衆議院

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第9号 平成16年2月13日(金曜日)

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平成十六年二月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 笹川  堯君

   理事 大野 功統君 理事 北村 直人君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 松岡 利勝君 理事 玄葉光一郎君

   理事 筒井 信隆君 理事 細川 律夫君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    今井  宏君

      小野寺五典君    大島 理森君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      小杉  隆君    鈴木 俊一君

      田中 英夫君    滝   実君

      竹下  亘君    玉沢徳一郎君

      中馬 弘毅君    津島 恭一君

      津島 雄二君    中山 成彬君

      丹羽 雄哉君    西川 京子君

      西野あきら君    葉梨 康弘君

      萩野 浩基君    蓮実  進君

      二田 孝治君    保坂  武君

      町村 信孝君    井上 和雄君

      池田 元久君    石田 勝之君

      市村浩一郎君    生方 幸夫君

      海江田万里君    河村たかし君

      木下  厚君    吉良 州司君

      小泉 俊明君    鮫島 宗明君

      首藤 信彦君    達増 拓也君

      手塚 仁雄君    寺田  学君

      中津川博郷君    鉢呂 吉雄君

      平岡 秀夫君    藤井 裕久君

      松木 謙公君    村井 宗明君

      石田 祝稔君    遠藤 乙彦君

      高木 陽介君    富田 茂之君

      桝屋 敬悟君    佐々木憲昭君

      山口 富男君    山本喜代宏君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         野沢 太三君

   外務大臣         川口 順子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       河村 建夫君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   環境大臣         小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (青少年育成及び少子化対策担当)

   (食品安全担当)     小野 清子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (個人情報保護担当)

   (科学技術政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (産業再生機構担当)   金子 一義君

   国務大臣

   (防災担当)       井上 喜一君

   内閣官房副長官      細田 博之君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   財務副大臣        山本 有二君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通副大臣      佐藤 泰三君

   環境副大臣        加藤 修一君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   総務大臣政務官      松本  純君

   法務大臣政務官      中野  清君

   外務大臣政務官      松宮  勲君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    秋山  收君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十三日

 辞任         補欠選任

  植竹 繁雄君     小野寺五典君

  鈴木 俊一君     今井  宏君

  滝   実君     竹下  亘君

  津島 雄二君     津島 恭一君

  井上 和雄君     村井 宗明君

  海江田万里君     手塚 仁雄君

  河村たかし君     市村浩一郎君

  鉢呂 吉雄君     松木 謙公君

  藤井 裕久君     寺田  学君

  高木 陽介君     富田 茂之君

  佐々木憲昭君     山口 富男君

  照屋 寛徳君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     鈴木 俊一君

  小野寺五典君     西野あきら君

  竹下  亘君     滝   実君

  津島 恭一君     保坂  武君

  市村浩一郎君     河村たかし君

  手塚 仁雄君     海江田万里君

  寺田  学君     藤井 裕久君

  松木 謙公君     鉢呂 吉雄君

  村井 宗明君     井上 和雄君

  富田 茂之君     桝屋 敬悟君

  山口 富男君     佐々木憲昭君

  山本喜代宏君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  西野あきら君     葉梨 康弘君

  保坂  武君     津島 雄二君

  桝屋 敬悟君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  葉梨 康弘君     田中 英夫君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 英夫君     植竹 繁雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算、平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長高部正男君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長樋渡利秋君、文部科学省生涯学習政策局長銭谷眞美君及び国土交通省道路局長佐藤信秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井宏君。

今井委員 おはようございます。今井宏でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 自由民主党として、まず最初に、政治倫理の問題について、何点か質問をさせていただきます。

 福岡二区選出の元民主党所属の古賀潤一郎議員については、学歴詐称問題が最近話題になっております。アメリカまで本人が調査に赴き、大学は卒業していないことが明らかになったほか、説明も二転三転しております。古賀氏本人は、議員辞職はせず、政治活動を継続する、議員報酬は受け取らない、不足していた単位は取得したいと述べて、現在も議員活動を継続しているところであります。二月十日には議員歳費が支払われましたが、古賀議員は前言を翻し、一転して、受け取っております。

 古賀議員が言うように、もし国会議員が議員報酬を国庫に返上するということになれば、公職選挙法上問題があるのかどうか、お伺いさせていただきます。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 公職選挙法第百九十九条の二第一項は、公職の候補者等は、「当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。」と規定しているところでございます。「当該選挙区内にある者」とは、当該選挙区内にあるすべての者を意味し、自然人や法人のほか、国や地方公共団体も含まれると解しておるところでございます。

 したがいまして、議員報酬を国庫に返上するということでありますれば、それは国に対する寄附でございまして、公職選挙法上禁止されているというふうに解しているところでございます。

今井委員 それでは次に、古賀議員を含め五人の民主党議員について刑事責任が問われている問題について、お尋ねをさせていただきます。

 まず、古賀議員は、この問題について、市民団体から告発されていると報道されておりますけれども、検察庁に告発はあったのかどうか、また捜査状況などについても、アメリカに捜査に行くのかどうかも含めて、法務当局に見解をお伺いさせていただきます。

 また、昨年の衆議院選挙をめぐり、宮城一区の今野議員、二区の鎌田議員の陣営において、労組ぐるみの利害誘導等の容疑で、連座制の対象となる関係者が逮捕、起訴されております。さらに、愛知県の都築議員の陣営におきましても、買収、事前運動の容疑で同様に起訴されております。

 そこで、各陣営による選挙違反の事実の概要と、今後、連座制が適用されるかどうか、その場合の手続の流れにつきまして、法務当局にお伺いをいたします。

 加えて、昨年、民主党の西村議員が関連した団体である日本刀剣友の会のメンバーが逮捕されました。報道によれば、刀剣友の会役員四十三人中十一名が逮捕される事態となっているようでございますが、その概要について法務当局にお伺いさせていただきます。

樋渡政府参考人 最初にお尋ねの古賀潤一郎議員の関係につきましては、福岡地方検察庁におきまして、告発状を受理した旨公表しているものと承知しております。捜査機関の具体的な捜査の方法、内容につきましてはお答えをいたしかねるところでございますが、検察当局におきましては、関係機関とも連携の上、法と証拠に基づいて、適宜適切に対処するものと承知しております。

 次にお尋ねの件についてでございますが、御指摘の都築譲議員の関係につきましては、その出納責任者を含む選挙運動者五名が、電話による選挙運動を行うことの報酬の支払いを約束したなどの事実により、起訴されているものと承知しております。

 また、今野東議員の関係につきましては、選挙運動者である労働組合関係者二名が、人材派遣会社関係者五名に対して、電話による選挙運動を行う要員を確保、派遣することの報酬として、同会社に現金を支払う旨の意思表示をしたなどの事実により起訴されており、これに応じました同人材派遣会社の関係者五名についても同様であると承知しております。

 さらに、鎌田さゆり議員の関係につきましても、同様の事実により、選挙運動者である労働組合関係者四名及び人材派遣会社の関係者五名が起訴されているものと承知しております。

 これらの事案は、いずれも第一審において公判審理が進められておりまして、連座制が適用されるかどうかは、刑事事件における有罪判決が確定した段階で判断されるべき事柄と承知しておりますので、有罪の確定を前提としての御質問にはお答えをいたしかねることを御理解いただきたいのでありますが、あくまでも一般論として申し上げますれば、起訴された者が出納責任者の立場にあったなどとして加重買収罪で有罪の判決が確定した場合には、候補者側から連座訴訟の提起がない限り連座の効果が発生することになります。

 また、連座には検察官から連座訴訟を提起する必要のある類型もございまして、この観点から連座訴訟の提起が必要かどうかにつきましては、有罪判決確定後、公判段階で明らかになった事実関係も踏まえて、高等検察庁の検察官において判断するものと承知しております。

 最後にお尋ねの、刀剣友の会の関係者らが逮捕されまして、東京、大阪、広島等におけるけん銃の発砲事件を初めとする一連の事件につきましては、所要の捜査を遂げ、本年二月三日までに東京地方検察において、事件に関与した同会会長ら合計十五名を銃砲刀剣類所持等取締法違反などの罪により、公判請求済みであると承知しております。

 以上でございます。

今井委員 西村議員は、刀剣友の会の最高顧問を務めていたほか、逮捕された刀剣友の会会長の村上容疑者など関係者から献金があったことが過去の政治資金収支報告書から明らかになっております。西村議員の政治的道義的責任は重いと言わざるを得ません。

 また、これまでの質問の中で古賀議員の問題は、結果的に有権者を欺いて国会議員になったことについて、所属政党である民主党から除籍、離党しただけで議員活動は継続しております。そのことも政治的、道義的に許されるのかどうか、大きな問題があると思います。

 また、民主党自身も、党としての調査結果について明確な説明を行っておりません。さらに、選挙違反の問題も、十分な説明責任を果たしているとは言えません。

 そこで、これら五人の議員につきまして、事実関係を明らかにするためにも、参考人として委員会に招致していかなければならないと思いますが、委員長、いかがでしょうか。お取り計らいをお願いいたします。

笹川委員長 理事会で協議します。

今井委員 参考人として、委員長にお取り計らいを、この委員会に招致していただくようにお願いを申し上げます。

笹川委員長 今お答えいたしましたので、今井宏君、質問を続けてください。

今井委員 次に、地方に主権を認めて中央から地方に権限と財源を移譲する地方分権について、質問をさせていただきます。

 地方分権は、国と地方の役割を分担する……(発言する者あり)

笹川委員長 静粛に。

今井委員 最大の構造改革であり、行政改革であると私は考えております。平成の新しい日本の国の形をつくることになると思います。

 そこで、本格的な税源移譲について、そして、次には国庫補助負担金の改革の進め方について、三つ目には地方交付税の削減について、この三点につきまして、いわゆる三位一体の改革について質問をさせていただきます。

 まず、総理に、本格的な税源移譲への決意につきまして、御質問をお伺いさせていただきます。

 地方分権の推進は、今や避けては通れない重要な政策の課題でございます。しかし、地方分権もいまだ道半ばであるのも事実でございます。税財政の問題が残されているからであります。地方は、国の関与がなく、自由に使える財源の抜本的な拡充強化、つまり、基幹税の税源移譲による地方税の充実に大きな期待を持っているところでございます。

 総理は、昨年六月二十七日の閣議決定、基本方針二〇〇三におきまして、その改革の方向性を明らかにされました。さらに、十一月には、改革実現のための指示を各閣僚に示されました。この総理の改革推進の強い意志とリーダーシップがあったからこそ、今回の予算案において、国庫補助負担金の一兆円の改革、所得譲与税による税源の移譲、交付税の改革という成果が示されたわけであります。

 特に、税源移譲につきましては、平成十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行うことも決定されるなど、地方公共団体の長年の悲願でございました基幹税による税源移譲に大きく第一歩を踏み出したもの、このように評価をしております。

 そこで、まず総理にお伺いさせていただきます。

 平成十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行うとされておりますけれども、総理は、本格的な税源移譲の具体的な姿、規模、これをどのように考えていらっしゃるのでしょうか。このことは、三位一体改革の全体像を示す上で最も重要な点でございまして、地方公共団体も大変期待しております。力強いお答えを期待いたしますので、総理、よろしくお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 三年間で約四兆円の補助金、これを地方にできるだけ裁量権を与える形で渡そう、同時に、それに関連しますが、交付税の問題、それから税源の問題、この三つを一体的にとらえて、地方にできることは地方にという趣旨が生かされるように改革をしようというのが、この三位一体改革であります。

 具体的には、今年度、十六年度におきましては、まず一兆円の補助金、それに見合う税源として、当面、所得譲与税というものを設けました。今後あと二年、残りの三兆円程度をどういう形で具体的に項目を決めて地方に移譲するか。あるいはまた、税源にしましても、譲与税ではなくて、どういう形で税源というものを地方のかなりの裁量権を発揮できるような形で設けるか。

 また、交付税というのは、現在、不交付団体は東京都とほんのわずかであります。財政調整ということを考えれば、ほとんどの地方団体が交付税をもらっているということでは、本来の財政調整機能というものは果たしていないんじゃないか。

 この点は、地方におきましては、交付税をもらった方がいい、みずからはもう税源も財源もないんだからという声もあるわけでありますけれども、やはり地方として自由度を発揮する、地方にできることは地方に、地方の創意工夫が発揮されるようなということを考えますと、ある程度の財政調整機能が必要でありますが、そういう点も含めて、補助金と交付税と税財源一体となって改革していく、それが必要じゃないかと思って、これから各地方の意見を伺いながら改革を進めていきたいと思います。

今井委員 ありがとうございます。

 全体像をぜひ総理のリーダーシップで早く地方にも国民にも示していただきたい、かように思うわけであります。

 地方公共団体がこれから真に自立した行財政運営を営んでいこうとすれば、やはり、繰り返すようですが、税源移譲というものが一番大きな問題であるわけであります。現在進められております三位一体の改革におきましても、地方の自立を目指すのであれば、当然税源移譲を中心とした改革を行うべきである、私はそのように考えています。

 そのためには、中央省庁の縦割りの権限争いに左右される国庫補助負担金の改革を入り口にして、それができた分だけ税源移譲をやるというのではなくて、地方公共団体が自主的に、自立的に行財政運営が行えるように、国と地方の仕事の量に応じた税源の配分を目指していく、せめてこれを一対一にするという大きな目標のもとに、平成十八年度までの間にどの程度の財源、税源移譲を行うのかを決めて、それに見合うよう国庫補助負担金の廃止、縮減を行っていくという税源移譲中心の三位一体改革を考えるべきではないかと私は考えております。

 そこで、総理に、税源移譲のあるべき姿を明確にした上で進めていくべきだ、このように思いますので、総理がどのようにお考えになっているか、お答えいただければと思います。

谷垣国務大臣 今、今井委員がおっしゃいましたように、三位一体改革の中でどれが父でどれが子であるのかよくわかりませんが、税源移譲というのは最も大事なものの一つであると私も思います。国政の上におきましても、国と国民が向かい合って、これだけの税金をください、そのかわりこれだけの仕事をいたします、これが私は民主主義の基本だと思いますので、税源移譲も、地方が自主性を持って、本当に地方の民主主義のもとに分権を進めていくということになりますと、税源移譲というのは一番大事な、住民と向かい合う、そして理解を求めて仕事を進めていく、こういう意味で、私は、基幹税による、所得税を地方住民税に振りかえていくという姿を基本に、これから検討を進めていかなければならないと思っております。

 その上で、今、まずそこから入れという委員の御主張でございましたけれども、今私どもが進めておりますのは、これはまさに三位一体でありまして、やはり一つ一つの事業を同時に精査するということもなければならないということで、今総理がおっしゃいましたように、四兆円ということを目標に、やはりきちっと精査をして、不必要なものはやはり切り捨てていかなきゃいけないし、必要なものは地方でやっていただく。その上で、同時に、今申し上げたような、地方自体が住民と向かい合いながら、対話をして物事を進めていくという姿をつくっていかなければならない、こう考えております。

今井委員 財務大臣から、基幹税を中心として進めていくという御発言もあり、大変心強く思いました。

 引き続き、国庫補助負担金の改革の進め方について、次にお伺いさせていただきます。

 平成十六年度の改革によって、地方分権も、新しい、ある意味での大きな第一歩を踏み出したと言ってもよいと思います。この一歩を次の大きな一歩へとつなげていくためには、今後の改革の進め方を明確に示すべきではないか、このように考えております。

 平成十六年度は、総理の指示のもとに一兆円の改革が行われましたけれども、基本方針二〇〇三では、平成十八年度までに、お話しいただきましたように、四兆円の国庫補助負担金の改革を行うこととされておるわけです。ということは、残りあと二年ということになるわけでございます。

 そこで、財務大臣にお伺いしたいと思います。

 国庫補助負担金の改革の残りを今後二年間にどのように進めていくおつもりなのか、どのような補助負担金を対象に、どう各省庁に分担させて、理解させ、納得させていくのか、具体的な進め方をお伺いさせていただきます。

谷垣国務大臣 今おっしゃった補助金改革は、地方の権限と責任を大幅に拡大する、これが第一の目標でございますけれども、同時に、今の財政事情からいたしますと、国と地方のスリム化ということも意識に置いてやりませんと、この補助金改革が進まない。ですから、スリム化というものも、大きな目標といいますか、要素でございます。

 そこで、骨太の二〇〇三では、先ほどからお話が出ておりますように、十八年度までにおおむね四兆円程度を目途に、むだなものは廃止をする、縮減をしていく、そういう改革をしながら、補助金の性格というものもさまざまでありますから、個別に一つ一つ見直しを行いながら改革を進めていくことが大事じゃないかと思います。

 今後、地方の自由度、裁量を拡大して真の地方分権型社会というものをつくっていくためには、来年度以降においても、骨太二〇〇三に掲げるような措置及びスケジュールを踏まえて着実にやっていかなければならないと思っておりますが、その際、私どもとしては、もちろん、補助金を持っておられる各役所、それから麻生大臣とも十分御相談をしながら、できるだけその姿が明らかになるような議論をしながら進めていく必要があるのかな、このように思っております。

今井委員 全体の姿を早く明確にして、目標を定めて進めていくことがとにかく大切なことだと思いますし、繰り返しますが、地方分権そのものは最大の行政改革である、いわゆるスリムになる、こういうことだと考えておりますので、どうぞよろしく進めていただきたいと思うわけであります。

 特に、御案内かと思いますが、ことしの平成十六年度における国庫補助負担金の改革の途中の経過では、生活保護費負担金の国庫負担率の引き下げということが話題になりまして、検討がされました。このことは、地方自治体にとりまして自由度も何も増さない、いわば負担の押しつけともとれる案が出てきたわけであります。また、今回の補助金改革のうち、地方の自由度が増す改革は、公立保育所の負担金の一般財源化だけであります。

 このようなある程度大きな塊で、かつ地方公共団体の自由度が増し、さらに住民福祉の向上につながるようなものを、毎年度幾つかきちんと実現しながら改革を進めていくことが、今後の国庫補助負担金の改革を地方の理解を得ながら進めていく方法ではないかと思っております。しかしながら、各省庁にこれを任せていたのでは、遅々として進まないおそれがあるわけです。

 ここで総理、いかがでしょうか。お伺いしたいと思いますが、私が今述べた方法で国庫補助負担金の改革を進めることができるのは総理だけであります。ぜひ総理にリーダーシップを発揮していただきまして、地方の裁量度が増し、真に地方分権につながるような国庫補助負担金の改革を進めていただきたいと思いますけれども、総理の御決意をお願い申し上げたいと思います。お聞かせください。

小泉内閣総理大臣 今後も地方の意見をよく聞きまして、総務大臣、各担当大臣よく連携して、この改革の趣旨を生かすように実現していきたいと思います。

今井委員 ぜひ、総理の改革に対する強い決意とリーダーシップを御期待申し上げる次第であります。

 最後に、総務大臣に、交付税の大幅削減と地方公共団体の財政運営につきましてお伺いさせていただきます。

 私は、三位一体の改革につきまして、地方公共団体にとって、改革が行われてよかった、頑張ろう、こういうような元気が出てくるようなものでなくてはならないと考えているところであります。

 平成十六年度の改革の中では、交付税については、これまでにない厳しい歳出削減によって大変厳しい結果になっているのではないかと思っております。臨時財政対策債と合わせますと約三兆円の減、マイナス一二%になるわけであります。地方公共団体からも、歳出の構造改革に取り組むにしても、これでは予算が組めないと悲鳴が上がっている自治体もかなりあるわけであります。

 このことは、今回、一兆円の国庫補助負担金の改革と言われている税源移譲は思ったほどではなかったということも相まって沸き起こっている声だと思うわけであります。

 何度も言うようですが、三位一体の改革は、地方が元気になるような改革でなければならないと思っております。地方が行政改革に取り組みながら、現在行っている自治体のサービスの水準、それと、そこに住む住民の負担のあり方を一緒に議論していかなければならないわけであります。ここ数年は、国の歳出の規模よりも地方の歳出規模が非常に大きくなっているのが実情でありまして、地方に無理なしわ寄せがされているわけであります。こうした状況は、改革を進めていく際に決して望ましいことではないとも思っています。

 そこで、総務大臣にお伺いさせていただきます。

 交付税と臨時財政対策債の抑制によって地方公共団体が予算編成に苦慮している今日の現状につきまして、どのように考えて、また、どのように対処されようとしていらっしゃるのでしょうか。

 特に、地方公共団体から声が上がりまして、我が党からも善処方を大臣に申し入れさせていただきました地方債の弾力的運用、あるいは後年度の財源補てん措置につきまして、どのように御検討していただいたのか、お答えいただければと思う次第であります。

麻生国務大臣 長く、四期十六年かな、市長をしておられましたので、市行政の運営につきましては最もお詳しい議員の方なんだという前提で。

 基本的には、今の、地方のことは地方にという話のもとは、やはり地方が元気が出る、元気が出るためには自由度が増しておかないかぬ、自由度が増せるためにはある程度の実入りも、しかるべき資金も持っていかな自由にはなれないということが、流れとしてはそれが基本だと思っております。

 また、片方、今言われましたように、抱えております地方交付税等々の、いわゆる特別会計の借入金残高というのが五十兆に既に達しておると思いますし、臨時財政対策債の方も同じく十四兆ぐらいになっておるという実態、いわゆる借入金がふえておりますので、したがって、それに合わせてある程度借入金を抑えるということもやっていただかないかぬ。財務大臣の言われたとおりで、それに対応するためには、ある程度、企業においていわゆる合理化するのと同じように、自治体においてもスリム化等々、民間でできることは民間に仕事を振っていく、アウトソーシング、いろいろな表現がありますけれども、そういった努力はしていただかないかぬということなんだと思っております。

 いずれにいたしましても、今回の中で自由度が増した、いわゆる保育園などなどの資金が入ってきたものにつきましては、自由になっております分だけ、その分を公設民営にされるとか、いろいろな形での手法というのは、既にいろいろな市町村で昨年度から、目先のきいた方はそれぞれもう既に手をつけておられるところ、全然つけておられないところ、いろいろ差があっておりますので、三千百七十の市町村を一括して、これで全部という手口があるわけではございません。

 したがいまして、個別にいろいろやっていかないかぬと思っておるんですが、いずれにいたしましても、今御指摘のありました点につきましては、再生事業債という御存じのとおりのものがありますので、この地域再生事業債というものの弾力的な運用というのは、お申し越しもあっておりますので、これについては弾力的に対応させていただきます。枠の拡充とか、いろいろなやり方があろうとは思いますが、それが第一点。

 もう一点は、予算が立てにくいというお話もあっておりましたので、この点につきましては、大体、地方交付税等々は、最終的には年度末、十二月末、段階的にいろいろ出てくるんですが、大まかな目安を立てるために、今督励しておりますけれども、四月中にはそれがめどが立てられるというところで、四月までに出せるような形で、これだけのものが入りますというものを、御存じのような標準方式をもちましてそこのところに対応させていただきたいと思っております。

 いろいろ御質問の点、財政健全化債などいろいろございますし、今、合併したところは、この種の話につきましては合併に関していろいろなメリットもございますので、そういったところも対応できるようになっているところもございます。

 地域によって物すごく差がございますので、個別の案につきましてはしかるべき対応をさせていただくつもりでおります。

今井委員 ただいま麻生大臣から、地方に対する配慮をいただく対応を積極的にお考えになっていらっしゃる、こういう御答弁をいただきまして、大変心強く思うわけであります。

 ただし、一方では行政改革を、地方の行革もしっかり進めていかなければならないわけでございますし、御指摘がありましたように、スリム化もしていかなきゃならないわけでありますので、一生懸命行革に取り組んだところが結果として損をしてしまう、このようなことにならないように、公平ということにも意を用いていただきたいと思うわけであります。

 私の経験からいたしましても、行革を進めてアウトソーシングをしていろいろと削減をいたしますと、結果として、それは御褒美じゃなくてペナルティーになってしまうというケースがあるわけであります。やはり徹底した行革を進めることによって、地方自治体に対してむしろ支援してやる、いろいろな支援の方法は、お金だけではないと思いますけれども、そういったことが励みになるというか、ともに国をつくっていくということが大切ではないか、このように考えているところでございます。

 どうぞ今後とも、地方自治体とともにある日本の国でございまして、新しい国づくり、しっかりとした分権社会、これをこしらえるために御指導賜りたい、このように思っている次第であります。

 次の質問でございますが、今のに関連をするわけですが、総務大臣に、今お話ししましたように、地方公共団体への情報の提供、周知の方法、これをぜひお伺いさせていただきたいと思う次第でございます。

 地方公共団体が、予算編成が国と地方が一緒の時期、こういうこともあるわけでございますけれども、今回のように、最後になって急にこのような話が出てきて困る、こういう声を地方からたくさん聞くわけであります。当然、税収の見通しあるいは国の予算編成など仕方のない面も十分理解できているわけでありますけれども、もう少し地方公共団体へいろいろな情報を早目早目に提供するべきではないんだろうか、このように考えるわけです。そうすれば、地方公共団体も財政運営の見通しを立てやすくもなりますし、今回のような騒ぎにならなかったのではないか、このように思うわけでございます。

 最後になりますが、総務大臣にぜひ、今私が述べたように、地方公共団体への情報の提供あるいは周知の方法につきまして検討すべき点があると思いますので、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 ごもっともな点もあろうと思いますし、私どももそれなりにやってきていたつもりですし、一昨年からこの話は出ておった話でございますが、一昨年はそこそこなところになったので、何だ今回もと思っておられたところと、一昨年から始まっていよいよことしはやられると思ったところは差がすごく出たというのは、正直な、市長さん方から個別に伺った実感でもあります。

 しかし、言われますとおりに、この種の話は大変大事な点でもありますので、あらかじめ概算のときぐらいに既に大まかな方向といっても、それを何となく身近にとっておられなかった方、いろいろありましたので、会議を開くなどなどをしても、書類もたくさん来ますものですから、そのうちの一部に消える点もありますので、この点は非常にということで、周知徹底という以上に、特にこの点を強調して周知というところをやらないかぬのかなというのが正直な反省の点でもありますので、御趣旨に沿ってきちんと対応させていただきたいと思っております。

今井委員 地方にも、今までの長年の集権型の仕組みでずっと来ておりますから、中央に対する依存心、はっきり言えば甘えの構造というのも認めないわけにはいかないわけです。

 分権というのは、自分で決めて責任を持つ、自立していく、そしてなおかつ、個性豊かな、どこでも、どこを切っても金太郎あめではない、そういう地方の町づくりや人づくりをしていくわけでありますので、そういった意味では、地方への意識改革につながる大変大きな課題だと思っておりますので、これからも積極的に地方の主権を認めて、そして分権社会を構築していただきますようによろしくお願い申し上げます。

 次に、最後の質問になるわけでございますが、日本発のIT社会の構築と国際標準化政策につきまして、何点か御質問をさせていただきます。

 我が国のIT産業に関しましては、徹底した構造改革に加えまして、昨今の薄型テレビ、デジタルカメラ、DVDなど、いわゆる情報家電分野の市場拡大を追い風として、関連企業の業績も回復基調に向かっております。加えて、これらデジタル情報家電を支える半導体や薄型画面表示、これらを中心とする部品も国際競争力を回復しつつあるわけであります。

 IT産業は自動車産業と並びまして我が国の経済の成長エンジンであり、とりわけこの情報家電分野は、日本の強みを生かして再び世界市場を席巻し得る事業分野であると思っております。生き残りをかけた厳しい競争におきましてまさにとらの子であり、デジタル情報家電分野の国際競争力を強化することは、産業政策上、極めて重要なものだと思います。

 情報家電分野の力強い市場拡大を支援するためにも、また消費者サイドの側から見ましても、放送、通信、無線、OSなど、これらが統合された機器、組み込みデバイスが開発され、さまざまな情報家電機器が簡単につながる環境を実現することが重要であると考えております。

 ここで、総理、総務大臣並びに経済大臣の御見解をお伺いさせていただきます。

麻生国務大臣 今言われた国際標準、ワールドスタンダードという、これは物すごく大事なところでして、今、これは他省庁いろいろ、特に通産省等々、例のベータとVHSとのあのときの例等々、ほかにも数々あります。

 少なくとも今回のユビキタスと言われる言葉は、これは日本発のラテン語というとおかしいですけれども、日本発のスタンダードというものが始まっておりますので、少なくともこの言葉が今、昨年の十二月以降世界じゅうで、この種の業界には普通の言葉になりつつある。

 特に、坂村先生によりますトロンとか、年末、予算に使わせていただきました、しゃべる大根とか、ああいったのは一つの例ですけれども、少なくとも、年齢差、老若男女区別なく、普通にいつでもどこでもだれとでも交信ができる体制というものに、e―Japanの次にはそこに進んでいくんだと思っております。

 そのときに、ある程度標準を世界統一しておく、外国語で言うデファクトスタンダードというのがそれですけれども、そういったものに多分このトロンはなるんだ、私どもはそう思っております。それにまたならせるように応援もせにゃいかぬと思っておりますので、いろいろな形でこの問題につきましては積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 何となく、高齢化したから筋力が落ちた分はこういうものがあるんですよとか、実に今いろいろな分野でいろいろなことがなされておりますので、役所としては、それを直接自分で発明するんではなくて、既にいろいろなところでいろいろな芽が、種が起き上がってきておりますので、それを積極的に支援する方向で、経産省等々、いろいろ関係省庁ございますので、一緒に手をとり合って、この問題は積極的に推進していきたいと思っております。

中川国務大臣 今御指摘のように、いわゆる情報家電というのは、国民生活にとってもこれからますます便利になる、そしてまた大事な分野だろうと思っておりますし、また、産業、日本経済の牽引車としての役割も非常に大きいわけで、例えば、株式の時価総額の四分の一がこの関連で占められているわけでございます。御指摘のように、DVDあるいはまたフラットディスプレー、それからまた携帯電話とカメラがついているようなものは日本の強い分野でございますので、さらにこれも世界的にも伸ばしていかなければならないわけであります。

 我々といたしましては、情報家電の市場化のために七つの行動計画というものを取りまとめておりまして、機器を相互に、互換性を持たせるためのソフトウエアの研究、あるいは高齢者を初めだれでも手軽に利用できるような機器の開発、それから、コンシューマーレポートと言っておりますけれども、品質の評価というものを官民一体としてやりながら、さらに新産業創造戦略というものを政府全体でこれから取り組んでいく予定にしておりますけれども、やっていかなければならない大事な分野であると思っております。

 そこで、技術ができるだけでは物は売れないわけでありまして、今総務大臣からもお話ありましたように、国際標準化というものは非常に大事なわけでございます。今総務大臣からも電子タグのお話がございましたが、国際標準化機構、ISOに商品コード体系についての標準化を提案しておりますし、それから、技術規格についても今後一本化に向けて努力をしていきたいと思っております。

 そういう意味で、購買者に好まれるものを技術開発し、そしてまた国際標準化にそれを乗っけていく、我が国の技術というものを乗っけていくという観点で、技術から生産、そして消費者ニーズに至るまで、幅広い観点で我が国の強い分野をさらに伸ばしていくことが、先生御指摘のとおり大事だろうというふうに思っておる次第でございます。

今井委員 ありがとうございます。

 きょう、十三日ですが、総務省でデジタル情報家電のネットワーク化に関する調査研究会というものが立ち上がると聞いております。この研究会は、まさに今両大臣が重要であると御発言をいただきましたユビキタスネットワーク社会の実現に不可欠なデジタル情報家電の相互接続性のあり方などを検討する研究会として、大いに期待をしております。ぜひとも産業の強みを生かした総合的な戦略をつくっていただきたい、かように思うわけであります。

 総理がおっしゃるように、都内の回転ずし屋さんでの、視察された際に、これからどんどん普及すると思うと言われたタグでありますが、総務省の試算では、二〇一〇年には最大で三十一兆円の経済波及効果があると見込まれているわけですが、現状では各メーカーおのおのが互換性なしにばらばらに開発している状態である、このようにも聞いておるわけであります。

 かつて、日本の二槽式洗濯機がIECの国際基準に合わずに、東南アジア、シンガポールから輸出を禁止された、こういう痛い目に遭っているわけであります。この期待の高い電子タグにより情報家電を普及させるには、標準化を実現することが何よりも重要であるという御認識の答弁もいただきました。ヨーロッパあるいはアメリカでは、電子タグの標準化につきましてもう既にさまざまな具体的な動きがかなりのスピードで行われている、このようにも聞いております。国際標準を制する者が世界市場を制する、日本産業の行方は標準化にかかっていると言っても過言ではないと思うわけであります。

