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第21号 平成14年3月6日(水曜日)

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平成十四年三月六日(水曜日)
    午後三時開議
 出席委員
   委員長 津島 雄二君
   理事 伊藤 公介君 理事 木村 義雄君
   理事 北村 直人君 理事 小林 興起君
   理事 藤井 孝男君 理事 枝野 幸男君
   理事 城島 正光君 理事 原口 一博君
   理事 井上 義久君
      伊吹 文明君    石川 要三君
      衛藤征士郎君    大原 一三君
      奥野 誠亮君    亀井 善之君
      栗原 博久君    小島 敏男君
      高鳥  修君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    野田 聖子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      細田 博之君    三塚  博君
      宮本 一三君    持永 和見君
      八代 英太君    山口 泰明君
      吉野 正芳君    赤松 広隆君
      五十嵐文彦君    池田 元久君
      岩國 哲人君    上田 清司君
      河村たかし君    筒井 信隆君
      中沢 健次君    野田 佳彦君
      松野 頼久君    松本 剛明君
      青山 二三君    赤松 正雄君
      石井 啓一君    達増 拓也君
      中井  洽君    中塚 一宏君
      佐々木憲昭君    矢島 恒夫君
      辻元 清美君    横光 克彦君
      井上 喜一君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       武部  勤君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   環境大臣         大木  浩君
   国務大臣
   (内閣官房長官)
   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長)
   (防災担当大臣)     村井  仁君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)
   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    津野  修君
   会計検査院長       金子  晃君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省欧州局中・東欧課
   長)           倉井 高志君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            重家 俊範君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局ア
   フリカ審議官)      小田野展丈君
   政府参考人
   (財務省国際局長)    溝口善兵衛君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   参考人
   (日本銀行総裁)     速水  優君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  細田 博之君     吉野 正芳君
  松野 頼久君     上田 清司君
  青山 二三君     石井 啓一君
  山口 富男君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     細田 博之君
  上田 清司君     松野 頼久君
  石井 啓一君     青山 二三君
  矢島 恒夫君     山口 富男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――
津島委員長 これより会議を開きます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより締めくくり質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。
 本日は、限られた時間でございますので、どうぞ御答弁の方も簡潔によろしくお願いを申し上げます。
 きょうは、デフレ対策を中心に質問をいたしたいと存じます。
 戦前の高橋財政あるいは米国におけるニューディール政策を振り返りましても、デフレ対策といたしましては、金融緩和あるいは為替の対応といういわゆる金融面での対応と、当時は財政支出を中心とする公的需要の創出でございましたが、いわゆる需要創出策、需要喚起策、これが車の両輪である、こういうふうに私は理解をしております。
 そういった面からいたしますと、先日政府が発表されたデフレ対応策は、金融面での対応を中心とした第一次の対策である。これは、今予算審議をやっているという状況もございますから、そういったことにならざるを得なかったと思いますけれども、今後、需要喚起策を中心とした第二次のデフレ対策が出される、こういうふうに期待をしておりますが、総理にこの点について確認をさせていただきたいと存じます。
塩川国務大臣 この前のデフレ対策は、まさに、おっしゃるように金融中心でございましたが、今後におきまして、それに追加して、総理の方から引き続き積極的な政策を展開すると言っておりますので、それには税制の問題もあり、あるいは規制緩和もあり、あるいは雇用対策への直接的な介入とか、そういう面を総合的にしたデフレ対策を講じていきたいということであります。
石井(啓)委員 総理、ぜひこの第二弾のデフレ対策というのは早急に、予算の成立のめどが立ちましたが、早急にこれはお願いいたしたいと存じますけれども、総理、いかがでございましょう。
小泉内閣総理大臣 デフレ対策としてまず一番有効なのは、年度内予算成立、早期執行、そして今、第二次補正予算そして本予算、切れ目なく執行する、これが一番重要だと思っております。
石井(啓)委員 財務大臣にお尋ねいたしますけれども、今税制改正というお話がございましたが、政府税調あるいは経済財政諮問会議で抜本的な税制改正の議論、ことしは非常に前倒しで、早目にこの議論が始まっているわけでございます。
 やはり税制により設備投資あるいは個人消費を喚起していく、刺激をしていく、経済活性化のための税制改正というのが非常に重要である、こういうふうに思いますので、ぜひこれは今議論を始めた税制改正の議論の中で早目に検討をしていただきまして、通例ですと、税制改正は、年末の税制改正で議論いたしまして翌年度の税制改正に反映させるということでありますけれども、できるものはなるべく前倒しをして、十四年度の途中にでも法制化するように、そういう運びでぜひ御検討いただきたいと存じます。これは、財務大臣とそれから竹中大臣にもこの点についてお尋ねいたしたいと存じます。
塩川国務大臣 十五年度税制改正につきましては、かねてから申しておりますように、構造改革に資するものとしての税制改正に進めていきたいということを言っております。十四年度税制の改正は中立を維持しましたので、十五年度におきましては積極的な施策を講じたい。それにつきましても、焦点は、おっしゃるように、やはり経済の活性化、構造改善に資するということを重点にいきたいと思っております。
 しかし、一方におきまして、言いわけではございませんけれども、平成九年以降、大幅な恒久的な減税をやってまいりました。その結果として、今、所得税、法人税に空洞化が起こってきておりますので、これをある程度埋め合わせをして、税の公平をやはり維持しながら、経済の活性化に資する積極的な方向を出していきたいと思っております。
 スケジュールといたしましては、四月、五月に基本的な問題を討議し、六月に総合的な税制改正の基本方策を決定し、それを七月、八月で具体化したものにしていきたいと思っております。
竹中国務大臣 今、財務大臣のお話にもありましたように、税制の改革というのは、非常に総合的な観点から今回行うわけでありますが、税制そのものは、税は税のために存在しているのではなくて、やはり経済のために存在しているという観点が大変重要であろうかと思います。そうした観点から、経済活性化のための税制の論議を、議論としては重点を置いて行うということを経済財政諮問会議でも考えております。
 しかしながら、同時に、これはあくまでも総合的な見直しでありますので、パッチワーク型のことはやらないということも重要だと思います。同時に、税全体の税収のバランス等々を考えながら総合的な議論を行うことが必要だと思っております。
石井(啓)委員 それでは、総理にまたお尋ねをいたしますけれども、これはなかなか難しい質問でございますが、追加の財政支出というのは、今本予算をやっている段階でそういうことを議論するのはけしからぬというのがあるかもしれませんけれども、正直言ってなかなか難しい状況だと思います。大量の国債を新たに発行してかつてのように大型の補正予算を組むというのは、正直申し上げましてなかなかそういう状況にはないというふうには私も思っておりますけれども、今後の経済状況によりましては、かねてから総理もおっしゃっているように、追加の財政支出も含めて大胆かつ柔軟な経済運営は行うべきである、そういうオプションはきちんと残しておくべきである、こういうふうに思いますので、その点についての総理の見解を改めて確認させていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 第二次補正予算が現在執行されております。需要喚起策として来年度本予算ほど需要喚起策はないんです。四月に執行する、これにまさる需要喚起策はない。御理解いただきたいと思います。
石井(啓)委員 総理がなかなかかたいというのは予想しておりましたけれども、想像以上にかたいなと思っておりますが。
 そこで、ちょっと失業率の話を若干させていただきますが、先日、本年一月の完全失業率が五・三%という数字が出まして、これが意外と、意外とといいますか、もう少し上がるんじゃないかというふうな予想もありましたものですから、何か雇用情勢が好転したかのような一瞬そういう感じもいたしましたけれども、よくよく数字の中身を見てみますと、そもそも完全失業者の定義というのが、その調査期間中に仕事を探している、これが定義になっているようで、仕事探しをあきらめた方は完全失業者の方に入らない、こういうことがあるようでございます。今回の数字の中にも、特に若い人が仕事探しをあきらめて完全失業者の中の数に入らなくなった、こういうことも要因の一つだというふうに聞きましたので、これはなかなかそう気を緩められるような状況にはないな、こういうふうに考えているわけでございます。
 デフレ対策といたしましても、今後こういった雇用の創出、あるいはこの裏腹の話でございますけれども、新産業の創出というのが非常に重要だというふうに考えます。経済産業大臣と厚生労働大臣から御答弁をいただきたいと存じます。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 やはり、今のデフレ状況を克服するということは、経済の隅々に資金が行き渡って、そして新たな消費ですとかあるいは投資というものが活発化して、そして民需を主体に需要が増大をしていく、こういう状況をつくり出すことが必要だと思います。
 そういう中で、今御指摘の新規産業、こういうものを育成していくということは非常に大切なことでございまして、そこで第一には、これから新しく創造されるそういう産業に対する、創造しやすいような、規制を思い切って撤廃してそういう環境をつくることが第一に必要だと思います。
 それから二番目としては、新しく企業を起こし産業を起こす、そういった面にリスクマネーを含めて人材等をしっかりと供給する、そういう体制をつくるということも私は必要だと思います。そういうことをすることによって、私は、新しい産業が出ることによって雇用が確保され、そしてデフレ状況からも脱却をできると思っています。
 もう一つは、日本で乏しいのは、再チャレンジをする場が非常にないという形なので、再チャレンジができるような、倒産法制を含めてそういったことを整備して、総合的に私はやっていくことが必要だ、このように思っております。
坂口国務大臣 御指摘のように、一月の完全失業率は五・三になりましたけれども、これは、下がったといいますよりも、統計上のぶれの範囲と思っております。したがいまして、なおまだ厳しい状況が続いているというふうに認識をいたしております。
 これらの問題を解決いたしていきますためには、今までやってまいりましたきめ細かな政策、それにあわせて、今平沼大臣からもお話がございましたけれども、やはり新しい産業を起こしていくという起業家の育成というのが大事でございますし、その起業家と、その手助けをする、いわゆる片腕になるような皆さん方の育成というのが大事でございますので、そうしたことにも着目をいたしまして、この三月からいよいよそうした面にも立ち向かっていきたいというふうに思っているところでございます。
石井(啓)委員 今回のデフレ対策の中では具体的に議論にはなっておりませんけれども、いわゆるインフレターゲティングの議論がございます。
 私は、あるインフレ目標を数字化して明確化して、その達成を日本銀行に義務づけさせる、そのための手段は何でもやってもいい、そういう意味でのインフレターゲティングについては慎重な立場であります。これはまた別途議論をする場があると思いますが。ただ、政府と日銀の間で、物価安定に関する目標が共有化されていないというか統一化されていないというか、そういう面がやはりうかがえます。
 例えば、竹中大臣のところでまとめられた「改革と展望」のバックデータには、物価上昇率という数字はないんですけれども、いわゆるGDPデフレーターという形で一応目標がございまして、二〇〇三年度が〇・〇、二〇〇四年度が〇・八から一・一とケースを分けて設定しているわけでございます。片や日銀の方は、現在の金融緩和を、物価上昇率がゼロ以上に安定的になるということで、一応ゼロということを目標に置いているわけでございます。
 私は、政府と日銀の間で十分協議していただいて、望ましい物価水準というのはどうあるべきか、これを議論していただいて、数値化していただく。そういう意味での物価安定に関する緩やかな目標を共有化する、これは非常に重要ではないかというふうに思っておりまして、この点について竹中大臣と日銀総裁にお伺いしたいと存じます。
竹中国務大臣 緩やかな物価目標というお言葉を委員はお使いになりましたが、私も個人的にはそのような考え方が適切だと思いますし、現実はかなりそれに近い形になっているのだと思います。御紹介いただきました「改革と展望」では、二年でデフレを克服する。日本銀行の方は、昨年三月の政策決定会合で、ゼロインフレに戻るまで量的緩和を続ける、その意味で非常に緩やかな形に今なっているのだと思います。
 それを今後どのような形で整えていくのがよいのか、それについては、しかし少し時間が要るんだと思います。政府と中央銀行は、やはり協力と、しかし一種の独立性と、そういった協調と独立性をどのように保つかという、一種の新しいアコードといいますか、そういうものをつくるというのが重要だと私自身は考えております。
 しかし、これはお互いの信頼感、長年の行動を通して、言葉ではなくて、行動と時間を通してできるものでありますから、時間をかけてそのような方向に持っていくべきだというふうに思っております。
速水参考人 金融政策の効果の発現には制約がございます。また、構造改革や財政再建の物価への影響が必ずしも確実であるということでないようなことを踏まえますと、現段階では、物価に関する数値目標を設定するということは適当でないと思っております。
 しかしながら、日本銀行は既に、CPIの上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで現在の思い切った金融緩和の枠組みを続けるということを宣言いたしております。また政府の方も、今大臣が言われましたように、デフレの克服を集中調整期間の最も重要な課題と位置づけて、デフレ脱却に向けた取り組み姿勢を明確にしておられるように思います。
 このように、デフレ脱却という目標とそのための決意は、日銀と政府との間で既に十分共有されていると考えております。
石井(啓)委員 今総裁は、適当でないというお話でございますけれども、私は、日銀は物価安定に関して説明する責任を負っているというふうに思っております。
 それは、日銀が独立性を与えられた反面、国民に対して日銀の金融政策がどうあるかということの説明責任が従来以上に求められているわけでございまして、物価安定に関して日銀がどう考えているのか。私は、数値化するというのは、日銀の説明責任を果たすという意味でも重要だというふうに考えておりますけれども、総裁はその点いかがですか。
速水参考人 透明性と説明責任といいますかアカウンタビリティーというのが、新しい日銀法のこれは義務になっております。そういう意味では、おっしゃるように、わかりやすく説明をしていきたいというふうに思っております。
 ただ、今おっしゃった、先行き、デフレの中でインフレの目標をつくるといったようなことにつきましては、これは不可能であるし、適当でないということを説明していきたいというふうに思っております。
石井(啓)委員 いや、これは議論し出すとまだ相当時間が必要なテーマでございますので、きょうはちょっと時間がありませんからあれですけれども、物価安定の目標というのは、デフレでもない、インフレでもない状態を私は目指すべきだというふうに思うのですね。
 だから、決して私はインフレにしろというふうに言っているわけではなくて、物価安定というのをどういうふうに考えるんだ、そこをやはりもう少し日銀はきちんと説明すべきである。数値化できないということで説明責任を逃れるのは私はいかがなものかというふうに思っております。またこれは別途の機会にやらせていただきたいと思います。
 最後の質問でございますけれども、いわゆる公的資本注入についてお尋ねいたしたいと思いますが、不良債権の査定と引き当てを厳格に行った結果、自己資本が低下する銀行が出てくれば、これは早期是正措置をかけるわけですね。早期是正措置をかければ、おのずからかけられた銀行は、みずから自力で資本増強するか、あるいは場合によって国際業務から撤退して国内業務だけに特化するか、そうすれば四%の自己資本比率で足りるわけですから。あるいは公的資本の注入を申請してくるか、この選択しかないわけでございますから、そういう申請が来れば、これは機動的に対応する、これが法律で予定しているところの公的資本注入の恐らく筋道であろう、私はこういうふうに考えております。
