衆議院

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第16号 平成14年2月22日(金曜日)

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平成十四年二月二十二日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 津島 雄二君
   理事 伊藤 公介君 理事 木村 義雄君
   理事 北村 直人君 理事 小林 興起君
   理事 藤井 孝男君 理事 城島 正光君
   理事 原口 一博君 理事 松本 剛明君
   理事 井上 義久君
      伊藤信太郎君    伊吹 文明君
      石川 要三君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    衛藤征士郎君
      大原 一三君    岡下 信子君
      金子 恭之君    上川 陽子君
      亀井 善之君    倉田 雅年君
      栗原 博久君    小坂 憲次君
      小島 敏男君    近藤 基彦君
      阪上 善秀君    高鳥  修君
      谷田 武彦君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    野田 聖子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      細田 博之君    三塚  博君
      宮本 一三君    持永 和見君
      八代 英太君    赤松 広隆君
      五十嵐文彦君    池田 元久君
      岩國 哲人君    河村たかし君
      武正 公一君    筒井 信隆君
      中沢 健次君    中津川博郷君
      長妻  昭君    野田 佳彦君
      古川 元久君    松野 頼久君
      松原  仁君    山田 敏雅君
      山井 和則君    青山 二三君
      赤松 正雄君    桝屋 敬悟君
      達増 拓也君    中井  洽君
      中塚 一宏君    樋高  剛君
      大森  猛君    佐々木憲昭君
      重野 安正君    辻元 清美君
      横光 克彦君    井上 喜一君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       武部  勤君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   環境大臣         大木  浩君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 村井  仁君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   総務副大臣        若松 謙維君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局ア
   フリカ審議官)      小田野展丈君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (国税庁次長)      福田  進君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長
   )            日比  徹君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局次
   長)           青木  功君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  辻  哲夫君
   政府参考人
   (厚生労働省政策統括官) 石本 宏昭君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部長)  冨岡  悟君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  石川 要三君     金子 恭之君
  大原 一三君     谷田 武彦君
  奥野 誠亮君     阪上 善秀君
  亀井 善之君     岩崎 忠夫君
  小坂 憲次君     倉田 雅年君
  高鳥  修君     岩倉 博文君
  丹羽 雄哉君     上川 陽子君
  野田 聖子君     伊藤信太郎君
  池田 元久君     山田 敏雅君
  岩國 哲人君     中津川博郷君
  枝野 幸男君     長妻  昭君
  野田 佳彦君     武正 公一君
  松野 頼久君     古川 元久君
  赤松 正雄君     桝屋 敬悟君
  中塚 一宏君     樋高  剛君
  山口 富男君     大森  猛君
  辻元 清美君     重野 安正君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     野田 聖子君
  岩倉 博文君     高鳥  修君
  岩崎 忠夫君     亀井 善之君
  金子 恭之君     石川 要三君
  上川 陽子君     丹羽 雄哉君
  倉田 雅年君     近藤 基彦君
  阪上 善秀君     奥野 誠亮君
  谷田 武彦君     岡下 信子君
  武正 公一君     野田 佳彦君
  中津川博郷君     山井 和則君
  長妻  昭君     枝野 幸男君
  古川 元久君     松野 頼久君
  山田 敏雅君     池田 元久君
  桝屋 敬悟君     赤松 正雄君
  樋高  剛君     中塚 一宏君
  大森  猛君     山口 富男君
  重野 安正君     辻元 清美君
同日
 辞任         補欠選任
  岡下 信子君     大原 一三君
  近藤 基彦君     小坂 憲次君
  山井 和則君     松原  仁君
同日
 辞任         補欠選任
  松原  仁君     岩國 哲人君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――
津島委員長 これより会議を開きます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長小町恭士君、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君、財務省理財局長寺澤辰麿君、国税庁次長福田進君、厚生労働省労働基準局長日比徹君、厚生労働省職業安定局次長青木功君、厚生労働省年金局長辻哲夫君、厚生労働省政策統括官石本宏昭君、社会保険庁運営部長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川元久君。
古川委員 おはようございます。民主党の古川元久でございます。
 まず竹中大臣、先日は、あれは一泊三日になったんでしょうか、私も参加させていただきましたけれども、ニューヨークで行われましたダボス会議、お疲れさまでございました。そのときに、たしか小泉エフェクトでしたか、そのセッションがあって、大臣は飛行機に乗らなきゃいけないということで、一時間弱おられて先に席を立たれたわけなんですけれども、実はその後、あの席にパネリストとして同席をしておられましたファイザー製薬のマッキンネル会長が、小泉改革について改革のスピードが遅いと言った上で、なぜ改革のスピードを上げなきゃいけないかというその理由の一つとして、とにかく日本の場合は、目の前に急速な少子高齢化が進んでいて人口が減少するという、そういう時代が目の前にある、そういう中で改革のスピードというものを上げていかないと非常に困難な状況に陥ると。たしかそんなようなことを、改革のスピードが遅い、なぜスピードを上げなきゃいけないかという理由として挙げておられたというふうに私は記憶をしております。
 まさに少子高齢化、そして人口減少というのについては、我々日本の社会経済構造、システムを考える上で極めて大きな問題だと思うんですけれども、先日、平成十二年度国勢調査人口に基づいて、将来推計人口が発表されました。
 総人口のピーク、これは、前回の平成九年のときに発表された推計ですと、二〇〇七年がピークだというふうに言っていたんですが、今回発表されたら、それが二〇〇六年になっていたわけですね。そうすると、一年早くピークが来て、早く人口減少が始まるということになったわけです。
 また、合計特殊出生率も、二〇五〇年で一・六一だと言われていたのが、今度では、これは中位推計ですけれども、一・三九というふうにこれも大幅に低下して、少子化の一層の進展というものが明らかになったわけであります。
 これはますます改革のスピードを上げないと、先に人口が減り始めるというゆゆしい事態になっていると思うんですが、ここはちょっと通告してありませんけれども、こういう人口の減少、急速な人口減少が進んでいる、そういう事実について竹中大臣はどのようなお考え、所感をお持ちでしょうか。
竹中国務大臣 ダボス会議の小泉エフェクトのセッションは、その部分は私聞かせていただくことができなかったんですが、日本の改革が急がれるということの非常に大きな要因として、御指摘のとおり、やはり人口的な変化、デモグラフィックな変化が予想以上に速いという点は間違いなくあろうかと思います。
 先般、「改革と展望」の中で、プライマリーバランスを回復させるというシナリオを書かせていただきましたけれども、そこにおいても、やはり人口減少がかなり早い時期から始まる、そういった危機感を持って、できるだけ早い時期にプライマリーバランスを回復させなければいけない、人口が減少するもとでの財政再建というのはもう大変なことになるという危機感を持ってそういったものを書かせていただいたつもりであります。
 ただ、いずれにしましても、改革そのものは相当のペースで私たち自身はやっているつもりでありますが、一方で外的条件の変化というのも非常に速い、御指摘のとおりでありまして、改革に関しては一層のスピードアップの努力をしなければ、これは本当に大変なことになるというふうに思っております。
古川委員 今竹中大臣から、予想以上に人口減少のスピードが速いとおっしゃったんですが、そもそもこれは予想以上にと言っていいのかどうか、これについて、今から将来人口推計についてちょっとお伺いしたいと思います。
 これまで過去二十年にわたって、実は、人口推計は出されるたびに下方修正されてきたんですね。まあ四連敗していると言ってもいいかもしれませんけれども。実は、この人口推計をベースにして、これまでの五年ごとの年金制度の改革というものも行われてきたわけであります。こういう将来人口推計ですから、これだけの保険料の引き上げと給付の削減というのをやればこれで高齢化社会を乗り越えられますよ、一番の高齢化のピークを乗り越えられます、たしか政府は年金改革のたびにそう言ってきたんじゃないかと思うんですね。
 ところが、年金改革、これでとりあえずは大丈夫ですと言っていたのが、次の人口推計が発表されると、また、これではならない、また人口が減少しちゃうからもう一層の給付の削減や保険料の引き上げをやらないと、そういう繰り返しをしてきたわけですね。そのことが、私は、年金制度に対する国民の多くの、特に我々若い世代、私たち以上のもっと若い世代はもっと年金制度に対して不信感を抱くということになっている、その背景になってきたのではないかというふうに思っています。
 そう考えますと、なぜこんなに、過去二十年にわたって毎回毎回下方修正を繰り返す羽目になったのか。これは予想以上に、事実が予想を先行していた、そういう御答弁になるのかもしれませんけれども、しかし、これだけ、一回や二回間違えるというのならわかりますが、四回も続くとなると、これは一体ちゃんと予想する能力があるのかと。あるいは意図的に、この数値をそんなに下方に予想しないで高目に予想しておいて、そして、年金制度、抜本的な改革というものまで踏み込まない程度で済むような、そういう人口推計に対して操作がされているんではないか、そういう疑念さえ持ちかねないぐらいに、やはりこれは四回も連続して下方修正が続けられるとそう思ってしまうわけですね。
 ですから、こんなに四回も下方修正が続いたということは、そろそろここで、なぜ今までこんなに四回も続けて下方修正をせざるを得なかったのか、毎回毎回、いや予想以上に事態が進行しましたというのでは、これではちょっとなかなか理解しがたいものがありまして、そういう前提で言われるのであれば、今度の人口推計だって、本当にこれで五年後この推計で、中位推計をベースにしたような年金制度改革をまた、今もう議論が始まっておるわけなんですけれども、していいのか、そういう年金制度についての議論をする一番ベースの数字に対しての疑念が消えないわけであります。
 ですから、ここではやはり、この将来人口推計について、なぜこれまで四回も続けて下方修正せざるを得なかったのか、きちんと総括をした上で、そして、今度はこういう形でちゃんと将来予想される事態というものを取り入れたから、次にまた大幅な下方修正というようなことはあり得ない、なるほどと国民が思えるような、そういう説明をしていただかないと、私は、この年金制度改革の議論をするに当たってなかなか建設的な議論ができないと思うんですが、その辺の総括はどうなっているんでしょうか。
石本政府参考人 お答えいたします。
 我が国の将来人口の推計は、国立社会保障・人口問題研究所におきまして、五年に一度、直近の国勢調査結果に基づきまして、人口学的、統計学的な手法により行っております。
 過去四回の将来人口推計におきます合計特殊出生率を中位推計で見ますと、昭和六十一年と平成四年推計におきましては、二〇二五年までの推計でございますが、それぞれ二・〇〇、一・八〇という結果となっております。また、平成九年及び今回推計におきましては、二〇五〇年までの推計でございまして、それぞれ一・六一、一・三九という結果でございます。
 具体的には、昭和六十一年の推計でございますけれども、これまでは過去の出生率が比較的長年安定しておりましたために、二・〇前後を維持すると設定したところでございます。平成四年推計におきましては、晩婚化によります出生率の低下がかなり見られてまいりました。このため、新たな推計モデルを採用したところでございます。さらに、平成九年におきましては、晩婚化だけではなくて未婚化がかなり進展してきたということでございまして、さらに厳しい推計となった次第でございます。今回の推計では、晩婚化、未婚化といったほかに、新たに夫婦の出生力そのものが低下してきたというふうな事実が認められてきておりまして、社会保障審議会人口部会におきまして慎重に御審議をいただいたところでございます。
 いずれにいたしましても、人口推計は、いずれも各時点におきます直近の多くのデータを分析しまして、また、国連や欧米諸国の推計手法も参考にして、最新の予測技術を用いて推計しているところでございます。今回の推計につきましても、現在において考えられる最善のものであるというふうに理解をしております。
古川委員 今のお話を聞いていると、要は、人口推計というのは過去のこと、過去に、今までに、現時点までに起きてきたその事象だけをベースにして予測している、そういう認識でいいわけですか。将来起こり得るようないろいろな要素というのは考慮していない、過去に起こったことだけだ、そういう認識でいいですか。
石本政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたけれども、人口推計、いずれも、その時点におきまして直近の時点のデータも多く分析しまして、さまざまな推計手法、学識経験者等の御意見も賜りながら、最新の予測技術を用いて推計している結果でございます。
古川委員 最新の予測技術を駆使してと言うんですけれども、そもそも平成九年度に推計されたときから、ちまたでは、この中位推計は高過ぎるじゃないかという話。竹中大臣なんかもそうやって経済学者として思っていらっしゃったんじゃないかと思いますけれども、ちまたでは言われたわけですよね。あるシンクタンクのレポートなんかにも、各省庁は中位推計を用いている、ところが、実際には低位推計を維持するのが精いっぱいではないかと考えられるというような、民間の人たちはみんなそういうことを言っていたわけですね。
 結局、役所よりも、人口問題研究所、その今の人口推計を出していらっしゃる部署よりも、民間の方がそういう意味では将来予測については能力がある。政府は、とにかく過去の事例をベースにした将来予測しかできない、いろいろな将来起こってくるであろうそうした事態を含めての推計はできる能力はない、そういうことを言っておられるというふうに理解してよろしいですか。
石本政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたけれども、さまざまな直近の多くのデータを分析しまして、また各国、国連の推計手法も参考にしまして、また社会保障人口部会におきましては、民間も含め、各界の人口学、統計学、社会学、経済学のメンバーにお集まりいただきまして、さまざまな議論を踏まえて今回の推計が出たところでございます。
古川委員 坂口大臣、今の答弁を聞いてどう思いますか。こういう人口推計、それベースに年金の制度、将来までちゃんと安定したそういう制度設計をしようというんですよ、これ。こういうベースで考えていたら、大臣だって不安になるでしょう。今回出たベースだって、中位推計でやっていいなんていうふうに思いますか、今の答弁聞いていて。どうですか。
坂口国務大臣 統計学的には最善の手法によって立派な先生方がおやりをいただいているんでしょうから、それに対して私がとやかく言う立場にはないというふうに思いますけれども、しかし、結果として、この四回出された推計を下回ったことだけは事実でございます。推測される予測よりもさらに現実は進んだと言ってしまえばそれまでだというふうには思うんですけれども、今回の一・三九というのは、それじゃ今回もこれは難しいかといえば、この一・三九という数字は、現在の先進諸国の中での合計特殊出生率を見ますと、そんなにこれが高いというわけではない。ですから、大体落ちつくべきところに落ちついてきたのではないかという気がいたしますけれども、しかし、これからの政策いかんによってそれはさらに下がることだって考えておかなきゃいけないという気が私はいたします。
 それだけに、一・三九という出されたこの数字を維持するためには、かなり努力が必要である。努力なしにこの数字を維持することはなかなか難しい。少子化対策というものをうんとやって、それによってこれは維持される数字というふうに私は思っております。
古川委員 今、図らずも大臣が言われたわけですけれども、そうしたら、これからやるかやらないかわからない少子化対策を前提にして、それで何とかこの一・三九がもつんじゃないかというのでは、普通では将来推計というのは、そういうことがなかった場合として、このまま放置しておいたらどうなるだろうかというので計算するんじゃないですか。
 まだ何にも具体化されていない、そして現実に政策にまで落とし込まれていない、そういう少子化対策が行われるであろうということも、さっきの話でいうと、過去のデータだけから見てこの一・三九を出してきたというふうに言われているわけですよ。ところが、今の大臣のお話を聞くと、将来これを維持するためには相当な、いろいろな少子化対策を打っていかなきゃいけない、そうやって言われているわけですよね。財務大臣、聞いていて、これはおかしいじゃないかと思うと思うんですが。
 いいですか、推計の方は過去をベースにして将来を予測しているんだと。しかし、今大臣の考えで見ると、それはかなり、将来的にやるであろう少子化対策というものもベースに入れた上で何とかこの一・三九というのはもてるんじゃないかなという認識を持っておられるというふうに私は受け取りましたが、それで正しいですか。
坂口国務大臣 今までの経緯をずっと見ました場合に、現実の進み方というのは推計よりもかなり先を行っているという現実があるわけでありますし、しかし、そうはいいますものの、先ほど申しましたように、一・三九というこの合計特殊出生率の値は、先進国の中における数字としてはかなり落ちついた値と申しますか、到達すべき値に近づいているという気はいたします。
 しかし、日本の中を見ましても、東京都のように一・〇に近づいているところもあるわけでございますし、その中の一つの区をとってみますと、杉並でしたかどこでしたか、杉並だったというふうに思いますが、〇・八というような数字になってきているところもある。
 ですから、これからの政治のあり方によりましては、私は、さらに落ち込むことだってあり得るわけでありますので、そこはやはり気をつけてやっていかなければならないということを申し上げているわけでございます。
古川委員 ちょっと別の切り口から見てみますと、昭和六十一年度の人口推計で、低位推計が二〇二五年で一・八五、平成四年度の推計の中位推計は二〇二五年で一・八〇。実は、昭和六十一年の中位推計は二・〇ですから、その中位推計よりも、六十一年に出された低位推計と五年後に出された平成四年の人口推計の中位推計は数字的に近いわけですね。
 今度、平成四年と平成九年の間は、特殊出生率を算定するその基準となる年が二〇二五年から二〇五〇年に二十五年先になっていますから比較できないんですけれども、平成九年と平成十四年を比較すると、平成九年のときの低位推計が一・三八、今回の中位推計が一・三九。ですから、これも、実は前の推計の低位推計に似ているわけなんですね。
 これは、たまたま偶然ということなのかもしれませんけれども、そういう過去のこれを見てみると、今議論されている年金制度改革のベースなんかは、むしろ今度出た一・三九という中位推計よりも、今回出た一・一〇という低位推計をベースにして議論した方が、その方が年金制度は本当に抜本改革に進む、そういうある意味でかたい人口推計ということになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
石本政府参考人 お答えいたします。
 ただいまの低位推計と中位推計との関連でございますが、既に公表しております国立社会保障・人口問題研究所の資料におきましても、この低位推計は東京都の未婚率あるいは結婚年齢というものを前提に置いた数字になっておりまして、そういう意味で、例えば平成九年推計の一・三八と今回の中位推計一・三九がたまたま似ているということでございますが、推計の手法あるいは推計の考え方は基本的に違うものでありますことを御理解いただきたいと思います。
古川委員 推計のあり方が違うといっても、たまたまと言われても、これだけ二回、平成四年と九年がちょっと比較できないんですけれども、二回続けて低位推計と中位推計の数字が極めて似通っているとなると、そちらでやはり推計をして、それをベースにして議論をした方がいいんじゃないのかなというふうに思えてくるわけですよね、普通に見たら。
 どうですか、大臣。これでも、やはり今回の中位推計で今度の年金制度改革もやればいい、そして、それで大丈夫だ、そういうふうに断言できますと、そう自信を持って言えますか。
坂口国務大臣 将来のことでありますから、私が予言することもなかなか難しいというふうに思いますが、しかし、先ほど申しましたように、合計特殊出生率は、だんだんと諸外国の平均値に近づきつつあるというふうには思っております。したがって、多少の上下はあったといたしましても、そんなに大きく今度は今までほど狂うことではないのではないかという気がいたします。
古川委員 諸外国と言われますけれども、やはり日本の急速な高齢化の進行のスピードというのは諸外国に例を見ないスピードで進んでいるわけですよね。それを、諸外国と比べて大体同じような水準に来たからもう大丈夫ですよというのでは、これは国民からすればとても納得はできないですし、それで本当に安心してこの数字でやっていいのかという不安はやはり起きてくると思うんですね。
 ですから、これ以上私もここでこの人口推計については深入りはしませんけれども、今度、年金制度改革をやるベースに本当に今回の中位推計を使ってやっていいのかどうか。そうした年金制度についての議論をする一番ベースとなる数字ですから、そこについては、私は、きょうの議論の中でも、本当に納得できる、そしてこの数字が信頼に足るものだ、そういう確信は持てませんでした。やはりそこをしっかり、我々これから議論していく中で国民の皆さんにもわかるような形で示していただきたいということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
 さて、また、今これは日切れ法案という形で年金の、またことしも物価スライド凍結という法案が提案をされているわけではございますけれども、これは、人口統計が下方修正されたということは、こうやって物価スライドを凍結すれば、それだけ将来の年金財政に与える影響はより大きくなってくるということは間違いありませんよね。
 そういう中で、これは私、坂口大臣に昨年も同じこの法案で、こういうことをやっていていいんですか、特例法、特例法と。財務省はもう何十年も特例公債の発行で、特例法、特例法でやっていますけれども、ああなるとどこが特例法なのかわからないということをやっておりますが、何か最近は、厚生労働省も年金の特例法、特例法と、三年も続けてやってくると、これもだんだん特例なのか何だかよくわからない。そういうことはよくないんじゃないか、財務省のそういう悪いことをまねしちゃいけないんじゃないか、そういうふうに昨年大臣にお伺いしましたところ、大臣は、この物価スライドの凍結問題、そもそも今の毎年物価を調整するという制度がいいのかどうか、そういう制度について、「来年までに、ことしのうちに決着をつけておかなければならない話だというふうに思いますから、早急に検討に入りたいと思います。」というふうに御答弁していただいたわけですね。
 一体どういう検討がなされて、そしてどういう結果が出て、また同じ法案が出てきたんですか。
坂口国務大臣 確かに昨年そういうふうにお答えをさせていただきました。
 そのときには、若干、物価の動向も変化をして、さらに下がり続けるというのではなくて、私は、横ばいないし今度は上向いてくるのではないかという思いを持っていたのも事実でございますが、そうではなくて、さらにまた下がるということになってきた。
 そういうことになってまいりますと、昨年考えておりました一つは、今度若干上向いたときに、少し一%なり二%なり高くなったというときに、それではそれで帳消しをしていただくような方法はないかというのが一つでございました。しかし、そういう時期というのが、将来はあるかもしれませんけれども、ことしは来なかったということになったわけでありまして、もう一つは、財政の再計算のときに、それじゃそれを同じにやるということが一つの方法ということであったわけですが、これだけ三年続いて下がってまいりますと、さきに申しましたような帳消しにするような方法はなかなか難しいということになってきたわけであります。
 したがいまして、現在のところは、この財政の再計算をもうやらなければならないときに来ているものでございますから、その中で給付と保険料とのかかわりの中でここは決めさせていただく以外にないというふうに思っております。
 御指摘をいただきますように、ここでまた据え置くということになりますと、これは負担率の方に影響するわけでございまして、将来の負担を余りふやしてはならないということもあるわけでありますから、そこのところも大変大事なところだというふうに思っておりますが、今考えておりますのは、その再計算の中で計算をさせていただくという以外にないというふうに思っております。
古川委員 ということは、今の大臣のお話を聞くと、去年私に答弁をしていただいた、去年の法案にも次期の財政再計算までにというふうには書いてあったんですけれども、しかしそれでも、大臣は去年の国会の委員会の中では、これについてはことしじゅうに検討したいというふうに言われたわけですよね。それを、また一年たったら、やはり次期財政再計算までにというのでは、一年間何やっていたんですか、本当に検討を指示しているんですかと。
 今の話を聞くと、いや、ことしは物価がそんなに下がりそうもないから、まあいいやといって放置されていたのか、そういうふうにしか聞こえないんですけれども、どうですか。本当にちゃんと検討して、その結果としてこういうことになっているんですか。今のお話を聞いていると、検討したようには全然見えないんですけれども。
坂口国務大臣 担当課の方でいろいろ実は検討はしてもらっていたわけでありますが、先ほど申しましたように、引き続いてことしもこれだけ下がるという予測がなかったものですから、検討しておりましたことというのはなかなか難しい、やはり再計算の中でやる以外にないという結論になったということでございます。
古川委員 どうも人口の問題といい、物価の将来動向といい、厚生労働省は、過去は見れても将来は予測できない役所じゃないか、そういうふうに思えてきますよね、今の話を聞いていると。
 この物価スライドの問題については、小泉内閣の昨年六月に出されたいわゆる骨太方針という中でも、「特例的なスライド停止などの影響を踏まえ、物価スライドのあり方を見直す。」と書いてあるわけですよね。これなんか、竹中大臣、そんなにいろいろと悩まなくても、さっさとできる改革なんじゃないですか。目に見える改革、骨太の方針という中で、やれることからやっていくんであれば、こういう問題なんかは、去年六月にここでも書かれていて、なぜ今回のこの国会に何らかの形が示されなかったのか。
 ここを見ると、大きなところは、いや、これは大変ですと。確かに年金制度全体を変えるのは大変かもしれない。しかし、この物価スライドのあり方を見直すぐらいは、六月にこの基本方針でも言っているわけですから、できたと思いませんか。なぜこれは竹中大臣からも強く言われなかったんです。
竹中国務大臣 その骨太と今の御指摘の問題との関係をちょっとあれさせていただきますと、骨太の方針の中では、社会保障の問題というのは確かに力を入れて書かせていただいております。
 ただ、ごらんいただきましたらわかるように、その時点での緊急性にかんがみて、医療問題についてかなりしっかりと書いておりまして、年金については、考慮されるべき幾つかのさまざまな課題を挙げているという形になっております。その中で、今御指摘の「特例的なスライド停止などの影響を踏まえ、物価スライドのあり方を見直す。」というのは、確かに、重要な検討課題の一つとして私たちも認識をしているわけです。
 これを受けて、十四年度の物価スライドについては、昨年十二月の例の予算編成の基本方針において、当面の物価、経済動向を踏まえて、かつ、制度の健全性も留意して総合的に判断するんだというふうにさせていただいております。これは、厳しい社会経済情勢を踏まえて年金額を据え置く、その特例措置を講ずることが適当であるというふうに、やはり坂口大臣を中心に総合的に判断をされたというふうに私は認識をしております。
古川委員 竹中大臣までお役人みたいな答弁しないでくださいよ。この特例法は全く同じ法案で、数字が変わった以外、去年、おととしと何にも変わってないんですよ、これ。ただ平成十三年度のマイナス〇・七%分がプラスされただけであって、そして全部で、トータルで、累積で一・七%の物価下落ですというだけで、基本的に何も変わってないわけですよ。
 私が坂口大臣に去年の委員会で質問して、大臣も、ことしじゅうに検討すると言った。それで、骨太方針の中でもこういうことが示された。そうしていながら、十二月に、今の話は、そういえば、たしか私は去年も同じようなことをやって、去年というかおととしですね、それで決めたんじゃないかと思うんですが、全く同じような、竹中大臣、一年前のこの特例法についての答弁と比較してもらえば、多分ほとんど同じことが書いてあるんじゃないかと思いますよ。そういうことを二年も三年もやっている。まさにこの辺で、本当に小泉改革、やれることさえやらないじゃないかと。骨太です、たくさんわあっと散らかしました。でも、やれることさえもやっていない、私にはそういうふうに見えてくるわけですよね。どうですか、これ。
竹中国務大臣 しかし、先ほど、経済情勢と制度の維持を考えてというふうに申し上げましたけれども、現下の厳しい経済情勢の中で、私はやはり、やるべき、行うべき判断であったんだというふうに今でも思っております。
 やれることからやっていくという、その御指摘は、これはまさにそのとおりでありまして、これは、そういうやるべきことを、私たち、去年の九月の時点で五百項目リストアップしました。年度中にやらなければいけないことは四百五十項目ある。これは改革工程表でありますけれども、その意味では、去年の十二月の時点で、その四百五十項目の七割は既に達成しているわけでありまして、総合的な判断を加えながら、やるべきことは迅速に常にやってきているというつもりでおります。
