衆議院

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第3号 平成16年10月19日(火曜日)

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平成十六年十月十九日(火曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 渡海紀三朗君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 佐々木秀典君

   理事 島   聡君 理事 田中 慶秋君

   理事 石井 啓一君

      伊吹 文明君    石原 伸晃君

      植竹 繁雄君    尾身 幸次君

      大島 理森君    河村 建夫君

      北村 直人君    小泉 龍司君

      後藤田正純君    佐藤  錬君

      坂本 剛二君    玉沢徳一郎君

      中馬 弘毅君    津島 恭一君

      津島 雄二君    長勢 甚遠君

      西川 京子君    根本  匠君

      萩野 浩基君    二田 孝治君

      村井  仁君    森田  一君

      五十嵐文彦君    石田 勝之君

      市村浩一郎君    岩國 哲人君

      生方 幸夫君    吉良 州司君

      小泉 俊明君    篠原  孝君

      津川 祥吾君    辻   惠君

      中井  洽君    中津川博郷君

      中塚 一宏君    永田 寿康君

      長妻  昭君    原口 一博君

      樋高  剛君    古本伸一郎君

      米澤  隆君    赤羽 一嘉君

      田端 正広君    高木美智代君

      高木 陽介君    佐々木憲昭君

      阿部 知子君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         南野知惠子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   国務大臣

   (産業再生機構担当)   村上誠一郎君

   国務大臣

   (食品安全担当)     棚橋 泰文君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   総務副大臣        今井  宏君

   総務副大臣        山本 公一君

   法務副大臣        滝   実君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   文部科学副大臣      小島 敏男君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   環境副大臣        高野 博師君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   文部科学大臣政務官    小泉 顕雄君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   厚生労働大臣政務官    藤井 基之君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   最高裁判所事務総局民事局長            高橋 利文君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 鈴木 直和君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     佐藤  錬君

  津島 雄二君     津島 恭一君

  福田 康夫君     長勢 甚遠君

  岩國 哲人君     市村浩一郎君

  吉良 州司君     五十嵐文彦君

  樋高  剛君     古本伸一郎君

  坂口  力君     赤羽 一嘉君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     尾身 幸次君

  津島 恭一君     津島 雄二君

  長勢 甚遠君     坂本 剛二君

  五十嵐文彦君     吉良 州司君

  市村浩一郎君     岩國 哲人君

  古本伸一郎君     樋高  剛君

  赤羽 一嘉君     高木美智代君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     福田 康夫君

  高木美智代君     坂口  力君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として金融庁監督局長佐藤隆文君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長大林宏君、厚生労働省大臣官房長鈴木直和君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、厚生労働省健康局長田中慶司君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長外口崇君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、社会保険庁運営部長青柳親房君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、国土交通省大臣官房長峰久幸義君、国土交通省都市・地域整備局長竹歳誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

 郵政公社生田総裁については、ただいま理事間協議中でございます。

    ―――――――――――――

甘利委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局高橋民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。

長勢委員 おはようございます。自民党の長勢甚遠でございます。

 私からは、年金制度を初めとする社会保障制度の今後の方向についてお伺いをさせていただきます。

 前通常国会で成立した年金改革法は、十月一日から施行されました。保険料が上がったりあるいは年金額が下がるということについて、率直に言って、国民の御不満があることは当然のことと言わざるを得ないと思っております。

 しかし、少子高齢化のもとで年金制度を将来にわたり安定したものにすることについては、国民ひとしく願っておられるところでありますし、単に保険料引き上げ反対だとか年金引き下げ反対ということでは済まない事態ということについての認識も一般的となっております。今回の改正が、そういう意味で、百年間は安定的にできるものとしたものであることに理解も深まっていると考えております。

 そうはいいましても、年金制度がわかりにくいとか、あるいは個々には不公平な部分があるとか、あるいは社会保険庁の問題を初め制度運営に問題がある、こういったような不満、不信があることも事実であります。今回の改正を踏まえ、政府においては年金制度の信頼確保のために一層真剣な努力を払われることをまず強く御要請いたしたいと思います。

 その上でお伺いするわけでありますが、年金あるいは社会保障制度がこれからどうなるかということについての国民の関心はますます高くなっております。社会保障制度は、言うまでもなく、国民の生活あるいは企業の経営に直接に大きくかかわっており、その方向によっては、少子化対策も含めこれからの我が国社会のあり方にかかわる問題でありますので、早急に国民合意の形成を目指すことが大きな政治の責任と考えております。

 このような年金あるいは社会保障制度に関する課題として目下大きな焦点となっておるのは、年金の一元化と社会保障制度全体の一体見直しの問題でありますので、この点についてきょうはお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、年金の一元化についてお伺いをいたします。

 民主党からは、年金の一元化が提案されておるわけであります。与党におきましても、すべての国民に公平な年金制度とするための検討は積極的に行われるべきものと考えておるわけでありまして、この問題について、先般の三党合意に基づいて与野党間で積極的に協議をしたいということをしばしば申し上げてきたところであります。

 このような一元化の実現のためには、その実現に不可欠に関連する諸制度の整備が前提とならざるを得ません。また、税制全般のあり方、社会保障制度全体の負担と給付のあり方との整合をとったものでなければならないということも当然だ、これは皆さん理解されているところだと思います。

 先日の本会議における代表質問において、民主党の岡田代表から三項目の提案がございました。これも、このような一元化への実現の道筋を踏まえたものとして、私は評価をいたしたいと思っております。岡田代表からの三項目の実現を視野に置いて、具体的な問題点の解決策を総合的な見地から積極的に検討することが必要であると考えております。

 このように考えておりますが、何か年金の一元化については、政府は極めて消極的であるかのごとく印象づけられておることはまことに残念に思っております。難しい問題があることはよくわかるわけでありますが、それを超えて積極的にこの問題を検討するという姿勢を明確にしていただけないものか、すべきではないかというふうに思うものであります。

 全国民を対象とした年金の一元化については、難しい問題がございますから、検討の結果がどうなるかについて現時点で明確にできないということはやむを得ないところであるとは思いますが、今回の改革により、年金保険料が一五%を超えることとなる二十年までぐらいには結論を得るように最大限に努力する、それくらいの総理の迫力あるメッセージを出していただくわけにはいかないか、出すべきではないかと考えますが、いかがでございますか。

小泉内閣総理大臣 年金一元化についての議論につきましては、さきの国会で、自民、公明、民主、三党で今後検討していくということで合意がなされました。

 今長勢議員御指摘の一元化の問題でございますが、全国民を対象とした年金一元化を実現するためには、その前提となります諸制度の整備が不可欠であるということは、長勢議員御指摘のとおりであります。代表質問においての民主党岡田代表の三項目の提案も含めて、その解決策を具体的に検討していくことが必要であると私も思っております。

 このため、政府において、社会保障の在り方に関する懇談会を設置して議論を進めているところであります。与野党間におきましても、三党合意を踏まえて、できるだけ早く議論を行っていただきたいと考えております。

 この問題について難しい論点があることは御承知のとおりでありますが、先般の年金改正論議においても、年金保険料の上限を一五%程度とすべきという議論もあったところであります。このため、各方面の最大限の努力により、年金保険料が一五%を超えることとなる平成二十年までによい結論を見出したいという考えも理解できるところであります。

 こうした点も含めまして、与野党間でできるだけ早く議論に入っていただければなと考えております。

長勢委員 全国民を対象とした年金の一元化についてはなお議論が必要なことはわかるわけでありますが、その過程といいますか、厚生年金と公務員共済等との不均衡という問題について、国民の不満も大変大きいわけであります。このような被用者年金の一元化については、全国民を対象とした年金の一元化とはまた別の観点から、早急に結論を出してその実現を図ることが必要でありますし、また、可能ではないのかというふうに考えますが、この問題についての総理の御決意をお伺いさせていただきます。

小泉内閣総理大臣 被用者年金の一元化については、これまで、基礎年金制度を導入するとともに、旧三公社、JR、JT、NTT及び農林共済の厚生年金への統合、国家公務員共済と地方公務員共済の財政単位の一元化、これらを順次進めて、被用者年金の統一的な枠組みの形成を図ってきております。

 国民全体を対象とする年金の一元化を展望する上で、まず、被用者年金一元化を図ることが必要と考えておりますが、被用者年金の一元化については、財政調整のあり方、共済の職域加算の取り扱い等の問題がありまして、関係者間の合意形成を図っていくことにはなお真剣な議論が必要でありますが、できるだけ速やかに結論が得られるよう督励してまいりたいと考えております。

長勢委員 被用者年金の一元化について、今総理の御決意を伺ったわけでございますが、この一元化は、従来からも政府の方針であるというふうに伺っております。やる気になれば二、三年で実現できるんじゃないか、このように考えるわけでありますが、厚生労働大臣、財務大臣、総務大臣から、これまで政府の方針を踏まえてどういう取り組みをしてこられて、今後どういう方針でいかれるのかということをお伺いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 今御質問のありました被用者年金の一元化につきましては、平成十三年に閣議決定されたものに基づいて、平成十六年に、いわゆる改正法につきまして、地共済いわゆる地方公務員共済、国家公務員共済の財政単位の一元化、今総理からお話がありましたとおり、財政単位の一元化を決定しておりまして、五年間かけて、平成二十一年をめどとして、段階的に保険料率の一元化を行うことといたしております。

 総務省といたしましては、さきの通常国会で決定をしていただきました公務員共済年金の財政単位の一元化の着実な実行というものを推進してまいる必要があると思っております。

 またさらに、被用者の年金制度の一元化につきましても、公的年金一元化に関する平成十三年三月の閣議決定を踏まえるとともに、今、官房長官を座長として、社会保障の在り方に関する懇談会において、公的年金の一元化の議論や、また、三党合意などにも注意をいたしつつ検討してまいりたいと思っております。

谷垣国務大臣 今麻生大臣からお話がありましたように、平成十三年の閣議決定にのっとって、この間の国会で国共済と地共済の財政単位の一元化の法律ができて、それに取り組んでいるということは麻生大臣の答弁にあったとおりでございます。

 その後の問題は、同じく十三年の閣議決定にありますように、厚生年金との財政単位の一元化を含めて、さらに財政単位を拡大していく、あるいは費用負担を平準化するというようなことをいろいろ考えていかなければならないと思っております。

 なお、三党合意にありますように、社会保障制度全体の一体的見直しの中でどう考えていくかという問題もあわせて視野に置かなければいけないと考えております。

尾辻国務大臣 この問題につきましては、「二十一世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐ。」ということにされております。総理の御答弁もございました。こうした方針を踏まえまして、御指摘のとおりに、できるだけ早急に結論が得られるよう、関係各省と協力しながら全力で取り組んでまいります。

長勢委員 十三年の閣議決定は存じ上げておりますが、その後、昨今、年金あるいは社会保障をめぐる国民の強い問題意識が高まっておるわけでありますから、ぜひ、その閣議決定を盾にするようなことなく、前向きに、前倒しで早急に結論を出すように最大限の努力をよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、社会保障制度全体の一体的見直しについてお伺いをいたしたいと思います。

 これからの少子高齢化の進展に対して、国民のより深刻な不安は、今は年金がやかましいわけでありますが、年金のみならず、医療、介護、社会福祉という社会保障制度全体がこれからどうなるんだろうかということであります。社会保障制度全体の一体見直しが、こういう意味で緊急の課題となっておると考えております。

 社会保障制度全体の一体見直しと年金の一元化は、関連する問題ではございますけれども、問題の次元を異にするものであります。年金の一元化と並行して、社会保障制度全体の一体見直しの議論に精力的に取り組むべきであるということをまず要請したいと思います。

 これまで、社会保障制度改革というのは、健保法、あるいは今回の年金法、さらに来年は介護保険法、さらに再来年は医療保険といったように、個々に順次改革を進めていくということでやってまいりました。

 しかし、それぞれの議論はやむを得ないものとしても、その結果生じてくる負担増というものを積み上げた場合には、全体として、家計やあるいは企業の経営に、企業の会計がどういうことになるんだということに国民が不安を感じておるわけであります。全体としての負担、給付がどうなるかの方向が不明確なままで個別の制度の議論をすることに大きな不安を感じておるというふうに感じられます。

 こういうことから、先般の国会において、年金法改正案の修正が行われたわけであります。すなわち、政府は、社会保障制度全般について、保険料、税などの負担のあり方、給付のあり方について一体的な検討を行い、必要な措置を講ずることとされたわけであります。ぜひ、社会保障制度改革の前提として、この一体見直しを早急に進めていただきたいとお願いいたします。

 このように社会保障制度全体の一体見直しが必要なのは、現在の社会保障制度について国民が何らかの不安あるいは不信というものを感じつつある、持ちつつあるということからだと思います。このような議論は、一体見直しをすれば当然に、社会保障制度というものはどうあるべきかということを、つまり、全体としての社会保障制度改革の理念というものを議論せざるを得ないと思います。

 我が国は、福祉国家の実現を目指して、今日まで社会保障に関する公的制度を質量ともに拡大の一途を進めてまいりました。しかし、その結果、今や、社会保障、社会福祉に関する公的制度は、それなしでは家族や地域などの生活基盤も維持できないという、不可欠なものになっておるわけでありまして、さらなる充実というものも要望されているわけであります。

 しかし、今日に至って、これまでやってきたことをこのままさらに続けていけるのだろうか、あるいは続けることでいい社会になるのであろうかという、明確ではありませんけれども、そこはかとない疑念が国民の間に深まっているというふうに思われます。

 それは一つは、少子高齢化の中で、将来にわたり、さらに公的制度の拡大に伴う負担の増大に国民や企業は耐えられるんだろうか、あるいは現行の給付の水準は維持できるんだろうか。すなわち、今までと同じようにやっておると公的制度の破綻は避けられないのではないかという、制度の将来に対する不安を感じつつあります。

 もう一つは、社会保障、社会福祉の拡大によって、結果として、国民の生活全般が国の社会保障、社会福祉に関する公的制度に依存するという傾向を生じております。このような社会というものが我が国の目指すべき社会として適切なんだろうかという、社会のあり方に関する疑念であります。家族や地域社会の崩壊、あるいは少子化の進展、治安の低下、種々の社会問題の発生というものがこの疑念を深めているというふうに私は思います。

 このように考えますと、今や我が国の社会保障制度は大きな岐路に立っておる、社会保障制度のあり方を新たな観点から見直して、将来に向けての新たな方向づけを迫られていると思います。

 こういうことを今後議論していかなければならないと思うわけでありますが、ぜひ総理においてもこういう問題についてきちんと懇談会等で議論していただくようにしていただきたいと思うわけでありますが、総理の所見をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 年金一元化の問題につきましても、今までの御指摘のとおり、これは相当時間のかかる問題でありますが、来年は介護保険制度、再来年は医療保険制度、これも改革していかなきゃならない問題でありますし、社会保障全体という観点から取り上げますと、これは生活保護等の問題もかかわってまいります。

 そういう点から、今、官房長官のもとに社会保障の在り方に関する懇談会を設置しまして、社会保障全体の給付と負担、これをどうしていくか、税制と絡む大きな問題でありますので、今まで言われてきた御指摘も踏まえて、国民的な合意を得るようにしていかなきゃならない。だからこそ、経営側と組合の連合側も一緒にこの協議に参加していきたいということで今政府で議論を進めております。

 国会の場におきましても、与野党の立場はそれぞれあると思いますが、胸襟を開いて協議を進めていく場をできるだけ早く設けていく方がいいのではないかと私は思っております。

長勢委員 終わります。

甘利委員長 これにて長勢君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょう与えられた時間は十分ですので、十分三本勝負で手際よくやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、ASEAN諸国とのFTAについて御質問させていただきます。

 日本はまさに自由貿易体制の中でこの戦後の経済繁栄を築いてきたわけでありますし、アジア諸国との平和的な共栄共存を目指すという観点でも、また日本とASEAN諸国は相互補完にあるというような状況でも、私は、中長期的な国益をかんがみれば、このFTAは早期に締結をするということは大変大事だというふうに認識をしております。

 公明党の中でも、北側国土交通大臣が政調会長時代に中心となられまして、FTAの推進プロジェクトチームをつくらせていただきました。

 今、フィリピン、タイ、韓国、マレーシア等々との交渉が進んでおりますが、なかなか最後の難しいハードルを越えにくいというような状況の中で、実は、中川経済産業大臣の御配慮をいただきまして、十月上旬にフィリピンとタイに出張してまいりまして、FTAの相手国の責任者とも率直な意見交換をしてまいりました。

 いろいろなところがあるわけでありますけれども、フィリピンとかタイにしても、それぞれ共通して言えるのは、日本に対して、例えば機械とか鉄鋼とか電気製品、自動車製品についての関税を撤廃するというのは大変なリスクがある、脅威だ、我が国は日本の百分の一の経済力しかない、しかし、それを開いてでもやはり中長期的には我が国にとっても大きな利益があると確信していると。GDPも、タイでは約二割ぐらいアップするんじゃないかというふうに見込まれていますし、日本も、ASEANとのFTAを締結することによって、GDP約二兆円のアップが見込まれるというふうな数値も出ているようでございます。

 そういった中で、どうも、交渉を続けていると、総論は賛成、しかし各論は反対、やはり省益を守らなければいけないという傾向がないとは言えないのではないか。

 タイでもフィリピンでも出た象徴的な話、これは総理の御感想も聞きたいんですが、日本で生産をしていないバナナの対日輸出がだめだと言われている、日本は。それはなぜかと理由を聞くと、バナナを輸入すると日本のリンゴとミカンの消費に影響するからだと。しかし、これは私、交渉の場にいて若干やはり恥ずかしさを感じる。こういうことを言っていては、総理がせっかくFTAを推進しようと言われていても、結局この交渉は煮詰まっていかないんじゃないか。本当に日本はやる気があるのか、こういう厳しい意見も開陳する相手国の責任者もおられました。

 ですから、この点について、私は、どうも今の、各省庁が実務者で詰めるというのは大事なんですけれども、このままでは最終的にはどうしてもまとまらないのではないか。やはり最後は政治的なリーダーシップで、これは中長期的な国益という観点で、必ずこれをまとめるというふうにしなければいけない。

 私は、日本の農業がそのまま放置されるのがいいとは言わないんです。日本の農業はやはり強くならなければいけないし、日本の優秀な農産品も輸出されるべきだ。しかし、日本の農業は関税で守られるべきではない。本質的な体質強化で強くなるべきだというふうに思いますので、どうか先ほどのバナナ論争についての御感想と、日本のこれからのASEAN諸国とのFTAの交渉締結に対する意義と、それに臨む総理としての御決意を伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 各国とのFTA交渉、それぞれ抱えている産業、これを考えると、双方ともFTAを締結してマイナスになる点とプラスになる点があると思います。しかし、全体で考えればこのFTA締結は関係両国にとってプラスになるという観点から、今進めていきたいと思っているんです。

 今、バナナの点、これはもう、かつて日本、何でも果物を輸入するとほかの果物に影響すると、根強かったわけです。今でも若干あります。しかし、最近では、サクランボの例をとるまでもなく、外国から入ってきたら日本のサクランボはやっていられないどころじゃない、むしろ外国のサクランボに比べれば日本のサクランボの方がはるかにおいしいというのがわかってきて、改めて日本の果物のおいしさ、また品種改良、技術水準の高さが認められているところでもございます。

 果物だけではありません。中川経済産業大臣の地元北海道では長芋までが輸出されているということでありますし、青森のリンゴは何と千五百円から二千円で北京で買われている。そしてイチゴは、一箱じゃない、一粒、日本のイチゴは上海では三百円で売られているということであります。

 そういうことを考えると、輸入を阻止するということじゃなくて、日本も、かつて農産物は全部輸入ばかりだったのを、輸出できるんだ、安いものが入ってきても、高いものでもおいしければ売れるというのがだんだんわかってきたんですね。こういう点も考えて、私は、FTAというものを進めていくべきだ。

 ただ、どうしても守らなきゃならないものもあります。さきの、先週のアジアとヨーロッパの会合で、私はタイのタクシン首相と会談しました。そうしたら、向こうは米の問題を言ってきましたけれども、全部やらなきゃいけないんじゃない、WTOの規定でも九〇%程度でいいんじゃないか、それじゃ、米は例外とするが、ほかのことは一括でやろうということで、向こうも納得しました。

 そういう点で、話せばわかる点もあるんです。そして、お互い利益のためにこのFTA締結を促進していこうじゃないかと思っております。

赤羽委員 ぜひ、政治的な強いリーダーシップで、早期締結をよろしくお願いいたします。

 次に、ダイエーの再建問題について伺いたいと思います。

 端的に聞きますが、ダイエーは産業再生機構にゆだねられる、この再建が。私、一番心配しているのは、私、神戸なものですから、ダイエーが地元の商店街と一緒になってショッピングモールをつくっている、こういう体制が物すごくあるんです。区分所有のスタイルもあるしテナント制もある。ダイエーがもし大変なことになると、商店街だけじゃなくて、地域の経済、町づくり自体が全部だめになる。これは大変大きな懸念となっておりますので、このことについて、ぜひともその辺の配慮をしながら、単なる企業再生という観点じゃない行政指導をよろしくお願いしたいと思います。

中川国務大臣 私も、神戸に行きますと、本当にダイエーについて地元の御関心が強いということを実感しております。

 一般論といたしましても、ダイエーは、従業員がパートを含めて七万七千人、それから取引業者というか企業が六千社という非常に幅広いところでございますから、単に効率性のみの再生ということになりますと、委員御指摘のような、地域に対しても大きな影響が発生する。我々はそれを目的とするものではないわけでございますので、今、産業再生機構で事業再生計画の検討中という段階に入りましたけれども、十分その辺も再生機構が配慮をしてもらうように期待をします。

 なお、私も主務大臣として意見を言う立場にありますので、今の御意見を十分踏まえて対応したいと思っております。

赤羽委員 最後に、町づくりのことについて北側大臣に伺いたいと思いますが、いわゆる町づくり三法が制定されて六年たちました。しかし、この町づくり三法が当初期待していた効果がなかったというのは、この九月十五日に総務大臣から各省庁に出された勧告を見ても明らかでございます。

 大店舗ができる、そして地元の商店街がつぶれる。大店舗は売り上げがないので撤退する、そして生活に不可欠な商店街が全くなくなってしまう。結局、車を運転できない人は生きていけなくなるようなこんなスタイルは、これからの高齢社会の日本において、やはり考えなければいけない。

 ヨーロッパ各地では、それなりの規制がされて、非常に快適で住みやすい、歩いて暮らせる町づくり、これは我が党も提唱しておりますが、こういったものができていると思います。町づくり三法の見直しも含めて、これからの歩いて暮らせる町づくり、広域的な観点からの調整機能の強化といった点も配慮した町づくりをぜひ進めていっていただきたいと思いますので、御答弁をよろしくお願いします。

甘利委員長 北側国交大臣、時間が来ておりますので、簡潔に答弁をお願いします。

北側国務大臣 簡単にさせていただきますが、大変重要な問題だというふうに認識をしております。

 地域の再生という観点、またこれから本格的な高齢社会が到来するという観点から考えても、この中心市街地の活性化、また、歩いて暮らせる町づくりをどう進めていくかというのは極めて重要な課題である。今御指摘のございました町づくり三法につきましても、制定から六年たちました。しっかり検証いたしまして、その見直しを検討してまいりたいと思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

甘利委員長 これにて赤羽君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 五十嵐文彦でございます。民主党の次の内閣の総務大臣という役職を仰せつかっております。

 全閣僚においでをいただきましたけれども、所管が、私がきょう御質問する分野が、国と地方の役割分担、そして財投ということでございますので、これは全大臣に関係があるということでお越しをいただきました。事前に通告をいたしていない方にも、目が合ったら質問するかもしれませんので、お許しをいただきたいと思います。

 まず、私の時間、四十五分でございますので、簡潔にお答えをいただきたいんですが、三位一体改革について御質問をいたします。

 補助金、国庫負担金、そして交付金、税源移譲、これを一体的に改革するというのが三位一体。本来ならば、これはキリスト教の言葉で、父なる神とイエス・キリストとそして聖霊とは三位一体、実は一つのものだというところから三位一体という言葉になるわけでありますけれども、仏教でいうと真如一如ということになるのかもしれませんが、もとが税金ということで三位一体というお言葉を使ったのかなと思うんですが、少しおかしいなと思う点もございます。

 権限移譲というのは非常に大事なんですね。この今の地方制度というのは、お父さんである中央政府が子供たちに、勝手に稼ぐな、それから勝手に借金をするなと言って枠を非常に厳しくはめています。しかし、それでは栄養が足りないというので、稼ぎの足りない子には、交付税という形でお小遣いを上げる、同時に、副食費でしょうか、栄養が足りない分を補助金、国庫負担金という形で現物支給するというのが今の仕組みだと思うんですね。

 もともと、地域のことは地域で、地域に、自分たちの裁量で稼いでください、そのかわり、経営に失敗したら、これは破産もありますよ、そういう自己責任のある世界に変えていきましょうというのが私どもが目指す地方分権でございます。

 そして、これは、とりあえずの改革ではいけないので、全体像を示した上で、せめて二挙動で、私どもは、十八兆円の補助金、負担金を、五・五兆円は最初から大幅な税源移譲で、残りの十二・五兆円も、これは一括交付金という形で、なるべく自由度を奪わない、そうした形で分野別に提供するという思い切った改革案を提案いたしております。

 これは、私は地方も望んでいることだろうと思います。その証拠に、六団体の案では、九兆円と八兆円というレベルのかなり大規模な税源移譲と国庫補助金等の整理を提案されています。

 これは、地方六団体においては、第二期改革、十九年度から二十一年度までということになっておりますけれども、この全体像がなければ不安でしようがない。ずっと毎年自分たちの自由になるお金が少なくなり続ける、この心配を解消するためには全体像を示してほしいということを地方側も強く要望されているわけであります。

 この地方分権の全体像を示す、ビジョンを示す、目標を示すということについて総理のお考えを伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 目標は、補助金、税源、交付税、これをより地方が自主的に使えるような方向で改革していこう。いわゆる地方の役割、国の役割、こういうものについてしっかりと見きわめながら地方の裁量権を拡大していこうというのが、この補助金、税源、そして交付税、いわゆる三位一体の改革の趣旨でございます。

 そこで、今年度には補助金一兆円削減いたしましたが、十七、十八年度で、約三兆円の補助金を削減する、そして税源も移譲する、そして交付税、この財政調整という改革も進めるということでありますが、十九年度以降については、この十七、十八年度の成果を見きわめて判断した方がいいのではないか、そう思っております。

 いずれにしても、この理念というものは、地方により自主的な裁量権を渡していこう、国の役割、地方の役割をよく見直していこう、そういうことが地方にできることは地方ににつながっていくのではないかということで、今後の改革で生かされるようにしていきたいと思っております。

五十嵐委員 とにかく方向性がいいんだからとりあえずやってみて、あとは二年やった後で考えましょうというのが総理のお考えだというふうに伺うわけですが、全体像を示して、どこまでが国がやるべきことで、どこまでが地方がやるべきことなのかというのをまず理念的に切り分けて示すというのが本来の姿なんだろうと思います。

 先ほど副食費と言いましたけれども、国庫負担金、補助金といっても、一くくりに言って、主食に近い話から、そうではなくて、選択的に、まんじゅうでいえば、肉まんもあれば、ピザまんもあれば、あんまんもあるというような形に、地方が選べる形にするものもあれば、主食に近いものもある。これをやはり同じに扱うわけにはいかないし、私どもは、全体的に、最終的に、主食に近いものも、あるいは主食そのものも地方に移していいと思っているんですけれども、その途中の段階でとりあえずやると、いろいろな混乱が起きるわけでございます。

 切りようがない部分を先によこされても、今度は自由度が大きいものが小さくなってしまう。そこで、裏負担分がなくて、本当にやりたい事業がやれなくなるということが起きるわけであります。だから、全体像を先に示して、一挙動か二挙動で一挙に大胆な改革をやってほしいというのが地方だと思うんですね。

 この地方六団体の十七、十八年度改革案、これには、中学校の先生の人件費、義務教育費国庫負担金の部分が入っているわけですが、これについて文部科学大臣はどのように評価をされますか。

中山国務大臣 地方公共六団体から提案されました改革案につきましては、総理から、真摯に受けとめて見直しを行うようにという指示がございました。また、官房長官からは、十月の二十八日までにその検討結果を提出するようにという指示を受けておるところでございます。重く受けとめまして今検討をしておるところでございます。

 義務教育費国庫負担金を初め、地方六団体の改革案において廃止対象とされました文部科学省関係の国庫補助金、負担金につきましては、憲法の保障する教育の機会均等、教育水準の維持向上を図る観点から極めて重要な施策だと考えております。

 いずれにしましても、指示いただいております二十八日までに十分検討してお答えしたい、こう思っております。

五十嵐委員 中山文部科学大臣は、十月十二日の国と地方の協議の場において、教育問題は三位一体よりも上位の問題であるんだ、それから、地方六団体の提案は受け入れることは困難なんだという発言をされているんですが、そうすると、この言葉は現時点では撤回をされているということですか。

中山国務大臣 十二日の記者会見で申し上げましたが、先ほど申し上げましたように、この義務教育費国庫負担制度というのは憲法の保障する極めて重要なものと考えておりまして、そういうことも踏まえまして、先ほどから話がありますように、国と地方の役割をどのように考えるか、そういった観点から検討してまいっているところでございます。

五十嵐委員 基本的に、地方に任せたら信用ならぬから地方には任せられないんだというお考えがあれには見えるわけですね。協議の場での大臣の発言みんな私は持っているわけですから、そのほかのこともわかるわけですよ。これは基本的な問題ですから。そういうお考えを今も持っているのか。

 私は、地方に任せてもいいんだけれども、ただ、教育全体への投資というのは極めて大事だから、教育への総体的な額の確保というものは必要だ、こう思っているわけですが、どういうお立場で今文部省案をおつくりになろうとしているのか、もう少し明確にお答えをいただきたいと思います。

中山国務大臣 すべてこれ地方に任せていいのか、やはり、国としてどういう日本人をつくっていくんだ、そういう基本があってこそ、地方もまたその中でいろいろと創意工夫をしながら教育に当たってもらうということだろうと思うわけでございます。先ほど話がありますように、要するに、国の役割、地方の役割ということを十分に考えた上で、この義務教育費国庫負担制度を本当にやめていいのかどうかということも含めて検討しているということでございます。

五十嵐委員 そこがもっと先に徹底的に来なきゃいけないんですよ。そういう工夫をしながらって、どこかごまかせるところがあったらごまかせないかというふうに聞こえるわけですね。

 そうじゃなくて、本来、これはどこまで国がやるべきこと、国が口を出すべきことなのか、そうではないのかというのをきちんと線引きをしてから、地方と国とのお金のやりとりについても、その結果として来るべきものではないんでしょうか。そうではなくて、どこまで任せていいのかわからないからそこのところを工夫してというのは、それは明確な回答とは言いがたいわけです。

 次に、厚生労働大臣についても同様にお伺いをいたしたいと思います。

 六団体案についてどのようにお考えなんでしょうか。

尾辻国務大臣 我が国の社会保障制度につきましては、お話しのとおりに、国と地方が協力、分担しながら実施をしてまいりました。今、急速な少子高齢化が進む中で、ますます国と地方が連携していくことが必要だと私は考えております。

 そこで、今般、地方六団体から国庫補助負担金の廃止リストが示されたところでございますが、その中には、今後国家的事業として急速に社会サービスを整備しなくてはならない分野などもございまして、私どもがそう考えておる分野についても国庫補助負担金を廃止することとしてございますなど、さまざまな問題があるのではないかと考えておるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、サービスを受ける国民の自立をキーワードに、国と地方が協力し連携していく中で、地方の権限を拡大することとあわせて、国民健康保険、生活保護、児童扶養手当の国庫負担の見直しを中心に代替案の方針をお示ししたところでございまして、今後とも関係者と議論を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。

五十嵐委員 きちんとした内閣全体としての仕分けが終了していない、そこで、地方にやってもらって、いわば下請をしてもらって、地方とすり合わせる、こういうことが今行われているわけですね。これはやはり本来の姿ではないんだと思います。

 もっとじっくりと協議をして、やるときは一気呵成に、先ほど、おまえのところの案はどうなんだと、私どもの案はしっかり示していますよ。全体的に一括交付金で、その額については、例えば、教育が大事だから教育については重視をするけれども、それは自由に地方に設計をしていただく、設計分野まである程度任せるということでなければならないということを我々は示しているわけですね。

 国交大臣にもお伺いをしたいと思うんですが、公共事業国庫負担金は、財源が建設国債なので税源移譲できないという議論が政府部内にあるやに聞いております。しかし、国債の償還金は、これは当然税でやるわけですし、赤字国債だって同じことですから、それを理由に税源移譲ができないということにはならないと思うわけです。

 この公共事業の補助金、国庫負担金の移譲についてどのようにお考えになるか、端的にお答えをいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 建設国債で行っている公共関係の補助金ですが、まず、ここの分野は、引き続きスリム化をしなきゃならないという大きな前提がある中で、今おっしゃったように建設国債を財源としているわけで、将来税で賄えるはずだと言うけれども、それは将来の世代を当てにしているわけでございまして、移譲すべき税源がないと考えなきゃいかぬと思っております。

 それから、受益が長期にわたりますので、それで将来世代も含めた費用負担という形になっているわけですが、こういう財政の厳しいときにそれを先取りしてやってしまうというのはいかがか。地方においても起債によって財源調達がなされている、こういうようなことから、私は、これは地方に税源移譲する財源としては適当ではない、むしろ財源がないと言うべきだというふうに考えております。

 なお、地方の単独投資事業については、地方財政計画上、実際の執行額よりも大幅に上回る財源手当てがなされておりますので、必要があれば、その削減した公共投資関係の補助事業を単独事業として執行する余地がある、私はそのように考えております。

五十嵐委員 要するに、借金に頼った中でとりあえず改革しようと、とりあえず改革というのがあるものですからそういうような御答弁になるんだと思うし、そういう苦しい答弁をせざるを得なくなっているんだろうと思うんです。

 だって、本来、将来の税ですから、借金でやるといったって、将来の税の先食いなんですから、本来は、税の先食い分自体を極小化すべきでありまして、これは、借金をどんどんしていれば地方に回さなくていいんだという理屈になりかねないので、これは承服しがたいと私は思います。

 概算要求と地方六団体の案とは、私は現時点で矛盾していると思う。もちろん時間的な問題もありますから、地方六団体要求がしっかりした形をとってきたのは八月末の概算要求より後だと思いますので当然のこととは思いますけれども、各省折衝を財務大臣がする上で、今までの各省要求ベースの折衝をするのか、それとも、六団体の案をむしろ中心的に置いて各省と折衝をするのか。そういう折衝の姿勢、もう始まっていると思いますが、伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 基本的な姿勢はまず二つでございまして、一つは、総理の御指示にあるように、地方の改革案を真摯に受けとめて、改革案の実現に向けて取り組むというのが大前提にあるわけであります。

 その上で、官房長官から御指示が出ておりまして、補助事業の所管官庁で地方改革案を実現することを前提として検討せよ、そして、仮にそれに反対である、意見がある場合であっても、その理由を明らかにしながら代替案を出せ、こういうことになっておりまして、今、国と地方の協議の場等で議論が行われているわけですが、十月の二十八日までに、そのような官房長官の指示に基づいた検討結果が示されることになっております。

 今委員のおっしゃいました、概算要求と地方の要求との間に若干矛盾があるではないかと。現時点では確かにそこは整理されていないわけでありますが、今のような方針で査定に臨みたいと思っております。

 そして、特に財務省としては、どのような具体案が取りまとめられるのか、現時点で確たることは申し上げられないんですが、納税者の視点に立った場合には、不要不急なもの、むだなものは廃止する、スリム化する、そのような観点が、廃止縮減といった観点が重要だと思っておりまして、そういう観点を踏まえながら、十一月半ばの全体像の取りまとめに向けて汗をかいて、その後、十七年度予算ということで臨みたいと思っております。

