衆議院

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第2号 平成16年10月18日(月曜日)

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平成十六年十月十八日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 渡海紀三朗君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 佐々木秀典君

   理事 島   聡君 理事 田中 慶秋君

   理事 石井 啓一君

      伊吹 文明君    石原 伸晃君

      植竹 繁雄君    尾身 幸次君

      大島 理森君    加藤 勝信君

      河村 建夫君    北村 直人君

      小泉 龍司君    後藤田正純君

      菅  義偉君    中馬 弘毅君

      津島 雄二君    寺田  稔君

      西川 京子君    根本  匠君

      萩野 浩基君    二田 孝治君

      宮澤 洋一君    村井  仁君

      森田  一君    与謝野 馨君

      石田 勝之君    市村浩一郎君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      吉良 州司君    小泉 俊明君

      篠原  孝君    鈴木 克昌君

      仙谷 由人君    津川 祥吾君

      辻   惠君    中井  洽君

      中津川博郷君    中塚 一宏君

      永田 寿康君    長妻  昭君

      原口 一博君    樋高  剛君

      前原 誠司君    松木 謙公君

      村越 祐民君    米澤  隆君

      井上 義久君    漆原 良夫君

      白保 台一君    田端 正広君

      高木 陽介君    丸谷 佳織君

      山名 靖英君    佐々木憲昭君

      志位 和夫君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣

   国務大臣

   (青少年育成及び少子化対策担当)         南野知惠子君

   外務大臣         町村 信孝君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   環境大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   細田 博之君

   国務大臣        

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       村田 吉隆君

   国務大臣        

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣        

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣        

   (規制改革担当)

   (産業再生機構担当)   村上誠一郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     棚橋 泰文君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   法務副大臣        滝   実君

   財務副大臣        田野瀬良太郎君

   文部科学副大臣      小島 敏男君

   文部科学副大臣      塩谷  立君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業副大臣      保坂 三蔵君

   環境副大臣        高野 博師君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   文部科学大臣政務官    下村 博文君

   文部科学大臣政務官    小泉 顕雄君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   厚生労働大臣政務官    藤井 基之君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            薮中三十二君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十八日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     寺田  稔君

  玉沢徳一郎君     与謝野 馨君

  福田 康夫君     宮澤 洋一君

  二田 孝治君     菅  義偉君

  村井  仁君     加藤 勝信君

  石田 勝之君     鈴木 克昌君

  生方 幸夫君     村越 祐民君

  吉良 州司君     前原 誠司君

  篠原  孝君     仙谷 由人君

  中井  洽君     市村浩一郎君

  樋高  剛君     松木 謙公君

  坂口  力君     丸谷 佳織君

  高木 陽介君     井上 義久君

  佐々木憲昭君     志位 和夫君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     村井  仁君

  菅  義偉君     二田 孝治君

  寺田  稔君     後藤田正純君

  宮澤 洋一君     福田 康夫君

  与謝野 馨君     玉沢徳一郎君

  市村浩一郎君     中井  洽君

  鈴木 克昌君     石田 勝之君

  仙谷 由人君     篠原  孝君

  前原 誠司君     吉良 州司君

  松木 謙公君     樋高  剛君

  村越 祐民君     生方 幸夫君

  井上 義久君     山名 靖英君

  丸谷 佳織君     漆原 良夫君

  志位 和夫君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  漆原 良夫君     白保 台一君

  山名 靖英君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  白保 台一君     坂口  力君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官柴田高博君、防衛施設庁長官山中昭栄君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、法務省刑事局長大林宏君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁運営部長青柳親房君、国土交通省総合政策局長丸山博君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、国土交通省航空局長岩崎貞二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 それでは、基本的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。与謝野馨君。

与謝野委員 自由民主党の与謝野馨でございます。

 まず初めに、ことしはたくさんの台風が来ましたし、また、局地的に大雨が降るということがありましたし、また沖縄周辺に新たな台風も来ております。この台風を考えますと、やはり水を治め山を治めるというのは政治の最も大事な仕事の一つだと思うわけでございますが、まず、これらの台風あるいは大雨の被害に遭われました被災地の皆様方に、自由民主党として心からお見舞いを申し上げたいと存じます。

 あわせまして、この災害復旧のために補正予算をどうするのか、あるいは、災害に際して政府あるいは地方自治体がとったいろいろな対策で今後改善すべき点はあるのではないか、そういうふうに思うわけでございますが、これは財務大臣でも結構でございますし国交大臣でも結構ですが、この台風、大雨の被害についてお話を伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 ことしは確かに与謝野委員がおっしゃいますように災害が多うございまして、今までの災害、どれだけ額になっているのか算定しておりますものも、かなりの額になっていることは事実でございます。しかし、今のところは当初予算で十分に対応できる形になっております。

 ただ、これからもいろいろ精査を続けまして、必要に応じて予備費を使うというようなことも考えなければならないと思いますが、現在のところは当初予算で対応できる形になっております。

北側国務大臣 今委員おっしゃるように、ことしは台風が既に九度も上陸いたしました。また、梅雨による集中豪雨も新潟、福井等で大変な被害があったわけでございます。

 最近の集中豪雨の状況というものを調べてみますと、昭和五十年代は、時間雨量百ミリ以上の降雨の発生回数ですが、これが平均二・二回だったんです。これが、昭和五十年代、六十年代ではほぼそのような状況だったのが、平成八年から十五年までは四・八回。それがことしは、平成十六年度は、現段階で時間雨量百ミリ以上の降雨の発生回数というのは既に七回ということでございまして、大変な集中豪雨の状況でございますし、また年々見ますと非常に今ふえてきている。なぜこのように集中豪雨がふえておるのかということは、一度しっかりと私は研究する必要があると思っております、分析する必要があると。

 その上で、ことしの災害を見ますと、さまざまな形態があるわけでございますが、特に目につきますのは、中小河川のはんらんというのが大変な被害をもたらしました。この中小河川につきまして、国土交通省としても全国の河川で緊急点検を既に実施したところでございますが、今後とも、この中小河川の整備と管理のあり方について総点検と抜本的見直しを、強化を進めてまいりたいというふうに思っております。

与謝野委員 次に、総理にお伺いしたいんですが、総理が進めておられる構造改革、私なりに三つの分類をしております。

 一つは、構造改革をすることによって財政再建に資するもの。第二は、構造改革によって社会の効率性を高め、社会の生産性を高め、国際競争力に資する、そういう構造改革。第三については、やはり国民がもっと便利になる、利便性を向上させる。こういうふうに私なりに総理の構造改革を理解しております。

 今般、総理は、所信の中で、郵政改革は、推進している改革の本丸だという表現を使っておられますが、郵政改革は、私が分類しておりますものが正確かどうかわかりませんが、どれに当たるというふうに総理はお考えでしょうか。

小泉内閣総理大臣 私が総理に就任してからの小泉内閣の最大の課題の一つに経済の活性化があります。経済が低迷している状況、新しい時代に対応できるような体制をつくらなきゃいけないということから、どのように経済活性化を図るか。これが、いわゆる構造改革なくして成長なし、経済の発展、再生はないということから、改革をしていかなきゃいけない。

 経済活性化のためには、官から民へ、中央から地方へ、民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、こういう方針、大方の賛同を受けていると思います。そういう中でも、経済活性化のためには行政改革、財政改革をしなきゃいかぬ、行財政改革を断行しなさい、これも、与野党、大方異議のないことだと思っております。

 そういう中にあって、郵政民営化、これは行財政改革に資する。さらに、官に集中している資金を民間が成長分野にも効果的、効率的に活用できるようにする。

 郵便局に約四十万人の国家公務員が仕事をしております。外務省は、本省と全世界の大使館集めても五千五百人足らずであります。何で四十万人の役人があの郵政三事業に携わっているのか。本当に公務員じゃなきゃあの郵便局の仕事はできないのかということを考えると、私は、民間人でもできると思っています。役人じゃなきゃいけない、公務員じゃなきゃいけないと言う人もいますけれども、私は、民間でもできると思う。まず、民間にできることは民間にということから、行財政改革をするんだったら、まずこれに手をつけるのは当然のことではないかというのが一つの理由。

 それと、財政投融資制度を活用して、郵便貯金、簡保、約三百五十兆円の資金、これが各特殊法人に流れて、いろいろむだな支出もあるのではないかと指摘されている。いわゆる郵貯資金、簡保資金は特殊法人の入り口であります。特殊法人の出口の改革、郵貯、簡保、入り口、これはやはり一体的に見直す必要があるんじゃないかということから、この郵政改革、郵政民営化はいわゆる財投の改革、特殊法人の改革。

 それから、官でしかできないのか、役人でなければこういう仕事はできないのか。できるだけ民間委託なり民間人に任せた方が、経営体質も強化され経営も効率化されるのではないかという点もあります。

 その他、郵便局の仕事も、今三事業しかできませんけれども、民間に任せれば三事業以外にもいろいろな仕事ができるのではないか。中央、地方問わず、各郵便局というのはかなりいい場所に建てられております。本当にあの三事業だけにこだわって、国民の利便性、それでいいのかな。民間に任せれば、三事業以外にいろいろな国民の要望にこたえて、あの郵便の局舎もさまざまな活用の価値があるのではないか。民間人ならそれをやってくれるのではないかという点もあります。

 さまざまあるし、今の郵便局の持っている資産といいますか資源というものを、民間人の創意工夫によって発揮させれば、より利便性の向上があるような郵便局に転換できるのではないか。ほかにもいろいろあると思いますけれども、そういう観点から、まず民間にできることは民間に、三事業すべて今民間でやっております、できるのではないかと私は思っております。

与謝野委員 そこで竹中大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、自民党の中では、必ずしも郵政民営化論者が多数を占めているわけではなくて、なぜだ、なぜだという声の方が強い。郵政改革を行うからには、やはり何か郵政改革を行うといいことが起きるはずなわけですし、また何か悪いことがなくなるはずだと私は思っております。

 それで、難しい議論はともかくとして、胸にすとんと落ちるような、これぞ郵政民営改革の肝だというところを、竹中大臣なりに御説明をいただけないかと私は思っております。

竹中国務大臣 郵政というのは大きな組織でございまして、これの民営化の意味をわかりやすくという、我々も努力をしておりますが、なかなか説明が難しい部分がございます。

 ただ、その点を踏まえて、既に総理が代表質問等々でお答えをしているとおりだと思いますが、私はやはり三点大きな利便があると思います。

 今国が集めて国に回しているお金の流れが民営化によって民間になる、三百五十兆円が民間の資金になる道が開かれる、これはやはり経済活性化のために大変大きいと思います。

 第二点は、今二万四千の郵便局のネットワークは存在しておりますけれども、これはいわば店舗網でありますから、コンビニチェーンのようなものだと私は考えている。しかし、そこは非常に特殊なコンビニで、郵政、郵便と郵貯と簡保という三つの商品だけが法律で限定列挙されて売られている特殊なコンビニである。これが民間になることによって、まさに民間の創意工夫でより便利なコンビニになっていくわけでありますから、これは国民に非常に大きな利便性をもたらすであろう。

 そして第三番目が、今公務員、常勤で二十八万人台、二十八万、二十九万人いらっしゃるわけでありますけれども、民営化によって、これはこれからも組合の方々としっかりと話をさせていただきたいと思いますが、民間人になれば、国家公務員の数が一気に三割減少して、小さな政府をつくることができる。

 つまり、国のお金を民間のお金にする、そしてより便利なコンビニ、郵便コンビニチェーンをつくる、そして小さな政府、国家公務員の数を三割減らす、非常に大きなメリットがあるというふうに思っております。

 さらに言えば、悪いことがなくなるとおっしゃいましたが、今見えない国民負担がやはり発生している。それを減らすことができるわけでありますから、三つの利点をもたらして一つのコストを減らす、そのような大きな効果があると考えております。

与謝野委員 そこで、今政府の中で法案化のためのいろいろな準備をされているわけでございます。

 九月十日には、政府は基本方針を閣議決定されております。法案化の作業は、基本方針は閣議決定されておりますから、それに忠実に行うことは当然であるにしても、これからは制度設計がありますし、また与党との調整もあるわけでございます。

 与党の調整が終わって国会に提出されれば、これはまた国会の意見を聞きながら物事を決めていかなきゃいけない、こういうこともあるわけですが、その制度設計のときに、いろいろな各方面の意見を柔軟性を持ってお聞きになる用意があるかどうか、あるいは、我こそ正しいと考えてどんどん行ってしまうのか、その辺は竹中さんはどういうふうにお考えなんでしょうか。

竹中国務大臣 今、基本方針を踏まえて制度設計、そして法案化の作業に着手しておりますけれども、それに当たっては三つの方針を決めております。

 これはやはり基本方針に忠実に作成していかなければいけない、これがまず第一の点であります。同時に、これが非常に簡素でわかりやすい、そして一貫性がある、後々の完全な民営化に向けて一貫性のあるものでなければいけない。そして、三点目が大変重要であると思いますが、そのプロセスが透明でなければいけない。どのような意見があり、A案、B案、いろいろな意見がある、それに対して専門家はどのように考えている、そういうことも踏まえて、全部その過程を明らかにしてまいります。

 当然、その透明な議論の中で、我々としても、与党と緊密に連携をとっていろいろな御相談をさせていただきながら、しっかりと透明なプロセスで緊密な御相談をさせていただきながら、国民の皆さんに納得していただけるようなしっかりとした制度設計と法案をつくっていきたいというふうに思っております。ぜひ、幅広く、建設的な御意見を賜りたいというふうに思っております。

与謝野委員 ということは、いろいろな意見が与党の中にもありますが、制度設計の中にそういう与党の意見をフィードバックしていく用意があるかどうかということをぜひ明らかにしていただきたいと思うんです。

竹中国務大臣 制度設計というのは、本当にたくさんのことを決めなければいけないと思っております。そうした中では、これはまだいろいろな意見があるわけでございますから、その制度設計の中でぜひいろいろな御意見を反映していただきたい。我々としては、先生方の、皆さん方の意見をよく聞いて、また国民各位の意見をよく聞いて、納得できる制度設計をしたいというふうに思っております。

与謝野委員 次に、三位一体改革についてお伺いしたいんですが、麻生総務大臣にお伺いしたいと思うんです。

 この三位一体の改革というのは、国民の皆様方は何だろうかというふうに考えておられるんですが、三位一体の改革というのはこういう精神でやっているんだ、こういう基本的な姿勢だ、これをまずお伺いしたいと思うんです。

麻生国務大臣 三位一体は、そもそも宗教用語であります。キリスト教によりますと、三位が父と子と聖霊でありますから、三つを一緒にというのでこの宗教用語が、私の時代のもう一人前の時代のときにこの言葉がいつの間にか政治用語化したか、行政用語化したかは別にいたしまして、この三位一体という表現が使われるようになったんです。

 その背景にありますものは、基本的には、明治四年、廃藩置県この方、中央集権だったこの国の形が、地方分権という方向に大きく振ろうとしておる過程の中において、地域に主権を渡すという形の方向に振っていくに当たりましては、政府から出しております補助金、よく言われる三割自治等々初め、その補助金の額を減らして、その分を税源を移譲して、結果的に、今、地方と国において税の中に占めます地方税の比率等々がかなりバランスを欠いておりますし、また、人口もかなり都市化して過疎化が進んだり、いろいろな意味で地域差というものが出ております。

 そういったものを埋めるための交付金というものがありますが、交付税、こういったものにつきましても、今までと同じと、人口割りだけでいきますとかなり差がついたり、そういったことになっておりますので、基本的に、いろいろなものを含めまして、そういったものを、少なくとも、今地方で交付金を受けております人口から見ましても、ほとんどのところは受けておられるというのを、いわゆる交付税とかそういったものなしでいけるような不交付団体というものを人口割りでせめて三分の一ぐらいにはしたいものだというようなのを背景にして、この三つを同時に行うというかなり難しい作業に手がついたというところだと思います。

 三つ一緒に、同時に行えるかというところが一番難しいところだと思いますが、税源移譲というものが行われずして補助金だけお返ししたら、その後の税源移譲が来なかったということになりますと地方はとても成り立ちませんので、明らかにするために、まずは税源移譲を先行させていただいて、今補助金削減等々の作業に取りかかっているというのが背景だと理解しております。

与謝野委員 実は、地方六団体、知事会が中心になってつくった案というのは、地方に都合のいい部分だけ数字を挙げていて、少し都合の悪いところはみんな落としちゃったんじゃないかという強い批判があるわけです。これは官房長官に伺う話だろうと思うんですけれども、これから政府は、この三位一体の改革、どういうスケジュールで調整されようとしているのか、その際、譲れない点はどういうことなのか、その点についてお伺いしたいと思います。

細田国務大臣 まず、スケジュールのことでございますけれども、十二月に入りますと、当然予算編成、そしてその前提としての税制改正がございまして、税源移譲の問題も含めまして、その前にはある程度構想が固まりつつある状態でなきゃなりません。ということは、十一月いっぱいでこれを政府の骨格としては決めなければならないと思っておりますし、それから、今地方六団体も入りまして個別の省と意見交換をしておるのは、今月いっぱいで終了しようと思っております。

 今の地方六団体の案というのは、総理からの指示で、地方六団体がこれが最も大切な補助金削減の内容であると考えたものを提示していただいているんですが、政府の各省の考え方はいろいろ違っておりまして、これに対しては、私の方から、もし適当でない補助金削減であればほかの構想を出してほしいという話もしておりますので、現在は検討の過程にあるわけでございます。

 したがって、そういった議論をできるだけ早急に詰めていかなければならないわけですが、基本の姿勢は、総務大臣が先ほど答えていただいたように、国から地方へという小泉総理の指示に従って、できるだけ地方にとって望ましい形の改革をしたいと思っております。

 ただ、財政上の状況が各都道府県によって非常に違っておるものですから、その点の調整が非常に早くやってくるだろう。ある補助金削減を出しても、その結果非常な不均衡も出る可能性がありますから、交付税その他の調整、そういった議論にこれから突き進んでいかなければならない、こう思っております。

与謝野委員 ぜひお願いしたいのは、国と地方の関係を財政の側面からだけ議論するのではなくて、国がやるべきことは国がやらなければならない、地方がやるべきものは地方がやる、そういう制度の本質に着目をして三位一体の改革をしていただきたいと思うし、数字合わせのことだけでは、多分問題は、改革として前進しないんだろうと私は思っております。

 次に、財務大臣にお伺いしたいんです。

 政府の財政に関するいろいろな考え方はあるんですけれども、その一つに、二〇一〇年代の多分初頭と書いてあったと思うんですけれども、プライマリーバランスを回復させる。プライマリーバランスというのは、その年の支出はその年の収入で賄える、要するに、借金の話は別にして、その他の収支はとんとんにする、こういうことが一応目標になっているわけです。

 実は財務大臣、財務大臣からは、財政再建ということについての強いメッセージを私は伺ったことがないような気がしておりまして、やはり財務大臣たるもの、財政再建に対しては、だれが何と言おうともやるんだという心意気というものが必要だろうと思います。

 お伺いしたいのは、二〇一〇年の初頭にそういう基礎的収支というかプライマリーバランスを回復させるというんであれば、何らかの道のりというものを議論しなきゃいけない、あるいは財務大臣に示していただかなきゃならないと私は思っておりますが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 今政調会長おっしゃいましたように、日本の財政は非常に悪い状況にございます。今年度末で国債発行の残高、これはいわばストック面での数字ですが、四百八十三兆円になろうとしている。それから、フロー面で見ましても、一年間の予算のうち四四・六%は国債に頼っているという現状でございますから、いわゆる先進国の中での財政で見ますと最も悪い状況でございます。

 したがいまして、今与謝野政調会長から、強いメッセージを出せと激励をされたと私は思いますけれども、そのことこそが私の使命であるというふうに思っております。

 それで、こういう状況を放置しておきますと、一体、日本の財政は持続可能なのかという疑問が出てまいりますし、さらに、単に持続可能かというだけではなくて、今民需主導型の経済成長ということにようやく足取りが向かっているわけでございますけれども、そういう経済成長の、財政面から足を引っ張るということも懸念されるわけでございまして、何としてもこれを解決していかなきゃいけない。

 そこで、昨年度は経済対策発動のための補正予算は行わないという方針で臨みまして、今年度も、今の経済情勢からいたしますと、それと同じ形で進みたいと思っております。

 それからさらに、これをやっていきますためには、歳出面の抑制ということが必要なことはもちろんでございますけれども、来年度予算は、国債発行額を今年度以下に抑えるという目標を立てたいというふうに思っております。この三年間、国債発行増額を余儀なくされてまいりましたけれども、そういう目標を立てることによってこの三年間の流れを変えていくきっかけにしたい、こういうふうに考えているわけでございます。

 そこから先、先ほどおっしゃいましたように、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスをどうやって回復していくかということでございますけれども、これは歳出面の抑制というだけでは無理が来ている、歳出歳入両方からのバランスのとれた手法を講じていかなければならないというふうに私は考えております。

 大前提は歳出を抑制して効率化していくということでありますけれども、それと同時に、歳入面をどうしていくか、そう考えませんと、社会保障なんかどうしても伸びていくものがありますから、財政全体のバランスがおかしくなってしまうということがあろうかと思います。

 それで、既にその道筋は昨年度の与党の税制調査会等々でいろいろ議論をいただいておりまして、まず、やはり所得税のあり方というものを見直していかなければならないだろうと思います。これは先ほど来の御議論の三位一体の議論とも関連してまいりますし、それから、基礎年金に三分の一から二分の一、税を入れるのを高めていくということがございますけれども、その道筋をどうしていくかということからも所得税改革は議論をしなければならないということになると思いますし、そこから先、今度はいろいろな歳出需要も考えながら、消費税体系をどうしていくかという議論に入っていかなければならないんだろう、こういうふうに考えております。

 いずれにせよ、大変大きな課題でございますけれども、何としてもこの道筋をつけていきたい、かように考えております。

与謝野委員 小泉総理は、自分の在任中は消費税は上げない、こう断言されているんですが、議論することは結構だろうということも多分おっしゃっていると思いますので、やはり歳出面と、今谷垣大臣が言われたように歳入面も議論としてはちゃんとやっていかないと、日本の財政が持続可能でなくなるという私は危機感を持っておりますので、ぜひその点について御努力をしていただきたいと思っております。

 次に、防衛庁長官にお伺いしたいと思うんですけれども、日本の安全保障の考え方というのは、多分、ソ連の崩壊とともに何らかの変化をした。また、九・一一以降、日本の安全保障に対する考え方、これも若干変わらざるを得ないと思っております。そこで大野防衛庁長官に、日本の安全保障に対する考え方というのはどういうふうに変わってきたのか、またどういうふうに変わるべきかということについて、大要をお述べいただきたいと思うんです。

大野国務大臣 与謝野委員御指摘のとおり、この世の中での安全保障環境というのはどんどん変わっていっていると思います。それに応じて、昨年十二月十九日の閣議決定でございますけれども、新しい安全保障環境の変化に応じて防衛計画の大綱をつくろうじゃないか、こういう決定をいたしております。閣議決定によりますと、中期防衛力の整備計画とともに、ことしの末までに新しい防衛大綱をつくっていこう、こういうことになっております。

 そこで、これに従いまして、小泉総理のもとに安全保障と防衛力に関する懇談会をつくりまして、その懇談会で議論していただきました。十月四日に報告書ができておりますけれども、この報告書の中でも触れられておりますが、私は、やはり二つの視点を大事にしていきたいなと思っております。

 一つは、今御指摘のとおり、二〇〇一年の九月十一日が防衛・安保分野におきましては新しい世紀の始まりだ。つまり、これからは従来のような国対国の戦いじゃなくて、テロも相手にしなきゃいけない、不審船も相手にしなきゃいけない、それから大量破壊兵器も相手にしていかなきゃいけない。そういたしますと、本当に多面的に、そして実効的、即応的、柔軟性のある防衛力を構築していかなきゃいけない、こういうことだと思います。

 したがいまして、装備の面でも、例えば戦車から装輪装甲車へというような感じになっていきますし、それから、ミサイル防衛をやるためには、意思決定もどうやって決定するのか。わずか十分の間にミサイルが飛んでくるとなりましたら、安全保障会議、閣議、国会の承認、こういう問題をどう考えていくか、こういう問題もありましょうし、それからもう一つは、自衛隊自体の運用につきましても、今までは陸海空とやっておりましたが、これを統合的に運用していかなきゃいけない。だから、我々考えておりますのは、統合幕僚長という、自衛隊の全体を運用していく、こういう役割を考えております。

 それからもう一つの視点は、やはり国際的な協力が物すごく大事になってきている、こういう視点であります。

 国際協力といいますと、一九九二年にカンボジアへ自衛隊がPKO活動に行きましたが、あの九二年から今日のイラクまで、いろいろな意味で活動、活躍してくれております。これは先生御存じのとおり、国際的にも大変評価されている。

 今度の安保防衛懇の報告書では、この自衛隊の国際業務というのを、これまでは付随的業務、いわばわき役だったんですけれども、これを主役にしろ、本来任務に格上げしろ。私は大変示唆のある報告だと思っておりますけれども、自衛隊が国際協力をする、そして世界の平和に貢献していく、その世界の平和がこの日本の平和につながっていく、自衛隊の皆様の流す汗の一粒一粒が国際平和としてなって、それがまたこの日本の平和につながっていく。これは本当に、自衛隊、マンパワーを通じて日本は世界の平和にも貢献すべきであるし、また日本の平和にもつながってくる、こういう意識を強く持っていきたいと思っております。

与謝野委員 それに関連するわけですが、アメリカが世界に展開している米軍を世界的な規模で再編しようとしております。ヨーロッパからは相当の部隊を引き揚げる。それから、日本でも恐らくいろいろな部隊の移動、あるいは司令部の移動、あるいは基地の再編等行われると思うんです。

 これは外務大臣に伺った方がいいのか、防衛庁長官に伺った方がいいのかわかりませんが、日米安保条約の物の考え方、特にその中でも第六条に極東条項というのがあって、アメリカは日本の基地等を使用しまして極東の平和と安全を守るということが書いてあるわけです。そういう安保上、日米安保条約は事実上の変質を遂げるのか遂げないのか、あるいは日米安保条約に関して、新たな日米共通の理解が必要になるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 大変貴重なお考えを今伺わせていただきました。

 確かに、先ほど大野長官がお答えをしたように、伝統的な意味でのいわば米ソ対立といったような構造から、新しいテロあるいは核兵器等々、そういう事態が広がってきているわけでありまして、これに有効に対処するために、アメリカの中で今新しい再編成というのを始めております。防衛庁も、今おっしゃるとおり、防衛大綱等々でそこら辺を議論している。その接点が、今まさに日米間で行われております米軍の再編成に関する協議だということでございます。

 したがって、今委員御指摘のような、極東条項という、日米安保の基本的な使命というものが日本の防衛と極東のということがあるわけですけれども、今の段階は、ひとつそういう今までの条約の制約等々は、少し頭をやわらかくして自由濶達に議論してみようではないか。どういう目的で、どういう役割を米軍が、あるいは日本の自衛隊が果たしたらば、日本、極東、そして主としてアジア太平洋地域で平和と安全が保たれるのかということを今議論している段階であります。

 その上に立って、最終的にはもちろん現在ある安保条約の制約というものを念頭に置かなければならないわけでありますが、現状はまだそういう濶達な議論をしているという段階であって、いずれかの時点である程度のコンセンサスができたところで、これは国会の皆さん、あるいは国民の皆さんへのしっかりとした御報告をしながら、十二分の御議論をいただいて、最も適切なる答えを見出していく、こういうプロセスが今後とも必要だろう、こう思っております。

与謝野委員 最後の質問ですが、国民の不安というのは、経済がどうなるか、社会保障がどうなるのか等々たくさんありますけれども、その中で、犯罪が非常にふえているということについて国民は大きな不安を持っております。

 そこで、その中でも、外国人犯罪もふえていますし、テロにどう対処していくのかということもやはり真剣に考えなければならないと思いますので、法務大臣と国家公安委員長にお伺いしたいと思うんですが、法務大臣には、入国の際のチェックと申しますか、そういうものをやはりもう少し厳密にやる必要がある。例えば、アメリカなんかは既に、指紋を余り手を汚さずにすぐに採取できるようにしている。日本も、入国する方が不快にならないような方法でそういう記録をとっておく必要があるんじゃないかということを考えております。

 それから、国家公安委員長には、日本のテロ対策というのは本当に進んでいるのかどうか、各国との協調はどうなっているのか、こういうことについてお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 出入国手続へのバイオメトリックス導入につきましては、テロリストや国際犯罪組織の入国阻止のための重要な課題と認識しております。

 ところで、旅券へのバイオメトリックス導入に当たりましては、国際民間航空機関においては、顔の画像を基本としつつ、追加的に指紋、虹彩、それを採用することができる方針を決定いたしております。技術面での標準化作業が進められているところでございますが、また、我が国においても、外務省がバイオメトリックス技術を取り入れた旅券の来年度の発給開始を目指し、調査検討を行っていると承知いたしております。

 法務省といたしましては、平成十六年度には、旅券に組み込まれるICチップに記録されましたバイオメトリックス情報の読み取りが迅速、確実に行われるかといったことにつきまして調査研究及び実証実験を行うことといたしております。今後は、その結果を踏まえ、出入国審査におきまして、渡航者が旅券の名義人であることの確認を一層厳重に行うとともに、旅券の偽変造対策を効果的に進めるべく、バイオメトリックスの活用方法について検討を進めてまいります。

 ありがとうございます。以上でございます。

村田国務大臣 ただいま委員から、我々警察庁におきますテロ対策について御質問がございました。

 テロ対策につきましては、一つは、水際対策が大変重要であるということ、それからもう一つは、国際的に外国からの情報も入手して、それを分析して対策を練るということも大変重要でございますので、委員御指摘のように、おさおさそうした対策に手抜かりのないようにこれからも努力をしてまいりたいと思っております。

与謝野委員 どうもありがとうございました。

甘利委員長 この際、宮澤洋一君から関連質疑の申し出があります。与謝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。宮澤洋一君。

宮澤委員 自民党の宮澤洋一でございます。

 きょうは、年金問題と社会保障関係を中心に質問をさせていただきます。

 私、厚生労働委員会の理事としまして、ことし前半は年金改正、ずっとかかわってまいりました。まさに大変少子高齢化の中で、待ったなしで給付と負担の調整を図らなければいけない。改正前の制度が続いているとしますと、国民年金は十三年、厚生年金は十七年で積立金が枯渇してしまう、こういう状況の中での制度改正だったと思っております。

 例えば、スウェーデン方式ということをよく聞きますけれども、スウェーデンにおいても、国会の中で議論が始まって、成案ができるまで十年近くがたっているということを考えますと、ともかく待ったなしにこの給付と負担の調整をしなければいけないということで、何とか改正法案、成立をしたわけでありますけれども、ただ一方で、国民の間、有権者の間で決して評判がいいとは言えない改正だったと思っております。

 それはある意味では当たり前の話でありまして、たしか医療改革のときに総理は三方一両損という話をされましたけれども、今回の年金の改正はまさに三方一両損であります。保険料を払っている現役世代、徐々に保険料が上がっていく。一方で、私の世代がそうでありますけれども、もうすぐ年金がもらえるという世代について言えば、現在年金をもらっている方よりははるかに給付が悪くなる。一方で、既に年金をもらわれている方も〇・九%というマイナスがあるといった意味で三方一両損。

 一方で、これはまさに三方一両損という給付と負担の調整をしなければ、きょう生まれてきた子供たち、まさに三十年後、四十年後、働き盛りになるころというのが日本は大変厳しい時代になってくる。第二次ベビーブーマーというのは昭和五十年ですから、一九七五年前後の生まれでありますけれども、第二次ベビーブーマーの世代がまさに年金の給付を受けるような時代、大変厳しくなることがもうはっきりわかっている。そういう大変必要な改正を行った。ただ、国民にはまだまだ理解がされているとは言いがたい状況にあろうかと思っております。

 そういう中で、この十月一日から改正法案、新しい制度が一部施行をされたわけでありますけれども、この段階で総理の、総理もこの法律改正には大変御尽力をされたわけですが、もう一度今回の年金制度改革の評価と、また、さらにさらに国民の理解を得ていかなければいけない、これから大変な時代になるけれども何とか給付と負担の調整を今回したんだといったことを、まさに総理が先頭に立って国民に対する説明責任を果たしていただかなければいけない、そういう思いでおります。その決意のほどをひとつ総理からお話しいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 年金につきましては、高齢者がどんどんふえていく、それと同時にこれを支える若い世代が減っていくという状況、この趨勢の中で、どのように将来にわたって持続可能な安定的なものにしていくかということがもう避けて通れない課題であります。

 だれでも、年金を今受けるという方にとっては給付は多ければ多いほどいい、逆に若い世代は負担はできるだけ軽くしてくれという、気持ちは共通していると思います。しかし、この制度を持続可能なものにしていくためには、かつてのように生まれる赤ちゃんが二百七十万人のころと、今、年間、二百七十万人の最盛期に比べますと、百二十万人を切りました。

 そういう中で、今までのような、給付は厚く、負担は軽くというわけにはいかないということで、今後、このような人口の趨勢を見ますと、給付の下限はどの程度にあるべきか、それから負担の上限は、どのようにすれば負担に耐えられるかという、両方、給付と負担、これをよく考えていかなきゃならないということで、今回、さきの通常国会で、その給付と負担の関係を明らかにしたわけであります。

 しかし一方で、民主党は、年金というものに対して、国民年金も厚生年金も一元化していこうじゃないかという議論を強く主張されております。

 これについて、やはり今後真剣に検討していかなきゃならないだろう。年金制度等社会保障の問題につきましては、どの政党が政権を担当しても急激な変化は望ましくない。将来の老後の備え、それから、これを支えていく若い世代の負担というものを考えて、お互い、高齢者も若い世代も対立するんじゃなくて支え合っていく制度にしよう。そして、各党派も、いろいろな立場があると思いますが、立場を超えて、社会保障制度を安定的なものにするためには胸襟を開いて話し合おうじゃないかということで、さきの国会で、自民党、公明党、民主党の間で、今後、一元化を視野に入れた、より安定した制度に向けて協議しようじゃないかという考え方が出てきたわけでありますので、今回の改正は改正として、今後、各党派間でその問題点をよく議論して、お互い安定的なものにしていこうじゃないかということについては、私は真摯に受けとめて、これから、できましたならば、与野党が協議できるような場を設ければ、より多くの国民も年金に対する信頼感というものを回復してくれるのではないか。

