衆議院

メインへスキップ



第13号 平成14年2月19日(火曜日)

会議録本文へ
平成十四年二月十九日(火曜日)
    午後三時一分開議
 出席委員
   委員長 津島 雄二君
   理事 伊藤 公介君 理事 木村 義雄君
   理事 北村 直人君 理事 小林 興起君
   理事 藤井 孝男君 理事 城島 正光君
   理事 原口 一博君 理事 井上 義久君
      伊吹 文明君    石川 要三君
      衛藤征士郎君    奥野 誠亮君
      亀井 善之君    栗原 博久君
      小坂 憲次君    小島 敏男君
      小西  理君    高鳥  修君
      中山 正暉君    丹羽 雄哉君
      西川 公也君    野田 聖子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      福井  照君    細田 博之君
      三ッ林隆志君    三塚  博君
      宮澤 洋一君    宮本 一三君
      持永 和見君    森岡 正宏君
      八代 英太君    吉野 正芳君
      五十嵐文彦君    池田 元久君
      岩國 哲人君    川内 博史君
      河村たかし君    筒井 信隆君
      中沢 健次君    野田 佳彦君
      松野 頼久君    松本 剛明君
      青山 二三君    赤松 正雄君
      達増 拓也君    中井  洽君
      中塚 一宏君    佐々木憲昭君
      矢島 恒夫君    辻元 清美君
      横光 克彦君    井上 喜一君
      小池百合子君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   総務副大臣        若松 謙維君
   法務副大臣        横内 正明君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      青山  丘君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    津野  修君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十九日
 辞任         補欠選任
  伊吹 文明君     三ッ林隆志君
  石川 要三君     西川 公也君
  大原 一三君     森岡 正宏君
  小坂 憲次君     吉野 正芳君
  丹羽 雄哉君     福井  照君
  葉梨 信行君     宮澤 洋一君
  八代 英太君     小西  理君
  赤松 広隆君     川内 博史君
  山口 富男君     矢島 恒夫君
  井上 喜一君     小池百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     八代 英太君
  西川 公也君     石川 要三君
  福井  照君     丹羽 雄哉君
  三ッ林隆志君     伊吹 文明君
  宮澤 洋一君     葉梨 信行君
  森岡 正宏君     大原 一三君
  吉野 正芳君     小坂 憲次君
  川内 博史君     赤松 広隆君
  矢島 恒夫君     山口 富男君
  小池百合子君     井上 喜一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
津島委員長 これより会議を開きます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長吉村博人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青山二三君。
青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。
 大変皆様にはお疲れのところ御苦労さまでございます。予算委員会で発言の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げまして、質問をさせていただきたいと思います。
 二十一世紀は女性の世紀、または女性の時代と言われておりますけれども、小泉政権におきまして、五人の女性の閣僚が誕生いたしました。残念ながら一人は欠けてしまいましたけれども、それでも四人の女性の閣僚は過去最高でございまして、全国の多くの女性の方々が温かいエールを送っているわけでございます。そこで私は、きょうは二人の女性の大臣を中心に質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 私は、昨年の十月でございますが、法務委員会におきまして、選択的夫婦別姓制度について森山大臣に質問をさせていただきました。森山大臣は、制度の導入に大変意欲的でございまして、この通常国会での成立をともどもに目指そうとの見解が一致したところでございます。
 さて、通常国会も始まったわけでございまして、私といたしましては、この通常国会に早急に選択的夫婦別姓制度の導入を盛り込みました民法改正案を提出していただきまして、成立に全力を挙げていただきたいと考えております。さきの臨時国会では、自民党内の反対派の抵抗もありまして提出が見送られたという経緯も漏れ聞こえておりますけれども、大臣、今、自民党内での議論はどのように進んでいるのでしょうか、お伺いいたします。
森山国務大臣 先生には、いつも御熱心にこの問題についていろいろと御支持、御指摘をいただきまして、まことにありがとうございます。
 この問題につきましては、お話しのように、昨年、特に年末ごろから、自民党の担当である法務部会におきまして議論が大分進んでいるようでございます。大変活発な議論が展開されているというふうに聞いております。
 その御議論は、いろいろ、私直接拝聴しているわけではございませんが、お話によりますと、大変強く賛成なさる方もたくさんおられますし、また反対の方もいらっしゃるということで、その間をとっていろいろな折衷案も出てきているということでございまして、従来はなかなか話題にすることも難しい状況であったのでございますけれども、非常にオープンの場で、それぞれ自由に議論をしていただくという状況になっているということは、一歩前進だと思っております。
青山(二)委員 自民党の中の御意見としまして反対論が根強いと言われているとはいいますけれども、やはり一人一人と話してみると、どちらでもいいとか、あるいは何となく反対だという人が多いということも聞いております。
 この選択的夫婦別姓制度の導入は、今国会を逃してしまいますとお蔵入りのおそれがあるとも言われております。別姓を望むカップルの中には、結婚を間近に控え、成立を待ち望んでいる人たち、また制度の実現を待って、心ならずも事実婚をなさっている方もおります。このようなカップルは何が悩みかといいますと、赤ちゃんが生まれてくるときに、手続や届け出などについてどうしようかということで悩んでいるわけでございまして、一刻も早い別姓制度の導入を待ち望んでいるわけでございます。ですから、自民党内の意見をまとめていただきまして、今国会で必ずやこの民法改正案を提出いたしまして、成立させるべきであると私は思っております。
 ところで、ことしに入りましてから法務省はこの選択制の導入方針を転換いたしまして、原則は同姓とするが希望者には例外的に別姓を認める例外制に方針を転換したという新聞報道もございました。初めに、この例外制と選択制の違いを御説明していただきました上で、この例外的夫婦別姓容認制が出てきた背景についてお伺いをしたいと思います。
森山国務大臣 先ほども申しましたように、自民党の部会の中でいろいろな、賛否両論がございまして、その皆さんの中から、例外という考え方はできないかというお声もあったようでございます。それが一つのヒントになりまして、そういう運び方もあるなということでまた勉強いたしまして、そのような内容の案を今法務省でも勉強しているところでございますが、別にそれで決まったわけではないんですけれども、いろいろな、さまざまな形があり得るなという、勉強の一つでございます。
 この例外的というのは、数全体とすれば恐らく従来のようなやり方で同姓を選ぶ方が多いであろう、しかし、どうしてもそのような同姓でいくのには自分の仕事上あるいは生活上非常に困るという方も数は少なくてもあるに違いないので、そういう方々からの強い御要望もあるので、そういうケースを認めようではないかという、まあ現実にそんなに大きな、転換したとおっしゃるほどの大きな違いではないのかもしれませんが、考え方を少し角度を変えようということでそんなふうになったわけでございます。
 一番はっきりとした違いと申せば、今例外的と申しますその案は、原則が同姓でありますので、多くの方は同姓である、しかし例外的に選びたい方は別姓を選ぶこともできるということにしておきまして、しかし、原則でありますから、しばらくたってやはり同姓でありたいと思ったときには同姓に戻ることもできるというような、ちょっとニュアンスが違うということでございます。そんなふうな違いがあろうかと思いますが、それらも含めて、今活発に議論をしていただいているという状況でございます。
青山(二)委員 今御説明いただきましたように、この例外制は、同姓を原則としたという点では反対派に対しまして一定の配慮を示したものになっておりまして、意見をまとめようとするその法務省の努力はわかるわけでございますが、例外制について、選択的に比べますと、やはり一歩後退したような気がするわけでございます。
 しかしながら、この例外制にしましても、希望者が別姓を選択できる基本部分は変わらないわけでございますので、この法案で反対の方々の意見がまとまるのであれば早急に意見の集約をしてまとめていただきたい、こういう意見、あるいは、例外でもいいから選択肢を広げてほしいという声もあるのが事実でございます。
 そこで、森山大臣としましては、例外制でもいいのか、選択的でもいいのか、その率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
森山国務大臣 法律というのは、国民の生活に非常に深いかかわりがありますから、国民の生活の実態にできるだけ即したものであるということがまず必要なものでございます。
 しかし一方、法律というのは、一遍できますと、生活の方はどんどん変化してまいりましても、それに毎日追いついていくというわけにはまいりませんので、しばらく時間がたちますとそこに食い違いが出てくるというのが、すべての法律について宿命でございます。ですから、非常に動きの速いビジネスの世界などでは、商法の改正などはたびたび行っておりまして、最近でも、一国会で二回も改正するということもあったりしたわけでございますが、民法についても同様の動きが、生活の方で変化が、大きく変わってまいりましたし、また一方において、これは昔からの考え方なんだからこのまま守るべきだという方がもちろんいらっしゃることも当然でございます。
