衆議院

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第8号 平成16年2月12日(木曜日)

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平成十六年二月十二日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 笹川  堯君

   理事 大野 功統君 理事 北村 直人君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 松岡 利勝君 理事 玄葉光一郎君

   理事 筒井 信隆君 理事 細川 律夫君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    植竹 繁雄君

      大島 理森君    奥野 信亮君

      城内  実君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    小杉  隆君

      佐藤  錬君    鈴木 俊一君

      滝   実君    谷川 弥一君

      玉沢徳一郎君    中馬 弘毅君

      津島 恭一君    津島 雄二君

      中山 成彬君    丹羽 雄哉君

      西川 京子君    萩野 浩基君

      蓮実  進君    早川 忠孝君

      二田 孝治君    保坂  武君

      町村 信孝君    松島みどり君

      宮下 一郎君    山下 貴史君

      井上 和雄君    池田 元久君

      石田 勝之君    泉  健太君

      生方 幸夫君    枝野 幸男君

      海江田万里君    河村たかし君

      木下  厚君    吉良 州司君

      小泉 俊明君    小宮山泰子君

      鮫島 宗明君    首藤 信彦君

      鈴木 克昌君    園田 康博君

      達増 拓也君    中津川博郷君

      中野  譲君    鉢呂 吉雄君

      平岡 秀夫君    石田 祝稔君

      遠藤 乙彦君    大口 善徳君

      長沢 広明君    丸谷 佳織君

      佐々木憲昭君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         野沢 太三君

   外務大臣         川口 順子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       河村 建夫君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   環境大臣         小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (青少年育成及び少子化対策担当)

   (食品安全担当)     小野 清子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (個人情報保護担当)

   (科学技術政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (産業再生機構担当)   金子 一義君

   国務大臣

   (防災担当)       井上 喜一君

   内閣官房副長官      細田 博之君

   総務副大臣        山口 俊一君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣        山本 有二君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   文部科学副大臣      稲葉 大和君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通副大臣      佐藤 泰三君

   環境副大臣        加藤 修一君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   法務大臣政務官      中野  清君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    秋山  收君

   会計検査院長       杉浦  力君

   政府参考人

   (人事院事務総局勤務条件局長)          山野 岳義君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   大井  篤君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君

   政府参考人

   (国税庁次長)      村上 喜堂君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            遠藤純一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  辻  哲夫君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  薄井 康紀君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十二日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     奥野 信亮君

  滝   実君     山下 貴史君

  津島 雄二君     津島 恭一君

  井上 和雄君     中野  譲君

  石田 勝之君     鈴木 克昌君

  小泉 俊明君     小宮山泰子君

  鮫島 宗明君     泉  健太君

  藤井 裕久君     枝野 幸男君

  高木 陽介君     長沢 広明君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     佐藤  錬君

  津島 恭一君     保坂  武君

  山下 貴史君     滝   実君

  泉  健太君     鮫島 宗明君

  枝野 幸男君     藤井 裕久君

  小宮山泰子君     小泉 俊明君

  鈴木 克昌君     園田 康博君

  中野  譲君     井上 和雄君

  長沢 広明君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     谷川 弥一君

  保坂  武君     津島 雄二君

  園田 康博君     石田 勝之君

  大口 善徳君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 弥一君     宮下 一郎君

  丸谷 佳織君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  宮下 一郎君     早川 忠孝君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     城内  実君

同日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     松島みどり君

同日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     尾身 幸次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算、平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛施設庁長官山中昭栄君、総務省自治行政局長畠中誠二郎君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長横田尤孝君、国税庁次長村上喜堂君、文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、厚生労働省保険局長辻哲夫君、厚生労働省年金局長吉武民樹君及び社会保険庁運営部長薄井康紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 一昨日の岡田克也君の質疑に関連し、枝野幸男君から質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。枝野幸男君。

枝野委員 おはようございます。民主党の枝野でございます。

 民主党は、昨年度から、政府の予算案に対する対案的性質を持つものとして、民主党政権ならばどういう予算をつくるのかということをつくり、そして、発表してきております。

 平成十六年度についても、先日九日に、私が党を代表して記者発表をさせていただきました。その資料は、予算委員の皆さん、それから閣僚の皆さんにはお配りをいただく手配をしていただいているというふうに思いますが、この我が党の予算案ではどういう形になるのかということを、特に重要なポイントについて、政府の姿勢をただしながらお尋ねをしていきたいと思っております。

 まず、今回の予算あるいはこの国会において、全体を通じてと言ってもいいかもしれませんが、国民の皆さんの一番の関心は年金にあるというふうに受けとめています。この年金に対して国民の皆さんの関心が強い、あるいは、特に国民年金を中心として年金の未納者が大変ふえている、こうした年金に対する国民の皆さんの受けとめ方について、まずは厚生労働大臣、どういうふうに受けとめていらっしゃるのか、お聞きをしてよろしいでしょうか。

坂口国務大臣 御指摘をいただきましたとおり、年金が国民にとりまして非常に大きな問題であることは、私も十分に存じているところでございます。今回、この年金の改正案を出させていただいたところでございます。

 今、御指摘をいただきましたとおり、年金の中で国民年金の部分に対する未納者あるいは滞納者がふえているということは事実でございまして、これらの人々に対しまして、私たちも、より年金の必要性を十分に認識していただいて、そして、御加入いただくように説得をしなければいけないというふうに思っているところでございます。

 この未納、未加入者の中には、払えない人と払わない人と両方ございます。払えない人に対しましては、これはそれなりの理由があるわけでございますからやむを得ないわけでございますが、払わない人に対しましては、これは強制力も交えながら出していただくようにお願いをしたい、こういうふうに思っているところでございます。

枝野委員 なぜ国民の皆さんの関心が年金にこんなに高いのかという点については、どうお考えですか。

坂口国務大臣 年金は、今さら申し上げるまでもなく、これはもう長期的な、持続的な、将来の問題を含めての問題でございます。

 したがいまして、現在の高齢者の皆さん方は現在直面しております問題であり、そしてまた、お若い皆さん方にとりましては将来の人生設計においてどうしても必要な問題でございますから、そうした意味で大きな関心をお持ちになっている。現在及び将来にわたってこの年金の問題というのは人生の設計の一部に組み入れられている、そういう意味で非常に重要視されているというふうに思っております。

枝野委員 そういう重要な国民の皆さんの御関心に対して、果たして、今回の予算に組まれている、あるいはこの国会に出てきました年金改革がこたえているのかどうかということをお尋ねしていきたいというふうに思っていますが、まず、厚生年金や国民年金の積立金が株式等に運用をされて、そのロスが出ている。評価損が出ています。一番直近の数字でどれぐらいの評価損が出ておりますか。

坂口国務大臣 御承知のとおり、年金積立金全体で見ますと、例えば平成十四年度について見ますと、二千三百六十億円のプラスでございます。ただ、年金資金運用基金におきます運用損は三兆六百八億円でございます。こうしたことがございまして、しかし、今年になりましてからは、株式の回復によりまして、昨年の損失を上回る利益が上がっている、そういう状況にございます。

枝野委員 結局、現時点でどうなんですか。評価損なんですか。つまり、皆さんからお預かりをしている国民年金、厚生年金の積立金が株式等に運用された、その株式運用の現時点での評価は、買ったときの値段よりも下がっているんですか、上がっているんですか。どれぐらい下がっているんですか。

坂口国務大臣 株式だけを見ますと、これは六兆七百十七億円のマイナスでございます。

枝野委員 済みません。ちょっと通告を正確にしていなかったので細かい数字じゃなくて結構なんですが、積立金の運用のうち株式にはどの程度行っているか、わかりますか。

坂口国務大臣 全体では二二、三%というふうに思います。

枝野委員 国家公務員共済の積立金は株式にどの程度運用されていますか。

谷垣国務大臣 国家公務員共済年金の運用資産、十五年三月末でありますが、国内株式三・六%、外国株式が二・九%です。

枝野委員 地方公務員共済はいかがですか。

麻生国務大臣 国家公務員共済と地方公務員共済の投資の仕方が、ルールが違うというのは御存じのとおりだと思いますので、それを御存じの上でしたら、六分の一、約一五%になります。

枝野委員 それぞれ、その株式運用によって評価損なんですか、評価益なんでしょうか。どれぐらいの額が出ているんでしょうか。財務大臣、総務大臣、それぞれお答えください。

谷垣国務大臣 これは年度によって違うわけでございますが、平成十四年度で申しますと、有価証券の自家運用、株式ですが、評価損益は八十九億のプラスでございます。それから、包括信託、委託運用では、国内株式、これは千五百七十三の評価損が出ております。外国株式については、五百三十五、評価損が出ている。億ですね、単位は。

 以上でございます。

麻生国務大臣 株式のことですから上がり下がりがあっておりますが、平成十五年三月で一兆一千億の赤、同じ年の十二月で三千八百の赤という数字であります。

枝野委員 厚生年金、国民年金の積立金の運用と、地方公務員の共済年金の積立金の運用と、国家公務員の共済年金の積立金の運用が、それぞれ違うルールに基づいて運用されていて、そして、評価損が出ている株式の部分のところについては、今申し上げた順番に少なくて、国家公務員の共済の運用の比率が圧倒的に小さくて、したがって、そこではロスが出たとしても全体に与える影響は大変小さいということが今の御答弁ではっきりしてきているというふうに思います。

 この年金の株式運用は株価操作、株価維持のために使われているという説もありますが、我々はそうであろうと確信していますが、そこは水かけ論になるでしょうから聞きません。

 しかし、一般の国民の皆さんからお預かりした部分については、株式にどんと投資して大損をしているのに、国家公務員の共済年金のところは、株のような変動の大きい部分のところにはほんのちょっとしか運用しないので、損が出ても小さい。この違い、どういうふうに合理的に説明するんでしょうか。

坂口国務大臣 御承知のように、年金の資金というのは財投に一度今までは入りまして、そして、そこから年金資金の運用にお借りしていた。これは利息五%ぐらいでお借りしていたということでございまして、例えば、これは六十一年からでございますけれども、それから平成十二年までの間を見ますと、そこに九兆三千億ぐらいのプラスになっているわけでございますが、その五%の利息を財投の方に返さなきゃならないということで、そこにマイナスが出ているということでございまして、本質的にそこに、全部それがマイナスになっているということではないというふうに思っております。

 また、株式に投入いたしましたときに、短期間で見れば上がり下がりがあるわけでありますから、そこはマイナスの面、プラスの面があるというふうに思っております。

 全体としてこれをどういうふうに運用していくかということにつきましては、これは、一つのものに偏らないようにしながら分散をしていろいろの運用の仕方をして、全体としてプラスになっていくというふうにしていかなければならないというふうに思っております。

枝野委員 今は経緯を御説明された。経緯を御説明されたけれども、結果として損を出している株式投資に、株式の運用に回している比率が、国家公務員の共済年金と国民年金や厚生年金とでは決定的に違う、そのことの理由は何も説明されていないと思いますが、いかがですか。

坂口国務大臣 運用資金の構成割合につきましては、国家公務員共済と国民年金、厚生年金との間で大きな差はないというふうに思っております。国家公務員共済につきましても、市場の低迷を受けて委託運用分につきましての評価損が生じております。財政融資資金への預託金などを含めた資金全体を見ました場合には、国家公務員共済も、国民年金、厚生年金も、ともにプラスの結果となっているというふうに思っております。

 先ほど数字を申し上げましたが、年金資金運用基金の運用資産といたしましては国内株式に二三・四%でございますが、国民年金それから厚生年金の運用全体で見ますと四・五%でございます。

枝野委員 同じ基準でいったら、もっと下がるんじゃないんですか。つまり、厚生年金、国民年金のうちで自主運用できる部分について二十何%なんでしょう。そして、国家公務員の共済年金について、自主運用できる、みずからの判断でできる部分の二・何%なんじゃないんですか。この差はどこにあるんですかということを聞いているんですよ。どうして違いが出るんですか。政府として考え方が一緒だったら同じ比率にならないとおかしいじゃないですか。

 分散して投資をするということが仮に合理性があるとしても、それは政府として、株式にどの程度運用して、どの程度安全確実なところに運用してということについての判断が役所ごとに違っているということの合理的な説明をされていないと思いますけれども、説明してください。

坂口国務大臣 それぞれの若干の違いはあるというふうに思いますが、先ほど申しましたとおり、厚生年金、国民年金全体の中での割合でいえば四%台で、それほど大きな違いはないというふうに思っている次第でございます。

枝野委員 ですから、自主運用だ、昔は財投に全部お預けして安全確実に、財投がロスをしたときには税金で実は穴埋めしなきゃならないわけですから本当に安全確実と言えたかどうかは別として、昔は財投に預けておけば厚生労働省は余り関係ない話だったからそれはいいかもしれませんけれども、それを財投にお預けするのではなくて自主運用するようになってみたら、現実的にそこから先は、現時点では大損をしているわけですよ、国民からお預かりをした年金基金について。その部分が、公務員の皆さんのお預かりしている年金はそんなに株に投資していないのに、国民から預かった貴重な財産は株に投資して大損をしている、その比率の違いは何なんですかと言ってもまともにお答えにならないということです。

 もう一点だけ聞きましょう。

 いわゆるグリーンピアなどで、この後、同僚議員が細かいところは聞いていくかと思いますが、いわゆる年金の関連のところで、結果的に、ぐるっと財投などを回ってですけれども、年金の資金が損をしたら穴埋めをされるという部分のところでいろんな施設をつくって大損を出しています。こうした関連施設、グリーンピアなどの施設、幾ら使ってしまったんですか。

坂口国務大臣 グリーンピアにつきましては、施設の建設に当たりまして、それから、それに対しまして固定資産税等がございまして、全体といたしまして約三千八百億円、そういうふうに思っております。

枝野委員 これはもうやめようと。やめようという話自体は結構なことですけれども、売っても売れない、二束三文で売られていますね。この三千八百億円の金を使って、さあ、売っ払って幾らぐらい回収できそうなんですか。

坂口国務大臣 まだ全体、その具体的なところまで入っていないものが多いわけでございますので、幾らということをここで申し上げることはできません。

枝野委員 見通しも立たないですか。現実的に幾つか売って、売ったどころか、何万円ですか、少ないものは。つまり、三千八百億円の半分ぐらいは取れそうだとか、八割ぐらいは取れそうだとか、一割も取れそうもないとか、そういう見通しぐらいは立っているでしょう。

坂口国務大臣 これはなかなか、地方自治体とお話を申し上げておりますけれども、できれば地方自治体にお持ちをいただきたいというふうに思っております。なぜなら、これは年金に加入していただいている皆さん方にできるだけ安く御利用いただくということを前提にしてつくったものでございますから、その趣旨が生かされるようにしていきたいというふうに思っております。

 したがいまして、地方自治体と最優先して議論をさせていただいて、そして、できるだけそこで合意をしたいというふうに思っておりますが、なかなか合意のできないものもあるわけでございまして、この三千八百億円を、なかなかそれを取り戻すということは困難であるというふうに思っております。

枝野委員 大失敗をしたわけですよね。この三千八百億円、丸々とは言わないでしょうけれども、ほとんど端数の部分程度しか回収はできないだろうと言われているわけですね。こういうグリーンピアみたいな使い方で損をしたというのは、国家公務員共済年金の場合はございますか。どの程度ありますか。

谷垣国務大臣 突然のお尋ねでございますが、ちょっと今までそういうようなことは議論いたしておりませんので、調べまして、また後刻御報告いたしたいと存じます。

枝野委員 私としては、細かく一問一答で質問をつくるわけじゃありませんからあれですけれども、いわゆる質問取りのときにそういう趣旨のことは申し上げておいたというふうに思っておりますが、基本的には、少なくとも厚生年金、国民年金――答えられますか。どうぞ。

谷垣国務大臣 国共済の年金資金については、共済組合員等の福祉の増進に資する観点から、国家公務員共済組合連合会それから各省庁共済組合の福祉事業に必要な資金として貸し付けを行っております。それから、施設の建設及び運営に年金保険料を直接充当しているわけではありません。

枝野委員 そうですね。直接、グリーンピアみたいなものはやってないんですよ、国家公務員の共済では。

 何で違うんですか。何で国民の、お預かりした――それは貸し付けているんでしょう。貸し付けているんだから、年金の積立金自体が損をすることはないんでしょう。それぞれの先の共済が失敗をしたら、そこがかぶる話であって、積立金自体がかぶる話じゃありませんよね。

谷垣国務大臣 連合会の医療施設や宿泊施設等の整備のために、千五百六十億、平成十四年度末現在で貸し付けという形で行っております。

枝野委員 厚生労働省の方には、グリーンピアなどのような施設と聞きました。厚生年金を使った病院とかは入っていますか、さっきの三千八百億というのは、厚生労働大臣。病院とかは入っていますか。今の、財務大臣が言った、一千何百億は使っていますよという話に該当するような、病院とかそういうものは入っていませんよね、三千八百億には。別ですよね。お答えください。

坂口国務大臣 それは別でございます。

枝野委員 そうなんですよ。最低限、年金の運用として、それが病院等に使われていること、診療、治療に使われていること自体は議論があるかもしれませんが、そこの部分は国家公務員なども一緒かもしれないけれども、いわゆるグリーンピアのような、民業を圧迫して、残念ながら採算もとれなくて、もちろん使ってよかったと言っている人もいるかもしれないけれども、ほとんどの国民年金、厚生年金、つまり国家公務員、地方公務員以外の圧倒的多数の国民の中で利用した人なんかどれぐらいいますかというような保養施設のために三千八百億円も勝手に使って、そして大損をしている。そして、株のところでも、公務員共済のところではほんの少ししかやっていないところで大損をしている。

 こういうところの不公平が国民の皆さんの年金不信を高めているんじゃないか。そういうところにきちっとメスを入れて、公務員だろうと、民間企業に勤めていようと、自営業者だろうと、公平に、フェアにやったらいいじゃないですか。例えば、年金の積立金の運用なんというのは、国民年金と厚生年金と一緒にしているんですから、共済年金も一緒にしたらいいじゃないですか。どうですか。

坂口国務大臣 合併の話につきましては、厚生年金それから共済年金との統合化の話につきましては、財政の統合化を現在進めていこうというお話し合いをしているところでございまして、その前に、国家公務員の共済と地方の共済との財政の一元化をまずやっていく、そして、その後で全体としてやっていくということでございます。

 そうしたことを行っていきたいというふうに思っておりますけれども、先ほどからもお話ございますように、いろいろの施設をつくった、それは確かにそのとおりでございますが、昭和三十四年、五年ごろは衆議院におきましても参議院におきましても附帯決議がつきまして、できるだけ国民にその還元をする、そういう施設をつくるということにつきましてのお話もあったわけでございます。時代が変わりまして、現在のように厳しい状況になってまいりますと、そのことについての見直しを早急に行わなければならない、そういうことだというふうに思っております。

枝野委員 まず、国民の福利に還元されるような施設だったんですか、グリーンピアがそもそも。そこから間違っているんじゃないですか。結果的にだれの福利になっているかというと、グリーンピア等には厚生官僚の幹部の皆さんが天下りをしている。こういう皆さんの老後の安心のために国民年金、厚生年金が使われている。これが多くの国民の皆さんが抱いている年金積立金運用に対する不満であり、不公平感じゃないんですか。

 こういうことをまず一元化して、結果的に国家公務員共済は正しい運用をしたわけですよ、少なくとも今までのところ、厚生年金、国民年金に比べて。そうしたら、そちらの方の運用の仕方にずっとそろえてもらったら、そこで一元化してもらったら、少なくとも大損はしていないわけですね。何で一元化できないで、ばらばらしているんですか。年金改革と言うんだったら、まずそこから入っていかなきゃならない。

 私たちは、年金改革と言うんだったら、公務員、民間企業、そして自営業者、仕事を持っていない人、そして国会議員も含めて、みんな公平公正に同じように保険料を払い、同じように払った保険料に応じて年金を将来受け取る。運用などは経過措置としては必要だと思いますから、その運用についても、全部同じルールに基づいて運用すれば、損をするときもみんな一緒に損をする。もちろん、運用ですから損をするときも得をするときもあるわけですよ。同じように損をする、同じように得をする、これが公平というものである。

 したがって、私たちは、年金の一元化ということ。大体、一般の皆さんにとっても、昔のような終身雇用制度というのは残念ながら崩れています。終身雇用制だから、サラリーマンはサラリーマン、国家公務員は国家公務員、自営業者は自営業者、こういうようなやり方が一定の合理性を持っていた。でも、私は昔も幻想だったと思いますが、今や全く完全に終身雇用制というのはほんの一部の人しか、学校を卒業して入った先から定年までいるということはほんの一部の人しかなくなっていて、サラリーマンになったり、パートになったり、自営業をやったり、そういう人たちの方が圧倒的にふえているわけでありますから、今までのような縦のやり方というのは間違っている。一元化をするべきだ。(発言する者あり)

 うちの党の案をちゃんと勉強してからやじを飛ばしてくださいね。勉強しないで、イメージだけでやじを飛ばすのはやめていただきたいです。委員長、注意してください。注意してください。

谷垣国務大臣 先ほどからいろいろ民主党の主張を拝聴いたしましたが、公的年金の一元化については、先ほど厚生労働大臣がおっしゃったとおりであります。

 それから、損失をどうかというお話がありましたけれども、国民年金や厚生年金における資産運用結果を考える場合は、市場運用資産だけで比べるというのはちょっと問題があるんじゃないかと思いますね。預託金収入を含めた年金積立金全体の運用結果でやはり考えていく必要があるんじゃないかと思います。平成十四年度では、国民年金や厚生年金の運用結果、これは両方プラス、約二千四百億円になっているというふうに承知しております。

 それから、もう一つは、株式運用をどのぐらいかというのは非常に難しい問題ですが、株式があっちゃいかぬということではないんですね。リスク資産でありますから、価格変動は確かに大きい。しかし、長期的、平均的に見れば、株式の収益率は債券の収益率を上回るというふうに考えられておりますし、また、インフレヘッジ機能もあるわけですね。ですから、一定割合やはり株式というものを保有しなければ、年金資産の運用は、これは難しいということは御理解をいただきたいと思います。

枝野委員 後段の話はよくわかっていますよ。だったら、もっと国家公務員共済も株に運用したらいいじゃないですか、三%だなんというばかな話を言ってないで。本当にリスクヘッジ機能だったら、三%ぐらいリスクヘッジしておいてどうなるんですか。つまり、株、大きなインフレなんかあったときには確かに金利の方がすぐには追いついていきませんから、それはそうでしょう。だけれども、だったら、何で国民のお金だけはリスクの高いところへどんどん出しているという話になるんですか。

 それから、前段の話も、そこまでおっしゃるんだったら申し上げますけれども、そもそも財投に貸している金は本当に返ってくる金なんですか。財投の話をきちっと問題にしていけば、これはこの後この予算委員会の中で順次やっていくことになると思いますけれども、財投に行っている金が財投の先で焦げついて本当に返ってくるのかどうかというこの問題点ということまで考えれば、むしろ、財投に行っている部分を名目上そこは利益が上がっているという話でごまかすという話は、それは違っていると私は思います。

 次の問題に行きたいと思いますが、ことしの年金改革で、本来は基礎年金、国民年金の税で負担をする分、つまり、保険料で負担するのではなくて税で負担する部分を三分の一から二分の一に引き上げるという話になっていました。ところが、残念ながら、ことし、一気に三分の一から二分の一に引き上げるということはできませんでした。

 そこは、我々も、本当に政権をとったときに実行していくことを考えたら、単年度では不可能だということはよくわかります。段階的にやっていくのはわかります。では、段階的にやっていく、どういう財源をもとにしてこの二兆七千億、年金のための財源を確保するんでしょうか。

坂口国務大臣 今回の国庫負担引き上げにつきましては、平成十六年度からは、年金課税の見直しによりましてその増収分を財源に引き上げて着手をする。そして、十七年、十八年におきましては、我が国の経済社会の動向を踏まえまして、税制上の措置を講じた上でこれを適切な水準まで引き上げる。そして、平成十九年度を目途に、政府の経済財政運営の方針との整合性を確保しながら、社会保障に関する制度全般の改革の動向その他の事情を勘案して、所要の安定財源を確保して、税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年までに完全に引き上げる。こういう段階を確認しているところでございます。

枝野委員 税制上の措置という難しい言葉を使わなくても、財源を確保するための税制上の措置なんですから、増税と正直に明確におっしゃった方が国民の皆さんはわかりやすいと思いますが。

 そもそも、何のために基礎年金の税部分を三分の一から二分の一に引き上げるんですか。

坂口国務大臣 もう言わずもがなでございますけれども、少子高齢社会が進んでまいりまして、掛金をしていただきます若い人たちと、そして年金を受けていただきます皆さん方との、その人口比率というものの変化が参っております。

 したがいまして、この人口構成が余りにも大きくなってまいりましたし、いたしますから、そこは調整をしていかなければいけない、その調整のために三分の一から二分の一に引き上げていくというのが一つの方法ではないか、そういうふうに思っております。

枝野委員 確かに、人口構成が変わって、このままいくと、年金の保険料をどんどん上げていくか、お年寄りにお支払いする給付を下げていくかということしか手はないように見える。そして、現に政府も、今回、そういう改革案を国会にお出しになりました。それが行き過ぎないように税の部分をふやそうという話までは、私たちも全く一緒です。

 しかし、特に今回の三分の一から二分の一に引き上げるという話は、もう五年来あるいは議論のスタートからすれば十年来の議論ですけれども、ここのところの財源を本当に増税という形でやるべきなのかどうか、増税という形でしかできないのかどうか。

 しかも、まず、ことし、来年、何をするのか。お年寄り、つまり年金を受け取っていらっしゃる方に対する課税を強化する、そこで上がった税金で基礎年金の財源に充てる。人口構成が変わることによって、保険料がどんどん上がったり、お年寄りの皆さんにお渡しする年金の額がどんどん下がっていったりということでは困るから税の部分をふやしましょうというのに、お年寄りに一たん渡す額は、それは下がるのを抑制できるかもしれないけれども、そのお年寄りに年金課税を強化して、そこから召し上げた金で基礎年金に充てるというのは、はっきり言ってわけがわからない。結局、お年寄りにお渡しする年金の支給額を減らすのと同じ効果じゃないですか。

 しかも、後で同僚議員が質問すると思いますけれども、課税を強化すると、税金が、所得税が上がるだけではありません。関連して、そのほかのいろいろな負担がふえていきます。そういう負担をお年寄りの皆さんからどんと取って、その金で年金の財源を安定させます。その後は、今度は定率減税を廃止しようというのを公明党さんを中心におっしゃっているようですが、定率減税を廃止して、さあ、税金がかかるのはだれですか。保険料を負担する人たちと基本的には一緒じゃないですか。

 結局は、負担をふやし給付を減らすという話の枠の中でしかない。このことは間違いありませんね。いい悪いは別ですよ。それしかないじゃないかとか、いろいろな議論があるかもしれない。このことは間違いないでしょう。

坂口国務大臣 今後の年金を持続的にしていきますためには、やはり負担を若干ふやしていただかなければなりませんし、そして、年金額につきましては、現在よりも少し減らしていただかなければならない、そこにバランスをとらなければならないというふうに思っております。

枝野委員 私たちは、そのこと自体を一般論として全面的に否定するつもりはありません。でも、そういうことをやるためには、先ほど言った年金制度ごとの不公平感というのをまず解消していかなければならないでしょうということがあります。

 そしてもう一つ、何よりもあるのは、税金の使い方、使い道に対して、そこにメスを切り込んでいくことこそが、まずは一番最初になされるべきことではないかというのが私たちの考え方です。まず徹底した税金のむだ遣いをやめさせていかなければなりません。

 税金のむだ遣いをやめさせていくということだけでないと私たちは思っています。というのは、まさに少子高齢化、人口構成が変わったということは、年金の部分のところには、たくさん年金をお支払いしなければならないということでマイナスの効果があります。しかしながら、若い人の数が減って人口が減っていくという社会においては、人口がどんどんどんどん爆発的にふえていった、私が生まれた昭和三十年代のころのような時代とは、税金の使い方が決定的に変わっていいじゃないですか。

 今から新しい道路をつくって、二十年後、だれが使うんだ。今から新しい鉄道を敷いて、二十年後、だれが使うんだ。もちろん、全部なくていいだなんて言うつもりはありません。生活道路とか、あるいは、山村地域などに行くと、さすがに日本でこの道路はないだろう、事故が起きるよね、そういうところもありますが、いわゆる開発型の投資をしたからといって、日本の人口は全部減っていくんですから。

 今までだったら、新しい道路ができて新しい駅ができれば、そこに人口が爆発的にふえていく、どんどん集まってきて住んでくれて、その町はにぎやかになってくれましたよ。これから人口が減っていくんですよ。

 便利になれば便利になるほど、そこに住んでいる人は、しかも、小金持ち、少しお金を持っている人は、おお、便利になったから高い高速料金を使って、高い新幹線代を使ってでも都会に行って買い物をしようといって、町の商店街はどんどん寂れていく、こういう構造じゃないですか。

 今までこうやって人口がふえている時代に使っていた税金の使い方としては合理性があったけれども、人口が減っていく時代には合理性がなくなってきた部分のところの税金の使い方を大胆に削って、その金を年金に回していく。これがまず最初にやるべきことじゃないですか。

 私たちは、だから、この税負担の部分を三分の一から二分の一に引き上げる、二兆七千億円、我々が単年度ではできないと言ったのは、一気にいろいろなものの事業を、やりかけの事業を途中でやめるわけにいきませんから、五年間かけて、ほかの税金のむだ遣いや時代が変わって必要性が変化した部分を削って、その二兆七千億円で、増税をせずに税金から基礎年金に回すべき部分をふやす、こういうことを対案として示しています。さあ、どうですか。

谷垣国務大臣 大変立派な御意見を拝聴させていただきましたが、基本的なことでございますから基本的な考え方を申し上げたいと思います。

 年金の税制を、年金の財源をどうするかというときに、やはり大事なことは、税財源でもってきちっと恒久的に安心してやっていけるような財源を確保するというのが私は一番大事であると思っております。

 そして、今、むだを排除せよという御趣旨でありました。むだを排除して、税制もかつての体系と違うものであるべきではないかという御主張でありました。

 むだの排除は、私どもも力の限りやっております。それからまた、税の見直しに関しましても、逐次、議論をしてやっております。委員が、むだを排除することから、それを年金の財源にすべきでないかとおっしゃいましたが、今のような多額の国債を、公債を発行しなければ財政が維持できない状況では、私は、まずそれを公債発行の縮減に回すべきだと思います。それをしないで、むだを削ったからといって年金にやっても、そこの財源は長期的にわたって確保されるわけではありませんから、結局、公債をまた発行してそれに回してこなきゃならないということになるわけでございまして、そこは委員のお考えと私どもの立場というものはかなり違っている、こういうふうに思います。

枝野委員 私たちも、財政の健全化ということは大変重要だと思っています。したがって、民主党の予算の対案では、公債発行額を政府案よりも一兆二千億円ほど縮減すべきだということを提起しています。

 もちろん、財政の立て直しも重要でありますけれども、財政の立て直しも一気呵成に、これは私は、年金の課税とか三分の一から二分の一への引き上げ以上に急激にはできません。それはむしろ、多くの自民党の皆さんが昨年の我々の対案などに対してあるいは民主党の財政の健全化路線に対して御批判をされたように、一気に大きく下げてしまえば経済に対してマイナスの効果が生じてしまって、使い道を入れかえたとしても、それを超えるだけの経済のプラス効果というのをつくれない。余り大幅に一気に財政規模全体を小さくすることは、今の日本の経済の状況から考えたらできない。

 しかし、段階的に、経済の状況を見ながら、財政再建は長期的に、必ずプライマリーバランスをとって借金が実質的にふえないようにという方向に十年がかりで持っていこうと。その中では、例えば国民の皆さんに負担をお願いすることも出てくるかもしれない、そういうことまで否定しているつもりはありません。

 しかし、十年来の課題としてずっと言ってきて、五年前にもこれは全党一致して、引き上げましょう、二兆七千億どこかから引っ張ってきましょうということでやったこの部分ぐらいは――ほかのところを削減した金、その二兆七千億を全部財政健全化に回すというのも一つの考え方ですよ。私たちは、財政健全化も大事だけれども、そこにも回すべきお金、むだ遣いの削減のうち一部は回すけれども、せめてこの二兆七千億は必ずこの年金という一番国民の皆さんが心配をしている部分のところの安定化のために使うべきだ。

 ちょっと図を。委員の皆さんにはコピーでも配らせていただいていますが、私たちは、歳出の抜本的な見直しで、一般の行政経費で一・六兆円、特殊法人向けの予算で一・四兆円、それから、補助金を一括化することで補助金を取りに来るというような経費が削減できるということで〇・七兆、そして地方交付税の減額、これは後で一括交付金などのところで御説明をいたしますが、決してこれを減らすことによって地方の財政が政府案ほど厳しくならないということは後ほど申し上げさせていただきますが、公共事業削減で四・五兆、十二兆円、歳出、税金の使い道のところで見直すことが可能であって、そのうちの二・七兆円を、年金の財源を安定化させる、つまり、今の政府案との比較でいえば、高齢者の皆さんの課税を強化する、高齢者の皆さんの税金を上げるということをやらないで、年金の財源を安定化させるというところに二・七兆円を回していく。そういったことをした上でも、国債の発行額は一・二兆減らすことができる。これが民主党の予算の対案であります。

 次に、年金の積立金についてお尋ねをしたいと思いますが、先ほど来、使い方が不思議な使い方をしていましたけれども、そもそも年金の積立金というのは……(発言する者あり)

笹川委員長 静粛に。

枝野委員 年金の積立金というのは何のためにやっているんですか、厚生労働大臣。

谷垣国務大臣 いろいろ予算について御主張がございましたけれども、一つ、年金財源についてどうしてむだを省いていくかといういろいろ御議論がございました。

 それで、まず公共事業の例を挙げて、そこをまず縮減しろというお話でございましたけれども、御理解いただきたいのは、現下の財政状況では、公共事業関係費というのは建設国債で賄われておりますので、仮に公共事業を削減しても建設国債の発行が減ってしまうだけで、新たな財源はなかなかここから捻出することはできないということがございます。

 それから、十二兆のお話がございまして、大変努力をしてまとめられたと思いますが、直轄公共の三割削減とか、あるいは特殊法人、独立行政法人向け財政支出の三割削減、こういう削減案は、私もまだ眼光紙背に徹するほど読ませていただいてはおりませんが、余り具体性がないんじゃないかと思うんですね。その実現可能性について、正直申し上げて疑問を抱かざるを得ないと思っておりますが、その辺もゆっくり、どういうふうに三割削減をされるのか、御教示をいただければありがたいと思っております。

 それから、もう一回公共事業に戻りますと、公共事業については、大都市圏拠点空港とか三大都市圏の環状道路といったら、だれもこういうのはやらなきゃならぬと思っているんじゃないかと思いますが、こういう予算を伸ばしまして重点化する一方、一般空港や道路の一般改築などの予算を縮減することとして、めり張りをつけながら前年度当初予算から三%以上削減させていただいたわけでありますので、民主党のお考えですと、いわゆるこういう構造改革に資するような公共事業も実施が甚だ困難になるのではないかと私は危惧をいたします。

枝野委員 まず、しっかりと我が党の案をお読みいただいてから御批判をいただきたい。抽象的な、イメージだけで批判をされるというのは、まさに昔の野党が政府に対してやっていた、レッテルを張って反対のための反対をしているということにほかならないと思っています。

 言いたいことがおありでしたら、委員長にお願いをいたしますが、私どもは、もちろん政府と違いまして、何千人、何万人という霞が関の官僚機構を駆使してできているわけではありませんから、細かい数字のところのケアレスミスは当然あると思っていますが、大きな方向性の部分のところでは自信を持っております。ぜひ我々を、つまり、民主党の次の内閣の閣僚を参考人としてお呼びいただいて、与党の皆さんに、具体的に質問をして、問題点があるなら言っていただく、そういう機会をつくっていただきたい。我々は、それに対してきちっと、政府のように逃げの答弁ではなくて、真正面からお答えをして、答弁できる自信を持っておりますので、お願いをいたします。

笹川委員長 新しい提案でありますので、後刻理事会に諮ってまた協議をさせていただきます。

枝野委員 例えば、今、特殊法人向け、独立行政法人向けの予算三割カットということについて、私どもの予算案の中に具体的に、例えば道路三公団に使っている、首都高五百億、阪神高速百億、本四連絡橋公団五百、これは、我々の高速道路原則無料化の枠の中で特殊法人向けの支出としては削減をすることができます。それから、具体的に独立行政法人で新エネルギー・産業技術総合開発機構とか都市再生機構など、具体的な数字を挙げて我々の予算の対案は示させていただいております。

 それから、公共事業ですけれども、私どもは、後で申し上げる税源の移譲で、地方が例えば地方の生活に密着した公共事業が必要であるならば、今までよりも地方直轄の公共事業がふやせるだけの財源を地方に自主財源としてお渡しをしています。道路など公共事業が必要だということがあるならば、地方が自主的に判断をして進めていただいた方が、国にコントロールをされる、つまり、皆さんが口ききをして利権をするための予算は減るかもしれませんが、地域の自由な予算はふえて生活密着型になっていく。私たちは、具体的にどこを幾ら削るのか、我々にそちらに座らせていただいて参考人質疑していただければ、質問していただけばお答えをさせていただこうと思っています。

 それから、最初にもおっしゃっていた建設国債という話は、もう谷垣大臣も御承知のとおり、これまでも何年来にわたって、もう建設国債と一般の赤字国債との区別だなんていうのは時代おくれじゃないかという議論はとっくの昔に決着がついている話で、財務省だけがなぜかこの区別に固執をしているという話で、財政を硬直化して公共事業が減らないということの一つの根拠にしているとしか言えないのではないかと私は思っております。