 また、いろいろな、現在の社会保険庁のあり方につきましても問題点が指摘されています。そういう改革を今後とも不断に続けていかなきゃならない。

 ともかく、この年金の問題につきましては、多くの国民が関心を持っている問題でありますので、各党が今後とも率直に話し合っていく必要があるのではないかと思っております。

宮澤委員 三党合意また社会保障全般についての質問は、あした同僚議員がされるということで触れませんけれども、年金について、もう一点質問をさせていただきます。

 先週、十三、十四と衆議院で代表質問があったわけでございます。民主党の岡田党首、また横路ネクストキャビネット厚生労働大臣ですか、年金について質問をされました。

 どうも、お二人の質問の内容が若干違っていたのかなと大変奇異に思って聞いた部分がございまして、それは、十四日の横路先生の方は、まさに今まで民主党が提案されてきたラインといいますか、所得比例年金を創設するとともに、税を財源とする最低保障年金をつくり、高齢者の生活を保障する年金制度にすることを目指しています、こういうことをおっしゃられた。

 一方で、その前の日に質問をされた岡田党首は、実は、最低保障年金という言葉を一切使われなかったんです。それで、三つほどの条件ということでおっしゃった中で、基礎年金相当部分について全額税方式にするということをおっしゃって、最低保障年金という言葉を一切使われなかった。

 実は私、この四月から夏にかけて三回ほど民主党の提案者にこの点の質問を随分してまいりました。最低保障年金という概念は、所得比例年金、報酬に比例する年金をすべての、自営業者も含めて導入するとともに、一定の年金に足りない人の額を最低保障年金で保障するという民主党提案のまさに中枢部分でありますが、この辺に一切触れられなかった。最低保障年金でなくて、基礎年金相当部分。

 基礎年金という制度になりますと、どこが違うかといいますと、恐らく、一定水準以上の年金をもらっている高額所得のサラリーマンについていいますと、最低保障年金ですとほとんどその部分が来ないけれども、基礎年金だと今と同様にもらえるという差があるんだろうと思います。一方で、自営業者等、今の一号被保険者に所得に比例する年金制度というものを導入しない限り、それがなければ最低保障年金制度というのは実は成り立たないわけであります。

 そういう点に加えまして、少し民主党の中でもいろいろ御議論、御意見が違っているのかなと思いながら聞いておりましたけれども、厚生労働大臣も壇上からこの話を両方聞かれていたわけですから、どんな御印象だったか、これは民主党の方に聞かなきゃわからないんですけれども、御印象だけ伺います。

尾辻国務大臣 先生御自身がずっと御議論をお続けになってこられたものでございますから、私からお答えするのもいかがかとも思いますけれども、御質問でございますから、あえてお答えをさせていただきたいと存じます。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に願います。

尾辻国務大臣 先々国会で民主党の案を見せていただきましたときに、最低保障年金という言葉、これは民主党案の中核をなす部分だろうというふうに思いまして、大変関心を持ってその考え方をお聞きもいたしました。そこのところを、先日、岡田代表が基礎年金相当部分と表現されましたことは、これは三党協議に対する御配慮かなと思ったりもいたしましたが、いずれにいたしましても、先生お尋ねのように、私にはわかりませんとお答えするしかございません。

宮澤委員 では次に、ほかの社会保障関係の質問に入らせていただきますけれども、まず、介護保険制度について質問させていただきます。

 介護保険制度、もう始まって四年半がたちました。いろいろ心配されておりました割には順調に進んできたのかなという気がしております。

 一方、法律にも、「必要な見直し」、「施行後五年」というふうなことが書いてございまして、見直しについても作業がそろそろ進み始めているということで、大臣に、四年半たってどういう評価をされているか、また、どういう点について今後見直しをしていかなければいけないか、そういう介護保険制度の見直しについてお話を伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 率直に申し上げまして、五年前に私どもが介護保険制度を導入いたしましたときに、初めての導入でございましたから、とにかくやってみなきゃわからないことも多うございました。そこで、法律に、とにかく五年間やってみて、その間の問題を洗いざらいにしてもう一回見直そうということを言ったところでございます。したがいまして、今回の見直しは、私はまさに、単なる定期点検ではない、こういうふうに言っております。抜本的に見直そう、こういうふうに考えております。

 そこで、現在までのことでございますが、一言で言いますと、国民の間に介護保険制度というのは順調に定着してきたというふうに思います。

 しかし一方、給付費の急増から新たな課題も相当見えてきておりますから、今後見直しをする。その見直しのポイントでございますが、一つには、予防重視型システムへの転換ということを考えております。これは、今後の社会保障、やはり大きく予防という言葉がキーワードの一つになる、医療保険にいたしましてもそうですが、そう思っております。あと、給付の効率化、重点化、新たなサービス体系の確立といったようなことも鋭意検討を進めておるところでございます。

 それから、一つ、被保険者、受給者の範囲、二十歳までの方に加入していただくかどうかという大きな御議論がございますけれども、これは社会保障審議会介護保険部会においても御議論いただいておりますし、各方面の御議論を私どもも素直に聞かせていただいて、私どもなりの答えを出したいと思っておるところでございます。年内に改革の具体案をまとめまして、来年の通常国会に改正法案を提出したいと考えております。

宮澤委員 これからさらに詰めを行わなければいけないわけでございますけれども、まさに郵政改革ではありませんけれども、国民の利便性というような観点から、一方で財政状況もいろいろ考慮しながら、いろいろな知恵を出していっていただきたいというふうに思っております。

 最後の質問でございますけれども、社会保険庁の改革について伺わせていただきます。

 私も、先ほど申し上げましたように、厚生労働委員会の理事をしておりまして、年金が大変だなと思っておりましたら、まあ社会保険庁のいろいろな問題が出るわ出るわという状況、資金運用の話から始まって、不祥事も、各種不祥事が出てくるといったことで、何とかこの社会保険庁も解体的見直しということを徹底的にやっていかなければいけないと思っております。

 大臣もまさに厚生労働部会長として随分御苦労されたわけでございますが、民間の長官も来ていただいたわけでありますけれども、まさに解体的見直しに取り組む強い姿勢を一言お話しいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 まずはおわびを申し上げなければならないと思います。大変残念な事件が次々に発生をいたしました。国民の皆様方に深くおわびを申し上げます。

 そこで、この問題でございますが、副大臣をトップとする信頼回復対策推進チームを立ち上げまして、今後の再発防止のために取り組みを開始いたしました。この機会に、二度とこういう事件を起こしませんということをかたくお誓い申し上げたいと思います。

 それから、社会保険庁の改革についてでございますが、直ちに行えることと抜本的に行うべきこと、二点あろうかと思います。

 まず、直ちに行うべきことでございますが、これは、民間の長官も迎えましたし、とにかく、民間の発想や感覚を大胆に導入して取り組みを進めることだと思います。さらに、内閣官房長官のもとに、社会保険庁のあり方について、基本に立ち返った検討を行う有識者会議を設置いたしまして、三回目の会合で緊急対応プログラムもお出しいただきましたから、そうした対策も取りまとめたところでございます。

 具体的な、抜本的な改革の方策でございますが、来年の夏に向けて、組織のあり方、外部委託できる事業等について検討を進める予定でございまして、これは本当に、まさに不退転の決意で改革を進めていきたい、こういうふうに思っております。

宮澤委員 中古住宅の流通促進策について実は北側大臣に伺おうと思っておりましたのですが、時間も参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

甘利委員長 この際、伊藤公介君から関連質疑の申し出があります。与謝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤公介君。

伊藤(公)委員 自由民主党の伊藤公介でございます。

 既に政調会長、同僚委員からそれぞれの御質問がありましたので、できるだけそれ以外の問題で質問させていただきたいと思いますが、そうはいいながら、郵政の民営化については、何といっても小泉内閣の目玉政策であると同時に、それは小泉内閣の重要政策というだけではなくて、三百五十兆円という国民の汗した金融資産を官から民へ移すという仕事は、まさに今、国の大きな流れの最大のポイントだと私は思うんです。そこで、いよいよ法案をつくるという最終段階になっているわけであります。

 思えば、一九九二年に小泉総理が当時郵政大臣になられましたとき、私は今でも鮮やかに覚えているのでありますが、あのとき、郵政省を挙げて老人マル優のかさ上げを主張して取り組んでいました。そのときに、小泉大臣誕生とともに、最初の記者会見で、私はこれは反対だと言って、郵政省はびっくり仰天したわけであります。

 その後、自民党本部に郵政関係の議員が一堂に会して、小泉大臣を呼べと。そして、私も実は、これはなかなか大変な状況だと思いましたので、その末席で状況を見ておりました。大臣就任した直後の小泉大臣は、その大変白熱をした中に堂々と一人で乗り込んできて、あのときはたしか国債を含めて九百万までは非課税でした。さらにそれに老人のマル優を七百万かさ上げするという省の案に、もしこれ以上税制上の優遇をするなら、もっと救わなければならない人たちがいるはずだ、省益よりも国益だと言って、断固反対の論陣を張られたわけであります。

 私は、その会場にいて、やじと怒号の中で、にもかかわらず積極果敢にみずからの主張を述べられて会場を去っていく姿を見まして、新しい政治家が生まれるのではないか、この人はやがて日本のリーダーにとひそかに思ったのは、多分私一人ではないと思います。

 しかし、それから道のりは大変長くありました。そう言うとなんでございますけれども、なかなか難しいと思われた二回の総裁選挙を経て、ついに国民の熱狂的な支持の中で、改革の旗手として総理のいすに座ったのでございます。

 それから三年、私は、総じて、この三年間、小泉内閣を振り返って、まあいろいろなことがありますけれども、ここまでは正直よくやってこられたのではないかというのが私の率直な感想です。しかし、終わりよければすべてよしで、今、いよいよ郵政の問題を初めとして、小泉改革の正念場を私は迎えていると思います。

 そこで、総理、自由民主党は、今最大勢力です。総裁でもある小泉さんが、やはり我が党をしっかりまとめることは大変大事だと思います。官邸を出て、自由民主党の本部で、私は、夜を徹しても、あの大臣になったときの勢いでもう一度党をまとめるという仕事が大変大事ではないか。つまり、一人一人の国会議員の皆さんは、背中に十万人の支持を背負っています。私も十二万六千二百二十一人の御支持をいただいてまいりました。ですから、一人の政治家が本当にこのことを、そうだ、小泉さんの言うとおりだという理解をしたら、十万人の人を説得することになります。私はまず、そのことを総理に強くお願いをしたいと思います。

 そして、三百五十兆円という大事な金融資産を、将来はどのようになっていくかという、経済は生き物ですから、それは明確なシミュレーションをすることは難しいかもしれないけれども、大体こういう形にいくのではないかということぐらいは、青写真は政府として示す責任があると思います。

 総理の御感想でもいいですから、まず伺います。

小泉内閣総理大臣 私が郵政大臣当時のことを触れられましたけれども、あのころは、郵貯の限度額引き上げで大もめしていましたね。今から考えてみると、この民営化に比べればはるかに小さな問題で、どうして党を挙げて限度額引き上げをあれほど大騒ぎしていたのかな。民営化に比べればはるかに小さいことであります。いわば、限度額引き下げなんかとんでもない、据え置きもとんでもない、引き上げろ、引き上げろの大合唱でした。

 民営化なんかはとんでもないことだ、暴論だと言われておりましたけれども、ようやく正論になってきたと思っております。いずれ民営化は暴論から正論になるだろうと私は言って総理大臣に就任いたしましたが、依然として与野党を通じて民営化に反対が強いのは承知しております。

 しかしながら、私は、自由民主党というのは幅広い各支持者から支持を受けている政党でありますから、それぞれの考え方はたくさんあります。議論の過程では賛否両論、かんかんがくがくの議論がなされますが、最後の結論を出す段階におきましては、良識ある判断をされるのではないかと期待しております。今までがそうでした。

 反対論者を賛成論者に変えるということは容易じゃありません。しかしながら、議論を詰めていくと、反対論者も、まあこの辺かな、やむを得ないなということで、大体今までも、議論の過程では大騒ぎしますが、結論は、政党人としての良識を発揮して、政権政党の責任を感じながらまとめていこうということで、適切な結論を出してくれるのではないか、そういう方向に向かって私も今後とも努力をしていきたいと思います。政党政治でありますから、政党の協力を得るように努力するのは、私は当然のことだと思っております。

伊藤(公)委員 きょうは限られた時間でありますので、竹中大臣からもこの三百五十兆円の行方についてちょっと伺いたかったのですが、ほかの問題もございますので、大変恐縮ですが、改めて予算委員会で伺わせていただきたいと思います。

 そこで、経済産業大臣に伺いたいんですが、最近、国際的にも国内的にも灯油、原油の高騰が大変不安材料になっています。日本は一定の備蓄がありますから、当座パニックになるということはないだろうというふうに思いますが、しかし、既に市民生活にかなり影響があります。ガソリンは日々上がっておりますし、また、これから冬に向かって灯油なども大変心配がある。当座、どのような対応をされるのか、大変恐縮ですが、手短に御答弁をいただきたいと思います。

中川国務大臣 伊藤委員御指摘のように、原油価格が上昇しております。ただ、五十五とかいう数字は、日本が確保している石油の数字とは違っておりますが、いずれにしても上昇していることは事実でございます。

 ただ、日本経済回復基調の中で、また石油代金が輸入額全体に占める割合も小さいわけでございますので、今のところ、ガソリン等を除いて、総じて、過去のいわゆる一次、二次の石油危機のときのような状況にはなっておりませんし、ならないとは思っておりますが、御指摘のように、これから冬のシーズンに入っていく中で、備蓄もございます。それから、安定的に確保するための努力もしてまいります。省エネ、あるいはまた原子力や天然ガス等も含めて確保していきたいと考えておりますし、多国間の協力も必要だと思っております。

 いずれにしても、委員御指摘のとおり、政府として、重要な経済、国民生活のポイントでございますので、今後も注意深く見ながら万全の対策をとっていきたいと思っております。

伊藤(公)委員 当座の問題はともかくとして、やはり日本のエネルギー政策というものをしっかり考えていかなければならないと思っている一人であります。つまり、今、日本の石油は九九・七%は外国輸入です。しかも、その八〇%に近いものはあの政情不安な中東に依存をしているという状況です。私は、これからの日本のエネルギー政策というものはもう少しネットワークを広げる必要がある。

 日本のODAにしても、例えばインドネシアとか、これから、地下資源が手つかずだと言われているモンゴルとかパプアニューギニアとか、そうした国々へのいわゆるODAの援助は、援助国に対してもプラスになり、我が国のエネルギー政策というものも視野に入れて展開をしていくべきだというふうに私は思いますので、要望だけさせていただきたいと思います。

 一、二点、外交問題で伺いたいと思います。

 まず、日中関係についてであります。

 私は、ことしも二回中国を訪問いたしました。ことしの暮れにも中国を訪問する予定であります。ことしの夏、中国の主要閣僚、そして中国の外交部の幹部ともお会いをする機会がございました。日本と中国との経済関係は、一九九〇年からこの十年間に六倍になりました。日本と中国との経済、人的な交流は大変、今、ある意味ではかつてない状況になっているわけであります。しかし、日中の首脳の相互交流が三年間途絶えているというのは、やはり異常だと思います。

 これはつい先週の週末の記事であります。最近帰国された中国大使武大偉、現在は外務次官で仕事をされているわけでありますが、その日本のマスコミに対しての記者会見でありますが、A級戦犯が合祀されている靖国神社に小泉総理が参拝を続けている問題が解決すれば、他の日中問題は全面的に解決すると語ったと報じられています。

 私は、小泉総理が一人の政治家として歴史観を持って靖国に参拝することをとやかく申し上げるつもりは毛頭ありません。しかし、日中間の首脳の交流がそのことで途絶えているとすれば、何らかの私たちなりの努力をしなければならないのではないかと私は思います。

 そこで、選択肢の一つでありますけれども、福田前官房長官の時代に、私的諮問機関として、追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会で一つの結論を出されました。追悼施設の必要性を明記した報告であります。しかし、その後具体的な進展がないようであります。

 私は、無宗教で、すべての人々が、そして外国の要人も追悼ができるような施設、そういう努力を政府がするということは、中国だけではなくて、こうした歴史的な問題に対して一つの風穴をあけることになるのではないか。私も極めて親しい中国の要人や韓国の友人たちにもいろいろな話も聞いているわけでありますが、総理の率直な見解を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 まず申し上げることは、靖国神社と平和祈念のいわゆる追悼施設、これは、仮に建設されたとしても、靖国神社にかわるべき施設ではありません。

 それと、各国においては、戦没者にどのような慰霊を行うか、これも、それぞれ各国によって考え方なり慰霊の方法については違いがあると思っております。

 私は、靖国神社に参拝するのは、二度と戦争を起こしてはいけない、また、第二次世界大戦等におきまして心ならずも戦場に行かなきゃならなかった方々、そういう方々に敬意を表す、また、今日の日本の発展というのはこういう方々のとうとい犠牲の上に成り立っているんだ、そういう感謝、敬意を込めて参拝しているわけであります。

 私は、このことが中国にとって愉快ではないということは承知しておりますが、日本人として戦没者にしかるべき敬意を払う、感謝の誠をささげるというのは決して悪いことではないと思っております。そして、よその国が、死者に対する慰霊の仕方に、自分たちの考えと違うからよろしくないと言って、はい、そうですかと言って従っていいものだろうか、これも疑問に感じております。

 私は、中国には中国の考え方があるし、中国と日本との関係は重要だと心得ております。中国の目覚ましい発展は決して日本にとって脅威ではない、むしろ日本にとって、いろいろな機会を与える、好機である。そのとおり貿易関係も拡大しております。

 そういうことから、私は、これからも日中の友好関係を維持発展させていくことが必要だと思っておりますし、そのような方向に向かってこれからも首脳間の意見交換も進めていきたいなと考えております。

伊藤(公)委員 いずれにしても、日中の高いレベルの政治交流ができるような環境にぜひ政府としても努力をしていただきたいということだけきょうは申し上げておきたいと思います。

 北朝鮮問題についてもちょっと伺いたいと思っておりましたが、町村外務大臣、大変恐縮ですが、要望だけさせていただきたいと思います。

 次の日朝の実務者協議が十一月の中旬ころには持たれるのではないかと報じられているわけでありますけれども、どうも北朝鮮側の誠意が見られない。そういう状況の中で、次の実務者協議のときには、少なくとも誠意ある回答がなければ、いよいよ我が国は経済制裁をきちっと先方に伝えるべきだと私は思っています。既に我々は法律的に数々のその準備をしてまいりました。町村外務大臣も、既にNHKの討論会でもその方向の討論もあったように伺っておりますが、強い姿勢で次の実務者協議には臨んでいただきたいことを要望しておきたいと思います。

 時間が参りましたので、最後に、身近な都市問題について一言だけ伺っておきたいと思います。

 都市交通、住宅問題あるいは国際空港の問題、数々ございますが、きょうは一点だけ、住宅問題について伺いたいと思います。国土交通大臣にお答えをいただきたいと思います。

 国の住宅政策は、住宅公団、都市基盤整備公団、独立行政法人都市再生機構というように、公団も大きく変わってきました。これからは、既に日本の住宅は五千四百万戸、世帯数は四千七百万というわけですから、むしろ住宅政策を少し転換するときに来た。私は常に考えてきましたが、日本人にとって、住宅をつくるということがちょっと重荷過ぎはしないか、税制上もそういう意味では見直していく必要があると思っています。

 例えば、不動産取得税、登録免許税あるいは住宅ローン減税、相続税、贈与税、これには特例措置があります。ところが、中古住宅には、実は築後経過年数があって除外をされています。これらのことを含めて、税制上ももう少し、日本人が住宅を持てる状況をつくってほしいと思います。ぜひ……(発言する者あり)

 それでは、持ち時間が来たようでありますから、予算委員会はまだ何時間もございますので、大変恐縮ですが、大臣に強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて与謝野君、宮澤君、伊藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上義久君。

井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。

 まず私は、きょう、総理に災害対策についてお伺いをしたいと思います。

 ことしは台風六号に始まりまして、七月の新潟、福島の集中豪雨、そして福井の集中豪雨、さらには台風十六号、十八号、二十一号、二十二号と、近年まれに見る災害の年となりました。甚大な被害を日本列島にもたらしたわけでございます。

 冒頭、今回の一連の災害でお亡くなりになりました方々に改めて心から哀悼の意を表するとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 災害から国民の生命財産を守るのは政治の最大の責務でございます。被災者の生活再建に対する支援、そして復興復旧、総力を挙げなければならないと思います。

 まず総理に、今回の一連の災害に対する被災者の生活支援、そして災害復旧に取り組む御決意をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 ことしは、特に集中豪雨、台風等、多く襲来したわけでありますが、その被害もかなりの地域に広がり、また、被災された方々も数多くおられて、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 そういう中で、その地域によって被害の状況も違いますが、この状況をよく点検してみますと、避難対策あるいは情報伝達等において、もう少し改善していれば被害を少なく済ませ得たのではないかということもあります。さらに、今後、災害の復旧復興に際しましても、地域の実情についてよく聞きながら、国としてどういう対策が必要か、また、全体として、このような災害を未然に防ぐための防災対策等、いろいろ反省すべき点もあると思います。そういう点をよく、各地域、実情を調べまして、政府としても今後適切に対応しなきゃならないということで、国土交通大臣初め、担当関係大臣に今指示しているところでございます。

井上(義)委員 さて、今回の一連の災害につきまして、数々の教訓がございました。

 その一つは、緊急通報体制の未整備がもたらした被害ということでございます。現在、防災無線の整備率は全国平均で六七・八%、この整備率は都道府県によって格差が大変ございまして、静岡県のように一〇〇%整備されているというところもあれば、三〇%台という県もございます。ちなみに、新潟集中豪雨で大変な被害を受けました三条市、見附市、中之島町、いずれも同報系の防災無線が整備されていなかったというふうに聞いております。防災無線が配備されていないために、広報車や消防団員が手分けをして連絡に走ったけれども、勧告がおくれ、被害を大きくした、こういう報告も伺っております。

 そして第二の教訓は、高齢者や障害者など災害弱者に被害が集中したということでございます。新潟、福島豪雨の死者、行方不明者十六名のうち、十三名以上が六十五歳以上の方々でした。一方、福井県の豪雨では、五名中四名の方が六十五歳以上の方でございました。今回、一連の災害全体を通じても、亡くなられた方の七割近くが六十五歳以上の高齢者であったということでございます。

 七月豪雨の新潟県の三条市の例でございますけれども、七十七歳の妻の方が寝たきりの七十八歳の御主人と一緒にお暮らしになっていたわけですけれども、七十七歳のその妻の方は助け出すことができなかった、その結果、御主人が亡くなってしまった。あるいは、行方不明になっていることさえもわからないで、水が引いた後初めて家屋で遺体が発見されたという大変痛ましい事故もございました。また、車いすの方が逃げおくれて被害に遭われたという大変胸が痛む報告もございました。

 災害から国民の命を守るためには、以上の二点、ほかにも多々あると思いますけれども、この緊急通報など情報伝達のあり方、あるいは高齢者や障害者など災害弱者に対する対策に政府は総力を挙げて今後取り組む必要があるのではないか。特に、今後は、災害弱者対策ということを考えますと、厚生労働省や自治体あるいは消防団などの組織との連携も大変大事だ、このように思うわけでございまして、以上二点につきまして、防災担当大臣、また必要があれば厚生労働大臣にもお考えをお伺いしたいと思います。

村田国務大臣 ことしは本当に災害が多い年になりまして、私も就任以後、三重県それから瀬戸内地方の被災の状況について視察に行ってまいりました。被災地の皆さん、そして亡くなられた皆さん方に対しまして、私からも心からお見舞いを申し上げ、御冥福をお祈りいたしたいと思っております。

 ところで、井上委員が御指摘の二点でございますが、一つは、避難勧告等の指示あるいは情報の伝達について問題点がなかったかどうか、あるいは災害弱者、特にお年寄りでございますが、この救出に問題はなかったか、こういうことでございます。これは、総理からも就任時に、改善方、私に対して具体的な御指摘がございました。

 私どもといたしましては、十月七日にこうした問題に対しましての検討会を立ち上げまして、いろいろな問題につきましてことしじゅうに問題点の骨子、改善案の骨子をまとめて、今年度中にマニュアルやガイドラインをつくっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。

 一つ一つ内容については申し上げませんが、例えば、情報伝達のあり方につきましては、やはりマニュアルがしっかりしていないということがあると思います。そういう意味で、市町村長さんが避難勧告をするときに、その判断の基準がしっかりよりどころがあるかどうかということについても既に問題が指摘されているところであります。

 それから、お年寄りについては、これをふだんから、町内会等のボランティアの団体あるいは消防とか警察がそういう情報をどうやって保持していざというときに活用できるかという体制も研究しなきゃいけない。ただ、問題は、個人情報保護の関連もございましてなかなか難しいところがありますが、できる限り将来に備えましてしっかりとしたマニュアルあるいはガイドラインというものをつくっていきたい、こういうふうに考えております。

尾辻国務大臣 私も鹿児島でございますから、台風被害の深刻さというのはいつも身にしみております。

 今回も大変多くの皆さん方が被災されましてお気の毒な状況になっておりますから、厚生労働省といたしましても、やれることは全力を挙げて取り組みたい、このように考えます。

麻生国務大臣 関連でありますけれども、二〇一一年に井上先生よく御存じのようにデジタル放送というのが普及することになりますと、いわゆる高齢者が、身寄りもなく独居老人、ひとりで寝ておられるところに例えば台風、水位が上がる、山津波等々いろいろな緊急災害が起きましたときに、その地域を指定して、切れているテレビが起こせる、いわゆる音が出せる、避難してくださいということが伝えられるということは、技術的に可能になります。

 したがって、デジタル放送というものは、むしろ都会より、そういった独居老人等々の地方において大きな活用ができるものだと思いますので、こういったものは、基本的にいわゆる便利になるという意味の中の一つにこの点も御理解をいただければと存じます。

井上(義)委員 次に、国土交通大臣に、中小河川の対策の取り組みについてお伺いしたいと思います。

 先ほども指摘がございましたけれども、ことし七月の新潟、福島豪雨及び福井県豪雨の場合では、いわゆる中小河川が破堤をして甚大な被害をもたらしたということがございます。それを受けて、国土交通省が八月中に河川管理施設の緊急点検を実施したというふうにお伺いしております。

 これがその結果ということなんですけれども、要するに、国直轄の管理区間、これは一万三千キロございますけれども、要対策箇所が七十カ所、それから都道府県の管理区間が三万九千キロで、その要対策箇所は九百五カ所あった。ここまではいいんですけれども、要するに、要対策箇所について、これは九月十六日の時点だというふうにお伺いしていますけれども、対策が終了したというところが、国直轄のところは八六%なんですけれども、都道府県の管理区間の中小河川、これは七%にしかすぎないわけでございます。

 いろいろ理由を聞きますと、対策必要自治体三十八自治体のうち三十自治体が、予算の制約があってなかなかできないということを理由として挙げているわけです。

 そのほか、河川管理における具体的な課題として、例えば、堤防が除草されなかったために目視による点検が困難であった、こんなところが四割もある、あるいは出水を前に定期的な点検も行っていないというところが五割もある、あるいは河川管理通路の確保が不十分で、いざというときに対策ができないというところが一割もあるというふうな実態が明らかになったわけでございまして、中小河川、この管理に大きな問題があることが今回明らかになりました。

 この緊急点検の結果を踏まえて、都道府県管理とはいえ、これは、やはり河川行政、国土交通省が所管しているわけでございますし、災害対策ということを考えますと、ここにしっかり力を入れなければいけないんじゃないか、このように思うわけでございまして、この点についてお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。

 今の数字、十月四日現在、直近の数字では、直轄管理区間が九三%、都道府県管理区間が一〇%でございます。まだ一〇%でございまして、先般、都道府県に対しましては、早急な措置を講じるように改めて要請をしたところでございます。

 今後ともその実施状況を把握したいと思っておりますが、今委員から御指摘のあったとおり、予算上の制約等々、今回の緊急点検の結果、さまざま中小河川にかかわる河川管理の課題というのが浮き彫りになりました。つきましては、この中小河川における堤防の点検や対策についてのガイドラインを、もう一度、国土交通省として改めて策定をさせていただきまして、技術的な問題、技術的な支援の問題、また予算上の支援もしっかりできるように対策に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

井上(義)委員 その次に、今回の災害で被災者を勇気づけた希望の光になったのが、災害ボランティアの皆さんの真心からの御支援でございました。新潟、福井を初め、その献身的な活躍はたびたびマスコミでも取り上げられたとおりでございます。

 集中豪雨の際に、被災者が一番困るのは家の中の後片づけでございまして、特に床上浸水ということになりますと、家財道具を初め、使い物にならなくなる粗大ごみがあふれる。特に、お年寄りのひとり暮らしの方なんかは、重い家具を片づけるのが困難ということで、そういう中で、本当に一軒一軒丁寧に家の中まで片づけてくれる、そういう災害ボランティアの皆様に本当に勇気づけられた、こういう声がたくさん寄せられているわけでございます。

 どうしても、大規模災害になりますと行政機関とか公的組織だけではどうにもならないのが現状なわけでございまして、やはり災害対策の中できちっとこの災害ボランティアというものを位置づける必要があるんじゃないか。

 さらに、では、その災害ボランティアを実際に立ち上げるときのボランティアセンターとかコーディネートをどうするかとか、あるいは資金面の支援、さらに災害ボランティアの方々が事故に遭われたときの補償をどうするかというようなさまざまな問題があるわけでございまして、この災害ボランティアの位置づけと支援ということについても、これは国を挙げて取り組まなければならないんじゃないか、このように思うわけでございまして、この点につきまして、これは防災担当大臣ということになるんでしょうか、よろしくお願いします。

村田国務大臣 今井上委員がおっしゃるように、福井、新潟の水害でも十万人を超えるボランティアが活躍されたということを聞いておりまして、災害からの復旧に関しましては、ボランティアの力がなくてはどうしようもならない。我々としても、ボランティアの皆さん方の大活躍に対しては本当に感謝をしているわけであります。

 そういう中で、私どももボランティアの皆さん方の活動の環境を整えなきゃいけないということで、前井上大臣のときでございますが、先月、ボランティアの方あるいは被災者の方そして有識者の皆さんと、ボランティアと行政等を初めとして、そういう連携、協力関係をどうするかという意見交換をやりました。

 ことしじゅうにも防災とボランティアの集いというものを開きたいというふうに思っておりますが、行政当局が、公共団体がボランティアの受け入れ態勢の窓口をつくる、あるいは社会福祉協議会等とのつながりをスムーズにするような、そういう関係を打ち立てたところというのはなかなかうまく受け入れができるということで、我々も一生懸命、今後とも、ボランティアの活動がスムーズにいくような体制づくり、研究していきたいと考えております。

井上(義)委員 次に、政治とお金の問題について総理にお伺いしたいと思います。

 日本歯科医師連盟をめぐる一連の事件、一億円という大金をもらって、それを収支報告書にも記載をしない、しかもその使い道が明らかじゃない、常識では全く考えられないような事件なわけでございます。あきれて物が言えない、もういいかげんにしてもらいたいというのが国民の率直な私は気持ちだと思います。

 私どもも、政治と金の問題については結党以来厳しく処してきましたけれども、今回の事件はまことに遺憾であって、国民の政治に対する信頼を大きく失墜させてしまったことは本当に残念のきわみということでございます。

 事件の全体像、今後公判でいろいろな形で明らかになると思いますけれども、私は、まず、国会議員というのは選挙で選ばれてきているわけでございますから、やはり、そういう疑惑を持たれた国会議員みずからが真相を究明して、そしてまず国民の前にその責任を明らかにするということが、私は国会議員としての処するまず最初の道だというふうに思うわけでございます。

 それともう一つは、民主政治というのは、その担い手である政党に対する国民の信頼、これがなくなったのでは、私は民主政治の崩壊だと思うわけでございまして、そういう観点から、やはり自民党自身も党内の調査を行って、その真相を究明して、国民の前にその結果というものを明らかにすべきだ、このように思うわけでございますけれども、総理の見解をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 政治と金にまつわる不祥事が後を絶たないということは極めて残念に思っております。今井上議員御指摘の問題につきましても、政治家としてきちんと説明すべきだというのは、これは私は必要なことだと思っております。また、政治家としてはもちろんでありますが、政治資金規正法等、法律を守る、これは当然であります。守らなければ処罰される、これも当然であります。

 そういう点を考えまして、今後どういう対策が必要かという点につきまして、当委員会初め国会でも、いろいろ各党各会派御意見があると思います。よく協議を進めていただきまして、しかるべき対応策をまとめ上げるような努力が必要ではないかなと私は思っております。

井上(義)委員 選挙で選ばれた政治家でございますから、みずから真相を究明し、それを国民の前に明らかにする、これは第一の責務でございます。

 と同時に、今申し上げましたように、民主政治の根幹をなしているのは政党でございます。やはりその政党に対する信頼というものが私は民主政治というものを支えていると思うわけでございまして、残念ながら、そういう点についてもさまざま国民からいろいろな疑惑が指摘をされているわけでございまして、小泉総理、党の総裁でもございますから、やはり党としてもこの問題についてきちっとした説明というものを国民の前になさるべきではないかということを改めてお願いしておきたいと思います。後で御答弁があればぜひお願いしたいと思います。

 その上で、再発防止策でございますけれども、やはり国民の政治に対する信頼を回復するためには、この国会中に、再発防止策をきちっと講ずるべきであるというふうに考えております。

 一つは、政治団体間の寄附における量的制限の問題でございます。先般の政治改革によって、一般の政治団体に対して、企業・団体献金、これを禁止の措置をとりました。今、企業・団体献金を受けられるのは、政党及び政党の政治資金団体だけでございます。

 ところが、その団体自体は政治団体に寄附はできないわけでございますけれども、政治団体をつくりますと、その政治団体を通じていわゆる青天井で寄附できるという仕組みになっているわけでございまして、幾ら政治活動の自由といっても、私は、やはりしかるべき制限があって当然じゃないかというふうに思うわけでございます。

