衆議院

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第12号 平成16年2月18日(水曜日)

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平成十六年二月十八日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 笹川  堯君

   理事 大野 功統君 理事 北村 直人君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 松岡 利勝君 理事 玄葉光一郎君

   理事 筒井 信隆君 理事 細川 律夫君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    植竹 繁雄君

      小野寺五典君    尾身 幸次君

      大島 理森君    加藤 勝信君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      小杉  隆君    近藤 基彦君

      鈴木 俊一君    滝   実君

      竹下  亘君    玉沢徳一郎君

      中馬 弘毅君    津島 恭一君

      津島 雄二君    中山 成彬君

      丹羽 雄哉君    西川 京子君

      萩野 浩基君    蓮実  進君

      二田 孝治君    古川 禎久君

      町村 信孝君    五十嵐文彦君

      井上 和雄君    池田 元久君

      石田 勝之君    泉  健太君

      生方 幸夫君    海江田万里君

      木下  厚君    吉良 州司君

      小泉 俊明君    小林 憲司君

      小宮山泰子君    小宮山洋子君

      鮫島 宗明君    首藤 信彦君

      田嶋  要君    達増 拓也君

      津村 啓介君    中津川博郷君

      西村智奈美君    橋本 清仁君

      鉢呂 吉雄君    平岡 秀夫君

      藤井 裕久君    古川 元久君

      松原  仁君    山田 正彦君

      吉田  泉君    若井 康彦君

      石田 祝稔君    遠藤 乙彦君

      高木 陽介君    佐々木憲昭君

      高橋千鶴子君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         野沢 太三君

   外務大臣         川口 順子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       河村 建夫君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 茂木 敏充君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣

   (構造改革特区担当)   金子 一義君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣        山本 有二君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   経済産業副大臣      泉  信也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   法務大臣政務官      中野  清君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (司法制度改革推進本部事務局長)         山崎  潮君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            名取はにわ君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    五味 廣文君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       遠藤  明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   参考人

   (株式会社東京証券取引所代表取締役専務)     吉野 貞雄君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  松田  昇君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    武藤 敏郎君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  鈴木 俊一君     近藤 基彦君

  津島 雄二君     津島 恭一君

  中山 成彬君     古川 禎久君

  西川 京子君     竹下  亘君

  萩野 浩基君     小野寺五典君

  井上 和雄君     泉  健太君

  海江田万里君     五十嵐文彦君

  河村たかし君     小林 憲司君

  木下  厚君     津村 啓介君

  鮫島 宗明君     松原  仁君

  首藤 信彦君     小宮山洋子君

  平岡 秀夫君     小宮山泰子君

  佐々木憲昭君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     萩野 浩基君

  近藤 基彦君     鈴木 俊一君

  竹下  亘君     西川 京子君

  津島 恭一君     加藤 勝信君

  古川 禎久君     中山 成彬君

  五十嵐文彦君     海江田万里君

  泉  健太君     橋本 清仁君

  小林 憲司君     古川 元久君

  小宮山泰子君     平岡 秀夫君

  小宮山洋子君     首藤 信彦君

  津村 啓介君     西村智奈美君

  松原  仁君     山田 正彦君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     津島 雄二君

  西村智奈美君     木下  厚君

  橋本 清仁君     井上 和雄君

  古川 元久君     田嶋  要君

  山田 正彦君     鮫島 宗明君

同日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     若井 康彦君

同日

 辞任         補欠選任

  若井 康彦君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田  泉君     河村たかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算、平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、内閣府男女共同参画局長名取はにわ君、警察庁刑事局長栗本英雄君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛施設庁長官山中昭栄君、金融庁総務企画局長増井喜一郎君、金融庁検査局長佐藤隆文君、金融庁監督局長五味廣文君、消防庁長官林省吾君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長樋渡利秋君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長遠藤明君、厚生労働省職業安定局長青木功君及び農林水産省消費・安全局長中川坦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。

小杉委員 おはようございます。連日、御苦労さまです。

 まず、サマータイムの導入についてお話しします。

 私たちは、今、経済、雇用、地球環境、少子高齢化、児童虐待など子供をめぐる諸問題など、多くの課題を抱えています。これまでの仕組みを抜本的に改革し、新しい時代にふさわしいシステム、それも、自然と人がともに輝き、ともに幸せになれる暮らしや産業、社会のルールを創造することが求められています。

 大事なことは、私たち一人一人が新しい自分自身のライフスタイルを目指すことであり、このライフスタイルの改革の起爆剤として非常に有効ではないかと思うのがサマータイムの導入であります。

 御存じのとおり、サマータイムは、四月から九月までの間に夏時間を設定して、なるべく明るい時間帯に生活時間を合わせて暮らす提案です。

 江戸時代には、不定時制といいまして、日の出から日の入りまでを六等分して、その一つを一刻と呼んでおりました。したがって、季節によって一刻の長さが二時間になったり一時間半になったりということがあったわけであります。つまり、ほんの百五十年ほど前までは、私たちの祖先は自然の摂理にのっとった生活をしていたことになります。

 現在では、時計が、一時間の長さが変わることなく普及しておりますけれども、そこは人間の知恵で、季節を二つに分けて日照時間に合わせて生活しようということになったのであります。これがサマータイムあるいはデーライト・セービング・タイム、つまり、日中をできるだけ有効に使おう、こういう方法です。

 現在、総務省の独立行政法人の通信総合研究所が担当していると思いますけれども、福島県と佐賀県のアンテナから日本標準時を発信しておりまして、これを受けて自動的に時刻を正しく修正する電波時計というのが普及しつつあります。年二回の時刻合わせが面倒だという指摘がありますが、このシステムの普及で解決されるというふうに考えております。あるいはまた、いろいろな電気を組み込んだ機器も、あらかじめ組み込んでおくことも可能です。

 さて、ここで、過去のサマータイムについての経緯を申し上げたいと思います。

 日本では、昭和二十三年に、GHQの指令によって夏時刻法が制定されました。恐らく、委員長や坂口厚生労働大臣は経験があるかと思います。ほかの方もあるかと思いますが。このサマータイムは、二十三年から二十六年の四シーズン、実施されました。

 当時の資料をいろいろ調べてみますと、当初は労働時間も減少して家族との触れ合いもふえたという報告があります。つまり、当初はうまくいっていたんですけれども、その後、昭和二十五年に朝鮮動乱が起こり、世に言う朝鮮特需で工場はフル回転という状況になりました。すると、サマータイムで夏場は早く出勤する、残業、残業で夜遅くまで働く、生活のリズムは狂いっ放しという惨たんたる状況になりました。

 恐らく、経験のある方は今でも、あの当時、非常に寝不足だったなということを思っていると思いますし、私自身もそのトラウマから解放されませんでしたけれども、しかし、今、時代がかなり変わってまいっております。

 そして、その当時、昭和二十七年に電力事情が好転したこともあり、このサマータイム制度というのは廃止が行われたわけです。この廃止法案は議員立法でしたが、非常にこれが因縁だなと思うのは、今サマータイムの導入の先頭に立っておられる中曽根弘文さん、川崎二郎さんの父親であった中曽根康弘先生、川崎秀二先生がその廃止法案の提案者であった。こういう不思議な因縁を持っております。

 そこで、最近、このサマータイム制度を実際にやってみよう、議論してばかりいたのではなかなからちが明かないということで、滋賀県では、昨年の夏に、独自にサマータイム制度の実証研究というのを行いました。きょう、お手元に資料が配ってあると思いますけれども、これは、実際にサマータイムを体験することによって、サマータイムの及ぼす効果、影響、問題点を探り、考えてみようというものであります。

 どんな実験をやったかと簡単に言いますと、滋賀県庁の職員三千七百七十五名のうち四九・五%に当たる千八百六十七名、約半分ですが、昨年の七月七日の七夕から八月三十一日までの八週間、全然参加しない人もいれば、八週間フルに実行した人もいますけれども、大体一時間あるいは三十分早出して、その分早く退庁するという実験をやったわけです。

 県庁の仕事ですから、県民サービスはとめられない。朝八時半から夕方五時十五分までは窓口や各課の県民対応があって、正規の時間帯を勝手に動かすわけにはいかない。したがって、全員がやれば照明器具やエアコンのスイッチを切って省エネ効果も調査できたんですが、残念ながら、今回、これはできませんでした。仕事の割り振りなど、いろいろ御苦労もあったようですが、短い人で二週間、最大八週間にわたって自主的なサマータイムをやってみたということです。

 体験してみた結果をアンケート調査した報告書がありますが、私は注目すべき点が二点あったと思います。

 まず、サマータイムを導入することについて賛否を聞きましたら、全然参加しなかった方は、「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人が三四・二%しかいない。逆に、「反対」あるいは「どちらかといえば反対」という人が五四・六%もおります。

 ところが、サマータイム実験に参加した人たちは、実施期間が二週間より四週間、さらに八週間と延びるほど、確実に「賛成」がふえています。二週間だけ経験した人では、賛成派が四七・七%と一三%もふえる。四週間経験者は、賛成派が五五・四%、五割を超えます。そして、八週間丸々参加した人たちでは、六五・九%が賛成派となり、反対派は二一・七%と半分以下に下がっています。

 これらの結果を一言で言いますと、やってみたらよかったというのが率直な結論です。

 もう一つ、いつもより夏場一時間早く職場を出て何をしたかという答えに注目していただきたいと思います。

 四分の一から三分の一の人が「家族とのふれあい・家事」これは育児や介護を含みますが、と答えています。すなわち、サマータイム制度は、省エネや事故防止、犯罪防止の効果もあるが、何よりも、現代私たちが必要としている家族との触れ合いの機会をふやす効果があるということが言えると思います。

 サマータイムの効果については、いろいろ言われております。

 現在、欧米など世界の七十カ国を超える国でサマータイムが導入されています。OECD加盟国、二十四カ国だったと思いますが、その中で実施していないのはアイスランド、韓国、そして我が国だけという状況です。

 多くの国がやっている理由は何だろうと調べてみますと、実施している欧米諸国では、省エネルギー、環境保護の観点に加えて、労働生産性の向上、交通事故の防止、交通渋滞の緩和、犯罪の防止などを理由に挙げています。

 日本でもこうした必要性は大いにあると考えております。

 一昨年、我が国の交通事故による死者数は八千三百二十六人で、過去最悪だった七〇年の一万六千七百六十五人から半減しておりますが、政府はさらに今後十年間で死者数を半減する目標を掲げておりますが、その意味からも、交通事故の防止、減少の効果があるサマータイム導入にもっと熱心であるべきだと思います。

 また、勤務時間後の有効利用、つまりアフターファイブの過ごし方ですけれども、レクリエーションや戸外活動のための時間を増加させることによって、屋外スポーツの振興、観光や文化やレジャーの振興にも効果があると指摘しております。

 そこで、まず文部科学大臣に伺いますが、サマータイムは、この滋賀県での実験でもおわかりのとおり、家庭での語らいとか地域社会への参加、ボランティア活動や生涯学習、スポーツ、文化芸術活動などの機会を増大させ、質の高い国民生活を実現し、心身ともに健全な育成、そして地域の活性化にも資するということにつながっていくと思いますが、文部大臣の所見はいかがでしょうか。

河村国務大臣 このサマータイム、デーライト・セービング・タイムと言うんですか、時間を有効に、節約して有効に使おうというこの考え方は基本的に私も賛成をいたして、これまで一緒にそういう議連の活動にも参加してまいりましたが、特に今、教育界で問題になっておりますのは、家庭の教育力の低下のことが大きな問題になっておりまして、そういう意味での、家庭での語らい等の時間がふえるという結果も出ておりますから、この時間を活用するということは大変結構なことではないか、こう思っております。

 また、ボランティア活動への参加、それから、生涯学習、スポーツ、文化活動、特に問題になるとすれば、子供たちが早く帰ってくる、この時間をもっと――塾に行く時間をふやすだけではないか、こういう御指摘もある。まあ塾に行くのはまだいいとしても、その間、どこかうろついてしまうというようなこともある。

 そのために、今、子供の居場所づくりということも真剣に考えておりまして、大人が一緒になって子供たちと遊んでやる、スポーツをやる、文化芸術に参加させる、こういう機会を今つくりたい、こう思っておりますので、こういう時間がもっと活用できる、こういう意味もあろうと思っておりまして、昔から早起きは三文の徳、こうも言っておりますが、ぜひこういう形で進めばと思っておりますので、広く国民の間で議論されることを望んでおります。

小杉委員 子供の居場所をつくり出すということは大事だと思います。

 次に、国土交通大臣に伺いますが、政府はビジット・ジャパン・キャンペーンを打ち出して、二〇一〇年には海外からの観光客を倍増させようということを計画しております。海外からの観光客だけでなくて、国内の観光客にとっても、明るい時間がふえれば観光振興全体に寄与するというふうに私は考えておりますが、国土交通大臣の御所見はいかがでしょうか。

石原国務大臣 ただいま小杉委員が御指摘されましたように、政府の重要課題として、観光立国、そしてビジット・ジャパン・キャンペーン、二〇一〇年に一千万人の方に海外から日本を訪ねていただこう。今、海外から一番日本を訪ねてくださっている国は、韓国、台湾、アメリカ、中国、香港という順でございます。

 私も韓国の方、招聘に行ってまいりましたが、そこでお話を聞きますと、やはり韓国の方々の観光スポットとして人気があるのは、九州あるいは北海道、こちらでゴルフをして温泉に入る、冬場ですとスキーをする、紅葉の季節ですと紅葉を見ながらゴルフをして温泉をする。ゴルフが大変好きだということでございまして、サマータイムが導入されますと日没が遅くなるわけでございますから、着いた日にもワンラウンド、プレーできる。こういうことは海外のお客様にとりましてもプラスでございます。

 国内産業におきましても、これは大変すそ野の広い産業でございますし、国民の皆様方が余った余暇を家庭で過ごされる、あるいは家族連れでドライブに行かれる、あるいはクルージングに行かれる、近郊の産業というものも大きく発展して、国内産業、関連産業に大きな好影響が出るものではないかと推察をしているところでございます。

小杉委員 特に近隣諸国からの観光客にとっては、今言われたように、メリットが非常に多いと思いますから。

 それから、戦後やめた最大の原因は、労働強化につながるという労働組合からの物すごい反対があったわけです。一般の国民からも反対があったんですが、最近は大分様子が変わってきまして、金属労協が定期大会で、サマータイム導入に関する考え方を発表しまして、サマータイム導入の提案を行っております。労働組合はむしろサマータイムによって需要拡大の好機ととらえ、雇用の拡大にもつながるということだと考えているようです。

 そして、民間のサマータイム導入を推進している生活構造改革フォーラム、これは社会経済生産性本部が旗振り役ですが、これには経済界も労働界も参加しておられます。民間の茅陽一慶応大学教授とか木元教子さんなども中心になってやっておられるようです。

 ただ、サマータイムを導入するためには、やはり日本の昔からの慣行、つまり、休暇がとりにくいとか、残業が多いとか、通勤時間が長いとかといった労働環境、あるいは長く根づいてきた勤労が美徳であるという国民性、あるいはまた自由時間を積極的に創造し活用することが苦手な日本人の特性、こういったことがあるんですね。したがって、こうしたものを変え、また、意識改革をしていかないと本当の幸せは来ない。

 そこで、これは厚生労働大臣に伺いますが、真にゆとりある、心豊かな社会におけるワークスタイル、勤労生活を構築していくためには、労使双方の意識改革と労働環境の整備、適切な労働時間と業務の管理がなされる仕組みが必要だと思います。これはサマータイムをやるかやらないかにかかわらず大切なことだと思うんですが、大臣の所見を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、このサマータイムは私も経験したことがございますけれども、かなり前の話でございますが、しかし、今の記憶では、その当時、うまくいったような記憶をいたしております。

 ただ、今御指摘をいただきましたように、厚生労働省の関係といたしましては、労働時間が非常に多くなるのではないかという懸念があることも事実でございます。

 しかし、この労働時間の問題は、今も御指摘いただきましたとおりでありまして、サマータイムをするしないの話ではございませんで、それ以前の問題として、やはり労働時間をきちっと守っていく、そうしたことをどう構築していくかということにかかっているというふうに思っておりますから、サマータイムの問題とは別にいたしまして、その労働時間というものにつきましては、しっかりとこれから協議をしていきたいというふうに思っております。

小杉委員 経済産業大臣に伺いますが、サマータイムによっていろいろな経済活性化策になるというその効果を私は期待しております。経済産業大臣はこの点について今まで検討したり評価したことがありますか。もしあれば、その結果をお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 今、小杉委員、冒頭御指摘になりましたように、省エネとか、あるいは経済に与える影響とか、あるいはまた、今、経済の活性化という非常に重要な観点から、この議論というものは私も興味を持っているところでございます。

 そういう中で、プラスの効果としては、例えば、省エネ、あるいはまた余暇時間が長くなる、それによる消費に与えるプラスの効果等がございますし、他方、サマータイムを導入することによるコストのプラスというものも一部あるわけでございます。

 そういう意味で、平成十年に、有識者、産業界から成る国民会議がございまして、そこでの試算は、プラスマイナスございますけれども、マイナスが約一千億円、プラスが九千九百億円という試算が出ております。

 他方、産業構造という観点からは、朝型の産業も一部あるわけで、例えば農業みたいな朝型の産業もありますので、全体としてはそういう数字になっておりますけれども、きめ細かくこれから議論していくことが大事ではないかと思っております。

小杉委員 エネルギーの消費、例えば、こういう照明にしても、冷暖房にしても、やはり日が長くなった方がいいという面もありますし、最近、エネルギー消費とかCO2の排出を考えますと、産業部門よりも民生部門とか運輸部門が非常にふえているわけですね。ですから、そういう面からもこれは効果があると思うので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 最後に、構造改革特区担当大臣に伺うんですが、実は、こうした試みを札幌商工会議所が、サマータイムをやるべきだということで、構造改革特区の第二次提案募集に応募したんですけれども、なかなか担当省庁が決まらないということで進展がなかったと聞いております。先ほどの滋賀県の例でもそうですし、また、こういう自治体で意欲を持ってやろうという場合には、大いにこれを採用してあげるべきだと思うんです。これは本当は官房長官に来ていただければよかったんですが、たまたま今、竹中さん、北海道の、道州制の担当大臣でもありますし、それから金子担当大臣、ちょっと協議をしてぜひ担当を決めてください。そして対応していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

金子国務大臣 御指摘いただきましたとおり、一昨年の十一月の第二回の募集のときに、札幌商工会議所から御提案がありました。各省庁、賛否両論あったようでありますけれども、やはり札幌一カ所の商工会議所、これはサマータイムでありますから一カ所の提案でどうなんだろうか、さまざまな議論があって、かつ、省庁はどこが担当するかという絞り込みが残念ながらできなかったという経緯もあるようであります。

 しかし、おっしゃるように、これから出てまいりますれば、これは真剣に検討、特区担当としては受けとめさせていただきたいと思いますし、竹中大臣もきょうおいでになっていますが、道州制という議論もされておられますようですから、そういう中で御検討いただくというのも一つの方法ではないか。真摯に受けとめさせていただきたいと思っております。

小杉委員 国会の方でも、超党派の議連が近く再編成、スタートする動きが出てきておりますし、自治体でもこれに関心のあるところがふえております。先ほど言ったように、経済界、労働界もかなり、民間団体も含めて機運が高まっておりますので、政府の方も、これは国民主体でやっていきますけれども、やはり政府もそれを受け入れる体制をひとつ考えていただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。

 証券取引所の専務、ありがとうございました。

 この予算委員会におきましても、新生銀行の問題がたびたび取り上げられてまいりました。あす十九日、新生銀行が東証に上場を予定しているわけですけれども、この予算委員会における議論というものが影響があるのかどうか。あるいはまた、審議の中で、例えばサイパンの裁判所で一たん取り下げられたイ・アイ・イ・インターナショナルから新生銀行への訴訟が再開されたとか、あるいは訴訟の結果次第で新生銀行が支払う損害賠償額が約七千億円を超えると記載した米国の弁護士事務所のレターが存在するという指摘がありました。東証はこれまでの議論が上場審査に与える影響についてどう認識しておられるか。

吉野参考人 お答えをいたします。

 まず、私ども東証といたしましては、これまでも、上場申請会社に対しまして、審査基準に照らし、厳正かつ公正な上場審査を行っているというのが現実に姿としてございます。

 新生銀行につきましてもまさに同様でございまして、この考え方にのっとりまして、申請を受け付けて後、新生銀行から提出された各種資料やヒアリングなどを通じまして、上場審査基準、私どもの持っている規則でございますが、その適用状況を確認していくことで上場適格性を判断いたしまして、最終的にはことしの一月の十六日に上場を承認したという経緯がございます。

 その後、一月の二十二日に今回の裁判の件が新聞で報道されて以降、申請会社はもとより、主幹事証券などからも情報を収集してまいりました。

 係争中の事件がある場合に、申請会社から必要な書類の提出を受けるなど、さまざまな資料に基づきまして、訴訟の内容及び今後の見通し並びに申請会社の損益に与える影響などを確認いたしまして、上場適格性に問題がないかどうかを総合的に勘案するという考え方に基づいて審査を行うということにしておりまして、新生銀行につきましても同様の審査を行っております。

 その結果、現時点において、新生銀行の上場適格性に問題はないというふうに判断をいたしております。

 以上、お答えいたしました。

小杉委員 情報開示について伺いたいと思うんですが、今の答弁にもありましたが、投資家保護の対応について、やはり投資者、投資家というのは、情報に基づいて、自己判断、自己責任において買うわけでございますから、情報発信はできるだけ積極的にやるべきものだと思っております。

 既に新生銀行の株式は発売をされまして、それが終了しております。仮にあすまでの間に上場基準に抵触すると判断するに足りる事実が確認されなければ、あす、新生銀行は上場されることになると思います。

 これから情報開示に関して東証はどのようにして消費者保護を図っていくのか、投資家保護を図っていくのか、このことも伺いたいと思います。

吉野参考人 今、情報開示というお話がございました。投資家保護の見地から立ちますと、情報開示、タイムリーディスクロージャーと呼んでおりますが、私ども、これは非常に重要なポイントだというふうな認識でございます。

 一月二十二日に、先ほど申し上げましたとおり事件が発覚した後、二月四日に、訂正目論見書という形で開示がされておりまして、したがいまして、現時点では適切な開示の手続がされておるというふうなことでございまして、今後も、情報の開示につきましては、新生銀行の点につきましても、一般論としてございますが、適時、情報があれば開示をしていただく、こういう姿勢に変わりはございません。

小杉委員 最後に、平成十三年十一月に、東京証券取引所は、それまでの会員組織から株式会社になり、営利企業として利益を追求しつつ取引所としての公的機能を果たしていくということになりました。この二つの側面は必ずしも矛盾するものではありませんが、国内外の市場間競争が激化する中で営利に引きずられるおそれがあるのではないかと危惧する向きもあります。

 国内外の市場間競争の激化によって上場審査が甘くなり、問題企業が上場するおそれがないかどうか、東証の姿勢を伺いたいと思います。

吉野参考人 お答えいたします。

 今の御指摘でございますが、まさにマーケットというのは公正かつ透明性のあるマーケットを構築するというのが一番大きな課題でございまして、それが、公正性を担保することが競争の一番の大きな力になるのではなかろうかというふうなことでございますので、私どもの姿勢としましては、投資家の信頼を得るような東証のブランドといいますか、公正性のあるマーケットづくりということが一番大事なポイントだというふうに、それが競争力の強化につながるというふうな認識でおります。

 以上、お答えいたしました。

小杉委員 終わります。

笹川委員長 これにて小杉君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林憲司君。

小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。

 本日は、前回の参考人の招致に対しまして、委員長及び理事の皆さんの御協力を得ましたことをまことに感謝しております。

 それでは、きょうは東証の吉野専務、来ていただいて本当に吉野さんのためにもなると思うんですよ。大体、私は先輩の議員に言われたんですが、宴会にいないと大体おまえは悪い者になるぞと。その場にいない人が悪いということになってしまうというのはどの世界でも同じでして、どうもこの間からの答弁を聞いておりますと、東証がすべてその審査をしてきている、だから東証にこの審査のことは聞いてくれと言わんばかりの金融庁のそしてまた大臣の答弁がございました。

 それでは、きょうは時間がございませんので、本題に入りますが、証取法の百十三条では、内閣総理大臣は、東京証券取引所が業務規程に違反して上場を行おうとする場合には、違反是正命令が出せることになっています。関連規程は、業務規程第一条の二の四、有価証券上場前の公募または売り出しなどに関する規程、株券上場審査基準などがございます。

 竹中大臣は、昨日の同僚議員の質問に対しまして、行政はルールに基づいて行う、東証に虚偽の見落としなどがあった場合には注意すると述べておられました。

 私は、今まで、東証の上場部長さん等関係者の皆さんと二月の二日、二月の三日は書面にて、そして二月の十三日に事情を聴取いたしております。その際に、とてもとても私はしっかりとした審議がされていないと思った点がたくさんございますので、まずはその点をきょうは東証の吉野専務にお伺いしたいと思います。

 東証に対して、新生銀行の上場に関し事情を聞いたところ、東証の上場責任者は、幹事証券会社である日興証券の推薦状が添えられている、通常、幹事証券の推薦状のついた上場に関しては、そのまま承認し金融庁に届け出るのが、まあ大体いつもの通例となっていますねと。特に、今回の新生銀行に関しては、金融庁の担当者もその旨を同意した上でその推薦状も見ています、金融庁も容認してくれたと理解しておる、このような発言が上場部長からございましたが、そういう事実関係があった、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

吉野参考人 お答えいたします。

 一月十六日に上場の承認をいたしました。二月の十九日に上場日ということで上場。

 それで、通常の上場申請の場合には、御存じのように、今御指摘のございましたように、引受幹事証券会社の推薦書をいただいておる、こういうふうなことでございます。

 その経過を、それから申し上げますと、上場日の一週間前には金融庁には届け出をする、こういうふうなことになっております。上場承認は、あくまでも東証が適格性を判断した上で行ったわけでございまして、幹事証券の推薦書に基づいて、ただ何もしないということではございませんで、私ども、御存じのように、社内で上場審査基準という基準を持っております。その基準に基づきまして、御存じのように、形式基準、実質基準といういろいろな基準がございますが、それに基づいて実質的に慎重に審査をした結果、適格性ある、こういうふうなことで認めた場合に上場承認をする、こういうふうな手続をとっております。

 以上でございます。

小林(憲)委員 これはまた上場部長とは全く違うような御意見でございますが、そもそも推薦状というものはどういうものなのか、これはまたお聞かせ願いたいんですが、推薦状がそのように信用できるのは、店頭公開などで幹事証券会社が引き受けのエキスパートを一年以上も企業に送り込み、社内の上場に向けた体制づくりまで指導しているような場合です。今回のように、大企業から競争ベースで指名された幹事証券会社が顧客に対してどこまで立ち入った審査ができたかは、これは疑問があると思うんですが、これは東証と金融庁と両方答えてください。

吉野参考人 お答えいたします。

 引受幹事証券に対する御質問と承っております。

 実は、引受証券幹事会社は、上場時の公募、売り出しを引き受けることになるために、申請会社と公募、売り出しに関する元引受契約を締結いたしまして、会社内容の審査、引き受け審査と呼んでおりますが、これを行っているわけでございまして、根拠は、これは、日本証券業協会が定めました公正慣習規則の第十四号に、有価証券の引受けに関する規則というのがございまして、それに基づいて審査を行っているというふうなことでございます。

 新生銀行につきましても、上場時に売り出しが行われるということはもう先生御承知のとおりだと思いますが、幹事証券会社として十分な引き受け審査が実施されたものと認識をいたしております。

小林(憲)委員 それでは、推薦状云々は全く関係なく、今回の場合は、審査をきちっとして、今のところ訴訟もなく、これから起こるかもしれませんが確認されていないと先ほどおっしゃいました、小杉さんの質問のときに、ということで理解していいんですか。

 済みません、その前に金融庁、答えてください。

増井政府参考人 先ほど先生の御指摘の幹事証券の関係でございますけれども、今、東証からのお話もあったように、幹事証券会社からの推薦書が添付をされているということで、私どもといたしましては、現時点において、新生銀行の売り出しに関する幹事証券会社の引き受け審査に問題があるというふうには考えておりません。

小林(憲)委員 先ほどの質問、途中で私が金融庁の皆さんに答えさせるのを忘れましたので、済みません。

 続けますが、そして、東証における上場審査は、上場開示のみならず、上場後も含めて、投資家に不測の損害を与えないとの観点から審査が必要だと私は思いますが、その点に関してもお答えください。

吉野参考人 まず最初に、幹事証券の推薦書云々の話でございますが、推薦書をいただくというのは、まず、幹事証券会社と引受幹事証券会社として、適切ないわゆる事前の引き受け審査といいますか、こういうのが十分行われているかどうかというふうなことで、それに基づいて推薦書をいただく、こういうふうな仕組みになっておるということをまず御理解いただきたいと思っております。

 それから二点目の、何でしたか、ちょっと失念しました。先生、申しわけございません。

小林(憲)委員 上場後も投資家に不測の損害を与えないで……

吉野参考人 はい、失礼しました。

 先ほども日程を申し上げましたが、一月の十六日に上場承認をいたしました。二月の十九日に上場日ということを設定するというふうなことを発表いたしております。その間も、重要な事実が発生した場合には開示の義務がある、こういうふうなことでございます。当然のことながら、売り出しとかそういうことにも影響がある事情があれば、それは開示をしなさい、こういうふうなことを言っております。

 二月の四日の時点で、今回の件については、訂正届出書というものが新生銀行側から出されておりまして、開示をされております。

 そういうふうなことで、私どもとしては、開示については十分な開示が行われているというふうな認識でおります。

小林(憲)委員 先般からずっと訴訟についてやっておりますが、訴訟、ありました。係属中の訴訟で、訂正には書いてありません。ロサンゼルスの訴訟がまだ続いていたんです。済みません、資料を配ってください。ロサンゼルスの訴状があります。今からお手元にそのロサンゼルスでの訴状をお配りします。

 これは、新生銀行がイ・アイ・イの管財人に訴えられている訴訟が、すべての訴訟の一番初めの訴訟がまだ残っているんです。このLAの訴訟において、先般私が御紹介をしました、シャーマンウッドの法律事務所は、ディスカバーをかけましたら、百七十箱の証拠書類が出てきて、それは向こうでディスクロジャーをかけられましたが、大変この裁判には不利なものが出てきまして、一抜けたとシャーマンウッドがまずロサンゼルスの裁判から抜けているんです。

 ところが、その後、このロサンゼルスの裁判は今も係属中です。それがまず訂正文に書いてありませんが、そのことも調べた上で、もちろん上場の審査をされたと先ほど来胸を張っておっしゃっておられますが、もちろんこの事実は御存じなんでしょうね。よろしくお願いします。

吉野参考人 御紹介の件につきましては、審査の中で、新生銀行に対しても必要な書類を取り寄せるなどして確認をいたしております。

 詳細につきましては……(小林(憲)委員「確認中」と呼ぶ)はい。確認をいたしております。(小林(憲)委員「した」と呼ぶ)したということ。その上に立って上場適格性を判断した、こういうことでございます。

小林(憲)委員 では、どのような判断をしたんですか、訴訟があると。さっきまで訴訟はないないと言っていて、確認もできていないと言ってたのに、訴訟が確認されたことがあると。では、なぜその訴訟を、ここに全部訴文ありますが、英文で、ロサンゼルスの裁判について、巨額にされているじゃないですか。その訴訟、どうしてこれは大丈夫だと言うんですか、教えてください。どの基準から、このロサンゼルスの裁判は、すべての裁判が続いていて、これが最後にはサイパンでの裁判につながってきていて、そのことも後で御説明しますが、どのような基準から、これは載せなくても投資家保護の立場からいいというふうに判断されたのか、教えてください。

吉野参考人 お答えをいたします。

 正直申し上げまして、私どもは証取法の守秘義務というのが課せられておりまして、個別の内容についての御質問にはお答えしかねる部分がございますが、係争中云々とかそういうふうな、一般的に、会社からあった場合には、その内容等は当然のことながら確認をするというふうなことをいたしております。

小林(憲)委員 それはおかしいですね。

 開示留意事項というのがあるのを御存じですか。先般、このことについて竹中大臣は、軽微ではない、政令の範囲内であるということをおっしゃっているんですよ。軽微だったら書かなくていいけれども、政令の範囲は書かなきゃいけないでしょう。開示留意事項ですよ。何かおかしなことを言っているんじゃないですか。その辺はちょっと、投資家、これは株をあと二日で買うんですよ。何の裁判だったんだろう、一体、この予算委員会で出てきたロサンゼルスの裁判は、何だろう、こんなんでいいんですかという質問、どうするんですか。お答えください。

吉野参考人 先生の御質問はシャーマン・アンド・スターリング法律事務所の件というふうに理解してよろしゅうございますでしょうか。もう一度確認させていただけますか。

小林(憲)委員 違います。私が言っているのは、ロサンゼルスでの新生銀行が訴えられている訴訟についてです。

 ただ、そこで、シャーマンウッドは、そこから一抜けたと抜けたわけです。そして、サンフランシスコでは和解をして、五大紙の中の二大紙に謝罪文を出したということは、先般、私がここで見せました。そして、それを受けて、裁判が引き続きサイパンで起こっているんです。そのことも、サイパンの裁判、書いてあるけれども、係属しているとは言っていないでしょう。訴訟まで出てきます。訴状の問題も出てきます。

 とにかく、どうしてこういうことを全部隠しているんですか。教えてください。

吉野参考人 今のはサイパンの訴状ということで……

小林(憲)委員 違います。今の質問は、まずはロサンゼルスのことです。

吉野参考人 ロサンゼルスの件ですか。

小林(憲)委員 もう一度御説明をしますが、先般、訴訟は今のところない、訴状ももらっていない、新生銀行からそう聞いているし、現在上場に当たって問題はないとついさっきまでおっしゃっていた。ところが、私は、ロサンゼルスで新生銀行がイ・アイ・イの管財人にまだ係属中の裁判で訴えられているという事実を持ってまいりました。

 ですから、このことはなぜ訂正書には書いていないんですか。私は中を見ましたが、これは巨額賠償になりますし、この裁判が引き続きサンフランシスコでの裁判につながり、そこでは和解をし、そして謝罪文が出るという意向になり、そしてまた、サイパンでの訴訟にもこれは影響を及ぼしてきている。そして、サイパンの裁判所では、訴訟はもう起こっているが、訴状を新生銀行が受け取らないので困っている。

 だから、私、これを持ってきたでしょう、ここに。そのときは、ウイズ・プレジュディス、再訴の禁止をしてあったのが、このロサンゼルスでの証拠が出てきたから、ウイズアウト・プレジュディス、再訴訟を許可しましょうと。禁止したのをなしにして、再訴訟してもいいですよと。それを東京地裁でもやっているんですよ。そこまで大きな裁判になっているもとのロサンゼルスのすべての裁判がなぜ訂正書には記されていないのかを吉野さんに聞いているんです。ロサンゼルスの裁判はありますし、存在しています。これは投資家の保護のためになるんじゃないですか。

