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第3号 平成14年12月2日(月曜日)

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平成十四年十二月二日(月曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 藤井 孝男君
   理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君
   理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君
   理事 宮本 一三君 理事 枝野 幸男君
   理事 城島 正光君 理事 原口 一博君
   理事 井上 義久君
      伊吹 文明君    池田 行彦君
      石川 要三君    衛藤征士郎君
      尾身 幸次君    大原 一三君
      亀井 善之君    栗原 博久君
      小泉 龍司君    津島 雄二君
      中山 正暉君    西川 京子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      原田昇左右君    松岡 利勝君
      松島みどり君    松野 博一君
      三塚  博君    宮腰 光寛君
      持永 和見君    森岡 正宏君
      五十嵐文彦君    岩國 哲人君
      岡田 克也君    海江田万里君
      河村たかし君    筒井 信隆君
      中沢 健次君    永田 寿康君
      長浜 博行君    野田 佳彦君
      前原 誠司君    松野 頼久君
      山花 郁夫君    横路 孝弘君
      青山 二三君    赤松 正雄君
      達増 拓也君    中塚 一宏君
      樋高  剛君    山田 正彦君
      佐々木憲昭君    塩川 鉄也君
      菅野 哲雄君    横光 克彦君
      井上 喜一君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       大島 理森君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長)
   (産業再生機構(仮称)担
   当大臣)         谷垣 禎一君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣
   (金融担当大臣)
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   財務副大臣        小林 興起君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (国税庁次長)      福田  進君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    深谷 憲一君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月二日
 辞任         補欠選任
  衛藤征士郎君     松野 博一君
  奥野 誠亮君     森岡 正宏君
  丹羽 雄哉君     宮腰 光寛君
  山口 泰明君     小泉 龍司君
  河村たかし君     前原 誠司君
  野田 佳彦君     長浜 博行君
  松野 頼久君     海江田万里君
  松本 剛明君     永田 寿康君
  樋高  剛君     山田 正彦君
  山口 富男君     塩川 鉄也君
  中西 績介君     菅野 哲雄君
同日
 辞任         補欠選任
  小泉 龍司君     西川 京子君
  松野 博一君     松島みどり君
  宮腰 光寛君     丹羽 雄哉君
  森岡 正宏君     奥野 誠亮君
  海江田万里君     松野 頼久君
  永田 寿康君     山花 郁夫君
  長浜 博行君     野田 佳彦君
  前原 誠司君     河村たかし君
  山田 正彦君     樋高  剛君
  塩川 鉄也君     山口 富男君
  菅野 哲雄君     中西 績介君
同日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     山口 泰明君
  松島みどり君     衛藤征士郎君
  山花 郁夫君     松本 剛明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 予算の実施状況に関する件(経済、外交問題等)


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     ――――◇―――――
藤井委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 本日は、経済、外交問題等についての集中審議を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として国税庁次長福田進君、海上保安庁長官深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。
斉藤(斗)委員 私は、自由民主党の斉藤斗志二でございます。
 まず、質問に先立ちまして、去る十一月二十一日御薨去されました高円宮殿下に、謹んで哀悼の意を表したいというふうに思います。
 本日は、私ども与党一時間、特に自由民主党三十分という限られた時間でございますので、私の質問も簡潔にしたいと思っていますし、答弁の方もその旨よろしくお願いを申し上げます。
 本日は、集中審議ということで、景気対策、経済問題並びに外交ということでございますが、国会中継のあるこの審議は、私は、キーワードは悪を絶つということだと思っています。
 それはどういうことかといいますと、御案内のように、このデフレ状況、深刻でございます。また、不況の状況も心配の度を越しているという状況でございまして、この不景気の悪循環を断つということ、この大事さが一つあると思いますし、また、悪の枢軸と名指しされました北朝鮮問題につきましてあく抜きをしなければいかぬ、こういうことがテーマになるのではないかというふうに思っています。
 最初に、外交、北朝鮮問題、お願いをしたいと思います。
 この拉致事件、横田めぐみさん、二十五年前、二十数年前に、このたび帰国された拉致の被害者の方々がおられます。あれから二十数年たった。そして十二年前、金丸訪朝がなされました。私もその一員として北朝鮮、ピョンヤンへ行っております。そのときの会談の場でも向こう側からは、拉致事件はないと明言があったわけでございます。そして九月十七日、小泉総理が行かれて、この拉致事件が明らかになり、謝罪をされたということでございます。らちが明かなかったこの拉致事件に新たな展開を見たということでございまして、私は、この被害者の皆さんそれから家族の皆さんの側に立って解決に努めなければならないというふうに思っているわけでございます。
 一番新しいニュースの関係で、曽我ひとみさんの御主人でありますジェンキンスさんにつきまして、病院からの記者会見といいますか、質問に答える形が報道をされました。私は、大変不自然な報道だな、不自然な会見のようなものだったなというふうに思っておるわけでございますが、この御主人が言うには、日本には行きたくないというコメントを載せております。それは、日本へ帰ったら逮捕されちゃう、こういうようなことでございますが、私は、軍事裁判、軍法会議にかけられるという前提での話がなされているのではないかなというふうに思っております。
 時間の関係で少ししゃべりますけれども、通常、軍事裁判の刑罰につきましては、軍法会議にかなりの裁量が認められているというふうに私ども承知をいたしております。そして、米国政府に対しまして、日本国政府としてもジェンキンス氏に対する寛大な措置というものも要請すべきではないかなというふうに考えているわけでございますが、まず事実関係の把握等々はあるかと思いますが、その点、日本国政府としてどのような姿勢で臨まれるのか、まず御質問させていただきたいというふうに思います。
川口国務大臣 ジェンキンスさんが訪日をするときの扱いにつきましては、今米国側と意見の交換を行っているところでございます。
 ちょっとその具体的な内容については、我が国と北朝鮮との話し合いに及ぼす影響あるいは御本人や関係者の方の御立場もございますので、控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、この件につきましては、御本人そして曽我ひとみさんを初めとする御家族の御希望を踏まえながら検討をしていくことが必要だと考えております。
斉藤(斗)委員 大変慎重を要する課題だというふうには思いますけれども、私が調べる範囲で、軍法会議におきましてはかなり幅のある裁定が下されているということでございます。あるケースでは、下限のない、下のない状況での判例もあるということでございます。いろいろな状況が想定はされますけれども、日本国政府として、寛大なる措置、また情状酌量の余地多分にありということでしっかりと申し入れをしていただきたいというふうに思っているところでございます。
 この件について、総理はアメリカの大統領とじかにいろいろお話しされる、そういうことはお考えではございませんか。
小泉内閣総理大臣 北朝鮮との交渉全体のことについて、拉致の問題とか核や安全保障の問題等については話しますが、個々人の具体的な問題については、現時点で話す考えはございません。
斉藤(斗)委員 北朝鮮には、核兵器開発問題等々、さまざまな問題がまだ横たわっているわけでございます。ただ、私ども身近な問題としては、恐ろしい国が近くにあるんだ、国家的犯罪行為として拉致事件を起こす、そのような国が近くにあるんだということで、国民は不安を隠し切れない状況でございます。
 そこで、国家的犯罪行為を二度と起こさせてはならない、また、そのような阻止に全力で取り組んでいただきたいと思いますが、きょうは、産業再生担当でもあられますが、国家公安委員長として谷垣大臣、お越しでございますので、その決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
谷垣国務大臣 北朝鮮による拉致容疑事件は、国民の生命、身体に危険を及ぼす、治安上も極めて重要な問題であります。
 したがいまして、現在、十件十五名の件に関しましては、全力を挙げて全容を解明するように取り組んでいるところでございますが、これからの再発、こういうのをどう防いでいくかということになりますと、今まで多くの例が沿岸部で起きておりますので、海上保安庁等と連携しながら、そしてまた沿岸住民の御協力も得てパトロール等をやっていく等、全力を挙げて取り組んでおります。また、そのように私も督励をしてまいりたい、こう思っております。
斉藤(斗)委員 時間の関係で、経済問題に入りたいというふうに思います。
 小泉内閣発足後、あらゆる指標が下向きでございます。株価一万四千円が今九千円を割っている状況、五千円も下がった。企業倒産高水準、失業者並びに失業率は増加の一途をたどっているわけでございます。
 私は、この認識につきまして、政府は甘いんだと思っております。現実は大変厳しい状況でございまして、国民の悲鳴、国民の嘆きが聞こえてきているわけでございます。そういう中で、依然として、構造改革なくして景気回復なし、ただそれだけで政策を推進されていらっしゃる今の政府に対しまして、私は疑義を持っているところでございまして、まず総理、この厳しい現状につきましていかが認識されているのか、お聞きしたいというふうに思います。
小泉内閣総理大臣 現在の経済情勢の厳しさというものは、私も認識しているつもりであります。だからこそ改革を進めていかなきゃならぬというわけでありまして、行財政改革、あるいは税制改革、規制改革、金融システムの改革、歳出の見直し、こういうものを進めていかない限り、私は、どのような手当てをしても望むような景気回復はないと思っております。そういうことから、改革なくして成長なし、この路線は微動だにいたしません。
斉藤(斗)委員 総理、確かに構造改革、あらゆる面での必要性は認めますが、景気対策も一つの軸足としてしっかり置かにゃいかぬというふうに思いますよ。その中で、財政改革の優先順位というものをもう一度見直す時期に来ているのではないかなと私は思っているわけですよ。
 補正予算をつくるということで、これは、みずからの当初の方針を変えられましたね。私は、結構なことだというふうに思っています。ただ、小ぶりじゃ困るよということもしっかりと注文をしていきたいというふうに思っているわけでございます。
 この補正予算につきましては、歳入の不足というところからスタートしているのも一つの理由でございます。平成十四年度税収見込み、これが二兆七千から八千億不足するということで認識をしております。平成十三年度、これはもう終わりましたけれども、当初見積もり比較におきましても二兆七千六百四十四億不足しているんですよ。
 経済計画を立てる、予算をつくる、その中の一番大事な歳入部分でこんなにも不足を生じさせる、これは経済政策の欠陥じゃないですか。だからこそ、補正も組まにゃならぬし、そして、景気対策の刺激的な予算組みも必要としているというふうに思っておりますが、塩川大臣、よろしくお願いします。
塩川国務大臣 さっきお尋ねがございましたように、税収不足が二兆七千億円ぐらいになるということでございますが、この理由につきまして、我々、決して言いわけをするわけじゃございませんですが、十四年度予算を編成いたします前に、その前年度から十四年度経済の見通しを立てるわけでございます。その立てましたときには、十三年の秋でございまして、その当時の経済情勢と現在とは相当変わってきたということでございますが、その十三年秋のときの経済見通しをもとにして十四年度経済の見通しを立てましたときに、一兆七千億円の税収不足が出るということは予想できなかったのであります。
 ところが、十四年度になりましてから、十三年度から引き続いた、アメリカを中心とした経済のいわば不況化と、さらにあわせて、九月の十一日に起こりました不祥事件等、テロ事件等ございまして、経済が一時的にしろ急激に下落いたしました。これが企業収益に非常に大きく加速いたしまして、十三年度から積み増してきたところの一兆七千億にプラスして、さらに五千億円ほどの還付請求が出てくるであろうということが見通しされるようになってまいりました。そこへもってきて、さらに、景気の不景気のときでございますので、他の税収においても二、三千億円、それから、税の未納額が若干例年よりふえてまいりました。それ等を勘案いたしまして、二兆七千億円ぐらいになるであろうと思っておりますが、これにつきましても極力圧縮していけるように、見直しを十分にしてまいりたいと思っております。
斉藤(斗)委員 税収が減ることに対してストップをかけ、また税収を上げていくという経済政策が今求められているんじゃないかなと私は思いますよ。
 雇用問題にしたってそうです。高校生の就職が三割程度しか決まっていないんですね。子供たちに未来がないじゃないですか。希望がないじゃないですか。
 坂口大臣は、雇用の担当でいらっしゃいます。失業のセーフティーネットの担当でもございます。私は、今の雇用状況を見ますと、こんなに不安におののいている状況じゃないんだと思う。したがいまして、大臣の方から、これはやはり転換すべき時期に来ているんじゃないか、そんな気持ちがあってしかるべきだというふうに思いますよ。座して失業を待っていていいのか。
 坂口大臣に、雇用問題そして経済への刺激への転換ということを私はぜひともお聞きしたいと思うんですが、いかがでございますか。
坂口国務大臣 激励の言葉をいただきまして、まことにありがとうございます。
 経済産業省の方の経済再生と産業再生、そして私の方の雇用対策、この車の両輪でしっかりやっていかなければならないというふうに思っております。それに対します財源は当然必要でございまして、必要な財源は求めたいというふうに思っておりますが、しかし、これも限界のある話でございますので、できる限り効率的にこの雇用対策が進められるように努力をしたいというふうに思っているところでございます。
 御趣旨は十分尊重させていただきまして、頑張りたいと思っております。
斉藤(斗)委員 ここで補正予算を組んでいくわけでございますが、伝えられるところ、公共投資、これは都市再生やリサイクル等々に一兆五千億、それからセーフティーネット関係で一兆五千億、こういったものが柱になるというふうに聞いておりますが、私は、これではちょっと少ないんじゃないかというふうに思っております。
 ちょうどマスコミ報道を見ておりましたら、平沼大臣は、この公共事業についても一兆五千億じゃ少ないんじゃないかということをおっしゃっていらっしゃる。私もそのとおりだと思う。
 というのは、公共投資はやはり二兆円ないとプラス的な効果が発し切れないんだというふうに思います。一兆五千億程度ではマイナスのままだというふうに、私のシンクタンク等々からの情報収集、計算によりますとなってくるわけでありますが、平沼大臣、もう少し大規模な公共投資等々が必要なんじゃないでしょうか。お答えいただきたいというふうに思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 私は、公共事業ということよりもむしろ、中小企業に対するセーフティーネットの補正予算、これは、私も閣内におりますから、その一・五兆円の枠内ででき得る限り努力をして実効が上がるようにいたします。
 しかし、いわゆる中小企業の、これから不良債権処理が進みますと、なかなか厳しい局面になってきます。そうなってまいりますと、やはり、今このセーフティーネット部分では、平成十三年度は六千億の赤字でございますし、十四年度も確実に六千億の赤字が出ます。そういう中で全力を尽くしてやってまいりますけれども、しかし、さらに加速が進んで厳しい状況になった場合には、総理がいつも言っておられますけれども、大胆かつ柔軟に対応する、そういうことで私は申し上げておりまして、私は、公共事業ということでそれを特化して申し上げたことはございません。
 ただ、セーフティーネットだけではなくて、やはりマクロ的なそういう経済対策を車の両輪としてやるべきではないかなという、一政治家としてそういう私見は申し述べたことはございます。
斉藤(斗)委員 追加的公共投資ということで、ぜひとも二兆円を超える予算規模でやるべきだということを私は申し上げておきたいというふうに思います。
 総理は、財政改革ということ、財政の安定化へ向かいたいというそのお気持ちはよくわかるんですが、大事なのは、財政赤字を減らすと金利が下がるということ、それが投資の増加につながっていくという一つの原則があるんですが、これだけ金利が下がって、実質ゼロですよね、そのときに、財政赤字をさらに減らすために財政再建を急ぎ緊縮財政でいくということについては、私は今、時期を得ていないのではないかと思っているんですよ。財政の出動をして積極的に政策を展開していくということが今求められている。いい政策でも、タイミングが悪い、時期を逸した場合は悪い政策になっちゃうんですよ。そういう意味では、総理がおっしゃっている財政改革を優先させるというのは、今のタイミングに合っていないと私は思っておりますので、ぜひともその点、御再考のほどお願いを申し上げたいわけでございます。
 総理は、五十兆税収、八十兆歳出、したがって国債発行三十兆だ、大くくりの数字でこういうことをいつもおっしゃられているわけですね。しかし、先ほど、税収見込みが大幅に減ったように、私は平成十五年度の税収が四十五兆円ぐらいしかないんだというふうに思います。そういう点から見ますと、総理の大前提が崩れてきている、根拠が崩れてきているわけですよ。それは逆に、景気重点への、また景気回復への力点を置きなさい、軸足をそっちにずらしなさい、こういうことを示唆していることなんだというふうに思います。
 平成十五年度予算編成におきましても、思い切って新たな目標を設定されるというふうに期待をいたしておるわけでありますが、総理、依然としてその姿勢は崩されていかれないんですか。私は崩した方がいいというふうに思っていますが、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 私が財政改革を急いでいるなんというのは、全く見当違いだと思います。財政改革、十年かけてじっくりやろうというんですよ。だから、二〇一〇年代にプライマリーバランスを黒字にしようと、極めて穏やかな、現在の経済状況も考えながら言っているわけです。
 しかも、小泉内閣は緊縮路線をとっているなんというのは、これも甚だしい見当違いで、今言ったように、五十兆円も税収がないのに三十兆円枠を設定したときも、前年度に比べて、国債発行をふやしているんですよ。減らしているんじゃないですよ。
 斉藤議員の言うことは、もっとじゃんじゃんふやせということですけれども、それは将来の財政規律ということを考えて、余りにも若い世代とか将来にツケを回すというのは無責任じゃないかということを言っているのであって、どの世界を見ても、このような税収状況で、今私のとっている財政政策が緊縮路線なんというのはとんでもない見当間違いだ。いろいろな行財政改革、歳出改革、規制改革、そういう点を進めていかない限り、財政が破綻するのは目に見えている。財政のために経済があるわけじゃない、それは当然だろう。しかし、財政破綻して経済が発展する国は、どこの国もあり得ません。その点もよく考えなきゃいかぬ。
 ですから、私の構造改革なくして成長なし、現実を見ながら、極めて細い道だけれども、今の改革路線しか日本が持続的な経済成長をする道はないと思ってやっているわけですよ。このまま、今苦しいからもっと国債発行をして、もっと事業をばんばんやれということは、日本の当面の一時的なびほう策にはなっても、持続可能な経済成長路線には結びつかない。だから、当面は低成長、ゼロ成長でもあえて我慢して、やるべき改革をするべきだと言っているんです。
斉藤(斗)委員 総理、しかし、世論調査をごらんいただいていると思いますよ。真っ先にやってもらいたいもの、景気対策、雇用対策、これが圧倒的ですよ。そして、随分差があって財政の健全化、不良債権の処理というのは下位、二〇ポイントぐらい間があるんですね。そういう点では、国民が今悲鳴を上げている、本当に苦しい状況にあるんだということをぜひ御理解をいただきたい。
 そして、総理はイチロー選手にお会いになっていますよね。イチロー選手のバッティング、左足から右足へ、振り子打法なんですよ。軸が二つあるんですよ。総理のように一つだけというのではなくて、もう構造改革だけというのではなくて。ですから、振り子打法でイチロー選手のように柔軟的に対応してもらうということが、世界のトッププレーヤーになっていくんじゃないかなというふうに思いますよ。純一郎さん、イチローさんに負けないように、振り子打法もしっかり見習ってくださいよ。
 時間がなくなっちゃったので、最後に、総理にこの句を贈りたいと思うんですよ。
 これは仁徳天皇のお歌なんですけれども、即位をされて即高殿へ上りまして、そして国民の生活を見たわけですよ。かまどから煙が上がっていないので、ああ、これは貧しいんだな、不況なんだなということで、三年間租税を免じる措置をとった。三年後、再びその同じ高殿に上がりまして、そして生活を見ましたら、国民の間では炊飯の煙が立ち上って、民衆の暮らしがよくなったといって喜んで歌われた歌でございます。
  たかき屋にのぼりてみれば煙たつたみのかまどはにぎはひにけり
にぎわせてくださるよう、ぜひ御指導いただきまして、大変簡単ですが、私の時間が参りましたので、質問にかえます。
藤井委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
 総理におかれましては、経済運営につきまして日ごろから、大胆かつ柔軟にということを言い続けられてきたわけでございますけれども、その柔軟さを大いに発揮していただいて補正予算の編成を決断された、このことについては高く評価するものでございます。
 ただしかし、規模については、現行の厳しい経済状況を考えますと、決して大胆とは言いがたいんじゃないか、このように思うわけでございまして、ただ、方針が決められたところでございますから、今後、中身が大変重要なのではないかと思います。
 経済対策の第二弾は先行減税じゃないか、こう思うわけでございます。ぜひ、これは大胆にやっていただきたい。この補正について、これで本当に十分なのか、またこの先行減税の規模について、最初に総理のお考えをお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 先行減税については、十五年度の税制改革の中で考えたいということを以前から申し上げておりました。その考えに今も変わりないわけでありますが、今後、具体的にどういう項目に増税をし、どういう項目に減税をしようかというのが出てくると思います。
 その中で、私は、十五年度税制改革でありますが、その中で先行減税、これはあり得べし、しかも一兆円を超える、でき得る限りの規模で考えてほしい。なおかつ、今までだと単年度収支でやっていたわけでありますが、一年で例えば一兆円減税すると、同時に一兆円増税しなきゃいかぬということでありますが、その点につきましては、現在の景気情勢を考えながら、単年度にはこだわらない、多年度で考えて結構だ、そういうことであるべき税制を考えてほしいということで、今議論が進んでおりますので、年末までには決着すると思いますので、当面その議論を見守っていきたいと思います。
井上(義)委員 減税の規模につきましては、一兆円を超えるということでございましたけれども、少なくとも二兆円を超える規模をぜひ検討していただきたい、こう思います。
 今、多年度税収中立というお話がございました。この足元の景気が極めて厳しい中で、将来の増税について、時期、内容を明記することについてはどうなのか。仮に五年で多年度税収中立ということになりますと、これは先行減税をどのくらいの規模でやるかということにも関係するわけでございますけれども、先行減税を大幅でやったら、三年目ぐらいからこれはもう大幅増税ということになってしまうわけでございまして、これでは景気対策としての効果が相殺されるのではないか、こう思うわけでございます。