 それから二つ目は、やはり政治資金の透明性を確保するということが、これは政治資金規正法の一番の目的でございます。そういう意味で、今回のような事件が起きないようにするためには、政治団体間の寄附における銀行振り込み等、これを義務づけるということも一つのポイントではないかというふうに思っておりまして、我が党が従来から主張しているところでございます。

 それから三つ目は、これは、国民から疑惑を持たれております迂回献金という問題でございます。政治資金が政治団体を経由して特定の政治家の個人後援会等に渡る、いわゆる迂回献金というふうに言われているわけでございますけれども、これについては、政治資金のマネーロンダリングに利用されているんじゃないかということまで言われているわけでございまして、やはりこの迂回献金についても何らかの防止策を検討しなければいけないんじゃないかというふうに私は思っております。

 総理は、こうした再発防止策について、閣議でもおっしゃっておりますし、自民党の幹部にもさまざまな観点から指示を出されている、私は、これは大変結構なことだと思います。総理自身のこの問題に関する御決意というものをお伺いしたい、こう思います。

小泉内閣総理大臣 今井上議員が御指摘されました点につきましても、今後、自民党内におきましても、また、公明党の考えもよく伺いまして、両党で協議していかなきゃならない点だと思います。同時に、野党の皆さんからもまた違う提案があると思います。

 私は、政治と金の問題につきましては、透明性を図る、あるいはまた政治活動の自由を保障する、そしていかに国民からの寄金を募るかということが大事だと思います。

 すべて税金でやれということについては、私は疑問に思っております。政党交付金というものがありますが、やはり政党政治を育てるのは国民自身であります。いかに国民がみずから支持する政党に対して、支持する議員に対して応援できるような環境を整えるか。すべて税金に頼るというのは、私は余り感心しておりません。そういう点も含めて、制限と同時に、国民がみずからの支持する政党、議員に対してできるだけ寄金を提供しやすいような環境というものを同時に考える必要があるんじゃないでしょうか。

 そういう点も両面から、私は、政党政治を育てるのは国民しかありません。そういう点もよく考えて、一面的ではない、国民こそが政党政治を育てるんだ、国民がみずからの政党を育てるんだ、票も寄金も国民が提供しなきゃ政党政治は育たない、そういう点もよく考えていただいて、政治と金の問題についてよく議論する必要があると思っております。

井上(義)委員 次に、食糧自給率の問題についてお伺いしたいと思います。

 先進各国の食糧自給率、これはカロリーベースでございますけれども、イギリスの七〇%台を除きまして、アメリカ、フランス等、ほとんどの国が一〇〇%を上回っています。しかしながら、日本の自給率は現在四〇%。イギリスが自給率低下に危機感を持って、その対策を徹底的に講じて、三十年間で約三〇%自給率を上昇させて現在七〇%台まで引き上げたのに対して、日本は同じ時期に六〇%から四〇%に低下しているわけでございます。

 世界的な人口爆発、あるいは穀物の単収の伸びの大幅な鈍化とか、あるいは地球温暖化等々、あるいは中国の台頭等考えますと、世界の食糧需給、これは二十年後には極めて不安定になるんじゃないかという指摘もされているわけでございまして、私は、食糧の安定供給というのは国の基本中の基本、安全保障のかなめだ、こう思っています。

 政府は、四年前に、自給率を十年で四〇%から四五%に引き上げるということを決めたわけですけれども、四年たった今も四〇%のままというのが現状でございます。この食糧自給率の見通しということについて、まず農水大臣からお伺いしたいと思います。

島村国務大臣 お答え申し上げます。

 なるほど、食糧の自給率はカロリーベースで現在約四〇%でございます。

 この経過を少しく見てみますと、今も御指摘ありましたが、昭和四十年当時は七三%、四十五年で六〇%であります。五十年代に入りまして大体五二から五四%で推移したのですが、その後十年間、昭和六十年になるとこれが一〇%大きくダウンいたしまして、現在は四〇%にあるということであります。

 問題は、この自給率がなぜ落ちたのか。とかく生産面だけでこれが見られがちでありますが、とんでもございませんで、実は、食の外部化とか洋風化、これによりまして米の消費がいわば減少する一方で、畜産物とかあるいは油脂類、こういうものにむしろ消費が偏った結果で、食生活の変化による減少が極めて大きい、こういうことでございます。

 イギリスの対応も我々よく承知をいたしておりますが、やはりこれからは我々は、何としても平成二十二年を目指して四五%まで引き上げよう、そういう目標を現在設定いたしておるところであります。

 その内容によりましては、何といっても、消費の面だけでなくて生産の面ももちろん大事でありますが、いわば国民の食に対する理解、協力もまた不可欠でありまして、これらはまさに三位一体で、それぞれの分野の責任の中に食糧の自給率を高めたい。これらを前提として、食料・農業・農村基本計画におきましては四五%という設定をいたしたところであります。

 この自給率の実現のために、今後も、我々は鋭意これらの事情を国民に広く訴え、いわば関係省庁とも連絡をしながら、しっかりこの対応に努めていきたいと思います。

 なお、具体的には、もう少し申し上げますと、消費面では、関係府省とも連携をとりつつ、食の大切さを教える食育、これは委員御指摘のことでありますが、食文化の維持、継承を通じた食糧消費についての理解促進や地産地消の推進を図ってまいりたいということ。また、生産面では、意欲と能力のある担い手や農地の確保、新品種、栽培技術の開発普及等を図りつつ農業の構造改革を進めて、消費者の需要に即した国内生産の増大を図ってまいりたい、こう考えております。

井上(義)委員 今お話がありましたように、やはり食生活の改善ですとか、あるいは食の教育、食育、そういう多面的な取り組みが必要であるというふうに思うわけでございます。

 食糧自給率の向上は、食糧の安全保障のほかに、農業の有する水源涵養あるいは国土、自然環境保全など多面的な機能の発揮、あるいは食の安全、安心にも直結する重要な課題だ、こう思うわけでございます。

 そこで、総理、今もお話あったように、この自給率の向上は、もちろん第一義的には農林水産業を所管している農水省、これが第一義的な責任があると思いますけれども、生産面だけからの取り組みというのは限界があるわけでございまして、やはりこれは内閣を挙げて取り組まなければいけないんじゃないか。

 今、総理を本部長に、食料・農業・農村政策推進本部というのがあるんですけれども、これは四年間で三回開催されただけで、いずれも基本計画の承認など形式的な会合にとどまっているわけです。食は命であり、食は農、そういうことを考えますと、この推進本部を食糧自給率引き上げの戦略本部と位置づけて、内閣を挙げてこの問題に取り組んでいかなければいけないんじゃないか、このように思うわけでございまして、総理の決意をお伺いしたい、こう思います。

小泉内閣総理大臣 食糧に対する考え方につきまして、時代の変化につれて食生活、また国民の食に関する嗜好も変わってきておりますが、食糧をできるだけ自国で供給する、これを一定のところまでは確保していくということは、国民生活を守る上で極めて重要なことだと思っております。

 最近の食生活の動きを見ますと、かつてでは考えられないような、魚にしても肉にしても野菜にしても、つくり方、また料理の仕方は変わってきております。そういう中でも、私は、今農林水産大臣が言われましたように、四〇%から四五%に食糧自給率を確保していくということは内閣全体で取り組むべき課題だと思いまして、輸入輸出両面から、農政改革も必要だと思いますが、食の安全確保にこれからも政府挙げて取り組んでまいりたいと思います。

井上(義)委員 次に、高額療養費の問題についてお伺いしたいと思います。

 御案内のように、高額療養費は、医療機関の窓口で一部負担金を支払った後、自己負担額を超える部分について三カ月から四カ月後に保険者から払い戻されるシステムでございますけれども、一たん窓口で高額の支払いを求められることになるものですから、支払いが大変だという声が大変多いわけでございます。

 具体的な例を申し上げますと、総理、厚生労働大臣をおやりでしたからよく御存じと思いますけれども、まず、被用者本人、これは三割負担でございますけれども、例えば医療費が月百万円かかった、そうすると窓口で三割ですから三十万円負担をする、実際に自己負担限度額が八万円でございますから、高額療養費として三カ月から四カ月後に二十二万円が戻ってくる、ところが窓口で一回三十万払わなきゃいけない、こういうことになっているわけです。

 それからもう一点、これは私の友人のケースなんですけれども、奥さんが心筋梗塞で二週間入院した。やはり三割負担で、窓口で六十万円支払いをしなければいけなかった。実際の自己負担額は二十万円だったそうでございまして、高額療養費として四十万円三カ月後に戻ってきた、こういう仕組みになっているわけでございます。

 要するに、一時的にしても高額の医療費を窓口で求められるために、お金を工面するために、例えばひとり身の人が、退院後、ふらふらの体で親戚じゅうを走り回ってお金を集めてきたとか、友達に借り回ったとかいうケースが多々あるわけでございます。

 それから、貸付制度というのもあるんですけれども、この貸付制度も、例えば国民健康保険、すべての自治体でやっているわけでもない。それから、特に組合健保に至っては、四割弱の組合しかそういう貸付制度をやってない。要するに、どうせ戻ってくる、そのための保険じゃないか、どうせお金が戻ってくるのにこんな苦労をしなきゃいけないんだ、いざというときのための健康保険じゃないか、重い病気になったときに安心して医療を受けられるのが健康保険じゃないか、何でこんな面倒くさいことをしなきゃいけないんだというのが、そういう声が非常に多いわけです。

 このことについて、総理どのように、御感想をちょっとお伺いしたいんですけれども。

小泉内閣総理大臣 高額療養費負担、一定の上限がありますが、今御指摘の、三割にしても、百万、二百万という医療費がかかると三割でもかなりの額に達する、これについて手続が煩雑だという御指摘、受けております。

 このような点、もっと患者側の、今言われている苦情に対してどういう改善措置が可能かと検討しているところでありまして、厚労大臣を中心に、今御指摘の点についてもどういう対応があるか、今後検討していきたいと思っております。

井上(義)委員 私は、こういうことは、要するに、いざというときのための健康保険、日ごろはいいんですよ。重い病気にかかったときに、一定のお金で治療がきちっと受けられるというのがやはり安心の医療保険制度だと思うわけです。

 そういう意味で、窓口における患者負担というのは自己負担限度額のみで、それ以上の金額については立てかえる必要がない、こういう仕組みに私は抜本改革を図るべきではないかと思います。そうでないと、いざ重い病気になったときに安心して医療を受けられる、そういう保険制度の意味をなさないんじゃないか、何のために日ごろ保険料を払っているのかということになると思うわけでございまして、このことについて、厚生労働省として、今総理からもお話がございました、抜本的に検討すべきだと思いますけれども、厚生労働大臣、どうでしょうか。

尾辻国務大臣 この件につきましては私も陳情の側に回ったことがございます。したがいまして、先生御指摘のような事情についてはよく承知をしております。総理からもただいま御指示もございましたから、どういう工夫ができるか、私ども、最大限の今後努力を重ねて工夫をしてみたい、こういうふうに思います。

 ただ、ちょっと理屈を言うようですが、最初から高額医療になるというのがわかっているケースは先生が今おっしゃるような方法もとれますが、ずっと積み重ねていって途中で超えるというようなケースもありますので、そんなところまで含めていろいろ検討してみたい、こういうふうに思っております。

井上(義)委員 ぜひ、総理からも御指示がございましたし、厚生労働大臣からも今前向きの答弁がございました。国民に目に見える形で、窓口で本人の負担分を払えればいい、こういう仕組みにぜひ改めていただきたい、できるだけ早くこの結論を出していただきたいということを重ねて要望申し上げます。

 あわせて、この抜本改革がなされるまでの間、多少時間もかかると思いますけれども、やはり負担に苦しんでいらっしゃる方がたくさんいらっしゃるわけでございまして、当面、この貸付制度、これは、ある自治体もあればない自治体もある、あるいは健康保険組合によっては四割しかないということですから、少なくともこの貸付制度を拡充する、あるいは、もう少し使い勝手がいいように、そんなに煩雑な手続をしなくもいいように改善をする。特に低所得者の皆さんに対する配慮というものをまず当面の措置としてぜひやっていただきたい、こう思うんですけれども、この点、重ねてお伺いします。

尾辻国務大臣 貸付制度につきましては、御指摘のように、まず拡充しなきゃいかぬと思っております。それから、使い勝手のいいものにしなきゃいかぬと思っております。

 それからもう一点、よく御存じでない方もおられますから、そういうPRにも努めていきたい、こういうふうに思います。

 いずれにいたしましても、全力でやらせていただきます。

井上(義)委員 いずれにしても、ただいまの抜本改革、これについては、尾辻厚生労働大臣、年度を切ってやっていただきたいということで、改めて、いつまでに結論が出せるかということも重ねてもう一回お伺いしたいと思います。

甘利委員長 尾辻大臣、簡潔に。

尾辻国務大臣 今直ちにいつまでというお約束はできませんが、なるべく早くということはまじめに申し上げたいと存じます。

井上(義)委員 以上で終わります。

甘利委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。

 次に、仙谷由人君。

仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

 なかなかこの場にお出にならなかった総理が、ようやく予算委員会に、参議院の選挙後四カ月ですか、たってからお立ちになったわけですから、念を入れて御質問しようと思っておるわけでございます。

 きょうは、民主党の方から、一つは経済財政、それから政治と金をめぐる問題、年金問題、郵政事業改革、外交そしてイラク問題、自治体の財源問題、独禁法、官製談合、公共調達の問題、地域活性化の問題、農業再生、教育改革の問題と、種々山積する問題についてお尋ねをしようと思っておるんですが、とてもすべては私の方からはできないと思います。できない部分は同僚議員に任せたいと思っておりますので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。

 今、構造改革と言われる小泉さんの政策が始まって三年になるわけでございますが、多くの国民、特にサラリーマンの方もそうでありますが、地域に住む普通の人々にとっては、これは何なんだ、小泉さんがおっしゃるほど生活がよくなっているわけではない、むしろ、どちらかというと生活不安が押し寄せてきているのではないか、特に将来の不安もひしひしと感じられる、こんな気持ちで毎日を過ごされておるのではないかと私は考えているところでございます。

 先般の本会議の代表質問で、我が党の、民主党の岡田代表が、小泉さんは努力した人が報われる社会をつくるとおっしゃるんだけれども、努力しても報われない人でも尊厳ある人生を送ることができる、再挑戦の機会を得ることができる、そういう社会を実現することが政治の役割ではないか。どうも、努力した人が報われるということを言いながら、本当の競争政策は行われていない、中途半端にしか行われない。相変わらず、権力や、あるいはいわゆる括弧つきの政治に近いと言われる人たちがどうも甘い汁やおいしいお酒を飲んでおるのではないか、そういうふうに、この間の事態を見ても、思っている方々がほとんどではないかと私は思っておるんです。

 例えば、社会保険庁の汚職事件にあらわれているような問題。あるいは、今度の、十三日に発表されました、西武の浮動株が公表よりもはるかに少ない株式しか市場にはないのに、あると偽って長年取引をされた、こういう問題。あるいはダイエー倒産をめぐっても、銀行救済なのかダイエーで働く人々を救済するのかよくわからないけれども、とにかく、大きいところはいいよな、倒産がないよな、中小企業だったらとっくの昔につぶされているよな、こういう思いで今起こっているもろもろの問題を見ていらっしゃると私は思うんですね。

 そこで、総理にお伺いをしたいわけでございます。

 総理、パネルを使わせていただきますが、「小泉「改革」で日本はこうなった」と書いてみました。名目GDPがこんなに減っちゃった、国と地方の長期債務はこんなにふえた、勤労者の世帯の実収入も年収でこんなに減った、自己破産はウナギ登りだ、自殺者も三万人を超えてまだまだふえ続けている、こういう事態になっているわけであります。名目GDPもごらんのように減って、雇用者所得、実収入も減る。

 そして、資料で「一人当たり人件費」というところがあると思います。資料でお渡しした下の方の図をまず見ていただきたいんですが、一九九〇年を一〇〇というふうに指数化しますと、大企業は一一一・九、少々伸びている。しかし、零細企業に至っては、当時の一人当たり人件費が、八六・九、ここまで落ちているということであります。

 そして、パネルにはつくってきませんでしたけれども、資料でお配りしてあると思いますが、一人当たり人件費が、大企業では、九七年七百四十八万が二〇〇三年では七百四十四万、つまり、率に直しますと〇・五%減っている。中堅企業では五百五十八万円が五百二十一万、率に直すと六・六%減っている。中小企業に至っては四百十六万が三百七十九万。零細企業に至っては、九七年では一人当たり人件費が三百二十九万であったのが二百八十一万。

 小泉さんや竹中さんが、景気は回復している、これから巡航速度に乗って日本はいい方へ行けるんだという意味のことをおっしゃっているわけでありますけれども、どうも違うのではないかということが見てとれると思います。

 こういう二極化、特に、この一人当たり人件費が大企業と零細企業でこんなにワニの口のようにあいてきた事態、これについて総理は、反省と、どうすれば、こういう二極化、極端な二極化へ向かうような方向に日本をしないで、従来にも増して中間層が生き生きと働いて充実感を持てる、そういう社会にしていく、そのために有効な政策はこれだ。私は、郵政改革実現化ということを自己目的化して、これ一本にかけるような話ではない、そういう事態ではないというふうに思っておるのでございますが、お考えはありますでしょうか。何にもなければ、ないと答えてください。

小泉内閣総理大臣 人それぞれ見方がありますが、批判的立場に立って見る、悲観的な立場に立って見るのと、そうでないのとは違っていると思います。

 私も、努力が報われる社会、これは大事なことだと思っております。そして、努力してもどうしても無理だという方に対して、国が、公共団体が、また、お互いがどうやって支え合っていくかという、そのような社会が必要であるということについては異論がございません。

 私が総理大臣に就任して経済の活性化の中で一番議論になった点は、不良債権処理の問題でした。この不良債権処理をしないと経済が活性化しないという点については、国会の中におきましても、大きな議論が何回か交わされました。

 そういう中で現在の状況を見ますと、今、仙谷議員は悲観的な見方をされておりますが、私は、だんだんこの悲観的な見方が是正されて、やればできるんじゃないかなという意欲が出てきたと思っております。

 具体的な数字を挙げますと、最近の日本経済、堅調に回復しているということは、政府だけではございません、日銀もそういう見方をしております。そして、かなり民間の経済研究所もそういう見方をされているんじゃないでしょうか。現に、実質GDPは、五四半期連続でプラスになっております。

 また、不良債権処理を進めると、どんどんどんどん失業が多くなる、企業も倒産がふえるということで批判をされておりましたが、現実には、不良債権は、予定どおり来年には正常化される。現在も、主要行の不良債権比率は、二〇〇二年の八・四%から、ことし三月には五・二%に減少しております。来年には四%台になるであろうという政府の見通しどおりに推移していくことを期待しております。

 また、失業率も、二〇〇三年一月の五・五%だったのが、ことしの八月には四・八%に低下しております。

 また、就業者数もふえてきておりまして、有効求人倍率につきましては、ことし八月には〇・八三と、十一年ぶりの高水準になってきております。

 こういう状況の中でも、不良債権処理を進めていながらも、企業の倒産件数は減少しております。本年九月の件数は、前年比一〇%減少しております。

 こういうことから、まだまだ地方とか中小企業には景気の回復状況にはばらつきが見られますが、今後とも、この景気の現状に対する好転というのは、さらに中小企業にも地方にも広く浸透させていくように努力をしていくことによって日本経済の活性化につなげていきたいと思っております。

仙谷委員 一言だけ反論をしておきます。

 不良債権処理でありますが、不良債権というのは、銀行がお金を貸せる銀行に改善をしてもらう、そのために公的資金も注入をする、ここが重要だったと思うのですね。

 ところが、どうです、総理。私、今詳しいのを持ってきていませんが、例えば、きょうの日経新聞の景気指標の銀行貸出残高のところを見てくださいよ。〇一年からことしまで、ずっと四、五%の残高減少じゃないですか。今は四百三兆円ぐらいなんですよ。三年ぐらい前は五百八十兆か五百五十兆ぐらい貸し出しがあったと思いますが、これだけ全国銀行で貸し出しを減らしたら、間接金融で事業をやっている中小企業というのは決定的に苦しくなっているというのはおわかりになりませんか。

 そして、今総理はおっしゃったけれども、ことしの三月期決算で高収益を上げた会社というのは相当ございます。それは認めましょう。しかし、事業会社がこういう高収益の決算をできたのは何か。一つは人件費の削減、さっき申し上げたとおりであります。さらに次は、金利が低金利である。実質上、ゼロ%金利を日銀と銀行間でやっている。長期金利も低いままだ。それで資産売却。この三つぐらいが、事業会社がよくなって、むしろキャッシュフローも、家計部門はどんどん減って、もう貯蓄率もどんどん減ってくる。一方では、事業会社が、キャッシュフローがよくなって、いいところは金を借りないでも設備投資できる。悪いところはどんどん倒産していかざるを得ないということじゃないですか。

 今、そういういい会社にとっても、あるいは全体としても、何となく、景気が回復しているのかなというある種の幻想を与えている理由ははっきりしているじゃないですか。日銀がこれだけじゃぶじゃぶの資金供給をすれば、これだけ銀行が貸し渋っても、まあまあ金は回っているように見える。どうです、発券高が七十兆円台なのに、国債の残高は九十四兆一千億じゃないですか、日銀の国債残高だけでも。不均衡を拡大させているということにしかすぎないじゃないですか。

 その上、我々が調査をしますと、中国の輸入もあるいは輸出もそろそろ減ってきている。鉄鋼の輸入量もネットでは減る。あるいは自動車の生産も減る。日本の鉄鋼輸出もネットで減っている。来年の景気動向について分析をしているエコノミストの中で、本気で来年いいと言う人はほとんどいないんじゃないですか。特に、ブッシュさんの大統領選挙が終われば……(発言する者あり)あなたは、桜の花が咲くころによくなると言って失敗した人でしょうが。ブッシュさんの大統領選挙が終われば、この大統領選挙減税が終われば、アメリカの方もほとんど下方傾向に向かうというのが常識的な見方じゃないんですか。

 ここから質問なんですが、そんなときに政府は、定率減税を廃止もしくは縮減しようとされておるんでしょうか。総理、どんなおつもりでこの定率減税を廃止したり縮減するという方向なんですか。財務大臣には後で聞きます。まず総理大臣。こういう基本的なことは総理大臣。

小泉内閣総理大臣 後ほど財務大臣から答弁があると思いますが、今後、税制改革がこの予算編成の前に党内でも議論されます。そういう税制改革全体の中で、この定率減税はどうあるべきか、議論していきたいと思っております。

谷垣国務大臣 定率減税は、平成十一年、小渕内閣のときに、当時の極めて停滞をきわめていた経済状況にてこ入れしようというのが一つの目的。もう一つは、所得税体系を抜本的に見直すまでのつなぎの措置。こういう二つのことから導入されたものでありますけれども、当時の平成十一年度の非常に停滞した経済状況から比べますと、今、仙谷委員は現況をかなりディズマルにお書きいただきましたけれども、はるかによくなっている。ですから、当時の措置がよかったかどうかというのを議論できる環境になってきているというふうに私は思っております。

 それから、もう一つは所得税体系全体の見直しですが、今までも御議論がありました三位一体の議論との関係で、どうしても所得税を中心に税源移譲しなければなりませんので、所得税体系の全面の見直しが必要でございます。

 したがいまして、この定率減税の扱い方に関しましては、今委員は景気の面から御指摘がございましたけれども、景気にどういう影響を与えるか、これはもちろん議論しなきゃなりませんけれども、どういう方向で持っていくかということについては議論を尽くしていただきたい、このように考えております。

仙谷委員 先ほどからお示ししておりますように、雇用者所得あるいは人件費という切り口で見ても、おっしゃったように、平成十一年からも必ずしもよくなっていない、これは常識だと思うんですね。

 つまり、大企業、製造業を中心にしては、それは少々よくなっているでしょう。先ほどの指標もそうでした。しかし、その他の業界に勤めている人が大体八〇%以上おるんじゃないんでしょうか、日本は。そういう中小企業、中堅企業あるいは零細企業で働いている人が日本は八〇%以上いる前提で考えて、厚生年金保険料を上げるわ、そして、小売販売額とか消費者物価指数あるいは消費支出、いろいろな指標をとっても、ここで個人の懐を冷やすような話、もう預貯金も取り崩して消費せよというふうなことをこれからも続けるのかどうなのかというのがこの定率減税問題なんですよ。

 シンクタンクの試算によると、七百万円ぐらいの収入で夫婦二人の人であれば、定率減税をなくすると大体年間八万円ぐらい、八万二千円ぐらい減収になる。一千万円の収入の人だと十七、八万円減収になる。こういうふうに言われているじゃないですか。

 これを今の時点で取っ払うという覚悟で、ますます、まあ収奪とまでは言いませんが、苛斂誅求ここにきわまれりみたいな話になってくるんじゃないですか。

 総理大臣、どうですか。ここは今の段階で決断をして、アメリカの経済指数や中国の経済指標も見ながら、そして日本のこの財政の赤字、日銀の国債買い入れというこの不均衡を前提にして、慎重な経済運営をとらなきゃいけないんじゃないですか。定率減税だけをばさっと切ってしまう、そんなことがあり得てはならないと私は思うんですが、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 これは、定率減税だけ一つの見方ではできない問題なんです。所得税全体の問題、同時に歳出削減の問題、国債発行抑制の問題、そして経済全体の問題、財政再建の問題、総合的判断をしなきゃならない問題なんです。定率減税だけとって、いいか悪いかという問題ではございません。

仙谷委員 時間の関係もございますのでこの問題はこの程度で終わりますが、政府そして自民党が、まあ私に言わせれば、サラリーマンあるいは中小企業の経営者を含めた普通の、一千万内外の収入しかない人に背を向けてこれから政治を進める、よくわかりました。

 それでは、同様の観点から、政治と金のお話を聞きましょう。

 これも、私に言わしめれば、この日歯連事件というのは、自民党政治に近づくために大金をばらまく、これをすれば、ほかの人がどうなっても、みずからの業界はまあまあうまくいくんだ、この政治ですね、この行動、これの端的なあらわれだと私は見ているんですよ。つまり、公平に競争をして努力した人が報われる話じゃなくて、少々すき間に入り込んだり、あるいは金で人的な友好関係をつくって、そこで政策的にその業界がまずくならないように、少なくともまずくならないように、できれば優遇措置を受けるように、そういう思惑のために金を大胆に大量にばらまいた事件だ、こういうふうに思うんですね。

 私のところへもこういうのを送ってくれました。「日歯連盟だより」、これは平成十五年四月十五日、いろいろな、彼らの要望する政策的なことが書いてあります。当時の自民党の幹部でございましょう、古賀誠先生、野中さん、青木幹雄参議院議員。政治力をもってこれから実現していこうね、一緒にやろうね、職域代表の参議院議員も出してほしいね、出しましょうということがここに書いてあります。

 私は、この日歯連の事件というのは、改めてそういう観点から、日本の政治が縦割り業界に、税制や、今回の場合は診療報酬とかそういう問題でありますけれども、縦割り業界にそういうある種の優遇措置をする、そういう資源の配分をしていく、そのために、個別の業界と自民党という政党、自民党の各派閥、族議員、この、人の特別の関係をつくるためにお金が使われた。もうこの政治構造自身を変えなければならない。何年言い続けたのかわからないけれども、変えなければいけない。

 私は、今の日本の、国、地方を合わせて一千兆円の財政赤字というのは、日本社会のあらゆる矛盾の表現だと思っています。財政赤字があるから矛盾が出てきているんじゃないんです。矛盾があるから、それを糊塗しようとして、とりわけ自民党政治を延命させようとして、税を国民に負担願うことを嫌って財政の赤字で賄ってきた。子供や孫の懐に手を突っ込んで、生まれてきていない子供のキャッシュカードをつくってやってきた。こう見ているんですね。

 そういう観点からこの日歯連の事件を見ると、権力に近づいて、歯科業界、まことに苦しい、毎年毎年三千人ふえるから苦しくなるんですよ、歯医者さんも。そこで、生き延びようとする人たちが、一人当たり年間三万円、九万人の歯医者さんのうち、六万人が日歯連の会員だ、日本歯科医師会の会員だ。年間十八億円。この十八億円を使って運動してきたというのが、これを見たらはっきりするじゃないですか。

 ちなみに、この間、日歯連が実現しようとしたことは、細かく言いますと、そしゃく障害者の診断書の作成や障害者手帳申請手続を緩和してほしい、かかりつけ歯科医の初診料の請求がやりやすくしてほしい、歯科衛生士教育期間延長を凍結してほしい、あるいは本人負担三割というのがありました。それがちょうどこの平成十五年です。そういうのも、できたら自民党のお力によって、厚生省が幾ら言っても三割負担を阻止してほしいと医師会も歯科医師会も言っていたじゃないですか。

 そのためにどのぐらい献金をしたか御存じですか、総理、自民党に。国民政治協会への献金だけでも、平成十一年度六億六千万円、平成十二年度五億九千三百万、平成十三年度四億五千万、平成十四年度四億六千三百万、表の献金だけでこれだけあるじゃないですか。そのほかに、名前はきょうは申し上げませんけれども、お一人お一人の議員の後援会とか資金管理団体とか県支部に、今申し上げた国民政治協会を通したお金ではなくて、少なくとも、平成十一年から十四年までに、日歯連から、これは例えば、何とか県歯科医師連盟を通したのとは別に、日歯連から直接各議員の資金管理団体や選挙区支部に配られた金が六億五千九百七十七万五千円じゃないですか、私の計算だと。ちゃんと、公表数字だけでそうなっているんですよ。これを巨額なお金だと言わずして、どう考えればいいんですか。

 もうちょっと言いますと、最高は、逮捕された吉田幸弘さんという人が一億三千百万です。中原爽さんという人は八千二百九十七万五千円です。こういう金額を三年や四年の間にどうして払うんですか。代弁人、代理人をつくるというもくろみなのか、政策を金で買おうというもくろみなのか。普通の人はそうとしか考えられないじゃないですか。

 さあ、ここで総理、総理も官房長官の方に指示されたというふうに一部報道されましたが、ある業界があって、ほとんど同じ構成員で、半ば準強制的に政治連盟の会費が払われるという政治連盟、業界の横にある政治連盟、こういう政治団体からは、自民党の受け皿である国民政治協会、つまり政治資金団体と言うらしいんでありますが、この政治資金団体に入れられる寄附であろうと、自民党本部に直接入れられる寄附であろうと、やはり限度を決めた方がいいんじゃないですか、これ、少なくとも。禁止せよとまで言いませんけれども。

 例えば、最大限譲るとすれば、年間一億円でどうですか、総理。どうですか。お答えください。

小泉内閣総理大臣 具体的な政治団体間の資金の提供について額の制限を設けるかどうか、一億円でどうかという話でありますが、私は、こういう点についても、今後、今、自民党でも検討しております、公明党でも検討しております、民主党でも検討されていると思います。日歯連の問題と、今、仙谷議員が指摘されました、政党なり政治家に献金する、資金を供給する問題、これは分けて考えなきゃいけないと思っています。

 まず、法律に従って政治資金収支報告書を出す、これはもう当然であります。法律を守らなきゃならない、これも当然であります。同時に、民主政治でありますから、選挙をやればわかりますが、どの有権者も団体も、みずからの意向を通すために、支持政党、議員を見きわめます。自分たちの要求を通してくれるかどうかによって献金の額も考えようというのは、労働組合も政治団体も同じだと思います。

 そして、私は、そういう資金を提供するというのが悪いとは思っておりません。要は、どういう団体が、どういう労働組合が、どの政党に、どの候補者に献金しているかというのを有権者がわかるというような、そういう透明性というのは必要だと思います。それに基づいて有権者がどう判断するか。

 今言った日歯連の問題についても、要求を、例えば自由民主党にぶつけて、受け入れられた問題と受け入れられない問題があります。例えて言えば、日歯連は何億献金しようが、三割負担を阻止してくれというのを阻止できなかった。

 逆に、いろいろな問題におきましても、これは献金の多い少ないにかかわらず、国民の歯科医療のために必要だなということだったら、政党としてこれは必要な改善だと思うならば、自民党だろうが民主党だろうが公明党だろうが、それの要求に沿って政策に反映するのもこれは悪いことではございません。

 私は、そういう意味において、今の御質問でありますが、献金額を制限するというものも含めて、額はどの程度にするかという問題についても各党間で今後協議する必要があると思っております。

仙谷委員 実は、総理、先般の本会議で、やはり政治献金は広く薄く集めるのが筋だ、正しいとおっしゃったから、私は、最大限譲歩して一億円と言ったんですよ、今。これでも庶民から見れば厚くかもわかりません。広く薄くだったら、毎年毎年五、六億円の金が自民党に自動的に入ってくる、これは薄くとは言えないんじゃないですか。自民党だって政党交付金が年間百五十億でしょう。そのうちの五億といったら、これはそんなに薄いお金じゃないと私は思いますよ。だから、その庶民感覚というか、市民感覚を総理に聞きたいと思って聞いたのです。だが、全然答えになっていないです、それは。

 いいですか、九月二十九日には、総理が総務相に政治資金規正法の見直しを指示した。官房長官がそれを記者会見で、団体間の上限を決めるんだ、金融機関に送金の流れを限定するんだ、金融機関の振り込みとか、受けることを。透明化するんだとおっしゃったから、私は本気かと思っていたんですよ。ああ、これはいよいよ進むなと思っていた。

 ところが、どうです、今のお答えは。広く薄くが、何かもうわけのわからぬ、まあ、みんなの党で相談してくれみたいな、こんな程度の話では、遅々として進まずというか、後退しているじゃないですか。この点はもう一度お答え願います。

 総理の広く薄く感覚というのは、こういう業界団体が、政策を掲げている業界団体が政党に献金しようとする場合は、どのくらいが広く薄くの感覚なんですか。金額で言ってください。十億でも二十億でもいいですよ、あなたの感覚がそういう感覚ならば。どうですか。

小泉内閣総理大臣 私は、政治団体間の献金と個人献金、企業献金とは別だと思っております。

 政治団体というのはいろいろな方々が団体をつくってやるわけですから、政党交付金が二百五十億とか三百億ということから考えて、制限するばかりじゃなくて、透明性を確保するんですから、各団体がこれだけ献金したということがわかって、有権者に判断材料を与えるということは大事だと思っておりますが、その額が、企業献金、個人献金の額と政治団体の額とは違っていいと思っています。

