいたします。
 最高裁判所千葉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。
枝野委員 外務大臣に二つの視点からお尋ねしたいことがあるんですが、途中できょうは会見があるということですので、まず、短く終わりそうな方を、会見で抜けられる前に済ませておきたいと思います。
 WHOという国際機関がありますが、ここに台湾が加盟できていない。WHO、国連の機関ですので、正式加盟ができないということについてはわからないではないんですが、台湾は、準加盟でも何でもいいのでこういう国際的な、健康、保健にかかわる問題でありますので、ぜひ何らかの形でWHOに関与したいという強い要望を持っていると聞いています。この要望を日本政府として外務省は把握をしているのかどうか、まずお答えください。
川口国務大臣 把握をいたしております。
枝野委員 これに対して、日本政府としてはどういう対応をとっておられますか。
川口国務大臣 台湾がオブザーバー、準加盟でもいいからWHOへ参加をしたい、総会へのオブザーバー参加について強い関心を持っているということについては、先ほど申しましたように承知をいたしておりますけれども、これについては、加盟国全体のコンセンサスが得られないということでございまして、これまでに台湾のオブザーバー参加問題がWHO総会の議題になっていない、議題にすることができないという状況であるというふうに承知をいたしています。
 それで、日本が何をやっているかというお尋ねでございましたけれども、私どもは、この件についてWHO加盟国全体のコンセンサスができることが大事だというふうに考えておりまして、そのために鋭意努力をいたしております。
枝野委員 本当に努力しているんですか。つまり、台湾が加盟できた方がいいと日本の外務大臣として思っていらっしゃるという認識でいいんですね。努力しているということはそういうことですよ。いいですね。
川口国務大臣 コンセンサスが形成されるように努力をいたしております。
枝野委員 コンセンサスが得られるように努力しているということは、コンセンサスを得て準加盟してもらった方がいいと思っていなければコンセンサスを得る努力にはなりませんね。理屈でそうですよね。
 ですから、コンセンサスを得る努力をしているということは、準加盟していただいた方がいいと思っている、そういうことでいいですよね。
川口国務大臣 何よりも、コンセンサスがこの点についてできることが大事であるというふうに考えておりますので、そのための努力をしております。
枝野委員 では、台湾に準加盟していただいた方がいいという立場に立っていない、逆に言うとそういう理解のように聞こえますが、そういうことなんですか。
川口国務大臣 コンセンサスができませんと議題として上がらないということでございますので、コンセンサスができるように努力をいたしております。
枝野委員 日本は主体的な外交をするんじゃないんですか。日本としてコンセンサスをとるために努力をして、皆さん参加オーケーですねというコンセンサスをとる努力をしているんじゃないんですか。コンセンサスをとるということは、参加していただけるようにというコンセンサスをとる努力をしているんじゃないんですか。
川口国務大臣 これにつきましては、たしか総務委員会といったと思いますけれども、議題を決定する委員会がございまして、そこで合意されませんと議題となりません。そういう形でコンセンサスができるということが大事だというふうに考えております。
枝野委員 議題とすることについてのコンセンサスを得る努力をしているんですか、それとも、何の努力をしているんですか。コンセンサスというのは、どういうコンセンサスをとる努力をしているんですか。
川口国務大臣 議題とすることもそうでございますし、その後もそうでございますけれども、まず、議題とするということにコンセンサスができませんと議題となることすらないわけでございまして、まずコンセンサスが大事だということでございます。
枝野委員 では、逆に聞きましょう。なぜコンセンサスがとれていないんですか。
川口国務大臣 さまざまな国がさまざまな意見を持っているということではないかと思います。
枝野委員 では、日本はどんな意見を持っているんですか、準加盟させるかどうかということについて。
川口国務大臣 コンセンサスを形成するということが大事だと考えております。
枝野委員 それは全く意思でも何でもないじゃないですか。つまり、みんなが一致をしたら日本も一緒にやります、みんなが一緒にならなければどちらか何とも言えません。それは日本の国家としての意思がないということじゃないですか。違いますか。(発言する者あり)
津島委員長 御静粛にお願いします。
川口国務大臣 国際的な問題というのは一国の意思だけで動くものではないというふうに私は考えておりまして、そのためにコンセンサスをつくるということがまず大事だと考えております。(発言する者あり)
津島委員長 枝野君、質問してください。
枝野委員 コンセンサスをとれなかったら物事決まらないのは決まっているんですよ、国際社会は。日本がどっちの方向で努力しているのか。一番最初にあなたは努力するとおっしゃいましたからね。どういう方向で努力するんですか。台湾なんて入れないようにしようという方向でコンセンサスをとる努力をするのと、入れる方向でコンセンサスをとるために努力しようというのは、努力しようということの意味が全然違うじゃないですか。あなたは努力すると言ったんですからね。どっちの方向で努力しているんですか。
川口国務大臣 我が国といたしましては、こういった国際機関への加盟問題というのは、コンセンサスがなければこれは実現いたしませんので、我が国の立場あるいは国際情勢その他いろいろ勘案いたしましてコンセンサスができるように努力をいたしております。
枝野委員 それは、日本は主体的な意思がない、コンセンサスがとれないことについては日本は物を言わない、そういう外交姿勢だ、そういうことでいいんですね。(発言する者あり)
津島委員長 御静粛にお願いします。
川口国務大臣 我が国といたしましては、外交というのはまず日本の国益を守ることが一番重要であるというふうに考えておりまして、その立場から主体的に取り組んでいるところでございます。
枝野委員 だから、主体的にどう取り組んでいるのかと聞いているんですよ。質問にならないから答えさせてください、委員長。
川口国務大臣 どういうあり方が主体的なあり方であるかというのは、事項事項、外交課題、外交課題で異なってくるというふうに考えますが、このWHO総会へのオブザーバー参加につきましては、コンセンサスができるということが非常に大事でございますので、そのための努力をいたしております。
枝野委員 では、国益という観点から別の聞き方をしますよ。
 厚生労働大臣。通告していませんので、わかる範囲で結構ですが、WHOというのはどんなことをやっているんですか。
坂口国務大臣 これは言わずもがな、各国の保健に関しますことを全体で討議をし、どういうふうに世界の健康を維持していくかということを議論するわけであります。
枝野委員 健康に関する、保健に関すること、こういった国際機関に加盟して、お互いにいろいろ協議したり情報交換したりするということは、日本の国益にかなっていると思うから加盟をしているんですね。外務大臣と厚生労働大臣、簡単にお答えください。
坂口国務大臣 我々は、これはもう独立国でありますから、このWHOに参加をいたしております。
川口国務大臣 当然そのように考えております。
枝野委員 通告で細かいことまで聞いていませんから、細かい数字は結構ですが、日本から台湾に年間相当な数の観光客、その他ビジネス客などが行っています。台湾からも日本に相当な数の方がお客さんとしていらっしゃっています。そのことは、外務大臣、御存じですね。
川口国務大臣 数は存じておりませんけれども、承知しております。
枝野委員 たくさんの人々がお互いに行き来をしている地域が、WHOという保健にかかわるところで参加ができていない。ということは、もちろん今情報が発達している世界ですから、それはWHOで議論されたことが間接的に台湾にも伝わったりするでしょう。しかしながら、本当にその現場で議論をしている保健に関する最先端の一番重要な部分のところの議論に、台湾の皆さんは参加ができないわけです。
 そういった地域と我が国は、人が相当交流しているわけです。そうすると、我が国の保健衛生という観点からも、物すごい隣国であって、なおかつ多数の人々がこうやって交流している地域がWHOに準加盟とはいえしていないということは、我が国の保健衛生の観点からも問題だと思いませんか、厚生労働大臣。
坂口国務大臣 保健上の御趣旨は御主張になるとおりだと私は思いますが、しかし、WHOにおける、WHOの加盟のあり方というものが先ほど御指摘のように一つ決まっていて、加盟につきましては、これは全体のWHOの総会の決議によりまして、中華人民共和国政府を中国を代表する唯一の政府とするというふうになっているので、ここは無理。それで、準加盟につきましても、台湾の準加盟につきましては、WHOへの参加は中華人民共和国が申請しない限り認められないといったことがある。
 今、それではオブザーバーとしてどうかというお話になっておりますが、総会のコンセンサス、そして全体の合意が得られなければこれまたなかなか認められないということになっているものですから、現在のところ認められていない。そういう現状にあるわけでありまして、二〇〇〇年一月の理事会におきましても、台湾の要請を受けたチャド等から、ぜひオブザーバーに加えてはという提案がなされたということもお聞きをいたしておりますが、全体として、その中で投票をいたしました結果は、総会の議題としないことに賛成した国が二十カ国ということです。
枝野委員 いいですか。わかっているんですよ。私は、日中共同宣言をやめろだなんて言っている話じゃないし、北京の政府を中国を代表する唯一の政府として我が国が対応しているという今の仕組みを変えろだなんて言っていないんですよ。ただ、現実に、日本のすぐそばにたくさんの人々が日本との密接な交流をしている、その人たちもやってくる、私たちも行く。そういうところがWHOの保健衛生に関する世界の最先端の議論に直接加われないという状況が、我が国の公衆衛生、保健衛生の見地から、本当にいいと思っているんですかとお尋ねしているんです。どうですか、厚生労働大臣。
坂口国務大臣 世界の仕組みは仕組みとして、我々とそしてこの台湾とは同じ東南アジアにいるわけでありますから、そこは二国間でそうしたことを解決していく以外にないと思います。
枝野委員 二国間で解決できる話だったら、そもそも我が国は何でWHOに加盟しているんですか。WHO、要らないじゃないですか。
坂口国務大臣 ですから、その仕組みとして、先ほど申しましたように、WHOに参加をする、そして準参加をする、オブザーバーとしてする、それぞれのやり方についての決まりがある。それに従ってやらなければならないわけでありまして、そこに台湾が当てはまっていないということでありますから、これはやむを得ないわけでありまして、それに対しまして、我々は、それじゃどうするか。
 もちろん御指摘のように、日本から台湾へ、台湾から日本へも多くの人がお見えになっている。そこをやはり我々は知恵を出して乗り切っていかなければならない。
枝野委員 これぐらいにしたいと思うのですが、外務大臣、今のように大量の人が行き来しているわけですから、保健衛生という見地からは、一緒の場にいてもらった方が日本にとっていいに決まっているんですよ。
 もちろん、これは国連の機関ですから、代表権問題とかという政治的な問題がかかわっているのはよくわかります。だから、加盟させろだなんて言うつもりはありません。準加盟だってややこしいかもしれない。でも、日本はこれだけ利害関係を持っているわけですから、日本としては、中国の代表権とかかわらない形で台湾に参加してもらうようなルールをWHOの中でつくるべきじゃないかとか、そういう積極的な対応をすべきじゃないですか。どうですか、外務大臣。
川口国務大臣 この問題につきまして、枝野委員のようなお立場の方が大勢いらっしゃるということも承知をいたしております。そういった皆様の御意見、日本の国益、総合的に考えまして、コンセンサスが形成されるように努力をいたしてまいりたいと思います。
枝野委員 本当にこの外務大臣には主体性がないということを言っておきたいと思います。
 記者会見があると思いますから、どうぞ行ってください。また後ほど本丸の話をお尋ねします。
 行革の話についてお尋ねをいたします。
 公務員制度改革の大綱を年末に閣議決定したと言われています。この委員会でも何度も問題になっていますが、今まで人事院の承認が必要だった天下りについて、各省大臣の承認でオーケーにするという改革の中身になっています。こんなばかな話はないと私は思います。
 行革大臣、なぜ天下りは国民から批判をされているのですか、わかっていますか。
石原国務大臣 天下りの問題につきましては、先般も御同僚の五十嵐委員から御質問をいただきましたので重複は避けたいと思いますが、やはり権限や予算を背景に天下って、世間から見ていかがかなと思われるようなことが行われているというのが第一点と、あるいは、特殊法人改革でも話題になりましたけれども、わたりなんという言葉があるように、ぽんぽんぽんと五つぐらいの天下りを繰り返すことによりまして、世間一般の常識から考えてびっくりするような退職金や生涯賃金が多くなっている。その一方で、公務員の皆さん方に対する信頼ということがさまざまな面で問題になっている。
 このようなことから、国民の皆さん方の御批判があり、政治の世界でも、これを是正していかなければならないということは与野党一致してお考えになっている点でありますし、私も、その点には十分留意をさせていただいて、そういう批判に真摯にこたえられるような体制をつくっていかなければならないと思っておりますし、冒頭お話しいたしました、いわゆる押しつけ型の天下りというものは、根絶をしていかなければならない。
 またその一方で、これももう五十嵐委員にお答えいたしましたけれども、やはり、恩給制度というものがなくなって、今のままの年金では十分な生活ができないという事実もあると考えております。
枝野委員 厚生労働大臣、結構です。私の質問、終わりましたので。
 こういう聞き方はいかがでしょうか。例えば、財務省をおやめになって、大学の先生をやっている方がいらっしゃいます。こういう方については、余り、天下りだとかという批判はされません。それで、世間の批判もありません。なぜ、そういったところに対して再就職することは天下りとして批判をされないで、よく言われている特殊法人などに行ったりとかの天下りは天下りとして批判をされるのか。その違いはどこにあると思いますか。
石原国務大臣 これもお答えさせていただきましたことに含まれると思うんですが、これまで官僚の一員として培ってきた権限また予算というものと学究というものがセパレートされているということが一つの点ではないかと認識しております。
枝野委員 橋本行革の結果で内閣府などがつくられて、石原大臣もそこの大臣をしているわけですが、なぜ、内閣府をつくるというような改革が必要だということになったと認識していますか。一番大事な点、一点挙げてください。
石原国務大臣 これは枝野委員御承知の上での御質問だと思いますが、縦割りだと思います。
枝野委員 縦割り行政は、若干は是正されたのかもしれませんが、内閣府をつくったことで解決されましたか。
石原国務大臣 内閣府の採用の問題一点とりましても、すべて解決しているとは認識しておりません。
枝野委員 そうですよね。役所は縦割りだ、そしてそこで予算や権限を持っている。その縦割りの、予算や権限のトップはだれですか。
石原国務大臣 省庁で申すならば、大臣であると認識をしております。
枝野委員 権限や予算を背景にして再就職することが国民の批判をされている、そのことは御理解をされている。役所は縦割り、問題だ、その縦割りのトップにいるのは各省大臣だと。その各省大臣のところに天下りの承認権限を戻すだなんというのは、この権限や予算を背景に天下っているという国民の批判を考えたときには、まるで逆行じゃないですか。御自身がおっしゃっている中の理屈でもそうなるじゃないですか。
石原国務大臣 先ほど、重複を避けるということで御答弁を差し控えておりましたが、御同僚の五十嵐委員からも同趣旨の御質問をいただきまして御答弁をさせていただいたんですが、内閣が承認基準を法令で定めて、大臣は承認した案件についてディスクロージャーする、すべて公にする。あるいは、これまでは人事院がつかさどってきた部分についてではございますけれども、引き続いて人事院にも、この内閣の決める、政令で定める承認基準が合っているか合っていないか、意見の具申もちょうだいいたしますし、その承認事務の実施状況についても、仮に、ただいま枝野委員が御指摘されるような、世間から見て、あるいはだれが見てもおかしいと思うようなものについては、改善勧告を行っていただく等々、二重三重にも、これまでにも増して、実は、お手盛りというような批判に耐えられるようなものをつくっていかなければならないという観点に立ちまして制度を仕組ませていただいたので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
枝野委員 私のお尋ねには答えていませんよ。
 つまり、国民からは、権限、予算を背景に再就職することはおかしいと言われている、その権限や予算のトップが大臣だと。そこに承認の権限を持たせるということは、ほかにどんなことをやろうとも、やはりむしろお手盛りが強化されるということじゃないかと国民からは受け取られるんじゃないですか。
石原国務大臣 ちょっと裏からのお答えになるかもしれないのですけれども、権限や予算を持ってのいわゆる押しつけ型の天下りというものに対する批判に真摯にこたえて、こういうものはやはり全廃していくという方向でこの改正をまとめさせていただいていると御理解をいただきたいと思います。
枝野委員 やはり答えていないですよね。
 では、厳格な基準、今までより、今まで人事院がやっていたよりどう厳格になるんですか。そして、公表すると。今まで人事院がやっていた公表よりどう詳しく公表されるんですか。具体的に答えてください。
石原国務大臣 厳格という言葉を平たく説明するというのは非常に難しくて、厳格なる承認基準というものを政令で、内閣が責任を持ってお示しいただきますので、その政令が出たものを見て、これが厳格でないか厳格であるのかということは御議論をいただくと思いますし、何度も申しますように、押しつけ型の天下りは根絶していくということでございます。
 その一方で、それでは、公務員の方々はもう六十歳でやめて、その後は野となれ山となれ、年金で生活してくれということができるのかということもこの問題ははらんでいるのではないかと思っております。
枝野委員 結局、人事院によるチェックというものを外す。政令ですから、政令を先に出してくれるんですか。だったら、法改正の前に政令を先に出してくれるんですか。
石原国務大臣 これは、公務員制度改革の案を決定させていただいた後、可及的速やかに政令でお示しいただきまして、この制度が変わったときは、新しい基準で天下りというものが批判のないものにしていかなければならないと認識をしているところでございます。
枝野委員 質問に答えていません。法改正よりも政令を先に見せてくれるんですね。
石原国務大臣 一般論でございますけれども、順序としては、法案を通していただきまして、その後、それに付随する政省令というものが整備されるというのがこれまでの国会の姿ではないか、国会というか、行政の姿ではないかと認識をしております。
枝野委員 それじゃ国民も国会も判断できないじゃないですか。
 石原さんは、きちんと厳しい厳格な基準をつくるから大臣に移したっていいと言っている。でも、その基準そのものは、政令は、法改正などが済んでからつくられる。せめて、この法律ができ上がったらこういう政令をつくるつもりですと、政令案ぐらい先に見せてくれなかったら、本当に厳しくなるのか、それともお手盛りになるのか、判断しようがないじゃないですか。どうですか。
石原国務大臣 行政でございますので、その分については行政の責任において、ただいま枝野委員から御批判をいただいたようなことのないようにさせていただく。これまでも、法案の審議、そしてその後政省令というものについても、国会で十分な御議論がなされているものと承知をしております。
枝野委員 本気で政省令が国会でちゃんと議論されているなんて思っていますか。聞いたことないですよ、そんな話は。法律は国会で議論の対象ですけれども、政省令は内閣が行政の中だけで勝手に決められる。当たり前じゃないですか。
 公務員制度改革というのは、行政の中でいろいろ変なことが起こることに対して、国会がちゃんとチェックしたり、国民がちゃんとチェックする、それが公務員改革であり行政改革なんじゃないのですか。行政でしっかり信頼してやりますという話だったら、初めから行革なんかやらなくていいのですよ。行政を信頼できるんだったら、行政に全部お任せしてやってくださいという話ですよ。行政に対する国民の信頼がないから行政改革なのに、政省令は行政を信頼してくださいというのは自己矛盾じゃないですか。
石原国務大臣 ただいまの委員の御指摘は、行政と国会のあり方についての御指摘だと認識しておりますが、そこの部分につきましては、行政の長である者がかわる、あるいは国会の構成がかわる、そのようなさまざまな事態においてさまざまな事態が変化するということも、これまた一般論ではございますが、変化するということは常識ではないかと考えております。
枝野委員 今まで、大臣がかわろうが何しようが天下りはとめられなかったし、行政の不祥事はとめられなかったから、行政改革として制度を変えようというのがこの十年だか二十年だかの話じゃないですか。それは、上がかわったらちょっとは変わるでしょう。だけれども、変えようとして大臣は首になっていますよね。こういう話なんですよ。
 ちゃんと制度として、どんな大臣が来ようとどんな内閣ができようとおかしなことができないような制度をつくる、それが行革じゃないですか。
石原国務大臣 ただいまの御指摘は、行政改革はというような大きな命題でございまして、私の考えます行政改革とは、むだを省いて効率のある行政をつくるというふうに考えて仕事を日夜させていただいております。
枝野委員 そうですか。やはり小泉内閣は我々とは全然違っていた。私は、確かにむだを省いて小さくすることも行政改革の大きなテーマだと思っていましたが、しかしそれ以上に大事なことは、行政に対する国民の不信、これを払拭して行政に対する国民の信頼を回復させること、役所の人たちだけがおいしい思いをしているんじゃないかという国民の不信を持たれないような仕組みをつくること、私はそれが圧倒的に最優先であって、小さな政府か大きな政府かみたいな話はずっと相対的には小さい、もちろんそれ自体は大きなテーマだけれども、そんなふうに思っていましたが、全然違っているということがよくわかりました。
 ところで、農水大臣、急に来ていただきましたが、農水省のこの間問題になった熊澤さんというんですか、事務次官、おやめになったら食肉業界団体に天下りをしようとしていた、ところが週刊誌に見つかったので辞退をされた。この経緯、いつお知りになりましたか。
武部国務大臣 私が知ったのは二月十三日の夜、前次官が当該団体の嘱託の要請をお断りしたというその夜であろうと思います。
枝野委員 要するに、マスコミがかぎつけてばれた、ばれてから初めて教えられた、こういうことですね。
武部国務大臣 そのとおりなんだろう、こう思いますが、私が承知したのは二月十三日の夜でございます。
枝野委員 本当にそれで農水省をしっかり指揮監督してBSEの問題を初めとしてやっているんだという話になるんですか。全然違うじゃないですか。こんな話を勝手に農林省の役人ベースのところで進めていて、ばれて初めて大臣のところに報告が来た、こんな話をこんな状況のときにやっている役所を、あなた、一生懸命使ってやっています、掌握してやっていますと。国民が納得すると思いますか。
武部国務大臣 まことに非常識きわまりないことだ、このように思いますし、私も責任者といたしまして、担当課長から聞いたときに、BSE問題の経緯からして国民感情から見てとんでもないことではないか、感覚を疑うと。
 同時に、担当課長に対しても、常に報告、連絡、相談ということを徹底するようにと指示していながら、かような、これはあっせんしたとかそういうことじゃありませんが、そういうことを知っていながら私に何の報告もなかったということはとんでもないことでありますので、厳しく叱責し、注意し、事務次官に対しても、二度とこういうことがないように徹底するようにということを指示した次第でございます。