 経済は生き物でありますし、そのときの経済状況はわからない中で増税を自動的にスタートさせてしまうということで本当によいのか。多年度税収中立の考え方につきましては、財政規律という観点では決して理解できないわけではないわけでございますけれども、やはり工夫が必要なんじゃないか。
 例えば将来の財源について、増税だけではなくて、例えば経済活性化による税収の自然増や、歳出削減で浮いた財源を先行減税の穴埋めに回すという法もあるわけでございまして、私は、柔軟に対応すべきではないか、こう思うわけでございますが、この点、総理、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 柔軟に対応するということでございますけれども、実は、多年度税収中立という考えの中に、井上さんのおっしゃるようないわゆる柔軟性というものを含んでまいりたいと思っております。
 要するに、減税は確かに先行いたしますけれども、増税の方は法の整備がございまして、実施時期にいたしまして十六年度からの実施ということになってくる。そして、それが実効をおさめてくるのは十七年度以降になってくる部分も多少出てくるように思っております。例えば、消費税の免税点の改正をいたしたいと思っておりますが、こういうのにいたしましても、消費者が実施をされるようになりますのは十七年度になってくる。十七年度からは制度改正はいたしますけれども、そういうふうな時間のずれがございまして、そこで増財源の調整はある程度やっていきたいと思っております。
井上(義)委員 多年度税収中立ということでプラス・マイナス・ゼロということじゃなくて、必ずしも増税によらない、例えば、景気がよくなるわけですから、その分税収がふえるわけですから、あるいは、財政支出の削減ということも当然考えられるわけですし、そこの辺はぜひ柔軟に考えてもらいたいという趣旨でございますので、よろしくお願いいたします。
 税制に関連して、今、資産デフレ、これがもう極めて深刻でございます。
 財務大臣に、一つは土地の流動化、有効利用というものを促進するための流通課税、登録免許税とか不動産取得税ですけれども、この抜本的な見直しを図るべきじゃないかというのが一つでございます。
 それからもう一つは、現在検討中の相続税、贈与税の一体化の新しい制度でございますけれども、これは、住宅に限らず、生前贈与がしやすいという方式になるんですけれども、対象が限定的であるとか、本当に使いやすいものになるのかどうかという、いろいろ問題がございます。私は、この制度とは別に、既存の住宅取得資金の贈与に係る贈与税の特例措置、現行の五分五乗方式で五百五十万ということになっているんですけれども、これは非常に実績もございます。使いやすいということで、住宅取得、特に景気対策に非常に大きな効果を発揮しておりまして、これはこれでしっかり拡充をして、この一体方式と選択制にすべきじゃないか、こういうふうに思いますけれども、この二点につきまして。
塩川国務大臣 まず、お尋ねの証券税制でございますけれども、これは、今度は思い切って制度的に変えたい、また、税率も負担を軽減いたしたいと思っております。
 それで、それでは構造的にどう変えるのかということでございますが、とにかく税務署に呼ばれるのが嫌なんですね。ですから、税務署に呼ばれぬでもいいように源泉で徴収するような格好にいたしますけれども、しかし、やはり申告制は維持していくということでございまして、これを併用いたします。
 それではどうするのか。一年に一遍申告しますが、その申告は分離したような形でして、その手続等は全部証券会社の方でできるようにして、本人が直接税務署と交渉せぬでもいいような措置を講じたいと思っておりまして、そういう体系をいたしたいと思っております。それで、税率も、いわば資産、キャピタルゲインとそれから配当と一律に一緒にした税率にして軽減したいと思っております。
 それから、不動産のことをおっしゃいました。これはまさに、株は動いても不動産が動かないとやはりいけない、いびつになってくるので、これを動きやすいように、不動産取得税、これは地方税でございますけれども、今協議をして、同調していただくようにして勉強しております。
 それからもう一つは、登録免許税、これも大幅にひとつ軽減するようにして、不動産が動くような体制を税の面からとっていきたい。
 それから、住宅取得税でございますけれども、この点につきましていろいろ考えておりまして、また、これと贈与税との関係等もございますので、仰せのように、できるだけ御期待に沿うような軽減措置を講じて、実効あるなという姿にいたしたいと思っております。
井上(義)委員 今回の補正予算で、一・五兆円がセーフティーネット、一・五兆円が構造改革推進型公共事業、こういう配分になっているわけでございますけれども、特にこのセーフティーネットについては十分な財源措置をしていただきたい。本来、義務的経費である特別保証に係る国の負担分の未措置分とか、あるいは雇用保険の必要な資金を確保するための経費とか、こういったものは本来義務的経費で計上すべきものだと思うんですけれども、これがセーフティーネットに食い込んできますとその分だけ減りますから、その辺については、ぜひ財務大臣、よく検討していただきたいと思います。
 このセーフティーネットにつきまして、特に中小企業対策でございますけれども、不良債権処理の加速化によりまして、この三年間、中小企業への影響は非常に大きいと考えられるわけでございます。特に、貸し渋りとか貸しはがしが今後さらに拡大するのではないかと懸念されます。
 中小企業は総事業所数の九九・七%を占めますし、働く人の約七割が勤務しているということで、日本経済の屋台骨と言っても過言ではないのではないか。中小企業の活性化なくして日本経済の再生はなし、こういう強い認識で我が党も中小企業対策に取り組んできたわけでございますけれども、私は、一つは中小企業の再生、それから二つ目が政策金融の強化、それから三つ目、税制改革、こういうものを総合的なパッケージとして中小企業対策を積極的に講じていくということが日本経済再生のかぎである、こう考えておるわけでございまして、例えば、中小企業の再生については、RCCの信託機能を活用して、清算ではなくて再生につながるような方向でこれを活用する。これは産業再生機構が検討されておりますけれども、動き出すためには非常に時間がかかるわけでございまして、これも企業再生を進める上で極めて重要だと思いますし、それから政策金融という面では、このセーフティーネット保証あるいは貸し付け、これをしっかり充実していく必要がある。特に、不良債権の処理の加速化によりまして信用収縮が予想されますから、それを政策金融でカバーすることが大事だと思います。
 それから、税制改正に関して言いますと、一つは事業承継、これは、将来に対する不安というものを払拭するためにもこの拡充がぜひとも必要だと思いますし、それから、これまでも懸案になっています同族会社の留保金課税でございますけれども、自己資本の強化、あるいは新規事業創出という観点からも、ぜひこれは廃止すべきではないかというふうに思うわけでございます。
 こういった点につきまして、中小企業に対するバックアップ体制、これをどのように考えていらっしゃるか、経済産業大臣にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 井上先生にお答えさせていただきます。
 御指摘のとおり、今、中小企業は日本に約五百万社ございまして、これが全体企業の九九・七、そのとおりでございます。まさに屋台骨を支えていただいていると言っても過言じゃありません。
 そういう中で、今回の補正というのは、セーフティーネット回りは雇用を含めて一・五兆、極めて限られた金額であります。その中で、御指摘のありましたセーフティーネットの保証、貸し付け、私どもは、これは先月の二十二日、総理から御指示をいただいて、二十七日から財務省と協議に入っております。
 そういう中で、セーフティーネットの保証、貸し付けについては、これは万全を、厳しい中ですけれどもやっていかなきゃいかぬと思っておりますし、それから、ちょっと御指摘がございましたけれども、信用補完の財務基盤の確立もこの際あわせてやっておかなきゃいかぬということで、ここにも力を入れなきゃいかぬと思っております。
 それからさらに、これは雇用とは関連をするわけですけれども、新規の創業でございますとか、あるいは企業が意欲を持って研究開発投資ができる、そういった環境をつくるためにも、この補正予算を活用させていただいて万全を尽くしていきたいと思っています。
 それから、再生のお話がございました。これは、不良債権の処理が進んでまいりますとそういう話が当然出てくるわけです。中小企業、ここもきめ細かく対応しなきゃいけませんので、私どもとしては地域に窓口を設置したいと思っております。これは、いわゆる中小企業の再生の地域のそういう窓口機構というものを設けまして、当初は全国に二十五カ所ぐらい設けて、実際にここに専門家を置いてきめ細かく事情を聞いて、そして、やる気と能力のある中小企業、この再生に対応していく。もちろんRCC等ともタイアップすることに相なると思いますけれども、そういったことで、限られた補正予算ですけれども、全力を尽くしていきたいと思っています。
 税制に関しては、これは財務大臣からの御答弁があるんじゃないかと思いますけれども、私は、井上先生がおっしゃったことには賛成でございます。
 以上であります。
塩川国務大臣 税制の面からいきましても、中小企業対策というのはいろいろと提案がございまして、現在、検討せよということで検討しております大きい問題は、中小零細企業に行われておりますところの内部留保の問題がございますね。ああいうようなものも、ひとつ中小企業の継承税制の問題とあわせて考えてみたらどうだろうということを言われておりますし、また、中小企業が営業活動をするのに、例えば交際費をもう少し有利に使えないだろうかという問題等も、公明党の方からもきつい提案がございますので、私たちも検討しろということでやっておりまして、そういう点でもって中小企業の活性化というものを税制の面からも取り上げて、積極的に推進してまいりたいと思っております。
井上(義)委員 それから、セーフティーネットのもう一つの柱であります雇用の問題でございますけれども、この不良債権の処理の加速化で三十万人強の失業者が出るんじゃないか、こう言われているわけでございます。雇用のセーフティーネットの拡充は不可避だというふうに思うわけです。
 この雇用対策には再就職支援と雇用創出の両方の対策が必要だと思いますけれども、雇用創出という面では、第一次補正で実施をいたしました緊急地域雇用創出特別交付金事業、これは各地でさまざまな取り組みが行われておりまして、大変効果を発揮していると思います。この基金を前倒し執行できるように補正予算で積み増しをしてはどうか、また、自治体の主体性を踏まえた運用の緩和も必要ではないかというふうに思うわけでございます。
 その他、民間企業の雇用の後押しについても具体策が必要だと思います。
 これらの点について、厚生労働大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 今お話にございましたように、雇用対策につきましては、この十四年度の予算の中に組んでいただいてありますものをまず優先的に使用をし、そして補正予算をさらにそれに追加をしていただくという二段構えで今やっているところでございます。
 その十四年度の予算の中にありますものの中で、今御指摘になりました緊急地域雇用創出特別交付金、これも前倒しでお使いをいただけるようにするというので、今この提案をしているところでございます。市町村には、十五年度分と十六年度分の二千億円が既に交付をしてございますので、それは十五年、十六年でお使いをいただくことになっておりますが、それをひとつ前倒しでお使いをいただいていいということにしたい。また、使い方につきましても、できる限り柔軟に使っていただけるようにするということにしたいというふうに思っております。
 もう一つ、緊急雇用創出特別基金、よく似た名前でございますけれども、この基金の方のお金が三百億円ほどございますので、この基金を使いまして、そして新しい雇用の創出、あるいはまた失業されました皆さん方に対しましてその基金を使いたい、こういうふうに思っておりまして、今それを十二月にはスタートさせていただきたいと思っております。
井上(義)委員 最後になりますけれども、拉致被害者支援法、これが議員立法で成立の運びとなりましたけれども、政府としても、被害者の方々の支援に万全を期していただきたい、こう要望しておきます。また、被害者の方々の家族の一日も早い帰国、その他、行方不明者の方々の安否の確認、事件の全容解明に向けて、政府としても一層の努力を払っていただきたいということをまず要望しておきたいと思います。
 それからもう一点、一九五九年から八四年にかけて、在日朝鮮人とその家族約九万三千人が北朝鮮に、いわゆる帰国事業として渡られました。その中には、千八百人の日本人妻を初め、その家族など六千人の日本人が含まれております。その人たちの北朝鮮における悲惨な実態あるいは深刻な人権侵害の状況というものが、いわゆる北朝鮮を脱出した脱北者の方々の証言や一部専門家の指摘、マスコミの報道などによって明らかになってきております。
 帰国事業につきましては、初期の段階で、厚生省を中心に政府もかかわっており、自治体も関与しております。また、一部の政党、団体が主体的に推進してきたことも事実であり、その責任は極めて重い、このように思う次第でございます。国として、これからの交渉の過程で、それらの方々の安否を確認すると同時に、人権侵害の事実が明らかになりつつあるわけでございますから、人権救済の手だてというものを講じていくべきではないか、このように思うわけでございます。
 また、いわゆる脱北者につきましても、伝えられる北朝鮮の国内事情というものを勘案いたしますと、ただ単に食糧難から逃れてきたという認識だけではなくて、人道上の難民問題として、中国を初め関係国と積極的に協議をすべき段階に来ているのではないか、このように思うわけでございますけれども、御見解をお伺いしたい、こう思います。
川口国務大臣 日本から北朝鮮に渡った人たち、その日本人の配偶者の方がいらっしゃって、千八百人という数字がございます。この方々が、報道ではいろいろな報道がございますけれども、北朝鮮に渡った後どういう状況にあるか、現在何人ぐらいの方がいらっしゃるかということについては、これは日本赤十字の会談等で問い合わせをいたしておりますけれども、今の時点ではまだはっきりとした返事がない、わからないということでございます。
 委員おっしゃいましたように、この人たちについては、政府としては、人道上の観点から非常に大きな関心を持っております。この方々の安否の調査、これについては引き続き赤十字と、あるいは正常化交渉の場でやっていきたいというふうに思いますし、また、日本に帰国を、一時帰国というのもございますけれども、そういった形で帰ってくるといったような働きかけを引き続き行いたいと思います。
 それから、脱北者の難民との関係でございますけれども、脱北者が、条約上でいいますと難民であるかどうかということはなかなか難しい部分がございます。経済的、あるいは食糧がなくて中国に渡る人、あるいは難民と言われる人たちもいるかもしれません。いずれにいたしましても、委員がおっしゃいますように、そういう人たちについて、我が国だけではなくて、やはり国際的な場で話し合っていくという努力が必要だと政府としても思っております。
井上(義)委員 以上で終わります。
藤井委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上喜一君。
井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。
 私は、平成十五年度の予算案の編成に関連をして質問をいたしたいと思うんです。
 先般、本年度の補正予算をするということで、その作業が進んでおりますけれども、いよいよ年末を控えまして、来年度の予算案を決めるという時期になってきたのでありますけれども、最近のように大変難しい経済状況の中でありますから、経済見通しをきっちりと立てまして、それに応じました予算編成をしていくということが例年以上に大切なことじゃないかと私自身考えているわけでございます。
 そこで、まず竹中大臣にお伺いしたいんですが、二点でありますが、一つは来年度の経済見通しでございます。公式には、いずれ予算編成の前に経済見通しをきちんとしまして、それで明らかにするということだと思うのでありますけれども、私的なお考えでも結構でありますので、来年度の経済見通しをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 今巷間言われておりますのは、輸出の方がどうも増加のテンポが落ちてきているとか、あるいは国内生産の増勢がこれまた鈍化をしてきているとか、あるいは失業率が高いとか、あるいは不良債権の処理が進むとそういう影響も出てくるだろうということですね。あるいは、イラク情勢なんかに関連いたしまして、国際情勢もこれまた大変微妙な状況にあると私は思います。
 そんなことで、なかなか見通しが不透明だと言う方が多い一方で、経済活動というのはどうも停滞していくんじゃないか、あるいは今の横ばいぐらいじゃないかと、こんなことを言われる方もあるのでありますけれども、率直に大臣のお考えをお伺いしたい、これが一点です。
 二点目は、現在の株価につきましてどんなお考えをお持ちなのか。金融株を中心にして大変株価が低落をしている、こういう状況だと思うんでありますが、これについてのお考えですね。どのように今評価をしておられるのか。あるいは、来年度の株価の見通しについてどのようなお考えを持っておられるのか。以上二点につきましてお伺いいたします。
竹中国務大臣 いずれも、大変不透明な状況下で経済をどのように見ていくかという基本的な御質問だと存じます。
 まず、経済の状況をどのように見るか、来年度にかけて。
 御承知のように、ことし四―六、ことし七―九のGDP統計は、実は、年率換算しますと四%成長、三%成長ということで、これはむしろ予想より少し高い数字が出たというのが事実でございます。しかしながら、景気の持ち直しのテンポは明らかに緩やかになっている。それは、御指摘のとおり、輸出の鈍化、それに基づく生産の動きの鈍化ということにあらわれているというふうに思っております。
 したがって、現時点で来年度経済を見るに当たりましては、もともと例のシーリングのとき等々と見方を基本的に変えているわけではございませんが、やはり幾つかの不確実要因が高まっている、そのような見方をしていくべきではないかと思います。基本的には緩やかな回復というものを視線に置いているわけでありますけれども、それに対して、御指摘のアメリカの軍事行動、さらには不良債権問題等々の影響、そういった不確実性が高まっている、そのような認識をしている次第でございます。
 その中で、株価をどのように評価するか。これまた株価のマーケットの動向について個別にどうこう申し上げる立場ではございませんのですけれども、日本の株価全体がやはり世界的な株価の下押し圧力に非常に大きな影響を受けている。これは、年初からの株価の変化を見ますと、ことしの最初からだけを見ますと、むしろ日本よりもはるかにドイツ等ヨーロッパの方の株の方が下げているという状況になっておりますから、世界の中の動きに非常に大きく影響を受けているというのが現状であろうかと思います。
 ただし、来年度につきましては、株価そのものは、やはり企業収益に非常に大きく影響される。企業収益そのものは、リストラ効果等々で、さらには来年度、先行減税の効果、それが法人の税負担を下げるという効果等々もある程度見込めるとするならば、それはそれなりにプラス要因に働くというふうに考えている次第でございます。
井上(喜)委員 いずれにいたしましても、的確に予想をしていただきまして、予算編成に落ち度のないようにしていただきたいと思います。
 次に、税のことでありますけれども、減税を先行しまして、多年度税収中立ということが言われておりますね。減税するだけではなしに、後、景気が持ち直せば増税も考えていくということでありまして、言ってみれば、今の経済情勢からいって常識的なお考えじゃないかと私は思うのでありますけれども、大体どれぐらいの期間で減税と増収がおおむねバランスするというぐあいに考えておられるのかということ、これはいかがでございますか。
塩川国務大臣 大体五年ぐらいをめどにしておりまして、その間に若干の経済成長が期待されるわけでございますけれども、今回のいわば多年度税収中立の考えの中には、五年ぐらいのことでございますので、経済成長によるところの増収の期待というものを余り織り込まないようにして健全性を保ちたいと思って計算の基礎にいたしております。
井上(喜)委員 五年ぐらいとなると、多少期間が短くありませんか。減税をして経済に元気をつけようということでありまして、ある程度それが軌道に乗ってくれば増税ということでありますので、そういうようなことを考えますと、五年間というのは少し短いんじゃないかというように思うんですが、その点いかがでございますか。
塩川国務大臣 五年間を一応めどにしておりますけれども、法律の制度上からいきまして、例えば、試験研究費あるいは設備投資に対する減税の措置とかいうのは、いわば恒久的減税になってくると思っておりまして、その点を見ましたら、減税の効果というものは大いに期待してもらえるんではないかと思っております。
 部分的に制限いたしますのは、証券税制であるとか、あるいは一部所得税の控除について制限をいたしておりますけれども、この五カ年間における税収中立の計算の仕方の中では、五年たって総計してみてどのぐらい違ってくるだろうかという計算で、随分ずさんなものになるとは思いますけれども、精密なものは出てまいりませんが、大体それをセットしておりますけれども、制度的には恒久減税的な法律の趣旨になってくるということでございます。
 でございますから、当然、五年ぐらいたったときには、その間においてどうせ国会でいろいろと動きがあって、それによるところの税制の改正というものを考えなきゃいけないんではないかなということをしておりますが、とりあえず五年をめどにしておるということは申し上げたいと思います。
井上(喜)委員 減税の規模でありますけれども、総理は一兆円を超すということを言われているんですね。自民党の山崎幹事長は一兆五千億だというような話をしておられるんでありますけれども、総理、これはもうちょっと踏み込んで、本当には大体どれぐらい、まあ、大体二兆円に近くいくのか、今のところの心境をひとつお聞かせいただきたいんです。
小泉内閣総理大臣 与党も野党も似ていると思うんですが、減税の方針を出すと、それは多ければ多いほどいいと。私は、一兆円を超えるできる限りの規模と言っているわけです。方針を示しましたから、今、一兆円を超えるどの程度かという議論が始まっているわけでありまして、議論の推移を見て、全体を見て、あるべき判断をしたいと思います。
 万機公論に決すべし、独断専行を排す、これを心がけております。
井上(喜)委員 ちょっと中途半端な時間になりましたので、あとの質問をいたしますと時間がオーバーするようでありますので、ここら辺で終わります。
藤井委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。
 次に、海江田万里君。
海江田委員 民主党の海江田でございます。
 限られた時間ではございますが、総理以下各大臣に質問をさせていただきます。
 まず、先ほど来補正予算の話が与党側の委員から出ておりますが、これは、きょうはテレビ中継もあるわけでございますが、テレビをごらんになっている方が間違えてはいけませんが、これは、今の国会で補正予算を議論して、そして成立をさせようという話では全くありませんで、年が明けてから、一月のいつになるかわかりませんけれども、恐らく二十日以降に国会を召集して、そこに政府が補正予算案を出して、そしてそれを審議して決めようという話でありまして、私どもは、やはりこの予算委員会、今、国会もまだ二週間ぐらい残っているわけでございますから、今のこの喫緊の経済状態を考えれば、これは当然のことながらこの国会に補正予算を出してこなければいけないということを言っておるわけでございまして、特にこの点では、野党四党が共同しまして、先日その中身について取りまとめをしたところでございます。
 詳しくはこの後お話をさせていただきますが、私の同僚議員であります五十嵐議員が、たしか去年の予算委員会だったと思いますけれども、ウナギのかば焼きで、かば焼き本体はいつまでも出てこなくて、においばかりかがせているじゃないかというお話がありましたけれども、まさに今回がその例えのとおりでありまして、国民に対して、本当に腹のすいた国民に対して、それこそにおいだけかがせておって一向にウナギが出てこない、これが今の状況ではないかと思うんですが、なぜ総理、ことしの補正予算を今組みませんで、来年に先送りをしたんですか。
 ちなみに、去年は十一月の時点で、十一月の九日に閣議決定をしまして、十一月の十六日に補正予算を通しているんですよ。しかもそれは、雇用と失業の問題とそれから中小企業対策という、まさにセーフティーネットのところの補正予算。およそ三兆円の規模でございますが、三兆円が若干欠けますけれども、やはり経済の情勢が大変厳しくて、そういう補正予算、提出をしているわけですよ。
 ことしはなぜこの国会に提出をされないのか、なぜ来年に先送りをしたのか、まずその点からお答えをいただきたい。これは総理でございます。
小泉内閣総理大臣 税収が、見込みの出るまではどういう状況になるかわからないということで、今回、税収動向を見てから補正予算の組む、組まないを決めようということを前から決めておりました。そして、税収動向が出てきましたので、これは二兆円以上の税収減になるであろうということになりますと、必然的に補正予算を組まざるを得ません。
 さらに、雇用の状況も厳しいことから、この雇用対策をどうしようかという問題が出てきます。そして不良債権処理、これを進めていくと、これまた中小企業等、あるいは雇用等、必要な手当ても打たなきゃならないという点を考えれば、今国会に準備を進めて、来年の通常国会に、冒頭に出せばいいのじゃないかということで判断したわけであります。