 そこで、私の個人的な考え方ではございますけれども、法治国家の法務省としては、やはり法律というものができるだけ国民の生活を守り、また国民がそれを守るという形が望ましいというふうに思いますので、そのような意味で、現在の法律がもし今の国民の生活に合わない部分があるならば、少し幅を広げて、それも包含できるようなものにしていくということが重要ではないか。
 そのような意味で、この選択的夫婦別姓、夫婦別姓を選択する可能性のあるという幅の広いものに何らかの形でしていく必要があるんではないか。まあ女性の立場、女性の考え方が主でございますが、男性にも大いに関係のあることでありまして、国民全体にとって非常に重要な基礎でございますので、慎重に、また多くの方の、できるだけたくさんの方の御賛成を得られるような姿で新しい民法をつくっていきたいものだというふうに思っております。
青山(二)委員 森山大臣の御意見、よくわかりました。
 さきごろ、自民党の反対派議員が、対案といたしまして、婚姻前の氏の通称使用に関する法案というのをまとめたということを私は新聞報道で知りました。新聞によりますと、戸籍上は夫婦同姓ですけれども、旧姓使用を希望すれば、公的書類に戸籍姓と旧姓を併記することを義務づける内容になっているということでございます。
 これは、結婚による姓の変更で仕事上の不便を感じる女性に配慮したものであるということでございますけれども、よくよく考えてみますと、戸籍姓と旧姓を併記するのであれば根本的な問題の解決にはならないわけでございます。もし、この二つの名前を公式に認めるとすれば、契約とかあるいは口座の開設などのときに不正の温床となるようなことも考えられまして、かえって複雑になって混乱するのではないかと思っております。
 この自民党の法務部会に出されたという通称使用法については、森山大臣、どのようにお考えでしょうか。
森山国務大臣 今先生がおっしゃいましたような案が検討されている、その案も検討されているということも私聞き及んでおりますが、議員の先生方が考えていらっしゃる法案でございますし、まだ途中経過のようでありますので、コメントすることは難しいのでございますけれども、今、青山先生が御指摘になったような問題が確かにあるかと思いますので、例えば、一人の人間が二つの公式な名前を持つということはやはり混乱のもとになる可能性があるというふうに考えますので、好ましくないのではないかなというふうに思います。
 そして、選択的夫婦別姓を望む方のうちのある人々は、家名を続けてほしいというお気持ちの方もかなりいらっしゃいますので、そういう方々のお立場からいえば、通称というのは、その人一代限りということになりますので、その目的も果たすことはできないのではないかなというふうにも思いまして、いろいろ問題、クリアしなければならないことがたくさんあるような気がいたします。
青山(二)委員 いろいろな案が出てまいりまして、法務大臣も大変心を悩ませる近ごろではないかと思っております。
 私ども公明党は、かねてから選択的夫婦別姓制度の法制化を打ち出しまして、実現を求めてきたわけでございまして、昨年の六月二十日に、この選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を衆議院に提出いたしております。
 その改正案では、第七百五十条を、夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫もしくは妻の氏を称し、または各自の婚姻前の氏を称する、このように改めて、夫婦別姓が選択できるようにしているわけでございます。
 この法案を提出いたしましてから今日まで、我が党のホームページで選択的夫婦別姓についてアンケートを実はとっているわけでございまして、二月の十八日現在では、総投票数千百四十二名中、何と千四十七名、九二%の方が賛成に投票してくださっております。反対は七%という少数でございますけれども、その主な反対意見を見てみますと、子供の成長にとって親子の連帯感というものは非常に大切である、また、夫婦同姓、親子同姓はやはり必要だ、そして、子供のために別姓はよくないのではないかという心配が多いようでございます。
 しかしながら、親子の連帯感を補強する必要があるのは、あくまでも子供の成長期のときでございます。未成年期のニーズでございまして、立派な大人になってしまえばそれぞれ自分の個性もあるわけでございまして、人格が尊重される社会をつくっていくことができるわけでございます。
 やはり私は、ここでもう一度この選択制という、多様な生き方を認める、あくまで選択の幅を広げるという制度の趣旨、また、同じ姓を名乗りたい夫婦には同じ姓を、別にした方がいいと考えている方はそのように別々にというのが選択的というわけでございますので、こういうことを国民の多くの皆様、また反対があるという自民党の皆様にもよくよくお話をいただきまして、御理解いただく必要があるのではないか、このように思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
森山国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、これは、本当にどうしても必要な方が選択できる可能性をつくろうということでありますので、だれもかれもがみんな別姓にしようかどうか考えなきゃならないというものではございませんので、そこら辺の誤解がもしまだあるとすれば、そういうことはないのだということをよく理解していただきたいと思います。
 議員の先生方は皆さんそれはわかっていらっしゃると思いますが、そのようなことで世間全体にもよくわかっていただいて、そんなにむやみに乱暴なことをするという考えではない、あくまでも、必要な方が、どうしても希望するという方が選択できる余地をふやそうではないかということでありますので、その辺は社会全体の皆様にもよく御理解をいただかなければならない。
 私どもも、できる限り機会をとらえまして一生懸命説明に努力をいたしておりますが、どうぞ先生もよろしくお願いいたします。
青山(二)委員 別姓にいたしますと親子のきずなが弱くなるとか切れるとか、あるいは別姓にすると夫婦の崩壊につながる、家庭の崩壊につながるというのですけれども、同姓だって親子のきずなが切れている場合も、同姓の場合でも夫婦のきずなが切れる、崩壊している家庭はいっぱいあるわけでございますから、やはりこれは、どちらにしても本当に選びたい方に選ばせてあげるということが一番大切ではないかと思っております。
 別姓制度の導入を後押しするのは、やはり世論の高まりであると思います。男女共同参画の流れでございまして、政府の男女共同参画会議の基本問題専門調査会は、民法改正の支援を決めております。さらに、多くの職場におきましても通称として旧姓の使用が広がっておりまして、政府も昨年十月から全府省庁で希望者が旧姓を使えるようになっております。
 このように、多様な選択肢を認めるのは本当に時代の要請であると思っております。別姓の選択はまだまだ少数派であるために大きな不都合をこうむっている人や、やむを得ず事実婚を選択している人たちには、一日も早く道を広げてあげていただきたい、このように思うわけでございます。
 小泉政権の掲げる構造改革は、社会経済環境の変化に立ちおくれた制度を実態に即したものに改革することを旨としているわけでございます。この夫婦別姓制度の導入こそ、まさにこの典型であるわけでございます。そこで、小泉構造改革を着実に進める上でも、今国会に民法改正案を提出いたしまして、選択的夫婦別姓制度の実現に政府を挙げて取り組むべきであると思っておりますので、森山法務大臣には、かたい決意をここでもう一度お聞かせいただきたいと思います。
森山国務大臣 先生も御指摘なさいましたように、昨年の八月に公表された世論調査を初めといたしまして、昨年十月、男女共同参画会議基本問題専門調査会におきまして、選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正が進められることを心から期待するというような趣旨のまとめもいただきました。
 これは、全省庁が参加しております男女共同参画会議の専門調査会でございますので、その中の一員としての法務省、法務大臣も、当然その趣旨に沿って努力していくべきだというふうに考えておりますし、先ほど来お話しのようないろいろな世の中の動き、女性の皆さん方の御希望などを考えますと、できるだけ早く、少しでも多くの方に賛成していただける案がまとめられまして、それを提出できるようにしたいものだというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。
青山(二)委員 森山法務大臣の強い御決意をお伺いいたしまして、法務大臣への質問はこれで終わらせていただきますので、どうぞ御退席いただいて結構でございます。
 それでは次に、教育問題につきまして、遠山文部科学大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、大臣のお考えになっている教育の目的について御所見を伺ってまいりたいと思います。
遠山国務大臣 大変基本的な御質問をいただきましたが、教育の目的でございますか。
 そういう御質問でございますと、やはり、憲法をベースにいたしまして教育基本法で定められている「教育の目的」というものが、我が国の法制上で定められたものとして明確に言えると思いますが、そこでは、「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して」ということで書かれておりますけれども、つづめて申しますれば、知育、徳育、体育の調和のとれた子供たちの育成を目指して、人間として、また家族の一員として、社会の一員として、国家の一員として、共通に備えていくべき基本的、基礎的なことをしっかり身につけさせるということが教育の目的であろうかと思っております。
青山(二)委員 ありがとうございました。
 先月ですけれども、遠山大臣は、確かな学力向上のための二〇〇二アピール「学びのすすめ」というのを発表されました。
 これは、本年四月からの新学習指導要領の実施を前に、学力低下への懸念の声を一掃するものだとか、学力重視へ急激にかじを切る文部科学省の姿勢を示しているとか、あるいは、ゆとり教育から学力向上重視への転換を明確に打ち出したものだなどとさまざまな論評がなされているわけでございます。学ぶ習慣づくりに向けてここまで国が口を出すのかと思わせるほどの細かい点にも踏み込んでいるとも言われているようでございます。
 また一方では、少人数授業や習熟度別指導ですかを大幅に導入いたしましたことは、いわゆるオーダーメードの教育ということで、大変評価できるものと思われます。
 今回、遠山大臣がこのような具体的なアピールを発表されました意義についてお聞かせいただきたいと思います。
遠山国務大臣 お話にございましたように、この四月から全国の小中学校で新しい学習指導要領に基づく教育が実施されます。そのねらいは、基礎、基本を確実に身につけた上で、みずから学び、みずから考える力を育成するということをねらいといたしております。そのねらいはまことに核心をついたものでございまして、先般のアピールでも、何らの変更もないわけでございます。