五十嵐委員 もう一度伺いますけれども、そうすると、地方六団体案と、それから各省の代替案が出た場合、代替案との行司はどなたがなさるんですか、判定は。

谷垣国務大臣 これは、官房長官を座長に、私、それから総務大臣、それからそれぞれの補助金の担当大臣、こういう形で詰めていくことになると思います。

五十嵐委員 そうすると、関係大臣が協議をしてということになると、これは各省の巻き返しというのがかなりあり得るなというふうに思いました。地方団体がむしろ苦しい中から出してきた案というものが、何か役所のメンツやあるいは権限を守ろうとする姿勢によって変わってくる可能性があるんだなというのを今感じた次第でございます。

 それで、問題点が幾つかありますが、所得税三兆円を移譲することになっていますが、その三兆円の中の三二%はもともと交付税のもとであります。そうすると、三兆円というけれども、一兆円近くは、実は交付税の方が減ってしまうということになるわけですね。ですから、一兆円分の手当て不足というのは当然出てくるわけで、何らかの形で、しかも長期的で安定的な税源でこれを手当てしてもらわなければ、地方は一方的に損をするということになるわけであります。

 これについて、総務大臣はお知恵があるんでしょうか。

麻生国務大臣 知恵はありませんけれども、いい質問だと、私も知恵のないなりに今なるほどと思って感心して聞いていました。

 おっしゃったように、法律で、地方交付税は、いわゆる国税五税という、酒税とか法人税とかいろいろございますが、この五税を、うち三二%というものは地方税ということになっておりますので、五十嵐先生御指摘のとおり、九千六百億円のものが地方税からマイナスになるということではないかという御指摘なんだと存じます。

 その補てんの処置につきましては、これは地方交付税の処置にのっとって当然に埋めなきゃいかぬということなんであって、そういったものを考えながら、その点をいかに補てんするかということにつきまして、細目こうするとかああするとかいうことを言っているわけではございませんが、過日の骨太方針二〇〇四の中にもその点については書き込んでありますので、時間がございますれば細目説明させていただいてもよろしゅうございますけれども、時間の関係もありますので失礼いたします。

五十嵐委員 本来、基準財政需要額から収入額を引いて、足りない分を交付税で渡すという形、足りなかったら本当は交付税率を上げなきゃいけないわけですね。交付税制度を守っていくのかどうか、守れるのかどうかというのも大変重要な問題です。

 財務大臣は、前の財務大臣のころから、財務省としては、交付税は国の支出の中でも大きい分野なので、ここを削れないとスリム化できないということで交付税の削減方針というのを持ってきていると私は思うんですね。

 一方で、それでは困るというのが総務省さんの立場だと思うんです。この交付税の削減方針、それでは、それにかわる財政調整措置、体力の小さい自治体についてはどういう面倒を見るのかという、交付税制度をこのまま工夫して持っていくのか、それとも新たな交付税制度というか、それにかわる制度をつくろうとするのかという肝心なところも、この大改革をするんだったら、はっきりしてからでないと地方は安心できないと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 たびたび褒めるのも何かと思いますけれども、まことにごもっともな御指摘なんだと存じます。

 基本的には、今五十嵐先生言われましたように、短期的なものと中期的なものと二つ分けなきゃいかぬ。だから、先ほどの御質問と同じで全体像というお話になるんだと思いますが、中期的な観点に立てば、これは行政サービスの中で、その水準、いわゆる地方でやる分、国でやる分の水準と国民負担とのあり方について議論をしなくちゃいかぬのではないかということが一番おっしゃりたいところなんだと思います。

 財源不足というものが起き始めております昭和六十年代以降からこの問題は次第に顕著になってきたと思っておりますけれども、いわゆる中期的には、地方と国との法定税率等々のバランスを考えるとか、いろいろなことを考えないと、これはセットし直さない限りはなかなかうまくいかないのは確か、もう御存じのところであります。これは、国の関与を廃止するとか縮減するとかということになりますと、それに伴いまして交付税の算定のやり方をもっと簡素化するとか、いろいろなやり方もまた考えられるんだと思いますけれども。

 いずれにしても、交付税というのは、こうなるとかああなるとか心配して、毎年年末になると大勢の首長さん方が中央官庁等々に足を運ばれる経費を考えてみても、これは安心してきちんとしたものが出るようになりさえすれば、その分だけがたんと時間も経費も随分下がることになろうと思いますので、そういったものも考えておかなきゃいかぬと思います。

 少なくとも、そういったものが、今の比率でいきますと、かなりの数の人たちが毎年毎年上ってこられることになっておられますので、その人たちの数を、これはどう考えても、今、市町村の人口割合でいきましても、現在で不交付団体というのはたった一七%しかありませんので、そういった意味では、ここらのところは、人口比で見ても三割ぐらい、今の一七が三三ぐらいのところまでには上げなきゃいかぬ。そういう意味で、中期的なものを別に考えるのは大変大事なところだと思っております。

五十嵐委員 要するに、かなりしっかりとした案をつくってからでないとなかなか、方向性がいいからといって、ただ移譲すればいい、ちょびちょびやればいいというものではないということを指摘させていただきたいと思うんです。人口と面積を基準にした新たな財政調整制度をつくらざるを得ないんだろうと私は思っております。

 そこで、総理に一言だけ短く。十九年度以降も本格的な税源移譲、地方分権というのをやるおつもりがあるかどうか、もう一度だけお伺いをしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 ようやくこの三位一体の改革をやろうという機運が出てきたんです。補助金難しい、税源移譲難しい、交付税難しい。難しいのを一緒にやろうという機運が出てきて、地方団体も議論を重ねて、賛否両論ある中ようやくまとめて提言を出してきた。そして、これから具体的な、個別的な作業に入っていくわけであります。

 そうすると、十七、十八年度でこういう姿かな、これを拡大していくにはあとどうしたらいいかという方向がさらに進んでいくことを期待しております。

五十嵐委員 期待するのではなくて、積極的に計画を立ててやっていただきたい。そして、一遍にやらないと、義務的経費だけ先にやれば、それは地方は自由なお金が少なくなって苦しくなるのは当たり前であります。ぜひきちんと考えていただきたいということで、この問題は終わらせていただきたいと思います。

 次に、郵政改革に移らせていただきます。

 私は、このサイズの問題、そして健全な競争という観点を重視しないと大変なことになるな、民営化すれば、要するに株式会社化すればすべてがハッピーになるなんということはあり得ない、こう思っております。

 民営化しても、株式会社化しても、例えば財投債も国債も地方債もそのまま危ないから買い続けてもらうんだということになれば、同じことなんですね。あるいは、二十七万人の公社職員、そして十一万人のゆうメイト、これが国家公務員から非公務員化された、それで縮小かというと、国民にとってはほとんどそれだけでは何の関係もない、今税金をそのまま食べているわけではないわけですから。そういうことになってしまうわけであります。

 必ずしも民営化が悪いというわけでは当然ない。民営化も私は十分手段の一つとしてとるべき方法だと思いますけれども、それだけですべてが解決するわけではない。

 今の時代は大変厳しい時代ですから、単純にいい悪い、これが決まるわけではない。条件があって、この条件をクリアすればいい改革だけれども、クリアできなければ逆に大きなリスクや問題を抱え込むというのもいっぱいあるわけですね。そこで、そういう観点を一つ一つ詰めていかなきゃいけないのに、ただ自分に反対する人は抵抗勢力だ、悪いんだというのでは、話が進まないと思うんです。

 特に、何度も言われておりますけれども、郵貯、簡保の世界というのは、合計三百五十兆円、これはウルトラマンなんですね。ウルトラマンを人間に変身させようというわけですが、ウルトラマンのサイズのまま、身長四十メートル、体重何万トンというんですが、そのまま人間になられても困るわけでありまして、適正な競争ができない、健全な競争ができないということになってくるわけであります。

 その健全な競争をどう担保するか、そこの観点が極めて乏しい形で方針が組まれているというふうに思いますが、地域独占や寡占の弊害にも結びつきかねない。あるいは金融排斥という問題もあります。地方で自分の決済口座が持てない人が出てくる可能性がある。そういうことも考えたら、このサイズの問題を無視して民営化というのは、いきなりはできないはずなんでありますが、これについてどういうお考えで設計をされたのか。竹中さん、顔が合いましたから、竹中大臣に伺いたいと思います。

竹中国務大臣 国民のためによい、国民のためになる民営化でなければいけない、これは全くそのとおりであろうと思います。そうした観点から、今般の基本方針の中には、留意すべき基本的な視点というのを明確に書いております。

 一つは、やはり、言われたように、イコールフッティング、経営の自由化、自由な経営を保障しながら、一方でコインの両面としてそのイコールフッティングを実現する。さらには、リスク遮断を実現する。そうした意味で、委員が言われる、健全な競争を実現するということは、大変重要なことであると思っております。

 お尋ねの、サイズの問題でありますけれども、これは御承知のように、政府保証のついた旧債務については別に管理するという形をとっております。これは、例えば定額預金、郵貯に関して言えば、十年でゼロになるということを意味しております。そして、新しい、政府保証のつかない新預金については、これはまさに健全な民間の経営、ALMの中で、運用できるんだったら集めていただいたら結構だし、運用できないのであれば、集めるということは適切なことではない。そうした市場の競争とそして適切な経営判断の中でまさに最適な規模が実現されていく、そのように考えております。

五十嵐委員 余りにも楽観的だと思うんですね。

 郵便局の人が来て、お願いだから簡保に入ってください、郵貯を積んでくださいと言うからみんな出すんですよ。これは、暗黙の政府保証が、民営化しても、あるいは形だけ勘定を別にしても、私は続くと思います。暗黙の政府保証が続いていく、あるいは大きいから大丈夫だと思うと。

 もう既に、りそなは一時国有化されずに救われ、足利銀行は小さいから国有化されるという問題が起きているわけですから、これは、ツービッグ・ツーフェールの法則が国民の間にも浸透している。そうすると、サイズを縮小するというのは、実際には、公が、官がグリップしている間に縮小しなきゃなかなか縮小できないんだろうと思っております。ですから、サイズの問題を解決しなきゃいけない。

 三百五十兆円もの運用のマーケットが本当にあるんですか。新しい事業、新しい会社をやるときはマーケティングをやるわけでしょう。三百五十兆円分の民間での運用というものは、本当にそれができるのか。これは金融をやる人なら、今でも貸し先がないと言っている金融機関はいっぱいあるわけですから、これはあるわけがないだろうというふうに思うんですが、そこについてはどういうふうに思っているんでしょうか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、旧債務については、定額預金に関しては十年でゼロになるわけです。それでもって、それが規模が大き過ぎるとかというような判断は、私はやはり適切ではないと思います。

 委員が言われたように、政府がグリップしている間に小さくしておけと。私たちはそのようには考えません。政府が適正サイズを決めて、それを押しつけるというのは、これは社会主義的な考え方だと私は思います。

 これは、先ほど言いましたように、適正なALMの中で、マーケットの中で決めていくんです。市場が最適なサイズを決めるんです。まさに、言われたように、三百五十兆円運用できるのかと言われた。運用できると思えば集めればいい、運用できないと思えば集めない、これが当然のことながら金融機関としての適正なALMであります。そういう形で、市場と適正な経営の中で最適規模を実現していくというのが基本的な考え方でございます。

五十嵐委員 いや、聞き捨てならないことを言いました。

 それだったら、今、一千万円という限度額があるわけですよ。これは、公がやっているからなのでありますけれども、私は、民営化するに当たって、その前に、公がグリップしている間に小さくして何が悪いことがあるのか。もともと一千万円だったわけじゃないですよ。サイズを上げたわけでしょう。それをもとの姿に戻す。肥大化が問題だったんですから。余計なお金を無理やり集めたんですよ。ですから、それをもとのサイズに戻すというのは当然のことだと思います。それは、共産主義か社会主義か自由主義かということとは関係ない議論だというふうに思います。

 それから、生田総裁、せっかくおいでをいただきましたので、伺っておかなきゃいけないと思うんですが、定額貯蓄というのは、半年たてば実は払い戻しができることになります。これは、かつてもあったわけですけれども、もし定額貯金から多くの引き出し要求が来たときに、十年でなくなるんだと言いましたけれども、それでは、国債を売却せずにきちんとやれるんでしょうか。

 それから、もう一つ伺っておきますけれども、今、民営化した場合に、能力があれば、余裕があればやったらいいんだというようなことをおっしゃいましたけれども、融資能力というのは、一体どのぐらいで身につけることができるんでしょうか。二点伺いたいと思います。

生田参考人 日本郵政公社の生田でございます。

 お答えさせていただきます。

 まず、定額貯金の商品性についての御質問に触れるんだと思うんですけれども、私は、大きくはこれすべてこれからの制度設計にかかってくるので、それ次第でいろいろな判断が出てくると思います。ただし、定額貯金と同じような形の商品を一部の銀行で既に出しておりますから、定額貯金そのものがまずいとは言えないので、その辺は制度設計を見て新しい経営陣が経営判断をする範疇であるというふうに思っております。

 それから、国債を売却しないでできるのかというのは、これは新勘定と旧勘定が、初め御議論になっていたように、完全に分離されたらまさにそういうことになるわけで、これは市場の大混乱、国債管理政策に被害が及ぶ、こういうことになるんですが、これは諮問会議でもよくお願い申し上げまして、形式は別として、ALM、運用と損益の帰属は一括して新会社が引き継ぐということで内容的に御同意をいただいたと私理解しておりますし、基本方針とりまとめにもその趣旨が入っていると思います。

 その線に沿いまして制度設計をいただければ、やはり預金の方も、入ってくるものと出るものがバランスいたしまして、先生の御心配になったような事態は起こり得ない、市場の混乱はないというふうに考えておりますが、今の段階でそう言えるわけで、制度設計次第ということと、経営者がどう判断するかということになります。

 それから、二番目の融資能力の面でございますが、先ほど竹中大臣もおっしゃったように、私はコインの両面論というのを常に強く申し上げておりまして、よく一部民間の業界の方は、税金を払う、保険機構への費用を払う、その面がイコールでない、そこをイコールにせいというところだけをおっしゃるわけなんですが、それは民営化すれば払うのが考え方によっては筋だと私は思います。

 ただし、それはコインの一面だけであって、もう片面において、現在は、極端なビジネスモデルの制約、運用の制約、ユニバーサルサービスする費用の自己負担という大変な負担もしょっていて、それで、今は今である程度バランスしていると思います。したがって、税金あるいは費用をイコールに払うのであれば、ビジネスモデル等についてもイコールにしていただくというのが私は考え方として公正であろうと思っております。

 その公正、先ほど、大臣は自由度を高めるとおっしゃいました。まさにそこに通ずるわけですが、それが新会社の能力によって使えないというのは実は非常にまずいわけで、何とかしなきゃならないとは思っております。

 ただ、あとは、率直に申し上げまして、今現在で申しますと、融資能力は極めて乏しいというふうに申し上げざるを得ません。実際に融資を始めるにはシステム整備も要りますし、それから与信審査能力が要ります。それから債権管理能力、回収能力。人材の育成に努め始めておりますけれども、それだけでは足らないので、例えば人材の途中採用とか、あるいは他の同様な機関との協力体制を考えるというふうな考え方も排除しないで、できるだけ、能力がゆえにせっかくのビジネスモデルが使えないという事態を解消し得るような努力を重ねていきたいと考えております。

五十嵐委員 融資能力は一朝一夕につきません。私が聞いたところでは、一人前のバンカーをつくるには七年かかる、こう言われております。しかも、三百五十兆円というような大きなお金を動かせる能力がつくはずがないと。三百五十兆円は適当な規模に小さくなるんだと言うけれども、では、そのサイズは幾つかということは、どのぐらいかということはおっしゃっていない。

 それから、新勘定と旧勘定に分けられると言うけれども、結局は一括して引き継ぐことになるし、勘定を分けたとしても、業務委託という形で窓口会社でやれば、お金は動くんですよ、どんなようにも設定できるわけですから。実際には、一体的な運用になるんじゃないですか。だから、形だけ分ければいいなんというのは、単に机上の空論だと私は思うわけであります。

 問題なのは、そうやっていながら、実際には、三分の一超保有し続けるというわけですから、これは実際には完全な民営化ではございません。その間にむしろ、実質的な政府保証がある間に、どんどん自由度を増してサイズが大きくなれば、これは民間はたまったものではない。中小の信用組合、信用機関はばたばたつぶれる、生保もばたばたつぶれるということになりかねないわけであります。

 この焼け太りというやつが一番私は問題だと思っているんですが、焼け太りは危険だという認識は総理はお持ちなのかどうか、そして、最終的に、郵貯、簡保については一〇〇%売却するおつもりなのかどうか、完全な民営化を郵貯、簡保についてはするおつもりなのか、伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今後、郵政三事業が民営化されれば、今まで三事業に制限された、これが民間と同様に自由度を増すわけであります。三事業以外の仕事もできる。そして、郵貯にしても簡保にしても、それぞれの創意工夫によってどのような商品を提供するかというのはまさに経営者の判断である。

 同時に、これは十九年の四月から民営化しますが、移行期間を設けます。この移行期間に、民間の企業としてたえ得るような、また官業としての民業圧迫にならないような、そういう配慮が十分なされるように、今真剣にその点を議論し、あるべき民営化に向かって、国民の利便に供するような民営化をつくろうということを協議している最中でございます。

五十嵐委員 いや、最終的な姿はやはり示すべきだと思いますし、十分な移行期間というのはないというふうに生田総裁の御答弁なんかを聞いていると思えるわけですね。

 我々の心配をしている金融問題です。すぐれて金融問題ですが、金融が大混乱に陥る。新たな不良債権が起きる。民営化がうまくいけば民間が圧迫されてつぶれる。まずくいけば、そのまま新たな巨大な不良債権が公社が民営化された後の会社に起きて、再国有化しなきゃいかぬということが起きかねないわけでありますから、私は、もっときちんと丁寧に設計を時間をかけてやるということが必要だろうと思います。

 まだお尋ねすべきことはたくさんあったわけですけれども、時間が来ましたので、私どもは、金融の機能、郵政の機能に着目した本物の改革を進めていきたいと思っていますので、これからも論議を続けていきたいと思います。

 それでは、終わります。

甘利委員長 これにて五十嵐君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩國哲人君。

岩國委員 おはようございます。本日は、久しぶりに予算委員会で小泉総理初め各大臣に質問させていただきたいと思っております。

 私の選挙区は昨年から横浜市の青葉区、緑区、総理もよく御存じのところだと思いますけれども、そこでは年金問題、イラク問題、街頭演説をしておりますと大変関心が深うございます。

 この土曜日、日曜日もたまプラーザで私は街頭演説をしておりましたけれども、通りがかりの人が、予算委員会では総理にぜひこういう点を質問してほしいと、まず年金についておっしゃる方が多いんですね。それから、若い方を含めて、イラクの問題について、あれはやはり小泉さんの間違いではなかったのか、神奈川県民ではあるけれども、そうおっしゃっていました。

 私も青葉区に住んで初めてそういうことを知りましたけれども、青葉区に住んでいる男性は日本一長生き。私は今まで、長生きといえば島根県か長野県か沖縄の話だと思っていましたけれども、横浜市の青葉区に住んでいる男性は統計では日本一長生き。隣の緑区は女性が長生き。長生きしたい女性は緑区に住んで、長生きしたい男性は青葉区に住んで、両方長生きしたい人は、真ん中の青葉台か長津田に住む。これは、私が言っているんじゃなくて、統計がそうなっています。

 ですから、そういう長生きできるところほど年金の問題が心配なんです。長生きできない人は、年金の心配、必要はないんです。介護の心配もない、介護サービスを受けるころには人生が終わりますから。ところが、この青葉区の方は長生きされるから、安心できる年金制度が欲しい、安心できる介護制度が欲しい、そういった関心が非常に強うございます。

 かつては長寿高齢社会というのは地方の農村社会をイメージしておりましたけれども、今は、日本で一番大きい横浜市あるいは大阪、東京、こういったようなところにどんどん、長寿高齢社会現象が大都市に移ってきているということも、総理に御承知いただきたいと思います。

 年金問題については、同僚議員から随分数多く質問しておりますので、総理に質問したいところでありますけれども、これはあえて省略し、次に、イラクの問題について。

 私ばかりではなくて、一般国民の中にもそういう声が上がっておりますけれども、このアメリカの戦争、本当に正しかったのか、間違っていたのか。大量破壊兵器を発見するといって出かけたアメリカが発見したのは、アメリカそのものが大量破壊兵器だったというお粗末。このお粗末なブッシュの戦争にいつまで小泉総理はおつき合いされるのか。

 先日も、所信表明でも、「政は正なり。」ということをおっしゃいました。その「政は正なり。」というのは、正しい方の正なりという意味で発音されたと思いますけれども、私の耳には、ぎょうにんべんのついた征の字、ブッシュの「政は征なり。」は、まさに遠くの方まで遠征する、ぎょうにんべんのついた征の字のように聞こえてまいります。

 このイラクの問題については、昨日も前原議員以下いろいろな議員からも質問が出ておりますので、これも、質問したいところでありますけれども、あえて、時間が限られておりますから省略いたしまして、総理と財務大臣に、経済情勢について、また財政政策についてお伺いしたいと思います。

 私は、今の日本の国力を弱めているのは、政府の間違った財政政策あるいは経済政策にあるんではないかと思います。端的に言えば三つの点、三つの金融に関する政策。

 まず最初に、ゼロ金利政策です。

 世界のどこに、銀行にお金を預けてそのお金に利子がもらえない国がありますか。かつてカール・マルクスが実現しようとした共産主義社会は、労働にしか価値がない、資本には価値がない、人間には給料を払うけれどもお金には給料を払わない。それを今見事に実現したのが日本です。

 どこにお金に一切給料を払わない国がありますか。このゼロ金利政策、これは、預金者が受け取るはずの利息がだれかに奪われてしまう、世界に例のない超低金利政策。白昼堂々と、この十年間に、私の計算では約四十兆円が庶民の財布から奪われているんです。この四十兆円、巨額の横領された利子が、結局は銀行の不良債権の圧縮に使われている。これが大きな目で見た場合の日本の金利の流れなんです。

 ですから、預金したい人もこのごろは銀行へお金を持っていかないでしょう。持っていく手間賃、往復のタクシー代だけ赤字になる。だから、そういうお金は結局、うっかり危ない銀行に行くと、利子どころか元金も返ってこない、自宅へ帰ることもできない、危ないからたんすの中で眠っているのが一番いい。どんどん寝たきりのお金がふえているんです。寝たきりの高齢者も困りますけれども、この寝たきりのお金が、この資本主義社会で動かないお金が、銀行へさえも行かない、寝たきりのたんす預金がどんどんふえている。

 どうしても給料の欲しいお金はどうするか。アメリカへ出稼ぎに行っているでしょう。これは谷垣大臣も御存じのとおり。人間がアメリカへ行くときにはパスポートとビザが要ります。しかし、このごろは、お金がアメリカへ行くときにはパスポートもビザも要らない、法律がそのように変わりましたから。

 そして、アメリカへ行って、日本で働くとせいぜい一年間に一%の給料、アメリカで働くと一年間に六%の給料。日本のお金がアメリカへ行くと、二カ月働いただけで日本の一年分の給料がもらえて、残り十カ月は休暇がもらえる。すばらしいというので、行ったきり。行ったきりで、お盆になっても、お正月になっても帰ってこない。出たきりマネーと寝たきりマネー。

 この出たきりと寝たきりで、日本のお金が日本の中で動かない。だから、タクシーが動かない、物が動かない、土地が動かない、サービスが動かない、仕事が動かない。日本じゅうを寝たきりにしているのは、このゼロ金利政策という、世界にも例のない愚かな政策を六年も八年も十年も続けていることだと私は思います。

 そして二番目は、自民党によるサラ金政治です。ゼロ金の次にサラ金政治。

 税金の十五年分を借金している国が世界のどこにありますか。これは、サラリーマン家庭に例えて言えば、十五年分の給料を、しかも、今は昔のように会社は絶対になくならないという時代でもないのに、なくなるかもしれない会社に勤めていて、十五年分の給料を前借りして、担保に入れて、それでサラ金からお金を借りている。このサラ金政治、紀国屋文左衛門じゃなくて前借り屋文左衛門みたいな政治をずっと続けている。このサラ金政治も日本の体力をどんどん弱めている。結局、借金の利子を払うために税金を毎年払っているようなものじゃありませんか。まさにこれは自転車操業、あるいは、家庭に例えて言えば、サラ金政治。

 そして、三番目の金、三金政治の最後の金は、この献金問題です。

 これに対する疑惑はもう各委員から出ておりますけれども、政治献金をすれば自分たちの業界の代表を国会に送り出すことができる、国会の議席をお金で買おう、あるいは、間に合わなかったら国会に座っている議員を献金で集団で人身売買のように買い付けてこよう、こういうことが行われているんです。兜町の取引は一つ一つを丁寧に取引しますけれども、国会の買い付けはブロックで、派閥というブロック単位で買い付ける。こういう拉致か人身売買に似たようなことが白昼堂々と国会の中で行われている。これが今回、献金でもって明らかになった構図ではありませんか。こういう、政策をあるいは議員をお金で買う、これが日本の政治を悪くしている。

 日本の政治を信用する人がどんどん少なくなっている。日本の政治や政治家を信用する人はわずか一五%しかいない。まさに「政は正なり。」総理大臣のおっしゃったとおりです。それが行われていないからこそ元気がなくなる。日本の国が間違った方へ、ゼロ金利政策、サラ金政治、そしてこの献金政治、この三金政治は、私たちの国を救うためには、一日も早くこれを改めなければならないと私は思います。

 まず総理大臣に、このゼロ金利政策についてどういう認識を持っていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。総理に続いて、その後、財務大臣にお伺いします。総理、お願いします。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

小泉内閣総理大臣 物事には、一面でなく両面、多面的に見なければならない問題があると思います。低金利、必ずしも悪いことではありません。インフレになれば高金利になります。高金利のときにいいかといったら、よかった、よかったと言われたことは一言もない。まず物価を下げよと。

 今デフレです。ですから、低金利、ゼロ金利。そういう中で、日本経済は今堅調に回復してきている。私は、こういう状況の中で、もっと金利を高くしろという声がありますけれども、経済全体を考えると、このデフレの状況で果たして金利を上げていいかどうかというのは、これは日銀の判断としてそういうことはしないと思っております。

 また、そういうゼロ金利なのに、なぜよその国に比べて日本国民は預貯金に熱心なのかと。金利だけが国民の預貯金しようという判断ではないという一面を物語っていると思います。

 私は、そういうことから、今言われたお話、非常に興味深く拝聴いたしましたし、独特の哲学を持っておられる岩國議員でありますから、もっとお話を聞きたいなと思ったんですが、聞いていてなかなか参考になります。今後とも、今のような状況から改善すべきことがあるじゃないか、そういう御意見と私は受けとめております。

 今までも悲観的な見方が強調されておりましたけれども、そういう中でも、ゼロ金利の中でも、経済の動きというのは、設備投資にしても消費にしても回復傾向を見せている。一部主要企業の好調が地方に広がっている、中小企業に広がっているという状況も徐々に見えてきておりますので、今の点、よくわきまえながら、より経済を活性化する方向に努力を続けていきたいと思っております。

谷垣国務大臣 金利、金融政策は日銀の所管でございますからお答えしにくいこともあるんですが、今、総理がおっしゃいましたように、景気は堅調に回復しつつあると思いますけれども、基本にまだデフレ傾向が緩やかながらありますので、これは日銀と一緒になってデフレを克服していく。そういう中で、日銀が量的金融緩和政策、コミットをはっきり出しておられるのは、私どもと基本的な認識は一致していると思っております。今みたいなデフレ傾向のときにちょっとでも金利を上げていくということは、実質金利がさらに上がっていくということであって、景気には悪影響を与えるのではないかというふうに考えております。

 それから、この低金利政策によって、やはり家計や何かに大きなマイナスの影響があるのではないかという御指摘だったと思いますが、確かに、家計部門で預金や債券からの利子所得が減少しているということは、私、事実だと思います。

 他方、デフレ傾向が続いている中で、消費者物価等が引き続きマイナスということもございますので、名目金利が低くても実質的な預金の金利水準というのはおっしゃるほどではないのではないか、一概に不利益をこうむっているとは言えないのではないか。

 それから、マクロ経済全体で見た場合には、やはりこういう金融緩和措置によって企業の業績が、実体経済、下支えしているということがございますので、これが家計部門に与える影響もあるのではないかな、私はそのように考えております。

岩國委員 そうしたゼロ金利政策は結局どこの国の経済を下支えしているのか。アメリカの経済の下支え、アメリカ経済を支えるために、PKOに日本のお金が動員されているわけです。そういう一面もあるということも御承知いただきたいと私は思います。

 それからもう一つは、国債発行と日銀券の発行残高の関係について。日銀券の発行残高よりも日銀が持っている国債の所有高の方がついに多くなった、こういう異常な事態になっている。見方を変えれば、国債を買うために日銀はお金を印刷しているようなものです。そうでしょう。それならば、これは国債の迂回発行みたいなものです。日銀を経由して迂回発行しているだけでしょう。そして、迂回手数料のために利子というものまで払う。

 大臣、いかがですか。私は、小泉総理とも国土交通委員会で議論させていただいたことがありますけれども、政府紙幣の発行を考えるべきだと思います。金利まで払って国債を、しかも日銀を通過するために手数料を払っている。日銀というのは何の役をやっているのか。国債発行の料金所か関所の役をやっているだけでしょう。しかも、手数料として利子もつけなきゃならない。政府紙幣をそのまま発行すれば、国債と同じように信用度もあり、利子も払わなくて済んで、流通性は日本の隅から隅まで、こういう政府紙幣の発行というのももう考えなきゃならぬときに来ている。

 そういう十五年分の税収を担保にしてお金を借りている異常な国になってしまった以上、こういう異常な時期には異常な発想というのも真剣に選択していく、取り上げるべきです。これが普通の国なら、普通の国のよそのまねをしていればいいでしょう。しかし、もう普通の国の大臣ではあなたはないわけです。普通の大臣ではない以上は、どうしたらこの異常な状態から脱却できるかということを考えなきゃならぬ。

 それを、去年やったこと、おととしやったことの延長で、数字をちょっと加えてみたり低くしてみたり、こんなことをやっているから、日本は安楽死か自然死の状態を迎えているじゃありませんか。私は、そういう発想の転換ということを強く要望し、それから、先ほど景気は地方もよくなってきたということのようですから、中川経済大臣にお伺いしたいと思います。

 中川大臣は、農水大臣のときに、私が島根県、鳥取県のために、中海の淡水化、埋め立てのことをやめてほしいという陳情にみんなと一緒に行きました。中川大臣の御英断によって中海の事業が中止の方向へ行ったことに対して、私も大変今でも感謝しております。

 今、経済大臣として、ダイエーその他の問題に取り組んでいらっしゃいますけれども、企業サイドから見た雇用情勢について、来年の高校卒、大学卒、そして再来年のその見通しについて、端的に、大体どういう就職率あるいは予想率を立てておられるのか。もちろん、それは一人一人の高校生、大学生の問題で、私は企業を担当しているからそんなことは知りませんということではなくて、やはり企業という大きな雇用の場を担当される大臣として、どれぐらいの予想を持っていらっしゃるのか、若い人に希望を与えるための企業活動はどうなっているのか、そういう内定率の見通しで、数字を端的に答えていただきたいと思います。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 直接的な雇用の話は厚生労働大臣の方の御担当だと思いますが、あえて企業サイドから見てという岩國委員の御指摘でございますので。

 特に若者という立場、日本は人材力で生きていかなければいけない国でございますので、その中で若者が意欲を持って、就職でも何でもいいんですけれども、頑張ってもらえるような国づくりというものは大事だろうと思います。これは総理の御指示もございまして、人づくりのために、政府を挙げて、また経済産業省も今努力をしているところでございます。

 とにかく今、若者の失業率が一〇%前後という非常に高い状況にある。さらに、その外側に、よく出てきますニートという存在が五十二万人ですか、いるわけでございます。

 意欲を持って仕事につきたい、あるいはまた、そういう人材を企業が求めたいというときに、大企業とか好調になっている企業はそういう人材を求めて、そして企業の戦力として、企業内教育、あるいはまた外に出ていろいろな体験をさせるというようなことをやっている企業もあるわけであります。

 他方、日本を支えている中小零細企業の中でも世界一という企業がありますが、ここのいわゆる熟練をどうやって若者たちが引き継いでいくかということに対してのインセンティブというものも、ぜひ我々としても後押しをしていきたいというふうに思っております。

 企業サイドとして人材をどういうふうに求めていくか、それからまた、若者たちがそういうところに意欲を持って進んでいくというそのマッチングを、景気もよくなってまいりましたので、全国津々浦々、あるいはまた大企業から中堅、零細に至るまで、企業サイドとこれから人材としていく人間との間にうまく橋渡しができるように、例えばジョブカフェなんというのが、今一日千人ほど全国で来ていただいておりますけれども、その辺の詰まりがないようなスムーズな人材の求め、そして応じという体制をつくっていきたいと思います。

 御質問の、来年の若者の人材の、就職に対しての数字はどうかということに対しては、厚生労働省の方の数字を見ますと、一時に比べて横ばいという状況に、九〇%前後の高校生、大学生が就職はしているという数字もあるようでございますけれども、具体的な御質問にお答えできていないかもしれませんけれども、とにかく両サイドで意欲をうまくマッチングさせることが重要だというふうに考えております。

岩國委員 ありがとうございました。

 やはり、経済、企業活動を担当する大臣として、若い人に希望を与えるというのが一番大切なことですよ。これは政治家全体に言えることであって、世界の政治家が一番苦労しているのは、税金を取ることじゃありません。若い人にどれだけ希望を与えるか、これが私は政治の根底であり、その一番わかりやすいことは雇用の場を提供することです。

 その中で、大臣は一番大切なお仕事をなさっているわけですから、今から私は労働大臣の答弁を聞きますけれども、労働大臣のおっしゃるその数字と同じものをどこでもお話しになれるように、労働大臣と雇用の場を提供する中川大臣とが同じ数字、同じ目標、同じ戦略を持つということは、日本の若者にとって、ああ、政治が自分たちのことを心配してくれていると思うたった一つの方法じゃありませんか。

 労働大臣、お答えください。昨年の就職率、来年の春の予想、再来年の春の予想。それを高卒、大学卒について六つの数字を端的に、時間もありませんからお願いします。

尾辻国務大臣 まず、新規学卒者の就職内定率のことから申し上げます。

 お話しのように、大変厳しい数字がこのところ続いております。それぞれに細かい数字で申し上げますと、わずかながら改善も示されておりますけれども、平成十五年度では、大学生が九三・一%、高校生で九二・一%となっております。これら来春の新規学卒者の採用計画につきましては、経営状態の好転、企業の年齢構成の適正化の必要性等から、採用予定者数を増加させる企業も多いと聞いております。本年七月末時点の新規高卒者の求人状況を見ましても、求人数が前年同期に比べ二六・一%増の十四万六千人となるなど、改善の傾向が見られるところでございます。

 このような改善傾向が続くことを期待はいたしておりますけれども、一方では、地域による求人倍率の格差が拡大するなど厳しい状況も見られますので、本年度から配置しました若年者ジョブサポーターを活用し、新規学卒者の個別就職支援を進めるなど、年度末に向け、就職内定状況の一層の改善を進めてまいりたいと思います。(岩國委員「数字はどうですか、見通しは」と呼ぶ)

 その他の数字、今ここにございませんので、大変申しわけございませんが後ほどお答えさせていただきますが、一つだけ、極めて象徴的な数字として私がいつも見ておりますものを申し上げたいと思います。

 それは、二十四歳以下の若者ですが、まさに若者であります。この人たちの有効求人倍率は一・三八なんです。ところが、一方、完全失業率が九・六%。この辺にミスマッチの象徴的な数字があると思いまして、この辺をどうするかが今後の課題だと思っております。