吉野参考人 先生の御指摘があった東京地裁での訴訟の問題とか、そういうのは承知をいたしております。新生銀行から必要な書類を取り寄せて確認をいたしております。その上に立って、私どもは、開示のところは判断をいたしております。

小林(憲)委員 どうして私の質問がわかっていただけないんでしょうか。そんなことを私は聞いているわけじゃないんです。もう時間がないですし、投資家はあと二日で買うんですよ、この株を。あなたたちは、大丈夫だと言って上場させるんでしょう。大丈夫なんですか、こんなこと書かないで。

 ロサンゼルスでの裁判が係属している。この間、私が質問したときに竹中大臣は言いましたね、こういうことがあればちゃんと開示しなければいけないと。ちゃんとそれがあったんですよ。あったんです。今配りましたでしょう。何でこれを書かないで済んだんですか。どうしてですか。教えてください。

吉野参考人 繰り返しになりますが、私どもとしては、係争中の案件がある場合の申請会社の状況につきましては、開示につきまして確認をさせていただいた上で判断をさせていただいた、こういうことでございます。

笹川委員長 参考人の吉野さんに申し上げますが、今、小林君の質問は、ロサンゼルスの裁判のことを書いていないじゃないかという質問でありまして、その裁判の内容について守秘義務に関するようなことを質問しているわけではありませんので、ひとつお答えをいただきたいと思います。

吉野参考人 係争中の案件についてのさっきは一般論としてお話を申し上げましたが、係争中の案件がすべて目論見書に記載があるかどうかというふうなことは、必要性があるかどうかというのは、その内容いかんによって変わってくると思っております。したがいまして、案件によっては開示の必要性がない場合もございますし、一種の、開示というのは、リスク情報というふうな点での開示でございますので、そういう視点に立った上での判断、こういうふうなことでございます。

 したがいまして、先般、サイパンのところにつきましては新聞報道等でなされ……(発言する者あり)開示の基準はあくまでもそういうふうなことで、私どもは適正に、実質の審査の項目の中で、開示の実質的担保というふうな非常に大きな項目を持っておりまして、投資家に不測の損害を与えることのないよう開示をしなさい、こういうふうなことを指導しておりまして、その上に立って、ロサンゼルスの問題については、内容についてどう、あれだということを申し上げられませんが、その開示については必要がない。これは、実質的に銀行は被告となっていないというふうに私どもは承知をいたしております。

小林(憲)委員 訴状を見てください。被告になっていますよ。ロサンゼルスはなっていますよ。サイパンは、サンフランシスコの方は、この間も竹中さんおっしゃいましたが、ロサンゼルスは被告になっておりますよ。新生銀行と、あと二、三行の銀行が相手取られておりますが、新生銀行はその中に入っていますよ。

 そんなことも知らないで上場しているんですか。そんなことも知らないで、これは開示しなくてもいい問題だなんてどうして言えるんですか。答えてください。

吉野参考人 お答えいたします。

 被告人は従業員というふうに承知をいたしております。

小林(憲)委員 それはよく調べた方がいいですよ。そしてまた、そんな、従業員なんということを言っていて、これは違いますよ。

 だから、そんなことも知らないで、上場にこれは関係ありませんと。じゃ、どの項目からして関係ないのかまず言ってほしいですし、これは新生銀行が訴えられている裁判です。よく調べてください。お答えください。

吉野参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、銀行は被告人ではなく、従業員だというふうに認識をいたしております。

小林(憲)委員 私も繰り返させていただきますが、この訴訟によって、サンフランシスコの裁判が起こり、サイパンの裁判が起こり、そして、このロサンゼルスの裁判は一つじゃないんですよ。すべてなんですよ、イ・アイ・イの起こしている裁判の。これがもとなんですよ。訴文だってこんなにあるんですよ、東京地裁に出されているんですから。従業員が何かしたとか起こしたとか、そんな話じゃないですよ。それは違う裁判ですよ。それは間違っていますよ、私はそれを知っていますけれども。

 だから、ロサンゼルスの裁判のことも知らないのに、なぜ、それは大丈夫だと言って、投資家保護になるんですか。もう一度、ロサンゼルスの裁判のこと、どうしてこれは開示しなかったか、教えてください。

吉野参考人 お答えいたします。

 先ほど私が答弁したとおりでございます。お答え申し上げたとおりでございます。

小林(憲)委員 これはもう、こんな状態で上場を本当にして大丈夫だと言ったんですか。本当に、これはすべてなんですよ。こちらにも訴状ありますので出しますけれども、これには、イ・アイ・イの訴訟の、初めのすべてなんです、この訴訟は。それがずっと係属されているんですよ。それが今サイパンの方でも、そこで係属されているんですよ。

 ですから、お答えしたとおりですとおっしゃいましたが、そうじゃないということをしっかりと調べていただいて、それまでこれは上場なんという代物じゃないんじゃないですか、この銀行の状況で。東証さんは本当にそれで、しっかりと調べて、太鼓判を押してこれを上場させて、日本経済のためになると、このロサンゼルスのイ・アイ・イの巨額裁判の一番初めのすべての裁判がまだ続いていることも公にしないで、それでもいいとおっしゃるわけですね。お答えください。

吉野参考人 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、一月の十六日に上場承認をいたしました。その後、後発事象として、新聞で報道された後の、上場申請会社からそれを確認いたしました上で、二月四日に訂正の届出書を公開させたというふうなことでございます。これは開示の問題でございます。

 じゃ、審査はどういうふうなことかということを申し上げますと、その内容について上場申請会社から提出された書類に基づきまして、我々はその上場適格についてさらに審査をいたしまして、当然のことながら上場日まではそういう審査の期間でございますので、それは慎重に検討した結果、上場適格性に問題はないというふうなことの結論に達したわけでございます。

 以上、お答え申し上げました。

小林(憲)委員 今の答弁を、金融庁、どう思われますか。この株はこのような状態で、十分な審査をした上で、あと二日で、国民の八兆円という血税をつぎ込んでぴかぴかにして、たくさんの方が失業をして、たくさんの方が会社がつぶれて、そしてまた、この上場によってだれが利益を得るか、もうわかっているじゃないですか。

 この状況で、この株は早急に上場すべきである、金融庁、そう思いますか、今の答弁を聞いて。お答えください。

増井政府参考人 今、東証の方からも御答弁がございましたけれども、総合的に判断してこういった判断になったというふうに私ども思っております。

 また、訴訟についても、一件一件いろいろ御説明をするというのはあれかもしれませんが、逆に、今の先生の御指摘の訴訟の部分でございますが、ここについても、今先生も御指摘ございましたけれども、新生銀行が被告人になっているというふうに私ども、そこの文章を読む限り、今いただいたばかりでございますけれども、今読む限りではそういうふうには認識をしておりません。

小林(憲)委員 時間になりましたので、これはしっかりともう一度私は審議をされなきゃならない問題だと思っています。

 リップルウッド社及び投資事業組合による、もう一つの資料を今お配りしておりますが、内部取引疑惑について。一昨日私が、投資事業組合及びリップルウッド社の内部取引疑惑について御質問を竹中大臣にいたしましたら、リップルウッドは会社役員ではないので会社関係者ではない、また、新生銀行は上場会社ではないため対象有価証券ではなく、構成要件を欠く、そのような答弁をされました。

 しかし、リップルウッドは、投資事業組合は、帳簿の閲覧権を持っております。大株主です。証取法の百六十六条一項二号に該当いたします。私が資料として提出した四つの構成要件が満たされていて、内部者取引の、インサイダー取引の疑惑はあるというふうに私は思っております。

 そしてまた、先ほどの問題と引き続き、これは金融庁さんと東証さんにしっかりと答えていただきたいんですが、三菱商事が果たした役割についても私は聞いていきたいと思っております。

 金融再生委員会がリップルウッド社を選択した経緯の中で、ロックフェラー系の金融資本と三菱商事が、当時の宮沢大蔵大臣、柳澤金融再生委員長のロビー活動を展開したという事実関係。そしてまた、三菱商事の槙原稔三菱グループ代表世話人は新生銀行の役員になっているということ。そして、三菱商事は外資系投資組合ニュー・ロングターム・パートナーズに出資しているということ。国民の税金八兆円も投入した新生銀行に三菱商事が関与していたということ。これらの点については、まだ金融庁も状況をしっかりと把握していないということですが、次の私の決算委員会までに調査をしておいていただきたいと思います。

 そしてまた、今のロサンゼルスの問題、言い逃れをしようとしても、これは新生銀行がイ・アイ・イの管財人によってまず起こされている裁判のもとなんです。ここからサンフランシスコがあり、サイパンがあり、サイパンでは、このロサンゼルスのことがあるから、そのウイズ・プレジュディス、再訴禁止だったのが、もう一度これは訴訟を起こしていいですよというふうになり、そして、訴訟がありますということで、サイパンの裁判所にあるんです、訴状が。

 新生銀行は十九日以降にとりに行こうとしているんじゃないですか。金融庁はすぐにとりに行くように言ってくださいよ。そして、裁判があるんだから、ちゃんと訂正文に書いて、そうしなければ、この株は、投資家保護という立場から、私は絶対に、今の答弁でも皆さんおわかりでしょう、どんないいかげんな審査の上に立って、これは、開示されないたくさんの、たくさんの情報を隠したままに、国民のしかばねの上に上場しようとしていることは明らかであります。

 ですから、金融庁、しっかりとこれは指導しなければならない、私はそう思いますが、いかがでしょうか、金融庁。そして大臣、最後にお願いします。

 質問を終わります。

竹中国務大臣 まず、極めて基本的な問題としまして、リスク情報をしっかり開示しなければいけない、そうしたことを踏まえて審査を行わなければいけない、これはもう委員の御指摘のとおりであると思います。

 そのリスク情報というのは、まずどういう事実があるかということでございますが、これは、日々いろいろ情報が入ってくる中で、東証においてもしっかりと対応しておられる、我々もそれをしっかりと見ていかなければいけないと思っております。

 きょう新たに資料をお出しいただいたわけでございますが、これは、私の理解では、先般申し上げましたカミノ訴訟というもので、これは新生銀行は原告でも被告でもないものではないだろうかと。少なくとも、この紙の中に新生という言葉は出てきていないように思います。

 したがって、しかし、これがそうだと、そうだとおっしゃるんであるんだったら……(小林(憲)委員「両方持ってきたでしょ、この間」と呼ぶ)いやいや、それが原告、被告だとおっしゃるんであるならば、これは当然のことながら、そういう御指摘をいただいたわけでありますから、東証においてもすぐに確認を一生懸命するということになります。

 その上で、しっかりとしたリスク情報は開示をしていくということ、これは当然のことであると思います。繰り返し言いますが、しかし、それは事実に基づかなければいけませんので、その事実は確認させていただかなければいけない。

 それとの関連で、訴状等々でありますけれども、この訴状等々については、ハーグ条約で、例えばサイパンの裁判所で起こされたものは、外交ルートを通じて、日本の裁判所からこちらの被告に通知されることになっているわけでありますので、そういうものが届いていないということなんです。

 それは、もう一つは、リスク情報というのは、やはりどれだけ大きな損害賠償の訴訟が起こっているかということでございますから、これが確定して、それで軽微なものであるか大きなものであるかということが判断されるということになるんだと私は理解をしております。そういうことがあればしっかりと対応していく。

 それで、最後に、委員言われました、個別の社名を挙げていろいろインサイダー取引のことをおっしゃいましたけれども、インサイダー取引は当然のことながら禁止されなければいけません。しかし、証券取引等監視委員会で、その監視委員会は御承知のように独立しておりまして、私の指揮命令系統の下にもない組織でございます。そこが専門的に、長官の指揮命令系統にはないところでございまして、しっかりとそこは対処をしていくということになります。

 しかし、これはもう本当に個別のことになりまして、さまざまな要因がございますので、しっかりとこれは監視委員会の方で、問題があるならば当然のことながら対応していく、引き続き我々はそのような姿勢をとり続けるつもりでございます。

小林(憲)委員 最後に、確認ですが、それを今からしっかりと調べなさいということを、大臣の方から金融庁、東証の方にしっかり言っていただけると。その調べている間、二日間たったら株は上場するんですか。

 それともう一つ、日本の裁判所、これはちゃんと認識していますよ。東京地裁は、一月の二十三日に、このことに関しての、訴状に関してのことは弁護人に言っています。新生銀行のノッティングという弁護士に聞いてみてください。知っていますか、ノッティングさん。しっかりとそれを踏まえた上で、二日間たって、しっかりわからなかったらこれは上場はできないということで、そういう指導の間は上場はできないんじゃないですか。

 とりあえず今お言葉をいただきましたので、このことに対して確認をする、そして訂正があるなら訂正を出す、そしてまた上場しないなら上場しない、延期するなら延期する、それなりの判断がされるということで私は理解をしました。

 ありがとうございました。

笹川委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。

 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 同僚議員の質問に引き続いて、今の新生銀行の上場問題についてまずお話を伺いたいと思います。

 東証の専務に伺いますけれども、これまで、上場の歴史の中で、このような巨大訴訟を、巨額訴訟を抱えたまま上場が認められた例というのはあるんですか。

吉野参考人 お答えをいたします。

 訴訟があることをもって一律に公開を認めないというふうな取り扱いはいたしておりませんで、係争中の事件がある場合には、申請会社から必要な書類の提出を受けるなど、さまざまな資料に基づいて、訴訟の内容及び今後の見通し、並びに申請会社の損益に与える影響などを確認した上で、上場適格性に問題がないかどうかを総合的に勘案し判断をする、こういう考え方に基づいて審査をしているというふうなことでございまして、過去につきましても、また新生銀行につきましても同様の審査を行っているということでお答えをいたします。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

五十嵐委員 あなた、ふざけているんですか。ちゃんと聞いてくださいよ。事前にも通告しているわけじゃないですか。過去にこのような巨額訴訟を抱えた会社を、上場を認めた例があるんですかと聞いているんですよ。なぜ答えないの。

吉野参考人 最近の事例を見る限りにおきまして、巨額なものというものを係争中のもので上場した、承認をしたものというのはございません。

五十嵐委員 ないんでしょう。結局そういうものは上場を控えていたんですよ。きちんと片づいてから上場させていたんですよ。今こういう状況にあるから、少しでも優良会社、ぴかぴかの優良会社ですよね、新生銀行は、これを上場させたい。幹事会社もそう思う、東証もそう思う、自分たちの利益になるから。しかし、それでは投資家の保護にならないでしょう。一般の投資家が保護されなければいけないという観点からすると、そこには問題があるということで指摘をさせていただいているわけじゃないですか。

 厳しい審査が必要であるのに、自分たちの利益につながるように上場を認めよう、上場を認めようと、まず上場ありきという観点から審査が行われていると疑われる、そのこと自体が東証の地位の低下、それに最後は信認の低下につながるんですよ。そんなことがわからないんですか。

 武富士という会社が問題になりました。これを上場のとき、相当もめたと思うんですが、結果としてあの甘い上場を認めたことによって今のような状況をもたらしている。武富士に続いて、準大手の金融会社が今店頭上場を望んでいるという指摘がありますけれども、これについても、私の得た情報の中では、暴力団の影がちらついているという、あるいはトラブルが多いというようなことも聞いていますよ。そういうことが続けば、東証自体がローカルマーケットになってしまうんですよ。そういう観点からして、このイ・アイ・イ・インターナショナルをめぐる訴訟は非常に重大なんです。

 そして、この新生銀行、その裏にあるリップルウッドという会社が、本当にフェアな会社なのかどうかということが問われてきているんですね。そこを考えずに、いや、幹事証券が保証していますからとか、我々が形式的に審査したところ、いいですからということで済む話ではないんでしょう。

 私が申し上げたいのは、なぜサイパン訴訟が復活をしたか。これは、代理人の方が、破産管財人の清算人が勝てると踏んでいるからですよ。すなわち、訴訟リスクは、単に、竹中大臣は正式に訴訟の訴状が届いていないとおっしゃったけれども、一月二十九日に記者会見して発表して、訴訟を復活させるんだということを言ったこと自体が、発生時点で、その時点で大変な訴訟リスクをこの新生銀行が負ったということなんです。その認識がありますかということを先ほどから問うているんじゃないですか。

 これは何も東証と新生銀行だけに限らないんですよ。これは国民の損になる可能性もある重大な話なわけですよ。新生銀行は、国が株を持っている銀行であり、国の金が入っている銀行であり、そして、預保がかなり引き受けちゃっているわけですから、もしここで、裁判の状況で巨額の敗訴になる、そして敗訴になって、リップルウッドと新生銀行と預保との契約によって、この結果も問題なわけですけれども、五十億以上の損害は預保が持たなければならない、そういうリスク、可能性もあるわけでしょう。これは重大な問題なんです。

 そういう観点から、今のような姿勢でなおいいとお思いなのか、もう一度お答えいただきたいと思います。

吉野参考人 お答えいたします。

 先生の御指摘にあった、東証が一ローカルマーケットになっていいのかというのは、まさにその危惧というのは、私ども、そういうふうなことを東証ブランドとして守っていかなきゃいけない、そういう強い認識を持っておりまして、そのためにも上場の適格性というのは大変重要なポイントでございまして、そこには二つの側面がございます。

 一つは、形式基準、実質基準というふうなことで、単に、引受幹事証券会社から推薦書があるからといって形式の審査だけすればいいということではございませんで、幾つかちょっと申し上げますと、企業の継続性、収益性の問題、さらには企業経営の健全性の問題、それから企業内容等の開示の適正性、つまり、ディスクロージャーが適正に行われるかどうかということでございます。そのほか、公益的、投資家保護の観点から東証が必要と認める事項というふうなことで、必要な書類を申請会社からちょうだいした上で実質的に審査をするというふうなことで、上場適格性について審査を行うということを今までもやってまいりました。

 これが欠けることによって東証ブランドが失われていくということになりますと、日本のマーケットが世界の中で陳腐化していっちゃう、こういうふうなこともございますので、そういう危機感を持って私どもは事に対応しているということをまずもって御理解をいただきたいと思います。

 それから、今回の件でございますが、一月十六日に上場承認をいたしました。それから、後発事象としてこういうふうなリスクがあるというふうなこともございました。それは、私どもからの要求に基づいて二月四日に新生銀行に開示をさせたわけでございまして、御存じのとおり訂正届出書というのが出されたわけでございます。

 内容につきましては、そこに記載のとおりでございまして、まさに訴状が届いていないということもあるとかいうふうなこともございまして、先生がおっしゃられた預金保険機構との問題もある。こういうふうなことでございまして、そのリスクにつきましても、そこに係争となる可能性があるということも含めて開示をさせておるというふうなことでございまして、まさに、リスク情報を適時に開示させる、それを投資家に周知をするというふうなことが投資家保護にとって極めて肝要なことだろうと思っております。

 それからもう一つは、そういう事実に基づいて私どもが上場の適格性について審査を行う、こういうふうな側面がございます。

 その二つの側面で私どもとしては投資家保護を図ることをやっておるわけでございますが、これについて、新生銀行の対応について、上場適格性に問題はないというふうに判断するに至ったところでございます。

五十嵐委員 私どもの指摘は、これは極めて巨額の損害賠償請求であるので、敗訴した場合には大変なことになるという意味で、開示の内容が訴訟リスクがありますというだけでは不十分なのではありませんかというのが一つですね。

 企業の存続にまで重大な影響を及ぼすような巨額訴訟なわけですから、それはそれだけでは極めて不十分な開示内容ではないかというのと、この新生銀行そのものがコーポレートガバナンスの面で非常に問題があるのではないか。過去のパフォーマンスもそうです。預保が買い取った二兆二千六百八十八億円のうち、新生銀行はなぜか三千二百六十一億円を買い戻している。そして、それによって巨額の利益を上げている、こう言われているわけですね。

 こういうようなあり方というのは、私はフェアではないというふうに思いますし、先ほど小林委員が追及をいたしましたリップルウッド社の、これはインサイダー取引に相当すると私どもは判断しておりますけれども、こういうようなあり方からしてフェアな会社ではないんではないかという疑いが非常に持たれる。そういう疑いを持たれている、一般にもそう思われているという企業が上場するということについてどう思いますかという観点からも伺いたいと思います。

吉野参考人 お答えいたします。

 これは繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、実質の審査の四項目というのを、まさに申請会社の書類に基づいて、資料を必要があれば要求をいたしまして、それについて審査をした結果でございます。

 私どもは、個々の内容でどこがというふうなことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、上場適格性については、私どもの持っている基準、これに照らして適合性がある、こういう判断をしたということを申し上げておきます。

五十嵐委員 もし、裁判が行われて敗訴、巨額の損害賠償ということが仮にあった、これだけの指摘を受けておいて上場を強行して、そういう事態になった場合はだれが責任をとるんですか。

吉野参考人 責任どうこうという仮定の御質問でございますので、これについてはお答えしかねます。

五十嵐委員 いや、これだけ重要な指摘を受けた上での話ですから、それは責任の所在が明らかでなければ、無責任な話にそれこそなってしまうんですね。それはだめですよ、そういう話は。

吉野参考人 言葉をかえて申し上げれば、投資家に不測の損害云々というふうなことでございますが、それに損害を与えることのないよう厳正に審査をした結果であるということを申し上げさせていただきます。

五十嵐委員 いや、もう単に上場したいというのが先走っているだけの話で、これは東証の姿勢、東証という会社の経営姿勢が問われると私は厳しく言っておきます。

 それから、この場合、先ほど言いましたように相当なリスクがあるんですが、偶発債務の補償契約というのがあって、三年以内に損害発生の原因の事実について通告があれば、五十億円超の部分は、実は新生銀行は預金保険機構に請求できるということになっているんですが、この今の巨額訴訟との関係で預保の認識を伺いたい。

 まず最初に、事実関係として、通知があったのかなかったのか伺いたいと思います。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

松田参考人 お答えいたします。

 今問題になっているサイパンの訴訟でございますが、本来、通知の終了期間が平成十五年二月末まででございました。それで、その前に一度訴えて取り下げの経過がございますので、取り下げに至るまでの関係につきましては通知をいただいております。

五十嵐委員 ただ、これは復活という話になりますので、彼らは、最初の通知で通知したことになるんだ、これは継続案件なんだという主張が考えられるんですね。そういう主張を東証に対してはしているんじゃありませんか。

吉野参考人 お答えいたします。

 訂正の目論見届出書に記載のとおりでございまして、その場合には、預金保険機構との係争といいますか、それになる可能性があるということが開示をされておりまして、そういうふうなことで認識をいたしております。

五十嵐委員 つまり、今のことを解説すれば、預金保険機構との間で係争になるということは、通知をしたという認識だということの表明なんですね。そうですね。当然そうなります。

 ということは、預保がそれを拒否すれば裁判になって、預保が勝てば、今度は新生銀行が巨額の債務を負うことになって存続が危なくなる、預保が負ければ、これは国民に新たな巨額の損害を与える、国に与えるということになるわけです。これはどっちにしても重大なことですよ。もう王手飛車とりですよ、これは。だから、こういうような問題になる話をそう簡単に上場させていいんですかと、そこへ戻ってくるんです。わかりますか。

 それをあなた方は、存続について問題がない、実は何かがあったとしても預保が持ってくれるからという判断の上でこれは問題ありませんというふうに判断をしたとすれば、国民に迷惑をかけることを前提にして自分たちは上場を急ごう、こういうことになるわけですよ。

 これは考え直す気はないんですか、本当に。上場をそのまま認めますか。

吉野参考人 預保との関係のリスクというのは開示されているとおりで、私どもはそのことを含んだ上での上場適格性についての判断を行った、こういうことでございます。

五十嵐委員 こういうような姿勢が続く限り、日本の証券市場の発展はあり得ないなということを思います。たまたま社長さんが亡くなられたようですけれども、人心一新しないと、これは日本のマーケットがローカルマーケットに落ちてしまう。今どんどん外国証券会社も逃げ出しつつありますけれども、こういうような姿勢があるからだなというのがわかりました。

 お時間が来て、吉野さん、十時二十分までしかおられないということで、ちょっと超過して恐縮でしたけれども、もう結構でございます。

 次に、預保の松田理事長においでをいただいていますので、新生銀行と預保との間の瑕疵担保特約をめぐる請求がなされているけれども、実は預保の方が首を縦に振っていないという債権があると思うんですが、それは、件数と金額、どのぐらいあるのかを教えていただきたいと思います。

松田参考人 先生御指摘の、新生銀行が我々に解除権行使をしてきて、預金保険機構で現に審査中で結論を出していない、あるいは不同意として返して、なお解決していないという案件がございます。普通、未解決案件と呼んでおりますが、その件数は、十五年の九月末時点で二千六百三十七億円ございます。それから、十二月末現在では二千三百十七億円、こういうことになっております。

 ただ、この金額は、私どものカウントでは、新生銀行が私どもに対して解除権行使を申請した時点で債権元本が幾らあったかというとらえ方でございます。

 以上であります。

五十嵐委員 これが解決しない裏に、新生銀行は二番手以下の債権者で、メーンバンクが同じ融資先に持っていて、このいわゆる二割減価というものをここで預保が認めてしまうと、ほかのメーンバンクに巨額の、実は横ぐし論で、横ぐしを入れると引き当て不足が生じてよその銀行の経営内容に影響を及ぼすかもしれないという配慮があって、これを認められないというようなことがあるのではないかなという推測が一方で成り立つんですが、そういうことはありますか、ないんですか。

松田参考人 結論から申しますと、そういう配慮をしたことは一切ございません。我々は淡々と、瑕疵があるのかないのか、それから二割減価は本当にあるのかどうか、厳重に審査をして、判断を保留したり拒絶したり、そういたしております。

五十嵐委員 そうすると、新生銀行の先ほどのフェアかどうかという問題につながってくるんですが、とにかく無理やりにでも二割減価だと主張して引き取ってもらおうというものがかなりの額に上るな、だから、預保としてはそういうのは受けられないんだというものがあるんだと。これも、新生銀行のパフォーマンスが、態度がフェアなのかアンフェアなのかという問題に非常に影響を及ぼす、判断に影響を及ぼすような事実だと思うんですね。こういうことも含めて、この新生銀行の上場のあり方については、私は、国全体として厳しく対処をしていく必要があるんだろうと思います。

 とにかく、八兆円を超えるお金をサポートしてもらって、すばらしい高収益の銀行になったわけですけれども、元手はただの十億円、それも贈与された中から払えばただで済む。ぬれ手でアワ、全くゼロ円で四兆円を上回るような資産を手に入れ、なお上場益を手に入れよう、しかも税金は日本に払わない、こんなでたらめなことが許されていいのか。これはまさにモラルハザードですよ。

 それを許してきたのは、最初の、何でもありの、瑕疵担保条項あり、偶発的債務の補償という別の特約条項ありという、一〇〇%リップルウッドにゆだねた、そういう金融再生委員会の責任というのは非常に重大だ。結果として大変大きな損害を国民に与える。少なくとも今確定しているのは四兆円でありますけれども、しかし、これから先も、今言った訴訟が出てきたりすればどれぐらい膨らむかわからないという話なんです。

 それに責任を感じないということはあり得ないんです。そうですね、谷垣元再生委員長。谷垣さんのすべての責任だとは言いませんけれども、やはり感じてもらわなければならない。いい仕事をしたんだと、この間胸を張られたんですよね。いい銀行でモデルになったというようなことを言われたんですが、それは余りな言いぐさではないかな、こう思うんですが、いかがですか、改めて。

谷垣国務大臣 この銀行の問題は、日本経済にも大きな影響を与えて、いろいろな御議論が国会の中でもあったわけですが、私は、一日も早く国民経済の中でも日本の金融システムの中でも大きな役割を果たしてもらいたいと思ってまいりましたし、今後もそうなっていくことを期待しております。

五十嵐委員 何か責任感が足りないなというのがもうありありとしている。

 次の質問に移りますけれども、UFJの問題でございます。

 お手元に資料を配付させていただきました。金融担当大臣もよく見ていただきたいんですが、二枚紙でございます。ちょっとコピーで見づらいかと思いますが、お許しをいただきたいんです。

 これは金融庁の内部資料でございます。要するに、初めから申し上げますと、一枚あけていただくとはっきりするんですが、一枚に昨年の十月のUFJの検査に入った経緯が時系列で入っておりまして、これを見れば事実だろうなというのはわかるんです。いわゆる内部告発が十月の九日に電話でありました、資料を隠していますと。慌てて行ったら、段ボール箱百箱も見つかってしまいました。そして、これは検査を回避しようという話でありました。

 その後、UFJ側は、録音を要求したり弁護士を同席したり、かなり金融庁を怒らせるようなことをやったので特別な検査に入るということになったのかなと思うんですが、そういう内部資料に加えて、方針が一枚目に書いてあるんですね。これは、「組織的、意図的に資料の隠匿、改ざん等を行ったことが強く疑われる状況にある。したがって、このような検査対応につき、銀行法における検査忌避に該当するか否かを中心に、更に事実関係の解明を行うこととする。」といって、そのポイントが書いてあるんですね。

 これは内部資料であるということをお認めになりますか。

竹中国務大臣 最近、出所不明のさまざまな報道がなされておりますけれども、それらを含めまして、個別の金融機関の検査に関する話について言及することは差し控えさせていただきます。

五十嵐委員 いや、この資料が本物かどうかということを問うているんですよ。個別の金融機関がどうのこうのと言っていないです。この資料が本物の、金融庁で作成された資料かどうか。私どもが知り得ない、勝手には推測がつかない時刻、内部の明らかな作業日程が入っている、用語も極めて妥当な、いかにも官庁用語の言葉が入っていて、これは第三者はつくり得ない資料だ、非常に、本物の蓋然性が極めて強いというふうに思うわけですが、それも含めて、これが本物かどうか。

 そして、本物だとすると、実は本物の一部であって、五、六枚、この報告書というのはあるはずなんですが、その五、六枚の、これを含めた資料を提出いただきたいと思うんですが、もう一度回答してください。

竹中国務大臣 個別の金融機関の検査に関する話について言及ができないということは、御理解いただけると思います。

 なお、一般論として申し上げれば、個別の金融機関の検査に関する文書等については、その存否に言及するだけで個別の金融機関に関する検査の内容を示唆する結果となる場合があることを御理解いただきたいと思います。

五十嵐委員 もう周知の事実じゃないですか、個別の金融機関に特別に検査が入る、こういう問題が起きているというのは。皆さんは認めているじゃないですか。もう幹部の皆さん、いろいろなところでおしゃべりになっている。これはもう周知の事実ですよ。それを否定して何になるのかというふうに思うわけでありますけれども。

 それでは、視点を変えて伺いたいと思いますが、もし、一般論として、検査忌避というものが認定された場合はどうなるんですか。

佐藤政府参考人 個別の金融機関の検査に関するお話については差し控えさせていただきますので、あくまでも一般論としてのお答えになりますけれども、金融機関において検査忌避に該当するかもしれないという疑いのあるケースが出てきた場合には、まずは検査による事実関係の解明、そして監督部局による報告徴求、あるいはさらに法令等遵守体制に重大な問題があるというような場合には業務改善命令を発する、これらを含めた対応が行われるということかと存じます。

五十嵐委員 銀行法違反、極めて重大なんですね。一番重いのは免許取り消しでありますし、刑事告発すべきものがあったら刑事告発しなければならない。重大な犯罪なんですよ、これは。極めて重い犯罪容疑になるわけでありますから、これは単に個別の銀行のことですからいいんですというふうに済まない。

 ましてや、UFJは国民の血税がかなり入っているんじゃないですか。我々には十分にこれを問いただす資格がある、そういうことじゃないですか。単なる個別の銀行の損得につながるという話じゃないんですよ。存続にもかかわる、そして国民に重大な損害を与えるかもしれないということになるわけですから、これはある程度の、それは細かいところまで全部出せとは言わないけれども、事実の開示があってしかるべきだ、私はそう思いますね。こういう疑いがあることについてすべてふさぐというのは、それこそフェアな態度ではないと思います。

 私どもは、UFJが検査忌避のために作成したとされる資料をこの予算委員会に提出をしていただきたい、また、検査局のこの内部資料、この今お示しをしたものを含む一連の資料をお出しいただきたい、そう要求をさせていただきます。

笹川委員長 理事会で協議します。

五十嵐委員 理事会で御協議をいただきたい。

 それからもう一つ。それと同時に、これだけの重大な疑いがあるわけですから、UFJの寺西頭取と、そして、寺西さんが目黒検査官をかえてくれと頼んだとされる高木金融庁長官、この二人の参考人としての招致を改めて要求を申し上げたいと思います。委員長のもと、お取り計らいをいただきたい。

笹川委員長 もう一度言ってください。

五十嵐委員 UFJの寺西頭取と、寺西頭取が検査官をかえてくださいとお願いをしたと言われる高木金融庁長官に、高木金融庁長官は断ったということのようなんですが、そういうふうに伝わっていますが、高木さんを責めるというわけじゃなくて、これは褒めてあげなきゃいけないのかな、こう思っていますが、このお二人の参考人招致を要求したいと思います。

笹川委員長 理事会で協議します。

五十嵐委員 次に、足利銀行の問題について伺いたいと思います。

 足利銀行は急に倒されたという印象で、もともときちんとした審査をしていれば、業務改善命令、早期是正で済んだかもしれない。それにもかかわらず、そこは認めておいて、粉飾あるいは粉飾まがいを認めておいて、急に中間決算の結果でこれをつぶしてしまった、破綻に追い込んだということになるわけです。

 この内部の情報を伺いますと、竹中金融大臣は当初、預保法の百二条三号、一時国有化ではなくて、一号、りそなと同じような資本注入で済ませようと考えていたというふうに私どもは伺っているんですが、そういう事実があったのでしょうか、なかったのでしょうか。当初から竹中大臣も、破綻、一時国有化、そういう方針だったのでしょうか。伺いたいと思います。

竹中国務大臣 五十嵐委員のお話の中には、そういうふうに言われているとか、そういうふうに聞いているとかというお話がたくさん出てきますので、これは一体どこから出てくるのかなというふうに思うのでございますが、委員は専門家ですからよく御存じのように、預金保険法百二条で、一号か、ないしは二号、三号かというのは、これはもう非常に明快なルールが決まっているわけです。

 だから、当初からどう考えていたか、それで、さらにそういう圧力があったかどうか。まず、当初からこれで決めてかかるようなことはもちろんございませんし、加えて、どこかの働きかけがあってそれを変えるというようなことはあり得ません。

五十嵐委員 いや、この法律の解釈の仕方というのは極めて裁量的にやられていたということは明らかになってきたわけですよ、この間の審議でも。だから、なぜ、りそなは、あそこまでひどい状況にあったのに二兆円強もの資本注入で助けられたのか。りそなホールディングス傘下の近畿大阪銀行というのはもうぼろぼろだということは、みんなわかっているわけですね。それを……(竹中国務大臣「そんなことないよ」と呼ぶ)いやいや、それはもう事実です。