枝野委員 あなたは何度も、特にこのBSEの問題が出てから、農水省の役人に対して、改革しろ、変えろ、おかしいじゃないかと厳しくしかった、何度も繰り返しているじゃないですか。国会でこれだけ批判をされて、大臣もやめろと言われて、それでも、ちゃんとやりますといって居座っているわけですよ。でも、またこうやって繰り返されているわけですよ、役人を指導しなきゃならないという話を。なめられているんですよ。
 何でこんなことになるんですか。
武部国務大臣 委員が御指摘されることは全く同感でありまして、私どもはそれだけに、農林水産省の大改革に向けて大手術をしなきゃならぬ、そういう決意で今私が先頭になって努力をしているわけでございます。これはまことに弁解の余地はございませんで、今後徹底してまいりたい、かように存じます。
枝野委員 私は、なぜ繰り返されるのかとお尋ねしたんです。
 違う聞き方でいきましょう。
 こんなに問題を起こしても大臣は責任をとらないで居座っている。こんなに問題を起こした、その畜産部長だかなんだかの当時からずっと携わっていた熊澤さんも、引責辞任ではなく、退職金をがっぽりもらっておやめになって、責任をとらされていない。みんな、上の方の幹部の人たち含めて、だれも責任をとっていない。だから、いろいろおかしなことをやっても、変なことをやっても、ごめんなさい、済みません、今後しっかりしますと言ったらまた許してもらえると農林省の幹部みんな思っているんじゃないですか。そう思ってもおかしくないような行動をとってきたんじゃないですか。だから繰り返されているんですよ。だからあなたが責任とらなきゃいけないんですよ。どうですか。
武部国務大臣 私は、今申し上げましたように、農林省の大手術に今着手している、そういう決意で努力中でありますので、これからしっかりやってまいりたいということで御理解をいただきたいと思います。
 それは、いろいろ御指摘されることはもっともだと思いますし、私どもは、そういう意味では、役人任せにせずに、強い決意で、政治主導で徹底究明、徹底改革をやろうということで今努力していることを御理解いただきたいと思います。
枝野委員 役人任せにしないでと言ったって、実際に今度の天下りの話だって役人しか知らなかった。大臣がすべて細かいことを全部知ることができるわけじゃないんですから、役人に任せなきゃできないことはたくさんあるんですよ。その役人がおかしなことをやったら、首になるかもしれない、責任とらされるかもしれない、そういう緊張感を持たせないと、こんな不祥事が起こった役所がしっかりするわけないじゃないですか。どう考えたって、やっていることが支離滅裂ですよ。とてもじゃないけれども、こんな農林大臣のもとでは農林省改革は進まないということを申し上げておきます。どうぞお帰りください。
 行革大臣にもう一点お尋ねをいたします。
 この公務員制度改革のところで、1種試験の合格者の数を二倍にするというような方向性が出ていると聞いています。何で国家公務員試験の合格者の数をふやさなきゃいけないんですか。公務員の数は、むしろ採用を減らしていこうという時代ですよ。逆行じゃないですか。おかしいじゃないですか。
石原国務大臣 委員御指摘のように、一倍であるならば、採った人間がその役所に行くということでございますが、受ける方の都合もございますし、採用する側の都合もありますので、二倍程度が適当ではないかと考えているところでございます。
枝野委員 それは現状が、今の採用数の二倍合格している。それをさらに二倍にふやすと。採用数の四倍くらい合格者にさせる。そのことがおかしいんじゃないかと聞いているんです。
石原国務大臣 結果として何倍になるのかということは、現時点では正確な数字を申し述べることはできませんけれども、試験に偏った採用ではなくて、その人の人格あるいは識見等も十分に見れるような試験の体制、すなわち公務員の採用方法というものをこれから模索していかなければならないと考えているところでございます。
枝野委員 だったら、試験そのものに、いわゆるペーパーテストだけではなくて、人格その他が見られるように、見る方の人格に問題があるんじゃどうにもならないんだけれども、面接とか、そういうことを重視していくということをやればいいんですよ。合格者の数をふやして、公務員試験の難しい試験にようやく、勉強して受かったのに採用されないという人をそんなにふやして本当にいいんですか。
石原国務大臣 実態は詳細には把握しておりませんが、公務員試験に合格されても、若い方からヒアリングを何度かさせていただいたんですけれども、例えば、同期の方で公務員になった方は、公務員試験に受かっていても二割であって、残りの八割の方は御自分の意思で、あるいは希望した省庁に採用されなかったから違うところに行かれたということもあるということを御理解いただきたいと思います。
枝野委員 それで採用ができなくて足りないんですか。今の、二倍ぐらい、採用数の二倍ぐらいというのが、ほぼ適切にでき上がっているんじゃないですか。それは年度によっていろいろな状況はあるでしょうから、応用するのはわかりますよ。だけれども、制度改革として合格者の数をふやしましょうというのは、違う意図があるんでしょう。
石原国務大臣 委員御指摘の違う意図ということは、ちょっと思い当たるものがございませんが、試験制度自体の問題ということにもございますけれども、現在の二倍ということで、実はさまざまな悪癖というものも出てきている。
 すなわち、公務員試験対策の参考書、書店に行けばたくさん最近では並んでおります。このほか、都庁の地下に、これは地方公務員でございますが、行かれるときっとびっくりされると思いますけれども、昇級試験をどのようにクリアするかといったような本が、一般書店にないようなものがずらっと並んでいる。
 こういうことに象徴されますように、試験中心ではこれからの激動する世の中に対応できる人材が十分に採用できない。もちろん採用する側の問題もございますし、試験の問題はございますが、そういうものを改善したいということで今回の制度変更を検討している最中でございます。
枝野委員 それは試験のやり方の問題でしょう。つまり、いわゆるペーパー試験的なものを試験だということに限定すれば、それは傾向と対策で対応できますよ。
 しかしまさに、例えば面接とかそういうところを公務員試験そのものの中に組み込めば、そういうところは幾らでも対応できるし、いやペーパー試験であったとしても、そのペーパー試験の中身をいろいろと工夫することによってある程度はできるのであって、別に合格者をふやして、合格はしたけれども採用してもらえませんという人を大量に生み出す必要は全然ないわけですよ。
 逆の方向から聞きますが、先ほど縦割りが問題だと言いました。省庁ごとに採用するんですよね。省庁ごとに採用するに当たっては、それは分母が多い方がいいでしょう、自分の役所にとって都合のいい人を採用していくのには。だからこういう制度を組もうというんでしょう。
石原国務大臣 ちょっとただいまの質問の御趣旨は理解できないんですが、大体今1種、いわゆるキャリアでいいますと六百人ぐらいの方が、平成十三年度からは外交官の方も外交試験というものでなくて一本化されましたので、六百数十人の方が合格をされております。
 こんな中で、いわゆる文系と言われる方々は半分弱、技術系と言われる方が半数以上という形になると思いますけれども、文系の方々の試験と技術系の方々の試験というものは、もちろん学んできたものが違いますので、技術系の方々に経済理論を聞くわけにもいきませんので、そこの問題は分かれていると思います。そういう中で適正な人員というもの、今はおよそ二倍でございますけれども、そういうものが結果として出ていると認識をしております。
枝野委員 いいですか、合格者の数と採用数が一致をする、あるいはせめて合格者の中で採用をみずから辞退する人を除いて採用数と一致をするということであれば、第三者の恣意的な関与の余地がないんですよ。いろいろなところの地方の、特に学校の先生の採用や、あるいは地方自治体の特に小さなところでの採用に政治的な圧力が加わるという話は、全国でいまだに残念ながら残っています。
 要するに、採用数に比べて合格者数をふやせばふやすほど、その中からだれを選ぶのかという明確な基準がない中で採用されていくんですよ。そうすれば、どこかの役所のどこかの問題のように、政治家がこいつを採用しろとかあいつを採用するな、そういう圧力が出てくる余地が出てくる。
 公務員制度というのが今までそれなりに一定の信頼をされてきたのは、まあいろいろな人がいていろいろ変な人もいるけれども、そうはいっても一応公正な試験に受かっていった、その部分のところだけは信用すると。この前提が崩れるんですよ。そうすると、変なやつもたくさんいるし、そもそも採用のところで、試験に受かった幅広い中からどうして採用されたのかもわからないよねというような役人をだれがどうやって信用するんですか。公務員に対する信用をさらに悪くする。
 しかも、役所の縦割りを強めるんですよね。役所に入ってからずっと、おれは財務省だ、おれは厚生省だという中で縦割り意識が強くなっていく。それを採用のところから、採用されるかどうかもわからない、だけれども何とか省が採用してくれた。試験に受かることじゃなくて採用の方が重要視されるようになったら、ますますどこの役所が採用してくれたかが大きくなって、入ったところから縦割り意識が強くなるんですよ。
 やるんだったら一括採用すべきなんですよ、採用のところなんて。どの役所に飛ばされるかというのは関係なし、まず一括して採用して、本人の希望は聞くけれども、どこの役所に行くかだなんというのは、転々とかわっていってもらっていいんです。かわれないところはありますよ、確かに。厚生省のお医者さんとか、そう簡単に別の役所に行くところはないでしょう。でも、法務省あたりだったらありますよ、お医者さんの仕事の部局は。
 そうやって、どこの役所に行くか、転々とかわるようにすれば、役所の縦割りなんてできないですよ。もちろん、どうしても動けない専門の人はいますが。そういう方向が本当の公務員制度改革なんじゃないか、逆方向だということを申し上げておきたい。
 どうしてもきょうじゅうにやっておかなきゃならないテーマがほかにありますので、石原大臣、以上で結構です。
 経済金融問題。この週末も、金融機関への公的資金の注入についていろいろな不規則発言が出てきています。
 金融大臣にまずお尋ねします。
 今の金融情勢では公的資金の再注入の必要はない、その認識は今も変わっていませんね。
柳澤国務大臣 公的資金の注入というのは、委員御承知のとおり、預保法百二条の金融危機対応の一つの措置として規定をされております。
 そういうことで、現在の金融情勢を見ますと、一つ大きなメルクマールであるところの破綻、破綻というのは資本がマイナスになるということで、債務超過とも申しますけれども、そういう状況があるか。これはないであろう。それからまた、その他、資金市場その他の金融関係の市場におけるいろいろな指標を見ましても、今危機の状況にある、あるいは危機のおそれがある、こういう情勢にはないという認識でございまして、その意味では、資本注入が何か大変大きな効果を上げる、そういう情勢にはない、このように考えております。
枝野委員 今の答弁は、預保法百二条の要件を満たす状況ではないというお答えにすぎません。新しい法律をつくる、法改正をするなどによって公的資金の注入をするという考えはおありなんですか。
柳澤国務大臣 今委員御承知のとおり、通常検査も強化されて、一年一回主要行に対してはこれを行い、かつ、自己査定のときには前回検査、直近の検査の指摘事項がどのように遵守されるかというようなことについてのフォローアップを行う、こういうことが一方あります。他方にはまた、特別検査というようなことが行われていることは御案内のとおりでございます。これは、現在それぞれ進行中というふうに申し上げてよろしいわけでございます。
 検査局、当該の部局からは、これは中間段階で何らの報告というか、そういったことはございませんが、他方、監督の方で、いろいろヒアリングというか、そういうものをかけて、次の決算がどうなるだろうかというようなことについていろいろ情勢を聞いているわけでございますけれども、そういったところから何か資本注入が必要だというような資本の状況にあるというふうには聞いておりません。
枝野委員 財務大臣、この間全然違う答弁をされていたような気がするんですが、同じ認識なんですか。
塩川国務大臣 表現はいろいろ違っていたかもわかりませんが、考え方は一緒です。
枝野委員 では、念押しをして聞きます。今の金融状況は金融機関に公的資金の注入を考えなければならないような状況ではない、そういう認識でよろしいですね。
塩川国務大臣 現在の時点ではそうでございますけれども、これが不良債権の整理とかいろいろなものが進んでいきまして金融情勢が変わってくるということになれば、これはまた別の話。けれども、現在のところは、私はまだその必要はないと思っています。
枝野委員 この週末、テレビで何か御発言になっていたようですが、竹中大臣の御認識はどうですか。
竹中国務大臣 これは、当局が検査をして監督をする話であります。当局の見通しのとおりなのだというふうに私も考えています。
枝野委員 この週末のテレビでは、年度内にも公的資金を注入する必要があるかもしれない、そういった趣旨のことをおっしゃっていませんでしたか。
竹中国務大臣 ぜひ、そういう発言はしていないということをビデオ等々で御確認いただけると思います。
 私が申し上げたのは、今、特別検査をやっているわけであります。その特別検査の結果が出て、もしも、これは司会者から聞かれたものですから仮定の質問として、何らか問題が生じるようなことがあるようだったら、これは敢然と非常に早いアクションをとらなければいけない、何らかの行動をとらなきゃいけないと。
 今年度中に公的資本の注入が必要などという発言は、これは御確認いただけると思いますが、一切しておりません。
枝野委員 では、検査の結果によってと。塩川さんもそういうことなわけですね。状況次第によっては、検査の結果いろいろな数字が出てきたら、必要が出るかもしれないということをおっしゃっている。
 それはそれでいいんですが、では、竹中さん、どういう状況になったら公的資金を考える余地が出てくるのか。つまり、自己資本比率が八%を割るような銀行が出てきたら、それで考えられるのか、それとももっと悪い状況なのか。
 私は、少なくとも、例えば預保法の百二条を見る限りでは、自己資本比率が八%を超えているというような検査結果である限りは、どうこの百二条を読んでも、公的資金を注入するような状況ではない、こういうことになると思いますが、その認識はよろしいですか。――いや、大臣がそう思っていらっしゃるのはよくわかるんですけれども……(柳澤国務大臣「いや、違うんですよ」と呼ぶ)違うんですか。どうぞ。
柳澤国務大臣 預保法百二条が規定していることは、金融秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれということでございます。
 その大きなメルクマールの中に自己資本比率というものがあるというふうに考えられますけれども、自己資本比率が低下するということ、即金融危機ではないわけです。それがまたいろいろな市場の評価等を介在させて実際にそこで規定されているような金融秩序に重大な支障が出るということでございまして、ワンクッションあるわけでございます。
枝野委員 逆を聞いているんです。八%を切ったから百二条の状況になるとは言っていません。それはおっしゃるとおりだと思います。逆なんです。八%を超えているような状況で百二条の想定するような状況はあり得ないですよね。
柳澤国務大臣 これは、あり得ないと言い切ることはできません。風評等で、八%を超える金融機関であっても、いろいろな資金市場で危機的な状況にさらされるということがないわけではないということでございます。
枝野委員 いいですか。一生懸命今金融庁は、検査をして、厳格な検査をして、自己資本比率が足りているのかどうか検査しているわけですよね。その結果で、八%以上もあるという結果が出ている状況なのに風評被害が出るような状況ということは、そもそも金融庁が信用されていない状況が起こるということを自己認識しているということですが、よろしいですね。
柳澤国務大臣 これは風評でございます。風評にまで我々責任を完璧に負うわけにはいきません。風評はどういう状況でも立ってしまうということでございます。
枝野委員 そんな一般論の話をしているわけじゃないですよ。
 今、金融庁は、しっかり検査しています、その検査は適正、適法、そうやっていますということを一生懸命おっしゃっているわけですよ。それが信用されていれば、どこでどんな風評をつくろうという人がいたとしたって、政府が信頼してくださいと言って国民が信頼している状況だったら、いや、それは株価が下がるとかいうことはあるかもしれませんよ。でも、少なくとも、信用の維持に極めて重大な支障が生じるおそれだなんというのは出るわけないじゃないですか、常識的に考えて。それは、自分たちが信用されていないということを前提としなければ、八%を超えているという金融庁の結果の中で、「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれ」だなんて考えられるわけないじゃないですか。
柳澤国務大臣 全く常識的には委員がおっしゃるとおりなんです。しかし、世の中にはなかなか常識どおりいかない面があるということを、可能性の問題として申し上げているんです。
枝野委員 竹中大臣にもお尋ねします。
 今本当に、金融の世界ですから、あらゆる一〇〇%の可能性を言えとは言いませんよ。少なくとも常識的に考えて、金融庁がしっかり厳格な検査をした結果、自己資本比率が八%以上あるというような銀行が、危ないんじゃないかということで百二条の要件を満たすようなことは普通はあり得ない、常識的にはあり得ない、そういう認識は竹中さんも一緒でいいですか。
竹中国務大臣 これは、常識的には、普通の場合はという強い限定でありますから、それはもう普通の場合はそういうことはあり得ないんだというふうに思います。しかし、その場合でも常にいろいろなリスクに備えなければいけないんだというような趣旨を今金融大臣はおっしゃっているんだと思います。
枝野委員 認識、今の同じ質問、財務大臣。
塩川国務大臣 これは枝野先生、金融状況というのは刻々と変わっていきますよ。例えば不良債権の整理ということもどのようにかかわっていくかということはわかりませんし、ですから、今金融機関が全部八%以上、四%以上ある、大丈夫だ、そこへ無理やり公的資本を注入するといったって、これは銀行がのまないでしょう。けれども、不良債権の整理をどんどん進んでいった中で、そこで流動資金が変わっていきますし、そういう事態がどういうところで発生してくるかわからぬ。そういうときには、必要があればつぎ込んでいかなきゃならぬ、こういうことを言っておるので、私は、現在においてはその必要はないけれども、将来においてはどういう事態になるかわからぬ、場合によったら必要かもわからぬ、こう言うて、今は必要ない、こういうことを言っております。
枝野委員 今の御発言は大変問題で、いいですか、金融検査をして、そして自己資本比率などを出しているということはどういうことなんですか。つまり、将来処理をしたら損があるかもしれない部分をリスク管理債権などとしてちゃんと引き当てる、そのことが金融検査であるんですよね。
 当然、確かに経済の状況が劇的に変わるというようなことがあったときには、それは塩川大臣のおっしゃっていることはあるかもしれません。しかしながら、例えば以前から危ないと言われていた企業がああやはり倒れましたとか、以前から危ないと言われていた銀行がやはり倒れましたとか、そういったリスクをすべて検査をきちんとして、そして引き当てなどを積んで、それで自己資本比率を出しているんですよね、金融大臣。
柳澤国務大臣 引き当て、その前に担保、保証という方法による保全が行われ、それからまた引き当てが行われる、そして、ここまでが予測される損失に備えるものでございます。予測しがたい損失に備えるものとして資本が必要だとされているわけでございまして、我々としては、今言ったような予測される損失と予測されない損失にどう備えているかということを金融検査で検査をしている、こういうことでございます。
枝野委員 ですから、財務大臣、不良債権の処理が進んだら云々だなんという話はあり得ないんですよ。今、不良債権の処理、ちゃんと進めましょうと政府を挙げて言っているんですから、不良債権の処理が進むであろうことを前提にして引き当てをし、担保をとり、そしてそれでも予想できないところへ自己資本比率があるわけですから。違いますか、財務大臣。
塩川国務大臣 だけれども、物事は、不動産にしても株券にしましても、あるいは売り掛け債権にしましても、全部そのときの時価によって変わってくるでしょう。ですから、我々今必死になって株価の維持を、上昇さすために一生懸命になっているのは、そういう新しい不良債権が出てこぬようにする。このことがもし起こってきた場合これは大変だからというので、一生懸命に経済のいわば回復、景気の回復、これに努力しておる。それが成果を結んでくれば、もう不良債権の新しいものは発生してこない。
枝野委員 まあ、揚げ足取りはしません。委員長はお気づきのようですが、揚げ足取りはしませんで、本題の方で攻めます。
 いいですか、今の経済状況の中では、株も上がるかもしれないけれども下がるかもしれない、土地の値段もさらに下がるかもしれない、売り掛け債権は貸し倒れになるかもしれない、焦げつくかもしれない。そういったことについては全部予想をした上で引き当てとか担保とかというのをやって、その上で自己資本比率を出すわけですよ。塩川さんのおっしゃっていることは、いや、そういういろいろなことがあるからと。それを全部考慮に入れてちゃんと引き当てておけと。
 その上でも、万が一にも、例えば突然土地の値段が半分になるとか株の値段が半分になるとか、経済だから何が起こるかわかりませんよ。そういうことがあったらまた別かもしれないけれども、今常識的に言われている、株が下がるかもしれないとか倒産企業がたくさん出るかもしれないとか、そんなことは全部考慮に入れているんでしょう、金融大臣。
柳澤国務大臣 株価を例にとられましたので、私も例にとらせていただきますが、株価については、これはリスクの係数というのは普通の貸出先債権と同じように一でございます。これが八%を切るような暴落があるかないか、これはなかなか予測しがたいところだと思います。そういうものに対しては、自己資本比率で備えるということに尽きるかと思います。
枝野委員 うまく論点をずらされておりますが、株が下がったりとか、土地の値段が下がったりとか、売り掛け債権が回収できなくなるとか、不良債権の処理が進んだらつぶれるところがたくさん出てくるとか、塩川大臣がおっしゃっているようないろいろな予想できない事柄というのは予想した上で金融検査をやっているんですよねとお尋ねしているんです。
柳澤国務大臣 これは非常に難しい問題を委員が提起されております。金融検査マニュアルが査定の基準を示しているわけですが、そこにいわゆるフォワードルッキングのファクターがないかといえば、私は、ないことはないというふうに思っています。
 ただ、例えば、バーゼルの監督委員会でこのフォワードルッキングの引き当てをすべきかどうかということがつい昨年でも議論がされたようですけれども、これに対しては、アメリカ側はフォワードルッキングのファクターを大いに入れるべきだという論を張ったそうですけれども、ヨーロッパ等は、フォワードルッキングの観点から引き当てをやるということは、全くそれを完璧に入れるということはそれは適切でないということで、論議が分かれ、そこのところはホールドになって現状維持がなされているということであります。
 我々も、検査マニュアルに定められた範囲でフォワードルッキングになっていますけれども、しかし、それ以上に、基本的に引き当ての原理としてフォワードルッキングの引き当てをするということにはなっていないという状況でございます。
枝野委員 そんなこと言っていいのですか。金融庁が一生懸命検査している、その検査の結果で自己資本比率がこんなにあるんだから信用できるかもしれないとまだ思っている人いるのですよ、国民の中に。いや、先の見通しについては入れている部分と入れていないところがあります、その程度なんですか。株が下がるかもしれない、不況がもっと深刻になるかもしれない、当然そういうことを織り込んで自己資本比率を出しているんだと普通の人はみんな思っていますよ。そんな見通しなんか半分しか入れていないと。そんなんじゃまた株は下がりますよ。
柳澤国務大臣 フォワードルッキングのファクターがあるかないかということは、例えば計数化できないというような、そういうものについてはこれを入れることはできないというのが引き当ての基本的な考え方です。ですから、例えば経済情勢、これを引き当ての計算上入れることができるか。これは入れられないという考え方が今の会計の基本的な原則でありまして、そのことを申したのです。