 この点について確認をいたしたいと思いますし、さらに、今予防注入ということがよく言われておりますけれども、予防注入ということが果たして行い得るのかどうか。行い得るとしたら、それはどういう判断で行うのか。特に日銀総裁はよくこの点についておっしゃっておりますので、これは金融担当大臣と日銀総裁からお聞きしたいと存じます。
柳澤国務大臣 資本注入は現行法制でどういうプロセスで想定されるかということでございますが、今石井委員が御指摘になられたこと、大体そういうことになろうかと思うのですけれども、あえて少し厳密にさせていただきますと、現在の法制で、資本注入というのは、自己資本が不足になったから入れるという仕組みにはなっておらないわけでございまして、そこに金融危機のおそれというものが発生した場合ということに限られるというふうに我々考えております。したがって、自己資本が不足になれば、これは早期是正措置で自力でもって増資をするということは当然のことでございますが、公的資本はやはりそこに金融危機のおそれが必要だ、こういうことです。
 さて、その金融危機のおそれとは何かということでございますが、これは、これをもって予防的注入ということが書かれているんだという読み方もあるいはできようかと思うんですけれども、やはり一般に予防的注入論の人たちが言うのは、少しそのおそれよりももうちょっと前広の話をしているんじゃないかな、おそれという限りはもう少し明確な兆しが必要なのではないかな、こんなふうに思っております。
速水参考人 預金保険法百二条では、信用秩序の維持に極めて重大な支障を生ずるおそれがある場合、これを要件としているように思います。金融危機を未然に防ぐという意味で、予防的な資本注入は必ずしも排除されていないのではないかというふうに考えます。
 仮に三つの要件を考えています。個別の金融機関の状況、その時々の金融システム全体に対する信認の状況、市場や経済の一般的な状況などから見て必要と判断された場合、こういう場合には、タイミングを逸せずに大胆かつ柔軟に対応していくことが重要ではないかというふうに考えております。
石井(啓)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
津島委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
津島委員長 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省欧州局長齋藤泰雄君、国税庁課税部長村上喜堂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 次に、上田清司君。
上田(清)委員 民主党の上田清司です。総理初め閣僚の皆様方、御苦労さまです。
 小泉構造改革には私個人としましても大いに期待をしておりましたが、予算の配分にさほどの変化があるというふうに思えません。また、医療制度の根本的な改革なしに個人の本人負担を三割に引き上げるという健康保険法等の改悪についても疑問があります。また、特殊法人改革や行政改革についても不十分ではないかという思いを持っておりますが、しかし、予算という総括的な本会議にかわるこの委員会の中で、予算の審議の中で集中的にあらわれました外務省の諸問題について、昨日の質疑項目に従って、改めて質疑をさせていただきたいと思います。
 早速ですが、この資料の6の……(発言する者あり)まだ行っていませんか。そうですか。じゃ、違うのをやりましょう、もったいないんで。
 それじゃ、済みません、外務大臣にお伺いします。
 もう一度確認しますが、この支援委員会の目的は、いわばロシア関係諸国の十二カ国の市場経済移行への改革のプログラムを支援するという目的。そして構成メンバーは、日本を含む十三カ国。そしてどういう形で支援するかというと、受益国の要請主義に基づいて。そしてどういう内容があるのかということについては、第三条で、(a)の項に(1)から(5)まで、(b)の項に(1)から(7)まで出ております。これには間違いありませんか。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 支援委員会は、支援委員会の設置に関します協定という、我が国と旧ソ連十二カ国との間で締結した国際約束に基づきまして設立された機関でございまして、同協定に定められております範囲内で国際法上の権利義務を有する国際機関でございます。
 任務は、先生御指摘のとおり、協定に規定されているとおりでございます。
上田(清)委員 委員長にお願いしたいんですが、この議論はかなり長い時間をかけていろいろな角度から議論されておりますので、的確に外務大臣を答弁に立たせていただきたいと思います。
 そこで、実はこの構成のメンバーがどうもいなかったんじゃないか、一貫して。こういう疑いがあります。日本を含んで十三カ国ですが、一九九三年一月十二日に署名をした十三カ国、この十三カ国のそれぞれの代表者の署名もやっと二時ごろいただきました。そこで、一貫して九三年から二〇〇一年までこのメンバーはいたんでしょうか、それともいなかったんでしょうか。
 私は、時間の節約のために申し上げます。実は、九三年、九四年、このレベルまではどうやら一部改正の部分を含んで会議があったみたいですが、以後、一切この首脳会議はなかったみたいですが、間違いありませんか。
川口国務大臣 そういうことでございます。
上田(清)委員 委員会を構成する首脳のメンバーがいなくて、この委員会というのは存続するんでしょうか。
齋藤政府参考人 ロシアについて申し上げます。といいますのは、残りの、ベラルーシを除きます十カ国は、ODA対象国に移行いたしましたので、支援委員会の活動の対象から外れました。
 ロシア側につきましては、支援委員会のロシア側代表は、ロシア側の行政改革によります組織改編が相次ぎました後、平成九年九月にロシアの国際人道技術支援ビューローが分割、廃止されまして以来現在に至るまで、我が方のたび重なる申し入れにもかかわりませず、不在の状態が続いております。この点は御指摘のとおりでございます。
 他方、ロシア連邦政府の代表者が不在であるという理由のみをもちまして本協定に基づく対ロシア支援事業の実施を停止することは、「市場経済への移行を目指す改革を支援する」という協定の目的にかんがみまして望ましくないところでございまして、日本政府といたしましては、委員会の日本側構成員に通報を行った上で、委員会の日本側構成員たるロシア支援室長から事務局長に対して支払いを指示するという形で支援を続けているわけでございます。
 この状態は、協定本来の趣旨に照らしまして望ましいものではございませんが、日本側からのたび重なる申し入れにもかかわりませず、ロシア側がロシア政府の代表者を有していないという事態の中におきまして、やむを得ないものと考えております。
上田(清)委員 今のお話だと、ロシアの代表者だけが欠けていたということですか。
齋藤政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、ロシア、ベラルーシを除きます他の旧ソ連邦構成国は、ODAの対象に移行いたしましたので、支援委員会を通ずる支援の対象から外れたということでございます。
上田(清)委員 支援の対象から外れても、別に、委員会を構成することに何か問題があるんですか。要するに、委員会の構成から外れたということですか。どちらなんですか。協定書、変わってないじゃない、メンバーは。
齋藤政府参考人 この支援委員会の設置に関する協定第一条によりますと、「日本国政府の代表者及び当該一又は二以上の国の政府の代表者により」支援委員会の任務を行うことができるというふうに規定しておりまして、ロシアに対する支援につきましては、この第一条三項に基づきまして、ロシア政府の代表者と日本政府の代表者により当該任務を行うという形でございます。
上田(清)委員 委員長、注意をしてください。私の質問に答えておりません。注意をしていただきたいと思います。
川口国務大臣 特定の場合には、委員会の構成のメンバーが一つまたは二以上の国の政府代表者で当該任務を行うことができるというふうに協定に書いてございまして、その特定な場合というのがどういう場合かと申しますと、「専ら特定の一又は二以上の国に係る任務を行う場合」ということで、したがいまして、例えばロシアに支援をするということであれば、ほかの国がいなくても日本とロシアで考えることができる、そういうことでございます。
上田(清)委員 解釈論争をするつもりはありませんが、今の話は「次条に掲げる任務のうち、」です。第二条に係る内容のとき、たまたまロシアならロシア、ベラルーシならベラルーシのときに日本と議論したり決めたりすることができると言っているだけであって、メンバーが欠けたわけでも何でもないわけでしょう。
川口国務大臣 もともと、この協定ができましたときには、NISといいますかCISといいますか、ほかの国が全部入っていたわけですけれども、その後、それらの国々はODAの対象国になりましたので、ロシアとベラルース以外は全部事実上このところから、このメリットを受けるということができなくなったといいますか、その必要がなくなったということでございます。
上田(清)委員 今外務大臣が言われましたように、事実上かもしれませんが、この支援委員会の設置に関する協定については、メンバー国が外れたという改正は何ら残っておりません、記録上も。
 それから、恐縮ですが、4の資料を見ていただきたいと思います。
 総理、いろいろ問題になってきた案件が、平成三年度から北方四島の支援に限定されました。いつの間にかロシアに限定されてきました。このとおり、合計八十七億支出されております。とりわけ平成七年から内容が変わってきております。非常に恒久的な施設がつくられる。これは、きのうの委員会で、鈴木宗男議員が沖北で特別委員長をわざわざ一たん辞任されて質疑をなされた後にこういう形になってきたということであります。
 そこで、外務大臣、一つ一つ伺いますが、平成七年度から議事録というのはあるんですか。本当は何とかスタンだとかいろいろな人たちに集まってもらわなくちゃいけないんでしょうけれども、どこでどういう会議をやられたのか。
川口国務大臣 委員会の議事録はございません。
 それからもう一つ、今委員がおっしゃられたことで申し上げたいんですけれども、この資料四は北方四島住民支援についての資料でございまして、これ以外に、この支援の枠組みの中では、技術支援それからロシアに対する人道の支援と、二つの別な柱がございます。技術支援等につきましては、そのほかのものにつきましては、ベラルースも相手に含まれているということをちょっと申し添えさせていただきます。
上田(清)委員 それも含めて資料を要求しておりますが、いまだに出ておりません。そうすれば、私もちゃんとそういう議論ができるんですね。何度も申し上げておりますが、一貫して資料を出す意欲が欠けております。
 それで、委員会の議事録がない。では、どういう要請があったかもわからないですね。具体的に要請があったんですか。これは、第二条に要請主義と書いてありますね。受益国がどういう要請をしたのかがわからないで、どうして決められるんでしょうか。
川口国務大臣 北方四島支援の部分でございますけれども、要請が実際にあったということでございます。ただ、全面的に資料がそろっている、探しましたのですけれども、あるわけではございませんが、要請が現実にあったということはお話しできます。今ちょっと資料を探しておりますけれども、それはございます。
上田(清)委員 委員長もよく御存じのように、私は昨日の八時三十分に資料を要請して、五時までに出せという話がいつの間にか消え、そして、きょうも十分資料が行き渡っておりません。今いただいているのは一通です、外電で一通だけ。町内会長みたいな形ですね、我々からいいますと。
 ここに正式に、総理の御指示によって、ちゃんと三月四日に、外務大臣川口の名前でちゃんとここに書いてありますよ。三ページですね。皆さん持っていないので恐縮ですけれども、ちゃんと書いてあるのです。「北方四島住民支援に関する具体的な案件の選定は、四島側の要請に基づいて行われるものであり、四島側より明示的な文書による要請がある場合、或いは、現地調査団が四島側と意見交換している過程で選定される場合等、」当たり前でしょう、正式な文書やあるいは意見交換の議事録がなくて、どうして国内で議論ができるんですか。どうして財務省が通っちゃうんですか、簡単にそんなことで。お答えください。
川口国務大臣 時間がなくてあるいは全部お出ししてないのかもしれませんけれども、私の手元にある資料でございまして、北方四島住民支援についてでございますけれども、例えば、これは十人乗り四輪駆動車三台、救急車三台といいますものが、平成六年だと思いますがございまして、これは例えば、平成六年四月四日付、南クリル地区長発表の要請書がございます。それから、色丹島プレハブ仮設診療所、これもございます。それから、色丹島プレハブ仮設教室、これは平成八年、四島交流代表者間協議等ございまして、これについて、全部これは記録にこういうことで残っておりまして、このうちどれぐらいこの現物が残っているかどうかということについては、色丹島の診療所については幾つか残っているのを私見ましたけれども、ほかのものについては、私は全部まだ確認はいたしておりません。あるものと、残っていないものとあるだろうと思います。
上田(清)委員 今、外務大臣は三通言われました。それはあることと前提にしますけれども、三通しか確認ができないというふうに理解せざるを得ません。
 しかし、改めていろいろ資料をいただきましたが、例えば河野外務大臣と鈴木宗男議員が朝食会で議論したことのちゃんと決裁書まで一枚一枚残っているんですよ、こういうの。残すんでしょう、普通、会議というのは。
 あるいは、もう一度皆様方に見てもらいたいんですが、そんな百円とか二百円の話じゃないんですよ。国民のお金でいうと、三億、四億、そして三十億、二十七億というお金になってきているんですよ。
 では、三十億のときの議事録、見せてくださいよ、発表してくださいよ、どういう議論でどうなったのか。4のところです。
齋藤政府参考人 議事録とおっしゃいましたが、議事録というものは、先ほど大臣が申し上げたとおり、ございませんが、実は、ロシアに対しますこの協定に基づきます支援は、協定に基づきまして、要請国からの要請につきまして支援委員会で検討を行い、また、支援の優先分野につきましても検討を行い、支援の進展も行うということになってございますが、この決定をいたしますのは、日本政府が決定をすることになっているわけでございます。
 当初から、日本が最大の拠出国、現実には唯一の拠出国でございますが、日本が拠出国であるということでございまして、要請を委員会で検討した上で、支援の決定は日本政府が行うというのがこの仕組みでございまして、その日本政府内部での決裁というものについては、それぞれ存在するわけでございます。
上田(清)委員 議論を百歩譲っても、先ほどから言っているように、この協定を読めば、普通の人が当たり前に読めば、十三カ国で話をしなくちゃいけない。この十三カ国で、それぞれの国が要請した部分について議論をして話を決めて、そして具体的に、資金の提供国である日本に話を持ってくるというのが筋ですが、委員会が実質的になくなっているということは、今認めたばかりじゃないですか。そうしたら今度は、委員会で決めているとかと言うし、おかしいじゃないですか。
 あなたも、きのうの答弁で、平成九年以降、「外務省を初めとするそれぞれの政府機関を窓口として行っている」と。「それぞれの政府機関」というのはどの省庁ですか。言ってください。聞いてみますから、聞いたことあるかどうか。
齋藤政府参考人 関係する国の窓口ということで、多くの場合は外務省でございます。
上田(清)委員 日本語が間違っているじゃないですか、それじゃ。「外務省を初めとするそれぞれの政府機関」と言ったじゃないですか。そういう言い方だったら、普通の機関もあるみたいじゃないですか。まあ、いいでしょう。
 それよりも、どうして、要請があったかどうかもよくわからない、そしてその議事録も残ってない、そしてきちっと支援委員会も開かれてない、じゃ、だれが決めたんですか。
川口国務大臣 この協定の四条でございますけれども、ちょっと読ませていただきますが、ここは、「日本国政府は、委員会による第二条(a)にいう」、要するに「要請についての検討」それから「優先分野についての検討を考慮に入れて」というふうに書いてあるわけでございます。「検討を考慮に入れて」ということでございまして、日本政府が決定をするというのが実は四条でございまして、その趣旨は、これは実際にお金を出すのは日本国政府というふうに考えられていますので、この決定について、日本国政府が決めるということが想定をされているということでございます。
上田(清)委員 委員長、今聞かれましたように、第四条は、委員会による第二条(a)、つまり、どういう支援ができるかということなんですけれども、それの検討と、それから、いろいろな支援についての優先分野についての検討を考慮に入れて、つまり、委員会の検討を考慮に入れてお金を出すという仕組みになっているんですよ、今大臣が言われたように。
 であれば、当然、委員会が開かれて、その委員会の検討の中で優先順位とかが決まって――そういう委員会が開かれてないと言われたわけじゃないですか、平成九年から。そして、要請も記録がよく残っていない。会議録もない。では、だれが責任を持って4にある平成三年度から平成十二年度まで合計八十七億円の支出を決めたんですか。きのうから、私は、このことを明らかにしてほしい、議事録を出してほしいと申し上げているわけじゃないですか。何なんでしょう、これは。外務大臣。
川口国務大臣 委員会につきましては、先ほど申し上げたとおり、今委員がおっしゃられたとおりでございますけれども、この支援につきましては、日本政府が、ちょっと繰り返しになりますけれども、考慮に入れて決定するということでございまして、その意味は、支援委員会による行為というのは支援実施のための要件とはされていないということでございます。
 ただ、要請について、なかったとおっしゃられますけれども、先ほど三つしか申し上げませんでしたが、これ、ちょっと時間がなくなるといけないと思いまして三つ申し上げましたけれども、ここにございますのでは、九つ要請があったということでございまして、この要請につきましては、必ずしも文書で全部残っているかどうかというのは今の時点では確認できませんけれども、残っているものもございますし、話し合いの過程で出てきたあるいは文書であるということでございます。