岩國委員 そうした職を求める若者と提供する企業、そのミスマッチも問題ですけれども、私は政策のミスマッチが一番問題だと思っているのです。一番大きな三つの三金政策、ああいう大きなミスマッチを起こしている限り、日本の体力は決して回復することは私はないと思います。

 次に、総理に、政治とお金をめぐる問題についてお伺いしたいと思います。

 この迂回献金疑惑について、総理の所信表明の中では、政治改革に関する思いはわずか二%、百八十五字しかありませんでした。歴代の総理の中でも、異常に政治改革に関する言及が少なかった。言葉が少ないから思いが少ないということには必ずしもなりませんけれども、これだけ多くの国民が総理の生の言葉で思いを聞きたいときに、わずか百八十五字、全体のわずか二%でした。

 しかし、一方では、総理は国会の中で、資金提供は悪くない、要はどういう団体がどの政党、候補者に献金しているか、それが有権者にわかる透明性が必要だ、こうおっしゃっています。

 そこで、お伺いします。

 国民政治協会、総理はこの席でも、これは党の問題ではないとこの日歯連の問題についておっしゃいましたけれども、国民政治協会が果たした役割、新聞等にも報道されておりますけれども、要するに、現金の封筒をそこで検査している、行き先を確かめている。高速道路でいえば料金所か、昔の江戸時代の関所みたいな役割をちゃんと国民政治協会は果たしている。言葉をかえれば、信用保証協会のような、献金保証協会のような役割を自民党のために少なくとも果たしたということははっきりしているわけです。

 ですから、透明性を高めるためには、次に永田議員からも同じような関連の質問が出ますけれども、政治献金の世界に長年おられた小泉総理として、そして、今疑惑の中心の自民党の議員として、どういう方法を総理なら考えておられるのか。党に検討させる、皆さんで検討してほしいと。しかし、議員の一人として、こういうことが必要だなということの一つか二つぐらいは総理の胸の中にありませんか。お答えいただきます。

小泉内閣総理大臣 まず、国民政治協会のお話が出ましたが、これは、政治に対していかに良質な資金を提供していけるかという観点から、いろいろな団体が政党に献金をしてくれる、余り一つの業界に偏らないように、一つの資金団体をつくってそれを必要な政治活動、政策活動に使おうという一つの工夫だと思います。余り一つの業界だけに、これは何々を要求するからこういう寄金をするというよりも、より自由に、政党にとって必要だと思う政策のための政治活動、政治資金活動に使う方がいいだろう、そういう観点からもこの政治資金協会の存在はあるんだと思います。いわば、ひもつき献金というものをなくしていこうと。

 それと、私がまず政治家として思うことは、法律を守りなさいということです。かつて、私が初めて当選してきた一年生のころに比べれば、政治資金規正法、非常に厳しくなっています。厳しくなっておりますだけに、事務手続が煩雑だという面があります。しかし、法律ですから、その法律に決められていることについてはきちんと守りなさい、守られなければこれは罰せられるというのは自然の原理であります。今、守っていない方が多いからこういうことになっている。

 それと、政治資金の透明性、制限、これはいいんですが、同時に、税金だけに頼らないように、国民からも自由にできるだけ、選挙で応援したい、政治活動を応援したい、政党を支持したい、自分のいいと思った議員を支持したいということに対して、政治献金というのは悪ではないんだ、政治資金、国民が拠出することはいいことだ、そういう環境も整えていかなきゃならない。これを両面から私は考える必要がある。

 と同時に、疑惑を持たれた政治家というのは、その疑惑に対して、どういう場所であるか、説明する必要があるのではないか。

 そういう点について、私一人だけでなく、よく各党が協議していただきたい。政治は、政権も与党もそれぞれ立場がありますけれども、政治活動を支える政治資金というのはどうあるべきかという点については、党派を超えて、胸襟を開いてよく協議していただきたいと思っております。

岩國委員 残念ながら質問時間がなくなりましたので、これで私の質問を終わりますけれども、私は、総理は、一議員として、一政治家として、具体的な議論にもどんどん発言されるべきです。それだけの経験を長く持っていらっしゃるわけですから。

 私は、我が党の小沢一郎代議士の意見も聞きました。自民党の中で多く、そういういいお金も悪いお金もたくさん経験された方。私は経験者の方の御意見は聞き、そして、その中から新しい活路というものが見えてくる。小沢一郎代議士も、こういう透明性、オープン、そういったことについては非常に熱心に、いろんな考えを持っておられました。

 我々民主党の中には、これから、迂回献金の禁止、あるいはそうしたマネーロンダリングと言われるような行為が少なくなるような提案を、前国会に引き続き今国会でも法案を提出したいと思っております。

 特に、この国会は、納税者には納税者番号……

甘利委員長 時間が来ておりますから、簡潔に発言してください。

岩國委員 そして、年金受け取りには年金手帳、番号がついている。政治家自身も、私は、番号をつけて、きちっと行儀よくなれるような仕組みを持つことも必要ではないかということを最後に申し上げまして、私の質問を終了いたします。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。

 次に、永田寿康君。

永田委員 民主党の永田寿康でございます。

 まず冒頭、私が質問をしたいと思っていた相手がきょう出席されないということについて、強く抗議を申し上げたいと思います。

 山崎拓補佐官については、我が党の調査でも、あるいは新聞報道されている部分でも、日本歯科医師連盟からの献金について非常に不透明な疑惑があるという指摘がなされております。ぜひこの方にお出ましいただいて、そして真実を語っていただきたいというふうにお願いをしたわけでございますが、理事会では与党の反対に遭って、この件が、現在、実現されないという状況になっております。総理、このことについてどう思われますか。

 やはり山崎補佐官は、現在は政治家、議員ではありませんけれども、かつて党の幹事長も務められた、非常に大きな影響力がある人物であります。加えて、現在、政府の補佐官として給料をいただいているというお話でございます。その点についてもお伺いしたいと思いますけれども、先ほど総理は、疑惑を持たれた人はみずから出てきて疑惑を晴らすべきだ、それを説明すべきだというお話がありました。この原理は補佐官にも適用されるべきだと思いますが、総理のお考えをお話しください。

小泉内閣総理大臣 それぞれの疑惑を持たれた方は、それぞれの場で説明する必要があると思っております。どこの委員会に呼ぶか、これは国会で協議すべき問題だと私は思っております。

永田委員 どこの場でというお話は国会でやる、それはそれでいいかもしれません。しかし、どこかの場には絶対出てくるべきだ、必ずこれは、お話は公の場で、国会の場で説明するべきだ、そういう考え方だとしてよろしいですか。

小泉内閣総理大臣 その人が判断して、どういう場で説明するかというのはその人の判断によると思います。国会で話題になる問題は、委員会、各党の責任者が出ているわけでありますから、国会の中でよく協議していただきたいと思っております。

甘利委員長 永田君に申し上げます。

 この案件は、けさの理事会で、本日は呼ばないという理事会の結論として至ったものでございます。

永田委員 理事会でそのような話になっているということは、委員長、存じておりますから、一々念を押さなくても結構でございます。

 しかし、総理、総理の考え方として、疑惑を持たれた人はみずから出てきて釈明をして晴らすべきだというこの考え方は、補佐官にも適用されるのかどうかを私は聞いているんです。

 そして加えて、この方、給料を受け取っているのか受け取っていないのか、現在はっきりしていません。山崎補佐官は給料をもらっているのかどうか、あるいは幾ら取っているのか、ちょっとお話しいただきたいと思います。答弁をお願いします。

小泉内閣総理大臣 私は、給与は返上したいという話は聞いております。

永田委員 いや、現在支払われているのかどうか。もう就任してから一月以上たっていると思いますけれども、あるいは、支払っているんだったら、当然社会保険なんかの手続も必要でしょう、例によって。どのようになっているのか、知っている範囲で教えてください。

小泉内閣総理大臣 私は、詳しくは知っておりません。

永田委員 午後にも多分、どこかでわかるタイミングがあったら教えてください。きょうの質疑の中で、まだ総理が答弁する時間はあると思いますから、どこかで報告をするなり答弁するなり、事務方に指示をしていただきたいと思います。

 ところで、きのうの質問の続きに入りたいんですが、きのう原口議員が質問している、あるいは仙谷政調会長が質問した中で、総理は、平成研の問題は自民党の問題ではない、このように発言されました。平成研の問題は自民党の問題ではないというのは、これはどういう意味なんでしょうか。総理に責任はないということなんでしょうか。それ、自民党総裁としての立場も踏まえて御答弁いただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 平成研と自民党とは違います。平成研の一億円の問題は自民党とは別問題であるということを申し上げたわけであります。

永田委員 存在としては別の存在であることは理解をしておりますが、しかし、平成研の構成員はいわゆる橋本派と呼ばれていて、自民党の中で最大派閥です。現在でも、人数の面においては最大の派閥であります。(発言する者あり)旧橋本派、御助言ありがとうございます。そうですね。今、代表がおられなくて、もう随分時間もたつんですけれども。

 この旧橋本派あるいは平成研、別の存在であるということと、総裁にこのことに関する責任が全くないということは別のことだと私も思います。ですから、これは、総裁には、しかし、この問題について調査して再発防止策をとる、そういう責任があるということはお認めいただけると思いますが、総裁、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 平成研の一億円の問題と自民党とどういう関係があるのかということでありますから、それは別問題である、関係ないと。別の問題。一億円の問題と自民党とは関係ありません。しかし、平成研の問題は自民党であるということになれば、それは関係ある。しかし、自民党の資金に関する収支報告と平成研という政治団体の収支報告とは別問題、関係ないことであります。

永田委員 関係がないということは、調査をする道義的責任もないということですか。

 きのう、総理は、調査して報告をする、報告すべきことは報告する、こういう答弁をされました。一体何を調査するんですか。関係ないものに対して調査する意味なんかないじゃないですか。何を調査するんですか。

小泉内閣総理大臣 関係ないと思っているから関係ないと答弁しているのであって、関係あるから調査しろと言っていますから、関係あるかどうか、幹事長に指示しているところであります。

 関係ないんですよ。しかし、調査しろ調査しろと言うから、いや、関係ないと言っているんだけれども、言うことを皆さんが信用しないから、では、関係あるのかどうかというのを調べたらどうかということで今指示を出していることでありますので、いずれ報告が出てくると思います。

永田委員 でたらめですね、総理。もううそはいいです。うそは言わないでください。

 いいですか、総理。きのう初めて国会でこの問題について本格的な論戦が始まって、そして平成研の問題は自民党の問題と非常に密接に関係があるということを我々から指摘したんです。そして、そこで、国民政治協会と平成研の密接な関係、あるいは、平成研、旧橋本派の構成議員が自民党の最大派閥を形成しているということから、我々は総裁に責任があるだろうということで、きのう初めて指摘をしたんです。

 そうしたら、総理は、既に調査を指示しているという話をされました。であるならば、時系列的にいって、時間の流れからして、私たちが指摘をする前から調査はされている、始まっているということになります。しかし、総理の今の答弁では、私たちが関係があるだろうというふうに指摘をしたから、関係があるかないかを調査するように幹事長に指示したという話です。

 冗談じゃありません。そんなこと、できるわけないじゃないですか。私たちが指摘をする前から調査が始まっているんだったら、それは、関係があるかないかを調査するという観点になるはずがないんです。

 いつ、だれに対して、どういう体制で調査をするように命じたのか、改めて答弁をしてください。

小泉内閣総理大臣 こういう問題は自民党とは関係ないという報告を既にきのうの段階で受けていたんです。だからそういう答弁をしたけれども、皆さんは、関係ある、関係あると言うわけでしょう。だから、改めて、あの質問をよく見て、関係あるのかどうか、再度幹事長に、どのようなことだったのかということを調査して報告するようにという指示を出してあるところでございます。

永田委員 では、具体的に、だれに、いつ、どういう体制で調査をするように指示したのか。きのうの答弁では、党にきちんと処理するように指示を出していると言っているわけですよ。いつ、だれがやるように、どういう体制でやるように指示をしたのか、具体的に教えてください。

小泉内閣総理大臣 それは幹事長に指示しておりますから、幹事長がしかるべき調査をして報告すると思います。

永田委員 いつ指示を出したんですか。端的にお答えください。

小泉内閣総理大臣 昨日の質問後に、質問をよく調べて、どういう調査が必要かということを幹事長に昨日指示しているところでございます。

永田委員 調査の内容については、いずれ幹事長に対して、多分メディアの方々が、どういう指示が来たのかということを質問されると思うので、幹事長からの話を期待したいとは思いますけれども、しかし、これは党内調査の話ですから、当然報告をされると思います。それは公表されるわけですね。

 ちゃんと説明する、そういうことはお約束いただけますか。公表の期日、いつごろ公表されるつもりなのか、それも教えてください。

小泉内閣総理大臣 調査して、報告が出れば、その報告を幹事長から発表されると思います。

永田委員 この問題はまた引き続きやっていきたいと思いますけれども、時間の関係で次に移りたいと思います。

 きのうの答弁で、日本歯科医師連盟は何億円払っても医療費の三割負担を阻止できなかったというふうに総理は答弁されています。三割負担を阻止するために、日本歯科医師連盟から何億円もらったんですか。

小泉内閣総理大臣 そんなこと聞かれたって、私はわかりません。日歯連の要求の一つに三割負担を阻止しろということがあったということを質問の中で聞きました。そういう質問に答えて、三割負担は阻止できなかったでしょうということを私は話したんであって、幾らあるのか、私は、今聞かれたってわかりません。それは、政治資金収支報告書等ありますから、出ていれば、調べればわかると思います。

永田委員 調べて、後日報告をしていただきたいと思います。この委員会に報告をしていただきたいと思いますが、何億ももらったことは間違いないんですね、一億か二億か知らないけれども。この三割負担を阻止するために、一億か二億か、何億かもらったことは間違いないんですね。

小泉内閣総理大臣 それはわかりません。先方、日歯連が、三割負担を阻止してくれ、阻止してくれといって、それにこたえて、自民党なりほかの政治家が献金を受けたかどうかもわかりません、私は。どういう気持ちで献金を贈ってくるのか、どういう気持ちで献金を受け取るか、私は知りません。

永田委員 でたらめなことを、結局、何億払っても、何億献金しても三割負担、できなかったと言う。それで、一体何億もらったのかわからない。自民党関係の議員が何億もらったのかもわからない。わからないことをでたらめで答弁したわけですね。

 結局、総理の答弁というのはその程度の言葉の重みしかないということですよ。そのことに私たちは非常に失望しているんです。もう少し重い答弁をしてください。

 ちゃんと確認をした上で、じゃ、何億もらったのか、ちゃんと報告してくださいね。

小泉内閣総理大臣 私もあなたも国会議員だから敬意を持って答弁いたしますが、正確に私は答弁しているつもりですよ、穏やかに。

 だれがどういうふうに献金を受けているかというのは、それぞれの議員が政治資金収支報告書に提出しているはずです。それを、知らない議員に対して、私が知らないのはおかしい、けしからぬと居丈高に質問しますが、それはやはり、知らないことは知らないと正直に答えるしかないでしょう。収支報告書を調べれば皆さんわかるわけですから。それを、私が知らないからけしからぬと言われても、知らないものは知らないと答えるしかないんです。

永田委員 確認もしなかったことを、これは日本歯科医師連盟に失礼というものですよ。歯科医師連盟から何億献金しても、結局三割負担は阻止できなかった、こういう言い方をしているわけですから、そういう意思があったように日歯連に思われるじゃないですか。

 総理への質問ですよ、そういう意思があったのかどうか。総理がそういう認識のもとに、何億も受け取った、そういう発言をしたわけですから、これは日歯連に対して失礼だと私は思いますよ。

 それから、きのうの小泉同志会の話もしたいんですけれども、小泉同志会に電話は何本あるんですか。

小泉内閣総理大臣 あなた、自分の事務所に電話が何本あるかわかりますか。私、わかりませんね。

永田委員 きのう総理は、事務所費として使われる予算について、これが切手代や電話代に使われているんだという答弁をされました。切手代、電話代と言いますけれども、五百万円を超える金額ですよ。この金額について、例えば一本の電話回線で、二十四時間、一人の人がずっと電話をし続ける、市内の電話をし続けると、大体年間百七十五万円になるんですよ、三分十円で計算をすれば。五百万円の事務所費を何に使ったかという説明は、これじゃつかないんですよ。

 あるいは、切手代とおっしゃいますけれども、横須賀市の人口は、平成十六年十月一日現在で四十二万八千八百八十一人、世帯数でいうと十六万三千八百六十世帯。これで、ここに対して一体何万通の手紙を出しているのか。

 それが、何万通も手紙を出すんだったら、これは事務所費に計上すべきではなくて、むしろ事業活動費、あるいは宣伝広報費に出すべきものだというふうに私は思います。一体、事務所費を電話や切手代に充てて、何を話し合っているのか、何を宣伝しているのか、ぜひお答えください。

小泉内閣総理大臣 政治活動、政治資金収支報告書というのは、規定どおりに報告書を出しております。

 まず、選挙区で一回、例えば十万人の相手にはがきを出せば、それで五百万すっ飛んじゃうんです。(発言する者あり)印刷代は別ですよ、切手代だけで。二回出せば、一千万円消えてなくなるんです。

 私は、政治活動、ここであなたに、何に使ったのか、何に使ったのか、政治資金収支報告書に必要な報告は全部提出しています。

永田委員 選挙区の人に全部出したら、確かに理論的には五百万円を超えるんですよ。しかし、そういうことをやるのは事務所費とは呼ばないんです。これは、宣伝費とか事業活動費とか、そういうことに含めるのが普通です。あるいは通信費ですよ。事務所費というのはそういうことには使わないんです。

 例えば、国会の事務所と地元の事務所の間で何か郵便物をやりとりする、これは事務所費に計上してもいいと思います。しかし、有権者に対して自分の政治信条を訴えるための郵便物を発送するのは、これは事務所費とは言えないですよ、総理。

 しかも、ここに私が計算したのがあるんですけれども、これは、いわゆる小泉同志会の事務所の予算の使われ方です。昭和五十三年から計上してあります。このグラフの一番下の部分にずっとグレーで計上されているのが事務所費です。一方で、このグラフの長さ全部が予算全額であります。事務所の予算が減ったりふえたりしているわけですね。一番多いときで、年間六千万円を超えているときもあります。

 こういう活動規模が大きくなると、普通、事務所の費用というのはふえたり減ったりするものなんですよ。しかし、この事務所の予算全体と事務所費の相関係数をとると、〇・二八九です。つまり、ほとんど相関はない、統計的には有意な相関はないということなんですよ。つまり、事務所の活動に使われている予算じゃないんですよ、これは。

 関係ないところで毎年ほぼ定額のように出されている金が五百数十万円ある。これについて使途を説明する必要があると思いますけれども、総理、ぜひ使途について、もう少し細かく説明をしてください。

小泉内閣総理大臣 事務所におきましても、政治活動費にしても、収支報告書に規定どおりに報告しております。

 どのような政治活動をしたかというのは、それは個人それぞれでしょう。必要以外のことはここで言う必要はないと思います。政治活動、事務所、それぞれの議員によって違うと思います。

永田委員 疑惑を持たれた人はみずから釈明すべきだと言っている総理の言葉とは思えない。説明すべきでないことは説明しなくていいというのは、まことにダブルスタンダード、二枚舌、さすがカルテットの一人だなというふうに思いますけれども。

 では、事務所の家賃は発生していないと言いますけれども、事務所の家賃を払わずに活動してもいいんですか。年間二千万円にも上る、あるいは高いときで六千万円にも上る政治活動をしている。そして、人件費も使って人を雇っている。こういう活動をするときに、家賃が発生せずに、まさか野っ原でやったわけじゃないでしょう、青空の下でやったわけじゃないでしょう。今の、宇野ビルというあのビルの三階でやっているわけですよね。それをやるのに、要は事務所を又借りしているわけですよ。家賃が発生していないというのはどういうことですか。家賃を払わずにそういうことをやっていいんですか。ぜひお答えください。

小泉内閣総理大臣 疑惑がないのに、あるかのように質問されて、答える必要はないと言っているんです。政治資金規正法にのっとって適正に処理して、書類は提出しているんです。どこに疑惑があるのか。

 何とか疑惑を持たせたい、持たせたいという気持ちはわかりますよ、これは。一部週刊誌とかいろいろな新聞等で材料にして、何とかこの国会で、政治と金だから、去年と同じ質問だ、この時期に。去年も同じように答弁している。

 私が一億円もらったなんて、全然もらっていませんよ。平成研と日歯連を混同して、もう名誉に当たるような質問もしている。そういう、日歯連からそんな、私が一億円ももらっていないのに、あたかももらったような質問をしている。

 私は、自民党が資金を提供受けたのと……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にお願いします。

小泉内閣総理大臣 私が資金を提供受けたのと違うんです。自民党の総裁ですけれども、党に与えた献金というのは、私個人に対する献金とは違うんです。

 そういう疑惑がないのに、あたかも疑惑があるかのように質問するということについてはいかがなものか、この予算委員会で。私は、全く政治資金規正法にのっとって適正に処理しているということを申し上げたいと思います。

永田委員 疑惑があるかないかは総理が決めることではありません。それは、私たちが総理の説明を聞いて、ああなるほど、疑惑はないなと感じるかどうかの問題なんです。総理が、疑惑がない、ないと言い続けても、疑惑はなくならないんです。総理が、うちはこういうふうに会計処理をしているから、だから不正なお金の使い方は一切していない、そういうことを説明すれば、私たちもそう感じるかもしれない。加えて、適正に政治資金報告書で報告をしていると言うけれども、適正かどうかは総理が決めることではありません。あなたが説明をして、私たちが適正だと感じるかどうかが問題なんです。

 その説明を、私たちを説得するそのプロセスを省いて、疑惑はない、あるいは適正に処理されていると言い続けても疑惑はなくならないということを、国民を代表して申し上げたいと思います。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。静粛に願います。

永田委員 加えて、総理の政策秘書が日常乗っているセルシオ、これについて、その所有者はだれですか、総理。答えてください。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にお願いします。静粛に。静粛に。静粛にしなさい。

小泉内閣総理大臣 そこまではわかりません。今の時点でわかりません。

永田委員 随分前からこの問題は国会でも指摘をされ、メディアからも指摘されているのに、わからないとは何事ですか。

 いいですか、総理の政策秘書が乗っている車は、名義人が、総理でもなければ政策秘書本人でもないんです。

 ここにその写真がありますけれども、これですよ。ナンバーは本人の名誉のために隠してあるけれども。この車は、総理の政策秘書が日常的に政治活動に使っていることは疑いないのですが、しかし、その所有者は、総理でも政策秘書でもありません。事務所名義にもなっていません。ある民間企業の方が、民間企業が名義人になっています。

 果たして、総理、このような使い方は寄附には当たらないんですか。民間企業からの寄附には当たらないのか、ぜひお答えください。

小泉内閣総理大臣 それは、政策秘書が使用している自動車は政治活動用のものではなく、何ら問題はないと承知しております。

永田委員 政治活動に車を使った場合、その車が他人名義である場合、これは政治資金収支報告書には寄附として計上しなければならないという事実を総理は御存じですか。

小泉内閣総理大臣 どのような規定かは詳しくは知りませんが、政治資金規正法にのっとって私の活動は処理されております。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にお願いします。静粛に。

永田委員 今の答弁は言語道断です。

 どのような規定になっているのかわからない。政治資金規正法の規定ぶりを私が問うたときに、どんな規定になっているかわからない。わからないけれども、政治資金規正法にのっとって報告されている。規定がわからないのに、どうやって法律にのっとって報告するんですか。でたらめにもほどがある。そういう答弁をしているから、国民から信頼されないんですよ。ぜひ、総理、もう一回答弁してください。

 総理の政策秘書が乗っている車はだれ名義のものですか。どういうふうに政治資金規正法上処理をするのが適正なのか。総務大臣もぜひ答えてください。総務大臣、どういうふうにこれは処理するのが正しいんですか。

小泉内閣総理大臣 政治資金収支の報告書をつくることにしても、ほとんどの議員は事務所に任せているんじゃないですか。少し常識を考えてくださいよ。

 政治家が全部収支報告書に目を通しますか。信頼する人に任せているんです。それを、法律が全部わからないから無責任だと本当に言えますか、そんなこと、皆さん。自分の政治活動、事務所に任せているんじゃないですか、民主党も。そんなに事務所の人を信頼しないんですか。これはちょっと、言い方、ひどいんじゃないですか。

永田委員 信頼されるかどうかは、信頼しない方が悪いんじゃなくて、信頼するような言動をしない人が悪いんです。それはフセイン大統領だってそうだったわけでしょう。国連査察のそれを裏切り続けて、信頼感がなくなったから戦争をしかけられちゃったんでしょう。それは、総理の論からいえば、当然、私たちに信頼されるような説明をするのが必要だということになるわけですよ。ぜひそれは、総理、心を入れかえていただきたいと思います。

 最後に、十分な答弁がいただけませんでしたから、幾つか、まず証人喚問。

 やはり山崎補佐官には来ていただかなければなりません。この方が来なければ、やはり、三千万円と言われるやみ献金、日本歯科医師連盟からの献金について、実態がよくわかりません。

 加えて、それほどこのセルシオの問題についてよくわからないというのであれば、総理が把握をしていないというのであれば、総理の政策秘書をぜひこの場にお呼びいただきたい。それは、証人喚問として私から要求いたします。あえて、秘書ですから名前をここで出しませんけれども、理事会には名前を伝えておきますので、そのようにお取り計らいをいただきたいと思います。

甘利委員長 理事会で御要求がある案件については、理事会で協議をいたします。

永田委員 そのようにお願いします。

 法務大臣、総務大臣その他厚生労働大臣にも、本当に、残っていただきましたけれども、総理の答弁がこの程度ですから、残念ながら時間がとれませんでした。私も反省するところはたくさんありますけれども……(発言する者あり)そんなに答弁したければ、総務大臣、ぜひ、あの総務省のホームページにおける政治資金収支報告書の公開方法は、僕はもう少し改善する余地があると思います。通告どおりの質問ですから答えてください。

 それから、南野法務大臣には、私が告発をした数名の政治家及びその他の、民間の方もいらっしゃいますけれども、なぜ不起訴処分になったのか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

 厚生労働大臣におかれましては、日本歯科医師会と歯科医師連盟が事実上一体の活動をしていることについて、前大臣から引き続き、私、指摘をしておきたいと思いますので、大臣の答弁をまとめていただきたいと思います。

 以上です。

甘利委員長 だれを。

永田委員 質問もわからない人に質問をするのは本当にきついんですけれども、総務大臣、ホームページで政治資金収支報告書を公開していますけれども、プロテクトがかかっていて非常に使いにくいんです。あれは改善の余地があると思います。ぜひ直していただきたいと思いますが、いかがでしょう。

麻生国務大臣 最高裁の判決を読まれましたか。(永田委員「どんな判決ですか」と呼ぶ)だって、法律全部を知らなきゃこの質問には、最高裁の判決の例が出ていますので、読まれている上で御質問なんだと思っておりましたので、さようではないなら読ませていただきます。

 政治資金規正法におきましては「閲覧」という規定がされておりまして、最高裁判所、平成七年二月二十四日判決におきまして、「規正法は、写しの交付を権利として保障しているものでないことは明らかである。」と判決がもう出ておりますので、私どもは、収支報告書等々をインターネットによる公表をさせていただいてはおりますけれども、権利として保障されていないということでありますので、現行法の解釈に従いまして、インターネットの公表の事務ということでしているということで、最高裁の判決に従っておるということです。

永田委員 政府が国民に与えた権利でなければ保障しない、こういうことですよ。今の小泉内閣というのはそういう姿勢が上から下まで貫かれていると思いますけれども、政府が国民に対するサービスとして、この収支報告書をコピーできるような状態で公開しても何ら不都合はないと思います。別に、最高裁は、それは法律違反だとは言わないと思いますよ。その辺の考え方はぜひ改めた方がいいと思いますね。

 それから、南野法務大臣、なぜ私が告発をした人たちが不起訴になったのか、ぜひ簡潔に御答弁をお願いします。

南野国務大臣 お答えしたいと思うんですが、中身が間違っているといけませんので、余り、早口でございましたので聞き取れませんでした。もう一度御質問いただけませんか。

甘利委員長 永田寿康君、落ちついて御質問ください。

永田委員 いいですか。私が告発をした数名の方々がどうして不起訴になったのかということを教えていただきたい、こういう質問であります。

甘利委員長 法務大臣、わかりましたか。

南野国務大臣 そういうお尋ねであれば、わかりました。

 不起訴処分の詳細な理由については、今お尋ねがございませんでしたが、起訴されなかった事件の証拠関係にかかわる事柄でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 事案の内容につきましては、先ほどございました村岡及び滝川の公判において、必要な範囲で明らかにされるものと思っております。

 以上でございます。

永田委員 最後に厚生労働大臣にも当てておかないと理事会で怒られそうなので、しておきますけれども、厚生労働大臣、日本歯科医師連盟と日本歯科医師会がいまだに事実上一体化した活動をしているというのは、やはりこれは大ごとだと思いますよ。前任だった坂口大臣は、日本歯科医師会は学術団体だというふうにおっしゃっていましたけれども、先ほどの総理の答弁では、三割負担を阻止するために何億もばらまいている、そういう団体だというふうに総理は言われているわけですよ。そういうふうに思われるようであれば、これは大ごとですよ。

 厚生労働大臣、ぜひこの厳格な分離と、やはり日本歯科医師連盟のような、歯科医師会と一体化しているような団体とのおつき合いは、自民党の節度としてこれはお控えになるのがよろしいんじゃないかと思いますけれども、厚生労働大臣の御答弁をお願いします。

尾辻国務大臣 公益法人の活動と政治活動に関する寄附を行う団体の活動とは峻別が図られるべきでございます。両者の活動が一体であるような誤解を与える行為は望ましくないと考えております。

 今後とも、必要に応じまして、日本歯科医師会に対して、公益法人と政治団体の峻別を行うよう指導してまいりたいと考えております。

永田委員 最後に一言だけ言っておきますけれども、厚生労働大臣、今回の日歯連のスキャンダルでは、日歯連のスキャンダルが問題になって、日本歯科医師会の理事が全員辞職をしているんです。政治団体のスキャンダルで社団法人の理事が全員辞職をしたんです。これは、一体化しているということを認めたに等しいんですね。

 しかも、きのう原口議員が指摘をするときに使ったメモでは、日歯連のスキャンダルについて、検察とのやりとりが日本歯科医師会の緊急理事会メモに出ているんです。これは、一体化していることを認めているに等しいわけですよ。ですから、そこはもう本当に実態的に分けるということをしっかりと指導力を発揮していただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 大変時間が超過いたしましたが、おわびを申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて永田君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の一回生議員の篠原孝でございます。

 どうも殺伐としてまいりましたので、話題を食べ物の話にかえたいと思います。

 目の前においしい和牛、BSEに汚染されたかもしれないアメリカの牛肉じゃなくて、おいしい牛肉があることを想定して、和やかに、かつ緊張関係も保ちつつ、建設的に質問をさせていただきたいと思います。

 私は、BSE問題一点に絞って御質問させていただきたいと思います。

 このことを考えるに当たって非常に参考になることがございまして、それは、成長ホルモン牛肉問題というのがかつてありました、それから、サリドマイド児問題というのがありましたので、対応を考えるに当たって非常に参考になりますので、これに触れながら質問させていただきます。

 それから、最後に、農政問題ですけれども、珍しく小泉総理に深くかかわっておりますので、総理に、食の安全性についての取り組み姿勢についても最後に聞かせていただきたいと思います。

 今、いろいろお金をめぐる議論が行われておりました。しかし、刑法、刑事罰の世界ではどういうルールがあるかというと、疑わしきは罰せずというゴールデンルールがございます。これが食べ物の世界では一体どうなるのかということなんですが、これは、疑わしきは食べず、あるいは口の中に入れずというルールがあるのではないかと思います。これを端的に教えてくれているのが、成長ホルモン牛肉問題じゃなかったかと思います。

 ちょっと冒頭説明させていただきますが、どういうのかというと、薬を耳の中へ牛の場合ぽっとやると、一年ぐらいたってからですけれども、三カ月か四カ月飼育しなくて済むわけですね。こんなものがあるわけです。

 それで、一九八〇年代の前半、北イタリアで奇病が発生いたしました。子供たちだけがかかると。女の子にメンスが始まってきます、三歳でですね。それから、男の子の大事なところにも毛が生えてくる、そういうのがあって、大人はなぜかかからない。非常に奇病だと思っていた。そうしたら、どこにも悪いことをした人がいるわけでして、畜産試験場の近くでした。成長ホルモンの研究をしていて、その対象牛は焼却処分をしなくちゃいけないのに、隠して売っていたわけです。それで、そのあたりの人たちがかかった。

 それから十年たちました。成長ホルモンはよくなって、ちゃんと働くようになったからというんで、一九八〇年代の後半、ヨーロッパで使われ始めました。しかし、男の子の乳房がはれてきたりとかいうように、やはり問題があるというので、EUは、EUの中の成長ホルモンを全面禁止しました。

 そこで国際紛争になっていったわけです。アメリカはそういうことを平気で使っているということ。私はそのあたりまでこれをフォローしていたんですが、それでガット・パネルに訴えられたはずなんです。その後、一体どうなったんでしょうか。

 そのときに、今のBSE牛肉と同じように、EUが輸入ストップしているのは科学的根拠がないんじゃないかということを盛んに議論されていたんです。その後、一体どういうふうに議論されて、今現在どうなっているか、厚生労働大臣にお答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 先生の方が御専門だと思いますけれども、答えさせていただきます。

 EUは成長ホルモン剤の使用を禁止しております。そして、アメリカ等、等と申し上げましたのはカナダが入っておるからでありますけれども、輸入される成長ホルモンを使用した牛肉に対し、輸入禁止措置を行っております。

 これに対してアメリカ等がWTOに提訴いたしましたところ、WTOは、九八年一月、EUの措置はリスク評価に基づくものではないとし、EUは、九九年七月から、アメリカ等による報復措置を、これは報復関税でございますけれども、受けているところでございます。

篠原委員 わかりました。もめていて、報復関税をアメリカからかけられながら、EUは、いまだもって成長ホルモンは認めずという姿勢を堅持しておるということでございますね。

 今度、BSEの問題でございますけれども、いろいろ問題になっています。

 このBSEについて、一九八〇年代の後半、牛肉・かんきつ交渉というのが行われました。そのときは、牛肉・かんきつを自由化して安いものを食べたいという消費者の声があったと思います。今現在、非常に落ちついているような気がするんですが、食品安全委員会でいろいろ議論をしております。このBSEの全頭検査の問題ですけれども、これについて見直せという意見が、消費者、生産者、流通業者、いろいろな人がいるんだろうと思いますけれども、一体あるのでしょうか。島村農林水産大臣にお答えいただきたいと思います。

島村国務大臣 お答えいたします。

 食品安全委員会から九月九日に中間とりまとめが出されましたことは御高承のとおりでありますが、厚生労働省そして農林水産省で連携いたしまして、全国七カ所でリスクコミュニケーションを行ったところであります。

 それで、このリスクコミュニケーションにおきましては、消費者、生産者からは全頭検査を維持すべきとの意見が出されましたけれども、一方で、食品事業者を初めとして、一部の消費者、生産者からも、科学的知見に基づいて全頭検査を見直すべきだという意見も出されたところであります。

篠原委員 今お伺いしていますと両方あったというふうなお答えですけれども、常識的に見て、今の全頭検査を見直すべきだという大きな声は起こっていないと見ていいんじゃないでしょうか。

 例えば、私が言うのもなんですが、三十一億ぐらいしかコストがかかっていないはずなんですね。それを、全頭検査じゃなくて二十カ月齢以下だけにしても大して変わらないという、コストの面でですね。新聞報道ですけれども、新聞がアンケート調査をしましたら、八〇%が見直さなくていいという声があるわけです。

