衆議院

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第13号 平成16年2月19日(木曜日)

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平成十六年二月十九日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 笹川  堯君

   理事 大野 功統君 理事 北村 直人君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 松岡 利勝君 理事 玄葉光一郎君

   理事 筒井 信隆君 理事 細川 律夫君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    植竹 繁雄君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      加藤 勝信君    城内  実君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      小杉  隆君    鈴木 俊一君

      田中 英夫君    滝   実君

      玉沢徳一郎君    中馬 弘毅君

      津島 恭一君    津島 雄二君

      中山 成彬君    丹羽 雄哉君

      西川 京子君    西村 明宏君

      萩野 浩基君    蓮実  進君

      二田 孝治君    町村 信孝君

      井上 和雄君    池田 元久君

      石田 勝之君    内山  晃君

      生方 幸夫君    奥村 展三君

      海江田万里君    河村たかし君

      木下  厚君    吉良 州司君

      城井  崇君    小泉 俊明君

      鮫島 宗明君    島田  久君

      首藤 信彦君    達増 拓也君

      津村 啓介君    中津川博郷君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      鉢呂 吉雄君    原口 一博君

      平岡 秀夫君    藤井 裕久君

      前田 雄吉君    水島 広子君

      笠  浩史君    石田 祝稔君

      遠藤 乙彦君    高木 陽介君

      石井 郁子君    佐々木憲昭君

      阿部 知子君

    …………………………………

   法務大臣         野沢 太三君

   外務大臣         川口 順子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       河村 建夫君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   環境大臣         小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   国務大臣         竹中 平蔵君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   財務副大臣        山本 有二君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   国土交通副大臣      佐藤 泰三君

   環境副大臣        加藤 修一君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   法務大臣政務官      中野  清君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    秋山  收君

   会計検査院長職務代行検査官          森下 伸昭君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官)   天野 之弥君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    細川 興一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      村上 喜堂君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 青木  豊君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   参考人

   (都市基盤整備公団総裁) 伴   襄君

   参考人

   (日本道路公団総裁)   近藤  剛君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  伊吹 文明君     城内  実君

  倉田 雅年君     加藤 勝信君

  滝   実君     津島 恭一君

  丹羽 雄哉君     田中 英夫君

  町村 信孝君     西村 明宏君

  井上 和雄君     笠  浩史君

  池田 元久君     城井  崇君

  木下  厚君     内山  晃君

  吉良 州司君     水島 広子君

  小泉 俊明君     中根 康浩君

  平岡 秀夫君     津村 啓介君

  藤井 裕久君     奥村 展三君

  佐々木憲昭君     石井 郁子君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     倉田 雅年君

  城内  実君     伊吹 文明君

  田中 英夫君     丹羽 雄哉君

  津島 恭一君     滝   実君

  西村 明宏君     町村 信孝君

  内山  晃君     木下  厚君

  奥村 展三君     藤井 裕久君

  城井  崇君     前田 雄吉君

  津村 啓介君     平岡 秀夫君

  中根 康浩君     橋本 清仁君

  水島 広子君     吉良 州司君

  笠  浩史君     井上 和雄君

  石井 郁子君     佐々木憲昭君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 清仁君     小泉 俊明君

  前田 雄吉君     原口 一博君

同日

 辞任         補欠選任

  原口 一博君     島田  久君

同日

 辞任         補欠選任

  島田  久君     池田 元久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算、平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、総務省自治行政局長畠中誠二郎君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長横田尤孝君、外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官天野之弥君、財務省主計局長細川興一君、国税庁次長村上喜堂君、厚生労働省職業安定局長青木功君、厚生労働省政策統括官青木豊君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、中小企業庁長官望月晴文君、国土交通省大臣官房長安富正文君、国土交通省道路局長佐藤信秋君及び環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、以上の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木陽介君。

高木(陽)委員 おはようございます。公明党の高木陽介でございます。

 連日、また朝早くから、各大臣、御苦労さまでございます。

 まず最初に、国会議員の逮捕、勾留時における歳費の凍結の問題について御質問させていただきたいと思いますが、まさに政治への信頼というものが一番重要であると思います。その中で、昨年の秋の衆議院選挙以来、公選法違反に問われる、そういう議員または候補者等々が数多く出てまいりまして、特に今現在も、民主党の議員の方で裁判中の方もいらっしゃいますけれども、例えば元民主党の古賀潤一郎議員は、みずからの学歴詐称の問題、これが指摘をされまして、公選法違反ではないかと指弾を受けました。本人も、アメリカに渡りまして調査をし、事実関係は一応認めたものの、議員を辞職することもなく、無所属議員として現在も活動を続けておられます。

 これは、公選法違反の疑いだけではなくて、国民から選ばれた選良としての、国会議員としての資質の問題でもあると思いますし、政治倫理の観点からいっても極めて遺憾と言わざるを得ません。その上で、古賀議員は潔く議員を辞職するべきであると思いますけれども、その中で、国民の多くの方々も、この問題に関しては、古賀議員の態度というものに納得いかない、それが大半の意見ではないかと思います。

 このような中で、現在この問題も、民間人の方から告発を受けて、今後、当局の捜査が注目されておりますけれども、本人は、反省の気持ちから、議員歳費は返上したい、できれば供託したい、このように言っておりまして、議員の国への寄附というものが公選法上違反となりまして、供託に関しても、先日、法務当局から供託条件を満たしていないとして拒否をされました。結局、弁護士管理の銀行口座に預けることとしておりますけれども、まず最初に官房長官にお伺いしたいと思います。

 長官は、この問題に関しまして、記者会見で、うそつきは泥棒の始まり、このように厳しく指摘をされまして、私も全く同感だと思います。そういうような中にありまして、政治家は選良としての倫理観が必要だという観点から、この古賀議員の今回の、歳費を返上したい、パフォーマンス、または主張をどう考えておりますかということで見解を伺いたいと思います。

福田国務大臣 経歴詐称であったのかどうか、これは私から申し上げる立場にありません。きちんとした手続でもってこれが明らかにされることだろうというふうに思います。

 そのことと歳費返上、これはどういう関係にあるのか、こういうことなんではなかろうかと思います。そういう問題を糊塗することであるなら、もう論をまたないことであります。いずれにしましても、これは今後の状況を見て判断していくべき問題だというふうに思っております。

高木(陽)委員 先ほど係争中の議員というふうに申し上げましたが、訂正をさせていただきたいと思います。これは選挙運動の管理者が係争中ということで訂正をさせていただきたいと思います。

 ところで、公明党といたしまして、逮捕、勾留時における、違法行為が明らかになった場合は当然議員辞職をするべきだと考えておりますけれども、ただ、従来、逮捕や起訴をされ、国会で議員辞職勧告決議案が可決されてもやめない議員という方がこれまでにも多くおりました。

 国民は、逮捕、勾留中は国会へ来ることもできない、国会での議員活動ができない、それである以上、少なくとも勾留中は歳費を凍結すべきではないか、こういう強い意見があると思います。特に、国民の感情として、なぜ逮捕、勾留されている議員に税金から歳費が払われるのかと。民間企業であれば、懲戒免職になって給料ももらえないというのが当然であると思います。公明党もそのように考えておりますけれども、官房長官としてはこの議員の歳費凍結についてどうお考えか、御意見を伺いたいと思います。

福田国務大臣 国会議員というのは国民から信託を受けた、そういう立場でございますので、このことについてどういうふうに考えるかということになろうかと思います。

 いずれにしても、今、この問題については国会内でも取り上げている、各党各会派でもって話し合いが始まったというふうに承知しておりますので、私から申し上げるべきことではないかというふうに思っております。

高木(陽)委員 今、長官の方から、国会内の方で議論がスタートしたと。議運でこの問題がスタートしておりますけれども、中には一部、逮捕、勾留中の議員歳費の凍結、この支給停止というものは憲法上の疑義があると主張する方々もおられます。

 私としては、新たな立法措置、新法として、または歳費法を改正すれば可能と考えておりますけれども、今、憲法四十九条、「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」と憲法上規定はされておりますけれども、ここの「法律の定めるところにより、」というところをどう解釈していくのか。憲法上、これを凍結した場合に問題があるのかどうか、これは内閣法制局にお伺いをしたいと思います。

秋山政府特別補佐人 お尋ねの件は、国会議員の歳費に関する法律の改正にかかわる問題でありまして、憲法との関係も含め、国会において御検討され、御判断されるべき事柄であると考えます。内閣法制局としてはお答えすることを差し控えたいと存じます。

高木(陽)委員 今、長官の方からも、国会内の問題というような指摘がございました。まさにこれは、議運で話しておりますけれども、院の問題として各党各会派、この問題を積極的に取り上げて、できればこの国会中にこの問題の決着をつけて、国民の信頼を逆にかち取る。本来であれば、議員がしょっちゅう逮捕、勾留されるようなことがあってはならないわけですけれども、もしそのような場合は、速やかに、国民の感情に基づいて、この歳費凍結ができるように主張しておきたいと思います。

 続きまして、日中問題についてお伺いをしたいと思います。

 先週の十日から三日間にわたりまして、公明党の第三次訪中団として、神崎代表を団長として、私も参加をさせていただきました。胡錦濤国家主席を初め、前外相であったトウカセン国務委員を初め、また、外交部、中国共産党の中央対外連絡部、中連部の方々、中国政府そして中国共産党の首脳部とさまざまな会談をしてまいりました。

 いずれの方々も、日中関係は重要だとの認識を持っております。特に胡錦濤主席は、中日関係は両国の対外関係の中でも最も重要な二国間関係だ、中国共産党政府は日中関係を重視しているが、新たな発展段階に引き上げたい、このように前向きな、さらに積極的な発言が何度もなされました。

 一方、神崎代表が小泉総理の親書を胡錦濤国家主席に手渡しまして、小泉総理の、中国の発展というものは我が国にとって脅威ではないんだ、チャンスなんだ、このような発言を紹介したところ、胡錦濤主席の方も、まさにそのとおりであると、その共通認識を持っておられました。

 現在、貿易額を見ましても、日中間は千三百億ドルを超えまして、その発展はさらに続いていくと思います。

 また、二十五日から始まる六カ国協議におきましても、中国は、その中軸として、特に日本の立場、拉致問題が解決しない限り日朝国交正常化を初めとする解決にはつながっていかないんだ、核問題はもちろん重要であるけれども、拉致問題も重要であるんだというこの日本側の主張に対しても、それぞれの中国指導者は、日本の立場というものを十分理解している、このような発言もございました。

 その反面、例えば貿易額を見ましても、米中間というのもかなり発展をしてまいりまして、千二百億ドル、もう日本と中国との関係に迫る勢いで進んでおりますし、例えば、韓国やASEAN諸国も中国との関係をかなり深めている。十三億の国民のいる巨大市場でもある中国、各国がこの中国との関係というのをかなり注目をしながら、また、それに対してさまざまな手を打っている。

 そういうような状況の中で、日本として今後日中関係をどのようにとらえていくのかということを、まず川口外務大臣にお伺いをしたいと思います。

川口国務大臣 私も、中国との関係につきまして、今先生がおっしゃったような認識、それを持っております。

 まず、小泉総理が言われましたように、中国は日本にとってチャンスである、脅威ではない、これは全くそのとおりでありまして、中国という大きなマーケットが近くにあるということは日本にとって非常に大きなメリットであり、また、現状において、中国と日本は、既にその経済関係において、貿易を通じて相当な相互依存関係ができているわけです。

 それぞれに輸出輸入をしているものを見ましても、日本が中国から輸入をしているのは、一般機械、音響機械とかそういうことであったり、それから繊維製品であったり食料であったりしますし、日本が中国に輸出をしているものは、電気機械、IC関係、あるいは一般機械の完成度の高いもの、あるいは金属製品。これは、がっちり、かつて日米関係はずっとそういう関係でありましたけれども、相互依存関係ができていて、そのベースの上で日中関係はずっと発展をしてきたし、今後も発展をしていくということだと思います。

 それから、政治面で見ましても、安全保障面で見ましても、日本は中国と対話を持ち、それから、ASEANを舞台に日中韓の三カ国の協議もずっと続け、そして、御存じのように、六者会談でも中国は非常に積極的な役割を果たしている。

 中国は大きい国ですから、日本だけではなくて、アメリカあるいはASEAN、EU、みんなが中国と関係を持っていくということは、中国が開かれた国際社会にとって積極的な国になるためにもいいことであるというふうに思っています。多くの国が関与して、日本も関与して、中国が経済的にもそれから政治的にも開かれて安定的な国家になっていくということは日本にとっても国益であり、日本としてそのために支援をしていくということが大事だと思っております。

高木(陽)委員 きのう発表されましたGDP十月―十二月期、年率換算七%、これについてもさまざまな理由、きょうの報道でも解説等々がありましたけれども、やはり中国の高成長、特にアジアに対する輸出も伸びている、こういった観点から、まさに日中というのはこれから重要である。

 この経済の問題に関しまして、中川大臣はどういうようにとらえているかということをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 中国は、先生御指摘のように、歴史的にも非常に関係の深い隣国でもありますし、今外務大臣からも答弁ありましたように、非常に成長している元気な国であり、貿易量も、今数字が出ましたけれども、伸び率も非常に高いわけでございますから、そういう意味で、非常に、日本としてはチャンスとしていい意味で競い合っていくということが大事だろうと思っております。

 今回の昨日発表されましたGDPにつきましても、この牽引力は、輸出中心の、そしてまた輸出中心の設備投資というふうに言われておりまして、その主要な柱を占めているのが中国だというふうに認識をしております。

高木(陽)委員 FTAについてちょっとお伺いしたいんですけれども、これはトウカセンさんとの会談のときにさまざまな突っ込んだお話し合いがされまして、そのときに、中国というのは、ASEANとFTAは二〇〇八年をめどに今準備をずっと進めている、また、そこだけではなくて、中南米だとかさまざまな国とのFTA問題に積極的に取り組んでいると。特に、胡錦濤主席は、先日もフランスへ行き、エジプトへ行き、四カ国訪問して、そういった問題も突っ込んで話してきていると。そんな中で戦略的に動いている。トウカセンさんとの話の中で、将来は東アジアの自由貿易圏、こんな構想も持っています、そういうことで戦略的にやっているんです、こういう発言もございました。

 日本の方も、戦略的にやってはいるんですけれども、ただスピード感が、どうしてもやはり、それぞれの事情はあると思いますけれども、中国のスピード感と比べると一歩二歩おくれをとっているのではないかな、このような感想も持ってしまいました。

 そこのところで、日本のFTA戦略、特にアジアにおける考え方というか、そこら辺のところを中川大臣、どういうようにお考えか、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 我が国にとりましてFTAは、WTOと並んで二つの大きな基本的なルールといいましょうか、基本方針であるわけであります。

 確かに、今世界で幾つあるんでしょうか、二百近くあるFTAが結ばれておるというふうに聞いておりますけれども、本格的に取り組んだ時期は、日本は他の地域に比べると決して早いという認識は私も持っておりません。

 ただ、現在のスピード感ということになりますと、御承知のとおり、メキシコ、韓国、ASEANということでやっておりますし、これはやはり戦略的な観点から重要である、単に貿易面だけではなくて、いろいろな意味で重要であるという戦略的な観点から、文字どおりスピード感を持って、国益あるいは両国間にとってプラスになるような形でのFTAの締結に向けて今鋭意頑張っているところでございます。

高木(陽)委員 鋭意頑張っていただきたいと思うんですけれども、先ほども申し上げたように、そのスピード感ですね。農業もかかわってきますし、そういった問題になりますと、どうしても国内の観点からブレーキがかかりがち。しかし、国益というか、日本全体のことを考えた場合に、これはまさに日本としてもっとスピード感を持ちながら積極的にやっていかないとアジアの中で日本だけが取り残されてしまう、こういう危機感も持っておりますので、ここのところはしっかりとよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、この日中間の問題、懸案事項が多々ございまして、新幹線、またはITERといった問題等々がございまして、この問題も神崎代表の方からそれぞれの方々に積極的に発言、もっと言えば協力要請というものがございました。

 その中で、特にITERの問題に関しましては、これはなかなか今膠着状態のような状況で、アメリカ、そして韓国が日本を支援していただき、一方、ロシア、フランス、中国はフランス寄りになっている。こういった中で、アジアの中での中国、日本との関係の中で、これはまさに日本に応援をいただきたい、このような話をずっとするだけではなくて、特に技術者の問題ですね。フランスになった場合にはEUの技術者が活躍するであろう、一方、日本の場合、これには中国、韓国の技術者が共同してできてくるであろう、こういった人的な問題も神崎代表から主張がございました。

 さらには、中国が懸念を表明していた、日本の場合には地震がある、地盤の問題が多いんじゃないか、こんな指摘も今までもございました。もちろん、文科省の方としてもいろいろな資料を提示しながら説明をしてきた状況ですけれども、これについても、実はうちの太田幹事長代行が副団長として参加をしまして、大学時代土木の専門でございましたので、地震についてかなり詳しいということで、かなり専門的に解説をしていただきました。

 そういう中で、例えば中国共産党の中連部の王家瑞部長は、この話を聞きまして、関係方面にしっかりと伝えます、再度その話をずっと持ち出したときに、必ずお伝えします、このような発言もございました。一方、トウカセン国務委員の方は、この問題をまたずっと突っ込んで話したところ、わかりました、ただ、四カ国を訪問したばかりで、フランスでは関係各位からこのITERの問題を言われました、またロシアからも説明を受けて、中国は苦しい選択を迫られています、こういう本音も吐露していただきました。

 しかしながら、そのさまざまな技術的な部分も含めて、公明党側からかなり説明をしたところ、ぜひ参考の資料を持ってきてください、特に科学者にとってそういう資料というものが重要な判断となりますと。

 ということで、文科省として一生懸命やっていただいていると思うんです。ここのところについて、河村文部大臣も一月に訪中をして支持要請を行っていただきましたけれども、その中国側の反応または今後の取り組みについてどのようにとらえているのか、お伺いしたいと思います。

河村国務大臣 高木議員も訪中団、一緒に行っていただきまして、今御報告をいただきましたようなことで大変な御努力をいただきましたことをまずもって感謝申し上げます。

 ITERの問題、いよいよ大詰めに来ておりますが、この二十一日には、まだ閣僚レベルの会議に至りませんで、次官級レベルでもっと技術的なことを話し合おうという方向で、今もう担当者はスタートいたしておるところでございます。

 今御指摘のように、六カ国、EUは一極でございますが、六極が真っ二つに分かれたような状況になっておりまして、そのキーを握っているのは、まさに中国のこれからの考え方によるだろう、こう思っております。

 中国に対しましては、御指摘のように、私も直接参りまして、向こうの徐科学技術大臣とも、我が日本がこの核融合については世界の最先端を頑張ってきて、技術的にもあと一歩というところまで来た、ぜひ韓国と一体となって、アジアで実験炉を、本体を持って、そしてアジアから、まさに地上の太陽と言われる夢のエネルギー、これによって二十一世紀の人類の福祉に大きく貢献する、このことをアジアから発信したいんだということを力説してまいったところでございます。

 御指摘のように、今いただいたのはまさに最新の情報でありますが、技術的に心配な点もあるということでありますから、実は、先週文部科学省から専門家を派遣いたしまして、地震の専門家も一緒に派遣して、向こうの懸念を持っておられる地震の問題を初めとして、六ケ所村の環境問題とかいろいろな問題をしっかり説明をしてきたところでございまして、さらにこれから、これで手を緩めずに、もっと、議員外交を初めあらゆる角度から中国に対して働きかけをしていかなきゃいかぬ、こう思っておるところでございます。

 特に、技術者の問題については、日本側に誘致するということになれば、これは日本が全体の資金の半分近くを持つわけでありますから、ITER機構約二百人と言われておりますが、そのうちの半分近い要員を日本が持つことになります。しかし、その分を一緒に分け合って、中国からも大いに参加をしていただくことができる、地理的にも非常に近いわけでありますから、そういうことで、アジアに誘致することの意義を、これまでの科学技術の振興はややもするとヨーロッパ中心で来た、この核融合については新たにアジアからという思いで一緒にやりましょうということを力説してまいりました。

 これから、議員外交も含めて、政府を挙げての取り組みにしてまいりたい、こう思っておりますので、一層のひとつ御協力をお願いしたい、こういうふうに思います。

高木(陽)委員 きょう、委員の中に、大島委員が青森ということで、津島先生も、もう本当にお二方中心に頑張っておられますけれども、まさにこれは国を挙げてやらなきゃいけない問題だと思うんですね。どうしても関係者だけが意識をしているみたいな形になっているんじゃないかと。

 もちろん、関係閣僚会議ということで、政府の中でも関係者で、外務大臣も含めてやってはいただいていると思うんですけれども、ただ、技術の問題、専門家はもちろん、文科省の方としてそういう資料を片手に説明をしていかなきゃいけない。ただ、そのものだけで決定されるのかどうかと考えますと、なかなかさまざまな問題というのが絡んでくる。だからこそあらゆるルートを駆使しながらやらなきゃいけないと思うんですね。

 そういう……(発言する者あり)ありがとうございます。そういう部分では、本当に政府を挙げてやっていただくという部分では、実はこれも話の中で出たんですけれども、フランスの場合はシラク大統領がみずからトップセールスをしている。新幹線の問題でも、ヨーロッパ、フランス、ドイツというのがトップセールスをしてしまう。そういった部分では、こういう問題、まさに国の問題として大きな問題であるからこそ、政府、そのトップである総理が先頭を切ってやっていただきたい、そんなふうにも思うんです。

 その中で、これは一つの例なんですけれども、これはどうしても日本の体質なのかなという感じがしてしまったのが、中関村というITの特区のようなところ、北京の北西部にあるんですけれども、そこで今企業が一万社、そのうち外国企業が二千五百社。

 なぜそんなに集まったかというと、そこは特区の状況となっておりまして、法人税がまずは二年間ただになる。その後さらに三年間半額に減免をされるという。各企業が集まって、しかもそこの地域には北京大学、清華大学、中国の優秀な大学が集まっておりまして、学生数が四十万人いる。毎年十万人の学生が卒業して、起業、会社を起こしたり、または技術者としてそれぞれの企業に入っていく。

 ところが、日本の企業というのは、そのトップにはそういう人たちを置かない。日本人がトップに立って、そしてそういう人たちを使う。一方、欧米の企業は、そういうところでどんどんどんどんそういう現地の人をトップに据えていく。

 そうしますと、どうしても優秀な人、一流の人というか、トップの人たちはその欧米の企業の方に行ってしまう。こういう意識が、優秀な人たちというか、技術者というか、そういう中にもあるのではないかな、そういうふうに感じてしまいました。

 もちろん、中国政府としてこの問題をとらえているわけですから、ただ、国民の感情、そういうような専門家たちの感情の中にも、日本よりも欧米、ヨーロッパの方がいいんじゃないかだとか、そういうのが芽生えてしまっている、ここら辺のところも大きな問題であるかなと。

 もちろん、このITERの問題を解決するために、じゃ、すぐそこが変わるかというとそうじゃないんですけれども、やはりこういった問題も含めてトータルに日中の問題というのを考えていかなければいけないのかな、このようにとらえております。

 その上で、今申し上げました、トップセールスをフランスがやっていると。そういった意味では、先ほど申し上げましたように、神崎代表が小泉総理の親書を手渡して、そのときに訪日要請もさせていただきました。胡錦濤主席はそれをしっかりと受けとめながら、二十年前に私は日本を訪問した、その後何度も訪問している、古き友人もたくさんいる、ぜひともそういう友人たちとも再会をしたいと前向きな発言がございました。チャンスだと思うんですね、今。

 向こうが、日中関係は両国の二国間関係の中で最も重要であるという主張もしている。いわゆる手を差し伸べているわけです。日本ともっともっとやりたい、そういう思いがある。こういったITERの問題を含めて、逆にこういうのをきっかけとして、この日中のトップレベルの交流というものが促進されるようにするべきじゃないかと考えていますけれども、外務大臣、どうお考えですか。

川口国務大臣 神崎代表には、与党の党首として非常にいい外交を中国でやってきていただいたというふうに思います。我が国としても、日中関係が最も重要な二国間関係の一つであるということの思いは、中国と全く同じでございます。

 おっしゃったトップの外交という意味でも、総理は、昨年は胡錦濤国家主席、温家宝総理と三回会談をなさっているということでございますし、これからもいろいろな機会をとらえて中国と共通の利益をつくっていく、それを構築していくという観点から、トップ外交も含め、トップのレベルの交流を続けていきたいというふうに思っております。

 私自身も、ことしの四月にぜひ中国に来てほしいということを中国から招待を受けておりまして、国会等でお許しをいただけるようなことがありましたら、ぜひ伺いたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 外務大臣も中国に行かれる、国会の状況、ぜひとも行っていただきたいと思いますけれども、そういった中で、今トップの外交という申し上げ方をしました。小泉総理、ブッシュ大統領とは本当に胸襟を開く仲になって、逆にそれがこの日米関係においては重要な柱となっている。

 それと同じように、これからの、二十一世紀アジアの中の日本ということを考えた場合に、まさにトップ同士の交流というものをさらに推し進めていただきたいと思いますし、これはトップだけがつながれば、じゃ、いいのかということじゃなくて、まさに政府を挙げて、もっと言いましたら、私たち議員を含めて、あらゆる分野においてこの日中間の交流というものを深めることが日本の国益にとってプラスになる、このことを主張させていただきまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

笹川委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。

 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 おはようございます。民主党の鉢呂吉雄です。

 きょう、前回、先週に引き続きまして、北海道警察の裏金疑惑問題、この問題に絞って御質問をいたしたいと思います。

 まず、小野国家公安委員長、私ども、国家公安委員会というのはなかなかなじみのない組織だと思いますけれども、この国家公安委員会の役割というのは歴史的にどういった意味合いで持っておるのか、まずこの点についてお聞かせをいただきたい、このように思います。

小野国務大臣 国家公安委員会の役割について申し上げたいと思います。

 警察庁を管理すること、すなわち、警察庁の所掌事務についての大綱方針を定めまして、その大綱方針に則して事務の運営が行われるように警察庁を監督する、そういう立場でございます。

 ですから、したがいまして、警察庁の事務執行の細部についてまで指揮監督するものではございません。また、国家公安委員会が直接都道府県警察を指揮監督することはあり得ません。警察庁長官が国家公安委員会の管理を受けながら、都道府県警察を指揮監督することとなっております。

鉢呂委員 国家公安委員会の任務なり所掌事務ということではなくて、国家公安委員会がなぜこのような形で、民間の国家公安委員五人、また大臣、政治家がなっておるわけで、六人でこのような公安委員会を第三者的に設置したその歴史的な意味合い、そして、そこから来る役割について、大臣としてもう少し優しく答弁をしていただきたいと思います。まあ、谷垣大臣も前公安委員長でありますけれども。

小野国務大臣 民主的な役割と、国を代表いたします国民の生命財産を守るという警察庁のありように関して、それぞれの各分野の者から代表した者が選考されまして、委員を構成していると承知をいたしております。

鉢呂委員 これは、警察というのは非常に国家権力的な意味合いが強いということで、戦後、いわゆる独善的な運営があってもならないということで、民間人が入って第三者的な委員会をつくって、政治的な中立、そして、今委員長が若干言いましたけれども、いわゆる民主的な運営、警察の民主的な運営、そういったものをコントロール、管理していくという形ででき上がったところでございます。

 ところで、この国家公安委員会は月に何回ほど開かれているんでしょうか。

小野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 週一回という頻度で行われております。

鉢呂委員 週一回、定例の委員会ということで行われております。私は今、この「定例委員会の開催状況」という、これはホームページでとったものでありますけれども、ほぼ週一回ということであります。

 ところで、北海道の報償費疑惑が十一月の下旬に発生をして、北海道のみならず、全国紙にも出るようになりました。この三カ月弱のうち、原田さんという道警の元最高幹部がこの発言をした二月の十日、したがって、二月の十二日に国家公安委員会が開かれておるんでありますけれども、それまでの間、この問題について国家公安委員会で議題ないしは報告事項になったことはあるんでありましょうか。

小野国務大臣 この件に関しましては、監査委員の報告というのは定例会議で必ず行われておりますけれども、原田氏の件に関しては、個別にそれぞれの委員に説明に上がっていると承知をいたしております。もちろん、私も伺いました。

鉢呂委員 個別に説明に上がっていると。しかし、この三か月余り一度も、私の見ている中では。この原田さんの関係は、二月の十日に発言があったわけであります。その間、いわゆる平成七年、平成九年の旭川中央署における偽造領収書疑惑というのが十一月下旬から発生しておったにもかかわらず、一度も報告事項なり議題に上っておらないのであります。

 この議題、報告事項というのはだれが提案するんですか。だれが公安委員長の決裁を得て公安委員会に付議をするんでありましょうか。

小野国務大臣 お答えを申し上げます。

 二月十二日に開催をされました国家公安委員会……(鉢呂委員「いや、一般的な、提案する議題についてだれが提案するか、これだけでいいです」と呼ぶ)ちょっと私の方からの意見を申し上げさせていただきたい、流れがございますので。

 国家公安委員会におきまして、北海道警察釧路方面本部長によります記者会見が議題に上りまして、警察庁からは、記者会見の概要や北海道警察及び警察庁の対応等について説明がございました。それは先ほど申し上げたところでございます。北海道警察の調査内容を踏まえまして対応したいという報告がございました。

 私どもといたしましては、対応するに当たりまして、何がどうなっているかという調査報告をきちんと受けなければ審議をすることができないわけでございます。ですから、各委員からは、事実関係を解明するとともに、こうした問題について国民が十分納得できるように説明することが重要である、適正な公金支出につきましてはさらなる現場指導の徹底が必要ではないか、捜査費等がどのような形で執行されているのかきちんと説明すべきである、このような意見がございまして、事実を解明し国民の疑問を解消するように私どもといたしましては警察を督励してまいりたい、そのように思っております。

 警察庁の方から議題が提案される、いわゆる警察庁が国家公安委員会の庶務を行っているわけでございます。

鉢呂委員 しかし、何を議題にするか、何を報告事項にするか、これはだれが責任を、最終決定をするんですか。

小野国務大臣 国家公安委員会の方の者から、こういうものを提案しろということで議題が上がってくると承知をいたしております。

鉢呂委員 国家公安委員長として、こういう北海道警察の問題について報告なりあるいは議題として提案しようというものが、この間、三カ月余り、一度も出てこなかったということですか。事務段階からこういうものを報告します、提案しますというものだけを取り上げたからこういう形になったのでしょうか。ここを明確に言ってください。これは別に事務方は必要ないです。委員長がどういう判断をされたか。これは判断がそうでなかったといえばそれでいいんですから、ちゃんと答えてください。

小野国務大臣 議題というのは毎週たくさんございまして、その中におきまして、原田氏の件は私も内容を読ませていただきました。

 しかし、御自身のお考えのみでございまして、北海道警の方との話し合いも全く進まない状況の中でそれを議題にするには、やはり北海道の方の、まずは道警の方とそこで話し合いを持っていただくということ、それが第一義であると考えまして、その状況を待たせていただいたところでございます。

鉢呂委員 十一月下旬から北海道警察でこの問題が出て、大変な問題になっておる。しかし、今聞いたところは、委員長は、原田発言、二月の十日からの問題意識がないわけであります。何も事務段階からの話だけをうのみにするのではなくて、新聞等にも連日出ておるわけであります。国家公安委員会の役割は、そういったいわゆる民間のアンテナを高くしてやるべきだというところから出ておるのであります。

 そこで、この三カ月間、私は八月から谷垣委員長時代のものも全部見させていただきました。この三カ月間、いわゆる警察にかかわるさまざまな大きな問題が出ておるのであります。

 一つは――後ろの人、そんな事務段階のことを言っているわけではありません。例えば一つは、ことしの一月二十日、警視庁の銃器対策課のいわゆる偽造領収書事件で偽名を使われたという方が提訴した民事訴訟で、最高裁まで行って、これは警察側が敗訴した、決着をした事件があります。これについては、この国家公安委員会で一度も議題に上っておりません、一月二十日前後。

 警察官個人がさまざまな不祥事をした、神奈川県警の警察巡査長がスカートの中を盗撮したとか、そういったものは細かく監察の取り扱い事案として付議されておるわけであります。しかし、そういった警察の組織全体にかかわる重大な問題、この問題については、警察庁は一度も委員長の方に、これを付議しなさい、付議していただきたいという提案がないばかりに……。まだあるんですよ。

 この一月の二十日の事例については、大臣は、後で詳しく御質問しますけれども、なぜ国家公安委員会に報告なり付議をしなかったんでしょうか。

小野国務大臣 国家公安委員会の定例会におきましては報告は受けておりませんけれども、先ほど私の方から申し上げさせていただきましたとおりに、警視庁銃器対策課の事件の訴訟経過につきましては、上告受理の申し立てが不受理となった段階で個別に報告を受けているところでございます。

鉢呂委員 個別に受けておるということでありますけれども、こういったことこそ国家公安委員会が全体で、六名全体で合議をすべき問題ではないですか。

 それでは、続きまして宮城県警。これは、情報開示請求によって宮城県警の食糧費と旅費について訴訟になっておりました。しかし、これも、最高裁上告を断念して決着して、宮城県警側は敗訴して、後でまた御質問しますけれども、警部等の幹部の名前を公開しなければならないという決着を見たわけであります。

 この問題についても、公安委員会で一切審議もされておりません。議題としても付議をされていません。この問題についてはどうですか。

小野国務大臣 お答え申し上げます。

 宮城県の旅費の訴訟につきましては、個別の報告も私は受けておりません。警察庁からは、一都道府県の旅費に関し職員の氏名を開示すべきであるとする判決の問題であり、報告されなかったものと承知をいたしております。

鉢呂委員 これも、一県警のこととはいいながら、大変重要な問題です。重要な問題です。これは、旅費について、警察、警部、幹部の名前を拒否して情報公開をした、これに対しての情報開示請求があったわけでありますけれども、これも、最高裁に上告する前に敗訴せざるを得ないという状況であります。

 北海道の稲葉事件。この関係でも、現職警察官がさまざまな不祥事を起こしたわけでありますけれども、これにかかわって現職の幹部警察が偽証したということで五人が、これは検察側に渡ったんですけれども、起訴しないということに対して、検察審査会は、これはすべきであるということで、この一月の七日にそういう方向があったわけであります。これについても、国家公安委員会では一切、議題としても、報告としてもなかったと言わなければなりません。

 ここに書いてあるように、個人個人の警察の不祥事、事細かに出ていますよ。これと比較しても、組織全体にかかわる問題、警察庁全体、警察全体にかかわる問題について、国家公安委員会で何も議題にものせない、あるいは審議もしない、報告もない、こういったことで国家公安委員会のその使命が達成されるんでしょうか。

 なぜ私がそう言うかといいますと、平成十二年の七月に、いわゆる警察改革ということで警察刷新に関する緊急提言、これがされました。これはもう御案内のとおり、桶川事件に端を発して、警察業務が民間、市民の皆さんの問題について的確に対処するということで、平成十二年に警察法の改正までしたわけであります。

 平成十二年に警察法の法改正、十二条の二というものが改正案ということで可決成立をしたわけでありますけれども、この中身について、国家公安委員長として当然大きな問題として承知をしていると思いますけれども、この警察法の十二条の二はどういったことを言っておるんでしょうか。

小野国務大臣 いろいろと私も目通しをさせていただきましたけれども、要するに、国家公安委員の監察の指示権でございます。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