 さて、先ほど聞きかけましたけれども、お答えをいただいておりません。年金の積立金、何のために積み立てているのですか、厚生労働大臣。

坂口国務大臣 年金の積立金につきましては、もうこれは申し上げるまでもなく、年金に加入していただいている皆さん方にその積立金の果実を配分するということが一番大事なことだというふうに思っております。

 今までの年金の制度が積立制度を中心にしてスタートしたことは事実でございまして、それが賦課方式にだんだんと移行していることも事実でございますけれども、その中でたまりましたその百四十数兆円の積立金というのは、これは年金に加入していただいている皆さん方に還元をするために使うということであるというふうに思っております。

枝野委員 先ほどの運用の話のところでも少しお話ししましたが、この積立金が運用されているところがどうも不透明だし、不公平だし、天下り等の温床になっているのではないかという言われ方もしています。

 確かに歴史的に、年金制度がスタートしてからここまでの間、つまり、まだ年金を受け取る権利を持っている人の数が相対的に少なくて、現役世代はスタートしたところから全員強制加入で保険料を納めていますから、その分の差額を積み立てていって将来に備えていく、これは合理性があったと思います。しかし、これからもう間もなく高齢化のピークを迎えて、そのピークから先は高齢化の比率、つまり、現役世代に対する高齢者、年金を受け取る方の比率は安定をしていきます。そこから先については、もう積立金という制度はない方が公平公正ではないですか。

坂口国務大臣 これは今後のまさしく人口構成がどうなっていくかということに関係するというふうに思います。

 例えば、二〇五〇年まで高齢化が進んでいくというふうに仮定をいたしますと、それから先、この高齢化がだんだん下がっていくという説もありますが、そうではなくて、下がっていかずにずっとそのままで続いていくというふうに我々は見ているわけでございます。

 高齢化が今後続いていくということになりますと、例えば二〇五〇年なら二〇五〇年までにこの積立金を使ってしまうということになりますと、その後の年金財政に非常に大きな影響を与えますから、もう少し長い目でここは取り崩しをしていくということでなければならないというふうに思っております。

枝野委員 将来の見通しは一〇〇%立てられない、そのとおりでありますが、だとしたら、政府が出している、保険料率が一八・幾つとか、給付水準が五十何%とかだって、いつも厚生労働省の人口統計は、五年ごとに、前のは間違っていましたと言って見直してきた経緯がありますよね。今度の約束だけ何で、将来にわたって守れる、つまり、今回のもとになっている人口統計だけは正しいと言えるんですか、厚生労働大臣。

坂口国務大臣 人口統計につきまして、今まで何回か出しましたけれども、それがなかなかそのとおりにいかなかったことは事実でございます。しかし、これから先のこの人口問題というのは、このままで自然に、この成り行きを見ているというのではなくて、例えば少子化なら少子化の問題に対しましてはこういうふうにしていくという一つの政策目標がやはりなければいけないというふうに思っております。

 と申しますのは、お若い皆さん方が結婚をされて、そして子供を何人産みたいかということに対する意思表示をしておみえになる、そこと現実との格差があるわけでありますから、その格差を埋めていくということに対して我々は努力をしていく必要がある、そういう趣旨も含まれているというふうに思っております。

枝野委員 今までだって、急速な少子化というものが問題だと言って、少なくとも私が議員になってからこの十年間、何度となくやってきた。少なくとも役所は、政府はやっているふりをしてきたのは間違いないと思うのですね。にもかかわらず、この二回の間の人口統計の予想数値も全部外れてきて、今回は少子化対策などについてしっかりとした対応をするから大丈夫なんだというのは、全く合理的な説明にはなっていない。

 また、今回、一八・幾つとか五〇・何%とか一生懸命細かくやっていらっしゃいましたが、また人口の将来の見通しが変われば、過去には全部五年ごとに変わってきている、また変わったらこれも変わるんだということを、国民の皆さん、よく御理解をしていただきたいというふうに思います。

 積立金の話に戻ります。

 積立金は、確かに歴史的な経緯としてここまで積み立ててきた。そして、年金が成熟をしてきたことによって、今受け取っている方のかなりの多数の部分は二十ぐらいから年金を納めてきた方にもうなりつつあります。

 そうだとすると、ここから先は、少なくとも、もう二十年か三十年ぐらいはともかくとして、つまり、年金制度が始まる前から二十歳以上であった方の次の世代にかわっていけば、年金の本来の意味である世代間扶養という意味に基づいて、そのときの現役世代がそのときの高齢者を支えるという制度になっていっておかしくない。しかも、そのプロセスの中で、高齢化のピークという、保険料を上げないと大変だ、年金給付を引き下げないと大変だという時代をちょうど幸いなことに含んでいるわけですから、これから五十年ぐらいかけて今の積立金を、余り前半の方で切り崩しとかされると困りますけれども、これから五十年の後半の方をピークにして今ある積立金を切り崩していって、最終的には一年分ぐらい持っていれば十分だと思いますけれども、そういうことをすべきではないですか。

坂口国務大臣 二〇〇〇年代後半を中心にしてということならば、私たちも大体そのように思っておりますし、一年分ぐらいを残すということも私も賛成でございます。

枝野委員 そこが違うんだ。私は、五十年ぐらいの後半の方をピークにして切り崩せ、そちらは、二〇〇〇年代の後半とおっしゃっているわけで、五十年、差があるわけです。

 そこは両論あるかもしれませんが、私たちは、これから少子高齢化のピークを迎える、そのピークを乗り切ることが一番深刻なのであって、そのために、今まで積み立ててきたものを計画的に取り崩すことによってピークにおける保険料率や給付水準というものを確保していく、このことが大切である、こういう形で年金の対案を示していきたいというふうに思っています。

 さあ、年金だけで全部終わらせるわけにいきません。我が党の対案はほかのこともあります。

 次、三位一体についてお尋ねをいたします。

 きのう、同僚の玄葉議員もいろいろ皆さんにお尋ねをしました。改めて聞きます。今回の三位一体改革で地方が自由に使えるお金は幾らふえるんですか。あるいは、どの程度ふえるんですか。

麻生国務大臣 ふえるという定義についてちょっとはっきりしていただかぬといかぬのですが、従来のものとどれくらい、例えばよく出ます厚生労働省関係でいえば、公設の保育園に対する金が幾らふえるかという意味で聞いておられるんでしたら個別に二千億とかいろいろございますが、全額といたしまして補助金総額約一兆円減らした中でそれに対応する財源としてお渡しする分は四千五百億ということになりますので、差額は五千五百億足りないという数字がお聞きになりたいということですか。

 ちょっと質問の内容を明確にしていただかぬとわかりませんが。

枝野委員 今のお話で結構なんですが、つまり、自主財源としてお渡しする約四千億ですね、では、この四千五百億は地域が自由に使えるんですか。

 きのうも玄葉さんが聞いていましたけれども、例えば児童保護費等負担金、うち公立保育所運営費一千六百六十一億円、これが縮減されて、この分が一般財源化されたわけですね。さあ、厚生労働大臣、自由に使っていいんですか、市町村は。

坂口国務大臣 厚生労働省関係におきましては、公設の保育所の問題でございます。

 公設の保育所につきましては、各自治体がそれぞれの意思によりましてつくられたものでございますし、そして、都道府県、それから市の市長会等からも、一番どこをということになれば厚生労働省関係ではこの部分をぜひ地方にゆだねてほしいというお声の高かったところでございます。

 したがいまして、私は、そこに対しまして決定をしたわけでございますけれども、これからの財源につきましては、これは、総務省の方とよく相談をさせていただいて、そして、ここに御不便をかけないようにしていくということで今やっているところでございます。

枝野委員 ですから、自由に使えるんですかということを聞いているんです。今までに比べて使い方、例えば公立無認可保育所だなんというのをつくって、そこにこの金を回していいんですか。

坂口国務大臣 いわゆる公立にしろ私立にしろ、この保育所をどういうふうな基準でつくるかということは、これは別途定めているわけでございますから、いわゆる公立の保育所に対しまして、基準をどう変えてもいいという話ではない。

枝野委員 そうなんですよ。いいですか。例えば保育所の話などというのは、国として、地方自治体に対して、保護の必要なお子さんの保護はちゃんとしなさいということを法律で決めて、なおかつ、保育所の基準について全部細かく決めているわけですよ。

 その全部細かく決めているところに、その金については補助金じゃなくて地方の自主財源にしますと言われたって、地方の自治体は自由に――例えば都市部で、それはお子さんの保育政策として賛否両論あるかもしれませんが、いわゆる認可保育所の要件を満たしていなくても、例えば駅とか職場の近くとかに、保育環境は悪いけれども最低限のときだけ、いざというとき預かってくれるようなニーズは非常に大きいわけですよね。

 あるいは、地方に行けば、土地がいろいろ余っているということだから、逆に言えば、その余っている土地をいろんな有効活用をして、今の認可の基準に合っていないけれども、子供たちが伸び伸びできる保育所がつくれたりする可能性があるわけですよね。

 その認可の基準のところを変えなければ、幾ら金だけ自由に渡したって何の意味もないじゃないですか。違いますか。

坂口国務大臣 私は、そこは、地方の自由度というのも確かにあるというふうに思っておりますが、一定の最低基準だけは決めているということでございまして、この最低基準を外すということは、これは、地方にとりましても、逆にまたそこが外れますと大変いろいろの問題も起こってくるということでございますから、まずは地方に移して、そして、具体的な問題はこれからお話し合いをしていきましょう、こういうことになるというふうに思います。

枝野委員 そうなんです。それは結構なんです。つまり、最低基準を国が決めなきゃならない。最低基準は国が決めなきゃならない部分のところばかり地方に自主財源として渡したって、地方の自由な裁量はふえないんですよ。

 今の保育所というのは、確かに、子供たちの、まさに自分で声を上げることのできない子供たちの安心、安全の保育のためには最低基準を全国一律で一定程度持たなきゃいけない制度ですよ。

 それから、特に額の大きいところで、教育部分のところをやっていますね。我々も教育分権論ですが、それは、教育のやり方についてはいろんな工夫が要るかもしれないけれども、どこに住んでいようと日本人ならば最低限の教育が受けられるということのためには、国が責任を持って最低基準はつくり、最低の財源をどの地方に住んでいても確保できるようにしなきゃならない。それが国の役割だと思いますね。

 こういうところを、金だけ渡したって、地方が自由にはできないし、やっちゃいけないんですよ。うちは教育はどうでもいいや、教育はどうでもいいから教育のところをどんと削っちゃってほかのところに回しましょうとできる額ではないんです。うちは保育のレベル、水準は低くても構わないから、保育のところにもらった金はちょっと減らして、ほかの、道路でもつくりたいということに使っちゃいけない部分の金しか、今回、自由になる財源としては行っていないんですよ。だから、四千五百億ですか、渡されたって、その四千五百億は、事実上、使い道を縛られて渡されているんですよ。

 私たちの案を御説明させていただきたいと思いますが、これです。

 私たちのポイントは、一括交付金です。それから、地方税源そのものをフリーに渡してしまおうというふうに思っています。私たちは、税源移譲は、五兆円ほどの税源を使い道を縛らずに移そうとしています。そして、例えば教育とか、例えば福祉のような、最低基準がきちっと必要な部分もあります。そういう部分のところは一括交付金という形で、一定の枠の中でしか使っちゃだめですよ、そういう枠は決めるけれども、その使い方については細かい基準を外す話は、ここで上の方にあります一六・三%分です。税収そのもののところは五・五兆、四七・六%と三九・六%の違いです。

 民主党が政権をとらせていただいたら、これも、一気に一年間ではできるとは思っていません。四年以内には、地方自治体の皆さんのところに入ってくるお金のうち地方が自由に使えるお金の比率が、今は六一%なのに対して、民主党政権ならば八一%まで拡大する。我々は大衆迎合するつもりはありませんから、一〇〇%とは言いません。国が細かく縛らないといけない部分もあります、生活保護費など。しかし、八割まではできる。

 こういうことをやって地方が自由に使える金をふやすのが、私は、地方分権であり三位一体改革である。政府は、名目的にいろいろ動かしているけれども、結局、国から地方に渡す金を削って、地方に渡された金も細かいひもがついたままお渡しをしていて、地方の自由な使い方ができない、こういう形になっていると言わざるを得ないと思っています。

 時間がなくなってきましたので急いで前へ進みたいと思いますが、道路公団改革についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 道路公団については、民営化推進委員会の意見書がございました。民営化推進委員会の意見書を基本的に尊重すると、ずっと総理などもお答えになってこられました。ところが、この意見書は、すべてそのとおりに結論が出たわけではありません。

 尊重しなかった部分はどこで、尊重しなかった理由は何ですか。お答えください。

石原国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、基本的な尊重すべき点というものは、やはり、答申の中に示されておりますように、債務の確実な償還であると思います。そこの部分について十分な手当てはさせていただいたところでございます。

 それでは、今の御質問でございますが、主要項目十九項目あるわけですけれども、どの点が民営化委員会の意見と違うかという御質問だと思いますが、二点ございます。

 それは、民営化推進委員会の答申の中で、十年後に、株式会社になりました民間会社が資産を買い取る、こういういわゆる道路資産の保有につきましては、今回の政府・与党で取りまとめました案の中では、買い取れない、上下をともに持つということはないというふうになっているのが第一点でございます。

 それと二点目は、これは、先日、前原委員と御議論をさせていただきました、いわゆる道路料金に利潤を乗せるか乗せないかという点でございます。これは、道路料金に対しまして利潤を含めるということは採用しておりません。

 以上二点が大きく異なる点であると認識しております。

枝野委員 この最終的な決定に対して、民営化推進委員の皆さんの中でお二人の方は辞任をされました。どうしておやめになったと認識されていますか。

石原国務大臣 詳細については存じませんが、お話を聞かせていただく限り、今言いました、十年後に資産を買い取るというようなことに対して、基本的に自分たちの意見が通っていない、そういうようなことを記者会見でお話しされていたこととを承知しております。

枝野委員 おとといのやりとりなども見ていましても、いろいろと、野党は野党だから反対し批判するんだろうというような趣旨のことを総理などもおっしゃっておられますが、この民営化推進委員会というのは、別に我々がつくってくれと言ってつくってもらったわけでもないし、我々の推薦で委員の方を決めていただいたわけでもないし、時々いろんな委員会では、野党の枠何人、与党の枠何人ということはありますが、これは小泉内閣がつくり、小泉内閣でお願いをした推進委員の方々ではないんですか。こうした人たちまでこれではだめだと言って辞任をするような中身であるということについて、どういう認識をされているんですか。

石原国務大臣 これは政策論でございますので、御自分が信じられます政策というものを、今、枝野委員は民主党の予算案という形で、自分たちの案が一番正しいものであるし、これがこの国に必要であるというような御主張をされておりました。それと全く同じでございまして、民営化委員の委員の方々も、自分の案が政府あるいはその他の方が考えるよりもベストである、こういうことをおっしゃっているのではないかと思いますが、やはりこれは、道路の場合は基本的な哲学があると私は思うんです。

 民主党の案にございますように、民主党も高速道路を無料化しよう、私どもも無料化しようということを考えております。しかし、株式会社が資産を保有するということは、これは民営化委員会の議論の中でもずっと経過した中で共通されていたのは、資産を持ちますと、これはやはり永久有料の議論が避けて通れなくなるわけでございます。しかし、やはり国民共通の財産である、そんな中で、財政事情が厳しい中に利用者に負担をしていただいて高速道路を整備してきたというこれまでの歴史、あるいは、やはり公共公物である、公のものであるという原点が根本的に違っているわけですから、そこのところで相入れなかったと承知をしております。

枝野委員 私は、昔から、政府がいろいろな審議会をつくって、そこで議論をさせて上げてきて、それを政府案として提出するというやり方そのものを間違っていると思いますから、今の石原大臣の御答弁はその限りでは私の根本的な考え方と一致するんですが、私は、ずっとそれはけしからぬと、政府が政府の責任で議論をして案をつくって案を出してくるべきだというふうに思いますが、しかし、そういう声が一部にあるにもかかわらず、わざわざ小泉内閣でこの委員会をつくって、税金も使って有識者の皆さんに、それも、政府が決めた、選んだ方に御議論をいただいて、そして案が出てきましたね。案が出てきたら、自分たちの基本哲学と違うから違うやり方をしますと。

 そもそもこんな審議会をつくったことのむだ、これに幾らかかっているんですか。このむだについてどう思うんですか。

石原国務大臣 審議会の中で、先日も国幹会議を開かれましたが、意見が分かれました。決して、私はむだだとは思いません。

 議論をした中において、哲学が違うという、根本的に違う哲学があるということが初めて明らかになったわけであります。その哲学を、どちらを採用するかということは、これは総理がかねがね申しておりますように、最高立法機関であります国会あるいは政府の責任において、その二つ出ている、基本哲学が違う案が二つ出ているとするならば、どちらを採択するかということは、やはり政治の責任、行政の責任として判断するということに私は間違いがないのではないかと思っております。

枝野委員 中身の具体的な話に入ろうと思いますが、繰り返し申し上げておきますが、野党がけしからぬと言っているだけではなくて、政府がこの人は有識者で見識あると思ってお願いをした人たちがこれではおかしいと言って辞表をたたきつけざるを得ないような中身であるということを、国民の皆さんにはよく知っていただきたいというふうに思います。

 具体的な話を聞かせていただきますが、先日来、議論がかみ合ってないんですけれども、民営化の議論の中でいろいろコスト削減の話は出てきました。それは結構なことです。コストが本当に下がるのであれば結構なことですが、民営化をすることによってコストが下がるインセンティブはあるんですか。民営化後のインセンティブはあるんですかということについてはお答えいただいてないんですよ。

 今までいろいろな議論をして、議論をした結果として、コストを下げることができるんですと皆さんおっしゃっておられますけれども、では、何で今まで下げられなかったのか。あるいは、民営化をしなくても下げられるんですよね。今、下がると、下げると言っている議論は、民営化をしなくても下がりますよね。その話ですよね。そうですね。そのことを確認させてください。

石原国務大臣 ただいまの枝野委員の御質問は非常に根本論だと思うんです。すなわち、特殊法人とはどういう組織であるのかということの帰結が今回のコスト論ではないかと思っております。

 理屈からいえば、道路公団であったとしても、コストを意識しろということを徹底すればできるはずであります。しかし、残念ながら、過去の歴史は、公団という組織の中でコスト削減ということをやってこなかった。それで、一つの民営化論あるいは特殊法人を抜本的に改める、今回の改革のポイントでございまして、この民営化議論があったからこそこのコスト、すなわち、言葉をかえますと、道路公団という組織はコストを引き下げようというインセンティブが全く働かない組織であった、それを改革するために民営化という手法をとらせていただいたと御理解いただきたいと思います。

枝野委員 さあ、それでも、民営化という議論が出てきたら慌てて、コストを下げるインセンティブが働いて、どうやらコストを下げるということを決めたんですよね。決めたんですね。下げると、政府として決めたんですよね。決めて、下がるんでしょうね、きっと。下がらなかったら、それはそれでまたつじつまが合わなくなりますが。

 民営化の議論の歴史的な評価はいたします。歴史的な評価はするけれども、では、民営化することで何かメリットがあるんですか。

石原国務大臣 当然、この民営化のメリットというものは、私は多々あると思います。

 さっき、公団としての動機づけがないという話をしましたが、民間会社がこれから、仕掛かり品の道路についても希望があればそちらがつくっていく。そういう中でコストを削減する、あるいは管理費を削減する。その一部は民間会社の一部留保という形にさせていただいて、その会社の経営に役立てる。そこに、これまでと違う、会社としての機能というものが十分に発揮されてくるという点が一点と、今度は、資産は保有いたしませんが、サービスエリア、パーキングエリア等々は、分割された三つの会社、最初は六つでございますが、JHでいいますと三つの会社が個々に所有することになります。そうしますとどういうことが起こるかというと、サービスエリア、パーキングエリアで自由な商業活動を行えます。そこにお客さんが来ていただかなければなりません。お客さんが来ていただくためには、民間会社でありますから、そこに来た方々にマイレージの割引をやる、あるいは根本的な料金を下げる。そういうことによりまして、そこにお客さんが来る。そこで利潤が生まれる。正の相互関係の循環というものが私は働くんだと思います。

 やはり、この競争と民間の経営のノウハウというものが入ることによりまして、利用者側であります国民の皆さん方の利便というものは格段に向上していくのではないかと考えております。

枝野委員 サービスエリア、パーキングエリアというのは、高速道路の話の付随的な話なんですよね。

 高速道路の建設、例えば、建設コストは下がるんですかという議論を先日来、前原議員、岡田幹事長がしてきていますが、新しい会社の高速道路料金は、だれが、どういう基準に基づいて決めるんですか。

石原国務大臣 これは、基本的には会社が決めることになります。そして、その基本はどういうことかと申しますと、新しい会社は資産を保有しません。しかし、リース料という形で保有機構に責任を持って返済をしていかなければなりません。そのリース料を必ず払える範囲の中において、株式会社であります民営化された会社が料金を設定していくということになります。

枝野委員 ところが、その通行料金は、先日来ずっと議論しているとおり、利潤を乗せないと言っているわけですね。つまり、コストに見合うだけの料金にすると。これは間違いないですね、石原さん。そうですね。コストに見合うだけの通行料金にするということは、これは政府がおっしゃっているわけですよ。

 さて、高速道路の新会社が高いコストをかけて新しい道路をつくったり、高いコストをかけて道路の維持管理をしたりしたら、高い料金になる。コストを下げてコストを下げて安く道路をつくり、安く維持管理をしたら、今度は、その安いコストに見合った通行料金になりますから、料金は下がる。まず、この限りのところ、言いたいことは大体わかりますから、この限りは事実で間違いないですね。

石原国務大臣 原則論としてはそのとおりです。

枝野委員 多分、石原さんはそこで、いや、サービスエリア、パーキングエリアをたくさん使ってもらいたいから、だから安くするための努力はするだろうとかという話が出てくるんだろうと思いますけれども、それは、そういう側面も一方では出てくるかもしれませんが、しかし、最終的には通行料金も認可です、新しい会社に、民間になったとしてもですよ。あるいは建設についても、いろいろと、例えば自分たちの側から申し出るとか、いろいろな理屈をくっつけていますが、最終的には国土交通省が決定をする仕組みになっています。つまり、役所のひもつき状態で、純粋民間企業ではありません。あるいはリース料も、リースをするわけですから、いわゆる特殊法人ですか、独立行政法人でリースするわけですから、役所のひもつきである状態は変わりません。

 そうした中で、本当に民間企業として期待できるような経済合理性をとるんでしょうか。それとも、残念ながら、リース料の設定から、新路線の建設から、やはり今までと同じように政治の圧力その他によってそこがゆがめられてしまって、まあコストが高くても高い分だけ料金高くなるんだからいいんじゃないかということになったのでは民間会社にする意味はないんじゃないかというのが私たちの主張なわけです。

 だったら、むしろもっとわかりやすくしましょうよ。今ある高速道路をもっと有効活用することで、日本の経済、今大変深刻な状況にあるんですから、無料にすることによって経済効果たくさんあるじゃないですか。

 先ほど、高速道路などのストロー効果という話を若干しました。つまり、高速道路料金や新幹線の料金、特急料金を払ってまで都会に出てこれるお金を持っている人は、週末に買い物にだけ都会に出てくる。ところが、通勤などの日常生活には特急料金は高いし、あるいは高速道路料金が高いから、例えば高速道路なら三十分で通えるところに住んでいても、あるいはそういうところに実家があるからその近くに住みたいと思っても、毎日毎日、高速料金を使ったのでは通勤はできない。こういう日常生活に使えないという部分のところはいっそ無料にしてしまった方が、今ある道路が有効活用されて経済活性化効果が大きくあるんじゃないですか。

 先ほど来、どうやって借金を返すんだという話をしていますが、先ほど言いました、我々のように十二兆円、まさにこれは今までの古い政治の利権部分にダイレクトにメスが入る、そして、中央省庁の持っている縦割りの権限構造にダイレクトにメスが入る、そこにメスを入れることさえできれば我々は国直轄の公共事業を三兆円ほど削減しますが、そこで十二兆円の金を、浮かした金で一兆五千億円程度の、今の高速道路の今既に負っている借金の返済のお金は出てくる。

 通行料金で払おうが、税金で払おうが、国民負担であることには変わりありません。よく受益者負担と言う人がいますけれども、受益者負担だったらプール制をやめてください。プール制をやめて、本当にその道路を使っている人たちがその道路の建設費を払うというんだったら、それは受益者負担です。

 しかし、現実には、東名高速を使っている人たちが最近できた採算の合わない高速道路の料金を払っている。一種の税金です。いわゆる税金の性質を持っているんですから、税金削減してそれで無料にできるんだったら、今使われていない、赤字で困っているところはただになればもっと有効に使えるんですから、地方に住んでいる人たちにとってもプラスが大きいです。都市部に住んでいる人たちにとっては、二重に負担をさせられている部分が減って助かりますよ。そういうことをやっていくということが私は本当の改革だというふうに思っています。――最後にもう一問やりたいことがあるので。郵政の話。ごめんなさい、時間がないので。

 昨年の暮れに……(発言する者あり)では、短く。

笹川委員長 石原国務大臣、答弁してください。

石原国務大臣 質問が多岐にありましたが、時間がないということで簡単にお話をさせていただきたいと思うんですが、道路を公共のものとして無料化していこうという考えは同じだと思います。ですから、民営化委員会の一部の方々の永久有料を念頭に資産を保有するという考えとは私どもは違うという点は一致しています。

 では、そこがどこが違うのかという最大の点は、租税を返還財源に充てようとするのが民主党案でございますが、私どもは、利用者負担であるということが原則である以上は受益と負担の関係で利益を受けた方々に払っていただこう、そして、後段の質問になるわけですけれども、それであるならば東名で上がった高速料金で北海道の高速道路をつくるのをやめてくれというプール制の弊害を枝野委員は御指摘されたわけですが、私どももそのとおり考えております。やはり東名で上がったお金で北海道の高速道路あるいは九州の高速道路をつくるというようなことは、これからは改めていかなければならない、その会社の中でつくられたものをやっていかなければならないと考えております。(発言する者あり)

枝野委員 テレビをごらんの皆さん、やじまで入っているかどうかわかりませんが、今のプール制をやめるという石原大臣の答弁に、与党席がそんなのあるかと言って怒っていらっしゃって、やじを飛ばしていらっしゃいます。これが今の自民党の実態ですので、よく御理解をいただきたいというふうに思います。

 最後に、郵政民営化絡みのお話をさせていただきたいと思います。

 昨年の暮れでしょうか、簡易保険、郵政公社の新型終身保険の認可をいたしました。これは、民間でできることは民間でやらせるという小泉内閣の姿勢、まして、民間でできることは民間にと言っているそのポイントとして小泉さんは郵政民営化をおっしゃっているわけですが、新型の終身保険は、まさに一般の生命保険会社がやっている事業ですよ。民間でできる、やっている終身型保険を、何で新たに、まだ民間じゃないですからね郵政公社は、何で新たにそんなところに介入して民業を圧迫するんですか。何でこんな許可をなされたんですか。

麻生国務大臣 商品の内容の改善の話についての御質問だったと思いますが、この商品開発というのがけしからぬという話でありますが、少なくとも、今後民営化をしていこうという会社の内容が劣化していく条件をそのままほうっておくという方がよほどおかしいのであって、基本的には、民営化されたときに内容、資産が劣化しないようにそれなりの手当てをしておくのは当然のことだと思っておりますのは、前提でしゃべっているんでしょう。当たり前のことでしょうが、それは。マニフェストというのに書いてあったし、その方向で事は今進みつつあるわけですから。その方向に合わせてやっていくに当たって、民営化ということを前提にするならばなおさらのこと公社の内容が劣化しないように努めるのは、郵政公社を預かっている総裁の立場としては当然の行為だと存じます。

枝野委員 現に民営化してないんですよ。民営化してない官が、民業に対して明らかに圧迫しているわけですよ。生命保険に対して圧迫をしているんですよ。

 百歩譲って、近い将来民営化する、民営化したらその瞬間からやり始めます、これならまだ一つの理屈です。いつ民営化するかさえ、少なくともそれは、小泉さんの発言はあるけれども、法律でも何でも決まっているわけじゃありません。以前のように、行革のときに、省庁を再編するのに、何年か前に決めて経過措置が入って何年か後にする、だからその前に経過措置でやらせてくれと、まだこれならわかりますよ。国会でもどこでも、民営化なんて決まってもいないんですよ。それなのに、将来民営化するんだから民業を圧迫していいんだという話にはならないわけで、百歩譲っても、民営化のときにスタートするという話でないとおかしいじゃないですか。

 金融大臣にお尋ねしたいですが、生保には、昨年の国会でしょうか、我々の反対を押し切って、予定利率の引き下げだなんという法律をつくりましたね。予定利率を引き下げないと大変だ、苦しいという生命保険会社が存在していることは事実なわけですね、どの程度あるかは別として。だからああいう法律をつくったわけですよね。そういう状況の中で、郵政公社がこの生命保険会社の民業を圧迫するようなことを見逃して、金融大臣としていいんですか。

竹中国務大臣 この新商品の認可については、御承知のように、これは総務大臣の所掌でありまして、それに対しては総務大臣が今おっしゃったとおりの問題であるというふうに私も認識をしております。

 これは、郵政の民営化、民間でできることは民間にということで、諮問会議ではこの具体案の検討に着手しております。しかし、民営化に向けて郵政公社の経営悪化を防止することに、これはこれで総務大臣としては大変重要なお仕事でありましょうから、我々も、今回の認可が直ちに民間でできることは民間にというような方針に矛盾するものであるとは考えておりません。現実問題として、総務大臣は、諮問会議の場でも、また記者会見の場でも、競合しないような形でこれを認可するということを明言しておられますし、我々は、総務大臣はまさにそのような方針でやっておられるというふうに考えております。

 いずれにしましても、民営化という大きな枠組みの中で解決していかなければいけない問題であると思いますので、諮問会議としてはしっかりと、民間でできることは民間に、この実現に向けて努力をしたいというふうに思っております。

小泉内閣総理大臣 今までの枝野議員の指摘は、私は、いい線いっていると思いますよ。

 官業の弊害、これがいかに大きかったか。だからこそ、私は民営化が必要だと言ってきて、ようやくこの郵政民営化、多くの反対者も理解を示してきて、快くとはわからないけれども、まあ仕方がないかということで協力してくれるようになってきた。

 これから、役所に任せておくと、どんどんどんどん民業圧迫、肥大化の傾向は直らないから、ぜひとも予定どおり民営化、そしてこれは財投、特殊法人に全部つながってきますから、これをぜひとも実現に向けて邁進したいと思います。

 御指摘は、私は十分理解できます。

枝野委員 いいですか。現実に今、新商品が、つまり生命保険と競合する新商品が売り出されて、民業を圧迫しているんですよ。しかも、業績好調でばんばんもうかっている業種に将来の民営化したときの経営の安定のためにちょっと手を出させてというんだったらまだ百歩譲ってともかくとして、残念ながら、銀行を助けるための低金利政策によって生命保険業界は逆ざや問題という非常に苦しい問題を構造的に抱えているんですよ。そこに、今は公社ですから税の問題を初めとして少なくとも民間から見れば優遇をされている立場から新たな商品を出してきて入ってくるということで、現に今、小泉さんの思いはどうなのかは別として、小泉政権で決めた政策によって民業圧迫が大きく膨らんでいるという現実にあるということ、それが本当にいいのか。

 本当に官から民へ、民間でできることは民間へとおっしゃるならば、今からでもこの郵政公社による新型保険の発売を取りやめるべきだし、こんなこと、総務大臣限りで決められるんですよ。金融大臣は権限持ってないですね、このことについて。このこと自体が、総理、おかしいんですよ。自分のところで抱えている総務省が勝手に自分たちでお手盛りで決められるんですよ。金融大臣が判断できるようにする、まずそこから始めるべきじゃないですか。総理、どうですか。

小泉内閣総理大臣 大改革を実現するためには、多少のことには、ある程度の配慮も必要だ。政治の世界におきましては必ずしも理論どおりにいかないものですから、そこはよく考えて、大改革を実現するために全力を尽くしていきたいと思います。(発言する者あり)

麻生国務大臣 その前に民主党かもしれませんけれどもね。

 今の、細目お詳しくお知りになりたいところだと存じますので……(枝野委員「結構です」と呼ぶ)結構ですか。一番肝心なことを聞きたくないというのは不思議ですね。私の方から……(発言する者あり)こちらに指名されておりますので、ここの仕切りは委員長であって、あなたではありませんので。

 新規の契約の申込件数の内容というのを見ていただくとわかると思いますが、現実問題として、一日千六百件ということになっております。したがいまして、簡易保険の他の商品からの振りかえというのが実質で、その数字以下ですから、現実問題としては。したがいまして、民業の圧迫ではなくて、従来の簡易保険からこちらの方に移っていったというのが実態だと理解しておりますので、民間の圧迫というようなのは、現在までのところの数字としては全く当たっていないと思います。

枝野委員 質問を総務大臣には聞いてないので、金融大臣と総理に今のところは聞いていたので。

 今のお話は、スタートしたばかりだから、それはそうでしょう。これからどう拡大していくんですか、構造的に、制度として、あるいは商品の性質として競合しているじゃないですかということを私は申し上げている。

 総理のおっしゃることは、それはもちろん、政治ですから現実的に理想どおり全部進まないのはわかります。しかし、そのことのツケが政治の内側で払わされるならいいですよ。しかし、これは民業にそのツケが回されているということですから、それは許されることではないんじゃないですかと私は申し上げているんです。

 残りの時間は同僚議員に譲りたいと思います。ありがとうございました。

笹川委員長 この際、海江田万里君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。海江田万里君。

海江田委員 おはようございます。民主党の海江田万里です。

 今、総理、一時間半の枝野議員の質問の中で、後半、特に郵貯の民営化になりましたら、みずから手を挙げていろいろ御答弁をいただきましたが、この予算委員会の質疑、約一カ月、恐らく衆議院で慎重な審議をやると思いますが、総理がこちらへ出てこられるのは本当に限られた日にちしかございませんので、私もできるだけ総理のお考えをお聞きしたいと思いますので、ぜひ率直な総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 先ほどお話もございましたけれども、やはり、一昨日、十日に政府が、年金改革法案、これを閣議決定いたしましたが、その後の社説などを見ましても、この年金の改革法案では今国民が抱えています年金に対する不安がちっとも解消しないというような社説がございました。

 私どもも、この年金改革の中身、与党の、政府の案でございますが、勉強させていただきまして、私どももやはり同じような感想を持っているわけでございますが、こうした国民の間にあります、せっかく、どんな案が出てくるんだろうか、やはり一番老後の生活に対して年金が基本になるわけですから、それがいよいよ今度の改正で安心のいくものになるんじゃないだろうかという期待をどうも裏切ったの感がございますので、これについてどういうふうにお考えになっておるか、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私は、今回の年金改革は大きな改革の第一歩だと思っておりますし、新聞のいろいろ批判はあります。しかし、新聞の批判は、よって立つ基盤がその時々によって変わってきますからね、よく見ていると。すべて批判。

 例えて言えば、一例を挙げますと、消費税を上げないからいかぬという批判がありますよ。財源がはっきりしなきゃいかぬ。では消費税を引き上げると言った途端に、この時世に消費税を引き上げるとは何事だという批判が必ず出てきます。一例を挙げてもこうですよ。

 それと同時に、今、少子高齢化の時代で、今までのように、保険料を負担する方々がどんどん多くて年金を受け取る方が少なかった時代ならよかったですけれども、これ、先を見通して、どんどんどんどん高齢者がふえてきて年金の受給者がふえてくる、そして保険料を負担する方が減ってくるという状況で、今までのように、給付は厚く、保険料負担は低く、こういう時代じゃないということはわかっているはずです。にもかかわらず、これは、給付が低くなって保険料が上がる批判。それじゃ、今までの、給付は厚く、保険料を低く、もつのかというんです、この年金が。もたないでしょう。そういうところを挙げていない。

 もたせるためには、保険料をもっと上げちゃいかぬ、給付も下げちゃいかぬ、では消費税を上げなさい。消費税を上げると言った途端に大批判ですよ。だから、私は、在任中は消費税は上げないとはっきり明言しているんです。どんなに長くたって三年だから、三年の状況で、消費税を上げる状況にない。事ほどさように、新聞の社説の批判に対する批判は幾らでもあります。

 しかし、総理大臣の立場からいえば、批判されるのが仕事で、新聞は批判するのが仕事だと言われては、これはもうしようがないかと、甘んじて批判は受けますが、ともかく、これから年金というのは持続可能な制度でしていかなきゃならない。今までのように、給付は厚く、負担は低くという時代ではないから、ある程度給付も抑えてもらいましょうということで、その給付も、抑えるといっても、大体平均年収の五〇%程度以下にはしてはいけない。同時に、保険料の負担、上げてもらわなきゃならないけれども、二〇%以上上げるのはちょっと無理だろう、企業一〇%、個人一〇%。これを、上限は一八・三%にしましょうと。これを企業と個人が折半していただく。

 こういうふうに負担の上限と給付の上限を設定して、この中で、あと税負担をどのぐらいにしようかということを、一挙に三分の一の基礎年金の税負担を二分の一に引き上げるということは、これまた急にはできないから、時間をかけてやりましょうと。これは大きな改革ですよ。