 それは、先ほど申し上げましたように、日本の消費者も非常に学習しまして、かつては安ければいいと思っていたかもしれませんけれども、今は、安全性の方がいいんだ、それから、肉は食べ過ぎてもう要らない、この辺の人たちにもそういう人はおられますけれども、そういう感覚になってきた人たちがいるので、意識がもう完全に変わってきたんじゃないかと思います。それにも増して、安全性についての考え方が非常に強まってきて、それを追求するようになってきたんじゃないかと思います。

 これで思い出していただきたいのは、小泉総理、厚生大臣もやられていると思いますが、サリドマイド禍の問題がありました。日本でも三百人を超える人たちが、手や足が出なくて、これは不幸な事件でした。

 しかし、これはアメリカでは全く起きなかったんですね。アメリカ人は睡眠薬をさんざん飲みます。それから、プロ野球選手も時差調整のために飲んだりするぐらいなんです。それを、アメリカの場合は何でサリドマイド児が生まれなかったのか。ドイツの会社の薬だったんですが、アメリカの食品医薬品安全局のフランシス・ケルシー女史という方がおられまして、この方が、何人もいる委員の中でたった一人、催奇性がある、絶対にこれは許可すべきじゃないと強硬に言い張って、一年、二年過ぎていたんです。その間に催奇性が明らかになってということで、世界全体で四千人ほど被害を受けたわけですが、睡眠薬をあれだけ常用しているアメリカで、ちょっとだけしか出ていないんです。ですから、ケネディ大統領から大統領勲章というのをもらわれたんです。こういう事件があったわけです。

 こういう役割を食品安全委員会が果たすべきだと思うんですけれども、棚橋大臣、たった一人まだ答弁がないと思いますので、敬意を表して、棚橋大臣からお答えいただきたいと思います。

 棚橋大臣、就任のときに当たってこの問題を引かれました。私はほれぼれしました。食品の安全性を大事に考えて、国民の信頼を損ねてはいけないから慎重に対処していくと言っておられました。

 一体、食品安全委員会の中で、ケルシー女史にかわるような人がおられたのかどうか。それから、大臣はこれをどのように対処されるか。二つお答えいただきたいと思います。

棚橋国務大臣 篠原委員にお答えいたします。

 まず冒頭、篠原先生の食の安全に向ける情熱のすばらしさに心から敬意を表させていただくと同時に、今後とも御指導いただければと思っております。

 食品安全委員会に対するお尋ねでございますが、まず、今ケルシー女史のお話をいただきましたけれども、御承知のように、今回のBSEに関する見直しの諮問は、つい先週、リスク管理機関の方からこちらに出されたばかりでございまして、これから食品安全委員会の方で科学的な立場から公正中立に議論がなされていくものと理解しておりますので、どうぞその点、御理解をいただければありがたいと思います。

篠原委員 どうも、委員の中にケルシー女史のような方がおられなかったような感じですね。まあ、しようがありません。

 では、時間がありませんので、次へ進みます。

 このBSE、いろいろ問題はあるんだろうと思いますけれども、ちょっと、こういったのを契機に、いろいろ政策を変えたらいいんじゃないかと思います。小泉内閣では、いろいろ改革、改革とおっしゃっています。大改革を、こういうことを契機にしてするべきだ。

 どういうことかといいますと、マクドナルドを皆さん御存じだと思います。マニュアル化されていて、行儀の悪い、私の息子なんかも含めて、あそこへやると丁寧な言葉遣いに直ってくる。何でもマニュアル化されているわけですね、店員ですよ。

 ところが、店員じゃなくて、皆さんこれは御存じないと思うんですが、つくり方とか、つくり方だけじゃなくて、原材料をどう調達するというのもマニュアルにあるんです。そして、驚いたことに、現地国の原材料をできる限り活用して、現地国の農業に貢献せよという項目があるんです。

 ところが、我が日本国の、亡くなっちゃったので余り悪口を言いたくありませんけれども、藤田田さんはそういうことを一切されていない。フランス・マクドナルドは、原材料は全部フランスの牛肉、フランスの小麦、フランスのキャベツなんです。おわかりになりますでしょうか。今、国を守ろうとかなんとかだったら、国の農業を守ろうというのも当然だろうと思います。

 島村大臣、二度目の農林水産大臣です。外食産業界とも親しい。業界と親しいのは、永田さんじゃないですけれども、いろいろ指摘されます。せっかく親しいんですから、これを有効活用して、外食産業に日本の国産材を使うべきだという逆転の発想で指導して農政をやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

島村国務大臣 外食産業も親しい方は非常に多いですが、農業を営む方あるいは畜産業、皆さん親しい方でありますので、誤解のないように訂正をしておきます。

 国産牛奨励は結構でございますが、やはり安い肉食を希望する方も世の中には多いわけでありまして、これのニーズにこたえるためには、どうしてもいわば輸入牛も使わざるを得ない、これは現実であります。もし御要望があれば、後ほど、価格の比較を簡単に調べてありますから御返事いたしますが、いずれにいたしましても、対象とする顧客、あるいは競合する商品等との競争の中で、どういうものを使うかというのは業者それぞれの立場で考えて検討しているところですし、最近の急速な価格の低落などを見ましても、相当な企業努力が行われていることをだれしもが認めるところだと思います。

 さて、今般の米国産牛肉の輸入停止によりまして、外食事業者は大変な打撃を受けました。そして、死活問題に至っているところも結構ございますが、かと申して、我々は、あくまで食品というのは安全で安心、これが大前提でありますから、そのあたりは十分配慮をしているところであります。

 そういう中で、牛丼の場合などにあっても、味や価格を左右するものでありますと同時に、個々の企業の経営に直結する問題でもありますから、何々を使うということまで強制あるいは指導するというのはいささか行き過ぎではないか、こんなふうに思うところであります。

 価格についてはあえて申しませんが、御希望でしょうか。よろしゅうございますか。はい、それでは終わります。

篠原委員 多国籍企業のマクドナルドでさえも現地国の農業の振興に資するように活動せよと言っておるのに、我が日本国の農林水産大臣がそれでは、私はちょっと困るような気がします。

 一年間なくてもやっていけるわけです。松屋なんかは、もう牛めしとかいってやり始めたそうです。吉野家は、牛丼屋だと言っていたけれども、これを機会に和牛丼屋に変えたらいいんじゃないかと私は思います、名前も変えて。

 これは差別化ですよ。牛肉一つ、全部同じじゃないわけです。竹中大臣はおられませんけれども、差別化ということが好きなんでしょうけれども、例えば但馬牛丼とか米沢牛丼とか。それがいけなかったら、北海道だったら、中川さんもおられませんけれども、帯広牛丼とか網走牛丼とかいって、面倒くさいから。そういったようにしてやっていったらいいんじゃないかと思います。そういったことを私はぜひ考えていただきたいと思います。

 それで、BSEの検査に戻ります。

 この検査、私は非常にいい制度じゃなかったかと思います。これは御記憶かと思います。今は大臣になっておられますけれども、鮫島宗明、我が党のネクストキャビネットの農林水産大臣たちは、当時、二十四カ月以上でいいじゃないかと主張していたんですが、武部大臣は違ったんです。武部大臣は当時の農林水産大臣ですけれども、感心いたしました。消費者に軸足を置く農政をすると。こういうのは、ほとんどは口先だけで終わるんですけれども、あの人は違いました。ちゃんと断行しました。そして、全頭検査をやるんだと言って、やり始められたわけです。私は、これは武部農政の金字塔だと思います。非常に光り輝いていると思う。

 小泉政権の中でいろいろやって、仙谷さんは、きのう悪口ばかり言いました。まあ、当たっているのが多いんだろうと思います。経済指標は一つもよくなっていない。しかし、この点については非常に信頼がされていて、消費も回復し、生産者も潤っているわけです。小泉政権の功績だと思います。

 せっかくこうやってうまくやってきたものを、これを変えるというのは、私はおかしいんじゃないかと思う。こういういいことをやってこられたので、小泉総理も幹事長に抜てきされたんじゃないかと思いますけれども、小泉政権のときにやられたこの政策を、間違っていたというふうにお考えなのでしょうか。小泉総理にお答えいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 間違っていたというのではなくて、BSEの問題が起きてきてから、食の安全、国民に不安を与えないように、しっかりとした食の安全について、国民に安心、安全な食を提供するための対応をするべきだということで今までやってきて、ようやく、BSEの問題が起きても余り不安や混乱は起こらないという状況になってきたんだと思います。

篠原委員 ちゃんとしたお答えになっているかどうか、私は耳はいいつもりなんですが。

 状況が変わってきたから変えていくんだということでよろしいんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 この問題については、どこまでが安全かということについては専門家の意見を聞かなきゃわからない。世界の基準、日本の基準、科学者の知見、そういうものをしっかりと公正に判断して、国民に、安全に十分配慮して、安心して食を提供するような環境をつくるべきだという考えなんです。

篠原委員 それはいい考えですけれども、非常に柔軟に対応されておられる。きのうの議論の延長線上でいきますと、イラクに大量破壊兵器がなかった、あったというあの議論、僕は余りああいうのは好きじゃありませんけれども、状況が変わってきたので変えていかなくちゃいけない、そういう柔軟な姿勢をお持ちだということなんじゃないかと私は思って、そのことを指摘するのはもうこれでとめます。

 この点、今、総理は科学的な根拠を大事にするというふうにおっしゃいましたけれども、我が国の国民はそうは見ていないんじゃないかと思います。

 ブッシュ大統領は、九月の上旬、オハイオで、大統領選挙の遊説の中で、日本との牛肉の問題を触れられました。なぜかというと、牛肉産業というのは、日本でいうと何に当たるんですかね。物すごいです。畜産業がアメリカの農業生産額の半分以上を占めるわけです。その中でも、キャトルインダストリーというか牛肉産業は六割ぐらいを占める。ですから、農業といえば畜産業あるいは肥育牛業になるわけですね。

 それで、九月二十一日、ブッシュ大統領と会われて、その後、私は内容は知りません、新聞報道を見ますと、できるだけ早期に牛肉貿易を再開する重要性で一致というふうになっている。やはり国民は、アメリカとの関係を配慮されてやっているんじゃないか、そういうふうに見ているんじゃないかと思います。

 ブッシュ大統領との話はどんなふうだったんでしょうか、教えていただきたいんです。

小泉内閣総理大臣 日米首脳会談では、今までの経緯を踏まえまして意見交換をいたしました。

 四月以来、両国の継続的な努力によって、問題解決に向け相当の進展を見せているものの、早期解決のため、日米は引き続き協力していく必要があるという結論に達したわけであります。その際に、これはやはり科学的知見に基づかなければいけないということで、消費者が安心、安全に食することができるような、そういうことについては、日本の立場というものもよく説明いたしました。

 私は、日本の牛肉というのはほとんど全部人工授精だ。アメリカのいわゆる牛肉は全部自然放牧。なるほど、所変われば品変わるのかなということでありますが、いずれにしても、科学的知見に基づいて、食の安全に十分配慮して、できることはお互い協議再開して、安全な牛肉を食することができるようなことになればいいなという協議を進めていこうということでございます。

篠原委員 やはりそこら辺になってくるとおかしいんですよね。日本でまだどうかという結論も出ていない、諮問されているときにアメリカから言われるというのは。

 きのう、何か軽口カルテットとかいう、私は、ああいう悪口、余りこういうのは好きではないんですが、言われていた。ですけれども、そのときにそういうことを言ってはいけないというのを、武部幹事長も総理もそれは差し控えるべきだと。しかし、私は、そっちの発言の方がまだ、我が国の制度をゆがめてまでブッシュ大統領の選挙を助けるような行動をとるということより、こっちの方がずっとおかしいと思います。そうじゃないでしょうか。そういうふうに国民は見ています。

 この点について総理はどうお考えでしょうか。国民はそのように必ず見ています。

小泉内閣総理大臣 その点は、私も十分配慮して発言しているんです。再開しよう、それはやはり科学的知見に基づかなきゃ日本はできないと。大統領選挙の前、後関係ないと、はっきり私は申し上げているんですよ。

 ですから、この米国産牛肉の輸入再開に当たっては、我が国として、消費者の食の安全、安心の確保が何よりも重要と考えている。政府としては、こうした観点から、食品安全委員会や関係省庁のBSEに対する国内措置の見直しを踏まえ、米国と協議を行っていく考えである。

 そういうことで、科学的知見、安全かどうかと今諮問している段階でありますから、別に、素人とか、政治的な判断が入る余地はないんです。科学的知見が大事である。

篠原委員 慎重に発言されて、先ほどのいら立った発言と比べたら、ずっと慎重に答弁されていただいているのはよくわかります。しかし、今おっしゃったとおりに、ぜひ、ぜひしていただきたいと思います。

 今総理がおっしゃったとおりに、我々の安全というのは国が守るべきことです。サマワに自衛隊を派遣するというのもいろいろ正否があるでしょうけれども、私は、必要なことかもしれないと思います。

 安全性についても絶対守っていただかなくちゃいけないわけです。EUは、成長ホルモン、報復関税をかけられても守り通しているわけです。だめだ、消費者が反対しているからと。そういう態度を絶対とっていただけるんだろうと思いますけれども、今後のBSEについての行く末というのは、日米関係にもうなっちゃっているんです。総理は違うとおっしゃるかもしれませんけれども、総理の双肩にかかっているわけです。ですから総理にこうやってお伺いしているわけでして、我が国の食の安全を守るために、総理は、今の姿勢をちゃんと保っていただけるんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今答弁したとおりなんです。よくおわかりいただけると思います。

篠原委員 総理の言葉は、私、総理は、体重は軽いですし、口も軽いですし、私も似たようなところがありまして非常に親近感を持っているんですが、どうも、総理のおっしゃっていることは本当かな、ちょっと重みが軽いような気がするんですね。

 総理、ぜひお願いいたしますけれども、これは大事な問題なんです。郵政、郵政とおっしゃいます。郵政と言っていますけれども、国民は二%ぐらいしか関心を持っていない。イラク問題だってそんなに持っていないんだ。ところが、牛肉、毎日食べるもの、これについては非常に関心を……(発言する者あり)済みません、毎日食っちゃいけないんですけれどもね。

 だから、これについては大変なんですよ。抵抗勢力というのを自民党の中につくっておられますけれども、本当の抵抗勢力は、わがまま放題のアメリカです。アメリカに対して断固闘う姿勢をぜひ示していただくことをお願いいたしまして、時間になりました、大分減っちゃったんで、済みませんけれども、まだあるんですけれども、これで終わらせていただきます。

甘利委員長 これにて篠原君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 橋本元首相が日本歯科医師連盟から一億円のやみ献金を受け取っていた事件について、小泉総理は、党の問題ではないというふうにおっしゃった。しかし、自民党の総裁を務めたり幹事長をやったことのある人物が直接かかわっており、党の中で発生した、そういう事件だと思うんです。

 先ほどの答弁で、関係あるかどうか、幹事長に指示したと言われました。したがって、その調査した結果を、問題を指摘されたこの予算委員会に明らかにすべきだというふうに思いますが、そのようにされるおつもりはありますか。

小泉内閣総理大臣 私は、先ほどの質問に対する答弁について、今回のいわゆる日歯連の一億円献金問題については自民党本部が関与した事実はない、自民党本部と直接的に関係のある問題とは承知していないという答弁をいたしました。

 なお、いろいろ質問を昨日から受けておりますので、改めて、昨日来からの質問も踏まえて、我が党の武部幹事長に対しまして、日歯連事件に関して指摘されていることについて、自民党として調査、確認するよう指示しております。

 今の御質問も、その報告をせよということでありますので、調査して、報告がなされれば、それは公表させていただきます。

佐々木(憲)委員 予算委員会に報告をぜひしていただきたいと思います。

 これは、委員会独自の、国会独自の、政治的道義的責任の追及ということは大変大事でありまして、起訴された村岡兼造元幹事長は、証人喚問や参考人招致が決まれば、そこに出て、言い分を聞いていただき、解明していただきたいと述べておられます。国会から要請があれば証言に応じるという意向を明らかにしたわけです。予算委員会として、当然、喚問をするというのは、あってしかるべきだと思います。

 同時に、小切手を受け取った現場にいたのは、橋本龍太郎、青木幹雄、野中広務の三氏でございます。贈った側は、日歯連の臼田貞夫、内田裕丈、全体としてこの六名、私は、証人として喚問すべきだと思います。

 さらに、逮捕された平成研究会会計責任者の滝川容疑者、この方は、一億円の処理の仕方について自民党の元宿仁事務局長に相談したと言われております。この二名についても証人として喚問すべきだと思います。

 委員長、一億円やみ献金事件、究明するため、当面、私は、この八名、証人喚問をすべきだと思いますが、検討していただきたい。

甘利委員長 既に理事会協議マターになっております。

佐々木(憲)委員 小泉総理は、本会議で、我が党の志位委員長の質問に対して、迂回献金はあってはならないとお答えになりました。これは当然だと思うんです。しかし、昨日、党としてはその事実はなかったと報告を受けているとお答えになりました。本当に迂回献金はないと言えるんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 なかったと聞いております。

 もちろん、あってはならないことでありますし、そういう国会の議論を踏まえて、きのうも話がありましたけれども、迂回献金はないという報告を受けております。

佐々木(憲)委員 報告を受けたというだけでありまして、あるかないかという調査は具体的に私はまだきちっと行われていないと思います。

 そこで、具体的な事実を指摘したい。

 お配りした資料、資料はこれからお配りするんですが、例えば石原伸晃前国土交通大臣の場合、資金の流れというものが非常にはっきりとしておりまして、これは、国土交通委員会の理事会で自民党の理事が口頭で報告した内容もこれと全く同じでございます。

 例えば、二〇〇〇年の七月十一日に日歯連から一千万円、これが迂回をして、自民党から七月三十一日に、東京都第八選挙区支部に一千万円。同様に、六月二十一日、六月二十九日。十一月十四日、十一月二十九日。これは二〇〇一年であります。それから、二〇〇二年は五月十四日、五月三十一日、こういう形で迂回をしているということが極めて濃厚な数字であります。

 しかも、私は、ここに、一番最初の平成十二年七月十一日の領収書を持っておりまして、この領収書には、欄外に、極めて薄いんですけれども、石原伸晃と読める文字が書いてあります。これは領収書番号一〇二八六でありまして、平成十二年七月十一日。私は手元に持っておりますが、皆さんにはまだお配りしておりません。これは国民政治協会が書いたものじゃないということは明らかです。しかし、日歯連側が書き込んだという疑いが極めて明確であります。

 もう一つ領収書。これは平成十三年六月二十九日でありますが、国民政治協会が出した領収書です。領収書番号が一一四五四。これは五百万円でありますが、欄外に古賀というふうに書いてあります。古賀と書いてあります。こういう事実がある。

 さらに、国民政治協会が日歯連に出した領収書の右上に番号が書いてありまして、一つは、皆さんにお配りした資料の二枚目をあけていただきますと、領収書一一八八七の右端ですね、八一一、八一五、八一六と番号があります。もう一枚の領収書ですが、ここには、七五九、七六〇、七六一、七六二という番号が振ってあります。この番号は日歯連側がつけたものと想定されます。そして、それぞれの番号は議員が特定されるような番号となっておりまして、手元の日歯連側の帳簿にそれが記されているということであります。

 番号のついている領収書というのはこれ以外にもたくさんありまして、私はここに領収書を五十枚ほど持っておりますけれども、この領収書の中で確認できるものでも、平成十三年四月十六日から十四年十二月二十六日の間だけで、全体で、番号がついたものが二十八枚あるんです、二十八枚。番号の数は三十三個あります。それで、日歯連側は、この番号に基づいて別の帳簿で一括管理していたということでありまして、その番号と議員の名前がその帳簿には書かれていると言われております。

 このように、私は、まだこれが、じゃ、迂回献金の証拠かどうかと言われると、これだけでは証明には、もうちょっと証拠が必要だと思いますが、総理は調査をするという姿勢を先ほど示されました。したがって、当然、これらの事実も含めて調査するのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 よく委員会での議論を踏まえて調査するようにと幹事長には指示しておりますので、幹事長が適切に判断されて調査すると思っております。

佐々木(憲)委員 委員会で私はこれだけ資料を出しましたし、指摘をさせていただきましたから、当然それを踏まえて、それも含めて調査をされるものと、今の答弁でそのように理解しました。

 一般論としてお聞きをしたいんですけれども、総務大臣、企業や団体というのは政治家個人に献金はできない。政党に限られている。その上、量的規制があるということですね。それを免れる目的で、政治団体等を経由して政治家に献金した場合、政治資金規正法に抵触する違法行為になると思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 御存じのように、私ども総務省としては形式審査権しかないということは、もう佐々木先生よく御存じのとおりだと思いますので、具体的な事実関係を承知する立場にありません。

 一般論ということでしたので、一般論としてお答えさせていただければ、政治資金規正法第二十一条の第一項ということになるんだと思いますが、「会社、労働組合」「その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。」ということになっておりますので、御質問のような寄附が具体的な事実に即しておりますれば、今申し上げた第二十一条の第一項で禁止する寄附に該当すると法律的に認められる、評価される場合におきましては、いわゆる同法違反、政治資金規正法違反になるということだと存じます。

佐々木(憲)委員 法務大臣にお聞きしたい。

 例えば、献金を、政治団体を経由せず直接受け取っているのに、あたかも政治団体を経由したかのように見せるため、政治団体の領収書を発行する、こういう行為はどのような法令違反になりますか。

南野国務大臣 お答えいたします。

 今先生がお問い合わせになられましたことは迂回献金と言われているようなケースで、政治団体から議員にお金が渡っているにもかかわらず、違う第三者が、C者が領収書を発行した、そのことについてのお尋ねであろうかと思っております。

 先生がお尋ねの事実が、必ずしも、どのような事実関係を想定してお尋ねなのかというのははっきりいたしませんが、いずれにいたしましても、犯罪の成否は、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断されるべき事柄でございますので、私からのお答えはいたしかねるということを……。

佐々木(憲)委員 私は、具体的な事実についての答弁を求めたのではないんです。法解釈、法の仕組みを聞いているんです。

 直接、ある団体から特定の議員に政治献金が渡っているにもかかわらず、第三者が領収書を発行するという行為はどういう法令違反になりますかと、一般論として聞いているんですよ。ちゃんと答えてくださいよ。だめだ、そんなのは。

滝副大臣 基本的には、先生の御指摘は、恐らく、私文書偽造とか、そういうようなことを念頭に置かれているのではなかろうかと思いますけれども、具体的な問題というふうなことでなくても、このような問題について、あらかじめ想定して、それがどういう罪になるのかというようなことは、なかなか私どもとしては言いにくいと思うんです。

 一般論として言えば、例えば今の私文書偽造でございますと、条文にはこう書いてあるんですね。「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章」、こういうようなことを並べてありますから、そういうような条文に当てはめて具体の事実がどうなるかということでございまして、したがって、一般的に、想定でどんなものかというのはなかなか申しにくい。一般論といたしましても、なかなかそこのところは難しいと思うんです。第三者となりますと、どういう意味で第三者かというのはよくわかりませんので。

佐々木(憲)委員 法令で明確にこういうことは禁止されておりますし、それに違反すると、これは違法行為なんですよ。もう明らかじゃないですか。本当に私はいいかげんな答弁だと思います。

 これだけ疑惑を指摘しましたから、調査の上是正するというのは、私は、自民党も当然ですし、また当委員会としても、証人喚問を含めた委員会としての真相究明というものは進めていかなければならないというふうに思っております。

 企業・団体献金はわいろ性を当然帯びておりますから、やはり、個人献金に限る、政党助成金はやめる、こういうことが今後の政治として必要なことだと思いますので、一言指摘して、質問を終わります。

甘利委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

甘利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。辻惠君。

辻委員 民主党の辻惠でございます。

 私は、この国会の大きな争点である政治と金の問題を中心に質疑を行いたいというふうに考えます。

 どんなに立派な政策を掲げても、それが、結局のところ、国民の信頼に基づくものでなければ、その政治というのは本当に国民に基づいた政治とは言えない。そういう意味におきまして、今、日歯連問題を中心として問題になっている政治と金の問題は、民主政治の根幹をなすという意味で、今国会においては、ある意味では最も重要な問題であろうというふうに考えるものであります。

 私は、民主党の同僚議員と、七月三十日に橋本元首相を政治資金規正法違反で刑事告発を行いました。これに引き続いて、八月三十一日に、野中元自民党幹事長、そして青木現参議院会長に対して、同じく政治資金規正法違反ということで刑事告発を行い、そして、さらに九月十七日に、自民党の事務局長である元宿仁さんと衆議院議員の佐藤勉さん、これはまさに迂回献金をめぐる問題についての政治資金規正法違反ということで刑事告発をしたのであります。

 なぜ、このように三度にわたって刑事告発をせざるを得なかったのか。それは、新聞報道と、またもたらされる情報によって、東京地検特捜部が本当にこの問題を真剣に真相の解明をしようとしているのか、ある意味でその姿勢に疑念を抱かざるを得なくなった。そういうことから、国民の皆さんにしっかりとこの問題を問題提起して、検察当局もうやむやにこの問題を済ませることがないように、そのような状況をつくり出すという意味においても刑事告発をしたのであります。

 しかし、残念ながら、橋本、野中、そして青木、三氏に対しては不起訴処分という通知が九月二十六日付で来ました。私は、同僚議員とともに、この問題はこれで済まされる問題ではないと、検察審査会に審査の申し立てを行って、現在、係属中であります。

 このような観点に立ったときに、日歯連問題をめぐる真相究明ということは、民主政治の根幹をなす政治に対する国民の信頼を回復する意味で必要不可欠なものであるというふうに考えますが、とりわけ、その検察当局を指揮する立場にある南野法務大臣の基本姿勢ということがやはり問題になってくるわけであります。検察庁法で、一般指揮権は大臣に認められております。そういう観点で私は質問をしております。

 それで、まず最初に、南野法務大臣が本当にどのような基本姿勢をもってこの問題に臨む覚悟をお持ちなのか、そのことに関連して、南野法務大臣に対する献金問題また公職選挙法違反事件の問題に関連して、冒頭で質問をさせていただきたい、このように思います。

 小泉政権は、発足のときに、自民党をぶっ壊す、改革内閣だということで声高に出発しました。既存の利権にメスを入れるんだ、政官業の癒着を正していくんだ、このような小泉政権の政策を実行しようとするのであれば、内閣の人員につきましても、政官業の癒着にきちっとメスを入れていける人材を登用しなければならない。しかしながら、極めて疑問な人材登用が行われている。既存の派閥政治を前提にした順送りの大臣の人事、このことが今回発足した小泉改造内閣においてもとられており、とりわけ法務大臣についてこのことが問題であろうというふうに思います。

 そこで、まず南野法務大臣にお伺いしますが、本年九月二十八日の読売新聞の朝刊によれば、南野法務大臣に日本看護協会から一度に一億五千万の献金がなされたという報道がなされていて、これに対して南野氏は就任会見で、「私の方に、そんなにお金が入っているとは聞いていない。それがすべて選挙に使われたのか、聞いてみないと分からない」、このように答えたと報じられております。

 現在聞いてみられたと思いますが、この点について、具体的に幾ら政治献金が行われていて、それが選挙にすべて使われたのか、使われていないとすれば幾ら残っているのか。そのことについて、まずお答えいただきたい。

南野国務大臣 お答えを申し上げます前に、昨日の原口委員に対する答弁の中で、私が、検察庁の方も御答弁いたしましたと申し上げましたが、刑事局長が答弁いたしましたの誤りでございますので、まず、おわびして訂正申し上げます。よろしくお願いいたします。

 ただいま辻議員からの御質問でございますが、私のことで予算委員会の大切な時間をいただくことは全く私の不徳といたすところでございますが、弁護士でもある辻議員の御質問に真摯にお答え申し上げることで誤解が解けるものと信じております。

 御質問の献金というのは、日本看護連盟からのおの知惠子後援会に寄附されたことと思います。のおの知惠子後援会は、日本看護連盟のメンバーが私の政治活動を支援するために設立した政治団体であり、私の資金管理団体ではございません。報道などではあたかも看護連盟から私に寄附されているように言われておりますが、私の資金管理団体は、南野知惠子と共に政策を考える会であります。

 日本看護連盟からのおの知惠子後援会に対し寄附がされるということで、あたかも看護連盟から私のところに寄附されているように言われておりますが、これは誤解でございます。のおの知惠子後援会は、形式的にも実質的にも、私がその資金を管理している団体ではございませんので、誤解のないよう、まずお願い申し上げます。

 そういうわけで、日本看護連盟にいたしましても、のおの知惠子後援会にいたしましても、私自身、運営にも会計にも関与しておらず、そのような御指摘があるまでの間、その件については承知しておりませんでした。

 したがって、使途についても承知しておりませんでしたが、念のため聞いてみましたところ、その一部が、九十万人いるのおの知惠子後援会会員の登録作業委託費やのおの知惠子後援会幹部の名刺などの印刷費などに使われたと聞いており、その多くは使われていないで残っているようでございます。

辻委員 のおの知惠子後援会ということであっても、実質は南野大臣の政治資金団体なわけでありますから、結局、区別する意味がないということであります。

 後援会についての認識について伺いますが、のおの知惠子後援会というのと、南野知惠子と共に政策を考える会という二つありますが、これはどういう役割分担で機能しているんですか、お答えください。

南野国務大臣 私の立場でお話し申し上げますが、南野知惠子と共に政策を考える会は、私の政治資金管理団体としての私の役割がございます。

 でも、のおの知惠子後援会というのは、看護連盟とともに独立してある団体でございまして、それが後援会という形で展開しております。看護連盟は看護の仲間が構成しているものであり、のおの知惠子後援会というのは、それにプラスする御支援いただく方々がその中の会員としているところでございます。

辻委員 お答えの趣旨が不明でありますが、のおの知惠子後援会というのは南野知惠子さんを後援する会じゃないんですか。南野さんとは無関係な会なんですか。区別する意味がないでしょう。のおの知惠子後援会を、あなたとしては、これは無関係だということで済まされない問題ですよ。どうなんですか。

南野国務大臣 お答えいたします。

 私に対して、親ともなり姉ともなり、いろいろな温かい心で、会員から年五千円をいただいている会費でございます。そういう意味では、のおの知惠子後援会の役割と、それから私が資金管理団体としております南野知惠子と共に政策を考える会とは別でございます。衆議院の先生には御理解しにくいことなのかなとは思いますが、比例という立場でございますので、よろしくそのことは御理解いただきたいと思っております。

辻委員 相変わらず趣旨不明でありますが、余りその問題でうろうろしていても話が進みません。

 ただ、一点指摘しておきたいことは、のおの知惠子後援会がもし選挙違反を犯せば、これは組織的選挙運動管理者なりがその中に入っているということで、当然、南野知惠子さん、連座制の問題なんかになるわけですよ。だから、あなたが関係して、あなたが政治責任を問われなければいけない政治団体であるということについては変わりないじゃないですか。このことをまず前提にしっかりと認識しておいていただきたい、このように思います。

 のおの知惠子後援会、これは二〇〇一年の代表者が清水嘉与子さんであったということでありますが、この清水嘉与子さんというのはどういうお立場の方で、どういう御関係の方ですか、お答えください。

南野国務大臣 お答えいたします。

 南野知惠子も清水嘉与子も、看護連盟が支援する議員でございます。その両者に対して、また、そのほかにも議員がおられますが、それらに対しての御支援をいただいているところでございますが、資金管理団体ではございません。

辻委員 資金管理団体は南野知惠子と共に政策を考える会であるということは当然わかっております。ただ、南野知惠子さんに関連する政治団体がのおの知惠子後援会であるから、お金の出入りについては、当然、どちらのお金も南野知惠子さんの選挙活動や政治活動に使われているわけですから、その出入りなり不透明な問題があれば、これは当然、南野知惠子さんの政治責任の問題にもなってくるということをまず指摘したわけであります。

 そこで、質問いたしますが、のおの知惠子後援会には、二〇〇二年に日本看護連盟から二億円、二〇〇三年に日本看護連盟から一億五千万寄附がありますが、一億円を超える巨額の金額がなぜのおの知惠子後援会に看護協会からあるんですか。どういう深い利害関係があるんですか。説明してください。

南野国務大臣 ただいま看護協会からという仰せでございましたか。(辻委員「看護連盟です」と呼ぶ)看護協会は別団体でございますので、看護連盟と看護協会は違う団体でございます。(辻委員「いやいや、だめですよ。途中で、看護協会は看護連盟と撤回しているわけですから」と呼ぶ)

甘利委員長 法務大臣、聞かれたことに答えてください。

 辻惠君、もう一度質問を繰り返してください。

 よく聞いておいてください。よく聞いておいてください。

辻委員 二〇〇二年に日本看護連盟から二億円、二〇〇三年に日本看護連盟から一億五千万、のおの知惠子後援会にこのような巨額の献金がなされているというのは、どのような利害関係があるからなんですか。看護連盟との利害関係の内容、御説明ください。

南野国務大臣 お答えいたします。

 看護連盟との利害関係というのは特にございません。私自身、看護職であり、そこに所属している人間ではございますが、先生も、私が国会の中で何を活動しているか御存じだろうと思っております。性同一性障害の課題、DV法の課題、少子化対策の問題、そのようなことをしっかりと検討いたしており、看護の地位の向上は、国民の方々の心と体の健康を事故なく展開していこうとする、努力する団体でございます。

 まだまだ開発していかなければならないところはたくさんございますので、その点も含めて、しっかりと、政治的な活動を通し、我々のレベルをアップすることが国民の方々に利になると思うことでありまして、看護連盟のことだけをやっているわけではございません。保育の問題も、中小企業の方々との問題も、いろいろやっておりますが、それが私の行動でございます。

辻委員 質問に端的にお答えください。

 先ほどのお話では、のおの知惠子後援会は、日本看護連盟にプラスして支援してくださる方々が集まった後援会なんだ、このようにお答えになりました。

 配付している資料をごらんいただければわかりますが、二〇〇二年の収入です。のおの知惠子後援会、本年度収支二億円、その二億円は全部日本看護連盟から来ている。日本看護連盟以外の方からは一銭も入っていないじゃないですか。二〇〇三年、一億五千十二万四千六百九円、これが収入です。そのうちの一億五千、日本看護連盟から入っているんですよ。だから、これは日本看護連盟丸抱えの後援会じゃないですか。日本看護連盟が何でこんな巨額の金額を、一政治家であるあなたに寄附するんですか。国民が納得するように答えてください。

南野国務大臣 お答えいたします。

 先ほども御答弁申し上げたとおり、看護連盟は私の関与する資金管理団体ではございません。そして、私が管理しておりますものについては、政治をともにする会でありますので、そういう意味では、日本看護連盟は私とは……(辻委員「なぜ支援しているかを聞いているんですよ。ちゃんと答えてくださいよ」と呼ぶ)なぜ支援しているかは先ほど申し上げたとおりでございます。看護職だけが私を支援してくださっているのではない。のおの知惠子後援会というのは、看護連盟のメンバーの家族もその中に入っております。(辻委員「そんなことは聞いてないよ」と呼ぶ)

甘利委員長 指名されて発言をしてください。

南野国務大臣 そういうところでございますので、御理解いただけるものと思っております。

辻委員 お答えをきちっと、問いに対する答えをきちっとしないということは、これは大臣の資質に欠けるということになりますよ。不適格ですよ、これは。

 次の質問をします。(発言する者あり)

甘利委員長 続けてください。静粛に。静粛に。静粛にしてください。静粛に。

 大臣は、質問者の質問に極力正確にお答えください。

 辻惠君。

辻委員 先ほど、清水嘉与子さんは同じ日本看護連盟の顧問である、同僚の議員である、こういうふうにお答えになりました。

 そこで、清水嘉与子さんの資金管理団体と政治団体、これの政治収支報告書、あわせて調べたものがお手元の配付している資料であります。これをごらんいただくと、清水かよこ後援会、これは清水嘉与子さんの資金管理団体ではありません。清水かよこ後援会には二〇〇一年に三億円の寄附が日本看護連盟からある。二〇〇二年になると、日本看護連盟からの寄附は、全部今度はのおの知惠子後援会に行っているんです。二〇〇三年、この年ものおの知惠子後援会に行っている。二〇〇一年は清水嘉与子さんの選挙のあった年です。二〇〇四年に南野知惠子さんの選挙があったわけであります。