上田(清)委員 それを出してほしいということを申し上げておりました。それは、多分大臣勘違いだと思います。一部は鈴木宗男議員に出された電報であります。あるいはファクス等であります。
 それじゃ、大臣、聞きますけれども、齋藤さん、今大臣に質問を聞いている間に、ちゃんと後で報告できるように準備しておいてください、もったいないですから。
 大臣、それじゃ、第三条の部分、「緊急人道支援」、これが(a)項で(5)項まであります。それから「改革促進支援」、(b)、これが(7)項まであります。つまり、このどれかに4の項目は当てはまるわけですね。当然これに従ってやっているわけですが、とりあえず、非常に鈴木議員が一生懸命言いましたこの平成七年度はどれに当たるんですか。プレハブ診療所というのはこの項目のどこに当たるんですか。
齋藤政府参考人 お尋ねの色丹島のプレハブ診療所でございますけれども、協定第三条第一項(a)「緊急人道支援」、そのうち(3)「受益諸国が現在置かれている困難な状況の中でこれらの諸国の国民の相当な生活水準を確保するために必要なその他の物品であって委員会が適当と認めるものの購入」及び(5)「(1)から(4)までに掲げる活動の実施に伴い必要となる役務の購入」、この二項目でございます。
上田(清)委員 物品なんですか、プレハブ診療所というのは。
 それから、役務の購入というのは要するに労賃ですね。労賃、全くわかりませんね。いや、いいでしょう。わからないことをずっと皆さんに見てもらいましょう。
 はい、次に行きましょうか。プレハブ教室というのは何ですか。どこにはまるんですか。
齋藤政府参考人 プレハブ教室につきましても、先ほど申し上げたものと同様でございます。
上田(清)委員 生活水準を維持すると言っていますけれども、勉学も生活水準といえば生活水準かもしれませんけれども、しかし、物品じゃないでしょう、教室は。
 では、桟橋改修というのは何ですか。どこに当たるんですか。
齋藤政府参考人 桟橋につきましても同様でございます。
上田(清)委員 ディーゼル発電はどうなりますか。ディーゼル発電所というのも物品ですか。
齋藤政府参考人 簡便な施設ということで、同様でございます。(発言する者あり)
上田(清)委員 今、原口委員が言われましたように、二十一億の施設ですけれども、そういうのを物品というんですか。
 どちらにしても、総理、きのうも財務大臣も、これはおかしな事件だ、おかしな予算の支出ではないかというふうな疑問を呈されて、極めて健全だなと思いました。
 会計検査院は、国際機関ということの建前上、タッチできないということなんです。ちょっとお休みしていただいているみたいですから残念ですけれども、会計検査院は関係ないんです。しかし、実態的にもう国際機関でなくなっているわけですよ。お金だけはしっかり、国内でいろいろな判断をして、そしてロシアの支援に使っている。
 しかも、恒久物を、我が国の固有の領土である北方四島にどんどんロシアの構造物をつくることで住みやすくしちゃって、ますますそこに住みたいと。できたら、四島にはくぎ一本渡さないで、隣の島を天国にしてあげればいいんですよ。そうしたら、みんなそっちに行っちゃうから。
 それはとにかく、そういうことをずっとやっていますから、これは明らかに協定違反、そして、本来ならば国内できちっと議論すべきものであれば、当然これは会計検査院の対象物にならなくちゃいけないんですが、そこの部分だけは巧みに国際機関ということで逃げて、事実上、無限に、だれからも議論をされたり支配されることなく、特定の人が勝手に決めるような仕組みをつくっているのがこの支援委員会に基づく支出なんですよ。
 総理、そんなふうに思いませんか。
小泉内閣総理大臣 今議論を聞いておりますと、上田議員の疑問はもっともだと思います。この支援委員会に対する過去の経緯、そして現状、将来のあり方、これはよく調査して再検討する必要があると思います。
川口国務大臣 今のお話に関連して、若干つけ足しでございますけれども申し上げさせていただきたいと思うんですが、この協定につきまして、ロシア側の代表が、ここ日本側がずっと出てきてください、決めてくださいというお願いをしているにもかかわらず出てこないというようなことがございまして、実態的にはロシア側の人が今いないという、あるいはベラルースの人がいないという状態でございますけれども、法的にはこの協定はちゃんと存在をしておりまして、その仕組みというのはあるということでございます。
 日本側として、これから、ロシアあるいはベラルースに対しまして引き続きこの代表の方を出してくださるようなお願いを申し上げたいと思っております。
 それで、この北方支援というのは非常に重要なことでございまして、ここに書いてございますように、北方四島の支援、あるいはロシアの市場経済化に対しての技術的な支援、あるいは緊急的な人道上の支援という重要な要素がございまして、そういう意味で、この協定の中身を実行していくということは非常に重要なことであると思っております。
 ただ、おっしゃられますように、やり方につきまして、あるいはその執行の仕方について、十分に透明性があってこれを実施しているかということになりますと、私もやり方については工夫が必要であろうというふうに思います。
 ただ、この協定自身は法的にはちゃんと存在をしておりますし、この目的も非常に必要でございまして、ただ実際の進め方についてはこれからいろいろと工夫をしてまいりたいと考えております。
上田(清)委員 これは工夫の問題じゃないと思うんですよ。ちゃんと平成五年四月二十六日外務省告示百五十七号というきちっとした公文書で出ているんですね。その公文書で、きのうも確認いたしました。協定と条約というのは日本国として守るんですね、守ります、こういうお話ですから、協定に従ってきちっと処理をしなくちゃいけないのに処理をされなかったでしょうという確認をしたら、そのとおりですということを先ほど言われたじゃないですか。平成九年からやっていないと、実態的に。
 では申し上げますが、ロシアにしてもベラルーシにしても、本当はそこだけじゃないんですよ、支援対象国がそこだけですけれども。議論に参加する資格のある国々は、アルメニアに、アゼルバイジャンにも、グルジア、カザフスタン、いっぱいあるんですよ。
 では、そういうところにどういう呼びかけをしたか、証拠を見せてください、今。
齋藤政府参考人 先ほどお答えしたと思いますけれども、今御指摘のような国々につきましては、ODA対象国に移行したということでございまして、二国間ベースで通常のODAの方式に基づいて支援を行ってきているということで理解しております。
上田(清)委員 だから、もう何度も繰り返しますが、時間がもったいない、本当に。
 では、どういう、ベラルーシの方、ロシアの方に具体的にちゃんと人選を出してくれという、会合に出してくれという案内を出したか、それを出してください。要請書を出してください。
川口国務大臣 申し入れが紙で残っているかどうかというのは確認をいたしますけれども、ロシア側に対しては、これは窓口が今一本化されていない状態が続いておりまして、平成九年九月にロシアの国際人道技術支援ビューローというものが分割、廃止されて以来、現在に至るまで不在という状態が続いております。累次大使館から申し入れはいたしておりますけれども、これが口上書という紙の形で残っているかどうかということについては確認をさせていただきたいと思います。
上田(清)委員 要するに、何度も申し上げますが、この支援委員会というのはでたらめですよ、やっていることが。もうむちゃくちゃでたらめですよ。本当に大臣、やろうとしているんですか、そういうわけのわからない言いわけばかりして。だめだよ、全く。
 それで、平成七年五月三十一日、昨日議論しました、河野大臣が構造的な建設物はとにかく北方四島の不法占拠を助長するものだからということで断っていらっしゃるのに、鈴木議員は、いいんですね、いいんですねと勝手に自分で解釈を曲げて言葉を述べておられるけれども、議事録を見ればわかりますよ。ところが次の朝、朝食会で議論したらオーケーのサインが出たと、齋藤局長、きのうも申し上げましたね。
 ここで議論していることが、あした朝食会でひっくり返ることもあるんですか。どういう根拠なのか教えてください。
齋藤政府参考人 先ほど来御要望のございました本件に関します経緯につきましては、資料を私ども、昨晩から当たりまして、できる限りの資料を提出させていただいたわけでございますが、その資料の中でも明らかなとおり、当時の河野外務大臣のお考えが、五月三十一日から六月一日にかけまして、国会での答弁から翌朝の朝食会における発言に変わったというふうには私ども認識しておりません。
 外務省といたしましては、本件につきましては、前年、平成六年の八月に、現地の南クリル副地区長から要請がありましたことを踏まえまして、各方面から本件につきまして検討を進めたところでございまして、平成七年の四月十一日に、平成七年度におけます北方四島住民支援につきまして、その中に色丹島にプレハブ診療所を建設するということも含めまして検討を開始したところでございます。そういう中におきまして、国会答弁及び朝食会での発言があったというふうに御理解いただきたいと思います。
上田(清)委員 いいですか、委員長、このたぐいのものが三月四日の報告書にたくさん出てきましてね、資料として。報告・供覧というのでしょうか、だれとだれがどういう話をしたとか、そういうのが内部のメモで残っているんですね。いいですか。大事な国際間の協約はメモがなくて、河野大臣と衆参両院の沖北特委員長ほかとの懇談、一日、河野大臣は、衆参両院沖北特委員長ほか国会議員を朝食会に招待し、主として、両委員長が、本年、第一回目の四島交流に参加した印象を聴取した、こういうメモを、局長以下ずらっと、大臣まで決裁されたのがある。ちょっとしたメモでも皆さんはちゃんととっていらっしゃるの。出しては都合の悪いのだけは、ないと言う。見つからないとかなんとか言う。おかしいじゃないですか。
川口国務大臣 ただいま委員の御指摘になられました、記録の残り方がおかしいではないかということにつきましては、私もそう思います。全面的に、本来残っているべきものが残っていないということは問題があると思いますので、これから支援委員会の事務局の仕事のやり方については厳しく指導をしていきたいと思いますし、外務省のこれを担当している部局にも、仕事のやり方については厳しく改めてもらいたいと私は思っておりまして、そのように指導をするつもりです。
 それから、ちょっと、先ほどの御質問について、五月三十一日の国会答弁のときに、河野大臣がこの診療所をつくることにネガティブであったという等のことをおっしゃられましたけれども、実際のところは、私どもの認識ではそういうことではございませんで、例えばこの議事録の中で河野外務大臣がおっしゃっていらっしゃいますのは、例えば「緊急かつ人道上必要なものだという意味で、仮設のといいますか、診療施設の整備への支援といったことであれば、我が国の基本的立場を害さないという限度内であるという判断ができれば、これはできるだけ早くやりたいと思っております。」というふうにおっしゃっていらっしゃいまして、その後でまた、野村政府委員ですけれども……(上田(清)委員「その直後を読んでよ。読んであげましょう、私が」と呼ぶ)ちょっと言わせてください。野村政府委員が、「緊急かつ人道上必要な小規模の仮設診療施設の整備への支援といったことでございますれば、我が国の基本的立場を害さない形での支援のあり方について検討を行うことは可能であるというふうに考えております。」
 それから、もう一つちょっと申し上げさせていただきたいんですけれども、四月十一日に、外務省の中で、この平成七年度における北方四島住民支援の中で、これはプレハブ診療所建設についても含みまして外務省の協議を始めております。
 したがいまして、これは五月三十一日の前でございまして、平成七年の四月十一日の時点で既に外務省の中では、文書の形で、プレハブ診療所建設を含む北方四島住民支援の議論をしているということでございまして、五月三十一日の議論でこれが変わったということではないということをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、進め方についてはいろいろ問題があると思っておりますので、これを改めたいと思います。
上田(清)委員 昨日もやりましたけれども、つまみ食いしちゃだめですよ。いいですか。
 そのつまみ食いだって、診療施設の整備への支援ということで、主体になるとは言っていないのですよ、建物をつくる主体になるとは言っていないのです。その環境整備に支援する、例えば建物をつくっているとき、だれかが病気になったときには場合によっては面倒見ましょうとか、そういう話でしょう。ちゃんとその後、後段の部分で河野大臣は言っているのですよ。つまみ食いしちゃだめですよ。
 あなたが言った、「我が国の基本的立場を害さないという限度内であるという判断ができれば、これはできるだけ早くやりたいと思っております。」しかし、その後に「倉庫は、これはあくまでも仮設のものでございますが、診療所というと、それは倉庫のようなわけにはいかない。さらばといって、余り恒久的なものをつくって不法占拠を助長するということもいかがかと思う。」とちゃんと後段の部分で言っているのですよ。
 とにかく、外務大臣、あなたは日本を売るつもりですか。冗談じゃないよ。四島は我が国の固有領土なの。だから、構造物をむやみやたらにつくったら、まさに我が国の固有の領土を、事と場合によっては放棄しているようなイメージになってしまうじゃないですか。大変大事なことなんですよ。だから、注意深く、注意深く、鈴木さんが何と言おうと河野大臣は言葉を選んで逃げているじゃないですか。
 だから、次の朝ころっと変わるわけがないと私は思うから、どういう手続になるのかわかりませんが、元外務大臣の河野先生に参考人でぜひ来ていただきたい、こんな思いがあります。よろしくお願いしたいと思います。
津島委員長 理事会で協議をいたします。
 上田君、時間が参りました。
上田(清)委員 時間が来ましたので、終わります。
津島委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
津島委員長 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省欧州局中・東欧課長倉井高志君、外務省中東アフリカ局長重家俊範君、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君、財務省国際局長溝口善兵衛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 次に、原口一博君。
原口委員 民主党の原口一博でございます。
 総理並びに関係大臣に、姿勢をまずお伺いしたいと思います。
 委員長に御許可をいただいて、昨日使ったパネルでございますが、今の答弁では、このディーゼル発電施設についても、これが物品であると。これは十四億します。ギドロストロイというロシアの会社が管理をしているのです。いや、もうロシアに無償供与したのと同じなんです。こういうものが物品であると言い、そして、まさに定款も法律も無視。
 小泉総理に伺いますが、今、目の前で無残な答弁をお聞きになっていたと思います。これが率直な言葉で国民に大変な多くの人気を博された小泉内閣の姿勢なのかと私は問わなければいけません。
 小泉総理、まずお伺いしますが、本内閣の基本姿勢、情報公開、国民に対する説明責任に対する基本姿勢をまずお伺いします。
小泉内閣総理大臣 必要な情報は公開し、そして今後の改革に生かしていくべきだと思っております。
原口委員 まさに必要な情報が、そのロシアから来た要請書なんです。そして、外務大臣はああいうふうにおっしゃいましたが、全く論理破綻をしている。
 まず、私のところへ昨日幾つかの投書が寄せられました。それは、この外務省の調査報告をつくるに当たって、自民党の有力な政治家が、私たちとそして共産党さんに出されたあの資料、まさに談合をしている政治家からの圧力を示すその資料を出したのはだれかと犯人捜しをし、そして、たいがいぶんの調査をしておけと言った政治家がいる。重大な事実だと思います。
 皆さんが、この調査報告が出るまで待ってくれ、それをもとに審議をしてくれということを再三再四おっしゃいました。その調査報告を、事もあろうにゆがめているじゃありませんか。
 外務大臣、この事実をおつかみかどうか、そして、省員からこの事実がもし出てきたときにどのような責任をおとりになるのか、お尋ねを申し上げます。
川口国務大臣 私は、具体的に、どなたかがこの文書の漏えいについて何かアクションをとるようにおっしゃったかどうかということについては承知はいたしておりませんけれども、私としては、「この開かれた外務省のための十の改革」の中でも書かせていただきましたけれども、外務省として、外交を行うところですから、相手国の信頼等それぞれ重要でございますので、文書の漏えいがあるということについては十分に注意深くならなければいけないと考えまして、十の項目の一つにそれは挙げてございまして、この事件についてもそれは省内で調査を始めております。
 ただ、それはそうでございますけれども、そのことが仮にあったとしても、私はあったかどうか承知しておりませんけれども、この報告書の調査に何らかの影響を与えたということは全くございません。
原口委員 今の上田委員に対する四十五分の質問、そして答弁を聞いていると、とてもそんなことは、ああそうですかとは信じられません。
 私は、総理にお伺いします。
 公務員には、刑事訴訟法の二百三十九条、不正を告発する義務があるはずです。不正を告発し、あの文章のどこが外交機密ですか。何の機密にもならない。まさに、特定の議員による予算の私物化、これを記録したメモであります。こういったことは積極的に出すべきだというふうに思いますが、総理の基本的な姿勢を問いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 各役所においては、いろいろな情報が入ってくると思います。どれが守秘義務か、そうでないか、よく判断して、必要な情報は公開すべきだと思います。
原口委員 総理、私は一般論で伺っているわけじゃありません。今回の鈴木議員に関する、まさにさまざまな発注に対し影響力を行使された、こういったことが外務省の中にメモで残っている、そのことについては積極的に出すべきじゃありませんか、それが小泉内閣の姿勢と一致するんじゃありませんかということを聞いているのです。明確な答弁をお願いします。
小泉内閣総理大臣 今の御指摘のものについては、メモが残っていれば出せばいいと思います。
原口委員 明快な答弁をいただきました。メモが残っていれば出すべきだ、このことを確認いたします。