 それと、政党に対して国民がどのように寄金を提供するか。自分たちの要求を政党に、議員に反映させたいと思って、票で応援する人、資金で応援する人、労力で応援する人、さまざまであります。それをいかに国民からうまく吸収して、国民の支持を得て、政党が選挙で勝利して、政権を担当して政策に反映していく、こういうのが民主政治ですから、私は、そういう点についても、企業献金、個人献金と政治団体の額というのは差異があっていいと思っていますので、額がどの程度がというのは、今後、各党間でよく協議していただきたいと思います。

仙谷委員 僕は、総理の広く薄くの意味がまさに馬脚をあらわしたというか、全く具体的に考えていないということがわかりました。

 それと、もう一つつけ加えますと、今総理がおっしゃったことは、総理がやろうとしている構造改革がにせものだということを自白したようなものなんですよ、言っておきますけれども。

 この縦割り構造の、業界団体を中心に資源を配分する、これは税制でも予算でも補助金でもそうです、あるいは診療報酬でもそうです。このやり方が日本は限界に来ている。一九四〇年から続いている、統制経済のときから続いている、業界単位で物事を仕切っていくという構造、これが政治の構造なんだけれども、経済もその構造がなかなか直らない。官製談合の世界が直らないということが、今の日本の公正な競争社会ができないことにつながっているんじゃないですか。私は、ここは物すごく深く結びついていると思うんですよ。

 総理が、縦割りの、省庁、族議員、業界、業界団体、政治連盟、あるいは政治連盟の隣の、自民党何とか支部がついているじゃないですか。この構造をたたき壊さない限り、経済構造改革なんというのは絶対できません、言っておきますけれども。そこと関係があるから私は申し上げているんですよ。それだけを申し上げておきます。

 裏金の話をしましょう。

 平成研への一億円というふうに報道をされています。しかし、だれが平成研への献金だということを認定できるんですか。だれもわからない。口悦という料理屋で橋本龍太郎さんという元総理大臣が、一億円の小切手を青木さんや野中さんにも見てもらいながら懐にしまった。それを、小切手がどう献金されてどのように分けられたのか、だれもおわかりでないじゃないですか。だれが認定しているんですか。

 こういう事実があった、総理は、あったらしいな、そういう認識をしているんですか、していないんですか。こんなことはでっち上げかもわからない、新聞が書いているだけだ。いやしかし、検察庁がこれは起訴したわけですから、報告しなかったということについては。全くのうその事実をでっち上げて、村岡兼造さんまで起訴に及んだということは、私には考えられないんですけれども。

 総理、どうですか。総理の認識としては、こういう事実があったというふうに認識しているんですか、していないんですか。あったらしいという認識はあるんですか。

小泉内閣総理大臣 私は、平成研の会計、収支状況については知りませんが、現に今、裁判手続にかけられている。なおかつ、一億円の日歯連側から平成研への献金というのは、当初記載されていなかったのが後日修正して記載されたということを聞いております。こういう状況から考えると、一億円の献金があったんだと思います。

仙谷委員 では、そこまで総理の答弁を聞きましたので、次の質問に移ります。

 これは、結局、後に訂正されたと言うけれども、社会的に問題になるというか、メディアの世界で問題になる、あるいは、検察庁に呼ばれて取り調べが始まったということで、訂正というか修正の報告をしたということになっているわけですね。

 ということは、もらってから約三年間は裏金だったということなんですよ。どういうふうに使われたのかは、さっきから総理がおっしゃる、透明度が全くない。どこに消えたのかはわからない。繰越金に計上したけれども、実際はそんな金はもう既にない。どうも二〇〇一年の参議院選挙のときに分けたらしい。こういうことが言われているんですね。

 当然のことながら、こんな処理が、何年もおくれて、修正しましたで済むものですか。今、企業の世界ではコンプライアンスということが言われておりますけれども、こんな法令の遵守意識で、まあ自民党の先生方の中には、随分この間修正の報告をしていらっしゃる方がおるようでありますけれども、こんなことでこのコンプライアンスが守れているというふうに、総理、お考えですか。

小泉内閣総理大臣 献金があった場合には記載しなければならないという、政治資金規正法ですか、法律にのっとって対応しなかったからこそ、これに関係する方々が逮捕され、今、裁判手続にかけられているのだと思います。

 これは、なぜ記載しなかったのか、私も不思議でしようがありません。まず、法律を守るのは当然なんですから、法律を守るということをしっかりと肝に銘じていただかなきゃならないと思っております。

仙谷委員 ただ、この入金及び入金に関する処理については、橋本元総理は、わしは知らぬ、こう言っているんです、私は関係ないと。いや、実はこの会計処理については責任があったんだということを、そういう指示をしたんだと多分言われているんでしょう、滝川さんと共謀の上、虚偽の記載をしたということで起訴されておるのが村岡先生でありますから。

 こういう前提なんですが、先ほどから総理がおっしゃっておる透明度という観点からいえば、このお金がどのように使われたのかというのは、やはり透明度を高めるためにも調べる必要がある。検察庁がわかるのであれば、ちゃんと報告を出してもらう必要がある。検察庁がそれはちょっと待ってほしいとおっしゃるならば、この委員会で、あるいは衆議院で調べる必要がある。

 総理の透明度感覚、これだけ力説される透明度感覚からいって、この一億円の使われ方というのは解明をする必要があると思いますが、自民党総裁としても、あるいは日本の国政を預かる総理としても、いかがお考えですか。この使い道について、ちゃんと議会が自浄能力も発揮しながら、調査能力も発揮して調べる必要がある。こういうことについて、総理のお考えを聞きます。

小泉内閣総理大臣 私は、今、この問題につきましては、裁判手続にかけられておりますので、法律にのっとって処理されるべきであり、国会において、議員がかかわっている問題であるならば、議員がしかるべき説明をする必要があるのではないかと思っております。

仙谷委員 総理、他人事みたいなことをおっしゃっちゃだめですよ、こういう問題については。自民党総裁でもあるわけですからね。

 ちょっと話題を転じますが、日歯のお金のうち、我々の調査によると、日歯側からお金は直接渡したけれども、国民政治協会という名前の自民党本部の事務局長、元宿仁さんというんですか、この人にお願いをして、一たん国民政治協会に入ったように処理をしてもらって、お金は直接派閥や議員に渡したというケース。それから、封筒に入れて何々先生用と書いて、それを国民政治協会という名前の自民党本部の元宿事務局長のところへ持っていって、国民政治協会が受けたようにして引き受けてもらって、それを後日、わからないように分割したりして、衆議院議員、参議院議員の支部の口座、衆議院第何選挙区支部の口座に振り込んでもらったというのがあるんですよ、こう言っておるんですね。ちゃんとそれは、元帳にも台帳にも残しておきましたと。自民党というよりも、名前は国民政治協会からいただいた領収書に、番号も、関連がわかるように番号を書いてあります、こうおっしゃっておるんですよ。

 自民党は、この種の指名献金、指定献金、迂回献金なんか一切ないんだ、こういうふうに言ってきました。一切ないと。あったら大変ですからね、これは。だけれども、時々、事件というのは、事実は小説より奇なりといいまして、ほかの事件で捜索が入ったときにそういう証拠というのが出てくるんですよ、当人たちには困ったことに。当人たちには、私、困ると思うんだけれども。

 話はかわりますけれども、今度の西武の事件も、インサイダー取引とか株式がこれだけ少なかったというのも、先般の総会屋事件で捜索・差し押さえが入ったときにそういう資料が出てきたのかもわかりませんよ。どうも、事件というのはそういうふうにして発展していくんですね。警察や検察が見逃しにできないと思うような重要な証拠が出てきたときには、もうこれは、相手が政治家であろうと大財閥であろうと、やはり捜査に着手しなきゃいけない、こういうことになっておるわけですよ。まだここがほどほどには実行されているから、日本も健全なところがあると私は見ておるんです。

 しかし、そういう経過で、今度のこの日歯連の事件も、どうも検察庁さんも資料をちゃんとお持ちになっておるようです。

 そこで、法務大臣、どうですか。この問題について検察庁の方から、そういう事実があったかなかったか、お答えいただけますか。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 個別事件の具体的な事実、それらに関係しているものにつきましては、証拠関係につきましてはコメントを差し控えさせていただきます。よろしくお願いします。

仙谷委員 迂回献金の一つの端的な例として、佐藤勉さんという人が、この平成十三年ですかに三百万もらったとか五百万もらった、迂回献金でもらったということが巷間言われているというか、少なくとも新聞報道にはありますね。それで佐藤さんを取り調べをしたんだ、こういう話がございますが、佐藤勉国会議員を取り調べたのかどうなのか、それについてお答えいただけますか。

南野国務大臣 今お尋ねの迂回献金等につきましてのことでございますが、それらの御指摘につきましては、現在、東京地方検察庁に対し告発状が提出されているものと承知いたしており、検察当局において適切に対処するものと思います。

 以上でございます。

仙谷委員 適切に対処するということは、ちゃんと呼んで取り調べをしておるというふうに理解いたしました。

 これは、報道機関にも、佐藤勉議員からは、名誉毀損だとかなんとか、抗議も全然ない、告訴もないということでありましょうから、まあ、ほぼ当たらずといえども遠からずというぐらいの事実関係はあったんじゃないかと思います。

 この件もちゃんと伝票に番号が振られておって、どうも、金員授受の趣旨はともかくとして、金員が国民政治協会を通って特定の佐藤議員のところに持っていかれたということは本当のようでございますし、そしてまた、きょうの朝日新聞の報道によりますと、我々の調査と同じように、九九年には有力派閥幹部三人に一千万あてが配られて、これは後々、国民政治協会、自民党を通ったような処理がされた。お金自身は別途渡された。それから、平成十三年十一月には、やはりこれも名前を申し上げるのは控えますけれども、時の主流派閥、ここの党の幹部と有力議員、合わせて三人に合計五千万。一人には三千万、二人には一千万ずつ。これも領収書がある。領収書に番号が振られておって、日歯側の出金伝票の番号と合致しておる、こういうふうに言われておるんですね。

 それで、私は、ここで総理にも、あるいは法務大臣にもお願いしたいんでありますが、ロッキード裁判のときと同じように、この種の非常に不健全な、脱法的、あえて的とつけますけれども、まあ脱法と言いたいんだけれども、この種の献金がこの間の日歯連の事件で捜査の当局が認知したものがあれば、つまり、物証があり、それを説明する供述があるとすれば、ちゃんと報告書を出すべきだ。ロッキード事件のときの灰色高官と同じように、報告書をつくって出すべきだ。証拠そのものも出していただいたらなおいいんだけれども、それはこの予算委員会で議決してもらわないと出てきませんので、まずは法務省が、刑事訴訟法四十七条に基づいて、公益のためにそういう報告書を提出するということを求めたいと思うんです。どうですか、法務大臣。(発言する者あり)

南野国務大臣 初心者でございますので……(発言する者あり)

 捜査の結果、具体的な事実関係は、立証に必要な範囲で公判において明らかにされるべきものであり、公にした場合には、今後の捜査、公判に重大な支障が生じることから、明らかにいたしかねることを御理解願いたいと思います。

 以上です。

仙谷委員 重大な支障が生じるのは、多分、名前が出される人たちだと思うんですけれども、そうじゃなくて、やはり今や日本は、この種のやみ献金、迂回献金とか、小汚いというよりも全く汚い不健全な金の流れ、これをクリーンに開示する。この数年間の企業のスキャンダルも、政治のスキャンダルも、行政のスキャンダルも、全部隠して、臭い物にふたをしようとするところが全部問題になった瞬間に凋落を始めるじゃないですか。

 クリーン、オネスト、ビューティフルというのが我が岡田代表のスローガンですよ。これは、今の経済界でも、そうでなければ何にもできないと言っていますよ。(発言する者あり)いや、笑い事にしちゃいけない。

 本当に、これをやるためにも、そういうコンプライアンスの世界をつくるためにも、この際、法務省、決意をして、刑事訴訟法四十七条に基づいて、ロッキード事件のようにちゃんと報告書をお出しになったらどうですか。もう一度、どうですか。

甘利委員長 南野法務大臣、午前中の時間が来ております。簡潔にお願いします。

南野国務大臣 はい、簡潔に申し上げます。

 先ほど申し上げたとおりでございます。

仙谷委員 では、午後の時間がございますので、この点についてはもう一度質問したいと思います。

甘利委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

甘利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仙谷由人君。

仙谷委員 午前中に、いわゆる政治と金の問題をお伺いしてまいったわけでありますが、例の平成研に対する一億円の献金といいましょうか、我々からいえば裏献金でありますが、この問題。それから、迂回献金、指定献金、指名献金と言われるような、国民政治協会を形式は通すんだけれども、実質的には金の流れは必ずしもそうではない、議員個人や派閥に入っているという問題を指摘させていただいたんですが、よく考えますと、これは、我々が議会人として誇りをかけて解明しなければならない、そういう問題でもあるというふうに私は思います。

 今まで自浄能力というふうなことが叫ばれながら、日本の議会というのは行政優位の中で来ておりますから、独自の調査権限や調査能力というものが必ずしも十分に法制度の上でもつくられていない。さらに、行政庁がそのことに余り協力をしないというようないろいろな問題がありますけれども、にもかかわらず、ここまで何年になりましょうか、ロッキード事件からでももう十五年ぐらいになるんでしょうか。延々と、石川五右衛門ではありませんけれども、くめどもくめども尽きぬ、次から次へのスキャンダルというふうな話では、政治そのものが国民の信頼を得られない。ここからの日本の政治というのは、信頼なくしては成り立たない。すべての施策が疑いの眼で見られるようでは、国民との間のコミュニケーションを通じて改革を行っていくということが成り立たないと思うんですね。

 議会は、みずからが調査能力を発揮する、自浄能力を発揮するということが必要であると私は考えております。党利党略、派利派略にとらわれないで、自民党の先生方にも、この予算委員会の名誉にかけてこのことを解明するということにしていただきたいものだなと思っているところでございまして、委員長にも、その点、重大な決意をしていただきたいと思うわけであります。

 そこで、例の一億円事件は、村岡兼造さんが昨日テレビにも出演されまして、私も拝見をいたしましたが、なぜこうなったのかわからない、こういうことを言っております。とりわけ、金の使い道、使われ方についても全くタッチをしていない、なぜこうなったのかというふうな、まことに面妖な事件であります。これを解明せずして議会の存在理由というのはないのかもわからない、そういう危機感を持っております。

 そしてさらに、先ほどから指摘をしておりました、迂回献金、指名献金、指定献金、こういう疑いの極めて濃い問題もございます。私は、ここは諸外国のように、行政庁が、とりわけ検察庁という強制権限がすべての証拠を持っていっておるわけでありますから、もう一度、法務大臣、この議会の予算委員会の調査に協力する、自浄能力を発揮するために、行政として、検察庁が収集した証拠を、協力してこの委員会に出すというおつもりにならないんでしょうか。もう一度お答え願います。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 国政調査の執行に関しましては、法務省といたしましても法令の許す範囲内でできる限り協力すべきものと考えており、このような観点から、公訴事実の概要などについてお尋ねがあればお答えしてまいりたいと存じます。

 他方、捜査の結果判明した具体的な事実関係につきましては、今後、必要な範囲で公判において明らかにされるものと思いますが、その他の場面で公にした場合には、今後の捜査、公判に重大な支障が生じますことから、明らかにできないことを御理解いただきたいと願います。

仙谷委員 私は、司法は司法の立場で峻厳に事件を立件し、処理していただきたいんでありますが、ここまで事件が、ある種証拠を握られて、そうして取り調べもされておりますのに、どうも、例えば平成研事件でいいますと村岡さんだけしか在宅起訴にならない。これは、国民だれが見てもおかしいと思っていると思うんですね。どうも、捜査とか検察官というのは、妙な思惑とか政治的な判断をなさるところかな、こういうふうに普通は直観的に感じておるんじゃないか、こんなことを感じます。

 刑事事件的に処理するのがやや難しい問題があるのかもわかりませんけれども、それならばそうとして、議会にもっと積極的に、要請があれば協力するというふうに態度を変えていただきたい、こういうふうに考えております。

 そこで、検察庁、法務省が、委員長、余り協力的でございませんので、私どもといたしましては、司直の手でちゃんと捜査を遂げて起訴をして、公判もすべしだということを我が同僚議員が告発、あるいは検察審査会への申し立てということをしておりますが、さらに加えて、院は院として、衆議院は衆議院として、この問題、日歯連疑惑、日歯連スキャンダルについて徹底的な調査をすべきだというふうに考えております。

 そのためには、日歯連の臼田貞夫さん、内田裕丈さん、この方を証人に喚問すべきだというふうに考えております。さらには、受け手でございました滝川俊行さん、自民党の事務局長さんのようでありますが……(発言する者あり)平成研の会計責任者でありますが、滝川俊行さん。それから、自民党の事務局長でございます元宿仁さん。この方々もお呼びをして、一体どのように金の授受が行われて、どのように分けられたのか、そして、その事務処理がどう行われたのか、ちゃんと解明をして、このような不透明なことが繰り返されない仕組みを考えるためにも証人としてお呼びして、我々が問いただす、あるいは証拠的書類を証人喚問のときに持ってきていただく。議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律、ちゃんとその第一条の三で書かれております。

 私は、そういう証拠に基づいたちゃんとした調査を遂げて、報告書をつくり、総括をし、どういう法律をつくればいいのかということまでも構想するのが、早急にそれを行うのが衆議院の役目だと思います。私は、諸外国の国会との比較においては、そういう点が全く欠けているのがこの日本の国会だと、海外視察をしますとよく感じます。つまり、絶えず党利党略でそのことが、やるとかやらないとか、引き延ばすとか、うやむやにしてしまうとかいうことが行われてきたのが日本の国会であります。

 それと、その種のことと、党利党略的なこともあるんでしょうけれども、事件の種類あるいは事案の種類によっては、議院が誇りをかけてみずからを剔抉するといいましょうか、えぐり出して、解明して対応策を考える、これがなければ、議会の存在理由がますますなくなると思います。

 そして、当然のことながら、村岡兼造さん、橋本龍太郎さん、そして青木幹雄さん、野中広務さん、各先輩議員、この問題にかかわった、かかわっているということが半ば公然たる事実になっておりまして、そしてその中身がわからない。この議員の方々も、あるいは前議員の方々も、この委員会に証人としてお呼びをして、はっきりと事実をお話ししていただいた上で我々がちゃんとした対応策を考えていく、このことが必要だと改めて考えているところでございます。

 委員長、今申し上げましたような方々について、証人喚問を請求いたします。あわせて、先ほど刑事訴訟法四十七条ただし書きを引用いたしましたが、院として法務省の方に、要するに迂回献金というふうに疑念の抱かれている献金の事例について、報告書を作成し、提出するように求めていただきたいと思います。

甘利委員長 後日、理事会で協議いたします。

仙谷委員 これは、今るる申し上げましたように、私は、この段階では極めて重要なテーマになってきたと思っております。党派を超えて、同僚議員にそのことをお訴えしておきたいと思います。

 次に、先ほど総理に、政治団体間の寄附の量的制限についてお話をいたしました。

 民主党は、現在、政治資金規正法の改正案を百五十九国会に提出して、継続審議になっている案件がございます。それは、まず一番に、寄附を受領できる政党支部数を制限すること。二番目に、公共事業の受注者や利子補給対象の融資を受けている法人から政治献金を禁止すること。そして三番目に、後援会等の機関紙等への広告を適正なものに規制すること。それからもう一点は、収支報告書等の保存期間を五年に延長し、インターネット上で公開をすること。こういう法案を提出してあるわけでありますが、遅々として、与党の方に審議に応じていただけないのか、とにかく決着がつかないわけであります。継続審議になっているわけであります。

 総理、先ほど総理は透明性を強調されましたけれども、この収支報告書等の保存期間を五年に延長する、そして、今日的にはインターネット上でこれを公開する。インターネット上の公開ということについてどうお考えですか。お答えをお聞かせ願いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この問題につきましては、各党で今協議を進めていると聞いておりますし、党内におきましても議論を進めております。私がここで、こうだと言うことは差し控えたいと思いますので、よく協議していただきたいと思います。

仙谷委員 Eガバメント、IT政府を推進されようとする総理でありますから、この程度のことは、私は、インターネットで公開をするということは当然であるというお答えをいただけるものだと思ってお聞きしたのでありますが、どうもそうならなかった。現在は、この収支報告書のコピーすらできないという状態がまだ続いているんですね。これでは、公開をしたといっても道半ばということであります。

 このたび、私どもは、この裏献金、迂回献金、指名献金、日歯連スキャンダルを前にしまして、もう少し手足を縛るようになるけれども、先ほど申し上げました政治資金規正法の改正をやらなければならない。

 具体的には、まず一番目には、政治団体間の寄附の量的な制限であります。上限規制であります。そして、迂回献金、指名献金を端的に禁止するということであります。さらには、外部監査を義務化する。こういう政治資金規正法の改正をしなければならない。

 それから、総理も何かそういうことをおっしゃったというふうに私は聞いておるんですが、寄附の銀行振り込みの義務化。つまり、現金の授受はしない、必ず一定額以上のものについては銀行振り込みでなければならないという、あるいは郵便局を使ってもいいのかもわかりませんが、振り込んで、表のお金として、ちゃんと金の流れ、金の動きがわかるようなことを政治献金を扱う場合にはしなければならない、そういうことも考えております。

 さらには、先ほどのインターネット上の公開とも深く関係があるわけでありますが、政治献金の出し入れに関しては政治活動登録番号、納税者番号制のような感じもしないでもないわけでありますけれども、政治活動を行い、そのための政治資金を集める、そのことを許される立場というのは、嫌であっても何であっても、政治活動の登録番号、これぐらいはつけて、だれかが名寄せをするときにはそれも甘受するということでないと透明化は図れないというふうに感じているところでございまして、そういう内容を持った政治資金規正法改正を行いたい、こういう提案をしておるわけでございます。

 きょうの午前中から、政治資金の透明化ということについては何回も力説をされた総理大臣でございますから、今私が申し上げた、政治団体間の寄附の量的な制限は、すべてこれは透明化の問題でございます。この透明化、迂回献金を禁止、外部監査の義務化をする、寄附の銀行振り込みの義務化をする、政治活動の登録番号の導入をする、さらには収支報告書の保存期間を五年に延長してインターネットで公開する、こういう透明化の方向に向けた我が党の提案、当然のことながら、総理は賛成をしていただけるんではないか、こういうふうに自負をしておるわけですが、総理、いかがでございますか。

小泉内閣総理大臣 今、仙谷議員が御指摘された点についても、我が党内においても議論を積み重ねております。制限すると同時に、いかに献金をしやすいような環境を醸成するか。

 現に、個人献金を奨励する、そういう場合に、個人が自分の支持する政党、議員に、ある程度、一定額は必要であると思いますが、どの程度まで公にしたらいいのか。どの程度まで個人の、この人を応援する、していない自由を確保するのか、両面があるんです。その両面を私はよく検討していただきたいと思っております。

仙谷委員 先ほど証人喚問を請求いたします際に、お一人、私の方で失念をいたしておりました。まことに申しわけないと思います。

 衆議院議員の佐藤勉さん、取り調べを受けたことを法務大臣の方も決して否定はされなかったわけでございまして、ぜひこの委員会にお呼びして、詳しく事情をお伺いするべきだというふうに考えます。佐藤勉衆議院議員も証人喚問をしていただきたい。委員長にお願いをいたします。

甘利委員長 後日、理事会で協議します。

仙谷委員 それでは、時間もほとんど尽きてきたようでございます。もう少し質問の中身を用意したのでございますが、年金改革についてもお伺いしようと思ったのでありますが、時間が参りましたので他の議員に譲りたいというふうに考えますが、あと二、三分ございますので、年金関連で少々質問をいたします。

 年金改正法のときに大問題になりましたのは、少子化の問題だったんですね。特殊合計出生率の発表がおくれた、おくらせたということでありました。実は、私もこの問題は大変なショックを受けた数字でございました。

 厚生大臣、その前提の前提として、ことしの一月から六月までの出生の数というのはどんなぐあいに、どのくらいの数が生まれて、それは昨年との比較においてはどのようになっておりますでしょうか。つまり、昨年は特殊合計出生率一・二九、低位推計に一年後で追いつくということであったようでありますが、ことしの一月から六月、この半年間ではどうなっておりますでしょうか。

尾辻国務大臣 急なお尋ねでございましたので、今手元に資料がございません。後ほどお答えさせていただきたいと存じます。

仙谷委員 事前には伝わっていなかったのかもわかりませんが……(発言する者あり)いや、細かい数字とおっしゃるけれども、これは細心の注意を払って……(発言する者あり)いや、予告したんです。細心の注意を払っていただかなければならない数字であります。

 私の方からお答えします。

 昨年より約四千九百人減少しておるんではないんでしょうか。対前年比マイナス〇・九%という数字になっておるんじゃないんでしょうか。いかがですか。

尾辻国務大臣 今先生のお示しの数字は、私の手元の資料ではしっかり確認できませんけれども、おおむねそういう数字であるということは承知をいたしております。

仙谷委員 一昨年から昨年、二〇〇三年は、一月―六月の速報値というのがマイナス二・六%だったんです。現に、年間の確定値もマイナス二・六%、前年比ですね。それで一・二九の出生率になった。今度はさらにそこからマイナス〇・九%ですから、このまま確定すると対前年比マイナス〇・九%ということになりますから、出生率が一・二九よりもまだ下がる。

 現に、東京都が、昨年、特殊合計出生率が〇・九九八七になりました。渋谷区は〇・七五になりました。今まで、大体全国平均というのは、東京に、昔は三十年ぐらいかかって追いついたんだけれども、一九七〇年代は。今は十一年とか十二年で全国平均が東京の特殊合計出生率に追いつく。そうすると、十年たてば日本の出生率は一を割る。こういう、深刻な上にももっと深刻なことになるというふうに予測せざるを得ない。年金問題の前提として、やはり余りにも楽観的な、一・三二に回復するとか、一・三二を維持するとか、一・三九になるとか、こういうことは成り立たないんではないか。

 私は、政府の方に、この少子化対策への対応というのをもっと真剣に考える。それで、これを統一的に考えない限り、今のような、厚生省と文部省と労働省、あるいはほかの省庁も関係あるんでしょうけれども、ばらばらにやっているんではどうにもならぬ、このことだけを申し上げて、出生率あるいは少子化の深刻さということをもっと深刻に考えていただきたいということを指摘して、質問を終わります。

 前原議員に質問を交代いたします。

甘利委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。仙谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 通告をしておりました質問を順次させていただきたいと思いますが、先般、自民党の役員改選、そして内閣の改造がございました。要職に当たられた人はそれぞれ頑張っていただきたいというふうに思いますが、私、この間の新たな役員あるいは大臣を見ておりますと、極めて失言が多い。いや、笑っておられますけれども、小泉さん筆頭にですよ。

 きょうは四人の方を中心に、ちょっとお話を伺いたいと思います。失言四人衆といいますか、失言カルテットといいますか。ただ、一人は幹事長ですので、今おられませんので、自民党総裁を兼ねて小泉総理大臣に答弁をいただきたいと思います。

 まず、今、アメリカ大統領選挙、佳境でございます。大統領選挙が十一月の二日に行われるわけでございますけれども、小泉総理、他国の選挙に口出しするのはいけないけれどもという前提はついておりましたけれども、親友なので、親しいのでブッシュさんに頑張ってほしいね、こういう発言をされていますね。そしてまた……(発言する者あり)人情で済む話じゃない。小泉さんとブッシュさんの個人的な関係ならまだしも、日米同盟関係という国と国の大切な関係の中で、内政干渉に当たる選挙に口出しをするということは決して許されるべきことではありません。

 それと同時に、幹事長はもっと言っているんですね。ケリー氏は、後で質問いたしますが、北朝鮮の問題で二国間で話をしようとしている、とんでもない話だ、ブッシュ大統領でないと困ると、ここまではっきりおっしゃっているわけでありますが、総裁と幹事長が二人そろって他国の選挙に口出しをするというのはあってはならないことであると思いますが、そのことについて総理の弁明を伺いたい。

小泉内閣総理大臣 私は記者から質問されたから答えたんですが、よその国の選挙に干渉するのはよくないが、ブッシュ大統領とは親しいので頑張ってもらいたい、率直な私の感想です。何か問題あるでしょうか。

前原委員 こんなことで居直られるというのは、大問題だと思いますよ。ブッシュも頑張れ、ケリーも頑張れと両方頑張れと言うんだったらまだしも、親しいからといってそんな、いや、私は小泉さんが個人的にブッシュさんと心中するのは全然構わないですよ。これは、ケリーが勝ったときに日米関係どうなるんですか。お互い選挙をくぐり抜けている人間として、片方の方を頑張れと言われたらどういう気持ちになりますか。その中で、ブッシュさんには頑張ってもらいたいねと、記者から質問されても、自分で答えられているんじゃないですか。

 そしてまた、よその国に話を、選挙に口を突っ込むわけではないとおっしゃっていますけれども、一国の総理が片方に肩入れをして発言をされるということ、どこが問題だと言う方がよっぽど問題じゃないですか。反省をしていただきたい。もう一度答弁してください。

小泉内閣総理大臣 さらに、私は、ブッシュ氏が大統領になれケリー氏が大統領になれ、日米同盟関係の重要性は変わらないということも発言しているわけであります。

前原委員 日米関係が重要であるというのは当たり前のことです。でも、その中で、ブッシュさんだけ頑張れと。ケリーさんには言っていないんですよ。しかも、幹事長はどう言っているか。ブッシュさんに頑張ってもらわないと困る、ケリーなんかとんでもないと片方の候補者に対しては批判されているじゃないですか。内政干渉、選挙干渉じゃなくて何なんですか。

 日米関係が重要だからということで取り繕ったって、一人の候補にしか口を挟んでいない以上は、軽率だったということを素直に認められるべきです。もう一度答弁をお願いします。

小泉内閣総理大臣 私は、前にケリー氏も立派な候補であるという発言をしております。

前原委員 幹事長の発言に対しては、総裁として幹事長に私は注意されるべきだと思います、ここまで踏み込んでおっしゃっているんですから。それをやられるかどうか、そのことについてもお答えください。

小泉内閣総理大臣 既に、武部幹事長に対しましては、よその選挙に干渉しない方がいいですよと指示しております。

前原委員 まあ、人の注意をされる前に、まず自分から、隗より始めよということで、自分の口を慎まれた方がいいと思います。そのことだけはまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、この武部幹事長がおっしゃったことについて、これは政策問題として伺います。

 武部幹事長が、ケリーの、米朝で、二国間で交渉することはとんでもない、こんな人が大統領になったら困るということを言っているわけでありますが、総理は、この武部幹事長の、米朝が二国間で核の問題を協議することについては、とんでもないことだと思われますか。

小泉内閣総理大臣 私はとんでもないことだとは思っておりません。六カ国協議の場、これは重要であり活用すべきだと思いますが、米朝間で話をするのはとんでもないこととは思っておりません。

前原委員 では、まず、政策論に入る前に、そのことについては、つまりは、先ほどは、他国の選挙には干渉すべきでないということは注意された。

 しかし、政策の中身についても、六者協議というのはちゃんとやりながらも、日朝だってやっているし、南北だってやっているし、中朝だってやっているし、米朝だってやっていいんですよ、二カ国協議は。私も、今総理がお答えされたことについてはそのとおりだと思いますけれども、幹事長はそうおっしゃっていない、とんでもないことだと言っておられる。そのことについてもちゃんと注意をしていただきたい。そのことだけ御答弁ください。

小泉内閣総理大臣 これは、既に、幹事長が自分で判断されて発言されると思っております。

前原委員 政策論については、その点も総裁として、余りわかっていないんだったら口を出すなということをしっかりおっしゃるべきだというふうに私は思いますよ。

 今度は、失言カルテットの二人目、細田官房長官、お話を伺いたいと思うわけでありますが、二つについて伺いたいと思います。これは大事な点でございます。

 一つは、きょうの記者会見でも官房長官お答えになっておりますけれども、また再任をされて、その後の記者会見でもおっしゃっておりますけれども、この北朝鮮の問題については、この六者協議がうまく進まなければ安保理の付託というものも期限を区切って考えるべきだというお答えを、一度ならず二度されていますね。きょうの午前中もされておりますので、これは、さっき出ていましたよ、テレビで映っておりました。したがって、そのことについては明確に官房長官はおっしゃっているわけですけれども、では、お尋ねいたしますが、六者協議がどの時点まで我慢できて、それがどういう形になれば安保理に付託すべきだとお考えなんですか。その点について答弁をください。

細田国務大臣 記者会見の記録を後ほどしっかりとお見せしたいと思っておりますけれども、記者から何度も聞かれておりますが、今の六者協議、六カ国協議というのが最も効果的な協議であるということをまず言っております。そして、なぜならば、北朝鮮の核のおそれはみんな周辺国が認めて、そしてロシアも中国も韓国も日本も、そしてアメリカも参加するこの協議が最も効果的で、かつ進めるべきであると。残念ながら、北朝鮮が今のところぐずぐずと少し長引かせておることは事実でございますが、この協議をまずやるべきであるということを何度も申しております。

 それでもだめな場合はどうするかと言うから、その場合は安保理へ持っていくべきだろうと言うから、どうしてもこれが動かないという場合には、選択肢の一つとして考え得るということを言っておるんであって、決して我が方が、六カ国協議ほど効果のある協議はありませんので、当面そういうことを考えているわけではございません。

前原委員 新聞のインタビューでこういう発言をされているんですね。もしもこれで、これでというのは六者協議のことだと思いますが、これで動かないようなことがあればアメリカを中心に断固、国際的に問題にせざるを得ない、まず国際原子力機関、IAEAの査察、その上で国連安全保障理事会は一つの有力な組織だということをはっきりおっしゃっているわけです。

 この六者協議というものが重要だということは、今官房長官のおっしゃることでわかりました。それは我々と共通の認識です。しかし、今まで、政府の公式な発言として、安保理も選択だという発言は初めてなんですよ。だから、私は確認をしているんです。もう一度そのことについて、だから、選択肢としてあり得るということをもう一度明確に言ってください。