 そこで、両大臣にお尋ねさせていただき、最後の質問といたしますが、こうした研究会を実りあるものにするために、総務省だけではなく、経済産業省や他省庁の企画系の若手の職員、やる気のある職員、戦略性を持った人材を投入して、ベクトルを同一方向にするための研究、初期段階から標準化を視野に入れて、研究開発と標準化の一体的な推進を図って、我が国の技術を国際標準に反映させること、つまり国際標準化政策が重要である、このように私も考えておるわけでございます。

 このように、自国の産業が強みを持つ技術を活用いたしまして国際標準化を図ることが、国際経済社会への寄与になるとともに、産業の国際競争力の強化につながるもの、そして国益を実現するものだと確信をしております。国家戦略として、政府としてスピード感を持って国際標準化のために積極的に支援を行っていくことが大変重要であると思います。どうぞ、その決意につきましてお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 日本のユビキタスが国際標準というものになるということは、これは、日本の国益につながる大事なところだと思っております。したがって、それに対していろいろ、若手の人材という御説、まことに正しいと思っております。

 ただ、これは日本だけの話ではありませんので、既にトロンはマイクロソフトとジョイントベンチャーを組んだりもいたしておりますが、ほかにもIBM、オラクル、いろいろ話が来ておりますので、何も日本、一社で独占してどうのこうのではないのであって、それらの会社と組んで、アメリカの会社と組んでアメリカと対抗する、いろんな方法は考えられるところではあろうと思いますので、既にいろいろ話が進んでおりますので、役所といたしましても、積極的にその方向を推し進めていきたいと思っております。

中川国務大臣 先ほどICタグを中心にお話しいたしましたが、例えば、国際標準化に関しましては、携帯用の燃料電池の開発と国際標準の一体的な推進ということで、企業とNEDOとが協力してやっております。また、光触媒という技術とそれから国際標準化を一体として、研究開発から商品化、そして標準化までやっているわけでございます。

 貴重な国家的財産とも言えるものでございますから、標準化すると同時に、知的財産権をきちっと守っていかなければいけない観点も重要だと思いますので、先生御指摘の観点を総合的に、政府として、また産学官一体となってやっていくことが肝要だと思っております。

今井委員 ありがとうございました。以上で終了します。

笹川委員長 これにて今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 連日の早朝からの予算委員会審議、大変にお疲れさまでございます。もう少しですので、頑張っていただければと思います。

 私は、特にきょうは農業構造改革を中心に、総理のお考え、また、日本政府のお考えを伺いたいと思っております。

 私も、以前は東京ベースの選挙区でございましたが、一回お休みをしまして、今回、北関東にコンバートして復活をいたしましたもので、当然、農業が重要な分野でございますし、私も強い関心を持ちまして、特にこれから日本の再生を考えれば農業をどうやって構造改革するかに大きくかかっていることは明らかでございまして、ぜひとも、この問題につきまして総理のお考えを伺っていきたいと思っております。

 私も、総理の改革に対する思い、決意には大変共鳴しておりまして、ぜひとも、この農業分野につきましても強力なリーダーシップを発揮していただいて、日本再生の道筋をつけていただきたいと思っているところでございます。

 さて、農業につきましては、今、大変大きな転換期、あるいは危機的な状況にあると言っても過言ではないと思います。

 一つは、今、農業就業人口は三百六十八万人ですけれども、うち六十五歳以上の方が二百七万人、何と五六%が六十五歳以上という、非常に高齢化が進んでおります。それに加えて、後継者がいない、嫁さんが来ない、耕作放棄が進んでいる、こういったことを考えますと、このまま十年たったら、日本の農業の未来予想図は非常に暗い、非常に壊滅的な状況を迎えるのではないかと私も危惧する一人でございまして、農業の構造改革待ったなしということだと思っております。

 特に現場の農業者の方また若い人々に聞きますと、やはり農業に夢がない、未来へのビジョンが欠けている、将来への希望がない、それが非常に大きな要因でありまして、彼らの本当の言葉は、もっと夢のある農業、楽しい農業、さらに言えば、もうかる農業をしたい、これが農業者たちの声でございます。だから、どうしたらそういった構造改革を進め、希望の持てる農業をつくれるか、これは非常に大きなテーマでございます。

 そういった危機的状況の反面、農業をめぐる環境は大きなチャンスが訪れているとも、私は認識をしております。

 例えば、国内では、食の安全あるいは食と健康、大変な関心が強まっております。例えば、みのもんた番組などを見ると、もうこれでもかこれでもかというぐらい、食と健康に関するテーマが連日出ておりますし、また、スローフードへの志向性あるいはまた地産地消、こういったことは新しい文明における食の形態として世界的に定着しつつあります。

 また、世界的にも日本食は健康食として非常に定着しつつありますし、特に東アジアにおいては、急速な経済発展に伴い富裕層がたくさん出てきて、食に対しても、食の安全や質の高い食あるいはまたおいしい食というものに対して強い志向性があって、少し高いお金を払ってもそういう食を求めていこうということが大きな傾向でございまして、これは特に日本の農業にとっては非常に大きなチャンスではないかと私は考えております。

 そういった中にあって、日本の農業政策、余り厳しい批判をするつもりはないんですけれども、いろいろ今まで努力をしてきた功績はあるかと思いますが、功に対して罪の方も非常に大きいんではないかと私は思っておりまして、特に、余りにも行き過ぎた保護主義、これによって、結局、日本の農業の潜在的な可能性を逆に摘んでしまったという面があるかと思っております。

 本来、賢い親であれば、はえば立て、立てば歩めの親心ということで、子供の早い成長と健康な元気いっぱいの発展を願ってさまざまな配慮をしていくのが賢い親でありますけれども、余りにも行き過ぎた過保護、おんぶにだっこ、場合によってはおしめにおっぱいと、余りにも過保護な農政によって、本来もっと早く成長できる子供がいまだに保育器の中に入ったまま外に出られない、これが今の日本の農業ではないかと思っておりまして、ぜひとも、今のこの転換期の中で早急に構造改革を進めて、世界でも自立し得る農業、世界に打って出る農業、私自身の言葉で言えば、守りの農業から攻めの農業に転換していくべきだというのが私の感想でございます。

 そういった意味では、農業に関しては専守防衛政策は放棄すべき、これは防衛庁長官に言っているわけじゃありませんけれども、むしろ攻めの農業にどう転換していくかということだと思っております。

 具体的に攻めの農業をつくっていくに当たって、私は、一律の農業政策ではなくて、やはりカテゴリー別、特に大きくは三つに分けたきめの細かい政策体系の樹立が必要だと思っております。

 まず第一は、国際競争力を持ち得る農業。

 これはもちろん、価格競争力だけではなくて、むしろ非価格競争力の方が日本の場合は非常に重要ですけれども、食の安全とか品質、あとはブランド、そういったものに対して日本の農業は非常に可能性を持っております。

 特に果物、あるいは野菜、あるいはまた花、そしてまた場合によっては和牛肥育等、畜産もその分野に入るかもしれませんが、そういった国際競争力を持ち得る農業をしっかりと育成して打って出るということが一つの政策だと思います。

 それから二番目に、稲作ですね。

 これは構造改革が御承知のように非常におくれておりますけれども、ただ、今のどんどん後継者が減っていく中にあって、逆に耕地を拡大していく重要なチャンスであるかと思っております。

 そういった意味で、今、農林水産省もさまざまな構造改革に取り組んでいることは承知をしておりますが、基本的にもっと単位を拡大しなきゃならないと思っている。日本の場合、少なくともスケールメリットを生かすには三十ヘクタールぐらいが基本単位と考えて、それを基準に稲作農業をつくっていく必要がある。さらにもっと効率化を進めて抜本的に農業生産性を高めないとこれはやはりやっていけませんので、そういった意味の政策を徹底的に追求すべきであると思っております。

 その上で、ブランド化等も加味しまして、今、コシヒカリ等もどんどん世界でも結構売れているような状況もありますので、そういった面も加味しながら徐々に競争力を高めて、それに見合って自由化も進める、例えばFTAとかWTOの協議も積極的に対応していくという姿勢が必要ではないかと思っております。

 それから三つ目に、中山間地の農業。

 これは非常に競争力は厳しいわけでありまして、むしろ、そこには、地球環境の保全とか、あるいはまた美しい景観の保持、ふるさと日本の景観を保持していく、そういったことを明確な政策目標として、それを支援していくための、例えば所得補償制度をしっかりと充実させて、その上でグリーンツーリズムやエコツーリズム等を展開していく、こういった考えが必要ではないかと思っております。

 ぜひとも、今後、そういうきめ細かなカテゴリー別の政策をつくっていく必要があるかと思っております。

 そういった中で、ただ、実際にそういった可能性があるかということを考えるんですが、いろいろ地方の現場では、子細に見ると、非常にすばらしい可能性を秘めた現象が起こりつつあります。

 例えば、総理は御存じかどうか、今、日本全国で三千二百の自治体、市町村がありますけれども、その中で最も経済的に活性化している地域はどこか。具体的に言うと所得成長率が一番高い地域はどこか、総理は御存じでしょうか。それは、東京でもなく大阪、福岡、札幌でもない、何と和歌山県の南部川村という人口六千七百のいわば過疎の村なんですね。

 ここは、一九八四年から二〇〇二年までの間、この間をとってみますと、一九八四年を基準にして二〇〇二年、十八年後の経済規模は何と三・五倍に所得水準が拡大しておりまして、年率平均八%、平均値ですよ、この大変な御時世で年率八%で成長を続けてきて、常にトップの座を守っているというすばらしい成功事例があるということを、ぜひ総理にも知っていただければと思っております。

 ここは、実は例の南高梅、この産地でございまして、梅の生産それから梅干し、これがほとんど唯一の産業でございまして、ここが過去十八年間ずっと連続して、この大変な御時世にあって連続トップの座を維持しているというすばらしい成功例があるわけなんですね。

 ここは、村も非常に傾斜地が多くて通常の農業をやりにくい非常に不利な条件にありますが、ここの村長さんが非常に偉くて、産業といえばもともと梅干し生産ぐらいしかなかったわけですね。村にしても、梅以外に見るべき産業もないということで、もう一度この梅を見直すしかない。近年、梅は、特に若い人の梅干し離れもあって、非常に需要が減退した時期がありましたけれども、ここで村長さんを中心に徹底的に調査研究をした結果、なぜ需要が減退しているのか、若い人々の嗜好が変わってきている、しょっぱい梅干しはもう受け付けない、もっとマイルドなおいしい梅を求めているということを、まずニーズを把握しました。

 では、どうしたらそのニーズにこたえられる改革ができるかと徹底して研究した結果、行き着いた結論が、梅干しの製造工程の隠し味にハチみつを使うということを実は思いついたわけですね。これが非常にうまくいきまして、ハチみつはもちろん味が非常にマイルドになる、また、ハチみつ自体が天然の防腐剤の役割を果たして食品が長もちする、また、ハチみつも健康食品でございますので、健康食イメージに合って売れに売れ始めた。特に今、非常に味がよくなって、これはうめえという話になったわけですね。

 さらに、村はこれに南高梅というブランド名をつけて、村を挙げて全国的に販売促進を行った。そうしたら、これが売れに売れて、とうとう、全国のスーパー、食料品店を席巻しちゃったわけですね。最近では、何と、梅干し農家のトップグループの中では年収二千万を超える梅干し農家が多数出現しているという大変な事態になっているわけですね。こういったすばらしい例がある。

 そのほかにも実はいろいろな例がありまして、八丈島なんかも、花の栽培、これで非常に成功しております。特に、非常に高級な観葉植物あるいは高級な花、ストレチアとかフリージア等、こういった花の生産に特化をして、東京という大市場を活用して、トップグループは大体年収千三百万ぐらいに到達しているわけでして、日本の専業農家が約七百万円台ということを考えれば、これは大変なパフォーマンスだと思います。

 そのほかにも、私の知る限りでは、宮崎県の野尻町が、これは中山間地なんですが、完熟マンゴーの栽培に成功して、これも非常にブランド化をしておりますし、その他いろいろな、リンゴの例、イチゴの例、実は随分あるんですね。

 実は日本で経済が一番活性化して元気なのは何と農業分野だということに私は気がつきました。むしろ、今までの農業政策に外れた異端児がみんな成功している、これが現実なんです。

 そこで、何が共通の成功の方程式かということを私なりに調査をしてみたんですが、結局、みんな同じことをやっています。それは、結論から言うと、現代経営戦略理論の精髄を把握して、それを実行している、ここに尽きるんですね。

 それは何かといいますと、三つありまして、一つは、マーケティングという発想です。もう一つは、イノベーションという発想です。もう一つは、ブランド化という発想なんですね。いずれも適切な日本語がないんですけれども、それだけ非常に日本に経営感覚が定着していないということのあらわれかと思います。

 まず、マーケティングは、つくったものを売りさばくという在来型の発想じゃなくて、売れるものは何か、ニーズを把握して、売れるものをつくる。そうすれば、当然、自然に売れるわけですね。そういうマーケティングを徹底してやる。さっきの梅の例で言えば、最近の若い人がどうもしょっぱい梅はだめでマイルドな味を望んでいるということを、ニーズをつかんだということがマーケティングの第一です。

 それから、イノベーションについては、これは創造革新、中国語では最近、創新という言葉を使っているようですけれども、これは、さっきの例で言えば、まさに梅干しの製造工程にハチみつを使う、これがイノベーションなんですね。

 それから、ブランド化というのは、南高梅という名前をつけて差別化をして売りまくる、これがブランド化です。

 成功したケースは、全部、この現代戦略論の精髄をそのまま実行しているということが言えるわけですね。

 例えば南高梅なんか、梅の実そのものですが、スーパーへ行くと、ビニール袋に入った一握り、大体九百八十円です。ところが、ノーブランドの梅は、同じ、見た目には全然変わらないのに約四百円台、倍以上の差が出ているわけですね。南高梅、何と高い梅だろうと私は思っているんですけれども、見かけは全然変わらないのにそれだけ差が出る。これは本当にブランド化の威力なんでしょうね。それだけ消費者に信頼感、イメージを植えつけているということですよね。まさに、こういうことが起こっているんです。それも農業の分野でこそ起こっている。

 私がなぜこれを非常に言うかといいますと、農業だけじゃなくて、あらゆる、ハイテク産業も流通業も製造業もすべて含めてこれが通用するから申し上げているわけで、構造改革にはこの経営感覚をいかにつけるかが必要だと思っています。

 今、世界全体がデフレ構造不況、長期化が予測されております。冷戦が終わって、中国や、また東欧圏、旧ソ連圏が入って、非常に質の高い労働力、それが非常に今、市場経済化を進め、世界的に物やサービスがあふれ返っています。そんな中で、在来型の発想に執着して、つくったものを売るという発想だけではやっていけない。特に日本のような最もコストの高い国においては、どうやって今言ったようなマーケティング、イノベーション、ブランド化という現代経営戦略の精髄を早く定着させて構造改革を進めるか、これが一番大事だと思っているわけで、それで、この例を申し上げたわけであります。

 これが、以上、私の演説といいますか、総論なんですけれども、まず、総理の農業構造改革に対する思い、ビジョン、決意というものをお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今のお話を聞いていまして、同じものでも、知恵、工夫、技術、そういうものを発揮すれば大いに成長の可能性があるという夢のあるお話を伺って、力強く思っております。

 現に、日本の農業というものを、これは専守防衛ではなくて攻めに転じろと、御指摘のとおりだと思います。これほど世界が狭くなっているといいますか、あらゆる品物が日本に入ってくる。農業は日本だけで、そういう時代でもありません。

 また、農産物というのは外国から入ってくるばかりで、日本のつくった品物は高くて売れない、それは固定観念じゃないか、先入観念じゃないか、高くてもおいしいものはどの国の人だって欲しがるはずだという発想の転換も必要ではないかという御指摘だとも思います。現に、今言った梅干しでも、倍の値段でも、なるほど、そこの梅干しなら買おうという気が起こっている。

 今、日本の農林水産物を世界へという、農水省も努力しているようですが、これをちょっと見ても、北海道では長芋を台湾へ輸出している。あるいは、リンゴが入ってきてもらっちゃ困るといいながら、青森では既にリンゴも輸出している。

 それから、最近では、アメリカで、日本のすしのみならず、日本の食品は健康的だ、ヘルシーだといって、柿の種がヘルシースナックで人気だという。日本の品物は外国で食べないというのは違ってきた。かつて、生ものは日本しか食べない、欧米は食べないと言われたすしが、今もう全世界で人気があるということであります。

 あるいはナシも、鳥取県ではこれは輸出に転じている。そして、ミカンでも、かつてオレンジがどっと入ってきて、もうミカンはだめじゃないかと言ったのが、最近は、私の地元横須賀でも、ミカン一個何百円で、全部売り切れですよね、一つ一つ。高いのが売れる。

 卵でもそうですね。卵は世界で一番安定した、十円、二十円、喫茶店とかゴルフ場へ行くと、どうぞ自由に幾つでもただでお食べくださいというのがありますけれども、一番安定した卵、十円の卵がたくさんあるにもかかわらず、最近、五百円の卵が売れているという信じられないような事実。これも、私も本当に一個五百円なんてあるのかと思って、持ってきて、びっくりしましたよ、なぜこれが売れるのか。これはやはりえさと親がということで、それが売れているほどやはり志向が変わってきている。やはり健康志向だと。

 こういう点を考えると、日本の農業というのはまだまだ発展の余地があるのではないか。

 東京駅へ行くと、私、お弁当をよく買うときがあるんですが、おにぎり、最近、大したものですね。ばら売りで、おかずも別々で、何でもある。しかも、お米も、いろいろ値段が違う。そういう、ただ安ければ売れるというところと、いや、高くてもおいしければ売れるという両方、極端になってきた。

 そういう点も見逃さず、農業というものも、輸入を阻止するというんじゃなくて、外国に打って出よう、日本の品物はおいしいぞ、健康食だぞ、そういう視点も持って、攻めの農業に転ずるような改革が必要だと、お話を伺っていて痛感いたしました。

遠藤(乙)委員 総理が私と同じようにそういった農業改革への強い思いを持たれること、大変心強く思っておりまして、ぜひとも、強力なリーダーシップのもと、農水大臣も含め、スピード感が大事ですので、この日本の農業改革、夢のある改革を進めていただければと思っております。

 そこで、ちょっと各論について、私自身から今度は農水大臣にお聞きをしていきたいと思っております。

 どうやったらこの経営感覚を定着させるか。言葉としては、マーケティングとかイノベーションとかブランド化、やっと言葉としては人口に膾炙するようになったわけですけれども、具体的に本当にそれが骨の髄まで浸透しているかというと、これはまだそうなっておりませんので、徹底してこの発想を定着させることが農業の再生、日本経済の再生に大事だと思っております。

 いろいろ具体例を私自身も考えておるんですが、一つは、抽象的な議論で言葉で学ぶよりも、目の前の具体的な成功例、それを見るというのが何よりも重要な教育であり、学ぶ一番早道だと思っておりまして、そういった意味では、国土交通省が一つやっている政策の中で、観光カリスマという制度があります。

 これは、観光業の振興に成功したいろいろな例を人に即して指定して、例えば外国人観光客を招いて成功したカリスマとか、それから離島振興のカリスマとか、いろいろな、観光業の振興に当たって非常にユニークな努力、また知恵を発揮して成功した例を七十何件指定していって、これは非常におもしろいやり方だと私は思っておりまして、同じように農業分野でも、抽象的な難しい文章を出すよりも、具体的な成功例を指定して、農業カリスマということで指定をしてやった方がいいんじゃないか。これは恐らく、国土交通省も、最近言われているカリスマ美容師とかカリスマ店員みたいなところから発想したんだと思うんですけれども、やはり、そういう現実の成功例をいろいろ指定して、徹底的にそのケーススタディーから学ぶということが大事だと思っております。

 そのための資料をつくり、あるいはビデオをつくったり、全国的に情報を共有できるようなことがまず経営感覚を高める第一歩だと思いますけれども、こういった考え方につきまして、農水大臣、いかがでございましょうか。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 今、前段で総理からも御答弁がありましたが、農村地域の高齢化の問題、あるいはWTO問題等々国際化の問題、農業の構造改革、これはまさに待ったなしであるわけでありまして、そういう面で、昨年八月から基本計画の見直し、そして、本当にやる気と能力のある担い手の後押しを積極的に進める。先般来、食料・農業・農村基本計画の企画部会におきまして、熱心に今、専門家の皆さん方からいろいろのお話を伺っております。

 そういう中でも、先ほど委員からも御指摘のような、いろいろの御発言もちょうだいをしておるわけでありまして、何とか来年の三月までに基本計画の見直し、そしてさらに、できるものであれば七月の中間論点のまとめ、そして来年度の概算要求、これを実現してまいりたい、このように考えております。

 そういう中で、今御指摘のカリスマの問題、実はいろいろの、インターネットですとか、あるいは各地域で行われます農業祭におきまして、そういう事例の発表、そして、それをいろいろ今、印刷物にして配布するなり、地方農政局等々におきましても、あるいは改良普及員の皆さん方も、それらの事例を積極的に御紹介申し上げて、そして、先ほどお話しのような、各地域で若い人たちが本当に積極的にいろいろなことをやっておられますので、そういう面で委員御指摘のような問題の対応をしてまいりたい、このように考えております。

遠藤(乙)委員 ぜひ、そういう方向で充実をしていただければと思っております。

 さらに、もう一つの具体的な提言なんですが、それは、経営感覚を定着させる意味で、やはり教育システムが絶対必要だと思っております。

 アメリカでも、例えばロースクールとかビジネススクールとか、実学的なそういった大学院教育が非常に盛んで、そういうところは非常にケーススタディー、抽象的な議論よりもさまざまな例をいっぱい実際に研究して、みずから追体験していくような中で、何といいますか、原則を理解していくということだと思っておりますが、同じような、大学院である必要は全くないんですけれども、そういった実学的な、実際的な農業経営を教える、いわゆるアグリカルチュラル・ビジネススクールみたいな、こういったものをしっかりとつくっていく必要があるかと思っております。

 これについては、農水大臣、いかがでございましょうか。

亀井国務大臣 この関係につきましては、独法の農業者大学校がございます。

 先般、三十五周年の記念式典をいたしまして、私もそれに出席し、実は本日、この予算委員会が終わりましたら多摩の農業者大学校に参りまして、三年生、二年生、あるいは一部一年生もおられますけれども、先生方とそして生徒の皆さん方と懇談会をし、そしていろいろのお話を伺おう、このようにも思っておるわけであります。

 地方に参りましても、農業者大学校を卒業された方が、先ほど御指摘のような面で積極的な農業の経営をされております。そういう面で、その中でもマーケティングの問題あるいは先ほど御指摘の加工ですとか流通のマーケティングの問題あるいは新技術の開発、こういうことにつきまして、農業者大学校の講座の中にもありますけれども、実例等々は積極的にそれを採用して、いわゆる農業後継者、そして、地方に参りますと卒業生が、御夫婦で農業者大学校の卒業生、こんな方もありまして、非常に努力をされた姿を承知しております。

 あるいはまた、ぜひ、農村の豊かな地域資源を活用したビジネスの可能性、こういうものも、そういう大学校、あるいはまた地方の都道府県にも農業者大学校がございますので、そういうところとしっかりしたタイアップをしてやっていく必要があろうかと思いますし、さらに、アグリ・チャレンジャー支援事業、こういう面でも、農業生産を核に加工、流通、販売等のアグリビジネスに取り組む農業者に対しましての必要な支援をしてまいりたい、このように考えております。

遠藤(乙)委員 ちょっと時間の余裕がありませんので、具体的な提言だけ申し上げまして、簡潔にお答えいただければと思っています。

 私の提言は、一つは、産消対話の促進。

 これは生産者と消費者の直接対話です。農業者の方と会ってお話をすると、農業の技術、生産者としては非常に造詣が深いんですが、消費者が何を求めているかとか、どうやったら売れるか、そういった点に非常に疎いのが事実でございまして、これを打破するには、消費者の代表と直接対話をする、フェース・ツー・フェースで対話をすることが一番早道だと思っておりまして、具体的には、主婦の代表とか大手スーパーの代表とかレストランの代表とか、そういう人たちと生産者が直接対話をする場をいっぱい設けていく、これをシステム化することがマーケティングという視点からも非常に大事だと私は思っております。

 それから、もう一つは、農業における人材派遣システムですね。

 日本の場合、農業が後継者がなかなか出ないというのも、基本的には、家内労働だけで賄おうとするから非常にきつくなってしまう、したがって、大変きつい長時間労働を強いられるためになかなか若い人がそういったところに入れないというのが状況だと思っておりまして、むしろ、これからプロ農業の経営者を育てるわけですから、そういった人の支援システムという意味からも、幅広く農業分野での人材派遣あるいは派遣労働のシステムをつくっていくことが、労働の合理化、さらには雇用機会の創出にも役立つわけですから、ぜひともこういったことにも力を注いでいただきたいと思っております。それはぜひ進めていただければと思っております。

 それから次に、これは輸出の支援なんですけれども、今、日本では、農産物の輸入が七兆円、輸出が三千五百億円と五%しかありませんので、非常にゆがんだ形になっておりますが、先ほど総理のお話のように、いろいろな輸出がいっぱいあります。

 ただ、そういう世界に目を向けていないということが、また、そういったノウハウがないことが一番の大きな原因でありまして、世界に目を向け、ノウハウをきちっと与えてあげて、また、支援のシステムをつくれば、幾らでも農林水産物も輸出の機会があるわけでありまして、例えばジェトロ等、そういった機関を活用して、農水省と協力しながらそういった輸出支援体制を築き上げていくことも大事だと思っておりまして、この点につきまして、経産大臣にお聞きします。

中川国務大臣 今御指摘のように、いわゆるいいものをつくって、マーケティングをやり、そしてブランド力を高めていけば、国内のみならず海外でもいいものは売れていくということでございます。

 総理からも御指摘がありました、一つだけ宣伝させていただきますが、長芋は、私の地元でございまして、手間がかかるんですけれども、一生懸命つくれば高くてもよく売れる、したがって、収入がふえて、税金もいっぱい納めるといういい循環をしている、地域の大事な産業でございます。そしてまた、輸出も、したくてもできないぐらいに、今、海外の引き合いが高いわけでございます。

 そういうことで、攻めの農業ということで、経済産業省としても、貿易相談業務、海外マーケット調査、それから海外での個別企業の商談のマッチング等の仕事を、予算づけをしながら積極的にやっていきたいと思っております。

 また、ジェトロ主催の日本食品等海外市場開拓委員会というものを農林水産省と共同で応援しておりまして、大いにいいものを海外でも売るということに協力していきたいと思っております。

遠藤(乙)委員 それでは、農水省、短く決意だけお答えいただければと思います。

亀井国務大臣 地産地消の問題につきましては、消費者と生産者の顔の見える関係、省内で私も出席をして関係者とのミーティングをやるなど、地方でもやっております。

 さらに、人材の問題、リタイアの方々の活用、人材センター、JAにもそのこともお願いしております。

 さらには、輸出の関係につきましては、先ほど経済産業省からもお話がありましたが、三十の都道府県、農林水産ニッポンブランド輸出促進協議会、これが設立をされましていろいろ進めておりますし、さらには、省内にも輸出促進室を設けまして、いろいろ努力をしてまいります。

遠藤(乙)委員 それはぜひ強力にリーダーシップを発揮して取り組んでいただければと思っております。

 続いて、FTAの問題をお聞きします。

 これは総理にお聞きしますが、今、FTAは、私は大変重大な日本の問題だと思っております。これは、日本の経済活性化に向けて新たな大きな需要を掘り起こすためにも大変重要でありますし、また、今後、東アジア共同体に向けて日本がどう貢献していくか、そういった対外外交戦略の面もあるかと思っておりますが、今、非常に取り組みがおくれている、姿勢がまだまだ不十分と私は感じております。

 特に、各省庁間の連携が不足している、司令塔が不在である、こういったことが指摘されておりまして、近く民間でもそれを促進するための国民会議が立ち上がると聞いておりますが、ぜひ、この際、総理に強力なリーダーシップをとっていただいて、FTAの推進に取り組んでいただきたいと思っております。総理の御決意をお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 昨年来からメキシコとFTA交渉を続けておりますが、WTOを補完する意味におきましても、この二国間自由経済連携は必要だと思っております。

 アジアにおきましても、今後、韓国、タイ、マレーシア、フィリピン等、次々とFTA交渉、積極的になってまいりますので、日本としても、この交渉を成功させるように、各省連携をとって実現に向けて努力していきたいと思っております。

遠藤(乙)委員 FTA問題は農業問題と非常に関連をしておりまして、農業の構造改革を進めてもっと積極的な姿勢がとれるようになれば日本としてもさらにFTA推進へのイニシアチブを発揮できると思いますので、先ほど申し上げました農業構造改革を強力に進める傍ら、FTAのさらなる積極的な推進にぜひとも総理のリーダーシップを期待したいと思っております。

 最後に、一点だけ、ビジット・ジャパン・キャンペーンに関連した話題でございます。

 私は、このビジット・ジャパン・キャンペーンは小泉内閣の目玉政策の一つとして非常にユニークなものとして高く評価をする一人でございまして、大いに期待しておるわけですが、現実的にさまざまな現場で制約があるということも知っていただきたい、それを早く取り除く必要があると思っております。

 具体的には、今後、インバウンドの国際観光に関して見ると、中国が最大のマーケットであることは衆目の一致するところでありまして、昨年度の中国は千六百五十万人ほど海外に出ておりますが、日本に来ているのはわずか四十五万人ぐらいだと思いますね。二〇二五年には、多分、中国は約一億人が海外に出ると見込まれておりまして、大変なマーケットであることは間違いありません。

 ところが、現時点では、日本は、中国を含め各国に、いらっしゃい、いらっしゃいとビジット・ジャパン・キャンペーンをしている傍らで、ビザ問題があって実際には動けない。特に中国の場合には、団体観光ビザが出されるのは北京と上海と広東省に限られておりまして、ほかは対象になっておりません。したがって、もっともっとこの対象地域を拡大しなければいけない。また、ビザの発給手続をもっともっと迅速化しなければいけないわけであります。

 具体的にも、例えば、中国側としては、この北京、上海、広東に加えて、天津それから遼寧省、山東省、江蘇省、浙江省、八つの地域に対してのビザ発給を期待していると聞いておりまして、この地域だけでも三億五千万人という巨大な人口があります。しかも、富裕層がどんどん出てきて、特に日本にも関心も強く、もしそういった体制さえ整えばたくさんの観光客が来ることは目に見えているわけであります。

 つい先日も、私がテレビを見ておりましたら、長崎県の観光協会の職員が努力して中国からの団体旅行の誘致を実現したと。そうしたら、何と、お土産代、ごく中流の人たちなのに、一人当たり、少ない人で五十万円、多い人で百五十万円持ってきている。もうテレビの前で札びらを見せびらかしている。それで、デパートに一時間つけると、男性はブランドの電気製品を買いまくる、女性はブランドの化粧品、洋服を買いまくって、平均して一時間で二十万円使っていく。それが現実なんですよ。

 もう少し中国の現実について、我々、認識を改める必要がありまして、これだけの宝の芽を何で見過ごすのかというのが私の指摘でございまして、いろいろ不法滞在の問題もあるかもしれませんが、観光客の団体旅行であればそういった危惧は非常に小さいと思いますので、ぜひとも、この際、早急に、今申し上げました対象地域の拡大と手続の迅速化、直ちにやるべしというのが私の意見でございます。

 これにつきまして、まず総理からお聞きして、外務大臣にお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 一地域一観光、ビジット・ジャパン、「ようこそジャパン」で、何とか二〇一〇年には、今の五百万人ほどしか外国人が日本に来ていないのを、倍増して一千万人ぐらいは日本を訪問してもらおうという、観光振興、地域振興に取り組んでおります。