 一方、昨年の十二月に公表されましたOECDの生徒の学習到達度調査というのがございますが、これはPISAと呼ばれておりますけれども、その結果などによりますと、日本の児童生徒の数学、理科に関する学力は、国際的に見て大変上位に位置しております。ただ一方で、宿題とか自分の勉強をする時間が最低のところに位置しております。
 また、その前に行われましたIEA、これは国際教育到達度評価学会の調査結果でございますが、ここにおきます結果につきましても、学力はあるのでございますが、その背後における数学、理科に対する意識の面で、日本の子供たちの、その教科を好きであるか、あるいは将来それを活用していきたいかというような点についての調査結果は、世界の中でも最低のレベルにあるということがございます。
 今回のアピールは、こうした課題を踏まえまして、また社会の各方面から寄せられている児童生徒の学力が低下するのではないかという懸念をも考慮いたしまして、この時期にいま一度、新しい学習指導要領でねらいとしているものは、真に基礎的、基本的なことをしっかり身につけた上で自分で考える力を身につけるということであるということをアピールして、そのねらいを明確にしていくということで、確かな学力を向上させていこうということをはっきり申し上げたわけでございます。
 それも、今お話にございましたけれども、宿題とか補充的な学習という用語を一部使いましたけれども、それは例示でございまして、それぞれの学校が、地域あるいは児童生徒の学力に応じて自由に工夫されてしかるべきという趣旨で用いたわけでございまして、各学校における創意工夫あるいは積極的な取り組みを促そうとする目的を持っているものでございます。
青山(二)委員 遠山大臣に御答弁いただきましたけれども、やはり、今回の「学びのすすめ」のアピールは、まさしくゆとり教育から確かな学力の向上への方向転換であるというような声が多いわけでございます。
 ゆとり教育に関しましては、新年度から小中学校で新しい学習指導要領が完全実施され、完全週五日制に移行いたしまして、教科の学習内容も三割削減されることになっております。このため十分な学力が身につかなくなるのではないか、学習意欲が低下するのではないか、そういう批判も出ているわけでございます。こうした批判に対しましては、文部科学省は、内容の厳選によりゆとりが生まれ、その時間を使えば基礎、基本が身につくと説明されてきたことと思います。
 しかし、一年前に、それまで事実上教える上限としていた学習指導要領を最低基準というふうに百八十度転換いたしまして、できる子供を伸ばす、能力に応じた教育を打ち出しているわけでございます。
 今回のこのアピールですけれども、大臣は、ゆとり教育など従来の路線を修正するものではないとされておりますけれども、やはり、その内容を見ますと、放課後に補充の学習をやれとか宿題で家庭学習の充実をというようなことで、宿題とか放課後の補習を奨励する部分も、今例示と言いましたけれども、そういうこともございまして、これは詰め込みに逆戻りするのではないか、そういう懸念も寄せられているわけでございます。
 そこでお伺いしたいのですけれども、大臣は、「学びのすすめ」と、そしてまた片やゆとり教育の関係、この関係性についてどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
遠山国務大臣 先ほども御説明いたしましたように、「学びのすすめ」は、新しい学習指導要領のねらいを一層着実に進めるためにということでございまして、ゆとりの中で、児童生徒一人一人に応じたきめ細かな指導を行うことによって、基礎、基本を確実に身につけさせて、みずから学びみずから考える力を育成するということのねらいをさらに確実にするためということでございます。百八十度転換とか方針変換ということに当たらないわけでございまして、説明いたしてまいったのはそういう趣旨でございます。
 それからもう一つ、この際、御質問の中にございました点についてコメントさせていただきたいと思いますけれども、授業時数が大変減ったというお話でございますが、確かに、例えば国語では、現行の授業時間数に比べまして年間縮減率が一四%でございますし、数学も一四%、理科一七%ということでございますが、他方で総合的な学習の時間なども含めますと、トータルの授業時数は七%減でしかございません。したがいまして、巷間言われておりますような三割減ということでは全くないわけでございまして、その点、私は、国民の皆様にも、ぜひとも新しい学習指導要領のねらい、あるいはそこの中身をよく見ていただいた上でお話を、あるいは御批判をいただきたいと思っております。
 繰り返して申しますが、「学びのすすめ」でねらったものは、改めて、学習の意欲でありますとか学習の習慣、そういったものをしっかり身につけた上で、新しい指導要領の実現に向けてしっかりと取り組んでいきたいというメッセージでございます。
青山(二)委員 それでは、この「学びのすすめ」とゆとり教育とは相反しない、一体のものであるよということでございますね。
 先ほども御答弁の中にございましたけれども、昨年の十二月のOECDの調査では、日本の子供たちの勉強や読書の時間が他の先進国などに比べまして少ない、少ないどころか最低だというような調査が出ているようでございまして、学力の低下を心配する声が後を絶たないわけでございます。
 ただ、先ほども御答弁ございましたように、このOECDの調査では、日本の高校一年生について言えば、数学が一位ですか、科学が二位と、世界でも上位にありますので、学力が大きく低下している事実はないものと私も思っております。しかし、全般的には子供の学力が低下している、そういう批判もありますので、一体現実はどうなのかということを私は知りたいわけでございます。この子供の学力低下につきまして、文部大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
遠山国務大臣 御指摘のPISAの調査におきましても、あるいはIEAの調査におきましても、学力という面では世界のトップクラスであることは間違いがございません。したがいまして、学力低下というような表現で今の状況を評価されるということについては、いささか正確でない面があろうかと思います。
 ただ、本当の意味の学力と申しましょうか、本当の意味の学ぶ意欲、学ぶ習慣ということになりますと、そのことのベースがあってこそ、初めて本当の意味での学力というものがあろうかと思いますが、その角度で見ますと、日本の子供たちの現状というのは必ずしも十全でないと思うわけでございます。
 殊に、学ぶことを楽しく思い、将来成長した際にいろいろな課題を見つけるときに、十分学び、あるいは自分で調査し研究をし、自分で課題を見つけ、自分で課題を解決していく、そのような能力を持っているかどうかという点につきましては、子供のときからのいろいろな習慣というのも大事でございますし、学ぶことについての意欲が極めて重要でございます。これはもう私が申し上げるまでもないと思いますけれども、ノーベル賞受賞者の野依先生のお話とかいろいろな方々のお話を伺いましても、やはり物事に興味を持ち、それに集中して、そして自分で学んでいくことの大事さ、それを小さいときから身につけることの大事さということをお話を伺う機会が多うございます。
 その角度から見ますと、日本の子供たちの知的好奇心でありますとか探求心、あるいは、少なくとも一日に少しの時間でも自分で本を読むというようなことにおいて、次第次第にそういうことへの重要さの認識が薄れてまいっているような感じがいたします。
 そのように、学習が受け身で、覚えることは得意で、あるいは与えられた問題について解くという能力はあっても、本当の力というのは、みずから自分の考えを持ち、そしてそれを表現し、あるいは自分で課題を見つけていく、そのような角度から見ますと十分でないということから、今回の「確かな学力」という表現で、もう一度本来の、本当の意味での学力を身につけさせるようにみんなで努力をしようではないかということで申し上げた次第でございます。
青山(二)委員 御答弁にありましたOECDの調査の中で、読書についてというのがございましたね。趣味として読書をしないと回答した生徒は五五%おりまして、参加国中最も高い。読書を趣味としてしないというのが最も高いということですから、読書に対する興味が随分低くなっているということで、今、小学校あるいは中学校で朝の読書運動というのが全国的に進んでいるようでございますけれども、我が公明党でも一生懸命地方議員が進めているようでございますので、本当に今、こういう調査を見ましたならば、やはり読書を身につける機会をこういうときにしっかりと与えていただきたいと、これは要望でございますけれども、お願いしておきたいと思います。
 ことしの四月から完全週五日制が始まるわけでございます。しかし、私立の小中学校の中には、これまでの文部科学省のゆとり路線には追従せずに、土曜日を完全に休日としない学校がある、土曜日は休まないという私立の学校が多いということも聞いております。
 このように、私立学校は独自の路線を歩んでいるわけでございますので、公立と私立の授業時間の格差が生まれるわけでございまして、それが学力の格差にならないか、このように心配もするわけでございますが、義務教育における公私の学校の格差があると指摘されていることについて、大臣の御所見はいかがでございますか。
青山副大臣 現状では、私立学校の完全学校週五日制の実施状況でございますが、平成十二年度四月現在ですと、全国で一五%の私立学校が完全学校週五日制をとっております。そこで、平成十四年度から完全に学校週五日制を実施していこうと予定している私立学校、あるいは実施を検討している学校は、八七%程度と受けとめております。平成十三年度までの状況についてはまだ調査をしている段階でございます。
 なお、週五日制への移行についての考え方ですが、後から御質問があるかもしれませんが、新しい指導要領によって、今大臣がお答えになられたように、基礎、基本を学んでもらいたい、そしてまた、一人一人の学ぶ力あるいは考える力を育ててもらいたい、そういう学習指導要領のねらいに沿って進めていきたいと考えております。
青山(二)委員 私が質問申し上げましたのは、公立と私立の差が出ないかということでございます。私立の方もだんだん同じようにしていくというような御答弁だったと思いますけれども、これで私立と公立の差は、よろしいんですか、出ないんですか、大臣。副大臣が御答弁ですか。