 さて、委員長にお願いをし、きょう資料を十枚配らせていただきました。お手元の資料は、いわゆるスズキホールという、その送金を示したものでございます。これはたった今私の手元に来たものでございますが、二ページ目をごらんになってください。
 鈴木議員は、私にこのように、傍線を引いておりますので、「私の政治資金の方から出させていただきました。あの、私の政治資金管理、個人の政治資金管理団体であります。」
 政治家の個人の政治資金管理団体というのは一つしかありません。そして、この年は二〇〇〇年の十二月でございます。すなわち、この収支報告はもう世に出ています。しかし、私たちが収支報告を探したところ、これを見つけることはできませんでした。これは一体どういうことなのか。これは御本人に聞くしかない。
 三ページ目をごらんになってください。
 重家局長にお伺いをいたします。割と、この一月からの答弁の中で、重家局長は正直にお答えになろうと一生懸命努力をされています。そして、議事録をずっと後ろから見てみると、重家局長の答弁というのは、実は正しいことを言おうとされていた、いや、おっしゃろうという努力の、その奮闘の跡が見えます。
 重家局長はこう答えていらっしゃいます。「鈴木議員から、タンザニアにおける振り込み先の口座の確認、そして振り込みの確認について外務省に対し要請がございまして、外務省よりは、振り込み口座を確認の上、鈴木先生に御連絡し、また、タンザニアから振り込み確認の通知があった旨、鈴木議員に連絡を行いました。」外務省員が振り込んだなんて一言もおっしゃっていないんです。
 局長、この答弁が私は正しいと思うのですが、この答弁は今もあなたはそのとおりだと、つまりは、外務省を通じて送金したという事実はない、これは上田議員に対してもお答えになっているんですが、いかがですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 その日は私自身が参考人として呼ばれておりまして、手元の資料に基づいて一連の流れをお答えさせていただきました。そのとき、外務省として一般的な手続に基づいて行い、外務省の口座という公的口座が使用されたことはないということを申し上げた次第でございます。
原口委員 資料一にお戻りください。
 これは、きのう外務大臣がまさにおかしいとおっしゃった。外務省員が、外務省員かどうかもわからないんです、黒塗りですから、総理。ここには外務省の人の名前があるそうです。そして、下には、外務省員の方のお名前と、後からつけ加えたのかよくわかりませんが、「千代田区霞ケ関二―二―一 外務省アフリカ第二課」と書いてある。こんなことは普通やらないんですよ。そして、じゃ、この外務省員に、だれがいつこの七万ドルを持ってきたんですかと聞いたら、答えは返ってこない。この書類では、外務省の人がタンザニアに寄附をしたことになっているんですよ。まさにそうでしょう。
 財務大臣、お尋ねをしますが、この書類は外為法上の届け出も出ていると思いますが、だれが送ったことになりますか。
溝口政府参考人 これは、振り込みを依頼した人の振り込み依頼書でございます。したがいまして、依頼した人が送金人でございます。したがって、ここの消えている部分でございますね、その方が送金したということになるわけであります。
原口委員 今、当然のことをおっしゃったわけです。
 つまり、送金人は、鈴木さんではなくてこの外務省の方なんです。そして、このお金はどこにも、政治資金、個人の政治資金管理団体から出ているということはない。じゃ、このお金はだれのお金ですか。外務大臣、お答えになれますか。
 きょうはピンクの美しい服を着ていらっしゃるんで、まあ対決なのか何かわかりませんが、このお金がどこから出たか、それを外務大臣は証明することがおできになりますか。
川口国務大臣 ちょっと御質問に、前段の部分について申し上げさせていただきたいと思って手を挙げさせていただいたんですけれども、これは、私どもが調べましたところでは、平成十二年の十二月の一日に中近東のアフリカ局幹部が鈴木議員を訪問いたしまして、タンザニアのある次官から要請のあったこの支援、これがここに振り込むということと振り込み先を鈴木議員にお伝えして、その際に、鈴木議員から現金振り込みを外務省からやってもらえないかという御依頼があって、議員より現金八百万円を渡されたということでございました。
 きのうも申し上げましたように、これはもう非常に、これをお預かりして外務省の省員が振り込みをするというのは、非常に不適切であると私は思っております。
 それで、このアフリカ二課の課員でございまして、アフリカ二課の課員が、この預かった現金を東京三菱銀行の内幸町支店に持参しまして、鈴木議員からの学校建設費寄附といたしまして七万米ドル相当、これは銀行手数料を含めて七百八十一万六千円だったそうでございますが、をキマンドル中学校の指定口座に振り込んだということでございまして、その際、この振り込みがだれかということについては、鈴木議員の名前を鈴木議員からということで書いたということで、鈴木議員がお金をどこから、その八百万円をお出しになられたかということについては、当然私どもは存じません。
原口委員 この書類は鈴木議員が払われたというふうにはなってないわけです。今財務省の局長がお答えになったとおり、外務省の方が寄附されているわけです。大変な問題だ。
 そして、それをいつ、だれが、どこで受け取ったのか。今、鈴木議員本人から外務省員がお金をそのまま受け取ったとお答えになりましたので、私たちはその事実についてしっかりとここで確認をしておきたいと思います。
 資料五をごらんになってください。
 これが外為及び外国貿易法の第五十五条でございます。まさに、当人がしっかりとそれを振り込む、だれが送金したかということを確認しなければいけないという法律でございます。この部分にも抵触をする。
 そして、資料四をごらんになってください。
 昨日配った資料には、資料一の一番上には、「電信送金」そして「通知払」というものが書かれていました。つまり、この送金日は二〇〇〇年の十二月一日でございますが、きょう、たった今皆さんが私にお示しになったタンザニアに着いた日、電信送金ですよ、下のデートというところをごらんになってください、十二月六日です。
 こんなことがあり得ますか。十二月一日に送ったものが、タンザニアに電信送金をしたものが十二月六日に着くということがありますか。ここは一番今まで正直にお答えをいただいていたと思われる重家局長、こういうことはよくありますか。
小田野政府参考人 お答えいたします。
 田舎の銀行でありますので直接には届かないという説明がございましたので、何日かかかるというのは、送金のときに振り込み人が銀行から説明を受けました。
原口委員 重家局長に聞いているんです。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 承知しておりません。
原口委員 やはり重家さんの方が正しい答えをしているんだと思うんです。十二月一日に電信送金をしたものが十二月六日に着くわけないんですよ。そんなの常識じゃないですか。
 皆さんが私たちに示された資料には、幾つも疑義がある。そして、重家局長がまさに口座を確認しただけだと言われているものが、どうして外務省の人がここの名前にあるんですか。なぜここを黒塗りにするんですか。
 総理、こういう疑惑に対して答えるのが小泉内閣の姿勢だと思いますが、こういう黒塗りの資料を私たちに出すんではなくて、本人だという、このことをしっかりと示す証拠を出していただきたい。総理、この黒塗りのところを、本当に外務省員だったのか、財務大臣でも結構です、確認をしていただけませんか。政府の内部だけでも結構です。
津島委員長 川口外務大臣。(原口委員「いやいや、違う人に。同じなんですよ」と呼ぶ)
川口国務大臣 幾つかのことをちょっと申し上げさせていただきたいんですけれども、まず……(原口委員「結構です。きょう、締め総なので」と呼ぶ)一つだけちょっと……(原口委員「聞いたことに答えないじゃないですか」と呼ぶ)
原口委員 総理に伺っています。
 私たちにちゃんとこの黒塗りのところが、重家局長は、ただ預かっただけだ、ただその口座を確認しただけだと私たちに答えられているんです。それは資料の三に示したとおりです。矛盾しているんです。だから、この部分を出してください。総理、出すように指示をしていただけませんかというお願いをしているわけです。
小泉内閣総理大臣 これは、あれば出せばいいと思います。
原口委員 あれば出せばいいという、正しいお答えであります。
 外務省、この審議の終わる前に出してください。外務大臣、いいですか。
川口国務大臣 総理の御指示でございますし、私も、この人間の場合にはかなりランクが上の方に今なっておりますので、お出しできると思います。
 それから、十二月の五日、六日に着いた件につきましては、これは銀行の、この東京三菱銀行のコルレス先がタンザニアの中にあるかどうか、あるいは、これは非常に田舎の学校でございますので、それまで時間がかかるということは十分にあり得ることでございます。
原口委員 そこまでおっしゃるのであれば、外務省員が預かり証を持っていると思うんです。自分がそういうところに直接支払ったという嫌疑をかけられないためには、外務大臣、ここをよく聞いていただきたいんですが、鈴木議員からの預かり証があるはずです。それを出してください。ありますよね。
川口国務大臣 これは、預かり証があるかどうかは知りませんが、いずれにしても、出すといたしましたらば、これは鈴木議員に外務省の方から預かり証をお渡しするということでございますので、お送りした後、これをお返しいただいたかどうかということについてはつまびらかにいたしません。
原口委員 鈴木議員は、二十日の質疑で、しっかりとした証拠は出すとおっしゃっていますので、委員長にお願いしますが、やはり政治生命にかかわること、人権にかかわること、大変私たちもつらい思いでここで審議をしています。しっかりと身の潔白を示す証拠を本委員会に鈴木議員に出していただきますように、理事会でお諮りいただきたいと思います。
津島委員長 理事会で協議をいたします。
原口委員 さて、資料の六をごらんになってください。自動式はしけでございます。委員長、これがその自動式はしけでございます。
 はしけというのは、桟橋やそういったところをつなぐ船でございます。そして、これも多くの国民から、私のところにも民主党のところにも、どうしてこの二つで三億円もするのか、なぜなんだと。そして、この下の希望丸というのは、これは約九千万円弱だったと思います。そして、こちらが一億八千万円。排水量をごらんになってください。仕様を資料六につけています。八十二トン、百トン、ほとんど変わらないんです。なぜこれほど、これも物品に当たるんでしょうか。外務大臣、お尋ねを申し上げます。
川口国務大臣 そういうことでございます。
原口委員 私は、常識を持ってこの委員会をやはり進めていかなきゃいけない。
 総理に伺います。これは物品ですか。
小泉内閣総理大臣 そういう技術的なことはわかりませんけれども、いろいろな定義は難しいですね。それは専門家に任せます。
原口委員 総理、私は今非常にがっかりしました。これは技術的な話じゃないんですよ。物品というのは、いわゆる人道支援で許されるもの。そして、こういう施設や、これははしけといいながら、実は恐るべきことに、この友好丸については、これは外洋船なんですよ、外洋を走れるようになっているんです。そして、何でこういうものを、ロシアからの要請もなかった。これについて要請はありますか。ないはずです。外務大臣。
倉井政府参考人 お答えいたします。
 友好丸につきましては、島側から、平成十年の四島交流代表者間協議のときに、先方からぜひ供与していただきたいという要請がございました。
原口委員 それは文書で残っていますか。口頭でしょう。
倉井政府参考人 これは口頭でございますが、記録があるかどうか至急確認して、ある場合には直ちにお出しいたします。
原口委員 今の答弁は納得いきません。どうぞ。
倉井政府参考人 大変失礼申し上げました。
 記録がございますので、別途お渡しいたしたいと思います。すぐお渡しできます。
原口委員 どうして一分前の答弁と違うんですか。そして、これは平成十年でしょう。非常にわけのわからないような答弁をしないでほしい。(発言する者あり)今そういう話をしている人がいるけれども、ムネムネ会だのムネマツ会だの、一千万、七百五十万、たくさん献金をもらっている。だれですか、そういう人たちは。今、そういうのは知らない、ムネムネ会なんか知らない、自分はムネムネ会の会長でもなかった、そんなことを平気で言っている人がいるけれども。
 この資料の七を皆さんごらんになってください。はっきりと鈴木議員の関与を示した資料でございます。
 七の一番下。「自分は、以前から四島住民支援には、根室等地元の企業を使えと何度も言ってきている。」何度も言ってきているんです。「それにもかかわらず、日本工営のような東京の大手コンサルを使うというのはどういうことだ。」云々。「もっと作業を分割して頼めば、地元の企業でも十分対応できるはずだ。」云々。
 私は、こういったことが本当にあっていいんだろうか。昨日六時から放送されたテレビでは、自分が負けた相手候補には一銭たりとも予算に手をつけさせない、野党には一銭たりとも予算に手をつけさせない、そういうことを言っている。まさにこれは予算の私物化じゃないですか。
 扇国土交通大臣、そして坂口大臣、村井大臣、かつて私たちは、もう一つの政権政党をということで、新進党でお三人の方に御指導をいただきました。福祉や政治の基本を教えていただきました。選挙ということで、こういう予算を人質にやるやり方が日本の政治構造をゆがめている。これは自分たちの税金だったら別ですよ。しかし、国民の皆さんからいただいた税金をこういったことに使う、それはあってはならないことだというふうに思いますが、扇大臣、坂口大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。
扇国務大臣 こういう委員会を通じて、まさに国会議員の基本たる基本が論議されて、その基本すら守られてないというようなことが表に出てくる、まさに国民の皆さんが政治不信になる元凶を我々自身がつくっているのであれば、私は大変残念なことだと思いますし、私は、今まで、行け行けどんどんという高度成長期、いろいろなことをしてきたと思います。でも、プラスになったことと、そしてそれがマイナスになったことがあるのであれば、我々は、今同じ政治家として立っている以上は、姿勢を正し、そして国民から預かった税金をどういうふうに使ったかということは少なくとも情報公開していくべきだと思いますし、後ろ指さされ、また、疑問視されるようなことをしないような法律も私はつくりましたし、また、それを努めていきたいと思っております。
坂口国務大臣 公的な資金でありますから、公平に使われることがもう何にも増して大事なことだというふうに思っております。
原口委員 資料十をごらんになってください。
 その御答弁をいただいた上で、これは北海道開発建設部受注実績というものでございます。一番上にある地崎工業、この左に印をつけているところが同議員の有力な支援企業だそうでございまして、まさに平成九年九月十一日、同議員は北海道開発庁長官になられています。平成十年七月三十日、小渕内閣では官房副長官に就任をなさっています。その間の北海道の受注の実績を示したものでございます。
 地崎工業、平成八年には約四十億、もう五十億を切っていたところが、九年、十年、十一年と八十億を大きく伸ばしている。岩倉建設、これも約十億円、北興工業、島田建設、すべてがこの大変な公共事業の削減の中で多くの事業を伸ばしていらっしゃいます。
 私は、多くの皆さんが、予算というものを公平に、公正に使う、そして本当に国民のために使う、こういうことを一生懸命議論されている中で、資料八にありますように、自分の地元にだけ、あるいは自分の支援企業にまさに予算を私物化する、こういう疑いを持たれるようなことは、今両大臣がお話しになったように、政治家としてやるべきではない、このことを強く指摘するものであります。
 さて、もう一回、この希望丸について基本的な認識を外務大臣にお伺いいたしますが、なぜこの二つの船が、そう大きさは変わらないのに、約倍近くも値段が違うのか。そして、一般に、実際に漁師の人たちが自分たちが稼いだお金で船を買おうとすると、五千万ぐらい、三千万ぐらい、四千万、大変立派な船が来ますよ。そうであるにもかかわらず、なぜこんな高い値段がするのか。そして、この違いはどこから来るのか。そして、はしけといいながら、洋上を走れるようになっているのはなぜなのか。明確な答弁を伺いたいと思います。
津島委員長 外務省倉井中・東欧課長。
 倉井課長に申し上げますが、先ほどのような答弁をしないでください。責任ある答弁をしてください。
倉井政府参考人 失礼いたしました。
 友好丸につきましては、希望丸と異なりまして、色丹島の港は、確かに国後島の港よりも多少深くなっておりますけれども、それでも人道支援物資等の貨物船が入るには、やはり喫水の高い船が入るときには、どうしてもはしけが必要になります。そして、そのはしけは、従来軍から借りておりましたけれども、常にそれが保証されているわけでもないということで、色丹の住民から強い要望がございました。
 それから、なぜ長く走れる船になっているかと申しますと、色丹島から国後島を結ぶ交通手段にもぜひ使わせていただきたいという希望が色丹島の住民から寄せられたからでございます。つまり、はしけの機能を主としつつ、国後島まで行って帰ってこれるのに使いたい。
 それはなぜかと申しますと、色丹島は人口二千人程度でございますけれども、国後島に比べまして圧倒的に施設が整っておりません。特に病院などは、委員御承知かもしれませんが、国後には中央病院がございますが、色丹島には本当に貧しい病院しかございません。急病人が出たときに自由に使える船がないということで、特に国後島との往復に使える船をいただきたいという強い要請がございました。
 そういうことで、足の長い船にしたために仕様が異なり、値段が高くなったということでございます。
原口委員 それは、はしけと言うんですか。そして、今施設のお話をされましたが、色丹の港というのは、総理、緊急指定港になっているんです、災害のときに避難の。とてもいい港なんです。古釜布よりもはるかにいい港で、そして、はしけさえあれば、あとはロシアの問題なんです。
 皆さんは、まさにここに、鈴木議員がおっしゃっているように、鈴木議員がこういう予算をつけている。そして、言われるがままに、はしけも外洋船、外洋船をはしけと言っているんじゃありませんか。違いますか。はしけじゃないじゃないですか。これは外洋船じゃないですか。今おっしゃったのは、国後と色丹を結ぶ船、国後と色丹を結ぶ船だったら外洋じゃないですか。これのどこがはしけですか。