細田国務大臣 先ほども申しましたように、六者協議というものが一番効果的で、かつ、その内容はCVIDというしっかりした枠組みでやっておるわけですから、核の問題についてはこの協議が一番適当な協議でありますから、そのときに、どうしても今のまま核をどんどん進展させながら北朝鮮が協議に応じない場合の話として、その可能性はないのかと何遍も聞かれますから、これは選択肢の一つとして可能性がないわけではないということを言っておるわけでございます。(発言する者あり)

前原委員 いや、失言は次言いますから、聞いておいてください。

 官房長官、でも、これは何度も申し上げますけれども、アメリカの国内でも、政府、政権内部でも分かれている意見なんです。国務省を中心として、あくまで六者協議でやっていくべきだという話があり、一方で、国防総省を中心に、ネオコンと言われる人たちを中心に、六者協議なんてもうまどろっこしい、したがって、やはり安保理に付託をして、そして安保理の中で新たな手順を踏んでいくべきだという意見、両方あるんですよ。だから重要な問題だと申し上げているわけです。

 そこで初めて日本政府としては、安保理付託も、もちろん六者協議は重要で、それでは議論を尽くすけれども、できなかった場合はということでありますので、重い御答弁だということをぜひ肝に銘じて、それは、私、今までの政府の見解とは一歩踏み出した答弁だというふうに理解をしております。

 失言の方は、失言でなかったらぜひ教えていただきたいんですが、これは土曜日ですね。地元に帰られて、そして玉湯町というところで講演をされておりますが、北朝鮮の核開発の現状について、プルトニウム型の爆弾はできているから、必ずすぐ廃棄させなければならない、ウラン濃縮型も初期の段階だが開発を行っていると。

 私の記憶が正しければ、日本政府がプルトニウム型の爆弾ができているということを断定して認めたのは初めてだと思いますが、どういう証拠でそれをおっしゃったんですか。

細田国務大臣 まず、北朝鮮が何を言ってきたかということを申し上げます。

 一九〇三年の十月、北朝鮮は外務省スポークスマンを通じて……(発言する者あり)いや、その前からずっと北朝鮮がみずから何を言ってきたかという話をしているんです。八千本の使用済み核燃料棒の再処理を完了したこと、つまり、プルトニウムを抽出しているわけですね。その結果得られたプルトニウムを核抑止力を強化する方向へと用途を変更した旨、外務省スポークスマン談話を発出しております。昨年の十月です。

 本年の九月の国連総会一般討論演説の際、崔という、読み方はちょっとわかりませんが、北朝鮮外務省副大臣は、米国の敵視政策ゆえに、北朝鮮は核抑止力を持つしか他に選択肢がない旨発言をしておりまして、その後の記者会見の際、北朝鮮は八千本の使用済み核燃料の再処理を完了し、兵器化したと述べております。

 そして、アメリカによる評価として、テネットCIA長官は、北朝鮮が一個ないし恐らく二個の核兵器を製造したと判断した云々というのがありますが、それらを総合して、黒鉛炉の、というのは、今発電のために使っておりませんから、黒鉛炉で使った、燃焼させた燃料を別の場所に移して、それからプルトニウムを抽出していることははっきりしております。

 ただ、きょうの会見でも述べたように、プルトニウム型爆弾というのは、爆縮の実験をたくさんやらなきゃいけません。かつ、爆発の実験もやらなきゃいけない。かつ、ミサイルに載せて本当に撃てるかどうかということも検討しなきゃならない。ですから、まだまだ少し時間はあるわけですけれども、確実にプルトニウム239を中心とする、長崎型原爆のもとになる、同じものを着々とつくっている。そのことがまさに六カ国協議の主要課題なんです。

 それに加えてアメリカは、ウランの濃縮も、いろいろな装置を輸入したりしてその濃縮も始めているということを指摘したために、非常にこれはもめているわけですけれども、プルトニウムについて全くもめておりませんからね。何か間違いを言ったようなことを言いますから言っておるんです。それが土曜日の発言です。

前原委員 官房長官、質問にだけ答えてください。

 つまりは、御発言で、おとついの発言で、プルトニウム型の爆弾はできているからと断定しているんですよ。今の話だったら、そういうプルトニウムを抽出して、核燃料を再処理してという過程はあるし、そのことについては情報はあるけれども、今の六者協議の大きな問題は、官房長官、わかっておられますか。北朝鮮がいつ核の保有を宣言するか、核実験をするかという二つの大きなところを何とか防ごうというところで今六者協議をやっているんじゃないですか。それなのに、もう官房長官はプルトニウム型の爆弾はできているからという、北朝鮮でなくて日本の官房長官が核保有宣言をして、どういう情報でそんなことを言っているんですか。今までの政府の内容と違うことを言っているから聞いているんですよ。そのことにだけお答えください。どういう情報で、確実な情報だからこうおっしゃったんでしょう。そのことを僕は聞いているんです。

細田国務大臣 先ほど北朝鮮側の複数の人がそのような談話を発表し、かつそう明言しておりますから、そのことを引用したわけでございます。まず、それが一つあります。

 日本側は、私が言っておりますように、プルトニウムを抽出したことはほぼわかっておるわけでございますが、それが今すぐ使える爆弾にまでなっておるかということは、先ほど累次、累々と申しましたように、それはまだあります。

 しかし、プルトニウムというものを抽出してこういう大きな塊にするところまでの作業は進んでおるというのが、米、日、韓等、国際的な前提でございます。

前原委員 そうしたら、官房長官、ちゃんとここの場で、国民の面前で、私の言ったことは不正確でした、つまりは北朝鮮がいろいろ言っていることについて紹介しただけで、日本として、官房長官ですよ、総理の女房役ですよ、女房役が発言で、プルトニウム型爆弾はできていると断定したんですから、それは、できているということを日本で確認したわけじゃない、そういうふうに言われていることを紹介したんだということで、謝って、そして訂正してくださいよ。

細田国務大臣 おっしゃることは、北朝鮮が公式に言っていること、これを私が言ったことについて、あたかも持っておるかのようなことを言ったということはおかしいじゃないかと。私はそう言われればそうだと思いますので、そこは政府が確認したわけじゃありません。

 ただ、そのことをまさに査察をして検証しようという六カ国協議が進んでおるということでございますので、その点は、私は厳密に言えばこの記事のとおり言ったわけではございませんが、そのような本意でございませんので、そういう作業が進んでいる、核開発が進んでいるということを申し上げたいと思います。

前原委員 申し上げているんじゃなくて、ちゃんと訂正して、そういう誤解を与えたことについては謝るべきじゃないですか。何でそういうことについてごまかすんですか。

細田国務大臣 現物を見たわけではないと言われればそのとおりでございますので、その点は、開発途上にあるということで訂正いたします。

前原委員 先ほど私が申し上げたように、最大の争点は、いつ北朝鮮が核保有の宣言をするか。おっしゃるように、アメリカも言っているし、北朝鮮は本当のことを言っているかどうかは別として、少なくとも二個は持っているのではないかということを言われています。しかし、それをいつ北朝鮮が宣言をするかというところが一つの大きな、六者協議でも問題になっているし、また先ほど言われたように、核実験をするということは大変大きな、次のハードルに進むことで、それは事としては大きな問題だということなんですね。

 そこで、総理に私は質問したいと思いますが、よく、御自身が二回も行かれたのでそれは認めたいという気持ちはわかりますが、日朝平壌宣言というものは生きている、これは今でもこの宣言は生きているんだとおっしゃいますけれども、まず簡単にお答えください。この日朝平壌宣言は今も生きているのかどうなのか、その点、御答弁ください。

小泉内閣総理大臣 日朝平壌宣言は生きております。これを誠実に履行していくことが必要であります。

前原委員 この日朝平壌宣言の中にはこういう文言があります。「双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。」こういうことが書かれているんですね。つまりは、核問題の包括的な解決のための関連するすべての国際的合意は遵守する、お互いが、ということが書かれている。そして、この国際的合意、約束の中には、米朝枠組み合意もNPTも入っているんですよ。

 しかし、NPTから脱退を宣言していますね。米朝枠組み合意は崩れているから、日本も入っているKEDOというものを今停止して撤退しているんじゃないですか。ということは、米朝枠組み合意が崩壊をし、NPTも脱退を宣言している、この一文をとっても、日朝の間で一番大きな懸案の一つである核の問題をとっても、こういう合意が遵守されていないということを、なぜ平壌宣言が今でも生きていると言えるんですか。そのことについて明確に答弁してください。

小泉内閣総理大臣 この日朝平壌宣言を実現することによって正常化がある、日朝間の。そして、これを今後とも、政治的な重要文書ですから、北朝鮮側にも働きかけて誠実に履行していく必要性を十分理解させる、これは外交努力として極めて重要だと思います。

前原委員 ということは、総理みずから認めておられるのは、日朝平壌宣言の中身はいまだに履行されていない部分があるけれども、これを履行されれば日朝国交正常化というものに踏み切れると。つまりは、日朝平壌宣言の今の私が申し上げた部分を踏まえても、向こうは履行していないということをお認めになったということですね。

小泉内閣総理大臣 今後、履行していない部分もありますので、誠実に履行していくように働きかけていこう、そういう意味で極めて重要な政治文書であると思っております。

前原委員 これは今まで政府の言っていたことと全く違う話なんですよ。

 つまりは、実は私は外務委員会でもこれは何度も質問しているんですけれども、日朝平壌宣言は、これは守られている、遵守されているというのが今までの政府の見解だったんです。今、総理みずからが、守られていない部分があるけれども、それを誠実に履行してもらうことがということは、翻って、私がさっき申し上げたように、日朝平壌宣言というものは、その核の部分一つをとっても成り立っていないといったことを総理御自身が認めたことではないですか。

 私は、それを一つとりましても、この日朝国交正常化、今から質問をいたしますが、急ぐべき話ではないというふうに思っております。

 総理は、日朝国交正常化というものを、御自身の、あと二年弱になりましたか、任期は。その中でなし遂げたい、二年間で決着をつけたい、こういうことをおっしゃっております。それは、隣国ですから、できるだけ平和な環境をつくれて、国交正常化できる方がいいにこしたことはないと私も思っておりますが、しかし、その国交正常化というものがなされなければいけない前提というのが幾つかあると思います。今お話をした核の問題もそうです、ミサイルの問題もそう、そして拉致の問題もそうであります。

 総理に伺いますけれども、この国交正常化の前提として、これだけはクリアをしなくてはいけないということについて、どういったものがあるのか、改めてこの場で明確に、その日朝国交正常化の前提というものについて御答弁をいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私は、二年間ということにこだわっていないんです。できるだけ早期に日朝国交正常化ができればいいと思っているんです、朝鮮半島全体のためにとっても、日朝間にとっても。二年でも三年でも、この日朝平壌宣言が誠実に履行されれば日朝国交正常化するということでありますので、別に、焦っているとか早まっているとか、そういう気は全くありません。

 要は、拉致の問題、核の問題、ミサイル問題、包括的に解決されて初めて日朝間に国交が正常化されるということでありますから、そのような点を総合的に考えて、今後も努力を続けていきたいと思っております。

前原委員 総理とは何度も議論をさせていただきましたけれども、お忘れになってもらっては困るのは、朝銀の問題ですね。何度か総理とも議論させていただきました。一兆円を超える公的資金を投入している問題でございまして、朝鮮総連経由でそのお金が本国に流れていたという証言もございますので、その点については一つの前提として入れていただきたいということ、これは後でそれも含まれているかどうかについてはお答えをいただきたいと思います。

 拉致の問題について若干触れさせていただきたいと思いますが、この間、実務者協議がございまして、日本側から齋木審議官が行かれて協議をされました。

 そのときの話を伺っておりまして、私は、北朝鮮が極めて不誠実だと思いましたのは、例えば、横田めぐみさんのいわゆる動静について、一番初めに横田めぐみさんが亡くなったと言われていた後に退院をしていたということを向こうが言って、そして、齋木審議官が、それは前言っていたことと食い違っているんじゃないかというふうに指摘をしたら、そうだというふうに後で認めたと。つまりは、向こう側がこの安否不明者、行方不明者、拉致被害者、これを本当に誠実に情報公開、徹底的に調べ上げて情報公開する意思というものが本当にあるのかどうかというのを全くもって疑わざるを得ないような状況です。齋木さんが気づかなかったらそのまま流れていて、結果的に前出した情報と違っていたということで外務省が非難を受けるような状況になっていたわけですね。

 私はこういう状況を見ても、北朝鮮のこの協力体制、拉致被害者を全面的に解決するという協力については極めて不誠実だというふうに思っておりますが、先ほどの朝銀の問題とあわせて、今のこの拉致の問題の実務者協議についての総理の見解を伺います。

小泉内閣総理大臣 拉致の問題に対しまして、日本としては納得できない、不十分である、より誠実に対応するようにと今働きかけているところでございます。

前原委員 朝銀の問題については前提条件として考えるということでよろしいですね。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思いますが、今の問題は極めて外交問題でありますので、そうした観点から適切に対応していくということが極めて重要ではないかというふうに思います。

 私どもは、法令で与えられた中で、厳正にこの問題について今までも対応してきたところでございます。

前原委員 いや、厳正に対応できていないから言っているわけですよ。一兆円以上の公的資金を投入しながら、その行き先は不明確であると。それは、脱北者あるいは朝鮮総連の元幹部等を通じて、かなり北に流れていたということは言われているわけです。だから、そのことについても明確にしていただきたいと。まあこれは、前の議事録を見れば、総理はこれも前提だとおっしゃっていますので、改めて確認する必要はなかったんですが、それは今まで確認をされていることであります。

 それで、二つ、あと北の問題について伺いたいのは、新たに、脱北者が持ってきた写真と行方不明になった方の写真というものが、人相学的というんですか、私は専門家でないのでよくわからないんですが、顔相というんですか、それがぴったり一致する方がお二人おられると。加瀬テル子さんという方と藤田進さんという方がおられて、この方々について、特に御家族の方々は、一刻も早く情報を知り得たい、そして、拉致被害者と認定をする中で、政府に戻ってきていただけるように交渉してほしい、こういう話がございますが、この二人もしっかりとこの中に入れて政府として取り組むおつもりなのかどうなのか、総理、御答弁をいただきたいと思います。

町村国務大臣 今御指摘のあった加瀬テル子さん、藤田進さんお二人について、まだ十分政府の方でもこのお二人についての情報をしっかり入手しているわけでもございませんので、しっかり接触をとって、私どもなりにその情報をいただき検討して、特定失踪者という形で認定できれば、当然のことですが、この実務者協議の場で取り上げていくことになろうかと思います。

前原委員 あと一点伺います。

 二回目の訪朝で、総理は北朝鮮に対し二十五万トンの食糧支援ということを約束されました。話に伺いますと、世界食糧計画を通じて半分の十二・五万トンがもう手配済みだということでございますが、このように二回目の日朝首脳会談で約束をしたことを北朝鮮が誠実に履行してくれていない、調査についても非協力的であるということがある以上、私は、残りの十二・五万トンについては一たん白紙に戻して、凍結をして考えるべきだと思いますが、総理のお考えを述べていただきたいと思います。総理に、これは総理に伺います。

甘利委員長 先に所管大臣から答弁をさせます。その後に総理から。

町村国務大臣 御指名をいただきましたので、恐縮でございます。

 本件につきましては、すぐれて人道的な観点からということでアプローチをしておりまして、既にワールド・フード・プログラム等々との連絡ができております。あと、WHO、ユニセフでしたでしょうか、そこと話し合いをして、総理が先般お約束をされた部分のある部分について既にデリバーが行われたり、あるいは物品を調達している、そういう段階でございますから、さらに今後国際機関とも相談をしながら、本件は人道的観点に立って進めるということで御理解をいただきたいと思います。(前原委員「やるのかやらないのか、そのことだけでいいです。では、総理」と呼ぶ)

 これは、今申し上げたとおり、国際機関との話し合いでまとまった部分は進めてまいります。

甘利委員長 総理、付言されることありますか。

小泉内閣総理大臣 外務大臣の答弁のとおりでございます。

前原委員 答弁も不誠実ですね。

 つまりは、人道援助だといったって、その二回目の日朝首脳会談の中で、これだけ拉致の問題、核の問題のみならず拉致の問題が日朝間の大きな懸案事項としてのしかかってきている中で、そしてそれの設置を決めてきたから人道支援にも踏み切ろうという話なんでしょう。

 だって、今まで人道支援にもしてこなかったじゃないですか。あのアメリカでさえ、北朝鮮が一番悪の帝国だと言うアメリカでさえ人道支援は定期的に行ってきたんです。日本は、それもやってこなかった。

 だけれども、二回目の日朝首脳会談で拉致不明者の協力というものを取りつけたことも一つの大きな理由として、人道支援まで踏み切ったんじゃないんですか。それがしっかりできなかったんだったら、残りの十二・五万トンは一たんとめて、そしてそれをてこに交渉すべきじゃないんですか。もう一度、総理がお答えください。

小泉内閣総理大臣 何回も答弁しておりますように、今までの北朝鮮側の対応とこの人道支援とを関連づけているわけではございません。人道支援は人道支援として行っていく予定でございます。

前原委員 私は、経済制裁がすべていいとは思いませんし、経済制裁をすぐひけらかすこともいかがなことかと思いますが、交渉事において、相手が約束したことを守っていないのに、こちらだけが約束を履行するというのは極めておかしな話でありますので、その点については、これからも注意深く政府の対応というものを見て、動きがありましたら、またしっかりと我々も批判をしていきたいというふうに思っております。

 次に、イラクの大量破壊兵器の問題について、総理に伺いたいと思います。

 この問題については、もう一年以上議論をいたしております。しかし、戦争に踏み切ったアメリカ自身が、イラクの戦争の一つの理由となった大量破壊兵器について調査を行いました。CIAとかあるいは軍の関係者などを中心に、イラクの大量破壊兵器についての調査団というものを派遣して、そして千ページ近くの調査報告書というものを出したわけでございます。結論は、大量破壊兵器はなかったというのがその調査報告でありました。

 この間、例えば総理御自身をとりましても、この問題の核心は、イラクがみずから保有する大量破壊兵器、生物兵器、化学兵器を廃棄しようとしないこと、国連の査察に無条件、無制限に協力しない、しようとしないところであるということで、まあ後段はそのとおりでありますけれども、前段は、イラクがみずから保有するということで断定されているんですね。そして、ほかの大臣、まあ川口さんはもうかわっておられますけれども、今までの答弁の中でも、どうやったら大量破壊兵器を持っている国を武装解除することができるかとか。

 私が申し上げているのは、日本は、イラクに大量破壊兵器が存在していて廃棄をされていないということを、一四四一で全会一致で決定したということであります。つまりは、小泉総理も前の外務大臣の川口さんも、お二人とも大量破壊兵器はあるという前提で今までの国会答弁をされてきたんですね。

 戦争に対する支持をどのように考えるかということは後でまた別途質問いたしますが、少なくとも、事実認識が間違っていた、そして国会答弁を行ったということは、まず、その点はお認めになるべきじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 これは、累次の国連決議に基づいて、大量破壊兵器は保有していない、廃棄したということをイラクが証明する責任があったんです。それを証明しなかった。最後の解決の手段を生かそうとしなかったんです。そして、そのような国連の決議に従って、もし、ないと証明していれば、戦争は起こらなかったんです。

 累次の国連決議を遵守してこなかったイラク、そういうことから見れば、大量破壊兵器はかつて保有して使用していた事実もありますし、私は、持っていると想定するに足る理由があったと思います。

 しかし、今回の報告によって、なかった、ほぼ確実だという報告が出ております。しかしながら、これが今回のイラク戦争支持と関連して誤りだったというふうには私は思っておりません。

前原委員 いや、その判断は後で議論しますから。

 今私が伺っているのは、その判断が正しかったかどうかという議論は後でさせていただきたいと思いますが、少なくとも、総理御自身も川口外務大臣も、大量破壊兵器はあるということで国会の議論を組み立ててこられて、我々と議論してくださった。その前提が間違っていたということは少なくとも認められるべきじゃないですか、事実なんですから。

小泉内閣総理大臣 前提は国連決議であります。大量破壊兵器はなかったとほぼ確実に判断されたということは、そうであります。しかし、それだけが判断の理由ではございません。

前原委員 それは詭弁というものですよ。私の質問に答えていない。

 つまりは、私が言っているのは、そのイラク戦争の大義どうのこうのという議論は後でさせてもらうと言っているわけです。少なくとも、大量破壊兵器はあるという前提で国会答弁をしてきたことを、まず誤りを認められるべきじゃないですかと言っているんです。逃げないで答弁してください。

小泉内閣総理大臣 私も逃げておりません。当時、だれもわからない、一〇〇%確実とは言えない、確実に証明するのはイラクしかなかったんです。そこをどう考えるのか。イラクが証明する責任があるんです。なぜ妨害したのか、なぜ累次の国連決議に違反してきたのか、隠す必要がないんだったら、イラクはありませんと証明する、しなさいと国連決議で言っているんです。

 そういう、決議に従わない、妨害する、査察に忠実に従わない、これだったら、あるんではないかと想定するに足る理由があったと考えております。

前原委員 なかったものをいろいろ理由をつけて、あった、判断に値するなんということは、これは暴論ですよ。そうしたらどの国だって攻撃できる、そんなことをしたら。ちょっといいですか。ちゃんと聞いてくださいよ。

 この報告書はどういうことが言ってあるか。大量破壊兵器というのは三つありますよね。核、それから生物・化学兵器。まずこの動機について言ってある。まず全体のことについて言ってある。

 国連のいわゆるオイル・フォー・フードはイラク経済を押し上げはしたけれども、大量破壊兵器開発を再開するには十分な、いわゆるもとにはならなかったということをまず言っている。それから、その次に、フセイン元大統領の大量破壊兵器開発の動機というのは、一義的にはイランとの対立だったと。第二の目的は、イスラエルへの対抗とアラブ社会での地位の向上であったと。そして、このCIAも絡んだ調査の中では、アメリカへの対抗やテロリストへの供与のために大量破壊兵器開発を模索したとは認められなかったということを言っている。

 そして、核についても、九一年に終了し、それ以降再開した証拠はなかった。そして、生物兵器についても、フセイン政権は発覚を恐れて生物兵器開発をやめた。見つかれば制裁解除が困難になる。そして、九六年以降は生物兵器開発をした証拠はなくて、そして関心を示していなかった。そして、九一年、九二年には、隠していた生物兵器を廃棄したと。化学兵器については、イラクは九一年にひそかに保管していた化学兵器を廃棄、製造再開の証拠はないと。

 つまりは、もともとは持っていた、そしてクルドに対しても使った。これは、だから一つのフセインさんの外交的手法なんですよ。廃棄をした、しかし、持っているように見せかけて外交交渉をやったわけですよ。そして、それについてはまた、あるように見せかけるのが彼の外交の手段だったんだ。この報告書に従えば、そういうことが書いてある。そして、それについては再開をしなかった。(発言する者あり)結果がすべてでしょう。つまりは、結果としては大量破壊兵器は廃棄して、持っていなかった。

 もちろん、先ほど国連決議だということをおっしゃっていますけれども、国連決議の、これは一年以上前に川口さんあるいは総理とも何度もやりとりをさせていただきましたけれども、六七八、六八七、一四四一、私はもう一度これを読み返してみた。つまりは、大量破壊兵器に対しての説明責任を果たせということを言っていて、そして、それについて最後の手段を与えるということを言っている。つまりは、持っていないことを証明しろと言っているのは、それは総理がおっしゃるとおりですよ。しかし、IAEAにしてもあるいは国連決議に基づいてつくったUNMOVICにしても、査察継続を言ったんです。それを無視して攻撃したのはアメリカだったんです。それに対して支持を与えたのは日本だったんです。だから、国連決議に対する解釈は完全に分かれているんです。

 その中で、大量破壊兵器が結局はなかった。大量破壊兵器があるから、それを拡散したり使われたりしたら大変だということでアメリカは攻撃したわけですよ。それがなかったということであれば、当然ながら、その前提として、誤った情報なり、アメリカのそういう言い分をうのみにして政策判断をした総理の責任が問われて当たり前でしょう。

 そのことを度外視して、説明責任を果たさなかったのはフセインだ。そのとおりですよ。だけれども、彼は、ないことをあるように見せかける外交交渉をやった。もちろん、なかったことを証明するのは、IAEAでありUNMOVICだったんです。それの査察継続というものを認めずに攻撃に踏み切った、結局なかった。責任を問われるべきでしょう、結果的には。

 いや、外務大臣には聞いていません、外務大臣はそのとき議論していないんだから。総理に聞いているんですよ。

小泉内閣総理大臣 ないということを証明するのはイラク側にあったんですよ。それをどうして証明しなかった、あるかのように見せかけた。これは、イラクが戦争を回避しよう、平和的解決を目指そうとすれば、はい、ありませんよと言えば、戦争を回避できたんです。あるいは、査察を十分受け入れて……(発言する者あり)いや、続行していれば、戦争する必要はなかったんですよ。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

小泉内閣総理大臣 これはイラクが証明しないんですから。妨害せずに国連決議を遵守すれば、戦争する必要はなかったんですよ。そういう観点から、今回、確かにイラク監視グループは、大量破壊兵器の備蓄は発見されなかったとしておりますが、制裁が解除された際に大量破壊兵器計画を再構築できる能力を維持する意図を有していたという評価もしているんです。

 私は、そういう諸般の情勢から考えてみて、むしろ戦争を回避するために、なぜイラクのフセイン大統領は、ないことを証明しなかったのか。

前原委員 今の総理のおっしゃったことに私は反論はしません。悪かったのはフセインだ、そのとおりです。証明しなかったのもフセインだと。

 しかし、国連決議の中で決められた一四四一は、これも何度もこういう議論で私は言っているけれども、アメリカの国連大使でさえ、隠されたナイフじゃなかった、一四四一という決議が守れなくても武力行使を認めるようなものじゃなかったと。しかし、アメリカの国内で、これも新たに言われているじゃないですか。ウラン濃縮に使われる筒のようなものだというふうに断定をしたけれども、それはミサイルの弾頭だったと。その判断を情報当局が決めかねたときに、アメリカの執行部が、それはとにかく核開発に使われたものだとしようということで踏み切って、そして、核兵器のみならず、大量破壊兵器を持っているという前提に立ってアメリカは攻撃したんじゃないですか。

 事実認識が違うじゃないですか。事実が違った、情報を操作した、そしてアメリカはそれに基づいて戦争した。それを支持した日本は、やはり大量破壊兵器が見つかっていない以上、それに対して何らかの事実誤認があった、そしてアメリカの情報をうのみにしていたということを認めるべきじゃないですか。

 先ほどおっしゃったことについては認めますよ。つまりは、その問題点を明らかにするのはイラクであったということはそのとおり。そして、イラク自身も、お金がもう少し十分にあれば新たにWMDを開発しようとする意図があったということもそのとおり。それは話が別でしょう。事実と異なってアメリカがやって、そしてアメリカ大統領選でもそれが問題になっているんじゃないですか。事実認識が違う、アメリカの情報操作によって行われた戦争に支持したんだったら、それに対して、全く何も判断基準は変わっていなかった、自分の判断は間違っていなかったというのは、おかしいじゃないですか。論理的にもおかしいじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 私は、全然おかしいと思っていませんね。イラクが証明する責任があったのに、なぜ証明しなかったのかと。そして、仮に大量破壊兵器が……(前原委員「それで武力攻撃をしていいということにつながるのか」と呼ぶ)

甘利委員長 答弁中です、答弁中です。

小泉内閣総理大臣 ひそかに廃棄されていたとしても、廃棄したことが明らかにされなければ、大量破壊兵器の脅威は存在し続けていたんですよ。一連の安保理決議の義務が果たされていない状況に変わりはない。

 そういう点で、イラクに対する武力行使の正当性は私は失われていないと思っております。

前原委員 アメリカがその疑惑が存在し続けるということを言ったんじゃないでしょう。大量破壊兵器はあると言って、そしてにせの情報を出してきたんじゃないですか。それに基づいて攻撃して、それを支持したんじゃないですか。それだったら、誤った情報に基づいて誤った判断をしたということになるじゃないですか。何を言っているんですか。

 少なくとも、先ほど申し上げたように、大量破壊兵器はなかったという前提で今まで国会の答弁をしてきたじゃないですか。それであれば、大量破壊兵器はあったんですから、そのことぐらいはまずは認めるべきじゃないですか。(発言する者あり)

小泉内閣総理大臣 何回も答弁しておりますが、私の判断の根拠は、大量破壊兵器があったなかっただけじゃないと言っているでしょう。そこをよくわかってくださいよ。想定するに足る理由があったんです。そして、一連の国連決議に違反し続けて、ないということを証明するのはイラクのフセイン大統領側にあったんです。これをどう思うんですか。

前原委員 だから、そのことについては総理と同じだと何度も言っているじゃないですか。さっき私、事実関係は間違えましたよ。何度もそのとおりだと言っているじゃないですか。明らかにするのはフセインだったと、そのとおりですよ。国連決議の中にもそう書いてある。それから、先ほど総理が言われた、もしお金があれば、十分な資金があれば開発する意思もあった。それもそのとおりですよ。しかし、実際なかったんです、大量破壊兵器は。

 それで、大量破壊兵器があるというアメリカの情報をうのみにして……(発言する者あり)うのみじゃないですか。二月五日に、去年の国連安保理でパウエル国務長官が出してきた情報、これもすべて自分たちの情報については誤りがあったとパウエル自身が認めているじゃないですか。そういう情報をうのみにして、そして結果的には大量破壊兵器がなかった。

 何度も言っていますけれども、私は、今までの総理の答弁あるいは国会の答弁というのは、大量破壊兵器がなかったという前提に立っているんですよ。しかし……(発言する者あり)ごめんなさい。ちょっとこんがらがって済みません。大量破壊兵器はあったという前提に立って答弁をされてきたんだ。だけど実際はなかったんだ。そのことについてまず認めるべきだということを言っているんですよ。

小泉内閣総理大臣 何回も何回も答弁していますけれども、私は、アメリカの情報をうのみにしているわけじゃありませんよ。国連決議を、累次の国連決議から判断して武力行使は正当であると。そしてなおかつ、アメリカの報告というよりも、国連大量破壊兵器特別委員会、これによる報告によると、未解決の武装解除問題文書に記述された疑惑の主な例として、こう挙げられているんですよ。

 炭疽菌、これはサリンの一千倍危険だと言われています。炭疽菌約一万リットルが廃棄されずに残っていると考えられる。アメリカじゃないですよ。アメリカの情報じゃないですよ。国連の査察委員会ですよ。マスタード、これは致死量は小さじ一杯。マスタード化学爆弾約六千五百発、これに関する行方が不明である。VXガス、致死量は〇・二滴。三・九トン生産したが、廃棄量については検証できていない。こういう査察委員会の報告もなされているんです。

 今仮に、確かに大量破壊兵器は発見されなかった。しかし、こういう、発見されなかったとしつつも、フセインは、制裁が解除された際に大量破壊兵器計画を再構築できる能力を維持する意図を有していたということも今回報告しているんです。

 だから、そういうことから、大量破壊兵器はなかったというのはほぼ確実だという報告がされておりますが、それでも、私は、なぜそれだったらばフセインはないということを証明しなかったのか。詭弁でも何でもない。私は、大量破壊兵器があるという一つを根拠に支持したんじゃありません。累次の国連決議に、なぜ忠実に約束なり義務を遵守しなかったか。これが重要なポイントなんです。

前原委員 二つのことを申し上げたい。総理、聞いておいてください。

 一つは、今、国連のいろいろ残された疑惑ということをおっしゃいましたよね、羅列されましたよね。私も、それはもちろん資料を持っています。だから、それについて明らかにしなかったということも先ほど認めたことでしょう。私も認めました。明らかにするのはフセイン側にあった、それはそのとおりです。

 しかし、二つのことを申し上げたい。

 一つは、その国連の査察団の報告をそのまま引用してこの国会でおっしゃるんであれば、国連の査察団はどう言っていましたか。攻撃には反対だ、もうちょっと査察をさせてくれということを言っていたじゃないですか。なぜ査察継続をさせなかったんですか、そうしたら。今、そういうような、その理由をあるいはその証拠を出して、あるいはその調査報告を出して言及されるのであれば、その査察の継続というものを支持したらよかったじゃないですか。じゃ、何でそれを無視して、アメリカの攻撃について支持を表明したんですか。

 二つ目。つまりは、先ほど申し上げたように、国連の決議一四四一、これは攻撃を認めるのではなかったということであります。その解釈については政府と我々の間で分かれているということであれば、それはその前提にしましょう。

 しかし、この点だけは認めてもらわなきゃいけないのは、何度も質問していますけれども、それは、すべての判断材料ではなかったと総理はおっしゃるかもしれませんが、大量破壊兵器の存在というのが一番大きな判断基準であったのは間違いないじゃないですか。それに基づいて、何度も何度も、御自身も、川口外務大臣も、大量破壊兵器はあるということを前提に国会で答弁をされてきた。そのことについては、調査団の報告が出て、なかったと言うからには、その前提は間違っていたということを認めるのは国会の議論の上では当たり前のことじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 何回も答弁しておりますが、これは、想定するに足る理由があったと私は考えております。今まで、これはもう水かけ論になりますが、なぜそれでは証明しなかったのか。それは認めているんでしょう。

 だから、これは、大量破壊兵器があるなしが唯一の理由ではないということを何回も言っているんです。

前原委員 だんだんだんだん議論の論点をスライドされておられますよ。私が言っているのは、大量破壊兵器の話をしているんだ。ほかの理由もあったからなんということを聞いているんじゃない。大量破壊兵器はあるということを国会で答弁されていたのに、なかったから、その答弁については少なくとも訂正すべきじゃないかと言っているんじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 しかし、その時点でイラクが証明していないから、一〇〇%ある、ないというのはだれも判断できない。しかし、これを、だからこそ査察委員会もイラクが証明しなさいと言っているんだ、国連決議でも。イラクが証明しないんだから、あるともないとも、一〇〇%は断定できない。一〇〇%ないんだったら、イラクが証明すれば戦争は起こっていないんですよ。それを言っているんです。