鉢呂委員 それ以上詳しく言いませんから私の方で言いますけれども、いわゆる警察の組織がどのように対応するか、また、不祥事等あるいは組織的な問題等に、警察庁のこういった監察に関して、国家公安委員会は規定に基づく指示を、今委員長も言われました指示を具体的または個別的にこれを行うことができるということです。そして、必要があると認める場合は、その指名する委員、ですから国家公安委員のうちの一人に、その指名する委員に指示に関する事項の履行の状況を点検させることができる、こういうふうに法律を改正して、まさに、国家公安委員会が警察の監察、警察庁の監察業務、そういったものに対してもっと積極的に関与して個別的、具体的に指示を与える、そして、その経緯についても、履行状況についても把握する、そういうふうに変えたわけであります。

 しかし、今回のこの三カ月の間の問題を見ても、警察業務にかかわって、組織の、いわゆる捜査上の秘密事項だということで開示をしない問題、これはほとんど裁判上は敗訴している。これらについてほとんど公安委員会で論議をされない。個別の委員に話をしておって、これは何も、その他事項で委員から、この問題についてはどうですかと言うこともできるような六人の委員会です。しかし、こういった問題についても一切話が出てこない。こういった公安委員会というのは、この警察法十二条の二の精神が本当に生かされているんでしょうか。

 あるいは、北海道警察のこの間の三カ月の状況というのは、委員長も含めて、どういった対処の仕方、どういったこの問題に対する考え方があったのか、率直なところをお聞かせ願いたいと思います。

小野国務大臣 今、先生おっしゃってくださったように、各界の有識者、その幅広い経験と見識に照らしまして警察を監督するという公安委員会の基本的な役割を考えると、国家公安委員会が直接事実関係について調査、いわゆる監察を実施するということは適当ではないと考えます。調査自体は警察庁に行わせつつ、それが適正に行われているかどうか、これを十分チェックすることで目的を達成できるものと考えております。

 いずれにいたしましても、国家公安委員会といたしましては、警察庁の調査検討状況を節目節目で確認していくとともに、足らざるところがあればさらに説明を求めるなど、厳正に管理をしてまいる所存でございます。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

鉢呂委員 今の国家公安委員長の発言は、平成十二年の法改正前の話であります。第十二条の二について、いわゆる監察の指示等について、そんな考えなんですか。これでは質問できませんよ。私が言ったのは、何も急に言い出したことじゃなくて、この条文を言ったわけでありますけれども、この条文からいって今の御答弁は何ですか。

小野国務大臣 本件に関しまして、国家公安委員会は、警察庁における予算執行検討委員会の調査あるいは検討結果をよく見きわめた上で、正すべきところがあれば正す、あるいは国民の皆様が十分納得できるよう警察庁を監督してまいる、管理してまいる私どもは所存でございます。

 委員お示しの監察の指示につきましては、現時点ではこれを行う必要はないものと考えております。

鉢呂委員 それは予算にかかわることだけではないんです。情報公開における名前の不開示等についてこれだけの問題が、この二、三カ月の間、小野委員長の段階になって出てきておるわけであります。これを監察と言わず何を監察と言うんでしょうか。

 個別的または具体的に指示を与える、これが平成十二年にできたということは、それだけの必要性があってできたわけであります。これについて、やはり国家公安委員長は、役所がどう思おうと、どう消極的であろうと、率直に言って、私の今言ったことについて必要性があるのではないか、このように思うわけでありますけれども、もう一度、官僚答弁のペーパーでなくて、率直にお答えをいただきたい。それが国家公安委員会の大きな役割だと。

 余りにも独善的に警察権力というのはいく可能性が強い、しかし、そこは、国民という市民の側からそういったものをチェックするということに国家公安委員会があったわけで、しかも、単に大綱についてそれがいくかどうかのことを管理するというような抽象的なことではなくて、今回の警察の監察に限っては、個別具体的に指示を与え、その履行の状況もしっかりと委員を定めて見る、こういうふうに法律を改正したわけであります。まさにこの問題は監察の、その十二条の二に当たるのではないかというふうに思いますから、率直にお答えください。

小野国務大臣 国家公安委員会といたしましては、国民の信頼をまず確保することを考えまして、北海道警察における会計経理をめぐる事案の解明、そしてまた、警察の予算の執行のあり方の適正化の一層の推進について示しているところでございまして、委員からお話がありますように、正すべきところは正す、国民の皆様が十分納得できるように警察庁を管理してまいる所存でございます。

鉢呂委員 今までも、警察のOBや現職から、さまざまな警察内部の不祥事について暴露されてきました。しかし、一向にこれが解消し国民の信頼に足るものになっておらないという中で、国家公安委員会として、今のような、警察庁の官僚組織、まさに警察そのものに任せてどういった状況になるかというのを見るという形でない形をこの法改正ではやったはずでありますから、これは、大臣がきちんとそれを踏まえて、自分の言葉でその必要性についてここで言及をして答弁をしていただきたい、このように思います。

小野国務大臣 委員おっしゃいましたとおり、私どもにおきましては、必要なものに関しましては、委員からのそれぞれの発議によりまして調査をいたしますけれども、現在行われております件に関しましては、まだ調査の段階、途中でございますので、それに関しましては、結果が出ましてから私どももまたさらに検討を進め、警察庁を督励してまいりたいと思っております。

鉢呂委員 問題の趣旨がわかりにくいかもわかりませんけれども、法律では、そういうことに基づいて、時代背景もあって、十二条の二というのが設けられたわけであります。旧態依然としてそういう考えであれば、本当にこの問題の解明は難しくなる。

 例えば、この間の北海道警察の現職なりOBはこういう発言をしております。もうさまざまな考えが北海道警察にも、もう二日で何百件、三百件とか行っていますね。これは道民、一般の人も言っていますけれども。

 例えば、北海道警に勤務する、本部に勤務する警察官、現役です。裏金の錬金術は職員ならだれでも知っているが、上への意見具申は許されない。こういったことを言うこと自体も、ばれたら首になる。

 道警を退職したOBも、まだ退職して間もないOBですけれども、裏金づくりは事実である。問題が生ずると、上司だけが生き残り、組織でもみ消し工作に走る。かつてのけん銃摘発捜査、これは稲葉事件というんですけれども、この問題が生じた際にももみ消し工作を体験した。このときも、一番の最高責任者は釧路方面本部長に栄転しております。しかし、自殺者も出て、やめた人も出て、逮捕者も出たにもかかわらず、こういった形になっています。

 あるいはまた、もう一人のOBは、今回の疑惑に関し、道警は警察庁の指導助言を受けて対応している。悪いのは警察庁だ。

 予算執行検討委員会も、まさにそういった意味では内部の、これまでやってきた組織の、これは警察庁に検討委員会を設けたんですけれども、官房長をキャップとして設けたんですけれども、会計課長、総務課長、あるいはそういったこれまでの会計処理に関する課長以上の方がなっておるわけでありますけれども、これでは期待できない。

 こういう声が満ちあふれておるのであります。

 委員長、そういう考えの中で、待つという姿勢でよろしいんでしょうか。

 国家公安委員長は、二月十二日の予算委員会で、この問題については徹底解明をすると。徹底解明をすると言いました。過去のこういった問題について、国家公安委員会はどういう対応をしてきたのか、警察庁はどういう対応をしてきて解明ができたのかどうか。あるいは、この三カ月間、こういった重大な事案があるにもかかわらず、警察庁から上がってこない、上げない。こういう中で徹底解明ができるんでしょうか。警察法の十二条の二に基づいてきっちりやることが小野国家公安委員長の使命ではないでしょうか。

 もう一度、徹底解明のその具体的な手順を教えていただきたいと思います。

小野国務大臣 具体的な事実関係とか根拠が明らかにならなければ調査を行うことは困難であると考えております。ですから、国民の不信を招く事案が認められた場合には、事案に応じて厳正に対処してまいりたいと思いますけれども、そうしたきちんとした事実関係あるいは根拠が明らかになっていないということを御理解いただきたいと思います。

鉢呂委員 公安委員長、それでは、先ほど言いました、一月二十日に最高裁で決着をした、いわゆる警視庁に情報提供した覚えがないのに謝礼の領収書などに勝手に名前を使われた、これは警視庁が敗訴いたしました。こういった偽名を使ったという事例は決着をしてあるにもかかわらず、この関係について、あなたは、何か警視庁に、この事実関係をきちっとせいというふうに言ったわけですか。こういった事実があるんですよ。あるにもかかわらず、これではどうにもならないじゃないですか。

小野国務大臣 この件に関しましては、個別に報告を受けております。

鉢呂委員 報告を受けたんならだれでもできます。これは重大なことですよ。国家公安委員会としてどういう具体的な対応をするんですか。(発言する者あり)

笹川委員長 静粛に。

小野国務大臣 捜査の協力者の方から本人名義の領収書を徴取することを原則としているものの、警察に協力したことによりまして捜査協力者が自己に危険が身に及ぶようなことがある事情によりまして、本人の名義と異なる領収書を作成する場合があることもやむを得ないと承知をいたしております。

 しかしながら、各種の議論を踏まえまして、今後どのような形で対応していくべきか、これについては、警察庁の予算執行検討委員会におきまして、検討するように促してまいりたいと思っております。

鉢呂委員 それは今回の最高裁で決着した。しかしそれは、偽名を使うのは、捜査上の名前を出せないという形なのか、単に、名前を使ってそれが裏金にプールされるための領収書だったのか、明らかにされておらないんですよ。そういった問題を、全然、警察庁も問題意識なし、そして公安委員会がやらなかったら、だれがやるんですか。

 このにせの名前を使われたというのは、委員長、そのように前提的に、これは捜査上秘密だから別の人の名前を使ったんです、こういうふうに言えるんですか。言えない問題が北海道警察で今どんどん起きているじゃないですか。なぜこれが、具体的な事例がない、事案がないと言えるんですか。これは決着した問題ですよ。

小野国務大臣 今申し上げた件の繰り返しになりますけれども、本人の身辺に危険が及ぶことがある、その懸念があるという場合におきましては、偽名を使うということを、いわゆる本人の名義と違う名前を使うということで作成する場合があることもやむを得ないということ、これを承知いたしております。

鉢呂委員 警視庁の銃器対策課で起きたこの領収書です。これが警視庁のいわゆる裏金としてプールするということの事例であるかどうかという確認をしないで、委員長として一方的にそういうことが言えるんですか。

小野国務大臣 この際、ちょっと整理をさせていただきますけれども、一般論といたしまして、国家公安委員会というのは警察庁を管理する立場として、警察庁の事務運営が国家公安委員会が示しました大綱方針に則して行われていたかどうかについて報告を求めることができるとされております。

 ですから、本件の解明につきましても、警察庁に適宜報告を求めるとともに、国民の信頼確保のために早期に事案の解決がなされるよう、警察庁を督励してまいる所存でございます。

鉢呂委員 それは、警視庁に、この事案について、どういうものであるかという報告を求めた経過があるんですか。これは一月の二十日に最高裁が最終判決を出した。もう一カ月近くになるわけですけれども、今、ないじゃないですか。今の御答弁ですと、これは偽名を使って本名を出すのを避けたというだけであって、そういうものではないでしょう。

笹川委員長 国家公安委員長に申し上げますが、国家公安委員会と、北海道にも公安委員会がありますから、その辺の区別をきちっとして事務方もサジェスチョンした方が答弁が正確にできると思いますよ。

小野国務大臣 この件が十一月に明らかになりました時点で、警察庁といたしましては、事案に関しての調査をするように連絡をとっております。(発言する者あり)

 鉢呂先生にちょっと訂正いたします。平成十一年でございました。十一月ではございませんでした。訂正しておわびいたします。

笹川委員長 鉢呂君、もう一遍、今の質問をしてあげてください。もう一度。

鉢呂委員 平成十一年に起きたいわゆる警視庁の事案ですけれども、最高裁で一月の二十日に判決が出ました。その場合に、勝手に名前を使われたということであり、高裁で認定したのは、「領収書は異常な形式で、架空の支払いを本物と仮装するために警察官が作成したと推定する以外ない」、こういうふうに高裁は認定して、最高裁もこの判断を認めたわけであります。

 しかし、あなたは、十一年から調査をしていると言っていますが、この決着をした段階で、最高裁の判決が出た段階で、当該する警察官に、これは一体どういうものであったのか、本当に単なる生命に異状があるから名義だけを実在する人の名前を借りてそういう形をしたのか、あるいは裏金としてプールしたのでないか、こういう疑惑は当然もう全国方々に起きておるわけですから、そういった形の指示を与えるべきでないかと。

 しかし、この間、国家公安委員会にもその問題は出ておらない。そういう指示を与えたということもない。警察法の十二条の二では、こういう場合、警察の監察に限っては、具体的、個別的に指示を与え、その経緯、結果についてもきちんと報告させる委員を定めてやるべきだとなっておるんです。これをやらずして――やったんですか。

笹川委員長 国家公安委員長、質問の趣旨はわかりましたか。

小野国務大臣 この件に関しましては、警視庁が内部調査をいたしました。その結果、そのようなことはなかったという報告でございます。

鉢呂委員 何がなかったのか、御答弁ください。

小野国務大臣 いわゆる裏金づくりではなかったという報告でございます。

鉢呂委員 その中身については、どういう中身でしたか。

小野国務大臣 私は今ここに持ち合わせておりませんので、後日でもお返事させていただきます。

鉢呂委員 それらの問題について、公安委員会、当然、議題として、また報告として、かけるべきであります。これは都道府県の公安委員会の問題ではありません。国費を、警視庁にこれは直接行っておるわけであります。あるいは人事についても、これは国家公務員として、国家公安委員会が直接やはり調査をすべき問題であります。

 私は、いずれにしても、この問題については、報告事項でもきちんと、国家公安委員会の定例の委員会でもきちんとこれをのせるべきである、こういうふうに思いますけれども、一切ない。今の委員長の、報告を受けている、その疑惑はないということは、とても信じられません。どのように、だれから受けたんですか。

小野国務大臣 事務担当の者からそのように伺っております。

鉢呂委員 事務担当はだれですか。

小野国務大臣 お答えをいたします。

 会計課長の方からそのように承っております。

鉢呂委員 会計課長から、どのような内容であるからこれは裏金として使われたものでないという、その内容についてお伝えをください。

小野国務大臣 警視庁の内部調査をいたしました結果、そのような報告を受けておるということでございます。

鉢呂委員 とても疑わしい問題でありますけれども、次の問題と絡めてまたやっていきます。

 都道府県の監査委員の守秘義務について、法律的根拠を総務省からお伝えをいただきたいと思います。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 監査委員の守秘義務についてのお尋ねでございますが、監査委員の守秘義務につきましては、地方自治法第百九十八条の三第二項に規定されておりまして、「監査委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」というふうに規定されているところでございます。

鉢呂委員 会計検査院の会計検査一般職員、この守秘義務は何に基づいて、法律根拠をお伝えください。

森下検査官 御説明いたします。

 私ども、公務員関係法令の所管省庁ではございませんが、国家公務員法第百条第一項の規定に基づいて、直接検査する調査官には守秘義務が課せられているというふうに承知しております。

 第百条第一項には、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」こういうふうに規定されております。

鉢呂委員 総務省にお尋ねしますけれども、会計検査院の検査に当たる一般職員と都道府県の監査委員、この守秘義務について、違いがありますか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 両者とも守秘義務が規定されているという点につきましては、違いはございません。

鉢呂委員 実は、先週、二月の十二日の私の質問に対して、警察庁は、会計検査院は専門職で専らその事務に携わっている、監査委員は、私は詳しく承知していませんがという前提はありますけれども、異動で別の部署に行ったり、地縁、血縁のつながりもあろうかと思いますので、監査委員と検査院の差があってもやむを得ないと承知しております、こう述べたわけでありますけれども、総務省、この警察庁の発言についてどう思われますか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 先生の御質問は地方自治体の監査委員と会計検査院の検査員の違いのお尋ねだと思いますが、監査委員について御説明申し上げますと、地方行政の公正で能率的な運用を保障するという重要な使命を果たすために置かれておるものでございまして、地方公共団体の執行機関でございますが、地方自治法上、人格が高潔で、地方公共団体の財務管理とか事業の経営管理など行政運営に関しすぐれた識見を有する者及び選挙で選ばれた地方議会の議員のうちから地方議会の同意を得て選任するということになってございます。

 また、地方自治法上、監査委員は、地方公共団体の常勤の職員と兼ねることができないとされておりまして、別の部署に異動になることもないというふうに承知しております。

鉢呂委員 今、総務省は、その違いがない、血縁、地縁、異動がある、そういったものは理由にならない、そう述べました。

 実は、二月の十二日、警察庁は、この北海道の監査に関して、監査委員による捜査員に対する聞き取りについて、要求はよくわかるところだが、捜査協力者等の保護あるいは捜査活動を初めとする警察活動に広い意味での支障を来すということで北海道警察に警察庁は指示をして、この捜査員に対する聞き取り、事情聴取をしないと拒否をしたわけであります。これは、大臣、やはりおかしいと言わざるを得ないんじゃないんですか。

 都道府県の予算に関してそれをチェックする機関、これは北海道監査委員のみが担うわけであります。国費捜査費、国の費用も直接入っております。そういった意味で、会計検査院にはそういった捜査員に直接事情聴取することを認めております。この差をつけることは、やはりまかりならぬのではないでしょうか。公安委員長、きちっと答えてください。――余り後ろの方でやらないでください。

小野国務大臣 お答えを申し上げます。

 二月十二日に官房長の方から答弁させていただきました内容につきましては、法制や権限論の趣旨で申し上げたわけではなくて、監査委員はいわゆる地元の名士、先生がおっしゃいましたように地元の名士から選ばれることが多いと承知をしておりますけれども、同一の都道府県内においては、監査委員が捜査員に対面調査を実施したことが公になった場合には、捜査協力者に、自分が協力している捜査員が監査委員に会って話をしたかもしれないという不安を抱かせると申しましょうか、そういう観点から、その結果、捜査協力を萎縮させてしまうというおそれがあるということなどから、北海道警察におきましてはこのような影響を勘案したものという捜査の現場の実情を申し上げたと。

 ただいま官房長の方の、さきの質問も私は改めて見させていただきましたけれども、法制や権限論の趣旨以上にやはり信頼感というものがそこにあるということもぜひ御理解をいただきたいと思います。

鉢呂委員 権限、法制ではなくて信頼感という言い方をしました。これはおかしい話でありまして、それでは都道府県の予算についてチェックすることはできなくなるじゃありませんか。会計検査院と同じ形でできないじゃありませんか。

 地方自治法には、守秘義務についてきちんとこれを条文化しております。名士だから、対面だから不安を抱かせる、そういった形でやっているわけではありません。職務上きちんと秘密を守る、職務が終わった後もそれをきちっと守っていくということが法律的に明記をされてあるのであります。もう一度答えてください、大臣。

小野国務大臣 議員の方からは、偽名を使うということに関して今質問が入ったように私は承知をいたしているわけでございます。

 自分の名前じゃない名前を、そこにサインをするということの中において、捜査上自分が情報提供者になっているということがわかることが困るという場合の説明をさせていただいたわけでございますけれども、警察庁の予算執行検討委員会におきましては、このような先生からのお話もございますし、事情を踏まえつつ、監査委員による監査の際の透明性をどうやってより高めていったらいいか、その方策も検討されると私どもは承知をいたしておりますので、どのような形にしたら安心して皆様から情報がいただけるのか、情報を提供することにおいて、いろいろな情報がございますから、そして、その情報があってさまざまな犯罪が解決をされていくわけでございますから、その辺が、情報が自分が提供したものが他に理解されるということになりますと、その辺は非常に難しい問題が出てくるのではないか、そのように感じております。

鉢呂委員 答弁になっておりません。

 会計検査院で直接捜査員に対面調査、事情聴取ができるのにもかかわらず、都道府県監査委員ができないという法的な根拠、拒否をする理由は、いわゆる過剰な反応を示しておるにすぎない。法律根拠に基づいてきちっと平等に扱う、都道府県の予算についてチェックするのに、一方の国の会計検査院にはそれを許して、一方には与えない、これではきちんとした対応はできないじゃありませんか。

小野国務大臣 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、監査関係が異動等で交代するというふうなことがありましたり、あるいは、捜査員から話を聞いたことがある方がふえることになっていくわけでございます、いろいろなところに異動していくということにおいて。このような事実が捜査の協力者に不安を抱かせまして、その結果、捜査の協力者を萎縮させるおそれがあるという現場の事情を前回の委員会で官房長も申し上げた次第でございます。

鉢呂委員 これでは、都道府県の監査委員のきちっとした法律的な根拠に基づく答弁にはなっておりません。これはきちっとした見解を示してもらわなければ、そのような対面だと不安を抱かせるとか、そういったものを漏れることを前提に――守秘義務の法律条項は何のためにあるんですか、それでは。

小野国務大臣 道費の監査につきましても、当然のことながら、警察側からできるだけの御説明は申し上げていることは御理解をいただきたいと思います。

 それにいたしましても、監査委員による監査の対象は都道府県警察でありますから、道委員会からの捜査員への対面調査の要請につきましては、基本的には、捜査に与える支障を勘案しつつ各都道府県警察におきまして対処していくものと私どもは承知をいたしております。

 警察庁の予算執行検討委員会におきましても、どのような形で対応していくのか、いくべきかについて検討するように促してまいる所存でございます。

鉢呂委員 漏れることを前提にした先ほどの答弁、守秘義務の法律がありながら漏れてしまうというようなことを前提とした監査委員に対する見方、これは全く法律を無視しておるということで、明確に答弁してください。今の答弁は答弁になっていませんよ。

小野国務大臣 私は、漏れるという言葉は使っていないと思います。不安を与えるということを申し上げているわけでございます。

鉢呂委員 ちょっと議事録を精査してください。議事録をちょっと見てください。

 今、監査委員が地元の名士だということでその地域の人に漏れていってという言い方をされました。私は、守秘義務というのはきちっと法律で担保されて責任を伴っておるわけですから、そういったことを前提に捜査員の事情聴取を拒否するということは通用しないと思います。

笹川委員長 鉢呂君に申し上げますが、今の国家公安委員長の答弁の中では、捜査員が、もし漏れてしまうと捜査上非常に難しいので不安を与えないようにという意味のことを言ったと理解していますので、会計検査院はどこまでも踏み込んで調査をできるのに、都道府県の監査委員は守秘義務が同じあるのにどうしてできないのだという鉢呂さんの質問だと理解をいたしておりますが、国の会計検査院と地方の監査委員とでは、若干その辺に何か心配事があるような答弁だと思いますがね。

 国家公安委員長、私が答弁すべきことじゃありませんが、もう一度答弁してください。

小野国務大臣 漏れるかもしれないという不安があるということでございます。

鉢呂委員 漏れる不安があるからそこに差をつけるということは、あり得ないことであります。法律に基づいてきちんとするべきだ。これによって拒否をするということは、行政組織としては許されないことであります。(小野国務大臣「委員長、恐れ入ります、聞こえなかったんでございます」と呼ぶ)

笹川委員長 鉢呂委員、もう一度。

鉢呂委員 今ほど、総務省と会計検査院から、それぞれ聞かせていただきました。法律に基づいて、国家公務員法、地方公務員法それぞれ、同じ守秘義務という条項であります。これに基づいて、やはり警察庁、その行政組織は対応すべきである。漏れる可能性があるというようなことでこの対応に差をつけることは許されないというふうに思います。きちっとした見解を求めます。

笹川委員長 森下会計検査院長職務代行、答えてください。聞いていてわかっているでしょう。どうぞ。

森下検査官 では、もう一度繰り返して御説明申し上げます。

 直接検査を担当しております会計検査院の調査官の守秘義務についてお尋ねがあったということで、答弁をさせていただきます。

 先ほども申し上げましたように、国家公務員法第百条第一項の規定に基づいて守秘義務が課せられていると承知しております。

 その守秘義務の内容は、第百条の条文を読みますと、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」このようになっているわけでございます。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えいたしましたが、守秘義務の観点からは、監査委員と会計検査院の、私ども先ほどちょっと検査官と言い間違えました、会計検査院の職員との間で違いはございません。

鉢呂委員 違いがない中で、公安委員長、そういう考えは通用しませんよ。

 総務省、今の考えで、都道府県の監査委員、今の国家公安委員長の御答弁で許されますか、捜査員が拒否をするということについて。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 先ほど国家公安委員長もお答えされたと思いますが、官房長の御発言は、制度論ではなくて、要するに個別具体の事案に即した実態論と申しますか、そういう発言だと御答弁がありましたが、そういうことでございますと、総務省は北海道の監査委員の地縁、血縁のつながりなどを知り得る立場にありませんので、ちょっとお答えは差し控えさせていただきます。

鉢呂委員 今、地縁、血縁、知り得る立場にありませんと明確に言ったじゃありませんか。きちっとそれに対応しなかったらだめですよ。委員長、御答弁をお願いします。

小野国務大臣 二月十二日に官房長が答弁いたしました内容につきましては、今申し上げましたとおり、法制やあるいは権限論の趣旨で申し上げたわけではないということでございます。

 監査委員は、何遍も申し上げますけれども、いわゆる地元の名士の方から選任をされている場合が多い、そしてまた、同一の都道府県内において監査委員が捜査員に対面調査を実施したことが公になった場合に、捜査の協力者に、自分が協力していることが捜査員が監査委員に話をしているかもしれないという不安を抱かせる、その結果、捜査協力者を萎縮させてしまうおそれがあるなどから、北海道警におきましては、このような影響を勘案したものという捜査の現場の実情を申し上げたものと承知をいたしております。

鉢呂委員 それは警察庁の単なる考え方であって、それが通用する形にはなりません。なりません。きちんと法律に基づいて、警察庁の考え、道警が捜査員をきちんと監査委員に事情聴取をさせるということであろうと思います。御答弁、もう一度お願いします。

小野国務大臣 お答えをいたします。

 監査委員からの要請の対応というのは、受監する立場である都道府県警察が主体的に決定すべきものであると承知をいたしております。

鉢呂委員 これは、前回の官房長の御答弁で、北海道警察に指示をした、このように明瞭に述べております。北海道警察の自主的な判断でこれをやったということではないのであります。

小野国務大臣 警察庁が北海道警に対しまして捜査員への対面調査を拒否するよう指導したことはないと承知をいたしております。

鉢呂委員 拒否をするようになって、このように述べていますよ。吉村官房長は、監査委員による捜査員に対する聞き取りについて、北海道の監査委員の要求はよくわかるところだが、捜査協力者等の保護あるいは捜査活動を初めとする警察活動に広い意味での支障を来すということで北海道警に警察庁は指示をしたと。指示をしたということになっているんですよ。

笹川委員長 鉢呂委員に申し上げますが、委員が大臣だけに答弁させるという気持ちもわからぬことはありませんが、物すごく細かいことまで、しかも官房長の言ったことまで大臣に答弁させるといっても、これは、今までの議会の運営上、やはりそれぞれ専門官がいますから、それは、そこまで聞いて、大臣が答弁がまずいとかおくれるということは若干やはり考えてあげてください。それは非常に難しいことで、今、参考人の要請がありませんから答弁はできませんが、今お聞きになっている本人は場内にいることはいます。

鉢呂委員 おかしな論点でありますけれども、今回の監査結果の概要について、お手元に、皆さんのところに配付をしておりますけれども、この中身を見ていただきたいと思います。

 この一ページのところに、私の方で線を引いてあるんですけれども、5の「監査結果」の(1)の「事実関係の確認」の〔4〕、これは監査請求でありますから、「請求人から証拠として提出のあった本件当時の支出関係書類とされる書類の写し」、コピー資料と言うんですけれども、そのコピー資料については「次のことが言える。」ということで、平成七年関係については外形的な類似性が推定され、九年のものについては様式等がほぼ同様だと。それから、2)で、コピー資料の印影が当時の署長、副署長の印影とまさに酷似していると。それから、3)に、記載の警察官名二十二名のうち、十三名は一致している、一名については元署長から当時の実在が確認されたということであります。

 そして、次のページを見ていただきたいんですけれども、〔6〕でありますけれども、コピー資料に基づく支払い先の協力者等への文書調査をしたところ、その結果、協力者十一名からの回答で、一名は不在で戻ってきたわけですけれども、十名が、「受領していない」、こういう領収書を切っておらない、一名は、「受領していない」と「記憶にない」という複数回答をしてきたわけであります。

 そして、この前も、おととい問題になりましたけれども、コピー資料の九年九月分関係では、協力者三名については、既に支払い年月日の二から六年前の死亡が確認をされておるということでございます。

 (2)の「判断」のところを見ていただきたいんですけれども、こういったことで、北海道監査としては、コピー資料は、〔1〕に書いてありますように、(1)―〔4〕というのは、先ほど言いましたように、外形的な類似性とか印影が似ておるというようなことを勘案すれば、当時の支出関係書類の写しである可能性が高いと。しかも、本件捜査用報償費の支払い先については不実の疑いがある、こういうふうにまで言っておるわけであります。

 ところが、〔2〕で、「しかし、」ということで、〔2〕の下の方ですけれども、「当時の捜査員に対する事情聴取は、再三協力を要請したが、捜査活動への重大な支障を理由に道警本部に拒否され、実施することができなかった。」

 〔3〕、このため、〔1〕で述べた点について、確証を得るには至らなかったということで、疑いは非常に残るけれども、「違法又は不当な支出があったとまでは言い切ることはできない。」

 そして、(3)の「意見」のところの一番最後に、「捜査員の事情聴取に協力を得られなかったが、監査を受ける機関は法律上監査に協力する義務があることに改めて注意を喚起したい。」こう述べておるわけです。

 国家公安委員長、最後のこの「義務」についてどのように考えるか、御答弁願いたいと思います。

小野国務大臣 今、委員がお尋ねくださいましたように、二月十三日、警察庁におきまして設置いたしました予算執行検討委員会におきまして、今回の件、北海道警察における会計経理をめぐる事案の解明、すなわち、北海道警と連携を図りながら原田元北海道警察釧路方面本部長の記者会見内容の真相究明、これは、原田氏となかなか会えないようでございますけれども、ぜひお会いをしていただいてやっていきたい。

 それから、北海道旭川中央警察署の平成七年五月及び平成九年九月の捜査用報償費に関する不正経理疑惑の真相を図るとともに、会計経理における改善策、すなわち、監査の頻度、体制を強化するなどいたしまして監査の充実強化を図ることと、二点におきましては、警察経理における透明性を高めることなど、警察の予算執行のあり方を検討し、適宜進めてまいりたいと思っております。

鉢呂委員 これは大臣がお答えすることだろうと思いますから、しかし、答弁が的外れでありまして、私が、北海道監査における、監査を受ける機関、いわゆる警察の機関は法律上監査に協力する義務がある、いわゆる守秘義務を守ってきちんと監査は行うわけですから、捜査員の事情聴取にはきちんとこれを受けてもらわなければ事実が究明できない、こういうふうに言っておるわけであります。これを受けて、どのように公安委員長としてこの点について判断をするのか。

 あなたは、こういう書類は一切これまで見ておらなかったかもわかりません、はっきり言いまして。わかりますか。ペーパーなんかいいんですよ。ペーパーはそこまで用意していないかもわかりません。私はそんな難しいことを聞いておるわけではありません。法律に基づいて守秘義務を課せられた会計検査院と同じ北海道監査、都道府県の監査が、きちんと、監査を受ける機関は法律上監査に協力する義務があることを切望しているわけですけれども、どのように思いますか。

笹川委員長 国家公安委員長、これは最後に書いてありますから、「監査を受ける機関は法律上監査に協力する義務があることに改めて注意を喚起したい。」と。喚起するように……。

小野国務大臣 調査に協力するように督励してまいる所存でございます。

鉢呂委員 協力をするようにと言って……。私が今、全文を丁寧に読み上げたのは、この真実を究明できないのは、捜査員に直接事情聴取ができない、再三にわたって皆さんが拒否をするからできないということを言っているんですよ。これに協力をするとあなたが答弁したら、捜査員をきちんと北海道監査に事情聴取をさせてください。答弁してください。今の、協力をすると言った限りは、きちんとしてくださいよ。

小野国務大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、監査委員による監査の対象というのは都道府県警察でございますから、同委員からの捜査員への対面調査の要請につきましては、基本的には、捜査に与える支障を勘案しつつ各都道府県警察において対処していくものと承知をいたしております。

 警察の予算執行検討委員会におきましても、どのような形で対応していくべきかを検討するように促してまいりたいと考えております。

鉢呂委員 先ほど、直前の答弁では、北海道監査に協力をすると明確に短い言葉で答弁されました。これはそれに全く反しているんじゃないですか、次の答弁は。

小野国務大臣 監査委員会の意見も真摯に受けとめさせていただき、予算執行検討委員会におきまして検討を進めてまいりたいと思います。

鉢呂委員 先ほどの、協力すると全く違う答弁ですから、質問できません。

小野国務大臣 協力という言葉がちょっと行き過ぎであったかもしれません。

 協力という言葉の使い方でございますけれども、監査委員によります監査の対象は都道府県警察でございます。ですから道警になるわけでございます。ですから、同委員からの捜査員への対面調査の要請につきましては、基本的には、捜査に与える支障を勘案しつつも各都道府県警察において対応していくもの、ですからこれは道警になるわけです。と承知をいたしておりますから、警察庁の予算執行検討委員会におきましても、どのような形で対応していくべきか検討するように促してまいりたい、そういうことでございます。

鉢呂委員 先ほどの、協力をさせるという答弁は全く違う答弁です。重大な、正式の予算委員会での、国会での答弁。これは今、どう言おうとも、きちっとこの方向でやってもらわなければなりません。

小野国務大臣 監査に、警察庁、協力はしております。(発言する者あり)協力はいたしております。そしてまた、道警がそれを主体性を持ってやるということで、そこはかぶってはおりません。

笹川委員長 国家公安委員長、北海道警察の自治体と国家と、それをちょっとよく、混乱しないように。

小野国務大臣 監査委員によります監査の対象というのは都道府県警察でありますから、先ほども申し上げましたように道警ということでございます。同委員からの捜査への対面調査の要請につきましては、基本的には、捜査に与える支障を勘案しつつも各都道府県警察において対処していくものと承知をしておりますが、警察庁の予算執行検討委員会におきましても、どのような形で対応していくべきか、将来のあるべき姿について検討するよう促してまいりたいと考えております。(発言する者あり)

笹川委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

笹川委員長 速記を起こして。

 先ほどの答弁と文字が若干錯綜している部分があるようでありますので、もう一度、鉢呂議員にお答えをしてあげてください。

小野国務大臣 監査委員によります監査の対象は都道府県警察でありますから、同委員からの捜査員への対面調査の要請につきましては、基本的には、捜査に与える支障を勘案しつつ各都道府県警察において対処していくものと承知をいたしておりますが、警察庁の予算執行検討委員会におきまして、どのような形で対応していくべきか、将来のあるべき姿について検討するよう促してまいりたいと考えております。(発言する者あり)

笹川委員長 ちょっと速記とめて。

    〔速記中止〕

笹川委員長 速記起こして。

 国家公安委員長。

小野国務大臣 この対応という言葉の中には、将来のことも勘案しまして、対面ということも含まれていると承知をいたします。対面をさせるということも含まれていると御理解いただいて構わないと思います。

鉢呂委員 先ほど、私は、この監査委員が報告で、捜査員の事情聴取に協力を得られなかったが、監査を受ける機関は法律上監査に協力する義務があることについて注意を促したいと、このことについてどうですかというふうに聞いたら、協力をさせたいという趣旨の御答弁があったことは皆さん聞いたとおりであります。これと全く相反する、百八十度違うような、自主性に任せるとかいうようなことではまかりなりません。明確に、その協力をさせたいというところの問題について大臣が、重い発言であります。

小野国務大臣 協力の中には対応という言葉ももちろん意味合いとしては入っていると思いますので、さまざまな意味を含めながら、先ほどから申し上げておりますように、予算執行検討委員会におきまして、将来のあるべき姿について対応していきたい、その中には協力という問題も入っているということでございます。