古川委員 でもこれは、国民生活からすれば、年金制度を安定した制度にするということは極めて大事なことであって、構造改革というのであれば、何でこれについて、物価スライドの今のあり方を見直すということが、そのやるべきことの、七割やったという中の七割に入ってこないのか。そこがやはり極めて、まあ、とにかくやりやすいところだけやっているといいますか、まじめにこの問題を、そもそも書くだけ書いて検討していなかったというのが事実じゃないかと思うんですけれども、そういう、本当に国民生活にとって、国民が不安を抱いている年金制度について真剣に政府が考えているかどうかということを示す一つの、やはりこれは、私は、今回でもう三年も続けてこんな特例法を出すということは、一つのあらわれだと思います。こんなことを何回もやっているようでは、本当に年金制度自体に対する信頼がますます崩れるということを申し上げたいというふうに思います。
 次の方にちょっと進みたいと思いますけれども、さて、こうした人口推計などの数字も踏まえて、いよいよ平成十六年度の年金改正に向けての議論が始まっているわけなんですけれども、これは坂口大臣、この人口減少というものを踏まえると、やはりまたもう一段の保険料引き上げとそして給付のカットという形で、そういう方向でまた年金制度改革の議論をしていくということになるんでしょうか。
坂口国務大臣 現在の制度を前提にして考えて、そしてこの少子化問題をその中に加味していくということになれば、今お話しになりましたようなことにならざるを得ない。しかし、そこをどう改めていくかという議論もあわせて、いわゆる年金の制度そのものの議論もあわせてやはり今後は行われていくものというふうに思います。
古川委員 そうなると、これ以上の保険料引き上げとそして給付のカットとなったら、もうちょっと若い人たち、ますます年金入らなくなるんじゃないでしょうかね。この前ので、もうこれ以上の給付のカットとか保険料の引き上げは、大体これでもう制度的にはめどがついたというふうに言われていたわけなんですが、まただというんでは、仏の顔も三度までといいますけれども、今度は四度目みたいになるわけですからね。
 そういうことをやっていては、年金制度自身に対する不信を極端にますます高めていってしまう。それはまさに構造改革にも反することであって、私はやはり、こういう人口推計の結果を踏まえたら、根本的に今の年金制度、一番根っこから見直すということが必要じゃないかと思いますが、いかがですか。
坂口国務大臣 先ほど申しましたとおり、年金制度そのものを見直すということも一つの大事な議論になってくる、大事な議論になってくるといいますか、あるいはそこが中心になってくるかもしれません。
 現在の制度というものを今後ともこのまま継続するという前提で言うならば、これはもう負担と給付の話でございますし、ずっと計算のできるものでありますから、当然のことながら答えは出てくる。そこを若い皆さん方にも御不満のないようにしていくためには、どのような制度を、そこの構築をしていったらいいか。当然のことながら、それは制度も含めた議論にしていかなけりゃいけないというふうに私も思っております。
古川委員 竹中大臣、経済財政諮問会議は、税制改革については、政府税調に任せるだけでなくて経済財政諮問会議でも議論するということになっていますね。もう既に、年金制度については厚生労働省の方の審議会では議論が始まっているようなんですが、経済財政諮問会議は、この年金制度改革に対しては議論しないんですか。
竹中国務大臣 経済財政諮問会議のことし以降のテーマは、昨年度、改革断行予算のための幾つかの仕組みをつくりまして、今年度以降は、まさに改革の中核的な部分について、大きな制度改革についてやっていこうということで、私たち、意識を高めております。その中核的な問題として、まさにやはりその中心に税があるということ、さらには産業活性化のための総合戦略があるということで、その二つを今当面の課題として取り組んでおります。
 しかし、ある意味で、税とは非常に密接不可分のものとして、やはり保険料の問題もあるし、社会保険、非常に広い意味での社会保障の問題、年金の問題等々も、当然のことながら重要な骨格部分として私は出てくると思います。今の時点で、この年金の問題を諮問会議のテーマとしてどのようなスケジュールで取り上げるというようなことにはなっておりませんけれども、税の議論を踏まえて、将来的にはそういった問題についても、これは繰り返しますが、やはり非常に制度の、社会システムの根幹をなす問題でありますので、諮問会議においても議論を深めていくということは考えたいと思っています。
古川委員 竹中大臣がまだ大臣になられる前、小渕内閣のときに、経済戦略会議のメンバーとして答申を出されましたけれども、あれは、経済戦略会議で出された答申というのは、今は、この小泉内閣の中ではどういう位置づけになっているんですか。
竹中国務大臣 経済戦略会議は、小渕総理に答申させていただいたものであります。その意味では、閣議決定もその時点ではされたものではなかったというものだと思います。もちろん、大変議論を詰めて重要な提言をしたと私自身は思っておりまして、そういった議論はいろいろ形を変えて今の政策の中にも引き継がれているというふうに思いますけれども、形の上で戦略会議の提言が今の内閣の中でどのように位置づけられているというような性格のものではないと思います。
古川委員 たしか、その経済戦略会議の答申の中では、報酬比例部分の民営化というのがうたわれていたと思います。今回、この前の、六月の骨太方針が出る前の議論の段階の中では、経済財政諮問会議の中でも厚生年金部分の民営化というのが議論になっていたというような報道があったというふうに記憶しておりますけれども、竹中大臣は、この二階建ての部分については、経済戦略会議以来のそうした二階建て部分の民営化という考え方は今もお持ちですか。
竹中国務大臣 経済戦略会議での議論の中で、完全民営化、二階部分の民営化という御指摘がありましたけれども、議論のそもそもの成り立ちというのは、今の年金の制度の中にはやはり人口変動のリスクと市場変動のリスクがあって、その人口変動のリスクが、先ほどから将来推計の話が出ていますけれども、非常に大きいものですから、その人口変動のリスクを理論的にゼロにする方法がないわけではない。それは完全な積立方式にすることである。
 もちろん、その場合でもベースの部分は残りますから、いわゆる二階部分については積立方式を。積立方式の中で、そうすると、しかし市場変動のリスクは残る。市場変動のリスクをできるだけ人々に分散させて持ってもらうためには、民営化というのが一つの方向であろう。したがって、その答申の中でも、そういった方向を検討するというような書き方になっているんだと思います。
 私が今その考え方についてどうするかというふうに聞かれれば、白地のキャンバスに制度設計をできるのであるならば、それはやはり大変理論的に整合的な方向であるというふうに今でも思っております。
 しかし、今の現行の制度は制度で、非常に完成度の高い、非常にしっかりとした制度になっている。それを新しい白地のキャンバスにかけるのであるならばいいと思われる制度に移行するためには、非常に高い調整コストがかかる。この調整コストをどのような形で国民が負担できるか。調整コストを負担してまで新しい制度に急いで移行すべきであるというようなコンセンサスは、やはり国民の間にはないのだと思うんです。そういった意味では、そういった長期的な方向も見据えながら、現行の制度をしっかりと改革していくということなんだと思います。
古川委員 ただ、現行制度の中の見直しといいますと、また一層の保険料引き上げと給付カット、そういうことで本当に年金制度に対する信頼感が将来的にも確保できるのか、やはりそのことが問われているんだと思うんですね。これからの議論の中で、これからやっていくわけでありますけれども、そうした現行制度の延長線上に考えていたのでは、私は、将来にも向けて本当の意味で若い世代も年金制度に対して安心できるような制度にはならないということを申し述べて、次の質問に移りたいと思います。
 年金積立金の運用についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、両大臣も耳に入っておられるかと思うんですが、今、マーケットにおいては、特に株式市場においては、年金の資金に対する期待感というのが非常に大きいんですね。年金が入ってくれば株価が上がるんじゃないかとか、あるいは、きょうは年金のお金が入ったから株価がこれだけ上がったとか言われたり、株価の下支え要因として年金制度がマーケット関係者で語られている。
 先日も、二月十三日ですか、日経に「公的年金、市場運用四・五倍に」という本当に小さな記事が載った。実は、その日のマーケットで一番注目されたのは、大きな記事よりもその部分だったというような話もあるくらいに、年金資金というのが今の株式市場の中では救世主のように見られて考えられているわけでありますけれども、このように、年金資金が株式市場の非常に安定財源といいますか、救世主のように考えられている。
 逆に言えば、これだけ年金資金が株式市場に大きな影響を与える、そうした攪乱要因といいますか波乱要因になっているということも言えると思うんですが、そういう状況、そのように年金資金が見られている、マーケット関係者に対して見られているということに関して、竹中大臣、そして坂口大臣はどのようにお考えになられるか、それぞれお考えをお聞かせください。
竹中国務大臣 年金資金の運用制度の詳細は、坂口大臣がお詳しいですから、また御解説があるんだと思いますが、基本的には、マーケットの資金が、リスクマネーに向かう資金が日本ではなかなかふえない中で、年金の規模、さらには中期的に年金の中でのポートフォリオを株式の方に向かわしめるというこの方向は定められているわけでありますから、そういったものがマーケットの中に出てくるということに対する期待は、マーケット関係者の中ではこれは当然のことながら高いのだと思います。
 しかし、年金というのは決してマーケットのために存在しているわけではなくて、これは年金のまさにその加入者の利益のために運用するわけでありますから、これは当然そういった観点からの運用がなされている。そういった問題を、決して、市場の動向に影響を与える、いわゆるPKO的なものにする気は政府は持っておりませんし、そういうことを別にマーケットの心ある関係者は期待しているわけでもないのだと思います。
 ただ、申し上げましたように、リスクマネーになかなか国民の預金が向かわない中で、規模、さらには将来のポートフォリオ変化から考えて、今の状況ではそういったものに対する注目度が高まっているというのが事実なのだと思います。
坂口国務大臣 竹中大臣からもう詳しく述べていただきましたが、この公的年金が数少ない安定的な株の買い手になっていることは、私も間違いないというふうに思います。昨年一年間でふえました額だけを見ましても七千億ぐらいあるわけでありますから、これからだんだんとふえてくるということになってまいります。
 そうした状況でありますから、いわゆる株の世界におきましてはそうした期待感というのはあるのかもしれませんが、しかし、この年金の資金というのは、言うまでもありませんけれども、これは年金の保険料を納めていただきました国民のその意思、国民のためになるということがその中心でありまして、そういう立場からいいますならば、現在の株式が、株の状況の中で、それが必要だからそれを株に導入するといったことはあってはならない、やはりそこは粛々と行われるべきものであるというふうに思っております。
古川委員 坂口大臣、そこは粛々と行うというふうに言われたんですが、大臣が所属しておられる公明党さんは、先日、デフレ対策という案の中で、株式市場の活性化対策と言って、年金資金運用基金の完全自主運用の時期を二〇〇八年度から三年程度前倒しして実施するよう計画の見直しを行うと言って、堂々とこれは、株式市場活性化のために年金資金を使うと言って、大臣が所属している政党は言っているわけです。どうですか、これを見られて。
坂口国務大臣 相談に乗っておりませんので何とも申し上げることができませんけれども、私は、そう思っております。現在の市場が必要だからというので、だから、特別にそこへ導入をしていくということは避けた方がいいと私は思っております。
古川委員 相談に乗っていないといいますか、聞いていないというのは、公明党も冷たい政党ですね。自分のところから出している大臣に、そのまさに自分の大臣が所管しているところの話について、何も相談もなく勝手につくるわけですか。これは大臣、怒ってもいいんじゃないんですか、けしからぬ、どういうことだ、おれの了解もなくと。そういう怒る問題じゃないんですか。これはもう、私は、今は離れているので知りませんということですか。
坂口国務大臣 私の党もさまざまでございまして、いろいろの意見があることは事実でございます。したがいまして、私の意見は先ほど申し述べたとおりでございます。
古川委員 いろいろな意見があるというふうに言われますが、これは党としてまとめられたものですよ。別に、公明党の一部の議員の人が言っているわけじゃない。党としてまとめた。それを所管している大臣が、それはよくないと言っている。公明党にも、実は、改革勢力と抵抗勢力というような、そういう自民党みたいな区分けがあるんですかね。こうなりますと、そもそも政府と与党という分離、やはり、こういう状況が明らかにここからは見えてくるんじゃないかと思うんですね。
 大体、今、マーケット内ではどう言われているか。これから三月末にかけて、年金のお金が株式市場に入ってきて、年度末の株価を下支えすると。ここ数年は、年度末から年度初めにかけて年金資金が入ってきて、大体六月に高値をつけるのは、これは年金資金が入ってくるからだというふうに、もうそれは市場関係者のある意味でコンセンサスのように言われているというふうに、私はそんな話も聞きました。
 まさに、竹中大臣や坂口大臣の言うこととは全く裏腹に与党の方も動いていますし、そして、マーケット関係者もそういうふうに年金資金が使われるという認識で投資行動をしているわけですね、実際には。
 もし、そうじゃない、年金資金というものは、あくまでも、市場を攪乱するようなことはせずに、年金を受給する国民の立場に立って粛々と行われていると言うのであれば、それが粛々と行われているという証拠をきちんと示す、情報をしっかり開示すべきだというふうに思いますけれども、どうもその情報というものがしっかり開示されていないんじゃないかと思います。
 例えば、これもマーケットで期待されている一つなんですが、今度の十二日に、新年度の新規運用分についての、この運用先の比率について公表する、そういうことが先日発表されました。
 今、マーケットは、三月十二日に……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。三月十二日に、これはどういう配分が示されるのか。ことしは九兆円というふうに言われているみたいですけれども、その九兆円がどのように配分されるのか。一説によると、これが株に振り向けられるのが三、四兆というレベルを超えるのか超えないかでその後の株価に影響するというようなことさえも言われているやのお話を聞きます。
 ここで運用先比率が公開されるというのは、これはどういう形で公開されるのですか。
辻政府参考人 年金積立金の運用の基本的な方針でございますけれども、平成二十年度に年金資金の運用におきます完成すべき基本ポートフォリオの目標値を、二十年度に焦点を当てまして、それに向けて毎年度各資産ごとに均等に移行させるという考え方でございます。
 株について申しますと、十三年度末四%というウエートを一二%に徐々に上げていく、こういう前提で十四年度のポートフォリオをどうするかということにつきまして、社会保障審議会に現在諮問を申し上げております。諮問の次の、答申をいただきたいという予定が三月十二日ということになっております。
 あくまでも、十四年度の移行ポートフォリオ、十三年度末の四%がどのようになるかということにつきましては、これは、御答申をいただきますれば直ちにそれを公表するということでございますが、現在のところ、今御審議をいただいておるところでございます。
古川委員 今のお話では余りよくわからなかったのですが、ということは、要は、別にどこに幾ら投資するというような、そういうことは示されないということですね。そう理解していいんですね。ただ最終的なポートフォリオの結果がどうなるか、どこを目指すかということだけが示されるという理解でいいですか。
辻政府参考人 御指摘のとおり、ポートフォリオの数字のみが、何%かという数字のみが公表されます。
古川委員 何か、マーケットはやはり違うふうに理解しているような感じもあるのですね。
 また、私がちょっと聞くところによりますと、そもそも、各年度の財政融資資金、かつての資金運用部からの預託払い戻し額、これについても今のところは開示されていないというような話も聞いていますが、これは開示できないのですか。
冨岡政府参考人 お尋ねの、年金積立金の財政投融資資金への預託金につきましては、平成十三年度満期額積立金が十五・五兆、十四年度十八・一兆、十五年度二十一・三兆、十六年十七・一兆、十七年十八兆、十八年十七・四兆、十九年十八・七兆、二十年度十四・三兆でございます。
 この満期到来の積立金の額につきましては、お尋ねがございますればお答えしておるところでございまして、特に公表していないというものではございません。
 以上でございます。
古川委員 尋ねられたら答えるというのではなくて、やはりそれは積極的に情報公開というものをしていく必要があるのじゃないかと思うのですね。
 それにまた、先ほど、どういう資産に対してどれだけ運用するか、配分するかというものについては最終的なポートフォリオしか十二日には示されないということでありましたけれども、私は、これは事後的でもいいですから、月次ベースくらいで、どういうものにどれだけ結果として配分を、新規の資金は配分されたのか、それくらいはちゃんと情報を開示すべきじゃないかと思うのですね。そうじゃないと、マーケットの中で、いや、どこどこに幾ら入ったとか、どこどこと具体的なことはないかもしれませんが、株にどれだけ入ったかとかいう、非常にあらぬ疑念を実は、坂口大臣、竹中大臣も聞いていただきたいと思うのですが、あらぬ疑念が、いろいろな風説が飛んで、それをもとに思惑でのいろいろな株取引も行われているやに私には見受けられます。
 ですから、先ほど辻局長は、最終的なポートフォリオの姿しか十二日に示さないと言われました。それはそれでいいかもしれませんが、事後的には、例えば、今度七月にまた、今年度の運用、新規で二兆円ですか、二兆円運用した分について、どこに量的に幾らぐらい、株式にどれくらい、そして国債にどれくらいという、そういう最終的なストックとしての結果だけじゃなくて、フローとしてどれぐらいお金が流れたのかということを事後的に開示するということは、これは私は、市場の要らぬ疑念を招かないためにも、そして年金資金が、ちまたで言われているような春先にどんどんどんと買い付けられるんじゃなくて、そうじゃない、ちゃんと年間にわたってバランスがとれているんだというような形を示す意味でも、そうしたかなり具体的な情報開示というものが事後的であっても必要だというふうに思いますが、その点について、最後、竹中大臣、坂口大臣の御認識を伺って質問を終わりたいと思います。
竹中国務大臣 マーケットが非常に薄い中で、年金の存在感が非常に大きい、かつ、それは国民のお金を預かっているという意味でも情報公開が必要だ、一層の公開が必要だというのは、全くそのとおりだと思います。
 ただ、事後的にどのものを出せばいいかというのは、ちょっと私にはにわかに判断がつきかねますが、情報の公開を通して誤解のないような市場形成を行っていくということはやはり重要なことだとは思います。
坂口国務大臣 事後的には概要を御報告できるようになるだろうというふうに思っておりますが、どういう形でどういうふうにするかということをひとつ検討させてください。
古川委員 ぜひ具体的に、できる限りそうした市場の疑念を取り除くような、そして、年金資金があたかも株価支えのために使われている、そして使われるというような疑念を大臣の親元の党の方々にも思われないような、ちゃんとそうした数字を事後的で結構ですから出していただけますことを最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
津島委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
津島委員長 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 次に、中沢健次君。
中沢委員 おはようございます。民主党の中沢です。念のために、北海道の夕張の出身です。
 さて、きょうは二時間の時間がありますから、私なりに四つのテーマに絞りまして関係大臣にそれぞれ質問をしたいと思うのです。
 まず最初に、新年度の予算に関連をして、地方財政の観点から幾つか総務大臣と塩川財務大臣にいろいろお尋ねをしたいと思います。特に、塩川財務大臣とは、恐らく十年ぶりぐらいでしょうかね、委員会で議論をするというのは。あの当時も思い出しながら質問したいと思いますから、しっかりひとつお答えをいただきたいと思います。
 まず最初に、片山総務大臣、国の財政も本当に大変です。しかし別の意味で、地方の財政も本当に事実上の破綻を迎えているのではないか。私は長い間、長いといってもまだ十数年でありますけれども、主として国会では地方行政委員会、そして総務委員会、そういうポジションでいろいろな問題をやってきた政治家の一人として、本当に深刻だな、こういう思いなんです。
 具体的にお尋ねを申し上げますが、十四年度の、つまり新年度の地方財政計画、八十七兆五千億、一皮むくと大変な財政的な構造になっている。これから払う借金もたくさんある。しかも、経常的な収支が結果的につじつまが合わない。単年度においてもそういう大変な苦労をされて、結果的に新年度の地方財政計画をつくったと思うのでありますが、地方財政計画の主要な問題、大臣なりにどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず聞いておきたいと思います。
片山国務大臣 中沢委員大変お詳しゅうございますが、十四年度の地方財政計画の策定は大変苦労いたしました。
 とにかく、長引く景気の低迷で地方税が伸びないんですね。伸びないどころか四%近く引っ込む。それから国税が引っ込みますから地方交付税も引っ込む、こういうことでございまして、今は、御指摘のように、地方財政の借入金の累積は百九十五兆ですよ、十四年度末で。それから単年度、恒久的な減税の影響まで入れますと十四兆ですね、入れなくて十兆七千億。
 これをどうやって補てんするかということを、大変苦労いたしましたが、まず、地方財政計画そのものの見直しだ、こういうことでございまして、投資的経費につきましては、公共事業が約一割カットいたしましたので、地方単独事業も一割カットいたしました。それから経常的な経費で、例えば、定数、組織、給与等の切り詰めをやってもらいましたが、一方、福祉や何かはどうしても伸びていくんですね。
 そういうことでございまして、御承知のように十兆七千億の穴があきましたが、これは財務省とも十分協議いたしまして、いろいろな方途を講じて埋めることができました。
 地方財政のこういう構造的な危機をこれからどうやって直していくか。一つは、景気回復によって、経済の活性化によって、国、地方の税収を安定して伸ばしていくということ、あるいは、さらに地方行政の簡素効率化を進めていくということ、それから、私はいつも言っておりますけれども、とにかく国と地方の税の取り分が六、四ですから、使うのは逆に六五対三五ですから、せめてこれを五対五にしてもらう、税源移譲を含む国、地方の税財源配分の見直し、こういうことが必要だと考えております。
中沢委員 今片山大臣の方から、これから私が問題意識を持って指摘をしたい、こういうことについてあらかじめ総論的なお話がありました。
 二つ目の質問に移りますけれども、率直に言って、八十七兆五千億の地方財政計画、単年度で収支の不足が十四兆円。しかし、いろいろやりくり算段してとにかくまとめ上げた、こういうことだと思うのですね。
 そこで、十三年度の、つまりは交付税特会の俗に言うところの隠れ借金、既に四十二兆円ありました。両省の関係者、大臣も含めて、いろいろな政治決断をされる。恐らく与党の地行関係者、あえて族とは言いません、地方行政関係者も大変苦労されまして、結果的に積もり積もった四十二兆円は、国、地方の折半ルールということを原則にして、結果として、地方が二十八・五兆の責任を持つ、そして交付税特会の隠れ借金という、こういう悪い慣行はもうやめる、こういう結論でやったと思うのでありますが、事実関係、私の言っていることに間違いはないと思いますか、どうでしょう。
片山国務大臣 平成十三年度の地方財政対策を決める際に、ということは一昨年の年末ですけれども、当時の宮澤大蔵大臣と協議いたしまして、今中沢委員言われるように、もう交付税特会の借り入れをやめよう、ただ、一遍にやめられないから二カ年でやろうと。それで、足りないのはどうするんだ、国と地方が折半で、国は一般会計でお金を調達してもらって特例加算してもらう、地方の方は赤字地方債を出す、特例地方債を出す、こういうことで合意いたしまして、十三年度は、財源対策債なんかをいろいろやりくりしまして、残ったものについての二分の一を一般会計加算と赤字地方債でやったんですね。ところが、本年度全部それを解消するつもりだったんですが、それはなかなかそうはいかないのですね、思ったより不足額が大きいものですから。そこで、恐らくこれから御指摘あると思いますけれども、全部解消できずに、その半分になりましたので、四分の一になったわけであります。
中沢委員 どうも先手をとられているようでなかなか指摘が難しいんですが、お互いに、党は違ったりポジションは違いましても、地方財政、国家財政これじゃだめだ、こういう共通認識がありますから、これからまた議論をしたいと思うんです。
 さて、いろいろ苦労の末、とにかく昨年は、交付税特会の隠れ借金は基本的に二年間かけてなくする。問題は、なくした後、地方の負担の昨年度で二十八・五兆、本年度の地方財政計画ではそれが三十兆にふえているわけですね。それはもう知ってのとおり全部交付税措置をするとはいいながら、もともと交付税というのは、もう随分議論していますけれども、地方の一般財源なんですよ。ところが、一般財源の後年度の、そういう内容のしっかりしている交付税について、つまりは借金を先に送って、二十五年間の、俗に言うところの赤字地方債を発行して交付税を補てんする。そうすると、交付税の一般財源という性格が事実上全部ひもがつくわけですよ、借金返しの。これはどう思います、総務大臣。同時に、塩川さん、このことについてどう思いますか。
片山国務大臣 本当は、これだけの財源不足が出るんなら、地方交付税率を上げるとか地方交付税そのものの総量をふやすということは一つの考え方ですけれども、国の財政がこういう状況ですから、これはなかなかそこは大変なんで、やむなく折半方式で赤字地方債と特例加算と。それで、赤字地方債の方は後年度全部交付税で見る。
 そうすると、おまえ、交付税を圧迫するじゃないか、タコ足じゃないか、こういう御指摘だと思いますけれども、これまた御承知のように、交付税の総量というのは毎年度の地方財政計画の策定で額を保障するわけですから、私はそういう意味では、なるほどタコ足的にはなりますけれども、地方財政計画をしっかり策定すれば、そこで地方交付税その他の財源は確保できる、こういうふうに思っておりまして、その点は財務省とも十分協議いたしたいと考えております。
塩川国務大臣 今の御質問を聞いておりましてからずっと、ちょうどもう十年前、平成四年でございましたか、私が自治大臣のときに、この問題で地方行政委員会が三回、四回、沸きに沸いた議論をやったことを思い出しまして、非常に懐かしい感じでおります。そのときに、野党の皆さん方と与党との間である一定の交付税改善計画というものを出して議論もしたことがございましたが、十年たちまして何ら改善されておらない、依然として同じだったということで、私も実際はじくじたるものを感じておるわけでございます。
 あの当時議論されましたのは、ちょうどバブルが崩壊して国も地方も税収が落ち込んできたそのときで、そこから交付税の借入金によるところのつじつま合わせということが起こってきた。そのときのルールとして、地方財政の方では、地方交付税に対する三つの対策、すなわち、事業費補正を見直すとか、段階補正を見直すとか、あるいは地方全体のシビルミニマムを見直すとかそういう要件がついておって、そのかわり国としては、貸し付けの問題よりも、実際は補助、補給をしていくということで、ある程度の話はついておったようなことを思っておりますが、それが全然双方とも実行されないで今日来ておる。非常に残念に思っております。
 そこで、現在この累積してまいりました四十兆円近くの交付税の借入金というものを一体どうするのかということは、これは国と地方とは大変な責任があると思っておりまして、一朝にして解決はなかなか難しいと思います。しかし、今後総務省とよく相談して、地方にやはり心配をかけないようにしていかなきゃならぬということは私たちも思っておりますしいたしますので、双方の協議をこれからも十分にしていきたいと思っております。
中沢委員 十数年前のことを非常に明確に塩川大臣が思い出されまして、私も安心しました。今度は財務大臣ですが、自治大臣当時の今のお話をまた改めてしっかり思い起こしていただいて、将来の問題について、非常に重要なテーマだと思いますから、国の財政、地方の財政、公経済、車の両輪、こういう議論をやってきたわけでありますから、ぜひひとつ、塩川大臣としても、そういう立場でしっかりスタンスを踏まえて頑張っていただきたいと思います。
 そこで、ちょっと視点を変えまして、国の予算の国債三十兆円のいわゆるキャップの問題。
 実質、地方交付税特会では、人によってはいろいろな数字を言いますが、正確に言うと、地方財政計画で残念ながら二兆円の隠れ借金を新しく抱える、あるいは恒久減税分を入れると三兆五千億だ、こういう数字も間違いなく客観的な事実としてあるわけですね。それ以外に、本年度のいわゆる赤字地方債を入れるともう五兆にも六兆にもなる、こういう話が既に本会議の段階でも指摘をされています。
 私は、小泉さんの言っている国債三十兆、これは総理の国民に向かっての公約だと。それはそれでわからないわけじゃありませんが、昨年せっかく、二年かけて交付税特会の隠れ借金はやめる、こういう決意を一方でやったわけでありますから、にもかかわらず、引き続き交付税特会で二兆円の、実質的な裏の借金と言っていいと思いますよ。まあ、落語の世界でいえばたんす貯金とたんす借金なんて話、案外塩川さんお得意でありますから、やるのかもしれませんが、これはやはり世界が違うわけですからね。
 三十兆円の国債発行はもう事実上破綻をしている、こういう指摘を、これは客観的な数字、事実を含めて、私は野党だから言っているわけではない。もちろん、野党の議員であることは間違いがありません。しかし、国と地方財政の将来を考えると、こんなごまかしをやるのであれば、国債の三十兆を改めて三十二兆にして、国民に本当に信頼される国の財政、地方の財政をしっかりとつくり上げる、それが正しい選択だと私は思うんですが、その辺について、総務大臣と財務大臣、どうお考えでしょう。
片山国務大臣 今までずっと、御承知のように、長い間交付税特会の借り入れをやってきたんですね。これは隠れ借金というのかどうか、ずっと今までやってきたんでしょう。それを十三年度、十四年度で全部なくしよう、こういうものが大変、景気の状況、国税、地方税の落ち込みで、本当は全部なくするものを四分の一だけ残そう。これが国、地方で、今委員言われたように、二兆円ですね。
 私は、総合的な状況を考えれば、これだけ地方税も国税も悪い状況で、もしそのままなくすということをやりますと、赤字地方債が三倍になるんですね。その分交付税そのものが減りますから、地方にとっても大変だし、国にとっては、財務大臣からお答えがあるでしょうけれども、やはり一般会計で加算するわけですから、これも大変だ。そこで、今回はそれをもうちょっと延ばそう、こういうことにしたわけでございまして、私は、やむを得ない措置だ、こういうふうに思っております。
塩川国務大臣 これは、国も地方も同じように行財政改革を根本的にやはりやり直していかないと、この財源問題の根本的な解決は、私はついてこないように思っております。
 隠れ借金ということをよくおっしゃいますけれども、私は、先ほど総務大臣の答弁にもございましたように、つじつま合わせのためにはこれをやらざるを得なかったということ。それじゃ、何で三十兆にこだわったのかということでございますけれども、先ほど御質問の中にございましたように、十三年度、十四年度において、要するに財政に対する節度をつくっていきたい、いわば行政コストの見直しから、あるいは行政の効率的な予算の配分というものを根本的に見直すためには、一応キャップをはめて、その中で検討することが一番真実性に近いではないかということからやったことでございまして、これは一つの政治決定であった。