 では、なぜその後、二千億円も資本が増強されたんですか。それは株式を売却してホールディングスから行ったんだと言うけれども、それは、お金に色がついていませんから、りそな銀行に注入された二兆円の公的資金、そこから融資がホールディングスの方に行って、ホールディングスからお金が実は近畿大阪銀行の方に行っている。これは別途用立てて、株式を売却してそちらへ移したんだ、こう言っているけれども、お金には色がついていないわけですから、それは明らかに、お金の流れを見れば、国民の血税が、りそな銀行だけに、りそな銀行を健全化するために入れるという目的だったお金が、それが回されているということになるわけですよ。それはそうなるじゃないですか。(発言する者あり)だから、それは幾らでもごまかせるという話だけれども、国民の側から見ればそうなるじゃありませんか。

竹中国務大臣 ちょっと今の御質問の趣旨が、最初は裁量でやっているのではないかという話から、お金の流れの話、両方踏まえられたわけでございますが、裁量の余地というのがあることが証明されたというのは、ちょっと私はよく理解できません。

 繰り返し申し上げますが、これは、企業がちゃんと決算を行って、それを独立した監査法人が監査をして、そうした数値等々に基づいて、緊急に必要な場合は我々が判断するということになるわけでございます。

 りそなホールディングスからの近畿大阪銀行への出資の件でございますが、これも先般、別の委員会で御答弁させていただきましたように、これは株式の売却資金をもってそれを行ったというふうに、りそなホールディングスが記者会見等々で発表しております。

五十嵐委員 財務金融委員会でまたやりますからあれですけれども、要するに、繰り延べ税金資産を使って、それをどこまで認めるかという問題を利用して、事実上破綻に追い込んだり、いや、そこまで至らずに過少資本の段階でとどめたりということがコントロールされてきたではないかということは、何回も議論をしてまいりましたので、ここでまた繰り返すことはやめたいと思います。

 次に、私は、竹中さん、最初は、なかなかしっかりやってくれるのかな、こう期待をしていたわけですけれども、事実上は、護送船団方式を復活させたり、あるいは裁量行政を復活させたり、今までと何ら変わりないような、むしろ日本の金融行政を悪くしてしまったというふうに、最近では大変厳しい見方に変えさせていただいているわけであります。

 そこで改めて、竹中さんの住民税、これは節税疑惑と言われておりますけれども、確かめておきたいと思います。

 八九年七月に米国に転居され、九〇年四月に東京・港区に転居され、九二年七月には米国、九四年六月には神奈川県藤沢市、九四年十月には米国、九五年五月には藤沢市、九五年十一月には米国、九六年三月には藤沢と目まぐるしく住居を移転されまして、そして一月一日にはなぜか大体日本にいない、したがって地方税が課税されないということを繰り返ししてこられている。

 外国で暮らす人たち、かなりたくさんいるわけですけれども、そんなに頻繁に住民票を移す人というのは、そうは私どもは承知しておりません。そんなに必要がない、こう言われているんですね。外国で、住民票を一々とって証明しなさいと言われることはアメリカではないものですから、ほとんどそういうことはされていないんですよ。

 なぜこういう移動がされているのか。それは住民税がどちらの方が安いかということを計算された上での行動ではないかというふうに、これも言われているわけですね。

 これは、言われているばかりじゃないかと言うけれども、我々は、私ももともとジャーナリストですから、これは情報源を秘匿しなければいけませんから、そう簡単にだれだれから聞いたとは言えないんですよ。だけれども、ここで言う以上は十分な疑惑があると思ってお話を申し上げているんで、それはどこへ出ても私は恥ずかしくないんです。

 この問題についても、竹中さんは、そんなこと言った覚えがないと言うんですが、慶応大学の同僚の教授にお話をされたと、誘われたと、こういう手があるんですよというお話を受けたけれども私はそういうことには乗りませんとお断りしたという話を、その学生さんが先生から聞きましたという話で、私どものスタッフにお話をしているんですよ。(発言する者あり)禅問答じゃないですよ。わかりやすい話なんですよ。

 あるいは、竹中さんは雑誌の質問に答えて、人にそういう話をしたことはありませんと言っていますから、もう一度改めて――記憶がないと言っているんですね。したことはありませんとは言っていないんです。そういう記憶がありませんというふうに答えているんです。ただ記憶がないのか、それとも、そういうことを言ったということを覚えていないというのか、言ったかどうかを含めて覚えていないというのか、言っていないということなのか、含めてきちんとお答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 住民税、地方税というのは、その居住の実態に応じて課税されるものだというふうに当然思っております。

 私は、ある雑誌でおもしろおかしくそういうことを書いていたのを、雑誌の記事としては存じておりますけれども、私は、八九年にハーバード大学に行きました、アメリカに行きました。それで、九〇年から慶応大学の、当時は助教授になりました。九二年から九六年までは春学期、四月から七月の中ごろまで三カ月半ぐらいを東京で一年分の集中講義をしまして、夏から翌年ぐるっと四月の最初ぐらいまではアメリカで、コロンビア大学で客員研究員をしておりました。

 その間、家族はアメリカに住んでおりまして、私はアメリカに家を所有しておりました。車を持って、猫も飼っておりました。私の生活実態はアメリカにありました。三カ月間集中的に日本に出張して、それで集中講義を三カ月間やっていた。その間も、家族がアメリカにおりますから、一カ月に一回ぐらいニューヨークへ帰っておりましたわけですが、その間、私は極めてできるだけそこはきちっとやろうと思いまして、日本にいるときは日本にいる三カ月間を中心に住民票を日本に移す、向こうに行くときはまた住民票を抜いてやる、そういうふうに当然やるわけです。したがって、私は、アメリカでローカルタックスを払っております。先生も恐らく、選挙区と東京を行ったり来たりでしょうけれども、両方で住民税は払っていないはずでございます。

 ちなみに、どちらが高いかというのは、私は余りちゃんと考えたことはありませんが、一般論として言えば、国税と地方税の比率からいくと、多分アメリカで住民税を払う方が高いんだろうと思います。

 そういうことを言ったかどうかということでありますけれども、私は財政の講義を持っておりましたから、住民税というのは台帳課税主義であって一月一日時点での居場所で課税されるんだ、そういう話は授業の中でもやったと思います。しかし、これは実態でありますから、だれかに勧めて、あなたもそうしなさいといったって、実態がなければそんなことできないわけでございますから、そういう意味で、そんな変な話をした記憶はないというふうに言っているわけです。

五十嵐委員 いや、そういうふうに言われたのを聞いたという人がいるわけですから、これは実際直接聞いたという人が出てきた場合には、今の話が覆るということを改めて申し上げておきます。

 それから、もう時間がありませんので、次に移ります。

 次に、先ごろの予算委員会で、海江田委員の方からお話がありました年金課税、その年金課税に伴って、国民健康保険料、介護保険料がはね返りではね上がるという問題があります。これについて坂口厚生労働大臣は、激変緩和措置を求めた我が党の質問に対して、検討されるというようなことを言われております。これは、政令対応で政令を直すというやり方、あるいは、私としては、課税標準を変えるというやり方、あるいは実施時期をずらすというやり方とかあると思うんですね。

 年金課税そのものについてはなかなか、法律事項であり、ここでもし通ってしまえば難しいと思うんですが、そうした厚生労働省側の努力で激変を緩和することができる、こう思うんですが、これを、じっくり調査してからというのではなくて、早くやっていただかないと、これは心配でたまらないお年寄りがふえてしまうと思うんですね。その点について、方針を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 先日も御質問があったわけでございますが、これはいずれも御審議をいただいて、法律が通ったらどうするかということになるわけでございますから、御審議をいただいて、そして皆さん方に通過をさせていただかなければならないわけでございます。

 その上で、先日も申し上げましたのは、所得の段階のそれぞれのところで、ある特定のところだけたくさん負担をするというようなことがあってはいけませんので、その辺につきましては十分に検討をしながら決めさせていただきたいということを申し上げたわけでございまして、そういうつもりでおります。

五十嵐委員 そもそも、この問題が起きたときに、私、すぐに財務省とそれから厚生労働省をお呼びしたんですね。そうしたら、お互いに、そのはね返りの問題を知らなかった、連絡は、事前に協議していない、こう言われているんですね。

 私は、最終的に一人の人間が年とってからどれだけ実質的に使えるお金が手元に残るかというのは極めて重要な問題ですから、これは、自分のところは税の論理にのっとって取ればいいんだ、平年度で二千百億円の増収になるんだという思いでおやりになる、それにはそれなりの理屈がある、それはそれでわかるんですけれども、最終的に、どういうケースの人はどういうはね返りといいますか影響があるのかということを検討した上で、調整した上で、政府として一体としてお出しになるということでなければならないと思うんですね。これは明らかに縦割り行政の欠陥だと思うんですが、御相談の上でこういう問題には事前に調整をしていただきたい。

 そのことについて、一言ずつ、財務大臣、厚労大臣、総務大臣から伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 この年金課税の問題については、当然、税制改正をする前に、厚生労働省の方からも御要望がありまして、これは結局、今委員御指摘のように、最終的には保険料にはね返ってくるということを意識した上でこの税制改正の議論をさせていただいたわけであります。

 それで、介護保険料等はこれからでございますから、じっくりその辺も考えて御議論をさせていただかなければならないわけでありますけれども、いずれにせよ、負担の適正化を図るという観点から、それは適正な保険料をお願いしなきゃいかぬ、こういうことだろうと思います。

坂口国務大臣 これは、健康保険料なりあるいは介護保険料なり、影響することは当然でございますから、そうしたことも我々考えておりましたし、グラフをかきまして、大体どの辺のところがどうなるかということも検討してきたところでございます。

麻生国務大臣 これはまだ、御存じのように、法律が通っておりませんので、通っていない段階からいくのもいかがなものかとは思いますけれども、通った上でどうなるかということですが、施行されますのは平成十八年ということになっておりますので、この間の御党の海江田議員からの御質問に対して、厚生大臣からも、今どうだということは言えないが、できるだけなだらかに、一部だけ負担が大きくならないようにというようなことを考えて検討しなければならないというように答弁をしておられることもありますので、私どもとしては、厚生労働省とともども、これは財務省も関係するところだと思います、三省きちんと打ち合わせて対応させていただきたいと存じます。

五十嵐委員 しっかりと連携をとっていただきたいということを御要望申し上げます。

 総務大臣、結構でございます。ありがとうございました。

 次に、私は、BSEが最近、しかも年齢の若い、月齢の若い牛が、そして栃木産で、茨城で見つかったんですか、そのことにショックを受けまして、肉骨粉を利用した代用乳が原因ではないかと言われている中で、それはとまったにもかかわらず、どうしてこうした問題が起きてきたのかというのを考えているうちに、ある畜産関係の方からヒントをいただきました。

 それは、動物用のサプリメント、カルシウムなんですね。これが添加物として使われているのではないかと。いわゆる異常プリオン、狂牛病、BSEのもとになる異常プリオンというのは、三気圧以上で蒸気で加圧して六百八十度以上で熱すれば不活性化するんですが、低温だとそのまま、粉になっても異常プリオンというのは生き残るんですよ。

 過去に輸入をされた肉骨粉が、各地にあります貝殻の工場、主にカキとかホタテガイだと思いますが、その貝殻をつぶしてカルシウムをつくる、そのときに燃料兼原料として肉骨粉がまぜられる、焼かれているという可能性があるというか、そういうところがありますということを言われたんですね。これがもしあるとすれば、カルシウム自体はこれは有害物質でも何でもありませんから、かなり見過ごされやすい形で、動物用のサプリメントとして、カルシウム添加剤として使われる可能性があるんじゃないか。

 そうなると、今まで言われてきた、農水省がここで答弁されてきた、例えば外国、イギリスやイタリアからの、発生国からの肉骨粉、東南アジア経由で日本へ入ってくる可能性は薄いという、ないんではないかという答弁がありました、予算の議事録を見てみますと。ところが、それもこういう高付加価値のものに転化されるなら、あるいはダンピングして入ってくるんだったら、可能性はあるじゃないかということに気づいたわけですね。そこで、こういう面も十分に改めてやっていかないと、これからも次々と狂牛病が日本で登場してしまう可能性があると思うんです。

 それ以上に大事なことは、カルシウム添加剤というものは、もともと有害物質ではありませんから、これは人に転用される、どこかで。どこかで加工されて、人へのカルシウムサプリメントに変わる可能性もある。それが学校給食にかわる可能性だってあるではないか。なぜかというと、カルシウムが足りないということで、一時カルシウム入りミルクというのが日本じゅうで盛んになりました。

 そうすると、これは大変なことになりかねないなということがあって、それぞれ縦割り行政で、自分のところは、文部科学省は、市場に出回っているものは安全なものと認めてやっているんだから私どもはそこまで権限を持ちませんという、厚生労働省は、医薬品はきちんと見ています、農林水産省は、肉骨粉は発生国からは入れないようにしていますと、それぞれがそれぞれの城を守っているんだけれども、しかし、すき間を縫っていくとそういう可能性があるではないかという話をそれぞれさせていただきました。

 この今私が指摘した事項にのっとって、こういったものについて対処をする姿勢があるかどうか、それぞれ農水大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣に伺いたいと思います。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 肉骨粉につきましては、平成十三年十月四日以降、輸入を禁止いたしております。あわせて、国内での飼料利用を平成十三年十月十五日から法的に禁止したわけであります。今お話しの、国内で貝殻を原料とした炭酸カルシウムを製造している業者数社から聞き取ってもおるわけであります。原料として肉骨粉を使用している事実は確認できておりません。

 しかし、BSEの原因究明、こういう点から、予断を持たずに、さまざまな可能性を踏まえて、十分調査をしてまいりたい、このように考えております。

坂口国務大臣 我々のところは、食品としても、それからまた医薬品等につきましても、BSEの関係のものが入ってきてはいけませんので、その意味では徹底的にチェックをしているところでございますけれども、今御指摘をいただいたようなことにつきましても、可能性が万が一にでもあるということになればそれは大変でございますから、それらのことも含めてよく検討していきたいというふうに思っております。

河村国務大臣 学校給食における食材の安全性、これは極めて重要な問題でございますから、この点については遺漏なきを期していかないかぬと思っております。

 特にBSE問題、御指摘の点につきましては、厚生労働省、それから農水省、これは緊密な連携を持っておりまして、情報、特にそうした知見とか対策とかの情報をいただいておりますので、それは絶えず地方の教育委員会、学校給食担当者に徹底するようにいたしておるところでございまして、BSE問題だけでも既にもう四十三回ほど今通達を出しております。絶えず情報を流しておりまして、気をつけるようにいたしておりますし、そういう可能性があるということがあれば、すぐそれをとめるとか、敏速な体制が今できておるところでございます。

五十嵐委員 私は、特に学校給食については地産地消を進めるべきだと。学校給食会を使って、安いからといって遠くの、例えば中国のようなところから、よくつくり方のわからないものを表面上の安全性だけで入れてしまうということでは、子供の食の安全は完全には守れない、こういう立場に立っておりますので、ぜひ地産地消を進めるように、何らかの方法を農水省とお話しになって検討していただきたいと思います。

 お待たせして大変申しわけないんですが、最後に、せっかくお呼びをしたものですから、伺わなきゃいけない。

 デフレ対策がどうも日銀に押しつけられていると思っておりますが、私は、貨幣現象だと竹中さんは言いましたけれども、貨幣現象はすべて貨幣現象には違いないんですけれども、実体経済がなければデフレは直らないんですよ。日銀だけに責任を押しつけてはいけないし、日銀の、デフレ克服のためにといって続けられている実は量的緩和政策はきいていない。逆に、これによって日本の銀行の国債保有リスクが高まっているだけに終わってしまっている。量的緩和の政策が随分金融のゆがみをもたらしてきているというふうに思うんですが、今の認識をちょっとお伺いしたいと思います。

武藤参考人 御指摘のとおり、デフレ克服のためには経済全体の需給バランスを改善していくということが非常に重要であろうというふうに認識しております。

 民間の企業のまず取り組みが重要でございまして、そういう意味では、過剰債務の削減あるいは収益力の強化、新たな需要の掘り起こしといったような民間サイドの努力、それから政府が今進めておられます構造改革、その上で、日本銀行として、民間の前向きの経済活動を金融政策面から支えていくということかというふうに思っております。

 量的緩和政策、非常に潤沢な資金供給をしておりまして、これについて今どのような効果があるかというようなことについてもお話がありましたが、私どもといたしましては、やはりこの量的な緩和政策が、ひところいろいろ言われましたクレジットクランチといったような流動性懸念が現状においては全くないわけでありますし、金融市場も極めて安定した状態にあり、また、企業におきます企業金融の環境も非常に良好ということで、それが実体経済活動をしっかりとサポートする効果を発揮しているというふうに思っておるわけでございます。

 こうしたことで、それぞれ三者が、各主体の取り組み、努力が相まって、必ず経済の持続的成長とデフレ克服に結びつく、そういうふうに考えているわけでございます。

五十嵐委員 確かに、一部の企業収益は改善をしているわけですけれども、企業収益が改善しただけでは、そうした企業は内部留保を高めるか、あるいは海外へ投資してしまうという形に今なっていますので、なかなか力強い内需の振興というものに結びついていかないんです。

 日本でやっぱり今必要なのは、雇用、賃金を払ってもらう人、賃金を払ってくれる先を、国内でですよ、確保し、勤労所得をふやして消費に結びつけるというところがなければ、雇用拡大に結びつくような減税策、あるいは地域の経済活性化に結びつくような施策、私どもは、高速道路の無料化はまさにそうだと。山陰高速道というのはまだ全線開通していませんから、実は有料部分と無料部分がまだらにできているんですが、有料部分の交通量は無料部分の半分以下なんです。つまり、無料化したら倍以上車が動くということです。これは地域の経済に大きな差が出てくると思います。

 高速道路の無料化というのは、単にただになればいいという話ではなくて、地域経済を活性化させ、地方に工場を建てて消費地と結びつけるそういう効果がある、あるいは観光業も相当な発達が見込める、こういった高速道路の無料化策。あるいは私どもが言っているローン利子控除、これは必ず消費に結びつく減税であります。こういった政策をきちんととる。

 私は、例えば正規雇用をふやしてくれた企業に思い切って法人税を減税するというような方策をとってもいいと思っています。そういうような思い切った対策、一つの省庁だけではない、政策全体のミックスをすることによって国内の経済を活性化するという政策が今とられるべきであって、私は、そういった方向で日本を支えない限り、金融対策だけでは、金融面でお金をただ日銀から流すというだけでは、これは日本のデフレは直らないということをお話しさせていただきまして、もう時間が来たと思いましたのであれですが、まだ五分あるというので……(発言する者あり)では、譲ります。

 それでは、私の質問は終わります。ありがとうございました。

笹川委員長 これにて五十嵐君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 まず最初に、年金の話をきょうはしたいと思ってはいるんですが、その前に幾つかちょっと個別の話についてお伺いをしたいと思っております。消防庁長官は来ていただいていますか。――いらっしゃいますね。

 まず最初に、ちょっと救急医療の話で厚生労働大臣と消防庁長官にお伺いしたいんですけれども、厚生労働省の調べでは、交通事故などで外傷を負って救急救命センターに運ばれて死亡した患者のうち約四割ぐらいは適切な治療をしていれば助けることができた可能性があるというような調査があったというふうに承知をしております。

 実は、私の地元でも、救急救命士と救急医療機関が非常に安易に死亡判断をしたのではないか、死亡したと判定してから死後硬直が始まるまで四十時間以上かかったのにもかかわらず死亡判断されて、結局、手当てもされないで死亡してしまった、それをめぐって名古屋市が訴えられているというような、そういう事件まで起きているわけなんです。

 そういうことを考えてみますと、救急救命士の質の向上や体制の整備あるいは救急救命士と医療機関との連携強化のためにはもっといろいろな努力というものをしていかなきゃいけないというふうに考えるわけなんですが、これについて消防庁や厚生労働省はどのような取り組みをしているのか、その点についてお伺いさせていただけますでしょうか。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 救急業務の高度化につきましては、各地域におきまして住民の方々のニーズが大変高い分野でございまして、私どもといたしましても、救命率の向上を図るためにも、救急救命士あるいは救急隊員の知識、技能等の向上を引き続き図っていかなければならない、これは重要な課題である、こういうふうに考えております。

 このため、私ども消防庁といたしましては、救急救命士の制度を設けていることは御存じだろうと思いますけれども、この救急救命士の質の向上を図りますために、資格取得前における病院実習はもちろんでありますけれども、資格取得後におきましても、就業前教育といたしまして百六十時間以上の教育を課するようなことを行うとか、あるいは再教育といたしまして定期的な病院実習の実施を促進する、あるいは事例研究とか症例研究等への参加、あるいは各種学会、シンポジウム等への参加を促進しているところでありまして、今後とも、救急救命士あるいは救急隊員の知識、技能等の向上に努めてまいらなければならない、こう考えております。

坂口国務大臣 救急救命士の問題につきましては、できるだけそのおやりをいただきます範囲を広げるようにいたしておりまして、除細動等につきましても独自でおやりをいただけるような体制にしているところでございます。

 そうしたことを含めて、そして、救急救命のときの死亡率をどうすれば低下させていけるかということについて、これは救急救命士とそれから医師の側との連携を密にしてやっていかないといけないというふうに思っておりまして、そこがスムーズにいきますようにあらゆる努力をしていきたいというふうに思っておりますし、何が問題かということも絶えず議論をしながらここはやっていきたいというふうに思っております。

 先ほどお出しをいただきましたデータは、厚生労働省の科学研究補助金によりまして行われたものでございますが、これは、外傷死亡症例の三八・一%の人につきましてはいわゆる予測生存率が五〇%以上、こういう結果を出した。それが全部助かったかどうかはわからないわけでございますけれども、可能性としてはあるんじゃないか、そうした人に対してちゃんとやっていかなきゃいけないということで、これからもその辺のところの連携を密にしてやっていきたいというふうに思っております。

古川(元)委員 救急医療、そういう緊急事態の中で、少しでも現場の方々が質が向上して、そしてまた、ちょっとした注意をすれば救われる命があるわけですから、ぜひ、そこにおいては消防庁の方も厚生労働省の方も一層の御尽力をいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 消防庁長官、ありがとうございました。結構でございますので。

 次に、私が前から取り上げておりますリューマチの話について、厚生労働大臣にちょっとお伺いしたいと思います。

 リューマチ薬の新薬の承認について、先日も日本リウマチ友の会から大臣の方に、早急に認可をしてほしいという要望があったかと思います。これは昨年の四月にも出されて、二度目の要望だというふうに理解をしておりますが、この要望に対して、大臣、どのように今考えておられるか、そして、今どういう状況になっているのか、御説明いただけますでしょうか。

坂口国務大臣 古川議員からは、厚生労働委員会におきましても、昨年でございましたか、一昨年でございましたか、御質問をいただきまして、そうした状況の中で、リューマチの薬につきましてはできるだけ早くしていかなければいけないというので、昨年も、四月には、レフルノミドというのがございまして、これを認可したわけでございますが、七月には、インフリキシマブというのを承認した、こういうことでございまして、できる限りやっているところでございます。

 現在のところ承認されております主な医薬品としましては、大体この四種類、ステロイド剤、非ステロイド剤、それから先ほど申し上げましたようなお薬、大体大きく分けて四種類のものを承認しているところでございますが、現在審査中のものが四つございまして、これは今急いでいるところでございます。

 これを急いでやらなきゃいけないわけでございますが、いわゆる優先的な審査をどれをやるかということも、これも一遍御質問いただいたことがございますけれども、決めなきゃいけない。それで、これは現場の先生方に何を急ぐべきかということの御意見を聞いてやるという体制をつくらなければいけないというので、これは四月からスタートするわけでございまして、その中にはこのリューマチの薬等も含まれておりまして、優先順位を決めて、そして、優先順位の決まったものにつきましては半年ないし一年、できれば半年ぐらいで何とか決着がつくようにしていくという体制をつくりたいというふうに思っているところでございます。

古川(元)委員 今大臣の言われた優先審査の対象をどれにするか決めるというのは、今もう既に申請されているものを含めて優先審査対象を決めるというふうに理解してよろしいんですか。

坂口国務大臣 当然、現在申請していただいておるものの中からお出しをいただくものもあるというふうに思いますし、それから、申請されておりますものにつきましては、優先的にされるされないは別にいたしまして早くやらなきゃいけないわけでございますので、急ぎたいというふうに思っておりますが、優先順位の中に入れていただければ、それはそれでまた対応したいというふうに思っております。

古川(元)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 もう一つ、先ほどの昨年承認されたレフルノミド、一般的にはアラバ錠と言われている抗リューマチ薬で、副作用で五人の死者が出たという報道が先月ございましたけれども、こうした副作用が出たという報道が出たことによって、リューマチ患者さんたちの間では、こうした報道があると、前のあのイレッサのときじゃないですけれども、新薬の承認というものに対して、より厚生労働省が慎重になっておくれてしまうのではないか、そういう不安を持たれる方が、そういう声が上がっているわけなんですけれども、厚生労働大臣、そういうことはありませんよね。そこを確認させていただきたいんですが。

坂口国務大臣 ここは、正直なところはなかなか難しいところでございますが、厳正に審査はしていかなきゃいけないわけでありまして、そうしたいというふうに思っております。

 今回出ました、いわゆるリューマチ薬のアラバというのがございまして、これで五人、副作用で死亡が認められたということでございます。

 このアラバを認めるにつきましては、専門医による使用ということをひとつぜひお願いしたいということを書いてございますし、間質性肺炎の副作用というものも存在するのでよく注意して御使用をいただきたいということもその中に書いてあるところでございます。さらにまた、こういうことが起こったものですから、内容をより詳しくするように、今、業者に言っているところでございます。

 そして、このことが今後の薬の申請に対してどう影響するかということでございますけれども、申請されました医薬品の有効性でありますとか安全性を踏まえて承認が妥当かどうかということを個別に判断しているわけでございますので、他の品目の審査に影響させることはございません。

古川(元)委員 毒にも薬にもならないという言葉がありますけれども、薬はやはり当然、副作用というものも伴っているわけでありまして、いかにその副作用に対してきちんとした対応をとっていくかということで薬とはつき合っていかざるを得ないんだと思います。

 その意味では、イレッサの事件といいますか、副作用で何人もの方が亡くなられたというのが大々的に報道されたことによりまして、せっかく厚生労働省が世界に先駆けてこのイレッサを承認した、また、実際にこのイレッサを使うことによってかなり肺がんの方で救われている方もいるわけでありまして、患者さんたちからすると、そういうリスク、副作用、場合によっては死亡に至るかもしれないというリスクがあっても、そういう薬、そのリスクを理解して使いたいという患者の人たちもいらっしゃるわけでありまして、そういう意味では、新薬の承認に当たっては、きちんと、そういう副作用に対する対処方法をどうするのか、そして医療機関や患者の皆さんにその副作用をきちんとお知らせをする、そういう中で、理解して、それでもリスクをとって使おう、使いたいという医療機関や患者の皆さんに対して、やはりそれが使えるような環境を提供するということが私は大事なことじゃないかと思いますので、ぜひ、そういう意味では、新薬の承認に当たっては、そうした副作用ということは理解しつつも、患者にとって求められているものについては早急な承認をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、ちょっと毛色の違った話なんでございますけれども、いろいろと話題になっております青色発光ダイオードの発明について、二百億円の判決が出た。この判決について厚生労働大臣に感想はどうですかと聞くのはおかしいように思われるかもしれませんが、この判決について厚生労働大臣はどのような感じを持たれましたか。

坂口国務大臣 このダイオードのお話はお話として、これは個別の話でございますが、しかし、そういう新しいものを開発していくということは各産業の間で起こるわけでございまして、今、御発言がございましたけれども、薬におきましても、そういう新しいものをつくるということはあり得るわけであります。

 これは、開発をする方とそして企業との間でのお話し合いということなんだろうというふうに思いますが、中には、労使の間で、あらあら、そうしたことが起こったときにどうするということを決めるというのも一つの方法ではないかと言う人もあるわけでございますが、私は、労使で決める話とはここはちょっと違うのではないかという気がいたします。これは、研究者と企業との間でお話し合いをいただくべきもの、そう思います。

古川(元)委員 そういう御発言になるとちょっと私も言わなきゃいけないんですが、私もこの知的財産権の問題に今まで取り組んできたんですが、実は、今回の事案なんかも、労使関係がきちんとうまくいっていればこんな訴訟になることはなかったんですね。

 もともと、この訴訟というのは会社側から起こされた。中村さんが会社をやめて、アメリカの大学に行って研究をする。アメリカの大学は、竹中大臣よく御存じのように、教授は自分でスポンサーを見つけてきてお金を集めてこなきゃいけない。そういう中に会社の競争相手になるような会社があった。それがために、中村さんは企業機密漏えいというので訴えられた。訴えられるまで、中村さんはこんな裁判を起こすつもりは全くなかったんですが、訴えられたものですから、それに対する反訴として訴えを起こした。その結果出てきたのが今度の判決なんですね。

 実は、そうやって考えてみますと、日本がこれから知的財産の知財立国を目指すという中で、今回の事案のような場合が小さいところで起きてくるかもしれない。大きな企業については、最近は、こういう職務発明があった場合にはどのようにするかというのはかなり定めがあると思いますが、中小零細、小さいようなところは多分ほとんどそういうものはないかもしれない。そうなりますと、後からこれが世紀の大発明だということになるとこういうトラブルが起きる。これは、発明をする研究者の側にとっても、経営者の側にとっても、私はいいことではないと思うんですね。

 そういう意味では、この知的財産権の問題というのは、知的財産権法の有名な教授の方が私にも言われたんですけれども、特許法とかそういう問題だけじゃなくて、実は労働関係の、労働法の問題というのが非常に大きなポイントがあると。

 アメリカなどで、いろいろなアイデアとか新しい新規の技術をビジネスにしていくというときには、インキュベーターとよく言われますけれども、日本でインキュベーターというと、すぐ何か箱だけ用意して後で頑張ってくださいということなんですが、アメリカなんかですと、当然、そういう何かアイデアがあった、では、それを特許申請する、その後、それをどう製品に生かす、他社との関係で守っていく、では、その研究開発に従事した人がその企業を離れるときには、どういう条件で離れるのを認めるかとか、そのときの報酬はどうするかとか、すべてそういうのも含めて、労働関係も含めてケアして初めてそういう小さな芽というものが大きなビジネスやあるいは成果として出てくる、やはりそういう体制ができているんですね。

 そういう意味からしますと、この知的財産権の問題というのは、厚生労働省、自分のところは余り関係ないと思っているかもしれませんが、私は、非常に大きな関係があるんじゃないかと。むしろこれは、労働契約という観点からすると、この知的財産権、企業側にとっても、そして研究者にとっても、新しい発明や研究開発を促進するような方向に持っていく、そのための労働契約というものはどうあるべきか、やはりそういうことがきちんと今から検討されて、そういうルールづくりなり、あるいはそういうルールをきちんと就業規則なりでつくるように指導していくということが、私は、厚生労働省、必要だと思いますが、いかがですか。

坂口国務大臣 そうしたことも検討はしなきゃならないかもわかりませんが、これは労使の間の話し合いだけで済む問題か、それとも、労働なら労働の方の法律的なもので対応すべき問題なのか、そこはよく一遍検討したいと思います。

 現在のところは、労使間でそうしたことをやられているところというのはどこも、ほとんど私はないと思いますし、これからそうしたことも労使の間での話し合いの中に入れていくのがいいのか、それとも、それは他の法律事項なのか、そこはよく検討したいと思います。

古川(元)委員 せっかく竹中大臣がいらっしゃいますから、経済財政諮問会議を主宰している大臣として、この知財の問題、余りこういう労働という視点から今まで検討されたことはないんじゃないかと思いますが、その点についてはやはり今後そういう検討の中に入れていかなきゃいけないんじゃないかと思いますが、もし御意見ありましたら。

竹中国務大臣 諮問会議等々で知的財産の重要性等々を議論いたしますが、今御指摘のような深いところまで正直言ってまだ議論したことはございません。

 その上で、確かにこれは会社と雇用者の関係でありますから、そういう雇用契約という観点も入ってくるのかな、大変重要な御指摘かなというふうに伺いました。

 同時に、この労使の問題というのは、一種の団結権の中で今までこういった労使の関係というのは議論されてきた。その団結権を必要とするような話になるのかどうなのか、そういう点もあるのかなというふうに聞いていて考える次第でございます。

 厚労大臣おっしゃられたように、一方で、まずはやはり法律の関係、知的財産をめぐる法律的な関係が重要であろう。その上で、それを支える基盤として、雇用の関係等々も、これは少し御指摘をいただいて私なりに勉強をさせていただきます。

古川(元)委員 そういう知財立国を目指すというからには、いろいろな方面からの環境整備というものがなければいけないということを、ぜひ今回御理解をいただければ結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 さて、それでは本題の方に進んでいきたいというふうに思うんですけれども、年金改革の議論がこれから本格化していくわけでございますが、この年金を含めた社会保障の議論をするに当たりまして、我が国では国民負担率という概念がしばしば使われている。

 そもそも、この国民負担率という概念なんですけれども、これは、いつ、だれによって、どのような目的でつくられたものなのか、ほかの国でこうした概念を使っている国はあるのか、経済学的にもこういう国民負担率という概念というものが存在しているのかどうか、その点について教えていただけますか。

谷垣国務大臣 私も、国民負担率という概念がどうして出てきたのかというのは、委員の問題意識でちょっと勉強してみたんですが、これは税と社会保険料の合計が国民所得に占める割合ということですけれども、これはどうもいわゆる第二次臨時行政調査会の第三次答申、昭和五十七年の七月三十日に出たわけですが、その中で用いられたのが最初ではないか。その中では、あるべき行政サービスの水準と負担のあり方と関連して、こういう概念を使って明示的に論じられるようになったと。

 それで、この第二次臨時行政調査会においては、今後の行財政改革についての検討で、増税なき財政再建の推進とあわせて、社会保障も含めた行政サービスの水準と負担のあり方、こういうことをこの中で議論していったということだろうと思います。

 それから最近では、いわゆる骨太の二〇〇三で潜在的国民負担率というような言葉も使っておりますけれども、これは、今までの国民負担率という概念の中には将来世代への負担の先送りである財政赤字が含まれていないということでは問題が包括的に理解できないのではないかというようなことでそのような概念が工夫をされてきたということのようでございます。

古川(元)委員 こういう概念、外国で使っているところはあるんですか。

谷垣国務大臣 外国の例については、ちょっと私、よく承知しておりません。

古川(元)委員 竹中大臣、御存じですか。

竹中国務大臣 財務大臣から御答弁があるかもしれませんが、私の認識では、これは、政府の規模ということで議論されることは間々あるのではないかと思っております。

 ただし、その場合は、いわゆる財政赤字を加えた潜在的国民負担率、税の負担、それと社会保険の負担、それに財政赤字を加えて潜在的国民負担率、これがまさに政府の規模を意味している。そのトータルの、これは国民所得なのかGDPなのか、分母はいろいろあるかもしれませんが、その中に占める政府の規模がどうしても大きくなる傾向がある、それを抑えなければいけない。歴史的なことは、ちょっと私、十分知りませんから、少なくとも今日的な意義ということでは、そういう議論がなされることはあると承知しております。

谷垣国務大臣 済みません。今、秘書官から紙が参りまして、補足させていただきますと、OECDが、一九七四年以降、レベニュー・スタティスティックス・オブ・OECD・メンバー・カントリーズというのを出しておりますが、その中で、毎年データの更新を行っているんですが、ここで、国民負担率という言葉は使用しておりませんが、租税収入、社会保険料収入を合わせた政府の歳入の対GDP比、こういう概念を使っているのが類似の概念ではないかと思います。