青山副大臣 ことしの四月から全国のすべての小中学校で実施されます新しい学習指導要領、完全学校週五日制は、まず第一に、すべての子供が一律に学ぶ共通の学習、教育内容については極めて厳選をしていく、しかし、子供一人一人の理解や習熟の程度に応じたきめ細かな指導をこれから充実させていきたい、これが第一点であります。それから、子供の個性を生かしていく、そういう意味では、中学校や高等学校では選択学習の幅を拡大していきたい、そういう改善をしていきます。特に公立の学校に対しては、少人数授業や習熟度別指導などを進めてきめ細やかな指導を行うことのために、本年度から、新たな教職員定数改善計画を推進してまいります。また、来年度の政府予算案では、拠点校における実践研究の成果を普及することによって全国のすべての学校において確かな学力の向上を図るための学力向上フロンティア事業を盛り込んでおります。そして児童生徒の学力の向上に努めてまいります。
 なお、週五日制は、学校、家庭、地域社会が一体となってそれぞれの教育機能を発揮する、そういう中で、子供たちに豊かな人間性をはぐくんでもらいたい、たくましさを育てていきたい、そういうねらいで、このことは国公私立を通じて異なるものではありませんので、今後とも、私立学校における学校週五日制の導入については要請をしていくつもりでおります。
青山(二)委員 では、格差がないように頑張っていくというふうに受けとめさせていただきます。
 それで、この週五日制になって、子供たちは、遊べるというふうに答えているんですね。親たちは、これは大変だ、塾にやらなきゃいけない、こういうふうに、親と子の考え方が違っているわけなんです。これはアンケート調査をした結果だと聞いておりますけれども、この親と子の考えの落差についてはいかがでしょうか。
青山副大臣 ゆとりができることによって学びたい点をみずから進んで学んでいく力を持っている生徒、ゆとりができることから怠惰に流れていくのではないかと親の立場では心配をしております。
 しかし、新しい指導要領では、子供たちに基礎、基本を学んでほしい、それから、みずから進んで学ぶ、みずから進んで考える力を育ててほしいというねらいのために、既に三年前から、社会全体でそうした受け皿を進めてきております。そういう意味で、御父兄が心配をされるようなことは、私はない、ないように既に三年前から取り組んできておりまして、子どもゆめ基金等々、いろいろな民間のボランティア活動に子供たちがみずから進んで参加をして、そして自分の力を自分で伸ばしていくという環境をこれから進めていくことができるのではないかと考えております。
 学校としては、何といっても、創意工夫を生かした特色ある教育を展開することがこれから重要になってまいりますから、そこには若干の学校間の考え方の違いや教育の姿勢の違いが出てくることは考えられますが、そういう意味で、それぞれの学校が目指す、創意工夫を凝らして、そして成果を上げていくという段階では、いろいろな理解が出てくるかと。したがって、その段階では、今度は学校みずからが自己評価、自己採点していくシステムを確立していかなければならないと考えております。
青山(二)委員 大変御丁寧に御答弁、ありがとうございました。
 それでは、ここで厚生労働省に、放課後児童クラブについてお伺いをしたいと思います。
 学校週五日制の完全実施に伴いまして、放課後の児童クラブ、いわゆる学童保育が大変注目をされております。共働き世帯や一人親世帯など、土曜日の開所を望む声が大変に大きくなっているわけでございます。
 厚生労働省は、この放課後児童クラブを放課後児童健全育成事業と位置づけまして、十四年度は実施箇所を八百カ所ふやしたと言われております。また、予算も昨年より九億円増額した、このようにも聞いておりますが、その充実には大変力を入れていただいていると思っております。土曜、祝日の開設日数が年間で一定の基準を超えて開設をいたしますと、その放課後児童クラブに対しまして補助額の加算を行うということも決めていただいているようでございます。
 このような努力で放課後児童クラブの充実が図られると期待はしておりますけれども、やはり、学校週五日制で土曜日は朝から施設をあけることになるわけでございまして、長時間勤務のできない非常勤指導員だけでは足りないとか、指導員の負担増などが心配されているわけでございます。この指導員の増員や補助金の増額を求める声が上がっておりますけれども、この点についての御見解を伺いたいこと。
 もう一点は、放課後児童クラブとして障害児を受け入れていくことは大変なことであると思いますけれども、これは親御さんから大きな要望がございます。私もしょっちゅう要望を聞かされるわけでございますけれども、厚生省は、今年度から障害児受入促進試行事業というのを行われておりまして、その実施状況を踏まえまして、障害児の受け入れが今後どのように進んでいくのか、この二点についてお伺いをしたいと思います。
狩野副大臣 青山議員にお答えいたします。
 先ほど青山議員がおっしゃられたことそのものでございますので、私がお答えする厚生労働省の対応ということでございますけれども、同じようなことになると思いますが、来年度から、御承知のように、学校週五日制が導入されることになります。厚生労働省としては、平成十四年度予算案において、年間で一定日数以上の土曜日、日曜日または祝日に開設する放課後児童クラブに対し国庫補助額の加算を行い、土曜などの開設の促進を図っていきたいと考えております。
 また、放課後児童の受け入れ体制を平成十六年度までには全国で一万五千カ所とすることを目標とした閣議決定を踏まえて、平成十四年度予算案においては、放課後児童クラブを八百カ所増加させるとともに、十人以上二十人未満の小規模クラブについても補助要件を緩和することとしております。
 放課後児童クラブの拡充を一層図ることとしておりますが、今後とも、放課後児童の受け入れ体制の整備に努力していきたいと思っております。
 また、障害児の受け入れ体制につきましても、経過を見ながらこれからよく検討していきたいというふうに思っております。
青山(二)委員 経過を見ながら検討していくということは、経過を見ながら頑張っていただけるというふうに理解をさせていただきます。
 それでは、ただいま障害児の話が出ましたけれども、ここ最近注目されつつあります注意欠陥多動性障害、いわゆるADHDと言われておりますけれども、このことについてお伺いをしたいと思います。
 最近、子供を取り巻く環境は非常に厳しくて、不登校やいじめやキレる子供が増加しておりまして、学級崩壊などさまざまな問題が起こっております。
 こうした問題に対応するために、我が党といたしまして、女性議員は昨年の十月から、十のプロジェクトをつくりまして、国民が不安を感じているさまざまな問題について取り組みをしております。これまで、この注意欠陥多動性障害につきましては、親御さんの悩みの声を聞いたり、また、理解を深めるための勉強会をやりましたり、ADHDを扱う院内学級の視察、あるいは情緒障害児らが一緒に学んでいる普通学級の視察などを行ってきたところでございます。
 このADHDという言葉は、今ではかなり耳にする言葉になりましたけれども、まだまだ国民の皆様、そして現場の教師の間においても、よく理解されているとは言いがたいわけでございます。目に見える障害ではございませんので、なかなか難しい。教師が、孤立しないように一生懸命周りでいろいろとサポートする、そういうことが必要であるということも痛感いたしているところでございます。
 この注意欠陥多動性障害を持った子供は年々ふえているのではないか、あるいは学級崩壊の原因の一つになっているのではないかという指摘もありまして、国を挙げての取り組みが必要であると感じているわけでございます。文部省そして厚生労働省、ともに、それぞれ初めて全国的な調査を行うと聞いておりますけれども、これらの情緒障害児対策といたしまして、教育的な支援とともに精神医学的な支援を、文部科学省そして厚生労働省が密に連携をとりながら進めていただきたいと思っているわけでございます。
 そこで、厚生労働省と文部科学省に、ADHDに対するこれまでの取り組み、そして今後の取り組みについてのお考えをお聞きしたいと思います。
青山副大臣 物事に集中できない、じっと座っていられない、順番が待てずに衝動的に発言をしてしまう、行動してしまう、そういう注意欠陥多動性障害児、今御指摘のADHD児については、通常の学級に現在は在籍をしております。担任の先生がその障害の特性に配慮して現在は指導しておるのですが、一点は、その実態がまだ十分に把握できておりません、それから、判断基準がまだ確立しておりません、指導方法がまだ確立しておりませんというような問題がありまして、医療機関との連携を図ることがこれからの課題だと考えております。
 そこで、文部科学省は、独立行政法人の国立特殊教育総合研究所において、平成十一年度から、その指導方法について調査研究を始めました。それから、平成十三年度からは、ADHD児等への教育的対応のあり方について調査研究を実は開始したところでございます。それから、厚生労働省の関係課とは定期的に連絡会を持ちまして、施策の連携を図っていきたいと考えております。
 厚生労働省所管の国立精神・神経センターの研究者の協力を得ながら実施しているところでございまして、今後も、教育と医療が連携をしたADHD児への指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
狩野副大臣 ADHDについては、教育の現場などにおいて問題になっていることは、厚生労働省としても大変認識しております。
 このために、厚生労働省では、診断、治療、保健指導に関する指針の研究、それから、妊娠、出産との因果関係の研究をするとともに、文部科学省国立教育政策研究所と連携して、ADHDを含む思春期における問題行動への対策等について研究をしているところでございます。
 今後とも、先生御指摘のように、文部科学省と十分に連携を図りながら、今後の対応のあり方について検討してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
青山(二)委員 時間がなくなってまいりました。
 私は、この問題は大変にお母さんたちが悩んでいる、また教育現場での悩みも大変大きいと伺っておりますので、別の委員会で改めて質問をさせていただくことにいたしまして、きょうはこれで質問を終わらせていただきます。
 どうも大変ありがとうございました。
津島委員長 これにて青山君の質疑は終了いたしました。
 次に、小池百合子君。
小池委員 保守党の小池百合子でございます。
 本日、一時間ちょうだいいたしております。最近はイベントが、ブッシュ大統領の訪日、そして夜はオリンピック観戦と、大変忙しい毎日でございますが、それぞれの大臣の皆様方には、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 ちょうどオリンピックを毎晩やっているもので、国民的にも、眠い目をこすりながら日本の選手に対してエールを送っているわけでございますが、どうも残念ながら、今回のソルトレークについては、銀と銅ですか、それぞれ一つずつということで、前回の長野のようにはなかなかいかないなというふうな、ちょっと残念なところがございます。