 そして、ことしは四―六、七―九の経済状況はプラスで、統計上の数字を見ますと、予想よりも上回っているんです。そういう中で輸出が伸び悩んでおりますが、そのほかの面については好転しているところもあります。これがV字型回復に導くものとは限りませんが、緩やかな回復傾向にあるといっても楽観はできない、厳しい状況であるということから総合対応策を詰めるということでありますので、必要な手当ては来年の通常国会冒頭に出す補正予算でいいだろうと。そして今月、来年度予算編成が始まりますが、この補正の手当てと、それから十五年度予算編成、こういう編成の中で必要な対策を打っていこうということでありますので、今国会に補正予算を提出する必要はないと判断したわけであります。
海江田委員 幾つか理由をお述べになりましたけれども、一つは、税収の見定めがはっきりするまでということでございますが、では、もし仮に、その税収の落ち込みがなければ、これは補正予算、組まなかったんですか、どうなんですか。
小泉内閣総理大臣 これは、税収が順調だといったら組まなくてよかったでしょうね。
海江田委員 これは私はびっくりしましたね。
 ということは、今度のこの補正予算というのは、基本的に税収の落ち込みに対する補てんとして考えているんですよということですね、これは。
小泉内閣総理大臣 これは、税収がどの程度ふえてくるかによっても変わってくると思います。さらに、これは雇用情勢というものも見なきゃならないし、不良債権の処理の進展ぐあいも見なきゃならない。税収が順調に、思うように上がってくれば、これは景気がいいわけですから、それは補正を組む状況にはならないのじゃないかということでもありますので、今回、税収が予想以上に落ち込んだということを考えながら、補正予算を組む決断をしたわけであります。
海江田委員 今、当初の税収の見込みに合えば景気がいいなんということをおっしゃいましたけれども、これはとんでもない認識違いでありまして、総理は、ことしの予算はまさに総理がつくった予算でありまして、しかもこれは構造改革の最中だから痛みの伴う時期でありまして、これは大変厳しい税収の見込みも見積もっているわけでありまして、その厳しく見積もった、しかもぎりぎりのところで、成長率のプラスになるかマイナスになるか、ぎりぎりのところで見積もった予算であるから、そこが一〇〇%仮に、もちろんそこよりさらに落ち込んだわけですから、これは当然のことながら税収不足が起きたわけでございますが、よしんば当初の見込みのとおりに税収が確保されたからといって、それは、とてもじゃありませんけれども、景気がいいなんというような話には到底ならないんですよ。その点はいかがですか。
小泉内閣総理大臣 それは、税収状況が見込みどおりいっているという状況を見なければわかりません。それは仮定の議論ですよ。状況がよかったら順調にいっているという面も出てくるんですよ。なかったから打つんです。仮定の議論を言ったってしようがないですよ。
海江田委員 いやいや、仮定の議論じゃない。よく聞いてくださいよ。いいですか、先ほど総理は、税収がきちっと確保をされれば、それは景気がいいことだとおっしゃいましたね。その認識は間違っているんじゃないですか。
 税収を低く見積もれば、とりわけことしの税収というのは低く見積もっているんですよ。昨年の場合は郵貯の大量満期なんかもあって、それから景気が、こういう構造改革の最中ですから、とりわけ総理はデフレ政策を強引に推し進めていますから、強力に推し進めていますから、当然のことながら成長率は低くなる。その中で、ぎりぎり見積もって税収はこれくらいだよということを言ったわけですから、仮にそこが一〇〇%充足をされたところで、景気そのものはよくないんですよ。そうじゃないですか、これは。
小泉内閣総理大臣 私は、そうは思いませんね。四―六の経済成長率を見ても、七―九の経済成長率も、予想よりいいんですね。もし仮にこの税収がずっといったら、ほかの状況も今よりもいいと思いますよ。それはそのとき、ならない、なったのならどうかというのは、それは見込み違いですから、水かけ論になりますから、あなたはなったらという前提だから。なったらもっといいはずですよ。そういうことを言っているんです。
海江田委員 いいですか、それは、なったらという話は総理の方がおっしゃった話ですから。(小泉内閣総理大臣「そんなことはない、あなたが、だったらという仮定の質問をしている」と呼ぶ)いや、後で会議録を精査すればわかることです。
 いいですか、総理、先ほど四―六がいいというお話がありましたけれども、今一つあるのは、去年の補正もそうでしたけれども、一つはやはり雇用の状況ですね。雇用の状況について言うと、やはり去年の七月、八月、九月と比べまして、ことしはずっと、この夏場、さらに悪くなっている。これはお認めになるでしょう。ついせんだっては五・五になりましたけれども、九月でも五・四、八月でも五・四とずっと続いているわけですよ。
 それから不良債権の処理の問題でいうと、やはり株価も非常に大きな指標でありまして、その株価でいきましても、去年の夏場、八月ごろは一万七百円あったわけですよ、平均株価が。それが今は九千三百円でありますとか、それからさらに八千六百円でありますとか、落ち込んでいるんですよ。
 それから、実際に総理もいろいろなところへ行って、ちまたの声もお聞きになっていると思いますけれども、去年からことしに入ってさらに景気が悪くなっている、こういう声が本当にあふれているわけですよ、ちまたに。だから、そういうものに対して何とか手を打たなきゃならないと考えるのは、これは当たり前の話でありまして、そういう認識はないんですか、総理には。
小泉内閣総理大臣 厳しい状況認識を持っているから、各種の改革を進めていかなきゃならない、多少二、三年は低成長を我慢してくれと。目先のことで財政支出をふやして一時的な景気対策というのはもう効果はないんだ、そこをよく理解してくれといって、行財政改革、歳出改革、金融改革、規制改革、いろいろな改革を進めているんです。改革なくして成長なし、変わりないんです。
海江田委員 私は、まだ財政出動だとかいう話じゃありませんで、今、特に我が党が中心になりましてほかの野党の皆さん方とも出しましたのは、雇用とやはり中小企業対策、いわばセーフティーネットと言われるところなんですよ。
 それから総理、一つだけ去年と決定的に違いますのは、総理、九月三十日に内閣の改造をやりまして、そして、それまでの柳澤さんから竹中さんにおかえになって、そして、そこで総理は何のためにおかえになったのか。政策の強化だということをおっしゃいますが、不良債権の処理を加速化するというのは、その時点での大方針でしょう、今もそうだろうと思いますけれども。不良債権の処理を加速化すれば、当然のことながらその影響が雇用ですとか中小企業に出てくる、これは当たり前じゃないですか。そうお思いになりませんか。
 加速化させるわけですよ。去年もそのお考えだったでしょうけれども、だけれども、それではまだ不十分だから、わざわざ大臣をかえて加速化をするということを言ったわけですから、それでしたら、まさに加速化するんだったら、その片っ方に雇用と中小企業、零細企業に対する対策というのは打って当たり前じゃないですか。そういうお考えなしに加速化する、加速化するということをおっしゃっているんですか、どうなんですか。
小泉内閣総理大臣 総合対策をやって不良債権処理を加速する、その中での雇用対策、中小企業対策も同時に打っていくということであります。
海江田委員 総理、竹中さんにおかえになったのはいつですか。九月三十日じゃないですか。九月から一月の二十日以降といったら何カ月あるんですか。十、十一、十二、一、もう半年近くじゃないですか。加速化させるということを決めたんだったら、加速させるということを決めたと同時にそういうふうに手を打つのが普通じゃないですか、当たり前じゃないですか。どうですか。
小泉内閣総理大臣 手を打って、着々と進んでおります。数字を見てください。
海江田委員 これはやはり総理は、まだ議論のテーマになっていませんけれども、三十兆枠といったものに大変、それは私に言わせれば、こだわっていたという表現をあえて使わせていただきますけれども、総理、その三十兆枠というものを大変重く気にしていたということは事実ですね、この補正の編成に当たりましては。それはいかがですか。
小泉内閣総理大臣 三十兆円枠というのは、財政規律を維持する観点から、一つの大事な基本だと思っております。
海江田委員 だから、補正の時期を決めるに当たっても、この三十兆枠のことを気にしていたということは事実ですね。
小泉内閣総理大臣 そういう枠があるからこそ見直しが進んだのであり、気にしていたということは、今後も気にしなきゃいけない問題だと思っております。
海江田委員 では総理が、今度のこの国会には間に合わないけれども、来年の通常国会に補正予算を出そうということをお決めになったのはいつごろですか。
小泉内閣総理大臣 税収が二兆円以上落ち込んでくる、それに景気情勢も厳しい、不良債権処理も加速をさせなきゃいかぬということを総合的に考えて、十一月、日にちはわかりませんけれども、その辺ですかね。
海江田委員 かなりアバウトですけれども、十月の七日に経済財政諮問会議があったのは覚えていらっしゃると思いますが、この十月七日の経済財政諮問会議で、かなり税収の落ち込みがあるんじゃないだろうかということはおっしゃっているんですね、これは。十月七日ですから、十一月のいつかはわからないけれどもということより一カ月ぐらい前に。
 ここでおっしゃっていることは幾つか、実は十月の七日というのは、ペイオフを全面解禁を二年間延期するということを決定した日にちです。それから、株価が大幅に下がりまして、バブル崩壊後最安値をつけた日にちでもあるわけでございますが、このときに総理は、国債三十兆円について、
  私は何で昨年三十兆円の国債発行・一つの枠を設けたかというと、十三年度の国債発行が二十八兆円程度だったからだ。それだから二兆円まだ枠はある。三十兆円は、そんなにきつい枠ではないと。ところが税収が落ちてきて、この三十兆円枠も四苦八苦したわけだ。来年度は最初から三十兆円を超えるのはわかっている。十五年度まで三十兆円の枠をはめると皆思っているが、十五年度のことは一つも言っていない。
ということで。ここの会議で、これは総理以外の発言ですけれども、税収の不足がかなりあるということはもう話になっているわけですよ。
 だから、この十月の七日の時点で本当はそれこそ補正予算を組むということにすれば、私は十分、一月、二月、中身にもよりますけれども、昨年度の補正のように、まず雇用と中小企業対策というものに限っていれば十分間に合うわけですよ。それでもやらなかった。これはやはりそのときやっておけばよかったんじゃないですか、どうですか。
小泉内閣総理大臣 いや、もともと私は今国会に補正予算を提出する考えはなかったですから、全然それとその話は違います。もともとなかったんですから。
海江田委員 これはびっくりしましたね。それこそ、今度の国会の冒頭に、これは十月の十七日ですけれども、柔軟かつ大胆にとおっしゃっているわけですよね。
 では、どんなに景気が悪くなったって、どんなに失業者がふえようと、もう最初から今度の国会は提出しないよということで、では何のために国会を集めたんですか。
小泉内閣総理大臣 あなたも、よく発言を調べていただければわかると思いますから。この臨時国会を召集する前から、私、はっきり言っていましたよ、今国会では補正は提出しませんと、もう早くから言っていました、早くから。しかし、税収動向が定かでない、税収が落ち込んできた場合には三十兆枠にこだわらないで大胆かつ柔軟に対応する、そう言っていたんです。よく調べてください。
海江田委員 これは、大胆かつ柔軟にというのは、本当に、世の中の様子を見ながら、必要とあればそれは補正を、ただ従来型の公共事業だとか、こういうものをやらないというのはこれは当たり前の話でありまして、私どももそんなことをやれと言っているんじゃないんですけれども、今度のこの国会を召集するに当たって、さっきもお話をしましたけれども、九月三十日にわざわざ金融担当大臣をかえて、不良債権の処理を加速化するということを決めたわけですから、それでしたら、やはりきちっとしたいわゆるセーフティーネットといいますか、雇用と中小企業の対策の補正予算は当然組んでしかるべきなわけですよ。それを、もう最初から補正を出すつもりがなかったということになったら、今、中小企業の経営者でありますとか、それからあと失業者の人たちは、本当に年末を控えまして苦しんでおるわけですよ。先ほどのセーフティー信用保証の枠の話が経済産業大臣から出ましたけれども、あれだって年明けの話になるわけですから。
 そうなりますと、ちょっと一つはがきがあるんですけれども、部品工場の経営者ですが、資金繰りに行き詰まっています、個人の預金は既に底をついています、銀行はあなたの会社は債務超過だと言ってお金を貸してくれません、このままでは年が越せません、政治の力で何とかしてくださいとか、そういう声に対して、どうなんですか、セーフティー保証枠が来年になれば何とかなるからことしは我慢をしてくれ、こういうことになるんですか。これは返事書かなきゃいけないんですが。
平沼国務大臣 セーフティーネット保証・貸し付けというのは、これは海江田先生も御承知のとおり、何も打ち切って、ないということじゃございません。今までもこれは、こういう厳しい経済情勢の中で強化をしなきゃいかぬという形で、十二万四千件、三・四兆円対応してきました。それを今引き続きやっています。
 そして、さらに、私どもとしては、前倒しというようなお話がちょっとありましたけれども、この臨時国会で成立をさせていただいた中小企業の信用保険法、これで幾つか決めていただいたんですけれども、それも十二月十六日からもうやってしまう。それから、商工中金のこれはいわゆる無担保の保証、これを拡充いたしました。これは三千万から五千万にしたんですけれども、これも十一月十一日からもうそういうことを実施しております。
 したがいまして、ずっと継続をしてやっていますけれども、問題は、やはりこれを補正予算でさらにそこを拡充して、そしてこれを引き続き切れがないようにやっていく、こういうことでございますから、私どもとしては、そういうことも含めて今一生懸命やっているということは御理解をいただきたい、このように思います。
海江田委員 ただやはり幾つか、中小企業の対策につきましては、全く新たなものをつくらなければいけないわけですから、それから、私ども野党は、まだ政府系の金融機関でもやはり個人保証の部分がついていますので、これが結果的に、事業が失敗をしたときの個人の家から預金から全部、まあ預金は大体もうみんなかなり苦しんで出していますけれども、やはり住まいを持っていかれるとか、こういうことがありますので、そういう点も、公的な融資の場合は個人保証や連帯保証をとらないようにとか、そんなような主張もしているところでございます。
 やはりそういうものも含めた、幾つか、確かに私どももさっきの法案に賛成をしたということでございますが、それはやはり本当に今この時期に何とかしなきゃいけないという思いから賛成をしたわけでございますが、やはりきちっと補正予算をつくって、特に先ほど来私が言っておりますのは、このセーフティーネットの部分、雇用とそれから中小零細企業対策というのはやはり十分な手当てをするべきだ、それがこの年末に間に合わない、補正予算を来年に送るということは、世の中に対するアピールとして、大変不安を大きく拡大をさせることになるということだけはお話をさせていただきたいと思います。
 それから、年が明けてからの補正予算ですけれども、これは総理にお尋ねをするのか、財務大臣にお尋ねをするのか。先ほど、もう公共事業は効果がないというお話がありましたけれども、よもや従来型の公共事業が補正予算の中に入ってくることはあり得ませんね。名前だけは環境だとか都市再生だとかいろいろついてきますけれども、それはあり得ませんね。
塩川国務大臣 仰せのとおりでございます。
 今回、補正で用意しておりますのは、先ほど言ったセーフティーネット系で一兆五千億円、それで、構造改革を加速するために公共事業的な事業に一兆五千億円ということを充てております。この事業は何かといいましたら、都市再生に資するものとかあるいは環境対策ですね、そういうものとか、あるいはまた緊急措置しなければならぬ治安対策上の措置とか、そういうものでございまして、従来型のいわゆる大型公共事業というものは含まれておりません。
海江田委員 今、塩川財務大臣は従来型は含まれていませんとはっきりおっしゃったわけでございますが、今、それぞれの省庁が中身の精査をしている途中だと聞いておりますが、国土交通省の国際競争力のある都市再生という項立ての中に、例えば整備新幹線でありますとか、それから港湾整備でありますとか、これが入ることはないというふうに理解をしてよろしいのですか、どうですか。
塩川国務大臣 その項目につきまして、まだ精査しておりません。
海江田委員 では、それは扇国土交通大臣。
扇国務大臣 今財務大臣からお話しになりましたように、補正予算、国土交通省といたしましては、要するに今国際的に何を緊急にしなければならないかという、公共工事の中でも緊急かつ国際的競争力に勝ち得るものは何が必要かということを今まとめておりまして、大体五つあるんですけれども、五つ言ってよろしゅうございますか。(海江田委員「どうぞ」と呼ぶ)
 一つには、少なくとも国際競争力のある都市の再生、これをしたい。
 二つ目には、地域の経済活性化による都市と地域の再生、これは都市だけではなくて地域も国際競争力に勝てるようにしようということが二つ目。
 三つ目には、いつも言われておりますけれども、特に今少子高齢化社会に対するセーフティーネットあるいはバリアフリー化、そういうもので対応していこうというのが少なくとも三つ目でございます。
 それから四つ目は、今、海江田議員がおっしゃいましたように、地球環境、そういう意味では、我々は、国土交通省としてあらゆる生活の創造と回復ということで、きょうも総理が低公害車のことをおっしゃいましたけれども、環境省と共管しなければできない。バリアフリーは、少なくとも我々も、低公害車というものも国土交通省が率先して垂範していくと。
 そして最後の五つ目には、切迫します大災害、こういうものが、東海、東南海、あらゆることで、今しておかなければ国民の生命財産が守れないということで、災害に対してもこれは緊急にできるものはしようという、その五つの項目を少なくとも達成してやっていこうという補正の大枠を決めております。
海江田委員 そこで、さっきのお尋ねですが、整備新幹線でありますとか、それから港湾整備でありますとか、そういうものがこのどこかに入るんじゃないですかというお尋ねをしたのですが、それはいかがですか。
扇国務大臣 今申しました国際競争力に勝ち得るもの、あるいは今しなければならないものの中に、港湾のみならず空港も入っていることは事実でございますけれども、それは補正予算でできるというようなものではありません。これは長期かかりますから、補正予算にそれを入れるということとはまた、基本的に来年度予算になると思います。
海江田委員 あと、堤防の整備ですとかそれからダムの改修ですとか、こういうものもどこかに入ってくるんじゃないですか、どうですか。
扇国務大臣 補正はまさに緊急かつ欠くべからざるものという条件がございます。来年の少なくとも年度内執行できるような、また、効果の上がるものということでございますから、今海江田議員がおっしゃったような長期的なものに関しては、中長期の話で来年度予算になると思います。今効果が上がる、また、今しなければならないということに限って我々は考えております。
海江田委員 この手の補正のときのテーマづくりというのはもう毎年やっているわけですよ。ITが時流のときはITでやりましたよね。だけれども、その中には必ずやはり各省庁のそれぞれいわゆる従来型の公共事業と呼ばれるものが入ってくるわけですから、そこはしっかりとそれぞれの、皆さん方、小泉内閣の閣僚なわけですから、チェックをして、そういうふうな、いわば看板だけをそういうふうにかけかえをやって、中身が旧態依然たるそういう公共事業というものはやはり排するようにしなければいけないわけですから、それはもうそういう覚悟でぜひやっていただかなきゃいけない。
 それから、では、それを離れて今度は、一般の予算なんだから、本予算なんだからと言うけれども、これは本予算だって当然の話でありまして、これまではともすれば補正の中に入りがちだったわけですけれども、本予算の中へだって入ってはいけない話でありますから、そういう点はしっかりとやっていただかなければいけないというふうに思っているわけでございます。それはしっかりお願いをします。
 それからあと、厚生労働大臣に、去年の補正で創設をされました緊急地域雇用創出特別交付金、これは三千五百億円ついたわけですね。まさに去年のこの十一月にちゃんとやったその中身がそれなんですよ、総理。そういうのをやっているんですよ、去年は。ちゃんと聞いていていただきたいんですが。
 それで、これは各都道府県や市区町村が主体になりまして、そしてそこが事業計画を立てて、そういう都道府県や市区町村が直接雇用するケースもあります。それから、企業なんかにお願いをして雇用するケースもあるということですが、これはやはり使い勝手が悪いというのが大変現地の声でありますね。
 きのう、たまたまテレビを見ておりましたら、八戸に新幹線が行って、あそこで何か、おもてなし隊というんですか、おもてなしをしたいという中高年の方たちが何か駅でおりた人たちを案内所まで案内する、その人たちが実はこの緊急地域雇用創出特別交付金の対象者になっているというようなこともちょっと聞いたんですが、これはやはり、最長半年でありますとか、それからあと、一度そうやって雇用された人はもう二度雇用されてはならぬとか、かなり使い勝手が悪いということが指摘をされておりまして、私どもも野党の方で、ここをもう少し使い勝手をよくしよう、拡充をしようというような主張をしておるんですが、この制度をこれから拡充していく、使い勝手をよくしていくというようなお考え方はおありですか、どうですか。
坂口国務大臣 今御指摘になりました交付金でございますが、先ほども少し御答弁を申しておりますけれども、十五年分、十六年分と二千億円、もう既に交付をしているわけでございまして、これは十五年、十六年にお使いをいただくことになっているわけでございますけれども、ここは少し前倒しをしてお使いをいただいてもいいということにしたいというふうに思っておりまして、間もなくその通知をしたいというふうに思っている次第でございます。
 その内容につきましても、今お話にございますように、どうも半年で使い勝手が悪いという御指摘もございます。しかし、何をやってもらっても延ばしてもいいというわけにもまいりませんけれども、それなりの理由のあるものにつきましては一年間に延ばすといったようなことも考えておりますし、そしてまた、内容につきましても少し規制緩和をしたいというふうに思っております。
 この額を今後どうするかということでございますが、現在まだ二千億あるいはその前後残っているわけでございますから、それをまずお使いいただくとしまして、さらに、それに上積みができればもう少し上積みをさせてもらうということで、今交渉を進めているところでございます。
 これは地域と、そして国もでございますが、とりわけ地域の御意見を十分に聞いて、その地域に合った雇用を創出するということで、そういう意味では使い勝手が非常にいいという御指摘もいただいているわけでございます。
 できるだけ地域の雇用に見合った形でお使いをいただけるようにしたいと思いますし、この交付金は、しかし、一時的な、つなぎの役割をするだけでございますので、それによって新しい雇用がそこから生まれてくるというわけになかなかいきにくいわけでございますけれども、できるだけそれをお使いいただいて、これから先、長く続いて、雇用がそこから生まれてくるような使い方をしていただければ、それにこしたことはないというふうに思っている次第でございます。
海江田委員 もう私どもは随分、雇用対策ということでいろいろな項目立てをやりまして手を打ってはいるんですが、はっきり申し上げまして、本当に件数が、何万件やる予定がたった九件であるとか十件であるとか、そんなような例もあって、それは主に、やはり企業に対してこういう形で、例えば建設業が今つぶれている、その同じ建設業の企業であって、そしてそのつぶれた建設業から人を雇ってくれれば、その分については補助金を出しますよなんていう制度があるけれども、これは実際にはほとんど利用されていないというようなケースもあって、それはまさに、今構造改革を進めようとしているわけですから、そういう建設業に携わっている方たちはサービス業だとか何だとかに行っていただくしかないわけで、そっちの方向への誘導をしなければいけないわけで、そもそも建設業で新規に人を雇おうなんという企業はないわけですから、その意味で、ほとんど利用されていないというのは当たり前で、それよりも、できるだけ、やはりまず直接、人のところにきちっとこの交付金なりが行くような形でセーフティーネットを張った方がいいですよという意見を言っていますから、その意味では、この制度も一つのきっかけになるわけです。
 それからもう一つ、これからの話ですけれども、地域中高年雇用受皿事業特別奨励金というのをおつくりになるという話でございますが、これは特に介護などの公的なサービスのところですね、ここのサービスを行う民間企業への助成でありますとか、それから地域ビジネスへの支援でありますとか、これは私どもも、考え方からすれば、こういうものをつくっていただくのはいいということなんですが、これは後で塩川大臣にもお尋ねをしますが、先ほどお話をした緊急地域雇用創出特別交付金もそうですが、やはり受け皿にNPOがなりますと、さっきの一時雇用でもNPOがそういう方々を雇用するというような形になる、あるいは今度の地域中高年雇用受皿事業特別奨励金も、NPOがなりますと、これは大変活性化するといいますか、あるいはそこでNPO自身の活動も大変盛んになるんで、やはりNPOの助成といいますか支援といいますか、これと一体化をしたときに初めて、それらの雇用対策も血が通ってくる、あるいは本当に有機的に機能していくんじゃないだろうか、そのように思っているわけでございます。
 NPOとの関連におきまして、緊急地域雇用創出特別交付金でありますとか、あるいはこれからつくられます地域中高年雇用受皿事業特別奨励金でありますとか、これがどのように機能していくのかということをまず厚生労働大臣にお尋ねをしたいと思います。