 ですから、計数が、ある過去の実績を引き延ばして将来起こるであろうというような意味では、フォワードルッキングであるわけです。しかし、経済情勢というような、一般に、では例えば成長率幾らというようなことを前提にして引き当ての率にそれを反映させるということは、これは会計学としてもできないんだというのが、今、我々がのっとっておる会計学の基本的な思想だということを申し上げているのです。
枝野委員 論点を意図的にずらしていますね。外務省もやりたいのだけれども、そこまで行けないかもしれないな。
 いいですか、私が言っているのは、まさにその引き当てなどをいろいろな基準に基づいてやるということは、株も上がるかもしれない、下がるかもしれない、それは将来はわからない、だから下がったときにもいいように備えているのです。土地の値段も上がるかもしれないし下がるかもしれない、下がったときでも大丈夫なように備えておく。それが引き当てであったり、自己資本比率であったり、つまり、その計算を全部、どれぐらい下がりそうだからどれぐらいにしましょうとは全部一個一個できないけれども、そういうリスクを全部計算に入れて、例えば引き当てをしなさいとか、例えば自己資本比率を一定程度置きなさいとか、そういうことになっているのでしょうと。だから、将来の常識の範囲内で出てくる経済状況の変化とか、どこかがつぶれましたとか、そういう話は当然検査の中で、検査の中でと言うべきなのか検査の結果と言うべきなのか、織り込み済みなんでしょうと申し上げているのですよ。
柳澤国務大臣 いや、これは、枝野委員もかなり専門的な方でございますから、専門家として申し上げたつもりでございますけれども、要するに、例えば株価でいいますと、株価はリスクの比率は一なんですね。それに対して、株価がどのぐらい下がるか、これはだれも予想できません。そういう、予想できないものについては自己資本というものでもって対処しようというのが考え方なのです。そういうことを申し上げているのです。(枝野委員「それは否定していません」と呼ぶ)わかるでしょう。では、それを引き当てでやっているかというと、やっていませんよ、そんなことは。
 それから金融機関の債権についても同じでして、これは、過去のトレンドとかいうようなものでちゃんと根拠づけられるものについては、それを将来に引き延ばして引き当てというものでもって対処できるわけですが、経済情勢がどうなるか、こういうようなことについて見込みを立てて、それでもって何か腰だめで引き当てを積んでおくということは会計学では許されてないということを申し上げているのです。
枝野委員 私は決して専門家なんて自分でも思っていませんし、別に専門的なことで――今のような議論はよくわかっています。今のような議論はわかっています。
 要するに一般的な話として、国民の皆さんは、金融検査をしていますと、債権とか株とかいろいろな評価の仕方はあるのだろうけれども、例えば引き当てなどについてはまさにここ数年間のいろいろなデータに基づいて計算をしているわけですから、当然、今のトレンドの中ではもうちょっと倒産がふえるかもしれないとか、もうちょっと経済が悪くなるかもしれないというようなところはちゃんと結果的に織り込まれて、それでこれぐらい引き当てを積まなければいけないとなっているだろうし、株についても、上がったり下がったりするものだからどうなるかわからないから、そこは自己資本比率のところでリスクを見ましょうということになっているでしょうと。
 そういうふうに、それぞれ、経済がいろいろ動いていくことについて、普通に起こることについてはちゃんと織り込んでありますよ、検査の結果と自己資本比率の中に。ということを申し上げているので、それはそのとおりでしょう。
柳澤国務大臣 今おっしゃることでしたら、そのとおりです。(枝野委員「いいです」と呼ぶ)じゃ、もう付言することはやめます。
枝野委員 塩川大臣。だから、塩川大臣がおっしゃっているような、いろいろな、これから状況が云々かんぬんということについて、普通のことについては検査の中にちゃんと入っているのですよ。だから、そんなことを今から、検査をした後だっていろいろなことがあるかもしれないとか、検査の中でいろいろなことが出てくるかもしれないとか、そういう軽率なことをおっしゃると、ますます市場にマイナスの影響を与えるのじゃないですか。
塩川国務大臣 だけれども、だから私は現時点においてはと、もう再三再四言っておりますから。これからの推測というものはどうなるか。
 現に、昨年の夏から現在を見ました場合、相当変化してきておるということも事実でしょう。そういうことを思いました場合、そうした場合、ただ、検査が将来予測まで、八卦じゃありませんし、見通しと言ってできるというものでもないだろう。だから現時点に立っての会計基準なり……(枝野委員「それが余計なんだよ」と呼ぶ)いや、標準のマニュアルによってきちっとやっているということなのですから、それはそれで私は意味があると思う。
枝野委員 経済の先のことはわからないから、だから、それぞれの債権の種類によって引き当てをさせたり、株についての上下の幅に変動が起こることについては自己資本比率で見ているんじゃないですか。それを、状況が変わるかもしれない、状況が変わったら公的資金が必要になるかもしれないと。では、そんないいかげんな引き当て基準であったり自己資本比率であるんですかという話になるというんですよ、塩川さんの言い方じゃ。
塩川国務大臣 それでは、将来予測でどの程度のリスクを見ておくかということなんか、一つの基準としてあるんでしょうか。
枝野委員 要するに、一個一個の債権をどれぐらいで評価するかというのは、まさに行政の執行の問題ですから、我々はやりたくたってできないんですよ。それで、問題は、金融庁のやっている一個一個の債権の認定、評価が正しいかどうかにかかっているわけですよ。正しければ、経済状況が少しぐらい変動したって、ちゃんと引き当てがされているんですよ、担保があるんですよ。そうじゃないですか、金融大臣。
柳澤国務大臣 株については、これはさっきから言っているように、リスク係数は一なんですよね。ですから、これについて引き当てをするとか、そういう手法は用いられてなくて、それは自己資本比率でもってカバーしよう、こういうことです。
 債権については、ここは要管理以上であるか、あるいは破綻懸念先以下であるかによっても全く違う方式がとられているわけです。引き当てについての思想が違うんです。要管理以上のところについては、確率の問題として処理されているということです。一対一の引き当てじゃない、集合概念で、格付の区分ごとに、それで過去に起こった実績を、できるだけひどくというか厳しく、その引き当てが必要になるような方法で積み上げましてやっている。それから、破綻懸念先以下の問題については、これは一対一の対応で、実際にそれが破綻したときどのようなロスが起こるかということで引き当てをしている、こういうことです。
枝野委員 要するに、我々は、今の金融検査は必ずしも実勢をあらわしていない、しっかり検査をしたら、もっと引き当てを積む必要がある。その結果、我々は、責任をとらせること、強制注入が前提ですが、公的資金注入やむなしと思っているわけですが、そこは、その金融検査に自信がおありだったらば、そんないろいろ細かいことをおっしゃる前に、いや、我々の検査はしっかりしているんですから信用してください、公的資金なんか必要な状況にはなりませんよと、堂々と各閣僚そろって言えばいいんですよ。どこかで危ないと思っているから、いろいろな逃げ道をつくっているとしか思えない。
 もう一つだけ。逃げ道をつくらないでください。RCCに不良債権を簿価で買い取らせようということをどこかの党のお偉い方がおっしゃっていますが、こんなばかなことをやるつもりはないですね、金融大臣。
柳澤国務大臣 簿価という言葉でどういうことを意味されて、イメージされているかということが、私、あの新聞記事だけではわかりません。
 したがって、これについてコメントをすることは控えたいと思いますが、一般論として、一般的に認められている簿価、つまり、ある債権についてその担保、保証というものは一緒くたに考える、それで引き当てだけ差し引く、そういうものを仮に簿価ということであると、やはりちょっと、今我々が考えているこの市場価格というか、そういうものとはやはり乖離があるというふうに考えまして、私は、やはり今の考え方の方がベターである、このように考えております。
枝野委員 では、こういう聞き方をしましょう。
 実勢価格とは異なって、実勢価格よりも高い、例えば、取得価格の方が実勢価格よりも現時点の時価よりも高いというようなケースで、実勢価格よりも高い別の基準で国が買い取るというようなことは憲法違反ですよね。四人の方に伺います。
津島委員長 どなたに質問ですか。(枝野委員「四人」と呼ぶ)
 まず、柳澤金融担当大臣。
柳澤国務大臣 実勢価格、いわば市場価格という、フェアバリューと言ってもいいと思うんですが、そういう価格より高く国が何か買うというようなことは、一種の隠れ補助金になるというふうに思います。
枝野委員 同じ意見ですか、ほかの三人。ほかの三人、同じ認識でいいですね。
津島委員長 竹中経済財政政策担当大臣。
竹中国務大臣 今のお話を聞いている限りはやはり、補助金というお話がありましたが、モラルハザードを起こす可能性もありますし、これは市場での価格での売買が原則だと思います。
塩川国務大臣 昨年十二月、法改正しましたですね。その中には時価で買い取ると書いていますね。
枝野委員 時間がないので、別の問題、もう一点だけ聞きたい。
 お手元に資料を配っていますが、これは金融庁が出しているんでしょうか、中小企業向けの貸し出し状況ですが、平成十四年三月末の健全化計画、Cですが、九月末の実績では全くこの実績に達しようとはしていません。つまり、約束されただけの中小企業への貸し出しをしていません。これから九月から三月まであるということなんでしょうけれども、金融大臣、これは前回公的資金を入れたときに、健全だけれども貸し渋りを、特に中小企業への貸し渋りを防ぐために公的資金を入れたんですよね。ですから、そのための計画ですから、この計画を必ず守らせますね。
柳澤国務大臣 守らせるように、いろいろな体制を内部に整備するようにして、努力をさせているところであります。
枝野委員 守れない場合、どんな責任をとらせるんですか。あるいは自分でとるんですか。
柳澤国務大臣 これは、現在の日銀の金融機関の貸し出し態度DI、ディフュージョンインデックス等を見ましても、もうそういうクレジットクランチのような状況には私どもないと思っております。
 ということは、今貸し出しの状況が不振であるということのかなりの大きな部分は、資金需要が低迷しているということの反映だというふうに考えておりまして、責任をとらせる、もちろん我々はパブリックプレッシャーのもとにおいてできるだけ努力をさせますけれども、その結果が責任問題に結びつくかどうか、つながるかどうか、これは現実の起こってみたことをケース・バイ・ケースに判断するしかない、このように考えております。
枝野委員 現実に中小企業の皆さんは、貸しはがしに今遭って大変なことになっているという声は、金融大臣、さすがに伝わっているでしょう。だから、これを守らせなきゃいけないんですよ。そのために最大限何をするかが問われているんですよ。少なくとも、これを守らせるためには、直接償却なんかやったら減っていくに決まっているんですよ。まずは間接償却なんですよ、中小企業には。違いますか。
柳澤国務大臣 結局、貸しはがしということなんですけれども、他方、金融機関の側は、収益の向上ということにもう極めて熱心に取り組まざるを得ない、そういう状況に置かれております。金融のリスクプレミアムをとるということでして、そのいわば折り合いがつかないというところで貸し出しの不振というものが起こっているという側面があることは、御理解いただきたいと思います。
 加えて、一言だけ申しますが……(枝野委員「いいです」と呼ぶ)よろしいですか。
枝野委員 これもちょっと二十日までに一応聞いておかないといけないことなので、外務省。
 まず最高裁、来ていただいています。シリアの大使館が裁判が云々という話が、その二十四日の夜の会議の趣旨だったという話が出ています。在京シリア大使館にかかわる裁判、どんな裁判があったのか、言える範囲でお答えください。
千葉最高裁判所長官代理者 今枝野委員御指摘の件でございますけれども、シリア・アラブ共和国大使館が賃借権を有するという主張がされておりました港区麻布永坂町にあります建物、これは五階建てのビルでございますけれども、競売によって落札した民間会社がビルの占有者を相手に引き渡し命令の申し立てをした。東京地裁は、大使館が賃借しているというこの占有者の主張を認めずに引き渡し命令を出して、この執行によりまして昨年の十二月の十九日に民間会社がその引き渡しを受けた、これが事実経過でございます。
枝野委員 毎日新聞の報道によると、この引き渡しの執行のときに、何か政治家の秘書とか名乗るような人がいちゃもんをつけたという報道がなされていますが、事実ですか、最高裁。
千葉最高裁判所長官代理者 昨年十二月十九日の明け渡しの執行の際に、このビルの占拠者のほかに、債務者、これはモハメッド・カブールでございますが、この代理人の弁護士の蒲野宏之である旨を名乗る人物及び衆議院議員の谷川和穗議員の秘書泉秀樹である旨を名乗る人物があらわれまして、その旨の記載のある名刺を示して、政治的な決着がついているので明け渡し執行はやめてほしいという趣旨の発言をいたしました。しかし、担当執行官は、発言をした人の身分関係を確認するまでもなく、このような事情は明け渡し執行を停止する事由に当たらないというふうに判断しまして、そのまま執行を続行して執行を終了したということでございます。
枝野委員 また政治家の新しい名前が出てきた。残念ながら、ここまで、きょうまでには調査する時間がなかったので、谷川先生は名前を使われただけなのか、本当に関与したのかよくわかりませんが、いずれにしろ、この明け渡し自体に政治的な決着がついているのでなどということをぬかす人間が出てきていた。その事件の問題について政治家と外務省の官僚とが何やら密談をしていた。また外務省は新しい疑惑事件をもたらすんですか。説明できますか、外務省。(発言する者あり)
津島委員長 御静粛に願います。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁のありました、外務省と話がついているので執行しないでほしい、そういうようなことは、私どもといたしましては全く承知しておりません。そういう事実はございません。
 また、二十四日の夜その会合に参りましたのは、先般御答弁申し上げましたように、松岡議員より急遽来るようにということで呼ばれましてお伺いしたわけでありまして、シリアの建物の経緯、事実関係を御説明したということでございます。
枝野委員 あと二点だけきょうのうちに聞いておきたい。
 この十二月十九日の明け渡し執行でこういうトラブルがあった、政治的決着がついているとか云々とか。こういう話は外務省は把握していなかったんですか。
重家政府参考人 御答弁申し上げます。
 私どもとしては聞いておりません。
枝野委員 シリア大使館との話って、こういう話じゃなかったんですか。
重家政府参考人 御答弁申し上げます。
 十二月十九日の強制執行のところでごたごたしたということは、そのとき私どもとしては承知しておりませんでした。
枝野委員 いいですか。これは外交問題なんで気をつけて申し上げなきゃいけないと思うんですが、いいですか、もしも日本の裁判所でしっかりとした明け渡し命令が出ている件について政治的な決着でそれを妨害しようだなんていう話が現実にあったとしたら、それこそ大外交問題ですよ。もしそんなことをシリア大使館の知らないところで勝手にやっている日本人がいても、これまた大外交問題ですよ。つまり、この二十四日の夜の会合というのは、外務省側がきちんと納得できる説明を我々にしない限り、日本とシリアとの外交問題になりかねない、そういう問題なんですよ。ちゃんと説明してください。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、従来から、この問題は既に司法の判断にゆだねられている問題であり、外務省として司法の判断を尊重するものである、そういうことを説明してきておった次第であります。
枝野委員 だから、それだったら、何でのこのこと、政治家が間に入って、この話だとわかっているのに出かけていくんですか。余計疑われることになるじゃないですか。逆でしょう、全く。
 もう一点だけ、この件について。
 私の事務所は、金曜日、質問通告のときに、シリア大使館に、例えば二名の同席者などの名前や、名前まで言えなくてもどういう氏素性の人なのか、例えばどういう職業の人なのか、可能な限り国会でしゃべってもらいたいので、直接やるのは何だから、外務省からどこまでしゃべっていいのか打診をしてくださいとお願いしました。打診しましたか。
重家政府参考人 シリア大使館の了解を得るべく連絡をとっておりますが、いまだ回答を得ておりません。
枝野委員 そんな話が通用すると本当に思っているんですか。よく事情を説明しているんですか。単なる問い合わせ、事務的に問い合わせているんじゃないですか。大政治問題、下手をするとシリアを巻き込んだ外交問題になりかねない話だという話をしたら、向こうだってすぐ対応するんじゃないですか。
 二十日以降にまたやらせていただきますが、外務省、ごめんなさい、もう一点だけ。
 二十四日の夜の鈴木宗男さん主催の会合に、国会担当の外務省職員が参加をしていますね。だれが参加をし、いつごろその会場に行き、どういう行動をしましたか、御説明ください。
小町政府参考人 今御質問の件は、外務省の粗参事官のことを指していると思われますけれども、粗参事官は、当日、鈴木議員の席に同席しておりませんで、別の勉強会に出席しておりました。鈴木議員の会合が終わるころになって、その鈴木議員の会合に主賓として招かれておりました高橋、ブラヒミ特別代表の秘書役を務めておりました人が次の日に帰るということで、会いたいということで、鈴木議員の会合が終わった後合流したということでございます。
枝野委員 合流したのは、どこに合流したんですか。鈴木氏の会合の場に合流したんですか、別れて会ったんですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 ざくろを出られた鈴木議員の御一行と、そこ、出たところで合流したというふうに聞いております。
枝野委員 それでは、鈴木議員と一緒に鶴八へ行ったんでしょう。
小町政府参考人 ざくろの外で合流して、鈴木議員と一緒に松岡議員の場においでになられました。
枝野委員 参事官だけじゃないでしょう。国会などの対応の窓口になる課長かなんかも一緒じゃないですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 粗参事官と同じ勉強会に谷崎総務課長が出席しておりまして、谷崎課長も粗参事官と同一行動をいたしました。
枝野委員 あと二点だけ、ごめんなさい。
 なぜ鈴木さんと一緒にああいう場所に高橋さんがいたということをこの二人は知ったんですか。
小町政府参考人 粗参事官も、それから谷崎課長も、高橋秘書役といいますか、をよく存じ上げているからでございます。その次の日に日本を離れるということも知っておったからでございます。
枝野委員 いずれにしても、国会担当の参事官、あるいは国会担当参事官などから本省の方で受ける責任者ですね、官房総務課長なんというのは、そういう人が、あの二十四日の質問があってごちゃごちゃした夜で、事務次官の言っていることと大臣の言っていることがもうばらばらで、どうにも支離滅裂になっているという状況の中で、そういう人たちが鈴木宗男さんが主催をしている会の流れの中に一緒に加わっていくという判断をした。それは間違いないですね。
小町政府参考人 判断をしたといいますか、高橋秘書役とぜひ、彼が日本を離れる前に会いたいということから加わったものでございます。
枝野委員 河村議員が指摘をした、単に、担当課の、局長などだけではなくて、国会担当の参事官、国会などとの窓口の対応の責任を実務的に担っている総務課長、こういう人が鈴木宗男さんと会い、一緒に酒飲んで何やらしていたということは、さらに疑われても仕方がない。この疑いを本当に晴らしたいというのだったら、外務省の側で納得できる説明をしていただきたい。そのことを申し上げて、同僚議員とかわりたいと思います。
津島委員長 これにて枝野君の質疑は終了いたしました。
 次に、金子善次郎君。
金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。
 川口大臣は、外務大臣就任に当たりまして、外務省の改革については透明性、そしてスピード、実効性、この三点を基本に外務省改革を行う、十の改革を行うということを表明されました。ただいまの外務省の答弁ぶりを聞いても、外務大臣が言われている透明性、スピード、そして実効性という観点から考えましても、とても、そもそも大臣が就任されて最初からこうではどうしようもないんではないかと私はつくづく思うところであります。
 外務省については、きょう、これからいろいろ質問をさせていただきますけれども、大臣は御承知かどうかわかりませんけれども、情報公開法というものがございます。
 昨年の十二月の段階、これは法律が施行されましてちょうど九カ月たった時点でございますが、この時点での全面開示率、つまり情報公開した率というのが、わずか一二%、ほかの省庁と比較しまして大変な開きがあるということを御存じかどうかわかりませんが、恐らく御存じではないと思いますけれども、大変な開きがある。しかも、今度は、法律では、請求から一カ月以内に開示あるいは不開示にするという決定をしなきゃならない、これが法律の原則になっているわけであります。ところが、これについても決定率が二四%、ほかの省庁の平均から見ますと極端に低い率になっております。これでは、とてもとても、大臣は、外務省の改革を行う、透明性そしてスピード、実効性ということを言われているわけでございますけれども、これは本当に大変な重荷を背負ったスタートだというふうにつくづく思うところであります。
 私は、これからるる御質問いたしますので、透明性の高い、そして実効性のある答弁で、スピーディーにひとつお願い申し上げたい、このように思います。
 ところで、外務省から最初にスタートしたいところでございましたが、官房長官が記者会見のために途中で退席なさるということでございますので、まず内閣官房のことからお聞きしたいと思います。
 予算委員会の各委員の皆様のところには既に資料をお配りしてございますが、昨年からの国会答弁あるいは私どもの調査によりますと、どうも政府の、これは外務省そして内閣官房ということになるわけでございますけれども、諸謝金、報償費、旅費、庁費、渡切費、交際費、こういうものがきちっと区分されずに使われているのではないかというような気がしてならないわけであります。いわゆる外務省の報償費の内閣官房への上納問題、これもあるわけでございます。まだ、国民が納得できる、そういうような状況にはとてもなっていないというのが実態だというふうに思っております。
 私どもといたしまして衆議院の予算調査室に依頼して作成いたしましたのが、今お手元にあるペーパーでございます。これは、平成十四年度一般会計予算案と十三年度の予算を比較したペーパーでございます。
 これで、平成十四年度の内閣官房の予算項目の合計で見ますと二百六億円、増額で見ますと九十九億三千二百万円の増額になっているわけであります。実に九三・一%の伸びを示しております。増額のうち、情報収集の衛星業務費というものがございますので、これに係る諸謝金、旅費、庁費の合計の増額が七十八億四千万円ございますので、これは特殊なものだというふうに考えてみましても、二十億九千万円が増額をされているわけであります。
 二十億という数字を聞きますと、昨年来の予算委員会で、二十億円という数字が一つの大変大きな問題、つまり上納金問題ということで問題になってきたわけでございますけれども、まさかこの部分がちょうど増額されたということではないと信じたいのでありますけれども、官房長官、いかがでございますか。
福田国務大臣 今、新官邸を建築中でございまして、もうじき完成をするということでございまして、その関係の費用が多かったのではないかというように思っております。
 ちょっと私はその明細を承知しておりませんけれども、ほとんどはそれではないかというように思っております。
金子(善)委員 実際には、今、官房長官、詳細についてはこの場ではよく承知されていないということを言われたわけでございますが、そのペーパーにも載っておりますけれども、総理大臣官邸業務庁費といたしまして十八億二千四百二十四万円が内閣官房の予算に計上されているわけであります。これらを、この十八億二千四百二十四万円ともろもろのものをプラスいたしまして、二十億九千万円でございますか、これが増額されているわけであります。