鉢呂委員 私は、先ほどの質問、今も鮮明に覚えていますけれども、今は繰り返しません。協力ということが、ここに三つある中で、大臣に御答弁を求めたときに、御答弁も簡潔でした。協力をさせたいという趣旨でありました。これでは、今言われたような、枝葉がついた、形容がついたような御答弁ではなかったんですよ。

小野国務大臣 この対応という中には対面ということも入っているということを申し上げておきます。(発言する者あり)

笹川委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

笹川委員長 速記を起こして。

 鉢呂君。

鉢呂委員 私が先ほど言いましたように、捜査員の事情聴取に協力を得られるようにということについて、協力をさせますという御答弁というふうに承知してよろしいですか。

小野国務大臣 対面調査の要請につきましては、もちろん対面もございますし、書類も提示をいたしますし、そういった意味での協力という言葉は、私はおかしいことではないと思っております。

鉢呂委員 私が先ほど言ったように、捜査員の事情聴取、これは対面調査ということなんでしょうか。捜査員の事情聴取に協力が得られるように大臣として指導監督するということでよろしいんですか。

小野国務大臣 今申し上げましたとおり、対面をする際には、書類の面とかその他のいろいろなものを提出いたします。そういった意味での協力をするということでございます。

鉢呂委員 書類等の協力ということではないんですよ。明確に、直接事情聴取の協力ということについて、大臣もそういった方向で協力をさせるように北海道警察を督励するということを明確にお答えください。

小野国務大臣 御案内のとおり、警察庁の予算執行検討委員会におきまして、こうしたことも含めまして、どのような形で対応していくべきか、将来のあるべき姿について……(発言する者あり)いや、一連の流れでございますから。検討するように促してまいりたいと思います。同じ考えでございます。(発言する者あり)

 監査委員によります監査の対象は、都道府県警察であります。これがまず第一点でございます。同委員からの捜査員への対面調査の要請につきましては、基本的には、捜査に与える支障を勘案しつつ各都道府県警察において対処していくものと承知をしておりますけれども、警察庁の予算執行検討委員会におきまして、どのような形で対応していくべきかについて、将来のあるべき姿を検討するように促してまいりたい、このように申し上げております。(発言する者あり)

笹川委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

笹川委員長 速記を起こして。

 国家公安委員長。

小野国務大臣 協力という言葉が先ほどから問題になっておるようでございまして、一度、私、その説明をさせていただいたつもりでございますけれども、対面調査それから書類等の提供等、これを合わせて協力という中に含まれるということを御理解いただきたいと思います。

 そういうふうな形の中で、警察庁の予算執行検討委員会におきまして、どのような形で今後対応していくべきかについて、将来のあるべき姿というものを検討するように促してまいりたい、そのように申し上げた次第でございます。(発言する者あり)

笹川委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

笹川委員長 速記を起こして。

 国家公安委員長。

小野国務大臣 国家公安委員会の権限の範囲内で協力をさせるように督励をいたします。

鉢呂委員 そのようにきちんと国家公安委員会として監督をしていただきたい、このように思います。

 そこで、この問題で、原田元警視長、釧路方面本部長、この方が二月の十日に証言をされたわけであります。この中身を見ますと、極めて赤裸々に発言をされておるところでございます。

 例えば、二月十日の発言以外に、私も、二日間、四時間にわたって原田元警視長と、説明をいただきましたけれども、この方は警視長、警視長というのは九階級ある警察の階級の中では上から三つ目、普通の都道府県の本部長、県の本部長になる、そういった階級の方でございます。この方は、道警本部の総務部の総務課長も実はやっておりまして、その際も、直接この裏金の扱いという形でこの道警本部の中で見ておるということでございます。

 各警察署から裏金がプールをされて会計課の当時の経理主幹の方に、国費、道費、国費はこれは捜査費、旅費という二つに分かれて、全体の捜査費の七割程度は実は国費でございます、これがこの会計課経理主幹のところに裏金としてプールされる。そして、その裏金をプールしたものは、金庫番の役割を同じ会計課の管理官が担っていた。このように証言をされております。

 これについて、国家公安委員長としてどのように把握をしておりますか、御答弁願いたいと思います。

小野国務大臣 道警の方とは、原田氏は直接まだお話をさせていただいていないようでございますので、これは、先生がお会いになってお話をされたわけでございましょうか、どのような場で発言されたのか明らかではないために、原田氏から具体的な事実関係あるいは根拠につきまして話を聞くことがまず何よりも必要であると思っております。現在、北海道警察におきましては、そのための努力をしている最中であると承知をいたしております。

鉢呂委員 このほかにも、総務課長時代、道警本部長付の秘書、これは警視に当たるんだそうですけれども、その本部長付秘書を通じて、交際費が、その現金が道警の本部長の方に渡っておる、こういうことも証言をされておるのでございます。

 さらに、本庁の生活経済課長の時代、原田さんが北海道道警の生活経済課長の当時、会計検査院を、これは国の会計検査院です。(発言する者あり)

笹川委員長 静粛に。

鉢呂委員 都道府県におきましても、国費は直接入っておるわけであります。したがって、会計検査院が直接道警にも赴くわけでありますから、これは国の段階でも予算執行上重大な関係があるということで私は質問をしておるのであります。

 したがって、この原田さんが生活経済課長をやっていた当時、会計検査院の受検準備をしたことがあり、受検当事者になって、課長として受検対応するんですけれども、必要な領収書等は、その書類は既にでき上がっておる。自分は実務として全くかかわっておりませんから初めて見る書類ばかりだ。架空の事件、出張先が既に決まっており、それに合わせて事件の内容、出張先をつくらなければならないという苦労、あるいは、捜査協力者も一人二万円払ったり五千円払ったり、その金額が異なり、理由づけに大変苦労した。そういったこともなされておるわけであります。

 例えば、裏帳簿からすべてが支出される。ですから、その使われるお金が正当に使われるもの、例えば、車が事故を起こして、その修理費がかかるにしても、正常な表向きの処理では非常に時間がかかる。次の日、また捜査にその車を使わなければならないということで、常にそのすべてを、裏帳簿、裏金としてプールしたところからすべてが出てくる。これは御本人が道警に勤務したときからずっと退職するまで続いてきた。そういう極めて病巣が深いところまで入り込んだ構造的なものになっておるということも証言をされておるわけであります。

 私は、国家公安委員長が、私が今二、三質問しましたけれども、これは把握をしておらない、当然だと思います。しかし、こういった証言を原田さんは行っておるのであります。

 警察庁に出向した、これは随分古い段階の話であります。警察庁の防犯課に出向した。これは三カ年出向したそうです。この当時も、その防犯課の理事官が全体の裏会計の把握をして、庶務係長が金庫番で、食糧費やあるいは現金、現金というのは超過勤務手当を支給しないかわりというような形で裏帳簿から現金が出された。そういう記憶があるとまで言っておるわけであります。

 こういったことを踏まえたならば、私は、国家公安委員長として、これらの裏金問題、どのように対応していくのか。単に、今、検討委員会、官房長のもとに事務段階につくられたということでは、私はこれはきちんとした解明ができないのではないかというふうに思いますけれども、今、原田証言を聞いて、どのように大臣として、公安委員長として考えるのか、率直なところを御答弁願いたいのであります。

小野国務大臣 記者会見のペーパーも拝見をさせていただきました。ですから、原田氏から、具体的な事実関係、その根拠についてのお話を、北海道警察にぜひお会いいただきまして、そこにおいて明かしていただきながら今後の対応が考えられるのではないかと思います。

鉢呂委員 時間がまだ私のところに来ませんけれども、大変重要な、警察庁の中でも最高幹部の原田氏がこのようなお話をされておるわけでありまして、当委員会として、元釧路方面本部長の原田宏二氏それから北海道警察本部長の芦刈勝治氏、このお二人を参考人として招致をしていただきたい。委員長でどうぞお取り計らいをしていただきたい。

笹川委員長 理事会で協議をさせていただきます。

鉢呂委員 それでは、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

笹川委員長 これにて鉢呂君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥村展三君。

奥村委員 民主党の奥村展三でございます。

 再び国会の場に籍をいただきまして、こうして質疑をさせていただける、感謝をしつつ、それぞれ各項にわたって質問をしていきたいというように思います。

 まず、道路公団関係の質問をさせていただきたいんですが、民営化に伴いますファミリー企業等の問題であります。

 むだな高速道路はつくらないという道路公団民営化の根本精神であったはずでありますけれども、どうも政府関係の民営化推進委員会の皆さん方の思いと違って、骨抜きにされたような、族議員に足元をすくわれたような形にまとまったようであります。それが近々に提案をなされるようであります。

 私はまず、その前に石原大臣にお伺いをするわけでありますけれども、平成九年十二月二十六日に閣議決定がなされております特殊法人等の整理合理化について、この閣議決定についてお伺いをいたしたいと思うんですが、私も当時は石原大臣とともにこのプロジェクトにおりました。そして、石原大臣そのものが精力的に、何としても二十六のいろいろな法人を一つでも二つでもひとつ改革していくんだという意気込みで、相当な迫力で私たちと一緒に議論をさせていただいたことを思い出しているわけですけれども、そうした流れの中に、事業量だとかあるいはまた役員の定数、そして、役員の登用先、役員の異動先等々、役員の給料も、いろいろチェックもいたしました。職員定数もありました。

 こういう問題があったわけなんですが、そうした中に道路公団、阪神公団等のいろいろな問題もあったわけなんですけれども、こういう問題が、当時の大臣が熱を入れてやられましたけれども、実際それがそのようになっているかどうか、まずお伺いをいたしたいというように思います。

    〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕

石原国務大臣 ちょっといつだったかは忘れたんですけれども、奥村委員と特殊法人の改革をめぐって、あれはたしか与党のPTか何かの場でかなり御議論をともにさせていただいたことを私も覚えております。

 平成九年のお話が出ましたので、今調べてきたわけですけれども、そのとき、道路公団については、十一の建設局、九の管理局を、八つの支社、二つの建設局、一つの管理局に統合する。コストは、建設関係で一四%、管理費等で、平成九年からこれまでですけれども、一四%削減した。そのとき、たしか一番焦点になりましたのは、公益法人がありまして、これが独占的にSA、PAの事業をやっていて競争がないということで、これを二分割した。そういう改革を取りまとめたというようなことを覚えております。

 御質問は、そのときの線に沿ってやっているのかということで、前段は大変厳しい御叱責をちょうだいしたわけでございますけれども、総額四兆円、およそ二割にわたるコスト削減や、ファミリー企業へのOBの方の社長への就任というものも退任要請など、抜本的に見直す計画を図ってきております。

 むだな道路ということで言うならば、五つの路線については、今の計画どおりにはつくらない、抜本的に見直さない限りは一時中断するというような、五路線も決定させていただきましたし、これも総理が再三再四御答弁させていただいておりますけれども、二十兆円かかるものを十兆五千億円にするというようなことも約束させていただいておりますし、これまで債務の残高というものはずっとふえてきましたけれども、これも法律で債務の四十五年以内の法定と、民主党の皆さん方が主張されている四十五年で無料化、民営化委員会の指摘のとおりJHは三分割する。そしてまた、これまでは一方的な命令に従って仕事をしてきたわけですけれども、こういうものをやめて、新しい株式会社が自主性を最大限尊重できる仕組み等々、民営化委員会の基本をしっかりと守って、総理の言葉をおかりいたしますなら、戦後初の抜本的改革に取り組んでいて、私は、平成九年の趣旨というものは脈々と流れているものと承知をしております。

奥村委員 確かにそうかもわかりません。しかし、我が党は、今回の選挙におきましても無料化ということでマニフェストにも掲げ、その根拠をしっかりと提示したはずなんです。

 そうした流れの中に、やはり考えてみますと、今大臣がお答えになりましたけれども、格好はできました、形はできました。ということは、一つを例に挙げましても、財団法人の道路施設協会というようなものがありまして、これが今二分割されたという一つの例だと思うんですが、財団法人道路サービス機構あるいはまた財団法人ハイウェイ交流センターというような形に分けてはおられますけれども、従来の枠組みはちっとも変わっていないというのが、今日までずっと続けられてきた。本当に、ファミリー企業と言われる、あるいは道路公団そのものの体質が問われているわけであります。

 ぜひ私は、こうした流れを考えますと、この民営化そのもの、我々は無料化を言っておりますけれども、国民のメリット、そういう問題を考えますと、やはり今日までのファミリー企業の体質、今ようやくにしてファミリー企業のいろいろな問題をオープンにされましたけれども、これも推進委員会の中で極力言われてそれが出てきた。それまでは隠ぺいされて、本当に天下りの方々がいろいろなところで社長をし、あるいはまたいろいろなところで、人によれば三回も四回もわたっていく、あるいはまた一方では、同じ会社の役員がまた違う会社の役員をしたり、わたりというようなことも言われているわけですけれども、いろいろなこともやってきた。そういうような問題をやはりこの民営化の段階においてしっかりとやっていかなければならない。

 これをなぜ私がここで申し上げるかといいますと、まず、サービスエリアがあるわけなんですが、サービスエリア、パーキングエリア、パーキングエリアはどうももうからないようでありますから、ここの問題は直轄でやっておられる。SA、サービスエリアはいろいろなファミリー企業でやっておられるんですが、聞いてみますと、全体のそこの売り上げの二三%ぐらいをピンはねされる、頭をはねられる、こんなことでとてもじゃないがやっていけないということで、もう退散をしていかれた方がたくさんおられるようです。

 だから、そういうことを考えますと、このファミリー企業と言われる、関連会社と言われる体質が、こういうことが温存されてずっとやってこられたということでありますから、ぜひここらの問題もしっかりオープンにしていかれるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

石原国務大臣 奥村委員の御指摘のとおり、平成九年のお話を先ほどさせていただきましたけれども、それから今日まで、このファミリー企業の問題は、民営化推進委員会で取り上げられるまで、苦労して公益法人を二つに割りましたけれども、多くの弊害を持って今日に至っているということは事実だと思います。逆説的ではありますけれども、そういう問題を解決していく上で今回の民営化議論というものが出てきたということも事実ではないかと思っております。

 委員の御指摘は、ファミリー企業について、もっと情報を明らかにして、そして、こういう世間から見ても多とされないようなものは是正していくべきである、そういう御指摘であったと聞かせていただいたわけですが、その点についてはまさに同感でございますし、平成十二年に、これはまだ民間企業会計とは異なりますけれども、行政コスト計算書の作成指針に基づきまして、毎年の決算時の、子会社を含めた、民間で言うところの連結決算のような、業務の概要、役員の状況、売り上げ状況についても公団の方から発表するようにしたところであります。

 さらに、委員の御指摘は、もっともっと透明化を図っていけというような御指摘でございますけれども、関連する企業、いわゆるファミリー企業の経営状況についても、これからも、委員の御指摘のとおり、情報公開が図られるよう指導していくということは当然のことであると認識をしているところでございます。

奥村委員 公正取引委員会でも指摘がなされております。つまり、談合を繰り返して、お互いのそれぞれの企業、横のつながり、そういう関係でいろいろな便宜を図ってやってきた、そういうことがずっと今日まで続けられてきたわけであります。

 やはりこれは、公団そのもののいろいろな問題というよりも、我々が今高速道路を利用していく流れの中に、考えてみますと、高価なものをある意味では与えられて買ったりあるいは食事をしたりする、みんなそこに我々国民が痛い目に遭っているわけです。

 ファミリー企業の一つの企業の中でもそうですが、大臣もよく通られる、私の近くなんか、ものの一キロ行かないうちにアーチ形の大きな看板があるんです。ものの一キロ以内にまた大きな看板がある。運転をしながらどこに目をやればいいか。こういうのが現状なんです。これはみんな会社が違うんです。

 そして、ちょうど私のところなんか、東海道、東京から四百五十キロ地点ぐらいなんですが、全部小さな看板が立っています、百メートル単位に。それも、その会社は別にあると聞きました。アーチのあの大きな看板は別にある、投光器をつけているのは別にある、掃除してごみを集める会社は別にある、こんなことで、幾つもファミリー企業。

 当時、石原大臣がその話をしたときに、道路公団のときは百二十一社ぐらいあったと思います。今は八十二社ですか、だんだん少なくはなってきたようですけれども、精査はされてきたようですけれども、それが全部やはりOBの天下りになって、そこでたくさん契約をして仕事をしているところの、そこのOBの給料ははるかに高い、そして一方でプロパーの方はまあまあというような形で、格差があるんですよ。

 だから、そういうような問題を考えてみますと、本当に矛盾したことばかりが今日まで行われてきた。そういうことを考えますと、やはりこの際にしっかりとメスを入れて国民に還元をしていく、そういうようなことにしていかなければ、幾ら組織がいろいろなことを言われて民営化されたとしても、これは納得できるものではないというように私は思います。

 ぜひそういう問題もしっかりと、今後、民営化というよりも、我々ははっきりもう無料化、それだけの財源も今度のあれで提起をしておりますけれども、その点をしっかりとぜひ進めていただきたいというように思います。

 私は、高速道路の料金を安くせよとか、そんなこと、それは当然でありますけれども、それよりも無料化のことを言っているわけですが、私の低料金化ということは、つまり、サービスエリア、パーキングエリアなんかで消費するあらゆる国民がそこにメリットのあるようにしっかりやっていただきたいというように思いますが、もう一度そこの点について大臣のお答えをお願いいたします。

    〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕

石原国務大臣 ただいまの奥村委員の御指摘については、私もまさに的を得た御指摘だと考えております。料金はもとより、サービスエリア、パーキングエリアでのサービス、こういうものについても、国民の皆さん方が利益を得られるような、そういう改革であらなければならないと思います。

 委員が東京から四百五十キロ地点のアーチの話をされましたが、今度通りましたら私も実態を見ていきたいと思いますけれども、それは非常に本末転倒であって、そういうことのないように、これからは、SA、PAについては一元化して、民営化会社がマネジメントをしていく。民間ノウハウを十分に発揮していただいて、ただいま委員の指摘でありましたようなことのないように取り組んでいただけることを期待している次第でございます。

奥村委員 よく新聞やいろいろなところで、電話機一台、緊急電話が二百五十万もするというような報道もなされていますけれども、実際、考えてみますと、そういうことが普通の民間の企業の参入をさせないというような形でずっときております。

 やはり市場経済、そういうものをしっかりと踏まえた上で、そういう問題を適切に進めていかれるように強くこれはお願いもしておきたいというように、そうじゃなかったら、これは何のメリットもないわけなんです。民営化されて、相も変わらずファミリー企業や関連企業をたくさんつくって、そして天下りの温床になるようなことをどんどんしているようなことでは、何のために民営化だ、何のために高速道路なんだというようなことがやはり国民から出てくると思います。そこの点はしっかりと踏まえていただくように強く申し入れをしておきたいというように思います。

 あと、細部につきましては、どうせこれから各常任委員会等で質問もさせていただきたいというように思いますので、今のファミリー企業について申し上げた流れの中に、私は、特殊法人の改革の中から進んできた道路公団でありますから、そういうこともしっかりと推し進めていただきたいというように重ねてお願いもしておきたいというように思います。

 次に、治安体制についてお伺いをいたしたいと思います。

 先ほど来、国家公安委員長も答弁でいろいろあれですが、私への答弁は簡単でございますから、やるかやらないかだけの姿勢ですから。

 最近、犯罪が非常に多うございます。そして、これが低年齢化しておりますし、全国的なベースでいろいろな問題が起きているのも、当然、国際的なことにもなっているわけであります。

 特に、この五年間ぐらい、凶悪犯罪の検挙率が四八%。五年前は八四%ぐらいあった、八五%ぐらいですか、あったように聞いておるんですけれども、そうした犯罪が検挙が少ないというようなことも言われております。

 これは、凶悪犯罪だけじゃなくていろいろな犯罪、全国平均でいきますと、これは平成十四年度でございますけれども、二〇%程度のようですね。一番検挙率が高いところは、いろいろと人口の絡みもあるのかわかりませんけれども、長崎が一番検挙率が、一般の検挙率でいくと四五・七%ぐらいあるようです。

 そういうことを考えますと、私は、警察官の皆さんも汗して頑張っていただいていますが、我が党が申し上げておりましたように、四年間で三万一千人ぐらいの警察官、増員をしていってでも、まだやはりそれを抑えていくということは大変な、至難なことだというように思います。

 十四年のときに警察官を増員されたのが四千五百人、そして十五年度で四千人だったようですね。そして、この十六年度、今審議の最中ですが、予定されておるのが三千百五十人と、だんだんだんだん下がっているわけです。しかし、片っ方でどんどん犯罪がふえている。そういう大勢を考えますと、私一人ではなく、やはり国民の皆さんだれしもが不安に感じておられることばかりだというように思います。

 ぜひ増員をしていかれる必要があると私は思いますが、この問題について国家公安委員長としてどのようにお考えですか。

小野国務大臣 奥村議員にお答えをさせていただきます。

 今おっしゃられましたように、刑法犯認知件数が、昨年は二百七十九万、その前の年は二百八十五万四千件と大変多くなっておりまして、一万人緊急増員三カ年計画を立てまして、平成十四年度が四千五百、十五年度が四千、そして、今議員おっしゃいましたように、来年度の予算案に盛り込んだところが三千百五十ということで、残りは千五百ということでございますので、これではとても間に合いませんので、改めて一万人の増員を念頭に置きながら、残り千五百人に千六百五十人を足しまして三千百五十名とさせていただいたところでございます。

 これを全国的に都道府県に最大限活用していただきますとともに、十七年度以降におきましても、やはり一万人増員の構想を持ってやっていかなければとても事案に追いついていかない、そのように考えておりますので、国民の安全、安心を掲げております私ども国会議員の立場からいたしますと、公務員が一万人削減の時代ではございますけれども、警察官に関しましては増員をして、安心、安全の町づくりを遂行してまいりたいと考えております。

奥村委員 今言われたように、それを実現していただきたいと思うんですが、東京都、これは警視庁ですが、四万一千二百二十三人が政令の基準数でありますけれども、やはり東京、大都市、国の中心ですから、都民一人当たりといいますか、二百九十一人に一人の警察官がおられるような数字になるわけです。単純計算ですよ。一方、長野県の方には悪いんですが、人口割りでいきますと、七百十三人に対して一人の警察官というような基準になるんです。私の滋賀県なんかですと、六百五十人に一人なんですよね。非常に交通の要衝でありますし、最近、いろいろな事犯が頻発しております。唖然とするような事件もあるんですが、これは、京都や大阪や大都市に隣接をしております。京都なんかでいきますと四百十九人に一人というような形になって、大変ある意味ではいいわけなんですけれども。

 やはり、今委員長がおっしゃったように、こういう数字をずっと私も今回眺めてみますと、とてもじゃないが、こんな三千や四千のけたで毎年毎年やっているようなことではおぼつかない。本当に真剣に、やはり中長期にかかって、国を挙げて警察官の職員の皆さんの増員を進めていくということを推し進めていただきたいというように思いますが、もう一度、ひとつ力強い方向づけをお示しください。

小野国務大臣 議員の方から、警察官一人の負担人口について今お話がございました。

 一人の警察官の負担人口が平均をいたしますと五百三十三人でございますが、これが三千百五十名増員をさせていただきました暁には五百二十七名になります。少なくとも五百名まで何とかしたい、そういう気持ちを持っておりまして、そういたしますれば、これから一万人増というのは、もう欠くべからざる、治安のためには必要な人員ではないか、そのように思っております。

 退職をいたしました警察官の方々の交番の勤務等をこれから予算化させていただきましてさらにお手伝いをいただくとか、あるいは町の安全のために自衛官、自衛官というのは町を守ってくれる方々ですね、そういう方々とか、NPO法人それから商店街、そういう方々、先日はワンワンパトロールというお話がございましたけれども、それぞれの立場において、時間帯を決めながら、危なくないように環境整備をしていくということもあわせてしながら、警察の方からは情報提供をしていただき、この地域はこんなふうに危ないですよ、ここを気をつけましょうなどなど、ともどもに力を合わせて、足らざるところは安全、安心のために市民の皆様と協力をしながら、警察も心してやっていきたいと思います。

 また、空き交番の件に関しましては、テレビ電話を入れる等、万一空き交番になっている場合には機材でもって対応することも考えさせていただいておりますことをつけ加えさせていただきます。

奥村委員 それは、委員長、交番へ行くということは、何かがあるから行くんですよ。幾ら機材を立派にしていただいたとしても、それは不安なことばかりなんです。やはりそれは、人対人、心というものがそこに通わなければいろいろな問題が解決をしないということを私は申し添えておきたいというように思います。

 ちょっとほのぼのとした事例を一点申し上げたいと思うんですけれども、これは私の隣の京都であった話なんです。

 大学受験をされる女性が実は校舎を間違われて、京都の同志社大学は御所の北側にあるんですが、谷垣大臣、よく御存じなんですが、そこと新しい同志社のキャンパスを間違われて行かれたらしいんです。本人は気がついて、これは時間がないということでタクシーに乗り込まれて試験場に向かわれたんですが、そのタクシーの運転手さんが、とてもじゃないがこれは間に合わないということで、急遽、警察にその女性を連れていかれた。そして、その女性を、受験生を乗せて、パトカーで会場へ送り込んだ。三分前に入ってセーフで、受験をなされたようです。

 こういうようなことがあった。新聞で見て、私は、ああ、ほのぼのしたいいことだなと。

 まあ、これは警察の流れからいったらいいか悪いか、私は知りませんよ。けれども、やはりそういう思いで、そのタクシーの運転手さんのあれによって警察官の人もそこでよき判断をなされたなと。この人の人生、そこでまた大きく転換をしていくわけですから、いい話だなというような思いもさせていただいた反面、先ほども言いましたように、やはり本当に凶悪犯罪が低年齢化しておりますから、そこらをしっかり公安委員長としてもこれから進めていただきたいというように思います。

 それともう一つは、やはり地域の防犯体制というのは非常に大事だと私は思うんです。

 警察官の皆さん方もそういうことで増員をしていただいて、まだまだ絶対量少ないんですが、非常に努力もいただいているけれども、やはり地域ぐるみの防犯体制というのは非常に大切だというように私は思います。今日の社会ですから、隣の人何する人ぞというようなことで、隣近所あるいは地域性というのも薄らいできているわけなんですが、みんなが子供を守り、あるいはお年寄りを守り、地域を守っていこう、そういう中にはやはりコミュニケーションが大事なんです。

 先ほどの委員長がおっしゃった空き交番の話もそうですが、そんなことではなくて、増員もしながら一方で地域の人みんながやっていけばもっともっと地域もよくなってくるだろう。これは別に犯罪だけの問題ではないんですけれども、そういうように考えますと、しっかりとした体制をつくっていくということも大事ではないかなというような思いをいたします。

 特に、今、拉致の問題、非常に非常に気の毒な問題が起きていますが、あれもやはり、海岸のそういういろいろな人の流れで考えて、その中で何か気づいたときがあったかもわからないけれども、そこに、ややもいたしますとおろそかになっていたことがああいう結果になってしもうて残念だなというような思いもされている方がたくさんおられると思うんです。

 そういう防犯体制、地域との連携についてどのように進めていこうとされているのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 地域との、住民との連携についてでございますけれども、犯罪の発生を抑止し地域の安全を守るためには、警察活動のみならず、地域住民や民間団体の方々との連携した取り組みが必要不可欠だと考えております。

 御指摘のように、最近、国民の自主的な防犯意識の高まりを背景としまして、既存のボランティア団体を初め、地域におきまして防犯のための組織が結成されたり、あるいは町内会や自治会で防犯パトロールを行うなどの取り組みが広く行われていると認識しております。こうした活動というのは、地域住民の方に安心感を与えるとともに、地域の連携強化による安全で安心な町づくりを推進する上で大変意義があるというふうに私どもも考えております。

 警察といたしましても、地域住民と連携をしました取り組みが重要であるというふうに考えておりますので、身近な犯罪の発生状況であるとか防犯対策に対する情報の提供を行ったり、また、警察と一緒に共同パトロールを推進するなどして、こうした地域住民の自主的な取り組みが一層推進されますように連携を強化してまいりたいと考えているところでございます。

奥村委員 本当に、冒頭に申し上げましたように、これは警察庁もそうですが、公安委員会も挙げて、国を挙げて、警察官の増員、そして防犯の体制等々、国民が安全で安心に暮らしていけるような体制をしっかり確立していただくということを強く要望させていただきたいというように思います。

 次に、きのうも我が菅代表が、食料自給率、農業問題について、クエスチョンタイムで総理と話をなされておりました。

 五年間ほど四〇%を維持していますというような話でありましたけれども、私は民間の大学の先生にお話を聞いたわけですけれども、そう言っているけれども四〇%は切っていますよという話がありますし、先進七カ国でも、イギリスは七〇から一〇〇近く、どんどん九〇近くに今上がっております。アメリカは一二七%だとも言われておりますし、ドイツは一〇〇%あるいはフランスは一三八%、驚くなかれ、オーストラリア、ニュージーランドは二五〇%を超えているというようなデータをお聞きしたんです。こういうようなことを考えますと、本当に我々の自給率四〇%というのは大変なことであるなというような思いをいたしております。

 私は戦争は知りませんけれども、十年先、二十年先には日本人は餓死してしまう、第二次世界大戦のああいう状況になってしまうぞというような警鐘を鳴らしている方もおられます。私は、そういうことを考えますと、やはり農業の基本的な問題をしっかりとこの際とらまえていかなければならないというように思うわけであります。

 私は、その点において、これからの日本の農業というものに対して、しっかりとこの問題を考えていかなならないと思いますが、まず、この今の自給率について、大臣はどのように思っておられますか。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、我が国の食料自給率、カロリーベースで四〇%、このような数字を今維持しておるわけでもございます。

 そういう中で、食の外部化や洋風化、また、米の消費が減少する一方でありまして、特に、かつて高い自給率のときには、昭和三十七年、米の消費が百十八キロ、その当時は七〇%台を維持しておったわけでありますが、今日、米の消費はもう六十二キロぐらい、こういうことでございまして、穀類の消費が大変減少している。また、畜産物、油脂類の消費が増加する。食生活の変化が大きな原因にもなっておるわけでございます。

 そういう中で、この食料の自給率の関係、国内生産のみならず、国民の食料消費のあり方につきましてもこれは左右されるわけでありまして、食料・農業・農村基本計画におきましても、平成二十二年四五%、これを目標にいろいろ今努力をしておるわけでもございます。

 これら食料自給率の目標の実現のためには、消費者さらには生産者、そして食品産業事業者が一体となった形でそれぞれの課題に取り組んでいくことが必要であるわけでありまして、そういう面で、ぜひ私ども、消費面では、食生活の変化に伴いまして食料自給率の低下、栄養バランスの崩れから生活習慣病の増加など社会問題化もしておるわけでありまして、この食生活の大切さ、そういう面で食育を推進することが一つ必要ではなかろうか。

 また、生産面におきましても、米政策の改革の着実な推進を初め、農地やあるいは担い手の確保、技術の開発普及等を図りまして農業構造の改革を進めて、消費者の需要に即した国内生産、これを図っていく必要がある、このように思っております。

奥村委員 今、自給率、いろいろそういう問題も踏まえて御答弁をいただきましたが、最近、自給率も当然でありますけれども、特に食の安全が、本当に国民が毎日毎日、農水省の方でも対策を練っておられるようですけれども、BSEの問題だとか鳥インフルエンザの問題等々、大変なことになっているわけであります。私は、けさもここへ来る前にニュースを見ておりましたら、大臣が何か対策委員会でお話を、対策されておるというような雰囲気がニュースで出ておりました。

 しかし、こういう問題は、本当に国民が毎日毎日生活で心配しているわけですから、官邸からしっかり国民にコメントするぐらい、やるぐらいの体制があってもいいと思うんですよ。これは危機管理なんですよ、毎日毎日生活していくわけですから。よくぶら下がりで、総理なんかでも、官邸の中であんなことをしているよりも、国民に訴えるときはしっかりと訴えるべきだと思うんですよ。だから、そういう姿勢がやはり国民に安心を与えていく、あらゆる問題の安心、安全というものに対しての意気込みというものを私は国民は期待もしていると思いますし、そういうことがやはり大事だと思うんです。

 そういうことについて、今の食の安全について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 政府におきましても、食の安全性の確保を図る観点から、もう御承知のとおり、食品安全行政におきますリスク分析手法を導入する、こういうことで、昨年、食品安全基本法を制定いたしました。

 さらに、リスク評価を行う、そういう面で食品安全委員会がスタートをいたしまして、食品安全体制、これが確立をされたわけでありまして、私ども農林水産省におきましても、今までの産業振興部門、これといわゆる独立した形で消費・安全局、このような行政組織をつくりまして、そして、リスク管理をいたしておるわけであります。

 これは昨年七月からスタートをいたしまして、あわせて、飼料、肥料あるいは農薬の関係等々、農薬取締法等々も制定をいたしまして、食の安全、安心のための規制の見直し、こういうこともいたしておるわけであります。特に、国民の健康保護、このことを第一に、また、迅速そして的確な対応に今努力をしておるところでもございます。

 そういう面で、特に米国のBSEの問題につきましては、もう御承知のとおり、屠畜場におけるBSEの全頭検査あるいはまた特定危険部位の除去、このことを強く申し上げておるわけでありますし、鳥インフルエンザの関係につきましても、発生国が判明次第、その都度、輸入停止措置を、迅速に対応しております。

 これら食の安全、安心の関係につきましては、今御指摘のとおり、やはりリスク管理とあわせてリスクコミュニケーション、消費者の皆さん方にいろいろの情報を伝達するということが大変重要なことでありまして、食品安全委員会のリスク評価とそれに基づきますリスク管理、リスクコミュニケーション、私ども、先ほどの組織改正等々いたしまして、今、万全の体制で、全国的なレベルでいろいろ努力をしておるわけでありまして、これからもその努力を積み重ねてまいりたい、このように考えております。

奥村委員 ぜひ、今申されたように、やはり国民の食というもの、先ほどおっしゃった食育の話も出てきましたけれども、しっかりとしたものを、農業基盤をつくり上げていただくように強く要望しておきたいというように思います。

 時間がありませんので、最後に、文部科学大臣にお伺いをいたしますが、スポーツ振興くじですね。

 実は、このことについては、私は、五年前に反対でした。ということは、青少年に対するいろいろな非行の問題だとかいうことで、当時はコンビニで売るとかどうのこうのということで歯どめをしてあったわけなんですけれども、一千億ぐらい売れるだろうと。これは民間のシンクタンクの調査で、そんなばかな話ないよ、そんな一千億も売れるかというような話をしていたんですよ。

 調べてみましたら、十三年度六百四十三億円ですね。そして、十四年度で三百六十一億円。これは、三月までいかないと十五年度のあれがわからないらしいんですが、見込みでざっと二百億円だとおっしゃっていますね。

 考えてみましたら、本当に、とらぬ皮算用だったんですよ。みんな地方は、都道府県なり市町村は当て込んでいたんです、還元してもらえると思って、助成してもらえると思って。全然だめなんですよ。そして、四七%を当選者に返して、五三%を運営費に全部使っているんですよ。こんなばかげた話ないですよ。今度は二億円にするらしいんですけれども、本当にペテンにかけたような形でやってきて、そして、売り上げがどんどん、思ったより五分の一の結果だ。

 これはやはり、国民の健康から考えたり、私はそういう意味から言っているんですけれども、本当に地域のスポーツをしっかりやったり、競技スポーツ、まあチャンピオンスポーツだけじゃないんですけれども、いろんなことをしっかりやっていかなければ、寝たきり老人ができたり、いろいろな国民の健康の基本が崩れていく。そういうものに対しては、施設が要ったり、広場が要ったり、いろいろなものが要るんですよ。