倉井政府参考人 はしけの呼称につきましては、日本とロシアとで異なる面があるかもしれませんけれども、私ども、支援、供与するに当たりましては、これははしけと呼んでございます。つまり、主としてはしけの機能に使われる船として供与するということです。
川口国務大臣 私も、船の分野については全くど素人でございますので、何をはしけと呼ぶかということについて、はっきり専門家のようにお答えができるわけではございませんので。確かに、素人として聞くと、これだけの大きな船を普通ははしけと呼ばないだろうなというふうには思います。
原口委員 今のが答えなんですよ。この船は、全く私たちが出してはいけない船なんですよ。そして、かくも苦しい国民の状況、一銭たりともむだにしてはいけないこの税金、それを、まさに要請書もない、きのうこの委員会でお見せしましたが、ゼーマさんという南クリルの地区長さんから来たファクスその一枚でこういうものをつくっているんです。
 官房長官、記者会見で、こういう不透明な予算執行については凍結も考えるということを述べられたと報じられていますが、いかがですか。
福田国務大臣 私は、凍結というふうには申していません。この事実関係をまず調査しなければいけない、そういう調査を見た上で判断すべき問題だ、こういう答弁をしたつもりでございます。
原口委員 昨日は、塩川財務大臣は、会計検査院は何やっておるんや、査定はどうなっているんやと。査定はたしか財務省がやるんですよね。だから、それは御自身のところを、どうやっておるんじゃとおっしゃったことなんですが、会計検査院、会計検査についての批判を財務大臣がおっしゃっていますが、何をやっていたんですか。
金子会計検査院長 本件についての財務大臣の御意見、御意見として承っておきたいと思いますが、支援委員会は国際条約に基づく機関であり、会計検査院の検査対象外であるということでこれまで検査をしてまいりませんでした。しかし、この委員会その他でいろいろな実態が明らかになってまいりました。こうした事態について、会計検査院としまして、外務省に対し厳正な検査を行っていきたいというふうに考えております。
原口委員 まさに実質的には、ロシア側もいなく、相手側もいなく、国内の中で野方図に、会計検査院のチェックがきかないことをまさに奇貨として、こういう予算が使われていたということは重大な事実であります。私たちは看過できない。
 そして、予算をまさに審議している間に、財務大臣が執行に関して重大な心境の変化を起こしていらっしゃると思います。今、審議をしている最中、何やこの予算は、そういうふうに思っていらっしゃるというふうに思います。私たちはまさに、それは正しい言葉であり、ある意味では国民感情と合致したことだというふうに思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 これは、過去に起こったことで、おかしなことをやったんだなという感じは持っております。
 しかし、今お尋ねのように、予算の問題については、私のところは十四年度予算でこの分を計上いたしておりますので、とりあえず予算は、執行する前に、外務省とか、いろいろと協議して検討はいたしますけれども、予算案は通してもらわなければ景気に、経済に影響してくるから、これはこれで予算は成立させていただいて、後の執行についてはちゃんとやる、こういうことです。(発言する者あり)
津島委員長 御静粛にお願いします。
原口委員 こういう野方図な予算をまさに通してしまうことが景気を悪化させるんです。今皆さんが出していらっしゃる予算の中にも、この北方人道支援事業、入っていますよ。そして、まさにここで明らかにしたように、野方図な形でやっている。私たちは、修正をして、ここの部分については予算から削除すべきである。問題ある予算を出したあなたたちにも、小泉総理にも責任があると思いますが、いかがですか。
川口国務大臣 この十四年度にお願いをいたしています支援委員会への拠出金は、ロシアに対しましての技術支援、人道支援、それから北方四島支援、四島の住民支援に必要な経費をお願いいたしているものでございます。
 支援委員会の、今までお話に出ましたように、今まで予算を執行してきたその過程では私も問題があると思います。外務省といたしまして、この件の執行面につきましては抜本的に改善する必要があると思いますので、関係省庁とよく協議もいたしたいと思いますし、直ちに、外務省としてどのようなやり方に改善していくのがふさわしいかということは検討をいたしたいと思います。
 ただ、例えばどういうことが……
原口委員 指名をいただきましたので。委員長から指名をいただきました。
 まさにこの予算の中に、このムネ電と言われるディーゼル燃料、それも入っているんですよ。皆さんがこうやって、国民の怒りを買うような予算を立てて、そして、それを修正もせずに強引に与党の力で通す、これは甚だ遺憾であると思います。
 そして、最後に二問お尋ねをしますが、きょう、アメリカ政府がセーフガードを鉄鋼に対して発令しました。私たちは、パートナーとして、こういう保護主義的な動き、非常に残念に思います。このセーフガードについて、日本政府としてどのように対応するのか。
 そして、それと同時に、アメリカ政府、特にブッシュ大統領は、きょう、エジプトの中東和平案に対して、その案についての留保をされました。
 私たちは、本委員会で、昨年の夏、中東を訪れました。そのときには、外務省の皆さん、本当に危険な中で頑張っていらっしゃいました。私たちがイラクを訪れたときには、米国による空爆も続いていました。イラク、イランというのを悪の枢軸国とアメリカは名指しをしましたが、イランの中には、民主主義をイランの中で進めようということで、政府を批判して、そして逮捕されたという若い女性の国会議員がいらして、私たちはその方にお話を伺いました。
 すべてを一色にして、そして力でもってねじ伏せるという政策、これは私たちは、あってはならない、さまざまな国の中にある民主的な動き、この動きを、アメリカも日本もともに支援をしていくべきだ、このように考えます。イラクについても、十年にもわたる経済制裁が続いています。病院には医薬品はほとんどない状態です。
 こういう状態の中、総理、セーフガードについて、そして中東和平について、こういう外交の私物化をしていたんでは、しっかりとした情報も、戦略も、方針も立てられない。ぜひ、この二つについて、基本的に、総理、どのように取り組むのか、お尋ねをしておきたい、このように思います。
小泉内閣総理大臣 セーフガードについては、これはブッシュ大統領との会談におきましてもよく話すことなんですが、日米友好を基軸としながらも、個別の問題については意見の対立する場合が多々あるであろう、それは、その時々、率直な意見交換をして解決の努力をお互いしていこう、時に対立、見解の相違、意見のぶつかりがあっても、日米友好の基軸という信頼感があれば必ず解決できる問題だという話し合いを行ってまいりました。
 私は、今回のセーフガードにつきましては残念でありますけれども、関係省庁、適切にアメリカ側と協議すべきだと。また、この問題につきましては、アメリカ、日本だけでなく、他の国も鉄鋼問題については関係する問題もあると思います。いろいろ国際社会の情勢を見ながら、日本は日本としての国益を踏まえながら適切に対応する必要があると思っています。
 また、中東和平の問題、最近、サウジの皇太子あるいはエジプトのムバラク大統領、いろいろな考えがあり、アメリカ側と協議していることは承知しております。日本としても、このテロとの対決というのは、アラブとの対決ではない、またイスラムとの対決でもない。中東和平の問題は、将来、テロ撲滅に取り組む際にも大変重要な問題であると。中東和平を実現できるように、日本としても主体的に努力をしていくべきだと思っております。
原口委員 終わります。
津島委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。
 次に、中井洽君。
中井委員 二十分の時間ですので、簡単にお尋ねをしていきます。
 まず、総理にお尋ねをいたします。
 四日に出されました外務省の、先ほどから議論をいたしております省調査の結果、これを総理はお読みになりましたか。
小泉内閣総理大臣 膨大な資料で、全部は読んでおりませんが、報告は聞いて、要点は全部報告を受けております。
中井委員 要点を聞かれたり、その後の質疑でいろいろと総理に対するお尋ねがあったりして、率直にどんな思いでおられますか。
小泉内閣総理大臣 外務省の調査結果に基づいて当委員会で質疑が展開されまして、我々の知らなかったような実態が解明されていくということについては、委員会としての役割も大きいものがあるなと思います。
中井委員 総理は、この調査書、受けた議論を含めて、十分参考にして外務省の改革をやるべきだ、こういうことをたびたび言われておりますが、それだけで本当に外務省の改革は進むとお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 外務省の改革は多岐にわたると思います。この北方支援問題のみならず、いろいろあると思いますが、今回、当委員会で行われます、きのう等における北方支援のあり方について、これは今後の外務省改革に大いに生かすべきだと感じております。
中井委員 当委員会で議論になった中から調査ということでありましたし、十日という期限でありましたから、無理のない面もあるということは私は認めます。しかし、この調査書は、読んでいただければわかりますが、結局国会で、総理が指示を出されたまでに問題となったことにだけ少し突っ込んで、鈴木議員の関与があったと書いてあります。その他のことについては、鈴木議員の関与は確認できなかったのオンパレードであります。
 そして、この間から、この二、三日、議員の質問でもありましたように、国会で取り上げられたこと以外は何も調査しておらず、それらについては引き続いて答弁を求めても、隠したり違う答弁をしたりという体質であります。これを直さない限り、私どもは、到底外務省改革というのはできないと考えています。
 総理として改めて、全外務省、ありとあらゆることについてのすべての調査をやらせて、徹底した改革をやる、こういう御決意をお持ちでないかどうか、お尋ねをいたします。
小泉内閣総理大臣 外務省改革に意欲的に取り組むこと、これは変わりありませんし、今回、外務省の調査に基づいて、当委員会各委員からそれぞれの指摘がございます。この指摘に対し真剣に取り組んで、それぞれの疑問点をただしていく必要があると思います。
中井委員 それでは、この調査がどう十分じゃないかということについて、私は、時間がありませんから二つだけ、二つの点から申し上げたい。
 一つは、外務大臣も見てくださいね、「在京コンゴー民主共和国臨時代理大使等を巡る諸問題に関する調査結果報告書」、これの十三ページ「ムウェテ・ムルアカ氏を巡る問題」、こう書いてあります。これなんか全然書き方を変えておって、事実と違うんじゃないかと私は思っています。一九九九年二月の時点で、公用旅券を持っておった、承知していたが、この事実は特に問題視されなかった、こうなっておりますが、このときに外務省は、公用旅券を持っている者が秘書をするのはまずいだろう、何とかならぬのか、こういう方法があるんじゃないかと法務省に問い合わせているんじゃありませんか。
川口国務大臣 ただいまの御質問の、ムルアカ私設秘書の旅券の件でございますけれども、九九年の二月の時点で承知をしていたということは、まずムルアカ氏が中近東アフリカ局に御自身の在留資格について相談があったということで、この時点では知っていたということなんですけれども、実は、これがわかりましたのは、今回調査をするということで、基本的に調査は、二〇〇〇年にこの事件が、ずっと一連のコンゴの大使館のことがありましたのでお話をしていて、その調査の中で初めてわかったということでございます。
    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕
中井委員 僕は違うことを聞いています。だから、御存じないなら御存じないと言ってください。法務省にこの九九年二月の時点で聞いたことを、知らないのなら知らないと言ってください。知らないのなら知らないでいいんだよ。
北村(直)委員長代理 中井洽君、もう一度質問してください、手を挙げて。
中井委員 嫌だよ、もう一度なんか。自分でちゃんとお答えください。
川口国務大臣 この時点で、一九九九年の二月の時点でムルアカ氏が公用旅券を所持していたということを知るに至りましたのは、在留資格に係る質問があったということでございますけれども、この相談を踏まえまして、中近東アフリカ局長からこれについては鈴木議員に説明をいたしまして、法務省との関係につきましては、ムルアカ氏の在留資格について法務省と相談を、それを法務省に伝えたということでございまして、そのときに、ムルアカ氏の所持する旅券が公用旅券であるということについては説明をしたということでございます。
 ただ、この在留資格――じゃ、そこでやめておきます。
中井委員 外務大臣、あなたはそれは外務大臣だからこれを御信用なさるかしらぬが、これは結局、ここに書いてあることは、ムルアカさん、別に悪いことしていないと書いてあるんですよ。この調査書全体は、どなたも傷つかないようにでき上がっておる。
 このムルアカという人は、初め一般旅券で入って、途中で一九九四年に公用旅券になって、そして二〇〇〇年に外交官旅券になって、今は永住許可を取っていらっしゃる。一九九九年二月のときには公用旅券で、公用旅券を持っている者が秘書をしておっていいんでしょうかという問い合わせをして、これは答えがあったかどうかは知りませんが、それはまずいでしょうということになったら、今度は外交官旅券をとっちゃったんですよ。そういう話ですよ。
 この間、ずっと外務省へ出入りして、鈴木さんの秘書だといってアフリカの諸政策に注文をつけておったんじゃないですか。外務省の人は、他国の公務員であったり外交官旅券を持っている人の意見をずっと聞いておったんじゃないですか。それをちっとも調査の中で書いてないじゃないですかと僕は教えてあげているの。わかりますか。だから、この調査書どおりじゃないと言っているわけ。
 それから、もう一つあります。これは、僕は例を一つずつ挙げているだけですから、書いてあることと書いてないことと。
 もう一つは、要するに、先ほどお船の話が出ておりましたが、外務省が内閣府と一緒におやりになっている中で、ビザなし渡航問題あるいは墓参の問題、これは十年間にわたって、ずっと一社の船が独占をされておる。契約方法はいろいろあるけれども、やはりこの間のムネオハウスと一緒で、その船しか応札をしても使えないシステムになっている。条件が書いてある。今度の予算にも、例えば、ビザなし訪問で外務省で二億四千万、内閣府二億四千万、行きと帰りが分かれておるんで。何で行きと帰りが内閣府と外務省で分かれるのか僕はわかりませんが、これまた、この船が応札するんでしょう。
 この船は東京に本社を置いてあるけれども、根室港に船がずっとおって、そして、東京のその船会社の社長さんはちゃんと献金を鈴木議員になさっておる。同じじゃないですか。
 だから、調べたことだけで、外務省終わりだ、外務省改革だなんて言われたら困るのであります。もっと徹底的に調査して、これは違う、外務省から罪人が出ても仕方がない、鈴木議員が訴えられても仕方がない、こういう思いで調査をやってもらわなければ、到底私どもは納得できない。
 ここのところ、総理、お約束ください。
    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕
小泉内閣総理大臣 外務省の調査に基づいて、それぞれの委員が、違う、あるいは見解を述べる、そういう点を真剣に受けとめて、外務省としても、過ちを改むるにはばかるなかれという言葉があります、この姿勢をこれからの改革に生かすべきだと思います。
中井委員 総理がそういう他人行儀で、外務省だけが悪いみたいなことをおっしゃるのなら、私は言いたいことがもっとある。
 今回の鈴木さんのこの問題は、鈴木さんという、総理いわく変な国会議員の変な要求ででき上がっただけじゃないんだ。ここにいる野党の国会議員は、鈴木さんのようなことを言う自民党の国会議員にしょっちゅう悩まされながら選挙をやっておる。これは、多い少ない、強い弱いはあっても、大体自民党の体質だ。予算つけないとか。僕のところなんか、僕のところへさっきあいさつに行ったというだけで怒るんですから、東京へ出てきて。いっぱいいるんですよ、そんな人は。
 そういう議員を育てた一つは、これは聞いてくださいよ。例えば、鈴木宗男さんは、沖縄北方領土の、沖特の理事、昭和六十三年から平成十二年まで、これは委員長も含めて、大臣やらやっているとき以外ずっとやっておるんです。それから外務委員会、平成三年からついこの間、議運の委員長になるまで、北海道開発庁長官それから内閣官房副長官をやっているとき以外ずっとやっておるんです。これ以外やっていないんです。このことを背景の力として、外務省とこういう情けない癒着体質をつくり上げてきた。
 これを認めてきたのは自民党じゃないですか。自民党の人は、知っておっても、鈴木はまあ、あれやるんだ、こういうことでやらせてきたんじゃないですか。こんな特殊な委員の、あるいは理事の配置をやったということを僕は聞いたことありません。許してきたんです、自民党が。許してきた。こういうところを変えない限り、外務省だ、外務省だということだけでおさまらない。
 総理が本当に、聖域なき改革、自民党を変える、つぶしてでもやるというのなら、こういうことを含めて、今回の事件は自民党の体質の根深いところから来ているんだ、こういう思いでおやりになる決意があるかどうか、お尋ねいたします。
小泉内閣総理大臣 今回の議論の中から、政と官のあり方、あるいは自由民主党としても人事の配置等反省すべき点もあると思います。これを今後の改革に生かしていきたいと思います。
中井委員 時間がもうありませんから、財務大臣にも一つお尋ねをいたします。
 私どもは去年、外務省の報償費の問題で、この予算委員会でいろいろなことをやりました。結局、削ることも凍結することもできずに予算を成立させてしまいました。このことは、本当に力のなさ、あるいはまた予算委員会として本当に残念だ、こういうじくじたる思いを今まで持ってまいりました。今日また、この北方支援の予算、墓参やあるいはビザなし渡航の予算、こういったものがのせられたまま予算が通過するということは耐えがたい、こういう思いであります。同時に、去年きちっとやっていれば、外務省はこんなに情けない答弁やら情けないやり方を続けていなかった、こういう思いもあります。
 そういう意味で、私どもは、先ほどのようなのんきな答弁じゃなしに、今すぐでもこの部分について凍結をなさるとか削るとか、こういったことをおっしゃっていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