 今お話しのとおり、これらについては、国交省の観光担当だけでなく、各省庁連携をとってやらなきゃいかぬ。特に、パリだけで年間五千万人の外国人旅行者が行っていますし、日本全体で五百万というのは余りにも少な過ぎるじゃないかと。少ないということは、これから随分可能性があるということでありますので、二〇一〇年には何とか一千万人ぐらいは外国から来てもらうような振興策をとっていって、これもまた、日本をより魅力的なものにする、日本の経済を活性化する、そういう方向に生かしていきたいと思っております。

川口国務大臣 外務省としては前向きに考えたいと思っております。

 対象地域の拡大ですけれども、これは、中国とも相談をしながら具体策の検討をしていきたいと思います。

 ただ、一つ、団体制度の悪用がありまして、失踪者が多く出るという問題がありますので、その検討に当たっては、中国側と運用の改善ということをやりながら考えていく必要があるだろうと思います。

 それから、対象地域の拡大についてさらに申し上げれば、直行便で結ばれているというようなところを対象に考え得るのではないかということを考えております。

 時間がかかるということですけれども、これは、実際は五日から十日ということで発給をしておりまして、この期間が団体観光客のビザの増加にそれほどマイナスの影響を与えるというふうには外務省としては考えていないわけでして、やはりきちんと確認をすることが必要だという観点で、審査のためには一定の期間が必要だということを御理解いただければと思います。

遠藤(乙)委員 ぜひ積極的に進めていただければと思っております。

 最後に、私としては、この質問で申し上げたかったメッセージは、日本再生のかぎは経営感覚にある、創造革新的な経営感覚、具体的にはマーケティングとイノベーションとブランド化、これを徹底することが構造改革を成功させるかぎであるということを申し上げたいと思っておりまして、ぜひとも、この小泉政権における小泉首相のリーダーシップのもとで強力に構造改革を進めていただきますよう強く期待をし、お願いを申し上げまして、私の質問にさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

笹川委員長 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田勝之君。

石田(勝)委員 きのうの予算委員会で、日本は世界の中で一番安心で安全で住める国だった、しかしながら、その日本の神話が崩れてきた、細川委員の質問の中でも、総理とのやりとりの中でも、そういったことが議論されてきたわけであります。私は、その治安という点について、角度を変えてちょっと総理に質問させていただきたいというふうに思います。

 大阪の岸和田での児童虐待の問題が最近大きな話題となっておるのは御案内だろうというふうに思います。そういう中で、犯罪が多発している中で、虐待を受けた子供たちが成長して犯罪にかかわるケースがどのぐらいかということで、私、調べてみました。

 そうしましたら、女性受刑者の実態調査では、覚せい剤などで有罪判決を受け刑務所に入所した女性受刑者の七三%が、十八歳までに、幼少、思春期に性的虐待を受けているということが、これは厚生省の研究班の調査でわかりました。

 少年院の在籍者の五〇%が家族から虐待の経験を受けている、これは法務省の法務総合研究所の調査結果であります。

 それから、切れる、よく、切れると言うわけでありますが、切れる保育園児、その六九%に虐待の影響があったということが、これは北九州市の調査でありますが、そういった調査結果が出ております。

 心の傷、トラウマから立ち直れないで社会規範から逸脱する傾向が強いということを示しているケースだというふうに私は思っております。

 私は、この問題については、もう五年以上前から携わってまいりまして、虐待というのは輪廻するんですね。つまり、虐待を受けた子供が親になる、その親が子供を産み育てる段階でまた自分の子供を虐待するケースが、全部じゃありませんけれども、ケースとしては多いということなんです。つまり、三つ子の魂百までもではありませんけれども、いかに幼児期に受けた影響というのが大きくなって影響を及ぼすかということの証左だというふうに私は思っております。

 私は、そういう意味からも、日本の、安心で安全で住める国、そういうあり方も研究していかなければいけないんじゃないかというふうに思っているわけであります。

 児童虐待は昨年一年だけで約二万三千件、児童相談所に通報があった、こういう話であります。しかし、私は、実際の数字はこれよりもはるかに多い、十万件を超えているんじゃなかろうかというふうに思っております。

 こういう数値を今述べさせていただきましたけれども、小泉総理の率直な御感想をまず聞かせていただければというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 児童虐待、最近の事件を見ても、まことに痛ましくて、一番愛されなければならない時期、愛されなければならない人に虐待される、これほど悲惨なことはないと思います。

 家庭内のことだから外からなかなか見えにくい点もあると思いますが、今の石田議員の報告にもあるように、幼児期のこのような虐待というものが成長しても大きな傷として残っていく。これはやはり、長い間、被害を受ける人がふえていくということでありますので、こういう点におきます先進国等の例も参考にしながら、また日本国内でどうしたらこれが防げるか、よく考えていかなきゃならない問題だと思っております。

 人間として、親として、普通の親では考えられないようなことを子供にするということでありますので、どのように見つけ、どのように防ぐかというのは非常に難しい点があると思いますが、そういう点は専門家の意見等をよく聞いて、虐待を少しでも防ぐ。また、そのような啓発活動をどのようにするかというのは、やはり各省連携をとって、党派を超えて考えていかなきゃならない問題だと思います。

石田(勝)委員 この児童虐待の問題、五年近く前に私が青少年の初代の委員長になった折から、これを超党派で立法化しようという動きが始まって、正直、当時、坂口厚生大臣、当時のいきさつはよく御存じだというふうに思いますが、なかなか世の中、虐待に対しての認知度、理解、また、この国会においても、虐待の防止策をつくりたいという話をいたしますと、一部政党のある程度年配の幹部の方から、児童虐待防止法なんという法律を、その政党の方というのは自民党の方でもう今いらっしゃらないんですけれども、虐待防止法なんというこんな法律をつくったら、親が子供をしつけられなくなっちゃうじゃないかと。いや、虐待としつけは違うんだというふうに言っても、いや、こんな法律をつくったら子供が増長しちゃうよ、そういうふうな答えが返ってくるような時代があったんですよ、これは間違いなく。坂口大臣、よくその点は御存じだというふうに思います。

 しかし、そのころ消極的であった厚生省、今の厚労省も、随分前向きになりました。そして、世論も、児童虐待に対する理解、認知度というのも、私は、随分高まってきたというふうに思っております。虐待防止法というのもできて、虐待に対する考え方の普及というものも、少しずつでありますが、やはり広まってきたというふうに思います。

 ただ、これは、解決に向けて、今総理がおっしゃっていただきましたけれども、私は、研究調査、死亡の検証、治療の方法など、年に一度、集中的なキャンペーン、例えば、虐待防止法が十一月に施行されたわけでありますから、その十一月に児童虐待防止キャンペーンを月間としてやるとか、そうして国民に対して児童虐待に対する意識の普及を大いに国を挙げて行うべきではないかというふうに思っております。

 さらに、虐待防止法ができてことしで三年余り経過するわけでありますが、厚労省も先ほど言ったように前向きに取り組んでくれるようになりまして、厚労省の児童虐待対策がありますけれども、残念ながら、これではまだその場しのぎの部分もあるというふうに私は思っております。縦割りではなく、例えば、厚労省に任せるのではなくて、これは厚労省の所管だからと言うんですよね、児童虐待の話をすると。

 でも、これは、厚労省だけじゃなくて、文科省だとか法務省だとか警察庁だとか、そういった多岐に及んでいる部分がありますから、縦割り行政じゃなくて、児童虐待に向けた常設の国家プロジェクト委員会などを創設する必要が早急にあるというふうに私は思うわけでありまして、総理の御所見を賜りたいと存じます。

坂口国務大臣 また総理からつけ加えていただくことは後であろうかと思いますけれども、石田議員は青少年問題特別委員長もなすって、前からこの問題に取り組んでおみえになることに敬意を表したいと思っております。

 だんだんとふえてまいりましたし、最近は、児童だけではなくて高齢者に対する虐待もふえてまいりまして、全体として家庭の崩壊というのを一体どうするのかという問題ではないかというふうに思っております。

 したがいまして、幅広くひとつこれは取り組んでいかなきゃならないことは事実でございますし、厚生労働省の範囲の中でできることではありませんから、各省庁連携を図って、そして、全体としてやっていくということにしなきゃいけないというふうに思っておりますし、何か特別な、一年の間で月間か何かをつくればというお話でございますが、大変いい御提案で、私も賛成でございます。

石田(勝)委員 総理、いかがでしょうか。例えば常設のプロジェクトの委員会をつくるとか、今、坂口大臣は賛成だとおっしゃっていましたけれども、虐待防止のための月間をつくるとか、そういったことについていかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 常設の委員会というのはどうか、これは国会で相談していただかなきゃならないものですが、ある期間、集中的に啓発運動、それは私はいいことではないかなと思っております。

石田(勝)委員 それでは次に、坂口厚労大臣にお伺いをいたします。

 この児童虐待の問題については、私はやはり、予防、早期発見が何より必要だというふうに思っております。とにかく養育力のない家庭が多くなってきている、ここが一番の問題だろうというふうに私は思うんです。そして、子供を育てる能力のない親がまたふえてきちゃっている、そのために、安全確保を優先的に、基本的に進めていく施策をやっていかなきゃいけない。

 そういう中で、児童福祉法の施行令で、人口十万から十三万人につき一人の児童福祉司を基準としておりますが、これは、私は改善していかなければいけないというふうに思っております。なぜかというと、改善しなければ、児童虐待防止法の第四条の国、地方団体の責務から考えても、私は、まずいことじゃないかと。

 現状では、今、児童相談所においても、これは限界になっております。児童相談所の対応も、非常にやはり、マンパワーからいっても限界の状況に来ております。その児童相談体制を、さらに数値目標化した行動計画を策定して、達成評価を報告すべきと私は考えますけれども、その点、厚労大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 それと、予防とケアの実動部隊というか中核部隊は、これは保健師だというふうに私は思うんですね。その保健師がいかに活動していただけるかということが非常に効果をあらわしてくるというふうに私は思います。

 そういう中で、国では、育児支援、子育て支援をやれやれ、こういうふうに言っているわけでありますが、虐待の発生予防には、母子保健法、地域保健法に、保健所が虐待対応に当たることを義務づける必要な保健師配置数を、明文化規定が私は必要になってくると。それはないわけでありますから。

 それらの点について、厚労大臣の御見解をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 前段のところの児童福祉司の問題でございますが、平成十一年には十六人でありましたものが、これは人口百七十万人に対する状況でございますが、十六人でございましたが、平成十五年度は二十三人までふやしてまいりましたし、十六年は、これは総務省の方でおやりいただいておるわけですけれども、さらにふやしていただけるということを聞いているところでございます。

 かなりここも充実をしてきたというふうには思っておりますが、保健師のお話が出まして、確かに、保健師がその対応に当たるというのは、私も、そのとおり、これは一つの重要な役割を果たす職種だというふうに思っております。

 ただ、保健所というのはかなり広い範囲を持っておりますし、いたしますから、いわゆる保健所の保健師がその機能を果たせるかといえば、私は、そこはなかなか難しいのではないか、同じ保健師が市町村に多く配置されるようになってまいりましたので、むしろ、連係プレーはしなければいけませんけれども、市町村の保健師にひとつ重要な役割をお願いするといったことが大事ではないかというふうに思っております。

 あらゆる職種の人たちが共同してこれをやらなきゃいけないわけですが、共同してやるということになりますと、だれが中心かということがなかなか決めにくくて、皆、他に押しつけるようなことになってもいけませんので、共同してやるということと、そして、その中のいわゆる責任者を決めるということ、ここをちゃんとやっていただかなきゃならないというふうに思っております。

 各自治体に対しましては、そうしたことに対する計画を立てていただいて、そして、そこでおやりいただくように今お願いをしているところでございますが、かなり成功しているところもあるわけでございますので、これからも、そこをもう少しきめ細かく、それぞれの地域に合った形のものをやはりつくり上げていただかなければならない。保健師さんが中心というのが一番いいところもあるし、あるいは中には民生委員さんがいいという、これは人材にもよりますけれども、あろうかというふうに思っております。

 しかし、その中で、保健師という役割が、個々にこつこつと家庭を回っておりますから、その回っておるような人たちが中心になるということは一番大事なことだというふうに思いますので、そうした意味では、御趣旨には賛成でございます。

石田(勝)委員 確かに、あるところでは民生児童委員の人が頑張っているところもあるし、保健師の人がやっているところもあるし、坂口大臣が言うとおりだろうというふうに思いますが、ただ、今、保健師の話が出ましたが、母子保健法と地域保健法の中に、この虐待対応に当たることについての義務づけの明文化がないわけでありますから、それらの点についてはやはりやるべきだということを私は申し上げているわけであります。

 次に、河村大臣にお尋ねをいたします。

 厚労省は、虐待の予防から自立支援まで、切れ目のない児童支援を打ち出しておりますが、学校の現場、学校教育の現場では被虐待児に対する切れ目のない教育プログラムを十分に持っているかどうか、そして、小中高の荒れる、切れる、そういう子供の中で何割が被虐待児として文科省の方で把握をされておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

河村国務大臣 石田委員が委員長時代、私も理事でおりまして一緒に勉強させていただきまして、虐待という事実が非常に母親から受けていることが多いとか、いろいろ私も勉強させていただいて、あの当時、たしか七千件ぐらいの報告だったのですが、今、三万近い状況、非常に大きな問題だと私も思っております。

 特に、その家庭から子供が出て、もし一番虐待を見つけることができるとしたら学校である、特に先生方が気をつけていればかなりそのことを発見できる可能性が高いということで、あの当時から、学校教育においてもこの点を重視すべきだ、こういう御意見がありました。文部科学省としても、学校の職員が虐待を見つけやすい立場にあるということをしっかり確認する、その意識を持っていかなきゃいかぬということであります。

 ただ、その点が本当に徹底しているかとなると、例えば先般の岸和田の例でございますが、専門家を派遣いたしまして実態調査に当たらせますと、担任のその先生、直接子供の担任の先生は一生懸命やっているのでありますが、不登校状態になっておった、その不登校の裏側にはそういう虐待があったという意識がどの程度あったかということになると、特に学校全体が組織として取り組んでおったかどうか、こういう点についてまだ十分でないということもわかりましたものでありますから、このことを徹底するように、早速、全国に対しても、こういう問題をやはり注視しなきゃいかぬということを徹底すべく、今、通知を出したわけでございます。

 そういう意味で、やはり虐待についての知識を教員の皆さんがもっと深めていただく必要がある、そういう意味でのプログラムをきちっとつくるということが大事なことだ、私はこう思っております。当然対応しなきゃいかぬ、こう思っております。

 それから、切れる子に被虐待児が多いという先ほどの御指摘でございます。

 実は、国立教育政策研究所に委託をいたしまして、平成十二年、十三年度に、この問題、突発性攻撃的行動及び衝動を示す子供、切れる子をこういう表現をしておりましたが、その子供たちの発達段階における研究ということでやったわけでございます。

 このことは、子供が切れる場合には家庭が大きな要因である、あるいは学校で友人関係等々も含めて。この中で、家庭要因として、家庭での不適切な養育態度とか家庭内の緊張状況等々、いろいろな例、ケースがあるわけでありまして、一概に、要因がいろいろ重なってきてはおりますが、家庭内での暴力、体罰ということが原因ではないか、こういうことになりますと、切れた子供の約二四%が指摘を受けたものでございます。

 児童虐待ということがなかなか明確になりませんけれども、家庭内で子供が体罰あるいは暴力を受ける、これが子供の成長に悪影響を与える、これはもう間違いないことでございますから、学校現場としても、そのことの認識をしっかり持ってこれに対応していくということ。それから、先ほど御指摘のような点についても、教職員向けのガイドラインをきちっとつくる。さっきもプログラムの話がございました。そういうことにおいて、学校における児童虐待問題への対応をしっかりしてまいりたい、このように思っています。

石田(勝)委員 河村大臣、私もいろいろ小学校、中学校なんか、運動会だとか何かに呼ばれたりして行きますよね。そうすると、校長先生の隣に座って、学校によってはその校長が私の耳元で、あの子は虐待を受けているんですよとか、あの子はこうなんですよと言って、一生懸命そういったものについて注視しながら把握をしている学校もあるんですよ。全然そういうのに無関心という言い方はいかがかと思いますが、余りそういうことに注意を払っていないというふうな学校もありまして、学校によって、校長、教頭あるいは教職員の対応、そういったことにかなりばらつきがあるように思うんです。

 私は、虐待が行われているか、起こっているかというのは、家庭がもちろん一番よくわかるんですけれども、それを発見する中では、特に小中の場合には、一番わかるのはやはり学校だろうと思うんですよ。半日ぐらい学校にいるわけですから、そのときの給食の食べ方とか、あるいは、年に最低一回は身体検査なんかやるわけですよね、体重をはかったり、身長をはかったり、あるいは運動をやらせて駆けさせたりなんかやるわけですから、そうしたら、虐待を受けていれば、どうも様子が変だとかどうだとかというのは、食事を食べないとか、これを一番発見しやすいのはやはり学校の現場にいる職員さんだというふうに思うんです。

 そういったことについて、やはり文部省の方でそれを周知徹底すべきだというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。

河村国務大臣 御指摘のとおりで、学校の教員が一番身近なところにおります。注意しておけばかなりそれを発見できるはずでありますから、私は、そういうことを徹底させるということは非常に大事だと思いますので、委員御指摘のように、学校によってその対応をきちっとしているところ、していないところ、残念ながら岸和田のケースでは、学校が組織を挙げてそういうことについての関心がもう一つだったということも指摘がございますので、学校全体、教育現場全体がその意識をしっかり持っていただく、例えば不登校が起きたときにはやはり虐待を疑ってみるとか、そういうようなことが非常に必要になってきた、こう思っておりますので、御指摘の点については十分対応させていきたい、こういうふうに思います。

石田(勝)委員 次に、立入調査権のことについてお尋ねをいたします。

 これは親と児童相談所との間でよくトラブる件でございまして、私どもの埼玉県では、四十八時間以内に対面確認をしろということを、時間的制限を義務化いたしました。これは全国で初めてのことであります。

 岸和田事件からも学ぶように、初動のおくれにならないように、立入調査は認められているけれども、立ち入ってくる児童相談所の人が、うちは何もないんだよ、帰ってくれよ、こういうふうに言って追いやられちゃうんですね。それから、もし立ち入りしたものの何もなかったということになるとまずいなという気持ちがやはり児童相談所の人も働くわけですよ。そうすると、なかなか、立ち入れ立ち入れと言っても、そこをちゅうちょしちゃう部分が現実の問題としてあって、それで事件の解決がおくれたというケースもたくさんあるわけであります。

 そして、通告を受けて立ち入ろうとしても、親がかぎをかけちゃって入れないとか、中からどなり声がして、そんなもの、おまえなんか出ていけ、何を近くに寄っているんだとか、そこでいろいろすったもんだあるわけであります。

 アメリカでは、調査を受ける義務があって、通報があった場合に子供の対面確認ができなかった場合には立入調査ができる対面の義務化というものが盛り込まれております。私は、このようにやはり日本も改めるべきでありますし、施錠、かぎを壊して、チェーンカットの権限を与えて、警察官が立ち会うべきであるというふうに思うわけであります。

 そして、これは、ちょうどことし、これから超党派で虐待防止法の改正案に盛り込もうというふうに私は個人的に思っているわけでありますが、警察庁に、いわゆる鎖錠を外して、チェーンカットの権限を与えて、そして警察官が立ち会わないと、なかなか、児童相談所の人に行け行けと言ったって、警察官みたいな鍛えられ方をしていませんから、現場の様子だって、まともな人を相手にするわけじゃないですから、それはやはり、私は、警察官が立ち会って、そして、かぎをあけるというふうにすべきだと思うんですが、警察庁のお考えを、御所見を伺いたいというふうに思っています。

小野国務大臣 石田委員にお答えをさせていただきます。

 私も、共生社会調査会で、児童虐待に関して二年間勉強させていただいたところでございます。

 今お話ありましたように、児童相談所の職員が虐待防止法に基づきまして警察官に援助を求めることができる、今委員がお話をしたとおりでございますけれども、実際に、保護者が児童相談所の職員の立ち入りを拒む場合、その場合に、援助の要請を受けた警察官にも、かぎを壊すという実力執行の権限は与えられていないのでございます。

 ただし、家の中で児童が大きな声で泣いたり、実態がそういう現状、悲鳴が聞こえるとか生命の危険、そういうものが切迫しているような状態の場合には、職務執行法あるいは刑事訴訟法の規定に基づきまして、かぎを壊すなどの立ち入りをすることができる場合もあると承知をいたしております。

 しかしながら、外部から例えば児童の悲鳴が聞こえないとか、今回の岸和田市の問題のように寝たきりになって声も出ないというふうな場合には、警察官の職務執行法の法令に基づいた立ち入りが困難な状況も考えられるわけでございます。

 ですから、議員がおっしゃいましたように、今後の措置をどうしていくかについては、御議論をぜひお願いしたいものと承知をいたしております。

石田(勝)委員 私は、警察官が立ち会ってきっちりとやるべきだ、それらの点については、これから改正時もありますから、盛り込むようにやりますが、やはりそこの意気込みをきちっと警察としても持つべきだというふうに思っております。

 法務大臣、これは法務省は少しちゅうちょするというか消極的かもしれませんが、児童虐待の問題をやっていく中でぶつかる壁というのは、親権停止の問題が一番ぶち当たるんですよ。これは、民法の八百三十四条の親権停止をどうするか。そうすると、法務省は、法律を変えてまでと、なかなかしない。

 ところが、今、こういうふうな具体的な事件が出てくる中で、やはり親と子供を切り離したり、そういうふうなことをしなければいけない。そういうことを与えないと、また親が児童相談所に行って、子供を取り返しに行ったり、そこでまたすったもんだのトラブルになるんですよ。だから、親権の一時停止という問題について、やはり民法改正を視野に入れながら進めるべきだというふうに私は思っているんです。

 子供が教育を受ける権利あるいは医療を受ける権利または治療を受ける権利、私はこれがあるというふうに思っております。その子供の権利を強化し、守るために、親権の一時停止を図る必要があろうと思いますが、法務大臣の御所見を伺いたいと思います。

野沢国務大臣 お答えいたします。

 児童虐待の問題は、私も大変心を痛めている問題でございます。石田議員におかれましては、これまで多年にわたってこの問題に取り組まれまして、特に児童虐待防止法の議員立法に積極的に取り組まれていることに敬意を表する次第でございます。

 今の、親権の一時停止の問題でございますが、現行法におきましても、家庭裁判所による親権喪失宣告の制度を設けております。御指摘のような親権を一時的に停止する制度は、現在ございません。しかし、現在の親権喪失宣告の制度のもとにおいても、親権喪失宣告をした上で、親権を行使させることが適切な状態が復旧されたことを見きわめれば、家庭裁判所が親権喪失の宣告を取り消す審判をすることは可能でございます。弾力的に親権を制限することは、現行の枠組みの中でも可能な仕組みとなっております。

 また、保護者が児童を虐待し、児童福祉法第二十八条によりまして、家庭裁判所の承認を得て、児童を施設に入所させる等の措置がとられた場合には、親権の行使が制限されることになりますので、親権喪失宣告の申し立てをするまでもなく適切に対応することも可能でございます。

 したがいまして、現行民法八百三十四条を改正して親権の一時停止の制度を設ける必要は現段階ではないと考えておるわけでございます。

石田(勝)委員 この問題について、次の質問がありますから私は法務大臣と議論をすることは避けますが、運用で可能だといったって、結局、現場へ行けば、じゃ、そんなことどこの法律に書いてあるんだとか、もうそれはすごいわけですよ。これは運用で可能ですからとか、今の段階では八百三十四条の改正をして一時停止をする必要はないと思いますとか、そういうやり方では、こういう問題について柔軟に対応していくことができないというふうに私は思います。

 その点、総理、聞いていていかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは、親権の問題と専門家あるいは対応する人の問題、非常に難しい点があると思いますが、今後、よく検討していただきたいと思います。

石田(勝)委員 それでは、質問通告の二番、三番をちょっとかえさせていただいて、竹中大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 小泉総理は、去年後半の株高を見て、改革の芽が出てきたと大変喜んでおられたわけでありますが、しかし、エコノミストの間では、景気の兆しが出ているのは大手輸出企業を中心とした民間企業の自助努力、リストラと、また、デフレ状況も改善されず、相変わらず国内消費も不調で、中小企業やあるいは地方の景気は依然として悪いのが定説であります。

 そこで、お尋ねをいたしますが、不良債権の処理なくして景気回復はないんだ、景気の復活はないんだ、不良債権が足かせになっているという話は私も何度も聞いてきたわけでありますが、私は、UFJ銀行の再検査という新聞報道に大変懸念をいたしております。我々は、少なくとも四大銀行の不良債権は峠を越えた、そんなふうに理解をしておったわけであります。そして、今度は地方銀行が問題だ、そんなふうにも聞かされていたわけでありますが、どうもそうでもなさそうだなというふうに思っております。

 現実のものとして不良債権の処理は進んでいないのじゃないか。こうなりますと、三月の決算期にまた危機的状況が出てくるんじゃなかろうか、そんな懸念を私は持っておるわけでありますが、その点、竹中大臣、御説明をいただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

竹中国務大臣 最近、いろいろな報道がなされているようでございますけれども、個別の金融機関の検査等々についてのコメントは我々の立場上できないということは、これは御理解をいただきたいと思います。

 その上で、UFJのお話がございましたけれども、同行が発表しております数字を申し上げますと、十五年三月期における不良債権額、これは金融再生法の開示基準でございますけれども、三兆六千五百五十億円、不良債権比率は八・三四%でございました。それに対して、十五年九月期においては、不良債権額は三兆二千五百七十七億円、不良債権比率は七・八六%、この半年間で不良債権額は三千九百七十三億円減少、不良債権比率は〇・四八%ポイント低下しているというふうに承知をしております。

 さらに、今、四半期開示をしているというのは委員御存じかと思いますけれども、この第三・四半期情報の開示によりますと、これは十二月ということになりますけれども、十五年十二月期の不良債権は二兆九千六百八十二億円と、九月期からさらに二千八百九十五億円減少しているという状況になっております。

 いずれにしましても、主要行の不良債権比率は、十五年九月期において、これは全体で六・五%、十五年三月期から〇・七%ポイント低下をしている。我々は、十六年度末までに主要行の不良債権比率を、再生プログラムをつくったとき、これは当時八・四%でございましたけれども、それの半分程度に低下させるという金融再生プログラムの目標を持っているわけでございますけれども、その達成に向けて順調に進捗しているというふうに認識をしております。

 金融庁としては、各行が引き続き不良債権処理の一層の加速を図る、構造改革を支えるより強固な金融システムの構築に向けて努力していく、そういう着実に結果を出していくということを期待しております。

石田(勝)委員 今、この不良債権処理については順調に進捗している、こういう竹中大臣の答弁がありましたけれども、UFJの大口の取引先であるダイエー、ここなんか順調にいっているんですか。

竹中国務大臣 個別の金融機関、さらには個別の債務者についてコメントする立場にはないというふうに思っております。

 いずれにしましても、金融機関においても企業におきましても、バランスシートをしっかりと調整してその収益力を高めて経済を健全化していく、そのための努力をつかさつかさでしっかりなさっているというふうに思っております。

石田(勝)委員 個別の案件についてはお答えできないといっても、金融庁が二月にダイエーに再検査に入るんでしょう。問題がなければ、ダイエーの再検査に別に入る必要ないでしょう。問題があるから入るんじゃないんですか。違うんですか。再検査だもの。

竹中国務大臣 金融庁の検査は、これは今、主要行に対しては通年の専担検査を行っておりますけれども、これは銀行に対して検査を行うものでありまして、個別の債務者に対して検査を行うというものではございません。もちろん、主要な債務者に関して、その信用リスクの観点から見た銀行のいわゆる区分、債務者区分、そういうものについては特別検査も含めましてこれはしっかりと見ていく。

 これは、銀行に対する検査を行うという意味でございます。繰り返し申し上げますが、債務者に対して検査をするという制度ではございません。

石田(勝)委員 だから、二月に再検査に入るんですか。

竹中国務大臣 通年専担の検査を検査体制として、通常の検査として我々は行っております。

 加えて、これは二月期とおっしゃいましたけれども、銀行に対して三月期の特別検査を行うということは、我々としては既に発表しております。特別検査というのは、これは、リアルタイムで、債務者区分を銀行の債務者区分と同じ時点でしっかりと見ていこうではないか、そして、それを決算に反映してもらおうではないか、そういう制度でありますけれども、三月期の銀行に対して特別検査を行うということは、これは既に記者会見等々で発表しております。

石田(勝)委員 個別の案件、個別の案件ということをおっしゃっていますけれども、これは銀行には公的資金を注入したんですよね。それで、竹中さんは、つぶすものはつぶすんだと。本当につぶれたところもあったんですよ。しかし、例えばダイエーなんかは救済されたんですよね。だから私は聞いているんですよ、この問題について。その点、もっと明確に答えてくださいよ。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

竹中国務大臣 どこをつぶしたとか、どこを救ったとかというのは、ちょっと何を意味しておられるのか、私にはよくわかりません。私たちは、銀行に対してはしっかりと検査を監督しなければいけない、預金保険法の百二条を適用しなければいけないときはそれを適用するということでありますけれども、それは、政府がどこどこをつぶしたとか、どこどこを救ったとか、そういう趣旨では全くございませんので、そこは御理解をいただきたいと思います。

石田(勝)委員 この問題、やっていても、また同じ答弁ばかりやって時間が食っちゃうのかなというふうに思いますが。

 それでは、新生銀行がこの十九日に東京証券取引所に上場するわけであります。そして、新生銀行はリップルウッドグループが十三億五千八百万株を保有しているわけであって、このリップルウッドグループはその三分の一の株式を売却することによって二千億円を超える売却規模が手に入ることが予想されているわけであります。

 そこで、伺うわけでありますが、この銀行に対して公的資金はどの程度注入されていて、そのうち損失はどの程度あったのか、お聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 お尋ねは、公的資金の注入額と国の損失、その二点でよろしいかと思いますけれども、旧長銀、現在の新生銀行に対して預金保険機構が行った資金援助等の額は、まず、特例資金援助等で三兆七千三十五億円でございます。さらにその内訳が必要だったら申し上げますが、特例資金援助等では今申し上げた金額になります。それと、旧金融安定化法及び早期健全化法に基づく資本増強としては四千百六十六億円ございます。さらに、これは適資産、保有株式の買い取りでございますけれども、十五年九月末現在で二兆二千六百八十八億円でございます。それと、瑕疵担保条項に基づく貸し出し関連資産の引き取り、これも十五年九月末でございますけれども、八千五百三十億円でございます。これは異質なものでございますけれども、あえてこれを合計すると八兆円弱ぐらいの金額になろうかと思います。

 これらのうち、国の損失額に対する、二番目のお尋ねでありますけれども、ペイオフコスト超の金銭贈与に用いられた交付国債の使用額、これは三兆二千二百四億円ありますけれども、これについては、現段階において国民負担として確定をしております。その他のものにつきましては、買い取り資産からの回収等や、資本増強に当たり引き受けた優先株式の処分収入等が返済に充当されることになっておりますので、国民負担が発生するか否かについては現時点では確定はできない、確定していないということでございます。

石田(勝)委員 要するに、投入額が七兆八千、それから損失は五兆円前後ということだと私は思うんですが、違いますか。

竹中国務大臣 投入とおっしゃいますけれども、基本的には、預金保険機構が行った資金援助等の額を合計いたしますと、これは繰り返し言いますけれども、これはちょっと異質なものがあります、資金援助等もあれば適資産の買い取り、そういう異質なものがありますので、単純合計することには、いろいろな解釈があるかと思うんですが、あえて合計しますれば七兆九千五百四十二億円になります。それを委員が投入とおっしゃっているのかもしれませんですけれども。

 それで、国の負担という意味では、確定しているのは、先ほど言いましたように、ペイオフコスト超の金銭贈与に用いられた交付国債使用額の三兆二千二百四億円、これは国民負担として確定をしております。しかし、その他のものについては、これは、例えば、資産を買い取っているけれども、今後、どのように売ったり買ったりするのか、回収できるのか等々、その優先株の処分の収入等々をどのように使用できるかということでありますので、それについては、国民負担が発生するかどうかについては現時点では確定はしていないということになるわけであります。