坂口国務大臣 今お話をいただきました受け皿事業の方も、これは、失業されました皆さん方をお雇いいただきますその企業に対しまして支援をする、あるいはまた、もう一つ、新しい企業を起こされたときに、そのときにそれに対する支援を行うといったことにこれは使いたいというふうに思っておりまして、そのときに、その先が株式会社だとかあるいはNPOだとか、そういうことは決めておりませんので、それが個人で、高齢者が何人かお集まりになっておつくりをいただいても結構でございますし、そうした使い方を制限はしないつもりでおりまして、ぜひ幅広くそうしたことにお使いをいただくということになれば、これは雇用を拡大することに非常に役立つのではないかというふうに思っております。
海江田委員 そこで、やはりNPOに対する支援税制が本当に、年間たったの九件しか税制上の控除を受けられないとか、これはお粗末過ぎるわけですから、今もお話がありましたけれども、厚生労働大臣の方でも、そういう新しい制度をつくっても、その受け皿に当然NPOがなり得ると。それから、去年の補正でつくった制度についてもNPOがなり得るわけですから、やはりここはNPOの支援税制を、先ほども、来年度の税制改正の一つ、幾つかお話がありましたけれども、NPOの支援税制をしっかりとこの税制改正の中で位置づけをするというお考えはございませんですか、どうですか。
塩川国務大臣 この制度が発足しましてまだ日が浅いものですから、いろいろな実例を今研究させております。
 そこで、八千団体からあって九件というのはちょっと少ないですね。私は、これは一つの方法として、例えば市町村とか府県あるいは教育委員会あるいは商工会議所というような公的な団体が、これに何かもっと密接に関係してくれたらどうだろうと。特に雇用関係なんか、商工会議所には中小企業がたくさんおるんですから、そういうようなのと連絡を十分とってみて、そういうところの認定を……(発言する者あり)いや、ちょっと静かに聞いておいてくださいよ、丁寧に説明しておるのやから。
 そういう関係、そういうところがやはり主導してお互いにいく。ということは、私は地元を見まして、透明性が割合少ないんですね。どんな団体があるのかということの認識なんかも市民等に少ない。だから、私は、もっと市町村とか自治体、教育委員会、商工会議所、こんなものを積極的に介入させるような方法をとって、その団体を一緒に育てていくということをしてくれたらやりやすいと思うんですけれどもね。
海江田委員 まず、八千団体で九件はちょっと少ないという話がありました。これは、ちょっとどころか、大いに少ないわけですが。
 それから、今の、自治体でありますとか商工会でありますとか、そういうものとの関与というか、緊密にとかいう話もありました。委員からの発言もありますが、やはりこれまで、まさに公益法人というものがあって、よくNPOの議論をするとき必ず出てくるのが、いや、我が国には公益法人があるから、そこが全部、いわゆるアメリカだとかヨーロッパのNPOにかわることをやっているんだみたいな言い方があって、実はNPOが育たなかった一つの背景もあるわけです。
 だけれども、それは全く違うものでありまして、今、特に新しい形で、本当にどんどん自発的にまさに組織をされる、そういう動きがもう現にありますので、それをやはりしっかりと育てていく。
 別に何も、新規に税金からそこへ出せというんじゃなくて、やはり、納税者の自発的な意思の中で、自分はこの団体を育てたいんだと。ヨーロッパなんかは自分の所得税の一%を自分の寄附したい団体に書いて、税金の申告をやるときにそういう申告をして、そして結果的に、どこですか、終末医療の、ホスピスのベッドが百床ぐらいの病院ができたとかいうようなこともありますので、これは本当に大事な点ですから、やはりこれから、税制改正の議論を今まさにやっておる最中だといったら、やはりNPOの支援税制を抜きにした税制改正なんというのは、私は本当に、税制の構造改革といったときに、やはりこのNPOの税制というのは避けて通れませんので、くどいようでありますが、そこはやはりぜひ力を入れてやっていただきたい。
 もう一度お答えをお願いしたいと思います。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
塩川国務大臣 私どもも、これはひとつ積極的に育てたいと思うて、いろいろと指示もしておるんです。
 しかし、税の公共性ということと公平性ということ、それから透明性ということをいろいろ考えましたら、条件がやはり厳しくなってしまう。私は、そういうことの煩雑なことを避けるために、要するに、さっきも言いました、自治体とかあるいは公的機関がお互いに連絡し合って、そういうところがある程度活動を承認しているとか、そういうことがあった場合は、ある程度、一定期間でも容認をしていくという制度はできないだろうか、そういう事例をひとつ出してみたらどうだろうということを研究させておりますので、取り組んでみたいと思います。
海江田委員 それから、これは総理に、もう時間になりますので、恐らく最後のお尋ねになると思いますけれども、この補正の作業に入っている。私どもは、先ほど来お話をしておるように、雇用とそれから中小企業の対策のセーフティーネットだけは、本当は今度の国会じゅうにやるべきだと口を酸っぱくして言っておりますが、それはお聞き入れいただけないようですが、今、政府として作業をやっておりますのは、この補正の作業だけではありませんで、来年度の予算の編成作業に入っているわけですが、そこで、やはり本来の構造改革というのは、予算の配分構造そのものにメスを入れなきゃいけないんですよ、これはどう考えたって。そういう、構造改革、構造改革と口だけでは言いますけれども、具体的に予算の配分構造をどうやって変えていくのかということを本当に念頭に置いてやっておられるのか。
 例えば一例ですけれども、特定財源の問題について言えば、総理は、これは塩川財務大臣もそうでありますけれども、去年の当予算委員会で、私もその場にいてはっきり聞いていましたけれども、塩川財務大臣がたしか本会議の代表質問での答弁でお答えをして、それを受けて五月十四日の衆議院予算委員会で小泉総理は、道路特定財源も聖域なき構造改革の方向で検討したいということを言っていますけれども、その後どうなりましたか、これは。今度の予算で、はっきりとそういう方向性が見えてくるんですか、どうなんですか。
小泉内閣総理大臣 はっきり見えてきます。道路特定財源も見直す、見直しを始めております。
海江田委員 では、いいですか、具体的に、道路特定財源、全部外すんですか、これは。
小泉内閣総理大臣 道路特定財源は、五十年ぶりに見直します。今まで道路しか使えなかったものを、道路以外にも使えるように見直します。暫定税率とか、いろいろな問題もあります。そういう点も含めて、納税者が理解を得られるような形で見直していきたいと思います。
海江田委員 いいですか、今お話がありましたけれども、特定のところをその使える幅を拡大するという話と、一般財源化という話でお尋ねをしているし、ここでも答弁しているわけですよ。(小泉内閣総理大臣「答弁読んでみてよ」と呼ぶ)いや、そうですよ。構造改革の方向でといえば、みんなそうですよ。(小泉内閣総理大臣「答弁読んでよ、答弁」と呼ぶ)いや、じゃ、一般財源化はしないんですね。しないんですね。それだけは……。
小泉内閣総理大臣 来年度については、一般財源化しません。これは、暫定税率の問題もありますから、将来一般財源化の検討は結構であります。しかし、今まで五十年間でき得なかったことを、来年度、道路以外にも使えるようにするということです。そういう面で、聖域なき構造改革の観点から見直していきます。
海江田委員 いや、じゃ、道路以外に何に使えるんですか、これは。何か道路の周辺部分とか、そんなような話でしょう。
 だから、一般財源とは甚だほど遠い話であって、少しそこのところの、何というか、使い道を少し拡大をする。それを、はっきり見えるようになるとかそういうことを言われると、これは聞いている人が誤解をしますよ。誤解を与えちゃいかぬですよ、これは。
小泉内閣総理大臣 それは、民主党が一般財源化せよとはっきり言ってくれるんだったらおもしろいですけれどもね。
 そういうことで、我々は今、来年度で一般財源化ということは国民の理解を得られない。暫定税率という問題もあります。自動車税、余りにも自動車ばかりに税金がかかっているという問題もあります。一般財源化するんだったら、おれたちは減税してくれという声もあります。そういうこともありますから、私は、道路だけということを言うことはすべきじゃない……(発言する者あり)言いわけじゃないんです、説明なんです。よく聞きなさい。
 そして、環境問題についても、道路だけでない、ほかに国民が必要な公共的なものにも使えていいだろう、それはいろいろな税率の問題もありますから、国民から理解を得やすいような形で見直します。これを見直すことができれば、昭和二十八年にできたこの法律、五十年ぶりの改正です。まさに聖域なき改革、見直しが始まっているという一つのいい例になると思います。
海江田委員 これも本当に、ウナギのかば焼きじゃないですが、これはウナギのお通しのちょっとした何か刻んだ野菜を持ってきて、これで、さあ出てきますよ、さあはっきり見えますよ、そういう話で、これはもう少しちゃんと事実に基づいて、一体どのくらいを回すのかとか、そういう形で言ってもらわなきゃ話になりません。
 きょうは時間がないのでこのぐらいにしますが、やはり、はっきりするとか言いながら本当に小出しでは、これはもう通用しませんからね、それは。そのことだけを申し述べておきます。
 以上です。
藤井委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。海江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。
前原委員 民主党の前原でございます。
 持ち時間の中で、私は、主に外交、安全保障、特に北朝鮮、そしてイラク、テロ対策などにつきまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、総理に伺います。
 九月十七日に北朝鮮に行かれました。金正日総書記との話し合いの中で、相手側が初めて拉致を認めました。しかし、私は、その中身について、納得のできるような話ではないと思っています。なぜなら、自分は知らなかったんだ、軍の一部の特殊機関が妄動主義、英雄主義でやったことであって、そして自分は関与していなかったんだ、こういう言い方をしました。今まさに、北朝鮮からの亡命者が多く、そしてかなり高位の方々も、手記や、あるいはインタビューに応じられたり、また本を出されたりしている中で、こんなことは絶対あり得ない、彼がすべてを決めるんだ、特にこういう重要なことについては。
 総理にお尋ねしますけれども、金正日総書記のこの言葉、総理は信用されますか、それとも信用されませんか。
小泉内閣総理大臣 今回、初めて金正日氏と会談し、拉致の問題が明らかになったわけであります。そういう面において、私は、日朝平壌宣言を誠実に履行するという面において、金正日氏のこの日朝関係を改善していきたいという姿勢を信用したいと思っております。
前原委員 いや、自分が会ってきて、その内容について評価するどうのこうのという質問をしているんじゃないんです。つまりは、おれは知らなかった、軍の一部が英雄主義、妄動主義に陥って勝手にやったことなんだ、この言葉を信じるかどうかという質問をしているんです。
小泉内閣総理大臣 これは、今後、交渉の中で、わかる点、わからない点、あると思いますが、今の時点で私は、この問題については、拉致問題に対して、金正日氏初め北朝鮮側が誠実に日本側の努力に対してこたえてくれることを期待しております。
前原委員 ちゃんと質問に答えてください。つまりは、金正日総書記の、おれは知らなかった、軍の一部の英雄主義、妄動主義でやったことで知らなかったんだということで、問題をすりかえているわけですよ。そこの前提を是とするか非とするかですよ。
小泉内閣総理大臣 それは今後の中で解明していく問題であって、今の時点で、信用しているか、信用していないかということについて直接答えることを避けたいと思います。これが私の答弁であります。
前原委員 実は、この問題は、安保委員会で私、川口外務大臣にもう質問をしています。川口外務大臣の方が、私は、より外交についてシビアだなと思いました。信用しているとも信用していないとも言わない、しかし……(小泉内閣総理大臣「同じだよ」と呼ぶ)同じじゃないですよ。今から言いますから、聞いておいてください。信用するとも信用しないとも言わない、しかし、疑わしき点があるについては、今後、事実解明の中でその真偽も含めて確認をしていきたい、そういう答弁をされているんですよ、川口さん。まともですよ、この方が。(小泉内閣総理大臣「同じだよ」と呼ぶ)同じじゃないですよ。
 つまりは、今から質問することについて、北朝鮮にはうそがいっぱいあるんです。そのことについてのみ込んで議論をするのか、のみ込んで議論をしないかというところに一つの大きな分水嶺が来るんですよ。そこをしっかりと把握しないことには、あるいは、きょうは私、北に対する全体像ということでお話をしたいと思いますけれども、その内容について、うそだと思っていても信用するということで始まったら、すべてのうそについては目をつむっていかなきゃいけなくなる可能性があるわけですよ。
 では、その関連で、次に行きますけれども、例えば、五人の拉致被害者の方が帰ってこられました。この人たちを返さなかった。北朝鮮が文句をつけています。交渉事に誠実じゃなかったじゃないか、こういう言い方をしていますけれども、もともと拉致をしたのは北朝鮮ですよ。北朝鮮が連れていって、そして二十四年間も向こうで生活を送らざるを得なかった。主権の侵害ですよ。だから、これを原状復旧するのは当たり前じゃないですか。当たり前で、一たん連れて帰ってきて、そして、そのままずっと日本に置いておきたいということで、家族の方も含めて意識が変わった。変わったと言えばいいんですよ。それを交渉事が、うそをついたから家族を返さないと言われていること自体が私はおかしいと思いますよ。
 だって、核の問題だって、彼らは九四年の米朝枠組み合意、ずっとだまして、アメリカ、日本、韓国、ヨーロッパの国々、こういった国々から経済協力、重油、軽水炉原発の建設費用、そういうものを言ってみればだまし取っていたわけですよ。彼らは大うそつきで今までの外交交渉をやってきたわけです。それを信じるかどうかというところで、先ほどの話に戻りますけれども、私は、金正日総書記の言葉を信じて外交交渉をやるのかどうなのかというところは、根本的に総理にお聞きをしたかったことなんです。
 もう一度聞きます。つまりは、一部の機関の英雄主義、妄動主義、この言葉について、将来、真偽も含めてちゃんと見きわめるかどうか、そういう見地で答弁してください。
小泉内閣総理大臣 過去の言動も現在のことも、将来を見きわめて交渉をしております。それ以上のことを言う必要はありません。
前原委員 全体像の話をする中で、今の小泉さんの言葉がいかに空虚かということがわかるかと思いますけれども、私は、五人の方を返さなかったのは政府はよかったと思っているんです。これは評価しているんですよ。
 ただ、この間、田中均さん、アジア大洋州局長、大連に行かれましたね。そして、何かこちらから焦って日朝交渉を仕掛けているようにしか見えない。なぜですかね。落ちついて、どんと構えて考えればいいと私は思うんですね。確かに、御家族、五人の拉致被害者の方々、その御家族、北に残っている方々のことを考えたら、何とかしてあげたいと思うのは一つの考えだと思います。
 では、別の聞き方をします、これは外務大臣でも結構でありますが。では、五人を一たん北に返していて、きょう私が今お話をしている中身にかかわってきますけれども、本当に家族を含めて返してくれましたかね、北朝鮮は。そういう比較の中で私は論ずる問題だと思うんですよ。どう思われますか。
川口国務大臣 今おっしゃられた点について、完全に予測をするということは非常に難しい部分があると思いますけれども、これは北朝鮮も我が国も、日朝平壌宣言を守って、遵守をして正常化交渉をやっていこう、そういうことでやっているわけでございます。北朝鮮も、正常化をするということが北朝鮮にとっては非常に重要なことでございますから、それを前提に行動するであろうというふうに思います。
前原委員 外務大臣、わかっておられないのかもしれませんが、日朝平壌宣言はもう崩れているんですよ。だって、核を開発していたんだから。核を開発していない前提であの文書をまとめたんでしょう、情報はあったかもしれないけれども。ということは、もう日朝平壌宣言を守っていないんですよ、彼らは。
 私が聞きたかったのは、これは逆に政府を応援する立場で僕は言っているんですよ。つまりは、五人を返さなかったことについていろいろ批判が出ている。もし返したら、核の問題も出てきた、五人を含めて家族も全部返してくれないかもしれない、外交カードにして、人質にして。その比較の中で、今五人を返さなかったことの是非を問われるべきじゃないかと聞いているわけです。だから、私が今言っているのは、外務大臣にもう一度お尋ねしますけれども、五人を一たん北朝鮮に戻さなかったのは、自信を持って、正しい判断だと胸を張って言ってもらいたいんですよ。
川口国務大臣 五人を帰さなかったということについては、これは総理のもとで政府として決定をした決定でございます。ということでございまして、その意味は、五人の方が日本に帰ってきて、五人の置かれた状況、あるいは日本にいらっしゃる五人の方の家族の方のお気持ち等から、このまま日本に五人の方にはいていただいて、そして自由な意思決定をできる環境のもとで、その五人のお子さん方、北朝鮮にいる家族の人にも帰ってきてもらって、意思決定をするということを決めたわけでございます。この決断は私は正しかったと思っています。
前原委員 そんな中で、先ほどちょっとお聞きをしましたけれども、田中局長が大連に行かれて接触されたと伺っておりますけれども、これは、五人の方の家族の問題のみですか、それとも他の交渉の糸口も含めて話をされたんですか。簡潔に御答弁ください。
川口国務大臣 これは、従来から、北朝鮮と我が国とは、いろいろな場で、いろいろ中で打ち合わせをやっているということでございます。
 今回は、マレーシアで、クアラルンプールで会議をした後、さまざまなやり方で意思のコミュニケーションを図っていくということを言っておりまして、その一環でございます。
前原委員 全体像の話を進める前に、一つだけ国家公安委員長に御答弁をいただきたいんですが、今政府が認定をしている拉致被害は十件十五名ということでございますが、それ以外にも拉致された方々がおられるんではないかということがちまたで言われております。それについてどう真剣に取り組んでいただくのか、国家公安委員長としての御答弁をいただきたいと思います。
谷垣国務大臣 今、警察として北朝鮮が関与している拉致容疑事件だと判断しているのは、十件十五名でございます。これについてももちろんさらに力を尽くして全容を解明しなければならないわけですが、そのほかにも北朝鮮の関与がなしとは言い切れないものがございまして、これには、実は濃淡はさまざまでございます。相当これは北朝鮮の可能性があるなと思われるものもあれば、何とも言えぬなというものもございますけれども、これはやはりきちっと洗い直しをして、我々としては、蓋然性が極めて高いというものについてはきっちりとした対応をとっていかなければいけない、こう思っております。
前原委員 その点についても、日朝国交正常化交渉の中でしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。これは外務大臣にもお願いをしておきます。
 それで、日朝交渉を全体としてどう進めていくのか、どう考えていくのかということのポイントで、今、ともすれば、拉致の問題あるいは核、ミサイルの問題というところが焦点になっています。まあこれはこれでいいと思いますけれども、私は、それ以外にかなり重大な、日本の安全保障あるいは日本の治安を脅かす問題があると思っておりまして、それも含めて国交正常化交渉の前提とされなければいけない、こう思っておりまして、その点を二つ聞きたいと思います。
 一つは、覚せい剤の問題です。
 昨年の十二月に、北朝鮮の工作船が奄美大島沖にやってまいりまして、海上保安庁の巡視船と銃撃戦になりまして、そして沈みまして、この間、扇国土交通大臣のもとで引き揚げをされました。いろいろなものが出てきた、七百点ばかりのものが出てきて、かなり重装備であった、こういう話を聞いています。
 先般、扇大臣の記者会見の中で、携帯電話がその中にありました、こういうお話でしたね。社名とか色もはっきりおっしゃっておりましたけれども、その携帯電話の通話先、今警察庁の警備局でその特定をされているということでありますが、一説によると、日本の広域暴力団に対して電話がかけられていたとか、あるいは栃木県宇都宮市のパチンコ会社の経営者のところにかけられていたとか、そういった情報というものがあるわけであります。
 国家公安委員長にお尋ねいたしますけれども、この中身について、つまりは、工作船がどういったところと接触していたのか、私が聞きたいのは一点、暴力団との接点があったのかどうなのか、その点について御答弁ください。
谷垣国務大臣 ただいまの点は、いわゆる不審船といいますか、に関しましては、海上保安庁と協力しながら捜査をしているわけでございますが、主として海上保安庁が今の問題は当たられていると思います。そして、我々としては、あの船と暴力団との関係について、いまだはっきりした材料は持っておりません。
前原委員 北朝鮮の工作船の一つの重要なミッションが麻薬取引だったのではないかというふうに言われております。
 それで、別の観点から質問したいわけでありますけれども、去年の五月に成田にやってきた一人の人物が、金正日総書記の息子の金正男氏ではないかということが言われております。写真も撮られておりまして、多くの人たちが金正男氏であるということを言っているわけでありますが、いまだに政府はこの人の特定を全くしておりません。
 これについて、まず、入管を扱われる法務大臣、去年の五月にやってきて、写真も撮られて、そして外務省の外交官が何人も付き添ってピョンヤンまでわざわざ送り返しているこの人物、だれか、特定をしていただきたいと思います。
森山国務大臣 お尋ねの、昨年五月一日、ドミニカ共和国名義の偽変造旅券を使い、成田空港で拘束され、退去強制手続によって中国へ送還された者につきましては、違反調査等において氏名その他の身分事項について聞き取りをいたしましたが、本人が金正男氏なる人物であるかどうかについては確認できませんでした。
前原委員 そんなことを国民、だれも信用できないんですね。写真も撮って、では何で、外交官が付き添って、わざわざボディーガードまでつけて御丁寧に送り返したんですか。そんなことないですね。当時の田中外務大臣は、そんな厄介な者は帰しちゃいなさいと言ったという話もありますよね。
 なぜ、これを国会の場で、きょうは国民も聞いている場で、うそをついている、認めない、これは国会を冒涜している話じゃないですか。そんなことなんて絶対あり得ないでしょう。そんなもの、写真撮られて、確認できなかったと。そうしたらなぜわざわざああいう護衛をつけて帰すんですか。そんなことを国会の場で答弁するなんということは不謹慎ですよ。ちゃんと答えてください。
森山国務大臣 お尋ねの人物につきましては、平成十三年五月四日、成田空港から出国いたしましたが、その際、移送中の混乱を防止し、かつ被退去強制者を送還先に確実に引き渡すために、北京まで同行させました。これは入国警備官を同行させた話でございまして、このように入国警備官を送還先まで同行させるということは、必要があれば通常の送還業務として行っておりまして、特段の扱いではございません。
前原委員 ちゃんと調べてから帰すものでしょう、普通は。だったら、その責任も含めて大問題ですよ。だって、写真も撮られているわけですしね。
 国家公安委員長、写真も撮られていて、この人物が一体だれなのか。それは国家公安委員長からしっかり御答弁いただかなければいけない話かもしれません。御答弁ください。
谷垣国務大臣 これは私の所管ではなく入管で扱っておられることでございますから、今にわかにお問いかけがあっても、答える材料を今準備しておりません。
前原委員 では、事前にお渡ししている質問をしますよ。谷垣大臣、ちょっと聞いておいてくださいね。
 金正男は、今まで日本に何回入国しているんですか。
谷垣国務大臣 私どもも重大な関心を持ちましていろいろ情報を集めております。しかしながら、これについてどういう情報を持っているのかいないのかも含めて、手のうちをさらけ出すようなことはいたせないと思っておりますので、御答弁はきょうは差し控えさせていただきます。
前原委員 さっきの法務大臣の御答弁ですけれども、調べないで、確認できなくて、それが重要な人物だから帰すことは間々あるなんて、こんな話は子供だましですよ。国会議員を冒涜していますよ。国会の場を冒涜していますよ。ちゃんと御答弁いただかなかったら、次の質問に行けません。
森山国務大臣 入管法上の退去強制というのは、当該不法入国した外国人を速やかに外国に退去させるという行政目的の範囲内で行うものでありますから、この件につきましても、法違反者が申し立てた氏名について特段の具体的な反証材料がない限り、その申し立てに係る氏名を前提として手続をとれば足りると考えております。
前原委員 さっき、入管の方も含めて、外務省もついていっているわけですよ。そういう例がありますか、送り返しで外務省もついていった例は。しかも、何で北京なんですか。外務大臣。
川口国務大臣 まず、なぜ北京かということについては、この人物が北京までの航空券を持っていたということと聞いております。
 それから、過去例があったかどうかということについては、ちょっときちんと調べてみないと、全くなかったかどうかということは申し上げられないわけでございますけれども、恐らく余り例はなかったのではないかと思います。
前原委員 例はないんですよ。例はないのにやっているのに、氏名がわからなかった、そして、よくある業務で帰したと。これはむちゃくちゃな答弁ですよ、法務大臣。