 そして、清水かよこ後援会の代表者は南野知惠子さんがなっております。しかも、のおの知惠子後援会会計責任者は松本明子さんでありますが、清水かよこ後援会も松本明子さん。事務の担当も渋谷雅子さん、清水かよこ後援会も渋谷雅子さん。住所は違いますが、電話番号は五二七五―六八八〇、同じであります。そして、日本看護連盟の事務の担当も渋谷雅子さんで、電話が五二七五―六八八〇。

 業界団体が支持するというのは、それはそれで自由だと思いますよ。だけれども、南野知惠子さんの政治姿勢を問うときに、後援会の資金のほとんどすべてがこの単独の業界団体から支給されているという事実。これは全国民の代表であるべき国会議員の立場と相入れない要素があると私は思いますが、その点についてどうお考えですか。

南野国務大臣 お答えいたします。

 私を真摯に応援してくれている団体でございますので、その団体の心を私はありがたくいただいております。

辻委員 看護連盟の団体の心を受けとめるというのは、それ自体はいいと思いますよ、それ自体は。だけれども、それにとどまっていたんではだめなんですよ。

 今私が質問したのは、国会議員は全国民の代表なんだ。だから、一業界団体にほとんどすべての後援会の資金が丸抱えにされているというような姿勢については、国民からすれば、業界の利害と国民の利害が対立したときに、どういう立場で物事を考え、政治姿勢をとってくれるんだろうかということに疑問を持つわけであります。

 そのような疑問は、一参議院議員のお立場であればまだ構わないかもしれない。しかし、法務大臣になられているわけですから、国民に、法務大臣の立場に立って、そういう疑問について、やはりこれは払拭するための説明をきちっとやるべきだと思いますよ。その点について、自戒の言葉を含めてお答えください。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

南野国務大臣 お答えいたします。

 先ほど私がどのような活動をしていたかということを申し上げたことは、看護連盟の問題だけを取り上げていることではないことは、賢明な辻先生なら御理解いただけると思います。

辻委員 今回、法務大臣に就任するに当たって、全国民の立場に立って、そして、これは憲法上も国務大臣としてのしっかりとした義務がありますね。どういうことを新たに、自分の姿勢、原点として、憲法、法令にのっとって、自分の立場として出発しようと考えたのか、その点について明らかにしてください。

南野国務大臣 お答えさせていただきます。

 どうしてそういうことをするのかというと、議員という立場をいただいてからでございます。そして、その議員という立場はいろいろな活動の中に、私の場合、看護連盟だけということではないことを先ほどもるると申し上げておりますが、のおの知惠子後援会というのは、私が資金を管理する団体ではありません。もう一度申し上げます。

 同後援会への寄附は後援会の政治活動に使用されると聞いているところであり、私が資金などを依存しているという前提には誤解がございます。

辻委員 質問に対する答えになっていませんね。

 配付した資料を見ていただければわかりますけれども、一番下段に、日本看護連盟についての政治資金の収支報告をまとめた数字が書いてあります。これを、中段あたりですが、ごらんいただくと、二〇〇一年は、会員数が十九万五千八百十五人、収入が九億七千九百七万。そして二〇〇二年は、会員数が十九万二千二百十七人で、収入が九億六千百八万。二〇〇三年は、会員数が十九万五千五百五人で、収入は九億七千七百五十二万。これは、大体、割りますと、二十万人が約十億円を出している、一人五千円の会費で払っているというふうに読めるんですよ。

 今問題になっている日本歯科医師連盟の問題、これは、六万人の歯医者さんが毎年三万円ずつを出して、十八億円の政治資金をつくっている。それが献金にいろいろな形で使われているということなんですよ。日本歯科医師連盟も、いわゆるお抱えの、身内の議員を抱えていた。逮捕されている人も今いますけれども、身内の議員を抱えていた。

 同じ構造じゃないですか。日本看護連盟、二十万人で十億、三万円ずつじゃないですよ、五千円ずつだと思われますけれども、結局、三年ごとの参議院議員を一人ずつ抱えている。日本歯科医師連盟と全く同じ構造なんですよ。この日本歯科医師連盟と、業界団体が政治献金を行っているという意味では同じじゃないですか。しかも、これは、今準備中でありますが、日本看護連盟のその他の政治献金についても、いろいろ問題点をやはり検証していかなければいけないというふうに思います。

 だから、このような、業界がある意味で丸抱えの国会議員が法務大臣に就任するということは、これは官房長官にお伺いしたいのでありますが、小泉政権は、政官業の……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

辻委員 癒着について、発足に当たってどのような見解をとっておられましたか。お答えください。

細田国務大臣 いわゆる政官業の癒着の問題と、一人一人の看護婦さんが各病院その他で働かれて、自分たちの代表を出して、自分たちの生活条件やあるいはお医者さん、病院での待遇をよくしよう、そういうことで浄財を集めて代表を出されることとは余り関係づけて考えるべきでないんではないかと私は思っております。

 しかし、政と業、政と官、官と業については、従来、国務大臣、副大臣、大臣政務官規範等、公職にある者はその清廉さを維持する、保持するということで、しっかりとけじめをつけるべき事柄を決めております。

辻委員 政官業の癒着を改善するという立場で小泉政権は建前としては出発しているわけでありますから、業界団体からの丸抱えの議員を内閣の一員とするということは、果たしてこれはいかがなものなのかなというふうな思いをやはり持たざるを得ません。政官業癒着ということが政治献金の透明性に対してどのような悪影響を及ぼすのか、この点についてどのようにお考えでしょうか、官房長官。

細田国務大臣 これは、私は参議院の比例制度とも関係すると思いますので、そして、これは与党も野党もそれぞれに、この人を応援して我々の立場を代表してもらおうという人たちがいて、そしてそこでも政治資金の団体をつくってまたその中で応援するという形が、特に全国比例という形でございますと非常に組織力等を要しますので、現に、長らく行われてきたということがございます。このこと自体をどうするかということは、むしろ参議院においてよく考えていただきたいと思います。

 そういったことを背景にしておることは事実ですが、ただ、お出になっている方々は、それは南野知惠子さんも数多くの人の出産に立ち会ったり、あるいは死亡に立ち会ったり、いろいろな医療活動に従事して、そして、その中の代表として人望を得て、すばらしい人だから国会でお願いしようということで出た方でございますので、そういう方は与党にも野党にもたくさんおられて、そういう方が参議院を中心に政治活動をやっておられますので、このことを一概に申すことはなかなか難しいと思います。

辻委員 日歯連問題で明らかになっておりますけれども、これも、二〇〇一年の参議院選挙のときに、中原爽参議院議員の決起集会に橋本元首相が出席をされて、職能代表として頑張ってほしいというようなことをおっしゃった。その後の新年会の新聞なんかを見ても、野中さんや青木さんが集まって、日歯連の職能代表を国会に送り出すことが重要なんだと言っているわけですよ。

 だから、そういう、今、日歯連問題として政治と金の癒着の問題、不透明な問題が起こっているということ、これは、やはり業界団体とそこから丸抱えの議員が生み出されるという構造について、小泉政権は批判的な視点を持たなきゃおかしいじゃないですか。政官業の癒着を正していくという観点に立つのであれば、そのことを真に受けてそのまま踏襲するというのはおかしいじゃないですか。批判的に人事をしていないということは、これは小泉政権が、日歯連問題、政治と金の問題について徹底して解明する姿勢、責任を放棄しているということを意味しております。このように私は考えます。

 その上で、南野大臣にお伺いしたいと思います。

 報道によれば、赤穂市民病院の看護部長がことしの八月三日に逮捕されております。後援会の入会を部下の看護師長らに誘って、申込書を配付し、全員に記入を依頼したということで逮捕されている。また、市立の室蘭総合病院、ここでも看護局長が略式命令、二十万円の罰金と公民権停止三年を受けている。そして、市立酒田病院の看護部長も十五万円の略式命令を受けている。今の三名については、公職選挙法上の地位利用ということで公判請求されたり、略式命令を受けたりしているわけであります。一方で、長崎県警では、利害誘導罪ということで、これも公職選挙法違反で二名が逮捕されている。

 このような事態を生み出しているということについて、法務大臣の立場としてどう責任を感じているんですか。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 仲間のそういうことについては、私自身、本当に悲しく思っております。支援していただいた看護師などが、さきの選挙で部下の方にポスターの掲示をお願いしたり、また、のおの知惠子後援会への入会を勧誘したり、これは情熱余ってのことだと思いますが、あるいは広報会社にポスターの掲示を依頼し、いずれも略式命令を受けたことは、非常に残念でございます。その点は申しわけなく思っておりますが、このような行為が選挙違反になることは……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

南野国務大臣 これまでにも支援者の方々に十分周知してきたつもりではございますが、一層注意してまいりたいと思っております。

辻委員 三年前の高祖憲治議員、これは近畿郵政局長を務められた方でありますが、業界団体の地位を利用して、そして当選を図った。そして、十六人の方が逮捕されたということについて、これは政治責任をとって辞職していますよ。同じ問題じゃないですか。

 南野大臣、同じように責任をとるべきだと思いますが、いかがですか。

南野国務大臣 御答弁申し上げます。

 高祖憲治氏の問題を今お話しになられましたが、私と比べられているようでございますけれども、それぞれの事件に関してはさまざまな違いがあることも、議員御存じだろうと思います。

 そこで、その違いについて一概に申し上げることは大変難しいと思っておりますが、いずれにしましても、事件につきましては、非常に残念でございます。申しわけなく思っていることはもう何回も申し上げましたが、このような行為が選挙違反になることは、これまでにも支援していただく情熱のある方々には周知してきたつもりでございますが、今後、一層注意してまいりたいと思っております。

辻委員 どうも、きちっと法令を遵守するという規範意識に欠けている、このように思わざるを得ません。

 情熱があれば、思わず違法行為に走っても、それは許容されるというような、そういう非常に軽薄な認識、規範意識が非常に脆弱であると思いますよ。そのような人物が法務大臣を務めるというのは、これは本当におかしなことである、国民は不幸である、このように指摘しておきたいと思います。

 時間の関係があります。

 小野清子さんの、国家公安委員長の秘書給与の問題、これは詐取の問題で疑われた問題があります。この問題についても、内閣の細田官房長官、小泉首相、その人の問題であろうと思いますけれども、事実を徹底究明して、もっと国民にわかりやすく、はっきりと説明責任を果たすべきであっただろうと思います。

 時間の問題がありますから、先に進みます。

 日歯連問題でありますが、この問題について、昨日、公訴事実の概要ということで南野大臣は答弁されましたが、この報告をした公訴事実の概要というのはどういう経路で情報を入手されたんですか。

南野国務大臣 お答えいたします。

 刑事局から御報告を受けております。

辻委員 そうすると、どのような範囲で捜査が行われ、どのような期間捜査が行われているのかということについても刑事局から情報を入手されているということでしょうか。

南野国務大臣 お答えいたします。

 報告を受けただけでございまして、お尋ねは具体的事件についての捜査の問題でございますので、それらの内容にかかわる事項でありますので、お答えを差し控えさせていただきます。

辻委員 問いに対する答えになっていませんね。

 そのほかの、捜査の範囲や期間についての情報を得ているのかどうかということ、内容についてこの場で明らかにしろというふうに言っているわけじゃないんですよ。得ているかどうかということについて聞いているんです。それについてお答えください。

南野国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございますが、その問題につきましては、どのような形でいつまでとか、そういうような問題につきましても、今検討中でございますし、また個別の問題でございますので、私からその詳細を申し上げることはできません。

辻委員 報告をその他の情報について得ているかどうかという過去の事実について聞いているんですよ。検討中というのは先の話じゃないですか。今後起こることについて、どうのこうの検討の問題じゃないんです。過去の事実についてどうだったのかを聞いているんですよ。全然答えになっていないじゃないですか。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 いろいろと分けながらお尋ねはしておりますけれども、それが個別案件でもございますし、そういう問題については言えない、法務省の私の立場として言えないことは、議員御存じだと思います。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください。質問が聞き取れないと困りますから、静粛にしてください。いいですか。

 では、辻惠君に申し上げます。

 もう一度、法務大臣に質問を繰り返してください。(発言する者あり)静粛に。静粛にしてください。

辻委員 公訴事実の概要以外に捜査の及んだ範囲や捜査の期間について報告を受けているのかどうなのか、その内容について今語れと言っているわけではないんですよ。報告を受けているかどうか、過去の事実についてお答えくださいと言っているわけですよ。

南野国務大臣 今の御質問であれば明快に私も理解できましたが、これらのことについては私から御報告できるものではありません。(発言する者あり)

甘利委員長 いや、今答弁しましたよ。静粛にしてください。

 もう一度、先ほどの答弁を繰り返してください。法務大臣。(発言する者あり)静粛に、静粛にしてください。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 適宜必要な項目はお聞きいたしておりますが、その内容については申し上げられません。

甘利委員長 法務大臣、先ほど答弁されました、聞いておらないという答弁じゃありませんでしたか。

南野国務大臣 聞いていると申し上げました。(発言する者あり)

甘利委員長 もう一度。

南野国務大臣 いろいろな問題については聞いているということですが、先生がお尋ねの事案についてはまだお聞きいたしておりません。

甘利委員長 辻惠君。辻君。(発言する者あり)辻君、質問を続けてください。(発言する者あり)

 法務大臣に申し上げます。

 聞いていらっしゃるかいないか、イエスかノーでまずお答えください。(発言する者あり)静粛に。

南野国務大臣 たびたび……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

 法務大臣、答弁をお願いします。

南野国務大臣 たびたびお尋ねいただいておりますが、この問題については、いろいろ中身のあることでございますので、聞いているとか、聞いていないとかということも申し上げられないのが今の実情です。(発言する者あり)

甘利委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

甘利委員長 速記を起こしてください。

 理事会協議の中で、答弁の整合性をきちっととってほしいということを申し入れました。そして、まず質問内容をもう一度明らかにしていただいて、それで答弁をしてもらいます。

 辻惠君。

辻委員 橋本派の一億円やみ献金問題について、公訴事実の概要について昨日報告がありました。これについては刑事局から聞いているというお話でありましたが、それでは、この案件についての捜査の範囲や捜査の期間について、その関連の情報についてお聞きされているのかどうなのか、その事実だけを伺っているわけです。

南野国務大臣 お答えいたします。

 この案件につきましては、いろいろと御報告できない。聞いておりません。この案件についてはお伺いしておりません。

甘利委員長 辻惠君。辻君、質問を。

辻委員 非常に三転四転しているんですね、お答えが。

 最初は、聞いているか聞いていないかわからないんだけれども言えないというところから出発して、それから、聞いているというふうにおっしゃって、ところが、聞いていないと。それから、またお答えできないというような話になった。それで、今の話では、聞いていないという話なんでしょう。どれが本当なんですか。もう一回よく考えて答えてくださいよ。どれが本当なんですか。

南野国務大臣 議員はいろいろなことをお尋ねになりました。そういうことにつきましては……(発言する者あり)この案件につきましては、この案件につきましてはお答えできません、お伺いしておりませんということでございますので、お答えできません。(発言する者あり)お聞きしておりません。

甘利委員長 静粛に願います。

辻委員 いろいろ具体的に質問をしていこうというふうに思っていて、時間が空転してしまって、非常に迷惑しているんですよ。きちっと論旨明快に答えてくださいよ。

 不起訴処分通知書というのが、九月二十六日付で三名の分が発付になっておりますが、その内容については聞いていますね。(発言する者あり)橋本事件のですよ。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 あらかたのことについてはお尋ねしておりますが、詳細についてはお聞きしておりません。

辻委員 野中、橋本、青木三氏に対して不起訴処分となったその内容について、これはあらかた聞いているという方に入るんですか、入らないんですか。

南野国務大臣 大方のことについては聞いておりますが、その件についてはお聞きしておりません。(発言する者あり)あらかたのことについて聞いていますが、先ほどの事案の詳細については……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に、静粛に。

辻委員 ちょっと、これ、整理してくださいよ。整理してくださいよ。

甘利委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

甘利委員長 速記を起こしてください。

 辻惠君の質問に対して、法務大臣の答弁が正確ではないという御指摘をいただきました。法務大臣に考え方の整理をしていただいて、再度答弁をしていただきます。

 南野法務大臣。

南野国務大臣 御迷惑をおかけしました。

 お答え申し上げます。

 橋本元総理、青木参議院議員の不起訴及び野中前衆議院議員の不起訴処分については、起訴猶予処分については報告を受けております。

辻委員 さっきからの答弁との整合性は、これはどういうことなんですか。さっきとの関係でちょっと説明してください。

甘利委員長 理事会の協議をした上での整理した答弁です。(辻委員「整合性が理解できないですよ」と呼ぶ)これが整理した答弁ですから。

 辻君。辻惠君。(発言する者あり)

 法務大臣、法務大臣、南野法務大臣、ただいまの答弁が整理された答弁ですね、それを。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 橋本元総理、青木参議院議員の不起訴及び野中前衆議院議員の起訴猶予処分については、報告を受けておりますが。

 以上でございます。(辻委員「が、何ですか」と呼ぶ)

甘利委員長 これが整理をされた大臣の答弁であります。

辻委員 野中広務さんの処分通知書には不起訴というふうになっていますよ。起訴猶予とは違うんじゃないですか。不起訴なんじゃないですか。

南野国務大臣 お答えします。

 議員御存じと思いますが、起訴猶予も不起訴処分の一つでございます。

辻委員 九月二十六日に、告発者の私のところに九月二十六日付で、検察庁の山田検事から処分通知書が届いております。それを見ると、野中、青木そして橋本三氏はいずれも不起訴。処分通知書の内容はこうなっております。

 大臣、これ、確認していないんですか。どうなんですか。違うんですか。

南野国務大臣 お答えします。

 起訴猶予も不起訴処分でございまして、そのことについてはお伺いしております。

辻委員 不起訴処分の理由として、それが起訴猶予ということなんじゃないんですか。

南野国務大臣 お答えします。

 おっしゃるとおりでございます。

辻委員 その理由の詳細について具体的に述べてください。

南野国務大臣 お答えします。

 せっかくのお尋ねでございますが、それについては御報告できかねます。

辻委員 捜査の期間及び範囲については、これは報告を受けているということでいいんですか。

南野国務大臣 お答えいたします。

 それについては申し上げられません。

辻委員 内容を聞いているのではなくて、そのような報告を受けているかどうか、その事実について聞いているんですよ。イエスかノーかで……(発言する者あり)いや、内容についてなのか、そういう事実自体についてなのか、どちらをおっしゃっているのかを区別してはっきり答えてください。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 その聞いたか聞かないかということについて、お答えできません。

辻委員 公訴事実の概要については報告はできる、不起訴処分の結果及びその理由の概要についても報告できる。捜査の期間ないし範囲については、聞いたかどうか自体も報告できないと。何でなんですか。言える理由と言えない理由はどう違うんですか。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 その内容については、ここでは言えないということでございます。

辻委員 内容について聞いているのではないんですよ。報告を受けたかという事実についてどうなのかということについて聞いているんですよ。何回同じことを言わせるんですか。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 担当部局からは、必要に応じ報告を受けておりますけれども、報告の有無、内容の詳細については、具体的事件にかかわる内部の連絡にかかわる事項でありますので、先ほど申し上げましたとおり、ここではお答えできません。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。静粛にしてください。

辻委員 この橋本派の一億円のやみ献金の問題というのは、非常に重要な問題、国民の多くの方々が注目されている問題であります。必要不可欠な情報については当然国会の場で明らかにすべきであるにもかかわらず、南野大臣、具体的な理由も示さずに、それについては答えられないというような、答弁を拒否されている。極めてこれは問題の姿勢だというふうに思います。

 私どもの調査によれば、村岡さんについては九月十五日に突然に取り調べが始まって、そして、九月二十日、二十五日、取り調べが重ねられて、九月二十六日付で在宅起訴になる。極めて、通常の事件から見ても唐突な印象が否めないような捜査の経過をたどっているわけであります。

 情報によれば、政治家について、そしてまた政治家以外の秘書について広くこれは捜査が行われていて、情報収集がなされている、事情聴取がなされているということが伝えられております。橋本氏の秘書の渡辺賢さんという人についても、これは取り調べがなされているのではないかというふうに私どもは考えておりますけれども、この問題について事実解明が必要であるにもかかわらず、捜査の秘密ということを理由に答弁が拒否されていて、事実の真相が明らかにならない。

 この問題について、議院証言法という法律があります。これは刑事訴追とは全く別の目的で立法されているものであります。この第一条によれば、「各議院から、議案その他の審査又は国政に関する調査のため、証人として出頭及び証言又は書類の提出を求められたときは、この法律に別段の定めのある場合を除いて、何人でも、これに応じなければならない。」議院の国政調査権の権能として議院証言法ということが規定されているわけであります。

 これは刑事裁判がかかっているかどうかという問題とは全く別の問題であります。ところが、小泉首相はきのうの答弁で、司直の手にかかっているんだから、証人喚問の問題についてはどうもそれはしなくてもいいというような趣旨の答弁をされている。全くこれは目的が違う問題なんです。議院としてどれだけ自律的な権能を発揮できるのか、国政調査権の発動ができるのかという問題なんであります。

 官房長官、これは昨日の小泉首相の、この司直の手にゆだねられている以上は証人喚問に消極的であるというようなニュアンスの答弁、これは官房長官も同意見であるのかどうなのか、その点についてお尋ねします。

細田国務大臣 質問の御通告を受けてよく考えましたが、総理がお答えになっているときに、ずっと一連のものは、やはり与党の総裁として、政治家として、一党の総裁でありますから、そして院で本来討議すべき問題についても、総理という立場はありますが、政党総裁としてお答えになる、こういうことでお答えになったかと思います。

 私はむしろ行政のサイドでございますので、例えば議院証言法その他の問題について余り踏み込んだことを申すことが適当ではないんではないかと思いますが、刑事事件の一般論で申しますと、これは国会で御判断されるべき問題でございますが、刑事事件の関係者が国会で証言を求められることとなれば、事件の内容についても質問が及ぶ等いろいろな波及がございますので、この辺は慎重にすべきであり、かつ、捜査、公判の行方を見守るべしということを総理が答弁されたものと思っております。

辻委員 刑事裁判と議院証言法というのは、全く目的も機能も別にするものであります。議院に国政調査権の権能の一環として議院証言法ということで証人喚問の権限が認められているということについて、それ自体の要件、効果、必要性ということを具体的に検討することなく、司直の手にゆだねるべきだという一般論で消極意見を吐くというのは、事案の解明にまさに消極的な姿勢であって、政治と金の問題に何かやましいところがあるからそういうような意見しか出せないんではないか、こういうふうに国民は考えるに違いないと私は思います。

 そこで、私は、先ほども述べましたが、橋本派の政策秘書である渡辺賢さん、この方について証人として追加請求をしたい、このように考えますが、委員長、いかがでしょうか。

甘利委員長 理事会で協議いたします。理事会協議です。

辻委員 理事会で協議いただけるわけですね。はい。

 では、予定していた質問の三分の二しかまだ終わっていないんで、非常に途切れ途切れで、円滑な質疑がなされないというような、このような事態について、非常に私としては遺憾に思うわけであります。

 最後に、日歯連から幾つかの、国民政治協会なり自民党を迂回して、これは東京八区の石原さんの政党支部について、献金の履歴というのがお手元に資料として配付してあります。

 これは、二〇〇〇年七月から二〇〇二年の五月まで、二〇〇〇年、二〇〇一年、そして二〇〇二年ということで四回にわたって、わずか八日から二十日間の間に、日本歯科医師連盟から財団法人国民政治協会、そして自民党本部、それをスルーして自民党東京都第八区選挙区支部ということで献金がなされるという。こんな短期間になされるというのは、明らかにこれは直接石原さんに渡すに対して何らかのことをおもんぱかって、間に国民政治協会、自民党本部を介在させているにすぎない。

 これは、ある意味では、私が九月十七日に佐藤勉さんについて政治資金規正法違反ということで刑事告発をいたしました、その問題と基本的につながる問題である、このように考えるものであります。

 九月十七日の告発をした事案としては、二〇〇一年の十一月二十日ごろに日歯連の当時の内田常任理事が、三千万円の現金を四つの封筒に分けて、一千万、一千万、五百万、五百万、そしてその封筒のそれぞれには議員の名前を書いている。そのうちの五百万には佐藤勉さんという名前を書いていたということが新聞報道では明らかになっております。ほかの三つの封筒にもやはり議員の名前が書いてあった。

 これは恐らく捜査資料の中に含まれているということでありますが、それを自民党本部の元宿さんのところに持っていったところ、元宿さんは、これは直接渡すとまずい、一たん国民政治協会に預け入れる形にしてもらえば、それを後日、本人のところに渡すからということで、この献金のルートを指南しているわけであります。

 このような形が何で必要となったのかというと、二〇〇一年の十一月当時は、佐藤勉さんは厚生労働政務官の役職におられて、ちょうどかかりつけ歯科医初診料の請求要件の緩和ということが日歯連の重要な政策課題として問題になっていたわけであります。具体的に、そのかかりつけ初診料の請求要件を緩和してくれという請託を日歯連が行った。それを受けて佐藤さんは、それに応じて、厚労省の歯科の担当者を政務官室に呼んで、条件緩和を強く迫ったというふうに報道されております。

 これはまさに、請託があって、それを受けた受託の行動が具体的にあった。まさにこれは、外形的な事実から見れば、受託収賄、贈賄の構成要件に該当する行為なんであります。ただ、対価の移動が、間にワンクッション、国民政治協会なり自民党が入っているということで、それは直接性がないということで、東京地検特捜部が立件になかなか踏み切れていない、こういう問題なわけであります。

 つまり、迂回献金と言われる、国民政治協会や自民党本部を間に入れるというのは、業界団体の意向を受けて、その業界に親しい議員が業界の意向で動く、その対価としてお金を渡しても刑事事件にならないという、その外形づくり、そのための手段として迂回献金ということが利用されている、これはまさに大きな政治問題だというふうに思います。

 法務大臣、この問題について、迂回献金問題が公選法、政治資金規正法の趣旨との関係でどのように悪影響を及ぼすのか、この点についてどのようにお考えでしょうか。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の公職選挙法及び政治資金規正法につきましては、当省において所管しているものではなく、法務大臣としてお答えいたしかねますことを御理解いただきたいと思いますが、いずれにせよ、政治献金は関係する法律にのっとって適正にされるべきものと考えております。

辻委員 今伺っているのは、迂回献金問題が、ある意味では受託収賄罪、贈賄罪の脱法行為として使われているということを言っているんですよ。だから、公選法の立法目的なり政治資金規正法の立法目的の関係で、この迂回献金という形を利用した外形的事実が、やはり公選法、政治資金規正法に違反するという、そういう意味を持つということであれば、当然その脱法行為の違法性というのは強くなるわけでありますから、当然、その問題について、法務大臣としては重大な関心を持って、捜査についてもっと強力に進めるという立場をとらなければいけないはずなんですよ。その点についてどう考えているんですか。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 検察当局におきましては、常に法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適宜適切に対処しているものと承知いたしております。

 以上です。

辻委員 公職選挙法では、第一条で、「その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」というふうに規定されているわけであります。

 これを受けて、政治資金規正法は、第一条の「目的」で、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするために、政治団体の届け出とか収支の公開とか政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることによって、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする、このようにうたわれております。

 このような目的が阻害されるために、迂回献金という形で脱法行為が行われるということについては、これはもっと危機感を持つべきなんじゃないですか。大臣、どういうふうに、危機感を持たないんですか、大臣は。

南野国務大臣 具体的事実に基づきまして、そういうものについては考えていく、そういうことでございます。

辻委員 やはり政治と金の問題というのは、この臨時国会において本当に大きな争点であるというふうに思います。

 きょうのような法務大臣の御答弁では小泉政権のやる気がますます疑われる。本当に、これは適正な法務行政が行われるんだろうか、みんながこれを不安に思ったわけであります。

 このような事態を本当に正していくためには、議院証言法を活用して証人喚問を絶対実現しなければいけない、このように強く思います。村岡さん、橋本さん、少なくともこの二人から証人喚問を具体的に採用するということを、与野党がこれは一致して実現するということを訴えて、私の質問を終わりたいと思います。

甘利委員長 これにて辻君の質疑は終了いたしました。

 次に、お待たせしました、中津川博郷君。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

中津川委員 民主党の中津川博郷でございますが、冒頭ちょっとただいまの審議を聞いておりまして、南野大臣、しっかりしてくださいよ。この場に小泉総理がいない。これは、やはりこの現場を見てほしかった。任命責任は小泉総理にあるわけですから、これだけ委員会を混乱させて、私もしっかり質問を用意してきて、そして本当に庶民の暮らしの問題、南野大臣中心なんですよ。だけれども、質問して大丈夫かな、質問する価値があるかな、小泉総理は何で南野さんを任命したのかな、小泉総理、本当にやる気があるのか、私はそんなことを思いながら横におりました。

 私の質問に入りたいと思うんですが、総理は所信表明でいいことを言っているんですよ。「いかなる困難があっても、くじけることなく努力する。失敗しても、次の成功への挑戦と受けとめる。やればできる。勇気と誇りを持って、日本の明るい未来を築こうではありませんか。」全くそのとおりだと思い、そして、「やればできる。」とも言っているんですね。実に教育的な言葉で、本当にこの言葉はそのとおりだと思うんです。

 しかし、今の日本の社会は幾ら一生懸命努力してもなかなか報われない。かつ、一度、挫折、失敗、倒産したら立ち上がれない。つまり、小泉総理の認識とは全く違う、再チャレンジができない社会なんですね。一度失敗したら、負の遺産を引きずったままで再起不能、家は競売にとられ、夜逃げをしたりホームレスになったり、それで最終的には自殺を考えなければいけない。残念ながら、実体社会はそんな状況ですよ。

 そして、小泉政権になって、自殺者が三万四千人を超えています。サラリーマンの給料はもう六年連続で下がって、国民は、この小泉政権のもとで将来に夢や希望を持てない社会になっている。

 もう一つ総理は自慢していましたね。「昨年二月以来、会社設立の資本金を一円でも可能とする特例を認めた結果、これまで一万七千近くの企業が設立され、一日当たり平均三十人が会社を起こすようになりました。」と自画自賛していましたが、とんでもない。一度つまずいた人にはこういうことはできないんですよ、負の遺産を背負っていますから。

 つまり、多くの中小零細事業者にとって、起業したい、うまくいきそうな事業を思いついても、今までの債務が足かせとなって新規事業へ踏み込めないという、これが現実です。このところを全くのうてんきでわかっていないのが小泉総理の現状認識なんだなと、私は、所信表明を聞いて毎度のことながらがっかりしました。

 そこで、一番大きな問題になっているのが連帯保証人制度なんです。この制度は多くの問題があって、私は議員になった翌日からこの問題に取り組んできましたが、実態が非常にわかりづらい、複雑、霧の中に包まれています。

 そこで、さきの通常国会で、民主党、それで社民党、共産党の野党の同志八十七名に賛同をいただいて、金融機関からの借り入れの連帯保証の実態に関する予備的調査、これを要請しました。そして、ようやく三カ月半かかってでき上がってきたんです。予算委員会の折しも二日前で、まだできたてのほやほやで、どばっと厚いのが三冊あるんですが、一生懸命読んで今精査しているところであります。専門家の人にも分析をしてもらって、今中身を検討しているところなんですが、本当に、衆議院の調査局の皆さん、大変だったと思います、御苦労さんでした。この予備的調査の結果も含めて、金融問題について幾つか伺っていこうと思っております。

 まず、これは私、財務金融委員会でも質問しました民事訴訟法二百二十八条四項、判この問題です。

 これは、昨年の二月二十七日、当時、私たちの同僚議員であります山田議員が、予算委員会で森山法務大臣に対してこれを質問したんです。そうしたら、森山法務大臣は、時代にそぐわなくなっているので法改正の必要があるという答弁をしてくれたんですよ。ところが、ことしの四月二十三日、私が財務金融委員会で改めてこの点について法務省にその進捗状況を聞いたんですが、民事局長からの答えは、「現段階において直ちに改正しなければならないという必要性はない」という非常に不誠実でいいかげんなものだった。

 そこで、今回の調査で三たび法務省の見解を求めたんですが、その回答が出たのでお伺いします。

 南野さん、いいですか、あなたの出番ですよ。南野大臣に、これ、よくわかるように今説明しますから、いいですね。小学生でもわかるように、ケースを今お話しします。

 判こが凶器になるというんです。いいですか、読み上げますよ。ある日、全く身に覚えのない巨額融資の連帯保証人に自分がなっていることを知らされる。見せられた契約書の保証人欄には、勝手に自分の名前が使われ、自分の判こが押してある。銀行は、判こがあるんだからこの契約書は有効だ、金を払え、そういうふうに言います。

 契約書を証拠にどんどん裁判を銀行も起こす。そして、判こがあるから、しかもほとんどの場合、これは裁判で銀行が勝ってしまう、一〇〇%なんです。例えば、絶対に間違うはずのない自分の名前が間違っているのに、それでも、被告はみずからの意思で保証人になったんだと銀行側は主張する、判こを押してしまえばこっちのものだと。

 実際は、保証人になるときの詳しい事前説明もないし、連帯保証人になんかなりたくない。しかし、兄弟から判こを貸してくれと言われて貸したら連帯保証人になってしまった。金を払えと言われた。裁判ではその兄弟が証人となって、私が無断で判こを押して、サインもある人に依頼して偽造したんだと認めても、裁判所はただ一点、判こが押してある、それが理由と。この保証書は有効である、だから五億円払えというとんでもないこの判決が出たんですね。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

 この法律は大正十五年にできたもので、八十年も前の法律なんですね。いまだにこの時代おくれの法律が使われている。だから、森山大臣が当時言われたのは、これは普通の、本当に立派な見識だと思いますよ。

 これは、昭和三十九年に最高裁が、本人の印鑑が押されていれば本人の意思に基づいて作成された文書であると推定されると。判こが押されていれば、契約の見た目だけでなく本人の契約するという意思まで認める判決を出してしまって、判こを押してしまえばこっちのものという傾向がずっと流れてきているんです。

 だから、これでは保証人にされてしまった人たちは大変で、いかにして自分にその気がなかったかを証明するのは、これはもう不可能に近いくらい難しいんです。借り手側は立証責任をしなければならない。まずこれは無理ですね。銀行の方は契約書と印鑑証明だけ見せればいいんですから、当然、銀行がどんな裁判でも勝ってしまう。

 そこで、私は、今回この調査で法務省に対して、この条項を廃止することによってどのような不都合が生ずると考えているのか、こう聞いたところ、すごいびっくりするような回答が出てきたんです。

 皆さんにお配りしております資料でありますが、この資料一の方であります。そこだけコピーしてまいりました。

 これは、まず法務省は、そのとおり読んでみますと、「当該私文書に作成名義人の意思に基づく署名又は押印がされているときは、真正に成立したものと推定すると規定している。」また、「自らの意思で文書に印鑑を押した場合には、後に、その文書が自らの意思に反して作成されたものであると主張することは原則として許されず、例外的にそのような主張が許されるのは、押印後に文書が変造された疑いがある場合などに限られるという社会常識(経験則)を法律上のルール(証拠法則)に高めたものである。」と言っているんですが、これは大問題だと思います。

 民訴法二百二十八条四項はどういうことかというと、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」これと今の法務省の、私が皆さんたちにお見せした傍線を引いてあるところを読んだんですが、条文のどこにも「作成名義人の意思に基づく」とか「自らの意思で」なんて言葉は全くない。条文は、そんなものは関係なく、判こさえあればいいんだと。