石田(勝)委員 このリップルウッドグループは、今回、保有株式の三分の一しか売り出せないんですね。それで、百八十日後に全部売却できる。そういうことになっているわけですが、この元手、わずかといえばわずかなんですが、千二百十億円の投資がわずか四年で七千二百億円に近い利益を生み出すんですよ。これは五百六十円で計算してですから。しかも、リップルウッドグループはオランダに設立したファンドを通じて新生銀行を買収したために、その株式売却に対して我が国は一円も課税ができないと聞きますが、財務省、ここはいかがですか。

谷垣国務大臣 一般論として言いますと、非居住者あるいは外国法人が日本国内の法人の株式を取得してその譲渡益を得た場合の課税関係ですが、これは国内法と租税条約で判断するわけですが、租税条約、先進国間のモデルとなっているのはOECDの条約であります。これは、日米の租税条約、それから今おっしゃった日本とオランダの間の条約も、この問題に関しては同じような仕組みになっているわけですが、それは、原則として、非居住者、外国法人の居住地国、つまり外国においてのみ課税されて、源泉地国、この場合でいえば我が国になりますが、我が国では課税されないということが今の租税条約の形になっております。

石田(勝)委員 だから、要するに一円も課税できないということなんですよね。七千二百億円以上の利益をこのわずか四年間で生み出しておいて日本としては一円も課税できない、こういうことなんですよね。こんなばかばかしい話はないんですよね。

 それで、新生銀行から八千五百三十億円の不良債権を買い取って、そのほとんどの多額が損失として発生して、それで一円も課税できないで、これじゃ、カモにネギしょわせて、日本の国民の税金を使い果たしているみたいなものじゃないですか。だから、こういういいかげんなやり方をやってきた責任というのは極めて大きいというふうに私は思うんですよ。

 そこで、角度を変えて聞きます。

 新生銀行が上場できるまでに業績が回復した大きな要因に、あの悪名高い瑕疵担保条項があるというふうに聞くんですよ。旧長銀から継承した貸出資産の実質価値が三年以内に二割以上減価した場合には国が簿価で買い取るというものであります。新生銀行の瑕疵担保条項の行使で、国は幾ら買い取って、どのぐらい損失が発生しているんですか。

竹中国務大臣 幾つかの御指摘を先ほどからいただいておりますけれども、今度の上場云々に関しては、これは御承知だと思いますけれども、法律が変わっておりまして、上場は政府に対しての届け出事項ということになります。審査は東京証券取引所が行うということになりますので、政府としては、これは関与する問題ではないというふうに思っております。

 それと、繰り返し申し上げますけれども、どれだけの国民負担になるか、どれだけの回収益等々になるかということはこれから確定していくわけでありますので、これは今後の問題だということになります。

 瑕疵担保の問題に関しましては、これはもう皆さんよく御承知のように、長銀の受け皿選定において、国民負担を、公的な負担を極小化しなければいけない、当時、金融システムの安定化のためにその受け皿の選定が急がれた、そういうような状況の中で、当時としての金融再生委員会がさまざまな要因を考慮して判断をしてそういう結果に至ったというものでございます。

 お尋ねの、預金保険機構が瑕疵担保条項に基づいて買い取った債権でございますけれども、十五年九月末現在で、これは、件数としては三百二十一件であります。債権額は一兆一千七百二億円。支払い額は八千五百三十億円。この支払い額というのは、債権額からその譲渡当時の引当金を引いた金額になります。

 金額のお尋ねに関しては以上のとおりでございます。

石田(勝)委員 これは国民が聞いて本当に唖然とする数字だと思いますね。今、百万の手形が落ちないといって金策に走っている中小企業の経営者なんていっぱいいるんですよ。それがいとも簡単に、いや、八千五百三十億円のこれは損失ですとか、このやり方が、もう一遍聞きますけれども、まことに、これはどういう感覚でやっているのかなというふうに、正直、耳を疑いますよ、この数字を聞いて。

 しかも、この瑕疵担保条項はリップルウッド・グループの提案書の中に入っていたと聞くんですよね。私はそういうふうに聞いているんです。この瑕疵担保条項をつけるかつけないかということについて、リップルウッドとのやりとりの中で提案書の中に入っていたというんです。

 そこで、お伺いしますが、竹中さん、リップルウッド以外の提案書の中でも瑕疵担保条項はなかったのか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。たしか十数行、ほかにもあったはずですから。

竹中国務大臣 先ほど、数字、支払い額八千五百三十億円、これは確かに庶民感覚からいって非常に大きい金額だというふうに思います。

 ただ、ちょっと誤解ないようにしていただきたいのは、この預金保険機構が買い取った債権については、今後、同機構から委託を受けてRCCの方で回収が進められるわけです。回収された分についてはもちろん国民負担となるものではないわけですから、これは今まだ一つの手続でして、これは一生懸命我々としては回収していかなければいけないというものであろうかと思います。

 それで、瑕疵担保条項が設定されるに至った経緯でございますけれども、旧長銀の譲渡先の選定に際しては、これは当時、金融再生委員会、これは先ほども言いましたが、公的負担を極小化しなければいけないんだ、金融システムの安定等の視点に立って複数の候補先が提示した条件についてこれを総合的に検討した結果、リップルウッド社の提示条件が最適であるという判断を金融再生委員会で行って最優先の交渉先に選定されたというふうに承知をしています。

 この最優先交渉先の選定の過程において、当時の譲渡候補先のいずれも、長銀譲渡後における二次ロス、二次的な損失を補てんする何らかの措置を要望していたというふうに聞いております。それで、当時の再生委員会としては、速やかな譲渡を実現し国民負担を抑制するという観点から、二次ロス対策として譲渡先決定後に瑕疵担保条項が決められた、そのように認識をしております。

石田(勝)委員 何らかのロスというのは何ですか、何らかのロスというのは。

竹中国務大臣 これは、当時、いろいろな条件が出されて、これは一度ビッドにかかったわけでありますけれども、それそのものについては先方のこともありますので公表しないということになっているんだそうでございますが、いずれにしても、これは二次ロスが発生するであろうということをやはり買う側は懸念したわけでございます。

 したがって、二次ロスの対策として何らかのものを要求した、その二次ロスの中で当時の再生委員会がさまざまな可能性を検討してこの瑕疵担保条項ということで決着がついたというふうに認識をしております。

石田(勝)委員 竹中さん、私が聞いているのは、リップルウッド以外にもこの瑕疵担保条項を条件に出してきたところがほかの中になかったのかと聞いているんですよ。

竹中国務大臣 これは、先ほど言いましたように、いろいろな交渉条件の中で条件を出してくるわけです。そのときの条件がどのようなものであったかという個別のことは先方のこともあるので公表できませんが、何らかの二次ロス対策が必要だということは強く求められていたというふうに聞いております。

石田(勝)委員 違う、違う、違う。私が聞いているのは、一般論としてもとか、それは述べられないとかと言ったって、十数行のうちリップルウッドが、その瑕疵担保条項が提案書の中に入っていたんでしょう。ほかのところもあったんでしょう。それを聞いているんですよ。それを聞いているんだよ。

竹中国務大臣 申し上げられるのは、個別の交渉者がどのような条件を出していたかということについては、これは公表できないわけであります。

 それに関して、それぞれが二次ロス対策が重要であると。二次ロス対策の一つとしてこの瑕疵担保条項というのが含まれているわけでありますけれども、それ以外について、いろいろな条件が課されていたかどうか、これは、繰り返し言いますが、相手がいろいろな申し入れをしたということに関してのビッドの内容については、これは相手、先方のこともありますので申し上げられないというふうに言っているわけです。

石田(勝)委員 いや、何も難しいことを聞いているんじゃないんですよ。その二次ロスの中でいろいろなことが提案書の中で入ってきた、それで、瑕疵担保条項がほかの十数行の中にあったかどうなのか。あったかなかったかでいいんですよ。はっきり答えなきゃ質問できないだろう。

竹中国務大臣 それは、相手がどのような、ほかの交渉者がどのような条件を出していたかどうかということになりますので、それは申し上げられないというふうに言っているわけです。

石田(勝)委員 何もそこの名前を出せと言っているんじゃないんですよ。

笹川委員長 竹中国務大臣に申し上げますが、取引の条件とかあるいは相手先の名前を公表するわけじゃありませんので、石田委員が聞いているのは、瑕疵担保条項はほかの方の要求の中にあったかどうかという一点だけの質問でありますので、でき得ればお答えください。

竹中国務大臣 瑕疵担保条項というのが、どのように定義化して、それをどのような形で求めていたか、これはどういう相手がいたかということは実はもう公表されていることでありますので、こういうことがあったかどうかということは実は内容に触れてしまうということになることを懸念しております。

 どのような具体的な申し出があったかどうかというのは、これは、二次ロス対策について何らかのことを非常に強く求めていたということでありますので、二次ロス対策としては当然その瑕疵担保条項というのは一般的なものとして考えられているというふうに思っております。

 具体的に、その瑕疵担保条項というのは相手に損失がある場合にのみこちらが負担を負うということでありますから、そういう申し出があったかどうかということに関しては、これは確認をさせていただきます。

石田(勝)委員 確認というのはどういうことですか。わからないということですか。わからないということなんですか。委員長の先ほどの指示に従えないということなの、答弁は。

笹川委員長 竹中国務大臣、もう一度わかりやすく。

竹中国務大臣 具体的にどのような提案があったかどうかということの資料を手元には持っておりませんので、後ほど調べてお答えをさせていただきます。

石田(勝)委員 この瑕疵担保条項というのは、アメリカの取引にもあるわけですが、これは全体の五〇%が普通なんですよ。瑕疵担保条項が一〇〇%なんというのは、これはリップルウッド社に日本が、金融庁が完全にのまされたということなんだよ。いずれにしても、その調査結果をきちっと出してください。

 時間が参りましたから、質問を終わります。

笹川委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。

 次に、達増拓也君。

達増委員 今の問題、竹中大臣に伺いますけれども、きょうの委員会審議の場で答弁してくださるという意味でさっきお答えになったんでしょうか。

竹中国務大臣 午後の、ちょっと何時になるかわかりませんけれども、これはお答えさせていただきます。(発言する者あり)

達増委員 さっきの委員長の指示に従っていないんじゃないかという……。

 先ほど竹中大臣に委員長が指示したのは、答弁の中できちんと答えるということだったと思いますので、これはもう午後一番にお答えいただけるということで理解してよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 午後できるだけ早い時点でお答えをさせていただきます。

達増委員 私の質問に入る前、冒頭に、きのうイラクで発生しましたサマワ市での迫撃砲弾攻撃について述べさせていただきます。

 実は、二月九日、今週月曜日の予算委員会で私は、自衛隊がサマワに入ることによって、今までサマワには起きなかったようなテロ攻撃などが、自衛隊を対象とするのみならず、取材に来ている日本人報道関係者、さらにはサマワ住民が対象になるようなテロ等の攻撃が行われる危険性があるということを指摘していたのでありますけれども、不幸にしてそのことが現実化しつつあるのではないかと懸念をしております。

 オランダ軍に対する恨みが主な攻撃の理由ではないかという説もありますけれども、自衛隊派遣が理由なのかもしれません。ロケット弾といいますか、迫撃砲弾といいますか、それが着弾した地点というのは、CPAの事務所があり、あるいは日本人報道関係者も入っているホテルがあり、そしてサマワの住民も住んでいるところだった。

 そういうところが攻撃される事態になっている中で、月曜日の私の質疑に対する答弁の中では、自衛隊は、自衛隊そのものとその管理下にある者以外は守らないということだったわけでありますけれども、そういった形で、サマワに自衛隊を派遣して、サマワ住民のためにきれいな水をつくる、また医療協力をする。それはそれでサマワ住民の役に立つのかもしれませんが、一方で、サマワの住民に人的被害が出るような事態になってきた場合に、日本はテロに屈しないということだけで自衛隊がサマワにとどまって、そしてサマワ住民の犠牲がどんどんふえていくという事態になっては、これは一体何のために派遣したのかよくわからないことになってしまう。

 今現在では、オランダ軍に対する恨みが主な原因なのか、自衛隊派遣が主な原因なのか、まだわからないと思いますので、質問はいたしませんけれども、二月九日の質問との関係で、冒頭述べさせていただきました。

 それでは、青少年育成担当の小野大臣に質問いたします。

 昨年十二月に、青少年育成施策大綱というものが政府から出ました。実は、これは去年の夏ごろ出るというふうに予想されていたものであります。

 それに先立ちまして、去年の四月に、青少年の育成に関する有識者懇談会が、青少年の育成に関する有識者懇談会報告書という報告書、この青少年育成施策大綱のベースになるような報告書を去年の四月に出しまして、これをもとに、去年の夏のうちには大綱が出るというふうに予想をされておりました。

 ところが、鴻池大臣が青少年問題担当になり、報じられているところによりますと、この報告書は甘い、もっと少年犯罪について勧善懲悪、そういう厳罰主義的なアプローチをしなければだめだということで、大綱が出るのがおくれたというようなことが言われております。

 確かに、この有識者懇談会報告書は、少年犯罪について次のように記述しています。「少年犯罪については、被害者や関係者等に大きな衝撃を与えるだけでなく、当事者の少年の健全育成にとっても極めて大きな障害となるものであり、適切な対応方策を講じることは重要な課題である。」あるいは、「少年犯罪の発生には、複雑な要因が絡み合っており、特定の現象が主たる要因であるかのように安易に結びつけるべきではない。」これは、親が悪い、だから親を引っ張り出して、親にも謝罪させるべきだというような考え方とは反する考え方なんだと思います。

 こうした報告書がせっかく四月に出ていたにもかかわらず、鴻池大臣のもとで大綱は結局出てこなくて、小野大臣になってから青少年育成施策大綱が出てきたわけであります。

 したがって、私は、鴻池主義といいますか、そういう勧善懲悪、加害者の親もテレビの前等に引っ張り出して、謝らせなきゃだめだというような考え方がこの大綱に入っていたらまずいと思って調べてみたんですけれども、一カ所、気になるところがございました。

 それは、「少年非行対策等社会的不適応への対応」という項の中に、「処遇全般の充実・多様化」というところがありまして、そこで、「個々の事案の状況に応じ、加害者の処遇の過程等において、謝罪を含め被害者との関係改善に向けた加害者の取組を支援するほか、修復的司法活動の我が国への応用の可能性について検討する。」ちょっと抽象的なところもありまして、この文章が、今回、国家公安委員長が青少年問題担当を兼ねるということは初めてなんじゃないかと思うんですが、厳罰主義とか勧善懲悪とかそういった発想から加害者の親も引きずり出せみたいな、そういうことを意味するものではないということを確認しなければならないと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

小野国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 なぜ十二月になったのかというのが最初の御懸念のところでございますけれども、昨年の夏は青少年犯罪が大変多発をいたしましたし、それが非常に凶悪化をいたしました。そういったことに基づきまして、少年非行対策のための検討会を御案内のとおり設置をさせていただきまして、九月、鴻池前大臣の私案としての位置づけ、「少年非行対策のための提案」が取りまとめられたところでございます。その後、本提案に盛り込まれました具体的な事項に関しましては、各関係省庁十分に検討いたしまして、大綱の方に入れさせていただきました。

 青少年育成に関しましては、加害者である少年の処遇について、まず該当少年がきちんと立ち直りまして、いずれ地域や家庭、学校に戻っていくわけでございます。そういったわけで、円滑な社会復帰というものを果たしていくためには、加害者である少年自身が自分の気持ちの中で犯罪というものと向き合いまして、被害者の立場や心情を理解して、みずからの責任を自覚して謝罪の気持ちを持つということは、やはり立ち直りに際しましても大変大事なことである、そのような認識を持っているところでございます。

 御指摘の部分に関しましては、保護観察とか少年院等の処遇の各段階において、そうした謝罪の気持ちを含め、被害を受けた者との関係、この改善というものを図っていくということが加害者に対する、少年の立ち直りと同時に、一つの例ではないか、そのような観点から、議員御指摘のとおり、加害者の親を含めた謝罪を強制する趣旨ではございませんけれども、子供が立ち直っていく上での大事な点をさらに盛り込ませていただいたところでございます。

達増委員 先ほど紹介した有識者懇談会報告書には、「少年を犯罪に向かわせないために必要とされるこれらの諸課題は、まさに、本文の4における乳幼児期から青年期にかけての青少年の育成課題でもあり、各年齢期を通じた総合的な育成の取組そのものが根源的な少年犯罪への対応へとつながるといえる。」という記述がありまして、この「各年齢期を通じた総合的な育成」こういう総合的なアプローチがこの報告書の主題であり、そのアプローチの考え方はこの青少年育成施策大綱にも取り入れられていると思いますので、ぜひそういうアプローチを大切にしていただきたいと思います。

 さて、もう一問、この青少年育成施策大綱関係の質問ですけれども、児童虐待の問題であります。

 この施策大綱の前に政府が正式に決定していたものとして、青少年育成推進要綱というものがございます。これは平成十三年二月二十八日決定、その後何度か改正をされて平成十四年十月二十一日最終改正となっているんです。

 この青少年育成推進要綱では、「当面特に取り組む課題」として「児童虐待問題等への対応の推進」というのを、目次にも児童虐待問題というのがはっきり出るような形で大きく取り上げていたんですけれども、今度出た青少年育成施策大綱では、この児童虐待問題については、「5 特定の状況にある青少年に関する施策の基本的方向」の中で二カ所。一つは「(2) ひとり親家庭等の支援」という中で触れられている。この「ひとり親家庭等」という中で、「養護に欠ける児童」という枠の中で児童虐待問題を取り上げているんですけれども、養護に欠ける児童という問題と一人親家庭という問題を一緒にするのもいかがなものかとは思うんですが。もう一カ所は「(4) 青少年の被害防止・保護」という中で児童虐待問題というものが触れられている。

 青少年育成推進要綱のときよりも児童虐待問題については深刻化しており、国民的課題としてより強い体制で政府として臨んでいかなければならないと思うんですけれども、この青少年育成施策大綱というものは児童虐待問題への取り組みを後退させる趣旨ではないと理解してよろしいでしょうか。

小野国務大臣 今、議員の方からお話ありましたように、一人親でも立派に子供を育てている家庭はたくさんあるわけでございますから、その辺は誤解をいただかないように、そんな気持ちでおります。

 青少年育成施策大綱というのは、先生今おっしゃいましたように、乳幼児時期、それから児童期、思春期、さらには青年期という各成長段階の特性というものを、課題を踏まえながら推進すべきものであって、年齢期ごとに整理をして記述をさせていただいております。

 あわせて、全年齢を通じて取り組むべき課題というものに長いスパンをもって考えさせていただいておるところでございまして、児童虐待につきましては、重点課題の一つに挙げられました「特に困難を抱える青少年の支援」ここの中に、具体策として「特定の状況にある青少年に関する施策の基本的方向」、この中で被虐待児への支援策あるいは児童虐待の防止策を盛り込みまして、全年齢に関してという形の中で取り組むべき課題という位置づけをさせていただきました。

 そのようなことで、児童虐待への取り組みに関しましては何ら後退するものではない、私自身もそのような認識を持ってこれを進めさせていただいておりますので、とにかく痛ましい児童虐待事件が一件でも少なくなりますように全力を挙げて取り組ませていただきたいと思っております。

達増委員 児童虐待問題は、日本のすべての大人たちが問われている問題で、日本人のあり方そのものが問われている国民的な課題だと思います。

 総理にも、この児童虐待問題についての所信を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 児童虐待というものについて、外国では起こっているけれども日本にはそんなに起こっていないんじゃないかなと一時期思っていましたけれども、最近そうでもない。先ほどのお話にもありましたように、多くの虐待に関する事件が我々の身近で毎日のように報道されている、大変深刻な問題だと思います。

 特に幼児期は、人間の時期としても、一番周りの人からかわいがられ、慈しまれなければならない時期だと思います。そして、その周囲の者、特に親は、命にかえてもこの子供を守ろうと思う気持ちになると思うんですね。それが全く逆なことをするということ、これほど人間的に悲惨なことはないと思います。

 こういう点について、先ほども遠藤公明党議員からお話ありましたように、保育園等においても、虐待されている子の多くは、切れるとかあるいは他人に対して攻撃的になるとか、そういう話がありましたけれども、家庭で手に負えない、あるいは家庭の中では外から気がつかないということに対して、保育園なりあるいは幼稚園なり学校なり、あるいは公的な機関なりがどういう防止策を講ずることができるか。今後、各省連携しながら、専門家も交えてこの虐待防止に努めなきゃならない。特に、やはりお子さんたちは社会の宝であるという観念を身近な親が持てないのだったらば、周りの人たちがどういう支援の手を差し伸べるか、党派を超えて考えなきゃならない問題だと思っております。

達増委員 次に、いわゆる国連待機部隊、これは、昨年の通常国会に自由党が提出した安全保障基本法案では国連平和協力隊という名前でありましたけれども、最近は国連待機部隊という言葉が使われることが多いので、それについて質問をしていきたいと思います。

 そもそも、自衛隊と別に、国連安保理決議等に基づく活動に対して、自衛隊とは別の部隊を用意し、いざ活動に参加しなければならないときにはその国連待機部隊が活動に参加するという、この考え方は、そもそも日本国憲法が禁止している戦争というものは、これは、かつて日本が大東亜戦争あるいは太平洋戦争と呼ばれるあの戦争でやったような、ああいう戦争を禁止する趣旨であって、自衛のための戦争、あるいはもうそれは戦争とは呼べないのでありましょう、自衛のための行動や、また国連安保理決議に基づく行動については禁止していない。むしろ、自衛と国連のもとでの平和協力活動というものは、日本としてきちんとそれに対応していかなければならない。であれば、自衛隊と国連待機部隊とその二本立てを日本に用意するのがいいのではないかという考え方がもとになっております。この今の日本国憲法の解釈については、そもそも国連憲章がそういう考え方になっているのではないか。

 そこで、外務大臣に伺います。

 国連憲章は、そもそも戦争の違法化という国際的な潮流に基づいて、第二条第四項で、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも」「慎まなければならない。」というふうに、ここで戦争の違法化をしているわけでありますが、しかしながら、どこかの国がこういうことをしでかした場合には、「平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとる」というふうに定められているわけであります。そして、その集団的措置が間に合わない間は自衛権というものの行使を認めるというのが国連憲章の考え方でありまして、したがって、国連憲章が国家による武力行使というものを容認しているのは、自衛権の行使と、そして安保理決議に基づく行動のこの二種類であるというふうに理解してよろしいでしょうか。

川口国務大臣 そのとおりでございます。

達増委員 憲法解釈になりますので法制局長官に伺いますけれども、そのような国連憲章の考え方というものの上に一九四六年制定の日本国憲法というものも立脚しているのではないかと思います。国連憲章が国家による武力行使を容認しているのは、自衛権の行使と安保理決議に基づく行動の二種類。同様に、日本国憲法も自衛権の行使と国連安保理決議に基づく行動については容認していると理解してよろしいでしょうか。

秋山政府特別補佐人 憲法第九条でございますが、第一項で、武力の行使などを国際紛争を解決する手段として永久に放棄すると定めまして、また第二項で、戦力の不保持それから交戦権の否認を定めております。

 政府といたしましては、この規定は、我が国自身が外部から武力攻撃を受けた場合における最小限の反撃と申しますか実力の行使、これを除きまして、国際関係において武力を用いることを広く禁じているものであると従前から申し上げているところでございます。

達増委員 自衛権の行使については基本的に問題ないと思いますが、解釈について議論を詰めていかなければならないのは、国連安保理決議に基づく行動というものだと思います。

 先ほどの国連憲章の第二条四項でありますが、日本国憲法であれば「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」を禁止するというふうな書きぶりなんですけれども、国連憲章はその点、より具体的に「武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも」「慎まなければならない。」つまり、領土保全を侵す、政治的独立を侵す、これは、国連憲章は日本国憲法の前にできているわけでありまして、その時代背景、帝国主義的な列強の角逐、植民地侵略、植民地支配、またそれを広げようとする列強同士の戦い、そうした戦争を国連憲章は禁止している。

 日本国憲法も、一九四六年にできているわけでありますから、今、この二十世紀後半から二十一世紀にかけて問題になっているような地域紛争を国際的にどう解決していくか。つまり、植民地主義的、帝国主義的な強国が侵略をしたり、そういう強国同士が戦ったりするということではなくて、湾岸戦争もそうでしたし、今回のイラク問題もそうでありましょう、そういう地域紛争、こうしたものに国際社会がどう取り組んでいくか。ですから、そういった問題意識は一九四六年にはなかったはずなんですね。

 一つ議論を詰めさせていただきますが、国連憲章では国連軍のようなものを想定しているわけですよ。この国連憲章が想定する国連軍は、ドイツが復活して再挑戦するとか、やはりそういう帝国主義的な、伝統的な戦争に対して国連加盟国が国連軍をつくって対抗するというものであって、日本国憲法はそれは容認していないという解釈はあり得るんだと思います。日本国憲法ができたとき、さすがにそこに参加するところまでは容認していない。

 ただ、PKO、PKF、あるいは湾岸戦争型多国籍軍というのはそういう国連軍とは違う。そういうドイツの復活のような、帝国主義的列強間の角逐といったような二十世紀の中葉の課題に対するものではなく、新しい、グローバルな地域紛争の解決ということであって、そこまで日本国憲法が禁止しているという解釈は難しいんじゃないかと思うんですね。

 つまり、歴史的にも法解釈的にも、日本国憲法が禁止しているのは、かつて日本がやったような戦争を禁止している、植民地侵略とか帝国主義的列強相手の戦争を禁止しているということではないのか。この点、法制局長官に確認したいと思います。

秋山政府特別補佐人 九条を読んでみますと、武力の行使を放棄、それから戦力の不保持、それから交戦権の否認ということで、一見、あらゆる軍備といいますか実力の保持、それから実力の行使を認めていないかのように見えますが、このような規定のもとでも、我が国が急迫不正の侵害を受けたときに国民及び国家を守るための最小限の反撃までは禁止しているはずがないということで、現在の自衛のための必要最小限度の実力の保持及びその行使を認めているという解釈をしているわけでございます。

 それで、湾岸多国籍軍のようなタイプのものでございますけれども、これは具体的に、国連決議がどのような内容で定められるか、あるいは多国籍軍の目的、任務等に応じて判断すべきものでありますけれども、基本的にはやはり、多国籍軍の活動というのは、各国の武力の行使を認める決議に基づきまして、各国において武力の行使を行うものである。このような活動に加わって我が国が実力を行使することは、我が国の行為として武力の行使をするということになりますので、これは憲法九条のもとでも許されないと考えております。

 もっとも、このような多国籍軍に対する支援活動が、それ自体として武力の行使に当たるものでなく、また他国の武力の行使と一体化することがないというものであれば、憲法九条との関係で問題が生ずることはないというふうに考えているわけでございます。

達増委員 今最後のところの答弁で、いわゆる後方支援的な活動については必ずしも憲法が禁止していないというような内容だったと思います。そういった活動のどこに線を引いていくかというのは、実は、PKOもPKFも多国籍軍というものも国連憲章中明確な条文、規定があるわけではなく、その都度、国連加盟国、安保理メンバーが中心に集まって、その場その場で話し合って決めていることですから、今後起きるそうした事態については全く新しいことが行われる。そういう全く新しいことに対して国内法的に対応していかなければならないということがあるということを指摘させていただきたいと思います。

 防衛庁長官に伺いたいんですけれども、今のは憲法解釈の問題でしたが、運用上も、国土防衛隊としての自衛隊と海外に出るのを任務とする別の部隊とを分けた方が運用上も現実的なのではないかという趣旨の質問なんです。

 今の自衛隊というものは、日本の自衛のための防衛出動は、これは当然即応可能、今この瞬間でも何かあれば防衛出動できる態勢なはずなんですけれども、他方、外国に出ていくことについては、例えば今回のイラク派遣については、何カ月かの訓練をしなければその活動をすることができない。

 つまり、今の自衛隊というのは、国土防衛隊としてできているわけですから、外国に行くには一々、そういう訓練をするとかあるいは装備の調達を別途行う、そのためにまた何か特別の予算措置をしなければならないとかいうことだと思うんですが、この点、そのとおりと理解してよろしいでしょうか。

石破国務大臣 今回のイラク派遣について申し上げれば、委員がおっしゃるようなとおりだと思っております。ただ、これは、装備も砂漠対応のものでなければならない、訓練も十分それに見合ったものでなければならない、そのために必要な時間はあったということ、必要な時間を要したということでございます。

 しからば、それでは別のものを持てばよいのかということでございますが、必ずしも私はそうなるとは思っておりません。それがどのような組織であり、どのような指揮系統に立つのであり、そしてまた、それが海外に出ます場合に、冒頭委員がおっしゃいました国連待機部隊というものも、自由党の御主張と今の民主党の御主張が一緒なのか違うのか、私にはよく理解ができません。どういうようなものをイメージしておっしゃっておられるのかわかりませんが、今の自衛隊で私は十分に対応可能だと思っております。

 別の組織を持つことが、費用対効果という面におきましても、そしてまた実効性という面におきましても必ずしも効果的だとは思っておりませんが、委員御案内のように、昨年の十二月十九日に閣議決定を行っております。すなわち、「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」という閣議決定を行っております。その中にこのように記してございます。「国際社会の平和と安定のための活動を実効的に実施し得るよう、所要の機能、組織及び装備を整備する。」これは、今の自衛隊の中でより即応的にどのような形があり得るかということを防衛力のあり方の中で検討してまいろうということでございます。

 いずれにいたしましても、自衛隊と別組織を持った方が運用上効果的である、そのように私どもは考えておらないところでございます。

達増委員 では、続きの質問は午後にさせていただきます。

笹川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、竹中国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹中国務大臣。

竹中国務大臣 午前中の石田委員からの御質問で、瑕疵担保条項については、リップルウッド社以外の譲渡候補先からも二次ロス提案があったのかどうかという御質問、平成十一年のことでございますので、確認に時間を要したことをおわび申し上げます。

 最優先交渉先の選定の過程におきまして、譲渡候補先は、いずれも二次的な損失を補てんする対策を要望いたしました。これを踏まえた一連の交渉過程で、リップルウッド社以外の候補先からも、二次的な損失補てんに関する複数の提案の一つとして瑕疵担保方式による対策の具体的提案があったところでございます。

 以上です。

笹川委員長 質疑を続行いたします。達増拓也君。

達増委員 国連平和協力隊という名前で、昨年通常国会、自由党提出の安全保障基本法案に、いわゆる国連待機部隊のことがその法案の中にこう規定されております。

 まず、「我が国は、国際の共同の利益のため必要があると認めるときは、国際連合の総会、安全保障理事会」等が「行う要請に基づいて行われる国際の平和及び安全の維持若しくは回復を図るための活動(武力の行使を伴う活動を含む。)又は国際的な救援活動に積極的に協力するものとする。」この項に「規定する活動のために我が国が実施する業務を行うため、別に法律で定めるところにより、常設の組織として、防衛庁に国際連合平和協力隊を置く。」これは基本法でございますので、この「平和協力隊の任務、組織、施設、隊員の教育訓練その他」「必要な事項については、別に法律で定める。」ということでございます。

 こうした部隊を自衛隊と別に保有しているメリット、一つの事例を紹介しながらお話しさせていただきますと、朝鮮半島有事が起こったときでございます。

 具体的に、あくまで仮定の話ですけれども、万が一、北朝鮮が南進、韓国に侵攻し、そして日本に脅威が差し迫った場合、これは実は湾岸戦争のパターンと似ているわけです。イラクがクウェートに侵攻、そしてお隣のサウジアラビアに脅威が差し迫った。そこで、まずサウジアラビアを守るために砂漠の盾作戦が行われ、そしてクウェートからイラクを追い出すために砂漠のあらし作戦が行われた。そうしますと、日本を守るために、日本海が間にありますから、海の盾作戦とでも申しましょうか、そして、海のあらし作戦、韓国から北朝鮮軍を追い払うために、そういったことを、国連が、安保理がきちっと機能して、安保理が決議した多国籍軍としてそういうことを行う可能性がある。

 安保理常任理事国のロシアや中国が拒否権を発動すればできないんですけれども、ロシアも中国も北朝鮮べったりではなくなっています。むしろさじを投げつつある。それで六カ国協議という、平和裏に北朝鮮問題を解決しようという枠組みが今できているんだと思いますけれども。