 そのためには、やはり、競技団体だとか、みんな汗かいて頑張っている指導者やら、そういう人たちのためにも、そういう助成金を期待して、totoのスポーツ振興くじに大いに期待もしておられたんですが、結果、こういう状況ですが、何かいい知恵ありますか。大臣、ちょっとお答えください。

河村国務大臣 御指摘ありましたように、最初のもくろみからいいますと売り上げが十分でない、おっしゃるとおりで、我々も、スポーツ振興の観点から、やはりスポーツ環境をもっと整備したい。

 今の予算編成上の仕組みからいくと、スポーツ予算だけを飛躍的に、三倍も四倍も伸ばすわけにはなかなかいかない制度だ。もちろん、当初予算等々でも我々も頑張るけれども、さらにプラスアルファとしてスポーツ振興のためにぜひそうした資金的なものも要るというようなこともあったし、我々としては、いろいろ御意見がありましたけれども、このスポーツ振興投票法案、成立をいただいて今日に至っております。

 いろいろな御意見がありまして、サッカースポーツくじそのものが何となくわかりにくいとか、そういう話もありますので、もっと手軽にやれるようにしたらどうだというようなこともありまして、最近では、コンビニ等でも売れるようにもいたしまして、今度、サッカー場でも売れるようにしようというようなこと。

 それから当せん金も、大体宝くじ並みだということで最高一億にした。もう宝くじが二億や三億になってまいりましたから、キャリーオーバーした場合にはこれを二億に引き上げていこうと。これは一個百円でございますし、宝くじを買うつもりで、ひとつぜひ広めたいと思ってPRにも努めていきたい、こうも思っております。

 ワールドカップもいよいよ予選が始まりまして関心も高まってまいりましたので、私どもとしては、サッカーには非常に子供さん方も関心を持っておられるので、買うのは大人に買ってもらうんだけれども、親子の中で、どのチームがどうという話し合いをしながら、お父さんにも買ってもらったらどうだというような話もしながら、PRにこれ努めておるわけでございます。

 やはり今の仕組みそのものをもっと知恵を出してやらなきゃいけませんし、スポーツ振興に協力をいただくという意味で、ぜひこのスポーツ投票くじに参加をいただくようにこの上とも御協力もいただきたいと思っておりますが、PRもしっかりしていきたいし、できるだけ皆さんの身近なところで買いやすい形をつくりながら、そして、参加しやすい形をもっとつくるようにもっと知恵を出せ、こうも言っておりまして、さらに研究をしてみたい、こう思っております。

奥村委員 ぜひ、私は、スポーツの振興の意味からこのサッカーくじがいいからどんどんやれと助長しているわけじゃないんですけれども、しっかり当初の目的どおりそういうことをやっていただかないと、期待もありますし、スポーツ振興の意味からもお願いをしておきたい。

 しっかりPRをして、体制を整えて、それぞれの地域、市町村や都道府県に助成をいただけるようにしていただかないと、大きな期待ばかりさせておいてこんなことではもうなくしてしまった方がいいかもわかりませんよということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

笹川委員長 これにて奥村君の質疑は終了いたしました。

 この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。水島広子君。

水島委員 民主党の水島広子でございます。

 このたび民主党の次の内閣の雇用担当大臣というのを拝命いたしまして、本日は、与党の大臣に主に雇用問題についての質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、若年者の就労についてお伺いいたします。

 日本の若年失業率は十年前の二倍となっておりまして、昨年、二〇〇三年には、史上初めて一〇%を超えて一〇・一%という大変な数値になっております。

 若年の失業につきましては、幾つもの特別な配慮が必要であると考えております。長期間仕事をしてきて失業するという人とは異なりまして、仕事をするという生活パターンの経験が全くない、あるいはごく短期間しかないということになってしまいますと、働きながら生活をするという習慣が当たり前のものになりません。

 いかにこの若者が何もしない期間を短くするかということにつきましては、ヨーロッパ諸国の政策を見ましても、かなり力を入れていると考えておりますが、まず、この若者を長期間何もしない状態に置いておかないようにしていくための就労政策につきまして、日本の状況がいかがかを教えていただきたいと思います。

坂口国務大臣 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 若年者の雇用につきましては、これは、過去の日本のよき時代には、企業の方でいろいろの訓練等もやっていただきましたし、そうした中でお願いをしてまいりました。

 しかし、最近の状況はかなり変わってまいりまして、そして、今までの高校卒のところの半分は、これは大学卒でありますとかあるいは高専卒でありますとか、そうしたところに取ってかわられている。そしてもう半分は、パートの方々に取ってかわられている。そうしたことで、特に高校卒の皆さん方の問題が非常に大きな問題になってまいりました。

 そうしたことから、ことしの四月からいわゆるデュアルシステムを導入いたしまして、企業におきます仕事と、そして訓練と申しますか、技能を身につけるということとを並行して行うという制度を導入していくということでございます。そうしたことを行って、できる限り技術を身につけたお若い皆さん方をつくり上げていくということを行いたいと思っております。

 もう一つは、やはり、皆さん方がどこへ行って聞いていいのかわからない、そして、どのように自分たちの進む道をやっていいかわからないというような方がかなり多いことも事実でございますので、それぞれの学校に対しまして、ハローワークの方から出かけていきまして、そして御相談に乗るというようなこともやっておりますし、それから、いわゆるワンストップサービスセンターをつくりまして、各都道府県の中でお若い皆さん方に対応をするといったようなことも、今ようやく始めたところでございます。率直に申しまして、そういうことでございます。

水島委員 日本の若年就労施策というものが極めておくれているということを今大臣から率直に御答弁いただいたわけでございますけれども、そんな中でも遅まきながら始めていただいているということはもちろん評価できますし、また、今大臣は、若者自立・挑戦プランの推進という、その枠に沿った御答弁をくださっていると思いますが、この施策、自発的に職を求める若者については、私も方向性が間違ったものだとは思っておりません。

 でも、そもそも働く習慣もなければ情報もない若者については、やはり積極的に働きかけていく誘導政策が必要だと考えております。

 ヨーロッパ諸国の例を御紹介いたしますと、大臣も御承知だとは思いますけれども、例えば北欧諸国の若年保障政策は、失業登録を行い、失業保険または社会扶助を請求している人と、学校を中退して進学も就業もしていない人全員に対して発動し、教育訓練や就業支援を行うものです。

 私も昨年の夏にデンマークに行って聞いてまいりましたけれども、デンマークでは、一九九四年以降に推進された労働市場改革により雇用情勢は著しく改善しておりまして、特に一九九五年以降、若年の失業率と全体の失業率が逆転して、若年者の失業率の方が低くなっております。

 この労働市場改革では、ウエルフェアからワークフェアへの転換が推進されまして、失業者の職業教育訓練への参加は権利かつ義務とされて、一定期間内に失業者は職業教育訓練を受けなければ失業保険を受けられないこととなっております。この期間はたびたび短縮されてきておりまして、一九九八年には二十五歳以上の失業者については失業後一年に、二十五歳未満の若年失業者は失業後六カ月ということになっております。六カ月たっても仕事が見つからない人に対しては、失業保険の半額の手当つき教育訓練を受けさせるということになっております。

 フィンランドでは、一九九六年に十代の若者に対する失業扶助を廃止しまして、一九九八年には、職業資格を持たない二十五歳未満の若年に対しても、政府の雇用事業や職業訓練に参加しない限り同様の措置をとることといたしました。

 スウェーデンでは、一九九七年に自治体若年責任法を制定しまして、若年の失業が九十日になる前に地方自治体が訓練か雇用機会を提供するものといたしまして、さらに自治体には、若年がこれに参加しなかった場合、扶助を減額または廃止するという権限が与えられているわけでございます。

 EUとしましても、一九九七年に雇用政策のガイドラインを決定し、その中で加盟国政府に対して、若年の場合には失業期間が六カ月になる前に何らかの支援を行うことを求めているわけです。

 このEU以外でも、オーストラリアやニュージーランド、ノルウェーなども六カ月で発動するプログラムを持っておりまして、この六カ月という期間を見ましても、若年を六カ月以上教育も受けない、仕事もしないという状態に置かないということに関して各国がかなり熱を入れているということを御理解いただけると思います。

 改めて質問させていただきますけれども、もちろん日本の若年就労政策というのはかなりおくれているわけでございますので、ようやく、希望する若者の行き先をつくっていこうということを、今取り組みを始めてくださっているわけですけれども、今後の政策の方向といたしまして、このように本当に右も左もわからない、そもそも働く習慣というものが自分の体の中に、自分のものとなっていないような若者に対して、きちんと社会全体で軌道に乗せていくような、そのような誘導政策が必要だというふうに大臣、思われますでしょうか。また、そちらの方向に今後進んでいっていただけますでしょうか。

坂口国務大臣 もちろん、先ほど申し上げましたのは、ある程度これは意思を持っている皆さん方を中心にしてでございますが、しかし中には、ある程度意思は持っていてもどうしていいかもわからないという方もございますので、その人はその人として手を差し伸べなければならないというふうに思っております。

 問題は、今も御指摘ありましたように、なかなか働く意思を完璧に持てないという人たちに対して一体どうしていくかということでございまして、この分野は文部科学省とタイアップをしまして高校時代から、中学校で卒業する方も中にはありますけれども数としては非常に少ない、高校を卒業なすった皆さん方以上が中心でございますので、いわゆる高校教育の中でいかにして職業教育というものを取り入れていただくか、また、職業に対する考え方をきちんと身につけていただくようにするか。それから、できるだけ夏休みでございますとかそうしたところを利用して、企業訪問、あるいはまた企業で働いていただくということを一度やっていただいて、そしてだんだんと働くということに対する意欲を身につけていただくような方向に持っていくということが一つは大事だというふうに思っております。

 卒業なすってどこへも就職をせずにという方がおみえになることも事実でございまして、その皆さん方も一緒にそうした方向でやっていかなければならないというふうに思いますが、卒業されますともうここは学校との関係が一応切れてしまいますので、そこをどこがどう行うかということが大事でございまして、今のところはハローワークを中心にしてやっておりますけれども、それで十分足りるのかどうかという問題はございます。

 今まで全体に回しておりました人を若者のところにシフトをいたしまして、そしてハローワークの中でも若者に対するところを大体五百人ぐらい確保いたしておりますし、そしてまた、高校生専門に当たる人を百人ほど予定いたしておりまして、そうした人をコンバートしながら、特に雇用の悪い地域、例えば北海道でありますとか、近畿でありますとか、あるいはまた沖縄でありますとか、そうしたところを中心にその人たちを重点的に配分をしていくといったようなことも今やっているところでございます。

水島委員 今大臣がお答えくださったことはそれとしては結構なことだと思いますけれども、肝心の、若者一人に着目をして、その若者が本当に長期間何もできない、何もしないでいるような状態を余り長くつくってしまうと、本当に本来の仕事をするという生活に入りにくくなるという、そのような観点からの御答弁がいただけなかったのは残念なんですけれども、ちょっと日本の社会、社会扶助という仕組みもございませんし、その制度を今大臣が一言でお答えになれないのだろう、そのようにそんたくをいたしまして、ただ、ちょっと今後の質問の中で、またそれに関した御答弁をいただきたいと思っております。

 今大臣も、卒業しても何もしない若者がいるというような、そのことを既に御答弁の中で触れてくださっているわけでございますけれども、まずこれは坂口大臣とまた河村大臣、それぞれにお伺いしたいんですけれども、イギリスでニートと呼ばれている存在を御存じでいらっしゃいますでしょうか。

河村国務大臣 私、寡聞にしてニートという言葉は初めて聞いたんですが、ノット・イン・エデュケーション・エンプロイメント・オア・トレーニングということでありますから、まさにイギリスを初め欧州ではこういう問題が、若年者の就業問題が重要になってきて、この問題が取り上げられているということだと思います。

 日本においても、これからこの問題は、当然いろいろな若者の、いかに職につかせるかというのは大きな問題だと私も思っておりまして、私は、イギリスでは、この話、事前にニートという言葉を聞いたときに、初めて聞いたんですけれども、イギリスは特にまた日本と違って、約一割ぐらいの、字が読めない、書けない人がまだいるという現状もありまして、これはG8の教育大臣会議でイギリスの大臣が、これも我が国の重要課題です、こうおっしゃっておりましたから、そういう背景も私は多分にあるのではないかと思います。

 しかし、現実に今この問題から敷衍して考えてみるに、日本もこの問題を考えなきゃいけないときが来ている、こう思っています。

坂口国務大臣 申しわけありません。私は、きょうそういう御質問があるということを聞くまで知りませんでした。よく勉強いたします。

水島委員 私もつい最近まで知りませんでしたので、両大臣が質問通告をするまで御存じなかったとしても、それを責めるつもりは全くございませんけれども、河村大臣から御説明をいただきましたように、ニートというのは、ノット・イン・エデュケーション・エンプロイメント・オア・トレーニングの頭文字をとったもので、教育も受けていない、雇用もされていない、職業訓練も受けていないという若者のことを意味している言葉でございます。

 ニートは、教育や就職を通じて自分の未来を開く道が閉ざされ、結果的に、薬物や犯罪に手を染めたり、ホームレスにもなりやすい、また、将来は長期にわたって生活保護を受けるしかないということにもなり得る存在として、イギリスではここのところ対策が講じられていると聞いております。

 日本でも、先ほど河村大臣は、イギリスには一割、字が読めない、書けない人がいるから、それとニートと関係あるんじゃないかとおっしゃったわけですけれども、日本にとっても実はこのニートというのはかなり大きな存在になりつつあります。

 日本では、失業者にもならない、フリーターにもならないという若者がふえておりまして、二〇〇二年のデータでは、十五歳以上二十五歳未満の若年者のうち、就労していない、就職活動もしていない、就労の見込みもない、進学を希望して浪人をしているわけでもないという人が約三十万人いるという事実が指摘されております。この数は、一九九八年の時点では十万人程度にとどまっていると計算されまして、たった五年の間に、進学にも就業にも希望を失った若者が三倍にふえているということを意味しているわけです。

 働こうとする意思もなく、進学しようとする意思もない、そんな人々が、十五歳から三十四歳の若者に約二百五十万人存在しております。その数は、同じ年齢の働く意欲のある失業者百六十八万人を大きく上回っているものです。二〇〇三年の労働経済白書によりますと、同年齢のフリーター人口は二百九万人と試算されますけれども、働くことを放棄した若者の数はフリーターとして働く人よりも多いということになるわけです。

 こういったことは今まで余り注目されてきていなかったと思いますけれども、またこれは両大臣にお伺いいたしますが、なぜニートがふえていると考えられますでしょうか。

坂口国務大臣 言葉も知らなかったぐらいですから、余り大きなことを言うつもりはございませんけれども、しかし、就職しようという気持ちも持たない、学校に行く気持ちも持たない、自分が将来どういうふうになっていくかということに余りはっきりとした方針を持たないということなんだろうというふうに思っておりますが、それはやはり一つは、バブル前後かなり満ち足りた生活が続いたということも、私は一つ影響しているのではないかという気がいたします。

 しかし、それだけではなくて、やはり、自分がどういう生涯を送っていきたいというふうに思っているかという、少し長期的な、あるいはまた複眼的な見方をするということではなくて、そのときそのときだけを考えて生きていくという感じが強くなってきている、そういう人がふえたということではないかというふうに思いますけれども、それがなぜそういうふうに今なってきているのかということの原因分析まで、私もできているわけではございません。

河村国務大臣 これは、確かにゆゆしい問題だと思います。

 今、少子化の問題も言われておりますが、そういう人たちはまた、結婚の意欲もなくすことになるわけでありますから、こういう観点からも総合的な対策が必要だと考えますが、最近の子供たちは、外に出ていくことといいますか、人と人とのつき合い方がうまくない、人間関係がうまくない。そうすると、そういうことがおっくうになってしまう。そういう傾向が見られるという指摘が学者の間にもございますし、それから、家庭の、昔から、親の背中を見て子供は育つ、こう言ってきましたが、そういう家庭の中での父親、母親に対する尊敬の念といいますか、そういうもので、ああいうふうにすれば人生が楽しいものだというようなイメージが、どうもわいてこないというような指摘もございます。

 そういう意味で、やはりそういうことに出会うチャンスを多くつくってやる、そういうことがこれから必要だろうと思いますし、本を読ませるとか、いろいろな小さいときから習慣をつけていくと、そういうところに何かそういう出会いを、感動するような出会いがどこかにあれば、そういうことがきっかけになると思いますが、そういうことが希薄になっておりますから、これはやはり大人社会も一体となってこういう問題を真剣に考えていかないと解決策は見つからないんではないか、このように思います。もちろん、教育においてもしかりでございます。

水島委員 今、それぞれの大臣から御答弁をいただきまして、多分ニートの実態に対する理解とちょっとずれているんじゃないかなというような感想を持って今伺っていたんです。そういう側面が全くないと言うつもりはございませんけれども、本当にニートという人たちが、働く必要がないから働いていないのか、就労の意欲もないのか、また、今、河村大臣がおっしゃったように、何か目標となるような人物に出会っていないから、将来に希望を持てないから絶望してしまっているのかというと、そういう問題ではないのではないかというふうに思います。

 それを裏づける点といたしまして、例えば、失業者と比べたときのニートの最大の特徴は、その閉ざされた人間関係にあると言われておりまして、厚生労働省の二〇〇三年の委託研究でございます若年者のキャリア支援にかかわる調査研究からの分析によりますと、家族であれ友人であれ、ふだん交友関係がある人はいないと答えたのは、失業者では五%だったけれども、ニートでは二六%だったということです。また、悩みがあったり困ったことがあったときに相談する人がいないと答えているのは、失業者では一六%であるのに対し、ニートでは四六%に達しているということです。

 つまり、ふだん家族も含めて交友関係がある人、二六%の人がいないと答えている、そして、相談する相手がいないというのを、約半分の人がそう答えているというのがニートの閉ざされた人間関係の特徴であるということでございます。そして、同年代の人と比べて自分は協調性や積極性、コミュニケーション能力が劣っているとニートの二人に一人は感じているということで、社会の中における自分に対する劣等感というものをかなり強く感じているグループであるということを御理解いただけると思います。

 ですから、物が満たされていて必要がないから働かないとか、何か自分が働いていく目標となる人物が見えないから働かないとか、そういう次元の話ではなくて、私は、ニートの問題というのは単なる雇用問題というふうには考えていないわけです。やはりこれはもう今の日本の若者、また子供たち全般に共通する現象として考えていただいてよいと思いますし、河村大臣、多少そのような見解を持ってくださっているわけですけれども、今の日本では人間関係が極めて乏しい人がふえていることは事実であって、また、一見、友達が多いようであっても、実は本当に心が許せる友達がいないという人も少なくないわけでございます。

 何でこういうことになってしまっているのか、また、教育現場ではどのような取り組みがそれに対して有効だと思って取り組まれているのかを、これは河村大臣にお伺いいたします。

河村国務大臣 これ、本当に、ニートになってしまうといいますか、そういう状況をどうやって防ぐかということだろうと思いますが、やはり教育の段階におきましては、小さいときから、働くことの大切さとか、あるいはまさに額に汗して働くことの大切さ、勤労観、職業観、そういうものをその年代に応じて植えつけていかなきゃいかぬと思います。

 そのためにはやはり、もう小学校高学年ぐらいになれば、学習の中で、ただ机上だけじゃなくて、実際のお父さん、お母さんが働いているような現場を見せてやるとか、それから実際の体験をさせていくとか、今、各県においてはそういう取り組みがもう始まっておりまして、中学校段階では積極的に子供たちを現場へ出していく。そうすると、不登校だった子供たちも、そういうところなら出ていくというような効果もあらわれているようでありますが、そういうやはり体験を持たせてやりませんと、どうしてもそういう人たちは、どっちかというと人間が引っ込み思案で消極的な人ですから、だんだん孤独の方へ入ってしまう。

 今、日本の教育では、例えば一つの項目に対して反対、賛成のディベートなんかも最近取り入れるようになりましたが、活発に意見交換をしてやる、場合によってはそのために打ち負かされる、悔しい思いをする、そういうような体験をもっともっと持たせていく必要がこれからあるんじゃないかと思いますね。そういうことによって人間関係をつくらせるように、コミュニケーションをうまくつくらせるように子供たちを誘導してやる、そういう教育が私はこういうものの中には必要だと思います。

 もちろん、就業者のためには、今、それぞれ役所の、関係省庁集まりまして、若者自立・挑戦プランなんというのをつくっていますが、もうある程度人間ができ上がった時点でこれをやっても、ニートの人たちはこれに乗ってこないでしょうから、その以前の問題として今御指摘あったと思いますので、そういうことを考えながら教育プログラムをつくっていくという必要が、これから非常に重要になってきておるというふうに思います。

水島委員 ぜひそういう取り組みはかなり積極的に進めていただきたいと思っておりますし、また、もちろんこれは、子供本人の問題ではなくて、当然子供は大人社会の中で育っているわけですから、今の家庭がかなり閉鎖的な環境にあるという問題であるとか、また、家庭において、後で少しまた質問させていただきたいと思いますけれども、先ほど河村大臣は、親の背中を見ていないというような、親への尊敬の念というようなことをおっしゃいましたけれども、尊敬の念を持とうにも、背中を見ようにも、親が忙しくて家にいない、そういう家庭も多いわけでございますので、そういったかなり総合的な問題であるということをぜひ教育現場でも認識していただきたいと思っております。

 また、今、他者とコミュニケーションする、いろいろな意見を闘わせていくというようなことも取り上げてくださったわけですけれども、やはり自分と異なる意見を持っている他者をどうやって尊重していくかというような方法をほとんど教えられていない。ただ、これは教育現場の問題であると同時に、私は、最近の国会のあり方、非常に憂いを持って見ているわけでございますけれども、国会において、本当に違う意見がきちんと話し合われて、そして、その結果こういう意見ができたというような形跡が見えるような努力が極めて少ないのではないか。特にここのところの小泉首相の答弁ぶりなどを見ておりますと、あれが本当に両方向のコミュニケーションなのかということを、強い疑念を持っておりますので、ぜひ、国会議員の皆様には、子供たちにちゃんとそのようなコミュニケーションの見本となるような答弁を心がけていただきたいと思っております。

 本当に、相手を論破することが大切なのではなくて、そこから共生の道を探っていくということが大切なわけでございますので、ぜひこれは、坂口大臣、河村大臣、そして今、谷垣大臣もいらしておりますけれども、くれぐれも総理大臣の方に厳しくお伝えいただきたいと思っております。

 さて、このニートの問題なんですけれども、そのように教育現場から始まる問題でございますので、ぜひ、単なる雇用問題としてとらえるのではなくアプローチをしていただきたいと思っておりますけれども、そのような背景を踏まえて、そもそもニートへのアプローチをどのようにしていくかということについて、両大臣の御意見を伺いたいと思います。

 ちなみに、イギリスでは、若者向けニューディール政策がニートを置き去りにしてしまったという批判のもと、若年者就労支援の新しい枠組みであるコネクションサービスというものを本格的にスタートさせておりまして、このサービスは、これまで若者関連の政策にかかわっていた省庁や機関だけでなく、民間組織やNPOなども取り込みまして、十三歳から十九歳の若者に必要な支援、つまり就職支援や自立支援などを一つに統合したのが特徴であります。また、利用者である若者の声をもとに作成された新しいサービスで、大きな期待が寄せられているということでございます。

 このような先進国の例も踏まえまして、ニートへのアプローチをどうしていくか、特に、地域におけるネットワークづくり、NPOなどとの連携、また当事者の声をどのようにそこにくみ上げていくかというような点につきまして、坂口大臣、河村大臣、双方から御答弁をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 先ほどからお話を聞いていまして、だれと話をしていいかもわからない、あるいは話をしようとも思わない、そういう人たちが出てきた、その人たちの姿というものは、それは原因というよりも一つの結果ではないかという気がして、お聞きをしていたわけでございます。そういうお子さん方を何がどう生み出してきたかということではないかというふうに思っております。

 背中を見ようにもお父さんがいないというお話もありましたけれども、それほど忙しいお父さんがいるということをなぜ感じないかというところにも私は問題があるというふうに思っております。これは若干年齢差かもしれませんけれども、私はそんなふうに思うわけでありまして、そういう感動するという、先ほど河村大臣が感動という言葉を使われ、私もそこは同感でございまして、やはり物事に感動するということがなくなってきている。そこを一体どうするのか。

 私は先ほど単眼、複眼という言葉を使いましたけれども、もう少しやはりやる意欲のある子をどうつくり出すかということを、それは雇用もかかわってくることでございまして、できるだけいろいろの人が働いている現場を見てもらう、そして、そこで自分が少しでも仕事をやってみる。そうしたことによって、だんだんと働くことへの意欲が出てくるということもあるわけでございますから、できる限りそういうお子さん方には、企業なんかで、たとえ一時間ずつでも仕事に携わっていただく、あるいはまた見学をしていただくというような機会をふやしていくということが、まず手始めとしては大事ではないかという気がいたします。

河村国務大臣 確かに、時代の大きな変革といいますか、我々の子供のころと比べて、今の時代、そういう状態でも何とか生きていけるというか、親が働いていれば何とかなるというような状況が現実にあるわけでして、その中へやはり埋没して、親の方も、とにかく働かなきゃとてもやっていけないよと言って、自分が先頭に立ってやっている姿というのを子供がいつの間にか感じてしまうという機会が非常に少なくなった。

 さっきもいろいろなお話がございましたが、そういう大きな時代の変遷の中でどうするかということでございますから、これは一番、学校教育段階でもそういうことをきちっと考えていくということで、今いろいろな政策は持っておるわけです。特に、キャリア教育総合計画ということでありまして、具体的に予算も八十億ぐらい持ちまして、小中学生、高校生の段階の新キャリア教育プラン、あるいは大学生、専門学生のキャリア高度化プラン、さらにフリーターに対しても、そういう方々を専修学校などへ引っ張り込んで、知識を得させるとか訓練をさせるとか、こういうことを持っております。

 もちろんハローワークとの連携。さっきもお話がありましたように、特にそういう方々というのは、中途退学、中途で学校をやめていくとか、そういう人が非常にその中に含まれておると思うんですね。そういう人たちは学校に行けばそういう情報が得られるということを教えてやらにゃいかぬと思うのであります。そこへ行けばちゃんとハローワークを紹介してくれるとか、現実にそこへも行かないということになると、これはもうまた次元が違ってきますけれども、そういう人たちをできるだけそういう機会に会わせてやる、これが今、当面具体的にいわゆる行政としてとり得ることでございます。

 そういうことを具体的にやりながら、同時に教育段階で、道徳の時間それから総合学習の時間、そういうときに、いわゆる働くこと、汗を流して働くことの大事さ、そういうこと。それから、地域の皆さんにも協力していただいて、教育現場に来ていただいていろいろなお話をしていただく、そういうようなこと。それから、まさに体験を話していただく、そのようなこと。それから、さっきも一回申し上げましたが、現実にその職業の現場に行く。また、そこへインターンシップで預かってもらって、実際に汗水垂らして仕事をやってもらって、学校現場へ返してくる。その職場体験というのは、実はもう義務教育段階でも、中学校においては全体の八割の学校、平成十四年度では、一万三百三十五の公立中学校のうち八千九百七十六校、八六・九%の学校はそういう職場体験も実施をいたしております。

 そういうことで、現行の教育制度の中でやれることは、今そういうことで進めておるわけでございます。いわゆるデュアルシステムと言われますが、実務と教育、これをきちっと連携させる、こういうこともやっておるわけであります。

 しかし、それでもなお、今現実にこれだけの人たちがおるということをやはり直視しなければならぬと思いまして、そのもとになる心の問題といいますか、そういうことも踏まえて対応していかなきゃならぬという今御指摘がございましたので、それは当然受けとめさせていただかなきゃならぬということだと思いますが、現状は、やはり目的を持たせて職業へつかせる、職業的自立といいますか、そういうものを進めるようにいろいろな施策をもってそこの中に組み込んでいく、今そういう努力をいたしておるところであります。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

水島委員 坂口大臣の御答弁については、ちょっと後ほどまたコメントをさせていただきたいと思うんですが、今の河村大臣の御答弁の中で幾つか確認をさせていただき、また約束をしていただきたいことがございますので、お願いしたいと思います。

 先ほど、学校を中退したような子供たちに関して、学校に行けばハローワークを紹介してもらえるというような仕組みだというような御答弁をくださいましたけれども、確かに、中卒でその後進学を断念した子であるとか、また高校中退者の多くは、結局失業者として公的に登録すらされずに非労働力ということになっているわけでございますけれども、この高校中退者あるいは中卒後進学を断念してそのまま学校に行っていないという子、こういった子たちに対しては、教育行政と労働行政のエアポケットに落ち込んでいるような状態になっていて、今本当に無策というような状況が続いてきていると思います。

 従来の日本のシステムというのは、学校と労働市場が卒業という時点でつながっているわけですから、中退者あるいは進学断念者というのはどの機関も今までフォローできてこなかったんだと思いますけれども、その中でやはり私は学校の役割というのが大きいと思っております。

 今大臣がおっしゃったように、やはり自分がやめた学校あるいは卒業した学校ぐらいしかその子にとっては相談先というのが思い当たらないわけでございますから、学校に相談に行けば確実に有効な就労支援をしてもらえる、また職業訓練を紹介してもらえる、そのような仕組みを絶対につくる必要があると思っております。

 これが結局、学校を中心とした地域のネットワークということにもなっていって、ニートへの対策にもなっていくんだと思いますけれども、このように、学校に行けば、中退者であっても、またどれほど学校ともめごとを起こしてやめた子であっても、必ずそこの学校で相談に乗って責任のある対応をしてもらえるというような体制を整備していただけると約束していただけますでしょうか。

河村国務大臣 今の御指摘、私、非常に大事なことだと思います。どんなもめごとを起こしてもとおっしゃいましたが、やはり学校というところはそういうところでなければいけないと思いますね。

 だから、今もそういう通達もしておるわけでありますが、特に、「高等学校中途退学問題への対応について」ということで、文部省の初中局長名で、きちっとした対応をしなさいということ。特に、進路指導の充実を図って、そういう方々が相談に来てもきちっと対応できるように窓口をきちっとあけておくように、それから、少なくとも一年間は、ハローワークとの連携で、中途退学した人たちに対しては一年間は定期連絡をやるとか、そういうことを今実施いたしておりますが、今御指摘のあった点は、さらに仕組みの中にきちっと入るようにしていきたいと思います。

水島委員 ありがとうございます。ぜひお願いいたします。

 その際に、やはり若者の場合、一カ所の職業になかなか居つかないというところもありますので、一回就職したからもう後は自分でやりなさいということではなく、本当に安定して仕事ができるようになるまで、そういう子供たちが自分がかかわった学校に相談に行って温かく受け入れられるような仕組みをきちんと整備していただきたいと思いますけれども、よろしければ、その場でうなずいていただくだけでも結構でございますが。――今、大臣のうなずきが見えましたので、ちょっと時間が限られておりましたので、約束をしていただけたということで、先に行かせていただきたいと思います。

 そして、本当にこの問題は、実はニートの問題のかなり根幹の部分にもなりまして、学校を卒業もしくは中退した直後から就職も勉強もせずに何もしていなかったというような割合は、失業者では七%にすぎませんけれども、ニートでは、学校をやめた直後から既にニートになっていたという人が四一%もいるということでございます。また、自分の就労経験や学習経験のなさが劣等感につながっているというのは、ニートの七割に達しているということでございます。

 やはりそうやって経験することで自信がついていくということもございますから、ぜひこの点の対応はよろしくお願いしたいと思います。

 また、先ほど、学校の中での職場体験、これは大変実際に意義があることだというふうに現場からも聞いておりますし、実際にそれを利用した子供たちからもよい評判があるようでございますのでぜひ拡充していただきたいと思っておりますが、義務教育の段階で、先ほどから大臣は、働くことの意義ということを教えるということは答弁してくださっているんですけれども、働くことの意義と同時に、やはり労働者の権利というものももっときちんとした形で教えていくべきだと思っております。

 例えば、労働基準法という法律があって、労働時間は週四十時間と決められていて、年次有給休暇も半年したら二十日間あるとか、理由なく解雇させられることがあったら労働基準監督署に相談すると監督官が相談に乗ってくれるとか、雇用機会均等法があって、男性と労働条件で差別してはいけないことになっているとか、セクハラが禁じられているとか、差別されたりセクハラを受けたら雇用均等室に相談すればよいとか、そのような情報を義務教育の段階できちんと持たせていただきたいと思っております。

 私は学校ではこういうことは一切習いませんでしたけれども、とにかく、これをこういう義務教育の段階で学んでいくことによって、自分がその後いろいろなトラブルに遭遇したときにまた対応していくこともできますので、こういう現実的な知識が身につくように指導していただけますでしょうか。これも約束をしていただきたいところです。

河村国務大臣 これは、うなずくだけじゃなくて、はっきり明言をさせていただかなきゃならぬと思います。

 義務教育段階は、年代に応じた教え方があると思います。そういうことの大事さというのは学習指導要領の中にも、小学校段階、中学校段階、指摘してございますけれども、きちっと対応したいと思います。

水島委員 ぜひその点もよろしくお願いいたします。

 さて、次に、坂口大臣への質問に今度また戻らせていただきますけれども、先ほど大臣は、ニートについての質問をさせていただきましたときに、忙しいお父さんがいるということをなぜ感じないのかということが問題だと。これは坂口大臣と私との年齢差もあるのではないか。また、物事に感動することがなくなってきているとか、いかに意欲を持たせるかとか、そういうことをおっしゃっているわけですけれども、やはりこの年齢差というのは重要なことでございまして、年齢差が重要だというのは、感性の違いということで重要なのではなくて、社会環境がかなり違ってきているということで重要だと思います。

 昔は、やはり地域に自分の身近な大人がたくさんいましたので、親が多少忙しくて、なかなか家では親とかかわる時間がなくても、地域のほかの大人たち、近所の人であったり駄菓子屋のおばさんであったり、だれでもいいんですけれども、親がかかわれない部分を地域の大人がかかわってくれていた。だから、トータルとしては、子供はかなりバランスのとれた自尊心というものを育てていくことができたのではないかと思っております。

 つまり、家では余り親とコミュニケーションできなくても、地域のどこかに、自分を褒めてくれるにしろ、しかってくれるにしろ、何かしら自分を見詰めてくれている人がいるということは子供にとってかなり大きな体験になりますので、そのような地域の状況、転勤族もふえてきまして、身近な親戚すら身近なところにいないという子供も多くなっておりますし、そのような中で、また、少子化で子供の親世代も兄弟が少ないということですから、そもそも親戚の大人の数も少なくなっていたりと、いろいろなことがありまして、恐らく、坂口大臣が幼少期を過ごされたころと今の子供たち、今の子供たちの方がそういった意味では危機的な状況で育っているのではないかと思っております。

 ですから、お父さんが忙しいということは、昔はほかの大人がそれを干渉してくれたかもしれないけれども、今は本当に大人と会う機会がないということになってくる、大人とコミュニケーションできる機会がないということにそのままつながってくるということですし、そうやって自尊心をきちんと育ててもらえないと、感動しようにも意欲を持とうにも、そういうことができない。

 これは坂口大臣も、虐待問題の所管の大臣として、虐待をされて自尊心が傷ついた子供たちがどうなっていくかというようなところから、十分御存じのことだと思っております。

 ですから、今は、このような中でまた地域をきちんと今の時代に合った形につくり直していくということはもちろん重要なことでございますし、そのためにも、私はここで、やはりワーク・ライフ・バランスというものを特に取り上げさせていただきたいと思います。