 何で法務省は条文の意味を変えて、みずからの意思で判こを押した場合のみを規定したものであると言っているんですが、ここが私は重大な点であると思うわけであります。

 自分の意思の有無、あることかないことかがこの条文の抱えている問題の核心であって、自分の知らないところで判こが押された場合を問題にしているのであって、自分が押した判こならこれは責任をとらなきゃいけない、それはそうであります。

 そうじゃなくて、この条文が、判この意味や社会において取引を円滑に進める必要性を重視し過ぎているから、自分の知らないところで連帯保証人にされてしまった人たちがかなりの数、今被害に遭っているというのを問題にしているんですね。だから、この条項がある限り、自分の意思の有無にかかわらず、判こがあれば契約が有効であるという推定がされてしまう、これが条項の問題なんですね。

 ですから、これは自分の意思のある場合のみに限った規定、推定規定だとうそをついているとしか私は思えないんですが、南野大臣、これは法務省の正式な公文書の回答です。予備的調査、今私が申し上げました。お答えください。

滝副大臣 法律の条文の問題でございますから、便宜私から御答弁をさせていただきたいと存じます。

 今、中津川委員の御指摘の民事訴訟法第二百二十八条四項の問題は、まさしく仰せのとおりだと存じます。それは、この私ども法務省からの予備調査に対する回答でも申し上げているわけでございますけれども、その趣旨は、昭和三十九年の最高裁判決に基づくことは先生も御指摘のとおりでございまして、条文にはないわけでございますけれども、最高裁の判決を念のために申し上げれば、こういうふうに言っているわけでございます。

 民訴法、当時三百二十六条、現在の二百二十八条でございますけれども、ここに、「「本人又ハ其ノ代理人ノ署名又ハ捺印アルトキ」というのは、該署名または捺印が、本人またはその代理人の意思に基づいて、真正に成立したとき」、こういうふうにあえて最高裁の判決では言い切っているわけでございまして、法務省の考え方は、条文にはその文言がございませんけれども、この三十九年の判決は既に確定した解釈ということで、この問題を、予備調査について、法務省としての回答などのベースとして申し上げているわけでございます。

中津川委員 大臣、森山大臣は、もうこれは古いものだと、やはり時代に合ったものを。それは、借りたらお金は返さなきゃいけない。しかし、貸し手の責任もある。金利取って、担保とって、個人保証とって、リスクはないわけですよ。ところが、今ほとんど貸し手の責任というのが問われないで、借り手ばかり責任が問われる。その流れの中でやっていて、この判この問題、これが大きいわけであります。そして、この次の大臣はちょっと腰が引けて、今のままでやっている。

 さあ、南野大臣に至って、今私が申し上げました二百二十八条の四項、これは必要ですか、必要じゃないですか、どう思いますか。

 南野大臣、率直にあなたの考えを言えばいいんですよ。副大臣じゃない。南野大臣の、大臣なんだから、あなたがこういう問題の最高責任者だから、おっしゃってください。

南野国務大臣 お答えいたします。

 先ほどの、以前に森山大臣から、民事訴訟法第二百二十八条第四項のように、古くから内容の変わらない法律の規定は見直しの対象になり得るという一般論を申し上げたこととお聞きいたしております。

 しかし、そのような観点からの検討の結果といたしまして、この規定は、本人などがその意思に基づいて署名または押印をしたときには、当該文書がその者の意思によって作成されたものと推定するという合理的な内容の規定でありますので、現在これを改める必要はないものと考えております。

 私の意見でございます。

中津川委員 合理的じゃないから、私が今長々と、南野大臣、きのうは初心者だと言って、きょうもおたおたしていた、情けないよ、あれ。だから時間かけて説明したんですよ。合理的じゃないの。

 ということは、判こを押してしまえばだれでもいいんですよ。判こが押してあれば、これはもう意思があったというふうに推定されるということになるの。これは、だからどうしても貸し手優位の、銀行には大変有利なんですよ、印鑑証明と判こがあればいいわけですから。判こが押してあればいい。

 これはもう大正何年の話でしょう。だから、森山大臣が言っている。合理的じゃない。これでしっかり勉強してくださいよ。判こを押してあるといったら、どんなところでも押してしまえば、変な話、これが、大きく解釈すると、空欄の紙に、だれだれがだれだれに幾らを貸している、その判こを押してしまったら、これが生きるということだって解釈できるわけですから。南野大臣、これは予算づけが必要なんじゃないんです。予算も要らないのです。この四項だけ外せばいいのです。わかりましたか。しっかり勉強してください、いいですか。

 それから、包括根保証についてお話ししておきます。包括根保証、私、これは旧富士銀行の資料なんですが、きょう皆さんたちにお配りしています。

甘利委員長 中津川君、速記の都合がありますから、マイクのところでしゃべってください。

中津川委員 済みません。

 この判こが、伊藤大臣と南野大臣、これは三カ所押すんですよ。見た瞬間、例えば銀行員なんて、判こを押すところを鉛筆で丸つけるでしょう、何げなく押しちゃうんですが、これはわかりますか、見て。伊藤大臣は前に見ましたかね。南野大臣、わかりますか。ちょっと聞いて、わかるかわからないか。

 委員長、この三つ、意味があるんです。これは、保証人になってくれという書類なんです。だから、わかりますかと。だから聞いて。意味がわかりますかね。(発言する者あり)

甘利委員長 おっしゃることは、これは、その書類の意味が……(発言する者あり)

中津川委員 だから、これは、それぞれの意味がわかりますか。銀行が持ってきて、だれだれの保証人になってくれとあなたの前に見せるわけですよ、これを。それで、大体銀行なんというのは、一番上に丸つけるわけで、そこに何か判こを押せばいいんじゃないかと。だから、それぞれ、これはわかりますかと、ここに何か書いてありますけれども。

南野国務大臣 お答えいたします。

 どういう資料かわかりませんので、印鑑に丸がしてあるか三角がしてあるかわかりません。

中津川委員 そんなこと言わなくったっていいんで、これ、わからないのが普通なんですよ。竹中大臣もわからなかった。私なんかは全然わからなかった。弁護士もわからないんですよ、これ。

 一番上が包括根保証。二番目が根保証。三番目が、一般保証、特約保証、いろんな言い方があります。一番上のものは、かつて銀行のフリーローンなんかで、最初一千万ぐらいの保証人になって、どんどんどんどん銀行が借りてくれ借りてくれと言って提案融資をして、気がついたら、その保証人が気がつかないうちにもう十億、二十億になっちゃったという恐ろしいものなんですよ、一番が。二番目が根保証、これは目ん玉を売れとか腎臓を持ってこいとかいう、これは一億なら一億の根保証があって、三千万今借りていたら、あと七千万までは保証のあるという。だから、一番はもっと恐ろしいものなんです。三番は普通のものなんです。こういう専門家が見てもわからないようなものが、かつてこれが日常的に行われていったんですよ。わかる人は一人もいない。

 こういうことで、今被害を受けている銀行被害者というのが物すごくいるんです。物すごいんですよ。子供が学生で、名前をちょっと書いて判こを押してくれ、お母さんが押しちゃったと。そのとき家の資産が五億ぐらいあったけれども、しかしどんどんどんどん債務が膨らんで何十億になった、そういうケースもあるんです。

 そこで、これも私たちがこれを取り上げてきて、ようやく包括根保証の問題、これは結構なことなんですが、動いたんじゃないですか。私たち、ワーキングチームをつくってこれをやってきたんですよ。それで、今月の九日の朝日新聞に、上限のない包括根保証制度が廃止される見通しであると出ていましたね。そして、民法改正案がこの臨時国会に提出された、来年度から施行を目指すということですが、ここも、ちょっと内容あるいは事実関係をお答えください。

房村政府参考人 提出法案の内容でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。

 御指摘のように、包括根保証の弊害が指摘をされておりますので、包括根保証禁止を内容とする民法等の一部を改正する法律案を今国会に提出したところでございます。

 その内容は、大きく分けますと、まず、極度額の定めのない根保証契約については、これを無効といたしております。

 それから、保証の期間について、これも、五年を超える保証の期間の定めのあるものについては、五年を超えるその保証期間の定めを無効とするということとしております。

 保証期間についてそういう無効とされたものあるいは当初から保証期間の定めのないもの、これについては三年の保証期間と。したがいまして、契約から三年をたった後に生じた債務については保証の対象とならない、こういったことが大きな内容でございます。

中津川委員 一歩、二歩前進だと思いますよ。

 しかし、今の話を聞いて、これは三年間はまだ有効だと、今までのが。この三年間はまだ苦しまなきゃいけないということですよね。

 その問題と、それから、私はもっと保証人の保護を図るべきだと思うんです。例えば、保証人のちょうど面前でというか、ちゃんと意思確認を、そういうものを要件にするとか、それから債務者の資力と申しますか、その力が悪化した場合の報告義務を盛り込むとか、たくさんあると思うんです。保証人の立場に立った、細かい、非常に大きな、非常に大事な点、たくさんあると思うんです、そういうものを整理されて検討する必要があると思うんですが、いかがですか。

房村政府参考人 先ほど申し上げましたように、今回の民法改正法案におきましては、保証人を保護するため、極度額の定めのないものを無効とする、あるいは期間についても五年を超えるものを無効とするというような規定を置いているところでございます。

 この法案の作成段階の審議におきまして、おっしゃるような保証人への通知等についても種々検討されたところでございますが、そういった複雑な仕組みをとると円滑な融資の妨げになるという心配も指摘をされたところでございます。

 そのようなことから、特にこの法案の改正が急がれているという事情もありまして、今回は、最も緊急性の高い、この極度額の定めあるいは保証期間の制限、こういったものを主たる内容としてこの法案を作成し、提出したところでございます。

 さらに、保証人を保護するためどのような方策が考えられるかということにつきましては、今回提出した法案を成立させていただき、その運用を見ながらさらに検討を深めてまいりたい、こう考えているところでございます。

中津川委員 この包括根保証で今本当に苦しんでいる人たちが物すごい数いるんですよ。そういう人たちの現状を見て、本当に――子供が学生のとき保証人になって、結婚して奥さんとマンションを買った若い夫婦、子供ができた。そして、そのマンションまで、だんなの分のところをかけてくる、競売。だけれども、これは実態は無理なんですよね。銀行はそこまで今やっているんですよね、それから給料の差し押さえに来るとか。

 こういうような現状というのを本当に法務省よくしっかり認識してもらって、もっと、この保証人、今苦しんでいる人たち、この人たちを保護する観点で、せっかく法改正するんですから、やってもらいたいと思うと同時に、二百二十八条の四項、これはぜひ廃止させてほしいということを重ねて強く申し上げておきます。

 それから、連帯保証人の適格性についてお伺いします。

 包括根保証は動きが出たんですが、連帯保証制度はまだまだ動いていないんですね。これは、やはり連帯保証人の適格性を厳格に定めるべきでないかなと。たしか、私専門じゃありませんけれども、聞いたところによると、民法四百五十条では債権者保護の見地からの適格性を認めている、債権者保護ね。しかし、私は、連帯保証人保護の立場、つまり、借り手、金融機関の保証人になってしまった人、そういう規定も必要じゃないかと思うんです。学生とか未成年者とか無資力者などは当然不適格者であると私はもうはっきり定めるべきじゃないかと思うんですが、法務省の見解をお伺いします。

房村政府参考人 保証人となる適格につきましては、御指摘のように民法四百五十条に規定がございますが、それ以外の未成年者あるいは無資力者の関係でございます。

 まず、未成年者につきましては、保証契約を結ぶ場合には、当然、法定代理人の同意を得る必要がございます。また、法定代理人の債務を保証するというような、法定代理人と未成年者の利害が相反するような場合、こういう場合には特別代理人を選任いたしまして、その特別代理人の判断で、その契約の締結をするかどうかを決めていただく。こういうような仕組みで未成年者の保護を図るということがこの民法では定められているわけでございます。

 また、無資力者の関係でございますが、無資力と申しましても、資力の程度にはさまざまございます。したがいまして、当然、保証されるべき債務の額と資力の関係ということが問題になろうかと思いますが、そういう非常に不確定なものに保証契約の有効、無効が係るということになりますと、法律的に非常に不安定になりますし、また、金融機関において融資をする場合にも、そのようなリスクを恐れて融資を控えてしまうあるいは融資実行までに非常な時間がかかる、こういうような悪影響も予想されるところでございます。

 そういう関係がございますので、現在の段階においては、連帯保証人の不適格者として未成年者や無資力者を挙げるということは難しいのではないか、こういうぐあいに考えております。

中津川委員 銀行自身もそうだし、大企業、これは国が救ってくれる、債権放棄をしてくれる、あるいは公的資金を導入する。だけれども、本当に弱い立場、中小零細の人たち、そしてたまたま運が悪く保証人になった人たち、そういう人たち、先ほど、どこかやじで徳政令が必要だというような声が出ましたけれども、私はそのくらいの姿勢でもって対応してもいいと思っていますよ。強い者の味方、弱い者は結局死ねというような、こういうような今の金融行政、これは本当におかしいと思っております。

 場合によったら、債務免除をする。もう追い込んで追い込んで自己破産させて、夜逃げしたり、競売したり、ホームレスになったり、一家離散。本当にわずかな金額なんですよ。そういうところでやはり債務免除をするというようなことも必要だと思いますが、まあ、これは私の意見としておきます。

 それから、今、UFJを初め大銀行が混乱しております。大混乱しておりますが、来年三月のペイオフ解禁を控えて、地銀、信金などの不良債権処理が加速されて、銀行の強引なやり方が問題になっている。私のところにも、ここ一カ月間に地銀、信金の強引な債権譲渡が行われるという陳情、相談が結構来ているんですね。

 そこでは、銀行から事前に債務者に詳しい説明や話し合いを全くしないで、ある日、一週間後に当社の持つ債権をどこどこに譲渡しますと書類一つで通知が来て、困惑している債務者がたくさんいる。これらの債務者の中には、返済の条件変更こそはしているが、きっちり毎月銀行と話し合った金額を返済している、それにもかかわらずこういうことが起きている。

 こういうこと、こういう実情を法務省と金融庁というのは把握しているのか。それぞれお答え願いたいと思うんですが、こういうときの債権譲渡というのは、事前に債務者と話し合わなかったり、説明しなかったりして、いきなりこういうことをやるのは合法なのかどうか、これも含めて法務省にお尋ねしたいんです。同時に、金融庁、こういう銀行の姿勢をどう思うか、そして、どういう見解でどういうふうに指導していくのか。それぞれ、まとめてお答えください。

房村政府参考人 まず、債権譲渡の自由の問題についてお答え申し上げます。

 債権の譲渡は、近代の資本主義経済のもとでは、債権者が投下した資本を流動化する、すなわち、債権として持っている弁済期がまだ先の場合に、それを譲渡することによって現金化する、こういうような機能、あるいは自己の債務の弁済のために自己の有している債権を譲渡する、あるいは担保のために自己の有している債権を譲渡担保に供する、このように非常に大きな役割を果たしております。

 また、債権譲渡がされた場合、債務者の負っている債務の内容は法律的には全く変更がございません。当初の債権者に対するのと同一の内容の債務を負担しているにとどまるわけでございます。そのようなことから、我が国の民法のみならず、フランス、ドイツなど近代的な民法典においては、いずれも債権譲渡の自由を認めているところでございます。

 ただ、債権の中には、債権者、債務者間の信頼関係に基づいて成立したものがあり、債権者が交代することによって不都合が生ずる、そういう可能性もございますので、日本の民法におきましては、そのような場合には、債権者、債務者間の特約で譲渡を禁止する、こういうことができることとなっております。したがいまして、そのような譲渡禁止特約のない債権につきましては、債務者の同意を得ることなく債権を譲渡できるというのが現在の民法の定めでございます。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 民法上の問題については、今御説明がありましたように、債権譲渡には必ずしも債務者の同意は必要ではございませんが、借り手企業との取引関係の見直し等を行う場合の説明につきましては、銀行の営業上の判断に即した本来の説明を的確に行う態勢が整備されていることが必要であります。このことにおきましては私どもの総合的な監督指針においても明示をされておりまして、債権譲渡等の場合における適切な説明態勢が整備なされているかどうかということを検証するものといたしているところでございます。

 具体的には、これまでの取引関係や顧客の知識、経験及び財産の状況に応じ、かつ、法令にのっとり、一連の各種手続を段階的かつ適切に執行する態勢が整備されているかどうか、そして、手続の各段階で、顧客から求められれば、その客観的合理的理由を説明することとしているかどうか、こうした点を監督上の着眼点としているところであります。

 私どもとしては、こうした説明態勢にかかわる業務運営の適切性に問題がある、こうした場合が認められたときには、必要に応じて適切な監督上の措置を講じることとしてまいりたいというふうに考えております。

中津川委員 よくわかりました。金融庁の銀行の指導に対して、やはり説明責任、借り手と取引の長いつながりですから、今、景気が悪いんだから、そういうことはしっかりするようにということだというふうに理解しますので、ぜひ、そういうようなケース、個々のケースはしないというんじゃなくて、いろいろなことがあったら、ひとつしっかりと、おかしいと思ったら銀行を厳しく指導してもらいたいと思います。

 変額保険について一言だけちょっと申し上げたいんですが、この問題、まだ大変後を引いているんですね。

 これは民間と民間との問題であるので金融庁は関係ないと言われるかもしれませんけれども、前身である大蔵省、この責任もあるわけですよね。非常にまだこの変額保険の被害者は後を引いて、たくさんの方が今裁判をやったり苦しんでいらっしゃる。これについても、これは要望だけにとどめておきますが、やはり今、変額保険で被害を受けている方たちの実態と、そして、これからどういうふうにこの問題を解決していくかということを、金融庁も、知らないよというんじゃなくて、ぜひこれはひとつしっかり取り組んでいただきたいとお願いを申し上げます。

 さて、シティバンクについてお伺いします。

 このシティバンクによるプライベートバンキングが大きな問題になっているんですが、実は私、もうこれは一年ぐらい前から、友人で、大変何かおかしい、どうなっているんだと。

 このシティバンクというのは、プライベートバンキングというのをつくって、いわゆる資産家ですよね、そういう人たちを相手に管理をする、ぜひ、資産管理をしてふやしていく、安心してくれということでやってきたんですが、どうもおかしい、よくわからないというようなことで、私は金融庁に対して、ちょっと実態がどうなっているんだ、ちょっと変だぞということは申し上げておりました。

 それで、先月、金融庁がシティバンクのプライベートバンキング部門に対しては処分を発表したことで一般には明らかになったんですが、結局、この銀行というのはノルマがすごいんですよ、ノルマ。それからあと、どのぐらい苦情が来ているかと金融庁にも聞いて、二十件から三十件ある、半分が内部告発だ、めちゃめちゃだ、どんどんやめていくと。支店長が金を横領したりして、それで金融庁が指導したら、いや、言うことを聞かないんですよというようなことも話したことがあるんですけれども。

 こういうことになって、僕は遅きに失したと思ってはいるんですが、どうですか、金融庁、かなりの違法収益というと非常に、何が違法収益かわからない、難しいことかもしれませんけれども、かなりめちゃめちゃなことをやってきているということで処分しましたね。その一連の経過、今私が申し上げたようなことを踏まえてお答え願いたいと思うんです。

佐藤政府参考人 私どもの行いました検査、それからそれを受けての監督局での報告徴求等々を踏まえまして実態解明をしてきたということでございまして、その結果といたしまして、数々の法令違反、不適切な業務等々が明らかになったということで行政処分を打たせていただいたということでございます。

 その柱は、銀行法二十七条に基づく、最も悪質な業務展開を行っておりました、いわゆるプライベートバンキング部門の業務を行っておりました四つの拠点について、認可の取り消しということを行いました。

 また、あわせて、その他の、例えば個人金融部門における外貨預金の新規の顧客との取引を停止する、業務停止をするといったことを行ったわけでございます。

 また、あわせまして、二十六条に基づく、一連のコンプライアンス体制の抜本的な整備等々を命令したということでございます。

中津川委員 このシティバンクは、最近アエラにも載って拝見しましたが、匿名口座でマネーロンダリングの片棒を担いだり、債券と抱き合わせ販売したり、不動産や美術品のあっせんをしたり、まさに無法地帯の中でもうやり放題だというようなことが報道されております。

 今おっしゃられたように、金融庁の出した処分、丸の内、名古屋、大阪、福岡、この業務を来年九月までですか、認可を取り消すということで、これは私、非常に軽い処分だと思う。こんな悪徳銀行、こんなの、銀行免許を取り消して、僕はもう国外退去処分にすべきだと思うんですよ。竹中金融行政のこれはもう象徴、ここまで来たのかと思いますよ。日本の大事な信用金庫、信用組合、まさにこれがリレーションシップバンキングだったんじゃないですか。こういうものを統合したりつぶしたりして、ハゲタカファンドにとうとう資産家まで食いつぶされている。

 これは、小泉・竹中路線、ちょうどいいところに来て、質問する時間、もういつもあなたたちと意見が違うのでがんがんやり合っているんですが、今回は伊藤さんが大臣になられたので。こんな銀行が、日本人は、バンク、銀行というと安心するんですよ。証券というと、何かリスクがかかってちょっとうさん臭いと。今はシティバンクだから、こういうのはいいんじゃないかと思ってだまされている被害者。

 それで、この人たちは、表に出すのが恥ずかしいから、なかなか言わないんです。マスコミの取材にも、いいからと。出たら、みんな結構そこそこの人なんですよ。こういうところまで、竹中行政の金融ですね、こういうハゲタカファンドがここまで来ちゃったということを、竹中さんが来たときに申し上げて、終わります。

甘利委員長 これにて中津川君の質疑は終了いたしました。

 次に、小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。

 まず、質問に先立ち、先ほど法務大臣の御意見を後ろで聞かせていただいておりましたが、法務省は、死刑の執行までする大変重要な官庁であります。私は、はっきり申し上げて、その役職を法務大臣ができるのかなということに本当に疑問を感じました。また、小泉総理大臣の任命責任は重いというのも、まず冒頭に申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、通告に従い、景気の現状についてお伺いいたします。

 我が国は、毎年食糧を約七兆二千億円、そしてエネルギーを七兆六千億円以上輸入しなければ国民生活が成り立たない国であります。戦争放棄によって軍備を放棄し、そしてまた資源の乏しい日本におきましては、何よりも国力の源泉は経済力、これだけしかないわけであります。ですから、私は、景気、経済という問題は、昔も今も、この私たち日本の国にとってまさに最も重要な問題だと思っております。

 きのうも、この予算委員会におきまして、小泉総理大臣や竹中大臣の景気の現状等についての発言を聞いておりましたが、どうもやはり現状認識がずれている。

 私は、当選以来、景気、経済を中心とします大蔵委員会、財務金融委員会、そしてこの予算委員会、二十五回質問させていただきました。その中でわかりましたことは、この大臣たちの現状認識のずれ、この認識が狂っているところに、いつまでたっても日本の国が長期的な低迷から本格的に立ち直ることができないこの最大の原因があるということでありました。

 現状認識が狂っているため、当然、原因分析も狂います。そこから出てくる対策も狂います。禅の教えではありませんが、激動期における最も大切なものは、私は、ありのままの現実をしっかりと見据えるということだと思います。

 この思いから、今お手元に資料をまずお配りさせていただいておりますが、番号を振っておりませんけれども、このコピー、私が月刊現代八月号に書いた論文であります。これは、中身はといいますと、小泉総理の今までの三年間を詳細なデータを使って検証した論文であります。ぜひとも後でまた大臣たちもお読みいただきたいと思います。この資料を参考に、今の日本の現状を、もう一度この予算委員会におきましても確認をしておきたいと思います。

 まず、小泉総理、きのうも、景気は堅調に回復している、竹中さんも似たようなことを言っていました。それでは、日本の政治が非常にうまくいっているということをおっしゃっているわけでありますが、この日本で今、一体何人の人が自殺に追い込まれているんでしょうか。これは大臣の口から、もう一度確認のためにお聞きしたいと思います。官房長官、お願いできますでしょうか。昨年の自殺者数をお願いいたします。

細田国務大臣 警察庁の統計によりますと、平成十五年中の自殺者の総数は三万四千四百二十七人であります。

小泉(俊)委員 私は、政治の最も基本的な責務は国民の命を守ることだと思っています。ですから、今まで二十五回、十四人の、総理を含め大臣、いろいろな方に質問しました。必ずこの質問をしています。しかし、質問通告なしに答えられた大臣というのは一人も実はいないんです。

 今、質問通告しておきましたのでお答えいただきましたが、平成十五年、三万四千四百二十七人、これは統計をとり始めた昭和五十三年から最悪の数字になりました。そして、ついに日本で初めて六年連続三万人を超えたわけであります。そして、この自殺者は交通事故の死亡者の何と四・五倍、一日九十人、先ほどの南野法務大臣とのやりとりの一時間の間に四人死んでいるんですね。また、精神科医などの専門家によりますと、統計に載らない自殺の実数、大体これは三倍あります。暗数がありますので、毎年十万人自殺していると言われています。また、自殺未遂者は三十万人とも言われているわけであります。

 御案内のように、これは中高年の自殺が、特に男性の自殺もかなり数があるわけでありますが、先日、私の知り合いの方の御主人が亡くなりました。何ででしょうか。それは、リストラをされ、住宅ローンを払うことができなくなった、何とかして奥さんと子供たちに家だけは残してあげたい、生命保険で住宅ローンを支払うために自殺をしたわけであります。そういった方は一人や二人じゃありません。

 それでは、細田官房長官と竹中大臣にお聞きいたしますが、どうして日本ではこんなに自殺者が多いんでしょうか。どう思われますか。

細田国務大臣 自殺者の原因につきましては、警察庁等、多くの方が遺書を残されておられるということから、原因をある程度推察しておるわけでございます。

 自殺の主な原因といたしましては、健康問題が一番多く四四・八%でございますが……(小泉(俊)委員「三七・六でしょう」と呼ぶ)いや、これは平成十五年なんでございますが。それで、経済の問題であることがはっきりしております方が二五・八%、家庭の問題が八・五%等が挙げられます。もちろん、不詳の方もおられますし、分類にもいろいろあると思いますが、概略、そのようなことでございます。やはり近年、さまざまな経済上の問題によりましてふえていることは事実だと思っております。

竹中国務大臣 今、官房長官から御説明がありましたように、私も同じ認識を持っております。言うまでもなく、自分で自分の命を絶つというのは本当に痛ましいことでございます。その中のかなりの要因として経済的要因があるということも認識をしております。

 例えば、この委員会でも御議論をいただきました包括根保証の問題、そういう法的な制度の問題、再挑戦できるような仕組みをつくっていく、そういった仕組みををさらに強化する、そういうことが構造改革の中でも大変重要になっているというふうに認識をしております。

小泉(俊)委員 今、官房長官もお答えいただきましたが、統計上出ているだけでも自殺者の二五%、八千九百人が経済問題、過去最高になってまいりました。また、三十代、四十代の働き盛りの自殺者が急増しているというのも十五年の特徴であります。しかし、私は、この背景となっている日本の現状をしっかりとやはり見ることが必要だと思います。

 そこで、今までの、小泉政権発足してからのいろいろな数字を少し述べさせていただきますが、まず企業倒産。小泉政権、三年四カ月間、これは八月までのデータしかないんですが、三年四カ月間で倒産が五万七千六百六十六社を突破しました。倒産による直接の失業者だけでも、これは五十五万人を超えると言われています。また、家族を含めると、百五十万人もの人たちがこの倒産による失業によって深刻な影響を受けているわけであります。

 失業は、きのう総理が答えておりました。最近少し減ってきたとは言っているんですが、依然三百万人をはるかに超えているわけでありますね。

 個人破産。これはよく話が出ますが、二〇〇三年度、史上最多の二十四万件を突破しましたが、小泉総理の三年四カ月間、八月までで七十一万五千四百八件。

 あとまた、実際の収入ですね、実収入、可処分所得、消費支出は六年連続で減少をしています。また、貯蓄のない家庭が、ゼロの方が全体の二割になってきています。そして、六月の所得再分配調査、所得の高い方から四分の一の世帯が全体の所得の四分の三を占めるようになってきた。これは、貧富の差が本当にますます拡大をしてきています。

 総理も、努力をすれば報われる社会を実現するということを何度もおっしゃっています。しかし、現実には、個人の努力では超えられないほどの経済環境激変によって、将来に対する希望を失ってしまったんですね。人間は、将来とか未来に夢と希望があれば生きていけるんですよ。ただ、これを失ってしまったことが、私はやはりこの自殺者が急増している、それも統計が始まって以来最高の自殺者という結果をもたらした大きな要因になっていると思います。

 一言で言いますと、どうも小泉改革は、強きを助け弱きをくじくという、私は、この政治の失敗が大きな、この自殺者の急増している、なおかつ六年連続の自殺者の原因になっていると思うわけであります。

 小泉さんの三年だけでも軽く九万人を突破しました、自殺者が。この惨たんたる現状に対して、やはり私は、この小泉内閣を支えてきた大臣の皆さん、これは責任があると思うんですが、責任を本当に感じませんか、竹中大臣、そして細田官房長官。

細田国務大臣 個々の方、竹中さんと私が一〇〇%見解が一致するかどうかわかりません。しかし、平成に入りまして、大変なバブルの崩壊がありまして、例えばこのバブルの崩壊前の株価のピークとそれから株価のボトムは一〇〇対二〇、五分の一になりました。そして地価は、大都市圏の地価がやはり一〇〇対二〇であります。今でもなお一〇〇対二〇。

 その二割に減るということが金融機関のあらゆる信用に大きな影響を与えたのは御存じのとおりですし、デフレによりまして需要が減ってくる、GDPも初めてのマイナスを示す等々、本当に苦難の道をたどってきたと思うわけですが、その間、大きな公共事業等でこれをしのぐ場面もありましたが、いよいよそれも借金がふえてきて、そして今、小泉改革のもとでは、やはりそのボトムから脱却をして、しかも金融的にも再生をしつつあって、今非常にいい方向に向かっておる。

 だから、あらゆる意味で非常に苦難の道をたどったこと、企業がリストラをしたこと、すべて事実でございますが、これは、そのバブル崩壊ということには我々政府は責任を負わなくちゃいけないと思いますが、今の小泉内閣は、懸命にそれを回復する努力は、実現を一歩一歩しておると考えております。

竹中国務大臣 内閣は連帯して責任を負っておりますから、私もその一人として大変重い責務がある、大変重要な仕事を任されているというふうに思っております。

 今委員御指摘になった点は、倒産、失業、破産等々、基本的には経済が停滞しているという点と、それと、その中で格差が拡大している、その停滞、それと格差に言及されて、それが自殺等々の基本的な背景であるという御指摘であったかと思います。

 経済停滞に関しては、今官房長官がお話しになりましたように、ようやくにしてそれを今反転できるような状況になってきている。実質GDPはようやく増加の方向に今向かっておりますし、失業も、実は失業は九〇年代を通してずっとふえてきたわけですけれども、失業率は高まってきたわけですが、小泉内閣において、初めて失業率を下げるという方向が出てきた。やはりこの努力をぜひ続けたいと思っております。

 格差そのものについては、やはりこれまた重要な問題であります。実は、世界を見渡すと、南北間の格差が広がり、アメリカや中国でも国内の格差が広がり、そうした世界的な格差の拡大の中に日本も置かれている。であるからこそ、地域の再生、中小企業の再生、雇用の安定等々、新しい構造改革が求められるということだと思っております。

 自殺の問題ということに関しては、基本的には債務の急増というのが非常に大きい。経済の中でも、失業、倒産よりは債務が大きいというふうに認識をしておりますが、これに関しては、国会の御協力も得て、例のやみ金対策等々もとられておりますので、そうした努力をぜひ続けたいと思っております。

小泉(俊)委員 私が冒頭申し上げましたように、現実をありのまま直視してください。

 小泉内閣になって三年間、着実に自殺はふえているんです。そして、小泉さんが政治をやられて二年、去年ですよ、やったばかりじゃないですよ、やってきて、統計をとって以来最高の自殺者になったんです。それに対しては責任があると私は思いますよ。

 特に、ベトナム戦争で死んだ方というのは十年で七万人と言われています。今のイラク戦争で亡くなった方が一万人と言われています。しかし、皆さんが政権を担当しているこの国では、一年間に、表に出る数字だけでも去年三万四千人、実数は十万人も死んでいます。戦争以上の死亡者、死んだ人が出ていて、責任がないという認識はおかしいと私は思いますよ。やはり強きを助け弱きをくじくという小泉政治の何らかのその要因によってこれだけの自殺者がふえている、皆さん全員に責任があるということを明確に私は言っておきたいと思います。

 そしてまた、これだけ、過去最高を記録した自殺者です。私は、これも今のような一般論で逃げてはいけないと思います。やはりこれは構造的な要因からいろいろな問題があります。私は、やはり各省庁が横断的にこの自殺者を減らすための対策を早急に立ち上げるべきだと思うんですが、全省庁を統括して横断的にできるのは官房長官だと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。

細田国務大臣 自殺死亡者の増大傾向は非常に憂慮すべき事態と考えております。心の健康という問題もありますし、職域、地域におけるメンタルヘルスの相談体制とか、あるいは自殺予防に対する正しい知識の普及啓発とか、学校における命を大切にする教育等も大事でございますが、なかなか、すぐに効果の見えるような対策があるかといえば、地道に取り組んでいかなければなりません。

 しかしながら、議員おっしゃるように、大変大切な問題であり、また、先ほどのことで申し上げましたが、バブルが崩壊して、我慢に我慢をしていろいろな、借金を返したり、苦難の中で、とうとう最後行き詰まって亡くなられるということで、最近ふえておられる。したがって、長い間のバブル崩壊の結果が出てきておるんだと思いますけれども、何とかして政府もさまざまな努力を今後ともしていきたいと思いますが、一方で、経済の問題については、しっかりとした雇用対策、そして経済の発展を実現しなければならないと思っております。

小泉(俊)委員 何度も言います。政治の根本は国民の命を守ることであります。これができない政治はもう政治じゃないんですよ、国家じゃないんですよ。ですから、官房長官、ちゃんとこれは明確に対策をとっていただくことをまずお願いします。

 次、郵政民営化の問題についてお尋ねいたします。

 世論調査によれば、どこの新聞、テレビを見ましても、郵政民営化に対する国民の関心は二、三%しかないですよね。しかし、小泉総理はこれを国政の最重要課題としています。そして、今度の新内閣は郵政民営化実現内閣と言っているわけであります。

 そこでお尋ねしますが、これは麻生総務大臣と島村農水大臣にお尋ねします。

 政治家としてお尋ねいたしますが、郵政民営化が、今のこの日本の現状において、国政の最重要で最優先に取り組まなければならない課題だと本当に思われていますか。お二人の大臣にお尋ねいたします。

麻生国務大臣 最優先課題の一つであるとは思います。ほかにも年金等々いろいろございますので、これがと言われるとちょっと言いようがないんですが、最優先の一つだとは思っております。

島村国務大臣 総務大臣と同じでして、やはりいろいろなこれから改革をしなきゃならない、一切のタブーを設けずに前向きに検討することが改革、こう考えています。

小泉(俊)委員 やはり、私は冒頭に申し上げました、日本がよくならない本当の理由は大臣たちがずれちゃっているんですよ。郵政民営化の国民的関心が三%ぐらいしかないということは、国民は、もっと先にやることがあるんじゃないの、優先順位の高いものがあるんじゃないのと言っているんですよ。

 諸先輩方は当然御存じだと思いますが、太公望の書いた兵書「三略」があります。あの中で、数千年前に書かれた文章の中にも、政治の要諦は「衆心を察して百務を施す」と言っているんですよ。これは、国民の望むこと、国民の一番不安に思っていることを解消してあげるのが政治だと言っているんですよ。これは数千年前から言われていますよ。

 私は、最優先に取り組むべきは、今、麻生大臣はほかのことを言われましたが、国民のやはり八割が関心を持っている年金と景気の問題だと思います。

 イギリスの政治学者デビット・イーストンが言っていますが、政治は希少資源の権威的配分です。平たく言えば、政策に優先順位をつけるのが政治なんですよ。ですから、まさにいろいろな山積する問題の中でどれが最優先なのかというのを選択するのが大臣たちの役目じゃないですか。