 ところで、今まさに官房長官、官邸が新築される、いろいろなことでその予算が計上されるのだということを言われたわけでありますけれども、詳細については今わからないということを言われた上で、一つの、こういうことじゃないかということで言われたわけでありますけれども、現実には、庁費といたしまして、従来分といたしまして、九億四千九百万円は従来どおり計上されているわけでございます。そうした点からいいまして、二十億相当の、十八億二千四百二十四万円というものが新たに計上されているということは、どうもこの上納金問題との関連において、その程度の金額を総理大臣官邸業務庁費として計上したのではないかというふうに見られるわけでございますけれども、その点、改めてどうでございますか。
福田国務大臣 明細をここに持ち合わせていないので、正確なことは申し上げられませんけれども、上納とかそういうものと絡み合わせて考えていただきたくないと思っております。
金子(善)委員 それでは、資料がないからと言われますとちょっと困ってしまうのですけれども、先ほどの答弁の中で、総理大臣官邸業務庁費として、その名称は言われなかったのですが、新しいところの経費としてその分がふえているのではないかというような趣旨の答弁があったわけでございますけれども、それは確認させていただいてよろしいですか。――もう一度ですか。
津島委員長 金子君、もう一度。
金子(善)委員 この表を見ていただけば書いてあるからおわかりいただけると思うのですが、備考の欄をちょっとごらんになっていただきたいと思うのですが、十四年度で、総理大臣官邸業務庁費新規計上十八億二千四百二十四万円が計上されているわけですね。この部分が先ほど官房長官言われた新しい官邸と申しますか、その部分だというような趣旨で言われたのかなというふうに受けとめたわけでございますけれども、それはそれでよろしいわけでございますか。
福田国務大臣 よろしいと思います。
金子(善)委員 そうしますと、新しい官邸ができるということでございますから、ある程度の増額があるということは了解できる面もあろうかと思います。
 ただ、ではお聞きしますけれども、これはあくまでも平成十四年度に限定されるものであるというふうに了解してよろしいかどうか。もしそうでなければ、この新しい官邸の建設、それに関連して余りにも膨大な庁費をふやすということにならないかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 その点も私、ここでちょっと断言できないのでありますけれども、来年度に新しい大きい官邸になったというようなことでどういう経費が発生するのか、まだ精査しておりませんので、お答えしにくいのであります。
金子(善)委員 お答えしにくいと言われましても、どうなっているのか、この点を官房長官に聞きますよという質問通告をしているわけであります。しかも、長官が記者会見に行かれるというような……(福田国務大臣「いや、行かないです、行かないです」と呼ぶ)ああ、そうですか。初めからそうでしたら、もっと後から御質問しようかと思っていたのですが、それはそれでいいのですけれども、答えられないと言われますと、委員長、ちょっと困るのですけれども。ちょっと、どうですか、答えられないと言われると。
津島委員長 福田官房長官、もう一遍答弁してください。
福田国務大臣 そのような御質問があるというように存じておりませんでしたので答えられないのでありまして、やはりもし答えろというのであれば、資料をよく見てまいります。
金子(善)委員 これは、質問する立場から申し上げまして、通告をしておりますし、当然、確かに官房長官もお忙しい立場ですから、細かい点まで見ていないということになってしまいますと困るのですけれども、ここはまさに予算委員会でございまして、しかも官邸の問題については、報償費の話というのが昨年来から続いてきているわけでございます。
 それで、報償費を減らすというようなことをしながら、一方においてはほかの予算が非常にふえているという観点からお聞きしているわけでございますから、万が一、冒頭で言われたのですけれども、いわゆる官邸が新しくなったから、十四年度に限り、こういう庁費といいますと、いろいろな備品を買ったりなんかということがございますから、そういう経費なのかなという御答弁であれば、我々もある程度は理解できないこともない。ところが、答弁できないと言われますと……。
福田国務大臣 一連の不祥事が起こったというようなことでもって、そういうことを排除するために、外務省との間で総理の外国出張の経費についての役割分担、これをはっきりさせました。また、外交関係にまつわるようなことにつきましても、外務省に分担してもらうものというようなことを整理したわけでございます。
 今のお話の関連で申し上げれば、これまで行っていた総理外国訪問に伴う内閣官房報償費の計上は、これは庁費でもって整理をする、対応する、こういうふうにいたしております。
金子(善)委員 ちょっと、私の質問に対しましての答弁にはなっていないと思うんですよね。これはあくまでも、確かに報償費を減らしたということはこの表を見てもわかります。これはわかるんです。ところが、一方において、予算が大幅にふえているものがある。少なくとも、内閣官房の予算について質問しますよと。最低限の基本だと思うんですね。私は別に、細部にわたってお聞きしているつもりは毛頭ないんです。これは基本の基本でございますから。
 委員長、これは整理をして御答弁をお願いできればと思うんですけれども。
津島委員長 金子委員と官房長官の方に申し上げますが、若干この計数について十分な整理をした上の答弁になっていないようでありますので、よく中身を念査されて、改めて委員の方に説明されるようにお願いをしたいと思います。
 では、そういうことで。金子君。
金子(善)委員 それでは、確認だけさせておいていただきたいと思うんですけれども、仮に、新しい官邸が建設されるに伴いまして庁費というものがふえるんだということであれば、しかもこれは先ほど申し上げましたとおり、十八億円余の金額が庁費として伸びているわけでございますから、もし仮にそうであれば、十四年度予算に限っての措置である、十五年度については全くそれは計上されない経費である、一部は計上されるかもしれませんけれども、この多額に上る経費が計上される必要はないというように考えてよろしいですか。それだけは今のこの場で確認だけはさせておきたいと思います。
福田国務大臣 詳細はまた改めて御報告申し上げたいと思いますけれども、今回の、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、ことしの分、十四年度については十八億計上されている、新官邸庁費というふうな形で計上されている。これが十五年度以降どうなるかということなんでしょうけれども、これは私は、今後も恐らく引き継がなければいけないような、引き継いで計上しなければいけないようなことではないかと思います。ただ、断定的なことは申し上げられませんので、また後日申し上げます。
津島委員長 金子委員に申し上げます。
 ただいまの答弁も若干疑義を残しているようでありますから、後ほどしっかり計数を念査して答えるように、委員長から申し述べておきます。
 では、金子君。
金子(善)委員 ちょっと残念でございますが、その点はよろしくお願いしたいと思います。
 実は、外務大臣、外務省の予算も、確かにこれまでの国会でのいろいろな指摘がありまして、ODA関連、政府開発援助関係の報償費、報償費というものが削られました。削られたといいますか、なくなった。それから渡切費も、これは私が外務委員会で質問しましたところ、とんでもない使い方をしている、何なんだというような話の中で、あっという間に、そのときは必要なものだというような答弁をしながら、ふたをあけてみたらあっという間に廃止をする、これは何なんだろうかというようなことであった渡切費、これもなくなりました。
 ところが、この外務省を見ていただきたいと思います。この諸謝金以下、報償費、旅費、庁費、渡切費、交際費。渡切費は七十八億円が一〇〇%予算から削除されているんです。ところが、合計で見ますと、こうした一連の諸謝金と報償費の使い方、なかなか区分は難しいんです。それから、庁費、旅費もそうです。似たような経費、もちろんこれは法律的には厳密な区分というものがあるわけでございますけれども、似たような経費と言っても過言ではない。それが伸びているんですよ、〇・九%でございますけれども。どこが削減しているのか。
 これでは、大臣、国民の、このいわゆる外務省の報償費というものは、昨年の正月以来、これは内閣官房の報償費の問題でもあったわけでございますけれども、大変な問題を投げかけてきたわけであります。その中で、削減しましたわ、ところが、ほかの経費もいろいろ入れますと、ただあちこちに振りかえるだけであって、予算が伸びている。こんなことでは国民の信頼は得られないんではないかというふうに思うわけでございますけれども、外務大臣、どうですか、この点。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 確かに、委員から昨年、渡切費等々について鋭い指摘を受けたことをよく覚えております。
 今の御質問でございますけれども、渡切費から庁費等に振りかえたことによりまして庁費がふえておりますことがございます。それから、旅費につきましては、要人の訪問関係の旅費を実態に合わせたというようなこともございますので、そういったところがふえて今御指摘のような数字になっている、こういうふうに御理解いただければと思います。
金子(善)委員 この予算の中身につきましては、民主党といたしましても、組み替え要求を行いたい、その中で外務省のこの報償費関連についても指摘をしていきたいというふうに考えておりますので、その場でこれはまた対応を考えるということになるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、渡切費、七十八億円削りました、報償費も削減しましたと言いながら、関連経費については伸ばしている。これは国民の信頼というか納得はなかなか得られない。大臣、どうですか、その点。
川口国務大臣 今おっしゃられましたもののうち報償費でございますけれども、これはまず全体として四〇%削減をいたしておりまして、そのうち約二五%につきましては、従来の報償費の定義、目的に沿って使用してきたもので、近年ある程度定型化、定例化しているものにつきまして、予算執行の整理の観点から内容を精査いたしまして、可能な場合には報償費以外の科目で具体的な事項を立てて予算計上をするということでしたということでございます。残りの一五%につきましては、外務省の、これは削減を行ったということでございます。
金子(善)委員 どうも、大臣の答弁を聞いていますと、ポイントをつかんでおられないというしか私は言いようがないような気がしております。これからいろいろお聞きしてまいりますので、その関係も含めていきたいと思います。
 ただ、官房長官、外務省報償費の官邸へのいわゆる上納金問題でございますけれども、これはずっと国会でも問題になってきまして、まだ納得できる説明というものがなされていない、私はそのように思っております。
 そこで、かの有名な古川メモ、副官房長官の当時のメモでございますけれども、あるわけでございますけれども、委員長、ぜひこの筆跡の鑑定を、どうもこの報償費の問題、外務省の問題、そろそろ国民にすべて明確に納得できる説明、国会はもちろんのことでございますけれども、国民に明らかにする、そういう努力が当予算委員会としてもあるべき姿ではないかと私は思うわけであります。
 そういうことで、この古川メモ、これについての筆跡鑑定を要求したいと思いますけれども、どうでございますか。
津島委員長 理事会で相談させていただきます。
金子(善)委員 ぜひとも理事会でお願いしたいと思います。
 次に、いわゆるプール金の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 このプール金問題でございますが、実は、昨年の十二月五日の日でございますが、外務委員会で私の質問に対しまして田中前外務大臣は、いわゆるプール金の公表について、後で報告したいというような答弁がございました。その答弁を私どもは信用いたしまして、そういう中身についての公表がいずれ行われるものだというふうに信用していたといいますか、信じていたわけであります。
 ところが、川口大臣が就任なさると早々に、いわゆる各課別のプール金の残高、あるいは、費消額と呼んでおりますが、消費した額でありますけれども、これを公表されたわけであります。しかし、これはほとんど意味をなさないんです。この予算審議をする上で意味をなさないということを申し上げたいと思うんです。
 何が肝心かと申し上げますと、まず、予算項目の何がプール金の財源となっていたのか、それからもう一つ、どこの企業にプールされていたか。この総数は外務省の方でも公表をしているわけです。御承知だと思いますけれども、プール金のあった企業は十二社、そして百十九課室のうち七十一の課室においてプール金があったということは、これは外務省の調査でも公表されているわけであります。ところが、どの予算項目なのか、その金は一体何だったのかということと、もう一つは、どこの企業にあったのかということを公表しないと、これは予算審議できないわけですね。というのは、プール金がありました、どこどこの課に幾らありましたというだけでは、これは問題だと思うのです。
 そこで、最初にお伺いしたいのは、会計検査院院長、おいでになっていますよね。会計検査院では、今までの一連の調査でございますけれども、このプール金のことについて全解明、会計検査院としてもなさいましたか。
金子会計検査院長 プール金のもとになりました物品・サービスの調達、これにつきまして、会計検査院では、外務省がどのような形で物品・サービスの調達を行っているのかということについて全般的な調査を行いました。
 その結果、会計法の原則で本来会計課が原則として事務を担当しているべきところが、原課において調達事務が行われていた事実を把握いたしました。それから、会計法上、原則として一般競争入札で行われるべき調達が、随意契約という形で、なおかつ、特定の事業者との間で長期的に契約が結ばれているという実態も明らかになりました。
 したがって、会計検査院では、会計法の原則に従った取り扱いをすべきであるということで、その旨の改善を要求したわけでございます。
 それと同時に、現在、個々のプール金について外務省より資料を取り寄せ、分析をしております。なお、必要なものについては、外務省からさらに資料を要求する等の形で分析をしております。
金子(善)委員 院長、この外務省のプール金の調査、外務省の中でも、不十分だと私は思っておりますが、なされているのです。
 このスタートが「プール金」問題に関する調査結果報告書、これは昨年の十一月三十日に出されました。この調査を始めたタスクフォース、これは開始が去年の七月十九日なんです、プール金問題として。それで、今日までずっと来ている。会計検査院は幾ら何でも余りにも時間がかかり過ぎではないか、果たして会計検査院として機能を果たしているのか。
 これまでも私は、決算委員会におきまして、会計検査院の事務処理が余りにも遅いのではないかと再三にわたって指摘をしてきたわけでございますけれども、このプール金について、いつ調査の結果を公表するつもりでございますか。今やっている、やっていると。会計検査院に聞きますと、いつもやっています、やっていますと。ただ、今の問題というものは既に半年以上もたっているのです。そんなに時間がかかるのですか。いつ公表するか、いつごろまでに公表するかということをこの場で明確に答えていただきたい。
金子会計検査院長 私、プール金の問題について二つに分けてお答えをしたつもりです。プール金発生の原因になった根本的な事態について、昨年の十一月末に、検査報告として改善を要求する報告書を提出いたしました。もう一つは、個々のプール金についての問題であります。これにつきましては、現在、鋭意、事実関係全体の解明に当たっているというところでありますので、二段階でやっているということを御理解いただきたい。(金子(善)委員「だから、いつまで」と呼ぶ)
 この点については、検査の進行状況もありますので、局長の方より報告させます。
石野会計検査院当局者 今お話しの個々の具体的なプール金の状況ということにつきましては、昨年の十一月末に外務省からその調査結果の報告があったところでございますので、これに対しまして、既に昨年の十二月末に会計実地検査を数日実施し、さらに年が明けて一月から二月にかけましても実地検査を実施してございます。
 そういう意味で、その実態解明に、検査院としてどういう状態にあるのかということを把握するということで取り組んでいるところでございまして、その結果によりまして対応してまいりたいというふうに思っております。
金子(善)委員 こちらの質問は、いつごろまでにそれができるかということ、ただ一点お聞きしているわけであって、それから院長、原因を探るということを先ほど言われました。公務員として、法律を知っていて会計法をよく読んでいればあんなことにならないのです。そんなのは、原因を探るとかよく言います。法律を、あるいは会計法、そして外務省の会計のいわゆる附則というものを正確に各担当がやっていればこんな問題は起きないのです。それだけの話なんです。要は、そういうものに対する、金の取り扱いというものに対する姿勢がなっていなかった、それだけの話なんです。それをきちっとすれば、こういう問題は、少なくともプール金のような性格の問題は出てこない。これは当然のことなんです。
 現実にプール金で考えられないことも起きているんです、我々の調査では。ある職員が電話をして、全く私の物を注文してプール金に立てかえさせている、そんなことまで起きているわけですよ。こんなことは、公金ですから、公金の裏金、こんなものは生まれるわけがないんです、会計法をきちっと守っていれば。要は、会計検査院も、こういう問題が起きたら直ちに調査して、むしろ、問題点というよりは悪いことした結果を指摘すればいいんです。法律なんですよ。
 これについては外務大臣にお聞きしてまいります。
 これは外務省の調査結果です。五年間で二億円が外務省職員によって不正にプールされて使用されたということが判明したわけであります。これは私は、再三言うように、もう少し本当はあったのではないかという疑いを持っておりますけれども、一年間で平均しますと四千万円の国民の税金が不正に使われたということになるわけであります。
 そうしますと、どの金がどの予算項目から支出されて、平成十四年度予算ではこう直しましたということを国会で、それで国民の前に明らかにしない限りは、責任を果たしたということには私はならないと思うんです。外務大臣としての責任ですよ。
 大臣は、就任に当たって、とにかく透明性があって、実効性があって、しかもスピーディーにやるということを表明されているわけです。少なくとも四千万円という金が不正な使い方をされた、毎年ですよ。今度の平成十四年度予算ではこれを直しました、だから国民の皆さん、確かに悪いことをしました、でもこう直しましたから、あるいは、この国会でこういう形で審議をお願いしますと、これが常識でしょう。何も明らかにしないで、予算をふやすわ、中身ははっきりさせない。大臣、どうですか、この点。
杉浦副大臣 プール金問題につきましては、例の沖縄のタクシー・ハイヤー問題の事件が起こりました際に、ホテルニューオータニにプール金があることが明らかになりました。それをきっかけにいたしまして、外務省改革推進委員会の中に綱紀粛正タスクフォースというのを立ち上げまして、私が責任者になり、この問題調査のための特別チームを編成いたしました。省内から、各所から、在外からも呼び集めた人もおりますけれども、十人ばかり、若手であります、二十代後半から三十代前半にかけての十人ばかりメンバーを集めまして、調査に入ったわけであります。いずれも会計実務にある程度明るい者ということで集めました。
 そして、調査の進め方は、外務省はなれておりませんので、公認会計士、監査法人に協力を依頼いたしまして、その御指導、御協力を得て進めました。そして、公認会計士がなれておられまして、反面調査から入れということで、得意先に当たることから始めたわけであります。
 相当長期にわたって、三カ月ぐらいかかったわけでありますが、若い連中も全力を挙げて取り組んでくれまして、得意先をシラミつぶしに当たったわけでありますが、そのうち十二の取引先にプール金があることが判明をした。そして、そのプール金がどういう理由で生じたか、可能な限り明らかにしていったわけであります。
 そして、外務省に残っております記録が六年分ちょっとしかございませんでしたので、外務省に残っておる記録、それに従いまして、その問題企業に支払った金額、そこで実際の使用額との差額等を詰める等の非常に膨大な作業がございまして、取りまとめ報告までに時間がかかったというわけでございます。
 昨年十一月に調査報告書を発表いたしました際には、残っておるお金だけで四千万円ちょっと、六年間ちょっとで使った金額が一億六千万、金利を入れて二億円ちょっとということになったわけでありますけれども、プール金の所在については、局ごとに発表いたしました。
 これは、本省に百十九の課があるうち、プール金を持っておった課は、たしか七十一だったと記憶しております。その余の課にはなかったわけでございます。そして、その二億ちょっとの金額を外務省員で任意拠出して返済しようということに相なっておりまして、その話も一方で進めておりました。もし課ごとに発表いたしますと、やっていない課の方々は関係ないじゃないかという意見が出るおそれもございましたので、その発表の時点では、局ごとの発表とした次第でございます。
 その後、委員会において先生の御指摘もあり、その他の御指摘もいろいろあり、そして、負担については、もう御案内のとおり、前大臣が公表いたしましたが、原則として課長補佐以上の者は任意拠出すべしということで話を進めましたが、課長補佐にならない人からも多額の拠出をいただいておりまして、それから、やめられた方、退職された方からも出まして、ほぼ国庫に返済するめどがついているところでございます。
 そんな事情で公表しなかったので、めどがついた段階で課ごとのも公表しようということになっておったわけでありますが、大臣がちょうど交代される時点で結論が出たものですから、新大臣に御公表いただいたというわけでございます。
金子(善)委員 全く私の質問に答えておられないんですね。何もそんなことをお聞きしていないですよ。
 よろしいですか、この予算委員会というものは予算を審議する場所なんですね。そうすると、いわゆるプール金というのは、年平均でございますけれども、四千万円ほど不正に使われた、今年度の予算からはこういうふうに直しますよという説明をするのは常識じゃないですか。ですから、プール金はどういう予算項目から生まれたんですかというのが第一点です。それを質問しているんですよ。
 それから第二点、どこの企業との関係でそういうことがあったんですか。各課ごとの公表なんか何にもなりませんよ。何にもならないとは言っていないけれども、前は局単位の公表だったわけです。それが、課単位。大臣がかわったからと。
 前の大臣は、私の外務委員会での質問に対しまして、どの予算項目からそれが生まれたのか、そしてどこの企業でそれがあったのか、これを公表するというふうに外務委員会で言われているんですよ、報告しますということを。それを、新しい大臣になられて各課別に公表したからといって、今までの外務省が我々に約束していたこと、それは何にも守っていないじゃないですか。
 これは委員長、予算、公表――じゃ、答えてください。
杉浦副大臣 企業名はホテルニューオータニしか公表しておりませんが、これは刑事事件で明らかになったことでありますが、ほかの企業名の公表については、調査を進めるに際しまして、これは公認会計士の示唆もあったわけですが、企業の名前を出さないことを条件にして、ともかく、あるんじゃないでしょうか、御協力願いたいということで調査を進めたわけでございます。
 そういうわけでございますので、もし公表するとなれば企業の同意が要る、信義則上そうなります。現時点ではまだ企業の御同意は得られていないので、したがって、公表は、そういう調査を進めた関係上、現時点では難しいというふうに判断しております。
津島委員長 前の点、外務省小町官房長。予算項目。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御質問の予算項目、科目の件でございますけれども、プール金の出所といたしましては、主に招聘外国人滞在費、文化人招聘費、庁費などが用いられたことが判明しております。