 私がなぜこれにこだわるかというと、麻薬取引の中心人物かもしれないと言われているわけですよ。工作船の問題とも絡んでいるんじゃないかと言われているわけです。今、国家公安委員長はちゃんとお答えになりませんでしたけれども、いろいろな話の中で、入国している形跡があるんですね。だから、これはもう、国家公安委員長としてはおっしゃれないんだったら、それはそれで納得しますよ、それについては。しかし、写真も撮られて、そして今までに例のない形で帰しているわけですよ。その人物が特定できていないなんということを国会の場でしゃあしゃあと認めたら、私は、国会議員のバッジを外さなきゃいけない。そんないいかげんな答弁を僕は認められないです。
森山国務大臣 その人がどういう人であるかということをもちろん問いただしましたけれども、そのようなことが最終的にはわからなかったということでございまして、その本人が申している名前を前提にして措置をするしかないというのが私が申し上げたことでございます。
前原委員 うそがいっぱい入っているんですよ。つまりは、わからなかったら、そんな護衛を、前代未聞の護衛までつけて送るということはあり得ないんですよ。
 これは、委員長、こんな答弁で私、質問を続けることはできません。協議してください。
藤井委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 ただいま前原誠司君の質問の件につきましては、これは政府において協議をして、しかるべき後、予算委員会の理事会に報告をしていただきたいと思います。
 よろしいですか。整理して。
森山国務大臣 お言葉でございますけれども、私どもの入管の当局が、本人であるかどうか、あるいは本人がだれであるかということを重ねて問いただしましたが、本人がそれを申しませんで、違う名前を申しておりました。それ以上事実を認定することができないということでございまして、それがはっきりしない者を、また別の者ではないかということで、その想定に基づく扱いをするということはできないことでございます。
 それから、入管の職員を同行させたということは、外務省の場合はないかもございませんが、入管の場合は必要に応じてございまして、混乱を避けるため、中国に帰りたいという本人の希望その他から、中国に確かに届けなければいけないということで同行させたものでございます。
前原委員 今までの答弁と全く一緒でしょう、それだったら。今、委員長にまとめてもらったことについて文句をつける気ですか、法務大臣は。
 つまりは、今の答弁に対して私は不服だと言っているわけですよ。それは入管ではあるかもしれないけれども、外務省でああいうふうにやるのは前代未聞なんですよ。しかも、写真を撮られて多くの人たちが金正男と特定をしているわけです。
 総理大臣、今の委員長の言葉を受けて、政府として統一見解をまとめてください。今までのうそのものは全部リセットして、しっかりと、これは国会を愚弄しないで、形骸化させないためにも、ちゃんと事実を調べて、明らかにしてください。必ずだれか言いますよ、これは。そのときにだれが責任をとるんですか、この話。総理、御答弁ください。(発言する者あり)
藤井委員長 ちょっと待って。
 法務大臣、それから内閣総理大臣も聞いておいていただきたい。
 今の前原誠司君の質問に対しては、法務大臣があのようなお答えをいたしましたけれども、それは納得できない。これは私も委員長として、こういった問題というのは非常にデリケートな問題でありますし、これは、これからの拉致問題を解決するに当たって、それを信用するしないとかといういろいろな問題があります。そういったことを含めまして、この問題については、今の質問に対してどこまで、法務省のみならず、国家公安委員会か、他の省庁、あるいは内閣を含めて、そういった中で誠実に答えられるもの、また答えられない場合もあるでしょうから、そういったものを含めて、後ほど、予算委員会の理事会、また委員長の方に御報告いただきたいと思います。
 それでよろしいですね。
小泉内閣総理大臣 委員長の指示に沿うようにいたします。
前原委員 北朝鮮との話し合いの全体像の中で、今覚せい剤の問題の話をしました。そして、この覚せい剤、今日本で出回っているものの中で、これは警察が出している数字でありますけれども、他の国を抜いて一位になっています。つまりは、政府が、警察庁がもう、北朝鮮製のものが入ってきて、それが一位だと認めています。したがって、これは本当に治安の問題、青少年の健全育成にもかかわる大きな問題でありますし、国家がかかわって外貨獲得の源泉としている可能性が極めて高い。
 したがって、その経緯など、あるいは日本での販売ルートを特定する上で、今申し上げたことは極めて重要ですので、ぜひ政府としてきっちりと調べて、いいかげんなものを出さないようにお願いをしたいと思います。
 もう一点、私が対北朝鮮との交渉で重く考えてもらいたいのは、朝銀の問題であります。
 これは二月二十六日の予算委員会で総理大臣にも質問をいたしました。その質問の内容というのは主に二点ございまして、一つは、朝鮮総連がかかわってのいわゆる計画破綻的なものがあったんではないか、組織ぐるみではないかということを調べてほしいということが一つと、そして、総連経由で北に朝銀マネーが送られているという話がある。私は、元朝鮮総連の幹部の方に、実際自分が運んだという話も伺いました。
 それについて私が総理に対して質問をしましたところ、小泉総理大臣はどうおっしゃったかというと、「よく調査すべき問題だと思っております。」と。これは前者について、いわゆる組織ぐるみの問題について。そして、その後の北朝鮮への本国送金の話については、「いろいろな疑惑に対しては、よく調査する必要があると思います。」こういう御答弁をされているんですね。
 そのフォローが全くありません。どのようにその全体像を解明するのか、総理として、政府としてやるとおっしゃったのに、これについての突っ込みが本当に弱いんですね。そのことについて幾つか質問をしたいと思います。
 ハナ信組についてでありますが、これは十二月二十九日までに手続が終わらなければ、受け皿としての機能が果たせなくなります。私が事務的に伺ったところによりますと、大体事務手続は一カ月程度かかる、こういう話でありました。ただ、いろいろな短縮を図れば何とか話がつくんじゃないかということでありました。きょうは十二月二日、もう一月を切っております。
 竹中金融担当大臣にお伺いをしたいと思いますが、このハナ信組については、私の知り得ている情報では、定款に従って役員を日本人にかえるということで話をし、大体めどがついて、そして受け皿としてスタートをさせるという話がついているというように聞いておりますが、そのことについて御答弁をいただきたいと思います。もう一カ月を切っているんですから、ちゃんとお答えください。
竹中国務大臣 お尋ねのハナ信組、いわゆる関東信越地区の破綻五朝銀の受け皿組合についてでございますけれども、これは、経営の透明性、独立性を確保するという観点から、第一に、朝鮮総連を含むいかなる団体からの経営、人事に関する介入、関与を排除する、第二に、朝銀や朝鮮総連の役員経験者は役員としない、第三に、役員は朝鮮総連のいかなる地位、職にもつかないということで、今いろいろな話し合いがなされているところでございます。
 直接のお尋ねは、タイムリミットが迫っているんだけれども、もうそれが決まったのかどうかというお尋ねでございますけれども、この信組におきましては、現在、役員体制についてまだ検討が引き続き行われているというふうに私どもは聞いております。したがって、その具体的な見通しを申し上げるということは、現時点においては困難でございます。
前原委員 もうこれは事務手続からするとタイムリミットなんですね。今御答弁されて、あした、あさって発表されたら私は怒りますよ。つまりは、もうある程度内部で固まりつつあるんじゃないですか。
 じゃ、まとめたいという思いを持っておられるかどうか、その程度でいいですよ、もう一度御答弁ください。まとめたいと思っているかどうか、あるいは、もうそれは受け皿は決まらなくてもいいと思っているのかどうか、その点について御答弁ください。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、タイムリミットは確かに迫っております。我々としては、そうしたことを意識しながら私どもも努力しておりますし、当事者の皆様にも努力をいただいております。
 期限までに金融整理管財人が管理を終えることができるよう努めたいかどうか、これはまさしくそのように思っております。
前原委員 ハナに対して受け皿が決まる、そして正式にスタートするということになると、四千四百億円ぐらいのお金が投入される可能性がございます。となると、今まで合計をして一兆四千億円の公的資金、税金が朝銀破綻の穴埋めに使われる、こういう話になります。
 総理に答弁をしていただきたいんですが、確かに、都道府県が信用組合の金融監督をしている時期はありましたけれども、これだけの、一兆四千億円もの税金を金融機関の破綻の穴埋めに入れなきゃいけないというのは前代未聞の、前代未聞というか、信組、三十八あったものについては異例中の異例だと思うんですね。
 しかも、先ほど申し上げたように計画破綻、つまりは組織ぐるみで朝鮮総連が関与した、これは裁判にももう、判決にも出ているわけですから。組織ぐるみの問題と、あとは、北に実際自分は持っていったんだと言う人もいるわけですよね。そういう全体像を本当にしっかりと政府が一体となって、全体となって、真相究明とそして責任の所在をはっきりしないと、そのままで一兆四千億円のお金が入れられたら、これは国民は納得できないですよ。
 全体像の把握、つまりは組織ぐるみの問題、そして北に幾らお金が送られていたかという問題、そして今までの金融監督がいかにずさんであったかという責任の問題、ここも含めて、総理としてどう考えられるのか。この間みたいに、よく調査します、調べてみる必要がありますという答弁じゃ、全然それから進んでいないわけですから、責任を持ってそれをやると御答弁ください。
小泉内閣総理大臣 全体を考えながら判断したいと思います。
前原委員 では、総理のおっしゃる全体とは何ですか。わかっておっしゃっているんですか。そういうふざけた答弁をしないでください。全体を考えて、何ですか、その全体というのは。
小泉内閣総理大臣 国内の金融機関である、同時に、今言われたいろいろな疑惑もある、そういう点、国民の税金を投入する場合もあり得る、そういう全体を考えながらこの問題は判断しなきゃならないということであります。
前原委員 ちょっと、余りにも失礼な答弁じゃないですか、それは。つまりは、これは私、総理に質問するのは二回目なんですよ。
 いろいろ調査しますとおっしゃった、二月の二十六日ですよ。何度も事務当局には来てもらいました。そして、民主党の部会にも来てもらって話をしました。全体でだれがその責任をとるなんということについて、一切みんなお構いなし。金融庁は自分の庭だけ。警察については、立件できるものは立件したからもうおれたちは知らないよという話。
 だれが一兆四千億のその責任を政府としてとるんですか。総理がリーダーシップをとってやらなきゃいけない話でしょう。全体を見てやりますと。もっと具体的におっしゃってくださいよ。どういうことをどうやるんですか。さっき申し上げたように、組織ぐるみの話、あるいは北に対しての送金の問題も、全部ちゃんとやるんですか。
 総理のこの間の答弁の後で政府から出てきたものについては、今までそういう事例は確認されていませんという答弁書ですよ。ふざけている。そんなものを、全体像を見てそして考えますなんて言われたら、またこれは半年、一年先送りですよ。そのままで一兆四千億円の税金が投入されて、だれも責任をとらない。
 もう一度、総理、答弁してください。ちゃんと答弁してください。
小泉内閣総理大臣 全体を見て判断しなきゃならない問題だと言っているんですよ。ちっとも失礼じゃないでしょう、本当のことなんだから。今、金融担当大臣は、いずれ期限が来ますよ、どういう判断をしなきゃならないか、そういう点を考えながら判断すると言っているんです。何が失礼なんですか。よほど失礼じゃないですか。
前原委員 いや、それは小泉さん、そういうのは逆ギレというんですよ。
 今の話は、しかもハナのことですよ。僕はハナのことだけ言っているんじゃないんだ。ハナのことは四千四百億円の話だけれども、今までトータルで一兆四千億円だという話をしているんですよ、財務大臣は御存じだと思うけれども。それのいわゆる今までの金融監督責任をどうするんですか、そして、その組織ぐるみの犯罪についてどう政府として取り組むんですか。そしてまた、北に送られているものについてのその内容について、ちゃんと、どう具体的にやるかということを示してもらわないと、全体を見てなんて、やはり失礼だ、そういう答弁は。
 竹中さん、何かありますか。
竹中国務大臣 本当に、結論から申し上げますと、やはり考慮すべき要因が非常にたくさんある、その要因が出そろうのを待ってきちっと判断する、それが総理の御答弁のまさに趣旨だと思います。
 もう今さら申すまでもありませんけれども、これは国内の金融機関であります。そこにお金を預けた善意の預金者もいる。その人たちに対しては、きちっと国内法に基づいて適切な処理をしていかなければならない、これはもう言うまでもないと思います。
 我々は、平成十年四月にその監督関係が国に移って以来、厳正な検査監督に基づいて破綻認定をする、金融管財人の派遣による責任追及を行う、これが今途上でございます。責任追及については、民事提訴二十件、刑事告訴、告発五件等々の実績が上がっておりますけれども、これはまださらに続きます。さらに事業譲渡がなされたとしても、その後、RCCにおいて、これは預保は調査権を持っておりますから、それを駆使してまた調べていかなければいけない。
 朝鮮総連との癒着が破綻の原因であるというような御指摘もございましたけれども、これは、業務上横領事件の一方の当事者である元朝鮮総連の財政局長の公判は引き続いて行われているところでありますから、これについても見きわめなければいけない。
 そういったことを踏まえて、総合的に判断をしていくということなのだと思っております。
前原委員 生意気な言い方ですけれども、判断じゃだめなんですよ。判断して、どう対処するかなんですよ。具体的に言えば、だれが責任をとるかということなんですよ。一兆四千億円の税金を入れるんですよ、金融監督がおかしかったんだから。判断をしてくれなんという話をしているんじゃないんだ。どういうふうな責任を政府としてとるのか、そして調べるのに徹底的にやるというのか、そこなんですよ。全体像を見て、それで判断してくれなんという話をしているんじゃないんです。
 総理、しっかりと責任追及の具体策をつかまえるような、いわゆる政府挙げての取り組みをする、取り組みをすると言ってもらいたいんだ。判断をするじゃなくて、取り組みをする、その一言でいいです。
小泉内閣総理大臣 判断して対処するという意味なんですよ。
前原委員 しっかり対処してください。
 時間がそろそろ参りましたので、今の北朝鮮問題については、つまりは、拉致、核の問題、きょうは核の問題はやりませんでしたけれども核の問題、それから覚せい剤、そして朝銀の問題、トータルでやらなきゃいけない問題なんですね。確かに、拉致被害者の方々が五人の方の御家族を帰してほしいというのはわかる。しかし、そこだけで矮小化して日朝問題を見たら、この大きな取り組みは間違うんですよ。だから、全体像を把握した上でこれはきっちりやってほしいということで、きょうはその質問をさせてもらったんです。また、引き続きやらせていただきたいと思います。
 最後に一つ、大島大臣、政治と金について一つだけ質問しておきたいと思います。
 大島大臣は、過去、答弁で、宮内前秘書の口ききについては事実を認めておられましたね。八戸市立市民病院、これは建設業者数十社が絡んでいるということでありますけれども、この宮内さんは、だれにどのように口ききをしたということを認めておられるわけですか。具体的に御答弁いただきたいと思います。
大島国務大臣 お答えを申し上げます。
 少なくとも発注元である市そのものに紹介した記憶はないが、何月何日だれをだれにという、その紹介をした手帳とかそういうものをつけていない、具体的には、申しわけありませんが記憶にどうもありませんということで報告がありました。
前原委員 答弁になっていません。なっていませんが、後で同僚の原口議員が引き続き質問をされると思いますので、私はこれで終わります。
藤井委員長 この際、原口一博君から関連質疑の申し出があります。海江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原口一博君。
原口委員 民主党の原口一博です。
 総理、今もお聞きになったとおり、拉致の問題をここまで深刻にしたこと、そのことは、情報の共有がうまくいっていない。あの工作船にしても、拉致事案についても、どれほど私たちに知らされていたのか。
 きょうはインターネットで資料を提示しながら一つ一つただしていきますが、資料三を、委員長、配付の許可をお願いします。
藤井委員長 どうぞ。
原口委員 資料三をごらんになってください。これは、過去の工作船事案、海上保安庁がつかんでいるだけでこれだけあった。二十一隻もあった。しかし、実際に公表されたのはこのうちの十隻だけです。
 あるいは、これは国家公安委員長にもお尋ねをしますが、公安委員会の調査の中で、警察庁の調査の中で、さまざまな拉致の工作員の問題についても、これをフォローしていた、チェースをしていた。しかし、そのことが私たちに伝えられることはほとんどなかったわけです。
 まず、国家公安委員長にお尋ねしますが、北朝鮮による拉致容疑事案について、日本人の請負業者など国内の協力者に関する警察の捜査はどうなっているのか。それから、北朝鮮の工作員についての捜査はどうなっているのか。そして、今、日朝交渉が行われているところでございますが、まさにこうした状況において、原発等に対する突発的なテロ等が敢行される、そういう可能性は否定できないと考えますが、地方警察の増員を含めて警備体制の増強を図るつもりなのか、そうではないのか。
 そして、これは総理にもあわせてお尋ねをしますが、やはり実際に拉致現場を見てみると、外から船が来て、そのままいきなり拉致をされるというのはなかなか考えにくい。ここまで深刻に拉致被害を拡大したというのは、やはり国会、例えば先進国の議会だと、先ほど前原議員が質問をしたような、高度な機密性を要するものも秘密会で立法府に行政府が提示をして、そしてそこで法案の要件や対策を、立法、行政ともになって対策を練っていく、こういうことが考えられなければ、収集した情報を的確に生かしあるいは対応していくことができないのではないかというふうに考えておりますが、海上保安庁それから国家公安委員長、そして最後に総理に、この点についての所見をいただきたい。
    〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕
谷垣国務大臣 今原口委員から、まず、日本人の請負業者、拉致の場合の請負業者について捜査はどうなっているかというのが一つございまして、これは、日本人の現地請負業者の有無も含めまして、今まさに捜査を行っているところでございます。
 仮に、日本国内での協力者が明らかになって、その協力行為が具体的な刑罰法令に違反するということになれば厳正に対処しなければならない、これは当然のことだろうと思います。
 また、我が国におきましては、戦後約五十件の北朝鮮工作員関係の事件が検挙されておりますが、こうした活動は我が国の国益を害するものであるし、国民の生命、身体にも影響を及ぼす治安上重大な問題である、こういうふうに認識しておりまして、情報収集活動や沿岸の警備を行うなど、北朝鮮工作員による対日有害活動に対する取り締まりを徹底しているところであります。
 それからもう一つは、原発警備の問題もお尋ねになったところでありますが、昨年の米国同時多発テロ事件以降の国際テロ情勢の高まりを踏まえまして、各種重要施設の警戒強化を行っているわけでありますが、中でも原発、原子力発電所等原子力関連施設は、機動隊の銃器対策部隊によりまして原子力関連施設警戒隊というのを編成して、施設管理者とも必要な連携を図りながら、二十四時間態勢で警戒警備を実施しているわけであります。
 今後とも、情勢に応じまして地方警察官の増員を含む体制強化あるいは装備資機材の充実を図りながら、こういう重要施設の警戒警備に当たってまいりたいと思っております。
 それから、今までいろいろな捜査もしているけれども国会に十分情報を出していないではないかというお尋ねでございます。
 ここは実は非常に悩ましいところでございまして、なかなかこれは、先ほども申しましたが、手のうちをさらけ出しにくいという要請もございまして、我々としても苦慮するところでございますが、李恩恵拉致容疑事案については昭和六十三年の二月十七日の衆議院地方行政委員会で、また、福井、新潟、鹿児島の各県下で発生しました一連のアベック拉致容疑事案それから辛光洙事件、これにつきましては同じく六十三年の三月二十六日の参議院予算委員会において、それぞれ初めて北朝鮮による拉致の疑いがあるという答弁を行っておりまして、それぞれの事案について、申し上げられる限りは申し上げてきたつもりで、国会でも申し上げてきたつもりでございます。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 海上保安庁といたしましては、先生先ほど御指摘の資料にございますとおり、これまで私どもとして二十一隻のいわゆる不審船というのを確認してまいりまして、その事実については公表はしてきたところでございます。
 そのうち、銃撃を当方として受けたり、あるいは巡視船の方から威嚇射撃を行ったりといったような事例等特筆すべきものについては、これまでもその日時でございますとか事案の概要でございますとか、そういったことについて公表してまいったところでございますが、残りのものにつきましても、今後、その概要等について適宜速やかに公表してまいりたい、かように考えております。
小泉内閣総理大臣 不審船等に対してどのような警備体制が必要か、また海上保安庁、警察、自衛隊等の連携等不備はないか、今まで反省すべき点がないかという点も含めて、いざというときに対する備えというのは平時からしていかなきゃならないと思っております。
 また、国会等の秘密会におきましても、本当に秘密が確保されるようなことを各議員も努力していただきまして、できるだけの情報は提供していかなきゃならないなと思っております。
原口委員 前向きの答弁をいただいたというふうに思います。
 いわゆる金政権、独裁国家、しかも一人の人を神格化している、ある意味じゃカルト的な国家のその首脳にいわゆる謝罪を引き出したというのは、総理、これは私は一定の評価、大変な大きな進展だというふうに思います。
 ただ、そこで、北朝鮮の現政権に対する政府の姿勢、これについてはどんなふうなんだろう。例えば、イラクに対しては、アメリカはフセイン政権の打倒、そして政権の交代を求めています。ただ、外務省の、あるいは今の小泉政権の行動を見ると、九月十七日、小泉・金正日会談の翌日、総理は韓国の金大中大統領に電話をして、そして、金大中さんのいわゆる包容政策を支持するということを表明されている。このことは何を意味するかというと、我が国は、あの北朝鮮に対して急激な体制変更を求めない、徐々に、漸進的に政策を変えていく、そういうスタンスを持っているんだというふうに思って、総理、よろしいんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私は、金大中大統領の太陽政策、包容政策を支持しております。今の北朝鮮体制を転覆しない限りは無理だという態度をとっておりません。北朝鮮が、現在の体制のままでも、今までの考えを変えて、国際社会の責任ある一員になってもらう、そういう態度をとってもらうように各国が協力していくべきだと。日本も当然、今の敵対関係から、将来、北朝鮮と協調関係になれればいいな、そういう方向で正常化交渉を進めていきたいと思っております。
原口委員 そこで、問題となるのは、朝鮮半島の非核化、大量殺りく兵器、大量破壊兵器の開発阻止にどのような枠組みで、どのような姿勢で臨むか。まさにKEDOの枠組みについても、あるいは平壌宣言も、先ほど前原議員が指摘をしましたように、ある意味では履行が疑われている。アメリカの議会では、重油の停止、あるいは食糧支援についても厳しい意見が出ている。こういう中で、総理は、朝鮮半島の非核化についてどのような手順で、どのように進めていこうとされているのか。
 今、基本的なスタンス、いわゆる早急な体制変換を求めないということをお認めになったわけですが、私どもは果たしてそれでいいのか。金総書記の関与については、国際法、人権法上の重大な違反として取り上げていく、この選択肢もあると思うんですが、その選択肢はとらないでということなのか。それとも、どのように非核化を進めていくのか。まさにウラン濃縮計画が明白となった、そのウラン濃縮の実態が明白となった今、IAEAの特別査察、こういったことも視野に入ってくるのではないか。そういう査察を受け入れるべきであると日本政府として求めていくのか。総理の基本的なスタンスをお尋ね申し上げます。
小泉内閣総理大臣 北朝鮮との関係につきましては、特に安全保障の面については日本だけの問題ではありません。韓国、アメリカと緊密な連携協力をとっていきますし、IAEA、そしてロシア、中国も懸念している問題でありますので、そういう外交関係をにらみながら、この核の問題について北朝鮮が日朝平壌宣言を誠実に履行する方向で努力するように、日本としては懸命の、外交努力を含めた北朝鮮に対する働きかけをしていかなきゃならないと思っております。
原口委員 先ほどまでのスタンスは非常に明確だったんですが、ここに来て、なかなか歯切れの必ずしもいいと言える答弁が出てこない。ここは我が国の安全保障にとっては大変な問題なので、これはまた別の委員会で質疑をしますが、イラクの問題について少し指摘をしておきたいと思います。
 国連決議の一四四一に基づき、今現在イラクへの査察が行われていますが、アメリカは、既に、イラクの決議違反による戦争を想定して、約五十カ国の同盟国に支援を打診しています。
 国際社会がイラクに完全武装放棄を求めるのはなぜなのか。それはまさに、この大量破壊兵器といったものが近隣国に使われる可能性もあり、あるいは、テロとの関係も疑われているからであります。ただ、暴力やあるいは軍事行動だけでは解決ができないということは、私たちは、もう過去の事例を見ても明らかだというふうに思います。
 きょう隣にいらっしゃる自見さんと、昨年、予算委員会でイラクを訪れさせていただきました。これは、イラクの白血病棟の絵です。十一年前のいわゆる劣化ウラン弾の影響で、たくさんの小さい人たちが亡くなっています。そして、経済制裁という形で、命を助けることができないんだということでありました。