古川(元)委員 類似と言いますが、私もかつて大蔵省にいましたから、これはもともと日本の大蔵省がつくった概念なんですよね。ですから、ほかの言葉、似たようなのはあるかもしれないけれども、いわゆる国民負担率というもので言うと、まず多分、竹中大臣、国民負担率という概念を、外国の人にこれを直訳して話してもわからないと思うんですね、それは中身を説明しないと。

 そういう意味では極めて日本独自の、こういう概念を日本でつくるのは珍しいですね。普通は、諸外国にあるのを持ってきて、他国でもこう使っていますからと。消費税でも何でも、他国の例を引いて、他国と比較して我が国はということなんですけれども、この国民負担率に関して言えば、今大臣も言われたように、ほとんどの国では、似たような概念はあるかもしれないけれどもと。

 そう考えますと、なぜ日本だけこういう概念をつくったのか。その意図というのがどこにあるのか。ほかの国と簡単に比較のできるような概念じゃないわけです。財務省がこれをつくっているわけですけれども、この国民負担率というのはOECDのレベニュー・スタティスティックスから加工してつくっているんですね。そのまま持ってこられないわけですね。

 ですから、そういう意味では、そういう非常に特殊な概念をなぜこの日本だけが、非常にいろいろなところで、まさにキーコンセプトのような形で使われているわけでありますけれども、この辺についてはどうしてだというふうに思っていますか。

谷垣国務大臣 我が国だけどうしてかというのには、ちょっと今、古川委員にすぐお答えする用意がないんですが、しかし、租税と社会保険とあるいは国債のようなものも含めてどれだけ国民が負担しているのかということは、政府の大きさを考える上では意味があることであると思いますし、そのことが国民の活力とか経済の活力をある意味で測定する上では私は意味のある概念ではないかなと思います。

古川(元)委員 先ほどから、竹中大臣からも政府の規模、今、谷垣大臣からも政府の規模とありました。経済財政諮問会議でも、五〇%という、ここに抑えよう、自民党の政権公約でも、国民負担率を五〇%以下に抑えますと書いているわけなんですが、では、政府の規模を五〇%に抑えるということの根拠といいますか、理由はどこにあるんですか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府の規模というのはどうも趨勢的に増大していく懸念があるのではないだろうか、やはりそういう懸念を、これは私も持っておりますけれども、広く国民一般、持っているのではないかと思います。

 一つは、やはり高齢化の中で、そういった財政需要、社会保障を含めた財政的需要が物すごく爆発的にふえるのではないだろうかということを懸念している。

 もう一つは、一九八〇年代から九〇年代にかけて、これは一例でありますけれども、例えばブキャナン教授がノーベル経済学賞をおとりになって、その中で、民主主義社会の中でどうしても国民の声を聞こう聞こうとすると必然的に政府というのは大きくなってしまう、だから先進工業国の中では民主主義という制度そのものの中に実は財政赤字というのは組み込まれてしまっているんだ、それがやはり政府の規模をどんどんどんどん大きくしていく、ブキャナン教授はそのように主張されるわけですが、そういう今のシステムそのものに対してやはりいろいろな思いがあるのではないかというふうに思います。

 そうした中で、やはりこれは、五〇%がいいかどうかというのはいろいろな議論があるところだと思いますが、何らかの一つのレファレンスゾーンみたいなのをつくって政府の規模をある程度の規模にしていくことが、そういう努力が必要なのではないか、政策的努力が必要なのではないか。

 これは実は、平成九年の財政構造改革会議等の議論で、潜在的な国民負担率を五〇%程度に抑制するというような議論が明示的に出てきております。そうしたことを踏まえて、骨太二〇〇三におきましても、例えば潜在的国民負担率で見て政府の規模の目途を五〇%程度としつつその上昇を抑えるんだ、そのような表現に至ったというふうに感じております。

 要は、そうすると、あとの疑問は、政府の規模が大きくなると実態的に悪いことがあるのかどうか。将来大きくなるという懸念をみんな抱いているというお話を申し上げましたが、実態的に悪いことが起こるのかどうかということに関しては、いろいろな議論が専門家の間であると承知しております。

 例えば、平成十五年度の経済財政白書におきまして、OECD諸国間における潜在的国民負担率と経済成長率の関係を統計的に調べておりますが、両者の間には緩やかな負の相関がある、つまり、潜在的国民負担率が高い国ほど経済成長率も低くなるという傾向が認められると。だから、やはり政府の規模が余り大きくならないように抑制していかなければいけない、そういうことになるのだと思います。

古川(元)委員 もちろん、政府の規模がむやみに大きくなっていくことはいけないと私も思いますけれども、では、なぜそれが、今、レファレンスと言われましたが、五〇%という数字なのか。なぜ四〇じゃないのか、なぜ六〇じゃないのか、なぜ五〇なのか、その点について御説明いただけますか。

竹中国務大臣 実はそこは、銀行の自己資本比率がなぜ八%なのか、七・五じゃだめなのか、いろいろなお考え方があるのだと思います。

 一つは、やはり我々が生み出す付加価値ないしは所得の半分ぐらいは国民的に負担する、公的なそこに負担する、しかし半分ぐらいはという、その半分ぐらいというのは一つ大変大きな意味を持っているのではないかなと思います。

 申しわけありませんが、なぜ四八じゃだめなのか、五二じゃだめなのか、そういう議論に対してお答えできる性格のものではないんですが、五〇%を目途にするというのは、これは、国民の一般的な心理を考えましても一つの意味合いはあるのではないかと思っております。

古川(元)委員 今、大臣が金融機関の自己資本のお話をされましたから言いますけれども、あれは、バーゼル合意とか、ちゃんと国際的な取り決めをしたわけでしょう。

 では、この国民負担率について、国際的に、大体五〇%、そういうような暗黙の合意というのがあるんですか。

竹中国務大臣 これは、その時々の国の状況によって政策運営の目標をどのように定めるかということなのだと思います。

 また例示で大変恐縮ですが、不良債権比率を半分にするという目標を掲げておりますけれども、そんな国はあるのか。目標を、かつて減らした国も掲げていたのか。掲げていた国も掲げていなかった国もあったのではないかと思いますが、そこはやはり、政策というのは、さまざまな要因の中で国民の心情等々も踏まえて総合的に、まさに政治的に判断して目標を定めていって、その目標を目指して頑張っていくという性格のものだと思っております。

古川(元)委員 私は、この国民負担率というのは政府に対する信頼と大きく密接に関係してくると思うんですね。政府に対する信頼があって、税金がむだ遣いされない、年金の保険料として払い込んだ保険料がグリーンピアとかどこかに消えていかない、きちんと年金として返ってくる、それだったら、六〇%や七〇%だって国民はそれを受け入れるんですね。逆に、今みたいに政府がむだ遣いばかりしていると、年金のお金もどこへ消えているかわからないという状況の中では、これは二〇%だろうと一〇%だろうと、そんな政府に税金や保険料を納める気はない、そういうふうに考えるんだと思うんですね。

 そういう意味では、そういう考えからすれば、五〇%というのは、では政府に対して今国民が本当にそんな半分も信用しているのか。まさに今、竹中さんは、日本人には大体半々、半分ぐらいと。それは江戸時代の五公五民と同じじゃないですか。五公五民の、お上に対して半分は納めろ、そういう江戸時代の発想を今の政府も基本的に踏襲している、そういうことですか。

竹中国務大臣 財務大臣からもお答えがあるかと思いますが、五〇%で五公五民、数字の上ではそういうことになるのかもしれませんが、委員がおっしゃっている点は、私たち、大変重要だと思っているんです。

 私、先ほど申し上げましたように、これは、政府の規模が大きくなることについてある程度歯どめを持っていかなければいけない。委員がおっしゃっているのは、その同じ規模でも質に違いがあるだろうと。これは当然のことだと思います。この質をよくしていかなければいけません。

 政府というのは信頼される、預かったものに対して必ずしっかりとした年金を払っている、これはこれで、規模が五〇%であれば質がどうでもいいということではもちろんないわけでありまして、その改革はしていかなければいけないと思います。しかし、大変な増税圧力がある中で規模について一つの目安を持っているというのは、私は、これはしっかりとした、財政の質を高めるという意味でも一つの効果を持ってき得るのだというふうに思います。

 これはしかし、基本的には選択です。所得のうちの八割を使うのか、五割を使うのか、これは個人の選択である。これは国民がどのように判断するかということだと思いますが、国民に対して、例えば自民党の公約は五対五ぐらいでやろうではないかというふうに、これは一つの政治的な判断として国民に呼びかけているというふうに解釈をしております。

古川(元)委員 大臣はそうおっしゃいますけれども、この国民負担率で五〇%という数字は物すごくいろいろなところをひとり歩きしているんですね。先ほど来からのお話でいくと、決してこれが金科玉条のそういう数字じゃないという御認識のようなんですが、しかし、この五〇%というのが非常にいろいろなところを走り回っている。年金を含めた社会保障の議論をする際に、まず最初のこの一番大枠のところにこの国民負担率という概念がありますと、非常に私は、これは、その質を高めていくという議論さえもできなくなってしまう、そういうやはりリスクがあるんじゃないかと思っています。

 今、いろいろな話が出たわけですけれども、坂口大臣、厚生労働大臣としてこの国民負担率の概念についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

坂口国務大臣 国民負担率につきましてのお話は今あったとおりでございますが、大枠として、一つの目標として、やはりできるだけ財政の拡大を抑制していかなきゃならないという、そういう意味合いは私も持っているというふうに思っております。

 ただ、諸外国と比較をしたりなんかしますときに、この国民負担率の中には消費税は入ってこないものですから、なかなか比較も難しいわけでございます。これから先、消費税がどうなるかわかりませんけれども、消費税の問題が出てきましたときに、この国民負担率という物差しではかることが果たしていいかどうかという問題はあり得るというふうに思っております。

 したがって、それらのこともよく検討しながらこれから日本の国の中で財政規模をどれぐらいにおさめていかなきゃならないかということ、これはやはり目標を持ってやっていかなきゃならないというふうに思いますから、その物差しとしてすべてのものを含めた物差しというものが適切ではないかというふうに私個人は思っております。

古川(元)委員 そうすると、坂口大臣のお考えでは、今のこの国民負担率という概念がそういう物差しとして好ましいとは思っていないというふうに理解してよろしいですか。

坂口国務大臣 そこまで私は言っているわけではございませんけれども、これから将来、消費税の問題等が出てまいりましたときに、それらのことも含めて考えていくということが必要になってくるということを申し上げている。今は消費税が非常に低いですしいたしますから、それほど大きな影響はないというふうに思っております。

古川(元)委員 竹中大臣、今の厚生労働大臣の御意見に対してはいかがですか。

竹中国務大臣 基本的には、政府の規模が大きくなり過ぎることを抑制しながら、しかしその中身についてはしっかりと今後の問題も含めて見ていかなければいけないという御趣旨でありますので、私もそのとおりだと思っております。

古川(元)委員 ぜひ、この国民負担率という日本に特異な概念が、余りいろいろな自由な議論を封じ込めることのないように。最終的には、もちろん、少しでも租税と保険料の負担率が低くて、そして国民生活がいい国家がいいに決まっているわけでありますから。しかし、この概念が先に来てしまうと自由な議論さえもできなくなる、そういう危険性がありますから、ぜひその点は、余りここばかりにこだわらないようにしていただきたいということをお願いして、次の議論にお話を進めさせていただきたいと思います。

 政府から年金の改革法案が出されたわけなんですけれども、今回の年金改革法案について、財務省もこの政府案が決まる前にはいろいろな御意見を言っておられた。竹中大臣は、大臣になられる前から年金に対してはいろいろな御意見を持たれておられた。そのお二人の視点から見て、今回の政府案をどのように評価しておられるか、御意見をお二人から聞かせていただけますか。

谷垣国務大臣 私の観点からいたしますと、年金で一番大事なことは、持続可能であるかどうかということだろうと思うんですね。要するに、給付と負担というものがうまくかみ合っていないとそれができない、その調整をどうするかというのが一番大事な問題であったのではないかというふうに考えておりまして、それは今後とも一番大事な視点ではないかと思います。

 その点では、これはぎりぎりの議論をいたしまして、制度の中身については厚生労働大臣がいらっしゃいますから申しませんけれども、その負担の上限を定めてやっていくということで、その大きな流れをつくることができたのではないかなと思っております。

竹中国務大臣 最も重要なことは、やはり受益と負担の関係を明確化して制度そのものが持続可能な、サステーナブルなものであるというふうにする、そういう信頼感を国民に持っていただけるようにするということだと思います。

 御承知のように、日本の場合、人口変動のリスクが非常に大きい。今まで賦課的な要素が入っていたわけでありますが、支える側と支えられる側の人口比が圧倒的に変わってくる。これを避けたいわけでありますけれども、避けるための一番いい、その単純なやり方は、完全な積立型にするのが、自分の分は自分で積み立ててください、そうすると、人口変動のリスクは避けられるわけでありますが、現実に今の制度がもう動いているわけで、これを全部積立型にしろというふうに言ったら、例えば私たちの世代は、今まで上の方のために払ってきて、今すぐ今度は自分のために積み立てなきゃいけないという二重払いをしなきゃいけない。

 したがって、これは、現実的な方法としては、人口が変化するということを見越した上で受益と負担が明確になるような、どこかで折り合いをつけていく、そういうことが一番重要なのではないかと思います。その意味では、谷垣大臣がおっしゃったように、そういうことを踏まえて持続可能なものにある程度持っていけているのではないかというふうに考えております。

古川(元)委員 年金制度というものはもちろん受益と負担、バランスがとれなきゃいけない、そこは大事なんですけれども、しかし、それは、数字上の話としてとれなきゃいけないのと、現実にその数字に見合った保険料がちゃんと入っているかどうか。その点は、これは国民の、特に保険料を納める人たちの制度に対する信頼感がない限りは、幾ら数字上つじつまが合っても、結果的に開いてみるとお金が入ってこないということがあるわけですね。現実に、国民年金でいいますと、未納、未加入が四割にも及んでいる。これはやはり、国民の皆さんの年金制度に対する不信感というものが極めて高くなっている。

 私は、今回の年金改革の一番大事なことは、そうした失われた信頼をどうしたら回復できるのか、どういう改革案を示せば、この年金制度ならば保険料を自分の将来のため、あるいは親の世代のためにきちんと納めていこうというふうに思えるような、そういう制度改革になっているかどうかということだと思います。

 そういう視点から考えて、今回の年金改革案、これで国民の皆さんが年金制度に対して信頼を回復して、そして保険料を納めよう、これなら民間の貯金するより、あるいは自分で、個人で個人の年金保険に入るよりも公的年金の方がいいやといってわざわざ徴収強化をしなくても自分の方から払ってくれるような、そういう制度改革になっている、そういうふうにお思いですか。三大臣、いかがですか。

坂口国務大臣 信頼を回復しなきゃならないというところは、それはもう御指摘のとおりと私も思いますし、そこは一生懸命やっていかなきゃいけない。

 ただ、制度改革をいたしますときに、年金の制度改革というのはなかなかわかりにくいですから、一度に国民の皆さん方に、こういうふうに変えますからこれで安心ですということを御理解いただくまでにはやはり時間がかかるというふうに私は思います。

 したがいまして、今回の改正はまことに単純なものでございます。負担と給付の関係を中心にして変えるだけでございますからまことに単純でございますから、単純にいたしまして、この単純な形にして、皆さん方に、この計算をしたらこういうふうになりますということを御理解いただくということ以外に私はないと思っております。

 これは一朝一夕にいかないことでございますけれども、そこは一つ一つ御説明を申し上げていく以外にないのではないかというふうに思っております。

谷垣国務大臣 国民の信頼がなきゃつじつま合わせしてもだめだという御指摘は、私もそのとおりだと思います。

 それで、信頼してほしいと我々は言わなきゃいけないわけですが、その基本にあるのは、やはり、ちゃんと続けてやっていけるものかねということだろうと思うんですね。持続可能性ということが信頼をつなぎとめる中心にあると思います。

 したがいまして、その一番中心的な部分は今度の仕組みによって大きな方向をつくることができたのではないかと考えておりますが、まだそのほかにも恐らくいろいろなことをこれから検討していかなきゃならないんだろうと思いますので、一生懸命議論をして努力をしたいと思っております。

竹中国務大臣 両大臣のおっしゃったとおりだと思っております。信頼を得るためには、まだやらなければいけないことは多々あると思います。しかし、受益と負担に関して重要な一歩に今回の改革はなると思っております。

 昨日の経済財政諮問会議におきましても、坂口大臣においでをいただきまして、引き続き、総合的な観点から年金を含む社会保障改革全体を諮問会議でも議論していくということを申し合わせたところでございます。

古川(元)委員 そういう意味では、昨年の総選挙のときに、総理は、年内に年金の抜本改革案を示しますというふうに約束をされたわけですけれども、今の三大臣のお話を聞いていますと、まだいろいろな問題は残されていると。

 そういう意味では、この政府案というのは、小泉さんが言っていた抜本改革というものの姿ではないというふうに認識してよろしいですか。

坂口国務大臣 総理がおっしゃいました抜本改革、それは、今回、私たちが出しましたのは、ここがなければほかのことはできていかないわけで、全く一番の基本でございます。したがいまして、ここが根本だというふうに思っておりまして、私は、根本改革と、こう言っているわけでございますが、ここは一番基本だというふうに私は思っております。

 それで、負担と給付の問題を決めて、後はそれにどう枝葉をつけていくかの話になっている。経済財政諮問会議でも昨年出ました宿題は、個人単位にできるかどうかということだったわけであります。そうした問題で、積み残している問題は確かにございます。ございますが、これはなかなか、個人単位にするかどうかということをやりましたときに、それではその支払いをだれがするのかという問題がございますし、また、個人単位ということになりますと、女性も全部支払いをしていただかなければならないわけでありますから、女性の賃金、男女格差というものを今のままにして、そして個人単位にしていいかどうかというような話にもなってまいります。それは日本の産業全体にも影響を及ぼすことでございますから、それらのことも含めて今後議論をしなければならない問題は多いというふうには思っておりますけれども、しかし、一番中心は負担と給付であることだけは間違いがない。

 どういう制度にしましてもそこに尽きるわけでございますから、ここは現在の制度の延長線上で考えれば、これは、これだけの負担、給付でございますということを明らかにして、そして、今後さまざまなことが起こってくればそれに対して対応していくということでいいのではないか、ここが抜本だというふうに私は思っております。

古川(元)委員 何か抜本とか根本とか非常に紛らわしい言葉があるんですけれども、最初の大臣の答弁だと、これは抜本改革ではなくて根本改革だと。そうすると、何か根本改革の方が抜本改革よりも小さい円のような気がするんですが、最後には抜本改革だと。どっちなんですか、これ。

坂口国務大臣 円の大きい小さいの話ではございませんで、どこが基本かということを申し上げているわけでございまして、私は、今回決めました負担と給付というところがどういう制度をつくるにしましても一番基本であることには間違いがない、ここをしっかりとさせて、次の段階に決めなきゃならないところがあればそれは進んでいくということだというふうに思っております。

古川(元)委員 今の、負担と給付の見直しということであれば、それは過去五年ごとにやられてきた年金改革、そのときも同じことをやってきたんじゃないですか。そのときも、負担と給付。現行制度を前提にする限りは、常に負担と給付を見直していかなきゃいけない。それをやってきたのが今までじゃないんですか。

 そういう意味では、今までの改革と今回の改革は何も違わないということになるんじゃないですか。どうして今回のだけが坂口大臣の言われる根本改革になって、前のはそうではないんですか。その違いを教えてください。

坂口国務大臣 長期的な展望に立って、今回、この計算をしたということでございますし、また一方におきましては、積立金の使用というようなものもその中に入れた。国庫負担の二分の一負担ということもそれは明確にした上で計算をし、ただ五年ごとの計算だけではなくて、もう少し長期展望の中で計算をしたということでございまして、そこは今までの行き方とはかなり違うというふうに思っております。

古川(元)委員 前のときはそんな長期展望はしていなかったんですか。たしか私の記憶によれば、前のときは、もう無限に、要するに年金制度がちゃんと維持できるように、それが今回は逆に、百年というので有限になったと。むしろ、見込みは、見通しは、前は、ずっと永久に続くように、そういう中での負担と給付をバランスさせるという話だったのが、今回、百年という、逆に短くなった、そういう認識なんですけれども、それは違いますか。

坂口国務大臣 そこは、有限なんです、有限。有限であることは御指摘のとおりでございます。百年という期限を区切って、その中でやっていく。ただし、この百年は、この百年だけを見ただけではなくて、今後、その都度その都度、それから先の百年をどうしていくかということを見直していくということでございます。

 百年先にどういう社会が生まれているかということの想像というのはなかなか難しいわけでございますが、百年以上、何百年も先の話を想像することはさらに難しいわけでございます。当面、この百年間というものに限って、そこで計算をしていくということではないかというふうに思います。

古川(元)委員 前のときも、もうこの改革すれば大丈夫です、大船に乗ってくださいと言われて、五年たって人口推計の見直しをやると、いや、この大船はどうも穴があいていました、次の大船に移ってくださいと。この大船も、また五年たつと、いや、やはり穴があいていました、また次の大船に移ってくださいと。

 なぜこれだけ国民の皆さんが年金制度に対する不信を高めてきたかといえば、これで大丈夫です、この負担増と給付減、これをやればずっともちます、永久に均衡するんですと言っていて、五年たつと、やはりもう一段の負担増と給付減が必要です、それがずっとこの二十年以上も繰り返されてきた。その結果、私は、年金制度に対する信頼感というのは失われたと思うんですね。

 今回の年金制度改革の政府案から出た負担と給付の見直しという点だけ見れば、はっきりしていることは、これから二〇一七年まで毎年保険料は上がり続ける。つまり、負担は上がり続ける。そして、給付率もだんだんと下がっていく。つまり、今までと同じように負担増と給付減が行われる。我々にとって確かなことは、負担増と給付減が過去と同じように続けられる、そこだけじゃないですか。

坂口国務大臣 そこを明確に言わなかったところに今までの問題があったわけであります。それをだれが勇気を持って言うかということだったと私は思うんです。少子高齢社会という現状を見たときに、だれかそこを言わなきゃならない、いつか言わなきゃならない、そこを明確にしてこなかったところに私は問題があると。

 それは、現在の、年々歳々保険料は上げていきますよ、そして給付は下げていきますよ、それを聞かれたら、みんななかなか、それはそうですというふうに、それはわかりましたとは言いにくいでしょう。それは、どちらかといえば反対だというふうに言うでしょう。

 しかし、現在の少子高齢化の社会を見ましたときに、現在は高齢社会の影響は出てきている、しかし、少子化の影響は本当に今まだ出てきていないわけで、二十年先でございます。

 だから、国民の皆さん方がそこを見てどう考えていただくかということでございますけれども、そこまでを皆さん方に求めるのは私も無理だというふうに思っておりますが、しかし、政治家はそこを見て、勇気を持って、たとえ反対をされることがあったとしても、将来を見て、やはりやるべきことはやらなければならない。

 今御指摘になりましたように、十七年間、徐々に負担は上げていく、そして給付の方は下げていく、そのことを明確にしたということが今回の特徴だと私は思っております。

古川(元)委員 時間が終わりましたので、また議論はこれから続けさせていただきたいと思いますけれども、今まで明確にしてこなかったと。それであれば、きちんとそこのところを、今までの政府のやり方、与党のやり方が悪かったんですとまず反省をしてからこういう案を出してくるべきであって、その反省もなく、今になって、今まで言ってこなかった、悪かったなんと言うのは非常にこれは無責任だ、そういうことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

笹川委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 今回、拉致の問題について質問をさせていただきたいと思うわけでありますが、この拉致問題というのは、一つの国としてとらえるならば、その国の主権が甚だしくおとしめられた、甚だしく主権が侵害された事件でありますし、同時に、この問題は、拉致された一人一人の被害者にしてみれば、本当に何とも言えない怒りを持つ事案であります。

 したがって、この拉致問題の解決というのは、拉致被害者の方々の救出をするという点においては、人生の時間をそこで使っているわけでありますから、一刻の猶予もなく解決すると同時に、日本の国の主権ということを考えるならば、これは一刻も早く解決をしなければならないわけであります。

 そこで、この拉致問題についてお伺いをしていくわけでありますが、拉致について調査をするところは一体どこなのか、また拉致についてその事案を認定する部署はどこなのか、お伺いいたしたいと思います。

福田国務大臣 委員おっしゃられるとおり、この問題は、やはり早期解決であると同時に、毅然たる態度で行っていかなければいけない問題だというように考えます。

 拉致の認定というお話でございますけれども、これは、どういう手順でもってこれが表面化するかということであり、認定に至る手順でございますが、通常、告発に基づいて、関係者からの告発がございまして、全国の警察に対して一斉にそういう告発が提出される。これは、北朝鮮の拉致容疑事案について、過去十三件告発がございました、先月でございますけれども。そういうような手順をとっております、いろいろなケースがあるんだろうと思いますけれども。

 そして、その先どういうふうにするかということになりますが、警察におきまして、北朝鮮による拉致の可能性があるのかないのかというような、告発に基づく捜査を、また調査を進める、こういうふうな手続になります。

 そして、その結果、被害者の認定ということが妥当である、間違いなくそうだというような状況に至れば、その認定をする、こういうふうな手続になるかと思っております。

松原委員 つまり、今の官房長官の御答弁をお伺いして、調査する部署としては、これは警察というふうな認識でよろしゅうございますでしょうか。

福田国務大臣 まず、警察によります調査及び捜査、これは第一段階として必要なわけでございます。それに基づいて、調査の結果、いろいろな資料があるのかないのか、また、資料があればそれに基づいて事実関係の確認をしていく、こういう手続が必要なわけでございます。

松原委員 こういった問題において一番大事なことは、その全体を統括し、そして全体において情報を集め、そしてまたそれぞれの部署に対して指示を出すという、いわゆるヘッドクオーターといいますか、そういった、責任を負う、統括する部署が必要であると思っております。

 拉致問題の解決のために万全を尽くして闘うというのであれば、そういった、いわゆる統括し、最終的な全責任を負う部署というのがなければいけない、このように考えるわけでありますが、そういった部署はあるのでしょうか。

福田国務大臣 政府が責任を持って行うこと、それは、最後は、一番トップは総理大臣にありますけれども、その以前の段階において、日朝国交正常化に関する関係閣僚会議というものがございます。また、官房副長官が議長を務めます拉致問題に関する専門幹事会、こういうものがございます。この専門幹事会のもとには関係省庁それから関係機関が連携協力して、そして拉致問題を最優先課題として問題解決に当たる、こういうふうな体制になっておるところでございまして、そういうような連携をとりながら、各機関が、また政府のそれぞれの担当が担当部署の行うべき問題の処理に当たっておる、こういうことでございます。

 いずれにしましても、最終的には、政府一体となってそういう部署を取りまとめて、ただいま申し上げました日朝国交正常化に関する関係閣僚会議、そういうようなところで処理をしていく、こういうふうに考えております。

松原委員 この問題の解決を図るために、専門的にこの問題に特化して扱っていく部署というものが必要なのではないかというふうに私は認識をしているわけでありますが、関係閣僚会議といえば、それぞれの閣僚の皆さんは、またそれぞれの省庁のさまざまな案件を持って寄ってこられるというふうなことになろうと思っております。

 そういった意味からまいりますと、やはりこの問題に対して日本が真剣に取り組む、万全を期して取り組むということであるならば、このことに特化した、いわゆるほかのものと兼ね備えてやるというのではなくて、拉致問題そのものに特化するそういった部署というものが必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、御所見をお伺いいたします。

福田国務大臣 やはりこれは、例えば先ほどの警察による調査、捜査、こう申しました。それはそれで専門家ですから、そこでもってやるべきことなんです。そういうような情報を集めたものをまた関係省庁と連絡協議しながらやっていくということになります。

 それはほかの事案においてもそうです。例えばテロにしても、いろんな省庁が協力し合ってやる。そして、その省庁がそれぞれの担当分野の専門を、十分に専門性を発揮して、そしてベストを尽くして行うということで、しかし、それを取りまとめるところはどこかといいましたら、例えば先ほど申しました専門幹事会というものがございますので、拉致問題に関する専門幹事会、こういう組織をつくっているわけでございますから、ですから、専門の部署が必要だということは、それは、こういう組織体を持っておるということが委員のおっしゃったことになるのではないかというふうに思っております。

松原委員 今の官房長官のお答えでありますが、この専門幹事会を構成するメンバーというのをいろいろとお伺いすると、この専門幹事会のプロパーのメンバーというのは一体どなたがいるのかということになるわけであって、すべて他の役職と兼任しながらやっているというふうなことではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

福田国務大臣 それは、例えばメンバーを申し上げましょうか。官房副長官のもとに、内閣官房副長官補、それから警察庁警備局長、法務省の大臣官房長、公安調査庁の次長、外務省のアジア大洋州局長、厚生労働省の大臣官房長、それから議長の指名する他の関係者、こういうふうなことでございまして、それは、それぞれの専門分野を抱えているところでございます。例えば、局長は幅広くいろいろなことをやりますが、その下に完全に特化してやる人もいるんだということでございます。

松原委員 私は、もちろんそういうさまざまな省庁との連携というのは絶対必要だというふうに思っておりますが、やはりしかるべき立場でこのことに特化する人間を置いてやるのとやらないのでは大いに違うし、そのための、それを専門に行うスタッフというのがどれぐらいいらっしゃるのか、ちょっとこれをお伺いいたしたいと思います。

福田国務大臣 各省庁におきまして、専門に担当している者がおります。しかし、その専門に担当している者も、いろいろな情報、ほかの情報等々を収集しなければいけない、ほかの分野で集めている情報も収集しなければいけない。拉致というのは、単なる拉致だけでなくて、例えばその国の状況だとか政治情勢とか、いろいろなことがあるのではなかろうかと思います。ですから、そういう情報が共有できるような立場の方がより効果的なことができるという考え方もあるんだろうというふうに思います。

 人数がどのぐらいいるのか、こういうふうにおっしゃいますが、特化している人が何人いるかということになりますと、ちょっと私資料を持っておりませんけれども、だけれども、その上に例えば拉致の問題と北朝鮮情勢というようなこととも、両方やっているというような人もいるかもしれぬし、ですから、関係者という意味でいえば、相当な人数がいるのではないかというふうに思います。

松原委員 くどいようでありますが、私は、横断的にやることの必要性というのは極めてあると思っております。

 ただ、そうした中で、最後の責任というか、最後の統括を専門にやる人間がどれぐらい存在しているのか。ということは、拉致問題を万全に備えて解決するためのこれは必要十分条件というか、必要条件ではないかというふうに私は思っているわけでありまして、今の御答弁では、では、少なくとも、専門に拉致問題を特化してしているそういった立場の人は基本的にいない、こういう認識でよろしいわけでしょうか。

福田国務大臣 私も、ちょっと各省庁でどういう担当をしてやっているかということを承知しておりませんので、正確にお答えすることはできないので申しわけありませんけれども、特化してやっている人もいるでしょう、それからほかのこともしながらしている人もいるでしょう。だけれども、しながらしているといって、拉致の問題をおろそかにするとか、そういうふうなことではない。そしてまた、タスクフォースというふうな考え方もありますから、何かこれを至急解決しなきゃいけないといったようなときには、チームを組んでやる、まことに特化してやる、そういうこともあるわけでございます。それは有機的にやっております。

 この交渉も随分長い間かかっておりますので、いろいろな形、そのときに合わせて、その状況に合わせていろいろな形をとっていかなければ、弾力的な対応、機動的な対応はできない、こういうふうに思っております。

松原委員 今、官房長官おっしゃっているように、この問題、非常に長期にわたってきているわけであります。逆に、長期にわたっているからこそ、そこの一貫性を含め、また、私は、ほかの仕事をやりながら拉致の問題に携わる人がいるというのは、これは当然必要なことだということは認めておりますし、官房長官がその必要性をおっしゃるのもよくわかるんです。

 ただ、やはり専門にこのことだけに特化している人間がどれぐらいいるのか。例えば内閣の官房に、例えば予算をつけて、そういうことを専門にやる部署があるというふうなことでなければ、この問題の今の閉塞状況の中で、我々日本が戦略的に物事を打って出ることは難しいのではないかということを申し上げているんです。

福田国務大臣 委員のおっしゃることもわからないではないんですよ。しかし、例えば警察で捜査します、拉致専門でやっております、じゃ、捜査員何人ですか、こんなふうな話になるでしょう。これはやはり言えないことなんですよね。そういうことを言えば、それに対応することは、相手はすることができるというような余裕を与えてしまうわけになりますから、そういう部分もあるんだということは御理解をいただきたいと思います。

松原委員 この部分で議論をずっとやっていてもあれでございますが、私は、今言った警察の関係で、それはいろいろな情報をとるときは、彼らは全国にいるわけですから情報をとると思うんですが、しつこいようですが、このことを特化してやる、それが百人が妥当なのかどうかというのはわかりません、五十人なのか百人なのか百五十人なのか。そういう専門の、特化している、そのことだけを基本的に専門にやる人間がいて、そして関係のさまざまな省庁や部署と調整をしながらやっていくということは、これは極めて必要なことだということを申し上げているわけであります。

 そういった意味では、そういったものがないと、最後はどこが責任をとるのか、最終的にどこがいろいろな意味で指示を出すのかという具体的な部分に入っていかないのではないかということを若干危惧しているわけでありまして、できれば、内閣の中にそういった専門的にそのことだけ特化してやるようなチームというんですか、それは部屋というんですか、推進室というんですか、そういったものがあることが望ましいということを申し上げているわけで、ぜひともそういったものを、もしないならばおつくりをいただければ、このように申し上げたいと思います。

福田国務大臣 政府としても、この問題は、さっき申しましたように、早期に解決をしたい、こういうことで、いろいろな対応の仕方は考えておるわけであります。そして、何が一番いいかということなんでありまして、委員のおっしゃることも一理あるかもしれませんけれども、今、内閣でもって取り組んでいるこのやり方も、これは私どもは一番いいのではないかということで、こういう体制でもってやっておるわけでございます。

 専門幹事会、拉致問題の専門幹事会というものがございます。そして、その上に関係閣僚会議があるということでございます。ですから、内閣全体として責任をとっていく、こういう姿勢もしっかりと示しておるというように御理解いただきたいと思います。

松原委員 専門幹事会が要するに扇のかなめであるというようなお話でありましたが、これはここで議論をしていてもなかなか平行線なのかもしれませんが、委員の言うのも一理あると今官房長官はおっしゃったわけでありまして、私は、一理どころじゃない、これはもうこれがことわりだと私は思っているんですよ。だから、そういったものはぜひとも、特にこういう時期だけに御検討賜りたいと思っております。

 そして、この情報の一元化というのがそういう中で出てくるわけであります。そうすると、今の拉致問題についての情報の一元化は、基本的には専門幹事会あたりが中心になる、こういう認識でよろしいわけでしょうか。