 そこで、いろいろ今後、民主党の皆さんも、予算のみならず、対案を出されたということは私は評価しているんですよ、いいことだと。いろいろ建設的な議論ができる、ただ批判だけじゃなくて、対案を。これから、私は、お互い協議する場も出てくる、あるいは、民主党の中にもいい案があったらば与党も取り入れていかなきゃいかぬと。こういう点はよく今後とも議論をしていく必要があると思います。

海江田委員 長々とお話しいただきましたけれども、社説は別に批判じゃないんですよ。それから、私どもが言っていることも、別にこれは単なる批判じゃないんですよ。

 それから、総理は恐らく社説の中身を読んでいらっしゃらないと私は思うんですけれども、むしろ問題にしているのは、今、後段にお話がありました、やはり財源ですよ、三分の一を二分の一にするという。それは、すぐにやれなんというようなことは書いていませんよ。

 だけれども、少なくとも、例えば与党の税調の中では、昨年末ですけれども、二〇〇七年度をめどに、消費税を含む抜本的税制改革を実現するという書き込みがあるわけですよ。ところが、今度の附則でございますけれども、この年金法の改正案の附則のところの文言を見ますと、やはり同じ二〇〇七年度をめどにでございますけれども、社会保障制度全般の改革の動向などを勘案し、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行うということで、片一方には消費税ということは書いてあるわけですよ。ところが、この改正法の中の附則のところにはそういう消費税ということは書いていないということで、では、消費税はどうなったんだろうかというような疑問も出てまいります。

 それから、もう一つ大変大きな問題として、厚生年金、サラリーマン、あるいは厚生年金の第三号被保険者、これはサラリーマンの奥さん方ですね、パートをやっている人もいればパートをやっていない人もいる、こういう人たちの年金をどうするのかということが実は五年後に先送りになったとか、そういうような問題ですね。

 今、やはりここのところで解決しなきゃいけない問題に今度の年金の改革法案は答えを出していないじゃないか、方向性を出していないじゃないかという意見があるわけですよ。それを、ただ批判だから、批判するのは自由だ、自由だけれども、それは聞く耳持たないよという話じゃなくて、そういうことの不十分性ということについて、これはやはり国民の間に、それから、社説だけが書いているんじゃないですよ。

 私、さっきも言いましたけれども、この中身というのはこれまでも新聞でいろんな形で報道されていた。それから、政府も去年の夏ぐらいからいろんなアイデアを出してきて、そのたびごとにいろんな世論調査が行われていて、そして、今度出てきた、一昨日閣議決定された中身というのは、大体去年の暮れぐらいにあって、それからことしの一月ぐらいにあって、一月時点の世論調査でも、そういう内容が出てくるとしたら、この内容でもって、あなたは果たして年金の将来不安が解消されますかという問いをしたことに対して、国民の八八%が、いや、これでは解消されませんよと。さっきおっしゃった、保険料率は大体二〇%ぐらいにしようとか、給付の割合は五〇%ぐらいにしようとか、そんなような中身も既に出ていましたけれども、そういう中身を聞いても、やはりこれは将来不安が解消できないよという感想を持っているわけですよ。

 そこのところにどういうふうに働きかけをするんですかということをお尋ねしているのであって、批判をするのは自由だ、その批判の自由に対しては私は聞く耳持たないよでは、これは本当にここでこうやって議論をやっている意味もなくなってしまう、私はそのように思うんですが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 聞く耳持たないなんというのは一言も言っていませんよ。民主党の案にも耳を傾けましょうと言っているんです。批判もありますけれども、批判に対して私の考えを今述べました。私は……(海江田委員「批判じゃないんですよ」と呼ぶ)いや、批判はいいんですよ、批判。(海江田委員「意見、意見なんです」と呼ぶ)意見も批判の一つですから、批判も結構なんです。その批判に対して、各政党によって意見が違うのもいいです。政府としても、そういう批判については国民によく説明しなきゃいけないと思っております。

 しかし、年金の問題については多くの皆さんが関心を持っていますし、利害がいろいろな層によって錯綜しております。そういう中において、すぐ決めた方がいい問題と、パートの問題を言いましたけれども、果たしてすぐ決め切れるのか、もう少し議論をする必要があるのじゃないか。あるいは、夫婦の間の年金にしても、今、この半年、一年で決めた方がいい問題と、もう少し多くの国民の声を聞いて、批判を聞いて決めた方がいいのではないかという問題、両方あります。

 別に私は、批判、大いに結構、その批判に対する反論も結構、そういうのを議論していこうというのであって、別に多くの方に耳を傾けないんじゃない、傾けているからこそ、この年金というのはいかに大きな問題かと。

 すべて一挙に解決しようということではなくて、今回も、五年ごとに保険料を上げよう、給付を下げようということじゃなくて、上限、保険料の上限にしても給付の上限にしても、この程度ということを決めたことだけでも――これは結局負担と給付ですから、だれも、おれたちの給付はどんどんくれて、負担のことを考えないということはできない。高齢者はやはり給付は多ければ多いほどいい、若い人たちは負担は少ないほどいいというのはわかっています。その中の調整、給付と負担、自分たちができないからある程度は国が税金で面倒を見てください、税金も投入してください、この組み合わせなんですから、この組み合わせの仕組みを今はっきりできたということは大きな改革ですよ。

海江田委員 高齢者だといっても、とにかくもうこれ以上の負担は一切嫌だとか、そんな時代じゃないですよ。それは変化がありますよ。そういう意味では、余り決めつけをしてはいけないと思うんです。

 具体的なお話を少しさせていただきますが、やはり基礎年金の三分の一から二分の一というものが、この財源がまだ決まっていないわけですよ、その意味では。決まっていませんでしょう。

 今、ではことしのこの改正案の中でどこが出てきたかというと、とりあえず、年金をもらっている人たちの公的年金控除と、それからもう一つは老年者控除というのがありますから、年金をもらっている人たちの税制を見直しすることによって二千何百億ぐらいで、本当は基礎年金の税金の負担を三分の一から二分の一にするためには二兆七千億円ぐらい要るわけですけれども、その一〇%にも満たない手当てをして、そしてその意味では年金をもらっている人たちから税金を取ろうということなんです。

 その結果、さっきもちょっとお話をしましたけれども、当然のことながら、そうやってまず所得税の課税所得がふえるということになると、これは所得税のところが二〇〇五年からですけれども、そうすると、翌年から、今度は住民税が二〇〇六年からということになって、住民税がそれだけ課税対象が広がってきますと、国民健康保険の保険料でありますとか、それから介護保険の保険料でありますとか、こういうものが当然のことながら負担増になってまいりますね。

 今、表でお示しをしておりますのは、年金二百五十万円もらっていて、まあ平均的なケースですけれども、本人と配偶者、これはお二人とも七十歳以上ということで計算をしますと、ここに数字が書いてございますけれども、合計をしまして年間十三万七千八百六円の負担増になるという計算なんです。

 ただ、これは、例えば介護保険料なんかは横浜の例をとっているわけですけれども、二〇〇六年というのはちょうど、介護保険の保険料は三年ごとの見直しということがありますから、実際には、恐らくその三年ごとの見直しも加わればこれがさらにふえて、それこそ十四万円ぐらい、月にしまして一万円を超える負担増になってくるわけですね。

 そうしましたときに、では果たして本当に、今、高齢者でもって年金に頼って生活をしている人というのは六五%ぐらいいるわけですよ。その人たちが果たして、ではこれでやっていくことができるのか、特に二〇〇六年以降やっていくことができるのか、そういうことに対する配慮というのは、これは少しお考えはできないものなんでしょうか、どうなんでしょうか。

坂口国務大臣 年金受給者に対します課税の問題は、これは、同じような所得をお若い皆さん方が得ておりましたときに、お若い皆さん方には税金がかかっている、しかし、保険料を払う方のお若い皆さん方にはかかっているのに、今度は年金を受ける側の皆さんは同じ所得であるのにそこにはかかっていないというのは、余りここは不公平ではないかということからこれはスタートしておるわけであります。だから、そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 今回の年金改正、年金における課税の改正が今後、介護保険ですとかあるいは健康保険にどう影響するかということでございますが、これは、全体は、国保なら国保の全体の枠をどうするか、あるいは介護で全体の枠をどうするかということをまず決めるわけですね。それで、そこから個々、それぞれの市町村あるいはまたそれぞれの個人に対してそれがどう影響するかということが決まってくるわけでありますから、今回の年金改正におきます課税の、高齢者に対する課税を強化した部分が、そこをしたから、それによって健康保険なら健康保険の額がふえるとか、介護保険がふえるということはない、こう思うんです。

 ただ、それを具体化していきます過程の中で、年金をもらっておみえになる皆さん方の年金の額によって確かに介護保険や健康保険の部分がオンしてくる部分も出てくることはあり得るというふうに思います。そこはしかし、まだ、先ほどおっしゃいましたように、介護保険の問題もこれから決めるわけでございますし、あるいはまた健康保険の問題もそのときそのときによってこれは決まってくるわけでありますから、今どれだけということは言うわけにはいきませんけれども、そこはできるだけなだらかに、一カ所のところに余りそこが大きくならないようにどういうふうにしていくかということは、検討しなきゃならないことだと思っております。

海江田委員 今、私は、厚生労働大臣の答弁を、その意味では激変緩和といいますか、何らかの手当てをしなければいけないというふうに受け取ったわけでございますが、それでよろしゅうございますね。

坂口国務大臣 先ほど申しましたとおり、全体としてどうなるかということはまだわからない上の話でございますが、年金をもらっておみえになる皆さん方のある部分だけにそれが多くなるというようなことがあってはならない、そういうふうに思っております。これは、課税の仕方も都道府県によって若干違いましたりするものですから、そうしたことも念頭に置きながらやらなければいけないと思っております。

海江田委員 総理、私はこの問題についてお年寄りの方からいろいろお話を聞いたんですね。そうしますと、お年寄りの中でも、今の話でも、やはり年金の課税が強化されるのはやむを得ないと。だけれども、さっきもお話をしましたけれども、それが国民健康保険の保険料でありますとか、介護保険の保険料でありますとか、そっちの方に一遍にはね返ってくるのは何とかやめてもらえないだろうかとか、そういうような意見もあるんですよ。

 だから、お年寄りは何が何でも、ただ、それは多ければいいに決まっていますけれども、本当にそれぞれが意見を交わす中で、何が何でも年金を一円でも減らしちゃいけないとか、そういう時代じゃない、そういう考え方を持っている人ばかりではないということは、これは改めて、総理もつとにわかっておられるとは思いますけれども、指摘をしておきます。

 それで、これからいよいよ本当に年金の議論、まず予算の審議があって、それから年金の議論ということになるんでしょうけれども、やはりこの年金の議論をする前に、前提で、私は、三つぐらいのことを国会がはっきりした方向性を出しておかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 その一つは、やはり議員年金の問題なんです、国会議員の。これはほかの人のことを言うより、私、自分自身のことを言った方がいいかと思いますが、十年になりました。十年でこれは議員の年金権というものが生まれて、そして今、私で計算をしますと、たしか年間四百十二万円、今ここでやめればなるわけでございますね。毎月歳費から天引きをされておりますのが十万円ちょっと、十万三千円ですか、これは。十万三千円引かれているわけですね、毎月毎月の掛金の天引きが。

 もちろんこれは、国民年金なんかから比べれば大変多いわけですけれども、十年でもらえる、それから六十歳からもらえる、ここはやはりおかしいんじゃないだろうかということがあって、これは早急に、与党の皆さん方も、それからもちろん民主党も一番初めに言い出した話ですけれども、そういうことを協議しようということになりましたので、これはやはり総理、国会議員でもあるわけですから、この問題についてしっかりしなければなかなか国民の理解は得られないんだなということを、そういうふうにお考えになっておられますか、どうですか。

小泉内閣総理大臣 議員年金、今、海江田議員自身のことを言われましたけれども、資格があったとしても、これは現役である限りはもらえないんでしょう。これは、引退してから、六十歳以上。だから、この問題については改正する必要があると私も思っております。どのような改正がいいかということは、与野党の議員が今協議しているということでありますので、その方向性を見守りたいと思いますが、国民の皆さんからも、議員に対する年金というのはどうあるべきか、これは私は大いに今後も検討していただきたい。

 同時に、各県知事とか市長等の退職金も今問題になっておりますので、非常に関心のある問題だと思います。よく議論していただきたいと思います。

海江田委員 総理、ありがとうございます。

 ただ、私、今こうやって発言しておりますと、本当に申しわけないですけれども、格好いいこと言うんじゃないよとか、こっち側からみんな声が上がってくるわけですよ。何が格好いいことですか、それは。(発言する者あり)いや、もちろんありますよ。一番いいのはやめればいいんですよ、それは。ただ退職金……(発言する者あり)

笹川委員長 海江田君に申し上げます。やじに惑わされないで質疑を続けてください。

海江田委員 いや、ただこの手の発言をしますと、必ず、やはり普通に――だから私は自分の例で、ほかの人の例を挙げてはいけないので、私の例で言っているのに、こういうことを話していると必ずそういう話が議員から出てきて、私は人の話を言ったわけじゃないじゃないですか。自分の話をした話なのにこういう、やはり、委員長、注意してくださいよ、それは。(発言する者あり)

笹川委員長 委員諸君に申し上げます。なるべくやじは控え目に。

 質問者はやじに動揺しないで質問を続けてください。

海江田委員 まず、やはりこれは、もちろん退職金がないとか、そんなような話もあるんですよ。ただ、それだったら、退職金が要るのか要らないのかということを議論して、それから、実は私は、国民年金とそれから国民年金基金に入っていますよ。ただそれだけあればいいんですよ。ところが、やはり国会議員の中に、入らなきゃいけない国民年金に入っていないなんというような人もあるやに聞いたりしているんですよ。これは本末転倒なんですよ。

 だから、そういうような問題も含めて、やはり今度の国会でこれは結論を出さないと、本当に年金を議論する、公的年金を議論する資格がないということ、このことだけは言っておきます。

 それから、二つ目ですけれども、前提として、ちょっとこの大きなパネルを出していただきたいんですが、今度は天下りの話ですね。

 自分で表をつくっておりまして、もう何が何だかわからなくなったといいますか、これはずっと、厚生労働省と社会保険庁のそれぞれ一般会計とそれから特別会計がございます。そこから社団法人、財団法人、特殊法人、それぞれにたくさんでき上がっておりまして、それぞれに交付金でありますとか、補助金でありますとか、あるいは委託費でありますとか、融資でありますとか、分担金でありますとか、会員の会費でありますとか、こういうふうに出ているんですが、本当にクモの巣のように張りめぐらしたいわば利権の構図といいますか、しかも、ここにはやはり天下りの問題があるわけですね。

 ちょっともう一枚の、この天下りで、もうこれも、皆さんも改めて見てもびっくりするような数字ばかり出ているわけですけれども、「厚生省関係の公益法人における天下り状況」。これは、役員のところでいくと三十一人、それから出身の職員数でいうと五人ということですけれども、「社会保険庁関係の公益法人における天下り」になりますと、これは、地方の社会保険協会だとか、国民年金福祉協会だとか、これを入れますと、役員だけで二百名、それから職員も入れると六百三十九名、こういう状況になっている。

 これだけじゃありませんで、実は千二百名ぐらい天下りがいるんじゃないだろうかというような声もありまして、私は、やはりここの天下りをなくして、そしてこの天下りが全部、さっきもお話をしましたけれども、補助金だとか何だとかということで、これは国民が払った保険料から、年金の保険料からそういう天下りの自分たちの組織のためにお金を使っているわけです。

 だから、この年金の議論をするときには、やはり天下りをもうなくすということは大変、私たちは全体の天下りをなくすということを特に言っているわけで、これは法律も出しているわけですけれども、特に年金については、やはり天下りの官僚をなくす、天下りをなくすということはぜひこの年金の改正の前提として決めるべきではないだろうか、そのように考えるわけですが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 いい御指摘だと思います。そのような方向で、ぜひともこの今の状況を改善していきたいと思います。

坂口国務大臣 今総理からも御指摘のありましたとおり、私たちもそうしたいというふうに思っております。

 その前に、今つくっております施設が必要なものかどうかということをチェックしなきゃいけませんので、それをまず行って、そしてそれにプラスして、今総理から御指摘のありました天下りの問題につきましても着手したいと思います。

海江田委員 それで、具体的に言いますと、今度のこの年金法の改正法案と同時に、年金資金運用基金を廃止して、そして年金積立金管理運用独立行政法人をつくるという法律をつくっていますが、この新しくできます年金積立金管理運用独立行政法人の理事長には、ぜひこれは民間人を充てていただきたい。よもやここに天下りの、いわゆる年金族の人たちを充てるなんということはありませんね。これはお約束してください。

坂口国務大臣 今お話ございましたように、独立行政法人をつくって新しくスタートさせたいと思っております。そこの理事長、名前は理事長になりますかどうかわかりませんが、理事長につきましては民間人を起用したいと思っております。

海江田委員 役員もそうですよ。言い忘れましたけれども、役員も。ぜひそれはやってください。お願いします。どうぞ。

坂口国務大臣 役員をどれだけ決めるかということ、そうしたことにつきましては、これは大臣ではなくて理事長が決めるということになっております。

海江田委員 お役人の天下りの経路というのは、最初はまず理事で入るわけですよ。今の国民年金基金の理事長なんかもそうです。前の年金局の局長ですよ、年金局長ですよ。年金局長をやめてそこからどこかの理事に入って、理事を今度は何年かやって、もちろんそこで何千万の退職金を手にして、何千万じゃない、何億でしたね、たしか。そして、それから今度は理事長に上がっていくということですから、だから私は、理事長をやめさせるだけじゃなくて、これはやはり理事の中からも断たなきゃいけないんですよ。理事から断っていって、そして今度は理事長に入っていくというところを断たなきゃいけないわけですから、それはぜひ改めてお願いをしますけれども、理事も全部民間人にしていただきたい、このように思うわけです。

 あともう一つは、さっきもお話がありましたけれども、グリーンピアの問題でも、これまで年金の掛金、持ち出されたという言葉がいいかどうかわかりませんけれども、グリーンピアに使われた掛金が三千七百八十億円ですよ。

 幾ら返ってくるんだ、それはわかりませんと。確かに、これは最終的には、全部で十三カ所ありますから、これの処分が終わらなければ最終的な損失というものは確定できないわけですけれども、今たたき売りをやっておる、そういうような状況を見ておりますと、一割もこれはとてもじゃないけれども戻ってこないだろうという話があります。

 ですから、やはり国民の間にありますのは、じゃ、そうですかと、三千七百八十億円かけて戻ってきたのは例えば三十億ですよというようなときに、じゃ、その責任の問題はどうなんだということは必ず出てくるわけですよ。

 ただ、最初のところから比べるともう二十年以上たっているわけですから、鬼籍に入っておる方もいらっしゃるわけですけれども、ただ、どういう経緯でこのグリーンピアがつくられたのかということ、しかも、それはいろいろなところに、それこそ本当に厚生労働大臣経験者の地元には、選挙区には必ずグリーンピアがあるとか、こんなような事例があるわけですから、ここはやはりしっかりとして、これは厚生労働省が責任を持ってそういう調査を行うのか、あるいは厚生労働省の外に、これはやはり総理がこのグリーンピアの問題についての調査の機関というものを、私は総理のリーダーシップでおつくりになるべきではないだろうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 もともと、この問題は私が言い出したことですから。なぜこういう変なことをやっているのか、廃止しなさいと。当時は、とんでもないという意見でしたよ。今、野党の皆さんも賛成してくれて、いいことだと思っております。これは私、きちんとやらなきゃいけないと思っております。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

海江田委員 それだけですか。言い出しっぺだから、おれが言い出したんだと言うだけじゃだめなんで、あとは、きちっとこの問題については本当に、これはやはり調査委員会でもつくった方がいいんですよ。調べさせますか、そこはちゃんと。

小泉内閣総理大臣 調査委員会とか、そんな段階じゃないですよ。すっきりとしなさいと、もう指示出しておりますから、そういうふうにさせます。

海江田委員 まあ、自民党の中でもそういう洗い直しをやっているというふうには聞いていますけれども、ただ、調査委員会とかそういうお話を何でするのかというと、やはりその結果が、どうなったかということがはっきり公表をされて、そして国民のみんなが、ああ、なるほど、そういうことだったのかということがやはりわかるようにしなければいけないわけですから、そこのところで私は調査委員会ということを言っているわけですよ。どうぞ。

小泉内閣総理大臣 国会の場では、これはなるほどもっともだという議論になるでしょう。ところが、地元、地方へ行くと、また逆の意見が出てくるんですよね。こんな、せっかくこういういい施設つくってもらう、つくるという計画があったのに何でやめちゃうのか、この地元の反発。

 これもやはり国会議員よく注意していただいて、説明していただいて、これは財政全体の問題、年金全体の問題にかかってくるんだ、地元の皆さんよく考えてくださいと。地元だけよくなればいいというものじゃない、地元だけもっといい施設があればいいというものじゃないと。これは地元のお金じゃないですよ、国民全体のお金なんですよということもよく説明していただいて、地元の反発、反対をやはり和らげていただく努力もしていただかなきゃならないと思っております。

海江田委員 いずれにしましても、まず本当にこの年金の、年金法の議論をする前に、襟を正さなければいけないところ、それからしっかりと真相を究明しなければいけない点、やはりこういうものをやっているという姿勢があって初めてまずこの年金の議論に入れるんではないだろうか、そういうふうに思うわけです。

 それから次に、これは財務大臣にお尋ねをしますが、今度のこの予算の特徴というのは、これは一つは、特別会計について、一般会計についてだけ議論をするんではなくて、どうも特別会計にむだがあるぞと。これは前回の、去年の予算委員会で私もかなりやりましたし、それから、今は埼玉県の知事になりました上田さんなんかも、かなり特別会計の中身を細かく調べて、ここに問題があるんじゃないだろうかという質問をしました。

 そうしましたら、当時の塩川財務大臣が、母屋でおかゆをすすっておるのに離れですき焼き食べている、とんでもない話だという話があって、それで政府の方でもこの特別会計についてしっかりしなきゃいけないというような見直しを、去年の秋口からそういう方針を出したんです。

 ただ、どうもその割には今度の国会でも、その特別会計について、例えば、財政演説の中では特別会計については一切触れていませんね。私、聞いていましたし、改めて演説の草稿を読んでみましたけれども、全く触れていない。

 それから、平成十六年度予算の提案理由の説明要旨というもの、これをこの委員会で真っ先に読み上げる、いわゆるお経読みと言われるんですけれども、これについてもほとんど触れていませんね。一般会計については、一般会計の全体の予算規模は八十二兆一千一百億円となっておりますとか具体的な金額が入っているんですけれども、特別会計について、「特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、資金の重点的・効率的な配分に努め、事業の適切な運営を図ることとしております。」これだけですから。

 総理も恐らく、これ、総理、特別会計の規模がどのくらいあるかというのをわかっていますか。いや、わかっていないでしょう、これは。わかっていないですから、これは。――谷垣大臣も、ぱっとそらで言えないんですか、これ、幾らあるかというのは。信じられない。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

谷垣国務大臣 特別会計につきましては、財政演説の中でも、十分ではないんですが、ちょっとは触れさせていただいております。

 それで、特会の歳出は三千八百七十四兆という規模でございます。(海江田委員「違う、違う、違う。単位が違うよ、ひどいね」と呼ぶ)三百八十七・四兆という規模でございます。

海江田委員 ちょっとひどいですよ。三千八百兆もあるはずがないでしょう。(発言する者あり)ひどいよ。この程度でしょう。ちゃんと言ってくださいよ、それは。

笹川委員長 財務大臣、訂正してください。

谷垣国務大臣 どうも眼鏡が合っておりませんで、コンマを読み落としまして、申しわけございません。

 三百八十七・四兆でございます。

海江田委員 特別会計は、一般会計に対する繰り入れというのもありますよね。そこのところの関係、ちょっとお話しください。わかってないですね、余り。

 特別会計、じゃ、もう余りメモ見ないでいいですから、どういうふうな、今、三百八十七兆というお話がございましたけれども、それは、実は一般会計と一緒になっている部分もあるわけですよ。例えば保険料なんか、それから外為特会なんかも一番そうですけれども、まず一回入ってくるけれども、それを今度は一般会計に繰り入れをして、そうすると、また今度、一般会計の方から戻ってくるのもあるわけですよ。

 だから、単に三百八十七兆円と八十二兆円の一般会計の両方を合わせただけでは、実際の国の予算は違うわけですよ。重なっている部分を差っ引かなきゃいけないとか、あるいはこの特別会計の中でのやりくりなんかもあるわけですよ。

 だから、そういうことを含めて、国が関係をしております税金、あるいは国債の発行、あるいは保険料の収入、こういう形で、国が関与して、国の会計の中で出ていくお金というのは一体どのくらいなんですかと、そのことを聞きたいんです。

谷垣国務大臣 読み間違えるといけませんから、眼鏡を外してあれしますが、歳出総額が四百六十九・五兆というふうになっておりますが、うち一般会計が八十二・一兆でございます。その中で、特別会計への繰入額というのが四十七・〇兆ということでございます。それから、うち特別会計が三百八十七・四兆、それで、一般会計への繰入額が〇・七兆。そうなりますと、特別会計の純計額というのが二百七・四兆、こういう形になるわけでございます。

海江田委員 あと、強いて言うと、それにさっき言った一般会計の八十二兆を合計しますから、合計して二百八十九兆がいわば国の関係します歳出だと、こういうことで、これは申しわけないけれども、せっかく塩川さんがあれだけ一生懸命力を入れまして、そして、財政制度審議会で十一月二十六日、「特別会計の見直しについて」ということを出しているわけですよ。しかも、この中で「一般会計に偏ることなく特別会計についても国民に対する分かり易い説明を工夫するなど、説明責任(アカウンタビリティー)の強化を図る。」ということが、一番これは大事な項目として書いているんですよ。

 だから、本当は、こういう予算委員会があって、テレビ中継なんかがあるときに、それこそ、やはり財務大臣がここのアカウンタビリティーを果たしていただかなければ困るわけですよ。全然果たしていないわけで、私が果たしてもしようがないので、これは。

 だから、そういう意味では、やはりこれから、きょうはもう時間もありませんので、この中身について、外為特会の話もありますし、それから、先ほど来お話が出ています年金の特別会計の問題もあります。これからじっくり時間をかけてやらせていただきます。何かあれば。

谷垣国務大臣 確かに、特会のアカウンタビリティーを充実していくというのは、財政審で出していただいた基本方針の大きな部分でございまして、平成十六年度の予算及び財政投融資の説明という資料を出させていただいておりますが、そこは昨年に比べますと大幅に記述を詳細にしましたし、それから、特別会計の見直しについても新たな公表資料をつくりましたほか、それから、新たな特別会計財務書類ですね、この取り組みを今進めておりまして、可能な限りオープンに、明らかになるように今進めております。

海江田委員 これからちょっと具体的に、きょうは本当に時間がありませんので、一般質疑でやりますので、どうぞ勉強しておいてください。

 それから、あともう一つ、これは財務大臣にただしておきたい点があるんですけれども、それは今度の、これも閣議決定になりましたけれども、税制改正の中で、土地建物の譲渡損失の通算が廃止になるというような中身がございますね。

 土地建物を売って、これは居住用以外ですから、仮に自分の家のほかに貸し家を持っているとか貸しマンションを持っているという人たち、それを売る、高いとき買ったから売って損が出た、そうすると、これまででしたら、今現在まだ法律決まっていませんから、今もそうなんですが、実は、貸し家ですから家賃収入がある、その家賃収入と、ことしならことし一年間分の家賃収入と、売って損が出ましたね、この損と家賃収入が通算できる制度になっているわけですよ。

 ところが、これが今度の税制改正の中で、通算ができませんよということになりそうだ、今、与党と野党の数の関係でいって。しかもそれが、通算ができませんよというのがことしの一月一日以降の取引について通算ができなくなりますよ、こういう法律案なわけですね。

 そうすると、私は、二つぐらい問題があるんじゃないだろうか。一つはやはり、そうやって今現在はまだその法律ができ上がっておりませんから、当然のことながら、今現在、売ったとすれば、売った人というのは、それはそういう前提で、これはことし不動産収入があるから、その不動産収入、不動産所得と通算できるんだなと思っている。だけれども、これがあと何日かして法律ができ上がっちゃいますと、しかもそれが一月一日にさかのぼるから、それは実はできなくなるんですよという、このいわゆる不利益不遡及といいますか、国民にとってあるいは納税者にとって不利益なことはさかのぼってはいけませんよというような観点からすると、これは大いに問題があるんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今委員が御指摘になりました問題は、株式と不動産で譲渡所得の扱いというのは今まで異なっておりました。それで、土地市場の活性化ということを考えなきゃいかぬという観点から、株式の場合とバランス、平仄を合わせるような形で改正案を用意していただいているわけですが、それは要するに、土地建物も株式と同じように長期譲渡所得の税率を二〇%に引き下げようということと、それから百万円の特別控除ですね、それから今おっしゃった損益通算の廃止というのを一つのパッケージでやるということでございます。

 それで、今まで委員のお話は幾つか多分これの問題点の御指摘だと思いますけれども、パッケージでやるということは、現行税制が二六%の分離課税である一方、譲渡損失は最高税率五〇%で総合課税される他の所得から差し引くことができるというのは、これは国際的にも例のない制度でございますし、不均衡があるということで、改めるということは、私はこれは大きな改善ではないかと思います。

 それから、今の、損益通算がさかのぼるのは不利益不遡及の原則に反するではないかということでありますけれども、この損益通算というのは年度の末にやはり確定されるものでありまして、その都度都度はかるものではないということでございますので、私は、委員のおっしゃるような問題はないのではないかと考えております。

海江田委員 やはり不利益不遡及の原則を守ろうとすることは大変大切なことでありまして、ですから、普通でしたら、例えばさっき私がお話をした年金課税の強化の問題も、これは、税法は暦年、所得税、法人税は暦年でやっておりますので、そうするとどうするかというと、来年の実施は、例えば来年の一月一日であるよとか、来年の四月一日であるよとか、そういう例がほとんどなわけですよ。

 しかも、その間にやはり周知徹底をさせなければいけないということで、財務大臣も、弁護士さんですが、税理士さんの資格もお持ちだというふうに聞いていますけれども、私らも昔読んだことがあります「租税法」という法律、金子先生という法律の、これは大変な、「租税法」というのはそんな意味では税法のバイブルみたいになっているわけですけれども、あの中でもこういう引用があるんですね。

 「租税法の法源と効力」「なお、所得税や法人税のような期間税について、年度の途中で納税者に不利益な改正がなされ、年度の始めに遡って適用されることがあるが、それが許されるかどうかは、そのような改正がなされることが年度開始前に」この場合でいうと、暦年でやっていますから十二月三十一日までに、「一般的にしかも十分に予測できたかどうかによると解すべきであろう」と、これはもう当たり前のことですけれども、言っているわけですよ。

 そうなりますと、今度の場合は、先ほどもお話をしましたけれども、たしか去年の十二月の十七日、これは与党の皆さん方はおわかりだろうと思いますが、与党の税制改正の大綱の中で初めて、この損益ができなくなりますよという項目が出てきたわけですよ。その前の十一月に政府税調がやっておりますけれども、十一月二十七日の政府税調の平成十六年度の税制改革に関する中間報告の取りまとめ、それから十二月十五日にこの取りまとめを「平成十六年度の税制改正に関する答申」という形で発表しておりますけれども、この中にも一切そういうことは書かれていないんですよ。

 もちろん、たまには一切書かれていないことも出てきますけれども、やはりこの不利益不遡及の原則と照らし合わせて、納税者にとって不利益になることが、そういう意味では、十二月十七日に初めて出て、実は私も翌日の日経新聞を見ると、ほんの小ちゃく二行ぐらい書いてあるんですよ。これでもってこれから法律を通してしまって、一月一日にさかのぼるよということは、どう考えたって無理があるんですね。その点についてはいかがですか。

谷垣国務大臣 先ほど私が申しましたように、これは暦年課税の仕組みをとっているわけですから、個々の売買の段階で決まるわけではないんで、一年終わった段階で決まるということで、今委員のおっしゃったような不利益が不遡及という問題は、私は発生しないんじゃないかという気がするんですね。気がするというのはちょっとあいまいな言い方でございますが、問題はないと私は考えております。

海江田委員 委員長も首かしげておられますけれども、これは違うと思いますと言われても、納得のいくようなやはり説明をしてもらえば、あるいはこういう例がありますよとか、そういうことで言っていただければ、ああそうですかということになるんですが、今の話で私は違うと思いますということだけ言われたんでは、全然これは納得できないですね。

谷垣国務大臣 では、ちょっと過去の具体例を申します。

 書画とか骨とうといった資産譲渡について、昭和三十六年四月一日施行の改正で、三十六年分以後の所得から損益通算を廃止した例がございますし、それから、所得税の控除の縮減、廃止についても、十五年度改正で長期所有株式の譲渡所得の百万円控除を廃止したというように、改正法施行日を含む年分の所得税から適用しているという例が過去に、ほかにもございますが、幾つかございます。

海江田委員 ただ、それについては、例えば株の譲渡益の話は、あれはもういろいろな議論があったわけですよ。あれは譲渡益の百万円の話自体がかなり変則的な話であって、これは本来の姿に戻すべきじゃないだろうかというようなことが衆議院の財務金融委員会でも行われていましたし、そういう流れの中である話で、この話は、先ほど財務大臣は株と土地建物と一緒にするような議論がありましたけれども、政府税調も、金融資産性所得ということ、証券・金融の税制の中で、金融資産性の所得は一まとめにしましょう、そしてそれをその他の所得と切り離しをして、二元論ですね、二元論で一元化、金融所得の中で一元化という議論はずっとあったんですよ。だけれども、その場合、金融所得を一元化しましょうというときに、不動産の、土地建物の家賃収入などの事業所得なんかは入っていなかったんですよ。もう厳然たる事実として、よく委員長も御存じですけれども。

 それでもって、そういうような理由もあって、それから、金融資産性の所得を一元化するというと、例えばこれから議論になるのは、これはこれからの議論ですけれども、もう既に議論が始まっていますけれども、では、株を売って損が出た、そうすると、株の配当がある、売って出た損と配当とを一年に限っては通算をしましょうねと。

 それから、実は来年の四月一日からペイオフになりますから、ペイオフになると、やはり損をどうしても、損というか、自分が預けていたお金が戻ってこないケースもあるから、この損も、実は、株や投資信託なんかの譲渡益と通算をしてもいいんじゃないかなということも、議論の上では出ているわけですよ。まだこれはどうなるかわかりませんよ。

 だけれども、そういう意味での、例えば今言った配当と譲渡損の通算ということになれば、では、ここで言う不動産所得に照らし合わせてみると、家賃収入と譲渡損という関係になるんですよ。ではそうしたら、今一回そこを切り離してしまって、これからの議論でまたそこを一つにするんですかというような議論も実は出てくる話であって、これは、大変その意味でいうともっともっと議論をしなきゃいけない話ですから。

 ここでは本当に残念ですが、時間もありませんのでできませんけれども、そう簡単に、もうこれは決まったんだからこのままでいきます、これは、自民党の方々の後援者の方々の中にもこのことによって不利益をこうむる人たちもたくさんいるわけですから、ここはしっかりと議論をして、しかもこれはそんなに大きな額じゃないんですよ。予算の中でもやりくりができる話ですから、ここは少し、今ここで結論を出さずに、財務金融委員会なんかでしっかりとした議論をした方がいいんではないだろうかと、その点を指摘をしておきます。

 本当にもうあと限られた時間ですが、きょう、実は朝になって通告をした問題点でありますが、これは外務大臣あるいは総理にお尋ねをいたしますが、十一日から、きのうから外務省の田中審議官と薮中アジア大洋州局長がピョンヤンを訪問をしたということが大きく新聞報道にありますが、これはどういう経緯で、外務大臣にお尋ねをしますが、ピョンヤンを訪問をしたんですか。

川口国務大臣 経緯についてのお尋ねでございますけれども、政府としては、かねてから北朝鮮に対して政府間の協議の実施ということを申し入れてきたわけです。今般、北京の大使館ルートを通じて、田中外務審議官と薮中アジア大洋州局長を受け入れる、そういう旨の連絡があったということでございます。

海江田委員 北京の大使館ルートを通じてそういう連絡があったということですが、これは向こう側から提案をされたわけですね。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、ずっと何回も我が国から政府間の協議の実施ということは申し入れてきたわけです。それに対して、今般、北京大使館のルートを通じて、向こう側が受け入れるということを言ってきたということです。

海江田委員 では、こちら側がずっととにかく政府間の協議をやろうということを言っていて、そして、それに今の時点で向こう側が乗ってきた、こういうことですね。わかりました。それではよろしいかと思います。

 話し合いの中身ですが、当然中心になるのは、日本側とすればこれは拉致の問題だろうと思いますが、改めて、この拉致の問題で我が国として絶対譲れない点というのは、ここは絶対譲れないんだよというのはどの点ですか。

川口国務大臣 話し合いの中身でございますけれども、これはもちろん拉致の問題、それから、六者会談を通じての、核の問題を六者会談でいたしますので、それに資するためということで、それについても協議をいたしたいと考えています。

 それで、拉致の問題について何が重要かということですが、これはもうずっと申し上げてきているとおりでございまして、帰国をしている拉致の被害者の皆さんの家族の日本への帰国ということです。それから、行方についてはっきりわかっていない十名の方も含めて、事実関係、真相の究明ということでございます。