 そうしますと、北朝鮮がどうしても言うことを聞かないでそういうことをしでかした場合に、ロシアも中国もアメリカも、そしてほかの安保理メンバーも合意して、安保理の決議に基づく多国籍軍が行動する可能性がある。その場合、日本を守るということも目的に入っているんですが、自衛隊は、日本の防衛、日本の国土の防衛しかできないわけでありまして、韓国にまで上陸といいますか、韓国の陸上で後方支援すら今の制度ではできないんじゃないか。周辺事態となれば後方支援できるんですけれども、周辺事態法では自衛隊ができる後方支援は例の非戦闘地域に限られるわけでありまして、戦闘が行われるかもしれないところでは後方支援すらできない。

 これは非常におかしなことでありまして、そうした事態を想定しても、自衛隊は国土防衛に徹しつつ、国連待機部隊というものが別にあれば、国連の安保理決議に基づき、ほかの国連の加盟国とともに朝鮮半島で活動することも可能、後方支援をすることも可能、そういった多国主義的なアプローチで北朝鮮の脅威にも対抗できると思うわけであります。

 こうしたことを考えても、また午前中申し上げました憲法の理念や国連憲章の理念から考えても、戦争の放棄、日本以外の国々は、かつて、そういう帝国主義的戦争を戦うための軍隊というのをいまだに保有し、その軍隊が、自衛しかやりませんとか、国連決議に基づく活動しかやりませんとやっているわけでありますが、日本が他国に先駆けて、そういう軍隊は持たない、自衛のための部隊と国連の活動のための部隊だけを持つ、これが二十一世紀の国家のあり方だと思うんですけれども、総理大臣、いかがでありましょうか。

小泉内閣総理大臣 日本が軍隊を持たないでそういう国連待機軍を持つということと、果たしてその国連待機軍というのは、日本が軍隊じゃないと言っても、国際社会が軍隊と見るか見ないか。それと、自衛隊という名称と国連待機軍という名称、名称は確かに違うんですが、実体はどうか。戦闘能力、戦力を持つ、戦力を与えるのかどうか、国連待機軍に対して。武力行使もするということでありますので、そうなりますと、果たして現在の日本の憲法のままで今言っているような行動が可能かどうかという問題も出てくるのではないでしょうか。その点どう考えるか。

達増委員 午前中、法制局長官の答弁で、湾岸戦争型多国籍軍の場合でも後方支援をやる余地はあるということでありました。

 今のこの北朝鮮問題、朝鮮有事を例に出したのは、今のイラクへの自衛隊派遣のこととも関係がありまして、といいますのは、自衛隊のイラク派遣について、これも総理に伺いたいことなんですが、総理は、いざというとき日本を守ってくれるのはアメリカだけだという発言を予算委員会でしています。しかし、国連憲章に基づく紛争の解決処理のやり方、先ほど紹介したような、安保理決議に基づく多国籍軍を編成するというやり方で、北朝鮮問題、朝鮮有事に関しても、日本の平和と安全を守るということはあり得るわけであります。

 朝鮮半島というところは、ちょうど日露戦争から百年になりますけれども、あのときは、清国が支配下に置こうとし、ロシアも勢力下に置こうとし、そのすきをイギリス、アングロサクソンがうかがうという中で、結局、日本がそこに一国主義的、軍事的に進出して、その後の展開になったわけでありますが、今もまた、北朝鮮問題というのは、うっかりするとロシアや中国やアメリカが角突き合わせるところになってしまう。そこを、国連憲章に基づいた多国主義的アプローチを日本が先導して切り開いていくことで、朝鮮半島を今度こそ軟着陸させて、朝鮮半島に住む人たちが本当に大陸や列島と自由に行き来して暮らせるようにしていく。その場合も、アメリカだけを頼りにするような発想ではなく、やはり国連憲章に基づく多国主義的共同行動というものを第一に置く。

 もちろん、国連憲章も、そういう国連憲章に基づく措置が発動するまでの間は個別的自衛権や集団的自衛権の行使を認めているわけでありまして、そういう意味で、日米の安全保障体制というのは、あくまで国連体制を補完するものであって、日本としてメーンはやはり国連というふうに置いていくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 メーンといいますか、主力はやはり日本自身だと思うんですね。日本自身が日ごろから、みずからの国はみずからの国で守るという防衛力を整備しておくこと、その足らざるところを、現在だったらばアメリカと日米安保条約を締結して我が国の平和と安全、独立を確保していく、そういう中で、国際社会とよく協力していく必要がある、国連と協力していく必要がある。

 現在の日米安全保障条約というのは、仮に第三国が日本を侵略しようとした場合に、アメリカは、日本が侵略されたというんだったらば、アメリカも侵略されたと同じにみなして、共同でその侵略勢力を撃退するということでありますが、同時に、そうなると、アメリカを敵にしないと日本を侵略できないなということが想定されるからこそ、侵略はしない方がいいなという抑止力が働いているはずですね。これが私は非常に大事だと思うんです。戦ったらということよりも、いや、日本と戦うということはアメリカと戦わなきゃならない、こういう抑止力が私は実に大きいと。

 朝鮮半島のお話が出ましたけれども、韓国もアメリカと同盟関係を結んで、アメリカが韓国に軍隊を駐留させております。韓国もまたそれを望んでおります。ですから、今、韓国を侵略する勢力があるという場合、日本以前に、今、直接北という言葉を出しましたけれども、ともかくそれに従うなら、北がもし韓国を攻めたという場合、これは当然、アメリカと韓国の間の同盟関係が機能すると思うんです。と同時に、朝鮮戦争以来、あそこの朝鮮半島には国連軍なんですね、実際は。今、国連軍、ないと言っている。実態はともかく、あそこに国連軍が置かれているわけです、兵力はともかく。

 そういうことも考えまして、日本としては、国連待機軍を置くよりは、今の自衛隊と、日米安保条約、同盟関係を強化する中で備えをした方がより安全ではないか、この抑止力が十分第三国の日本を侵略しようとする勢力にもきいているんじゃないか、私はそう思うんです。

達増委員 イラクへの自衛隊派遣について奔走された官房長官に伺いたいと思います。

 きのう、衆議院での国会承認採決を棄権した自民党有力議員が党内で処分を受けたということが報道されていますけれども、この大事なイラクへの自衛隊派遣についてそのような棄権者が出たことについて、官房長官、どう考えられますか。

福田国務大臣 私は、私自身も思わざることで欠席しましたので、そういう御質問にお答えする立場にあるのかどうかとも考えますけれども、しかし、今の御質問は党の話でございまして、党のことについて私からとやかく申し上げるそういう立場にはない、このように思っております。

達増委員 今、御答弁の中で官房長官、思わざることで欠席とおっしゃいましたけれども、思わざることというのは、一体どういう経緯で欠席されたんでしょうか。

福田国務大臣 それは、まことに個人的なことでございますけれども、私自身の勘違いということでございます。

達増委員 あの日は、六時ごろイラク特別委員会の強行採決があって、その関係でその後の日程が不正常化したんですけれども、十二時半過ぎに本会議での採決となった。その間、福田官房長官は、その夜の時間ですけれども、どこでどのようにお過ごしになっていたんでしょうか。

福田国務大臣 私のそのような行動について委員に、御質問があったとしても答える必要はないと思っております。この採決に一切関係のないことでございます。

達増委員 次に、総理に伺いますけれども、二〇〇一年七月、イギリス・ブレア首相との会談で、総理は、ロンドン大学に二年間留学していたということをブレア・イギリス首相に伝えています。しかし、実際には、六八年に突如訪英され、六八年九月三十日から六九年六月二十日までの間、一年間にも満たないわけでありますが、その間に、幾つかの授業を聴講していただけで、単位は一つも取っていなかったのではないでしょうか。

小泉内閣総理大臣 私は、英国に二年留学していたという話なんです。ロンドン大学にはたしか一年ほどでしょう。英国に二年留学していました。実に充実した毎日でありまして、留学してよかったなと今でもよき思い出として残っております。

達増委員 どういう目的を持ってその留学と称するそういうイギリスでの生活をされたのかよくわかりませんけれども、いろいろ、ホームページへの経歴の掲載や新聞のインタビューでの経歴の紹介等はともかく、首脳会談の中での言動というものは、これは国全体の問題でありますから質問をさせていただいたわけでございます。

 次に、経済産業大臣に伺いますけれども、イラクへの自衛隊派遣の必要性に関して、これは政府はそういう理由づけはしていませんけれども、イラクへの自衛隊派遣に賛成する人たちの論拠として、日本は中東の石油に依存しているんだから、だから日本が自衛隊を派遣しないわけにはいかないだろうというような議論が間々見られるわけでありますけれども、ただ、少なくとも現在、国際的な原油市場の状況を見ますと、そんなせっぱ詰まった状態にはなっていないと思うんですね。

 そうしましたら、ついこの間OPECが減産を決めるというようなこともありまして、その辺の、日本が中東の石油に依存しているとは言われますけれども、今の国際的な石油、原油市場、そういうOPECが減産を決めた背景などについて伺いたいと思います。

中川国務大臣 OPECは最近、四月からの生産量を百万バレル減らすということを決めたようでございます。それは、需給についての判断に基づいたOPECの一つの結論だろうと思います。

 他方、イラク復興支援といいますのは、もちろん、イラクに住んでいらっしゃるイラク国民の皆様方が一日も早く平和で繁栄をした生活をするために、日本が何が貢献をできるかということが第一の目的でございますけれども、それがひいては、日本も含めた世界にとってプラスになる。特に日本は、イラクが安定し発展をするということが、日本の約半分のエネルギー資源を石油に頼り、その石油の九割が中東に頼っているという現状を考えたときには、短期的問題だけではなく中長期的にとって、日本の石油にとってもイラクの発展ということは極めて重要なことであるというふうに考えております。

達増委員 今回のイラクへの自衛隊派遣とも絡めて、日本がエネルギーで脆弱だ、そういう認識がイラクへの自衛隊派遣賛成論の一つの根拠になっているわけでありますけれども、メタンハイドレートというものがございます。これは、メタンの分子が水の分子の中に取り込まれたものが高圧、低温の海底で氷状になっていて、これが日本近海に大量に眠っている。七・四兆立方メートル、これが、日本の天然ガスの消費量で計算してみますと、百年分の埋蔵量があると言われている。

 こうした自前の資源というものを実用化することが、こうした国際的な事件に対して日本が落ちついて、余裕を持って対応することにも非常に重要だと思うんですけれども、経産大臣に伺いますが、このメタンハイドレート開発への取り組みの現状を伺います。

中川国務大臣 日本は、御承知のとおり、エネルギーは、主に石油、天然ガス、それから原子力、そしていわゆる新エネと言われているもの、四本柱で、資源のない日本としては中長期的な戦略を立てていかなければならないわけでございます。

 そういう中で、イラクあるいは中東の石油については先ほど御答弁申し上げましたが、今委員御指摘のように、メタンハイドレート、これは北海道から九州、沖縄に至る、ほぼもう日本の各地にあるというふうに我々は判断をしておりますし、埋蔵量は今御指摘のとおりでございます。

 したがって、エネルギー供給の多様化ということを図るということは、委員も御指摘のとおり極めて大事なことでございまして、その中で、メタンハイドレート、七・四兆立方メートルですか、と言われておるものをきちっと一つのエネルギー資源として確立していくことは、中長期的に大事なことだろうと思っております。

 したがいまして、経済産業省として、探査、資源量評価の方法の確立、あるいはガス生産手法の確立、あるいは経済的な評価等々について積極的に研究開発を進めていきたいということで、十六年度の予算案におきましても六十七億円の予算を計上いたしまして、そういう手法等の研究に尽力をしていきたいというふうに考えております。

達増委員 こうしたエネルギー、自前の資源、自国内で開発できる資源というもの、そうした総合的なアプローチが、国際社会、日本の外交防衛政策を展開していく基盤としても重要だと思いますので、そういった広い視野を持って、今回のイラク問題にも政府には取り組んでいただきたいと思います。

 そうした広い視野にもう一つつけ加えさせていただきますが、アメリカのニューズウイーク誌の二月十六日号のワールドビューという論説が興味深いことを指摘しております。

 アメリカの財政赤字がかつてない巨大なものに今膨れつつある、それはまず、国内的なテロとの闘い、そして国外的なテロとの闘い、また特にイラク戦争、それに加えて、アメリカは今、HIV等の感染症対策の予算を急増させているし、また社会保障関係の予算も急激に伸びている。この論説が指摘しているのは、このまま財政が逼迫してくれば、その財政的な理由でイラクから撤退しなければならなくなるのではないかということを指摘しております。

 それが、最近になってアメリカが、十五万規模の在イラク兵力を十万に減らそう、それで、イラクへの、イラク国民への政権移譲を早くしよう、そういう動きにも出ているんだと思いますが、それがうまくいかない場合、戦争が長期化、また、兵をなかなか引けない状態になりますと、アメリカの赤字がさらにふえていく。

 今、日本は、そういうアメリカの赤字を日本円で支える政策をとっているわけですね。ドルを買い支え、そして、買ったドルでアメリカの国債を買う。日本は、ただでさえ国債の発行が多くなり、国債の暴落とかハイパーインフレとか、円の信用が急落するのではないかという懸念が言われて久しいわけでありますが、同様な、ドルの信頼が中長期的に危なくなってきているアメリカのドルを買い支えることで、そういう日米の通貨危機というものが連動して起きてくる危険性があるのではないか。この点について財務大臣に伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 今、達増委員、日本はアメリカのドルを買い支える政策をとっておるとおっしゃいましたけれども、それはやや誤解を生ずる表現でありまして、日本の外貨準備は確かに多くなっておりますが、それはやはり、行き過ぎた為替の変動というものが日本経済にとっても悪い影響がございますし、そういうことで、そういうオーバーシューティングみたいなものは防ぐという意味で介入をしております。

 ただ、この間、特に昨年、ことしにかけまして、今委員がおっしゃるような、マーケットでは地政学的要因とか双子の赤字と言っているようなものがやや過大にもてはやされて、ドルの水準に対して投機的な動きがあったということから介入額が多くなり、しかも、買っておりますのがドルですから、結果的にそれはドル建ての債券が多くなる、米国債も多くなるという形になっております。

 ただ、今委員の御指摘は、非常にドルが不安定な要因をはらんでいるのではないかということでございますけれども、今、例えば日米欧で経済成長率なんかを見てみますと、アメリカが一番力強い動きをしております。それから、確かに双子の赤字というのは懸念材料でございますけれども、この間のG7でも、スノー長官が再三、その点についてアメリカとして努力するということを言明されまして、アメリカとしても十分意識をされているのではないかと思います。

 それから、イラクの問題等について、地政学的な要因もお触れになりました。これは、昔は有事のドルといって、こういうときは絶対ドルが強かったのが、今は地政学的要因と言われるようになったのは、随分時代も変わるなと思いますが、確かにドルについては、私ども、マーケットがどう反応するのか、まだ必ずしも十分読み切れない点はございますけれども、総じて言えば、先ほど申し上げましたように、ドルというものは、今、経済的にいえば非常に力強い歩みが背景にあるというふうに考えております。

達増委員 日本の実体経済を強くしていかないと危ないと思うんですね。日本のマネーがアメリカの景気をよくしているようなところもありまして、そのアメリカの景気に万一のことがあれば、それでも日本の国内経済が強ければいいわけで、そのためにこそ地方が活性化して、地方が経済的にも力を持つ、そのためにも地方分権、地方自治体にも権限をどんどん移せということが、三位一体ということの基本にあったと思うんです。

 これも財務大臣に伺いますが、ただ、十二月の閣議決定「平成十六年度予算編成の基本方針」というのを読みますと、国から地方へということが、結局、持続可能な財政構造の構築とか歳出改革の一層の推進とか、地方に力をつけるというよりは国の借金を減らす、そういうことを主目的に進んでいるのではないか。

 ですから、国から地方へということで、それだけのお金と権限がセットで移るものかと、三年前、小泉政権ができたとき、国から地方へというスローガンのもとでみんな期待していたと思うんですが、今回の予算では、補助金一兆円カット。交付税も、臨時財政対策債、赤字地方債と合わせると二兆八千六百億円のカット。税源移譲が六千五百億円にとどまりますので、借金が国から地方に移ってしまって、そういう意味では、お金はマイナスですから、かえって地方の力を中央に、国の方に奪ってしまう結果になるんじゃないかと思うんですけれども、この点いかがでしょう。

谷垣国務大臣 ドルから急に地方分権に変わりまして、すぐ焦点が合うかどうか自信がございませんが、確かに委員がおっしゃいますように、経常赤字のアンバランスのようなものを単に為替だけで調整するというのは余り現実的ではありませんで、それぞれの国がやはり国内で持っている要因をきちっとやっていく。アメリカでいえば、双子の赤字をどうするか、あるいは貯蓄率をどうするかというような問題があると思いますし、日本でいえば、今、小泉政権のもとで取り組んでおります構造改革をどうするか。その一つの例が、今おっしゃるような地方分権の推進ということだろうと思います。

 それで、今おっしゃったのは、地方分権の推進と言うけれどもどうも財務省のツケを回しているんじゃないかと、巷間私の耳にも聞こえております、そういう御議論にくみしておられるのかと思いますが、目的は、あくまでこれは地方の自由度を高める、それと同時に地方の責任、権限と責任も高めていくということが大目的であります。

 それを実現していく、税源移譲などをしていくということになりますと、今の地方それから国の財政状況を考えますと、スリム化ということもあわせて行わなければ、この三位一体、地方の権限と責任を高めていくということもうまく進んでいかないということがありまして、そこで、補助金等もむだなものを省いて縮小、圧縮して、そして本当に地方で続けていただく必要なものを地方に持っていく。そして、それにあわせてきちっと税源も配慮しまして、午前中の答弁でも申し上げましたように、国が国民と向かい合って税と財政をつくりますように、地方も住民と向かい合っていただいて、これだけの税を課すからこれだけの仕事をしていくんだ、そういう姿に持っていくということが大事ではないかな、こう考えております。

達増委員 今回のこの予算は、地方にとっては驚きだったと思うんですね。さらには、今後このペースで削減されたら一体どうなるのかという不安も今起きている。こういった驚き、不安というものにきちんと説明責任を果たしつつ結果を出せるような予算をつくっていかなければならないということを指摘して、私の質問を終わります。

笹川委員長 これにて達増君の質疑は終了いたしました。

 次に、小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。自民党の小泉総理に質問させていただきたいと思います。

 まず、日本の置かれた時代認識と政治家の重要性についてということであります。

 ことし、日露戦争からちょうど百年目という節目の年に当たりますが、日本は、十九世紀の欧米列強によります植民地政策に対抗するため、一八六八年から、明治維新によりアジアでいち早く中央集権化と富国強兵政策を推し進め、日清戦争、日露戦争に勝利をし、独立を維持してまいりました。その後、太平洋戦争に突入をし、敗れはいたしましたが、米ソ冷戦構造のもとにおきまして、軽武装の経済大国として奇跡と言われる経済成長をなし遂げました。GDPで約五百兆円と、世界経済の一五%を占める堂々たる世界第二の経済大国になったわけであります。

 しかし、今、この日本の成長と発展を支えてきた基礎的な条件が大きく崩れてきているわけであります。

 これは、対外的には、米ソ冷戦の終了によるグローバリズムの進展、そして近隣アジア諸国の急激な発展、特に、経済的にも軍事的にも大国でありますお隣中国の急激な発展、台頭によりまして、日本の企業や雇用が今大きな影響を受けてまいりました。

 また、国内に目を転じますと、やはり日本の経済成長を支えてまいりました、その基盤であります世界百九十一カ国の中で第九位という、一億二千七百五十万人を誇る人口でありますが、この世界九位の人口が、急激に、少子化によってまたどんどん高齢化をしてきた。

 また、この経済的な繁栄の中で、今、日本の経済の源泉でありました勤勉さが失われ、教育力も低下をするとともに、犯罪もかつてないほどふえてまいりました。

 明治維新以来百三十六年が経過するわけでありますが、今、我が国は、このまま成長を続けられるのか、それともこのまま衰退をしてしまうのかという、まさに大きな分岐点、岐路に立っているというのが日本の現実であると思います。

 しかし、本来、こういったときこそリーダーシップを発揮しなければならない政治や行政機構が制度疲労を起こし、この変化に対応できずにあえいでいるというのが今の日本の実態であると思うわけであります。変化に対応できる能力こそ国力だと言われるわけでありますが、まさに、今、日本の国力、特に政治の力、政治家の力が試されているときだと思います。

 私は、この日本を変化に対応できる国に再構築する、そして日本民族の百年を切り開くエネルギーを生み出す、これこそが、今、国民代表たる国会議員、そして総理大臣、そして閣僚たちに与えられた使命であり、その職責は、まさに明治維新をなし遂げた先人たちに匹敵する極めて重いものがあると思うわけであります。

 小泉総理、この日本の置かれた時代認識、そしてまた政治家の職責の重要性について、まずその御所見をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 政治家の責任は極めて大きいものがあると思います。どのような政治体制をとるか、どのような政策を遂行するかによって、国が安全であるか平和であるか、あるいは危険に陥るか。これは、政治家の決断を間違うと戦争にもなるし、正しい選択をすれば平和のうちに繁栄する。

 そして、いつも時代の転換期には、それぞれの立場によって、変化によって、利益を得る人と既得権を失う人、分かれてまいります。また、変化に敢然と挑戦しようと意欲を持って立ち向かう人、変化に負けてみずから萎縮してしまう人、さまざまだと思います。

 しかし、今、過去のほんの明治から今日までの約百五十年ぐらいの期間を端的に述べられましたが、このわずかな百五、六十年の間の短期間におきましても、いろいろ日本におきましては苦難の歴史を先人たちは歩んできたと思います。

 大きく見ますと、私は、極めて困難な時代だったけれども、我々の先輩は、この変化の時代に屈せず、いかにこの変化の時代を乗り越えて新しい日本をつくり上げていこうかということに全力でもってぶつかって、前向きに取り組んできたからこそ今日の平和と発展があるんだと思います。

 今、確かに、大変だ大変だと、厳しい時代であります。しかしながら、かのウィンストン・チャーチルはこういう言葉を残したと言っております。悲観主義者は好機の中にも危険を見る、楽観主義者は危険の中にも好機を見る、チャンスを見る。これはウィンストン・チャーチルの言葉だそうであります。

 先日、私が紹介した言葉は、悲観は気分、楽観は意志だというのは、だれかが調べてくれまして、アランの「幸福論」の中に出ている言葉だそうであります。

 いずれにしても、時代の変化に戸惑うことなく、恐れず、敢然と立ち向かって、この変化をチャンスに変えていこう、より発展を期すための一つの好機ととらえようという前向きの姿勢を持って現下の厳しい状況を乗り越えなきゃいけないと思っております。

小泉(俊)委員 ウィンストン・チャーチルと総理、自分の危機的状況における存在をダブらせてお答えになられたわけでありますが、先日、一月の十九日、衆議院におきまして、小泉総理の施政方針演説が行われました。この総理の施政方針演説というものは、議院内閣制のもとにおきまして、内閣を代表して、国民代表であります国会議員、そして国会、そしてひいては国民に対し、総理がその施政の方針を述べるものであります。特に、衆議院の解散後において新しく信任を受けた総理大臣にとりまして、今回の施政方針演説、私は極めて重いものがあると思います。

 この施政方針演説のそもそも持つ重要性について、総理はどのように御認識、お持ちでしょうか。

小泉内閣総理大臣 施政方針演説というのは、読んでのとおり、これからの政策の方針を国民に申し述べるものであります。

小泉(俊)委員 この重要性に対する認識についてはいかがですか。どれぐらいの重みを持つものかということについてお答えいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日本国政府の最高責任者、そして内閣として、かくかくしかじかこういう方針で臨みますと国民に訴えるわけですから、極めて重いものだと思っております。

小泉(俊)委員 ところで、この総理の十九日の施政方針演説が行われました二日後の一月二十一日、ちょうど日本時間朝になりますが、ブッシュ大統領の一般教書演説が行われ、日本でも生中継をテレビでされました。これは総理、ごらんになられましたか。

小泉内閣総理大臣 全部は拝見しませんでしたが、文章は全部読みました。

小泉(俊)委員 これは私は生中継をそのまま見させていただきましたが、ブッシュ大統領は原稿にも目もくれず、アメリカ大統領としての自信と誇りに満ちた、そして十分国民に夢と希望を与える、これはなかなか堂々たるすばらしい演説でした。そして、ブッシュ政権の首脳というのは、テレビに映ったときに真剣そのものですね。大統領を見詰める、真剣に見詰めている。そして、議場では何と、私、数を数えたんですが、七十二回、全員が立ってスタンディングアプローズしているんです。それぐらい、まさにアメリカの政治のダイナミズムというものがこれはしっかりあらわれていました。

 一方、十九日の小泉総理大臣の施政方針演説であります。これは、総理は官僚の書いた原稿を下を向いて棒読みをするだけで、どう見ても国民に、その内容も、そしてなおかつその語り方も、夢と希望を与えるものではありませんでした。

 特に、議場では、自民党の議員からも拍手がない。それどころか、演説の途中に、自民党の半分、議員が寝ているわけであります。そればかりか、ひな壇にいます大臣たちまで寝る始末なんですね。特に、あちらにいらっしゃいます中川通産大臣はずっと寝ていましたね、経済産業大臣。実は、私がやじをさんざん飛ばしましたら、さすがに見かねた後ろの官僚が起こしました。それでも寝ていました。後ろにいる福田官房長官、総理の女房役でもある福田官房長官も寝ていました。これは……(発言する者あり)いや、私は全部見ていますからね。

 明治の元勲の西郷隆盛が、制度や手段というものは人が動かすものである、ですから、一番大切なのは人物だということを、言葉を残しています。これは、さっき総理が言いました。今非常に、チャーチルみたいに、チャーチルも危機的な状況における首相でありますが、御自分になぞらえて、危機的な状況、日本も非常にそれは認識も持っている。施政方針演説も極めて重要で、今総理みずからお答えになられましたが、何でこれほど重要な施政方針演説のときに大臣が寝ているか。私は、こんな人物が大臣でこういう難局を乗り越えることができるのか、非常に議席に座っていつも疑問に思っているわけであります。

 この点について、総理、任命者としてこれはどうお考えですか。

小泉内閣総理大臣 どのように聞かれていようが、それぞれその人の聞き方があると思います。

 日本の総理大臣の演説、アメリカ大統領の演説、原稿を読んだ方がいい場合、原稿を使わずにプロンプターを使った方がいい場合、いろいろありますね。数時間やる演説の場合、それは数十分で済ます場合、それぞれあると思いますね。日本の政治家もその点はわきまえて、その人のスタイルもあるでしょうし、その人のやり方もあるでしょうし、やはり政治家としての自覚を持ちながら、それぞれが一生懸命努力していかなきゃならないと思っております。

小泉(俊)委員 やはり私は、後ほど景気の問題についても議論させていただきますが、極めてこれは危機的な状況にある、国民は大変な思いの中にいるわけで、その負託をしている大臣が議場でこの一番大切な施政方針演説のときにのうのうと寝ているというのは、これは国民に対して余りにも失礼、国会議員に対しても失礼だと思う。これは中川大臣、どうしてああいう御態度をとられたんですか。

中川国務大臣 一月十九日のことは、私もよく記憶をしております。大事な総理の所信表明演説の日でございました。そしてまた、小泉委員御指摘のとおりのことも事実だったというふうに思っております。

 理由はあえて、御質問があればお答えはいたしますけれども、いずれにしても、その場で、あるいはまた終わってから、いろいろな人、家族も含めていろいろな人から御指摘をいただいたところでございます。

小泉(俊)委員 これは、いずれにいたしましても、やはり日本の置かれた時代認識、そしてまた日本の置かれている経済の実態の認識が私は極めて不十分だと思うんですね。そのために危機意識がないところにこの原因が私はあると思います。大臣に、ぜひとも猛反省を促したいと思います。

 また、今、大変な状況であるわけでありますが、ここに有効な対策を打つためには、やはり政策論としては、すべて現状をしっかり把握するということが一番大切であります。そして原因分析、対策論があるわけですので、この日本の現状に対してどういう御認識をお持ちかということを、正確に把握しているかということについてお尋ねをしたいと思います。

 バブル崩壊後十四年、何でいつまでたっても景気がよくならないのか。私は、中小零細企業の経営者から衆議院に当選をし、一期目の三年五カ月間ずっと、経済に直結いたします大蔵委員会、財務金融委員会に在籍をし、塩川大臣、宮沢大臣、柳澤大臣、竹中大臣、そして日銀総裁に、十六回にわたり質問してまいりました。

 そこでわかりましたことは、大臣たちが、およそ経済の実態や現場をほとんど知らないんですね。そのため、現状認識が不十分で、対策がすべて後手後手で、約半年から一年タイムラグがある。どうやらここにあるということが、私は、この一期生の間によくわかりました。

 一例を申し上げますと、大臣たちはほとんど車に乗っていますので電車に乗ることはないと思いますが、私は、地元の取手から常磐線で国会に通っております。もう何度も飛び込み自殺で本当にとまります、電車が。ひどいときになりますと、月曜日とまり、火曜日とまり、水曜日とまる。木曜日動いたら、今度、連絡線のところで飛び込みがあって、またとまるという状況ですね。先日、あるところで聞きましたら、新人の運転手が一日三人もひいてノイローゼになってしまったと。電車の運転手さんですがね。

 しかし、私は、今までの委員会で、経済の最高責任者であります塩川さん、宮沢さん、そして柳澤大臣に、年間の自殺者数を聞いたわけであります。だれ一人として答えられません。新聞やテレビで、でかでか出ているにもかかわらずですよ。

 これは、いろいろ党首討論でも総理にも質問があると思いますが、もう一度ここでちょっと確認させていただきたいんですけれども、年間の自殺者数というのは、これは基礎的な数字ですので、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 大体三万人ぐらいだと聞いております。

小泉(俊)委員 そうですね。これ実は、五年連続三万人を超えています。六年連続になるのは確実の状況でありますね。しかし、実数は、これは暗数がありますので、大体三倍の十万人と言われています。そしてまた、今、年間の自殺未遂者数を調べますと、大体三十万人と言われていますね。これぐらい今、大変な状況なわけであります。

 そしてもう一つ、政治の最大の問題は雇用ですよね。平成十五年の完全失業者数は確かに十三年ぶりに減ったと言われているんですが、三百五十万人も相変わらずいます。そして、総理が就任をされた大体半年の時点と全く同じ数字であります。今春卒業予定の高校生の内定率は六一・四%、過去二番目と言われています。大学生の内定率は御案内のように七三・五%で、過去最低と言われているわけであります。

 私は、こういった状況でありますので、たびたびハローワークを調査に行きます。地元のハローワークに行きますと、一日約二千人も来ます。三百坪ある駐車場が、とめるところがないぐらいです。そして、私は、これはとても国会議員がバッジなんかをつけて中に入れるような雰囲気や状況じゃないんですよね。先週も西新宿にありますエルタワーのハローワークに行ってまいりましたが、百二十台あるパソコンが一台もあきがない。まさに本当に、真剣にみんな職を探しているのが現状であります。

 ところが、財務金融委員会でずっと経済担当大臣に、宮沢さん、塩川さん、柳澤さんにも聞きました。だれ一人としてハローワークとか行ったことないんですね。総理は、政治家になられてからハローワークというのに行ったことありますか。

小泉内閣総理大臣 平議員のときに行ったことがございます。

小泉(俊)委員 ぜひとも総理、総理大臣、ぜひとも一回現場を見に行ってください。百聞は一見にしかずであります。

 また、小泉総理大臣は施政方針の中でも、そしてまたこの委員会の中でも、改革の成果として、資本金を一円にした結果八千社近い企業が誕生したと述べています。しかし、問題は、大変なのは会社をつくることじゃないんですよ。会社を、この不況の中で、どうやって利益を上げ、従業員に給料を払い、これを維持していくかというのが本当に難しいんですね。ところが、ほとんど大臣たちというのは現実に会社経営の経験もありませんし、また、企業を運営するために銀行からお金を借りた経験もほとんどないんですね。ですから、この大変さがほとんどわかっていないと思います。