福田国務大臣 この専門幹事会において、一番関係の深い、また責任を持つべき部署の責任者が出てきておりますので、専門幹事会でもって、ここでもって情報の集約を行う、こういうことになっております。

松原委員 専門幹事会の議長というんですか、主宰しているのは、これは官房副長官ということでよろしいんですか。

福田国務大臣 はい、そのとおりでございます。政務の官房副長官が担当しております。

松原委員 そういうことであるならば、官房副長官の直下に、私は、くどいようでありますが、専門的にこの問題を扱う部署をつくるべきだということを重ねて申し上げたいと思っております。

 この拉致の問題、冒頭、調査及び認定という話がございましたが、この認定基準というものが具体的にどういうものかということについてお伺いをしたいと思うわけであります。

 この認定基準というのは、一体どういった認定、どういった情報を参考資料にして認定するのか、そのときの何か具体的な基準があるのか、お伺いしたいと思います。

福田国務大臣 北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律第二条の規定に基づき行われる拉致被害者の認定は、北朝鮮当局によって実行された拉致行為の有無を基準として行われることになっていると。

 なお、この場合の拉致行為とは、国内外において、本人の意思に反して行われた、主として国外移送目的拐取、刑法二百二十六条、その他の刑法上の略取及び誘拐に相当する行為をいう、こういうことでございます。

松原委員 基本的に、この拉致認定で、北朝鮮が認めた以外の人物の拉致認定というのはあるんでしょうか。

福田国務大臣 二名いらっしゃって、久米裕さん、曽我ミヨシさん、これは北朝鮮側は入国をしていない、こういうように言っておるものでございます。

松原委員 入国をしていないということでありますが、それは、そのとき一緒に行方不明になった人間が拉致されていたりする案件でありますから、要するに、北朝鮮側が入国をしていないと言っても、関連で認めているというふうな認識でいいのではないかと思っております。

 それで、お伺いしたいわけでありますが、同時に、この拉致問題というものを考えたときに、認定というものもあるわけでありますが、特定失踪者と言われるような、いわゆる俎上に上がっていないたくさんのそういった拉致された可能性を排除できない人たちが存在をしているわけであります。こういった人たちについては、今、いわゆる専門幹事会等ではどういった議論が行われているのか、もしくはこれに対してどのような見解を持っているのか、官房長官の御所見をお伺いいたします。

福田国務大臣 先日というか一月二十九日に、北朝鮮による拉致容疑事案ではないかとする十三件、告発がございました。全国警察に対して一斉に提出されました。警察において、これまでに拉致容疑事案と判断している十件十五名以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるというように見て、今回告発がなされた事案も含め、鋭意所要の捜査や調査を進めてまいっておると承知しております。

 今後、拉致行為の有無にかかわる重要な関係情報が新たに得られた場合には、随時、拉致被害者の認定に関する関係省庁連絡会議を開催し、被害者の認定に資する情報の整理を行う、こういうことになっております。その後に、内閣総理大臣が、この連絡会議で整理された情報を踏まえ、拉致被害者に該当すると判断されるものについて、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律第二条の規定に基づいて関係行政機関の長と協議の上認定を行う、こういう手続になっております。

松原委員 私は、先ほどから官房長官に申し上げているように、特化してこの拉致問題を専門的に扱う部署が必要であるということは再三申し上げてきたわけでありまして、そういった部署をきちっと確立をして、そこで、本来、これは民間でこういったことをやっている方々がいらっしゃるわけでありますが、これも含めて、こういった事案について、やはり拉致の問題というのはどこまで実際広がっているのかというのはわからないわけであって、今表に出ているだけですべてというふうに思っている人は現実には少ないんではないかと思うんであります。したがって、そういった意味で、この拉致問題に関して専門的に特化するチームをつくって、やはりこういった民間が扱っているような部分に関しても、いわゆる広げていろいろな調査やそういったものをしていくべきだと思うんですが、御所見をお伺いいたします。

福田国務大臣 例えば、今の告発が十三件ありました、これは告発がありますと、捜査しなければいけない、調査しなければいけない、そういうことは基本的な課題としてまずあるわけですね。そういうような状況の中で、拉致チーム、専門調査チーム、専門捜査チームをつくってやるのがいいのかどうか、もしくは全国の今ある警察組織を使って指示を出してやった方がいいのかどうか、そういうようなことなんだろうと思います。私は、後者の方がより効果的にできるんではないかというように思います。

 それは、事案によっていろいろあるんだろうと思います。ですから、そういう方が絶対にいいんだというふうには申しませんけれども、しかし、私は、今の段階において、やはり日本のいろいろな組織、機関がありますので、それをフルに使うということが一番、捜査上からも調査上からもいいのではないかと考えております。

松原委員 この部分、官房長官に誤解があってはいけないんですが、私はそれは二択ではないと。いわゆる専門チームをつくってやるのか、既存の警察の職員の方々を使ってやるのかという二択ではない。そうじゃなくて、こういった方々にもお願いをしながら、そして全体の調整をし、コーディネートをし、そしてヘッドクオーターとしてやっていくところが必要だということをくれぐれも官房長官に申し上げているわけで、それはこっちかこっちかという議論ではないということを御理解いただきたいと思うんです。

 その上で、ぜひともそういった予算もつけ、特化するようなチームを、今まで、どうも今の話をずっと聞いておりますと、結果としてそういったものはきちっとした形では、専門チームというもの、専門特化した部署というのはあったとは言えないようなお話でありますので、ぜひともそういうものをおつくりいただきたいということを要望したいと思います。一応御答弁いただければと思います。

福田国務大臣 どういうものに対してそういう特別のチームをつくるべきかというようなことではないのかなというふうに思います。すべてそこでやるということになれば、やはり警察の組織との関係がどうなるかとか、それは外交上の、国際情報とかそういうものも必要になる。そうしますと、北朝鮮だけの情報というんじゃなくて、韓国、中国、いろいろな情報も集めなければいけないといったようなことも考えますと、それはやはり既存の、今ある組織をいかに有効に使うかということに尽きるのではないかなというふうに思います。

 それはもちろん、それを取りまとめる段階で、それほどたくさんではないかもしれぬけれども、スタッフを使ってやるというようなことは、それは考えられるかもしれぬけれども、しかし、実際に捜査をするとか調査をするとかいったようなことになりますと、やはり日本の優秀なるそういう組織を使うべきであるというのが私の考えでございます。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

松原委員 なかなか私の言わんとするところを御理解いただいていないのかもしれませんが、私は、それは優秀な日本のそういった警察その他を使ってやると。しかし、恐らくわかっていると思うんですよ、本当は、私の言わんとするところを、官房長官。いや、首をかしげているけれども、わかっていると思うんだけれども。そういったものをやはりつくってやっていかなければ、これはなかなか対応できないし、この拉致問題ということ自体が、従来我々が想像していた外のもの、こんなのあっていいのかみたいな出来事でありますから、それに対しては、従来の発想ではない、そういった縦割りというか何割りというか、そういうのではない組織でもって、専門的に継続して特化するチームが必要だということを申し上げている次第であります。

 官房長官に対する質疑は以上で終わりまして、次は外務大臣に対しての質疑をしていきたいと思っております。

 川口外務大臣にお伺いするわけでありますが、拉致は日本の国家の主権が侵された犯罪であるというふうに認識しているかどうかをまずお伺いいたします。

川口国務大臣 そういうことであると思います。

松原委員 国家の主権を侵害するというのをまさに国家が行った事案である、こういう認識でございますでしょうか。

川口国務大臣 北朝鮮の当局が行ったということであって、北朝鮮の当局というのは北朝鮮の政府組織の一部であるというふうに考えます。

松原委員 今から二年前の四月に、これは小泉訪朝の半年前でありますが、私は外務委員会で、川口さんに対して、北朝鮮はテロ国家であると思うが、どのように考えるかという質疑をいたしました。今のこの事態を考えて、今のこの事態を踏まえて、川口大臣はこの部分に関してはテロ国家であるというふうな認識をお持ちかどうか、お伺いいたします。

川口国務大臣 そのときも申し上げたかと思いますけれども、世界でテロというのが何かという定義は、きちんとした国際法上の定義はないということでございまして、普通に考えれば、人を強制的に連れていくんだから、それはテロということであると考えていますというふうに申し上げているわけでございます。

松原委員 この際、やはり北朝鮮というのはそういったまさにテロをする国家であるという認識を持っていただきたいと思うわけでありますが、政府として、この拉致の解決というのは、どこまでいったときに拉致問題は解決をした、このように考えるわけでしょうか。

川口国務大臣 政府として拉致問題について申し上げていますことは、これは既に帰国をした五人の方、この方の御家族の帰国の実現ということが一つあります。それから、その事実関係の解明ということも言っております。そして、被害者それからその御家族の方々を初めとする関係者が納得をする形で問題が解決をされるということが重要だと考えております。

松原委員 このいわゆる拉致問題の解決というのは、私なんかは北朝鮮に拉致された人間が全員日本に戻ってくるというところまでいって解決であるという認識でありますが、大臣はどういう御所見でしょうか。

川口国務大臣 政府として、先ほど申しましたように、御家族の帰国、そしてその事実関係の究明、そういったことなど、被害者とそれからその御家族を初めとする関係者の方が納得をする形で解決をされるということが重要だと考えております。

松原委員 被害者や、そのまた御家族の皆さんが納得するというのは、拉致問題を解決するための、当然それは避けて通れないというか、当然の条件でありますが、それでこの問題は解決したという認識に立たれるんでしょうか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、とにかく御家族の方が帰国をする、五人の御家族の方が帰国をするということは、最優先課題であると思っています。それから、事実の究明、これも北朝鮮に対してずっと政府として申し入れているわけです。そういったことなど、それから、もちろん被害者御自身、その御家族、そして関係者が納得する形ということであろうと思っています。

松原委員 当然それはこの問題の解決に必要なことでありますけれども、私は、拉致問題というのは、北朝鮮側が認めて、認定をするような経緯が今まであったというふうに思っておりまして、その意味では、北朝鮮が認めていない案件の可能性というのは極めて高く、排除できないというふうに思っているわけでありますから、外務大臣としては、日本の国民の生命を守る、主権を守るという立場から、この拉致問題の解決というところは、少なくとも、拉致された最後の一人まで取り返すまでは拉致問題の解決ではないという認識を持たれるべきだと思いますが、御所見をお伺いします。

川口国務大臣 いろいろな可能性はあるだろうと思いますけれども、警察において、警察庁におかれて、拉致について、これが拉致をされた方であるという認定を行っているわけでございます。外務省がみずから、この方は拉致をされた人であろうというふうに認定をするということはできないわけでございまして、外務省として北朝鮮に言っていることは、拉致をされた人について事実解明を求めていくということでございまして、今後、警察において新たに事実が、拉致をされたという事実が認定をされるというようなことであれば、当然、その人たちも含めて、北朝鮮に対して事実の解明を求めていくということでございます。

松原委員 これ以上この議論はいたしませんが、やはりこれは、一般論という表現を使っていただいても結構なんで、本当は答弁で、拉致された最後の一人まで取り返すのが外務省の責任であるというふうにそれはおっしゃっていただきたいというふうに思っていたわけであります。

 同時に、いわゆる犯人の捕捉という問題、これは、拉致は当然犯人がいるわけでありますから、これに関してはどのような御所見をお持ちでしょうか。

川口国務大臣 一昨年の九月に総理がピョンヤンで金正日国防委員長と会談をなさった。そのときに、国防委員長から、拉致について認めて、処罰をしたという発言があったわけです。

 我々としては、この事実解明について十分に明らかになったとは考えていないわけでございまして、したがいまして、先ほど申しましたように、真相の究明ということは、このたびの日朝の協議においても、これは先方に強く求めたわけでございまして、これについては、先方に強くその事実の解明をきちんとするようにということは求め続けていくというふうに考えております。

松原委員 時間の都合があるので、質問をはしょりながらしていきたいと思うわけでありますが、そういう中で、今回、ピョンヤンに田中均、薮中局長が行ってきたわけであります。

 今回のこのピョンヤンにおける会談について、この意義をどのようにお考えか、また北朝鮮側のねらいは一体何だったとお考えか、お伺いいたしたいと思います。

川口国務大臣 向こう側の意図が何であったかということについて、これは非常に、交渉をしている相手方でもありますし、いろいろなことを考えて言ってきたんだろうというふうには思いますけれども、その一つ一つについて、我々はそれをこう認識しているということをこの場で申し上げるということも余り適切ではないかと思いますけれども、我々としては、これは政府間で協議をすることが重要であるということをずっと繰り返し繰り返し先方には伝えてきているわけでございまして、そういった、こちらが言っていることにこたえたのではないかというふうに思います。

 それで、意義が何であったかということですけれども、日朝双方がそれぞれの主張を述べたということで平行線に終わったということは非常に残念だと思っております。

 ただ、今回の会議で、それぞれ非常に高い、両国の政府の非常に高いレベルで、この問題についてきちんとそれぞれが思っていることを繰り返し繰り返し何回も伝えたという経緯、経過をたどったわけでございます。

 それで、そういう意味で、きちんと考え方が伝わったということ、それに加えて、今後、日朝の政府間でこの協議を続けていきましょうという申し合わせがきちんとまたこれもできたということも意義であったと思いますし、それから、その過程で、日朝平壌宣言に従ってやっていきますということについての双方の確認があったということも意味があったというふうに考えております。

松原委員 今、大臣、意義があったというふうにおっしゃっているわけでありますが、今回の北朝鮮側のねらいというのは、私が思うに、二つぐらいあったのではないかというふうに思っております。

 一つは、この六者協の前に、拉致問題というのに関しては日本が粘り強く訴えてきておりますので、それを事前に日朝で扱ったという事実を残しておき、六者協を有利に運びたいという思いがあったのではないか。これは、分析するにですよ。それからもう一つは、やはりこれは時間の引き延ばしというものがあったのではないかというふうに分析をすることができるわけであります。

 私は、今、川口外務大臣が評価できるというふうにおっしゃった。ただ、問題は、次回の日時を全く決めないで、この議論は具体的な、もちろん政府間交渉ということで従来なかった新しい展開といえば展開でありますが、次回の日程すら決めていない協議で終わったわけであります。次回の日程が決まらないということは、少なくともこれは成果と言えるのだろうかというふうに思うわけでありまして、ずるずると次回が先延ばしになってしまう可能性があるのではないかというふうに思うのでありますが、これについての御所見をお伺いします。

川口国務大臣 委員が冒頭におっしゃいましたように、拉致をされた被害者の方にとって時間は非常に貴重なものであるというのは、私は全くおっしゃるとおりだと思います。

 そういう意味で、できるだけ早く解決をしたいと私どもも考えて、懸命に取り組みを行っているわけでございますけれども、北朝鮮に対してずっと言っていることは、これが時間稼ぎであるかどうかということですけれども、包括的な解決が必要であるということを言っているわけです。

 すなわち、これは核の問題だけ先に歩いていくということでは決してなくて、日朝平壌宣言に書いてあるようなさまざまな問題、日朝間のさまざまな問題、国民の安全に関する問題、拉致の問題、全部含めて包括的に解決をする、包括的に解決をして日本は国交正常化をし、その後で経済協力をするということを言っているわけでして、北朝鮮は、この包括的な解決の意味については十分に認識を持っているだろうというふうに思います。

 したがって、時間を稼げば稼ぐほど、それは包括的な解決ということに対してはおくれていくことになるということを我々は北朝鮮に伝えているわけでございます。包括的な解決というのは日本側の考え方の基本方針であるわけでして、この点についての認識は持っていると考えております。

松原委員 私は、今回のこのピョンヤンにおける会議が余り高く評価できないんではないかという認識を持っているわけであります。つまりは、時間稼ぎであり、そしてその一方において、六者協に対してのアリバイづくりに使われたのではないか。大臣、これは、次回交渉の日程を確定するべきだという指示は、田中、薮中氏に対しては出していたんでしょうか。

川口国務大臣 個別個別のことについてどういう対処方針を持って二人が行ったかということについては、まさに交渉の対処方針でございますので、ここで明らかにするということは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、申し上げたいことは、いろいろなケースを当然のことながら考え、準備をして行ったということでございます。

松原委員 恐らく北朝鮮側のねらいというのは、今言ったアリバイと引き延ばしだっただろうと私は思っております。引き延ばしについていえば、ずっと、北側としては、今の北朝鮮を囲む厳しい社会環境、経済環境を、時間を延ばすことによって、さまざまな国際的な変化要因があるわけでありまして、その国際的な変化要因の中で、これをとにかく引き延ばすことによってみずからに有利な環境が出るまで待とうという、江戸時代でいえば戦国の世の籠城策みたいなことを彼らはやっているというふうに私は思っているわけでありまして、それに日本が乗ってしまってはしようがないというふうに思っております。

 その意味では、今回、次の交渉の日程まで決まらなかったことを含めて、私は川口大臣に対して猛省を促したいというふうに思っております。

 同時に、六者協がこれから行われるわけでありますが、六者協の議論というのがどのように展開されるか、六カ国協議、これがどのように展開されるかということでありますが、仮にその中でこの拉致問題を扱うということで我々は堅持をしておりますが、結果として、六者協がこの問題について包括的に合意をし、その合意の見返りとして北朝鮮に対して何らかの援助をするというふうなことが仮に決まって、拉致問題が置き去りにされた場合、日本はその合意に対してはサインをしない、こういう理解でよろしいわけでしょうか。

川口国務大臣 北朝鮮に対してどのような、今回の六者会談で北朝鮮との間でどのような合意ができるかということについては、我々としてはもちろんベストなシナリオを考えていきたいと思いますけれども、予断を持ってこれを考えるということは難しいと思います。

 いずれにしても、はっきりいたしていることは、我々は、先ほど包括的な解決ということを強調させていただきましたけれども、これは基本的な考え方でございまして、ですから、あくまで拉致問題、核問題、安全保障その他のいろいろな問題、そういった問題が解決をされるということが、包括的に解決をされるということが重要である、重要であるというよりも必要である、それがそうでなければならないというのが日本の立場であります。その日本の立場については、ほかの五カ国は十分に認識をしているというふうに考えております。

 日朝平壌宣言にのっとって我々は考えていくということで、これは繰り返し申し上げているとおりでございます。

松原委員 要するに、日本の立場というのは、私は当然それはぜひともそういうことで頑張ってほしいと思うわけでありますが、仮にこの六カ国協議が違う展開になって拉致の問題が置き去りにされて合意されるようなことがあった場合に、日本はその合意にはサインをしない、こういう認識でいいわけですね。

川口国務大臣 協議の進展というのは、いろいろな形で進展をしていくということになりまして、すべてのものが同時並行的に動いていくかどうかということは、いろいろなそのときの状況によると思います。

 例えば拉致の問題が非常に早くいい形で進展をしていくという状況であれば、それは核の問題の議論にプラスの影響を与えるであろうということもあるかと思いますし、またその逆ということもあるかもしれません。

 ですから、いろいろな形の進展の仕方をすると思いますけれども、我々が、はっきり申し上げて、これは各国にきちんと言っているのは、日本の考え方というのは、包括的な解決である、すべての、核の問題はもちろんそうですし、それから、日朝間の拉致の問題を含む、またそのほかの問題も含む問題について解決を包括的にする、そういうことがあるということでなければ、これは我々としては解決というふうには考えないということであります。

松原委員 私の質問した意図は、これは会議は生き物ですからどうなるかわからないけれども、日本の川口さんとしての意思をはっきりしてもらいたかったわけであります。これ以上聞いても出てこないと思いますから。

 午前中に、実は外務委員会の小委員会がありまして、私が質疑に立ちまして、薮中局長との議論で、この会議に宋日昊が同席したという話を薮中さんの発言として受け取ったわけであります。

 そうなりますと、一つだけ私は確認をあえてしておきたいわけでありますが、今の日朝交渉でなかなか進んでいない、私はもちろん日本の外務省の発言を信じているわけでありますが、日朝交渉で進んでいないのは、いわゆる約束があったのかなかったのか、この議論であります。

 私は、日本の外務省が言うことが正しいと信じておりますけれども、先ほどの午前中の質疑の中で、要するに、調整はあったが約束はなかった、そういった調整はあったが約束はなかったという答弁を薮中局長はしているわけであります。

 実は、昨年の十二月に北京において、議員外交というんですか、議員で非公式にこの宋日昊と接触したときも、この約束云々の議論で平行線になったわけでありますが、調整はあったけれども約束はなかったというのはどういうことなのか、もう一回、ひとつ外務大臣にお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 五名の家族の方が日本に帰ってくるということに際しては、一、二週間程度の日程とするということで調整をしていたという経緯はございます。その経緯はございますけれども、その五人を必ず北朝鮮に返すということを約束したということではないということを申し上げているわけです。恐らく、午前中、薮中局長も同じことを申し上げたのではないかというふうに思いますけれども、事実関係はそういうことであります。

 このことについては、先般の北朝鮮との会談におきまして、この点については明確に日本側から述べております。そして、拉致の被害者の方々を、みずからを、その人たちを拉致した北朝鮮に返すということはあり得ない。まず御家族が日本に住んでみて、そして、被害者の御本人と今後のことについて十分に時間をかけて相談をするということが自然であるということを言ったわけです。この被害者の方は日本人である、拉致をされた日本人であるということであります。

松原委員 時間がありませんから、最後の質問に入りたいと思います。

 きょうは、経済産業大臣の中川大臣にもお越しいただいておりますが、中川大臣に簡潔にお伺いしたいと思います。

 外為法改正が今月二十六日で施行されるわけでありますが、このことに対して、どのような期待と効果をお考えか、お伺いいたしたいと思います。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 このたびの外為法の改正には松原委員も御尽力をいただいたというふうに承知しておりますけれども、我が国の安全と平和の維持のためにこの法律が機能するというふうに考えております。

松原委員 日本テレビのアンケート調査ですと、約七割近い人が、十三日から十五日の間のアンケート調査で、ちょうどこれはピョンヤンにおける会合の結果が出たころだと思いますが、七割近い方が経済制裁を行うべしというふうなアンケートに対する答えをしておりますが、このことについての御所見をお伺いいたします。

中川国務大臣 この法律は、御承知のとおり、閣議の決定、そしてまた国会の御承認をいただくということになっているわけでございますから、そういう手続が必要でありますけれども、この法律の趣旨がきちっとしているわけでありますから、厳正に運用されるべきだというふうに考えております。

松原委員 そして、中川経済産業大臣は、超党派の拉致議連の会長も一時お務めいただいたということでございますが、中川大臣の御所見として、いわゆる外為法、改正されたこの法案について、発動の時期というのですか、発動はするべきかどうか、この辺について、中川大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

中川国務大臣 先ほどから、人数については委員と閣僚との間でいろいろなやりとりがございましたけれども、いずれにしても、我が国の国民が国内から拉致されていった、あるいはまた大量破壊兵器の脅威が現にあるということでございますので、そういう観点から、この法律の目的を厳正に考えるべきであるというふうに考えております。

松原委員 今の、特に経済産業というのは、外為法と、ある種、まさに貿易の部分で極めて密接に関係があるという認識で中川大臣に対しての御質疑を申し上げたわけでありますが、私の認識としては、今の経済産業大臣の御発言というのは、まさに今この制裁法案を行うことも可能であるというふうな御認識なのではないかというふうに思った次第であります。

 私自身は、この外為法の改正について、この法案は既に基本的には発動されるべきだ、今月の二十六日に施行されると同時に本来は発動されるべき内容であるというふうに思っております。なぜならば、日本に対する北朝鮮のさまざまな今までの経緯、そして拉致問題に対しての極めて不誠実な対応、不審船あり、そして核あり、そして拉致あり、ミサイルありという今までの経緯や、この間に至る不誠実な内容、そしてさらには、今回、田中、薮中両氏がピョンヤンに行ったときのこの会合における進展のなさ、こういったものを考えるならば、私は、外為法の改正の今回の経済制裁法案は、二十六日に発動するべきだというふうに思っております。

 逆に、我々は、このことを考えるならば、何をもってこの発動を執行猶予するのかという議論をするべきであって、北朝鮮側が何らかの、この発動をモラトリアムさせるような、拉致に対しての北朝鮮側の具体的な提言がなければ、これは逆に速やかに発動するべきであろうというふうに思っているわけであります。

 今、拉致の問題については、本当に大きな山場を迎えている。私たちは、今こそこの問題の解決を命がけでやっていかなければいけない。今回のいわゆるピョンヤンにおける会議においても、拉致の問題に対して、経済制裁法案、この外為法改正が大きな大きなインパクトを持ったということは、だれもが認識をしているところであります。

 しかし、その伝家の宝刀を抜くということが言われない限りにおいて、これはまだ一段の悪化がない限りこのいわゆる経済制裁法案を発動しませんというようなことであっては、対話と圧力の圧力にすらならないというふうに思っているわけでありまして、その点に関して、きょうはこちらに三人の、もっとたくさんいらっしゃいますね、たくさんの閣僚の方がいらっしゃいますが、ぜひとも内閣において発議をするという、この経済制裁法案については、速やかに、二十六日の施行と同時に御検討いただき、そして、今、中川昭一経済産業大臣が所管大臣の一人としておっしゃったように、厳正に対応すると。厳正に対応するという言葉の中に、私はそういった意思を感じているわけでありますが、皆様においては、そういった意味で、抜かずの刀ではない、抜くんだということをきちっと北朝鮮に対してわかるように行動していただきたい、それを避けるための条件は何かということでさらに外務省は折衝していっていただきたい、このように思う次第であります。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

笹川委員長 これにて松原君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 法務関連の問題について、幾つか質問をいたします。

 まず、この国会は司法制度改革が大きなテーマになりまして、十本の法案の提出が予定されていますが、その柱となる裁判員制度について初めに伺いたいと思っています。

 私たち民主党は、今回の司法制度改革、市民が主役、国民が主役の非常に重大な大改革だと考えておりまして、これまでも党としてその実現のための提言をしてきています。

 その大きな柱となる裁判員制度、これは、三権の一つですが、司法というのは非常に国民から遠い感じがあったわけですけれども、国民が直接参加をして普通の社会常識が反映される、そういう制度にしていく必要があると考えています。

 そのかぎとなるのは、国民を信頼するかどうかなのだと思うんですけれども、政府の考え方では国民の参加について消極的だという印象を持つのですが、その点について、まず大臣に伺いたいと思います。

野沢国務大臣 小宮山議員におかれましては、日ごろから司法行政に大変深い御理解と御協力をいただきまして、まことにありがとうございます。この機会に御礼を申し上げて、答弁に先立ってお話をさせていただきます。

 国民が裁判官とともに刑事裁判に関与するということが今回の司法制度改革の一つの目玉になっているのは御指摘のとおりでございますが、そのために、何よりも司法に対する国民の皆様の理解が徹底するということが一番大事だと考えております。

 この信頼と理解をさらに向上させるということで私どもいろいろ努力をしておりますが、特に目玉になっております今回の裁判員制度につきまして、どのような考え方、また、どのような割合で国民の皆様に御参加いただくか、慎重にこれまで諮ってきたところでございますが、各方面の御理解をいただきながら、今、原案をまとめておるところでございます。

 これに関して、決して消極的であるということにはなっておりませんので、その辺につきましては、よろしく今後とも御意見を賜りたいと思います。

小宮山(洋)委員 幾つか、割と多くの項目を伺いたいと思っておりますので、御答弁はなるべく簡潔明瞭に、中身だけいただければ結構でございます。

 それで、その裁判員制度がうまくいくかどうかというのは国民の意識にかかっているということは言うまでもないと思うのですが、まだまだこの制度のことを知らない人が多いのが現状です。今月初めに行われましたNHKの世論調査でも、この国会に裁判員制度を創設する法案がかかることも知らない国民が四二%います。まだ知ってもらうための努力が足りないのではないかと思うのですが、今後どのようにその広報啓発を進めていかれるんでしょうか。

野沢国務大臣 御指摘のとおり、まだ理解が十分でないということは私どももわきまえておりまして、今後、新聞、テレビその他、あらゆる機会をとらえてこの制度の趣旨並びに目的等についてPRをしてまいります。どうぞよろしくお願いします。

小宮山(洋)委員 この裁判官と裁判員の人数をどうするか、そこの点が、私が最初に国民を信頼していないのではないかと申し上げた点なんです。

 当初、自民党では、裁判官三に裁判員四という案が考えられていましたが、調整の結果、現在の政府案では、裁判官三名に裁判員が六名となっています。

 私たち民主党としては、多様な価値観の反映が必要だということ、また、裁判員が専門の裁判官と対等に評議をするためにはやはり裁判員は十名前後は必要なのではないかと考えております。そして、裁判官は総括裁判官クラスのベテラン一名とすることが適当で、補助的な仕事をする判事補一名を加えてもよい、こういう提案をしております。

 裁判員制度導入に積極的な市民グループの方あるいは日弁連、いろいろな団体からも、裁判員は裁判官の三倍程度はないとなかなか国民の常識が反映される形にならないのではないかと言われておりますけれども、この点についてはどうでしょうか。

山崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもが一月に公表いたしました骨格案における人数、これで御説明をしたいというふうに思います。

 まず、評議の実効性の確保や、それから、一人一人の裁判員が責任と集中力を持って裁判に主体的、実質的に関与をしていただくということ、これを確保しなければならないだろうという観点から、合議体全体の規模についてはやはり一定の限度がありまして、十人に至らない程度が適当であるというふうに考えたわけでございます。これがスタートでございます。

 それから、対象の事件でございますけれども、これは、法定合議事件のうちでも特に重大であると考えられる一定の事件につきまして対象にするわけでございますので、そうなりますと、現行の法定合議事件と同様に、原則として裁判官三人による慎重な審判を行うことが必要であるということになります。

 その上で、合議体全体の規模を一定の限度とした上で、やはり裁判に国民の感覚がより反映されるようにするために、相当程度の裁判員の数を多くするという観点から、その人数を六人とするというふうにしているわけでございます。

小宮山(洋)委員 この裁判官と裁判員の人数については、今後もまた国会で、法案の中で審議をしていきたいと思いますけれども、この裁判員制度の一番の利点というのは、先ほど申し上げたように、普通の感覚を持った国民の意識が裁判に反映されるということだと思いますので、やはり専門性を持った裁判官と普通の素人である裁判員とが対等に評議ができるということを一番の重点にこの人数比は考えるべきだと思っております。

 また、裁判員の選任に当たりましては、国民に過度の負担をかけないということが非常に重要なのではないかと思っています。

 政府案では、選挙人名簿から有権者を無作為で抽出して、事件ごとにその名簿からくじで候補者を選任する、そして、その中から、欠格、禁止条件に該当する人や不平等な裁判をするおそれがある人などは除外をするというふうに言われています。

 そうなりますと、今御説明のあった、重大な刑事事件からこの制度を導入しようということですけれども、そういう対象にとなりますと、政府案で考えると、一年に裁判員に選ばれるのは大体四千人に一人ぐらいではないかと。もともと、いろいろな条件で除外をする人が出ることを前提にすると、その三倍ぐらいを一応裁判所に呼びたいと言われている。そうなると、単純に計算をしても、千三百人に一人。これが多いか少ないかはともかく、千三百人に一人というのは、普通に暮らしている人がいつそういう任に当たるかわからない。そういう、割と確率が高いと考えていい。一年にそれだけですから、毎年やっていけばどんどんまた当たるというか、選任される確率が上がってまいりますので、そこでの選任の仕方というのは、非常に負担の面からいろいろな点で考慮が必要だと思っております。

 そして、理由のない不出頭は罰金を科すとされております。重い疾病や介護、養育の必要、従事する事業に著しい損害が生じるおそれがあるときなどは辞退理由になるとされているんですけれども、この具体的な基準が辞退理由にない。裁判所の裁量にすべて任せていいものなんでしょうか。この点はどうでしょう。

山崎政府参考人 辞退事由につきましては、裁判員となる国民にとって特に重要な問題であろうというふうに認識をしております。

 そこで、骨格案におきましても、まず、年齢七十以上の者あるいは学生生徒等の個々の辞退事由、こういうものについて幾つか列挙をしております。その上で、その他のやむを得ない事由について、例えば、例示を挙げまして、重い疾病、傷害によって裁判所に出頭することが困難であることなど、あるいは、先ほど委員が御指摘になりましたような事由等を掲げておりまして、それでなるべくわかりやすいようにしようということで考えております。

 なお、法案の策定に当たりましては、なるべくその点も踏まえまして、明確になるようにしたいと思います。

小宮山(洋)委員 中小零細企業などの場合、事業に著しい損害が生じるおそれがある場合というのは結構あるのではないかと思うんですけれども、その点はどうでしょうか。

山崎政府参考人 この点につきまして、生じる損害の程度によりますけれども、今御指摘のような、著しい損害が生ずるおそれ、こういうような場合があるということはわかりますので、そういうような場合には裁判員となることを辞退することができるという方向で検討をしております。

小宮山(洋)委員 先ほどから申し上げているように、何が著しい損害かどうかというのは、非常にその判断が難しいのではないかと思うんですね。ですから、著しい損害というのがどの程度のことをいうのかというのは、ある程度の基準というか、詰めていく必要があるのではないかというふうに思います。

 また、勤労者の場合、事業主は休業を認めねばならず、不利益取り扱いをしてはならないとされているんですけれども、例えば裁判員休暇制度を創設するとか、また、選挙権その他の公民権の行使の場合は、労働基準法第七条の「公民権行使の保障」というのがあるわけですけれども、それと同等にするなどをしないと、なかなか、今の特に厳しい状況の中で会社に勤めている人たちが自由に出るというのは、よほどのそういう制度をつくらないと難しいのではないかと思うんですが、その点はいかがですか。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の点、大変重要な点でございまして、私どもといたしましては、労働者が裁判員としての職務を行うについては、今御指摘ございました労働基準法七条の適用があるものと考えております。これによりまして、労働時間中であっても必要な時間は職場を離れることができるというふうになると解釈をしております。

 また、労働者が裁判員の職務を行うために仕事を休んだということを理由として事業主が解雇その他の不利益な取り扱いをすること、これを禁ずるという規定についても設ける方向で考えております。

小宮山(洋)委員 そして、育児とか介護が辞退理由になっているんですけれども、もちろん辞退しなければならない場合もあるとは思いますが、状況によって、裁判所に託児所とか託老所などを設ければ可能な人も出てくるはずなんですけれども、裁判所にそういうサービスというか、託児所、託老所を設けるということについてはどうですか。

山崎政府参考人 現在、育児とか介護の必要があるという場合につきましては、裁判員となることを辞退することができるという方向で考えております。

 これに加えまして、それでは託児所、あるいは託老所もございますけれども、そういう整備についてどうかということでございますけれども、この点につきましては、裁判員制度の運用の詳細について今後さらに検討を要することから、一概にその必要性を論じることはなかなか難しいだろうというふうに考えておりまして、裁判員となることについての辞退が認められる事由がどういうものになっていくか、あるいは裁判員となる者の負担、それから財政事情、国民の意識等を勘案して、慎重に検討をしていきたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 私たちはやはり、可能な人はなるべく多くの人が参加ができる、そういう制度にしていきたいと思っておりますので、この託児所などについては検討をしていきたいというふうに思っていますし、検討をしていただきたいと思っています。