海江田委員 今お話のありました二点というのは大変大事な点だろうと思いますので、やはりここはしっかりと、従来は、その二点では北朝鮮の側は話し合いも持てないというような状況であったわけですから、そこは話し合いに応じるということで来たのは、やはりこれは北朝鮮の側にいろいろな事情があるんだろうと思いますが、日本としましては、その二点というものはしっかりと交渉の過程においても主張をしていっていただきたいということをお伝えしておきます。それはそういうことで。

 あともう一つ、ちょっとやはり気になっておりますのは、これは防衛庁長官に、イラクの自衛隊の問題でございますが、昨日もイラクで、これは現地の警察をねらったテロが発生をした、かなり大きな被害が出たようでございますが、必ずしも今、米軍だけをねらう――いわゆるソフトターゲット、そういうものをねらってくる、あるいは、今、日本が、現地に自衛隊が行っているわけでございますが、これがねらわれるというような可能性もあると思いますが、やはり安全確保の点、これが本当に十全なのかどうなのかということを私は危惧をしているわけですね。

 それは、なかなかこういう場ですからつまびらかにできないというような状況もあると思いますが、出かけていく任務が大変多様化している、たくさんの任務がある、それに対して、自衛隊の人たちというのはみんな鉄砲を持っていくから、全部すぐ、テロが来れば、それに対してきちっとした正当防衛、そういうことができるかというと、必ずしもそうではなくて、それこそまさに完結した組織というのは、実はそれだけいろいろな職種があるわけですよね。自衛隊へ入っても、それこそ調理ばかりやっていたとか、兵科というのが十幾つ、十三、四あるんです。会計から音楽隊から全部あるわけで、そういう中でいうと、本当にそういうテロリストに対して対応できるような部隊、そこの部分が本当に果たして十分なんだろうかどうなんだろうか。

 なかなかこれは全体の規模も正式に何人ですよということは言えないというふうなこともありますけれども、六百人ぐらいだろうと言われていますが、その中で、給水をやる人たちだとか衛生の人たちだとか通信の人たちだとか、本部の機能もあるだろうし、こういうことで考えていくと、本当に宿営地をしっかりと守って、そしていろいろなところへ行って、いろいろな作業をする、そういう人たちを守って、それから最近はマスコミの人たちまで守らなきゃいけないとか、そんなようなことになって、それで果たして本当に安全が確保されるんだろうかどうなんだろうかということですね。

 もちろん、この自衛隊の派遣ということについて、私どもは今度のイラク法がそもそもやはり大きなフィクションの上に成り立っているということで反対をしておりますけれども、それはそれでしっかりと主張をしておきますけれども、そういう安全面の面で本当に平気なのかという疑問がどうしてもぬぐい去れないものですから、それはもう必ず平気なんだということをおっしゃっていただけるのかどうなのか。

石破国務大臣 先生御指摘のとおりだと思っております。

 これは、正直言って、PKOとは違うという認識を持っています。今まで、カンボジアあるいはゴラン、現在もティモール、出しておりますが、今回のイラク派遣に関しましては、警備を任務といたします部隊、これを編成いたしております。今までもありますが、その数は相当にふやしております。また、比率という面からいいましても、相当にふやしております。実際に持ってまいります装備も、与えております権限も、そして訓練の練度も、別にPKOだから低くていいというようなことは申しませんが、今回のイラクの情勢等々にかんがみまして、私ども、制服組ともよく議論をいたしまして、これだけの数であればこの任務は安全にこなせるという確信のもとに出しております。

 情勢は日々変わりますので、この点にもよく留意をしながら万全を期してまいりたい、このように考えておる次第でございます。

海江田委員 これで終わります。ありがとうございました。

笹川委員長 この際、細川律夫君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。細川律夫君。

細川委員 民主党の細川律夫でございます。連日大変御苦労さまでございます。

 私は、きょうは国内の治安、安全の問題について質問をしたいというふうに思います。

 ここ数年間におきまして、私は、二つの神話が崩壊をしつつあるのではないかというふうに思っております。

 一つは平等の神話でございます。我が国の国民の間には貧富の差が小さくて、諸外国と比べましても富の分配が比較的公平に行われているというのがこれまででございました。ところが、バブル経済からバブル崩壊後、所得格差が広がっておりまして、今、社会的弱者という人たちが直撃を受けております。これが平等の神話でございます。

 もう一つ、日本は世界一安全な国と言われてきておりました。しかし、この安全な国日本が、今、急激な犯罪の多発によりまして、大変不安な国になってきております。つまり、安全神話の崩壊でございます。

 総理も所信表明で、世界一安全な日本を回復する、こう言われました。この安全神話というものが、今、日本は崩れているのか、このことについて、まず簡単にお聞きをいたします。

小泉内閣総理大臣 世界一安全な国日本、この神話が崩れつつあるということに対して、憂慮しております。国民が治安に対して大きな不安を感じている現下の情勢におきましても、安全神話復活実現を目指してさまざまな対策を講じなきゃならないと思っております。

 特に、最近の犯罪というのは、低年齢化、少年犯罪もふえておりますし、同時に、日本人のみならず外国人の犯罪もふえております。あるいはまた、地域のお互いの、共同で地域を守ろうといいますか、地域が一緒に協力して自分たちも治安を維持していこうという点の取り組みの点、いろいろあると思いますが、こういう点を率直に反省している。一日も早く世界一安全な国日本の復活を実現していかなきゃならないと考えておりますので、鋭意そのための対策、御提言も踏まえまして、充実していかなきゃならないと思っております。

細川委員 日本の犯罪の激増につきましては、昨年の犯罪白書によりますと、刑法犯全体では、人口十万人当たりの犯罪の発生率というものは、平成十四年では二千八百九十九件。この数は、これまでの、戦後ずっとおおむね大体千五百から二千の発生率であったんですけれども、三千に近い発生率になっております。これは戦後の混乱期よりもずっと多くなっております。

 その多くなった犯罪に、今度は検挙率が大変低くなっております。一般刑法犯では、今では二〇%前後でございます。したがって、犯人のうち、五人に一人程度の検挙率でございます。この検挙率は、昭和六十年のときには六四%あった、それが今では三分の一の二〇%前後、こういうような状態になってきております。

 特にまた、強盗、傷害、暴行、脅迫、こういう凶悪犯罪というものがこの数年間急増をいたしておりまして、ひったくりやピッキング、そういった身近な犯罪もふえております。子供に対するおどしとかそういうものもたくさんふえておりまして、親が通学に子供を送り出す、こういうときにも不安を感じるような状況でございます。家庭内暴力ももちろん深刻でございますし、先日、大阪・岸和田で起こりましたあの少年虐待事件、まことに痛ましい事件でありまして、もう言葉にも言えないような、そんな状況でございます。

 また、特に私が心配をいたしておりますのは、少年犯罪でございます。刑法犯の全部のうち四割、四割が少年によって起こされております。これは、成人の人との人口比でいいますと、八・四倍も少年の犯罪が多いんです。こういう少年犯罪には、本当に今、私たちが何とかこれを少なくしていかなきゃいかぬ、厳しい犯罪の状況でございます。

 外国人の犯罪も多くなっておりまして、安全という市民の生活基盤というのが今失われている、これは本当に国としても基本的かつ重大な大きな問題であろうと思います。

 したがって、こういう犯罪の状況、実態を総理が今どういうふうに認識をされているのか。私は、このままいきますと、国が内部的に崩壊をしていくんではないか、大変心配もいたしているところでございます。

 昨年の統計がごく最近出たのでありますけれども、これには犯罪の発生数が少しとまったかのようなところもありますけれども、しかし、強盗などは九・七%も一気に一年間でふえております。そういう実態を、総理、どう御認識をされているのか、お答えいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今御指摘のとおり、犯罪件数がふえると同時に検挙率が減っているという、これはゆゆしき問題だと思っております。

 捕まらないという、検挙率がここまで低く落ちたということは、ある面においては限界じゃないか。いかに高めていって、この安全対策を強化していくかということについては、私も委員と同様の認識を持っておりまして、今後、最近出てきております犯罪に対しての対策というものを具体的にどう詰めていくかということを、法務、警察当局に強く指示しているところでありますが、不法滞在者の取り締まりのみならず、新しい機器の投入によって、地域の警戒態勢、そして、警察官のみでは限界がありますので、住民の方々の協力をいかに得ることができるか、また、得やすいような支援はどういうことか、総合的にとっていかなきゃならないと思います。

細川委員 今、総理の方からは、激増する犯罪に対して対策のようなことも言われましたけれども、しかし、犯罪というものがなぜ起こっているのか、なぜふえているのか、その原因というものをきちっと把握していかないと、これに対応できないんではないかというふうに私は思います。

 したがって、私は、犯罪が激増しているその原因というものを私なりに考えてみました。

 一つは、長期不況に伴うさまざまな不安、あるいは経済的、精神的な困難に伴うものが多い。ホームレスもふえております。経済的理由による自殺というものも、これまた八千人とか九千人と言われております。自己破産に至っては、もう史上連続、ふえておりまして、昨年は二十四万件を超しております。これらについて政治の責任も大変大きく、私はこういう不安を解消することが大事じゃないかと思います。

 それから第二番目として、国民のモラルの低下が大きな原因だと思っております。バブル期の拝金主義、つまり、お金中心の価値観が国民にマイナスの影響を与えた、こういう面が大いにあるんではないかというふうに思います。

 加えて、競争原理を必要以上に重視して、勝者のみがすぐれているというような考えが強くなり、人間の多様な価値観を相互に尊重し合うという、共生していくという価値観がだんだん薄れてきているんではないか。何とかして、人間関係あるいはコミュニティーを大切にする、この価値観に変えていかなければ、ますます罪悪感というのが薄れていくんではないか。これが二番目でございます。

 三番目としては、犯罪の国際化の問題でございます。外国人の犯罪というのが増加をしていることも見逃せないと思います。犯罪の増加に従って警察のいわゆる対応が追いつかずに、検挙率の低下につながっている、こういうのが今の現状でございます。

 総理は、この犯罪がふえた原因をどのように考えているのか、そしてその政治の責任はどう考えるのか、総理のお考えをお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今、犯罪増加の原因については、細川議員が指摘した点が当たっていると思います。

 これは、実際の犯罪行為のみならず、その背景にある不況あるいは失業、外国人の増加、特に不法滞在者の増加、あるいは学校教育、倫理観、青少年の社会に対する自制心というんですかね、そういう点。これは単に犯罪行為のみならず、その背景にある大きな問題も無視できない。特に、お互い金さえあれば何でもできるというような風潮。金は大事でありますけれども、やはり世の中において金以外に大事なものがあるんじゃないのかという、子供のころからの一つの節度というんですかね、節制する心。こういう、学校教育のみならず、家庭教育。と同時に、子供だけの問題じゃない、少年犯罪がふえているというのは、やはり大人の責任も大きいと私は思っております。

 総合的な背景がありますが、私は、現実的に、具体的にできる問題と、時間をかけても、教育問題、社会問題、そういう問題、こういう点につきましては総合的に考える必要があると。細川議員の言っている指摘に対しましては、大方私は異議を唱えるものではございません。

細川委員 犯罪の増加の原因について、私が申し上げましたことについては総理も同感だと。それでは、そういうようになった原因をつくった政治の責任は一体どうなのか、これが私は大変大事だと思うんです。

 総理は政治の最高責任者であります。その責任についてどのようにお考えなのかをお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 政治の責任として、現下の小泉内閣としては、いかに世界一安全な国という神話を復活させるか。今言われましたような犯罪対策、治安対策、犯罪防止対策、これを強化していくという点、それと、やはり指導的な立場に立つ方々がより強い使命感なり自制心、倫理観なりを持っていただかなきゃ困る。国会議員が逮捕されるようじゃ、これは政治の場においても、いかにも国民から、政治に対する不信感をもたらす。国会議員は詐欺なんかやらない、だまさないと思っているのに、国会議員自身が詐欺罪に当たるようなことはしてはいかぬ。そういう、やはり大人の、指導的な立場に立つ方も、責任を持って日ごろから信頼を得られるような行動をするということも大事だと思っております。

 当面の政治の責任としては、いかに今の犯罪対策を強化していくか、犯罪防止に努めるか、この具体的な点については今後とも鋭意努力していきたいと思います。

細川委員 政治の最高責任者としての政治的責任ということには明確にお答えがなかったわけですけれども、国会議員は悪いことはしてはいけない、これは当然でありますけれども、しかし、一昨年は、国会議員が殺害をされるという大変重大な刑事事件も発生をいたしました。それほど日本は治安が悪くなってきております。これは、政府を挙げてこの問題に取り組んでいただかなければなりません。

 そこで、きのう、おとといのニュースに出てきておりましたけれども、今、通告はいたしておりませんが、北海道の警察におきまして、捜査費を裏金にいたしまして、交際費とかあるいは幹部の、上級の接待費に使うとか、そういう問題が発生をしております。

 これは、犯罪をなくしていく、そのために警察の方でしっかりやってもらわなければいけませんけれども、それには国民の理解と協力が絶対に必要であります。国民に信頼される警察でなければなりませんけれども、今回の北海道警察の疑惑の問題は、これは国民の皆さんから信用を失墜させるような事件でございます。この点についてしっかりと解明をして、国民の皆さんの信頼を回復しなければなりません。

 これについて、まず総理はどのようにお考えですか。

小野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 北海道警察の元幹部が過去におきまして不適切な、不適正な経理が存在したとの記者会見をされたということ、これは私も承知をいたしております。警察庁からは、北海道警察におきまして本人から事情を聞くという報告を受けておりますので、現時点におきましてはその推移を見きわめさせていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 不正に対しては厳正に対処いたしてまいります。

細川委員 総理の方からは厳正に対処されると言われましたけれども、国家公安委員長の今の答弁は、何か余りにも生ぬるい。しっかりと徹底的に調査をする、解明をする、国民の皆さんにはそれを説明していく、それぐらいの気持ちでなければ、こんなものは解決しませんよ、明らかになりませんよ。

小野国務大臣 徹底いたしまして解明をさせていただきたいと思います。

細川委員 しっかりとお願いをいたします。

 それで、先ほどは犯罪の発生の原因についていろいろ総理ともお話をいたしましたけれども、それでは、一体、どういう対策を立てて、この犯罪の急増に対してこれをなくしていくための対策をどう立てなければいけないか、この問題になってくるわけでございます。

 私は、昨年も予算委員会で、単に警察の方で頑張るだけではだめだ、これは、原因にもありましたように、モラルの低下については、学校教育の問題もあるでしょうし、家庭の問題もある、総合的に対策を立ててきちっと対処していかなければいけない、こういうことを言ってまいりました。

 そこで、政府の方では、犯罪対策閣僚会議というものをつくったと聞いております。まず、これについて、どういう会議で、どういう構成員で、だれが座長であるとか、これについて聞かせてください。

福田国務大臣 昨年の秋に、犯罪対策閣僚会議を設置いたしました。これは、総理が議長でございまして、全閣僚が参加いたしております。

 先ほど来、委員も御指摘のように、犯罪というのは取り締まるということ、これはもう大変大事なことでありますけれども、しかし、そのよって来る犯罪の原因、そういったようなものまで含めて、予防的な観点というようなことも含めて、これは社会全体の取り組みということもあろうかと思いますが、やはり総合的に考えていくべきものである、こういうふうな観点から、全閣僚でもってこの問題を討議していこう、こういうふうなことになったわけでございます。

 第一回は昨年九月に開催しまして、そして、犯罪に強い社会の実現のための行動計画を策定する、こういうことを決定いたしたわけでございます。また、第二回は十二月に開催いたしまして、犯罪の生じにくい社会環境の整備、水際対策を初めといたしました各種犯罪対策及び治安関係機関の体制強化などを内容といたします犯罪に強い社会の実現のための行動計画、こういうものを策定いたしたわけでございます。

 今まで二回開催いたしましたけれども、この閣僚会議の下には局長級の幹事会というものを設置いたしておりまして、またその下にはワーキンググループというものがございます。

 そういうようなことで、非常に広範囲ではありますけれども、社会全体の取り組みという観点からも、また、個々の犯罪対策という観点からも、両面からこの問題をこの閣僚会議で決定し、そしてそれを強力に実施していこう、こういう考え方でございます。

細川委員 時間が十二時になりましたので、私の質問はこれで終わりにいたしまして、午後一時からの質問で引き続き質問をさせていただきます。

 終わります。

笹川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として、人事院事務総局勤務条件局長山野岳義君及び警察庁長官官房長吉村博人君、二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑を続行いたします。細川律夫君。

細川委員 午前中に引き続き、質問をさせていただきます。

 犯罪対策閣僚会議というのが立ち上がりまして、犯罪対策の総合的な検討をして対策を立てる、こういうことになったようでございます。先ほど官房長官からの御報告がありましたけれども、この閣僚会議は、全閣僚、座長は総理でございますか、そういうことで会議がなされたようでございます。この会議は、それぞれの、例えば警察庁あるいはまた文科省あるいは総務省とか、そういうところでの対策だけでは不十分だ、総合的に対策を立てなければ犯罪は減らない、撲滅できない、こういうことからその閣僚会議はできたものと思われます。

 そこで、お聞きをいたしますけれども、この閣僚会議で一体どういう内容の話がされたのか。まずは、総理から、どういう指示がきちっとあったのか、意欲が示されたのか、このことをお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 近年、犯罪が増加して、国民の間に、一体、世界一安全な国日本というのはどうしたのかと。治安に対する不安、犯罪増加に対する懸念、大きな関心事であり、このような犯罪増加傾向というものを一日も早くストップし、世界一安全な国日本の復活を目指すべきだという声は、今非常に高まっております。

 そういうことも考えまして、やはり治安のよさというものは、世界も今まで日本を見習っていたのではないか。この世界一安全な国日本というのは極めて重要な美点である。そういうことから、いろいろ犯罪の原因なり要素なりというのは一省庁でとらえ切ることはできない、政府を挙げて取り組むべき問題である。

 しかも、先ほど細川議員が指摘されましたように、単なる起きてきた事件の問題のみならず、その背後にあるいろいろな社会の変化、そういう点もよく勘案しなきゃいかぬ。ひいては、教育の問題、子供だけの問題じゃない、大人の問題、そういうことを全省的に取り上げていく問題だし、このように世界が狭くなってきている、外国人の往来も多い、特に不法外国人滞在者、この問題は深刻である、そういう総合的な対策が必要だということから、この対策会議を設けまして、政府挙げて取り組むべき問題だと。

 具体的に若干挙げますれば、まず、なぜこのように不法外国人滞在者がふえちゃったのか。これは、入る前の予防対策はどうなっているのか、その入る面をすり抜けて入ってきた後どうなのか。あるいは、少年犯罪がふえてきている、こういう問題。ひいては、今まで考えられなかったような、安全と言われた地域においても、扉を、かぎを閉めておかなくても犯罪など起こらなかった時代が、厳重な戸締まりをしてもすごい機器で簡単にこじあけて入ってしまうという、そういういろいろな対策があります。

 そういう点を総合的に取り組んで、各省庁、どういう点が問題点か、それに対する対策はどうなのか、過去はどうだったか、現在どうなのかという点も含めて、これからしっかり対処していこうというのがこの会議の設置の趣旨でございます。

 具体的な問題につきましては、各担当省庁それぞれ違います。法務省あるいは警察、いろいろ連携をとって当たらなきゃならない問題だという認識を持っております。

細川委員 総理の言われる、各省庁連携をとって総合的に対策を立てるというこのことはもっともだと思います。

 ただ、その対策が、どういう対策を立てる、具体的な個々の対策ではなくて、総理は、世界一安全な日本の復活、こういうことを言われておりますから、世界一安全な国日本、それはどういう日本のことをいうんですか、考えておられるんですか。

小泉内閣総理大臣 各国それぞれ安全対策、治安対策、それぞれその国の実情がありますから、日本と同じとは限りません。また、犯罪を犯した者に対する刑罰等についても、重い軽い、それぞれ違います。それと、みずからの安全はみずからで守るというように、銃規制をしようとしても、日本みたいに銃を持ってはいけないということに対して、強い抵抗感を持っている国もいる。

 いろいろさまざまでありますが、日本の今までの世界一安全な国というその一つの中には、やはり銃を持ってはいけないという、これもかなり大きな要素だと思いますが、そのほかに、その背景にある時代の変化、自由というものを履き違えた今までの風潮、規律という問題、あるいは教育の問題、いろいろあると思います。そういう具体的な点につきましては、各担当大臣、それぞれ練っておりますので、どういう個別の対策があるかという点は、具体的な御質問があれば、担当大臣から答弁いたさせます。

細川委員 どうも、総理の答弁を聞いておりましても、ちょっとよく私には理解ができないんですけれども、世界一安全な日本というのを復活させるというんですから、そうしますと、以前には日本は世界一安全な国だったわけですね。

 では、いつごろの日本というのを総理は想定しておられるのか。戦後のことなのか、戦前のことなのか、あるいはもっとごく最近のことなのか、そのことについてお聞きをしているんです。いつのころを想定されておりますか。

小泉内閣総理大臣 それは、今、世界一安全神話が崩れたというのは、戦後のことですね。戦後一時期に比べて、検挙率も六割から二割に減ったとか、そういう具体的な指標を見れば、やはりその安全神話が崩れてきているのではないかという点は言えると思います。

細川委員 総理、所信表明で、世界一安全な国日本の復活は急務である、政府一体となってこれに取り組んでいく、こういう強い意志を示されたんです。

 ならば、どういうことが、どういう時代のどういうときの日本が世界で一番安全な国と言われた、そういう国なんだと、それを復活しよう、それを示して、各大臣に閣僚会議をやってもらうということでないと、ただ各省各省が、こういうことをやります、ああいうことをやりますということでは、これは犯罪というものは減っていかないのではないか、総合的な対策にもならないんじゃないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

福田国務大臣 全体的な意味合いはもう総理から御答弁申し上げましたけれども、では、そういうものを一体いつ実現するのか、こういうような話でございます。

 実際問題言って、最近の犯罪の特徴というのは、刑法犯が二百八十五万から九十万近いわけですね。昨年は若干減りました。その中で、窃盗とかそういうものが非常にふえているということがございます。しかし、それよりも重大なのは、例えば青少年犯罪がふえたということ、それからまた外国人犯罪、凶悪犯罪も含めて外国人犯罪もふえている、こういうようなこともございます。

 例えば外国人犯罪であれば、今後五年間をめどに不法滞在外国人を半減させるとともに、犯罪の増勢に歯どめをかける、こういうような目標も、指示も総理からいただいておりますし、また、交通事故、特に飲酒運転とかそういうようなことであれば、二〇一〇年に、今八千人という交通事故死、これを五千人以下にする、こういうような目標も掲げておるわけでございます。

 ですから、個々に、犯罪の内容について一つ一つ具体的にそういう目標を掲げてこれからやっていかなければいけないだろうというふうに思いますけれども、そういうような観点から、例えば空き交番、これをなくそうというようなことでもって、警官の増員ですね、こういうことも今やっているわけでございまして、来年度は、国家公務員というのは純減という状況の中でもって、警察官はふやす、こういうこともやっております。地方公務員全体は一万人削減する、そういう中で、三千人を超える警察官を増員する、こういうふうなこともやっておるわけでございまして、そういうことを、できれば年限を限って、目標を持って、個々の犯罪に対応していくというようなことが必要なんだろうというふうに思っております。

細川委員 今、官房長官がお答えになったことも、これは本当にいわゆる対症療法的な施策の一部を述べられた。私が質問をしているのは、どういうその姿、日本の安全な姿を政府は描いているのか、そのことをお聞きしたいんです。

 だから、例えば犯罪の数ならば、今ずっと激増して、もう戦後の混乱期よりもずっと多くなっている、これをいつのころの犯罪にまで減らすんだとか、検挙率が今二〇%前後だ、ならば、この検挙率を五〇%に上げていくとか、そういうようなことを私は聞いているんです。そういう姿、それをもって、各省庁いろいろなことを検討していただく、それが私の質問の趣旨なんです。だから、あるべきところの姿、目標をきちっと示していただかないと、犯罪はなかなか減らないのではないかというように思います。

小野国務大臣 先生の御質問を伺っておりまして、私も本当に同感するところが多うございますし、私自身も、どうしたら検挙率のパーセントを上げることができるのか、いわゆる昭和の時代に戻すということがまず最短距離かな、そんなことを思いながら、検挙率の件は午前中の議論の中にもございましたけれども、昨年が二百七十九万件でございますし、一昨年の場合には二百八十五万四千件ということで、六万四千件少なくなったとはいえ、まだ二百七十九万件も刑法犯罪があるわけでございます。

 そういうことを考えましたときに、どうしたらそれぞれの警察官が検挙率を上げることができるのかということを考えますときに、一番困難なことは、やはり余りにも事案が多くて、初動の状況の中で、あなたはこういうことで今回犯罪を犯したという会話の中で、次の会話を続けていく、いわゆる関連して、本人が初犯ではない、必ず余罪を持っているわけですね、その余罪を追及する時間帯が後から押し寄せてきます刑法犯に追いつかないというふうなことが、二〇%から二三%にまで上がったわけですけれども、まあ苦しいところである。刑法犯の認知件数というものが、分母が余りにも多くて、それに対して現場の警察官たちが追いつかない。

 ですから、一件だけで逮捕されるというよりは多い、少年犯罪の場合、十何件やっておりまして、ああいうことが、解明していく時間的な余裕がとれないというふうなことも、現実的には決して二〇%ではないのではないかということを、私も日々の話し合いの中で感じさせていただいておりますけれども、やはり数というものが前に参りますと、どうしても、二〇%から二三%までいったといいながらも、まだまだこれでは、逃げ切っている者がどうなのかというふうな、国民にとりましても大変大きな不安になるわけでございますし、足らないところで、その辺を、今後、警察官が警察官としての業務をきちんとやっていけるようにするためには、警察官以外の者のお仕事をなるべくふやしていく――失礼しました。例えば駐車違反の問題等々、先生が昨年の予算委員会で御質問いただいた件などをもって、業務内容を民間に委託するなどしながら、警察業務そのものをしっかりとやっていけるようにしていくことによって幾分かは緩和されていくのではないか、そのように考えているところでございます。

野沢国務大臣 世界一安全な国日本の回復をと、これは私が法務大臣を拝命するときに総理から特命をいただいた課題でございます。

 日本の治安の状況を振り返ってみますと、戦前はもちろんよかったんですが、高度成長期、経済的にも恵まれて、皆さんに仕事があって、失業その他が少なかった時期は大変状況がよかった。検挙率もその当時は六割ぐらいということになっております。その検挙率で当時の大体六割ぐらいを目標にすること、それから高度成長期のような犯罪発生率そのものを減らすということ、それから一たん罪を犯した人が立派に社会に更生できるような仕組みをつくること、この辺が大事なことと思っております。

 よろしくお願いいたします。

細川委員 最後の法務大臣のところで大体の目標のようなところが見えてきたわけでありますけれども、先ほどの国家公安委員長のお話の中でも、犯罪が激増しているので現場の警察官の対応が追いつかない、こういうことを言われました。だから検挙率が低いんだ、こういうことでございますから、当然現場の警察官をふやしていただかなければいかぬ。これについては、多少はふえておりますけれども、しかしまだ足りないというふうに思います。

 しかし、私は、先ほども申し上げましたように、犯罪の発生の原因というものが、いろいろな要素がある。特に、いわゆるモラルの低下、いわゆる倫理規範の低下、これによって犯罪が多発をしている。そのモラルを上げるにはどうしたらいいのか、これを各省庁総合的に相談をされるのが政府のやることではないですか。これについては文科大臣、どういうふうに議論をされたんですか。

河村国務大臣 経済対策閣僚会議にも私も臨ませていただきまして……(細川委員「経済じゃないよ」と呼ぶ)失礼しました、犯罪対策閣僚会議に出席をいたしまして、やはり各省庁、連携が非常に必要な面がたくさんございます。

 それは、文部科学省としては、子供たちがまず犯罪に走らないようにしなきゃいけませんし、犯罪に巻き込まれないようにしなきゃいけないという観点があります。そういうことを考えますと、一番もとは、それは教育の面でモラル意識、規範意識、そういうものをきちっと教えていく。大体、うそつきは泥棒の始まりと言いますから、そのあたりからきちっとやらなきゃいけません。

 しかし同時に、その前提はやはり家庭にあるわけでありますから、家庭教育についてもきちっとやってもらわなきゃなりませんが、これは文部科学省が直接家庭教育というわけにいきませんから、親の方としては、核家族の時代で、昔のようにおじいちゃんおばあちゃんがいて、そこで孫たちがいろいろ教わるということもだんだんなくなってきて、そのヒントが欲しいと言われるものでありますから、家庭教育手帳であるとか、あるいは家庭教育ノートとか、そういうものをつくりまして、就学前の子供たち、あるいは小学校高学年、こう分けて、親にヒントを与えて、それが役に立っているかどうかと言うと八割の方々が役に立っていると言われますから、それはそれできちっと進めてまいりたいというようなことで、今日の社会のいろいろな要素がかみ合って今日の犯罪がふえているということは今御指摘のとおりでありますから、そういう観点からこの問題に取り組んでいこうとしておるわけでございます。

 大人の環境が、例えば企業においても、スポンサーになっている大企業が流しておられるテレビ、この中に子供が影響を受けるものがある、そういうことをその会社の社長は知らないでスポンサーになっておられるケースがあります。これは経済産業省あたりにもやってもらわなきゃいけないことでございますし、この青少年の犯罪は、まさに社会全体が取り組まなきゃなりません。

 そして、関係省庁一体となって、特に、申し上げましたように、学校教育、それから家庭教育、それから地域社会、この連携がどうしても必要になってくるわけであります。当然警察の御協力もいただかなきゃなりませんし、また法務省は保護司というような制度を持っておられます。そういう方々にも参加をしていただくということで、青少年の犯罪を防ごうとすれば、全体の協力がなければ今やっていけない状況にあることは間違いございません。

 文部科学省としては、このような直接的なことはやってまいりますが、これだけでは追っつかない面があるということ、この意味で、我々閣僚会議がお互いに連絡をとり合って、協力し合っていくということが私は非常に必要になってきた、こう思っておるところでございます。しかし、一義的に言えば、子供たちが犯罪を犯さないような規範意識をいかに持たせるかということがまず最初でございますから、ここのところは、やはり我々の、文部科学省としての大きな責任といいますか、そういうものを感じながら、この対策は対策できちっと取り組んでいくということでやってまいりたい、このように思っております。

細川委員 今、文部科学大臣の方からも、家庭教育あるいは学校教育での生徒たちへの規範意識の向上ということが述べられましたけれども、しかし、どうも聞いていても意気込みが感じられません。これで本当に日本の子供たちが規範意識が高くなるか、モラルが向上するか、私としてはどうも納得ができません。

 この犯罪対策閣僚会議の出されました、犯罪に強い社会の実現のための行動計画、これが、全閣僚が集まって議論をして、そして出された内容だとは到底思えない。官僚のこれまでの積み重ねを羅列しただけじゃないですか。本当に犯罪の少ない、安心な、安全な日本をつくるためには、もっと真剣に、総理もリーダーシップをとってきちっとやらないと、本当に日本は内部から腐っていくんじゃないかというような感じを持ちます。総理も、あの本会議場で、政府が一体となって取り組んでいくと強調されたわけですから、国民に約束されたわけですから、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 最後に、まだ五分ありますので……(発言する者あり)

 では、一言簡単に。

野沢国務大臣 この犯罪対策の行動計画に基づきまして、私は、今週の初めですが、法制審に対して、刑法犯罪の罰則を一段と強化をして、罪を犯した者がしっかりと責任がとれる体制を諮問いたしました。あわせて、行動計画にもございますように、地域の連帯意識を強化する、これが非常に重要だということが、議員御指摘のニューヨークの先例にもございますので、しっかり頑張ってまいります。

細川委員 今、法務大臣の方からもお話がありましたけれども、やはり総合的に対策を立てていくということが大事であろうと思います。

 それで、質問の観点を変えまして質問したいと思いますが、市民から警察に対して一一〇番がかかってまいります。その一一〇番の中で何が一番多いのか、何が多いでしょうか。これは駐車違反の苦情なんです。一番多いのは駐車違反なんだ。したがって、警察は、この一一〇番に対する苦情、これに対して対応しなきゃいかぬ。そこへ対応するためには、いろいろな警察官を動員しなきゃいかぬ。そうすると、本来の重要な犯罪の捜査に人員が回っていかない。交通の問題に警察官の大きな仕事が割かれる、こういうことがございます。

 したがって、私は昨年もちょっと申し上げたんですけれども、交通違反のような軽微の問題は、本来の警察官がやるのではなくて、これはもう民間に委託をして、できることは民間にやらせる、そして警察の人たちは本来の重要な犯罪の捜査に当たってもらう、それを何とか考えて、いい制度をつくること、これをやらなければいけないと去年もここで訴えました。

 どうでしょうか、検討されましたでしょうか、一体どうなるんでしょうか。

小野国務大臣 昨年の予算委員会におきまして細川議員の方から御質問をいただいた後、三月には、現場における駐車違反対応業務の民間委託に関する件を幅広く行うことができるように検討する旨の閣議決定が行われたところでございます。それによりまして、警察庁におきましては、良好な駐車秩序の確立と、それから、先生おっしゃってくださいますように、警察力の合理的な配分を目指しまして、駐車違反対応業務の民間委託について検討を進めさせていただいているところでございます。

 昨年四月からは、有識者の皆さんによりまして構成されました違法駐車問題検討懇談会を開催いたしまして、車両の使用者の責任の拡充、それから違法駐車取り締まり関係事務の民間委託の推進を骨子とする提言をいただいたところでございます。

 この提言を踏まえまして、警察庁におきましては、法制的な問題点などをさらに検討を重ね、昨年十二月には、放置駐車違反の事実を確認する業務を一定の要件を満たす法人に委託することができるようにするということ、それから受託法人の役職員については秘密保持義務を課すること、それからみなし公務員規定を設けること、こうしたことを内容といたします道路交通法の改正試案を発表いたしまして、国民の皆様に問うたところでございます。

 多くの御意見をいただきまして、以上のような検討を踏まえながら、現在、地域を巡回いたしまして放置駐車違反の事実を確認させていただき、そしてまた民間委託を可能とする道路交通法の改正案を今国会に提出する予定でございまして、作業を進めているところでございます。

細川委員 細かいこともお聞きをしたかったんですけれども、その民間委託、いろいろ予想される法人も考えられますけれども、それには天下りのないようにきちんとやっていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、総理が国民にお約束をした世界で一番安全な国日本、これを早急に回復するようにぜひ頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。

笹川委員長 この際、池田元久君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。池田元久君。

池田委員 きょうは、竹中経済財政大臣の財政健全化についての認識、そして年金のむだ遣いを中心に論議をしていきたいと思います。

 順序が逆になりますが、まず、竹中経済財政そして金融大臣は、つい先日、おととい、この予算委員会の質疑で、名目成長率が名目利子率より高いと答弁されました。これについてお尋ねしますが、まず、政府の経済見通しで、十五年度の名目成長率の実績見込みは幾らになるのでしょうか。

竹中国務大臣 名目成長率と名目金利の関係、私は、長期的に名目成長率の方が高いのではないだろうかという認識を持っております。

 お尋ねの平成十六年度ですね、十六年度については、名目成長率、実質で一・八、名目で〇・五%であったと記憶しております。(池田委員「〇・一じゃないですか」と呼ぶ)十六年度は〇・五であったと記憶しております。十五年度は〇・一であったと記憶しております。

池田委員 同じ年度の名目利子率、つまり十年後の利回りは幾らになるのでしょうか。

竹中国務大臣 金利を何でとるかという問題もありますが、「改革と展望」で示されております名目長期金利は、二〇〇三年度、一・一%、二〇〇四年度、一・三%であります。

池田委員 内閣府の資料によりますと、二〇〇三年度の名目成長率が〇・一ですね、二〇〇四年度が〇・五です。二〇〇三年度ということになれば、名目成長率の実績見込みは〇・一%、そして名目利子率は一・三%。これから見ると、竹中大臣、名目成長率が名目利子率より高い、つまり、成長率が利子率より高いというのは誤りではないでしょうか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、金利と成長率の関係はその時々によって変わります。私は、長期的には、名目成長率は名目金利より高いというふうな推移をしてきたというふうに認識をしてきております。しかし、時々で変わります。

 現時点においては、厳しいデフレが続く中で、金利はある一定以下には下がりませんから、名目成長率の方が低い。総じて言うならば、先進国において、八〇年代から九〇年代にかけてこのような厳しい状況が出現しているというふうに思っております。

 しかしながら、繰り返し言いますが、長期的には、名目成長率は名目金利より高くなっているというふうに認識をしております。

池田委員 近年、先進国では、名目利子率が名目成長率より高い、利子率の方が成長率より高いのではないかと思います。

 今、資料を配らせていただきましたが、配付資料を見ていただきたいと思います。これは内閣府がごく最近作成した資料であります。

 日本では、七〇年代後半から利子率が高くなっております。アメリカでも七〇年代後半から完全に利子率が高くなっています。イギリス、フランス、ドイツでは、全く同様に、七〇年代後半から、名目で、利子率が成長率より高くなっております。昔はいざ知らず、ここ四半世紀は、先進国は押しなべて、利子率が成長率より高くなっていると思います。これはもう一目瞭然です。全くの誤りではないでしょうか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、その時々において名目成長率も名目金利も変わります。

 したがって、例えば、長期的な傾向で見ますと、過去三十年等の長期的な傾向で見ると、私は、名目成長率の方が高いと認識をしております。しかし、多くの国々が財政赤字で悩む中で、これは名目金利には将来に対する不安等々が反映されてきたということも考えられます。そうした中で、近年においては、御指摘のとおり、名目金利の方が名目成長率より高いという事象があらわれているということは、これは私も認識をしております。