 これはちょっとショッキングな絵なので総理の方にだけお見せしますが、アーメリア防空ごうの中の絵です。ちょっと見にくいんですが、ここには、誤爆で亡くなった小さい人たちの手が、手の肉片がたくさんついている、そういう絵であります。
 小さい人を傷められて、そして、イラクは、昔はメソポタミア文明、つまりさまざまな文化を誇ったところですが、その文化についても、あの大戦のときに多くの遺跡を先進国に持っていかれている。小さい人を傷められて、そして文化を汚されれば、悪魔とも手を結んでしまう。
 ですから、私たちは、軍事行動以外に、中東和平に対して日本ならではやれることがたくさんあると思うんです。これは、バカーの難民キャンプで、日本が援助をしている、学校や医療や、随分援助をしているんですね。その日本に感謝をささげて、日本の子供たちとそのアラブの子供たちが手を結んでいる、こういう絵であります。
 国会の中では、アメリカの空爆や軍事行動に対する是非といったことは議論がされてきましたけれども、しかし、中東和平に私たちが何をやるか、あるいは、中東和平の中で、私たちが今の法律の枠組みで、政治的にあるいは制度的に何ができるのかということについては必ずしも議論が十分ではありませんでした。
 今、テロ特措法の延長によって、アラビア海、インド洋に自衛艦が出ていますが、総理に端的にお伺いしたいのは、このテロ特措法の中で、これをイラクに適用することはあるのかないのか。私は、現行法では、このテロ特措法をイラクに適用するということはあってはならないし、なし崩し的にやっていくべきものではないというふうに考えていますが、総理の基本的なスタンスをお尋ね申し上げたいと思います。
    〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕
小泉内閣総理大臣 テロ特措法は、テロに対して日本として外国軍隊に対する支援活動、そういう面もあるわけでありまして、今回このイラクの問題ということに対しては直接関係はございません。
原口委員 明確にお答えをいただいたと思います。
 とすれば、では、世界に対して、世界でたくさん大量殺りく兵器がテロ集団に渡る、その危険に対して、私たちはどのように法的な枠組みで対処をしていくのか。今回のテロ特措法は時限であり、そしてまた、アフガニスタン、例の九・一一のテロということに直接関連をしているものでありますが、ここについてのしっかりとした法整備が必要だというふうに思います。
 資料の四をごらんになってください。アメリカ議会の予算局、CBOが発表した、イラク攻撃戦費に関する試算であります。現在、査察が順調に進んでいるので、このようにならないことを私たちは心から望むわけでありますが、仮に査察がうまくいかないといったときに、私たちはさまざまな危機管理のフェーズを覚悟しておかなけりゃいけない、このように考えています。
 イラクの問題で、私たちがぜひ総理に要請をしたいのは、国際社会の枠組みの中で、国連憲章五十一条が拡大解釈されるということがあってはならない。自分の国に対する自衛、それがたとえテロであっても、これが拡大解釈されて、それぞれの国が独自に軍事行動を起こすということになってしまえば、逆にテロを拡散させてしまう、こういう危険もあるわけでございます。今回、アメリカの友人たちが自制を持った、大きな力にはやはり大きな自制が必要である、大きな力には大きな責任が伴う、このことを私たちが国際社会とともに確認できたことをぜひ進めていきたい、このように考えます。
 さて、そこで総理、総理の政治姿勢についてお尋ねをしますが、先ほど特定道路財源問題で御答弁をされていましたが、一体、総理の公約というのは何なのか、その公約の優先順位というのは何なのか。そして、このところ解散・総選挙という言葉が総理の周辺から聞かれます。
 総理に伺いたいのは、御自身の政策に対して理解の進まない人は抵抗勢力、そして抵抗勢力であれば、仮に御党の議員であるといっても解散して信を問うということをおっしゃっていますが、これは非常にわかりにくい。総理が自民党総裁として公認した人に、解散を打って、この人に入れないでくれということができるのか。自民党内での、いわゆる構造改革論とそして抵抗勢力というやり方でこの一年半やってこられましたが、政党政治の基本についてどのように考えていらっしゃるのか。総理はこの点についてどのように整理をされるのか。
 国民は、総理が、解散する、抵抗勢力はこの人たちだ、この人たちには入れないでくれ、この人たち全部じゃありませんけれども、そういう言い方が果たしてできるのか。どのように整理されているんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私は、みずから解散するとかいう発言は一言も言っていないんですよ。いろいろな場で聞かれて答えるのを、総理と話してどういうことを総理は言ったんだと、聞いた人が話しているだけであります。私が直接聞かれたときの、いわゆる毎日やっておりますぶら下がり会見。解散など私は一言も考えていない、解散などやる余裕はない、これが、私が記者諸君からじかに聞かれて答えたものであります。
 ところが、新聞とか報道機関は、おもしろおかしく、私の話を聞いて、解散の発言すると。私は、みずから求めて、解散するしないなんて一言も言っていないということをまず御理解いただきたい。いろいろな懇談で、あるいはこういう委員会で、質問があるから答えているだけです。その際も、解散する気はないということをまず頭に置いて、仕事をするのが精いっぱい。任期ある限りは仕事を精いっぱい考えるということであります。
 そこで、私が、改革を進めていくに、自民党を変えると。今まで反対していたものも、自民党は私の内閣になってから賛成してくれております。だから、私の改革に賛成してくれればそれでよし、自民党が変わってくれればよし、今まで反対していたものに賛成してくれればよし。しかし、そうでないなら自民党をぶっつぶすと言っているんであって、それは今後のことを見なきゃわからないでしょう。
 だから、これに対しては、将来のことについては、そのときになってみなきゃ私は言いようがない。政界は一寸先はやみといいますから。これも、そういうときにどういう事態が起こるか。まさか、私は民主党が自由党と合流するなんて思っていなかったのが、現実、民主党と自由党が合流する動きが出ている。これまた、政界は一寸先はやみでしょう。
 そういうことによって、政党政治というのは本来違いが、政権政党と野党、というのは次の政権政党ですよね、本来だったらば。野党第一党というのは次の政権政党なんです。だから、私は重視しているんです。常にもう野党でいいという野党じゃ困っちゃうんですよ。次の選挙ではやはり政権をとる、与党になるんだという意識を持ってやっていることによって初めて建設的な議論が起こるという面において、私は、本来の政党政治はそういうものだと思っておりますが、今の状況でいきますと、なかなか、同じ与党内においても意見の違いがあるし、野党内においても意見の違いがある。
 これは、アメリカにおいても、共和党、民主党で政党は違っていながら、むしろ同じような意見を持っている人が両党内にいるという点もあります。違いがわからないといえばそれまででありますが、それは、最終的には国民が選挙のときにどう判断し、それによって選ばれた議員がどのように政権を形づくっていくかによっても、政党政治というのは変わってくるんじゃないか。
 今の時点において、私は、非常に無党派層が強い、政党政治としてなかなか思っているようにいっていないなと。小選挙区制度を導入すれば政党本位の選挙になるんじゃないかといいながら、いざ実際選挙をやると無所属が強いというのは、やはり意図したとおりいっていない。ここがまた政治の難しさじゃないかと思いますが、大きな時代の分かれ目でありますけれども、こういう点については、結局、最終的に決めるのは国民ではないかなと思っております。
原口委員 余り今の枠組みを重視はしていないんですね。一寸先はやみだから、場合によっては自民党をぶっつぶして別の勢力と組んで、そして、それでもって構造改革が進むのであれば、信を問うということもあるというふうに受けとめました。(小泉内閣総理大臣「そうは言っていない」と呼ぶ)
藤井委員長 小泉内閣総理大臣、発言ありますか。いいですか。
原口委員 それで、私は、経済政策全体でいうと、やはりこの一年半の間、全く答えがない、むしろ問題設定を間違っていると思います。
 資料一をごらんになってください。
 今、大変な雇用の問題がわき出ていますが、皆さんが議論をされているのは、今、法人税や所得税あるいは住民税のところを議論されている。しかし、最も大きいのはこの年金保険料であります。今、企業がどういう行動をとっているかというと、まさにこの年金保険料の事業主負担を忌避するため、回避するために正社員を採らない、これが大きな雇用の問題になっています。もう一つ、医療保険についてもそうです。
 ここの構造改革をやらなきゃいけない。歳出の構造改革だけでは、やはり私たちの日本というのは救うことができない。あるいは、不良債権の最終処理をするといいながら、産業再生機構はいつ立ち上がるんですか。まだその原案すらも明らかになっていない、法案すらもない。
 資料の二は、RCCの再生の実績でございますが、〇・四とか〇・二という、そういう再生ですよ。こういう中で、不良債権の加速をする、一緒に再生もやりますと言っても、何の説得力もないんではないでしょうか。不良債権の問題は都市銀行の問題、そういう設定をしてきたことがまさに今の現状をつくっているんではないかということを指摘しておきます。
 そして、これは大島農水大臣の秘書官の問題についてでございますが、大臣は先ほど、どんな口ききをしたのかわからないということでございましたが、そうであれば、やはり御本人に来てお話をいただかなければならない。
 そして、この予算委員会に資料を提出していただきましたが、平成七年の八月三十一日に、D銀行の衆議院支店というところから六千百万もの、抵当権も何にもない融資がされている。当該の不動産屋さん、あるいは銀行関係者に聞き取りをしました。土地を買うのに、抵当権もなしでどうやって貸し出しができるんですか。このことについて、大臣はどのようにお答えになりますか。
大島国務大臣 お答えを申し上げます。
 先ほど私がお答えしたので、私が記憶が定かでないということではなくて、前秘書が何月何日だれだれにということを手帳につけているわけではない、そういうことで、記憶が定かでないということを申し上げたのであります。
 さて、今の委員の御質問でございますが、その点を確認いたしました。
 彼の自宅購入に当たり、最終的に土地と建物を一体で買っていただくことになるが、それを前提として、まず土地を先に買ってほしい、そうしてくれれば多少値引きをすると不動産屋の方から申し入れがあったそうでございます。このため、前秘書は、大和銀行に相談したところ、銀行側の答えは、土地と住宅のセットでローンを組むことを前提として、まず、土地購入に対するいわゆるつなぎ融資をいたしますということであったということです。そうした経過の中で、委員御指摘のとおり、土地購入に際して、登記簿上、抵当権は設定されませんでした。
 そして、その後、私の事務所のスタッフが銀行に話を聞いたところ、こういったケースは、登記簿上の抵当権の設定をしなくても、権利証、印鑑登録証など、抵当権の手続に必要な書類一式を銀行側があらかじめ債務者から提出させる、事実上、いつでも抵当権を設定できるようにして、実質上の担保をとるということがあるそうでございます。そうして登記の手続を省略することは、通常、どこの金融機関でもある意味ではあることであり、特に問題はないということでした。
 なお、十二月二十八日に七千百万の本融資が行われた時点で、六千百万のつなぎ融資は抹消されたということでございます。
 銀行が融資を行う際に、銀行が抵当権を設定するのが普通ですが、住宅ローンの場合は、融資を行う銀行ではなく、通常、銀行の関連の保証会社が最終的に土地と建物の上に抵当権を設定する仕組みになっております。
 このため、宮内のように、土地と建物を短期間に別々に購入し、ローンを組むケースでは、債務者が登記手数料を二重に負担する必要が出てくることになりますので、こうしたことから、銀行が、登記簿上でなく、事実上の担保を獲得することにより、一度の登記で済ませることができることになり、こういった債務者の負担を軽減させるという方法が行われているそうでございます。
原口委員 もしそんなことができるんであれば、この不良債権の回収でこんなに苦労してないんですよ。全くの理屈に合わない答弁だというふうに思います。
 また、大臣は、この宮内さんが、いわゆる口ききの見返りにお金をもらってないということでしたが、委員長、ここに、いわゆるコンサルタントのA氏からいただいた現物を持ってまいりました。しっかりと宮内氏の奥様に対して手渡しでお金が渡されていたという証拠です。
 そして、大臣がお示しになった資料の中にも、一千五百万の贈与の未払いというのをこの間お認めになりました。一千五百万だけじゃないじゃないですか。残りにも、約二千五百万近い贈与が、あるいは遺産の相続があって、これについては届けられていないでしょう。いかがですか。
大島国務大臣 私の本当に知らざることが、この委員会とかそういうもので次から次と御質問いただいております。その中にあって、まさに最初に報道された週刊誌の報道、それは、多額の金が彼の家の原資になっているところから始まりました。
 したがって、私は、この原資について、本当にプライバシーも全部明らかにして私に示しなさい、その結果は委員長や原口理事も見ていただいたものと思いますが、その中に、今おっしゃられた実母から譲り受けたという一千五百万に係る贈与の未払い、そういうふうなものがありました。またさらに、それ以外に、奥さん御本人、奥さんのお父様、お母様でございましょうか、そういう方からも贈与を受けたというふうなことがございました。
 そのことに対して、私は、これは期限が来ている、来ていないのは別にして、少なくとも、君の範囲の中で税務署に行って相談するなり税理士と相談して、そのことに対してはしっかりしなきゃいけませんよ、幾らやめた秘書とはいえ、厳しく彼に対して言いました。その結果、今現在、税理士を通じて税務署と相談しておるようでございますし、また、それ以外のことについてもかなり厳しく彼に対して言ったこともございます。
 いずれにしても、税金の問題は、今委員おっしゃったように、国民みんなが頑張って税金を払っているわけですから、そういうことに対しては本当に厳しく彼に伝え、そして、彼は今それの協議に入っているということでございます。
原口委員 これはテレビをごらんになっている人はびっくりしますよ。二千五百万の贈与税や相続税を払わないで済むわけない。
 そして、これはお買いになった資産の買い入れ価格などということで、税務署はこうやって聞いてくるんですね。これは藤井委員長が誠実に調べていただいて、実際に提出をされているということがわかりました。では、ここに書いてあるはずなんです。書いてあれば、税を逃れることはあり得ないんですよね。私は、この国会にぜひ来ていただきたい。
 この問題だけではなくて、まさに福岡県のことについても、もうたくさんの告発が来ています。
 これは大臣が科学技術庁長官時代のことでございますが、JSTといういわゆる文部科学省の外郭団体、そのことについても同種の口ききをされて、そして、そこのJV比率を五、四、一に変えてくれないかというようなことをおっしゃっている。これは大臣秘書官ですよ。しかも、所掌の文部大臣秘書官。私は、こういったことが繰り返されるということはあってはならない。
 そして、大臣がこの間、まさにメッセンジャーのように出てこられた。私は、このコンサルタント会社のA氏と、そしてこの宮内前秘書官にお出ましいただいて、こういう口ききの実態がどうだったのか。
 そして、先ほど税理士と相談をされているとおっしゃいましたが、実はこの土地の売買については一回税理士と相談されているんです。このコンサルタントA氏だけじゃなくて、そのとき相談された税理士の先生の証言もあります。その内訳については、決して大臣が出されたようなお金ではなくて、だから、贈与税とかあるいは相続税とかはお支払いになる必要はないんじゃないかとその方はおっしゃっている。むしろ、口ききでもらったお金をこれに充てたんですから、そこの贈与税は要るかもわからないけれども。全く証言と違うことを大臣はお聞きになって、ここで答弁をされている。このことは大変大きな責任だというふうに思います。
 最後、このことについてどのようにけじめをつけていかれるのか、大臣御自身から御答弁をいただきたいと思います。
大島国務大臣 この報道があって以来、さまざまな御質問をちょうだいしました。まず、それらの報道に関して、言われていることに関して、私自身が関与をしたり彼に命令したりしたことは一度もございません。
 私は、そういうことの中で、まず、大臣秘書官として業務上、実務上執行できない、彼の仕事はできないということで、彼を辞させたのも一つでございました。
 しかし、もう四年前、六年前、七年前の話とはいえ、問われたことに、私はまさに、もと私の秘書として、前秘書として、問いただすべきは厳しく問いただし、集められる、私の納得できる資料を持ってこいということの中で、真剣に問いただして、そのことを誠実に皆さんに御報告するのが私の責務であろう、こう思って努力してまいりました。
 私には、法律に基づく捜査権があるものではありません。しかし、そういう元秘書、前秘書としてあった者に、やはり皆さんから問われたことに全力を尽くして聞きただし、そして、それを報告していく。メッセンジャーではございません。さらに言えば、自分自身も、こういう中にあって、みずからを反省しながら、自省をもしながら、身を律して職務に専念していくことが私の責任であろう、このように思っております。
原口委員 新たな証拠をここに出しました。それは国会答弁と全く違うものであったということを指摘して、質問を終わります。
藤井委員長 これにて海江田君、前原君、原口君の質疑は終了いたしました。
 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 私どもが地元に帰りますと、本当に、倒産企業、夜逃げ、自殺、破産、そういったことばかりであります。そんな中で、竹中金融大臣の不良債権の償却、これを急ぐ、そうなりますと銀行が、新聞に載っておりましたが、三十兆円もの回収を、いわゆる貸し金の回収を、貸しはがしをやるということになりますと、総理大臣、そうなりますと、いよいよもって、今まで優良な企業だと目されたものでもどんどん倒産していく、失業者はどんどんふえる。こんな中で、まさに我々は本当に真剣にこの経済の再建というものを考えなきゃいけない。補正予算等について四野党、これも今合意したそういった見解について、我が党もそれを述べるべきところでありますが、いわば海江田委員がしっかりと述べておりますので、私の方はその件については省略させていただきたい、そう思います。
 ところで総理大臣、口を開けば、この経済の問題で、構造改革なくして経済成長なし、そう言っておりますが、実はこの構造改革は、既に九三年、約十年前から、我が党の小沢一郎党首が、今度の不況は循環型の不況ではない、構造改革を徹底してやらなければだめだと今までずっと言い続けてきたことで、これはそれよりも早く、前から言ってきたことなんです。
 そこで総理大臣、実は構造改革を大胆に実現するには、まずその前提として、いわばこの前の北方支援委員会で、鈴木宗男議員とそして外務省官僚との癒着、さらにまた三井物産等々の癒着にあるように、政治家と官僚と業界のこの癒着構造を、前提として徹底して改めなければいけない。総理大臣の考えはいかがですか。
小泉内閣総理大臣 構造改革、小沢党首が提言されているということは歓迎したいと思います。
 これからも、政治といわゆる官界とのあるべき姿、こういう問題につきましても、それぞれが、今までのいろいろな御意見も踏まえて、あるべき姿に向けて努力していかなきゃならないという点については、私は山田議員とも共通した認識を持っているんじゃないかと思っております。
山田(正)委員 そこで、この構造改革、いわゆる政官業癒着、これを断ち切るために、ひとつ大島農水大臣、先ほどから言われております疑惑、前秘書官の疑惑を明らかにしたい、そう思っております。
 皆様方に配付しております資料を見ていただければと思います。総理大臣、配付資料がありますので見ていただきたい、農水大臣も。
 私は実は、コンサルタントのAさんから、原本、いわゆる国会手帳をここに預かっております。その中の、このコピーですが、資料を見ていただければわかります。平成七年度の国会手帳ですが、その中に、実は三月三十一日の欄、この中に設備会社の会社名をはっきり書いております。総理が見ておられる中にも、会社名ははっきりしております。
 その中の何とか部長、私のこの手帳の中には、消しておりませんのでその名前も載っておりますが、その設備会社の部長から、実は「二〇H」、いわゆる二千万を、十二時四十分、東京駅の地下の椿山荘で受け取った、こういうメモがあります。そして、それをそのまま西武信金の貸し金庫に持っていった。
 実は、私は、その西武信金の貸し金庫の、総理大臣、これが貸し金庫のかぎなんです。これも預かっておりますが、まさにこの設備会社、はっきり名前も書いてありますね。その設備会社から二千万もらった。その設備会社は、実は、委員会で佐々木委員が出しました八戸市民病院新築工事請負業者、この一覧表の中にはっきりと名前が書かれておるんです。その会社が何と四十五億で受注しているんです、設備を。いいですか。調べてください。間違いないですね。これは佐々木先生の資料からも間違いありません。
 そして実際に、いいですか、先ほどから原口議員も質問しておりましたが、農水大臣は十月二十四日の予算委員会ではっきりと、秘書が口ききをした、「そういうふうなことについて口ききを」という、「口ききを」という言葉で認めております。先ほどの質問では、具体的には記憶がないと言っておりますが、その設備会社に口ききをした。そして、その設備会社からコンサルタントのAさんが金を受け取った。そしてまたその設備会社自体も、マスコミ関係者はみんな御存じですが、コンサルタントのAさんに渡したということは、記者会見で、リリースで発表いたしております。そして、この手帳にもはっきりと記載されておるわけです。
 いいですか。口ききして金をコンサルタントAさんがもらったということまでは、これは否定できない。
 そして、この手帳に同じように、配っている資料を見てください、資料一の三を見ていただければいいと思いますが、平成七年の七月六日ですね。七月六日です。この中に、見ていただければわかりますけれども、五〇二号室、いいですか、記載がありますよね。これは大島大臣の五〇二号室、部屋です。そこで「五HC」渡した。「五HC」というのは、これは五百万キャッシュで渡したというメモなんです。そのように、資料一の四、一の五、一の六とありますように、この手帳に現実に記載があるわけです。七月六日に五百万、七月十七日に一千百万、八月四日に三百万、十月二日に百万と。大変きちょうめんな人で、このようにしっかりとしたメモがあるわけです。これは、いわゆる入りと出がはっきりとしているわけです。
 そうすると、いいですか、大臣。大臣は、私が農水委員会でも聞いてきた。総理大臣からも十月十七日に、約一月半前に、調査して事実を明らかにするようにと言われている。そして、聞いてきたが、いわゆるコンサルタントのAさんは私に、大臣から電話一本あればいつでもこれだけの資料を持ってお話しに行きます、事実を明らかにします、そう言っているわけです。私も何度も、調査する調査すると言うんだったら何でそのコンサルタントのAさんに当たってこれだけの資料を確かめて聞いてみないのかと、それを聞いてきました。大臣、何でですか。
大島国務大臣 委員が今お示しになったこの資料、その内容は、もう既にたびたび質問を受けております。今新しいものではございません。そのA氏なる方が、何か自分で建設業を直接やっているとか空調をやっているとかということではなさそうではありますが、言われておるように、ある空調会社と言われる方から二千万云々という話も既に会社のある方がしゃべったよといって、私は質問を受けました。もう既に、もうずっとかなり前の話なんですね。
 そして、そのお金が私の前秘書の宮内に行ったものだというふうにはそこには書かれていないんですね。書かれていないんです。それは、委員も何かこう一生懸命おっしゃっておられますが、そういうふうなことは書かれていませんでした。だから私は聞きました。そして、そういうことを受け取ったことはございません、もしこれ以上の、これ以上――これはもう既に筒井委員からも克明に聞いておるんです。
 そこで私は、今そういうA氏からもうさまざまに発信があって、そして、そういうふうなことに対して、私は、自分が元秘書、前秘書という立場ですから、そういう関係の中で、問われたことに対してしっかりと、おまえはどうなんだ、そういうことを聞くのが私の責務だと思うのです。これは、多くの議員の場合もやはりそうだと思うんです。
 それ以上のもし御資料があるというんなら、またそれをいただいて問い合わせていく。先ほど、委員も法律家ですから、いわば捜査権とかそういうものにはありませんけれども、いわゆる政治と秘書という関係の中で、元秘書という関係の中で厳しく問いただし、資料を取り寄せ、そして、整合性がなければそれを問いただして、そのことを報告するのが私のいわば責任ではないでしょうか。
山田(正)委員 大臣、大臣は全く答えていない。いわゆる調査権限は法的にあるとかないとかって話していない。総理大臣から十月十七日に調査して明らかにするようにと言われている。そうであったら任意に、そのコンサルタントのAさん、いつでも行って調べに応じますよと言っているから。それを行っていないわけなんだ、調べていないわけなんだ、責任を果たしていないわけで、それで、総理大臣、あなたが大島農水大臣を任命した。これだけ明らかな事実が客観的にあって、そして、いわゆる政官業癒着のそれこそ根幹にかかわる、構造改革の根幹にかかわる問題、任命権者として監督責任がある。
 そういう意味で、今のような、いわば単なる宮内さんから聞くだけで済ます、それだけでお茶を濁す、何回、何十回やっても、宮内はそう言っているからそれで終わりだと。総理大臣、それでいいのかどうか、大臣の見解をお聞きしたい。総理大臣の見解。いや、総理大臣。もう農水大臣は結構だ、同じことを言うだけで、時間がない、私は。私が聞きたいのは、総理大臣の任命権者としての責任の問題なんだ。