 でございますから、予算を編成していく官僚的立場に立ちましたら、むしろどんどんと国債を発行してつじつまを合わせた方が筋道は通るかもしれないと思いますけれども、しかし、それは政治が働いておらないことになってくる。我々は、そこに予算を通じての行政改革への一つのきっかけをつくりたい、それはやはり予算にキャップをはめて反省と見直しを迫るというところにあったということでございますので、そこはひとつ理解していただきたい。その中におけるつじつま合わせのようなことが隠れ借金だとおっしゃるならば、私はそれはちょっと見方を変えて検討をしてもらいたい、こう思っております。
中沢委員 思わず塩川さんが本音として、官僚としてはやはりこういうつじつま合わせはどうかなと思ったけれども、政治的に判断をすると今度の予算の原案は正しいんだと。私は、野党だから言うわけではありませんが、地方財政問題をずっとやってきた人間として、だからこそ国民が本当にわかるような、そういう国、地方のしっかりした予算、財政計画をつくる。やはり、これだけの大変な財政危機だ、そういう認識を今まで以上に正確に国民に伝えるためにも、あえて私は、三十兆にこだわらずやるべきであった、これは政治家としてそのことだけは指摘をしておきます。
 この問題でたくさん時間をかけても、議論としてはなかなかかみ合っていかないと思います。そこで、今ほども議論がありました、総務大臣は俗に言うところの片山プランを経済財政諮問会議にも持ち込んでいます。今ちょっとお話がありましたように、国、地方の六対四の税財源の配分を五対五にしたい、つまり一対一にしたい、そういう目標で総務大臣としては恐らく政治生命をかけて在任中もあるいは退任後も、片山さんもかつての自治省のキャリアの出身でありますから、これから生涯かけて頑張っていかれると思うんですよ。
 改めて、まずは片山総務大臣に、その決意、あるいは具体的な手段、方法を含めて、どういう手段、方法で今の一対一という目標に向かって、私はそれで決していいとは思っていませんが、しかし現実的なことを考えるとそれも一つの到達目標かな、こういう判断がありますから、そういう決意と具体的な手段、方法も含めて聞いておきたい。
 塩川財務大臣、先ほどの話にも関連しますが、やはり、地方交付税制度そのもの、あるいは国、地方の税財源の配分の現状は何とか是正しなきゃならぬ、こういう思いはしっかりお持ちだと思うんですね。しかし、例えば政府税調だとか与党税調では、なかなか壁が厚くて、ぶつかってもぶつかってもなかなかうまくいっていない。
 私は、長いこと外から見ていますけれども、そういう苦労をされていることはわかるのでありますけれども、この際、お互いに大変な状態であるだけに、ピンチをチャンスにする、こういう決意で本格的に、地方分権の時代ですから、総理だって国から地方へということは言っているわけですから、これは空念仏に終わらせない、スローガン倒れに終わらせない、責任閣僚としての、やはりそういう意味での政治責任もあるんではないかと思います。そういう観点で、塩川財務大臣からもお答えをいただいておきたいと思います。
片山国務大臣 経済財政諮問会議が骨太の方針を固める際に、地方の行財政関係につきまして、いわゆる片山プランというのを提案いたしました。それは、今中沢委員言われましたように、現在六、四の国と地方の税源配分を当面は五対五にいたしたい、こういうことでございまして、それはいろいろな議論がございましたが、最終的には骨太方針の中に採択されまして、あと、改革工程表だとか、せんだって決めました経済財政の中期展望の中にもそのまま入っております。
 私は、具体的には、一対一にするためには、所得税から個人住民税へ、それから、今消費税は四対一で分けております、国の取り分が四パー、地方の取り分が一パー、あれは大体グロスで二兆四、五千億、ネットで二兆一、二千億だと思いますけれども。だから、所得税と個人住民税の配分の仕方を変更する、地方に厚くする、地方消費税をふやしていく、こういうことが基本ではなかろうか。
 それから、大きい例としましては固定資産税だとか法人事業税がありますから、固定資産税については評価の適正化、法人事業税については、前からお願いしております外形標準課税化、こういうことをやっていくべきではなかろうかと思っておりまして、引き続いて経済財政諮問会議でも税制の議論を始める、こういうことでございます。あるいは、地方分権改革推進会議も去年の七月からスタートいたしましたので、そういうところで前広の議論をやっていただいてその実現を図っていきたい、こういうふうに思っておりますし、私個人も、初代の総務大臣にしていただきましたので、こういうことについては政治家として大きなテーマとして今後も取り組みたいと思っております。
塩川国務大臣 私は自分では、少なくとも地方自治行政の改革については積極的に取り組んでいきたいという意欲を持っておるし、また、現在まで、経歴を見ていただいてもわかるように、その経歴を踏んでまいった者でございます。
 そこで私は、痛感いたしますのは、地方行政と国との関係をどう改善するかということの、まず進めなければならぬ順序があると。それは、一つは、地方自治体と国との間の分権の思想を確立すること。そのためには、地方自治体が行政能力として立派に行使し得る一つの主体性を持ってもらうということが一番大事だろうと思っておりまして、そのためには、まずやはり小さく分かれております、三千三百ある地方自治体が、ある程度行政能力を持つ単位に集約してもらう必要があるんだろう。そうでなければ、行政事務の移管とか、あるいは税源の配分とかいたしましても、それを消化する能力が問題になってくると思っておりますので、私はまずそこから手をつけて、そのためには国は、なし得る限りの協力はやはりしていかなきゃいけないんだろう、こう思っております。
 そして、その上において、行政事務の配分、特に機関委任事務は思い切って地方に任す、それだけの能力はやはり地方自治体につけなきゃいけないんだろう、こう思っておりまして、そういうところから分権の実現を図っていきたい、意欲を持って取り組んでいきたいと思っております。
中沢委員 両大臣からそれぞれ、見識のあるしっかりしたお答えをいただきました。ぜひひとつ、政治家として信念を持って、必ずこの問題について、相当時間はかかると思いますよ、しかししっかり頑張る、こういうことだと思います。
 さて、財政問題、最後の質問にしたいと思いますが、私があえて出身は北海道の夕張だと言ったのは、理由があります。十三年度の普通交付税、もう既に配分が決定しています。総枠が若干減って、しかし臨時財政対策債が発行されて、全国ベースでいうと大体バランスがとれている。
 北海道の実態をまず簡単に申し上げたいと思うんですよ、どうなったかということを。私も二百十二の市町村を全部個別に点検をしました。最近、年ですから、老眼かけながら小さい数字を拾って随分分析をしたわけですよ。これは、北村理事の関係も出てきますから、よく聞いておいてください。
 今言ったように、普通交付税の配分、臨特債、それで穴埋めをして、全国的には大体バランスがとれる。北海道も二百十二の市町村、平均でいうとそういう状態なんですよ。
 ところが、北海道的に言うと、私の出身の夕張のように、炭鉱地帯、正確に言えばかつての炭鉱地帯、過疎が急速に進む農漁村、大変な、赤字地方債を補てんされても結果的に交付税が大幅に減る。個別は余り言いません。僕の出身の夕張ですから夕張だけ申し上げますと、単年度で、赤字地方債が補てんをされても、普通交付税で一〇%、金額にして五億円も減るんですよ。かつて人口十二万、残念ながら現在は一万四千を切っていますよ。全国一急速に人口が減る。
 通産大臣はもういいですから、別に通産大臣に責任をとれとは言いませんが、日本の石炭政策のひずみがそういうところに集中的に出ている。これはやはり、総務大臣、何とかしなければ、国の総務相として。少なくとも普通交付税で単年度でこんなに減ってしまったら、夕張市長は私の先輩ですから、もう顔を合わせたら、いや大変だ、大変だと。これは口だけじゃなくて、本当に大変だと思いますよ。
 北村さん、あなたの選挙区の音別町というのがありますね。同じような傾向ですよ、これもかつての炭鉱地帯。(発言する者あり)まあ、任せてくださいと言うから任せていいと思いますが。
 しかし、いずれにしても、こんなに急速に普通交付税が減ったら、単年度の財政運営ができない、決算ができない、新年度の予算編成ができなくなる。どうするんですか。これはやはり、俗に言うところの激変緩和措置というのはいろいろな分野でやっていますよね。僕は夕張出身だから言うんじゃないですよ、利権絡みの話じゃないんですから。しっかり受けとめて、激変緩和、必ずやる、ぜひひとつそういう意味での積極的な、明確な答弁を欲しいと思うのですが、いかがでしょう。
片山国務大臣 今のお話のような事情のところが全国には幾つかありますけれども、こういう場合には、激変緩和措置は交付税の上でも、例えば人口急減補正なんという急減する場合の補正をやっておりますので、基本的には、私は、来年度の地方財政計画、地方交付税の確保で地方団体の財政運営には一般的には支障がない、こういうふうに思っておりますけれども、個別につきましては、よく事情を調べたり、いろいろな状況を聞かせていただきまして、しっかりした対応をいたしたい、こういうふうに思っております。
中沢委員 今私は個別の例は夕張だけにしましたが、全国的に、福岡だとか熊本だとか長崎等々のかつての産炭地、同じ傾向ですよ。ですから、人口急減補正あるいは産炭地補正、今の制度が具体的にきくように、しっかりひとつ官僚を叱咤激励して、ぜひやっていただきたい。これは恐らく、関係の国会議員は与野党を通じて同じ思いだと思いますよ。ぜひお願いしますね。
 さて、テーマを変えまして、政治と行政の責任、もっと言えば、今のこの予算委員会でいろいろな問題が出ていますが、政官の癒着の問題、三つに限定して、これから質問をしたいと思うのです。
 まず、村井国家公安委員長、御苦労さんです。
 一昨年の一月二十八日、新潟県で、少女の長期監禁事件、犯人が逮捕される。それをめぐって、多くは言いません、当時の新潟県警本部長、関東管区の局長、二人が、事もあろうに、その夜、県内某所で宴会をやって、マージャンをやって、事実上大変な不祥事を起こした。
 当時の地方行政委員会、私は筆頭理事をやっていました。保利さんが自治大臣兼国家公安委員長、大変な議論をしました。結果的に、それが警察の構造的な不祥事件である、前代未聞だ、これじゃだめだ、警察内部で監察制度というのをしっかり充実をしてやる必要がある、そして警察法の改正をやって、私ども民主党も、政府の警察法の改正はまだ生ぬるいと、いろいろな議論をしましたが、今日に至っています。
 最近の警察の不祥事は、私は今、委員会に直接入っておりませんが、詳しいことはわかっておりませんけれども、マスコミ報道などを見る限り、あのような前代未聞の不祥事は幸いにして起きていないと思うんです。その辺について、今の国家公安委員長として、どういう感想と見解と、対応をされているのか、簡単にお聞かせください。
村井国務大臣 新潟の大変残念な事件からちょうど二年になろうとしているというところでございます。
 二十数万人という大変規模の大きい職員を抱える警察でございますから、不祥事が全くないとは残念ながら言い切れないところでございまして、また、とりわけて、過去の事案が、例えば五年前、六年前というようなものがぽつぽつと出てまいるというような実態もございます。
 ただ、はっきり申し上げることができますのは、いろいろな、神奈川県警における事案、それから今委員御指摘の、新潟の大変残念な、これは本来、関東管区局長が新潟県警へ監察に出かけた折に、事実上、監察業務を十分に行わず、県警本部長と飲食をともにし、それからさらに、たまたまそのときに長年にわたって行方不明だった少女が見つかった、それにつきましてまた適切な捜査指揮をその本部長としてとらなかったというような事案に対しまして、大変強い反省をいたしまして御案内のような対応をいたした経過がございますけれども、幸い、あのような事案というのはその後発生していない、それはおっしゃるとおりだと思います。
 警察といたしまして、いずれにいたしましても、不祥事が生じました場合に、それを決して中で隠すことなく、きちんと各都道府県公安委員会でこれを報告を受けまして、そして公安委員会としての判断を受けながら対応をするということで処理をしておる。そして、これらにつきましても、きちんと公表をし、世間の批判もちょうだいをしながら対処していくというような対応をしているところでございます。
 そのほか、警察の構造的な改善につきましては、いろいろ工夫をいたしているところでございます。
中沢委員 関連しまして、具体的に事実を確認したいと思うんです。
 あの当時は、私自身も質問に立ちまして、職務怠慢、警察に国民が大変な信頼を失墜させた、信頼の失墜行為である、公務員法上も厳罰に処すべきである、懲戒免職に値する、こういう追及をしました。
 結果的に、二月二十九日に本人からの依願退職願を受理して、依願退職扱いにした。しかし、翌日の三月一日に、両名の退職金、全額受け取りを辞退する、こういうことで、評価は別にして、実質懲戒免職にやや匹敵をする、つまり退職金を棒に振って、本人や周辺の皆さんがいろいろあったと思うのですけれども、そういう着地をしたのですね。お一人は三千八百万、お一人は三千二百万。退職後の生活設計を考えたら、これはやはり大変な決断だと思いますよ。武部さん、よく聞いておいてください、後で関連しますから。
 そういう事実について、間違いがないと思うのですが、いかがでしょう。
村井国務大臣 二月の二十六日でございましたか、当時の新潟県警本部長につきましては減給処分をいたしました。それを受けまして、二月の二十九日に関東管区局長と本部長が依願退職をし、そしてただいま委員御指摘のように、その翌日、三月一日でございますけれども、関東管区局長それから新潟県警本部長であった両名、いずれも退職金の受領を辞退しているというのは事実でございます。
中沢委員 村井さん、もう御退席いただいて結構ですから。
 さて、武部農水大臣、これからお伺いします。
 今のお話、しっかり聞いたと思うのですね。他省庁のことだから農水省は関係ない、そんなことは当然考えていないと思うのです。当委員会でも、BSEの問題を含めて、大臣の政治責任と退職をしてしまった事務次官の行政責任、随分議論になっていますよ。来週もまたこの委員会でも議論をするというふうに聞いています。
 私は、まず、退職された事務次官の退職金、勧奨退職三割割り増しの、これは法律的にはそういうふうになっていますが、割り増しの退職金を払って九千万支給をしている。これはもう事実、今まで議論していますから。
 さて、警察の問題は今具体的に事実関係が明らかになりました。私は、やはり大臣として、確かに事務次官は犯罪行為は起こしていない、それはおっしゃるとおりでしょう。しかし、国民の農水行政に対する信頼の失墜というのは、本当にもう地に落ちていますね。これ以上落ちることはないのじゃないですか。
 そうすると、少なくとも、本人が意識するかしないかは別にして、職務怠慢ということも含めて、国民の農政に対する、畜産行政に対する大変な信頼失墜。もっと言うと、これから具体的な対策を打つにしても二千億以上かかるのではないか、こういう状況ですよ。国家財政にも大変な被害を与える。そうすると、これはやはり、このまま見過ごしておくというわけには私はいかない。私はというよりも、少なくとも大多数の国民は、あれは余りにもひど過ぎる、つまりはキャリアの官僚天国の典型でないか、こういう指摘は今でも出ている。これからも出ると思いますよ。
 私は、せめて、警察のお二人のケースが事実が明らかになりました、それを参考にして、もう一度具体的な対策を立てられた方がいいのじゃないか、そう思いますよ。どうでしょう。
武部国務大臣 委員御指摘の問題につきましては、私ども、BSE発生時におきまして、焼却処分したと言ってそうでなかったという問題、あるいは危機対応マニュアルがなかったという問題等々含めまして行政対応に大きな問題があった、構造上の問題があった、このように認識して、まさにこれを正そう、そういう決意で今取り組んでいるわけでございます。
 熊澤前次官の退職金の問題につきましては、今委員もお話ありましたように、刑事事件でありますとか不祥事といった非違行為に該当するものではないということでありますことから、これまでの取り扱いと同様に、法令に従った退職金支給ということに相なったわけでございます。また、退職した職員に退職金の一部を返還させるとか強制できるものではないことを御理解いただきたいと思うんです。これは個人の判断にゆだねられるものである、かように思うところでございまして、御理解をいただきたいと思います。
中沢委員 そうすると、武部さんとしてはとにかく本人の意思任せだと、結論から言うと。本人の意思任せといったって、これはやはり大臣と当時の次官とのいろいろな人間関係もあると思いますよ。私は、少なくとも、政治家武部勤、大臣という肩書を外してもいい、そういう話を改めてやる方が、やはり範を垂れるという言葉がありますよね。口では、危機意識がなかった、農水省の構造的な問題だ、責任はわかるけれども犯罪行為ではないんだと。こういう逃げでずっとこれからもやること自体、けじめがつかないんじゃないですか、行政のトップの事務次官。僕はそれじゃいけないと思いますね。
 ぜひひとつ、それは本人の自由意思だと思いますよ、最後は。しかし、そういう働きかけを人間同士でやはりやる必要が私はある。農水省の政治家のトップと行政の元トップがそういう意味でのしっかりした話をして、国民から、やはり少なくとも責任の所在を明らかにして明確なけじめをつける、そして農水省に対する信頼を回復していく、こういう道を私はとるべきだと思うんですが、そういうことについても全く一顧だに値しないんですか。
武部国務大臣 今も申し上げましたように、退職した職員に退職金の一部返還等を強制できるものでないことは御理解をいただきたいと思います。
 なお、先ほど御指摘のありました新潟少女監禁事件の際の警察庁の事案につきましても、当時の保利大臣から、退職金の辞退についてはあくまでも本人の意思によるものであり、自分から政治的な圧力をかけていない旨答弁されている次第でございまして、ただ、今後、総理も答弁されておりますように、この問題を制度的に今政府部内で検討して、退職金の問題、公務員制度改革の一環でやっているのではないのか、かように思いますが、そういったところにゆだねられるべきではないのかなと思いますので、御理解をいただきたい、かように存じます。
中沢委員 今の答弁については、全く理解も納得もできませんね。
 ちょっと角度を変えましてまた言いたいと思いますが、片山総務大臣、もう退席されて結構です。
 さて、武部大臣の政治責任問題も、随分この委員会で議論されています。私は、お互いに北海道出身同士ですから、追及をしたいという気持ちもあるけれども、武部さん自身はまだ僕から見たら年も若いし、将来のある政治家だと思うんですよ。そうすると、いつまでも大臣の席にしがみついているという姿は、私はどうも釈然としませんね、率直に言って。
 いや、それは、責任はこれからいろいろな方法で果たせると思いますよ。しかし、事務次官がけじめをつける、同時に私もけじめをつける、大臣をやめる、こういう決意を早く、しっかりと、決断を含めて私はやるべきだと。私が言うから、いや、わかりましたなんていう、そんな状態ではもちろんないと思いますよ。しかし、あなた自身はまだ将来のある政治家なんだから、責任を持って、政治責任をとって大臣をやめる、そういう政治家としての潔さが今求められているのじゃないですか。僕はそう思いますよ。
 もちろん、あなた自身で決められない、党内のさまざまな派閥の関係もあるでしょう、あるいは官邸の意向も聞かなきゃならないでしょうが、肝心なのはあなた自身ですよ。反すう自戒という言葉があります。今までの予算委員会やら農水委員会で随分追及されていますが、もうそろそろあなた自身もしっかりとけじめをつけて、大臣をやめて、これからのあなたの政治的な未来像というのをあなた自身がしっかりと描いていくべきではないか。
 あえて、北海道の同郷のよしみで、追及型じゃなくて、私なりに説得しているつもりですから、しっかり聞いて、お答えをいただきたいと思いますよ。
武部国務大臣 先ほども申し上げましたように、BSE問題発生時、これは当初段階の混乱を見て、行政に構造的な問題がある、この徹底究明、問題の解決に、役人任せにせずにして、政治主導でやらなければならないというのが私の決意でございます。
 執念を持って取り組んできた次第でございまして、現在、先頭に立って、感染経路の究明や、生産者、流通業者、中小企業者等影響を受けた方々に対する関連対策の実施等に全力を挙げて取り組んでいる次第でございます。特に、消費者の方々に正確な情報を提供し、牛肉の需要回復に努めることが現下の喫緊の課題、このように認識している次第でございます。
 また、今回のBSE発生に伴うさまざまな問題については、客観的な、あるいは科学的な知見に基づく検証が必要だ、こう認識しまして、現在、BSE問題に関する調査検討委員会で、公開のもとで御検討いただいているわけでございます。
 農林水産行政の改革とともに、これら喫緊の重要な課題に対して、今まさに政治主導でその解決に向け職責を果たしてまいりたい、そして国民の皆様の信頼と安心を取り戻す努力を続けてまいりたい、さように考えている次第でございます。全力を尽くして頑張ってまいりたいと考えております。
中沢委員 今までと同じ答弁なんですよ。官僚の書いた原稿をそのまま読んで、あなた自身の言葉は、言っているつもりだけれども伝わってきませんね、残念ながら。
 あなたは北海道で自民党の道連の責任者をやっている、私も民主党の北海道の責任者をやっていますから、党派は違っても、随分お互いに、人に言えないいろいろな苦労をしていると思いますよ。ですから、あえて私は、一人の政治家としてあなた自身がもう決断をする時期だ、こういうふうに言っているんですから。
 このままいったら、来週も予算が、衆議院でこれからまだ議論するでしょう、参議院でも議論するでしょう。針のむしろの上にそのまま座っているつもりなんですか、あなたは。(発言する者あり)そういう話もありますが、それは全然質的な問題が違いますけれども。私は、とにかく早く、しっかり自分としてけじめをつけるべきであるということを改めて申し上げておきたいと思うんです。いや、答弁は要りません。
 そこで、質問をまた別な方に向けたいと思うんですが、これから専ら、すべてではありませんが、外務省の問題について、具体的に幾つか聞いておきたいと思うんですよ。これはホットニュースみたいなのもありますから。これは答弁は、大臣や、あるいは官房長や関係の局長、審議官だと思うんですが、しかし、大臣もしっかり聞いておいてほしいと思いますよ。
 農水大臣はもう結構ですから、武部さん、お疲れでしょうから。
 まず最初に、警察庁を急遽お呼びいたしました。委員長、ありがとうございます。
 新聞、テレビで報道があります。私もかつて警察問題をやったということは先ほど言いました。もう本当、びっくりしましたね、これまた外務省、大変な不祥事件を発生したんだなと。これは外務大臣だってそういう思いだと思いますよ。あるいは、俗に言うところの、その上のポジションにいる人たちも同僚も含めて、これは大変だなと。完全に犯罪行為ですから。
 具体的に言いますと、外務省儀典官室の佐藤首席事務官が逮捕された。これから先は警察の方から答弁してもらいますが、容疑の事実、身柄の拘束があるかないか、これからどういう捜査を行うのか。これから行うかということは、今までの通例で言うと、答弁を差し控えさせていただくということでしょうが、まあしかしここまで来たら、そんな通り一遍のことだけじゃなくて、これからどうするかも含めて、明確に答えていただきたいと思います。
黒澤政府参考人 お尋ねの事案でございますけれども、神奈川県警察において捜査をいたしておる事案でございますが、事案の概要は、平成十三年九月三十日の午後十一時二十五分ごろでございますが、神奈川県下、厚木市内の路上に駐車中の軽自動車内におきまして、伝言ダイヤルで知り合った被害少女、当時十五歳でございますが、この被害少女が十八歳未満の児童であることを知りながら、現金一万円を供与いたしまして、わいせつな行為をさせ、児童買春をした、児童買春等の容疑で逮捕をいたしております。
 神奈川県警におきましては事件の全容解明に向けまして鋭意捜査中と承知をいたしておるところでございます。
中沢委員 今のお答えで具体的な事実関係は明確になったわけですよ。これは大臣、大変なことですね。後でまたお答えいただきます。
 さて、この人に関係して、私は、物的証拠は完全にそろっていませんが、こういう話を聞いています。今、容疑者として問題になっている佐藤首席事務官、この人物は、今までの予算委員会で同僚議員が鈴木宗男さんのアフリカ人の私設秘書問題をいろいろ取り上げてきました、それとの具体的な関係があるということなんです。
 これは外務省からお答えをいただきたいと思いますが、既に指摘をしております、私設秘書官と言っているムルアカさんに、いわゆるIDカード、外交官カードを渡したのはこの人じゃないか、このように、かなりの確証でそういう話を聞いています。これは事実ですか。
小田野政府参考人 お答え申し上げます。
 外務省より、ムルアカ秘書に対し、外交官の身分証明票、いわゆるIDカードを発給した事実はございません。
中沢委員 今までのお答えと全く同じですね。しかし、これはかなりの疑惑として、これから予算委員会で、恐らく我が党だけじゃなくて他の党からも具体的な指摘があると思います。
 さて、別な角度で。
 二十日のこの委員会で、原口議員の方から、名前を間違うと問題がありますから、ダンボ氏についての外交官の資格についていろいろ議論がありました。改めて我が党の幹事長室の方からの照会に対して外務省の返事が来ています。これはちょっと書類を配っていただきたいと思います。
 これだけに時間かけるのはあれですから、内容は言いません。要約するとこういうことを外務省が言っているんですよ。ダンボ氏が外交官資格を剥奪されたということなどについて回答をしているけれども、まず、この回答の文書そのものは事実なのかどうかということ。
 それから、現在、これは事実としてこの方はコンゴの駐韓大使という仕事をされているわけですね。そういう一連の事実経過から見ると、私は、率直に言って、外務省のこの回答は、これはちょっと事実と違うんじゃないのか。ぬけぬけと、言葉は悪いかもしらぬが、外務省は、依然として事実を隠ぺいして、こういう回答をしている。これはとんでもない話だと思いますよ。委員会で正式に取り上げて文書で回答してもらった、言っていることと事実は違うんじゃないか、こういうことについてどうなんですか。率直に答えてください。
 もっと言うと、この一連の問題で言うと、残念ながら、鈴木宗男議員がどうもこの背景に存在をしている、秘書の問題も含めて。私は、後でアフリカのODAの話、いろいろやりたいと思いますが、外務省は省を挙げてこういう事実関係を隠ぺいしようとしているのではないか、こういう疑いを私は個人的に率直に持っていますよ。どうなんでしょう。これは大変な問題ですよ。
 きょう、私は時間制約がありますから、これだけには余り時間をとりませんが、いずれにしても、この回答の文書、今私が指摘をした事実隠ぺいという意図があるのではないか、こういう指摘についてはどういうふうにお答えになるんですか。
小田野政府参考人 お答え申し上げます。
 ここに記しましたものは、二〇〇〇年の十二月十九日に、先方の方から外交文書、いわゆる口上書というもので記載してきたもの、それを引用したものでございます。私の手元にございますが、そこの部分を読み上げさせていただきます。
 「コンゴー政府が、二〇〇〇年五月二十九日付けでガストン・ンガンバニ・ジ・ミゼレ氏の駐日コンゴー民主共和国大使館臨時代理大使としての活動終了を決定したことを再通報」します。
 これとあわせまして、同じ日に、十二月十九日でございますが、「コンゴー政府が本日付けでクリストフ・ングウェイ・ンダンボ氏の駐日コンゴー民主共和国大使館臨時代理大使としての活動停止を決定したことについて、日本政府関係当局へ伝達するよう要請する」というふうになっております。それをここに引用させていただきました。(中沢委員「後段の質問に答えていない、事実隠ぺい」と呼ぶ)この紙には、私どもが知るものについて記させていただきました。
中沢委員 これは、普通の政治家としてそういう答えを聞いても、疑惑は全然晴れませんね。予断と偏見を持っている国会議員だったら、案外そうかな、こう思うんでしょうが、そんな方はいませんよ。
 これは、私は今のお答えに納得できません。ぜひ、改めて再答弁するか、あるいは、具体的な物的なさまざまな文書、物件、改めて出すように、特に委員長に求めたいと思いますが、資料全体を早く出してくださいね。
津島委員長 理事会で協議をいたします。
中沢委員 僕は予算の理事をやっていませんが、我が党の理事の話によると、昼休みの理事懇ないし理事会でこの問題について議論をする、こういうことになっていますから、やはり明確な答弁をしっかりさせてほしいと思うんですよ。改めて言いません、ぜひ答弁してください。それによっては、理事会、理事懇、これは大変なことになると思いますよ。
小田野政府参考人 それでは、少し補足してお答えさせていただきます。
 まず、二〇〇〇年五月に、コンゴ民主主義共和国政府から、ンガンバニ臨時代理大使、これは当時東京におりました、臨時代理大使にかわりまして、ングウェイ氏を新たな臨時代理大使に任命する旨の通報がございました。しかし、その後もンガンバニ氏は、自分が引き続き臨時代理大使であるという主張を東京で続けるという異常な事態となりました。
 臨時代理大使の任命はコンゴ民主主義共和国の政府部内の問題でありますので、我が国としましては、本件事態の解決に関しまして、コンゴ民主主義共和国の本国政府の意向を再確認することが重要という立場から、この政府に対しまして累次にわたり善処を求めてまいりました。
 その後で、コンゴ民主主義共和国政府におきましては、同国の在外公館の体制を刷新すべく改革が進められておりまして、二〇〇〇年の九月に至りまして、最近行われた外交官の任命を保留するという旨の通報が行われるなど、さまざまな動きが出てまいりました。
 その後、十二月になりまして、コンゴ民主主義共和国政府より、ンガンバニ氏及びングウェイ氏の在京臨時代理大使としての活動を終了する旨の通報がございました。
 このように、我が国としましては、コンゴ民主主義共和国政府の意思確認が得られないために、ングウェイ氏の臨時代理大使としての接受というのが困難な状況にあったのが続いていた次第でございます。
中沢委員 いずれにしても、先ほど言いましたように、今のような答弁をされました資料も含めて、当委員会、あるいは理事会でもいろいろな議論経緯があるようですから、理事会でもしっかりやってほしいと思います。同時に、この問題については引き続き当委員会で我が党の同僚議員が質問に立つと思います。
 さて、ちょっと別な角度から外務省の官房長に聞いておきたいと思うのです。時間がありませんから、一問一答をやっていたら時間不足になりますから、まとめて申し上げます。
 いわゆる外務省人事に対する特定の政治家の不当介入問題。まず一つ、佐藤優主任分析官はキャリア、第1種の採用なのかどうなのか。二つ目、彼の現在のポスト、いつからそういうポストをつくって、全部でなくていいのでありますが、大体在任年数どのぐらいでやっているか。彼は何年何月期になっているか。
 それと、彼にまつわる話、いろいろ書かれていますよね。ラスプーチンということも言われている。確かに、同志社大学の神学科の卒業だから、怪僧というよりも怪牧師なんでしょうね。そして、鈴木宗男議員にべったりであるということも、この委員会でもかなり物的な事実も含めて出されています。しかも、主任分析官の人事異動については、もう繰り返しませんが、鈴木宗男議員が重大な影響力を持っている。宗男議員の了解がなければ主任分析官が異動することもできない。言葉遣いは別にして、田中元外務大臣の言っていることと官房長の言っていることは同じ意味だと思うけれども、あなたは非常に歯切れが悪い。官僚答弁ですよ。そこのところをはっきりしてください。
 それから、後ほどの質問にも関係があるのでありますが、鈴木議員は最近アフリカにかなり着目をして、ODA絡みでいろいろなうわさが飛んでいますね。そうすると、中東アフリカ局にも佐藤主任分析官のような、つまりは鈴木さんに非常に近い官僚がいて、その人事についての介入があるのかないのか。これは新しい問題だと思います。まとめて答えてください。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、佐藤主任分析官は、五十九年に外務省の専門職員採用試験に合格して入省された方でございますので、1種ではございません。佐藤主任分析官は、平成十年七月に主任分析官に発令されております。同時に、主任分析官は、この時期に外務省の中の特別専門職という、同氏の能力にかんがみまして、そういう指名も受けております。