 これは体験のお話なのであれですが、総理大臣は、銀行からお金を借りたり、会社を今まで経営した経験というのはございますか。

小泉内閣総理大臣 会社を経営したことはございませんが、お金を借りたことはございます。

小泉(俊)委員 一回でもあれば、ないよりはいいかとは思いますが。

 小泉総理大臣が就任された十三年の四月二十六日、これは私の誕生日なんですね。ちょうどことしの四月二十六日で総理三年になるわけであります。ここで、この三年間が、日本がどういう状況だったかということをちょっと総括してみたいと思います。

 まず、株価であります。十三年四月二十六日の就任当時一万四千円あった株価が、十五年四月二十八日、七千六百七円とバブル後の最安値になりました。何と四六%の下落であります。これ実はここ三十年間、田中総理から十七人総理大臣がいるわけでありますが、株価の下落率で見たときには何と断トツのワーストワン、最低、最悪であります。そして、本日、前場で一万五百十八円といまだに一万円ちょっとを低迷していますね。この間失われた資産が最大百五十兆、今でも百兆円失われたと言われているんですね。

 また、自殺者がこの三年で、総理、これは九万人を超えるのは確実であります。先ほど言いました実数、これは三倍でありますから、約三十万人を突破する勢いであります。

 倒産も、総理、これはこの三年、このままいきますと五万五千社を突破します。倒産による直接の失業だけでも五十七万人もいるわけでありますよ。家族を含めますと百五十万人の倒産被害がいると言われています。

 また、この委員会でも出ましたが、個人破産、何と十五年、史上最多、二十四万を突破しました。この三年間で、総理の就任の間で五十六万件も、個人破産も突破をする勢いであります。

 就職内定率、先ほど申し上げました。高校生の内定率は史上二番目に悪い、大学生は史上最悪だ。また、消費に一番関係あります実収入、可処分所得、消費支出、これは六年連続減少していますので、当然三年連続減少です。

 また、今大きな問題になっています犯罪であります。これは一昨年二百八十五万件、何と総理大臣、一日七千八百件です。ここ五年間で四〇%も犯罪がふえたわけであります。これは、小泉内閣のこの数字を総括してみますと、最大の成果というのは、私は、景気の悪化と犯罪の増加としか言いようがないと思うんですね。

 しかし、総理、これは昨年の年末、こういった状況ですから、年を越せない人もいっぱいいますよ、何十万人も。しかし、総理大臣は、正月に歌舞伎を五時間もお楽しみになるという、そしてまた、二月七日の土曜日午後、映画「シービスケット」を見に行きまして、すべてがよかったと。これはどういう日ですか、二月七日というのは。陸上自衛隊の本隊のサマワ到着が二月八日の夜ですよ。総理は施政方針演説の中でも、「困難な任務に当たる自衛隊員に敬意を表します。」と言ったばかりじゃないですか。

 これは、小石川後楽園、行ったことがあると思いますが、この後楽園の名前というのは、我が郷土の茨城、水戸が生みました水戸黄門、水戸光圀がつけたものですね。御案内だと思いますが、「岳陽楼記」からの出典でありまして、為政者は天下の楽しみにおくれて楽しまなければならない、これは水戸光圀はみずから戒めたんですね。

 どうも総理は、国民がこれほど悲惨な状態にあるのに、どうも国民が楽しむ前に楽しむ、先楽園のような状態になっているんですね。これは私は全く危機意識がないと思います。やはりこれだけの危機的状況においては、最高責任者として私は失格なんじゃないかと思うのですが、これは総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 小泉さんの言をかりますと、毎日じっと閉じこもって憂えていなきゃいけませんか。

 それぞれの苦しい立場もおられます。そういう立場の方に思いをめぐらすということも大事だと思います。また同時に、一方では多くの方々が、困難にめげず明るく笑顔で立ち向かっていこうという方々もおられます。人さまざまだと思いますが、私も先憂後楽という意味はよく知っているつもりでありますが、総理たるもの、常に明るくなければいけないとよく言われております。悲しいことがあってもつらいことがあっても、決して明るさを失ってはいけないという多くの先輩方の言葉をかみしめながら、日々そうしようと努めております。たまには歌舞伎にも映画にも行こうかなと。

 それにしても、先週七日、北方領土大会の後に行った映画「シービスケット」はいい映画でしたよ。一度や二度の失敗にくじけず、失敗をチャンスとして生かそうという、できれば、時間があったら見られたらどうかとお薦めできるいい映画だったと思います。

小泉(俊)委員 これは普通の国会議員とか大臣であるなら、私は総理の言っていることも百歩譲ってあり得るかなと思うわけでありますが、時は、ちょうどイラク、本当に七日というのは、私はちょっと普通は、普通の神経の持ち主なら行かないと思いますよね。自分だけ前線から何十キロも離れた安全な永田町にいて、これは現場の実態を知らない指揮官と全く一緒ですよ。前線でばたばた死んでいる国民というのはたまったものじゃないですね。私は、総理に少なくともこれは猛省を促したいと思います。

 次に移りますが、昨年の十一月二十九日にイラクで奥克彦参事官と井ノ上正盛三等書記官が殉職をされました。そして、十二月六日の葬儀では、小泉総理は、お二人とも御家族の誇りであると同時に、日本国、日本国民の誇りでもあります。私たちはあなた方の熱い思いと功績を決して忘れませんという哀悼の言葉を涙に声を詰まらせながら述べられました。また、川口外務大臣も、お二人のやり残した仕事をやり遂げることを誓いますと涙を流していたのが非常に印象的でありました。

 ところが、去る一月十六日正午、兵庫県宝塚市のホテルで、奥克彦参事官、今大使でございますが、四十九日の法要が行われました。八十名の方が参加されたそうでありますが、他省庁の人は来ているのに、報道によれば、外務省の人間の姿は一人もなかったと。これですね外務大臣、外務大臣も外務副大臣も外務次官もいるわけですね。これはどうして四十九日に出席されなかったんですか。

川口国務大臣 四十九日の法要のあり方については、御両家と御相談をしながら、どのような形がいいかということで御相談をしてまいりました。それで、御葬儀が、外務省との合同葬ということで非常に公的な性格が強かったということで、四十九日の法要は非常にプライベートになさりたい、外務省から公的な形で出席をしない方がいいという御意向でございましたので、外務省からは公的な形ではかかわり合いは持ちませんでした。

 ただ、この場所に、それぞれの故人と親しかった外務省の人間は出席をいたしております。それから、私からはそのときにお花を供えさせていただきましたし、事務次官も、事務方の代表ということで、そういうことをさせていただいたということです。

小泉(俊)委員 これは、私は、国家の最高責任者として、総理が行けなくても、少なくとも官房長官、官房副長官とかいらっしゃるわけですから、何で総理、出席を代理でさせなかったんでしょうか。

福田国務大臣 今、外務大臣から答弁ありましたけれども、やはり私もよくわかりますよ。家族の方々が、本当に近しい方々と一緒に、そしてまた、いろいろな、我々なんか行ってそういう方ばかりになってしまうとかいうような、そういうことでない、本当に内輪にやりたいという気持ち、よくわかります。

 特に、葬儀が本当に内容のある葬儀であったというように思いますので、家族の方々は恐らく納得されていらっしゃるし、ですから、四十九日のことについては、そのような御要望も寄せられておったということも私も承知しておりました。もちろん、総理にもそういうふうに報告をいたしましたので、むしろ避けた、こういうことでございます。

 ですから、御懸念は全くないことでございますから、これ以上言われない方がよろしいかと思います。

小泉(俊)委員 これは、奥大使も亡くなったのは、このイラクという大変な状況の中で殉職をされたわけであります。やはり私は、国家のために殉職された方に対しましては、最後まで哀悼の誠を尽くすというのが国家の責任者としての責務であり、そうでなければ、きのうも迫撃砲の攻撃がありましたが、だれが一体国家のためにこれから体を張って、命を投げ出してその職務を遂行するのか。私はやはり、これは非公式でもきっちりと出席をして、その姿を国民に見せることが、これからのこの日本の難局を乗り切っていく上では必要だと思いますが、総理大臣、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 それは、言われるまでもなく、自分で判断すべき問題だと思います。

小泉(俊)委員 私は、今後もまだまだ似たような事態が起こると思います。ぜひとも、私は、そのときにしっかりとした対応をおとりいただきたいということをお願い申し上げます。

 さて、質問を、国民の最大の関心であります景気の方に移らせていただきたいと思います。

 経済月例報告によりますと、十二月、景気は持ち直している、一月、景気は着実に回復していると。これは、総理も、また竹中大臣も、お話聞いていますと、これからもますます景気は順調に回復していくという見通しのように私は受け取っているわけでありますが、しかし、私は、日本経済の実態というものは決して楽観できない、実態は卵の上に乗っているほど極めて脆弱なんだ、見通しというのは極めて厳しいと思っているわけであります。

 景気が一般に回復しているという根拠は、大体三つだと思います。まず一つが、輸出が好調である、それに伴う設備投資ですね。二つ目が、株価ですね。もう一つが、米国経済にあると思うわけであります。

 まず、この輸出の好調さでございますが、これは、昨年からことしの一月までで、国家予算の三分の一に匹敵する、二十七兆円もの史上空前のドル買い・円売りをやっているわけでありますね。これは、無理やり円安にして、事実上、輸出産業を守っているわけでありますね。

 この金額というのは、過去何と六年とも十年分をこの一年で突っ込んだというぐらい、大変な金額であります。今、一ドル百五円でありますけれども、この介入がなければ、有識者によりますと、これは八十円を切ってもおかしくないだろう、七十円ぐらいかという話も一説には聞こえている状況であります。

 しかし、これほどの巨額な資金というのをどう捻出しているかというと、日銀に政府短期証券を全額引き受けさせてドルを買っているわけでありますが、財務大臣、年間二十兆円とか二十七兆円ですよね、十三カ月間で。こういった無理な市場介入というのは、そもそも持続が可能なんでしょうか。

谷垣国務大臣 為替相場は、先日のG7においても合意されましたように、経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要と考えております。

 今後とも、為替市場の動向をよく注視して、過度の変動や行き過ぎがありました場合には断固たる措置を講じたい、その結果としてこういうふうになっている、こういうことであります。

小泉(俊)委員 これは結果を聞いているのではなくて、持続可能性があるかどうかということをお聞きしているんですが、財務大臣。

谷垣国務大臣 必要があるときはやるということです。

小泉(俊)委員 日銀に全額短期証券を受けさせる。戦前は、軍事費を捻出するために国債を全部日銀に引き受けさせたわけですね。ただ、今回一つ違うのは、国内ではなく外に出していますから、インフレとかにはならないとは思うんですけれども、やはり日銀の、ここまで余りにもやり過ぎることというのは、財務の健全性にとっても、私は余り好ましくないと思います。

 また、輸出産業は全体で年間約五十兆ですよね。二十七兆円も突っ込んで五十兆を守るというのは、余りにも私は、経済合理性というのも、経済に対する波及効がそれほど大きくない。ここまで無理する合理性があるのかなというのを率直に疑問を感じます。

 また、もう一つ、先ほど財務大臣、アメリカの双子の赤字について答弁されましたが、グリーンスパン議長の最近の、きのうですか、十二日のあの会見によりますと、財政赤字五千億ドル、経常赤字も約五千億ドルですよね。これは、どう考えても、このままいくとドル安・円高の傾向がどうしても出てきていると思うんですね。

 そしてまた、谷垣大臣ですか、おとといかな、声明を出されておりますが、中国が変動相場制に移行してくるんじゃないかと。元が切り上げられてきますと、どうも円も円高の方向に進みやすいんじゃないかというようなことをやはり有識者等に今言われているわけであります。

 私は、今やられていることはわかるんです。輸出産業を守るためにやっているということは無理無理だというのはわかるんですが、やはり客観的に見て、いつまでもこのドル買いを、円安をずっと維持していけるというのは、私は、極めてこれは見通しはちょっと厳しい。ですから、一つ、日本の景気がよくなるという輸出、これも見通しが私は結構厳しい状態にあると思います。

 もう一つ、景気が非常に順調であるという根拠は、これは株価ですよね。ようやく、先ほども申し上げましたが、一万五百円ぐらいをキープしているんですね。この株価を一体だれが買い支えているかということでありますが、お手元に資料を配付しています。

 投資主体別売買動向、これをちょっとごらんいただきたいんですが、まず左側に、平成十五年のところを見てください。これを横に見ていきます。これは明らかに、昨年から九兆三千六百億円を超える外国人買いですね、この株価を支えているのは。数字を見ていただきたいんですが、平成十五年の一年間だけで、横にいきます、個人は一兆六千五百二十一億円の売り越しであります。事業法人も二千二百四十五億円の売り越しであります。生損保も一兆一千七十一億円の売り越しであります。銀行が一兆四千七百九十六億円の売り越しであります。信託銀行も四兆三千二百四十三億円もの売り越しであります。外国人だけが、十五年を見ますと、八兆二千百三十五億円も買い越しているわけであります。保有制限による銀行の持ち株解消と代行返上によります売り圧力で、まだ市場では八兆円ぐらいあるんじゃないかということも言われています。

 私は、この外国人の買いがとまれば株価が暴落する危険もあると思っているわけでありますが、この現在の株価の持続性についてどのような見通しか、竹中大臣。

竹中国務大臣 株のお話も先ほどの外国為替のお話と同じで、基本的には市場における需給で決まるという、これに尽きているというふうに思っております。

 これは、基本的には企業の価値、つまり、企業の収益が今後どういうふうになっていくかということが株価に反映されているわけでありますから、その意味では、企業収益が上がるようにしっかりとした環境を我々はつくってまいりますし、企業にはそのような努力をしていただきたいということになろうかと思っております。

 その上で、同時に、投資主体別にも目を配れという御指摘は、これはそれなりに重要なことだと思っております。外国人が今のところ買い越していると。ただし、お配りの資料は、売りと買いの差額の数字でございます。一方で、取引をどれだけやっているか、売りと買いの合計がどれだけかということも、これはこれで重要でございまして、これに関しましては、個人が、平成十三年は大体一八%ぐらいのウエートだったんですが、最近は三割ぐらいになっておりまして、そういうようなすそ野を広げる、まさに貯蓄から投資へというようなよい動きも出つつありますので、そこをしっかり伸ばしていきたいと思っております。

小泉(俊)委員 今お答えいただいたわけですが、先ほどの資料を今度は縦に見ていただきたいと思います。

 個人は、平成三年から十三年連続で一貫して売り越しであります。事業法人も、ここ十三年間で十二年間の売り越しであります。生損保も、ここ十年間の売り越し。銀行も、ここ七年の七年連続売り越しであります。そして、唯一買ってきました信託銀行も、昨年、四兆三千億円も売り越しに転じてきたわけであります。私は、やはりこの外人の動向というのが需給の関係で極めて重要なポイントを占めていますので、これはやはり日本経済の好調の原因とされている株価も先行きは極めて不透明だと思うわけであります。

 また、もう一つ、今、米国の経済が一見絶好調ですね。今、お手元の資料を、資料のもう一つですね、これをぜひともごらんください。米国財務省証券の各国保有状況であります。

 これを見ますと、確かに米国経済というのは好調です。しかし、その低金利、好景気、株高は、どう見ましてもこれは海外からの資金流入が支えていると思います。特に、日本政府は、昨年からことしにかけて二十二兆円を超える米国債を購入し、ここに出ていますが、三四・九%ですね、今。アメリカの一兆五千億ドルのうち五千二百五十五億ドルですよ、約三五%を日本が持っているわけでありますね。

 ヨーロッパを見ていただけますか。ヨーロッパも、あとOPEC諸国は、保有を徐々に減らしてきております。

 そして、これを見ますと、第二位の中国、第三位のイギリスの売り動向によっては、私は、アメリカの金利の動向も極めて不透明だと。特に、中国がなぜこれほど急激に買い上がったかといいますと、中国はドルが固定相場であります。リスクがないんですね。ですから、これはここまで中国は買い上がってきたわけでありますが、ことしじゅうに中国も変動相場制に移行すれば、必ずや中国は売りに、ユーロ債の方に今も移そうとしている動向は見えているわけでありますが、これを見ましても、かなりアメリカ経済も、先行きはどうなるかというのは極めて不透明だと言わざるを得ないと思います。

 私が申し上げたいのは、実は輸出も、為替が極めて不安定でどうなるかわからない。株式も、外国人が今買い支えてくれている。そして、米国経済も、海外からの資金の流入によって何とか今好調であります。こういう外需、輸出と米国経済が好調なうちに、私は、どうしても、GDPの六割を占める個人消費、そして約五%を占めます住宅投資といった民間内需の拡大に大きく転換を図っていかなければならないと思うんですが、総理大臣、この点についてはいかがでございますか。

小泉内閣総理大臣 御意見はわかりますが、不透明であると。確かに、明確に将来を見通すというのは、景気にしても株価にしても難しいと思います。

 しかし、今、景気対策、刺激策を打てという話ですけれども、内需拡大と言いますが、これは民主党の予算の対案を拝見しますと、国債発行をさらに減額しろ、一般歳出も減らせというんですから、これは全体的には景気に影響を与えてきますよね。その点、どう見るかということもありますね。財政状況は厳しい、金融政策も今目いっぱい打っていますから、やはり今打っている政府の政策が最善じゃないでしょうか。

小泉(俊)委員 今、そういうお答えでありますが、世界の内需大国というと日本とアメリカですよね、何といいましても。そのアメリカは、現在、財政赤字と経常赤字で双子の赤字が増大しつつある中でも、今徹底した減税政策をとっています。ブッシュ大統領は、向こう十年間で八十兆円の減税をするというのを政策の中心に据えています。

 先月二十一日の一般教書演説の中でも、ブッシュ大統領は、減税による景気刺激の結果経済はますます成長を続けている、相続税や株売買の利益税、所得税などの減税を実現した、我々は積極的成長を促進する経済政策を続けなければならない、雇用増加のために減税は恒久的なものでなければならないと減税の恒久化を主張しています。

 そして、二月八日に放映されましたNBCテレビ、ブッシュ大統領がインタビューの中で、大型減税路線、そして放漫財政だという共和党の批判に対し、景気回復期に増税をすれば経済成長は鈍化すると明確に増税を否定しています。

 そしてまた、十二日、グリーンスパンFRB議長が、減税恒久化の支持を表明しました。そして、その中で、財政改善のための増税は成長と歳入基盤を抑制するというふうに言っているんですね。

 御案内のように、レーガン大統領もかつて、双子の赤字のときに大統領になったわけでありますが、三年間連続で十五兆円減税を行い、その結果、それ以上の、上回る増収を得たわけであります。

 これは理論的に言いますと、ラッファー・カーブと言われる、税率が下がれば景気がよくなり税収がふえるというアーサー・ラッファーの減税優先経済学に基づくものだと思うわけでありますが、また、経済規模が拡大しなければ財政赤字は減らないという歴史的事実からこれは学んだものだと私は思います。

 理屈はいいんですが、このアメリカの徹底した減税政策に対して、総理大臣はこれをどう評価されますでしょうか。

小泉内閣総理大臣 アメリカにはアメリカの事情があるでしょう。アメリカの財政赤字も心配する声がたくさんあります。それはアメリカの事情ですから、とやかく言う立場にはございません。

小泉(俊)委員 竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 総理おっしゃいましたように、アメリカの考え方で政策を進めておられるわけですから、それにコメントする立場にはないと思っております。

 ただ同時に、減税を行って財政赤字の規模がGDP比で今四・五%に急拡大している。それを受けて、一方で歳出の抑制、それと、ペイ・アズ・ユー・ゴーと申しますけれども、歳入と歳出を一定のもとで運営するようなシステム、それで、五年間で赤字を半減させるということも言っておられるわけですので、そこはやはりバランスよく見ることも必要なんだと思います。

小泉(俊)委員 私は、世界の二大経済大国におきまして、片方のあのアメリカが非常にまた財政赤字も大きい。日本も財政赤字は大きい。その中で、アメリカが徹底した減税政策をとっているわけですね。この辺については、私は、やはり勉強すべきだと思いますね。

 一方、不景気に増税で立ち向かって失敗した大統領というのがフーバーですよね。アメリカの経済学の教科書によく出てくると言われておりますが、そして、これと同じ過ちを繰り返しているのが、今までのバブル崩壊後の日本じゃないかと私は思っています。

 バブル崩壊後、十三回とも十四回とも言われる経済対策をされたわけでありますが、歳出の増加をしていって、景気がよくなってくると、すぐ財政再建優先ということから増税が行われ、また景気が失速する、この繰り返しですよね。

 この最大の失敗の例が、橋本内閣の失敗であります。景気が順調に回復してきたのに、消費税などを上げ、九兆円の国民負担増による景気の失速を招いたわけであります。特に、端的な例が、平成九年十一月二十八日、成立したばかりの財政構造改革法が、わずか半年後の平成十年五月二十九日に改正され、たった一年後の平成十年十二月十一日には凍結されるという極めて異常な事態が起こったわけであります。

 私は、この点について、前財務大臣でありました宮沢大臣に質問をいたしました。やはり増税と、あと、現状に対する分析が不十分だったんではないかという指摘をさせていただきました。

 宮沢大臣の答弁が、十三年三月二日になりますが、それは、もう時間がたちますと必ず検証されなければならない出来事であったわけですが、財政再建、そのときにGDPの動きは決して悪くなくて、これがかなり情報としてはおくれるという問題はあるにしても、日本の経済はちょっとよくなるのではないかということを多くの人が思いました、それで再建ができるかということに、判断が行われたわけでありますが、その結果として、いろいろなことを合わせて、よく言われることでありますが、九兆円という国民負担が生まれたということが一つの原因であったと言われております、しかし、それだけではそんなことは急に起こらないわけでありますから、委員がおっしゃいますように、その間における日本経済の実態についての分析が十分でなかった、今でもまだございませんけれども、やはり検証するとすればそういうところに原因があったと考えるべきだろうと思います、こう述べています。

 どうも、今、総理や竹中大臣がおっしゃっていることというのは、宮沢大臣が答弁の中で述べられたことと全く同じようなことをやっているように私は思えてなりません。今やっていることというのは、橋本内閣の失敗の繰り返しになるんじゃないかと私は思うわけでありますが、総理大臣、この点についていかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 私は、財政状況厳しい中でありますけれども、経済は生き物ですから、時に応じて大胆かつ柔軟に対応すると言っている。だからこそ、十三年、税収が五十兆円あるのだったらば三十兆円の国債発行で抑えた方がいいんじゃないかと。民主党は、いや、口だけじゃなくて法律で三年間縛れと言ったんですよ。しかし、私は、法律で縛ることはない、経済は生き物だから大胆かつ柔軟というような姿勢が大事だということで、五十兆円の税収がなかった、ことしも四十一兆円程度、だから三十六兆円国債増発しているんですよ。減税、去年は一兆八千億円先行減税、ことしも一兆五千億円先行減税ですよ。こういう、財政厳しい中にも、経済によく目配りしている。

小泉(俊)委員 私は、なぜ内需拡大に転換を図るべきかというと、今、大胆に、柔軟にとおっしゃいましたよね、今の状況を見ると、先ほど申し上げましたように、輸出も株価もアメリカ経済も中国経済も先行きが極めて不透明なわけであります。ですから、経済大国のこの日本、第二の経済大国の日本こそ、内需拡大に大きく転換を図ることによって、世界経済を引っ張る機関車として、やはり日本しかないと私は思っているわけです。ですから、大胆かつ柔軟に内需拡大に行くべきだと。

 そして、今総理がやろうとしていることは、ことしはちまたで何と言われているか。増税元年ですね。ことしからどういうことが起こるか、増税、国民負担増の具体例をちょっと申し上げますが、まず項目をばあっと言います。一月から配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止で五千億の増税です。四月から年金物価スライド制適用で年金支給額が減額されます。六月は住民税がアップです。十月には厚生年金料の引き上げで、労使とも合計で五千億の国民負担がふえると言われております。そしてまた、公的年金の控除及び老齢者控除の廃止によりまして、年金世代への課税の強化というんですね。これだけ立て続けに行われようとしているわけであります。

 これは全く、ですから、さっき宮沢元総理大臣、財務大臣がおっしゃいましたように、やはり現在、先ほど三年間の小泉内閣の総括を、経済、数字を挙げさせていただきましたが、とても増税に踏み切るような、国民負担を上げるような、そういう時期では私は現状認識ではないと思っているんですね。ですから、先ほど申し上げたように、橋本内閣の二の舞になるんじゃないですかと言っているわけですよ。この点についていかがですか。

谷垣国務大臣 先ほどから大変勇ましい御議論をなさっていると思いますが、まず、全体をやはり見ていただきたいんですね。小渕内閣のときに、非常に減税をいたしました。あのときの減税はまだいろいろな形で残っているわけです。あれは非常に規模の大きい減税でございました。

 それから、現在では、先ほど総理がおっしゃいましたように、平成十五年度一・八兆円、それから今年度、その引き続きで一・五兆円。そういう大きな流れの中で……(小泉(俊)委員「増税分は」と呼ぶ)それはネット減税になっているわけですね。そういう大きな流れの中で、それはもちろんあるべき税制を目指して、いろいろな改正もしなければなりません。

 そういう中で、今のように負担を求める部分もございますし、減税をした部分もあるわけでございますから、全体の中で見ていただきたい、こう思っております。

竹中国務大臣 二点申し上げたいと思います。

 先ほどからいろいろ数字を挙げられまして、懸念材料をたくさん挙げられましたですけれども、確かに懸念材料には注意を払わなければいけませんが、我々は、今、外需から内需への転換が比較的スムーズに進みつつある状況であるというふうに思っております。今年度の政府経済実績見込みは二%成長でございますけれども、そのうち外需によるものは〇・五ということで四分の一でございます。四分の三は内需です。これは、十六年度になりますと、八割強は内需になるというふうに見ております。

 それをあらわす一つの指標として、悪い数字を挙げれば切りがありませんが、よい数字も間違いなく出ているわけで、昨年十月から十二月までの国内の生産ですね、生産は三・四半期で、一四半期三カ月間で一一・三%増加しました。これは統計をとり始めてから過去最高の伸び率でございます。そういう数字も出てきているということをやはり注目しなければいけないと思います。

 それと、過去の反省云々、これは時間をかけてしっかりやっていかなければいけない、そういう趣旨のことを当時の宮沢大蔵大臣もおっしゃったんだと思います。

 ただ、一律に、過去と単純に比較するということもいかがなものかと思いますのは、九七年当時、やはり金融に対する非常に大きな不安があった。これは不良債権が、比率が着実に低下する中で、そのベースになります金融の土台という、経済の土台が大きく違っているというのが第一点。

 それと、国民の家計に大きな負担を短期に与えてはいけないという指摘は、これは私はそのとおりだと思いますが、そうならないように、当時と違う仕組みとしては、経済財政諮問会議でマクロ経済と財政の関係をきちっとチェックしている、そういう意味では、経済、内需を押し殺すような負担になるようなことにはないということを確認して経済を運営させていただいております。

小泉(俊)委員 先ほど財務大臣おっしゃいましたが、小渕内閣のときにやった最大の減税、定率減税ですね。平成十八年にこれは廃止の方向であるわけでしょう。残っていないですよね。これは三兆三千億円も増税をしようという計画があるじゃないですか。

 そしてまた、ちょっと時間がありませんのでポイントを絞ってまいりますが、私は、先ほど申し上げましたように、今月から配偶者特別控除の廃止、年金の物価スライド制の適用、住民税のアップ、厚生年金料の引き上げですよ、そしてまた公的年金等に対する年金世代の課税強化、定率減税の廃止。これほどのことを今この時点でやれば、私は個人消費にかなり悪い影響を与えて、実質的には、先ほど申し上げましたが、橋本内閣と同じように、やはり私は個人消費が大きく冷え込んで、内需が逆に冷え込んでしまうと思うわけであります。

 それで、時間がありませんので、最後、特にこの中で、私は一つ大きな問題が、配偶者特別控除とともに、この年金の保険料の引き上げであります。

 中川大臣、これは、今一三・五八%を、結局、上限一八・三〇%まで引き上げるという計画でありますけれども、今の事業所数を見てみますと、五年連続で減少ですよね。二〇〇二年百六十二万八千八百四十一件、二万社減ですね。ピークのときから七万事業所も減少している。

 そして、年金保険料の滞納事業者数というのは十四万件、これは金額にして四千二百三十二億円。

 そしてまた、主要百社のアンケートをとりましたところ、報道によりますと、年金保険料の引き上げによる雇用コスト増大が国際競争力を奪う危機感、経営規模の小さい企業ほど業績を圧迫し、製造業の海外移転を加速するのではないかと。

 また、経団連の試算によりますと、一八%に引き上げられますと、国内企業で二百五十一万社、約二百五十一万社で保険料負担額が年三兆二千億も増加する。

 これは中川大臣、これほどの引き上げに、中川大臣も経済財政諮問会議の中で、二〇%引き上げに対してかなり強いことを発言されたと思うんですが、日本の企業というのはこれだけの負担に本当に耐えられるんでしょうか。

竹中国務大臣 企業の負担のことは中川大臣にお答えいただくとしまして、家計の負担でございますが、その前に、先ほど私の発言の中で、十―十二月期生産の統計と申し上げましたが、機械受注統計ですので、これは訂正をさせていただきます。設備投資の先行の機械受注の統計でございます。

 それで、家計につきましては、過去の減税の規模が小さくなってくる分もございます。しかし、新たに、今回不動産の流通等々で減税をして家計に影響を与えるものもございます。

 そういうものを総合して勘案して、少なくとも十六年度に関する家計への影響というのは極めて小さなものであるということを確認の上、政府経済見通し等々を作成しております。

中川国務大臣 年金の議論につきましては、制度の持続性、それから給付と負担の関係で、政府内でも随分議論をいたしました。私の所管といたしましては、特に負担をする側の企業、あるいは勤労者の過度の負担が、経済が全体としてよくなっていく状況の中でマイナスにならないように最大限配慮をするということで、そういう立場で会議に参加をしたわけでございます。

 先生御指摘のように、特に中小企業は非常にまだまだ厳しい状況のところも数多くあるわけでございますから、そういうところに十分配慮をしながら、政府として決定をし、また与党とも合意を得たわけでございますので、引き続き注意深く見守っていきたいと思っております。

小泉(俊)委員 中川大臣にもっと詳しくお話を聞きたいところですが、時間が参りましたようですので。

 いずれにいたしましても、日本経済は、私は、卵の上に乗っているほど脆弱であるというのが現実の姿であると思います。ぜひとも、もっと現実を直視して、かたくなな態度ではなくやはり柔軟に、私は本当に大胆に内需拡大にぜひとも取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。

笹川委員長 これにて小泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 ことしの元旦、総理は靖国神社に参拝をされました。その際に、なぜ元旦に参拝したのですかという問いに答えて、初もうでという言葉があるように、日本の伝統じゃないですかねというようなことで答えられたというふうに報道はされております。

 そこで、総理にまずお聞きいたしたいのは、総理はどういう思いで靖国神社に初もうでをされたのか、この思いをここでまず御披露していただきたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 初もうでというのは、やはりすがすがしい気持ちがしていいですよね、日本独自の伝統といいますか、習俗といいますか。それと同時に、靖国神社に対しまして、やはり多くの戦没者に対して哀悼の誠をささげたいという気持ちで参拝いたしました。

 我々、戦争の知らない世代でありますが、今までの歴史書なり、いろいろ、映画、報道等で、いかにあの時代の、戦争の時代の多くの方々が、心ならずも戦場に赴いて命を失わなければならなかったか。今日、平和と繁栄というのは、現在生きている人だけでつくられているものではない。あのような戦争の時代に生まれて、家族と離れて、命を失わなければならなかったとうとい犠牲の上に今日我々は生活しているんだなと、戦没者に対する深い敬意と感謝の念を持って参拝いたしました。

 そして、二度と戦争を起こしてはいけない、これが政治家の最大の責任だと思いつつ、心を込めて参拝いたしました。

平岡委員 今述べられたことについては、私も総理の偽りのない言葉だというふうに思いますけれども、きょうはちょっと、せんだって民主党の岡田幹事長がこの問題を取り上げて、A級戦犯の問題として取り上げましたけれども、私はこの問題についてはA級戦犯問題として取り上げるつもりはきょうはありません。