塩川国務大臣 先ほども私は言明しておりますように、このことは、予算が成立いたしましたら、直ちにその執行の面について関係省庁と十分協議して、それで正すべきものは正す、こういうことが再び起こらぬような措置をきちっと行いまして、必要な経費も盛られておることも事実でございますから、そこらの検討をきちっとした上で、執行に疑惑のかからないようにいたしますので、そこはひとつ信じてこの予算を認めていただきたい、お願いいたします。
中井委員 せっかくのお答えでありますから、それは信じたいのはやまやまですが、これは全然問題になりません。もうその言葉の端に、中にはちゃんと必要なものもあるとかおっしゃっておる。こういうのは、疑惑が出た以上ばさっとやってしまわなきゃだめだ、残す限りは同じことだとあえて申し上げ、自民党の、あるいは政府の体質について一言苦言も申し上げたところでございます。
 予算委員会の総括だということですから、私どもは本当に残念なんですよ。予算、こればっかりやってきてた。だから、あと五分もありませんから、景気のことだけ申し上げておきます。
 かつて小泉総理に、小泉総理のおやりになっている諸政策は橋本元総理と一緒じゃないかと申し上げたら、すさまじい勢いで怒られたわけであります。橋本さんの方も怒っているかもしれぬがなと僕は思いながら聞かせていただきましたが、ここしばらくのいろいろなことを見ていると、ますます一緒になってきた。どんどんどんどん、お言いになっていることをお直しになっていらっしゃる。株価は一喜一憂しない。このごろは、支持率は下がってもいいから株価は上がってほしい。そうでしょう。あなたは平気で変えるんですよ、反省も何にもなしに。そこが一番よう似ておるんだ。
 デフレ政策、デフレ予算、私に対して、二年か三年マイナスでも我慢すると、ここでこの間言ったばっかりじゃないですか。これも、マイナスでも我慢せずに、デフレ対策をやるんだ、こうおっしゃっている。これは全部違ってきているんじゃないですか。
 私は、直すなら直すでいい、人間だからお互い間違いがある。しかし、そのときには、直しますとはっきり言われて転換されるべきである。そんな、理屈をつなぎ合わせて、自分だけわかった理屈を言うて、そしてごまかすというのは最悪だ、こう思いますが、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 なかなか、同じものを見ても、色眼鏡をかけて見れば違った色に見れるし、角度を違えれば違ったふうに見えます。私のことについても、何もやってないとか、変わってないとか、ちっとも進んでないとか言っていますけれども、見る人が見れば、随分変わっていますよ。
 そして、株価について一喜一憂しないというのと、内閣の支持率が下がって株価が上がるんだったら支持率が下がってもいいなというのと、おかしくないでしょう。(中井委員「おかしいですよ。株価、一喜一憂しているじゃないですか。しないと言ったじゃないですか」と呼ぶ)だから、そういう、一喜一憂と言えばまた批判があるのはわかっていますけれども、無視しても批判があるのはわかっていますよ。
 そして、経済におきましても、生き物ですから、構造改革を推進するために諸施策を大胆かつ柔軟にとると言っているんですから、構造改革を推進するために大胆かつ柔軟にとるという中でデフレ対策を打っていく。そのためには、デフレ対策として当面一番効果的なのは、この来年度予算を早く成立させて執行させるということでありますので、その辺はすべて、与党、野党の見方も違う、人によって見方が違う、それはわかりながら、国民にできるだけ理解と協力を得るように私も精いっぱい努力しているところでございます。
中井委員 斜めに見たり、下から見たり、サングラスで見たりしているのは、総理が今までそうされておって、ここへ来て少しおわかりになってきたかなという感じが僕はしておりますが、しかし、遅い。また同時に、国民に対して説明責任があると思っています。
 私は、思い切った景気対策をおやりになって結構だ、しかし、それにはそれで、きちっと説明しておやりになるべきだ、このことをあえて申し上げて、質問を終わります。
津島委員長 これにて中井君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 これまでの予算委員会でさまざまな質疑が行われてまいりましたが、とりわけ鈴木宗男議員に関連する外務省の疑惑、鈴木議員自身の疑惑、あるいは国土交通省にかかわる予算ねじ曲げ疑惑、こういうものがありまして、いずれも重大であります。
 きょう、私は、防衛庁と鈴木宗男議員の癒着問題を取り上げたいと思います。資料を配ってください。
 配付した資料をぜひ見ていただきたいのですけれども、一つは、平成十年、一九九八年九月二日付の鈴木宗男事務所とのやりとりの記録でございます。時間は十一時三十五分というふうになっておりまして、札幌施設局長が鈴木宗男議員の地元秘書に説明をしたものであります。
 資料が添付されておりますね。この説明資料、一番上の書式ですけれども、左上に「札幌防衛施設局書式 12」、こういうふうになっております。
 まず確認をしたいのですけれども、これは本物でありますが、防衛庁長官、こういう書類というのは使われていますね。
中谷国務大臣 今初めて資料を見させていただきました。
 これによりますと、いわゆるレポート用紙にその書式が印字されておりますけれども、これが正式なものかどうか、これは承知をいたしておりません、現在は。
佐々木(憲)委員 では、それ、具体的に調べていただきたいと思います。我々は、これは本物であるという確証を持っております。
 そこで、もう一つ資料を、これは七ページのところにございますけれども、この七ページのところには「案」というのがあります。これは、全く同じ日に防衛施設庁の本庁から鈴木議員に説明した内容でございます。これは、鈴木官房副長官に防衛庁の本庁が説明するためにつくったものだということでございます。
 そこで、もとに戻りまして、何が書かれているかということでありますが、「あいさつ」があって、局長、これは米海兵隊実弾射撃訓練の現地対策本部の説明をまずやって、宮野秘書、これは鈴木宗男議員の現地秘書でありますけれども、現地にはどのぐらいの人数が入っているのか、これに対して、九十人程度であると。局長は、そこで、局職員の宿泊施設を別紙二で説明をした。その別紙は五ページのところにあります。「宿泊関係資料」、五つのホテルがありまして、ここに宿泊をいたします、それで宮野秘書、「わかりました」、つまり了解しましたと。
 局長はさらに、現地調達の内容を別紙三で説明をした、「地元で調達できるものは地元で調達している。」と。その資料が六ページのところにございます。「現地調達関係一覧表」、仮設トイレ、燃料、ごみ箱、トイレットペーパー、ありとあらゆる細かなことまでここに書いてありまして、数量、業者名、所在地、連絡先、こういうものが書かれたものを持って説明をしているわけでございます。
 しかも、御丁寧に最後のところに、「今ご説明した内容は、本日十五時三十分に施設庁本庁から鈴木副長官にご説明することになっております。」と。その説明が、先ほど「案」というもので示されているものでありまして、その「案」の最後のところを見ますと、これは、直接鈴木官房副長官に説明をした最後にこういうふうに言っている。「今日、局から地元の宮野秘書に現地対策本部の開設のご挨拶と、この件につきましての状況をお知らせに行っております。」と。
 このようにして、つまり防衛庁は、演習の宿泊について、あるいは現地調達について、具体的な説明を現地の秘書並びに本庁から官房副長官に説明を行っている、こういう文書であります。異様なのは、この札幌施設局長がみずから鈴木宗男議員の地元に行って、地元秘書のところに平身低頭で説明に行っていることであります。鈴木宗男秘書がどの業者に行くのかまでしっかりチェックしている。
 防衛庁長官にお聞きしますけれども、防衛庁というのは、演習が行われるたびに、宿泊ホテルや発注の内容について関係議員にこういう説明をやるんですか。
中谷国務大臣 米軍の転地訓練というか、全国で年に四カ所やっておりますけれども、これは地元との条件、約束がありまして、極力地元を使うという上において演習の受け入れをしていただいております。
 その際に、いろいろと訓練をしたりする際には、期間中の物資の調達は可能な限り地元で行うことを踏まえて、可能な限り、札幌の防衛施設局及び米軍において、地元演習場の周辺の業者から調達をしているところでございまして、この調達に当たりまして、地元事情に精通している地元自治体の情報を参考にしつつ、局の職員また米軍の責任において業者の選定等を行い、契約をしているわけでございます。
佐々木(憲)委員 質問に答えていないじゃないですか。私が聞いているのは、こういうことについて議員に、あるいは、この場合は鈴木官房副長官ですが、一々こういうことを説明に行くんですかということを聞いているんですよ。
中谷国務大臣 通常はやらないというふうに思います。
佐々木(憲)委員 つまり、通常はやらない異常なことをやっていたということであります。
 札幌施設局長は、このホテルの説明だけで不十分と思ったのか、ごみ箱だとかトイレットペーパーについてまで、どの会社に発注するのか、どの業者に発注するか、こういうことまで説明しているんですよ。
 説明に対して宮野秘書は、「これらは分っています。」業者は知っている者ですと書いてあるじゃないですか。そういうふうに答えている、二ページのところ。つまり、全部関係する業者だということであります。
 そして「注」として、「ホテル及び調達協力の説明に対して、注文や意見は秘書からは全くなかった。」と書かれている。全部知っている業者だから、特に意見はないよと。これも重大で、注文や意見があれば聞きましょう、こういう姿勢が極めてはっきり出ているじゃありませんか。
 総理にひとつお聞きします。
 鈴木宗男議員は、参考人質疑のときでも、その後でもそうですけれども、自分は個別業者の選定にかかわったことはないと言ってまいりましたね。しかし、個別業者の選定にこれほど深く、直接かかわっている証拠はないんじゃありませんか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 いずれ証人喚問が行われると思います。そのとき、御本人に聞いていただきたいと思います。
佐々木(憲)委員 総理の見解をお聞きしているんですけれども。
 直接かかわっているということをお認めになりませんか。
小泉内閣総理大臣 私は、本人から聞いていませんし、聞いたこともありませんし、わかりません。
佐々木(憲)委員 それじゃ、この証拠書類で言いましょう。
 本庁から鈴木宗男副長官に説明に行ったのは、前の日に、つまり、この「案」を見ていただきたい。この「案」によりますと、「本日お伺いしました用件は、昨日、地引首席と先生の処にお伺いしました際、地元でのホテルの話がありましたので、我々も詳しく承知していなかったため、調べて参りました。また、その他の物品の調達についても状況をお話するためにお伺いに参りました。」こういうふうに説明をされているわけですね。
 つまり、これは、一方的に防衛施設庁の側から説明に行ったんじゃないんです。鈴木宗男さんは、その前の日に、ホテルはどうなっているんだ、どこに宿泊するんだ、こういうことを聞かれたので、これは説明に行かなきゃいけないと。つまり、みずからアクションを起こしているわけです。鈴木さん自身が、説明してほしい、ホテルについてはどうなっているんだと、個別案件についてはっきりと鈴木宗男さんからのアクションがあった。極めて明確であります。
 この点はこの資料によっても明らかだと思いますが、それでも総理は、これは鈴木さんとは関係ないという立場ですか。
小泉内閣総理大臣 私は関係ないなんて一言も言ってないでしょう。聞いてくださいと言ったわけですよ。
佐々木(憲)委員 それは証人喚問その他の機会もあるでしょうから、本人に聞く機会もあるでしょう。じゃ、証人喚問の範囲に入れるということでやりましょう。
 それで、この米海兵隊実弾演習というのは、実は、沖縄で県道百四号線越え、一〇四号線越えの実弾演習の本土への移転、これに関連した大きな問題でありまして、北海道の矢臼別演習場に移転をした、それに関連をした事業であります。
 問題は、鈴木宗男官房副長官に言われて一々説明に行っただけではないんです。鈴木さんは、地元の業者に仕事を受注させた上、その業者から献金を受け取っている、これが一番最後の表であります。
 ここにありますように、品目、業者、それから献金、こういうものがここにございます。つまり、地元の業者に仕事を発注しなさい、調達しなさい、こういうことを個別案件について介入して、その上で、これらの業者からも献金を受け取っている。だから宮野秘書は、ああ、業者は知っている業者ですよと。こういうふうに答えるのは、防衛庁の予算で仕事をした業者から献金を受けている、そういうことをよく知っているからそういう答えをしているんじゃないか。
 防衛庁長官、国民の税金がこういう形で鈴木宗男さんに還流をするという同じような構図がここでも起こっているわけですが、この点についてどのようにお感じでしょうか。
中谷国務大臣 個別の物品の納入とか、そういう細々としたところを議員に説明するということは通常ないことでありまして、好ましいことではないというふうに思います。
佐々木(憲)委員 極めて異例なことであり、好ましいものでないことは、だれが見ても明らかです。税金を食い物にしていると言わざるを得ない。
 私、きょう明らかにした文書というのは、防衛庁にこれは当然ある文書だと思うのですね。鈴木さんの関与について、これはホテルだとか調達品だけじゃない、例えば輸送も含めて、関与を示す文書を調査してこれを明らかにしていただきたい。いかがですか。
中谷国務大臣 この事実関係も初めて伺いました。また、この文書自体も初めて見る文書でありまして、この文書の真偽、存在も含めましてよく調べてみたいというふうに思います。
佐々木(憲)委員 調べた上でその資料を公表していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 総理にお聞きしますけれども、既に鈴木宗男議員にかかわる疑惑というのは、この外務省だけではありません。国土交通省の問題、あるいは今私が指摘をした防衛庁、防衛施設庁の問題、非常に大きく広がっていると思うのです。全省庁が汚染されているという可能性さえある、こういうことを見ると。これは政府全体の問題でもありますし、また、献金が絡んでいる。つまり、献金が絡んでいるということは、国の予算でいろいろなことが行われる、その行われた結果、仕事をした業界からその税金が一部還流している、こういう構図であります。
 献金の問題というのは、直接は総務省の問題でもありますし、こういうことが次々と明らかになっている以上、総理、総理自身の責任で、鈴木さん自身が各省庁にどういうかかわりを持ってきたのか、これをやはり直接調査をし、各省庁が具体的に鈴木さんの関与によってどういうことが、どういう政策がゆがめられたか、あるいはどういうふうに行政がゆがめられたか、こういう点を調査するのは当然だと思うのです。
 そういう点で、総理自身が直接指揮をして、総理の責任でやはり全貌を報告させるということが必要だと思います。丸投げで、これはこの省庁に任せるというふうにやるのではなくて、総理自身がやはり調査をし、報告書を出す、そういう姿勢に立つことが大事だと思いますけれども、総理の御見解を伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 国政にかかわることで問題があるという御指摘があれば、その件について各省庁は必要な資料を提供して、今後の改革に生かすべきだと思います。
佐々木(憲)委員 必要な資料を点検し、調査し、それを公表し、そして二度とこういうようなことが起こらないような体制をつくる、これが私は非常に大事だと思います。とりわけ重要なのは、国の予算を使って仕事をした業者から政治献金を受ける、こういう構図が、法的にはさまざまな贈収賄などの疑惑も生み出す構造になっていると思います。
 そういう点で、献金のあり方、業界から受け取る、こういうことについては例えば規制をする、やはりそういう点まで踏み込むべきだと思いますが、最後に伺っておきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 献金のあり方、政治資金の調達方法、あるいは公共工事に関する適正な執行の面について、いろいろこれからの改革に生かしていきたいと思います。
佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。
津島委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。
 この予算委員会の審議、私が最後の質問者になろうかと思います。
 御案内のように、この予算委員会、始まってから今日まで混乱に混乱を重ねた委員会である、私はそういった認識を持っております。田中外務大臣の更迭、そしてまた外務官僚の更迭、鈴木宗男議員の議運委員長辞任、そして田中さんと鈴木さんの参考人、さらには鈴木議員の証人喚問と、この混乱はますます広がりを見せているわけでございます。
 この混乱のもと、これは何といってもやはりあのアフガニスタン復興支援会議のNGO参加拒否、この問題が発端であろうと思うんですね。今、多くの鈴木さんに関する利権とか疑惑の問題にウエートが置かれておりますが、この最初の発端、ここのところが、このままこの委員会が終わってしまうとなおざりにされてしまうんじゃないか、私はそういう気がしてなりません。
 一昨日、大西健丞さん、参議院の予算委員会に参考人として出席をいたしました。そして、参加拒否の件では鈴木宗男議員の介入があったと、はっきりとした口調で発言をされております。そして一方、政府見解、これは、特定の議員の関与、主張に従ったことはない、このようになっております。
 真っ向、百八十度違うんです、総理。この政府見解を考え直すお考えはございませんか。
小泉内閣総理大臣 政府見解をよく読んでください。「昨年来NGOの在り方については与党も含め各方面の議論がなされ、その過程で外務省に対しても様々な意見表明がなされたことはある。」「アフガン支援国会議へのNGOの参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」
 これは当時の外務大臣も了解しております。変えるつもりはありません。
横光委員 大西さん、当事者ですね。当事者は、特定の議員の介入があったと、公の場で、全国民が見ている前ではっきりと明言しているんです。介入があったと。鈴木議員の名前を出して、介入があったと参考人の場で発言をしておるんです。