 それから、彼の主任分析官の在任期間は、したがいまして、平成十年七月からでございますので、主任分析官以降は三年半近くになろうかと思います。
 ほかの職員の、主任分析官との関連でございますけれども、主任分析官は、今のところ、人材の問題もございまして佐藤主任分析官以外には発令されておりませんので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
 なお、分析課におきましては、より年次の……(中沢委員「主任分析官というポストをいつからつくったか」と呼ぶ)それは、今申し上げましたように、主任分析官につきましては、平成十年七月ということでございます。
 それから、同じ分析課の中でより年次の高い方のために情報分析官というポストがございまして、これにつきましては、例えば中国の専門家とか安全保障の専門家等が発令されております。
 それから、田中元外務大臣の言っていらっしゃることと私の言っていることのそごでございますけれども、私、きのう御答弁申し上げましたように、田中大臣から御質問があったときに、佐藤主任分析官につきましては、その異動につきましては、鈴木議員に説明はした方がいいというふうに申し上げた次第でございます。
 最後の、中東アフリカ局について同じようなという御質問でございますが、そのようなことは承知しておりません。
中沢委員 田中さんとあなたの鈴木宗男さん絡みの人事の介入についての表現の違い、これはあえて私はここではただしません。官僚のお答えで、やはり慎重な言い回しですけれども、大変な影響力を鈴木先生、鈴木議員はお持ちなんだな、そういうふうに普通は受けとめますね、国会議員であっても、国民であっても。そういうことだと思います。
 さて、そこで、別な問題で具体的にお伺いをしますが、昨年の八月から九月にかけて、衆議院は、関係委員会が一斉に海外調査団を編成して行きました。私も内閣委員会のメンバーで行ってきました。
 さて、外務委員会、いつからいつまでどういうコースで行ったかということは、私は承知していますから、あえて申し上げません。問題は、鈴木議員は、ケニアの後、団の行動としてはイスラエル、ロシアという日程で日本に帰る。ところが、鈴木議員は、ケニアから、聞くところによると、チャーター便を借りてアフリカのほかの国を回った、こういうことを聞いています。
 具体的に、ケニアの後、どういう国を回って、どういうことをやっているのか。極めてラフな資料はもらいましたけれども、私はびっくりしましたよ、外務省って。非常につっけんどんな資料しかよこさないなと。何日どこ、何日どこ、何時に出て何時に着いたかなんということも全然書いていない。チャーター便どうなっているのということについても、私自身も時間がありませんから十分検証していませんが、そういう返事も来ていない。まず、そのことについて明確に答えてください。
 もっと言うと、鈴木議員のその後の、外国についての外務省の便宜供与、具体的にどういう便宜を供与したか。資料によると、各国で大統領に会うような、そういう予約もしたと。大統領との会談があったか。もう少し具体的に答弁をお願いしたいと思います。
小田野政府参考人 お答えいたします。
 鈴木議員は、平成十三年の九月に、衆議院外務委員会の各国外交政治経済事情等調査議員団の一員としてケニアに参りました後に、タンザニア、ボツワナ及び南アフリカを訪問したと承知しております。その際に、鈴木議員側の意向によりまして、日程の一部においてチャーター機を使用したと承知しております。
 回りましたのは、九月四日に、タンザニアのダラエスサラーム、キリマンジャロと回りました。それから、五日に、ダラエスサラームからボツワナのハボロネという町でございます。そして、六日に、ハボロネから南アフリカのダーバン、そしてヨハネスブルクというふうに回ってまいりました。
 その間でございますけれども、タンザニアにおきましては、九月四日にムカパ大統領との会談を行い、同じ日にキマンドル中学校講堂竣工式に出席されました。それから、九月五日、ボツワナにおきましてモハエ大統領との会談を行い、九月六日、南アフリカにおきましてムベキ大統領との会談を行いました。
 各訪問国におきましては、現地の日本大使館を通じまして、各国の大統領とのアポイントメントの取りつけ、大使館員の同行と通訳、それから宿舎の留保、配車などを内容とする便宜供与をいたしました。
    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕
中沢委員 具体的に一つ、二つ聞いておきたいと思いますが、チャーター便で移動されている。チャーター便、これは外務省がいろいろ準備されて、もちろん費用は御本人が払ったと思いますが、そういうことについてどうなのかということが一つ。
 それから、後ほどの質問にも関連をしますが、普通、その国の大統領と会うというのは大変なことじゃないんですかね。会ったこと自体、私はだめだとは言っていないんです。具体的に、今、学校の話が出ました。ODAの無償援助に関係をすると思うんですけれども、そういう事実について。この二つ。
 もっと言えば、本省からどなたか、外務省が同行されたんですか、されていないんですか。この三つ。
    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕
小田野政府参考人 アフリカにおきましては日本に対する期待が非常に高まっておりますので、外務委員会筆頭理事としての鈴木議員ということで、先方は大統領とのアポイントメントを設定されたというふうに承知しております。
 それから、チャーター機につきましては、恐らくは、限られた日で、交通不便なアフリカの地でございますので、効率的に回るということでチャーター機を利用されたのだろうと思います。それですので、どういうところできちんとしたチャーター機が手配できるだろうか、探せるだろうかというようなことにつきましては、側面的に支援をさせていただきました。
 それから、外務省からの話でございますけれども、アフリカ第二課長が外務省の経費として東京からアフリカまで出張いたしまして、その後……(中沢委員「ずっと同行しているの」と呼ぶ)同行いたしました。それは、タンザニアにおきましては、ボツワナ、南アフリカも同様でございますけれども、去年の十二月に東京で行われましたアフリカ開発会議にアフリカの国からなるべく高いレベルで参加していただきたいという依頼、打診をする必要がございましたので、本来的に外務省の用務として出張する必要がございました。
 それから、南アフリカについて言えば、それよりもさき、去年の十月でございますけれども、ムベキ南アフリカ大統領の訪日が予定されておりましたので、その事前準備ということもございまして出張の用務がございました。(中沢委員「チャーター代は本人負担ですか」と呼ぶ)チャーター代につきましては本人が、本人といいますか、鈴木事務所の方で支払われたというふうに承知しております。
 それから、タンザニアの学校の件につきましては、ちょっと私、所管でございませんので詳細わかりませんが、鈴木議員の方からの経費で送金をされて、この建設費用に充てられたというふうに承知しております。
中沢委員 今話を聞きまして、正直言って、外務省は破格の、いろいろな配慮をされている。普通、外務委員会の旅行団というのは、基本的には団体行動ですよ。
 ケニアからイスラエル、ロシアに御一行は行っている。確かに、別な用件があって、その後、アフリカ国内三つの国を訪問されている。それにしても、本省から同行があったり、チャーター便の手配までやっている。もちろん、金なんか持つ筋合いじゃないことははっきりしていますけれども。僕らも何回か正式な団で与党の皆さんとも行っていますけれども、これは、普通の常識で言うと考えられませんね。率直にそのことは指摘をしておきたいと思うんです。
 そこで、最後、鈴木議員が、三つの国を訪問されて大統領と会って、あるいは学校にも行ったという話を今改めて聞きました。委員長、特に大統領との会談というのは重要な問題だと思います。しっかりした情報提供をこの委員会に出していただくように求めておきたいと思いますが、いかがですか。
津島委員長 御要望につきましては、理事会で検討いたします。
中沢委員 それで、この三つの国に限定して外務省に資料要求しまして、資料が来ました。届いたのがきのうの夜の十一時ぐらいですから、朝、私が出勤してさっと見た限り、各国によっていろいろ違いますけれども、これは大変なODAのプロジェクトがあって、技術援助も含めて、無償援助、有償援助、いろいろある。僕は余り勘ぐりたくないのですけれども、北方四島の支援事業で、随分この委員会でも鈴木議員にまつわる疑惑、物的な事実も含めて議論になっていますよ。
 私はODAは大賛成です。これはぜひやるべきだ。しかし、アフリカにおけるこの種の、資料を一々申し上げませんが、二十日の御本人の見解によると、私はアフリカの議連の責任者を十数カ所の国についてやっていると。本来でいうと、やはり衆議院の予算委員会として、与野党を問わず、疑惑が持たれがちなこの問題について徹底的に解明をする必要がある、私はそう思います。
 これはぜひ理事会でも議論をしていただきたいし、きょうはもうこの問題についてこれ以上やる時間がありませんからこのぐらいにしますが、最後に外務大臣から、政治家として、外務大臣として聞いておきたいと思いますよ。
 人事の不当介入の問題、あるいはそれにまつわるさまざまな疑惑、そしてもう容疑者で捕まっているキャリアの官僚も出ている、これで一体外務省は本当に立ち直っていけるのですか。国民から信頼される外務省という、本当に日本の外交を責任を持ってやっていただかなければいけない外務省として、本当に大丈夫なんですか。
 そして、北方四島問題のこともありますが、鈴木さんはロシア通で、ロシア以外の関係国も最近訪問されている。今指摘をしたように、外務委員会の仕事で、その延長線で三つの国を訪問されている。アフリカのODAの開発事業にまつわるさまざまな利権が一体大丈夫かと、私は心配ですね。
 その二つについて、大臣、どう思いますか。これからどうするか、しっかりした決意を聞かせていただきたいと思います。
川口国務大臣 外交への信頼が、国民の皆様に信頼を持っていただけないような事態が一連の不祥事を通じて存在をし、またさらに、今回の児童買春事件のようなことでさらにそれがそういうことになってしまったというのは、本当に残念といいますか、遺憾だというか、信じられないというか、大変に私は残念だと思っておりますし、この件については、本当に心が鉛のようになっていくことをどうすることもできないという感じを持っております。
 大事なことは、外務省に対する国民の皆様の御信頼を一日も早く回復をするということが大事でございます。それで、調査につきましては、総理からの御指示も先ほどいただきまして、遅くとも十日以内にということで、調査は園部参与にも急いでいただきたいと思っておりますし、改革ということで十の項目について骨太の方針を出させていただきましたけれども、また、総理からも刷新をできるだけ早くということもおっしゃられまして、私も本当にそうだと思いますので、これはできるだけ早く、さまざまな項目について早く進めたいと思っております。
 日本の国益が、外交への信頼を戻していただくということにかかっているわけでして、外務省の職員の全員が自分の使命あるいは責任に思いをいたし、自覚を持って厳しくみずからを律していくということが非常に大事だと思っております。
 さまざまなことを私も就任以来考えてまいりましたけれども、新しく次官も交代をしていただいたところですので、できるだけ早くやることをやるということで進めたいと思っております。
中沢委員 しかし、いずれにしても、新しい事務次官就任のときの新聞記事、あるいは、きのうも出席をされていましたが、外務省の信頼は完全に地に落ちている、これはもう事実ですよね。この際ですから、人事の問題も、特定の政治家との癒着のさまざまな問題も、ODAにまつわる、関係する利権の問題も含めて、大臣は責任を持ってすべてのうみをしっかり絞り出す。そうしなければ、与党の方からもつぶやきがありますけれども、このままじゃ外務省自体、とても信頼できない。ましてや野党の私どもとしては信頼できませんよ。
 言葉だけじゃなくて、具体的な実施計画もしっかりつくってもらって、せっかく監察の専門家、ポジションとしてつくったようでありますから、先ほど警察問題をちょっと言いましたけれども、そういう方々の専門的な知恵もしっかりいただいて、着任早々の大臣、本当に大変だと思いますが、国家的な、国益を守る、こういう観点でしっかり頑張ってほしい、そのことを指摘しておきたいと思います。
 さて、坂口大臣、お待たせをしました。これから公務員制度の改革全般について、残された時間幾らもありませんが、その後また平沼さんにも聞きますので、具体的に聞いておきたいと思います。
 後ほど石原大臣と少しやってみたいと思いますが、例の公務員制度改革大綱が昨年の十二月の二十五日発表になりました。いろいろな経緯があるんですよ。私も、内閣委員会で石原さんとも随分議論をしました。
 まずそこで、厚生労働大臣、坂口さんに聞きたいのは、六月のILO総会で、国内問題とはいいながら、日本の公務員制度を改革するという言葉とは裏腹に、公務員労働者の労働基本権問題も大事だ、そういう立場を踏まえて政府側が統一的な見解を発表されています。簡単でいいですから、その内容のさわりだけ改めて聞いておきたいと思います。
坂口国務大臣 平成十三年の六月におきますILO総会・条約勧告適用委員会におきまして、日本の労働者団体より、公務員制度改革につきまして、組合との交渉、協議が一度もなされないままに、行政改革大綱や公務員制度改革の大枠が決定されたとの指摘があったところでございます。
 これに対しまして、日本政府といたしまして、行政改革大綱あるいはまた公務員制度改革の大枠といった大枠のところの議論でありましたために、そこのところのお話をすることができなかったけれども、しかし公務員制度改革の具体的な内容を取りまとめるに当たりましては、職員団体を初めとする関係者と誠実に交渉、協議をして、そして制度の内容につきまして検討を行うことを説明したところでございます。
中沢委員 ありがとうございます。坂口さんはもう御退席いただいて結構ですから。
 さて、石原大臣、改めて議事録をずっと確認をしましたら、私と石原大臣との間で、この問題、三回やっています。あるいは本委員会や参議院の段階でも、いろいろな委員会でやっているということも承知をしています。
 公務員制度改革、具体的に身分の問題、給与の問題等々にしっかりメスを入れて抜本的に改革をする、その必要は私は認めているんですよ。我が党も基本的にそのことは認めている。そうすると、今の人事院制度ということにも関連をして、やはり公務員労働者の労働基本権は素通りにできない、ILOでも政府の統一見解が示されている、担当の大臣としても決意はいかがですか、こういうことをいろいろやりとりをやってきました。一々申し上げません。石原大臣は、表現は別にして、労働団体側がとことん公務員制度改革をやるというのであればとことんつき合う、誠意を持って団体と協議をする、こういう答弁をされていましたね。
 ところが、肝心の十二月の二十五日の大綱決定以前の状態は、私の知る限り、最後の場面で大臣は交渉の席上にいないんですよ。つまり、大綱を決める最後の大詰めの交渉で最高責任者の石原さんがいない。これはどういうことか。言っていることとやっていることが違うんじゃないか。
 私はあなたから見ればお父さんぐらいの年ですからね。ですから、やはりあなただって、武部さんよりももっと若くて、自民党の中では将来が嘱望されている優秀な政治家だと思いますよ。やはり、私は浪花節を言うわけじゃないけれども、国際的に発言をしたというのは国際公約なんですよ。国内的に委員会で大臣が答弁したということは、これは重たいですよ。つまり、信義の問題ですね。あなたは、これからの自分の、政治家として生きるためにはやはり信義を大事にする、こういうことを私はいい意味で忠告をしておきたい。そういうことからいうと、十二月の二十五日直前の、あなたの労使交渉最高責任者として出ていないということ、これは恐らくこれから先ILOの場でも随分袋だたきに遭うんじゃないですか。
 そこで、一つだけ、この委員会で社民党の方から、なぜ出なかったのかということを聞きましたら、先方の都合で私は出ていない、こういう答弁をしていますが、これは事実と違うと思いますね。信義の問題とそういう事実の問題を含めて、ちょっとお答えしておいてください。
石原国務大臣 ただいま中沢委員から御指摘いただきましたように、労働基本権の問題をめぐって当委員会あるいは内閣委員会で委員とかなりのディスカッションをしたということは十分承知しておりますし、改革を行う意欲のある方々であるならばとことんおつき合いをさせていただくというような趣旨の発言をしたということも事実でございます。
 職員団体との交渉、協議については、私も、私自身これまで誠心誠意行ってきたと自分では考えておりますし、ちょっと言葉が足りなかったのかもしれませんが、昨年末に連合官公部門連絡会から、労働基本権の制約についての結論を私から直接示すようの申し入れがありました。私から、これは組織でございますので、事務局長が説明するように指示をいたしまして、行政改革推進事務局が交渉、協議を通じてそのように連合官公部門連絡会に申し入れたところ拒否されたという事実だという旨を先般の当委員会で私は発言をさせていただいたものでございます。
 組織として適切な対応をとるよう指示したものでございますところ、困る、会わないというふうに言われたと聞いておりますので、何らこちら側に信義上の問題があるとは考えておりません。
 いずれにいたしましても、今後大綱に基づいての制度の詳細設計を行うこととなりますけれども、その際には、引き続いて職員団体の皆さんと十分な意見交換を行ってまいりたいと改めて申し述べさせていただきたいと思います。
中沢委員 あなたは今、自分は大臣だけれども、事務局長以下の官僚にそういう指示をして、そういうレベルではやっていると。私もそうだと思うんですよ。私はあなたに聞いているんですよ。政治家石原として、行政改革担当大臣として、公務員制度改革という大変なテーマで、ILOの場でも国際公約で言っている。国会でもしばしばそういうスタンスで答弁をされている。
 労働組合とも、私の手元に資料がありますが、多くは申し上げませんが、そのときは大臣出席の労使交渉なんです、あなた自身の言葉で、労働基本権問題は非常に大事だ、これからもしっかり対応をしたい、こういう発言があるんですよ。最後のところで官僚任せ、これは私は納得も理解もできない。
 さっき言うように、政治家としてお互いに、別に文書を交わして約束したわけじゃないけれども、信義の問題として、最後の大詰めの交渉で大臣が出ない交渉なんというのは普通はないですよ。それは事務交渉というんです。事務折衝というんですよ。どんな場合でもそうですよ。地方の場合だって、いよいよ最後の大詰めのところでは大臣が出て自分の言葉でしっかり回答をする、これは当たり前じゃないですか。信義違反ではないということを今言っていますけれども、これは問題ですね。とんでもない話だ。どうせこれからまた委員会でもやるようになると思います。
 もう一つ、あなたは国際人だと思うんですよね。私のような片田舎の出身でもないし。そうすると、すべての分野についてグローバルスタンダードという問題がありますよね。公務員制度でいえば、グローバルスタンダードというのはILOの国際的な基準なんです。既にILO、もう動いていますよ。下手したら、ILOから日本の政府が結果的に袋だたきに遭う、この問題で日本が完全にヨーロッパ、アメリカ等々の国から孤立をする、私はそっちの方を心配していますよ。野党だからそんなことは心配しなくて結構だという方がいるかもしらぬけれども。
 もっと言えば、今キャリアの公務員を含めていろいろな問題が出ていますよね。天下りの問題も含めて、キャリア官僚を中心にしたさまざまな問題も出ている。そういうところにはほとんどメスが入っていない。
 僕から言えば、公務員制度改革大綱は、改めてゼロから出発をして、広く国民の意見も聞いて、まとめ上げて立法化をすべきであるし、一流の新聞にもあるいは週刊誌にも、この間の、一部のキャリアと特定の議員がいろいろ話をしてこういう内容にまとめたという、非常に批判というかそういう話も出ている。そして、民間から協力をしていただいた方が書いたと思うんですが、そういう具体的な内容についての指摘をした、まだ出版物になっていませんが、私は原稿を持っていますけれども。
 公務員制度改革ということは、もう利権でも何でもないんですよ。もっと言えば、国家百年の大計をどうするか、こういうことですから、こういう、新聞から批判をされる、一部のマスコミから官僚の一部と特定の議員が合作をしたんだというような批判めいたことを受けること自体、僕は非常に残念ですね。
 いろいろ言いました。石原さん、どう考えますか。
石原国務大臣 いろいろおっしゃられたと思うんですけれども、例えば、ILOの場でチェックオフは認められています。しかし、フランスはどうでしょうか。チェックオフはやっておりません。(中沢委員「わかっています」と呼ぶ)わかっていらっしゃいますか。(中沢委員「そんな議論を今やっているんじゃない」と呼ぶ)いや、ですから、ILOのお話をされたので、ILOのお話をさせていただいております。オーストラリアは、国の制度ということで、チェックオフをやめているんですよ。
 私は、中沢委員を尊敬しておりますし、かなり息が合っていると思うんです。中沢委員にぜひ聞いていただきたいんですが、私は、誠心誠意、表の場じゃなくて裏の場でも、皆様方の代表と本当にとことん話をしてまいりました。そうしましたら、そこで、私からいえばとんでもない事件が起こって、皆様方からいったら皆様方の、今の方は悪くないと思いますよ、過去の方が悪いのかもしれません、ああいう事件が起こって、チェックオフの問題、私だって面と向かったらそれは言いたくなります、いろいろなことを。しかし、ずっとずっと抑えてまいりました。
 そんな中で、昔のことですから、去年のことですから詳しくは申しませんけれども、一方的に言って席を立つようなことをされたり、これまで信頼関係のあった方が前面に出てこられなくなってカウンターパートがかわられた、いろいろなことがあったんです。
 結果として、労働基本権の問題は、やはり各国の歴史的背景や公務員の労使関係、諸般の事情を考慮して決められるというのが一番であって、日本においても、現在の基本権の制約というものは合理性があると、議論をしてきて、与党もありますし自民党もあります、その議論の中で決まって、よく言われていますように、一部の人間が書いて、その人の言ったとおりになったというようなことは絶対ないし、それはあってはいけないことだ、私はこんなふうに認識しております。
中沢委員 時間があればもう少し深い議論をお互いにやる、そういう意味での責任者だと思います。残念ですが、もう時間がありませんから、別な機会に譲りたいと思います。
 しかし、石原さん、あなたのおっしゃることも一理ありますよ。私は、全部だめだと言っているわけじゃない。お互いにやはり政治家同士として、この国の公務員制度は今の状態ではだめだ、こういう認識はほとんど共通していますよ、天下りからキャリアの問題から含めて。しかし、労働基本権問題も素通りはできない。さて、どうするか。恐らく立法作業をこれからやるでしょう。ぜひひとつ、お互いに今まで以上に胸襟を開いて、いい意味で共同作業をしましょう。このことを申し上げておきます。
 石原さんは結構です。
 さて、平沼さん、大変お待たせしました。これからエネルギー問題、私、十二時までですからわずかですけれども、いろいろお尋ねをしたいと思います。
 私自身は北海道の夕張の出身で、かつては黒ダイヤの町、今はもう炭鉱が全滅、人口も一万四千を切る、こういう状態です。しかし、国会に出てまいりまして、野党でありましたが、石炭議員としてそれなりに頑張ってきたつもりなんです。北村さんの名前、また出すかもしらぬですが、日本で最後に残った釧路の太平洋炭鉱、残念ながら一月の三十日、閉山になりました。しかし、関係者が努力をされまして、私の方もそれなりに努力をしましたが、釧路コールマインという新しい会社が立ち上がって、年産七十万トンの石炭を掘り出す、こういうことになりました。
 この間、大臣にいろいろな意味で大変御配慮もいただきました。石炭問題というのは、与党も野党もないんですよ、超党派で、そこに関係する国会議員が一緒になってここまで来たという立場でお礼を申し上げたいと思います。
 さて、残る問題はたくさんあります。まず一つお尋ねをしたいのは、この四月からいよいよ炭鉱技術移転五カ年計画が本格的にスタートをします。多くは申し上げません。年間四十億、相手の国は今のところ三つの国。やはり、日本のすぐれた炭鉱技術を海外に継承していく、それは国益にもなる、こういうことで来たと思うんです。問題は、間違いなくこの技術移転五カ年計画が推進されると思いますが、そこのところの大臣の決意。
 あわせて、クリーンコールテクノロジー、ジメチルエーテル、燃料電池、将来の新エネルギーということでいうと、エネルギー政策全体の中では、どこまで可能性があるかということは、今実験段階、やや実用化に近づいていますけれども、やはり非常に国益にかなう明るい問題だと私は思うんですね。
 ですから、技術移転五カ年の問題と、今言った新しい二十一世紀型のエネルギー政策の観点から、この二つについて基本的な見解、決意、簡単にお聞かせください。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 中沢議員が我が国の石炭に大変御尽瘁をいただいた、そのことは、私も担当大臣として改めて感謝を申し上げたい、このように思っています。
 戦後の復興期に、石炭というのは、言うまでもなく、主要なエネルギー源として我が国経済の発展に非常に大きな功績がありました。本当に、その時代の流れの中で皆様方が努力をしていただいたわけですけれども、先ほど御指摘のように、この一月三十日に最後の太平洋鉱山も閉山をする、こういうことで、私も大変胸を痛め、ある意味では本当に申しわけないことだ、このように思っているわけであります。私どもといたしましては、閉山対策、雇用対策、地域対策、これからも万全を期させていただきたい、こう思っています。
 そして、炭鉱の技術移転五カ年計画のことでありますけれども、これは準備体制が整っておりまして、そして釧路の地の皆様方も、炭鉱の灯を消すな、こういうスローガンのもとに、自治体、地元の経済界の方々も一丸となって、釧路コールマインという会社を設立されました。そういう中で、私どもは、準備が整い次第、こちらは準備ができておりますから、早速この技術移転計画は実施をさせていただきたい、こういう決意を非常に強く持っておりますので、これは完全に実施をしていきたい、こう思っています。
 それから、御指摘の新エネルギーの件でありますけれども、石炭というのはこれからも、二十一世紀、私は枢要なエネルギー源としての地位は占めると思います。しかし残念ながら、その燃焼時において、これは委員よく御承知のように、CO2の排出量がやはり石油に比べて高い。ここを克服しなければならないということで、今御指摘の新しい技術に基づいてこれをどんどん伸ばしていかなきゃいけない。そういう新しいコールエネルギー、これに関しては、十四年度の当初予算の中でも九十四億円計上いたしまして、そして、我々としても一生懸命これを後押ししよう、こう思っています。
 その中で、釧路の地で展開しておりますジメチルエーテル、これに関しても非常に有望でございまして、私どもとしては、今これの試験運転段階に入っておりますけれども、積極的に支援をして、二十一世紀の新エネルギー、その一つとして力を入れてやっていきたい。
 また、新エネルギーというのは、これはたくさんあるわけですけれども、雪氷エネルギーにいたしましても、あるいは風力、さらには御指摘の燃料電池等々、これも地球温暖化の問題とも絡んで非常に枢要ですから、私どもは、これも力を入れていきたい、このように思っております。
中沢委員 さてそこで、新エネルギーの話をちょっと聞いておきたいと思うんですよ。
 おっしゃるように、新エネルギーは、風力だとか太陽光だとか、この一月から政令改正をしていただいて、北海道的にいうと雪だとか氷だとかそういう冷熱のエネルギー、バイオマス、これも新しい新エネルギーに対象として政令で決めていただきました。地元は大歓迎です。
 例えば、私のところの沼田町、何をやっているか。美唄、何をやっているか。大臣もほとんど情報をお持ちだと思うんです。食糧の備蓄という観点でいうと、やはりこの冷熱エネルギーを大いに利用して大量の備蓄基地をつくるという、これは地元的にはそういうプロジェクトをつくって今いろいろ努力をしていますけれども、こういうことも非常に大事だ。
 もう一つは、昨年、内閣委員会で海外に行った折に、スウェーデンのいわゆる木質バイオマス発電、発電所まで行ってきました。これはすばらしいですよね。日本においてはあの事業をそのまま直輸入はできないとは思いますよ。しかし、これは大いに参考にして、研究して、やるべきだ。
 私は北海道だからあえて言いますが、北海道はやはり大変な森林資源が残っている。「ほんまもん」というテレビで熊野の森林問題なんか、僕はたまに見ていますが。やはり森林の有効活用、木質のバイオマス発電というのは、物すごく自然環境に優しい、非常に貴重なエネルギーだと思います。これはぜひ経済産業省挙げて、エネ庁挙げて、関係団体挙げて、直接スウェーデンに行ってよく見てくださいよ。いろいろな話を聞いています。
 それを、日本の全国を見渡して、どこの地区でやったらいいか。例えば実験プラントをつくるのなら、それはそれで結構だと思いますよ。岐阜県という話もあります、エネルギーの専門家ですからね。私は北海道がいいと思う。大いにそれは競争し合って、本当に二十一世紀の新しい木質バイオマス発電所を国家戦略として、関係の広域的な、地方の主体的な大規模な事業として徹底的にやる、その必要があると思うのです。
 それと、時間がありませんから最後にしたいと思いますが、今度の国会で新しい法律が出てきますよね。いわゆる新エネルギーを電力として、九つの電力会社がお互いに買ったり売ったりしてシェアをふやしていく。これは僕は大変すばらしい法案だと思います。いずれ委員会で議論をすると思いますが。
 そういうこともより積極的に、この計画でいうと、三年か五年ぐらいでその種の発電量はせいぜい一%なんですよ。これは現実的にはなかなか急速にいかないのでしょうが、しかし、将来を見通した中長期の計画をしっかり立てて、今バイオマスの話をしましたけれども、ぜひひとつそういう電力についてしっかりしたエネルギー政策。自給率四%ですから。こんな国、日本しかありませんよね。そういう体質改善、体制の改善という長期展望に立ってぜひやってほしい。お答えをいただいておきたいと思います。
平沼国務大臣 新エネルギーの重要性というのは私どもも深く認識しておりまして、先ほど委員御指摘のように、この一月には、新エネルギーの範疇の中にバイオマスも入れさせていただきましたし、また雪氷エネルギーも入れさせていただきました。特に木質バイオマスの件につきましては、私は、委員御出張のときの、ブリスタ社御訪問の出張の御報告も読ませていただきまして、非常にすばらしい、こういう思いを持っております。
 そういう意味では、この木質バイオに関しましても雪氷に関しましても、試験研究を補助するとか、地方自治体あるいは事業体が取り組むときにはその支援をする、そういうメニューもつくらせていただきました。
 そういう意味では、いずれにしても、御指摘のエネルギー資源の自給率が四%の我が国でありますから、将来、環境に優しくて、そしてもちろんコストを下げるという努力はしていかなきゃいけませんけれども、総合的に新エネルギー導入を図り、そしてさらに、今国会提出をさせていただく予定にしておりますけれども、新しいエネルギーを一定量電力会社が引き取ることを義務づける、そして新エネルギーの拡大にインセンティブを与える。こういったことに全力を挙げて取り組んでいきたい、このように思っています。
中沢委員 ありがとうございました。
 二時間にわたっていろいろな問題を指摘してきました。いずれにしても、本委員会で引き続きさまざまな議論があると思います。特に委員長は、この委員会の運営につきまして、一層また民主的な運営を配慮していただきますように、最後、蛇足かもしれませんが、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
津島委員長 これにて中沢君の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    正午休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十一分開議