 そして、選ばれて合理的な理由なく拒否した場合には、罰金、過料を科すとなっているんですが、この罰金を科すということにはどのような意義があるんでしょうか。

山崎政府参考人 出頭を拒否された方には、罰金ではございませんで、過料でございます。いわゆる秩序罰というものでございまして、刑罰ではございません。これにつきましては、出頭義務が法律上の義務であるということを明確にするとともに、その出頭を確保するというために設けているものでございます。

 似たような例といたしまして、証人等に関する刑事訴訟法の同種の規定がございまして、やはり過料十万円という規定が設けられている。それと同様に考えるということでございます。

小宮山(洋)委員 やむを得ず辞退をした場合には、その義務を一定期間延ばすことができる延期制度というものを民主党としては提案しておりますけれども、そういうことを考えるということはいかがですか。

山崎政府参考人 ただいまのような御指摘があるということは、私ども承知はしております。

 ただ、この点につきましては、人それぞれによって、都合のつく時期とか、そういうことが全部異なるわけでございますので、そういうような方々について、全部、別途管理をして調整をしていくということは非常に複雑になるということがまず一点挙げられます。

 それから、もう一つの考え方として、辞退を認められた者も裁判員候補の名簿から除外をせずにまたもとの名簿の方に戻すということ、そこで選任のチャンスを与えるということですね、こういうことを可能とする制度、これをもって足りるのではないかというふうに我々は今考えておりまして、今御指摘のような制度については、まだそこまで考えておりません。

小宮山(洋)委員 やはり一般の国民、普通に仕事をし暮らしている人を集めて裁判員になってもらうというので、迅速で充実をした集中審理をする必要があると思うんですけれども、大体平均どれぐらいの日数でできるように考えているのか、そして、短時間でやるためにはすべての証拠の開示ということを原則として義務づけないと難しいのではないかと思うんですけれども、その点はどうでしょう。

山崎政府参考人 審理はなるべく迅速化しなければならないというのは当然のことでございますが、では具体的にどのぐらいになるかということは、やはり事件によってでございますので、一日から何日までということで、まだそこは明確にお答えすることができません。

 ただ、今御指摘の点は、その証拠の問題は大変重要な問題でございます。私ども、今検討しているところでは、検察官が取り調べを請求した証拠、これを開示するのは当然でございますけれども、これに加えまして、その証拠の証明力を判断するために重要な一定類型の証拠、それから、被告人の側が主張したその主張に関連する証拠、こういうものにつきまして、その開示の必要性とそれからそこから生ずる弊害、この両方を勘案いたしまして、必要なものはお出しをするというふうに考えております。これによりまして、やはり争点の整理や被告人の防御の準備のために十分な証拠が開示されることになるだろう、その結果として裁判も迅速化していく、こういうふうに考えております。

小宮山(洋)委員 裁判員にわかりやすい審理にするためには、今までのような捜査の仕方、供述調書をもとにするやり方ではとても無理なわけですね。だから、そういう意味では、取り調べの状況をビデオ録画する、あるいは録音する、可視化、目に見えるようにしていく、可視化という言い方をしていますけれども、可視化することを条件に調書は利用できるというふうにするのがよいのではないか。そして、直接、なるべく口述でやっていくということを徹底すべきだと考えているんですけれども、その録音、録画、可視化ということは今回の改革の中では考えられていないんでしょうか。

樋渡政府参考人 裁判員制度のもとにおきましては、迅速かつ公正な審理が行われるようにすることは極めて重要なことでございまして、現在、司法制度改革推進本部におきましても、そのような観点から種々の検討が行われているものと承知しております。

 しかしながら、取り調べの過程の可視化につきましては、司法制度改革審議会意見におきましても、刑事手続全体における被疑者の取り調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどの理由から将来的な検討課題とされているところでございまして、慎重な検討がなお必要であるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 やはりその可視化ということは裁判員制度を迅速に充実して行うためには私たち民主党としては必要だと思っておりますので、そういう法案の検討も今進めているところですので、ぜひそういうことも、余り将来と言わずに、この裁判員制度を導入するときに、なるべく不都合な部分はいろいろと考慮をするにしましても、原則として可視化をしていくということは考えていっていいのではないかというふうに思います。

 そして、今、この裁判員制度の中で最も問題だと言われているのが守秘義務のことだと思います。裁判員は、公判中はもちろん守秘義務が必要ですけれども、終わった後も、評議の経過や職務上知り得た秘密を漏らしてはならず守秘義務が課せられる、そして、違反した場合は懲役または罰金とされているわけですね。

 もちろん、個人のプライバシーに関することや、評議でだれがどう言ったとかいうようなことは、それは守秘義務が課されて当然だと思いますけれども、やはりこの裁判員制度への理解を深めるため、裁判が終わった後、そういう体験を一定の範囲内で希望する人が話すということは認めた方がよいのではないかというふうに思います。その守秘義務の合理的な範囲ということが非常に重要だと思うんですね。これは意見表明の自由との関係でもさらに検討が必要だと思いますが、この点は強く検討をすることを求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 ただいまのような御指摘があることを私ども承知をしております。ただ、私どもの立場といたしまして、守秘義務はやはり非常にこの制度のキーポイントになるものであるというふうに考えております。

 特に、守秘義務の対象は、評議の秘密とそれから他人のプライバシー、こういうものが対象になるわけでございます。評議の秘密につきましても、終わった後にだれさんが何を言った、こう言った、あの人は有罪に投票したとか、こういうことになりますと、もう裁判員の方は口をきいたら損をするということにもなります。あるいは、そのことによって嫌がらせが起こってきたりとか、そういう問題が生じますので、これは審理の継続中とそれ以後でも変わらないだろうと我々は考えております。

 それからもう一つは、他人のプライバシー、これを外に出すということは、裁判中であろうと、裁判が終わった後であろうと、それはもう全く変わらないだろうというふうに考えております。

 特に、過去にもいろいろ事例ございましたけれども、多額の報酬を得た上で重大なプライバシーを侵害するという、例えば、あるところにそういう記事を売るとか、そういうような事態も現に生じているわけでございまして、そういうような点も想定されるわけでございますので、やはり罰金だけではなくて懲役刑を設けていくことが必要であろうというふうに考えております。

 ただ、現実の運用については、それなりに柔軟に考えていかざるを得ないというところはあろうかと思います。

小宮山(洋)委員 今言われたような個人のプライバシーに関すること、それから、評議でだれが何を言ったということは守秘義務があって当然だということを私も言っているんです。

 そうではなくて、裁判員としてこういう体験をしたというようなことまで、すべて、懲役刑、罰金刑ということでやるというのは重過ぎるのではないか。やはり国民が参加をしている検察審査会もこれは罰金だけですよね。懲役刑まで科して、そのすべてのことを何もかも生涯しゃべっちゃいけませんと言ったら、ただでさえ、今、裁判員制度について、どうも難しそうだ、面倒くさそうだ、当たらなければいいのにというのが知っている方の中ではある中で、先ほどから申し上げているように、普通の感覚を持った人が司法に参加することによって非常に国民から遠かった司法が身近なものになる、そこに常識が入るという非常に大改革であるのに、それに参加することをちゅうちょさせるもとになるのではないかと思います。もう一度お答えください。

山崎政府参考人 ただいまの趣旨、私もわかります。裁判員に対する例えば感想とか、そういうことをおっしゃられているんだろうと思います。

 これにつきましては、どこまでが秘密の問題か、しゃべっていいものか、非常に微妙な問題もございます。私ども、この法案は法案として、それ以後、どういうようなところだったら許されるのかとか、運用上の問題とか、そういうところで国民の方が迷わないような指導をきちっとしていきたいというふうに思っております。

小宮山(洋)委員 この点はまた審議の中で非常に重要な論点となると思っていますので、また審議を続けたいというふうに思っています。

 それから、取材、報道との関係については、当初、偏見報道の禁止という規定も検討されていましたけれども、これは国民の知る権利と公正な裁判の実現のバランスが問われる問題ですが、基本的にメディアの自主規制にゆだねるべきということで規定はされないということになった。これは妥当な判断だというふうに思っております。

 そして、この制度、この国会で審議をして、そして制度ができるということになったとしましても、周知期間に五年を要するというふうに言われていると聞いています。早くて二〇〇九年、この五年というのは長過ぎるのではないでしょうか。

 以前、陪審員制度ができた昭和三年のときに、その周知期間五年を置いたということなんですけれども、今、ドッグイヤーとかキャットイヤーとか言われているように、やはり昭和三年の当時とは時間の回り方、速さが全然違うと思いますし、いろいろな周知のための技術も出てきていると思いますので、五年というのは幾ら何でも長過ぎなのではないかと思いますけれども、その点はどうでしょう。

山崎政府参考人 確かに、御指摘のとおり、十年一昔というのが、今、五年一昔の感覚だろうというふうには思っております。

 ただ、私ども、これはかなり周知徹底、これについて相当に力を入れないと、いろいろなマスコミ等を通じて世論調査を行っていただいておりますけれども、まだ十分に知らないという方もおられるわけでございます。それから、やはり自分でやろうという方がふえていただかなきゃならぬということも考えまして、ここは徹底してやりたいということ。

 それから、この制度をスタートさせますと、それに伴う関連の手続、これを相当早目につくって、運用上なれた上で、それで裁判員の方を迎えるという形にしなければなりませんので、そこに相当時間がかかる、それから、物的、人的な準備、こういうこともかかるということで、大体五年を今めどに考えているわけでございますけれども、ただ、この点につきましては、いろいろな方面から御意見がございますので、その辺を踏まえながら最終的に決断をしたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 最初に申し上げたように、これまでの広報啓発が足りないというところは指摘したとおりなんですけれども、やり方によりましてはもっと徹底していくと思いますし、国民の側は普通の一般常識を持っていればいいわけですので、そんなに準備に時間はかからないと思うんです。受け入れる側の施設だとかいろいろな整備の問題というのは、これは努力でもっと早めることはできると思いますので、やはりここのところは、せっかくやろうという気になったら、今、局長自身も、今は五年一昔と言われましたけれども、一昔も前のことではなくて、すぐに、なるべく可能な限り早く実現できるようにしていく必要があるのではないかと思っています。

 そして、この問題の最後に大臣に伺いたいと思うんですけれども、裁判員制度を充実したものにするためには、やはり義務教育段階からの法教育、一般の人に向けても法教育の充実というのが欠かせないと思います。法務省の中でも法教育研究会なども設けて御検討ということなんですけれども、裁判員制度発足という機会にぜひこの点を強化していっていただきたい。

 残念ながら、政府案には全くこの点が触れられていませんので、ここに力を入れる必要があると思うので、大臣の決意を伺いたいと思います。

野沢国務大臣 御指摘のとおり、この制度を実現していくために一番大事なことは、国民の皆様の理解、これがもう前提であると思います。そのために、義務教育段階からこの裁判員制度の趣旨、意義について理解を深めるという手だてが、これは大変大事なこととわきまえておるわけでございます。

 御指摘のように、法教育研究会というのを法務省は発足を昨年の七月にしておりますけれども、ここにおきまして、学校教育の中で司法の教育のあり方についての研究を既に重ねております。その一環として、この裁判員制度についても、十分な理解をいただく方策をどうするかということを議論しておるわけでございますが、この研究会の成果を、文部科学省とも連携をとりながら、義務教育段階から十分な理解を深め、そして趣旨が徹底するようにということを進めてまいるつもりでございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

小宮山(洋)委員 司法の分野でも市民、国民が主役となれるような、制度改革の大きな柱となる裁判員制度につきましては、よりよい形でぜひこの国会で法整備ができるように民主党としても引き続き建設的な議論をしていきたいというふうに思っております。

 では、次の問題に移ります。次は、選択的夫婦別姓などの民法改正について伺いたいと思います。

 選択的夫婦別姓などの民法改正については、毎国会、民主党初め野党共同で改正案を提出しておりますけれども、衆参ともに審議すらなかなかできない状況が続いています。

 一九九六年に法制審議会が、五年に及ぶ審議と国民や裁判所など専門家の意見なども調査をして報告をまとめています。通常の手順ですと、審議会の意向を受けて法務省が国会に政府案を提出するわけなんですけれども、与党の方の中などで反対が強くて、政府案の提出すら実現をしていないということです。

 自民党の中でもいろいろな動きがあると聞いているんですけれども、政府として積極的に取り組むおつもりはないのかどうか、法務大臣に伺いたいと思います。

野沢国務大臣 御指摘のとおり、法務省といたしましては、平成八年の法制審議会の答申を受けまして、少しでも多くの方の御理解を得られるようにと努力を続けてきたところでございます。

 しかし、この問題は、現在もなお、婚姻制度や家族のあり方と関連する重要な問題でありまして、国民各層や関係方面でさまざまな議論があることを承知しております。これを踏まえまして、大方の国民の皆様の御理解を得ることができるような状況で法改正を行うことが相当ではないかということで、今後、この問題についての与野党含め関係方面での御議論、特に国会における議論の一層の深められることを期待しまして、それを受けて私どもとしても取り組みたい、かように考えております。

小宮山(洋)委員 きょう、この時点でこれをあえて取り上げたのは、国際的にも日本はこれを改正すべきだという指摘をしっかり受けております。

 女性差別撤廃条約、これは日本も批准をしているものですが、その履行状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会から昨年の夏に出されました最終コメント、三十五、三十六パラグラフでも、民法の中にも現在も依然として差別的な条項が残っていることに懸念を表明する、その中には、婚姻最低年齢や、離婚後の女性が再婚するために必要な待婚期間及び結婚した夫婦の氏の選択に関する条項が含まれる、婚外子に対する戸籍と相続権に関する法律及び行政実務上の差別について懸念を表明し、民法の中にいまだに残る差別的な条項を排除して、立法や行政実務を条約に適合させることを求める、そういう最終コメントが出されております。

 また、審議の中では、家族法における差別を解消するための民法改正について、前回の審議のときに日本政府は問題解決を行うことを約束したが、差別問題は依然として継続をしている、民法を改正することは、世論のいかんにかかわらず条約上の義務である、そのように委員から指摘をされております。

 この点についてはどうでしょうか。

房村政府参考人 ただいま御指摘のような勧告がなされたことは私どもも承知しておりますが、しかし、選択的夫婦別氏制度を初めとして御指摘の各制度につきましては、いずれも婚姻制度とか家族のあり方と深く関係する問題でございます。また、これに対しまして、国民を初め多くの立場からさまざまな議論がなされていることも事実でございますので、私どもとしては、問題の性質上、そのようなさまざまな議論を深めていただいて、大方の国民の理解が得られるような状況においてこの改正をするのが相当ではないか、こういうぐあいに考えているわけでございます。

小宮山(洋)委員 国際条約を批准するのはどういうことかと私から言うまでもないと思いますけれども、国際条約は憲法と個別法の間にありまして、個別法よりも上位に位置するというのは当然のことです。ですから、条約を批准いたしましたら、それに合うように法改正を行うというのは国際的な常識です。それに合っていないから、こうやって勧告をされる。

 この女性差別撤廃条約だけではなくて、ILOの各条約とか子どもの権利条約とか多くの条約で、日本はその批准をしながら全く法改正もしない、予算もつけない、実効性が担保されていないという指摘を多くのところで受けています。このようなことでは国際的に尊敬される国にはなり得ない、そういうふうに思います。

 男女共同参画担当の官房長官にもおいでいただきました。官房長官とは参議院の時代も大分いろいろ議論をさせていただいて、御理解のある御発言をいただいていると思うんですけれども、男女共同参画担当大臣として、今の質疑もお聞きになって、ぜひ、国際的にも恥じない選択可能な制度を導入することに御尽力いただける、そういう御答弁をいただければと思います。

福田国務大臣 条約を締結すれば国内法制の整備とか、そういうことは当然の義務としてやらなければいけない、それはよく承知しておるところであり、また、各行政部門もそのことは強く受けとめて、そして、その方向で努力をしているものと承知しております。

 今の女子差別撤廃委員会のコメント、これは真摯に受けとめなければいけないことだというように思っておりますので、その内容を踏まえてこれからも推進を図っていく、こういうことであります。民法改正、そういうような問題につきましても、これも、そういうような最終コメントの内容を十分吟味しながら状況を注視していかなければいけないと思っております。

 夫婦別姓の問題でございます。

 これは、いろいろ議論がございましたけれども、先ほど法務大臣からも答弁がございましたように、やはり日本の社会情勢とか、いろいろなことを考えなければいけない。政治の方で決めて、それを押しつけることはできるものなのかどうかといったようなこともあります。いろいろな議論がありますので、その辺はよく見守っていかなければいけないだろうというように思っております。

 しかし、この問題の重要性ということはよく承知しておりますから、国民各層や関係方面の御意見等をよく聞きながら、どういうやり方が一番いいのかということも含めて考えてまいりたいと思っております。

小宮山(洋)委員 今、考え方を押しつけるとありましたけれども、これは別姓選択なので、選びたい人が選べるような制度にする、選択肢を豊かにするというのが、私は、豊かな社会をつくる大きな要件だと思っておりますので、ぜひ、多様なライフスタイルを認めることが、少子社会の中で持ちたい人が安心して子供を産み育てられるということにも、女性の側からすると特につながるかと思っております。

 日本の社会のこれからのあり方を決める大事な問題でもあると思いますし、いろいろ、与野党ともに、何とか少なくとも国会で議論をしたいという機運は以前よりは盛り上がっていると思っておりますので、今後ともしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 あと、残りの時間で、石井紘基前衆議院議員の刺殺事件について伺いたいと思います。

 同僚でありました民主党の石井紘基前衆議院議員が、二〇〇二年の十月二十五日午前十時三十五分ごろに、世田谷区代沢の自宅前で迎えの車に乗り込もうとしたところを男に刃物で刺されて死亡したという事件は、皆様も御記憶に新しいと思います。それから一年四カ月近くがたちました。

 私は、石井紘基さんの後、東京六区で今選ばれておりますので、地域の住民の皆さん、それから国民の皆さん、さっぱりこの事件についてわからないということを強くおっしゃっています。幾つかの点を、公判中だということは当然承知をしているんですけれども、公判中だから何も言えない、何もわからないということではちょっと皆さんの納得は得られないと思いますので、可能な限りの御答弁をお願いしたいということをまずお願いしておきます。

 まず第一点ですが、事件直後の捜査なんですが、近所の目撃証言などの捜査がほとんどなされていない、これはなぜなんでしょうか。

栗本政府参考人 今お尋ねの事件につきましては、大変重要な事件でありまして、事件の認知後、警視庁におきまして、何もなされていないのではなくて大変徹底した捜査を行っているところでありますが、具体的に申し上げますと、現場付近の聞き込み捜査、被疑者の犯行前後の足取り捜査、また、関係者からの事情聴取等の所要の捜査を徹底いたしまして、事件の全容を解明したと報告を受けているところでございますし、また、事件発生直後から、犯行を目撃いたしました運転手の方を初め、犯行前後の状況を目撃した近隣者の方などからも詳細な事情聴取をするなど、徹底した捜査を行ったという報告を受けております。

小宮山(洋)委員 私は、先ほど、何もしていないと言ったのではなくて、何をしているのかがさっぱり伝わっていないということを申し上げました。

 今のようなことも、恐らく初めて言われたんじゃないでしょうか。これまで全くそういう捜査をされたということは報道をされていないと思います。

 そして、今、徹底した捜査をされたと言われているんですが、事件前に幾つか不審なことがあったと聞いています。犯行の一時間くらい前に、枝が垂れ下がっていると植木屋だという人がインターホンで言ってきたということを、娘のタチアナさんが応対をしたと言っています。ところが、タチアナさんにはそのことを聴取されていないのではないでしょうか。そういうことで徹底した捜査と言えるのか。どこまでこういう不審な情報について捜査をされているんでしょうか。

栗本政府参考人 今お尋ねの御遺族の方はもとより、いろいろ事情聴取をさせていただきまして、今御指摘のありました植木屋云々という情報もいただいているところでございます。そのような情報に基づきまして、警視庁におきまして、当時、捜査を行っておりました。

 その中では、御指摘のような植木屋にかかわります動きが本件事件とのかかわりがあるというような事実の把握には至っていないというように報告を受けております。

小宮山(洋)委員 犯行直後、非常に早い段階から伊藤白水の名前が挙がっていたのはなぜなんでしょうか。犯行のあった日の午後に、八十名の態勢で北沢署に特別捜査本部が置かれたと承知をしていますけれども、当初から、警視庁の公安三課、ここから十名も入っている。そのことも絡めて、なぜということにお答えください。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 この捜査本部に当初の段階から警視庁の公安三課、右翼担当の部署が入っていた理由でございますけれども、これは、最初から犯人がわかっていたというようなことでは決してございませんで、仮にも国会議員が刺殺をされる、こういう事件でございます。そこから、私どもといたしましては、右翼は、例えば古くは浅沼委員長刺殺事件などに見られるように、国会議員の方に対する事件を数多く敢行しているというようなこともございまして、右翼による犯行の可能性もあるのではないかということで、これは刑事警察のみならず警備警察も含めて総力を挙げてこの事件の解明をすべきである、こういう判断で捜査本部に公安三課の要員を加えたというものでございます。

 伊藤白水被告についてのお尋ねもございましたが、犯行以前の段階から伊藤白水が犯行に及ぶ可能性があるとか、あるいは犯行直後に伊藤白水が犯人だろうと直ちにわかったとか、そういうようなことではございませんで、ただいま申し上げましたような捜査本部態勢による捜査を進める中で伊藤白水という者が浮かび上がってきた、こういう経緯でございます。

小宮山(洋)委員 その伊藤白水被告は翌朝の六時半過ぎに一人で霞が関の警視庁本部に自首してきたと言われておりますけれども、その自首の際の状況を伺いたいことと、それから、今、以前からわかっていたわけではない、国会議員が襲われた一般論だという御趣旨の答弁だったと思うんですけれども、接触を日ごろからしていた公安関係の警察官に電話をして、こういうことをやるということを伊藤白水が話し、そんなことやるなと説得されたという新聞報道が当時出ていました。もしそういう情報があったとしたら、石井議員に伝えられていたら、警戒のしようもあったのではないかと思うんですけれども、そうしたことも含めてお答えください。

瀬川政府参考人 まず、伊藤白水の出頭の状況でございますが、これは、事件の翌日であります平成十四年十月二十六日の午前六時四十三分でございますが、警視庁本部に出頭をしてまいりました。公安三課の人間と話がしたいということでございました。詳細については差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 それから、新聞報道にありました公安三課の人間に電話をしてきて犯行をほのめかしたというような御指摘でございますが、そういった事実はございません。

小宮山(洋)委員 でも、公安三課の人間と話をしたいといって自首をしてきたということは、少なくとも、その公安三課の警察官と日ごろから面識があったということは事実だと思うんですね。

 そして、伊藤白水は、石井議員の事務所のほかにも議員会館に頻繁に出入りをしていたと言われていますけれども、その出入りの状況についてはどうなんでしょうか。

栗本政府参考人 逮捕いたしました被疑者の取り調べや関係者からの事情聴取などによりまして、被疑者が議員会館に出入りしていたということは認められるところでございますが、その具体的内容につきましては、現在公判中でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

小宮山(洋)委員 伊藤白水が出入りをするなど、接触のあった政治家に対しては事情は聞いていらっしゃるんですか。

栗本政府参考人 この捜査の過程でいろいろな判明をいたしました関係者の方につきましては、その御協力を得まして必要な事情聴取を行っているところでございますが、だれから、どのような内容を聴取したかということにつきましては、具体的な内容にかかわりますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

小宮山(洋)委員 この事件の後、議員への警備のあり方とか、あるいは会館への出入りとか、何か事件後変化していることというのはあるんですか。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 まず、国会議員の警備とそれから議員会館の警備、この二点だろうと思いますけれども、国会議員の警備という点につきましては、これは、いわゆる総理大臣ほか役職で警護対象者と指定されている方以外につきましては、特に情勢がある、必要性があるという具体的な状況により判断して警戒等を実施する場合がございます。そうでない場合は、特に一般の国会議員の方に対して身辺の警備というものはやるようになっておりません。これは従来からそうでございます。

 今回の場合も、石井議員について、そういった情報もございません。それから、石井議員御自身から警察に対する警備の御依頼なり相談なりというものもございませんでしたので、特に行っておりません。

 したがいまして、この点につきましては特段の変化ということはございませんで、私どもとしては、この基本的な方針で今後ともやってまいりたい。

 また、議員会館の警備につきましては、これは、国会の管理部それから警務部の方から麹町警察署に警備要請がなされておりまして、それに基づきまして、議員会館の周辺につきまして所要の警戒警備を行っておるところでございます。

小宮山(洋)委員 国民の代表の国会議員が、白昼、暴力の犠牲になるということは、これが許されないということは言うまでもありません。最初に申し上げたように、地元の支援者はもとより、全国の国民がやはりこの事件について余りに何も情報が知らされな過ぎているということについて、いろいろな声が聞こえてきております。

 ぜひ国家公安委員長として、公判中ではあっても必要な情報はちゃんと伝達をしてしっかり取り組むという御決意を伺いまして、私の質問を終わります。

小野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘の事件に関しましては、現職の国会議員の刺殺という、まことにざんきにたえない、まして突然のことでございまして、国民の皆様にとりましても大変心を痛めたことだと思いますし、御家族の皆様にとりましても同様であろうかと思います。

 このような極めて重大かつ凶悪な事件は、警視庁におきましては、即日、特別捜査本部を設置いたしまして、その事件の動機とか背後、背景等を含めまして徹底した捜査をさせていただき、それによりまして事件の全容を解明したものと承知をいたしております。

 今後とも、この種事件に関しましては、徹底した捜査をするということ、そして、解明をしていくということが何よりも私どもに課せられた任務でございますので、警察当局を督励してまいりたいと思っております。

小宮山(洋)委員 終わります。

笹川委員長 これにて小宮山君の質疑は終了いたしました。

 この際、休憩いたします。

    午後二時四十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時五十七分開議

笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田正彦君。

山田委員 BSE問題について、アメリカで発生したわけですが、その件で農水大臣にお聞きしたいと思います。

 日本で発生したとき、平成十三年、それこそ大変な騒ぎになって、いわば三千億からの損害、死者も多数発生したわけですが、そのときに農水省としては、各国、アメリカとかカナダ等、六十六カ国にいわゆるBSEのステータス評価のための調査、いわゆる調査票、質問票、これを出したということなんですが、その中身、その結果について、大臣、お答えいただきたい。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 平成十三年四月に、ステータス評価に必要な情報を収集するために、質問票を米国及びカナダに送付しました。

 カナダについては同年の五月、また米国につきましては七月に回答を得たところでありまして、その後、両国に追加の質問票も送付いたしまして、最終的には米国から平成十四年五月、カナダからは七月に回答を得たところでございます。

 その後、そのステータスに関しまして平成十四年十一月、第十三回BSE技術検討会、カナダの評価報告書案についても了承いたしましたし、いろいろその間技術検討会で、ステータス評価につきまして、回答をそれぞれ検討しておるところであります。

山田委員 大臣、再三その質問票の中身を明らかにしてほしい、それをきのうも、きょうも電話したけれども、私のところに届けていただけていない、これは。国会は国政調査、いわゆる議員としての調査権があって、なぜ私がその質問票、いわゆる調査内容を必要とするかということは、アメリカにおいてはステータス評価が、恐らく、相当な程度BSEが発生する状況下にあった。

 昨年、大臣も御承知のとおり、我々は、いわゆるトレーサビリティー法案の中で、日本にはトレーサビリティーを、日本の生産者、流通業者あるいは小売業者にはトレーサビリティーを要求するわけだから、今、生産の現場では注射一本打つにしても、それぞれ書いて、えさを何をやったかというのを書いて、そして流通の現場では、高崎に見に行きましたが、それこそ三十人ぐらいのカット工場で、あと三人ぐらい入れなければやっていけない。大変なコスト増になる。一頭の牛だけで約六百枚のラベルが必要だと言われている。それくらいコストをかけるのに、輸入牛肉、六割も流通している輸入牛肉に何らトレーサビリティーを要求しないというのはおかしいじゃないか、これは再三やってきたはずです。そのときに、アメリカは清浄国だと大臣ははっきり言った。どうですか。まあいい、時間もあれだから。清浄国だと。

 ところが、いいですか、当時、平成十三年に、既にアメリカ、カナダに質問書を送っておった。これが質問書だ、これが質問書なんです。この質問書の中には、いわゆるBSE評価のための質問、アメリカに対して、その中に、いわゆる輸入の牛についての項目もここにちゃんと書いてある。

 ところが、今はっきりわかっていることは、一九九〇年以前に五百頭からの生きた牛をイギリス初めEUからアメリカは入れておった。日本がステータス評価でEUからかなり厳しい評価を受けたのは、EUから三十頭からの生きた牛を一九九〇年に入れたということであれだけの評価を受けた。そうすると、五百頭からの牛を入れたということはアメリカは最終回答しておったはずで、ということは、ステータス評価としてはかなり厳しいところがあった、もう相当な程度、いわゆる発生するところがあった。それなのに、大臣は平気で、それを知りながら、いわゆるBSEの清浄国だと言い張った。そしてBSE、トレーサビリティー法案に反対された、これは。だから、そのために、どうしてもこの質問書に対する回答書、これを出してもらわなければ、私としては質問できないじゃありませんか。

亀井国務大臣 今お話しのステータス評価の作業、これにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、米国、カナダから回答書をちょうだいしたわけでありますが、これは相手国の了解を得た上で公表する、この前提で調査を行ってきておるわけでありまして、相手国の了解を得ず公表した場合に、相手国との信頼関係が損なわれる、こういうことになるわけでありまして、米国及びカナダの意向を確認して、そして、提出に異存のない旨の回答があった場合には提出するということにいたしたいと思います。

山田委員 日本に対して調査結果を回答してきた。そうしたら、いわゆる国政の調査の場、ここは。国政調査の場で、その調査結果を当時大臣が知っておったのか知っていなかったのか、まず。当然知っておったはずだし、その結果の内容をこの委員会で明らかにして、私が資料要求しているんだから、それに対して、資料を渡して、そして説明をし、当時どうであったかということをこの予算委員会で明らかにしなければならない。

 大臣、何で相手国の同意が要るんですか、これは。

亀井国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、相手国の了解を得て公表する、これは、そういう前提で調査をしておるわけでありますから、やはり相手国の了解、これは当然必要なことであるわけであります。

山田委員 先ほどから言っているけれども、当時、五百頭の生きた牛を、この中にちゃんと、この質問票、あるんですよ、これ。この中に、生きた牛の輸入についての質問をしている。そして、今、五百頭以上、一九九〇年以前に入れたということは明らかになっているんだ。その調査結果があったとしたら、大臣が清浄国だからと言ったのはうそになるんだ。だから、それを、調査票を、調査の最終回答を明らかにしない限り、私はこれ以上質問できない。

亀井国務大臣 先ほど来答弁申し上げておるとおりでございまして、当時はアメリカにおきましてはBSEの未発生国、こういうことでございましたので、その対応をしてきたわけであります。

金田副大臣 山田先生からの御指摘でございます。

 確かに、一九八一年から八九年の間に、イギリスから三百三十四頭、アイルランドから百六十二頭、生体牛を輸入していたということでございます。しかし、その後、いろいろとアメリカで、一九九〇年に二十四カ月以上の歩行困難な牛あるいは死亡牛のいわゆる高リスク牛を対象としたサーベイランスを実施しているということ、それから、九七年にフィードバンを実施して、反すう動物飼料の利用禁止をやっているというようなこと、それから、いろいろと蔓延防止のために、BSEの自国への侵入防止の、蔓延防止のための一定のBSE対策をアメリカが講じていたということで、未発生国としてそれなりの措置を講じていたところであるというようなことで、米国からの特定危険部位の輸入を禁止する措置には至らなかったということでございます。

山田委員 大臣、大臣はその調査結果について、調査回答書というのを知っておったのか、当時、知っていなかったのか、そのことをお聞きしたい。

亀井国務大臣 技術検討会で調査を出し、そして検討していただいている、こういうことは承知をしております。

山田委員 回答書の中身を聞いておったのか聞いていなかったのか、知らなかったのか知っておったのかと聞いているんです。

亀井国務大臣 当時、私は農水大臣でありませんでしたので、そのときのことにつきましては、私は承知をしていないわけであります。

山田委員 その当時の調査報告は、当時、技術検討委員会、いわゆるBSE感染についていろいろ調査をしておった、感染ルート、それについても報告されていなかった。大臣、報告されていましたか、いなかったか。

亀井国務大臣 このことにつきましては、平成十四年十一月の第十三回のBSE技術検討会で米国の評価報告書案について了承され、その専門家の会議に、技術検討会には出されておる、このように承知をしております。

山田委員 私の調べでは、技術検討委員会に報告されていなかったということになっているんだけれども、では、報告されていたということでいいんですか。重ねて聞きます。

亀井国務大臣 技術検討会に報告されていた、このように承知をしております。

山田委員 アイルランド、一番危険なアイルランドから百六十頭の牛が入荷されている、これは明らかにBSEの疑いが強い、どんなことを考えても。生きた牛が入っているわけで、それが肉骨粉になっているんだから。しかも、二〇〇一年、アメリカのFDAの調査報告、この中で、千二百施設のうち、肉骨粉の処理ですが、三十四施設に混入防止対策、これが不十分であったと。しかも、七十七施設で製品に適正な表示がなされていなかった、そういう調査報告書がある。ということは、十分に、既にアメリカはBSE発生の相当な程度疑いがあった。

 大臣、そういう調査報告は当然知っておったはずで、農水省としては。それでいて清浄国であったということは、大臣、農水省として、それについて責任がなかった、そう言えますか。

亀井国務大臣 二〇〇一年に、いわゆる米国における肉骨粉の給与禁止の関係につきまして、米国食品医薬品局におきます一九九七年における肉骨粉の給与禁止措置の実施以降、一九九八年、飼料製造施設等における規制の遵守状況について調査を行ってきた、このことは承知をいたしております。

 調査の結果の公表、これが、二〇〇一年七月の時点では、いわゆる米国ではBSEの未発生国であった、このようなことでありますので、このFDAの報告書に現実に我が国としても注目するまでに至らなかった、こういうところはあると思います。

山田委員 二〇〇一年にそういう調査報告がなされておって、それに注目しなかった。それでいて、トレーサビリティー法案のときに、もう何回質問しても、アメリカはいわゆる清浄国だ、清浄国だと言い張った。大臣、亀井大臣が言い張ったんですよ。この言い張ったことは間違いありませんか、まず。

亀井国務大臣 私はそのように申し上げました。

山田委員 間違いだったということになりませんか、当然のことながら。FDAの調査報告もあったわけだから、しかも、アメリカからの回答もあったわけだから、それでいて清浄国だと言い張るのは、明らかにあなたはうそを言ったんだ、委員会で。

亀井国務大臣 私は間違ったことを言っているつもりはありません。当時は、アメリカにおきましてはBSEのまだ未発生国だった、こういうことに立ちまして私は申し上げたわけであります。

山田委員 それはそれでいいでしょう。

 では、坂口厚生大臣にお聞きしますが、厚生省としては、アメリカから昨年まで、脳、一番危険部位の脳をそのまま入れていましたね。今までにどれぐらい脳を入れていますか。

坂口国務大臣 昨年一年の分しかちょっと数字がございませんが、後でまたお届けをいたしますけれども、昨年一年間では四十キログラムでございます。回収量を差し引きました数字でいきますと、三十一キログラムでございます。