 また、例のショートトラックの寺尾選手も、どう見ても、私の目から見ても、あれが失格である、進路妨害と思えないんですけれども、そのあたりのところをもっと別の土俵の場で、つまり国際スケート連盟なるものに対して、もっと私は、日本はちゃんと物を言った方がいいんじゃないかと思ったりもいたしますし、前に、たしか夏のオリンピックの柔道のときも、結局金メダルを逃してしまうのは、どうも国際的なネゴが下手なんじゃないか。そのおかげで、せっかく頑張っているスポーツ選手の努力がなかなか報われないというのでは、それはもうまさにかわいそうの一言に尽きてしまう。
 それから、もう一言言えば、別に私はスポーツのことだけやろうと思っていないんですが、これは日本のディグニティーの問題にかかわってくるもので申し上げているわけでございまして、ジャンプにしても、途中からルールを変えちゃって、何か身長とそれから板の長さを、途中からゲームを変えるというようなこと。余り今回メダルがとれないからといって被害妄想になるのは、これはまさにスポーツマンシップからは遠い話だと思いますが、実際にはそういったことで、何となく、本来のスポーツの祭典というところが、政治の影が見えたり、どこかに都合が悪くなったらルールが変えられたりとか、どうも腑に落ちないところがあるのでございます。
 御担当というわけでもないでしょうけれども、文部科学大臣、いかがでございましょうか、日本の今回の選手の皆さんに対してエールを送るとともに、こういうスポーツも残念ながら政治が絡んでいるというような現実があるわけで、もっとその辺を強化するというのを考えられたら。選手面の強化もさることながら、そういった交渉の場における強化ということも必要なんじゃないかと思うんですが、一言お願いしたいと思います。
遠山国務大臣 確かに、ショートトラックにおきます寺尾選手の件につきましては、私も、一人の観客としまして、本当にあのままでは残念と思っていたところでございますが、あのことにつきましては、直ちに日本選手団から国際スケート連盟に対して、VTRテープを付して失格の取り消しを求める抗議が行われたところでございます。
 日本代表団によりますと、国際スケート連盟より口頭で、現ルール、これは何か、判定で確定するので抗議を受け付けない、ビデオも見ないという、そういうルールがあるそうでございまして、それで日本の抗議は受け付けられないと返答があったようでございます。
 しかし、今後とも日本といたしましては、そのルールのあり方の問題なども含めて、より積極的に発言していく必要があるのではないかと思っております。政府が直接出てということはございませんで、それぞれの組織なりJOCなり、そういうところを通じて、やはりオリンピックゲームというものは最も公平に、かつ審判も非常に万人が納得できるような形で行われていかなくてはならないと私も思っておりまして、そのようなことについて、日本としても発言力の一層の強化をしてまいりたいと思っております。
小池委員 やはり、この国会の場でもそうですし、いろいろな審議の場では、声を出さないと、いるかいないかわからないようなのでは無視されちゃうんですね。ですから、私は、選手たちの努力に報いるためにも、ぜひそういう交渉の現場の方は選手以上の力を振り絞ってやっていただきたいというふうに思っております。
 なぜこういう話を最初に出すかと申しますと、昨今の金融の情勢を見ておりまして、これもBIS規制という形で、かつてバーゼル委員会で、まさに、オリンピックに出るには八%の自己資本比率の体力が必要である、そしてリージョナル、国内だったら四%で大丈夫よ、つまり、国民体育大会は四%、オリンピックは八%というBISルールができたわけでございまして、そのルールをつくった当時は日本はバブルの真っ最中で、そしてジャパン・アズ・ナンバーワンという……(発言する者あり)
津島委員長 御質問をお願いします。
小池委員 何の話か忘れてしまったではありませんか。
 いや、まじめな話、BIS規制というのは、当時、やはり日本もおごりがあったと思うんですよ。結局、今となっては非常に不利なルールでもって、そしてそのために、今、日本の金融機関というのは、自己資本比率を達成するために、あるときは貸しはがしなどもし、そして何とか金融機関としての体力を取り戻そうということで、やれ公的資金を入れろ、入れない、いや必要がない、そういう話に今なっているわけでございます。
 よって、これも金融というオリンピックのゲームの際の戦略というか、ルールの設定はどうあるべきかというのは、ゲームに入る前の最大の闘いなんですね。私は、こういったところにこそ日本の本当の意味の戦略というのをしっかりしいていかないと、いつもプレーヤーであって、ディーラーではない、ルールを設定する側にはいないということになっては、いたつもりがかえって不利になるなんというのは、戦略がないからそういうふうになるんであって、こういったそもそものところから見直していかないと、今後とも、こういった金融、スポーツ、ありとあらゆることが今グローバルな、ゲームとは申しませんが、グローバルないろいろな取り決め、それに応じて国内産業やそれぞれの分野の方々が一生懸命国際競争の中で闘っていくわけでございます。
 いずれにいたしましても、このBIS規制というのは、ジャンプ台から飛びおりる際の身長と板の長さを変えるような話でございまして、このBIS規制に今従っていかなければ、世界のルールの中で金融というプレーができないということになっているわけで、それでここから質問でございます、柳澤大臣。
 公的資金の注入をどうするのか、特別検査の結果を見てということで、それぞれ関係の大臣の皆様方、御担当の皆様方が御発言をされておられますが、私は、いろいろと考えますに、かつて、十年前、ブッシュ大統領のお父さんが来られたころのアメリカの状況などを振り返ってみますと、例えばシティーコープなんというのも、日本の銀行が買うの買わないのといって騒いでいたころなんですね。自動車会社だってそうです。クライスラーはどこが買うのかなんという話もしておりました。そしてそこから、まさに今アメリカはよみがえってきて、日本に、福沢諭吉の例を出して、競争ということをもう一度、きょうの国会演説で、その魂を取り戻そうという、そういう演説をされたんだと私は理解をいたしております。
 そこで、一時バブルのときは、日本の金融機関はこぞって海外支店を出すことをまさに競争していました。日経新聞の下の広告欄というのは、聞いたこともないような銀行がニューヨーク支店をつくった、そういう広告であふれておりました。
 あたかも隣のうちがピアノを買ったからうちも買わなくちゃという、この辺が日本的なところでございますが、私は、無理して国際展開をして、そしてそれに対してのコストをかけて、今その始末のために、ちょうど世界貿易センタービルなどに始末に戻られた方があのテロの犠牲になったりしておられるというようなことを考えますと、どうでしょうか、公的資金注入だとかそんなことする必要ない。大和銀行が国際的な市場から今姿を消して、ただしリージョナルにいろいろと頑張っています。それは日本の産業のためにとても有効に今仕事をしてもらっていると思っております。
 ですから、一たんオリンピックから国体に戻ってもう一度体力をつけ直すというような、リハビリだと思った方が、公的資金注入の話――いや大臣はわかっているんですよ、そんな必要はないとずっとおっしゃっているんですから。だけれども、実際に金融機関からお金を借りて、そしてとにかく早く返せばかり言われて、そして設備投資の意欲にもつながらない、そしてみんなでどんどん経済をシュリンクしているなどという、そういった現実を考えますと、八%という自己資本比率に必死になるよりは、四%として金融機関としての使命を果たす、そして一日も早く体力を回復して、またオリンピックの舞台に戻れる、そういう状況をつくっていく方が極めて現実的ではないかと私は思っているわけでございます。
 一つだけ問題は、それぞれの銀行の経営陣の経営戦略とプライドの問題だけだと思います。いかがでございましょうか。柳澤大臣、お答えください。
 文部大臣は結構でございます。ありがとうございました。
柳澤国務大臣 非常に興味深い、しかしなかなか難しい問題を投げかけられたというふうに受けとめました。
 ちょっと申しますと、自己資本比率と公的資本注入とは直接にはすぐ結びついていません。これは小池委員も御案内のとおり、自己資本比率が八%を仮に割るというようなことになった場合に、それが金融危機を招来するかどうかという問題がそこに介在してあって、金融危機を招来しそうだということになったら、それに対してどういう処置をするかという問題であります。問題の構造というかそういうものについては、大変恐縮ですが、そのように御理解をいただきたいと思います。
 それから、自己資本比率というものが、確かにバーゼルの銀行監督委員会で決められた取り決めなのでございますけれども、それと実質的な金融機関の健全性というのも、やはりちょっと別問題というふうに考えています。
 確かに、自己資本比率、今、国際基準行においては八%、国内基準行においては四%ということにしてございますけれども、その質にもよりますけれども、自己資本比率はやはり高い方が望ましい。たとえ国内基準行であっても、八%例えば剰余金で積み上げているのが非常に悪いかといえば、やはりそれはそうではないということでありまして、中身にもよりますけれども、リスクを吸収する基盤としての自己資本比率というのは高い方がいいというふうに存じます。
 そういう一般的な考え方のもとで、今小池委員が言われたように、ここ当座思い切って、八%の世界、そういう基準を当てはめられる銀行から別の基準、つまり四%の基準を当てはめられる銀行に行くということをそんなに苦にしなくてもいいじゃないの、リハビリじゃないのというお話がありまして、私は、一つの考え方であることは率直に言って認めるべきだ、こういうように思います。
 ただ、現実問題として、現に四メガバンクと通常言われているような銀行は、それなりに今現在国際的ないろいろな取引のもとにあるわけでございます。したがって、やはりその関係を解きほぐして、あるいはそれをどなたかに、残る人に譲渡してそこの世界から引き揚げるということも、それなりにかなりいろいろ手間がかかったり、あるいは相手方にやや迷惑になったりということもあろうかと思うわけであります。
 全体として考えれば、日本のような非常に多額の金融資産を持っている国民経済というものを考えたときに、小池委員の言わんとするところも、全部引き揚げちゃえということでは当然ないんでしょうけれども、やはり一定の国際的なエクスポージャーと申しますか、プレゼンスというものが国際社会からも期待されているということもあろうかと思いまして、私どもとしては、それは一つの方法であることは認めつつも、やはりここは一時のこの苦境を、むしろ苦境がありますから銀行経営が例えばリストラ等において真剣な努力をするということが私はあると思っているわけです。
 そういうことで、今のルールのもとで、そういった意味で蘇生あるいは再生を志して頑張るということ、これが私は必要なのではないかというふうに考えているわけであります。