 繰り返し言いますが、長期的には、過去三十年の平均を見ていただきますと、名目成長率の方が名目金利より高くなっているというふうに認識をしております。

池田委員 この資料を見ていただければもう本当に一目瞭然です。真ん中のここらあたりから、全部利子率が高くなっております。この内閣府の資料、これすら否定されるわけでしょうか。

竹中国務大臣 いや、その資料と私が申し上げていることは全然矛盾していないのではないでしょうか。

 長期的には名目金利の方が、これは平均は出ておりませんが、長期の平均は、求めろと言えば申し上げます。三十年等の長期でいいますと、名目金利の方が高い、しかし、長期的に名目金利の方が名目成長率よりも高くあり続けるということは、これはなかなか想定しづらいのではないかというふうに思っております。

池田委員 総理、この利子率が高いか成長率が高いかは、これは抽象的な問題じゃないんですよ。利子率の方が高いので、国債の利払いがふえて、財政健全化が大変なのが現状なんですよ。仮に、本当に仮にですよ、竹中さんのおっしゃるように成長率の方が高ければ、財政健全化は今より容易になるわけです。

 私は、疑いたくはありませんけれども、成長率の方が高いと答弁したのは、何か意図があったのではないかとさえ疑われてもしようがないと思いますが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 そもそも、我々は、基礎的財政収支、プライマリーバランスの回復をまず目指そうというふうに考えております。この基礎的財政収支がゼロであった場合に何が起こるかといいますと、名目成長率と名目金利が同じであれば、来年度、ことしから来年にかけてGDPに対する残高の比率は上昇いたしません。一定になります。そういう状況を基本的には想定して、各国とも、基礎的財政収支をまず均衡させようではないかというふうに考えているんだと思います。

 これは、もしも長期にわたって名目金利よりも名目成長率の方が低いということであるならば、これは基礎的財政収支を回復させるだけでは財政の問題というのはなかなか解決しなくて、基礎的財政収支をかなりのプラスに持っていかなければいけないということなのだと思います。そこは長期にわたって、これから日本の名目金利と名目成長率がどのようになるかということは、我々も十分に注視をしていかなければいけないと思っています。

 しかし、繰り返し申し上げますように、長期的に考えて、また理論的に考えても、名目成長率と名目金利というのは大きく乖離することはないだろう。日本の場合、過去の長期の平均で見ると、名目金利よりも名目成長率の方が高くなっている。そういう状況が通常の状況だと想定した上で、まず基礎的財政収支を回復させる、プライマリーバランスを回復させる、そのような財政健全化の道筋を考えているわけでございます。

池田委員 問題をほかに持っていかないでいただきたいと思います。これは、資料といいますか、現実なんですね。内閣府国民経済計算、海外経済データ、日銀の金融経済統計月報、IMFの資料等で、ごく最近つくった資料でございます。

 ごらんになって、これは明瞭じゃないですか。明らかに、先進国は押しなべて全部、七〇年代後半から利子率の方が高くなっているわけです。

 竹中さんには失礼かと思いますが、竹中さんの経済学は古い経済史の学問、オールドエコノミクスではないでしょうか。

竹中国務大臣 古い経済学か新しい経済学か、常に事態は進化しておりますから、その最先端のことはそれなりに勉強しているつもりでございます。

 池田議員おっしゃることは、例えば、最近においては名目金利の方が名目成長率より高くなっているじゃないか、これは事実であります。しかし、例えば、先ほどから何度も申し上げていますように、一九七〇代から続いて見ますと、名目成長率、日本、六・五に対して、名目金利は五・六であります。したがって、どの期間をとるかによって議論が、これは両方とも、池田委員おっしゃっていることも事実ですけれども、私が申し上げていることも事実であって、どの期間をとるかによって違う。

 しかし、理論的に考えて、繰り返し言いますけれども、名目金利の性格、名目成長率の性格から考えて、名目金利が名目成長率を大きく上回って長期に続けるということは、通常の、例えば財政が危機的な状況であるとか、そこで非常にリスクプレミアムを多くの人が感じているという状況であればまた別ですけれども、経済が正常化されたような状況では、名目金利が名目成長率を上回り続けるというような事態は、これは想定し得ないのではないかというふうに、私は、私なりの新しい経済学で考えております。

池田委員 これを見て、成長率が高かったのは一九五〇年から前半ぐらいで、それも米国とフランスだけなんですよ。だから、竹中さんのその経済認識は、そこらあたりを見てやっていらっしゃるんではないか。まさにこの直近の現状について、直近じゃないですね、もう二十五年続いておりますので。そこの現状認識が間違っているのではないか。

 そして、これは断言されたわけですね、名目成長率が名目利子率より高いと。私は、先ほど申し上げたように、そういう認識であれば、結局、財政再建が容易になるわけでありまして、果たして、そういう認識でいいのか。よくありませんね。政策責任者の現状認識というのは、やはり現状を直視しなければならないと思うんです。竹中さんの認識では、財政健全化はおぼつかない。財政健全化は達成できない、このように申し上げざるを得ないと思います。

竹中国務大臣 我々は、責任を持って政策を運営しなければいけない立場であります。国民に対する説明責任も含めまして、こういうビジョンで運営していくという数値を示しております。

 不良債権の比率を低下させると言ったときも、私は、池田先生の同僚議員から、それは達成できないというふうに言われました。しかし、それはまさに達成しつつあるではないですか。昨年のこの委員会で、たしか、プライマリーバランスを改善させていく、基礎的収支を改善させていくというふうに言ったときに、やはりそれはできないというふうに言われましたが、十六年度、プライマリーバランスは着実に改善するではありませんか。

 そのように、これは大変難しい道であるというふうには思っておりますけれども、その狭い道を経済は着実に歩みつつあるというふうに認識をしております。

 繰り返し言いますが、名目金利と名目成長率の関係、これは、やはり世界的にどうなっていくかというのは注目されるんだと思います。

 民主党のマニフェストによりますと、こうした経済の五カ年、中期のビジョンないしは財政のビジョンというのは、何か一年か一年半ぐらい置いてたしかお示しするというふうに伺っておりますが、これは間違っておったら申しわけありませんが、マニフェストの中に示されているような数値を、民主党はどのように名目成長率と名目金利を見通しておられるのか、ぜひお示しをいただきたいと思います。

池田委員 質問に直接答えていただきたいと思います。いろいろ、民主党のマニフェストまで持ち出していただいて、大変ありがたいと思います。

 竹中さんの発言は、竹中さんの今担当は経済財政政策担当大臣、金融担当大臣ということでございます。その方が、ことしの予算委員会の総括質疑の冒頭に、内閣の重要な政策で、目標であります財政健全化の入り口、基礎的財政収支の黒字化について発言した際出てきたものですね。これはやはり見過ごすことはできませんよ。しかも、岡田民主党幹事長の質問に対して、それは違うとおっしゃった上、歴史的に見て、名目金利が名目成長率より低いと断言されて、さらにわざわざ、非常に幅広く世界の専門家に共有されている考えだ、こういうことさえおっしゃっているわけです。

 そして、学者でいらっしゃれば客観的な資料は信頼されて、しかも、おひざ元の内閣府のつくった資料で、あなたのおっしゃったことは全く正反対のことでありますので、率直にまず発言を取り消された方がいいのではないかと思います。

竹中国務大臣 歴史的にというのは長期的にということとほぼ同義でございましょうから、先ほど申し上げましたように、長期的に見ますと、名目金利より名目成長率の方が高いのではないでしょうか。それは、先ほど申し上げましたように、一九七〇年代以降の日本の数字だけ私申し上げましたが、これは数字のとおり六・五と五・六でありまして、日本はやはり名目金利よりも名目成長率の方が高かった。私は、やはり長期的には、今後ともそのような姿が正常な姿として想定される姿ではないかというふうに思っております。

 そういうシナリオのもとに、我々、実際にデフレを克服して実質成長率を高めて、それで基礎的財政収支の回復を目指そうというふうに考えているわけでございますので、これは、歴史的な事実、それと我々の経済のビジョンとともに再度申し上げる次第でございます。

池田委員 竹中大臣のおっしゃる長期というレンジですけれども、この資料で一九五六年から二〇〇〇年まであるわけですが、この幅でとっても、あなたの言うように成長率が上回っているというのは、米国とフランスだけなんですね。全般といいますか、大きなトレンドとして利子率が上回っている。そして、最近の経済は四半世紀も前の経済と違うわけですよ、釈迦に説法かもしれませんが。もう最近は、しかも一、二年のことではなくて四半世紀、先進国全部で利子率が成長率を上回っているわけです。

 率直に誤りを認めていただきたい。そういうところから議論が始まると私は思います。

竹中国務大臣 これは繰り返し申し上げますけれども、長期的に見ると、名目成長率の方が多くの国で高いのではないでしょうか。近年について見ると御指摘のような点はある、これはもう私も申し上げたとおりでございます。しかし、長期的に、これは長期的にといいますか、ある意味でノーマルな、正常な姿として、私は、名目成長率の方が名目金利より高い。これは繰り返し言いますが、日本では過去三十年、アメリカでも、過去、どのぐらいの時間をとるかによりますけれども、やはり同じような長期でとりますと、アメリカにおいても名目成長率の方が高くなっているというふうに認識をしております。

 繰り返し言いますが、近年、各国、財政赤字に悩む中で、リスク要因等々で名目成長よりも名目金利が高くなる、それゆえに、各国、危機感を持ってしっかりと財政再建に取り組んだ。これはこれで事実でございますけれども、長期的な姿として想定されるのは、私は繰り返し申し上げますが、名目金利、名目成長率と比べて、名目成長率の方がわずかに高い姿ではないのかなというふうに思っております。

池田委員 これは意見の相違とかそういうものではありません。最近の経済のトレンドについての認識でありますので、竹中さん、これはもう明らかに間違いじゃないですか。これは明らかに間違いですよ。この間違いを認めても全然問題ないんじゃないですか、むしろすっきりして、ここから出発すればいいわけですから。

 それで、あなたは、歴史的に見てとか、非常に幅広く世界の専門家に共有されているとか、岡田幹事長の発言は違うと言ったり、そこまでおっしゃっているわけですから私も言わざるを得ませんけれども、これは誤りを認めるように強く求めたいと思います。

竹中国務大臣 これは誤りとかどうかというよりも、私は事実を申し上げているんです。

 過去、長期について見ると、名目成長率の方が高いんです。そうでしょう。それで、ただし、最近を八〇年代ととるか九〇年代ととるかはともかく、そういう状況下では、名目金利の方が高いという状況は出現している。だから、各国、財政再建に物すごく熱心に取り組んだ。

 しかし、通常の想定される、我々が長期に想定される一つの姿としては、ここからは事実の問題じゃなくて我々の経済認識の問題だと思いますが、これは私は、名目金利よりも名目成長率、ほぼ同じかもしれませんけれども、名目金利よりも名目成長率の方がやや高くなるのではないかな、少なくとも、名目金利が名目成長率よりも長期にわたって高くあり続けるというような状況は想定しておりません。

池田委員 前向きな議論をしたいと思っていますが、これは誤った前提で竹中さんに質問しても、なかなかしにくい。これは本当に竹中さん、本当に客観的な、言葉ではなくて客観的な反論をしていただきたい。それまで私はちょっと待ってもいいです。

竹中国務大臣 まず、事実として、過去三十年の間をとってみますと、日本の場合、名目金利よりも名目成長率の方が高かったというのは、これは事実です。私は事実を申し上げているわけです。

 期間をとって取り上げれば、そうではないところも当然あります。その違うところを取り上げて、池田委員は事実と違うではないかというふうにおっしゃられますが、三十年という期間を申し上げますと、繰り返し言いますが、名目金利が五・六、名目成長率は六・五であります。これは同時に、長期的な一般的な、つまり経済が正常化される中での一つの姿であろうというふうに私は想定をしております。

池田委員 これでは本当に困りますよ。これ、事実はもう明らかなんでしょう。政府でつくった資料なんでしょう。それが違うわけですから。(発言する者あり)いや、やはり担当は竹中さんですから。

 ちゃんと事実に即して答弁するように言ってくださいよ。委員長、事実に即して答弁されるように言っていただきたい。

竹中国務大臣 私は事実を申し上げております。私が想定しておりますような長期、今、三十年の数字を申し上げましたけれども、これは事実でございます。池田委員は、それよりは短い期間を取り上げて御指摘を言っておられるわけですけれども、三十年に関して申し上げると、名目成長率は六・五、名目金利は五・六、これは事実でございます。

池田委員 いかに説得力のない答弁かわかりました。

 しかし、これを放置しておくわけにはまいりません。その前提となる認識の問題、そして政府資料と全く正反対に食い違っていることでありますので、委員長におかれましては、理事会で我が党の議員がこの発言の取り消しを要求すると思いますので、協議をしていただきたいと思います。

笹川委員長 ただいまの問題につきましては、本来、竹中国務大臣の答弁で御納得していただけるのがありがたいと思いますが、納得していただけないようでございますので、理事会では協議をいたしますが、質問はひとつ続行してください。

池田委員 よろしくお願いします。

 年金問題に入りたいと思います。

 国民の皆様の年金に対する不信が大変高まっております。午前中も出たと思うんですが、未納率が四〇%近くになっております。

 国会に提出された政府・与党の年金改革法案は、保険料の引き上げを続け、給付を抑制するという内容ですが、加入者、国民に負担を強いる前に、やるべきことがあると私は思います。加入者、国民の納めた保険料が年金の給付以外に使われ、大変むだ遣いされているということであります。

 そこで、年金の論議を始めるこの時点で、現在の年金に対する不信感をなくすため、しっかりと現状をつかんで、これまでの年金行政を総括しなければならないと思います。

 加入者、国民が営々と積み上げてこられた年金積立金は、現在、時価ベースで百四十一兆五千億円にも上っていますが、この年金資金を使ってきた年金福祉施設、もちろん午前中議論があったグリーンピアもそうですが、それに年金住宅ローン、さらに積立金の運用、これらの諸問題について取り上げていきたいと思います。

 時間がありませんから端的にお答えいただきたいんですが、まず年金福祉施設ですが、二百六十五施設のうち七十七施設が減価償却費を含まないでも累積で赤字になっていると思いますが、いかがですか。

坂口国務大臣 今お話ございましたように、年金福祉施設、グリーンピア、年金住宅融資、年金積立金、こうしたものがあるわけでございますが、年金福祉施設につきましては、平成十四年度の収支状況によりますと、個別に見ますと、一部、大体全体の四分の一程度に赤字の施設がございますが、全体で見ますと、厚生年金保険、それから国民年金、それから制度共通の施設のいずれにつきましても、全体では黒字でございます。

池田委員 私の問いをちょっと間違えていらっしゃると思いますが、要するに、施設の数からいって、二百六十五のうち七十七施設が累積赤字ということですね。

 それで、年金福祉施設については、戦後初期は厚生年金病院などを建設してきたわけですが、昭和三十六年から会館、老人ホーム、スポーツセンターを設置し、昭和四十九年から休暇センターと呼ばれる総合老人ホーム、サンピアという宿泊設備のある健康福祉センターを設置してきたわけです。ピアというのが好きですね。官僚天国じゃないかと、ビューロクラトピアとでもいうんでしょうか、サンピアという施設をつくってきた。このうち、全国二十五カ所あるサンピアは十八カ所が累積で赤字になっていると思いますが、その点だけ確認をしたいと思います。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

薄井政府参考人 お答えをいたします。

 サンピアにつきましては、おっしゃられたとおりでございます。

池田委員 また、健康保険からも一部財源を入れて、健康づくり事業に加えて生きがい対策事業を行うといって、昭和五十八年から全国四十八カ所に社会保険センターをつくってきました。そして、さらに別の法人をつくって、今度は平成二年から十一年まで、全国四十四カ所に同様の社会保険健康センターを、健康という字が入っているわけですね、つくったわけです。わざわざ全国を二回りしてこういう施設をつくってきたわけでありまして、なぜこうなったのか、坂口厚生労働大臣に端的にお尋ねをしたいと思います。

坂口国務大臣 時代の移り変わりで大変変わってきたわけでございますが、私が最初に国会にお邪魔をいたしましたころには、いかにしてこの年金の、いわゆる保険料を払っている皆さん方に年金資金を還元させるかということが、これは国会の中での大変大きな課題でございました。

 そして、その結果、附帯決議といたしまして、これは参議院におきましても、衆議院におきましても、「被保険者にその利益が還元されるよう特段の配慮を加えること。」こういうことがあって、一方におきましては、皆さん方が住宅をお建てになりますときの住宅基金として貸し付けを行う。それから、一つは、こういう施設をつくって、中小企業の皆さん方や、あるいはまた年金に入っておる皆さん方に安い施設を提供するといったようなことがあって、そしてスタートしたというふうに思っております。

 しかし、だんだん、年々歳々、状況は変わってまいりましたし、年金の状況も大変変わってきたわけでございますから、時代に即応していかなければならないというふうに思っておりますが、スタートはそういうことで始まったというふうに思っております。

池田委員 全国二回りというのは、これも非常にやり過ぎだと私は思います。

 さて、新宿にある中央社会保険健康センター、ペアーレ新宿、今度はペアーレですね。このパンフレットがあるんですけれども、温水プールやジムなどに加えて、九十八の教室があるわけです。いっぱいありますね。英会話、書道などのほか、カラオケ教室が三つもある。そして、もっと見ると、やさしい手品の教室まであるわけです。(発言する者あり)ペアーレ新宿です。年金保険料を使って、どうしてやさしい手品の講座を開かなければいけないんでしょうか。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

坂口国務大臣 全体の大枠の総論としては、先ほど申し上げたとおりでございます。

 しかし、そうはいいますものの、年金を取り巻きます環境というのは、少子高齢社会の到来によって変わってきたわけでありますから、初めのうちはそうしたことを要求する国民の声があったことは私は事実だというふうに思いますが、現状に合わなくなってきているということは間違いがない。そこは改革をしていかないといけないというふうに思っております。

池田委員 一番喜んだのはやはりお役人とそれから建設業者などだと言われておりますが、この年金福祉施設の人件費は、大蔵省の指摘では、人件費率、民間の十七倍……(発言する者あり)ごめんなさい、一・七倍、十七倍は訂正します。しかし、それほど疑問に思われなかったところはおもしろいと思いますが。

 厚生労働省が最近出した「福祉還元事業の年金資産への影響」という資料がありますが、それによりますと、年金福祉施設にこれまで支出した整備費は、一部健康保険勘定も含めて、十五年度まで一兆五千六百九十七億円となっております。しかし、土地建物の評価は、既に四千九百十四億円減っております。そして、この影響試算によりますと、保険料財源の負担は、資産価値がゼロと仮定して、最大で一兆五千六百九十七億円になるとしております。

 つまり、売却すれば、資産価値がゼロでないにしても、施設整備費はほとんど返ってこない、損失になると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 ここは、御指摘をいただきましたとおり、年金福祉施設につきましては、昭和二十七年からこれまで支出した経費は約一兆五千五百億円となっております。これらは、固定資産として、年金の特別会計に約一兆五百億円が計上されているところでございます。

池田委員 この資料にあるとおり、年金福祉施設につきましては、最大一兆五千六百九十七億円の黒三角、赤字を見込んでいるわけです。

 グリーンピアに移りますが、これはもう午前中から論議がございます。被保険者、年金受給者のためとしてつくられた大規模年金保養基地、あの当時どんどんつくったわけですね。田中内閣当時だと思うんですが、列島改造論で、それであちこちにできました。大変な誘致合戦もありました。

 これまでこのグリーンピアについてはたびたび論じられてきたわけですが、全国十三カ所のうち売却できたのは二カ所、建設費およそ八十億円に対して譲渡価格は三億円、そのほかは投げ売りしようとしてもなかなか売れない状態になっております。先ほど出ておりましたが、合わせて三千七百九十八億円、その大部分が損失になるということであります。

 グリーンピアは議論がありましたので、次に年金住宅融資についてお尋ねしますが、年金住宅融資の損失額をどのくらい見込んでいるでしょうか。

坂口国務大臣 年金住宅融資につきましては、財政融資資金からの借入金利と、それから利用者への貸付金利の差を埋めますところの利子補給金というふうにいたしまして、この利子補給金につきまして年金財源から支出することといたしております。その支出総額は、約九千三百億円と見込んでおります。

池田委員 今おっしゃったように、貸付利子補給金は累計で四千六百九十九億円投下しているわけです。今後さらに、およそ八千五百億円が必要となるとしているわけですね。それに貸倒引当金百二十一億円計上し、合わせて一兆三千三百二十億円。今後の利子収入が四千億円で、九千三百二十億円の損失ということになります。

 年金住宅ローンについては、融資額をふやすために貸し出し審査がずさんだという見方が関係者に出ております。千百十七億円の不良債権、リスク管理債権は少な過ぎるのではないでしょうか。

吉武政府参考人 御説明申し上げます。

 年金資金運用基金が有しますリスク管理債権の額は平成十四年度決算で千百十七億でございますが、今先生お尋ねになられました住宅融資につきましては、転貸法人を通じて融資をしているものが大部分でございますが、最終的には実は銀行が一〇〇%保証する、そういう形になっておりますので、少ない状態になっております。

池田委員 転貸法人というのを多数つくったんですね。しかし、与信、十分な審査能力、資産査定能力があるとはなかなか思えない。いわゆる年福信、年金福祉信用保証株式会社の問題では、金融機関の側から、事前の情報開示のおくれなど、そういった転貸法人への不信感が表明されているわけです。この仕分けは大分怪しいという見方もあります。精査する必要があると思います。そして同時に、ずさんな貸し出しをしたとすれば民事、刑事責任も追及されるべきではないか、そういう印象を持ちました。

 次に、三つ目、年金の福祉還元事業の三つ目の年金住宅融資については、これまで、福祉施設一兆五千六百九十七億円、そしてグリーンピアが三千七百九十八億円、そして住宅融資が九千三百二十億円、合わせて二兆八千八百十五億円、これに近い損失が出るということであります。

 さらに、それに加えて、午前中もちょっと出ておりましたが、百四十兆円余りの年金積立金を運用する事業、これについてお尋ねしたいと思います。平成十四年度末の単年度の損益と累積評価損はどうなっているでしょうか。

坂口国務大臣 平成十四年度単年度だけでいいますと、年金積立金全体で見ますと、これは、百四十七兆六千億円に対しまして、運用結果は約二千四百億円のプラスになっております。

 ただ、年金資金運用基金の部分だけで見ますと、これは約三兆円の赤字になる、こういうことでございます。

池田委員 十四年度末に三兆六百八億円、これは単年度ですね。そして、累積では六兆七百十七億円。十五年度四―六、四月―六月期ではプラス二兆円、二兆八百五十八億円。七月―九月では三千五百九十七億円ということになっております。このデータは、六月末で三兆九千八百六十二億円の累積評価損になっております。大変巨額ですね。

 では、運用状況、成績はどうか。

 市場の平均収益率、いわゆるベンチマークと比べると、十四年度では、外国株式を除いて、国内株式、外国債券、国内債券、短期資産いずれでも、市場の平均収益率、ベンチマークを下回っております。十五年度全般でも同様です。

 成績がよくない理由は何でしょうか。

吉武政府参考人 ベンチマーク収益率との関係で申し上げますと、いわゆる市場に連動しますパッシブ運用とアクティブ運用の関係がございまして、パッシブ運用につきましてはほぼベンチマークと同じ動きになっております。

 それで、アクティブ運用の比率がこれまで割と高かったわけでございまして、現在、アクティブ運用の比率を三割という形で低くいたしておりますが、そのアクティブ運用の分野でベンチマークに対して低いという状態が全体に影響を与えているという状態です。

池田委員 国民の皆様の貴重なお金を使っているわけですね。

 それで、今の答弁、パッシブ運用とかアクティブとかいろいろおっしゃっていますが、わからない。私、ベンチマークと言うのも気が引けたんですね。ちゃんと辞書を引きまして、市場の平均収益率。不親切ですよ。大体、その姿勢が余り感心できない。(発言する者あり)要望にこたえまして、では、もう一度わかりやすく端的に答弁してください。

笹川委員長 わかりやすく説明をしてください。

吉武政府参考人 大変失礼いたしました。

 市場の平均収益率、これに対しまして比較を行います。例えば株で申し上げますと、TOPIXに対して比較をするという形で、TOPIXというのは、東京市場の株価の加重平均でございます。量も入れまして加重平均の収益率でございますが、これに対しまして、先ほどパッシブという言葉を使いましたのは、市場に連動いたしまして運用を行う。東京市場の株価は全体で上がったり下がったりしますので、それに対応して運用を行う。東京市場の株価の構成とほぼ同様のものをもって株式運用を行うわけでございます。

 それから、アクティブというふうに申し上げましたのは、例えば、非常に成長性のある株式を中心に運用を行う、あるいは電力でありますような非常に安定した株式を中心に運用を行うという形でございまして、この比率が従来五対五ぐらいで行っておりましたのを、市場平均に連動する比率を七割にという形で変えております。

 そういう形で、今、成長株あるいは割安株という運用の分野を縮小いたしまして、できるだけ市場の状態と同じような形で株式の運用を行おうという方に今変えてきております。

池田委員 まあ、たくさん賢い人がいて、市場の平均収益率も上回れない。これもおぼつかないですね。ですから、アメリカでやっているように、国債だけで運用するとか、そういうわかりやすい運用をした方がいいかもしれません。このことを申し上げておきたいと思います。

 さて、以上、一応総ざらいで見てきたんですが、年金福祉施設で一兆五千億円余り、そしてグリーンピアで三千八百億円、年金住宅融資で九千三百億円、三事業で合わせて二兆八千億円余り、損失がこれだけもうほぼ間違いなく出る。これは厚労省の資料によって出した数字です。

 それに加えて、積立金の運用で、ことしの六月現在で四兆円近い評価損を出している。合わせるとこれは七兆円、百四十兆円余りある年金積立金が七兆円も赤となっている。それは確かに預託金利の利子収入があるかもしれませんが、こういう成績なんですよ。こういう実態なんですよ。

 基礎年金の国庫負担率を現行三分の一から二分の一にすぐ引き上げることができるわけですね。すぐ引き上げることができる。国民の貴重な老後資金である保険料の積み立てをこんな浪費していいのか。坂口大臣と小泉総理に端的にお尋ねをいたしたいと思います。

坂口国務大臣 今お示しをいただきました中で、施設の問題は、確かにそれだけマイナス分がございまして、これは今後、何とかできるだけそのマイナス分を少なくしなければいけないというふうに思っております。

 個人にお貸しをしました住宅融資の問題は、これは確かに金利の補給等をいたしておりますけれども、年金にお入りをいただいております多くの皆さん方がそれで住宅を建てられて、そして利益を受けていただいたことも事実でございまして、ここのところは私は若干ほかの分野とは違うというふうに思っております。

 それから、最後の六兆円、よくマイナスになったというお話ございますが、これは午前中にも申しましたとおり、年金で皆さん方から集めさせていただきましたものは財政投融資、財投に一遍お預けをして、そこから五%台の利息で借りて運用をしていた、それが六十一年から平成十二年まででございます。

 そういたしますと、この間で本当は九兆五千億ここで稼いでいるわけでございますけれども、五%台の金利を払おうと思いますと十一兆円ぐらい稼がないとだめだった。したがいまして、九兆五千億稼ぎましたけれども、これはみんな財投の方へお返しをした、金利で払った、それで足らないのが一兆七千億ぐらい残った、こういうことでございますから、全部が全部いわゆる株に負けて、そしてこれを捨ててしまったというのでは決してなくて、国にお返しをしたということでございます。そうした問題もございます。しかし、十三年、十四年のこの二年間は、株式でマイナスになったことだけは事実でございます。そこを何とか挽回をしなきゃいけないというふうに思っております。

小泉内閣総理大臣 これは今まで何回か議論されたことでありますが、年金還元融資、あるいは年金住宅融資、グリーンピア、この資金の流れ、わからないとみんな歓迎するんですよね。地域の人にとっては、おお、民間企業もやっていないのに国はよくやってくれるな、自分たちの金じゃない、リゾート施設つくってくれ、ホテルつくってくれ、民間よりも安い料金で利用できる、いいな、住宅融資、民間の金利は高い、金融機関、ああ、安く融資してくれるのか、いいなと。この安い金利の補てんを年金の積立資金なり税金で補てんされるということがわからなければ、みんな歓迎なんですよね。

 これは、そういうことをうまく利用して役所が自分たちの組織を肥大化させよう、あるいは天下り先をふやそうということについては、私は多くの国民が憤りを感じていると思いますね。ようやくわかってきたんです、資金の流れが。

 みんな、負担は軽く、サービスは多く、いいに決まっているんです。しかし、だれが負担しているのか。年金を掛けている人に比べれば、施設にしても住宅融資使っている人でも、ごくわずかですよね。そういう人たちが、必要だからどんどんつくってくれと。これが天下り機関になっている、こういうことは直さなきゃいかぬ。

 社会保険庁も、本当に病院をつくる必要があるのか。病院をつくってくれればみんな喜ぶんですよ。病院経営して利益が上がるのかどうか、よく考えなきゃいかぬ。利益が上がるというのは難しいと思いますね。そういう点もやはり考えて、付近の人、病院つくってくれたと喜ぶかもしれないけれども、この負担は一体どこでするのかということをやはり考えてもらわないと、この特殊法人改革にしても、財投資金の改革にしても、民間にできることは民間にと言っていても、民間がつくってくれないんだから役所で、おれたちが負担しないんならつくってくれという意識というものは、やはり変えてもらわなきゃならない。

 できるだけ効率的にということで、私はいい指摘だったと思いますが、この指摘を踏まえて、政府も改革に取り組まなきゃいかぬと思っております。

池田委員 今資金の流れを、きょうは全体像を一つ示したつもりなんですが、天下りといいますか、この問題もあります。

 厚生労働省から資料をもらって、年金積立金を使っている事業を行っている法人の資料を足し合わせて、主要法人百五十九には、配付資料の三にございますが、役員二百二十四人を含めて八百五十八人の厚生省出身者がおります。そして、ここにありますように、年金資金運用基金で役員四人中三人、また社会保険協会では役員八人中三人が厚生省OBで占められております。

 給与、報酬を見ますと、年金運用基金の理事長は、前厚生労働事務次官ですが、年間報酬、ここには月額しか出ておりませんが、資料によれば二千九十四万円。多額の損失を出したグリーンピアの委託先の年金保養協会というのがあるんですが、そこの理事は、十四年度、十五年の三月まで、年間一千二百十四万円の報酬を得ているわけです。

 どうですか、皆さん。天下り先を多数確保した上、巨額の損失を出しながら高額の報酬を得ていることをほうっておいていいと思いません。保険料の引き上げ、給付の引き下げを強いられる国民はどう思っているか。年金積立金に三兆円もの損失を出し、国民の貴重な退職後に備えた資金が大きく失われたことをそのままにはできません。年金に対する信頼を取り戻すために、徹底的に調査をする必要がある。

 まず、政府は、これはかねてから言っているんですが、当事者から離れて、独立の調査委員会を置いて調査をし、責任の所在を明らかにすべきだと思います。調査の結果は国民、国会に報告すべきだと思います。

 民間の銀行では、長銀や日債銀の経営者は有価証券報告書虚偽記載罪で刑事責任を問われました。任務に背いて損害を与えたのであれば、特別背任罪の適用も視野に入ってくると思いますが、まずは民事上の損害賠償の請求などを行うべきであると思います。

 また、過去にさかのぼって、責任ある者には退職金の返還を求めるべきだと思います。年金運用基金は、株式を保有している会社の株主総会で経営不振、事業不振の取締役を選任することには反対をしているわけです。反対しているんですよ、事業不振の取締役の再任については。ですから、まず過去にさかのぼって、退職金の返還についてみずから範を示すべきではないかと思います。少なくとも、これまでの事業を総括して、責任ある者は過去にさかのぼって退職金を返還するよう求めるべきであると思いますが、坂口厚生労働大臣から最後の答弁をお願いいたします。

坂口国務大臣 先ほど総理からもお話のあったとおりでございます。よく検討いたしまして、結論を出したいと思います。

池田委員 終わります。

笹川委員長 この際、河村たかし君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。河村たかし君。

河村(た)委員 総理をねらう男、河村たかしでございます。(発言する者あり)もうちょっと待っておってください。

 総理、冒頭に、日本の今の問題点というのを。

 総理も一緒に、民営化というか民間経済を大事にする人だ。私もずっとそうやってきた。まあ、総理が留学しておるときに、私はトラックに乗って、リフトに乗っておった方ですけれども、それでやってきた。

 それで、どういう国になっておるかというのをちょっと。パネルにありますけれども、国民の皆さんもぜひ見てていただければいいけれども、公務員給与は民間の二倍もあるということで、私はこれを見てびっくりしましたよ。一番上にあるこれ、この左側にちょっと数字がありますけれども、総理、左肩に。これは、財政計算をしますとこういうふうになります。国民の皆さんもぜひパネルを見て、これは怒らなあかんですよ。頭にこにゃいかぬということですよ。

 上からいって、まず、全雇用者給与総額が二百七十五兆、全雇用者数がこれで五千三百万人ですか。時間がないので飛ばしまして、一人当たり全雇用者年間給与が、総理、これを見ておってくださいね。公務員が、三行目後に出るでしょう。一人当たり公務員年間給与九百四十三万一千円、それから、一人当たり民間雇用者年間給与四百八十四万三千円ですよ。

 総理、これは実際、僕、実感としては、もっとひどい格差があるような気がします。大体、税金を払う方が苦労して、税金で食っておる方、公務員と、議員も実はそうなんですが、これが楽をしておる世の中なんて、こんなの、めちゃくちゃ、八百長だよ。こういう国を直すのが、僕は民主党の使命だと思うよ。民主党の使命だと思うし、小泉改革の使命じゃないかと思うんだよ。

 五百万円違うでしょう。大体五百万円違って、雇用者数が四百万弱ありますから、掛けますと十七兆五千億になるんだ、十七兆五千億。十七兆五千億というと、これは消費税七%より多いんですよ。国民年金が十六兆円です。ということは、わかりやすく言うと、民間の皆さん、テレビを見ておる人、皆さんは、自分の税金を、公務員とか議員のお金は全部税金だから、皆さんは自分の消費を、消費税七%以上、十七兆五千億節約なりして、どこかで一杯飲みたかった、吉牛で牛どんも食いたかった、それを節約して、税金という格好で公務員の余剰給与に払っている、十七兆五千億、消費税七%以上、こういう国なんだ。

 だから、このままずっと質問に行きますけれども、要するに、こういう議員天国、公務員天国。

 それから、公務員の中でも、とんでもないことがわかったことがある、私、名古屋の刑務所の話で。役人の上の方はいいわ、上の方は、組織を大事にして。だけれども、本当の国の秩序を一番ぎりぎりの下の方で守っておる、縁の下で苦労しておる刑務官が、むざむざと無実の罪で、とんでもない不幸な目に遭っている。こういう社会を私は直したい、これは本当に。直したい。

 それから、地方の土建屋さんが、後で出てきますけれども、総理、天下りと今よう出てきたけれども、上の方の天下りばかりですよ、普通出てくるのは、道路公団に行ってどうのこうのと。地方の、九州なんかひどいようだけれども、そこの現場の事務所の副所長さんあたりがどんどん民間会社へ行って、楽な天国、そして、地方の土建屋さんを物すごく苦しめているんだよ、これ。

 こういう構図をぜひ国民の皆さんにもお話しして、総理、本当に、ぜひ、同じ思想だと思いますから、ここは強く直していって、民間で苦労しておる人たち、商売やっておる人たち、そういう人たちが社会の主役になるようにしてほしいということで、まず冒頭、これはパブリックサーバントといいますね、総理もイギリスで勉強されてきたようでございますので、この精神からいってどう思われますか、この十七兆五千億、給料が倍になってまったという話を。どうでしょうか――いや、これは総理に聞きます。いや、これはお願いですから、総理に。

小泉内閣総理大臣 事実関係はそれぞれ担当大臣が話されますが、今のお話、確かに国民感情からすれば納得できない面も多々あると思いますが、公務員に対しましては、一般の民間人と違って、身分保障等あるいは人事等、一つの保護された規定がございます。この点については、人事院というのもありますし、恣意的に下げることはできないし、上げることもできないし、やはり民間の給与に準拠してやらなきゃいけない。

 一時、景気のいいときには、何で公務員の給与は安いんだという、民間が景気のいいときには、民間、うらやましがられたことがありますが、やはり不景気になると公務員がいいなと。やはり浮き沈みがあるんですね。そういう点から考えると、公務員というのは安定しているからこそ、多くの国民が、できたら公務員になりたいなという気持ちがあるんだと思います。

 こういう点をよく考えて、今も、これはちょっと高過ぎるじゃないかということがありますと、人事院の勧告以外のことはできませんというような返答が返ってくるんですよ。いろいろ理由があると思いますが、やはり国民とバランスのとれた、国民から信頼されるような給与のあり方、また、公務員の生活を保障する、公務員が意欲を持って公僕として働けるような条件というのはどういうものにするべきかという点は、不断の見直しなり検討が必要だと私は思っております。

河村(た)委員 本当は、身分が安定しておるから給料が安ならないかぬのだよ、小泉さん、総理。海外はみんなそうなんだ。海外はそうなんです。海外は、公務員というのは身分が安定しておるから民間より安いんです。日本でも、バブルのちょっと前までは、実は安かったんだ。だから、そのころの公務員さん、今テレビ見ておると怒っておるかわからぬけれども、そのころは、確かに、民間並みだということで苦しかったんだ。