前原委員 一〇〇%証明しなかったのは、先ほどから私も申し上げているように、イラクが証明すべきだったのは国連決議から見て明らかですよ。だから、フセインがいいなんて一言も言っていない。イラクがそのことについてはちゃんと証明していなかったということを言っているじゃないですか。しかし、実際なかったんだ。

 それで、日本政府が判断した根拠というのは、アメリカのあるあるという情報と、そしてアメリカの情報操作だったんじゃないですか。そのことを一つの判断基準にしたということは紛れもない事実じゃないですか。そのことについて私は申し上げているんですよ。(発言する者あり)有意義な質問じゃないか。

 いや、いいですよ。いや、町村さんには聞いていない。いや、総理、もう……

甘利委員長 町村外務大臣。

前原委員 いや、もういいです、もういいです。いや、いいですから。いい、いい。(発言する者あり)

甘利委員長 町村大臣、指名していますから、どうぞ。

前原委員 いや、いいです。

 委員長、外務大臣には私は質問していないですよ。委員長、それは越権でしょうが。(発言する者あり)

甘利委員長 よりはっきりさせるために外務大臣が説明しますということですから。所管にしていることですから。

前原委員 外務大臣には質問しておりません。しかも、この議論を一年以上やっている間は外務大臣ではありませんでした。私は総理とずっと議論してきましたので、総理に対して質問しているわけです。

 総理、総理、聞いてください。先ほどから申し上げているように、事実としてはなかったんですよね、大量破壊兵器は。しかし、疑いに足り得る十分な証拠も私はなかったと思っていますよ。証明しなかったのはイラクだけれども、しかし、あるということを断定する証拠は、じゃ、日本は持っていたんですか、ちゃんと。自分自身がしっかり判断する、疑いに足り得る、つまりは、国連が査察継続を主張していたのに、それを断念してまで、これは危ない、持っているから攻撃をするかもしれないという情報を御自身で持っていたんですか、日本で。その点について、じゃ、答弁してください。

小泉内閣総理大臣 日本は、イラクに大量破壊兵器があるかないかという情報は持っておりません。しかし、累次の国連決議において、国際の平和と安全を回復するためにあらゆる必要な手段をとる権限を与える、そしてイラクに対し最後の機会を与える、さらなる重大な違反があった場合に安保理会合を開催して、それぞれ重大な違反があるという累次の安保理決議があるんです。それを遵守してこなかった、そこを言っているんですよ。そういう安保理決議を根拠にして、私はこの武力行使は正当であったと言っているんです。

前原委員 完全に私は議論をすりかえられていると思います。

 私が聞いているのは、一つの大きな判断材料になった大量破壊兵器の有無について、あるあると今まで国会で答弁されてきたんだ、総理も外務大臣も。しかし、それはなかったんだ、結果的には。あるという、そういう根拠がないんであれば、あると断定して国会で答弁されることが問題になるんじゃないですか。しかも、アメリカがその情報については操作したということも、アメリカ自身が自浄能力で調べているじゃないですか、独立調査機関が。それなのに、今の政府の言うことをそのままにして判断した。しかも、あるあると言ってきて、なかったんだから、そのことについては少なくとも訂正しなさいということについても頑と聞こうとしない。こんな国会を愚弄した答弁は私はないと思いますよ。

 そのことを厳しく批判して、私の時間が参りましたので終わります。

甘利委員長 この際、原口一博君から関連質疑の申し出があります。仙谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 総理並びに関係大臣に、通告に従って質問をいたします。

 まず、先ほど官房長官が北朝鮮による核開発が進んでいるという御答弁をされましたが、総理、この御認識は、総理も一致した認識をお持ちですか。

小泉内閣総理大臣 日本としては、核開発計画を廃棄するように、各国と連携しながら働きかけているというのが現状でありまして、核開発がどの程度進んでいるかという確実な情報というものは発表できる段階ではございません。

原口委員 官房長官の認識と違いますね。核開発を計画しているか、しかし、それを実行に移して進めているというのとはえらい違いなんですよ。第二次小泉訪朝で、ミサイルのモラトリアム、それから核開発の凍結、こういったことも話し合われたんじゃないですか。日朝平壌宣言がまさに死文化しているということを官房長官そのものが言っているんじゃないですか。

 もう一回認識をお伺いしますが、総理は、北朝鮮においてなされた日本人の拉致、これはテロであるという御認識ですか。甚だしい人権の侵害、国家主権の侵害、そういう認識をお持ちですか。これが一点。

 そして、一体、拉致の首謀者はだれなのか。この間、訪朝されてから、今わかっていることは、横田めぐみさん初め三名の方が、横田さんだと、あの死亡されたと向こうが発表しているその日付から三カ月間入院されていた、それぐらいの情報ですよ。拉致の首謀者はだれですか。北朝鮮の特殊機関の一部が違法に拉致を行ったという御認識ですか、それとも北朝鮮国家ぐるみの犯罪がなされたという御認識ですか。三点伺います。

細田国務大臣 念のためちょっと核の問題を申しますが、北朝鮮は何回かにわたってみずから、八千本の使用済み核燃料の再処理を完了し兵器化したと言っているんですよ。言っているから、我が方でこれを兵器化しておるということを言っても、何のそごもないんです。しかし、うそかもしれないとか、それからその段階がどうかというのは、いろいろな議論はあります。しかし、向こうが持っていると言うやつを、日本側で、持っているあるいは持とうとしているとすら言わない方がいいという判断は、我が国としてはしない方がいいと思います。

原口委員 そんなこと、大問題ですよ、あなた。

 だったら、NPT、あなたたちが結んできた日朝平壌宣言に、あなたは、もう向こうが違反しているということを宣言していると言っているのと同じじゃないですか。では、平壌宣言は破棄されているじゃないですか。違いますか。

細田国務大臣 六カ国協議で、その点は関係国がみんな集まって協議をしているわけですから、非常に濃い疑惑があっていろいろな指摘がある、その中で解決をしていこうということで、完全な廃棄をやろうということで協議しているわけですよね。それに我が国も賛同して一緒に参加しているわけでございますから、誤解のないように。

原口委員 全然違う答弁じゃないですか。あなたは、核開発が進んでいると向こうが認めていると言うんであれば、平壌宣言にもう違反していると向こうが認めていると同義じゃないかということを言っているんですよ。これは物すごく重大な発言ですよ。

細田国務大臣 私が先ほど訂正はいたしました。しかし、私が言いたいのは、向こうが、北朝鮮が兵器化していると言っていることを我が国民も認識しなきゃならないということは、私は常々申しておるわけでございます。したがって、それがNPT違反であるか、それを国際的に、IAEA査察とどういうふうに考えたらいいか、そのときに日朝の関係をどう考えたらいいかということは、これは十分考えていかなきゃいけないということですよ。

原口委員 今みたいな答弁が成り立つんだったら、平壌宣言に幾ら違反していてもいいじゃないですか。平壌宣言、読んだことありますか。こんな失礼なこと言いたくないけれども、向こうがそうやって兵器を用意しているんだったら、平壌宣言違反なんですよ。違反でしょう。違反だと向こうが言っているんだったら、こちらとしては、向こうはもうそれを破ったという認識だということでいいですね。

細田国務大臣 既に相手国政府がそういうことを言っている、しかし、証明ができていないから先ほど撤回しましたが、私どもは、日本国民が、あるいは政府関係者も含めて、こういうことにあるという認識は持たなくちゃいけないんですよ。だからこそ六カ国協議をやっている。

 だから、一〇〇%平壌宣言に違反の状態が今生じているかどうかはこれからで結構ですよ、その議論は。しかし、六カ国で、核については極めて強い疑惑があるんですよ。(発言する者あり)いやいや。したがって……(発言する者あり)違います。平壌宣言云々の前に……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

細田国務大臣 核開発疑惑というのは、みんな、六カ国が今協議をしているわけですから、それを明らかにしようということを言っているわけですから、私は問題意識は持っていただきたいんですよ。

原口委員 官房長官は、北朝鮮が開発をしていることを国民は認識すべきだとまで言ったんですよ。それだったら、違反の事実は明らかじゃないですか。六か国協議じゃないんですよ、これ、平壌宣言は。二カ国間の宣言なんですよ。その宣言に、これから検討すればいいなんてのんきなことを言っている場合ですか。

細田国務大臣 いやいや、そこは誤解がありまして、私は、北朝鮮が既に兵器化しておると宣言しておるんだということをまず申しておるんです。北朝鮮がもういろいろな場で、先ほど言いましたような国連の後、北朝鮮の外務省の副大臣ですよ、政府の高官ですよ、これが、八千本の使用済み核燃料の再処理を完了して兵器化していると言っている。これはしかし、もちろん査察その他でしっかり検証していかなきゃなりません。それは、先ほどのお話じゃないですけれども、持っていないものを持っていると誇大に言っている可能性もゼロではありませんから。

 しかし、それをやるのが六カ国協議でありますし、日本国民としては、やはりそこまで相手国が言っていることは認識しなきゃならないから、私は土曜日の会議で、こういうふうに北が言っておる、これに十分着目していかなきゃならないという意味で言ったわけでございます。

原口委員 総理、今の答弁でいいですか、うなずいていらっしゃるけれども。平壌宣言は、先ほど前原委員が指摘をしましたけれども、すべての国際法を遵守していくと。そして、この核の問題がそのかぎなんですよ。総理が頑張ってやってこられたわけじゃないですか。それを、向こうはもう政府が言っている、言っていることを国民が認識しろと言うんだったら、私たちはどう認識するかというと、平壌宣言はもうなしになっているというふうに認識しますよ。そうでしょう。そうでなくて、向こうがそれを生かしていると思っていたら、向こうはどんどんどんどん核開発をしている、そう言っているし、本当かどうかわからないけれどもやっているということを認識しろと言っているんだったら、こんな大変なことないですよ。総理、先ほど申し上げた二点について、それはまた次の機会でやります。

 大変なことだと思いますけれども、二点について御認識を伺います。つまり、拉致はテロなのか。皆さん、テロとの闘いということを言っていますよね。国家主権の侵害、人権侵害ですよ。だれがやったんですか。首謀者はだれだと思っているんですか。

小泉内閣総理大臣 私は、許されざる非人道的な行為であり、テロと考えてもいいと思っております。そして、これは国家の犯罪として許されざる行為であるからこそ、二度とこういうことは起こすな、真相解明に努力しろと現在も強く働きかけているわけでございます。

原口委員 国家としての犯罪というお言葉でした。私は、拉致被害者の救出のためには実行犯の供述が何よりも重要だと思います。北朝鮮は実行犯について、三人、一人は処刑したという情報がございますが、裁判記録の開示、供述調書の引き渡し、日本政府は求めたんですか。政府参考人で結構です。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、事実の徹底究明を求めて我々は、北朝鮮側にいかなる犯罪行為があったのか、拉致行為について、その一つ一つ、我々は真相究明を求めてきております。そして、当然のことながら、それに対する責任者はだれであるのかということで、今までは、今委員御指摘のとおりの向こう側の説明がありましたが、これでは十分納得ができないということで、この点についても先方に事実の究明を求めてきているところでございます。

原口委員 私は具体的に聞いているんです。裁判の記録の開示を求めたのか、供述調書を求めたのか、そしてその引き渡しを今後求めるつもりがあるのか。北朝鮮の拉致被害者に対する調査は、六月まで行われていなかったんじゃないですか。どのような体制で行っているんですか。拉致被害者の調査、安否不明の被害者の調査は、北朝鮮において、地方自治体の長、責任者、あるいは警察機関でやっているんじゃないですか。特殊機関というのは一体何なんですか。日本において、この何十年という間に自分の子供が帰ってくるのを待っている人たち、その人たちに納得のいく説明をしてください。

薮中政府参考人 今までの北朝鮮側の説明では我々全く納得がいかない、そういうことで、まさに、総理は五月二十二日のときに首脳会談において、非常に厳しく先方にこの真相の究明が必要であるということを迫られて、そして今、先方から、金正日国防委員長の方から、白紙に戻してこれを徹底して調査するという言質がございました。そして、それについて現在我々は協議を行ってきているところでございます。

 先ほどの御質問でございますけれども、先方の今までの説明におきますと、関係者の処罰を行ってきた、この事件の責任者について、一人は死刑、そして一人は長期教化刑に処せられたという説明はありましたが、これは、全くその説明だけであって、今委員御指摘のとおり、いかなる証拠もございません。すべての問題について、まだ証拠を得る状況には至っておりませんし、関係の書類を我々も入手しておりません。これについて引き続き求めていく考えでございます。

原口委員 私は、だめだった、だめだったという結果を聞いているんじゃないんです。要求している中身を聞いているんです。裁判記録や供述調書、求めてください。そして、拉致被害者は招待所に管理されていたはずです。招待所の記録を調べれば、いわゆる共産主義国家、文書主義、徹底しているんじゃありませんか。その招待所の記録も求めましたか。

 外交実務者協議が訪朝後二度も行われたにもかかわらず、あなたから今、できなかった、できなかったという、この貴重な時間で聞くために質問しているんじゃありませんので、どうか、事前にペーパーでお渡しをしていますから、そのことを本当にやったのか、招待所の記録と裁判の記録、これを求めたかどうか。それは向こう側の話ではありません。日本側が求めたか聞いているので、あなたに聞けばわかる話です。誠実に答えてください。

薮中政府参考人 そもそも、今までの先方の説明、それについて我々は全く真相究明ができていないということでございまして、百五十項目においての質問をしております。(発言する者あり)

甘利委員長 御静粛に。

薮中政府参考人 その中には、さまざまの、今委員御指摘の招待所の話であるとか、当然ございますが、そもそも、我々はまだ十名の安否不明の方々についてのきちんとした安否不明の情報は得ていないということが基本でございまして、それについての徹底した真相を求めているわけでございます。

原口委員 どうしてあなたまでそういうふうになったんですか。今の答弁に私、納得いきません。聞いたことだけ答えてください。

 私は、先方は外務省ですね、ですから、まさに、間接的に聞いたこと、つまり調査委員会、どんな調査をしているのか、それさえも聞いていないんですか。だれが調査しているなんかも聞いていないんですか。

 私は、日本の警察も含めてタスクフォースをつくって、そして、事実、これを一刻も早く突きとめる、それが必要だと思いますよ。だから聞いているんです。被害者の御家族は高齢化しておられます。一体いつまで待たせるんですか。

 北朝鮮は、根拠を何一つ示さずに、死亡、死亡ということを言っています。どこにその根拠がありますか。拉致で被害者の方々を傷つけただけでなくて、そして死亡だということでさらに被害者の皆さんの感情を傷つけている、こんなことをいつまで許すんですか。

 総理、今の日朝交渉のやり方、私は総理にも責任があると思います。あの七月の参議院選挙のとき、ジェンキンスさん、帰ってきていただいた。それは本当にありがたかった。しかし、向こう側からすると、総理に恩を売ったことになるんじゃないですか。拉致の問題を政治に利用した、そんなことは絶対あってはならないんです。

 総理、これからどのように打開しようとされるのか。今の実務者協議をずっと続けていこうとするのか。この間、アーミテージさんがお見えになって、十一月の大統領選挙、それを待って六カ国協議ではない、その手前にも六カ国協議を開くんだということを伝えられたというふうに聞いています。これからどのような戦略で何を求めていくのか、総理の決意を伺います。

小泉内閣総理大臣 私は、拉致の問題を政治的に利用しているとは思っておりません。むしろ、民主党が政治的に利用しているんじゃないですか。なぜ私が政治的に利用しているんですか。拉致の被害者の家族を一日も早く帰したい、その気持ちから再訪朝したわけであります。そして、安否不明者の調査。なぜそう断定するんですか、私が政治的に利用したと。

 民主党がどう思うのは勝手ですけれども、野党だから私を批判するのはやむを得ませんが、私は、そんな、政治的に利用しようと思って日朝国交正常化とか拉致の問題、核の問題、解決しようとしているんじゃないんです。日本国家の利益である、朝鮮半島の利益である、ひいては北朝鮮の利益にもなる、世界平和の安定に資する、そういう観点からこの交渉を進めているわけであります。

原口委員 民主党がいつこのことを政治的利用しましたか。政治的利用することは許されないと言ったんですよ。

 あなたが、あの七月の参議院選挙の直前に、ジェンキンスさんを帰すからには北朝鮮側も相当の配慮をしたでしょう、北朝鮮側からしたらあなたに恩を売ったことになるんじゃないですかということを聞いたんですよ。違うんですか。

小泉内閣総理大臣 それは、原口さんがそう想像するのは私はいかぬとは言えませんけれども、ジェンキンスさんを初め家族を帰すのは当然のことじゃないですか。私は、日本政府として、早く家族を帰しなさいというのは当然なことだと思います。何で選挙に利用する必要があるんですか。

原口委員 私は、この問題は総理と認識をここで一致させておかなきゃいけない。それは、政治利用しないということと、一刻も早く原状復帰する、このことだと思います。

 さて、日歯の話に移ります。この問題、ちょっとお手元に、委員長、資料をお配りしていますので。

 これは、まず、資料の一です。

 日本歯科医師連盟と地区歯科医師連盟との収支比較表です。本来であれば、こういうものが、私たち一つ一つ適正に処理されているというふうに思いましたが、このピンクで網かけしているところは、日歯側はお金を出していると言っているけれども、日歯連側は出しているけれども、対象団体である地区歯科医師連の方はそれだけもらっていないというものであります。なぜこんなことが起こるのか。

 資料二をごらんになってください。同じ歯科医師連の中でもこうであります。

 資料二は、日本歯科医師連盟と地区の自民党歯科医師支部の収支比較表です。例えば、総理、自民党宮城県歯科医師連盟支部というのをごらんになってください。日歯の支出は金額がゼロになっています。しかし、対象団体である御党の宮城県歯科医師連盟支部は、百六十八万七千五百円おもらいになったということが書いてあります。

 不思議なのは、これ、たくさんあるわけです。日歯側は、例えば自民党さんの福井県歯科医師支部、これもゼロです。しかし、支部の方にはお金が立っている。逆に、東京都は、三百九十七万円を日歯側は出したと言っている。しかし、対象団体にはその記載がない。

 私、この日歯の資料をずっとつぶさに見てみました。きょうは一人一人の政治家については言いませんけれども、本当に日歯側が出したお金と、そしてその方が政治資金収支報告の中で報告をされているそのお金がこれほど食い違うだろうか、驚くほどのことであります。

 さて、その中で起こった、こういう背景の中で起こったのが例の一億円の小切手の事件であります。

 先ほど総理が御指摘をされたように、平成研において収支報告の訂正がされています。平成十六年、ことしの七月の十四日に収支報告が訂正されて、平成研に日歯側から一億円の献金がされて、それが繰り越されたという内容のものでございます。つまり、日歯側から平成研にお金が入ったという事実は、これは公表された資料でわかるわけです。

 しかし、じゃ、それはだれを経由して渡ったのかということは全くわかりません。今、細田官房長官がお座りになっていますが、そこの席に座っていらっしゃる方が、お一人は起訴猶予、お一人は在宅起訴という状況であります。総理、これは私たち政治全体の信頼を揺るがす、大変大きなことだと思います。

 本会議質問で、我が党の岡田代表の質問に対して、総理は、組織ぐるみというのは当たらないというふうにおっしゃいましたが、しかし、これだけの事実を見ても、それからこの私たちの調査においても、本当にこんなことが組織ぐるみでなくてできるだろうかと思います。

 そして、一番わからないのは、小切手を受け取ったと言われている橋本元総理が、そんなことは覚えていない、そんなことは知らない。本当にこんなことが許されるでしょうか。そして、どこからかわからないけれども降ってわいたようにして、そして平成研の金庫に入ったのかわかりませんが、こんなことがあり得るでしょうか。

 総理は、KSD事件のときに、党の調査を命じられて、そしてそれを国会に報告されました。今回、総理はどのような認識を持って、そして経理局長なりさまざまなつかさつかさの人に命じられたのか、まずそのことをお伺いいたします。

小泉内閣総理大臣 私は、政治資金の管理に当たりましては、きちんと政治資金規正法にのっとって処理しなければならない、適切に処理するようにということを常に指示しております。

 今回の日歯事件につきましては、日歯側の動きについては私どもは定かに詳細に承知しておりませんが、今回の橋本元総理の問題につきましては、橋本氏自身がしかるべき場所に出て説明したいと申し上げておりますので、今後どういう対応をするかというものにつきましては、委員会でそれぞれ協議されるものと承知しております。

原口委員 橋本総理だけで終わるのであれば、今の答弁でいいんだと思いますよ。しかし、なぜ冒頭、この一と二の資料をお示ししたかというと、莫大な額のお金が動いて、そして、それこそ記載の、不実な記載だったんだと思いますが、東京地検、多くの人たちが捜査をして、今に至っているわけです。

 なぜ捜査を命じられないんですか。KSDの事件のときとどうしてスタンスを変えているんですか。

小泉内閣総理大臣 既に捜査がされて裁判手続にかけられていると承知しております。

原口委員 私はそこに今の日本の政治の限界を感じます。そんなことをやっているから、次々にまた似たようなことが起こるんじゃないですか。

 先ほどのイラクの大量破壊兵器の問題についても、アメリカは、なぜ誤ったのか、自分たちでみずから調査委員会をつくって、そしてつぶさにそれを反省する材料を自分の手で供給しています。

 総理はどうですか。捜査に任せる。あのKSD事件だってそうじゃないですか。あれ、司直の手が入りませんでしたか。もう司直の手が入ったら、自分の総裁としての責任はそこでない、そうおっしゃるんですか。

小泉内閣総理大臣 党として調査をして、しかるべき対応をしております。

原口委員 その責任者はだれですか。官房長官ですか。私は今の御答弁は初めて聞きました。だれに命じられましたか。

 そして、それは、今調査をしているということでございましたから、ぜひこの予算委員会にその調査の結果を出してください。

小泉内閣総理大臣 私は、党にきちんと処理するように指示を出していると言っているんですよ。党としての調査は今執行部でしっかりしていると申し上げているんです。党としてやっているんです。

原口委員 いや、だから、その責任者はだれですかということを伺っているんです。総裁が責任者で調査委員会をつくっていらっしゃるんですね。そうなんですか。

小泉内閣総理大臣 党の問題ですから、党としての責任者は私でございますから、調査をしているところでございます。

原口委員 ありがとうございます。調査の責任者はあなただということが判明しました。

 そこで聞きます。いつまでにその報告書を出しますか。

小泉内閣総理大臣 今後、調査の段階を見て、発表すべきものは発表します。

原口委員 それで本当に調査になるんですか。私は危機感が足りないと思いますよ。

 民間にできることは民間にと総理はおっしゃいますが、政官には甘く、民間には厳しい。行政の説明責任や政治の責任はあいまいにして、民間活動の罰則は厳しいというのでは、国民は納得がいくでしょうか。

 今、皆さんが用意をされている独禁法、私は独禁法の改正プロジェクトチームの座長ですが、あんなことを認めるのは、私は反対です。自分たちが、行政がやるべきことは何にもやらないで、民間の罰だけ強くする。今のあなたの姿勢と全く同じじゃないですか。どこの国に、一民間企業に大臣が再生機構を利用しろなんと言う人がいますか。そして、どこの国に、内閣のかなめにある人が、情報システムにどこどこの会社を使えなんということを言いますか。そういう声がいっぱい寄せられています。

 独禁法だけではありません。小泉内閣は、今、あなたの姿勢では、政官天国、政治と官僚の天国、政官何でもあり内閣、民間困窮内閣ではありませんか。

 今、私たちは多くの証言をいただきました。あなたが調査委員会の委員長ということでお聞きしますが、責任者ということでお聞きしますが、この受け取りというのはいつだったんですか。一億円の小切手は、いつ、だれが、どこで渡したんですか。

小泉内閣総理大臣 この問題は党の問題ではございません。

原口委員 今、よく聞こえなかったんです。

 この問題は党の問題ではないとおっしゃったわけですか。つまり、日歯の事件の問題というのは党の問題ではないとおっしゃったんですか。いや、聞こえなかったから、聞き直している。

小泉内閣総理大臣 一億円は、どこに入って、どこで処理したのかというような党の話を聞きましたから、これは党の問題ではないと言ったのです。

原口委員 いや、ちょっと、よくわかりません。

 各派閥にも、御党の場合も、政党の助成金が入っているんじゃありませんか。そこで起こったこと、それから政策を金で買ったようなこと、国民政治協会、後で言いますけれども、国民政治協会というものから党本部、それから移っているんじゃありませんか。

 私は、いろいろな証言を判断してみると、平成十三年の七月二日月曜日、一億円の受け渡しがあったとされる日時ではないかと思います。この日に村岡氏がこの会合に参加していないということは確実であります。しかし、私が不思議でたまらないのは、なぜ村岡氏だけが在宅起訴をされて、そしてほかの人たちはそうならないのか。

 法務大臣に伺います。村岡氏の在宅起訴の根拠、それを教えてください。法務大臣に聞いています。(発言する者あり)

甘利委員長 ただいま答弁させます。

南野国務大臣 では、お尋ねにお答えいたします。

 捜査機関の具体的活動内容にかかわる事柄でありますので、法務当局としてお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 でも、どうしてもとおっしゃるのであれば、一般論として申し上げれば、逮捕するか否かは、法と証拠に基づき、逮捕の理由やその必要性を慎重に検討して判断しているものとしております。

原口委員 理事にお願いしますが、質問と全然違うことを時間とって、やめてくださいよ。村岡さんの起訴事実は何かということで、それをあなたは、今までほかの人たちだって言っているわけですよ。もう一回答えてください。

甘利委員長 南野法務大臣、しっかりと質問に答えてください。

南野国務大臣 では、お答えいたします。

 公訴事実の要旨は、被告人村岡は政治団体である平成研究会の会長代理であった者、被告人滝川は同会の会計責任者であるが、被告人両名は、共謀の上、平成十四年三月下旬ころ、実際には平成十三年七月上旬ごろ、政治団体である日歯連から平成研究会に一億円の寄附を受けたのに、その寄附について平成十三年分収支報告書には記載せず、これを総務大臣に提出したというものであると承知しております。

原口委員 私は、そこは大いに疑問だと思います。平成研の皆さんの調査によると、この平成研の幹部会というのは毎週水曜日十一時半から行われていたそうです。そして、その十一時半の幹部会は合議制をとっていた。そしてそのころ、橋本元総理は入院をされていた。しかし、そのころにはもう手術が成功をして元気でいらっしゃった。元気でいらっしゃった方に、なぜ村岡さんお一人が謀議をする必要がありますか。全く理由がないじゃないですか。

 先ほど総理がお話しになった修正、ことしの七月十四日になされています。七月十四日というときは大変大事なときです。なぜならば、その翌日に新聞がこの不正な献金の疑いを報じるということが伝わったからであります。

 平成十六年の七月十四日、平成研の幹部会が開かれたんじゃないですか。そして、そのときにその中で何が話し合われたのか。少なくとも、そこで、幹部会で橋本会長が、実は一億円を小切手でもらって渡したね、あした新聞に出るから修正報告を出せと会長が言った。一億円いただきましたので、あとは繰り越しの修正をします、こういう話がされたという証言を持ちました。

 まさに、これが偽計ではないですか。一億円の修正をしているのであれば、ほかの、ここにいらっしゃる自民党の国会議員の皆さんも修正をされている。しかし、それは全額一億円が繰り越されているんです。繰り越された一億円を収入のところに立てることはできないんです。このことそのものが偽計ではありませんか。総理、どう思われますか。

小泉内閣総理大臣 私の関知せざるところを聞かれても、詳細にはわかりません。修正されたという報道は聞いております。しかし、これは党の問題ではございません。

原口委員 では、それはどこで調べるんですか。あなたがさっきおっしゃったこの一億円の献金の問題は、党で調べずにどこで調べるんですか。

小泉内閣総理大臣 その献金を受けた方が関係あるんでしょう。党の問題ではございません。

原口委員 なぜ党の問題じゃないと言うんですか。あなたの党の所属の、しかもこの間まで総理をされていた、日本の代表の方の疑惑ですよ。そういう態度で本当にいいんですか。一億円をもらったのはいい、記載しなかったのが罪ですということはおかしくないですか。

 皆さんにお渡しをした資料の中で、この資料三をごらんになってください。もう多くのことが私たちの調査でわかっています。この資料の右端、ここに番号を振って、国民政治協会を通して迂回献金をしている。日歯の中にその帳簿があるじゃないですか。そしてそれは、今疑惑が指摘されている人たちだけではない、多くの人たちにこれが渡っている。きょうの朝日新聞でも、八千万というお金が渡っている、そのことが報じられていました。

 ひもつき献金をしたら何が起こるのか。職務権限がある人がもし多額の献金を受ければ、収賄で捕まります。そのことを隠そうとこの国民政治協会を使っていたとしたら、それは言語道断ではないですか。政策を金で買うことじゃないですか。それがなぜ党の問題じゃないんですか。

小泉内閣総理大臣 党は、政治資金規正法にのっとって寄金を、寄附金を受けております。いわゆる迂回献金はあってはならないし、そのようなことはしておりませんと報告を受けております。

原口委員 それはだれから受けているんですか。迂回献金をしていないというのは、総務局長が言ったんですか。(発言する者あり)経理局長ですか。経理局長を呼んで調べられたんですね。

小泉内閣総理大臣 これは、党の報告を執行部から受けているわけであります。そういう今言った迂回献金はあってはならないことであり、自民党としてはそういうことはしていないという報告を受けております。

原口委員 その報告を信じることはできません。

 私たちの調査では、あなたがそこまでおっしゃるので、九九年に三名の派閥の領袖に一千万円ずつ渡っている、このことが明らかになりました。そして、二〇〇一年、これは、ここも三名の方に、三千万円お一人、そして一千万円お一人、一千万円お一人に渡っているということが調査で明らかになりました。しかし、私たちの調査が間違っているかもわからない。そして、あなたは、党のことではない、それは個人のことだというふうにおっしゃるのであれば、この二〇〇一年の迂回献金、三千万円をもらった方は、私たちの調査では、あなたが首相補佐官にされた山崎拓さんだということが私たちの調査でわかっています。

 総理、あなたの一番お親しい方であります。首相補佐官ですから、ぜひこの予算委員会に来ていただいて、そして事実を解明させていただきたい。総理は、そのことに前向きで、そして国民に説明責任を果たすべきだと思いますが、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 個人名を挙げてこの場で言われましたけれども、個人の名誉に関する問題もありますので、そういう点は委員会でよく協議していただきたいと思います。

 自民党につきましては、迂回献金はないと報告を受けております。

原口委員 あなたが受けた報告と、私たちが手にしている調査が違うから聞いているんです。一致しているんだったら聞きません。

 今、総理がそのようにおっしゃいました。内閣の責任として、私は、委員長、この予算委員会、それはこの委員会で決めなくても済む話です、政府の人ですから。山崎拓さんは、今は政府の、あなたの首相補佐官でいらっしゃいますから、その方を交えて質疑をしたい、このことを申し上げます。

 私たちは、小切手を渡しているのになぜ領収書を渡さないのか、小切手を持ってきているのになぜそういう処理をするのか、裏書を見ればすぐわかるのになぜそんなことをするのか、そして、合議制であるにもかかわらず、どうして村岡さんだけがこういう形になるのか、不思議でなりませんでした。

 皆さんにお配りした資料をごらんになってください。日歯の内部資料でございます。

 資料の四。これは、しかるべき方から私たちが入手した資料であります。資料の四は、日本歯科医師会緊急理事会メモです。平成十六年二月の六日。この次のページ、五ページをごらんになってください。上から約四行目。地検特捜部から捜査協力の要請があった、これは、一つはITの補助金について、一つは連盟が三菱銀行から借り入れた十億円について、地検は早く終わらせたいということで、協力をしてほしいと言われた。

 法務大臣、検察がこういう、方針も伝えて、そして相手に対して言うことが許されますか。これは日歯の中のメモですから、この中の理事が勝手に言っていることかもわからない。

 資料六をごらんになってください。日歯連の報道について、日本歯科医師連盟、キンポクと読むんでしょうか、近畿北陸地区の理事から近畿北陸地区の各歯科医師連盟の代表者に対してあてた文書でございます。ちょうどその年の、十六年二月六日、ことしの二月六日です。これも、上から八行目です。まさに、ここでも同じことが書いてあるじゃありませんか。早く終わらせたい、年内に終わらせたいから協力をしてくれ。まさに、ここに書いてあるとおり、捜査は年内に終結をし、そして、本来であればその責務に、責任にあるのかどうか。私は、村岡さんがきのうテレビに出て、涙をもって訴えておられたあの姿を見て、本当にうそをついておられるなんて思いたくなかった。

 しかし、こんなことを特捜部は言ったんですか。法務大臣にお伺いをいたします。

南野国務大臣 答えでございますが、御指摘の文書につきましては、今議員のお手元から見せていただきましたが、いずれにせよ、調査機関の具体的活動内容にかかわる事項であり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論として申し上げれば、検察当局においては、常に厳正公平、不偏不党の立場から、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるものがあれば適切に対処しているものと承知しております。

原口委員 国会で取り上げるというのは大きなことなんですよ。

 皆さんは、この日歯にこれほどの捜査が入る、あるいはこれほどのことが行われている、まさにこの文書を一つ一つ読んだら、自分たちは大きな権力と一緒になっているから、捜査されることもなければ、それは中途で終わるんだと言わんばかりのことを言っているじゃないですか。

 今、私は捜査自身について聞いたんじゃないですよ、あなたの機関について、こんなことを言っているかどうか。私はこの通告、前にしていました。調査したんですか。法務大臣に聞いています。

甘利委員長 大林刑事局長、補完をしてください。(発言する者あり)答えさせますから。先に補完させます。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども大臣の方から申し上げましたとおり、その内容は、捜査機関の具体的活動内容に関する事柄です。ただ、一般論として申し上げますと、事件関係者に捜査への協力を求めることは、捜査の過程において間々行われているものと思います。

 いずれの場合においても、捜査に支障の生じることのないような方法により行われているものと承知しております。

南野国務大臣 先ほど私も御答弁いたしました。今検察庁の方も御答弁いたしました。そのとおりでございます。(発言する者あり)

甘利委員長 南野法務大臣、正確に答弁してください。

南野国務大臣 はい。では、自分としてお答え申し上げます。

 いずれにせよ、お尋ねは捜査機関の具体的活動内容にかかわる事項でございます。お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