 私は、たとえ総理大臣であろうと、間違っているんだったら正々堂々と、国民の負託を受けている、命を預かっている大臣ですから、はっきり物を言わなければいけないと思いますよ、それは。

 次の質問に行きますが、それでは、観点を変えて質問します。

 私は、この郵政民営化で一番問題なのは、実は、郵政民営化の真の目的が一体どこにあるのか、そしてこれを実行した場合に本当に日本国民の利益になるのか、その効果、これにちょっと疑問があるわけであります。

 ここに、今一番、非常に話題の「拒否できない日本」という関岡英之さんが書いた本があります。これは非常におもしろい内容の本でありまして、毎年十月、アメリカ政府から、米国企業の日本市場への参入を拡大するため、日本政府に対し年次改革要望書という文書が提出され、この要望書に沿って審議会に諮問され、答申書がつくられ、法改正が行われるということをかなり具体例を挙げて詳述に書いてあります。

 そこで、この中に出てきます年次改革要望書、これはアメリカから来る文書でありますが、ここに、添付資料の資料一に、実は、この年次改革要望、どの程度これがちゃんとされているかというのを確認する文書がちゃんとここに出ています。ことしの六月八日に、日米間の規制改革及び競争政策イニシアティブに関する日米両国首脳への第三回報告書というものであります。それがこの資料一であります。

 これはどこからとったものじゃないですよ。在日米国大使館のホームページで公開されている公式文書であります。

 そこで、この規制改革イニシアティブの第三回報告書、この文書というのは、麻生総務大臣、竹中大臣、当然これは御存じですよね。

麻生国務大臣 ファクトシートのことだと思いますが。

竹中国務大臣 存じ上げております。

小泉(俊)委員 ちょっとこの資料の一ページ目、傍線を引いてあります。一番下のところに、「規制改革イニシアティブは、ブッシュ大統領と小泉首相により二〇〇一年六月にキャンプデービッドで、「成長のための日米経済パートナーシップ」の重要な要素として立ち上げられた。」その中で、二段目であります。「これらの措置は、」「米国企業に対して日本市場を開放するものである。」また、下の線になりますが、「規制改革イニシアティブは、規制上の障壁を削減し、政府慣行の簡素化を図ることにより、米国企業の日本市場へのアクセス拡大のための重要なメカニズムとしての役割を持つ。」

 七ページ目をごらんください。七ページ目も、透明性その他政府慣行、傍線を読みます。「日本における日本郵政公社その他の公団・公社の民営化計画は、」下に飛びますよ、「外国企業が同一条件の下で競争し、国内の日本企業が従来から享受してきた特典を削減することにつながるような改革をさらに進める必要がある。」

 また、きのう竹中大臣は、郵政民営化の質問に対し、透明性を図るということを一つのあれに、これもそれに出ていますね。そして、どういう透明性かといいますと、「日本郵政公社民営化プロセスに対して米国企業が意見を述べる新たな意味のある機会を与えることに同意する。」と書いてあるわけですね。

 実は、この文書だけじゃなくて規制改革要望書とかUSTRの文書とか、過去、とれるだけの文書をとって全部読んでみました。どうも、この文書を読んでみますと、郵政民営化というのも、米国企業の市場参入を容易にして、なおかつ郵貯、簡保の巨額資金が結局米国に流れるための改革で終わってしまうのではないか、そういう危惧を私は抱かざるを得なかったのですが、この点につきましては、麻生総務大臣、竹中大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、茂木委員長代理着席〕

麻生国務大臣 これは、小泉先生、見解の物すごく分かれるところだと思いますね。

 ちょっと世代が少し違うのかもしれませんが、一九七〇年に初めてビッグスリーが乗り込んでくるといって、GM、フォード、クライスラーという三つの会社が乗り込んできて日本の会社は皆つぶれると言われましたけれども、事実は全然違ったという事実があります。

 同じく七一年、ドルショックと言われていきなり固定相場から自由相場に移ったときに、三百六十円だったものが一挙に下がって、八五年のプラザ合意で百二十円まで一挙に行って、その後、九四年の四月にはたしか八十円まで、終わり値八十円ちょうどまで行ったんだと思いますが、簡単に言えば三・五分の一にドルは暴落したんですよ。

 結果として、一ドルが昔三百六十円、三・五倍すれば一千六十円とか七十円とかいうことになったということと同じ意味なんだと思いますが、そういう時代になったのは、僕はひとえに競争がさせたわざだと思っております。

 したがって、国民は、過保護、護送船団でしたかね、いろんな表現がございましたが、そういったものに基づいてやっていた時代と違って、少なくとも製造業は、八五年以降は一ドル百二十円でやらないかぬということになって、猛烈な勢いで企業の構造改革をやってのけた結果、日本という国は、非常に大きく国際競争力を製造業は得た。

 しかし、その間、いわゆる金融業はどうであったかといえば、そうではなかったという事実が、結果として、その後非常に厳しいことになっていったという、歴史を見るとそういうことになりますので、前川レポート等々昔からいろいろこの種の話があることは事実で、よく知っておりますが、私どももそれは知らないわけではありませんけれども、それにこたえて、そういう条件下にもかかわらず、結果として日本という経済力は強くなったというのも事実として思わないかぬところですので、これらのところを踏まえて、私どもはこういう意図が向こうにあることは百も二百も知った上で、日本の国益に沿って行動していかねばならぬと思っております。

竹中国務大臣 郵政の民営化というのは、まさに民間でできることは民間でやろう、それが国民のためになるし国全体のためになる、そういう思いでやっているわけでございます。アメリカのためにやるなどと考えたこともありませんし、そういう見方もあるのかというふうに少し驚いております。

 いずれにしましても、このイコールフッティング、民間とのイコールフッティング、これはやっぱり重要でしょう。それと規制改革、重要でしょう。民間でできることは民間でというのは重要でしょう。これは、アメリカのみならず、国内の専門家も長い間言ってきたことでございますし、我々は、あくまで国益のために、そして国民のためになる、それを競争を通して実現するんだ、そういう考え方のもとに、しっかりとした、国民のためになる郵政民営化を実現したいと思っております。

小泉(俊)委員 実は、建築基準法の改正、時価会計、減損会計という会計制度の導入、ペイオフ、社外取締役など商法の大改正、独禁法の強化と今の改正も出ていますが、実はこれは、要望書を読むと、アメリカのこっちを読んだ方が早いんですよ、内容とかが先にわかるような状態になっております。

 ですから、これは私は、麻生大臣、入ってくるのがいけないというんじゃないんですよ。それはいいんです、それで。ただし、やはりこういったものというのは、国民とか国会議員にも公開をきちっとして、これをわかった上で、お互いに国益を考えながら法律をつくったりいろいろな話を進めていかなければならないと私は思っています。

 これは実は、アメリカのこの文書が、三年もたちますと日本の省庁にリンクを張られるんですよ。三年後ぐらいですよ。直ちにリンクを張って、そうすれば国民がだれでも、アメリカ大使館のホームページはなかなか見ないんですよ、英語だと思っていますから。実は日本語で全部あるんです。

 ところが、三年後、外務省にリンクが張られたから、そっちをクリックすると、アメリカの方はすごく見やすいんです。わざと見づらく変な仕組みにしているわけですよ。これは、読んでほしくないという意図がどうしても見え見えになります。そうではなくて、いいんです、正々堂々とやれば。お互いに、アメリカはアメリカの国益を思い、日本は日本の国益を思い、そしてお互いに切磋琢磨してよくなっていくのが一番いい話でありますよ。ただし、全部秘密にして、そういうのを隠ぺいしたまま、法案を出してきたり、そういうのはちょっとおかしいということを私は申し上げているんですよ。

 時間がありませんから先に進みますが、ぜひともこういった文書は、実は、この文書は全省庁横断的に全部やってあるわけですよ。ですから、直ちに省庁のホームページにアップ・ツー・デートの新しい文書を必ずリンクするように大臣方にお願いいたしたいと思います。ちょっと時間がありませんので、先に進みます。

 次に、三位一体改革についてであります。

 今、国がこの三位一体改革によって交付金を減らし、税源移譲、財源移譲がまだないわけですね。これは、収入が確定できないために、日本全国の市町村長が来年度の予算が立てられないと本当に大変な事態になっています。

 ところで、九月二十四日、谷垣大臣の財務省の発表によりますと、二〇〇四年六月末における国の借金の総額は七百二十九兆二千二百八十一億円と発表されました。これは、地方の負債の二百兆は載っていません。国だけの、国債と政府短期証券と、あと、特会からの借り入れ等の総額がこれだけあるわけですね。

 そしてまた、ことしの税収というのは四十一兆七千四百七十億円。これは、谷垣さんに前も質問していますが、十八年前の八六年と同じくらいの税収しか今ないんですよね。

 そこでお伺いしますが、これは本当に、今の三位一体改革を推し進めていって、地方に財源移譲といって、こんな真っ赤っ赤の国の状態で、谷垣大臣、財源移譲できるんでしょうか。

 もう一つ、できるとしたら、いつ、幾らやるかをちょっとお願いします。

谷垣国務大臣 確かに、平成十六年度予算で見ますと、公債依存率が四四・六%、それから税収と債務残高の比率で見ますと、たしか十七・二倍ということで、非常に悪い財政状態でございます。

 こういう中で税源移譲をやろうとすれば、国庫をお預かりする私としては、やはりむだなものは省いて、やめるものはやめる。そういう中で、本当に地方にやっていただくものは何なんだという精査、スリム化をしないと、この話はまずできないということを私は強く思っております。

 したがいまして、今後どういう形でやるのかということになりますと、骨太にも書いてありますように、三兆円をめどにやる。そうして、平成十七年度、十八年度、十八年度までに所得税を地方住民税に移行するという形でやるというふうに書いてございますが、現在の段階は、どの補助金をどのぐらいカットするかあるいはスリム化するかというような話がまだついておりませんので、三兆円という大きな目標はございますけれども、今の段階ではそれ以上細かに申し上げるわけにはまいりませんので、これから秋、十一月に大きな工程表をつくる作業を、汗かきたいと思っております。

麻生国務大臣 小泉先生よく御存じのとおり、これは、財政収支は中立ですので、税源を移譲した分だけは補助金はカットになりますので、その点だけでおかしいというようなことではございません。

 今の点につきましては、いわゆる、この十二月の予算に合わせまして、過日、閣議決定に基づいて、地方六団体にどのものが要る、要らないを出していただいておりますので、それに基づいてこの十月末から十一月にかけてきちんとまとめたいと思っております。

小泉(俊)委員 三位一体改革を見ていますと、どうも、今おっしゃいましたが、量的な分配権限を変えているだけなんですよね。この国家の財政、国債だけでも七百十九兆、そして、先ほど、六月に発表された七百二十九兆の国の借金、私は、これほど膨大な借金がたまったら、量的な解決では解決にならないと思っています。これは質的転換をばかっとしない限り、絶対に国家財政とかこの国の未来をうまくやっていくということは私は難しいと思います。

 そこで、何が言いたいかといいますと、私は、日本全国の、議員と公務員の国も地方も入れた総人件費というのは三十七兆なんですよ。これは、どこが幾ら使っているかを見ますと、国が十兆円、三千二百の市町村が十一兆円です。四十七都道府県が十六兆も使っているんです。なおかつ交付金の半分も県が使っておりますので、非常に率は県が突出しちゃっているんですね。

 私は、やはり廃藩置県、これが起きてから、一八七一年、明治四年、このとき以来、もうこれほどの時期がたっています。私は、国家構造を大きく転換するぐらいの、例えば国と市町村を直轄にするような、二段階を廃止するような質的構造を転換しない限りなかなか、これほど大きくなった財政の破綻状況を、単なる地方に割り振りをやれとかそういうのではとてもできないと思っています。まあ、これは私たちが政権をとったときにはやらせていただくかもわかりませんので、ひとつ参考になればと思います。

 あと、時間がありませんので、ちょっと急ぎますが、もう一つ。実は今、三位一体によって合併が物すごい勢いで起きています。これは何でこんなに急いでいるかといいますと、三月三十一日、来年までに合併調印をすれば合併特例債を発行できるから、これが馬の鼻先にぶら下げたニンジンとなって、今必死にやっているわけですよ。

 そこで、端的に数字だけ、総務大臣、お尋ねします。要するに、合併特例債の要件を満たす全国の合併予定自治体の数と、その全国の合併によって発行予定されている合併特例債の総額は幾らになりますでしょうか。

麻生国務大臣 今、公共団体がいわゆる準備をしているのが、くっついたり離れたりしていますので、そっちの方の数字はちょっと何とも申し上げられない、約千五、六百と思っていただければと存じます。

 それで、どれくらい合併特例債が出るかということは、御党の方にも前に質問されたことがあるんですが、そのときに比べて、かなり合併は進んだと思っております。少なくとも私が大臣になりましてから、約三千百が二千七百切るぐらいのところまで来ておりますので、結構進んでおりますので、あのとき七、八兆と申し上げましたけれども、今の感じでいきますと、一年たって、今、九兆から十兆ぐらいの総額に、十年間ですよ、一年間の話じゃございません、十年間で九兆円から十兆円ぐらいになると思っております。これは、何回も申し上げますけれども、前提条件がありますので、その点だけはお忘れなく。

小泉(俊)委員 そこで、財務大臣にお尋ねいたします。

 先ほどから、私はやはり、国家が破綻、財政上から大変な問題になってきていますね。合併特例債をもらえると思って合併して、本当に、これは七割国がいろいろな形で面倒見てくれるということになっていると思うんですが、これは、財務大臣、ちゃんと財源的な裏づけを、責任持って、間違いなくこれは七割出すということをおっしゃっていただけますか。

谷垣国務大臣 これはむしろ麻生大臣が御答弁になるべきことかもしれませんが、要するに、地方財政計画をつくりまして歳出と歳入のギャップを地方交付税で補てんするという仕組みになっておりますから、今おっしゃったその地方債の元利償還費等についても、マクロでいえばみんなその中に計上されているという姿になっておりまして、そのことについては基準財政需要というような形で総務省において手当てをされると思います。

 ただ、私どもの観点からいうと、これは三位一体の問題でもございますけれども、こういう財政状況の中で、今の合併特例債の問題とすぐリンクするわけではございませんけれども、やはり地方財政計画のスリム化ということも必要ではないかと考えております。

小泉(俊)委員 実は、合併特例債が何に使われるかというのをコンサルタントとか地方自治体でいろいろやっています。これを現実に見られたことありますか。見ると、ほとんどまたかつてのように、多いのが小中学校が耐震構造になるとか、結局、非常に旧公共事業でやっていたようなことに近いことが行われつつあるんですよ。形を変えた、またかつてと全く同じことが地方で起きるという危険性もありますので、それはありますが、ただし、みんな七割来ると思ってやっているものですから、ぜひともその辺は総務大臣も財務大臣も責任を持って、十年後だから知らないとか言わないように、ひとつよろしくお願いをいたします。

 時間が迫ってきましたので、島村大臣にお尋ねをいたします。

 これは、きのう、実は島村大臣とこちらの委員のやりとりを聞いて僕はびっくりしたんですが、全然、今、日本全国で農家の方たちが一番心配になっていることを、質問されている方も大臣も何もしゃべっていないんですね。

 そこで私は一つお尋ねをいたしますが、これは何かといいますと、農村が壊滅するかどうかというところまで今実は来ています。それは、米価が一俵去年は二万二千円だったのが、ことしは一俵一万一千円、半分になっちゃったんですね。このため、小農家じゃないですよ、十町歩、二十町歩、三十町歩も耕作面積を持つ農家まで、減反農地までかかる一反約一万五千円くらいの耕地整理の負担金、これも払えないんですよ。あと、コンバイン等、大体一農家二千万円の借り入れが農協からあるんです。この返済も米価の急落によって支払えなくなっています。

 そして、データは出しておりませんが、先ほど出した自殺のデータ等をよく見ますと、今農村の自殺者がかなりふえているんです。去年も六百人ぐらいいるはずですけれども、これは、このままいくと、日本の米農家というのは大農家ですら廃業せざるを得ないんじゃないかということを大農家の経営者から私はここ頻繁に話を聞いているわけでありますが、この米価について一体どうなさるつもりなのか。そしてまた、政府の米政策ですね。

 食糧の自給、時間がないですから質問できませんが、食糧の自給率に一番影響するんですよ。日本の食糧自給率はたった二三%です。世界百九十一カ国、下から六番目、ジャマイカ、パプアニューギニア、イスラエル、リビア、アルジェリア、日本ですよ。それで、この天候異変で世界じゅうの生産国が減少しています。オーストラリアは、二〇〇二年五五%も減少したわけであります。

 そういった中で、なおかつ人口爆発の中で、やはり日本にとって米というもの、実は一番耕作に適した、気候に適したものなんですね。ですから、食糧危機、来るべき食糧危機にも備えながら、やはりこの米価、米のですね、どうするのかということをお尋ねいたします。

島村国務大臣 お答えいたします。

 まず、米価の問題ですが、平成十六年産米の価格につきまして、コメ価格センターの九月二十八日の入札結果、六十キログラム当たり一万六千二百八十五円でありまして、なるほど、昨年不作により大きく高騰した同時期に比べまして六千五百二十五円下回っております。

 ただ、これは、その前年、ほぼ平年作であった十四年産の同時期に比べますと実は百九円上回っているわけで、去年のような特異な例に合わせれば、なるほど大きく下落している、このことをまず申し上げておきたい。

 それから、自給率につきましてですが、これは穀物自給率にて二七%であります。これは要するに、確かに自給率を大きく高めませんと、いざというときには経済合理性だけではとてもやっていけません。

 そういう意味で、私は国際環境については少しくいろいろな会議でよく承知しているつもりですから、これから国内の農業を守るために、私は、その立場に立って最善を尽くしていきたい、そう考えています。

    〔茂木委員長代理退席、委員長着席〕

小泉(俊)委員 最後にお話しさせていただきますが、日本の農政というのは、米価二万円を基準に今までの耕地整理の負担金とかそういうものの仕組みができているんですよ。これを下ったら農家はもたないんです、実は。大臣、東京ですから、私はちょっと認識が甘いと思いますね。

 それで、一つ、もう答弁要らないですから、時間がありません、提案だけします。

 耕地整理の負担金の返済の期限を延長するようなシステム、また農協からの借入金の期限を延長するようなことも御検討いただければありがたいと思います。

 また、絶対的にやるべきことは、米の絶対的消費量をふやすことなんです。これをやらない限り、日本の自給率は上がりませんからね。それで、私は、幼稚園、小学校、中学校、高校すべての教育や、テレビ等全メディアを通じて、政府を挙げて徹底的な米食キャンペーンを本当にやらなければいけない時代がやってきたと思います。また、公務員が私たちも入れて全国で四百三十九万人もいるんですよ。こういう人たちは米を食べさせるべきです。また、牛とか豚とか鶏などの家畜の飼料への米の積極的推進等、ぜひとも米の消費量、絶対的消費量を上げていくことに全力で取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。

甘利委員長 これにて小泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、中塚一宏君。

中塚委員 民主党の中塚です。

 時間が限られておりますので、まずは景気の問題、きょうは日本銀行総裁にお越しをいただいておりますので、まずは総裁に景気の認識のことをお伺いしたいと思います。

 小泉内閣が発足をしたときに、株価は一万四千円、今は一万一千円ちょぼちょぼ。自分で悪くしておいて、そこそこ数字が戻ってきたから景気が回復したと、本当によく言うなと私は思います。

 そんな中で、政府は、今景気は堅調に回復をしているという判断をされているようですが、総裁は、十三日の記者会見で、日本経済単体も、巡航速度に向かって成長速度を若干調整しながら、しかし、逆に言えば、持続的な回復の軌道に近づいていく標準シナリオの方向に沿って動いていると見ていいと思うということをコメントされています。

 持続的な回復の軌道に近づいていくというのは、果たして本当にそうか。つまり、輸出が好調ですから、企業は収益は確かに上がっておりますけれども、でも、企業の収益が上がったって、別にそれで所得がふえているわけじゃありませんね。個人消費はふえているとはいうものの、でも、現金給与総額あるいは常用雇用者数なんか見たって、全然これはふえているというふうにはなっていない。また、設備投資についても、銀行貸し出しというのはもうずっと減りっ放しに減っているわけです。

 この間、日本銀行で短観をお出しになりましたが、設備投資計画なんか見ても、大企業の製造業、これが二〇・七%ということですごく伸びておりますけれども、伸びているということは、やはりこれは、輸出関連設備投資の伸びというのはそろそろピークを迎えるのではないか、鈍化するのではないか、当然そういう見方をするべきだと思う。

 もう一つは、価格動向ですけれども、販売価格判断DIは十数ポイントの下落超、要はデフレがずっと続くという判断がなされている。他方、今度は仕入れ価格判断DIですけれども、これは四〇ポイントを超える上昇ですから、今度は原材料費はどんどん上がっていく、そういうふうな判断できている。

 原料高と製品安で収益が圧迫をされていく、こういう状況にある中で、果たして本当に日本の経済は回復基調に近づいているというふうに言えるのかどうか。いかがですか。

福井参考人 お答えを申し上げます。

 日本銀行では、政策委員会・政策決定会合を開きますたびに情勢判断をきちんとレビューいたしておりますけれども、現在ただいまの私どもの判断は、日本の景気は回復を続けているというものでございます。そして、先行きの見通しにつきましても、経済成長率そのものは多少調整されていくだろうけれども、より安定的なと申しますか、より持続可能なペースに沿う形で景気回復は続くであろう、こういう判断に立っております。

 その背景としては、もちろん米国や中国を中心に世界経済の拡大が順調に続く、その中で日本の輸出の増加が国内で生産活動の活発化を招く、そして企業収益の好調ぶりを生み出して設備投資の拡大を促す、こういう前向きの循環がしっかり働いているということが一つの根拠であります。

 もう一つの根拠は、長い間苦しみました企業の過剰投資とか過剰債務とか過剰雇用、あるいは金融システムの脆弱性といった、バブル経済の崩壊以降、日本経済の回復をおくらせてきたさまざまな要因の調整が相当進んだ、したがって、経済の足取りがそれだけ軽くなった、構造調整進展の成果をエンジョイすることができるようになった、こういったことが挙げられるということでございます。

中塚委員 回復基調に乗った、あるいは近づいたと言えるのかどうかということについて、ちゃんとお答えがなかったんですが。

 そんな中で、次に、ダイエーのことをお伺いしたいんですが、そういう景気判断の中で、今度ダイエーが産業再生機構を活用することになりました。

 私は、今から三年弱前ですが、二〇〇二年の予算委員会でこのダイエーの問題を取り上げたんですね。そのときは柳澤金融担当大臣、そして平沼経済産業大臣だったわけですけれども、そのときは、ダイエーの措置ですけれども、官主導あるいは政府主導というような側面は全くないということをまず了解いただきたいというふうに思いますというふうなコメントがあったわけなんです。

 ところが、今回はやはり明らかにちょっと違いますね。まず、取っかかり、八月三日、竹中平蔵当時金融担当大臣ですけれども、その八月三日の記者会見で、先送り型では何にも解決にならない、むしろ問題を大きくするというふうにお述べになっております。今まで本当にずっと先送りしておいてよく言うなというふうにも思うわけなんですけれども、何で今なんでしょうか。

竹中国務大臣 八月三日のその記者会見のことを詳細には覚えておりませんが、基本的には、私は、個別の企業に対して一回も発言したことはないと記憶をしております。記者会見ではしょっちゅう聞かれますが、個別のことには口出しをいたしません。

 一般論として申し上げれば、日本経済はまさにバランスシート調整が必要ですから、どこの企業であれ先送りは問題をこじらすだけですから、債権者、債務者でしっかりとやっていただきたい。その日の発言もそのような趣旨であったと思います。

中塚委員 それでは、その他の、もうちゃんと介入があった事例というのが今回いろいろとあるわけなので、そちらから伺っていきたいというふうに思います。

 産業再生委員会の委員長、経済産業省がたび重なる介入をするということで、官邸に対して、政治の介入があって大変なんだ、それをやめさせてくれ、そういう要望書を出されたというふうに聞いているわけなんですが、村上担当大臣、いかがでしょうか、そういった事実はあったんでしょうか。

村上国務大臣 中塚委員の御質問にお答えします。

 高木委員長からは、官房長官あてに、今回のことについての要望の書簡を受けとっております。それを長官にお届けしました。

中塚委員 官から民へとか、小泉内閣、いろいろ言うわけですけれども、今度は民から官にダイエーを送り込もうという話の中で、政府部内でいろいろなあつれきというものが生まれている。そういったことをちゃんと解明していかなきゃいけないわけで、ぜひとも、この高木委員長が官房長官にお出しになった書簡というものをこの委員会に資料として御提出をいただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

村上国務大臣 これは高木委員長のあくまで私信でありますので、本委員会に提出するということは不適当だと考えております。

中塚委員 たとえ私信であっても、さっきの竹中大臣の記者会見というのも新聞にも載っているわけで、また、この高木委員長のお話というのも、ちゃんと新聞で、高木委員長自身が、こういうことがあって書簡を出したんだというふうにおっしゃっている。また、その書簡の中身についても、これは記者会見の中でお触れになっているわけなんで、ぜひこれは委員会として、資料として要求をしたいと思いますので、理事会でお取り計らいをよろしくお願いいたします。

甘利委員長 理事を通じてお話をいただければ、理事会協議とさせていただきます。

中塚委員 続いて、今度はこの逆で、総理官邸の方から経済産業省の杉山次官の方に、ダイエー問題に介入をするなという電話が入った、そういう報道があるわけなんですけれども、中川経済産業大臣、この件についてはお聞きになっておられますか。

中川国務大臣 総理あるいはまた官邸から、私あるいはまた私以外の事務方含めて、今、中塚委員がおっしゃったような電話あるいはその内容があったということは一切承知をしておりません。

中塚委員 それでは伺いますけれども、二回、ダイエーというものが再建計画をつくった、産業再生法の適用も受けたということで、経済産業省として、ダイエーの再建に失敗した、そういう御認識がおありなのかどうかということと、その責任についてはどういうふうにお考えになっているのか、御答弁をいただけますか。

中川国務大臣 ダイエーにつきましては、現在、平成十四年の三月から平成十七年の二月までの再建計画というものがございますことは、委員も御承知のとおりだと思います。この計画につきましては、途中で若干修正がございましたものの、現在、その計画どおりといいましょうか、計画にのっとった形で進んでいるというふうに認識をしておりますので、したがって、失敗したとかそれについてどういうふうな責任をとるかということについては、お答えできないということでございます。

中塚委員 そうなんでしょうか。そういうことだからこそ、つまり失敗だったということだからこそ、経済産業省として、産業再生機構に送るんではなくて、民間主導で何とかやっていきたいということで、再生委員会の委員長にまでいろいろなアクセスがあったということを委員長は官房長官に対して書簡で送られているんじゃないですか。いかがですか。

中川国務大臣 私は基本的に、民でやっていることは民でということをたびたび申し上げておりました。事業所管官庁の大臣としてそういう立場で発言をしておりました。

 他方、こういう結果になりましたが、御質問の御趣旨は、私並びに経済産業省が高木委員長に対して何らかの、アクセスという今お言葉をお使いになりましたが、お会いをしたことはもちろんございますけれども、そのお手紙の趣旨なるものにつきましては、先ほど村上担当大臣からもお話がありましたように、私信ということでございますのでその内容も関知をしておりませんので、それを前提にしたお答えは残念ながらできないということでございます。

中塚委員 産業再生機構は、税金も使う、そして、下手をするとロスが出て、これも返ってこないかもしれない、そういう企業再生をやるというものについて、これだけこう経緯が不明朗だということは極めて問題が多い。

 今、大臣がごらんになっていないということであるならば、理事を通じて、また私もこの場でその書簡というものの資料としての提出を求めますので、それを見ていただいた上で、また改めてこの件については質問をさせていただきたいというふうに思います。

 そしてもう一つ、産業再生機構が手紙を出しているんですね。その産業再生機構が送った手紙というのは、ダイエーに対して民間企業によるスポンサー選びの中止を求めたということのようです。

 これも報道によりますと、公正取引委員会の事務総長がコメントをされておりまして、再生機構がダイエーに送付をした書簡、これは、公取委が見解を明らかにしたという事実はないとした上で、取引の前の段階だから、こういう条件提示をダイエーが断ることもできるため、不公正な取引には該当しない、そういうふうなコメントを出されているんですが、公正取引委員会としてはそうであったとしても、産業再生機構法案というものが成立するときに附帯決議が出ているわけなんですね。

 この附帯決議の一項目めですが、「事業の再生については、市場における企業の自主的な取組みを尊重することを原則とし、産業再生機構が事業の再生支援の決定を行うに当たっては、過度の介入により安易な企業の延命を図ることのないよう、公正かつ中立的な観点から判断を行うものとすること。」こういう附帯決議というものがなされているわけなんです。

 では、この附帯決議の条文、今お読みいたしましたけれども、これをお聞きになって、村上担当大臣、こういう書簡を出すということが果たしてこの附帯決議の趣旨に合っているのかどうか、いかがお考えでしょうか。

村上国務大臣 それは、再生機構としては、御承知のように資産査定には最低三カ月かかる、そういうことであって、来年の三月三十一日に債権の買い取り期限が、しりが切られていますから、それから逆算してくると一日も早く査定に入りたい、そういうことにおいて査定に協力してくれという意味でそういう書簡を出したのであって、私は、妥当である、不当ではない、そういうふうに考えています。

中塚委員 村上大臣、この書簡の方もぜひとも資料として委員会に提出をいただきたいんですが、いかがですか。

村上国務大臣 それも再生機構と各企業との非常にデリケートな問題でありますので、私は、公にここに出すべきものではない、そういうふうに考えております。

中塚委員 別にデリケートな問題じゃないですね。要は、十八日でしたか、予定されていた入札もなくなってしまって、ダイエーは機構の中でこれから再生を目指していくということが決まっているわけですから、もうこのこと自体は別にデリケートな問題じゃないはずなので、委員長、この産業再生機構がダイエーの方に送った書簡、この書簡も資料として提出を要求いたします。

甘利委員長 理事から申し出をいただければ、理事会協議マターとさせていただきます。

中塚委員 次に、伊藤金融担当大臣にお伺いをいたします。

 今度はダイエーの高木社長の記者会見でのコメントなんですけれども、もともと、三年かけて有利子負債をキャッシュフローの十倍ぐらいの水準まで引き下げるのが命題、世の中の声だった。確かにそうなんですね。三年弱前の予算委員会で、私は、有利子負債を一兆円まで減らせるんですか、甘い見通しなんじゃないですかということを質問したんです。ところが、ダイエーは減らしたんですよ、有利子負債を。減らしてきたにもかかわらず、高木さんによれば、最近は、いや、それではだめだ、キャッシュフローの五、六倍まで減らせという話になった、ここへ来て、銀行の不良債権処理、ダイエーの再建をめぐる尺度がどんどん変わっていった印象があるということをお述べになっているんですね。

 これを聞いてどういう感想をお持ちになりますか。

伊藤国務大臣 金融機関の個別債務先企業の事柄に関することでありますので、私から子細のコメントをすることはできないということは御理解をいただきたいというふうに思いますが、一般論として、もし再建計画をさらにつくるに当たって巨額な金融支援あるいは債権放棄というものを求めるのであるとするならば、金融機関にとって、預金者やあるいは株主に対して合理的な説明というものが求められるわけであります。

 当委員会においても、大企業においてはなぜ巨額な債権放棄がなされるのか、厳しい批判がある中で、債務者たる企業において、透明度の高い、そして実現可能性のある再建計画というものをしっかりつくって、そしてそれに基づいた再生の実を上げていくということが非常に重要なことではないかというふうに思っております。そうした中で再生の実が上がっていくことを私どもとしては期待いたしております。

中塚委員 今までだって五千億も債権放棄をしてきたわけですよ、銀行団は。ところが今回になって、要は、産業再生機構も来年の三月まで、そして、皆さんが、不良債権比率を半減させる、そういう目標を立てていらっしゃるわけでしょう。だからこそ、主力三行がもう融資はできないと言ったからこそ、ダイエーは産業再生機構に泣きつくしかなくなったということじゃないんですか。

 最後に、日本銀行総裁にお伺いをして質問を終わりたいと思いますが、結局、この日本の不良債権処理というのは、銀行の体力に合わせてしか行われないということなんじゃないんですか。

 私ども、不良債権、ちゃんと処理をしろということを前から主張しているわけですけれども、要は、三年弱前は、あのときは、景気も大変だった、銀行ももうよろよろしていた、だから、産業再生法で何とか支援をしよう、債権放棄だけで何とかやっていこうという話だったけれども、今は、景気もそこそこよくなった、銀行も体力がついてきた、だからもう今機構に送ったって構わない。こういう銀行の体力に合わせた不良債権処理しかできないということが、日本の金融システムの信認を失わせているんじゃないですか。いかがですか。

福井参考人 お答えを申し上げます。

 不良債権の処理あるいは企業の再生というものは、企業のバランスシートと金融機関のバランスシートが向かい合っている部分の問題でございます。したがいまして、企業再生と金融機関の持っている不良債権の処理というのは、常に表裏一体の問題、両方等しいペースで進まなければ本当の解決に進まないということだと思います。

 ダイエーの問題も、最初にあの再建計画ができたのが、たしか九八年だったと思います。随分時間がかかったといえばかかっておりますが、その間、やはり両当事者の懸命な努力が続けられた。少し時間が長くかかり過ぎたという印象は明らかにありますけれども、その結果がここに最終的な局面を迎えているということではないかというふうに考えています。

中塚委員 委員長に、資料の件、よろしくお取り計らいをお願い申し上げまして、質問を終わります。

甘利委員長 これにて中塚君の質疑は終了いたしました。

 次に、津川祥吾君。

津川委員 民主党の津川祥吾でございます。

 総務大臣はお見えですね。よろしくお願いします。

 私は、電話加入権料の廃止についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本日、先ほど、ちょうど一時間ほど前でございますが、総務大臣の諮問機関であります情報通信審議会、ここから「平成十七年度以降の接続料算定の在り方について」という最終答申が出たと思いますが、大臣、ないようであれば、これ、一部どうぞ。よろしいですか。(麻生国務大臣「いや、ありますよ」と呼ぶ)ありますか。

 きのうの段階でも質問通告させていただきましたので、一応、これが出るものとして通告させていただきましたので、これを前提として質問させていただきます。

 この中に、現在NTT東西の固定電話に加入するときに必要とされている電話加入料、これを廃止してもよいのではないかという内容が含まれてございます。このことについて、まず総務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

 審議会も以前、中間答申の段階であったかと思いますが、パブリックコメントをとられまして、さまざまな意見が多数寄せられたようでございまして、非常に件数も多かったと伺っております。国民の関心の高さを示すものかなと思います。私のところにも、いつか加入権が要らなくなったときには返ってくるものだと思っていたのに返ってこないのかというような問い合わせもいただきました。

 NTT東西が仮に電話加入権料を廃止すると決定をした場合、何も問題がないかどうか、あるいはどのような点に留意が必要か、総務大臣の見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今、津川先生御存じのように、この加入権というものの中は二つ基本的に分かれていまして、いわゆる電話を引くということ、設置するということの負担金というのと加入権と、一緒に加入権と言いますけれども、その中は二つ分かれております。

 私どもとしては、ことしの四月末に、接続料、基本料のあり方について、今御心配をされておられました点について情報通信審議会に諮問をして、その答えが先ほど言われましたとおり十五時ちょうどに出されて、私どもも伺って、ここできょう質問を伺うということだったので、その内容を読ませていただいたところです。