津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省欧州局長齋藤泰雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 質疑を続行いたします。野田佳彦君。
野田(佳)委員 四十分間という大変短い時間でございまして、きょうはちょっと幾つかの項目に分かれているんですが、事実確認を中心に、たんたん、とんとんと行きたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 まずは、せんだって二十日のNGOの参加拒否問題で、田中参考人に私、質疑を行いました。そのときに、川口新外務大臣との引き継ぎが行われていないという認識を田中参考人はお話をされました。
 川口新大臣、相手方が引き継ぎをしていないとおっしゃっているんですが、どう受けとめていらっしゃいますか。
川口国務大臣 大分前から引き継ぎをいたしましょうということで日程を調整中でございまして、まだ日程の調整ができておりません。
野田(佳)委員 ということは、やはり引き継ぎが行われていないということだと思います。
 これまでの政府の答弁では、引き継ぎをしたかのようなお話があったように思いますけれども、要は、リレーでいうと、バトンを渡していないのにバトンをもらったと言って走り出しているという状況だと思います。これはやはりおかしいと思いますので、早急に実質的な引き継ぎをされることを希望したいと思います。
 それから、いわゆる国後島の友好の家、ムネオハウスにかかわる疑惑に関しての質問をしたいと思います。
 この問題については、共産党の佐々木憲昭委員が、二つのいわゆる内部文書と言われるものを取り上げられました。昨日は、木島委員が、また新たな内部文書を取り上げて質問をされていました。これらの内部文書は正式に存在をするものであるということを外務省は確認をされたのかどうか。報道ではそんなお話がございますが、改めて国会で確認をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
川口国務大臣 そのメモにかかわる問題につきましては、存在も含めまして調査中でございましたけれども、あるということについては判明いたしましたので、けさ新聞記者の方にそういうふうに申し上げました。
野田(佳)委員 存在するということでございますので、これでますます鈴木宗男代議士にかかわる疑惑は非常に深まったというふうに思います。
 改めまして、委員長には鈴木代議士の早期の証人喚問を求めたいと思います。よろしいでしょうか。
津島委員長 理事会で協議をいたしております。
野田(佳)委員 それを踏まえまして、これは外務省の中でも早急に調査をしていかなければならないと思うんですが、今欧州局長にお越しをいただいていますが、この入札疑惑を外務省の職員が知っていながら、二年以上にわたって放置をしてきたという疑いが濃厚になってまいりました。当時の外務省ロシア支援室首席事務官ですね、この方と既に接触をしてやりとりをしているのかどうか、どういう報告を受けているか、説明を受けているか、お尋ねをしたいと思います。
齋藤政府参考人 お答え申し上げます。
 当該職員と昨日電話連絡をとりました。同人は、支援委員会事務局での会合に同席した記憶はある、できる限り記憶を整理してみたいという話でございましたので、至急、本人を一時帰国させまして話を聞きたいというふうに考えております。
野田(佳)委員 こうした、その本人とのしっかりとした調査もしていただきたいと思いますが、いずれにしても、だらだらとやるものではございません。これはやはりクイックレスポンスで、できるだけ早く疑惑の解明が必要だと思っていますが、いつまでに調査をされるのか、ぜひここで明言をしていただきたいと思います。
齋藤政府参考人 私どもといたしましては、早急に調査の結果を出したいというふうに考えておりまして、けさほど大臣が記者会見で申し上げられたとおり、遅くともこの問題については十日以内に、できるだけこれも短縮すべく努力したいというふうに思っております。
野田(佳)委員 では、十日以内に調査報告書をまとめていただいて、この予算委員会に御提出をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
川口国務大臣 十日以内というのは、けさ総理からも御指示をいただいております。それで、報告、そのまとまったものにつきましては、委員会の御指示に従いたいと思います。
野田(佳)委員 ぜひ外務省からその調査報告書をこの国会に提出するように、予算委員会に提出するように、ぜひ予算委員長、よろしくお願いいたします。
津島委員長 理事会で協議の上、決定をいたします。
野田(佳)委員 それでは、次の、特殊法人にかかわる幾つかの質問に移っていきたいというふうに思います。
 外務大臣、済みません、結構です、事実確認できましたので。ありがとうございました。
 特殊法人の整理合理化計画が、昨年の十二月十八日ですか、閣議決定をされました。その一つ一つについては私もいろいろ意見がございますが、この整理合理化計画全体を進めていく上で、評価・監視機関というものがつくられるというふうに聞いております。これは、いつ、どのようにつくっていくのか、石原担当大臣にお伺いをしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま御指摘のございました特殊法人改革推進本部のもとにおいて、その進捗状況をフォローアップする機関をつくることとしておりますけれども、現在、その機関の設置に向けた作業を進めているところでございまして、まだ設置には至ってございません。
野田(佳)委員 いや、設置に至っていないのはよくわかっているんですけれども、だから、いつごろをめどに、巷間、例えば行革断行評議会のメンバーがそのメンバーになるとか、あるいは、そのメンバーはこの後触れる道路関係四公団の民営化推進委員会に入るとかいろいろ言われていますけれども、もう少し時期とか人選について具体的に御説明をいただければと思います。
石原国務大臣 本部のもとに設置する予定の機関については、本当に現在、人選も含めまして検討中でございまして、私といたしましては、来年度中に法制上の必要な措置を講じるということになっておりまして、この三月までは、現在国会の方には、道路公団等の民営化のあり方、採算性の確保等を御検討いただくための第三者機関の法律案を国会に提出させていただいているところでございます。それ以外のものについては、十四年度になってから、新年度になってから御審議、あるいは新たな法律案等も出てくるということでございますので、そのときには必ず間に合うような形で、中立、公正な審議を行うにふさわしい方にそのフォローアップ機関のメンバーになってもらうべく、今鋭意検討中であると御理解をいただきたいと思っております。
野田(佳)委員 では、道路関係四公団民営化推進委員会、これは仮称だそうですけれども、その設置についてお尋ねをしたいと思います。
 過日の予算委員会で、我が党の岡田政調会長がこの問題を質問いたしまして、きょうは、まずお聞きしたいのは国会同意人事の件なんですが、なぜ国会同意人事にしないのかという小泉さんの答弁が非常によくわからない。「この人はいけない、あの人はいい、私はそういうことをしたくないんです、名前を出して。選ばれた人はいいですけれども、否定された人のやはり名誉も考えなきゃならないということを考えると、これは国会同意人事にする必要はないなというふうに私は考えております」、この考えは国会同意人事そのものを否定しています。これはさっぱりわかりません。ぜひ石原大臣の方から、私が理解できるように教えていただきたいと思います。
石原国務大臣 野田委員も御承知のことだと思いますが、国家行政組織法第八条に基づく審議会のうち、その委員の任命について両議院の同意を得ることとされているものは、百六あるうち現在で十九でございます。政治の基盤に関することを扱うものや、不服の申し立てについて調査を行うなど、総じて言うならば、国民の権利義務に直接かかわるものに限定されていると解釈をさせていただいております。
 現在、法案を国会の方に提出させていただきました道路関係四公団の民営化推進委員会は、道路関係四公団の改革について、既に昨年、委員御指摘のとおり、整理合理化計画でその方向性というものをはっきりと指示させていただきましたので、その具体化を図るために検討を行う委員会でございますので、当方といたしまして、また総理も、そういう意味で国会同意人事は必要ないものということをお述べになられたものだと承知しております。
野田(佳)委員 よくわからないのですが、いずれにしても、自信を持ってその民営化に向けて確かな人選をするのならば、堂々と国会で同意を求めるべきであるというふうに私は思います。
 では次に、今ちょっと八条委員会に触れられました。なぜ、国家行政組織法の八条委員会にしたのか。私どもは、三条委員会の方がよかったのではないかと考えていますが、理由をお述べいただきたいと思います。
石原国務大臣 この点も、もう野田委員は十分御承知のことだと思いますが、国家行政組織法上の三条委員会とは、例えば中央労働委員会や公取のように、準司法的な手続を行う等の特定の目的のために設置される機関でございまして、行政決定権限を有していると考えております。
 この委員会は、特殊法人等合理化計画に基づき、道路四公団にかわる新たな組織、先ほども申しましたが、その採算性の確保について検討するために設置するものでございまして、内閣総理大臣の強いリーダーシップのもとに改革を推進するため、内閣府に設置する八条委員会が適当ではないかと考えて、このように法律案を書かせていただいたところでございます。
 また、本委員会は、その意見を受けて講ぜられる施策の実施状況を監視し、内閣総理大臣に勧告する権限、あるいは関係行政機関や道路公団等四公団に対して資料の提出を求めるなど、そういう強力な権限が付与されているものでございます。
野田(佳)委員 細かいことは後日、内閣委員会で大臣と議論を交わしていきたいと思いますので、次に行きます。
 今回出される法案では、検討内容として、民営化の際の組織のあり方、採算性ということになっていますけれども、個別路線の優先順位、整備計画についてはこの委員会では検討しないようでございますが、私は、これはよく理解できません。組織の形態とともに、当然、その事務事業にかかわるものについてもこの第三者機関で議論すべきだと思います。その点について、改めてお考えをお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 もう既に委員も御承知のことだと思いますけれども、総理の強いリーダーシップによりまして、新たに建設する高速道路に国費を投入しない、あるいは償還期限というものは、四十五年でさらに五年で五十年が今上限となっているんですけれども、この五十年の短縮を目指すという基本方針のもとに、これからどれだけの交通量が見込まれるのかといったような交通需要の見通し、あるいは、現在低金利でございますけれども、金利の見通し等々、費用対効果分析を検討いただきまして、道路公団にかわってできる新たな組織の高速道路建設の前提となる採算性の確保というものを、この推進委員会で御検討いただくというふうに整理をさせていただいております。
 と申しますのも、委員既に御承知のように、国土交通省に国土開発幹線自動車道建設会議、昔の国幹審にかわる会議がございまして、そこの議を経て、最終的に政府で個別路線の整備については決めるというふうに法体系上なっておりますので、そこは、個々のことまで最大限の情報を共有する国土交通省の国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、政府で最終的に決定するというふうに整理をさせていただいたところでございます。
野田(佳)委員 国費三千億円の投入を見送る、やめるということは、これは大きな前進だと思いましたが、これはもう何回も議論になっていますけれども、償還期限を五十年に延ばしたこと、そして、それに続いて、個別路線の建設計画についてこの委員会では対象としないことということは、私は、大きく改革の姿勢が後退をしただろうと思うんです。
 問題は、その費用対効果の分析、着工基準を整理して、議論をして、それは、実質的にこの国土開発幹線自動車道建設会議の道路選定権限にどれぐらいの影響を及ぼせるのか、実質的決定権がその算定基準によって生まれてくるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
石原国務大臣 この点につきましては、現在まだ委員会が設置はされておりませんけれども、その委員会の意見を踏まえて、建設会議の方で検討をいただいて、最終的には政府の責任において決定をするということでございます。
 その前提となります採算性の確保という大きな縛りがございますので、採算性の確保ができない有料道路というものは必然的に建設することが難しくなるものと承知をしております。
野田(佳)委員 採算性の合わないものは必然的に建設できないという御答弁でございました。
 ということは、現在の整備計画の九千三百四十二キロメートルを全部つくるという前提ではないという認識として受けとめてよろしいのかと思いますが、国土交通大臣、それでよろしいですか。
扇国務大臣 先生も既にもう御存じの上での御質問だと思います。それはなぜかと申しますと、国幹審、少なくとも昭和六十二年、これは衆参で全会一致で通ったものでございます。そして、そのときに、平成十一年の十二月に、今の九三四二、これは国幹審で決められております。
 けれども、国幹会議になりまして、今石原担当大臣から御説明のございましたように、衆参で一致して一一五二を決めたのです。けれども、今の経済状況、またその後の高速道路の需要状況、そして今の金利状況等々勘案して、二十一世紀に入った現在、我々はいかにして有効かつ効率的な道路をつくっていくかということを第三者委員会で御審議いただいて、それを参考に、我々で、国幹会議というもので決定させていただく。国幹会議の議長は総理大臣でございますので、私の権限というのがついておりますけれども、最後の最終決定は国務大臣たる国土交通大臣ということになっております。そういう経過でございます。
野田(佳)委員 経過とかシステムはそういうことなんでしょうけれども、石原大臣は、九三四二は採算性を考えて建設をしないものも出てくるという認識をされました。国土交通大臣には、だから九三四二は全部つくるという前提ではないということを確認したのですが、これは端的にお願いします。
扇国務大臣 まだ出ておりませんので、それが出た上で私が決定をするという段階でございます。
野田(佳)委員 それじゃ、先ほどお話が出ました予定路線の問題ですね、一万一千五百二十キロ、これは全部つくる前提になるんですか、そうじゃないんでしょうか。どうでしょうか。
扇国務大臣 一度きちんと、もう先生御存じでおっしゃっているんだと思いますけれども、これは昭和六十二年、一一五二というのは衆参両院で全会一致で決まっております。
野田(佳)委員 二月七日ですか、自民党の党五役と古賀誠道路調査会長がこの道路公団の第三者機関について合意を交わしています。いろいろ文書があるんですけれども、口頭で最後に古賀氏が、この四全総で決まっている国土開発幹線自動車道一万一千五百二十キロについては、事業主体にかかわらず国の責任で整備を進めるということを言ったそうであって、そういう合意をしたというふうに言われています。これは事実とすると、一万一千五百二十キロを全部つくっていくという話なんですね。
 もともと行革というのは、不必要な道路はつくらないという認識のもとで進んでいるはずだと私は認識をしていましたけれども、これだけの道路を全部つくれば、それは相当な国費の投入になってくるはずなんです。それを認めた上での今回の道路公団の民営化という話なのかどうか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
扇国務大臣 私は、今先生がおっしゃいました一一五二の、昭和六十二年、一九八七年になりますか、八七年の経済状況と今日の経済状況と、おのずと、だれが見ても、国民の一般の皆さんから見ても変わってきたということで、皆さん方が、財政、特に公共工事のむだ遣いということも多く言われておりますので、むだがないように効率よく、どこをどうすれば一番経済の効果があるのか、そういうことも御審議いただくために総理のもとに第三者機関をおつくりいただいて、そこから答申をいただいた上で考えるということであって、私は、現段階では一一五二というのは生きております。まだ死んでおりません。けれども、それをどうするかは今後にかかっているということでございます。
野田(佳)委員 では、石原大臣にもお尋ねをしたいと思いますが、この一一五二〇、これは全部つくるということは基本的にやはり問題だと思うんですね、いろいろ採算性の問題とか考えていったときに。一一五二〇、生きているとおっしゃいました。でも、生きているものをこれはやはり見直しをしていくというのが私は当然だと思いますが、石原大臣、お考えいかがですか。
石原国務大臣 ただいま委員がおっしゃられたとおりだと思います。
野田(佳)委員 はい。それでは、古賀誠道路調査会会長が口頭で確認をしたということは、これは無効であるというふうに受けとめさせていただきたいと思います。
 では、次の問題に行きたいというふうに思います。
 高速道路の見直し、発注の見直しが昨年の十二月にございました。いわゆる十三件、二百億円分のお話でございます。日本道路公団総裁に来ていただいていると思いますけれども、これは、財源確保が本来難しいと判断をして、ショートするかもしれないと思って一たんは発注することを延期するという措置をとった。だけれども、六百五十億円の財投機関債の発行が可能になったということで、短期間で、極めて短期間ですけれども、その方針を撤回するという大変わかりにくい動きでございました。
 今度また、これは報道によりますと、今年度はもともとその六百五十億円とプラスして八百五十億円の千五百億円の財投機関債の発行予定があったわけでありますけれども、その八百五十億円の財投機関債の発行が困難であるというふうに伺っています。ということは、当初どおり、これは工事は単年度ではございません、来年度は財投機関債四千億円を発行する予定です。大変財源確保は厳しいという状況だと思うんですね。
 とするならば、当然、当初どおり採算性の合わない道路については工事発注を見送りするというのが私はやはりもともと妥当な判断だったのではないかと思いますが、その経緯と現状についてお尋ねをしたいと思います。
藤井参考人 今先生お尋ねの六百五十億円の財投機関債を一月二十四日に募集させていただきまして、即日応募ができました。そこで、二月六日に全部、六百五十億円分発行をいたしました。これは五年債と十年債から成ります。
 先生御指摘の、最近新聞紙上でこういう、今後の財投機関債の発行が困難ではないかという状況の御認識のもとに御質問されたわけでございますが、私ども、昨年の十二月の二十五日だったですか、この財投機関債は機関投資家がお買いいただく社債でございまして、その方々に説明するときに、説明会をやりました。
 そのときに当然質問が出ます。これは、一番大きい質問は、やはり行政改革の、これからの道路公団の方向はどうなるんだろうか、こういうようなことを中心にした御質問でございましたが、先ほど石原大臣等々がお話しになられましたように、第三者機関によるこれからの国の方向づけが行われていくという経緯を御説明いたしました。そして、現在置かれている道路公団の資金状況、採算状況ということも御説明をさせていただきましたところ、六百五十億円の資金が調達できたわけでございます。
 そういう意味で、まだ、これから本当の意味での道路公団の最終的な姿は決まっていくんだろうと思いますが、その前に、こういう六百五十億円の御投資をいただいたということは、投資家の信認を受けた結果というふうに認識しております。
 そこで、今回いろいろなうわさを聞きましたけれども、主幹事証券会社、三社でございますか、から、この発行について困難になったという報告を受けたことはございません。
 そこで、私ども、これ以外にも外債というのがございます。外債の千二百億と財投機関債の千五百億、合わせて二千七百億が一番大きな問題でございます。それに対して、今財投機関債は努力をするわけでございますが、外債についても今努力をしている最中でございます。
 さらに、民間資金等につきましてもいろいろと、これは、民間資金というのは金融機関にお願いする資金調達の方策でございますが、こういういろいろな方策を講じてやってまいりたいと思っておりまして、この財投機関債だけについて言えば、今後の市場の動向等を見ながら、先ほどの主幹事会社と相談しつつ発行に最大限の努力をしていく、こういう状況でございます。
野田(佳)委員 ちょっと事実確認、もう一回したいと思いますが。
 じゃ、八百五十億円の件はまだあきらめてはいないというか、努力しているということですか。事実上困難という報道が出ていましたが、これは違うということですか。総裁にお尋ねします。
藤井参考人 全くそういうお話は私ども聞いておりませんから、公式に。私どもはこれを発行するべく最大限の努力をいたしますし、発行できるものという信念のもとに今仕事をしております。
野田(佳)委員 信念のもとというか、何となく自信なげにお答えになったような気がするんですが。(発言する者あり)
 私は、いずれにしても、今横から何か意見が出てきましたけれども、今の債券市場とか考えて、ますます難しくなっているだろうというのが基本的な判断だろうと思うんです。ましてや、来年度、四千億円、財投機関債を発行するというのは、これはまた、なかなか容易なことではないだろうと思うんですね。容易なことではないことを本当はよくわかっていらっしゃった。本当はわかっていらっしゃったから、その十三件の工事の発注を見送ったというのは、私はやはり妥当だったと思うんです。
 政治的な圧力の問題については、恐らく来週、私どもの調査団に行った人たちが質問することになると思いますから、そのことは背景に置きながら、今のこうした一連の動きで、せんだって、石原担当大臣は、私の感覚からすればミステリアスであるというお話をされて、そのことについて私は質疑をしました。
 私は、石原担当大臣が、ミステリアスということは理解できないということだと思いますけれども、非常に私はその感覚は妥当だと思っているんです。しかも、五十嵐委員と公団の総裁や道路局長とのやりとりを聞いていても、いよいよミステリアスだなというふうに私は思ったんですが、石原担当大臣、せんだっての予算委員会でのやりとりを聞いて、あるいは今の答弁を聞いて、今の御感想をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 公団が発行される債券がどういうふうになるのかということは、私は予想することは困難だと思います。そして、公団が判断されるということが私の今の立場としては当然のことであると言わざるを得ないと思います。
 その過程においてはいろいろなことがあって、私もよくわかりませんので、ミステリアスだということを、御同僚のたしか五十嵐委員の御質問だったと思いますけれども答えさせていただいたと。それ以上のことはありませんし、それ以下のこともございません。
野田(佳)委員 よくおわかりでいらっしゃると思いながら、きょうは何か言葉を選んでいらっしゃったように思います。
 次に、空港整備の問題についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、まず特殊法人改革の関連で、成田、関空については平成十四年中に民営化に向けて組織形態については結論を出すということになっています。道路関係四公団については第三者機関で決めるということですが、空港についても、これは事実上先送りをされたテーマですが、これはどのように結論を出していくのでしょうか。これは行革担当大臣ですか。
石原国務大臣 もう委員が今御指摘されましたように、平成十四年中に政府において結論を得るというふうにこの問題は整理をさせていただいております。
野田(佳)委員 政府というのは、確認しますが、国土交通省ということでよろしいのですか。
石原国務大臣 空港行政を所管しているのは国土交通省でございます。
野田(佳)委員 国土交通省がこの成田と関空のあり方について結論を出していくということは、これはもう私は結論が見えてきてしまったなというふうに思います。
 特殊法人の整理合理化計画の文言の中では、その民営化に向けて上下分離を含めて検討するとたしか書いてあったと思います。この上下分離というのは国土交通省が強く持っている考えだと思うんですが、私はもともと上下一体でいくべきだというふうに考えていましたけれども、上下分離でいくということは、基本的には関空の借金を成田が背負っていくというやり方になっていくんだろうというふうに思います。国土交通省、そんなお考えで進めるわけですか。
扇国務大臣 三空港の問題に関しましては、今おっしゃったように、今の日本の国際的な現状として、国際空港のあるべき姿はどうあるべきか、基本的に、私どもはそれを考えなければ日本が立ち行かなくなるというのは御存じのとおりでございます。そして、少なくとも、成田も二十五年たってやっと四月の十八日供用開始、二本目。そういう意味では、私はこの国際空港たるものがどうあるべきかと。
 これは日本の経済的にも産業的にも大きな地位を占めるわけですから、そういう意味で、私は、国際空港というもの、上飛ぶものはこれは勧誘しなきゃいけませんけれども、空港自体は即あしたできるわけじゃなくて、一本滑走路つくるのに成田は二十五年、関空は今後二期目の工事をつくるのに何年かかるかということを考えますと、今からつくっておきませんと、近隣を見たら、もう既にハブ空港たり得ない状況でございますから、私は、空港の下は必ず国で責任を持って、安全保障上も、空港の土台は、下は国が責任を持ってやる、そういうふうにしたい、それがより国際的に合致するものであるというふうに考えたことでございます。
 それから一つだけさっきの、申し上げたいんですけれども、国幹審と言いましたけれども、国幹審……(野田(佳)委員「いや、それはもういいですよ」と呼ぶ)いやいや、ちょっと訂正させてください、一言だけ。国幹審の議長は総理でございます。国幹会議は委員の互選でございますので、私、国幹会議が議長と言ったような気がしましたので、よろしくどうぞ。
野田(佳)委員 私は、重ねて申し上げますが、上下分離、上物と下物を別に考えることは反対であります。イギリスのBAA、ブリティッシュ・エアポート・オーソリティーのように、この会社は民営化された会社ですが、英国であるとかオーストラリアとかイタリアとかに幾つもの空港を持っていますが、これは上下一体でやっています。私はこの方向を目指すべきだろうというふうに思っていますが、多分水かけ論で、国土交通省が軸に、行革部分が、基本的なことをそういう意味では外れてしまったということは、残念ながら、私はこの空港関連の改革は失敗に終わるんではないかという強い懸念を持ちました。
 それで、では、今関空のお話が出ましたけれども、関空と神戸空港と、そして伊丹ですか、関西に、半径二十五キロぐらいのところに三つも大きな空港があるというのはやはりおかしいんではないかというふうに思います。この見直しについて扇大臣が触れられたように聞いていますけれども、ぜひお考えをお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 私は、基本的に、先ほど申しましたように、国際空港というものの利便性を考えたときにどうあるべきかということを考えたときに、関空も片肺だと言いたいんです。
 なぜかといいますと、今、伊丹と関空とございますけれども、朝サラリーマンが一番機に乗ろうと思って並んでいても、満杯で空席がないから関空へ移ろうと思っても、飛行機の時間差があって二番機に乗れないんですね。国際空港と地方空港との同時の空港であれば乗りかえも、また国内空港も、羽田へ例えば伊丹から行こうというのに、一番機が満杯でも、二番機が、乗ろうと思っても、これは二番機は今度は関空から出ているんですね。
 そういう本当の利便性というものを考えたときに、そしてまたなおかつ、この三空港の空域というものを考えましても、伊丹の空域と関空の空域と、その狭い間しか神戸空港の管制空域がございません。そうしますと、二千五百の神戸というのが果たして今後延びる可能性があるのかないのか。そういうことを考えますと、私は、空港の空域、管制空域という、この伊丹と関空との間のわずかなすき間を神戸空港が、両方に延びない、二千五百以上延ばせないという状況の中で、果たして一番利便性があるのは何かということを、もう一度私はデータを集めたいというふうに考えたわけでございます。
野田(佳)委員 せんだっての朝日新聞で、この三空港についてのアンケート調査、近畿圏の有権者二千人を対象に実施されています。(発言する者あり)ああ、余分なことをやらない方がいいと。私も同感なんですね。関空の二期工事、延期、中止六七%、そして神戸、中止七一%、近畿圏の人たちでもこういう声が非常に強いということはやはり真摯に受けとめるべきだというふうに思っています。
 その上で、塩川財務大臣、通告をしていませんが、何か手持ちぶさたなようなのでぜひ最後にお尋ねをしたいんですが、塩川大臣は関空二期工事推進論者ですね。その基本的なお考えをぜひお伺いしたいと思います、なぜなのか。国の台所を預かる立場として、私はよくわからない。ぜひお答えください。
塩川国務大臣 私は、運輸大臣当時でございますが、昭和五十五年でございますが、その時分には日本に国際空港をもっとたくさんつくれという要望が非常に強うございまして、関西空港を泉州沖につくるということを閣議で決定し、そして調査費をつけた。それが、昭和五十九年に会社が設立されまして、関西空港の建設に入っていったということでございます。
野田(佳)委員 いや、経緯はそうだと思うんですが、その意味で推進をするお立場ではないのかというふうに私は確認をしたんですが、ちょっと事実関係を確認したいんですが、昨年十二月五日、扇大臣に向けて、航空需要の激変もあるだろうが予定どおりあってほしいというような陳情めいたお言葉をかけていらっしゃいますか。忘れられたでしょうか。
塩川国務大臣 扇大臣から、関西空港の需要の見通しについて、航空局がやっておるので正しいかというお問い合わせがございまして、私は、地元の者として、その需要の状態は正確であるということを答えました。
 関西空港の問題でよく言われますけれども、第二期工事につきまして、大幅に工事を見直して、恐らく工事費全体で見ましたら二〇%ほど削減しておると思いますよ。そういう努力をして現在二期工事を続けるということにしたので、ほかの空港との関係からいいましても、私は、いわばリストラしているというよりも、何といいましょうか、空港計画の変更によって国の負担等を縮めておるぐあいは非常に大きいんではないかと思っております。
野田(佳)委員 昨年、たしか十一月ぐらいですか、需要予測であるとか損益計算とか、必要な資料を破棄したりとか、そういう報道がありました。私はそういうことを踏まえて、厳しい立場で査定をすべきお立場の人が、安直に、地元だから、昔運輸大臣だからということでやることは、これは族議員と同じだというふうに思います。
 質疑がちょうど終了してしまいましたので、終わります。
 ここで、野党四党の組み替え提案要求を行いたいと思います。
  民主、自由、共産、社民の野党四党は、本日平成十四年度政府予算の組替を求める申し入れを予算委員会理事会に提出した。
  これは政府原案の不透明で無駄な歳出を削減し、国民の安心を確保し景気の速やかな回復を図るための歳出に組替えるものである。
  現下の危機的な状況を招いた政策の失敗を政府は深く反省し、この安心の組替案を速やかに受け入れるように要求する。
以上、要求させていただきます。
津島委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。
 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。
 本日も質疑のお時間をいただきまして、ありがとうございました。
 きょうは、今危機的状況を迎えております、実は大変な今節目に来ております地球温暖化問題、環境の問題につきまして議論をさせていただきたいと思っております。
 私は、環境の問題というのは、一つの地域ですとか一つの国ですとか、そういった一地域の区分された問題ではなくて、地球環境の保全ということを考えまするときに、やはり国際問題でもあるというふうに考えております。
 また一方で、例えば、いわゆる環境問題、環境省だけが取り組む問題でもない。環境に配慮した国土づくりを考えれば、やはり国土交通省が関係あります。また、産業界を管轄する経済産業省、当然であります。また、環境教育という観点からしますと、文部科学省も管轄をするいわゆるセクションである。すべての省庁にまたがる横断的な課題でありまして、各省が垣根を越えて取り組まなくてはならないというのが環境の問題であるというふうにまず大前提として申し上げさせていただきたい。昨今、縦割り行政の弊害がよく言われておりますけれども、各省が連携を密にして、環境の問題について解決に当たっていかなくてはいけないというふうに考えております。