 これは直訳すると仕事と私生活の両立ということになると思いますけれども、実は、このワーク・ライフ・バランスと言われるものは、私は、社会のほとんどあらゆる問題とかかわっているのではないかと思っております。これは、働く個人の心身の健康というのはもちろんでございますけれども、家庭や地域でのさまざまな問題とつながっていると思います。

 これは家庭においてということでしたらわかりやすいですけれども、今地域をつくり直していくというようなことを申し上げましたときには、自分の子供だけではなく、よその子供にもある程度余裕を持って目を向けていけるような、そんな気持ちを持っていかなければいけないわけですから、仕事と私生活のバランスというものがうまくとれていないと、今のようにもう本当に仕事だけになってしまって、地域にだれが住んでいるかわからない、家では疲れ果てて寝ている、そんな状態では、とてもよそ様のお子さんまで面倒を見ていられないという方が多いのではないかと思っております。

 このワーク・ライフ・バランスというのは、働く女性の待遇を改善するだけでは決して解決しない問題です。女性についても男性についても、全従業員のワーク・ライフ・バランスを考えていくということは重要でございまして、先進的な取り組みをしているアメリカでは、この考え方を取り入れ、真剣に取り組んだ企業はむしろ業績が上がっているという統計も出ているそうです。つまり、私生活が充実している人は仕事の効率もよいということなのだと思います。

 日本においても仕事と家庭の両立のための施策はございますけれども、これは今ほとんど育児休業、介護休業といった、子育て支援、介護支援といった領域に限局されております。

 子供が小さなころの育児においてですとか、また介護中のワーク・ライフ・バランスの重要性というのはもちろん政府もわかっているんだと思いますけれども、私がここで申し上げたいのは、ワーク・ライフ・バランスが必要なのは何も小さな子供の育児中や介護中の人だけではなく、もっと全体的に必要なことなのではないか。特にこのような今の地域の状況などを考えますとそのように思いますけれども、坂口大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

坂口国務大臣 ワーク・ライフ・バランスというのもなかなか難しい言葉だというふうに思いますし、私の頭の中でも概念ができ上がっているわけではございません。

 しかし、現在行われておりますのは、御指摘のとおり、一家庭を単位として、その中で労働というものと子育てというものとをどういうふうにしていくかといったことを中心にしてやられている非常に限られた範囲の話でございまして、いわゆる地域でありますとか社会全体をにらんで、お互いがどう生きていくかという全体のバランスを考えているわけではないというふうに思っております。今まではそれが自然の中で発生してきておりましたから、それにゆだねてきたということだろうというふうに思いますけれども、最近は、いわゆる隣は何をする人ぞということになってしまって、全体としてのバランスが欠けてきている。

 そうした中で、最近のNHKのテレビ等を拝見いたしましてもいろいろの、公害の問題でございますとか、あるいはまたさまざまな取り組みをしておみえになる姿がございまして、ごみの処理の問題でございますとか、あるいはまた自衛の問題、自衛といいますのは、その地域の安全をどう守るかといったような問題をお互いにおやりになっているといったような姿が出てきておりますから、新しい動きではないかというふうに思っております。

 さて、それは国としてどこまで手を差し伸べるべき問題なのか、みずからがそれはおやりをいただかなければならない問題なのか。そこは、国だとか県だとかというのが余り手を差し伸べ過ぎて、そしてその人たちの自主的な動きというものを拘束するようなことになってしまってもいけない。みずからがおやりをいただくことに対して、どうそれをバックアップしていくかということを考えていかなきゃいけないのではないかというふうに思います。

水島委員 ちょっと答弁がずれたような感じもいたしますけれども。

 そもそも、地域において何をやっていくかというようなことを考える以前の問題として、やはり働き方、その中で、働くという時間を自分の生活の中でどのような形で位置づけていくかというような、これは時間的な位置づけでもあり、質的な位置づけでもあると思います。

 そこで、これは私はかなり大きく労働政策ではないかと思っているわけですので、これはまたぜひ今後、厚生労働委員会の中などでも坂口大臣にさらに御研究をいただきたいと思っているところですけれども、このワーク・ライフ・バランスというものを中心に施策を早急に組み立てていかないと日本はつぶれるのではないかというくらいに私は実は深刻にとらえております。

 地域の問題、子育ての問題、そういったことを考えましても、一人一人のワーク・ライフ・バランスをとっていかなければ、ほかの人に対してもっと高いモラルを持っていくということもできないと思います。精神論を振りかざす方は多いですけれども、これはやはり、基本的にどういう生活をしているかというところから精神性というのは出てくるものがございますので、ぜひ御検討をいただきたいと思っております。

 このワーク・ライフ・バランスを考えていく上でもやはり重要なのは、一つはワークシェアリングということだと思います。

 近年、日本の雇用の流動化は激しいものがございまして、今のところ、企業は、主に人件費抑制のために、パートや派遣、請負など非正規雇用と言われる方たちを採用しているわけです。多様な働き方があることそのものは否定しませんし、それが個々人のワーク・ライフ・バランスにつながっていくのであれば大変結構なことだと思いますけれども、現時点での日本の雇用の流動化には、大きく二つの問題があると思っております。

 一つは、労働力の質的向上という問題です。

 正社員が中心だったかつての労働者は、その教育訓練を主に企業が担っていたわけですけれども、雇用が流動化してくる中では、労働者の教育訓練の主体は一企業から社会に移ってくるべきでございます。そういう政策の柱を立てないと、人件費の抑制ばかりに目が行ってしまって、日本の労働力を育てていくということにはならないわけです。デンマークでは、国民の四割が常時何らかの教育訓練を受けているということでございますけれども、日本も労働者を育てていくという視点をしっかりと持っていかなければ、当然国際競争にも勝てないのではないか、そのような考えを持っております。

 この雇用の流動化を受けて、今まで一企業任せにしていたこのような教育訓練、これを政策として重要な領域として位置づけていくということを大臣はお考えになっておられますでしょうか。

坂口国務大臣 そこは御指摘のとおりと私も実は思っております。今までは企業の中で全部おやりをいただいていたわけですけれども、今はそれができなくなってきた。そのできなくなってまいりました部分は、国全体と申しますか、公的な機関でそこはバックアップをしていかなければならないというふうに思います。

 そのバックアップをしていきますときに、どういうところでそれをバックアップするか。もちろん、公的な機関もございますから、公的な機関の中でバックアップをしていくということもございますし、それだけでは恐らく足らないんでしょう。したがいまして、民間のさまざまな企業がございますから、そこを利用していただいて、それに対してどう支援をしていくかという二つの側面があるというふうに思いますが、国の方がそこはしっかり、今まで以上にやはりやらなきゃならない問題であるという意識は十分に持っておりますし、これからも進めていきたいと思っております。

水島委員 それはぜひお願いしたいと思いますし、また追って、どんな状況か、お聞かせいただきたいと思っております。

 また、もう一つの問題は、やはり均等待遇の実現ということでございます。

 雇用の流動化が多様な働き方として評価されるようになるためには、均等待遇の実現がかぎとなると思います。私たち民主党では、パート労働者の均等待遇を確保するための法案を今国会に提出するつもりでございますけれども、均等待遇が実現すると、本質的なワークシェアリングも進み、結果としてそれぞれのワーク・ライフ・バランスも改善していくということ、これは大臣も御理解いただけると思います。

 政府の方では、まだまだ法案化には追いついていないという現状であるようですけれども、今後、雇用労働政策を均等待遇を基盤とした多様なあり方に抜本的に転換していくというような覚悟を大臣はお持ちなのかどうかということをお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 国の方も、パート労働法の指針を見直しまして、そして、できる限り今御指摘のような状況に近づけるように努力をしているところでございます。これは、やはり労使の皆さん方に御理解をいただいて前に進まなければいけない問題でございますので、積極的にその協議も重ねているところでございます。

 そして、そうしたお話し合いを進めていきます中で、例えばパート労働の皆さんの中にも、いわゆる本当に、本当にパートと言うと言葉は悪いですけれども、働く場所は私はここでしかだめです、私は何時から何時までです、主として私はみんなのまとめだとかそういう役職にはつきませんというような方と、皆のまとめもやります、あるいは近所だったら違うところへも行きますというような方とは、若干そこは振り分けをしてやっているということでございます。

水島委員 もちろん、そんなことを均等待遇と呼んでいるわけではございませんので、大臣も百も御承知だと思います。私たち、今国会に法案提出予定でございますので、ぜひ、そのときには与党の皆様にも積極的に御賛成をいただいて、真摯な御議論をいただけますように、あらかじめお願いを申し上げておきます。

 最後に、残された時間は少々なんですけれども、今国会でもかなり大きな争点となってまいります虐待について、ちょっと一言質問させていただきたいと思います。

 もっと細かい質問につきましては、今後、法案審議のときなどにまた委員会で質問させていただきたいと思っておりますが、きょう、一点だけお伺いしたいのは、今、日本には虐待についてのセンターがないということを指摘させていただきたいと思います。

 虐待をした親へどのような指導をしていくか、サポートをしていくかというようなことは、例えば全国の児童相談所の所長会議などでマニュアルをつくるというような話を、先日厚生労働省の方から聞いたわけでございますけれども、例えば家族再統合と一口に言っても簡単なものではございませんし、私もその領域を研究していた研究者として、そんな簡単なものではないとはっきり申し上げたいと思います。児童相談所というのは実務の場であって、それも人手が足りなくて実務に追われているわけでございますし、そもそも研究機関ではないわけです。

 こういう虐待についての研究ですとか専門家を養成したりするためのセンターが日本にないというのは非常に疑問なんですけれども、こういったセンターをつくれないでしょうか。これは、坂口大臣、そして大学につくるという可能性もございますので河村大臣にも、ぜひそれぞれ前向きな御答弁をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 専門家の皆さん方にお集まりをいただいて、そこでいろいろ御議論をいただきながら、マンパワーもそこでどういうふうに養成をしていくかというようなことはやっておりますけれども、これは緒についたところでございますので、これからそうした検討、そしてまた、そこで人をどう育てていくかというようなこともやっていきたいというふうに思っております。

河村国務大臣 確かに、虐待のための何かセンター的なものは今ありませんが、現実に調査研究をしなきゃいかぬということで、科研費を使いまして、今専門家の皆さんにお集まりをいただきまして、十四年、十五年、二年間で、学校はどういう支援策をとればいいのかとか、あるいは虐待されている人たちをどう指導したらいいのかとか、家族はどうあったらいいかとか、今研究していただいています。それも受けながら、学校においては、スクールカウンセラーの配置等々をしながら、要するに虐待を未然に防ぐものをどういうふうにしたらいいかとか、特に親の教育といいますか、そういうことを、子育てサポーターを入れるとかいうことで今進めております。

 今後、この研究も踏まえながら、どうあるべきかということを厚生労働省とも御相談しながら考えていきたいと思います。

水島委員 本当に、虐待はもう社会の根幹を揺るがす重大な問題でございますので、虐待された子供たちの命が失われているということもそうですし、その子たちがこれからずっと生きていかなければいけないということを考えますと、しっかりとした力を注ぎ込んでいかなければいけない領域だと思いますので、これはぜひ早急に、前向きに御検討いただきたいと思います。

 最後に一言だけ河村大臣にお伺いして終わりにしたいと思いますが、今、子供たちが置かれている閉鎖的な状況を考えますと、子供自身がいつでも気軽に相談できる場が必要とされております。最も手軽な相談方法は、やはり電話ということになると思います。

 今、チャイルドラインが全国に広がっておりまして、役割が大きくなってきております。先日の岸和田の虐待事件でも、チャイルドラインの存在を被害者の子供が知っていればもう少し違ったのではないかというふうにも考えているわけでございますけれども、河村大臣はチャイルドラインの設立当時からかかわっておられると聞いておりますが、このようなNPOを今後どのように支援していくおつもりか、最後に御答弁をいただきたいと思います。

河村国務大臣 今、水島議員御指摘の岸和田の事件も本当に、あの子がチャイルドラインの存在を知っていて、あれは家庭でほっておかれたわけですから、その間に電話でもしてくれたらという思い、チャイルドラインを実際に動かしてみて、そういう思いがいたしております。

 世田谷で平成十年にスタートしたものでありますが、これが今全国に広がりつつございます。これはNPOでございますけれども、これをどういうふうに支援するか。イギリスのチャイルドラインが一番先駆的な役割を果たしておりますが、そこでは、ブリティッシュ・テレコムあたりは全部フリーダイヤルにしてやってくれておる、国を挙げてそういう体制ができつつあるということであります。

 私の方は、今、子供をどういうふうにそういう体験をさせたり、非行から守ってやるかというので、子供の居場所づくりということで予算もつけておるわけでありますが、これは、体の居場所だけじゃなくて心の居場所ということも考える必要があるんじゃないか。こういう方面からチャイルドライン流に支援をできないか、今、事務当局にも検討させている段階でございますが、大いにチャイルドラインを全国的に広めていく必要を私も感じておりますので、支援を考えていきたいと思います。

水島委員 よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

北村(直)委員長代理 これにて水島君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 関係大臣に、通告に従い、質問をします。

 まず、経産大臣と中小企業庁長官に御質問いたします。

 まさに日本の活力である中小企業、今地域では、さまざまな金融の状況もあり、大変な苦労をされています。その中で、中小企業協同組合法に基づく商工共済組合、これが佐賀県において、佐賀商工共済組合が破産をいたしました。

 同組合の所管行政庁は佐賀県であるというふうに理解していますが、これでよいのか。また、一般的にはこの事業協同組合の所管は経済産業省、つまり中川大臣の所管であると思いますが、この事業協同組合が破産したときに何らかの救済措置はあるのか。中小企業協同組合法を所管する中川経産大臣にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今委員御指摘のとおり、この事業協同組合というのは、中小企業者の相互扶助の精神に基づきまして協同して事業を行うために設立された、法人格を有した組織形態でございます。

 御指摘の、佐賀商工共済協同組合についての中小企業等協同組合法上の所管行政庁は、設立認可を行った佐賀県でございます。

 国として組合破産時の救済措置は設けておりませんが、同組合の破産につきましては、佐賀県において対応をされるものというふうに理解をしております。その場合に、中小企業等協同組合法におきまして、その責任等について規定をされておりますけれども、それにのっとって県において対応すべき問題と考えております。

原口委員 大体、県をまたがるもの、あるいはほかの、こういう共済以外のものについては経産省が持っているわけですが、佐賀県においては、昨年の暮れですか、一通のメールによって銀行に取りつけ騒ぎが起こるというようなこともあったわけです。これはどういうことで起こっているかというと、やはり、公的なものに対する信頼、金融や地域の経済の見通しに対する信頼が失われているからこういうことが起こっているんだというふうに思います。

 事業協同組合が破産した際に、つまりこれは商店街とかそういうものに法人格あるいは組合としての資格を与えている法律でありますから、その分、理事の責任というのは大変重いというふうに思っていますが、理事の責任はどのようになっているのか、経産大臣にお伺いいたします。

中川国務大臣 原口委員御指摘のとおり、この佐賀組合は、昨年八月十九日の調査によりまして、資本の減少が確認されまして、乱脈経営が明らかになったわけでございます。

 この場合には、中小企業等協同組合法におきまして、その組合の業務の執行は理事会が決定する、その理事が任務を怠ったときは、その理事は組合に対し連帯して損害賠償の責に任ずる、したがって、仮に破産した場合には、その組合の理事がその任務を怠ったときに理事は組合に対してその責任を負うということになっております。

原口委員 大臣の御答弁のとおりだと思います。理事は、大変大きな、無限責任を持つ、そしてその時効についても大きな責任を持つというふうに思います。

 この商工共済組合は破綻する以前から粉飾決算を行っていたと言われておりますが、法務省に伺います。粉飾決算を行った場合に、だれにどのような犯罪が成立するのか、これは一般論で結構ですからお答えください。

樋渡政府参考人 お尋ねは、一定の状況を想定して犯罪の成否をとらえるものでございますが、犯罪の成否は収集された証拠に基づきまして個別に判断されるべき事柄でございまして、お答えをいたしかねるところでございます。

 なお、お尋ねの佐賀商工共済組合につきましては、平成十五年十二月二十五日、佐賀地方検察庁において、同組合理事等を詐欺罪で告訴する旨の告訴状を受理した旨公表しておりまして、同地方検察庁において適宜適切に対応するものと承知しております。

原口委員 刑事局長、一般的な粉飾決算の場合、だれにどのような犯罪が成立するかということを申し上げたので、特定の事件について伺っているわけではございませんので、そのことは改めて申し上げておきます。

 一方、これは認可でございますから、認可権者は大変重い義務を負うわけです。佐賀県は、平成八年ころ同協同組合を内々に調査し、そのころから同協同組合の粉飾決算の実態を知っていたにもかかわらず、特段の対策をせず放置していたということが言われています。

 このことによって、一万六千人、大変、毎日毎日、子供さんの学資やあるいは事業の資金、こういったものを預けていた人たちが、そのお金が一瞬にして、これは竹中大臣の金融のところと違いまして預金保険法の保護を受けませんから、自分たちが預けてきたものも一瞬にして返らない、こういう状況になったわけでございます。

 刑事局長に伺いますが、こういう、認可権者、つまり監督の責務を負う者が粉飾決算の実態を知っていたにもかかわらず特段の対策をせずに放置するということがあっていいんだろうか。法的な整理はどのようになるんでしょうか。お尋ねを申し上げます。

樋渡政府参考人 委員が一般論としてお尋ねになっていただいていることは十分によく理解しているところでございますけれども、いかんせん、繰り返して申しわけございませんが、犯罪の成否は収集された証拠に基づきまして個別的に判断されるべき事柄でございますので、なかなかこれも、一般論としてもお答えいたしかねるところがございますことを御理解いただきたいと思います。

原口委員 そうしたら、さっきの答弁よりもっと悪いじゃないですか。

 一般に、いわゆる行政官庁が、認可をしたところがきっちり指導をし、そして検査をし、そのことをずうっとこの予算委員会だって議論してきたわけですよ。金融の分野で、厳しく検査をし、そして指導をし、改善命令を出し、それに従わない場合はさらなる措置をやる。

 ところが、この規制改革の中でさまざまな外債を買えるようになってきた。外債を買えて、この商工共済なんというのはアルゼンチン債に幾ら投資しているんですか。こんなポートフォリオを組むところがあるなんというのは、見ていればすぐわかるじゃないですか。すぐわかるものを、ここまで認可してきたところがどうしてほうっておいたのか、調査をしながら、指導をしながらほうっておいたのか。そのことが被害を拡大した。

 これは何も佐賀県だけの問題ではない、似たような、商工共済のような事件はいろいろなところで起こり得る可能性があるから申し上げているわけで、今の刑事局長の答弁は私は納得いきません。実際にその責めを負うべき認可権者がそれを怠ったときに、一般論で結構ですから、どういう法律――なぜだめなんですか。前半はおっしゃったじゃないですか。お答えください。

樋渡政府参考人 何かの犯罪があるかもしれないということを知りながら放置していたというようなことがもしあったといたしました場合に、その事実関係を確定いたしませんと、その放置自体が罪になるということはなかなか難しいところがございます。

 恐らく委員は、新聞報道等とかでいろいろと言われていることも根拠にされているんだと思いますが、要は、その放置されたことが法的評価として他の何らかの犯罪に加功したことになるのかどうかという法的評価があるわけでございまして、その法的評価を決める前にまず事実を確定しなければ、もともとの行われている犯罪が何かであること、何かということが確定できない以上、それに対する加功というものの法的評価もなかなか一般的には言えないということでございます。

原口委員 個別の案件についても言えない。一般論も言えない。では、何を聞けばいいんですか。

 この問題はどういう問題かといいますと、中川大臣、地域の一定の政治家と、それから県から天下った事務局長と、そして、それを知りながら内々に隠してきた者が、本来であればもっと被害は小さくてよかったものを、自分たちが内々に処理をしようと、粉飾決算を知って、しかし、アルゼンチン債でそれこそ何とかお金が戻ってくるかもわからないということでさらに深みにはまっていったわけです。

 こういうことをどのように防げばいいか、これは竹中大臣にも後でお伺いしますが、やはり、中小企業あるいはさまざまな経済主体、あるいは消費者と、多くのこういう事業を行う人との間には情報の格差が随分あります。今、竹中大臣、消費者問題についても契約をめぐるトラブルが物すごく多くなっている。私たちは、この国会で消費者保護基本法の三十六年ぶりの改正をお互いに知恵を出し合ってやろうということを言っているわけです。しかし、その経済を活性化させ、市場をオープンにするについても、そこの一人一人がやはりしっかりとルールに守られていないといけない。

 こういうものを行政とまさに一緒になって、この歴代の理事長は政権政党の参議院議員ですよ。粉飾決算を知っていたときの理事長はだれですか。ここでは実名は言いません。そして、その粉飾決算を告発した現理事長は県会議長ですよ、県会議長の経験者で現職の県会議員です。政界と、そして県と、そしてこの商工協同組合というものが癒着を繰り返して、自分たちの都合の悪いものは隠して、その結果破綻して、一人一人が、まじめに頑張ってきた人たちがばかを見る。こんなことを許していたんでは、日本の市場というのは健全に発達しないし、中小企業の発達もないということを申し上げたいと思います。

 中川大臣に再度お伺いしますが、今後、本件のような事態に――私は法が悪いんだとかいうふうに思いません、中小企業協同組合法は大事な法律です。この法律の運用についてもやはりもっとチェックがきくようにすべきだというふうに思いますが、中川大臣の答弁をいただきたいと思います。

中川国務大臣 今、原口委員も御指摘になりましたように、中小企業等協同組合法において、組合は、毎事業年度ごとに事業報告書、財務諸表等を所管行政庁に提出する義務がある。また、所管行政庁は、報告の徴収、検査、監督上の命令を有するということになっているわけでございます。

 そしてまた、その理事たちの責任というものは、先ほど申し上げたとおりでございます。そして、その組合の目的というのは、今委員の御指摘のように、組合員の福利厚生等のために役立てるという目的でございますから、きちっとした監督というものが当然求められますし、理事者の責任というものも当然求められるものだというふうに考えております。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

原口委員 中小企業庁長官にも、きょう、お見えいただいていますね。

 日々さまざまな限られた情報や限られた活動範囲の中で頑張っていらっしゃる中小企業を守るために、どのような施策をお考えなのか。今後、こういう事案は、これは行政と一体になられて――私もずっと聞き取りしました。もうみんな、年越せるだろうか、この四月越せるだろうか、そう言っている。その中で彼らは、商工会でこのお金を集めていたり、まさに公的機関と間違って、あるいは竹中大臣のいわゆる預金保険法の対象と間違って、大事なお金を何百万、何千万と預けて、それがゼロになっているわけですよ。

 こういった問題についてどのように取り組むおつもりか、そのことだけお尋ねしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいましたとおり、中小企業事業者にとりまして、この組合というのは大変有益に活用を長い間してきているわけでございまして、したがって、その使命は非常に重大なものがあると思います。そういう意味も込めて、私ども、国、地方自治体は挙げて中小企業に対するこういう施策が適切に行われるようにきちっと監督、運営について管理する責務があるというふうに思っております。

 この法律におきましては、その責任を、所管行政庁という観点で県域内によって行われる組合活動については県に負わせているわけでございます。したがいまして、本件の場合のように、佐賀県が許認可をした場合には、こういった組合運営に疑義があると思われるような組合に対して、佐賀県が、これは先ほど大臣の方から申し上げました報告徴収、検査、監督上のいろんな施策を用いて適切に対処をしていくということが大事ではないかというふうに思っておりますし、私どもも、私どもの関係におきましては、こういったことを適切に運営していきたいというふうに心がけておるわけでございます。

原口委員 そこで、やはり一人一人の中小企業にこの法の趣旨やさまざまな危険についても知らせる必要があると思いますね。民主党は、この問題についての調査チームを党内につくって、昨年、現地調査に派遣しました。今後もこのことについて追及をしていきます。中小企業を食い物にして自分たちの責任を逃れる、こういったことは絶対に許さないということをここで表明して、どうぞ、お二人、結構でございます。

 竹中大臣にお伺いします。きょうは政策的な話でございますが、消費者の権利について。

 私は、この消費者の権利については、やはりケネディ教書にありますように、ケネディ教書の四つの消費者の権利、それから、さまざまな今私たちが考えている消費者の権利、これはもともと社会的な権利、一人一人の消費者が安全で、そして自分たちの暮らしを安定的に暮らすための基本的な権利であるというふうに思いますが、竹中大臣の基本的なお考えをお聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 原口委員はネクストキャビネットでこの問題の御担当で、大変熱意を注いでおられると認識をしております。

 内閣府の中では国民生活局がまさにこの消費者の問題を扱うということで、我々も大変重要な問題というふうに位置づけております。

 権利云々、非常に厳密な法律論を展開するということでは決してないのでございますけれども、やはり日本の消費者問題というのは、消費者保護基本法が一九六八年に制定されてから三十五年、三十六年、その枠組みについてやはり見直さなければいけない重要な局面にある。

 その中で、直接のお尋ねはその権利についてということでありますけれども、やはりこれは、消費者が安全で安心できる生活を送れるようにするためには、安全が確保されなければいけない、必要な情報が得られて適切な選択ができるようなことがまずもって重要であるというふうに思います。これらを消費者の権利として位置づけて、その権利を確保するために消費者の政策を推進していくことが重要である、そのような認識を持っております。ケネディ大統領の四つの権利と、理念としては、その意味では匹敵しているものなのだろうというふうに思っております。

原口委員 そこでは、消費者が適正な情報を受ける権利、あるいは選ぶ権利、それから補償される権利、さまざまな権利がある。そして、権利が守られて初めて消費者の自立ということも成り立つわけでありまして、この権利は、だれかが付与して、それにげたを履かせるから生まれるというものではないということをここで確認しておきたいというふうに思います。

 また、これは私たちの、超党派で、自由民主党さんは岸田先生それから河野先生が頑張っておられるということでありますが、その中でもやはりきっちり権利を書き込んで、そして今まで消費者保護会議、これも総理が議長でいらっしゃいますか、やってこられましたけれども、現実に言うと、今の時代、契約が複雑になって、そして一人一人が浴びるような情報を与えられて、その中で取捨選択できずにさまざまな被害も起こっておりますので、ぜひ私たち、これは法案をまとめますので、政府としてどのようにこれからの、今度三十六年ぶりの改正、この国会でやれば三十六年ぶりの、まさに消費者政策の憲法と言われる基本法の改正になるというふうに思いますが、将来を見越して、どのような法律であるべきだというふうに竹中大臣が思っていらっしゃるか、それだけ聞いておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

竹中国務大臣 御指摘のように、三十五年、三十六年間、大きな枠組みが変わらない。しかし、世の中本当に変わったわけでありまして、消費者のトラブルの数だけ数えても、この十年間だけで実に四・六倍になっている。非常に環境が変わる中で、その枠組みそのものが変わらなければいけない。

 行政全体が事前規制型から事後チェック型にいく、そうした意味では、行政によって消費者を保護するだけではなくて、消費者にも自立した消費者になっていただかなければいけない。自立を支援するということも当然その中には入ってくる、重要なことであろうというふうに思っております。その意味では、基本法を見直すに当たっては、やはり基本理念を明確にして、その中では消費者の自立の支援や権利の問題もしっかり議論しなければいけない、そのようなことになるのではないかと思います。

 また、事業者の責務や消費者の役割をしっかりと見直していかなければいけない。それと、個別施策の充実強化が必要だろうし、政策推進体制の強化も必要であろうかと思います。

 内閣府の所管ということに関して言うならば、国民生活センターの活用のようなものをしっかりと、情報提供、啓発、教育等の中核的な機関として位置づけていく、そういうような配慮も必要だろうというふうに思っております。

 いずれにしましても、各党において今非常に真剣な議論が行われているというふうに聞いておりますので、我々としても必要な対応をとっていきたいというふうに思っております。

原口委員 今、少し前向きの御答弁をいただきました。

 消費者というのは、もう今すべての国民が何らかの消費活動をやっている。国民と言いかえてもいいわけです。その権利がしっかりと、保護の客体ではなくて権利の主体であるということから法律を説き起こして、そしてしっかりとした消費者政策をそこの理念としてうたい上げたいというふうに思っています。

 また、都道府県も苦情処理のさまざまな責務があると同時に、国の責務についてもしっかり明定すべきだというふうに思っていますし、情報化や環境、こういう時代の変化に基づいて、そして時代に先駆けた法律にしていきたいということを申し上げて、きょうは、竹中大臣、もうこれで結構です。どうぞ。

 さて、私は、規制改革とそれから子供政策、消費者問題の担当をさせていただいていますが、これを貫くものは人間の尊厳と自由であります。人間の尊厳と自由が守られないと、そこには市場における競争も、あるいはさまざまな、一人一人が守られて安定した暮らしもない。そこで、私たちが議論しなきゃいけないことは大変広範囲にわたりますが、しかも深く議論をしていかなきゃいけない。

 その中で、先ほど水島議員が指摘をしました児童虐待について、このことについて少し、岸和田の事件を中心に、これは本委員会でも数名の委員が質問をされていますから、重複を避けながら、しかし、確認もしておかなきゃいけませんから、確認をしながら伺いたいと思います。

 まず、厚労大臣、児童福祉法や児童虐待防止法における通告の定義とは何ですか。

 きょう後ろにいらっしゃいます石田代議士が委員長のときに、私たちは、超党派の、これは全員賛成の議員立法で児童虐待防止法というのをつくりました。その中で、この通告、ここのところを強化したというのはこの児童虐待防止法の大きな柱になっているわけです。この通告というのはどういう定義にしているのか。

 それから、平成十五年四月の、本件の岸和田の事件について言えば、児童虐待防止法における、児童相談所職員と教師との間に通告があったのか、その人たちは本当に通告だと見ていたのか。

 私たちは調査団を入れましたけれども、どうも、調査書によると、弟さんが非行があった、だからその非行の相談に行って、ついでに、やせているからこのことについてもということで、結局は、その非行の担当のところとそれから児童相談所の虐待のところがつながっていなくて、そしてこのことが、この子にこの長い間、社会や教育やさまざまな福祉の手が届かないということが起こったのではないか。

 そういう心配を持っていますので、文科大臣、そして厚労大臣に、この通告の意義と、それから今回の、通告の意識あるやなしや。これは、私、現場を責めているわけじゃありません。実態がどうであるかということがわからないと対策ができないから聞いておりますので、そのことも踏まえて御答弁をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 今、原口議員がお述べになりました総論的なお話は、私も全くそのとおりだというふうに実は思っております。

 今お話のございました通告でございますが、これは、本人からであろうと家族からの相談であろうと近所の人からでありましょうと、あるいはまた、それが文書であろうと口頭でありましょうと、匿名の形でのものでありましょうと、虐待の知らせがあるということは、すべて幅広くこれは通告というふうに受けとめております。

 今回の件につきましては、先ほどから御指摘をいただいたとおりでございまして、これは教師の側から報告があって、それに対して児童相談所の方がそれをお受けしたわけでございますが、しかし、具体的に、それを虐待というふうにはっきりと認識をして、組織的な連携をしなかったというところに最大の課題があるというふうに思っております。

河村国務大臣 児童虐待防止法によりますと、第五条では、学校の教職員、それに医師とか保健師も皆入っているんですが、学校の教職員は、「児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。」こうなっておりますし、通告については、第六条で、「児童虐待を受けた児童を発見した者は、速やかに、これを児童福祉法第二十五条の規定により通告しなければならない。」こうなっているわけでございます。

 今、厚労大臣からもございましたが、この岸和田の事件、私どもも、専門家を派遣して、実態調査をさせて報告を受けて、非常に反省点がございました。

 今の通告の問題でありますが、この事件において、これが児童虐待防止法の通告であるという意識が十分でなかったという点もあったろうと思います。その点が、児童相談所には相談に行ったのでありますが、そういうことがきちっとしていなかったという点が反省でございますし、それから、いわゆる学校全体も、兄弟ですから、担任が別々に家庭訪問しておったというようなことは、本当は学校ぐるみでやればわかっておったというような反省がございまして、この実態を受けて、今後の対策を十分立てていこう、こう考えておるわけでございます。

原口委員 この児童虐待防止法ができてから、その後でももう百人以上の大切な命が失われているんですね。

 例えば、今度児童福祉法の改正案も出ていますが、これもいわゆる地方自治法を誠実にトレースして、都道府県の役割と市町村の役割とが分けられています。ただ、こういう危機管理の大きなフェーズに当たるものは、かっちり分けるんじゃなくて、それぞれがオーバーラップする部分を危機管理のために持っておくことが大事だと思います。

 今回、児童相談所の中でさえ、こっちとこっちというセクションの違いによって情報が行っていない。ましてや市町村や都道府県の間では、余計キャッチボールが行われてみたり、意思の疎通が十分に行われないことによって大切な命が失われては絶対ならないということを指摘しておきたいというふうに思います。

 文科大臣、これは義務教育で結構ですから、一年間に一カ月以上、これは一年を通じて、ずっとじゃなくても結構です、通算で結構ですが、三十日以上学校に、不登校と申しますか、行けない子供たち、行かない子供たちというのは何人おりますか。

河村国務大臣 平成十四年度の国公私立の小中学校における不登校児の数でございますが、十三万一千人ということでございまして、これはずっとふえておったのでありますが、これが非常に大きな社会問題だということで、学校も大変この対応をしてきたせいでもあろうと思いますが、平成十四年度初めて、三年以来初めて減少したという状況でございます。

 しかし、依然として十三万を超える子供が三十日以上学校に行かない状態があるということは、やはりこれは憂慮すべき状況にある、このように考えております。

原口委員 私も、これは大変憂慮すべき問題だと思います。しかも、数は減っていても、少子化で母数が減っていますから。だから、単に数が減ったからめでたしめでたしというわけには絶対にいかないというふうに思います。

 さらにお尋ねをいたしますが、その中で、経済的な要因で学校を欠席している児童生徒の数及び最近の傾向はどうなっていますか。

河村国務大臣 お答えします。

 経済的事由によって三十日以上欠席している児童の数は、平成六年度には千二十人おったのでありますが、これは減少しておりまして、平成十四年度では三百八十人ということの報告を受けております。

 これは、長期欠席については、社会的、個人的な背景もいろいろあるわけでございまして、やはり経済的事由によって学校を欠席する児童がいてはいけないわけでありますから、これの減少にはさらに努めていかなきゃいかぬ、こう思っております。

原口委員 私たちの実感と今の数字は、少しかけ離れています。

 さらにお尋ねしますが、小中学校において本人の安否が、今回の岸和田のこの中学校三年生のように、学校側から確認できない子供たち、これはどれぐらいおりますか。

河村国務大臣 これは、この状況把握に努めるようにということで今指導をいたしたわけでございますが、具体的な数字、全国に、安否が、状況がはっきりできないという状況を数的につかんでいないことがわかりましたので、これは早急に把握する必要があると私も思っておりまして、それでないと対策が立たないのではないかということを改めて今指導いたしたところであります。

原口委員 何回も、こういう悲惨な事件を繰り返さないと言いながら、結果的に、今前向きの答弁をいただきましたからそれで了としますが、本人の安否さえわからない。これには、中に立ち入れなかったりさまざまなジレンマがあります。だからこそ、ここの分野についても、私たちも、与党の皆さん、野党の皆さん、さまざまな皆さんと議論を重ねて、児童虐待防止法の改正、これも必要だと思っています。

 そこで、一時保護と申しますか、安全の確認ということがやはり一番大事なので、この子と同じように、だれの手も届かないで、だれにも助けを求めることができないでいる子が今私たちの目には見えていないということじゃないですか。ぜひ早急にこの対策を練っていただきたいし、私たちは、国会ですから、立法者としてのその務めをどういうふうにすればいいのか、立ち入りの問題もどういうふうに整理をすればいいのか、ここについても議論を詰めていきたいと思います。