 今はとんでもないことだ。こればかりじゃないですよ。年金も三割から三割五分高い。再就職はめちゃめちゃある。住宅はある。これは物すごいですよ。こういう社会を転換していかないかぬ。これはもともと自民党がやらないかぬのだよ、それ。そういうことですよ。(発言する者あり)組合は知りませんよ、私は。(発言する者あり)そんなものは、私は私で頑張って闘うんだよ、そういうのは。僕はそういう気持ちでやっておるということです。

 では、時間がありませんから、次に、農林大臣。

 鳥インフルエンザでメキシコからワクチンを買われたと思いますが……

笹川委員長 河村たかし君、演説も結構ですが、質問するかしないか、事前に、だれに質問するかを。

河村(た)委員 農水大臣にお願いします。

 鳥インフルエンザでワクチンを買われましたね。これはメキシコでお幾らだったんですか、このワクチンは、買われたやつは。幾らのワクチンだったんですか。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 メキシコから、鳥インフルエンザのワクチンを生産しているところは非常に少ないわけでありまして、私が承知……(河村(た)委員「何ですか」と呼ぶ)生産をしているところは少ないわけでありまして、メキシコから購入したのは二千七百六十万円……(河村(た)委員「現地で幾らだったんですか」と呼ぶ)いや、私が承知しているのは二千七百六十万、こういうことです。

河村(た)委員 現地で幾らのワクチンになっているんですか。

亀井国務大臣 現地の価格につきましては、承知をいたしておりません。

河村(た)委員 委員長、めちゃくちゃですよ、これは。現地の価格をわからぬようなワクチンを買ったの、これ。何をやっておるんですか。人の金だと思っておるせいかね。だれだって、税金を使って何か買うときは、向こうで幾らなんて当然わかってやりますよ。何なんですか、これ。とんでもない話だよ、これ。

亀井国務大臣 接種の関係では八・六円です。八・六円、一ドース、一回の接種が八円六十銭、こういうことです。

河村(た)委員 何か単位がよくわかりませんが、はっきり言いますと、買われたのは一本大体三千円ぐらいですね、五百ミリリッターが、現地で。それを八千六百十円で買っているんですよ、これ。運賃も入れて四千円ぐらいのを倍で買っておるということですわ。そういう情けない、どさくさでとんでもないむだ遣いをやっておるということです。間違いございませんね。

亀井国務大臣 そのような金額になろうかと思いますけれども、このワクチンにつきましては、緊急の事態、こういうようなことで、生産しているところがメキシコ、こういうようなことでございまして、そのような関係で緊急に輸入をする、こういうようなことで購入したわけであります。

河村(た)委員 緊急、緊急といっても、去年からいろいろ指摘があって、冗談じゃないですよ。私も農水省と会っていろいろやっているんだから。そんなどさくさ紛れに、ろくな情報もなくて、めちゃくちゃやったというだけじゃないですか。――もう結構です。

亀井国務大臣 どさくさに紛れてと。言葉をよく考えて使ってください。

 私どもは、昨年の八月ころから、こういう事態、いろいろ研究機関で調査をして、このワクチン、H5をどうするか、こういうようなことは事前にやってまいりまして、そして、農政審の家きん小委員会の専門家の皆さんのお話を伺って、それぞれ事前に調査もしてきた結果、そして、このような事態に、山口県での発生、こういうことになりましたので、緊急の事態として輸入をしたわけであります。

河村(た)委員 まあ、いいですわ。緊急の事態として、運賃も入れて現地の倍の値段で買ったということです、これ。とんでもない話です、まず。

 では、次に行きましょう。次は、これは小泉総理。

 先ほどちょっと海江田さんも言われたけれども、公務員の給与が倍になったと、これは公務員に文句を言ったってしようがないね、よく考えたら。よく考えたら、やはり議会と議員なんですよ、これ。そういうことは僕らの責任なんです、これ全部。そういうことで、やはり国民と同じ生活をしようじゃないか、年金でいえば。

 国民の皆さんも誤解されませんように。議員年金を廃止いたしましても、昭和六十一年から国会議員は国民年金に強制加入しております。ずっと昔は入れなかったんです、昭和五十五年以前は。今は強制加入ですからね、皆さん。全員が国民年金に入っております。

 そういうことで、ちょっと総理がおやめになったようでまことに申しわけないけれども、きのうちょっと言っておきましたので。例えば、総理が今おやめになった場合、総理大臣としては別ですよ、議員としての場合、議員年金が幾らになって、国民年金が幾らになるか。これはきのう言っておきましたから、ちょっとおっしゃっていただけませんか。

小泉内閣総理大臣 いや、私、調べなかったもので、済みません。まだやめる気ないものですから、全然。やめたらどうなるのかと調べなかったもので、済みませんでした。

河村(た)委員 いや、これは秘書官、何やっておるんだ、一体。私は、総理の手を煩わせる気もありませんよ、当然。ちゃんと言っておきましたよ、調べておけと言って。

 これ、今、どういうことかわかりませんけれども、先ほど海江田さんも言いましたけれども、私が例えば六十になると四百五十万、六十からもらえます。(発言する者あり)ちょっとわかりません。もうちょっと多いと思いますけれども。それで、私はたまたま、小さいながらも商売をやってきましたので、六十五歳から厚生年金です、二百十万。これ、六十五になると両方もらえるんですよ。六百六十万もらえるんだ、私はね。(発言する者あり)いや、皆さんもそうですよ、言っておきますけれども。国民年金もらえるんですよ、国民年金。

 だから、私、総理に言いたいのは、先ほどちょっと、みんなで考えりゃいいと言われたけれども、そうじゃなくて、国民の年金はだれが決めるんでしょうか、国民の年金は。みんなが決めるんですよ、国会議員が。国会議員が決めるのに、国民の年金と同じ年金、国民年金と、ほかにですよ、ほかに隣の部屋で刺身定食みたいなごちそうを食って、アンフェアじゃないですか。やはり決めるんだったら、国民と同じ年金をもらって、みんな同じ年金もらって、国民と同じ立場になって、だから皆さんの年金を決めます、そう言うべきじゃないでしょうか。総理、どうですか。

小泉内閣総理大臣 その年金のあり方については国会で決めるんですし、国会議員の間で今どういう改正がいいかという議論をしていると思います。私は、どういう改正がいいか、国民にどういう形で示した方が理解が得られるかというのは大いに議論していただきたい。

 それで、同じような問題提起したこと、私はあるんですよ。(河村(た)委員「二十五年表彰」と呼ぶ)二十五年表彰以外にこの議員年金で。掛金が毎月、国会議員の場合は十万円以上負担している。(河村(た)委員「それも税金ですよ」と呼ぶ)いや、これも税金といいますが、それは給料の中からですから、議員給料の中から負担しているわけですから。お互いが、議員は一般の国民年金以外に、議員としてやめた場合にどういう年金を受け取るべきかという中で議論が出てきたと思うんです。これが適正な額かどうかというのは、ここは大いに議論してもらいたい。

 それと同時に、今、高額所得者の中には年金なんか要らぬという人も、民間にもいます。そういう点についても、今回の改正では、高額所得者に対しては一定程度制限なり課税してもいいのじゃないかということで出しているわけでありますので、この問題とは、議員年金とは別と思いますが、やはり議員年金のあり方、何歳から支給がいいのか、十年間議員を務めたら資格が出ていいのか、もっと延ばしていいのか、いろいろ議論は出ているんです。

 それで、一人だけやっても、おまえ、格好いいこと言うなという意見もありますから、よくみんな議論していただいて、やはり今のままじゃよくないなと私も思っています。やはり改善すべき点、よく、与野党立場を超えて、どうやって国民が納得いくものができるかということをぜひとも検討していただきたいと思います。

河村(た)委員 もうちょっと、せっかくでしたら、僕は総理をちょっと、余り褒めると後で怒られるかわからぬけれども、二十五年表彰をやめられたのは立派だと思います。私も委員長特権をやめましたよ、一日六千円要らぬと言って。それでいろいろ嫌われた、これ。二カ月で首になってまったですよ。だけれども、やはりまず自分から、パブリックサーバント、公僕として国民と同じ生活をしよう、だから国民のことは決められるんだと。これは私、議員の最もベーシックなことだと思うんです。それが今ないんだよ、問題は。だから年金だって、国民年金も、四割が払わぬと言っておるけれども、そういう問題が生じてくる。

 だから、ぜひ総理、これは要するに、議員年金をやめればどうなるかといったら、みんな国民年金になるんですよ。今、強制加入だから全部入っているんですよ。これ、実は国民と同じになるだけなんです。そうすると、四十年掛けて七十九万七千円しかもらえない、やれるのかこれで、おれたち議員は、こういう議論が必ず出てくる。そうなれば、厚生年金から、公務員の共済組合はなぜ三割も三割五分も多いんだ、そういう議論が出てきて、一本化しようと必ずなってきます。

 だから、ぜひ総理、ここは強いリーダーシップで、理由は一つです、国民と同じ生活をしよう、だから国民のことが決められるんだという原点に立ってお願いしたいということです。これは要望でございます。

 それで、次へ行きます。これはひとつ役人天国というのを言っていかにゃいかぬです。

 これは、小泉さん、総理、知ってみえるかどうかわかりませんが、ちょっと言いましたけれども、地方の、こういう資料があるでしょう。お手元にあると思いますけれども、三枚目か四枚目、四と書いたやつです。番号が左の方に1、2、3、4と書いてあって、間がちょっと空き線で抜いてあるやつですね。総理の方、わかりますか。どれを見てみえますか。もう一枚下じゃないですか。それです。

 これを国民の皆さんも見てほしいんですけれども、これはある議員さんの後援会の資料なんですが、ここにずっと、左に「企業名」があって「本社」、それから次に「行政経験者氏名」と書いてあるでしょう、一番上の欄、「行政経験者氏名」と。「連絡先」「郵便番号」「連絡先住所」「現在の役職名」要するに、建設省出身の方です、これ全部。これが全部、こういうふうに欄があるんですよ。当然のようにある。それで、「技術企画部長」「技術開発部長」「技術開発部長」「総務部長」「顧問」「土木部長」こういうふうに、こういうノンキャリの天下りが地方経済を食いつぶしておる。

 こういう現状が特に九州の方であると私は聞いております。それに政治が絡んで何ともならない。土建業者さんが正当な営業活動をやっても、こういうOBが全部仕事を決めちゃうんです。こういう構造があって、民間経済を物すごくむしばんでいるんですよ、これ。

 もう一つ、その待遇を出します。待遇の方もありますが、ちょっとこれを見ていただけますか。二番、これでいきますと、「地方整備局工事事務所副所長クラスの退職金及び年金支給額の試算例」で、要するに、三十七年でやめますと、退職金三千万、それから、共済が満額で二百三十万ですけれども、実は加給年金というのがありまして、公務員にはこういう職域年金があって余分につくんです、四十万程度。だから、二百七十万から八十万、年金をもらう。

 「以下、河村たかし事務所調べ」、これを読んでいくといいんですが、「五十五歳退職(体が悪くない限り一〇〇%天下り再就職)」「(例)A社 年収九百二十万円で副所長天下りを受け入れ。 会社負担は、年約一千五百万円(社用車(絶対)、OB会ゴルフ費用なども含む)」「十年間いられる。延長あり。」「週一〜二回、顔出しで十分会社にいるだけ。あとは何をやっているかわからない。」「選挙の前は、半年いない。」「会社の仕事は、OB一人あたり一〜二億取れるが、逆にそれ以上は営業しても取れない、頭打ち。」

 こういう現状があるんです。これは本当です。これは、私、ずっと回ってきましたから。こういう民間経済を侵食する現象、小泉さん、多分これは御存じなかったと思うけれども、どうですか、御感想。御存じなかったでしょう、こういう話は。

小泉内閣総理大臣 これは今初めて拝見したもので、それがどうか、私はわかりません。

河村(た)委員 これは本当なんです。(発言する者あり)いや、本当なんです。ぜひ回ってください。

 私、こういう本当に商売をやっておる人を助けたいんですよ。助けたい。それは政治の力が要りますよ、どうしても政治の力が。だから、こういうもの、一番いかぬのは、要するに、天下りの話をしておりますけれども、役所があっせんするからだめなんです、あっせんするから。これは、実際するのは、企画調整官というのがおって、九州地方整備局というんですか、ここにおって、そういうところから、後で国税のことも言いますけれども、役所がOBの集団あっせんをやっておるわけです、これ。

 前に、ここで小泉総理にも言いまして、きちっとやらなあかんと言われましたね、国税の問題で。あれもそうです。役所が集団あっせんをやらせているんですよ、実際は。ぜひ総理、これは調べられて、本当にこういうのはやめましょうよ、役所が民間の経済を支配するようなことは。本当に害悪ですから、これ。

 自分でやってもらえばいいんです。彼らは、退職金も三千万ある。年金もある。あるんですから、ちゃんと、退職してどうしても自分で何か行きたければ、自力でちょっと時間をかけて回ればいいんですよ、それは。そういう体制に改めませんか、総理。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

小泉内閣総理大臣 私は、そういう天下りも、役所があっせんするとかそういうことじゃなくて、一定の仕事が終われば、どういう仕事をまたしたいか、本人が、選択の余地があるんでしょうし、また民間も、どういう人が欲しいか、嫌々天下りを受け入れる必要はないと思っております。

河村(た)委員 では、とりあえず調査だけ、総理の方から、こういう実態、これは命じていただきたい。――いや、総理の方から命じていただければいいですわ。命じていただければいい。

石原国務大臣 事前にこの質問を見せていただきまして、私なりに調べさせていただいたんですが、やはり昔は、割愛申請書とかいって、車を載っけろとか、そういうものがあった、しかし、今はないということなんです。再あっせんはしていないということが事実だということでございます。

河村(た)委員 どこを回ってきておるんだよ、一体。だからだめだと言うんですよ、これ。先がたの方でもそうだけれども。本当に土建屋さんの現場、聞いてやってくださいよ。私、行ってきたんだから、これ。(発言する者あり)そうなんですよ。だれが、大臣が言って、そういうことがあると言いますか、これ。当たり前じゃないですか。

 あんなふうですから、総理、本当にこれは一遍、特にノンキャリのこういう集団での再就職、これは調査すると一言言ってください。お願いします。

小泉内閣総理大臣 これは、調査する、そう言う以前に、民間も、そういう好ましくないというか、自分が採りたくないというのは遠慮なく断ればいいんですよ。それで、役所も、そのようなことはしない。(発言する者あり)その辺はやはり、民間も、こういう状況があったら、そういうことはやめてくれということをどしどし言っていただきたいですね。役所としても、そういう無理やり能力のない者まで押しつけるようなことはしてはいけない。

河村(た)委員 それはしてはいけないですし、総理言われたけれども、民間から頼むことも事実ですよ、みんな苦しいから。だけれども、それは、そういう権限があるからそうなっちゃうんですよ。役所の方から、そういうことをしません、集団であっせんはしません、どうしても行きたければ自力で回りなさいと。いいんだから。だから、まず調査だけしてくださいよ、総理。――いやいや、彼はないと言っているんだから、だめだよ、そんなもの。何ということだよ、これは本当に、こんなこと。

石原国務大臣 ないという報告を受けておりますが、そういう事実があったら言ってください、事実があったら。事実があったら言ってください。実名を出して言ってください。そういうことのないように指導いたします。

河村(た)委員 あると言って、今ここにあるじゃないですか。会社の名前なんか言えるわけないじゃないですか、プライバシーがあるし。何を思っているんですよ、あなた。何を言っているんだよ、もう。何を言っているんだ。まともに調べればすぐ出てくるんだよ、これ。

 後で言いますけれども、総理、こういう姿勢はだめですよ、やはりこれ。そんな、役所が調べて、大臣が言って、ありますか、ありませんと言われて、当たり前だ。民間経済というのはもっと苦しいんだぞ、本当に。何を思っているんだよ、これ、大上段に振りかぶって。冗談じゃない、そんなもの。冗談じゃないな、これ。

 それでは、調査していただくということで、これは。調査していただくということで、小泉総理、うなずいておられるから、これはお願いしますよ、本当に。

 それから、大臣、こういうところに政治が絡んで、建設省OBの国会議員なんかが人事を左右したり、それから金の要求をしたりとか、そういうことはないでしょうね。

石原国務大臣 私、決して大上段に構えているわけではなくて、言っていただければ、ないという報告を官房長を問いただして、あるだろう、あるだろう、出せ、出せ、ないです、ないです、ないですというわけですから、出してくださいということを言っているわけでございます。(河村(た)委員「答弁していないよ、金のことがあるかないか」と呼ぶ)

北村(直)委員長代理 河村たかし君、どうぞ御質問。

河村(た)委員 もう一回。だから、こういうところに建設省のOBなんかの国会議員が人事に口を出したり金を要求したりとか、そういうことはないですね。

石原国務大臣 国交省のOBの方々が現職の議員として活動していることは承知しております。そして、その方々が、委員の御指摘のとおり、どこかに圧力をかけて金を取ったという事実を、私は承知しておりません。

河村(た)委員 これも、あると言うはずがないからしようがないわね。結構でございます、これは。

 だけれども、先ほど調査してくれると言いますから、これは委員長、九州地方整備局というんですよね、ここの局長か責任者を一遍参考人で呼んで、そちらから聞きましょう、そちらから。それを取り計らってください。

北村(直)委員長代理 理事会で協議いたします。

河村(た)委員 では、次は、どうも地方の公共事業で、私も最近思ったんだけれども、二つの道があるようですね。議員がもうけて党がもうけるというシステムと、それから、先ほど言ったのはいわゆる役所のOBが官製談合、そういうパターンとあるんです。先ほどのは、役所のOBの方です。

 それから、こっちは、これは山陰自動車道の、高速道路の、小泉さんの改革の一つのポイントですけれども、これを見てみますと、ずっと工事ごとに、ずっと各路線があるわね、「工事名」が船津中、仏経山トンネル、斐川工事ですか、ずっとあって、「請負業者」、これはグループで私どもちょっとつくってみたんですけれども、ここが全部、工事をやるのはのべつ幕なし、順番に、何か機械的に、国民政治協会、自民党へ寄附しておるわけですよ、これ。

 幾ら何でも、総理、これをちょっと見てみますと、余り名前を言うと感じ悪いですけれども、左から三番目の辺のところから、年間に大体一千万近い、一千八百万、こういう献金になっておるわけですよ、国民政治協会に。ちなみに、超大手の鹿島建設でも、平成十四年、売り上げ一兆円で一千百九十六万ですよ、国民政治協会への寄附は。それから大成建設、売り上げ一兆三千億、ここで千三百九十一万ですよ。

 それを考えると、こうやって、地域の立派な企業だと思うけれども、こういう方が一千万、二千万、工事をやるとのべつ幕なしにこうやって自民党へ献金しておる姿、これ、道路というのは自民党のものなんですか。自民党本部の建設工事ならわかるよ、これ。これは違うよ、国民のものじゃないですか。こういうのは、ちょっと総理、いかにもやり過ぎと思われぬですか。

小泉内閣総理大臣 いや、それは、個別の企業でどれほど献金しているのか、私は知りませんし、それは法律にのっとってやっていただきたいと私は思います。

河村(た)委員 総理、法律にのっとるということは当たり前なんですよ。法律にのっとらなんだら犯罪ですから、これ。よくそう言われますけれども、政治献金で。法律にのっとった合法的なことでもやはりやり過ぎじゃないかと、これは。(発言する者あり)道義的にというよりも政治的にですね、これ。道路を走るのは自民党だけじゃないんですから。民主党の人も走ってその道路利用料を払うんですから、これ。そういうお金が回り回って自民党へみんな行ってってまう、こういうことですよ。

 それと、ぽんぽんとふえておるときがあるんですね、見てみますと。十二万だったのが次の年に三百十二万になったり、次の年に二百十二万、こういうときのは、これは工事がぽっぽっとあるときがあるんですよ。

 こういう構造は、総理、これは何とかせぬといかぬですよ、本当に。そういうためにやっておられると思うんだけれども、ちょっと決意をひとつ言ってくださいよ、改革するということを。

小泉内閣総理大臣 政治資金は一定額以上公開されることになっていますから、明らかに調べればわかると思います。そういうことに対して、どの政党が幾ら献金を受けている、どの候補者がどのような献金を受けているかということはわかるわけですから、それによって各議員なり政党なりがどういう評価を受けるか。やはり責任ある行動をとっていただければ、後は有権者が判断するんじゃないでしょうか。

河村(た)委員 これはやはり、総理大臣になるとこんなに苦しいんかと私は思いますね。やはりお気持ちからすれば、これは幾ら何でも、仕事をとったら全部自民党へ金出せいうことですわ、はっきり言えば、端的に言えば。いや、これは実際そうなんだもの。だけれども、それは合法的かもわかりません。ただ、ぽんとふえておるときに仕事があると、これは怪しい問題がありますけれども。

 だから、総理も、いや河村君、それは悪い、自民党の総裁をまずやらな総理になれぬだにゃあか、自民党の中で敵つくっておったってうみゃあこといかぬがや、そういうことだろうと思いますけれども、これは余りにもいけません。余りにも露骨だし、余りにも多過ぎる、これ。

 地域の優良企業だろうと思いますけれども、そんな、鹿島や大成のような一兆円以上もあるところと同じ献金を、これは喜んでしておるかどうかわかりませんよ、下手したら、先ほどの例と一緒で。業者は苦しんでいるんですよ、これ。総理、民間企業を助けてやってください、これは本当に。もう一言、言ってくださいよ。

小泉内閣総理大臣 それは議員になればわかると思いますが、無理やり献金なんか頼めませんよ。よくわかりますよ。自民党、まあ人にもよるんでしょうけれども、幾らの献金でも、お願いするのは大変なんですよ。そして、そういう献金してやろうという方々の気持ちも大事にしなきゃいかぬと。強引に、強制的になんて、今の時代、議員であろうが実力者であろうが、しろなんて、そんなことできるわけないんですよ。

河村(た)委員 いやあ苦しい、これは苦しい。私が総理になったらやめます、こういうことは。いやあ本当に苦しい。自民党の組織というか、長年培ってきたこの官僚組織、自民党の組織はやはり限界がある、しがらみに満ちて。

 僕は、小泉さん本当に、二十五年表彰を破ったとき、立派だと思いました。やはり一人だけの突破力がある人じゃないとだめなんです、これ。だから、まだ期待しておりますで。これは、本当に民間企業苦しんでおるから、そちらの目線からぜひやってあげてください、そちらの目線から。さっきのもそうです、さっきのも。両方ともです。

 それから次、法務省。

 これは、私、本当にこの場で謝罪をしたいんだけれども、法務委員会ではもう謝罪しましたけれども。何遍かここの場をかりて、国会で、刑務官が暴行した、それを隠した法務大臣はいかぬとやってきましたけれども、事実は全く違っておった。驚くべきことだったです。私、ショックだったです、本当にこれ。

 民主党も放水実験を行いました。ブロックがばっとぶっ飛んでいったやつ、あれは実は六キロの水圧でやったんですけれども、法務省が調べて、実際に表に出てきた数字で〇・六キロ、実は十倍以上の水圧で実験をしてしまった。

 これは、民主党の部会の中では、率直に謝罪して、皆さんに、マスコミの方ようけお見えになるけれども、みんな訂正報道をお願いしようと、部会ではそういうふうに正式に何回も決まっております。私も本当に、僕はよっぽど調べるんですけれども、ぱっと、刑務官がよっぽど悪いかと思っちゃった。申しわけなかった。これは謝りたいと思います。

 これはどういうことだったかといいますと、まず、法務大臣、保護房というのがありますよね、保護房。刑務所の中で、受刑者の皆さんが暴れたり、いろいろな状況のおそれがあると、保護房というところに、隔離房に入れるんですよ。ここで、当然、下はかちんかちんのコンクリートです、かちんかちんのコンクリート。そういうところで転倒したり、それから、自分でどこかぶつかったりということ、だから、受刑者の皆さんがそういう事故が起きないように、転倒すると――ここで見せますけれども、これは本物の革手錠です。ここのところに、これはこうやって手を通すんですけれども、ここのところに、腕輪のこちらに鉄のがちんがちんのをこういうふうに通すんですけれども、こうなりますと、ここに、かちんかちんの鉄製のものがあるんです。こういうもので、もし転倒しますと――ちょっと渡します。いいですか。こういうもので、転んだりして受刑者の皆さんがけがをしないように、そういうふうに防止する義務は当然、法務大臣、ありますね。

野沢国務大臣 お答えいたします。

 議員が名古屋事件にかかわる問題につきまして大変慎重にまた丁寧に対応していただいておりますこと、私からも感謝を申し上げるわけでございます。

 そこで、保護房の中における負傷あるいは転倒等の事故等につきましても、今いろいろ調べておりますが、保護房の構造そのものにも問題があるということで、この構造の見直しを含めまして今いろいろと調べており、その調査の結果を待ってできるだけの対応をしたい、かように考えております。

河村(た)委員 もう一回繰り返しますけれども、保護房内で転倒してやはり体を傷つける可能性はある、フロアもかたいから。それで、それを直したんでしょう、去年の八月に、フロアをやわらかいものに。

野沢国務大臣 コンクリートですと今お話しのようなことも起こりますので、今、ウレタンの保護層を敷くというようなことを考えまして、一部、既に実行しておるところでございます。

河村(た)委員 ところで、手錠を強く引いたというようなことだったんですが、これは実は、後でわかったというか、私も調べて、手錠をぐるぐる巻きますと背中にしゅっとしっぽが出ますから、縛りしろが出ますよね。あとの長さがビデオに映っているんです、これは実は。これで、実は、七十センチといいますけれども、適法に彼らは仕事をしていた。締め過ぎていてではない。穴は十センチごとしかないんです、これは実は。そういうことがわかる。だから、法務大臣、それを調査しましたか、行政で。

野沢国務大臣 あのビデオにつきましては、私も拝見をいたしておりますが、関係者の皆様が十分これについては分析し、これに伴うまた結論を出していると伺っております。

河村(た)委員 これは裁判の問題はありますよ。それは関係ないんです、実は。行政として別個に再発防止義務というのがありますね、当然。保護房の中で、今、一年間に大体六千件ですね、六千件の方が収容されますから、こういう方が傷つかないようにしないかぬでしょう。だから、当然、大臣、事故の再発を防止するために、その事実の真相を完全に解明するという義務はありますよね。

野沢国務大臣 ビデオの活用あるいは見回りの強化を含めまして、できる限りの手当てをしてまいりたいと考えております。

河村(た)委員 いやいや、名古屋であったことについてまず真相解明をしないと、再発防止対策がとれないんですよ。何だってそうですよ。まず真相解明して、それじゃどうしようかですよ。だから、名古屋のことについて、裁判は関係ないですよ、あくまで行政としてですよ、行政として、再発防止、受刑者の皆さんのためにも、名古屋の問題を完全に真相解明する義務がありますよ、あなたには。

野沢国務大臣 名古屋事件につきましては、裁判で審議をしていただいておりますが、行政といたしましても、できる限りの対応をしていきたい……(河村(た)委員「完全にあるんですよ、あなた」と呼ぶ)そのつもりで頑張っております。

河村(た)委員 時間がないので言っておきますけれども、完全にあるんですよ、別個の義務が。それは、矯正局とすれば、事故が起こらないようにしなきゃいかぬじゃないですか、今度。

 ところで、法務大臣、この八名の刑務官、話があってからヒアリング、ちゃんと当事者に全部、これはどういうふうだったんだと。放水だといっても、何と実験をやったものの十分の一だったんですから。ちなみに、〇・六という水圧というのはどういうことかといいますと、東京都の水道は一です、一キロ。東京都の水道の六〇%の水圧だったんです、実は。そういうことで、そういう務めがあれば、あなた、事故があった後に――実際事故だ、転倒の可能性が非常に強い、実際は。当事者に聞きましたか。

野沢国務大臣 私も、昨年、早速、名古屋刑務所へ参りまして、当該場所における現場の実態を見てまいりました。御指摘のような水圧その他具体的な問題につきましては、これは関係の皆様方が十分調べて対応していただいていると思っております。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

河村(た)委員 質問の答えが違います。事故発生ですから、おととしの十月に、事故発生直後に、皆さんはまず当事者に聞かないかぬですね、再発防止のために。どうして保護房内で二人亡くなって一人けがをしたんだろうと。受刑者の皆さんがそういうけががないように、聞かないかぬ。

 だから、当事者に聞きましたか。あなたの代じゃないけれども、それは引き継いでおるで、しようがないんだ。

野沢国務大臣 今、取り急ぎ確認したところですが、事案発生当時の名古屋矯正管区保安課長及び管区調査官が、九月事案で起訴された五名の被告人のうち二名の者からは事前に事情聴取をしております。

河村(た)委員 二名の者からと言って、あとはどうなったんですか、一体。八名ですよ、八名。あとはどうなったんですか。

野沢国務大臣 その後の調査の中で皆さんにはお話を聞いておると聞いております。

河村(た)委員 その後というのは、起訴される前ですか、後ですか。

野沢国務大臣 裁判にかかってからでございます。

河村(た)委員 これは大変ですよ、本当に。当事者にちゃんと聞かずに告発してしまった、調査もせずに。いいですか。法務大臣、なぜ告発したんですか、調査もせずに。

野沢国務大臣 起訴される前には、ビデオテープの確認、あるいは関係職員、受傷受刑者からの事情も聴取を十分いたしまして措置をしたものと伺っておるわけです。

河村(た)委員 十分じゃないですよ、全然。聞いてもいないし、それから、何か報告書を書きたいというときに、報告書はこうやって書けと言って刑務所の上の人間がやらせたんじゃないの、違うのをつくらせて。そういうことですよ。

 それから、こういう転倒事故とか、それから自分でぶつかる場合もあるそうですけれども、そういうものって、過去、かなりあったんでしょう、ずっと。どうですか。

野沢国務大臣 負傷の状況についても調べをいたしておりますが、軽微なものについては報告ありませんので、全部は把握はしておりません。

河村(た)委員 重いものです、重いものですよ。

野沢国務大臣 重要なものについては、報告は受けることになっております。

河村(た)委員 では、過去のいわゆる転倒とかけが、それは調べて出してくださいね、法務大臣。

野沢国務大臣 過去五年間で十一件ほどございます。

河村(た)委員 ちょっと総理、今ずっとお聞きになられて、一遍、法務委員会でも、覚えておられると思いますけれども、私、この話をしまして、本当に国の秩序、これは受刑者のためにもやらないかぬです。やはり、なぜ二人亡くなって一人けがをしたのか、今後のために行政としてやらないかぬ。

 だから、ここはひとつもう一回きちっと再調査して、それから、この八名の、現場で苦労してきた、本当に社会の秩序の縁の下の縁の下ですよ、彼ら。こういう人たちが本当に今地獄の苦しみなんだよ、これ。まだそういう状況です。それで、休職処分になっているんですよ、これ。初め、給料なしでした、六割までいきましたけれども。だから、ちゃんと調べずにそういう処分を続けるということ自体も、これは行政の問題ですから。

 だから総理、ここはひとつしっかり調査して、もう一回この処分も、調査の上で結構ですけれども、やり直すということを言ってくださいよ。

小泉内閣総理大臣 現在、この問題につきましては裁判公判中だと聞いております。この点については裁判の中でも明らかにされるでしょうし、今までの捜査のあり方、行政のあり方、反省すべき点があればやはり反省していかなきゃならないと思っております。

河村(た)委員 時間がありませんから。裁判とは別なんです、これは本当に。例えば交通事故、列車の事故なんかが起きたときでも、裁判は裁判でやりますけれども、再発防止というのはありますから。例えば運転手が飲酒運転だったという場合どうするかとか、これは完全に行政がやらないかぬのです。これは別個の務めですから。だから、保護房の中で受刑者が傷つかないように、どういう原因だったのかということは別個にやらないかぬです、矯正局は。こういうことですから、もう一言だけ言っていただけますか。

小泉内閣総理大臣 御指摘の点も踏まえまして、きちんと調査なり対応を今後考える必要があると思っております。

河村(た)委員 ありがとうございました。刑務所の問題は以上でございます。

 それから、国税の問題ですね。

 二年前でしょうか、これもやはり予算委員会で、国税のOBが、集団的ですよ、これも。あのときはひどかったですね。何億という収入があるという状況で、それも正規に申告をしていなかった。とんでもない話で、これは考え直さなあかんと言ってずっと来ていましたけれども、実はまだ続いておるんですよ、二年たったけれども。

 税というのは国の根幹だよ。税務署の職員が、今まで世話しておったところへ行って、顧問にならしてくれと言って、税理士やらないんですよ、実際は。本当の税理士は別におるんですよ、二階建て、三階建てといって。

 まず、こういうあっせん制度はなぜやるんですか。

谷垣国務大臣 河村委員、この問題、大変御熱心で何度も委員会で取り上げていただいておると聞いておりますが、委員の御指摘も踏まえて、平成十四年の七月退職者のあっせん以降は、押しつけではないかとか、いろいろな御議論がありましたので、そういう疑惑を招かないような方法の見直しを行うとか、あるいは、だれをあっせんしたか、それから、どれだけの数をあっせんしたかというようなことを公表して、透明性を高めるようにしております。

 ただ、あっせん自体は長い間の人事管理で行ってきたものでございますし、民間の中にもやはり需要があるというようなこともありまして、その点は御理解をいただきたいと思います。

河村(た)委員 またそういうことを言って。商売でもやってくださいよ、一遍。役所や税務署が、先ほどの建設省のOBが、今まで仕事をもらっておった人が、どうだと言って顔を出されたら、民間業者は耐えられますか、それに。何を言っているんですか、あなたはいつまでも、民間の需要があると言って。役所が悪いんだ、役所が、そんなの。退職金と年金でやれよ。それから、どうしても行きたければ、何で自分で回らないんだよ、そんな、役所がぐるになって。年間三十億も、とんでもない話だ。

 総理、やめさせてくださいよ、小泉改革だったら、集団あっせんを。どうですか。――いやいや、総理に聞いている、総理に。

小泉内閣総理大臣 もう既に集団あっせんなんというのはやめていますし、改善している。これは水かけ論になりますが、やっている、やっていないと。今、それは、やっている、やっていないという問題、それから、民間の中には、役所に勤めている優秀な人が欲しいというところもあるでしょう。これは、その企業でも、役人出身は要らないという企業もあるでしょう。しかし、集団あっせんはもうやめています。

河村(た)委員 これは続いていますから。ちょっと時間がないから、今度の予算委員会でまたやりますけれども、集団あっせんは続いております。国税局の人事課であっせんを集団で、やっているの間違いないね。それだけ答えてください、時間がないから。

谷垣国務大臣 昔は税務署の副署長等があっせんしておりまして、いろいろ圧力をかけたのではないかという御疑念がありまして、現在では、今おっしゃったように、人事課が通してあっせんをやっております。

河村(た)委員 総理、続いているんです。(小泉内閣総理大臣「強制じゃないんでしょう」と呼ぶ)いや、強制なんです、事実上。いや、そこは、民間の商売やっておる人というのは、そんなに、もっと考えてくださいよ、本当に民間の商売人の気持ちになって。税務署とか、土建の事務所の副所長が来たらどうするんですか。土建だったら、その人から仕事もらっていたんですよ。信じられぬですよ、それは。また今度やります、それは。情けない。

 それから、いいですか、これは厚生労働省。

 医師の名義借りというのが、名前、出てきました、医師の名義借り。これは調べたら幾つの医療機関でありましたか、厚生大臣。

岩尾政府参考人 文部科学省の方で調査が進んでいると思いますが、私ども、そのデータをいただきまして、現在、名前の挙がった五十一医科大学のうち既に調査が終了している四大学のほか十二の大学から医療機関、医師名の情報提供を受けているというところでございます。(河村(た)委員「数を教えてください」と呼ぶ)数は文部省の方が調査しております。(河村(た)委員「いやいや、厚生省でわかっています、きのう言いましたから」と呼ぶ)

 調査結果でございますが、平成十四年の四月一日から十五年の九月一日の調査期間、五十一の医科大学で延べ千百六十一名の名義貸しの実態が判明しております。

河村(た)委員 幾つの医療機関で名義貸しがあったかと。きのうは、うちに来て言ったじゃないですか。言ってくださいよ。

岩尾政府参考人 名義を貸しているという……(河村(た)委員「借りていた医療機関、借りの方の数」と呼ぶ)借りている方の医療機関は現在調べておりまして、北海道だけ先行して調べておりますけれども、札幌医大では七十五の医療機関、百二十四名、私どもが調べたときには四十六の医療機関、二百八名ということになっております。

河村(た)委員 すごいことですわ、これ。名義借りというのは議員がやったらとんでもないことなんですね、秘書で。ドクター、これはどうなんですか。これはほかっといていいんですか。取り消したところがある。保険医療機関の取り消しをされたというのは、幾つ取り消されましたか。

辻政府参考人 診療報酬上の扱いでございますけれども、現在までのところ、名義を借りたことによる診療報酬の不正請求が判明し、指定取り消しが行われた保険医療機関は七病院でございます。

河村(た)委員 これは初めて出た数字ですから。これは初めて出た数字です。大変なことになってきました。

 では、名義貸しをしておった学生なんかおりますよね。これは、大学の方は何に使ったんですか、この金を。医療機関に行っているから、金をもらっておるはずなんですよ。何に使っておったんですか、文部大臣。

遠藤政府参考人 私ども、名義貸しのことにつきまして、事の重大性にかんがみまして、各国立、公立、私立の大学における名義貸し等の人数及び防止方策に関する調査を実施したわけでございます。

 今、その報酬を何に使ったかということでございますけれども、そこまで詳しい調査はしておりませんけれども、名義を貸して、報酬をもらっている場合、もらっていない場合があるようでございます。もらっている場合については、個人がそれをもらったということだと認識をしております。