甘利委員長 もう一度、原口君、先ほどの質問をお願いいたします。

原口委員 わざわざなぜ資料を出しているか、法務大臣、ごらんになってください。

 資料の六です。「匿名情報が警察に多数寄せられているので年内に終わらせたいから協力して頂きたいと特捜部からの依頼でこれに応じた。」そう書いてあるわけです。資料の五についても同じです。早目に終わらせたい、特捜部が言った。年内に終わらせたい、特捜部が言った。

 私は捜査の内容を聞いているんじゃないんです。こんなことを言って、そして終結をにおわせて本当に捜査していいのかということを聞いているんです。いかがですか。

甘利委員長 大林刑事局長、そして、その後に法務大臣。

大林政府参考人 先ほども御答弁したところでございますけれども、今の委員の御指摘になっている文書自体、それは日歯側の情報であろうかと思います。

 特捜部においてどのような言動があったかどうかは私ども承知はしていません。しかしながら、先ほど申しましたとおり、捜査というのは、いろいろな形で捜査を協力依頼します、それからお願いもいたします。その過程で、捜査機関としてそれなりの期間に、相当な期間に早く終わらせたいという希望を述べること、それが捜査を不正にねじ曲げてということなら問題はありますけれども、それは、捜査の過程においてそのような依頼をしたからといって、その捜査が不正常なものとなるわけではないというふうに考えております。

南野国務大臣 刑事局長がただいま申し上げたとおりでございます。

原口委員 では、もう一回皆さんに資料、そういう答えは私予想していませんでした、正直予想していなかった。九ページをごらんになってください。パネルにしてきました。

 この捜査のスタートは、ここの日歯に書いてあるように、経産省のIT事業ですよ。イメージ情報科学研究所というところに経済産業省が委託をして、国民の皆さん、全部この構造ですからね、彼らは得をして国民にツケが行くんですよ。これをごらんになってください。どうしてこれが年内でわかりますか。

 歯科のレセプトのオンライン化、それこそ歯科を受ける人たちにとっては一番大事なこの事業。この事業に皆さんはこの莫大なお金を委託金として財団法人イメージ情報科学研究所に出している。そして、その出した後は、電子カルテについてはモリタに、そしてレセプトのオンライン化についてはもう一回日本歯科医師会に出しているんですよ。そして、モリタやスキルインフォメーションズ。

 これは何段階に発注しているんですか。その中で何が起こったかというのは、中川大臣、経済産業省でもこんな問題な発注があったから自分たちで調べられましたよね。五段階に発注しているんですよ。自分らにその受注能力がない、それから受注の内容についてもそれを実行できない。ただただ渡しただけじゃないですか。これは、皆さん、税金ですよ。ふざけるなと言いたい。

 それで、捜査の中途で何で年内なんてわかるんですか。皆さんが権力を持っていらっしゃるのはそれは結構。しかし、権力は正しく使ってください。経済産業大臣、この問題について発表されたのはいつですか、そしてこういう発注をどのように変えようとされていますか。

中川国務大臣 ことしの通常国会のこの予算委員会の場で、原口委員初め多くの委員の方から、経済産業省のイメージ研究、イメラボに対してのお金がこういうふうに下の方にずっと行っているということについて御質疑をいただきました。そこで、私から、法律あるいは会計の専門家の第三者的な先生方に、我々ではなく専門的な立場の方々に調査をして、できるだけ早くその結果を御報告したいということをお約束申し上げました。

 三月二日に、経済産業省として、IT関連委託事業の執行のあり方調査検討委員会というものを設置して検討をお願いしたところでございます。そして、できるだけ早くということでございましたが、七月十六日にこの検討委員会の調査の結果が出てまいりました。その部分をちょっと読ませていただきますけれども、非常に複雑ではありますが、この下の部分、つまりイメージ情報科学研究所から下へ行った、例えば日本歯科医師会あるいは右側の方のモリタですかにつきましては、経済産業省との契約に基づきまして届け出がなされた部分でございますので、我々としても、きちっと監督をしている、しなければならない部分でございます。

 しかし、それから下、その左側の方でいうモリタとかその下のアクセルとか、いろいろずらずらっとある部分につきましては、我が省との契約において届け出が不要とされていた部分でございまして、結果的にそういうことになったということでございまして、我々としても、今、原口委員御指摘のように、公的な委託事業であり、委託のお金でございますので、大変不透明な部分が結果的にあったということでございますが、専門調査会の結果としては、先ほど申し上げたように、下の部分については、当初の計画の中になかったので、どんどんどんどん契約が次の段階に行ったということが結果的にあったわけでございますが、経済産業省としての契約あるいはまた問題ということについては特になかったという御報告をいただいたところでございます。

原口委員 総理、お聞きになりましたか。つまり、発注側は特段問題なかった、その先が悪かったんだ、みんなこれなんです。外形的に発注側が手続さえ整えていれば、今の官製談合の構造も全部同じなんです。発注側はどこか外側に天の声を出して、そして受注側が捕まる。官の方は何の責めもない。だれが天の声を出したかわからない。

 私は佐賀県という小さな県から来ましたけれども、佐賀県でも建設業の人たち一生懸命やっています。しかし、その中で本当に官製談合、それを自分たちが勇気を持ってそれを正そうとしたら、どうなりますか。仲間外れにされたり、そういう時代がいっぱいありましたよ。それを変えるのが構造改革じゃありませんか。民にできることは民にといいながら、官がサボっていることを正さないで民間にだけたくさんの責任を押しつけるのが構造改革ですか。総理、皆さんが出された独禁法、これが本当に構造改革ですか。

 経済界も、この間、経団連やあるいは日本商工会議所の人たちとも話をお聞きしました。官の側は何にもやってないじゃないですか。官の側は、司法の手続の明確化も、さまざまなルールの明確化も、自分たちの説明責任も、何にもやってない。しかし、この事件と同じように、外形的には、自分たちは、先ほど経済産業大臣がおっしゃったとおり、整えておりました、それで済むんです。

 これが総理が目指す民営化ですか、総理が目指す社会像ですか。お答えください。

中川国務大臣 先ほど経過について御報告を申し上げたところでございますが、天の声というのが具体的にどういうことを指すのか、経済産業省なのか、あるいはまた別の政府をチェックする立場にある人間なのかということもチェックをいたしましたが、その検討委員会の報告では、そのような関与というものはなかったという報告を受けております。

 他方、今後どうするかということについてでございますが、今後は、一千万円以上についてはどんなに下に下がっていっても届け出、あるいはまた半分以上を下請に出す場合は承認という体制で透明性を高めていきたい、またチェック機能を高めていきたいというふうに体制を変更したところでございます。

原口委員 今、日歯連の事件からこのことについて議論をしましたが、先ほど総理が、日歯連の事件は自民党の問題ではない、そうおっしゃったことは大変大きな、私は総理の政治姿勢を象徴するお言葉だというふうに思います。

 本来であれば、これほどのことが起こっているんだったら、御自身で調査チームを命じて、そしてこの国会に一つ一つ明らかにする、何がいつどのように行われて、そしてどのような不正が何のために行われたか、それを解明するのが最高責任者としての責任のあり方じゃないですか。

 民間にコンプライアンスということを言っていて、そして御自身の政党の中のこれほど責任の重い人たちが疑惑をかけられている状況の中で、これは党の問題でないということをあなたは言い切られるんですか。もう一回答えてください。

小泉内閣総理大臣 どういう質問か。私は、村岡氏に対する一億円等の問題をお尋ねされましたから、これは、村岡氏がおかしいという以前に、政治資金規正法に違反したのがおかしいと私は思っております。

 これは党の問題じゃないんです。党に一億円を寄金した問題じゃないんです。そういう点から、この日歯が、今言った一億円の村岡氏に関するいろいろな言われた問題については、党の問題ではないということを申し上げているんです。

原口委員 非常にわかりにくい議論ですね。つまり、これは個人の問題であって、党として、自分の所属の、私たちであれば、公人として大きな責務を持っているから、自分の党の所属議員に不祥事があれば、総務局長がそれを調査をし、そしてそれをつぶさに報告する、その義務を持っていますが、今回のはそうではない。自民党の元官房長官でございますが、そうではないという認識なんですね。

小泉内閣総理大臣 それは個人に対する献金、政治団体に対する献金と、政党に対する献金とは違います。

原口委員 いや、本当、驚きました。あなたは御党で公認をされ、そして御党の中枢にいらっしゃった方、そして元総理、全く解明の気持ちがないということがこれでよくわかりました。

 総理御自身の問題についても私は申し上げたいと思います。

 総理の、平成十三年分、これはまさか党の問題とは言われないと思いますが、自由民主党さんの本部の収支報告書でございます。総理が華々しく総理になられて、自民党をぶっつぶすというふうにおっしゃっていたときでございます。皆さんのお手元の資料にも同じものをつけさせていただいています。

 平成十三年の七月四日、政策活動費として合計一億円を、総理は政策活動費として自由民主党本部から支出を受けていらっしゃいます。一億円という大きなお金です。しかし、小泉総理の資金管理団体のどこを探しても、このお金はありません。そして、総理がそのことを税務申告されたその形跡もありません。

 これは、政治資金規正法上の適切に支出をされた資金であります。しかし、政治資金規正法では、この政治活動費、この中身を公表する、そのことも求めていません。ですから、総理がこの一億円、これは適法に総理に渡っています。関係者のお話を総合すると、毎回、総理になると、党の方からこの一億円が政策活動費として御党の総理には渡るそうであります。総理がこのことを何にお使いになったか、ここでは聞きません。しかし、本当にこのことを、これが適法である、そのことは認めますが、こういう状況で続けていていいんだろうか。

 私たちは政党助成金をもらっています。政党助成金をもらっている私たちが、政治資金の透明性といいながら、政策活動費と銘打てば個人に対して幾らでもそれを投入することができる仕組みになっています。この国会では、寄附について議論をしています。しかし、その先の活動費の透明性については今私が初めて提言をしました。総理、このようなお金を国民に対してどのように説明していけばいいんでしょうか。

 政治活動というのは、ある意味では秘密もあります、だれに会ったかとか。あるいは、特に外交だと機密があります。だから、それをすべて明らかにすることはできないけれども、外から見て、これが適切に政治活動に使われていたということを証明するものは必要なんではないでしょうか。総理の基本的な考え方を伺います。

小泉内閣総理大臣 これは混同してもらっては困るんです、私にあたかも疑惑があるかのように。全くないんです。それは、各党も政策活動費というのは幹部に支給されていると思います。

 そこで、政治資金規正法においては、これは政治団体の収支が公開されていることを踏まえ、政治団体の政治活動の自由を最大限尊重する観点から、支出の使途等については特段の規制は設けられておりません。そういう中にあって、この党の政治活動というものは、個人の活動に使用したものでなくて、自民党の政策活動費として使用しているものであります。そういう観点から、私は、こういう活動というのは、当然政治資金規正法にのっとっているものであり、何ら問題はないと。

 なお、政党交付金を充てた支出については、各政党はその相手方、金額等を記載した報告書を提出しなければならない。しかし、この政策活動費というのは、政党交付金以外の、党独自の資金から拠出しているものであります。政策活動費であります。(発言する者あり)政治活動費であります。

原口委員 適法だとさっきから言っているじゃないですか。あたかも疑惑があるように言っていないですよ。そんなこと全然言っていないです。こういうお金を国民に説明できますかと。

 だって、その使い道を外に全然言う必要がない、監査を受ける必要もない。ただ、あなたに一億円あげますよと。総理は、これは代表はあなたですからね。このときの代表は小泉総理、会計責任者は山崎拓さん。こういうやり方でいいのかということを聞いているんです。民主党が同じようなことをやっている、やっていませんよ。

小泉内閣総理大臣 この問題については、議員も、疑惑はないと、適法だとはっきり言いました。あたかも疑惑があるような質問はやめていただきたいと思いますけれども、今後各党派で議論していただきたい。ほかの政党はやっていないと言うから、委員会でもよく協議していただいて、政治活動費はどうあるべきか、よく各党派間で議論をしていただきたいと思います。

原口委員 党派間で議論しようにも何も、私たちにはないんです。そして、私は疑惑があると言っていないんです。こういうお金で、毎回総理になるたびに一億円渡すという政党のあり方がいいのかということを言っているんです。

小泉内閣総理大臣 改めて、疑惑はないし、適法であるということを確認したいと思いますが、今後、各党間で、ないと言っていますから、各議院、党派で違いますから、その点をよく各委員会、理事会の間でも議論していただきたいと思っております。

原口委員 そこまで声高におっしゃる意味がよくわかりません。

 私は、お互いに切磋琢磨して、政党というのは近代化しなきゃいけない、国民に対して説明責任を果たさなきゃいけない、その中で、こういうお金が本当にどういう根拠で出されているのかわかりません。あなたにどうして一億円なのか、何なのかよくわからない。しかし、このやり方について本当に説明できるかということを聞いているんです。

 あなたについての疑惑はほかにあります。それは、この間、櫻井議員が参議院で質問をした小泉同志会、そして東泉会、この問題であります。

 小泉同志会というのは、総理、一体何ですか。

小泉内閣総理大臣 私を応援してくれている政治団体であります。

原口委員 代表はどなたですか。

小泉内閣総理大臣 代表は、私の弟の小泉正也でございます。

原口委員 場所はどこにありましたか。あなたは参議院で、自分の自宅ではないというふうにおっしゃっていましたが、御自身の所有される土地の敷地にございました。そして、櫻井議員が質問をしたその直後に、別のところへ移されています。

 それはどこに移されました、今どこにありますか。

小泉内閣総理大臣 これは、昨年も同じ質問をいただきましたけれども、小泉同志会が、事務所を昨年、自民党神奈川県第十一選挙区支部なる事務所内に移転しております。

原口委員 その収支は私も手元に持っています。しかし、その収支を見る限り、事務所費として六百万、大きなお金が出ています。それはもう一つの政治団体も同じように出ています。それは、たしか、けさの新聞にも報じられていたところであります。一体これは何ですか。

 そして、家主さんの証言によると、家賃は二倍入っていない、前のままだということを言われています。

 事務所費として計上されているものは、総理は、切手とかあるいはそれに類するものだとおっしゃっていますが、そう理解してよろしいですか。

小泉内閣総理大臣 これは、収支報告書に提出してありますように、事務所の家賃を二重に計上していることはなく、全く問題はありません。

原口委員 そうすると、その小泉同志会というのは、家賃は払っていないんですね。

小泉内閣総理大臣 私は政治資金規正法にのっとってきちんと報告しております。全くそれ以上の問題はないと思っております。

原口委員 家賃を払っていらっしゃるのか、いらっしゃらないのかということを聞いています。

 私は手持ちの資料として、たくさんの方から、総理の政治資金団体の不透明なことを私たちに告げていただきました。一つのタクシー会社からのお手紙でありました。

 自分たちは、もう本当に月二十万円ももらえずに、一生懸命苦労している、しかし、首相への、政治団体への献金はずっと続いている、本当にそんなことでいいんでしょうか、タクシー会社で車も提供している、そういうようなお話でございました。

 私は真偽を確かめることはできなかった。しかし、そのタクシー会社から首相への、政治団体への献金をここに持ってきました。収支報告書に出ている。しかし、あなたの政治団体をすべて調べましたけれども、この献金はどこにも載っていませんでした。

 私は、総理が、これはあすの質問に譲りますが、御自身が、私たち国会議員、大金持ちだというふうに思っていらっしゃる方もいらっしゃるかもわからない。しかし、そんなことはありません。二重に地元と東京で生活をしていれば、私も三人子供がいますが、もうやっとこさです。お手伝いさんを何人も、家事手伝いの方を雇って、そして御自身の家計を、どこからお金を入れたかわからない、そういう状況は、私は好ましくないと思います。

 総理が説明責任を果たされることを切に希望して、質問にします。

小泉内閣総理大臣 まことに遺憾であります。全く疑惑がないにもかかわらず、どの記事を本当にして質問しているのかわからぬが、同志会は私の自宅の敷地内の建物にあり、当時から家賃の支出はありません。事務所経費として、切手の購入費、電話代などを計上しておりました。

 今言っているいろいろな問題、あたかも疑惑があるかのようにやっておりますが、政治資金規正法にのっとって適正に私の政治活動は報告しております。疑惑があるかのような質問はやめていただきたい。

原口委員 このタクシー会社が出したお金があなたの政治団体にないから言っているんです。事実に基づいて質問しているものを、あたかも疑惑がと、そんなことを声高に言われるような首相は私たちの首相に向かないということを申し上げて、質問を終わります。

甘利委員長 この際、田中慶秋君から関連質疑の申し出があります。仙谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田中慶秋君。

田中(慶)委員 私は、民主党の立場から、今日の厳しい日本の環境を打破するために、元気な日本あるいは日本の再生に向けた国家ビジョンというものをつくるために、少なくても景気対策というものが最重要課題であろう、このように思っております。今日の特効薬は少なくても景気対策である、こんな認識に立って質問させていただきたいと思います。

 特に、総理は、経済報告書、あるいは、景気は堅調に回復しているということも本日も述べられましたし、あなたは本会議でもそのことを盛んに言われました。しかし、現実には、末端の経済情勢、あなたは一定の数字だけを追っているかもわかりませんけれども、経済は大変厳しい環境にある。特に、サラリーマンを初めとする多くの皆さんは、GDP、すなわち国民の総生産等において六割を占める消費、しかし、その消費が現実に今落ち込んでいるわけでありますから、そのことを含めて、今のような状態で、景気が順調に回復していると、いいんだろうか、そのことをまず冒頭に質問させていただきます。

小泉内閣総理大臣 後ほど竹中大臣からも答弁いたさせますが、景気は堅調に回復しているというのは、政府の見方だけでもありません。日銀もそういう見方をしております。民間研究所の各調査もそのような見方をしております。

 ただ、地域にばらつきがある。中小企業、これもばらつきがある。今のこの堅調な景気回復の動きを、今後、中小企業にも各地域にも浸透させていく必要があるというふうに私は認識しております。

 具体的な問題については、竹中大臣から答弁させます。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

田中(慶)委員 私は、総理に質問しているんですから。竹中さんに質問するときは竹中さんに質問しますので。

 総理は今、日銀の問題とか言われておりますけれども、総務省が公表した家計調査の報告、あるいはまた現実問題として、全国百貨店の売上高あるいはチェーンストアの販売統計等々を見ても、半年続けて前年割れの結果が現実に出ているんです。これは数字ですから。

 こういう中で、ことしは相当期待された猛暑、夏のオリンピック、しかし、消費は一向に拡大が、期待と裏腹に伸びておりません。このことを含めながら、今政府が言われている、経済は順調に回復しているとか、あるいは景気が非常に伸びているような勘違いをするような表現は的確じゃない、私はこのように思っております。そのことを含めて、総理の見解をお伺いします。

小泉内閣総理大臣 調査によってもばらつきがあります。いい調査の結果、それから、そうでない調査の結果、それぞれありますが、総じて堅調に回復しているというのが、私は一般的な見方ではないかなと思っております。

田中(慶)委員 まず、総務省が、これは政府ですからね、総務省が発表されている家計調査報告書等は、前年同月比マイナス〇・四%であります。こういうことを含めながら、あるいはまた、それぞれに身近な問題として、先ほど申し上げた百貨店の問題やらチェーンストアの問題、こういうところが軒並み大変厳しい環境にある、こういうことであります。

 特に、内閣府が十月の月例経済報告で発表している中でも、収入や雇用の環境が懸念をされる消費者態度指数というものが明確に発表されているわけでありますけれども、これも、前期なりあるいは前年に比べて悪化をしている。こういうことが、これは私じゃないんですよ、これは統計上はっきりと明確にしているわけですから、そのことを含めて、やはりこの消費者心理を改善しなければいけませんし、あるいは総務省が、あるいはまた政府が、堅調に回復しているという見方は間違っているということを、まずこのことも含めて明らかにしておく必要があるだろう、このように思いますけれども、総理の考え方をお伺いします。

小泉内閣総理大臣 今申し上げましたように、悪化しているという調査も出ていると思います。また、改善しているという調査の結果もあるんです、設備投資にしても個人消費にしても。だから、全体のバランスを見る必要があるんじゃないでしょうか。

田中(慶)委員 確かに、今言われております自動車であるとか電機であるとかそれに関連する部分については景気はいい、こういうことをよく言われるわけですけれども、現実、日常の中で、総理、よく聞いてくださいね、例えばガソリンスタンド、見てください。ここ少なくても約一割以上減っておりますよ。そればかりじゃありません。例えばすし屋さん、酒屋さん、あるいはプロパン、工務店、クリーニング、軒並みこれは減少しているんですよ、はっきり。こういう末端の身近なところが次々と店を閉める、あるいは倒産をする。

 これはなぜこういうふうになったか。政府が規制緩和というものを打ち出してから、大店舗が出てきたりいろいろなことをして、こんな形で地域経済はがたがたになっている、これが現実ですよ。やはりこういう問題を、少なくても政府の認識としてしっかりとしなければいけないだろう。

 私は、そのことを含めながら、皆さん方のこの見解というものを、間違った発信をしていること、これはやはり国民の誤解を生むことになり、政府が言っていることと末端の経済、身近なところの問題が違っているわけですから、そこに信頼関係を失ってくる、こういうことでありますので、そのことについてあなたはどう思いますか。

小泉内閣総理大臣 それは各時代時代において、減る商店なり職業はあると思います。時代の変化に対応しなきゃならないということを考えますと、ある程度やむを得ないことだと思っております。今言ったガソリンスタンド等も減っている、あるいはすし屋さんも減っている、酒屋さんも減っている。大規模スーパー、大規模コンビニ、あるいは大手が出てくると商店街が大きな影響を受けるというのは、昔も今も、大なり小なり、急激な変化に対応するために、反対論、危機感、出てくるのは承知しております。

 しかし、大きな世界的な時代の流れを見ますと、すべて現状維持というのは、これは私は困難だと思っております。回転ずしが出てきたから既存のすし屋さんは本当に苦労しているということも承知しておりますが、一方では、回転ずしの発展によって、世界的に今すしというのは有名になって好まれるようになった。また、その安い回転ずしに対抗しようとして、既存のおすし屋さんも必死に努力されている。努力しても無理なおすし屋さんもあるでしょう。あるいはクリーニング屋さんもあると思います。ガソリンスタンドについても、これは自動車の普及によって競争が激化しているということで、ガソリンスタンドも減っているということは承知しております。

 そういう時代の変化をどうとらえていくか。すべて現状維持というのは、これはなかなか難しい問題だ。時代の変化に合わせて、どう新しい時代に対応できるような商売をしていくかというのは、これは政府としても大事な仕事でありますが、各経営者にとっても苦労が多いことだと思います。しかし、そういう苦労を支援するような配慮も必要だということを認識しております。

 いずれにしても、大きな転換期であります。現状維持だけではやっていけない。それぞれがやはりやる気を出して、新しい時代に対応できるような商売というものに意欲を出していただきたい。そのための必要な支援というのはどうあるべきかということは、今後も十分検討する必要があると思っております。

田中(慶)委員 総理が言われていることもわかりますけれども、現実問題として、やはり地域の経済発展なくしてこれからの景気回復なし。あなたがいつも改革なくして経済発展なしということをよく言われるのと同じように、地域がしっかり町づくりを含めてちゃんとしなければ、実感として景気がよくなった、そんなことは感じないわけであります。

 日本の企業の九八%が中小零細ですよ。その中小零細企業が今衰退をしている。政治の責任ですよ。そしてそこに、今のように、例えば酒屋さん、この五年間で二五%減っているんですよ。すし屋さんは三〇%ですよ。余りにもひどいですよ。回転ずし、酒屋さんは安売りのものができているでしょう。プロパン屋さん、二〇%減っているんですよ。工務店、二二%減っているんですよ。あなたが言う一生懸命まじめに努力している人たちばかりですよ、これ。しかし、現実に報われていない。こういうことを含めながら、やはりしっかりとした対応をしていかなければいけない。

 例えば、公取を見てください。私は何回も言っていますよ。酒屋さんの問題をもう少しちゃんとしなきゃだめだ。あるいはプロパンもそうです。大手が全部出てきて、めちゃくちゃなことをやっているんです。これが実態なんです。それが規制緩和なんでしょうか。総理の言う規制緩和はそうなんですか。そのことを明確にしてください。

小泉内閣総理大臣 これは難しい問題で、規制緩和しないと、やはり新しい消費者の動向、要求についていけないという面もあります。その規制緩和をすると、今まで売っていた商品よりも安く売られると自分たちの商売が立ち行かなくなるという反対論も承知しております。

 例えて言いますと、酒屋さんが減っているのも事実であります。しかし、コンビニでも酒を売ってほしいという声があるのも事実であります。薬も、それほど副作用が大きくなければ薬局だけじゃなくてコンビニでも売ってほしいという声があるのも事実であります。そうすると、薬局の皆さんは反対します。酒屋の皆さん、これまた、今までの売っている場所を広げると、これは反対だという声が我々のところにも来ております。そういう声を配慮しながらも、やはり消費者が何を欲しているか、できるだけ安く、いい品物を提供してほしいという努力の中から、民間の中小の経営者は大変な努力をされ、苦労されていると承知しています。

 そういう点で、今のままがいい、現状を全部なくさないでくれ、酒屋もそのまま欲しい、すし屋さんもそのままやってほしいという気持ちはわかりますけれども、新しいものが出てくると、消費者の動向をどうつかむかという商売が繁栄していくのも事実であります。

 そういう点をよく考えながら、すべて現状維持がいいということが通じる時代ではなくなったな、そういう点もよく考える必要があるのではないかと思っております。

田中(慶)委員 やはり行政というものは公平にやっていかなければいけないし、日本の文化や今日までの長い間築いてきた伝統というものを大切にしなきゃいけないと思いますよ。酒屋さんだって、しにせと言われている人たちが今つぶれていっているんですよ。何も総理が言うような形ですべてが今いいという、こういう結果じゃないと思いますよ。

 本当に総理、あなたが言っている、町のシャッターへ、横須賀のシャッターへ行ってみてくださいよ、シャッターが次々と閉まっているんですから。やっぱりそれでは元気が出ないでしょう。やっぱりそれは政治の責任として、元気の出るような対策を打ち出すことだよ。

 いいですか、総理。その結果どうなっているんでしょう。自殺者が、見てくださいよ、六年連続三万人を超えているんですよ。いいですか。この六年で約二十万人の人たちが自殺しているんですよ。中でも、今のような状態が続いているものですから、中小零細の経営者が約三割、こういう状態になっているんですよ。これが政治の責任でないと言えますか。

 私は、少なくても、この今のような状態を一日も早く回復しない限り、この国がおかしくなってくる。例えば、旧ソ連、連邦の崩壊。同じような数字が出てソ連が崩壊したと言われているんですよ。それとちょうど似ている、こんな数字が今言われている。だから私は、そのことを心配しているんです。

 皆さん方の先輩、朝の、ちょうどきのう、おとといですか、自民党の幹部の方がテレビに出ていましたよね。小泉さんについて大変心配していた。このままにしていったら本当に日本はだめになりやしないか、小泉さん、いま少し日本の実体経済や、あるいは町、村おこしと言っていることを、反面においてはこういうことをしていたんじゃ日本はだめになる、そんなことをあなたの先輩が述べられておりました。

 このことを含めて、私は、日本がだめになる、とんでもない。元気な日本をつくっていくために、私は、今のソ連邦のペースで、こんな国になってしまったならば日本はだめになるんじゃないかという指摘をされているから、あなたに今申し上げているんですよ。

 総理、六年間で二十万人の方が亡くなっている、重ねて申し上げますけれども、その三割が経営者である、このことをやはり重く受けとめて、当然のごとく、私が冒頭に申し上げたように、国家ビジョンとしてこういうものを明確にさせる必要があるだろう。総理の考え方をお伺いします。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

小泉内閣総理大臣 自殺者が多く出ているということについては、大変深刻に、また残念に思っております。こういう問題に対して、経済的な要因あるいは病気等の要因、いろいろあると思いますが、やはりどうやって自殺者を少なくしていくかという対策は必要ではないかと思いまして、今、厚労省も含めまして、より細やかな対応が必要ではないかと思っております。

 また、ソ連と同じようになってしまうというような懸念がありますが、私は、むしろ統制経済よりは市場経済を重視した行き方の方が国民生活を豊かにするという方が一般的な見方ではないかと思っております。東ドイツ、西ドイツを見ても、やはり統制経済には行き詰まりがあったということは、今までの東ドイツと西ドイツの状況を見れば明らかではないか。また、ソ連が統制経済から市場経済に、重視していこうという傾向も、統制経済の限界を感じているからではないでしょうか。

 そういう点も含めまして、いろいろ新しい商売なり創意工夫を発揮しなきゃ、この時代、なかなかうまく対応できないというのも事実でありますが、その中で、現状維持をしようと思うと非常に苦労が多いが、新しいチャンスを得て今までになかった新たな商売のチャンスを見つけている方もいるわけです。

 そういう点も考えながら、私どもは、各企業、各個人がやる気と創意工夫を発揮しやすいような環境をつくる、また、地域には、みずからの意欲で町おこし等環境を整備していく。そういう支援というもの、どうあるべきかということは、今後も真剣に検討していかなきゃならない大事な問題でありますが、最近の日本の変化、日本の堅調な景気回復というのは、むしろ欧米の見方よりも、予想よりいいという見方も出ております。日本が、自信をなくしてきたことから、ようやく自信を回復してきたなという見方も出ております。こういう点は、時代の変化でうまく対応している方々の努力のたまものだと思いますが、最近、外国から日本に来た方の中で、かつてとは違っておもしろい調査結果を私は聞きました。

 今、日本に来る外国人が、日本に来てどこに一番行ってみたいか。かつては、日本といえば富士山とか温泉とか、あるいは芸者さんとか、そういうのが日本のイメージだった。それが今、日本に来てどこに一番行ってみたいかというトップが何と回転ずし屋さんです。そしてベストスリーの一つに百円ショップが入っている。百円ショップがある、一方では高級ブランド品が売れているところがある、これはおもしろいなと。外国人も、日本に来て、一方ではいろいろなものがあるということに対して興味を示しているということで、やはり時代時代によって日本の見方が変わってくるな、日本の魅力は何かということを多くの町も地域も考えて、日本の魅力を発信していただきたい。

 それで、日本は、安い品物が入ってきますけれども、逆に、日本の高いものが外国で売れている。農産物も、かつては輸入で困るというのが、日本の高い、おいしければ輸出もできるという状況であります。そういう時代の変化をうまく取り入れて対応できるような対策というのは、これからますます必要になってくるんじゃないかなと思っております。

田中(慶)委員 その対応は必要であることは十分理解もできますけれども、今のような急激な変化、いいですか、この五年間に、今のような自殺者の問題やら、あるいは、例えば、毎年、資料も配っておりますからよく見てください、この倒産件数を数えたって、これは帝国データバンクですから間違いないでしょう。こういう中で、これも約六年、大体一万五千件以上倒産をしているんですよ。

 こういうことを含めて、企業倒産が依然として来ているというのは、政府の方針が、ここに問題があるからですよ。例えば貸し渋り、貸しはがし、これを現実の問題として行っているじゃないですか。規制緩和をしているとかいろいろなことを言っておりますけれども、総理、あなたが直接そういうことを、みずからやろうとするとできないかもわかりませんけれども、あなたのスタッフにやらせてごらんなさいよ。大変なことですよ、これ。貸し渋り、貸しはがしは、これは政治の責任じゃありませんか。

 あなたは、今、いろいろなことで情勢が変化している、こういうことを言っておりますけれども、確かにそれはいいでしょう。しかし、一方においては、貸し渋り、貸しはがしの結果、倒産がふえる、続いている。平成九年から一万五千を下がったことないですよ。自殺者も、同じように三万件超えているんですよ。

 例えば、皆さんどうですか、交通事故で一万人を超えると、国を挙げて、現実問題としてその対策を打ち出すんじゃないですか。六年も続いているこの自殺者、五年も六年も続いている倒産件数、これは政府が、極端なことを言えば無力だからこうなってくるんじゃないですか。そのことを認識して具体的な対策を、総理が今、時代の変化と言うのはよくわかりますよ。でも、急激な変化を求めているわけじゃありませんし、そんなこと十分対応できない。これが実態です。

 ましてや、今、日本は資源がない。物づくり中心として今まで来ました。その物づくりが衰退しているんですよ。特許も技術も全部持って外国へ行ってしまった。国内はどうなっていくんですか。アメリカを見てください。一定のものは絶対に海外に進出をさせない、そういう法律までつくってやっているんじゃないですか。

 こういうことを考えたときに、今のような問題、立法措置なり政府の責任で、そして貸し渋りなどはしっかりとした政府の責任で対応できる、その結果、景気はよくなる、こういうことだろうと私は思いますけれども、総理の見解をお伺いしたい。

小泉内閣総理大臣 いろいろ厳しい状況にあるのも事実でございますが、かつてに比べて倒産件数も毎月減少しております。そして、失業率も、まだ四・八%という、いい状態とは言えませんが、かつての五・五%に比べれば減少してきている。

 設備投資、かつては外国に出ていた企業も、最近では、やはり日本にしかできないものがあるということで、日本に帰ってくる傾向も見えてきております。かつて、やはり輸出に依存していた日本の経済構造も、最近は内需、設備投資と民間消費が伸びている傾向が見えてきた。

 もちろん、アメリカ経済の好調、中国経済の好調もこれまた日本にとっては好材料だと思っておりますが、悪い面ばかりじゃなくて明るい面も見えてきているのではないか。

 そういう点も両面見ながら、今後適切な中小企業対策、今言われたような貸し渋りとか貸しはがしとかないような、中小企業が意欲を持って経営に乗り出すことができるような支援策というものについては、経済産業担当大臣、鋭意努力中でありますし、御懸念のきめ細やかな中小金融機関に対する対応につきましても、金融担当大臣も十分な配慮をしているということでありますので、今御指摘の点も踏まえて、今後、より今の堅調な回復傾向が地域にも中小企業にも及ぶような、そういう対策を政府一体となって打っていかなきゃならないと思っております。