小泉内閣総理大臣 両者の言い分もありますから、それは、委員会で大臣も資料を出して調査をされているんだと思います。それを私は見守りたいと思います。
山田(正)委員 総理大臣、いわゆるコンサルタントのAさんはいつでも調査に応じますよと言っているのに調査していないんですよ。何度言っても、この一月、委員会で幾ら言っても調査していないんですよ。それで、調査して明らかにするでしょうと。大臣、任命権者としてそれで納得できるんですか。
藤井委員長 大島農林水産大臣。
山田(正)委員 いや、大島大臣は同じことのお答えで、時間がないので、ちょっと、私は聞きたいことがいっぱいあるんだ。もういい。
藤井委員長 いや、私は指名しましたから。山田さん、だめです。
大島国務大臣 大臣とおっしゃったじゃないですか。いやいや、今大臣とおっしゃったでしょう。
藤井委員長 私が、委員長指名しましたから。どうぞ大臣、答弁してください。それからです。
大島国務大臣 例えば、山田委員、A氏からのさまざまな資料も、それから、委員もA氏にお会いになったかどうかわかりませんが、あるいは報道もA氏の発言としてありました。したがって、それらについて、私自身は、私自身にかかわることではなくて、元秘書、前秘書として、その秘書に対して調査した結果の資料も出し、そして銀行まで問いただし、そういう中でやれるだけのことを、その宮内から聞き出し、そして報告するのが私の責任だと思います。
 さらに申し上げます。A氏がある週刊誌に言ったことについて、私は一つだけ、テレビの前ですから明確に言っておきたいことがあるんです。
 これはなぜかというと、私が昭和十年の暮れに買ったマンションについて、中古のマンション十一坪です、あたかもA氏が何かあっせんしたようなことを報道としてされておりますが……(発言する者あり)平成十年です、平成十年の暮れですね、一切ございません。そういうふうなこともあるということを申し上げておきます。
山田(正)委員 いいですか、大臣、今言ったように、口ききをして、そしてその業者が指名に入り、その業者がコンサルタントのAさんにお金を渡し、Aさんは秘書官にそのお金を渡した、宮内さんに渡したと言っている。この事実は客観的なんですよ。そうなると、これは明らかに刑法上の贈収賄に当たるんです。いいですか。さらに、秘書については、あっせん利得等の処罰に関する法律、これによる議員秘書のあっせん利得にもなるんですよ。これだけでなるんですよ、総理大臣。あなたはそれを放置しておられるんです。大臣は、宮内秘書に聞いてこうだったから、それで私は責任がないという言い逃れを今しているわけです。総理大臣、おわかりですか。
 その中で、もし大臣が、宮内秘書官は金をもらったかもらっていないかわからないということで、それと私とは関係ないということであるとしたら、大臣にお聞きしたい。
 大臣は、つい最近高輪のマンションを、九九年ですか、買われましたね。その中に、実は一千万の担保を設定しております。その担保の先は大和ギャランティになっています。いいですか、大和ギャランティです。そして、あの宮内さんが一億四千万の担保を設定して買った桜丘の豪邸、これにも同じように抵当権者は大和ギャランティ株式会社なんです。あなたの買ったマンションのこの抵当権の設定手続はだれにさせたんですか。名前だけで結構です。
大島国務大臣 山田委員に私の名誉のために明確に言っておくことと、それから第一点の、委員は法律家でございます。もし宮内が、あっせん利得罪に当たるような、そういうふうなことだ、こういうふうに断定されましたが、その構成要件をしっかりとお示しいただければ、私はそれについてまた問いただしますし、また申し上げたいと思います。
 それは、先ほど来申し上げましたように、その発注元のところにはそういう者を紹介したこともなければ、また、A氏そのものは事業者そのものではございませんと聞いております。
 さらに、私の、平成十年の末にそのマンションを買ったときに、これは委員にもお話ししました。私の子供が大変な皮膚の病にかかり、新しい日の当たるところに移らせたいということで、前々から家内が心配し、そして、そういう中で中古の十一坪のマンションを買いました。そして、そのとき母から紹介されたこれがチラシです。これがチラシなんです。そして、そのことを受けて、あなたは一千万ぐらい借りることができないかと家内から言われたものですから、当然に大和銀行の衆議院支店に、一番近くにあるものですから、それはうちの秘書に、宮内にも言ったかもしれませんが、そこで私が判こを押し、私が最後に相談をしたのであります。
 なぜ大和銀行の衆議院支店に私が相談することがそんなにおかしいのでありましょうか。もし委員がそういうことについて疑義があるなら、違う、きちっとした案件と、きちっとした確定した証拠をそこに出して、そういう問いをしていただきたい。(発言する者あり)何を言っておるんだ。
藤井委員長 静粛に、静粛に、静粛に。
 冷静に、冷静に。
大島国務大臣 何を言っておるんですか。
 だから、私自身の個人の問題ですから、私はきっちりとそのことを言わないといけないと思うんです。
山田(正)委員 手続はだれにさせたのかと私は聞いているんですよ。
 では、もういい、あなたはまた長々とやったら私の時間がなくなる。あなたは文春の記者の質問に答えて、手続は宮内にやらせたと答えている。いいですか。私は、あなたに頭金についての原資はどうかといわゆる質問通告しております。しかし、時間がなくなってきた。もうそれは省略しましょう。うわさではいろいろあります。それは省略します。
 それで次に、いいですか、あなたは全くコンサルタントAさんは関係ないと言ったが、委員会でもって、赤坂のたい家、料亭でもってコンサルタントのAさんに会っていますね。会っていませんか。
大島国務大臣 議員にはそれぞれプライバシーがあるんです。先ほど、いかにも私のそのマンションに疑惑があるようなことを言いました。あるんならその証拠をお示しください。そして、そのことに対してお答えします。なくてそういうふうなことを言うのは、政治家それぞれが公人であったとしても、私はプライバシーの問題はぎりぎりにあると思います。
 さらに、その問題についても、既にお答えしました。確かに、そのとおり、たい家という料理屋さんでわずか十分か十五分会ったことは事実ですということはお答えをいたしております。
山田(正)委員 あなたは、たい家でコンサルタントのAさんに会って、いいですか、Aさんにお礼を言われた。そして、Aさんにこのネクタイを謝礼として渡された。覚えがありますか。
大島国務大臣 何年前の話でございましたでしょうか。ネクタイをもらったという人がいれば、差し上げたかもしれません。しかし、それは工事が云々とかなんとかという話ではございませんので、そのことだけは申し上げておきます。
山田(正)委員 これはダンヒルの、三越で買った大変高いネクタイです。これを謝礼じゃなくて何で渡したんですか。明確に答えていただきたい。
大島国務大臣 そのネクタイかどうか、私は記憶に定かではありませんが、当時、前秘書の宮内が、今度宮城で大島を含め若い人たちを応援する会をやったり、そういうものをやります、そういうものに大変お世話をしてくれておる人ですから会ってくださいということで、私は、そういうことであれば行きましょうといって会いました。したがって、差し上げたとすればそういう趣旨であろうと思います。
山田(正)委員 コンサルタントのAさんは、いわゆる宮内の手足として、口きき、あっせんのいわゆるお金の授受と、そして引き渡しをしてきた。そのお礼として渡されたとはっきり言っているわけです。
 実は、国税庁の次官、きょう来てもらっていると思いますが、今回のこの問題は、まさに国税通則法七十条の五、いわゆる偽りその他不正な行為によっての脱税行為である。これは当然国税庁として捜査に入らなければならない事案だ、そう考えますが、現在調査を進めているのか、進めていないのか、明らかにしていただきたい。
福田政府参考人 国税庁の次長でございます。御答弁申し上げます。
 一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、常に納税者の適切な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして、課税上有効な資料情報の収集に努め、これらの資料と納税者から提出していただきました申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正な課税の実現に努めているところでございます。
 なお、個別にわたる事柄につきましては、守秘義務が課されている関係上、具体的に答弁することは差し控えさせていただきます。
山田(正)委員 総理大臣、コンサルタントのAさんは、いわゆる設備会社のリリースによって自分に渡されたというお金、これがこのままだと脱税になってしまう、罪になってしまう。それで、これを明らかにされない限り自分は夜も眠れないし、それこそ委員会に出て明らかにしたい。もしそうでなければ、これは国税庁に告発する、告発手続をとると今はっきり言っております、これは私にね。
 いいですか、総理大臣。これだけ明らかな、いわゆる構造改革に反する政官業癒着の典型的な、あなたのいつもおっしゃっている構造改革に、最もその前提として断ち切らなければならない重大な問題、そのような人を総理、あなたは農水大臣として任命したわけです。そして、あなた自身の、調査して明らかにするようにということに、総理大臣、静かに考えてみて大島農水大臣は、あなたの命令に対してその職責を果たしていますか。いかがですか。お答えください。
小泉内閣総理大臣 資料も委員会に提出して、今誠実に対応している。
 ただ、言い分は今聞いていると違うようでありますが、その辺は、しっかりと委員会に資料を提出されているんですから、両者の言い分をよく聞いて、大島大臣も誠実に対応するというので見守っていきたいと思います。
山田(正)委員 大臣は、総理大臣はどうもはっきりしたことを申しませんが、もしこれ以上明らかにするとすれば、この委員会でも当然のことながら、コンサルタントのAさんと宮内さんをぜひとも参考人として呼んで、この事実を明らかにし、この重大なる経済問題である構造改革について、政官業癒着の問題をまず前提としてはっきりさせていただきたい、そう私は申し上げて、質問を終わりたいと思います。
藤井委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。
 次に、塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也であります。
 いよいよ年末です。中小企業にとって、年を越せるかどうか、資金繰りにも苦労する時期であります。
 中小企業は日本経済の土台であり、雇用の民間における八割を支えている、これも中小企業であります。その中小企業が深刻な事態になっている。なぜ大変な事態になっているのか、政府の不良債権処理策がどんな影響をもたらしたのかという関連について質問をしたいと思います。
 東京商工会議所が八月にまとめたアンケート調査では、半数を超える五六%の企業が金融機関からの金利引き上げ要請を経験しております。そのうち八二%の企業がその要請を受け入れざるを得ませんでした。それは、金利引き上げを断れば融資がとめられることを懸念している、そういう声が上がっているわけです。中小企業にとって、このデフレの時代、売り上げも伸びないときに、金利引き上げか融資打ち切りかは死活にかかわる重大問題だと思いますけれども、総理はどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
小泉内閣総理大臣 それは個別の業者と金融機関との話でありますので、その辺はよく話し合って対応すべきではないかなと思っております。
塩川(鉄)委員 例えば、私の埼玉の地元の印刷関係の中小企業の話ですけれども、ある都市銀行から、保証協会つきの融資の利息を上げてほしい、現在二・三%の利息を三・四%にしたいと言われて、断るとどうなるかと聞いたら、次に借りるときに影響する、また、別な中小企業では、一方的に金利引き上げを通告されて、翌月の返済から、その金利引き上げ分もその企業の銀行口座から自動的に引き落としをされる、こういう事例もあるわけです。これが弱い立場の、借り手の中小企業の現状であります。
 貸し手の銀行の実態はどうか。この間、我が党の志位委員長が、UFJの内部マニュアルを取り上げて、適正金利への引き上げに応じなければ取引解消も辞さないなどというひどい実態を告発しましたけれども、同様のことが例えば三井住友銀行でも行われております。こういう文書を出されているわけですけれども、この中にも、貸出期間中でも企業の財務内容が悪化をすれば金利引き上げなどを要求できるシステムをつくっているとか、また、手形の書きかえのときに、より条件の厳しい長期融資へ切りかえるように指示をして、それに応じなければ取引をやめるという貸しはがしの実態もあるわけです。
 経済情勢も厳しいこのデフレのもとで、しかも超低金利の金融緩和の時代に、経済の現場では金利引き上げという金融引き締めが起きているというのは異常な事態だと思いますけれども、総理はどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
小泉内閣総理大臣 厳しい情勢でありますが、それぞれの個別の対応については、各企業必死にこの苦しい状況を乗り越えようと努力されているんだと思います。そういうときに、やはり金融機関も健全な機能を果たしてもらいたいと期待しております。
塩川(鉄)委員 中小企業にとって、今の金利の引き上げというのがけた違いの要求だということを受けとめておられるかということをお聞きしているんです。〇・一%とか〇・一五%とか、そういう金利引き上げの要請じゃない。大体、今の一%の金利を二%にするとか、二%を四%に引き上げるとか、こういう事態になっている。これは極めて異常な事態だと思うんですね。
 日経新聞の記事でも、ある企業では、銀行からリスクに見合う金利引き上げが必要と言われて、二・八七五%を四・八七五%へと二%引き上げを要求される。年商二十億円のその中小企業にとって、借入金八億円に対する二%の金利引き上げというのは、売り上げを二倍の四十億円に、それ以上にしなければ吸収し切れないような金利引き上げの中身だ。いわば実態を無視した全く無謀な要求だと思うんです。
 この時代に辛うじて利益を上げて、借入金の返済も滞りのない中小企業の足を引っ張って、場合によっては黒字企業を赤字にして、あなた方の言う不良債権に落とすことによって、日本経済そのものを破壊することにもなりかねない。こういうことがメガバンクどこでも今行われている。
 例えばUFJでは、この半期で二万二千社の金利を見直して、利上げを押しつけたことなど、全国一斉に行われています。同時に、この一年間で、四大金融グループ合計で、全体の貸し出しの一割、二十四兆円の貸し出し減となっている。中小企業向けも十二兆六千億も減らされている。メガバンクそろって貸しはがしに動いている。
 かつて小渕総理のときの政府の諮問会議のメンバーだった中小企業家の方も、大手銀行と企業との信頼関係、生きた取引は失われ、大手銀行の金融機能はもう完全に麻痺状態、こういう告発をしているような状況です。
 何でこんなことになるのか。この政府の不良債権処理策によって、特別検査などが強化をされて、引き当ての積み増しなどで自己資本比率が減ることになる。(パネルを示す)こういうように、政府の不良債権処理策のもとで引き当ての積み増しなどが強要されて自己資本比率が減れば、自己資本比率を減らさないようにしようと思えば、分母の総資産の方を減らすか分子の自己資本をふやすしかないわけです。
 中小企業の立場から見て、この分子の自己資本を大きくするために銀行がやっているのが貸出金利の引き上げであり、分母の総資産を小さくするために銀行がやっているのが貸出資産の圧縮、つまり貸しはがしということになります。自己資本比率が下がらないように、銀行は金利引き上げと貸しはがしに必死になっている。
 総理の不良債権処理策というのが、現場ではこういった金利引き上げと貸しはがしをもたらしている、こういう認識を総理はお持ちでしょうか。
小泉内閣総理大臣 一部だけを見るものではないと思っております。全体を見れば、新しい成長産業に資金が行くように、今必死に金融機関も努力しているし、中小企業関係者もこの時代に生き残りのためにどのように合理化していくか、そういう企業もたくさんあります。一方、やはり時代の変化に対応できないで、苦しく対応せざるを余儀なくされている企業もあるでしょう。
 しかしながら、今の時点において、この不良債権処理を進めるなというのは共産党の立場だと思いますが、不良債権処理を進めないと、やはり新しい成長分野へ資源が回っていかないという面もあります。そういう面も、やはり両面から考える必要があるのではないかと思います。
塩川(鉄)委員 不良債権を処理しなくていいのかというふうにおっしゃるわけですけれども、不良債権の処理策じゃなくて、総理がやっているのは不良債権の拡大策じゃないですか。大体この一年余りの間に、政府として計画どおり十兆円の不良債権を処理して、実際に新たに二十兆円の不良債権が生まれる。結局、不良債権総額が三十二兆から四十二兆にふえる。処理しても処理しても、それ以上の新たな不良債権が生まれる。小泉内閣の不良債権処理策というのは既に破綻している、このあかしじゃないですか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 それは全く間違いです。はっきり言いましょう。不良債権の額は、平成十四年三月期においては増加したものの、十四年九月期においては、主要行の不良債権残高は前期に比べ一〇・六%減少し、二十三・九兆円となったところであります。このうち、破綻懸念先以下の債権について見れば、前期に比べ二割減となっており、新規発生分についても、十四年九月期は二兆円と、十四年三月期の六・九兆円に比べ大幅に減少しているところであります。かつては確かにふえました。今、ちゃんと減少に向かって進んでいます。不良債権処理は着実に進んでいるんです。
塩川(鉄)委員 九月期の中間決算の数字を持ち出されましたけれども、この先、特別検査、再検査などでさらに強化をしようという話じゃないですか。厳しい経済情勢で特別検査などの不良債権の洗い出しがさらに進めば、もっと不良債権をふやすような、こういう政策につながるんじゃないですか。
 政府の不良債権処理策が貸しはがしや金利引き上げをもたらして、倒産と失業の増大や景気の悪化を招き、結果として企業業績を悪化させ、さらなる不良債権の拡大という悪循環になっているときじゃないか。そんなときに不良債権処理の加速、こういうことを行われれば一層の自己資本の減少につながるわけで、単純計算すれば、自己資本比率一〇%の銀行で一兆円の自己資本が減れば、その十倍の十兆円の貸しはがしが起こる。日本総研の試算でも、四大メガバンクグループで最大九十三兆円の貸しはがしも、こういう試算も出されるほど。こんなことでは不良債権拡大の加速策にしかならないんじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 不良債権処理を加速しているんですよ、共産党のように不良債権処理をしなくていいという立場じゃないんですから。それは自民党と違いますよ。不良債権処理を加速しないでどうして景気回復があり得るんですか、経済の再生があり得るんですか。その点は共産党と自民党は全く違う。
塩川(鉄)委員 総理は銀行の帳簿からしか世の中を見ていない、マネーの世界からしか世の中を見ていないということじゃないですか。日本経済を支えているのは中小企業ですよ。また、そこに働いている国民の皆さんじゃないですか。その国民の暮らしと中小企業を応援する立場で実体経済の立て直しを図ることが結果として不良債権問題の解決にもつながるというのが我々の立場ですよ。私は、あくまでこの貸しはがしを加速させる政策をやめないという話ですけれども、そこで一つお聞きしたいと思います。
 金融庁は貸し渋り・貸し剥がしホットラインというのを設けているそうであります。いわば貸しはがしがひどくなるということを想定されているようなお話ですけれども、さも貸しはがしの是正に努めているように言いますが、これをごらんください。これは金融庁のホームページ。資料を配付していただけますか。
 これは赤字のところをごらんいただきたいのですが、上から「「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の開設について」ということでの金融庁のホームページですけれども、これをごらんいただいてわかるように、受け付けるのは電子メールとファクスなんですよ。生きるか死ぬかという思いのときに、電話番号にかけてみたらファクスの音のピーという音しか出ないんですよ。直接苦しみの声も聞かないで何がホットラインなのか。わざわざ、個別の相談には応じない、「相談には応じることはできません」とはっきり書いている。これが何でホットラインなんですか。
 さらに、ここには、書いていただく中身には、住所、それも都道府県だけで結構です、年齢、性別、職業、業種、御記入くださいとありますけれども、氏名を書いてくださいとはないんですよ、個別の相談には応じないという中身なんですよ。これが何で貸し渋り・貸し剥がしホットラインなんですか。どう考えてもおかしい。
 政府は、生きるか死ぬかという必死の思いの中小企業の声を聞きたくないということなのか。いかがでしょうか、大臣、総理。
竹中国務大臣 基本的には、我々は、断固たる決意で不良債権の処理を加速しないと新たな日本経済の発展はない、そのように強く考えます。その過程において、しかしながら、やはり非常に厳しいバランスシートの調整を銀行も企業もしなければいけません。それに対してはさまざまな形で手厚いまさに対応策をとろうというのが基本的には金融再生プログラムの考え方であります。
 したがって、新規の参入を促すような、例えば中小の貸し付けに対して新規の参入を促す、つまり銀行の参入を認めるというような対策もとりましょう、さらには、これは平沼大臣の方でさまざまな形でのセーフティーネットの対策をとりましょう、そういう形で総合的な対応をとる中で不良債権を減らしていくということを考えているわけです。
 お尋ねのホットラインでありますけれども、我々は、金融の検査監督を仕事としています。残念でありますけれども、個別のいわゆる相談業務を行えるというような政府の体制ではございません。問題は、そうした中で優越的な立場を利用して非常に不当な取引を行っていないか。これは公正取引委員会の方に窓口がございます。我々の方は、非常に不当な、要するに優越的な立場を利用した対応等々で金融の本来の役割を果たしていないというようなことが生じていないか、それをきっちりと検査監督しようということを目的としています。
 したがって、そこで集めた情報、これは既に二百四十件の情報が集められておりますけれども、それに基づいてそれを分析する、必要であれば検査を行う、必要であればもちろん報告徴求等々行って行政処分等々を行う。その検査監督の業務の中でしっかりとした対応をしていきたいというふうに思いまして、そのような措置をとっているわけでございます。
塩川(鉄)委員 中小企業向けの新規の銀行の参入といいますけれども、来年の話でしょう。それも、どうなるかわからない話じゃないですか。今大変なんですよ。今大変なときにどう対処するのか、このことを聞いているわけじゃないですか。
 金融庁の広報に、なぜファクスとメールだけで、電話を置かないのかと聞いたら、通常の業務に差しさわりが出るからだという話でしょう。まともに聞く気もないという、そういう現状じゃないですか。
 さっき、個別の事案は公正取引委員会へと言いました。公正取引委員会の担当、審査局の情報管理室、これは不公正取引全部、日本じゅうのことをやっている担当者でわずか十六人ですよ。その十六人のうち、金融の専任なんてただの一人もいないじゃないですか。こんなことでどうして対処できるのか。
 じゃ、竹中大臣にお聞きしますけれども、この苦情処理の窓口として金融庁が紹介しているところはどこですか、ホームページで紹介しているところはどこですか。
竹中国務大臣 繰り返し申し上げますが、我々は、検査監督を通して金融をきちっとするということをその行政の目的としているわけでございます。その意味で、貸し渋り・貸し剥がしホットラインというのは、検査に生かしたい、それを行政の対応に生かしたいということを目的としております。ホームページには、参考までにということで、このような相談は各金融関係団体の相談窓口も設置しておりますので、そういうものも利用していただけますということは書いているようでございますけれども、基本的に我々は、検査監督を業務としているということです。
塩川(鉄)委員 もう一回ごらんください。
 この貸し渋り・貸し剥がしホットライン、苦情相談については、各金融関係団体に相談窓口が設置されていますから、そちらにお問い合わせくださいという話でしょう。どういうことなんですか。銀行から出ている苦情が、こんなにもう大変だ、貸し渋り、貸しはがし、どうにも耐えられないという思いで、金融庁ホットラインというのがあると思うから電話をしてみたら、ファクスとメールだけで、電話番号にかけてみたらピーという音しかしないじゃないですか。中小企業に、相談に来るな、こういうことをもろにやっている中身。
 私は、結局、銀行に対する苦情の窓口が銀行になっているという、こんなふざけた話はない、このことを強く言いたいと思います。ホットラインをつくるというのは、苦情がふえることを前提としているわけです。それなのに、貸しはがしで困った中小企業がホットラインへ電話をしても、声を聞いてもらえないんですよ。
 今、竹中大臣が言うように、データはいただきましょう、名前も要りません、こんな冷たい対応ないじゃないですか。中小企業に、相談に来るな、こういう話と同じだと思いますけれども、これが小泉内閣の中小企業に対する姿勢でしょうか。総理、いかがでしょうか。総理、総理。竹中大臣、何で口を出すんですか。
竹中国務大臣 基本的には、苦情処理は個別の取引関係でありますから、この個別の取引関係の苦情処理を行政がすべて扱うというのは、これは無理であります。我々は、あくまでも監督と検査をもって安定的なフレームワークをつくるということを目的にしているわけです。