 もう御存じのとおりだと思いますが、答申の中においては、「既に本来の意義を失い、新規加入の妨げとなり得る施設設置負担金については、NTT東日本及びNTT西日本が自らの料金戦略として、廃止も選択肢とした見直しを欲するのであれば、それは容認されるべき」としておる一方で、「その見直しに当たっては、既存加入者や関連市場等に対し一定の配慮を行うことは必要」と触れておりますので、私どもとしては、今の時代、電話を引く人より携帯を買う人の方が多い時代になってきておりますので、所期の目的はほぼ達したということにもなっておりますので、そういった意味では、ここの答申で書かれております「容認されるべき」という件に関しましては、私どももほぼ同じ考え方をしております。

 ただ、いきなり、今言われましたとおり、ある日突然に、持っていた債権みたいなものが一気になくなっちゃうというような意識にもなられると、いわゆる何となくということになろうと思いますので、これはある程度段階的に、極端なことを言えば激変緩和みたいな措置は必要という形だと思っておりますので、これは料金の一種類だと思いますけれども、NTT東西に対してきちんとした対応をしていくべきというような指導はせねばならぬものだと思っております。

津川委員 冒頭に大臣がおっしゃった、加入権の中には施設料と加入権と二つあるんだという話をされました。私の認識とも若干違うところがあるんですが、まず冒頭に申し上げますが、その段階で国民にはわかりにくい。この答申の中にもあります、NTTが利用者に対してもっとちゃんと説明をするべきだった、それが不足していたんじゃないかという話ですね。今の話の段階で、もうわかりにくいんです。

 電話加入権料というふうに私はあえて申し上げました。この中に、私、ひょっとしたら大臣よりももうちょっとよく読んだのかもしれませんが、電話加入権というものと電話加入権料というものを分けています。電話加入権料というのは、施設設置負担金である。施設設置負担金は、電話加入権とは全く別のものだ。この段階で、聞いている国民は何のことだかさっぱりわからないと思うんですね。何がなくなるのかもわからないんです。

 一応一つだけ説明をしますが、まず電話加入権というものは、これだけがしっかりとした根拠のある権利でございます。例えば、今あるものでいえば、NTTの電話サービス契約約款の第二十一条に、「加入電話契約者が加入電話契約に基づいて加入電話の提供を受ける権利」というふうに書いてある。もともとの公衆電気通信法、電電公社のころの法律にもこの中のことがしっかり書かれている。今の法律には書いておりませんけれども、基本的にそれが踏襲されている、こういう認識でよろしいかと思います。

 この電話加入権というものが、今、なくなってもいい、廃止されてもいいという話がありましたが、利用者の中からは、これは契約をした段階で、財産になりますよと言われた、だから買ったんだ、それがなくなってしまうんだとしたら、歴史的な使命が終わったのでなくなる、設備の設置がもう完了したということであるならば、返してもらえないか、こういう御意見があるわけですが、そのことについて総務大臣の見解を伺います。

麻生国務大臣 今御指摘のありました点につきましては、御存じのように、これは質権が設定できるという意味では、明らかに債権ということになるんだと存じます、加入権に関しましては。電話加入権というものは、質権を設定できますでしょう。したがって、これは債権ということになるんだと存じます。したがって、平成十四年度末で、今電話加入権に質権が設定されておりますのは三十九万件あるんだと存じますが、三十九万件の質権が平成十四年度末で設定をされております。

 したがいまして、これが直ちに否定をされるとかなくなっちゃうということになりますと、これは市場に与える影響というのは非常に大きいことになり得ると思います。その点は答申におきましても、電話の加入権の売買とか、いわゆる加入権を担保として質にというような話が行われているのがまだ現状で、毎年今でも一万、二万件あると存じますので、そういった意味では、この負担金のいわゆる見直しをするに当たっては、ある程度時間をかけてやらにゃだめですよとか、また、段階的に実施するとか、それから、既存加入者や関連市場に対しては配慮を行うことが必要である旨の指摘がきょうの出された中にも書かれておりますので、私どもは、その指摘を踏まえて、NTT東西に対して、きちんとした対応が必要だということは言っていかねばならぬところだと思っております。

津川委員 法制局長官、来ていただいていますか。――来ていただいていますね。

 今、総務大臣から、電話加入権は債権であるというお話がございました。この債権というのは、憲法で定めるところの財産権ということでよろしいですか。

阪田政府特別補佐人 憲法二十九条の規定との関係だと思いますけれども、二十九条はあくまでも、公権力によって私法上の権利、私人の権利を侵害するということを前提にして、それを許さないということを書いてあるということでありますので、あくまでも御質問は、国等の公的権力がこの権利を侵害するという前提でのお尋ねだということで理解して申し上げたいと思うんですけれども、そういう関係で述べている二十九条一項に規定する財産権というのは、物権であるか債権であるか、あるいは公法上の権利であるか私法上の権利であるかということを問わず、一切の財産的権利、財産的価値のある権利を指すということでありますから、電話加入権も、これは今先生御指摘のように、NTTとの契約に基づく債権の一種というふうに観念することができると思いますけれども、財産としての価値を有する限りにおいては、当然に憲法二十九条一項に規定する財産権になるということであります。

津川委員 実は、想定していた答弁と相当違いまして、いや、これは債権ではないんだ、だから、財産権ではないからゼロになってもいいんだ、こういう論理で来られるのかなと思っていたんです。この中にそういうふうに書いているものですからね。答申の中にはそういったふうに書いているものですから、いや、これを何とか論破するのにどうしようかなと思っていたら、長官からも、財産権だと言っていただきました。ただ、資産的価値を有する限りという話でしたね。

 総務大臣、今の法制局長官の話でいくと、財産的価値を有する限りにおいてはこれは財産権である、この電話加入権はですね。ということは、国なりあるいはNTTの何らかの方針によってこの資産的な価値が毀損されるということになれば、これは財産権の侵害になる可能性が高いと思うんです。御見解をいただけますか。

麻生国務大臣 ごもっともな御指摘だと思います。したがって、一番最初に設置負担金という言葉を申し上げましたように、今回のこの答申でも、施設設置負担金というのと加入権と分けておりますが、設置負担金の見直しということを言っておるのでありまして、電話加入権の消滅ということを意味していないという点は、もう今回の答申でもはっきりしております。したがって、いわゆる電話加入権の価格というものは保証されているわけではありませんけれども、加入権というものが消滅するというわけではございません。

津川委員 いいですか。今、施設設置負担金と加入権があると。今、実際、七万二千円ですね。七万二千円と手数料八百円があるんですが、要するに、施設設置負担金七万二千円を払えば、それだけで電話加入権をもらえるわけですよ。そのほかに電話加入権として別のお金を払うわけじゃないわけですよ。払いませんよね。払いますか。(麻生国務大臣「細目につきましては――ちょっと聞いてください」と呼ぶ)まあいいです。

 では、こういうふうに聞きます。では、施設設置負担金が七万二千円、電話加入権は幾らですか。

麻生国務大臣 八百円です。

津川委員 電話加入権は、では八百円で買えるんですか。(麻生国務大臣「買えますよ」と呼ぶ)ちっちっちと言っていますけれども、いいですか。

麻生国務大臣 黒電話を設置するに当たって電話回線から自宅まで引いてくるのがいわゆる設置負担金というものでありまして、その分は電話線を配線するために設置する負担金でありますから、しかるべき償却ということになろうかと思いますが、そのときに、七万二千円のほかに電話加入権というものが八百円ということになっております。これは基本的に、読んでいただくとそういうことになっておりますので、したがいまして、加入権はなっておると思いますが。

津川委員 よろしいですか。

麻生国務大臣 契約するときに、いわゆる契約料として八百円です。済みません。

津川委員 契約料でしょう。加入権が幾らという方には言えないんですよ。今の契約の形でいうと、加入権に金額はないんですよ。施設設置負担金、これを負担してくれたら加入権がもらえる。しかし、実際この契約の中に加入権が幾らというものは入っていないわけです。

 財産権だという話がありました。資産的価値がある限り財産権だという話がありました。資産的価値というのは、では、今幾らですか。総務大臣、わかりますか。

麻生国務大臣 今八百円の契約料と申し上げましたけれども、電話加入権の市場価値というときは、いわゆる絶対的なものとして保証されているものではありません。これはもうはっきりいたしておると思っております。

 NTT東西のいわゆる料金体系というものの一部が前払い方式になっておりますので、その意味では、あの当時に生じたようなものだったのだと思っておりますけれども、基本的には今申し上げたような理由でして、したがって、今回の施設設置負担金の取り扱いにつきましては、これは合理的な変更を行うということであって、ある程度納得をいただく、時間をかける、段階的にやる等々のものをきちんと手続を踏むことによって、財産権の侵害に当たるというようなことではないのではないかと考えております。

津川委員 国民の皆さんのために若干説明を――まだ何かありますか。総務大臣、まだ答弁が、追加があれば。――よろしいですか。

 法制局長官がおっしゃった財産権に認められる部分は、市場価値、マーケットで売られている価格のことですよ。そうですよね。今、NTTが施設設置負担金を廃止する。具体的にどうなるか、これはNTTがこれから決める部分もありますから何とも言えませんけれども、これを廃止して、要するに七万二千円、何にも払わなくても、施設設置負担にかかわる経費を一切払わなくても電話を引けるようになるということになれば、これは、今まで払っていた人とこれからの人、不公平になるんじゃないかという議論も一方ではあるかもしれませんが、それはそれとして、加入権を、今、持っていた権利そのものが、全く別のものだとおっしゃったけれども、なくなるかもしれないのです、加入権が。加入権はなくならないというふうに思われますか。

 では、加入権がある方とない方で、どういう違いが出てきますか。

麻生国務大臣 まず、七万二千円の話をされましたけれども、今、市場価値は一万一千円ぐらいになっていると記憶をします。ちょっと正確じゃありませんけれども、七万二千円が一万一千円ぐらいになっているんだと思いますが、今申し上げましたように、その一万一千円の部分が、今、私どもの判断では、少しずつ、確実に、了解を得つつ等々の審議会からの答申を受けて、きちんと対応していくことによって、その部分は時代の変化とともになくなってもよろしいのではないかという答申をいただいておりますから、それに合わせて、同時にちゃんと、市場価格が下がったとはいえ、一万一千円で、少なくとも市場で価格取引がなされているという前提に立ちますと、その部分は、今、市場価格は一万一千円なんですから、買った株価が下がったと思えば同じことだと思いますが、一万一千円になったんだという理解をしております。

津川委員 済みません、大臣、ちょっと現状認識が違うのかなと思います。この中にも書いてありますので、また読んでいただければと思いますが。

 二〇〇二年から、NTTは、実際には加入権がなくても電話が引けます。これはライトプランという、月々六百四十円、基本料に上乗せをすれば引けるわけです。これは要するに加入権がなくても引けるわけです。実際に、今契約をされている方の九割がこちらだそうです。加入権なしで皆さん電話を引いているんですよ。今の現状は、加入権を持って電話を使っている方と、加入権を持たずに電話を使っている方は、加入権を持っている方は基本料金プラス当然通話料金はかかりますけれども、加入権を持っていない方は基本料金に六百四十円上乗せされるわけです、毎月毎月。この違いがあるわけです。これが今の現状です。

 この加入権を今手に入れようとする人が、七万二千円払わなくても手に入れられるようになるんだとしたら、七万二千円払わなくても、ただになって、月々六百四十円払う人が加入権を持っていない人だという話になるんです。これだったら、だれもそんなものはやらないじゃないですか。六百四十円払う必要ないですから。ただで加入権をもらえばいいんです。

 ということは、事実上、加入権というものはなくなっちゃうんです。加入権の価値がなくなると言ってもいいかもしれません。契約したときに加入権が発生すると言ってもいいかもしれませんが、そういう認識でよろしいんですか。

麻生国務大臣 基本的には、料金と権利ということになるんでしょうか。

 加入権というのは権利、今言われた部分は料金ということになるんだと思いますが、今でも加入権がなくなったわけではないと理解しています。したがって、今あったものが、七万二千円が一万一千円に下がったという、そこはよろしゅうございましょう。七万二千円の価格が一万一千円に下がったわけですから。(津川委員「それは違うんですね」と呼ぶ)それはよろしいですね。そこのところは市場価格ですから。

 ただ、加入権も一緒に消滅したのではないかということだと思うんですが、加入権は別に消滅したというわけではないんだと理解しております。(発言する者あり)

津川委員 間違いを直さない方がいいという御意見もどこからか聞こえてきますが……(発言する者あり)質問の趣旨がわからないという意見もありますので質問させていただきますが、要するに、今の市場価格で一万一千円で買うことができるんですが、それとは別に、七万二千円でまだ売っているんですよ。これが問題なんです。(発言する者あり)買っている人いますよ、実際に。加入権を今実際にNTTから買おうとしたら、七万二千円なんです。それで、実際に平成十五年度で六十四億円お金が入っているんです。みんな一万一千円で買えばいいじゃないかと言うけれども、要するに、それを知らないんでしょうね、消費者の方が。これはもう大変な問題ですよ。大変な問題ですが、大臣も今それを御認識されていなかったのでちょっと困ったんですけれども、今そういう状況なんです。

 それで、この七万二千円というのは、どう考えても本来おかしいわけですよ。設置負担金としての役割もなくなったと言っているのに、それが残っているんです。これは絶対なくすべきなんですが、一方で、問題意識として、じゃ、これをただにしますというとどうなるか。

 そうすると、今加入権を持っていない方は、じゃ、月々六百四十円ですよと言っていたんですけれども、加入権がなくて、ただになるんですから、六百四十円も払わない。設置負担金にかかわる減価償却分も払わないわけですよ。みんな、そういうことが全くなくなるということでいいんですか。それで、まずよろしいですか。

麻生国務大臣 株価の話からいくと、基本的に、会社で額面五百円の株を売る、市場取引は百円を割った、でも、会社に、津川産業に、津川産業の株を売ってくれという話になったときに、その会社から株を直接買いますと、一株五百円、額面でいく。しかし、市場売りで、マーケットで幾らで取引されているかというと、全然別の価格になっているということは十分にあることなんだと思いますので、七万二千円で買った人に対して市場価格はもっと安いんですよということを教えるべきだということなんだと思いますが、それは企業の利益から考えたら教えるのはなかなか、それは六万三千円損しちゃうなというぐあいに考える方が民間会社としては普通だと思いますので、私はちょっと、七万二千円で売っておるのがあるのはよろしくないということがおっしゃりたいんだとするならば、それはちょっと違うんじゃないのかという感じがします、私の感じとしては。

 だから、別に悪い……(発言する者あり)悪いことをしているんじゃないと元法務大臣は言っておられますけれども、私も、これは悪いことをしておるという話ではないのではないかという感じはいたします。

津川委員 答弁を聞くたびにどんどんいろいろ問題点が出てきてしまって、どこから聞こうかとちょっと迷っちゃうんですが、少し整理をしましょう。申しわけありません。

 財務大臣に行く前にもう一回総務大臣にお伺いしますが、廃止になったときのイメージとして、電話加入権を買うというのが無料になるんだ、ただになるんだ、この認識はよろしいですか。

麻生国務大臣 黒電話を引くという前提、黒電話って変な表現ですね、今のいわゆる回線を引くというときに、施設料というものが、今一万一千円に価格が下がっておりましたのを買って、そのほかに加入権が六百何十円かかかるという感じがしておりますけれども、ちょっと細目はわかりません、そこのところは。

津川委員 違います。加入権を買えば、一万一千円であろうが何であろうが、加入権を買えば、それは六百四十円は払わなくていいんですよ。

 それで、申し上げますが、国民が不安になっているのは、これはちょっと財務大臣にも伺いますが、今持っている債権、先ほどおっしゃったから債権と言いますけれども、この価値がなくなるかもしれないというのが不安なんです。今それをただにするというのはまさにそういう政策なわけですよ。

 市場価格は一万一千円、随分安くなっていますけれども、まだ一万一千円。これは実は買い取り価格は四千円ぐらいで実際はもっと安いんですが、こういう状況になっていて、ただ、それでもまだ一応権利が残っている。この権利は資産上の権利だとおっしゃったから、これは財産権ですよ。財産権が残っているものに対して、これをただにしたら、これが全部失われることになるんです。これが四千円なのか一万一千円なのか七万二千円なのか八万円なのか、八万円というのは過去の金額ですね、という金額はまた議論があるところですが、こういう状況なんです。これをただにすればこれから加入権を買う人はただでいいだろうという、そんな単純な話ばかりじゃないんですよ。

 財務大臣に伺いますが、今、これは税法上、法人税法上の電話加入権の扱い、それから、贈与税とか相続税でもこれは資産に計上されると思いますが、これが今一気にゼロになったらどうなるか、そうなっても問題ないかどうか、御見解をお伺いいたします。

谷垣国務大臣 私もちょっとこの件はにわか勉強なんですが、要するに、私どもの見地は、私法上の財産権かどうかということじゃなくて、税法上どう評価できるかという観点からお答えいたしますと、現在、電話加入権については、法人税法上、固定資産というふうに位置づけられておりまして、それは、時の経過とともに減価してしまうようなものじゃない、あるいは権利の譲渡が可能で、譲渡をすることによって投下資本を回収できる、こういったことから、非減価償却資産というふうに分類されております。

 それで、相続税では、相続によって取得した財産、これは相続時の時価で課税しているわけですが、先ほど一万一千円というお話もありましたが、平成十六年度の東京国税局管内における電話加入権は、通常、一回線当たり一万円で評価されておりまして、それで、電話加入権についても相続時の時価、ということは現在では一万ということになると思いますが、そういうふうに扱っております。

 それで、もう一つは、今度の情報通信審議会の答申のような形になるとどうなるかという御質問だったと思いますが、これは、電気通信事業者、NTT東西ですね、これがこの答申を受けて、施設設置負担金に関する具体的な取り扱いというのをこれから決定していくということだろうと思いますが、そこがわかりませんと、税法上の具体的な取り扱いについてまだ申し上げられる段階ではないということでございます。

 さらに一般論として言えば、施設設置負担金の無料化というようなことによって電話加入権の譲渡性が失われるということになれば、電話加入権を非減価償却資産として扱っている今の取り扱い、それから相続財産としての評価についても、恐らく検討が必要となってくるのではないかということであります。

津川委員 額面で計算すると、NTT東西の固定電話は約六千万件で、これは七万二千円で全部同じ金額じゃないですけれども、単純にそれで計算すると、四兆三千億円の国民の資産がゼロになっちゃうわけです。それは税法上の何か手当てとか、今、減価償却されない固定資産になっていますけれども、これを減価償却処理をしていいようにするとか、こういう手当てをすれば一応会社の方は何とかなるかもしれない。だけれども、やはりまずどうしても残る問題として、財産権を国の政策によって奪っていいのかどうか。これは到底許されるものではないと思います。

 それからもう一つは、電話加入権を売買されている業者があります。これはもう完全に壊滅をする形になります。

 それから、この加入権を使った金融というものがございます。これも、実際、実態も調べていただきたいですけれども、私が調べた範囲でありますけれども、普通のところからお金が借りられない、状況によっては消費者金融からも借りられない、そういう人がこの電話加入権を担保にして借りている。別に悪徳商法ばかりじゃないですけれども、非常に良心的で、七万二千円以上貸してくれるようなところもあるらしいですけれども、この質権としての価値がゼロになる、急激にゼロになる可能性がある。これは対応のとりようがないと思うんです。

 総務省として、そういう大きな問題があるにもかかわらず、施設設置負担金をゼロにして、全くゼロ円で電話加入権が得られるという形にすることを了承していいんですか、本当に。

麻生国務大臣 今御指摘のあったところですけれども、基本的に、今言われましたライトの件ですけれども、あれは平成十四年だったかな、電話加入ライトというのが始まったと思いますが、あのライトができてからは、少なくとも今のお話で分けると三つぐらい、電話が実際かけられるようになるのに三つぐらい種類があるんだということになったんだと思うんですね。

 まずは市場から一万一千円で買って、いわゆる施設設置負担金一万一千円で買うのと、それからNTT東西どちらからか七万幾らで買うのと、そしてここにもう一つ、月々六百四十円を払うことによって電話を使えるようになるという、いわゆるこれは一種の加入権というものだと思いますが、六百四十円を払いさえすれば電話を使えるという加入権というもの、そのかわり六百四十円ずっと払い続けるわけですが、そういったものと、三種類できているんだ、私はそう理解しておるんです。

 したがいまして、今、その七万四千円の分を掛けると約四兆円ぐらいの金になるぞというのは、まことに、単純計算すればそのとおりになるんですが、現実問題として、今、市場価格は約一万一千円、引き取るときは約四千円等々のお話があって、それも事実だと思っておりますので、私どもとしては、だからこの審議会の方も、これは時間をかけてきちんと段階的にやらなきゃだめなんだということを言ってきているので、私どももその点はそうだと思うし、ある日ぽっと、ないよなんということはちょっと乱暴過ぎるのかなと、私もそう思います。

津川委員 これは激変緩和措置じゃだめなんですよ。五年後にただになるというのと来年ただになるというのは、実はそう大きな差はないんです。これをただにしていいのかどうかという問題です。これはマーケットが決めるものなんです、本当は。それをNTT東西が、ただで、無料で電話加入権を販売というか配布というか、そういうことをしたときにマーケットが壊れてしまうんです。市場価格があるにもかかわらず、それがゼロになっちゃうんです。

 それから、先ほどお答えいただきませんでしたが、電話加入権を扱っていらっしゃる業者の方々とかそれを元にして金融をされている方々というのは、もうこれは、五年後にゼロになりますよと言った途端にアウトですよ。そうですよね。

 今の大臣の認識は大体正しかったんですが、一点だけ違ったのは、六百四十円は加入権ではありません。加入権の扱いというか、定義が全然違いますから。六百四十円払えばそれで加入権が得られるというのではなくて、加入権がなくても、六百四十円払い続ける契約をすれば電話を利用することができるということで、加入権を買わなくてもできるという話ですね。得なくてもできるという話です。その三つの種類があるのは確かです。

 例えば、一つの例を挙げますが、平成十五年度で七万二千円で買った方がいらっしゃって、六十四億円ですよ、六十四億円分、八万回線買った方があるんです。そういった方が、市場価格で一万一千円ぐらいで買えるのがわかっていれば多分そっちに行ったと思うんですが、それがわからなかったんでしょう。

 ただし、どういう判断をしたか。想像できるのは、月々六百四十円払うのと一気に七万二千円払うのとどっちが得かと。これは、単純に計算すれば、九年以上使えば、ずっと使うということであれば、七万二千円払った方がずっと使えるわけですから得になるわけです。だから、恐らく、この八万回線分買った方は、六百四十円と比較してこっちの方が得だと思ったんです。

 ところが、今の答申で、実際にあと五、六年から七年ぐらいの間にこれがゼロになると言ったら、これはやはり詐欺ですよ、完全に、間違いなく。これはやはり避けなきゃいけない。

 それから、もう一つ、私の方から少しわかりやすいように提案をさせていただきますが、加入権と加入権料を分けるということ自体がちょっと疑わしいんですが、あえて分けたとして、どういうふうに考えるか。

 加入権を例えばNTT東西がこれから新たには販売しないということならまだわかるんです。施設設置負担金を出さないから、新たなる加入権は出しませんと。今まで買った人は今までの料金で使える、買っていない方は、六百四十円月々払うか、もしくは市場に出回っているものを買ってくる、それなら市場価格というのはそれなりに残ると思います。

 それでもなおかつ、多分そう上がりはしないと思いますよ。それは、根本的に、今、固定電話に対する需要が下がってきている、あるいは新電電のように、こういった経費がなくても使える固定電話というのができてきている。NTT東西も、近い将来はそういったものをやりたいと言っている。

 だから、最終的にこの市場価値はゼロになる可能性はあります。だけれども、これがマーケットの判断でゼロになる分に関しては、先ほどの法制局長官の判断からいっても、財産権の侵害にはならないんですよ、資産価値がなくなるだけの話ですから。

 だけれども、ここでNTTと総務省の判断でこれをゼロで出すという話になると、これは間違いなく財産権の侵害だ、憲法に抵触をする、こういう認識を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今の話は、初めての御提案なんだと思って拝聴させていただきましたけれども、一考に値すると思っております。したがって、今の御提案は検討させていただきます。検討させていただきますじゃなくて、検討させますが正しいと思います。

津川委員 検討していただくのはありがたいんですが、そもそも論を申し上げますと、実は、これはNTTの問題だけではありません。歴史的な経緯、経過、それから現在の、まさにこの答申の頭にある接続料の問題です。つまり、新電電と今のNTT東西との関係の中で、本当に公平公正な競争が行われているのかどうかという判断であります。

 これは、電電公社から今に至るまでの改革の流れの中で、民営化をしていこうという大きな流れがあったわけでありますから、その移行期間という見方はできるかもしれませんが、しかし、最終的にどういう形になるかというのが示されていないんです。

 そういう中で、例えばNTTの皆さんは、よくおっしゃるのが、手足を縛られて競争しろ、走れと言われるけれども、走れないと。新電電の皆さんからすると、まだまだNTTの方が優遇措置が多いんじゃないか、こういう話であります。これに対して総務大臣がどういう見解を持っているのか、今の現状に対して。そのことによってこの話も随分変わってくるんですよ。

 どういう御見解を持ち、どういう最終的な形が目指すべき形であるか、そのビジョンをお示しいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今の段階でいろいろなことが考えられると思います、正直なところ。これは、東西分けたのが間違いだったんじゃないかとかいろいろな説がいっぱいありますので。

 そういった意味で、これはいろいろNTTと、いわゆる持ち株会社のNTTと子会社等々との関係が大分違いますので、そこらのところは一体、ここら、わんわんわんわん言って分けてみたけれども、これは地域で分ける意味が今あるのかと、こんな時代なのに、いわゆる配線じゃなくて、空中で。おまけにIP電話にはなってきた。それで、IP電話の設備投資等々も考えにゃいかぬなど、いろいろ考えにゃいかぬことはいっぱいあるんだと思いますので、私の見解で今これが答えというのを正直持っておりません。

 これは検討が今進んでいるところで、IPに踏み切らねばならぬかなとNTTが思い始めたところぐらいまで変わってきているんだと思います。そこらまでの話が今の段階で、まだNTT本体としてこれでいくという、いわゆる回線の方に関してはもうというところまで言い切ったかというと、ADSLの話もありますので、なかなかそんな簡単にある日突然にとはいきかねるというところなんだと理解をしておりますが、おまえの意見はどうだと言われれば、今のこの段階でちょっと、これが答えというものを直ちに今持っているわけではございません。

津川委員 それは、総務大臣なんですから、本当は持っていただきたいんですが、先ほど質問したことをもう一回質問しますが、今の現状は公平公正な競争状況にある、こういう認識を持っているのか、そうでないのか、これをお答えいただきたい。

麻生国務大臣 これはもともと投資した建物が、昔、旧電信電話公社だった時代に投資した分やら何やらの分、そこにルーターを置かせてやったり、交換機を置かせてやったり、いろいろしている分やら何やらあるのは御存じのとおりなので、そういったものの評価をどうするかという話が一点。

 それから、片っ方は、電話は施設してあるけれども、そのメンテナンスをせにゃいかぬ、何をせにゃいかぬという部分に関しての金は一体だれが払うんだと。トラフィックの絶対量は下がってきておりますので、そういったものの絶対量が下がってきている中でどうするんだという話をかんがみますと、今見た中で、これだけ電電公社の時代から急激に人は減らし、何は減らしして、結構経営努力はされておると思いますし、電電公社の職員やら何やらの数の減り方を見ても、結構厳しかったと私どもそう理解しております。

 傍ら、スピードが物すごい勢いでコミュニケーションの技術が進んでおりますので、さらにということになっている部分がもう一つありますので、その部分の設備投資はどうするんだというようなことは、単なる接続業者と立場が違いますので、基本のところをどうするかという話はもう一回考えにゃいかぬところなんだというようなことを全部突っ込んでみて、まだまだできないところも、開放してもいいようなところもあると同時に、基本的な基盤整備というものはだれがきっちりやるんだということを、きちんとしたものを、ある程度利益が出ないと基盤整備はできませんから、カリフォルニアのブラックアウトみたいにならないようにするためにはどうしておくかという点も、両方考えにゃいかぬところなんだと思いますが、今言われたように、できる、もっとやっていいんじゃないかなというところと、この部分はメンテナンスはきちんとしてもらわなきゃだめよというところと両方あるような感じが、この一年数カ月見た中での今私の率直な実感です。

津川委員 残念ながら、余りしっかりとしたビジョンなり、あるいは公正公平な競争が行われているかどうかということについて明確な見解がないということがわかりまして、大変残念であります。

 いずれにいたしましても、実は、今回の電話加入権料廃止、施設設置負担金廃止の話も、前回の接続料の問題のときにNTT東西にはちょっとかわいそうだったから、今回はちょっとNTT東西に少し恩義をと言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういう政策のダッチロールが見え隠れするんです。そういう流れの中で、まさに国民不在の議論をして、あげくの果てに国民の大切な財産権を侵害するような、そういう政策は絶対にとっていただきたくないということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて津川君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 イラク問題を初めとする平和の問題、あるいは年金を初めとする社会保障政策、そして食の安全に至るまで、国民生活が非常に不安と閉塞感に揺らいでいる中で行われているこの予算委員会の二日目の審議、きょうは朝から参加させていただきましたが、多くの時間が政治と金ということに費やされて、国民の最も関心事である年金や、あるいは日本のこれからの外交政策についての審議が短かったことが非常に残念でもあります。しかし、政治と金という問題をきっちりさせない限り政治が信を得ることはないと思いますので、私は、通告をしておりませんが、一問目、尾辻大臣にお願いいたします。

 先ほどからの審議を承っておりまして、日本歯科医師連盟、あるいは南野さんがお答えになっていた日本看護連盟等々、業界団体がつくるところの政治団体と業界団体との関連、あるいは政治団体からの寄附のことが取り上げられてございました。

 私は、自分も医師でございますが、この医療界における、業界団体と言ってもいいのでしょうか、看護、医者、薬剤等々からの企業献金、それは、今は団体献金という形ではなくて政治連盟という一つの箱を介して行われますが、実は、その箱ともとの業界団体との独立性はいかにと問われますと、看護連盟と同じように、日本医師会と日本医師連盟、いわゆる医師会のつくる政治組織もさまざまに問題を抱えていると思います。

 そこで、尾辻大臣に伺いますが、日本医師連盟の事務局は、これは先ほどの看護連盟と同じように、日本医師会の会館内に置かれ、代表電話番号も同じで、また、ホームページ等々の記載を見ますと、日本医師連盟は日本医師会と一致協力して政策実現に邁進するというふうなうたいがございます。

 果たして、どのようにして独立性が担保され、業界団体のいわば政策実現のための政治集団としての役割か否かということを峻別していくためには、今後、特に国民の命にかかわる医療の分野で多額な献金が問題になっている今般の事態を踏まえて、厚生労働大臣としての、この政治団体とそして業界団体との、特に医療界における不透明さについてどのようなお考えをお持ちであるのか、一点お聞かせいただきたいと思います。

 ちなみに、先ほど看護連盟の献金が問題になっておりましたが、額においては、日本歯科医師連盟よりも看護連盟よりも、日本医師会のつくりますところの医師政治連盟の額が断トツでございます。そして、それが今後、医療政策の中で、国民から見て不透明である、あるいは政策誘導的である、迂回献金ではないか、政策実現のための献金ではないかと言われるようなそしりを免れていくために、ぜひ所轄の大臣としての見識をお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 先ほどもお答えいたしましたけれども、先生お話しのように、峻別をすべきでございます。

 私どもは、政治連盟の方について何かを言うべき立場にはございませんけれども、そもそもの団体の方につきまして指導する責任がございます。したがいまして、例えば、役員がダブっていないか、あるいは事務所がちゃんと別になっているか、あるいは、もっと細かなことを言いますと、一つの通知で両方のことが書いてないかとか、そういうことがもろもろあると思いますから、今後しっかり指導していきたいと思います。

阿部委員 ちなみに、日本医師会の会長が日本医師連盟の会長でございまして、事務所は同じ場所でございます。今の大臣の御答弁のとおりに、本当に指導していただきたいと思います。

 そして、もう一つ言わせていただければ、この医師政治連盟への加入と医師会との加入がセットでなされる場合が多うございます。こういう実態にも踏み込んで、やはりこの政治団体というものがうさん臭い箱にならないように、ぜひ、特に医療という分野で御尽力をいただきたいと思います。

 引き続いて、最も国民の関心事である年金問題についてお伺いいたします。

 さきの国会の年金審議は、果たして年金の現状、国民が抱く不安に対しての答えになっていたかというと、一つには、国民年金の空洞化、会計検査院の指摘でありますれば、この二年間で一千万人以上の人が未納状態にある。そしてもう一つは、柱であるはずの厚生年金にも未納、未加入問題が山積しておる。そして膨大なパートが一方で発生しておる。どう考えても、さきの国会で根本的な論議がなされたとは思われません。

 そして、実は、厚生年金の保険料の掛金の料率が十月一日からアップする前に、ぜひとも一人一人のサラリーマンの皆さんに、本来は厚生年金に加入すべき事業所が脱落している現状を所轄の大臣としてきちんと明示した上で、国民の協力を仰ぐべきだと思います。

 厚生年金の空洞化状況は、実は、きっちりした資料が厚生労働省から出されたことがございません。この点に関して、尾辻大臣のお考えを伺います。

尾辻国務大臣 厚生年金の未適用事業所につきましては、定期的な法人登記簿の閲覧等による新設法人の把握に加えまして、平成十四年度からは、雇用保険とのデータ突合により、未適用の疑いのある事業所を把握し、加入勧奨状の送付や社会保険労務士の巡回説明等により、未適用事業所を把握してきたところではございます。

 しかし、この未適用事業所数につきましては、全体像を示す正確なデータを得ておりませんでした。したがいまして、公表してまいっておりません。

阿部委員 私が申しましたのは、国民に負担を強いる前に、きちんとそういうことを調べ、公表し、合意、納得を得てこそ年金の信頼性は高まるということでございます。

 ちなみに、民間のシンクタンクが、いわゆる国税庁の民間給与の実態というものに照らしてどのくらい未納者がいるかという調査をした報告によれば、少なく見積もれば三百十万人がいわゆる空洞化しておる、未納、未加入状態。あるいは、高く見積もれば九百二十六万人。一千万人近くが、本来厚生年金に加入すべき立場でありながら未納、未加入ということも上がっておりますので、これは早急に実数を把握していただきたいと思います。

 引き続いて、お待たせをいたしましたが、島村農水大臣にお願いいたします。

 私は、先ほど民主党の議員の方が大臣とやりとりしておられる中で、大臣が、輸入牛肉の方が安いんですよということを再三おっしゃいました。確かに、例えば育ち盛りの子供を抱えていれば、安くて安全な牛肉、本当に子供たちに食べさせたいと思うと思います。

 しかしながら、非常に残念なことに、アメリカにおけるBSE対策は、大臣も御存じかもしれませんが、飼料の問題にしても、牛のトレーサビリティーの問題にしても、異常におくれております。一言で申しませば、EUあるいは我が国が一番進んでいると思います。

 その中にあって、今度局長級の会議が持たれるということでありますが、果たして管轄の農水大臣として、この飼料状況あるいは牛のトレーサビリティー、歯や肉質で月齢をはかられたのではたまったものではございません、いいかげんですから。そのあたりについて、米国の現状について、どのように我が国として調査、実態把握していかれるのか、その決意のほどをお伺いいたします。

島村国務大臣 お答えいたします。

 医師らしい御質問ですが、まさに私たちも、何より食に対して一番大事なことは安全、安心、これを大前提に置いております。したがいまして、日本とアメリカの感覚の中には随分ずれがありましてお互いの協議が難航している、これが現実であります。

 しかし、私たちはあくまで、私たちの国内の措置を向こうに遵守してもらって初めて受け入れることができる、その基本に立っておりますので、ぜひそのことはお認めいただきたいと思います。

 いろいろ申し上げたいのですが、時間がないようですから。

阿部委員 ありがとうございます。

 O157にしても、成長ホルモンにしても、常に犠牲は子供から出ました。子供たちの健康、未来ということにおいて、農水大臣の見識ある指導をお願いいたしたいと思います。

 ありがとうございます。

甘利委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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