 そんな中にありまして、地球温暖化問題は今、世界的にクライマックス、山場を迎えている。地球温暖化をめぐっては、ここ一、二年の成果、判断次第で大きく状況を左右する。いわゆる地球環境保全、また地球温暖化という観点からいたしまして、取り返しのつかないくらい、ここ一、二年の判断でやってしまうのか、悪い方向に導いてしまうのか、もしくは一方で改善への大きな一歩を踏み出すことができるのかという局面に今立たされている。
 地球温暖化対策、つまり温室効果ガスの削減は、人類共通の国境を越えた課題でありまして、本年、京都議定書を発効できるかできないか、歴史に刻まれる大切な年になると私は考えております。大量生産、大量消費、大量廃棄のいわゆる二十世紀の負の遺産、その一つの大きなものが地球温暖化問題であると思います。そんな中にあって、日本の果たす役割はとても大きい。しっかりと取り組まなくてはいけないというふうに考えております。
 さて、地球温暖化防止に向けては、言うまでもなく、京都議定書は、いわゆる気候変動を防ぐための唯一現存いたします国際的な枠組みであります。京都議定書については、政府は既に批准の方針を決めて、衆議院、参議院の両院で国会決議も行っているわけであります。
 そこで、前環境大臣である川口外務大臣にお伺いいたします。
 米国の京都議定書への参加、不参加には全く関係なく、今通常国会で議定書締結の承認とこれに必要な国内法の整備を行う、この方針に何ら変わりはありませんでしょうか。
川口国務大臣 全く変わりございません。
樋高委員 アメリカのブッシュ大統領は、訪日を前に、先週でありますけれども、二月の十四日、温暖化対策についての独自案を発表いたしました。
 外務大臣、アメリカ案に今後引っ張られるというようなことは一切ない、つまり、将来にわたって、まさか米国案を追随するようなことはないと断言してよろしいでしょうか。
川口国務大臣 アメリカがかなり長い間の議論を経て、今回、閣僚ベースでの議論が終了し、一つの案をブッシュ大統領が発表なさったということについては、これはアメリカが地球温暖化問題に対して真剣に取り組む姿勢をあらわしたということで、評価をいたしております。
 我が国は、先ほど申し上げましたように、方針といたしまして、この国会に国内の関係法それから議定書の批准に向けて承認をお願いするということでやっておりまして、それには変わりないわけでございます。
樋高委員 環境大臣、いかがでしょうか。
大木国務大臣 今の、アメリカに引っ張られることはございません。そういうつもりは全くありませんが、ただ、今度出してまいりましたアメリカ案の中にも、京都議定書の枠内ではないけれども、日米バイラテラルで、あるいは関係諸国で一緒に検討できるものは入っておるわけですから、そういうものは一緒に研究していくという余地はあると思います。
樋高委員 ほっといたしたわけでありますけれども、米国案につきましてはきっと興味深く調べられたと思いますが、その内容につきまして、外務省としてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
川口国務大臣 ただいま大木環境大臣がおっしゃられましたように、アメリカ案については、幾つか日本の考えていることと共通する要素があると思います。例えば、技術を大事にして取り組んでいくということですとか、環境と経済の両立を図るということですとか、市場メカニズムを活用するとか、そういったことだと思います。そういった共通な要素については日米間でできるだけ協力をしながら、世界全体として温暖化問題に取り組めるようにやっていくことが大事だと考えております。
樋高委員 新聞報道等によりますと、評価をするという談話が随所で見出しとして出ていたわけであります。この評価については、米国案の中身についての評価でしょうか、外務大臣。
川口国務大臣 私も、評価という言葉を使わせていただきました。
 温暖化問題、これはもう百年あるいはそれ以上を超える長い取り組みの中で、第一歩をアメリカがここでこのような形で発表したことにつきましては大変に評価すべきことだと思っておりますし、さらに、その中について、技術ですとかあるいは市場メカニズムの活用ですとか、そういった要素について含まれている、我が国と共通して議論することが含まれているということも評価すべきことだろうと思っております。
 いずれにしても、アメリカにはこれに基づいて結果を出していただくことが大事でございまして、我が国はアメリカと一緒に共同して、全体として取り組めるように努力をしたいと考えております。
樋高委員 幾つかの日本の新聞には、いわゆる京都議定書の代替案あるいは対案であるかのごとく報道されておりますが、私は、このアメリカの独自案、これは京都議定書の代替案には決して値しないものであるという認識であります。温室効果ガスの増大を容認するものであって、例えばアメリカの環境NGOなどは、発表の日が二月の十四日であったものですから、これは米国の環境汚染者に対するバレンタインデーの贈り物というふうにやゆされているぐらいの内容であります。
 外務大臣は、このアメリカの新提案を京都議定書の代替案たるものであるという認識であるのか、もしくはそうでないのか、お答えいただきたいと思います。
川口国務大臣 同じ方向に向けて努力をしていく、その一つの案であろうと思っております。
樋高委員 私は、全く異質のものである。もちろん、アメリカが地球温暖化問題に対して今までほとんど表明をしてこられなかった、まあいろいろな事情もあったとは思いますけれども、ここに来て何らかの一つの形を提示したという姿勢については確かに評価できると思いますけれども、内容を見渡す限り、とても評価をするには値しないのではないかというふうに私は考えております。
 十八日の日米首脳会談において、小泉総理は、アメリカの新提案を建設的という言葉を使って評価したわけでありますけれども、これは政府の従来の方針と矛盾するのではないか、相反するのではないかと思うのでありますけれども、環境大臣、いかがでしょうか。
大木国務大臣 先ほども申し上げましたが、言うなれば、アメリカ案なるものは京都議定書の代替としてとは私どもも受けとめておりません。それはとても、アメリカ側の方も、代替だから、それを代替案として考えてくれという言い方はしておりませんので。
 ただ、総理が建設的なと言われたのは、先ほども申し上げましたけれども、アメリカ案の中にも、これから日米であるいはほかの関係国の間で、必ずしも京都議定書の枠内でなくても、やはり地球温暖化の一つの具体的な措置として一緒に検討できるものもあるんだ、そういう点も含めて総理としては建設的だと言われたんだと考えております。
樋高委員 地球温暖化の問題、環境の問題は、一方で経済の、またエネルギーの問題でもあるというふうに考えております。
 経済産業大臣にもお伺いいたしますけれども、今回の米国の新提案に対しまして、一方で、経団連、産業界からは、言葉として、例えば歓迎するですとか新提案を高く評価できる、またそのコメントの中には、日本政府は、早急に欧州などと協議を進め、米国案と京都議定書を一体化した国際的な枠組みに向けてリーダーシップを発揮するべきだというふうに述べられて、京都議定書の再考、もう一度考え直せよということまで踏み込んだ発言をなされているようでありますけれども、この経済界の反応を踏まえても、経済界とある意味で相対峙してでも、日本政府として年内批准をきちんと目指されるということは間違いございませんでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 経団連のコメントというのは、今まで世界のCO2の四分の一を排出している米国というのが全くそういう参加の意思もなしに否定をしていた。そこが新提案を出してきた。そういう意味では、CO2の排出量が世界一多いアメリカがそういう形で出てきたということを歓迎する、こういう意味だったんじゃないかと私は思います。
 そして、私どもとしては、お尋ねでありますけれども、この十三日に、地球温暖化対策推進本部、ここが開かれまして、そして京都議定書を着実に実行していこう、国内の担保法もつくろう、こういうことで決まっていることでございますから、私ども経済産業省といたしましては、政府、関係者と協力をして、一丸となって頑張っていきたい、こう思っています。
樋高委員 ここ十年のCO2排出量の伸びについては、産業部門につきましては、産業界、経団連さんを初めとして自主的な取り組みも一生懸命なさって、大分抑えられている部分もあります。その点については敬意を表しますけれども、環境技術、省エネルギー技術の開発や普及に、国としてよりしっかりと力を入れていかなくてはいけないというふうに考えるわけであります。
 気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCの議長さんは、かつてこのようにおっしゃっておいでです。産業界にとって短期的には不利だけれども、日本の小型車が世界を席巻したように、将来の技術に投資した企業は市場を握ることができる、また、省エネ商品を世界に提供する最大のチャンスであると、いわゆる技術開発の重要性を説いているわけであります。
 不景気であり、コスト増を避けたい気持ちももちろんわかりますけれども、このピンチをチャンスとして一生懸命頑張ることによって、欧州の企業におくれをとり、やがて国際競争力を失うことにもならないように、むしろ積極的に温室効果ガス削減の技術開発を前向きに進めるべきであるというふうに考えています。技術開発によっては、国際競争力が高まりまして、やがて設備投資などの国内需要の喚起、また、今深刻な問題となっております雇用の創出にもつながってくるというふうに思うわけであります。
 その点、大臣いかがでしょう。
平沼国務大臣 樋高委員おっしゃるとおりだと思います。
 そして、例えば、これは予測ですけれども、温室効果ガスを発生しない、こういう点では例えば燃料電池なんというのは非常に将来性があるわけでありまして、想定ですけれども、二〇一〇年が一兆円になる、こういうふうに言われておりますが、それが十年後の二〇二〇年には八兆円の規模の産業になる、こういうふうに言われております。
 先ほどお話しになりましたように、一九七三年のオイルショックの後、日本の自動車メーカーは、当時は到底克服不可能だというCO2の排出基準を見事にクリアして、そして新しい技術革新によって、ある意味では世界の市場を席巻した、こういうことがあります。ですから、我が国の産業技術ポテンシャルを生かしながら、そういう新しい、どちらかというと負と見られていた環境というものを成長のエンジンとして産業政策をやっていくということは非常に重要なことだと思っています。
樋高委員 経済産業省として産業界に、今発言なさった方向でぜひしっかりと支援策を講じていただきたいと思います。
 ところで、その米国案についての議論にちょっと戻させていただきますけれども、このアメリカ案というのは削減目標に法的拘束力がない。産業界や個人による自主的な削減を基本とする、義務の伴わないものでありまして、私は、実効性の部分から見ると、本当にどれだけ実効性が上がるのかということを考えるときに、疑問を感じざるを得ないわけであります。義務を伴わない削減が効果を持たないことは、今までの経過が示しておりまして、京都議定書にかわり得るものはないものというふうに考えます。今回のアメリカ案は、国際交流の流れから明らかに外れていて、アメリカが当面の国内目標を定めたという意味しか持たない。
 大木環境大臣は、九七年当時に環境庁長官として京都議定書の議長を務められて、議定書をまとめられたわけであります。今回の新提案については、先ほども議論しましたけれども、評価するということを発表されておいでであります。先ほど外務大臣は、方向性として評価をするんだよ、中には環境技術等々についても京都議定書とダブっている部分があるからということでありますけれども、今政府として、環境と経済の両立を目指すということであるならば、もう少し踏み込んだ形で、環境省としてこの米国案について、ちょっと細かく御所見を伺いたいと思います。
大木国務大臣 御存じのとおりに、京都議定書そのものが、必ずしもすべてに義務的に達成するということを全部書いてあるわけじゃない。ただ、全体として、例えば日本については六%とかアメリカについては七%という数字は、確かにこれは言うなれば一つの達成する国際的な公約として掲げておりますが、それを達成するための方法は、やはり義務的に国内できっちりと決めるものも、むしろ民間の自主性を尊重して、あるいは経済的な手法によりまして、例えば税だとか、負及びプラスの税制と申しますか、例えば税額の控除とか、そういった経済的な手法も含めてやることが考えられておるわけでございます。ですから、アメリカのものが全然、義務的な措置をきっちり決めていないから全く意味がないということではないんだろうと思います。
 むしろ、いろいろとアメリカの方も、経済的な手法も含めて、これから実効があるように努力すると言っていますので、これについて私どももまた、いろいろなレベルでアメリカと話し合いを詰めて、本当にアメリカの案というものが長い目で見れば有効なものかどうか、そういうのはしっかりと見きわめたいと思っております。
樋高委員 今回、ブッシュ大統領訪日によりまして、日米首脳会談が開かれたわけでありますけれども、先般の参議院議場でブッシュさんの演説も聞いたんですけれども、環境という言葉があったんだかなかったんだか、ちょっとわからないぐらい、私は何か余り力を入れてなかったように感じたのであります。この日米首脳会談におきまして、環境問題、特にこの地球温暖化問題についてどのような具体的な話し合いがなされたのか、川口大臣に伺います。
川口国務大臣 日米首脳会談では、ブッシュ大統領から、環境問題については日米は目的を共有している、アメリカの新しい提案は経済成長と環境の両立をねらうものであって、技術開発という意味でも両国の新たな協力が可能であるというお話がございました。
 これに対しまして総理から、環境問題は小泉内閣にとって重要な柱の一つであるということをおっしゃって、たしか低公害車の導入の例もお話しになられたような記憶がございますけれども、それで、京都議定書を今国会に提出し、必要な法整備も行っていく予定であるということをはっきりおっしゃられました。
 また、我が国も環境と経済の両立を目標としていて、科学技術の役割は重要であるということもおっしゃいました。そして、アメリカに対しては一層の取り組みを期待し、日米両国、それから世界の他の国が途上国とともに取り組むことが重要であって、緊密に協議をしていきたいということをおっしゃられました。
樋高委員 目的は共有するですとか経済と環境を両立する、これは当たり前の話でありまして、また、身近な低公害車の話がすぐ出るわけなんでありますけれども、今のお話を伺う限りは、この日米首脳会談で、私は環境の問題は物すごい重要なテーマであったと思うのですけれども、焦点の一つであったこの環境問題で事実上踏み込んだ話し合いがなされなかったというふうに認識をいたします。大変残念であります。二酸化炭素の最大の排出国でありますアメリカと、米国案を評価する経済界を刺激しないように、と新聞でも書かれていますけれども、外交辞令に終始したとしか私も思えないわけであります。
 ブッシュ大統領は、京都議定書は受け入れられないとそのとき表明したんでしょうか、もしくは表明していないんでしょうか。
川口国務大臣 ブッシュ大統領は、京都議定書は支持できないということをはっきり述べられていらっしゃいます。
樋高委員 それに対して、大臣は日本政府として、もしくは総理は日本政府を代表して、どのようにおっしゃったんでしょうか。どのように意見を申し述べられたんでしょうか。
川口国務大臣 お話の順番ははっきり記憶していないんですけれども、総理からははっきりと、我が国は京都議定書批准の承認を今国会でお願いする、また、あわせて関係の国内法の整備を行うということをおっしゃられました。
樋高委員 国会演説の中で、総理は、アメリカの建設的な対応を引き続き求める、議定書への参加に向けて働きかけを表明したばかりでありまして、アメリカの京都議定書への復帰をブッシュ大統領との会談で当然強く働きかけるべきであるというふうに思いますし、日本として、アメリカは代替案を出しましたけれども、でもやはり京都議定書の方に戻ってきてくださいよというふうに働きかけを当然なさったわけですね。
川口国務大臣 我が国は、発展途上国も含めて、国際的に一つの枠組みを目指して温暖化問題に取り組むことをねらっている、考えている、そのためにアメリカとも話し合っていきたいということは、総理ははっきりおっしゃっていらっしゃいます。
樋高委員 働きかけをしていないということであります。これは大変なことでありまして、言っていることとやっていることがちょっと違うんではないか。
 先日の日米首脳会談の中で、議定書問題についての日本のリーダーシップを示す、環境について日本の意見を内外に示す最大のチャンスであったと私は思うわけでありますし、アメリカやそのほかの国にも、日本の方針をきちんと直接お会いをした中で伝えるということがとても大切であったにもかかわらず、その最大のチャンスを逃してしまったというふうに私は考えます。
 やはり、日本はアメリカに対して主体的に議定書への参加について働きかけ、もちろんまた事務レベル協議を始めるというふうにも伺っておりますけれども、なぜこの日米首脳会談の中ではっきりと働きかけをしなかったのでしょうか。大臣に伺います。
川口国務大臣 先ほど、国際的に一つの枠組みとおっしゃったか、言葉はちょっと正確でないかもしれませんが、を目指してやっていくことが必要で、そのために日米間でも協力し、話し合っていこうということで働きかけられたというのが私の認識でございまして、京都議定書についてはブッシュ大統領は支持しないとその場でもはっきりおっしゃいましたし、それはずっとおっしゃっていらっしゃることでございます。
樋高委員 どうもよく理解できないんでありますけれども、簡単な話だと思うんです。京都議定書に復帰をしてくださいということをはっきりとその場で直接申し上げるということにすぎないわけなんですけれども、どうもよく腑に落ちないわけであります。いずれにいたしましても、国会であれだけ演説の中で威勢のいいことを宣言したのに反するのではないかと私は思います。
 日本は外交がだめだというふうに一部言われてきている、その批判に対して、やはり実績をきちっと積み上げていくということが大切ではないかというふうに考えます。アメリカの同盟国として、また自立国家として、日本の立場と意見をしっかり言わなくてはいけない、はっきりと、もっとわかりやすく意見を申し述べることによって真の信頼関係は初めて生まれてくるんではないかというふうに思います。
 何か今回の政府の対応を見ていると、ブッシュさん、アメリカに対して、今回の新提案は建設的な提案で評価しますけれども、大統領、その辺のところは余り深く触れないで、まあ、お互いに今後も考え、一緒に相談していきましょうやという程度のものにしかどうしても聞こえないわけであります。なあなあ、まあまあのなれ合いにすぎない。外交交渉であるので、より主体的に日本の考えを示すべきであったと考えます。
 そこで、環境大臣に伺いますけれども、ヨハネスブルク・サミットに向けて、京都議定書を発効させようと努力してきた地球温暖化防止を求める世界の大多数の市民が、この米国案に対して強い失望と怒りの声を上げていることに耳を傾けて、アメリカは提案を取り下げて京都議定書に参加すべきであると考えますけれども、いかがでしょうか。
大木国務大臣 ヨハネスブルグの今度の会議は、リオ・プラス10とよく言われますけれども、十年目にまた節目が回ってまいりましてやるというわけでありまして、厳密に言いますと必ずしも地球温暖化だけではないわけで、いろいろな問題が出てまいります。
 しかし、やはり地球温暖化は、せっかく京都議定書というものがあるんですから、そしてCOP7まで随分みんなで一生懸命つくりましたから、これはぜひひとつ日本としてもこれを承認し、かつCOPとしてもこれが発効するようにということで今努力をしております。
 ただ、今アメリカに向かってどう言うかというのは、私は、先ほども申し上げましたけれども、アメリカ案を評価するというのは、必ずしも全部、非常にそれで結構だと言っているわけじゃないのです。ですから、我々も将来へ向かって全世界が、すべての国がそれに入り得るような一つのルールをつくりたいと言っておるのは、それは言うなれば、間接的かもしれませんけれども、アメリカに早く戻ってこいという気持ちも言っているわけでございますから。ただ、それがいつになったら実現するかということは、これからの我々の努力もありますし、また国際世論というようなものもあるし、アメリカの国内でもまたいろいろ議論がありますから、そういったようなものが積み重なって、これから結果が出てくるということを期待しております。
樋高委員 何でこんなことをしつこく申し上げるかと申しますと、環境大臣、私が懸念をいたしておりますのは、米国案には、ある意味で、よく見ましたら、途上国への金銭的な援助が実は多く盛り込まれているわけでありまして、いわゆる援助を期待する余り米国案に同調する途上国が、私はこの場面に来てふえかねないのではないかと。
 五月雨式に、京都議定書へ向けてそれぞれの国が努力をしていたにもかかわらず、やはりどうしても緩い方、どうしても楽な方に判断は行ってしまうわけでありまして、今後、米国案の方に賛同する国がふえてくるのではないかということを私は懸念しているから、先ほどから、ブッシュさんがアメリカの独自案を発表した直後、日本に見えられた中で、やはりそこできちんと日本として意見を申し上げるべきなんですよということを申し上げているわけであります。
 議定書に参加する国と米国案グループの二つの秩序ももしかしたらできかねない、厳しい総量規制を課す議定書を律儀に守るのはばからしいという空気が生まれかねないのではないかというふうに思っているわけであります。
 現に、例えばでありますけれども、議定書を批准するかどうかはまだ決めていらっしゃらなかった国でありますけれども、オーストラリアのハワード首相は、米国提案を歓迎して、支持まで踏み込んでしまっております。これでは収拾がつかなくなってしまうのではないかというふうに私は懸念しておりますが、環境大臣いかがでしょうか。
大木国務大臣 今の御質問は、一つは途上国がどういう態度に出るかという問題だと思いますが、とにかく先進国の方で、まあ簡単に先進国と言わせていただきますけれども、議定書に、実際に義務化に参加する国があるわけですが、その国がまずコミットしたわけですから、これを、アメリカが抜けていますけれども、できるだけ多くの先進国がまずはこの議定書をそれぞれに承認し、発効させるということが私は途上国にとってもプラスになると思うんです。アメリカ案に乗ってしまうと、全然先進国の方の義務化というのは出てこないわけですね。
 そういう意味では、私は、途上国がどんどんあのアメリカ案に乗るとは思いませんし、途上国の中で、これは残念ながらまだ中国や大きなところは入っていませんけれども、既に三十数カ国の途上国はこの京都議定書を承認しております。ということですから、これからさらに、途上国を含め、先進国も含め、できるだけ早く京都議定書を成立させることが将来へ向かっての、やはりアメリカともまたひとつこういう状況があるんだよということで話ができますし、途上国との話し合いというものもさらに進めることができるのではないかというふうに考えております。
樋高委員 京都議定書に最終合意をいたしましたカナダが、実は、きょうの新聞にも書かれておりますけれども、米国の新提案が出された後に、議定書批准に消極的な意見が噴出をしている。十ある州のうち、ケベック州を除いた九つの州の首相が批准反対をカナダ政府に申し入れをしたそうであります。
 これはきょうの新聞のコピーなんでありますけれども、「北米のエネルギーに関する会議で、先進国に温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書について「目標を達成できるか、目標自体が合理的で公平なものか十分検討しなければならない」と述べ、議定書の批准に難色を示した。」カナダ国内では懸念が広まっていると。「カナダよ お前もか!」というタイトルで出ているわけであります。
 今回のアメリカの対応、そしてカナダでも連鎖的にこのような批准に対して後ろ向きな動きが実は見え始めております。それぞれ世界じゅうの国でさまざまな利害を抱えている中で、同じような動きが一気に出てくる可能性も私は一〇〇%ないとは言い切れないんじゃないかと思います。
 この状況について、環境大臣、どのようにお考えなさっているのか。日本としてどのように主体的に今後、今こういう状況にある中で他の国々に働きかけていくというふうに考えていらっしゃるのか。このような状況になるということは、米国案が発表されたときにすぐ予想されていたわけでありまして、だからこそ日米首脳会談の場で素早く対応して、スピーディーに、すぐにはっきりしたコメントを、メッセージを世界に発信すべきではなかったかと私は考えるわけであります。いかがでしょうか。
大木国務大臣 どういう背景でカナダの方で州政府が反対ということが出てきたか必ずしも明確ではございませんけれども、そのニュースは私どもも知っております。
 カナダというところは、各州が、アメリカにちょっと近いんですけれども、非常に独立しておりまして、各州の首長は、あれはたしか知事さんではなくて、英語ではプレミアだと思いましたけれども、かなり独立性が強いということですから、いろいろな立場から意見を言われて中央政府と意見が異なることもありますが、とりあえずは、とにかくそういう動きがあるということは私どもわかりましたから。
 それと、そもそもカナダは、やはりアメリカに非常に近接しておりますから、いろいろな、例えば産業についてもアメリカと連携しているようなところもありますし、アメリカがこういうことをやるのにカナダが別のことをやるとするとそれは非常に不利になるというような議論も、それは当然出てくる可能性はございます。
 ですから、そういうようなことを総合して、カナダの方でどういう動きがあるかということはこれからもしっかりと調べるといいますか、フォローしたいと思いますけれども、今のところは、中央政府としては、少なくとも今日まで京都議定書を批准するということで努力をするという態度は変えておりませんから、これはぜひ態度を変えないようにということでこれからも話をしてまいりたいと思っております。
樋高委員 カナダも日本とある意味で、六%削減ということで歩調を合わせてきた、まあまあ同じような条件の中でいわゆるCOPを重ねてきたわけでありますけれども、そういった国が次々出ないこと、出てはならないわけでありますけれども、五月雨式に議定書の批准を目指している国々が脱落することのないように、ぜひともしっかりとリーダーシップをとっていただきたい。
 そういう観点からいたしますと、外務大臣の役割は私、物すごく重要ではないかと思うわけであります。前の環境大臣であります川口大臣とは、去年も何度も委員会でこの地球温暖化問題を議論させていただきました。私は、すごく見識のある方であるというふうに思っておりますし、また、今回外務大臣になられて、これ以上ないプロフェッショナルな方であるというふうに私は思うわけであります。時にはエールを送りつつ委員会で議論をしてまいりましたが、今回のいわゆる米国の代替案が出ることによって、日本以外の国がそちらの方に、どうしても安易な方に流れていってしまうのは、それはもう人間の心理として、また国の本質として、五月雨式になって、雪崩を打って米国案への同調者がふえる可能性がある。いや、現実にもう既に米国案に同調する国がふえ始めた問題につきまして、今後どのように対処していかれるおつもりなのか。外交の腕の見せどころであると私は思うんですが、いかがでしょう。
川口国務大臣 一昨年の十一月のハーグの会議以降、昨年のボン、それからマラケシュの会議と、温暖化の交渉に実際に携わってきた立場の人間といたしましては、京都議定書の今後についての樋高委員の御懸念は、私も共有いたしております。
 その上で、アメリカが今回の発表をしたということは、しなかった状態を考えれば、実ははるかに前進であるわけでございまして、今後、我が国としては、国際的な、発展途上国も含めた一つの枠組みをつくるべく、アメリカとも、それから世界の他の国々とも協調して、協力して、みんなが温暖化ガスの削減をできるような仕組みをつくっていくことにひたすら努力をしていくということであろうと思って、そのための努力をするつもりでございます。
樋高委員 アメリカの同盟国として、議定書への参加を促す戦略を今後しっかりと持って取り組んでいただきたいと思います。
 さて次に、途上国への働きかけについて、同じく外務大臣に伺いますけれども、温暖化の枠組みとして地球規模で考えましたときに、その排出量が世界で二番目、また五番目であります中国、インド、この国が不参加な状態であるということに対しましての懸念が実は今出ている。先進国で、皆さんで頑張って排出を抑えたとしても、今後、数年後か、もう本当に近い将来に、途上国の排出の数量の方がはるかに上回ってしまうということが予測されているわけでありまして、このような国々に対して、今後どのようにリーダーシップを発揮して国際的な枠組みを構築していかれようと考えていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
川口国務大臣 委員がおっしゃられましたように、途上国全体からの排出量というのは、今後、先進国全体のそれを上回るということが予測をされているわけでございます。
 途上国に対しましては、これは京都議定書にも、それから枠組み条約自体にも書いてございますけれども、共通だが差異のある責任という原則に基づいて、当面は自主的にさまざまな削減努力をしていただくということが大事だろうと思います。そのために、我が国としては、技術の支援、あるいはCDM、クリーン開発メカニズム等を通して、途上国がこのための努力を実際にできるように協力をしていきたいと考えております。
 いずれにしても、将来的には、国際的に、途上国も含む一つの枠組みということをつくっていくことが大事だということは、先ほども申し上げたとおりでございます。
樋高委員 経済産業大臣、済みません、お待たせをいたしまして。
 今まで、いわゆる国外のことを議論してまいりましたけれども、国内の今後の法整備についてちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
 この京都議定書、批准をいたしましても、実は数値目標というのは結構大変な数字でありまして、今後、政府、国民、各界各層連携して、協力して、目標達成に向けて一丸となって努力していかなくてはいけないというふうに認識をしております。もちろん、産業界も率先してその成果を出していかなくてはいけない。その中で、経済産業省としてリーダーシップ、指導力をしっかりと発揮しなくてはならないと思うわけであります。
 今国会におきまして、経済産業省所管として、新エネ利用法、また省エネ法の一部改正に万全を期すということになっていると思いますけれども、その目的規定のところに、当然、温暖化対策、温暖化防止、もしくは環境保全という言葉がうたわれて当たり前だと思います。今、恐らく条文につきましては協議中であるとは思いますけれども、国内担保法というからには、きちんと環境保全もしくは温暖化対策という意味の言葉が明記されるということで間違いございませんでしょうか。
平沼国務大臣 樋高委員、今御指摘のように、今、法文を作成中であります。そして、省エネにいたしましても、新エネ対策というものも、やはり我が国のエネルギー供給構造の脆弱性というものに起因をしておりまして、しっかりと対策をしていかなきゃいかぬということです。
 一例を挙げますと、これは委員もよく御承知だと思いますけれども、我が国のエネルギーの自給率というのはわずか四%でございまして、一次エネルギーの五二%は石油に依存している、しかもその石油の八八・六%が中東から来ているというような、そういう脆弱性があります。そういう中で、このエネルギーの省エネ、新エネというものを本当に着実にやっていかなきゃいけない、そういう前提が一つあります。
 そして、これもよく御承知の数値だと思いますけれども、温暖化ガスの九〇%は実はエネルギー起源のCO2、こういうことになっています。ですから、これを進めることによって温暖化対策、そういうものができているわけでありまして、現行の新エネ法でも、それから省エネ法でもそういう精神が盛り込まれているわけであります。したがいまして、今国会でお願いすることになる新しい省エネ法あるいは新エネ法もそういった今言った精神が盛り込まれている、そういうことで御理解をいただきたい、こう思っております。