田中(慶)委員 私は、全体的に云々と言っているわけじゃありません。大企業とか業種によって業種間格差と企業間格差が非常に広がっている、こういうことです。

 そういう中で、中小企業が置かれている立場が大変悪い環境にあるということ。実態として、これは衆議院の経済調査室が調べた中でも、貸し渋りが、現在においても約一一・七%、貸し渋り、貸しはがしを受けているというこの数字ですよ。今の日本の経済や中小企業は大変厳しい環境にあるということ、これが実態なんです。

 ところがどうでしょう、皆さん。いいですか。例えば、銀行を見てください。銀行の関係で、いろいろな形で統廃合をしておりますけれども、銀行は十年間に従業員はおよそピークの大体四〇%、正式な数字は三十何%、ピーク時から三九・九%ですから、約四〇%減少しております。役員も同じような形で一五パー。ところが、天下りは全然減っていませんよ、天下りは。十年前と数は、例えばこの金融機関に対する天下り、ほかは全部減っているにもかかわらず、天下りは全然減っていません。

 こういうことを、これも、特に日本銀行あるいは旧の大蔵省、関連のところが現実に減っていないんですから。まさしくこれは官尊民卑ですよ、日本は。総理が幾ら天下りとかいろいろなことを笛吹けども、現実問題としてこういう結果が出ているんです。数字は、私は、ごまかしていない。

 このことを総理はどう認識されますか。

小泉内閣総理大臣 いわゆる公務員の天下り問題ということについては、これは権限を背景とした押しつけ的な再就職のあっせんは行うべきではないと考えております。また、国家公務員であった者が、検査とか監督等の金融行政等、就職することによって、ゆがめられることがあってもならないと考えております。

 国家公務員の再就職につきましては、今後、委員等の御指摘も踏まえまして、適正に対応していかなきゃならない問題だと思っております。

田中(慶)委員 いずれにしても、現在問題として、天下りや、あるいは特殊法人それから民間に対する天下り、依然としてそんなに改善されておりません。一方においては、大変厳しい中で従業員を減らしたり経営のリストラが行われているにもかかわらず、天下りが依然としてなくなっていない。このことだけは明確に数字があらわしておりますから、やはり、総理が幾ら言っても、現場はそうでない、これが実態でありますから、総理が陣頭指揮でこの問題を徹底的にやる必要があると思います。それがあなたが言っている改革であろう。

 改革なくして発展なし、あなたが言われているこのことをしっかりとしていただかなければ、あなたがいつも言っているように、弱い者、まじめに働く者、今まさしくこの強い者と弱い者の格差が広がっている、これが実態ですから、このことをなくさなければ、小泉総理が幾ら改革を叫んでも、実態は何もされていないということになってしまう。

 総理、しっかりとそのことを含めて御答弁をいただきたい。

小泉内閣総理大臣 改革すべきはしていかなきゃならないし、そういう、今の御指摘を含めまして、構造改革の必要性というのはますます重要になっておりますので、今後とも、各分野において、御指摘の点も踏まえまして、しっかりした対応をしていきたいと思っております。

田中(慶)委員 総理、今、原油価格が高騰していますね。これによって日本の経済はどうなっているんでしょう。

 石油関連製品は、およそ一五パーから二五パーぐらい値上げされております。日本の経済は、今大変な危機になっております。まして、これから国民生活に与える、冬場の灯油の問題一つとっても、こういう問題があらゆるところに影響するだろう。その原因は何だろう。石油産油国のところは、従来よりもしっかりと生産をしている。これは、投機によってこのような結果が出ているということを言われているわけです。

 総理、世界に向けて、どうでしょう、エネルギーやこういう問題について投機は自粛しようじゃないか、そんな呼びかけをしてもいいんじゃないか。いいですか。この石油製品、原油価格に対して投機のないように呼びかけをする、そのことは当然必要であろうと思います。そのことについて総理はどのようにお考えになるでしょうか。お伺いします。

小泉内閣総理大臣 投機というのは、やめろと言ったってなくならないんです。政治的圧力をかけようと、とまらないのが投機だということをまず認識しておかなきゃならない。

 そして、原油の高騰というのは、先般ハノイで行われたあのアジアとヨーロッパの首脳会合でも、多くの首脳の関心事でした。私もこの石油の高騰については懸念を持っておりますが、特に私が初めて当選した翌年が昭和四十八年、第四次中東戦争で、それを契機に一バレル当たり二ドル前後の油が十ドル前後にはね上がったときだから、石油の状況、石油が高騰したときの危機というのは、もう私自身、非常に国民生活を不安にするんだということを感じております。

 ただ、当時のあの石油危機を教訓にして、日本はまず、当時備蓄がなかった、備蓄をしようと。それから、省エネ対策をしよう、省エネルギー。そういうことに加えて、代替エネルギーというものを開発していかなきゃならないということが功を奏して、かつての、三十年前の石油危機に比べると、値は五十ドルということでありますが、影響は三十年前のようには大きくないという認識を持っております。

 この値段については、ドバイの方で計算しますと、一番新しい値段で一バレル当たり三十七ドル前後、WTIの一番最新の値段によると、一バレル当たり五十四ドルということでありますが、私は、この動向というのは注視しなきゃなりませんが、今後とも、省エネ対策あるいは代替エネルギー対策等に加えて、この石油価格の動向については、十分注視しながら、大きな悪影響を受けないような配慮を各般にわたってしていかなきゃならないと思っております。

田中(慶)委員 総理が投機というものはなかなかとまらないと言っても、黙っているよりは、多くの呼びかけをしながら、国際的にこの問題を共通の認識で行うことが私は必要だと思って申し上げているんです。投機は、それぞれ個人個人のものですから、なかなかおさまらないことはわかっておりますけれども、しっかりとそういう申し合わせをしたり、いろんなことをしながら対策を打つのも私はその一つだと思っています。特に国民生活に直結するわけでありますから。

 まして、今のような、石油製品がもうひどいものでは二五パーぐらい上がっているわけです、石油関連の原材料の高騰で。そういうことがやはりこれからの日本の経済にいろんな影響を及ぼすであろう、このように思っておりますので、そのことを申し上げております。

 また、ことしは非常に台風や自然災害が多かったわけであります。ついこの二週間ばかり前にも、今まで想像できなかったところが床上浸水と、いろんなところが、今まで想定できなかったところにぼんぼん出ている。ということを含めながら考えてまいりますと、やはり今のこういうような災害というのは、地域経済の足を引っ張ったり、いろんなことをする。

 当然のごとく、中小企業の問題もありましたし、総理、今それぞれの地方自治体は大変厳しい財政状況にあるわけですから、ここでしっかりと補正予算を組んで、私たちは本来ならばこういうところで、今度の臨時国会で今のような問題を含めながら補正予算を組んで議論をすべきじゃなかったかな、こういうふうに思っております。

 先ほど財務担当が、いや、それはまだ今の段階でする必要もないみたいなことを言っておりますけれども、地方自治体ですら、今行っている、あるいは先般終わっているところもありますけれども、この被害なりあるいはまた対応について補正予算を組んでやっているわけですから。厳しい環境にありながらも、そういう状態です。国は、そのことを傍観するわけではなくして、ちゃんとしていかないといけないだろうと思っておりますので、しっかりと答えてください。

谷垣国務大臣 まず、災害でございますけれども、ことしは十月一日までの報告額が五千七百五十二億円となっておりまして、例年に比べると、例年を上回る規模となっております。

 私たちとしても、災害復旧事業、こういうのは円滑に執行していかなきゃいけないし、それから、激甚災害等、これは適切な対応をしなきゃいけないと思って、今……(田中(慶)委員「遅いんじゃないかな」と呼ぶ)いや、やはりどうしても、現状を把握して、数値が上がってくるのに若干時間がかかるものですから、私どもも急ぎながら着実にやっていかなきゃいけないと思っておりますが、現時点で災害復旧に支障が生じるような状況ではございません。

 今後の状況については慎重に見きわめる必要がもちろんあるんですが、必要であれば、予備費の使用等を含めて考えていかなきゃならないと思っております。

 現時点ではそういうことでございます。

田中(慶)委員 現時点でということでありますけれども、実態を調べてほしいと思います。地方自治体は大変な状態で四苦八苦しておりますから、そして、この災害に遭ったところが一番迷惑をこうむっているわけですから、十分な予算がなくて何もできません、こんな答えが現実に出ているわけですから、そのことを対応してください。要望しておきます。

 時間がだんだんなくなってまいりました。

 実は、ダイエーの産業再生機構について、先般来いろいろな問題が出ております。

 私は、この産業再生について、この法律をつくるときに審議をした一人でありますけれども、あのときの審議状態と、今回の銀行が非常に介入されている問題、あのことを私たちは心配しました。銀行のリスクマネーを少なくして、そのことを国民に負担を押しつけるんではないか、こんな考え方も議論の一つでありました。あるいはまた、附帯決議につけてあることが今回全然生かされていない。私はもう時間がないから、いろいろな問題を通告していたわけでありますけれども、そういう問題が全然生かされていない、こういうことであります。

 特に、この機構の問題等について、私は、やはり立法の趣旨というものを十分生かされなければ困る。当然のごとく、今、この再生機構の問題では、やはり、一生懸命努力していながらも過去の負債が影響してなかなかできない、こういうこともあるでしょうし、こういう一連のことを含めながら、この再生機構の問題等について、一番問題なのは、RCCの問題もありました。再生機構は大企業を下手すると倒産に追い込み、RCCは中小零細企業を倒産に追い込む、こんなことまで言われているんですから、そのことを含めて、担当大臣、しっかりと答弁ください。

村上国務大臣 田中先生の御質問にお答えします。

 この産業再生機構による再生は、金融再生と同時にスピード感を持って進めるということでやっていたわけですね。私は大蔵委員長のときに感じたんですが、本来、金融機関がどういうふうなノウハウを持ってやるかだとか、その後詰めの人をどういうのを送るかという今までのあれがなかったんですね。それでこういう機構を使ったわけです。

 私自身としては、今回、再生機構は本当に真摯に一生懸命やっている、そのように私は考えております。

 以上であります。

田中(慶)委員 いずれにしても、担当が違う、経済担当と、今の村上さんが言われるものと、あるいは銀行と、全然違っているわけですから、やはりあなたが幾らこんな立派なことを言ったって、担当の大臣は違ったことをあのとき言っていたと思いますよ。ですから、そういうことを含めて、時間がないんですから、しっかりとやってほしい。

 あと一分ちょっとあるようでありますから、もう一つ、これは厚生労働省、大臣に申し上げておきます。

 現在、日本では、大変なエイズの問題が非常に蔓延をし、もう一万人近い人たちが今かかっているわけですけれども、この対策がおくれております。特に、保健のあり方をちゃんとしないと、先進国では今減っているんです、日本だけが先進国の中ではふえている、こういうのが実態でありますし、このまま放置していくと大変なことになってくるんですね。専門家の話によりますと、このまま放置して十年後には下手すると何十万という形でふえていくだろうという、お医者さんが心配しておりましたので、そのことをしっかりと、きょうは時間がありませんから後日改めて申し上げますけれども、対応をしてください。

 以上で終わります。

甘利委員長 これにて仙谷君、前原君、原口君、田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位委員 私は、きょうは年金問題について小泉総理に質問いたします。

 政府は、国民の反対を押し切って年金改悪を強行し、この十月からサラリーマンの保険料の値上げの実施を行いました。しかし、国民の圧倒的多数は、今なおこの改悪された年金法を認めておりません。九月の世論調査でも、七八%の国民が法律のつくり直しを求めております。その最大の理由は、負担がふえる一方、給付が減るというものでありますけれども、それに加えて、その負担増と給付減がどこまで続くかわからない、これでは老後が不安で仕方がない、これが国民の多数の気持ちであります。

 実際、改悪された年金法の枠組みで押しつけられようとしている負担増は、保険料の値上げだけではありません。増税も押しつけられようとしている。きょう私が取り上げたいのは、この問題についてであります。

 今回の年金法は、基礎年金への国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げることが全体の大前提にされております。二分の一に引き上げることは当然のことでありますけれども、問題はその財源であります。

 総理は、この財源について問われて、十四日の本会議の答弁で、改正年金法に明記された税制改革、つまり増税によって賄うという立場を述べつつ、これに伴う税制面の対応については、昨年末の与党税制改正大綱を踏まえ、個人所得課税、消費税を中心に税制改革に取り組んでいくとお述べになりました。

 昨年十二月の与党税制改正大綱には何と書いてあるか。これを見ますと、平成十七年度及び平成十八年度において、恒久的減税、定率減税の縮減、廃止などにより、基礎年金に対する国庫負担割合引き上げに必要な財源を確保する、こう明記されております。

 つまり、総理に伺いたいんですが、この大綱を踏まえて税制改革を行うということは、所得税、住民税の定率減税の縮小、廃止を行って、二分の一の財源の一部にそれを充てるということを意味することになるわけですが、そういうことでしょうか。端的にお答えください。

小泉内閣総理大臣 まず、基礎年金の国庫負担、これを三分の一から二分の一に引き上げるということについて、どのように財源を調達するかということを考えますと、私は、定率減税の縮小というのは一つの選択肢だと考えております。もとより、所得税全体の見直しもしなきゃなりません。それと、地方に税源を移譲ということもあります。

 そういうことを考えますと、私は、二年先まで見通して消費税を上げる環境にないと見ていますから、この二年以内に消費税を上げる考えはありませんので、議論は結構です、二年後にどのような税制改革をなすべきかという点については、消費税を導入すべしという議論も多々あります。そういう議論は妨げませんが、この二年間の間を見れば、私は、定率減税の縮小等を考えながら、財源というもの、所得税全体を見るのはもちろんでありますが、財源調達を考えていかなきゃならない。

 もとより、これは歳出の削減も考えなきゃなりませんし、同時に、国債、大量の国債発行をどのように抑制していくかという面もあります。経済の活性化を考えながら、総合的に考えるべき問題であると思っております。

志位委員 今総理から、定率減税の縮小、これを行うということが、踏み込んで発言がありました。これはなかなか重大な答弁だと私は思って聞きました。

 所得税、住民税の定率減税というのは九九年度から恒久的減税として始まったものですが、これが仮に廃止まで行きますと、総額三・三兆円もの大増税となります。

 私、きょう、こういうパネルをつくってきたんですが、これは定率減税が廃止された場合に年収別にどれだけの増税になるかというグラフです。

 サラリーマン、専業主婦、子供二人のいわゆるモデル世帯のケースです。黄色い部分が定率減税廃止に伴う増税、緑の部分は配偶者特別控除廃止、これからかかってきますが、これに伴う増税ですが、これを見ていただければわかりますように、大体、年収五百万で八万円、六百万で十一万円、七百万で十四万円の増税です。

 それから、赤い棒グラフを見てほしいんですが、これは定率減税を廃止した場合に増税率、つまり、どれだけ税金がふえるかというグラフであります。大体五百万、六百万あたりがピークで、二二%税金がふえるという計算になります。これは増税に二十九万円の頭打ちがありますから、高額所得者の方は増税率が下がってきて、年収三千万では三%ぐらいの増税率。つまり、子育て真っ最中の働き盛りの中堅層をまさに直撃する大増税だということを言わなければなりません。

 私が問いたいのは、こうした庶民大増税をもって基礎年金の国庫負担の引き上げの財源に充てるというのは、これは国庫負担の引き上げの目的に全く反するものではないかという問題なんです。

 つまり、そもそも国庫負担の二分の一への引き上げというのは何を目的にしたものだったのか。これが法律に明記されたのは五年前の年金改定のことでしたが、そのときの国会審議で当時の丹羽厚生大臣が二分の一への引き上げ目的について何と述べているか。議事録をずっと読んでみましたら、はっきり言っております。基本的には若年世代の負担の軽減に充当する、あるいは、保険料率の引き下げ、このような観点から、私は、基礎年金の負担は二分の一までできるだけ早くしなければならない、こう考えておる。つまり、働き盛りの世代の負担を抑える、そのために二分の一に引き上げる、それが目的なんだとはっきり答弁していたわけですね。

 その二分の一の引き上げの財源を、先ほど出したように、まさに働き盛りの世帯を直撃する、そういう庶民大増税で賄うというのは、そもそもの二分の一は何のためのものだったかということになるじゃありませんか。結局、二分の一に引き上げる財源に庶民大増税を充てるというのは、引き上げの目的に反している、矛盾している、こう考えますが、総理、いかがでしょう。総理、どうぞ。

小泉内閣総理大臣 これは、定率減税一つをとって議論するものではなくて、まず、年金の財源をどのように確保するか。これは、給付される側と負担する、保険料を払う側、今の三分の一の公費負担では、給付も下げる、保険料負担も上げる、これじゃもたない、やはり公費を負担すべきだという議論から、公費負担を三分の一から二分の一に引き上げよう。それでは、財源をどうやって調達するのか。すると、恐らく共産党の皆さんは、消費税は引き上げ反対でしょう。そして、定率減税縮小するのも反対でしょう。給付を下げるのも反対でしょう。保険料を上げるのも反対でしょう。国債を増発するのも反対でしょう。どうするかというのが問題なんです。

 そういう点を考えて、私は、こういう点につきましては全体で考えなきゃいけないから、野党の中でも民主党は消費税を引き上げた方がいいということを言っています、将来的に。自民党の中でも消費税を引き上げた方がいいと言っております。私は、それは、将来はともかく、二年の間に消費税を引き上げる環境にないから、私の在任中は引き上げない。

 しかし、どこかで三分の一の基礎年金の公費負担を二分の一に引き上げていくということの方が、若い世代の年金に対する保険料の負担を引き上げるのは少なくて済む。給付も、やはりできるだけ下げるのは低くしてくれという要望がある。となると、全体社会でこの年金制度を持続可能なものにするためにはある程度財源というものを考えなきゃいかぬということを私は考えると、その一つの選択肢として、定率減税されていた部分を段階的に、一挙にじゃありませんよ、段階的に縮小していくのも今後一つの選択肢ではないかなということを述べているわけであります。

志位委員 総理は長々とお述べになりましたけれども、私が聞いたことに全くお答えになっていません。

 私が聞いたのは、二分の一引き上げの目的は働き盛りの方々の負担の軽減を、抑えるためのものでしょう、それを働き盛りの皆さんに大増税を迫るような定率減税の縮小、廃止で賄うのは、これは筋が違っている、矛盾しているじゃないかと聞いたんですよ。それについて全く答えないで、そうやって長々としゃべるのは、これは道理のないことをあなたはやろうとしているということをみずから示していると私は思います。

 財源ということについて言いましたら、私たちは、二分の一への引き上げの財源は、これは歳出の見直しでできる。道路特定財源の一般財源化、あるいは公共事業のむだの縮減、あるいは軍事費も聖域にしないでメスを入れる、このことによって、この歳出の縮減によって賄える。

 年金全体の問題について言いましたら、歳入についても、余りにも下げ過ぎた大企業への税金、これはせめて世間並み、ヨーロッパ並みにする。そういうことも含めて対応すればできるということを言っておりますけれども、私が聞いたのは、二分の一引き上げの財源に庶民大増税を充てるというのは、何のための二分の一引き上げになるではないかということについて聞いたのに対してお答えにならなかった。

 財源ということについて言われたので、なぜ定率減税だけを縮小、廃止するのかという問題が次に私は問われてくると思うんですよ。

 九九年に恒久的減税として行われたのは、所得税、住民税の定率減税だけじゃありません。大企業向けの法人税の減税もやられた。高額所得者が潤う所得税の最高税率の引き下げもやられました。これは三点セットで恒久的減税としてやられました。そのときになぜ定率減税だけに手をつけるのか。

 あのときに恒久的減税の最大の理由とされたのは、景気対策のためでしょう。では、それから五年たってどうなったか。これはそのグラフですけれども、青い棒は大企業の収益です。この五年間に、財務省のデータで、十二兆円から二十一兆円に九兆円ふえている。赤い棒は家計の収入です。これは国税庁のデータですけれども、二百二十三兆円から二百四兆円に十九兆円減っているんですよ、家計の収入は。

 ここから三・三兆円さらに奪おうというのが定率減税の廃止じゃありませんか。これは全く説明がつかない。これは、伸びている方の大企業の方の減税はやりっ放し、減っている方の家計の収入はもっと足を引っ張る増税をやる。これは説明つきません。私、ここにあらわれているのは、結局、年金の財源が足らなくなったら取りやすいところから取る、この立場だと思います。

 この九月、日本総合研究所という経済界のシンクタンクが、定率減税が与える影響についてのレポートを書きました。そこでは、「定率減税の廃止・縮小は時期尚早」として、なぜこれが今やったらまずいのか、景気に悪影響を与える、それだけじゃない、国民の年金不安をひどくすると書いてあります。このように述べております。「定率減税廃止の目的は基礎年金財源であるが、」「将来の年金制度に対する不安感が払拭されないなか、当座しのぎのために最も手をつけやすい部分を利用して取り繕うといった印象が拭い切れず、国民の理解を得ることが難しい。」これはなかなか的を射ていると思います。

 つまり、年金財源が足らなくなったら、道理が立とうが立つまいが最も手のつけやすいところから取る。大企業からはあなた方は巨額の企業献金をもらっているから、法人税にはまかり間違っても手をつけるわけにいかない。そこで、最も手をつけやすい庶民増税から手をつけていこう。

 私、はっきり言って、こういうやり方こそ国民の年金不安をひどくすると思いますよ。こういうやり方がまかり通ったら、政府の見通しが狂って、また年金の財源が足らない、足らなくなったらまた増税だ、そういうことになったら、やはり国民の年金不安をひどくする。こういうやり方は一番国民の年金に対する信頼を損なうやり方だと考えますが、総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今、その調査報告は日本総研ですか。(志位委員「日本総研です」と呼ぶ)志位委員は的を射ていると言われましたけれども、恐らくその報告は、消費税を引き上げろと言っているんじゃないですか。(志位委員「書いてありません」と呼ぶ)

 私は、年金の財源として消費税を引き上げろという意見が強いということは、各方面から出ているのは承知しております。もとより、共産党の皆さんは国債の増発も反対です。そうですよね。そういうことを考えますと、私は、どこかで財源を調達しなきゃいけない。歳出削減だけじゃもちません。歳出削減分はむしろ国債の増発抑制に使わないと、これから将来の経済回復、財政再建等を見ると、経済にも悪影響を及ぼす。そういう全体を考えますと、私は、定率減税の段階的な縮小が必ずしも悪いとも思っておりません。これは十分景気に配慮する必要があります。

 そういうことから、一挙にではありませんが、段階的に、税制全体、所得税も消費税もあるいは資産課税も、全体を総合的ににらんで今後の税制改正の中で議論していく問題じゃないか。まだ断定的なことを言う段階ではありませんが、私は、今後とも、この二年、予見し得る二年に限って言えば、消費税は引き上げないでほかの財源を考える時期ではないかなと、そういうふうに考えております。

志位委員 また質問にお答えにならないんですね。私は、取りやすいところから取る、そういう姿勢では年金不信をひどくするじゃないかというふうに聞いたんですね。それに対して全くお答えにならない。それだけ道理のないことをやろうとしているんですよ。

 今、財源という問題を言われました。先ほども私、答えたけれども、例えば、まだまだ公共事業の国と地方と公団を合わせたら四十兆ですよ。軍事費五兆円ですよ。これは縮減する必要がある。それから、例えば法人税をこの間ずっと減税した結果、一時は二十八兆円あったものが十五兆円ですよ。ヨーロッパの、例えばフランスの大体半分の水準に税と社会保険料の水準はなっちゃっている。これを世間並みにだんだんと戻していく必要がある。消費税に頼らなくても安心できる制度をつくれます。

 私、今の総理の答弁を聞いて加えて問題だと思うのは、きょうは総理が結局増税に踏み込んだわけですけれども、こういう増税の議論が年金法を通した後、出てくるという問題なんですよ。

 今度の年金法案をめぐって総理がとった態度というのは、一貫していたのは、国民にできるだけ都合の悪い情報を知らせない、批判を招くようなことはできるだけ小出しにして、国民をごまかしごまかしやっていくというやり方でした。実際、保険料は上限があります、給付は下限があります、これは両方ともうそだった。実際は、上限どころかどこまでも上がっていく。現役の五割を保障するというのも、もっと下がっていくということが明らかになると、渋々そのことを認める。わかって、認める。

 今度の基礎年金の財源問題もそうじゃありませんか。私、この問題を総理に伺ったのは去年の十月九日の党首討論のときですよ。それに庶民増税を充てるんじゃないかと私が聞いたのに対して、総理は、一切決めていない、決めていないの一点張りで、これはきちんと言わなかった。

甘利委員長 志位君に申し上げます。

 質疑時間が終了しております。簡潔にお願いします。

志位委員 そして、法律が通った後、今度は、保険料を上げるだけじゃない、増税もお願いします。これは国民を欺くやり方だと私は思いますが、何か反論があったら言ってください。

小泉内閣総理大臣 決めていないというのは、今でも決めていないんです、選択肢の一つだと。これから議論するんですよ。

 それと同時に、公共事業が四十兆円とか五十兆円とか言って、防衛費は五兆円と言っていますが、その伝でいけば、公共事業費は国家予算の中で九兆円を既に切っています。恐らく地方も入れてのあれでしょう。(志位委員「地方と公団と全部合わせてです」と呼ぶ)合わせてでしょう。そうしたらば、福祉が一番です、日本の財政の中で。福祉の関係予算は、国家予算だけとっても十八兆円かな、十九兆。公共事業は九兆円を切っています。今、政府が一番国民の税金を使っているのは福祉費用です。その点を誤解しないようにしていただきたい。

志位委員 国民を幾重にも欺いてつくった改悪年金法を白紙に戻すことを要求して、やり直しを要求して、終わります。

甘利委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 去る八月二十二日、沖縄本島中部で発生した女性暴行事件の容疑者が逮捕されました。容疑者は元米兵で、今は嘉手納空軍基地で働く米軍属、ダグ・アレン・トンプソンであります。今度の事件は、沖国大へのヘリ墜落事故から九日後に起こっており、県民に大きな不安と衝撃を与えております。また、今度の事件は、女性の尊厳を踏みにじるものであり、住居に侵入して就寝中の女性を襲うなど、その犯行態様も極めて悪質かつ卑劣であり、断じて許せません。

 この事件に対する総理の所見を伺います。

小泉内閣総理大臣 女性暴行事件、極めて遺憾な事件であります。犯罪をできるだけ少なくすべきだということは当然でありますし、私どもとしては、米軍に綱紀の粛正、そして今後とも厳正な対処を強く求めております。

照屋委員 次に、水俣病関西訴訟についてお伺いいたします。

 去る十五日に言い渡された水俣病関西訴訟の最高裁判決で、規制権限を行使して被害拡大を防止しなかった国の責任が断罪されました。私は画期的な判決だと評価しておりますが、総理は、最高裁判決にどのような所感を持っておられますか。

小泉内閣総理大臣 これまで水俣病被害に苦しんでこられた方々に対して、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 公害事件、こういう問題については、今後決して繰り返すことのないような配慮がこれからも必要でありますし、この判決というものを重く受けとめております。また、政治的な和解が既に成立した件につきましては、この問題について誠意ある対応が必要だと思っております。

照屋委員 最高裁判決は、患者の大量切り捨てにつながる認定制度を維持し続けた国をも断罪いたしました。私は、国は直ちに認定基準を見直して、すべての水俣病患者を救済すべきと考えますが、環境大臣の所見をお聞かせください。

小池国務大臣 改めまして、今回の判決、極めて厳しい判決であり、厳粛に受けとめてまいりたいと考えております。

 今回の最高裁の判決でございますけれども、高裁判決で、五十二年判断条件は、公害健康被害補償法、いわゆる公健法の水俣病認定要件として、これとは別個の判断準拠を示しまして、メチル水銀中毒症としての損害を容認したということが踏襲されている、このように理解いたしております。

 したがいまして、今回の判決で公健法の認定基準としての五十二年判断条件が否定されたものではなく、この判断条件を見直す必要がある、このようには考えておりません。

 しかし一方で、せんだって金曜日、この判決が出されました後、原告団の皆様方から要望書もちょうだいをいたしております。この要望につきましては、また今後の対応については、環境省そして原告団の間で、原告団から出された要望事項の内容について引き続き確認するような、そういう場を持って当たりたい、このように考えているところであります。

照屋委員 私は、失礼ながら、環境大臣は最高裁判決全文をお読みになったのかなと思わざるを得ませんが、十六日に官房長官は、松江市内の記者会見で、認定基準の見直しを検討することもあり得るとの考えを示しているんですね。担当大臣である環境大臣がこの認定基準の見直しについてもっと積極的に取り組んでほしいということをきょうは申し添えておきたいと思います。

 さて、総理、これは八月十三日に起こった沖国大へのヘリの墜落現場の写真でございます。これもそうですね。アメリカ海兵隊のCH53D型ヘリが沖国大へ墜落をいたしました。民間人に死傷者が出なかったのは、私は奇跡中の奇跡だと思います。

 ところで、総理は、事故の第一報をお聞きになった後も六本木ヒルズで映画を見て、その後も六本木ヒルズを散策されておった。オリンピックをテレビで観戦して、なかなか稲嶺知事にもお会いにならなかった。多くの県民はこのような総理の態度に実は落胆をし、怒りを持っておるんですが、総理御自身から直接、この沖国大へのヘリの墜落事故についてどのようにお思いなのか、お示しを願いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今回の米軍ヘリの墜落事故については極めて残念に思っております。こういうことがないように、再発防止、そして原因究明、こういう点に対しまして、米軍等に今後も厳重な配慮を求めているところであります。

 また、政府には、私だけでなく担当閣僚もおります。すべての案件、いろいろ私のところに入ってまいりますが、どのように対応するかということについては政府全体で取り組んでおりますので、私が直接稲嶺知事等に会う会わない、いつ会うかという点についてはしかるべく検討して、後日私は、稲嶺県知事とも、当時の状況をよく聞きまして、今後の対応等協議してまいりたいということで、今も米軍等に対しましては適切な対応を求めるように働きかけておりまして、今後このような事故が二度と起こらないような対策をしっかりと米軍に申し入れておりますし、日本におきましても、今後、沖縄の問題について、真剣に対応していかなきゃならない問題だと考えております。

照屋委員 事故直後、米軍は、国や県や宜野湾市当局、大学当局の現場への立ち入りを拒否しました。そして、沖縄県警の正式な裁判所からの検証令状に基づく検証の同意すら拒否したんですね。大学にもどかどかっとたくさんの海兵隊員が押しかけて、大学の自治を侵害した。まるで占領軍であります。この国の主権を侵害し、大学の自治を踏みにじった。

 外務大臣、私は、このような米軍の行為は日米地位協定や同合意議事録や刑事特別法にも違反する行為であると思いますが、大臣の所見を伺いたいと思います。

 加えて、外務大臣は、十六日に墜落現場を視察されました。そして墜落現場で、パイロットの操縦技術が上手だったので被害が重大にならなかったと発言されました。このような外務大臣の発言は、物的、精神的に大きな被害を受けた県民感情を無視する非常識な発言だと私は思います。多くの人から私に、照屋さん、あの大臣、何の大臣や、あれは、どこの大臣なんだ、こう言っていますよ。しかもあなたは、事故を機に学生が勉強をサボったりしないようにと発言したようですが、米軍ヘリの墜落の恐怖でいまだ心的障害を訴えている学生もいる中で、私は、極めて不穏当、不謹慎な発言だと思います。大臣の釈明を求めたいと思います。

町村国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、私も、土曜日、現場を見てまいりまして、お写真のとおり壁が黒焦げになり、また木が焼けており、大変な事故が起きたんだなということを改めて痛感いたしましたし、また、これが二度と起きないようないろいろなことをやはりやらなければいけないという思いを強くしたということをまず申し上げておきます。

 第一に、立ち入り制限のお話がございました。多少、時間が限られているところで恐縮ですが、この立ち入り制限につきましては、日米地位協定十七条に関連する合同委員会合意、これは、許可のない者を事故現場の間近に近寄らせないようにするため、日米共同して必要な統制を行うということが決められているわけでございまして、事故後しばらくたって現地の警察と米軍との間で話し合いをいたしまして、事故現場のすぐ間近のところは米軍がやる、事故現場から少し離れたところは沖縄の警察がやるという合意をして、確認をした上で現場の統制を行ったということでありまして、これは別に、日米地位協定合同委員会合意とは何ら反しないものでございます。

 現場検証につきましては、事件直後の十三日から十五日の間に県警がまず見分を行い、さらに、十七日午前からは令状を得まして検証を行ったということでございます。これは、地位協定十七条十の(a)、(b)に関する合意議事録で、米軍機墜落に当たっての事故調査に関しては、米軍機の機体のような米軍財産については原則として米軍自身がこれを行い、日本側当局は米側の同意がない限り検証を行えないという旨を定めているわけでございまして、これにのっとって行ったものということでございます。

 いずれにいたしましても、事故現場における協力のあり方につきましては、現状のままでいいだろうか、運用の改善をするべき点があるだろうかということについては日米間でよく話し合っていこうということで、この委員会ができている、既にその作業を始めているところでございます。

 なお、私の発言について御指摘をいただいたところでございますけれども、よくあの幅の狭いところで、本当に、今先生言われたように、奇跡的にあの場に着陸というか墜落をしたものだということで、もしかしたらこれは技能が上手だったのかなという印象を申し上げたわけでありますが、別にこのことは、何もその操縦士を賛美したり事故を軽視したりということでないことは私の気持ち、考えでございます。

 それから、学生が云々という話は、ややもすると、私も元文部大臣として、学校の中というのはやはり静穏な環境の中で勉学にいそしむ必要があると。ところが、ああいう事故が起きて、いろいろな方々が入ってくる、それはやむを得ないのかもしれないけれども、そういう平穏な状況ができないことによって学生たちが勉強を静かにできなくては困るなということを事務局長さんに問い合わせたという趣旨でございます。

照屋委員 いや、本当に悲しいですね。私は、外務省のガイは加害の害にかえた方がいいと思う。主権が侵害されている、それでもこんな認識だったら、これはもう大きな怒りが起こりますよ。

 総理、私は、基地の再編問題もお聞きするつもりでございましたが、一言だけ言わせてください。

 所信表明演説で、やればできるという精神を強調されました。総理、そうなんです。普天間基地の閉鎖、海外移設もやればできます。日米地位協定の全面改正もやればできるんです。でも、やろうとしなかった、やってこなかった、そのことを強く申し上げて、終わりたいと思います。

甘利委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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