 しかし、義務教育、さっきの学校教育のところだけでも十三万一千人もいらっしゃるわけで、それをもっと小さい人たちに当てはめたら、もっといるかもわからない。もっと手が届かないかもわからない。大変社会が荒れて、そして、一人一人が虐待というのは人権侵害であり犯罪であるということをしっかりと受けとめて対策を練っていくことが大事であるというふうに思います。

 文部大臣それから厚労大臣、それぞれ、今後どのような対策を、私は、短期、今すぐできる、ミニマックスですね、最大の危機を最小にするための今すぐやるべきこと、それから中期でやること、長期でやること、この三つを早急に固めて実行に移さなきゃいけないと思いますが、それぞれ御所見を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 現在の問題といたしましては、現在あります児童相談所、あるいはまた地域におきましては民生委員でございますとか、あるいは保健師の皆さんでありますとか、さまざまな立場の人たちがいるわけでございまして、そうした皆さん方の連携をいかに密にして、そしていわゆる組織的な一つの連帯のもとに問題の解決に当たれるようにどうするかということが近々の課題だというふうに思っております。

 今後の課題といたしましては、そうは申しますものの、児童相談所、これは県の単位で、それぞれの県にそんなにたくさんあるわけではございませんし、全体を十分に把握していけるのかどうかという問題もございます。したがいまして、市町村にお願いをしなきゃならない部分もあろうかというふうに思っております。

 県の単位、それから市町村の単位、それからもう一つ、全体にわたります民生委員等のそれぞれの仕事の人たち、これは、仕事のそれぞれの分担を持ちながら、そしてこれから主にどういうふうなことをやっていただくかということをやはり決めていかないといけないと思います。

 その決めますときに、先ほどお話ありますように、オーバーラップせずに仕事と仕事との間にすき間ができるということがあってはならない、そこが一番怖いというふうに思っておりますので、互いにオーバーラップしながら組織を拡大していくということにしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。

河村国務大臣 まず、学校現場そのものがこの児童虐待防止法の法律ということをきちっと理解して、学校というところが一番児童虐待を発見しやすい場所だということをきちっと認識することがまず必要だろうと思います。

 その上で、専門家の皆さんにもお願いをして、科研費を使って、今、そのための学校の対応をどうしたらいいかという調査研究をいたしておりまして、この報告も受けた上でとも思っておりますが、このたびの岸和田事件の先ほど申し上げた反省に立つならば、やはり学校がきちっと組織ぐるみでやる、そして不登校という問題も、その裏に虐待もあるんだという意識を持つことが必要だということを改めて確認していきたいというふうに思っております。

 さらに、児童相談所との緊密な連携ですね、絶えず連携をとり合う、そういうことが必要であろう。それから、地域の皆さんのいろいろな学校との連携もしっかり深めていくということが虐待防止に向けての大事なことではないか、こう思っておりまして、改めて今回のこの事件の反省に立ちまして、そうした取り組みについて周知徹底を図ってまいりたい、このように思っております。

原口委員 この問題は、法案審議の中でも詰めていきたいと思います。

 虐待の連鎖が起こる。大体三割ぐらいは虐待が連鎖をする。それから、目の前でさまざまな暴力を見せられる、このシーンが日本では多過ぎます。かつて文科大臣と一緒の委員会で、Vチップのことも私も提起をいたしました。目の前で暴力を見せられること自体も、これも虐待の一つであります。私たち国会で使う言葉もやはり注意をしなきゃいけないなというふうに思います。

 さてそこで、限られた時間でございますので、年金について伺います。

 ちょうど一年前に年金基金の運用についてただしたときに、厚労大臣は改善をするということをおっしゃいました。年金運用基金、ことし一年で三兆六千億、そして去年で三兆円。十月一日の本委員会で厚生省に、私は、年金運用の実態について明らかにしてくださいという要請をしましたら、出てきました。

 これはもう皆さんお手元にあると思いますが、これを見て、厚労大臣どう思われますか。株のこんなポートフォリオを、これは預託金が減っていきますから、その分債券に行くんでしょうが、株式はずっと広がっているじゃないですか。どのように改善されましたか、年金の市場運用のやり方について。

坂口国務大臣 まず、今進めようといたしております改革点についてでございますが、今、資金運用部の組織があるわけでございますけれども、まず、その組織そのものを変えなきゃいけないというふうに思っております。新しく独法をつくりまして、そこに移して、そして新しい体制をそこにつくっていく。そして、厚生労働省から一定の距離を置いた施設をつくって今後の運用をしていくというふうに、制度としてはしたいというふうに思っております。

 現在の資金の運用の中身でございますが、これはどんどんとこれから資金運用部の方にお金が返ってくるわけでございまして、ここは御指摘のようにふえていくわけでございます。この中で、ここをどういうふうな割合によって運用していくかということにつきまして、そのこともあわせて、新しく独法をつくりましてその中で今後決めていただきたいというふうに思っております。

 できれば、この前も私、御答弁申し上げたと思うんですけれども、一つのことに偏らないようにしていかなきゃいけない。国債等を今後もこれは購入していくということにつきまして、債券の運用につきましては、もう最後までそこはお預けをしておくというような制度も含めて検討をしていくということに今後したいというふうに思っております。

 一番肝心のところは、債券と株式等との割合をどうするかということが最大の課題になるというふうに思っております。

 株式の運用ということが続きますと、確かにここは変動が大きいわけでございます。変動が大きいものですから、例えば十四年度につきましては三兆五千億ぐらいのマイナスになる、ことしになりましてからはこれがまたもう三兆五千億ぐらいプラスになるという、これは変動が非常に大きい。それだけに危険性もあるわけでございますので、国債等を中心としながら、これから、リスクをより少なくしていくためにどういう組み合わせにするかということにつきましても、これは専門家の人にある程度御意見を伺いたいというふうに思っておりまして、今、この新しい独法の理事長さんは一般の方を入れて、そして専門家によってここは議論をさせていただきたい、こういうふうに実は思っている次第でございます。

原口委員 しかし、厚労省さんからいただいているこれを見ると、ポートフォリオの中の株の比重というのはそんなに落ちないんですよ。これを見れば、恐らく、日本の経済は今デフレからの脱却をずっと言って、それをこの委員会での主要なテーマにしてきましたけれども、緩やかなインフレになっていくだろうということを前提にしながら株をインフレヘッジさせているポートフォリオにしか見えない。

 この状況の中で、じゃ、何が起こっているかというと、今大臣がお話しになったように、国内の株式アクティブだけで運用受託機関を見てみると、実績、これはひどいですね。三角の二一・七四%、二二・七四%、二三・三二%。それぞれ、そうそうたる銀行や信託機関が物すごい赤をあけている。彼らには何のペナルティーもないわけでしょう。これは自分のお金でやっていたら、ここはつぶれていますよ。

 私は、株式で運用してはいけないということを言っているんじゃないんです。株式と国債やさまざまなポートフォリオの根拠をしっかりと示して、そして、そのことについて、こんなポートフォリオで本当に大丈夫なのか、このことを議論しなきゃいけないということを申し上げています。

 そして、私は、今回改革案を見て、やはりがっかりしました。消費税の引き上げのときに私たちは反対をしました、これが経済に与えるインパクトがどれだけ大きいかと。国会議員になったばかりでした。あのとき、二%の消費税の上げということでああいう反対をしたわけですが、今回のこの年金保険税、この引き上げは、厚生年金部分で消費税何%に当たりますか。そして介護保険料、地域に行って皆さんお聞きになったら、この一年でどれぐらい上がっていますか。一七とか一八上がっている。

 つまり、所得税は下がっていても、その分保険税やあるいは医療、そして介護保険料、こういうものがどんと上がっている。大増税の予算を組んでいるんじゃないかということを指摘をしておきます。

 どうぞ、文科大臣、厚労大臣、これで結構であります。

 委員長にお願いをしますが、この年金の問題は、やっとこの資料が出てきたばかりです。こういう資料をもとにしっかりとした議論をしないと、国民の負託にこたえることができないと思いますので、本委員会で集中的な審議を御議論いただきますようにお願いを申し上げます。

笹川委員長 理事会で協議します。

原口委員 さて、私は、規制改革、行政改革のことについても、石原大臣、随分頑張ってこられて、そして、私も今回規制改革のネクスト担当になっているわけですが、本当に独法というのは要るんだろうか。そして、こういう事態、これから申し上げますが、事態を目の当たりにすると、こういうものをなくすことこそが行政改革であり、日本のまさに官僚社会主義的な経済を本当の市場に戻していく、自由に戻していく、その契機になるんじゃないかというふうに思います。

 きょうは住宅・都市整備公団の総裁にもお見えいただいておりますが、総裁にお伺いいたします。

 大阪の和泉市における、これはRCCのときも和泉市でした。私、全国各地、定点観測で、どんなことが起こっているだろうか、民主党の国会Gメンでもいろいろな議論をしていますが、また和泉市なんですが、住宅・都市整備公団が和泉市に昨年から整備をされている土地、広いですね、三百四十ヘクタール、大きな土地でございますが、この土地について、まさに造成を発注されて、関口産業ですか、という建設会社が落札をして、二〇〇四年一月までの工期で工事をしていたというふうに私は承知をしています。

 しかし、そこで起こってきたことは、ここに実際にビデオがございますが、どうしてさまざまなダンプが、これは私が公団からいただいた資料によると、中にある山を、土地を崩して、そして池を埋めるというものなんですが、私が持っているビデオには、どんどんダンプが入ってきていますよ。そのダンプは、見るところによると、産業廃棄物を積んでいる。日本全国各地で産廃の不法投棄が叫ばれていて、国交大臣やさまざまな政府の皆さんも頭を痛めていらっしゃるその中で、どうして、皆さんがこれから健全な、良質な住宅あるいは研究施設をおつくりになろうというここに産業廃棄物のようなダンプが入ってくるのか、全然わからないんです。

 このことについて、どのように調査をされたのか、まずお伺いをいたします。

伴参考人 住宅・都市公団から、現在は都市基盤整備公団になっておりますが、今御指摘の話は、実は私どもの方にも一般の市民の方から、昨年の九月の一日でございましたけれども、地域外から廃棄物を持ち込んでいるということの通報がございました。

 早速、翌日、その元請業者にも事実確認を行って、それから現地の試掘調査を始めました。その結果、産業廃棄物らしきものが発見されましたので、専門的な土質コンサルタントやらあるいは財団法人の地域地盤環境研究所に、目視の調査をしたりあるいは分析調査をしていただきまして、調査の結果、やはり外から混入物が入っているということで、産業廃棄物が混入した土が外部から持ち込まれたものだということが判明いたしました。

 そこで、元請業者にそれを示しましたら、元請業者は、自分ではやっていない、しかし、現場の監督で、そういうのが入ったことは間違いないので、責任を認めまして、公団との契約違反になるから契約続行を辞退したい、そういう申し出がございましたので、公団は、昨年の十一月二十五日付で契約解除通知を行いまして、違約金、あるいは調査にいろいろお金を要しておりますので費用とか、あるいは産業廃棄物を搬出する、外へ出す費用、それを請求する旨を通知したところでございます。

 こういう、もともとフェンスがありまして、そのフェンスの中で土を動かすだけの工事でございますから、本来、外からダンプが入ってくるわけがないんですね。それで、そのフェンスは全部囲ってある上にかぎをかけてありまして、そのかぎもその業者に預けて、全面的に責任を持って管理しろ、こういうことになっております。

 したがいまして、外から入ってくるときには、恐らく休日だとかあるいは朝早くとか、そういうときに入ってきたんじゃないかなと思っておりますけれども、その辺の十分な管理ができていない。これは、実は、まず第一義的には元請業者に管理を任せるという仕組みになっておりますので、そういう中で起こった事件だと思っておりまして、大変この事柄自体は悪質な行為だというふうに思っております。

原口委員 大臣、よくお聞きいただきたいんですが、今、フェンスは囲われていた、そしてかぎは元請に預けていたと。では、だれが入れたんですか。公団はどのような調査をされましたか。

伴参考人 入り口にかぎをかけまして、不法な立ち入りができないように、現場の請負業者にも任せてあるわけでありますけれども、それはもちろん調べました。調べましたけれども、私どもはやっていないと。しかし、確かに入ってきているわけなので、かぎを預かっているのは私どもの公団の職員も預かっていますから、それももちろん調べましたが、その結果、そういうことはなかったわけであります。

 そこで、私どもは、これは事実そういうことが起こっているわけなので、早速警察の方と打ち合わせておりますし、それから、こういう不法投棄物につきましては、大阪府庁の方で、環境部の方で扱っておりますので、そちらにも告知しております。現在、警察の関係では、大阪の府警本部と告発をするべくいろいろ協議を進めているところでございます。

原口委員 かぎを公団の職員が持っていて、どうして別の人がここに入れられますか。そして、あなたたちは、当然、元請、下請、この人たちについても、一義的にはどうしたんだというふうに聞かなきゃいけないけれども、掘り返しもこの人たちにやらせているじゃないですか、調査も。違いますか。

伴参考人 現場の管理のために出入り口のかぎを預けるというのは、普通の行為というか、何か緊急事態があっても対応せざるを得ませんので、現場の人に預けておくことは大事だし、その責任をその業者がやっていただくことは必要だと思っております。

 それから、警察の告発の関係は、これを協議いたしまして、それでそれを進めていきたいというふうに思っております。

原口委員 時間が限られていますので、総裁、正確に答えていただきたいのは、掘り返しも、皆さん、きのう私に、十トンダンプ五十台分の産廃がここから見つかったんだ、だからあけてあるんだと。そして、朝いただいたこの資料、この資料を見ると、十トンダンプ九十七台分が入っていたんだと。もう一日で数が違っているわけです。それはレクとあれと違っても、まあ、ここでは問いません。しかし、皆さんは、この掘り出したものもその人たちに頼んでいるじゃないですか。そのこともおかしいということを言っているわけです。

 さらに、私の手元に幾つか資料が来ていますが、公団の皆さんが産廃の投棄のときに、見て見ぬふりをしているんじゃないか、そしてそこにいたんではないか、いや、いたんだ、公団の職員がいたときにトラックが入ってきても知らぬ顔をしていた事実があるんじゃないか。

 そして、もともとあった土をそこに埋めるわけですから、では、その土はどこへ行ったんですか。別の泥で埋められていたら、その土が余るわけでしょう。どこへ行ったんですか。売っているんでしょう。

伴参考人 土を掘削するのは、それは業者に事実行為をさせただけで、どこを掘れとかいうのはこちらが全部指示しているわけです。出てきたものについて、どういうものかということの検査も全部こちらがやっていますので、こちらの責任で実施した調査です。

 したがって、業者がやっているということじゃなくて、その掘る事実行為だけを、そこにダンプや何かもありますので、やらせたということでございます。

 それから、今ほとんどの土は、そのそばのところから、小山から移すということをやっておりまして、今おっしゃったように、九十七台分の残土というのは、全体は一・五万立米ぐらいの土を動かしているわけです、既に。そのうちの六百四十立米ですから、だから九十七台分の一部でございますけれども、その一部も、全部、一万五千立米のところを全部掘り返しまして、そういうものがないかどうか全部検査いたしました。その結果が、このダンプトラック九十七台分ということでございます。

原口委員 委員長、私が手元にいただいている資料では、十トンダンプ五百台分も入っただろうと。これは、今、産廃は幾らするのかわかりませんが、十トントラック一台当たり、産廃の処理及び運搬料で二、三万円だと。

 そして、こういう証言もあるんです。まあ、公団にもしかるべきことをしてあるから、こっちの責任もほどほどにしか追及されないだろうなという話が会議で出たと。

 かぎを預けていて、そして公団の職員もかぎを持っていて、何でこんなでかいダンプがどんどん入れるんですか。そして、あなた方が出した調査報告書には、だれがやったのかということも全然ないじゃないですか。そして、契約続行辞退申出書というのをこの建設会社に出させて、それで終わりになっているんじゃないですか。

 これは告発があったからあれだけれども、もしこれがわからなくて、そこに住んでいる人たちはどうなりますか。この産業廃棄物は健康に被害がありますか、ありませんか。

伴参考人 今の産業廃棄物につきましては、まさにその地質調査をやっておりまして、その報告書の中にも出ているわけでございますけれども、ほとんど無害のものばかりでございます。

 ただし、建設残土でございますから、いろいろなガラは入っておりますけれども、一部、砒素の混入率が若干高いというのがありますけれども、安全度は確かめております。

 しかも、その残土は全部出しまして、外へ出して保管してありますので、これから刑事的な事件になったりすることもありますのでそこに保管してありますから、だから、今、全部その土地は安全にしてあるということでございます。

原口委員 大臣、私は、こういう不透明な、しかも私たちが得ている資料では、飲食やゴルフの接待もした、お金も渡した、こういった証言まで出てきているんです。まさに公団ぐるみで外から産廃を持ってきて、そして、これはわかりませんよ、中の泥を外に出す。一度に何回おいしいんですか。これが事実だとしたら、物すごく悪質ですよ。

 大臣、私は、こういうことを公団でやる必要はあるのか、独法でやる必要はあるのか、民間にやらせるべきじゃないですか。足利銀行、委員長のお顔が見えるからあれだけれども、あんな感じでぶっつぶして、そして地域はむちゃくちゃにして、そして一方でこういう形で官業ビジネスをやっているんじゃないですか。

 大臣、どのような指示をし、この問題について調査をされ、この予算委員会に報告をされるのか、お尋ねを申し上げます。

 そして、総裁にお伺いしますが、国交大臣にこのことは報告してあったんでしょうか、あわせてお尋ねを申し上げます。

石原国務大臣 御指摘の件についての経過というものは、総裁から御答弁がありましたので割愛いたしますが、やはり一つのポイントは、委員が御指摘されておりますように、かぎを預けてあった、そのかぎが壊されていたのかいないのか、壊されていてそこに搬入されたとするならば、それは外部の者の可能性という蓋然性が大変高くなる、そんなところに委員の御疑問があるんだと思います。

 そしてもう一点は、この建設業者ですけれども、入札によって指定された。そして、その入札によって指定された業者の監督不十分であるということは、その業者も認めている。すなわち、安かろう悪かろうということであっては、先ほど竹中大臣との、消費者が安心してできる売買あるいは取得する宅地、こういうものから考えても、その点は非常に大きな問題がある。

 国土交通省といたしましては、都市基盤整備公団を監督する立場でございますので、今後、より現場管理、現場管理がなされていなかったと言われても仕方ないような事実があるわけでございますから、徹底して、的確に事業を実施するように指示を、指示といいますか指導を既にいたしております。

 しかし、まだまだ解明しなければならない、なるほどなというような調査結果になっていないということは、ただいまの委員と総裁との議論を聞いていて、率直に持ちました感想でございます。

原口委員 大臣、率直なお話をいただいてありがとうございます。

 廃棄物のこれほど多くの、そんな、朝やっただろう、日曜日やっただろうと。これほど多くの、皆さんが認めていらっしゃるだけで十トントラック九十七台分ですよ。これはそんな人里離れたところのあれじゃないですよ。わからないわけないじゃないですか。

 そして、廃棄物の投棄について、公団の皆さんと入れた業者の皆さんが一体となっていなければこんなことは、今まさに大臣がお話しになった、かぎが壊されたり不法に侵入したりしなければできないことじゃないか。

 これは引き続き、また本委員会やさまざまな機会でも追及をし、大臣、私は、官業ビジネスのそのセンターのようなものは、独法にもする必要ない、廃止もしくは民営化、これが必要であるというふうに思いますが、最後にそのことについて大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。

石原国務大臣 一点だけ確認しなければならない点は、先ほどの点と、もう一つ、公団の側は、昭和五十八年からの大きな開発事業でございますので、都市基盤整備公団の廃止論が始まる前からの工事であるということと、請負業者が責任を認めているということは、公団の総裁が言ったとおり、私は事実だと思います。

 そして、かなりの大規模な、三百六十ヘクタールでございますか、大規模な開発でございまして、当然、そこに優良な宅地あるいは施設、こういうものを地域の方々が望んだからこういうものが昭和五十八年当時スタートした。これからは民ができることは民にという立場でございますので、そういう必要性が出たときは、民間が率先してこういうものに従事していく形が望ましいものと考えております。

原口委員 もうこれで質問を終えますが、このテープを、理事を通してこの理事会に御提示したいと思います。ぜひこれをごらんになって、しっかりとした捜査と、そしてこの組織、まさに、これが事実であれば、腐った組織ですよ。腐った組織で国民の命を危険にさらすわけにはいかないということを指摘して、質問を終えます。

 ありがとうございました。

笹川委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 まず、農水大臣に、二十分かそこらですけれども、この間、私は鳥インフルエンザについて聞きまして、どさくさに紛れてとんでもない高いもの買ったんじゃないか、こう言いましたら、大臣は、血相を変えられたわけではございませんが、どさくさに紛れて、言葉をよく考えて使ってくださいということを言われましたので、どっちが言葉を考えて使うべきかということを今から証明したいと思います。これはどさくさ疑惑ということでございます。

 これは、とにかく市価の二倍から三倍もするようなワクチンをよくもよくも火事場泥棒的に買わされてしまった、こういうとんでもない、国民の税金をむしばむようなことはいかぬということでございます。

 まず、平成十四年の十月一日ですけれども、私が当時の課長、伊地知さんでしたかね、課長と会いましたね。そのときにワクチンについてどういう話をしたかということをちょっと答えていただけますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十四年の十月一日に、議員の方から御紹介いただきました民間の方と私ども、当時の衛生課長がお話をしております。

 その中で、幾つかこの民間の方の方からサジェスチョンをいただいておりましたけれども、その中の一つに、鳥インフルエンザの不活化ワクチンの使用についてということがございました。そのときには、文書でこれをお答えするようにということでありましたので、当時の防疫技術検討会において通常のワクチン使用は行うべきでないとの専門家の一致した見解があるというふうには、その当時お答えをしてございます。

 その後、専門家の方々の御議論を踏まえまして、ワクチンの使用については現状では適切ではないけれども、万一発生が拡大をした、現在、山口県と大分県で出ておりますけれども、そういう状態ではなくて、もっと大きく広く蔓延をする、そういう場合に備えてその備蓄を検討していくべきであるというふうにその専門家の委員会の方で出ております。こういうことを踏まえまして、緊急に備蓄を行ったところでございます。

河村(た)委員 そんなことで、もうおととしの十月に話をしておるんですわ、私、実は。それだから怒っておるのよ、これ。何をやっておったんだと、一年半近くも、本当に。

 もう一つ、せっかくですから。名称について、このときに、この鳥インフルエンザの名称について私が申し上げまして、それはどういうふうに変更されました。

中川政府参考人 当時は、この現在の高病原性鳥インフルエンザというのは家禽ペストという名称で使われておりました。これは、法律でそういうふうに規定をされていたということから、当時は法律改正が必要であるというふうにお答えをいたしました。その後、昨年でございますけれども、法改正がございまして、その中で高病原性鳥インフルエンザというふうに名称の変更をしたところでございます。

河村(た)委員 これ、よう聞いておってちょうだいよ、自民党の皆さん。別に、党がどうのこうのいうよりも、やはりこれは大変にすごい、例えば上野動物園で一個出たらどうなるんですか。半径三十キロといったら、横浜から国立から全部移動禁止になって、卵はみんなパアですよ。

 そのときはそういうふうな名前だったんですよ、家禽ペストと。だから、大変印象も悪いしということで、名前を変えるべきじゃないかということでこれは変えたんだよね、農林省。一応もう一回確認しておきます。そうだよね。

中川政府参考人 名称につきましては、先生おっしゃいましたように、高病原性鳥インフルエンザというのが適切であるということでございます。

河村(た)委員 よし、それではそれでいいです。

 とにかく、これからが意外とこれは大変なんで、撲滅撲滅と言っておりますけれども、大体役所というのはうそばかりだ、これは。だけれども、そうはいきませんぜ、これは。

 では、その備蓄の準備をする、検討するということで、一体これは何をしてこられたんですか、今まで。

中川政府参考人 この備蓄のワクチンの選定までに至る過程でございますけれども、動物医薬品検査所、農林水産省の附属の施設でありますけれども、この動物医薬品検査所におきまして、昨年の春ごろから、文献なりあるいは関係業者の方々からの情報収集を行いまして、鳥インフルエンザに関しますいろいろな調査を行ってまいりました。

 そこで、緊急に輸入が可能なワクチンというものを世界各国から調べました。その結果、メキシコに三社の製品があるということがわかりまして、その三社の製品についてリストにしました。そして、家きん疾病小委員会、先ほどの専門家の方々の委員会でありますけれども、そこの専門家の方々に意見をお聞きし、その中で、皆さんからこのうちの一つ、三つあるうちの一つのワクチンが適切であるという助言をいただきまして、その助言に基づいて決定をしたわけでございます。

河村(た)委員 言われたはいいですけれども、検討するんだから何か知っておるでしょう、品質とか価格、数量ですわね。そういうことでしょう。これはどういう検討をされましたですか。

中川政府参考人 今回のこのワクチンの選定に当たりましては、先ほど申し上げましたように、候補としては三種類あるということでございましたが、それぞれのワクチンについて、有効性なり安全性、あるいは輸入の可能の時期なり数量、それから使用期限、これは備蓄をするということでありますので、どれだけの使用期間があるかといったそういう情報を得まして、これらの情報をもとに専門家の方々に御意見をお聞きして行ったというものでございます。

 ちなみに、今回選定をいたしましたものは、使用期限あるいは各国での使用の実績等から見て、一番データがそろっているということで選んだものでございます。

河村(た)委員 どういうふうに具体的に対比しましたか、具体的に。

中川政府参考人 具体的に申しますと、使用期限につきましては、今回選んだものは、二〇〇六年の二月までということで、約二年間の使用期間がございます。それに対しましてもう一つのものは、二〇〇五年の四月までということで、約一年ちょっと。それから、三つのワクチンを比較したわけでありますが、もう一つの三番目のものはそこのところがはっきりしない、不明であるというようなことでございました。

 それから、使用国、世界のどの辺で使われているかということでありますけれども、最初の採用いたしましたものは、メキシコなり南米なり香港なりということで、二番目のものに比べてより広く使われているというふうなこと。

 それから、将来、日本でいろいろ試験をするとなりますと、さまざまなデータを集める必要がございます。その際に、採用いたしましたワクチンの企業につきましては日本法人があるということで、ほかのものはそういうものがありませんので、具体的なデータ収集が容易であるというふうなことも判断の一つの根拠になってございます。

河村(た)委員 だから、採用の理由ですよね。理由をちゃんと言ってください、理由。もう一回ちゃんと言ってください。

中川政府参考人 今、私の方からるる申し上げました有効性とか安全性、あるいは輸入可能の時期なり数量……(河村(た)委員「もうちょっとゆっくり言ってちょ」と呼ぶ)はい。

 世界のそれぞれのところで使用されている、そういった使用の実態なり使用期限、先ほども二年とか一年とか申しましたが、そういった期限など。それから、データの、国内でいろんな使用に当たっての手続をするに当たりましての情報の入手の容易さといいますか、そういった要素を考慮いたしまして決定したということでございます。

河村(た)委員 期限と言っていますけれども、それは何ですか。これは期限が違うわけ、みんな、能力が。同じなんだ、これ。同じですよ。

中川政府参考人 ワクチンでございますので、現在手に入るものについて、どれだけの期間それが使用可能かという期限がございます。今回の場合、今輸入をするとしまして、それから何年使えるかということでいきますと、二年なり一年なりというふうに、ワクチンの種類によって差があったということでございます。

河村(た)委員 いやいや、それは、ワクチンって、あれでしょう、ストレーンというらしいけれども、株ですよね、株。同じでしょう、物は。

中川政府参考人 緊急に備蓄をするということで輸入をいたします。その際には、すぐに手に入るかどうかということになります。したがって、現在手に入るものについて、いつそれがつくられて、在庫としてあるかということになりますから、今入るものについて、そのワクチンの使用期限というものは、それぞれのワクチンの企業によって差があるということでございます。

河村(た)委員 使用期限といって、そんなの、能力は同じなんでしょう、全部。

中川政府参考人 専門家の方々にいろいろなワクチンについて情報を提供し、御意見を伺ったわけでございます。それによりますと、このワクチンについて、それぞれ必ずしも、効力といいますか、同じということではなくて差があるということでございます。

河村(た)委員 どういう話を一体聞いておるの、これは。話を聞いて、ただ受け売りしただけじゃないの、それは。

 ワクチンというのは、では、どうやってつくるんですか、これ。

中川政府参考人 ワクチンの選定に当たりまして、専門家の方々のきちっとした意見をお聞きするというのは大事なことだというふうに思っております。そういった方々にそれぞれ御意見をお聞きして、お聞きした方、これは家きん疾病小委員会のメンバーの方が中心でありますけれども、それぞれ個別にお聞きをして、その結果、皆さんの御意見が一つのワクチンに一致をしたということでございます。

河村(た)委員 お聞きをしたって、一年半近くも準備があって、あんなところにようけおるわけでしょう、役人が。自分のところである程度、そのワクチンの、これがいい、あれが悪いと全然比較しておらなんだのを、それを聞いただけかね。どうなの。

 ウイルスは、それでは、根っこの株はどこが提供しておるんですか、これ。

中川政府参考人 このワクチンは、三社ともメキシコでつくられております。その株については、メキシコ政府の方からそれぞれの企業に供与されているというふうに思います。

河村(た)委員 だから、同じなんだよ、これは実は。同じなんだ。同じなんです。その媒介する卵が、これも同じなんだ。

 では、何でそんな高い値段のを買ったんだよ。値段の比較、なぜしなかったんだ。同じじゃないの。

中川政府参考人 今回の場合は、緊急に輸入をするということでございます。しかも、国内の未承認のワクチンを輸入するということで、一定の量を輸入する。

 つまり、そういうことになりますと、先ほどから何度か申し上げておりますけれども、すぐに手に入るか、世界じゅうでどういうふうに使われているか、それから国内で手続をするためにデータがすぐに入るか、そういったことを考えますと、まずもって、当面、ある一定の量を輸入するとなると、もちろん価格という要素もありますけれども、今回、選定するに当たっては、価格よりも、国内に入れて、その安全性なり、あるいはその後の手続をするに当たっての情報の入手可能性というものをまずは優先をして判断をしたということであります。

河村(た)委員 安全性と言うんだったら、その買われた、ちょっと名前を出すと感じが悪いので、民間会社だから言いませんけれども、そこの会社、そこがどこかでトラブルを起こしたことありませんか。

中川政府参考人 特に違法行為があったという情報は、私ども得ておりません。

河村(た)委員 違法行為という、トラブルが起きて問題になったことありませんか。

中川政府参考人 私が承知している限り、そういうことはないというふうに、私は少なくともそういうことがあったとは聞いておりません。

河村(た)委員 これは違うんですよ。これが、どこだったかな、チリだったかな、どこかでトラブルを起こしておるんですよ。迷入といいまして、ほかのワクチンが入っておって、これはトラブルを起こしておるんですよ。そんなこと知らずに買ったのかね。何ちゅうこっちゃこれ。これは、大臣、どさくさと言うんだよ、こういうのを。

亀井国務大臣 どさくさという言葉は、ぜひお控えをいただきたいと思います。

 私どもは、先ほど局長がいろいろ説明いたしますとおり、この家きん小委員会の専門家の皆さん方にいろいろ御検討をいただきまして、そして、先ほど申し上げましたとおり、いろいろの、性能の問題であるとか、また性能の面につきましてもいろいろお話をいただきましたが、緊急に、この事態に備蓄、そういう面で輸入をしなければならない、こういう関係から、専門家の方々の御意見をちょうだいいたしまして決定をしたわけでありまして、ぜひその点は御理解をいただきたいと思います。

河村(た)委員 チリで二年前にトラブルを起こしておるんですよ。

 私は、言っておきますけれども、おととしの十月だよ、おたくの課長に来てもらって、こういうことが起こるといかぬから、ちゃんと慎重にワクチンのことも考えてやってくださいと言ったんですよ、私、名前のことまで。何を私にどさくさで、とんでもないこと言うんですか、これ。

 これは、僕からすれば、そのころからきちっと清浄化論やるならやるでいいけれども、しかし、それは、ワクチンのことも考えて、やっぱり適正なワクチンをちゃんとマーケットで見て、いいやつを選んでもらう、国民の税金をむだ遣いせぬように、当たり前じゃないですか、これは。大臣、聞いておられないでしょう、その辺のところを。

亀井国務大臣 平成十四年の十月に、先生の御紹介でお見えになって、いろいろの御質問項目、これを伺っておることは事実であります。

 そういう中で、先ほども局長からも申し上げましたが、防疫技術検討会、これで通常のワクチンの使用を行うべきとの専門家の一致した見解も出されたわけでありますが、これら等を踏まえていろいろ検討する、こういうことで今日まで来たわけでありまして、さらに、今日、このような鳥インフルエンザが発生をいたしました。

 そのような緊急事態になりまして、さらにこの小委員会におきまして、専門家の皆さん方、もう本当に技術関係の皆さん方がいろいろ検討され、先ほど局長から申し上げておりますとおり、使用期限の問題であるとか、あるいは、今チリでの問題を御指摘になりましたが、それらのことにつきまして、そのほかのことにつきましても十分専門的に検討をいただいた結果、このようにしたわけであります。

河村(た)委員 では、その検討結果を、ちょっと悪いですけれども、文書にしてきちっと出してもらって、これは報告してください。ここでけんかしておってもしようがないので、これは。結果がよくなればいい。

 だけれども、どさくさに紛れてという言葉を考えて使ってくださいというのは撤回してくださいよ、ここで。

亀井国務大臣 先ほど来、私は御質問にお答えをしているわけでありまして、けんかをしていることでは毛頭ないわけでありますので、先ほどの言葉は私は撤回をいたしません。

河村(た)委員 いずれにしましても、こういうのをどさくさと言うので、では、相場の二倍から三倍のワクチンであったということは認めますね、理由は別として。

亀井国務大臣 価格は高かったということは承知をしております。

河村(た)委員 いや、高かったじゃなくて、二倍から三倍とはっきり言っておいてください。(発言する者あり)二倍でもいいです。三倍でもいいです。それは言ってください。

中川政府参考人 価格としては確かに高かったというのは事実でございます。(河村(た)委員「二倍から三倍と言ってくださいよ、どのくらいか」と呼ぶ)その程度のものだというふうに承知をいたしております。(河村(た)委員「ちゃんと数字を言ってください」と呼ぶ)

笹川委員長 中川消費・安全局長、正確に答弁してください。

中川政府参考人 はい。

 購入価格は消費税込みで八千六百円ということでございまして、それをどこと比較するかということでございますが、香港でも同じものが輸入をされているということは承知をいたしております。それが四千円から五千円ぐらいのものということでありますので、先生おっしゃったような数字は一つの比較になるというふうに思います。

河村(た)委員 それでは、この問題はそれで、委員長、資料を出させてくださいね、きちっと報告を……(発言する者あり)いや、何を言っておるんだ、だれを守っておるんだ、一体。国民の税金を守りなさいよ。(発言する者あり)安全を守るんですよ。だから、どういう検討をしてきちっと選んだかということをちゃんと出して、次に備えりゃいいじゃないですか。当たり前じゃないですか。何を言っておるんだ。出してくださいよ、そんなもの。――副大臣は関係ないじゃない、何なんだよ、一体。

金田副大臣 ただいま河村先生から、十四年の十月にワクチン業者の方を御紹介いただいていることは事実でございますが、その家きん小委員会、専門家の委員会で三つのものをどれがいいかということを、専門的な検討を経て今購入したものに決めているのでございまして、それは単なる値段だけの問題ではございません。いろいろな……(河村(た)委員「検討過程だけ出してくださいよ、こんなことを言わぬでもいいじゃない」と呼ぶ)いやいや、そういったことで適正に決定させていただいたところでございます。