 ところが、政府見解は、特定の議員の介入はなかったというわけでしょう。全然違うじゃないですか。(発言する者あり)同じじゃない、全然違うんです。
小泉内閣総理大臣 なぜ私の意見がわからないんですか。あなたの意見と違うというならわかりますよ。(横光委員「違う違う、大西さん」と呼ぶ)
 「様々な意見表明がなされたことはある。」ということを認めているでしょう。「参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」何で違うんですか、大西さんの。それは大西さんの認識と私の認識とは違うかもしれない。それはわからないけれども、この見解を変える必要はないと言っているんです。
横光委員 いいんですか、総理。「特定の議員の主張に従ったことはない。」ということは、大西さんが言う鈴木議員の介入があったということと全く違うわけでしょう。そこのところを、大西さんの意見と違うじゃないか、政府見解と違うじゃないか、このことを言っておるんですよ。どうですか。
小泉内閣総理大臣 よくこれを読んでくださいよ。どうして関係ないと。「意見表明がなされたことはある。」というのを認めているんですよ。しかし、「参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」どう違うんですか。
横光委員 参加決定に当たり介入があったと鈴木さんの名前を出して大西さんは言っておるんですよ。しかも、政府見解とは認識が違うと。総理、政府見解とは認識が違うと大西さんは言っておるんです。では、そこのところをどうお答えになるんですか。
小泉内閣総理大臣 政府見解は政府見解です。大西さんの見解は大西さんの見解です。
横光委員 私は、この問題を何回も何回も質問してきたんですね。
 これは、言えば、私は大西さんの人権問題にもかかわってくるんじゃないかと思うんですよ。彼ははっきりと、鈴木さんの介入があった、鈴木さんが怒っておるので、出席させるなと言ったということを聞いているわけですよ。しかし、政府としては、特定の議員はそういうことをしていないということを政府見解として出しているわけでしょう。ということは、大西さんが言っていることは全く事実でない、うそだと政府が言っていることになるわけです。言っていることになるわけじゃないですか。
 では、総理、大西さんの言っていることは正しいんですか。どうぞ。
小泉内閣総理大臣 その人の意見が正しい、違うとか私は言っていません。その人の見解は見解でいいと思います。
 しかし、私は、「その過程で外務省に対しても様々な意見表明がなされたことはある。」認めているんですよ。そして、「アフガン支援国会議へのNGOの参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」いろいろな意見はあったけれども、大西さんのNGOも参加しているんでしょう。
横光委員 それは、関与があるということは認めているわけでしょう。でも、特定の議員は介入していない、そこのところが違うんです。違うんですよ。大西さんは、認識が違うとはっきりと参考人の場で述べているんですよ。
 ですから、このままいってしまうと、ずっと大西さんは、政府見解では自分の言っていることと違うんだという烙印を押されてしまうわけでしょう。そうじゃないですか。自分は鈴木さんの関与があったと言いながら、政府はそういうことはなかったと言っているわけですから、真っ向違うわけです。
 ここのところは、それでいいと総理は言っているけれども、あなたはいいかもしれませんけれども、大西さんにとっては大変な問題なんですよ。イラクの復興支援から、避難対策から帰ってきて、そして国会で発言をした、そのことが政府が違うと言っているのと同じなんですから。同じなんですよ。
 ですから、ここは、私は、政府見解をやはり変えるべきではないか。つまり、特定の議員の主張に従ったことはない、ただし特定議員の影響を受けた事実は否めないと。これは、そうなんでしょう。それだったら、それをつけ加えるべきですよ、その後に。そうすれば、大西さんの気持ちも随分変わってくるし、認められることになってくる。これは大西さんの人権の問題として、これからこの政府見解は文章として永久に残るわけです。そうでしょう。どうですか、総理、最後のつけ加えると言ったのは。
小泉内閣総理大臣 大西さんの見解は見解でいいですよ。正しいとか間違いと私は言いませんよ、大西さんの見解なんだから。尊重すればいいと思いますよ。
横光委員 しかし、政府の、国の力でそこまで個人の言っていることを認めない、これが今の総理の言葉だと思います。
 川口大臣、お尋ねいたします。
 きのう、あなたは記者会見で、外務省の局長も、重家さんのことですが、局長も大変立派な人物であり、局長もちゃんとそういうことを言っているわけであるので、局長よりも大西代表の方が正しいと思うということではない、このように記者会見で発言されております。
 私のところにいっぱい、もう信じられないというようなファクスが来たんですが、それは事実ですね。もう一度お尋ねいたします。
川口国務大臣 新聞に報道されておりますのは全体で私が申し上げたことの一部でございまして、私のコンテクスト、私が申し上げましたことは、今ちょっと記録を持っておりませんので正確に申し上げられるかどうかわかりませんけれども、大西さんというのは私はお目にかかったことはないけれども非常に立派な方だと思います、だけれども重家局長も立派な人なんですと、そういう意味で申し上げたわけでございます。
横光委員 事実、その大西代表の方が正しいと思うということではないということを、テレビではっきりと皆さん見ているんですね。これは、字幕ではなく川口外相本人の口からそういう言葉が出たということを、きのうテレビ朝日のニュースで見たという方が多いんですね。
 ということは、あなたは、大西さんが正しいと思うということではないということは、大西さんはうそをついているとお考えなんですね。
川口国務大臣 大西さんのおっしゃったことが間違っているとかそういうことを申し上げているわけではありませんで、そういった大西さんが非常に立派な人であると私は思うということを申し上げた上で、重家局長も立派な人で、どちらがより正しいとかそういうことではない、そういうことを申し上げて、それぞれ見解が違うということでございます。
横光委員 しかし、大臣は、正しいと思うということではないと述べられているんですよ。ですから、本当にこのことは、これも大西さんにとっては相当な大きな痛みだろうと。
 総理、総理は改革には痛みが伴うとおっしゃいます。しかし、私は、今回ほど大西さんに大きな痛みを与えたことはないと思いますよ、本当に。ですから、痛み痛みと言いますが、他人の痛みが本当にわかっているのかなとつくづく思います。あの公の場であれだけのことを言ったことを、国の、政府の見解としては真っ向否定するという事実ですので。私は、本当にもっともっと人の痛みというものを感じていただければ、政府見解というものは当然あのような形にならない、このように思います。
 次に、この国会、先ほど混乱混乱と言いましたが、さらに加わったのが私は疑惑の連続だと思うんですね。加藤紘一議員、鹿野道彦議員の秘書そして元秘書の問題、それから途中から鈴木議員の問題、そして今、徳島県知事の問題。それ以前にも、茨城県の石岡市そしてまた下妻市、こういった市長の逮捕の問題。まさに先ほどからずっとお話があるように、政官業癒着どっぷりという形がこの日本列島じゅうに広がりを見せている、そういった印象が見えるわけです。これは日本列島というより、私は腐敗列島じゃないか、そういう気さえするほど、今、政治、行政がまた汚れております。
 そして、これは今に始まったことではない、何十年も前から。そして、そのたびにいろいろな、襟を正すとか言いながら決して正されることなく、また、制度あるいは法律をつくったり変えたりしながらやってきましたけれども、いろいろな形のしり抜けしり抜けということで、今日までこういった腐敗は絶えないわけですね。しかも、そのほとんどが、先ほどございましたように公共事業絡みなんですよ、総理。ですから、ここは、もう襟を正すとかそういった事態は通り越してしまって、何としても強力な、もう罰則強化しかないですよ。
 ですから、昨年の、二〇〇〇年のあのあっせん利得処罰法、あれで私設秘書を対象にしなかったのが今回こういった形になっていますね。さらに、入札にいろいろなことを干渉すること自体が罪である、そういった強力な法律をつくる。あっせん利得処罰法に私設秘書を加えて改正すること、そして入札干渉罪を新設すること、設定すること、この二つについて、総理のお考えをお聞かせください。
小泉内閣総理大臣 あっせん利得罪に私設秘書を加えるか、また対象をどうすべきか、今議論しているところであります。また、入札干渉罪についても、それぞれ議論があります。一歩でも二歩でも前進できるように、また改革に進むことができるような措置を今国会で講じるべきだと我が党も今積極的に議論をしているところでございます。
横光委員 ありがとうございます。
 それは今、総理そしてまた自民党の総裁としての発言で、非常にこの二つの改正そしてまた法案づくりが大きく私は前進すると思います。やはりこういった厳しい法律をつくるしかもうないなという気は、国民のほとんどが思っていると思うんです。
 それからもう一つ、総理、先ほど公共事業絡みだと言いましたが、まさにこれは、血税が企業を経由して、あるいは政党支部を経由して政治家に入る。最初のきれいな血税が、政治家に行ったときには真っ黒い金になっておるんですね。こういったことを正さなきゃいけない。そのためには、やはり企業・団体献金の全面禁止というものが必要じゃないですか。総理、お答えください。
小泉内閣総理大臣 企業・団体献金のあり方と、それから全面禁止ということについては、また別の問題だと思います。それぞれ、政党がどのように資金調達を図るかという問題があります。また、献金の問題、政党として政治活動をするためにどのような資金の調達方法がいいのかという問題もありますので、あり方と、全面禁止にすればいいということの問題と、そういう点もいろいろ議論がありますけれども、これは民主主義の問題として大変大きな問題にかかわると思いますので、この点も含めまして、今後の議論の進展を見ながら判断していかなきゃならないと思っております。
横光委員 全面禁止には、今、否定的なお考えです。
 それでは、総理、百歩あるいは千歩譲って、今言った国民の血税を受注している企業あるいは国の請負契約を結んでいる法人、まず最初に、せめてこういったところからは献金は受けないんだと。これは先ほど言いましたように、まさに国民の金ですから、国民の金を横取りされているような形になるわけですよ。今回の一連の事件もみんなそうでしょう。ですから、企業献金全面禁止が反対ならば、せめて、公共事業を受注した企業からの献金だけはまずやめよう、そういうお気持ちはいかがですか。
小泉内閣総理大臣 そのような点も含めて、今議論がされていると思います。そういう点も、各党それぞれの、意見が合うところもあるし違うところもあると思います。その点もよく踏まえて、これからの政治浄化のために生かしていきたいと思います。
横光委員 先ほどの二つの法案あるいは法改正、積極的な御意見でした。今回も、各党の意見を踏まえながらというお考えですが、これは総理、全面禁止が無理ならば、まずやらなきゃいけない、国民が一番不信を持っているところから改革をしなきゃいけない、それは総理もわかっていると思う。それは党の事情もおありでしょう。しかし、ここを直さない限り、こういった問題、いつまでも、何回も起きて、国民の政治の信頼は離れていくばかりなんですよ。
 私は、小泉総理がなぜあれほど多くの期待を、国民こぞって期待をしたかというのは、やはりそういったところにあろうかと思うんですね。政治をきれいにしてほしい、構造改革のまず大前提は政治改革である、そこをきれいにしてほしい、それはだれもできない、小泉さんならできる、それだからあれだけ多くの方が支持したんですよ。大分下がりましたけれども、それでもまだ期待しているんですよ。
 総理、さらにここに打ち込んで、公共事業に絡んだ企業からの献金はやめよう、これを総理がはっきり国民の前でお示しになれば、私は、やはり小泉さんに期待したかいがあったな、そういう声が広がろうかと思いますが、いま一度どうぞ。
小泉内閣総理大臣 政治改革は当然これからも進めていかなきゃなりませんし、その際に、政治資金のあり方、また公共事業に絡む資金調達のあり方、当然、どういう規制がいいかという点も含めて、これから進展させるように努力していきたいと思います。
横光委員 私は、いい政治をやるには、いわゆるいい政治体制づくりが必要だ、そこのところが、やはり日本の国の政治のあり方というのは長い間本当に変わっていないなと。私、九年国会で働かせていただいておりますが、ちっとも変わっていないなという気はしますし、地元の人からもよく言われるんですね。なぜ変わらないかということをもっと我々は真剣に考えて、国民の信頼をかち得るように努力しなきゃならないと思っております。
 総理、ちょっと、この改革、国民の負担増よりもまず抜本改革を先行させるべきだという、医療改革の三割負担の件ではそのようにおっしゃられました。しかし、国民はもう負担増、負担増のしわ寄せを受けているわけですね。そして、御案内のように、九七年の九月に、自社さ合意で医療改革の抜本的な改革案ができました。そのとき総理は厚生大臣だったわけでございますが、その当時の委員会のやりとり、ちょっと総理、読みますので、思い出してください。
 厚生委員会の一九九七年五月七日、小泉厚生大臣、
 医療制度については、三十数年来できなかった、薬価基準においても、診療報酬においても、医療提供体制においても、私は抜本的な案を示したい。こういう機会はめったにない、厚生省の信頼が問われる、厚生省の見識が問われる、そういう気持ちを持って、私は、厚生省としての案を遅くとも八月末までには出して、国民の前に、また議員の前に、審議会の前に提示したい、御批判を仰ぎたい、その決意を固めております。
こう述べられた。そして、その質問をした人が、坂口当時の議員でございます。坂口委員が、その決意どおり、ぜひひとつお願い申し上げたいと思いますと。全然そういうふうになってないじゃないですか。
 このことを強く申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。ありがとうございました。
津島委員長 これにて横光君の質疑は終了いたしました。
 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして平成十四年度予算三案に対する質疑はすべて終局いたしました。
    ―――――――――――――
津島委員長 ただいままでに、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の四派共同による、枝野幸男君外六名から、平成十四年度一般会計予算に対する修正案が提出されております。
 この際、本修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。松本剛明君。
    ―――――――――――――
 平成十四年度一般会計予算修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。
 私は、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、そして民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました平成十四年度予算に対する修正案の趣旨説明をいたします。
 まず、修正案の概要を御説明申し上げます。
 修正案は、平成十四年度外務省予算に係る国際分担金その他諸費一千百九十八億円余より、支援委員会拠出金相当額十億五千万余を減額し、同額の予備費増額を行うものとしています。
 昨日の当委員会におきまして、民主党の上田清司議員の支援委員会に係る質問に対して、塩川財務大臣は、常識的に考えたら非常におかしい事件であると答弁をされました。極めて率直な御発言で、予算執行体制に問題があることを、事件という言葉まで使ってお認めになられたのです。さらに、財務大臣は、当該予算の執行について、内閣で協議して決定すると言われました。また、本日の審議で小泉総理は、再検討するとお約束いただきました。
 予算を執行される総理、財務大臣が、その執行について協議、再検討の必要性を認めた予算であります。私たちは、まさにその予算の執行を内閣に認めるかどうかの議論を行っているのであります。問題があり、これから見直す必要がある執行体制をそのままにして、この予算の執行権を国会が認めるわけにはまいりません。
 予算委員会の審議を通じて、このようなずさんな執行体制の背後に、政官業の根深い癒着関係が存在することが明らかとなりました。支援委員会、外務省といった一部にとどまらず、政と官のあり方という構造的な問題なのであります。これを徹底的に解明することが国会の責務であり、国民の期待にこたえる道なのです。
 私たちは、対ロシア支援、対北方四島支援を進めるべきだと考えています。しかし、現在の政官業の癒着にどっぷりつかった支援委員会は、およそ国民の血税をつぎ込む資格があるとは言えません。そこで、一たん北方四島支援予算を予備費に繰り入れることによって凍結し、支援体制を抜本的に見直し、これにまつわる構造的な癒着関係、ずさんな執行体制を改め、その上で予算を繰り戻して、真に両国民のために、両国関係の進展、北方四島返還に資する形で支援を行うべきだと御提案申し上げているのです。
 予算の執行体制に、総理、財務大臣が、問題があり見直しの必要があると認めた予算を、本当にこのまま国会が見過ごしていいのでありましょうか。議員各位の良識が問われる問題であります。
 何とぞ私たちの真意を御理解いただき、国民の期待に背かぬような御判断をいただけることを希望いたしまして、私の趣旨説明を終わります。
津島委員長 これにて本修正案の趣旨説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
津島委員長 これより討論に入ります。
 平成十四年度予算三案及び平成十四年度予算三案中一般会計予算に対する修正案を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。私は、自由民主党、保守党、公明党を代表して、平成十四年度政府予算三案に賛成、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合から提出されております予算修正案に反対する立場から、討論を行うものであります。