小池委員 メガバンクでそれぞれ頑張って蘇生をする努力をしているというふうにおっしゃって、また、国際業務から一たんでも引き揚げるときにはいろいろな迷惑もあると言うけれども、今、金融機関があちこちに及ぼしている迷惑たるものや、それどころではないんじゃないかなというふうに思います。また、メガバンクといっても、不良債権額がメガになっちゃっただけで、その辺のところの本当の意味のメガというのには私はなっていないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、だからこそ、一時期、リハビリの時期としてそういった考え方をしてもいいんじゃないかということで私は申し上げているわけでございます。
 それによって、日本の今の不良債権の処理の問題、デフレの問題、景気回復の問題、やはり根っこのところは金融機関、金融のあり方であり、そしてそれを起こしてきているこれまでの金融のビヘービアのあり方であり、いろいろなことが総合的に今目詰まりを起こしているわけでございますから、だからこそそういったショックぐらいを与えてもいいんじゃないか。むしろ、また次の明確な目標、つまり国際業務に戻るという明確な目標ができて、私はいいんじゃないかなというふうに思うんでございます。
 これは別に政府がとやかく言う問題ではなくて、それぞれの経営責任者がそういった責任をとっていくということでございまして、ここで決まる話ではございませんが、私は、それぐらいの発想の転換ですね、これはちょっとネガティブな発想の転換ですけれども、一種の創造的な破壊ということから申し上げているわけですが、今のこの議論については、竹中大臣、いかがお考えになりますでしょうか。
竹中国務大臣 これは銀行監督行政のオペレーションの問題でありますから、やはり担当の柳澤大臣のおっしゃったとおりなのだと思います。
 私の立場としましては、マクロ的にはやはり金融仲介機能の一日も早い回復、そのためには不良債権処理が必要である。今の特別検査の結果に基づいて、それをきちっと資産査定に反映していただいて必要な監督行政をとっていただく。その中のチョイスに今小池委員がおっしゃったような話が入ってくるんだと思いますが、判断基準としては、今柳澤大臣がおっしゃったような考え方になるのだと思います。
小池委員 私は、こういう大きな危機に立っているときこそ、むしろ大胆な転換ができるチャンスだと思っております。やはり、アメリカのこれまでの経験、そしてことしの一月一日から例のユーロが導入されたのも、二十数年前からのヨーロッパの、欧州の、イギリス病等々も含めていろいろな問題に直面したからこそユーロが生まれたというふうに私は思っております。
 非常に長い波で、コンドラチェフとかいろいろ、余り長過ぎちゃうと困っちゃうんですけれども、とにかく、やはりこういう時期にこそ日本のあり方、どうすべきかという戦略的な思考をもっと持っていかなければならないという一つの単純な例として、今の四%、八%の議論を出させていただいたところでございます。
 景気なんですけれども、私もずっとそれぞれ月例報告などを見ておりますと、やはり、公共事業の是非の問題もさることながら、一番気になるところで、地方自治体の財政の傷みというのが、国もそうでございますけれども、そこがどうしてもネックになってくる。私はこれを勝手に膨満感と名づけておりまして、おなかはすいているんだけれども、借金ばかり、財政が赤字、赤字で受け入れられなくて、変な話ですが、げっぷが出てしまうというような状況かなと思っております。
 ですから、地方の自治体のそれぞれの財政の改善ということもしていかなければならない。よって、私は、地方の市長さんとか県知事さんたちというのは、まさに経営者マインドがない人はこれからはもたないんじゃないかというふうに思っております。
 もたなかった例として、福岡県の赤池町というところが財政再建団体に転落したのは記憶に新しい。と同時に、最近は改善をして、ようやくカムバックしてきたというふうに聞いておりますけれども、その赤池町のケースで学ぶべき点はどこなのか、どういったことで財政再建団体からよみがえることができたのか、まさに蘇生することができたのか、こういった点について御報告いただきたいと思います。
片山国務大臣 今小池委員お話しのように、福岡県の赤池町ですね。これはもともと炭鉱の町だったんですよ。田川郡ですね。それで、大変財政が悪くなりまして、炭鉱が閉山する、失対がふえる、病院事業がもたなくなる。もともと給与が炭鉱がいいときは高うございましたので、平成三年度に三十二億円の赤字を出しまして、準用再建団体の指定を受けました。そして、十二年間で財政を再建する、こういうことだったんですが、町長さんも議会も住民の皆さんも一生懸命やりまして、十二年間が十年で財政再建完了しまして、平成十二年度に終了しました。
 どうやったかというと、組織の縮小、職員の数のカット、給与の引き下げ、特別職の報酬の引き下げ。それから収入は、水道料金を含めましていろいろな料金を全部上げる。それから団体補助金もカットする。
 だから、収入をふやして歳出を徹底的に切り詰める、こういうことで二年度早く財政再建ができたわけでありまして、そういう意味では全国の、もちろんそういう地方自治体ばかりではありませんけれども、財政の大変苦しい地方団体、市町村にとってのいいモデルになったな、私はこういうふうに思っておりまして、いいことは広めた方がよろしゅうございますので、私どもの方でも大いに指導いたしております。
小池委員 ただ、今伺いましたら、早い話が出と入りなわけで、出るを制したということに尽きてしまう、極めて明確な、ある意味では当然のお話だったのかな。当然がなかなかできないから、それぞれの自治体等々、国もですが、問題を抱えてきてしまったということだと思います。
 学べるところ、学んでも実行できないところ、いろいろあるわけでございますが、企業経営と全く同じ部分、ただ、やはりパブリックという点でどこをどう削るかというのは若干違ってくると思いますが、赤池のモデルを、一生懸命やったというのではなくて、どこをどのように一生懸命やったのかというのをぜひPRしていただきたいというふうに思っております。
 そしてまた、そういった財政をみずからの力で再生させるというのと、それからやはり自治体、市町村合併、さらには都道府県の合併も推進しておられると伺っておりますが、市町村合併についての現状と、それから県同士の合併案について伺わせていただきます。
片山国務大臣 市町村合併につきましては、一昨年の十二月に行政改革大綱で、市町村合併を強力に推進すると。できれば、与党三党が言われているように千を踏まえて、今三千二百二十四ですけれども、千にしろというお話ですから、その与党のお考えを踏まえてやる。こういうことで、去年の三月に市町村合併支援本部というのを内閣につくりまして、そこで各省集まっていろいろな議論をしまして、合併をやるところには応援してやろうと、市町村合併支援プランというのを八月の終わりにつくりました。また、都道府県にも、都道府県ごとに市町村の合併を支援するそういう本部をつくってもらう。それから、応援団体の民間のいろいろな関係を集めた国民協議会を樋口広太郎さんに会長でやってもらいまして、都道府県にもそれをつくってもらう。
 こういうことで進めてまいりまして、現在の段階では、三千二百二十四の市町村のうち、二千六十二ぐらいの市町村が合併についての研究や協議を始めております。特にそのうちで熟度の高いものを合併支援地域というふうに指定をしております。これはまだ三百二、三十でございますけれども、私は、今の状況から見ますと、かなり急速にそれが伸びていくのではなかろうか。ぜひそういう意味で大きなそういう市町村合併の流れをつくりたい。
 今まで、御承知のように、明治の大合併、七万ございましたものを一万五千にしました。昭和の大合併で一万三、四千あったものを約四千にしまして、現在は、先ほど言いましたように三千二、三百でございますけれども、ぜひ、平成十七年の三月末が今の合併のいろいろな関係の法律の適用期限でございますから、それまでにできるだけ進めたい、こういうふうに思っておりまして、今の状況からいくとかなりいくのではなかろうか。しかし、千になるかと言われますと、これはなかなか、そうは簡単に、難しゅうございますけれども、引き続いて努力いたしたい。
 そこで、市町村の合併が相当進んで市町村の再編成ができましたら、私は、やはり次は都道府県がどうあるかということを考える必要がある、こういうふうに思っておりますが、今の地方自治法は、都道府県の例えば合併だとか廃置分合、境界変更については別に法律で定めると書いてあるだけで、何にもないんですよ。だから、仮にこれから都道府県の合併を考えるならば、特別法が要りますね。
 だから、特別法で一般的な手続を書くのか。例えばA県とB県とC県を合併させるのなら、これは住民投票が要る、特別法になるわけで、その辺はこれから大いに研究せないかぬと思いますけれども、現在、総務省の中に学識経験者の研究会をつくっておりまして、そういうことも研究いたしておりますし、地方制度調査会が発足いたしましたので、そこで市町村合併とあわせて将来の府県のあり方についても議論していただこう、こういうふうに思っております。
 ただ、これは、都道府県については合併だけじゃありませんね。例えば、道州制がいいとかあるいは連邦制がいいとか、アメリカやドイツみたいにそれぞれのブロックに主権を持たせる、そういう議論もありまして、幅広に、しかも中長期の問題として我々は検討いたしたい。市町村合併の次は都道府県だ、こういうふうに考えております。
小池委員 ありがとうございました。
 こういった自治体の単位のあり方とその効率性といろいろなサービスの質の維持、もしくは、さらにそのサービスそのものの中身、パフォーマンスをよくするといったようなものも、こういった大変な時期だからこそできるということがあって、例えば市町村合併も、十年、二十年、もう何十年かけてやっていますよ、だけれども、そういう危機感がまだ伝わっていないんだなというのはよくわかるのですね。
 だからこそ、先ほど申し上げた赤池のケースなどももっともっとPRすることによって、こういうひどいことがある、だけれどもそれを乗り越えるにはこうしたらいいんだというのをもう少ししっかりPRをしていただきたいし、この自治体の構造改革も、景気との関連ということで、竹中大臣も、また金融の御担当の柳澤大臣も、やはり総合的に今考える必要がある、ばらんばらんじゃなくて。ですから、今こういった時期はチャンスであるという考え方を常にお持ちいただきたいというふうに思っております。
 竹中大臣とそれから片山総務大臣には御苦労さまでございました。ありがとうございました。
 それでは、あと柳澤大臣に一点だけこの部分を伺いたいのですが、ちょうどここへ来る直前も、超党派の議員で、いわゆる朝銀信用組合、朝銀信組に関しての会を開いてきたばかりでございます。この朝銀信組に対しても、今後の公的資金の注入、再注入ということになる、そういう金融の法律となっているわけでございますが、保護すべきものと、してはならないもの、国家としてしてはならないものとの区別をきっちりやるべきではないかというのが議員連盟の総意でございます。
 そういったことから、今後の朝銀信組に対しての対応、前回も予算委員会のときにお尋ねをしたのでございますけれども、ちょっとお答えが十分ではなかったかと思いますので、いま一度この点をお答え願いたいと思います。