河村(た)委員 そんなことは関係ありませんよ。何を言っておるんですよ。(発言する者あり)

笹川委員長 静粛に。静粛にしてください。

河村(た)委員 ちゃんと検討過程だけ、冗談じゃありませんよ、こんなもの。検討過程だけ出してくださいよ。言ってくださいよ。

亀井国務大臣 理事会の御決定に従いたいと思います。

笹川委員長 それでは、理事会で協議させてもらいます。

河村(た)委員 私、言っておきますけれども、余りそういうことは関係ないんですわ。ただ、おととしから、名前も変えてきまして、こういうことが起こると大変なんです、これは。だから、そういうことで、民間業者が困らぬように、消費者が困らぬようにとやってきた、こういうことでございます。

 それでは、次行きましょう。次は、では、国土交通省――これで大臣結構であります。どうもありがとうございます。

 国土交通省、いいですか、国土交通省。

 ちなみに、私は、このワクチンを買ってくれなんてことを言ったことはただの一回もありません。それを言っておきます。ありません。

 国土交通省に聞きますが……(発言する者あり)

笹川委員長 静粛に。静粛に。

河村(た)委員 国交大臣、国交大臣に聞きます。

 この間、いわゆる建設省のOBの再就職についていろいろ聞きましたよね。それで、あっせんについて聞きましたけれども、これはどうですか、あっせんについて、そのときの答弁、もう一回、ちょっと。これはやはり大臣の方がいいかな。やはり大臣、聞いたでしょう。

安富政府参考人 先日の建設省のいわゆる職員のOBの再就職の件でございますが、あっせんという言葉がございましたけれども、我々としましては、営利企業の方から、具体的にこういう技術あるいは才能を持った人をぜひ就職させたいということで問い合わせがございます、照会等がございます。それに対しましては、具体的に各職員に対して、特に退職が近い職員に対して、こういうことがある、そういう営利企業に対して、こういう職員がいるけれども、これについてどうかということで、企業の方に採用するかどうかを検討してもらうということで情報を提供しております。

 そういう意味で、具体的には、企業の方と職員の方で、その情報に基づきまして、両者で合意しまして、それで具体的な再就職に至るという状況になっております。

河村(た)委員 ちょっとこれ、大臣、この間と同じ話なんだけれども、それを官から民へという精神で、これは下手すると官が民へという今状況なんですね、これは。本当にこれは業者が困っておるわけですよ。

 それで、何かさらに深めて調べられた、ノンキャリの天下り。

石原国務大臣 この間も河村委員と議論をさせていただきまして、委員から、あんた、本当のこと知らねえんじゃねえかというような御指摘をいただきましたので、官房長に改めて調査をさせた結果が今のとおりでございます。

 しかしながら、押しつけ型の、委員が御指摘されるような予算や権限をもって、委員が御指摘なのは、地方の整備局から民間に行くようなことがあっては絶対にいけないものでありますので、こういう誤解を招かないような新たな策を講じさせていただきたいと考えておりますが、まだ具体的にお示しできるところまでないので、もうしばらく時間の御猶予をいただきたいと思います。

河村(た)委員 一応やはり調べられたところが、私はいいことはいいとちゃんと言いますので、役人に聞いた、ところが、それはそんなことしていないと言ったと言われましたよね。だけれども、さらに疑問を持たれて、そうとも言えないというのか、いろいろな新しい事情で対応を考える、そういうふうになった、そういう理解でいいですか。

石原国務大臣 河村委員が私の言葉を聞くと何でそういう言葉になるのかよくわからないんですけれども、私が申し述べておるのは、委員が御指摘のような、いわゆる地域整備局の、委員の言われるノンキャリの方々が、予算や権限を背景に、押しつけ型で民間に天下るようなことが絶対にあってはならないし、そういう事実はないと、官房長は調べた結果、今お話をさせていただいております。

 しかし、委員がそのようなことを発議されるような、ということは、誤解を招くようなことがあってはならないので、さらなる、ノンキャリアの方々も含めて、地域整備局から営利企業へ再就職に関する透明性というものを高めるための具体的な措置というものを講じていきたいと考えているという趣旨と御理解をいただきたいと思います。

河村(た)委員 透明性を高めるというのは何かよくわからぬですけれども、じゃ、まあ、そういうことってやはりあったと。

 じゃ、もう一回原点に戻って、集団的あっせんはあったのか、なかったのか。

石原国務大臣 官房長が答弁をさせていただきましたように、民間企業の側から、いわゆる、地域整備局に対して、こういう方はいませんか、いたら、私どもの企業の方に、再就職をされる意思があるならば、そういう方を御紹介いただきたいという問い合わせはあったということでございます。

河村(た)委員 そうすると、旧建設省ですか、国交省の方から集団的に、例えば仕事が一億から二億あれば一人行ってくれというような、そういう集団的あっせんはなかったという理解でいいですね。

安富政府参考人 先ほど来から大臣から申しておりますように、いわゆる押しつけ的あるいは強制的に、組織、地位あるいは権限を利用して、そういう形で我々が営利企業の方に職員を、いわゆる就職を、いわゆる議員の言葉で言うあっせん、そういうことは一切やっておりません。あくまで、営利企業側から、こういう才能、こういう人材が欲しいという話があったときに、それに対して情報を提供するということはやっているわけでございます。

河村(た)委員 不正確だ。

 じゃ、民間から仮に言ってきた場合に、これは国税庁とちょっと違うんですよ、言ってきた場合に、それはそれで、しかし、おたくの何だったか、調査官かな、あそこがずっと、わあっとこういうふうに組織的にあっせんする、そういうこともないんですか。

安富政府参考人 あくまで、組織的という言葉がどういう意味かちょっとわかりませんが、先ほど言いました企画調整官、人事担当者がおりますけれども、これに営利企業の方から個別にいろいろ御相談があります。具体的にいろいろな照会等もあります。そういうことに対して、例えば、四月人事が非常に多うございますから、二月ぐらいには大体退職するメンバーがわかりますから、そういう人に、こういう人がいますよという情報提供をしているということです。あと具体的な条件等については、各個別にそれぞれ企業と職員で話していただきます。

河村(た)委員 それは組織的にやっておるのですか、情報提供を。情報提供か何か知りませんけれども、それも一応ちゃんと、いわゆる国土交通省の事務として、自分のところの仕事としてやっておるんですか、ちゃんと。そういうのを組織的というんですよ。

安富政府参考人 あくまで、いわゆる営利企業の方からの問い合わせに対して、我々として情報提供をしているということでございまして、組織的ということでおっしゃっている意味がよくわかりませんけれども、個別にやっておるわけでございます。

河村(た)委員 いや、職務としてやっておるかどうか、職務として。それと、情報提供じゃなくて、何月何日、ここに行きますけれども、こうですよと、そういう就職の実際の世話もやっているわけですね。

安富政府参考人 職務としてということにつきましては、当然いわゆる職員でございますから、職員の再就職について、具体的に職員の情報を持っているのは企画調整官が持っておりますから、営利企業の方から言ってきた場合には、それに対して情報提供するということでございます。ただ、具体的な、先ほどの条件とかそういうことについては、当然両者で話し合っていただくということでございます。

河村(た)委員 ちょっとこれは、大臣、そういうことを言っておるけれども、これは本当なわけ。本当なわけ。

石原国務大臣 官房長もお話をさせていただいておりますように、問い合わせがあった場合に、その企画調整官が答えているということでございます。

河村(た)委員 じゃ、これはもし違っておったら、一定の責任をとられますか、大臣。もう大分時間がたっていますからね、これ。

石原国務大臣 委員との議論は若干禅問答になると思うんですけれども、だれが何に対してどういうような責任をとるということなのか、私には理解できません。

河村(た)委員 やめられるかということですよ。

石原国務大臣 今の御質問は、私がだまされていたら、おまえはばかだからやめろというような御趣旨なのですか。

河村(た)委員 だまされていたらといって、やはり次官と違うものね、大臣は。次官だったらいいですよ。だけれども、大臣は、いわゆる議院内閣制の趣旨からいえば民主的コントロールを及ぼすわけでしょう。

 だから、役人がそう言っても、やはり僕もこれだけ言っておるんだから、本当かな、これはと思ってもらわないかぬで、これ。思ってもらわな、何のために議院内閣制をやっておるのかわからぬ。要らないじゃないですか、それじゃ。次官がやればいいじゃないですか。だから、石原大臣におかれては、やはり僕がこれだけ言っておれば、本当にそうなのかと。

 それで、現場に聞かないかぬですよ、現場の人たちに、これ。調査して、官から民へという小泉さんの精神に合うような経済をつくっていかないかぬわけでしょう。そのために、ちゃんと現場に回って聞いてもらえるか、ちょっと聞いてもらえませんか。

笹川委員長 私が聞くわけにいきません。(発言する者あり)質問者も外の人と会話は慎んでください。

石原国務大臣 河村委員、この間も河村委員に私お話しさせていただきましたように、どこどこでこういうことがあるから調べてくれと言えば私も調べようがありますけれども、あるんだ、あるんだ、あるんだ、調べてみろと言って、ないと言われたわけですから、どこどこでどういうことがあるということを、今とは申しませんけれども、言っていただければ私も調べようがありますけれども、あるから調べろ、おまえはないということを何で信じているんだ、ばかやろうと言われても……(河村(た)委員「ばかやろうとは言ったことありません」と呼ぶ)そういうふうに感じたんです。合意をもとに……(河村(た)委員「撤回してください」と呼ぶ)ばかやろうという言葉が、私が思ったということでございますので、私が思っただけでございますので。

 ちょっとお話を聞いていただけないんですが、一応、先ほど来答弁させていただきますように、そういうことがあった場合は、人事院の承認を受けて初めて今みたいな官から民にという動きがあるわけでございますので、ですから、そういうもので、こういうところでこういう誤解を招くような事態があるんだ、これを直せと、ぜひ具体的に言っていただきたいと思います。

河村(た)委員 じゃ、もうちょっと具体的に進めまして、OBの方が選挙に出られる、議員になられる、そういうときに、OBの方を集めて、そういうふうなところに現職の方が、例えば講演会というような格好で、講演会というのは、サポーターじゃなくて、レクチャーというか勉強会ですね、そこで講師になるというふうなことで出ていかれて、本当の一般的なことならこれはあれかもわからぬけれども、事実上ほとんど、終わったらすぐそういうようなサポーターの後援会、そういうことをやる。そういう場所に現職が出ていく、そういうようないわゆる省ぐるみですね、省ぐるみの選挙の実態というのはあるんじゃないですか。

石原国務大臣 委員の御指摘がどのようなものを念頭に問題であると御指摘されているのか、詳細はわかりませんが、現職の公務員の方が、その省に在籍した方が立候補したところに行って、何々君は私の省の出身者であるから、そして大変すばらしい人間であるからよろしくお願いしますというようなことをやるとは、公選法の関係から私はないんじゃないかと思います。(河村(た)委員「パーティーのようなもの、先ほど言った」と呼ぶ)

 パーティーのような席に参りましても、そのようなことを言えば、明らかに、現職の公務員であるならば、私は問題があると思います。

河村(た)委員 それは言ったらだめですよ。それは言ったら公選法違反だ、一発で。

 だけれども、そういうふうなところで、実際上何らかのいわゆる政策的な話をするんですけれども、場所が、実際それが終わったらすぐ後にその議員の後援会の会合であった、そこにも現職の人間が何人か参加していた、そういう形式での働きかけというか、そういうものというのはあるんじゃないですか。

石原国務大臣 委員がどういうことを念頭に、委員ももう明らかにそれは違法であるということを御指摘になっていて、違法を犯す人間がいるとは私には思えませんし、そういうことのないように、選挙の前には国家公務員の服務規律の確保に関する通知というものを次官名で毎回出しております。そういうことであらぬ疑惑を招かないように、制度の的確な運用というものを役所としても図っているということが現実でございます。

河村(た)委員 いや、これは本当に調査してもらわないと、実際あるんですよ、これが。

 何となくこういうふうだから対政党的な感じになるので感じ悪いんだけれども、やはり地元の土建業者さんたちが、今、正直言ってかなり苦しんでおるんですわ、これは正直言って。(発言する者あり)いや、こんなところじゃ言えぬじゃないですか、そんなの。やはり民間経済大事ですから。

 では、どうしましょうか。大臣にそれでは現場を、それか、OBの方がやっていますから、OBの全国会もあるようなんです、建設省の。その会長さんと九州の会長さんを、一遍参考人で来ていただいて話を聞くということでお願いします。(発言する者あり)名前はちょっと調べていないですけれども、OB会……(発言する者あり)いやいや、それはいいですよ。

笹川委員長 河村君に申し上げますが、名前がわからないと……

河村(た)委員 いや、それは調べるからいいですよ。

笹川委員長 だれが調べるんですか。

河村(た)委員 調べられますよ。出さぬ方がいいでしょう。いいですよ、それは。

笹川委員長 そうですか。では、理事会で協議しましょう。

河村(た)委員 では、それはそういうことですから、ぜひひとつ。本当に民間経済を大事にしてほしいんです、私。官が民へということになって、これは膨大な力ですから。

 では次、ちょっと国税庁に。

 国税庁、ちょっと財務大臣、この間、例の国税の一定の官職になると、いわゆるOB税理士としてこれは正規にあっせんしておるわけです、国税庁といいますか、局といいますか、人事部が。そのときに、二月十七日の本会議で大臣が、こういうのは有益だと言われましたね、これは。過去にも言った人、ごくわずかおるんですけれども、ほとんど有益とまでは言い切らないけれども。悪いけれども、どこが有益なんですか、これ。

谷垣国務大臣 十七日の速記録で見ますと、「このあっせんについては、職員の在職中の職務の適正な執行を確保する等の観点から、必要に応じ行っているものでありまして、民間の需要に対する的確な対応等の面でも有益であることを御理解願いたい」、こう私言っておるわけですね。

 それで、その有益という心は、いろいろな税法とか税務実務に通じている者をぜひ欲しいという民間の需要が、これは確実にございます。一つはそれにこたえるということですし、さらに言えば、そういう実際の税務実務に通じたり税法に詳しい方が関与されるということは、これは、税務当局の方からしても、職務を適切に執行する上でいろいろ有益な点があるというふうに思っております。

河村(た)委員 これは本当にお願いしたいですわ。何遍これを言っても、何の効果もなしに延々と続けられるということなんでね、これは。自分でやればいいんですよ、要は、再就職は自分で。定年までおるなりなんなりして、それから半年か一年かかるかわからんけれども、自分で回ったらどうですか、これは。

 それで、上位五名と三百人程度あっせんしていますわね、これは。私のところにも、いや、平均年間一千万になるけれども、私はそんなもらっとらんという声もあるんですよ、これ。だから、上位五名、下位五名を教えてくれと言ったけれども、教えてもらえませんか、これ。名前じゃなくて。

村上政府参考人 お答えいたします。

 あっせん対象者の全氏名並びに官職につきましては、先生の御指摘がございまして、二年前から公表することにいたしております。全氏名でございます。

 したがいまして、今御指摘の、上位五名を示せというお話なんですが、そういたしますと、氏名と官職を公表いたしておりますから、やや個人名が推測される可能性があるわけです。したがいまして、これは退職管理、いわゆる人事管理を行っておりますので、個人のプライバシーに関することでございますので、名前の公表は差し控えさせていただきます。

河村(た)委員 では、二千万円以上もらっておる人はおりますか。

村上政府参考人 失礼いたします。

 先生の御指摘で、平均的なあっせん額は公表しておるのは御存じだと思います。それから極めてかけ離れた人がいるんではないかという御質問をされているんだと思いますが、そういう方はいらっしゃらないと思います。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

河村(た)委員 そういう抽象的でなしに、二千万円以上もらっておる人。

村上政府参考人 失礼しました。

 個々の数字についてはちょっと御説明を差し控えさせていただきたいと思いますが、平均的なものの約二倍程度だというふうに思います。二倍程度、最高の方は。(河村(た)委員「だから、最高で二千万ということですか」と呼ぶ)はい。

河村(た)委員 ちょっとこういうことでございまして、二倍程度の人がいると。だから、二千万程度もらっておる人がおるということでございますけれども。

 まず大臣、そんな有益だったら、何で二年ごとにかえるわけ。大体二年間なんですよ、あっせん。そんな有益な人だったら、税法に詳しいとか何だったら、何で二年間ごとにころころかわるんですか。

村上政府参考人 失礼いたします。

 ちょっと細かいあっせん実務を大臣は御承知であるとは思いませんので、私から答弁させていただきますが、一応、顧問先あっせん原則二年ということでこちらもお願いしているところであります。個々の契約は、もちろん退職した職員と企業とが結ぶわけでございますので、ケース・バイ・ケースでございますが、もちろん、二年以上契約されている方もいらっしゃるかと思います。

河村(た)委員 そういうわけで、大臣、今の話を聞いておられて、二年ごとなんです、原則的に。大臣がレクを受けられた話によると、民間からニーズがあるというふうに答弁することになっておるんですわ、これは。

 だけれども、税理士というのはおるんですよ、そこに。これは御存じだと思うけれども。これは二階建てとか三階建てとか言うんですけれども。これは先ほどの国交省も同じ問題になってきておるようですよ、今。そういうことなんですよ、残念ながら。だから、本当に有益だったら、民間企業はそれは二年でころころかえてくれなんて言いませんよ、これは。どうですか。

 だから、これは実務じゃなくてちょっと方針の方で言いますけれども、こうやって、理屈とすれば、一人でやると、自分でやらせると悪くなるからみんなでやると言うんだけれども、みんなでやって、これは、実はこういう国税庁がちゃんとあっせんするもののほかに、東京国税調査部という大企業のがあって、そこで前回大問題になったわけです。それで、商売をやっておるとわかるけれども、ある程度企業をやってまあまあになりますと、上の方へ行くとこうやって受け入れちゃうんですよ、人間って弱いから。国税庁に弱いんですよ。税理士さんが何人かおる。どちらにしろ、受け入れて税理士稼業をやらないんだったら、何か期待しなきゃ金を出す方がおかしいじゃないですか、これは。意味のない金を出したらいけませんよ、企業は。贈与になりますから。

 だから、またこれはやりますけれども、毎年これは続けていますので、毎年本当に続けておるんですよ、これは。堂々と組織であっせんしていると言っているんだから、こっちの方は。だから、やはりやめて、特に税務署はいかぬ。税務署とか警察とか検察とか、こういう、特に人を逮捕できるようなすごい権力を持っておるところはやはり僕はやめないかぬと思いますよ。退職金と年金をもらうんだから。もし、小泉内閣が民間経済を大事にしようというところだったら、ちょっとこれは、やめるなり、本当に根本的に考え直すと。個人でやるんだと。個人でやっていかぬことは、刑法があるから、ちゃんと。法律があるんだから、それで取り締まればいいんですよ。そういうふうにちょっと言ってもらえぬでしょうか。

谷垣国務大臣 委員は先ほど、有能なら二年なんということなくずっと使うはずだとおっしゃいましたけれども、役所がいわば世話をして、一生使ってくれと言うわけにはいかないでしょう、それは。幾ら優秀だって、まあ二年ぐらいでお願いできますかと言うのがそれは私はいいところじゃないかと思いますけれどもね。

河村(た)委員 やはりやめない、こういうシステムをやめない。

谷垣国務大臣 いや、先ほど申し上げたように、それなり役に立っているところがあるというふうに考えております。

河村(た)委員 そうすると、やめないということですね。ちゃんと答えてください。

谷垣国務大臣 やめるとは御答弁申し上げておりません。

河村(た)委員 石原大臣、結構でございます。済みません。御苦労さまでした。

 民間がしっかりして断りゃいいじゃないかと小泉総理も言われたけれども、そんなもんじゃないのよ、本当にこれ。こんなことで何遍も言っておったってしようがないけれども、ここのところは本当に、官から民へじゃない。もう一回言うたら、官が民へです。この影響力というのはすごいんですよ、国交省も国税も。

 だから、まあええわ、なかなかあれかわからぬけれども、よう考えておいてくださいよ、ぜひ、本当にこれは。私はそういうふうでやってきましたからね、小さな会社なり。わかるんですよ、これ。

 だから、キャプテン・オブ・インダストリーということで、やはり社会で、まあ公務員の方も立派ですけれども、やはり支えておるのは納税者たる、中小企業、中小企業とよう話は出てくるけれども、やはり実際、車の修理屋のおやじで、油にまみれてスパナでやって、トラックやフォークリフトに乗っておる、そういう人たちなんだ。その上に役所が何か支配しておるような姿はやはり変えていかないかぬ。これがこの再就職の泥沼の地獄ですよ、これ今。ということを申し上げて、こんなことを言っておってもしようがないですから。

 では、次は法務大臣。この間からも質問させていただいておりますけれども、まず、名古屋刑務所の、委員長も一緒に法務委員会に見えたから聞いておられたと思いますけれども、名古屋刑務所の三つの話ですね。

 私は、無実の罪だということで、というよりも、やはりこれは、まず保護房というのがあるんですけれども、この間も申し上げましたように、刑務所の中で暴れたりなんかしますと、いわゆる隔離施設に入れられて、そこで、受刑者のためにも、そういうところで転んだり、それからそのほかの理由で受刑者を守らないかぬ、これは。そういうことで、この間二人亡くなって一人けがをされたということだけれども、そういうことが再発しないように、再発防止の法律上の義務はありますね、これ。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

野沢国務大臣 委員が日ごろから名古屋刑務所三事案につきまして大変御関心をお持ちいただきまして御指導いただいておりますことに敬意を表しておるものでございますが、再発防止につきましては、私ども、これにつきまして、行刑改革会議等の指摘も踏まえ、何としてもこれは再発させたくない、させてはならないという決意のもとに取り組んでおります。

河村(た)委員 だから、再発防止のために調査を尽くすと。何か事故があったときに、大臣、何か事故が、いろんな事故がありますよね、行政に絡む事故が。そのときに、やはり真相究明を行政として、司法と別に行政として真相究明をして、そういうことが起こらないようにするという当然の法律上の義務がありますねと聞いておるから、そうだと言ってくれりゃいいんです。

野沢国務大臣 ただいま三事案につきましては、御承知のとおり司法の場に付されておるわけでございますが、当然、これと並行しまして、行政上の務めも果たしてまいりたいと思っております。

河村(た)委員 ところで、私も、きょう矯正局長が見えて、堂々と、変なやみ討ちみたいなことはやりたくなかったから、おととし、平成十三年の十二月ですか、あそこで放水の話があるんですけれども、そこの保護房内に、プラスチック製の湯飲みみたいなのが入っていたということがあるんですよ、これ。

 これについて、私が、これは平成十五年の四月十六日に法務委員会で、私がというより法務委員会で視察に行きました。あのときは委員長も見えたんではないかな、見えなかったかな、委員会で行きました、視察。そのときに、その房内に当時あった、平成十三年十二月当時あった、要するに、自傷行為なんというものはよくあるらしいんですよ、保護房内で。事故とか、転倒したりとか、みずから傷つけたりというのはよくあるから、どういうものが中にあったか、平成十三年十二月当時のものをそのままそこに置いておいてください、こういうことを言いましたよね、大臣。

横田政府参考人 お答えいたします。

 平成十五年四月十六日の、衆議院法務委員会が名古屋刑務所の御視察をなさいましたけれども、その前に、ただいま委員御指摘のように、委員から、いわゆる十二月事案、当時保護房内にあったものを準備しておいてくださいという御依頼がございました、確かに。

河村(た)委員 そのものをね。そのままのものを。

 それで、それ以後、行ったときには、やわらかい筒だったですよね。

横田政府参考人 ただいま申し上げました十五年四月十六日の法務委員会の視察の当時に名古屋刑務所が用意いたしました飲み物容器ですが、これはポリエチレン製のものでございました。やわらかい、比較の問題でございますけれども、そういう素材のものでございました。

河村(た)委員 やわらかいものにかわっていた。そのときに、私が、何でかえたんだと。

 それで、ペットボトルをやわらかいものにかえたのはいつだったですかね、あれは。

横田政府参考人 お答えいたします。

 これは、当時といいましょうか、昨年の視察当時のことを申し上げますけれども、視察のときに、河村委員から御指摘がございまして、その後調べました。その結果、保護房で使用していたというか、昨年の視察当時に用意したポリエチレン製の容器は、平成十四年九月からその容器を使っていたということが調査の結果わかりました。

河村(た)委員 これはちょっと皆さんに言っておきますけれども、予算委員会でたしか集中審議もやったと思いますよ、このことで。集中審議もやった、そういうことですから、ぜひ、そのときにやったことが本当に真実であったかどうかということはやはりきちっと明らかにしないと、これは大事なことなんで。

 では、ちょっと、保護房内のペットボトルというか水筒について、実はきのう、今も、要するに名古屋刑務所にはかたいものはないと言っておられたけれども、実はあったということで、きょうちょっと私に謝罪されましたけれども、そのいきさつをきちっと話してもらえますか。

横田政府参考人 今委員御指摘のとおり、昨日、委員の方から、名古屋刑務所には平成十四年九月より前に保護房で使っていたものと同種類の容器があるはずだということが言われました。

 それで、私ども、それについて、きのう急遽調べました、調査いたしました。名古屋刑務所に調査させましたけれども、その結果、保護房で使っている容器は、これは平成十四年九月以降かわった、先ほど申し上げたポリエチレン製のものであるけれども、そうではない飲み物容器が、同じ刑務所の中の、二種房というふうに呼んでいるんですけれども、自殺などのおそれの高い人を収容する、そういう独居房なんですが、そこに収容している人に対して飲み物を供与する際に使っているという容器がございました。それは、平成十四年九月に、現在保護房で使っている容器にする前に使っていたものと同種類のものであるということがわかりました。そういう意味では、言葉としては、ないというふうにお答えしたことは不正確であったということでございました。

 なぜそのようになったのか。ないという答えは、これは推測で物を言ってはいけませんのでこれから調査をいたしますけれども、保護房で使っていないということが頭にあって、そういう経過で来てしまったのかなという感じがいたしますが、いずれにいたしましても、結果として委員に、ないというような答えを最初にしたということ、調査した結果、また訂正しましたけれども、いずれにしても、その事実があったことは事実でございますので、その経過については、これから詳細に調査をいたします。

河村(た)委員 それと、委員会の視察と違っておったということですから、これ。山本有二さん見えんか。山本有二さんが、副大臣がおるといいんです、彼が委員長だったときですから。委員会で……(発言する者あり)そうなんです、どうも、大変、与党の筆頭理事で。

 だから、園田さん、あのときに行って、見ましたね、保護房内。あのときに、同じものを入れてくれと言ったら、実はそれはないからと言って、入れておったのは違っていたんですよ。(発言する者あり)ありましたということですね。だから、これは、委員会に対して、やはりちゃんと謝罪せないかぬですよ。明らかに説明は違っていましたから。委員長も見えたけれども。

 矯正局長、だからやはりそこは、違っていたから申しわけなかったと謝罪してくださいよ。これはしてもらわないかぬです。

横田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、結果としては間違っていたわけですので、申しわけございませんでした。

 なお、この経過につきましては、繰り返しになりますが、調査いたします。

河村(た)委員 そういうことでございまして、(発言する者あり)いや、これは大変なことなんですよ。いや、これは本当に大変なことなんですよ。委員会で何遍これをやったのか。

 だから、見に行った。こういうことですよ、要するに保護房内で、フロアはかちかちのコンクリートだったんです。これは、今は何と厚さ二センチのウレタンのクッションつきになっておるんです。これは平成何年でしたかね、五年か六年ぐらいにクッションになっているんだけれども。名古屋刑務所も、新しい保護房はクッションつきなんです。だから、古いのはコンクリートそのまま。この間言いましたように、ここで倒れますと、革手錠というのは、ここにすごい鉄の塊で、ぼんと傷ついてしまう。

 それから、今言った、硬質性のプラスチックだったか、やわらかいのかで全然違うんです、意味が。やわらかいのは自傷行為に使えないんです。

 実は、自傷行為に使えるようなかたいプラスチックが入っていたんです、そこに。それは、委員会が見に行ったときに、ないと言ってわざと出さなかったんだ。(発言する者あり)わざとかどうかは別としても、事実はそうです。事実はそうだったということで、それは今謝罪されました。

 だから、そういうような、要するに、組織が人を殺すというか、本当の現場で、まあ、縁の下の縁の下、下積みと言うと彼らは怒るけれども、そうやって働いておった人は、実際は事故がたくさんあったの、保護房内で。それも上が隠しておったんですよ、これを。どうしたらいいかということになって、本当の現場の人たちに責任をなすりつけてしまったということではないのか。

 とにかく調査を、総理大臣も言われましたから、調査を早く尽くして真相を明らかにしてほしい、そういうふうに思います。そこだけ、ちょっと一言答弁だけもらって終わります。

横田政府参考人 必要な調査につきましては、今後とも継続してまいります。

河村(た)委員 終わります。

笹川委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 私は、若年者の雇用の問題について質問をいたします。

 高校生の昨年十二月末の就職内定率が先日発表されましたが、内定率が六八%と過去三番目に低い率です。内定率なお厳冬と言われる状態でございます。七万四千人が未内定のまま。求人倍率も〇・九四倍で、昨年に次ぐ低率となっています。大学生の内定率も、前年同期を三・二ポイント下回って七三・五%で過去最低の水準。約十万人が未内定のままでございます。全体の失業率が五%台ということで、しかし、二十五歳未満の若年の失業率というのは一〇・一%なんですね。しかも、失業者やパート、アルバイトなどのフリーターが増加しています。

 若者に安定した働き場所がない、この先も保障されないというのでは、日本社会の維持発展が危ういと言わなければなりません。若者自身が、自分に自信が持てないとか、また日本の社会に希望を持てないということになっているわけでございます。

 そこで質問いたしますが、まず、私はこれは政治の責任が重大だというふうに思っておりますが、この若年者の雇用状況について、厚労大臣、文科大臣、それぞれの御認識をお聞かせください。

坂口国務大臣 今お話をいただきましたように、今春の新規学卒者につきまして、昨年十二月末の高校生の内定率が六八・〇%でございました。一昨年に比べると若干回復しているとはいいますものの、非常に低い値でありますことは御指摘のとおりでございます。

 この数年と申しますか、あるいはもう少し前からかもしれませんが、まず数年、大変高校卒の皆さん方の就職が厳しくなってきている。きょうも他の方の御質問にもお答えをしたところでございますけれども、企業の中におきます高校生の採用ということが非常に今少なくなってきている、とりわけ大きい企業で少なくなってきているということがあることは事実でございます。

 その原因を聞いてみますと、やはり技術として十分なものを持っていないということでございまして、そうしたこともございまして、デュアルシステムを導入いたしまして、仕事と技術を身につけるということを並行して一年ないし二年やっていただく、そして技術を身につけていただいて本格的にお勤めいただくという道をつくっていきたいというふうに思っているところでございます。

河村国務大臣 石井委員御指摘のとおり、新規学卒者の就職内定状況、非常に悪い状況でございます。大学は七三・五、高専は割と人気がいいようでございまして九八・三ということでありますが、高卒が六一・四、中卒で就職する方は少ないんでありますが、中卒になると求人倍率が〇・三四というふうな状況下にある、そういうようなさまざまな状況下にございまして、やはり若者がきちっとした職場を持たないということは、日本の将来にとってもゆゆしい問題であると私も認識をしております。

 特に、ミスマッチといいますか、高卒あたりの方々は、求人求職、確かに高卒も求職者の方が多いのでありますが、求人は十八万ありながら内定は十二万というようなことで、要するに自分の行きたい職場、働きたい職場がなかなか見出せないでいるというようなこともございますし、また、額に汗して働くことのとうとさとか、勤労観、職業観、そういうものがきちっとはぐくまれていない点があるんじゃないかということを懸念いたしまして、そうした意識を持たせるような施策をこれから進めていかなきゃいかぬ。

 さっき厚労大臣おっしゃいました日本版のデュアルシステム等を取り入れる、また、フリーターや無業者に対する短期教育プログラムを開発してそれに入れていくというようなこと、さらに積極的にキャリア教育を進めなきゃいかぬ、こういう認識を持っております。

石井(郁)委員 私は、やはりこの雇用の問題は、政府が何をするのか、何ができるのかということが問われているというふうに思うんですね。若い皆さんもそこを本当に見ていらっしゃるんだというふうに思います。

 それで、最初に伺いたいのは、政府として、国として、今、若年雇用対策費ということでとっている予算は一体どのぐらいなのかということを聞きたいと思います。

青木(豊)政府参考人 若年対策費といたしまして、若者自立・挑戦プランということで、政府関係予算四百四十九億円を用意しております。

石井(郁)委員 続けてですけれども、その予算というのは、国内総生産、いわゆるGDP比でいいますと何%になりますか。

青木(豊)政府参考人 済みません、数字をちょっと言い間違えたかもしれません。四百九十四億円でありますけれども、GDP比、二〇〇四年度で約〇・〇一%ということになっております。

石井(郁)委員 〇・〇一って、〇一になりますか。(青木(豊)政府参考人「〇・〇一」と呼ぶ)本当ですか。それはちょっと初めての数字ですね。〇・〇一%。そうじゃなくて、違うんじゃないですか、もしかしたらけたが。本当でしょうか。間違いないですか、その答弁。

 それでは、フランス、イギリスやドイツの若年雇用対策費というのはGDP比でどのぐらいになっていますか。

青木(豊)政府参考人 必ずしも分子の若年雇用対策費というのが各国で一緒というわけではありませんけれども、OECDで一定の範囲で調べたもの、例えば特別な若年者に対するプログラムでありますとか、あるいは若年訓練ということで一般対策で若年者にも適用されるというものを除外しまして、特別な対策として分子として行っているものについて各国調べたものがあります。二〇〇一年度の数字でありますけれども、フランスが〇・四三、ドイツが〇・一、イギリスが〇・一三ということです。そのほか、アメリカは〇・〇三というようなことになっています。

石井(郁)委員 私、こだわりましたのは、今のOECDの調査ですけれども、少なくとも、フランス〇・四%台とか、イギリス〇・一%、ドイツも〇・一%等々があるんですね。私、最初に日本の数字は本当ですかというふうにお尋ねしましたが、実は、昨年は〇・〇〇で次、数字が出てこなかったんですよ、私がお尋ねしましたら。それで統計表にも日本の数字が挙がってこなかったということだったんです。だから、それほど予算が組まれていなかったんじゃないかということですが、急にここまで上がるというのは、ちょっと今、意外なんですけれども、それは伺っておきましょう。

 さてそれで、私は、明らかにフランス、イギリス、ドイツ等々と比べても本当に予算は少ないということはもう歴然としていると思うんです。そこで、予算が少ないというのはやはり施策が乏しいということにつながるわけですから、私は、先ほどおっしゃいましたように、若者自立・挑戦プラン、一体、この挑戦プランでは、雇用の創出というのは何年で、あるいはどのぐらいを見込んでいらっしゃるのか、これは大臣にお答えをお願いしたいと思います。

坂口国務大臣 若者に対する予算は、これはそれぞれの国の失業率もありますから一概には言えないというふうに思いますけれども、決して日本も高い方ではありません。低いと思います。ことし二割ほどふやしていただいて四百九十四億円ということになったわけでありますので、しかし、もう少しここは頑張らなければいけないというふうに思っているところでございます。(石井(郁)委員「雇用の創出というのは」と呼ぶ)