河村(た)委員 調べておらぬくせに、もらったという認識だとか、いいかげんなことを言っちゃいかぬよ。何なんだ、それは一体。調査するときに、金をどうしたのと聞くに決まっているじゃないですか、そんなもの。言えないんじゃないの、これ。研究費に使ったとか、そういうことがあるんじゃないの。当然知っておるでしょう。

遠藤政府参考人 私ども、大学における名義貸し等の防止方策、これからどう防止していくかという観点から報告を求めたところでございまして、その報告を求めた事項は、その大学で、あったかどうか、それから、何人それにかかわっておったかということだけを調べております。

河村(た)委員 では、河村大臣、せっかくですから、同じ名前なものですから、これはちゃんと調べると一言だけ言ってください。

河村国務大臣 せっかくの御指名でございますから、お答えさせていただきます。

 診療報酬の不正請求につながる問題でもございますし、これは厳正に対処しなきゃいかぬ、こう思っておりますので……(河村(た)委員「何に使ったか調べると」と呼ぶ)それも含めてきちっと調べて……(河村(た)委員「いや、何に使ったか調べると言ってください」と呼ぶ)何に使ったか、そういう問題も含めて厳正に対処させていただきます。

河村(た)委員 では、これはしっかりやってくださいよ。

 では、最後に、住基ネットのことについてやはりお伺いしましょう。

 総理、御存じだと思うけれども、私は自由主義を愛する者でして、これはもう絶対いかぬです、人間に番号つけて、こんなカードを配って。大体、ほとんど持たないじゃないですか、みんな。全然売れてないというか、持たない。

 それで、番号というのは、僕は番号社会全部否定するんじゃない。これは、限定番号といいまして、年金は年金、運転免許証は運転免許証、別個の限定目的の番号で人間というのはやるべきなんだ。神様だけが人間に、あんたはこの番号だと言ってもいいですよ。だけれども、お互いに罪深い人間としては、違う番号にしておいて、やはり自由を守ろうと。こういうところで、この間、成り済ましが、総理、佐賀県で成り済ましでもらった人がおるんですよ、これ。ということで、これはもう予想されていた、こういうことは。

 だから、やはりこれ、何にもいいことないです、正直言って。国民はよくわかっていて、持たないです、大体。これ、国民の皆さん、持っておる人、本当におらぬですよ、何にもならぬから。危なくて持てないですよ、こんなの。

 だから、僕は、小泉さんは民間経済を愛して自由主義を守る人、本当の意味での保守主義者ですね、保守という名前は誤解されやすいけれども。そう思っているから、僕は、こういう住基ネットには必ず反対してくれると思っているんです。ぜひ、党のこともいろいろあるかわからぬけれども、廃止に向けて何か一歩をとる、そう言ってくださいよ。

小泉内閣総理大臣 そうは言えないですよ。

河村(た)委員 そうは言えないということですから、本心は廃止したい、そう思っておると解釈させていただきまして、きょうは終わります。

笹川委員長 この際、鉢呂吉雄君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 久しぶりの予算委員会の質問でございますし、また、総理以下大変お疲れだと思いますけれども、民主党のきょうの最後のバッターでございますので、一時間御容赦をいただきたい、このように思います。

 まず、私は、北海道出身でありますので、日ロ関係、ロシアの関係について、きょうは冒頭総理に御質問をいたしたいと思っております。

 総理も御案内のとおり、一八五五年に日本とロシアの通好条約、下田で江戸時代に条約を締結して、国と国とのおつき合いが始まりました。ですから来年で百五十年という節目に当たります。そういう中で、北方四島、今の歯舞、色丹、国後、択捉、これは平和のうちに国境線が引かれた、そういう歴史でございます。

 ことしは、日露戦争、開戦して、二月で百年たつ。いろいろな歴史的な意義についてマスコミでも論評されておるところでございます。

 総理にとって、最初に、ロシアとの関係で、これまでの御経験でどういった感じをロシアとの関係で持っていらっしゃるか、このことからお聞かせをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 ロシアとの関係といえば、私、個人的に興味があるのは、大黒屋光太夫という、江戸時代、日本の船が漂流して、ロシアに流された。そして、苦労に苦労を重ねて、ロシア大陸に渡って、当時のエカテリーナ女帝に拝謁して、そして奇跡的に、何名かはロシアに残って、何名かは亡くなって、死んで、そして大黒屋光太夫とあと一名、二人日本に帰ってきた。それが日ロのいわば歴史に残っている交流ですね。

 さらに、今鉢呂議員御指摘の、江戸時代、日露和親条約。これも、下田でロシアのプチャーチンと日本の当時の江戸幕府川路聖謨とが、これまた大変な交渉を重ねて日露和親条約を締結した。その後、和親条約という言葉と違って日ロの間に戦争が起こったわけであります。

 そして、第二次世界大戦、不幸な歴史があります。その後、北方領土等の問題、懸案を抱えておりますので、過去のよき交流とそして忌まわしい戦争、同時に相反するような苦難の歴史を経てきたわけでありますが、今後は、過去の歴史をよく直視しながら、未来に向かって北方四島の領土問題を解決して平和条約を締結して、日ロ間において交流、発展を願えるような正常な関係に一日も早く戻したいと思っております。

鉢呂委員 私も北海道ですから、ロシアとの関係、この間、国会議員としてもいろいろ見させていただきました。

 今、日露開戦百年たったということでありますけれども、ロシアのサンクトペテルブルクに行きましたら、当時、一隻、日露開戦で残った軍艦が停泊されて、そこが博物館、記念館になっていまして、ロシア人が訪問をしておりました。かなり反日的な、いろいろな記念品あるいは宣伝活動というような雰囲気を見させていただきました。

 また、総理も去年行かれましたけれども、極東のハバロフスクに、私も数年前一月に、同じ一月でありましたけれども、本当に厳寒のハバロフスクの郊外で、日本人の、抑留されてあそこでむなしく他界をした多くの墓が、あそこに日本人墓地ということで総理もお参りされたというふうに私記憶しておりますけれども、見させていただきました。

 また、ポーランドにおととし衆議院の農水委員長として行かせていただきました。そうすると、日本に対する大変な親日感情が高まってびっくりしたんですけれども、その一カ月ほど前に天皇陛下と皇后陛下がポーランドを訪問されたときに、ポーランドというのは、総理も御案内のとおり、ドイツとロシアのはざまで、国がなくなるときもあったぐらいの大変な苦労をされているポーランドであります。そして、当時、抵抗したポーランド人が極東のシベリアに抑留された、疎開をさせられた、強制的に。当時、大正年代でありますけれども、二、三歳の少女だった方が、日本のシベリア出兵でこれが解放されて、当時、大正天皇の時代でありますけれども、数百人、日本を経由してポーランドに帰還した。そのことが、天皇陛下がポーランドを訪問されたときに、生き証人がおばあちゃんとなっていたということで、連日ポーランドでテレビ放送されて、日本の関心が高まった。

 これは、戦争、シベリア出兵のもたらした一つの明るいニュースでありますけれども、もちろん、太平洋戦争で敗戦直後に、ポツダム宣言の二週間後にソビエト軍が侵攻して、サハリン、樺太や北方四島から日本人が本当に必死の思いで引き揚げた。北海道では、もう数万人の人が引き揚げて、帰還途中に船が沈没したり、また開拓農民で大変な苦労を重ねております。

 また、少し忘れられておりますけれども、日本に強制連行された韓国人は、戦後、ソビエトの時代に韓国というのは国交が断絶しておりましたから、その韓国人は行き場を失って、サハリンで今日まで、ようやく日本政府の尽力でソウルに帰って、今五百名程度住んでいらっしゃるという形で、総理もおっしゃいましたけれども、この百年は、ある面では、ロシアとの関係は戦争の世紀ではなかったのかなという思いがしておるわけであります。そういう中から、私は、総理が、国際協調ということを考える、日米同盟と大きな二つの一つだということであれば、アジアにおいて、特にロシアにおいて、過去のこの百年の歴史を振り返りながら、平和の配当を、平和の歩みを二十一世紀にもっと大きなものにしていくことが必要だというふうに思います。

 そこで、少しロシアから離れまして、私は、昨年末に中国を訪れまして、トウカセン国務委員、元の外務大臣、この方に二時間ほどお会いすることができました。やはり、トウカセンは、総理の靖国神社参拝、これに大変、こういうことが繰り返されれば、日中の友好あるいは首脳レベルの緊密な関係というのはなかなか出てこないということをおっしゃっておったわけであります。おとといの岡田幹事長の話からいっても、総理は、このことを取り下げるという気配は全くありませんでした。

 そのことを踏まえて、総理として日中間の首脳レベルの関係をどのように高めていくのか。私は、この三年余り、総理の姿を見ておって、やはり日中間に対する本当のぎりぎりの取り組み方というのが見えてこないわけでありまして、この点について、今、六者協議で、北朝鮮の問題でも中国は汗をかいておるわけですから、より日本の首脳レベルとの密接な関係というのは日中の関係でとっていいはずでありますから、この点について総理としてどのように考えるのか、お答えをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日中関係は、国交回復以来三十年が経過して、現在良好に推移していると思います。また、各分野における交流も拡大し、経済、貿易関係におきましても、今やアメリカに次ぐ日本の大きな貿易相手でもあります。今後、中国と日本との関係はますます深まっていくでしょうし、日本におきましても、未来に向かって、両国の友好発展のために、首脳間あるいは経済、文化、スポーツ、あらゆる分野において交流を拡大していきたいと思っております。

鉢呂委員 次に、北朝鮮との関係ですけれども、きのう日本の田中外務審議官が北朝鮮を訪れておるという状況で、先ほどは外務大臣の御発言がありましたけれども、総理として今の状況というのをどのように見ておるのか、拉致問題の解決に向かってそのきっかけになり得るのかどうか、また、総理としてそういったものを牽引するためにどのような考え方があるのか。まだ途中経過でありますけれども、総理の考えがあったら御説明をいただきたい、このように思います。

小泉内閣総理大臣 北朝鮮につきましては、日朝平壌宣言以来、拉致の問題、核の問題、ミサイル等の問題、包括的、総合的に解決して正常化を目指そうということで、いろいろ働きかけているわけであります。その際にも、拉致された御家族が帰国された後、まだ北朝鮮側に御家族が残されておりますので、この御家族の一日も早い日本への帰国を果たすように、日本としては今まで北朝鮮側に働きかけてきたわけであります。

 そういう際にも、いろんなルートがあるようで、錯綜しておりましたので、私としては、交渉の窓口は一つだ、政府間交渉、それ以外あり得ないんだ、どんなルートを探ってきてもそれは無理ですよというシグナルを今まで常に送ってまいりました。

 今までの交渉過程から、いろいろな方が北朝鮮側にパイプを持っていると思います。しかし、これからの日朝間の正常化は政府間しかありませんよ、どのようなルートを探ってきても、最後日本政府に届かない限りそれは通じません、日本政府の発信していることが真実です、それは疑わないでくださいということを粘り強く働きかけてまいりました。

 そういうことから、今回北朝鮮側から、日本方との政府レベルの話し合いをしたい、そういう感触は得ましたので、現在報道であらわれておりますように、田中審議官、薮中局長が北朝鮮に赴いて、拉致問題等話し合っていると思います。

鉢呂委員 北東アジアにおいては、なかなか、個別協議はありますけれども、六者協議というようなものは、今北朝鮮をめぐる問題で出ておりますけれども、私は、やはり、この六者協議を踏まえながら北東アジアの安全保障体制というものをきちっとつくっていく、その土台にしていくぐらいの形が必要だと。

 もちろん、今の段階では、北朝鮮を国際社会に引っ張り出す、あるいは核廃絶、拉致問題、そういったものにかかわっていくわけでありますけれども、これはやはり、日本の周辺、アジア諸国における日本の集団的な安全保障の体制というものをぜひつくり上げていく、それだけの戦略なり見通しを持って小泉総理が牽引していくべきだ、私はそういうふうに思います。

 ただ、そこで、ロシア問題に移らせていただきますけれども、この間ずっと、私もこの十四年間、この問題に全力を挙げてまいりました。政府の段階では四島一括返還という時代もあったわけですけれども、その後、政経不可分あるいは拡大均衡論、さまざまな形がありました。しかし、海部総理時代、海部・ゴルバチョフ、ソビエトがロシアに転換をしながら、細川・エリツィンの東京宣言、これで、法と正義に基づいて、四島を、その帰属を、四島の問題は領土問題ということを宣言しながら今日まで来ました。

 しかし、もうこれも十四年経過をしたわけであります。橋本内閣、小渕内閣、森内閣、それぞれ、エリツィン時代が多かったわけですけれども、二〇〇〇年にはこの領土問題を解決して平和条約というようなこともありました。川奈提案は、四島の国境線、択捉の北側といいますか東側といいますか、そこに国境線を画定するという提案も、私は日本政府からなされたと。しかし、公式にはそういう形は国民には知らされておりません。

 そこで、私も、総理が就任した三年近く前の五月に、モスクワを訪れるということで総理にお会いをさせていただきました。四島返還という形を小泉親書という形で持っていったわけでありますけれども、あのイルクーツクの森・プーチン会談、いわゆる並行協議というようなことで、車の両輪だということで、歯舞、色丹について、日ソ共同宣言に基づいて領土の引き渡し、そして残りの二島については協議をしていくというようなことの交渉の方式が出されたというふうに私は思っておりますけれども、それがその後の形で、日ソ共同宣言を基礎としてと。日ソ共同宣言には、二島を平和条約を締結した後に引き渡すという形が、各国が批准をしてあの宣言になっておるわけであります。

 そのことを踏まえて、車の両輪、並行協議という形で、いわゆる二〇〇一年の森・プーチン会談にはなったわけでありますけれども、これが二〇〇二年の三月ごろにとんざをしたというふうに言われていますけれども、その経緯。その間には大変不幸な騒動もありました。その騒動が、私は絡み合っていないというふうに思いますけれども、このいわゆる並行協議というものが一体どういうふうな形でなったのか、また、総理としてどういう考えにあるのか、このことにお答えをいただきたいと思います。

川口国務大臣 平和条約締結問題につきましての我が国の方針というのは一貫としておりまして、これは、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということでありまして、この方針を変更したということは一切ございません。二島先行返還というお話について若干お触れになったわけですけれども、そのようなことが日本政府の方針であったということはないわけでございます。

 それから、考え方として、歯舞、色丹の引き渡しの態様の議論と国後、択捉の帰属の議論を同時かつ並行的に進めていくという考え方につきましては、歯舞、色丹の引き渡しは一九五六年の日ソ共同宣言で既に合意をされているという意味において、歯舞、色丹の問題と国後、択捉の問題、この交渉の進捗状況に相違がある、そういう事実を踏まえたものであります。

 いずれにしても、それは、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという一貫とした方針を前提としているということであって、国後、択捉が日本に帰属をしているという考え方、これを放棄したということでは全くないわけでございます。

鉢呂委員 先行返還ということではなくて、いわゆる並行協議というようなことも、あのときは交渉の仕方としてあったわけであります。しかし、今の段階で、いわゆる日ロの行動計画というものを昨年の一月に小泉・プーチン会談でなされたわけであります。六つの分野を、並行してと言ってはおかしいんですけれども、その中の一つとして領土問題と平和条約という形になったわけで、ある面では、これをどのようにやっていくのか、時間との競争でもあります。

 北海道にいらっしゃる旧島民、また、北海道は北方四島とかかわりがあります。五六年からいきますと四十八年、だんだん時間が過ぎていく、ある面では関心も失われていくという危機感も焦燥感もあるわけでありまして、ことしは、小泉総理にとっても、この領土問題、北方領土問題について、やはり期限を切った、二〇〇〇年ということもございました、ああいう点で、期限を切ってこの領土問題に決着をつけて、日ロの関係に平和条約を結んだ状態をつくるということが小泉政権の使命だと私は思いますから、どういった形でそれを持っていくのか、交渉ですから言える部分と言えない部分があると思いますけれども、この点について質問をさせていただきます。

小泉内閣総理大臣 昨年一月の私のモスクワ訪問の際に、プーチン大統領との間で日ロ行動計画を発出したわけですが、その基本は、北方四島の帰属を明確にして日ロ平和条約を締結しよう、その間、政治面のみならず、経済面あるいは文化面、芸術面、スポーツ面、さまざまな分野で日ロ間の交流を拡大し、お互いの信頼関係を醸成していこう。それがひいては、現在の不正常な領土問題を正常化して、両国に日ロ平和条約に向けた機運を盛り上げていくことになるのではないか。

 そういう認識から、私は、プーチン大統領が、この三月、大統領選挙が終わって再選された後、ロシアにとっても日本との平和条約を締結することが大きな国益につながるんだという認識を持っていただきたいと思っております。

 現に、今までの日ソ間と日ロ間を比べますと、まさにさま変わりであります。ソ連からロシアになり、民主的な選挙が行われ、そして市場経済を重視して、いわゆる民主主義と市場経済を重視するサミットの参加国になって、議長国にも近い将来ロシアがなる。そういう中にあって、協力の分野は広がっております。

 しかし、経済関係を見ますと、どうしても、この平和条約、北方領土の問題が解決しないという点から、本来の持っている日ロ間の貿易の潜在力といいますか可能性は、まだ大きくあらわれていない。この日ロ間の持っている可能性というのは、将来、かなり大きなものがあるんじゃないか。それが阻害されているのは、結局のところ、領土問題を解決できていない、日ロ平和条約を締結していないところにあるんだと。

 日本とアメリカと戦争いたしましたけれども、戦後は、最良の友好関係になっている。中国と日本の間におきましても、戦争いたしましたけれども、現在、正常化を果たし、順調に交流拡大が進んでいる。経済を見ても、今の日ロ関係の経済と、日米、日中の経済関係を見ると、もう格段の開きがある。これをやっぱりよく認識する必要がある。

 やはり、領土問題を解決しないと経済交流はしないということじゃないけれども、この領土問題、平和条約を締結しない限りは、今の日米関係、日中関係みたいな、お互いの潜在力、可能性を補完し合い、発展し合うような関係はないんだということをよくわかるべきだ。プーチン大統領はその点十分理解していると私は思います。

 そういうことから、今後、領土問題を解決して平和条約を締結するというためにも、お互いの交流を深め、信頼関係を深め、早い機会に日ロ平和条約を締結できるような環境に持っていくように、これからも政府として全力を挙げていきたいと思っております。

鉢呂委員 次に、北海道警察の捜査用報償費の疑惑問題について、これは午前中も細川委員からありましたけれども、この問題について質問をさせていただきます。

 これは、昨年十一月に発覚をした道警の捜査用報償費、捜査に協力をした方に費用という形で道警がお金を与える、これについての話でありまして、どうもこれが裏金としてプールされておるということが出されたわけでございます。

 一昨日、この関係で、元道警の警視長、長というのは、普通の県では本部長になる方だそうでございます。北海道は大きいですから、方面本部の本部長をやっていらっしゃった警視長が、OBですけれども、この関係について、道民も、道警に対する信頼は地に落ちている、さまざまな匿名の投書等で、こういったものがもう長い間続けられておるというようなことで、御本人が実名入りでペーパーも用意をしてこれを指摘したところであります。

 まず、小野国家公安委員長にお聞かせをいただきたいんですけれども、これは、国の費用とそして都道府県警、両輪で捜査費というのが出されております。

 資料をいただいております。国費の捜査費というのが、平成五年から平成十四年まで、私が求めたところ、予算額と支出済み歳出額、決算額が平成十一年までは〇・五%ぐらいの減額しかない。ほとんど予算現額が使われている。十二年から七%、二%、一〇%というような減額をされておるわけであります。

 これを、北海道の部分に当ててもさらにはっきりしていまして、平成十年、十一年、これは北海道の分については五年間しか出てないんですけれども、ほとんど減額がされていません。

 捜査費という、その年によってかなり変動があり得るものにもかかわらず、このような形で執行額としてほとんど予算と変わらない。この問題について、国家公安委員長としてどのように考えるか、まずこの点。

吉村政府参考人 委員御指摘の予算額と決算額の差が平成十二年度以降多くなっているではないかというお尋ねでございますが、主な理由を考えてみますと、まず、最近、国民の警察に対する協力意識の変化もあろうかと思いますが、なかなか一般的に協力、こちらからいいますと情報収集活動でありますけれども、そこに応じていただけない困難なケースがふえているということがまずあろうかと思います。

 また、次々に犯罪が発生をしておりまして、当該犯罪の初動捜査に追われて、被疑者を捕まえまして余罪捜査を一つ一つし遂げていかなければならないわけでありますが、そちらになかなか手が回らないということで、余罪捜査、内偵捜査等が不十分であろうかというようなこと。あるいはまた、これは捜査の問題とは別でございますが、警察に寄せられる相談業務もかなりふえております。

 そんなことから、確かに国費の捜査費で見ますと、最近は、年間で決算額としては約五十億余りの金額にまで落ちてきているのが実態でございます。多額の不用を生じることになってございますので、警察庁におきましては、この執行状況を踏まえまして、今後の予算要求に反映をさせてまいりたいと考えております。

鉢呂委員 これは、最近の方が正常であって、過去の七年間のものについては一切説明しておらないんです。私が冒頭言ったように、普通は過不足が生ずる、これは当然の話でありまして、七年間全く予算額と執行額が同じという形であります。

 実は、おととい、この原田さんという方が実名で記者会見した中で、在任中、私が就職してからずっとこの捜査費、捜査用報償費を組織的に裏金としてプールし、幹部の交際費、せんべつ、部内の懇親会、冠婚葬祭費、上級官庁、これは警察庁も入って、他官庁への接待、上級官庁の接待費、あるいは道会議員の接待費というものに使われた、本部長になれば月七、八万円だというような形でございます。

 一方、先ほど、小野委員長は徹底して解明するというふうに言われました。これは、県警独自ではありません。北海道知事が幾ら道警本部長に言っても、この権威が、権限が通らないところでありまして、上級の幹部は全部国家公務員、警察庁です。そして、先ほど言ったように、半分以上は国費で出ておるわけであります。ずっとこの間、警察庁長官は、事態の推移を見ると。先ほども、この原田さんに警察庁はいろいろ聞いてみると。しかし、十一月からずっとこの間かかっておるわけでありまして、小野大臣として、これをどういうふうに見るのか。

 やはり真実はもう明らかにすべきであって、警察がうそを言って、うそは何とかの始まりというふうに官房長官も言いましたけれども、警察がこういうことをやっては、やはり通じないと思うんですね。

 これは単に道警だけではありません。宮城県警もそうでした。もう裁判も出て、赤坂署ですとか、警視庁の銃器対策課、こういったやみを、違う人の名前を使って、偽名を使ってやっておるというようなことで、もう全国でこういうことが、先ほど言ったように、ある人は、警察庁にこの裏金も逆に上納するという形が行われておったと。これも確かだというふうに思うんですね。

 三年前からこれがなくなったのであれば、やはり真実をきちっと明らかにして、国民の皆さんに明確にして、今後は透明な形をやるというふうにすべきではありませんか。

小野国務大臣 北海道の報償費疑惑の内容についてのお伺いでございますけれども、ただいま議員がお話しされた状況については、私も承知をいたしております。

 札幌市内の弁護士二十五名により、旭川中央警察署の元署長二名が捜査員等に虚偽の書類を作成させ、捜査用報償費を収受したとして、四十九万九千十円を道に返還させるよう求める住民監査請求が提起されたほか、本年一月には、領収書に氏名を使用されたとする人物から、氏名権を侵害されたとして、道を相手として七十万円の損害賠償を求める訴えが提起されたところでございます。(鉢呂委員「そんなことは聞いていないです。大臣としてどういう考えで」と呼ぶ)わかりました。

 それでは、原田元北海道釧路方面本部長の裏金づくりについての点も、今議員がお話しされた状況を私も承知しております。

 それから、銃器対策課におきます、赤坂署及び宮城県などの同種事案が起きているけれどもどうするかということでございますけれども、かかる疑念を国民に抱かせないように、会計経理の適正につきましては都道府県警察に対する指導を徹底するように、警察庁を国家公安委員会といたしましては督励してまいりたいと思います。

鉢呂委員 会計検査院もいらしておると思います。偽名で領収書に名前を書いたと、これは警察庁長官も認めておるわけであります。偽名についてどのような会計検査をされたのか。捜査員から、私は、検査官がこの偽名のものについては聞いたというふうに事務的には聞いていますけれども、その点についてお話しください。

杉浦会計検査院長 まず、一般論を一つ申し上げますと、会計書類といたしましては、偽名ということはあり得ないのが原則でございます。

 しかし、私ども、今先生のお話がございましたような事態に仮に突き当たったとすれば、まず第一は、捜査費が本当にきちんと使われているかどうか、名目として使われているかどうかという点をきちんと調べるために、まず、なぜ真正な名前とか、こういった点を書けなかったかというその実情を聞いたり、あるいは関係書類をいろいろ提出していただいたり、それから関係者から話を聞いております。その上で心証が得られれば、そのままよしとしております。

鉢呂委員 今回、北海道の監査がなされまして、コピー資料に基づいていろいろ調査をしていました。しかし、最終段階で、捜査員が偽名について口頭で上司に申し出て、偽名の領収書を切るという中で、どうしても、この北海道の監査におきまして、領収書を受けた捜査員、この方に直接調査をしたいと。しかし、これは道警の方から、捜査活動への重大な支障を理由にこれを拒否されたわけでありまして、これがきちっとすればこの解明はできたというふうにこの北海道の監査結果に出ておるわけであります。この会計検査院の検査では、捜査員の聞き取りもやっております。

 国家公安委員長として、やはり、北海道におけるこれは監査であります。北海道における監査について、実態として領収書を偽名としてさせた、あるいは、民間の方がしてほしいということについての直接の捜査員に対するやはりヒアリングをきちっと行わせる、これが私はかぎだと思うんですけれども、これをきちんとさせていただきたいと思います。いやいや、大臣です。大臣です、大臣です。

笹川委員長 警察庁吉村官房長、明確に答弁してください。

吉村政府参考人 北海道におきまして、監査委員による捜査員に対する聞き取りにつきましては、監査委員の御要望、御要求はよくわかるところでございますが、捜査協力者等の保護、あるいは、捜査活動を初めとする警察活動に広い意味で支障を来すということにつきまして、私どもとしても、北海道警に指示をして、監査委員に御理解をいただくようにということで説明を行ってきたところでございます。

 ただ、現に一昨日あのような会見が行われたということもございました。北海道の旭川中央署の事案等につきましての部分を含むものでございますが、北海道警として、まずは、一昨日会見をした人からどのようなことだったのかというのをよく早急に聞いてみたいというふうに思っておりますし、警察庁としましても、その事情聴取結果を踏まえて、事案解明のためしっかりと対応をしてまいりたいと思っております。

鉢呂委員 時間がありませんから、小野大臣にきちっと指導性を発揮して御答弁いただきたい。なぜ、検査院がやって、できないんですか。

小野国務大臣 ただいま官房長が申し上げましたとおり、疑惑につきましての解明につきましては、事情をきちんと精査をいたしまして、その中においてきちんとした対応、いわゆる疑惑に対する回答ができますように……(鉢呂委員「直接聞き取りをやってほしいということですよ、抽象的にじゃなくて」と呼ぶ)はい、わかりました。

 その件に関しましては、全力を挙げて、警察庁におきましての調査をきちんとするように督励してまいりたいと思っております。

鉢呂委員 時間がありませんから、きちんと答えてほしいんですけれども、大臣。

 会計検査院には捜査員に対する聞き取りをやっているんです。しかし、北海道の監査については、これを拒否して、現場の、実際の虚偽のこの領収書をつくったその者に対して――民間人は全部聞いていますよ。私は知りません、領収書を書いたことはない、偽名だと。しかし、そのことをやった捜査員、これにやはりきちっと聞き取りをさせる、これがかぎではないですか。大臣がきちっと答えないとだめだよ、あなた。

小野国務大臣 非常に専門的な分野でございますので……(鉢呂委員「いや、専門的じゃないよ」と呼ぶ)専門的と申しましょうか、問題解決のためには大変大事な分野でございますけれども、警察庁という、一つの個人名を出す出さないに関しましては非常に今後の調査にかかわる分野でございますので、この件に関しましては、私は、十分なる調査を警察庁の方に督励するという立場を持たせていただきたいと思います。

笹川委員長 警察庁吉村官房長、鉢呂吉雄議員の質問にしっかりと答弁をしてください。

吉村政府参考人 今お尋ねのありました会計検査院の方が道警なり府県警に見えて検査をやるというときには、必要に応じて捜査員と直接会っていただきまして、事情を説明しております。

 御承知のとおり、警察が捜査を進めていく上でいろいろな情報をいただいて、非常に貴重な情報だというときに、当該人物が、暴力団員である、あるいは薬物や銃器の世界にかなり染まっている人であるというような場合には、なかなか、その情報をいただいて、こちらで報酬を、あるいは捜査費として支出をしようにも、自分の本名を出すのははばかられるというケースは、実は多々あるわけでございます。それを、間違いなくその人には渡っているということを、心証をとっていただくために会計検査院の方には会わせておるのが実態でございます。

 ただ、これは道の監査委員の、個別的なことを申し上げるつもりはございませんが、会計検査院は、会計検査といういわば専門職でございまして、専らそういう事務に携わっていらっしゃるわけでありますが、監査委員の場合は、これは私は詳しくは承知をいたしませんけれども、異動で別の部署に行かれる方もあると思いますし、地縁、血縁のつながりもあろうかと思いますので、そういうことを考えますと、監査委員と検査院とで差が出るのはやむを得ないのかなというふうに承知をしております。

鉢呂委員 総理大臣にお聞きしますけれども、この問題は、警察の信頼性の問題につながってきます。これはもう全国次から次と出ていますね、宮城県警でも、赤坂署でも、北海道でも。やはり官僚の皆さんは、みずからのこの過去の経緯もあるから逃げたいんでしょうけれども、やはりここは明らかにしてほしい。それは、警察庁がみずから聞くとかいうことではなくて、第三者の北海道の監査、これがきちっと現場に入って、その捜査員からも事情聴取をできる、これを、総理としても、きちんとした姿勢を見せていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 捜査については、信頼を得られるように、厳正に対処いたします。

鉢呂委員 時間がなくなりますので、次の質問に移ります。

 先ほど、拉致問題もございました。時間がありませんから私の方で御説明しますけれども、海上保安庁、国土交通大臣にお聞かせをいただきたいんですけれども、北朝鮮による拉致の疑いのある失踪者、これを調査している機関もあって、約四百名が、この間、拉致の疑いがあるということで、人が出されておるわけであります。

 この間、昭和三十年以降、いろいろ資料がございまして、不審船は二十一事例。あるいはまた、不法入国という形で、港に着いてフェリーとか貨物船から捕まった、これはそういう形もあるんですけれども、沖合で捕まったその件数と、それから、漁業者、漁船等がこれを通報して捕まったその件数についてのみ、申しわけないのですけれども、大臣にお答えをいただきたい。資料はありますか。

石原国務大臣 お答えさせていただきます。

 不審船の数は、委員御指摘のとおり、二十一隻でございます。そして、平成十一年から十五年までの五年間に海上保安庁が取り扱った不法入国事件は八十五件で、密航を手助けした方九百七十六名を検挙しております。

 漁船の御協力ということでございますが、海上保安庁が沖合海域において検挙した平成十一年及び十三年の不法入国事件の件数は、平成十一年が十一件、平成十三年が六件で、このうち、漁業関係者からの通報が端緒となって摘発した事件は三件と二件で、合わせて五件でございます。

鉢呂委員 総理、十一年と十三年というのは、二つがいろいろな検挙者が少し多かったものですからとっていただいて、その中で、沖合で捕まった、これが十七例あるんですけれども、そのうち漁業者の通報が五件、そのほか警察あるいは住民の皆さんの通報というのが六件で、十一件ございます。

 そういった形では、拉致家族の皆さんが、当時、二十数年前ですけれども、ほとんど周辺の皆さんに見つからずにあのような形で強制的に拉致をされたわけでありまして、私は、一昨年、福井県に参りましたら、栗田福井県知事が、二十数年前、もっと福井県のフグが、今盛んになったそうです、養殖フグが海岸線でやっておれば、網が刺しておりますし、漁業者もそれによって活動しておる、ああいう形がもっと盛んであれば、このような拉致に、小浜市で地村さんが拉致されたわけですけれども、ならなかったのではないかということを非常に悔しがっておりました。

 先ほど、昨年十二月に犯罪関係の閣僚会議があったということで、総理も出席をされて、不法滞在者、五カ年で半減をしていこうということをスローガンに、水際における監視、取り締まりの推進ということで、警察、海上保安庁が連携をして、漁協や沿岸住民の協力を保ちながらこの実を上げていきたいということをうたっておるわけであります。

 そこで、このペーパーを見ていただきたいんです。実は、漁業、漁村には、お魚をとる――総理もお魚が好きかどうかわかりませんけれども、多分好きだと思います。私とイカの話もしたような記憶がありますけれども、日本人にとって、お魚は、昭和四十年に比べても摂取量は減っていないんです、むしろふえています。ただ、当時は一千二百万トンぐらい日本が漁獲をしておったのが、今半減しております。お魚、スーパーに行けば原産地表示をしておりますから、インド洋からタコが来ているとか、世界じゅうから来ているのはもう御案内のとおりです。

 しかし、日本の沿岸なり漁業というのはかなり停滞をしておるという中で、三年前、水産基本法というのが制定をされました。これはもう農水大臣もいらっしゃいますから。小泉内閣が森総理からかわって、しかもあのときは参議院選挙があったということで、ことしと同じような状況で、延長ができないということで、水産基本法と林業基本法という二つの基本法がかかったものですから、これが幸いして、いわゆる漁業の多面的機能、漁獲、魚をとるという以外にさまざまな機能があるということで、条文にもなったわけでございます。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

 その中で、お示しをしたこの多面的機能、一つは物質循環機能ということで、河川から窒素とか燐が海に入るんですけれども、それを魚が食べるということで、窒素、燐という栄養分が回収される、魚が食べることによって回収される。これを貨幣評価して、三兆一千億ぐらいある。また、環境保全機能ということで、漁業によるものだけではありませんけれども、貝類が生息をして、貝類が食べることによって、あるいは干潟とか藻場というようなところが環境を保全する。これも四兆五千億という形を持っております。

 ずっと下の方へ行きますと、例えば海洋性レクリエーションということで、都会の方が、夏になれば海へ行ったり、またさまざまな漁村を訪れる、保養、交流、学習機能、あるいはまた漁村の文化伝承機能とか。まあ、雇用、所得の提供機能というのはどこのところでもあるわけであります。

 その中で一番大事なのは、この真ん中辺にあります、国民の生命財産保全機能、いわゆる海へ行って海難したという場合の救助あるいは災害時の救助、そういったものがある中で、私は、一番大事なのは、国境線監視、国境監視機能というのは極めて大切であるというふうに思うわけであります。

 総理、日本には海岸線はどのぐらいかと。三万四千キロです。これは、アメリカは日本の国土の二十五倍であるにもかかわらず、ああいう平たんというか直線的な海岸ですから、たったの二万キロです。中国は、片側だけですから一万四千キロ。オーストラリア、ああいう大きな国でも二万五千キロ。日本の入り組んだ海岸というのがどのぐらい距離があるか。三万四千キロです。

 先ほど言った拉致問題、あるいはこの間漁業者が通報して不法侵入を、不法入国を防いだという形からいけば、この漁村の役割というのは私は大変大きいものがある。余りこの水産漁業というものを予算委員会で論議したことはないというふうに私は記憶しておりますけれども、大変大きな機能があるわけであります。

 総理は都市の出身ではありますけれども、海岸があると思います。海岸とは言わないですかね。今、どんどん海岸線における漁村集落というのは減っておるんです。漁村というのは五・七キロに一漁村がある。だから六キロぐらいに一漁村があるんですけれども、この十年間でも、漁村集落というのは約一〇%、この十年間ですよ、十年間で一〇%、漁業世帯数も一〇%、急速にまた減っておるわけであります。日本のこの広い海岸、長い海岸、これはもう本当に無防備のような状態なわけであります。

 今のお話を聞いて、総理、どのように考えられるか。自然発生的にそこに定住して、漁業者が漁船を毎日のように海に出すことによって、これが自然的に日本の国境を守っておる。通報もできる、あるいは海難を守る、こういった機能を日本の水産基本法には既にもう制定をされて、その施策を講ずるというふうに私ども修正をさせたにもかかわらず、もう三年になりますけれども、一向にその姿が見えてこないわけであります。

 私は、そういった意味で、いろいろな場面があると思いますけれども、国境を守るという観点からいっても、漁村、漁業というものについての総理のお考え、率直なところのお考えを聞かせていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 幕末のロシア、アメリカ、オランダ、イギリス等、通商を求めていろいろな船が日本にやってきた。その典型的なのが黒船来航ですが、この黒船が来航したのは私の地元横須賀、浦賀港なんです。海というのは、いわば海上防衛、海防、このまま防衛をおろそかにしたら日本は外国の植民地になってしまう、上海等の状況を見て、あのような外国の植民地になってはいかぬということで、日本に一挙に海防論が出てきて、いわゆる鎖国か開国か、尊王攘夷、そういう議論が起こってきたわけであります。

 黒船の来航が私の地元の横須賀であると同時に、三浦三崎というのを御存じですか。マグロの基地ですよ。今は若干少なくなっていますが、三浦三崎は私の地元なんですよ。今世界に、もう沿岸漁業のみならず遠洋漁業、そういうことから、漁業の重要性は私も十分認識しているつもりであります。