 というのも、実はこのA級戦犯を裁いた東京裁判自体についても、インドのパール判事が言われたように、さまざまな問題があったと思いますし、それから、もともとこの靖国神社の参拝問題については、A級戦犯が合祀されたのが昭和五十三年でございますけれども、それ以前から、例えば三木首相が参拝をされた昭和五十年のときも、私的な参拝の基準は何なのか、私的参拝という位置づけにするためにはどうあるべきなのかといったようなことが既に議論されているということでありますので、私はきょうはあえてA級戦犯の問題を取り上げるつもりはありません。

 それを前提として総理にお尋ねしたいのでありますけれども、総理は、先ほど述べられましたように、心ならずも戦場に赴いて亡くなられた戦没者の人たち、戦死者の人たち、この人たちのことを述べられましたけれども、その戦死者を多数出した戦地に兵士を送り出していった当時の為政者の責任についてはどのように考えておられるんでしょうか。

 これは、実は総理が平成十三年の八月の十三日に参拝をされたときに談話という形で出ております。その談話の中ではこういうふうに述べられております。「この大戦で、日本は、わが国民を含め世界の多くの人々に対して、大きな惨禍をもたらしました。とりわけ、アジア近隣諸国に対しては、過去の一時期、誤った国策にもとづく植民地支配と侵略を行い、計り知れぬ惨害と苦痛を強いたのです。」「私はここに、こうしたわが国の悔恨の歴史を虚心に受け止め、戦争犠牲者の方々すべてに対し、深い反省とともに、謹んで哀悼の意を捧げたいと思います。」

 こういうふうに述べられておるんですけれども、そこに書いてあることは、我が国として、アジア諸国の人たちを初めとして、世界の人たちに対して大変な苦痛を強いたんだというようなことは言っておられるわけでありますけれども、当時の日本の為政者、政治に携わっていた人たちの責任については何も触れられていないというふうに私は思っているんです。

 重ねて、先ほど言いましたけれども、当時の為政者の責任について、総理自身の認識というものはどのようなものか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 その談話のとおりでありますし、やはり、今から考えてみますと、無謀な戦争を犯したな、なぜとめられなかったのかな、そういう強い思いがいたしますね。

平岡委員 多くの戦死者を出した戦争であったわけでありますけれども、今回、総理の政権のもとで、戦乱状況にあるイラクに自衛隊を送り出したということでございます。このことについては、総理はどのような責任を認識しておられますでしょうか。

小泉内閣総理大臣 イラクの復興支援、人道支援のために自衛隊の諸君が赴いてくれる、これは、世界の平和と安定の中に日本の安全と発展があるということを考えますと、極めて重要な任務だと思っております。

 今や日本一国だけで平和と繁栄を確保することはできない時代になったと思います。国際社会と協力してこのイラク復興、イラクの国づくり、成功させなければいけないと思っております。日本もそのために国際社会の一員としての責任を果たしていくべきだと思っております。

平岡委員 私が聞いたのは、こういう戦乱の地であるイラクに自衛隊を送り出したことについての総理の責任というのはどのように認識しておられるか、まだ何か問題が起こったわけではございませんけれども、総理はどういう覚悟でイラクに自衛隊を派遣することを、自分の政策として、自分の政権のもとで決められたのか、その覚悟、認識をお聞きしたいんです。

小泉内閣総理大臣 イラクの国づくりのために、イラク復興のために日本が何ができるかということを考えて判断いたしました。

平岡委員 全く私の質問に答えていただけないということは、多分、責任は感じていないということだろうというふうに私は受けとめざるを得ません。――それだったら、ちゃんと答えてください。どう責任を認識しているか、それを聞いているんですよ。

小泉内閣総理大臣 その言い方は何ですか。私は静かに聞いていますし、静かに答弁していますよ。これが責任なんですよ。イラクに自衛隊を派遣した、政治家としての責任じゃないですか。どうして私が責任を逃げる必要があるんですか。いつも責任は私にあります。

平岡委員 責任があるという言葉でありますから、そういう責任をどこでどういうふうに示されるのかというのはまた改めてお聞きしたいと思いますけれども、時間がないので、ちょっと話を、余談になるかもしれませんけれども、実は、先日、ある人がテレビを見ていたときに、イラクに派遣される自衛隊の自衛官が、同僚に向かって、靖国で会おうというようなことを言ったシーンが映っていたというふうに私はちょっと聞きました、私は直接見ていないので本当かどうかわかりませんけれども。

 そこで、私自身は、イラクに派遣された自衛隊の皆さんには無事に帰ってこられることを祈っているわけでありますけれども、仮にイラクで自衛官が殉職した場合、この自衛官というのは、総理の理解では靖国神社に祭られることになるというふうに認識しておられるんでしょうか、どうでしょうか。

小泉内閣総理大臣 そういうことを私は考えておりません。

平岡委員 私がなぜこれを聞きたかったかというと、この靖国神社に祭られている人たちというのは、靖国神社の方で、合祀対象者ということで基準が決められているんですよね。だから、いろいろな方々がおられます。ただ、その中で、じゃ、どういう人が祭られていないのかと考えたときには、一番やっぱり大きな存在というのは、戦争には行っていないけれども、この日本であるいは外地で一般の民間人としていたときに戦争の被害を受けた人たち、この人たちはこの靖国神社には祭られているわけではないんですよね。

 先ほど総理は、どういう気持ちで靖国神社に参拝されたかというふうに私がお聞きしたときに、戦没者の方々に哀悼の誠をささげるんだということを言われました。それはそれで私は立派なことだと思いますけれども、総理が言われる戦没者の中には、そうした、私が先ほど申し上げましたように、一般の市民の方々で戦争被害に遭われた方、こういう人たちは入っていないんだろうというふうに思いますけれども、総理はその点について、一般の市民である戦争犠牲者についてはどのような思いを持っておられるか、ここでお話しいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 毎年、戦没者追悼祈念式典が行われます。私も毎年出席しております。戦没者は靖国神社に祭られている方だけではございません。

平岡委員 それを前提にして、この靖国神社の問題をちょっと考えてみますと、総理の靖国神社公式参拝については、平成三年の仙台高裁、これは中曽根総理の公式参拝の問題ではなくて、一般的な総理大臣の公式参拝の問題について、判決の中でいろいろな理由として判断を示しているところでございます。そのほかに、中曽根総理の公式参拝については、平成四年の福岡高裁、これは、違憲性ないままに継続できるかどうかは疑問だというふうに言っています。

 ちょっと言い忘れましたけれども、先ほどの平成三年の仙台高裁は、総理大臣の公式参拝は違憲であるというふうに言っております。そして、平成四年の大阪高裁では、違憲の疑いがあるというふうに判決が出ているということでございます。

 そういうことを考えると、小泉首相の靖国神社の参拝問題というのは、先ほど言いましたように、国際的な批判とは別に、憲法上もいろいろ問題があるというふうに私は思っているんですけれども、総理の見解、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 全く憲法に違反するものとは思っておりません。

平岡委員 この点について、内閣法制局長官からも見解を求めたいと思います。

秋山政府特別補佐人 小泉総理の靖国神社参拝は、いずれも個人の立場で参拝されたものと承知しております。

 内閣総理大臣の地位にある方につきましても、私人として憲法上信教の自由が保障されていることは言うまでもございませんから、このような立場での参拝は国の活動には当たらず、したがって、国の宗教的活動を禁じた憲法二十条三項との関係で問題が生ずることはないと考えております。

平岡委員 今いみじくも内閣法制局長官が、小泉総理のこれまでの参拝というのはあくまでも個人の立場での参拝である、これは私人の立場での参拝だ、だから違憲じゃないんだというふうに言われました。

 そういうことをあわせ考え、先ほど言いましたように、一般市民である戦争犠牲者の方々の追悼の問題、そして、実は平成四年に、昭和六十年に中曽根総理が公式参拝されたときの参拝のあり方をめぐって、当時の宮司さんが、あの参拝の仕方は靖国神社にとって非礼きわまりない参拝の仕方であるということを雑誌に寄稿しておられました。そして、公式参拝については、先ほど私が言いましたような高等裁判所レベルでの違憲判決、あるいは違憲の疑いがあるという判決。こうしたものを考え合わせてみると、私は、国として、この戦争犠牲者を多く出した我々の世代、あるいはその世代を直接受け継いでいる世代、こうした人たちが宗教性を排除した追悼平和祈念施設をつくる義務があるというふうに考えているわけであります。

 この点については、既に政府の方も同じような問題意識を持っておられたというふうに思います。そういう意味で、一昨年十二月に、官房長官の私的諮問機関であります追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会というのが、国立の追悼平和祈念施設が必要であるとする報告書を出しているということは、既に御案内のとおりであります。

 さらに、その前に、一昨年の七月末には、民間の有識者で成っています新しい国立追悼施設をつくる会というものも、同様の趣旨の提言を申し入れているということでございます。

 この点については、この一月二十二日の本会議の代表質問で質問が出まして、総理の答弁の中には、「新たな追悼平和祈念施設につきましては、懇談会の意見を踏まえた上で、国民世論の動向等、諸般の状況を見きわめながら、今後の対応を検討してまいります。」というふうに答弁をされているということでございます。

 そこで、今後、この問題について、この追悼平和祈念施設についてどのように取り組んでいくおつもりなのか、この点について、総理にお聞きしたいというふうに思います。

福田国務大臣 一昨年、追悼・平和祈念等施設の在り方を考える懇談会というものから報告をいただきました。そこでもって、この懇談会としては、二十一世紀を迎えた今日、国を挙げて追悼・平和祈念を行うための国立の無宗教の恒久的施設が必要であると考える、それから、この懇談会で検討した事項はいずれも、国民的な議論を踏まえ、最終的には政府の責任において判断されるべき重要な事項である、こういうふうに答申をいただいたわけでございます。

 そういうような答申がございますが、ここの答申の中にございますとおり、国民世論の動向、これは非常に大事なものだろうというふうに考えておりまして、その辺をよく踏まえながら、今後検討してまいりたいというように考えているところでございます。

平岡委員 今の答弁、決して納得しているわけじゃないんですけれども、国民世論の動向を見てというお話であります。国民世論をどのように形成していくかということも政府としての役割だろうと。先ほど私言いました、戦争を直接体験している世代あるいはそれを直接受け継いでいる世代がこの時期にこの問題についてけりをつけない限りは、我々は永遠に義務を果たせないままに終わってしまうんじゃないか、こんな危惧も持っているわけでありまして、政府としての、私は、世論を形成していくという責務があるんではないかというふうに思っているわけでありますけれども、この点も含めて、総理の方からお考えをお示しいただきたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 国民がひとしく追悼する祈念の施設、大方の合意、国民的な議論を踏まえて、今後とも対応を検討してみたいと思います。

平岡委員 今すぐに結論が出る話じゃないかもしれませんので、今後、真剣に、前向きに検討していっていただきたいというふうに要請しておきたいと思います。

 次に、G7の成果と課題について、為替問題を中心にお聞きしたいというふうに思いますけれども、まず最初に、総理にお尋ねしたいと思います。

 このG7、結果、いろいろ報告を受けておられるとは思いますけれども、この結果に対して、総理としてはどのような評価をされておられますでしょうか。今回のG7開催にどのような意義があったというふうにお考えになっておられますでしょうか。まず、それを先に総理からお聞かせいただきたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 財務大臣から報告を受けましたが、各国おおむね満足する結果だったのではないかと、この会議。やはりお互い通貨の動向を注視していかなきゃならないし、今ようやく明るい兆しが出てきた世界経済、いい方向に持っていこう、そういう考えのもとに開かれたいい会議だったと報告を受けております。

谷垣国務大臣 今総理がおっしゃったことを補足いたしますと、今回のG7のテーマは、私なりに要約いたしますと、アメリカそれからヨーロッパ、日本、それぞれ経済、いい芽が出てきている、アメリカは一番力強いわけですけれども。そうすると、このいい芽が出てきたものをどう持続的なものにできるのか、それを一緒にやっていこうというメッセージをG7で出せるか出せないかというのが今回のG7のテーマであったと思います。

 そこで、これから何をさらに持続的なものにすればよいのかという点では、アジェンダもこの文書でできておりますけれども、それぞれの課題、アメリカでいえば双子の課題みたいなものに積極的に取り組む、それから、ヨーロッパでいえば労働市場の硬直性を初めとしていろいろな問題に取り組んでいく、日本でいえば小泉内閣のもとでやっている構造改革にしっかり取り組む、そういうことをお互いに協力してやろうということであったと思います。

 一方、そういう持続的な経済繁栄に向けて何が阻害要因になっているかということになると、共通の理解は、為替が不安定ではそういった状況に対して問題がある、こういうことであったと思いますので、コミュニケもそのあたりを議論いたしまして、為替には柔軟性も必要であるけれども安定性も必要であるという共通の理解であのようなコミュニケをまとめた、こういうことでございます。

平岡委員 総じて、当然のことかもしれませんけれども、会議に出席し、そしてそれを指揮してこられた総理あるいは財務大臣にとってみれば、悪い結果が出たというふうには言えるはずもないので、いい結果だということなのかもしれませんけれども、為替の問題について、私、少しこの共同声明の文言に照らして、ちょっと詳しくお聞きしたいと思うんです。

 というのは、ここに書いてあること、必ずしも世界共通あるいは日本国内の国民の皆さんにとって共通の理解ができているとはちょっと思えない、そんな気がいたします。

 実は、一月の二十七日の補正予算の審議で、私、この為替の問題を、外為特会の借入限度額の急増に照らして、いろいろ質問をさせていただきました。そのとき、谷垣大臣からは非常に表面的な答弁しかいただかなかったんで、私は余り時間をとれなかったんでございますけれども、きょうはその辺をできればもう少し深く掘り下げてみたいな、こういうふうにも思うわけでございます。

 まず最初に、この共同声明の中に、我々は、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきであることを再確認というふうに表現があります。つまり、為替レートというのは経済の基礎的条件を反映すべきだという認識が示されているわけでありますけれども、日本の為替介入の状況を見てみますと、先ほど同僚の小泉議員が言いましたように、昨年一年間で二十兆円を超える、あるいはこの一月でも七兆円になるような多額の為替介入をしているということでございます。

 多額の為替介入を長期間続けているということは、経済のファンダメンタルズを反映していない状況が、この日本では、円では生じているんではないかというふうに普通は思うんだろうと思うんですけれども、なぜこれがファンダメンタルズを反映しているというふうに先ほど谷垣大臣は答弁されたんでしょうか。

谷垣国務大臣 平岡委員は、公務員でいらしたころ、こういう国際金融の問題にも大変経験を積まれたと伺っております。どなたか先輩がおっしゃいましたけれども、国会というのは知らない者が知っている者に答弁するところだということを先輩が言っておられますが、そういう例かなと思います。でも、そういう経験を積んだ委員にはできるだけ虚心坦懐に議論をしてみたいと思っておりますが、ひとつお許しいただきたいのは、私も財務大臣としては初心者でございまして、一体ここで為替等に発言したことがどうマーケットに響くかという間合いをはかりかねているところも実はございまして、随分ブリキのパンツをはいたような答弁をするなというお感じのことがあっても御勘弁をいただきたいと思うわけでございます。

 それで、ファンダメンタルズを反映すると言うけれども、これだけたくさん介入をしているということになると、それとはちょっと違うんじゃないかという御趣旨であったと思います。

 私どもは、基本方針はあくまで、一定の為替レートを守ろうとか守らないとかいうことで介入しているわけではありませんで、これも繰り返しになりますけれども、ファンダメンタルズを安定的に反映すべきだ、そしてそれを超えるものがあったときにはしかるべき手段をとるということでやっているわけでありますが、去年で見てみますと、アメリカの経済、いろいろな数字等を見ましても、非常に力強いわけでありますけれども、ややマーケットでは、先ほども申しましたが、双子の赤字であるとか、あるいは地政学的リスクというものがいわばもてはやされて、そのために投機的な思惑から動くということが多かったというふうに思っております。

 それから、やや日本の場合の特殊な事情としては、取引が円建てということではなくて外貨建ての場合が非常に多いわけですから、ちょっとした為替の変動が、ビジネスをやっておられる方のマインド、マーケットに、マインドに非常に響くというような特殊な要因もあって、ややそういう面もあるのかと思いますが、昨年の介入が多くなったのは、やはりそういうマーケットの、双子の赤字や地政学的リスクにナーバスになったいろいろな動きがあったからだ、こういうふうに考えております。

平岡委員 今のお話は、必ずしも満足のいく答弁じゃないんですけれども、例えば外為特会の借入限度額も、この前も議論しましたように、ことしの補正予算で七十九兆円から百兆円へ上げた、来年度予算は百兆円から百四十兆円に上げたということで、来年度も場合によっては四十兆円近い為替介入を行うかもしらぬというようなことも、それは政府としては覚悟しているというか、予定しているというか、そういう状況にあるわけですよね。そういう状況というのは、本当に私は、経済のファンダメンタルズを反映した為替レートになっているのかということに対しては、大いに疑問があるというふうに言わざるを得ないということだと思います。

 時間がないので、ちょっとほかにも興味を引くところがあるのでお聞かせいただきたいと思うんですけれども、この共同声明の中に、為替レートの柔軟性を欠く主要な国・経済地域にとって、そのさらなる柔軟性が望ましいことを強調、ちょっと要約しましたけれども、という表現がありまして、為替レートの柔軟性を欠く主要な国・経済地域というのは一体具体的にどの国を指すんだろうかということが一応話題になっているわけですね。

 大方の見方は、多分中国は入るんじゃないか、こういうふうに言われてはいますけれども、では、日本も入るのか、どうなんだろうか。日本がもしこういう国に位置づけられるのであれば、さらなる柔軟性が望まれるという国になるわけですね。

 それで、ちょっとお聞きしたいんですけれども、財務大臣は、この問題について、日本が柔軟性を欠く国に当たらないことはG7でも理解を得られているんだという発言をしています。しかし、ほかのG7に参加された主な方々の発言を見てみますと、必ずしもそういう感じではないんですね。

 例えば、アメリカのスノー財務長官は、どんな国かというのは声明にあるとおりだという発言もしています。それから、欧州中央銀行のトリシェ総裁は、柔軟性に欠ける通貨を持つ国は自分でわかるだろうというふうに言っています。つまり、日本がそこに含まれていないということを明言している人はだれ一人としていない。ただ一人財務大臣がそう言っているということなんですよね。

 財務大臣、日本は、先ほど言ったように多額の為替介入をしながらも、この為替レートの柔軟性を欠く主要な国・経済地域に入らないんだというふうに言い張る根拠というのは一体何ですか。

谷垣国務大臣 国際会議は、やはり各国いろいろな立場、利害があって、そして、やはりG7が団結しているということが必要ですから、一生懸命議論して、これで行こうというふうにまとめたわけです。

 したがいまして、声明は声明をみずからして語らしめるというのが基本的な態度だろうと思うんですね。だから、スノーさんがおっしゃったこと、あるいはトリシェさんがおっしゃったことは、そういう意味で書いてあるとおりだとおっしゃったわけですけれども、しかし、私は日本の担当者として、責任者として、では円は柔軟性を欠いたる地域か、こう問わるれば、いや、それは違うと申し上げるわけです。

 そこで、根拠はということでございますが、根拠は、ドバイの、前のG7のときに、要するに柔軟性を欠く国、フレキシビリティーがモアデザイアブルだとかいうような表現だったと記憶しますが、では、フレキシビリティーのないところはどこなんだということで、日本もそうじゃないのかというようなことで、その後為替がぐっと変わってきたという経緯がありますので、それは困るじゃないかという議論を率直に言うとG7ではしたわけでございまして、柔軟性を欠く主要な地域とか書いてある意味は、一つの意味は、これは日本はそうではないということを明確にあらわすために入れたわけでございますので、これが、私が言い張るというわけではなくて、根拠でございます。

平岡委員 全く根拠になっていない。自分がそういうふうに言っているからそうだ、それから、これからの危険性を考えたらこういう国に当たらないと言わざるを得ないからそうだ、これだけの理由しかないということで、全くそれは理由になっていないんじゃないかと思うんですね。何か言いたいことがあるなら。

谷垣国務大臣 いや、このことは、G7の議論の中でも明確に申し上げました。

平岡委員 いや、会議の中はよくわかりませんけれども、その旨を財務大臣が明確に申し上げたらほかの国の人たちは何と言ったか、それは私にはわかりませんけれども、特に反論がなかったということなんでしょうかね。

 ただ、反論があったかなかったか私もわかりませんけれども、なぜ反論がなかったのかということを考えてみると、先ほど同僚議員からも何度か質問がありました。日本は、この為替介入で得たドル資金というものを、アメリカの財務証券を購入しているという状況ですよね。この金額は五千二百五十五億ドル、日本円にすると約五十数兆円に上る金額です。外貨準備高をこれだけ米国の財務証券に充てている、割合でいくと八七%、九〇%近く充てているという国はほかにはないですよね。

 中国が第二位の外貨準備高の国だというふうに言いますけれども、先ほどの同僚議員が示された資料を見ていただければわかるように、外貨準備高で米国の財務証券に充てている割合というのは、大体三六%ぐらいしかない、第二位の国ですら。

 そういうふうに、日本はドルを買い支えてあげ、かつ、その買ったドルでアメリカの財政を賄ってあげている。こんな状態でアメリカが多分文句言えるはずがないだろうということで、あえて日本に対してそういうことを言わなかったんじゃないか。つまり、逆に言うと、日本が余りにもアメリカ寄りの政策をとっているということが、日本の本当の実態を世界にあるいは国民に示していないということになっているんだというふうに私は思うんです。

 何か反論があったら伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 今委員がおっしゃったように、日本の為替介入の場合には、やはりドルを買うことがほとんどでございますから、全部と言ってもいい、ほとんどでございますから、それは結果的にドル建てのものが多くなるわけでございまして、その中でも米国債というものが多くなってくるというのは、これは自然の流れだろうと思います。もちろん、米国債だけではなくて、ほかの国の債券や何か、いろいろ、いわば分散することもやっておりますが、結果としてそうなっているということは御理解をいただきたいと思います。

平岡委員 今回も、先ほど言いましたように、当初予算で四十兆円また限度額を上げたということは、何か大きな意図を感じざるを得ないという状況にあるようには思うんです。こういう状況は、先ほどの同僚議員からも指摘がありましたように、本当に持続可能な状態なのかというふうに考えてみると、非常に疑わしい状況にあるというふうに私は言わざるを得ないと思います。

 そこで、先ほど来から、ドルを買っているのは、日本の円高にならないように、円高になるといろいろ困ることがあるような話がありましたけれども、日本はやはり世界第二位の経済大国として、もっともっと円自体の国際化を図っていくということが本当は求められているんだろうと思うんです。資料を特にお示ししませんけれども、日本の円がどれだけ国際的に通用しているかというようなもの、あるいは日本が円でどれだけの国際的な収支決済をしているかという状況を見ると、本当に見るも無残な状況になっているというふうに思います。

 これまでも円の国際化についてはいろいろ努力をしてきたというふうに思っていますけれども、これからの努力の目標と、どんなふうにしていくのか、あるいはこれまでの成果というのはどんなものか、これについて財務大臣からお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、円の国際化というのは、やはりこれは進めなければならないことだろうと思いますし、随分長期間にわたっていろいろな努力をしてきたことも、平岡委員がおっしゃったとおりだと思います。

 しかし、まだ必ずしも、少しずつ成果は上がってきておりますけれども、目をみはるような成果にはなっていないということはもうおっしゃるとおりでございまして、円の使用頻度の向上とか、海外における円建て保有資産の拡大とか、金融・資本市場における円の活用、こういうことが必要でございます。それから、円の国際化を進めるに当たって、円に対する信認を向上させるためには、今のようなことで向上させていく必要があるわけですが、国際的な環境で使用できるいろいろな環境を整備していく必要があるんだろうと思います。

 それから、国際化を進めていくためには、政府が言っているだけではこれは国際化になりませんので、民間にやはりそういう動きを進めていただくというようなことで、長期的な取り組みを図る必要があると思っております。

平岡委員 ちょっと時間がないので、余り具体的なことには入れないんですけれども、私は、円の国際化を図っていくためには、やはり地政学的に、アジア地域における日本のプレゼンスというものが非常に重要だというふうに思うんですね。これまでのようにアメリカとの関係が強いだけでは、多分余り円が国際化されないで、やはりドルに依存してしまうような状況になってしまう。このアジアこそ本当に日本が円の国際化を図っていける主戦場だろうというふうに思うわけなんです。

 そういう目で見ると、どうも対アジア外交というものがしっかりとしていないんじゃないか。イラク問題のときも対米追従じゃないかといったようなことを随分指摘させていただいておりますけれども、やはりアジアにしっかり目を向けて、アジアとの経済関係をどれだけ強化、強力にしていくか、こういう視点が必要だろう。

 そう考えたときに、先ほど来から議論もしました靖国神社の問題を初めとして、どうも日本はアジアの中で信頼をされるような状況に立って物事を進めることができていないというのが、私は、この政権の大きな問題だというふうに思うんです。その点で、円の国際化という視点に立って、対アジア外交をどのように進めていかれるのか、これは総理にお聞かせいただきたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 余り自虐的に見ない方がいいです。

 アジアからいかに日本が評価されているか、重視されているか。昨年も、十二月、ASEANの首脳が東京に集まりまして、会議を開き、今までのアジア諸国に対する日本の役割、高い評価をいただいておりますし、日本もアジア重視政策、変わりありません。アジア債券市場、これも議題になりまして、今の御指摘にありますように、日本としても、円建て市場、円債券、アジアの債券市場育成のために日本がどういう役割を果たすか、これはアジア諸国首脳と協力しながら進めていくべき問題だと思っております。

平岡委員 何も私は自虐的になって言っているんじゃなくて、これから日本が何をしなければいけないかということを、どういうふうに考えているかということを総理に聞いているだけであって、そういう情緒的な言葉で質問をはぐらかしたりするのはぜひやめていただきたい。まだ純真な議員であります私は、そういう言葉を聞くと、本当に総理はまじめにこういう問題について取り組んでいくおつもりがあるのか、非常に疑問に思ってしまいますね。そういう意味で、もっともっと真剣に考えていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってしまったので、このG7の問題、これでおしまいにさせていただきたいと思います。

 最後に、きょう取り上げたかったのは、これも本当に同僚議員が、細川議員、石田議員あるいは達増議員、それぞれ皆さん取り上げられました児童虐待の問題あるいは青少年犯罪の問題、これらをひっくるめて青少年健全育成の問題、これは本当に、この日本の国、これからの将来を考えたときには物すごく重要な問題だというふうに私は思っています。

 私がたまたま平成十二年にこの国会に来たときに本格的に取り組んだのが少年法の改正の問題でございました。そのときは、まず少年に対する罰が軽いので厳しくしなきゃいけない、厳罰化というような議論が横行しておりました。そして、それによって少年犯罪を防止するんだ、減らすんだというふうに言われましたけれども、昨今のいろいろな統計を見ていますと、必ずしもそういう成果が上がっていない。やはり本当は、もっともっと総合的な対策を講じていかなければいけない。この点についてはかなり認識ができておられるようで、先ほど来からの議論でもそのような話が随分出ていました。

 そして、これは一つの逸話ではありますけれども、私は二十年前にインドに勤務しておりまして、そのときの総理大臣がインディラ・ガンジーでございました。インディラ・ガンジーはそのときに暗殺されてしまったわけでありますけれども、彼女が日本に来たときに、インドの非常に厳しい状況について聞かれたときにこう答えているというふうに言われています。インドに希望はある、それはインドの子供たちの目が輝いているからだ、あの子供たちの目の輝きがある限り、私は希望を捨てない、こういうふうに答えられたということであります。

 そういうふうに、私、今の日本において青少年を健全に育成するということの重要性というのは非常に高いものがあるというふうに思っているわけでありますけれども、そこで、総理にお聞かせいただきたいと思います。

 総理は、現在、青少年の育成の関係では、青少年育成推進本部長、極めて高い地位に立っておられる。すべての省庁をまとめて推進していかなければならない立場にある。かつ、三児の父親であったというふうに伺っておりますけれども、そういう総理、これからの日本の青少年を健全に育てていくためにどのように考えておられるのか、どのような覚悟でおられるのかをまずお聞かせいただきたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 まず、家庭の愛、学校の教育、地域全体の子は社会の宝であるというこの意識、これがしっかりと根づいてこそ健全な青少年の育成が図られるんだと思います。そういうことを考えますと、一番最初に愛情を受けなきゃならない子供たちが虐待されるというのは、まことに悲惨なことだと思っております。

 先ほどから児童虐待の話も出ておりますが、やはり基本として、教育の根本、それは愛情だと思います。

平岡委員 ちょっと抽象的な議論になってしまいましたけれども、その愛情が家庭の中で、あるいは学校で、地域社会で注げれるような環境をつくっていくということがやはり私たち政治家に課されている義務、課題だろうというふうに私は思いますので、ぜひそういう立場に立ってさまざまな問題に取り組んでほしいということを要望したいと思います。

 先日、二月の五日に警察庁である資料が発表されました。少年犯罪の問題でございましたけれども、その中に、昨年は、少年、これは十四歳以下の法に触れた少年も含みますけれども、少年の凶悪犯罪が急増するとともに、補導の対象となった不良行為少年も急増しています、そのうち、犯罪化が懸念される不良行為少年はここ三年急増が続いて、十年前の倍近くまでになっているというふうに説明がされています。

 この点について、今私が申し上げたような状況というのは、多分、もしかしたら地域的な特性もあるのではないかというふうに思いますけれども、その地域的特性と、また、そのように凶悪犯罪あるいは不良行為少年が増加した原因というのをどのように見ておられるか、お尋ねいたしたいというふうに思います、これは小野大臣だったと思いますけれども。

小野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 全国で補導されました不良行為少年の数は、平成十二年から十五年までの間に、今先生おっしゃいましたように、三年間におよそ四七%の増加を見ております。

 先生の方から、地域的な問題があるのではないかという御質問でございますけれども、補導員の増員傾向は全国的なものでございますけれども、首都圏の場合、それから中京圏の場合、近畿圏の場合と、この三点が非常に多うございまして、増加率が高い傾向でございます。

 首都圏は、十五万二千百六十二、これが十二年でございます。これが十五年になりますと二十五万三百十七人ということで、六四・五%の増になります。中京圏の場合には、六万一千八百六人から、十五年が十二万八千九百八十六人、これは一〇八・七%の増になります。近畿圏の場合には、二十三万四千二百五十六人、これが十五年の場合には三十七万八千八百十四人ということで、六一・七%。その他の県が、十二年が四十三万七千五百五十一人、十五年が五十四万四百五十一人、二三・五%となっておりまして、大変な数である、こういう認識を持っております。

 不良行為の少年の増加の原因といたしましては、やはり何よりも、少年の規範意識の希薄、こういうことを言う前にまず大人自身が、育てていく立場において、親、大人、そういう社会の規範意識というものがまず大変大きく低下しているのではないか。私自身もそう思っておりますし、また、虐待をいたします親や家庭のあり方の問題は、やはり少子化や情報化の問題等々、青少年を取り巻きます環境という問題も大きく作用しているのではないかと思います。

 そういった意味におきましては、子供社会の問題は大人社会の問題ととらえまして、まず大人自身が自分たちの襟を正していくということをしない限り、この問題は解決をしていかないのではないか、そのように認識を持たせていただいておりますので、家庭、学校、地域社会が一丸となりまして、やはりそれぞれの役割を認識しながら、責任を持って取り組み、青少年の育成に力を注いでいくことが最も大切なことであると思っております。

平岡委員 今、子供社会は大人社会の反映というような趣旨のお話がありました。

 今、大人社会を見ると、小泉首相が常に市場経済、あるいは竹中大臣も市場経済ということをかなり前面に押し立てて経済政策をしているという中で、大人社会は大変厳しい競争社会の中で生きている。この競争社会に生きている大人の影響というものがやはり少年にもいろいろな影響を与えているのではないか、少年が健全に育っていくために必要な人間のきずなを重視する協力社会といったようなものをやはり私たちは考えていかなければいけないんじゃないか、このように思っていることを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

笹川委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 政府は、十日に、年金関連の法案を閣議決定し、国会に提出いたしました。きょうは、この問題を中心にただしたいと思います。