 ただ、プール金が形成される場合には、国庫から企業側に対して種々の予算科目からまとめて支払いを行っております。したがいまして、その支払い全体について積み増しが行われているわけでございますので、予算科目ごとに幾ら積み増しされたのかを明確にするのは困難な点があることを御理解いただきたいと思います。
金子(善)委員 また副大臣の方から答弁ありました。そもそも、これは税金が不正に使われているんですよ。不正に使われているんです。それを企業秘密があるからどうか、そんな問題じゃないでしょう。
 それから、いろいろな予算から行っているから、官房長の答弁、言ってみれば説明できないと、そんなふざけた答弁ないんじゃないですか。やる気があれば絶対できます。
 大臣、答えてください、やるかどうか。そうじゃないとこの予算審議ができないということを申し上げているんです。
川口国務大臣 外務省のいただいている予算というのは国民の血税でございますから、一円たりとも適切でないやり方で使ってはいけないわけでございまして、この点について、過去においてプール金のようなことがあったということは、私としては非常に遺憾だと思っております。
 それで、私が参りました時点で、既に外務省の中では、幾つかの再発防止という意味ではいろいろなことを考えていまして、一つございますのが、調達の一元化ということでございます。これにつきまして、今まで各課ごとに調達が行われていたようでございまして、これを一元的にプールをするということで、私が聞きましたのは、これは物、物品だけについてはそういうことになっているということでございましたので、これには役務といいますかサービスも加えるべきであるというふうに私言いまして、それは今度の、この間発表いたしました改革の中に含めてございます。
 それから、今後、契約をするときに、相手との契約の中にそういうプール金のようなものを預からないということを入れるということが非常に大事だと私は思っておりまして、これもそういうふうにしてまいりますし、さらに、それが本当にそういうことになっているかということを適時チェックをしていくということも非常に大事だというふうに考えています。
 先ほど副大臣と官房長が申しました、予算のどの科目から出たということと、それから企業名につきましては、企業名は相手があることでございまして、多分その企業にとっては、自分の信用問題という観点から非常に重要なことだろうというふうに思います。したがって、企業の発表していいという御了解が得られないというふうに私は聞いております。
 それから、先ほど官房長が申しました、どの予算の費目から出てきたかということですけれども、これは過去何年にもわたって、その都度その都度いろいろな支払いの折に積み上げられてきたというふうに私は理解しておりますので、これをさかのぼって、全体として、このときにこの費用からということを計算して、調べてお出しするということは非常に困難であるというふうに官房長申しましたけれども、私もそうだろうと思います。
 いずれにしても、大事なことは、こうして積み上げられた、あるいは不正に費消されたプール金を一刻も早くお返しするということでございまして、私は、これを早くするようにというふうに申しております。
 以上でございます。
金子(善)委員 大臣の認識は大分間違っているんじゃないかと私は思います。
 昨年の一月から、外務省のいろいろな不祥事あるいは疑惑というものが生じて、表へ出されてきたわけであります。プール金も大きな問題でありました。これに関して逮捕者が出るというような大変な事件であったわけであります。
 それに対して、大臣は今、こう言われました。官房長の説明は、複雑だからなかなか、数年にわたっているから、はっきりしたところは出せないんじゃないか、私もそれは理解できるというようなことを発言なさったわけでありますけれども、そんなことないと思います。
 それは確かに、過去ずっとさかのぼってどこまでもいく、完璧な形では出せないということはあるかもしれません。しかしながら、国会で、前の大臣が公表しますということまで約束をされている。たしか十二月五日の外務委員会だというふうに思います。それが、またどんどん日はたってきております。ここへ至ってできないと思うというのは、いささか外務省としての誠実さが足りないんではないか。私は絶対にできると思います。資料を全部提供してもらえば私だってやってもいいぐらいですよ、それは出してもらえませんから。
 やはりこういうものは、どこの予算から出たかというようなところをきちっとしておかないと、今後のいろいろな、予算編成とかいう場合に、どこに問題点があるかというようなところまでなかなか到達できない、そういう性格のものだと思います。
 それで、我々は、そういう観点から、これをはっきりしたところで出してもらいたい。ですから、会計検査院にも委員長にもお願いをしているわけです。お願いと申しますか、早くやるべきだと。
 これは、大臣もう一回、認識はそれで変わりませんか、もう一度答弁してください。
川口国務大臣 私は、この問題につきまして、何分にも私が外務大臣になる前のことでございましたので、今余り、前の外務大臣が、田中外務大臣がどのようにおっしゃったかというようなことにつきましても、あるいは過去の経緯についても、十分に聞いたわけではございませんけれども、私が今まで二週間の間に勉強した範囲では、先ほど申し上げたようなことであろうかというふうに思います。
 ただ、今後、もう少し時間ができましたところでじっくり話を聞いたときに、そういうことが可能であるという判断を私がすることがあれば、そのときはそのようにさせていただきたいと思いますが、現時点では、先ほど申し上げたようなことで考えております。
金子(善)委員 では、大臣も、これまでのいろいろな外務省の問題がございました、もう一度よく詳細を勉強していただきまして、ただいま大臣言われたとおり、できる限り、何といっても大臣は、透明性が大事だ、そして実効性が大事だ、それからスピードが大事だということをはっきり言われているわけですから、これはやっていただきたいというふうに強く要請をいたしまして、次の問題に入らせていただきたいと思います。
 先ほど外務省の方でも、渡切費を廃止したとかODA関連の報償費を廃止したとかいろいろ、一見改善点はあったかのような予算編成になっているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、いわゆる諸謝金とか報償費とか、そういういろいろな運営経費と申しますか、外務省の内部的な運営経費、それについては〇・九%ふえていますよという御指摘もいたしました。焼け太りの予算ではないかというような声さえある。
 そこで、新聞報道等によりますと、報償費のうち、報償費です、よく聞いていただきたいと思います。平成十四年度、報償費のうち支出明細を明らかにできるものは予算項目を振りかえ、渡切費についても項目を廃止し予算項目を振りかえたというような新聞報道がなされておりますが、これはこれでよろしいですか。
小町政府参考人 先ほど大臣からも御答弁がありましたように、報償費につきましては、定型化、定例化してきたものにつきまして、新たな項目を立てて、そこで積算をして十四年度予算にお願いをしたということでございますし、渡切費につきましては、渡切費そのものは廃止いたしましたけれども、それに対応する予算というのは庁費等でお願いをしている、こういう次第でございます。
金子(善)委員 そうしますと、これまでの、昨年来の政府の報償費についての説明につきましては、具体的な使い道というものは示すことができない、いわゆる機密費であるというようなことでの、その具体的な使い方を、内政や外交を円滑に進めるための、遂行するための経費であるというようなことで、抽象的な答弁に終始してきているわけであります。そのときは、減額は適当ではない、現状の予算でも十分とは言えないというふうな答弁もあったわけであります。
 それはそれといたしまして、先ほど、庁費の方にほとんど基本的には移っているというような話がありました。そうしますと、これは論理の必然だと思うんですが、庁費で賄えるようなものを今まで報償費で賄ってきたと。これを裏から言えば、報償費も本来庁費でやるようなものをやってきたということになろうかと思うんですが、大臣、それはそれでよろしいんですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、定型化、定例化しております経費につきまして新たに積算をしてお願いをした、必要に応じて他の関連経費とあわせて新たに積算の上計上をしているところでございますけれども、その過程で、要人外国訪問等あるいは渡切費との関係で庁費にお願いしているものもあるわけでございます。
金子(善)委員 今、報償費について質問しているわけでございますけれども、そうしますと、庁費に移しても構わないというようなことだ、しかも相当の額を、四〇%ほど一般経費に移したということになっているわけでございますけれども、そうすると、この報償費というものは機密性が高いということで、使い道につきましてはいわゆる外国旅費の差額だけ、これは内閣官房の方で明らかにしております。その他の使い道については一切明らかにしていないわけでございます。そうすると、今まで、機密性があるというようなお金というものは、一般的な庁費で使えるようなもの、中にはダブるものも私はあることは認めますけれども、機密性がないにもかかわらず、そういう経費を、まあ本当は庁費で使うようなものを便利だからといって報償費で使ってきた、そういうふうに受け取られますよと。現実、そうだと思うんですね。
 そうしますと、これまで使い道は一切秘密だということを言ってきた外務省のこれまでの姿勢、それはどうなのかということを私は言っているわけなんです。そんないいかげんな報償費だったのか。何でそんなものが機密性があったのか。機密費だ機密費だといって、ほとんど使い道については答弁できない、繰り返し言われてきたわけであります。
 その点、大臣の認識はどうでございますか。
川口国務大臣 私は、ちょっとまだ不勉強で、報償費というものが歴史的にいつぐらいから計上されていたものかというのは全然知らないんですけれども、恐らく歴史をずっと通して、外交のあり方あるいは進め方についても変化が起きてきたということではないかというふうに思います。
 それで、今回、減額をいたします一方で整理をしたということで申し上げましたのは、外交をいろいろな形で進めてきているうちにかなり定型化し、あるいは定例化したものが出てきて、それについて、可能な場合には報償費以外の科目で、必要に応じ他の関連の経費とあわせて新たに積算の上計上したということではないかというふうに思います。したがって、報償費全部がそういうことであるかというとそうではないというふうに思います。
 いずれにいたしましても、私は、今後報償費について、これも先ほど申しましたように国民の血税でございますから、不適切に使われないということが非常に大事なことだと考えておりまして、そのための対策といたしまして、十万円を超えるものについては副大臣以上の決裁ということで、これは私ども、副大臣も一緒に厳密に見ていきたいと考えております。
金子(善)委員 どうも、質問に対する答弁がマッチしてないという気がしてしようがないんですけれども、要は、私が申し上げたいのは、これまで報償費というのは非常に機密性が高い、いろいろな政府の見解もございますけれども、逐一読み上げませんが、それを、定型的なものがあった、今度は庁費として外へ出しても構わないと。今までそれを報償費で使っていたわけですね。そんなものまでが機密性があるということで、よく言えたものですねということを私は申し上げているんです。それを明らかにしないで、簡単に、移しましたと。
 では、どれとどれを移したのか、はっきりしてほしい。それをしなきゃ、これは審議できないじゃないですか、私はそう思いますけれども。どうですか、大臣。
 今までの、つまり定型的なものが出てきた、オープンにしても何ら構わないものが、しかも四〇%も出てきたということを言っておられるわけですよ。そんなことでいいんですか。だったらば、説明してください、十三年度予算から。少なくとも十三年度予算のこの経費については、確かに、本来であれば報償費は好ましくなかったかもしれないけれども、報償費で使っていました、でも十四年度予算からはこういうふうに改めましたと。そこを、そういうふうに説明してもらわないと、なぜ四〇%、ああそうですかというわけにはいきませんよということを言っているわけなんです。
 答弁をお願いします。
川口国務大臣 まず、定型化、定例化してきているものについて、四〇%というふうにおっしゃいましたけれども、これは四〇%ではございませんで、約二五%分ということでございまして、残りの一五%については節約、効率化によって減らしたということでございます。
 それで、お尋ねの、ではどういう科目で計上したのかということですけれども、内閣総理大臣等の要人外国訪問関連経費、各種レセプション経費等でございます。
金子(善)委員 それではどうも、本来からいえば、その程度のあれでは不十分な答弁だと私は納得しておりませんけれども、時間の関係もありますから、これらについて、同じ質問でございますが、官房長官にお聞きしたいと思います。
 内閣の官房報償費について、今の問題についてどうお考えなのか、御答弁をお願いします。
福田国務大臣 内閣官房の報償費は、これは、要するに今までと基本的には変わりません、基本的には変わりません。しかし、こういうような問題が起こりましたことを機会に、もう一度、事務的な面における手続の問題等も含めまして、一件一件の案件について厳正なる支払いを行う、要するに、厳正な支払いを行うということに徹する、そういう精神でもって、今、この支出を行っているところでございます。
金子(善)委員 外務大臣にもう一度お伺いしたいと思いますが、そうしますと、これは大事な点ですから申し上げているわけでございますけれども、定型的なものがあったからこうだと言いますけれども、もう少し、では、質問をちょっと変えてみたいと思います。
 これは、私どもも財務省の査定資料も全部いただきまして、それで精査をしてみました。財務省の査定資料だけではなかなかわからないというのが判明しました。これは我々の独自の調査網で判明しているものでございますけれども、端的に答えていただきたいと思います。特にこれは在外公館の報償費という前提でお答え願いたいと思います。
 慎重に聞いてください。まず、情報物品費、要人外交推進工作費、国際会議関係工作費より官費支弁していた出張公務員の会食費、それと、平成十年度より一部報償費支弁も可と認められることになった天皇誕生日関係経費、それから、国際会議の際の準備打ち合わせ等のための弁当等を必要とする理由がある場合の国際会議関係工作費、在外公館幹部館員夫人による設宴、これはまだまだたくさんあるんですけれども、これらについては移しかえをされたのでしょうか。
小町政府参考人 お答えいたします。
 私、質問を正確に聞き取ったかどうか自信がございませんけれども、報償費というのは積算がございませんので、今委員御指摘のそれぞれの経費につきましては、それぞれの必要性に応じて積算をしてお願いしたということでございます。
金子(善)委員 これは、我々独自の調査によりまして、こういうものが報償費として使われてきたということを承知しているわけであります。きょうは時間の関係もございますので、これから各決算委員会あるいは他の同僚議員が予算委員会等々で質問をして、実際のところをこれからはっきりさせていきたい、このように考えております。
 そこで、外務大臣に御質問したいと思いますけれども、再三繰り返しますが、大臣は、透明性、実効性、そしてスピードというようなことで言っているわけでございますけれども、政治家の意見、いろいろな政治家が言ってきた場合にそれを文書化する、それから、情報公開も検討すると言われまして、これが骨太の方針であるということを言っておられます。
 ところで、外務省の文書規程は既にお読み――まだ読んでおられない、これは精査されていないんだろうと思いますが、外務省の文書規程を読みますと、現在でも、意思決定に際しての文書は作成しなきゃならないということになっている。もちろん、これは政治家が言ってきただけではないです、いろいろなことについての要素があった場合に、文書をつくらなきゃならない。
 それから、作成された文書は、これから大臣が検討なさるまでもなく、現在の情報公開法で、開示請求があった場合は、もちろんこれは不開示という決定もありますけれども、対象になるんです、現在でも。ですから、決して、川口大臣が外務省を徹底的に改革しなきゃならないというような、骨太の方針だというようなものでは私はないと思います、その点については。
 現在でも、政策に影響を与えるような政治家の意見というものは、当然のこととしてそれは文書で残せよというふうに、政策決定、意思決定に関して影響を与える場合はすることになっているわけなんです。そういうことを、大臣は就任早々でございますからよく文書管理規程というものもごらんになっていないかもしれませんけれども、この点についてです。
 それと、もう一つ。これに関連して、この問題は、いわゆる骨太の方針のところでこういうことを言われています。「この問題は、外務省以外の官庁にも関係する、広く国会議員と官僚の関係の問題です。合わせてより広い枠組みで検討する必要があると考えます。」と述べておられるわけですが、具体的にどういう行動を起こすのですか、外務大臣として。
川口国務大臣 まず、私は、就任をしたときの記者会見のとき以来、これははっきり申し上げていることでございますけれども、国会議員の方というのは選挙によって選ばれた方々でいらっしゃいまして、したがって、国民の意見を代表していろいろな意見をおっしゃることが必要であり、また、おっしゃられた意見については、ここに書いてございますように幅広く謙虚に受けとめるというのがまず外務省の持つべき姿勢であり、これは私は外交演説で申し上げたとおりでございます。
 その上で、なぜ改めてここにこういうふうに書かせていただいたかということでございますけれども、いろいろな、例えばどういう範囲でこれを文書化するかということについては、やはりきっちりしたガイドラインをつくって徹底していくことが必要ではないだろうかということでございます。
 それで、ガイドラインの中身は何かということにつきましては、これは「変える会」でこれから御議論をいただきたいと思いますし、それから、外務省の職員としても、大勢の外の方の御意見もいただきながら考えるべきであると私は思っております。
 いずれにいたしましても、私はキーワードの一つとして実効性ということも申し上げておりまして、実際に御意見をおっしゃられる方、あるいはその御意見を伺う方、双方にとって機能する制度でなければいけないということは申すまでもないと思っております。
 それから、「広い枠組みで」というふうに書きましたのは、これは、御存じのように外務省は官庁の一つでございますから、全体として、政府全体としてどういうふうにこのガイドラインを考えるか、どのような形で官僚と政治家の方々との間で緊張のある関係を持つかということは考えていかなければいけないテーマだというふうに思います。
 そういう意味で、私といたしましては、内閣で一丸となってこの問題について取り組んでいただけるというふうに考えております。
    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕
金子(善)委員 先ほどの、一月二十四日のいわゆる外務省の職員の夜遅くのああした問題が出ておりましたけれども、これは何と申しますか、私は、こうした問題について、外務省の対応と申しますか、大臣が幾ら中途半端にこれを考えてもとてもとても、外務省のいわゆる各職員ベースでの認識というものが、かけ声だけではどうにもならぬなというような感じを持っているわけでございます。
 そこで、大臣に特にお聞きしたいことなんですが、私が思うには、外務省のこれまでの問題というものは、確かに十の改革ということでいろいろな改革が必要だということを言われているわけでございますが、何といっても私は、外務省が改革をするときの第一歩というものは、これまでの数々の不正事件、これに対して明確なけじめをつけていく、きちっと始末をする。
 大臣は、いわゆる何々事件、例えば松尾元室長事件とか沖縄サミット事件とかいろいろな事件がこれまで出てまいりました、損害賠償を求めるとかいろいろなことで、まだけじめが出ていない、そうした問題が幾つあるか御存じでいらっしゃいますか。
    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕
川口国務大臣 私は、外におりまして新聞を読みながら、いろいろ次から次にたくさんあるものだと実は思っておりましたけれども、最近の例を幾つか挙げさせていただきますと、松尾元室長の事件、九州・沖縄サミット準備事務局のハイヤー契約に係る不正事件、APECの関連会議に係る不正事件、それから、先ほどお話のございましたプール金問題、その他幾つかの個別大使館、在外公館における問題、そういったようなものがあったというふうに記憶しております。
金子(善)委員 そうした問題にはっきりしたけじめを、これから大臣も取り組まれて、今まで国会で我々もいろいろな形で追及、質問いたしておりますから、その問題点をきちっと整理してけじめをつけていただきたい、これは強く要請をいたしておきたいと思います。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、野上事務次官はまだ事務次官でいらっしゃるのですか。
川口国務大臣 野上事務次官につきましては、後任の竹内次官がインドネシアの大使館におりまして、規則では、本人がここに、日本に戻ってこないと辞令を出すことができないというふうに聞いておりまして、本人は戻ってまいりましたので、明日閣議がございますけれども、閣議でこれをお諮りした上で、明日辞令を出すことにしております。本人はきのう戻ったと私は理解をしております。
金子(善)委員 また川口大臣にお伺いいたしますが、野上事務次官は、これは責任、つまり小泉総理大臣は、いわゆる国会が混乱した責任をとって田中外務大臣、そして野上事務次官に職を退いてもらうことになったということを明確に言われているわけであります。
 そこでお伺いしたいと思うのですけれども、これは川口大臣も同じ認識でいらっしゃいますか。
川口国務大臣 このことにつきましては小泉総理大臣の御判断でございまして、私は、当時閣僚の一員として総理大臣の御指示に従う立場だと思っております。
金子(善)委員 そうしますと、そういう認識で外務大臣はおられるということでございますから、野上事務次官は退官をなさるというふうに了解してよろしいのでしょうか、その予定だと。
川口国務大臣 野上事務次官は発令を、明日、新しい事務次官が発令になりましたときに、官房付にする予定でおります。
金子(善)委員 官房付ということは、相変わらず外務省の一職員としてこれからも仕事をやる、こういうことでございますか。
川口国務大臣 官房付ということは、外務省の職員でございます。
金子(善)委員 そうしますと、ほとぼりも冷めて、そのころにまた復活してもらう。どこかの大使になるとか、そういうようなことで、当面事務次官を外して官房付にして、そのまま継続して、いずれ大使とか何かになっていく、そういうようなお考えでいらっしゃるのですか。
川口国務大臣 先のことについては、私は今の時点では予断を持っておりません。
金子(善)委員 これは国民注視の大変な政治劇と申しますか、だったと思うのです。今、国民もこのことに大変な関心を持っていることは大臣も御承知のとおりだと思うのです。
 そうすると、官房付になるということは退官しないということでございますから、官房長、ちょっとお聞きしますけれども、給料の方はどうなりますか。
小町政府参考人 官房付になりますと、当然のことながら、給料は下がるということになります。
金子(善)委員 大臣にお伺いしますけれども、それでけじめはつくという認識ですか。大臣としてですよ、任命権者としての川口大臣として、それでこの問題についてけじめがきちっとつくと。
 大臣は、いいですか、冒頭申し上げました、透明性、実効性、スピード、外務省を大改革します、そこまで言い切っておられる。それが官房付になる。
 それともう一点、あわせてお伺いします。竹内大使ですけれども、プール金問題で処分を受けましたか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど委員も御指摘になられましたように、百十九の課室の中で、プール金を有していたところが七十一に上ったわけでございます。その関係で、監督責任というのを広い範囲に問いました。その関係で、竹内大使も内規による処分を受けております。