樋高委員 精神が盛り込まれているだけではだめでありまして、これは温暖化対策のために改正をするし、新しい法律を構築するわけですから、やはり、目的のところに言葉として環境保全また温暖化対策という文言を私は入れなくてはいけない。これを入れなかったら意味がないんじゃないか、中身、実効性、何のための改正なのか、それがよくわからないわけであります。
 もしかしたら、経済産業省さんの、私の予想するところの発想からしますと、例えば副次的に二酸化炭素の削減効果にも資するということなのかもしれませんけれども、やはりエネルギーの観点だけでこの法律の成立を目指すということはやめていただきたい。きちっと目的規定に設けていただきたい。
 それと同時に、いわゆる温暖化対策というからには、例えば農水省さんはバイオマスの関係、また当然環境省さんも含めてでありますけれども、協議規定も、ちょっと細かい議論で本当に申しわけないんですけれども、私はすごく重要なところだと思います。今回、この法律案に農水省また環境省との協議規定も入れることになるんでしょうか。
平沼国務大臣 バイオマスエネルギーというのは非常に将来的に大きな意味を持っておりますし、先ほど中沢議員からも、そのバイオマスの重要性については御指摘があり、私もお答えをさせていただきました。
 したがいまして、こういったことも、私どもは農水省、関係省庁としっかりと協議を進めていきたい、こういうふうに基本的には思っております。
樋高委員 協議をするだけではだめでありまして、平沼大臣らしからぬ発言ではないか。もう一歩踏み込んで、今回、温暖化対策ということで法律の改正等々を行うわけでありますから、強く要望させていただきますけれども、非常に細かい議論で申しわけないんですけれども、やはり目的規定、そして協議規定のところをぜひとも前向きに考えていただきたいというふうに思います。
 今までの日本の取り組み、ちょっと振り返ってみますと、九〇年十月には地球温暖化防止行動計画を策定いたしました。そして、一九九八年の六月には地球温暖化対策推進大綱を決定しまして、その後、地球温暖化対策推進法の制定、また省エネ法の改正というふうに対策を講じてまいりました。しかしながら、我が国での温室効果ガスの排出量は依然として増加をしているというよろしくない状況に今あるわけであります。
 環境大臣に伺いますけれども、その原因はどこにあると考えるのか、やはりきちんと検証すべきである。特に、民生・運輸部門の排出量の増加が目につくわけでありまして、対策は急がれる。これは、一日でも早く、一時間でも早く対策を打っていかなくてはいけない問題でありますけれども、いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 一九九〇年以来ずっといろいろやってきているわけですが、いまだに温暖化ガスの排出量がちっとも減っていないじゃないか、けしからぬというのは、私もけしからぬというか残念だと思っています。
 ただ、今お話ございましたように、温暖化ガスはどこから出るかというと、大ざっぱに言えば、産業とか、あるいは運輸交通だとか、それから三つ目が、これはどこまでが入るかはいろいろ議論もありますけれども、民生、こう三つに分けますと、産業部門は非常に努力していただきまして、省エネもやっていただきましたし、それから必要ないろいろな科学技術的な手法というものもかなり頑張っていただいておると思いますから、そうしますと、あとは交通の方の問題、それと民生、こういうことになりますので、その数字を見ますとやはり民生が一番数字の上ではおくれていますから、これを何とかしなきゃならぬ。
 ただ、これは民生ですから、どこからどういうふうにつかまえるかという問題があるわけで、ただただ法律で決めて頭からというわけにはいきませんから、やはりこれは国民全般の御理解を得なきゃいかぬということで、今いろいろな対策も考えておりますけれども、やはり一人一人の国民の皆さんが温暖化は大変な問題だということで、既に国会でも御決議もいただいておりますから、その辺のところをまた国民の皆さんも理解をしていただいて、全部で一緒にやっていただく、こういう体制をつくるためにこれからも努力をしたいと思っております。
樋高委員 いわゆる民生・運輸部門対策といたしまして、私の提案は三つでありますけれども、やはり大胆な施策を講じるべきであるということを考えまするときに、一つは夏時間制度、いわゆるサマータイムです。そしてもう一つはやはり環境教育、人の行うものでありますから、学校だけじゃなくて社会全体できちっと教育をしていくということ。そして、やはり何といいましてもいわゆる環境税、税の制度を変えることによってコンセンサスを得て削減対策を行っていくというような大胆な策を講じていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、議定書の二〇〇二年発効は、ただ単なる気候変動問題を超えた大きな環境問題でありまして、日本が積極的に取り組みまして、環境分野で世界の手本となり、その役割を果たすことこそ、安全で安心できる国際社会づくりに向けて国際社会にあって環境面で大きく貢献できることでありますし、それが将来世代に対する今日に生きる私たちの責任でもあるというふうに考えております。
 私は、今後とも、世界の見本となる、経済と環境を両立させた環境先進国を目指しまして取り組んでまいりたいと思いますし、また、自由党は、将来に生きる子供たちのためにも、自分たちの未来のためにも環境問題に熱心に取り組んでいるということを表明いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
津島委員長 これにて樋高君の質疑は終了いたしました。
 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 私は、最初に川口外務大臣に質問をしたいと思います。
 二十日に我が党の佐々木憲昭議員が明らかにした外務省文書「国後島緊急避難所兼宿泊施設(メモ)」九九・五・二八、及び、二十一日、木島議員が提出いたしました支援委員会事務局文書「国後島緊急避難所兼宿泊施設建設工事に係る日本工営との面談メモ(その五)」九九年十一月二日について、川口大臣に調査を求めました。
 この文書は間違いなく存在しているということをまず確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 確認させていただきます。
大森委員 外務省文書については存在していた、支援委員会文書についても写しが存在していたということですね。
 速やかに調査をしたいということでありまして、これは当然のことでありますが、そこで川口大臣にお尋ねいたしますが、この存在をした二つの文書、いずれも右肩に「秘 無期限」、このようにスタンプが押されております。この「秘 無期限」というのは一体どういう意味をあらわすのか、お聞きをしたいと思います。
川口国務大臣 秘密というのが二つに分かれておりまして、極秘、それから秘ということの二つに分かれております。
 それで、秘というのは、極秘に次ぐ程度の秘密でございまして、関係者以外には知らせてはならない、そういう性格のものでございます。
大森委員 いずれにしろ、外務省の秘というのは、本来、国益にかかわるそういうマル秘扱いということになっていると思います。
 両文書は、そういう点で、なぜこういうムネオハウスの疑惑にかかわるものが外交上、国家上の機密になるのか、関係者に知らせてはならないのか、なぜそういう扱いにされなければならないのか。これは当然理屈が通らないと思います。鈴木議員の利益にとってはマル秘にしたい内容かもわかりませんが、外務省としてマル秘にすべきでない。当然この二つの文書を国会に提出すべきだと思いますが、いかがですか。
川口国務大臣 ただいまこの文書の内容につきましては調査をいたしております。その調査の中身、内容として、これがなぜ秘であるかということも含めて調査をいたしております。
 それから、文書の御提出につきましては、これは委員会の御判断に従わせていただきます。
大森委員 それは、国会から要求があればすぐ、速やかに提出をしていただきたいと思います。
 北方四島人道支援事業にかかわる鈴木議員の疑惑は、この間の我が党の質問でも明らかなように、国後島緊急避難所兼宿泊施設、いわゆるムネオハウスに限ったものではありません。北方四島支援、桟橋、発電所、はしけなどなど、いろいろな問題が出ているわけであります。加えて、アフリカのODA、さらには沖縄サミット、こういう問題、いろいろあるわけでありますけれども、これにかかわる疑惑やあるいは不正やら、そういうものをマル秘として外務省の奥深くにしまっておくということ、これは本当に大問題だと思うのですね。
 そこで、今回のムネオハウスにかかわる二つの文書に限らず、鈴木宗男議員にかかわるすべての文書について、あるいはこの間のいろいろな圧力や関与、それらにかかわるすべての文書について、この機会に全面的に調査をして国会に提出すべきだと、二つの文書に限らず思うのですが、この点いかがですか。
川口国務大臣 ただいま調査をしているというふうに申し上げましたけれども、けさほども総理から調査についての御指示をいただきまして、遅くとも十日以内に、特に今、国会で問題になっているようなことについて調査をということでございまして、調査をしております。
 それで、全部についてかということでございますけれども、とりあえず、非常に大事なもの、重要な、ここでお話に上がったようなものを中心に取り組んでおりまして、これは園部参与にやっていただいておりますので、我々としては、まずそこの調査の結果を見たいと考えております。
大森委員 二つの文書に限らず、不当な圧力、関与があったと思われるものに関するような記録や、あるいはそれを証拠づけるさまざまな文書についても、これは調査し、提出するということととってよろしいですか。
川口国務大臣 改革の骨太の方針、「開かれた外務省のための十の改革」という中で、その一番目に政と官の関係については書かせていただいておりまして、これについては、外務省で今回、宮内オリックス会長にヘッドになっていただいてやっていただく「変える会」で御議論をいただこうと思っておりますし、それから、外務省だけではなくて、広く政の方、官の方にかかわる問題でございますので、より大きな枠組みでこれを御議論いただくことが必要であるというふうに考えております。
大森委員 骨太の方針にあるように、不当な圧力や関与、これがあれば公開するということで、今、それに関するものがあればそれは提出していただきたいということに対して明快な答えがないと思うんですよ。このことができなかったら、あなたの掲げる外務省改革、これは本当に口先だけのものになってしまうと思うんです。不当な圧力、不当な関与、不正や疑惑、そういうものがマル秘扱いで外務省の奥深く眠っている、それこそ私は伏魔殿じゃないかと思うのですね。
 それを本当に一掃するためにも、あなたが、こういう全面的に鈴木宗男議員にかかわるものは全部公表するという決意をきちんとこの場で明確にすることが、国民の外務省改革に対する期待にこたえる第一歩だと思うのです。重ねてお答えをお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 今、園部参与にお願いをいたしております調査につきましては、これはできるだけ早くやらせていただきたいと思います。
 それから、「開かれた外務省のための十の改革」の内容につきましては、「変える会」あるいはより広い枠組みで全体として御議論いただく場で御議論をいただいて、どういう形であるのが官と政の間の緊張した関係であるか、そのためには何をすればいいかという観点の御議論を踏まえてそれは考えさせていただきたいと思います。
大森委員 外務省改革が看板倒れにならないよう、日本共産党あるいは外部から示されて初めて渋々出すというようなことは二度とあってはならないということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。外務大臣、お引き取り願って結構です。
 本日、雪印食品が、取締役会で会社の再建を断念し、四月末日で会社解散の決定をいたしました。お昼のテレビニュースでは、町の声として、あんなことをした会社はない方がいい、こういう声を紹介する一方で、あそこで一生懸命働いてきたパートさんや労働者が本当にかわいそうだと紹介をしておりました。私も、本当にそのことを強く思います。
 昨年の国会で、私も武部農水大臣に牛肉買い上げ制度の実現を強く迫りました。こうした制度の実現を強く迫った者の一人として、それを悪用したああいう雪印食品のやり方には、私も腹の底から強い怒りを覚えるものであります。しかし、そこで働くパートの皆さん、労働者には何の責任もないんじゃないか。約二千名に及ぶ従業員がいるわけでありますけれども、この人たちに一体何の責任があるのか。パートも正規の人も労働者ただの一人も路頭に迷わせてはならない、そういう思いを私も強くするのでありますけれども、武部農水大臣はいかがでしょうか。
武部国務大臣 本日、雪印食品が会社の再建を断念いたしまして、四月末を目途に臨時株主総会を開いて会社を解散するという決定の報告を受けたところでございますが、今委員御指摘のように、この決定に伴いまして、三月十日に既に雇用契約を解除する旨の通知を行ったパートタイムの約千名、それ以外の社員約一千名等の雇用確保が大きな課題、私はこのように認識しております。
 委員御指摘のとおり、雪印食品が行った行為というものは、善意の事業を悪用して言語道断な犯罪に及んだということでございまして、このことについてはまことに許しがたいものではありますが、しかし一方、今回の事件に関与することもなくまじめに働いておられたパートや従業員の皆さんにとりましては、突然の解雇通知というものが解散決定によりまして行われたわけでございますが、私は、本当にこのことについて心を痛めているものでございます。
 このため、本日、雪印食品及び親会社の雪印乳業に対しまして、事務方から、雇用確保等の面で十分な配慮をするようにということを要請いたしたところでございます。
 私といたしましても、厚生労働大臣に対しまして、できる限りの対応をおとりいただけるように強く要望申し上げたい、かように存じている次第でございます。
大森委員 直接には使用者の責任が大きいわけでありますけれども、その背景には農水省、政府の責任もあるという立場から、ぜひ、農水大臣としても積極的な御尽力をお願いしたいと思います。
 そこで、坂口厚生労働大臣にお伺いしますけれども、約二千名もの従業員、パート、正規、パートの方が多いようでありますけれども、一体、これからどうするのか。当然、これは今後再雇用、あるいはいろいろな動きの中で退職の方もあると思います。こういう人たちへの退職金の支払いあるいは再雇用などに対して、可能な限りのあらゆる手だてを厚生労働省としてもぜひとるべきではないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 雪印食品につきましては、今お話がございましたように、嘱託、パート、アルバイトで約一千名というふうに言われておりましたが、きょうのニュースで、さらに事業の継続を断念するということを聞いて、驚いているわけでございます。
 いわゆる正規職員と言われる方につきましては、一月末現在のものでございますが、正社員数が九百四十五名になっております。御指摘のように、約二千名になるわけでございます。
 東京労働局を中心にしまして、現在、会社から事情聴取をいたしておりまして、早く手を打ちたいというふうに思っておりますが、事業所の要望も聞きまして、そして職業相談窓口をまずこの企業の中に設置をする、そして、恐らく再就職援助計画というのが間もなく出るというふうに思いますから、これに協力をいたしまして積極的に再就職の支援をしたいというふうに思っております。
 公共職業安定所によります積極的な求人開拓も含めまして、この皆さん方に新しい職場が一日も早くできるように、最善の努力をしたいと考えております。
大森委員 再就職等についていろいろ努力をするとの答弁でありました。
 お話にもありましたけれども、親会社の雪印乳業、この責任もあるわけでありますから、雪印乳業の力も大いに活用して、再就職の面でのさまざまな力を尽くすことはもちろんでありますけれども、退職手当等についても何らかの形で支払いができるよう、その面は厚生労働省の方から、御努力はいかがでしょうか。
坂口国務大臣 労使間の話でございますから、我々も、それができるだけスムーズにいきますように努力をしたいと思っております。
大森委員 親会社の責任を果たすというような点から、できるだけスムーズにいくようにぜひ御尽力をお願いしたいと思います。
 この点で雪印食品について言いますと、それに先立って二月四日に、パートの方を一千名解雇、これを先行して発表いたしました。この問題では、パートの方がとりわけ悲惨であります。一千名のパートの皆さんの中には、世帯主、御主人がいらっしゃらない、そういう方もいらっしゃるわけでありますけれども、このパートの方々についても、再雇用あるいは退職金、これは当然、平等待遇の面からもあらゆる努力を図るべきだと思います。
 とりわけ、新聞報道によると、十年、十五年、こういう長期に反復更新というパートの方も少なくないようでありますけれども、今の段階では、退職金もただの一円も払われないという状況でございます。パートの方も含めての再雇用、再就職あるいは退職金の支払い、こういう点での御指導、ぜひこの点の御答弁もあわせてお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 パートの中にはいろいろの方がおみえでございまして、パートの状況も違うだろうというふうに思っておりますが、正社員であれパートであれ、同様に再就職に努力をしたいというふうに思っています。
 母子家庭の皆さん方のお話も出ましたけれども、そういう御家庭につきましては優先的に雇用が見つかりますように、我々もやらなければならないと思っております。
大森委員 一番従業員が多い関東工場に、私ども、埼玉労働局に調査に入りました。その際に、従業員数に比べて雇用保険の加入者がかなり少ないというようになっておりました。入るべき人が入っていなかったというようなことがもしあったとしたら、失業手当も出なくなるということでありますから、失業手当などがもらえないというようなことがただの一人もあってはならないという点で、雇用保険の状況を調査していただき、遡及適用なども含めて積極的な指導をしていただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
坂口国務大臣 雇用保険につきましてはすぐわかる話でございますしいたしますから、これは早速に私の方も整理をして、そして調査をしたいと思っております。
 お入りになっていない皆さん方は、これは雇用保険の方はいかんともしがたいわけでございますので、そこは、お入りになっている皆さん方はどれだけあるかということの調査はやりたいというふうに思います。
大森委員 入るべき条件の人が入っていないというのは使用者側の責任もあるわけですから、入るべき人が入っていない場合は遡及適用、これは従来行われているわけでありますから、これをきちんと行っていただきたいということをお答えいただきたいと思います。
坂口国務大臣 二年間は遡及手当が出るそうでございますので、そこはよく調べたいと思います。
大森委員 これは当然のことでありますから、ぜひ詳細な調査で必ず行っていただきたいと思います。
 農水大臣、どうもありがとうございました。
 次に、長時間労働とサービス残業問題についてお聞きをしたいと思います。
 私も、長時間労働の是正、とりわけその中でサービス残業の根絶、この問題を当委員会でも何回となく取り上げてまいりました。この問題は、ただ単にただ働きの是正ということにとどまらないで、サービス残業をやめるだけでも九十万人の雇用を確保できる、あるいは残業を全部やめれば百七十万の雇用を確保できる、こういう試算もたびたび明らかにしてまいりました。
 今、雇用問題が大変深刻になっている中で、長時間労働の是正、とりわけサービス残業の根絶というのは、極めて今日的な新たな重要な課題になっていると思います。そういう立場でこの委員会でも取り上げ、また、サービス残業根絶法案、こういう法案も我が党は提出をしてまいりました。
 そういう中で、昨年の四月、いわゆる四・六通達、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」が示されました。あれから約十カ月たったわけでありますけれども、こういう通達を出されたけれども今なおサービス残業は後を絶たない、全体としては改善をされていない状況もあると思います。
 ここで一枚のポスターをお示ししたいと思うんですが、これは地下鉄の丸ノ内線の国会議事堂前駅にも張ってあったものでありますけれども、このポスターで何が訴えられているか。「把握してますか 始業・終業時刻」ということですね。さらに、この下の方では「労働時間の把握は使用者の責務です。」これは東京労働局労働基準監督署がつくったポスターでありますけれども、非常に明快に使用者の責任、こういうことが書いてあるわけですね。「労働時間の把握は使用者の責務です。」と。
 そこで、では、今この通達が出され、こういうポスターも出されて、使用者が労働時間の把握の責務をきちんと果たしているかという点で、実情を、最近厚生労働省も全国調査をされたというわけなんですが、サービス残業、労働基準法三十七条違反、それが大体どのぐらい、どのようにあったのか。この点、まずお聞きをしたいと思います。
日比政府参考人 ただいまの労働時間の関係での監督指導の状況でございますが、御指摘の昨年四月の通達を出しまして、その後、半年は周知期間ということで、昨年十月から、通達で示しました項目につきまして、その遵守状況につきまして、現場に入り監督指導を行うということをやってまいりました。
 現在、昨年十月と十一月の二カ月に入ったところにつきまして状況を整理集計中でございますが、今申し上げられる状況で申し上げますと、その二カ月間で二千五百八十九事業場につきまして調べた結果、今把握している状況だけで申し上げますと、約七百五十事業場、したがいまして、約二九%ということになろうかと思いますが、そこで労働基準法三十七条違反、つまり割り増し賃金の支払いの点についての違反が認められたという状況となっております。
大森委員 約三〇%、三分の一近くが三十七条違反。通達が出されて半年以上経過して、今なおこういう状況にある。しかも、伺えば、この中には、労働者の側の自己申告もしていない、労働時間が全く管理されていない、そういう事業場もあったやに聞いております。こういう点で言えば、このポスターで言う「労働時間の把握は使用者の責務です。」このポスターの立場が、まだまだ徹底していないという状況だと思うんですね。
 私たちも、この間、全国的にいろいろな調査を行ってきました。四・六通達が一定の役割を果たしている、こういう面も確かにあります。しかし、とりわけ大企業において、この四・六通達の趣旨が全く徹底されていない。徹底されないどころか、使用者の責務を果たさない、逆行するような動きまであるわけですね。
 そこで、まず三菱電機の伊丹、尼崎工場の事例で申し上げたいと思うのですが、ここでは四・六通達が出る直前に、一カ月前に、ICカード、タイムカードによる時間管理は廃止、自己申告制だけに変更したというわけですね。わざわざこうやってタイムカードを大きくポスターに出してあるのに、この通達が出る直前にタイムカードなんか全部なくしてしまった。そして、労働者から実態をいろいろ聞いて、本当に驚くべきことが幾つもあるわけですね。
 この伊丹工場移動通信統括事業部、時間外に関する件、こういう文書があります。そこでは何と書いてあるか。留意点として、「今回の取組を行う上での留意点」。これは昨年の十二月十七日に出されたものですね、皆さんが調査に入った後じゃないですかね、「移通統時間外管理に関する件」、こういう形で出されております。その中で何と書いてあるかといいますと、3で「「時間」は他人に管理してもらうものではなく、自らが管理するものであるということ。」時間は他人に管理してもらうものではなく、みずから管理するものだ、こういうことが平気で書いてあるわけです。
 四・六通達はもちろん、労基法の根本、皆さんは使用者が労働時間を管理するのは労働基準法の当然の前提だとこの委員会でも何回となく繰り返してきたわけなんですが、そういう労基法の根本もひっくり返すような暴論が行われているわけですね。使用者の、労働時間管理に関する、労働法に関するまさにモラルハザードというようなこういう文書が平気で書いてある。私はこんなことを放置してよいはずがないと思いますが、これは厚生労働大臣、いかがですか。
坂口国務大臣 時間外労働につきましては、やはりタイムカードが一番望ましいと私は思っておりますが、自己申告制というのも中にはやらざるを得ないところがそれはあるんだろうというふうに思いますけれども、自己申告制の場合には、しかしそれが正しく評価されるということが、適正に評価されるということが大前提だというふうに思っています。
大森委員 自己申告制についてはまた後ほど伺いますが、今お示しをしましたこういう三菱電機の、時間は他人に管理してもらうものではなく、みずから管理するものであるということ、こういうようなことを放置しておいてよいかということをお聞きしたんですが、いかがですか。これは、もしこういう事実をつかんでいなければ、調査して、必要な是正なりをさせますか。
日比政府参考人 今御指摘の三菱の件でございますが、個別企業のことでございますので、とかくのことは今直ちに申し上げるのはいかがかと思いますが、私ども、先般も申し上げました労働時間に関する指導監督ということで、四月六日付の通達の遵守状況というものを調べる際、自己申告制をとっている企業はできるだけカバーするようにということでやっておりまして、そういう観点から、三菱の関係事業場にも、実は本年一月、現場に入っております。そして、その状況につきましては、その後の事実確認等を現在やっておるところでございます。
 先ほど御指摘の点でございますが、労働時間という問題につきましては、働き方との関係で、いろいろな企業なりの方針というものがあろうかと思いますが、私どもが時間の管理ということを申し上げておるのは、やはり割り増し賃金の支払いというものは企業の中でも約定されたものでございますし、法律でも一定のルールが定まっておる。そういう観点で、始業、終業の時刻を含め、適正な賃金の支払いのための時間管理、これは当然、企業側、使用者側で行うべきものということでやらせていただいています。
 いずれにいたしましても、現在、当該企業につきまして事実関係等を確認しておるところでございますので、その中で問題があるということでありますれば、当然それに応じた措置をとらせていただきたいと思っております。
大森委員 重ねて加えて、この三菱電機における今お話があった問題がある点について示したいと思うんですが、三菱電機では、この通達、この文書の中で明確にしているんですが、時間管理区分ごとに、一人一カ月三十時間とか二十時間とか残業の基本時間を定めて、さらに、各部門ごとに、基本時間掛ける人数、その部門の残業代の総予算額の上限を設定しているわけですね。そして、「単月の部門予算を超えて時間外就業命令を行うことは不可」という形で、その中に明確に書いてある。たがをはめて事実上正確な残業時間を申告させない、そういう指示がこの中でされておるわけですね。
 しかも、これが実際に、私ども、働く皆さんの声を聞きましたけれども、これが適正な申告をする上で事実上障害になっているわけですね。長時間残業が続くと、月半ばでほぼ申請時間枠の上限に達する。そのころからは、残業しても出社時刻を遅く記入したり、定時退社と記入して時間枠を超えないようにしている。あるいは、上限枠を超えて申請したら、間違いを指摘され、修正させられた。こんな状態を放置しておいて、私は、本当にもうサービス残業をなくす、これは違法、不当な犯罪であるわけなんですけれども、これをなくすことはできないと思うんですね。
 今調査に入っておられるというわけなんですが、今紹介した事実をつかんでいないのであれば、この点にも着目して、違法があれば直ちにこれは是正をする、通達に反することがあれば直ちに是正させるという点で、明確にこの点もお答えいただきたいと思います。
日比政府参考人 ただいま御指摘の点、私どもの発出しました通達でも、適正な申告を阻害する要因の排除というふうなこともうたっております。そういうふうな点も含めまして、調査も行い、現在事実も確認をしようということでございまして、その結果で問題があるとすれば、そのことに対応した措置をとらせていただくということになろうと思っております。
大森委員 先ほど坂口大臣からは自己申告制についてお話がありましたけれども、私は、今、この問題で一番の大きな問題は何かといえば、こういう自己申告制を野方図に許しているところにあるということを申し上げなくてはいけないと思います。
 これは、私どもの調査の中でも、例えば日立茨城、ここで、日立労基署が入りましたけれども、ここでは、Eワーク勤務、こういう形で、残業代は月三十時間まで、三十時間を超えると申告しない、申告するとEワーク勤務から外れてしまう、Eワーク勤務を超える残業を申告すると、あいつは能力がないという雰囲気がつくられる、能力判定や昇進等に影響してくる、こういうこととか、いろいろこういう話があるわけですね。今の三菱電機についても同様であります。
 ここで共通するのが、今、自分で自分の残業時間を申告する自己申告制。三菱電機ではこれに加えてメリット制というのもありますけれども、こういうEワーク勤務とかメリット制、残業時間の上限を制度化したもの、いろいろな名前がついておりますけれども、これも全国で行われているわけですね。
 ですから、そういう面からこの四・六通達も、労働時間の始業、就業時刻を把握していますかという、この労働時間の把握の使用者の責務を果たす上でそれが原則であり、そしてその方法までわざわざ限定しているわけですね。使用者の現認、確認、記録、これが第一。タイムカード、ICカードなど、そういう客観的なものによる記録、管理、これがまず大原則なんだということをわざわざ通達でそのことを第一に掲げているわけですね。
 ところが、こういう使用者の現認や客観的記録ではなくて、労働者自身が申告するこの自己申告制、これが今大企業職場では実際には大宗になっているわけですね。
 労働省の平成十二年度労働時間等総合実態調査、これによれば、三百一人以上の事業場では四五・九%が自己申告制、百一人から三百人でも四一%と一番多い。そういう管理の仕方になっているわけですね。限定的で、どうしてもやむを得ない形態である自己申告制、それが主要な形態になっている。サービス残業を本当に根絶する上で、坂口大臣、やはりここが一番最大な問題だと思うんですよ。
 そこで、このポスターに返りますけれども、「把握してますか 始業・終業時刻」「労働時間の把握は使用者の責務です。」第一番にこれにも明記されているわけですが、これに反して、労働時間の把握を労働者にゆだねる、適正な管理のこれが大きな障害になっている。
 ここに私は本当にメスを入れなくちゃならないと思うんですが、坂口労働大臣は先ほど、まずこれを擁護する御答弁をされたんですけれども、それは通達全体の趣旨やら、このポスターの立場からいってもやはりおかしいと思うんですね。まず私は、この自己申告制については厳しくメスを入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 先ほど申しましたように、タイムカード制にすることが私も望ましいというふうに思っておりますし、できるところはやはりそういうふうにしてもらいたいというふうに思っておりますが、しかし、中には自己申告制をとらざるを得ない場合もあるんだろうと思うんですね。ですから、平成十三年の四月六日に出しました通達におきましても、自己申告制をとらざるを得ない場合には、適正な自己申告の必要性等について労働者に説明を行うとともに、必要に応じて実態調査を実施するほか、適正な自己申告についての阻害要因を排除すること、こう書いているわけでございます。
 ですから、どうしても自己申告制をとらなければならないときには、この文言にぜひ従ってもらいたいというふうに言っているところでございます。
大森委員 先ほど言ったように、通達の立場というのはそうじゃないということですね。それが一つ。それで、やむを得ず自己申告制をとる場合には労働者に説明をすることなどとあるわけですが、「その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。」と、通達は確かになっております。では、先ほどの三菱電機の文書の中にそういうことが一言でもあるかというと、何にもこれはないわけであります。
 自己申告制というのはサービス残業の温床だという言葉まであるんですよ。それは御存じですか。