 今、年金の問題は国民的な関心事の一つです。その背景には、雇用の不安ですとか、収入が減ったり、就職難があったり、暮らしや将来への不安が大変強いですから年金問題への関心が高まると思います。しかも、小泉内閣のもとでは、二〇〇三年度に現実に年金の給付が切り下げられ、二〇〇四年度の予算案にも、物価に合わせて物価の下落分を切り下げるということが提案されております。

 今度の年金関連法の特徴は、保険料については毎年連続的に引き上げることを明示する一方で、給付水準については政府の言うモデル世帯でも現行の大体五九%程度を五〇%まで下げるというところにあると思うんです。

 まず初めに、私は保険料の引き上げについてお聞きしたいんですが、今、会社員の加入する厚生年金の保険料は現行で月給とボーナスを含めた年収の一三・五八%、これは労使の折半ですけれども、政府案は、これを毎年〇・三五四%上げて二〇一七年度以降は一八・三〇%にするということになります。

 そこで、坂口大臣に確認しておきたいんですが、平均的な収入を持つ会社員の場合、保険料の今回の引き上げによる負担増、これは本人負担分で年間どのぐらいになるんですか。

坂口国務大臣 まず最初に、年金の生命というのは持続にあり、持続できない年金はいかに立派な案をつくりましてもそれはいけない、持続することがまず大事というふうに思っております。それを前提にいたしまして、我々は、今回、先ほども言われましたように、上限を一八・三〇%にいたしまして、年〇・三五四%ずつ引き上げをしていくということを決めたわけでございます。

 どれだけということでございますが、平均いたしまして月収三十六万円として、ボーナスを年二回、合計で三・六カ月分、こういう厚生年金の平均的な男子被保険者の場合には、月に直しますと六百五十円程度、ボーナス一回で千百五十円程度、一年間で一万円程度引き上げになる、こういうことでございます。

山口(富)委員 二日に、厚生労働省が毎月勤労統計調査の二〇〇三年の結果を出しておりますが、これを見ましても、勤労者の給与は三年連続で減っております。それだけに、今大臣が確認された年一万円規模の負担増になるというのは、私はなかなか大きいものだというふうに思うんです。

 次に、厚生年金の保険料の引き上げによる国の増収の問題なんですけれども、二〇〇五年度の満年度ベースで考えましてこれは一体どうなるのか、示していただきたいと思います。

坂口国務大臣 これは今後の話ですね。(山口(富)委員「二〇〇五年度ベースで」と呼ぶ)二〇〇五年度ベース……(山口(富)委員「満年度ベース」と呼ぶ)保険料の引き上げは平成十六年の十月からでございますが、これを平年ベースで見ました場合に、一年分で〇・五兆円程度、そして被保険者分はこの半分でございます。

 それから、国民年金の保険料引き上げは十七年度からでございますから、十七年度で見ますと、保険料の収入の増加額は約四百億円でございます。

山口(富)委員 今、厚生年金とあわせて国民年金の方もお答えいただいたんですが、大体年間二千五百億円、労働者の方はふえるということになると思います。

 そうしますと、厚生年金で考えました場合に、二千五百億円が二〇一七年度まで十三年間続くと仮に考えますと、大体その規模は三兆数千億円の規模になる、こういうふうに考えてよろしいんですね。

坂口国務大臣 単純計算で大体そうなると思います。

山口(富)委員 今、国民年金については大体四百億だという話がありました。これは、被保険者が国民年金で二〇〇二年度で二千二百三十七万人おります。免除者等のことを勘案しなければなりませんから、私がこれに基づいて厚生年金と同様に計算した結果、国民年金でも大体八千億円規模の負担増になるというふうに思うんです。

 確かに、毎年でいいますと、保険料は現在の国民年金で二百八十円ずつ引き上げて二〇一七年度に一万六千九百円になるわけですけれども、これは、国の増収、それは国民にとっては負担増になるわけですが、それは相当の規模だと。となりますと、公的年金として厚生年金で三兆数千億円、そして国民年金で八千億円ということになりますと、軽く四兆円を超えてくるんですね。

 この点は小泉総理にお尋ねしたいんですが、この間、総理は、繰り返し、経済回復の兆しというお話をしていらっしゃいます。しかし、これだけの規模の国民負担増をやりますと、やはり家計の消費が冷え込んで将来への不安を大きくする、その結果、消費を冷え込ませますから不況からの脱却という点でも厳しい状況をつくることになる、そういうふうにお考えになりませんか。

小泉内閣総理大臣 これは年金の保険料だけで見るべきものではないと思っています。全体の経済財政状況、金融政策等、総合的に見るべきものであって、年金の保険料負担のみならず、年金給付もあるわけですから、この年金を破綻させてはいけない。そういう点も考えて、総合的に見るべきものではないでしょうか。

山口(富)委員 総合的に見るというお話ですが、負担と給付の枠だけで総合的に見ると、これは話がおかしなことになると思うんですね。それは民間の保険と同じになってしまうからです。公的年金の制度というのは、国の関与があるからこそ、国の管掌があるからこそ、国家的制度として成り立っているわけです。

 私は、この問題が、国民の不安や不満が、年金制度について言いますと、保険料の引き上げ、あるいは給付水準が下がってしまう、そういうところにあるというのをきちんと見ることが今大事だと思うんです。

 ここに、一点、資料を持ってまいったのですが、これは読売新聞の一月二十九日付、ですから大変新しい調査ですけれども、これで見ますと、年金への不満や不安で上位に上がっているのが三つあります。「納める保険料が高い、あるいは、高くなる」四〇・八、「支給される年金額が少ない、あるいは、少なくなる」四九・七、「将来支給される年金額がわからない」五〇・四。

 そして、さらにこういうことを聞いているんですね。「あなたは、今回の見直しによって、」これは政府案のことですけれども、「国の年金制度に対する不満や不安が解消されると思いますか、」これに対しては、「解消される」と答えた人が九・二%、「解消されない」と答えた方が八八・一%。

 ですから、十人の方にお聞きしましたら九人の方は、やはりこれは不安だというふうにお答えになっているんですが、この点はどうですか。

坂口国務大臣 年金といいますのは負担と給付だけしかないわけでありますから、負担と給付の関係で将来どうなるか。

 それは、中には、これで負担が多くなりますがどうですかと聞かれれば、それは上がらない方がいいと言うでしょうし、また、給付の方が減りますがどうですかと言われれば、それは減らない方がいいというふうに言う人が多いでしょう。

 しかし、初めにも申しましたとおり、年金というのは負担と給付をどう継続していくか、これは継続をしていくというところに最大の生命があるというふうに思っております。したがいまして、この継続をしていく案をつくるということになれば、今回御提案を申し上げたような案以外にない、こういうことを申し上げたいわけであります。

 二〇二五年なら二〇二五年に、物価の上昇分、しないというふうに仮定したといたしましても、これは年金の額は二十三・七万円、現在、平均して二十三・一万円ぐらいだと思いますけれども、決して下がらない、そういうふうに設計してございます。

山口(富)委員 いろいろな話をしなきゃならないと思いますが、まず、給付と負担の問題について言いますと、そこに国が関与をするからこれは大事なんです。それを今問題にしているわけです。それから、年金の給付額の問題はこれからお尋ねしますけれども、これは給付の水準を問題にしているんです。これが下がるというのが今度の政府案でしょう。

 それで、小泉総理にもう一回お尋ねしますが、私、世論の調査も示しましたけれども、ここに国民の不安があるということはお認めになるんですね。

小泉内閣総理大臣 それは、不安があるかと言われれば、ないと言う人は少ないでしょう。だれだってやはり不安はありますよ。

 しかし、年金というものは、公的年金というのは民間に比べていかに有利かということは、税金が投入されていますからね。給付と負担と言っていますけれども、税金が投入されている。これは民間なんかは税金投入されていませんし、第一、給付は最低五〇%程度は維持するというわけですよ。負担は最高一八・三%、企業と折半。それだけ見たって、公的年金がいかに有利かというのがわかるでしょう。

 これは世代間の支え合いですから。負担は一八%しかなくて給付は五〇%なんかある民間保険、ありますか。ありませんよ。いかに公的年金が有利かということをもっとわかってもらうように、広報活動をやはり政府としてもしなきゃいかぬなと思っています。

山口(富)委員 総理、その広報活動の結果が、このアンケート調査によりますと、こういう形で出てくるんです。

 「政府は、今回の年金制度の見直しで、」少し略しますが、「厚生年金の保険料を年収の一三・五八%から一八%程度へ引き上げ、支給される年金額については、現役世代の賃金の約六割から約五割へ引き下げることを検討しています あなたは、これに、賛成ですか、反対ですか」と端的に聞いて、答えは、賛成が一八・七、反対が七五・八なんです。

 私は、これは不安や不満を解消するどころか、安心を提供するどころか、不安を広げている何よりの結果がここにあるということを指摘しておきたいと思うんです。

 その上で、先ほど坂口大臣が問題にしていました給付の水準の問題です。今度の給付の問題でいいますと、保険料が上がるんだから給付の水準も上げてもらいたいというのが人情です。そうすると、今度の法案では給付水準は上がることがあるんですか。

坂口国務大臣 現在の少子高齢社会、これからどんどん人口は減ってくるわけですから、そこのところを抜きにして年金の将来は語れないわけですね。だから、それは掛金の方も上がりますけれども、給付の方も徐々に下がってくる。それは同じ人数でいくのならばそんなことになりませんけれども、これは払う人の数が減るんですから、どれだけそれは頑張りましても、給付の方が若干減ることはやむを得ない。

 しかし、減り過ぎないようにどうするかということで最低五〇%は確保をする。それで五〇・一%というふうに今設定をしたわけでございますが、とにかく最低限のところを確保して、そして、みんなでどういうふうに助け合うか、こういうことになってくるわけでありまして、負担を下げて給付を上げる方法があるんだったら共産党からお示しいただきたいと思います。

山口(富)委員 私たちは対案は示しておりますよ。これは、国庫負担の問題でも二分の一に引き上げる財源の問題、年金の支え手をふやす問題、年金の積立金の活用の問題、これまでもたびたびこの場で議論してまいりました。

 しかし、今、坂口大臣がお認めになりましたように、今度の政府案は、年金の給付水準が上がることは絶対にないんです。必ず下がる。しかも、年金の支え手が少子化問題があって減るというお話がありましたが、それに手を打つと同時に、今問題になっているのは、私はやはり、大企業がリストラや賃下げを問題にしている、その方針を掲げ、現実に実行しているというところが大変大きな問題だというふうに思うんです。

 それで、解雇、リストラ、青年の就職難というのは年金制度に対しては支え手を減らしてしまうという形であらわれてくるわけですけれども、この点は総理に全体の判断ですからお尋ねしておきますが、リストラや賃下げ方針に歯どめをかけなければ年金の給付水準というのは下がりっ放しになるんじゃないですか。

坂口国務大臣 先ほども申しましたとおり、これから少子高齢社会の中で、負担はやはり徐々に上げていただく以外にない。そして、給付の方は徐々に下げていただく。しかし、そこは全体として、中福祉・中負担と申しますか、余りにも高くなり過ぎないように、そして、下がり過ぎないようにというふうにしていく以外にありません。

 そうした中でこの年金制度はでき上がっているわけでありまして、これを逆の方向を向けようといいましても、それは現在の人口構成の中ではでき得ないということを先ほどから申し上げているわけであります。

山口(富)委員 同じ説明の繰り返しなんですが、私がお尋ねしたのは、今の解雇、リストラ、賃下げのその方向を放置したままでどうなっちゃうんだ、年金水準が下がりっ放しになるじゃないか、そこを聞いているんです。

坂口国務大臣 確かに、現在、解雇がありました、リストラがありました、そういう事実があることは事実でございますが、これは経済の動向と関係するわけでありまして、いつまでもこれが続くというわけではありません。

 また、これから働く人の数がやや減ってくるわけでありますから、実質賃金がそれほど下がっていくとは私は思っておりません。これは中期的に見ましても、その辺のところは回復していくというふうに理解をいたしております。

 現在はそういうことがあったとしても、ここがこのまま続くというふうには思っておりません。

山口(富)委員 私が指摘したいのは、単なる経済の動向にとどまらないんですよ。これはやはり、雇用を抱えている大きな部隊が賃金を下げることですとか新規採用を抑制するという方向をはっきりとっているわけですから。そして、この間の資料を見ましても、例えば青年の失業率では改善の兆しが全くない。十五歳から十九歳で一五・二%、二十から二十四歳で一〇・五%、これは二〇〇二年度の、一番新しい年度の数字ですけれども。これは、長期的に見ましたら、年金を支える、支えようとしている方々が今大変な目に遭っているわけですから、ここへきちんと目を向けて対応することが必要だ。

 ところが、今のお話ですと、この政府の年金関連の法案の立場だけをとると、結局、そういう動向というのは外側の問題になって、年金給付の水準はマイナス調整をずっとしていくということに結論としてならざるを得ないと私は思うんです。

 次に進みますけれども、お尋ねしたいのは、先ほどから繰り返している、厚生年金の例の五〇%の水準という問題なんです。

 厚生労働省が、今回、「年金制度改正における給付と負担の見直し」という文書を出しておりますが、この中で、これの五ページ目に当たりますけれども、なぜそういう見直しを出せるんだというところで、「長期的な二〇〇九年度以降の経済前提」というのがあるんですね。こういう数字が挙がっています。賃金上昇率二・一%、物価上昇率一・〇%、運用利回り三・二%。一体、こういう数字が、確かに百年間今後、経済的前提として確保される保証はあるんですか。

坂口国務大臣 実質賃金で示しているというふうに思います。実質賃金一%以上というのを示しているというふうに思いますが、それともう一つ大きな要因は少子化でありまして、合計特殊出生率一・三九というのももう一つある。(山口(富)委員「経済前提の話をしているんです」と呼ぶ)だから、経済前提としましては、実質賃金を一・〇%確保していくということを前提にして計算をしているということでございます。

 それは、百年先にどうなるかと言われましてもなかなか答えにくいですけれども、しかし、そういう方向に向かってこれは努力をしなきゃならない、実現するような政策目標を掲げていかなければならないということだと思います。

山口(富)委員 百年先のことを言えないという話でしたが、あなた方は百年安心だと言っているんですよ。それさえきちんと答えられないというのは、私はひどい話だと思うんです。

 では、ここ数年の話で、小泉内閣のもとでこの間どうなっていたのか。そうしますと、この三年間ですけれども、賃金は三年間減りっ放し、物価は下がりっ放し、運用利回りは大きく変動していますよ。この経過を見ただけでも、私は、総理、二〇〇九年度以降、こういう経済前提を設けて、これで安心できるなんということはとても言えないと思うんです。この点、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 こういう厳しい状況を乗り越えてようやく明るい兆しが見えてきましたので、さらに前進させるように、社会保障、年金、医療、介護等、世界に冠たるこの制度を持続可能な制度にしていかなきゃならないと思っております。

山口(富)委員 いや、全く答えになっていないと私は思いますね。

 もう一つ、私は問いたいのは、経済前提が全く保証がないだけじゃなくて、そのやり方が問題なんですね。

 今、公的年金制度というのは、一番新しい数字で見ましても七千万人を超える方々が加入しております。そういう国民的な制度です。ですから、当然、ここに国会が国権の最高機関として関与することが大事なんですけれども、今度の政府の提案ですと、国会の審議なしに保険料の値上げや給付水準の切り下げというのをできると。法律案の要綱を見ますと、自動的な調整なんだという言葉も出てまいりますが、一体、国民にとってこれだけ大事な制度を国会の審議抜きに決めていいんですか。この点を私はまず総理に問いたいと思います。

坂口国務大臣 今までは五年ずつやっていたんですが、五年ずつやって、そう五年ずつ変えるというようなことではいけないというから、長期的な展望の中でどういうふうに見ていくかということを決めていただいたわけで、したがって、それは長期の中で今後見させていただくということであります。したがいまして、それを長期的な展望の中で今回お示ししているということでございます。

山口(富)委員 五年ごととおっしゃいましたけれども、この間の五年ごとの見直しというのは全部狂っていたんですよ。しかも、今度の法律ですと、この五年というのはあくまで政府部内の検討じゃないですか。国会の審議を外すというところには全く関係ないことですよ。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 これから国会で本格的な審議するわけでしょう。五年ごとにくるくる変えちゃいかぬ、長期的に見なさいと。これからも、将来どのように高齢化が進んでも、やはり六〇%は無理だけれども、平均年収の五〇%程度は維持しましょうと。年金を受ける方も安心するでしょう、わかれば。保険料を負担する人、どんどん減っていく。若い人も、このままどんどんいったら二〇%以上ふえちゃいますよ、これは無理でしょう、一八・三%上限、ここに抑えておきましょうと。保険料負担する人も、ああそうかと。

 私は、より長期的な視野から、こういうことをこれから国会でじっくりと各党で議論するわけですから、それで、どのような民間保険よりも公的年金、一番安全ですよ、有利ですよということをやはり理解してもらわなきゃいかぬ。有利というよりも、支え合う、保険料を負担している人も、いずれ自分は年金を受ける身だなと、年金を受けている方々も、ああ、おれたちの子供たちが負担してくれているのかと思ってもらわないと、給付は多ければ多いほどいい、負担は低ければ低いほどいいと思っちゃいますから、それはよくバランスを見て考えてもらう。

 そして、保険料給付だけでできないから、税金を毎年、ことしも五兆円以上、毎年税金投入しているんですから。これはもう高齢者がふえればふえるほどふえてくるんですよ。だから、これだけ税金投入している、防衛費以上に投入しているんですから、不利なわけないんですよ。しっかりした、安定したものにしていこうと。

山口(富)委員 これは、私は、徹底的に国会で審議したいと思います。

 保険料の値上げ、給付水準の切り下げを国会の審議を抜きで自動的に決めることなんて許されない、百年の安心なんかここにない、このことを厳しく申し上げて、質問を終わります。

笹川委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本でございます。

 国務大臣の皆さんには初めてお目にかかります。昨年の十月の初めに、コンバインに乗って稲刈りをしておったところを突然の立候補要請を受けまして、この場に立つことになりました。秋田県出身であります。よろしくお願いします。

 まず、食糧の安定供給についてお尋ねいたします。

 BSEの発生に伴ってアメリカからの牛肉がストップをして五十日という中で、ついに大手の外食産業で牛どんが出なくなりました。そして、鳥インフルエンザ発生につきましても、輸入停止の事態が相次いでおります。牛肉とかあるいは豚肉の小売価格、これについても影響を与えてきているという現状であります。

 米につきましても、昨年は十年ぶりの冷害でありました。幸いに、今回は、政府の備蓄ということがありまして、十年前のような供給不足は回避をされましたが、十年前の冷害のときには、東北の米どころでありますけれども、私の友人は東京から米を送ってもらったというふうなこともあったわけでございます。

 カロリーベースで四〇%しかない我が国の食糧自給率、これが輸入先のアクシデントや国内の天候不順によって食糧の安定供給に常に危うさをはらんでいる、こういう現状について、総理並びに農水大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 食の安全につきましては、多くの国民が心配しております。この食糧の安定供給に対しまして、日本の農業全体、貿易全体を考えていろいろ改革を進めていかなきゃなりませんが、現在のBSEとか鳥インフルエンザとか、そういう問題もございます。

 こういう問題につきましても、いかに今世界が狭くなっているか、世界市場を見ながら、日本の食の安全と食糧供給に対しましては不断の見直しが必要だと思いまして、新しい時代にふさわしい農業政策というもの、食糧政策というものはどうあるべきか、今農水大臣のもとで精力的な改革を進めているところでありますので、今後とも、国民に対しまして、しっかりとした安定供給の道を確固たるものにしていかなきゃならないと思っております。

亀井国務大臣 もう御承知のとおり、我が国は、人口一億二千万人、そしてさらに農地面積も四百七十六万ヘクタール、こういうことでございますので、国民の必要とするすべての食糧を我が国で供給するということにつきましては、困難であるわけであります。

 そういう中で、食生活の変化、多様化、こういう点から、カロリーベースで、先ほども御指摘がありましたとおり自給率四〇%、こういうようなことであります。

 栄養バランスの崩れから生活習慣病、こういうことも社会問題化しているわけでありまして、今般のBSEの問題あるいは鳥インフルエンザの問題、食の安全、安心にかかわる問題が発生しておるわけでありまして、改めて、国民への安全で安心な食糧の安定供給や、食糧の自給率の向上に向けた取り組みの重要性を認識しておるわけでもございます。

 したがって、今後とも、食糧の自給率を図るために、食生活の大切さを教える食育の推進に向けた国民的な運動の展開、また米政策改革の着実な推進を初め、農地や担い手の確保と技術の開発普及、そして意欲と能力のある担い手が大宗を占める農業の構造の確立、そしてさらに消費と生産両面からの取り組みを推進してまいりたい、このように考えております。

山本(喜)委員 今、自給率の向上を含めて改革を進めていくということでございましたけれども、この農水省で取り組んだアンケート、二月四日にマスコミで報道されましたが、「食料自給率目標に関する意識・意向調査結果」ということでございますけれども、多くの国民が日本の食糧供給に不安を感じているということが、これで明らかになっているわけです。消費者の八四・九%が、食糧自給率を大幅に引き上げるべきだというふうに回答しているわけでございます。

 このアンケートは、アメリカのBSE発生や鳥インフルエンザの発生の前に取り組まれた数字でございます。ですから、今取り組めば、さらにもっと大きな不安というものが数字で出されてくると思います。

 そうしたときに、政府は自給率の向上と言っておるわけですが、先般、昨年の十月、バンコクにおいて小泉総理の鎖国発言というのは、これはどういう真意なのか、お尋ねしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日本は、現在は、もう自給自足体制は一国だけでとることはできない状況です。これは食糧を見ても、じゃ、えさをどこから持ってくるのか、えさのみならず、トラクター等、エネルギー、油、どうするのか、こういうことを見ても、一国で自給自足体制はできないんですね。やはり世界の市場を見ながら、食糧についても輸入しないと、国民に対して安定した供給はできない。

 輸入すると、国内で農産物をつくっている方々、これは苦労が多い。しかし、値段は安い、天候を相手にする、思ったように作物も上がらない、ふえ過ぎれば買いたたかれる、減れば減ったで、高いんだどうだとまたいろいろ言われる。外国から輸入しよう、外国の輸入農産物に比べればとても価格の面では競争できない、そういう点がありますが、やはり日本の市場というものを全体、国民の食糧ということを考えると、ある程度農産物にしても輸入せざるを得ない。

 そういうときに、輸入阻止ばかりではもういられません、日本の農産物は輸入から守るということだけを考えるんじゃなくて、輸出というものを視野に入れたらどうかと。農産物と工業製品とは全く違いますけれども、今、国民の嗜好が多様化している。安ければ安いほどいいと言って買う人もたくさんいるが、同時に、多少高くてもうまければ買うという人もいる。これは外国でもいるんですね。

 そういうことから、私は、輸入阻止ということだけでなくて、日本独自の付加価値の高い農産物も、輸出できないとあきらめるんじゃなくて、輸出できるものはして、日本の農家、やる気のある農家は支援していこう。そして、これからある程度外国の農産物も入れる状況に対して、阻止するだけじゃなくて、その競争に太刀打ちできるような農家の改革、あるいは農業政策の改善、そういうものを進めて、一定量、ある程度、やはり四〇%以上は自給率を確保したいという方向に何とか持っていけないかということが、私は、もう農業だけ鎖国すれば済むものじゃないという発言になったわけで、どんどんどんどん、日本の農業関係なく、安いから外国の農産物を入れろということとは全く違うんです。やはり農業の面においても改革が必要だと。

 現に、先ほど申し上げましたように、日本の農産物も、高くても買おうという外国も出てきておりますし、それから、すしが売れているせいか、最近は日本のしょうゆが欲しいと、しょうゆも今輸出に転じている。それから、スナックだって、アメリカのスナックだけじゃない。柿の種だって、アメリカ人が日本のスナックがおいしいと言って、輸出に転じているというんですから、余りそんなに悲観的にならないで、輸出できるものは農産物でも何でもしよう、そういう意欲が私は大事だと思っております。

山本(喜)委員 いや、何も自給自足をすればいいということを言っているわけではないんですよ。言われるとおり、構造改革というのは必要なわけですが、現実の農村の実態をどういうふうに見ておられるのかということであります。

 そこで、新しい食料・農業・農村基本計画というものの考え方についてお伺いします。

 総理が言われた農業の分野の構造改革、あるいは海外との競争条件の整備ということで、今改革が進められているわけでございますけれども、プロ農業経営者の育成とか、さまざまな担い手の参入というのを言っておるわけですが、現実のところ、認定農業者制度がスタートして十年たちました。私も認定農業者ですけれども、現実は、担い手に対する農地の集積が進んでいないというのが、農水省の結果、出ていますね。規模拡大が困難な理由として、米価の低迷、転作面積が増加させられている、あるいは農業の先行き不透明という点を、農業者がそういう点を挙げているわけです。

 こういう実態がある中で、やれ規模拡大だ、プロの育成だというふうに声をかけても、果たして実態にそぐわっていないわけですよ。輸出すればいいとか言いますけれども、国内農業の全体の底上げをどう図るのかということで、農水大臣にお伺いします。

亀井国務大臣 今総理からもお話がありましたが、基本計画の見直しを今進めておりまして、食料・農業・農村政策審議会企画部会におきまして精力的に今その作業をしていただいておるわけでもございます。

 そういう中で、やはり担い手、やる気と能力のある経営者の後押し、あるいはまたプロ、専業と申しますか、そういう人たち、あるいはまた環境、水の問題等々含めて考えていかなければならないわけであります。

 また、そういう中で、効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担う農業構造を確立してまいる、このことを考えておるわけでありまして、必要な農地の確保を図らなければならないわけであります。そのためには、効率的でかつ安定的な経営体、そういう面での農地の利用集積、あるいは基盤整備事業の実施であるとか、あるいは中山間地域における農業生産条件の不利を補正するための直接支払いの実施等、これらを推進してまいりたい。

 とりあえず、この基本計画の見直しの中で、いろいろ幅広く御意見を、また実際の対応、こういうものをも十二分に見きわめて、その対応を図ってまいりたい、このように考えております。

山本(喜)委員 今大臣の方から、必要な農地の確保というようなことは言われておるわけですが、先ほど来申し上げているんですが、耕作放棄地が実際どんどんふえているというこの現実ですね。

 平成十四年の食料・農業・農村白書の五年間のデータ、耕されなくなった田んぼが一・五倍の六万ヘクタール、畑は一万二千ヘクタールふえて六万六千ヘクタール、合計十二万六千五百ヘクタールの耕作放棄地になっているということでございます。

 新たな基本計画で目指すところのプロ農業者、国が支援をしていく対象でありますけれども、これになるためには高いハードルが必要だ、ハードルを設けているということでございました。このハードルを越えられない農家、特に中山間地が大変心配なわけですけれども、こうしたところは、ハードルを越えられないために離農者がどんどんふえていく結果になりはしないのか。今後の耕作放棄地がさらにふえるということについての見通し、これはどうなっているのか。

亀井国務大臣 私どももその面での心配は多分に持っておるわけでありまして、中山間地域におきましては、先ほども申し上げましたが、今日、直接支払いの制度も持っておるわけでありますが、さらには耕作放棄地の問題、これらの問題につきましても幅広く御意見を承りまして、そして農地制度の見直し等、賃貸の問題等々につきましても、いろいろ御議論をいただきまして、その対応をしてまいりたい、このように考えております。

山本(喜)委員 次に、森林・林業、環境問題についてお伺いしたいと思います。

 二十一世紀は環境の世紀とも言われておりますが、森林・林業の多面的機能、とりわけ環境に果たす役割はますます大きくなっていると思います。特に、温暖化ガスの吸収源として森林の果たす役割が注目されておるわけであります。

 政府は、京都議定書で温室効果ガスの六%削減という目標を達成するために、森林による吸収目標を三・九%に設定しました。この森林整備に対する現状の財政措置で、果たして目標値が達成できるのかどうか。この農水省のパンフレットでは、ピッチを上げないと間に合わないというふうに書かれているわけです。これについての政府の見通しをお尋ねしたいと思います。

亀井国務大臣 御指摘のとおり、六%、そしてさらには三・九%、これを確保するためには大変厳しい状況下であるわけでありまして、平成十四年度に策定いたしました地球温暖化防止森林吸収源十カ年計画、これに基づきまして、健全な森の整備と保安林等の適切な管理・保全、あるいは木材及び木質バイオマス利用の推進、これら関係府省と連携をしていろいろ進めていかなければならない、こう思っております。

 この議定書の約束期間終了まで十年間を三つのステップに区分いたしまして、ステップごとにその進捗状況について評価、見直しをいたしまして、ステップ・アンド・ステップ、この考え方で進めてまいりたい、このように考えております。

 この十カ年対策の着実な推進を図るためには、一般財源はもとより、新たな税財源の確保についてもやはりいろいろ取り組んでいかなければならないのではなかろうか、この必要があるのではなかろうか。私ども、いろいろ議論もいたしておりまして、温暖化対策税が導入された場合、その税収が森林整備等に活用されるよう積極的に対応してまいりたい、このように考えております。

山本(喜)委員 時間がないので、最後に、総務大臣に三位一体改革についてお伺いします。

 この三位一体は、財政改革、地方分権ということで進められたはずでありますが、今出された結果は、国の赤字を地方に押しつけるものでしかなかったというふうな結果になっているわけでございます。東北のある村長さんは、三位一体と言うが、ホッケの三枚おろしだ、身のところは都会の人たちが食べて田舎には骨しか回ってこない、だしにもならないと言われたのを記憶しておるわけでございます。

 多くの自治体で、新年度予算を組むのを大変苦労しております。私学助成のカット、あるいは水道料金の値上げというふうなことも含めて、住民生活にも影響を与えるような今の現状にあるわけであります。こうした現状。そして、合併をしろといっても、任意までは行きましたが、結局は決裂して、不本意ながら自立の道を歩まなければならない自治体もいっぱいあるわけでございます。

 そうした地方自治体に対する思いやり、これをどう考えていくのか、お願いしたいと思います。

 これで終わります。

麻生国務大臣 ホッケの三枚おろしの想像がちょっとつかないので大変恐縮なんですが、今、山本先生のところに行っておられる町長さんの話をもう一回ちょっと整理させていただくと、多分、今回の例の一兆円の補助金を大幅に減らして、そのかわりに来た分のいわゆる自由に使える地方税というものは四千億ちょい、減らされた方は五千五百億、したがって全然足りなくなった、それが一点。もう一点は、補助金のかわりに、そこを全部切りかえた、例えば保育園、それから義務教育費というのを振りかえたけれども、その分は、今までもらっていた分より、今度もらった方が、人口が多分少ないところだから、人口が少なくなっておるという点。多分、その二点が一番大きなところなんだと思います。

 まず、その二点目の方から申し上げさせていただければ、今までもらっていた義務教育の金とかそういった金で減らされた分より、今度来た助成、いわゆる税金、地方税、住民税の方が少なかった場合、今まではこれだけ来ていたのがこれだけ来た、この差額については交付税で埋めます。したがって、その問題は、御心配ないようにその町長さんに、少なくとも一枚は大丈夫、三枚の分のうち一枚はまだそれで大丈夫と。

 次に、もう一点の五千五百億の件につきましては、これはある程度自分でも努力をしていただかないかぬところなんですが、少なくとも、これはスリム化をみんなやっておるわけなので、そこのところは努力をしていただかないけませんが、これもやっていただいて、それでも足らぬというところは、地方再生債とか、いろいろな形で、多分通達がそこに行っていると思います。それで、それでもなおかつ本当に足りないということであれば、地方再生債等々、いろいろ、これはもう一律にやれというのは無理です。これはもう、地域、三千百七十市町村、全部内容が違いますので、そこの内容は個別に、これでやりますということは申し上げられないので、そういった資料を私どもに見せていただければ、おたく、これはもっとへずれるでしょうが、おたくのところはほかのところよりこれだけ物すごい高いでしょうが、これ、どうですというのは、これは全部資料もありますので、それでもなおかつ本当に足りないということであれば、そのところはきちんと対応させていただきますので、ぜひおいでいただければと。

笹川委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十六日午前九時から委員会を開会し、一般的質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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