金子(善)委員 これは大臣にお伺いしていることで、御承知ですかということをお聞きしたわけなんです。御存じでいらっしゃいますか。
川口国務大臣 プール金関係の処分者については、リストを見ております。
金子(善)委員 この問題は、とにかくけじめをいかにつけていくかという観点から私は質問をさせていただいているわけでありまして、大臣としてもまだ就任直後でございまして、いろいろこの問題、先ほどの答弁の中でも、まだこれから勉強しなければならない点もあるんだというような趣旨の答弁もありました。この問題については、よく考えて対応していただきたい。これは強く要望をしておきたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、時間も迫ってまいりました。大臣に最後にお聞きしておきたいと思いますけれども、開かれた外務省のための十の改革、十項目について書かれております。これについて、最後のところで、これからの進め方というところで、「変える会」というものをこれから設置される、そこでいろいろな検討をしていただくんだということを言っておられるわけですが、その検討結果を待つまでもなく、やれるところからはやりますということをここで書いていらっしゃるわけでございますけれども、この中でどれをおやりになるということですか。「変える会」に検討をお願いするまでもなく、やれることからやっていくということを言っていますね。一つもないのでは、それはちょっと問題じゃないかなと思いますけれども、どれを検討してもらうまでもなくやれるとおっしゃるのですか。
川口国務大臣 新年度に検事の方を監察査察担当にというふうにお書きいたしましたけれども、それは「変える会」の結論を待つまでもなくやりたいと考えておりますし、それから、幾つかのポストにつきまして、外務省外の方に御就任いただくということもできるのではないかと考えております。
金子(善)委員 時間が参りましたので、ただいまの外務大臣の答弁では、何を今直ちに始めるかということを具体的には答弁いただけなかったわけですが、とにかく、やれることから徹底的にやる、早くやる、スピードを持ってやるということで、強くこれは要請しまして、私の質問を終わらせていただきます。
津島委員長 これにて金子君の質疑は終了いたしました。
 次に、都築譲君。
都築委員 自由党の都築譲です。
 きょうは、小泉総理大臣の施政方針演説の中における昭和天皇御製の引用問題を中心にやりたいと思いますが、官房長官、もうお戻りでございますか、よろしいでしょうか。
 その前に、ぜひ坂口厚生労働大臣に一問お伺いをいたしたいのでありますが、先般、厚生労働省の人口問題研究所の方から人口の将来推計というものが新しく出されたわけでありまして、二〇五〇年、これから五十年後に、今から約二千七百万人も人口が減っていく。出生率は、以前は一・六一に回復すると言っていたものが、一・三九程度にやはりとどまるだろう、こういう深刻な少子化の問題が改めて浮き彫りにされたわけでございます。
 既に、若年労働力、若年人口の減少は著しく進んでおるわけでありまして、私自身が一九五〇年生まれ、団塊の世代の最後と言えると思いますが、約二百五十万人一年間で赤ちゃんが生まれております。ことし成人式を迎えたのが約百五十万人、そして、去年新しく生まれたのが百十七万人、こういう状況でございますから、大変な人口減少が急速に進んでいくわけでありますが、そうしたときに、果たして本当に国家としてこういった問題をどう取り扱っていくのか、そういった視点が今までの政策立案の中で欠落をしておったのではないのか、こんなふうに思うわけであります。
 特に、例えば住宅の問題、交通の問題、学校教育の問題、あるいはまた社会保障制度の問題、労働のあり方、産業、さまざまな分野でこの少子化が、例えば購買層が、二十代の人が買う衣料の数も、二百五十万人の二十歳の人がいたときと比べたら百十七万人しか出てこない、こういうことに二十年後にはなってしまうということを思うとどうなのか。あるいはまた、働き手が少なくなる。
 それから、例えば住宅の数にしたって、一家の平均的な構成人数が今のまま三・三人ということであれば、住宅の数だってこれから二割も、二割五分も要らないということになる。そうしたときに、では今建てている家はどうなるのか。こういうことになると、長男か長女しかいないような世の中で、東京に長男が就職をし、長女は例えば大阪に嫁いでいったということになると、あと残されたお父さん、お母さん、やがて病気になってもう使えないということになると、物理的には多分長もちをする住宅も、わずか二、三十年でごみになってしまう。ごみになってしまうようなところに、例えば一生懸命働いて奥さんもパートに出てやる、こんな状況が続いているのが今日の状況ではないか、住宅ローンを返すために、こんなふうに思います。
 さらにまた、その住宅を建てるためにたくさんの資源が、木材にしても、鉄鋼にしても、あるいはまたセメントにしてもつぎ込まれて、資源の制約が言われている中でふんだんに使っている状況でありますし、そしてまた、それがごみになっていくとすればいずれ環境問題になっていくし、また、家を建てるときだって、今や田んぼをつぶし、池を埋め立て、山を削って家を建てているけれども、二、三十年たったら、もうだれも住まないような住宅団地ばかりできてしまうかもしれない。そんなところに公共事業ということでどんどん道路を引いて、上下水道を引いて、電線を引いて、電話線も引いてなんということを、借金を毎年つくり続けてやっている余裕があるのか、こんな思いがするわけであります。
 社会保障の問題、医療の体制の問題一つとってみても、大変重要な、保険制度でもつのかという議論を我々は自由党としてやっておりますけれども、全般の政策といったものをしっかりと立てていく必要があるのではないか。
 歌手一年、総理一年の使い捨てということを言われた総理大臣が以前おられたわけでありますけれども、そういった意味で、どうも政権というのは本当にころころかわって長期的な視点といったものを持っていない。持つとすれば官僚が持つ。しかし、官僚が思う存分やって、今の政治をまた牛耳っているというのが我々自由党の考え方でもございます。そういった意味で、政党として公明党あるいはまた今の自民党が、どういうしっかりとした政見、政策を持ってこの問題に長期的に対処していこうとされているのか、お聞きをしたいと思います。
 質問が長くて恐縮ですが、答弁は簡潔にお願いをしたい、こういうふうに思います。
坂口国務大臣 御指摘をいただきましたように、先般発表いたしました数字、これは平成十二年に行いました国勢調査をもとにいたしました人口動態でございます。これによりますと、これからだんだんと人口が減っていきまして、そうして、ことし生まれます女のお子さんというのは、二十人に一人が百歳を超えるという計算でございます。大変な時代、人生九十年時代がやってまいりまして、その後に人生百歳時代が待ち受けているという時代になってまいりました。
 余り長く言わずに、短くという話でございますが、総論として言いますと、少子化が余りにも急激に進み過ぎている。このスピードをもう少し落とさなければいけないというふうに思います。だんだん、徐々に徐々に減っていくというのはやむを得ないとしましても、余り急激に今減り過ぎている。ここをやはり手を打たないといけないというのが私の考え方でございまして、現在、ややもいたしますと、高齢者の福祉問題あるいは社会保障につきましては手厚くやってまいりましたが、少子化対策につきましては十分とは言えなかったというふうに思っております。
 したがって、この少子化対策につきまして、社会保障の面だけではなくて、これはあらゆる政策の中で少子化対策を織り込んでいく必要があるのではないかというふうに思っております。したがいまして、今回の医療制度改革におきましても、少子のところにどう手を打つかということが一つの大きな問題になるというふうに考えております。そうした、少子化対策を総合的に、住宅のことにつきましても何につきましても全部行いながら、そして、一方におきましては、これから、それにしても少子化は進んでいくわけでございますから、その進んでいきます中で社会保障そして労働環境をどう整えていくかということだろうというふうに思います。
 九十年というふうにいいますと、六十五歳でやめましても、その後二十五年あるわけでありますから、これは大変なことでございますので、できる限り労働は長期間、長く働くことができる環境をやはり整えていかなければなりませんし、社会保障の問題は、皆さん方が御提起いただいておりますように、これは税である程度高齢者の社会保障の問題は見るというふうにするか、さもなくば、これは社会保険でいくということになれば、高齢者にもある程度御負担をいただくような形、それは、長く働いていただいて、そしてそれによって保険料も出していただくという形にするかどうかということだろうというふうに思いますが、そうしたことを中心にしてこれからやっていく以外にないというふうに思います。
 お急ぎのようでございますから、これだけにさせていただきます。
都築委員 ありがとうございました。坂口大臣、もう結構でございますが、一言、私は、少子化対策だけでは十分な対策が講じられないからこそ、そういう、政府全体あるいは党として政策全体の調整をぜひお考えいただく必要がある、こういう御指摘を申し上げた次第でございます。きょうは結構でございます。ありがとうございました。
 それでは、官房長官それから内閣法制局長官にお越しをいただいておると思いますので、お話を聞かせていただきたいと思いますが、まず第一点、施政方針演説に小泉総理が昭和天皇の御製を引用されたその趣旨、意図、目的は一体何だったのか、それについてお教えいただけますか。
福田国務大臣 引用した和歌につきましては、総理御自身が強く心を打たれておった歌でございまして、また、読む人たれもの心を打ち、励ましとなる内容であるというように考えたので、施政方針演説に引用することとしたものであります。
都築委員 そうすると、ちょっと、すぐまた問題からそれてしまいますが、自分が強く打たれた、人の励ましにもなる、こういうことで、励ますという目的があったということで理解してよろしいわけですか。
福田国務大臣 私自身もあの演説を聞いて大変感動もいたしました。人それぞれ感じ方は違うと思いますけれども、恐らくそういう気持ちでおられた方は多かったのではないかと思っております。
都築委員 感動ということで言われておりますが、正直申し上げて、もう少し、また後で戻ってまいりたいと思いますが、御製の歌の「人もかくあれ」の「人」というのはだれのことを言われておるのか。あの歌の趣旨といったものは一体どういうふうにお考えになっているのか。そしてまた、それが本当にその趣旨で正しい引用であったとお考えですか。
福田国務大臣 「雪の降る、厳しい冬の寒さに耐えて、青々と成長する松のように、人々も雄々しくありたい」。すべからく人はこうありたいものという趣旨である、こういう理解をいたしております。
 人それぞれ理解は違うと思います。
都築委員 そうすると、人もかくありたいというときに、陛下自身は、昭和二十一年の一月元旦に、例の神格否定そしてまた五カ条の御誓文を引用された宣言を出されたわけですよね。それまでは神という地位にあられたわけであります。あの御製の歌が御披露されたのは、たしか一月二十一日の歌会始。こういうことでありますから、そのとき、昭和天皇陛下御自身が人という意識を持っておられて、「人もかくあれ」と、人間として、松と同じように、このようにありたい、自分もこのようにありたい、こういう趣旨で言われたのか。それとも、国民全体に対して「人もかくあれ」というふうに言われたのか。あの当時の、まだ旧憲法下でありますから、そういったときに国民に呼びかけるとすれば、民もかくあれというふうに言われるのかなという疑問も私は持ったんですが、そこら辺のところはいかがですか。
福田国務大臣 私は、それはどちらかわかりません。私自身、そういうことを一つ一つ吟味したわけではございません。ただ、今の私の心情からいってもそういうことはわかるような気がいたしますので、それで感動したのだと思います。
都築委員 今、それは物すごく重大な発言ですよ。自分が歌の御趣旨もわからないまま、自分の理解を昭和天皇のお歌の上に押しつけたことになるんですよ、それは。そうなんですよ。
 それからもう一つ、週刊新潮という雑誌に井尻千男さんという方が書いておられますけれども、実はあの歌には暗喩というか隠喩というか、隠された意味も込められているという解釈をとる方もおられるわけですよね。その「ふりつもるみ雪」というのは、実はGHQの占領下の話でありますから、そういったものが日本の国の体制の上に降り積もってきている、しかし青々とした松の葉のように日本古来の美しい強さ、そういったものはこれからもみんなで持っていこう、そういう隠喩を込められたんだ、ちょっと大ざっぱな引用で大変恐縮ですが、そういうことも指摘をされておるわけです。
 だから、非常に多様な読み方が確かにあるかもしれないけれども、その吟味をしないままに昭和天皇の御製を引用するというのは本当に大丈夫なのか、こういう思いがあるのです。またちょっとその問題、後で戻ってきます。
 それで、もう一つ確認をしたいのは、私は、衆議院の本会議で小泉総理が施政方針演説をやられたときに、場内交渉係の議運の担当をしておりますので、行きました。そして、議運の理事会でも、これは天皇陛下の政治的利用ではないか、皇室の政治的利用ではないか、こういう指摘をしたら、何かその話をお聞きになったのか、翌日の新聞では、そういうことを言う人の方が天皇陛下を政治利用しているというふうに総理が言ったと報道されておるわけです。それは、どういう理由でそういうことを言われたのか、そのことはお聞きですか。
福田国務大臣 総理から直接聞いたわけではありませんけれども、私が考えますに、自身で強く心を打たれた歌を施政方針演説に引用することとしたということなのでありまして、いろいろ今おっしゃいましたけれども、雪の降り積もる情景、そしてその下で松が青々としている情景、こういうことを素直に読み取って、そしてその言葉に総理御自身も感動されたんだろうというふうに思います。決して、天皇を政治的に利用するとか、そういうような難しい話ではないと思います。
 政治利用云々という今のお話ございましたが、そういう総理の気持ちを政治利用と言われるから、政治利用でないという気持ちをあらわした、そういう発言だったと思います。
都築委員 今の官房長官の答弁は、私の質問に答えていないんです。何で総理大臣は私の方が政治利用していると言ったのかということを聞いているわけですよ。それにお答えになっていないですよ。
福田国務大臣 ですから、政治利用しているのではないよという意味を込めてそういう発言をされたと思います。
都築委員 それでは答弁になっていないですよ。
 政治利用していないよということであれば、私は政治利用していませんと言えばいいんだよ。何で私に政治利用しているという非難の矛先を向けたんですか。その理由は何ですか。言ってください。
福田国務大臣 私にはその辺わかりませんが、そんな難しい、政治利用とか、そういう気持ちでこの歌を施政方針演説の中に取り入れた、そういうことでないということを強調したものだと思います。
都築委員 今の官房長官の答弁には私は全然納得しませんが、それをやっていても時間がまた経過をしていきますし、もう少し別の観点からやりたいと思います。
 まず、今の、昭和天皇の御製の歌の趣旨も十分わからないまま、自分が感動したからそれを紹介した、この説明にも私は全然納得をいたしておりませんが、御製の歌の引用を、内輪の会合とかそういったところであれば、それは、いろいろな歌でも、例えばカラオケでもあるいはまた文学作品とかいろいろなものでも、内輪の会合で勝手に歌う分にはそれは構わないんじゃないか、こういう話になるんですが、ただ、今回は公的文書、しかも閣議決定をしている。いわば、民間の商取引の慣行でいったら、業務上使用したような形になるわけですよね。そうすると、その歌の著作権とか、あるいはまたそういう御了解をいただいているのか。使わせていただきますということを了解をいただいておられるのかどうか。昭和天皇ですからもう既にみまかられておりますから、ただ、今の宮内庁の方にお伺いを立てたとか、そういったことはあるんですか。
福田国務大臣 著作権のことでございますけれども、他人の著作物の利用であることを明確にし、今回の演説のようにごく一部に引用する形で使用するものであれば、出所を明示した上で、著作権者の了解を得ることなく引用することはできるということでございます。
 いずれにしても、今回の引用については全く問題はありません。
都築委員 どうも本当にそんなので済むのかなという思いが、憲法四条の、天皇の国政に関する権能の否定、そしてまた憲法で定めた国事行為のみを行う、こういう観点からいったら、昭和天皇自身のお歌は昭和二十一年の御製でありますからもう遠い昔の話かもしれない。しかし、ほとんどの世代が実は昭和天皇の御代に生まれて、私自身もそうでございますけれども、そういう影響力を精神的にも大変持っておられる、非常に気高い存在であるわけでありまして、そんなことで本当に済むのかな、こういう思いがいたします。
 そして、そういう観点からいうと、今官房長官、そう御答弁なさったけれども、天皇陛下のお言葉とか歌とか、あるいはまた御著作とか、こういったものを国会で使用した例というのはどの程度あるのか。僕はほとんどないんじゃないかと思うんですよ。なぜないのか、あるいは、あってもなぜ少ないのか、その理由をどう考えておられますか。
福田国務大臣 調べました範囲の中では、総理の演説の中で天皇のお言葉、歌、著作などを引用した例はございません。今回は総理自身が強く心を打たれたさきの天皇の和歌を引用したものでございますが、総理の演説の中でどのような引用をするかはその時々の総理の判断によるものであります。
都築委員 私も、一生懸命国会図書館等にお願いをして調べてまいりました。
 総理の施政方針演説ということになりますと、実は、旧憲法下では一例、御製の歌の引用が、明治天皇の引用があります。それから、五カ条の御誓文であろうと思いますけれども、平沼騏一郎内閣総理大臣が引用された例があります。戦後の施政方針演説の中では確かにありません。
 ただ、戦後、実は、一九九七年だと思いますが、参議院の自民党の竹山裕さん、私自身も当時参議院の方におりまして、本会議で今上天皇の御製を引用された例があります。それから、中曽根総理大臣が、明治天皇の御製の「四方の海」という歌を昭和六十年の衆予算委で引用し、また同じ歌を東久邇宮内閣総理大臣が終戦の年の九月の初めの施政方針の中で、昭和天皇が引用されたということを紹介されておるわけであります。だから、めったにないんです。なぜめったにないのかというと、それこそ皆、かしこきお話、恐れ多くもという話になってしまうわけだろうと思うのです。
 だから、今回、余りにも軽々しくその歌を引用されてしまったのではないかというふうに思うわけでありまして、そこら辺のところを本当にどういうふうに、ただ感動したからその歌を紹介していい、こういうふうにお考えになられるんですか。
福田国務大臣 私は、天皇陛下の歌、それも先帝でございます、もう今はおいでにならない方でございます。そういう方の歌が国民の間に膾炙する、それを国民が口ずさむというようなことがあってもおかしくはないというように思っております。そう深い意味合いを持って、それでもって政治的に解釈しろとかいったようなことを迫っているわけではございません。まさに施政方針演説そのものが、この苦しいときを耐えていこうという呼びかけを国民にしたものでございますので、そういう施政方針の趣旨に非常にマッチしている、そういう歌だと思いますので、私も大変よかったと思っております。
都築委員 今の御答弁では、ちょっと、とてもではないけれども。
 そういうことで、先ほど官房長官が答弁されたように、その歌の本来の趣旨もわからない、吟味をしたわけではない、ただ感動したということで、実はここで何を総理大臣が言っているかというと、「先人たちの献身的努力に思いをいたしながら、我々も現下の難局に雄々しく立ち向かっていこうではありませんか。」こういうことで、自分の、小泉総理の政策の訴え、そして、それに対する協力、理解、支援といったものを国民に呼びかけた。呼びかけるに当たって総理大臣が昭和天皇の御製の歌を引用したということは、明らかにこんなのは政治的利用にほかならないじゃないですか。どうですか。
津野政府特別補佐人 お答えいたします。
 天皇の政治的な利用、昭和天皇の御製のお歌を引用したことがそういうことになるのではないか、政治的な利用をしたことになるのではないかというようなことのお尋ねかと存じますけれども、天皇の政治的な利用というのは、特段これは法令上の規定があるわけではございません。そういった意味で、その意味を一義的にお示しすることは難しいわけでございますが、天皇が国政に関する権能を有しないというようなことを定めました憲法第四条第一項との関係でこういったことが論じられることがあるというように私どもは承知しているわけでございます。
 その四条一項の意味するところは何かと申しますと、一般に、天皇が政治上の権能または国の政治に実質的な影響を与える権能を持たれない、そういうことを明らかにした規定であるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。したがいまして、この規定が、いわゆる第三者による天皇の政治的利用というようなことに直接言及したものではないというふうに我々は考えております。
 ただ、例えば、かつて問題があったことがございますけれども、国務大臣が、現に具体的な政治上の課題になっているような問題に関連いたしまして、公表されていない天皇の御発言などを引用するようなことは、こういったことは、あたかも天皇が国の政治に実質的影響を与えているかのごとき誤解を生じさせかねないということから、憲法第四条の規定に直接触れることはないにいたしましても、その規定の趣旨にそぐわず、不適切であるというふうに議論がされてきているというふうに承知しているところでございます。
都築委員 今、法制局長官は、憲法四条の一項は政治的利用について直接言及したものではない、こういうことであります。
 しかし、天皇陛下の行為自身は、それこそ国事行為と、それからまた、私的行為の中も公的行為というふうに分けるというのが法制局の見解ということで従来から一貫をしておるわけであります。公的行為については、また内閣の補佐とか責任といった問題が当然絡んでくる、私的行為というのは、これは純粋に私的な行為である、こういう話だろうと思うのです。
 そうすると、実は、今回、小泉総理大臣が施政方針演説の中でやったのは、確かに歌会始は公的な行事というふうに位置づけられておりますが、歌を詠むこと自身は、天皇陛下にも、それこそ表現の自由、自分の思いを素直に歌にあらわすというその自由はあると思うわけであります。しかし、その詠まれた歌を政治的に、この政治の場で引き出してきたということで、総理大臣が、天皇陛下が全然意図しなかった、その歌を詠むという行いに対して、実は全く別の効果を与える行いをしてしまったことになるのではないか。それは、憲法四条一項で国政に関する権能を有しないというふうに定められて、象徴天皇制という形で定められているこの憲法の全体を尊重しなければいけないのが国務大臣であり、国会議員であり、公務員であるわけでありまして、そういった規定に反するのではないかということを私は指摘したいのですが、いかがですか。
津野政府特別補佐人 お答えいたします。
 御指摘の、先ほどから議論になっております施政方針演説の中での昭和天皇のお歌の引用と申しますのは、先ほど申しましたような政治的利用といったような問題とは次元を異にするという問題であろうと思うわけでございます。これは、憲法の規定とは直接関係があるというようなことではございません。
 それは、ここは詳しく申しますと、例えば、問題がないと考えられる理由といたしましては、引用されている御製の歌というのは、既に歌会始において国民一般に公表されている著名なお歌でございます。さらに、その歌自身も、国政に係る天皇の御意思を反映したというふうには、素直に読んでいる限りにおいては、私どもは考えられないわけでございます。
 第二点として、憲法の規定との関係で問題とされておりますのは、現在の天皇陛下の行為、これが基本的に憲法第四条、あるいは憲法第三条もそうでございますが、今上陛下の行為のことを基本的に規定しているわけでございまして、さきの天皇が詠まれた歌である、今上陛下が詠まれたお歌ではないということでございます。
 それから第三点として、この歌の内容自身、それから、引用されている事柄自身の演説の中での位置づけ等を見ますと、これは一般的な精神論として引用されているわけでございまして、具体的な特定の政治の政策決定とか、そういうようなことに関連して引用しているというようなことではございませんので、そういった関係から、特段の憲法上の問題とか法律上の問題とか、そういったものはないのではないかというふうに私どもは理解しているところでございます。