 先ほどちょっと御紹介しましたけれども、ホームページにはこういう窓口があるということは紹介しているわけでありますけれども、それはいわば、これは社団法人でありますから公益法人でありまして、決して金融機関に聞けということではない。ここに書いてある団体というのは、すべて社団法人等と公益法人であるということも申し上げておきたいと思います。
塩川(鉄)委員 公益法人というのは全国銀行協会とかじゃないですか。全銀協の各県の窓口に聞けと言っているんですよ、銀行の代表に聞けと言っているのと同じじゃないですか。それがおかしいと思うんですよね。
 私、改めて、こういうホットラインのままでいいのかどうか。総理、一言。ぜひお願いします。
小泉内閣総理大臣 いろいろな声を聞いて、金融機関が健全な機能を果たしていくように政府としても努力していかなきゃいかぬと思っております。
塩川(鉄)委員 大体、ファクスとメールしか受けないわけですから、そのデータ、国民のそういった実態について、それこそ冷たい目でこの実態を眺めて参考資料にするようなそういう話というのは、そもそもホットラインという名前を掲げたこと自身、国民をごまかすものでしかない、このように思います。
 中小企業の声をまともに聞こうとしないというのも、それが、政府の不良債権拡大策が貸し渋りや貸しはがしをみずから強要しているということになるんじゃないですか。こんな不良債権拡大策をさらに加速するというやり方では失業や中小企業の倒産をふやすだけで、加速策の転換を強く求めるものです。
 同時に、既に商工中金の調査などでも示されていますけれども、中小企業の資金繰りというのは、九八年の金融危機と同水準ということが言われています。少なくとも当時と同じ特別保証制度、これを直ちに復活するとともに、今ある債務の返済負担を軽減する借りかえ融資制度の創設など、年末の資金対策に万全を期すことを強く求めるものです。
 その上で、もう一つ、年を越せないという大問題に失業問題があります。
 先週末にも失業率が出ておりましたけれども、十月の完全失業率は過去最悪の五・五%、完全失業者数は三百六十二万人であります。事態は極めて深刻です。
 ここにグラフを示していますけれども、完全失業者数と雇用保険給付総額の九〇年代以降の推移であります。ここに、ごらんいただきましたように、失業者数は一貫してこの間ウナギ登りになっていますけれども、それに対応して、当然のことながら雇用保険の給付総額もふえています。それが、小泉内閣になってからは、二〇〇二年度に急減しています。失業者数はふえているのに給付額が減る、こういう状況が小泉内閣で起こっているわけです。
 今、政府はセーフティーネットと言いますけれども、十九カ月連続で完全失業者数がふえているときに、給付総額が減っている。失業者数がふえて、しかもこの間、二年連続で雇用保険料の引き上げが行われていますね。昨年〇・八から一・二になって、ことし一・二から一・四%に引き上げられているわけです。
 ですから、失業者数もふえ、雇用保険料も引き上げられているのに、給付額が減っている。どう考えてもおかしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 今、その表をお示しになりましたように、確かに失業者はふえております。失業者がふえてまいりますと、その人たちに対します保険料をお払いしなければならない。お払いをしようと思うと、やはり保険料を上げていただかざるを得ないということが繰り返し行われてまいりました。
 しかし、保険料の上昇分よりも失業者の増加の方が大きいものですから、全体といたしましては、節約をしていただくところは節約をしていただいて、そして必要なところにはお渡しをする、こういうことをしているわけでございまして、そういうことになっています。
塩川(鉄)委員 もう一度聞きますけれども、失業者数がふえて雇用保険料も引き上げられているわけですから、どう考えても給付額がふえてしかるべきなのに、ふえない。節約をされたと。何を節約されたんですか。
坂口国務大臣 保険料の引き上げと同時に、やはり、どういう人たちに重点的に保険料をもらっていただくか。やはり、リストラ等に遭われた人たちに対して保険料を増加しなければなりませんし、また、中高年の皆さん方に対して手厚くしなければならない。そうしたところには手厚くしているつもりでございます。
 中には、いろいろの、雇用保険を掛けていただいております日数等の違いもあるわけであり、年限等の違いもあるわけでありますから、そうしたことも加味しながら、必要なところに手厚く、そういうことにしているところでございます。
塩川(鉄)委員 手厚くするのは結構なんですよ。何を節約したのか、具体的にお答えください。節約しているんでしょう、減っているんですから。
坂口国務大臣 それは全体の話で申し上げているわけで、失業者が非常にふえてくる、その失業者の増加に見合った保険料の引き上げということを行っていけば、それは同じようにお支払いできるわけでありますけれども、それだけ多くをお支払いできるだけの保険料の引き上げというのもなかなか難しい。そういうことを私は申し上げているわけでありまして、そこに違いが出てくるということを言っているわけです。
塩川(鉄)委員 この間の雇用保険改悪で、給付の期間も切り縮めて、上限も切り縮めた、こういうことによって節約をしたんじゃないですか。失業者がどんどんふえているのに、その失業者の生活、失業者の皆さんの家族の暮らしを節約するというのが小泉内閣の方針だということですか。こんなことでどうして納得できるのか。これがどうしてセーフティーネットなのか。とんでもないことだ。やっていることがまるで逆さまですよ。大変なときに逆のことをやっている。
 そもそも、国庫負担率を九〇年代に二二・五%から一四%に引き下げた、こんなことが保険財政悪化の原因にもなっている。雇用保険料についても、二年連続の値上げに加えて来年も引き上げるというなら、三年間で雇用保険料が二倍にもなってしまう。労働者とともに中小企業にとっても大変な負担となるのが雇用保険料ですから、保険料引き上げを行わずに制度を維持するためにも、きちんと国費を手当てする、こういうことを決断すべきだ。このことを強く求めて質問を終わります。
藤井委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。
 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。総理を中心に質問させていただきます。
 まず、税制のことからお尋ねをいたします。
 政府税制調査会の最終答申が出されました。その心を問えば、所得税の控除の廃止や縮減、あるいは消費税の免税点の引き下げなど、いわゆる個人やあるいは零細企業の人たちに対しての増税の意図があらわであると言わざるを得ないわけですね。
 この最終答申に盛り込まれました企業向け減税につきましては、研究開発にかかわる減税、これはぜひ私どもも進めていただきたいと思いますし、高く評価しております。しかし、この減税の裏打ちとされる財源がいわゆる個人の負担増に直結する所得課税の控除の廃止や見直し、ここで賄うという仕掛けであるならば、これはもう角を矯めて牛を殺すという愚は避けられないと思うんです。
 ですから、個人に痛みを押しつける枠組み、つまり個人の増税に支えられた企業減税、これが選択肢として念頭にあるのならば、やはりこれは国民生活の先行き不安を一層かき立ててしまうことにもなりますし、経済全体の収縮を招きかねないし、さらには現在のデフレ不況をさらに加速させてしまうことは必至だと思うんです。
 どうですか、総理。ここで、個人所得課税の見直しで生まれた財源は法人税の減税には使わないと明言すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 塩川財務大臣に後ほど答弁してもらいますが、私は、これからの税制につきましては、来年度の税制改革の中でいろいろ対応を考えたい。そういう中で、個別の税項目はいろいろあるわけですが、全体として、単年度にはこだわらない。減税した場合に、ではどこで増税するのかという点につきましても、多年度で結構だ。そして今の状況、経済情勢を見ますと、厳しい状況をにらみながら、先行減税という考え方があっていいのではないか。そういう中で総合的に見直してもらいたいということでありますので、方針としては先行減税は十五年度の税制改正でやりますが、中には十五年の一月、いわゆる十四年度の中でも実質的になされても結構だという方針を提示しているわけであります。
 そういう一兆円規模を超える税制の中で、今、個別具体的な項目について、財務省初め与党内におきましても、自民党内におきましてもなされておりますので、今月中には当然結論を出さなきゃならないことになりますので、今鋭意議論を進めている最中である。
 具体的な項目につきましては、塩川財務大臣から答弁をいたさせます。
塩川国務大臣 先ほど総理からありましたけれども、今回の税制改正は二つのねらいがあります。
 一つは、税のゆがみが起こってきておりまして、要するに、空洞化ということをよく言われておりますが、それは、たび重なる臨時的な減税措置が特別措置法によって行われてまいりました。それが積もり積もってまいりました場合に、所得税の課税最低限が非常に高くなってしまう、これをやはり平準化しようということでございまして、広く薄く負担してもらう、そういう構造改革をひとつやろうということが一つ。
 それからもう一つは、景気対策のためにしかるべきインセンティブをしかるべき方面につけていこうと。
 そのためには、一つは設備投資を積極的にやってもらう、あるいは研究開発を増進して、国内におけるところの生産活動を活発にしてもらう、そのための税制を措置しようということが一つ。それから、個人が消費をできるだけ多くするためには、お年寄りにある財産というものを若い人にできるだけ早く親子で譲ってもらって、そしてその消費によって喚起しようということが一つ。それから、中小企業が親からの事業継承を受けやすいようにしようと。そういうこと等を考えまして、そういうものを盛っておるのでございます。
 つきましては、今お尋ねの法人税率をどうするのかということでございますが、そういう構造、要するに所得税のゆがみを直すというようなことでございますので、その財源でもって法人税の減税にするということは、ちょっと今の時点においてはそぐわないように思います。
 ですから、いずれは法人税の見直しもやはり行わなければならぬ、そういう状況になるだろうと思います。それは経済が活性化してきてからのことでいいと思いますし、またそれを行うような措置も必要でございますので、そのようなことも将来問題として考えていきたいと思っております。
横光委員 今私が懸念したようなことは、そういう方向にはそぐわないというような御答弁でございました。
 配偶者特別控除や特定扶養控除、この特定扶養控除というのは、十六歳から二十三歳未満までの、非常に家計に出費のかかる家庭に対する控除なんですね。こういった役割が終えた、あるいは廃止するというのであるのならば、まず現実の景気との兼ね合いを図りながら、踏まえながら、段階的に進めていくべき問題であろうと私は思うんですね。
 そしてまた、そうしていわゆる痛みから生まれた財源、そういった見直しによって生まれた財源は、まさに小泉不況真っただ中なんですから、国民生活の再建のために最優先すべきである。要するに介護とかあるいは子育てとか教育とか、こういった拡充推進のため、つまり将来不安の解消とか、かつ未来への先行投資になり得る分野に充当すべきである、このことを私は申し上げているわけでございます。
 国民は今、本当に痛みに耐えに耐えて、さらにこれから控除がなくなれば、その痛みはさらに激しくなる。そうやって生まれた財源を企業減税に回すということは、到底、今の国民からは理解も納得さえも得られないであろうということを強く申し上げているわけでございます。
 その次に、今、教育の拡充推進ということを言いましたが、これも、現実ではちょっと逆の方向に進もうとしているような気がしてならないわけです。
 地方分権の推進が今大きな懸案事項となっておりますが、これまでの経緯の中で、村山内閣のときに発足した地方分権推進委員会、これが果たした役割というのは非常に大きいと思うんですね。そこで出された勧告は閣議決定までされているわけです。ですから、この閣議決定は現在の地方分権改革推進会議にも当然引き継がれている、このように理解していたわけですが、この十月に出された意見を見ますと、どうもそういうふうにはなっていない。
 例えば一例を挙げますと、義務教育費国庫負担制度の見直し案が提示されました。このことによって、今、全国の知事会やあるいは市町村長会や、あるいは県議会や市町村議会、要するに地方の行政を中心となって担っている人たちから猛反発が起きておるんですよ。いわゆる地方への財政のただのツケ回しではないか、負担転嫁ではないかという声が物すごく激しく起こっておるんですね。
 地方制度調査会でも、今、地方分権のあり方が論議されておりますが、その中で、町村会長の山本町長さんがこういう発言をしております。町や村はそれなりに国家的な役割分担を担っている。自然や水を守り、そして食料をつくり都市に供給している。したがって、それを受けた都市は生産をして町や村へ豊かさを供給している。相互扶助の精神が働いている。私も常々、日ごろからこういったことを実感として感じておりましたので、全くそのとおりだなと思うんですね。
 こういった地域、地方は、今の全国の国土の七〇%を所有しているんですよ。まさに、こういった地域が日本を守っていると言っても過言ではないわけなんです。しかし、残念ながら、そういった地域は人口は少ない、そして産業も集中していない、おのずから財政基盤が弱い。そういった地方で、教育までも地方の財政基盤に反映させて行えということになるんですか。
 そうなりますと、これは、私の町は地方税が少ないから、四十人学級では厳しいから四十五人学級を行うというようなことになれば、その町に住んでいる子供たちはどうなるんですか。こういったことが放置されていけば、だんだん、多くの住民はより高い受益を求めてほかの地域へ移動、流出したりすることが起こりかねない、ひいては地域の崩壊にもなりかねない。いや、大げさと思うかもしれませんが、必ずこういうことだって起こり得るんです。私は、非常に今、そういうような心配をしております。
 そもそも、この義務教育費国庫負担制度というものは、憲法や教育基本法で保障する教育の機会均等の財政的措置なんでしょう。すべての子供たちが全国どこででも平等に教育が受けられる仕組みなんでしょう。この制度、仕組みを、歳出削減をしなければならない、国の財政が厳しいからという理由だけでこれを見直すというようなことがあっては、国の将来を誤った方向に導いてしまうのではないか、私はそんな気がしてならないわけでございます。
 教育は国づくりの基本である、このことは総理も全く異論はなかろうと思うんですね。
 その証拠に、総理就任当時、いわゆる米百俵という精神を引用されましたね。あれは、まさにそこに通じると思うんですよ。あの戊辰戦争で大変な辛酸をなめた長岡藩に、隣の三根山藩から米百俵の見舞いが届いた。時の藩士はその米を分配せよと迫ったんですが、その長岡藩の時の家老小林虎三郎は、学校を建て子供を育英すれば、今は百俵だが、やがては一万俵、百万俵になるとして、この米百俵を換金して学校の資金に充当し、そして人材を育成したわけでございます。これがいわゆる米百俵の精神なんですよ。これを総理は引用された。
 そういった精神からすれば、やはり教育は未来の先行投資として最も重視すべき課題であろうということだと思いますし、この精神を引用された総理のお考えからすれば、やはり義務教育費の地方へのツケ回しはすべきでない、国が責任を持って負担すべきであるというお考えであろうと思いますが、総理、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、地方分権、地方に裁量権をもっと与えようじゃないかということで出てきている問題なんです。
 教育の重要性は、今御指摘のとおり、私も十分認識しているつもりであります。現在におきましても、日本においては、小中学校はもちろん、高校においても、たとえ親が失業しても、学費が払えなくても、教育を受けたいという子弟に対してはしっかりとした奨学金制度が確保されています。今や日本では、だれでも教育を受けられる、お金がなくても受けられる、将来、就職すれば返していいですよ、しかも十年、二十年かけてという制度は、むしろ外国から見習いたいと言われているぐらい、教育の制度については充実を期しています。
 今の問題は、地方にもっと裁量権を与えようじゃないかということで、補助金の問題、地方交付税の問題、そして地方における税源、財源の問題、これを三位一体で考えようと。交付税だけ切ってしまったら、地方は税源、財源ないじゃないか、どうしてくれるんだ、補助金だけ切ったらば、では地方はどうするのか。税源がない、財源がない、だからこれを三者一体で、地方にもっと裁量権を与えようということから出てきて、今、文部省、財務省、総務省、協議していただいている最中であります。
 私は、今回の問題において、ただ国費を削ればいいということじゃないと。地方分権の趣旨を生かしながら、教育においても地方の自主性を生かしながらなされていい部門がかなりあるのではないかという観点から、今、今までのことでいいということじゃない、少しでも一歩でも改革の芽を出すように努力すべしという指示を出しているところであります。
横光委員 地方に裁量権を与えるといっても、やはり地方分権という問題は、まず国の責任を放棄していいということではないと思うんですね。国の責任はしっかりと果たした上で地方分権の論議は進めなきゃいけないと私は思うわけでございます。
 ですから、こういった裁量権を与える、あるいは交付税化、一般財源化になったら、先ほど説明しましたように教育のレベルに格差が生じる可能性がある。そういった意味で、私はこの国庫負担制度というものは必要だという気がしているわけです。
 そもそもこの制度はだれのためにあるのかということ、これを究極的に考えれば、私は子供たちのためにある制度だと思うんですね。ところが、子供たちは声を上げることができない。今、責任ある私たち大人が、二十一世紀の日本をしょって立ってくれる子供たちのために、この制度はやはりしっかりと保っていかなければならない、こういったことを私は主張しているわけでございます。
 ちょっと時間の関係がございますので、次の質問をさせていただきます。
 公務員制度改革に対するILO勧告についてちょっと総理にお尋ねしたいんですが、昨年十二月に政府は公務員制度改革大綱を閣議決定いたしましたね。しかし、この閣議決定に至るまでの過程、これが非常に特権的であり、あるいは閉鎖的であり、もっと言えば非民主的な形でここに改革されたということで、いわゆる連合や連合官公部門連絡会はILOに提訴したんです、余りにもひどいじゃないかということで。
 ところが、そのILOから十一月二十一日に勧告が出されました。その中身は、結社の自由の原則に適合させる観点から、すべての関係者による全面的、率直かつ有意義な協議を強く要請するとともに、現行の日本の公務員法制自体も違反しており、法改正すべきであるとの画期的な判断をしたわけです。
 こういったILO勧告について、総理はどのように受けとめておられますか。
小泉内閣総理大臣 今回のILOの勧告は中間的なものであると伺っていますが、確かに今までと違って、我が国の公務員の労働基本権、この制約について言及しているというのは初めてだと伺っております。消防等に対してスト権を認めよというような意見だと思うんですが、日本の事情というものもやはりILOに対してよく情報提供をしなきゃいけないな、必要な日本の状況というものを説明しなきゃならないなという感じも持っております。
 日本は、確かにスト権は公務員に与えられておりませんけれども、人事院勧告制度というのがあります、身分も保障されています。それで、給与等も民間に準拠してなされるようにされておりますし、職員団体とも誠実に交渉、協議を今までも行ってまいりました。そういう点を踏まえながら、政府としては、よくこの勧告の内容を調査して、我が方の見解についても十分な理解が得られるようにさらに働きかけていきたい。
 現在、公務員制度改革につきましては、その具体化に向け改正等の検討を進めておりまして、今後とも、関係者、職員団体等、いろいろ協議を進めていって、誤解があった場合は誤解を解く、そして日本の慣行が適切でないという点については是正をしていく必要があると思いますし、よくその勧告を見まして、世界の情勢と日本の国情をあわせ照らして、適切な関係を維持できるような体制に持っていきたいと思います。
横光委員 今回のILOの勧告は、従来と問題の質が違うと思うんですね。個々の提訴に対する勧告じゃないんですね。いわゆる今回のILO勧告は、現行の法制自体、今言われた公務員制度自体がもう既にILOの条約に反していると勧告しておるんですよ。しかも、あえて、法律改正のための技術的支援を求めることができると。これはどういうことかというと、法律改正ができないなら、行っていろいろと説明して指導してあげますよとまで言っていることなんですよ。ここまで言われている。いわゆる途上国並みの扱いじゃないですか。日本の労働法制、公務員法制の国際的な水準の低さというものまで言及している。非常に恥ずかしいことだと思うんですね。
 ですから、いずれにしても、今回の勧告の意味は、政府に対して、この勧告を受け入れて制度改革を根本からやり直すのか、それとも、そうでないならば、ILO条約、つまり日本が常任理事国を務めて四十六のILO条約を批准している、そのILOの中心的な役割を果たしているILO条約からの離脱をするのか、この二つに一つを迫るくらいの重大な勧告であると私は思っているわけでございます。来年の通常国会における非常に重要な論戦課題であるということを十分自覚される必要があるということを指摘しておきたいと思います。
 それでは、大島農水大臣にお尋ねをいたします。
 きょうも随分いろいろと質疑が出ました。この報道がされてからもう一カ月半になるわけですね。そして各衆参の委員会、予算委員会や農水委員会、いろいろな委員会でもこの問題が追及されたんですが、一向にこの解明が進まない。なぜか。
 大島大臣は、いわゆる宮内さんと国会の間を報告をしているだけ。あなたはメッセンジャーボーイじゃないと言いましたが、私は、宮内さんの伝書バトじゃないかと思うように、報告しているだけにしか見えない。ですから、一向に進まない。
 なぜ大島大臣は宮内さんを公的な場で釈明させないんですか。どうぞ。
大島国務大臣 私は、ハトでもなければボーイでもございません。
 横光委員に、本当にお互いにこの問題、指摘されて、私自身もこの二カ月、さまざまに考えてまいりました。
 私が問われているのは、元秘書、前秘書という中にあって、私が本当に知らざること、関与せざることを次々と御質問をちょうだいしました。そのことに対して政治家として私が責任を持つのは、やはりその元秘書、前秘書であるがゆえに、彼の意見をちゃんと報告させて、資料を整えて、そしてそのことに対してしっかりと皆さんにお答えすることだと思うのです。
 公の場というのはどこのことを指すのか私はわかりませんが、それは国会の場でお決めになることだと思います。私自身が横光委員から問われて、おまえが出るのか出ないのかというなら、私が判断します。あくまでもそういう意味で、一つは委員会のこの場であろうし、本人の判断でもあろうかと思うのです。
横光委員 大島大臣はかねてから、秘書に対しては議員は監督責任があるからと言われております。監督責任というのは、こういった疑惑が起きないことを監督することも監督責任でしょう。しかし、こういう疑惑が発生した以上、それに対してちゃんと公の場で説明するということも監督責任の一つだと思います。あなたはやめたと言いますが、この疑惑が発生したときにはまさに公設秘書、政務官の秘書だったんですよ。要するに、国の給与を受けていた人なんです。当然、ここに来て、持たれている疑惑を本人が釈明すれば、説明すれば、一番物事は早く進むんですよ。
 ですから、あなたは調査調査と言いますが、宮内さんだけの調査をして受け取っていないという判断をしたんじゃ困るんですよ。相手の人を調査したんですか。じゃ、A氏に話を聞きましたか。A氏とか、あるいは先ほど出た空調関係の元課長さん、こういう人たちに話を聞いたんですか。受け取っていないというだけをあなたは言って、渡したと言う人たちの話を聞いていなければ、全然調査にならないじゃないですか。いかがですか。
大島国務大臣 横光委員にお答えいたしますが、先ほど来申し上げておりますのは、まさに私のもとで十九年間働いた者にかかわるさまざまな問題点でございます。そして、A氏からは、先ほども各委員がお話しされましたように、もうさまざまな問題提起をしておられます。そのことに、私のもとにいた秘書に資料を出させ、その答えに整合性がおかしければそのことをまた厳しく言い、さらに、皆さんから御指摘いただいた点でやはりこれはおかしいよというのであれば税務署にも行かせ、そういうことが私の、今、監督しておった者としての責任で、そのように本当に一生懸命こたえておりますし、また、身を律して、また、この十九年間のみずからの政治家としての、深く省みて律して職に当たることが私の責任である、このように申し上げてきたところでございます。
横光委員 この報道が出されて、その報道では、宮内さんはまさにこの口きき料を受け取った、その金で家を購入したとまで報道は断定しているんですよ。これは、あなたたちにとりましてはそうじゃないというならば、完全な名誉毀損なんです。著しい名誉毀損なんです。なぜ週刊文春を告訴しないんですか。告訴すれば済むことじゃないですか。
藤井委員長 大島農林水産大臣の答弁をもってこの委員会の質疑は終了いたします。
大島国務大臣 私に対することは今精査しております。そして、元秘書自身がそれは考えることでありましょう。したがって、そのことに対しては、今、私自身に対してはさまざまに精査をいたしております。
横光委員 終わります。
藤井委員長 これにて横光君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、経済、外交問題等についての集中審議は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十五分散会


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