 雇用の創出につきましては、この四月からやった結果、それがどれだけうまく結びついていくかということにつきましては、これは一遍やってみないと、そこがどれだけ、一〇〇%いくのか、八〇%いくのかということはなかなか読みにくいですけれども、しかし、現在の雇います側の企業の方が、高校生のレベルでは低い、もう少しやはりレベルが高くなれば、それは我々は雇用できるというふうに言っていただいておりますし、先ほど河村大臣からもお話ありましたように、短大のところはかなりいいわけでございますので、そうしたことも勘案して考えますと、私は、これによって高校生の就職できない人の率を大きく上げることができるというふうに思っております。

石井(郁)委員 若者自立・挑戦プランで、幾つかのメニューがございますけれども、本当に今増加しているフリーター、そのフリーターなどを抑えて、そして就職を上げていくということの計画として、例えばどのぐらいとかいう形はプランとしてお持ちなんでしょうか。もう少し数字的に出していただければと思います。

青木(豊)政府参考人 若者自立・挑戦プランは、平成十五年六月につくったわけですけれども、このプランにおいては、フリーターが非常に増加しているとか、あるいは若年失業者、無業者が増加しているという現状を踏まえまして、当面三年間でいろいろな対策を講じて、若年失業者の増加傾向を転換させるというのを目標といたしているところでございます。

石井(郁)委員 これは後で示したいと思ったんですけれども、ちょっとこんな小さいグラフなんですが、高卒・大卒の就職者とフリーターの推移でいいますと、就職者はこんなに下がっているけれどもフリーターは増大しているという状況ですね。これはもう本当に胸が痛む数字だというふうに思うんです。それから、この増大しているフリーターを、増加を下げるという計画ではないんですね、どうも伺うと。だから、この状態はずっと続いていく、これをもっと上げないようにするというだけのどうもプランのようなんです。

 私は、きょう問題にしたいのは、雇用というのは働き場をつくることですから、安定した働き場をつくるということでいいますと、やはりこの計画ではその対応になっていないと言わざるを得ないわけです。

 高校の就職担当者の皆さんにお聞きしましたら、今本当に厳しい状況だ、四年間かけて開拓してきた求人が今年度はほとんど壊滅している、昨年と比べて一段と厳しい求人状況だ等々、近畿圏では求人倍率は〇・三七倍です。だから、その少ない求人に対して希望者が殺到しているわけですね。学生たちは、あきらめから大人社会への不信感に変わっているということが言われています。

 先ほど大臣も言われましたけれども、やはり企業に新卒の採用枠をどれだけ拡大させるかということが今本当に緊急に求められているというふうに思うんですね。だから、そのことに政府としては本当にどう対応されているのか。そういう対応を、本当に具体的に雇用をふやすというつもりで計画されているのかということで、厚労大臣に伺っておきたいと思います。

坂口国務大臣 これは、経営者の皆さん方に対しましても、ぜひひとつ、長い目で見て若い皆さん方の採用をお願いしたいということを申し上げております。一年とか二年とかという短期的な目で見ますと、それは経済の厳しさ等もありますから、それはなかなか雇えないということもあるかもしれませんけれども、もう少し長い目で見て、毎年毎年の卒業生でありますから、ひとつお採りをいただきたいということの御依頼を各団体にもお願いしているところでございます。

 そうしたことを通じてこれからプラスにしていきたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、地域によりましてかなりな違いもあるわけでございます。また、工業高校とか商業高校とか、職種によります違いも実はあるわけでございます。

 私、卒業しました高等学校、今、工業高校に変わっているわけでございますが、そこなんか、お邪魔しまして聞きますと、ここも、昨年の九月ごろでございますけれども、一〇〇%決まりましたというふうに言っているわけでありまして、私は、随分違うと思います。

 全体的に言えば商業高校の方が厳しいということをその地域では言っておみえになりますので、そうしたことも踏まえまして、全体として、地域別に、そしてまた高等学校の科別に、それぞれ対応した案をつくっていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

石井(郁)委員 冒頭、厚労大臣の方からも、大きい企業での採用がやはり少なくなっている、それが問題ではないのかということが言われましたけれども、これは、平成十五年版の国民生活白書でも、企業による新規求人の減少が新卒フリーター増加の主要な要因だというふうに分析されています。今、やはり企業に対して、どうやって採用枠をふやすのかということを政府としてきちんと言わなければ、この状況は変わらないじゃないかということなんです。それを本当に言っているんでしょうか。

 その点では、私ども伺いますと、厚労大臣も文科大臣も、あるいは自立・挑戦プランの担当大臣も、そろって若年者対策への協力という形での経済界への要請などはされているようですけれども、しかし、これを見ますと、本当にこれは、今言われたようなキャリア形成とか職業観の醸成とか、そういう問題がずっとあって、最後の方にようやく、新規学卒者を初めとした若年者の雇用拡大云々、できる限り努めていただくようにお願いをしますと、ようやく最後に一言つけ足し的なお願いなんですね。私は、これはやはり本気で企業に対して、本当に新規採用にもっと取り組んでほしいという要請になっていないと言わざるを得ないんですね。

 実際、本当にこの間、これも経済白書の分析ですけれども、九五年から二〇〇一年、この五、六年の間に、中小企業は三万人の正社員の増加、三十四歳以下ですけれども、していらっしゃるわけですけれども、大企業の方が百八万人減らしているんですよ。だから、やはり非常に力のある、体力のあるところで、実際正社員を百八万人も減らしている、五年間で。これでどうして本当に採用枠がふえるだろうかということを言わざるを得ません。

 私は、大企業、いや、企業一般にも社会的責任があるわけで、とりわけ大企業にありますから、そういう立場からも、もっとこの若年雇用の拡大、雇用の増ということについてその責任を果たすように国がきちんとやはり物を言うべきじゃないのか、指導すべきじゃないのかということを、再度、厚労大臣、御答弁願います。

坂口国務大臣 先ほども申しましたように、今までも言っておりますし、これからもまたお願いをしたいというふうに思っております。

 ただ、経済状況もございますから、何もかもそうしたことを無視してお採りいただきたいというお願いはできないわけでありまして、全体の状況を見るということも大事でございますから、そうした中で、できる限り長期的な展望の中でひとつ採用をお願いしたい、継続してお願いをしていきたいと思っております。

石井(郁)委員 この問題は、私、今フリーターのことも申し上げましたけれども、正規雇用と、パート、アルバイトなどのフリーター雇用との関係で見ますと、本当に深刻なんですよ。フリーターがどんどん増大している、正規雇用が減っている。

 その皆さんがどんな状況になっているのかということですけれども、私は先日、ヤングハローワークにも行ってみましたけれども、フロアはいっぱいですよ。皆さん真剣にやはり求人票を書き込んでおられるわけですね。

 そのフリーターの皆さんですけれども、高校卒で比率が三八・四%です、大学卒で三一・三%ですから、もう三人に一人なんですね。企業が採用する新卒というのは、結局パートやアルバイトに依存する傾向を強めています。これはさらに強まる傾向にあります。十九歳以下の場合ですと、二〇〇一年には四〇・四%がパート、アルバイトです。これは大変な問題だというふうに思うんですね。

 だから、こういう点からも、本当に正社員の労働時間を短縮して、パートではなく正社員として若年者を採用するように、やはりきちんと企業を国が指導しなければいけないんじゃないかということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。答弁、同じような答弁しか出ませんので、これは私は申し上げておきたいと思うんです。

 さて、そのフリーターの現実なんですけれども、ここでちょっと具体的な話をさせていただきますけれども、本当に低い賃金です。過酷な労働を強いられています。その上、雇用保険だとか社会保障もありませんから、多くのところで無権利な状態で働いている、働かされているということですね。

 パート、アルバイトの年収というのは、百五十万未満が約八〇%です。時給八百円で月収が十万円程度というのは多くざらにある状態です。深夜勤務を連続して五十一日間続けてアルバイトをして他界をした二十一歳の青年の話も聞きました。フリーターの方々は、やはり正社員になりたいということから、がむしゃらにある面では働く、生活も大変ということもありますから、そういう状態があります。今、若者の過労死ということが深刻な問題になっています。私は、一刻も猶予できない状態だというふうに思っております。

 そこで、質問ですけれども、政府として、やはり労働基準監督署などもこうした事態を放置しないで、チェックできるということをすべきではないのか。それからまた、若い人たちがこういう状態をどうしたらいいのかといういろいろな悩みや相談があると思うんですけれども、職場についての相談もあると思うんですが、そういう働き方についての相談などを受け付ける窓口なども今設置すべきではないのかというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか、厚労大臣。

坂口国務大臣 ここは、御指摘のとおり、平成十三年度に過労死として認定された人が百四十三件でございましたが、平成十四年度には三百十七件とふえております。これは、フリーターであろうと何であろうと、労働者の過労死を防止するためには努力をしなきゃいけないことでございますし、時間外労働、それから健康管理の徹底、過重労働に対する健康障害防止、こうしたことは、これは同じ労働者として扱わなければいけませんし、いたしますので、我々の方も、この皆さん方の健康管理、そして労働時間等につきましてはチェックをしていきたいというふうに思っております。

石井(郁)委員 私、ハローワークに伺った話をいたしましたけれども、職安とか職業訓練所でも大体そうですけれども、どういう職なのかとかどういう職があるのかとかいうことの相談はあっても、働く人たちがどういう権利を持っているかとか、そういう指導まではされていませんよね。だから、今そこがすごく大事になっているということを強調したいと思うんですね。

 本当にフリーターの方々が無権利な状態にいるんですよ、放置されているんですね。これを見過ごすわけにいきません。それは、働く若者自身が十分労働法規などを身につけていないという問題、知らないという問題もありますけれども、それを知らないままで本当に厳しいそういう労働環境の中で命を落としたりしていくということをほうっておくわけにいかないというふうに思うんですね。だから、今、そういう現場で働いているわけですから、労働法規などをやはり生きた形で身につける、そういう場でもあるわけですので、そういう点で、学校でも職場でも徹底していく必要があるのではないかというふうに思います。

 これは、一つ御参考なんですが、全労連がつくっているこういうパンフなんですけれども、「社会人になるキミへ贈る権利手帳」ということですけれども、やはり給料の未払いは違法なんだとか、八時間以上働いたら残業代はもらうのは当然だとか、首だなどと言って一方的に解雇などできないんだというような、こういうある面では当たり前だということが、若い人たちの中に今知られていないということがあるんですよ。そして、それをいいことに、いいことにと言うとあれですけれども、事業主もまた非常に一方的に酷使をするということもありますので、私は、事業主と雇用される側と両方にきちんとこういう労働法規などの徹底を今行う必要があるのではないかというふうに思います。

 こういうパンフなどもつくるということも一考でしょうし、いろいろな形で徹底を図れるのではないかというふうに思いますが、この点で、これは厚労大臣と文科大臣にそれぞれ、少し具体策をお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 フリーターの中もいろいろでございまして、きちっと働いているところもございますし、それから、非常に過重労働になっているところもある。また、フリーターの中には、一カ所でなくてかけ持ちで働いておみえになる方もある、一つのところを終わってまた別のところへ行って働いておみえになる方がある。そうしたことで、非常に把握しにくい状況になっているケースもあることも事実でございます。

 しかし、これらの皆さん方に、やはり何はともあれ健康が一番大事でございますし、労働とそして休養、そうしたものをきちっとしてもらわなければ長い間勤めていただくこともできないんだということをおわかりいただけるように私たちもしていかなければならないというふうに思います。そこは十分注意をしてやっていきたいと思います。

河村国務大臣 石井委員御指摘のように、働くことの意義といいますか、そしてそれには権利もある、また義務もあるわけでございますが、特に労働者の権利については、中学校の社会科あるいは高等学校公民科、これできちっと指導することになっております。

 学習指導要領を見ましても、例えば中学校の社会科では「社会生活における職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善について、勤労の権利と義務、労働組合の意義及び労働基準法の精神と関連付けて考えさせる。」というような形で指導をいたしておりまして、こういうことは、中学、高校それぞれの段階に応じてきちっと教えていかなきゃいかぬと思います。

 あと、同時に、働くことのとうとさといいますか、みずから働いて、そして報酬を得ていく喜びといいますか、そういうものも教えていかなきゃなりません。それも、ただ頭の中でじゃなくて、実際に企業へ参加して、そして一緒に指導いただきながら働いて、そしてまた学校に帰ってきているという、デュアルシステムと言われますが、そういう机上の教育と実体験、そういうものも組み合わせながら、働く意欲というもの、勤労観、労働観、そういうものをきちっと意識させる、こういうことが大切であろう、このように思っております。

石井(郁)委員 高校の先生方は大変苦労されておりまして、私も、いろいろなお話を伺ったり、見ているんですが、例えば、近畿で高校生の就職白書というのをつくられて、こういう中にその実態などが述べられていましたが、重ねて、この就職状況は本当に厳しいと。とりわけ女子ですね。女子というか女性ですけれども、今では、販売職とかウエートレスのようなサービス職も少ない。女性がまたがくんと落ちているという状況があるんですね。それから、男子生徒の希望する製造業なども極めて少ない。求人の多くが理美容と飲食関係だということでございます。就職とは夢を捨てることだというふうに生徒たちが言っているのが現実という、本当に、読むと胸が痛くなるような話です。

 私は、もう時間があれですけれども、やはり一方で長時間労働が横行している、まかり通っているということがあります。これは、今、男性では五人に一人が週六十時間以上です。週休二日なら、毎日十二時間以上働いているという状況になっている。だから、深刻な失業、就職難が一方であって、もう一方で二人分も働いているという、特に三十代の皆さんなどが非常に厳しい労働環境にあるということが広がっているわけですね。

 だから、こういうゆがみを今本当に正していくことがやはり大事ではないのかというふうに思います。

 私ども、サービス残業をなくせということを一貫して申し上げてきましたけれども、私は加えて、有給休暇も完全取得する。ヨーロッパなどでは一〇〇%取得がもう当たり前になっているという中で、日本は取得率五〇%ですから、こういうところを本当に是正すればもっと雇用ができるんじゃないか。

 いろいろな試算がございますけれども、二〇〇三年七月に、第一生命研究所、サービス残業をなくせば百六十万人の雇用が創出する、実質国内総生産を二・五%上げるということがございました。また、自由時間デザイン協会、レジャー白書二〇〇二によれば、年休を完全に消化すれば十一兆八千億円の経済波及効果がある、百五十万人の雇用確保ができるということもありますから、私は、今本当にそういう方向に政府を挙げてやはり転換をするような指導をして、あるいは、政府みずからも計画をつくり、雇用確保をすべきだというふうに思います。これは、もう時間がありませんので、主張にいたします。

 政府自身の責任でもやはり雇用の創出ということを考えるべきだという点で、これは文科大臣に伺いたいのですけれども、地方の自治体で随分三十人学級が実施されるようになってまいりました。この三十人学級を小中学校で実施した場合、どのくらいの雇用の創出につながるか、試算していらっしゃるでしょうか。

河村国務大臣 三十人学級を実施するということになりますと、三十一人以上のクラスを二つに分けるということになっていくわけでございます。今、大体、平成十五年度の公立小中学校の児童生徒数をもとに試算をいたしてみますと、約八万四千学級ふえるということでございます。これに伴う必要となる教員は約十一万一千人、こういうふうに見込んでおりまして、これも、数字の上でそういうふうに出てまいりますが、我々としては、少人数指導、習熟度別指導あるいはチームティーチング、こういう形で児童生徒の実態に即した学習指導を行っておるところでございます。

 実際に、政府自身の雇用ということで考えれば、平成十三年度から第七次教職員定数改善計画を行っておりまして、教科等に応じて二十人程度の少人数指導も行っておりまして、複数の教員による多面的できめ細かい指導をやるということで、二万六千九百人の定数改善を図るということもいたしておるようなわけでございまして、この計画を着実に実行していきたい、このように思っております。

石井(郁)委員 地方自治体も、いろいろ努力というか、取り組みをされていますので、一点だけ伺っておきたいのですが、二〇〇四年度で終わると言われている緊急地域雇用創出特別交付金ですが、これは、地方などでは延長してほしいという声が大変強くございます。ちょっと厚労大臣の御決意を簡単に伺っておきたいと思います。

坂口国務大臣 この交付金は十六年度までになっておりまして、これで一応切れることになっているわけでございます。そうした後、地方等の雇用状況がどうなるかというようなことも勘案をいたしまして、また御相談をしたいというふうに思っているところでございます。

石井(郁)委員 いろいろ申し上げてまいりましたけれども、若年者の失業というのは大変深刻な状態にあるということでございまして、日本の場合、若年者の場合は、最低の生活保障とか賃金助成というのは本当に今必要だというふうに思いますし、それから職業訓練ですね。職業訓練を受けたい、あるいは受けるすべての若者に安心して受講できるような仕組み、システム、こういうものもぜひつくっていくべきだということを私は考えておりますし、申し上げたいと思います。

 それで、最後にですけれども、国連の方でも、ミレニアムのサミット宣言というのを出されておりまして、すべての青年に充実した生産的な仕事を見つける真の機会を与える戦略をつくり実行するということがありまして、いろいろ取り組んでいます。二〇〇二年に国連総会で青年雇用の促進に関する決議というのが上がっていますし、いろいろな国際的なネットワークで実施に向けられています。国連決議でも、「青年雇用の促進を可能にする環境をつくる主な責任は政府にあることを認識し」ということで述べられているわけです。

 私は、こうした国際的な動向もよく見た上で、青年雇用についての真剣な取り組みに歩調を合わせて、やはり本腰を入れた政府としての取り組みをぜひすべきときではないか、すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

笹川委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 委員長初め、皆さん、長時間の熱心な御討議、御苦労さまでございます。

 私は、本日、毒ガス問題を中心に質疑をさせていただきますが、実は、この予算委員会でも、イラクの毒ガス問題、盛んに皆さんの論議に上がったかと思いますが、私がきょう取り上げさせていただくのは、我が国の関係する毒ガス問題でございます。

 平成の十四年度、すなわち、ちょうどアメリカが、イラクに大量破壊兵器、毒ガス兵器、化学兵器等々があるやに騒いでおられるころ、我が国においても、神奈川県の寒川というところで、我が国が戦争中につくっておった毒ガスが廃棄、遺棄されておって、それが国土交通省関連のさがみ縦貫道という道路をつくる際にビール瓶に入った形で出現、出土いたしまして、実際現場で働く方が労働災害に遭ったという事案がございます。

 また、昨年の三月には、茨城県の神栖町というところで、これは地中に残りました砒素がその後非常な健康障害を起こして、この事件以降、我が国においても毒ガス問題というのは急速にクローズアップされているかと思います。

 そこで、石破防衛庁長官にお伺い申し上げますが、この我が国が関係するところの毒ガス問題をめぐって、昨年の十二月の十六日、閣議決定において、各省庁を挙げて、特に昭和四十八年に毒ガス調査を行った以降、フォローアップ調査がなされていないがために今回またいろいろな事案が起こったということで、四十八年から今日までのフォローアップ調査の欠けたる点も含めて閣議決定で取り上げていくということが述べられ、各省庁の連絡会議というものもつくられております。

 この毒ガス問題に関して、防衛庁長官といたしまして、どのような認識、かかわりと役割がおありになるとお考えか、まず一点目はそのことをお願い申し上げます。

石破国務大臣 お答えを申し上げます。

 先生御案内のとおり、旧軍と私ども防衛庁・自衛隊というのは、これは連続関係にあるわけではございません。したがいまして、私どもといたしまして、この毒ガス問題というものは政府全体で取り組んでいくべきものであることは当然でございますが、主管省庁ということになりますと、これは環境省であるというふうに承知をいたしております。

 しかしながら、私どもとして、そのようなことに対します知見等々、これを有しておりますし、また、戦史等々も持っておるわけでございます。したがいまして、そのような情報等々をきちんと調査し、政府部内でよく連絡をとりながら適切に対応していくことが望ましい、そうあるべきものだ、また今までもそうやってまいったと承知をいたしております。

阿部委員 もちろん、旧軍と防衛庁が即関係したものでもございません。ただしかし、今防衛庁長官のお答えの中で、主管官庁が環境省であるという御認識は、そのあたりからやはり物事がずれてきているのではないかと思うのです。

 今回、環境省の調査において、Aランクというのが四カ所ございます。毒ガスがそこから出た、あるいは出たことの確実な記載がある場所。私が冒頭申しました寒川と、隣の平塚と、それから神栖町というものと、それからもう一つ、北習志野、昔習志野にありました訓練学校のあった地域でございますが、果たして、石破防衛庁長官は、この習志野にございます陸軍習志野学校ということについてはどの程度御承知おきでしょうか。これは、あくまでも、私は旧軍と防衛庁がかかわりがあるなしを聞いているのではなくて、陸軍習志野学校について、石破防衛庁長官の御存じなこと、御存じでないことをお伺い申し上げます。

石破国務大臣 所管が環境省だと申し上げましたのは、これは私は何も責任逃れをしようとか、そのようなことを申し上げておるわけではございません。認識がずれておるという認識もございません。それは、私どもとして、戦史等々で承知をし得ること、また、その処理等々に関する知見、毒ガスそのものに対する知見、それは国民の福祉という観点から、防衛庁としてできる最大限の協力はしていかなければならないということは、これは当然のことでございます。

 今御指摘の習志野学校についてでございますが、そのことにつきましては、旧軍習志野学校というものは所在をしていた、それが今の私どもの習志野の部隊とは、これは所在は異なる地域でございます。

 習志野学校に関しまして、これは公刊資料というのも出ておることを承知はいたしておりますし、環境省に所在をしておりますその書類というものも、私も全部読んだわけではございませんが、これをざっと読みまして、おおよその知見は有しておるつもりでございます。もし細かく述べろと言われれば申し述べますが、そのようなことがあることは承知をいたしております。

阿部委員 今の御答弁の中でも若干認識が間違っておるのではないかと思うので、あえて指摘させていただきますが、この陸軍習志野学校が所有しておりました演習地というものがございまして、そのうちの三分の一が現在の自衛隊の駐屯地になってございます。

 また、環境省の聞き取り調査の中でも、当時自衛官としてお勤めの方が演習場内のどこかに遺棄毒ガスがあるということを聞いたことが、仄聞したことがあるという報告が上がっておりまして、これは、現在も防衛庁が管理運営しておられる地域も含めて、もちろん、現在の防衛庁の管理地域はこの広大な演習場の約三分の一でございます。残りは民有地であったり、あるいは今、石破防衛庁長官のおっしゃられたような環境省があずかり知るエリアになりますが、この間一番問題になっていながらはっきりさせられていないのは、この関係する地域に防衛庁が現在おあずかりの演習場が入っているのではないかということでございますが、その点についてはいかがでしょうか。

石破国務大臣 私が承知をいたしておりますのは、その旧軍習志野学校の土地は、現在、教育施設、県営住宅、関東財務局宿舎等になっておりまして、陸上自衛隊習志野駐屯地及び習志野演習場の所在地とは異なるというふうに私は承知をいたしておるところでございます。

 また、先生おっしゃいますように、かつて、我々の関係者から、毒ガス弾が習志野演習場の一部に所在していたとの証言があるということは聞いております。この聞き取り調査というものも、当然これは行っておるわけでありまして、仮に毒ガス等が埋設をされていたとしますならば、これは自衛隊のみならず、関係住民の方々にも多大な影響を及ぼしかねないものでございます。

 したがいまして、情報の確実性等の確認を行うために、証言者から直接話を聞く、そしてまた、当時在職をしておった関係者に対しましても、これは政府の責任といたしまして聞き取り調査を行っておるところでございます。

阿部委員 もう一度伺いますが、防衛庁がみずからその聞き取り調査をなさっているのでしょうか。特に、この旧陸軍の習志野学校にお勤めの方で、その後自衛隊にお勤めの方もおありだと思います。

 それは、ここに分厚い本を持ってまいりましたが、「陸軍習志野学校」という、これは当時習志野学校にお勤めの方たちが編さんされた、昭和六十二年にできた書物でございますが、この中にも、当時陸軍学校におられて、その後自衛隊に籍を置かれた方の証言というのも出てまいりますが、石破防衛庁長官は、防衛庁として、それらの旧軍に関係し、なおかつその後自衛隊に籍を置かれた方たちの聞き取り調査をやっておるということでしょうか。

石破国務大臣 御指摘の資料につきまして、今先生がそこにお持ちのものでございます、これはどこかの図書館に所蔵してあったものかもしれません。私どもとしてその資料を有しておるということはございませんが、関係省庁また関係地方公共団体に、私どもが入手をいたしました資料、情報は当然提供し、できる限りの協力をしていくということでございます。

 ですから、先ほど申し上げましたが、私どもの管理をしております演習場の中においてそういうものがある場合には、それは当然、隊員のみならず近くの方々にも多大の影響を及ぼしかねないものでございますから、それは、私どもが管理をしておるということから考えましても当然行うべき責務と考えております。

阿部委員 質問を正しく聞いていただきたいと思います。みずから聞き取り調査を防衛庁としてなさっておられますかと。端的にお答えください。

石破国務大臣 必要に応じてみずから行っておるわけでございます。

 ですから、私が先ほど答弁を申し上げましたのは、事実関係を正確に申し述べたわけでございまして、それをみずからと言えば、その一言で終わってしまいます。

阿部委員 私が昨日聞き及んだところにおいては、防衛庁の関係者においても県が聞き取り調査をしておるということでございました。

 そこで、防衛庁長官の認識は、私は多少誤解がおありではないかとは思いますが、あえて言えば、これは公に出された書物でございますし、当時お勤めの方、そして私が申しました、その後自衛隊にお勤めの方もおられます。

 私があえてなぜ防衛庁がみずから聞き取りをしていただきたいと申しますかというと、実は、私の父も旧軍におりまして、その後自衛隊におりましたが、当時軍関係で勤めた者は皆、他言無用といいますか、ほとんど普通の聞き取りで人に話をすることはございません。八十五の父も一切黙ったままです。

 それは当時の軍人が受けた教育でもあり、しかしながら、この毒ガス問題ということをめぐって、今我が国がイラクのことをあれだけ問題にし、戦争まで支持した中で、果たして我が国の毒ガス問題がいかなる過去であり、これから未来に向かおうとするのかということにおいて、一番知識や知見や対策をお持ちの防衛庁というものがもっと積極的に関与していただかないと全貌がなかなか明らかにならないという点でお伺いを申し上げています。

 先ほど、みずから防衛庁としてお聞き取りか否か、それはそうしていらっしゃるとお答えでしたが、その点は私は疑義を差し挟んでおきますが、しかしながら、この場で、私の得た情報と今長官のおっしゃったこととそごがございますので、以降、きちんと防衛庁として聞き取り調査をなさるという御答弁をいただきたいと思います。

石破国務大臣 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、これは政府全体として国民の福祉のために行うものでございます。

 毒ガスというものによって隊員も、そしてお近くの皆様方も危険にさらされるということは、あってはならないことでございます。その中で、防衛庁として、先生が御指摘のように、持っておる知見、私ども防衛研究所に戦史部というのを持っておりますが、その知見や、あるいは毒ガスに対する知識、能力等々を活用するというのは、これは当然のことでございます。

 これも、毒ガス弾というものがあるということ、証言があるということも、それをきちんと聞き取りをし、そしてまた今後もそれが必要があれば続けていくということでございます。私どもとして、責任を放棄するつもりもございませんし、能力を最大限に国民のために使うのは当然のことであります。

阿部委員 それでは、今の御決意に基づいて聞き取り調査をしていただきまして、その結果をまた私も防衛庁をお呼びして部屋で伺わせていただきますので、今お約束ですから、よろしくお願い申し上げます。

 引き続いて、福田官房長官にお伺いいたします。

 ただいま私は、防衛庁の主体的な責任あるいは能動的なかかわりについてお伺いを申し上げましたが、実は、この毒ガス問題では、例えば神栖町の場合では、環境省が調査して、人体被害については厚生省がそれなりのフォローをする。寒川の場合は国土交通省が、たまたま掘っておったら出てきたので、その実態については国土交通省で、起きた体の被害についても今はかなりの部分国土交通省が労災問題も含めて担っておられますが、そこに厚生省も関与するという形になっており、逆に、起きた事案ごとに、あえて言えばばらばらに対策されております。

 私は、この件でさきの国会でも福田官房長官にお伺いいたしましたが、これは内閣を挙げて、部局として一体的に取り組むという御決意かと思いますが、十五年の十二月十六日に出ました閣議決定の中で、「その他」の項目で、「施策の円滑かつ迅速な実施を図るため、毒ガス弾等に関する知見の集積、研究の推進、施策の実施に必要な体制の充実等に努める」、集積、研究推進、施策の実施、このためには、そのための専属部局、専属体制、取り組み体制が必要と思われますが、現段階でのお考えをお聞かせください。

福田国務大臣 国内の毒ガス弾につきましては、これは存否が把握されていないというようなことが多いものですから、被害の未然防止を図る、こういうことでもって情報収集とか環境調査を行う、これが大きな仕事であろうかと思います。

 見つかった場合に、それはそのときの場所だとか態様とかいろいろございまして、それはどこが担当したらいいのかというのは、その時々違う場合があるということはあり得るんだろうと思います。ですから、環境省が主管したり、それからまた国土交通省がというようなこともあろうかと思います。

 しかし、いずれにしましても、これは政府が一体となってやるべき問題だろうということでございまして、国内における毒ガス弾等に関する関係省庁連絡会議というものを設置いたしました。これは、内閣官房が事務局となりまして、環境省を初めとする関係省庁の協力を得て運営する、こういうふうな仕組みになっておるわけでございます。

阿部委員 私の今のお尋ねは、連絡会議では事後的な処理に過ぎるということを指摘したいのです。

 例えば、毒ガス問題でこのたび寒川で被災された方も、現在、十一人被災されて五人はまだ医療継続中です。どうした形でこの毒ガス問題が健康被害として体に残るかということは、実はこれまでの大久野島の事案から含めて、我が国が情報集積があれば、もうちょっと違う取り組みが私はあったと思います。

 当初非常に軽く言われておりました、すぐ治るやに。しかし、一年半たった現在も加療中の方がここに五人発生しております。あるいは砒素の被害は、幼子が歩けなくなるほどの被害でございます。

 環境省の環境調査、厚生労働省の医学的知見の集積、そして、もっと重要なことは、緊急危機対応です。見つかったらすぐ、どうするか、その土を広げない、そのことも集積されていないと、今後も危険がそこに発生いたしますので、ぜひ、福田官房長官はもう総括する一番の中心の部局の、ヘッドクオーターですから、そこの部局に集中して情報を集積し、ノウハウをためておいて、対策について、対処について、緊急出動について、事後フォローについてもそれなりの体制が取り組まれるようにお願いしたいというのが私の今の質問です。

 もう一度お願いします。

福田国務大臣 そういうこともやっておるわけでございます。

 昨年の十二月十六日の閣議決定で環境省に設けた毒ガス情報センター、ここにおきまして一元的に情報の集中、蓄積を行うことというふうにされております。

 また、収集された情報は、閣議決定に基づき内閣官房に設置された先ほどの関係省庁連絡会議の場などを通じまして関係省庁で共有していく、こういうようなことでもって、厚生労働省にかかわる問題であれば、そこは、先ほどの神栖町、砒素の問題とかそういうものに対する対応の仕方というのは、やはり一番知見を有する厚生労働省が担当する。全力を挙げてそれは取り組む、こういうふうなことでございます。

阿部委員 今の御答弁でございますが、神栖町の住人は、例えば、環境省の方が説明に来られて、井戸を何メートル掘った、砒素がどれくらい出るという説明は受けても、その後、自分の体がどうなるのという質問をすれば、それは環境省の管轄ではないという答えが返るところで住民の不安が広がっております。ぜひともこれは、現地の状況、国民が抱く不安ということにもう少しきちんと正面から向き合っていただきたい。環境省が蓄積した情報は主に環境汚染にかかわるものでございますから、その点についてはよろしくお願い申し上げます。

 申しわけございません。時間の都合で申しわけございません。――では、お願いします。

滝澤政府参考人 神栖町の健康被害の関係でございますが、昨年の六月六日の閣議了解に基づきまして、緊急措置事業ということで、これも一元的に環境省が対応させていただいております。医療費の支給でありますとか、あるいは調査協力金という形で地元の方々に給付させていただいております。

 それから、委員御指摘の基礎的な研究につきましても、昨年八月に、毒性でありますとか臨床疫学等の専門家による調査研究班を環境省が設置いたしまして、基礎的な研究にも取り組んでいるということで、厚生労働省ということではなく、我々の方で一元的にやっております。

 以上です。

阿部委員 実際に、何度も申しますが、患者さんというか被災を受けた方はその後の健康フォローの中できちんと対策されなければ、幾ら環境省に情報があっても役に立たないわけです。その辺のリアルに、実際に被災された方に情報が還元される形でやっていただきたいということと、あとお二方、大臣にお越しいただきましたので、恐縮ですが、私の配分が悪いので、小池大臣にまずお願いいたします。

 このたび、みんなが環境省環境省環境省となって、環境省があたかもこの毒ガス問題主管官庁のようになっておられますが、それはそれで私は非常に重要ではあると思いますが、今回のこの環境省の行います二次聞き取り調査の中で、逆にまた漏れている問題があるように思います。

 小池大臣はごらんになったやもしれませんが、これが私のところの地元の寒川で出てまいりましたビール瓶で、このようなものが百五十六本ごろごろと出てまいりました。

 このたびの調査は、いわば非常に地面に近いところ、二・三から三メートルくらいをレーザー調査いたしますのですが、私のおります寒川という地域にはかつて地下ごうがございまして、そこが相模海軍工廠の物品庫でございました。この坑口は、昭和四十八年に坑口が閉鎖されましたが、当時毒ガスがあるというような知見を持っておりませんでしたので、それ以上の調査がなされておりません。となると、今度深く掘った場合に、今も住宅がすぐそこまで押し寄せていますから、引き続いてまた二次災害が起こるかもしれない。

 そこで、事はすべて予防的に取り組んでいただきたいということで、この積み残し部分、特に地下ごうで物品庫としての地歴が明らかなところについて、これは深く調査しなければなりませんが、その点について環境省の取り組みをお伺いいたします。

小池国務大臣 ただいま御質問の寒川町の関係でございますけれども、昭和四十九年に寒川町が実施した調査に立ち会った、当時の寒川町の職員の証言がございます。そこの中で、ごうの中に入って確認したけれども何も中にはなかったという記憶があるという報告がございます。これがまず一つございますけれども、そこから、御指摘のことにつきましては私どもは環境調査等を行う必要性は低いということで、今回も、十一月二十八日の調査結果報告の中で、A、B、C、DのDにランクづけさせていただきました。

 ただ、引き続き情報収集など適切に対応してまいりたいと思っておりますので、その毒ガス情報センターの方に、またいろいろな情報がございましたらお寄せいただくということが一点と、それから、今の、技術面の方のお話だと思いますけれども、地下数メートルまでに異物が存在しないか調査をするレーダー探査と、それから大気の汚染を調査する環境大気調査、それから深層の地下水に毒ガス関連物質が含まれていないかどうかをする地下水調査、これらを総合的に調査を進めてまいりたいと考えております。

阿部委員 私が申しましたのは、四十九年当時、その地下に入った人たちも、そこに何が埋まっているかとかいうことは認識がなかったからお尋ね申し上げます。

 それから、地下ごうの深さは少なくとも十メートルくらいはございまして、これは、地形に、井戸とか、地下水の中に出ていけば今の井戸水でよろしゅうございますが、レーザーも今進歩していますから、もっと深いレベルも調べていただきたいということです。

 川口大臣にはお越しいただきまして本当に恐縮ですが、また予算委員会、ほかのお時間を見て、本当に申しわけありません、きっちり伺いたいので、これは国外の、中国に遺棄されました毒ガス問題ですが、また追って、回を改めて聞かせていただきます。

 ありがとうございます。

笹川委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 平成十六年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じます。

 公聴会は、来る二月二十六日、二十七日の両日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

笹川委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次回は、明二十日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十七分散会


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