山田委員 坂口大臣、いわゆるこの質問書に対する最終回答がアメリカから既に二〇〇二年の五月にはなされておったんですが、生きた牛がアイルランドから百六十頭とか、全部で五百頭もあったというそれの報告が厚生省に農水省から届いていましたか、届いていませんでしたか。

坂口国務大臣 我が省の方も、農林水産省で開催されておりますBSEに関する技術検討会にはオブザーバーとして時々出席をさせていただいているようでございますが、今御指摘のその資料は、我々の方は承っていないということでございます。

山田委員 農水大臣にお聞きしたい。

 そういう大事な資料を、いわゆる食の安全と安心が問われているとき、非常に危険な部位、この脳が我々国民の口にずっと入り続けてきたわけだ。なぜ農水大臣はアメリカからのこの質問書に対する回答書を速やかに厚生大臣に伝えなかったのか。その責任はどうなるんですか。

亀井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この第十三回BSEの技術検討会、これが開催されるわけでありますから、そこに資料は提出をされておるわけでありますから、そのような中でいろいろの議論がなされた、このように承知をしております。

山田委員 となると、厚生大臣は当然知り得たはずだ。知り得たはずなのに脳をずっと入れ続けたというのは、どういう責任をとるつもりですか。

坂口国務大臣 カナダにおきましてBSEが発生をいたしましてから、これは、カナダと米国とは陸続きでございますから、米国に対しましても、危険部位の輸入というものを禁止したいというのでずっと話し合いをしてきたことは事実でございます。

 しかし、この決着がつかない前に発生をしたということでございまして、我々の方も意識を持ちながらやってきたことは事実でございます。

山田委員 カナダで発生した後のことを聞いているのではない。カナダの発生は去年の五月。それ以前、既にこの調査回答は、この質問書に対する回答があったのは二〇〇二年の五月。その時点で技術検討委員会にも報告されたと言っているわけだから、当然厚生大臣は知り得た立場にあったはずだ。それでいてその脳を、例えば、カナダで発生したのは去年の五月、ところが、去年の六月にも脳を入れている、輸入している。そうすると、これは明らかに国民に対して、大変な危険を承知の上で入れたとしか思えないようなことを厚生省はやったとしか考えられない。

 大臣、責任あると思いませんか。

坂口国務大臣 先ほど申しましたとおり、検討会にオブザーバーとして数回お邪魔しておりますから、そのときにその報告があったとすれば、それは我々の方もそれをよく理解していなければならなかったというふうに思います。そこのところは一遍、私の方もきちっと確認をいたします。

山田委員 ちょっとよくわからなかったのですが、済みません、もう一回答えてくれませんか、その責任があるのかないのかという点で。

坂口国務大臣 我々の方がそのことの報告を受けていて、そしてそのことに対して対応しなかったということになれば、もちろんのこと責任があるわけであります。

 しかし、その検討委員会には常時我々の方は出席をしているわけではございません。関係のありますときにお呼びをいただいてオブザーバーとして出席をしているということでございますので、すべてのことをそこで知っているわけではありませんから。

 ただし、私の方がお邪魔しているときに、それをわかっていて、その場で報告をされたことがあったのにそのことをきちっとしなかったというんだったら責任があるということを申し上げているわけであります。

山田委員 農水大臣は、その技術検討委で厚生省もそれを知っておったはずだと先ほど言ったわけで、大臣、それはしかと調べていただきたい。そして、この委員会に後で報告いただきたい。そして、もしそれを知っておったということであれば、責任をとっていただきたい。

 そして、もう一つ大臣に。二〇〇一年にFDAの報告で、肉骨粉の処理について、アメリカ自身がいわゆる防止対策が十分ではない、そういう報告がなされておった。これを大臣、厚生省としては承知だったのか、承知でなかったのか。

坂口国務大臣 承知していないということでございます。

山田委員 FDAといったら、アメリカの食品それから医薬品等々の調査局、非常に大事なところ、厚生省とも密接な関係があるところ、そこの調査報告を本当に厚生省が知っていなかったとは考えられない。本当に知っていなかったのかどうか、もう一回言っていただきたい。知っていなかったということであったらば、それはそれでよし。

坂口国務大臣 今聞いたところによりますと、FDAに対しまして、資料の対応は農水省でおやりをいただいているということでございます。

山田委員 それでは知っておったということですか。

坂口国務大臣 そういうことですから、知らなかったというふうに申し上げたわけであります。だから、FDAに対します対応は農林水産省でおやりをいただいていて、そして私の方はそのことを知らなかった、こういうことでございます。

山田委員 農水大臣、農水大臣はそれを承知でおって、技術検討委員会で、もしくは農水省からその大事なことを厚生省には連絡していなかった。なかったのか、してあったのか。

亀井国務大臣 先ほどの例の回答書、その中にこのFDAの報告があったのかどうか、記載されておったのかどうか、このことにつきましては、ちょっと私も承知をしておりません。

山田委員 私が言っておるのは、厚生省に対して報告を農水省から、縦割り行政と随分非難されて、食の安全と安心のための食の安心の委員会、これを内閣府に置いたといういきさつがあって、そのころから横の連絡は十分やりますと。そして食の安全の基本法にも厚生省と十分連絡をとり合うということを書いてある、昨年の法案にも。それでいて報告しなかったのかと聞いているんです。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 今のお話、いわゆる食品安全委員会あるいはまたリスク管理等々をする、こういう面で厚生労働省といろいろ緊密な連携をとっていく、こういうことは今日やっておるわけでありますが、二〇〇一年の時点、その時点ではそのような体制になっていなかった、こういうことで、今日とは違うわけであります。

山田委員 今日とは違うって、非常に無責任きわまりない。

 その責任というのは、今言ったように、脳を、いわゆるこれが発生するときまで入れておった、厚生労働大臣。カナダでBSEが発生したのは五月、そしてカナダのBSE発生が当時新聞にもでかでかと、アメリカ産ではないかとかアメリカに同居牛があるとはっきり報道されている。それを承知の上で、厚生労働大臣、六月にカナダから脳を入れている。この責任はどうとるんですか。

坂口国務大臣 前半のこの書類の問題は、一遍整理をして私もきちっと聞きますから、それで御報告を申し上げます。

 脳のことにつきましては、そのころは米国は発生していなかったわけでありまして、発生していなかったけれども、カナダから出たものですから、発生はしていないとはいいますものの、やはり陸続きでありますから、ここはひとつ今後入れないようにしたいということで米国と交渉を重ねてきていたということでございます。

 発生していない国の問題、確かにあるわけでございます。例えばオーストラリア、今発生していないわけでありまして、オーストラリアから今脳だとかそういう危険部位のところを入れているわけであります。こういった問題、どうするかという問題、今検討しているところでございまして、これらのことも含めて今後はやっていきたいというふうに思っております。

山田委員 委員長に、この質問書に対する米国からの回答書、これについては、ぜひこの委員会に提出して明らかにしていただきたい、それを要求しておきます。

笹川委員長 理事会で協議します。

 質問を続けてください。

山田委員 次に、農水大臣にお聞きしたいんですが、アメリカ側は日本からの牛肉に対して、全頭検査をしておって危険部位をすべて除去しておっても、今現在、一頭も、一かけらも輸入を禁止しているという事実に間違いありませんか。

亀井国務大臣 アメリカは日本の肉を輸入いたしておりません。

山田委員 アメリカからは正式に輸入再開してくれという要求はあっていますか。

亀井国務大臣 私も、一月十五日にベネマン農務長官と一時間ほどいろいろお話をして、やはりお互いに早期に輸入再開ができる、こういう面ではお互いに一致をしておるわけでありますし、その上に立って、双方とも、やはり安全、安心、こういうことは確保するということの認識はあるわけであります。

 私は、日本で行っておりますような食肉処理場におきます全頭のBSEの検査、さらには特定危険部位の除去、このことを丁寧に説明し、消費者の信頼を確保するためにそのことが当然必要なことだ、このことを強く申し上げておるわけであります。

山田委員 それでは、アメリカから輸入再開してほしいという要求はあっている。そして、日本は全頭検査がされ危険部位が全部除去されても、アメリカは輸入禁止したまま。この件については何か話し合いをしましたか。

亀井国務大臣 今日の時点では、我が国の方からの輸出のことにつきましては話をいたしておらないところであります。

 我が国も、平成十四年十月に米国に対しまして輸入解禁の要請を行ったわけでありますが、当時、日米ともBSE発生国からの輸入を認めない方針、こういうことでありました関係から、我が国としても強く協議を求めるというようなことはいたしていなかった経緯もございます。

 今後、同じ条件、こういう中での両国の輸出入というのは当然我が国も主張してまいりたい、このように思っております。

山田委員 今、これは新聞等の報道によれば、農水省幹部等においては、輸入再開に向けて、既にアメリカとの具体的ないろいろな条件の話し合いに入っている、例えば検査するについて費用を日本が持つとか、そういうことがいろいろと報道されているが、そういう事実はあるのかないのか。

亀井国務大臣 そのような事実はございません。

 私は、農務長官にも申し上げ、先方からどういう形でということの提案、これを待っておるわけでありまして、農水省の幹部、今お話しのようでございますけれども、そういう話をしているということは今日までありません。

山田委員 今、OIE、国際獣医学会において、アメリカは、一つのBSE感染国からの牛肉の輸入等に関しての安全の基準づくり、いわゆる防疫についての、それを三月中にまとめるとか、そういういろいろな情報は流れているわけですが、OIEが安全な基準というものをつくれば、それに従って、例えば三十カ月齢以上で危険部位を除去すれば十分であるとか、例えばスイスとかそういう国はそのとおりにしているわけですが、そういった基準が出た場合に、農水大臣としては、OIEの基準に従って輸入再開してもいいと、どういう基準が出るかわかりませんよ、日本政府としてはOIEが安全な基準を決めればそれに従います、そういうつもりがあるかないか。そういうつもりはないんであればない、あればある、どちらかで答えていただきたい。

亀井国務大臣 実は私も、昨年十二月、OIEに参りまして、我が国の状況、このような全頭検査並びに特定危険部位の除去、特に我が国におきましては、二十三カ月、二十一カ月の発生を見ておる国でありますし、さらには、科学的な面でも、BSEが発生をしましてまだ二十年に満たないわけでありますし、その科学的知見と、特定危険部位の科学的知見、これも国際的にいろいろ確定をしておらない、こういうところがあるわけでありまして、これからOIEがどういうことをおやりになるか、私は、やはり我が国の食の安全、安心、そして今日までのBSEに対する国民の考え方、こういうものが十分反映されるようなものでなければならない、こう思っておりまして、今後のOIEの基準、これの状況、これは十分見守っていかなければならない、こう思っております。

山田委員 見守っていかなきゃならないのは当然のことですけれども、いわゆるOIE基準が出ればそれに従うのか従わないのかと聞いているんです。

亀井国務大臣 それは、そのOIEの基準の、どういうことがその基準に入ってくるか、これを見ない中でそのようなことを結論づけることは私はできないわけであります。

山田委員 では、OIEの基準が出れば、それをもとにして輸入を再開する用意はある、そう考えてよろしいかどうか。

亀井国務大臣 私は、まずその前に、この基準が出ましたときに、一つの考え方とすれば、それは我が国は食品安全委員会もあるわけでありますし、また今までの消費者の考え方と食の安全、安心の確保、こういう視点に立ちまして、それを十分検討しなければならないわけでありますから、今のようなすぐ輸入再開と、こういうことにはつながらない、このように考えております。

山田委員 つながらないということはどうなんでしょう。場合によっては、輸入再開をもとにしようという考えはありますというふうに解釈してもよろしいですか。

亀井国務大臣 再三私申し上げていますとおり、その基準、それを、我が国の食品安全委員会、そして国民の皆さんのお考え、こういうものを十分考えなければならないわけでありますから、即決にそれを、輸入再開につながるとかつながらないとか、今の時点でそれを申し上げる段階ではないわけでありまして、私はあくまでも食の安全、安心、このことをしっかり貫いてまいりたい、こう思っております。

山田委員 どうも今の話を聞いていると、今の時点ではということなので、将来そういうOIE基準が出れば、もうアメリカからの輸入を再開する考えはないわけではない、そういう趣旨だとどうも私は考えざるを得ない。

 しかし、大臣、ここは本当に大事なところでして、日本の食の安全、二十一カ月齢で既に実際にBSE発生しているわけですから、そして危険部位はEUも十二カ月齢以上全部除去しているわけですから、どんなことがあっても、いわゆる全頭検査、あるいはそれと同等程度の安全基準、それを守っていくつもりかどうか、明確に答えられないかどうか。

亀井国務大臣 私は再三申し上げておりますとおり、いわゆる国民の食の安全、安心、このことを確保するのが一番、第一義であるわけでありまして、そして今、全頭のBSE検査、特定危険部位の除去、このことを基本に、それぞれの国、昨年五月カナダで発生をいたしまして、カナダの農業大臣から、五回私は会っております、そのほかに二回電話でしつこくこのことを言われたわけでありますが、私は断じて、食の安全、安心の確保と、そしてもう一つは、我が国におきまして、あの平成十三年九月にBSEが発生をして混乱した、このことを第一義に考えていかなければならない、この考え方のもとに対応してまいらなければならない、このように考えておりますので、全頭検査並びに特定危険部位の除去、このことは十分対応してまいりたい、このように思っています。

山田委員 では、国民に対して、幾らOIE基準が出ても、そういうことを裏切らないように、ひとつぜひ大臣にそれを約束していただいて、次の質問に移りたい、そう思います。

 結局、今回鳥インフルエンザも発生し、そしてコイヘルペスで霞ケ浦のコイの業者も全部廃業に追い込まれたと聞いております。全部というか、ほとんどが廃業に追い込まれたと聞いております。そうなると、牛もそうだけれども、鳥もそうだ。そして、コイもそうだ。いわゆる我々が食べている食品の六割は輸入の食品。この自給率を少なくとも六〇%以上、引き上げないと、日本はそれこそこういうことになって大変だ。

 今度のエコノミストの特集でも、国内自給率の引き上げが非常に安全にとっては大事である、そういう見解だし、いろいろな新聞等々でもそういうことが、我が民主党においても、自給率の引き上げ、これが最大の課題であるということになりつつあるわけですが、大臣はどう思われるか、一言で結構です。

亀井国務大臣 今回のこの問題、コイヘルペスあるいはまたBSE、鳥インフルエンザ、国民の皆さんが大変食糧の自給率につきまして関心をお持ちいただいて、また、いろいろな調査におきましても、大変残念ながら、農業者の関係の皆さんは、いわゆる食糧自給率を平成二十二年に四五%に、このことは御存じでありますけれども、調査では、消費者の皆さん方はまだ二割ぐらい、こういうような調査も拝見をしたわけであります。

 この自給率の向上のために、農業構造改革あるいはまた食生活の改善あるいは食育等々、いろいろの努力をして、当面、平成二十二年四五%、こういうことで今努力はしておりますが、今回の基本法の見直し等々の中でもいろいろ議論をしていただきまして、この自給率の向上のために努力をしてまいりたい、こう思っております。

山田委員 大臣、私の個人的なことなんですが、一九七三年、私は、五島列島で牛を飼っているときに、アメリカが大豆を禁輸した、わずか三カ月だったんですが、えさが暴騰して大変な目に遭った。これは忘れられない。そのとき、主婦の間で豆腐パニックが起こった。当時、日本は食糧自給率が六三%か四%あった。それから、今や、どんどん下がって、カロリーベースで四〇%。ところが、イギリスは、食糧自給率が四七%しかなかったものが今七五%、穀物では一〇〇%。そして、ドイツでも、それこそ六〇%を切らんとしておったのが、今や一〇〇%の自給率。それこそ、それぞれの国が大変な努力をして自給率を上げてきた。日本は逆に、当時六十何%がそこまで下がったわけだ。そうすると、なぜ日本がこのように食糧自給率が下がってきたのか。

 それはともあれ、なぜイギリスやドイツが、EUが、食糧自給率をそこまで持っていくことができたのか。そこについて、ひとつ、きょうは経済産業大臣お見えだと思うんですが、経済産業大臣に、なぜEUは食糧自給率を上げることが、一〇〇%まで持っていけたのか、それを契機に。アメリカは信用ならない、いつ何どき食糧を禁輸してくるかもしれない、そのために自国の自給率を上げようと。どういうことで上げることができたか、それをお聞きしたい。

中川国務大臣 本来は農林大臣がお答えすることだろうと思いますけれども、外国の例ということでございますので、所管外だと思いますけれども、御指名でございます。

 昔、イギリスでマルサスとリカードの論争というのがあって、比較優位説と人口論という大論争があったわけでございます。ヨーロッパはずっと何百年にもわたってヨーロッパの各国内での戦争あるいはペスト等の疫病があって、この食糧問題というものが長い間非常に大きな問題であったというふうに学んだことがございます。そういう中で、第二次世界大戦後、ヨーロッパはそれぞれ食糧不足がいろいろあったわけでございますけれども、やはりそういう長い歴史の中で、食糧が非常に重要であるということでございます。

 もちろん日本もそういう観点であるわけでありますけれども、やはり日本の場合には、戦後、工業化が急速に進んだり、いろいろな面で、欧米と違う産業の発展形態といいましょうか、そういうものがあったわけでございます。そういう中で自給率がどんどん下がってきたことは、数字が示すとおりでございます。

 ちょうど十年前に、食糧パニック、あの冷害、米作況七四ということは、我々共通の忘れられない出来事でございます。

 したがいまして、新しい食料・農業・農村基本法におきまして、国内生産を主軸として備蓄と輸入でもって頑張るということで、今、懸命に、安定的な食糧供給に、政府、農水大臣を中心にして努力をしていることというふうに理解をしております。

山田委員 中川大臣に私がそれを聞いているんじゃなくて、EUはどうして食糧自給率を上げることができたか。中川大臣も農業問題では大変な専門家であると聞いております。EUの農業政策、その中で支持価格制度と所得補償、これをどれだけやってきて、どれだけそれでもって自給率を上げることができたか、そのことを聞きたかったので、もう一言でいいですから。

中川国務大臣 これも農水大臣の方がお詳しいんだろうと思いますけれども、一つは、輸出せざるを得ないような農業生産体系になってきた一部のEUの国々があって、そして、それと国内の需給とのアンバランスということの中で、一〇〇%を超える、つまり輸出に向かっていったということも結果的に事実であろうというふうに理解をしております。

山田委員 まあ結構です。

 農水大臣、それじゃ、お聞きしたいと思うんだけれども、いわゆるEUで支持価格制度、私は、EUのブリュッセルへ行って二年続けて調べてきたんですが、いわゆる市場価格、過去三年間の平均価格ですね、欧州委員会では毎週、指標価格として平均価格を設定してきたようですが、それより一割下がったら支持価格で買い支える。そういう制度をとりながら、いつまでも支持価格制度だとWTOに反してくることになるので、いわゆる直接支払いと支持価格制度、これを組み合わせながら、現実には今でも事実上の買い支え。買い支えの分については、半分近くは今直接払い、所得補償という形でやっているようだけれども、そうしながら、生産者に対していわゆる所得補償、いわゆる支持価格、生産補償。

 そうして、いわばEUにおいてはどんどん生産を上げ、余ったものに対しては輸出補助金。例えばEUでは、昨年も約六千億円程度の輸出補助金を出して、そして余った農産物等については日本に、あるいはよその国に、さあ、買え、買えと迫っている。

 そういう形で、国内の農業あるいは漁業、漁業においても二十六種類の魚について支持価格制度をやっておりますが、そうしながら保護してきた。だから、EUはまさに自給率一〇〇%まで持っていけた。そういう理解でよろしいかどうか。

亀井国務大臣 今のお話も多分にあると思いますけれども、若干、いわゆる我が国との違いを考えますときに、耕地面積等々の大型化の問題ですとか、いろいろの施策が総合的に進められた、このように考えます。

 今御指摘のいわゆる支持価格あるいはまた輸出補助金等々の問題というのは、多分に影響していると思います。

山田委員 そうすると、日本は逆のことをやってきたのじゃないのか。大臣、どうですか。

亀井国務大臣 逆のことをやってきた、こういう御発言でありますけれども、しかし、我が国の置かれております農業の立地条件、こういう中でいろいろの制約があったと思います、多分に。またさらに、自給率の問題につきましては、食生活の多様化、洋風化、あるいはまた穀類消費が大変減少したわけでありますので、昭和三十七年、一人当たり百二十キロくらいの米を消費したわけでありますが、今は半分。こういうことで、自給率は半分くらいに下がってきておる。

 こういうような、生産だけでなしにそのようないろいろの問題、これもやはり考えていかなければならないんではなかろうか、こう思います。

山田委員 日本において食糧自給率を上げる、そうするんだったら、減反政策は私は失敗だったと。農水省に調べていただいたら、今減反をやめて回復できる水田というのは三十三万ヘクタールしかない。最大限、減反をやめてつくったとしても百七十万トン。この百七十万トンを仮に六十キロ一万四千円で全部買ったとしても四千億円。そして今、転作奨励金等と稲作安定資金等で約三千億、二千九百十二億円、平成十三年、十四年で使っているとしたら、それを差し引いたら約一千億円。これをかければ、減反政策をやめて米をつくり、備蓄政策に転換することができる。

 きょうは時間がないので、あとは農水委員会でやらせていただきますが、そういう方向でいけるのではないかと意見だけ申し述べさせていただいて、きょうは外務大臣に来ていただいておりますが、外務大臣に、今WTOの交渉その他が大変厳しくなってくる。その中で、外務大臣として、このWTOの交渉の中の農業問題を、アメリカのやり方をぜひ調べてきょう御回答いただきたいと言ったんですが、アメリカにおいては、米においてすら、いわば目標価格をトン当たり二百四十ドルに設定して、三カ月前に私が調べたところ市場価格は七十四ドル、その差額の不足払いをしている。この目標価格を設定したというのは新農業法、新しくこれだけで約一兆円やっているわけです。それまでのアメリカの農業保護そのものが二兆五千億。そうすると、この新しい農業法で目標価格を設定して不足払い制度を設けるということは、WTOの約束事に反することではないのか。

 しかも、アメリカは、輸出補助金を日本円で九十億円、さらに輸出信用を約四千四百億円つけている。これは明らかに、いわゆるWTOの言っているところのルールにアメリカ自身が大きく、ブッシュさんになってから、反しているのではないのか。アメリカは横暴ではないのか。外務大臣、どう考えられますか。

川口国務大臣 WTOの交渉につきましては、これは、亀井農水大臣と中川経産大臣と私と、連携をとりながらやらせていただいております。

 今の御質問、農業の非常に細かい部分にわたりますので、むしろ私よりも亀井大臣にお答えをいただくという方が適切かと思いますけれども、我が国のWTOの農業の交渉、これについての基本的な考え方といいますのは、ドーハの閣僚宣言というのがございまして、そこにおいて、我々は、市場アクセスの実質的な改善、あらゆる形態の輸出補助金の段階的撤廃を目指した削減及び貿易歪曲的な国内助成の実質的な削減を目的とする包括的な交渉を約束するということが書いてございます。

 我が国としては、このドーハのラウンドの閣僚宣言、これに従いまして、多角的な自由貿易体制、これを維持強化していくということのために、WTOの交渉の早期の妥結に向けて、三省連携をしながら取り組んでいきたいと考えております。

山田委員 確たる回答ではありませんが、外務大臣としてはしっかりその点は勉強していただきたい。

 そして、AMS、WTOの約束事の中で農水大臣にお聞きしたいけれども、いわゆる国内助成総枠、国内の農業を自給率を高めるために保護してもよろしいという約束事、金額、助成額、これが何とアメリカの場合には二兆千億ぐらい。ところが、実際には三兆五千億ぐらい少なくとも農業助成、僕はアメリカに行って調べたので間違いないんですが、もっとそれ以上使っていると思いますが、それくらい使っておる。これはWTO違反じゃないのかということが一つ。

 日本は、このAMS枠、いわゆる国内助成の総枠が、何と三兆九千億もWTOの約束事で認められている。EUは八兆一千六百五億認められている。ところが、日本はこの国内助成総枠をほとんど使っていない。これは大変に問題である。これを使って農業を、漁業者、農業者を助成していくことによって、生産補償、所得補償することによって自給率を高めること、これはぜひ必要だと思うので、ぜひそうしていただきたい、そう思います。一言、ちょっと私、もう一つだけ聞きたいので。

亀井国務大臣 アメリカの関係、WTOに抵触する、こういうお話でありますけれども、現実に、このAMSの上限水準を超えないように調整しているというようなところもあるようでありまして、一概に違反というようなことは定かでないわけであります。しかし、この問題等につきましては、輸出補助、類似のもの等々でもありますので、十分心して対応しなければならない、こう思っております。

 また、日本におきますAMSの問題、この問題につきましても、いろいろ御意見はわかりますけれども、全体として、所得政策、今回、基本計画の見直し、こういう中で、諸外国の例も見習っていろいろ検討してまいりたい、このように考えておりまして、その中で対応する。所得補償政策、これを一律にというのは大変難しいことでありますので、やはり構造改革が進むような対応をしてまいりたい、このように思っております。

山田委員 きょう、予算委員会で、中金の理事長、上野さんをぜひ呼んでいただきたいと頼んでおったんですが、ぜひ検討していただきたい。その理由を今から申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 実は今、漁業者、農業、特に漁業においては、いわゆる自己資本比率、これが、普通の銀行、信用組合だったら四%なのに、一〇%。どこで決めたのかといったら、政府も決めていないし、いわゆる中金、農林漁業中央金庫の方で決めているということ。そして、今なぜ困っているかというと、小さな漁協、農協においては八%に決められているようですが、農協も漁協においても、そのために貸し出しができなくなった、いわゆる貸しはがしが横行しているわけです。そして、漁業者においては、今、私は時々浜回りして対馬にも行くんですが、二月に一回ぐらい自殺者が出ている、そういう状況なわけでして、この自己資本比率の撤回。

 そしてもう一つは、漁協に、この自己資本比率一〇%を割ったら合併しろと強要する。合併しない漁協の漁業者に対しては、いわゆる漁業権を取り上げる、そこまで現実に話している。

 やむなく合併する。合併するのはいいんだけれども、旧漁協が負った負債に対して、信連、あるいは中金が信連を通して貸し出しする、その利息については県と国が補償するけれども、それを、十年間で、合併する側の債務を負った漁協の組合員が払いなさい、十年間かけてと。というと、人の債務を、組合員であったばかりに債務を負担させられている。さらに苦しくなってきている。

 こういう状況を、なぜそのまま中金が勝手にそういう自己資本比率を決めてかなり厳しい指導をしているか。これは許せないことであって、ぜひ、この委員会でも中金の理事長を呼んで質問していただきたいと思います。

 私の質問を終わります。

笹川委員長 農林大臣が答弁したらどうなんですか、今のは。所管大臣でしょう。

 今、山田委員がおっしゃったことは、理事会でその人を呼べということだろうと思うんですが、所管は農林大臣でしょう。何も今答えることはありませんか。

亀井国務大臣 農林中金が、総代会あるいはまた地元の漁業者、組合等々から意見を伺って、いわゆる組合員の、JAの金融、こういうことを十分お考えになって、いろいろそれなりの組織的な中で農林中金がお決めになった、このように承知をしております。

 今お話しのような問題につきましては、私ども、合併の問題も、いろいろ農水省が指導しているとか勧告をしているとか、そういうことでないわけでありまして、しっかり、今お話しのような点も問題があれば十分注意をしていかなければならない、こう思います。

山田委員 終わります。

笹川委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に、鳥インフルエンザの問題でお伺いをいたします。

 きのう、大分県九重町というところで鳥インフルエンザの感染が確認されました。個人が庭でペットとして飼っていたチャボが十四日から七羽続けて死亡したことから通報があり、病性鑑定が行われたと聞いております。一月十二日に国内で七十九年ぶりに発生が確認された山口県阿東町があすにも終息宣言をするという予定になっていただけに、非常に残念であります。

 FAO、国連食糧農業機関アジア太平洋地域事務所は、きのう声明を出し、鳥インフルエンザをめぐる危機的な状況は終息にはほど遠いとして、各国関係機関に対し、新たな感染拡大や再発生に十分注意するよう呼びかけました。日本においても、山口県の感染ルートがまだ解明もされていない中ですので、早急な対策を求めるものです。

 党国会議員団は、先月十六日に山口県に入り、これに基づき、二十三日に申し入れを行いました。

 防疫マニュアルに基づいて半径三十キロの移動制限が行われたのでありますが、そのとき対象飼養農家は十一市町村三十戸、採卵農家十七戸、約百万羽、ブロイラー十三戸、二十二万羽が対象になり、鶏は一万五千羽が死亡したのと合わせると三万四千羽が殺処分され、卵は回収対象とされた二十一トンのうち回収できた五トンが焼却処分となりました。

 当時はまだ、本当に起こった直後でありましたので、どれだけの損害になるかという心配よりも、まず回収をきちんとやりたい、感染を食いとめたいということで、役場やたまごセンターの皆さんが大変な努力をされておりました。しかし、鶏の処分については家畜伝染病予防法に基づく費用補てんがあるものの、三十キロ圏内の移動制限に伴う卵の出荷自粛に対し財政措置がないということで、申し入れでもこれを求めてまいりました。今回、国と県が半額ずつ、ブロイラーについては山口県が単独という形で実現しました。

 そこで、今回の大分県でありますが、九重町を中心とする三十キロ圏内には熊本県も入ります。すぐ近くには湯布院などの温泉、観光地も入ります。地鳥を飼い、地産地消ということで大変喜ばれている、そういう温泉地に出荷をしている農家の皆さん、あるいは観光産業そのものにもダメージを与えることが予想されます。今回の措置は山口県に限ったものでありましたので、同様の措置をまずお約束いただきたいと思いますが、いかがかということです。

 あわせて、風評被害も含め、地域産業に与える影響についても財政支援をするべきと考えますが、大臣のお答えをお願いいたします。

亀井国務大臣 今委員からもお話しのとおり、私どもも、実は、きょう十八日に移動制限区域内で発生が見られなければ、十九日の午前零時に山口県の移動制限を解除する、この予定でおります。そういうやさきに大分県で発生をいたしましたことは、本当に残念でならないわけであります。今日まで、山口県の関係の皆さん方が大変御努力をいただきまして、その対応に万全を期していただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。

 なお、このたびの大分県の制限区域内の農家に対する支援措置につきましても、損失の内容等、あるいは規模、発生した家畜伝染病の種類、畜種、地域により異なることもありまして、問題が生じます都度、必要に応じてその対策を講じてまいりたい、このように考えております。

高橋委員 必要に応じてということでしたので、やはり防疫体制を確立するためにも協力をいただく、そのためにも必要な措置でありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、自治体独自で取り組む支援策などもさまざまあるかと思いますが、例えばそうしたものに対して交付税措置などという援助もあると思いますので、関係大臣との協議も含めて、ぜひ検討をお願いしたいと思います。

 次に、感染ルートの解明が急がれると思いますが、まず、山口県の場合がどうなっているのか伺います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 山口県の例でございますけれども、現地におきまして分離をされましたウイルスにつきまして、その遺伝子の解析を行いますとともに、関連農場などでの疫学調査も今続けているところでございまして、こういうことによりまして、感染経路の究明に今鋭意努力をいたしております。

 分離をされましたこの山口の鳥インフルエンザのウイルスでありますが、動物衛生研究所におきます遺伝子解析の結果、これが鳥類由来のものであるということはわかっておりますし、それから、香港やベトナムで鳥から人に感染した、そういったウイルス株とは違うということもわかってきております。

 それから、現地におきます疫学調査でありますけれども、人あるいは車両といった動きに着目をいたしまして、発生農場を含めた疫学調査、山口県の方で現在進められているところでございます。

 こういった調査結果、それから先ほど申し上げました遺伝子解析の結果などをもとにしまして、専門家の方々の御意見もお聞きしながら解明をするということになりますけれども、あわせまして、最近、高病原性鳥インフルエンザ対策に関する緊急調査研究というものも始まっております。これによりまして、野鳥の調査も行うことになっております。

 こういったものを全部あわせまして、感染原因、あるいは感染経路の究明に努めたいというふうに思っております。

高橋委員 先日お話を聞いたときは、山口県が主体となって調査をしているという説明でありましたので、国の責任で、今回の大分県も含めて、きちんと感染経路、感染源を追求するんだということで確認をしたいと思いますが、次の質問の中でお答えをお願いします。直接関連がないにしても、共通点があるということも予想されますので、非常に大事なのかなと思っております。

 今回、民間の方がまずこういうことになったわけですけれども、最初の三羽ですぐに届け出をされたというのは非常に迅速だった。これは、山口県の場合は、十二月の二十八日から最初は少しずつふえていって、最初は、インフルエンザかなということよりも、マニュアルどおりにニューカッスルを疑ったということで、年を越すまでちょっと対処がおくれたということがあったわけですね。そういう教訓が生かされたんだというふうに私は思うんです。

 ただ、山口県に行ったときに、そこは法人が経営している農場だということで、では、個人の農家や、あるいは庭先で飼っている農家、まさか今回こうなるとは思わなかったんですから、どのくらいありますかということを質問したら、一切把握をしていなかった、調査の対象にもなっていなかったということなんです。その後、大変な苦労をされて、全戸調査というところまでやられております。

 ですから、大分県の場合は、熊本も入りますが、影響を受けるこれらの対象数、どの程度把握をされておりますか、お願いします。

中川政府参考人 今回、高病原性鳥インフルエンザということが確定いたしましたので、半径三十キロの圏内を移動制限しているわけでございます。この半径三十キロメートルの範囲に該当いたします養鶏農家の方々ということでございますが、大分県におきましては、採卵鶏とブロイラー、合わせまして四十九戸の方がいらっしゃいます。また、この半径三十キロの中には一部、熊本県もかかってまいります。こちらの方では十六戸の養鶏農家の方がいらっしゃるというふうに承知をいたしております。

高橋委員 政府は、昨年の九月に、高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルなるものを作成しました。今回の三十キロ移動制限や埋設処分なども、これに基づく措置と承知をしております。

 そこで、このマニュアルの、最初が「目的」、次がどんな病気かということ、三つ目に「モニタリング」というのが出てきます。「本病の発生を迅速に発見する監視体制を構築し、本病の防疫措置を適切に実施するため」にやるということを書いてあるわけです。その内容が、各都道府県一農場、十羽、毎月または二月に一回検査をし、毎月二十日までに報告するとなっておりますが、この実施状況はどのようになっていますか。

中川政府参考人 全都道府県から報告をいただいております。したがいまして、マニュアルに従ったモニタリングが行われているというふうに理解しております。

高橋委員 予想どおりのお答えでした。

 といいますのは、一月十六日に私たち山口県に伺ったときはまだ二十二から二十三県、一月二十八日の参議院の農水委員会で紙智子議員の質問に対しては四十一とお答えになって、今、全都道府県ということが言われました。ということは、後々になって確認したわけですね。