柳澤国務大臣 朝銀信組は、言うまでもなく、我が国の法律に基づいて設立されました我が国の金融機関でございます。その意味では、他の金融機関と同様に、預金等全額保護のため、法令に基づきまして、三月三十一日の特例措置期限までに所要の手続をとった上で資金援助を行うことになると考えております。
 他方、破綻朝銀信組につきましては、仮名、借名の預金口座や架空の預金口座の問題が指摘をされておりまして、現在、金融整理管財人におきまして、その実態の把握に努めているところであると承知をいたしております。
 破綻朝銀信組において仮名、借名の預金口座が一部存在することは、これは確認できますが、これまでのところ、実体のない捏造された架空預金口座、つまり、口座がありながら、預金されたということが言われながら実際には預金そのものが行われなかったというような口座でございますが、その存在は把握をされておりません。金融整理管財人におきましては、現在も仮名、借名や架空の預金口座に係る調査を続行中でありますが、このような調査の結果、実体のない捏造された架空の預金であると確認されるものが出てくれば、これについては、当然のことながら、資金援助により保護される預金債務自体が存在しないという扱いになるものと考えております。
 金融整理管財人におきましては、三月三十一日の特例措置期限後も、事業譲渡まで引き続き架空預金口座の調査に鋭意取り組んでいくこととなりますが、譲渡時点におきまして引き続き確認作業が必要な口座があるような場合には、当該預金についていわゆるイヤマークを付しまして、譲渡後も的確にこれを管理していく必要があると考えております。
小池委員 ありがとうございました。
 つまり、三月三十一日というそのいわゆるデッドラインを越えても、調査すべきことは続けていくというお答えをちょうだいいたしました。ぜひそうしていただきたいと思います。保護すべきものと保護する必要のないものとをしっかりと区別、区分けをしていただくことが、金融への信頼に結局はつながっていくのだと考えているところでございます。
 柳澤大臣もこれで結構でございます。ありがとうございました。
 それから、この朝銀問題なんですけれども、外交関係がございませんので大使館ではございませんが、大使館的な役割を果たしていた朝鮮総連に初めて捜査のメスが入ったというのは、これはもう本当に大変大きなことでございましたが、その捜査に入られた以降の捜査の状況はいかになっていますでしょうか、お答えいただきたいと思います。
吉村政府参考人 全国で幾つかの朝銀信用組合が破綻をしているわけでありますが、破綻した朝銀信組については、警視庁と兵庫県警におきまして、去年の秋以降、検査忌避事件をいわば入り口として鋭意捜査を進めてきました。朝銀東京、朝銀近畿等の元理事長ら二十四人を背任、業務上横領等により逮捕したところでございます。
 その捜査の一環として、お尋ねの朝銀東京につきましては、警視庁におきまして約八億四千万円の業務上横領事件を解明するために、元朝総連の財政局長を逮捕するとともに、昨年の十一月二十九日でありますが、朝総連中央本部等の捜索を実施しております。
 これらの捜査の結果、平成六年から十年にかけて、当時の朝総連財政局長が当時の朝銀東京の役職員と共謀の上、約八億四千万円を着服、横領して、朝鮮総連の借入金の返済あるいはその活動資金等に充てていた事実を解明しております。
 事案の全貌につきましては、ことしの二月十三、十四日にそれぞれ第一回公判が開かれたことでもございますので、今後の公判において明らかにされるものと思います。
小池委員 やはり、問題を抱えているところにはしっかりと捜査のメスを入れていただきたいし、そしてまた、それに対してのしっかりとしたその後の検証ということをお願いしたいと思っております。
 と申しますのも、どうも朝鮮総連の本部に入るときの様子をテレビなどで伺っておりまして、何だかお伺いを立てて行くようなことで、例えば、では野村沙知代さんのところに入るときにはどうだったのかといったら、だだだっと入って四箱も箱を持ち出して、朝鮮総連のときはたしか二箱しか持ってこなかったというふうに思っております。
 どうもその辺のところが、私とすれば、捜査として気合いがどれぐらい入っていたのかどうかというのは若干疑問に思うところでございますが、大変関心の高い問題でございますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 さて、官房長官、お待ちしておりました。
 早速でございますけれども、ブッシュ大統領の訪日で、幾つかの首脳会談にも御参加、御同席されたと思いますが、いかがでございますか。今回の日米首脳会談、官房長官の目から見て何点満点だったというふうにお思いになりますか。
福田国務大臣 点数だけ申し上げれば、謙虚に、謙虚に見積もって、八十点と思っております。
小池委員 どこが何点でと、別にアーティスティックとかテクニカルポイントとかそういうふうに伺いませんが、私は、本当に感じましたのは、小泉総理とそれからブッシュ大統領はケミストリーが合うというか、まさにウマが合う。これは大変、二国間にとってかえることのできない重要なポイントだというふうに思っております。
 そのウマが合うではございませんが、昨日、明治神宮の方で流鏑馬をともにごらんになった。ただ、本殿の方でブッシュ大統領が、ごあいさつというのでしょうか、いらっしゃったときには、小泉総理は車の中で約十分間待機しておられたということでございまして、伊勢神宮の方には私的ということでございましょうけれども、ああやってお参りに行かれるのに、何で明治神宮のときにそんなに遠慮しなくてはいけないのというのが国民一般の声なんですね。このあたりはどういう判断で今回そういう対応をとられたのか、官房長官に伺います。
福田国務大臣 今回、ブッシュ大統領がおいでになるというところで、大統領側からいろいろ要望がございました。
 その中で、我が国の歴史的な建造物とか伝統的な文化を視察したい、こういうふうなことがありまして、そしてまた、あれはたしか上海のAPECか何かのときに、総理が流鏑馬の矢を差し上げたというようなことがあったもので、そのことを覚えていらして、向こうから流鏑馬を見たい、こんなふうな話がございました。そういうことで、じゃ、流鏑馬を見ていただこう、こういうことになったわけでございます。そのときにブッシュ大統領の方から、それにあわせて、明治神宮でということであるならば、明治神宮にお参りをしたい、こういう申し出があったということでございます。
 流鏑馬を見るということが中心でございまして、総理がお参りしないのはおかしいのじゃないかとかいうようなことではないかというふうに思うのですけれども、これは、ブッシュ大統領がどうしても明治神宮にお参りをしたいという申し出、特にというお申し出があったものですから、そういうことで実現をしたということであります。
 まあ、ちょっと考えてみてください。アーリントン墓地なんかは日本の総理も行かれると思いますけれども、そういうときに大統領はついてきませんよね。それから、明治神宮にブッシュ大統領が行かれて、その後をついて一緒にお参りする、何となくちょっと感じが違うようなこともございますし、それから神宮の本殿と流鏑馬の場所が、ちょっと距離も離れているというようなことがございました。
 明治神宮に総理が行かれるのであれば、静かな雰囲気で、お一人で行かれるのが一番好ましいのではないかというように私は個人的には思いますし、そういうようなことも考えまして、流鏑馬を一緒に見るということで合意ができたわけで、合意というわけでもございませんけれども、別にそういうふうに、向こうの方も問題にしているわけではございませんし、非常に自然な形でもって行われたというように思っております。
小池委員 何か、わかるようなわからないようなところがございまして、大体、いろいろと、憲法上の問題とかが出てくると常によく言われるわけでございますけれども、法制局、今回、大統領とともにですね、公式になってしまうからだめだ、そういうことが憲法上の制約として出てくるのでしょうか。法制局長官、いかがでしょうか。
津野政府特別補佐人 一般論としてお答えさせていただきます。
 憲法は、第二十条第三項におきまして、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と定めるなどいたしまして、いわゆる政教分離の原則を定めているわけでございます。
 お尋ねの、外国の賓客が宗教施設を訪問するのに我が国の閣僚が同行し、ともに参拝することについては、それが国の機関の行為として行われるものであれば、これは政教分離との関係が問題となるわけでございます。
 このような閣僚の行為が国の機関に当たるかどうかというのは、これは外国賓客の宗教施設への訪問の目的とか、あるいは我が国の閣僚が同行する趣旨などの具体的な事情に照らして判断されることになるわけでございますが、一般的にはこれに当たるとされることが多いというふうに考えられるわけでございます。
 閣僚の行為が国の機関の行為に当たるとした場合に、その行為と政教分離の原則との関係につきましては、これは最高裁判所がかつて判例を示してございますが、有名な津地鎮祭の判例というのがございますが、それに示された考え方に従って慎重に判断されるべき問題であるというふうに考えております。
 ちなみに、この判例の考え方でございますけれども、これは要約して申し上げますと、第一に、憲法第二十条第三項に言う「宗教的活動」とは、およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つものすべてを指すのではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いが我が国の社会的、文化的条件に照らし相当とされる限度を超えるものに限られ、当該行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉になるような行為をいうものと解すべきであるという前提がまずありまして、その第二に、そのようなある行為がこのような宗教的活動に該当するかどうかを検討するには、当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく、当該行為の行われる場所、当該行為に対する一般人の宗教的評価、当該行為者が当該行為を行うについての意図、目的及び宗教的意識の有無、程度、当該行為の一般人に与える効果、影響など、諸般の事情を考慮し、社会通念に従って客観的に判断すべきものである、こういう判例があるわけでございます。
小池委員 私は、去年の八月十五日、靖国神社に参拝するとあれだけ声を高らかにおっしゃったのが、結局なぜか十三日になって、靖国神社よりもっと問題はないであろうと思われる明治神宮には車で外で十分待っているというのは、どうも解せないな、一貫性が見出せないように思うのでございます。