都築委員 そうすると、そういうお考え、全然私は納得できないのですけれども、これからもどんどんそういうことをやるということになるわけですか。それで、やってもだれも文句を言えない、こういうことになるわけですか。
 それは、先ほど申し上げたように、官房長官の答弁で、御自分で感心、感動したのはいいけれども、自分の解釈を昭和天皇のお歌に覆いかぶせてしまったことになるのではないかという一つの問題。
 そしてまた、そういったものを政治の場で、衆議院の本会議場という中で、施政方針演説という、国民に訴える、それこそ政治の場面そのものの中で引用した、国民に対して呼びかける。それから、公表されていると言うけれども、公表されておりますけれども、新しい意味を、だから総理大臣が皇室の権威をかりてやった、こういうことになるのではないか。
 また、皇室自身も、実際にさまざまな自由が制約を今の憲法の中で行われておりますけれども、自分のつくった歌が総理大臣によって、政治家によって勝手にまた使われてしまうということになると、例えば、いろいろな会見でのお言葉とかそういったところに、たくさんの補佐や責任といったものを伴いながら内閣や宮内庁がいろいろ御助言をあそばしているのかもしれないけれども、ますます御自分で自由濶達な御意見といったものを控えられるようになってしまうのではないか。それが天皇陛下のみ心にかなうことだとお思いですか。そこら辺のところ、いかがですか。
福田国務大臣 素直にあの歌の意味をとらえるということ、これが私は大事だと思います。歌を詠んだ方がどのような思いで詠まれたか、それは詠まれた方のみぞ知るということだと思うのです。ですから、私は、むしろ素直に読まれることが大事だろうというように思います。
 もうお亡くなりになっていらっしゃる天皇でございます。歴史的な天皇であるわけでございます。そういう天皇がつくられた歌で、いいものはいいわけでございますので、そういう歌がこれからもたびたび引用されて、それが何かおかしいことがあるのかなという感じを私は受けております。
都築委員 数の力で、何でも委員会で押し切ろうと思えばできるのかもしれませんけれども、民主主義というのは基本的な常識の上に成り立っておって、そして、その上で政策の違い、国民の意見の違いというものを多数決で決定をしていくわけでありまして、黒いカラスを白いと言わなければならないから白いと言ってしまうということになったら、世の中は終わってしまうと私は思うんですよね。
 皇室に対する本当に尊敬の念というか、そういったものをますます失わせていってしまう。皇室御自身がそれこそ開かれた皇室、親しみやすい皇室ということで一生懸命努力をされておられるのをよいことに、こんな形で政治の場にいろいろな御発言とか歌とか著作が引用されて、それについて、今あなた方が実際に多数を持っておられるから、数の力で押し切ることはできるかもしれません。しかし、そんなので本当に大丈夫なのかと。
 私は、内閣法制局長官、あなた自身こそ、それこそ憲法九十九条違反じゃないか、憲法遵守義務、そしてまた内閣を補佐する権能といったものを全うしていないんじゃないかと。
 この間のテロ支援法の問題にしても、今回のこの象徴天皇制の問題にしても、そして、やがて来る公務員制度改革の問題で、労働基本権である基本的人権さえもまた否定しようという動きがあるやに聞いておるわけでありまして、現在の憲法になって三つの特徴、いわゆる主権在民、その裏返しとしての象徴天皇制、あるいはまた基本的人権、そしてまた戦争放棄等国際社会中心の平和主義、この三つを三つながらに、今の小泉さんというのは、どうもぶち壊していこうと。そして、それを手伝っているのが法制局の皆さんじゃないか、恥ずかしいと思わないのか。こういう指摘を申し上げて、私の質問を終わります。
津島委員長 これにて都築君の質疑は終了いたしました。
 次に、瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、最初に、ハンセン病問題について質問いたします。
 ハンセン病の国賠訴訟につきましては、昨年五月に熊本の地方裁判所の判決が確定をいたしまして、総理大臣の謝罪談話、衆参両院の謝罪決議など、九十年にわたる強制隔離の政策に対する法的責任が明らかにされた合意が厚生労働省と原告団協議会との間で交わされました。ところが、この判決による国の法的責任、いわゆる強制隔離による被害への謝罪と補償というべき内容が現場の療養所には的確に明確になっておらず、重大な事態が実は発生しております。
 その一つが、菊池恵楓園の由布園長の発言問題です。同園長は、菊池恵楓園の自治会機関誌「菊池野」二〇〇二年一月号に寄稿した「二〇〇二年 年頭挨拶」において、次のように述べております。一部の関係者は勝訴に酔いしれて浮かれっ放しであるが、果たしてそれでよいのであろうかと一抹の不安を感じてならない、裁判の議論の中で無理な進め方もあったなどとした上で、この訴訟が原因となって地元の人々が恵楓園から離れていると述べました。これに対して、原告団、弁護団、全療協初め地元の議会からも抗議、決議が上がっております。
 厚生労働大臣は、全国のハンセン病の療養所を回り謝罪をされてきたと思います。その謝罪や解決のための基本合意の趣旨がなぜ現場の各療養所に徹底していないんでしょうか。大臣、責任を持って徹底すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 ハンセン病問題対策協議会におきます確認事項につきましては、確認されました当日、十二月の二十五日に各園に送付をいたしておりまして、周知を図ったところでございます。さらに、一月の三十日に行われました国立病院・療養所院長会議及び三十一日のハンセン病療養所所長連盟の総会におきましても、確認事項の趣旨等につきましても改めて周知徹底を図っているところでございます。
 今御指摘の、園長が入所者自治会の機関誌に寄稿した文章の中に不適切な表現があったということは遺憾なことでございまして、地元の九州厚生局長から園長に対しまして、表現等について適切でない部分があるとして注意をしたところでございます。
瀬古委員 まだ、園長はそれに対してどうなのかということを言っていらっしゃらないわけですね。謝罪もされておりません。ぜひ徹底していただきたいと思うんです。
 やはり、多くの人々の勇気と努力によって確認された到達点を後退させるべきではないと思います。原告や入所者の皆さんのこうむった人生被害、これは本当にどんなことをもってしても償えるものではありません。私も、昨年の十二月の中ごろからことしの一月の終わりにかけて、全国のハンセン病の療養所に行ってまいりました。本当に大変な思いを皆さん持っていらっしゃいました。
 そして、確認書では、少なくとも社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するための在園保障を約束されております。ハンセン病の療養所が在園保障の施設として、生活、医療、介護の充実について、本当に法的な責任にふさわしい予算の確保と職員の配置というものが私は求められると思うんですね。社会復帰についても万全を期すべきだと思います。
 ところが、実際に予算という段になりますと、今までの枠の中で人員の確保はなかなか難しいとか、予算もなかなかという形が実際には出されてまいります。今までの延長線、もしくは、例えば給食費などは後退もさせられる、こういう事態も起きております。社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するための在園保障を確実なものにするために、ぜひ国はその責任を果たしてもらいたいと思うんです。
 厚生労働大臣、財務大臣、総務大臣にきょうは来ていただいていますので、簡潔に、それぞれ在園保障のその決意を述べていただきたいと思います。
坂口国務大臣 国立ハンセン病療養所の予算及び人員につきましては、平成十四年度予算案におきまして、夜間におきます不自由者棟の看護体制の強化等のための予算の増額及び人員の増員を計上しているところでございます。私もお邪魔をさせていただきましたが、この不自由者棟につきましての御要望がやはり一番大きかったというふうに思っているところでございます。
 なお、生活水準に係ります御指摘につきましては、ハンセン病問題対策協議会におきまして確認されているところでございまして、入所者が社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保できるよう、今後とも入所者の生活環境や医療の充実に最大限努めてまいりたいと考えているところでございます。
塩川国務大臣 予算を十分に手当てしろというお話でございますが、私たちとしては十分にやっておるつもりでございます。
 すなわち、平成十三年度に比べまして十四年度予算は、七・二%ふやしまして四百五十億円を計上しております。このことは、他の福祉事業全体を見ました場合でも、ハンセン病患者対策費としては十分に出したつもりでございまして、しかも、その中で非常にしておりますことは、生活類型の支給額でございますが、これを相当数ふやしておりますので、御検討いただければ結構かと思います。
片山国務大臣 私どもの方は定員の問題でございますけれども、厚生労働省の増員の要求を受けまして、十分いろいろな状況を勘案しまして、平成十四年度は六十三人増員することにいたしました。看護婦さん五十人でございまして、全体は定員圧縮でございますから、その中では私は十分見たものではないか、こういうふうに思っております。
 いずれにしろ、総定員法というのがありますから、その枠の中でめり張りをつけるということで、この関係の、委員御指摘の国立ハンセン病療養所の関係は張りの方でありまして、よそではめり、全体ではそういうことで査定をさせていただいております。
瀬古委員 めりの方だといいましても、私が先ほど言いましたように、このハンセン病の場合は、ある意味では法的な責任があるわけですね。そういう点でいえば、単なるめり張りをつけるという問題ではなくて、それにふさわしい予算と人の確保がされているのか。先ほど厚生労働大臣も言われましたけれども、例えば、今、不自由者棟の三交代の要望は大変強いです。しかし、今やっていることは何かというと、人手をふやさないで、三交代もどきといいますか、そういうやり方でごまかそうとしている。
 先ほど言いましたように、食事代だとかいろいろな費用も、本当に社会の中で生活するのと遜色のない水準をきちっと確保するという点で、私はぜひ見直しをしていただきたいと思うんです。少しぐらいふやしたからこれでいいなんというものではないと思います。
 時間がございませんので、きょうはこれで終わりますけれども、引き続き、このハンセン病の問題についてもきちんと法的な責任にふさわしい役割を国が果たしていただきたいと思います。
 財務大臣や総務大臣は退室していただいて結構でございます。それでは次に……(発言する者あり)では、総務大臣だけ退室でお願いします。
 私は、間もなく国会に提出される医療制度の改定について質問いたします。
 今回の医療制度改定の提案は、お年寄りには窓口負担の上限撤廃、七十歳から七十五歳のお年寄りを高齢者医療制度から締め出す、サラリーマン本人などを二割から三割負担に引き上げて、保険料もボーナスを含めて取る仕組みに引き上げられます。そしてまた、診療報酬引き下げで、六カ月を超える入院患者を保険の対象から外して自己負担を強いる大改悪となっております。これだけ国民の命にかかわる医療の改悪提案を、改革という名でやろうとするものです。
 そこで、質問いたします。
 まず第一に、今回提案された医療制度になりますと、患者さんは、症例によっては、その負担は三倍四倍、時には十倍を超えると言われております。お手元に配付させていただきました全国保険医団体連合会のパンフの中の一部を見ていただきたいと思うのですね。窓口負担の試算結果というのが表一にございます。
 例えば、サラリーマン本人の場合ですけれども、窓口負担が二割から三割に引き上げられますと、負担額は単純に一・五倍になりますけれども、入院の患者さんや重症の方など、例えば、ここで見ますと、事例二でポリープ切除で二日間入院で、これは一・五倍なんですけれども、金額でいうと一万二千三百円もふえてしまう。
 それから、二のところを見ていただきますと、七十歳以上で一定以上の所得がある場合は二割になりますけれども、定額制の廃止、月々の負担上限額の引き上げが響いて、重症の在宅患者さんの事例では、例えば事例五を見ていただきますと、十四・二倍という形になってまいります。
 三番目は七十歳以上の例なんですけれども、定額制の廃止、月々の負担の上限額の引き上げが大きく響きます。これを見てみますと、例えば事例十一では六・七倍、慢性の呼吸不全の患者さんが急性気管支炎を併発して月十二回訪問している、こういうケースですけれども、こういう大変困難な状態に置かれている患者さんに重い負担がかかってくるという状況になります。
 これは、厚生労働省に確かめていただきたいんですけれども、このような深刻な事例は当然あるということはお認めになりますでしょうか。
大塚政府参考人 受診の態様というのはさまざまでございますので、例えば高齢者で申し上げますと、外来の場合、八割以上の方につきましては、医療費ベースで月三千円以下の方々でございます。そういたしますと、こうした方々につきましては、基本的には負担の大きな変動はございません。
 そのほか、御提案の中には、今後御提案してまいる内容に関連いたしますけれども、外来の薬剤の一部負担の廃止というようなことも考えておりますし、低所得者につきましては自己負担限度額の据え置き、あるいは高齢者については対象の拡大といったような措置も講じております。
 したがいまして、患者負担が現行と比べまして軽減される場合もございますし、変わらない場合も少なからずございます。さまざまなケースがあり得るわけでございまして、ここでお示しの、負担が上がるケースのみがすべて表示されておりますけれども、こうしたケースばかりではございませんし、むしろ、負担がそう大きく変化しないケースの方が数としては大多数になると思っております。仮にこういうケースがあるとすればということでございますれば、計算上こうした負担になるわけでございます。
瀬古委員 こういう医療の負担というのは、あくまでも、個々のケース、一人一人の負担がどうなっていくのかがやはり大きな問題になると思うんですね。ですから、例えば十何倍にもなるなんという問題になると、その人の命にもかかわる問題になってまいります。
 例えば、在宅で酸素吸入の大変な患者さん、ここは先ほど事例五の例を出しましたけれども、十四・二倍という患者さんなんです。こういう人も出てまいります。私が直接聞いたら、こんなたくさんの負担をさせられるなら、酸素療法をやめてもう自宅でじっとしていたい、このように訴えておられました。
 今言われたように、確かに、低所得者に対して一定の配慮というのか、そういうものがされたというふうに言われていますけれども、実際には、全体で、この改定で国庫負担は二千八百億円も減らされるわけです。そして、低所得者対策とあなたたちが言うけれども、そのうちその対策はわずか百億円だけです。そして、自己負担の限度額そのものも、低所得者だって大変高いんです。もともと高いんですね、どんどん改悪されて。そういう点では、七十歳以上の方でも二・五倍になると八千円、こういう形で住民税非課税の人だってかかってくる。
 そういう点でいいますと、低所得者全体も、かなりひどい負担を今まででもしているし、それにさらに引き上げている。個々のケースでいうと、確かに軽くなる方もいるけれども、一人一人見れば大変です。ひどい、もうとても治療を受けられないという方もいらっしゃる。こういう点は私はしっかり見なきゃならないと思うんですね。
 ところで、お聞きしますけれども、坂口厚生大臣の所属しておられます公明党は、昨年、参議院選挙前の全国保険医団体連合会のアンケートに対して、健保本人の三割負担は反対だというふうに答えられております。一年もたたないうちにもう三割負担増の推進役になっておられる、これは国民への公約違反ではありませんか。
坂口国務大臣 党には党としての立場がありますが、私は、厚生労働大臣としての立場ですべてをやっているわけでございます。
瀬古委員 党も明確に三割負担反対と言っていらっしゃって、突然賛成に変わる。あなたも、公明党から出された、ある意味では公明党から出ていらっしゃる厚生労働大臣ですから、少なくともそれに対してはっきり物を言わなきゃなりませんよね。
 あなた自身も三割負担というのを結局認められたんでしょう。どうですか。
坂口国務大臣 日本のこの医療制度全般を見ましたときに、将来ともに安定した制度をどう確立するかということが一番大事でございます。
 将来ともに安定した制度をつくるということになれば、現在の人も含めて、どれぐらい皆さん方に御負担をいただかなければならないかという計算をしなければなりません。保険料を中心にするか、それとも自己負担をどうしていただくか、総合的な判断で決めなければならないわけであります。将来これだけの少子高齢化が進んでいくという事態になってくればなおさらのことでありまして、先ほど御答弁をいたしましたように、人生九十年時代というのがもうそこまで来ているわけでありますから、その中でのこの医療制度というものは、皆さん方に、この制度なら将来ともに安心できると言っていただく制度をつくることが今一番重要なことだと思っている次第であります。
瀬古委員 本当に、国民にこんな負担をさせて、将来安心だという制度ができるんでしょうか。
 実際に今まで、医療制度の改悪が行われた九七年に、小泉厚生大臣の時代だったんですけれども、健康保険の本人が一割から二割負担になった、そういうときがございました。そのときには二倍になったわけですね。その結果どうなったか。健康保険の二割負担で一番影響が出る二十五歳から六十四歳までの現役世代の有訴者率、要するに病気やけがで自覚症状がある人ですね、この人が、九五年には二八・六%だったのに、九八年には三〇・三%にふえています。要するに、病気やけがの自覚症状を訴える人がふえているんですね。ところが一方、病院に足を運ぶ通院者率は二七・五%から二六%に減っている。
 有訴者率と通院者率のその開きは、病気だけれども我慢している、我慢率と言われているものなんですけれども、九五年にはその差が一%だったのに、九八年には三・八%も拡大されているんですね。その人数は約二百八十万人にも上ります。必要な医療がこれで抑制されているということじゃないでしょうか。どうですか、大臣。
坂口国務大臣 一時的にはそういうこともあるかもしれない。しかし、先ほど申しましたように、全体としてこれからどうしていくかということが大事であります。現在の人だけがよければいいというわけにはいきません。私たちの子供たち、私たちの孫たちも安心してもらえるような制度にしなければなりません。
 そうした意味で私たちは考えているわけでありまして、そのためには抜本的な改革もどうするか、ことし一年間をかけてそれも断行をするということにしたいというふうに思っている次第でございます。
瀬古委員 将来をという問題もありますけれども、しかし今、国民がもう悲鳴を上げているわけですね。これを、将来のためと。
 あなたたちの抜本改革の中に、では本当に未来があるのかというと、実際には国民にはさらに負担を押しつける。例えば、お年寄りの皆さんには、扶養家族になっている人まで全部保険料を取ろうじゃないかなどという、そういう抜本改革なるものも残っていますよね。本来なら、将来のためといえば、この間、どんどん国の医療費に対する負担を減らしてきたわけですから、そういう国庫負担などをもっともとに戻すなどということも、やることはいっぱいあるわけですよ。ところが、肝心なことはやらないで、そして国民に負担をさせることしか考えない。そんなことをやったらどうなるでしょうか。
 例えば、現在、三割。三割がどんなに過酷なものであるかというのは、今お手元にお配りしております、中小業者の団体であります全商連の共済が昨年一月に行った資料で明らかだと思います。私、きょうパネルを持ってきたんですけれども、この中で、これは、共済で昨年の十月に死亡弔慰金を支払った人の死亡診断書をもとに解明したものなんですけれども、六カ月以内の死亡が、ここですね、五三・三%と半数以上を占めている、こういう状況にあります。この空色の部分がそうですけれども、五三・三%と、六カ月以内の死亡がそのような状態になっている。一年以内の死亡になりますと六二・八%、この小豆色の部分なんですけれども、こういうところまで行くわけですね。
 そして、特に注目しなきゃならないのは、この一番明るいブルーなんですけれども、一九九七年、このときに医療制度が一割から二割、本人負担になったわけですけれども、そのときと比べて、二〇〇一年、去年の十月ですけれども、全体の一八・二%を占めていて、二十四時間以内に亡くなっている人が一九九七年と比べますと一・八倍にもふえている。ですから、二十四時間以内に死亡している人がどんどんふえているということになると、もう病院にかかったときは本当に亡くなるというか、こういうところまで今事態は深刻になっているということをこのことは示していると思うんですね。
 それで、これを調査したお医者さんに聞いてみますと、自覚症状があっても我慢して、相当無理を重ねていたのではないかというふうに分析されております。そして、長期化する不況の影響で、経営難とともに中小業者の健康破壊が進んで、事態は一層深刻になっている。結局、三割負担を押しつけるということは命を削ることになるんだ、これをこの結果で示していると思うんですね。
 そういう点では本当に、こういう国民の過大な負担が命まで削っているという問題について、大臣、どうお考えになりますか。
坂口国務大臣 この表は、にわかには賛成しがたいですね。というのは、年々歳々高齢者がふえているわけでありますから、そして、その高齢者がふえていけばいくほど、それは死亡に至りますまでの間の年月というものも変化が来ることは当然でありますし、そして、どういう疾病でなったのかということにもよるわけで、この表だけを見せていただいて、そして年々歳々初診から死亡までの時間が短くなっているというのは、にわかにこれで判断をすることはできない、私はそう思います。
瀬古委員 この表は、その年齢は五十歳から六十歳までが半数を占めています。そして、三十代や四十歳代の比較的若い世代の死亡も含まれているんですね。そして、少なくとも、今私がお示ししたように、二十四時間以内の死亡がこれだけふえているということは異常だと思いませんか。そういう点では、本当にみんなぎりぎり我慢して病院に行かないでいるということがこの表で明らかだと思うんですね。実際に、これは基本的には三割負担にあなたの方ではすると言われるんだけれども、こんなことをしたら、これは国保の受診の方ですけれども、健康保険、もうすべてこういう事態が私は広がってくると思うんです。
 大体国保の健康保険そのものも、昔は本当に、国民皆保険制度が実施された六二年の社会保障制度審議会の勧告でも、もともとは、できるだけ医療費の自己負担を軽減することが望ましいんだ、これが皆保険の出発点なんだ。当面は七割でやるけれども、これは差し当たっての目標で、九割給付、窓口一割負担にしてだんだん窓口負担を減らしていくんだというのがもともと国民健康保険、国民皆保険の出発なんですね。これがどんどん改悪されてきて、この出発の精神から変えて、さらに国民に負担をかぶせるなどということは本当に許されないと私は思います。
 そして、実際には、どんどん受診を抑制して患者さんを病院に行けないようにする、こういうやり方で本当に医療費が少なくなるだろうかということなんですね。小泉首相は、医療費が安いと病院に患者が殺到してしまうなんて言っていましたけれども、実際には違いますよ。
 長野県は、例えば患者負担の軽減実施町村が十七と、全国一です。家庭と村の大黒柱が倒れたら大変だというので、国民健康保険の患者負担を助成して、病気の早期発見、早期治療につなげています。その一つに県の北部の牟礼村というところがあるんですが、人口約七千九百人で、ここでは外来、入院とも国保の世帯主は一割負担になっている。そうしますと、一人当たりの医療費が全国平均と比べて一〇%低くなっているんですね。そして、長野県は、都道府県別の一人当たりの医療費が、国保関係で全国で三十五位、老人医療では四十七位、こういうことで有名です。県の担当者はどう言っているかというと、病気の早期発見につながっていれば医療費が安く上がることは間違いない、このように断言しているんです。
 受診を抑えるというか、こういうやり方をやめて、むしろ病院にかかりやすくする。そして、予防や早期発見、早期治療で医療費を下げて、いつまでも元気で暮らせる、こういう医療制度につくっていくということが国民の願う方向ではありませんか。それが本当の改革の道ではないでしょうか。大臣、いかがですか。