 つまりは、これは、私、山口県で直接聞いてきたことなんですが、九月にモニタリングの指示を出しておきながら、実際には点検をしていなかったと。問題が起きて、年を越してから実際にはやっと全都道府県がそろったということですね。ここを確認します。

中川政府参考人 モニタリング調査を行うためには、養鶏農家の方々の御理解、御協力が不可欠でございます。そういう意味で、各都道府県で農家の方々に御説明をして、理解をいただいた上で御協力いただく、その手続に若干時間がかかった、そういう意味で、県によっては少しおくれたところがあるのは事実でございます。

高橋委員 御理解いただくために半年もかかったと。徹底させるための指導が弱かったと思いますが、いかがですか。

中川政府参考人 山口県での鳥インフルエンザの発生を受けまして、改めて一月の十九日付で、私、消費・安全局長名の通知を各都道府県に出しまして、モニタリングもきちっとやるようにということでお願いをしたところでございます。

高橋委員 一月十九日付でとおっしゃいましたので、やはり遅かったというか弱かったということを認めたことになりますね。

 このマニュアルは、BSEの発生のときには一切こうしたものがなかった、そこで、非常に、最初に発生したときに大慌てをした、その教訓から出されたものでありますので、やはり、せっかくそうやって生み出されたものをきちんと指導していなかったということを、まずひとつ反省してほしい。

 次に、やはりこれも私たちが申し入れした内容なんですけれども、もっとこれを有効なものにする。一県に一農場ですからね。今回のケースから見てもいろいろなケースがあるんだと。法人もあるし個人もあると。そういうことを考えると、もう少し細分化するなど、これを実効あるものに改善強化することが必要と考えますけれども、見解を伺います。

中川政府参考人 山口県の事例につきまして、きょう新たな発生がなければ、そちらについては一応処理が終わり、清浄化の確認ができるわけでございます。

 この最初の山口県の事例を踏まえまして、今先生おっしゃいました防疫マニュアルについて何か改善する点がないかどうかということにつきましては、きちっとそこはチェックをし、改めるべきところは改めたいというふうに思っております。

高橋委員 ぜひ具体的に実効あるものにするようにやっていただきたいことを要望いたします。

 次に、防疫体制の問題ですけれども、現在、日本が輸入停止措置を講じている国などは十三カ国あります。一番早いのが香港で、平成十三年の五月から、ことしに入ってからだけでも、ベトナム、タイ、インドネシア、カンボジア、ラオス、パキスタン、中国など七カ国もあります。昨年、輸入停止解除した国は、チリなど五カ国です。

 こうした国との人的な交流は大変著しいものがあると思いますが、空港や港湾などで人に対する検疫対策は何かされておりますか。

金田副大臣 感染国で、特に鳥、養鶏場等に立ち入った後海外から日本に帰ってこられるお客さんには、空港であるいは港で消毒に協力していただいており、足の裏と申しますか靴底の消毒等々をお願いしております。

高橋委員 もう少し具体的におっしゃってくださいね。

 ペーパーで見ましたら農場立ち入り者と書いておりますけれども、こうなると、あくまでも本当にそこに接近した人だけに限られると思うんですね。そうなると、今回のベトナムの死亡者なんかも、鳥小屋に行ったという人ではない人も亡くなっているわけですし、ああいう地域は、市場があって非常にオープンに接触できる場所もあるんだとなると、自分が農場に近づいたとか接触したという自覚がない人でも、そういういろいろな経路で感染する可能性がないとは言えない、ルートがわからない以上はないとは言えないわけです。

 そうすると、やはり本人が申告するだけでは不十分なわけですね。口蹄疫のときはきちんと、そうした国から帰ってきた人、入る人には靴底の消毒などがやられていたと思いますが、検疫対策をこうした点で強化するべきと思いますが、もう一度伺います。

中川政府参考人 海外に渡航された方々に対しては、鳥インフルエンザ発生国にいらっしゃった方々については、帰ってきたときにきちっとそういった注意をするようにということと、それから、入国に当たりまして、動物検疫所の方で靴の裏を薬液につける、そういったことはきちっとやるように情報提供をいたしてございます。

高橋委員 注意をするようにと。私が今言ったのは、口蹄疫のときと同等の対策をやってくれということですが、やっているということですか、それともやってくださるということですか。もう一度確認。

中川政府参考人 その点はきちっと旅行者の方々に注意喚起をしているところでございます。

高橋委員 非常に不十分な答弁だと思いますね。これは、今感染ルートがわからないから注意喚起という話になっていますが、今後、万が一日本に持ち込まれた場合、どこで責任をとるかという問題になりますので、そのことを真剣に受けとめて、先ほどお話ししたような対策を徹底していただきたいということを指摘しておきたいと思います。

 次に、今大変恐れられているのは、今現在は人から人へは感染することはないことになっていますけれども、これがいろいろ変異をして新型インフルエンザウイルスが発生すること、また、これによって流行するということが非常に恐れられているところであります。指摘をされているところと思います。

 平成九年の十月には、新型インフルエンザ対策検討会というところがこのように報告書も出しております。いわゆる災害でいうところの防災対策のように、万が一のことがあったらどのような態勢をとるのかということがかなり詳しく書かれておりますけれども、その後の情勢の変化はかなりあったということで、昨年の十月にもう一度この検討会を開催していますね。山口県の発生の前であります。

 そのときに、たくさんの資料があったと思いますが、国立感染症研究所ウイルス第三部長の田代眞人さんの新型インフルエンザ大流行の問題点ということが紹介をされております。

 先日、田代部長に直接会ってこの趣旨を伺ってまいりました。この当時、まだ発生する前であるけれども、これまでも、九七年、香港のH5N1型、強毒のウイルス、患者十八名、死者六名、九八年、広東省、香港、H9N2型、患者二十名など、こうした過去の例を引いて、このウイルスが変異をして、大きな、人から人への感染になるおそれがある、万が一それが世界的規模での大流行、パンデミックということがあり得るというお話をされて、未曾有の健康被害、ここだけ強調する必要はないですけれども、人類の存亡にもかかわってくるような問題だという指摘をしているわけです。

 ただ、これは別に田代部長だけが指摘をしているわけではなくて、二〇〇二年にはWHO自身が新型インフルエンザ総合計画ということを決定して、パンデミックに備えろ、各国が計画をしろということを言っていますので、日本でもそれなりの計画を今やっているんだろうと、それを前提に私は伺いますけれども、決め手となるのがワクチンと抗インフルエンザ剤です。

 ワクチンについては、今ワクチン株を取得して研究開発をされていると聞いています。

 問題の抗インフルエンザ剤、現在いわゆるインフルエンザの薬として使われているタミフルが有効だと聞いています。タミフルはスイスのロシュという会社のみが製造して、日本では中外製薬一社のみが扱っていると聞いています。ですから、絶対量が足りないわけですね。きのうまでの情報で、厚生労働省の要請を受けて中外製薬が国内生産を検討しているということでありますが、どの程度のものなのか、伺いたいと思います。

坂口国務大臣 今お話をいただきましたのは新型インフルエンザに対する対策でございますが、これは、昨年はSARSで大変な騒ぎになりました、そうしたことも踏まえまして、この新型インフルエンザ対策をもう一度見直そうということで、昨年来検討会をしていただいているというふうに思っております。

 鳥インフルエンザにつきましては、一番大事なことは、鳥から人間へうつらないようにするために、まず鳥の処理をしていただくということをしているわけでございますが、中には人にうつっているケースもあるわけでございますから、そうしましたときに、人にうつりましたときに、今までありましたインフルエンザと共生することになりまして、そしてそこに新しいインフルエンザが発生するということが一番恐れられているわけでございます。

 今いろいろお話をいただきましたように、それを起こさないためにどうするかということでございまして、これは動物の体の中でも人間の中でも起こり得るというふうに言われておりますので、我々はそのことに対する厳重な調査、それからそういうことが起こっていないかどうかということに対するアンテナをひとつ高くしておかなければいけないというふうに思っている次第でございます。

 そうした上で、今御指摘いただきましたように、ワクチンの問題でありますとか薬の問題をどうするかということでございます。

 ワクチンの方の問題は、これは新しいウイルスが発生していない段階でございますので、完全なものを、今そこをつくり上げるというわけにまいりませんので、前段階のところまで用意をして、そして万が一のときにはそれに対応できるところまでしておくということが大事でございますので、その準備をWHOを中心にしながら今進めていただいているところでございます。

 もう一つの方のタミフルの問題でございますが、これはもう今お話にございましたとおり、スイスの方で使用したもので、日本の中には一千四百万人分ぐらい輸入をいたしております。それに対しまして、もしも足らないことがあってはいけないというので、もう少しプラスアルファできないかということを要請をし、そしてまた日本の中でも行えるようにしたいということで、関係の製薬会社にお願いをしている、こういうことでございます。

高橋委員 結論のところが結局明確じゃないわけですね。

 一千四百万人分では全然足らないと思うわけですね、この対策としては。それで、世界の、一つしかないこのインフルエンザ剤の五割を日本が使っているという状況なわけです。そうすると、WHOは、途上国にちゃんと配慮しなさいということを今言っているわけですね。で、途上国から蔓延したときに、もう回っていかないと。そういうことを含めて、日本が社会的役割も問われてくるわけですね。

 だけれども、メーカーだって、国がそこを保証するよと言わなければ、ふだんつくっている以上のものをつくるというわけにはいかないわけですから、一定、国家として責任を持って備蓄するよと言ってくれなければ先には行かないわけで、今の答弁だと行かないわけですよ。その覚悟を、ちょっと坂口大臣、もう一度お願いします。

坂口国務大臣 一部備蓄をしてでも何とかならないかということを今言っているわけでありまして、しかし、今お話しのように、一カ所しかつくっていないわけでございますし、各国ともにこれは強力な要請をしているということもございまして、急にお返事はいただけない状況にございますが、お願いをしているところでございます。

高橋委員 なかなか予算が絡むことであれかもしれませんが、再度これは強く要望したいと思います。

 あわせて、やはり本来なら、金がかからない問題として、日常的な予防衛生活動がきちんとされていて、いろいろな伝染病が出たときにも対応ができるということが本当は一番の基本だと思うんですね。山口県においても、今回、周辺農家に対する訪問指導や健康診断などで、本当に健康福祉センターや保健師さんが共同で奮闘をされました。

 日常的な保健衛生指導に当たる保健所、保健師などの役割は大きいと思いますが、この間は、国は保健所の統廃合を進め、この九年間で八百四十七から五百七十六にまで保健所が減らされております。あるいは、結核・感染症などの専門医療を担う国立病院の統廃合も進め、今年度までに、昭和六十一年の再編計画による統合が三十一、移譲または廃止による減が三十三、平成十一年の見直し計画と合わせて、統合、移譲または廃止、合計で七十三施設が減らされ、来年度以降は十六、十七、十八というふうに年を追って統合を進めていく計画です。

 こうした中で、新たな伝染病に備える、あるいは国民の健康を守るということは、そもそもできないんじゃないのか。その点、一体どのように考えているのか、もう一度大臣に伺います。

坂口国務大臣 医療機関というのは、公的な医療機関だけではありません。私立の医療機関も多いわけでございまして、これはもう公私ともに連携をしながらやっていかなければならない問題でございますので、連携をして進めさせていただくようにいたしております。

 また、保健師さん等で御活躍をいただいておりますことは十分に存じておりますが、これは市町村の保健師さん等にもお願いをして、全体で進めていかなければならないというふうに思っておりますし、その関係者、すなわち鶏を飼っておみえになったところ、そして、その危険性のあるところにつきましては、前もって予防的にお薬をお飲みいただきましたり、手洗い等のことにつきましても事細かく御説明を申し上げているところでございます。

高橋委員 この問題は大きなテーマですので、ここでは論戦はしないで指摘だけをしておきたいと思いますが、保健所の保健師さんの問題も、今市町村との役割分担のお話もされましたけれども、今市町村合併だとか統合の問題などがある中で、役割分担、県がやっている保健所は専門的な任務をやるんだということがうたわれているわけですよ。国立病院もそうですよね、専門的な医療を担うんだと。不採算の部分を担わざるを得ないのも国立医療なんです。

 そういう中で、地域医療をしっかり守っているところを統合してきた、切り捨ててきた、それで今民間にという話ではないだろう。民間の皆さんは医療の改悪で大変な思いをされているわけですから、そこは国の責任を逃れちゃいけないということは指摘をして、次に行きたいと思います。

 残された時間でBSEの問題をやりたいと思うんですが、実は、先ほど山田議員の方からステータス評価の問題が出ましたので、これは私、一月二十七日の農水の委員会で質問しておりますので、ちょっと不問にできない問題があるので確認をさせていただきます。

 私は、農水の委員会のときに、このステータス評価について技術検討会に報告されていないという認識を持っていました。そういう説明を受けていたからであります。それで、そのことは「非常に問題があると思うんですね。大臣は承知されていましたでしょうか。」と質問したのに対して、大臣は「承知をいたしておりません。」と答えました。そうしたら、きょう、山田議員に対して、技術検討会に報告したことを承知しておると答えました。どっちですか。

亀井国務大臣 いや、あの時点で、通告と同時にそのことのお話もなかったわけで、ただ、アメリカに回答を求める、それがいつどういうことか、こういうようなことが中川局長との間で議論されておったと承知をいたします。そういうようなことで、その点については私は承知をしていない、こう申し上げたわけであります。

高橋委員 承知していなかったのはどの点ですか、もう一度。

亀井国務大臣 今申し上げましたとおり、アメリカの回答がいつどうというような議論が、あの時点、一月二十七日の委員会でなされておったと思います。私は、そのことを尋ねられた、こういうことで、それは承知していない、日程等々の問題については承知していない、こう申し上げたわけであります。

高橋委員 実は、この農水委員会のときは、このステータス評価がいつ戻ってきたのか時系列で質問をしますということで、私、通告をしております、わざわざこの点は。日にちをメモしていないと困りますので。それに対して局長は、「データを持ち合わせておりません。」と答弁したわけです。そうすると、まあ、言いたくなかったとしか受け取れませんよ。どういうことですか。では、局長に伺います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の方からの御質問の資料、一覧表がございましたが、その中に、アメリカに対するステータス評価の質問書に対する回答日がいつであったかというところまで当日委員会でお聞きになるというふうには私ども承知をしておりません。そういうふうなお申し出があったというふうには理解しておりませんでした。したがいまして、そのときには、「データを持ち合わせておりません。」ということでお答えした次第でございます。

高橋委員 私は通告をしました。でも、今それでやりとりする時間がもったいないので。

 ただ、承知をしていないと言ったけれども、その後、次の日また参議院で紙議員が質問してちゃんと答えていますので、きちんと承知をしたわけですね。それで今、山田議員に対して答えた。そうすると、説明はきちんと大臣は受けている。

 そうすると、大臣の感想として、アメリカの報告はどのように受けとめられましたでしょうか、リスクが高いと思われたのではないでしょうか、伺います。

亀井国務大臣 技術検討会の中身、内容等々について私は承知をしているわけではないわけでありまして、先ほどの話のとおり、その時点、十月の時点で回答書がどうだった、こういうことの承知をしておるということでございます。

高橋委員 ですから、私が質問をして、次の日にまた聞かれて、さらにきょうも通告されて、山田議員からも聞かれて、説明を全く受けていないということはどういうことですか。

中川政府参考人 先般の農林水産委員会での私の答弁に対しまして、その経緯につきましては大臣に御報告を申し上げましたが、アメリカからの回答書の具体的な中身については、当時、技術検討会の方には資料は出しておりますけれども、大臣にその中身について御報告するものではございませんので、その時点ではいたしておりませんでした。

高橋委員 その時点でなくて、今、質問を受けるに当たって当然説明を受けているはずだ、その上で、中身が相手方の了解が必要なのであれば、感想でいいから聞きたいと言っているんです。大臣に聞いています。

亀井国務大臣 この問題、いわゆるBSEのステータス評価、我が国に畜産物を輸出している国のうちBSE未発生国を対象として、発生国からBSEが侵入した可能性、あるいは肉骨粉の給与状況、サーベイランス体制の整備状況、これを総合的に国別にステータスの評価をするわけでありますが、この点、BSE発生国からの生体牛、肉骨粉の輸入量は多くない、あるいはまた早期にフィードバン措置を実施していること、OIEの基準を超えるサーベイランスを実施していること等があるわけでありまして、今日、アメリカの調査団の評価、これもいろいろ不十分なところを持っておるわけでありまして、やはり当時のことが正確に本当に反映されておったのかどうか、こういう疑問を持つ次第であります。

高橋委員 先ほど来指摘をされているように、そうやって日本がアメリカの調査をあいまいにしてくる中で、脳の四十キロとか入ってきているわけですね。今それが潜在していても、いずれその責任は明らかにされるわけですよ。これはあいまいにできないことじゃないんですか。

 脳は、全身の感染性の六四・一%が存在すると言われて、BSE発生牛の脳を経口投与すると、〇・一グラムの脳で発症が見られる。極めてわずかの混入でも感染の成立する可能性があるわけです。そういう一番危険な部分ですよ。それに対してきちんと調査をしない、あるいは、しているんだけれども吟味しない、わかっていたけれども明らかにしない、この責任が問われるんじゃないですか。

 それで、時間がないのでもう一つだけ。

 二月十五日の農業新聞で明らかになったように、アメリカの発生した牛が実は歩いていたと。ダウナー牛だから検査したと言っているんだけれども、実際は歩いていたということが明らかになっています。アメリカの農業委員会で食肉会社の元従業員が証言しています。この事実、御存じですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 二月の十七日でございますけれども、米国下院の政府改革委員会の方で、米国のBSE感染牛は、農務省の説明と異なり、歩行困難ではなかったとの複数の目撃証言があるというふうなこと、それから、それが事実ならば、BSEの監視体制の妥当性と農務省への信頼性に深刻な影響が生じる、そういう疑念を表明いたしまして、即時調査が必要であるというふうに、この政府改革委員会の方でそういった内容の書簡をベネマン農務長官に送付したというふうな、そういう報道があることは承知をいたしております。

 当然、我が国としましても関心を持っている事項でありますので、この農務省の動向につきましては注視をしていきたいというふうに思っております。

高橋委員 そのような非常に問題のあるアメリカの体制が改めて明らかになったわけです。

 ですから、とてもじゃないけれども、そういうところに対して再開などということはあり得ない、今の段階ではですよ。きちんとアメリカに対し全頭検査、危険部位の除去を強く求めていくことを要請しまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。

笹川委員長 これにて高橋千鶴子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 ちょっと通告の質問順序と異なりますが、というのは、十八時からイラク支援特があるということで、関係大臣がそこへ出席するようでございますので、先に、キャンプ桑江北側の返還地における土壌汚染問題について、防衛施設庁、外務省にお伺いをいたします。

 返還されたキャンプ桑江北側で、鉛あるいは砒素、六価クロムなどの特定有害物質が、環境基準をはるかに超える量が発見されたようですが、その汚染状況について、まず防衛施設庁、説明をしてください。

山中政府参考人 キャンプ桑江の返還に際しまして、土地所有者への引き渡しをいたしますが、それに先立って、原状回復措置といたしまして、建物の撤去をいたしますとともに、必要な土壌汚染等の調査をいたしました。とりわけ、汚染の蓋然性がございます桑江ブースター地区、あるいは血液銀行、自動車整備工場跡地、あるいは可燃物倉庫、こういったところにおきまして土壌調査を実施いたしました。

 その結果、砒素、鉛、六価クロム、これを含みます土壌約六百八十立米、それから油臭の土壌、これは六万二千立米でございます。こういったものが確認をされまして、昨年の十一月にその旨を公表いたしたということでございます。

 その公表の際に言及をいたしておりますが、この土壌汚染調査と並行して物件撤去を行ったその作業中に、血液銀行、可燃物倉庫付近の一部土壌から新たに油臭が確認をされた。さらに、その分析の結果として、鉛に汚染された、これは二十五立米でございますが、そういった土壌、さらに油分が確認された土壌として千二百立米、これが判明をいたし、これにつきましても、先般、那覇防衛施設局において公表したというところでございます。

照屋委員 この新たに発見をされた鉛による土壌汚染、二十五立米ということでしたが、先ほどの異臭があるというのは、これは軽油による汚染でしょうか。

山中政府参考人 油臭は、おっしゃるとおり軽油でございます。

照屋委員 これは、昨年の三月末に米軍から返されて、地権者に昨年九月末までには返される予定だったんですね。それが現実にまだ返されていない。このようにして、基地が返還されてもさまざまな有害物質による土壌汚染があって、その環境浄化のためにとてつもない費用と時間がかかるわけですね。

 それで、今御説明ありました汚染土壌、これ、例えばドラム缶でもいいし、十トントラックでもいいし、私どもが理解しやすいようなもので例えますと、どれぐらいの量になるんですか。

山中政府参考人 これは、昨年の十一月に土壌汚染の調査結果を公表した、それから申し上げますと、いわゆる有害物質が含まれているものは六百八十立米、これはちょっと私ども具体的に何に換算をしてどうこうと申し上げかねますが、他方で油臭の土壌が六万二千立米ということですから、相当な量だと存じます。

 その時点で、さらに詳細な分析を必要とした鉛、さらに一部の油、これが千二百立米ということですから、仮にドラム缶一本が二百リットルだといたしますと、相当数の数だというふうに存じます。

照屋委員 地権者は、速やかな汚染土壌の撤去、これを強く望んでおるようですが、いつまでに作業は完了する予定でしょうか。

山中政府参考人 これは、昨年の三月に返還がされまして、基本的にはできるだけ速やかに土地所有者の方々に引き渡しをするということでございます。

 ただ、残念ながら委員が御指摘いただいていますような土壌の汚染があるということですから、私どもといたしましては、できるだけ速やかに原状回復等の措置を講じまして引き渡しをいたしたい。具体的にいついつまでというようなめどを申し上げられませんが、できるだけ速やかな引き渡しのための努力をしたいというふうに考えております。

照屋委員 それはちょっと、防衛施設庁、無責任過ぎるんじゃないですか。現段階でもはるかに地権者への引き渡しはおくれているわけでしょう。しかも、汚染土壌の、これは有害物質なんですからね。

 できるだけ速やかにと言うんだけれども、私の試算で、新たに発見され、二月の十二日に施設庁が発表した鉛やあるいは軽油等による汚染土壌だけでも、これはもう十トントラックで二百台以上分あるんですよ。それはどこで処理されるつもりですか。それを聞きましょう。

山中政府参考人 有害物質に汚染をされた土壌につきましては、土壌汚染対策法等に基づきまして、当該汚染土壌を撤去し、土を入れかえるという作業が必要になります。

 また、いわゆる油分が確認をされた土壌につきましては、これは土地の所有者の方々と調整をいたしておりまして、生石灰等を混入して攪拌をするという形で処理をしたいというふうに考えております。

照屋委員 この汚染土壌は撤去、土を入れかえると言うんだけれども、汚染土壌を処分する処理場というのは確保されているんですか。

山中政府参考人 これは、特定有害物質に汚染された土壌、先ほどお答えをいたしましたが、法律に基づきまして適正に処理をするということで、いわゆる管理型処分場を有します、沖縄県内に二つの業者がございます。そこといろいろ調整をいたしておりますが、業者の方は管理型処分場の容量不足等を理由に今の時点では受け入れの同意が得られていないということでございまして、私ども、沖縄県の方ともいろいろ協議をいたしておりますが、県の見解といたしましても、処分場の残容量が非常に逼迫をしているということで、当該汚染土壌の受け入れが非常に厳しいというような見解の表明もいただいております。

 ただ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたが、きちんとした形で原状回復をして、できるだけ速やかに土地の所有者等に対する引き渡しをいたしたいということから、これは県内がもし難しいということでございましたら、それ以外、県外における汚染土壌の処理、そういうことも念頭に置いた検討をしているということでございます。

照屋委員 沖縄本島中部にある管理型産業廃棄物処理場の二社は断っているんですね。とても処理できないと言っているんです。能力がないと言っているんです。かといって、そのまま放置しちゃいかぬでしょう、環境基準の二十倍を超えているんだから。こんなもの、ほうっておいたら、あなた、地域住民の生命身体の安全に具体的に危害を及ぼす可能性があるでしょう。跡利用だってできないんですよ。

 それは県外に搬出をして処理するということを真剣に考えたらどうでしょうか。

山中政府参考人 先ほど県内の二業者との調整をなおやっているというふうに申し上げましたが、県内での受け入れが困難だということでありますれば、県外における処分ということも当然考えた対応をしなければいけないというふうに思います。

照屋委員 この問題については、地権者の皆さんも、許容できる範囲、おくれるのはやむを得ないけれども、さりとて、昨年九月末までには引き渡されなければいけなかった返還軍用地が地権者に返されていないわけですね。それはなぜかというと、この土壌汚染が出てきた。アメリカは、日本の国土を、提供された施設を使いたい放題、やりたい放題でやっているんですよ。

 外務大臣、日米地位協定上、返還軍用地の環境浄化の責任というのはどこにあるんですか。

川口国務大臣 日米地位協定の第四条の第一項におきまして、米側は、施設・区域の返還に際して、これを提供されたときの状態に回復をし、またはその回復のかわりに日本に対し補償する義務を負わない旨、規定をされております。

 施設・区域として提供された土地が返還をされる場合の原状回復につきましては、国と土地所有者の方との契約において国の責任を明確にしているわけでございまして、土地の引き渡しの際に所有者から原状回復の請求があれば、これに要する費用の補償等の措置をとっているわけでございます。

 また、土地の引き渡しの際に想定されなかった新たな汚染等が後日発見された場合でも、これが米軍の使用に起因するものであれば、原状回復義務は国、国の責任においてこれに対処するということで、それが当然であるというふうに考えております。

照屋委員 外務大臣はよく存じ上げていると思いますが、アメリカは、アメリカ国内の返還された基地の環境浄化というのは本当に膨大な費用と時間をかけてちゃんとやっているんですよ。ところが、日米地位協定上は、返されてもアメリカが環境浄化の義務を負わない、責任を負わない、こういうことになっているから、私たちは、これは主権国家としておかしいと。しかも、新しい二十一世紀のキーワードである環境の視点から考えても、とてもこれは納得できない。そういうことで、主権や人権や環境の視点で地位協定を抜本的に見直すべきだということを強く主張しているんです。

 この議論はまた別の機会に譲るとして、防衛施設庁、では最後に聞きますけれども、この地権者への引き渡しがおくれたことによる損害、それの償いというのはどうされるおつもりなんでしょうか。

山中政府参考人 せっかく返還されましても、所有者の方にすぐ引き渡しができないという大変厄介な状況にあるわけでございますが、その所有者の方々に引き渡しができない、その期間につきましては借料相当額を特別管理費として支払うということにいたしておりまして、引き渡しがおくれることによる所有者の方々の実損が生じないように必要な手だてを講ずることといたしております。

照屋委員 それでは、宜野湾市で二〇〇三年十月二十三日に、アメリカ海兵隊普天間基地所属の上等兵並びに伍長による強盗致傷事件についてお伺いをいたします。

 これは、もう既に県警が捜査を遂げて送検をされ、そして公判が係属をしている事件のようですが、事件の詳細な内容を御説明いただきたいと思います。

樋渡政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事件は、昨年十月二十三日、沖縄県宜野湾市内の路上において、在沖縄米海兵隊員二名が共謀の上、通行中の男性一名に対し、手拳で同人の顔面を多数回殴打するなどの暴行を加えてその反抗を抑圧し、同人から現金約四千円を強取し、その際、この暴行により同人に加療約一週間を要する胸部打撲等の傷害を負わせた事件でございまして、那覇地方検察庁は、同年十一月二十五日、両名を起訴し、現在、那覇地方裁判所において審理が係属中であると承知しております。

照屋委員 この事件で、沖縄県警から通報を受けて米軍が身柄を拘束したのはいつの時点なんでしょうか。

樋渡政府参考人 失礼いたしました。

 先ほど、昨年十一月二十五日に両名を那覇地方裁判所に起訴をしたと申し上げましたが、その日でございます。

照屋委員 起訴されたら、起訴された時点で身柄を日本国の方に引き渡すのは、これは当然なんですね。ところが、この事件では、米兵たちはアメリカ軍の方に身柄を確保されておったんです。

 そのいきさつはわかりませんか。わからなければ別の機会でまたお聞きします。

樋渡政府参考人 済みません。詳細は現在把握しておりません。

照屋委員 それでは、外務省もしくは警察庁で、いずれ経緯を詳細にお調べいただきたいと思います。

 外務大臣、この事件は、被害金額は四千円ですが、これは金額の多寡が問題じゃないんです。強盗致傷事件ですから、凶悪犯罪であることは間違いないんですね。ところが、問題は、今度の裁判で明らかになったのは、米軍の方が身柄を確保したんだけれども、キャンプ・ハンセンの中にある刑務所に入れてなかった、こういうことがせんだって法廷で明らかにされた、こういうことですね。

 法務大臣、このいきさつ、状況、どういうことなんでしょうか。

野沢国務大臣 お尋ねの事件につきまして、御指摘のように、米軍人である被告人らが基地内で禁足処分を受けたのみで、拘禁施設等に収容されなかったようであることは承知しております。

 しかし、お尋ねの点につきましては、現在公判係属中の個別の事件の捜査状況及び証拠の内容にかかわる事柄なので、私の立場からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

照屋委員 外務大臣、地位協定十七条五項(c)で、この事件のような事例の場合にはアメリカ軍が身柄を確保して拘禁をしなければならないと地位協定上は書いてありますね。その地位協定十七条五項(c)で言う「拘禁」というのはどういうことなんですか。

川口国務大臣 おっしゃるように、この十七条の五項(c)ですけれども、そこには、起訴までの間、米側が引き続き拘禁をするというふうに書いてあるとされているわけでございます。

 それで、一般論として申し上げれば、日本が、我が国が裁判権を行使する事件の米軍人等の被疑者の身柄が米側の手中にある場合に、米軍の責任と判断において被疑者の身柄の確保等に必要な措置を講じているというふうに我が方としては承知をいたしているということでございます。したがって、その、ということでございます。

照屋委員 したがって、何ですか。むにゃむにゃむにゃして、よくわからない。

 これは大事なことなんですよ。この国の主権にかかわることだし、日本の警察権の行使にかかわることなんです。裁判権の十全な行使にかかわることなんですよ。そうでしょう。

 十七条五項(c)には、「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、」こう書いて、「その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」これは「拘禁」と書いてあるんです。単なる、基地の中から外に出ちゃいかぬ、こういうことじゃないでしょう、外務大臣。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、米軍の責任と判断において被疑者の身柄の確保等に必要な措置を講ずる、そういうことでございます。

照屋委員 それはおかしいと思いますよ。これまでもこういうことで、アメリカ軍が責任と判断でちゃんと拘禁しているなと思ったら、何のことはない、本国へ帰ってしまっておった、逃亡しておったというのが幾つも発生しているじゃありませんか。

 本件でも、共犯者がおるんですよ。三名おって、一人は不起訴になった。そういう共犯者がおる事件で、共犯者同士、自由に顔を合わすこともできる、話し合うこともできる。これでは、どうぞ証拠隠滅をやってくださいというようなものじゃありませんか。

 法務大臣、この件で、私は具体的に捜査や公判の維持に当然支障を生じたと思いますよ。だからこそ、公判の場で担当検事は問題にしたんじゃありませんか。まず法務大臣、見解をお伺いいたします。

野沢国務大臣 日米地位協定の趣旨あるいは運用に関するお尋ねですので、私がお答えするのはいかがかと思われますが、検察を所管する立場におきまして一般論として申し上げますと、我が国が第一次裁判権を行使する事件の米軍人等被疑者の身柄が米軍の手中にある場合、米軍の責任と判断において被疑者の身柄の確保等に必要な措置が講じられてきたものでありまして、我が国の捜査当局は米軍の協力を得つつ所要の捜査を遂げてきたものと承知しております。

照屋委員 法務大臣、それから外務大臣も聞いてほしいんですが、検察官がこの事件で、この被告人の上司の中佐に対する尋問の中で、これはマスコミが報じたことですが、強盗致傷という凶悪犯罪なのに、両被告を含む容疑者三人をなぜ米軍キャンプ・ハンセン内刑務所に収容しなかったのか、なぜ共犯者同士が会えない状況をつくらなかったのか、こういうふうに聞いているんですよ。それは当然でしょう、検察官として。あるいは、地位協定をきちんと運用する立場からもごくごく当たり前だと思うんですよ。常識的なことなんです。

 これについて、何と言ったと思いますか。その中佐は、米軍法務官から、刑務所に入れると日本側の捜査に協力するとき手続が複雑になるという助言があった。面倒くさいと。容疑者三人に基地内から出ないよう命令し、勤務させていた、こんなこと言っているんですよ。三人が会わないことを一〇〇%守らせることはできなかったと言っているんです。

 私は先日も尋ねましたが、この地位協定の問題というのは、決して沖縄という特定の地域だけの問題じゃないんです。今言うように、日本の警察権、主権国家としての我が国の警察権や裁判権の行使にもかかわる重大な問題なんです。

 外務省、外務大臣、ぜひこの事実経過を外務省としても詳細に経緯を調査する、そして、こういうことが事実であったら、私は、検察官がうそをつくはずありませんからね、一〇〇%信じておりますけれども、こういうことが実際にあったというなら、これはこのままじゃいかぬ、やはりアメリカ軍に対して日本政府として何らかの申し入れをしなければいけないんじゃありませんか。お答えください。

川口国務大臣 今委員がおっしゃった中佐の発言、その報道されたということについては、私自身は今承知をいたしておりませんし、確認をしていませんけれども、そういう事実があったかどうかということについては調べてみたいと思います。

笹川委員長 法務省刑事局長、今ずっと聞いていて、検察官の話だし、所管だろう。

樋渡政府参考人 ただいまの御質問にあった中佐の証人尋問が行われまして、そのようなやりとりがあったということは承知しております。

 ただ、米軍人等による犯罪につきまして、これまで我が国の捜査当局は、日米地位協定に基づいて米軍の協力をも得つつ所要の捜査を遂げてきたところでございまして、個別の事件において仮に何らかの問題があるとすれば、米軍との協議等を通じて解決が図られるものと考えております。

照屋委員 外務大臣、地位協定十七条五項(c)で言う「拘禁」というのは、一体、日本の側からは、では、どういうことでなければならないというふうにお考えなのか。そして、それをちゃんと米側にも伝える。米側の責任と判断といっても、やはり、今までのように、自由に共犯者同士も会える、そういうことでは私はおかしいと思うんですよ。しかも、その上に、今まで逃げられたことがいっぱいあったんだから。やはりきちんと政府として、私は、その十七条五項(c)の「拘禁」というのはどういうことなのかということを統一見解を示して、今回の問題については、少なくともアメリカ軍に主権国家の外務省として抗議をするようなことでなければいかぬと思いますよ。

 これは、法務省が悪いんじゃないんです。外務省が悪いんです。外務省が悪いんです。そのことを強く言って、厚生労働大臣、済みませんでした、質問を通告しておりましたが。雇用問題も、沖縄担当大臣も済みませんでした。緊急な問題から入りましたので、お許しをいただきたいと思います。

 外務省にしっかり、外務大臣、特に、このことを放置して何が主権国家日本かと言われますよ。

 以上、終わります。

笹川委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十分散会


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