 ここは、今の法制局長官に、私がお呼びしていて伺っているのでなんですけれども、やはりこういうことは、まさに政治判断というか外交マナーの問題でもあろうというふうに思うわけでございまして、それと、まさに信教の自由でございますね。ですから、憲法というのならば、信教の自由の方も守るべきではないか。議論が逆になってしまうのではないかなと。
 私は今回のことについても、前のカーターさんなどのときには、日本の当時の総理は別に、そもそもいらっしゃらなかったといった点もございますから、かなりその意味では進歩はしているのかもしれません。しかし、一日本人としてというか多くの日本人の感情とすれば、どうもこういったことの余りのぎくしゃくというのを今後もずっと続けていくのかと思うと、ちょっと日本という国は一体なあというふうに思ってしまうわけでございます。
 ぜひともこれは政治の判断として今後とも毅然とした態度でやっていただきたいし、今日本の問題は自信を取り戻すことであるということできのうの日米首脳会談の会見のときにもおっしゃっていましたけれども、こういったことが全部総合的に今日本人の自信喪失につながってきているんじゃないでしょうか。私は、金融、公的資本どうのこうののことよりも、むしろそっちの方の問題の方が大きいというふうに思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、今私が考えますに、不審船の引き揚げの問題しかり、そしてまた今回のこの明治神宮も、それから靖国神社の問題しかり、教科書問題しかり、こういう一連の問題のところで日本としての主体性を持たないのが一番の日本の危機の原因であると私は思っているわけでございまして、この主体性を取り戻すというのは、何よりも構造改革以上に重要な問題であると私は思うわけでございます。
 さて、その主体性の中におきまして、前回の予算委員会で私、質問させていただきました不審船の問題も、あのときは、政治的な意思として不審船を引き揚げるんですか、引き揚げないんですかと総理にお尋ねしたんですけれども、何かはぐらかされてしまいましたが、時間がたつにつれて、どうやら引き揚げる方向のようでございますが、そういうふうに受け取ってよろしいんでしょうか。
福田国務大臣 前にも答弁いたしましたけれども、関係当局において現在鋭意捜査を進めているということでありまして、事実解明というのは、これはもう大事なことでありますので、全力を尽くさなければいけないと思います。
 これまでのところ、船体の引き揚げ、潜水調査ということは行っておりません。これは、この季節における気候条件というか、波が高いんですよ、あの地域は。それが、波が穏やかになるのが四月の後半だというように聞いております、当初から聞いておりますけれども。ですから、引き揚げる、引き揚げるといったって、すぐ引き揚げるとか、そういうふうな話にならないので、その前にやることは幾つかあるわけです。例えば、これは、位置の特定をするサイドスキャナーですか、スキャンソナーというんですか、それから船体確認をする自航式の水中テレビ装置を入れるとか、そういうことをして、その次に潜水士、ダイバーを入れる、こういうようなことなんです。
 いずれにしても、波が落ちつかないとそういうことはできないということがありますので、その時期を待たなければいけないということがございます。しかし、一番最初に申し上げたような船体確認、位置特定、この辺はそう遠くなくできるんではないかという見通しは持っております。そういう手続を踏んだ上でその次の段階を考える、その段階、段階でもって、様子を確認しながら、安全も確認しながらやっていくということになります。
 そういうことで、いずれそういうような判断をしなければいけないというか、する時期が来るんだろうというふうに思っておりますけれども、もう少し時間がかかると思います。
 現場は、我が国が事実上中国の排他的経済水域として扱っている地域でありますから、これは中国とも調整を図りつつ適切に対処をする、こういうことになるわけです。
小池委員 ですから、気候条件等々のことは、それはそうなんですが、私は、ずっと同じことを聞いたのは、政治的な意思としてあるのかないのかということをずっと伺い続けてきているわけでございまして、ですから、それはもちろんあるということと、それから、四月後半ぐらいになるであろうというふうに理解をさせていただきたいと思っております。
 私は、政治的な意思をまず明確に出すべきだということをずっと言っているわけでございます。だって、ハワイ沖のえひめ丸、六百メートルも深くに沈んでいて、これはもう御遺族の気持ちも酌んで、揚げる揚げるということを必死になってやってきました。これは一種の大変不幸な事故でございました。
 片や、この不審船の問題は、将来一億二千万人の命にかかわるかもしれない問題だからこそ、ましてや水深九十メートルのところでございます。中国のEEZの問題は、これはございます。これは外交的努力でやっていくべきでございます。しかしながら、これは北朝鮮からの船である、ある種の定期的な、レギュラーな、航路とは申しませんが、こういうことはしょっちゅうありますよとアメリカは明確に言っているわけでございます。ということは、悪の枢軸国の中の一つに入るわけでございますが、これは我が国の安全のために、この不審船の問題、戦後初めて戦火を交えたあの事件でございますよね。
 ですから、私は、えひめ丸と全く次元の違う話で、絶対一緒にはしたくなかったんですけれども、あのときに一生懸命みんながわあわあと引き揚げろということを言っていたということであるならば、この不審船の問題は、さらに、将来の一億二千万人、日本の国民の安心、安全を確保するためには、ぜひともその問題の解明を急がなければならない。なおかつ、中に沈んでいるものが何かよくまだもちろんわかりませんけれども、早く揚げなければ、中身の問題も、いろいろと腐乱してしまう、飛び散ってしまってわからなくなったりするので、これはむしろ時間を早く揚げるべきことが調査の目的にかなうのではないかというふうに思っているわけでございまして、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、もう時間がなくなりましたけれども、最後、私の第二のふるさとではございますが、非常に心が痛む毎日でございます、中東情勢に対しての我が国のスタンスということを伺いたいと思っております。
 今、パレスチナ暫定自治政府のアラファト議長が、昨年の秋以来、一種の幽閉状態に置かれているわけでございまして、ヨルダン川西岸のラマッラという地、大統領府と呼んでいるところがございまして、私もそちらで議長とお目にかかってまいりました。そして、目の前に戦車がずっと待機している、待機というのか見張っているわけでございまして、これは個人の行動の自由も阻害している。
 フランスなどは、こういう幽閉状態にパレスチナのアラファト議長を置いておくことに対して抗議を明確に出しております。日本の外務省として、これについて抗議の言葉を発したのかどうか、そしてまた、今後そういうことをすべきだとお考えになっておられるのか、なっていないのか、この点、外務大臣から伺いたいと存じます。
川口国務大臣 アラファト議長の幽閉の件につきましては、今委員がおっしゃられたとおり、昨年の十二月の初旬のパレスチナ過激派による連続自爆テロの発生を受けた、イスラエル軍による西岸、パレスチナ地区ラマッラへの侵攻以降、アラファト議長の事実上の行動の自由を妨げているという事態が発生をしているということでございます。
 私どもの考え方といたしましては、まず、アラファト議長が過激派を含む暴力停止のために最大限の努力を行うということが大事であるというふうに思います。ただ、イスラエル側も、このアラファト議長の努力に対して建設的に対応をする必要があるというふうに考えております。
 この観点から申しますと、イスラエル軍がパレスチナ自治区に侵攻してアラファト議長の移動の自由を制限していることは、同議長が過激派を取り締まる行動の自由を損ねているということでございますので、これは事態の鎮静化には資さないと私どもは考えております。
小池委員 それで、お答えの方なんですが、日本として、我が国として、幽閉状態に置かれている、非人道的な状況にある、これはパレスチナの議長だからとかなんかじゃなくて、個人としてもやはり私は非人道的だと思います。
 だから、私は、そういったことは、むしろイスラエル、あっちも悪いしこっちも悪いといっていたら物事始まらないし、確かにそのとおりなんですけれども、やはりこういうユニバーサルな、普遍的な、人道的な問題とかは、私は、むしろスピード感を持ってぽんと言っておいた方がいいと思うんですよ。そうじゃないと、日本は音なしの構えなんですよ、今のところまだこの外交問題について。アメリカの方はむしろ、どっちもお互い疲れ切るまで戦わせろと言いつつ、やはり外交努力しているんですね。
 だから、見えないんですよ、一言で言えば。もったいないんです。パレスチナに対しての私たちのこれまでの支援、それに対してイスラエルは空爆をかけている。我々がドナーとしてつくったさまざまな施設なども、ほかの国の施設もそうです、空爆に遭って、ドナー国としてだって怒るべきですよ。また一方で、パレスチナ、アラファト議長に、ハマスに対して、そしてヒズボラに対して、これはどうなっているんだといって、そこのところはやはり追及しなくちゃならない。お互いにその辺のところを、日本はもっと背筋をしゃんとして、両方にぴしっと言うべきだと思う。私はそれが外交だと思う。いかがでしょうか。
川口国務大臣 物事を解決しようとするときに、片方だけにぴしゃっと言うのも一つのやり方でございましょうし、両方に必要なことを言うということも必要でございましょうし、それはそのケース・バイ・ケースであるかというふうに思います。
 この件につきましては、日本政府は、背筋をしゃんといたしまして、申し上げることは申し上げているということでして、例えば一月の八日に小泉総理が親書を出されまして、シャロン首相あてに、イスラエル側として、アラファト議長が率いる自治政府との意思疎通を含めまして建設的に対応すべきであるということを申し上げておりますし、同じく親書で、アラファト議長に対しても、過激派の取り締まりが重要であるということを言っております。
 一例を申し上げればそういうことです。
小池委員 あと、私も、イスラエルとパレスチナ、同じところにあるわけですから両方行くわけですが、それぞれの国、それぞれの方々がおっしゃっていました。各国の外務大臣はみんな来てくれているのに、日本の外務大臣だけが来ないと。まあ別にそれで向こうが点数をつけているわけではございませんけれども、やはり目に見える外交を、そして意味のある外交を、ぜひとも川口新外務大臣にはしていただきたい。これまでの外交の分をしっかりと取り戻していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
津島委員長 これにて小池君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十日午前八時五十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.