 昨年四月に発足した小泉内閣のもと、いよいよ構造改革を具体的、本格的に実行に移していく段階に差しかかりました。
 一方、我が国経済は、不良債権処理などの構造改革の進展や、アメリカにおける同時多発テロ事件の影響などによる景気の悪化もあり、失業率の高どまりなど、大変厳しい情勢にあります。また、緩やかなデフレが続いており、その対応も不可欠の課題であります。
 こうした状況の中で編成された平成十四年度予算は、構造改革をより一層推進しつつ、また、さきに成立した平成十三年度第二次補正予算と一体のものとして、切れ目のない経済運営を行っていくためにも極めて重要な予算であると考えます。
 以下、賛成する主な理由を申し述べます。
 その第一は、本予算が、従来の枠組みにとらわれず、歳出構造を抜本的に見直ししたものである点です。
 本予算では、厳しい財政事情の中にあって、我が国経済の新たな発展基盤を構築するために、五兆円を削減する一方で重点分野に二兆円を配分するとの理念を踏まえ、少子高齢化への対応、科学技術、教育、ITの推進など、構造改革に資する七分野に重点配分しております。
 特に、ゴールドプラン21、待機児童ゼロ作戦を推進するために、特別養護老人ホームや保育所などの社会保障施設の整備に、より重点化が図られていること、さらには、平成十三年度第一次補正予算とあわせ、雇用のセーフティーネット対策については所要の予算が確保されていることなど、国民の目線に立った予算配分がされていることについても評価をいたします。
 第二は、聖域なき構造改革の一環として、行政改革を大胆に進めていることであります。
 特に、特殊法人等改革は、事業、組織形態を抜本的に見直すために、特殊法人等整理合理化計画を策定するとともに、特殊法人等への財政支出について、一般会計、特別会計を合わせて一兆円を超える予算削減を行っております。これは、行政改革の具体的な目に見える成果として画期的なことであると考えます。
 第三は、歳出削減等の努力により、財政の健全化にも十分に配意している点であります。
 特に、歳出削減については、公共投資、ODAの一割削減を初め、医療制度の抜本改革とあわせ、診療報酬の二・七%引き下げを行うなどの予算の効率化を行ってきております。また、社会資本整備に当たっても、PFIの積極活用を図るなどの措置を講じております。
 以上、主な賛成理由を申し述べましたが、現下の厳しい経済情勢の中、国民生活を守るためにも本予算の速やかな成立を期待するものであります。
 なお、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合から提出をされた平成十四年度政府予算に対する修正案につきましては、隣国ロシア等に対する人道・技術支援等の事業を継続的に実施していくことの重要性にかんがみ、反対いたします。
 我が国経済は、長期にわたり持続的に物価が下落するデフレ状態が続いておりますが、私は、デフレの克服を経済政策の最優先に位置づけて、断固たる決意で取り組まねばならないと考えております。
 さきに政府は、早急に取り組むべきデフレ対策を取りまとめられましたが、今後、さらにデフレ克服に向けて政府一丸となってあらゆる対策を講じられるよう強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
 以上であります。(拍手)
津島委員長 次に、城島正光君。
城島委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、平成十四年度予算三案に反対をし、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合提出の予算の修正案に賛成する立場で討論を行います。
 まず、津島委員長の不公正かつ一方的な委員会運営について申し上げなければなりません。
 津島委員長は、公正なレフェリーであるべき委員長の職にあるにもかかわらず、経済問題、金融問題、雇用問題や外務省問題など、山積する課題の審議がまだ不十分のまま、委員長職権で審議を打ち切るという暴挙に出ました。それどころか、野党の質問中に口を挟むなど、国会、ひいては国民を愚弄する暴挙を繰り返す始末であります。この事態を招いた津島委員長の責任は極めて重大であり、この場でも猛省を促しておきたいと思います。
 次に、日々次々とわき上がる鈴木宗男衆議院議員の一連の疑惑や外務省問題について申し上げなければなりません。
 北方領土に関する疑惑や、鈴木議員の秘書のムルアカ氏に対するID発給問題は、外交の基本問題であるだけではなく、国家の主権そのものにかかわる問題であります。また、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電所問題に象徴されるように、外務省所管分だけで五千三百八十九億円にも及ぶODA関係予算を一部の政治家、官僚、業者が食い物にしているという疑惑は、予算そのものの問題であります。つまり、鈴木宗男衆議院議員の一連の疑惑や外務省問題は、国家の主権、外交の基本、そして予算全体に深くかかわる、すなわち、国民の血税の使われ方にかかわるゆゆしき問題であります。ゆえに、民主党は、予算審議の中でこの疑惑の真相を徹底的に解明すべきであると主張してまいりましたが、この審議が途中で打ち切られたことは大変に遺憾であります。
 以下、政府提出の平成十四年度予算案に反対する理由を申し上げます。
 第一に、本予算案は、国の資源配分を大きく変えたと言っておきながら、国民の将来不安を取り除く雇用や社会保障などの分野への配分が全く不十分であります。これでは景気回復など望むべくもありません。
 第二に、国債三十兆円枠を守っているかのように見せかけるために、地方交付税特別会計借り入れを平成十四年度で廃止する方針を、早くも一年でほごにするなどの隠れ借金を行っております。これは、政府の情報開示姿勢への不信感をますます助長させる行いであり、国債市場の先行き懸念を高めかねません。
 第三に、外務省の病巣の一つである機密費問題への切り込みが極めて不十分であります。これは、小泉内閣が外務省改革に後ろ向きであることの証左にほかなりません。
 第四に、公共事業関係予算を一〇%減らしたと豪語されておられますが、その削減分を平成十三年度第二次補正予算で埋め合わせをしているのはだれの目にも明らかであります。また、川辺川ダムや諫早湾干拓事業といったむだな事業に相変わらず予算をつけるようでは、小泉純一郎総理自身が改革の抵抗勢力だと断罪せざるを得ないわけであります。
 ゆえに、このような粉飾とまやかしに満ちた予算案には到底賛成できません。
 これに対し、野党四会派提出の修正案は、予算審議の中で明らかになった、政官業の癒着にどっぷりとつかった支援委員会拠出金相当額十億五千万円余りを減額し、同額の予備費増額を行うものであり、納税者の、すなわち国民の期待にしっかりとこたえるものであると思います。
 与党の皆さん、皆さんを国会に送り出した国民の皆さん方は、このような粉飾まやかし予算を通すことを期待されているのでしょうか。そのことをどうかよくお考えいただきまして、野党四会派提出の修正案に賛成していただきますよう心からお願い申し上げまして、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)
津島委員長 次に、達増拓也君。
達増委員 私は、自由党を代表して、政府提出の平成十四年度予算三案に反対、野党四会派提出の修正案に賛成の立場から討論を行います。
 今、国家的な危機の中で政治に求められているものは、二十一世紀も日本経済が持続的に発展していけるよう、国家のあり方、経済、社会の将来像を明示し、あらゆる仕組みを改革することであります。
 ところが、この政府予算案は、構造改革と呼ぶには無類の無原則予算であり、国民の期待にこたえられないどころか、日本の経済、社会に対する不安を加速させるだけだと断ぜざるを得ません。
 以下、政府案に反対する理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、この予算は、歳出面において構造改革に全く役立たない上、景気、雇用にも配慮を欠いたデフレ加速予算であることです。
 改革断行予算と自称しながら、歳出の仕組みを改めて効率化を図ることもなく、単に従来型の公共投資を並べかえて積み上げただけにすぎません。一方で、景気や雇用の下支えも行われておりません。
 しかも、本予算を審議する傍ら、政府は総合デフレ対策を決定し、その対策を第一弾として、今後さらにデフレ対策を打ち出すと公言しています。それは、この政府予算案自体が欠陥予算であることをみずから認めることにほかなりません。現下のデフレは、規制撤廃、税制改革、経済活性化のいずれも先送りしてきた小泉内閣の経済失政、無為無策の結果であるにもかかわらず、同じ過ちを繰り返そうとしているのです。
 政府案反対の第二の理由は、この予算案の歳入面は財政健全化にも逆行しているということであります。
 本予算は、国債発行三十兆円枠を守り財政規律を守ったと言いますが、外国為替特別会計等からお金をかき集め、やめる予定の地方交付税特別会計の民間借り入れを継続して、体裁を整えただけにすぎません。国債発行三十兆円枠は事実上破綻しているだけではなく、むしろ財政規律をゆがめるものであり、このような政府・与党の従来どおりの場当たり的、その場しのぎの対応の繰り返しは、三十兆円枠を守らなかった場合よりもさらに財政を悪化させ、後世にツケを回すことにほかなりません。
 政府案反対の第三の理由は、政府予算そのものが、政官業癒着構造を温存させる手段として利用され、予算の編成と執行に重大な疑義があることが明白になったことであります。
 鈴木宗男議員の行政介入問題は、政官業癒着構造にどっぷりとつかっている政府・与党の実態のほんの一部にすぎません。ODAや公共投資が族議員の介入によってむだ遣いされ、予算執行が著しく歪曲されているのです。それにもかかわらず、その癒着構造温存予算を大事にして国民の血税を垂れ流し続けることは、言語道断であります。
 問題の北方四島住民支援事業については、塩川財務大臣は、常識的に考えたらおかしい、実態を調べ、外務省とよく相談し、執行について内閣で協議すると述べられ、政府予算案に計上されている支援事業の予算執行を再検討する考えを示しました。そうであるならば、支援委員会への拠出金を削除し、見直しを行うのが当然であります。
 野党四会派が提出した予算修正案は、その趣旨を実現したものであり、政官業癒着構造を根本的に見直す第一歩になると考え、賛成いたします。
 政府予算案は、理念も政策もない無責任予算であるということを申し上げ、政府予算三案に反対、野党四会派提出の修正案に賛成して、私の討論を終わります。(拍手)
津島委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、野党四党提出の修正案に賛成、政府予算三案に対し反対の討論を行います。
 私は、まず、鈴木宗男議員と外務省の疑惑を解明することなく、この予算委員会で採決を強行することに断固抗議するものであります。
 政府予算案に反対する第一の理由は、我が党が追及してきたムネオハウス疑惑を初め、北方四島支援事業への入札介入など、鈴木議員と外務省をめぐる数々の疑惑が何ら解明されていないことであります。この疑惑の本質は、外務省と鈴木議員が共犯者として予算の執行を不正にゆがめてきたところにあります。政府予算の使われ方にかかわる重大な問題であります。
 北方四島支援事業だけでなく、ODAをめぐる疑惑も全く解明されておりません。実際、ODA予算は、来年度九千百億円も計上されております。しかも、鈴木議員の疑惑は外務省にとどまらず、国土交通省から防衛庁にまで広がっているのであります。これら疑惑の解明なくして、この予算の執行は到底認められるものではありません。
 反対する第二の理由は、本予算案が、長引く不況とデフレを解決し国民の暮らしを応援する方向に背を向ける内容であることです。本予算案審議の最中に政府がデフレ対策を出さざるを得ないことが、欠陥予算であることの何よりの証明ではありませんか。
 今、小泉内閣がやっていることは、不良債権の早期最終処理の名のもとに中小零細企業をつぶし、地域金融を支えている信金、信組を強制破綻させ、その一方で大企業や大手銀行には手厚い支援を一貫して続けていることです。
 予算案には、必要性が疑われ、壮大な浪費とまで言われている川辺川ダム、関空二期工事、諫早湾干拓事業などなど、大型プロジェクトが依然として温存されています。また、大銀行支援のための公的資金枠七十兆円も維持され、さらなる投入の動きさえ見られるのであります。
 多くの国民が痛みを押しつけられている上、不況で苦しむ人々に一層のしわ寄せを迫るのが本予算案の特徴であります。高齢者の負担限度をも引き上げる医療制度の改悪にとどまらず、来年四月からは、サラリーマンなどの自己負担三割化までねらっています。中小企業に冷たく、国民の暮らしと営業を破壊し、景気と経済をさらに悪化させる以外の何物でもありません。
 今必要なことは、大企業のリストラを規制して雇用を守り、医療、年金、介護などの社会保障の改悪をやめ、GDPの六割を占める家計消費を温め、物価下落と不況の悪循環から抜け出すために国民生活を応援する予算への転換であります。このことを強く要求し、国民の切実な声にこたえる野党四党提出の修正案に賛成、政府案に反対する私の討論を終わります。(拍手)
津島委員長 次に、辻元清美君。
辻元委員 私は、社会民主党・市民連合を代表しまして、二〇〇二年度政府提出予算案に対し反対、そして四野党提出の修正案に賛成の立場から討論をいたします。
 政府案は、初めに新規国債三十兆円枠ありきの予算であって、たびたび指摘してまいりましたけれども、そのために隠れ借金に手を出しておるというごまかし予算であると言わざるを得ません。その内容も、名前を変えただけの旧来型公共事業の温存や既得権益に縛られたものであり、改革断行予算の名前に値しないと思います。このような予算では、国民の生活不安は深刻化するだけであり、不況やデフレを克服することはできないと思います。
 また、外務省によるアフガニスタン復興支援会議へのNGOの出席拒否への政治家の関与問題が顕在化して以来、現在に至っても、外務省をめぐる一連の疑惑はさらに広がりを見せています。鈴木宗男議員の行政に関する不当な関与は、外務省だけではなく国土交通省、防衛庁などにも広がっています。そんな中、外務省の作成した調査報告書は不十分と言わざるを得ません。本委員会で私も質疑をしましたが、特に外務省の人事についての鈴木宗男議員の関与が全く調査されていないのは、信じられないような調査報告書だと私は思います。
 さらに、先ほどの質問者である共産党の佐々木議員が本日示された防衛庁に関する資料は、私の手元にも届いています。
 告発者はこう言っているんですよ。鈴木問題は外務省だけの問題ではない、もっと役所ぐるみとなっているのが旧北海道開発庁であり沖縄開発庁である、また盲点となっているのが実は防衛庁であるというような長い手紙とともに、資料がついていました。たくさんついていました。私は、これは告発した人からも悲痛な思いが伝わってくるんです。まだまだ勇気ある内部告発は続くと思います。
 官僚の皆さんの間にも、このような状況では相互不信が生まれかねないという事態なんです。このような中で予算の適正な執行ができるんでしょうか。小泉政権は、そして政府全体が今や異常事態になっているという中で、この異常事態を正常に戻すまで、予算を通すことなんかできませんよ。私はそう思います。
 そしてさらに、政府見解についても、今に至っても特定議員の関与はなかったと言い張っていらっしゃいます。この点の変更ということになると小泉政権の欺瞞性を認めざるを得なくなるということで政権を直撃するから、鈴木疑惑に封じ込めて何とか逃げ切ろうという態度が見え見えですよ。BSE問題についても、武部大臣の責任にほおかむりしたまま、うやむやにしようとしています。
 私は、昨年の予算委員会の反対討論を思い出します。この場所でやりました。昨年、KSD問題と機密費問題が焦点でした。このときの反対討論の一部はこう言っているんです。「票と金をくれる業界に抱えられた国会議員が御用聞きになり、国会質問や予算編成そのものをねじ曲げるえこひいき政治と、税金を食い物にするたかり政治の構造を残したまま、幾ら立派な政策を口で言っても、絵にかいたもちにすぎないと思います。」金科玉条のごとく、予算の早期成立をという主張は、全く説得力がない。
 ことし、去年の反対討論をここで繰り返しても通用するような事態が続いているわけです。総理大臣は、当時森さんでした。小泉さんにかわりましたが、何にも変わっていないじゃないですか、中身は。自民党を中心にした政権では、だれが総理になろうとも何も変わらないということを、本予算委員会の審議で私は明らかになっていったと思います。
 さらに、自民党をぶっ壊すと絶叫した小泉総理は、アフガン復興支援会議へのNGO参加拒否問題の決着については、御自分の政権を守る保身に走り、鈴木宗男議員を含む自民党と自民党的なるものを守るために、恐れて、ひるんで、とらわれた、普通の自民党の総理大臣であったということもこの予算委員会で明らかになったと私は思います。
 私は、最後に、今国会が始まった冒頭の代表質問で、小泉総理はええかっこしいで馬脚をそのうちあらわすだろうと申し上げましたが、そのとおりになったと思います。同時にそのとき、小泉総理は自民党が生んだ、自民党しか知らない、ザ・自民党のチャンピオンにすぎないとも申し上げました。
 私は、この予算委員会を通じて、改革を叫んだ小泉総理及び小泉政権の限界と構造的問題がはっきりしたということを訴えて、二〇〇二年度政府提出予算に反対し、四野党提出の修正案に賛成の立場を表明して、討論を終わります。(拍手)
津島委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
津島委員長 これより採決に入ります。
 まず、枝野幸男君外六名提出の平成十四年度一般会計予算に対する修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
津島委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
津島委員長 起立多数。よって、平成十四年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました平成十四年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
津島委員長 次回は、来る十一日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十五分散会


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