 そういう点から、最近は、漁港を漁港だけに使っていていいのかという問題も出てきています。多面的な機能でいいのではないか。産業振興、それから、今でも漁港と漁港をフェリーでつなぐということによってその地域の経済活性化にも資する、そういう機能もありますから、漁村のよさ、水産業の重要性をよく認識して、この日本の、今言った、すごく海岸線が広い、大陸棚の調査も今本格的に始めなきゃならない、海の国日本という利点というものを生かして、漁業の振興のみならず、国全体の利益というものはどういうものかということを考えて、お互い、漁村振興、水産業振興に努力をしていかなきゃならない。また、日本はそういう点についてまだまだ潜在力がある、可能性を秘めている、この可能性をやはり発揮させるような知恵、工夫を出さなきゃいかぬと思っております。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

亀井国務大臣 委員から今御指摘の水産あるいは漁村、この多面的なことにつきましてお触れをいただき、またきょうもこうして全漁連のパンフレットをお配りいただき、大変いろいろな面での、水産業の多面的な問題につきましての御発言をちょうだいしたわけであります。

 平成十三年に基本法を制定いたしまして、この問題、十分対応してまいらなければならない。そこで、昨年十月、私、日本学術会議の黒川会長にお願いをいたしまして、この学術的な知見、あるいは国民の皆さん方の御理解を得るため、この場で、ことしの夏までに、この多面的な機能、こういう面での学術的なお考えをおまとめいただくようお願いをしておるわけでありまして、そういうものを中心に積極的にその対応を図ってまいりたい、このように考えております。

鉢呂委員 終わります。

笹川委員長 これにて岡田君、玄葉君、木下君、枝野君、海江田君、細川君、池田君、河村君、鉢呂君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 イラクへの自衛隊派兵がわずかな審議で強行されました。日本共産党は、もちろんこれに反対であります。

 きょうは、まだ出ていない問題を取り上げたいと思います。それは、自衛隊とともに派遣される民間技術者の問題であります。

 先日、航空自衛隊のC130輸送機が愛知県の小牧基地からクウェートなどに出発をいたしました。このC130は、イラクの幾つかの空港との間で輸送を行うとされております。問題は、その輸送機の修理、維持管理、メンテナンスのために、防衛庁が民間企業に対して技術者を派遣するよう要請したということであります。

 配付をいたしました資料でありますが、これは川崎重工の広報室などが社内でやりとりをした三つの文書であります。日付は一月二十九日。そのうちの一つをパネルにして、わかりやすくいたしました。

 まず、こういうふうに書かれていることに注目をしたいんですけれども、防衛庁が川重に対して、この黒丸は川重なんですけれども、準備要請をしたことがある、こういうふうに書かれているわけですが、防衛庁長官、川崎重工に対して技術者の派遣の準備要請をした、このことは事実ですか。

石破国務大臣 御提示の文書は民間企業内の文書でございますので、私ども、これについてコメントはいたしかねます。どのような経路で御入手になったかは存じませんが、民間企業内での文書につきまして、私ども、コメントする立場にはございません。

 このC130という飛行機が、もちろん自衛隊は自己完結性を持っておりますので、ほとんどのメンテナンスはできます。しかしながら、非常に専門的にわたる、メーカーでなければ直せないようなもの、そういうものを民間に修理をお願いするということは、これは一般的にございます。

 防衛庁が修理をお願いしたことがあるかということでございますけれども、そういうような場合もあり得るということは、これはもう通常ございますし、護衛艦をインド洋に派遣いたしましたときも、同じような件、御指摘をいただきましたが、これは契約に基づいて行うものでございまして、何ら問題になるものではございません。

佐々木(憲)委員 今、事実上、そういう要請をすることはあり得る、これを認められたわけですが、問題なのはこういうふうに書かれていることなんですね。準備要請をしたことが外部に漏れぬよう細心の注意をすることが求められております、本日、内局航空機通電課長よりこの趣旨についての再々度の念押しがありました、遺漏なきよう重ねてお願いをいたしますと。特に、その背景は、自衛隊派遣に係る国会審議が山場を迎えていることというふうに書いているわけです。

 別な文書を見ますと、皆さんにお配りした資料の真ん中のところですが、国会審議が山場を迎えており、記事が出る可能性を一日でも後に延ばしたいと。これはとんでもない内容であります。

 防衛庁は、こういう形で民間企業に技術者の派遣を要請し、そのことが表に漏れないように、隠すようにと何度も念押しをした。こういうことをやったんですか。

石破国務大臣 これは先ほどもお答えをしたことでございますが、民間企業内における文書につきまして、私どもとして、そのことにつきましてコメントをする立場にはございません。民間企業内でこういうような文書が交わされたが、それについてどうかというふうなお尋ねをいただきましても、それは、民間企業内におきましてどのような文書が交わされておるのか、私ども知る立場にはございません。

 したがいまして、このことについてはお答えをいたしかねるところでございますが、一応、念のために確認をいたしましたところ、関係企業から、防衛庁から関係企業に依頼を行ったことに関連して、依頼先の企業名の公表等についてどのような考え方であるのかとの問い合わせがあったことから、防衛庁の担当者から関係企業に対しまして、企業名の公表に関する考え方を精査する必要があること、及び、当日は国会審議中であり、部内調整にも時間がかかるということで、速やかには御回答はできないということは申し上げたと承知しております。

佐々木(憲)委員 結局、こういうことをやっていたということを、今、事実上認めたわけですね。これは非常に私は重大だと思いますよ。国会審議が山場を迎えているからそのことを隠しておきなさいと、防衛庁がそれを指示してやらせたと。本当にこれはとんでもない話でありまして、しかも、参事官までこれに加わっている。

 これは、防衛庁のやり方というのは極めて秘密主義でありまして、これまでも、事前に報告書をつくって、治安情勢のかぎである襲撃事件をひた隠しにしていた。それだけではないんです。このように、民間技術者が派遣されるという問題についても、国民にも国会にも知られないようにこっそりやる。これは命にかかわる重大問題ですよ。そういう体質は極めて私は悪質だということを指摘しておきたいと思います。

 では、次に、経済問題についてお聞きをしたいと思います。

笹川委員長 石破防衛庁長官、答弁してください。

佐々木(憲)委員 何か言うことがありますか。

石破国務大臣 御指名がありましたので、お答えを申し上げます。

 私どもは、極めて悪質だとも全く思っておりません。

 これは、当然のことでございますけれども、そういうものが、特に、修理が高度なものにわたる、メーカーでなければ直せないということはございます。そのようなことを隠す必要も全くございません。しかしながら、それは、企業名を公表することによりまして、企業に対して御迷惑がかかることもあるであろうということでありまして、このようなことをひた隠しにするような理由も全くございません。

 したがいまして、そのようなことが悪質であるというような決めつけは、私は甚だ心外なものだと思っております。

佐々木(憲)委員 悪質なことは事実であります。

 大体、防衛庁は、言論統制をやって、マスコミにも実態を知らせない。これに対してもそうでしょう。マスコミの取材があっても、それに対しては隠すように、一日でも先に延ばすように、なぜかといえば、国会で審議があって、事実上大変な状況になっているから、隠せ隠せ隠せと、再々度念を押した。とんでもない話だ。

 次に、経済問題について行きたいと思います。

 小泉総理は、施政方針演説で、日本経済というのは着実に回復しております、こういうふうにおっしゃいました。

 調べてみますと、大企業の方は確かに利益が急増しております。昨年三月末の決算が一番新しいんですけれども、二兆二千八百十五億円の利益が上がっております。これは経団連の役員を出している十七の企業の当期純益だけでありますけれども、問題は、その反面で、家計収入、これがこの間ずっと落ち込んでいるわけであります。これは家計調査報告から出したものでありまして、三年間で四十三万七千円の減少となっているわけですね。これは私は、非常に格差が拡大している、落差が非常に大きいと思うんですが、小泉総理は、この落差拡大というのは重大な問題という認識はお持ちでしょうか。

小泉内閣総理大臣 ようやく企業の業績にも明るい兆しが見えてまいりまして、今のところ大企業中心でありますが、収益も改善して、利益も上げて、業績も上がってきた。これを中小企業にも家計にも結びつけていくように、今後、今まで進めてきた改革をさらに促進していかなきゃならないと思っております。

 現時点においてまだ本格的な家計収入の増加には結びついておりませんが、今までに比べてやはり明るい兆しも見えてきたのではないかなと思っておりますので、気を緩めずに、さらによい方向に持っていくように努力していきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 大企業の利益が伸びたと。しかし、その原因は、労働者に対するリストラを徹底してやった、賃金を抑えた、そのためにこれだけ収入が減っているわけであります。また、下請中小企業も、大企業の下請単価の切り下げということで大変な被害を受けているわけであります。つまり、格差がますます拡大している中でこういうごくごく一部の大企業だけが利益をふやした、これが実態でありまして、やはりそういう格差の拡大が大変重大だという認識を私は持つべきだと思います。

 その上で、本来痛めつけられた庶民の家計をどう応援するかというのがやはり政治の責任じゃないかと思うわけでありますが、小泉内閣の三年間で大変、負担が次々とふやされまして、昨年のこの予算委員会で負担増が約四兆三千億円ということを総理自身もお認めになったわけですけれども、今審議されている来年度予算でも新たな負担増というのが計画をされているわけであります。

 ここに、この間の国民負担増の一覧表をつくってみたわけであります。本当に私はびっくりしました、こんなにたくさんあるのかと。しかし、これはまだ一部です。

 この中で、税金でいいますと、酒税、たばこ税、配偶者特別控除の廃止、老齢者控除の廃止、その上、所得税の定率減税の廃止、縮減、これも予定されている。医療では、老人医療の負担増、サラリーマンの窓口負担が二割から三割に去年なりました。介護保険料の引き上げ。雇用保険は、保険料がふえる、しかし給付は削減される。年金の負担増、厚生年金の保険料、国民年金の保険料が引き上げられる、しかし給付は物価スライドで引き下げられる。さらに、生活保護の老齢加算を廃止するなどなど、ともかく大変な種類であります。

 もちろん、その一つ一つについて政府は政府なりの理由をおっしゃるんでしょうけれども、しかし、既に四兆円を超える負担増というものが昨年決められ、その後、今はっきりしているものだけでも三兆円、合わせて七兆円を超える大変な負担増になるわけでありまして、これを見ただけでも、個人消費というものが、家計が大変な状況になるだろうというのは容易に想定されるわけです。

 総理の認識をお聞きしたいんですが、こういうことを、相当これはたくさんの負担増になりますが、個人消費に与える影響、これは非常に大きいと思いますが、消費を冷やす、そういう結果をもたらすという認識はお持ちでしょうか。

小泉内閣総理大臣 経済全体を見ると、消費は極めて重要な要素なんですが、消費だけではない、やはり財政、金融、全体を見なきゃいかぬ。

 負担負担と言われますが、これは、税負担がないと本当に負担ではないのかというと、そうでもないのであって、やはりある面におきましては、国債発行というのは、現在の負担は目に見えませんが、将来に返ってくる、これも負担なんです。医療費の自己負担が二割から三割に上がった、負担と言いますけれども、それじゃ逆に、下げたら負担がないかというと、そうじゃないんですね。では保険料を上げるのか、税金を投入するのか、診療報酬等を改善するのか、いろいろな方法があるんです。どれもこれも、ある面においては、それがふえるところにとってみれば負担である。

 私は、財政、金融、総合的に見て今の経済をどう考えるかということでありますし、今まで、確かに厳しい状況の中にも、今言ったように企業業績の改善も見えてきた。また、不良債権処理を進めていくとますます倒産がふえるぞといって批判されておりましたけれども、現実には、この十数カ月連続して倒産件数は減少しております。失業率は、このまま不良債権処理を進めていくと二けたになるんじゃないか、六%、七%になるんじゃないかと言われましたが、現実には、最近ようやく失業率も五%台を切るような状況になってまいりました。

 まだまだ厳しい状況ではございますが、私は、この極めて狭い道、財政政策においても金融政策においても、かなり限度いっぱい打っている。そういう中で、財政を膨張させないで、これだけようやく企業にも個人にもやる気が出てきたなと、その機運というものを、そういう環境を生かしていくのが政治として大事ではないか。この厳しい中にもやる気を出してきた皆さん方の意欲を支援するような形で、さらに経済というものをより強く活性化させていくのが小泉内閣の責任だと思っております。

佐々木(憲)委員 消費だけではない、それはそうでしょう。しかし、消費は日本経済全体の六割を占める大変重要な要素であります。その消費をどんどん冷やしていったら経済全体がおかしくなるよというのは、民間の研究所でも指摘しているわけであります。

 例えば、第一生命研究所の十二月のレポートによりますと、今回の制度改正によって国内需要の大黒柱である個人消費が景気を牽引することは当面考えにくく、むしろ足を引っ張る可能性も否定できないというふうに述べているわけでありまして、この個人の家計の負担増というものがどんなに日本経済を痛めつけているかということを指摘しているわけであります。

 もちろん、負担というものはどこかがやらなきゃならぬ。しかし、今のような状況を考えますと、大企業の場合は利益がどんどん伸びているけれども、例えば、先行減税で大企業の税負担は軽くなっている、法人税はこの間どんどん下がっている。そういう状況を考えると、これは非常に一方的な、国民消費を冷やす負担ばかりが続いているではないか、平等じゃないじゃないかということを私は指摘しておきたいわけでございます。

 次に、話を変えまして、政治と金をめぐる問題についてお聞きをしたいと思います。

笹川委員長 佐々木憲昭君、言いっ放しじゃなくて、ぜひ、答弁をしたいと言っていますから。答弁権も……

佐々木(憲)委員 いや、私は別に答弁を求めていませんから、また後の機会でやりましょう。

 総選挙の後、いろいろあちこちで選挙違反事件が発覚をしまして、自民党の衆議院議員が逮捕されたり、事情聴取などを受けております。

 ちょっと資料を配ってください。資料を皆さんに配って。

 それで、その中でも、特に日本歯科医師会の政治団体であります日本歯科医師連盟というのがあるんですね。これは日歯連。この事務所あるいは会長の自宅などが東京地検の強制捜査を受けました。直接の疑いは、政治資金規正法違反、虚偽記載ということでございます。これに関連した愛知の自民党元議員も参考人聴取されております。

 この日本歯科医師連盟というのは、自民党最大のスポンサーでございます。例えば、自民党の政治資金団体である国民政治協会に、年に四億六千万円、大変な献金。三年間ですと十五億円、五年間ですと二十六億円、政治献金を行っております。これは、業界団体の献金としては、日本医師連盟、これを抜いて断トツの一位になっているわけですね。

 自民党総裁でもある小泉総理にお聞きしたいんですが、こういう巨額の資金をどのようにして集めているか、御存じですか。

小泉内閣総理大臣 いや、私は会員でもありませんし、どのように集めているかは存じません。

佐々木(憲)委員 私も驚いたんですけれども、歯科医師会に入りますと、自動的に政治連盟に加入させられているところがほとんどなんであります。

 資料を見ていただきたいんですけれども、例えば、埼葛歯科医師会の「入会希望の皆様へ」という、これは歯科医師会への入会希望の方に対して配付をしているパンフでありますし、また、これはホームページにも出ております。これを見ますと、入会手続についてという項目がありまして、歯科医師会への入会の説明があるんです。しかし、どこにも政治連盟へ加入するということについては書かれていないんですよ。

 ところが、今、資料を見ていただきたいんですけれども、「年度会費その他の負担金」という項目がありまして、その項目を見ますと、歯科医師会の会費と同時に、自動的に政治団体の連盟会費が徴収される。つまり、歯科医師会に入ると政治団体への会費が徴収される仕組みになっています。これは、埼葛歯科医師会連盟会費一万円、埼玉県歯科医師会連盟会費一万二千円、日本歯科医師会連盟会費三万五千円。つまり、歯科医師会に入ると、自動的に政治団体への会費合わせて五万七千円を払わされる。本人は政治団体に入った意識は全くない。にもかかわらず、自動的に支払う仕組みになっている。

 その次の愛知県の「会費・負担金徴収予定一覧」という表がありますが、これを見ますと、連盟会費まで含めて、同一口座に自動的に入金されるという形になっているんですね。こうして集められた資金は日歯連だけで年間十七億七千万円。さらに、都道府県の連盟という資金があるわけですが、それも十一億五千七百万円あるんです。その多くの部分が自民党に流れている。

 私は、これは余りにもおかしいのではないか、異常な資金の流れ方だと思うんですが、総理、どのようにお感じですか。

小泉内閣総理大臣 それは、どういう状況かわかりませんし、今私は、その団体、細部について存じておりません。

佐々木(憲)委員 これはよく調べていただきたい。

 自民党の歯科医師支部というのがありまして、党員がゼロのところが結構あるわけです。それなのに、今度は日歯連、つまり日本歯科医師連盟から、あるいは県段階の歯科医師連盟、その両方から自民党歯科医師支部というところにお金がどんと入っていくんです。党員がいないのにお金が入るんですよ。そして、それが組織活動して消えている。だれがどう使ったのか、極めて奇怪であります。

 それだけではないんです。私は、虚偽記載という問題も、最近いろいろ捜査も受けたりしているようですけれども、そういう問題もある。

 資料を見ていただきたいんですけれども、二〇〇二年の政治資金報告書、これは一年間だけですけれども、これを見ますと、日本歯科医師連盟の本部から合わせて四億五千四百万円が都道府県の歯科医師連盟に出ているんです。ところが、都道府県の歯科医師連盟が受け取ったと記載されている金額は三億一千五百万円しかありません。何と一億四千万円も開きがあるんです。これはおかしいですよ。どこに行ったんですか、これは。

 また、自民党歯科医師支部には日歯連から寄附を受けたという記載がある、ところが日歯連には支出した記載がない。十二県あるんです、これが。逆に、日歯連には支出の記載があるのに自民党支部に記載がないのが三都県ある。一体これらの資金はどこに行ったのか、極めて不明朗です。これは自民党の直接関係のところですよ。

 そこで、法務省の刑事局長にお聞きしますが、少なくともこれは政治資金報告書の虚偽記載に当たると私は思うんですけれども、これは調査して、仮に法令違反があれば厳正に対処するというのは当然だと思いますが、いかがでしょうか。

樋渡政府参考人 お尋ねは捜査機関の活動内容にかかわる事柄でございますからお答えは差し控えさせていただきますが、あくまでも一般論として申し上げますれば、捜査機関といたしましては、刑事事件として取り上げるべき事柄があれば、厳正公平、不偏不党で、法と証拠に基づいて適切に対処をするものと承知しております。

佐々木(憲)委員 これは厳正に調査をして対処していただきたい。

 都道府県の歯科医師会、歯科医師連盟、自民党歯科医師支部、この三つの組織というのは一体どうなっているのか。これを私は四十七都道府県調べてみましたら、さらに重大なことがわかりました。それは、何と、皆さんにお配りした資料を見てわかりますように、会長も三つ同じ、あるいは会計責任者も三団体同じ、住所も同じ、こういうところがほとんどであります。

 まとめてみますと、こういう結果が出るわけです。各県の歯科医師会、歯科医師連盟、自民党支部、三団体の代表者が全く同じ、事務所住所がすべて同じというのが二十四県。連盟、自民党支部の代表者が同じで、三つの団体の住所も同じ、これが十三都府県。医師会、連盟の代表者が同じ、三団体の住所が同じ、五府県。三団体の代表者と連盟、党支部の住所が同じ、これが一県。こういう形で、ほとんどの県が、同じ人が会長を兼ね、会計責任者を兼ねている。これは余りにも異常な状況でありまして、組織も金も場所も同じだ。これ、組織としては本来別な組織なはずですけれども、こういう実態になっているわけであります。

 小泉総理、それぞれの組織の目的というのは、これは違うと思うんですね。しかし、こういう形で、人も会計責任者も住所も同じだと。これは明らかに奇妙な状況であります。総理として調べてこれを峻別するというのは当たり前じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは日本医師会の話で、私どもが……(発言する者あり)日本歯科医師会の問題だと思うんですが、その歯科医師会の問題というのは歯科医師会じゃなきゃ御存じないんです。私どもはわからないんです。

佐々木(憲)委員 私が指摘しているのは、自民党支部と歯科医師連盟と歯科医師会が同じだと言っているんですよ。会計責任者が、みんな一人がやっている、会長を全部一人がやっている、同じ住所、同じ事務所にある。完全に一体じゃないですか。こういうやり方で、歯科医師会に入った方々は何をさせられているかというと、結局これは自民党の応援団にさせられているわけです。

 例えば、ここにありますけれども、愛知県歯科医師連盟、それから愛知県の歯科医師会、会長は別々に一応なっています。しかし、連名で歯科医師会の会員に対して、「各地区歯科医師会に於いても一人でも多くの支援者を獲得するため、活動いただいております。」これは、大島参議院議員を推薦決定しているからやってくれと。それで、「今回の予備選挙で勝利しなければ、七月の参議院選挙に自民党公認候補として立候補することは出来ません。」「職域代表である笹井ひろふみ候補の必勝には大島参議院議員に是非勝利していただかなければなりません。」「全会員一丸となりこの予備選挙に取り組んでまいりたい」。

 これは、完全に医師会そのものが、医師会というのはいろいろな思想信条の方、政党支持の方が参加している。そこに対して特定の自民党の候補を応援するように、しかも、笹井先生の名簿の依頼が十名分来ているがもうこれ以上依頼は絶対ないかというようなことを、これは愛歯月報、愛知県歯科医師会のこの雑誌の中で歯科医師会長が、市の会長がですよ、十名の推薦依頼が来ているが、これ以上ないかと聞いているんです。それで、それ以上ありませんと。

 これは、歯科医師会そのものが完全に自民党の下請団体になっていると言わざるを得ない。これほど異常な状況というのは、私はないと思うんですね。それを、これは極めて正常だと言うんですか。

 やはり実態調べて、その癒着関係については正すというのが当たり前じゃないですか。このぐらいやれなかったら改革にならぬでしょう。総理、どうお考えですか。

小泉内閣総理大臣 それは、歯科医師会の先生方は自民党応援する人もいっているでしょう。中には共産党を応援している人もいるでしょう。それの実態を私ども調べようがないですよ、個人の自由だから。全部が、歯科医師会の会員が全部自民党応援しているとは私は思っていませんね。

佐々木(憲)委員 これは、小泉総理は、今は答弁に窮してそういう逃げを打っているわけですけれども、要するに、自民党がこのような大衆団体を下請として使い、組織的にもお金も一体となって、まことに驚くべきぐるみ選挙をやっている、このことをこのことは証明しているわけであります。

 私は、こういうことはきちっと改めていくということが必要だ、日本の政治にとってこの点は極めて重要だという点を指摘して、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。

笹川委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 いよいよ平成十六年度予算についての本格的な議論が始まりました。

 今、多くの国民は強い生活不安、将来不安を抱いております。長引く不況で中小零細企業は大変な苦境に追い込まれております。深刻な雇用不安も高まっております。社会民主党は、医療、介護、年金、福祉などに大胆な予算配分を行って、国民の生活不安、将来不安を解消することが必要であり、その取り組みを強化することが政治の責任である、こういうふうに考えております。

 さて、平成十六年度政府予算の一般会計総額は八十二兆一千百九億円であります。一般歳出は対前年度比〇・一%増の四十七兆六千三百二十億円となりました。税収はどうかというと、四十一兆七千四百七十億円が見込まれているわけでありますが、この税収では一般会計総額の五〇・八%を占めるにすぎないのであります。

 歳入不足を補うために、当初予算ベースで過去最高の三十六兆五千九百億円の国債が発行され、国債依存度は四四・六%に達しました。これではもはや財政は破綻に近いと言わざるを得ない、このように思うのであります。

 税収の四年連続の減少、新規国債発行額の三年連続の増加、一般会計に占める税収の比率が戦後最低の五〇・八%になっておりますが、小泉総理は、平成十六年度予算というのをどのように評価し、これからこの予算でもって日本はどういう社会を目指していこうというふうにお考えでしょうか、お伺いいたします。

小泉内閣総理大臣 確かに、現在の財政状況は極めて厳しい状況であります。国債の依存率も四割を超えておりますし、税収もかなり厳しい状況にあります。そういう中で、いかに現在の経済情勢、景気情勢を好転させていくかという中で苦心を重ねた予算だと思っております。

 この一般会計予算の中に、政府としては一番の費用を社会保障に充てておりますが、それでも、高齢化社会を見ますと、まだまだ社会保障関係費は伸びてまいります。これを伸びるままに任せていきますと、今度はほかの事業に充てる財源はどうしてくるのかという問題も出てまいります。確かに、社会保障関係予算、今最大の支出項目になっておりますが、これからも当分この状況は変わらないと思います。

 そういう中で、どのように社会保障というものの重要性を認識しながら経済を活性化していくか、国民の負担というものをどう考えるかということを考えますと、厳しい状況にあるにもかかわらず、やはり増税というわけにはいかない、減税先行させようということで、昨年度は減税先行させたわけでありまして、今年度も、税制改革によりまして、一兆五千億円程度の減税が先行しております。

 この財政状況というのはすぐに改善というわけにはいきませんが、二〇一〇年代初頭、今から十年後ぐらいには基礎的な財政収支をプラスに持っていきたい。そのために、今予算が必要だということで一般歳出規模をふやしていきますと、将来、この大きな規模を賄う財源をどうするのかという問題が出てきますから、一般歳出は前年度以下に抑制していく、そういう中で歳出にめり張りをつけていこうと。

 ですから、ふやしたところは、社会保障関係予算と科学技術振興費と中小企業予算だけです、プラスになっているのは。あと全部マイナスなんです、前年度から。マイナスの中でプラスをつくったら減らさなきゃならないということでありまして、極めて厳しい中にも現在の経済情勢というものを考えながら、考えに考えた予算であり、こういう厳しい状況は当分続くと思いますが、それだけに、金融改革、そして税制改革、規制改革、歳出改革を進めていかなきゃならない事態だと思います。

 同時に、財政だけでは限度があります。金融政策も、日本としては今までにない、ゼロ金利、低金利、史上最低です。なおかつ金融緩和、これも今までにない金融緩和策を打っています。だから、そういうことを考えますと、財政政策、金融政策、もう目いっぱい、積極的に打っていると言っても私は過言ではないと思います。

 そういう中での予算でありますので、極めてこれからも苦難な道は続きますが、そういう中で、財政出動なくして、企業にやる気が出てきた、個人にも、倒産件数がだんだん減ってきて新しい会社をつくり上げようという意欲が出てきたという、この意欲を支援するような形で何とか明るい方向に持っていきたいと思っております。

照屋委員 社民党は持ち時間が少ないですので、要領よく、簡潔に大臣にはお願いをしたいと思います。

 財務大臣にお伺いいたしますが、平成十六年度末における国、地方の長期債務残高は幾らになるんでしょうか。また、対GDP比は幾らか、お尋ねいたします。

谷垣国務大臣 平成十六年度末の国及び地方の長期債務残高は約七百十九兆円、GDP比でいきますと一四三・六%となる見込みでございまして、他の主要先進国と比べても非常に厳しい状況にあると認識しております。

照屋委員 そういう十六年度予算を見ると、財政がかなり硬直化しているなというふうに思うんですが、竹中大臣にお伺いいたしますが、この財政の健全化を示すプライマリーバランスの黒字化、これは、総理がさきに公約をした二〇一〇年代の初頭の実現は可能なんでしょうか。

竹中国務大臣 基礎的財政収支の赤字は、日本の場合、GDP比でありますけれども、今の時点、マイナス五・四%でございます。これを年平均で、大体でありますけれども、GDP比で〇・五%ずつ何とか改善していくことによって、約十年程度でこの基礎的収支の黒字化を目指したいというふうに考えている次第であります。

 幸いにして、十六年度は〇・八%ポイント程度これが改善するというふうに見込まれている。これは、その年によって大きく改善できる年もあれば苦しい年もあります。しかし、今のようなペースを続けていけばそれが可能になるというふうに思っておりますので、大変苦しい中で重要な第一歩が十六年度の予算で踏み出せているというふうに思っております。

照屋委員 雇用情勢、極めて深刻であります。完全失業率が五%台の高水準で推移をしておりますし、完全失業者も三百万人を超えるという状況でございます。中にあって、若年者の失業、これは非常に深刻でありますが、厚生労働大臣、この現状と具体的な雇用対策についてお伺いいたします。

坂口国務大臣 御指摘のように、全国的に見ましても、雇用情勢、失業率四・九%になったとはいいますものの、まだ厳しい状況にあるというふうに思っております。

 その中でも、平成十五年の十二月の十五歳から二十四歳層で見ますと、失業率が八・一%ということでございます。ここに対しましては、この四月から、いわゆるデュアルシステムというふうに言っておりますけれども、いわゆる職業につくのと、そして新しい技能を身につけるのと並行してやっていく期間をつくるといったようなことをやっていきたいというふうに思っておりますし、若年者のワンストップサービスを徹底いたしまして、そして皆さん方にプラスになるようにしていきたいというふうに思っております。

 時間がないようでございますから、もう一つ、沖縄におきます点も含めて申し上げておきますが、沖縄はさらにここが厳しくなっているわけでございますので、特別に沖縄におきましては対策を講じていきたいというふうに思っております。沖縄若年者雇用開発助成金制度、名前が長くて申しわけないですけれども、これを設けまして、若年者に魅力的な雇用機会を開発するということで、特に沖縄につきましては全力を挙げたいというふうに思っております。

照屋委員 今大臣がお触れになった沖縄若年者雇用対策事業、これはまた別の機会に聞きますが、現実には余りよく機能していないんですよね。

 そのことはまた後日議論するとして、一方で、高齢者雇用対策、高齢者、これは六十歳から六十四歳の失業率は、平成十三年度八・一%、十四年度で七・七%であります。やはり定年制の問題あるいは年金の支給年齢とも絡めて、この高齢者雇用の対策についてはいかがでしょうか。

坂口国務大臣 若年者とともに高齢者の問題も大事であるということを私たちも思っているわけでございます。

 六十五歳までの定年の延長というのができればよろしいですけれども、一度にそうもいかないというふうに思いますから、年金の六十五歳への引き上げと並行いたしまして、継続雇用をできるようにできるだけ経営者にもお願いをするといったことを含めまして、高年齢者雇用安定法の改正案を今国会に出させていただきたいというふうに思っているところでございます。

照屋委員 それでは、次に、沖縄における激増する米軍人軍属、その家族らによる犯罪についてお伺いをいたします。

 二〇〇三年、沖縄県警が摘発をした米軍人軍属とその家族らの犯罪件数についてお教えください。

小野国務大臣 お答えさせていただきます。

 二〇〇三年中の沖縄県における米軍構成員等による刑法犯の検挙状況は、検挙件数が百十二件、検挙人員が百三十三名となっておりまして、これは前年に比べますと、検挙件数が三十一件、検挙人員が三十三名の増加となっております。

照屋委員 ここにパネルをつくってまいりました。総理、これは今大臣が答弁した資料でございますけれども、激増をしておるんですね。どんどんふえておるんです。かつてクリントン大統領がサミットで沖縄へ来られたときに、よき隣人でありたいというふうに言いましたけれども、強盗、強姦などの凶悪犯もふえているんです。九五年の少女暴行事件以降もふえているんですね。これについてどのような対策をとられるんでしょうか。

川口国務大臣 沖縄におきまして米軍構成員による犯罪が、先ほどお示しになられたように、非常にふえているということは大変に遺憾なことであると思っております。

 それで、どのような対応をとるかということでございますけれども、まず、いろいろな機会に高いレベルで、米軍に対しまして綱紀の粛正、再発防止の徹底への取り組みを申し入れてきております。

 それで、まず綱紀の粛正でございますけれども、外務省として、最近の動向、これを踏まえまして、改めて一層の綱紀粛正を求めていきたいと思っております。

 それから、政府といたしまして、国、米軍及び地方公共団体が協力をして事件、事故の防止に取り組むということも重要だと考えておりまして、三者協、三者連絡協議会や事件・事故防止のためのワーキングチームなどを通じまして、米軍による、米軍人による事件、事故の各種の具体的な防止策につきまして、地元関係者や米軍とともに知恵を絞り、緊密に協力をしながら努力を今後ともしてまいる考えでおります。

照屋委員 防衛施設庁長官にお伺いをいたしますが、いわゆる思いやり予算による基地内での工事の問題でありますが、平成十年から十四年度分の提供施設の整備費はどうなっておるでしょうか。

山中政府参考人 平成十年度が八百八十一億、以降、八百五十五億、八百九億、八百十三億、平成十四年度が七百五十一億、今年度が約六百九十億ということでございます。

照屋委員 問題は、この提供施設整備費による基地の中での工事なんですが、ここにパネルを持ってまいりましたけれども、県内企業が受注をしている受注額というのは六割、七割ぐらいなんですね。それ以外はほとんど県外の企業が受注をしているんです。

 これは多い少ない、いろいろ評価はあるかもしれませんが、要するに爆音だとか、あるいは大気汚染だとか、演習による被害だとか、あるいは米兵の犯罪だとか、あるいは土壌汚染だとか、そういう基地被害は、わずか〇・六%の沖縄に七五%が集中をして、もろに沖縄県民が基地被害を受けているわけですね。ところが、国民の血税である思いやり予算でやる基地内の工事は、六割ぐらいしか県内企業は受注できていない。私は、それはいかにもおかしいと思うんですが、どうでしょうか。

山中政府参考人 今委員、いわゆる在日米軍駐留経費負担の中の提供施設整備工事に関してお触れになりましたけれども、これは沖縄におきます自衛隊の関係の工事、あるいはSACOの関連の工事等についても共通して言えることでございますが、当然、私どもも、地域経済の振興でありますとか地元の中小の企業の育成という観点から、地元企業にできるだけ受注をしていただくという工夫をこれまでやってきております。

 例えば、本体工事と附帯工事を分割したり、あるいは工区分けをする、あるいはBランク同士の企業が共同体を組みましてAランク並みの業者の扱いになるといったような工夫をして、できるだけ地元企業の受注機会の確保に努めてきたところでございまして、件数では、今お示しになりましたけれども、八割を超えている。ただ、いかんせん、一件当たりの受注金額、比較的小規模な工事を受注するという傾向が強うございますので、契約金額という点では六割を超えているという実態にございます。

 いずれにしても、今後とも地元企業の受注機会のさらなる確保に向けまして努力をしていきたいというふうに考えております。

照屋委員 思いやり予算は、国民の税金で年間約六千五百億円ぐらい米軍のために使っているんですね。どんなものをつくっているかというと、隊舎、食堂、診療所、育児所、学校、消防署、工場、郵便局、家族住宅まで国民の税金でつくっているんです。

 SACOの問題も、SACO関連予算もたくさんの問題をはらんでおりますが、時間がございませんので、また次の機会にやりたいというふうに思っております。

 ところで、防衛施設庁長官に一点だけお伺いいたしますが、海兵隊の大分の日出生台の演習との関連で、ここに持ってまいりました英文の自由活動のためのガイドというもの、これは防衛施設庁がつくったんですか。

山中政府参考人 これは、実弾射撃訓練終了後、七日と九日、二回海兵隊員が外出をしておりますが、その際に、米側海兵隊の要請を受けまして、米側と調整の上、作成をいたしたものでございます。

照屋委員 この中には、特定のボランティアによる住民運動団体を非難するような記述がありまして、現地指揮官のマイケル・ラングレー中佐はその団体に謝罪をしております。

 防衛施設庁はどうですか、謝罪しませんか。

山中政府参考人 これは、やはり海兵隊員の外出に際しまして無用なトラブル等が発生しないようにということで、例えば飲食店におきます注意事項、当然これは日米で慣習等の違いがありますから、そういったことを踏まえて、一定の注意事項をガイドという形で作成したものでございます。

 ただ、個別の団体名に言及をしたということにつきましては、慎重な配慮が必要だったというふうに考えております。

照屋委員 素直に謝ればいいんですよ。

 外務大臣、最後にお伺いいたしますが、私は、日米地位協定は、この国の主権と国民の人権とそして二十一世紀のキーワードである環境の視点で、抜本的、全面的に見直すべきだ、こういう考え方であります。

 ところで、私の質問主意書に対して政府は、「日米地位協定の考え方」増補版の保有を認めました。ところが、県知事を含めて、沖縄県民がそれを出してほしいという強い要望があるんですが、外務省、どうでしょうか。

川口国務大臣 先生の質問主意書への答弁書におきまして、保有をしていると回答した文書、これは昭和五十年代に作成された部内の参考資料でございまして、日米の地位協定に関する当時の担当者の考え方を記したものでございます。

 それで、この中に、部内の考え方のほかに、日米間の外交上のやりとりに関する記述も含まれております。これを明らかにすることによりまして、米国との交渉上、我が国が不利益になる、不利益をこうむるおそれがある、それから米国との信頼関係が損なわれるおそれがあるというふうに考えております。したがいまして、この文書を公表するということは考えておりません。

 いずれにいたしましても、日米地位協定についての解釈、あるいは政府の見解、これにつきましては、国会等の場で随時御説明を申し上げております。改めて国会等でお尋ねがございましたら、誠実にお答えさせていただきたいと思います。

照屋委員 日米地位協定の問題は、基地が集中する沖縄の特別な、地域的な問題じゃないんです。この国の主権の問題なんですね。だから、私は、在日米軍基地がどのように運用されているのか、地位協定どおり使用されているのか、これを、安全保障の観点からも、日本の外交の観点からもただしていくためには、外務省が保有をしている「日米地位協定の考え方」増補版、これは参事官の話だと単なる覚えだというんですよ。これは外交秘密文書でも何でもないんだから、委員長、どうか当委員会に当該文書を提出するように理事会で協議をしていただきたい、実現できるように取り計らいをいただきたいと思います。

笹川委員長 はい、わかりました。

 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


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