坂口国務大臣 先ほど申しましたが、この統計につきましては、統計学的に一度検証していただくことを希望いたします。
 そして、今お述べになりましたことにつきまして、すべて私は反論するつもりはございません。予防あるいはまた早期発見、早期治療ということが大事であることも十分にわかっております。しかし、現在の医療の中身を見ましたときに、年々歳々、一兆円を超えるような、あるいは一兆円に近いような医療費の増額があるわけでありまして、こうしたことにつきましても、やはり診療側につきましても正していただかなければならないというふうに思います。
 その中で、できる限りむだを省いた医療費の中で、それをどう配分をしていくかということでございます。もしこれを自己負担、あるいはまた保険料という形で出さないということになるならば、それは税という形で皆さん方に御負担をしていただく以外にないわけでございますから、その三者の中でどこからお出しをいただくかということになってくるわけでございますので、我々はその点を十分に配慮して決定をしていきたいと思っております。
瀬古委員 日本の医療費は、実際には世界の水準と比べて高くないですよ。先進国と言われている中で、二十九カ国の中で十八位なんですね。日本の社会保障費だって、そんなに高くありません。社会保障をどんどん減らしている国なんて、世界の先進国と言われているところではないですよ。実際には、将来どうするかといったって、あなたたちはどんどん今まで国の医療費における国庫負担を減らしてきたわけです。政府管掌の保険についても、実際にはうんと引き下げて、将来大変なときには戻すぞと言ったって、いつまでも戻していない、そういうことをやってきているわけです。
 同じ国民の税金を使うなら、むだな公共事業費と言われている五十兆円、社会保障はわずか二十兆円しか使っていない、こういうところをきちっと見直して、そしてやはり必要な医療をきちんと国の責任で確保する、この点をぜひやられることを要求し、このような国民だけに負担をかぶせるような括弧つきの改革、実際にはもう命を削る大改悪、このような法案の提出を断念することを求めまして、私の質問といたします。
津島委員長 これにて瀬古君の質疑は終了いたしました。
 次に、中川智子君。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 きょうは、和解の期限が迫っています薬害ヤコブ病問題を中心に、坂口厚生労働大臣に御質問をしたいと思っております。
 まず最初に、昨年の十二月二十六日、国会が閉会になりましてすぐ、雪の中、坂口大臣は、北海道の、あの当時十八歳のヒロ君のお見舞いに行ってくださいました。また、ことし明けて一月の十五日、ドイツに出発される大変お忙しい中、原告の皆様に会っていただきました。温かいねぎらいの言葉をちょうだいして、被害者の方々が坂口大臣に期待するところ非常に大きいものがございます。
 私も、もうヤコブ病の問題では質問に立たなくても済むのではないかという思いがございましたが、和解を目の前にして、どうしても大臣に確認をさせていただきたいことがございますので、前向きの御答弁をちょうだいしたいと思います。
 やはり、大津地裁、東京地裁のこの所見というものが前提になると思いますが、東京地裁ではその所見に、「本件の早期の、多面的かつ抜本的、全面的な解決を提唱して、各当事者に対し和解を勧告した。」と。そして、その最後のところに、非常に重要な言葉が述べられております。「むすび」として、「法的責任の存否の争いを超えて、被害者の救済に加え、原告らを含む国民全体から期待される役割の大きさに対応し、本件のような被害の再発防止に向けて」取り組んでいただきたいということ。
 いま一つ、大津地裁のこの所見、最後のところに書かれております。「被害者全員についての早期かつ全面的な救済という観点を十分踏まえた上で、和解に臨むことを、当裁判所としては、強く望むものである。」このようにはっきりと書かれております。
 この十一月の二十二日、大臣は、閣議後の記者会見で、この所見をしっかりと受けとめて、このようにお話をされました。
 今回の和解勧告、そして裁判所が示されましたものの中にも一九八七年という文字がございますが、しかし、一九八七年から後は責任があって、その前はないということになりますと、これはまたなかなか難しい問題も生じる。そうしたところから、裁判所は、法的責任の存否の争いを超えてと、こういうふうに私は主張していただいているものと受けとめております。その裁判所の御趣旨を尊重して、私は、これから和解の話し合いを進めていくことが妥当であると考えておりますというお話でした。
 これは何度も、この閣議後の記者会見で大臣はお話しされました。この姿勢、お考えに変わりはないでしょうか。
坂口国務大臣 クロイツフェルト・ヤコブ病訴訟の和解協議につきましては、今お話がございましたように、昨年の十一月に示されました裁判所の所見に対しまして、この問題を早期に解決したいという裁判所のお考えを尊重いたしました。同月二十二日に、今お話しの、法的責任の存否の争いを超えて和解手続を進めることに同意をしたものでございます。
 裁判所の所見が示されまして以降、裁判所によりまして、原告側、被告側、それぞれの意見聴取などが行われております。
 国としては、今後とも、裁判所の御意見というものを十分尊重しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
中川(智)委員 大臣は、東京地裁の所見の中で一九八七年六月ということが明確に書かれているが、そこのところを争っていては被害者全員の救済にもならないし、和解というみんなが望んでいるものにはならないだろう、ですから、そこのところで争うことはやめて、被害者全員を救いたいという思いで、八七年六月以前に手術をなさったそのヒロ君のお見舞いにも行かれました。その部分に対して国民から見たら、八七年六月、一体それは何なの、これは第二のエイズと言われている薬害なんだから被害者全員の人を救ってあげる、そのような姿勢で大臣は頑張っているんだなということ、非常に期待して見守っております。
 しかしながら、和解協議に臨んでいる厚生労働省の事務方は、一九八七年の線引きを強く主張しております。それは所見とも違いますし、大臣が今おっしゃった、この間、十一月二十二日以降おっしゃっていることと違うと思います。全く反しているのではないかというようにも受け取るんですが、そのような主張を現場の厚生官僚が主張している限り、この和解に対して決着がつかないのではないかと心配しております。
 大臣がおっしゃっているところは、一九八七年、線引きをせずに、被害者全員を救いたい、それが今回の和解の目的である、そのように理解してよろしいでしょうか。
坂口国務大臣 今御指摘になりましたように、一九八七年ということを強調されますと、そうしますと、この法律的な責任がどこまであるのかという議論になってくるわけでございまして、その辺のところを明確にするということを避けて、そして、この裁判の和解というものをどう進めるかというのが裁判所の御意見ではないかというふうに思います。
 国の方の責任問題もございますが、第一義的にはやはり企業の責任というものもあるわけでございます。企業がどこまで責任を持ち、そして、国の方がその中でどれだけの割合の責任を持つかということにつきましては、裁判所が最終的にどういう条件をお示しになるのかということを私たちは拝見をしたい、そして、それによって結論を出したいというふうに申し上げているわけでありまして、間もなくその条件をお示しいただくということでございますから、そのことは最大限尊重をさせていただきたいと思っているところでございます。
中川(智)委員 今大臣がおっしゃったように、今回、被告は国と企業です。企業の方はもうしっかりとその責任を認め、全員に対してきっちりと和解金を支払うということを言っております。
 そこで、今大臣がおっしゃったように、双方責任を持つ。それは、裁判所が具体的にそれを出したときには、八七年の線引きをせずに、国もしっかりとその協議に応じるという理解をさせていただきます。
 そこで大臣、先ほど瀬古議員もハンセン病の問題で質問をなさいました。私は、ハンセン病の問題は、本当に政治的な決着、人道的に最終的な解決まで持っていけたなと。それは坂口厚労大臣の大きなお力があったわけですけれども、やはり私も驚きましたのは、未入所の方、そして遺族までもしっかりと救った。それによってハンセン病の問題がやはり一つの大きな歴史的な幕を一定程度閉めることができたというふうに思っております。
 私は、今大臣がおっしゃったように、一九八七年六月とか、そこに現場はこだわっているけれども、それにこだわっている限り、それはあくまでも厚生労働省のメンツや、薬害ヤコブ病をきっちりと決着させようということよりも、その体面にこだわっていると思われかねません。大臣のその御決意で進んでいっていただきたいと思うんですが、ここがまさに法的責任の存否の争いを超え、そして全員救済、和解が成立するということになると思います。
 そこで、しつこいようですが、もう一度確認いたしますが、被害者全員を救済するために国も和解金を支払いなさいと裁判所が提示をしたときに、八七年前後を問わず、国、企業に和解金の分担が提示されれば、それに従うということでよろしいのですね。
坂口国務大臣 だから、その八七年にこだわってはいけないということを裁判所は言っておみえになるわけでありますから。しかし、あなたは今、その八七年にこだわられるものですから私は申し上げているわけでありまして、そこはこだわらないでその解決をしようというふうに裁判所が言っておみえになるわけですから、私はそれに従うべきだというふうに言っているわけでございます。
 裁判所からどういう結論が出るかまだわかりませんから、今、それに対しましてどうこうと言うわけにはまいりませんけれども、できる限り裁判所の御主張を尊重したいということを先ほどから述べているわけであります。
中川(智)委員 きょうは局長にもいらしていただいておりますが、今の大臣の、それに対してお答えくださいますか。
 先日、超党派の議員で構成しておりますヤコブ病問題を考える議員の会、その前で局長がお話しになったことというのは全く相反しております。やはり現場の官僚が裁判所に今出向いていって和解協議をしている、大臣の言っていらっしゃることと全く違うことをそこで主張している。これで裁判所、原告そして国が三すくみ状態になって、裁判所がきっちりしたことが出せないという状況に対して責任を感じませんか。
 局長の答弁を求めます。
宮島政府参考人 今、大臣からも御答弁がございましたけれども、裁判所の所見においては、まさに法的責任の存否を超えて、いわゆる原告、被害者の全員の救済を目指すということでございます。
 したがいまして、私どもとしましても、被告であります国と企業、ここが所見で示されておりますそれぞれの責任に応じていわゆる救済責任を果たしていくという形であれば、結果として原告、被害者全員の救済が図られるものということで、その前提で今関係者とお話し合いを進めているということだと思います。
中川(智)委員 大臣、私は八七年のことは言いたくないんですよ。だけれども、厚生官僚の方が八七年、八七年と言うものですから、やはりここではっきりしておきたい、そう思ってしつこく言いました。
 それが存否を超えて、八七年は今後こだわらない、被害者全員を救うということで、本当にうれしい。きょうで最後の薬害ヤコブ病の質問になることを期待しますが、あと二つ、ヤコブ病のことで質問をいたします。
 現在、七十六名、サーベイランスで被害者が出ております。ヤコブ病緊急調査班の班長の佐藤猛先生が、九十二名か百名ぐらいに患者がふえると。その被害者が提訴したときに、八七年六月以前の移植だからといって、国は救済責任がないといって拒絶することはないでしょうね。
坂口国務大臣 御質問の意味がちょっとよくわからない。(中川(智)委員「八七年前の人が提訴したときにです」と呼ぶ)今の裁判ではなくて、新しく裁判をしたらという意味。新しい裁判の話までここで決めるわけにはまいりませんので、現在の裁判におきます状況についてお答えをしているわけでございます。
 局長も先ほど同じように答弁をしましたように、企業とそして国、その割り振りというのは全然、それはどうなるかということは、これは裁判所がお示しになるというふうに思いますけれども、それに極力従いたいというふうに思っているわけでありまして、我々も和解に応じるということを言ったわけでありますから。
 したがいまして、そこを余り、その八七年にこだわらずに、全体の状況というものを私たちも勘案していきたいというふうに述べているわけであります。
中川(智)委員 しっかりわかりました。よろしくお願いいたします。
 ここに、ライオデュラ、医療用具輸入承認したときの申請書がございます。見ていただきたい。これは、初めて人の死体からとった硬膜。そして、このライオデュラというのは、手術のときに硬膜の穴があいたところをぺたんと張るので、直接脳に触れるものなんですね。そのヒト組織を初めて日本は輸入するのに、たったこれだけのペーパーです。個人商店の山本商会というのが認可を申請しまして、最後のところにたった二枚、これは全部で九枚しかないんですが、たったの二枚、お医者さんが二人判こを押しています。こちらのお医者さんは亡くなったんですが、亡くなる前に、治験はしていないと明言して亡くなりました。こちらの二枚目のこの方はまだ生きていらっしゃるんですが、報道の取材で、やっていないですよとはっきりテレビでもその声が流れました。
 このようにずさんな承認をする、これによって被害が生まれた、このことに対して、私たちはどうにかならなかったかという思いが非常に強いんですね。初めてヒト組織を使う。その辺で行き倒れた人たちの硬膜をはがしてライオデュラをつくっていたんですね、一部がそういうふうになっていた。プーリング処理というのも、一つの入れ物の中に一枚しか入れちゃいけないのに何百枚も一緒に入れていて、そして感染が拡大した。そのようなものを輸入するときに、もっとしっかりした審査をやって、治験もやって、そうしたらばこのような被害が生まれなかったと思います。
 それにまた、厚生省の通知の中で、学会の発表に頼る中身の申請書でなければならないとか、治験は最低三十例以上、そしてデータを添付するというふうに書いています。添付はされておりません。このチェックさえしていればというのが返す返すも残念で、そして二度とこのようなことがないように薬事法の改正も今国会予定されておりますので、二度と薬害を繰り返さないために、ぜひとも坂口大臣の御英断、そしてこの間主張されております形での和解に対しての態度、それを貫いていただきたいと思います。
 このヤコブ病の患者について、HIVのときのはばたき事業団のような形の、これからの支援体制というのが学者を中心に議論されているんです。これは大臣に伺いたいんですが、ヤコブ病患者に対する物心両面の援助や各種調査活動、また、偏見、差別が非常に強いわけなんですが、それをなくすための啓蒙活動がぜひとも必要だと思います。将来、そのようなヤコブ病患者を支援するサポートのネットワークがもしも立ち上がれば、それに対して国も一定の援助をしていただきたいと考えるのですが、御答弁をお願いいたします。
坂口国務大臣 はばたき福祉事業団のお話をされましたけれども、そうしたことも含めて今後検討していきたいというふうに思っております。
 一九七三年の認可といいますか承認のときのお話がございましたが、しかし、そのときの認可の方法がどうであれ、そのころはいわゆる脳硬膜によってクロイツフェルト・ヤコブ病というのが発生するということがわかっていなかったときでありますから、わかっていなかったことについて、そこをちゃんとなぜしておかなかったかというふうに御指摘になりましても、ここはなかなか難しい問題だと思うんです。そのころ注意をしておりましたのは、細菌、ビールス等のことを念頭に置いていろいろとやっていた。ところが、細菌、ビールスによって伝播するものではなかった。そこがその後にわかってきたわけでありますので、その辺につきましても、今から考えればもっとああいうこともこういうこともということになりますけれども、そういう具体的なことがわかっていなかった事態でのことでございますので、そこは私、いろいろ御指摘になりますけれども、やむを得ない側面もあったというふうに思っているわけでございます。
中川(智)委員 大臣、私は大臣からそういう答弁が来ると思ったので、七三年の承認は演説だけでとどめておいて、そのようなサポートシステムができたときにはどうかということで御質問したんです。
 お願いします。
坂口国務大臣 御指摘になりましたことは十分拝聴させていただきましたので、誤りなきを期したいと思います。
中川(智)委員 もうちょっと前向きの答弁をいただきたいんですが。
 はばたき事業団に国の一定の援助をしていると今おっしゃいました。サリドマイドのときも「いしずえ」という、そのようなNGOのような形で国と一緒に被害者の人たちの相談やその他の支援事業をしております。そういう前例を踏まえて、ヤコブ病に対しても、患者支援に国が一定の役割を果たすべきではないかということでもう少し、もっと被害者もふえるということは専門家の間ではもう常識になっております。皆さんが安心して、安心はできないんですけれども、やはりこういうことになったときの支援体制というのはとても大事だと思います。
 これは一つの話なんですが、弁護団のところに都内に住むあるお母さんから手紙が来たそうなんですね。自分の息子が二歳半のときに脳外科手術を受けたと。週刊誌やテレビなんかでこのヤコブ病の問題を知って、手術した病院を訪ねたそうです。そうしたら、そのカルテにはライオデュラと書かれていた。そうしたら、もう息子はいつ発症するかもわからない、ちょっと熱を出して寝込んだり、頭が痛いという言葉にすらも、ああ、この子はこのまま無言無動になって死んでしまうんじゃないか、そう思うと夜も眠れないと。
 そのような方が多いんです。外科手術、三叉神経だとか交通事故だとか脳腫瘍だとか、四十万人近くの方が手術を受けているわけですね。その方たちがやはり不安になっている。また、被害者が生きていらっしゃるときに支援体制というのを確立することがとても大事だと思いますが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 この病気を発生した人たちに対してどうするかということも、これは大事でございますけれども、しかし、発生をしないようにどうしたらいいかということに、やはりそこにもっと大きな責任を持って取り組まなければならないというふうに思っております。まだ研究途上でございますけれども、ここにも一日も早くそうした、新しい人が発生をしないようにどうするか、真剣に取り組んでいきたいと思っております。
中川(智)委員 それも本当にもちろん大事です。発生した後の支援体制もぜひともまた御検討をお願いいたします。
 次に、在外被爆者の問題でまた坂口大臣にお伺いしなければいけないんですが、昨年、二つの裁判で被告は負けました。原告全面勝訴という形で、被爆者援護法の適用を海外にいても、日本の外の国にいても被爆者は被爆者だ、それを救うその責任が国にあるという画期的な判決が出ました。でも、この判決、両方とも国は控訴をされました。
 でも坂口大臣は、控訴をしたけれども何らかの解決をしていかなければいけないということで、検討委員会を立ち上げてくださいました。私たちは、原告や在外の被爆者の方たち、六カ月本当に期待を持ってその検討委員会の成り行きを見守りました。
 検討会の報告は、在外には適用しないということ、そしてさまざまな支援事業を今後拡大すればいいのではないかと、私たちが望んでいたこととは中身が全く違う結論になってしまって、またもや見捨てられたという思いが、在外の被爆者の中でもう非常に痛切な思いとなっております。平均年齢七十六歳、日本に来たら渡日医療はしてあげるよ、渡日できないんです。私は、去年韓国にも行ってまいりましたし、ピョンヤンには二回行きまして、被爆者の方にお会いしました。もう日本には来れないからこそ、在外にいて被爆者としての援助をしてほしいという思いでのさまざまな訴えであったわけです。
 でも、この検討委員会、「共通の認識」は非常に光っている文章があります。「人道上の見地からは、その現在の居住地によって援護の程度に差をみることは不合理であるというのが各委員共通の考えである。」そのような言葉はありましたが、中身は、渡日医療の充実、そしてお医者様が海外に行く回数をちょっとふやそうかということなわけなんですね。これは、全く被爆者を裏切るような中身でございました。
 やはり日常的な対策が欲しいわけなんです。厚労省としては、この検討委員会にとどまらず、具体的な施策を今後も示していただきたいと思います。それと、省令改正などは絶対しないということを在外の被爆者の方たちにお約束していただきたい、その思いで必死ですが、大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 昨年、専門家の委員会をつくりまして、そして皆さん方に御議論をいただきましたことも事実でございますし、そしてその結論をいただきました。そして、平成十四年度におきます当面の施策として、この在外被爆者が日本に参りまして被爆者健康手帳の交付を受けられるようにすることの施策、支援策を盛り込んだわけでございますが、これはこれで終わりではございませんで、まず平成十四年度における予算としてこれをつくったわけであります。この後どうするかということにつきましては、これから決定をしたい、余り遅くならないように決定をしたいというふうに思っているわけでございます。
 在外被爆者の場合に、一体どの程度おみえになるのかどうなのかということも今わからないわけでございますので、一遍、その辺の人数、あるいは、どこでどういうふうにお受けになったかということの調査というものもこれは大事でございますから、そこをまず行うということからスタートをさせる。しかし、それだけで済ますつもりはございませんで、その後のことにつきまして、これから決定をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
中川(智)委員 大臣、本当に実態調査というのは大事ですが、毎年二、三百人の方が亡くなっています。もうどんどん亡くなっていて、最後、わらをもつかむ思いでの裁判だったんです。
 日本国籍を持っていらっしゃるブラジルの森田さん、今回提訴に踏み切ろうというやさきに、先週倒れました。被爆者の方々というのは、ただでさえ健康状態が悪化している。そして、悠長な形で待っていられないんですね。在外被爆者には適用しないという省令を変えるということを聞き及んだんですが、それはないでしょうか。大臣、わかる範囲で答えてください。
坂口国務大臣 非常に高齢化をしておみえになるということもございまして、そして、半年間という時間を区切って先生方にいろいろと御検討をいただいたわけでございます。
 そして、結論を出していただいたということでございますので、その皆さん方にどうするかということを、この第二弾をこれから決定をするわけでありますので、どうするこうするということを現在の段階で決めているわけでは決してございません。早い時期に決断をしたいと思っております。
中川(智)委員 それでは、最後の質問ですが、政府管掌保険の十四年度の財政状態が逼迫しているということから、日帰りドック、人間ドックの日帰りが外されると聞いています。
 人間ドックは、予防医学の点から見てもぜひとも必要だと考えるのですね。早期に疾患が判明すれば治療費はそれだけ少なくて済むわけですから、日帰りドックが外されればそれだけドックを受ける人が減るわけで、長期的に見れば医療費の増大をもたらすと思いますが、この点について坂口厚生労働大臣はいかなる所見をお持ちでしょうか。この間、阿部議員が質問する予定で、済みませんがよろしくお願いします。
坂口国務大臣 この日帰りドックにつきましては、一般の健診と日帰りドックと、言葉は違うんですが、中身は実は余り違っていない内容だったんです。それでこの日帰りドックを少なくしようということになったようでございますが、日帰りドックは日帰りドックとして大事でございますので、皆さん方の御要望を十分に聞けるように、ここは、修正すべきところは修正したいと思っております。
中川(智)委員 終わります。
津島委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明十九日午後三時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四分散会


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