日比政府参考人 自己申告制の問題でございますが、先ほど申し上げました、昨年十月、十一月、この調査、まだ完全に整理、集計しておりませんので、ぱらぱらという私が見た印象で申し上げますと、必ずしも自己申告制がある企業の方が違反が多いということではないような状況も実はございます。
 その点は、いずれにいたしましても、十分状況を把握いたしたいと思いますが、自己申告制の問題、これは、実は労働時間につきましては、御案内のごとく、裁量労働ということもございますし、いろいろな労働時間の管理の仕方がある。フレックスタイム制もある。そういうものでございまして、本来、働き方に応じまして適切な時間管理ということが基本であろうと思います。
 その中で、いずれにいたしましても、賃金の問題は、約定した賃金は、これは払う。割り増し賃金の点も、約定したものは当然払う。かつ、法律で計算に関する事柄も、労働時間をベースにして賃金勘定する場合にははっきりしておるわけでございますので、そういう意味で労働時間の適正な把握を行う。
 したがいまして、自己申告制の場合でも、結果として正しい労働時間数の把握、それに基づく賃金の支払い、これを確保していくということを世の中で守っていただくために、先ほど来御指摘の通達等を出して、その遵守状況というものを見もし、今後、遵守していただくよう指導をしてまいりたいということでございます。
大森委員 先ほど言った、自己申告制がサービス残業の温床だというのは、実は厚生労働省自身の文書にも出ているわけですね。これは兵庫の労働局なんですが、サービス残業が行われている企業では、労働者に早出、残業時間数を自主申告させるケースが多く、それがサービス残業の温床になっているケースが目立ちますという形で、やはり本来、使用者の責務、それを本当に妥当な、公正な、だれが考えてもそうだという理由なしに、ただ労働者にそれをゆだね、しかも、いろいろな障害をいろいろな形で設けていくというところに、こういうようなサービス残業がはびこる、蔓延する大きな理由があると思うのですね。
 サービス残業というのは、先ほども申し上げましたけれども、労働時間の適正な管理、これはサービス残業の解消だけじゃなくて、「把握してますか 始業・終業時刻」のこのポスターで、労働時間の適正な管理というのは、労働時間管理の適正化を通じて恒常的な長時間労働あるいはサービス残業、過労死などの問題を解決していきましょうということで、本当に、単にただ働きの是正ということだけじゃなくて、労働時間の適正な管理ということは、非常に重要な今日的な課題であると思うのですね。
 この点で、労働時間の適正な管理において、使用者の責務を本当に厳正に果たさせるという点で、この自己申告制などは原則禁止とすべきじゃないか。この点とあわせて、同時に、サービス残業を根絶するために、もう通達行政では限界があるんだということも、これははっきりしてきたんじゃないかと思うのですね。
 通達を出してから半年以上たって、三十万の事業場に周知徹底の努力をして、なおかつ三割に及ぶ三十七条違反が生じている。時間管理も全くやっていない、そういう事業場すらたくさんあったというわけでしょう。通達行政ではもう限界だと。
 BSE問題では、一九九六年、肉骨粉の飼料としての禁止、これを通達ということにしたために徹底しなかった。それが今日の大きな大変な被害をもたらして、今やっとこれが法律で明確にされる、こういう教訓もこの問題ではあったわけでありますから、サービス残業では、もうそれによって過労死、過労自殺、どんどん生まれているわけであります。ぜひこれは、単に通達を出したから終わりということじゃなくて、今こそこれは立法化すべきじゃないか、自己申告制原則禁止と、例えばサービス残業根絶法案、こういう立法化を考えるときに来ているんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。厚生労働大臣、お答えください。
坂口国務大臣 通達が十分に機能しておるかどうかという問題はまだあるというふうに思っておりまして、これからも懸命に通達が守られるように我々も努力をしなければならないというふうに思っています。
 法律にしたらすべてそれでうまくいくかというと、そうでもないというふうに思いますから、ここはやはり、自己申告制にしなければならないような職種のあることも事実でございますしいたしますので、そこは十分にこの通達が守られるように我々としては最大限努力をしたいというふうに思っています。
大森委員 日本の長時間労働の是正というのは、年間総実労働時間を千八百時間にするというのが国際公約であるわけでありますけれども、全体としては、それが逆に、最近は労働時間も伸びているということの大きな理由の一つに、残業時間が伸びているということがあるし、その上には、この数字には出ないサービス残業があるということがあると思うんですね。
 長時間労働の是正、こういう点では、かつて通産相の私的諮問機関で出した労働時間短縮の影響に関する研究会報告、この中で、「労働時間の短縮は我が国の安全保障にまで関わる国家的な課題」である、かつてはこういうことまで言っていたわけでありますから、ぜひ厚生労働大臣を初めとして、サービス残業の根絶、長時間労働の是正、こういう面で大いに力を発揮していただきたいということを要求して、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
津島委員長 これにて大森君の質疑は終了いたしました。
 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党・市民連合を代表しまして、公務員制度改革問題を中心に、関係各大臣に質問申し上げます。
 昨年末閣議決定されました公務員制度改革大綱の質問に入る前に、十三日の当委員会におきまして、民主党の河村たかし議員の質問に対する国税庁次長の答弁について質問をいたします。
 次長答弁によりますと、税理士である国税OBにあっせんした顧問先での一人当たりの年間報酬が九百四十一万円、こういうことでございました。OBの退職後の生計確保への配慮ということはあるにしても、常識から見てちょっと額が多過ぎるんではないかな、こういうふうに思います。
 そもそも、あっせんの方法等も不透明ではないのか、税理士のあっせんを国税庁当局のみでやっているので、歯どめがきかなくなっている、こういう状況になっているのではないかと思うんですが、国税庁の見解をお聞きします。
福田政府参考人 今回の事件にお触れになりましたけれども、まず今回の事件は、既に退職した者が起こしたこととはいえ、長年税務の職場に勤務して、国税局長まで経験した者が、みずからの脱税で東京国税局の査察調査により告発された上、検察当局に逮捕、起訴されたというもので、私どもまさに裏切られた思いでありまして、大変残念に思っております。
 今先生御指摘のいわゆるあっせんでございますが、国税庁といたしましては、職員の年齢構成の適正化を図り、組織の活力を維持していくために、いわゆる指定官職の者に対しまして、定年前に個々の実情に応じまして退職勧奨を行っているところでございます。
 これらの退職勧奨に応じた指定官職の者のうち税理士資格を有する職員につきましては、職員の在職中の職務の適正な執行を確保する等の観点から、顧問先のあっせんを必要に応じ行っているところでございまして、このことは、民間の需要に対する的確な対応等の面でも有益でございますので、今後とも必要である、かように考えております。
 ただ、これまでも、納税者からの批判や疑惑を招かないように、退職職員に対しますこういう顧問先あっせんにつきましては、税理士法あるいは国家公務員法等に違反することのないように厳正に実施を行う、企業の需要を的確に把握いたしますとともに相手方の申し出等に応じ節度と秩序を持って対応する、職員が個人的にあっせんするなど逸脱した行為を行うことのないような厳正な指導に努める、こういった措置をとらせていただいておりまして、個々の企業の需要等、その意思を十分尊重して行っておりまして、いやしくも公権力を背景とした押しつけとなることのないように配意しているところでございますが、今後、さらにこの点を徹底してまいりたいと考えております。
 なお、この問題につきましては、公務員の退職後の生活設計という面で公務員全体にかかわる論点も含まれておりますので、これらの論点について検討するよう大臣からも御指示をいただいているところでございまして、今後実施されます公務員制度改革との調和等を踏まえつつ、できるだけ早く結論を出したい、かように考えております。
重野委員 今の答弁は、平たくして言えば、今やっていることをいかにして正当化するかということにしか聞こえません。
 後ほど私はきょうは公務員制度改革について特に集中的に質問しようと思うんですが、公務員制度改革という大きな流れがあるわけですね。そして一方、こういう出来事が起こっている。どこかこれはやはり行き違いがある。今の国税の説明も、そういう国民の目線というものから見れば、やはり納得できる説明ではありませんね。
 私はここで提案をしたいのでありますが、そうであるならば、この際、客観的に起こる出来事あるいは事象に対して対処する第三者のチェックシステム、こういうふうなものがあって、そこでやはりそういう目線でいいか悪いかというものが選択をされる、こういう仕組みをつくっていくという一つの方法もあるのではないか。そういうふうな考えを当局はお持ちかどうか、聞いておきます。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどもお答え申し上げましたように、この問題につきまして、まさに先生今御指摘のように、退職後の生活設計という面で公務員全体にかかわる論点も含まれておりますので、これらの論点について今検討しているところでございまして、今お話ございました公務員制度改革との調和等を踏まえつつ、私どもはできるだけ早く結論を出したいというふうに考えております。
重野委員 具体的に言うと、いつごろまでに出す予定ですか。
福田政府参考人 公務員制度改革全体との調和を踏まえて、できるだけ早く結論を出したい、今はこういうお答えでございます。
重野委員 できるだけ早く、まあいろいろな受け取り方がありますが、もうそれ以上のことは出そうにありませんから、切りかえます。
 そこで石原大臣、大臣に幾つか質問いたしますが、まず、大綱の閣議決定に至る経過について質問いたします。国税はもう結構です。
 まず、二月十三日の本委員会において、労働基本権問題についての結論が出た際、職員団体と一度でも交渉、協議したことがあるかと同僚の横光議員が質問したところ、大臣は、事務局長が面会を申し込んだところ先方が拒否した、こういう答弁でありました。その後、私は、ずっと時系列で関係者の調査をしたのでありますが、この答弁は事実に反している。この間の労働団体とのやりとりの経過からしても、信義にもとる答弁ではないか、このように私は思うわけです。
 そこで、事実関係について幾つか質問いたしますが、事実関係についてのみ端的に答えていただきたい。
 まず、労働基本権を制約するとの内容の公務員制度改革大綱の原案を推進事務局として組合側に提示したのはいつか。組合側は十二月十八日と言っていますが、そのことに間違いはないか、確認をいたします。
石原国務大臣 ただいま重野委員お尋ねの点は、公務員制度にかかわる労働基本権のあり方について、当事務方から職員団体にいつ御提示をしたかという日付の件だと思いますが、ただいま委員がおっしゃられた昨年の十二月十八日に、労働基本権の結論が盛り込まれました公務員制度改革大綱案を御提示させていただいたところでございます。
重野委員 労働基本権を制約するとの方針を組合側に提示したのは十二月十八日と確認できました。
 その場合、渡辺補佐と称する方がその旨を組合側に伝えた、こういうふうに私は聞いておりますが、これについても間違いありませんか。
石原国務大臣 私の持っております資料で特定の名前まで残念ながら今確認することができませんので、後日、お答えさせていただきたいと思います。
重野委員 これは重要な問題ですので、しっかり調べていただきたいんですが、この十二月十八日、大臣は春田室長と一時間以上にわたって打ち合わせをしている、こういうことでありますが、これについても間違いありませんか。
石原国務大臣 突然の御質問でございますので、十二月十八日に私がだれと何をしていたかということは、残念ながら記憶にございません。
重野委員 これは大変重要なことなんですよ。記憶にございませんというようなことではぐらかされたのでは、こちらは極めて不本意であります。そういう一つ一つの事実を確認した上で、最後の問題が出てくるわけですね。途中がそういうような形であいまいにしておって、そして議論をしても、これはなかなか議論になりません。
 あらかじめ、この問題については私は質問をするということは事前に通告しておるんですから、その質問の中でこういうふうなことは当然出てくるであろうということがわからぬというのは、担当大臣として不見識じゃないですか。
石原国務大臣 お言葉でございますが、委員は、一週間前に自分が何をしたか、そしてまただれと何をしたかというようなことを、質問をとりに当方の事務局が行って、こういうことを聞くと言っていただければ、私も手帳なり繰ることができますけれども、今この場で不見識だとか言われるのは甚だ心外でございます。
重野委員 いいですか。いわゆる公務員問題について質問をするというときに、いろいろなケースを想定するのが、大臣、あなたの仕事じゃないですか。あなたの気に入るような質問ばかりやると思ったら大間違いなんです。
 いいですか。問題は、最後になるんですけれども、最後の結論を出す段階で、大臣は、関係者、いわゆる私がここで言っている組合とお会いにならなかったんですよね。ここのところが最も大きな問題になっているんです。それに至る経過を私は今一つ一つ押さえていっているわけですね。
 だから、それは大臣はそうでありましょうけれども、中には思い出すことがあるかもしれませんから、よく聞いておいてくださいよ。
 十二月の十八日の夕方に、推進事務局は、労働基本権問題に対する扱いを含んだ大綱原案を組合側に提示している。これは単に文書を渡したにすぎないものである、私の調査によると、向こう側はそういうふうな受け取りをしているんですね。
 そして、閣議決定されたのは十二月の二十五日。これまで断続的に与党協議が行われて、推進事務局がそこで説明していたことからも、組合側とは一度もこの問題について、最後にあなたといわゆる労働団体に責任を持つ人とのこの問題に対する話し合いは持たれなかった、こういうことなんです。そのことを私は今問題にしているんです。あなたは今でもそのことについて瑕疵はなかったと。横光同僚議員の質問に対してああいうふうな答弁になっているというのは、そういうなぞらいをしていくと、ああそうなのかと、こういうことになるんですね。そのことに対して問題があるんじゃないのかと。
 これは、そういう計画を立てる方と、それを今度は実際に現場で、職場でそういう方針に基づいて進んでいかなければならない多くの方々の思いと、あるいは考えというものを代弁する側との間に、そういう接点がないというところに問題があった、大臣との間に。その点については、大臣どう思っていますか。
石原国務大臣 重野委員が、どの方々を代表して、どういう立場で、どういう意図を持って私に時系列を追って御質問されているのかちょっとよくわからないので、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
重野委員 公務員制度改革を束ねる、今後の公務員制度改革かくあるべしという絵をかくその責任者が、いや、相手になる労働団体といってもぴんとこぬとかいうような感じでよくやれたものだ。
 今度の公務員制度改革で、その制度改革の中で働く何百万という職員がいるわけですよ。その意見を代理する団体があって、その団体の名前もわからぬとか、そんな不見識な答弁をこの場でやるんですか、あなたは。
石原国務大臣 本当に、まことに申しわけありませんが、重野委員がどこかの組合の方々を代表して御質問されているということでしょうか。
重野委員 どこかの組合、そんなことを言うんですか、あなたは。連合という労働団体があるでしょう、ナショナルセンターが。あなた、今までその連合の公務員部門の皆さんとあなたの部下職員は全く会っていませんか、会っていますよ。あなたが会う回数が少なかった、この結論を出すときに会っていなかった。それで、私がどの団体を指して言っているんですかなんて、そんな失礼な答弁がありますか。
 今、連合と言いました、連合の公務部門と言いました。記憶ありますか。
石原国務大臣 連合の皆様方の御都合と私の御都合がすべて合うということはきっとないと思いますし、連合のお立場で御質問されているということは十分今理解をさせていただきましたが、私は、誠心誠意取り組ませていただいております。
重野委員 きょう午前中の中沢議員の質問の中にもあったのですね。この公務員制度改革について、該当する労働組合の、いわゆる連合の公務員部門、その公務員部門も、いわゆる二十一世紀の公務員制度のありようという、変えていかなきゃならぬ、改革ということについては、全く同じ目線なんですね。話し合う用意がある。
 今大臣が言ったように、会う時間がとれなかったなんというのは、これはもう詭弁ですよ。会う気がなかったととられてもしようがないじゃないですか。わずか一日、あるいは何時間か知りませんが、その時間もとれなかったというのは理由にならない。
 さらに質問を進めます。これは時間がもうむだです。
 今までの答弁と今の答弁も含めて、昨年の十一月六日、あなたは組合側と話し合いをしておるのですね。労働基本権問題は非常に重要な問題である、大綱策定までの間、皆さんとも議論ができるよう、できるだけ早く結論が出せるよう事務局に指示したい、もうしばらく時間をかしてほしい、このように言っておるのですね。同月の九日、十一月九日に、基本権の取り扱いについては重要な問題であると認識しており、組合側が基本的スタンスを決められないということについても理解できる、これは春田室長の答弁。
 このように重要認識を示しながら、正式な説明もない。これに対して組合側が大臣に労働基本権の取り扱いについて交渉、協議を求めるのは当然ではないか。こういうふうに言うのは至極当然の成り行きですよ。それに対して、春田室長から説明したいということ、大臣に対して求めているのに、室長がそれにかわって説明したい、ここのところの認識が、やはり今のこの不信感のもとになっておるのですね。
 一連のこの経過からして、組合側が大臣との交渉、協議を求める、当然じゃないですか。そこら辺の認識は、大臣、どうなんですか。
石原国務大臣 午前中も御同僚の中沢委員の御質問にお答えしたのですが、私も人間でございますので、いろいろなやりとりがあって不愉快な思いを感じることもあれば、皆様方の交渉に当たられた方々も、いろいろな感情でいろいろなことを思われていることがある。そのもろもろの中で協議が推移をしているというふうに御理解をいただきたいと思います。
重野委員 まあ、そういう言い方もあるんでしょうかね。
 重ねて言いますけれども、大臣、事の経緯、また大臣の組合側に対する答弁からすると、政治家として、大臣として、最高責任者として、最後の段階において双方のトップが会って、そして理解を深める、そのことは当然やるべきことなんですよ。それを、代理を出して、それを断った組合が悪いと。これは僕は、ちょっと筋が違っているんじゃないですか、こういうふうに思いますが。
 したがって、横光議員に対する答弁も、私は、ああいう答弁というのは間違っている、こう言わなきゃならぬです。あなたが会わなきゃならない。あなたのかわりを出して、そしてそれが、かわりに会わなかったからそれは組合が悪いんだ、こういう言い方というのは私は間違っていると思うんですが、あなたはどういうふうに考えていますか。
石原国務大臣 重野委員はちょっと私の発言を誤解されているように思います。私は、連合の皆様方が悪いなどということを一度も申したことはございません。
重野委員 いや、あなたの見解は、あなたの代理に会わなかったと、あなたじゃないんですよ、あなたの代理に会わなかった連合が悪いと言っているんです。いよいよ公務員制度改革の大綱が決まるんでしょう。その段階で、その大綱に束ねられる公務員の代表があなたと話をしようということで、その場合にあなたが出ずに春田さんを出して、春田さんに会わなかったから、会わない連合が悪いという、こういう理屈がありますか。そういう認識なんですか。もう一度聞きます。
石原国務大臣 そのようなことは申しておりません。
重野委員 では、何を申しているの。もっと具体的にかみ砕いて言ってくださいよ。
石原国務大臣 何か、聞いておりまして、私も、だんだん禅問答に入っているようなことで、私に何をしろ、どうしろと今おっしゃっているのか、正直言って私の頭脳では今理解することはできません。
重野委員 そんな難しいことを言っているんじゃないんです。公務員制度改革の、政府の最高責任者であるあなたが、公務員の、束ねる団体の皆さんと最後の段階でなぜ会うことができなかったんですかと言っているのです。時間がなかったなんて、理屈にならぬぞ。
石原国務大臣 その点につきましては先ほどお答えいたしましたが、より具体的に話しますと、それは決して関係をよくするとは思えませんので、謹んで今かみ砕いて御説明申し上げたところでございます。
重野委員 それじゃ先に進みます。
 次に、まず人事院総裁に聞きます。
 総裁は、決算行政監視委員会での在職期間長期化の問題に関する質問に対し、計画的に長期化が図られるよう対処していかなければならない旨の答弁をしております。総裁は、在職期間長期化は、天下り問題の解決の中でどのような位置づけをされるのか、それについてお聞かせください。
中島政府特別補佐人 そのときにも御説明申し上げましたが、1種で採用された職員、いわゆるキャリアという職員ですが、その人たちは現在、五十三歳以下で、大体過半数を超える人たちが勧奨退職でやめておる。やはりこれは少し早過ぎるんじゃないか。五十三歳で、あるいは五十二歳で退職して年金で生活できるかというと、とてもそういうたくさんの年金が支給されないから、どこかにやはり再就職しなきゃならないという現実があるだろうと思います。
 そうしますと、やはりいわゆる天下り圧力というのが非常に大きなものに現在なっておるんじゃないか。したがって、この人たちをもう少し公務組織の中で長く働いていただけるような知恵を出していかなきゃならないだろうと。ただ、その場合に、給与体系を今のままほうっておきますと人件費が非常に膨大になりますので、給与体系の改革というのもあわせてやらなきゃなりませんが、いろいろなその他の施策もあわせて、もう少し在職期間を長期化するための計画的な取り組みというのが政府として必要じゃないかというお話を申し上げたわけです。
 これは、私は、いわゆる天下り問題に対する施策として第一歩の施策であるし、また、この天下り問題に取り組むためには、しばらく計画的に取り組んでいただく必要があるんじゃないかというふうに思います。そういうことを御答弁申し上げて、そのように考えております。
重野委員 公務員制度改革問題については、先ほど来るる議論しておりますように、大変重要な問題と認識をしております。公務員制度改革大綱を見ましても、そこに至った背景や、あるいはどんな議論があったか、見えてこない部分が相当にある。そのため、人事院の担当者に、この大綱策定に当たって人事院から推進事務局に提出をした意見書を我々に出してもらいたい、このようにお願いしておりますが、まだ提出に至っておりません。
 そこで、総裁に要請いたしますが、この人事院が推進事務局に示した意見、これを出していただきたい。どうでしょう。
中島政府特別補佐人 役所から役所に提出した文書でございますし、別段秘密にする必要もございませんので、できるだけ早く提出したいというふうに思います。
重野委員 では、お願いしておきます。
 次に、石原大臣に質問いたしますが、本委員会での民主党議員の質問に対して、押しつけ型の天下りは根絶していくと答弁されております。大臣の言う押しつけ型とはどういうものなのか、説明してくれませんか。
石原国務大臣 端的に申しまして、予算や権限を持って天下るというものを指して発言したと記憶しております。
重野委員 私は、押しつけ型には二つの見方があるというふうに思うんですね。つまり、役所の側から見た押しつけと、それから企業の側から見た押しつけ、二つあると思うんですね。大臣の言うのはどちらでしょうか。
石原国務大臣 何かの権限を持っていれば、その方が天下られて民間企業に来て、民間企業がいいと思うこともあるでしょうし、あるいはある程度の、これは大変慎まなければならない問題でございますけれども、予算措置に準ずるようなものを持って企業に行けば、それはまた企業にとってプラスになる、こういうものを根絶していかなければならないというふうに理解をしております。
重野委員 予算や権限を背景としてという場合と、そうでない、しない場合であっても、企業側からすれば、役所から言われれば受け入れざるを得ない。したがって、押しつけ型天下りとは、企業が押しつけと受けとめるかどうかが問題のポイントではないかと思うんですね。その点をしっかり認識して天下り規制のあり方を考えることが重要ではないかと思うんですが、見解を伺います。
石原国務大臣 ただいま重野委員が御指摘されましたようなことは、過去にはあったと私も承知しておりますが、昨今の経済情勢あるいは社会情勢の変化によりまして、そういうものを受け入れる余裕が企業の側になくなっているということも、また一面では事実ではないかと考えております。
重野委員 外務省の機密費問題、政策決定にかかわる鈴木議員と外務省の政官癒着問題、冒頭指摘をしました国税庁OBのあっせん問題、あるいはBSE問題に見る農水省や厚生省の国民不在の対応等、国民の官に対する批判は極めて厳しいものがある、これは大臣もそのように認識していると思います。特に天下り問題はその典型である。
 こうした国民の批判にこたえるどころか、逆に天下り天国をさらに拡大させるような今回の大綱、私は、大綱は、今大臣が言う天下りを抑えるという方向ではないと認識していますが、そういう内容について、国民が、はい、そうですかと受け入れるものではない、こういうふうに思うんですね。大臣も、こうした国民の厳しい批判にこたえる気持ちがあると思うんですが、制度改革について根本的にもう一度やり直す、その後、多くの事象が起こっているではありませんか、そういう考え方はありませんか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました点は、私も同感に考えております。現行の制度で不十分であるから制度改革を発案し、二重、三重に仕組みをとることによりまして、今委員が御指摘されたようなものを除去していく、そういうふうにこの公務員制度改革では取りまとめさせていただいたところでございます。
重野委員 そこで、大臣に聞きますが、地方公務員制度改革について、大綱では、地方自治の本旨の尊重などと言っています。労働基準法の適用を含む地方公務員制度、また、そもそも二元的政治制度による政治形態の相違など、大綱決定過程では十分な、そういう部分における十分な検討が行われたという形跡は見られない。
 この公務員制度における両者の問題についてどのように認識しておられるのか、この点についてお伺いをいたします。
若松副大臣 重野委員とは去年まで同じ委員会で、大変いろいろな御教示もいただきまして、どうぞよろしくお願いいたします。
 今の公務員制度改革につきましてでありますが、先ほどの石原大臣並びに中島人事院総裁からもいろいろな話がございましたが、この公務員制度改革についていろいろな議論があったのも事実でございます。
 総務省といたしましては、この公務員制度改革大綱というのが昨年末できたわけですが、いわゆる特に地方公務員制度改革でしょうか、これにつきましては、特に、国家公務員法改正、当然これと同時期に地方公務員法の所要の改正を行う、こういうことになっておりまして、速やかに改革に取り組むとされているところでございます。
 しかし、地方行政から見ますと、御存じのように、多様な職種の職員が地域住民に身近なサービス業務を担当している、さらには、地方公共団体の規模も多様、こんな状況を理解いたしますと、この地方公務員制度そのものは、いわゆる法律が制度の根本基準を定めている一方、人事行政の具体化につきましては条例、規則の自主立法にゆだねるなどの方法をとっているわけでありまして、国とは異なる特色になっている、こういうふうに理解しております。
 したがいまして、今後の地方公務員制度改革の具体化を図るに当たりましては、地方自治の本旨、地方公務員制度の特色を勘案しつつ、地方公共団体を初め、広く各界の御意見を参考にしながら検討を進める必要があると考えております。そういう流れから、地方公務員制度調査研究会、ここにおきましても、有識者から意見を聞く場として活用しながら検討してまいる所存でございます。
重野委員 国家公務員、地方公務員それぞれのあり方についての副大臣の認識はそうだろうと思います。
 それで、慎重な検討が必要でありますし、したがって、地方公務員制度調査研究会の審議においても、そうした観点を十分踏まえて行うことを要望しておきたいと思います。
 次に、石原大臣に聞きますが、「選択」なる題名の二月号に目を通されたことがありますか。この雑誌の中で、公務員制度等改革推進室が発足したのに合わせて、経済産業省に裏チームが編成された、こういうふうに書いておるんですね。さまざまな指令や資料はここでつくられ、同省派遣の職員を通じて表の推進室におろされている、こういうふうに書いてある。これをコントロールしているのが元総理である、こういうふうに報じております。
 大臣、あなたの所管する推進室とは別に裏チームがあるというこの本の報道は、これはどういうふうに認識しておりますか。
石原国務大臣 私は、「選択」という雑誌を、月刊誌でございますが、たまに読みまして、二月号も読みました。それで、今委員が御指摘されたようなことが書いてありましたので、これもまあどうかなとは思ったんですが、おい、本当に裏チームはあるのかと聞きましたところ、そんなものはございませんと言われましたんで、そうか、じゃ、何でこんな記事が出ているんだと聞きましたところ、大変申しわけございません、おまえ、謝る必要ないだろう、事実じゃないならば、と申し述べた記憶がございます。
重野委員 それでは、経済産業大臣に聞きますが、あなたの省のことですよね、報道にあるような裏チームなるものが設けられておるんですか。それで、もしそんなことがあった場合に、そこにかかわる職員は本来の業務との関係でどのような扱いになっているのかな、こういうことを素朴に思いますが、どうでしょう。
平沼国務大臣 私も、「選択」という雑誌は、その時点では見ませんでしたけれども、そういう御質問がある、こういう形でコピーで読まさせていただきました。しかし、存在ですとか出自があいまいな文書に基づいて憶測で書かれた記事、これに関しては本来的に私はコメントする立場にありませんけれども、裏チームがあったのかどうかという御指摘ですけれども、それは全くございません。
 そして、これはもう委員よく御承知のとおり、公務員制度改革というのは内閣官房の行政改革推進事務局が主体的にやっておりまして、私どもは内閣一体となってそこに協力をする、そういう形で、どういう立場だとかそういうことは、経済産業省の所属の者もその事務局にはおりますけれども、その立場以上のものではありません。
重野委員 もう時間も来ましたが、その点について、まあ、あれは実名で書いていますし、事の真偽のほどというのは私も定かでないわけでありますが、この公務員制度改革問題に関心を持つ人々の間ではとかくうわさされていることなんですね。これが事実とすれば問題だというふうに思いますよ。内閣府の公務員制度改革を裏で左右するなどということがあってはなりませんね。
 そこで、石原大臣に聞きますが、そういうふうなことが、うそかまことかわかりませんが、うわさされるということが問題なんですね。これは私は、大臣、しっかりしなきゃいかぬと思うのですね。そういう記事に対し、私はそういう質問をしましたが、それに対し最後に大臣の見解を改めて聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
石原国務大臣 後半になりまして重野委員と私の立場が一緒になってきたなというような印象を持っております。
 そのようなことがないように、また、あってはならないことでございますので、十分注意して、私も目を光らせて、公務員制度改革、職域代表の方々とも十分意見を交換させていただきながら尽くさせていただきたい。重野委員の御協力もよろしくお願い申し上げたいと思います。
重野委員 以上で終わります。
津島委員長 これにて重野君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る二十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十三分散会


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